衆議院

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第7号 令和6年5月29日(水曜日)

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令和六年五月二十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田野瀬太道君

   理事 小寺 裕雄君 理事 中村 裕之君

   理事 永岡 桂子君 理事 山田 賢司君

   理事 坂本祐之輔君 理事 牧  義夫君

   理事 吉田はるみ君 理事 金村 龍那君

   理事 浮島 智子君

      青山 周平君    井出 庸生君

      石原 正敬君    上杉謙太郎君

      尾身 朝子君    勝目  康君

      木村 次郎君    岸 信千世君

      小林 茂樹君    柴山 昌彦君

      鈴木 貴子君    根本 幸典君

      船田  元君    古川 直季君

      本田 太郎君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    山口  晋君

      山本 左近君    義家 弘介君

      青山 大人君    菊田真紀子君

      下条 みつ君    太  栄志君

      吉川  元君    笠  浩史君

      早坂  敦君    堀場 幸子君

      前原 誠司君    平林  晃君

      鰐淵 洋子君    宮本 岳志君

      西岡 秀子君

    …………………………………

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 親家 和仁君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          坂本 三郎君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    田原 芳幸君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   笠原  隆君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          望月 禎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            塩見みづ枝君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            千原 由幸君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    茂里  毅君

   文部科学委員会専門員   藤井  晃君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     本田 太郎君

  勝目  康君     石原 正敬君

  笠  浩史君     太  栄志君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     勝目  康君

  本田 太郎君     上杉謙太郎君

  太  栄志君     笠  浩史君

同日

 理事吉田はるみ君同日理事辞任につき、その補欠として牧義夫君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

五月二十七日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(笠浩史君紹介)(第一五四五号)

 同(三谷英弘君紹介)(第一五六四号)

 同(大岡敏孝君紹介)(第一五九四号)

 同(阿部知子君紹介)(第一六三九号)

 同(中山展宏君紹介)(第一六四〇号)

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(寺田学君紹介)(第一六四一号)

 高等教育無償化を求めることに関する請願(荒井優君紹介)(第一六四二号)

 同(金子恵美君紹介)(第一六四三号)

 直ちに学費半額・入学金ゼロ、奨学金を給付中心にすること及び奨学金返済の半額免除に関する請願(宮本徹君紹介)(第一六四四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件

 障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事吉田はるみ君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に牧義夫君を指名いたします。

     ――――◇―――――

田野瀬委員長 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官親家和仁君、こども家庭庁長官官房審議官野村知司君、法務省大臣官房審議官吉田雅之君、大臣官房司法法制部長坂本三郎君、国税庁課税部長田原芳幸君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長笠原隆君、総合教育政策局長望月禎君、初等中等教育局長矢野和彦君、研究振興局長塩見みづ枝君、研究開発局長千原由幸君、スポーツ庁次長茂里毅君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木貴子君。

鈴木(貴)委員 皆さん、おはようございます。こうして質問の機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 今日のテーマは、子供の自殺対策であります。この問題、私、孤独・孤立対策もそうでありますし、子供の自殺対策は超党派の自殺対策推進議連でも取組をさせていただいております。

 そこで、ちょっと時間もあれなので、事実関係をこちらの方で触れさせていただきたいと思いますが、皆さんも御承知おきのとおり、近年、特にコロナ禍そして明け、子供の自殺者数というのが過去最多、過去最悪、五百人を今超えているような状況になっております。一方で、自殺者の総数というものは、平成二十二年以降、減少傾向であります。そういった中で、子供の自殺の部分が特に今増加をしている。

 少子高齢化、これが今我々が直面をする大きな課題であると言われておりますが、この少子化の時代において、そしてまた、経済的にはおかげさまでG7のメンバーでもあるこの日本でありますが、その中で子供たちが、しかも可能性に満ちあふれた子供たちが、将来に絶望し、自ら命を絶つというのは、まさにゆゆしき事態である、これは国家の緊急事態である、私はこのような危機感を持っております。

 そういった中で、こども家庭庁も設置をされ、そして、令和五年ですから去年、六月二日には、こどもの自殺対策緊急強化プランというものも岸田総理の下で取りまとめもいただいたところであります。そのプランの中では、取り組むべき施策というものが何点か挙げられておりましたが、特に、子供の自殺の要因分析の必要性について強調がされたところであります。

 そこで、まず質問をさせていただきますが、このこどもの緊急強化プラン、とりわけこの要因分析における、いわゆる実態解明に向けた取組の状況、そしてまた課題感、どのように考えていらっしゃるか、こども家庭庁にお伺いします。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、令和五年の小中高生の年間自殺者数、引き続き、五百十三人ということで高い水準が続いておりまして、子供の自殺対策は重要な課題でございます。

 御指摘の要因分析でございますけれども、こどもの自殺対策緊急プランに基づいて調査研究を行っているところでございます。これは、子供が自殺に至る前の状況や経緯などについて、教育委員会の作成する報告書から把握をしようとして行っているものでございまして、そこでは、教育委員会などの御協力の下に二百七十二件の報告書を提供いただいて、その内容の整理、集計を行いまして、先日、令和五年度の、昨年度の調査結果ということで公表いたしました。

 その結果でございますけれども、例えば、自殺をされる前にも以前と変わりなく出席をしていたという事例が約四割、自殺の危機や心身の不調などについて周囲が気づいていなかったような事例が約二割など、これまでの警察庁でおまとめいただいている自殺統計だけでは必ずしも把握できなかった、生前に置かれていた状況などの、自殺対策を考える上で勘案しなければいけない、頭に置いておかなければならないような状況、情報が確認をできました。

 一方で、提供いただいた資料のほとんどが学校からの速報的な報告書であること、報告書の記載の内容といいますのも学校側が知り得たことにとどまりがちであることなど、情報の内容やその正確性などの面では限界があることであるとか、あるいは、記載されている内容についても自殺の直接の要因との関係が不明であるなど、今回の調査の限界や課題なども明らかになったというふうなことを指摘をされております。

 そのため、この要因や背景にまで踏み込んだ調査分析を行っていくためには、教育委員会や自治体の方で外部の専門家を加えた組織によって、多角的な情報収集、検証に基づいて作成をした詳細調査研究書やCDR関連資料を収集する必要があるといったこともこの調査研究の中では指摘をされてございます。

 この研究、今年度も引き続き行っていくこととしておりますが、今年度の調査研究に際しましては、文部科学省さんの御協力もいただきながら、教育委員会などに対して丁寧に調査研究の趣旨、目的を説明、共有しながら、時間をかけて資料を収集して、検証、分析を更に行っていくなど、昨年度の調査研究の中で出てきた課題なども踏まえて進めてまいりたいと考えてございます。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 こども家庭庁がまさにこの司令塔というか音頭を取って、そして、文科省にその御協力を仰ぎながら情報の収集に取り組んでいるというところなんですが、まさにこれ、何でやるかというと、ちなみに、令和五年十二月二十日付事務連絡、こ家庁から教育委員会等への今出た資料提供の協力依頼の文章でも、しっかりと警察や消防、学校や教育委員会、地方自治体等が保有する自殺に関する統計及びその関連資料を集約し、多角的な分析を行うための調査研究を立ち上げ、EBPMの視点も踏まえ、子供の自殺の実態解明に取り組むとともに、分析に当たっての課題把握に取り組む、これに基づいての協力依頼であると。

 ただ、今、こ家庁さんからさらっと報告がありましたけれども、二百七十、二百数件なんですが、実は、お願いの仕方は、過去五年分、つまり、二〇一九年四月から二〇二三年十二月分までのを提供いただくことをお願いさせていただきますと。でも、出てきたものは、全体のたったの十分の一にも満たない。つまり、これは文科省さんの御協力がまだまだ不十分ではないのかなと思うんですが、文科省さん、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査におきまして、基本調査や詳細調査の実施件数等を参考項目として確認したところでございますが、調査において報告のあった児童生徒の自殺件数四百十一件のうち、基本調査の実施件数は、全て、四百十一件、詳細調査の実施件数は十九件という結果となります。

 詳細調査とは、学校生活に関する要素、いじめ、体罰、学業、友人関係等が背景に疑われる場合、そして遺族の要望がある場合に基本調査から詳細調査に移行する、こういう仕組みになっておりますが、この詳細調査について、制度及び調査希望の有無について遺族に説明した件数についても併せて確認をした結果、約四割の事案において遺族に説明がなされていなかった、こういうことを課題として受け止めております。

 文部科学省としては、今後とも引き続き、指針に基づく対応状況の把握を実施する予定でございまして、これらの結果も踏まえながら、背景調査の適切な実施に資するために、国の指針の見直しに向けた検討も含め、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 若干質問と答弁がずれているなと思っておりまして、こ家庁が音頭を取っているこの調査、要因分析、こどもの自殺の多角的な要因分析に関する調査研究報告書、文科省で持っているデータというものをしっかりと上げてくれということなんです。

 ただ、出てきたのが全体の本当に十分の一程度。なぜか。これはしっかり報告書にも出ています。報告書等の提供協力ができなかった理由、例えばでありますが、これは、個人情報、第六十九条一項の目的外利用に当たると判断したので出しませんでした、若しくは、面白いのは、一度もう学校側から文科省に提出をしているものと同じ資料なので、あとはこ家庁さんから文科省経由でもらってくださいというような対応が取られたりですね。

 何が言いたいかというと、子供の自殺、これに本気で向き合おうとしているのか。要因分析というものが今までなかったから、全体では自殺者数の総数は減っている中で、子供の数だけは増えてしまっている、このことをいかほど重く受け止めているんですかという私の課題意識なんです。ですから、質問というよりも、ここはもう乾坤一擲の決意のほどを述べてもらうしかないと思っております。

 これは、改めて今回、今年度もこの多角的な要因分析が行われると思いますが、しっかりと文科省、つまり、学校現場から情報をすくい上げる。そのために、今回のこの事業の位置づけであるとか法的根拠であるとか、個人情報保護法の観点から、既に二百何件の学校は出してきているわけですから、個人情報の観点からもこれは大丈夫だ、しっかり積極的に出してくれという通達を改めて文科省から出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 しっかりと調査をしてほしいということでございました。今後、こども家庭庁とも連携協力しつつ、しっかりと現場の状況を把握してまいりたいと考えております。

鈴木(貴)委員 こ家庁との連携、これは連携しています。そこに関してのお願いではなくて、文科省が自ら文科省の責任の下において、しっかりと学校現場に情報を出すようにという協力を仰いでくれということなんです。矢印は、文科省からこ家庁じゃなくて、文科省から各それぞれの、前回も通達も出していただいていると思いますけれども、都道府県であるとか教育委員会、関係部局にもう一度下ろしてくださいというお願いです。

 もう一度お願いします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 本事業はまさにこども家庭庁さんの事業でございますので、文部科学省としても積極的に協力していきたい、こういう趣旨でございます。

鈴木(貴)委員 大臣、今のやり取りも聞いていただいてですね。ようやく、このこどもの自殺対策緊急強化プランまで打ち出していただきました。それはなぜかというと、なぜ政府が打ち出したか、総理ヘッドで打ち出したか。北海道から九州、沖縄、全ての子供の命は等しいんだ、貴いんだという思いなんだと思うんです。今のこの文科省のやり方だと、自治体に下ろしています、あとは自治体の皆さんの判断です、裁量です。命に差をつけるようなことがあってはならないと思うんです。大臣は決して、そんな後ろ向きな、子供の命を軽んじるような、そんな大臣ではないと思っております。

 大臣、是非、文科省に対して大臣の思いというものを一言、短くて結構でございます、お聞かせください。

盛山国務大臣 鈴木先生の問題意識は、我々も、今答弁した初中局長としても、共有していると我々は思っています。

 しかしながら、先ほど来鈴木先生も引っ張られたこども自殺対策緊急強化プラン、これは昨年六月に関係省庁連絡会議において策定したものでございますけれども、これは、こども家庭庁を始めとした関係省庁でということで、こども家庭庁が中心になってやっているものでございます。もちろん我々としても、こども家庭庁を始めとした関係省庁としっかり連携をします。そして、未来を担う子供たちの命を守るということが何より大事でございます。我々としては、児童生徒の自殺対策に全力で取り組む、そういう所存でございます。

鈴木(貴)委員 引き続き、私もこの問題に取り組んでまいりますが、まずは一人でも命をしっかりと守って、育んで、つないでいく、この飽くなき努力というものを我々はしていかなくてはいけないと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 最後、時間が来ておりますが、迫っておりますが、スクールカウンセラーについても質問をさせていただきたいと思います。

 このスクールカウンセラーという制度でありますが、平成七年から設置が始まりまして、もう令和二年度には三万超えという形で、右肩上がりで、毎年毎年、配置も増やしていっていただいております。

 ただ、ここで文科省は、通達、施行規則というものを出しているんですが、そこに、スクールカウンセラーに求めるものとして、問題解決に向けたアドバイスも求めております。しかし、スクールカウンセラーを構成している多くの方というのは、臨床心理士の方若しくは公認心理師と呼ばれる方であります。

 臨床心理士の皆さんの文化というか特徴といいますと、傾聴、話を聞く、そこによるカウンセリング。そうなってきますと、通達では、解決に向けたアドバイスをすべき、しかし、現場にいらっしゃるスクールカウンセラー、臨床心理士の皆さんは、アドバイスが専門ではなくて、聞くことが専門であるとなると、そこにギャップがどうしても生じてしまってはいないか。ゆえに、右肩上がりでスクールカウンセラーを増やしてはいってはいるものの、不登校にしても、引きこもりにしても、自殺にしても、様々な課題というものが決して減っていっていない、いい相関が生まれていないのは、そういったギャップにもあるのではないかと思います。

 このギャップを埋めるために、文科省としてはどのような努力をされていく御予定か、是非お伺いをさせていただきます。

田野瀬委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。矢野局長。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 スクールカウンセラーを雇用する教育委員会におきましては、学校等において適切に活動ができ、児童生徒の安心した学校生活及び適切な環境が構築されるよう、支援体制を構築する必要があると考えております。

 文部科学省におきましては、各教育委員会が、スクールカウンセラーが担う職務内容等の指針を策定する上での参考となるよう、職務内容のほか、守秘義務や児童虐待に係る通告など、最低限盛り込むべき事項等をガイドライン試案として取りまとめております。その上で、各教育委員会において、ガイドラインを参考として、スクールカウンセラーの効果的な活用のための活動方針等に関する指針を策定、又は見直しを行うように求めているところでございまして、文部科学省としては、これらを通じスクールカウンセラーが的確に対応できるよう、各教育委員会の取組をお願いしているところでございます。

 以上です。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 数だけではなく、質の確保を引き続きよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、平林晃君。

平林委員 公明党の平林晃と申します。

 本日も質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 今、鈴木委員も、ギャップということをお話をしておられました。私も、博士人材にまつわるギャップについて、少しお話をさせていただこうと思っております。

 なかなか日本の博士号取得者が増えていかないということで、先日も経済的視点ということが尾身委員の方から指摘があったところでございますが、私は、博士と社会、企業とのギャップといいますか、乖離という点に関して指摘をさせていただければと思います。

 細かい話になりますけれども、博士号を取得するためには原著論文を積み上げなければなりません。自ら論文を当然執筆をし、それを投稿して、査読と呼ばれる審査を受け、通常は、その返答を受けて修正をし、再審査を受けて合格すれば学術誌に掲載をされます。これで一本となるわけですけれども、こうした学術論文を積み上げて、大学によって示される基準、私のいた工学の分野では三本が多いと思いますけれども、そこまで積み上げて、それをまとめて博士論文を執筆し、その審査を改めて受けて、その博士の審査に合格すれば初めて博士の学位が授与されることとなります。

 この学術論文を積み上げるという作業、大変なんですけれども、時間がかかります。投稿から合格まで、最短でも半年、一年かかることも珍しくないわけでありまして、博士課程の標準年限は、工学では三年であり、あっという間に期限が迫ってまいります。こうした作業に求められる能力、私は否定をしません、私もそんなことをずっとやってきたわけですけれども。ただ、この能力が、社会が求める能力と必ずしも一致をしていないということがあると考えております。

 具体的に申し上げれば、AIのすばらしいプログラムを実装したといたします。社会的にはそれだけで十分な価値がありますが、それだけでは博士号を取得できません。それとは異なる、今申し上げた壮絶な努力を、時間とお金をかけてしなくてはいけません。一方、企業が求める価値は、プログラムであり、人材である、必ずしも博士号ではないということがあるわけです。企業の場合は、技術を開示する論文よりも、権利を保障する特許の方が重みを持たれるということもございます。

 この博士と社会の乖離を埋めていかなければ、先日御発表になられました博士人材活躍プラン、ここでの、二〇四〇年で二〇二〇年の三倍という目標がございますけれども、なかなかこれが容易ではないのではないかなと考えてしまうところでございます。乖離を埋めるために、社会の意識を変えていくことも重要でございますけれども、大学における博士号取得の基準や審査プロセスについても再考する必要があると考えております。

 関連して、四月十七日、学校教育法改正案審議でも申し上げたところでございますけれども、研究業績そのものに対する考え方の見直しが世界的に議論されております。

 以上、申し上げた問題意識、大臣も御承知だというふうに存じます。だからこそ、博士号、この度のプランの中には大学院改革にも言及をしておられます。それは、具体的にどのような改革を目指して、どのように進めていこうとされているのでしょうか、御見解を伺います。

盛山国務大臣 前回も若干、平林先生に御答弁させていただいたところでございますけれども、博士の人材というのは、アカデミアだけではなく、新たな知を創造し、社会にイノベーションをもたらしていくという、そういうような役割ではないかなと思います。

 先日まとめました博士人材活躍プランということで、博士人材が、アカデミアだけではなく、多様なフィールドで活躍する社会を実現するためということでございまして、そのために、高度な専門性、幅広い能力、これを有しているような人材を育てることはもちろんのことでございますが、そうした人々が多様な場で力を発揮できるよう、産業界と連携をしながら、大学院の改革の取組、これも進めていく必要があると思います。

 世界トップ水準の大学院教育を行う拠点の形成であり、産業界の人材ニーズを踏まえた社会人への大学院教育の推進であり、教育研究の国際化、学生等の海外研さん、留学機会の充実、こういったことなども着実に進めていくということで、大学院の方としても、博士というものに対しての、博士を授与するためのものということですね。今の大学院設置基準では、「博士課程は、専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を養うことを目的とする。」としているわけでございますので、そういったところをよく考えていただいて、産業界、大学関係者と連携をしながら、博士人材が多様な場で活躍できるような社会の構築に向けて、取組を今後とも進めさせていただきたいと考えています。

平林委員 ありがとうございます。

 大学院改革の中で、博士号の審査、こういったことも踏み込んでいただいて、今おっしゃられた博士人材が活躍できる社会、これをしっかりと共々に築いていけたらと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、大学への支援について伺います。

 現在、文部科学省、よく知られているとおり、国際卓越研究大学制度によって、世界に伍する大学を育成、また、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージによって、地域社会の変革を牽引する大学を育成しておられるということであり、日本の研究力の現実を打破していくために、是非これらの政策には成果を上げてもらいたいと思っております。

 ただ、これらの支援を受けられる大学、国際卓越では数校程度、パッケージにおいては、J―PEAKSなどでは二十五校程度ということで、なかなか、支援を受けたくても受けられない大学が多数存在しているという状況でございます。こうした大学も、日本の研究力、人材育成において重要な役割を果たしてきているということは私は考えておりまして、だからこそ、こうした大学の疲弊が日本の研究力低下の一因ともなっていると考えております。今後の日本の研究力向上のために、こうした大学への支援が重要となってくると考えております。

 文部科学省の見解を伺います。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 我が国の研究力は近年相対的に低下しているという状況にございまして、この状況に歯止めをかけるためには、特に、研究の主要な担い手である大学の研究力の向上ということが喫緊の課題と認識しております。

 このため、文部科学省では、御指摘いただきました大学ファンドによる国際卓越研究大学への支援と、地域中核、特色ある研究大学への支援、これを通じました我が国全体の研究力を牽引する研究大学の振興に努めるとともに、基盤的経費の確保、各研究分野の中核となる国公私立大学を通じた共同利用・共同研究拠点等の整備、科研費等の充実による多様な分野の研究者の支援、博士後期課程学生を含む多様な人材への支援、活躍促進などについて取り組んでおります。これらの施策を総合的に推進することによりまして、我が国の大学全体の研究力強化を図ってまいりたいと考えております。

平林委員 これは、現場の声は非常に強いものがございます。是非、強力な取組をお願いを申し上げます。

 続きまして、通信制の高等学校について伺います。

 不登校の小中学校生が約三十万人、いじめ認知件数が六十八万件を超え、過去最多となる中、全国に二百五十以上の通信制高校に進学する生徒はおよそ二十万人。

 多様な学びを支えてくださっています通信制高等学校には全国展開する学校が多く、こうした高校では、本校が立地する都道府県外に居住する生徒を支援するため、サポート校などのサテライト施設を設置している場合があります。ただし、これらの施設に対して本校が位置する自治体の監督が十分に行き届かず、教育の質が担保されなかったり、百万円前後という高額な費用になったりすることがあります。私も地元広島でこのような話を直接伺ってまいりました。

 こうした問題に対して文部科学省はどのように取り組んでおられるのか、見解を伺います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 通信制高校では、近年、今委員から御指摘のございました不登校経験など、様々な事情を有する生徒に対して教育機会を提供する役割を担っている一方、一部の学校においては違法又は不適切な学校運営や教育活動が行われている事例が見受けられるなど、課題も指摘されているところでございます。

 このため、文部科学省では、サテライト施設の教育水準の確保や通信制課程の教員配置の基準に係る法令改正等のほか、各所轄庁による広域通信制高校やサテライト施設の適切な設置認可、認可後の実態把握、指導監督等を支援するため、所轄庁等がサテライト施設の設置状況を一覧で把握することができるプラットフォーム構築、そして通信教育に知見を有するアドバイザーの派遣支援、国と所轄庁との合同による点検調査の実施、設置認可基準に係る違法事例の提示、こういったところを取り組んできたところでございます。

 御指摘の費用につきまして、高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドラインにおいて、高等学校通信教育に係る授業料とサテライト施設が独自に行う活動等に係る費用の区別について、生徒、保護者に適切かつ明確な説明が行われるようにすること、こういったことを示したところでございます。

 また、通信制高校の生徒に対し学習活動等の支援を行ういわゆるサポート校は、教育課程外の支援を行う施設であることから高等学校等就学支援金による支援の対象とはなっておりませんけれども、生徒が在籍する本校に係る授業料は就学支援金による支援を行っており、一定の負担の軽減が行われております。

 文部科学省として、生徒が社会的自立に必要な資質、能力を身につけられるよう、引き続き、サテライト施設も含めた通信制高校の質の向上に総合的に取り組んでまいりたいと考えております。

平林委員 ありがとうございます。

 本件に関連しまして、永岡前大臣を座長といたしまして、義家委員、浮島委員も御尽力され、野党の先生方にも協力していただきながら、議連の中で定時制教育及び通信教育振興法の改正、論じられているところでございます。私も所属する一人として、文科省の取組とともに、より適正な通信教育がなされますよう、微力ながら尽力させていただきたいと考えているところでございます。よろしくお願いいたします。

 続きまして、学校図書についてもお伺いをさせていただきます。

 公明党、読書活動の推進に取り組んできております。先日も大臣に、浮島部会長を中心として提言をさせていただいたところでございます。

 時を同じくして、日本書店商業組合連合会からも書店振興について御要望いただいたところであり、私の地元広島では、県の書店商業組合から学校図書予算執行率の向上の要望をいただきました。

 学校図書を整備するために、政府は、地方財政措置、九三年から策定をし、現行の第六次まで約五千六百億円の予算を措置していただいております。結果、図書標準、達成率向上しておりますが、ただ、更新がなかなか進んでおりません。予算執行率六割から七割程度にとどまり、残額が他用途に使われてしまっている、こんな状況がございます。昨日お会いした日教組の皆様もこの点の改善を訴えておられました。

 こうした現状について、文部科学省の認識及び今後の対応を伺います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、文部科学省が行っております調査では、学校図書の蔵書の現状につきまして、学校図書館図書標準の達成率につきましては、全国平均で見ると、令和元年度末現在は小学校七一・二%、中学校が六一・一%、これは十年前に比べますと、小学校四二・七%、中学校五〇・六%でございましたから、上昇はしておりますものの、地域差もございまして、まだまだというところでございます。

 購入費のことについても御質問がございましたけれども、国の方としては、学校図書館図書標準達成を目指すための新たな図書の整備に五か年で百九十五億、計画的な図書の廃棄、更新などに必要な経費として八百億、合計九百九十五億の地方財政措置を講じておりまして、単年度百九十九億円となってございますけれども、その約六五%の執行という状況でございます。

 このため、各自治体において図書についてしっかりと予算措置が図られていただけますよう、引き続き、現状把握あるいは予算措置の参考となる資料の作成、それらを開示やあるいは通知等で周知をすること、計画の趣旨等の理解増進を図り、学校図書館における図書の選定、廃棄、更新等を促進してまいりたいと考えてございます。

平林委員 ありがとうございます。

 中国地方の公明党議員は、各議会でこの問題を取り上げさせていただいて、各自治体で執行率の向上を目指してまいります。図書整備に向け、さらには読書活動の活性化に向けて、より一層取り組んでまいりたいと考えております。

 最後に、海洋政策について簡単に。

 党の勉強会にJAMSTECの河野理事に来ていただいて御教示いただいた内容ですけれども、深海探査機「しんかい六五〇〇」や「よこすか」という母船ですね、老朽化が非常に激しいと。

 この状況をどのように捉えて、どう取り組んでいくのか、文部科学省の見解を伺います。

田野瀬委員長 千原研究開発局長、申合せの時間が経過しておりますので、御協力よろしくお願いします。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は四方を海に囲まれた海洋国家でございまして、特に深海は地震、防災研究や海洋資源開発の観点から重要であり、海溝の調査や未知の深海生物、鉱物資源の探査等を推進することが必要でございます。

 しかし、我が国の深海探査能力につきましては、AUVを始めとした深海探査機の大深度化の海外からの遅れですとか、あるいは日本で最深度まで潜航できます「しんかい六五〇〇」及びその母船「よこすか」は、建造から三十年以上が経過し、老朽化が深刻など、喫緊の課題を抱えているところでございます。

 これを踏まえまして、現在、有識者会議において、今後の我が国の深海探査システムの推進方策について検討をしておるところでございます。

 文部科学省といたしましては、同有識者会議の議論を踏まえて、必要な老朽化対策を講じるとともに、大深度無人探査機の開発を始めとした深海探査システムの強化に取り組んでまいります。

平林委員 時間となりました。以上で質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 立憲民主党の牧義夫でございます。

 三年ほど前に質問させていただいた全日本私立幼稚園連合会の使途不明金の問題について、改めてお伺いをしたいと思います。

 当時は、内部からの告発もあり、まだ前会長やら前事務局長が逮捕される前でございました。したがって、いろいろ機微に触れる問題等々もあり、なかなかお答えづらい部分も前回の質問ではあったかもしれませんけれども、しかしながら、基本的な質問に対して、本当に納得のいく、腑に落ちる御回答というものがほとんどなかったものですから、もう一度きちっと改めて今日はお伺いしたいというふうに思います。

 そしてまた、この事件に関して、文科省の取ってきた態度、これからの文科省が取るべき態度と、警察ですとか検察はもう一定の仕事は終えたのかもしれませんけれども、それぞれの関わるところの認識がずれているんじゃないかなと私は少し思うものですから、それぞれちょっとこの事件を振り返ってどう総括しているのか、まずその辺からお伺いしたいというふうに思います。

 当時、もう退官された文科省の幹部の方から、私、ちょっとお話、これはどうなんだというお話を聞いたら、いや、あれはもう、そんな国会で取り上げるほどの話じゃなくて、実にちんけな話ですよ、事務局長が、ちょっと特定の女性に入れ上げて、そこにお金を使い込んだだけのつまらない話ですよというお話だったんですね。

 私はそうは思わなくて、逆にそう言われると余計に何か怪しいなと思わざるを得ないわけでございまして、今日は、この腑に落ちない部分について委員の皆様方と一緒に考える、そんな時間にしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、この事件を振り返って、どこから聞きましょうかね、文科省から順に聞いた方がいいのかな、この事件、どう総括をされているか、よろしくお願いします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの件は、令和三年三月に、全日本私立幼稚園連合会及び関係団体におきまして多額の使途不明金が発覚した事案であるというふうに理解しております。

 本事案の発覚後、当時の会長及び事務局長が、同連合会から刑事告訴されたことにより、警察により捜査が行われ、逮捕、起訴された後、令和四年十二月に元会長に対して、また令和五年九月に前事務局長に対して、それぞれ有罪判決が出されております。

 このような中、同連合会では、ガバナンス強化特別委員会を設置し、役員の責任と権限の明確化、外部の公認会計士等による監査など会計の透明化、長期的な課題としての法人化等のガバナンス強化に向けた取組を進めている、こういうふうに聞いているところでございます。

 同連合会は任意団体でございまして、文部科学省が所管している団体ではございませんが、二度とこのような事案が起きることのないよう、文部科学省としても引き続き同連合会の取組をしっかりと注視してまいりたいと考えております。

牧委員 それじゃ、まず最初の、第一義的には、内部からの告発があって警察が動いたということですが、警察の認識としてはいかがなものなのか、お聞かせいただきたいと思います。

親家政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの事件の警察の捜査について申し上げますと、令和四年七月十三日に、御指摘の任意団体の資金を業務上横領した事実や、その発覚を免れるために預金通帳の取引履歴等を偽造した事実により、同団体の元会長及び元事務局長を警視庁が逮捕しておりまして、同月十五日に検察庁に送致したものと承知しております。

 また、元事務局長につきましては、その後、警視庁において、余罪となる別の業務上横領の事実で複数回にわたり再逮捕しており、それぞれ検察庁に送致したものと承知しております。

牧委員 それでは、法務省の方から見解を伺いたいと思います。

吉田政府参考人 お尋ねの事案は、全日本私立幼稚園連合会の元会長と元事務局長らが共謀の上、銀行作成名義の残高証明書等を偽造した事案と、同連合会の元事務局長が現金合計約六千二百万円を横領した事案であり、東京地方裁判所において、元会長については、有印私文書偽造罪等により懲役一年六月、執行猶予三年の判決が、元事務局長については、業務上横領罪、有印私文書偽造罪等により懲役四年六月の実刑判決が言い渡され、それぞれ確定したものと承知しております。

牧委員 今確認させていただいたら、これはもう刑は確定したということでございますけれども、警察と検察の見解のやや違うところは、当初、警察は、会長についても業務上横領を言っていたわけですね。ところが、送検されて、業務上横領については元会長は不起訴になっています。事務局長だけが横領ということで実刑の判決になったわけです。

 つまりは、先ほど矢野局長はこれからガバナンスの強化に努めるとおっしゃっていますけれども、私、見る限り、連合会の内部監査によって使途不明金が発覚したわけで、それについて警察への刑事告訴があったわけで、今更ガバナンス強化と言うまでもなく、内部的にそういったことを処理することはやってきたわけですね。ただし、にもかかわらず、会長については横領じゃないということですから、これは組織の成り立ちとして私はおかしいんじゃないかなというふうに思うんです。ガバナンスを強化するということじゃなくて、この組織がそういう組織だからこうなるんだと。

 言っている意味、分かりますか。これは横領じゃないんですね。もう、そういう金を使っていいようになっているんです。年間五千万ぐらいの機密費を自分は持っているんだと会長自ら言っていたわけですから、それを許してきた方に私は問題があるという、その問題意識で、ちょっと改めて文科省と警察、検察の見解を伺ったわけでございます。

 となると、それぞれ聞いたら、もう事件はこれで終わりということなんでしょう。マスコミも、当初は大きく報じましたけれども、その後はもう全く何もありません。

 当初言われていた約五億円、令和二年度までの四年間で約五億円の使途不明金が発覚して、なおかつ、PTA連合会の方のを合わせると五億円以上になるわけですけれども、結果としては、結構まだ差額が不明のままなんですね。この不明のままの差額については、これはもう、更に警察なり検察が追及することは、ちょっと念のために聞きますけれども、ありますか、ありませんか。

吉田政府参考人 お尋ねは個別事件における捜査の具体的内容に関わる事柄でございますので、お答えは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、検察当局においては、個々の事案の真相を明らかにするために、必要な事項について捜査を尽くした上で、法と証拠に基づいて、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処するものと承知しております。

牧委員 まあ法務省としての見解はそうだと思います。取り上げるべきものがあるかないかという問題意識が、ちょっと私の問題意識とは違うなと。かなりの金額の使途不明金がまだ残っているわけで、それがどうなったかということは、じゃ、一体どこが追及するのか。それはやはり、文科省なりあるいは国会が追及していかなければいけない責務だというふうに私は思っております。

 念のためにちょっとお伺いするんですけれども、これだけの事件のあったこの団体について、その後、文科省はこの団体についてどういうふうに対応していくおつもりですか。ガバナンスの強化というお話がありましたけれども、さっき申し上げたように、ガバナンスの強化だけでは済む問題じゃないと思います。任意団体のままでいれば、またこういうことが起こる、また裏金をつくる温床にもなりかねないと思うんですけれども。

 そしてまた、当時の、三年前の議事録を見ると、当時、萩生田大臣、この団体は、文科省が直接所管をしている団体ではありませんが、やはり多くの日本中の園児が通う私立幼稚園の連合体ということを考えますと、幼児教育を担当している立場で、こういった、保護者の皆さんに疑念をかけられるようなことがあってはならない、集めたお金を正しく使うというのは当然のことだと思います、したがって、今もう既に刑事告発がされておりまして、司法の判断を待つことになっていますから、真相究明をしっかりとしていただいた上で、仮にこの団体が残るということであれば、やはりもう少し透明性の高いものに変わっていっていただいた方が、幼児教育を担う団体としてはふさわしいのではないかというふうに思っております、このように答弁されていますけれども、この答弁が、現在、生かされていますか、生かされていませんか。お答えください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになり恐縮でございますが、全日本私立幼稚園連合会は任意の団体でございまして、文部科学省が所管している団体ではない一方、我が国の幼児教育を担う私立幼稚園関連団体でございまして、本事件発覚後、文部科学省としても、同連合会における再発防止やガバナンス強化に向けた取組を注視してまいっているところでございます。

 現在でございますが、令和六年度の事業計画を拝見すると、会長の職が連続三期を限度とすることを明記する、こういった会則の見直しであるとか、外部監事の招聘、招請や、同連合会の会計状況が、一部の役職のみならず、外部監事などもオンライン上でリアルタイムで確認できるようにするなどの会計の透明化などを実施したと聞いております。

 また、今後は法人化を視野に入れた組織改革を推し進めるともお伺いしておりまして、文部科学省としては、同連合会におけるこれらの強化に向けた取組をしっかりと注視してまいりたいと考えております。

牧委員 注視していくのはいいんですけれども、具体的に、きちっと実効ある管理監督に向けて少しでも前へ進めていただいていたものだと思っていましたけれども、この三年間ほとんど何も進んでいないということで、非常にがっかりいたしました。

 会計の中身についても、一応、建前上、これはちょっと、この団体が毎月発行している私幼時報という、各私立幼稚園の皆さんが御覧になっているものだと思いますけれども、一応形の上では、これはちょっとコピーですけれども、一般会計収支計算書というのは発表しています、ここで。

 ただ、それこそ項目別の発表だけで、中身について、一体どこにどういう支出をしたのかということは一切ありませんから、それこそ今話題になっている政策活動費みたいな、自民党の皆さんは項目だけと言っていますけれども、それと同じなんですね。だから、その中を見てみると、予算対策費あるいは政策推進費というくくりで、合わせると、この数年間、合わせて五千万ぐらいになっているんですね。これが多分、前会長が言うところの機密費だと思うんですよ、機密費ですね。あと、中身は何もない。

 だから、これをずっと見ていったら、私はてっきり、前の、元大臣の、もう引退されました河村建夫先生が、実はパーティー券を買ってもらったと後から、正直な先生なものですから、言って、返金されたということもニュースで見ましたけれども、多分これは、ほかにも大勢いらっしゃると思います、いわゆる文教族という方たちに対してですね。これが毎年五千万あったんですよ。ただ、それは、これを見る限り、誰にどんな寄附をしたとか、誰のパーティー券を買ったなんてことは一切出てきませんが、政策推進費だとかあるいは予算対策費という名目で毎年五千万、会長の裁量で扱えるお金があったということですね。これはもう誰が見たって、ぱっと見れば分かるじゃないですか。

 こういうことすら何も手をつけない、任意団体ということで逃げられちゃうわけですけれども、改めて聞きませんけれども、任意団体だと所管もどこもないので、聞くところもない。課税も、ちょっと今日、申し訳ない、時間の関係で、国税庁も来ていただいていますけれども、任意団体である限り、特定の収益事業を行わなければ課税の対象にならないということですけれども、結局、全然どこもチェックする公的な機関がないという理解でよろしいんですね。よろしいですか。

矢野政府参考人 御指摘のとおりだと考えております。

牧委員 この団体は、それぞれの都道府県の私立幼稚園の団体の、一応形の上では上部組織になっています。それぞれ都道府県の団体というのは、公益社団法人だったり、法人格を持っているわけですね。そこから、それぞれの園から一万二千円、今どうか分からないですけれども、当時一万二千円、それから各園児一人頭七十円ということで、年間二億数千万のお金を上納させていたわけですね。

 その団体が全く文科省が掌握できない団体というのは、これは余りにおかしくないですか。皆さん、そう思われないですか。何とかしましょうよ。あるいは、こんな事件まであったんだから、これは、属人的にこの人たちが着服したという話じゃなくて、私、構造的にそういうお金がつくれる、裏金をつくれる、そういう組織であり続けなければ困る人たちが、言い過ぎかもしれませんけれども、いるんじゃないかと勘ぐらざるを得ないわけですよね。

 どうなんでしょうか。大臣、どうぞ。

盛山国務大臣 先ほど来局長が御答弁申し上げたとおりでございますが、同連合会は任意団体であり、文部科学省が所管している団体ではなく、法令上の指導監督権限が我々にはございませんので、国として監督することはできません。

 しかしながら、さっき局長も御答弁申し上げたとおり、我々として注視しているわけでございまして、同連合会においては、外部の公認会計士等の監査を受けることができる適切な体制の整備などのガバナンスの構築に向けて取り組んでいるというふうに聞いております。こういった取組を今後ともしっかり注視していきたいと考えています。

牧委員 大臣の言葉を信じたいんですけれども、さっき申し上げたように、三年前の萩生田大臣の御答弁に沿った進み方がしていないわけで、そうなると、国会で質問したことも本当にむなしくなっちゃいますよね。立派な御答弁をいただいても、それが、ただこの場しのぎの話になっちゃうんじゃないか、そう思わざるを得ないわけです。そこは改めて突き詰めてもしようがないのでこれ以上申し上げませんけれども、本当にこの国会での審議というものを意味のあるものにしていただけますようにお願い申し上げたいというふうに思いますし、きちっと形の上で示していただくように、矢野局長にもお願いをしたいというふうに思います。

 上納しているわけだから、一遍皆さんちょっと立ち止まって、この全国団体が何をしているのか、もう一回ちょっときちっと精査しましょうよということを、各幼稚園の経営者なり園児の御父兄に対してもそういう問いかけをしても私はおかしくないと思いますけれども、是非その辺の積極的な動きをしていただけますようにお願いしたいというふうに思います。

 改めて任意団体の在り方というものにちょっと私、問題意識を持ったんですけれども、ちょっと話がそれますけれども、統一教会の、今、解散命令請求をしていますけれども、これは、宗教団体から任意団体になったときにどうなるのか。非課税の特典がなくなる、だけれども、別に任意団体だから、特定の収益を上げる事業をやらなければ別に非課税なわけですね、この論法でいくと。人格なき社団になってしまってもということだと思うんですけれども。例えば、つぼを売って幾らもうけたとかということになればそれは課税対象になるかもしれませんけれども、そうじゃなかったら、全く何の、法人格を取られても余り大きな痛手にはならないと思うんですけれども、どうなんでしょうか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 個別にわたる事柄ということではなく、あくまで一般論としてのお答えになりますけれども、個々の実態にもよりますが、法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものにつきましては、法人税法上、人格のない社団等に該当するわけでございます。

 人格のない社団等につきましては、収益事業として法令に規定された三十四種類の事業から生ずる所得につきまして法人税を課すこととされておりまして、収益事業以外の事業から生ずる所得につきましては法人税は課されないこととされております。

牧委員 ちょっと最後に余計なことまで聞きましたけれども、いずれにしても、ちょっとこれはこのまま看過できる話ではないということを是非覚えておいていただきたいというふうに思います。

 私たちの国会の使命というのは、一過性のニュースに飛びつくだけの話じゃなくて、何が根本的な問題だったのかということをきちっとえぐり出して、そこを、病巣をきちっと完治しなければ意味がないことですので、これからも、改められなければまたしつこく質問させていただくことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 立憲民主党、下条みつでございます。

 まずは、大臣含めて、文科行政、日夜励んでおられることに対して敬意を表したいというふうに思います。

 また、今日は、国交委員会で僕は前に地震の予知で質疑をさせていただいて、非常に前向きな回答をいただいたんですが、その後、少したっている間にいろいろな、また地震が起きたり、そして地震調査研究推進本部の本部長が文科大臣でいらっしゃるということも含めまして、今日は、今までいろいろ文科省がお調べになって研究なさった部分の確認の部分と、それから、国内含めて論文が出ている地震予知についての御提案、そして御検討を依頼したい、この二点に絞ってやりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、本部長になられて、全世界で大体、これはクイズになっちゃうんですけれども、これは質問通告していないのでいいんですけれども、マグニチュード六以上の地震が全世界で年間大体どのぐらいあるかというと、アバウトです、百五十ちょっとあるんですね。百五十以上、年間、ぐらぐら世界中で揺れているわけですよ、六以上が。

 一方で、この日本丸はマグニチュード六以上がどのぐらいあるかというと、実を言うと、平均二十回以上ある。つまり、全世界で起きているマグニチュード六以上の八分の一以上が日本で起きているということなんですね。だから、この小さい国の中でそれだけ起きてきていて、後で申し上げます、直近でもいろいろな災難が起きている。

 僕は、実を言うと、かなり昔は天気予報は信じないとか、当たるも八卦だけれども、今、天気予報は、皆さんの御努力によって、気象庁を含めて御努力によって非常に精度が上がってきている。いいものはどんどんトライして、入っていっていただきたいなと同時に、私は残念なことをお聞きするのが一つあって、それは何かというと、全国地震動予測地図というのがあって、これは皆さんにはお出ししていませんけれども、三十年以内に震度六弱の揺れに見舞われる可能性があるのは黄色、二六%以上可能性があるのは茶色というふうになっています。これはもう大臣は御存じだと思いますけれども。これの予測地図がいきなり、ぷつっと、四、五年前から発行しなくなっちゃったんですね。

 一方で、私もびっくりしたこの元旦の、被災者にはお見舞いと御冥福をお祈りしますが、能登半島というのはこの地図でいくと〇・一%以下だったんですね、起きないと。その地図でいくと起きない。ところが、二一年の九月に震度五、二二年六月には震度六弱、二三年の五月に震度六強という地震が珠洲市で起きちゃっていた。

 私は何を言いたいかというと、せっかく今までずっと、二〇〇八年からずっと作っていた、皆さんの英知を結集した全国地震動予測地図というのをぴたっとやめちゃったんです。その後に、今言った、この間あった、近くで非常に地震が起きていたということが出てきてしまった。そこで、これは、今までの地震予知についてのまず検証をしなきゃいけないんじゃないかと思うし、なぜここに来ていきなり発行を、発行をやめちゃったから、当たる当たらないという言い方じゃなくなるんだけれども、だからそこは僕がヘッジをしているわけですよ、皆さんの気持ちになって。だけれども、何でやらなくなっちゃったのか。

 やっておけば、この地図が黄色から茶色になっておけば珠洲市の方々は、熊本地震並みにもう二百四、五十亡くなっているじゃないですか、現在で。もうすごく大きな地震になっちゃったというのがあったので、そこで、今までの検証として、ちょっと残念だなと。何でこれは急に発行しなくなっちゃったか、今までずっと発行していた。

 なぜそうなったかということ、これからそれを発行する予定はあるのかというのを最初にちょっと政府の方にお聞きしたい。よろしくお願いします。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 地震調査研究推進本部におきましては、主要な活断層で発生する地震や海溝型地震を対象に、地震の規模や一定期間内に地震が発生する確率を予測する長期評価を実施しておりまして、これは毎年、地震の発生確率の更新を行っているところでございます。

 御指摘の全国地震動予測地図につきましては、これらの様々な長期評価等のデータを統合して日本全体の地震発生確率を俯瞰して表している地図であり、国民の防災意識の向上や効果的な地震防災対策を検討する上での基礎資料として活用されることを目的に作成をしております。

 この地図につきましては、様々な長期評価等の進捗に応じまして、ある程度評価結果がまとまった段階など、必要に応じ改訂していることから、必ずしも毎年作成しているわけではなく、先生御指摘のとおり、二〇二〇年版が最新のものとなっております。

 一方、この全国地震動予測地図につきまして、能登半島地震の発生を受け、強い揺れに見舞われる確率が相対的に低いと表示されている地域にとっては、安全、安心情報として受け取られるおそれがあるのではないかという御指摘等もなされておりまして、現在、地震の見方に関する注意点など、より丁寧な広報の在り方等について検討を行っているところでございます。

 また、地震本部では、現在、能登半島沖を含む海域活断層の長期評価の審議を行っておるところでございます。

 これらの検討結果等を全国地震動予測地図に反映する必要があるため、現時点では具体的な公表時期は未定でございますが、これらの検討結果も踏まえ、できるだけ早期に公表できるよう努めてまいります。

下条委員 僕が聞いたのは、何でやらなかったかということと、八年から一八年はずっと毎年出て、一五年を除いて出ていますから、二〇年も出ている、ここに来て四年も空いているということを言っているので、いろいろな情報があるのは分かりますけれども、それによって、さっき言った〇・一、そして数%の確率の部分が分からなかったということが残念だという話です、私は。大臣、そういうことなんですよ。だから、せっかく今までやってきたものをこれからもブラッシュアップしていくのなら、もっと早めにやりなさいということでございます。その提案です。

 今日は時間がないものですから、次に移らせていただきます。

 次は、さっきちらっと最初に申し上げたけれども、私は国交委員会で、太陽フレアの観測と、それによって大気圏にある電離層の異常を事前にキャッチして、それによって、電離層の異常が地震との関連があるという、その話をしたいと思います。これは国交委員会でもやらせていただいて、向こうはGEONETとか地理院、持っているので、それでちょっとその話をさせていただいたんですが、実を言うと、本部長がこちらなので、こちらで提案をさせていただきたいと思っています。

 実を言うと、これは、宇宙天気とは何ぞやというのは、皆さんも余りぴんとこないかもしれないけれども、私どもが調べていたら、太陽活動の影響ではなくて、気象や地震等の影響で大気圏にある電離層の異常が出てくる、こういう話であります。これは、京都大学の梅野教授とそのスタッフが、熊本地震の直前でも電離層の異常が起きていることを発見したと。これについて、北海道大学の日置幸介教授も賛同しているということなんですね。

 こういう話を表面で言っても分かりにくいので、絵文字でいきたいと思います。お手元にこういう表があると思います。これは何かというと、電離異常を能登半島地震の場合に察知した、まさにそのデータであります。これは公表されています。京都大学が公表されたデータであります。だから、私どもがどこかで作ったとか、ほうじゃはあじゃというものじゃなくて。そのときに、たまたま稚内とそれから潮岬の間に半島が位置していて、そのキャッチする数が今少ないんですね、最後にちょっと申し上げたいんだけれども、キャッチする数が少ない、たまたまキャッチできたんです、これは。

 これは、一番最初が、地震の二時間十分前に、一月一日の二時ですね、二時に上空三百五十二キロのところで異常が急に出てきているんです。赤い部分です。これが異常が出ている。これは二時間十分前ですよ、地震の。まだ何にもない、普通の元旦のことをやっている最中。二番目が、その三十分後に、つまり地震の一時間四十分前に、更に、上空にある電離層の異常が赤く大きく出てきている、これが二つ目。三つ目が、裏面に行きまして、今度、地震の四十分前、十五時半です。更に大きくなってきた。上空三百四十キロにある電離層をキャッチできたわけです。

 これは実を言うと、京都大学の梅野教授が長年の研究の中で置いておいた、イオノグラムというキャッチする機械がたまたまキャッチしていた。これはキャッチしていたけれども、元旦ということもあってなかなかそれを申請できなかったし、これが、申請したところで、国が余り認めているか認めていないか分かりませんが、太陽フレアの話はもう国が認めていますけれども、この電離層異常について認めていないために、この部分が伝わるのが遅かったという事例であります。数と色で全部データが出ているやつでございます。

 私は何を言いたいかというと、電離異常というのはいろいろな要因があると思うんですけれども、一つは、ちょっと時間の関係があってもうばっと言っちゃいますけれども、昨年の七月にフランスのコートダジュール大学で、大地震が起きる二時間前に、震源地となるプレートや断層がゆっくりと横方向に滑っていくと。これは簡単に言います、コートダジュールで、フランスの大学の方で出した論文で、横に滑っていくと。そうすると何が起きるかというと、横滑りすると、その部分の岩が、摩擦が起きます。これは単純な話。横滑り、こうやって滑るから。その摩擦によって高い電荷が起きて、それがさっき言った電離層に影響を与えるんじゃないかと言われています。

 つまり、元々は、皆さんも南海トラフでやっている、あそこの地域に置いている横滑りをキャッチするやつですね、それがもうできているわけですから。南海トラフだけじゃなくて、これはもう全国にやるべきだと僕は思いますけれども、その部分と電離層の異常がリンクしているということであります。それを裏づける話であります。

 私は何を言いたいかというと、電離層異常というのは、今言ったように、私は梅野教授と話をしましたけれども、二時間前であれば、震度六・五以上の地震は九割以上、自分はキャッチできる、ここまで明確に言っています。

 私は何を言いたいかというと、これだけ都心でいろいろ言われている中で、また、全国的に、さっき残念だと言った、地図には載っていないところで地震が起きている。一方で、真っ茶色のところは地震が起きていない。この状態が続いているのは非常に残念です、僕は。だけれども、それはいつあるか分からない。そうしたら、その二時間前にキャッチするシステムがあるとしたら、あるとしたらというか、論文がもう出ていますけれども、北海道。それから、これはインドネシアとか台湾でも、この京都大学の梅野教授のデータを使って今検証をずっとやっています。でも、この日本丸ではまだ起きていないんですよ。

 そこで、私は今日は何を言いたいかというと、これを是非、大臣、大臣が主導していただいて、これに少しだけ検証することをやっていただければ、僕が何でここで言うかというと、僕は梅野さんと近いから、何かあると僕に入ってきますよ、どこかで。でも、それは政府に言えないです。だけれども、この議事録に残しておくことで、文科委員会の調査推進本部長の答弁に出てもらいたいと思うんです、前向きな話が。

 検証するシステムには、大体数億円で済むらしいです、数十億円かからない。今あるシステムに検証システムを入れる、それだけで、数億円でキャッチできるんですよということが明確に京都大学から言っているということです。ですから、私はこれを野放しにできないということで今日の質疑の中に言わせていただいたんですが、まず最初に、そのことについて政府の方ではどうか。最後にちょっと大臣からも答弁いただきたいんですが、まず政府の方からお願いいたします。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、現在の科学的知見からは、地震の規模や発生時期を短期的なタイムスケールで高い確度で予測する、いわゆる地震予知は難しいとされておりまして、地震調査研究推進本部では、過去の地震発生履歴等を踏まえ、将来発生し得る地震の長期評価を行っているところでございます。

 地震予知を含めた地震の予測につきましては、先生御指摘の電離層異常や、あるいは地殻変動の観測など、様々な学術的な研究がなされていると承知をしておりますけれども、まずは、学術界において、論文発表や学会での十分な議論などを通じて評価されていくものというふうに考えてございます。

下条委員 時間をかけないでやってもらいたいんですね。こうやって分かるものがある程度出てきて、海外が利用しているわけです。ですから、これはもう、順番はいいんだけれども、まあそれも大事だけれども、時間をかけないで、数億円で、今あるシステム、GEONETを含めて、システムで使えるわけですから、そういう意味なんです、僕が言っているのは。

 だから、もし、今ここで、あしたにでも、大阪でも、京都でも、名古屋でも、福岡でも、東京でも、何があっても知りませんよになっちゃうわけですよ。だから私は、今、短期的なもので、電離層の異常でキャッチできているということはもう出ているわけです。この間も、ちょっとキー局で、私の発言がたまたま、取材はないんですけれども、通していただいて、テレビに全部映りましたけれども、そのぐらい大事な部分なんです、この部分。

 ですから、私は、順番だほうだという行政的な考えは分かるんですけれども、政治として、民間から選ばれた政治家として、これは少しスピードアップしていただいて、大臣主導の下に、是非指示をしていただきたい。その依頼なんですよ、大臣。いかがでございますか。

盛山国務大臣 下条先生から詳しく御説明を賜りまして、私も地震調査研究推進本部長でございますので、何とかしたいという思いは私にもございます。

 御指摘の研究につきましては、梅野先生ですね、京都大学、地震予測の研究の一つとして、まだ基礎的研究の段階にあるものではないかというふうに我々考えております。まずは、先ほど局長が答弁したとおりでございますが、学術界において、論文発表や学会での十分な議論、こういったもので評価を重ねていくことがまだ必要ではないかなと考えております。

 しかしながら、そうは申しましたが、地震調査研究推進本部の取組といたしましては、大学等により生み出された基礎的研究の成果も取り入れながら推進していくことが必要でございますので、我々の本部では、学術界の評価も踏まえながら、必要に応じて適切に対応していきたいと考えております。

下条委員 大臣、ありがとうございます。少し前に出ていただいた意見をありがとうございます。

 もう時間がないので、最後に申し上げるけれども、やはり、これはスピードが僕は必要だと思うし、現実にデータで出ていますから、この私も、ちょっと頭が足りないかもしれないけれども、データを読むのだけはきちっと読ませていただいて、また意見交換もさせていただいた中で結論づけた話でありますし、海外でもこのことを利用して、かつ、フランスのコートダジュールでも学会の論文が出ている話ですから、少しだけでもいいですからスピードアップして、こういうことがあるんだということを中に入れながら進めていっていただくことをお願い申し上げて、これは議事録に残りますので、是非本部長として頑張っていただきたいと思います。

 時間が参りました。以上にします。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、早坂敦君。

早坂委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の早坂敦です。本日は、会派を代表して質問させていただきます。

 まず初めに、交通安全教育について伺いたいと思います。

 交通安全教育の目的、実施状況、自転車のルール違反やマナー違反が社会問題になっております。自転車以外に、最近ではキックボードの普及により危険な運転や事故も増えてきております。大人に対する指導やまた教育、取締りをするのは大切ですが、やはり子供の頃からの交通安全教育というものが重要なのではないかと思います。

 そこで、交通安全教育といっても、小学校、中学校、高校では内容も異なってくると思いますが、それぞれの交通安全教育の目的と実施状況を伺います。

盛山国務大臣 先生おっしゃるとおり、子供の頃から交通安全に対してよく理解をしていただくということは大変大事だと思います。

 交通安全教育は、交通社会の一員としての責任を自覚して交通安全意識と交通マナーの向上に努め、相手の立場を尊重するという、我々の社会の一員となっていただくメンバーを育成することを目的として、幼児児童生徒の心身の発達段階に応じて実施することとしております。

 具体的には、学習指導要領や各学校において作成する学校安全計画に基づいて、年間を通して、地域や学校の実情に応じた取組が行われております。

 例えば、小学校の五年生では、交通事故や身の回りの生活の危険が原因となって起こるけがの防止には、周囲の危険に気づくこと、的確な判断の下に安全に行動することなどが必要であることについて指導しており、また、全学年を対象に、警察と連携した体験的活動を含む交通安全教室が実施されているところです。

 また、こういった交通安全教育の充実のために、我々文部科学省は関係機関と連携しながらしっかり努めていきたいと考えています。

早坂委員 ありがとうございます。

 私も、地方自治体の方々と市議時代に、交通指導員の方々や先生たちと交通マナーの勉強をさせていただいたりしていたんですけれども、今はやはり私が子供の時代と違って、自転車の性能がいいのか、すごい飛ばしてくる方が多いし、自転車の事故がすごい。マナーが悪いと言っちゃあれですけれどもね。僕も小学校のとき、みんなで自転車に乗って川へ行ったり、遊んだりしていましたが。

 そこで、今、ヘルメットをかぶるのが努力義務じゃないですか。もし、ちょっと、この数とか、そういう統計とかを取られているんだったら教えていただきたいな。ヘルメットをかぶっている、普及率ですね。

望月政府参考人 ただいま委員から御質問がございました、自転車におけるヘルメットの使用率についてのデータは今持ち合わせておりません。恐縮でございます。

早坂委員 やはり、努力義務といっても、けがをする方だったり、今事故が多いので、統計も徐々に取っていっていただきたいというところでお願いを申し上げます。

 そこで、次に、通学手段や経路に関する規則決定権について伺いたいと思います。

 通学の際、小学生はほとんどが、生徒だと思いますが、中学生になると学区が広がり、自転車通学の生徒も増えるのではないでしょうか。地方になれば、更に自転車通学の生徒が増えるかもしれません。もちろん、高校になれば、自転車や原付バイク、バス、電車や公共交通機関を利用する生徒も大変多くなると思います。

 通学の通路や手段は誰が決めているんでしょうか。どの経路を通って学校に行く生徒なのか、自転車なのか、原付バイクなのか、規則などで決められているんでしょうか。地域の事情もあると思いますが、生徒や保護者の希望や要望を聞き入れ、本人の選択に任せることはできないんでしょうか。通学手段、通路に関する規則決定権について伺います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 児童生徒の通学の経路の決定権が誰にあるのかという御質問でございました。

 法律で申しますと、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十一条に教育委員会の権限として「校長、教員その他の教育関係職員並びに生徒、児童及び幼児の保健、安全、厚生及び福利に関すること。」とございまして、基本的には教育委員会の職務権限に属するものではございますが、一方で、各学校ごとに学校の置かれている状況が様々でございます。地域の状況もございます。教育委員会規則等によりまして、通学経路につきましては、地域の実情も踏まえ、また、交通事情等も踏まえまして、学校長が決定しているものが大半であるというふうに理解してございます。

早坂委員 ありがとうございます。

 通学手段、経路についてはそうやって決められているということですが、しかし、今はもう少子高齢化になっていまして、統廃合による通学の距離が増えた児童や生徒の支援についてちょっと伺いたいんです。

 今、日本の各地で、少子化により学校の統廃合が、今言ったとおり進んでおります。地方に限らず、東京の都心でも統廃合が行われております。統廃合が行われることにより、学区が広がり、通学の距離が増え、時間がかかることも問題になっております。山岳部や離島、僻地などで、学校へ行く手段が限られている、公共交通機関がない、そして便数がないなど、通学困難の生徒も日本全国には多数おります。また、通学の距離が増え、時間がかかることになれば、児童生徒、体力的に精神的に負担も増えると同時に、送り迎えなど保護者の負担も増えることになります。

 住む場所や地域により、ほかの生徒と比べて過度な負担がかからぬよう、また、経済的負担が増えないようにしっかり支援すべきだと考えますが、こういった児童生徒に対し、どういった支援が行われているか、伺います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、学校統廃合等により遠距離通学となる小中学校の児童生徒の通学条件の緩和を図るという観点から、へき地児童生徒援助費等補助金により、スクールバスの購入費や遠距離通学費に係る経費について補助を行っているところでございます。

 この補助金につきましては、令和六年度予算においても必要な予算を確保するとともに、近年の車両の上昇を踏まえ、バス購入費の補助上限、これは、令和五年度で七百五十万から、令和六年は七百八十万と補助上限額の引上げを行っております。

 文部科学省としては、引き続き、必要な予算の確保に努めるとともに、各自治体の実情も伺いながら、遠距離通学となる児童生徒の通学支援に努めてまいりたいと考えております。

早坂委員 ありがとうございます。

 遠距離通学の方々に対しても支援していただいているということで、本当に感謝申し上げます。私が小学校のときは、三十分ぐらいかけたときは、遠いのか近いのか、子供のときは分からないんですけれども、よく考えると遠いんじゃないかなと今思うんですが。

 今、普通の学校だと、私も最初、認識不足だったんですが、登校班というのがありまして、学校によると思うんですけれども、五、六年生の高学年の方が、低学年の子供たちを挟んで一列に行く。でも、それに対しては保護者がついてこなくちゃいけないから、最初に負担がかかっているというのもあるんですが、やはり、でも、先ほども言った、マナーが悪い方もいますし、自転車を飛ばしてきたりする方に小学生の方々とかがぶつかったりしたら本当に危険ですので、しっかりこれは取り組んでいただきたいということでお願いを申し上げて。

 次は、オートバイの件で、今までの三ない運動に関する現状の受け止めと評価について伺いたいと思います。

 昭和五十年代に、二輪による暴走行為や死亡事故などの社会問題化を受け、全国のPTAを中心に、高校に対して、教育行政側から、バイク並びに自転車の運転免許を取らせない、買わせない、運転させないという三ない運動を推進してきました。現在では、実質、この三ない運動はなくなったということですが、実際はどうなのでしょうか。

 全日制高校の多くの校則で、バイクの免許の取得や、乗っちゃいけないという制限が記載されているんです。また、各県、一律、バイク通学禁止としている県も大変多いみたいです。三ない運動が維持されている状況が今の日本の現状ではないでしょうか。

 バイクや車など自動車産業は、日本が世界に誇る基幹産業です。そこに関わる人たちは極めて大変多く、日本経済を支えていると言っても過言ではありません。高校生の年代は、感性豊かで、いろいろなものに興味を持つ時期です。そんな時期にバイクや車から遠ざけてしまったことが、高校生が車やバイクに興味を失い、販売台数の減少や免許取得の方の減少を招いたのではないかと思ってもおります。

 水の事故が起きたときに、水に入ってはいけないということになりませんよね。だから、危険な場所や、周知し、着衣、道具は適切だったか、体調はどうだったかということも検証されると思います。バイクは危険、だから乗せないという姿勢は、交通安全意識の重要性について視点が欠けている上に、安全教育の機会が失われていってはいないかと思います。事故のリスクが完全に払拭できないということも正しく認識し、理解させる必要があり、そして、対処方法としての理念や技術を習得するための交通安全教育を実施していくということではないでしょうか。

 群馬県や埼玉県では、新たな指導方針を定めたとして、三ない運動を廃止しています。ただ危険だから駄目ではなく、群馬県や埼玉県のように、社会環境変化に整合した方針の展開が他の地域に波及していく、文科省としても後押ししていただけないでしょうか。

 三ない運動について、現状を文科省はどう受け止めて評価しているのかを伺います。

望月政府参考人 委員御指摘の三ない運動、これは、御紹介がございましたけれども、昭和五十年代の後半、高校生のバイク事故が激増する中で、全国高等学校PTA連合会によりまして、その全国大会で、いわゆる三ない運動、高校生によるオートバイの免許取得や車両購入、運転を禁止するために、免許は取らない、乗らない、買わないというスローガンを掲げたものでございます。

 その後、平成二十四年の全国大会におきましては、同連合会でございますけれども、その取扱いを、自転車、バイク、歩行者のマナーアップ運動として柔軟に対応するとの方針を踏襲しつつ、バイクだけでなく、自転車や歩行者等の交通マナーを向上させる内容とする交通安全教育を推進する中において、それぞれの都道府県における各PTAにおいては、地域の実情や学校の実態に応じて、この三ない運動、柔軟に対応するという形になってございます。

 直近、令和二年の二月に我々が都道府県の方に聞き取りの確認をしたところによりますと、教育委員会が主導という形ではございませんけれども、何らかの形で三ない運動を推奨しているという自治体は七自治体というふうな形で承知をしてございます。

 また、直近の状況につきまして、正確には確認はできておりませんけれども、委員御指摘のとおり、都道府県の方では、それを明示的に推奨しないというふうにしたものも含めて、更に減少しているものというふうに承知をしているところでございます。

 高校生に対しましては、確かに、社会の変化に応じて、危険だからそれを完全に防止するということではなく、交通事故を防止するために交通安全教育を教科の中で取り上げてございまして、将来、二輪車や自動車などの運転者として交通社会の一員となることも考慮しまして、運転者としての責任、加害事故の防止、事故発生時の適切な対処が必要であるという点を重視して指導を行うようにしてございます。

早坂委員 今、私と同世代の方々が、実は限定解除を取る方が非常に多くて、しかし、半導体のせいで新車がないんですけれどもね。やはり昔でいえば、カワサキだったらFXやZ2、ヤマハだったらGXの750だったり、ホンダだったらCBフォア、あと、スズキGT380とか、格好いいバイクがいっぱいありますが、そこで、やはり今、ハーレーとかドゥカティも人気がありまして、私の支援者でも、実は、若いのにハーレーのショップをやっていまして、音楽と洋服とハーレーを融合して、いろいろなイベントに出て頑張っております。実は、仙台のハーレーショップは、東京だったり芸能人の方が買いに来て、結構優秀なショップだそうです。

 そこで、やはり一つ思うのは、僕も最近、その支援者のおかげでバイクの免許を取りたいなと。なかなか買うことはできませんが。やはり、危ないものじゃなく、安全運転をするという心がけをしなくちゃいけないということですが。

 一九七〇年代は三百六十万台売ったんですよね、バイクを。でも、今、昨年三十六万台、十分の一ですよ。やはりこれは、申し訳ないですけれども、政治、そして教育が大事だということが私は思うので、是非とも、駄目じゃないという、危険な行為をすれば危ないものかもしれませんよ、でも、しっかり今後も取り組んでいっていただきたいという、バイクは三ない運動もなくなってきたことですから、バイクを乗っていただく方が多い方がやはり経済も豊かになりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 そこで、自転車やバイクの通学について伺いたいと思います。自転車やバイク通学に関して、どのような指導、教育をしているのか。

 そこで伺いたいと思うんですが、在学時だけではなく、生涯にわたり、交通安全、事故防止のためにも、規制するのではなく、自転車やバイクに乗せて指導することも一つの方法だと思います。自転車やバイクの通学を希望する生徒には、届出や安全教育実施、講習条件などをして、安全確保対策に万全を期した上で認めるようにはできないでしょうか。

 また、学校教育、学校や教職員だけで指導をするには限界があるので、警察、教習所、様々な関係団体と連携して技術習得や安全意識醸成の健全な交通社会人の育成を目指すべきだと思いますが、現在の自転車及びバイク通学に関する指導内容と、今後どのような方針でいくのかを御説明をお願いいたします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 学校の置かれている状況は様々でございまして、交通手段が非常に限られているところもございますので、自転車やあるいはバイク通学というところも、これは学校長の判断で柔軟に扱いながら、交通安全教育をしっかりしていくということが基本かと思っております。

 バイクのデータはございませんけれども、自転車に限りますと、近年、高校生の自転車利用時における交通事故件数、自転車の関連死亡あるいは重傷事故件数につきましては、警察庁のデータによりますと、小中学生と比較するとやはり二倍程度以上あるということがございます。学校における交通安全教育を実施する上では、警察や教習所などの関係機関と連携することは大変重要であるというふうに考えてございます。

 このため、文部科学省では、各自治体が実施する警察や自動車教習所などの関係機関と連携したモデル的な取組を支援をしてございます。また、その好事例の共有を図っているところでございます。

 警察庁から今般の道路改正法の改正等について御説明を直近ではいただいておりますけれども、警察と自動車教習所協会と連携した、いわゆるオートバイ、バイク、自動二輪車や電動キックボードの交通安全講習などの実技を伴う好事例についても、こちらとしても紹介をし、近年の交通安全の状況を踏まえた交通安全教育を今後とも促してまいりたいというふうに考えているところでございます。

早坂委員 学校の先生の負担がまたかかりますので、外部の団体とかとやはり連携して取り組んでいってほしいということで。

 最後に、交通安全教育の課題について伺いたいと思うんですが、最初に申し上げたとおり、大人の自転車のルール違反やマナー違反が目立ち、新たな乗り物のキックボードが出てきており、危険な運転をしている大人が多いです。そんな大人を子供たちは見ておるんですね。

 大人の交通安全教育も必要ですが、まずは、いかに児童生徒に有用な交通安全教育を行っていくか、そして運用体制をどう構築していくかということが課題ではないでしょうか。

 文科省として、交通安全教育の課題をどのように認識しているのか、伺います。

望月政府参考人 委員御指摘のとおり、交通安全教育につきましては、学習指導要領や学校保健安全法第二十七条に定める各学校において作成する学校安全計画において、地域や学校の実情に応じた取り組みがなされているところではございますけれども、まさに学校の努力だけでは防止できないという事案も発生しているということが一つの課題であるというふうに考えてございます。

 また、地域や学校設置者、あるいは学校教職員の取組内容とか意識に差がやはりあるということも課題であるというふうに考えてございます。

 これらの課題を踏まえまして、先ほども御答弁させていただきましたけれども、関係団体と関係機関としっかり連携をしながら、あとPTAとか家庭とも共有認識を図ること、あるいは、校長あるいは教職員の最近の状況も踏まえた研修等の充実、あるいは学校全体の認識の共有といったことも必要ではないかというふうに考えているところでございます。

 文部科学省としましては、各学校において交通安全教育がより効果的、実践的に展開されるよう、関係機関とも連携しながら充実に努めてまいりたいと考えてございます。

早坂委員 是非ともしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。

 次に、資料を見ていただきたいんですが、以前に私、スタジアム・アリーナ改革について質問させていただいたんですが、この資料を見ると、実は東日本の方が全然改革が行われていない。これは土地柄なのか。本当に神奈川とか東京そして愛知でも、広島ではしっかりと取り組んでいるんですよ。そこで、宮城を見てもらうと、ゼビオアリーナ仙台改修というのは、仙台市には羽生結弦君と荒川静香さんという金メダリストがいますが、実は東北六県で公式のスケート場がないんですね。それで、初めてスケート場を造るという感じの構想だと聞いておりました。

 そこで今、選定拠点の進捗状況とあと申請状況、先ほど言いましたが、昨年の四月に本委員会でスタジアム・アリーナ改革について質問しましたが、本日はその後の進捗状況について伺いたいと思います。昨年の御説明の中、モデル拠点、二〇二五年までに二十拠点を選定することを目標としているという話がありましたが、昨年四月時点で十一拠点を選定しているということでした。その後の選定拠点は増えたんでしょうか。選定拠点の進捗状況を伺いたいと思います。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のございました全国のスタジアム、アリーナでございます、そのモデルとなる多様な世代が集う拠点といたしまして二〇二五年までに二十拠点を実現すること、これを目標に掲げて取り組んでいるところでございます。

 現在のところ、十七拠点を選定しております。加えまして、これは構想、計画段階ではございますが、その選定も含めれば更に二拠点、合計十九の拠点を選定してございます。

早坂委員 私、宮城県仙台市の出身なんですが、仙台市で今、音楽堂を造るというので、四千人が入るんですね。これはもう何十年以上前から計画していて実施するということと、あと、宮城県には県民会館というまた同じような四千人入る施設があるんですが、それを同じ時期にまた建て直すという計画があるので、なぜアリーナを造らないのかなと思って。

 宮城県の仙台市の人たちは、実は利府町という隣の町に三千円ぐらいのバス代をかけてコンサートを見に行くんですね。大きいスタジアムなので、アリーナなので、サザンだったり、ワンオクロックだったり、セカイノオワリとか、やはりそういうビッグアーティストが来るときは皆さん本当に嫌な顔をしないで行くんですが、是非仙台にも置いてほしい、アリーナを造ってほしいと。やはり一万人以上が入れる施設があると、すごい、子供たちも、若い方、お母さんたちも本当に、ジャニーズが好きなお母さんたちも喜ぶと思います。

 そこで、あともう一つは、仙台という町は観光がちょっと乏しくて、松島だったり、あと秋保というところに行くと紅葉だったりきれいなんですけれども、仙台は実はフェスの町でありまして、音楽、楽都仙台。そして、音楽の楽都、あと東北大学ナノテラス、すてきな施設がありますよね、その学都なんですね。

 今、子供たちは携帯で動画だったりを見たりするので、実は、アナログ派になってコンサートを見に行きたいということで、すごいソールドアウトになっているんですね。先日も、五月ですね、宮城県でアラバキロックフェスというのがありまして、ツーデーズで、六万人以上入る、すごい、子供たち、家族連れがいっぱいいましたが。

 やはり仙台はイベントの町という感じが、これは前に市役所の方々とも話しましたが、イベントをやる町なんですが、今までストリートジャズフェスティバルとか伊達祭とかという若者のイベントがあるんですけれども、是非これはアリーナを造ってもらって盛り上げてもらいたい。そして、そうするとホテルもいっぱいできてきたり、やはりこの改革をどうにか行っていっていただきたいという思いでございます。

 これまでの取組における成果と課題について伺いたいと思うんですが、新たな成果、課題などあれば伺います。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 スタジアム・アリーナ改革の取組の成果といたしましては、スポーツ施設そのものに対する関係者のマインドチェンジが進んでおります。従来のような単にスポーツをするための施設だけではなくて、地域ににぎわいをもたらすこと、そういったことを意識したスタジアム、アリーナの整備、これは運営が現在各地で進んでいるものと考えております。

 全国で多様な取組が進む中、スポーツ以外のイベントでも活用し、収益を上げるためのノウハウの共有、こういったことをスポーツ庁でも進めております。さらには、商業、飲食、宿泊施設など他の集客施設とも連携しながら、地域全体で稼ぎ、町づくりの核としていく、そういった取組も支援しているところでございます。

 他方、御指摘がございましたが、地域差があることも事実でございます。

 こういったことを踏まえまして、今後とも、スポーツ庁といたしましては、スタジアム・アリーナ改革ガイドブックの改訂に取り組み、これからも、いろいろな好事例の展開など、総合的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

早坂委員 本当に、コンサートだけだと運営も大変だし、スポーツだけでも大変ですね。複合施設をやはり造って、改革を進めていっていただきたいと思います。

 最後の質問になるんですが、防災教育について伺いたいと思います。

 災害の理解を深め、自ら命を守る知恵や知識を学ぶ防災教育。大きな災害の直後は、皆さん本当に一生懸命備えたり、防災の意識が高まったりするのですが、時間が経過するとともに防災に対する意識が薄れていく感じがいたします。

 私の地元宮城県でも、東日本大震災から十三年がたち、震災を知らない子供たちも出てきています。災害を体験したことがない児童生徒に、命を守る大切さや、たまにしか起きない災害に対し、災害の持つ怖さや悲しみを伝えることは難しいです。いかに命を守る大切さを教えるのか、どのように認識や知恵を伝えることができるのか、大変大きな課題だと思います。

 私は、まず意識を変えることだということが重要だと思っております。特に、防災教育に関わる人の意識が変わらなければ、児童生徒に意識を伝えることはできないと思います。いかに気づきを与えることができるか。一人が変われば、周りも変わります。点を増やしていって面に変えていくことが重要じゃないかと思います。

 防災教育の重要性、いかに理解してもらうのか、子供たちの主体性、課題性の意識を引き出すために何が必要か、文科省の取組について大臣に伺いたいと思います。

盛山国務大臣 早坂先生御指摘のとおり、防災教育、大事でございますし、どうすればいいのか、なかなか難しいところであります。

 私の選挙区、阪神大震災が起こりました。二十九年たちました。当時三十歳だった方が今五十九歳になっているわけでして、例えば、役所の職員でもどのように役所の中で伝えていくのかというのは今課題であります。そしてまた、当時ゼロ歳だった人が今二十九歳ということですので、親御さんにとっても、自分の子供にどのように教えていくのか、経験のない人が増えているということであります。

 学校教育において、それをどのように子供に伝えていくのかということでございます。どうしても、東日本大震災でもそうでございましょうが、今回の能登半島地震でもそうでございましょうが、災害の記憶、教訓というのは、どうしてもある程度時間がたつと忘れていきます。その記憶がある程度薄らいでいくというのは、いい面ももちろん中にはあるわけでございますけれども、ただ、やはり、この教訓を風化させることがないように、どのように実践的な防災教育を進めていく、そういうものが大事だということを連綿と伝えていくのかというのは大変大きな課題でございます。

 文部科学省としましては、令和四年三月に閣議決定されました第三次学校安全の推進に関する計画に基づきまして、児童生徒等が自らの安全を確保することのできる基礎的な資質、能力を継続的に身につけられるよう、地域の災害リスクを踏まえた実践的な防災教育、こういったことをそれぞれの現場の先生方にも御協力をいただきながら推進していきたいと考えています。

早坂委員 ありがとうございます。

 是非ともこの防災教育、大切なので、まだまだこれから取り組んでいっていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、大阪・関西万博について聞きたいと思います。

 今年三月二十八日、大阪・関西万博の会場建設現場で、溶接作業中に火花がメタンガスに引火し、爆発火災事故が発生いたしました。万博会場である夢洲は現役の廃棄物最終処分場で、埋め立てたものの分解に伴って可燃性のメタンガスが発生し続けております。

 資料一を見ていただきたい。これは大阪市が公表している夢洲におけるガス調査結果の一部でありますけれども、二〇二三年九月二十一日に調査を行いましたけれども、このときの夢洲一区におけるメタン発生量は、一日当たり千九百八十九キログラム、およそ二トンが毎日発生しているということであります。

 この調査を二〇二一年から遡って調べたものが、資料二につけた、私どものしんぶん赤旗の記事でありますけれども、この経年調査を見ていただくと、メタンガスの発生量は年々増加しており、万博が開催される夏期でいえば、二〇二二年の〇・八トンから、二〇二三年はその二倍以上の約二トンとなっております。今後も増え続けることが容易に想像されるわけですね。

 まず、大臣に確認させていただきます。

 遠足、集団宿泊的行事を行う際は事故の絶無を期する、これが重要だと思います。大臣、遠足や修学旅行をする際、安全確保が何より重要だと考えますが、これはよろしいですね。

盛山国務大臣 宮本委員がおっしゃるとおり、修学旅行や遠足におきましては、事故防止や安全確保を徹底することが不可欠でございます。

 修学旅行や遠足は、学校教育活動の一環として位置づけられているものであります。文部科学省としては、学習指導要領の解説や通知において、その実施に当たって、事故防止のための万全の配慮をすること等を求めております。

 引き続き、こうした点に留意をした上で、各学校において適切に修学旅行や遠足が実施されることが重要であると考えています。

宮本(岳)委員 大臣御指摘のとおり、学習指導要領の解説においてもそのことは明記をされております。

 これは初中局長に確認いたしますが、小学校学習指導要領解説特別活動編、平成二十九年七月のものでありますが、「遠足・集団宿泊的行事」の「2 実施上の留意点」にはどのように書かれておりますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 小学校学習指導要領解説におきましては、遠足、集団宿泊的行事の実施上の留意点といたしまして、あらかじめ、実地踏査を行い、現地の状況や安全の確認、地理的環境や所要時間などを把握するとともに、それらに基づいて現地施設の従業員や協力者等との事前打合せを十分に行うと記載されているところでございます。

宮本(岳)委員 これが学習指導要領の中身なんですね。安全確保が何より大事という。

 この万博への遠足について、私は、保護者や教員から、ガス爆発が起こる可能性のある危険な万博に学校行事として子供たちを連れていかないでください、学校は、遠足などを計画するとき、下見をして入念に安全を確認している、安全でなければ絶対に連れていけない等々の声を聞いてまいりました。

 また、昼食は団体休憩所で取ることとされておりますけれども、団体休憩所とされる場所は今回の爆発事故の現場のすぐ近くでありまして、パビリオンの見学、昼食などの際、この事故現場を行き来することになります。しかも、避難計画はまだはっきりしておりません。教員、保護者、そして子供たちが不安に感じるのは私は当然だと思うんですね。

 文部科学省は、万博のガス爆発の事故について状況を把握しておりますか、初中局長。

矢野政府参考人 関係省庁の説明等により、また報道等により承知しているところでございます。

宮本(岳)委員 ガス爆発については一応状況はつかんでいただいていると。

 安全対策の取りまとめがどうなるかということにつきましては、今年の夏頃にはというふうにおっしゃっているわけですね。

 ところが、一方で、大阪府は、万博への遠足について、学校の意向調査を五月末までに回答するよう求めてまいりました。昨日もニュースが流れておりましたが、ひとまず意向調査を取ったら、半数以上が万博に行くという意向を示したというニュースが流れておりましたけれども、それは、いかがですかと聞いたら、まずは検討のまないたにはのせるということになるんでしょう。

 これはしかし、大阪だけの問題じゃありません。

 文科省は、今年四月八日付で、「修学旅行等における二〇二五年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の活用について」という事務連絡を出しております。今日は資料三で配付をしております。この事務連絡では、「今般、内閣官房国際博覧会推進本部事務局及び経済産業省商務・サービスグループ博覧会推進室から、別紙のとおり依頼がありました。」とあります。

 初等中等教育局長名の通知ですから、これを受け取ると、みんな、文科省が行きなさいよということを通知で出していると受け止めるのでしょうが、よくよく読むと、この事務連絡のタイトルの「日本国際博覧会の活用について」というのは、まさに同一タイトルの内閣官房及び経産省の依頼を知らせるものであって、文科省が各学校の設置者に修学旅行は万博に行きなさいよと指示するようなものではないと私は読んだんですが、初中局長、あなたの名前ですけれども、間違いないですね。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、国際博覧会推進本部決定等を踏まえ、内閣官房国際博覧会推進本部事務局、経済産業省の依頼を受けまして、修学旅行等における大阪・関西万博の活用につきまして、都道府県教育委員会等に通知を行ってきたところでございます。今委員の御指摘のとおりです。

 会場の安全については、三月の事故を踏まえ、現在、博覧会協会において、専門家の意見を聞きながら、会期中の安全確保の対策を取りまとめている、こういうふうに伺っております。

 文部科学省といたしましては、当該対応策も踏まえ、引き続き、関係省庁と連携しながら、修学旅行等の実施について適切に対応してまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 安全対策の取りまとめは今年の夏頃にはと、これは明確におっしゃっていることなんですね。

 安全対策が先ですか、それとも意向調査が先ですか。初中局、どう思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 意向調査は、これは自治体の御判断でございますので、自治体の御判断に任せたいと思います。

宮本(岳)委員 それは自治体の判断でしょうけれどもね。しかし、安全対策はまだできていないんです。明らかになっていないんです。あなた方の説明もそうなっているんです。順序が逆だと私は思いますね。

 同時に、あなたの立場で万博修学旅行というものを推進する、そのことを通知したものではないですね。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 本通知の趣旨を踏まえつつ、修学旅行の行き先等については各学校において決定していただくものと承知しております。

宮本(岳)委員 当然です。各学校で判断するものだ、このことは確認されました。

 これだけ不安の声が寄せられる中で、不安だから欠席させたいが内申書に影響するのではないかという声も届いておりまして、たとえ学校が遠足で万博に行くことを決めたとしても、子供や家庭の判断で行かせない、あるいは行けないという場合もあります。

 資料四は、一九六八年十月二日の文部省初等中等教育局長通知、当時は通達ですね、通達、「小学校、中学校、高等学校等の遠足・修学旅行について」というものであります。ここには、「原則としてすべての児童生徒が参加できるように計画すること。なお、参加できない児童生徒がある場合には、その指導についても遺憾のないよう配慮すること。」とありますけれども、これも、初中局長、間違いないですね。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、これまでも、修学旅行、遠足に関し、原則として全ての児童生徒が参加できるように計画すること、参加できない児童生徒がある場合には、その指導についても遺憾なきように配慮すること、こういったことを通知で示してきたところでございまして、これを踏まえた対応が各学校でなされているものと認識しております。

宮本(岳)委員 毎日二トンものメタンガスが発生し続けている夢洲での万博開催は、私は直ちに中止すべきだと考えます。そして、子供たちや保護者や学校関係者の不安の声をちゃんと尊重すべきだ、このことをはっきりと申し上げておきたいと思います。学校はそういう判断をすべきだと考えます。

 さて、この後、教科書バリアフリー法改定案の提案があると聞いております。現在障害のある児童生徒を対象としている教科用特定図書を、日本語に通じていない児童生徒等に対象を拡大するものでありまして、外国人児童生徒等は年々増加をしており、学校現場での学びの困難が生じていることは承知をしております。そういう意味で、本改定は重要な意義があると考えております。

 教科書は学校での学びを支える主たる教材でありまして、そこで、教科書価格の問題を聞きたいと思います。

 この間、何度も出版労連の方々からお話を聞いてまいりました。教科書価格が不当に安く抑えられており、製造原価に見合っておらず、価格の適正化のため原価計算を行ってほしいという要請であります。

 まず、初中局長に聞きますが、教科書定価について、社会全体の物価が上昇している中、現場の労働者からは労働条件が厳しいという声も聞いておりますけれども、現下の物価上昇等も踏まえて適正に引き上げるべきと考えるが、文科省の見解はいかがなものでございましょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 就学する全ての児童生徒が使用する教科書は、学校教育活動のまさに主たる教材といたしまして、子供たちの教育に大変重要な役割を担っているものと認識しております。教科書を安定的に供給するため、適正な教科書価格を設定することは大変重要なことと考えております。

 教科書の定価改定につきましては、今般の物価上昇等に伴う教科書コストへの影響を適切に反映できるよう努めているところであり、令和六年度予算における教科書定価についても、材料費や印刷費等の教科書製造原価に直接影響する経費の上昇の状況などを踏まえ、これは平成八年の二・八%以来の大改定になりますが、三・〇%としたところでございます。

 文部科学省としましては、今後とも、各教科書発行者の状況を適切に把握した上で、物価や給与の動向等も見据えつつ、引き続き、適切な教科書価格の検討と必要な経費の確保に努めてまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 際限なく値段を上げてほしいと言っているんじゃないんですね。不当に抑え込まれている価格を原価計算し、適正な価格にしてほしいという真っ当な要求なんです。

 聞くと、紙の教科書も不当に低く抑えられているが、デジタル教科書は更に悲惨だと聞きました。

 今年度からデジタル教科書の本格導入ということで、英語は、小学校五、六年、中学校は全学年を対象に国公私立の全学校に、算数、数学は、小学校五、六年、中学校は全学年を対象に約半数の学校に配付をしております。このデジタル教科書の単価は、小学校英語で百三十五円、中学校英語は百三十一円、また、算数の単価は二百六十四円、数学の単価は二百四十四円だと聞いております。

 このデジタル教科書の単価は紙の教科書の大体何%になっておりますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル教科書の価格は、令和四年度に教科書発行会社への調査に基づきコストの計算を行い、紙の教科書の約三八%となっております。

宮本(岳)委員 紙の教科書の三八%ですよ。紙の教科書自身が、原価計算してほしい、原価に見合わないという悲鳴の声が上がっている中で、さらに、デジタル教科書はその三八%にとどまっていると。

 二〇二〇年度秋の年次公開検証、いわゆる秋のレビュー、「教育現場のオンライン化の推進」の中でも、文科省は、市場で出回っているデジタル教科書の価格というのは、五教科の平均でいえば九百十一円でございまして、これは紙の教科書の平均六百六十七円に比べますと相当高い状態と述べ、紙の価格まで下げた上で、来年度は実証し、それを踏まえて、更に適正価格というのを見定めていくなどと言っております。市場価格は高過ぎるから、安く抑え込もうということではないのか。

 大臣、デジタル教科書にするのは費用削減のためなんですか。

盛山国務大臣 宮本先生、今の学校教育のICT化の現状をよく御案内のことと思いますが、紙の教科書があって、なおかつ、その上でのデジタルの教科書ということでもありますし、教科書は、一冊一冊、紙の製本したものを生徒に配るわけでございますが、デジタルの教科書、教材の場合には、またそういうのとは違うわけでもございまして、そういうような実態の違いというものも是非御理解賜りたいと思います。

 そして、デジタルの教科書ということでございますけれども、我々は、GIGAスクール構想の下、先ほど来、宮本先生も少しお触れになりました特別な配慮が必要な児童生徒、こういった方への対応も含めまして、デジタルの強みを生かすということで、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図るなど、児童生徒の学習環境を豊かにするため、デジタル教科書の活用を推進しているところでございます。

 こういった観点でございますので、教科書コストを下げるためということではございません。引き続き、デジタル教科書の効果的な活用に向けて取組を進めていきたいと考えています。

宮本(岳)委員 その秋のレビューでも、ある評価者は、一個できれば、それを百人いようが二百人いようがコピーすればいいだけの話だ、こう述べて、この科目はデジタル教科書をメインにしますと決めたならば紙の教科書はもうやめろ、そこまで言っているわけですね。

 適正な価格を実現するためにちゃんと原価計算を行うことを強く求めて、私の質問を終わります。

田野瀬委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をありがとうございます。

 今日は十分という限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。

 本日は、平和教育についてお伺いをさせていただきます。大臣、二問目から質問させていただければというふうに思います。

 現在、国際社会におきましては、ロシアによるウクライナの侵攻、中東情勢の緊迫化など、何が国際情勢の中で起こるか分からない、大変緊迫した状況であるということを踏まえまして、二度と戦争の惨禍が繰り返されないように、また、今、核の脅威がこれまでで一番高まっているという状況を踏まえますと、再び核兵器が使われることがないように、より平和教育の重要性が増しているというふうに私自身は認識をいたしております。

 今の現状を踏まえまして、学習指導要領の記述の充実も含めまして、平和教育をより推進していく必要があるというふうに考えておりますけれども、盛山大臣の御見解をお伺いをいたします。

盛山国務大臣 戦争が未曽有の惨禍をもたらしたことを理解していただき、二度と悲惨な戦争を繰り返さないようにするためには、学校教育におきまして、平和で民主的な社会の実現、国際協調、国際平和の実現に努めることの重要性を理解してもらうよう教えていくということが極めて重要であると認識しております。

 現行の学習指導要領の下でも、例えば、語り部の方から被爆体験を聞いたり、原爆資料館や戦争遺構の見学、校区内の犠牲者の祈念碑を調べたりといった活動などの例もあることから、これらの好事例を普及していくことが重要であると考えています。

 そして、学習指導要領の改訂につきましては、中央教育審議会での専門的な議論を経て行うものでございますが、先ほどお取り上げになりました昨今のような国際情勢の変化や、現行の学習指導要領の下での課題などを踏まえて御議論をしていただくことが大事なことだと考えています。

西岡委員 今大臣から、学習指導要領についても議論していくことが重要だというお言葉がございました。

 私は、長崎市で生まれ育ちました。長崎に居住している児童生徒につきましては、被爆地であるということを含めて様々な平和教育がこれまでも行われてきておりまして、先ほど大臣からございました、被爆体験の語り部の方のお話を聞いたり、また、児童自らが様々な議論を通じて、平和の大切さ、また被爆の実相に触れて、その悲惨さというものを学んでいるということがございます。

 ただ、全国的には、長崎、広島、沖縄のような充実した平和活動が全国で行われているかということにつきましては、大変地域間格差があるというふうに認識をいたしておりまして、二〇二一年に、三年前でございますけれども、若い世代に、核兵器に関する学びを深めて世界の恒久平和のために活動しておりますナガサキ・ユース代表団が、日本における小学校における平和教育の地域差というものについて若い世代の方々にアンケートを取りました結果からも、地域間格差がこのアンケート結果からも明らかになっております。

 また、核兵器廃絶、世界恒久平和の一万人署名の活動をして、毎年、国連欧州本部に届ける活動をしている高校生平和大使の活動報告を聞く場が先般ありましたけれども、そこでもやはり、自分たちが学んできたような平和教育が全国で行われていないということについて問題意識を持ったという高校生からの発表もございました。

 平和教育の地域間格差について大臣がどのように認識をしておられるのか、全国各地で地域に根差した平和教育が行われることが大変重要だと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いをいたします。

盛山国務大臣 西岡先生のように長崎で生まれ育たれた方、あるいは岸田総理のような広島の関係者の方、そういった方については今でも、被爆ということについて、あるいは戦争の惨禍ということについて、ほかの地域の方以上に強い認識をお持ちの方が多いのではないかと思います。

 私の家内の父でございます元衆議院議長の田村元も、実は、学生のときに長崎で学んでおりまして、被爆をしております。手帳も持っております。そんなことで、遺体も運んだというようなことも含めて、我々もいろいろ聞かされておったものでございますので、そういうような方が周りにいれば意識は高まると思うんですが、どうしても、先ほどの地震の例もそうでございますけれども、特に我々一般の日本人にとっては、第二次世界大戦が終わりましてからもう長い時間がたっております。語り部の方もだんだんと減っているというような事実でございます。

 私たち文部科学省は、厚生労働省と連携をして平和の語り部事業というものを推進しておりますけれども、こういうような体験者あるいは被爆者の関係の方々の高齢化が進んでいるということで、今の段階で、これから今後の平和教育の充実をどのようにしていくのか、なかなか頭の痛い、重要な課題でございます。

 先ほどおっしゃったような地域、特に広島では体験者の生の声を盛り込んだデジタル教材を作成しておられるですとか、NHK・フォー・スクールでも動画が公開されている、こんなことも承知しておりますけれども、今後、この語り部事業をうまくもっと充実させることとともに、今の御時世でございますので、様々なデジタル教材の活用、そして若い世代の教育関係者との連携も含めまして、平和教育の更なる充実に努めてまいりたいと考えています。

西岡委員 今大臣からも、大臣の奥様のお父様が長崎で被爆をされたというお話を伺いました。やはり、身近にそういう経験をされた方がおられるかおられないかということも大変子供たちにとっても大きな影響があるというふうに思っておりますけれども、来年、戦後八十年、長崎、広島に原爆が投下されてから八十周年を迎えます。今、先ほど大臣からもありました、戦争を体験された方や被爆者の皆様が高齢化をしまして、直接、体験や被爆の実相を聞く機会が持てなくなる時代がすぐそこに来ております。

 長崎におきましても、先ほど御紹介のあったICTの活用ですとか、語り部の講話を映像に残す、映像を作成するですとか、また、被爆者なき時代に向けまして、様々なツールを活用して被爆の実相を次世代に伝える取組も進んでおります。

 その中で、どのように児童生徒が自分自身の問題として平和を捉えていくか、また、児童生徒が自ら考え、議論をして、そして自分が何をすべきかということを考えていく、この平和教育の内容の充実も大変重要だと認識をいたしております。先ほど御紹介いたしました高校生平和大使や大学のユース代表団など、若い世代が被爆者の皆様の思いを引き継いで、その活動も引き継ぎ、学校現場でも、平和教育を行うのに若い世代の方々が参画をしているという取組も進んでおります。

 今後、直接、被爆体験や戦争体験を聞くことができない時代に向けて、平和教育をどのように進めていくお考えであるのかどうか、また、若い世代の平和の取組をしっかり国として支援をしていくことが大変重要だというふうに考えますけれども、併せて盛山大臣の御見解、先ほどのお答えとも若干重複する面があるというふうに思いますけれども、お伺いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

盛山国務大臣 先ほど御答弁したことと重なりますけれども、できるだけ、語り部ですとか経験者の方、あるいは、直接の経験者ではなくてもそういうお話をよく聞いておられる方々、そういった方々に御活躍をいただく、そして、そういう声を直接学校その他で教えていただく、あるいは、現場、現地というんですかね、いろいろな慰霊碑ですとか、いろいろなところがございます、そういうところで教えていただく。

 そして、さらには、今、デジタルということで、いろいろなツールがあるわけでございますので、そういったものを活用して、人ごとではなく、少しでも自分事として感じていただけるようにお子さんにうまく伝えていく、そういったことを私たち取り組んでいきたいと考えています。

西岡委員 もう質問時間は終わっておりますけれども、やはり、世界のリーダーを含めて、被爆の実相に直接触れていただくことも大変重要だと思っておりますので、委員の先生方も、修学旅行等で長崎、広島を訪れて、資料館を見ていただいた先生方も多くおられるというふうに思いますけれども、是非、長崎にもお越しをいただいて、被爆の実相に触れ、被爆者の皆様の直接のお話を聞いていただく機会を是非つくっていただけたらということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

田野瀬委員長 次に、障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、かねてより各会派間において御協議いただいておりましたが、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 近年、我が国に在留する外国人が増加していることに併せて、日本語指導が必要な児童生徒の数は大幅に増加しております。文部科学省の調査によれば、令和三年度時点における公立学校に在籍する日本語指導が必要な児童生徒の数は約五万八千人であり、平成二十年度の約一・七倍となりました。

 このような外国人児童生徒等は、日本語に通じないことにより、文字の読み書きに問題があり、教科書の使用に困難を抱えていることが少なくありません。その困難の程度は軽度なものばかりでなく、支援の重要性は高いと言えますが、外国人児童生徒等の背景や置かれた状況により抱える困難が異なることなどから、学校現場において教員等が個別に対応しているのが現状です。

 一方、障害により通常の紙の教科書を使用して学習することが困難な児童生徒が利用できる教科用特定図書等としての音声教材等の活用が広まってきております。音声教材は、使用者が随意のタイミングで教科書の音声情報を入手できる機能を持つことなどから、外国人児童生徒等が抱える困難を軽減させるためにも有効であるとされています。しかし、現状では、音声教材は障害のある児童生徒を対象として作成されていることから、外国人児童生徒等はこのような教材を使用して学習することができません。

 そこで、本案は、このような現状を踏まえ、日本語に通じない外国人児童生徒等が音声教材を使用して学習することができるよう、必要な改正を行うものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、当分の間、文部科学大臣等は、音声教材等の教科用特定図書等を発行する者が障害のある児童生徒及び日本語に通じない児童生徒の両者の学習の用に供するために教科用特定図書等を発行する場合にも、教科書デジタルデータを提供することができることとしております。

 第二に、教科書デジタルデータの提供を受け発行された教科用特定図書等に掲載された著作物について、その利用に係る著作権法の特例を設けるものとしております。

 第三に、この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田野瀬委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十七分散会


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