第4号 令和6年4月17日(水曜日)
令和六年四月十七日(水曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 田野瀬太道君
理事 小寺 裕雄君 理事 中村 裕之君
理事 永岡 桂子君 理事 山田 賢司君
理事 坂本祐之輔君 理事 牧 義夫君
理事 金村 龍那君 理事 浮島 智子君
青山 周平君 井出 庸生君
上杉謙太郎君 尾身 朝子君
勝目 康君 木村 次郎君
岸 信千世君 小林 茂樹君
柴山 昌彦君 西野 太亮君
根本 幸典君 船田 元君
古川 直季君 三谷 英弘君
宮内 秀樹君 保岡 宏武君
山本 左近君 義家 弘介君
青山 大人君 菊田真紀子君
篠原 孝君 吉川 元君
吉田はるみ君 笠 浩史君
早坂 敦君 堀場 幸子君
前原 誠司君 平林 晃君
鰐淵 洋子君 宮本 岳志君
西岡 秀子君
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文部科学大臣 盛山 正仁君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局長) 望月 禎君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 池田 貴城君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 柿田 恭良君
文部科学委員会専門員 藤井 晃君
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委員の異動
四月十七日
辞任 補欠選任
鈴木 貴子君 西野 太亮君
山口 晋君 保岡 宏武君
下条 みつ君 篠原 孝君
同日
辞任 補欠選任
西野 太亮君 鈴木 貴子君
保岡 宏武君 山口 晋君
篠原 孝君 下条 みつ君
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四月十六日
学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)
同月五日
教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(青柳仁士君紹介)(第八六五号)
同(吉川元君紹介)(第八九五号)
同(馬場雄基君紹介)(第九二五号)
同(平井卓也君紹介)(第九四六号)
同(吉川元君紹介)(第九七五号)
国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(吉田統彦君紹介)(第八六六号)
高等教育無償化を求めることに関する請願(吉田統彦君紹介)(第八六七号)
設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八六八号)
同(岡本あき子君紹介)(第八六九号)
同(志位和夫君紹介)(第八七〇号)
同(湯原俊二君紹介)(第八七一号)
同(吉田統彦君紹介)(第八七二号)
同(野間健君紹介)(第八九六号)
同(森田俊和君紹介)(第八九七号)
同(田中健君紹介)(第九二六号)
同(阿部知子君紹介)(第九四七号)
同(田村貴昭君紹介)(第一〇〇三号)
同(渡辺創君紹介)(第一〇〇四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)
文部科学行政の基本施策に関する件
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○田野瀬委員長 これより会議を開きます。
文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
文部科学行政に関する実情調査のため、去る十日、東京都渋谷区にある東京呉竹医療専門学校代々木校舎の視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。
参加委員は、私を含め、各会派の理事、委員十四名であります。
それでは、視察の概要について御報告いたします。
東京呉竹医療専門学校は、鍼灸マッサージ科、鍼灸科、柔道整復科のほか、日本で初となる鍼灸マッサージの教員養成科を設置し、それぞれに必要な高度の専門知識及び技術を授け、広く社会に貢献する有為な人材の育成に取り組んでおります。
まず初めに、学校法人呉竹学園の坂本理事長から、東京呉竹医療専門学校の取組や現状等について説明をいただきました。その後、同専門学校の鍼灸マッサージ教員養成科で開講されている座学授業とともに、同学科の臨床実習の様子を視察いたしました。
臨床実習では、隣接する施術所において、臨床の第一線で活躍するベテラン講師から指導を受けながらマンツーマンで生徒が一般の患者の治療に当たっているほか、受付や窓口会計、カルテの管理等の施術所の運営も生徒が行っており、治療と治療以外の双方における高度で実践的な学びの場となっている様子をうかがうことができました。
次に、坂本理事長や同校関係者との懇談を行い、大学への編入学や大学院への進学の状況、在籍者の経済的負担や奨学金の利用状況等について説明をいただきました。そのほか、今国会において政府から提出されている学校教育法改正案における専攻科の新設や単位制の法定化による影響について、意見交換を行いました。
以上が視察の概要でございます。
最後に、今回の視察に当たりまして、御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、御報告とさせていただきます。
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○田野瀬委員長 次に、内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。盛山文部科学大臣。
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学校教育法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○盛山国務大臣 この度、政府から提出いたしました学校教育法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
専修学校は、社会の変化に即応した実践的な職業教育機関として、社会基盤を支えるために必要不可欠な人材を輩出しています。人生百年時代やデジタル社会の進展の中で、リカレント教育を含めた職業教育の重要性が高まる中で、専修学校に求められる役割はより一層大きくなっています。
この法律案は、専修学校における教育の充実を図るため、専修学校に専攻科を置くことができることとするとともに、専門課程の入学資格の見直し、一定の要件を満たす専門課程の修了者への称号の付与、専門課程を置く専修学校への自己点検評価の義務づけ等の措置を講ずるものであります。
次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一に、大学等との制度的整合性を高めるための措置として、専門課程の入学資格について、大学の入学資格と同様の規定に改めることとしております。これを踏まえ、専門課程の在籍者の呼称を生徒から学生に改めることとしております。また、専修学校となるための学習時間の基準を、単位数により定めることができるようにしております。
第二に、専門課程修了者の学修継続の機会確保や社会的評価の向上のための措置として、一定の要件を満たす専門課程を置く専修学校に専攻科を置くことができることとし、より深く学ぶ機会を提供することを可能としております。また、当該要件を満たす専門課程の修了者は、専門士と称することができることとしております。
第三に、教育の質の保証を図るための措置として、現在小学校等と同じ項目で行っている自己点検評価について、大学と同等の項目とすることとしております。また、外部の識見を有する者による評価を受けることを努力義務としております。
このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○田野瀬委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○田野瀬委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省総合教育政策局長望月禎君、高等教育局長池田貴城君、科学技術・学術政策局長柿田恭良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○田野瀬委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。勝目康君。
○勝目委員 おはようございます。自由民主党、京都一区の勝目康です。
本日は、貴重な質問の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。御関係の皆様全てに感謝を申し上げます。
今般の学校教育法の改正案でありますけれども、先ほど大臣から趣旨の説明がありましたとおり、専修学校における教育の充実を図ろうというものでございます。
専修学校というのは、情報や、自動車整備などの工業系、看護、リハ職、歯科衛生や歯科技工といった医療系、理美容、調理などの衛生系、保育、介護などの福祉系、そして文化、教養系などなど、現場で働く人材を育成をし、そして、これらのサービスが社会において適切に提供されるその基盤を担っていただいております。
コロナ禍真っただ中にありましても、医療や衛生、福祉など、いわゆるエッセンシャルワーカーとして献身的に仕事をしてくださいましたし、また、ポストコロナの今はDX化が全ての分野で一気に進んできている。また、コロナで大変傷んだ地域の再活性化といったようなものも待ったなしでありますけれども、これらの現場を支えていただいているのもまた、専門学校を、専修学校を卒業した方々が多いということであります。
他方で、非常に人手、人材が不足をしているということであります。エッセンシャルワーカーの皆さんも今足りないという状況でございます。このままでは我が国の社会というのはもう成り立たなくなってしまうんじゃないか、この今の人手不足の状況というのは、大変危機感は広く共有をされている状況だと思います。
専修学校で学んでいただくことによって、技術を修得されることはもちろんですが、その背景にある精神であるとかプロフェッショナリズムであるとか、そういったこともしっかり学んで身につけて、そして社会に出て仕事を第一線で担っていただいているということでございます。
少子化が進んで、十八歳人口も減り続けている中で、専修学校が果たす役割というのは非常に大きくなっている、こう認識をしております。
また、若者の地元定着という観点で見ましても、全国平均で、大学を卒業した方というのは四割程度しか地元に残らない、他方で、専門学校の卒業生は七割が地元に残るということであります。母数の違いというのはもちろん考慮に入れる必要はありますけれども、そういった観点でも地方創生に貢献しているのが専修学校だというふうに言えると思います。
しかも、今、リカレント、リスキルの時代であります。専門学校、今、七%が社会人の学生ということでありまして、一定の役割を果たしているということが言えると思います。
外国人につきましても、日本で学ぶ留学生の四分の一、二五%は専門学校で学んでおられて、そして、卒業して三割は日本で仕事をされているということでございます。
このように、労働市場の流動化であるとか、あるいは人材の国際化といったものが進んで、また、国としても構造的な賃上げといったものを推進している今、専門学校というのは社会のニーズに応え、必要な人材を育成、供給しているということであります。
しかし一方で、我が国の学校制度というのは、幼小中高、特支、高専、大学といったいわゆる学校教育法一条に規定をする一条校か、それ以外かという二分法の中で制度が組み立てられています。専修学校、つまりは職業教育の重要性といったものが我が国の教育行政において十分に考慮されてきたか、認識され、体系立てられてきたかというと、この制度創設以来五十年でありますけれども、もちろん少し前進を、少しずつ前進をしてきてはおりますけれども、十分だったかなという疑問は持たざるを得ないところであります。
例えば、高校の卒業後の進路として取り上げられるのも、ほとんどは大学への進学ばかりであります。専門学校は余り考慮されていないというケースはよく耳にするわけでありますけれども、これもよく考えればおかしな話で、卒業生が専門学校に進んで、技術を身につけて、着実に仕事をこなして、そしてそれを発展させる、社会的に尊敬をされたり、ビジネス面で成功されたりというのは普通にあるわけでありまして、専門学校の今のような位置づけというのが、かえって子供たちの将来の進路、選択の幅を狭めてしまっていないか、社会とのミスマッチを起こす元になっていないか、こういうこともよく考えるべきだと思っております。
諸外国ではという言い方をするのは私は余り好きではないんですけれども、ただ、あえて申しますと、ヨーロッパではアカデミックの方と職業専門教育、これはボケーショナルというそうですが、これを峻別をした上で、それぞれしっかり体系をつくっていくというアプローチを取っているそうであります。アメリカはむしろこの職業専門教育をアカデミックの方にぐっと寄せて体系をつくっているという、アプローチは二つあるようでありますけれども、日本もやはり一条校とそれ以外というこの二分法から脱して、職業専門教育というものをしっかり体系立てて発展させていくべきじゃないか、このように考えております。
今般の法改正というのは、今るる申し上げてきた専修学校の果たしている、あるいは今後果たすべき重要な役割にふさわしい立場というんでしょうか、それを備えられるようにするものだと私自身は認識をしております。
前置きが長くなりましたけれども、まず盛山大臣に、今回の法改正の趣旨、これを伺いたいと思います。七年前の学教法改正で専門職大学という制度が導入されましたけれども、このときとの違いを含めてお聞かせいただきたいと思います。
○盛山国務大臣 勝目委員、今の御発言にもありましたように、もう十分、私から御説明するまでもないのではないかとは思いますが、専修学校の専門課程、いわゆる専門学校は、社会の変化に即応した実践的な職業教育機関として、医療、福祉、工業等の分野において社会基盤を支える必要不可欠な人材を輩出してまいりました。
近年、リスキリングやリカレント教育といった職業教育の重要性が高まっていることを受けまして、専門学校においても、教育の質の向上を図り、質を保証する観点から、専門学校における教育と大学における教育との間の制度的な整合性を高め、両者の間の円滑な移行を可能とするとともに、専門学校修了者の学修成果の社会的な評価の向上や学修継続の機会を確保するための制度の整備などが必要と考えております。
本法律案では、こうした状況を踏まえ、専門学校につきまして、入学資格の見直し、専攻科の設置に係る規定の創設、修了者への専門士の称号の付与、大学と同等の項目での自己点検評価の義務づけ及び外部の識見を有する者による評価の努力義務化などの措置を講じることとしております。
なお、専門職大学との関係につきましては、専門学校は、修業年限や教育内容等に関し弾力的な取扱いが認められており、その特性を生かして国家資格や職業に直結する知識、技術、技能などの修得を目的としています。他方、専門職大学は、実習時間や教員資格、認証評価等について、法令の厳格な定めにより、卒業時に学位を授与する大学としてふさわしい教育研究の水準を担保した上で、資格取得のためだけではなく、教養に関する授業や理論と実践に基づく演習を行っております。
文部科学省としましては、専門職大学と専門学校の振興を両輪で進めていくことが重要と考えており、それぞれに求められる役割を果たすことができるよう、今後ともしっかり取り組んでまいります。
○勝目委員 ありがとうございます。
専門職大学は、まさに一条校の方に職業教育を寄せているという中で、単に資格取得、職業に直結する部分だけではなくて、やはり研究とか、そういうアカデミックな部分を入れ込んで初めて成立するということだったんだろうと思います。そうすると、専門職大学があるから、こっちの専修学校、専門学校の方はこれまでどおりでいいということではなくて、やはりこっちはこっちで、専修学校の方はその充実をしっかり図っていかないといけないということなのかなというふうに感じたところであります。
そうした中で、今ほど大臣御答弁あったように、専門士の資格、これは既に付与されていますけれども、これをしっかり運用上のものから法定をしていくという中で、きっちり制度化、制度の面でも法令の面でも担保をしていって、そしてアカデミックとの間の整合性をきちっと保障していく、こういうことなんだろうというふうに理解をしたところであります。
それでは、職業専門教育を質高く実現をしていく必要がやはり出てくるということなわけですが、当然、これは制度を整えるだけではなくて、専門学校、学校の側においても、教員であるとかカリキュラム、施設設備、あるいは企業等現場との連携など、その実質を備えていくことが求められるということだと思います。かつ、それは、自分たちとしてこれを整備しているんですというだけではなくて、客観性といったものも担保されないといけないということだと考えます。
この点、平成二十六年から職業実践専門課程という制度が導入をされています。企業等と連携をして教育課程を編成をする、実習を行うといったようなことや、あるいは学校関係者評価と情報公開、これが認定要件になっているということでありますけれども、この仕組みをどうしていくのかということも関係すると思うんですけれども、専門学校の質の向上を図り、その客観性を担保するための取組について、局長の方から御答弁をいただきたいと思います。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
今般の改正につきましては、専門学校につきまして、高等教育機関としての位置づけを明確にし、大学における教育との間での制度的な整合性を高めることとするものでございまして、高等教育機関としてふさわしい教育の質を確保することは必要不可欠と考えてございます。
大臣からも御説明させていただきましたけれども、今回の改正では、専門学校には、大学と同等の項目での自己点検評価を実施し、当該専門学校の教育、組織及び運営並びに施設及び設備の状況につきまして自己点検評価を行い、その結果の公表を義務づけるということとしてございます。また、外部からの客観的な指摘を受けられるようにすることも重要でございまして、外部の識見を有する独立した専門の評価機関による評価を努力義務としているところでございます。
今、勝目先生から御紹介がございました職業実践専門課程、これは企業と密接に連携した専門教育にとりわけ取り組んでいる専門学校として文科大臣が認定をしてございますけれども、この文科大臣が認定を行う専門学校に関しましては、外部の識見を有する者による評価を認定等を受けるに当たっての要件とすることを今後検討をしてまいりたいとも考えてございまして、より客観性が高い評価の実施を促してまいりたいと考えてございます。
○勝目委員 ありがとうございます。
今ほど、職業実践専門課程における外部評価というものを認定の要件にすることも検討していくということでありますので、しっかり、質の向上と、そしてそれを裏づける客観性の担保、更に進んでいく方向で考えたい、こういうことと理解をいたしました。
続いて、学び直しについてお伺いをしたいと思います。
足下のこの物価高を乗り越えるということで、賃上げを実現しないといけない。三十年間日本をむしばんできたデフレ経済から完全に脱却をする、その鍵の一つが人への投資ということでございます。政府としても五年間で一兆円ということで施策パッケージを今展開しているところでありますが、専門学校、専修学校というのはその重要な受皿の一つだと考えます。
先ほどの職業実践専門課程であれば、これは厚生労働省の教育訓練給付金の対象になりますし、また、企業が社員教育のために専門学校に通わせて授業料を負担をした場合、これは賃上げ促進税制の控除額を上乗せをする要件として、対象経費には含まれていくということであります。制度的にも後押しが進んでいるということもあって、積極的に取り組んでいくべきところだと思います。
今回の法改正によって専門学校は学び直しの機能をより発揮できるようになるのか、専門学校自身に求められることと併せてお答えをいただきたいと思います。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
専門学校では、高校等を卒業した後に直接進学する者のみならず、四万人を超える社会人が国家資格の取得等に向けて学び直しを行っている現状がございます。
今般の改正では、一定の要件を満たす専門学校には専攻科を置くことができることとしてございますけれども、社会人が実務経験を経て更なる実践的な知識、技術、技能の修得あるいは資格の取得を更に目指すという場合に、専門学校が学び直しの場となるよう制度的な整備を図ることとしてございます。
また、単位制に移行することによりまして、一旦中断をした学修の再開に当たりまして、取得した単位について認められるようになる、大学への編入学などの学修機会の確保にもつながるものでございまして、学び直しに資するものと考えてございます。
社会人の学び直しを通じて、社会の変化に即応し、社会基盤を支える人材を輩出することが重要でございまして、専門学校はその役割をしっかり果たしていくものと考えてございます。
○勝目委員 今回の法改正で規定をされる専攻科の創設とそして単位制の導入ということが、これはまさに学び直しの方にも直結をする制度改正だということを確認をさせていただきました。
続いては、外国人でございます。
先ほど留学生の四分の一が専門学校で学んでいると申し上げましたけれども、専門学校から見れば一割の学生が留学生ということで、結構な割合であります。専門学校で学んで卒業して、いわゆる技人国、技術、人文、国際の在留資格を得て日本で就職するのが三割ということですが、実は、七割の学生は、日本で就職したい、仕事したいと言っていて、でも、そのうちの四割しか働けていないというのが現状ということでございます。
人手不足に悩む日本、もちろん不法滞在を助長するような運用はこれは論外でありますけれども、日本を知り、日本が好きで、日本で学んだんだから日本で働きたいという外国人に、もちろん相応の実力があることは前提になりますが、もっと活躍のフィールドを提供できないかというふうに考えるところであります。
お考えを伺いたいと思います。
○望月政府参考人 留学生三十万人計画を達成いたしました令和元年度時点では、高等教育機関及び日本語教育機関における留学生総数の二五%に当たる約八万人の外国人留学生が専門学校に在籍をしてございました。令和四年度には、コロナがございましたので、約五万人の留学生を受け入れているところでございます。
今回の改正によりまして、専門士の称号を法律に位置づけるということにしてございますけれども、これにつきましては、その国際通用性を高め、卒業生が外国の大学への留学等の際に学歴が適切に評価されること、外国人留学生が帰国後の社会的通用性を高め、就職や進学を促進することなどの効果があると考えてございます。
今、勝目先生から御紹介ございました、留学生の方が学んだ後に就職を更に日本でしたいという場合に、大学卒業者に比べ、学校で学んだ内容と就職先の業務内容の関連性がより厳格に求められているところがございました。このため、令和六年四月より、外国人留学生キャリア形成促進プログラムという認定の制度を設けまして、専門学校の学科におきまして、就労のための在留資格について、大学と同様に、業務関連性が柔軟に判断され、留学生が適切に就労の機会を得るための改善を図ったところでございます。
なお、当プログラムの認定を受けた専門学校につきましては、留学生の在留管理の徹底がこれは求められるのは当然でございまして、不適切な事案が生じた場合には認定の取消し、所轄庁である都道府県や出入国在留管理庁と連携して、在留管理の徹底はしてまいりたいと考えてございます。
○勝目委員 ありがとうございます。
これまで、専修学校の質の向上、学び直し、そして外国人の活躍ということでるる質問してまいりました。
最後に、大臣に改めてお伺いをしたいと思います。職業専門教育の充実発展、今後どのようにお取り組みになるか、お聞かせいただきたいと思います。
○盛山国務大臣 我が国におきましては、少子高齢化や生産年齢人口の減少が進み、他方、医療や福祉、工業などの社会基盤を支える必要不可欠な人材を確保していくため、職業教育の果たす役割は極めて大きいものであります。
このため、文部科学省におきましては、社会の変化や多様な学習ニーズなどに対応した実践的な職業教育や専門教育を実施するため、専修学校における教育の充実に取り組んできたほか、五年一貫教育を行う高等専門学校、平成三十一年に創設された専門職大学、工業や農業、水産などを学び全高校生の約一七%を占める専門高校などにおける教育も併せて、職業教育の振興を総合的に図ってまいりました。
現在御審議いただいております法律案によりまして、実践的な職業教育を担う大きな柱である専門学校につきまして、その教育の質の保証を図り、高等教育機関としての位置づけを明確化することとしておりますが、それ以外の学校も含め、それぞれの教育機関が求められる役割を果たしつつ、社会の変化を踏まえた多様な職業教育の充実が図られるよう、しっかりとこういった教育の分野に取り組んでいきたいと考えております。
○勝目委員 ありがとうございました。
終わります。
○田野瀬委員長 次に、平林晃君。
○平林委員 公明党の平林晃です。
ただいま議題となりました学校教育法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。
冒頭、本改正案では、専修学校専門課程の入学資格が、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められた者に改めるとされております。なぜ今、本改正を行うこととされているのか、趣旨とともに、文部科学省に伺います。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
現在、専門学校の入学資格につきましては、専修学校体系の中で、高等専修学校から専門学校への進学を円滑に行うため、三年制以上の高等専修学校を修了した全ての者につきまして入学資格が認められている状況でございます。
他方、既にこの時点で、高等専修学校につきましては、通信制高等学校との連携も含めますと、大学入学資格を得られる学校は九八・四%となっている実態がございます。
今般の改正では、専門学校につきまして、高等教育機関としての位置づけを明確にするため、専門学校の入学資格と大学入学資格に関する法律の規定を同様にすることとしてございます。
従来であれば専門学校の入学資格を得られていたけれども今般の改正に伴い得られなくなる高等専修学校の数は、先ほど申し上げたようにかなり限られている状況でございまして、そうした高等専修学校に通っている生徒は修了後も直ちに就職をしているのが実態でございまして、こうした実態も踏まえますと、実質的な影響はないと考えてございまして、このタイミングでの改正を考えた次第でございます。
○平林委員 ありがとうございます。
私、元大学教員でありまして、その感覚としては、入学資格というのは、入学後の学びを受けられる、それを保証、担保するためのものであって、今回の変更もそういう内容なのかなというふうにちょっと思ったところであったわけですが、決してそうではなく、専修高等課程側の事情であって、そこに問題がなくなったので合わせていく、そういうようになったということで、ちょっとそこの認識を確認をさせていただきました。
あわせて、専修学校専門課程在籍者の呼称ですけれども、今回、生徒から学生に改めることとされております。実は、私の出会った学生の中には、自身のことを生徒と呼んでいる者が結構いたわけであります。たかが呼称、されど呼称でありまして、せっかく法律で定めますので、是非とも周知徹底をよろしくお願いできたらというふうに考えておりますので、お願いを申し上げます。
続きまして、本改正案では単位数を法定化することとされています。すなわち、専修学校となるための要件のうち、授業時数が、文部科学大臣の定める授業時数以上であることとされていたところ、授業時数又は単位数というふうに改めて、最低限必要な学習時間に関する基準を大学、高専同様に単位数により定めることができるようにする、このようにされているわけです。
これに関しまして、私、先日の視察に伺わせていただいたわけでございますが、この改正に伴って生じる現場の様々な対応、この部分を確認したかったところで、理事長に御質問申し上げたわけですが、御回答は、既に単位制になっています、こういう回答であったわけでございます。
この学校のように、以前から単位制によって学習時間基準が定められていた学校もあったようですが、その実態がどうであったのかということを確認するということとともに、そういった学校においても、今回、単位についての考え方が変わると認識をしております。その場合、カリキュラムや成績評価、こういったことも変更されることになると想定していますけれども、それが学校、教職員、学生に与える影響に対しましてどのように配慮されているのか、文部科学省の見解を伺います。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
今回の専門学校における単位制への移行の趣旨でございますけれども、学修成果の換算を容易にし、大学と専門学校との間での学生の移動を円滑化する、学修成果を評価し単位を与えるということで学修の評価を適切に認定するということにございます。
これまで、学年制、いわゆる学修の量で測る単位制を明確には取ってはございませんでしたけれども、今回、法令で単位制を取ることができるとしてございますのは、これは、既に多くの専門学校では、国家資格取得のための養成施設指定規則におきまして別途指定を受けてございまして、これは学修量の基準を単位制で示されていることが非常に多い状況でございます。
このため、各専門学校では、授業時数を取っているとともに、指定規則の方では単位制というのを、もう一方で読み替えて対応しなければいけないということがございました。このような、授業時数制を前提としながら指定規則等の指定を受けるために単位制に読み替えている学科に在籍する生徒数が約十八万人、割合では三二%の学校がございました。
単位制に移行することによりまして、専門学校の教育内容や時間割りを特段変更することは必要ないというふうに考えてございます。
学修の成果を適切に評価し、単位を認定する必要はもちろんございます。ただ、一方で、専門学校におきまして学則変更を行う場合には、つまり、完全に単位制に移行して授業時数制はなくすという場合にはこれは学則変更を要しますので、その場合には、所轄庁である都道府県に対して届出を行う必要がございまして、そのための必要な準備期間を設けているところでございます。
○平林委員 ありがとうございます。
国家資格等との兼ね合いの中で単位制を取られていた部分もあったということとともに、カリキュラム等への変更はないということで、現場への負担もない制度改正であるということで認識をさせていただきました。
続きまして、本改正案では、専修学校専門課程のうち、修業年限が二年以上であることその他の文部科学大臣の定める基準を満たすものについて特定専門課程とするとともに、特定専門課程を置く専修学校には専攻科を設置できるようにすることとされております。
その専攻科については、修学年数を専門課程と積算できることとなり、合計年数が四年以上であれば高度専門士と称することができる、あるいは、我が党も強力に推進してきた部分ですけれども、修学支援法に基づく高等教育の修学支援新制度の対象に含める、こうしたメリットが与えられることになってくると認識をさせていただいております。
だからこそ、専攻科の設置においては、教育内容についてきちんとした基準、いわゆる設置基準が必要と考えておりますけれども、この点について文部科学省の見解を伺います。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
今般の改正により新たに設置が可能となる専門学校の専攻科のうち、大学教育に相当する水準の教育を行っているものにつきましては、大学の学部に準ずるものとして文部科学大臣が認定を行うことを予定してございます。
具体的には、専門課程と教育課程の一貫性が客観的に担保されていること、通常の専門課程と同等の教員配置や面積が確保されていること、独立した専門の評価機関による評価を受けることなどの要件を満たす専攻科につきましては、認定を行うことを検討していきたいと考えてございます。
今後、この法案をお認めいただければ、改正法案の規定に基づきまして、通常の専門課程等との支援のバランスも考慮しながら、こうした専攻科を高等教育の修学支援新制度の対象として検討し、詳細を文部科学省令で定める予定としてございます。
○平林委員 ありがとうございます。
続きまして、本改正案においては、「専修学校の特定専門課程を修了した者は、文部科学大臣の定めるところにより、専門士と称することができる。」とされております。これにより、これまで文科省告示で位置づけられていた専門士称号が学校教育法において位置づけられることとなります。さらに、高度専門士も、専門士の一類型として法令で整備されることとされています。
こうした称号の法制度上の位置づけを明確にすること、これは当然重要ですけれども、社会的に価値を高め、認知を広げる、これも重要と考えております。
称号と学位で厳密には異なりますが、日本において博士の学位は、認知こそされていますが、価値が高いかというと、それほどでもないなと思っております。持っているからといって、名刺交換のときに反応していただけるぐらいのことでありまして、余りという感じがあります。
一方、諸外国においては必ずしもそうではないと感じております。博士号を持っていることが高く評価をされ、組織において指導的な立場に立つためには必須と考えられている国、地域もあると認識をさせていただいております。
大臣は法学と商学の二種類の博士号を持たれておりまして、先日、肝煎りの博士人材活躍プランを発表されたところでございまして、二〇二〇年度比で約三倍、私も是非後押しをさせていただきたいと考えておるところでございますが、そのためにも、博士号取得者が活躍し、あまたの人がそれを目指す、そんな社会を目指さなくてはならないと感じているところですけれども、今回はあくまで専門士と高度専門士に関しまして、この問題、大臣の御見解をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○盛山国務大臣 称号というのもやはり大事なものでありまして、評価をしていただけるように、社会的にそういうふうに認知していただけるようになることが大事だと考えております。
そして、今回の法律案の関係でございますが、専門学校の修了者は、専門的な知識、技能、技術などを修得し、社会基盤を支える即戦力となる人材であり、それにふさわしい社会的評価を得られるようにすることが重要であると考えております。
その観点から、今般の法律案におきましては、二年制以上の専門学校を修了した者に付与される専門士の称号を法律に規定するといたしました。これにより、社会的通用性が高まり、専門学校を修了した我が国及び海外からの学生が国内外での就職や外国の大学への留学などをする際に、学んだ成果がより適切に評価されることにつながると考えております。
また、専門士の一類型として、より高度な教育を受けた四年制以上の専門学校修了者には、引き続き、高度専門士の称号を付与することとしております。
文部科学省としては、専門学校の意義や専門士の称号について積極的な情報発信を行い、企業等における専門学校修了者の適切な処遇等につながるよう、専門学校やその修了者の社会的評価の向上に努めてまいりたいと考えています。
○平林委員 是非、本当に周知徹底をしていただきたいと思いますし、博士人材の件も、またどこかで御議論できたらと思います。またさせていただきます。
続きまして、この度の改正案では、専修学校専門課程において、大学と同等の項目での自己点検評価を義務づけることとして、加えて、外部識者による評価を受けることを努力義務とされておられます。
私は、二十六年の大学教員生活の中で、自己点検評価あるいは外部評価を多少なりとも経験をしてまいりました。責任者ではございませんが、評価を受ける組織の一員としての経験で申し上げられることは、結構労力がかかるということであります。書類を整えることに相当の負担がかかりますし、また、外部評価であれば、外部有識者に御来訪いただいて、会合を開いて、様々なやり取りの中で審査をしていただき、その上で評価結果を御披露いただく、こんな経験がございまして、本当に大変だったなというふうに思っているところでございます。
ただ、仮に労力がかかったとしても、それなりにやった意味があって実を伴う作業であるならば問題ないというふうに思うんですけれども、私の経験では、なかなか、どうだったのかなと。例えば、教育が改善されたとか志願者が増えたとか研究が促進したとか、こういう実益との関連性がなかなか乏しかったように実感をさせていただいているところでございます。
今、大学教員の現場、多忙を極めておりまして、研究時間を取れないことが大きな問題になっております。そうした状況において、評価のための作業が更に加われば、ますます時間が奪われてしまう。だからこそ、私が訴えたいことは、自己点検や外部評価をするなということでは決してなくて、するのであれば実のある評価をしてもらいたいということでございまして、この点に関しまして文部科学省の見解を伺います。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
今般の改正では、先ほどから申し上げましたとおり、専門学校につきまして、大学の評価と同等の項目の自己点検評価を行い、その結果の公表を義務づける、外部の識見を有する者の評価を努力義務として規定しているところでございます。
ただ、この機会に、やはり評価の実を上げていくために、各学校で自己点検評価をより適切に行っていただくという機会にもしたいと思ってございまして、それを促してまいりたいと思っています。専門学校全体として、二百人ぐらいの生徒の小さな規模の学校もございますので、そういった学校について、やはり質を向上するという観点でも、この自己点検評価を今回の法改正を機に考えていただく必要があるかなと思っています。
なお、過去五年以内に、独立した専門の評価機関による評価を受けた専門学校の割合は六・六%にとどまっているところでございます。
今回の改正により、専門評価機関による評価は努力義務としてございますけれども、この取組を進めるために、先ほども勝目先生に御答弁しましたけれども、職業実践専門課程など文部科学大臣が認定を行う専門学校については、特に、外部の識見を有する者による評価を認定等を受けるに当たっての要件とすることを検討してございまして、専門学校にとって評価の実施が教育内容等の質の向上につながるよう取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○平林委員 ありがとうございます。
時間がないので、ちょっと先に行きます。
評価に関しまして、専修学校からちょっと離れてしまうんですけれども、大学の自己点検評価や外部評価では、研究面での実績が問われてまいります。そして、組織の実績というのは、それは個々の研究者の研究業績が基礎となるわけであります。研究者の業績は、学校等における昇進や採用に係る極めて重要な評価要素でございまして、研究者は日々、この業績とにらめっこをしながら、競争的資金や教員採用の公募に挑戦する、こういう生活を送っているというところでございます。
研究業績の主たる内容は論文リストでありまして、出版した論文の数とともに、その一本一本の質、これも評価されてまいります。そして、質の評価として、これまでは論文が掲載された雑誌の評価指数が多く用いられてきました。よく、インパクトファクターと聞かれておられる方もおられるかもしれません。
ただし、この数値は、あくまで論文が掲載された雑誌の評価なんですね。例えば、Aという論文、Bという論文がこの雑誌に評価されたら同じ評価になります、こういう話になってございまして、例えばネイチャーやサイエンスなどトップジャーナルのインパクトファクターは非常に高いので、そこに掲載される論文もすばらしいものが確かに多いと思いますが、中にはそうでないものもあるのかもしれません。でも、そこに掲載されたいというのが研究者の心理でありまして、その結果、実験結果の捏造とか、査読、論文の審査プロセスにおける不適切行為なども懸念されているところでございます。
こうした問題を解決していくために、論文誌に基づく指標のみでなく、研究者の研究内容そのものや、社会へのインパクトを評価しようとする考え方が広がっています。例えば、DORAと呼ばれるものですね。研究評価に関するサンフランシスコ宣言と呼ばれているもので、この中には、インパクトファクターを使うなとかそんなようなことが言われて、国内の研究機関とか大学なども署名をしている、こんなような状況もございます。
そこで伺います。
研究者の研究業績の評価について、文科省は今どのように考えておられますでしょうか。
○柿田政府参考人 お答えいたします。
文部科学省では、研究開発評価に当たっての基本的な考え方を、文部科学省における研究及び開発に関する評価指針として定めておりまして、この指針の下で研究評価を実施をしているということになっております。
同指針におきましては、評価に際して、数量的なデータ等を評価指標として過度に、また安易に使用することは、評価を誤り、ひいては健全な研究活動をゆがめてしまうおそれがあることから、これらの利用は慎重に行う、特にインパクトファクター等は、論文の質を示す指標ではないことを認識して、その利用については十分な注意を払うことが不可欠であると明記しております。
また、同指針には、研究者等の業績評価に関して、研究の潜在的発展可能性等の特性を踏まえた評価の推進等にも留意する、また、研究者を萎縮させず果敢な挑戦を促すなどの工夫が必要である等の考え方も示しております。
これらの基本的な考え方の下で、研究者の評価に際しては、研究の科学的内容に着目して質的な面での評価を行うということはもとより、研究分野の特性にもよりますが、その研究が産業界等社会にどのように貢献しているかという観点、さらには研究活動を通じた人材育成の観点など、多様な観点を持って、大学等研究機関において適切に実施されることが重要であると考えております。
○平林委員 済みません、最後、伺います。
国立大学が法人化されてちょうど二十年です。当初、運営費交付金はちょっとずつ減額していたんですけれども、最近同額を保っていただいておりまして、感謝しているところでございます。
その中身に関しまして、複数の大学関係者から聞いた声ですけれども、国立大学、現在、今、令和四年から九年まで六年間の第四期中期目標計画にございます。実は、この第四期においては、運営費交付金の大学への配分額が回収されて、集められた経費が再び各大学の実績状況に基づいて配分されているということがあります。ある学長は、回収される金額以上に受け取ればいいんだから、最初は賛同していたんですけれども、回収される経費は大学総体の経費なんです。ところが、再配分される経費は部局に落ちます。結局、大学総体の交付金が減額されることになってしまうということで、今、世の中賃上げの流れで、大学も、それに取り組まなければ教員を私立や企業に取られてしまうという危機感を持っておられます。
そんな中、この再配分制度は、令和十年度から始まる第五期中期目標計画についても継続されるのでしょうか。大臣にお伺いします。
○田野瀬委員長 盛山文部科学大臣、申合せの時間が経過しております。簡潔な答弁、御協力よろしくお願いします。
○盛山国務大臣 はい。
国立大学法人運営費交付金につきましては、各大学の教育研究の成果の向上や経営改善に向けた一層の努力を促すため、教育研究活動の実績や成果、また経営上工夫すべき取組等の客観的な評価に基づいて配分する仕組みを部分的に導入しております。
御指摘の令和十年度から始まる第五期中期目標期間における運営費交付金の在り方につきましては、今後、現在の仕組みの効果や課題も踏まえつつ、国立大学関係者の意見も聞きながら、研究あるいは教育の継続性、安定性に配慮して検討してまいりたいと考えております。
○平林委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○田野瀬委員長 次回は、来る十九日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十時四十七分散会