第6号 令和6年5月15日(水曜日)
令和六年五月十五日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 田野瀬太道君
理事 小寺 裕雄君 理事 中村 裕之君
理事 永岡 桂子君 理事 山田 賢司君
理事 坂本祐之輔君 理事 吉田はるみ君
理事 金村 龍那君 理事 浮島 智子君
青山 周平君 東 国幹君
井出 庸生君 井原 巧君
上杉謙太郎君 上田 英俊君
尾身 朝子君 金子 容三君
木村 次郎君 岸 信千世君
小林 茂樹君 小森 卓郎君
柴山 昌彦君 鈴木 貴子君
中川 貴元君 仁木 博文君
根本 幸典君 船田 元君
古川 直季君 古川 康君
本田 太郎君 三谷 英弘君
宮内 秀樹君 宗清 皇一君
柳本 顕君 山口 晋君
山本 左近君 義家 弘介君
青山 大人君 菊田真紀子君
下条 みつ君 屋良 朝博君
吉川 元君 笠 浩史君
早坂 敦君 堀場 幸子君
前原 誠司君 平林 晃君
鰐淵 洋子君 宮本 岳志君
西岡 秀子君
…………………………………
文部科学大臣 盛山 正仁君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 黒瀬 敏文君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長) 笠原 隆君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局長) 望月 禎君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 矢野 和彦君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 池田 貴城君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 柿田 恭良君
政府参考人
(文部科学省研究振興局長) 塩見みづ枝君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 千原 由幸君
政府参考人
(スポーツ庁次長) 茂里 毅君
政府参考人
(文化庁次長) 合田 哲雄君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 山影 雅良君
文部科学委員会専門員 藤井 晃君
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委員の異動
五月十五日
辞任 補欠選任
尾身 朝子君 古川 康君
勝目 康君 本田 太郎君
柴山 昌彦君 宗清 皇一君
鈴木 貴子君 上田 英俊君
船田 元君 東 国幹君
古川 直季君 金子 容三君
山口 晋君 小森 卓郎君
牧 義夫君 屋良 朝博君
同日
辞任 補欠選任
東 国幹君 仁木 博文君
上田 英俊君 鈴木 貴子君
金子 容三君 古川 直季君
小森 卓郎君 山口 晋君
古川 康君 尾身 朝子君
本田 太郎君 柳本 顕君
宗清 皇一君 井原 巧君
屋良 朝博君 牧 義夫君
同日
辞任 補欠選任
井原 巧君 柴山 昌彦君
仁木 博文君 船田 元君
柳本 顕君 中川 貴元君
同日
辞任 補欠選任
中川 貴元君 勝目 康君
同日
理事牧義夫君同日理事辞任につき、その補欠として吉田はるみ君が理事に当選した。
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四月二十六日
教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(伴野豊君紹介)(第一一九七号)
同(藤原崇君紹介)(第一一九八号)
同(近藤昭一君紹介)(第一二一三号)
同(丹羽秀樹君紹介)(第一二三九号)
同(江崎鐵磨君紹介)(第一二六六号)
設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(渡辺創君紹介)(第一一九九号)
同(神津たけし君紹介)(第一二四一号)
私立幼稚園を始めとした幼児教育の充実と発展に関する請願(近藤昭一君紹介)(第一二一四号)
専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(北神圭朗君紹介)(第一二四〇号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第一二六八号)
同(笠井亮君紹介)(第一二六九号)
同(穀田恵二君紹介)(第一二七〇号)
同(志位和夫君紹介)(第一二七一号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一二七二号)
同(田村貴昭君紹介)(第一二七三号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一二七四号)
同(宮本岳志君紹介)(第一二七五号)
同(宮本徹君紹介)(第一二七六号)
同(本村伸子君紹介)(第一二七七号)
同(菊田真紀子君紹介)(第一二九三号)
国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(江崎鐵磨君紹介)(第一二六七号)
五月十五日
教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(前原誠司君紹介)(第一三二七号)
同(宮本岳志君紹介)(第一三二八号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第一三七一号)
同(笠井亮君紹介)(第一三七二号)
同(穀田恵二君紹介)(第一三七三号)
同(志位和夫君紹介)(第一三七四号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一三七五号)
同(田村貴昭君紹介)(第一三七六号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一三七七号)
同(宮本岳志君紹介)(第一三七八号)
同(宮本徹君紹介)(第一三七九号)
同(本村伸子君紹介)(第一三八〇号)
同(青柳陽一郎君紹介)(第一四八〇号)
同(篠原豪君紹介)(第一四八一号)
同(中谷一馬君紹介)(第一四八二号)
同(義家弘介君紹介)(第一四八三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一五〇七号)
同(山崎誠君紹介)(第一五〇八号)
同(吉田統彦君紹介)(第一五三二号)
専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(宮本岳志君紹介)(第一三二九号)
同(白石洋一君紹介)(第一四八四号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一五〇九号)
直ちに学費半額・入学金ゼロ、奨学金を給付中心にすること及び奨学金返済の半額免除に関する請願(宮本岳志君紹介)(第一三三〇号)
設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一三三一号)
私立幼稚園を始めとした幼児教育の充実と発展に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三五六号)
同(笠井亮君紹介)(第一三五七号)
同(穀田恵二君紹介)(第一三五八号)
同(志位和夫君紹介)(第一三五九号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一三六〇号)
同(田村貴昭君紹介)(第一三六一号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一三六二号)
同(宮本岳志君紹介)(第一三六三号)
同(宮本徹君紹介)(第一三六四号)
同(本村伸子君紹介)(第一三六五号)
同(吉田統彦君紹介)(第一五三三号)
は本委員会に付託された。
四月二十五日
設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(第一〇一五号)は「宮澤博行君紹介」を「城内実君紹介」に訂正された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件
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○田野瀬委員長 これより会議を開きます。
理事辞任の件についてお諮りいたします。
理事牧義夫君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田野瀬委員長 御異議なしと認めます。
それでは、理事に吉田はるみ君を指名いたします。
――――◇―――――
○田野瀬委員長 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人としてこども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長笠原隆君、総合教育政策局長望月禎君、初等中等教育局長矢野和彦君、高等教育局長池田貴城君、科学技術・学術政策局長柿田恭良君、研究振興局長塩見みづ枝君、研究開発局長千原由幸君、スポーツ庁次長茂里毅君、文化庁次長合田哲雄君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官山影雅良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○田野瀬委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。尾身朝子君。
○尾身委員 おはようございます。自由民主党の尾身朝子です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
今から三十八年前、昭和六十一年、私は大学を卒業し、社会に出ました。その当時は、博士といえば、大学に残り、研究生活に一生をささげる人という考え方が一般的であり、特別な一握りの学者というイメージでした。
それから四十年近くが経過した現在、博士号はもはや特別なものではなく、あたかもパスポートのように必須のものとなっています。これは学究の場のみならず、企業活動においても、海外では企業のCTOは博士号取得が当たり前であり、CEOですら博士を持たずしては会議の場などで対等に渡り合えないと聞いています。
私自身も様々な国際会議に参加しましたが、毎回、名刺交換の際に、博士号を持っていないことに気後れしていました。また、国際機関の役員に日本人が応募したとしても、博士号がないことにより書類選考ではじかれてしまう事例があると聞いています。
博士号を授与した教育機関ごとに内容に濃淡があることは承知していますが、どこで取得しても博士号は博士号、持っていること自体に意味があるのです。国際社会においてパスポートとも言えるこの博士号を持っていないことで引け目を感じるのは、私たちの世代で終わりにしたいと考えています。
私は、機会を捉えて、研究所の研究者など、様々な科学技術分野の皆様と意見交換をしています。その中で、なぜ博士課程に進まなかったのかとの問いに対して、博士号取得後のキャリアの先が見えない、メリットが感じられないなどの答えが多く聞かれました。また、海外の研究者と博士の数を増やすにはどうしたらよいかについて議論すると、彼らは、博士課程に進むことを仕事と捉え、そのサポート方法を考えなければ数は増えないと断言しました。これからは、学部卒業時の進路選択の一つとして、他の選択肢と同様な条件で博士課程が存在すること、これが必要なのです。
第六期科学技術・イノベーション基本計画には、二〇二五年度までに、生活費相当額を受給する博士後期課程学生を従来の三倍に増加することが挙げられています。しかしながら、生活費相当額とは、実際には月額十五万円程度にしかすぎません。また、人数的にも、従来の三倍といいながら、受給対象の博士後期課程学生総在籍者数約七万五千人のうち、たった三分の一弱をカバーするにすぎません。これで果たして学部卒業生が安心して研究生活に入る決断の後押しができるのでしょうか。
もちろん、博士課程修了後のキャリアパスも同様です。多様なキャリアパス構築に向けて、産学官協働の取組を加速する必要があると考えます。
ここで、文科省に伺います。
文科省として、博士課程に進む学生たちが不安なく研究者の道を選ぶことができるように将来の展望を示すこと、これについて文科省の取組をお聞かせください。
○柿田政府参考人 お答えいたします。
博士人材は、新たな知を創造し、社会にイノベーションをもたらすことができる重要な存在であると考えております。海外では、博士人材が社会の多様な場でリーダーとして活躍しており、我が国においても、その重要性と活躍の期待が非常に高まっていると認識をしております。
このことを踏まえて、文部科学省では、今般、盛山文部科学大臣を座長とするタスクフォースにおいて、博士人材活躍プランを取りまとめました。本プランでは、社会における多様なキャリアパスの構築、大学院教育の充実、博士課程学生等への支援、学生本人の博士課程進学への動機づけの四つを柱とする具体的な施策をまとめております。
本プランも踏まえて、若手を始め研究者がその創造性を遺憾なく発揮できる環境の整備及び自由で挑戦的な研究への支援の充実、博士人材の高い専門性と課題解決能力を生かしたスタートアップの創出支援、さらに、盛山大臣から産業界に対して博士人材の採用拡大や処遇改善等についての協力要請など、大臣の下で省を挙げて取り組んでおります。
今後とも、博士人材が多様な場で活躍できる社会の構築を目指して、産業界や関係省庁とも連携して取り組んでまいります。
○尾身委員 ありがとうございました。
今回は主に国内における博士課程学生を増やすことについてお聞きしましたが、もちろん、日本の若者が海外の大学で博士号を取得し、国際共同研究の場で活躍することも重要です。
現在、海外で学ぶ日本人留学生が減少していると言われています。若者が海外の大学への留学をためらうことには様々な理由が考えられますが、その大きな一つは語学であることは論をまちません。語学力の向上は日本人にとって永遠の課題なのかもしれません。しかしながら、この理由で海外留学をためらうというのは大変残念なことです。
私は、この解決の一助として、スーパーサイエンスハイスクールなどの修学旅行先として、沖縄科学技術大学院大学、OISTに行こうという運動を展開しています。OISTでは、まるで海外の大学のような、領域を超えてオープンで自由闊達な議論が英語で行われています。この環境を経験することによって、若者が進路を選ぶ際に海外留学や博士号取得を将来の選択肢の一つとすることを期待し、今後も継続していきたいと思っています。
また、私たちの働きかけで、中央省庁の皆さんの名刺にPhDの記述が増えてきました。さらに、省庁に入省した後に博士号を取得する方もおられると聞いています。私たちは、博士号を取る意欲のある方々を本気で応援しなければなりません。
次に、我が国における特定先端大型研究施設について伺います。
今週の土曜日、ナノテラスの運用開始記念式典が開催され、私も出席させていただきます。私は、昨年三月に運用開始前のナノテラスを訪問し、心臓部まで視察させていただきました。名実共に世界に誇るべき、世界をリードする施設です。この順調な滑り出しをお祝いし、関係された皆様に心より敬意を表します。
ここで忘れてならないのは、ノーベル賞学者の利根川進博士が述べた、分析機器の限界が研究者の研究の限界を決めてはいけないとの言葉です。未知のものに対峙するためにも、研究と計測機器開発を一体として進めるべきであると考えます。つまり、先端研究施設と計測機器は、常に先端であり続けるためにも、開発を継続しなければいけないということです。計測、解析手法のブレークスルーなしでは、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現やSDGs等の世界的な社会課題の解決はなし得ません。そのためにも、分析計測機器の精度の先端性を保ち続けることが重要です。
我が国には、SPring8という大型放射光施設があります。一九九七年十月に共用を開始してから、既に約二十七年が経過しています。また、世界に誇るべきスーパーコンピューター「富岳」は二〇二一年に本格稼働しました。現在でも世界最高水準の性能を有しており、線状降水帯の予測への活用を始めとして、国民生活に密接に結びついた効果を上げています。
これらは、世界の最先端の研究を支える貴重な研究施設です。設計から製造、運用に必要な期間を考えると、すぐにでもそれぞれの次世代機の開発に取りかかる必要があり、既にSPring8及び「富岳」次世代機の検討が始まっていると聞いています。
ここで、文科省に伺います。
特定先端大型研究施設の更新は、研究に限界を設けないためには必須の事項です。また、特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律に基づいている施設であり、産業界もこの次世代機の開発には期待しているところです。国が責任を持って管理する特定先端大型研究施設のみならず、最先端の研究を支える先端的な分析計測機器の開発を国として支援することが重要だと考えていますが、この点についてどのように取り組んでおられますでしょうか。
また、共用開始以来約二十七年を経過しているSPring8次世代機の検討、開発状況について、どのような段階にあるのでしょうか。「富岳」についても、共用開始間もないことは承知していますが、次世代機はどのような検討段階にあるのでしょうか。それぞれお聞かせください。
○柿田政府参考人 まず、先端的な機器の関係についてお答え申し上げます。
先端的な分析計測機器は、研究活動の基盤となるものでございます。このため、大学等における先端的な機器の共用を進めるとともに、研究ニーズ等を踏まえた機器の更新や高度化を進めてきたところでございます。
また、革新的な分析計測技術は、先生御指摘のとおり、研究と一体となって研究現場で考案、開発されるということが鍵であると考えております。この観点から、大学等と機器メーカーが連携して先端的な技術や機器の開発を進めるエコシステムの形成が重要であり、現在、その在り方について、有識者会議において検討を進めているところでございます。
大型放射光施設SPring8につきましては、施設の老朽化のみならず、世界では同様の放射光施設のアップグレード等が急速に進んでおりまして、性能の面でも後れを取りつつあります。このため、現行の百倍の性能を持つ世界最高峰の放射光施設SPring8―2にアップグレードすることを目指し、本年度は要素技術の開発、実証を進めるとともに、来年度からの本格的な整備着手に向け、必要な経費の確保に努めてまいります。
○塩見政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの「富岳」の次世代機についてでございますが、本年三月に当省の有識者委員会におきまして中間取りまとめが行われ、次世代の計算基盤に求められるフラッグシップシステムの性能の目安、運転開始時期の目標、開発整備の手法に関する考え方などが示されたところでございます。
生成AIを始めとする技術革新が急速に進み、研究開発に必要な計算資源の需要が急拡大するとともに多様化しております。文部科学省としましては、そうした国内の需要を満たしていけるよう、その開発整備には五年以上の期間を要することを踏まえまして、速やかにポスト「富岳」の開発整備に向けた検討を進めてまいります。
○尾身委員 ありがとうございました。
次に、ライフサイエンス分野について伺います。
現在、我が国は、少子高齢化問題に直面し、生活様式が変わりつつあります。また、それに呼応するかのように、疾病の構造が大きく変化してきています。特にライフサイエンスの分野において、この状況に対応するためには、改めて基礎研究の重要性に目が向けられています。
近年になって、ゲノム配列の解読による生命現象の解明、AI等の先端技術を用いた解析技術が進展してきています。また、iPS細胞研究など、我が国初の技術が優位性を持ち、臨床応用に向けて善戦している分野もあります。基礎研究においては、最先端の計測機器、技術の急速な進歩に伴い、様々な生命現象が解明できる状況となっており、これまで以上にAIや量子などの異分野の知見を活用することも求められています。
優秀な若手人材がその能力を十分に発揮し、健康、医療、長寿という我が国の直面する課題解決に寄与するためには、分野融合やiPS細胞等の研究開発に我が国の強みを生かしながら取り組むことが必要です。
ここで、文科省に伺います。
このような中で、ライフサイエンス分野の研究人材の育成にどのように取り組んでいかれるのか、お考えをお聞かせください。
○塩見政府参考人 お答えいたします。
ライフサイエンス研究は、医療の進歩や疾病の理解、エネルギーや農業など、人々の健康や福祉につながる重要な役割を果たしており、この担い手となる人材力の強化が重要でございます。
このため、文部科学省におきましては、例えば、再生医療や脳科学等の研究支援事業におきまして、若手研究者を支援することを通じ、研究人材の育成に取り組んでおります。
また、現在、科学技術・学術審議会の下のライフサイエンス委員会におきまして、今後のライフサイエンス研究の中長期的な振興方策について検討いただいておりまして、この分野における研究人材を育成していく上で若手研究者の研究環境整備が重要であることや、最先端の研究基盤の構築と共用、AIや数理など異分野との連携の必要性などについて指摘をいただいております。
今後とも、こうした有識者の御意見も取り入れながら、ライフサイエンス分野の人材育成について検討を進め、支援の充実に取り組んでまいります。
○尾身委員 どうもありがとうございました。
次に、宇宙開発について伺います。
令和五年六月十三日に閣議決定された宇宙基本計画の中でJAXAの機能強化が図られ、そして、これを受ける形で、デフレ完全脱却のための総合経済対策の中で、民間企業、大学等による複数年度にわたる宇宙分野の先端技術開発や技術実証、商業化を支援するため、JAXAに十年間の宇宙戦略基金が設置されました。当面の事業開始に必要な経費を措置しつつ、速やかに総額一兆円規模の支援を目指すとされています。これは、十兆円規模の大学ファンドと並んで挑戦的な取組であり、大いに期待しています。
宇宙開発はパイが少なく、開発から打ち上げまでの全体を担う組織、業者の数が限られているため、一歩先んずることが全てを制することになります。つまり、一歩出遅れると全ての機会を失ってしまうのです。
ここで、文科省に伺います。
日本の宇宙開発は、先日のH3ロケット試験機二号機の成功で大きなハードルを越えて、商業化を含む次のステップに入っていると思います。宇宙開発は我が国の貴重な成長産業になりつつあるのです。
また、先日の岸田総理の訪米に合わせて、米国の宇宙探査計画、アルテミス計画に関し、日本人宇宙飛行士の月面着陸機会の提供が公表されました。私は、アポロ十一号の月面着陸をリアルタイムでわくわくしながら見ていた世代です。遠くない将来、日本の子供たちが、月面に立つ日本人宇宙飛行士の第一歩を目を輝かせながら見詰める日がやってきます。有人与圧ローバー、いわゆる月面ローバーや月面への輸送船の船体に日の丸が輝き、日本の宇宙開発技術のすばらしさを目の当たりにするのです。
ここで、改めて、宇宙戦略基金及び宇宙開発全体の現状についてお聞かせください。
○千原政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘の宇宙戦略基金につきましては、本年四月に策定いたしました基本方針及び実施方針に基づき、本年七月以降、JAXAにおいて公募が順次開始される予定でございます。基金による支援を通じて、民間企業、大学等による更なる宇宙分野への関与やその拡大に向けた取組を推進してまいります。
また、月探査につきましては、SLIMの世界初のピンポイント月面着陸の成功に加えまして、先般の総理訪米の際に、日本が与圧ローバーを提供する一方、米国が日本人宇宙飛行士の二回の月面着陸の機会を提供することを規定した実施取決めに盛山文部科学大臣とネルソンNASA長官が署名をいたしました。今後、アルテミス計画において様々な成果創出につながるよう取り組んでまいります。
さらに、H3ロケットにつきましても、試験機二号機の打ち上げ成功に続き、先進レーダー衛星ALOS4を搭載しました三号機の打ち上げが六月三十日に予定をされております。我が国の自立性確保に重要な基幹ロケットとしての実績を積み重ねるべく、打ち上げ成功に向けてしっかり取り組んでまいります。
文部科学省といたしましては、これらの取組が我が国の技術力向上や産業競争力強化に資することはもとより、広く国民、特に子供たちに夢と希望を与え、次世代を担う人材育成にもつながるよう、引き続き宇宙開発利用の推進に取り組んでまいります。
○尾身委員 宇宙というのは本当にわくわくする分野ですので、大変心強い御回答をありがとうございました。
私は、議員になって約十年間、科学技術イノベーション推進を政治活動の中心に据えてきました。中でも、将来を担う各分野での人材育成は重要かつ喫緊の課題であり、その中でも、博士人材の輩出に力を入れています。人材育成なくして日本の科学技術イノベーションの将来及び日本の成長はありません。ただでさえ減少していく人口の中、少ないパイの取り合いにおいて、日本の将来を担う若者にとって博士が魅力的な選択肢として選ばれる、そういう社会環境を整える必要があるのです。
そこで、最後に盛山大臣にお伺いいたします。
大臣のリーダーシップによって、博士人材活躍プランが動き出しています。ここで、改めて、これからの科学技術人材の育成、中でも博士人材の育成に対する盛山大臣の意気込みについてお聞かせください。
○盛山国務大臣 尾身先生、平素から我々文部科学行政に大変御尽力していただいていることに、まず心から感謝申し上げます。
先生と私は多分同窓だと思うんですけれども、先生が大学を出たときもそうでしょうし、私が大学を出る頃も、博士コース、博士課程に行くという人はごくごく一握りの、研究者として残るような人という感覚を私も持っておりました。
私は大変不勉強でありましたので、大学は卒業さえできればいいと思って、ほとんど勉強をしなかったわけでございますが、役所に入りましてから国際機関に派遣をされまして、そしてそこで、国際機関、私が行ったところだけではないと思うんですけれども、最低、修士なんですね。それで、博士がごろごろ当たり前のようにいるということで、私は学卒でございましたので、大変肩身が狭い思いをいたしました。
先生御指摘のとおり、こちらの能力が格段に劣っているとは思わないのでございますけれども、やはり書類審査の段階で、学卒と修士卒、博士卒で違いが出てくるというのは事実でございますので、これはやはり博士というのを取らないと、国際的な場での競争というのには、なかなかその最初の入口にすら立てなくなるんだな、そんなふうに私自身も危機感を持った。猿でもできる反省で、初めてそのときに、ああ、何でもうちょっと勉強しなかったのかなと思ったのは事実でございます。
そしてまた、先生が今、最後におっしゃっていただいたように、我が国の科学技術イノベーションを活性化させるためには、やはり、博士だけが大事ということではありませんが、人材を育てるということは大変大事でございます。その中でも、博士をどうやって増やしていくのか。
そして、そのときに、やはり博士課程に進むということは、三年なり五年なりかかります、費用もかかります、生活費プラス授業料その他がかかります。そしてまた、進学するときに、三年、五年で必ずしも博士が取れるという保証があるわけでも何でもありません。そんな中で、どうやって大学院に進んでいこうというインセンティブを持っていただくかというためには、やはり博士になったらば、こういうふうになれる、こういうふうな処遇が改善するというインセンティブ、そういうのがないといけないだろうということで、博士自身をどうやって増やすかということを今役所の方で取り組んでいるわけでございます。
そこと併せて、産業界等とも連携をいたしまして、博士になるということは、何も大学に残って、アカデミア、研究をするだけではありませんよと。企業その他いろいろなところへ行ってこういう活躍の場があります、あるいは、博士を取ることによって将来こういうふうな形になります、あるいは、そのためにも、各企業の皆様の方でも、初任給であり博士を取った後のキャリアパスであり、こういうふうなメリットがある、あるいはこういうふうな夢や希望につながるんですよ、そういうふうなことを一緒に御協力してくださいということで今進めているところでございます。
博士号を取得することで活躍の場が広がるというメリットを感じられるような環境整備に向けまして、これからも、産業界、大学関係者の皆様、その他の関係者の皆様とともに取り組んでいきたいと考えております。
○尾身委員 大臣、大変力強いお言葉、本当にありがとうございました。
海外留学、大型研究施設、ライフサイエンス、宇宙開発、月面活動、その全てが、子供たちがわくわくし、目を輝かせて、サイエンスの楽しさ、面白さに気づき、日本に誇りを抱くものです。我が国が世界の中で今後とも科学技術イノベーション立国日本であり続けるため、私も全力で取り組んでいくことをお約束申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○田野瀬委員長 次に、木村次郎君。
○木村委員 おはようございます。青森三区の木村次郎です。
今日は質問の機会をいただきました。ありがとうございます。
質問に入る前に、最近ちょっと地元のことで感じたことがありました。私は、今日ここの委員会室におられる全ての人がリンゴの主力品種「ふじ」というのを御存じかと思います。弘前市の北隣の、まさに「ふじ」が発祥した藤崎町というところで私は生まれ育ちました。そこで、藤崎町にあった、かつて弘前実業高等学校藤崎校舎というのが統廃合で廃校になって、これをうまく活用しながら町が文化交流施設として、リンゴカという施設としてこの春生まれ変わったところでございます。
また、北津軽郡に鶴田高校というのがありまして、これも統廃合で遊休資産になりかねない、こういう状況だったんですが、五所川原市にあった、下山学園高等学校という名前に変更して、老朽化した校舎から移転して今年度からオープンしました。
今、児童生徒数が地方で大変減っている、統廃合が進んでいる、こういう状況にあります。こういった学校、閉校になったところをうまく利活用していく、こういった知恵を出し合っていくこともこれから非常に大事なんだな、そんなふうに感じたところでございます。
質問に入らせていただきます。
五つのうち、冒頭二つは、学校現場における食について質問させていただきます。教育は、国家の根幹でございます。また、学校給食は、子供たちの食と健康のいわば最後のとりでであると私は考えております。
そこで、まず一つ目は、栄養教諭の完全配置と学校給食の完全実施に向けて質問させていただきます。食育の観点からも、栄養教諭の完全配置と学校給食の完全実施は極めて重い課題であると私は考えております。
小学校における栄養教諭の位置づけを学校教育法第三十七条第二項のできる規定から同条第一項の義務規定にすべきであり、また、学校給食法第四条における学校給食の位置づけを努力規定から義務規定にすべきである、私はそういうふうに思っております。
仮に、小規模学校ゆえに物理的に、あるいは市町村の財政事情等で難しいケースもあるかもしれませんが、そういった場合は、例えばそういう規定に直した上で、やむを得ないということで、ただし書に改正してもいいんじゃないか。それぐらい前面に押し出して、強い姿勢を法律の条文で見せるべきであるというふうに考えております。
このことについて、国の見解をお伺いいたします。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
学校給食の実施については、やはり地域の実情等がございますので、地域の実情を踏まえる必要がございます。
また、学校設置者においてこれは適切に判断されるべきものと考えておりますけれども、学校給食法におきましても努力義務ということとされているところでございます。
しかしながら、その教育的意義が非常に大きいということがございまして、文部科学省としては、引き続き、様々な機会を捉えて関係者の理解を求め、普及の促進に努めてまいりたいと考えております。
このように、学校給食を実施していない学校があることや、令和五年度時点で栄養教諭と学校栄養職員合わせて全国で一・一万人のうち、四割は任命権者である都道府県教育委員会の判断によりまして栄養職員が配置されていること等から、現時点で栄養教諭を必置の職とすることは困難でございまして、まずは配置の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
栄養教諭は、学校給食の管理のほか、食に関する指導の中核的な役割を担う大変重要な職であるというふうに考えておりますが、文部科学省といたしましては、引き続き、加配定数の改善、栄養教諭の業務を支援する体制の強化等を図る事業を行うとともに、任命権者である都道府県教育委員会等に対しまして、栄養教諭の新規採用や学校栄養職員から栄養教諭への任用替え促進の働きかけ等を通じて、配置の促進に引き続き努めてまいりたいと考えております。
○木村委員 ありがとうございます。
できるだけ、現場で御尽力されている皆様方のそういう努力に対して、報われる、そういう位置づけというか、その存在価値というものを是非意識しながら、できることを少しずつ進めていただきたいと思っております。
次に、私の地元青森県では、青森県内の小中学校で提供する給食を本年十月から無償化することとして、関連経費約二十億円を予算措置いたしました。都道府県単位で一律無償化に取り組むのは全国初というふうに伺っております。
本来的には、自治体間で保護者の負担に差異が生じるというのは私はよしとするものではなく、究極の理想形というものは、国が主導して全国一律無償化を実現していくべきであると考えております。
昨年十二月に閣議決定となりましたこども未来戦略に明記されているとおり、学校給食費の無償化の実現に向けて、国が全国ベースでの学校給食の実態調査を進めていると伺っておりますが、現時点で把握できた内容と今後の取組の方向性について、大臣にお伺いいたします。
○盛山国務大臣 今御指摘の学校給食費の無償化の検討ということでございますが、一部の自治体や学校において学校給食が実施されていない状況もございますので、児童生徒間の公平性等の観点から、実態を詳細に把握した上で課題を整理する必要があると考えております。
先ほど木村先生の方から御指摘がありましたとおり、学校給食費の無償化につきましては、昨年十二月に閣議決定されましたこども未来戦略において、全国ベースでの学校給食の実態調査を速やかに行い、こども未来戦略方針の決定から一年以内にその結果を公表することとなっております。現在まだ調査中の段階でございますので、お尋ねの、把握の内容や今後の方向性等についてお答えすることは今のところちょっと困難でございますが、実態調査を速やかに行った上で、小中学校の給食実施状況の違いや法制面等も含めた課題を整理していきたいと考えております。
○木村委員 ありがとうございます。
次に、学校教育におけるDX化の取組について質問いたします。
青森県では、学校教育の現場の先生方をサポートするなどして、DX化を牽引する民間企業などをメンバーとする教育改革有識者会議の提言を受けた事業として学校DXスタートアップ事業が予算措置され、また、文科省の高等学校DX加速化推進事業、いわゆるDXハイスクールに県内の私学も含めた十数校が採択されるなど、青森から世界へチャレンジするグローバル人材の育成に力を入れております。
そこで、学校教育におけるDX化の現状と課題について、また、それを踏まえて国としてどのような取組を進めていくのか、大臣にお伺いいたします。
○盛山国務大臣 先生方を始めとする皆様方の御協力のおかげで、おかげさまで、GIGAスクール構想により整備をされた一人一台端末、こういったもので学校教育におけるDX化が進みつつございます。これによりまして、児童生徒への学びの保障あるいは個別最適な学びの充実といった結果が出てきているのではないかと考えます。
一方、端末の整備であり活用が進む中で、学校のICT環境は必ずしも十分ではないこと、あるいは地域間や学校間における端末の活用に差があること、こういった課題がだんだん顕在化してまいりました。
このため、文部科学省におきましては、学校のICT環境の充実に向けまして、昨令和五年度の補正予算におきまして、端末更新に係る基金を都道府県に造成し、計画的に更新を進めるための経費を確保したほかに、学校のネットワークの遅延解消に向けまして、各学校における適切なアセスメントの実施を強く促すとともに、その実施を補助するための経費を確保いたしました。
また、端末の活用の格差の是正に向けましては、効果的な実践事例の創出、そしてその横展開、また、アドバイザー派遣等の伴走支援の強化に向けた取組を加速化させているところです。
加えまして、DXハイスクールとして、高校段階におけるデジタル人材育成の抜本的強化に向けた環境整備ほかにも取り組んでいるところであります。
こういった取組を通じまして、学校教育におけるDX化を今後とも強力に推進していきたいと考えております。
○木村委員 大臣から非常に力強い、前向きなお答えをいただきました。是非更に進めていってほしいと思います。
四つ目の質問に入らせていただきます。国立大学等の運営交付金についてでございます。
先般三月十三日の中村裕之委員の質疑、答弁を改めて読ませていただきました。また、昨日は朝日新聞にたまたま国立大学協会永田恭介筑波大学長と池田局長のインタビュー記事も載っていたので、私もちょっと読ませていただいたんです。
私は、いわゆる先端技術とかまた先進的な研究を対象とする国の支援、先ほど尾身先生が科学技術を中心に質問されたところでございますけれども、こういったことに対しての国の支援というのは役所的に言えばいわば政策的な経費であって、運営費交付金はいわば人件費や物件費などに充てる経常経費に相当するというふうに思います。この経常的な経費がなかなか賄えないので、大学の現状というのは大変きゅうきゅうとしている、そういった状況にあるのだと思います。結果として、基礎研究とかそういった環境もおろそかになりかねない、こういった危惧を私も抱いております。
もちろん、自治体とかまた民間企業と連携するなどしながら、自主財源の確保に各大学が努力していく、これは当然のことだというふうには思っております。
骨太の方針二〇〇六で明記された対前年比一%減を受けて、その後、実態としてずっと続いてきたおおむねこの二〇一五年までの削減分を、取り戻さなくてはならない、復元しなくてはならないというふうに、私はそういう思いでおります。
池田局長、先ほど申し上げた昨日の記事を見ると、これは、運営費交付金が減って、競争的資金が増える構造は問題、文科省として交付金をしっかり確保したいというふうに述べておられますけれども、現状維持というか前年同額だと、復元というか回復はかなわないわけでございます。かつてのそういうレベルというか規模にまで押し上げていくということが必要であるんじゃないかな、私はこんなふうにも思っておりまして、この記事自体も、各国立大にアンケートをして、やはりこの交付金はこの二十年間で悪い方向になっているというふうな答えが大宗を占めていたというような記事でございます。
そこで、この件について、改めて文科省に対して見解をお伺いいたします。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘いただいたように、この三月の本委員会で御答弁申し上げましたとおり、我が国の財政健全化に向けて徹底した歳出の見直しが図られる中、国立大学法人運営費交付金につきましても、骨太の方針二〇〇六において、各年度の予算額を名目値で対前年度比一%減とすることが記載され、効率化ルールの徹底を図ることが求められたことなどによって、法人化後、予算額が減少しておりました。
一方で、平成二十七年度以降は同額程度の予算額を確保し、文部科学省で策定した国立大学経営力戦略に基づいて、自己改革に取り組む大学等への重点的な支援や各大学のミッション実現に資する支援を実施しているところでございます。
文部科学省としては、厳しい財政状況の下ではございますけれども、各大学が継続的、安定的に教育研究活動を実施できるよう、基盤的経費としての運営費交付金をしっかりと確保して、その上で、世界最高水準の研究大学の実現に向けた国際卓越研究大学制度や、地域の中核大学、特定分野に強みを持つ大学に対する各大学への支援などの施策を総合的に推進し、国立大学の機能強化に取り組んでまいりたいと考えております。
○木村委員 ありがとうございます。
最後に、これは科学技術の分野になると思いますが、国際リニアコライダー、ILC計画についてでございます。
ILCを日本に誘致することの意義は今更申すまでもございませんが、科学技術、学術研究以外にも幅広いものがあると日本学術会議や文科省の有識者会議でも認識されていると受け止めております。
北上山地が最適と評価されてから、昨年で丸十年が経過してしまいました。特にこの建設候補地となっている東北としては、その実現に向けて格段の御配慮をお願いしたいところでございます。
そして、この日本にILCを誘致することを考えると、欧州、中国の計画が進んだ場合に日本がどう対応すべきかということを、相当の危機感を持って考えていかないといけないと思います。
そこで、欧州の計画、FCC―eeがどういうプロセス、タイムラインで進むのか、また、欧州の計画に対する米国政府の対応はどうなっているのか、中国の計画、CEPCの進展状況について、それぞれ大臣にお伺いいたします。
○盛山国務大臣 今、木村委員からお話がありましたとおり、ILC計画は巨額な経費を要する国際プロジェクトでございます。そのため、国際的な費用の分担、あるいは技術的な成立性など、様々な課題が解決される必要があります。そして、それとともに、国内外の幅広い理解と協力が必要であり、国内の研究者コミュニティーの先生方に国際的な合意形成に向けた議論の加速をお願いしているところでございます。
そして、お尋ねの欧州のFCC―ee計画に関しましては、二〇二五年まで実現可能性調査を実施し、その後、欧州素粒子物理戦略の改定に関する議論の中で実施の可否が検討されると承知しております。
また、アメリカの対応につきましては、昨年十二月に米国エネルギー省の諮問会議が取りまとめた報告書において、ILC計画とともにFCC―ee計画についても検討の進捗状況を踏まえ、米国の貢献について改めて検討を行うとされていると承知しております。
中国につきましては、昨年十二月に中国のCEPC計画の研究者コミュニティーが加速器技術設計報告書を取りまとめ、今後、国の計画として位置づけられるか議論する段階に進むのではないかと承知しております。
当省といたしましては、国内外の研究者コミュニティーの議論を踏まえつつ、引き続き、関係国等との意見交換を行うなど、しっかりと対応していきたいと考えています。
○木村委員 終わります。ありがとうございました。
○田野瀬委員長 次に、浮島智子君。
○浮島委員 公明党の浮島智子です。
本日は、前回の三月十三日に引き続きまして、全ての子供たちの学びの扉が開かれている社会、一人一人に光を当てた、誰一人取り残されない教育の実現に向けた喫緊の課題についてお伺いをさせていただきたいと思います。
私は、日本の公教育の在り方を今大胆に見直す転機に差しかかっているのではないかと考えております。世界に目を向けますと、グローバル化の進展、またAIロボティクスの分野における絶え間ない技術革新等により、社会の在り方は大きく、そして急速に変化をしています。こうした時代を生きていく子供たちは、これまでの時代のどの子供たちよりも、速く、そして大きく変わり続けているこの社会の中で、主体的に学びながら自分の強みを生かして生きていくということが求められると思っております。
子供たちは、私は未来の社会の鏡だと思っております。こうした社会の在り方を反映するかのように、教室にいる子供たちに目を当ててみますと、極めて多様になってきております。勉強についていくのが難しい子、また逆に理解が速く時間を持て余している子、また、家で日本語を話さない子供たち、発達障害の可能性がある子供たち、特異な才能のある子など、教室の中で多くの多様性が顕在化しているのが、今、現実だと思っております。
そして、小中学生の不登校が約三十万人に迫っている現在の状況は、こうした子供たちの多様性に学校の現在の教育が柔軟に寄り添えていないのではないかと私は考えております。
このような観点から、公明党は昨年、当時の永岡文科大臣に、子供たちの学びを充実させるための緊急提言というのを申し入れさせていただきました。その中では、学びの多様化学校の設置の促進を図るとともに、これらの学校における先進事例を参考に、全国の小中学校において子供たちが自ら学びを主体的に調整しながら進めることができるように、例えば、午前中は全ての子供たちを対象としたレクチャー方式の授業、基礎をしっかりと学ばせ、午後は子供たちが自らの興味、関心に基づいて自分の学びを組み立てて学ぶといった仕組みを早急に検討し、実現を図ることということを申入れをさせていただきました。
学校にいる子供たちの様々な個性そして特性に寄り添って、子供たちが自らの学びを調整しながら主体的に学び、多様な子供たちによる多様な学びが展開されている学校こそ、これからの未来にふさわしい学校の姿ではないかと思います。
そのためには、例えば、午前中は全ての子供たちを対象としたレクチャー方式の授業を行って、午後は子供たちが自らの興味、関心に基づいて自分の学びを組み立てて学ぶといった仕組みを大胆に取り入れていくことも考えられるのではないかと思います。
渋谷区では、来年度から、全小中学校において、午前中は各教科の学習を行い、午後は、総合的な学習時間を中心として、子供たちから、自らの興味、関心に応じて主体的に学ぶ時間に変えていくという取組を行うと聞いております。
また、福島県の大熊の幼中小一貫教育の学び舎ゆめの森は、カリキュラムはもちろんのこと、学校施設も、このような子供たちの多様な学びを前提にデザインされていると聞いております。
まず、文科省にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、こうした子供たちの主体的に学べる多様な学びに関する取組をもっと全国的に広げていくべきと考えますが、文科省は、こうした取組をどのように評価し、広げていく必要性についてどのように考えているか、お聞かせください。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
子供たちの実態が多様化する中で、各学校において、子供たちが自らの関心や特性に応じ、主体的に、そして多様に学ぶことができる環境を整えていくことは大変重要であるというふうに考えております。
こうした中で、例えば、今委員から御指摘のあった、渋谷区において今年度から域内全ての小中学校で始まっている、授業時数特例校制度を活用して、時間割り編成を工夫し、午後の時間を個々の関心に応じた探求活動に充てる取組や、福島県大熊町の学び舎ゆめの森において、工夫を凝らした校舎を生かし、学ぶペース、方法、場所などを子供自らが選びながら学ぶ取組、こういった取組が行われていると承知しておりまして、文部科学省としましても、子供たちの主体的な学びを推進する先導的な取組として大変注目しているところでございます。
文部科学省といたしましては、このように子供たちが自らの個性や特性を生かしながら主体的に学ぶ取組を一層各学校へ広く展開することができるよう、令和六年度予算におきまして実践の手引を開発する経費を計上しておりまして、この手引は、動画や画像、指導案のサンプルなどの多様なメディアを活用しつつ、学校現場の先生方にとって具体的で分かりやすく、さらに実践で直ちに活用できるようなものにしたいと考えているところでございます。
今後とも、子供たちが主体的に学べる多様な学びの一層の充実と普及に向けて、必要な取組を進めてまいります。
○浮島委員 今、矢野局長の方から、渋谷区の取組についても注目している、前向きに評価しているということがありましたけれども、是非手引の件もしっかりと進めていただきたいと思います。
現在の学習指導要領の下でもこうした取組はかなり実践できると思いますし、実際に行われている例もあると思います。でも、どこまで学校の判断で行うことができる取組なのか、話を聞くと、迷われている学校もあります。また、今年度中にも学習指導要領の諮問も予定されているところとありますけれども、次の十年を決めることになる学習指導要領では、こうした学校現場の取組を後押ししていかなければならないと私は思います。
本年二月の参議院の本会議で、我が党の山口代表から、総理に対しまして、子供一人一人の可能性を開く公教育の再生についてということで質問をさせていただきました。
そこで、大臣にもお伺いをさせていただきたいんですけれども、子供たちの多様性に寄り添って、子供たち一人一人が主体的に学べる多様な学びが全国の学校で行われるよう、思い切った改革が必要だと思います。今回の次期学習指導要領の改訂に当たっては、学校現場が一層こうした取組を行いやすくするような見直しを検討し、あわせて、教育課程の柔軟性を確保する観点からは、時間割りなどに関わる教科等の授業時間数等を定めた学校教育の施行規則についても、その見直しを検討することが必要と考えられますけれども、こうした点も含めまして、今後の学校の教育課程の改革について、大臣のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
○盛山国務大臣 浮島先生、御指摘ありがとうございます。
変化が激しく予測困難な社会を生きていく子供たちが、変化を前向きに受け止めて、自らが社会のつくり手として、そして、その後の長い人生、豊かな人生を送っていただくためにも、全ての子供たちが主体的に学ぶことができる環境を整えることが重要だと考えております。
学習指導要領は、中央教育審議会での専門的な御議論を経て改訂するものでございます。また、時間割り等の具体的な教育課程の編成は各学校において行われるものでありますけれども、子供たちの主体的な学びを実現するための取組が各学校で行いやすくなるよう、学習指導要領などの関連の仕組みを考えていくことは、これは大変重要なことであると思います。そうした観点から、授業時数も含めた教育課程の編成に関する学校裁量の在り方についても、今後の論点の一つになり得るものと考えております。
多様な子供たち一人一人が主体的に学ぶことができるよう、当省としても引き続き取組を進めてまいりたいと考えております。
○浮島委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。是非とも、子供たち一人一人が主体的に学びができるよう環境を整えていただくよう、よろしくお願いいたします。
三月の二十六日、文科省から、公立特別支援学校の教室の不足に関する調査結果が公表されました。前回の調査の令和三年十月の時点では全国の不足している教室が三千七百四十教室であったところ、昨年十月の時点では三千三百五十九と、若干改善が見られるものの、依然として、一時的に特別教室を普通教室に転用するとか、教室の間仕切りを使って二つの授業を同時に同じ部屋で行うなど、子供たちに十分な教育環境を整えることができない特別支援学校が全国に存在しているのが現状でございます。
令和三年から五年にかけて、公立特別支援学校に通う幼児児童生徒の人数や学級数は増加しておりまして、その中で、若干とはいえ、不足している教室が減ったことは、学校設置者である自治体による一定の努力の成果であったと思います。
また、文科省では、令和三年度から六年度までを集中期間といたしまして、特別支援学校の教室不足の解消に資する改築や改修の工事に対しまして、通常の補助率よりも高い二分の一という補助率を設定して施設整備の取組を促してきたことは承知しておりますけれども、これも不足した教室の解消に一定の寄与をしたと私は思います。
私は令和四年の三月の本委員会でも質問させていただきましたけれども、施設整備には大きな財政支出が求められるため、自治体としても同時に一斉に複数校の事業を行うということは容易ではなくて、順次に計画を進めて整備を進めていくという自治体が少なくないと伺っています。
先ほど申し上げました文科省の補助率の特例、これは令和六年度までという時限措置となっているため、全国の自治体からは、計画どおりに施設整備を進めて、特別支援学校に通う子供たちの教室の不足、これをよりよいものにしていくためには、この特例の延長が是非とも必要だというお声をたくさんいただいております。
そこで、特別支援学校の厳しい現状を踏まえまして、この教室不足の解消のためには、令和七年度以降も集中取組期間を延長し、国庫補助率の引上げを継続すべきと考えますけれども、大臣の見解をお伺いいたします。
○盛山国務大臣 浮島先生御指摘のとおり、前回、令和三年の調査に比べて、三百八十一、特別支援学校の教室の不足数が減ったとはいうものの、依然として三千三百五十九の教室が不足するというのは大変高い水準であるというふうに考えております。この大きな課題をどう解消していくかということでございます。
当省では、全国の教育委員会等に対して、教室不足の解消に向けた取組を集中的に行うよう要請しております。そして、先ほど来、浮島先生からも御指摘がありましたが、こういった取組を支援するため、公立の特別支援学校の新増築等の施設整備に対して優先的に国庫補助を行っているほか、令和二年から六年度までの集中取組期間、そして国庫補助率の三分の一から二分の一への引上げ、こういう支援の強化を図っているところでございますが、今後、各設置者の取組の進捗状況をきめ細かくフォローアップするとともに、引き続き、施設整備に対する支援等を通じて、障害のある児童生徒が安心して学べる教育環境の整備をしなければならないと考えております。
そして、最後に委員の方から御指摘がありました、集中取組期間の延長あるいは補助率引上げの継続についてでございますが、今の時点で確たることを申し上げられる段階ではないということは御理解いただけると思いますが、今回の調査結果、あるいはフォローアップの状況を踏まえた上で、しっかり取り組んでいきたい、そういうふうに考えております。
○浮島委員 しっかりと取り組んでいきたいという御答弁、ありがとうございます。是非前向きに検討いただき、是非とも継続するよう、強く要望させていただきたいと思います。
次に、円安により、海外の大学等の貸与型奨学金を日本で返還している方々への負担の軽減についてお伺いをさせていただきたいと思います。
日本には、例えば、アメリカの大学や大学院で学んで、やはり日本に貢献したいと日本に戻って、日本の企業などで仕事をしている人も少なくありません。海外の大学や大学院で、言葉の苦労をしながら、全く異なる文化圏で学び抜き、学位を取った方は、語学力はもちろんのこと、突破力、交渉力、論理力などで高い力を持っており、そうした方々が日本において一緒に仕事をして価値を生み出していくことは大きな意味があると私は思っております。
二〇二一年から二二年度のアメリカの大学の年間の学費の平均は、私立大学が三万八千百八十五ドル、州立では、非居住者の、住んでいないところの学費について平均二万二千六百九十八ドルとなっておりまして、日本の大学の学費よりもかなり高水準になっているということでございます。
もちろん、アメリカの場合は、連邦政府のペルグラントや民間財団のグラントなど、給付型奨学金、これが大きな役割を果たしているというのも事実でありますけれども、日本から海外の大学で学んだ方々がかなり高額なローンを背負って社会人として仕事をしているのも現実でございます。
今回、その方々からたくさんのお声を、現場のお声をいただきました。今大変苦境に立っているということだったんです。それはなぜかというと、原因は円安です。仮に十万ドルの教育ローンをいただいて、一ドル百円なら一千万ですけれども、一ドル百五十五円とすると一千四百五十万と、その差額は約五百万近くになってしまいます。元々、大学で専門的な教育を重ね、専門職に就くには、アメリカの給与の方が高い中で、これでは、海外の大学を卒業した後、日本に帰って日本の企業で貢献したいと思っている方々でも、今後日本に戻って仕事をするのはちょっとなと思ってしまう方も出てきてしまうのではないかと思っております。
そこで、海外の大学で学んで、その授業料について教育ローンを負って日本で働いている日本人の若い方々が、今、急速な円安で困難に直面している。これらの方々に対して、日本学生支援機構、JASSOなど、奨学金事業において支援することは可能なのか。また、例えば、海外の大学でも、学習に関する教育ローン、全部又は一部を学生支援機構が借換えするなどという工夫はできないのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
我が国が持続的に成長していくためには、浮島委員今御指摘のとおり、より多くの日本人の学生が留学をしていただけるよう、そして国際社会で活躍できる人材を育成していくことが大変重要でございます。
為替変動により海外大学等から借りた奨学金の返還の負担が増加している場合、例えば、企業等による返還支援や日本の金融機関での借換えなどにより負担を軽減することが考えられます。
文部科学省としては、日本学生支援機構などが提供する海外留学のための国内の奨学金の在学中の利用を促進するとともに、帰国後の返済の支援に係る情報の周知などに努めてまいりたいと思います。
○浮島委員 是非とも、皆様方が日本に、とても重要な人材だと思いますので、日本に帰ってきて日本でも働けるように後押しをしていただきたいと思います。
この問題は、確かに為替相場という、経済が起因しておりまして、なかなか難しい課題であるということは承知をしております。しかも、急激な円安に伴って生じた、これは新たな課題だとも思っております。しかし、長期的な視野に立ってみれば、海外の大学で頑張り切って学位を得た方々が日本で働く意義は本当に大きいと思いますので、是非ともよろしくお願い申し上げます。
最後に、大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、大臣は二つの博士号を取得するなど、現実の社会において学位が大変大きな意味を持つことを体現しています。ましてや、海外の大学で学位を持った方々のパワーと能力は大きくなっております。
最後に、現下の急速な円安で困っている、海外の大学で学び、国内で仕事をしている方々に対する支援について、大臣の思いをお聞かせいただきたいと思います。
○盛山国務大臣 浮島先生おっしゃるとおり、海外大学で学位を取得された方々、日本の中で博士号を取られた方ももう大変立派なのでございますけれども、海外の大学でということになりますと、やはり外部においての目というんですか、グローバルな経験を通じたより広い視野をお持ちだと思いますし、また、現地で世界から集う仲間との切磋琢磨その他での学習経験で、新たな価値を創造し、社会にイノベーションを起こすこと、そういうことが期待できる人材ではないかなと考えます。
そういう優れた人材に帰国していただいて日本の社会で活躍していただくためには、つまり、例えばアメリカであればアメリカの企業に勤めた方がひょっとしたら処遇その他がいいかもしれません、しかしながら、そうじゃなくて、やはり日本に戻って活躍しようというふうに思っていただくためには、例えば、企業等による奨学金の返済支援や日本の金融機関での借換え等による負担軽減に加え、帰国留学生の積極的な受入れ、あるいは処遇の充実などについて産業界に働きかけるなど、海外大学で学位を取得した人材を引きつける環境づくり、こういったことに総合的に取り組む必要があると考えます。
当省としましては、産業界を始め各界の協力も得ながら、海外の大学で学ぶ若者が卒業後もその留学の経験を生かして生き生きと活躍できるような社会の実現に努め、意欲と能力のある若者が積極的に海外留学にチャレンジできるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○浮島委員 是非ともサポートしていただけますよう、よろしくお願いいたします。
これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○田野瀬委員長 次に、菊田真紀子君。
○菊田委員 おはようございます。立憲民主党の菊田真紀子でございます。
今日は、まず、教員のメンタルヘルス、そして復職支援について質問をしたいと思います。
教員不足が深刻化する中、文科省の調査によりますと、精神疾患を理由に病気休職した教職員数は近年急増しておりまして、令和四年度で、全体の〇・七%に当たる六千五百三十九人で過去最多となりました。さらに、一か月以上の病気休暇取得者を合計しますと、一万二千百九十七人、割合は一・三%となり、教員の一%以上が精神疾患を理由に休職又は一か月以上の休職をしているということになります。
この精神疾患を抱えてしまっている教員が増加している問題は、四月の当委員会でも取り上げられ、文科省としては、メンタルヘルス対策に関する調査研究事業を七千万円の予算で令和五年度から実施をしており、沖縄県、千葉市、神戸市、宮城県白石市、大阪府枚方市の五つの自治体で行っている、このように答弁をされました。
また、三月二十五日には、この五つの自治体からオンラインによる最終報告会が開催されたと伺っております。
一ページ目に添付しました予算の説明資料のとおり、この調査研究事業は、令和六年度予算においても昨年度同額の七千万円で実施するということでありますが、二月二十七日の予算委員会第四分科会が開かれたところで、自民党の田畑議員が質疑の中で課題を指摘されています。指摘された点の一つは、調査の開始時期が七月又は八月からと遅くて、しかも翌年の三月で打切りになってしまうのは、余りにも期間が短くて効果が出にくいのではないか、こういう指摘でございました。私も、田畑議員と同じ認識を持っているものでございます。
この田畑議員の指摘に対しまして、文科省の政府参考人は、本年度はまさにこの事業が立ち上がったということで、立ち上がりが遅れたんだ、このように答弁をされました。
そこで、まず文部科学大臣に、令和五年度のメンタルヘルス対策に関する調査研究事業の結果をどう評価されているのか伺うとともに、令和六年度も事業を実施するに当たりましてどのような実践方法の改善を行ったのか、お聞きしたいと思います。
○盛山国務大臣 菊田先生おっしゃるとおり、令和四年度における教育職員の精神疾患による病気休職者数は、前年度から六百四十二人増えまして六千五百三十九人と、過去最多となっております。
こうした状況も踏まえて、文部科学省では、先ほど御指摘がありましたように、令和五年度から新たにメンタルヘルス対策に関する調査研究事業を実施し、そして、令和五年度においては、採択自治体において、専門家等と協力しながら、病気休職の原因の分析、メンタルヘルス対策に関する効果的な取組の研究、そして他の自治体への展開を見据えたモデル事例の創出等に取り組んでいただいたところであります。
こういった自治体の取組、そしてアンケート等を用いた要因分析による課題の洗い出し、その他、研修等の実施によるストレスチェックの受検率の向上、相談窓口の周知によって認知度が向上するなど、一定の成果が認められているというのではないかなというふうに我々認識しているところであります。
そして、今年度どうするんだということでございますけれども、もちろん、先ほど予算の御説明もありましたが、引き続き実施をすることとしておりますが、先般取りまとめられました中央教育審議会の特別部会の審議のまとめでもメンタルヘルス対策の重要性について指摘されておりますので、引き続き、教師が心身共に健康な状態で児童生徒と向き合うことができるよう、教師のメンタルヘルス対策に取り組んでまいりたいと考えております。
○菊田委員 私が指摘を申し上げました一点、開始時期が遅いということなんですね。今五月ですけれども、また今年度も七月とか八月とか、開始が遅れるということになりますと、そもそも予算額が七千万円と、決して、全国的に精神疾患の問題がこれだけ増えている中で七千万円というのは十分な予算とは言えない中でも、この事業は非常に重要だというふうに思っております。
この開始時期について、政府参考人の方から更に補足をいただきたいと思います。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
令和六年度事業におきましては、調査研究としては一定の期間が必要であるというふうに認識しておりますので、有識者による審査を経て、原則、昨年度から引き続きの自治体に調査研究をお願いする、こういった予定となっており、令和五年度の成果を踏まえた更なる取組の実施をしていただく予定でございます。
あわせて、二年目となりますので、文部科学省におきましても、こうした自治体の取組を踏まえて、今年度は、病気休職への対応策の体系的な整理、分析や、横展開に向けた方策の検討等、更なる取組を進めていきたいと考えております。
現在、採択自治体が可能な限り速やかに事業に着手できるよう、公募期間を前倒しの上、早急に必要な手続を進めておりまして、昨年度より早期に契約を締結するという見込みでございます。
○菊田委員 ありがとうございました。是非、改善をしながら、全国的な取組に広がっていくように、更なる支援をよろしくお願いいたします。
精神疾患で休職中の教員を対象に、各教育委員会が職場復帰に向けた支援を行う復職支援プログラムが運用されています。この復職支援プログラムについても四月の本委員会で取り上げられていましたが、令和四年度の復職支援プログラムの実施者の復職率は八五・九%でありました。他方で、実施していない者の復職率は四六・五%でした。復職支援プログラムが実施された場合に復職する先生が相当程度多い、こういう事実からして、このプログラムには一定の効果が認められると私も評価をしています。
四月の本委員会の質疑で、文科省は、全ての都道府県及び政令市教育委員会において何らかの復職支援プログラムが設けられていて、これをより一層実効的なものにしていきたい、このように答弁をされています。そこで、これから一層実効的なものにしていくために、復職プログラムの問題点を今から申し上げて、具体的にどのように取り組むおつもりか伺いたいと思います。
まず、先ほど申し上げましたように、実施率が四五・六%と半数に達していない点です。実施者がゼロという教育委員会があるというのも現実です。プログラムを受けることを強制するということはなかなか難しいと考えますけれども、これだけ多くの休職者がいる中で、どのように実施率を高めていくのか、こういう課題があると思います。
また、復職する場合に、新年度の四月一日から復職する教員が多いと聞きます。学校の運営上、新年度のスタートに合わせた方が都合がいいというふうには思いますが、休職者の回復状況に合わせた年度途中からの復職も是非考慮すべきではないかと考えます。学校現場では、産休、育休といった理由で年度内に休職する教員が発生するために、どうしても年度途中で教員不足になってしまい、困っている学校が少なくありません。四月一日からの復職だけでなくて、何月であっても中途から復職しやすいように積極的に取り組んでいただきたいというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
このプログラムの実施率や復職のタイミングといった課題についてどう対応していくのか、文科省に伺います。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、復職のタイミングでございますけれども、休職者の復職のタイミングについては、休職者の心身の状況を踏まえ、教育委員会の権限と責任において判断されるものではございますが、実際に、教育委員会及び学校が、復職者の意向及び主治医や産業医等の助言等を踏まえつつ、四月に限らず適切なタイミングで設定している、こういう例もあると承知しておりますので、タイミングを捉えてこういう事実を紹介してまいりたいと考えております。
また、実際のプログラムの実施率が五割弱では弱いのではないかという御指摘でございますが、復職支援プログラムを実施していない場合をお聞きしたところ、復職者本人にプログラム実施意向がない場合、また、プログラムを実施せずとも確実な復帰のめどが立っている場合等が考えられるところでございます。復職者に対して復職支援プログラムを実施するか、どのような形で実施するかについては、復職者の意向や主治医や産業医等の助言等を踏まえつつ実施されているものと考えております。
文部科学省としては、好事例を収集、展開することを通じて全国の教育委員会における取組をより一層実効的なものにしていくことが重要と考えておりますので、引き続きそのような方法で取組を進めてまいりたいと考えております。
○菊田委員 ありがとうございました。
年度途中から復職させている教育委員会もあります、こういう紹介もしているということでしたけれども、もっと文科省の方から積極的に、年度途中であっても、いつであっても復職していただきたい、そういう環境を整えていくということを文科省の方から各教育委員会に通達をしていく必要が私はあるというふうに考えていますので、是非御検討いただきたいというふうに思います。
精神疾患を抱えた教員が増えてしまっている現実、本当に大変だというふうに思いますし、特に、せっかく教職に就いて、半年とか一年とか、あるいは二年でもう教職を離れてしまう、精神疾患になってしまっている、こういう若い先生方がいるということは特に私は深刻だというふうに思っておりますので、メンタルヘルス対策、復職支援、今後も引き続き力強く取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。
次に、隠れ教育費について質問します。
隠れ教育費とは、先日、我が党の会議で意見交換をさせていただきました千葉工業大学准教授の福島尚子先生たちが問題提起のために用いられている用語で、学校にまつわる保護者負担のことであります。学校教育費と給食費を合わせた広い意味で使っていると伺いました。
資料の二ページから四ページに、令和三年の文科省の子供の学習費調査の抜粋を添付しましたので、御覧をいただきたいと思います。
二ページ中ほどにありますように、令和三年ですから、ちょうどコロナ禍で学校の様々な行事が制限されていた時期にもかかわらず、公立小学校の学校教育費は約六万六千円、公立中学校では約十三万円にもなります。
まず、三ページが小学校の学校教育費の内訳ですが、公立小学校では、図書、学用品、実習材料費などが一番多く、約二万四千円。次に多いのが通学関係費で、約二万円となっています。次のページにある公立中学校では、通学関係費が約四万円と一番多く、次が図書、学用品、実習材料費などの約三万二千円となっていて、公立小中学校いずれも、通学関係費と図書、学用品、実習材料費等の負担が大きくなっています。
通学関係費には制服代が含まれています。資料の額は平均ですので、制服のない学校もありますが、制服がある学校では一そろえすると八万円ほどかかると言われています。買換えをするワイシャツとか、靴とか、夏服とか冬服、こういうものを入れると十万円を超えると言われています。
制服は元々はステータスであり、戦後は私服が高くて、当時は格安だった制服が保護者に受け入れられ、また教師も指導しやすいという、双方の利益が合致しまして制服が広がったとお聞きしました。
しかし、先ほど申し上げましたように、昨今の制服は決して安価とは言えず、保護者にかかる負担は大変大きいものになっておりますし、特に多子世帯は、子供の体の成長に合わせて制服を買い換えなければいけない、一そろえするということはかなり大きな家計負担になっているというふうに思います。
最近は、自治体の社会福祉協議会やNPOで、各家庭で使われなくなった制服や体操着を寄附してもらって、それをリユースする、こういう活動まで増えています。もちろん、制服にするかどうかというのは校則で決まることでありまして、校長先生に権限がありますけれども、保護者に重い負担がかかっていることからも、制服の在り方について、文科省も問題意識を持って見直しを促すなど何らか対応を行うべきではないかと考えますが、文科省に見解を伺います。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
制服の在り方につきましては、今委員から御指摘のあったとおり、各学校において適切に判断していただくべき事項、校長先生が最終的な権限を持っているということでございますが、その選定や見直しを行う場合は、保護者の経済負担が過重なものとならないように御留意いただくとともに、保護者や関係者の方々とよく話し合って決めていただくことが大変重要であるというふうに考えております。このような趣旨を踏まえ、各学校において適切に御対応いただきたいと考えております。
○菊田委員 余り、話し合って制服をどうするかなんということをやっているところはなかなかないんですね。PTAの中でも、こういうことを発言すると、あの人、変な人だよね、余計なことを言うよねというふうに、なかなか声が上げづらいというのが現実であります。
制服代だけじゃなくて、図書、学用品、実習材料費についても、例えば千葉県習志野市では、今年から、できるだけ保護者負担を減らそうということで、共用の教材を購入する予算を数万円つけまして、本当に必要なものは、個人で購入するんじゃなくて学校がみんなの共用の教材として備え付けることで、保護者の負担を減らすことができている、こういうお話も私たちは福島先生から伺いました。
私は大変いい取組だというふうに思います。これは習志野市独自の取組ではありますけれども、文科省として全国的にこのような取組が進むようにすべきではないかというふうに考えますけれども、見解を伺います。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
習志野市におきましては、各学校において、今委員から御指摘のございましたとおり、これまで保護者として個人で購入していたもののうち、各学校で共用可能な教材と判断したものについて学校で購入するための経費を予算計上している、こういった工夫がなされていると聞いております。
学校においてどのような教材を使用するのか、また、どのような教材に対して保護者負担を求めるか、あるいは公費負担とするかは、各学校、各教育委員会が判断することにはなりますが、文部科学省におきましては、義務教育諸学校に備える標準的な教材の品目や整備数量の目安として教材整備指針というものをまとめておりまして、この整備に必要な財政措置の見通しとなる義務教育諸学校における教材整備計画を策定し、これに基づき地方財政措置が講じられております。
このような状況を踏まえ、設置者である自治体において教材の整備が安定的かつ計画的に、そして保護者の負担が軽減されるように取組がなされるように促してまいりたいと考えております。
○菊田委員 学校給食費につきましては、文科省は現在、全国ベースでの学校給食の実態調査を行っているというふうにお聞きしておりますけれども、学校教育費と給食費を合わせた、いわゆる隠れ教育費の負担軽減について、私もいろいろ具体的な例を申し上げましたけれども、最後に盛山文科大臣の見解を伺いたいというふうに思います。
○盛山国務大臣 家庭の経済状況にかかわらず、学ぶ意欲と能力のある全ての子供に教育の機会均等が実現されることが重要でございます。
義務教育段階におきましては、経済的理由によって就学困難と認められる児童生徒の保護者に対しましては、菊田先生から御指摘ありましたように、学用品費や制服代、学校給食費など、各市町村が支援する就学援助を実施しているところでございます。
このうち、生活保護法に規定する要保護者への支援については、国がその経費の二分の一を補助しておりまして、令和六年度予算においても、小学校の新入学児童生徒学用品費などの単価を引き上げ、支援の充実を図ってきております。
また、要保護者に準ずる程度に困窮していると各市町村が認めております準要保護者への支援については、いわゆる三位一体の改革により、地方単独事業として整理されて、地域の実情に応じて実施されているところでございます。
文部科学省としては、引き続き、家庭の経済状況にかかわらず、誰もが安心して教育を受けることができるよう、要保護者に対する国庫補助に加え、各市町村における就学援助の実施状況を毎年調査、公表することにより、支援の充実を促し、保護者の教育費負担の軽減に努めてまいりたいと考えています。
○菊田委員 いわゆる日本版DBSに関しまして、今日はこども家庭庁からもお越しいただきまして、質問したかったんですけれども、時間がなくなりました。大変申し訳ございませんでした。また改めての機会に伺いたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。
○田野瀬委員長 次に、吉田はるみ君。
○吉田(は)委員 吉田はるみです。
今日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
それでは、早速、今日は大きく三つの御質問を準備しているんですが、やはり若者を取り巻く、大学生を取り巻く経済的環境の厳しさに関して今日はちょっと集中して伺いたいと思います。
本年三月に、宇都宮大学の四年生のフィリピン国籍の女性に対して、授業料を免除し過ぎたとして、合計四十四万円を三週間以内に納付するようにという問題がありました。
盛山大臣も三月二十九日の記者会見で、学生や保護者に対して丁寧な情報発信ができていたのか、課題が残るものと考えているというふうにおっしゃいました。そして、この宇都宮大学の対応を問題視された件です。
改めて私も、除籍というものをこのときに、ああ、そうか、除籍というのは退学とは違って、除籍されたらその年の単位も全部なくなってしまう、ええっとちょっと思いまして、少し詳しく調べてみました。
配付資料の方を御覧ください。真ん中で点線が引いてあるんですが、下の方を御覧いただきたいと思うんですが、この女性、Aさんというふうに記載させていただきました。Aさんの事例です。
四月の、前期の学費の納入はしていたんですけれども、ちょうど前期の終わり、九月頃に、御家庭の所得区分の変更がありましたと通知を受けました。ええっということで、そんなはずないなということで、いろいろ御自身が役所に行ったり市役所に行ったりして調査をしていたんですけれども、これは納得できないということで、後期に入りまして再判定の依頼をかけました。これが十二月です。その再判定の依頼を待っていたんですけれども、その結果が出てきたのが三月八日ですね。あらっ、一期だけと思ったらその前もだ、三期含めて遡って払ってくださいというふうに言われて、何だこれはと。やはりびっくりしますよね。これが三月八日なんですけれども、そこから、払ってくださいという期限が三月二十九なんです。
僅か三週間の間に、そもそも、困窮している家庭の学生なわけですよ。お金をどうやって工面するのという話になりまして、私だったら、もう夜の仕事でも何でもしなきゃいけないかなと思っちゃうんですね。これ、ちょっとおかしいんじゃないかと。今、悪質ホストや何かありますけれども、何でもしてでも。だって、除籍されるのは嫌ですよ。そう思ったと思ったんです。
大臣にお伺いしたいんですけれども、こうして、こんな短い期間で除籍になるようなプレッシャーをかけられる、こんな期間が短いこと、ちょっとおかしくないでしょうか。
○盛山国務大臣 今の御指摘でございますが、学生の退学につきましては、大学の学則に基づいて行うということになっております。学生の退学に関する事項をどのように学則に定めるかは、各大学の責任と判断ということになります。
そして、吉田先生御指摘のように、大学運営に当たって、当該学生さんの立場というんですかね、そういう視点、こういったことも考慮することが重要だと思いますけれども、その観点も踏まえた上で、各大学の責任と判断により、授業料が未納の学生の除籍時期についても、学則の上ではということになるかもしれませんが、適切に定めていただいているのではないかと認識します。
とは申しましたけれども、本件に関しまして報道も出ておりまして、私もその直後の記者会見で、先ほど吉田先生御指摘のような記者会見での回答をしたところでございます。
宇都宮大学の方からは、それなりに適切に対応してきたというような報告が後ほどあったところでございますけれども、いずれにせよ、授業料等の学費につきましては、学生や保護者の理解が得られるよう、引き続き、大学において丁寧な周知、情報発信を行うよう指導していきたいと考えています。
○吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。
やはり大事なのは、学生の気持ちに寄り添うことだと思うんです。学生にとってみると、三週間で四十四万円払えというのは、大金です。本当に大金です。何か月分のアルバイトの金額ですかというところになるので、やはり大学には、寄り添う、相談に乗る、期限に関して何とかできないか、こういう寄り添う姿勢がなければならないと私は思いますので、是非そこは文科省の方から御指導いただければというふうに思います。
学則で規定するということなんですが、今回、国立大学に限って、学則などをちょっと調べてみました。これが配付資料の上の方になるんですけれども、除籍になる期間が大学によって、大臣、全然違うんですよ。
今回の宇都宮大学の場合は、例えば、前期、四月にスタートで五月末が前期末の学費の納入期限なんですけれども、そこで払わなければ、前期の末、九月末で除籍になる、こういう学則になっています。一方で、お茶の水女子大や京都大学などでは二期繰り越せるというふうになっていますので、仮に四月の前期の未納があったとしても、除籍になるのは翌年の三月、学年末という形になります。
国立大学で差があるというのは、私は、学生にとってみると、あれっ、そうだったの、入るまで知りませんでしたという状態ではないかと思うんですけれども、大臣、こういうような国立大学の中でもやはり差があるということは、当然、学生に入学時点では伝わっていないと私は思うんですね。これは問題だと思います。
ちょっと、これも大臣の大学時代も思い返していただいて。私の大学時代も、二十七、八年前ですけれども、思い出して、いや、学生にこんなに厳しかったっけと。お金を払えないからその期で除籍ですよなんて、こんな放り出すような大学の対応じゃなかったと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
この点、是非大臣の感想と、やはりばらばらというのは、学生にとっては混乱と、ええっ、国立大学でという思いがちょっとあるんですけれども、この辺り、統一すべきだと思うんですけれども、大臣、ちょっと、学生に優しい国立大学にしてほしいんですが、いかがでしょうか。
○盛山国務大臣 感想ということでございますけれども、私、余り、不勉強であったという話はさっきもしたんですけれども、学則なんか全く考えたこともなかった、少なくとも私はそういう状況でありました。
これは学則に限らず、我々、社会人になっての生活をしておりましても、法令その他の定めというのを全て理解している人というのはまずいないんじゃないかと思うんですね。その上で、そういうような人もいる前提の上で制度というのはやはり構築するというのが、本来あるべき姿ではないかなと私は思います。
そして、お尋ねの学則の件でございますけれども、さっきと繰り返しになりますけれども、退学のことも含めまして、学則をどう定めていくかというのは、今、それぞれの法人、別々でございますので、国立大学とはいいましても、各大学の責任と判断ということになります。各大学において、当該大学の状況等に応じて、授業料が未納の学生の除籍期間だけではなく、いろいろな問題に対しまして、課題に対して適切に定めていただいているのではないかと思いますし、また、こういうような事例が起こったことを踏まえて、必要に応じてそれは見直していただけるものではないかと考えます。
○吉田(は)委員 ありがとうございます。
大臣が、やはり、学則を読み込んで入学する人、まあ、普通いませんよねというのは、私もそう思います。いろいろな法令を全部知って行動しているかというと、そうじゃない、まさにそうだと思いますので、是非学生に、国立大学を選択する学生、やはり、授業料の面で私立大学よりも安いというところに魅力を感じて国立大学という選択をする学生がきちんと救われるようにしていただきたいというふうに思います。
では、ちょっと続きまして、今度はまた国立大学の発言の中で、私、ええっと思ったニュースがございました。これは、三月二十七日の中央教育審議会の高等教育の在り方に関する特別委員会で、委員のお一人である慶応義塾大学の伊藤塾長の発言、社会に今波紋を広げています。
もう大臣も御存じだと思いますが、このような内容の発言です。国立大の学納金を年間百五十万円程度に設定する、公立大も同様の扱いとすると。ええっと思いました。その理由は、国公私立大の設置形態にかかわらず、教育の質を上げていくためには公平な競争環境を整えることが必要、また、学費を百五十万円に値上げすることによって、一部の私立大学は、経営努力によっては国立より低水準の学費設定で競争に参加できるというふうにおっしゃいました。
じゃ、そこを高くしたら低所得者の世帯はどうするんだというところで、そこは、塾長、こういうふうにおっしゃっているんですね。学生の経済状況に応じた奨学金や貸与制度も整備するというふうにおっしゃいました。
私、これ、ポイントが三つあるというふうに思っているんですけれども、ちょっとその三つ、このように私は理解しました。
まず、一つのポイントが、国公立大学の授業料を百五十万円に設定します。二つ目、一部の私立大学も、こういうふうに設定してもらうことによって国立大学と競争関係になって、低水準の学費で、言ってみれば学生の獲得、こういうところにも参加できる。三つ目、そうやって取りこぼさないようにということで、低所得の家庭には奨学金や貸与制度で対応するからいいんだ。こうすることによって研究の質を上げていくというのがこの伊藤塾長の論だったと思うんですけれども、一つずつ大臣に、ちょっと私の考えも含め、大臣のお考えも伺いたいんです。
まず一つ目の、国立大学の学費、年間百五十万円、大臣、今は五十三万五千八百円ですから三倍ですよ、これをやると。二〇四〇年までという、多分そういう長期スパンを見ていらっしゃるんだとは思うんですけれども、これを国立大学でやってしまったら、経済格差と教育格差の固定になってしまいます。私はこれは絶対反対でありますし、そもそも、教育の機会の均等、これが崩れてしまいます。国立大学は国の威信ですよ、私はそう思います。
そこで、大臣に伺いたいんですけれども、自民党の改憲四項目の中には教育の無償化があります。当然、こんな値上げしますという伊藤塾長のお言葉、値上げしないですよね。教育の無償化をおっしゃっている自民党でございますから、今後、国立大学の値上げをすることはないというふうな理解でよろしいですか。
○盛山国務大臣 国立大学の授業料については、今、吉田先生から御紹介があったとおりでございまして、国立大学の授業料というのは、国立大学法人に自主性、自律性を持っていただきながらも、教育の機会均等や計画的な人材養成を実現する観点から、適正な水準を確保するために国が標準額を示しております。しかしながら、その一二〇%を上限として、各法人が個別に設定するという仕組みでございます。
国が示す標準額の設定に当たっては、国立大学の役割も踏まえつつ、私立大学の授業料水準など、社会経済情勢や家計負担の状況も総合的に勘案する必要があると考えております。
そして、現在、中央教育審議会の高等教育の在り方に関する特別部会において、各高等教育機関における教育研究の質を向上させる方策等とともに、併せて、学生への支援方策の在り方等についても御議論をいただいております。
そして、国立大学の授業料については、今後、丁寧に検討していくことは必要であると考えておりますけれども、今、急にこういうふうにしていくということには、していくというのは、上げるですね、ということには、それぞれの国立大学法人についても、我々の方としても、今のところは考えていない。
ただ、そうはいいましても、今後、長期的に、絶対に上げることはないですとか、そういうことまで申し上げるものではございません。
○吉田(は)委員 大臣、お願いします。私は、まず国公立大学は無償化にすべきという立場でございますし、今大臣がおっしゃっていただいたように、当面はないということを伺ってちょっと安心したんですけれども、やはり学生にしてみると、こんな議論が出ることすら、ええっ、やはりその可能性はあるんだと思うわけですよ。なので、ちょっとこれは、ばっさり否定していただきたかったなという気持ちです。
というのも、もし、ごめんなさい、ここは憲法審査会ではないんですけれども、改憲項目として教育の無償化を入れたら、将来にわたってもですよ……(発言する者あり)充実。無償化じゃなかったでしたっけ。済みません。ごめんなさい。
でも、やはり教育のことを書いていくときというのは慎重であるべきだと私は思いますし、無償化は法律でできますので、是非これ、私は法律で進めたいなというふうに、スピード感がありますので、そのときには是非御協力させていただきたいと思いますので、国公立大学の無償化、是非検討していただきたいと思います。
次の二つ目ですけれども、私立大学は経営努力によって国立大学と同じ学費の水準で、低い学費の設定で競争に参加できるというふうにおっしゃっているんですけれども、地域間の格差が非常に高いです。
例えば、大学などの進学率、専門学校も含む高校を卒業してから進学する人の割合、これは、令和五年の文科省の学校基本調査によりますと、トップは東京で七一・三%、それに対して四十七位は鹿児島県で三六・二%と二倍の開きがあるわけなんですよ。
もし、国公立、競争時代に入って地元に国立大学がなくなったら、ますます進学率というのが都市と地方とで大きくなっていってしまうのではないかというふうに思うんですけれども、大臣は、ごめんなさい、質問の方向性をちょっと変えてしまったんですけれども、国立大学が各県にあるべきだと思いますか。それとも、伊藤塾長がおっしゃるように、国立も私立も競争の時代に入って、もうそれは仕方がないんだというふうに思われますか。
○盛山国務大臣 この伊藤塾長、私存じ上げておりますけれども、本件で伊藤塾長と直接お話ししたことはございません。
しかしながら、伊藤塾長は、多分、これは私の想像でございますけれども、わざと一石を投じるためにこういう発言をされたのではないかと思います。
有力な私立大学の塾長さんとして、教育に関する一人当たりの学生さんに対する費用とでもいうんですかね、そういうようなことを踏まえた上で、当該大学だけではなく、日本の大学の今後の在り方、あるいは、特にそれはアメリカですとかほかの外国の大学の授業料との対比、そういうことも含めておっしゃったのではないか。
さらには、奨学金その他、なかなか、特に親御さんの生活との関係で授業料を十分に払うことができないような学生に対しては、アメリカのような充実した奨学金制度、こういったもの、あるいはほかの給付ですとか、そういったことも含めておっしゃったのではないかなと思います。
その上で、国立大学が各都道府県、四十七都道府県にどうあるべきか、これについても今後御議論をしていただかなければならないと思います。
そして、少子高齢化でございます。人口が急激に減っているというところをもっとよく見ていただきますと、ただ単に人口が若干減っていく、あるいは人口の減少が加速化するということだけではなく、それは少子化が極端に進む地域があるということですね。そういう地域にあっては、子供が生まれる数、絶対数が減る、そしてそれは小学校、中学校、高校、そして大学のそういう生徒さん、学生さんが減るということになりますので、そういうものをトータルとして、その地域における高等教育機関がどうあるべきなのか、こういった御議論を国立だけではなく私学も含めてしていただく必要があると思います。
さらには、先生の御指摘の国公立大学の授業料と、そしてまた国公立大学をどのように地域に存在させるか、これはまたちょっと必ずしも一致しない、オーバーラップしない部分があると思いますので、それぞれ御議論していただく必要があるのではないかと考えます。
○吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。
今、少子化が加速していく中で、大学の在り方というのは本当に厳しい環境にあるなと思うんですけれども、ちょっと今ぱっと思い出したのが、例えば、私もイギリスに留学したんですけれども、イギリスは人口が半分です。でも、大学のトップフィフティーランキングには、アメリカに次いで二番目の多さで大学がランクインしています。決して人口減が教育や研究の質の減にはならないというふうに思いますので、ここはやはり、私、教育、研究こそ国の力というふうに思っていますから、文科省の方の是非予算も増やしていただいて、これをやはり国の力にするという政策を是非大臣にも進めていただけたらありがたいなという御希望を申し上げます。
最後、ごめんなさい、学生の経済状況に応じた奨学金や貸与制度を整備するということでしたけれども、大臣、私、自分の生い立ちから考えて、これはちょっと異論があるんです。
というのは、困窮している家庭の子供にすると、大学に行くことすら選択肢じゃないんですよ。お金をかけちゃう、親に苦労をかけちゃうと思ってしまうので。
私も、父が中学卒業、中卒で、八百屋の二代目で、私のきょうだいは大学に行っていません。親戚を見ても誰も大学に行っていない、そんな家庭で私は育ちました。たまたま、自分で何とか大学へ行きたいというふうに言って行かせていただきましたけれども、幾らこういう奨学金制度があるといっても、そもそもそれを選択肢にできない、そういう環境の御家庭の子供たちがいっぱいいるということを御理解いただきたいんですよ。
本来なら、子供たち、本当に平等に教育の機会、誰も取り残さないという教育の機会を確保するためには、私は、奨学金があるからいいとか貸与制度があるからいいというのは、これは伝わりません。大臣、どうでしょうか。この点、分かっていただけないでしょうか。
○盛山国務大臣 今、吉田先生がおっしゃったとおり、奨学金の制度がある、あるいはその対象になる御家庭あるいは学生さんであっても、それを御存じないという方が大勢いらっしゃるのは事実です。
私の知っている方でも、親御さんが事業がちょっと左前になりまして、大学をやめる、もう仕送りができないという話があり、そして、それに対して仕方がないなということで、学生課というのか教務課というのか知りませんが、大学の学部の事務のところへ相談に行ったところ、いや、君、ここでやめるのはもったいないよ、あと一年ちょっと頑張るべきである、それで、こういう奨学金の制度もあるから、こういうのを使ったらということで、その学生は、初めてそういうのがあるというのを分かって、そして奨学金を使って卒業し、立派なところに今は就職をされて、今の自分があるんですというふうに言っている人間がおります。
そういうふうに、制度があるからといって、それで全てうまくいくということでは必ずしもありません。ただ、先ほどイギリスの例を先生が挙げられましたけれども、やはり国民の多くの方々に、どういうふうな自分の将来をつくるのか、そしてどういう道を進んでいくのか、そういうこと、そしてそれに対して社会がどう支援をしていくのか、そういうことをもっと広く知っていただければまた変わってくるのではないかな、そんなふうに思います。
奨学金に限らず、授業料の問題であり、そして、そこの学校へ行くまでの距離感とでもいうんですかね、やはり交通費ですとか、場合によったら下宿ですとか、そういう生活費も余計にかかるようになりますし、トータルとして見ての教育費をどういうふうにしていく、そして自分の望むキャリアパスに進むための道であり、そういったものの支援策、そういったものを全体で関係者の皆さんと考え、その環境を整えていくことが大事ではないかと思います。
○吉田(は)委員 大臣、何とぞここはよろしくお願いいたします。誰も置いていかない、そんな教育をというふうに、ここにいらっしゃる委員の先生方は皆さん思っていらっしゃると思うんですね。やはりここに是非予算を割いていただいて、国公立大学は無償、こういう一本の強いメッセージを若い世代に届けていく、これが私は希望になると思います。
若い世代がお金のことを心配し、それで疲弊してしまって、アルバイトで疲弊してしまって、夢を語ることもできないような国に、私は、大きな成長、また国の力を高めていくということはできないと思います。若い世代を本当に大事にしていただきたいというふうに思います。
最後、ちょっと時間がぎりぎりになってしまったんですが、一つだけお伺いします。
これは、二〇一九年、USBの詐欺が大学でありました。ちょうど私もその当時ある私立大学の准教授をしていたんですけれども、これは都内の大学にばあっと蔓延したんですね。五十六万円でUSBを買って、それを運用すればもうかるよ、こういう詐欺からも学生を守らなきゃいけないと思うんですが、高校の教科書に金融教育が義務化されて、それを読んでみたんですけれども、なかなか、こういう痛い目に遭った事例というのは一つもなかったんですよ。
でも、こういうものも含め記載していくべきではないか、また、文科省としても、学生が危険にさらされていることを把握すべきではないかと思いますが、最後にこれ、大臣、済みません、時間超過してしまいましたけれども、短くお答えいただけましたら幸いです。
○盛山国務大臣 吉田先生御指摘のとおり、若年層の方であっても、金融や投資含めて、世の中には甘い言葉があるんだよということを含めて理解をしていただくことが大事じゃないかと思います。
そういったことを含めまして、高等学校家庭科の学習指導要領解説では、株式、投資、こういった基本的な金融商品の特徴、メリット、デメリットに触れることを学習指導要領で求めており、教科書にも関連の記載が盛り込まれております。
また、金融庁が教材を作成しまして全国の高校に副教材として提供をして、その中では、詐欺の実例ですとか、詐欺に遭わないためのポイントなども紹介をしているところではございます。
そして、大学生に対しても、一応資料を作ったり、インターネットその他でアクセスできるようにしてやっているところでございますが、こういう情報が学生一人一人の、頭の中にというんですかね、行き渡るよう、そういうような手段を講じることが大事であります。
我々も各学校その他関係者に依頼しているところでありますが、引き続き、関係省庁と連携しながら、そういう、特に金融関係の教育とでもいうんでしょうか、更なる充実に努めていきたいと考えます。
○吉田(は)委員 ありがとうございます。
詐欺にひっかかるのもなぜかというと、学費を稼ぐためなんですよ。先ほどの件も、夜のアルバイトの話もしましたけれども、学費なんです。どうか、その点、分かっていただけますようにお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○田野瀬委員長 次に、青山大人君。
○青山(大)委員 立憲民主党の青山大人です。
三月十三日の当文部科学委員会でも聞いたんですけれども、二千七百億円という大きな予算を使って来年度から始まる多子世帯の大学の無償化の目的について聞いたところ、大臣からは、三人以上を扶養する世帯を対象としたのは、理想の子供の数を断念する理由として、長年、子育てや教育にお金がかかり過ぎるという答えが一位となっていること、そして、その傾向が三人以上の子供の数を理想とする夫婦において顕著であること、こういったことを踏まえて、限られた財源の中で、三人同時に扶養して負担が集中している期間を優先して支援することとしましたとの答弁がございました。
今回の制度の条件に該当すれば恩恵が受けられるわけでございますけれども、もちろんそれはそれで、受ける側からしたら大変ありがたいんですけれども、やはり、私としては、この政策、異次元の少子化対策の目的になるのかなと。既に子供が二人いる御家庭が三人目を産む動機づけに果たしてなるのかと。
大臣、本当にそういうふうに思っているのか、改めて伺います。
○盛山国務大臣 前回私が御答弁したことを先ほど青山先生の方から御紹介いただきまして、ありがとうございました。
こういったことを含めて、異次元の少子化対策の一つであるというふうには考えております。つまり、この三人目に対する扶養、これだけをもって少子化対策とするということでは必ずしもないということでございますけれども、これも含めてということではないかと考えます。
○青山(大)委員 子育てや教育にお金がかかり過ぎるという答えが一位だったということをやたらいろいろなところで、いろいろな答弁におっしゃっているんですけれども、この基になった調査を見ると、令和三年実施の第十六回出生動向基本調査の夫婦調査の設問では、教育としているだけであって、別に高等教育費に限定していないわけでございます。さらに、この政策の目指す姿とする、多子世帯であっても理想の子供の数を持てるとの目標を達成するためには、もっと若年層に、若年層の親御さんたちに影響する政策でないと意味がないのかと私は思うわけでございます。
次はちょっと参考人の方で結構なんですけれども、同じ三月十三日の当委員会で参考人の方から、今は、限られた財源の中で、扶養するお子さんが三人以上の場合が無償化の対象となっているが、更にその先をどうするかも今後検討していきたいとの答弁がございました。具体的にどういうことを検討しているのか、お伺いします。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
前回の委員会の際は、昨年末に閣議決定されたこども未来戦略のうち、加速化プランとして具体的に盛り込まれているものを御説明いたしました。その第一弾としては今年度から既に三つの取組を進めておりまして、第二弾として、来年度から多子世帯の授業料の無償化ということを進むわけでございます。
こども未来戦略では、第三弾と明確には言っておりませんけれども、第一弾、第二弾の取組の実施状況や効果などを検証しながら、更にその先、経済支援の更なる強化など、高等教育費の負担軽減を中心に取り組むということでございますので、今後、具体的には、第一弾、第二弾の状況も踏まえながらでございますが、例えば、昨年末以降いろいろな方々から出ている御意見としては、三子以上の世帯であってもいろいろ条件がありますので、そこを解消していくとか、扶養家族からお一人抜いた場合は、自立して収入が得られた場合は、三子であった世帯が二子扱いになったりという課題も御指摘されておりますし、それから、二子であってもかなり厳しいという御意見もありましたので、いろいろな選択肢があり得ると思いますけれども、まずは、第一弾と第二弾の実施状況や効果がどの程度なのか、そこも踏まえて、より、限られた財源の中でどうするかを検討していくことになるということでございます。
○青山(大)委員 今、非常に参考人の方から踏み込んだ御答弁があったと思います。まさにそこなんですよね。三人いたとして、一人扶養から外れてしまったら、この多子世帯の無償化の対象にならない、ここなんですよ。でも、今、参考人の方から、そこを検討しているとおっしゃいました。
むしろ、そこを今の段階で、令和七年度はそこは外れてしまいますけれども、例えば、令和八年度からは、扶養が外れたとしても大学無償化の対象になりますよと、今そこをアナウンスすることによって少子化対策につながるのではないかと私は思います。大臣、どうでしょうか。
○盛山国務大臣 第三子も含めて、これからというところでございますので、今後、ちょっとお時間を頂戴して、しっかり検討していきたいと考えます。
○青山(大)委員 異次元の少子化対策、戦略プランを見ますと、二〇三〇年、ここまでが一番の何か大切な時期だとおっしゃっているから、まさにそこを今示す。そうすれば、今二人いるお子さんとか、あっ、そうか、令和八年、九年以降は、例えば上二人がちょっと年が離れていても、大学の無償化の恩恵を受けられるんだ、じゃ、我々も三人目をつくろうかなとなるんじゃないですか。その三年先、五年先の、まさに盛山大臣が描いているその教育のイメージをみんなと共有することによって、それが少子化対策につながるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、そこは今、参考人の方は、結構私、踏み込んだことをおっしゃったと思うんですよ。
そこは、大臣、どうでしょう。大臣の思いも踏まえて、もう一度もし答弁いただけたらと思いますけれども。じゃ、参考人でも結構ですけれども。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げたことはあくまで例示でございますので、まずは、政府として今はっきり明確に申し上げられることは、六年度、七年度の実施状況や効果などを検証しながら、更にその先を検討するというところまでは明確に閣議決定でされておりますけれども、その具体的なところは、先ほど大臣も申し上げたとおり、まさにこれから、これは限られた財源の中で、より効果的で、国民の方々が安心して大学まで進学させたり子育てができるようにということが目標でございますので、まずは、この四月から第一弾が始まったばかりでございますので、その状況も見ながら検討をしていくということでございます。
○青山(大)委員 私、何でこれを聞いているかというと、来年度から始まる多子世帯の大学無償化が少子化対策の目的だという答弁を基に、だから私はこれを言っているんですよ。ですから、三人目をちゅうちょされている場合に、だって、じゃ、三人目をつくろうと思ったって、今日この瞬間生まれるわけじゃないじゃないですか。計画を立てなきゃしようがない。だから、私は、この制度が、いわゆる教育の負担軽減とか、そっちが主眼だったらまた違う視点なんですよ。何回聞いても少子化対策とおっしゃっている。だったら、もっと少子化に資するような制度設計をやるべきなんじゃないのかと言っているわけです。
じゃ、ちょっと視点を変えてみます。
ちなみに、令和七年度の多子世帯無償化では、およそ何人くらいが対象となるのか。二千七百億円の予算を組んでいるわけですから、ある程度の人数を見込んでいると思うんですけれども、これは参考人の方で結構です。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
対象人数は最大で約四十一万人程度、それから、前回の委員会では私、二千七百億円程度と、これは詰めていく必要がありますけれども、二千六百億円台であろうと思いますので、大体、所要額が二千六百億円程度を見込んでおります。
○青山(大)委員 そういうことは、もちろんこれはいろいろ調査、細かい調査が必要だと思いますし、二千六百億円程度で最大四十一万人、ただ、これも多少前後するというようなことですよね。
二〇二二年、令和四年、児童のいる世帯、児童数と、児童のいない世帯の割合を見ると、児童のいる世帯は全体の一八・三%、そのうち、一人の児童のいる世帯は九%、二人が六・九%、三人以上が全体の二・三%となっています。ちなみに、一九八六年、昭和六十一年は、児童のいる世帯は全体の四六・三%もいました。これを見ても急速な少子化ですね。
要は、何が言いたいかといいますと、三人以上いる世帯というのは全体の二・三%しかいないわけです。ですから、さっきの話、扶養から外れても三人以上子供がいる世帯へ、令和七年度から始まる多子世帯大学無償化の対象を、いわゆる扶養から外れても三人以上子供がいる世帯へ広げたとしても、実際それが適用になる数というのはそんなに増えないと思うんですよ。だったら、そこの線引きというのはなくすべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
今回の、先ほど申し上げた支援対象となる対象者は、私どもとしては学生の割合から計算しております。令和七年度から、多子世帯への支援拡充において支援対象を扶養する子供としておりますので、出生状況基本調査を基に、支援対象になり得る子供の割合が一五%と試算をしております。
今回のこども未来戦略、これは、私どもの高等教育の負担軽減だけでなく、政府全体で、厚労省やこども家庭庁のトータルで少子化を目指してやる中の教育費の部分を私どもが担当している、これはトータルで進めていく必要があると思っております。
○青山(大)委員 ですから、私が今言ったのは、今、二千六百や二千七百億円という予算を組んでいる中で、その扶養を外す外さないは、そんなに、僕、予算の、もう獲得しているんだから、影響はないんじゃないのと言っているんですよ。と思いますけれども、それはどうですか、その計算式。そんなに変わりますか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
ここは、具体的な計算というよりも、扶養を外れるということは独立して一定の収入を得られるわけでございますので、いろいろなアンケート調査でも、やはり、三人以上、お子さんが就学年齢で費用がかかるというところに着目して、今こういう整理をさせていただいていますので、それと財源の見合いでございますので、そういうことから、今、まずは今のような制度、七年度からは今のような考え方としているところでございます。
○青山(大)委員 これはもう、別に参考人の方を責めるわけでもないんですけれども、どうせやる以上は、ちょこっとのところをけちってみんなから不満が起きるんじゃなくて、そこまで踏み込んだんだったらね。だってそうでしょう、私、前回も言ったけれども、三人子供がいて、長男は無償化で次男がねとか、出てくるわけじゃないですか。で、数の割合を見ても、そんなに予算、があっと倍になるとか、ないと思うんですよ。それだったら、文科省だってせっかく頑張ったんだから、何でそこを最後けちるんですか。もったいないじゃない。
令和七年度はもうアナウンスしているから間に合わないかもしれない。じゃ、令和八年度からそういうことを検討します、さっきも参考人の人、私、すごくいい答弁をしたと思うんですよ。なかなか、参考人の皆さんで、あそこまで踏み込んでいると思ったんですよ。
もしかして、これは大臣がブレーキをかけているんですか。大臣、どうでしょうか。
○盛山国務大臣 いえ、私がブレーキ役であると私は思ってはおりません。
ただ、この制度設計というのは、我々文科省だけでやっているものではありません。政府全体でやっているということはまず御理解賜りたいということと、その中で、青山先生が御指摘されている費用がどの程度どうなるのかという観点とは別に、先ほど局長が御答弁申し上げましたように、何というんですかね、扶養者の数がどうであるのか、こういう観点が強く、そのようなことになったということでございますので、先生のような御指摘があったということは、当然ほかの、こども家庭庁を中心とするほかの関係省庁にも伝えますけれども、先ほど局長が申し上げましたように、今後の検討ということでお時間を頂戴したいと思います。
○青山(大)委員 是非これはしっかり検討してほしいと思うんですよ。
三月十三日にこの質問をやったときには、何じゃこれって、もう論ずるに値しないと思ったんですけれども、でも、実際もう各対象者、学校なんかにもアナウンスしていますし、やはり実際そこの無償化になる親御さんたちも、やはり実際こういう制度が決まった以上は、あ、うちも対象になるんだとか、やはり期待するわけじゃないですか。だったら、せっかくつくった制度を、じゃ、もう少し、ちょっと工夫すればより効果が発揮できるものじゃないかというような提案でございます。
本当に、これは扶養を外す云々じゃなくて、やはり三人いるって経済的な負担が大変だという、まさにそのアンケートは別に高等教育に限らず、これまでの、それはもう言うまでもなく、そこはみんな御理解するじゃないですか。三人いる以上は、別に高等教育以外にもお金もかかっているわけですから。ですから、私はそこは、令和七年度は間に合わないとしても、令和八年度以降、そこは制度を変えるべきだと思います。そうしたら、より岸田政権も国民の皆様から評価をされるというふうに私は思います。
逆に、今の、一人でも扶養を外すと対象から外すのを続けていった場合、これは逆に、変なうがった見方をされると思うんですよ。前回も私、委員会で言いましたけれども、私立の大学の半数超、半数以上で入学者の数が定員割れをしている現状に今ある中で、まるで、無理やりでも大学の進学者を増やして、何か大学経営を助けることが実はこの多子世帯大学無償化の本当の目的の政策なんだとか、そういう何かうがった見方をされるわけじゃないですか。そういうことをされないように、この扶養が外れた場合対象から外すというのは、私はこれはしっかりと見直してほしいというのを重ねて強く主張させていただきます。
そして、同じように高等教育の関係で言いますと、奨学金制度の充実についても一言触れさせていただきます。
奨学金の返済の真っただ中にある二十代、三十代の若年層が、いわゆる一子、二子を出産する可能性がある層に重なっているわけでございますけれども、少子化対策も目的に含めるのであれば、奨学金制度の返済免除の仕組みの拡充を目指すべきじゃないかと私は考えます。
かつて、教員志望者への奨学金免除制度が存在しましたが、二〇〇四年、あの小泉純一郎、竹中平蔵政権のときに廃止されてしまいました。そういう中で、新たに、大学院卒の教員志望者の奨学金免除の方針が先日発表されました。教員不足が叫ばれる中で、これはもう、大臣、大いに評価をさせていただきます。
アメリカでは、バイデン政権、学生ローンの返済軽減に向けた新しい計画が示されました。内容を見ると、例えば軍人の方とか、エッセンシャルワーカーとか、教員に将来なった方たちの奨学金、学生ローン返済の免除計画が出されました。
日本でも、そういったアメリカの政策を参考にでもしながら、人手不足対策、優秀な人材の確保のために、例えば、成績条件とか、対象職種を限定して、返還免除制度を拡充していくべきじゃないか。日本でも、例えば自衛官とか、保育士とか、教員とか、そういう部分に限定して拡充していく場合か、そういうふうに思うわけでございますけれども、そういった考え方についてどう思われるか、お伺いいたします。参考人でも結構です。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
奨学金の充実に際し、アメリカで実施が進められているような奨学金の返還免除ということでございますが、日本学生支援機構の奨学金返還につきましては、これまでも、返還の猶予、あるいは毎月の返還額の減額をする仕組みがございまして、これはかなり、貸与型の場合は返済にかなり融通が利くようになっているところでございます。
一方で、奨学金の返還を大きく免除するということにつきましては、貸与型奨学金、これは、御承知のとおり、貸与した学生からの返還金が次の世代への奨学金の原資となっているということもございますし、それから、既に返還を完了した方との公平性の観点などもありますので、慎重な検討が必要であると考えております。
○青山(大)委員 今、たまたまバイデン政権で、バイデン大統領、ハリス副大統領がこの学生ローンの返済免除のプラン、法案を非常に宣伝していたわけで、これは日本でも幾つか見習うべきものはあるのかなと思って、今提案した次第でございます。
次の質問に行きます。グローバル人材の育成について伺います。
高校、大学の段階で海外への留学支援の強化を掲げていますけれども、具体的な目標を簡潔にお伺いいたします。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
昨年四月に取りまとめられました教育未来創造会議の第二次提言で、日本人の学生の派遣は五十万人、受入れの方は四十万人を目標として、政府としては今掲げているところでございます。
○青山(大)委員 それでですね、目標を詳しく見ると、日本人留学生、海外での学位取得等を目的とするいわゆる長期留学の数、現在六・二万人から、二〇三三年までに十五万に増やすと、非常に高い目標を立てていますけれども、私もそれを後押ししたいんですけれども、参考人に一個まずお聞きしたいのが、先ほど言った令和七年度から始まる多子世帯の大学無償化政策では、こういった対象になる多子世帯の子供が海外の大学へ進学した場合、授業料等の無償化のいわゆる支援対象になるのか、お伺いします。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
基本的には、修学支援新制度は、国内の大学等に対してが対象になります。なお、国内の大学に進学して、留学生交流などで海外の大学で学んで、籍自体は国内の大学にある方は対象でございます。
○青山(大)委員 それは矛盾がないですか。だって、元々この多子世帯は、三人以上子育てされている、同時に費用がかかる高等教育の段階で経済的負担を軽減するという目的なんですから、しかも、一方では、同じ文科省で海外留学を増やそうとやっているんですから、これは別に多子世帯の無償化の対象にすべきではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○盛山国務大臣 それぞれの制度で、いろいろ制度が対象にしているところがあります。そして、今、日本人の人で海外に留学する、その方に対しての、第三子へというようなお話でもございましたが、それとは別に、日本人が、第三子だとかそういうことは関係なしにですよ、日本人がそもそも海外に留学する、そういった学生に対しての海外留学支援制度、そういう制度は別途あるものですから、そういうところと併せて見ていただければいいのではないかと思います。
いずれにせよ、まず最初に青山先生から御指摘をいただいた、第三子、少子化対策に当たらないのではないかという御指摘は、トータルとして見ていただきたいという話をしておりましたのと、それから、それはそのうちの一つであるということ、そして、私たちは、高等教育に対しての、少子化とは別に、高等教育に対する支援という施策はまた別途やっているということを御理解いただきたいと思います。
○青山(大)委員 今大臣がおっしゃったように、日本人が海外へ行く場合のいわゆる留学の支援、実際それはあるんですけれども、これは非常に狭き門なんですよね。予算を見ましても、学部単位型が七・三億円、大学院の場合も九・五億円、合計十六・八億円。それ以外に短期なども全部含めても、日本人が海外へ留学する場合の支援制度の予算が、これは八十九億円なんですよ、八十九億円。逆に、一方で、外国人の留学生の受入れ支援の年間予算が百八十二億円なんですよね。これもちょっと、私、えっと思うんですよね。日本人の海外留学支援の予算の二倍以上ですよ。
これはさすがに見直した方がいいんじゃないでしょうか。これは逆でしょう。そこはどう考えるか、政府の考えをお聞かせください。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
現状は、今委員御指摘のとおりのバランスになっております。これは、昭和時代からのいろいろな留学生交流などの経緯もあり、今のような形になっておりますけれども、教育未来創造会議の提言でも、これからは日本から出す方に特に力を入れるというような観点からの提言をいただいておりますので、私どもとしては派遣もしっかりと頑張ってまいりたいと思います。
○青山(大)委員 ですから、これはあれもこれもと全部増やすことはできないので、私が言ったのは、さっき、政府の目標が二〇三三年までに日本人学生の海外留学を五十万人、特に長期留学の数、現在の六・二万人から十五万人に増やすというこの野心的な目標を掲げる以上は、予算の配分を少し考えた方がいいんじゃないですかという提案でございます。
今の話と、繰り返しますけれども、多子世帯への大学無償化、三人、一人扶養から外れても二番目、三番目もしっかりその恩恵を受けられるような制度の改正は絶対必須だと思いますので、是非よろしくお願いを申し上げ、私の質問を終わりにします。
以上です。ありがとうございました。
○田野瀬委員長 次に、堀場幸子君。
○堀場委員 日本維新の会そして教育無償化を実現する会の堀場幸子です。
本日は、午後からほかの委員会の視察がございまして、質問時間を御配慮いただきまして、立憲民主党の皆様、ありがとうございました。
それでは、早速質問をさせていただきたいと思います。
今日は、教員の働き方改革、これは何度もやらせていただいているんですが、今、ニュースの方でちょっと大丈夫かなと思っている、教職の調整額が四%から一〇%になるということ、そのことだけが独り歩きをしているという状態にあります。まさかこれだけが働き方改革だとは思わないんですけれども、今、現状として、教職調整額が一〇%になるということを報道等で知ることとなっており、様々な支援団体さん若しくは学校現場の先生方、非常に、いやいや、働き方改革ってこれですかというような思いを抱いていらっしゃるんじゃないかなと思いまして、本日は、それだけじゃないよということが分かればいいなと思って質問をさせていただきたいと思っています。
後からもう一回やるんですけれども、調整額、そもそも導入されたのは、昭和四十一年の勤務実態調査の平均残業時間というところで、給特法ができたときに、この調整額、四%になったと承知をしています。なので、そもそもの根拠が非常に古い。私ですら生まれていない、生まれる前の勤務実態に合わせてできたということを一つ念頭に置きながら、働き方改革について御質問をさせていただきたいなと思います。
まずは、教員の働き方改革、その目的についてお願いいたします。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
学校における働き方改革を含む教師を取り巻く環境整備の最終的な目的は、これは先生がかわいそうだからというものではなくて、学校教育の質の向上を通した全ての子供たちへのよりよい教育の実現である、こういうふうに認識しております。
具体的には、長時間勤務の是正を図ることで教師の健康を守ること、心身共に健康でいてほしいということと、自らの人間性や創造性を高め、その意欲と能力が最大限発揮できる勤務環境を整備し、高い専門性を発揮できるようにすることなどにより学校教育の質を高め、子供たちに対してよりよい教育を行うことができるようにする、こういうことであると考えております。
○堀場委員 ありがとうございます。
そうなんですよね。やはり子供たちのために、まずは先生方にゆとりを持っていただかなければならないと思っているんですね。
今、もうきゅうきゅうの状態で授業、授業、授業。後でちょっと定数の話が出ますけれども、前もやらせていただきました定数、非常に厳しいこま数が入っている中で、先生の中にはゆとりというものが全然ないのかなと思っています。人というのは焦れば焦るほど感情的になりますし、それが子供の教育にとっていいわけがないということがあると思います。なので、先生方の働き方改革というのは、子供たちのためにやっていると思います。
では、今の先生たち、すごく長く働くんですけれども、教員の長時間労働に対して大臣はどのようにお考えですか。
○盛山国務大臣 もう堀場先生も御案内のとおりかと思いますが、今年の四月に公表いたしました教員勤務実態調査の確定値におきましては、平日、土日共に全ての職種で在校等時間が減少しております。学校における働き方改革の成果が着実に出ているのではないかなと思うんですが、もちろん依然として長時間勤務の先生方も多いものですから、この取組を加速化していく必要がある、そんなふうに考えております。
〔委員長退席、中村(裕)委員長代理着席〕
○堀場委員 ありがとうございます。
じゃ、教員は何で長時間労働をするんですか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の学校教育は、教師が、学習指導のみならず、生徒指導等の面でも主要な役割を担う、これは欧米とちょっと違うところです。子供たちの状況を総合的に把握して指導を行う、これを日本型学校教育と呼んでおりますけれども、知徳体にわたる全人的な教育を提供しており、社会の様々な矛盾が流れ込みやすいという特性があるというふうに理解しております。このような学校教育は、教え子たちのためであればと頑張る教師の献身的な努力によって支えられている側面もあると承知しております。
そのような中、子供たちが抱える様々な課題が現代では複雑化、多様化している、また保護者や地域からの学校、教師に対する期待が非常に高い、こういうことから、結果として教師の負担が増大してきた実態があると認識しております。
○堀場委員 そうですよね。先生たちは本当に生徒指導の時間を非常に長く取られているようにお見受けすることが多いですね。普通に何もなく過ごしている時間もあるとは思いますが、何もないことがほぼないというのが学校現場なんじゃないかなと思っています。なので、先生たちは教科指導というものが一番の恐らくメインなんですけれども、その教科指導のための新しい指導方法の研究に費やすお時間もなかなか持てないほど、様々な問題解決に毎日いそしんでいらっしゃるというのが現状だと思います。
なので、文部科学省さんがやられております、中教審で見させていただいておりますけれども、業務の三分類というものがありますけれども、そこに、やはり教師しかできない業務、教師だけがやるものという項目が必要なんじゃないかなというふうに思っているんですね。
それはカリキュラムマネジメントの世界の話とかなり密接に関わってくるんですけれども、教師じゃなくてもいいかな、支援者さん、SSSさんとかでもできるかな、若しくはSCとかSSWでもできるかなみたいな、ほかの支援者さんでもできるかなという仕事という定義ではなくて、教員がしなければならない仕事というものをしっかりと明確に定義をして、そして、そこの部分には残業代を出すというような仕組みづくりなんだろうなと私自身は思っているんですけれども。
中教審のこの間のお話等々を報道も含めて見ておりますと、その線引きができない。教員だけがやる、教員がこれが仕事だと線を引くことができないから、取りあえず教職調整額を一〇%にするというお話が出たというふうに承知をしているんですね。
そもそも、残業時間というものの時間の管理というものはなかなか難しい。昔は、調整額があるのでずっと働かせているので、別に、労務管理という感覚が恐らく先生方そして管理職の皆様に余りなかったんじゃないかなというふうに思うんですけれども。新しくそれをここ数年取り入れていらっしゃると思うんですが、学校組織における労務管理の在り方というのはどのようにお考えですか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
令和元年のいわゆる給特法の改正を踏まえまして、文部科学省では、勤務時間管理を適正に行い、業務の縮減方策の実効性を高め、徹底していくため、令和二年一月に在校等時間の上限等を定める指針を策定しております。
この指針においては、服務監督を行う教育委員会が教育職員の在校等時間の上限等に関する方針を策定し、上限の範囲内とするため、教育職員の業務量の適切な管理を行うこと等について規定しております。
服務監督を行う教育委員会の下、実際の学校現場においては、日々、教職員と接しているのが校長等の管理職でございます。校長等は、教育委員会とともに教職員の時間管理を適切に行った上で、学校における業務分担の見直しや適正化、必要な執務環境の整備を行い、教職員の健康管理について取り組むことが必要でございます。
先般取りまとめられた中教審の質の高い教師の確保特別部会における審議のまとめにおきましても、「校長等の管理職は、教師を取り巻く環境整備に当たり、学校組織のリーダーとして、学校における働き方改革の推進はもとより、職場の心理的な安全の確保、働きやすい職場環境の構築、教師の働きがいを高めていくこと等が求められているなど、組織運営の観点から校長等の管理職の役割の重要性は高まっている。」などとされており、校長等の管理職のリーダーシップの重要性が指摘されているところでございます。
校長等の管理職の労務管理における重要性を踏まえて、学校における働き方改革が一層推進されるよう、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。
○堀場委員 ありがとうございます。
やはり今の時代に必要な校長先生若しくは副校長先生、教頭先生、管理職の皆さんの在り方というのは、学校を経営するという考え方なんだと思うんですね。やはり、教員をずっと何十年もやってきて先生という感覚で校長先生になられている場合に、特にこの労務管理であったり様々なルールメイキングを学校の中でやって働き方改革を進めていくというような感覚が、校長先生及び、主に校長先生ですが、管理職の皆さんは持ちにくいと思いますので、校長の質を上げて、管理職の質を上げていくということを文部科学省さんとしても是非前面に立ってやっていただきたいなと思っています。
この社会の変革をしていくとともに、発生する様々なスキル、さっき金融教育なんかの話も出ていましたけれども、様々なスキルを学校現場で身につけさせましょうとか、モラル教育が学校現場に託されることに対して、大臣はどのようにお考えかなと思っているんですけれども。
例えば、小学校一年生で給食が始まったときに、お箸使えません、じゃ、給食指導の中で担任の先生がお箸の持ち方、お箸の使い方から教えることについて、これは具体例ですけれども、例えば、ルーツが海外の方であったり、今は非常に増えていますけれども、おうちでお箸を使わないんだよねという御家庭もあるでしょうし、共働きで、お箸の持ち方を教えるのは学校ではないかと主張される方もいらっしゃるでしょうし、様々な場合はあると思いますけれども、じゃ、本当に学級担任がお箸の持ち方まで教える、そんな時代なのかということもちょっと考えざるを得ないところがあるんですね。
なので、大臣、具体例はたまたまお箸の持ち方ですけれども、そういったことも含めて、何でも学校側に教育を求めるような時代のニーズというのがあると思いますが、それについて大臣の御所見をお願いします。
〔中村(裕)委員長代理退席、委員長着席〕
○盛山国務大臣 そうですね、時代の変化ということかもしれませんし、親御さんの変化ということかもしれません。
今のお箸を一つ例に挙げますと、私も、自分が子供を育てたときには、それなりにうちで教育していました。そして、長女のところは近いものですから、孫が来て食事をすることもよくあるんですけれども、口うるさく、つい私が箸の持ち方を言って、孫からは嫌な顔をされております。でも、今のうちに、小学校の低学年のうちに、今のうちにやっておかないと、大人になってから恥かくんだからねと、そんな感覚でうちはいる、あるいは子供や孫を育ててきたわけでございますけれども、必ずしもそうでない御家庭が多くなっているのは事実だろうと思います。
そんな中、学校において、お箸だけではなく、インターネットなんかも典型だと思いますけれども、少なくとも、私が小学校、中学校、そういうようなときと今はもう全く環境が異なっているわけでございますので、そういうような中で、先生方がというんでしょうか、特に今課題になっているのはまずは小学校ということかと思いますが、そういうところでどのような教育をしていくべきなのか。そして、それは、例えば学習指導要領もそうでございますけれども、時代の変化を踏まえながら、学習指導要領、こういったものを見直したりしているわけでもあります。
そして、特に最近は、教師、学校の先生方の働き方改革というのもこれまで以上に重要な、深刻な課題であるということで取り上げられるようになっているわけでございますので、そういったことも含めて、多くの皆さん方に、堀場先生おっしゃるように、学校の先生が教えなければならないものは何であるのか、そして、ここについては学校の先生以外の、例えば支援をされる方にお手伝いをしていただく部分はどうであるのか、そして、どこの部分については、これは学校にその期待をされるべき問題ではないんじゃないでしょうかと。御家庭で、あるいはそれ以外のところ、学校以外のところで訓練ですとかトレーニングしていただくべきである、そういったことを含めて、これからも検討し、そして、そういう状況の変化、時代の変化に対して対応していくべきものであると考えます。
○堀場委員 ありがとうございます。
私は、これを学校現場に、それを決めた方がいいですよと言うことは難しいんじゃないかなと思うんですね。保護者の皆さんが校長先生に、何でうちの子にお箸の持ち方を教えてくれないんだとなったときに、校長先生が、いや、文部科学省とか国の指針で教員の仕事はこれなんだと決まっているんですよ、それ以外のところは支援員さんがやるんですよみたいな。だから、教職支援員を入れたいけれどもなかなか予算がとか、いろいろあると思いますけれども、いかんせん学校の先生がやるべき業務が明確ではないために、御家庭の皆様も、やはり先生が、学校側がやるべきじゃないかという御意見を非常に強く持たれる方も多いんじゃないかなというふうに思っています。
あと、大臣がおっしゃっていましたけれども、昔は学校教育と家庭教育が両輪で子供を育てていくみたいな表現をされていたかと思うんですが、今、この家庭教育というものを車の片方のタイヤとして認めるということを言うことすら、何か課題があるんじゃないか、厳しいんじゃないかという時代に突入をしていると思います。それだけ、例えば貧困層であったり、様々な、多様な家庭が日本にはあるということが表面化してきて、今までもしかしたら置いてきぼりだったかもしれないそういう人たちをしっかりとサポートしていこうという今の時代に対しては、家庭教育で一定程度の教育をお願いするということはもしかしたら難しい、でもそれは学校がやるべきですかというこのジレンマだと思うんですね。
なので、しっかりとそちらは福祉として様々な支援が必要なんだろうなと思っています。なので、私たちは、もう少し学校現場にたくさんの人が入るべきじゃないかというふうに考えているんですね。
さっきおっしゃっておりました日本型学校教育というのは、海外からも非常に注目されておりまして、日本の教育というものの本当に礎となっているような、私自身は非常に重要だと思っていますし、それが今の日本人をつくっているんだろうなと思っているんですね。だから、これは維持したいと思っているのであれば、やはり人を入れないといけないですよねということを言いたいんですね。
今ある先生たちのお給料をちょっと上げたからといって、しかもこれは金額で四パーが一〇パーになって、すごく増えたねとおっしゃるかもしれないんですけれども、月給三十万円だったら、一万二千円だったのが三万円になるぐらいだと思うんですね。八十時間働いている人がいたりするわけですから、やはり、一時間幾らで残業代がついているのとは全然感覚が違うということも含めてお話をした上で、この教職調整額を引き上げることだけをもって働き方改革と呼べるのかどうか、これについて文部科学省の御見解をお願いします。
○矢野政府参考人 御指摘ありがとうございます。
幾つかの報道で、今委員御指摘があったように、教職調整額の引上げは働き方改革にはつながらない、そういう報道がございましたけれども、中教審の報告案でも明らかなとおりでございまして、学校における働き方改革を含む教師を取り巻く環境整備のためには、学校における働き方改革の更なる加速化、先ほど委員御指摘のあった、これは本当に先生の、教師の仕事なのか、あるいは教師でなくてもいいのか、あるいは、教師の仕事だけれども、誰かほかの人が代わる要素があるのか、そういったようなことも含めて、働き方改革の更なる加速化を図っていく必要があるということ、また、学校の指導、運営体制の充実、教職員定数の改善であるとか、先ほど御指摘のあった支援員の充実、そういったような人的な面での充実、そして教師の処遇改善、これらを一体的、総合的に推進することが必要であるというふうに認識しているところでございます。
先日文部科学大臣に手交されました中央教育審議会の審議のまとめにおいても、教師の処遇改善のみならず、例えば、PDCAサイクルを通じて働き方改革を推進するため、働き方改革の進捗状況の公表等を教育委員会が行う仕組みを検討すること、教職員定数の改善、支援スタッフの配置拡充など学校の指導、運営体制の充実など、学校における働き方改革の実効性の向上等のための総合的な取組が提言されているところでございます。
文部科学省としては、この審議のまとめも踏まえまして、教師の時間外在校等時間を縮減し、教師が心身共に充実した状況で子供たちに対してよりよい教育を行うことができるよう、取組を進めてまいりたいと考えております。
○堀場委員 ありがとうございます。
なので、たくさんある働き方改革の一つとして、今回、教職調整額の一〇%というものがあるかもねというところなんじゃないかなと思います。やはりそこだけが独り歩きしてしまって、どうしても、えっ、それだけですか、先生たちこんなにしんどいのに、まさかお金をちょろっと上げただけで、はい、満足しなさいと言っているわけじゃないですよねというような論調がすごく見受けられるので、やはりトータルとして情報発信をもっともっとしていっていただきたいなと思うんですけれども。
やはり、人を増やすということについて考えるときに、人を増やすときに、今までの学校というのは、ボランティアさん、若しくは本当に微々たるお金で学校現場に来て地域の方がやってくださるというような場面が非常に多いですよね。例えば、学校の外で畑を借りて何か農業体験みたいなのをやってみたり、様々いろいろなことをやるんですが、そういったものもあれですし、その前に、子供が畑をやる前に、畑を耕してしっかり準備をする人たちというのがやはり一定程度いらっしゃるんです。
そういう、学校のために、子供たちのために、ほぼボランティアという形でやってくださっている方、学校を支えてくださっている方が本当にたくさんいらっしゃるんですけれども、PTAも含めて様々なボランティアによって学校が支えられてきた時代から、やはりもう少ししっかりと労働に対する対価を払って支援をしてもらう、支援員として責任を持って対応していただく、そういったものにシフトしなきゃいけないと私自身は考えておりますので、そうすると、やはり財務省さんが納得してお金をちゃんとくれるのかなという、すごい心配があるんですね。
なので、教科担任制、これからやっていったから小学校の現場には学校の先生が増えますという、一応、文部科学省さんからのお答えをたくさん聞くんですけれども、そもそも何で加配なんだと。教科担任制という制度があって、それを実施するために加配措置なんですけれども、何で加配なのか、何で定数自体を変えないのかということについて、お答えをお願いしたいと思います。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
小学校における教科担任制につきましては、教育の質の向上と、教師の持ちこま数の軽減など学校における働き方改革の双方の点から、効果的な取組と考えております。
このため、骨太の方針二〇二三を踏まえ、当初予定していた令和七年度までの二か年分の改善数を一年前倒しして令和六年度予算に盛り込んでおり、各都道府県等に対しては、教科担任制の推進による教育の質の向上と教師の持ちこま数という政策目的を確実に達成する方法として、目的を限定した加配定数により、今のところ措置しているというところでございます。
これまで、加配定数から政策目的を果たし、一定程度の段階で基礎定数にするというようなことは幾つも例がございます。将来的な課題として受け止めさせていただきたいと思います。
教科担任制の在り方を含む学校指導、運営体制の充実については、先般、中央教育審議会の特別部会において取りまとめていただいた審議のまとめを踏まえ、具体的な施策の実現に向けて更に検討してまいりたいと考えております。
○堀場委員 ありがとうございます。
取りあえず政策目的を達成するための加配、そして、将来的には定数改善という形で学校の現場に先生を増やしていくという方策を考えているということだと私は理解をいたしましたので、定数改善までいち早く進んでいけばいいなというふうに思っているんです。
この教科担任制、私、賛成なんですけれども、というのは、文学部、文系の学部として教育学部を卒業されている先生方で、やはり高学年の数学、理科はちょっと教えるのが厳しいんじゃないかなという先生が実際にいらっしゃるということも現場感覚としてあるので、算数と理科に関して、ほかの科目もありますが、この二科目が教科担任制になっていくというのは非常に重要なんじゃないかなというふうに思ってはいるんです。
一方で、STEAM教育というように、今、横断型の授業をやっていきましょうということを文部科学省さんは非常に奨励をされていて、例えば、小学校一年生、二年生は生活科になって、社会と理科が一体となって、これは非常に面白い授業がいつもいろいろなところで展開されているんですけれども、私は何かとても楽しいなと思って見ているんです。なんだけれども、高学年になったら教科担任制になっていくとなったら、ちょっともったいない部分ももしかしたらあるのかもしれないなと思っていて、この政策の整合性ということに関して文部科学省さんの御所見をお願いします。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
小学校における教科担任制について、これは繰り返しになって恐縮でございますが、教育の質の向上と、教師の持ちこま数の軽減など学校における働き方改革の双方の点から、効果的な取組と考えているところでございます。
優先的に専科指導の対象とすべき教科の決定に当たっては、令和三年度の中央教育審議会答申を踏まえ、教科指導の専門性向上に加え、例えば、STEAM教育の充実強化の観点も考慮し、高学年から学習内容が高度化する算数、理科等としたところでございます。
こうしたことにより、算数や理科の指導において様々な発展的な素材を扱うことも容易になるのではないか、そういった基盤の上に立って、多様な教師と連携して総合的な学習の時間等を充実することにより、全体としてSTEAM教育等の教科横断的な学習の充実につながるものというふうに考えているところでございます。
○堀場委員 ということは、教科担任制でも横断型の授業は成立するよということだと理解をいたしました。
中学校に行くと、教科で理科なんかは非常にぶつ切りの状態でやっているので、それはそれで課題だというのは以前の委員会で指摘をさせていただいているとおりなんですけれども。
ちょっと大臣、通告はないんですけれども、ここまで働き方改革なんですけれども、大臣、一言お願いしてもいいですか。是非、前に進めるという強いお言葉を頂戴したいなと思っているんですけれども。
○盛山国務大臣 ちょっとどうお答えすればいいかあれなんですが、先ほど来御答弁申し上げているように、中央教育審議会の方から先日、議論の取りまとめという中間報告のようなものを頂戴したところでございまして、その中で、先ほど局長も御答弁したように、働き方改革であり、そして、先生方がどこまでどういうふうにしていくのか、定数ですとかそういうようなこと、そして処遇の改善、この三点、三つを一体的にして今後取組をしていくということで、我々、スタートをしようとしているところでございますので、今日先生から頂戴した御意見も踏まえ、どうすれば現場の先生方が、あるいは日本の教育が少しでも前を向いていくのか、しっかり考えていきたいと思います。
○堀場委員 ありがとうございます。
しっかりと考えるというお言葉のみならず、早く実行してほしいというのが現場の先生たちの切なる願いだと思いますので、是非是非早めに、どんどん加速化していっていただければなというふうに思います。
次に、教育の質の向上、これが教員の働き方改革の目的の一つなんですけれども、公立の義務教育の学校の教育の質を向上させる方法というのは、大臣、どのようにお考えか、お願いします。
○盛山国務大臣 堀場先生の御質問はなかなか難しい、根本的なことに関する御質問でございますので、うまく答えられるかどうかなんですけれども。
時代が変わってきた中でどうやって学校教育を推進していくか、そういうことではないかと思いますが、子供たち一人一人の可能性を最大限伸ばす、そういうような教育、学び、これを実現していくためということで、個別最適な学びと、それから、一緒になる協働的な学び、これを一体的に充実させ、それが教育の質の向上につながるのではないかなと考えております。
このため、文部科学省においては、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援の一体的推進、さらにはGIGAスクール構想の推進、そして誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、こういう対策を総合的に進めて、今も取り組んでいるところでございますが、今後とも一層、教育の質の向上に向けて取り組みたいと考えています。
○堀場委員 ありがとうございます。
私は、質の向上に資するというのは、一人一人の先生たちがやはり教育に情熱を持って、子供たちに、新しい指導方法であったり、個別最適化もそうですが、どうやって寄り添っていくのかな、どういう教育方法があるのかなと、教員になってからも先生たちが切磋琢磨しながら追求していくということが非常に重要なんだろうなというふうに思っているんですね。
なので、先生たちが、さっき言ったみたいに働き方にゆとりを持って、そして研究をする時間があるというようなことが一つ重要だと思っているんですが、その一方で、学校の先生たちを目指す人で、今、倍率が結構低くなってきて、それはいろいろな理由があるという。産休、育休を利用する人が増えて正規採用が増えたとか様々な理由があって、先生の採用倍率というのは非常に下がる傾向にあるというのは存じ上げているんですけれども、それでもやはり先生たちが切磋琢磨をしていくということは重要だと思っています。
その中で、今、教員免許の改革についていろいろ検討されているというふうに聞いているんですが、アスリートの方であったり、博士号を持つ研究者に教員免許を付与するという報道がありました。これは特別免許状のことなのかなと思いながらなんですけれども。
私は教員免許を取るときに結構大変だったという記憶があって、通常の科目と語学の科目とそして教員免許の、教職の課程ということで、結構単位数が非常に多かったという認識、私のイメージなんですが、あるんですが、普通の大学で中学校の教員免許を取ろうとしている、一種の教員免許を取ろうとしている人は、結構な単位数を取らなければならないんですよね。かつ、教育実習と介護実習があるというのが現状ですので、やはりそれなりに非常に勉強をして学校の教員になっていると思っています。教育学部の人は、もちろんより専門性の高い、そして教科が多いということをやられているので、大学生は非常に頑張って教員免許というものを目指してやっているんだろうなというふうに思っていますし、自分もそうだったなと実感しているんです。
児童生徒の個に合わせた令和型の学校教育とかというのは結構専門的であったり、あとは今、発達に特性を持っている子が結構いますので、そういった子供たちに対しての対応であったり、様々な相談であったり、いろいろなことが、さっきおっしゃっていた生徒指導ということであったり、様々なものがあるんですけれども、アスリートの方々や博士号を持つ方々の経験値というのはそれとはまた別な種類の経験値で、そういう方々が入ってくるのは非常に重要だとは思うんですけれども、教員免許という学校教育に関する専門的な勉強をせずとも学校教育というのが成立するのかどうかということについて、お尋ねをしたいと思います。
教員免許の在り方とその改革について、それについても併せて大臣の御所見をお願いします。
○望月政府参考人 教員免許に関わることでございますので、私の方から説明をさせていただきます。
委員御指摘のとおり、教員免許の種類に関しましては、普通免許状と特別免許状と臨時免許状の三種類がございます。一般の教職の課程を終えた者は普通免許状でございますが、これを、大学の大体二年間を通じまして、教育現場での実習等も通じて、免許を取って採用をしている。
昭和六十三年に特別免許状制度をつくりまして、そのときには、教員免許状を、普通免許状を持っていないけれども優れた知識経験を有する社会人などを教員として迎え入れることによりまして、学校教育の多様化への対応を図るというものでございます。今年度はその数が五百件となっていまして、これは、我々としても、普通免許状による教員以外の多様な教員集団を学校の中で構築していくという観点から、先生も得意、不得意もあろうと思います、ですから、特別免許状を活用して学校現場に入っていただくということに関しましては、今回、授与指針を改訂しまして、より取りやすくする仕組みをしたところでございます。
一方で、委員御指摘のとおり、特別免許状の取得に関しましては、一般の、普通の免許状の取得者に比べまして、もしかしたら基礎的な教員としての資質が不足するところがあるんじゃないかという御懸念もあるかもしれません。そのために、教科に対する指導計画の作成、あるいは生徒指導、最新の教育事情に通じていない場合も考えられることでございますので、個々の事情をそれぞれ、もちろん経歴が違いますけれども、採用権者において研修を適切に実施していただく必要があるというふうに考えてございまして、この点、今回の特別免許状に関する授与指針の改訂を行って、更に今後、特別免許状を持つ者が学校現場に入ることも、大きく我々も推進していけると思っておりますけれども、その際に、しっかり、教員の学びの高度化、あるいは質の向上という観点も十分に考えながら、大学、大学院における教師養成の在り方に関する教員免許の不断の検討もしていくこと、多様な人材の確保も併せてしていきたいというふうに考えているところでございます。
○堀場委員 ありがとうございます。
やはり、大学院まで研究されていた方の授業って多分面白いと思うんですよね、より専門性が高くて、より興味、関心を引いた授業。アスリートの皆さんであったら、やはり、私たちが見えない境地で努力をされてきた、そういったものも含めて非常に子供たちにとっていい刺激になるんだろうとは思うんですけれども、一方で、免許の有無が学校現場において非常に大きな意味があると思っているんですね。やはり、学校の教室の中に免許のあるなしで入る入らない等々決まっていますし、教員免許というものがあることによって、安心して保護者の皆様も学校に預けていらっしゃると思いますので、研修等々というものも非常に重要だとは思うんです。
それとも別に、そもそも私が思うのは、一種と二種の差はどんなぐらいあるんだろうとか。一種を取っても二種を取っても、お給料は一緒ですよね。そうしたら、一種を必死に取って、あの単位数の量は何だったんだとか、いろいろ思うところはあるんですけれども、そういった様々な免許に関する大臣の御所見はいただけるんですか。済みません。
○盛山国務大臣 ちょっとうまく御答弁できないと思いますが、様々な免許の種類がある、そして、それに対して、例えば、つい先ほど局長の方から特別免許についての導入した背景ですとか、そういうことを申し上げたわけでございます。
それぞれの制度はそれぞれの制度を設ける理由があって設けているわけでございますが、他方、多分堀場先生が御懸念をしておられるのは、そういったことによって、子供たちへの教育、これが本当にうまくできるんだろうか、そういうようなことを御懸念ではないかと思います。
制度は制度として一応種類があるということ、そして、その種類の中で、例えば、さっき局長が言った、特別免許を与えるに当たっては、スポーツか何か、そういうようなところだけの問題ではなく、やはりいろいろなところを見ての免許を与えていると思いますし、そして、研修という話もいたしましたけれども、そういうことも含めて、本来の先生としてのあるべき資質、これを獲得していただくということになるんじゃないかと思います。
例えばということで、特別免許を持っておられないとは思いますけれども、私どものスポーツ庁の室伏長官、大変な、いろいろなことをよく御存じでございますから、こういった、室伏さん個人ということだけではないんですけれども、そういうようないろいろな知見を持っておられる方、それを教育に生かしてもらう、これはこれで大変すばらしいことじゃないかなと私は思います。
そしてまた、これは先生に限らないわけでございますが、何でも、一つの資格を得る、あるいは社会に入るでもいいんですけれども、それはあくまで最初のステップでございまして、それからやはりオン・ザ・ジョブ・トレーニングというんでしょうか、いろいろな経験をしてこられるということによって、よりすばらしい方になるのではないかと思います。
つい最近、私は「教師冥利」という、長く小学校の先生をされたある方の本を読みましたけれども、その方が、最初に初任でどういうふうに困った、そしてそこを周りの先輩の先生からどう助けてもらった、あるいは、自分がある程度ベテランになってから初任あるいは若い先生に対してどういうふうなことをして子供に向き合ってきた、そんなことを書いておられる本を読みましたけれども、やはりいつまでも、何か資格を得たからそれでおしまいということではなく、それはあくまでスタートにすぎない。そして、その上で研さんを積みながら、お子さんにあるいは生徒さんに向き合っていただく。そういうことによって、すばらしい教育というものにつながっていくのではないかな、そんなふうに考えます。
○堀場委員 ありがとうございます。
ちょっとお時間がなくなってしまったので、最後に一つです。
先生たちは、やはり、ふだん、頑張ろうとモチベーションを上げるために様々なことが欲しいんですが、なかなかインセンティブのようなものがないので、それについて。最後、大臣、先生たちが教員の仕事をもっともっとモチベーションを上げていこうと思えるようなことについて、インセンティブの在り方というふうに書きましたが、それについて、最後、大臣、御所見をお願いします。
○田野瀬委員長 申合せの時間が経過しております。答弁、御簡潔によろしくお願いします。
○盛山国務大臣 教師は学校教育の充実発展に欠かせない存在でございます。そういったことで、優れた人材を確保するためにも、教師の処遇改善は重要な課題であると思います。
そして、先ほども申し上げましたとおり、一昨日の月曜日にお取りまとめをいただいて頂戴しました審議のまとめ、中央教育審議会の特別部会の審議のまとめでは、若手教師へのサポートや学校内外との連携、調整の充実のため新たな職を創設し、給料表上に新たな級を創設することや、職務の重要性や負荷を踏まえて学級担任について手当額を加算することについても言及されているところでございます。
こういった審議のまとめを踏まえまして、教育の質の向上に向けて、引き続き、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、こういったことを一体的に進めていきたいと考えております。
○堀場委員 ありがとうございました。
○田野瀬委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時三分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○田野瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。坂本祐之輔君。
○坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔でございます。
まず、スポーツベッティングについて質問をさせていただきます。
メジャーリーガーの大谷翔平選手の元通訳、水原一平氏をめぐる違法なスポーツ賭博事件が大きな社会問題になっています。そして、ギャンブル依存症や違法なスポーツ賭博を取り巻く様々な問題が報道され、改めて、ギャンブル、賭博の危険性や恐ろしさに、多くの国民の方々は関心を持って見ていらっしゃると思います。
さて、政府においても、経済産業省やスポーツ庁を中心に、スポーツベッティング、いわゆるスポーツ賭博の解禁に向けた動きがあります。政府におけるスポーツベッティングの解禁に向けた議論については、部活動の地域移行の検討の中で、部活動の地域移行のための財源確保策として出てきたと私は理解をいたしております。
私も、二〇二二年の四月二十七日の本委員会で、経済産業省に設置されている地域×スポーツクラブ産業研究会の中でスポーツベッティングについて議論されていることを受けて、同年一月二十一日の毎日新聞のオンライン記事、「スポーツ賭博と部活動 政府内で浮上する「奇妙な組み合わせ」」という記事を取り上げ、政府内における検討状況をただしました。
このとき、経済産業省からは、地域×スポーツクラブ産業研究会の第一次提言では、欧米におけるスポーツベッティング市場の事例について紹介はしたが、我が国におけるスポーツベッティングの是非についてまでは検討してきたものではないとの答弁でございました。また、一月二十一日の毎日新聞の報道については正しくないものであると認識していますと、明確に否定をされておられました。
しかし、その後、二〇二二年六月七日には、読売新聞が「スポーツ賭博 解禁案 経産省議論へ 猛反発は必至」との記事を出しました。資料一の記事を御覧ください。この記事によりますと、「経済産業省が、スポーツの試合結果やプレー内容を賭けの対象とする「スポーツベッティング(賭け)」の解禁に向けて取りまとめた素案が判明した。」さらに、「経産省はスポーツ庁とともに、七月にも有識者による「スポーツ未来開拓会議」を五年ぶりに再開し、スポーツ賭博の解禁に向けた議論を本格化させる。」としてあります。
まず、経済産業省にお伺いいたします。
経済産業省における現在のスポーツベッティングについての検討状況はどうなっているのでしょうか。答弁をお願いいたします。
○山影政府参考人 お答えいたします。
経済産業省におきましては、スポーツベッティングの解禁に向けた検討はしておらないということでございます。
○坂本(祐)委員 それでは次に、資料の二の記事を御覧ください。こちらも六月七日の読売新聞の記事ですが、「スポーツ賭博の収益を「地域移行」を目指す部活動改革の財源に回すという構想もあり、批判の声も。」とあります。
今度はスポーツ庁にお伺いをいたします。
スポーツ庁における現在のスポーツベッティングについての検討状況はどのようになっているのでしょうか。また、部活動の地域移行の財源としてスポーツベッティングの収益金を充てることについての見解と検討状況について、答弁をお願いいたします。
○茂里政府参考人 現状についてお答えさせていただきます。
御指摘のスポーツベッティングの導入につきましては、スポーツ庁として、検討はしておりませんし、部活動の地域移行の財源確保のためにこれを導入するといったことも考えてございません。
なお、スポーツも含めまして賭博は違法とされている中、スポーツ庁といたしましては、コンプライアンスの徹底が極めて重要だと考えております。今後とも、関係団体と連携しつつ、スポーツ関係者のコンプライアンス教育の徹底に取り組んでまいりたいと思います。
○坂本(祐)委員 部活動の地域移行の財源確保のためにスポーツベッティングの解禁を検討していることについては、二〇二二年一月二十一日の毎日新聞、そして同年六月の読売新聞と、二度にわたって報道されました。大手の、それも複数の新聞社が根拠のない記事を掲載するとは、私にとっては非常に考えにくいことでもあります。スポーツベッティングの解禁、さらには部活動の地域移行の財源確保のためのスポーツベッティング解禁に向けた動きはあったのではないかと考えるのが自然なのではないでしょうか。
この度の水原一平氏の違法スポーツ賭博事件を受け、国民の皆様には、スポーツ賭博やギャンブル依存症の問題や危険性が非常にインパクトある形で伝わったと思います。スポーツベッティングの解禁には問題が多く、私としては認めるべきではないと考えますし、ましてや子供たちの教育の一環でもある部活動の地域移行のための財源に充てるなど、決して認めるわけにはいきません。
経済産業省もスポーツ庁も、今は解禁に向けた検討は行っていないとのことでありますけれども、今後検討を開始するかもしれません。
盛山大臣にお伺いをいたしますが、スポーツベッティングの解禁は行わない、そして、スポーツベッティングの収益を部活動の地域移行の財源に充てることはないと明言していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○盛山国務大臣 スポーツの振興につきましては、スポーツ基本法の趣旨にのっとって取り組む必要があります。
その上で、個別具体の振興施策については、各時点において適切、有効と考えられる施策に取り組むことが重要であると考えます。このため、将来の振興施策の可能性について現時点において断定的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと考えます。
その上で付言をいたしますと、現時点におきましては、御指摘のスポーツベッティングについて文部科学省として検討を行っている事実はありませんし、またその予定も今のところございません。
○坂本(祐)委員 明言はしていただきませんでしたけれども、断定的には申し上げられないということでございますけれども、将来的に部活動の地域移行の財源に充てる可能性があると受け取ってもよろしいのでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
○盛山国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、その時点でベストな政策は何かということを判断するということであります。
しかしながら、先ほど申し上げましたように、部活動の地域連携、移行についての必要な財源につきましては、スポーツベッティングの議論に関係なく、別途検討していくべきものであると考えます。
○坂本(祐)委員 部活動の活動については理解をいたしましたけれども、その時点でまた考えるというような答弁であったとは存じます。教育の一環である部活動にスポーツベッティングを持ち込むことは私も決して認められないということを改めて申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
昨年四月十一日の地・こ・デジ特別委員会での質疑で、学校での水泳授業における水着の着用について質問をいたしましたけれども、その際、スポーツ庁の政府参考人から、実際の水着の着用実態について全国の状況を網羅的に把握しているわけではございませんがとした上で、学校として水着の購入案内はするが、上半身が隠れるものやスパッツ型など他の水着あるいはラッシュガードの着用も認めるといった柔軟な対応をしたり、保護者の判断を尊重したりしているものと承知しております、どのような水着を着るかについては、委員御指摘のとおり、児童生徒の心情等に十分に配慮することが重要と考えており、特定のものを強制せず、自ら選択することも重要であると考えております、この観点から、国が一律に指定するよりも、各学校等において、児童生徒の状況等に応じ、適切に対応していただくべきものと考えています、このような答弁がありました。
しかしながら、ジェンダーレスの水着の製造販売をしているフットマーク株式会社という企業の昨年四月十九日のプレスリリースによりますと、学校の水泳授業で着用する水着に関する意識調査という調査を二〇二三年三月に、小学校五年生から中学校二年生とその親千二百組を対象に行っており、その調査の中で、お子様の学校でラッシュガードの着用は許可されていますかという質問に対する回答が掲載されています。そして、その回答結果は、誰でも着用できるが四五%、申請をすれば着用できるが二三%、原則着用してはいけないが二九%というものでありました。原則着用してはいけないがおおよそ三割に上るという結果でありました。
スポーツ庁の見解は先ほど申し上げたとおりですが、このフットマークの調査結果を見る限り、各学校等では児童生徒の心情等が十分に配慮されているのでしょうか。児童生徒の状況等に応じて適切に対応していただいているのでしょうか。私は、スポーツ庁の認識と学校の現場の実態には大きな乖離が生じているのではないかと思います。
昨年四月十一日の質疑の際には、この水泳授業での水着の件と小中学校における健康診断での問題についても質問をさせていただきましたが、健康診断の問題につきましては、文部科学省が本年一月二十二日に、「児童生徒等のプライバシーや心情に配慮した健康診断実施のための環境整備について」との通知を出して対応していただきましたことに感謝をいたしております。
私は、今の時代、学校において子供たちが裸になったり肌を大きく露出するということは慎重になるべきであると思いますし、まさに今、地・こ・デジ特別委員会で日本版DBS法案が審議されておりますが、子供たちの教育現場における性被害などが問題になっています。
スポーツ庁にお伺いをいたしますが、学校では今年ももうすぐ水泳授業が始まります。児童生徒の心情等が十分に配慮され、水泳の授業で悩む児童生徒が出ないよう、改めてしっかりとした対応を速やかに行うよう求めますが、いかがでしょうか。
○茂里政府参考人 お答え申し上げます。
授業で着用する水着につきましては、肌の露出に抵抗があるなど多様な児童生徒がいることから、その心情等に特別の配慮を行うことは極めて大切なことと認識しております。
そのため、ただいま御紹介にもありましたが、スポーツ庁では、昨年、全国の都道府県・指定都市教育委員会の会議におきまして、授業で着用する水着の取扱いについて、児童生徒の心情等に配慮した対応を行うよう求めたところでございます。
具体的な対応につきましては、地域の実情等に応じまして各学校においてそれぞれ適切に判断されるべきものと考えておりますが、スポーツ庁といたしましても、ただいま御指摘いただいた点なども踏まえながら、各教育委員会等に対し適切な対応を促してまいりたいと思います。
また、乖離という話もございましたが、都道府県教育委員会と学校、そしてスポーツ庁との乖離が生じないよう努めてまいりたいと思います。
○坂本(祐)委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。スポーツ庁には、子供の立場に立った目線で適切な対応をこれからもお願いをいたしたいと存じます。
それでは、質問を一つ飛ばしていただきまして、学生の留学について質問させていただきます。
多くの学生が留学し、海外で学んでくることは、その学生にとって大切な経験になるだけでなく、日本にとっても重要なことであります。
しかし、新型コロナウイルスによる渡航制限も緩和され、再び留学が増加すると期待していたところに、円安や世界的な物価高騰の影響により、留学にかかる費用が上昇し、留学を断念したり留学の期間を短縮したりといった学生が増えております。
これから、より多くの学生たちにグローバル人材として世界で活躍をしていただかなければならないにもかかわらず、意欲ある学生たちが円安や物価高などによる経済的な理由で留学を断念又は期間の短縮をしなければならなくなってきたこの状況を続けることは、我が国にとっても大きな損失になると考えます。
文部科学省としても、一部で、トビタテ!留学JAPANの取組をしていることは承知しておりますが、採用人数を見ても、それだけでは不十分ですし、もっと多くの学生が海外への留学を希望しています。
意欲ある学生たちが円安や物価高騰などによる経済的な理由で留学を断念又は期間の短縮をすることがないよう、円安影響分や留学先の物価影響分だけでも経済的な支援を行うよう検討すべきと考えますが、この件に関しましては盛山大臣からお願いいたします。
○盛山国務大臣 坂本先生おっしゃるとおり、現下の円安や物価高騰の中、海外で学ぶ意欲のある学生がその影響を受けることなく安心して留学の機会を得ることができるよう支援することは重要であると考えます。
このため、令和五年度から、円安等への対応として、六か月以上の留学者や学位取得目的での留学者に対して臨時の渡航支援金を給付するなど、国費による給付型奨学金の充実を図っており、令和六年度予算においても引き続き措置をしております。
文部科学省としては、これらの取組により、留学費用の負担軽減を図り、意欲と能力のある若者の海外留学の促進に努めてまいります。
○坂本(祐)委員 ありがとうございます。
留学につきましても、費用が不足する場合は、奨学金を利用することも今できる状況ではありますが、日本学生支援機構でも、留学用の貸与奨学金の制度があります。給付型もという大臣のお言葉もありましたが、大学等の学費や生活において既に奨学金を借りている学生にすれば、更なる借金を背負うことにもなります。そして、奨学金の返済が大学卒業後の人生の足かせになることも考えられます。
私は、大学等の学費を無償化又は軽減するというのであれば、留学については奨学金を利用するということでよいと考えますが、現在の大学等の学費が無償化、軽減がされていないような状況下であるならば、グローバル人材を育てるためにも、留学に対する経済的支援は更に必要ではないかと思います。
グローバル人材を育てることは、まさに人への投資であり、我が国の発展にもつながるものであります。給与型奨学金の拡大など、貸与という方法ではない、更なる経済的支援の拡充を検討していただきたいと存じますが、盛山大臣、いかがでしょうか。
○盛山国務大臣 坂本先生今御指摘のとおり、日本人の学生の海外留学を推進することは、今後の我が国を牽引していく人材の育成、それから日本がより一層国際的に開かれた社会にしていくために、大変重要なことだと思っております。
このため、令和六年度予算において、留学の機運を醸成しつつ中長期の留学を支援するため、海外大学との協定に基づく留学の支援人数を拡充するなど、国費による給付型奨学金の充実を図ることとしております。
当省としては、意欲と能力のある若者の海外留学を促進し、将来の日本を支えるグローバル人材の育成に引き続き努めていきたいと考えております。
○坂本(祐)委員 大臣から、国費による給付型の奨学金も考えていらっしゃると、力強いお言葉をいただきました。
まさに留学を経験される子供たちは、必ずや我が国の発展、そしてさらには世界平和に貢献をしていただけるものと確信をいたしております。留学支援をより一層推進していただけるように強く求めて、質疑を終了させていただきます。
ありがとうございました。
○田野瀬委員長 次に、前原誠司君。
○前原委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の前原でございます。
質問通告をしている議題に入る前に、ちょっと、総論として、大臣と予算についてお話をさせていただきたいと思います。
今日は多くの資料をお渡しをしているわけでありますけれども、よく、凋落の三十年とか、日本の競争力が落ちるということが言われているわけでありまして、それについては多くの同僚議員も頭を悩ませ、また問題点をしっかりと把握をし、対応策を取らないとというふうに考えておられると思いますけれども、まず、図一を御覧いただきたいと思います。
これはよく引用されますスイスのビジネススクール、IMDの国際競争力ランキングと言われるものでございます。対象の国、地域は六十四でございまして、三十年前は日本は四年連続一位でございましたけれども、残念ながら去年は三十五位まで低下をしていて、その低下傾向は収まっていないということがこの表から読み取れるわけであります。
次に二ページを御覧いただきまして、これは賃金の推移の比較であります。これも私はよく使わせていただくグラフでございますけれども、左が、一九九一年を一〇〇にして、主要先進国の中で賃金が、これは名目でありますけれども、名目平均年間賃金がどう変化したかということで、日本だけが横ばいということで、他の国々は賃金が大きく上がっているわけであります。スウェーデンは二・九倍、三十年間で。アメリカも二・八倍ということで、上がっていっている。
右側が、購買力平価ドル換算ということで、絶対比較をした場合にどうなのかというグラフでございますけれども、こちらは実質の平均年間賃金でありますが、日本がこの比較をしている国では最低レベル。韓国よりも抜かれている、韓国にも抜かれているというのが現実であります。
そして、三ページを御覧いただきたいと思いますけれども、G7、国々はこの七か国でございますけれども、残念ながら、G7の中で日本の労働生産性そして潜在成長率は最も低い。トップであるアメリカの労働生産性の約半分、潜在成長率に至っては三分の一以下である、これが日本の実力に今なっているわけであります。
そこで、大臣にお聞きをしたいわけでありますが、私はやはり予算というものはとても大きな意味を持つのではないかと思っております。この四ページを御覧いただきますと、上が一九九〇年度、そして下が今年度の予算を比べたものでありますけれども、四十六兆円増えているんですね。しかし、大きく増えているのは高齢化に伴う社会保障費。そして、この社会保障費の増に対してしっかりとした安定財源を確保せずに、この間財務省が発表したところによりますと国の借金は一千二百九十七兆円ということでありまして、また、これも財務省が発表していましたけれども、仮に一%金利が上がれば利払いだけで八・七兆円ほど増えるということでありまして、消費税三%程度が、金利一%上がれば吹っ飛ぶ、こういう状況であります。
こういった社会保障費増と、安定財源を確保しなかったことによりまして、防衛費はこの一、二年増えましたけれども、ずっと、公共事業も文教・科技費も、そして二年前までの防衛費も、そして地方交付税交付金も、シーリングをかけられてずっと変化がなかった。
教育費につきましては、皆さん御承知のとおり、森政権のときは実は六兆五千億まで増えているんですね。そして、三位一体改革ということで、小泉構造改革と称して、小泉さんが政権を、総理の座におられた間、一兆四千億円ほど五年間で減らされているということであり、今ほぼほぼ同じになっているということであります。
この五ページも御覧いただきたいわけでありますが、これは研究開発費の総額ということで、財政支出だけではございませんけれども、やはり覇権を争う国々からするとこの研究開発というものは死活的に重要なものでありまして、そういう意味においては、この日本が、増える社会保障費、そして安定財源がなかったことによる借金の増大、そしてその元利返済によって他の予算が制約をされて、そしてこの教育費についても言ってみれば大きく変化がなかったことが、私は日本の凋落の大きな原因であるというふうに思っておりますけれども、この私の見解に対する大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○盛山国務大臣 資料一から、日本の国際競争力、あるいは、GDPであり生産性であり、そういった推移について御説明いただきました。ありがとうございました。全般的な内容については、前原委員がおっしゃるとおりだと思います。
はるか昔になりますが、ジスカールデスタンの時代にランブイエのサミット、あのときはまだG6でございましたが、これを発足させた当時は、当時のG6、翌年G7になったかと思いますけれども、世界のGDPの五割以上を占めていたわけでありますし、日本がなぜ唯一欧米でない国で参加ができたのか。それはやはり当時の日本の地位、勢いがそれだけあった、あるいは逆に言うと、フランスでありアメリカであり、そういう国も日本に大いに期待をしていたということではないかと思います。
その後いろいろありまして、日本ももちろん発展したわけでございますが、この先生の資料でいうと、三十年ぐらいの間にこれだけの変化があったということでございます。いろいろな理由がその背景にあると思います。
そしてまた、ここに、四ページ目の資料には、公共事業と併せまして、文教、科学技術、こういったことも挙げていただいているわけでございますけれども、予算というのもその一つの理由、背景にあるのではないかな、私もそう思うところでございまして、日本の発展のためには、教育であり科学技術、そして、それ以外の部分もありますけれども、そういったものへの投資、あるいは、それによって国をとがらせていくというか、伸ばしていく、そういうことが必要ではないかなと私も感じているところでございます。
○前原委員 ありがとうございます。
図六を御覧いただきたいわけでありますけれども、これは教育支出の公私負担割合ということで、二〇二〇年でありますけれども、多い少ないは別にして、それぞれのOECD三十八か国の国々がどれだけ高等教育の財源を、言ってみれば、頼っているのかというグラフであります。
これについて言えば、三十八か国のうち日本は、私費負担、つまりは保護者の負担、親の負担の割合というのが三番目に大きいということであります。そして、先ほど皆様方に、大臣にも御覧いただきましたように、日本だけは賃金が上がっていない、こういった状況の中で私費負担が大きいということは、相当程度、やはり子供さんを持つ親には負担がかかっているということだろうというふうに思います。
中国は、この二十年間で教育、研究開発、二十四倍に予算を増やしておりまして、先ほど、研究開発費、アメリカを追い抜け、追い越せということで、指数関数的に予算を増やしていっているわけでありますけれども、あそこまでというのはなかなか難しいわけでありますけれども、やはり私は、教育、研究開発の予算を増やしていくということが国力を大きく増やしていく根底になるというふうに思っておりまして、文科大臣の大きなお仕事の一つは予算を増やすことだと私は思っておりますが、是非、今後の決意というか、思いをお聞かせをいただきたいと思います。
○盛山国務大臣 高等教育であり科学技術、こういったものは、人材の育成、知的創造の活動、そして新たな分野の研究開発を進めていく、こういうことにつながるというふうに思います。
そういう点で、前原先生御指摘のとおり、この予算を拡大をしていくというんでしょうか、十分な予算というものを教育であり科学技術、こういうものにつけていく必要があると私も考えているところでありまして、私の細腕でどこまでできるかは別でございますけれども、我々としても、必要な予算の獲得ということでこれから全力を尽くしていく、そういう気持ちを私も持っているところでございます。
○前原委員 御健闘をお祈り申し上げますし、また、ここにおられる、党派は関係なく、多くのこの文科委員会に所属をされている方々は同じ思いであるというふうに思っておりますので、是非、大臣をバックアップを我々もさせていただきたいというふうに思います。
さて、質問通告をした個別の問題に入らせていただきたいと思いますけれども、世界の大学ランキング、これはイギリスの教育専門誌タイムズ・ハイアー・エデュケーションというものが一番メジャーな物差しでございますけれども、二〇一三年に、お亡くなりになられた安倍総理が、今後十年間で世界大学ランキングのトップ百に日本の十校を入れると成長戦略に掲げられました。
もう二〇二三年度は終わりました。もう十年間がたちましたけれども、実現をできたかどうかをお答えをいただきたいと思います。
○盛山国務大臣 御指摘について、二〇一三年六月の閣議決定、日本再興戦略のことだと思います。この目標については、特定の世界大学ランキングを意図したものではないと考えておりますけれども、直近の世界ランキングにおきましては、例えば、タイムズ・ハイアー・エデュケーション、世界大学ランキングでは二校ということでありますし、QS世界大学ランキングでは四校、我が国の大学が入っております。
百位以内ということではそうでございますけれども、タイムズ・ハイアー・エデュケーション、世界ランキングでは、近年、我が国は全体的に順位は上げているものでございますので、国別のランクイン大学数は、全千九百四校中、百十九校とアメリカに次いで世界第二位となっています。
そして、この大学のランキングというのは、大学の国際的な評価を知るという一つの物差しではございません。それだけで全て決まるものではないということは、前原先生よく御案内のとおりかと思いますが、我々としましては、引き続き、国際的に伍していけるような、世界のほかのトップのところと肩を並べていくことができるように、大学の教育や研究力の強化に取り組んでいきたいと考えています。
○前原委員 ランキングが全てだと私も思いませんけれども、それを成長戦略に入れられて、閣議決定されたのは安倍政権じゃないですか。それを今更、ランキングだけが全てではないと言われるのは、私はおかしいと思いますよ。でしょう。それは逃げの答弁でしかないんですよね。
この目的、目標はもう諦められたんですか。それとも、まだこの百位の中に十校入れるという目標は生きているんですか。どうなんですか。
○盛山国務大臣 当時としてはそういう目標を立てたということになりますけれども、現時点で今後どうしていくのか、これはこれでまた別途考えていくことかと思います。
それで、繰り返しになりますけれども、ランキングということも、もちろんこれも無視するわけにはいかないわけでございますけれども、とにかく日本のレベルを上げていく、そのためには全力を尽くしたいと考えております。
○前原委員 できなかったからもう言いませんというのでは、私は寂しいというふうに思いますね。やはり、一度国家戦略として、成長戦略として閣議決定までして掲げたことについて、やり抜くということが私は必要だというふうに思います。
八ページを御覧いただくと、先ほど大臣が答弁されたように、私は批判だけするつもりじゃないんですよ。東北大学、阪大、東工大、こういったところは百位から二百位でありますが、順位を上げていっておりますので。そして、その右下が日本の大学ランキングということでありまして、しっかりてこ入れをしていけばいいんだろうというふうに思います。
そこで、私はそれを前提として伺いたいんですけれども、国際卓越研究大学というのがございますよね。大学ファンドを運用して、そして、その運用益というものを国際卓越研究大学に配分をしていくということであります。この想定校数が数校になっていますよね。安倍政権の、言ってみれば、成長戦略では十校を百位に入れると言っていて、そして、これは数校となっているということなんですよね。
そして、今日資料にもお配りをしておりますけれども、国際卓越研究大学の申請をしているところは、十五ページで、十校ですね。今のところ東北大学が選ばれる前提になっていて、ほかのところはその前提になっていないということでありますけれども、この十という数字は、安倍政権、つまりは自公政権で決められたものですよ。国家戦略として、成長戦略としてやると言っていた以上、これからどうするか分からないという御答弁ではありましたけれども、やはりそういった目的を掲げて、目標を掲げて十年間やってきた中で、いきなりそれを下ろしますわと、そしてまた、今度は国際卓越研究大学は数校ですというのは、私は矛盾があるんじゃないかと思いますね。
つまりは、国際卓越研究大学についてもやはり十校選ぶ、そして十校をちゃんと底上げをし、何年かどうか分からないけれども、しっかりと世界のランキングの百位の中には入るようにしますということが私はあるべき姿ではないかと思いますが、なぜ数校であり、十校でないんですか。
○盛山国務大臣 前原委員のお考えもあると思うんですけれども、現実の今の日本の現状を考えた上で、我々、大学ファンドから国際卓越研究大学への支援は、ほかの諸外国のトップレベルの研究大学との資金格差を縮めるため、集中的にまず支援を行うという観点から、対象は数校程度に限定をする。そして、そこで始めようということでありまして、現状は、先生も御案内のとおりでございますが、現在、初回の審査を進めているところであります。
具体的には、東北大学がその一番目にノミネートをされているわけでございますけれども、まずはこの取組を着実に進めていく。そして、その上で、大学ファンドの支援対象を段階的に、まずは、今一つノミネートされているのは東北大ということですが、段階的に数校程度に拡大し、長期的に支援を行うことを通じて世界最高水準の研究大学を実現していきたいというふうに、順次、段階を踏んで、今の置かれている現状を踏まえて、まずはここから踏み出していくということでございます。
○前原委員 今の御答弁を私なりに解釈すると、まずは数校だけれども、その次にまた第二弾がある、そして、それについて合計すれば十校ないしそれ以上になる、そういう御答弁でよろしいですか。
○盛山国務大臣 まだ、そこまで言うという段階ではございません。まずはここからスタートをして、そして、ある程度進んだ段階で、その時点でもう一度目標を含めて考えていく、こういうことになろうかと思います。
○前原委員 世界レベルの大学に伍するものを早くつくっていくということについては、異論はありません。異論はありませんが、私は、かなり今は差がついているという認識なんですね。
例えば、十一ページを御覧いただきたいというふうに思いますけれども、これは大学の基金、左側は基金の比較であり、そして右側が基金による運用益の比較でありますけれども、大人と子供にもなっていないような状況ですよね。これは言わずもがなですけれども。ハーバード大学の基金、これ、今円安ですから五兆円を超えていると言われているわけであります。二〇一九年度ですから、四兆五千億円は。ほかの大学、一番多いところで慶応大学、でも、これでも一千億いっていない、基金でですよ。今で恐らく九百億円台だと思いますけれども、こういう状況で、なおかつ運用益についてはほとんど出ていない状況であります。
私は、前回のこの文科委員会で、ハーバード大学、イエール大学がいかに運用をうまくやってきたかという話をさせていただきました。同じ資料を用意しておりますので、皆様方にも御覧いただきたいわけでありますけれども、十二ページを御覧いただけますか。
GPIFと大学ファンドの下にハーバード大学、イエール大学ということで書かせていただいておりますけれども、ハーバード大学については、一九七四年以降ですから、ちょうど五十年で収益率一一%。そして、イエール大学は、過去三十年間で一三・六%。四十年開いても一三・四%ぐらいだと思います。そういう非常に利回りのいい運用を行っているということで、物すごく差がついているということなんですね。
したがって、急激に本当に追いつけるのかというのが私の、追いつくべきだと思いますし、その努力を始めなきゃいけないし、大学ファンドというものをつくって、そして、それを国際卓越研究大学というものに入れていくということについては、私は是とする立場でありますけれども、本当にできるのかというところで質問をさせていただきたいと思います。
十四ページを皆様方には御覧いただきたいと思います。
右下でありますけれども、こういったグラフで、数校決めて、今は東北大学が一番のノミネートされている候補でありますけれども、こういう仕組みで大学に対して寄附をするんですけれども、外部資金獲得額というのは、大学も頑張れよ、つまりは、大学ファンドからのお金は下から渡すけれども、自分たちもこれをちゃんと確保しなさいよというのが条件ですよね。
これを見ると、大学ファンドからの助成額ということで、百掛けるα、そしてプラス三十掛けるβになっていて、文科省の御説明だと、αは一、そしてβは二ということでありますので、大学からファンドが、百という外部資金獲得額の目標とすれば、百六十ですよね。つまり、百の寄附を集めたら百六十を国として大学ファンドから出しますよ、こういうような仕組みになっているというのが国際卓越大学でありますけれども、仮にうまく運用したとして、この間はかなり酷評しました。
先ほど十二ページで見ていただいたように、大学ファンドの運用は非常に今拙いものになっていますけれども、仮にうまくいって三千億を数校に分けるとすると、五、六校と考えると、五百億円とか六百億円ですよね。
分かりやすくするために、これを例えば四百八十億円にしましょう、百六十の倍数で。百とそれから百六十の倍数で、三掛けて四百八十としましょう。つまりは、大学ファンドからある大学に対して四百八十億出すということにしましょう。ということは、幾ら寄附を集めなきゃいけないかというと、三百億集めなきゃいけないんです。先ほど見ていただいた今までの寄附の集め方で、本当にできますかということなんです。
令和八年度からフルスペックでやるということだそうでありますが、しかし、後でその寄附を集めるためにインセンティブの話はしますけれども、この数校でも、私は、なかなか、三千億という運用益を毎年毎年使うということにしたとしても、各大学に三百億円ぐらい集めろというのは相当大変なことであり、だからこそ、私は、むしろ十校にして、そして、徐々に徐々に十校に対して寄附を着実に集めるように促して、そして、それぞれが基金というものを積み立てていって、そして、それを運用していく方がいいんじゃないかというふうな思いなんですけれども。
大臣、三千億がフルで支払われる、数校に渡される、数校が五、六校か分かりませんけれども、例えば、五百億円、六百億円、計算しやすい四百八十億円とすると、寄附は三百億集めなきゃいけない。ハードルが高いと思われませんか。
○盛山国務大臣 おっしゃるとおり、ハードルは決して低くないと思います。
しかしながら、これはちょっと私、想像も入っているんですが、仮にハーバードやイエールであっても、今の規模になるには、これまで何十年もかけてきていると思います。そして、今の現時点での、日米だけではないんですが、金利差ですとか投資の利回りの差、こういったものもあります。そして、その背景にはまた、寄附というものに対する個人であり法人の意識の違い、日米というか、日本と日本以外の国の環境、土壌の違いというのが大きいと思うんです。
そういう点で、我々、前原先生の方から、十ということを十年ほど前にはちゃんと閣議決定していたのに、何でこんな一つだとか二つだとか、もう本当に情けないような目標を立てるんだというふうに今厳しく御指摘をいただいたところですが、逆に、足下を見て、どこまでできるかということも、やはり現実的なことも我々考えていかざるを得ないとも思うものですから、今のこのスキームですら決して楽ではないと思います。
ただ、じゃ、いつどうやって始めるかということにもなるものですので、まずはこういうようなやり方で、そして、これまで国立大学法人になってもうそれなりに時間はたっておりますけれども、国立大学ということで、国からお金が来るものだというような意識がまだ完全には払拭されてはおりませんですから、各大学法人の経営陣の皆様方には、今後一層、大学の教育環境を整える、あるいは研究環境を整えていくためには、御自身の御尽力もしていただかないといけない。その上で、我々も協力をしながらファンドづくりを手伝い、そして、そういうものを運用することによって、その研究機関のレベルを上げていこうとしているということを御理解いただきたいと思います。
○前原委員 現実に即して、今、東北大学を選ばれようとされている、そしてこれからまた増やそうとしている、私はそのハードルを低くしろと言っているんじゃないんです。やはりちゃんと条件を整備して、今日も資料をつけておりますけれども、どういう大学がどういう準備をすれば国際卓越研究大学に選ばれるかという基準を設けておられるわけですよね。だから、それに合わなければ無理やり入れる必要はないというのが一つ。しかし、だからといって、この大学ファンドの運用が、今、下手を打っていますけれども、下手を打ったままでいいということではない。三千億円あるいはそれ以上のお金をちゃんと運用して積むということは、ちゃんと確保されなければいけないということだと私は思うんですね。
その前提でお話をしますと、今、寄附という話をされましたね。大学の運営費というのは、授業料、それから受験料、寄附、基金の運用、そして特許の収入料、こういったものなどが考えられるわけでありますけれども、十ページを御覧いただけますか。寄附の話なんですが、これも、右側が、上がアメリカ、下がイギリス、左が日本でありますけれども、やはり日本の寄附の受入額というのは少ないんですね。それは、一言で寄附文化の差というふうに私は片づけてはいけないと自分自身でも思っているんですよ。つまりは、寄附文化の差だから、大学、我慢して努力しなさいではなくて、やはり寄附優遇税制がどうなっているのか。
今日は財務金融大臣あるいは副大臣をお呼びしていませんのでこの議論はしませんけれども、文科省として、他の国々と比較をしながら、やはり、こういう個人寄附あるいはこういう法人寄附、こういったものがしっかりとやられるようなものを財務省に対して求めていくということも私はやっていかなきゃいけないと思うんですね。
例えば、一例で申し上げると、個人寄附で繰越控除はないんですよ、日本は。ほかの国はあるところが多いんです。繰越控除をされるというのが多い。そういう意味においては、いろいろと、私は、文科省が、他国との比較の中で寄附文化の違いですわということで諦めずに、どうすれば大学に寄附が集まりやすいようになるかといったことをちゃんと制度的に担保するということがまず一つ大事なことだと思います。
これは、今日は財務金融委員会の大臣、副大臣を呼んでいないので、今日は提言までにしておきます。提言は、インセンティブをつくるべきじゃないかと。インセンティブ。つまりは、寄附して得をする。寄附したら得したいじゃないですか。母校愛とか、何かそういった慈善活動だけで寄附というんじゃなくて、やはり、寄附をしたら得をしますね、こういうような私はインセンティブが必要だというふうに思っております。
例えば、今、文科省は、大学発のベンチャー企業、スタートアップ企業、これをつくっていこうということで、いろいろな取組されておられますよね。例えば、私の一つの提案でありますけれども、ベンチャー支援をしていく。そして、そのベンチャーに対する情報は逐一、寄附者に対してはちゃんと届く。そして、寄附者も、このベンチャーが、ベンチャーなんというのは百分の一あるいは一万分の一、あるいはもっと低いかもしれない、しかし、そういうベンチャーの中でも、あっ、これは物になるんじゃないかというようなものの情報を常に渡しておいて、選ばれるのは御本人の自由でありますけれども、そのベンチャーが、資金繰りに困って増資をしたい、あるいは資本を集めたい、こういうことで、例えばプライベートエクイティーを発行する。プライベートエクイティーというのは未公開株ですけれども、未公開株を発行する。それについて、例えば寄附をした人は優先的にその未公開株、プライベートエクイティーを取得できる。
いや、物になるかどうか分からないですよ、それは。それは自己責任でやってもらわなきゃいけないけれども、例えばそういうことで、将来的な自分が寄附したことに対する大きなリターンというものがあるというようなことも私は一つのインセンティブだと思いますけれども、何かそういった寄附の優遇措置の更なる取組、あるいは寄附をした方に対する情報提供などによるインセンティブの強化、こういったものを考えるべきだと思いますが、いかがですか。
○盛山国務大臣 それはおっしゃるとおりだろうと思います。
我々も、ただ単に大学法人側に寄附しっかり集めてこいというふうに言うつもりではなくて、寄附を出しやすい、個人か法人かは別にして、寄附を出しやすい仕組みをどう改善すればいいのか、これは諸外国の例も含めて、現在我々の方で今調査をし、検討をしているところであります。
そしてまた、今先生がおっしゃるように、お得感というか、寄附をしてよかったな、寄附したら予想外にこんなおまけが来たよというか、そこももちろんオウンリスクでやってもらわないといけないわけでございますが、やはりそういうものがないとなかなかそれが加速化していかないと思います。
やはり、母校愛という言葉を先生が使われましたけれども、母校愛だとか高邁な理想にのっとって行動される方ももちろんいらっしゃいますが、百人が百人そういうことではないと思います。やはり少しでも多くの方に寄附であり御協力をしていただくためには、それなりの、うまみという表現を使うと悪いかもしれませんですけれども、寄附をすることによるメリット、これをどう感じていただくか。
本件について使う言葉かどうか分かりませんが、千三つ、千に三つという言葉もあるわけで、なかなかリスクが高いそういうような分野に、それであっても将来性にかけてやろう、あるいは、ひょっとするとこれによって将来うまくいくかもしれないから、そういうふうに思っていただける、あるいはそれを支援する、そういう環境というか土壌というか受皿というか、それを考えてつくっていくのは我々の仕事だろうと思っておりますので、税制についてもしっかり考えていきたいと私どもも思っています。
○前原委員 前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
税制、そしてインセンティブ、こういったものについて、すぐにということは申し上げませんので、是非文科省として、優秀な方々もおられるのでまとめていただいて、そして是非当委員会にそういった税制やインセンティブの文科省としての考え方を示していただきたいというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
○盛山国務大臣 御案内のとおり、我々、政府の中の組織でございますので、タイミング的にそれがいつになるのか、ちょっと今なかなか申し上げるわけにはいきませんですけれども、検討の上、いずれかの段階で御相談できるように、お示しをして、こういうことなので是非御理解、御支援賜りたいと御相談できるようにしたいとは考えております。
○前原委員 委員長におかれましても、取扱いをよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。
さて、時間がありませんので、最後の質問になろうかと思いますが、私自身も、大学、なぜか五年行きまして、そして、私の出た大学というのは、単位を取れば授業に一切出なくても、六十点以上の点数を取れば単位がもらえる、こういうようなかなり自由な大学でございまして、レジャーランドと言われる五年間を満喫をさせていただいたわけでありますけれども、私は、自分自身への反省も含めてなんですけれども、やはり大学というのは、日々ちゃんと勉強する。我々、教育無償化を実現するということで、高等教育、大学も大学院も無償にすべきだ、これは公私の区別なくやるべきだという考え方でありますけれども、だったらなおさら、ちゃんと勉強して卒業するということが私は必要だというふうに思います。
よく言われるのは、高いレベルの知識とか暗記量というのも必要だけれども、社会に出ると解のない道を我々は歩いていかなきゃいけない。そういう意味においては、考える力を含めた様々な、暗記とかいわゆる点数を取るだけの受験ではいけないのではないかということは言われているわけでありますけれども、よく言われる、入りやすく出にくい、そういったものに変えていくと、私は、高校受験、中学受験、あるいは小学校の学び方、塾、そういった全ての教育の在り方の見直しというものにつながってくるんじゃないかと思います。
今、文科省でもいろいろな取組をされているのは存じ上げている上で申し上げますけれども、大学入試のあるべき姿、人材育成ということを考えたときに、やはり、間口はある程度広く、そして卒業は勉強した者だけ、あるいはちゃんと学んだ者が評価されて卒業できる、こういう形に私は変えていくべきだと自戒の念も含めて思うんですが、大臣のお考え方をお聞きしたいと思います。
○田野瀬委員長 申合せの時間が経過しております。御協力願います。
○盛山国務大臣 前原先生は高坂正堯先生の御薫陶を受けられておりますので、レジャーランドの五年間を過ごされたとはとても考えられませんが、私はレジャーランドの五年間を過ごしまして、ゼミの先生から、君はゼミを取ったら単位がもらえるからここのゼミに来ているのかというふうに酷評されたぐらいでございます。
そういう私自身の自戒の念を込めて、先生がおっしゃる趣旨はもう大変よく分かるんですが、ただ、他方、私、落選中にちょっと大学で教鞭を執った覚えがございます。そのときに悩みましたのは、A、B、C、Dというランクづけを当時その大学ではしたんですが、本当にこの人にAを上げていいのか、この人にCを上げていいのか、そういうところは悩みました。つまり、物差しが各先生によって、あるいは場合によっては学校によって相当差があるんじゃないかということでございまして、ばっさりと不可をつけたいという気持ちに襲われるのでありますけれども、なかなかそれをする私に勇気がなかったので、少なくともCを上げたりしたりした覚えがあるんです。
そういったところを含めて、大学だけではありません、国民の皆様にも、こういうものだというような意識、共通の意識を醸成していただかないと、急に採点だけを変えてもうまくいかないんじゃないかと思います。
いずれにせよ、教育の在り方、高等教育だけではなく初等中等教育から、我々、これからも関係の先生方とともに検討させていただきたいと思います。
○前原委員 ありがとうございます。また、そういった議論はさせていただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。
○田野瀬委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
請願の審査も含めた一般質疑であるということですので、まず、請願について聞きます。
昨年六月二日の当委員会で、請願の扱いについて私は取り上げて、私は、十四年間、四千万筆もの請願が、ほとんど全会派の議員が紹介議員となって提出されながら、採択されずに来たことを指摘をし、是非真剣な検討を各会派にお願いしたい、こう申し上げました。
その結果どうなったのか。昨年の通常国会、最も幅広い会派の議員が紹介議員に名を連ねた、教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願について、その筆数とその扱いについて、文部科学調査室からお答えいただきたいと思います。
○藤井専門員 お答えいたします。
第二百十一回国会において文部科学委員会に付託された、教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願につきましては、各会派に紹介議員がわたっており、合計の件数は百二十七件、合計の署名者数は百七十七万五百九十八名となっています。
また、本請願につきましては、理事会における協議の結果、委員会での採否の決定は保留となっています。
以上です。
○宮本(岳)委員 今あったように、結局、昨年も採択されることなく終わってしまいました。全ての会派の議員が名前を連ねているにもかかわらず、保留とされ、審議未了となったんです。これほど、憲法十六条に定められた国民の請願権を愚弄する話はないと思うんですね。
私学助成の請願は、本日も、今国会も委員会に付託をされております。現段階で紹介議員は何人になっているか、会派別に答えていただきたい。また、現段階で何筆となっておりますか、調査室。
○藤井専門員 お答えいたします。
今国会の文部科学委員会に付託された、教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願につきまして、本日時点における紹介議員の会派別の件数、署名者数は、自由民主党・無所属の会が三十五件、六十九万二千五百八十四名、立憲民主党・無所属が四十六件、五十四万九百三十一名、日本維新の会・教育無償化を実現する会が七件、一万二千四百九十二名、公明党が三件、六万一千四十五名、日本共産党が十七件、五万二十三名、国民民主党・無所属クラブが三件、六万一千二百七十名、有志の会が二件、八千六百七十名、れいわ新選組が一件、五十名となっており、合計の件数は百十四件、合計の署名者数は百四十二万七千六十五名となっています。
以上です。
○宮本(岳)委員 資料一を御覧いただきたい。これだけ多くの議員が紹介議員となっており、既に百四十三万筆となっております。これを会期末までに放置し、その挙げ句に保留とし、審議未了とするのは、多くの国民の願いをむげにするだけでなく、紹介議員になっておられる議員に対しても失礼な話ではないかと言わざるを得ません。
紹介議員から説明を聴取することや、請願者を参考人としてお招きして請願趣旨やその思いを聴取するなど、請願の審査を行う委員会を開催すべきだと思います。
一九七〇年の第六十三回国会では、議運理事会で、請願審査の慎重を期するため、各委員会において可能な限り十分な審議の時間を取る等特段の考慮を願いたいと決定された事実もあります。以来、我が党は一貫してそれを求めてまいりました。
本日の委員会は、理事懇談会の場で、与党筆頭からも請願の審査を含む一般質疑との御発言がありましたけれども、残念ながら、請願者の参考人招致については入れられませんでした。請願の審査のためには、直接請願者をお招きして意見を聞き、その上で各党が責任を持って扱いを決定することが重要、必要だと思います。
委員長、是非、請願者の参考人招致についてもお取り計らい願いたいと思います。
○田野瀬委員長 ただいまの件につきましては、理事会にて各会派の協議をいただけたらと思います。
○宮本(岳)委員 次に、奈良教育大学附属小学校の強制出向の問題です。
この問題は、子供と教育に大きな傷痕を残しました。現場の先生方は、この春以来、突然の出向による大混乱の中、昼夜を問わず必死に教育を支えていますけれども、強制出向は、このままでは来年も再来年も、全員出向まで続く、とても許せないと訴えておられます。
こんな理不尽なことがなぜ起きたのか。前回ただしたように、大学側は文科省上層部から全員替えろと言われたと公言し、国の違法な介入疑惑が浮かび上がりました。文科省は、そんなことは言っていないと答弁をいたしました。文字どおり、矛盾。白黒つけるためには、大学と文科省の打合せの記録、録音データが必須だと思います。
その提出を求めた四月の三日、本委員会での私の質問に対し、望月禎総合教育政策局長は、十二月に打合せが実施されたことを明らかにいたしました。十二月に打合せが行われたということでありますけれども、正確にはいつ行われ、その際どのようなやり取りが行われたのか、その議事録あるいは打合せのメモ、録音や録画データは見つかったのか、お答えいただけますか、局長。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の奈良教育大学と文部科学省の打合せにつきましては、オンラインで、十二月十三日、十二月二十日、十二月二十七日の三回行われていたことが確認されたところでございます。
録音データなどについては、これは通常、打合せの場には、我々、取りませんけれども、この場合にも存在しておりませんで、事務的なやり取りでございましたので、議事録等も作成はしてございません。
内容につきましては、学校において、これまで、児童に対して、学習指導要領に基づいての件では、不足していた時数、あるいは、どういう形で児童に対して回復措置をしていくか、また、大学としてのその後のスケジュールなどについての事務的なやり取りについて確認をさせていただいたと承知をしているところでございます。
○宮本(岳)委員 議事録がないというのはにわかに信じ難いんですけれども、担当課にヒアリングをしたということは、誰が出席したかは特定できているということであります。
どの部局が参加したのか、また、その参加者の手控えやメモがあるかどうか、それは、局長、確認しましたか。
○望月政府参考人 昨年十二月の打合せの状況につきましては、関係課として、総合教育局人材政策課、高等教育局国立大学法人支援課、初等中等教育教育課程課、三局にまたがっての会議で、それぞれの打合せについては、どの人がどの形で出て、どういうような確認をしたかということに関しては、もう既にそれぞれの方々で把握をしておりまして、統一的なそうした議事録は残ってございません。
そうした打合せの内容としては、先ほど申し上げたとおりでございまして、議員にもお伝えをさせていただいているとおりでございます。
○宮本(岳)委員 それぞれ特定できていて、それぞれでは確認をしている、中身はですね。
それで、事前に出していただいた十月十日に行われた会議の概要を見ますと、この会議概要には対応した部局が全て書かれておりました。そして、十二月の三回の打合せ、この内容については、今局長が答えられた、不足していた時数、回復措置の実施、その後のスケジュールに関するものという回答をいただいております。その中身こそが重要だと思うんですね。
十月十日の会議概要によりますと、双方向の人事交流についても考えてみてはどうかと文科省が言及した事実が文科省提出ペーパーに記されております。それを受けた三回の打合せなんですね、今の話は。
その三つ、内容が少し語られましたが、その三つ目、その後のスケジュール、こういうわけですけれども、当然、大学側が文科省から言われたと言われる、まさかこのメンバーでこの四月を迎えるのではないでしょうねというやり取りも、いわばその後のスケジュールに関するものに含まれ得るものであるということは否定できないと思います。
文科省が何を言い、奈良教育大側が何を言ったか、具体的なやり取りを確認するためのメモや手控え。議事録はないと聞いておりますが、とにかく、個々の職員がその際のやり取りをメモしたものも含めて全て出していただく、それを確認する必要があると私は思います。ところが、総合教育政策局は、強要した事実はないなどと繰り返すばかりで、探すつもりも確認するつもりもないかのような態度を続けております。
ここは大臣にお伺いしたい。幾ら何でもこんな対応は不誠実だと思いませんか、大臣。
○盛山国務大臣 先ほど局長が御答弁申し上げたとおりでありまして、局の方では、つまり文部科学省側では、それなりに調査をしたというんでしょうか、過去のやり取り等を含めて、どうであったか調べた上での御答弁ではなかったかと思います。
○宮本(岳)委員 文科省内ではそれなりに調査をした結果だというんだったら、その調査の結果を出すのは当然じゃないですか、大臣。
○望月政府参考人 今ほど大臣から御答弁をさせていただきましたけれども、打合せにおきまして個々の職員が職務に照らして大学側と事務的なやり取りをしたもの、それについては、個々の職員がそれを確認した上で大学が自ら対応しているというものでございまして、それについての概要等はございません。
そして、では、関係課の職員が個々に残したメモについて、あるのではないかというお話かもしれませんけれども、それは行政文書ではないというふうに考えてございまして、公文書の域を超えて個人メモの範疇に至りまして打合せの記録を省内で探すという必要があるとは考えてございません。
○宮本(岳)委員 公文書たる会議録、公文書たる文書が残っていないから、そのようなメモも含めて、プライバシーや個人情報は消していただいていいですよ、また、一つにまとめていただいてもいいですけれども、当委員会に提出していただきたいと思います。
これも、委員長、委員会の名前で是非そういう資料の提出を求めていただきたい。
○田野瀬委員長 ただいまの件につきましても、理事会で協議させていただきます。
○宮本(岳)委員 さて、奈良附属小学校への介入は、国の疑惑と並んで、もう一つの疑惑があります。奈良県教委からの介入という疑惑があります。このことについて質問をしたいと思うんです。
まず、確認するんですけれども、地教行法上、県教育委員会は国立大学の附属学校を所管していないし、指導助言する権限はない、これは地教行法としては間違いないですね。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる地方教育行政法においては、文部科学大臣及び教育委員会相互間の関与の在り方として指導助言等の規定等が置かれておりますけれども、教育委員会から国立大学附属学校への関与については規定されていないところでございます。
その上で、一般論で申し上げれば、都道府県教育委員会が人事交流等に関する検討を行うため、関係者である国立大学附属学校に対して連絡や問合せ等を行うことはあり得るものと考えております。
○宮本(岳)委員 前半でいいんですよ。
国立大学附属学校は、国立大学が設置者で、その自治の下に運営されるものであって、その運営について設置者でもない県教育委員会があれこれ口を出すのはお門違いということであります。
ところが、県教育委員会は、何と奈良教育大学附属小学校に限って、独自の通知文書を発出をいたしました。資料としてお配りをしておりますけれども、県教育長から附属小学校校長宛ての通知であります。
資料二の五月三十日付通知を見ていただきたい。右上、文書ナンバーは号外、左上にはわざわざ公文書扱いと書かれ、発出元は奈良県教育委員会教育長とあります。通知文のタイトルは「奈良教育大学附属小学校における予備調査の実施について」でありまして、小学校内に立ち入って三つの内容を調査すると通知をしております。調査内容の第一は道徳科の年間指導計画についてでありますけれども、地教行法上、県教委が国立大学附属小学校の道徳科の年間指導計画を調査する権限はありますか、初等中等教育局長。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しとなりますが、いわゆる地方教育行政法においては、文部科学大臣及び教育委員会相互の関与の在り方として指導助言等の規定は置かれておりますが、教育委員会から国立大学附属学校への関与については規定されていないところでございます。
一般論で、更に繰り返しになりますけれども、都道府県教育委員会が自ら……
○宮本(岳)委員 繰り返さなくていいですからね。
調査内容の第二は、ある教諭の令和五年度校務分掌の決定に至る過程について、調査内容の第三は、その他、学習指導要領の適正な実施に疑義が生じている件について、これが調査内容なんですね。
もう後半の話はいいですから、端的に。この二つについても、県教委に調査の権限はないですね。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
法令上規定のない教育委員会からの調査依頼については任意で行われるものであると考えておりまして、依頼を受けた側に応答する義務はなく、回答を拒否した場合でも違法となるものではないと認識しております。
○宮本(岳)委員 そんなことは聞いていないんですよ。したがって、法令上の根拠はないという答弁を、何か気を遣ってそういう答弁をされたのかも分かりませんね。
当然そのような権限はありません。どのような判断であろうと、法律上の所管外のことを行えば法律違反でありますし、通知は無効です。
この通知は全教員に配付をされ、教員たちは筋が違うと抗議したということでありますが、その後、県教委自身が、県教委の所管を超える部分があったと認め、通知を六月七日に撤回したと我が党の山村幸穂奈良県議に説明をしております。明らかに違法な通知だった、だから撤回したんですね。
この通知について文科省から奈良県教委に問合せをしたと聞いておりますけれども、この通知は文書で発出され、公文書となっております。これは公文書となっているんですよ。私は撤回したと聞いておりますけれども、どのような形で撤回したか聞いておりますか、文科省。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
口頭で伝達されたことについては、奈良県教育委員会から聞いているところでございます。
○宮本(岳)委員 そうなんですね。文書で発出した通知であるにもかかわらず、撤回については口頭で校長に説明しただけだと聞いております。
その結果、校長は、撤回の説明を聞き漏らしたのか、通知撤回の認識を持たず、教員にもその旨説明せず、違法な通知から十か月もたった今年三月二十八日にやっと県教委からの再度の確認で撤回を認識した、こういうことのようであります。現場の先生が筋が違うと言うのは当然でありまして、それほどに、県教委は国立大学附属小学校を所管しないということはもう地教行法のイロハのイだからであります。
大臣、そんなイロハのイもわきまえない通知を県教育長名で出した県教委、しかも、撤回したのにそのための通知も出していない県教委は、私は法令遵守の点でやはり不十分だと思いますけれども、大臣、そう思いませんか。
○盛山国務大臣 各都道府県の教育委員会から発出される通知の取扱いについては、それぞれの都道府県において適切に判断されるべきものであると考えますので、個別のコメントは控えさせていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 私が言っているのは、個別具体の問題や、入り組んだ複雑な話ではないんです。県教委の所管に関わる法的整理の問題。そもそも、地教行法上出せない通知を出して、そして、撤回したのに文書でも確認しないというのは、こんなずさんなことでいいのかということを申し上げている。その答弁しか、もしかしたらできないのかもしれませんけれどもね。
法的に所管でもない国立大学附属小学校になぜ当然のように通知を出してしまうのか、こういうことが生まれるのか、更に議論したいと思います。
附属小学校の最高責任者である当時の校長は、校長に赴任する前は奈良県の下市町の教育長であり、その前は奈良県教育委員会の事務局教職員課主幹であったということを私は確認しておりますが、間違いないですね、文科省。
○望月政府参考人 委員御指摘の奈良教育大学附属小学校の前校長の前職は、奈良県下市町の教育長であったと承知してございます。
○宮本(岳)委員 まさに県教委出身の人物でありますけれども、改めて確認をしたいと思います。
国立大学附属学校の校長は、設置者である国立大学法人の管理下にある、すなわち、国立大学法人の指導助言の下で職務を履行する、遂行する、これは間違いないと思うんですが、間違いないですね、高等局長。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど委員おっしゃったように、国立大学附属の校長は、当該国立大学法人の職員であり、任命権者である学長等による指導監督を受ける立場にございます。
○宮本(岳)委員 これも当然過ぎるほど当然の話だと思うんですね。
ところが、現実はそうなっていないんです。一、二年したら帰っていく教育委員会から派遣された校長が、また帰るわけですから、帰っていく教育委員会の意向に従って職務する、こういうことが現場では間々ある。とりわけこの校長はそういうことをされていたというふうに伺っております。
この小谷氏はどうだったか。資料三をおつけしてあります。これは、今年、二〇二四年四月二十三日のしんぶん赤旗でありますから、しんぶん赤旗の記者がインタビューしたのに対して、この前校長がお答えになっているわけですね。ですから、当然、赤旗と分かって答えておられますから、まずいという意識はなく答えておられるわけでしょう。小谷氏は取材に対し、毛筆をしなくてもいいのかと県の吉田教育長(当時)に相談した、こう述べているわけですね。
また、この校長は、先ほどの五月三十日付の県教育長の通知の調査受入れ、これを熱心に主張したと現場から聞いております。当時、小谷校長は、設置者の大学ではなく県教委の指導を仰ぎながら仕事をしていた、こういうふうに言われているわけです。
しかも、県教委から来たのはこの校長だけではないんですよ。附属学校を統括する奈良教育大学の部門、附属学校部の部長も県教委メンバー。
このように、県教委出身者で固めてしまったために、県教委に指導を仰いだり、県教委が附属学校を自らの所管であるかのように振る舞ったり、これが違和感なく現場で受け入れられているということになっていると思うんですね。
これは幾ら何でもおかしい、地教行法上もおかしいというふうに思うんですが、これは事務方でいいですけれども、問題ありませんか。
○望月政府参考人 国立大学附属学校の人事に関しましては、それぞれの大学における御判断によりまして、県の教育委員会あるいは市の教育委員会等との人事交流を行ったり、あるいは他の大学の職員との交流を行っているというものと考えてございまして、この奈良教育大学附属学校における人事交流につきましても、大学における御判断として行っているものと考えてございます。
○宮本(岳)委員 いや、大学の判断で済まないんですよね。
それでは、今の体制はどうなっているか。今年度は更に多くの県教委メンバーが管理職になっております。資料、先ほど申し上げた大学副学長と附属学校部の部長は、元奈良県教育委員会の事務局指導主事でありますけれども、資料四を見てください。現在の体制ですよ、これは。
現校長は教育委員会退職者、副校長は不在、教頭と主幹教諭は教育委員会からの出向者、こうなっております。つまり、全員が県教委の職員であります。奈良国立大学機構のもう一方、もう一つの大学がここには入っているんですが、奈良女子大学、ここにも附属小学校があります。セットになって、横に並んでいますね。ここは、校長、副校長、主幹、全て大学教員になっております。奈良教育大との違いがくっきりしておりますね。
以前は、国立大学教育学部附属学校の校長は、ほぼ全員がその大学の教授でありました。なぜそれがこれほどまでに変化したのか、激変したのか。これは、勝手に変わったんじゃないですよ。国の方針で変わったのではありませんか。
二〇一七年八月二十九日、国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革に関する有識者会議が取りまとめた「教員需要の減少期における教員養成・研修機能の強化に向けて 国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革に関する有識者会議報告書」、この報告書にはどう書かれているか。その二十六ページ、「早急に対応すべきこと」のうち、「1校長の常勤化」にどのように書いてあるか、読んでいただけますか。望月さんでいいです。
○望月政府参考人 御指摘の箇所につきまして読み上げます。
「各大学及び附属学校は、学校の実情に応じて、大学教員である校長が常勤として責任体制を強化すること、あるいは、公立学校出身教員を常勤の校長として登用するとともに大学に附属学校を統括する組織を置くこと等により、大学による附属学校全体の有機的なつながりをもったガバナンス強化を進めること。」でございます。
○宮本(岳)委員 まさに国が指導して、国立大学附属学校に県教委の人間を引き入れた。県教委の人間が、今回の奈良のように、附属学校を県教委の領地のように扱えばどうなるのか。前校長は朝日新聞のインタビューで、子供たちに悲しい思いをさせてしまったと述べましたけれども、教育を壊し、子供の心を傷つけるような結果になるわけであります。
資料五は、全国国立大学附属学校連盟のホームページであります。国立大学附属学校の使命として、実験的で先導的な学校教育への取組とありますね。
資料六は、全附連会報誌に載っている盛山大臣の挨拶であります。国立大学附属学校がより先導的な役割を果たしていただくことを期待しております、大臣はここに出席をして、そう述べておられます。
大臣、国立大学附属学校は、歴史的に、実験校としての役割を担い、かけがえのない役割を果たしてまいりました。これからもそうした役割を果たしていくべきだと私は思いますが、大臣の御感想をお伺いしたいと思います。
○盛山国務大臣 今御指摘の資料のとおり、私、そのように御挨拶をしました。国立大学附属学校は、それぞれの学校の状況に応じて、地域のモデル校としての役割を果たしていただきたい、そして、それと同時に、大学との連携によって実験的、先導的な教育課題への取組をしていただき、その成果の普及を図っていくということが期待されているわけでございますので、先ほどの資料につきましても、そういう認識の上で、国立大学の附属学校にはより先導的な役割を果たしてほしいということを発言したものでございまして、今の時点で、私もその考えについては変わっているものではありません。
○宮本(岳)委員 実験的で先導的な、こういう役割を担ってきたわけですね。
それで、国立大学の附属学校というと、何か試験で選抜されたエリートのような子供たちばかりという誤解もあるんですが、特に奈良の場合は特別支援教育にも大いに力を入れていまして、奈良の教育大附属でなければこの子は育てられないのだと保護者の方が望んで通っておられるという子供たちもいっぱいいるわけですよ。そういう意味では、こういった歴史的な国立大学附属学校の役割をしっかりと踏まえて、校長等の派遣の在り方を見直すべきだということを提案して、私の質問を終わります。
○田野瀬委員長 次に、西岡秀子君。
○西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。
本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。
まず、小中学校の給食の無償化につきまして質問させていただきます。
今日午前中からも質疑があっておりますけれども、政府は、二月の予算委員会、坂本委員への答弁として、岸田総理が、全国ベースの実態調査結果を六月までに公表する、実施状況の課題を整理して結論を出すという御答弁をされております。
先ほどからの答弁でも、質疑の中でもありますように、昨年十二月の閣議決定されたこども未来戦略によりますと、一年以内に自治体の調査を公表した後、その課題について検討するということが盛り込まれております。
六月の公表ということでございますので、若干前倒しをされたスケジュールで進んでいるのではないかというふうに期待をしているわけでございますけれども、答弁の中では、午前中、今調査中というお答えがございました。
今後、調査中ということでございますけれども、公表へ向けたスケジュールを含めて、実施に向けた課題、このハードルが何であるというふうに大臣は認識をしておられるのかということも含めまして、今後の取組方針について盛山大臣にお伺いをしたいと思います。
○盛山国務大臣 今、西岡先生からお話がありましたとおりでございます。
学校給食費の無償化の検討に当たっては、これもちょっと繰り返しになりますが、一部の自治体や学校において学校給食が実施されない状況もあるため、児童生徒間の公平性等の観点から、実態を詳細に把握した上で課題を整理する必要があるということでございます。
それで、学校給食費の無償化については、昨年十二月に閣議決定したこども未来戦略において、全国ベースでの学校給食の実態調査を速やかに行い、こども未来戦略方針の決定から一年以内にその結果を公表するというふうにしているところでございまして、現在、詳細な実態の把握を行うべく、現在調査を実施しているところでございますので、いましばらく、この調査の結論であり、そして対策をまとめるのにはお時間を頂戴したいと思います。
○西岡委員 六月に公表されるということでございまして、その結果を基に検討をされるのではないかというふうに思っておりますけれども、学校給食の重要性につきましては、児童生徒にとっての重要性については、ここで言及するまでもない、大変重要な役割を果たしております。
また、近年においては、子供たちの貧困の問題が大変深刻となっておりまして、給食が唯一の栄養を摂取する機会でもある児童生徒も増えているという面から、命や健康に関わる大変重要な問題であるというふうに認識をいたしております。
ただ、一方で、自治体独自の給食費の無償化の実施が広がっておりまして、先般の報道では、全体の三割に達しているということもございました。
また、令和四年度から、物価高騰による学校給食等の保護者負担軽減策として、感染症の地方臨時交付金が活用されて負担軽減も図られてきたところではございますけれども、午前中の質疑の中で木村委員からもお話がございましたけれども、青森県、県で導入をされる、また東京二十三区においては導入が進んでおりまして、現在、児童生徒が住んでいる場所によって給食費が無償化であったり無償化でなかったり、また、多額の予算が無償化には必要であるということも含めて、自治体間格差が大変広がっているという今状況がございまして、ある意味、自治体間の競争を生んでいるという事態も起こっております。
今、給食費の無償化についてこれだけ全国で自治体間格差が生じているということについて、盛山大臣としてどのように認識をしておられるのかということ、また、国の責任とやはり財源による学校給食の無償化というのが必要ではないかというふうに思いますけれども、このことに対する大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。
○盛山国務大臣 自治体間格差がある、あるいは自治体間の競争になっている、そういうような御指摘、御批判があるというのは私も承知をしておりますし、また、地方公共団体の首長さん、知事や市長、そういった方からも、こういったことに対する懸念、あるいは取組の強化要請、こういったところを受けておりますので、そういう状況は承知をしております。
それで、児童生徒の学校給食費については、経済状況が厳しい保護者に対しては、生活保護による教育の扶助や就学支援を通じて支援をしております。
そして、学校給食費の無償化につきましては、学校の設置者と保護者との協力により学校給食が円滑に実施されることが期待されるとの学校給食法の立法趣旨を踏まえ、設置者である自治体において適切に御判断いただくべきものであるとも考えております。
その上で、国における検討に当たっては、今申し上げましたような御要請も含めまして、一部の自治体や学校において学校給食が実施されていない状況もあり、児童生徒間の公平性等の観点から、実態を詳細に把握した上で課題を整理する必要がある、こう考えております。
ということで、まずは実態調査、そしてその分析を行った上で、小中学校の給食実施の違いや法制面等も含めた課題を整理していきたいと考えております。
○西岡委員 大臣からは、様々な課題があるということで、公平性という面での課題が一番大きな課題ではないかというふうに思っておりますけれども、この完全無償化を国が行うことによりまして、未実施自治体における給食を実施をしていくということにもつながりますし、どうしても自治体が抱える問題によって実施ができないところにつきましては、その問題解決へ向けてしっかり国が支援をするということも必要だというふうに思っております。
また、あわせまして、今、みどりの食料システム戦略のオーガニック事業の中で、有機食材を使った給食、また食育への支援が位置づけられておりまして、この無償化の制度設計の中で、地産地消、また有機食材の活用を是非盛り込んだ制度設計にしていただくことを併せてお願い申し上げたいというふうに思っております。
続きまして、物づくり教育の充実について質問をさせていただきます。
二〇二二年のものづくり白書によりますと、製造業の就業者数がここ二十年間で百五十七万人減少しているという数字が出ております。全産業に占める割合も減少しておりまして、若い世代への日本が誇る技術力の継承というのが喫緊の課題であると認識をいたしております。
専門学校や高専以前の初等教育の段階から高等教育に至るまでの、発達段階や能力に応じた継続的な物づくりの教育の充実が大変重要であると考えております。学校現場における工作や技術の時間数というものも、こま数も減少しておりまして、今、我が国にとって、技術者の高齢化と技術者不足は大変大きな政治課題でございますし、我が国の国際競争力の低下に拍車をかけるものにもつながりかねないということで危惧をされております。
物づくり教育の現状の取組と充実へ向けた今後の方針についてお伺いをいたします。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、物づくりは日本の強みでございます。ものづくり白書にも確かに記載されてございますとおり、技術力の継承というのは日本としてやっていかなきゃいけないことだと思っております。
物づくり分野で国際競争力を強化し、持続的な経済成長を目指すためにも、その基盤を支える教育の充実、その教育を通じた人材を育成していくことが大変重要と認識してございます。
初等中等教育段階から高等教育段階を通じての物づくりに資する教育といたしましては、御承知のとおり、義務教育段階、中学校で、技術・家庭科の分野では、多くのことを生徒がいろいろ学ぶ中においても、物づくりなどの技術に関する実践的、体験的な活動を通じまして、技術によってよりよい生活や持続可能な社会を構築する資質、能力を育成することとしております。
また、高校におきましても、例えば工業高校などにおきましては、御承知のとおり、物づくりなどの実践的な教育を推進し、地域や社会の健全で持続的な発展を担う職業人としての資質を育成しております。
高等教育段階では、まさに高等専門学校、高専、あるいは大学において、高度な技術者の育成、産業界との連携による実践的な教育にも取り組んでいるところでございまして、例えば半導体分野では、産学官が連携した地域単位のコンソーシアムを通じて、産業界から求められる人材の育成の推進、あるいは、先般、本委員会でも御可決いただきました学校教育法の改正による専門学校の質の向上という観点もこれに資するものでございますけれども、専門学校でも、社会の変化に即応した実践的な職業教育機関として、工業などの分野において、社会基盤を支えるために必要不可欠な地域の人材を輩出しているところでございます。
これらの各学校段階での取組を通じ、また、社会や産業界のニーズも踏まえながら、物づくり教育の充実を通じた人材の育成の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
○西岡委員 今御説明がございまして、様々な充実への取組をされているということも認識をいたしておりますけれども、初等教育段階から、大変小さい頃から、やはり、物づくりの面白さ、これをしっかり子供たちが経験をしていくということが技術者として目指す土台になるというふうに思いますので、是非その部分での教育の充実も含めてお取組をお願いを申し上げたいというふうに思います。
続きまして、大臣所信の中でも述べられておりました医療的ケア児につきまして質問させていただきます。
医療的ケア児の学校現場の受入れ体制の整備につきまして、三月八日の、総務省の行政評価局から、改善が必要であるという調査結果が公表されて、文部科学省に改善が要請されたと認識をいたしております。家族が付添いを余儀なくされ、離職ですとか休職につながっていて、早急な対応が必要であるということで要請がなされたというふうに理解をいたしておりますけれども、今後、看護師の配置等どのように進めていかれる方針であるかということにつきまして、盛山大臣にお伺いをしたいというふうに思っております。
○盛山国務大臣 令和六年三月に総務省行政評価局が実施した、医療的ケア児とその家族に対する支援に関する調査結果に係る通知を受けまして、当省では、本年四月に各教育委員会等に対する通知を発出しております。
この通知の中では、各地域の医療的ケア児支援センターなどと連携しながら医療的ケア児の情報の早期把握等に努めることにより、必要な医療的ケア看護職員の確保に早期から着手すること、また、保護者の付添いについては真に必要な場合に限ることや、医療的ケア看護職員の確保を通じて、校外学習等を含め、保護者の負担軽減を図ること等の対応を求めたところであります。
また、令和六年度予算におきましては、医療的ケア看護職員等の配置に対する補助事業を拡充するとともに、保護者の付添いを軽減するための方策や医療的ケア看護職員の確保、配置方法に関する調査研究事業を新たに実施することとしております。
当省としては、医療的ケア児支援法の趣旨を踏まえ、保護者の付添いの解消に向けた取組が各学校等で適切に行われるよう、引き続き支援の充実に努めてまいります。
○西岡委員 大臣所信の中でも述べられておりまして、予算にも盛り込まれております。しっかりその支援、体制整備について、引き続きお取組をお願い申し上げたいというふうに思っております。
続きまして、日本版DBS法案につきまして、文部科学省としての取組につきまして質問をさせていただきます。
先般私も本会議で登壇をさせていただいた法案でございますけれども、国民民主党としても、子供に接する職業に就く従事者の性犯罪、これは大変ゆゆしき事態であるし、子供に対する性暴力防止の取組は大変重要な課題であるという認識の下で、日本版DBS法の創設の必要性を訴えまして二〇二一年に議員立法を提出をさせていただいている経緯がございまして、我が党にとっても大変重要な法案だと認識をいたしております。
この法案において、学校設置者等は、新たに教員等として本来業務に従事させようとする者について犯罪事実確認を行うことが義務化され、現職にある者、内定者もその対象とされております。教員数が多いことを踏まえて、施行から三年以内という、認定を受けた民間教育保育等事業者等の一年間という期間に比べて長い猶予期間が設定をされております。
どのような手続でこれから確認を行っていく方針であるのかということについてお伺いをさせていただいて、また、五年ごとに犯罪事実の確認を行うこととされております、どのような議論を基にしてこの期間が設定されたのか、この期間、またこの妥当性について、文部科学省としてどのような認識を持っておられるかということについてお伺いをさせていただきます。
○望月政府参考人 子供性暴力防止法案につきましては、現在、こども家庭庁の方から国会提出させていただきまして、現在審議中でございまして、制度設計の詳細につきましては、これは一義的にはこども家庭庁においてお答えをいただく方が適切かと思いますけれども、文部科学省にというお尋ねでございましたので、お答えできる範囲でお答えさせていただきたいと思ってございます。
二つの御質問をいただいたと思っています。
一つは、犯罪事実確認の手続についてでございます。
子供性暴力防止法案では、学校設置者等において新たに採用しようとする教員等に対する犯罪事実確認を行うとともに、法施行後三年以内で政令で定める期間内に現職教員等の犯罪事実確認を行うことが求められてございます。学校設置者等は、こども家庭庁に対して必要な申請を行っていただいて、犯罪事実確認書の交付を受けるとなるというふうに考えてございます。
こども家庭庁では、そのとき効率的な事務の執行のために、オンライン申請などが可能となるシステムの開発、分かりやすい周知広報、特に現職教員等の犯罪事実確認につきましては、申請時期が特定の期間に集中しないようにするといったような方策を検討しているものと承知してございますが、効率的な事務の運営について、文部科学省としてもしっかり協力していきたいというふうに考えてございます。
もう一つの御質問の、犯罪事実確認の期間についてでございます。
特定性犯罪事実該当者に該当しないことを確認できた者でありましても、その後、児童ポルノの単独所持などのような比較的軽微な罪で罰金刑を科されたものの、必要な防止措置を講じられないままに対象業務に従事している状態が生じることを防ぐ必要がある。このため、法律案では、最新の犯罪事実確認が行われてから五年ごとに改めて確認をしなければならないこととされているものと承知してございます。
再度の確認までの期間が五年となっていることにつきまして、こども家庭庁におきまして、これは、本法律案において対象となる前科は最低でも裁判確定から起算して十年であるところ、五年ごとの再確認を行えば、前回の確認後、新たな、そうした先ほど申し上げましたような前科というものは確実に把握することが可能であるということ、学校設置者等や教員等にとっての公表のための手続の負担等も考慮して、前回の確認から五年後としたものと承知してございます。
いずれにしましても、教育現場において円滑かつ適切に犯罪事実の確認が行われるよう、こども家庭庁の検討にしっかりと協力し、対応してまいりたいと考えてございます。
○西岡委員 ありがとうございます。
引き続きまして、教育、保育等の現場における子供に対する性暴力防止のために、性犯罪の確認とともに行われます、犯罪の九割を占めるのが初犯ということでございますし、不起訴となった者に対する対策としては、学校設置者等は、児童等との面談、教員等による性暴力等が行われるおそれがないかどうか早期の把握のための措置、また、児童が容易に相談できる措置を実施しなければいけないというふうにされております。具体的な措置については、総理が文部科学大臣と協議を経て内閣令として定められるという方針が示されております。
現在法案が審議中ということもございますけれども、どのような措置を盛り込む方針であるかということにつきまして、盛山大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
○盛山国務大臣 今般の子供性暴力防止法案では、犯罪歴の確認のみならず、児童対象性暴力等が行われる端緒を把握するため、学校設置者等に対し、児童等への面談など児童対象性暴力等のおそれの早期発見のための措置や、児童等が容易に相談を行うことができるようにするための措置を講ずることを求めていると承知をしております。
今後、こども家庭庁において、これらの具体的な措置の内容のほか、面談のほか、児童等や教員等に対する定期的なアンケート調査や教育相談を実施することや、相談体制の整備やその周辺を実施することなどを想定し、教育、保育分野に加えて他の分野も含めた先行的な取組も把握しながら、よりよい方法を検討されていくと承知をしております。
既に教育現場に対しては、教員性暴力等防止法や同法に基づく大臣指針において児童生徒性暴力等の早期発見のために必要となる具体的な内容を示しておりますので、これらと整合性を図りつつ、こども家庭庁における内閣府令の検討に積極的に協力するなど、文部科学省としての対応を図っていきたいと考えています。
○西岡委員 早期の把握のための措置として、児童が容易に相談できる体制を含めて、この児童の面会、面談、教育現場での、大変、様々配慮を要するような措置を講じなければいけないということも含めまして、文部科学大臣としても、文科省としても、しっかりこども家庭庁と連携をしながら、この内閣府令として定められる指針につきましては、やはり現場の状況をしっかり把握した上でこの指針の策定に取り組まれることをお願いを申し上げたいというふうに思います。
続きまして、対象事業者につきましては、子供に対する性暴力等が疑われた場合に事実の有無を調査することとされております。学校内部の調査の場合では、学校内で公にすることを回避するですとか、身内の中でかばう等の事例も指摘されております。このようなことが起こらないための調査の公平性、客観性を確保するということは大変重要であると認識をいたしております。
どのような体制の下でこの調査の公平性や客観性を担保していく方針であるのかということについて、お伺いをさせていただきます。
○望月政府参考人 委員御指摘のとおり、子供性暴力防止法案におきましては、教員等により児童等に対する性暴力等が行われた疑いがあると認める場合には、事実関係を把握し、更なる被害を防止するための措置を講じることや、被害児童等の適切な保護及び支援につなげるため、その事実の有無や内容について調査を行うこととされていると承知してございます。
既に、教員性暴力等防止法やこの法律に基づく大臣指針におきまして、事案の事実確認に関して公正中立な調査が求められるものでございますから、医療、心理、福祉、あるいは法律に関する専門的な知識を有する者の協力を得ることをお示しをしているところでございます。
子供性暴力防止法案に基づく調査の具体的な方法につきましては、内閣府令で定めるとともに、こども家庭庁において関係団体の意見もお聞きしながらガイドラインで示していくものというふうに承知をしてございますが、文部科学省としましても、こども家庭庁における検討に協力し、対応してまいりたいという考えでございます。
○西岡委員 それでは、先ほど大臣からもございましたけれども、教員性暴力防止法によりまして、文科省として、二〇二三年から、わいせつ行為等で教員免許を失効した元教員のデータベースの運用をスタートしております。この記録は四十年間保管されるものとなっておりまして、一方で、日本版DBS法案については、示談等による不起訴処分や行政処分については性犯罪歴の確認の対象となっておりません。不起訴処分等への対応ですとか照会期間についても両制度には開きがあるということでございますけれども、子供性暴力防止の観点から、このデータベースの活用について、今後、こども家庭庁と連携してどのように取り組んでいかれる方針であるかということを盛山大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
○盛山国務大臣 今般の子供性暴力防止法案において照会対象となる性犯罪歴の範囲や照会期間については、様々な議論を踏まえつつ、こども家庭庁において検討されたものと承知をしております。
その上で、教員性暴力等防止法に基づくデータベースと子供性暴力防止法案による性犯罪歴確認の仕組みとの連携については、これまでの制度設計の過程において必要な調整を行ってまいりました。こども家庭庁が設置した有識者会議の報告書の中でも、これらの仕組みはそれぞれ制度設計が異なり、直ちに統合することは困難であるとされた一方で、双方の仕組みを活用することにより、より効果的に子供に対する性犯罪、性暴力の未然防止に資すると考えられるともされております。両制度の連携の意義について指摘されているところです。
教員性暴力等防止法と子供性暴力防止法案のいずれもは、子供たちを性暴力等から守り抜くという目的は軌を一にするものであります。こども家庭庁としっかり連携をして、二つの制度でどのような連携が可能か、検討を進めていきたいと考えております。
○西岡委員 今大臣からございました。直ちに統合ということではないけれども、しっかり双方の制度を活用して、子供たちが性暴力の被害に遭わないこと、そのためにしっかり取り組んでいくというお話がございました。
様々な角度から、やはり一人も性暴力の被害者にならない取組が大変重要だと思っておりますので、このデータベースの連携した活用を是非お願いを申し上げたいというふうに思います。
続きまして、一問飛ばさせていただきまして、教育現場において大変重要な、そして大変慎重な取組が要されることだというふうに思いますけれども、児童生徒が性暴力を受けたと認めるときは、対象事業者は当該児童の保護、支援のための措置を講じることとされております。被害を受けた児童生徒等に寄り添い、心身の負担を軽減して、医療的支援や法的な支援、カウンセリング等を含めて、養護教員ですとかスクールカウンセラー等が対応に当たるなど、適切な初動の対応、初期の対応が極めて重要だと認識をいたしております。
児童生徒にかかる負担を軽減する意味でも、性被害、性暴力被害者のためのワンストップセンターにつなぐということも必要であると同時に、そのような場合にあっても当該児童生徒が安心できる環境をつくることが大変重要だと考えております。
どのような形で保護、支援を行うのかということは、学校現場にとって大変大きな、重要な課題であると認識をいたしておりますけれども、どのような方針であるかというようなことについてお伺いをさせていただきます。
○望月政府参考人 委員御指摘のとおり、児童等が教員等による性暴力等を受けたと認めるときには、当該児童等の保護及び支援のための措置を講じなければならない、これは当然のことかと考えてございます。
先ほど御答弁させていただきましたけれども、教員性暴力防止法の方においては、学校の設置者等は、児童生徒等が教員等から性暴力等を受けたと把握したという場合には、医療や心理や福祉、そうした専門的な知識を有する者の協力を得ながら、被害児童生徒等の保護は、その保護者への支援を継続的に行う、児童生徒のことも、二次被害も配慮しながらしっかりと支援をしていくことということを明記してございます。
同法に基づく大臣指針におきましては、保護及び支援策の具体例として、ワンストップ支援センターなどの機関を被害児童生徒等やその保護者等に紹介すること、学級担任、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等が連携し、落ち着いて教育を受けられる環境の確保や学習支援、関係機関との連携等を行うことなどを示しているところでございます。
今般の子供性暴力防止法案に基づく被害児童生徒等の保護、支援の具体的な措置の内容については、更に今後こども家庭庁において検討することになるわけでございますけれども、文部科学省といたしましても、教員等性暴力防止法に基づく対応との整合性も図りながら、その検討にしっかり協力をしてまいりたいと考えてございます。
○西岡委員 文部科学省としてもしっかり主となってお取り組みをいただくことをお願いして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○田野瀬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時散会