衆議院

メインへスキップ



第8号 令和6年6月14日(金曜日)

会議録本文へ
令和六年六月十四日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 田野瀬太道君

   理事 小寺 裕雄君 理事 中村 裕之君

   理事 永岡 桂子君 理事 山田 賢司君

   理事 坂本祐之輔君 理事 牧  義夫君

   理事 金村 龍那君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    井出 庸生君

      上杉謙太郎君    上田 英俊君

      尾身 朝子君    勝目  康君

      木村 次郎君    岸 信千世君

      小林 茂樹君    柴山 昌彦君

      鈴木 貴子君    根本 幸典君

      古川 直季君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    山口  晋君

      山本 左近君    義家 弘介君

      青山 大人君    菊田真紀子君

      下条 みつ君    吉川  元君

      吉田はるみ君    笠  浩史君

      早坂  敦君    堀場 幸子君

      前原 誠司君    平林  晃君

      鰐淵 洋子君    宮本 岳志君

      西岡 秀子君

    …………………………………

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         寺門 成真君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            千原 由幸君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   文部科学委員会専門員   藤井  晃君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十四日

 辞任         補欠選任

  船田  元君     上田 英俊君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     船田  元君

    ―――――――――――――

六月四日

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第一七八八号)

同月十日

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(大河原まさこ君紹介)(第一九四〇号)

 高等教育無償化を求めることに関する請願(湯原俊二君紹介)(第一九四一号)

 豊かな私学教育の実現のための私学助成に関する請願(川内博史君紹介)(第一九四二号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(原口一博君紹介)(第一九八二号)

 同(太栄志君紹介)(第一九八三号)

同月十二日

 国際人権規約に基づく無償教育の実現に関する請願(宮本徹君紹介)(第二二六九号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(吉田宣弘君紹介)(第二二七〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二三九九号)

 同(笠井亮君紹介)(第二四〇〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四〇一号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四〇二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四〇三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二四〇四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二四〇五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二四〇六号)

 同(宮本徹君紹介)(第二四〇七号)

 同(本村伸子君紹介)(第二四〇八号)

 同(本村伸子君紹介)(第二五二二号)

 直ちに学費半額・入学金ゼロ、奨学金を給付中心にすること及び奨学金返済の半額免除に関する請願(宮本岳志君紹介)(第二二七一号)

 豊かな私学教育の実現のための私学助成に関する請願(亀井亜紀子君紹介)(第二二七二号)

 公立小学校・中学校の適正規模・適正配置に関する請願(宮本岳志君紹介)(第二三九八号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(穀田恵二君紹介)(第二四〇九号)

 設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第二四一〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第二五二四号)

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(本村伸子君紹介)(第二五二三号)

同月十四日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(本村伸子君紹介)(第二六六二号)

 同(斎藤アレックス君紹介)(第二九〇八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二九〇九号)

 設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(中谷一馬君紹介)(第二七八三号)

 同(山崎誠君紹介)(第二七八四号)

 同(小熊慎司君紹介)(第二九一二号)

 同(斎藤アレックス君紹介)(第二九一三号)

 同(下条みつ君紹介)(第二九一四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二九一五号)

 てんかんのある人とその家族の生活を支える教育に関する請願(青山大人君紹介)(第二九〇一号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第二九〇二号)

 同(下条みつ君紹介)(第二九〇三号)

 同(中村裕之君紹介)(第二九〇四号)

 同(船田元君紹介)(第二九〇五号)

 同(牧義夫君紹介)(第二九〇六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二九〇七号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(神津たけし君紹介)(第二九一〇号)

 同(下条みつ君紹介)(第二九一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 科学技術の研究開発に関する実情調査のため、去る十二日、十五名の委員が参加し、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所の視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。

 まず初めに、野木所長から、研究所や北極研究、南極観測の概要について説明を聴取し、次に、アイスコア研究センター低温室、二次イオン質量分析ラボラトリー及び南極・北極科学館を視察いたしました。

 その後、極地研究所における地球温暖化問題に関する研究及び取組、南極地域観測隊第十期六か年計画の内容、小学校、中学校における南極・北極科学館の利用状況、極地研究に対する国の支援の必要性等について意見交換を行いました。

 以上が視察の概要でございます。

 最後に、今回の視察に当たりまして、御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、御報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省総合教育政策局長望月禎君、初等中等教育局長矢野和彦君、高等教育局長池田貴城君、高等教育局私学部長寺門成真君、研究開発局長千原由幸君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正君、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。笠浩史君。

笠委員 おはようございます。立憲民主党の笠でございます。

 今日は、主に学校図書館のことについて御質問したいと思うんですが、まず、それに先立って、一昨日、公立の小中学校の給食の無償化について、文科省の調査の結果が発表されました。一七年度のこの調査の、小中学校の無償化を行っている自治体が、七十六自治体から約七倍、五百四十七自治体ということで、全国の三割の自治体でこの無償化が行われているということ、条件付で一部無償化した自治体も、それ以外に百四十五自治体ございまして、計七百二十二自治体ということで、かなり自治体における学校給食の無償化が進んでいる実態が明らかになったわけでございます。

 私ども立憲民主党は、誰もが安心して給食を食べられるようにするために、これは自治体任せではなくて国によってしっかりと一律の支援を行う、公立小中学校の学校給食の完全無償化法案をもう既に提出をしているわけでございますけれども、今回の調査結果を受けて、大臣自身が、この無償化へ向けてしっかりと文科省として、国としても取り組んでいくというお考えなのか。あるいは、今後どういうような形で、これは、岸田政権において、少子化対策、こども未来戦略方針を受けてこの調査が行われたというふうに承知をしておりますけれども、その点についての大臣の見解と、また今後の無償化へ向けた決意を伺いたいと思います。

盛山国務大臣 笠先生が今御指摘されたとおり、一昨日、十二日に調査結果を公表いたしました。そこでは、学校給食の未実施の学校や、実施していても、アレルギー等により学校給食を喫食していない児童生徒が相当数存在すること、食材費相当額である学校給食費についても都道府県間で約一・四倍の開きがあること、小中学生の全員を対象に独自の給食無償化を行っている三割の自治体において、成果目標の設定や成果検証を行った自治体は二割弱にとどまっていること、こういったことが明らかになりました。

 学校給食費につきましては、経済状況が厳しい保護者に対しては、従前より、生活保護による教育扶助や、就学援助を通じて支援を行っております。

 文部科学省といたしましては、こども未来戦略に基づいて行った今回の実態調査でございます。この結果を踏まえつつ、今後、児童生徒間の公平性、国と地方の役割分担、政策効果などといった観点や法制面から、丁寧にまず課題を整理していきたいと考えております。

笠委員 大臣、今、同時に、これは本当に物価が上がって食材費というものもかなり高騰してきている中で、今、ぎりぎりの状況で給食が提供されているという中で、ひょっとしたら、これから給食費というものを、やはり負担を上げなければならないというような状況にもなりかねない。

 そういう中で、やはり子供たちが、もちろん、自らの選択として給食を食べないというお子さんがおられることも承知をしておりますけれども、しかし、やはり、経済的な理由から安心して給食を享受できないということは絶対にあってはならないわけで、これは自治体ごとの財政力の差が格差につながることというのは絶対に許されないので、我々はやはり国が責任を持つべきだという立場に立っておりますけれども、いずれにしても、やはり、それぞれの子供たちがいろいろな経済的な理由からこういった安心して給食を食べるということができないような状況だけは絶対に避けなければならない。

 そのためには、やはり、無償化へ向けて是非今後前向きに、文科省も国として主導しながら、しっかりとこの無償化を進めていく。財源の話はあります。それは五千億というのは大変な金額だと思いますし、しかし、それは我々与野党ほとんど一致して、我々も応援をしていくことはできますので、是非、大臣、改めて、無償化へ向けた決意というもの、一言お願いをいたしたいと思います。

盛山国務大臣 ちょっと繰り返しになりますけれども、まずは、こども未来戦略において調査をするということで、その調査の結果をまとめて、それを直ちに公表したということでございます。

 そして、その上で、先ほど申し上げましたように、様々な課題についてまず整理をしたい、そういうふうに考えております。その整理を丁寧に行って、その上で具体的方策を検討するということでございますので、今後、まず整理を行い、そしてその次の方策ということで進めていきたいと考えておりますので、御理解いただければと思います。

笠委員 今回、無償化を一旦は、最近、やはり自治体の首長選挙などでも、この学校給食の無償化というのは結構公約になっているんですよね。それで、実際、やろうと思ったけれども、財政的な理由で断念をせざるを得ない。

 あるいは、今回の調査でも、まだその後のちょっとフォローをできているかどうか分かりませんけれども、この調査時点では、続けたいけれどもなかなか難しいということで、今年度になってどうも中止をしている自治体もあるというようにも伺っておりますので、その辺もしっかりと精査をしながら、国としてのやはり責任の持ち方というものについてはしっかりと果たすように、また、我々はやはりこれは大きな総選挙の争点であるとも思っておりますので、しっかりと国民の審判を仰ぐべく、我々はこの完全無償化へ向けた取組を進めていきたいというふうに思っております。

 それでは、今日、ちょっと学校図書館について大臣と議論させていただきたいと思います。

 二〇一四年の四月の二十五日に、私も事務局長として、当時、河村建夫先生を会長に学校図書館議員連盟を設立し、まずは、学校司書の法制化というものを、何が何でもやはりきちっと法律に位置づけていく、実現しなければいけないということで、二〇一四年の六月二十七日に学校図書館法の改正を行わせていただきました。また同時に、これは文科省の方の協力もいただきながら、みんなで、学校図書館図書整備等五か年計画の継承、そしてこれをしっかりと着実に発展をさせるということで、超党派で取り組んできたわけでございます。

 しかしながら、今なお、学校図書館、学校司書を取り巻く環境というものは非常に厳しい、道半ばでありまして、特に、学校図書館の運営の中心的な役割を担う学校司書の処遇改善というものは、今、本当に喫緊の課題だというふうに考えております。

 一九五三年に学校図書館法が制定をされ、昨年、七十周年で、各種の記念事業やあるいはシンポジウムが開催をされました。

 学校図書館は、学校図書館法において、学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であり、学校の教育課程の展開に寄与するとともに、児童又は生徒の健全な教養を育成することを目的として設けられる学校の設備であるというふうにされております。

 法律制定から七十年以上、七十一年目を迎えたわけでございますが、まずお伺いしたいことは、今日における学校図書館の存在意義、学校図書館法ができた当時と変わらない、そういう認識を持っておられるのか、大臣のまずお考えを伺いたいと思います。

盛山国務大臣 学校図書館法の位置づけというのは、先ほど笠先生がおっしゃられたとおりでございます。欠くことができない設備であり、そして教育課程の展開に寄与するものであり、児童生徒の健全な教養の育成に資する、そういう大事なものでございます。

 法制定当時、昭和二十八年と今と、どのように変化をしてきたのか、ちょっと私、そこまではっきりした手元資料は持っておりませんが、少なくとも私自身が子供の頃の図書館、小学校、中学校、高校の図書館に比べて、今の図書館はそれなりに、蔵書の数であり、設備であり、いろいろなものが充実していると思います。

 いずれにせよ、児童生徒の読書活動を推進する読書のセンターとしての機能、そして学習活動を支援する学習センターとしての機能、そして、今インターネットの時代にもなっております、情報の収集、選択、活用能力を育成する情報センター、こういった機能を有する、学校にとっては欠くことのできない、大変ベースの、基礎的な、重要な位置づけである、そういうふうに考えております。

笠委員 時がたって、確かに、かつてよりは設備的にも充実した面もあるかと思います。

 しかしながら、本当の意味で、今現場で、私どもが、先ほど申し上げたように、学校図書館法の一部改正、第六条において、司書教諭のほか、学校司書を初めて法律に位置づけて、二〇一五年に施行されましたわけですけれども、司書教諭と違って、これは必置ではなく努力義務ということで、なかなか、学校司書が全ての小中学校、高等学校に一校一名配置をされるということとは、まだ道半ばというような状況にあるわけです。

 私ども、ちょうど昨年、学校図書館改革に関する政策を、学校図書館法の公布七十年ということで、総会で六月に採択をいたしました。この中で最も重視した課題は、やはり、学校図書館と、そして学校司書の存在意義。学校教育のデジタル化を推進するGIGAスクール構想、あるいは生成AI普及、随分現場が変わってきております。学習指導要領が重視する探求学習の拠点として、ある意味、今まで以上に学校図書館の存在というものが非常に大きな役割を担うんじゃないか。探求学習の実践は学校図書館抜きに考えることはできませんし、また、その中で学校司書というのが、やはり児童生徒と図書資料あるいは本をつなぐ極めて重要な役割を担っているというふうに考えております。

 ある意味では、この法律ができたとき以上に、今、学校司書の役割というものが大変大きい、そのように私は考えておりますけれども、学校司書の使命、役割についてどのように考えておられるか、そのことを大臣に伺いたいと思います。

盛山国務大臣 釈迦に説法になりますけれども、学校司書は、学校図書館法第六条にあるように、学校図書館の運営の改善、向上を図り、児童生徒や教師による学校図書館の利用の一層の促進に資する役割を担うということでございます。

 それで、先ほどちょっとインターネットのことも申し上げましたけれども、少なくとも、私が子供、生徒の頃に比べまして情報の量は圧倒的に増えています。そんな中で、本であり、それ以外のインターネットを介しての情報であり、そういうものをどのように選択をして、選んで、それを読む、見る、学びにつなげていくのか。そういうような、学校図書館を活用しての、児童生徒が主体的、対話的で、学びを深くしていく、そういうふうにしていくために、司書の方が、学校図書館の計画的、組織的な利活用、あるいは児童生徒の意欲的な学習、読書活動の充実に資する業務を担っておられる。その役割は、これまでよりもかえって重くなっている。

 情報量が多くなっているだけに、その中からどうやって、何を選択して、どうすればいいのか、そういう役割はかえって大きくなっているのではないかな、そんなふうに考えております。

笠委員 今大臣おっしゃったように、大変やはり大きな役割を担っている。

 これはもう大臣も御存じのとおり、司書教諭というのは必置で、必ず置かなければならないわけですけれども、学校司書は、先ほど申し上げたように、これがまだ義務とはなっていない、位置づけはできたものの。ただ、司書教諭は実際には、担任なども務めていて忙しくて、なかなか図書館業務まで手が回らないというのが実態でございまして、やはり学校司書を置くことで図書館がより充実する、また、司書教諭がきちっと児童生徒と向き合う時間を確保するためにも、やはり学校司書というものをしっかりと位置づけていく、配置をしていく、そのことが重要だと思っています。

 文科省が二〇一六年に我々の法改正も受けて策定した学校図書館ガイドライン、これは初等中等局長通知という形で現場に発出されているわけですけれども、この中で、学校司書が学校の教育活動全体を把握し、職務に当たることが有効であるという認識を明らかにした上で、学校司書を教職員の一員として、例えば職員会議あるいは校内研修等々に参加をすることが非常に大事だというようなことが提唱されて、実は、この学校図書館のガイドライン、なかなかいいことが書いてあるんですよ。

 しかし、残念ながら、今、八年たっているわけですけれども、実際に、じゃ、教育委員会であったり教育現場の皆さんがこのガイドラインの趣旨を必ずしも分かっておられるかというと、どうもちょっと徹底されていない。あるいは、先ほど申し上げた職員会議とか国内研修の参加も実際許されていないというような話も、私も現場から幾つか聞いております。こうした実情を文科省としてどのように把握をされているのかを伺いたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 学校図書館ガイドラインにつきましては、笠先生からございましたけれども、平成二十八年に、学校図書館の整備充実を図ることを目的としまして、運営上の重要な事項について望ましい在り方を示したものでございます。

 学校図書館の運営に当たりましては、校長や教職員の連携の下、計画的にあるいは組織的になされることが望ましく、学校図書館の利活用が教育課程の展開に寄与する形で進むようにするためには、学校司書が学校の教育活動全体の状況を把握した上で職務に当たることが有効であるとして、ガイドラインでは職員会議や校内研修等に参加するなどの例示をしております。

 その状況につきまして、学校の負担もありますので、文部科学省の方では網羅的には把握することは控えておりますけれども、関係団体からお聞きするところでは、学校によっては常時会議等に参加している例、あるいは特定の期間のみ会議等に参加している例はあると伺っているところでございます。

笠委員 今局長おっしゃったんだけれども、やはりこれは自治体によってかなり差があるんですよね、非常に前向きにしっかりと学校司書の配置も含めて取り組んでいるところと、全くそうではないところ。だから、私は、やはり改めてこのガイドラインについて現場への周知徹底というものを是非何らかの機会でやっていただきたいと思いますけれども、その点についてお答えください。

望月政府参考人 文部科学省におきましては、毎年、事務連絡におきまして、都道府県教育委員会等を通じまして、各学校に対して本ガイドラインについては周知をしてございます。

 また、学校図書館担当指導主事等に対する会議においても説明を行っておりますけれども、改めまして、本ガイドラインの活用をしっかり各学校が認識をいただけるように、様々な機会を通じましてしっかりと周知をしたいと考えております。

笠委員 是非その点はよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 今、第六次の学校図書館図書整備等五か年計画、これは二〇二二年度から二〇二六年度の財政措置で、学校司書の配置が小中学校の図書館におおむね一・三校に一名配置ができる財政措置が取られております。

 残念ながら、これも必ずしも学校図書館関係に使わなくてはならないというお金ではないので、それが目的に沿った形で使われていないという、そこはまた、我々も含めてしっかりと首長さんたちにも働きかけ、あるいは地方の議会を通じて、しっかりとやはり学校図書館の環境を整備するためにこの措置が取られているということを徹底していく必要性があるわけですけれども。

 将来的には一校一名の配置を目指すというのが文科省の方針でございますけれども、まず、今、一・三校に一名配置をすることを目標とし、これは専任の学校司書ということでよろしいんでしょうか。その点をまずお答えいただきたい。

望月政府参考人 学校図書館法に基づきまして、専ら学校図書館の職務に従事する学校司書の配置に係る地方財政措置につきましては、令和四年度からの第六次学校図書館図書整備等五か年計画におきまして、おおむね、先生御指摘のとおり、一・三校に一名の配置を目標として、単年度二百四十三億、五年総額で一千二百十五億円の地方財政措置を講じているところです。

 本計画におきましては、各教育委員会が地域の、あるいは学校の実情に応じまして、様々な形態での学校司書の配置を進めております。

 具体的な学校司書の配置の在り方につきましては、各地域や学校の状況を踏まえて、教育委員会の責任と権限において行われるべきものと承知しておりますが、効果的な学校図書館の運営のための必要な職員の配置を進めていただきたいと考えております。

笠委員 将来的にきちっと一校に一名の専任の学校司書が配置をされるということは、私はやはり望ましい姿だと思っております。

 今度、二〇二七年度をまた初年度とする、今後、第七次の五か年計画を策定していくことになるわけですけれども、この次の計画の中で、やはり一校一名というような具体的な目標を掲げていくということで文科省として考えているのか、その点を伺いたいと思います。

望月政府参考人 現在、第六次、これは令和四年度から令和八年度での学校図書館図書整備等五か年計画でございますけれども、その前の第五次は、平成二十九年度から令和三年度の五か年計画では、これは一・五校に一名の配置となっておりましたのを、現在の整備計画では一・三校に一名という形で配置の拡充ということをしてございます。

 お尋ねの次期の計画についてでございますが、計画策定の前年である来年度、令和七年度におきましては、学校図書館の現状に関する調査、これは五年に一回行っているものですけれども、これをしっかり行いまして、学校司書の配置を現場でしっかり進めながら調査をいたしまして、その調査結果を踏まえて、更に前進できるかどうかを検討したいと考えております。

笠委員 数値として、しっかりと一校に一名という配置は大事なんですけれども、ただ、実は、専任の学校司書といってもそれは本当に様々で、一日しっかりと、本当に学校の先生と同じように学校司書の人が毎日きちっとおられる、そして仕事をされている、図書館にいるというようなところから、あるいは、複数のかけ持ちをしたり、あるいは一日に二時間程度しかいなかったり、週に一日、二日しか来なかったり、実は、実情というものはかなり、数字だけでは見えない点がございます。

 我々、実は学校図書館議連で、こうした学校司書を取り巻く雇用環境、処遇の改善がとにかくやはり最優先かつ喫緊の課題ということで、非正規の学校司書というものが非常に多いわけですけれども、あるいは短期契約、あるいは低賃金、あるいは雇い止めなど不安定な勤務状態の下にあるという、これは実は学校図書館関係の皆さんの調査でも明らかになっているわけですけれども、これまでそうした調査が文科省の方では行われていなかったということで、昨年、この調査を求める決議をして、文科省の方でも、令和五年の学校司書の現状調査というものを行っていただきました。この六月ぐらい、もうこの頃にはその最終結果が恐らく発表されるというふうに思っていたんですけれども、一部集計にまだちょっと時間がかかっているということで、中間報告だけが今出てきた状況でございます。

 お手元にちょっと資料を配付をさせていただいておりますけれども、公立学校の学校司書の配置状況、今、小学校で確かに七二%、中学校で七一・四というふうに、着実に、遅いけれども進んできている。

 ただ、この裏面の三ページのところなんですけれども、学校司書の雇用形態というもの、今回これが初めて明らかになったわけでございます。これを見てもお分かりのとおり、一校だけを専任で担当している学校司書さんでも、常勤職員は僅か一六・二%しかいないんですよ。ほかは全て非常勤。二校以上、複数担当している方についてはほとんど常勤がいないという現状です。

 今、この常勤職員と非正規職員の割合、あるいは会計年度の任用職員というものが圧倒的に多いわけですけれども、この会計年度の任用職員というのは、なかなか、これは二〇二〇年の地方公務員法の改正で導入された非常勤の地方公務員のことになるわけですけれども、やはりこういう状況について、今どういうふうに文科省として認識をされているのか。あるいは、きちんと正規の形で安心して働ける環境というものをやはりつくっていく必要があるんじゃないか。その点について、この集計結果も踏まえてお答えをいただきたいと思います。

望月政府参考人 笠先生からお示しいただいた資料、暫定的な数値ではございますが、公立学校の学校司書の配置状況につきましては、ようやく六割台から令和五年度は七割を超えるなど、着実に増加をしている、一方で、学校司書の兼任の状況につきましては、一校に一名が勤務するいわゆる専任というものは四分の三ぐらいである、その雇用形態も様々であるというところでございます。

 学校司書につきましては、大臣から申し上げましたけれども、その専門性を生かして学校教育全体の教育活動に資することができるような、授業改善にも貢献することができるような役割を果たしております。その意味で、学校司書の配置形態は、各教育委員会によって、これは学校の状況によっても様々ではあると思いますが、学校司書を配置することによる意義は大きいと考えております。

 先ほど申し上げました学校図書館図書整備等五か年計画におきまして、一・五校に一名配置するとしたところを、今年度は一・三校に一名配置することとしたところでありますので、引き続き、関係団体とも連携をしまして、各自治体に対して学校司書の重要性の周知に努めて、各自治体における学校司書の配置を促してまいりたいと考えております。

笠委員 先ほど申し上げましたように、学校司書は、子供と本、これをつなぐ大事な役割、あるいは、ある意味では、今、第二の保健室と言われるように、不登校児童生徒が物すごく増えている中で、図書館には行くんだというお子さんもたくさんおられます。そういう意味では、そういったところで、やはりきちんと学校司書の方々がおられて、本当にそういった、児童生徒ときちっと、本をつなぐだけではなくて、人と人の関係というものも含めて非常に役割は増しておりますので。

 そして同時に、やはり、いろいろな調査でも、学校司書をきちっと専任で、専属で配置をすれば、貸出しの本を読むお子さんが物すごく増えている、それはもう調査でも明らかになっているんですね。あるいは、文科省の全国学力テストのアンケート調査でも、読書好きの子供ほど成績がよいというようなこともありますし、これからの時代に本当に必要だというふうに思います。

 大臣には、今回のこの調査結果、間もなく最終結果が出ると思いますけれども、是非、この学校司書のやはり処遇の改善に全力を挙げていただきたいとともに、この調査結果が出たら、いろいろな現場の皆さん、有識者の皆様方も、大臣の下に、この学校司書の今の、実際、どういった現状にあるのか、あるいはどういう姿が望ましいのか、そういったことをやはり調査研究して今後の政策に反映させるような、そういった研究会みたいなものを設けていただいて、抜本的にその充実に努めていただきたいというふうに思いますけれども、是非、大臣、その点の決意を伺いたいと思います。

盛山国務大臣 学校図書館や公立図書館の運営をめぐっては、図書の選定、購入や職員の処遇等を含め、様々な課題があるというふうに認識しています。

 しかしながら、子供を含め、広く国民の皆様の読書活動を推進していくためにも、図書館は欠くことのできない大変重要な役割を持つものでございます。本日、笠先生から頂戴した御指摘も参考にさせていただきながら、引き続き、学校図書館や公立図書館の振興方策についても検討し、取り組んでいきたいと考えています。

笠委員 ありがとうございます。

 私どもも、超党派の議員連盟としても、しっかりとまたバックアップもしていきたいと思いますので、その点を、是非大臣が学校司書の、本当に一校一人、きちっとした形で勤務状況も改善をして配置ができるように、先頭に立っていただくことを期待を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会そして教育無償化を実現する会の堀場幸子です。

 今日は、ちょっと探求型学習ということで、高校について少し頑張ってやってみたいなと思っています。

 実は私ども、昨日、全世代型の教育無償化法案というものと高校の無償化法案という二本の法案を提出させていただきました。全世代型という方は、全体を網羅する、私たちはゼロ歳から無償化するんだよということをしっかりと言わせていただいておりまして、その心というのはやはり、一石四鳥というのを前原さんがよくおっしゃっていますけれども、教育格差をなくすということ、そして、しっかりと日本の中で国際競争力を持っていく、そのためにも専門的な人材を育成していくんだ、そういったことを念頭に置いて我々は無償化をするということを言わせていただいてはいるんですけれども、よく、ちまたで、無償化をすると教育の質が落ちてしまうんじゃないかという御懸念をされている方も多くいらっしゃるなと見ているんですね。

 いろいろな方に私はヒアリングをさせていただいているんですけれども、高校の先生の方から、探求型の学習がしんどいというお声をたまに頂戴することがあるんです。高校の教員の負担として、探求型の学習に課題があると答えている調査結果があります、これは民間の調査結果ですけれども。そういったことも考えると、まずは、文部科学省さんが考えている高校の探求型のカリキュラムというものはどのようなものか、教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 高等学校の学習指導要領におきましては、総合的な探究の時間において、実社会、実生活の中から、教科等の枠にとどまらない課題を自ら設定し、情報を集め、整理、分析し、まとめ、表現する学習を行うこととしております。これがまさに探求でございます。

 各学校ではこうした学習指導要領の考え方に基づきカリキュラムを編成いたしますけれども、高等学校の生徒は、入学動機や進路希望、学習経験も様々でございます。制度上も課程や学科が分かれているため、実際の探求のカリキュラムは各学校や生徒の実態によって極めて多様であるというふうに考えております。

堀場委員 公立の小学校、中学校の方では、すごくいろいろなところで、多様で特色ある探求の授業というのは既に展開されていると思うんですね。どうしても、やはり、今のお答えだと、総合の授業の中でやるということになると、総合だけを専門に持っている先生という方、例えば探求の専門の先生という方は今のところいらっしゃらないわけですから、教科を持っている先生が、違うものとして探求というものをやろうとするんですよね。

 でも、小学校、中学校の現場等々を見させていただいたり、今やられているものというのは、教科の中に探求的な指導方法を導入されているというパターンが非常に多く見られるんじゃないかなというふうに思っているんです。様々な先生たちの努力の、研究の成果で、授業の中で探求的な形で学びを深めていくということをやられていると思うんですね。なので、高校でもそうしたらいいんじゃないのかなと私は思っているんですけれども、こういう非常に多様で特色ある展開をしている、特に教科の中に探求的な方法を使って学びを深めているということをやっていると思うんですね。

 こういうことを踏まえた上で、高校での学習の課題というのはどのように考えていらっしゃるのか、高校において探求型が進まない主な理由は何なのか、教えてください。

矢野政府参考人 御指摘のとおり、高校におきましても、探求の学習の時間だけではなくて、いろいろな教科において探求的な視点というのが非常に重要であるというふうには考えております。

 一方で、高等学校の学習については、従前から、大学入試対策が学習の動機づけとなりがちであり、小中学校に比べて知識伝達型の授業にとどまるという傾向があり、探求的な学びが低調である、あるいは、卒業後に必要な力の育成に十分につながっていないというような課題が指摘されてきたところでございます。

 このような問題意識の下で改訂した学習指導要領に基づき、各高等学校では、順次、新たに設けられた総合的な探究の時間の充実に取り組んでおりますが、実際には、カリキュラムの設計や校内での協力体制、外部との連携等に課題を感じている学校も今のところ多くあるというふうに承知しております。

堀場委員 私、何校か見させていただいた中で、探求をやっていますという学校を見させていただきました。若しくは、この学部というか学科というか、このクラスは探求をメインにやっていますというところを何校か見させていただいたんですけれども、やはりすごく大変だなと思っているのは、人数が多いとなかなか難しいですね。やはりどうしても少人数のクラスになる。そして、非常に、コミュニケーションを取りながらやっておりますので、一斉授業と見えている景色が全然違うんですよね。やはり、一斉指導というのが非常に強く出ているのがまだまだ高校で残っていると思うんです。

 でも、一方で、例えば大学入試をやっていくためには、さっきおっしゃるとおりで、知識を詰め込まなきゃいけないという昔ながらの、そして、私たちも結構しんどかったんですけれども、記憶力の悪い私はなかなか大変だったんですが、そういったところに力点を置いている学校も多い。例えば出欠とか、後でやりますけれども、重視する点が今の学習指導要領とちょっと違うんじゃないかなというふうに思っているんですね、大学の入試制度というところが。

 なので、我々というのは、高校でも対話的で主体的で深い学びが必要だと私自身は思っているんですけれども、なぜ、高校でも対話的で主体的で深い学び、一斉指導ではなく、そういった学び方、方法論、探求的な学びが必要だと考えているのか、教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 知識、技能の習得を決して軽視するわけではないんですけれども、予測困難な社会に出ていく子供たちが、変化を柔軟に受け止めて、主体的に学び続けるとともに、多様な他者と協働して新たな価値を生み出していく。我々、今まで、従来型の指導のことを正解主義と言っておりますけれども、あらかじめ正解が用意されていて、そこにたどり着く、それも大事だとは思うんですが、それだけではなくて、多様、新たな価値を生み出していく、こういったためには、学校教育においても、学習内容を自分の人生や社会の在り方と結びつけ、主体的、対話的で深い学びの実現を図っていく、こういう必要があると考えております。

 このことの重要性は学校教育段階の違いによって変わるものではございませんし、むしろ、高等学校は、初等中等教育の総仕上げを行う学校段階として、小中学校の基盤の上に立って、主体的、対話的で深い学びを更に充実させる必要がある、こういうふうに考えているところでございます。

堀場委員 私たちも本当にそう思うんですよね。今、次にソサエティー五・〇の時代が来るというのは新学習指導要領の中で非常に強くうたわれていて、その後、私たちは、VUCAというか、本当に不確実性の社会に生きなければならない、若しくはフェイクがたくさんあるような、余りにも情報過多のような時代の中で、自分で必要なものを選択しなければならない、本物を見極める力をつけなければならない。そのためには、自分の頭で考えて、その場その場で判断する能力を養わなければならないというふうに思っているからこそ、こういった学び方が必要だということなんですよね。でも、なかなかこの変化が伝わらないというふうにちょっともやもやをしているんですね。

 大臣、高校の一斉指導から脱却に必要な改革について、大臣の御所見をお願いいたします。

盛山国務大臣 なかなか本質をついた難しい御質問だと思います。

 高校は、初等中等教育段階の総仕上げとして、未来を支える、私たちの社会を支えていく人たちとして必要となる資質、能力を確実に育むことが求められております。また、その一方、これまで、ともすると知識の量を問うことに傾斜しがちであった大学入試の影響とも相まちまして、知識伝達型の授業にとどまりがちであるといった課題が指摘されておりました。

 現在、こうした課題を踏まえて改訂を行い、令和四年度から順次実施されている高等学校学習指導要領に基づいて、教育課程全体を通じて、主体的、対話的で深い学びの観点からの授業改善を行うことや、総合的な探究の時間の新設、地理探究、古典探究などの新設科目を含む、各教科等での探求的な学びの充実などを推進しているところであります。

 各学校現場では試行錯誤しながら改善を図っておられると思いますが、文部科学省としても、好事例の横展開に加えまして、高校までに身につけた資質、能力をより多面的、総合的に評価するための総合型入学者選抜等の推進、思考力、判断力、表現力などを重視した大学入学共通テストの導入などの高大接続の改善にも取り組んでおります。これらに加え、令和五年度補正予算において創設したDXハイスクール事業により、デジタルを活用した探求的な学びを推進しているところでもあります。

 こういったことを通じて、高校生のお一人お一人に、自分の頭で考える、そういった学びの充実、こういうことを総合的に促していきたいと考えています。

堀場委員 余り、すごく満足のいく御答弁ではなかったんですけれども。なぜならば、やるということは分かっているんですけれども、進まないよねと言っているだけなんですよね。

 私たちは、どういう政策若しくはどういう仕組みを通して改革を加速化できるかということについて議論を深めてきました。

 例えば、さっき給食無償化の話が出ましたけれども、もうずっとみんな前から言っていて、そして、何を調べるのか分からないことをずっと調べる、調査だ調査だ調査だと言って、遅々として進まない。その間に、おなかがすいている子供は増えている、子供の貧困はどんどん増えていく、そして、少子化だって、子供を産むという決断だってどんどん遅くなっていく。こうやってずっと検討しているから進まないし、物事は変わらないんですよね。ということは、大きな政策を打って、やはり改革を前に進めるということをしなければならないと思っています。

 我々日本維新の会が出させていただきました法案、大臣、見ていただいたか分からないですけれども、まずは大きな目標設定をさせていただいていて、それは文部科学省さんの方向性とほぼ同じだと思います。

 私たちは、十八歳が成人だということなのであれば、十八歳までに身につけるスキルというのは何なのかという議論から始め、そして、自己選択、自己決定ができる生きる力を養っているんだよね、そのときは、大学に行くときに、何となく大学に行くんじゃなくて、ちゃんとアカデミックの大学に行きたいのか、こういう職業訓練を受けて職業に就きたいのか、もっと自分の興味、関心を深めたいのか、そういったことをしっかりと自己決定できる力を十八歳までに養う必要があると思っています。そのためには、主体的に生きる力、共に生きる力、自らを知る力、この三つの力を養うための教育ということを定義させていただいた上で、教育改革についての様々な改革案というものを出させていただきました。

 我々、高校完全無償化をすると言っています。完全無償化をするときに、どうやってやろうかなと考えたんですよね。そのときに、我々は、バウチャーという制度を使ったらどうかということを考えています。なぜならば、バウチャーというものを、子供の方に選択肢がある、バウチャーを持っている、そうすると、学校側も、子供たちにとってどういうニーズがあるのかということの方によく目を向けるようになるだろう。

 そして、もう一個は、今後私たちが目指している高校は、やはり単位制の更なる推進なんですよね。プログラムをしっかりと選択できるようにする。今、単位制の高校といっても、学年制の延長のような、一年生のときにこの単位を取らなきゃいけないような、単位制といえども学年制の延長のような高校が多いと見ているんですけれども、やはり、しっかりと単位制を充実させる、更なる推進をする。そして、プログラム単位でやる。そして、隣の学校に面白いプログラムがあるなら、そっちへ行って勉強したっていいじゃないの、そういうプログラムを選択するような、そんな高校の姿、多分、文部科学省さんもそういったものを描いていらっしゃるとは思いますけれども、それを推進するために、バウチャーで、そのプログラムに対してバウチャーを払っていくということもできるようにということを考えて制度設計をしました。

 つまり、向こうに見えている、無償化なんだけれども、そのときに、私たちは、質を上げる、若しくは子供たちの選択肢を最大にするということを念頭に置いているということを、我々は今回の法案提出のときに言わせていただきました。

 そして、もう一つは、無償化するということはキャップをするということですので、その先がしんどいんですよね。キャップよりも高い値段が必要な授業というものは必ずあると思います。なので、校長裁量予算みたいな、私たちは、学校裁量予算のような、そういったイメージでやっていますけれども、その授業、やろうとしているプログラムに対する支援補助ということを考えている。学校に、子供一人に対して幾らという支援の在り方ではなくて、こういう授業、例えば探求をやるんだったらお金がかかるよね、例えば少人数学級をやったらお金がかかるよね、そういった様々なものを考慮してカウンシル制度というものを、二つを柱に、今回、改革案を出させていただきました。

 大臣に、このお話を聞いていただいた上で、御感想というわけではないんですが、これは私は政府の文部科学省さんに対するプランBの提案だと思っています。これについて大臣の御所見をお願いいたします。

盛山国務大臣 昨日、日本維新の会及び教育無償化を実現する会が、今御提案がありました法案を国会に提出されたということは承知しております。議員立法の取扱いでございますので、国会で御判断されるべきもので、私ども政府の方から具体的なコメントをするというのは控えたいというのが一般論としてございます。

 そう申し上げた上で、今の先生のお話、そして私も一応拝見させていただきました簡単な資料ということだけでは、まだまだちょっとよく分からないところが正直あるわけでございまして、具体的によくお話を伺わせていただかないと、バウチャー制度というものをどういうふうにして使っていくのかですとか、それから、隣かどうか分かりませんが、近所の学校へ行って、どのように授業を取って、そしてそれをどう評価をして採点をしていくのか、そういったこと、その他もちょっと分かりませんので、余り具体的なことは、ちょっと今のお問合せに対しても答え難いというところでございます。

 しかしながら、先生が、あるいは日本維新の会や教育無償化を実現する会が、何とかして、できるだけ、学び、これをうまく格差がないように広げていきたい、そしてまた、成年年齢が十八歳に引き下げられ、高校生を卒業するときに一人前の成人として行動できるように、いろいろな問題意識も持って、探求型、あるいは自分の頭で考えていろいろな行動ができるように準備をすべきであるという点につきましては、思いを共通にするところでございます。

 その上で、どういうふうなやり方がいいのか。我々は文部科学省という国でございますので、国全体の制度設計をどういうふうにしていくのか。そしてまた、公立での教育、特に高等学校が課題になるんだと思いますけれども、公立の学校そして私立の学校、そういうところをどういうふうに扱っていくのか。特に私立の学校の場合におきましては、建学の精神なり、こういうことをしたいというお考えがあって学校を設立されていると思います。そういう学校での教育の在り方であり、そして教育の水準と、そして、それに見合ったというんでしょうか、それを実現するための授業料等の負担、こういったものをどういうふうにしていくのか。

 なかなかそう簡単に、それ以上のことをここでお答えするのはちょっと難しいかな、しかしながら、方向性としては、共感するというんでしょうか、思いを同じゅうするところが相当あるな、そういうふうに感じながら伺っておりました。

堀場委員 ありがとうございます。

 恐らく、今の子供たちはもう既に探求型の授業を受けて小学校、中学校を卒業してまいりますので、急に高校のあの一斉指導のスタイルに入ったときに、指導に違和感を感じる、そしてしんどいと思ってしまう、そういう子供たちも非常に多くいますので、私は、自分がこういうものをやりたいんだ、高校に行ったらもっと面白いことがあるんだよね、そして、その先に大学があったり仕事があったり自分たちの夢があるというふうな社会にしたいと思っているし、それを加速化するべきだと思っておりますので、是非またこういった議論もさせていただければなと思っております。

 次に、高校における特別支援教育というものとサポート校の在り方について御質問をさせていただきたいと思います。

 さっきも言いましたけれども、中学校までというのは、義務教育期間ですので、特別支援教室が設置されたり通級に通ったり様々ですが、支援を受けてきた通常級の子供たちというのは、高校の選択に非常に大きな困難さを抱えていると私は現場で見てきて思っているんですが、大臣の御所見をお願いいたします。

盛山国務大臣 ちょっと漠としているのでうまくお答えできるかどうか分かりませんが、障害をお持ちの生徒さんに対して、お一人お一人、障害の内容や程度が違うかと思いますので、個別のニーズに応じた適切な指導、支援、こういったものが、多分、高校に上がってもというようなことなんだろうと思いますが、小学校、中学校、高校と切れ目なく行われることが大事だというふうに私も感じております。

 それで、我々文部科学省では、高校においても障害のある生徒が適切な支援体制を受けられる、そういうような体制を整備するため、我々の方でやっていることとしては、校長のリーダーシップの下、必要な支援を組織的に行うための校内委員会の設置、特別支援教育の推進役を担う特別支援教育コーディネーターの指名のほか、学習効果を高めるICT機器の整備、学習活動等のサポートを行う特別支援教育支援員の配置、平成三十年度に制度化した通級による指導の実施、こういった取組を行っております。

 あとは、それぞれのお子さんに合ったどういうような指導ができるのか、そして、それが義務教育である小中と高校で、先生の御指摘では相当ギャップがあるんじゃないか、こういうような御質問じゃないかと思いますが、そういったところがないように、お子さん、生徒さんにとって、すんなりと次の高校での生活に進んでいくことができるように対応していくことが必要であると思います。

堀場委員 文部科学省さんと結構レクでこのお話をさせていただいたんですけれども、一点目は、例えば入試の在り方。内申点を非常に重要視するやり方では、例えば不登校の子であったら、不登校になったら行ける学校は非常に少ない。出席日数が非常に重要視されてしまうからです。

 例えば、コミュニケーションに課題がある子供がいたら、委員会活動であったりクラブ活動であったり、様々な内申点が上がると言われている活動はしづらいですよね。そうすると、内申点は上がらない。そして、出欠も、皆さんが、高校がもういいよと思うほどの数を稼げないとなったら、それは今の公立というかの入試制度の在り方の中では非常に困難ですよね。例えば、知的なものをグレーゾーンで持っていたら、なかなか成績が上がらない中で、入れる学校が非常に選択肢が少ないですよね。

 もう一方で、高校側の特別支援教室の設置は平成三十年からですけれども、設置は進んでいますか、次に質問しますけれども。そこで中学校や小学校でやってきたのと同じような支援を受けられていますかという現状について、これが、子供たちが高校進学するときにとても困っていますよということを言っているんです。選ぶところがないですよと言っているんです。

 特別支援学校に行くという決断をする子はいいですけれども、様々あるものに対応するためには、やはり、インクルーシブで中学校まで通常級にいて、そして高校も通常級で進学して支援を受けたいと言っている子供たちはいると思うんですけれども、それがなかなか厳しいということでサポート校という選択肢というふうになっていくんですけれども、まずは、ごめんなさい、高校における特別支援教室の設置状況、そして、利用者数が少ない理由について教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省における通級による指導状況調査結果というものがございますが、令和三年度現在、全国の高等学校において通級による指導を受けている生徒数は約千七百人、その生徒が在籍している高等学校数は約二百校にとどまっております。

 御指摘の利用者数が少ないことについては、令和五年三月の文部科学省の検討会議報告において、高等学校における通級による指導の課題として、平成三十年度の制度化から間もないため、発達障害等のある生徒に対する指導経験がまだ十分蓄積されていない。これは、小中学校は平成の一桁でございますので、かなり歴史に差があるということでございます。あと、通級による指導の意義等がまだ理解されていない、本人や保護者が指導を希望していない。これは、小中学校に関しても、制度化当初は余り御理解を得られていなかった、その後、数十年を経て二十倍、三十倍というふうに増えていったというふうに理解しております。そういったような経緯もございます。また、通級による指導の担当教員の配置等の体制の問題がある。こういったことについて検討会議の報告で指摘されております。

 文部科学省におきましては、高等学校における指導の充実に向け、公立高等学校における担当教員の加配定数の措置を始め、初めて通級による指導を担当する教師のためのガイドの作成及び周知、生徒が自校で指導を受けるため、教員が巡回して指導を行う体制を促進するための事業の実施、中学校での指導や合理的配慮の提供を高等学校に引き継ぐための個別の教育支援計画等の活用等についての周知徹底等を進めております。

 引き続き、担当教員の配置を含めた指導体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

堀場委員 だから、大臣がさっき言った、校内委員会をつくるとか特別支援コーディネーターを配置するとか、そういったことはもう当たり前なんですよね。だから支援が充実しているわけでは全くなくて、そもそもみんな、小学校、中学校と個支計を、多分、幼稚園とか保育園から持っている子もいると思いますが、様々なタイミングで個支計が作られて継続してやってきているのに、高校には、その個支計を見て支援を確立しようとかというところまでまだまだ到達していないというのが現状なんだということを知っていただきたいんですね。

 だからこそ、高校が選べないんですよね。行ったってちゃんと合理的な配慮が受けられるか分からないというところにはなかなか、保護者も含めて、行かせられないですよ。もう中学校でさんざんいろいろなことがあって、そして、高校にやっと行かせたいと思ったときに、できる選択肢が本当に少ないということをもっともっと問題視していただきたいんです。

 私は、この中学校の子供たちが、特別支援を受けている子供たちが、社会に対する選択肢が少ないということを問題意識と思ったので国会議員になったということもあります。なので、それぐらい大きな問題なんだということを私は持っていますし、変えてあげてほしいし、彼らの夢をもっと実現できるような社会にしてあげたいんですね。

 だから、できること、今彼らが行ける道というのは通信高校とサポート校という形態になっています。こういった形態の指導について、大臣の御所見をお願いします。

盛山国務大臣 通信制高校は近年、不登校経験など様々な事情を有する生徒に対して教育機会を提供する役割を担うようになっております。また、いわゆるサポート校については、通信制高校の生徒に対し、教育課程外の活動として学習活動等の支援を行っていると認識しています。

 他方、一部の通信制高校において、違法又は不適切な学校運営や教育活動も行われている事例が残念ながら見受けられるなどの課題も指摘されております。

 我々文部科学省では、これまで、サポート校も含むサテライト施設の教育水準の確保や通信制課程の教員配置の基準に係る法令改正、高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドラインの策定等を行っております。

 また、こういう広域の通信制高校、サテライト施設について、所轄庁における適切な設置認可や、認可後の実施把握、指導監督等を支援するための様々な施策に取り組んでいるところでありますが、生徒さんが社会的自立に必要な資質、能力を身につけることができるよう、引き続き、サポート校などのサテライト施設も含めた通信制高校の質の向上に私たちは取り組んでいきたいと考えています。

堀場委員 時間ですので終わりますが、サポート校というのは、もちろん問題があったところもあるかもしれませんが、ほとんどすごく頑張っているんです。合理的配慮もしてくれているし、不登校の子はここに行けている子もたくさんいます。そして、そこの自由度があるからこそできることもあります。だから、我々はサポート校というものを、そして、保護者から見れば、お金が二倍かかるということなんです。すごくお金がかかっているんです。不登校になったら、仕事を辞めなきゃいけないかもしれない、セーブしなきゃいけない、収入が減っているかもしれない。でも、子供をサポート校に入れたらお金が二つ、二倍かかりますよということを言っているんです。

 こんなに選択肢がないということをもっともっと問題視をしていただきたい、そしてサポート校の自由度も認めていくような、そんな学校の在り方で議論が進んでいくようにとお願いを申し上げまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 本日、冒頭の田野瀬委員長の報告にあったように、一昨日、極地研に伺って、各種研究施設や南極・北極科学館に御案内をいただきました。南極・北極科学館は、我々が見ても楽しく、充実したものでありましたけれども、子供たちにも是非見てもらいたい内容でございました。

 現場でも質問が出ましたけれども、子供たちや生徒の南極・北極科学館を含む極地研への訪問数は昨年一年間で何回になっているか、改めて校種別と合計で答えていただきたいと思います。研究開発局長。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 初めに、委員の先生方におかれましては、御多忙のところ国立極地研究所を御視察いただきまして、ありがとうございました。

 お尋ねの件でございますが、令和五年度に国立極地研究所を訪問した学校の数は、小学校六校、中学校八校、高等学校十一校、特別支援学校六校の合わせて三十一校となります。

 気候変動などの地球規模課題の解決において南極及び北極研究は重要でありますことから、引き続き極地研究の更なる理解増進を図ってまいります。

宮本(岳)委員 三十一回に上っているとの答弁であります。是非、引き続きそういう役割を果たしていただきたいと思うんです。

 しかし、校外活動の大前提は子供たちの安全というのが、この間、これは万博への子供たちの校外学習をめぐって議論してきたことですね。万博の会場となっている夢洲は、先日お示ししたように、現役の廃棄物最終処分場であり、埋め立てたものの分解に伴い、可燃性のメタンガスが発生し続けております。

 まず、環境省に確認をいたします。

 三月二十八日にメタンガスの爆発事故が発生した夢洲一区は、大阪市の海面最終処分場である北港処分地となっております。配付資料一につけましたけれども、環境省の海面最終処分場の廃止と跡地利用に関する技術情報集の参考資料三の二ページには「二〇二五年十一月埋立終了予定」と記載されております。

 現在も廃棄物の埋立処分が続いている最終処分場で間違いないですね。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 現在も廃棄物の埋立処分が続いている最終処分場でございます。

宮本(岳)委員 確認されました。

 昨年夏には約二トンのメタンガス発生が確認されており、一日当たり約二トン、それは今後も増加することが想定されております。

 博覧会協会は、三月二十九日の事故報告では、グリーンワールド工区のみ、一部管理型の廃棄物処分場となっており、可燃性ガスが発生しています、ほかのエリアでは、建設残土等で埋立てされており、可燃性ガスの発生はありませんと述べていましたが、五月三十日の「お知らせ」では、四か所で低濃度のメタンガスが検出されているデータを確認しましたと述べました。

 配付資料二は、それに添付されたPW工区におけるメタンガスの検知状況を示した地図でありますけれども、見ると、今年一月から三月にかけて既にメタンガスが検知されております。既に一月三十日には、会場の迎賓館予定地の付近で七%LELという濃度のガスが検知されております。

 ほかのエリアでは可燃性ガスの発生はありませんという三月二十九日の報告はうそだったんですか、経産省。

茂木政府参考人 今御指摘がございました、六月七日に、パビリオンワールド工区のメタンガスデータが検出されたという公表でございますが、これは、グリーンワールド工区以外のところでのガス検出量があるかどうかということについて再度確認するために、パビリオンワールド工区も含めまして、施工事業者から提出されている記録を全て再検証をいたしました。これは、昨年、工事が始まりました二三年七月以降、ガスの計測をしておりますけれども、それ以降、今年の三月までのデータを再検証いたしましたところ、先ほど委員からお示しがあった四か所において、それぞれ一回、ガスの検出が行われたということでございます。

 したがいまして、その点を改めて再検証した結果、そういった状況が把握できましたので、五月三十日にその旨を公表した次第でございます。

宮本(岳)委員 何を言おうが、検査項目にはメタンガスが含まれており、三月にガス爆発が起こったときに、当該工区はもちろんですけれども、ほかの工区でも同様の事故が起こってはいけないと考え、調査するのが当然で、そのとき気づかなかったなどあり得ないわけですね。

 経産省は、昨年七月以来、酸素濃度とともにメタンガス濃度についても測定をしてきました。それは、メタンガス発生の可能性を予想していたということであります。三月二十八日に爆発事故が起こる前から、メタンガスの発生は、計測もして分かっていた。ましてや、三月二十八日には爆発事故が発生し、その日のうちに経産省と内閣官房にも報告がありました。

 にもかかわらず、経産省と内閣官房は、なぜ四月三日付で、資料三につけましたけれども、「修学旅行等における二〇二五年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の活用について」という依頼通知を、文科省にガスのことも爆発事故のことも一切隠したまま出したのか、お答えいただけますか。

茂木政府参考人 令和六年の四月の通知文の発出でございますが、大阪・関西万博の準備状況について改めて情報共有を行うという目的で、経産省、内閣官房万博事務局の連名で文科省へ依頼したものでございます。

 大阪・関西万博が約一年後に迫りまして、学校側の準備状況等を踏まえますと、新年度を迎えたこの時期に情報提供が必要だと判断して実施した次第でございます。

 会場の安全確保、これはもとより最優先で取り組むべきことでございます。今後、会期中の安全対策を取りまとめまして、学校関係者の皆様にもしっかりと説明をすることで、安心して会場にお越しいただけるよう真摯に対応してまいりたいというふうに存じます。

宮本(岳)委員 翌年の行事計画に間に合わせるといっても、爆発が起こった事実も伝えずに文科省に初中局長名の活用通知を出させるというようなことは、私は詐欺に等しいと思いますよ。

 しかし、その依頼文書を受けて、何の確認もせずに右から左に活用通知を出した初中局長も初中局長だ。

 矢野初等中等教育局長、あなたは、ガス爆発の事実を知らずに、資料四につけたこの通知を出したんですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事故については、四月八日に通知を発出する前の段階から、報道や博覧会協会のホームページにおいて文部科学省として把握しておりました。

宮本(岳)委員 把握していながら、何も触れない通知を出したということですね。

 五月二十九日の本委員会で、遠足、修学旅行については、事故の絶無を期すること、事故防止や安全確保の徹底が何よりも大事であるということを大臣もお認めになりました。

 大臣に聞きますけれども、文部科学省は、現時点で、この爆発事故が起こった夢洲の土地の安全性について確認しているんですか。

盛山国務大臣 先ほど宮本委員から御発言がありましたように、前回の委員会でそのような趣旨の発言を、私、確かにさせていただきました。修学旅行等において、事故の防止や児童生徒の安全確保を徹底することは何より不可欠と考えております。

 そして、委員御指摘の万博会場の安全につきましては、現在、博覧会協会において確認をしていただいているところでございます。文部科学省としては、今週十二日にも、担当の初等中等局から、内閣官房の国際博覧会推進本部の事務局、そして経済産業省の博覧会推進担当のところに、安全確保の徹底について改めて要請をしております。

 我々文部科学省としては、事故が発生することがないよう、引き続き、安全確保の徹底について関係省庁に要請するとともに、都道府県教育委員会等に対する必要な情報の提供等についても、関係省庁と協力をして対応してまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 今大臣がおっしゃった六月十二日の要請、何を要請したかペーパーを出してくれと言ったら、安全確保の徹底について改めて要請したというペーパーが出ただけでありまして、中身ないんですよ。分からないんです、何を言ったのかは。

 では、経済産業省に聞きます。

 博覧会協会は、安全対策は六月中に示す、こう言っておりますが、今月中の何日に示すんですか。

茂木政府参考人 会期中の安全対策については、来場者がより安心できるように、継続したガス濃度の計測や換気などを行うという対策を実施していくことにしておりますけれども、博覧会協会において、更なる安全確保の対応策を、専門家の意見も聞きながら、六月中を目途に取りまとめるべく調整をしているところでございまして、取りまとまり次第、速やかに公表いたします。

宮本(岳)委員 六月中のいつなんですか、日にちは。日にちは。

茂木政府参考人 現在、調整中でございます。

宮本(岳)委員 日にちも言えない。六月中を繰り返すが、六月はあと半月しかないんですね。

 私たちは、少なくとも、爆発事故の事実も知らされないまま矢野初中局長名で発出した活用通知は撤回すべきだとただしてきましたけれども、文科省は、博覧会協会における会期中の安全確保に向けた対応策の取りまとめ状況も踏まえ、引き続き、関係省庁と連携しながら、修学旅行等の実施について適切に検討してまいりたいと考えております、これを繰り返すばかりなんです。

 矢野局長、現状は、あなたの名前で万博活用を奨励する通知が出されたままで、撤回もされなければ、爆発事故の事実を知らせる追加通知も出されておりません。このままで、もし万博への学校行事が計画され、実施されて、万が一児童や生徒が爆発事故に遭った場合には、あなたや文科省が全責任を負うということでいいんですね。

矢野政府参考人 御指摘の令和六年四月の通知は、先ほども御答弁ございましたとおり、大阪・関西万博の開催が約一年後に迫り、学校側も新年度を迎えたタイミングを踏まえ、大阪・関西万博の準備状況等について改めて情報提供を行うという考えを踏まえた内閣官房、経済産業省の依頼を受けて文部科学省として発出したものでございまして、会場の安全については、三月の事故も踏まえ、現在、博覧会協会において、専門家の意見を聞きながら、会期中の安全確保の対策を取りまとめているというふうに伺っており、文部科学省としては、当該対応策も踏まえ、引き続き、関係省庁と連絡を取りながら、修学旅行等の実施について、安全をもちろん万全に期した上で適切に対応してまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 無責任ですよ。その答弁ばかりやっているんですね。遠足、修学旅行に当たって事故の絶無を期するという最も大切な前提問題で、文科省は責任を持とうともしないわけです。万博協会と大阪市、こう言うんですね。

 現場の先生からは、修学旅行については学校の判断と文科省は言うが、何かあれば学校の責任になる、安全性も確認できていない、何の情報もないのに、学校の判断ということで責任を押しつけられるのはおかしいという声が出ております。

 また、六月の五日、新日本婦人の会大阪府本部の皆さんが大阪府教委に届けた子供の声というものを見せていただきましたけれども、何でガス爆発するようなところへわざわざ行かなあかんの、遠足はいつも楽しみやけど、そんな怖いところへは行きたくない、そもそも情報がなくて分からない、また爆発したら嫌などの声が寄せられております。

 大臣、六月中に博覧会協会が提示するという会期中の安全確保に向けた対応策の取りまとめ状況を踏まえて、やはり新たな通知を出し直すのは当然のことではないかと思いますが、いかがですか。

盛山国務大臣 繰り返しの答弁になりますけれども、現在、博覧会協会の方でも御対応していただいているところであり、当省としては、事故が発生することのないよう、関係省庁とも連絡し、博覧会協会その他に要請をしながら対応を見守っていきたい、そういうふうに考えております。

宮本(岳)委員 その同じ答弁の繰り返しなんですね。

 この土地は、一日二トンのメタンガスが出続けている現役の管理型最終処分場であります。どんな対策を取ろうが、絶対安全な場所にはなりようがないんです。

 昨日は、自前の万博海外館、十月の外観完成構想が破綻、開幕時に一部未完成の可能性と産経が報じました。万博そのものの中止が必要だと思いますけれども、子供たちを危険にさらし、その責任を学校に押しつけるような、万博への修学旅行、遠足を強制動員するようなことはやめるべきだということを求めて、次のテーマに移りたいと思います。

 次に、大学学費の問題です。

 私は、国際人権A規約十三条の2(c)における高等教育の漸進的無償化の留保撤回を求め、撤回させてきた者として、政府に繰り返しこの条項の遵守を求めてまいりました。大臣は、私と目指す頂上は同じ、ルートが違うだけ、こういう答弁を繰り返してこられました。しかし、幾らそう言われても、現に文科省がやっていることを見ると、到底そうは思えないんです。

 前回、留学生の学費の上限を撤廃したことについて、山に登るどころか海に潜っているではないかと指摘しましたが、授業料の値上げについては留学生だけの問題ではなくなってきました。東大が授業料の値上げを検討しているということが明らかになって、これに対して、学生四百人が参加する反対集会が開かれました。また、広島大学でも授業料の値上げを検討しているということがあって、反対するネット署名が行われております。

 続々と値上げをする動きが出てくれば、こうした動きは国際人権規約に逆行するということになるのではありませんか、大臣。

盛山国務大臣 ちょっと日付は忘れましたけれども、先日宮本先生に御答弁したことの繰り返しになりますけれども、国際人権規約そのものに違反するとは我々は考えておりません。長期的な方向として、できるだけ、国際人権規約に規定されているように、誰にとっても差別なく学びを続けられる、こういうような環境を整えることは重要であると私たちは考えております。

 ただ、そこへ至るまでの過程でどのように授業料も含めて対応していくのか、これはまた個別の問題であろうかと思います。

宮本(岳)委員 いや、新制度や後払い制度というんですけれども、これによって中間層の支援が薄くなってしまうという指摘があります。日本版HECSと言われる大学院段階の授業料後払い制度は、後払い制度の導入によって、逆に、各大学が独自に実施していた授業料減免などがなくなるのではないかとの不安の声も出されております。

 そのような中、去る六月七日、資料五につけました国立大学協会の理事会声明が出されました。運営費交付金が減額されたまま、社会保険などの経費の上昇、近年の物価高騰、円安などにより基盤経費を圧迫し、実質的に予算が目減りする中で、外部資金の獲得などの努力を進めているが、もう限界ですと窮状を訴える悲痛な声であります。

 資料六はその国大協の声明につけられた参考資料の一枚でありますけれども、国立大学運営費交付金は、二〇〇四年比でマイナス一三%、千六百三十一億円の減とされております。

 高等教育局長に確認いたしますけれども、これは事実ですね。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 資料でつけていただいている法人化後の運営費交付金の推移、これはこのとおりでございますが、平成二十七年度以降は、何とか、厳しい政府全体の財政事情の中で運営費交付金を確保してきているところでございます。

宮本(岳)委員 いや、減らしようがましになったという話でありまして、運営費交付金が下げられてきたこと、そして選択と集中政策をしてきたことが、現在の大学の窮状を生み、研究力の低下につながったと思うんです。しかし、もう限界だからといって学費の値上げを放置するなら、大臣の目指す頂上は同じという説明は全く空文句であるばかりか、国際人権規約の条項に対する国際的責任をほごにする結果となります。

 資料七は、二〇一六年三月四日付で文科省高等教育局が出した、国立大学授業料についてという文書であります。下線部、「文部科学省としては、基本的には学生等に対してできるだけ教育費負担をかけないようにしていくことが重要と考えており、最近の十年間において標準額の引上げは行っておらず、」と書いております。

 この認識は今も変わりないですね、高等局長。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、これまでも、低所得者を対象として高等教育を無償化する高等教育の修学支援新制度の実施など、安定財源を確保しつつ、様々な負担軽減策を行ってきております。

 また、令和六年度、七年度の制度の対象拡大等、今御指摘いただいたHECSも含めた制度の拡充を今年度とそれから来年度予定しておりますが、こうしたことも含め、国会でも大臣から御答弁申し上げているとおり、教育費の負担軽減を図ることは重要であるというふうに考えております。

宮本(岳)委員 もちろん、国大協の声明は、危機的な財政状況について国民に理解や協働を求めてはいるんですけれども、永田会長は発表後の会見で、授業料値上げについて国民に理解を求める意図は今回の声明にはないとも語っておられます。

 しかし、中教審大学部会の特別部会がまとめた「急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方に関する中間まとめ(素案)」というものを見ると、質の高い高等教育のための授業料、公費支援、寄附金等の在り方が挙げられ、この中間まとめに先立って自民党の教育・人材力強化調査会が出した提言では、学費完全無償化について、授業料を家計負担から公費負担としているにすぎず、必ずしも質の高い教育環境の実現にはつながらないとまで述べております。

 しかし、授業料を家計負担から公費負担に置き換えることこそ、国際人権規約の無償教育の趣旨だと私は思うんですね。何が悪いのかと。

 大臣、我々が同じところを目指しているというならば、そこを目指しているというこの共通認識が必要じゃないですか。

盛山国務大臣 同じ山のてっぺんを目指しているということは、前にも申し上げているところであります。そして、ルートが違うということも前に申し上げたところでありますが、どのようにして高い高等教育の水準を維持していくのか、そして、できるだけ多くの人に学びというものを格差がないように享受をしていただくのか、そのやり方の問題だろうと思います。

 運営費交付金の話もあれば、授業料の話もあれば、奨学金、こういったこともあろうかと思います。様々な観点から様々なやり方、そういうような内容を検討しながら、中央教育審議会での御議論、こういうものを踏まえながら、しっかり対応を検討していきたいと考えております。

宮本(岳)委員 この特別部会で、慶応義塾大学の伊藤公平塾長が国公立大学の学費を年間百五十万円にすることを求めたことが話題になりました。伊藤学長の資料を見ると、高度な大学教育を実施するためには、学生一人当たり、大学の収入として年間三百万円が必要だと。国立大学が三百三十五万円であるのに対し、私学は僅か百五十四万円であることを指摘をしております。その上で、そのうちの八〇%に当たる百二十四万円が家計負担、すなわち授業料等となっているという指摘なんですね。

 資料八を見ていただきたい。その結果、私立大学の平均授業料は、国際人権規約の留保を撤回して段階的な無償化を国際公約として受け入れた二〇一二年以降の十一年間の方が、撤回前の十二年間より更に上がっている。つまり、これも山に登るどころか海に潜るような結果になっている。

 このグラフは事実ですね、私学部長。

寺門政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のように、私立大学の初年度授業料の平均額につきましては、二〇〇〇年から二〇一二年の間の差額は六万九千七百八円、増加率一〇九%、二〇一二年から二〇二三年間の差額は九万九千八百三十八円、増加率一一二%となってございます。

宮本(岳)委員 かえって上がっているんですね。この原因は、はっきりしております。問題は、私学への公財政支出、経常費補助が少な過ぎることです。

 私立学校振興助成法成立時の全会一致の附帯決議では、経常費二分の一の補助の速やかな達成を目指すとされておりました。

 私学部長に重ねて聞きますけれども、二〇二二年度の私立大学等経常費補助金の算定における経常的経費と経常費補助金額の補助割合は幾らになっていますか。

寺門政府参考人 お答えをいたします。

 令和四年度の予算につきましては、私どもの算定では一一・四%ということになってございます。

宮本(岳)委員 二分の一どころか、僅か一一・四%なんですね。一貫して減らされ続けている。資料九につけております。

 運営費交付金の減額、選択と集中、私学の経常費補助金の低下、学長からのもう限界の声、こうしたことの背景には、文部科学省が教育予算の抜本的増額を目指す姿勢すら失いつつあるのではないかと言わざるを得ません。

 資料十を見ていただきたい。下村博文元文部科学大臣が大臣時代に出版したこの本、この本の中に掲げられた、二〇二〇年教育再生実現に向けたグランドデザインというものであります。これによると、二〇二〇年までに教育予算を約五兆円増やす、二〇三〇年のビジョンでは更に五兆円を増やして、高等教育は完全無償化するというプランであります。下村博文という大臣の評価はともかく、十兆円規模で教育予算を増やそうという姿勢はあったわけですね。

 もう限界という大学の声に応えるには、この運営費交付金や私学助成の抜本的な増額は不可欠ですよ。

 盛山大臣、あなたは下村大臣ほどの気構えもないのですか。

盛山国務大臣 下村元大臣がどういうようなお考えでこういうふうに書かれたのかは分かりませんが、同じ気構えかどうかは別にして、私自身としましても、文部科学省のスタッフ全員とともに、少しでも教育環境をよくしよう、そういうふうな思いは引き続き持ち続けております。

宮本(岳)委員 大学に限らず、私学助成の拡充は党派を超えた切実な願いです。だから、毎年、多くの請願署名が当委員会に寄せられてきたんです。

 今国会、本日が請願の締切りということでありますが、先日も調査室に答えてもらいましたが、最も幅広い、教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願について、本日までに付託されている署名数と最も多くの署名を紹介している会派の署名数を答えていただきたい。

藤井専門員 お答えいたします。

 今国会の文部科学委員会に付託された、教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願につきまして、本日時点における総署名者数は百六十五万三百八十四名であります。このうち、会派別の署名者数が最も多いのは自由民主党・無所属の会であり、その合計の署名者数は七十一万千七百十九名であります。

 以上です。

宮本(岳)委員 請願権は日本国憲法十六条に定められた国民の権利です。本来、全てについてしっかり議論を尽くし、国民の声はできるだけ採択すべきであります。

 少なくともこの請願については、全ての会派が紹介議員となり、しかも、自民党が最も熱心に紹介している署名であります。これが自民党の態度によって不採択になるなどということがあってはならないし、そんなことになれば、国民の願いに背を向けたということになります。

 紹介議員となっている会派として責任を持って採択に向け努力を尽くし、今国会こそ採択して実らせることを強く求めて、私の質問を終わります。

田野瀬委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、早速質問に入らせていただきます。

 まず、五月に盛山大臣にも手交をされました、中教審の特別部会における審議取りまとめについてお尋ねをさせていただきます。

 この取りまとめにつきましては、教育関係者の中からは、抜本的改革には不十分であることや、業務の削減や教職員の配置拡充などがまだまだ根本的な解決が図られる内容になっていない等の御意見も出ております。

 この取りまとめにつきましては、働き方改革の加速、学校の指導、運営体制の充実、教員の処遇改善、この大きな三本柱が盛り込まれております。この取りまとめに対する盛山大臣のまず御見解について、お伺いをさせていただきます。

盛山国務大臣 西岡先生おっしゃるとおり、先月、中央教育審議会の質の高い教師の確保特別部会において審議のまとめがまとめられて、私、それを受け取らせていただきました。

 この特別部会は、昨年の六月から十三回にわたりまして、教職の魅力を向上させ、教師に優れた人材を確保するため、教師を取り巻く環境整備について総合的に大変熱心に御検討が重ねられたと承知をしております。

 西岡先生が御紹介していただいたとおり、今回の審議のまとめにおきましては、例えば、PDCAサイクルを通じた働き方改革を推進するため、働き方改革の進捗状況の公表等を教育委員会が行う仕組みを検討すること、小学校中学年において教科担任制を推進するとともに、生徒指導担当教師を全ての中学校に配置するなどの教職員定数の改善、そして、高度専門職である教師の職務の重要性を踏まえ、教職調整額の率を少なくとも一〇%以上とすることなど、多岐にわたる有意義な御提言をいただいたと受け止めております。

 我々としましても、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めるため、この審議のまとめを踏まえた上で具体的な施策の実現に向けて取り組んでいきたい、そういうふうに考えております。

西岡委員 今大臣から多岐にわたる貴重な提言を受けたという御発言、御答弁がありましたけれども、この取りまとめについては、文部科学省として、パブリックコメントを含めて幅広く意見を募集する方針を示されております。

 大臣にはこれまでも学校現場には足を運んでいただいているというふうに思っておりますけれども、まずやはり現場の教員の生の声をしっかり大臣に是非お聞きをいただくことや、学校現場の直接その実態を見ていただくことが大変重要だというふうに考えておりまして、教員の先生方との、大臣との懇談を含めて、直接の意見をいただく場が大変私は重要だと思っております。

 また、学校現場の教員の働き方を含めて、様々なこの改善については、結果として子供たちの教育、学びに資するものであるということを踏まえますと、児童生徒の声を聞くということも一方で大変重要なことではないかと考えますけれども、このことについての盛山大臣の御見解、そしてお考えをお伺いをしたいと思います。

盛山国務大臣 まず、この質の高い教師の確保特別部会におきましては、小学校や中学校の校長先生に加えて、教師としての勤務経験を有する方にも委員として御参画をいただいているところです。また、その特別部会で御議論いただくに当たっては、関係団体の皆様から諮問事項に対する御意見を提出していただいて、そういったものを踏まえながら幅広く御議論をしていただきました。

 そして、西岡先生から御指摘されたとおり、この審議のまとめにつきましては、今日から国民の皆様からの意見募集を実施している、パブリックコメントですね、しているところでございます。更にこういったパブリックコメントによる意見募集の結果等も踏まえて御議論をしていただき、また、我々としてもそれを踏まえての検討をしたいと思っております。

 そして、学校現場に足をということでございますが、先生からもお話がありましたように、私も就任以来、機会を捉えて各地でいろいろな学校現場に足を運ばせていただきました。また、その過程で、働き方改革も含め、現場の教師の先生から、あるいは教育委員会の方々からお話を伺っているところであります。

 今後とも、そのような現場の先生のお声もしっかり受け止めながら、検討を進めていきたいと考えています。

西岡委員 大臣には、是非、機会を捉えまして学校現場に足を運んでいただいて、直接、先生方の生の声を引き続きお聞きをいただくことをお願いを申し上げたいというふうに思います。

 近年、御承知のように、子供たちの抱える問題が大変多様化、複雑化、重層化、そして深刻化している中で、教員の先生方の負担が増大していることはもう多くの方が認識をしておられる事実であるというふうに思います。教員のやるべき業務は増える一方で、それに見合う数の教員が増えていない、そうなると一人一人の先生方に過剰な負担がかかる、これは当然のことでございますし、また一方では、定数を満たせない、そういう事態が学校現場に生じておりまして、その中で、校長先生や教頭先生が教壇に立った中で、ぎりぎり綱渡りの中で学校運営をしているという実態もございます。

 そのような状況の中では、結果として、子供たちの学びや学校生活に多大な影響を及ぼす結果となり、教師だけの問題ではなく、まさに子供たちの問題そのものである、今そういう状況になっていると認識をいたしております。

 今の状況を改善するためには、教員の定数を増やすこと、そして働き方改革を車の両輪として進めるとともに、持ちこま数の上限設定などの持ちこま数の軽減や、教員が担う業務の明確化と適正化、これは三分類に基づく十四の取組、これに対しての実効性を確保するなど、このような取組が急務であるというふうに考えますけれども、現在の取組状況について文部科学省にお伺いいたします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような教師の厳しい勤務実態を改善するには、学校における働き方改革の更なる加速化と教職員定数の改善による学校の指導、運営体制の充実により、教師の時間外在校等時間の縮減を目指すことが重要であると認識しております。

 このうち、学校における働き方改革の更なる加速化については、学校、教師が担う業務に係る三分類に基づく業務の適正化の徹底、標準を大きく上回る授業時数の見直しや校務DXの加速化など、学校における働き方改革の実効性の向上に向けた様々な取組を進めてきているところでございます。

 また、学校の指導、運営体制の充実につきましては、令和六年度予算において、義務標準法の改正に伴う小学校における三十五人学級の計画的な整備や、教師の持ちごま数の軽減にも資する小学校高学年の教科担任制の推進等のための教職員定数の改善に必要な経費を盛り込んでいるところでございます。

 中央教育審議会の審議のまとめを踏まえ、教師の質の向上に向け、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇の改善、学校の指導、運営体制の充実、そして教師の育成支援を一体的に進めてまいりたいと考えております。

西岡委員 一刻の猶予もならない大切な課題だというふうに思っておりますので、しっかり進めていただくことをお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、ちょっと質問の順番を変えまして、盛山大臣に質問をさせていただきます。

 令和四年の勤務実態調査によりますと、長時間勤務が一定是正されたとの受け止めもありますけれども、実際には、小学校で四十一時間、中学校では五十八時間、また、過労死ライン月八十時間相当の残業をしている可能性のある教員が中学校で三六・六%との調査結果が出ておりまして、まだまだ教員の働き方改革は道半ばであるということがこの調査からも明確に示されていると考えております。

 教員の働き方改革を加速するという中で、この取りまとめの中では、将来的に時間外労働を一日一時間程度に当たる月二十時間とすること、また、月八十時間の過労死ラインを超える教員をゼロにすること、また、十一時間の勤務間インターバルを確保すること等が盛り込まれています。このことを受けて、着実にこのことを実行に移すということが大変重要だと思いますけれども、そのためには、これからしっかりと工程表、どのように、いつまで、どのようなことを取り組むのかという工程表をしっかり明確にした中で、道筋を明確にして取り組んでいくことが必要だというふうに考えますけれども、このことについて盛山大臣の方針をお伺いをしたいと思います。

盛山国務大臣 委員から御指摘がありましたとおり、令和四年度教員勤務実態調査におきましては、全ての職種で在校等時間が減少しております。学校における働き方改革の成果は着実に出ているというふうには思いますが、しかし、併せて委員から御指摘があったとおり、依然として長時間勤務の教師も多いということで、今までの取組を加速化させていく必要がある、こういうふうに我々認識しております。

 このため、我々文部科学省におきましては、令和六年度の予算で、教職員定数の改善、支援スタッフの充実等に必要な予算を措置しております。

 また、審議のまとめの中で、まずは時間外在校等時間が月八十時間の教師をゼロにすること、その上で、全ての教師の時間外在校等時間が月四十五時間以内になることを目標とすること、将来的には教師の平均の時間外在校等時間を月二十時間程度に縮減すること、そして十一時間を目安とする勤務間インターバルの取組を進めること、こういったことが提言されているところでございますので、我々は、中教審の御議論、これと併せまして、提言された施策の工程表についても我々としても検討させていただきますし、中教審の方でも更にこれから御検討を加えられることではないかと思います。

 我々は、この審議のまとめに盛り込まれた施策の実現に向けて、できるだけ早く実行、実現をするために、具体化するために、検討を進めていきたいと考えております。

西岡委員 将来的にはということが言葉としては盛り込まれているんですけれども、やはり先生方の働き方改革は一刻の猶予もならない課題だというふうに思っておりますので、しっかりスケジュール感を持って、文部科学省として、盛山大臣の下、しっかり取り組んでいただくことを重ねてお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、働き方改革の一環としても、教員業務支援員の拡充、これも大変重要でございます。また、専門人材の活用、これも極めて重要な課題でございます。スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーやICT支援員など、この配置の拡充、これをしっかり進めていくことも大切な課題でございます。

 また、部活動等における指導者を地域で確保していく、このことが直面する喫緊の大きな課題だというふうに思っておりますけれども、このことについては、その方々への待遇等についてのやはり制度を新しく構築することも必要ではないかというふうに考えますけれども、このことに対する文部科学省のお考えをお伺いをいたします。

矢野政府参考人 お答えします。

 複雑化、多様化する教育課題への対応とともに、学校における働き方改革を推進する上で、今御指摘のございました教員業務支援員を始めとする多様な支援スタッフとの連携、協働は重要であるというふうに認識しております。

 このため、文部科学省では、令和六年度予算において、教員業務支援員の全小中学校への配置、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーや部活動指導員の配置充実、副校長、教頭マネジメント支援員の創設を始めとする支援スタッフの充実等に必要な予算を措置したところでございます。

 中央教育審議会の審議のまとめにおきましても、支援スタッフの配置効果が定量的に確認されたこと等を踏まえ、更なる配置充実が必要であることなどが指摘されております。

 文部科学省としては、各自治体において着実に人材と予算の確保が進むよう、例えば、教員業務支援員との協働の手引きなどの参考資料や配置効果を示す事例集の展開等を通じて、それぞれの現場の実情に応じた支援スタッフ等の配置と協働を支援してまいりたいと考えております。

 処遇の改善につきましては、基本的に、採用条件等については、各自治体の権限と責任の下、地域の実情や能力等を踏まえて適切に判断するべきものと考えておりますけれども、都道府県教育委員会等の御意見も踏まえながら、適切に対処してまいりたいと考えております。

西岡委員 今、質問としては、部活動等における指導者を地域で確保していくこと、これが直近の課題、直面している課題の一つだというふうに認識をいたしておりまして、その方々への待遇等につきましては制度を構築することも必要なのではないかということで、最後にお尋ねをさせていただいております。このことについてのお答えをお願いいたします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 部活動指導員等の採用条件等については、各自治体の権限と責任の下、地域の実情や能力等を踏まえ、適切に判断されるべきものと考えてはおりますけれども、先ほどもお答え申しましたとおり、都道府県教育委員会、市町村教育委員会等の御意見等も踏まえつつ、適切に対処してまいりたいと考えております。

西岡委員 その新しい制度を含めて、待遇面、大変重要な課題だというふうに思っておりますので、文部科学省としてもしっかり連携をしながら取り組んでいただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、教員が過重労働の中で子供たちと直接向き合う時間がなかなか取れない、これも大変深刻な状況でございますし、また、教師、先生方同士でのコミュニケーションが十分に取れないという中で、先生方が疲弊をして、心身共に疲れ切った中で働き続ける今の状況を何としても変えていかなければいけないというふうに思いますけれども、現状、体や精神的な不調による休職を余儀なくされている先生方、大変増加をいたしております。この状況についても、看過できない状況になっているというふうに考えております。

 働き方改革を進める上では、教員の先生方のウェルビーイングの視点が大変重要な視点であるというふうに思っております。先生方が健康であって幸せであることが、結果として子供たちの幸せにつながるという意味でも、また、特に今、教員のなり手不足が大変深刻な状況でございまして、以前は、先生方の姿を見て、将来、自分も教員、教師になりたいという子供たちが多くいたわけでございますけれども、なかなか、今の先生たちの姿を見て、将来教員になりたいというお子さんが従来のようにいらっしゃるかというところについては大変疑問があるところでございます。

 先生方のウェルビーイング、これが大変重要な視点だというふうに思いますけれども、このことについての文部科学省の取組や方針についてお伺いをしたいというふうに思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のあったとおりですが、学校の働き方改革の最終的な目標、教師がかわいそうだからというのではなくて、教師のウェルビーイングを向上させることによって生活の質、教職人生を豊かにする、こういったことによって子供たちに触れ合う時間をもっと取ってもらう、余裕を持って子供たちに接してもらう、子供たちのウェルビーイングの向上、そこが最終的な目標でございます。

 このため、文部科学省では、学校、教師が担う業務に係る三分類に基づく役割分担や業務の適正化の推進、令和元年の給特法改正を踏まえ、在校等時間の上限を定める指針の策定、客観的な方法による時間把握の徹底、教職員定数の改善、支援スタッフの配置充実等の学校の指導、運営体制の充実などを進めてまいりました。

 また、近年の教師の病気休職等の増加を踏まえて、令和五年度からは、メンタルヘルス対策に関する効果的な取組事例創出に向けた調査研究事業を実施しているところでございます。

 審議のまとめにおきましても、学校における働き方改革や学校の指導、運営体制の充実等を通じて、教師が心身共に充実し、研修や学ぶ時間の十分な確保等によって自己の資質、能力等を高められるようにし、生き生きと子供たちと接することができる環境の整備が必要である、こういうふうにされているところでございます。

 この審議のまとめを踏まえ、教師のメンタルヘルス対策も含めた学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実等の取組を引き続き力強く推進することで、教師のウェルビーイングを向上させ、教師が生き生きと子供たちと接することができる環境の整備を進めてまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 学校の中の働き方改革の中でも、先生方の中でも、やはりウェルビーイングを中心に置いた取組をして大変効果が上がったというお話もお聞きをいたしておりますので、大変この視点をまた大切にしながら、より一層進めていただきますことをお願い申し上げたいというふうに思います。

 一方で、先ほども申し上げましたけれども、教員のなり手不足、これも大変深刻な状況が続いておりまして、志願者数、この倍率も過去最低を記録したということが報道をされております。

 特に今、民間企業が軒並み賃上げをしている中で、やはり、長時間労働や給与の面や、また保護者の皆様との関係性に不安を持つという理由で、教員が学生にとって大変魅力的な職業として今十分認識されていない現実がございます。

 例えば、それを変えていく一つの手法として、学生にとって奨学金の負担が大変重いものでありますし、いわゆる借金とも言える奨学金を背負って社会に出ていかざるを得ない現実がある中で、以前そうであったように、教員になれば奨学金の返済を免除する、このことも大変重要な一つの施策ではないかというふうに考えますけれども、このことについての文科省の見解をお伺いいたします。

望月政府参考人 御指摘の、教師になった者に対する奨学金の返還支援についてのお尋ねでございますけれども、中央教育審議会の議論のまとめも踏まえまして、優れた教師人材の確保の観点から、教職大学院を修了し、翌年度から正規の教師として採用される者、そして、教職大学院以外の大学院についても、学校等での実習に取り組むなど一定の要件を満たして修了し、翌年度から正規の教師として採用される者を返還免除の対象とし、来年度、令和七年度から新たに教師になる予定の者から適用することとしまして、教師の指導の質の向上と高度専門職としての社会的地位の向上を図り、これが、ひいては安定的な教師志願者の確保につなげていきたいと考えております。

 まずはこの新しい仕組みをしっかり運用することが大事だと考えておりますけれども、中央教育審議会の議論のまとめでも示されておりますけれども、制度改正を伴う学部段階も含めた幅広い支援の充実につきましては、高等教育段階の修学支援の動向、各都道府県での教師人材の確保の状況等も踏まえながら、引き続き検討を行うことが必要と考えております。

西岡委員 今、制度をスタートさせていただいているということの中で、子供たちの未来をつくっていく教員の先生方をしっかり、やはり魅力ある、本当に大きな意味を持つ教員という職業を志望される方々がしっかりと教員になるということが実現できる、その道筋をしっかりつくっていくために、これからも幅広い支援の在り方、是非進めていただきますようにお願いを申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、こども未来戦略の方針の下で、少子化対策、これを強力に賃上げを推し進めていこうという中で、資源のない我が国にとって、次世代を担う子供たちの健やかな成長や学び、このことに重要な役割を持っている教職員の皆様の果たされている役割は極めて重要なものだと思っております。

 一方で、先ほどから議論させていただいておりますように、公立高校の教員が置かれている状況は過酷な状況でありまして、その待遇改善、中でも給料を上げていくことは喫緊の課題です。

 今回、その取りまとめの中では、給特法の廃止ではなくて、この廃止をして一般の公務員と同様に残業代を支払う方向ではなくて、給特法の改正によって教職調整額を現在の四%から一〇%以上に引き上げる方針が示されました。

 このことについて、盛山大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

盛山国務大臣 先ほど来、何回かやり取りをしておりますけれども、審議のまとめにおきましては、子供たちの人格の完成と我が国の未来を切り開く人材を育成するという極めて複雑かつ困難な職務を担い、専門的な知識や技能等が求められる高度専門職である教師の職務の重要性等を踏まえ、教職調整額の引上げを含む教師の処遇改善を行うべきとされているところであります。

 教師の処遇につきましては、専門性を最大限に発揮して業務を遂行することが求められていること、日々変化する目の前の子供たちに臨機応変に対応する必要があることなどの理由から、逐一、管理職の職務命令によるのではなく、教師の専門職としての自律性を尊重する働き方である給特法の仕組みは、現在においても合理性を有しているとされました。

 しかしながら、この審議のまとめにおきましては、教師の処遇改善だけではなく、働き方の加速化、指導、運営体制の充実、こういったものを一体的、総合的に推進することにより、教師の時間外在校等時間の縮減を図ることが必要というふうにもされています。

 これからも、お子さんを教えていこう、未来を担うお子さんの教育、指導をしたいんだと思ってもらえるような、そういう方々にとって、少しでもウェルビーイング、望ましい働き方の職場になるように、あるいは、教師に優れた人材を確保していくことができるようにするために、教師を取り巻く環境整備をしっかり総合的に進めていきたい、取り組んでいきたいと考えています。

西岡委員 今大臣から御答弁がありましたけれども、給特法の廃止による残業代を支払う方向ではないという今回の給特法改正につきましては、抜本的な改革になっていないということや、勤務時間に見合う残業代が出されるべき、給特法を廃止しないと長時間勤務は変わらないのではないか等々の御意見が出ておりますけれども、今回、給特法廃止ではなくて改正という答申を出された一つの要因としては、財源の問題があったのではないかというふうに拝察するわけでございます。

 もう時間の関係で一問省略させていただいて、次の質問でございますけれども、今回取りまとめられました教員の処遇改善につきまして、財政制度等審議会がまとめた意見書の中では、教員の処遇改善策に必要な財源について、今年度と同規模の予算で文科省はやりくりすべきだという文言が盛り込まれております。このことについて大臣としてどのように受け止められているのかということ、このことについてお伺いをさせていただき、また、改めて、教員の処遇改善に取り組んでいかれる大臣の決意も含めてお伺いをしたいというふうに思います。

盛山国務大臣 今、西岡先生がおっしゃった財政制度等審議会において、教師の処遇について、既定の給与予算を最大限活用すべきという指摘がなされたことは承知をしております。

 他方、中教審において取りまとめられた審議のまとめでは、教師の業務の複雑性、困難性が増大し、教師不足等の課題も指摘される中、教職の重要性を踏まえ、教師の処遇改善を図る必要があるとされているところです。具体的には、人材確保法の趣旨も踏まえ、教職調整額の率について、現在の四%を少なくとも一〇%以上とすることが必要とされております。

 文部科学省としては、この審議のまとめを踏まえた処遇改善が必要であると考えております。予算の話、これからということになるわけでございますけれども、財政当局と丁寧にしっかり議論していきたいと考えています。

西岡委員 今大臣から、強い決意と捉えていいというふうに思いますけれども、財政当局ともしっかり交渉していくというお言葉がございました。

 今回の取りまとめの中で、私は一文御紹介したいんですけれども、現在の教師を取り巻く環境を改善しなければ、我が国の教育の質の低下を招きかねないと考えられる、このため、このような教師を取り巻く環境は我が国の未来を左右しかねない危機的な状況にあると言っても過言ではないという一文がございます。

 このことを踏まえて、今、やはり教師の処遇改善をしっかり図っていくことが結果として子供たちの未来につながるということで、しっかり取り組んでいくということを、私自身も大臣の思いと一にしてしっかり取り組んでいきたいというふうに思っておりますし、国民民主党としては、これまでも申し上げております子供国債、しっかり、未来への投資という、投機的な投資という捉え方の中で、しっかり子供たちの学び、健やかな成長を守っていくことを、今やらなければいけないという強い危機感を持って取り組んでいきたいという決意を改めて申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.