衆議院

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第5号 令和6年4月19日(金曜日)

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令和六年四月十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田野瀬太道君

   理事 小寺 裕雄君 理事 中村 裕之君

   理事 永岡 桂子君 理事 山田 賢司君

   理事 坂本祐之輔君 理事 牧  義夫君

   理事 金村 龍那君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    東  国幹君

      五十嵐 清君    井出 庸生君

      上杉謙太郎君    上田 英俊君

      英利アルフィヤ君    小田原 潔君

      尾身 朝子君    勝目  康君

      木村 次郎君    岸 信千世君

      熊田 裕通君    小林 茂樹君

      柴山 昌彦君    島尻安伊子君

      鈴木 貴子君    根本 幸典君

      船田  元君    古川 直季君

      三反園 訓君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    山口  晋君

      山本 左近君    義家 弘介君

      青山 大人君    菊田真紀子君

      下条 みつ君    山岸 一生君

      吉川  元君    吉田はるみ君

      笠  浩史君    一谷勇一郎君

      早坂  敦君    前原 誠司君

      平林  晃君    鰐淵 洋子君

      宮本 岳志君    西岡 秀子君

    …………………………………

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   国立国会図書館調査及び立法考査局文教科学技術調査室専門調査員      ローラーミカ君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       福原 申子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 藤本健太郎君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   文部科学委員会専門員   藤井  晃君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     小田原 潔君

  木村 次郎君     三反園 訓君

  鈴木 貴子君     東  国幹君

  船田  元君     五十嵐 清君

  宮内 秀樹君     熊田 裕通君

  山口  晋君     上田 英俊君

  山本 左近君     英利アルフィヤ君

  笠  浩史君     山岸 一生君

  堀場 幸子君     一谷勇一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     島尻安伊子君

  五十嵐 清君     船田  元君

  上田 英俊君     山口  晋君

  英利アルフィヤ君   山本 左近君

  小田原 潔君     青山 周平君

  熊田 裕通君     宮内 秀樹君

  三反園 訓君     木村 次郎君

  山岸 一生君     笠  浩史君

  一谷勇一郎君     堀場 幸子君

同日

 辞任         補欠選任

  島尻安伊子君     鈴木 貴子君

    ―――――――――――――

四月十八日

 設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(宮澤博行君紹介)(第一〇一五号)

 同(白石洋一君紹介)(第一〇四六号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一五七号)

 私立幼稚園を始めとした幼児教育の充実と発展に関する請願(青山大人君紹介)(第一〇四二号)

 同(大石あきこ君紹介)(第一〇四三号)

 同(牧義夫君紹介)(第一〇四四号)

 同(宮本徹君紹介)(第一〇五七号)

 同(笠浩史君紹介)(第一〇五八号)

 同(荒井優君紹介)(第一〇六四号)

 同(西岡秀子君紹介)(第一〇六五号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一一〇五号)

 全ての私立学校に正規の養護教諭を配置し、子供の命と健康が守られる教育条件を求めることに関する請願(大石あきこ君紹介)(第一〇四五号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(伊藤渉君紹介)(第一〇八五号)

 同(遠藤利明君紹介)(第一〇八六号)

 同(大西健介君紹介)(第一〇八七号)

 同(城井崇君紹介)(第一〇八八号)

 同(熊田裕通君紹介)(第一〇八九号)

 同(重徳和彦君紹介)(第一〇九〇号)

 同(鈴木淳司君紹介)(第一〇九一号)

 同(古川元久君紹介)(第一〇九二号)

 同(牧義夫君紹介)(第一〇九三号)

 同(山本左近君紹介)(第一〇九四号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第一一〇三号)

 同(宮本徹君紹介)(第一一〇四号)

 同(中川貴元君紹介)(第一一一六号)

 同(伊藤忠彦君紹介)(第一一二八号)

 同(青山周平君紹介)(第一一四九号)

 同(上野賢一郎君紹介)(第一一五〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一五一号)

 同(神田憲次君紹介)(第一一五二号)

 同(菅直人君紹介)(第一一五三号)

 同(近藤和也君紹介)(第一一五四号)

 同(根本幸典君紹介)(第一一五五号)

 同(松木けんこう君紹介)(第一一五六号)

 直ちに学費半額・入学金ゼロ、奨学金を給付中心にすること及び奨学金返済の半額免除に関する請願(志位和夫君紹介)(第一一一七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人としてこども家庭庁長官官房審議官高橋宏治君、出入国在留管理庁在留管理支援部長福原申子君、外務省大臣官房参事官藤本健太郎君、文部科学省総合教育政策局長望月禎君、初等中等教育局長矢野和彦君、高等教育局長池田貴城君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田はるみ君。

吉田(は)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属の吉田はるみです。

 本日は、大臣を含め役所の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 今回、学校教育法の一部を改正する法律案、やはり現場の声はすごく大事だなと思いました。今回は、東京呉竹医療専門学校、視察に伺わせていただいて感謝申し上げます。

 これに加えて、私、もう二つ、専門学校の方の現場の声のヒアリングをさせていただきました。その中で、呉竹医療専門学校の方とはちょっと違う、人文科学系の専門学校だったんですけれども、こんな指摘を受けたんですね。

 例えば、人文科学に入るのは、語学、ビジネス、観光、会計、こういうものなんですけれども、こういった専門学校ではもうとっくに専門士と呼んでいるよと。今回の法案では、専門士、ディプロマというようなタイトル、称号をつけるということだったんですけれども、もうとっくにやっているよ、大学への編入、これもスムーズにいくようにするということですけれども、もう単位制も取っているし、既に大学への編入ももう実績いっぱいありますよということで御指摘いただきまして、こんな質問を受けました。

 本法案では、一定の要件を満たす専門課程の修了者全てについて大学編入資格を認めるとともに、当該修了者は専門士、ディプロマと称することができるというふうにありますが、今申し上げましたように、既にこうした運営がなされています。こうした既に運営をしている、運用している専門士の称号と、今回新たにこうして法律で規定される専門士、ディプロマ、この間に何か違いがあるのでしょうか。教えてください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のとおり、専門士の称号につきましては、平成七年より、専門学校における学習の成果を適切に評価し、生涯学習の振興に資することを目的として、文部科学省の告示に基づきまして専門学校修了者に対して付与をしてきたところでございます。

 今般の改正は、専門学校の高等教育機関としての位置づけを明確化することにございます。大学の学位、高等専門学校の準学士というものが学校教育法に明確に法律で位置づけられているということがございまして、今回、専門学校の高等教育の位置づけの一環として、専門学校の称号につきましても同様に法律に位置づけることとしているところでございます。

 法律に規定することによりまして、社会的通用性がより高まり、専門学校を修了した我が国及び海外からの学生が国内外での就職や外国の大学への留学等をする際に、学んだ成果がより適切に評価されることにつながるものではないかというふうに考えているところでございます。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 端的に言うと、違いはないと。以前は文科省の告示でやっていたものを、今回は法定化するということだったと思います。現場でもしかして混乱があるかもしれないので、この辺りははっきりと現場の方に通達された方がよろしいのではないかというふうに思います。

 続けて伺います。

 今回、法改定により新設されるのが、専攻科を設ける。そこに対して奨学金が受けられるようになったりと、この点、私もすばらしいと思うんですけれども、実際、専攻科を設けると見込まれる専門学校は何校あって、専門学校総数の何%ぐらいになるんでしょうか。教えてください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 専攻科につきましては、御視察いただきましたあんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関して資格を取得した者に対して、これらの資格の教員となるための資格を取得する教育を行う、あるいは、看護師の資格を取得できる三年間の課程を修了した後に、一年で助産師、保健師の資格を取得するための教育などを行う場合に設置が予定されているところでございます。

 今回の改正によりまして、こうした新たな設置が可能となる法律上の専門学校の専攻科がどのくらいできるかということについては、これは学校の状況によりまして、なかなか数を正確に見込むことはできないわけでございますけれども、一方で、専攻科のうち、大学教育に相当する水準の教育を行っているものについて、これは大学の学部に準ずるものとして文科大臣が認定を行い、その認定を行ったところに関しましては、現時点で、その専攻科について修学支援の対象とすることも予定しているところでございます。

 この観点から、文科大臣の認定を取ることが考えられる専攻科、新しく設置する専攻科としては、我々の現在の調べでは、三十九学科、全体の一・三四%が見込まれているところでございます。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 ちょっとやはり予想していたとおりかなと思うんですが、今回の法改正で大きく変わるところというのは、医療系が主に影響があって、全体の専門学校への影響というところでは限定的かなということ、今の御答弁でも分かりました。既に人文科学系は、専攻科を設けるよりは大学の編入に行くのがトラックとしては多いというふうに聞いていますので、やはりそのような方向なのかなというふうに思いました。

 それでは、ちょっと今日はたくさん伺いたいことがあるので、次々行きたいと思います。

 こうした全体の専門学校、今、生き残りを懸けて涙ぐましい努力をしているわけなんですけれども、この少子化が加速する中でどう入学者、受講者を確保していくか、これは大きな課題です。もう当然委員の先生方もお分かりだとは思うんですが、改めてちょっとここを共有したいんです。

 配付資料を御覧ください。赤いマーキングをさせてもらいましたけれども、これは十八歳時点での人口です。ピークだったのが昭和四十一年で二百四十九万人、そして、令和五年では百十万人と半分以下になっています。ただ、こうして大学、短大、専門学校、何とか今生き残っているその背景には、こちらも大学の進学率をマークしましたけれども五七%、また短大、高専、専門学校まで含めますと進学率は実に八四%と、少子化であっても高い進学率で何とかこうした高等教育が維持されているという現状があるわけですが、御覧のように、ずっと右に行きますと、やはり母数である少子化による子供たちの数が減ってくるわけです。

 ここで、皆様がもし専門学校の経営者だとしたら、どういうことを考えるか。私は、これは二つあると思います。

 まさにこのグラフに出てきていますけれども、山が下がって、二つ目の山、ちょうど平成三年ぐらいが二つ目の山のピークになっている、ここが第二次ベビーブーマーの世代。私も大学を平成七年に卒業しましたけれども、この第二次ベビーブーマー世代のリカレント、リスキリング教育、ここを取ってくるという社会人教育があると思います。

 そしてもう一つが、母数を増やすには留学生、その留学生をどう専門学校に来ていただくか、そういう努力をするのではないかなというふうに思うんですが、前回の委員会でも勝目委員がこのように指摘されました。留学生の四分の一が専門学校で学んでおり、専門学校から見れば一割の学生が留学生、重要な位置づけです、しかし、その留学生の七割が日本で就職を希望していますけれども、実際、就労できたのはその四割にとどまっている、こういう課題がありますので、この辺り、少し深掘りさせていただきたいと思います。

 ちょっと端的に数字だけ答えていただきたいんですが、現在の専門学校における社会人比率と、本法案による効果、どのぐらいアップするか、見積もっているのか、数字だけ教えてください。

 また、比較のために、大学での社会人比率、これも教えていただけますか。数字だけで結構です。

望月政府参考人 文部科学省の調べによりますと、令和五年度の専門学校での社会人は約三万七千人、全在籍者数の七・四%を占めてございます。令和三年度には専門学校は七・〇%でございましたが、少し増加をしてきているところでございます。

 大学でございますが、これは同じ統計ではないので単純な比較は困難でございますけれども、大学の学部においては令和四年五月現在で二・八%でございます、学部でございます。

 では、これをどの程度、社会人の割合を見込むかということでございますけれども、これはなかなか、分野によって社会人の割合が大きく異なりまして、景気の動向にも左右されるところがございまして、比率について明確な目標値を定めるというのは難しいんじゃないかというふうに考えてございます。

 いずれにしましても、専門学校のリカレント教育というのは充実をしていくことが間違いないというふうに考えてございます。

吉田(は)委員 ありがとうございます。目標を定めるのはちょっと難しいということなんですが、思い切り増やす方法があります。それは、リカレントを含めて社会人の受講者を増やすには、キャリア形成促進プログラムというのがございます。これは文科省のホームページによると、あっ、ちょっと長いからやめます。

 要は、この促進プログラム、どういうものかというと、このコースを受講した後にしっかり就職につなげていくというようなプログラムであり、厚労省の教育訓練給付金制度の対象になるということなんですね。そうすると、社会人としてもその補助がありますから行きやすいですし、二年以内で、例えば夜間コース、そういうことも取れるし、最大で七〇%、年間五十六万円が受講者に支給されるというすばらしい制度なんですね。

 ただ、文科省で認定している学校数を見たら、ちょっと私、残念だなと思ったんですが、現在認定されているのは十七校で二十三のコース、大変これは限定的です。この制度が創設されたのが平成三十年で、この当時十校なので、七校しか五年たっても増えていないんですね。これを増やしてほしいなという私の希望です。

 一方で、令和五年に創設された、今度は外国人版です、外国人版の外国人留学生キャリア形成プログラム、これは創設の初年度から認定校が百八十八。今、日本の学生には十七だったものが、百八十八でコースも四百七十五とバラエティー豊富なわけなんですけれども、この差は何なんだろうなというふうに私は思います。

 盛山大臣に伺います。

 岸田総理はリスキリングに五年で一兆円投じるというふうにおっしゃいまして、大変期待しております。でも、このお金は一体どこに行くのかなと。企業の研修、こういうものにも出されると聞いていますし、もしかして人材派遣会社の講座なんですかね、ちょっと私にはまだよく分かっていないんですが。

 こういった大学並みの九十分の授業をして、講師陣も本当に大学並み、また、第三者機関の評価も入れたり、本当に営業努力をしている専門学校、ここをサポートしていく必要があるのではないかと思うんですが、大臣、このキャリア形成促進プログラム、この認定、まだ十七校にとどまっていますが、もっと力を入れて拡大すべきではないでしょうか。

 申込数を聞いたんですけれども、文科省の方からは、過去一回の分しか出てこないと。これは五年やっているわけですけれども。じゃ、いっぱい申込みがあるのに断っているのかなとか、そこは分からなかったんですよ。もし申込数が少ないのであれば、もっと周知すべきだと思いますが、大臣の見解を伺います。

盛山国務大臣 吉田委員、大変状況を御存じでございますので、私の方からもう余り答えるような内容はないのではないかと思うんですが、今高く評価していただいているように、リスキリング、リカレントということにおいての専門学校の役割、また現実にやっておられること、大変ありがたいことだと思っております。

 それで、このキャリア形成促進プログラムについてでございますが、先生がおっしゃったように、我々、文部科学大臣が認定する仕組みとして平成三十年に創設をしたところでございますが、まだなかなか増えていない、十七校二十三課程にとどまっているというその理由としましては、専門学校の多くの学科について、看護師や介護福祉士、保育士などの業務独占資格などの国家資格を取得できる場合、文部科学大臣の認定を得なくても教育訓練給付制度の対象となること、そして、認定に当たっては、社会人と企業などと連携をして行う実践性の高い授業の割合が五割以上というふうにちょっと認定要件が厳しいこと、こういったことが要因としてその背景にあるのではないかと考えられます。

 先生御指摘のように、今後、このキャリア形成促進プログラムにつきましては、関係省庁と連携をしながら改善を検討するとともに、このプログラムを含め、今般の法改正による単位制や専攻科の導入等を通じて、専門学校におけるリカレント教育全体の更なる充実を図りたいと考えております。

吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。

 リカレント教育とかリスキリングって難しいことではなくて、実は、女性の非正規雇用、パート、アルバイトで頑張っていらっしゃる方々、本当にベーシックなワード、エクセル、それからSNSスキル、こういったものを求めていらっしゃる方も多くて、是非そこに目を向けていただきたい。そこに給付があればとても心強いですし、そこに文科大臣の認証があれば、これは専門学校にとっても非常に力強い応援になりますので、どうかここを伸ばしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 さて、今、社会人リスキリングの話をしたんですが、もう一つの、今度は留学生のところをちょっと見ていきたいと思います。

 留学生向けの講座を設置して、積極的に留学生受講者を増やすにはどうしたらいいのかということを私もいろいろ考えたんですけれども、ちょっと自分が聞いている声から展開させていただきたいんですが、今、日本に来て学びたいという声の中で、私が海外で仕事をしていたときに最も多かったのが日本料理、これを日本に来て学びたいと。そのときにどこで学ぶかといったら、やはり専門学校、これが一番ぴったりくるんじゃないかなというふうに思ったんです。私が住んでいたイギリスでは、日本料理店や日本料理のテイクアウトなど、その多くが中国系や韓国系の方々の経営者でした。本場の日本料理を伝える日本人経営者ももっと出てきてもいいのになと私は思ったんですけれども。

 ここで、今回、新たなビッグマーケットとして、私、ちょっとこれを調べてみたんです。今や人口が世界ナンバーワンのインドです。私も何度かインドに行っているんですけれども、最初に訪問したのが一九九七年当時、このときには、首都ニューデリーには日本料理店がたった一軒でした。でも、最近どうなのかなということで調べてみましたところ、元在インド日本大使館の一等書記官の渡辺一行(イッコウ)様と呼ぶのか一行(カズユキ)様と呼ぶのか、済みません、間違っていたら失礼します、が食料安全保障月報の第三十二号でこのように述べられています。コロナ禍前後の時期から日本食レストランの数は増え始めており、二〇二一年時点では百三十店舗だったところ、直近の調査で、二〇二三年には四百十店まで増えていますと。僅か二年で、三倍以上のスピードで激増しているわけです。以前は日本人駐在員がメインのお客様だったのが、今ではインド人の方向けのお店がほとんど。渡辺さんはこうも指摘しています。五つ星ホテルにも日本食が戻り始めており、最近ではインディアン・ジャパニーズのフュージョン料理を出す居酒屋がおしゃれなレストランとして注目を集めている、まさに、インドにおける日本食ブームの黎明期が幕開けしているのではないかというふうに述べられているんですね。

 私、これは本当に日本が積極的に取っていくことをすべき点の一つだなというふうに思うんですが、こういった成長マーケットから外国の方が日本に来て学び、そして日本で学んだ後に二年から三年修業し、またその技術を自国に持っていって、すばらしい日本の食文化、これを世界に広めていただきたいというふうに思っているんですけれども。

 実際、日本料理に関する専門学校、日本でどのぐらいあるのかな、外国人を受け入れている専門学校、どのぐらいあるのかなということを調べてみましたところ、平成三十年、二〇一八年から二〇二二年までの間、推移はこのようになっています。五十三、五十二、五十七、五十一、四十五校。これはコロナ禍もあるんですけれども、余り増えていないという印象です。

 ここでお伺いしたいんですが、二つちょっと続けて質問させていただきます。

 外国人留学生キャリア形成プログラム、先ほどの激増している認定校ですね、この認定に調理師関連講座がゼロ、あるいはちょっと一校それに該当するのではないかと思うんですが、これはなぜですかということをお伺いしたいと思います。

 そして、もう一つが、外国の方が日本の調理師資格では日本に滞在できないということを聞いています。これはなぜでしょうか。法務省にもお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 一点目の御質問についてお答えいたします。

 法務省とも連携いたしましてこの度新たに設けました外国人留学生キャリア形成促進プログラム、この文科大臣の認定を受けた学科を修了した留学生につきましては、出入国在留管理庁が在留資格の技術・人文知識・国際業務を決定する際に、専攻科目と従事しようとする業務との関連性について柔軟に判断いただくことによりまして、留学生が適切に就労の機会を幅広く得ることができるようにというものでございます。

 具体的には、工業分野、商業実務分野、文化教養分野などでございまして、令和五年度が、先ほど御紹介がございましたが、百八十八校四百七十五学科を今回、新設などに認定をさせていただいたところでございます。

 この技術・人文知識・国際業務につきましては、自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動に認められるものであるわけでございまして、調理等の職業的技能を修得する活動につきましては、当該在留資格に該当する蓋然性が低く、調理師関連講座の認定は原則としてなされていないものでございます。

 なお、調理師につきましては、日本の食文化海外普及人材育成事業に基づく在留資格、特定活動の取得が可能と承知しているところでございます。

福原政府参考人 お答え申し上げます。

 出入国管理及び難民認定法におきまして、外国人が料理の調理に従事する場合の在留資格といたしましては技能の在留資格がございますが、この在留資格に該当するのは外国料理の調理に従事する活動であり、日本料理の調理に従事する活動は該当いたしません。

 他方、日本食及び食文化の海外への普及促進を目的として農林水産省が行う日本の食文化海外普及人材育成事業の対象となる外国人につきましては、調理師養成施設などの卒業後、特定活動の在留資格により、最長五年間、日本料理の調理に係る活動等に従事することが可能でございます。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 私、最初に聞いて、うそと思って、ちょっと絶望しそうになったんですけれども、この農水省がやっているプログラム、これもすばらしいことだと思うんですが、やはり省庁横断して、こういった、その後五年間日本に在留できるのであれば、今、居酒屋ですとか飲食業界は大変な人手不足です、現場で是非その技術を学んでいただいて、本当に自国に持ち帰っていただきたいなという思いがあります。でないと、私もビジネスマインドで結構いろいろなものを見るんですけれども、海外でマーケットチャンスがあると思ったら、なんちゃって日本食レストランなんかいっぱいできてきます。是非、ここ、すばらしい日本の食文化を伝える、これも専門学校のすばらしい役割だと思いますので、お願いしたいと思います。

 さて、ちょっと時間が限られてきたんですけれども、もう一つ、外国の方で、これもちょっと現場の声を聞きました。

 専門学校で、この学校に在籍しますと幼稚園教諭二種免許と保育士資格が取得できるということで、かつて外国籍の方が在籍していたそうなんですが、結局、ごめんなさい、もう質問時間がないので私答えを言っちゃいますけれども、日本には滞在できないんですね、免許があっても、資格があっても、在留資格がないということで。

 だから、結局、来て学んでも、生かすことができない。これでは、私、意味がないなとちょっと思ったんですよ。かつ、日本人と同じように学び、そして資格も取った人が、なぜ今日本に滞在できないのかというのがちょっと釈然としないなというふうに私思ったんですけれども、せっかくこども家庭庁いらっしゃったので、この点だけちょっと教えてください。

 幼稚園教諭の免許取得者と保育士取得者における外国籍の方の人数だけ、済みません、短くお答えください。

高橋政府参考人 保育士資格の関係についてお答え申し上げます。

 保育士資格取得者は例年五万人台で取得者数は推移しておるわけですが、三年度実績ベースでいくと五・四万人、資格を取得してございまして、ただ、取得に当たっては外国籍かどうかということは区別をしてございません。このため、資格取得者のうち外国籍の方の人数については、国において把握していないという状況でございます。

吉田(は)委員 是非把握していただきたいんですね。ここもとても大事な点です。やはりこども家庭庁も、こどもまんなか社会にということで、是非お願いしたいと思います。

 ちょっと最後に、時間も迫ってきたので、私、伺いたいと思います。

 大臣、この少子化を背景に、今、企業努力という意味で、リカレント社会人教育、ここで受講生を増やそう、また、留学生、今取ってこようと思っても、その後日本にいられないとか、まさに何か制度が追いついていない点もあったりして、どうなんだろうというふうに思うんですけれども。

 専門学校を経営されている方、また専門学校で働いている方が、聞きたいけれども聞けない、聞くのがちょっと怖いという実は質問がありまして。このグラフを見ても分かります、この状況を見ても分かります。専門学校はこの先、大臣、自然淘汰されるのを待たなきゃいけないんでしょうか。それとも、文科省として、専門学校が生き残るためのすごい企業努力をしていますよ、大学と同じ、本当に質を高め頑張っているけれども、全く補助金のない専門学校、この生き残りに、先ほどのキャリア形成プログラムもそうですが、何らか施策があるのか。

 もうこのまま見殺しにしないでねという思いなんですけれども、大臣、はっきりと、ずばりお答えいただけないでしょうか。

盛山国務大臣 専門学校がいろいろ努力していられるのは、我々ももちろん承知をしております。そして、留学生の受入れその他についても、我々も、法務省、関係省庁とも今後ともよく御相談をしていきたいと思っております。

 専門学校について、今、総数が若干減っているんですね、専門学校の総数が。それは少子化の影響もあるわけなんですけれども、修業年限それから教育課程等が柔軟であるという専門学校の特性を生かして、学科の再編、新設、廃止、そういったのが行われていることだろうと思います。

 そして、先ほど来吉田先生御指摘のとおり、専門学校は実践的な職業教育機関ということで、各地域や産業のニーズに応じて、人手不足が深刻とされる土木、建築や医療、福祉などの分野へ人材育成を担っておられますし、そしてまた、卒業生の地域への就職率が高いという特徴を有しておりますので、地域の活性化等にも貢献をしておられます。

 そして、社会人の学び直しあるいは留学生の受入れ、そういう点で、身近に行けるという、大変受入れを、門戸を広げている、そういうような機関でございますので、我々文部科学省としましては、これらの役割を担っておられる専門学校について、今般の法改正により、高等教育機関としての位置づけの明確化を図り、その魅力を向上させていくことはもちろんだと思っておりますが、あわせて、都道府県が専門学校を支援する際の普通交付税や特別交付税等による措置や、質の高い教育を行う専門学校に対する文部科学大臣認定などを通じて、引き続き、地域や産業ニーズに応える専門学校の振興に努めてまいるという考えであります。

吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。

 実践的、まさに職業につながるからこそ、人手不足も言われている昨今、とても専門学校は大事なんですけれども、今、大臣のお言葉にあったのは土木、建築、医療という、分野がやはりどうしてもそっちに偏っているなという印象です。

 今回私が取り上げた幼稚園教諭、保育士、こういった職業につながるところや、それから観光業につながる語学、ビジネス、こういうところも是非目を向けていただきたいと思います。キャリア形成プログラムのような、まさにそこに認定を増やせば専門学校も助かるんですよ。

 ちょっともう一歩踏み込んで、大臣、そっちの方にも目を向けてみるというお考えはないですか。最後、お願いします。

盛山国務大臣 うちだけでできる話じゃない、関係省庁と先ほども申し上げました。特に厚労省さんですとか関係省庁と連携をした上で、努めていきたいと思います。

吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。

 是非、こちらの方も目を向けていただきたい。そして、専門学校の更なる発展、我々も応援していきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 学校教育法の一部を改正する法律案について伺います。

 まずは、専修学校などの将来像について伺います。

 少子化に伴う急速な人口減少によって、二〇四〇年代の大学進学者の数が四十万人台に減少し、大学の定員が現在と同様の数値を維持する場合、定員充足率は八〇%を割る年も見られるとの将来推計が示されました。

 私も、先月の文部科学委員会でも、大学等を含む高等教育機関の将来像について大臣に伺いましたが、大学と同様に高等教育機関である専門学校についても、より深刻な定員割れが起こり、その存在意義が問われかねないおそれもあります。

 専修学校などの将来像について、まずは政府の見解をお伺いします。

盛山国務大臣 先月に引き続き、よろしくお願いします。

 専門学校は実践的な職業教育機関として各地域や産業のニーズに応じた人材を輩出しているところは、青山先生もよく御案内のとおりでございます。

 専門学校におきましては、修業年限や教育課程などが柔軟であるという制度の特徴を生かして、地域の企業などと連携をし、地域の産業動向や人材ニーズの動向等を踏まえた学校や学科の再編、新設、廃止が行われているところであります。

 今後とも、専門学校が、地域の社会基盤を支える人材育成や、社会人、留学生などの多様な学習ニーズへの対応といった重要な役割を果たすとともに、教育の質を確保しつつ、地域の活性化にも貢献する教育機関として発展していくことが必要と考えているところでございます。

青山(大)委員 これは、その中で一つ考えられるのは、専門学校が対象とする分野には、農業や医療や社会福祉といった、少子化の加速により人材不足が今後ますます懸念される分野が含まれます。外国人材の受入れ分野とも重なりますけれども、こういったものを踏まえまして、専門学校に対して何を期待しているのか、そういった今後の展開を政府はどのように描いているのかも併せてお伺いします。

望月政府参考人 今ほど大臣から御答弁させていただきましたけれども、専門学校は、地域の基幹的な産業を担う人材を、国家資格等の取得を通じて役割を十分に果たしてきている、そして、今回の法改正によりまして質を確保するという観点からの制度を改めまして、更にそうした役割を果たしていくことが大事であると考えてございます。

 八分野、大きく分けますと、専門学校には人材育成の分野がございまして、その学科あるいは学校の再編というものは、かなり地域の産業動向や人材の動向を踏まえたものとなってございます。その中でも、いろいろな分野がございますけれども、エッセンシャルワーカーと言われております医療あるいは介護などの人材育成の部分に関しましては、介護の関係には三三・五%の留学生が入っていて、全体としてかなり人材育成に大きな貢献をしているといったこともございます。

 こうした、医療、介護の分野のみならず、地域の基幹的な産業の人材を輩出しているというところかと思っております。

青山(大)委員 更に伺います。次は、教育の保証について伺います。

 今回の法改正以前から、専修学校においては自己評価が既に義務づけされていますが、公益社団法人東京都専修学校各種学校協会の令和四年度の調査によると、自己評価に既に取り組んでいるとの回答は八一・六%であり、残りの二割弱の専修学校では自己評価が行われていないという状況でございます。

 今回の法律案では、教育の質の保証を図るために、専門学校に対して大学と同等の項目での自己点検評価が義務づけられることになりますが、その実効性を高めるために政府はどのように専門学校における自己点検評価の実施率の向上に取り組んでいくのか、お伺いいたします。

望月政府参考人 先生御指摘のように、今回の改正では、専門学校につきまして、高等教育機関としての位置づけを明確にするという観点から、その教育の質を確保するために、大学の項目と同等の項目で自己点検評価そして公表を義務づけるものでございます。

 この自己点検評価につきましては、今回の改正内容も踏まえまして、文部科学省の方で専修学校における学校評価のガイドラインというものを作っていますけれども、これを改めて見直し後、対応を進めることとしてございまして、各学校が更に充実した自己点検評価、あるいは、もしかしたら今現在では余りできていないんじゃないかというところに関しても、改めて、その自己点検評価そして公表が対外的にも分かる形で取組を促したいというふうに考えているところでございます。

青山(大)委員 とはいえ、専門学校の約七割は在籍者の数が二百人以下の小規模な教育機関でもあることから、実際に第三者評価を行うには事務処理の負担ですとか財源にも限界があるわけでございますので、その辺のサポートはしっかり工夫をしながらお願いすることを要望という形で伝えさせていただきます。

 それでは、次の質問に行きます。専門学校に関する高等教育の修学支援新制度について伺います。

 日本学生支援機構による令和四年度の調査によると、家庭の年間収入額が四百万円未満である学生の割合は、大学が二二・六%であるのに対して、専門学校は三〇・六%と高い数値になっています。また、専門学校は、令和五年には、高等学校を卒業した者のうち二一・九%の進学となっており、大学に次いで多い進学先でございます。

 修学支援新制度は、授業料と入学金の減免、給付型奨学金の提供を行うもので、令和二年度から導入されたものでございますけれども、対象となる教育機関の割合に偏りがございます。令和五年十二月の時点で、同制度の対象となる専門学校の割合は七八・五%であり、大学や短期大学における九八・一%よりも低い数値となっています。

 この現状についてどのように捉えているのか、お伺いいたします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 高等教育の修学支援新制度では、大学等における修学の支援に関する法律に基づきまして、実務家教員による授業科目や外部理事の配置等に関する教育要件と、経常収支差額や外部負債の超過、定員に関する経営要件といった、一定の機関要件を満たすことの確認を受けた大学、短期大学、高等専門学校に加えて、専門学校についても対象機関となっているところでございます。

 この確認を受けた専門学校の割合は、先生御指摘のとおり、令和五年八月に七八・五%となってございまして、大学、短期大学の九七・八%と比べますと低くなっている実情がございます。

 確認を受けた専門学校の割合が大学等と比べて低い原因につきまして状況調査を行いましたところ、その主たる原因は経営面における機関要件を満たすことが困難であるといったことが主なものでございます。

青山(大)委員 とはいえ、在籍者への支援を行っていくことがこれは必要なのではないかと思います。対象となる専門学校が増加し、学生側も修学支援を利用できる学校を選択できるなど、その割合を向上させることが必要だと思うんです。

 今、現状のお話はお聞きしましたけれども、その割合を向上させるために、何か、今後どういった工夫をされるのでしょうか。

望月政府参考人 先生御指摘のとおり、専門学校の在籍者の家族世帯収入が大学等と比べてやや低いという傾向に加えまして、修学支援の充実を図ることは重要であるというふうに考えてございます。

 高等教育の修学支援新制度は、対象となる学校に対して先ほどの機関要件を課してございますけれども、学校の規模が小さい、あるいは、社会的ニーズは高い職種なんだけれども、そこに進学するという者が、志願ということですけれども、十分にいない場合もある、社会経済状況の影響を受けやすいことから、経営要件を満たさない場合があるというふうに、先ほど申し上げましたけれども、承知してございます。

 このことも踏まえまして、令和六年度、今年度の機関要件の見直しにつきましては、収容定員充足率の要件を満たさない場合でありましても、地域の経済社会にとって重要な専門人材の育成に貢献していると都道府県知事等が認める場合にはその確認取消しを猶予できるということにするなど、専門学校の特性に応じた柔軟な対応をすることを考えてございます。

 今後、今般の改正に基づく自己点検評価の実質化、あるいは、第三者評価はこれは義務づけじゃなくて努力義務でございますけれども、評価の活用、あるいは中期目標、それぞれの学校は目標をやはり持っていただきたいと思っています。中期目標の策定などの推進を通じまして、教育の質の向上あるいは経営改善というものを、所轄庁である都道府県や関係団体とも連携しつつ、文科省としても促していきたいというふうに考えてございます。

青山(大)委員 いずれにしても、学ぶ学生たちが不利益を被らないように、その辺の対策の方はお願いいたします。

 続いて、専門士の称号について伺います。

 平成六年に導入された専門士の称号ですけれども、もう三十年たっていますけれども、いまだに社会的な認知度が低いなという実感を持っています。

 今回の法改正によって、特定専門課程を修了した者について専門士の称号の付与が法定化されることになりますが、専門士の社会的位置づけを明確化するとともに、社会的に認知されるように周知していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 専門学校の修了者は、専門的な知識、技術、技能等を修得し、また多くの者は国家資格を取得して、社会基盤を支える即戦力となる人材でございます。それにふさわしい社会的評価を得られるようにすることが肝要かと考えてございます。

 今般の改正におきまして、二年制以上の専門学校を修了した者に付与する専門士の称号を法律に改めて規定するということとしてございますけれども、これによりまして、社会的通用性が高まり、専門学校を修了した我が国及び海外からの学生が国内外での就職や外国の大学への留学等をする際に、学んだ成果がより適切に評価されることにつながるものと考えてございます。

 文部科学省といたしましては、専修学校を紹介するホームページ、通称「専修学校#知る専」というふうに言ってございますけれども、御覧いただければ幸いでございますけれども、この広報ホームページも作ってございまして、高等学校あるいは企業等に対しても、専門学校の意義あるいは専門士の称号につきまして積極的な情報発信を行ってまいりたいと思っておりますし、また、都道府県や関係団体とも連携しまして、こうした専門学校を卒業した者に対する適切な処遇等の社会的評価の向上にもつながるように促してまいりたいというふうに考えてございます。

青山(大)委員 引き続き取り組んでいただきたいと思います。

 では、法案に対する質疑は以上にしまして、ちょっと別の質問を二点させていただきます。

 一点目が、教員業務支援員制度について伺います。

 言うまでもなく、学校現場における教員の負担が大変増加している中で、教員の働き方改革、様々な県で取り組んでおります。その中でも、教員業務支援員制度、スクールサポーターとかいろいろな呼び名はございますけれども、とても、非常に有効な制度であり、現場の教員さんからも非常に評価の高い制度でございます。

 この制度をしっかり拡充、推進すべきと、私も、一昨年また昨年と、この文科委員会などでも質問させていただきましたけれども、大体、これまでが、公立の小中学校、約四割ぐらいの配置だったと思うんですけれども、それが今回、大分予算規模も拡大されましたけれども、改めて、令和六年の、新年度、教員業務支援制度、どのぐらい配置するのか、目標、そして予算規模も含めて、改めてお伺いいたします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの教員業務支援員につきましては、令和五年度の予算額は、今委員から御指摘のございましたとおり、約五十五億円であり、一万二千九百五十人の予算上の配置を見込んでおりました。令和六年度におきましては、全ての小中学校への配置が可能となるよう、二万八千百人の配置に必要な、対前年度約二十六億円増の約八十一億円を計上したところでございます。

 引き続き、教員業務支援員との協働により、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境の整備に取り組んでまいります。

青山(大)委員 今、答弁から、全ての学校に配置するという、もう力強い答弁をいただきまして、これはもう本当に、素直にこれは本当に評価したいというふうに思います。

 ただ、今、ちょうど四月から新たな年度が始まっている中でございまして、各都道府県の教育委員会なども、じゃ、それに対して今、去年までは約四割の予算が今年は全校という、増えたんですけれども、もう現場は始まっている中で、そういった各都道府県の教育委員会さんとの調整なんかもこれから大変なのかなと思うんですけれども、その辺の調整の現状は今どのようになっているのか、お伺いいたします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 予算の執行自体は、今申請を受け付けておりまして、まだ交付決定がなされていない状況ではございます。

 教員業務支援員につきましては、令和六年度に、先ほど申しましたとおり、全ての小中学校への配置が可能となる規模に予算が拡充されたこと等を踏まえ、各教育委員会や学校において教員業務支援員との協働の推進に向けた様々な取組が行われると承知しております。

 文部科学省といたしましては、導入に向けたポイントなどを盛り込んだ教員業務支援員との協働の手引きを全都道府県・指定都市教育委員会に送付し、周知を図りながら、その活用等を通じて、それぞれの現場の実情に応じた配置の充実と協働の促進を支援しているところでございます。

 また、教員業務支援員の地方負担分については地方財政措置が講じられているということを踏まえて、引き続き、各自治体において更なる積極的な活用が促されるよう働きかけてまいりたいと考えております。

青山(大)委員 せっかくですので、大臣、先ほども、大幅に、約三十億円ぐらい、もう大幅な予算増をされて、多分、大臣もいろいろな思いですとかそういうお考えがあってこのような措置を決定されたと思うんですけれども、ちょっと、大臣、改めて、この教員業務支援員、ここまで拡充された思いですとか意図、目標、そういったものをちょっと大臣にお伺いさせていただきます。

盛山国務大臣 先ほど来、局長の方から御答弁申し上げておりますけれども、教員業務支援員は、教師が教師でなければできないという業務に専念するために欠かせない役割を担っております。そういうことで、また、評判もいいということで、年々予算の拡充を図ってきたところでございます。

 昨年の暮れでございますが、私自身も、教員業務支援員が活躍している学校現場の様子を見せていただきまして、また、その学校の先生方からもその重要性についてお話を伺いまして、教育委員会の方とともに、その役割について改めて確認させていただいた次第でございます。

 そして、今年度、令和六年度の予算ということでは、教員業務支援員の全ての小中学校への配置等について、昨年暮れの財務大臣との大臣折衝で必要な予算について要求をし、盛り込むことができたということでもございます。

 教員業務支援員の配置効果はデータ上でも明らかになっております。引き続き、各教育委員会に対しまして更なる積極的な活用を促してまいりたいと考えています。

 文部科学省としては、中央教育審議会における教師を取り巻く環境整備に関する議論も踏まえ、引き続き、教育の質の向上に向けまして、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めていきたいと考えております。

青山(大)委員 ありがとうございます。

 大臣、是非、多分これは、今までは全体の小中公立学校で約四割の配置の予算が、今回全部という中で、本当に劇的な変化ですので、大臣、そういった思いですとかを各都道府県に私はしっかりと通知をした方がいいと思うんですよね。こういう思いで教員業務支援員を増やしました、国はそういう思いを持っています、そういったことを、もちろん、多分、今、事務的にはいろいろやり取りされていると思うんですけれども、私は、各都道府県知事宛てにそれをちょっと通知をしてほしいなと思います。

 もちろん、教員業務支援員さん、いろいろなパターンがあってもいいと思います。例えば、ある県では、障害者の方の雇用の枠というような意味合いでその業務支援員をもちろん採用されることも一つのケースかもしれませんけれども、まずは、全小中学校に、これはもう国がしっかりやっているということを、今回、これをきっかけに、私はしっかりと都道府県知事宛てに通知をしてほしいなと思いますけれども、大臣でも参考人でも結構ですけれども、お願いいたします、何か。

盛山国務大臣 青山先生のアドバイスを踏まえまして、どういうやり方がいいのか、ちょっと我々の中で検討させていただきたいと思いますが、対応を考えてまいります。

青山(大)委員 前向きな御答弁をありがとうございます。

 やはり本当に、これは教育現場の皆さんとか、あとは一番近い、身近な基礎自治体の皆さんなんかも、教員業務支援員の本当にそのありがたさとか、分かっていますし、こうやって国がここまでやってくれたというのは分かっている。ただ、なかなかちょっと、現場から離れている中では、そういった教員業務支援員のその成果とか、なかなか、実感、理解できていないようなケースがあり得るかもしれませんので、重ねて、大臣、是非前向きに、手段は問いませんけれども、今の大臣のその熱い思いを是非全国に伝える意味で、何かしらの発出、対策、できたらそういう周知徹底の、紙でいいと思うんですよ、そういうのをやってほしいということを重ねて要望させていただきます。ありがとうございます。

 それでは、次の質問に行きます。不登校児童生徒に対してですね。

 これまでも私は、昨年二月の予算委員会の第四分科会ですとか、昨年四月、文部科学、この委員会でも取り上げさせていただきました。特例校の設置というよりは、私は、いわゆる校内フリースクール、校内フリースクールといった校内教育支援センター設置の促進について、やはりそちらに更なる予算拡充をすべきじゃないかという提案をしたところ、御承知のように、本当に自治体の方々も大変な努力を払っておりますし、不登校児が年々増加していること、子供をめぐる状況からすれば、校内フリースクールの需要は一過性のものじゃなくて今後増え続けて、試行錯誤しながら定着していくものと思われます。

 いろいろ見ましたら、校内教育支援センターの設置促進について、令和五年度の補正予算で二十九億円、予算措置されて、これはこれで本当にもう評価するんですけれども、ここからまた提案なんですけれども、これは別に突発的なものではないと思うんですよね。ですから、私はこれは、今後は、補正予算ではなくて、当初予算、本予算でこういった校内教育支援センターの設置の予算を計上すべきじゃないかと思いますけれども、大臣の御見解をお願いいたします。

盛山国務大臣 青山先生から校内教育支援センターについて高い評価をいただいていることに、まず心から感謝を申し上げたいと思います。

 我々としましては、校内教育支援センターというんでしょうか、不登校により学びにつながることができない子供たちをゼロにすることが大事なことであると考えております。

 校内教育支援センターは、御自身のクラスにいづらいとき、あるいは不登校の兆候のある早期の段階で、あるいは不登校から学校復帰をする段階など、学校内で安心して学習したり相談支援を受けたりするという点で有効であるというふうに評価をしていただいておりますし、また、我々も、ですからこそ、その設置の促進に努めているところであります。

 先ほど青山委員からお話ししていただいたとおり、昨年暮れの補正予算におきまして、校内教育支援センター設置促進のための経費二十九億円を確保したところでございます。

 まず、我々としましては、令和六年度、この予算を活用しつつ、校内教育支援センターの設置を促しながら、グッドプラクティス、好事例の周知なども併せて行い、学校内における多様な学びの場の整備を進めてまいりたい。その上で、この予算の活用、今の予算の活用を行っている上で、今後の必要な方策について、つまり令和七年度以降ですね、ということについて検討していく所存であります。

青山(大)委員 是非前向きに検討していただきたいなと。

 不登校児生徒に対するサポートについても、結構、自治体によっても状況が本当に様々異なっておりますし、そういう中で、自治体ごとに活用しやすいような、そういう予算の関係で是非これからも検討してほしいなというふうに思います。

 私の方からは、今日は、学校教育法の一部を改正する法律案、まさに少子化の中で、しっかり専門学校のためのということで質問させていただきました。

 さらに、教員業務支援員制度、本当に何度も言いますけれども、ここまで大臣がしっかり思いを持ってやられたことですので、それを本当に各都道府県にしっかり周知をしてほしいということを、これは重ねて要望します。

 そして、是非、校内教育支援センターの設置促進については、来年は、令和七年度ですね、是非本予算でしっかり計上してほしいということを要望し、私の質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、金村龍那君。

金村委員 日本維新の会の金村龍那です。

 教育無償化を実現する会との共同会派を代表して、質問させていただきます。

 今回、この改正ですけれども、制度開設以来初めての改正というふうにお聞きしています。改めて、今回、私も法案審議をするに当たって勉強させていただきましたが、専門学校の意義や価値を問い直すと、今の現状はやはりもったいない、しっかりとその価値が社会全体に行き渡っていない、そのように感じています。

 本来、人が一生を過ごしていく中で、働いて賃金を得る、そして安定した生活を送る、これは非常に大切な価値観だと私は感じております。その中で、職業教育機関である専門学校がしっかりと価値を高めていって、そして、もっと評価されるべきですし、一方で、大学との兼ね合いもありますけれども、本来は、もっと進学率が高くてしかるべきなんじゃないかなと思っています。

 そもそも、今、日本にたくさんの職業があると思うんですけれども、その職業の大半が、大学を出なければできない仕事ではないと思うんですね。そういう意味では、専門学校が、卒業した皆さんが手に職をつけて、そして社会的基盤を支え、即戦力となる人材を育てるために、専門学校自身の教育はどのような特色があるとお考えなのか、大臣の見解をお答えください。

盛山国務大臣 専門学校は、社会の変化に即応した実践的な職業教育機関であると思います。そして、社会基盤を支えるために必要不可欠な人材を数多く輩出してきているものであります。例えば、人材不足が深刻とされている医療、福祉、工業などの国家資格につながる分野について申し上げますと、土木、建築あるいは情報処理などの工業分野に毎年三万人以上、医療、衛生、福祉等に毎年十万人以上の人材を輩出しているところでございます。

 また、専門学校は、修業年限や教育課程等について弾力性を有しております。その特色を生かして学科の改編などを柔軟に行い、社会からのニーズに機動的に対応しているところです。そういったことを踏まえて、近年では、生成AIなどに対応する情報処理、あるいは、ペットが増えているという背景を踏まえて愛玩動物ケア、そして、スポーツ選手の活躍を支えるリハビリテーション、こういった新しい学科が増加しております。

 文部科学省としては、このように、社会のニーズに即応することができるという実践的な職業教育機関として、今後とも、専門学校の振興を図っていくことが必要であると考えております。

金村委員 今、大学進学者のうち三人に一人が奨学金、専門学校は五人に一人と言われていますが、やはり、奨学金を得ても大学を卒業したい、そこで学びたいという意欲は尊重しなければなりませんけれども、実際に社会に出た後に、専門学校で学んだ方がより実践的に仕事に生かしていけるという側面は、やはり必ずあると思うんですね。

 そういう意味では、どうやって専門学校の価値を高校生、もっと言えば小学生、中学生にしっかりと伝えていくことができるのかということが大切だと思いますので、是非その発信をしていただきたいと思います。

 その上で、先日、朝日新聞に、京都大学の経済研究所、森教授のインタビューが掲載されていました。百年後の日本は人口が三千万人と非常にショッキングな数字で私も驚いたんですけれども、その推計でいくと、いわゆる大都市は東京とそして福岡になるんじゃないかという予測がされていました。

 そもそも、私、これは初めてそのとき知ったんですけれども、新幹線ができたことによって人の移動が容易になり、大阪のある種の衰退が始まったと記されていました。私、名古屋市出身なんですけれども、名古屋は製造業が堅調で、大丈夫なんじゃないかと書いてあってちょっと安心したんですけれども、それぐらい、人の移動によって町が、都市がどうなっていくのかということが記されていました。

 これからリニアが実際に開通をして、もはや通勤圏、日帰りも可能だ、体の負担もそこまでない、そうなってくると、大都市、都市、地方と、それぞれのカテゴリーでどういう成長をつくっていくのかということをやはり今から真剣に考えていかなければなりません。

 私は、そのインタビューにあった内容が全て正しいとは、もちろん、予測ですから、限ってはおりませんが、少なくとも、大都市圏にだけ人が居住するという未来は余り想像しにくいんじゃないかなと思っています。

 そういう意味では、どうやって地方が魅力ある町づくりをしていくのか。例えば、職がないから大都市圏に職を探しに流出してしまう、ここをやはり雇用をどうやってつくっていくか、産業政策をどうしていくのかというのは、地方にとっては大切な役割だと考えています。その上で、じゃ、人材供給弁とはどこなのかと考えたときに、やはり専門学校がその担い手になるべきだと考えています。

 現在、専門学校は地域社会に対してどのような役割を果たしているとお考えでしょうか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 専門学校は、地域の産業と連携した実践的な教育や少人数指導等を通じまして満足度の高い教育を実施しているというアンケートもございまして、地域に必要不可欠な人材を輩出していると認識しているところでございます。

 専門学校の卒業後、そのまま県内の企業に就職した者の割合は、多くの県では約六割から八割と非常に高い水準となっているところでございます。

 また、一部の専門学校では、求職者が就職に必要な職業スキルあるいは知識を修得するための公的職業訓練を実施をして、地域の学び直しに貢献しているものと承知してございまして、文部科学省で把握している限りでは、毎年少なくとも一万人程度が当該職業訓練を受けていると認識しているところでございます。

 専門学校は、地域に求められる人材の育成に重要な役割を果たしてございまして、地方の産業政策あるいは地域を支える人材の供給としての役割を果たしているというふうに考えてございます。

金村委員 やはり専門学校が、地域の中で人材をしっかりと輩出していく、それも、手に職をつけて賃金を得て、安定した生活基盤をつくっていく、これは大変大切な価値観だと思いますので、是非専門学校には引き続きしっかり役割を果たしていただきたいと思います。

 その上で、学生が専門学校の中で職業を選択していくときに、福祉を担いたいとか工業を担いたいとか、いろいろな選択肢はあると思うんですけれども、少なくとも、これまでの質問の中でも答弁でありましたとおり、医療、介護、福祉、それから工業の分野、やはり、いわゆるエッセンシャルワークと呼ばれる皆さんだったり、多くの人材を輩出していると思います。

 私、これまでも委員会の中でも何度かお伝えしてまいりましたが、実際に、約十年間、これまで障害児支援の事業をやってまいりました。一番初めに雇用した人の話をちょっとお伝えしたいんですが、その方は、ある大学を卒業して一般的な中小企業に営業職として入職をして、その職場にうまくなじめなかったんですね。その後、介護系の専門学校を経て資格を保有して、そこから介護の現場で長く働いて、そこから転職をして障害児支援の現場に来てくれたんですね。

 その人と約九年間、時間を共にしたときに、いい人なんですよ、実直で、でも、やはり少しコミュニケーションに課題を抱えていたんですね。つまり、みんなの中で、よく日本人でいうところの空気を読むとか、相手の思考を先回りするとか、何かうれしいことがあったらありがとうと素直に伝えるとか、そういった、一般的な障害とは別で、いわゆるコミュニケーションに少し課題があるなと、九年間おつき合いしてきて私は実感をしました。

 加えて、私自身、障害児支援をしてきましたので、IQはあるけれども行動に少し特性を持っている発達障害の方々、そういう人たちが例えば仕事をしていくとなった場合に、僕は、十分専門学校での学びを通して社会で役割を担っていくことはできるし、私が実際にその障害児支援の現場で関わってきた正社員や職員の皆さんも、確かに一般的な企業で働くことには少し課題はあったのかもしれないけれども、いわゆる技術職、その技術をしっかりと成長させていけば、企業の中で、そして職場の中で役割を得ていく、十分できると思うんですね。

 その観点で、専門学校におけるいわゆる発達障害だったり障害のある方々、そうした特性のある方々の受入れ状況について文科省としてどのような把握をしているのか、教えてください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 令和五年度時点でございますけれども、回答率約九割の学校からの文部科学省の調べによりますと、専門学校の総在籍者数の約三%が障害のある生徒となっているところでございます。同じ割合でいきますと、平成二十八年度には一・二%でございましたので、多様な在籍者の学習ニーズに対応しているという観点で、こうした支援が必要な方々は増加傾向にあるというふうに考えてございます。

金村委員 ここをしっかり門を開いていくと、専門学校の新たな価値の創出につながると思いますし、また、障害を持っている子供たちが一つの選択肢につながる。いわゆる就労支援だったり、あとは、いわゆるセンターに通うとかそういうことだけではない、障害者雇用だけではない選択肢が生まれていくことも、私は子供たちにとっては有意義だと思いますので、是非広く人材を求めていただきたいなと思います。

 今申し上げたとおり、当然、特性といっても、発達障害もあれば、知的障害それから身体障害、特性は様々ですけれども、今少し認知を得てきたいわゆる境界知能、この境界知能というのは、いわゆる知能指数、IQでいうところの七〇から八五と伺っています。私は、この境界知能にある方々が専門学校で手に職をつける、しっかりと学びを通して職業の中で力をつけていく、非常に実は親和性があるんじゃないかなと考えています。

 今、日本において、いわゆるどういう人がどういう職に適性があるかとか、そういう定めは一切もちろんないんですね。私は実は、厚生労働委員会の中では、そういった、自分にとってどういう職業に適性があるかというのを早い段階で理解しておくことが将来有意義な職業の選択につながるんじゃないかという質疑はしたことあるんですけれども、日本はそういう定めがないんですね。

 一つだけ言えるのは、大学を卒業して、いわゆる知的労働と呼ばれるような職業に就く人もいれば、昭和の時代に三Kと呼ばれた、きつい、汚い、危険とか、あと第一次産業とか、中には中学校を卒業してそのまま働きに出る人もいる。一つ、僕は、よしあしではなくて、いろいろな働き方が存在していて、その働き方に適性のある人がきちんと働いていくことが、安定した暮らし、それから所得につながると考えています。その中で、専門学校を通して例えば資格を保有できたりすると、少し、この子、ちゃんと働いていけるのかなと不安に思っていた親からすると、物すごく安心感につながるわけです。

 このような観点から、専門学校自身が、特性のある人だけではないですけれども、何か工夫をしていることとかというのはあったりしますか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 各専門学校におきましては、多様な特性のある在籍者のために、少人数指導という特性も生かして、同時に授業を受ける生徒数が少ない中できめ細かな相談あるいは対応を行う、あるいは、担任制を設けて学修あるいは就職の相談に乗るといった、そうした生徒の相談室の設置あるいはスクールカウンセリングが実施されている例があるというふうに承知してございます。

 そうした環境づくりを進める一方で、特別支援学校と専門学校が連携をし、例えば六年間をかけて社会福祉士などの国家資格取得を目指す取組も聞いてございます。これは、モデル事業として予算措置もしているところでございます。

 また、専門学校におきましても、当然、令和六年四月からの改正障害者差別解消法の施行によりまして障害者への合理的配慮を行うことが義務づけられるものでございまして、こうした専門学校の多様な学びというものをしっかり支えていけるような形で、こういう方々が社会で活躍していけるような取組を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

金村委員 今、特別支援学校との連携という答弁をいただきました。これは、すごい、僕は未来があるなと感じているんですね。特別支援教育の三年間だけで社会に出るのは少し不安を抱えている、そういう子供たちが、もう少し学びの期間をつけて、そこでしっかりと職業に対する実践力をつけていく。非常にうれしい答弁だなと感じています。

 少しお伺いしたいんですが、横浜に聖坂支援学校というのがあるんですね。これは、元々は戦中戦後に学校に通えていない児童たちに対して学校を設立したんですけれども、昭和四十二年ぐらいの段階で、いわゆる知的障害を抱えた子供たちが学校教育の中に入れていない現状があって、それを特別支援教育に切り替えようと大転換をして、私立で聖坂支援学校を設立。加えて、いわゆる社会福祉法人も同様に設立しておりますので、いわゆる教育と福祉両面から知的障害を抱えた子供たちにアプローチをしている。

 僕が障害児支援をしてきたのは先ほど申し上げましたが、やはりこれは非常にすばらしい取組だと思いますし、実際に御苦労も多くあるでしょうから、本当に僕自身は頭の下がる思いなんですけれども、一方で、今御紹介した聖坂以外にも、全国にはそういった高等専修学校があるとお聞きしています。例えば、自閉症児の受入れ、学びのセーフティーネットになっているような学校も、都内、全国にあるとお聞きしておりますが、そういった学校の特色というのはどういう認識をお持ちなのか、お答えください。

望月政府参考人 今、金村先生の方から、今回の法改正の対象ではないけれども、専修学校の高等学校レベルでの学校である高等専修学校につきまして御紹介いただいたところでございます。

 高等専修学校は、全国に三百八十六校、約三万人の生徒が学んでございます。今御指摘いただきましたように、発達障害それから不登校を始めとした特別の配慮が必要な生徒を多く受け入れております。

 また、高等専修学校は高等学校段階の教育機関でございますけれども、准看護師それから理美容、調理などの国家資格につながる職業教育を行う学校でございます。

 令和四年度に文部科学省が行った高等専修学校に関する抽出調査におきましては、入学時に高等専修学校在籍者の約二〇%の生徒、子供たちが不登校を経験しているといったことがございまして、学校からの回答ではございますけれども、その不登校傾向が改善したというのは、合わせて八五%の生徒に改善の傾向が見られているという一定の効果も上げております。

 各学校では、教育と福祉という両面の側面を確かに高等専修学校で果たしているようなところもございます。生徒の興味、関心、特性を踏まえて職業に直結する学習を行っているようなところもございまして、高等専修学校につきましても、今回の法改正の対象の専門学校とともに、文部科学省としましても、先ほど御紹介しました、専修学校についての知る専ホームページ、そうしたところで紹介したり、あるいは中学生や中学教員に向けて進路選択、進路指導に関する情報の発信を行うなど、多様な学びを保障する高等専修学校の振興を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

金村委員 結構ユニークなと言うと語弊を招くかもしれませんが、意欲的に取り組んでいる学校もあると承知しておりますし、実際、その学校に入りたいということで、家族で転居をしてまで学校に入った児童を私自身も障害児支援の現場で見ておりますので、文科省の役割としては、そういう取組をしっかりとバックアップすることと、広く周知をしていくことが役割だと思いますので、是非果たしていただきたいなと思います。

 その上で、先ほど少し触れましたが、境界知能、ここを少し質疑してまいりたいと思います。

 先ほども申し上げましたが、社会一般的に、境界知能というワード、少し認知を得てきていると感じています。しかしながら、この質疑に当たって文科省の皆さんとやり取りをいたしましたが、今現在において、いわゆる文科省で境界知能というものを定義はしていないということでした。なので、世間一般的な、境界知能とは何なのということを少しお伝えしたいと思います。

 境界知能とは、知能指数、いわゆるIQの分布において平均的とされる領域と知的障害とされる領域の境界に位置すること。平均的ではないが、知的障害でもない。知的指数にして、IQ七〇以上、八五未満の状態を指すと言われています。

 これは余談ですが、僕は今回初めて知ったんですけれども、いわゆる知的障害のIQの指数、知能指数ですね、これは都道府県ごとに違うみたいなんですね。七〇がラインのところもあれば、七五がラインのところもある。それはなぜかというと、知的障害そのものをいわゆる全国的に統一して支援をしていくわけではなくて、いわゆるそこに課題を持った都道府県ごとに散発的に始まって、最終的に大きなくくりになっていったので、僕はちょっとそこまでは調べていないですけれども、神奈川県と例えば東京都でその数値が違うとか、そういったことがあるようなので、私は、ラインはやはり全国統一にするべきだと感じています。

 その上で、この境界知能の方々の特徴として、学習の困難、対人関係やコミュニケーションの困難、身の回りや社会生活の困難を抱えていると言われています。いわゆる、確かに平均的なIQでもなく、知的障害と言われるIQでもない、この境界知能と呼ばれている人たちが学習に困難を抱え、コミュニケーションに不安を抱え、そして身の回り、生活、そういったところでも困難を抱えている場合、予測として、やはりうまく働けないんじゃないかというのは誰しもが思うところだと思うんですね。

 こういう境界知能にある人たちがしっかりと学び、そして手に職をつけて賃金を得て、安定した生活を送る。これは人材としてもしっかりと捉えた方がいいですし、一方で、その人が一生を送る中で、納税者、そして安定した暮らし、やはり大切だと思うんですね。

 その中で、今、文科省の方で、境界知能にある方々、子供たちは潜在的にどのぐらい存在していると想定しているのか、お答えください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘のございました境界知能について、必ずしもつまびらかでないということでございますので、委員の御質問に正確にお答えすることはなかなか難しいわけですが、あえて、令和四年十二月に文部科学省が公表した通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査におきまして、通常の学級に在籍し、知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合で答えさせていただきます。その割合は、小学校、中学校においては推定値八・八%、高等学校においては推定値二・二%という結果になっております。

 この調査結果につきましては、発達障害のある児童生徒数の割合を推定するものではなく、学級担任等の回答により、学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒数の割合を推定したものでございます。

金村委員 やはり八・八%というのは結構大きい数字だと思うんですね、三人から四人という数字だと思いますので。やはり、境界知能にある子供たちを、ある種しっかりとした教育的支援を通して学びを深めていく、それから、社会に出る前に専門学校のような、いわゆる職業訓練的なところを経て、しっかりと社会の中で力をつけていく、これは十分可能だと思いますので、この境界知能を少し質疑していきたいと思います。

 いわゆる早期発見、早期療育というのは、発達障害の分野ではよく使われる言葉なんですけれども、境界知能にある子供たちも同様だと感じています。実際、文科省の側で、いわゆる境界知能にある子供たちにどういう支援が必要だと実際にお感じなのか。

 それから、いわゆる障害を持った子も、そして境界知能の子供たちも、いわゆるIQをしっかりと活用して、理解度がどのぐらいなのか。今更ですが、発達障害は行動に特性のある子、知的障害はIQに特性のある子ですから、やはりIQをしっかりと用いることで、教育的支援を受けたときの子供の理解度だったり習熟度、そういうものにつながっていきますので、もっとIQを活用した方がいいんじゃないかなと考えているんですけれども、その辺りをお答えください。

矢野政府参考人 文部科学省におきまして、令和四年五月に検討会議を立ち上げ、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方について検討を進めてきたところでございまして、昨年三月に取りまとめられました同検討会議の報告を受け、学校生活上の介助や学習活動上のサポートを行う特別支援教育支援員の配置、子供たちの障害等に応じて各教科等の学習の効果を高めるICT機器の活用、座席配置やICT活用等の必要な合理的配慮の提供など、特別な教育的支援を必要とする児童生徒が通常の学級で学べるよう、そのための支援体制の整備を教育委員会等に促しているところでございます。

 また、通常学級において、障害による困難を改善、克服するために必要な指導を行う、いわゆる通級による指導を実施しておりまして、その充実を図るための担当教員の基礎定数化にも取り組んでおります。

 これらの必要な支援を決定するに当たって、今委員から御指摘のございました知能指数、IQについては、知的発達の程度を判断するための参考になり得ますが、それだけで判断するのではなく、行動観察など他の要素も考慮し、特別な支援が必要な状態かを総合的に判断することが不可欠と考えております。

 引き続き、全ての子供が必要な教育的支援を受けることができるよう取組を進めてまいります。

金村委員 私、今答弁にあったとおり、通級がこれから子供の教育には一番欠かせないんじゃないかなと考えていますので、通級は一般質疑等で、あれば引き続き質疑してまいりたいと思います。

 その上で、境界知能と知的障害、軽度の知的障害の仮に違いを見つけていくと、一つ分かりやすいのが、境界知能にある子供たちは認知はできるんですよ。だから、自分が人と違うことは分かるんですね。人と違うことが分かるから、非行に走ったり、それから精神疾患や不登校に陥りやすいんですね。軽度の知的障害や知的障害だと理解度がないですから、相手が不思議な表情をしても、仮に自分に対して心ない言葉を言われていたとしても、その言葉の意味が理解できなければ、それを気にすることもないわけですね。

 つまり、境界知能にある子供たちが、その過程の中で心に傷を負い、実際、非行に走って、例えば刑務所の中で行われた境界知能のテスト、例えば知能指数を測るテストと、一般的に今この社会の中でやる知能テストだと、明らかに境界知能の方が多いのは刑務所の中だ。七%ぐらい開きがあるんですね。これは大きな違いじゃないですか。

 子供のときから、あっ、自分は境界知能なんだ、だからこういう生き方をしていこうとか、こういう学びをしていこうとなかなか気づけないですし、今既に例えば刑務所の中にいる人たちからすると、子供のときはそういう支援を全く受けていないわけですね。

 だから、そういう意味では、例えば文科省が取り組んでいる生涯学習だったり、夜間学校とか、そういった現場の中で、例えば、成人してから境界知能にあるということに気づいた人たちの居場所だったり、又は学びだったり、そういうものに私は転換していくべきだなと感じているんですが、実際の今の文科省の取組を教えてください。

望月政府参考人 金村委員御指摘の、境界知能のある方々だけを対象とした事業ではございませんけれども、文部科学省では、障害の有無にかかわらず誰もが学習に取り組むことができるように、平成三十年度より、学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業というものを実施してございまして、その中では、多くの障害を持った方々が、学修後の学習機会の充実に向けた取組を進めているところでございます。

 この事業では、自治体や大学、NPO法人とも連携をしまして、教育、スポーツ、文化芸術など、幅広い学習プログラムの開発に関する実践研究を行っておりまして、学びの機会の充実あるいは障害者の居場所づくりということにもつながっているかと思っております。

 こうした事業を今後とも文部科学省としては継続して、充実をしていきたいというふうに考えているところでございます。

金村委員 やはり、全ての人に当然挑戦する機会を提供していくというのは社会全体の役割だと思いますので、是非いろいろな取組をしていただきたいと思います。

 その上で、境界知能については最後の質問にさせていただきますが、今回、改めて境界知能を勉強させていただいたんですけれども、本当に難しい課題だと思いました。つまり、例えば、働くことに困難を抱えたり、学習もそうですし、コミュニケーションもそうですし、課題を抱えた人たちを全て、困難だからといって福祉的なアプローチで解決することはやはり不可能だと思うんですね。そういう少し凸凹があったり課題を抱えたりしている人たちを、どうしたら自立できるのか、そこに教育的なアプローチが必然的に必要だと私は感じています。

 そういった境界知能と呼ばれる皆さんがしっかりと専門的な学びを通して職業に必要な力をつけて、その人にとって最も適性のある職に就き、そして賃金を得て、安定した生活を送り、納税者の立場も得る。いろいろな価値観はありますけれども、やはりここは大切だと思うし、それは多くの人が同じ価値観でいてもらえると思うんですね。

 そういう意味では、境界知能にある子供たちも早い段階から、職業訓練じゃないですけれども、しっかりと知識や経験をつけていく、実践力をつけていく必要があると思うんですけれども、今、全国的には、いわゆる特別支援教育の職業訓練コースに野心的そして意欲的に取り組んでいる学校が全国にあるとお聞きしています。私は、境界知能にある子供たちにとっても、特別支援教育の中にある職業訓練コースが適性があればそこに入っていくべきだと思いますし、更にもっと学びをつくるために専門学校がしっかりとカリキュラムを提供することが望ましいと考えているんですが、今、実際、特別支援教育や境界知能にある子供たちに対するいわゆる職業訓練的なコース、それはどういった形があるのか、お聞きさせてください。

望月政府参考人 明確に知的障害等と診断されたわけではないけれども、周囲の方とコミュニケーションをうまく取れず学校生活になじめない、あるいは、学習に必要な基礎的な能力の一部に困難を抱えて学校の授業についていくことが難しい、そういった子供たちが社会に出た際に自らの特性に応じた職業に就くことができるように、職業に直結する知識、技術、技能等を修得できる環境を整備することが大事だというふうに考えてございます。

 先ほど高等専修学校のお話をいただきましたけれども、早い段階から知識、技能、技術を自分の状況に応じて身につけていくということにおいては、こうした高等専修学校が一定の役割を果たすところであると考えてございまして、特別な配慮が必要な生徒を高等専修学校が幅広く受け入れてございます。就職を希望する生徒に対しては、国家資格に直結する職業教育を行っています。

 特別支援学校の高等部におきましても、企業への就労を目指して、職場実習などを通しまして、就労先で求められる知識や技能の修得や、職務を遂行できる能力の育成を行う専門学科も置く取組も進められているところでございます。

 現時点では、高等専修学校や特別支援学校の高等部、こうした既存の学校の枠組みを通じまして、様々な特性を持つ方々がそれぞれの強みを生かして社会で活躍できる、そうした教育環境を整備していきたいというふうに考えてございます。

金村委員 改めて思いますけれども、やはり早い段階で自分の特性にしっかりと気づく、そのためには、やはり小学校だったり義務教育の中でしっかりと本人の自己理解につなげていって、その特性を理解しているからこそ、どう自分が苦しくなく、生きづらさを感じないように環境を設定していけるのか、やはり早い段階で気づけば気づくほど安定した人生につながると思いますので、是非これからも役割を果たしていただきたいと思います。

 その上で、改めて今回の改正の方の質疑をさせていただきますけれども、今回の法案の改正の趣旨にあるとおり、いわゆる人生百年時代やデジタル社会の進展の中で、リスキリング、リカレント教育を含めた職業教育の重要性が高まっていると記載もあります。

 先日視察をさせていただきました東京、あんま、マッサージ、鍼灸の専門学校においても、いわゆる社会人の学びが、大変、社会人が学び直しているなと思える生徒の光景を目にしました。

 実際、今、専修学校において、社会人の在籍状況というのはどういった感じなんでしょうか。

望月政府参考人 令和五年度の専修学校における社会人は約四万三千人でございまして、全在籍者数の約七・八%、専門学校には三万七千人、約七・四%の社会人が在籍してございます。

 また、大学を卒業した後に専門学校に入学している者の割合というデータも取ってございまして、令和四年度に四・五%になってございます。これは、令和二年度四・〇%、令和三年度四・二%から増加傾向にございます。

 先ほど金村先生からございました、委員会で御視察いただきました東京呉竹医療専門学校のように、特に医療分野において社会人の割合が高い傾向にございまして、鍼灸学科、柔道整復師学科では、社会人比率が六〇%を超えるような学校もございます。

金村委員 親の負担を考えれば、大学に行かずに専門学校に行ってほしいなと思いますけれども、ただ、人生どこでどういう決断があるか分かりませんので、そういう人たちの受皿に専門学校がなっていくこともやはり必要だと思います。

 専門学校の役割というのは、質疑を通して私は実感したんですけれども、本当に重要だなと思うんですね。ただ、それを高校生の段階でどれだけの人がその理解をしているのか。例えば、高校の先生が専門学校に対してどのぐらい理解度があるのか、この辺が実は大きな鍵になってくるんじゃないかなと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 その上で、ちょっと時間もなくなりましたので、一つ。いわゆる進学そのものは個人の自由であるべきだ、それが社会にとっては望ましいと思っているんですけれども、一方で、地域における人材確保、経済的、学力的に多様な層の受入れ、社会人の学び直しなど、社会的役割を専門学校が果たしているとすれば、専門学校に対する支援策、これも重要になってくると思うんですが、実際の今の取組、教えていただけますか。

望月政府参考人 専門学校は、まさに社会基盤を支えるために必要不可欠な人材を輩出しているところでございます。卒業生の地域への就職率が高く、地域に求められる人材、基幹的な人材の育成に重要な役割を果たしているということでございます。

 文部科学省では、専門学校に対しまして、その特色を発揮して意欲的な教育活動に取り組めるような予算事業において支援を行いますとともに、学校施設の耐震化など施設設備に係る経費についての補助を行っているところでございます。

 私立専門学校の所轄庁である都道府県におきましては、専門学校に対して経常費等に係る補助が行われてございますけれども、その一部につきまして、国としては普通交付税措置を行っているところでございます。また、令和四年度から、企業と密接に連携した教育を行う職業実践専門課程につきましては、文部科学大臣の認定校に対して都道府県が上乗せ補助を行う場合の特別交付税もこれは新たに措置をしたところでございます。

 低所得者世帯の学生等を対象に給付型奨学金と授業料等を減免して併せて実施する高等教育修学支援制度も専門学校が対象となっているところでございまして、文部科学省といたしましては、今後とも、都道府県とも連携をいたしまして、専門学校の振興に取り組みたいと考えてございます。

金村委員 必要な知識やそして技術を磨くわけですから学費が一定程度高いことは当然承知はしておりますが、できれば通いやすいぐらいの学費設定になっていくと、より人材を輩出できるんじゃないかなと思いますので、いろいろな取組、支えをしていただきたいと思います。

 最後に、改めて大臣にお伺いしたいと思います。

 やはり専門学校というのは、地域において非常に重要な役割を担っていると思います。改めて問い直すと、地域の人材の担い手、人材を担うわけですから、やはり成長のエンジンの一つだと考えています。今回の法改正を通して、いわゆる専門学校側にとっては、これまで大学と呼称が違ったりとか、いわゆる連携が薄かったりしていた、そういうところで専門学校側にとっては満足度のある法改正だと思うんですけれども、やはり社会的には、この専門学校を通して、日本そして人材、どういう成長を果たして、この法改正に更なる意義や価値を見出していくべきか、大臣の見解をお答えください。

盛山国務大臣 今日は、金村先生から境界知能を含めましていろいろなお話を承ることができまして、誠にありがとうございました。

 そして、今の御質問に関してでございますけれども、先生もおっしゃられたとおり、専門学校というのは、地域に根差した、行きやすい身近な教育機関、こういうことだろうと思います。職業教育機関として、各地域や産業のニーズに応じた人材の輩出、あるいは社会人の学び直し、留学生の積極的な受入れその他、大変大事な役割を果たしております。

 しかしながら、我が国におきましては、職業教育はどちらかというと低く見られる一般的な傾向がございます。そういう点、専門学校やその卒業生が適切な社会的信頼を得られていないという指摘もあるところでございまして、実学という部分がちょっと低く見られているということじゃないかと思います。

 今般の改正では、専門学校の高等教育機関としての位置づけの明確化を図りつつ、自己点検評価の充実や外部の評価の努力義務化などにより、積極的な情報公開等を進め、専門学校の教育の質を保証するとともに、社会人の学び直しなどに向けて、専攻科制度の創設なども図ることにしております。

 今般の改正を通じて、専門学校が実践的な職業機関としての役割をしっかりと果たし、将来的にも我が国の社会的基盤を支える即戦力となる人材を輩出していくことができるよう、文部科学省としても引き続き必要な施策の推進に取り組みたいと考えています。

金村委員 時間となりました。終わります。ありがとうございました。

田野瀬委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時四十四分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時四十一分開議

田野瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず確認いたしますけれども、本法案では、入学資格、名称、称号、単位制については、専修学校設置基準や大臣告示などによって既に規定されているものを法的に整備するものであり、新たに創設されるのは専攻科の規定に限られる、こう思いますが、これはそれでよろしいですね。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正によりまして、専門学校の高等教育機関としての位置づけの明確化を図るという観点から、入学資格につきまして、現在の規定から、大学と同様のものにするということがございます。そのほかの改正内容につきましては、現在告示で定めているものを明確に法律に位置づけるというものでございます。

 また、今回、高等教育機関としての位置づけを明確化するという観点から、生徒の呼称を、専門学生、学生に変えるという改正もございます。

 専攻科につきましては、法律に位置づけるのは、これは初めてのものでございます。

宮本(岳)委員 例えば、現在、助産師養成課程に入学するためには、看護師養成課程三年を修了した後に、助産師養成課程、別の専門課程に入り直す必要があります。特定専門課程を置く専門学校に専攻科を置くことができるようになれば、既に資格取得した人が途切れなく新たな資格取得に向けた学び直し、学びの継続がしやすくなります。

 現行制度では、例えば看護師養成課程を修了し、別の専門課程である助産師養成課程に入り直す場合、修学支援新制度を受けることはできますか。

望月政府参考人 今の御質問に関しては、なりません。

宮本(岳)委員 そういうことなんですね。修学支援新制度は、二校目の専門学校については対象にならないために、現状、修学支援新制度の対象にはなりません。

 今回の法改定がされれば、専門学校専攻科について、修学支援新制度を含むことになるんですね。

望月政府参考人 今般の法改正によりまして新たに設置が可能となる専攻科につきましては、大学の学部に準ずるものとして文部科学省令で定める要件を満たす場合には、高等教育の修学支援新制度の対象となり、今後、その詳細を、基準を定める予定でございます。

宮本(岳)委員 これは、専門学生の学びに資するものであり、賛成できるものだと考えております。

 さて、この間、私もこの分野の専門家からお話を伺ったり、先日は当委員会で専門学校に視察にも伺いました。私が話を伺った専門家の方は、本法案は専門学校の社会的地位の向上に寄与するものだと評価する一方で、優先順位が違うのではないかという指摘をされておりました。外形面よりも、条件整備、経済支援こそ学生や教職員にとって重要ではないかという指摘であります。

 それで聞くんですけれども、専門学校の教員の方々の研究体制、教員養成、施設整備など、どのような支援を行うつもりでございましょうか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 専門学校に対しましては、所轄庁が都道府県でございますので、文部科学省で直接の経常費補助は出してございませんけれども、都道府県が補助しているものに対して普通交付税措置、そして、質の高い、企業と密接に連携した職業実践専門課程につきましては、その上乗せ補助、都道府県の上乗せ補助に関しましての特別交付税を令和四年度から文科省として新設いたしまして措置をして、それが今、都道府県の方に働きかけ、拡大をしている状況でございます。

宮本(岳)委員 しっかりとやってくださいね。

 次に、学費の問題です。

 二〇一二年九月、当時民主党政権でありましたが、国際人権規約A規約十三条の2(b)、(c)の留保が撤回されました。高等教育については(c)項ですけれども、「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。」とされております。

 三月十三日の質疑で高等教育局長は、「漸進的に無償化に向けて取組をしていくというふうに理解しております。」と答弁されました。漸進的に無償化する、この中には、当然専門学校の学生も含まれているわけですね。

望月政府参考人 宮本先生から御紹介がございました国際人権規約A規約第十三条の2、高等教育の無償化に関することでございます。

 この高等教育についての定義が規約の中で定められているわけではなく、その具体的内容は各締約国に委ねられていると認識してございます。

 文部科学省では、高等教育の修学支援新制度におきまして、専門学校も高等教育機関の一つとしての支援を実施してきたところでございます。引き続き、専門学生の教育費の負担軽減に取り組んでまいります。

宮本(岳)委員 含まれるのは当然です。専門学校の在学者数は五十八万千五百二十二人、専門学校は大学に次ぐ高校卒業者の進学先となっております。修学支援新制度について、今回専攻科についても対象にしていくということでありますけれども、専門学校は既に対象となっております。

 二〇二二年度の専門学校の新制度採択実績とその割合を答えていただけますか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 専門学校の在学者数に占める高等教育の修学支援新制度の利用者でございますけれども、令和四年度実績で七万四千八百八十六名、全専門学校生五十八万一千五百二十二名に占める割合は約一二・九%でございます。

宮本(岳)委員 これは、機関要件の確認割合を見ますと、大学、短大が九八・一%、高専は一〇〇%なんですけれども、専門学校は七八・五%と、他校種に比べ低い割合となっております。

 なぜ他校種に比べ専門学校は機関要件の確認割合が低くなっているのか、御答弁いただけますか。

望月政府参考人 高等教育の修学支援新制度におきましては、大学等における修学の支援に関する法律に基づきまして、教育要件と経営要件といった一定の機関要件を満たすことの確認を受けた学校を対象機関とすることとしてございます。

 確認を受けた専門学校の割合は、委員御指摘のとおり、令和五年八月時点で専門学校七八・五%となってございます。

 確認を受けた専門学校の割合が大学等と比べて低い要因につきまして、団体からの意見聴取や状況調査を踏まえますと、その主たる要因は、経営面における機関要件を満たすことが困難であるといったことと考えられます。

宮本(岳)委員 経営上の要件を満たしていないのは学生の責任ではありません。にもかかわらず、進学した専門学校が新制度の対象となっていなければ学生は支援を受けられないということになります。

 日本学生支援機構の調査によれば、私立専門学校の学生生活費のうち、授業料、学校納付金、教材費など、修学費の平均額は幾らになっておりますか。これは高等局長でしょうか、違いますか。

望月政府参考人 今の御質問は専門学校についてでよろしゅうございますか。(宮本(岳)委員「はい」と呼ぶ)はい。

 独立行政法人日本学生支援機構による専門学校生の生活調査の令和四年度の結果、三月に公表したばかりのものでございますが、私立専門学校生が一年間に学校に納める授業料等の平均額につきましては、授業料が七十九万二千五百円、その他の学校納付金が十八万七千九百円の合計九十八万四百円となっているところでございます。

宮本(岳)委員 ただいま御紹介いただいた専門学校生生活調査結果によりますと、おっしゃったとおり、授業料七十九万二千五百円、施設整備費など学校納付金が十八万七千九百円、教材、実習材料など修学費が九万一千四百円、合計で百七万千八百円となっております。初年度はこれに入学金十五万から十六万円がかかるということから、およそ百二十万円ということになろうかと思います。

 資料一を見ていただきたい。これは東京都専修学校各種学校協会が公開している納付額平均でありますけれども、百二十八万円、こうなっておりますから、下線部ですね、ほぼJASSOの調査と合致をいたします。

 先日視察に伺った専門学校では、例えば、はり、きゅう、マッサージの学科で三年通い、道具などの経費を含めれば、六百万円を大きく超えるとおっしゃっておりました。さらに、鍼灸マッサージ教員になるために教員養成課程に進学すると更に二年間で三百万円、合計では一千万円を超えるという話でございました。

 そこで、大臣にまず基本的な点を確認するんですが、前回の質疑で、目指すところは同じだと答弁されました。国際人権規約の精神に立つならば、同じ山頂を目指しているというその山頂は、国公私問わず、専門学校の学生を含め、全ての学生の学費を無償化する、これがたどり着くべき山頂だということに違いはないと思いますが、よろしいですね。

盛山国務大臣 前回、宮本先生とのやり取りで、目指すところは同じで、山へ登るルートの違いはあるかもしれませんが、登っていきたいという話をしました。

 もう少し詳しく御説明させていただきますと、高等教育費の負担軽減につきましては、令和二年度から、低所得世帯を対象に授業料等の減免と給付型奨学金の支給を併せて行う高等教育の修学支援新制度を実施し、非課税世帯の学生に対する高等教育の無償化と、それに準ずる世帯にも一定の支援を行ってまいりました。さらに、この令和六年度からは、この給付型奨学金等について多子世帯及び理工農系の中間層への拡大等を行うとともに、令和七年度からは、子供三人以上を扶養している場合に、国が定めた一定の額まで大学等の授業料、入学料を無償とすることとしております。

 この高等教育の修学支援新制度は、現在も専門学校はその制度の対象となっておりますが、今般の法改正で新たに設置が可能となる専攻科についても、大学の学部に準ずるものとして文部科学省令で定める要件を満たす場合には制度の対象とし、今後詳細な基準を定める予定であります。

 我々といたしましては、このような取組を通じて高等教育費の負担軽減を着実に進めていきたいと考えております。

宮本(岳)委員 るる述べられましたが、終着点は全ての学生が無償になるということだと思います。

 そこで、「すべての者」という国際人権規約の解釈でありますけれども、今日は外務省に来ていただいております。

 国際人権規約A規約十三条における「すべての者」には外国人も含まれるということでよろしいですか。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 社会権規約第二条2は、この規約の締約国は、この規約に規定する権利が人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又はその他の地位によるいかなる差別もなしに行使されることを保障することを約束すると規定しております。

 したがって、社会権規約第十三条における「すべての者」は御指摘の外国人を含むと解されます。

宮本(岳)委員 国民的出身によるいかなる差別もなしに行使されることを保障することを約束している、これは外国人も含むんですね。

 ところが、文部科学省は今何をしようとしているか、何をしているか。

 資料二に、読売、四月二日付の記事をつけておきました。「留学生授業料「値上げ可能」」という見出しでありまして、省令を変えて、これは既に変えて、外国人留学生の授業料の上限を撤廃したわけですよね。

 これは、外務省が答弁した、「すべての者」、すなわち外国人も含む高等教育の漸進的無償化に逆行することになりませんか。高等局長、大臣、どちらでもいいです。

盛山国務大臣 私でよければ私から答弁させていただきます。

 今般の省令改正は、国立大学法人が、大学において外国人留学生の受入れのための環境の整備など特に必要がある場合には、標準額にかかわらず外国人留学生の授業料等を設定できるようにするものであり、外国人留学生の授業料を上げることを主眼としたものではありません。

 また、外国人留学生に対しては、これまでも国費外国人留学生制度等による経済的支援を行っているほか、令和五年度からは外国人留学生の戦略的な受入れ、定着のための新たな制度を開始しております。

 文部科学省としては、引き続き留学生に対する支援の充実に努めることとしており、今回の省令改正をもって社会権規約に一概に反するとは言えないと考えております。

 なお、社会権規約では、高等教育の漸進的無償化を図るということにつきましては、先ほど局長から御答弁したところでございますが、具体的にどのような方法を取るかということについては加盟国に委ねられているというふうに承知をしております。

宮本(岳)委員 上げることを主眼としたものではないという御答弁でありますけれども、では、高等局長、これは上げることはしない、こういうことでいいんですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の省令改正は、留学生に対する教育の充実を目指したものでございますので、授業料としては、これまでのとおり標準額の決まりに従わずとも設定できるようになりますけれども、その結果、留学生に対する教育の質が上がるということ、これを期待して、大学の判断でできるようにしたものでございます。

宮本(岳)委員 留学生の教育を、手厚い支援をする、充実させる、重要であります。だから授業料を上げるということには全くなりませんね。もしもそういうことで上限を撤廃するならば、国際人権規約の精神に反することになりかねない。学費の値上げなどではなく、運営費交付金の増額や私学助成の拡充など、基盤的経費を拡充して対応すべきだと申し上げておきたいと思います。

 この提言、つまり、留学生の授業料の上限撤廃というこの提言は、昨年四月の教育未来創造会議の第二次提言、未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ、ここで書かれたということでよろしいですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 教育未来創造会議の提言も踏まえて今回の省令改正に至ったものでございます。

宮本(岳)委員 資料三に、この教育未来創造会議の第四回会議に提出された、東北大学総長大野英男氏の資料をおつけをしておきました。ここに何と書いてあるか。教育の正当な対価として外国人留学生の授業料を別途設定できるようにすべきとありますね。

 東工大や千葉大など、今、自国学生の教育内容、環境の向上を理由に学費を値上げするという大学は、これは国内の学生向けも値上げされている大学が、大学で決めて、生まれてきております。仮にその場合でも、一二〇%という枠の中の話なんですね。ところが、今回の留学生についてはその枠さえなくて、事実上、際限なく上げられる。上げるつもりは余りないとおっしゃったけれども、上げようと思えば上げられる。

 これは、大臣は、登る道は様々でも頂上は同じだとおっしゃったけれども、そして、前回、私は、山に登るためには上を向いて上がることが大事で、海に潜ることがあってはならないと言いましたけれども、残念ながら、登るどころか海に潜る話になっていないですか。いかがですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 漸進的無償化を目指すという趣旨でございますので、先日も御答弁したとおり、修学支援新制度の充実なども含め、令和六年度、七年度からそれぞれ充実をさせたり、一方で、この授業料の省令改正なども含めて、トータルとして大学の教育研究が高まるように、かつ、できるだけ意欲ある学生の負担が軽減されるように、私どもとしても努力しているところでございます。

宮本(岳)委員 残念ながら、そうなっていないんですね。

 例えば、京滋地区私立大学教職員組合がこのほど行ったアンケートがこの前公表されました。やはり学費負担が学生たちに重くのしかかっている。自宅外の学生は、仕送り額を含めると総額二百九十四万五千百七十二円となって、親の年収平均八百七万何がしの三六・五%の重い負担となっている。奨学金の申請予定は四七・三%となって、卒業後に多額の奨学金を返済しなければならない状況を考え、借入れを控える傾向が続いていると書いておりまして、給付型奨学金を充実させてほしいなどの記述が寄せられたというふうになっておりまして、奨学金の返済を心配して借りられないというのは、これは杞憂ではありません。それには根拠がございます。

 資料四につけておりますけれども、これは文科省の提出資料ですね。三か月滞納すれば、毎年三万人がブラックリストに載せられております。九か月滞納で、毎年五千人以上に一括返還請求を求めてきました。学ぶために借りたにもかかわらず、返済が滞ったらここまで追い詰められる、だから借りたくても怖くて借りられないという現状があるんですね。

 ただでさえ給付にすべきものを貸し付けている、しかも利子がつくということで、有利子の方が現状まだ多いんですね。私は、直ちに無利子奨学金に転換するぐらいはすぐにやらないかぬと思うんですけれども、無利子転換するのに一体幾ら利子補給すればよいのか、これも一応、額をきちっと答弁しておいていただきたい。文科省、お願いします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 有利子奨学金の利息収入は、日本学生支援機構の令和四年度決算におきまして、約二百十七億円でございます。無利子化を仮に行うとしたら、この規模を毎年度国費で負担する必要がございます。

宮本(岳)委員 いつも申し上げるんですけれども、毎年毎年の政党助成金というのは三百十五億を超えているんですね。これをきっぱりやめれば、直ちに無利子転換、今では百億円のまだ残が残るというぐらいでありますから、学生のためにそれぐらいのことは当然だと私は思います。

 高等教育の漸進的無償化は理想論ではありません。世界の常識であります。国立国会図書館の調査によれば、OECD諸国の多くは、授業料が低廉か、授業料は高くとも公的補助が充実している、こうなっておりまして、日本は非常に非常識な状況だ。

 資料五につけましたけれども、これは、国立国会図書館が作成した「諸外国の大学授業料と奨学金」第二版のうち、デンマークのデータでございます。これは二〇一九年当時のデータでありますけれども、ここで、直近のデンマークの授業料及び奨学金の制度について、国立国会図書館に説明していただきたいと思います。

ローラー国立国会図書館専門調査員 お答えいたします。

 まず、授業料について、経済協力開発機構、OECDの調査によりますと、デンマークでは、高等教育を受けるほとんどの学生が国公立の機関に通っており、デンマークとEU等の学生の授業料は無償です。

 次に、給付型奨学金についてです。

 欧州委員会が各国横断的に実施した調査報告及びデンマーク政府の資料によりますと、デンマークの給付型奨学金は、月収が二千四百三ユーロ、日本円で約三十八万七千円を超えない学生が年齢の制限なく受給することができます。

 二〇二二年の金額でありますが、親と同居の学生の場合には、親の収入に応じて月額で百三十四から三百七十一ユーロ、日本円で約二万二千円から六万円、独り暮らしの学生の場合には、月額八百六十ユーロ、約十三万八千円が給付されました。また、学生同士の世帯で子供を養育している場合には、月額約五万九千円の追加給付があります。

 なお、学士課程の約九〇%の学生が給付型奨学金を受給しています。

 以上でございます。

宮本(岳)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、九〇%の学生が給付型奨学金を受給している、そして、それぞれの学生に手厚い給付奨学金があると同時に、子供が生まれれば、子供の分も、五万数千円ですか、プラスをされるというお答えでございました。

 漸進的無償化は理想論ではありません。世界の常識です。私たちの試算では、学費半額や入学金の廃止は毎年二兆円、奨学金の半額免除は一回限り五兆円あればできるんです。軍事費を五年間で四十三兆も使うことを思えば、政策判断の問題です。国際人権規約A規約十三条の2(b)、(c)の留保を撤回し、受け入れたというのであれば、少なくとも、山に登ること、海に潜ったりしないこと、その実現に真面目に取り組むことを強く求めて、私の質問を終わります。

田野瀬委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 質問させていただきます。どうぞ今日もよろしくお願いいたします。

 先般、委員会の方で、東京医療専門学校の方に視察をさせていただく貴重な機会をいただきました。先生方、また学生の皆さんや、また、併設されております施術所で治療を受けておられる患者の方につきましても、その施術の現場まで視察をさせていただきまして、まず、心から、この場をおかりして感謝を申し上げるところでございます。

 これまでの質疑の中であっておりますように、専門学校は、この制度は昭和五十一年に創設されたわけでございますけれども、大学に次ぐ高等学校卒業後の進路先となっておりますし、我が国の高等教育段階の職業教育の大変重要な役割を担ってきました。また一方で、様々な学びの保障といいますか、様々な学生生徒の皆さんの学びの場としての役割もこれまで果たしてきたというふうに認識をいたしております。

 その中で、まず、高等教育修学支援新制度についてお尋ねをいたします。

 先ほど宮本委員からもございましたけれども、授業料減免と給付型奨学金をセットで行うこの修学支援新制度については、令和二年度からスタートしたわけでございますけれども、今般、加速化プランによりまして、令和六年度から、奨学金制度の改正によって、多子世帯、理工農系の中間層への拡大がスタートいたしました。また、令和七年度からは、多子世帯の授業料、入学金の無償化が所得制限なしにスタートすることとなっております。

 専門学校についてもその対象と従来からなっているわけでございますけれども、私立理工農系の中間層への拡大の部分については、専門学校には幅広い多くの学科が学校独自の学科区分によって設置をされております。その対象となる学科についてはどのように仕分をされているのかということについてお伺いをさせていただきます。

 また、本改正によって新設されることとなる専門課程の専攻科についても新たに対象となることが確認をされておりますけれども、専門学校の通っている学生のうち二九%の世帯所得がやはり四百万円未満というデータもございます。また、現状、大学、短大に比べまして、これも先ほどから議論があっておりますけれども、修学支援新制度の機関要件の充足率が低いとされている専門学校の学生の学びをしっかり支援していくために今後どのように取り組んでいかれるのかということも併せてお伺いをさせていただきます。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 高等教育の修学支援新制度の拡大に伴いまして、工業関係及び農業関係の学科、これは、専門学校の場合、設置認可の分野で仕分をしてございますけれども、一千二百二十八学科、約一四・三%の学科が理工農系支援の対象となっているところでございます。

 一方で、先ほどからございますように、修学支援新制度の対象となる要件としまして機関要件を受ける必要が学校としてございますけれども、大学、短期大学と比べますと、専門学校の割合は七八・五%と低い状況でございます。これは、専門学校につきましては、学校の規模が小規模であることなどから経営要件を満たさない場合があると承知してございます。

 このことも踏まえまして、六年度の機関要件の見直しの中で、収容定員充足率の要件を満たさない場合でも、地域の経済社会にとって重要な専門人材の育成に貢献していると都道府県知事等が認める場合には確認取消しを猶予できることとするなど、柔軟な対応を専門学校に対してはすることとしてございます。

 今回の法改正を通じまして、教育の質の向上や経営改善を都道府県や関係団体とも連携しつつ促していき、機関要件を満たす学校についても更に増やしていきたいというふうに考えているところでございます。

西岡委員 柔軟な御判断、御対応をいただけるということでございますので、やはり専門学校への支援、しっかりここを取組をお願いを申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、特に成長分野ですとか人材不足が深刻な分野というのがございます。特に、社会を維持するために欠かすことのできないエッセンシャルワーカーと言われる職種における専門人材の不足というものが、大変深刻な状況がございます。

 専門人材の育成、確保につきましては、実践的な職業教育を目指す専門学校に大きな期待が寄せられているところでございますけれども、先ほど申し上げたように、専門学校には多様な層に学びを提供する役割、これも大変重要だというふうに認識をいたしております。

 先ほどから大臣からも言及があっておりますけれども、地元での就職率が大変高いという特徴もございまして、今後の人口減少に大変悩む地域にとっては、地域の未来を担う貴重な人材であるという点も大変重要だというふうに考えております。

 本改正におきまして、履修制度を単位制といたしまして、大学への編入をしやすくする制度改正となっておりますけれども、本改正によりまして、人材不足が深刻な、例えばエッセンシャルワーカーと言われる、医療や福祉や、また工業系の社会基盤を支える人材の確保や育成にどのように政策効果があるのかということについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 例えば、具体的に、デジタル分野の人材についてお尋ねをいたします。

 二〇二五年には三十六万人、二〇三〇年には四十五万人のいわゆるIT人材が不足するというふうに言われておりまして、そのギャップを埋めるためには、現在の試算では、専門学校から輩出されている人材から算定して、毎年二千人増やしていくことが必要だということが指摘をされております。

 そのためには、今まさに求められている人材を養成していくということも必要になっていくということを考えれば、専門学校のカリキュラムの充実ですとか理系教員の配置の充実、また教員の研修機会の充実、また、民間企業と連携した取組も大変不可欠だというふうに考えております。

 不足する専門人材の育成につながる取組として、どのように今後支援をしてその目標を達成していかれるのかということについてお伺いをさせていただきます。

望月政府参考人 西岡先生御指摘のとおり、専門学校におきましては、地域の基幹的、基盤的な人材、人手不足の深刻な医療や福祉や工業等の社会基盤を支える人材育成を行っているところでございます。

 御指摘がございましたITあるいはデジタル分野の人材に関しましても専門学校は積極的な育成に努めているところでございまして、数字で申し上げますと、全生徒に占める情報処理の関係の学科に在籍する生徒の割合は、二〇一五年には四・二%、約二・五万人でございましたけれども、二〇二三年には六・三%、約三・五万人に増加をしているところでございます。

 これに対しまして、文部科学省としましても、これまで、DX人材の育成に向けましたモデルカリキュラムの構築、その横展開を図るとともに、令和六年度より、新たに理系分野の学科への転換に向けた、ビジネス学科等のカリキュラムの高度化、需要が減少している学科のIT分野等への再編、新設に対する取組の支援を予算事業でも行っているところでございます。

 また、令和五年二月には、分野を超えてデジタル人材の育成を行う場合に限ってでございますけれども、教員数や面積に関する基準の柔軟な算定を行うことができる専修学校設置基準の改正も行ったところでございます。

 こうした改正も踏まえまして、専門学校がデジタル分野を含めた専門人材の育成について引き続き必要な役割を果たすべく、必要な支援を行ってまいりたいと考えてございます。

西岡委員 やはり、専門学校の現場に届く実効性のある大胆な支援策がこの法改正と併せて必要であるというふうに考えます。

 視察をさせていただいた医療専門学校のほかにも、現場の専門学校の方からお話をお伺いをいたしましたけれども、例えば介護職につきましては、介護職が不足はしているけれども、介護福祉科の入学者は逆に減少している、これは、大変な仕事だということで選択しないということもありますので、そのことによってなり手が不足をしていくと、実際に介護されている方々の負担が増えてやはり離職が増えるという、負のスパイラルというものがあるということの御指摘がありました。その意味でいきますと、仕事としての待遇改善はもとよりなんですけれども、やはり授業料の無償化を含めた大胆な施策というものを是非考えていっていただきたいという御意見もいただいたことを併せて御紹介をさせていただきたいと思います。

 続きまして、本改正によって、大学等と並んで職業教育をつかさどる高等教育機関としての位置づけが明確となる中で、今、専門学校については所管が都道府県ということになっているんですけれども、これについて、文部科学省の所管として一体的に取組を進めることが必要だという意見もございます。このことについての御見解をお伺いをするとともに、本改正を踏まえまして、各都道府県における農業大学校等の関係など、専門学校、短大、大学、専門職大学等それぞれの校種の役割分担を明確とすることも必要ではないかと考えますけれども、このことについての御見解をお伺いしたいと思います。

盛山国務大臣 専修学校につきましては、昭和五十年の学校教育法の改正により、一定の規模や水準のものを対象として、学校教育法第一条の学校以外の教育機関として制度化されております。

 専修学校制度においては、今般の法改正の対象となっている専門課程のほか、高等学校段階の高等課程、入学資格に定めのない一般課程があり、地域に身近な教育機関として、地域の実態に応じて必要な人材を輩出しているところです。

 今般の法改正によってもこのような専修学校の特性が変わるものではございませんので、所管を都道府県から変更することは考えておりません。

 そして、今後、役割分担という御質問もありましたが、高等教育段階における学習者のニーズは様々でございます。職業教育を含めて、多様な教育機会の充実を図っていきたいと考えております。

 今般の改正では、専門学校について、入学資格の見直しや大学と同等の項目での自己点検評価の義務づけなどを通じまして、高等教育機関としての位置づけの明確化を図ってまいります。

 また、専門学校と大学との役割分担については、専門学校は、弾力的な制度であることを生かした、職業に密接に関連した実践的な教育機関であるのに対し、大学は、学術の中心として、大学にふさわしい水準を担保した上で、深く専門の教育研究を行う機関となります。

 また、農業大学校というのもございます。全国の四十一道府県に設置されております。農業改良助長法に基づいて、農業への就職を目指す者に対して研修等を行う農業者研修教育施設でございます。その多くは専門学校としての位置づけも有しており、農業分野の在籍者は専門学校全体の在籍者数のうち〇・八%にすぎませんが、個々の農業大学校とともに、専門学校が人材育成に役割を果たしているものと考えております。

 文部科学省としては、それぞれの高等教育機関が持つ特色や強みを生かしながら、各機関がその質の向上を図り、高等教育全体の発展を図っていくことが重要であると考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 続きましての質問でございますけれども、本改正が施行される令和八年四月一日に向けまして、大学等との制度上の整合性を高めることを踏まえて、その運営に必要な経費の補助について、新たな枠組みの創設も含めて財政的な支援をしていくということにつきまして、そのことについての文部科学省としての方針、お考えについてお伺いをしたいというふうに思います。

望月政府参考人 今ほど大臣から御答弁させていただきましたけれども、専門学校は、地域の基盤的な人材を育成している教育機関で、地域に根差した、行きやすい学校となってございます。そのため、その特色を生かして地域のニーズに応じた教育活動に取り組めるよう、予算事業において、文部科学省においても支援を行うとともに、学校施設の耐震化など、安全、安心に係るようなそうした施設設備に係る経費については補助を行っているところでございます。

 都道府県では専修学校に対して経常費補助に関する補助が行われてございますけれども、その一部についての地方交付税措置を講じておりまして、令和四年度からは新たな支援として職業実践専門課程に特別交付税の措置を行う、この活用が進むよう、都道府県に働きかけを行ってまいりたいと思ってございます。

 新しい支援の仕組みとのことですが、まずは、今ある支援をしっかりと継続する中で、今回、法改正を通じた教育の質の向上を図っていただき、実践的な職業教育機関としての役割をしっかり果たし、引き続き、都道府県とも連携しながら、有為な人材を輩出していただけるよう支援を行っていきたいというふうに考えているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 先ほど大臣からも御言及があっておりますように、大変専門学校の役割というのは重要な中で、今御説明のありました県からの経常費補助金でございますけれども、やはり都道府県によって大きく金額に差があるということをお伺いをいたしております。私の地元長崎県におきましては、生徒一人当たり六千三百円ということでお聞きをしているんですけれども、地域によっては一万円から二万円ということの中で、地域によっても大きく差があるということもお聞きをいたしております。

 今後も、しっかりここを支えていただく国の役割は重要だと思いますので、しっかり引き続きの御支援をお願い申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、高等専修学校につきましてお伺いいたします。

 先ほど議論があっておりましたけれども、高等専修学校につきましては、職業教育を含めて、多様な背景を持つ子供たちを受け入れる、学びのセーフティーネットの役割を果たしていただいているということもございます。先ほど答弁の中で御紹介のあった、不登校生徒の改善傾向があるというデータもお聞きをいたしております。

 一方で、中学の先生の二九%しかこの学校があることを御存じないというデータもございまして、認知度に課題があるという中で、知る専ということで、先ほどから御紹介があっておりますけれども、魅力の発信の取組もしていただいているという状況でございますけれども、都道府県の教育振興計画における位置づけの明記もされていないということもございますので、今後、都道府県と一体となった取組が必要だというふうに考えております。

 また、中学と高等専修学校、また、高等専修学校と専門学校また大学といった連携強化も大変重要だと思っておりますけれども、今後の方針についてお伺いをさせていただきます。

望月政府参考人 御指摘のとおり、高等専修学校は、様々な背景を持つ子供が学んでいる場でございます。また、准看護師、あるいは理美容師、あるいは調理師などの国家試験につながる職業教育を行う学校もございまして、そうした資格の取得を目指して入学してくる生徒もいるわけでございます。

 ただ、高等専修学校の認知度には、御指摘のとおり、課題がございます。中学校の側で進学先として十分認識されていない場合があること、あるいは、大学の方で高等専修学校の生徒の入学資格について十分認識がない場合もございます。

 このような課題の解消に向けまして、専修学校では、例えば、中学校の進路指導研究会と高等専修学校の関係者が協議会を設置するなどして、高等専修学校の特色ある取組を中学校の教員に紹介するなどの取組をしているところでございます。

 また、高等専修学校の卒業生の進路としては、就職とともに、専門学校、大学への進学もございますので、令和五年度から、大学入学選抜実施要項におきまして高等専修学校の位置づけを明確化するなどの取組も行っているところでございます。

 このほか、高等専修学校と大学等との連携につきましては、教職大学院で心理学を学ぶ大学院生の協力も得て、高等専修学校でのカウンセリング体制を整えている例もございます。

 こうした様々な取組がございますけれども、いずれにしましても、高等専修学校の認知度や社会的評価の向上に向けまして、都道府県との連携、あるいは、中学校の進路指導担当者への情報提供、専門学校、大学との接続を意識した取組を強化してまいりたいと考えてございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 一昨年のベネッセ調査によりますと、全国の学生生徒に授業の満足度を聞いたところ、大学生は二四・九%、高校生で四九・六%、専門学校は七九%という数字もございますので、是非この専門学校、可能性は大きく今後あるというふうに思っておりますので、しっかりした国の支援をお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田野瀬委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、山田賢司君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。吉田はるみ君。

吉田(は)委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明に代えさせていただきます。

    学校教育法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 我が国の高等教育段階においては、大学・短期大学、高等専門学校及び専門学校など多様な機関が併存していることから、各機関の位置付けや果たすべき役割等、高等教育機関の全体像について整理するとともに、急速な少子化による十八歳人口の減少等も踏まえ、高等教育機関の将来像について国として検討すること。

 二 大学等と専門学校との制度的整合性を明確化するに当たり、教育の質の更なる向上及び質を保証するための措置の一層の強化を図ること。

 三 専門学校における単位制への移行の更なる促進及び高等教育機関間における単位互換制を推進すること。

 四 リカレント教育・リスキリングを含む職業教育の重要性が高まっていること等を踏まえ、高等教育段階における職業教育機関である専門学校について一層の振興を図るとともに、社会人等が専門学校をより活用しやすくなるよう、環境を整備すること。

 五 労働生産性及び国際競争力の向上が我が国の国力の礎となることを鑑み、これに資するリカレント教育等にかかる経済的負担を軽減する措置を検討すること。

 六 成長が見込まれる分野や人材不足が深刻な分野における専門人材の育成・確保を促進するため、専修学校における教育カリキュラムの充実や専門性のある教員の配置等に努めるとともに、産業界と連携した取組を一層進めること。

 七 今般法定化される「専門士」の称号に加え、「短期大学士」・「準学士」等の一定の学修成果を示す学位・称号について、国内及び国際的な通用性と評価を向上させるため、周知・広報等適切な施策に努めること。

 八 専門学校の国際化を進め、外国人留学生の戦略的な受入れのための体制整備を進めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

田野瀬委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田野瀬委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。盛山文部科学大臣。

盛山国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十二分散会


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