衆議院

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第8号 令和7年4月16日(水曜日)

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令和七年四月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中村 裕之君

   理事 今枝宗一郎君 理事 小林 茂樹君

   理事 永岡 桂子君 理事 青山 大人君

   理事 亀井亜紀子君 理事 坂本祐之輔君

   理事 高橋 英明君 理事 日野紗里亜君

      遠藤 利明君    小渕 優子君

      木原  稔君    柴山 昌彦君

      鈴木 貴子君    渡海紀三朗君

      中曽根康隆君    中西 健治君

      西野 太亮君    萩生田光一君

      福原 淳嗣君    船田  元君

      古川 直季君    松野 博一君

      三反園 訓君    三谷 英弘君

      簗  和生君    山本 大地君

      阿部祐美子君   安藤じゅん子君

      五十嵐えり君    小山 千帆君

      佐々木ナオミ君    高橋  永君

      竹内 千春君    辻  英之君

      西川 厚志君    波多野 翼君

      眞野  哲君    吉川  元君

      うるま譲司君    黒田 征樹君

      前原 誠司君    美延 映夫君

      西岡 義高君    浮島 智子君

      金城 泰邦君    大石あきこ君

    …………………………………

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   文部科学副大臣      武部  新君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   文部科学大臣政務官    金城 泰邦君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伊藤 学司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           尾田  進君

   文部科学委員会専門員   藤井  晃君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  遠藤 利明君     中西 健治君

  鈴木 貴子君     福原 淳嗣君

  竹内 千春君     西川 厚志君

  前原 誠司君     黒田 征樹君

同日

 辞任         補欠選任

  中西 健治君     古川 直季君

  福原 淳嗣君     西野 太亮君

  西川 厚志君     竹内 千春君

  黒田 征樹君     前原 誠司君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     鈴木 貴子君

  古川 直季君     中曽根康隆君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     三反園 訓君

同日

 辞任         補欠選任

  三反園 訓君     遠藤 利明君

    ―――――――――――――

四月十六日

 学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願(小山千帆君紹介)(第八六六号)

 同(山井和則君紹介)(第八八二号)

 同(水沼秀幸君紹介)(第九四七号)

 同(波多野翼君紹介)(第九五一号)

 同(竹内千春君紹介)(第九六四号)

 同(辻英之君紹介)(第九八一号)

 私立幼稚園を始めとした幼児教育の充実と発展に関する請願(笠浩史君紹介)(第八六七号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(早稲田ゆき君紹介)(第八六八号)

 同(階猛君紹介)(第八七九号)

 同(柴山昌彦君紹介)(第八八〇号)

 同(平井卓也君紹介)(第九〇四号)

 同(阿部知子君紹介)(第九二七号)

 同(杉村慎治君紹介)(第九二八号)

 同(笠浩史君紹介)(第九二九号)

 同(志位和夫君紹介)(第九四五号)

 同(伴野豊君紹介)(第九四六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九四八号)

 同(平林晃君紹介)(第九四九号)

 同(柚木道義君紹介)(第九五〇号)

 同(松下玲子君紹介)(第九六三号)

 同(海江田万里君紹介)(第九八二号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第九八八号)

 同(宗野創君紹介)(第九八九号)

 同(吉川元君紹介)(第九九〇号)

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(早稲田ゆき君紹介)(第八六九号)

 同(升田世喜男君紹介)(第九九一号)

 設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(篠田奈保子君紹介)(第八八一号)

 同(岡田華子君紹介)(第九七八号)

 同(西川厚志君紹介)(第九七九号)

 同(松木けんこう君紹介)(第九八〇号)

 同(小熊慎司君紹介)(第九八三号)

 同(長友慎治君紹介)(第九八四号)

 同(西岡義高君紹介)(第九八五号)

 同(神谷裕君紹介)(第九九二号)

 同(寺田学君紹介)(第九九三号)

 直ちに学費半額・入学金ゼロ、奨学金を給付中心にすること及び奨学金返済の半額免除に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九一九号)

 同(志位和夫君紹介)(第九二〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九二一号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第九二二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九二三号)

 同(田村智子君紹介)(第九二四号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第九二五号)

 同(本村伸子君紹介)(第九二六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

中村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局公務員部長小池信之君、文部科学省総合教育政策局長茂里毅君、初等中等教育局長望月禎君、高等教育局長伊藤学司君、厚生労働省大臣官房審議官尾田進君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉川元君。

吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。

 今日はちょっと持ち時間が少ないので、大臣、簡潔に答弁をお願いしたいと思います。

 給特法の前回の見直しの際に労基法と給特法のずれということを、前回の当委員会でも質問をいたしました。その際、あべ大臣、今回の改正でもこのずれは維持することにしたことについて、中教審で総合的に御審議いただいた結果、あるいは根本的な見直しの結果だ、こういうふうに答弁をされております。

 一つ聞かせていただきたいんですが、学校教育法の中で校長がつかさどる校務であっても、給特法六条一項によって超勤命令が出せない、だからこれは残業代も出せないし、自主的、自発的な活動だ、これが給特法の仕組みとなっております。

 しかし、一般の労働者に適用される労基法、労基法というのは、前回も申し上げましたが、全ての労働者に適用されるものであるわけですけれども、労働者が明示的な指示を受けていなくとも業務を遂行することが期待される状況は、黙示の指示として労働時間に該当し、残業代の支給対象になる。この黙示的な指示は給特法制定時にはなかった労基法の解釈ではないかというふうに私は思っております。

 昨年八月の中教審答申では、教師の自主的で自律的な判断に基づく業務と校長等の管理職の指揮命令に基づく業務が混然一体となっている教師の業務は、これを正確に峻別することは極めて困難、こういうふうにしているわけですね。従来からの考え方の繰り返しです。

 しかし、少なくとも、前回も質問させていただきましたが、所定の勤務時間後の採点や、あるいは生徒への進路指導、部活動指導、これは黙示の指示として簡単に、そして客観的に峻別可能なはずです。これについては、前回改正時、二〇一九年当時の大臣答弁でも黙示の指示という言葉が出てきておりますので、これは私は客観的な峻別は可能だと。

 この観点からすると、中教審の言葉で言うと自主的、自律的、私は自主的、自発的だというふうにずっとそういう言葉だと思っていたんですが、いつの間にか自律的という言葉に変わっているんですが、自主的、自律的な業務と指揮命令に基づく業務の切り分けが不可能というこの論理というのは破綻をしているのではないでしょうか。

 今回の改正は根本的な見直しの結果だと大臣は答弁しましたけれども、確実に峻別可能な黙示的な指示に基づく業務についてどのような検討を行ったのか、教えてください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 今、中教審での議論について吉川先生からお尋ねがございました。中教審でも一年半にわたり精力的な議論が行われましたが、今御指摘の点、教師の職務の在り方についてでございます。

 中央教育審議会におきましても、例えば授業準備、教材研究、生徒指導、児童理解といった具体的な業務例も挙げながら、こういった業務を含めまして、教師の業務はどこまでが職務であるかは切り分け難いこと、子供に対してどこまで、どのように指導するかということについては教師一人一人の考え方によるものであること、こうした中で、教師には専門職としての自律性、専門性が求められると同時に、それを尊重されなければならず、管理職による厳密な時間管理にはなじまないこと、また、こうした点が教師の職務の特殊性であるといった議論がされたところでございます。

 こうした改めての、教師の職務の在り方や時間外勤務手当に関する考え方も含めまして、給特法等の法制的な枠組みなどにつきましても総合的に御審議して、今回の中教審の答申ということになったものでございます。

吉川(元)委員 もちろん中には判別しづらいものもあるのはあるかも分かりません、私は基本的にないと思いますけれども。前回質問させていただいた二十五項目、この中で、明確にこれは教師の仕事である、例えば採点業務なんというのは、これはまさに教師の業務ですよね。これは教師が勝手に自主的、自発的に採点するんですか、違うでしょう。これは間違いなく業務なんですよ。これも含めて峻別できないからこの給特法の形を維持するんだというのは、私はちょっと最初に結論ありきなんじゃないかと言わざるを得ません。

 実際に、これは、二〇二三年一月十一日号、教育新聞の一月十一日号で、当時の中教審の会長のインタビューが掲載されております。その中でどんなことを言っているかというと、まだこれは大臣が諮問していないんですよ、もちろん中教審での特別部会の議論もスタートしていない段階で、中教審の会長が、給特法の基本的な枠組みを前提にする、ここを議論のスタートにしてほしい、こういうふうに述べているわけですよ。

 ですから、最初からきちんと、この給特法と労基法のずれを含めて、大臣の答弁、過去にあった答弁も含めて議論するという立場ではなかった、初めから結論ありきだったのではないかというふうに言わざるを得ませんし、この点については、私は不誠実な対応だというふうに言わざるを得ません。

 次に、改正案の附則三条について伺いたいと思います。

 三条では、施行日から二年後をめどに、教育職員の勤労環境などの状況を勘案し、勤務条件改善のための検討を行い、必要があると認める場合には措置を講ずる、こういう規定が設けられております。

 この規定は、法施行後二年後ですけれども、どのような場合にどんな措置を講ずることを想定しているのか教えてください。

望月政府参考人 御指摘の附則第三条におきましては、施行後二年、要すれば、令和十年の一月以降を目途として、教員の勤務の状況等を勘案しつつ、教員の勤務条件の更なる改善のための措置について検討を行う旨規定しているところでございます。

 このため、法案に則したことをしっかりと具体化して、まずは法に盛り込まれた施策を具体化した上で、附則第三条に基づく検討を行うことになると考えてございます。

 具体的にどのような場合にどのような措置を講ずるかにつきましては、この規定に基づく検討を踏まえて具体化されるものと承知をしてございますけれども、例えば、令和九年度までの取組状況も踏まえまして、時間外在校等時間の縮減を更に進めるための必要な施策を講じることなどが考えられるところでございます。

吉川(元)委員 関連して伺いますが、附則第三条に書かれている、今紹介をいたしましたけれども、勤労環境その他の勤務条件に関する状況ですけれども、どのように把握をされるおつもりですか。十日の本会議質疑で大臣は、毎年実施している教育委員会への調査で把握する、このような答弁をされているわけですけれども、それで間違いないんでしょうか。

望月政府参考人 御指摘のとおり、現時点では、具体的には、全国の服務監督教育委員会において年間を通じて把握される在校等時間の状況を、毎年度、文部科学省におきまして集計し、一か月当たりの平均時間を算出することを考えてございます。

 教師に追加的な調査負担を生じさせることなく、国において全国的な状況を把握することが可能になるものと考えてございます。

吉川(元)委員 全国的な状況を把握することが可能と言いますけれども、私、そうは思えないんです。

 今お手元の方に配付資料があると思います。これは、表の一は、前回、一般質疑の際に出させていただいた資料、令和四年度に行われた教員勤務実態調査、そこから、これは実際には月の時間外在校等時間が何時間というのは出ておりませんので、どのぐらいの時間なのかというのはこちらで計算をしたところ、月四十五時間未満というのが小学校の場合は三五・六、月四十五時間以上八十五時間未満が五〇・三、月八十五時間以上が一四・二%。隣は中学校の、横は中学校の教諭の話です。

 ところが、同じ年、これはまさに今局長が答弁された教育委員会が行う調査を見ますと、この上の勤務実態調査と非常に大きなずれがあります。例えば月四十五時間でいうと、教育委員会の調査では、四十五時間以下は六三・二%、月四十五から八十は三二・五%、月八十時間超は四・四%。これは明らかに同じ年度の調査ですよ、同じ年度の調査でこれだけずれが出ております。

 表三はその翌年ですね、次の年の調査ですけれども、一見すると大きく改善しているように見えるわけですけれども、これは本当に実態をきちんと反映したものなのか、私は非常に大きな疑問を持ちます。

 これは二年前の五月の当委員会でこの問題を指摘をさせていただいた際に、当時の初中局長の答弁、これは分かるようで分からない答弁だったんですけれども、勤務実態調査は、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握するものであって、要は精度が高いと。一方、教育委員会の調査は、働き方改革の進捗状況を把握して、取組事例の展開を通じて改革を促すことを目的にしている、こういう答弁をされているわけです。つまり、調査の目的がそもそも違っていると。

 先ほど、今後については教育委員会の調査を基に把握をするという話でありましたけれども、この教育委員会の調査と、それから令和四年度の勤務実態調査とを比較したとしても、これは意味がないんじゃないんですか。教員の長時間労働の是正は待ったなしのはずで、教員の勤務状況を正確に把握するためには、やはり勤務実態調査をすべきだと私は思います。

 先ほど、これは大臣も本会議で答弁しているんですけれども、負担が大きいと言いますけれども、負担の大きいことをほかにもいっぱいやらせているわけですよ。例えば学力テストの悉皆化なんというのは、非常に大きな負担になっている。

 勤務実態をきちんと正確に把握をしないと、先ほど言った二年後の見直し、見直しといいますか、いろいろ検討して必要な措置を講ずるというふうにしていますけれども、それすら本当に正しい実態に基づいてそれができているのかどうか、非常に怪しい話だというふうに思います。

 やはり、令和四年度と同様に、もし仮に負担が物すごく大きいのであれば、この令和四年度と同じようなやり方で、もう少しそれを簡単にする方法で、きちんと教員一人一人に聞き取り、一人一人がきちんと、今何をやった、あれをやったということをやる勤務実態調査をすべきだというふうに考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

 それから、前回の質疑でもただしましたが、持ち帰り残業は増えているんですよね。前回、勤務実態調査を見ますと、例えば授業準備であるとか成績処理、これは、時間内は、在校等時間の中では減っていますけれども、それとほぼ同じ時間、持ち帰りが増えているということも、局長の答弁の中でございました。

 だとするならば、きちんとこの持ち帰りの仕事についても、もちろん、学校にいるわけではありませんから、本当に完全に同じレベルで調査できるかどうかは別にしても、きちんと調査をして、少なくとも参考の数値としては明らかにすべきだと思いますけれども、この点について、この二点について、いかがですか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 勤務実態調査とそれから働き方改革の取組状況調査の数字が大きく異なっているのではないかというまず御指摘でございますけれども、これは令和四年度の調査を比べますと、取組状況調査の方では、校長、事務職員等も含めたデータとなってございます。つまり教員だけではないということでございます。

 その上で、現在、令和四年度と比較しても、各教育委員会において教職員の在校等時間の客観的な把握が徹底されてきたということがございまして、基本的に、働き方状況調査を、少し我々も項目はやはり検討しなければいけないと思っていますけれども、教員のそうした負担感ということも考えながら、取組状況調査を通じて把握していくことが望ましいのではないかというふうに考えているところでございます。

 持ち帰り時間についても御指摘ございました。

 御指摘がございましたように、令和四年度の勤務実態調査におきまして、十―十一月期の平日の教員の一人当たりの持ち帰り時間については調査してございます。小学校で三十七分、中学校で三十二分との結果が出てございます。

 一方、持ち帰りは基本行わないことが原則ということで、仮に業務の持ち帰りの実態がある場合には、教育委員会が講ずべき措置の留意事項としてその実態把握に努めるとともに、持ち帰りの縮減に向けた取組を進めることなども指導、周知をしているところでございます。

 これはやはり、外形的に把握がしづらいということは委員も今御指摘のとおりでございまして、実際に業務を行っているかどうかをどのように確認するかという点も含めまして慎重な検討が必要であると考えまして、その必要性も含めまして検討してまいりたいと考えてございます。

吉川(元)委員 この法律の改正というのは、何のためにそもそもやるんですか。もちろん、教員の処遇改善というのもありますし、ただ、同時に、ずっと問題になっているのは、やはり教員の働き方、これを改革をしていく。今の長時間労働が蔓延する、このままいけば学校が、公的な教育が崩壊しかねない、そういう危機感の下にいろいろな議論がされてきたというふうに思います。その根本にあるところは、やはり、今実際どうなっているのかということを正確に把握することから物事をスタートさせていかなきゃいけないわけです。

 資料を見ていただくと分かるように、これは明らかにずれているんですよ、大きく。精緻に正確に調べたものと、教育委員会の調査。今ほど、校長だとか事務職員が入っているからと、それだけでこれだけずれますか。

 例えば、四十五時間未満、令和四年度で見ると、四十五時間未満というのは六三・二%、教育委員会の調査では。これは物すごく働き方改革が進んでいるじゃないですか。その翌年の五年度に至っては、七五・二%ですよ。だけれども、実際の現場の状況はこんなふうにはなっていないわけですよ。この教育委員会の調査を基に働き方改革が進みましたなんというような話をし始めたら、実態とずれた調査に基づいてし始めたら、今の危機的な状況が改善されるわけがないわけですよ。

 局長も当然こういう言葉は御存じかと思いますけれども、実態として、例えば、昨年、これは高知だったと思いますけれども、教員の採用試験の合格者の七割が辞退をする、あるいは、この四月の段階でクラスの担任が決まっていない、そういうところはたくさん全国にある、そういう状況に今あるわけです。その大きな原因は、教員の働き方が異常だということ、これが広く周知をされてしまった。これを変えない限り、教員になる人はこれから先も増えない。

 だとすれば、きちんと調査して、そして、本当に効果があったのかなかったのかきちんと検証した上で、その上で新たな措置を講じていくということが必要な、その土台のところをきちんと調べもせずに、教育委員会の調査で十分だといったら、これは改善できなくなりますよ。

 ことわざに、衆怒は犯し難く、専欲は成り難しという言葉があります。怒りというわけじゃないですけれども、実際に教員にならない、教職課程を経てもならない人が増えている、あるいは、なったとしても、特に若年層で退職をしていく、これが今の教員の置かれた状況なんですよ。それを、数字の上だけで、さっき言った教育委員会の調査、これは何でこんなにずれているのか、いまだに私は理解できませんけれども、その調査に基づいて改革が進展しているとか進展していないとか言えないというふうに思いますよ。

 こうした点については、しっかり、やはりきちんとした勤務実態調査を行うように改めて申し上げたいというふうに思います。

 それから、同じ附則三条ですけれども、その中に、法施行二年後に財源の確保の状況その他の事情を勘案することになっております。この条文の終わりは、必要な場合、教職調整率の変更も含めて措置を講じるというふうにしております。

 これは一体どういう意味なんでしょうか。財政状況によっては、教職調整率の段階的な引上げを途中で断念をする、あるいは逆に引き下げる、そんな場合もあるということなんでしょうか。この点について確認をします。

望月政府参考人 附則の三条の規定の意味というものについてお尋ねがございました。

 昨年十二月の財務大臣との合意では、教職調整額の率を令和十二年度までに一〇%への引上げを行う、これを確実に行う、そして、時間外在校等時間の縮減を条件づけすることなく、令和七年度に五%として、以降確実に引き上げることと法律上明記をしてございます。

 その合意に基づきまして、附則第三条では勤務条件の更なる改善についての検討を行うこととしているものでございまして、中間段階での確認を行った結果としまして、それ以降の教職調整額の引上げを行わないということは想定をしてございません。

吉川(元)委員 今日はちょっともう時間が来てしまいました。本当は年末の文科、財務の大臣の合意についてお聞きをしたかったところでありますけれども、これについては、次回以降、また引き続き議論していきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。

中村委員長 次に、阿部祐美子君。

阿部(祐)委員 立憲民主党の阿部祐美子です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 今、学校は、深刻な教員不足、長時間労働というマイナスのスパイラルの中にあり、いじめや不登校といった課題にも対応し切れない状態です。給特法改正の審議は、教師の力を十分に引き出すための環境整備に向けた重要な機会と捉え、しっかりと議論をさせていただきたいと思います。

 初めに、現在の教員不足に至る近年の流れを確認したいと思います。

 戦後の給特法、人確法などの変遷を経て、二〇〇〇年代初頭には、相次いで教員の処遇引下げが行われました。三位一体改革で、義務教育費国庫負担が二分の一から三分の一に引き下げられ、各都道府県にとっては教員給与負担が激増、総額裁量制も導入されたことで、急激に教員の非正規化が進みました。奨学金返還免除制度は、学部段階に続き大学院でも廃止され、人確法による教員給与の優遇は大幅縮小、そして教員免許更新制も人手不足に拍車をかけました。

 私は、当時、学校の先生向けの専門新聞で記者をしておりましたが、教育界では、多くの識者が、十年後には教員のなり手がなくなる、そうした警鐘を鳴らしていたことを強く覚えております。しかし、その声は政治の波にのみ込まれ、今まさに教員不足が現実のものとなってしまいました。

 大臣、当時の政策を振り返って、これをどう評価し、教訓として今後の政策に生かすのか、お答えください。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 御指摘の平成十八年度における教員の給与に関わる国庫負担割合の引下げでございますが、政府全体で国と地方の役割分担等の見直しをしながら、いわゆる三位一体改革を踏まえた地方の裁量の拡大を図るものでございまして、教師の処遇が引き下げられたものではございません。

 他方、平成二十年度以降におきましては、義務教育等教員特別手当につきまして、政府全体の歳入歳出一体改革を踏まえ引下げが行われたものと承知をしているところでございまして、文部科学省といたしましては、学校教育の成否は教師に懸かっているというふうに私もまさに考えておりまして、教師の魅力をしっかり向上させて、教師に優れた人材を確保することが重要だというふうに考えておりまして、今般、教師の処遇を改善するための法案を提案、提出させていただいております。

阿部(祐)委員 理屈はいろいろあるわけですけれども、結局は教師の処遇を引き下げることになってしまった。それは当時から警鐘が鳴らされていたことであって、まさに、ある意味、考えれば分かることだったわけですよね。

 過去のことを言ってもしようがない面もあるかもしれませんけれども、人口というのは唯一の予測できる未来です。だからこそ、政局に流されるのではなく、思慮深く、そして政策決定を行わなければいけない、でないと未来への負の遺産になるということを是非肝に銘じて今回の議論もしていただきたいと思います。

 それでは、給特法改正案の具体的な内容について伺います。

 まず、第八条において、各教育委員会が、業務量管理・健康確保措置計画を第七条に定める指針に即して策定することとしています。現在の指針は前回の給特法改正に伴って出されましたが、今回の改正に当たっても新たな大臣指針を出されるのでしょうか。そして、現行の指針にある在校等時間四十五時間を上限として掲げておりますけれども、今回の大臣合意に基づいて、五年間で三十時間程度という目標値を附則、あるいは少なくとも指針に明記すべきと考えますが、大臣のお考えを伺います。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 今回の法案におきましては、教育委員会に対して、指針に即しまして、業務量の管理、また健康確保の措置実施計画を策定することを義務づけるということとしておりまして、こうした中におきまして、今回の法案をお認めいただけましたら、各教育委員会におきまして着実に学校の働き方改革が進むよう、指針に改定を行う予定としているところでございます。

 また、現時点におきましては、具体的に想定をさせていただいていますのは、各教育委員会におきまして教育職員の時間外在校等時間の縮減を確実に進めるために、計画に定める目標の例をお示しした上で、業務分担の見直し、また業務の精選を始めとする業務の適正化に関する観点、また、ストレスチェック、心の問題も含めた、実施を始めとする健康確保措置に関する観点などを指針におきまして分かりやすくお示しする予定でございます。

阿部(祐)委員 大変長い御答弁をいただいたんですけれども、結局、この三十時間という数字は明記をされるのでしょうか、改めてお答えください。

あべ国務大臣 今の質問に関して、各教育委員会が設定する目標に関しては、指針においてどう規定するかについては、今後しっかり検討してまいります。

阿部(祐)委員 三十時間という数字を明記することが一番分かりやすい指針になると思いますので、これは明記をしないと伝わらないと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 ところで、この業務量管理計画の策定は、前回の法改正後、全国の約三分の二の教育委員会で各々取り組んでおります。現場は既にぱつぱつに取り組んでいる、頑張っているところです。にもかかわらず、五年度になっても、在校等時間、先ほども吉川議員の議論であったように、いろいろと数字は出ておりますが、いずれにせよ、月四十五時間以上の教員は、教育委員会調査であってもまだ、小学校で二五%、中学校で四二%以上に達しています。

 計画を作るだけでは、目標は達成をいたしません。そのことは既に実証済みです。これまでできなかった業務削減が、計画を法制化すれば可能になると考えているんでしょうか。その根拠は何か、教えてください。

望月政府参考人 学校や教師が担う業務の見直しの観点でございます。

 これは、令和元年の改正のとき、文科大臣の指針を定めまして、上限指針として時間外在校等時間のいわゆる方針を示したわけでございます。それに基づきまして、各教育委員会におきましては、例えば学校徴収金の公会計化や職員の配置など、教育委員会が自ら実施する必要がある取組などを進めてはきてございますけれども、まだ、そうした業務の役割分担やあるいは業務の適正化という観点においては、今進行中の、道半ばであるというところもあるかと思ってございます。

 そのため、今回、大臣の指針に即して、全ての教育委員会が計画を策定し、それを地域や保護者、あるいは首長部局も巻き込んで、全てのその地域の方々が分かるように見える化をして、皆で、地域全体で学校の働き方改革、学校の在り方というのを考えていくという、そういう仕組みづくり、きっかけにしたいと思ってございます。

 そういう意味では、教育委員会が地域住民への丁寧な周知に努めるなど、積極的な役割を果たしていくということが更に必要になってくると考えてございまして、文部科学省といたしましては、毎年度、その取組状況をフォローアップするなど、対応してまいりたいと考えてございます。

阿部(祐)委員 これまでも自主的に計画を多くの教育委員会で立てていて、計画が法制化して地域の人に見せればそれで業務が減るということは、それはあり得ないわけですね。計画というのは魔法の言葉ではありません。唱えただけで何かが変わるわけではありません。実際に業務の量を減らしていく、あるいは人を増やしていく、それをしなければ、一人当たりの業務量というのは絶対に減らないんです。

 業務量削減に当たり、いわゆる三分類の視点は貴重だと思います。せっかく分類しても、例えば、必ずしも教師が担う必要がない業務とされても、ほかに担い手がいなければ、それが確保できなければ、結局教師がそれを担うことになってしまう、これは当然のことなんです。文科省が教員業務支援員や部活動指導員などの予算化を図っていることは承知しておりますが、全校配置には及びません。

 また、教員業務支援員は、政令市では全自治体で配置されているものの、市区町村では八一%にとどまり、一二・五%では配置の予定もないと回答されているなど、自治体間で格差があります。この格差をどのように認識し、格差を埋めるには何が具体的に必要と考えているか、教えてください。

あべ国務大臣 学校、教師が担う業務に関わる三分類でございますが、私ども文科省が毎年度、教育委員会に対してやる調査結果におきましては、全体的に取組が進捗はしているのですが、委員がおっしゃるように、取組状況に差が見られるという課題があると私どもも認識しているところでございまして、こうした中で、今回の法改正におきましては、いわゆる全ての教育委員会に対して働き方改革の推進に関しての計画の策定と実施状況の公表を行っていくこととしておりまして、こうした取組を通じて、全ての教育委員会においての働き方改革の具体的な手だてとして、例えば、三分類に基づく業務の役割分担の見直し、また、精選、効率化の徹底の取組を進めていただくよう働きかけてまいります。

阿部(祐)委員 若干御答弁がずれている感じがしますけれども、結局は、一人当たりの業務量を減らすには、人を増やすか、業務の総量を減らすかしかないわけですよ。そのためには人手と予算と知恵が必要です。分類するのは知恵ですけれども、人手や人材確保のための予算は絶対に必要です。

 次に、第三条の調整額についても伺いたいと思います。

 文科省は、昨年の概算要求では調整額一三%を要求しておりましたけれども、年末の大臣合意では、財政制度審議会の議論のとおり一〇%に抑えられ、しかも、何と毎年一%しか上がらないという形でまとまってしまいました。物価上昇率と比べても余りにしょぼい内容で、これでは意欲ある若い人たちを教職に引きつけることはできません。

 なぜ財務省は問題解決を遠ざける方向に転換させたのか、それによるネガティブな効果を財務省はどのように考えているのか、教えてください。

東大臣政務官 教職調整額を含む教師の処遇改善については、骨太方針二〇二四等を踏まえて、学校の働き方改革と一体的に、かつ財源確保と併せて進めていくため、昨年末の大臣合意において、令和十二年度までに一〇%へ段階的に引き上げるということにしたところであります。

 教職調整額以外にも、人事院勧告による給料の改善や手当の加算等を行うこととしているほか、今後、昨年末に大臣合意した学校の働き方改革を進めることを通じて、教師を取り巻く環境を整備することが重要と考えているところでございます。

阿部(祐)委員 余り直接的にお答えにならなかったと思いますけれども、骨太といいながら、こうやって教育の骨をどんどん細くして骨粗鬆症にしてしまっている、屋台骨をどんどん弱くしてしまっている。教育というのは最大の投資だと思っております。こうした形でどんどんと学校現場の力を弱くしていくというのは、日本の将来にとっても非常にネガティブな影響があると思っておりますので、是非、そこを踏まえて予算編成に当たって、編成と言ったらいいのかな、財務省も考えていただければと思います。

 財政制度審議会の発想を色濃く反映した大臣合意は、同時に、在校等時間月二十時間の到達をめどに時間外手当への移行を匂わせていますけれども、児童生徒の在校時間から見ても、劇的に教員の定員並びに実員が増えなければ、二十時間は極めて遠い目標です。むしろ、残業隠しや、あるいは、時短ハラスメントという言葉も最近生まれておりますけれども、そうした状況の中で、現場に新しい負担を強いてしまうだけになってしまいます。

 それよりも、早期の時間外手当への移行を念頭に、人事制度やあるいは人件費負担割合などを含めた検討と準備を速やかに始めるべきではないかと考えます。財務省並びに文科省に伺います。できればスケジュール感も含めて御答弁ください。

望月政府参考人 今お尋ねの件、中央教育審議会の答申もしっかり踏まえた上での今回の予算折衝の中での文部科学大臣、財務大臣での合意、そして、それに基づく今回の法案の提出ということで、給特法は、教師の自発性や創造性に基づく勤務に期待する面が大きいということから、そうした教師の職務の特殊性から、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして教職調整額を支給する、そういう仕組みにしてございます。

 したがいまして、教師が専門性を発揮して業務を遂行し、教師の裁量を確保する仕組みという観点で、今後の、将来の給特法や教職調整額の在り方ということについて、時間外在校等時間が月二十時間に達するまでに、幅広い観点から諸課題の整理を行うという大臣合意はございますけれども、今まさにこの法案において、教師の長時間勤務を地域全体でも、首長部局も関わって縮減し、働きやすさ、働きがいを確保しようという取組を今まさに進めてきている。そして、処遇の改善をしっかり行うということをまず行うということでございますので、将来的なそうした諸課題の整理を行うということについても、予断を持ってお答えすることは控えたいというふうに考えているところでございます。

東大臣政務官 先ほど来お話がありましたとおり、この大臣合意において、二十時間程度に到達するまでに、幅広い観点から諸課題の整理を行うということにしたところでありますけれども、また、昨年、御承知のとおり、十一月の財政制度等審議会において、建議においても、一定の集中改革期間、例えば五年間だとしたら、学校業務の抜本的な縮減を進める仕組みを講じて、その上で、労働基準法の原則どおり、やむを得ない所定外の勤務時間にはそれに見合う手当を支給することが教職の魅力向上につながると考えているところであります。

 こうした点を踏まえ、財政当局といたしましても、文部科学省と引き続き議論をしてまいりたいと思います。

 以上でございます。

阿部(祐)委員 今回の給特法議論の中で、時間の縮減を図っていく、そのこと自体を否定するつもりはありませんが、その先の目線に、やはり時間外手当がある世界、すなわち日本の常識に学校を近づけていく必要があるということ、是非これは進めていただきたいと思います。

 ちょっとこれは通告していないので、急にお答えが出るかどうかなんですけれども、現状の教員の時間外在校等時間、これを時間外手当に換算すると幾らぐらいになるのか、試算があれば教えてください。以前に、何か、九千億円という数字が出たことがあったような気がするんですけれども、いかがですか。

望月政府参考人 お尋ねの件でございますけれども、教職調整額と申しますのは、勤務時間の内外を問わず、まさに教職としてのそうした職務の重要性、その職責を踏まえて、一般の教員の基本給にプラス、本給相当としてこれを上乗せをしているものでございます。

 ですので、これを要は時間外勤務手当的なものとして、何時間相当でどのくらいの額になるかということに関しては、そのような意味において、お答えすることは難しいかというふうに存じ上げます。

阿部(祐)委員 調整額一三%という数字が出てきたときにも、やはり、実際の労働時間を勘案しての数字だったかと思っておりますので、今の御答弁は表向きというふうに受け止めさせていただきたいと思います。

 ちょっと時間が迫ってまいりましたので、少し質問を飛ばして、次に行きたいと思います。

 学校教育法第二十七条ほかで定める主務教諭について確認します。

 主務教諭という新たな職ができることによって、その給与の、ある意味差額分というのは、人件費総額に上乗せされていくという理解でよろしいか確認したいと思います。総額裁量制では、最終的には自治体判断ということになるでしょうけれども、主務教諭が新設されることで、例えば、二級教諭あるいは二級格付講師等が給与面で不利になることもあり得るのか、あってはならないという思いで伺います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 主務教諭につきましては、その職務と責任に見合った適切な処遇を実現するために、まさに給与表上の教諭と主幹教諭の間に新たな級を設けまして、本給の改善による処遇をすると考えてございます。

 公立学校の教師の給与は、職務給の原則等に基づきまして各地方公共団体で定められる、これはもちろんでございますけれども、文部科学省としましては、主務教諭の職の新設に伴いまして、教諭や教頭などの職務や責任について変更を加えることは想定しておりません。このため、教諭や教頭の基本給を変更することは考えてございません。

 また、その主務教諭の創設に当たりましては、義務教育費国庫負担金の算定に用いる単価につきまして、主務教諭に対応したものを新たに設定する予定でございますけれども、その際、二級である教諭と三級である教頭などに用いている単価を変更する予定も、国としての単価を変更することはございません。国庫負担上、教諭や教頭などは、これまで同様に算定されます。

 こうした主務教諭の創設の趣旨、考え方を、地方公共団体に対しても丁寧に説明をしてまいります。

阿部(祐)委員 ありがとうございます。

 講師等も含めて、そうしたしわ寄せが行かないように、是非目を配っていただければと思います。

 続いて、教育公務員特例法第十三条の二の担任手当についても確認したいと思います。

 担任の職務の量と責任の重さに着目された、このことは評価しますが、月三千円は余りに些少です。総額裁量制の中で、最終的には自治体の判断であることを前提にしつつも、なぜ三千円なのか、根拠を端的に教えてください。

望月政府参考人 学級担任への手当の加算についてでございます。

 義務教育費国庫負担金に係る国庫負担の算定上、月額三千円をこの手当に加算をする、この金額につきましては、学級担任の業務の困難性等を考慮しまして、また、現状支給されておりますいわゆる主任手当が、これは日ごとに出ていますのでお休みした日は出ないわけですけれども、日額二百円となってございますので、主任手当月四千円程度となっているものを勘案して設定した金額でございます。

阿部(祐)委員 職務の内容からの算定ではなくて、現行の主任手当とのバランスというお答えでした。一日二百円というのもちょっと衝撃です。どちらも上げる方向で見直すべきと考えますが、見解を伺います。

望月政府参考人 教員の職務全体の体系を考えまして、その職責と、そしてその困難性も考慮して、現在の教職調整額を高めていくということのバランスも考え合わせながら、こうした義務教育教員特別手当あるいは学級手当の額についても考えていく必要があるということから、今お示ししたようなことで今回は進めたいというふうに考えてございます。

阿部(祐)委員 是非、こちらの見直しも早急に検討していただきたいと思います。

 時間が残り少なくなってまいりました。最後に、二つほど提案をしたいと思います。

 先ほどから申し上げているように、幾ら計画を立てても、教師不足を解消しなければ長時間労働はなくなりません。今はどの業界も人手不足で、新入社員の争奪合戦になっております。相当に思い切った施策が必要ですが、中でも、教員志望者を増やすこと、そして中途で教壇を離れてしまう教員を減らすことが大切だと思っております。

 一点目は、奨学金返還支援制度です。昨年の中教審で、教員確保のための奨学金返還支援について、質の確保か量の確保かという議論が行われたことは承知しておりますが、大学院の奨学金返済免除制度、これができたことはプラスに評価しているところです。しかし、これだけでは量の確保にはなかなか結びつきません。是非、奨学金返還支援を学部生に広げるべく、早急な検討が必要と考えます。

 ここは、大臣のリーダーシップが欠かせませんので、是非大臣に御答弁いただきたいと思います。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 私自身も奨学金で大学院を終えた者でございまして、そうした中で、文部科学省といたしましては、やはり優れた教師人材を確保するためには、文部科学省において、今年度新たに教師になった方から、教職大学院等を修了して翌年度から正規の教師として採用される者を対象に、奨学金の返還支援を行うこととしております。

 そして、まずは、この制度を着実に実施することが重要だと考えておりまして、委員御指摘の、学部段階も含めた奨学金返還支援の更なる充実については、まずは、大学院段階の取組で得られた成果を生かしていきながら、過去の返還免除制度の廃止の経緯とか、また各教育委員会での教師人材の確保の状況等、高等教育段階の修学支援の動向を踏まえながら、しっかりと検討してまいります。

阿部(祐)委員 そんな悠長なことを言っているタイミングではないというのは、もう私が言うまでもないと思います。是非、しっかりと検討していくとおっしゃっていただきました、すぐに検討をしていただきたいと思います。

 もう一声、よろしくお願いします。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のありました返還免除でございますが、大きく二つの動きがございます。

 一つは、今大臣から答弁申し上げました、大学院を対象とした制度でございます。他方、各県によって独自に取組が行われております。政策には、その実効性を担保するということが極めて重要だと考えておりまして、今申し上げたこの二つの動きをしっかりとウォッチしながら、その実効性を見極めて必要な検討を進めてまいりたいと思います。

阿部(祐)委員 今おっしゃった、自治体の中でも動きがあるということ、だからこそ国が急がなきゃいけないわけですよ。じゃないと、お金がある、財政力のある自治体に偏ってしまうということが今後起きる可能性もあるわけですね。ここはしっかりと国でやっていく、全国で広げていくということが、すぐにでも検討し、実施されるべきだと考えます。是非、御検討ください。

 それから、もう一つ大切なのが、やはり、メンタルや病休で退職に至る教員をいかに減らすかという視点だと思います。昨年度、七千人を超えました。病気休暇を加えると更に膨大となっております。

 少しはしょってお話を伺いますけれども、まさに、学校の現場の先生からも、いわゆるカスハラと類似の言動による心理的な負荷によって病休あるいは退職に追い込まれる方々も少なくありません。

 今年三月には労働施策総合推進法が改正され、各事業者にカスハラ防止対策が義務づけられました。文部科学省においても、学校においての威嚇的な言動を禁止する等のメッセージをしっかりと出して、そして各学校現場に明示していくことが必要だと思います。これは、保護者から教師だけではなくて、教師から保護者、あるいは教師間というのもなかなか厳しいものがあるというふうに聞いております。

 こうした学校バージョンのカスハラ対策、文科省が主導して取り組むべきと考えますが、大臣の見解を伺います。

あべ国務大臣 特に、保護者、地域住民からの過剰な苦情とか不当な要求などで学校だけでは解決が難しい事案がいわゆる教師の負担になっているところでございまして、まず、行政による学校問題解決のための支援体制を構築していく必要があるんだと私どもも認識しております。

 文科省といたしましても、令和六年から、好事例を創出するモデル事業に取り組んでいるほかに、事業の成果を普及していくために、六年度補正予算で新たに、行政の支援体制整備の好事例の収集と、自治体関係者に分かりやすい事例集の作成と、全体の、全国の自治体の関係者に向けたシンポジウムの開催を行うための費用を計上しているところでございまして、文科省としては、こうした事業を通じまして、学校における業務運営の改善に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいというふうに思います。

阿部(祐)委員 今苦しんでいる先生たちを助けてあげてほしいんですね。

 文科省のホームページでも、過剰な苦情や不当な要求への対応に関して、幾つかの県教委が定めた内容へのリンクを張っておりますけれども、残念ながら、まだまだいまだに人ごとです。

 スクールローヤーの配置、これを進めていることも承知しておりますが、それだけではなく、行政書士によるADR、あるいは多職種で構成する第三者機関、相談窓口の設置など、様々な専門家との協業も有効と考えております。

 モデル事業というだけではなくて、どの先生も取りあえずSOSが出せるような、そんな仕組みをつくるとともに、やはり、いずれにせよ、文科省としてメッセージを発すること、教師の心身を守ることをしっかりと文部省としてその姿勢を見せていただく、このことが大切だと思っております。

 そうしたことを是非やっていただきたいと強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

中村委員長 次に、波多野翼君。

波多野委員 立憲民主党の波多野翼です。

 本日は、教職員の処遇改善、そして子供たちの未来に直結する重要な法案である給特法の改正について質疑をできる機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私はかつて、越前市役所の職員として、そして小学校のPTAの会長として、現場で子供たちと向き合う教員の姿を間近で見てまいりました。先月、三月にも、地元の小学校PTAの活動として資源回収に関わりまして、交通整理係をしてきたところであります。

 今日は、給特法の改正ということで、この改正が形だけにならずに真に教員の働き方を変える転機になるように、現場の声を基に問題点を今回はしっかりと整理して議論を進めていきたいと思いますので、どうぞひとつよろしくお願いいたします。

 まずは、二〇二三年度に実施した公立小学校の教員採用試験の競争倍率が、小学校は二・二倍、中学校は四・〇倍、高校は四・三倍と小中高いずれも過去最低となっているということで、ただ、教員職の専門性や優秀な人材の確保の観点から、教員の質を守るため、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教員職員の人材確保に関する特別措置法ということで、いわゆる人材確保法に基づき、教員の給与水準は一般の行政職よりも高く設定をされているということになっています。

 そこで一つお伺いしたいのが、一般行政職に対する教員の優遇の部分が最も大きかったとき、そしてその割合、そして今現在の割合というのを教えていただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる人材確保法に基づきまして、一般行政職の公務員の給与水準に比較しまして、教員の処遇については優遇措置が講じられなければならないというふうにされてございます。

 最もこの水準が高かったときと現在という御質問でございますけれども、人材確保法に伴う改善が完成いたしました昭和五十五年には、その優遇分は約七%の優遇がございました。その後、政府全体の歳入歳出一体改革が行われる前の平成十三年度から十七年度までの五年間を平均しますと約三%になりまして、そして現状、我々がこの法案を出す前までの状況で平成三十年度から令和四年度までの平均を取りますと、その優遇分は僅か〇・四%となっていたところでございます。

波多野委員 ありがとうございます。

 かつては一般行政職よりも七%ほど高かったという教員の給与ですけれども、今では〇・四%ほどということで、もうほとんど変わらないのが現状かなというふうに思います。このような金銭的な優遇が後退したことが、教員になる志望者の減少の一因になっているんじゃないかというのが私の考えであります。

 人材確保法の趣旨をしっかりと踏まえれば、処遇の改善によって優秀な人材を確保することが求められているはずではありますけれども、そこでお伺いしたいのが、一体なぜこうした処遇の後退を国として容認してきたのか。今まで、急に教員の数が足りなくなったわけではなくて、こういった処遇の部分がどんどん後退することによって、人材が、教員になりたい人が減ってきているのではないかというふうに思いますので、そういったところをしっかりと根拠を基に国の責任について説明をしていただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 その前に、PTAの会での交通整理の係、大変ありがとうございました。皆さんがそうして子供たち、PTAも支えてくださっていること、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 それと、質問いただきました給与優遇の縮小の理由と国の責任についてということでございますが、人材確保法における教師の給与の優遇分につきましては、公務員の給与制度におきまして、一般行政職は職務の級が増加した一方で、実は教師に関しての職務の級は変更がなかった、それで、いわゆる昇給幅の大きい昇給の機会が一般行政職よりも少ないことから、相対的に低下したものというふうに私どもは承知しております。

 あわせまして、平成二十年度以降におきましては、政府全体の歳入歳出一体改革の中におきまして、教師の給与についても引下げが行われてしまいまして、優遇分が低下をしてしまいました。

 文科省といたしましては、教職の魅力を向上させる、そのために教師に優れた人材を確保することがまさに重要だと考えておりまして、今般、教師の処遇を改善するための法案を提出させていただいているところでございます。

波多野委員 ありがとうございます。

 今回の給特法の改正で処遇を改善するということですけれども、教員の処遇改善として、教職調整額を現行の四%から毎年一%ずつ上げていって、最終的には一〇%とするということで話が進んでいるかなと思いますけれども、しかし、この教育調整額は元々、時間外勤務手当を支給しない代わりに本給として支給するものであるという認識でいまして、この時間外労働の実態と乖離しているという点がずっと問題とされているかなというふうに思っております。

 ただ、そもそも教員の処遇改善は、人材確保法の制定時に本給の引上げと義務教育等教員特別手当の新設によって優遇が図られてきたことを踏まえれば、今回の法改正においても、本来は給料表の見直しですとか義務特手当の方の増額などで対応するべきだというふうに考えるのですが、なぜ今回、あえてこの教育調整額の引上げという形に踏み切ったのか、その理由と、人材確保法の制定時の考えとの整合性についても、是非明確にお答えいただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 学校が対応する課題が御指摘のとおり複雑化、困難化する中で、教師の職責の重要性が高まっている、そうした状況を踏まえまして、教師の職務の重要性にふさわしい処遇を実現するために、今般の処遇改善では、まさに本給相当として支給されております教職調整額を高めるということを法案に盛り込んでございます。

 この本給相当という意味は、期末・勤勉手当や地域手当等の算定の基礎となるというものでございますので、期末・勤勉手当や地域手当が、これが一%上がれば、要はそれが一・五%ぐらい分になるということでございます。

 人材確保法では、まさに波多野先生が先ほど御指摘いだだきましたように、この人材確保法の制定時は、本給の引上げあるいは義務教育等教員特別手当の創設などによりまして、優遇措置を四十六年の給特法の後、四十九年の人確法で、その後の改善の中では本給の引上げとか義務教育等教員特別手当の創設などによりましたけれども、その後、それも踏まえて更に具体的にどのような手だてによって教員のそうした優遇措置を図っていくかということにつきましては、具体的な手だては人材確保法には実は規定されていないところでございます。

 教師に優れた人材を確保するために、教師の給与を一般の行政職の公務員の給与水準に比較して優遇することは、これは教職調整額の引上げが最も効果的であると考えてございまして、今般の処遇改善は人材確保法の趣旨にのっとったものであると考えているところでございます。

波多野委員 ありがとうございます。

 ただ、やはり、給料表の、そこの見直しができるのであれば、そっちでしっかりと対応しないと、人確法と給特法の曖昧な部分が出てきてしまうのかなというふうに思っております。

 また、給特法を根拠に支給されている教育調整額ですけれども、制定当時の教員の超過勤務が大体八時間だったことを考えて、そこと整合性を取って四%とされたということを承知をしています。そして、今回、政府が、この教育調整額を一〇%まで引き上げるということを言っている。このことに対して、私の下に学校現場の教職員から、調整額が一〇%になることで、ある意味、超過勤務、時間外の手当の部分ですね、時間外の部分が二十時間まで当然やってもいいんじゃないかというふうに思われてしまうんじゃないかという声が届いています。

 令和四年度の勤務実態調査では、一か月の時間外在校等時間の平均が、小学校で約四十一時間、中学校で五十八時間となっておりまして、このような実態を、一〇%に引き上げるということで、容認するような形になりはしないかというのが教員の、職員の声であります。

 そこで、大臣に是非お伺いしたいのですが、今回のこの教育調整額の引上げが、教員の金銭的な処遇改善を目的としたものであって、長時間労働、長時間の労働を制度的に正当化するものではないということを是非明確に御説明をしていただければというふうに思います。

あべ国務大臣 今回の教職調整額におきましては、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして支給されるものでございまして、その率は時間外勤務の状況に直接対応するものではなく、今般の教職調整額の引上げは、教師の職務の重要性にふさわしい処遇の実現のために行うものでございます。

 給特法の仕組みにおきましては、元来、時間外勤務を命ずることのできる業務を四項目に限定をしているとともに、令和元年の改正におきましては、それ以外の業務を行う時間も含めて在校等時間として時間管理の対象とするなど、教師の働く時間の長時間を防ぐための仕組みをいわゆる取られているところでございまして、その上で、今般の法改正におきましては、更なる教師の時間外在校等時間の縮減に向けまして、国と教育委員会、学校が一体となって取り組む仕組みづくりを行っているところとしているところでございまして、この制度改正の趣旨をしっかりと私どもも説明をしてまいりたいというふうに思います。

波多野委員 ありがとうございます。

 今回のこの教育調整額の引上げという部分は、あくまでそういった容認をする部分ではないということで、更に言えば、業務を削減していくということが一番の目的であって、そこはこの金額の中に入っていないということでしたので、今も、今日、現場の教員の皆さんは安心しているところかと思います。また、そういった部分をしっかりと周知徹底していただければと思いますので、どうかひとつよろしくお願いいたします。

 また、この教育調整額について、私のところには、ほかにもたくさん声が届いております。その幾つかをちょっとここで紹介させていただきます。

 教育調整額が上がることが、教職員の長時間労働の解決には全くと言っていいほどつながらない。働き方を変えるためにも、残業時間に対する手当の拡充よりも、優先して取り組まれるべきは残業時間の解消に向けた政策です。教育調整額が増額されても、担任手当や新たな職ができても、業務を削減しなければ、根本的に長時間労働は解決せず、人材確保にもつながりません。教育調整額を引き上げる話が出ていますが、それより私は仕事を減らしていただきたい。児童がいる間は、休憩の時間がほぼありません。現在の多様な個性を持った子供たちの学習面、生活面を共に対応する時間も人材も足りていません。本来の教育環境、職場環境をよくするためにも、大きな改革を望みます。こういった声が届いております。

 文部科学省でも、こういった声、しっかりと届いているかなと思いますけれども、その中で、長時間労働の是正のために、今回の給特法の改正には、各教育委員会に対して、業務管理、そして健康確保の措置の実施計画の策定を求めている、そして、その計画を、実施状況をしっかりと公表させるということになっていると思います。

 そこで、お伺いしますけれども、この策定する業務量管理・健康確保措置実施計画において、この業務管理、そして健康の確保措置とは、具体的にどういったことを想定しているのか、教えていただければと思います。

 また、具体的な業務管理とか健康を確保するその方法について、法律の施行通知においても、具体的に何をするのか、しっかりと示す必要があると思いますので、そこの考えについても教えていただければというふうに思いますので、どうかひとつよろしくお願いいたします。

望月政府参考人 業務量管理・健康確保措置の具体的内容につきまして、また、その周知につきまして御質問がございました。

 各教育委員会が策定することとしております計画には、今回の法案におきまして、目標と内容、その他実施に必要な事項を定めるものとされてございます。

 具体的には、目標として、まさに働き方改革を進める目標値となります時間外在校等時間の月の平均や、時間外在校等時間が一定時間以内の教員の割合などを定めることを想定してございます。内容としましては、例えば、業務分担の見直しや適正化に向けた授業時数の見直しや、あるいは、学校行事の精選、重点化、校務処理の負担軽減、あるいは、健康確保措置としては、ストレスチェックの状況や、それに基づく面接指導の実施などを想定しているところでございます。

 こうした内容につきましては、大臣が定める指針において記載をするとともに、教育委員会に対しまして、通知などを含めて分かりやすくお示しをしたいと考えているところでございます。

波多野委員 ありがとうございます。

 今、内容の部分もしっかりと明記するという話がありましたけれども、もう少し具体的に、業務を削減する内容の部分、例えばどういったことが考えられるのか、そこを教えていただければ。

 現場の方では、やはりそこの部分を例示としてしっかりともらえないと、やはり各自治体、そこを検討するのはなかなか大変だと思いますので、どういったことで業務を削減できるのかという部分、具体的にどんなことを考えているのか、教えていただければというふうに思います。

望月政府参考人 業務の削減について、具体的にどのような、計画の中に盛り込むことが必要かと。

 これは、いろいろこの審議、国会質疑での御議論も踏まえてと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、どの程度、校務DX、あるいは、教員業務支援員等、支援スタッフも手伝っていただいた形で、校務処理をどう分担し減らすことができるかという、その負担軽減の観点とか、学校行事の見直しを、いつどういう形でどのようなものをやっていくのかということでありますとか、健康確保の観点では、ストレスチェックをしっかり年間受けている者がどのぐらいの割合にして、それをフィードバックをしていくのはどうするか、そういった具体的なところをイメージをしながら、先ほど申し上げましたような、業務負担の軽減につながるような目標を、内容を記載をするということを考えてございます。

波多野委員 ありがとうございます。

 実際、そういった内容を盛り込んでいく、計画の中に取り込んでいくということを考えますと、教育委員会が行うことにはなっていますけれども、その中で、計画を作る中で、労使がしっかりと交渉、協議をすることが必要不可欠だと私自身は考えるんですが、その点、どう考えているのか、教えてください。

望月政府参考人 計画に記載する目標や措置の内容にもよりますが、例えば、各教育委員会が定める在校等時間に関する目標など勤務条件に関するものにつきましては、職員団体からの適法な交渉の申入れがあれば、交渉の対象となり得るものであるというふうに考えているところでございます。

波多野委員 ありがとうございます。

 申出があればということではありましたけれども、やはり、働く方、計画をする方、実際にそれに取り組む方、ここはしっかりと協議し合って計画を作っていかないと、結局絵に描いた餅になってしまうのではないかというふうに思いますので、是非そういった部分でも、周知の時点で、しっかりと現場の声を聞くようにということで通知の方をしていただければというふうに思います。

 続きまして、労働基準監督機能の役割についてちょっと質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先月の三月二十四日に、参議院の文部科学委員会において、水岡議員の質疑の答弁において、総務省は、地方公共団体の職員に関する労働基準監督機能について、人事委員会を置かない自治体においては、首長の労働基準監督機能の役割の重要性を踏まえ、機会を捉えて過重労働に対する監督指導の徹底などについて助言をしているとしています。また、人事委員会は、勤務条件に関する苦情、措置要求に基づく必要な措置の勧告などの権限も有しているというふうにしております。

 そこでお伺いしたいのですが、ここで言う人事委員会又は首長が果たすべき労働基準監督機能の役割というのは具体的にどういったことを言っているのか、お教えいただければというふうに思います。

小池政府参考人 委員御指摘のとおり、地方自治体の職員の勤務条件に関する労働基準監督は、一定の事業場を除きまして、人事委員会又は地方自治体の長が行うこととなっております。

 具体的な監督内容でございますが、承知しているところでは、例えば、教育現場を含む事業場に対して、書面や実地により調査を行い、時間外勤務の状況や縮減対策の内容を確認し、必要に応じて指摘を行うといった取組がされているものと承知をしております。

波多野委員 ありがとうございます。

 また、先ほどの中で、苦情処理、措置要求に基づく必要な措置ということで回答がありましたけれども、現状では、あくまで教員側が申し出ることによってその措置がなされるという認識でしょうか。

小池政府参考人 人事委員会は、職員の勤務条件に関する措置要求を審査、判定し、必要な措置を取ることとされているほか、職員の苦情を処理することとされております。

 これらの制度は、いずれも、職員から人事委員会に対して要求や相談をすることを前提としたものとなっております。

波多野委員 ありがとうございます。

 教員側、職員側が申し出て、それに対して対応していくということだと思いますけれども、今後、この計画が策定をされた場合に、その計画どおりに業務管理や健康確保ができていないという場合には、これは、教員の申出がなくても、人事委員会や首長が改善のために必要な措置、勧告をするというようなことは考えていないのでしょうか。教えていただければと思います。

小池政府参考人 先ほど、最初に答弁いたしましたとおり、それは、人事委員会の機能、労働基準監督機関としての機能として対応すべき内容も当然含まれているものと考えております。

波多野委員 ありがとうございます。

 そうしたら、次に行きたいと思います。

 学校の働き方改革ということで、学校の働き方改革として、教員の働き方改革において、中学校の学級編制の標準を現在の四十人から三十五人に改善をして、教員の負担軽減につながっていくのではないかと私自身思っております。

 福井県は、全国学力テストにおいても全国トップクラスでありまして、また、令和五年度の不登校に関する調査でも、千人当たりの不登校児童生徒数が、小学校で十四・三人、中学校で四十九人と、全国で最も少なくなっております。

 そんな福井県は、いち早く中学校の学級編制の標準を改善しまして、今では、中学校は三十二人学級をやるという取組をしております。実際に、福井県の現場の教職員からは、事務処理や保護者対応、指導上の負担が軽減されました、少し余裕ができて授業の準備とかにもしっかりと取り組めるようになりましたという声を聞いております。

 あべ大臣も、昨年、加藤財務大臣との大臣合意の中で、「令和八年度から中学校三十五人学級への定数改善を行う」ということを言っておりました。

 そこで、お伺いしたいのですが、あべ大臣自身も、中学校三十五人学級による働き方改革で教員の負担が軽減されるということを思っているのかどうか、お伺いさせていただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

あべ国務大臣 本当に福井県が先進的な、先駆的な取組をしてくださっていますこと、委員から教えていただきました。

 私どもも、令和四年度の教員勤務の実態調査におきまして、小学校、中学校共に、担任として受け持つ児童生徒数が少ないほど、おおむね平日の在校等時間が短いということがまさに明らかになっておりまして、少人数学級の推進は重要と考えております。

 そのため、委員が御指摘くださいましたように、令和七年度で三十五人学級が完成する小学校に続きまして、財源確保等含めて、令和八年から中学校の三十五人学級の整備を行うための定数改善を行うこととして、昨年十二月に私と財務大臣の間で合意をさせていただいたところでございます。

波多野委員 ありがとうございます。

 あべ大臣自身もこの効果という部分をしっかりと認識をしているということだったので、もう一声というところで、今回の法改正の中に、給特法の附則なりに、令和八年度から三十五人学級をやっていくという部分、法制上の措置をしっかりと講じてもいいんじゃないかというふうに私自身思うのですが、そこをどう思うか、是非御回答いただければというふうに思います。もう一声でお願いします。

望月政府参考人 先ほど大臣から御答弁させていただきましたけれども、児童生徒数が少ないほど、おおむね平日の在校等時間が短いことが明らかになっている、そうした少人数学級の効果は出ているんじゃないかと思っています。

 一方、我々政府として御提出をしてございます給特法の一部改正法案につきまして、我々として、現時点、今の中学校三十五人学級を附則にどうかということにつきましては、政府の立場からお答えは差し控えさせていただきたいと思ってございます。

 いずれにしましても、文部科学省といたしましては、今大臣が申し上げましたけれども、財務大臣との間で、令和八年度から中学校の三十五人学級の整備を行う定数改善を行うことで合意をしてございますので、その実現に向けて、必要な検討、準備を進めてまいります。

波多野委員 ありがとうございます。

 意気込みの方はしっかりと受け取ったというふうに思っておりますので、どうかひとつよろしくお願いいたします。

 そして、働き方改革の中で一つ御提案ということなんですけれども、近年、用務員さんが配置が削減されて、施設の修繕や除雪、草刈り、備品管理などの、そういった今まで用務員さんが担ってきた業務が教員にしわ寄せをされているという現状があります。

 こうした中で、用務員さんの採用ということが教員の負担軽減にもつながるのではないかなというふうに私自身思っておりまして、こういった用務員さんなりの職員さんを今後採用していく、確保していくという部分で、現場の実態にどう向き合っていくのか、人的な配置の在り方についても是非お答えをいただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

望月政府参考人 学校用務員は、学校教育法施行規則第六十五条におきまして、「学校の環境の整備その他の用務に従事する。」という職務が規定されているところでございます。校舎等の清掃、あるいは環境整備等、用務員が行う職務については、円滑な学校運営上、大事な役割を担っていると考えているところでございます。

 この学校用務員に関する経費につきましては地方交付税措置がされているところでございますけれども、学校の環境整備につきまして、これを最近は民間委託をしているところも多いようでございますけれども、民間にどのように委託するのか、あるいは公務員としての学校用務員を任用して行うのか、どういう形で学校用務員の業務というのを果たしていくかということに関しましては、まさに学校規模、あるいは職員の配置の状況などを勘案しまして、各教育委員会において、地方交付税も活用していただきながら、その権限と責任において判断していただく必要があると考えてございます。

 教師の負担の軽減の観点からも、必要な学校の指導、運営体制の充実のために、各自治体、用務員の配置をどのように考えていくかということについては、また検討を促してまいりたいというふうに考えてございます。

波多野委員 ありがとうございます。

 終わります。ありがとうございました。

中村委員長 次に、山本大地君。

山本委員 自由民主党・無所属の会の和歌山一区選出、山本大地でございます。

 質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。文部科学委員会においては、二回目の質問となります。しっかり元気よく頑張ってまいりたいというふうに思います。

 ただ、まず冒頭、和歌山県知事が昨日朝九時三十三分に御逝去なさいました。まだ一期目途中、二年半の在任期間でございました。知事になられる前は、我が党所属ではございませんでしたけれども、衆議院議員として約十三年間、国会でも活躍をされておりました。非常に優秀、頭脳明晰、かつユーモアのあるお人柄。

 ただ、私は、和歌山一区の自民党の議員の秘書をしておりましたので、いわば相手方の秘書でございました。非常に選挙の厳しい方、強い方でございまして、一度も勝つことはできませんでしたけれども、私が和歌山市議会議員に出馬を決めた際、駅前にビラ配りに行った際、もう既に岸本知事はおられて、活動されておりました。場所を移動しようと思うと、いや、一緒にやろうよと言っていただいて、ビラの配り方、また、おじぎの仕方、タイミング、角度まで教えていただいた、非常に懐の深い方だなという私の思い出がございます。

 志半ば、非常に無念であると思います。ただ、岸本知事のスローガンでございました、「和歌山が最高!だと子どもたちが思う未来を!」というのを胸に、同じ選挙区を今預かる身といたしまして、私自身、精進してまいりたいというふうに思います。心より御冥福をお祈りしたいというふうに思います。

 それでは、質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 この四月十日に行われました衆議院本会議における法案の趣旨説明において大臣から発言があったとおり、学校教育の質を高め、全ての子供たちへよりよい教育を実現するためには、教師に優れた人材を確保することが極めて重要とおっしゃいましたが、私もそのとおりだと思います。

 教職の魅力を高めていくためには、教職の方々の処遇を改善することはもとより、教師を取り巻く環境を総合的に整備していくことが求められると思いますが、改めて、そちらについての重要性について答弁を聞きたいというふうに思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに教育は人なりと言われますように、教師が子供たちの人格形成に大きく関わるという観点、学校教育の質の向上や全ての子供たちへのよりよい教育を実現するためには、教師のなり手不足を解消し、教師の魅力を向上させ、優れた人材を確保していくということが何より大事でございます。そのための学校を取り巻く環境整備として、今回、働き方改革の更なる加速化、そして、多様化、複雑化する教育課題への対応に向けた組織的な学校運営や指導の促進、高度専門職である教師の職務の重要性にふさわしい処遇の改善、これを一体的に進める必要がございます。

 今回の給特法等の改正案におきましては、このため、具体的に、学校における働き方改革に係る実施計画の策定や公表、主務教諭の職の新設、教職調整額の基準となる額の引上げ、学級担任手当の加算などの措置を講ずることといたしました。

 こうした取組全体を通じまして、学校現場で子供たちのために日々御尽力いただいている教師を取り巻く環境整備に向けまして全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

山本委員 ありがとうございます。

 この前の質問でも申し上げました、私の、今私は三十三歳ですけれども、ちょうど友人、先輩、後輩、非常に教職の場面で活躍していただいている友人、先輩、多くございます。直接お話を聞く機会、かなりございまして、今回の給特法の改正によって調整額を引上げされることについてどう思うかということを聞くと、皆さん、もちろんありがたいと賛成をされているところでございます。

 ただ、やはり一方で、もう本当に生の声といたしまして、教師の方々からは、教職の魅力を高めるとともに、子供たちに対して質の高い学びを提供していくためには、処遇を改善すること、それがやはり一番声で出てくるところでございます。

 これまでの教職員に対する働き方改革、今日も朝からたくさん質問ございましたが、改めて、成果とそして課題、これをもう一回分かりやすく説明していただきたいというふうに思います。

望月政府参考人 学校における働き方改革につきましては、教師が教師でなければできないことに専念できる環境を整備していくことが重要でございます。

 文部科学省といたしましては、これまで、令和元年の給特法改正を踏まえまして、文部科学大臣が定めることとした指針におきまして、教育委員会が行う業務量管理の原則として、教師の在校等時間の上限を定め、客観的な勤務時間管理の徹底を求めた上で、業務の仕分を行いました、いわゆる三分類に基づく業務の精選、見直し、部活動の活動時間等の適正化を推進するとともに、教職員定数の改善や支援スタッフの配置拡充、学校のICT環境の整備、学校運営協議会と地域学校協働活動の一体的推進などに関する様々な施策を推進してまいりました。

 その学校あるいは教育委員会の努力がございまして一定程度の改善は図られてきたところではございますが、令和四年度の勤務実態調査の結果におきましても、時間外在校等時間が減少する状況は見られるものの、依然として、やはり時間外在校等時間が長い教師もまだいる、そして、教育委員会や学校における取組状況にも差が見られる、対策後の事後的な検証が十分でない自治体もあるなどの課題があるものというふうに考えてございまして、そうした観点を踏まえまして、今回の法案に至っているところでございます。

山本委員 ありがとうございました。

 学校現場の努力によって、学校における働き方改革、着実に進んでいるという一方で、教育委員会ごとの取組状況に差があるという課題を今お聞きしたところでございます。

 今回の政府案では、では、どのように働き方改革の実効性を担保していく、向上させようとしているのかについてもお伺いをしたいというふうに思います。また、学校における業務負担を減らしていくためには、教育委員会や学校、教職員だけが取り組むのではなく、自治体の首長部局や保護者、地域の方々など、学校を取り巻く関係者が一緒になって学校の働き方改革に向けた取組を進めていく必要があると私は強く考えますが、その点についてもお伺いしたいというふうに思います。

望月政府参考人 山本委員の御指摘のとおり、学校における働き方改革につきましては、教育委員会における取組状況にこの五年間でもかなり差が見られているところでございまして、取組が十分に進捗していない教育委員会があることなどが課題となっております。

 こうした状況の中、学校における働き方改革の実効性を向上させていくためには、全ての教育委員会が働き方改革を自分事として捉えていただき、取組が進むことができるように、各教育委員会の取組状況を見える化をしていただき、それを踏まえて、さらにどういった改善をすべきかといった議論が各地域で行われることを通じまして、いわゆるPDCAサイクルを構築していただく。そこに首長部局や保護者、地域との連携、協働体制の下での取組を進めていくという仕組みが大切でございます。

 今回の法案では、そのために、全ての教育委員会におきまして、文科大臣が作る指針に即しまして、業務量の管理や健康を確保するための実施計画を策定、公表をしていただくことに加えまして、首長が設置する総合教育会議に報告をして、その状況を共有、そして改善につなげていただくということにしている。また、各学校におきましては、校長が、学校運営協議会、いわゆるコミュニティースクールの承認となっております方針に働き方改革の内容を含めていただくといったことを盛り込んでいるところでございます。

 こうした仕組みづくりなどを通じまして、働き方改革の実効性を向上させてまいります。

山本委員 ありがとうございます。

 働き方改革を進める上で、非常に、必要以上に時間が多くかかってしまっている業務をどう効率化していくというところはもちろんでございますけれども、負担が多い業務を軽減していくこと、これも絶対必要だというふうに思っております。

 そして、私が今回質疑でどうしても取り上げたいのが、保護者への対応についてでございます。

 実際に、やはり現場の方々のお話、先ほど出た先輩、後輩、また同級生に聞くと、もうどうしても保護者への日々の対応業務、大きな負担となっております。先ほど質問もさせていただきました、学校における働き方改革を進めていくためには、教師と保護者、地域住民が一緒になって学校づくりを進めていく必要があると私は申し上げましたけれども、子供にとってよりよい教育関係を実現するためにも、また保護者との関係性、これは信頼関係が一番重要であるというふうに私は思っております。

 ただ、一方で、非常にいい関係を築けているところもあるんですが、過剰に行き過ぎた苦情、不当な要求を行う保護者、いわゆるモンスターペアレントという言葉もはやりましたけれども、教師にとって大きな、また精神的な負担になっているのではないかと思います。

 文部科学省、こういった実態についてどのように捉えておるのか、お聞きしたいというふうに思います。

望月政府参考人 子供たちの日頃の学習活動、あるいは生活の場面において起こったことなどを、保護者等としっかり共有していく、これは日頃の信頼関係を築く上では大事かと思っております。

 一方で、今山本委員御指摘になりましたような、過剰な苦情や不当な要求を行うような、そういった場合には、教員にとっては大きな精神的負担になっているということ、これは令和四年度に実施をいたしました勤務実態調査の中で、保護者・PTA対応の業務の重要性についての認識は、業務全体の中での平均以上である一方で、その業務の負担や業務のやりがいの認識は、やはり平均より低い。つまり、多くの教員にとって、保護者・PTA対応というのは、重要な業務とは考えられているけれども、大きな負担になっている業務でもあるということが明らかになってきたところでございます。

 また、二〇一八年、少し古いわけでございますけれども、OECDの国際教員指導環境調査がございまして、この中では、日本の中学校教員は、保護者の懸念に対処することについてのストレスが高く、調査参加国の平均を大きく上回る結果となっているところでございます。

 今申し上げました調査等は、一般的な保護者への対応について質問したものかと思いますけれども、ましてや保護者等からの過剰な苦情や不当な要求への対応となりますと、教師にとって大きな負担と感じられている面があるというのが実態であると思っているところでございます。

山本委員 ありがとうございました。

 もう保護者への対応、教師にとって負担であるということはやはり一定程度、エビデンスによっても裏づけられているというところでございました。

 やはり、こうした対応、また負担軽減に向けた取組は必ず必要だというふうに私は感じております。教職員の精神疾患による休職者数は、令和五年度で約七千人となっており、この数年間、過去最多を更新し続けております。

 こうしたことも踏まえていけば、過剰な苦情や不当な要求を行う保護者への対応に関する教師の負担軽減を進めていくこと、これはやはりほっておけない喫緊の課題だと言えると思います。日々子供と全力で向き合っている学校現場の教師一人一人がこういった対応を抱え込んでしまっている状況からは、一刻も早く脱しなければならないと私は考えますけれども、保護者対応の負担軽減に向けて政府はどのような取組を行っているか、お聞かせ願いたいというふうに思います。

望月政府参考人 保護者や地域住民からの過剰な苦情あるいは不当な要求等、学校だけでは解決できないような難しい事案につきましては、教師一人が対応するということについてはやはり難しいし、大きな負担となっているものだと認識してございまして、やはり行政による支援体制の構築が必要であるというふうに考えているところでございます。

 このため、文部科学省では、都道府県教育委員会などが作成した対応のマニュアルとか手引等についての情報を広く共有したり周知をするといったことを行ってございますけれども、令和六年度からは、経験豊かな学校管理職のOBなどをコーディネーターとして教育委員会等に配置しまして、保護者等からの直接相談の受付や、あるいは、関係者が専門家に随時相談可能な体制の構築などを行うモデル事業を実施をしているところでございます。

 こうしたモデル事業の採択自治体におきましては、それぞれの地域の実情に合わせての支援体制が構築されており、自治体からは、成果として、早期に専門家とつなぐことで課題の解決につながっている、コーディネーターの活用によって職員の負担軽減につながっているといった声も出ているところでございまして、こうした様々な、状況も違いますけれども、こういった事例、他の自治体の方にも広めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

山本委員 ありがとうございました。

 先ほど御答弁があったとおり、学校だけではとても対応できないような過剰なクレーム、家庭の環境に要因がある複雑な事案については、やはり、学校だけでなく、専門的な知識を持った方々に対応していただくのも、もちろんそれが大事だというふうに思っております。

 ただ、私たち、現場の方そして行政、言いにくい、保護者対応については、なかなか、まず受け身になってしまっているところというのが、私は非常に危機的状況だなと思っています。だから、私たち政治の場面から、やはりしっかりと言っていかなければならないのかなというふうに思っております。

 また、保護者対応、本当に、法的な観点からの対応が必要な事案も多く発生をしてきているというふうに思っております。複雑化してしまうと訴訟などに発展する。また、悪い教師もいるわけでございまして、そことの区別。全てなかなか守るというわけにもいかないというふうに思いますが、専門的な知識を持って采配ができるような、いわゆるスクールローヤーと呼ばれる存在、今取り組んでいらっしゃると思うので、非常に重要だと思うんですけれども、政府についてはどのような取組をやっているか、このスクールローヤーについてお聞かせ願いたいというふうに思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 行政による支援体制の構築とも関連しまして、法律の専門家であるスクールローヤーが学校等を支援することで速やかな課題の解決が図られる、そうしたケースも出てきてございまして、これはまさに教職員の負担軽減にもつながることが期待されるところでございます。

 このスクールローヤーにつきましては、現在、教育委員会の法務相談経費について普通交付税措置を講じているところでございまして、文部科学省におきましては、この法務相談体制構築に向けた手引の作成、あるいは、先ほど申し上げましたスクールローヤーの配置のアドバイザー等の委嘱を通じまして、各教育委員会における配置充実に向けた支援を継続して行っているところでございます。

 一方で、文部科学省の調査によりますと、令和五年度間においてスクールローヤーに相談ができる体制があると回答した自治体につきましては、都道府県では八七・二%でしたが、市町村ではまだ一三・七%となってございまして、行き届いていない部分もございます。

 引き続き、これらの取組を進めまして、各教育委員会におけるスクールローヤーの更に相談をしやすい体制、配置充実に向けては取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

山本委員 ありがとうございます。

 もちろん、システム的にやっていくことは大事だと思います。ただ、私たち、メッセージとして、現場の職員さんたち、教職の方々に、保護者対応に恐れることなく、目の前の子供たちに向き合ってもらいたい、そういうことを私たちがしっかり発信をして、心配ないよ、何かあったら守るよというところをやっていかなければならないんじゃないかなというふうに思っています。

 ですから、先ほど数字もありましたが、スクールローヤー、まだまだ足りていないところでございますけれども、配置に向けて、また手引の作成、政府においても取組を進めているということでございましたけれども、地方の財政措置等について、お金がかかることでございますので、しっかりと、代理対応の重要性も含めて、自治体における体制整備のために充実をお願いしたいというふうに思います。

 時間が来ましたので、この辺りで質問を終えたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、小林茂樹君。

小林(茂)委員 自由民主党の小林茂樹でございます。

 本日は、文部科学委員会におきまして貴重な質問の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私は奈良一区でございます。生駒市とそして奈良市が選挙区ということでございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 今日は給特法の改正ということでございますが、まず、この改正に至る経緯であります。給与水準が非常に低いという状況、それから社会的評価が随分下がっているということ、これらを現状の課題としてまず一点目。そして二点目に、教職調整額の見直しについてであります。そして三点目に、教師の働き方改革ということにも関連すると思うんですが、学校の内外における数多くの教師の業務について見直しをする必要があるのかどうか、こういったことを三点目にいたしまして、最終的には、第四点目として、我が国が目指す教育の姿というものがどういうものであるのか、これをちょっと私なりに展望させていただき、時間があれば、参考となる映画をちょっと一本見ましたので、そのことも時間があれば触れてみたいと思っております。

 一点目でございますが、一九七一年でございます昭和四十六年にこの制度を導入をした。その背景は、教師に対して残業を命じることができない、そういう職務の性質上から一定額を教職調整額として上乗せをした、こういう経緯であります。その後、先ほども質問にありましたが、いわゆる人確法ですね、昭和五十五年、一九八〇年には、一般の公務員の給与と比較をいたしますと優位性が保たれていた。七%という数字、先ほどございましたが、現在はそれほど優位性はないということであります。

 例えばでありますが、同様に社会的責任の大変重い警察官の給与などと比較をするとどうなっているのか、まずは文部科学省にお尋ねしたいと思います。

望月政府参考人 小林委員から先ほど人確、人材確保法の観点がございまして、昭和五十五年当時には約七%が優位性として確保されていた。今現在は僅かこれは〇・四%ということでございます。

 そして、御指摘の警察官との比較でございますけれども、総務省が実施をしております令和五年度地方公務員給与の実態を基に、警察官の経験年数等を踏まえまして、文部科学省においておおむねの試算をしましたところ、本給に生活給的手当や地域給的手当を除く各種手当を加えた給与につきましては、月収ベースで約六万円、教師の給与よりも警察官の方が高い水準となっているところでございます。

小林(茂)委員 ありがとうございました。よく分かりました。

 次は競争倍率なんですが、度々話題にもなっておりますように、ピークは二〇〇〇年であった、平成十二年。これをピークに教員試験の競争倍率が減少の一途をたどっております。優秀かつやる気のある若い人に教師を志望してもらいたい、これは、皆さんの思いは共通だと思います。

 地域に若干のばらつきはございますが、小学校の場合は、競争倍率が二倍、場所によっては二倍を切っているというところもあるわけです。確率論からいいますと、実力が同じの場合、二倍だということは、確率は五〇%の確率で、三か所受けますと、全てに落ちる確率が、五〇パー掛ける五〇パー掛ける五〇パー、一二・五%、三つのどれかに合格できる確率が約九割ということになります。これは、いわゆる教師全入時代になってはとてもいけないというふうに危機感を持っているということであります。

 将来なりたい職業としては、常に、これは小学校、中学生に聞きますと、上位につけているわけであります。生徒とともに学び、成長をする、そういった仕事に魅力を感じていくというのは当然だと思いますが、実際に、自分自身がお世話になった恩師、そういった人を目指していこう、これを教師の志望理由としている人は大変多い、子供たちはそう考えているわけですが、ところが、就職というものが視野に入った途端にそれを諦めてしまうと。

 就職が視野に入った大学生が教師にならない理由というのは何かあると思うんですね。志望者を増やす方法とともに何か方策があれば、文部科学省にお尋ねしたいと思います。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 文科省が令和四年度に行った調査でございますが、大学で、教員免許取得を目的とした教職科目を取らなかったり、あるいは、教職課程を履修したが免許取得にまで至らなかったその理由について尋ねたところの結果がございます。

 幾つか申し上げますと、民間企業等、他の職種への志望度合いが高まったからという意見であったり、必要な単位数が多くて全ての単位取得が困難だったからであったり、あるいは、教職科目の時間帯が他の科目と重複する、こういった意見が、回答が寄せられたところでございます。また、同じ調査の中で、教師を志す学生の声の一つといたしまして、教師の勤務環境に対する不安の声もあると承知してございます。

 できるだけ多くの教師志願者を得るためには、教職の魅力向上を図ることが極めて重要だと考えております。文部科学省といたしましては、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実など、これは一体的に推進しているところでございます。また、大学と教育委員会が連携して、地域教員希望枠を活用した教員養成、確保の取組に対する支援も行っているところでございます。

 加えまして、時代に合った免許制度の構築という点も重要な視点でございまして、現在、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成の観点から、中央教育審議会において、教職課程や教員免許の在り方などについて審議いただいているところであります。文科省としては、その結果なども踏まえながら、更に必要な改革を進めてまいりたいと思います。

小林(茂)委員 いろいろ分析をなさっておられるということですから、対策を是非講じて、具体的にやっていただきたいと思います。

 二点目、教職調整額の見直しでありますが、自民党は、二〇二三年に、教職調整額を一〇%以上にするように文科省に提言をしてまいりました。また、二〇二四年の中教審の答申でも、教職調整額を一〇%以上とするようにされました。

 法案の本則には一〇%と規定しておりますが、附則においては毎年一%ずつ引き上げるということが規定されています。これは、試算をいたしますと、一%引き上げた場合の必要な支給総額、これは百二十億円ということでございます。これを一〇%までに引き上げた場合は、掛けることの五倍でございますので、合わせて六百億円が必要であると。七百二十億円が必要であると。

 百二十億円か、七百二十億円を一遍にやるかということについては、私たちもいろいろな思いは当然共有をしているということでありますが、様々な、諸般の事情から、まずは一%ということであります。

 今後は、法施行の効果等も十分に踏まえて、引上げ幅ですね、一%ずつなのかどこで見直しをするのか、この引上げ幅を見直していくべきだと私は考えますが、文科省の見解をお聞きしたいと思います。

望月政府参考人 小林委員御指摘のとおり、本法案におきましては、教職調整額につきましては、令和十二年度までに確実に一〇%、それを段階的に引き上げていくということにしているところでございます。

 昨年十二月の財務大臣と文部科学大臣の合意事項を踏まえまして、附則第三条で、令和十年の一月一日以降、つまり施行後二年を目途として、教員の勤務の状況や人材確保の動向、教員の給与に関する経費についての財源の確保の状況などを勘案しつつ、教員の勤務条件の更なる改善のための措置についての検討を行う旨、規定しているところでございます。

 まずは令和十二年度までに教職調整額を一〇%まで確実に引き上げることを担保するとともに、この附則の規定に基づく検討も踏まえまして、必要があると考えるときには、教員の勤務条件の更なる改善のための、率の変更も含めまして、必要な施策を講じてまいりたいと考えているところでございます。

小林(茂)委員 前向きな答弁と受け止めました。

 三点目であります。教師の働き方改革でございます。

 学校内外に様々な業務があるということであります。我が国の教師が対応する業務というものは多岐にわたっております。

 資料を配付をさせていただきました。この青い、着色された資料でありますが、これは三分類ということを説明するために用いる資料ではなくて、1から14、例えばこんな仕事、教師の業務がありますということをちょっと引き合いに出すためにお示しをしておりますが、外国の学校と比較をいたしますと、日本の特殊性が分かるということであります。

 今日はお示ししておりませんが、日本を含む十か国を調査をしたところ、日本の場合は最多の三十五業務を担当している、もちろん、この十四業務を含んでいるわけでありますが。では、日本が三十五業務、ドイツと韓国は二十九業務、アメリカとオーストラリアは十九業務、どんどん減っていきます。英国、イギリスは十六業務、非常に少ないわけですね。日本では当然の業務と思われておりますが、多くの国ではそういったものは業務でなかった、そういったものの例が、家庭訪問や給食や校内清掃、こういったものであるそうであります。

 文部科学省にあえてお聞きいたしますが、こういったものは教師がやらなくてもいいという見直しをする必要があるという業務は果たしてあるんでしょうか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の学校教育につきましては、教師が、学習指導のみならず、日本型の学校教育として、特別活動を含めた様々な子供たちとの関わりや指導の場面を通じまして、知徳体にわたる全人的な教育を提供している。これは日本国民なら誰もが受けてきた教育でございます。これは国際的にも高く評価されているというところであります。これは、全国の優れた教師の献身的な努力の成果によっても支えられてきているところでございます。

 一方で、学校が対応する必要のある課題が複雑化、困難化する中におきましては、家庭や地域をめぐる環境も変化し、よかれと思うことが、どんどんどんどん学校において業務が積み重なってきてしまって、学校や教師の負担が増大してきたというのもこれまた実態であると思ってございます。

 今、三分類の表を小林委員の方からもあえて御指摘をいただきましたけれども、それぞれについて教員の関わりはあるとはいえ、特に、基本的には学校以外が担うべき業務ということについて、やはりある意味で教員としてのしっかり役割あるいは地域との連携、そして右側の、教員の業務だが負担軽減が可能な業務などについても、校務での分担とか、完全に子供たちの関係を切り離していくというよりも、学校の中での役割分担や、あるいはその効率化というものはしっかり行いながら、教員のまさに業務負担軽減ということはしっかり考えていく必要があるかというふうに考えているところでございます。

小林(茂)委員 日本には日本のやり方がある、全人格教育もやってきた、こういったものも評価をする必要があると思います。

 この働き方改革に触れるところで、もう一つ、私の地元、奈良県の天理市が取り組んできたユニークな業務でありますが、中教審も提言していますが、保護者からの過剰な苦情等に行政が対応する仕組みができれば、これは教師の負担軽減につながる。数少ない事例かもしれませんが、奈良県天理市で、国の補助金を活用して、ほっとステーション事業というのを行っておりました。退職した校長など約二十人が協力して、学校以外の場で、電話による相談業務などを行っています。学校現場をよく知るベテランの助言により、多くの案件に対して実績を上げたと聞いております。

 このような相談窓口を設けることは、教師の負担軽減、さらには働き方改革につながると思いますが、文部科学省の見解をお聞きします。

望月政府参考人 保護者や地域住民からのいろいろな要求等、学校のみでは解決し難い、難しい事案が増えてきてございます。教師にとっても大きな負担となってございますので、行政の支援体制の構築が必要と考えてございます。

 今御紹介いただきました天理市のケースは、文部科学省の方からの委託も現在も受けながら、ほっとステーションというものを設置をして、まさに市全体として取り組んでいるという事案として、我々としても、一つのよい取組の事例として横展開をしたいというふうに考えているところでございます。

 こうした取組、代表的なこのような取組も通じまして、保護者等の対応に関する学校における業務運営の改善に向けた取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。

小林(茂)委員 ありがとうございます。

 最後に、我が国が目指す教育の姿ということでありますが、OECD諸国との調査、比較をした数字がございますが、よく、GDPに占める教育予算というのは、先進国中、下位であると。現在、最下位かもしれませんが、こういった数字が出るたびに、これまでは、私は、他国の比較はあくまで目安にすぎない、限られた予算を効率よく使って効果を発揮していると考えましたが、最近、考え方を改めて、やはり予算を投じなければならないなと考えるように改めております。

 文部科学省は、他国との比較をどのように考えておりますか。見解をお聞きいたします。

武部副大臣 議員の御指摘のとおり、OECDのデータによりますと、我が国の公財政教育支出は、二〇二一年度で、対GDP比三・一%でありまして、OECD平均四・五%と比べて低いことは事実です。

 教育は、子供たちの未来をつくる上で重要な役割を担うものです。限られた予算の中で、効果的、効率的に教育施策を講じてきたところでありますが、一人一人が持つ可能性を最大限引き出すためには、様々な施策を通じて教育の質の向上を図るとともに、そのために必要な予算の確保をすることが大変重要です。とりわけ、優れた教師人材を確保するため、学校における働き改革等を含む教師を取り巻く環境整備を図ることが重要でありまして、取組に全力を挙げるためにも、現在御審議いただいている法案を提出しているところであります。

 そのほかにも、教育の質の向上を図るため、GIGAスクール構想の推進と学校DXの加速、不登校、いじめ対策の強化、教育の国際化を通じたグローバル人材の育成などにも取り組んでいるところでありまして、これらに必要な教育予算を着実に確保し、未来への投資である教育施策の推進に全力で取り組んでまいります。

小林(茂)委員 ありがとうございます。

 教師が尊敬される国になっているのかどうかという比較も、いつか調査を見てみたいなと思っております。

 最後に、こんな映画を見ました。「小学校 それは小さな社会」という映画なんですが、御覧になった方はおられるでしょうか。これはロングランになっていまして、銀座の小さな映画館でも放映していますので、是非、明日でも見ていただきたいと思うんですが。

 どんな映画かといいますと、日本以外に、アメリカ、フィンランド、フランス、こういったスタッフによる合作でございまして、監督は山崎エマさんという、お父上がイギリス人、お母様が日本人、両方先生であったということですが、東京都内に実在をする小学校の日常を追いかけたドキュメンタリー映画でございまして、英語では「ザ・メイキング・オブ・ア・ジャパニーズ」、日本人の作り方みたいな、こんな映画でありますが、六歳児は世界のどこでも同じようだが、十二歳になる頃には、日本の子供は日本人になっている、こういうキャッチフレーズがあるんですが、それぞれの国に合った学校の運営があるなというふうに思います。

 学校を取り上げた映画が広く教師への関心を高めることに期待いたしますが、何かコメントがあればお願いしたいと思います。

武部副大臣 私もその映画を見たものですから、答弁を横取りさせていただきますが、大変世界で称賛されておりまして、学校で協調性や社会性を学ぶ日本の教育について注目された映画だというふうに承知しております。

 児童が、授業だけじゃなくて、学校生活の中で様々悩みながら努力していく姿に、本当にけなげだなと思いながら、ちょっと涙をしましたし、また、その子供たちに寄り添いながら先生方が頑張っている姿、あるいは、先生方も悩みながら、同僚の先生の力をかりながら頑張っている姿を映画で拝見しまして、大変感銘を受けました。

 この映画を見ていただいて、若い方々に教師を目指していただきたいなと思いますと同時に、いろいろ課題はありますけれども、取り組んでまいりますが、日本型学校教育のシステム、これについても、我々は、いいところもたくさんありますので、誇っていいことだなということを、映画を見て印象を持ちました。

小林(茂)委員 副大臣、ありがとうございました。

 ちょっと飛躍した考えかもしれませんが、私は、今、行き過ぎた偏差値至上主義や行き過ぎた経済至上主義、こういったものから脱却しなければいけない大きな転換点にあると思います。そういう意味では学校の先生、教師がやるべき役割というのは非常に重いわけでありまして、地方に、ふるさとに愛着を感じる子供たちを育てる、そういう教育を是非とも、先ほど全人格教育という表現もありましたが、学校の先生に期待したいと思っております。

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

中村委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 まず冒頭、先ほど山本委員の方からもございました、和歌山県の岸本知事が御逝去されました。私も、これまで様々、教育関係で意見交換をさせていただいてまいりました。心から御冥福をお祈りさせていただきたいと思います。

 それでは、四月十日の本会議の登壇に引き続きまして、このいわゆる給特法の質問をさせていただきたいと思います。

 私は、教職調整額の一〇%への引上げ、これは当然行わなければならない施策だと思っておりますし、この法案を速やかに成立させる必要があることを前提に、公明党があべ大臣に昨年の十二月の二十三日に提出した提言を実現するという観点から、順次質問をさせていただきたいと思います。

 まず、公立学校の教職員の処遇や配置についての基本的な構造について確認をさせていただきたいと思います。

 学校が運営されるには資源、リソースが必要でございます。よく、経営の世界では、リソースとは人、物、金、時間、情報とされておりまして、これらのリソースを再配分して成果を最大化するのがマネジメントだと言われております。

 学校も組織として機能するためには、このリソースが必要になると私は思います。その場合、子供たちにとって先生はかけがえのない存在であります。先生の一言に救われた、あるいは、人生の選択肢において先生に背中を押していただいたという人は決して少なくはないと思います。私もその一人です。

 だからこそ、義務教育におきましては、設置者である基礎自治体の財政力によって格差を生じさせることがなく、全国どこでも子供がいるところには必ず学校があり、教職員が配置されるようにするために、教員の給与の三分の一は国が負担し、三分の二は都道府県や政令市が負担するといった、教育の固有の財政上の仕組みが設けられているということを承知しております。

 この給与制度につきまして、教育の特性を踏まえた固有のものとなっておりますけれども、教職調整額を支払うことにより、時間外勤務は支給しないという仕組みになっております。

 まず、そこで、初中局長にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、戦前は官吏だった公立の学校の教師が、戦後、地方公務員になった段階から今に至るまで、教員の給与の制度についてはどのような経緯を経てきたのか、また、教職調整額という仕組みが創設された背景を含めてお伺いをしたいと思います。

望月政府参考人 戦前戦後からこれまでの給与の仕組みの経緯についてのお尋ねでございます。少しお時間を頂戴したいと思っております。

 まず、戦後最初に設けられました給与制度として、昭和二十一年に官吏俸給令が制定をされました。これは、古い身分制度による給与制度を廃し、学歴と勤務年数とによる給与制度へと改めるものでございまして、その中で、教員については、学歴に応じた標準号俸よりも高い号俸が認められていたところでございます。

 昭和二十三年には政府職員の新給与実施に関する法律が制定、施行されまして、職務の級と号俸によるいわゆる職務給制度が確立されました。この中で、教員につきましては、一般の行政職員と比べ約一割高い俸給が設定される一方で、超過勤務手当は支給しないこととされまして、その旨、当時の文部省による通達で指導されることとなったところでございます。

 このように、教員には原則として超過勤務を命じないという方針にもかかわらず、法的には、公立学校の教員については労働基準法の適用があるため、その取扱いが必ずしも明確でなく、その結果、教員の超過勤務の事実をめぐる訴訟が全国各地で提起されるなどの混乱が生じたところでございます。

 こうした状況を背景としまして、昭和三十九年には、人事院より、教員の処遇の在り方について慎重に検討する必要がある旨の指摘がなされまして、昭和四十年の文部大臣と人事院総裁との会談におきましてその必要性が確認された上で、昭和四十一年に教師の勤務状況に関する調査が実施をされました。

 その結果等も総合的に考慮をしまして、昭和四十六年二月に、人事院より、義務教育諸学校等の給与等について、その職務と勤務の態様の特殊性に基づき、新たに教職調整額を支給する制度を設け、超過勤務手当制度は適用しないこととする等の必要がある旨の意見の申出が行われまして、その趣旨を実施するための立法措置として、同年五月に給特法が制定をされたところでございます。

 このような経緯を経て成立した給特法におきましては、まさに教師の職務はその自発性、創造性による部分が大変大きく、どこまでが職務であるのか切り分けることが難しいという特殊性を有しておりまして、このため、時間外勤務手当を支給するのではなく、勤務時間の内外を問わず包括的に評価をして、教職調整額を支給する仕組みが講じられているという歴史があるものと存じております。

浮島委員 ありがとうございます。

 私立学校や法人化後の国立大学附属学校は、労働基準法などが適用されておりまして、時間外勤務手当が支給されているのだから、公立学校にとっても同様にすべき、また、時間外勤務手当を支給した勤務時間外縮減によるとの指摘とかがありますけれども、地域の全ての子供たちを受け入れて、学びの地域のセンターとなっている公立学校には、固有の役割と属性があるのも事実だと私は思っております。

 そこで、公立学校について、教職調整額という仕組みが必要な理由について、局長からお伺いをさせていただきたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 公立学校において教職調整額という仕組みが必要な理由についてのお尋ねでございます。

 公立学校は、今、浮島委員が御指摘のとおり、地域の域内の多様な子供たちを受け入れて、教育の機会を保障する役割を担っているところでございます。その観点からいきますと、具体的なデータとしては、国立、私立学校に対しまして、相対的に多様性の高い児童生徒集団になっていることは事実でございます。

 例えば、中学校の生徒千人当たりで見た場合には、特別支援学級に在籍する生徒数は、国立学校は三・八人、私立学校は〇・四人であるのに対しまして、公立学校では三十四人。通級指導を受けている生徒数は、国立学校では〇・三人、私立学校は〇・一であるのに対しまして、公立学校では九・一。不登校の生徒数につきましては、国立、私立学校は約二十九人に対しまして、公立学校では六十二・七人。また、外国人の生徒数に関しましては、国立学校では一・七人、私立学校では五・八人であるのに対しまして、公立学校では九・八人という、これは、地域の様々な子供たちを全て受け入れて、多様な子供たちの状況に応じて、地域の特性も踏まえながら臨機応変に対応する必要性が公立学校には非常に高いということに加えまして、この点、教師の裁量をしっかりと確保していくことが必要であるというふうに考えているところでございます。

 先ほども申し上げまして恐縮でございますけれども、給特法の仕組みは、こうした教師の職務の特殊性から、しっかり裁量を確保するという観点を重視をいたしまして、勤務時間の内外を包括的に評価するものとしての教職調整額を支給するものでございまして、教師が専門性をしっかりと発揮をして業務を遂行し、裁量を確保しながら、公立学校の教師の姿に適するものとなったものであるというふうに考えているところでございます。

浮島委員 ありがとうございます。

 この公立学校の教師の給与体系につきましては、教師という世界共通の仕事の特性を踏まえまして、世界各国においても様々な工夫がなされていると私は思っております。

 時間外勤務について、時間外勤務手当を出すという労働基準法どおりの給与制度としている国は余りないと私の方は認識をしているところでございますけれども、各国の状況について局長からお知らせをいただきたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 その前に、先ほどの私の答弁、一点数字が間違っていたところがございました。大変失礼しました。通級指導を受けている公立中学校の千人当たりの生徒数は九・一人と申し上げましたが、正しくは九・二名でございました。失礼しました。

 その上で、ただいまの御質問でございます。

 浮島委員の御認識のとおり、多くの国において教師は専門職であると捉えられてございまして、諸外国の公立学校の教師の給与につきましては、それぞれの国の事情も踏まえまして教師としての処遇がなされていると承知をしているところでございます。

 文部科学省が令和三年度に委託して実施した調査結果によりますと、各国の中でも制度が、これは各国の中でも一様ではないところがございますけれども、例えば、イギリスにおきましては、教師の年間勤務日数や校長の具体的な指示を受けて働く年間の時間が定められてございまして、教師には時間外勤務手当は一般的には支払われてはございません。

 フランスでは、授業担当時間以外には学校に勤務する義務がなく、仮に出勤しても手当等の給与の支払いの対象にはなりません。ただし、中等学校段階では、追加の授業等を実施する場合には手当が支払われているということでございます。

 アメリカにつきましては、州によって様々でございますけれども、ワシントン州のシアトル学区では、教師が専門職として公正労働基準法の適用外の職種とされ、時間外勤務手当は支給されない代わりに、一般公務員よりも給与水準が高く設定されているところでございます。

 カナダのオンタリオ州トロント教育区では、教師もやはり専門職として認められ、時間外勤務手当の支給に関する規定の適用外となってございます。

 一方では、韓国では、一日の勤務時間を八時間を超えて勤務した場合には、予算の範囲内で時間外勤務に関する手当が支払われているものというふうに承知をしてございます。

 このように、諸外国におきましては、背景はいろいろ違いますけれども、時間外勤務を時間により測定し、それに対して追加的な給与を支給する仕組みというものは、必ずしも一般的ではないものと承知をしているところでございます。

浮島委員 今まで確認をさせていただきましたけれども、公立学校には固有の役割や特性がある、そして公立学校の教職員の給与体系についても、労働基準法どおりに時間外勤務手当を支給するのではなくて、教職調整額を措置する仕組みとなっている、また、国際的な比較の観点からも妥当な制度ではないかと私は思っておりますけれども、他方で、連日の長時間勤務で教師が疲労こんぱいしていては、子供たちにとって大きなマイナスになることは言うまでもありません。また、勤務時間の縮減を確実に進める仕組みというのが不可欠だと私は思っております。

 公明党は、学校の働き方改革に関する提言をまとめるに当たりまして、教職の経験のある議員も交えまして日々議論をしてまいりました。その中で、新年度から年度終わりに至る一年間の中でどんな業務が生じるかというのをるる整理をさせていただきました。

 例えば、三月から四月にかけては児童生徒の健康手続、四月には教育課程の作成手続、保護者とのアレルギー面談、学期末にはテストの作成、採点、成績処理、成績評価会議、通知表の作成、保護者面談資料の準備、面談日程の調整、また、学年末には指導要録の作成と進学に向けた資料作成、進学に向けた引継ぎ資料の作成といった、それぞれの季節に応じた業務が山積みになっております。そして、修学旅行や進路の説明会、PTA行事、また体育祭、合唱コンクールなど、行事に関わって定期的に生ずる業務もあります。

 また、年間を通じまして、登校の見守りの活動、また、不登校児童生徒への家庭訪問の支援、個別の指導計画、個別の教育支援計画の作成、見直し、特別な支援を要する生徒への個に応じた準備、実験準備、後片づけ、校内研修の準備や実施、教育委員会への提出資料の作成、教科、学級での提出物の評価、新規採用職員への指導などがあるということが分かりました。

 さらに、生徒指導の事案の発生や児童生徒の疾病等といった緊急な対応、これはいつ起こるか分からないことでもあります。

 このような勤務の実態を踏まえますと、これらの業務の中核となって頑張っている教師へのめり張りのある処遇の必要性については、改めて今後また質問していきたいと思いますけれども、年間を通じたこれらの業務に教師が当たることを前提といたしまして、教師が教師でなければできないことに集中するように業務を縮減する仕組みが不可欠です。

 そこで、公明党の提言においては、国や地方自治体、地方、地域を挙げて、集中的に学校の働き方改革に取り組むための緊急改革期間を設けて、公明党が提案した、学校、教師が担う業務に係る三分類、これに基づいた業務の内容を明確に指針に位置づける必要があると思いますけれども、見解をお伺いさせていただきたいと思います。

武部副大臣 御党におかれましては、働き方改革を始めとする文部科学行政に対しまして、日頃から積極的な御提言をいただいており、感謝申し上げます。

 御党の御提言にもあるように、学校における働き方改革の更なる加速化のためには、学校だけではなく、国、地方自治体、地域社会という教育に関わる全ての関係者が学校や教師を支えていくことが重要であり、目標期間を設けて取組を進める必要があります。

 昨年十二月の財務大臣との間の合意では、令和十一年度までの今後五年間で教師の平均時間外在校等時間を月三十時間程度に縮減するという目標を設定したところです。御指摘のとおり、今後五年間を集中的に働き方改革を進める改革期間として、学校の働き方改革に取り組んでまいります。

 また、今回の法案におきましては、全ての教育委員会におきまして、文部科学大臣が定める指針に即して、教師の業務量の管理や健康を確保するための計画を策定していただきます。御党から御提案をいただいた、学校、教師が担う業務に係る三分類の内容を指針に位置づけ、計画を作っていただき、業務の見直しを加速化させていきたいと考えております。

浮島委員 ありがとうございます。

 この三分類の内容を、今、力強く指針に位置づけと言っていただきましたので、是非よろしくお願いいたします。

 また、地方自治体ごとに、教育委員会、学校、首長、地域、保護者、社会保険労務士などの外部の専門家による教員の業務縮減会議、これを設け、例えば、高機能プリンターなどの導入などの校務のDXの推進、また、租税教育、主権者教育といったいわゆる○○教育と呼ばれる外部人材の活用など、各学校の実績に応じたきめの細かい対策を確実に実行するべきだと思っております。また、このような外部人材の活用には、部活動の地域展開を含めまして、全国の規模の学校人材バンク、これが不可欠だと思っております。

 これらの早期の実現に向けた所見をお伺いしたいと思います。

武部副大臣 自治体ごとに多様な関係者が参加する教員業務削減会議の開催や、学校の支援に向けた全国規模の学校人材バンクの構築などの御提言は、大変参考になるものと考えております。

 外部の専門家も参画する業務削減については、学識経験者、学校、地域、保護者などが参加して、教職員の勤務の現状と課題、今後の働き方を議論している事例もあると承知しておりまして、文部科学省としては、御党の御提言も踏まえ、今後、このような事例を都道府県教育委員会等に周知し、取組を推進してまいりたいと考えております。

 さらに、御提案の全国規模の学校人材バンクの具体化も含め、各学校の実情に応じた働き改革が効果的に進められるよう、御提案の趣旨も踏まえながら引き続き取組を進めてまいります。

浮島委員 是非ともこの学校の人材バンクを進めていただけるように、再度お願いをさせていただきたいと思います。

 また、教壇に立つ先生からは、校長が若くてやる気のある教師に様々な業務を集中させてしまって、教員の間の業務に隔たりがあっても相談する相手や窓口がないという不安や不満の声をよく聞いております。

 今回の法案において、教育委員会に対して、業務量管理・健康確保措置実施計画の策定、公表、これを義務化、そして、公立学校のマネジメントへの反映を定めていることはとても重要で大事だと私は思っております。同時に重要なのは、教師の目線に立って、過重な負担を特定の教師に課すような状況を改善する具体的な枠組みだと思っております。

 具体的には、勤務間のインターバルの導入、持ちこま数の削減のための教員定数の改善、また、生徒指導担当等教諭の配置、それと、支援スタッフの更なる配置が求められていると思います。また、教員の、すごく重い、自分が何か相談したいという、健康維持のために、新規の採用の教員、初年度に単独で担任を持つということも、疲弊しないようにやっていかなければいけないと思っております。チーム担任制や教科担任制などの取組を拡大することも必要で不可欠だと私は思っておりますけれども、見解をお伺いさせていただきたいと思います。

武部副大臣 教師の厳しい勤務実態がある中、チームとしての学校を実現し、教師を取り巻く環境整備を図ることが重要と考えております。

 このため、令和七年度予算において、持ちごま数軽減にも資する、小学校における教科担任制の拡充や、新規採用、若手教師への支援、中学校における生徒指導担任教師の配置充実に必要な定数改善を計上しており、チーム担任制の推進にも資するよう、学級担任以外の教員も増員してまいります。

 あわせて、教員業務支援員などの支援スタッフの配置充実も図るほか、勤務間インターバルの取組が促進されるよう、学校の特性を踏まえた留意事項や工夫事例などについて、今後、教育委員会などに周知してまいります。

 引き続き、チームとしての学校の実現を通じて、子供たち一人一人に目が行き届き、多様なニーズに合った学校等支援が可能となるよう、しっかりと支援してまいります。

浮島委員 ありがとうございます。

 教師の皆様は使命感を持って仕事をされております。学校のため、子供たちのためということで過重な労働もしてしまいますので、どうか目くばせをして、しっかりと守っていきたいと思っております。

 また次回からも質問を続けさせていただきたいと思いますので、本日は質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中村委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

中村委員長 速記を起こしてください。

 次に、高橋永君。

高橋(永)委員 質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。立憲民主党、徳島一区の高橋永です。

 本日は、地元徳島から日頃お世話になっております教育関係の方も傍聴に来てくださっていますので、少々緊張しておりますけれども、地元の声をしっかりと届けるつもりで質疑をさせていただきます。(拍手)

 この度の給特法改正の審議に当たり、私自身、徳島の教育委員会や現場の先生を訪ね、様々な御意見を伺ってまいりました。給特法について再三にわたって見直しを訴えてきた学校現場からは、ようやく制度が動き出すことへの期待と同時に、これだけでは足りない、本質的な解決にはなっていないといった声が上がっています。

 現場の先生方が本当に求めているのは、処遇の改善だけではありません。過剰な業務の見直しと、絶対的に足りていない教員の補充です。もっと子供たちに向き合う時間が欲しい、教育の本分に専念したい、こうした先生方の思いが日々現場を支えているということを、私たちは決して忘れてはならないと思います。

 そして、そうした声が上がり続けてきた背景には、給特法の構造的な問題があります。給特法は、教員には原則として時間外勤務を命じない、その上で、臨時、緊急の場合に限って超勤四項目だけを命じる、その見返りに教職調整額を一律四%で支給するという制度設計でした。つまり、教員の仕事は定時で終わることを前提に、残業代ではなく、限定された業務に対する定額の手当で対応するという考え方です。元々は、時間外勤務を抑制するための制度でもあったはずです。

 しかし、それから五十年以上がたちました。今や教員の長時間勤務は前提になってしまっていて、四%の手当で重過ぎる働き方が押しつけられている、いわゆる定額働かせ放題との批判すらあります。制度の建前が逆に教員の働き過ぎを見えにくくし、放置される原因になってしまったのではないか。私は、これは単なる制度の古さではなくて、文部科学省が実態を把握せず、改善もせずにここまで来てしまった不作為だったと考えています。

 そして、これは教員だけの問題ではありません。教員が疲弊し続ければ、子供たちの学びや教育の質にも確実に影響が出ます、出ています。だからこそ、今回の改正は、教員の働き方を守るだけではなく、子供たちの未来を守るための改革でなければなりません。

 私は、この改正を給特法という枠組みの中での最後のチャンスだと位置づけ、文部科学省が本気でこの制度に向き合う覚悟があるのかどうか、本日はその姿勢を問うていきたいと思います。

 それでは、質問に入ります。

 給特法の制度的な問題については、冒頭でも申し上げました。そこで、改めてお伺いします。

 文部科学省は、五十年以上前に制定された給特法そのものの制度設計、とりわけ時間外勤務を原則命じない、教職調整額を一律四%で支給するという枠組みについて、現在から振り返ってどのように評価しているのでしょうか。制度が制定された当初から、制度の前提に無理があったのではないか。

 また、教員の働き方と制度のずれについては、この間、繰り返し指摘されてきたはずです。それにもかかわらず、給特法の枠組みそのものの見直しは、実質的に今回が初めてです。なぜここまで制度の本体に手をつけてこなかったのか。

 具体的に言えば、制度を適切に運用するには、そもそも実態を把握しなければ何も始まりません。しかし、給特法ができてから五十年の間に、文科省が全国規模で勤務実態を調査したのは、たった四回しかありません。中でも、六六年から二〇〇六年の四十年間、一度も調査が行われなかったということは、どう考えても異常だと思います。制度はつくったのに、実態を検証する努力を怠り、放置してきた、むしろ見て見ぬふりをしてきたのではないでしょうか。

 文部科学省として、この五十年、制度の本体に手をつけず放置してきた事実を、どう考えて、どう総括しているのか、実態を把握しようとしてこなかったことへの責任をどう認識しているのか、これは重要なことですので、局長からしっかりと御答弁をお願いいたします。

望月政府参考人 高橋先生御指摘のとおり、教育は人なり、つまり、これからの未来をつくっていく子供たちに当たる先生方、教師のそうした職務、役割というのは大変大きなものがございまして、子供たちの教育の充実あるいは質の向上のために、教師が教師でなければできないことに専念できる体制を整備していく、このために、今回の法案でも働き方改革ということを重点的に置いた規定を課しているところでございます。

 教師の勤務実態につきましては、先ほど浮島委員のところでも詳しく歴史的な経緯を御説明をさせていただきましたけれども、教師の職務の特殊性というものを踏まえました、要は裁量性を非常に担保する仕組みとしての、給与の本給にプラスする、本給相当のものを支給するという仕組みで教職調整額が上乗せされているところでございます。

 一方で、この給特法の仕組みというものが、ややもすれば勤務時間の管理というものをしなくてもいいんじゃないだろうかといったような、そうした間違った捉え方をされてきたというところも反省しなきゃいけないところでございます。そういう観点では、令和元年の改正におきましては、まさに働き方改革の観点から給特法を改正し、文科大臣の指針を定め、教師の時間外在校等時間という条件を定めまして、客観的な勤務時間管理の徹底、その把握を進めてきたということでございます。

 また、教師が教師でなければ向き合うことができない、向き合うことができるような時間を確保するために、まさに三分類に基づく業務の精選、見直しとか、あるいは、今、次世代型の校務DXも進めてございますけれども、校務支援システムを進めることによりまして、教員間でいろいろな子供たちの状況あるいは校務の効率化に資することができるようなデータというものを一元的に管理することができる、そういったものをGIGAスクール構想とともに進めてきたというところでございます。

 ただ、そうあってもなお、令和四年に実施しました勤務実態調査による時間外在校等時間では、小学校で約四十一時間、中学校で五十八時間という、そうした、減少傾向にもあるとはいえ、数字だけ見ても、依然として長時間勤務が続いている教師もいるということは事実でございます。

 給特法の仕組みというものは、先ほど来申し上げましたように、教師の裁量性を確保しながら、超過勤務が無制限にわたることのないように超過勤務命令を発することができる場合をやむを得ないものに限定する仕組みとしてございまして、この特殊性というものは、中教審の中でも、これは法制定時とやはり変わるものではない、ただ、教師の裁量性というものを確保しながら、しっかり勤務時間の管理を、全体としまして、働きやすい職場にしていこうというのが今回の法案の話の具体的な中身でございます。

 なぜこの勤務実態調査がこれまで四回しか行われなかったのかということについては、これは、先ほど来申し上げましたように、かなり勤務実態調査について、我々も先生方の生の声をいただいておりますけれども、業務負担が結構重い、何をやらせるんだという声も確かにあるのも事実でございます。

 その時々のそこの政策上の必要性も踏まえまして、四回が足りないと言われれば、そういう御指摘があるかもしれませんが、ただ、四回実施しました。昭和四十一年度は、勤務の実態を明確にする必要があったため、平成十八年度は、公務員の総人件費改革の中での教師の給与の在り方を検討するため、平成二十八年度は、少子化が進む中で学校の教育環境の改善に向けた検討が必要だったため、令和四年度は、まさに元年の給特法の改正後の働き方改革のフォローアップをする必要があったためでございます。

 今般、こうした働き方改革というものを、地域も首長部局が関わって、みんなでしっかりやっていこうという、そうした教師を取り巻く環境整備を進めるための給特法の改正法案でございます。教師を取り巻く環境整備のため、そうした学校や教師の実態を踏まえた対策を取り組んでいきたいというふうに思って、この法案を出しているところでございます。

高橋(永)委員 御答弁ありがとうございました。

 まさに制度設計そもそもが、管理をしなくてもいいということのおごりや油断につながったのではないかと思いますので、これからしっかりとこの反省や責任を踏まえて、今回、制度改正を実のあるものにしていくことしか多分取り返しはつかないと思いますので、是非一緒にやっていければと思っております。

 質問を続けます。

 今回の法改正では、教職調整額を一〇%まで段階的に引き上げることとしています。この一〇%という数字は、教員に優れた人材を確保するため、人材確保法による処遇改善後の優遇分の水準を確保することを念頭にしたものと承知しています。しかし、人材確保法は昭和四十九年に制定されたものであり、これによる処遇改善後の優遇分の水準とは、昭和五十五年度の水準、つまり今から四十五年も前の水準です。

 今回、この一〇%という水準は、仮に残業手当だとすれば何時間分に相当する想定でしょうか。また、今日の民間企業、一般公務員の給与水準、特に残業手当に照らし、妥当な水準と言えるのか。教員志望者が増えるほどに魅力的な水準だと本当に言えるのでしょうか。財政的な上限に合わせた政治的妥協ではないのか、文部科学省としての明確な説明をお願いいたします。

望月政府参考人 今回の法案で教職調整額を令和十二年度までに一〇%にする。これは、元々、教職調整額が、先ほどから御説明しておりますけれども、勤務時間の内外を問わず包括的に評価するものとしての、本給に対して、本給相当のものとして、いわゆる期末・勤勉手当、あるいは地域手当にも跳ね返ってくるものでございまして、必ずしも時間外勤務の時間がどのくらいかというものに直接対応するというものではございませんので、それが何時間であるかということについては、お答えを申し上げることは難しいかと思ってございます。

 その上で、教職調整額を一〇%とするということにつきまして、では、その水準がどうかということについてでございますけれども、これは、一般公務員と比べた場合には教師の優遇措置を確保しなければならないというのが先ほどからの人材確保法の趣旨でございました。それが、昭和五十五年当時の約七%という水準、これを一つ我々としての目標としまして、これを一〇%に上げた場合には、他の学級担任手当等も含めますとおおよそ同じ程度の水準になるというふうに考えているところでございます。

 また、民間企業との差というのをちなみに考えたときに、これはなかなか、同じ数字で、同じ統計がございませんので、なかなか比較、数字が難しいわけでございますけれども、同様の比較ではないということを前提とした上で、経験年数なども併せまして今回検討してみたところ、文部科学省の方で試算しますと、一〇%の改善がされた場合には、同じぐらいの経験年数では約二万円程度高い水準となるというふうに考えているところでございます。

高橋(永)委員 御答弁ありがとうございます。

 人材確保におきましては、現場ではもう待ったなしの状況だというふうに理解しております。一%ずつ上げていくという方針は政府で決めたことでございますので、今後、教員の志望者がこの数年の間に増えていかないようであれば、改めて、本給の引上げも含めて、人材確保法に基づいて御検討いただければと思っております。

 次の質問に移ります。

 大臣合意では、令和十一年度までに時間外在校等時間を月三十時間程度に縮減するとされていますが、この月三十時間にはどのような業務が含まれているのでしょうか。超勤四項目以外の業務も含まれているのであれば、原則として時間外勤務を命じないとする給特法の制度設計との整合性が問われるのではないかと思いますが、文部科学省の見解をお伺いしたいと思います。お願いいたします。

望月政府参考人 御指摘のとおり、昨年十二月の財務大臣と文部科学大臣との間の合意によりまして、全国の教師の平均の時間外在校等時間につきましては、まずは今後五年間で約三割削減をして、月三十時間程度を目標としていきましょうということになったところでございます。

 時間外在校等時間につきましては、給特法第七条に規定する指針において定めてございますが、正規の勤務時間外において、いわゆる超勤四項目以外の業務を行う時間も含まれているものでございます。

 この時間外在校等時間の上限に関しましても指針において定めているところでございまして、これを削減していくことを一つの、時間の削減だけではなく働きやすさを確保するという、いろいろなことを総合していきつつも、この時間外在校等時間の上限に関しても、多くの学校で上限である四十五時間以上になっているという状況もございますので、それを改善していこうというところの目標を定めているところでございます。

高橋(永)委員 御答弁ありがとうございます。

 教員のことを考えるのであれば、やはりこの三十時間という目標をどう達成するのか、それをどうやって守っていくのかがすごく重要だというふうに私は考えています。

 教職調整額の引上げの根拠とされている月三十時間の時間外在校等時間という目標は、現場にとっては極めて重要な数字だというふうに考えています。だからこそ、その上限目標を法律の中に明記するべきではないでしょうか。

 また、令和十一年度までに三十時間に抑えるという目標を掲げるのであれば、その時点で実際に達成されたかを検証するために、令和十一年に勤務実態調査を実施することを法律に明記するべきではないでしょうか。

 さらに、まさに先ほど答弁もありました、過去には実態調査の間隔が四十年も空いた時期があります。そうした反省を踏まえれば、今後は、少なくとも、現場に過度の負担のかからない工夫を施しつつも、最低でも定期的に五年に一度、例えば勤務実態調査を実施することを法的に義務づけるべきだというふうに考えます。

 制度を維持する以上、その効果を定期的に検証できる仕組みが不可欠だと思いますが、この点については文部科学省の見解をお伺いできればと思います。

望月政府参考人 月三十時間の目標につきまして法律に明記すべきではないだろうかというようなお尋ねでございますけれども、文科大臣の指針を、この法案をお認めいただいたら改定をする予定でございます。学校における働き方改革を更に進めるための目標を設定する際の考え方についてもお示しできるように検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 この目標の達成状況を確認する上で、文部科学省としましても、地域のいろいろな状況を踏まえて、地域においても、それぞれの目標と計画の中での具体的な方策がしっかり定められていくものではございますけれども、これをちゃんとフォローアップしていくことが大事だと思ってございます。また、伴走支援をしていくことが大事だと思ってございます。

 全国の教師の時間外在校等の状況を把握することが必要であるために、今後、毎年度、全国の教育委員会を通して実施する調査を通じまして在校等時間の客観的な把握を徹底されてきたことを踏まえまして、年間を通じて把握している在校等時間の状況を集計することで把握をしてまいりたいと考えているところでございます。

高橋(永)委員 先ほど、必要に応じて全国の勤務実態調査を行うという御答弁があったかと思いますけれども、これは逆に、今回の目標達成に向けては全国の勤務実態調査は行わない、行う予定はないということでしょうか。

望月政府参考人 済みません、私の説明がちょっと不十分で分かりにくかったかもしれません。

 この目標を達成していくことをちゃんと確認していくということが必要でございまして、各教育委員会において在校等時間の客観的な把握が、ICT、校務支援システム等の整備によって徹底されてきて、教育委員会が把握をできる状況になってきたことを踏まえまして、今後は、基本的に毎年度、全国の教育委員会に対する実施する調査を通じまして、勤務実態調査という形ではなく、服務監督教育委員会が年間を通じて把握している在校等時間の状況を集計することで把握をしてまいりたいというふうに考えております。

高橋(永)委員 やはり、同じ調査を定期的にやっていくことによって定点的に比較できると思いますので、勤務実態調査は続けられた方がいいんじゃないかなと思いました。

 それでは、ちょっと次の質問に移らせていただきます。

 教員の長時間勤務を改善するには、現場の働き方を管理する校長や教頭といったマネジメント層の役割が極めて重要です。特に、教員の業務を、学校以外が担うべきもの、整理すべきもの、学校で担うべきものの三分類に見直す責任も、現場の管理職が果たすべき重要な役割だというふうに考えています。

 そこで、お伺いします。

 まず、こうした業務適正化の責任の所在が校長や教頭にあるのか、どの程度あるのか、お考えを教えてください。

望月政府参考人 校務をつかさどり、所属職員を監督する校長を始め各学校の管理職は、教育委員会とともに一人一人の教師の時間管理を適切に行った上で、その実態等を踏まえて、各学校における業務改善を進めていく責任があると考えております。

 学校における働き方改革は、教師個人だけに任せて取り組むのではなく、むしろ、学校全体として、校長等管理職が業務分担の見直しや教職員全員を含めまして業務の精選、効率化を行うことで実現できるものと考えてございます。

 令和四年度の教員勤務実態調査の中で取っている数字で、管理職がリーダーシップを発揮し働き方改革を進めていると認識している教諭ほど時間管理意識が高く、時間管理意識が高い教諭ほど在校等時間が短いということも分かっております。

 こうしたことから、校長等の管理職のリーダーシップの下、その責任に基づき、学校における業務改善に取り組んでいただくことが重要であると考えております。

高橋(永)委員 校長先生、教頭先生に責任があるとの共通認識は確認できました。

 逆に、責任があるのであれば、教頭や校長による現場の働き方の管理を評価する仕組みはあるのでしょうか。また、管理が不十分な場合、それを是正する仕組みは整っているのでしょうか。

 その上で、管理職がこうした責任を果たしていくためには、十分な裁量や報酬の見直し、教頭先生の多忙さに対応する人的支援体制の整備が不可欠だというふうに考えます。

 文科省として、マネジメント機能の強化をどのように制度的に支えていくのか、見解をお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 校長等の管理職は、学校組織のリーダーとして学校の業務改善に大きな役割を果たすものでございます。そのため、校長等のマネジメント力を向上させていくことは非常に重要だと考えてございます。

 令和七年二月には、公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針を改定いたしまして、各教育委員会が校長の資質に関する指標を定める際に踏まえるべき点として、学校における働き方改革に関する観点を新たに加えたという改正をしてございます。こういう観点からも、各教育委員会において管理職の資質の向上が進むよう促しているところでございます。

 また、校長、教頭の職責に応じて、今回の教職調整額そのものの上昇の、つまり四%を一〇%にしていくというところには実は管理職は対象になってございませんけれども、一般の教諭とともに、教職調整額が高められているものと応じて、校長、教頭にもその職責を果たしていただくよう、改めて、その教職調整額と、教員と、逆転現象が起きないように、その管理職分は別途予算措置をしているところでございます。

 また、続けてでございますけれども、校長のそうしたマネジメント力を強化していき、また、それを適正に評価していくために、校長の人事評価におきまして、学校の働き方改革に関わる観点が評価の項目に入っていることが重要でございまして、この点についてもその導入を推進しているところでございます。

 さらに、管理職としての副校長や教頭を支援するための副校長・教頭マネジメント支援員の配置拡充などにも予算事業として取り組んでいるところでございまして、こうしたことを、全体として、管理職が一層マネジメント力を身につけ、それが学校の業務改善につながっていく、結びついていくよう取り組んでまいりたいと考えてございます。

高橋(永)委員 御答弁ありがとうございます。

 現場のマネジメント機能の強化、マネジメント力の強化は現場の働き方を変えていくことに直接つながっていくと思いますので、是非引き続き取組をお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 教育委員会には、教員の業務量を見直す業務管理の計画を策定することが義務づけられます。しかし、現場では、形だけの計画になってしまうんじゃないかという懸念が根強くあります。

 例えば、企業では、労働基準法の下、労働基準監督署が外部からの強制力を持って実効性を担保しています。では、教育行政はどうでしょうか。

 先ほど都道府県の人事委員会についての質問もございましたし、今回の改正では、総合教育会議や学校運営協議会など、既存の仕組みを活用するとされていますが、これだけで本当に計画の実行状況をチェックして改善を促す仕組みとして機能するのでしょうか。現場の実効性を高めるためには、例えば第三者による監督制度や是正命令、罰則といった、強制力のある外部からの担保措置が必要ではないでしょうか。

 文部科学省として、この業務管理計画の実効性を担保するための現状想定している具体的な仕組みや、外部監査体制や、その強制の在り方、必要性についてどのように考えているのか、見解をお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 御指摘の点、本法案で、計画の実施状況が不十分な場合の、罰則という形では求めてございませんけれども、外部機関によるチェックという観点では、各教育委員会が自ら定めた計画の実施状況をまさに全ての地域の方々に公表をする、そして首長が設置する総合教育会議に報告することを規定してございまして、こうした仕組みを通じて実効性を持たせることが期待されると思ってございます。

 また、これまでも、給特法に基づく指針におきまして、教育委員会に対して、上限方針の策定に当たっては人事委員会の連携を図ることを示すなどの、人事委員会との連携も促しているところでございますけれども、これも今回の法案に合わせて更に促してまいりたいと思ってございます。

 例えば、そうした計画の実施等が不十分な場合などにおきましては、当該教育委員会が市町村教育委員会の場合には、今回の法案でも、都道府県教育委員会が指導助言等を行うということを改めて規定をしてございます。

 文部科学省としても、仮に不十分であるといった場合には、都道府県教育委員会を通じて、また、場合によっては市町村教育委員会に直接伴走しながら、積極的に働きかけを行ってまいりたいと考えてございます。

高橋(永)委員 是非、働き方の改革に関しては、伴走支援、直接的に取り組んでいただければと思っております。

 次の質問に移ります。

 教職調整額は、たとえ一〇%に引き上げられたとしても、これは残業代ではありません。それにもかかわらず、一〇%もらっているならもっと働くべきだといった誤解や圧力が現場に広がる懸念があると思います。

 こうした誤解が教員の更なる負担につながらないよう、文科省として制度の趣旨を分かりやすく丁寧に伝える広報や周知策を徹底すべきだと私は考えておりますが、今後どのような具体的な取組を考えているのか、なるべく詳しく教えてください。

望月政府参考人 まさに高橋委員御指摘のとおり、今回の法案の趣旨、そうした背景について、これを分かりやすくしっかりと多くの方に知っていただくということは大変大事だと思ってございます。

 文部科学大臣から保護者、地域住民に対して、これまでも学校の働き方改革への理解や支援をお願いするメッセージを出すなどの取組を行ってまいりましたけれども、今回の法案、これは、学校の働き方改革を進めるということをもって学校の状況を多くの方に分かっていただき、そして地域の方に協力をいただき、そして地域全体で、首長部局も巻き込みながら、一緒になって協力してやっていくという、こういう仕組みを新たに設けることにしてございまして、そうした今回の背景となっている学校の状況や、教師を取り巻く環境整備の必要性、教師の職責に合った処遇の改善の趣旨、内容などについて、全体、様々な、我々も、教育関係者や教育関係者以外の場あるいは媒体を活用して、丁寧に周知を行ってまいりたいと考えてございます。

高橋(永)委員 これはしっかりやっていただかないと教員の働き方は更に負担が増えてしまう状況になりかねませんので、是非お願いいたします。

 時間が迫ってまいりましたので、ちょっと質問を飛ばさせていただきます。

 これまで学校においても働き方改革が進められてきましたが、現場の働き方はなかなか変わっていません。だからこそ、今、現場は、今回は本気なのかと厳しく見ています。

 文部科学省として、今回の改革に本気で取り組む覚悟があるのか、明確に示していただきたいと思います。

 そして、万が一、今回の改正で令和十一年までに先生の働き方の改善が進まないのであれば、給特法という制度そのものを見直し、残業代を支払い、労働時間を法的に管理する体制へと転換することも、責任の取り方として検討から排除するべきではないのではないでしょうか。

 最後に、今回の制度改革にかけるその覚悟を大臣に問いたいと思います。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 教育は人なりと言われるように、学校教育の成否はまさに教師に懸かっているところでございまして、教職の魅力、これをしっかりと向上させながら、教師に優れた人材を確保していくことが喫緊の課題でございます。

 このため、今回の法案におきましては、教育委員会や校長の働き方改革に向けた取組の実効性、これを高める仕組み、また、教職調整額を始めとした教師の処遇改善を定めるとともに、指導、運営体制の充実にも計画的に取り組んでまいります。

 給特法の改正等によりまして、働き方改革を推進し、教師が心身共に充実した状態で、学びの専門職として、働きやすさ、また、生きがい、働きがいを両立し、日々生き生きと児童生徒と接することができますよう、その環境整備、私ども文部科学省としてもしっかりと取り組んでまいります。

高橋(永)委員 是非、背水の陣で、もう現場は待ったなしですから、今回の法案を真剣に取り組んでいただきたいと思います。現場と子供の未来を守る本物の改革として実現するよう、実効性のある制度運用と強い覚悟を持って取り組むことを強く求め、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中村委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十分開議

中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐々木ナオミ君。

佐々木(ナ)委員 立憲民主党の佐々木ナオミでございます。

 今、教育の現場は危機的な状況にあると認識をしています。いじめ、不登校、そして子供の自死は過去最高。また、うつ病などで休職した教員が過去最多の七千人超え。また、教師不足も深刻で、昨年十月の調査では教員不足が過去最多の四千七百十四人。この状態では、子供たちに質の高い教育を提供するどころか、教育そのものが崩壊してしまうのではないかという危機感を感じております。この深刻な状況を乗り越えていかれるのか否か、今回の法改正が問われているのではないでしょうか。

 教職の魅力を高め、教師を取り巻く環境を整備することが必要だとの認識の中での改正法案ですが、処遇改善ももちろんですが、やはり深刻な長時間労働、過重労働、この改善があって初めて、教師になろうという人材が集まるのではないでしょうか。

 かつて、私も中学の頃は、先生方にもうちょっとゆとりがあったのではないかと思います。学校を休んだ後なんかに放課後に補習をしてくださったというような記憶がございます。私のかつての恩師が私の子供の教員になったときに、その先生にお聞きしたときに、今はあの頃とは全然違う、昔は余裕があって補習ができたけれども、今はそんな余裕はないですと本当に深刻な顔で私に言ったのが、それも二十年ぐらい前の話ですけれども、いまだに脳裏に残っております。

 昨年の財務省と文科省との大臣合意において、給特法、教職調整額の在り方については、時間外在校等時間が月二十時間程度に達成するように課題の整理を行うとしており、今後五年間で時間外在校等時間を三十時間程度に縮小するという目標を掲げられました。令和四年度の教員勤務実態調査によると、時間外在校等時間は小学校で月約四十一時間、中学校で約五十八時間となっています。

 そこで、まず確認の意味で、この五年間の具体的な工程があるのか否か、どうやってその目標を達成していこうとしているのか伺います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 今、佐々木先生から御紹介ございましたように、年末の大臣合意におきまして、処遇の改善とともにしっかり学校の働き方改革を進めていくということを両輪としてしっかり進めていくとあります。

 時間外在校等時間を減らしていく手だてというのは、これは何も一点だけで行っていくというよりも、教職員の要は定数の問題、それから教師が教師でなければできない仕事に従事していただけることができるような支援スタッフや、あるいは地域の協力、それから首長との連携協力、これが必要でございます。

 今後五年間で三十時間程度にしていきましょう、これはかなり地域でもそれぞれの状況は違っておりますので、一律に、我々が地域の状況を無視して、時間だけを目標にして下げていくということではないのでございますけれども、我々としては、やはり今よりも確実に時間外在校等時間を減らして、そして働きやすさを実感できるような環境にしていくことが大事だと思っています。

 そのために、具体的には、学校の中で教員間での職務の分担あるいは業務の適正化を行う、まさに校長のリーダーシップと、それから校務DXを含めた業務の効率化、それから、地域学校協働活動を含めた地域での協力、あるいは、お金が地域全体で必要とあれば首長の協力を得るといった、様々、総合的な施策を動員して、三割、三十時間への削減を目標と、しっかり地域までしていくということでございます。

佐々木(ナ)委員 その点には、午前中の議論でも十分にお話は聞きましたけれども、具体的な、いつどういう形で減らしていくのかという大まかな工程が、国の方がやはり示さないと、地域といってもなかなか難しいのではないかなと思っておりますし、また、その中で本当に三十時間に減るということが実現できるのかどうかというところは、私も大変心配には思っております。

 そして、やはり、数字が大事なのではなくて、実際に勤務時間が減る、先生方の過重労働が少なくなったと感じていただくことが大事です。数字上の削減が目的化することがないように、勤務時間の記録を無断で管理職が改ざんしてしまうような事案も起きておるようでございますので、是非その点も踏まえて取り組んでいただきたいと思っております。

 そこで、資料の一を見ていただきたいと思います。

 これは文科省が出しているものですが、改めて見させていただいて、これだけの業務を先生方が取り組んでいくんだなということを感じているところではあります。前回から多少削減した部分もあるとはいえ、大幅な削減にはなかなかなっていないなというふうに思います。

 そのうち、授業に関わる業務、これはなかなか削減しにくい分野ということで、黄色でマーキングをさせていただきました。これを足し込むと、六時間五十四分となっております。教職員の休憩を除く勤務時間が七時間四十五分になっておりますので、授業に係る業務だけで、業務時間内の残りはたったの五十一分しかないわけです。

 そして、前回の調査に比べて授業時間数は増えているにもかかわらず、なぜか、授業準備時間、これが減っているんですね。これはちょっとおかしいのではないのかなと思っております。

 それを踏まえて、これは現場の先生方からも要望が出ている、授業時間数の削減、これを具体的にやらなければと考えているんですが、御見解をお尋ねいたします。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 御指摘の授業時間の問題に関しましては、標準授業時間の時数を大幅に上回っている教育課程を編成している学校が実は二割弱ございまして、このため、指導体制に見合った計画とするよう私どもも強く要請をしてきましたが、依然都道府県間で大きな差がございまして、あらゆる機会を捉まえて、私ども、改善を促しております。

 そういう中でも、年間を通じた授業時間の標準化を行いまして、いわゆる平準化を行っていきながら、週当たりの持ちこま数を減らすことで、まさにこの授業準備の時間をしっかり確保している例も実はあります。

 こうした好事例の普及とまた展開も重要と思っておりまして、学習指導要領、また、解説、教科書、入試、教師用指導書の影響も含めた、この授業づくりの全体を捉まえた上で、過度な負担が、また負担感が生じにくい在り方の検討をお願いしておりますが、次期の学習指導要領におきましては、教育課程の改善と働き方改革の両立が図られるように、しっかり丁寧な議論を行ってまいります。

佐々木(ナ)委員 今のその大臣の指摘なんですけれども、昨年十二月に、令和六年度公立小中学校における教育課程の編成、実施状況調査の結果、これを発表していると思います。その中で、おっしゃられるように、学校教育施行規則に定められた授業時間を大きく上回る教育課程を形成している学校数が二割弱ある、それは理解しております。それに対してもちろん通知を出していらっしゃる。

 ただ、現場からは、やはり、そもそもの学習指導要領のカリキュラムが多過ぎて、余裕を持って授業時間数を確保しないと、例えばインフルエンザの休校など、不測の事態が起きたときに時間数が減ってしまう、そうするとカリキュラムが消化できなくなるという不安感があるために、余裕を持って時間数を確保してしまっているというようなことがあります。

 ましてや、カリキュラムが消化できないとなれば、当然保護者からの苦情もありますし、受験までに終わるのかというのは皆さん心配しているところだと思います。そういう実態もあるということはちょっと是非受け止めていただきたいと思います。

 その上で、今後ということなんですけれども、これだけの業務があって、前回から削減したと。

 それで、授業準備時間数、ちょっと先ほどちらっと言ったんですが、授業時間に比べて大変少なくて、正直びっくりしております。

 文科省では、平成二十八年十一月二日の文科委員会で、一時間の授業に対して、その準備に同程度の時間が必要であるという見解を示しているかと思います。そうなると、授業と授業準備で、本来は勤務時間は既に超過するというような計算になるのではないのかなと思います。

 ところが、資料一を見てみますと、令和四年度の勤務実態調査、四時間十三分の授業時間に対して、授業準備時間が一時間十六分しかない。これも、前回の調査から、先ほども言いましたが、授業時間は増えているけれども、減っているんですね。

 これは、本当に減っているのかなと。実はこれが持ち帰りや土日の超過勤務の原因の一つになっているのではないでしょうか。これは、また、逆を言えば、そうでないというのであれば、授業時間数に対してこの準備時間数では、教育の質という点でも問題ではないのかなと思いますが、これは大臣はどのように御見解しているでしょうか。

望月政府参考人 佐々木先生から、今配付していただいた資料について、授業準備の時間が授業に対して相当少ないんじゃないかという御指摘がございました。

 これは、過去の文部科学省の答弁も御披露いただきましたけれども、教職員定数の算定に当たりましては、授業と授業以外の時間、つまり、授業準備だけではなくて、他の校務も含めて教職員定数を考えて、算定上は、授業と授業以外ということで、授業一、授業以外がその半分ぐらい、つまり、それは授業準備だけではないということは、一つちょっと申し上げておきたいと思います、その時間が。

 その上で、授業準備に関しましては、これはなぜ減っているかということは、勤務実態調査は、一つは、勤務実態調査のやり方としては、個々の教員から全く管理職を通さずにそのまま直接回答いただいているものでございますので、ここは我々の方で操作をしているものはまずございません。

 その上で、一つ考えられるのは、校務のDX等も通じて、あるいは、教員間でも、いろいろそうしたよい教材などについては、それぞれお互いに共有しながら、あるいは、その実践事例なんかを高め合いながら、かなり御苦労されて、そうした中で、実態として授業準備という時間だけを見ると少し減っているということが考えられるかもしれませんし、それから、効率的に行われてきている部分もあるのではないかというふうに考えているところでございます。

 それで、持ち帰り時間が、じゃ、これに応じてそのまま転嫁して増えてきているんじゃないだろうかということについては、必ずしもこれのみをもっては言えることではないというふうに考えているところでございます。

佐々木(ナ)委員 いや、この数字はそうですけれども、私が思うのは、幾らDXを進めたからといって、準備時間数がこんなに少ないというのがちょっと信じられないなと思う中で、想像としては、これが持ち帰りの負担になっているのではないかというふうに申し上げたのみです。

 ちょっと見方を変えて申し上げますと、教員の一週間当たりの平均担当授業時数、これが小学校で二十三・九こま、一日当たりに換算すると四・七八こまになる。そうすると、一日五時間、若しくは六時間授業で対応しているわけで、この勤務時間中に授業の空きこまがほとんどないという状況になっています。

 それで、やはり、この空きこま数がほとんどないことが、準備時間に充てる時間が少ない、又は、これをもしかしたら持ち帰っているのかもしれないと思うんですが、これはやはりちゃんと増やしていく必要があるのではないかと思っておるんです。

 それで、もしこれを増やしていくという、空きこま数を増やしていくというふうになると、そもそもの標準時間数、これを大幅に減らすしかないと思うんですが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 御指摘の、教師一人当たりの授業の持ちこま、授業時数につきましては、御指摘のとおり、特に小学校につきまして、二十四こまぐらいではないかというふうに考えてございますけれども、これは小学校の教科担任制を進める前は二十七こまぐらいであったところが、大体三こまから三・五こまぐらい、もちろん、ちょっと地域によって状況は違いますけれども、減ってきて、今二十四こまになっているところでございまして。ここは、来年度以降、小学校三年生、四年生に広げていくということによりまして、教員の持ちごま数、時数、時間自体を減らしていって、教員が少しでも余裕を持って授業に当たる、あるいは授業準備に当たれるといったようなことを進めていくということは大事だというふうに考えているところでございます。

佐々木(ナ)委員 教科担任制は是非進めていただきたいと思いますし、今年度もまた大きく進めるというのは分かっているんですけれども、人材不足ですから、なかなか思うようにはいかないということと、予算も少しずつということなので、前には進めていますけれども、一足飛びには全ての学校に教科担任制がすぐできるというわけではない。その中で、なかなか先生の持ちごま数が減らないということがあるんではないでしょうか。

 授業時間数を減らすか、教員定数を増やすか、この二つしか、教員の方たちの長時間労働を減らしていく、持ちごま数を減らしていく対策はないと思いますので、是非そこをしっかりと考えていただきたいと思います。

 ちょっと見方を変えて、子供たちの視点から言わせていただきたいんですが、カリキュラムオーバーロードという言葉があります。つまり、内容的にも量的にもぱんぱんに詰め込まれた時間割りになっていること、これが社会問題として認識されています。これはやはり、児童生徒側から見ても大きな負担があるということです。

 年間の小学一年生の標準授業時数、これは八百五十こま、これを学習指導要領で定められている年間の週数である年三十四週、これは単純に割りますと、一日当たり五こま。毎日五時間、小学一年生が授業を受けている。六年生では千十五こまなので、そして六年生は年三十五週ですね、なので五・八時間、ほぼ毎日六時間と、単純計算でも多いなというふうに感じます。小学一年生が五時間毎日というのは、ちょっと子供はへとへとなんじゃないかなと思います。

 そして、学習内容の多さ、これも問題だ、カリキュラムの多さも問題だと思います。小学校の平成二十年、これは五千六百四十六時数。二十九年に外国語が教科化されたこと等により、五千七百八十五時数。十年間で百四十単位時間の増になっています。また、算数の教科書のページ数を調査したというところがありまして、一時間当たりの教科書のページ数が、一九八九年の学習指導要領に比べると、二〇一七年の学習指導要領では一・五倍になっているという指摘があります。

 学習指導要領の内容を減らして、授業数も減らさないと、子供たちの負担が大き過ぎるのではないでしょうか。御見解をお尋ねします。

あべ国務大臣 委員御指摘のように、教科書の分量が増えているのは事実でございます。

 一方、令和五年に公表いたしました義務教育に関する意識調査におきまして、学校での学習量、これについて、小中学生の約七割弱がちょうどよい、また、やや少ない、少な過ぎると言っている一方、約三割強の方がやや多い、多過ぎると感じているデータが示されておりまして、中教審におきまして、次期の学習指導要領に関する議論では、こうした子供たちの学習状況とこれからの時代に求められる資質と能力をしっかりと踏まえていきながら、教科書の分量、また内容の在り方、また柔軟な教育課程編成を促進しながら、教師と子供に余白を生み出す観点も含めた標準授業時数の弾力化についても丁寧な検討を行っているときでございます。

佐々木(ナ)委員 是非検討をお願いいたします。

 それで、もう一つちょっと御指摘をさせていただきたいのは、この学習内容の多さが、アンケートではというふうに今大臣はおっしゃいましたけれども、実質、子供たちに影響が出ているのではないかというようなお話です。

 これは北海道の教職員組合さんがお作りになった資料なんですが、資料の二になります、不登校と、それからいじめの関係なんですが、指導要領が変わるたびに増えている、急激に増えている、前回の学習指導要領の改訂から大分増えてしまっているというようなことでございます。これが、同様な状況が子供の暴力行為、これでも見えているというようなことでございます。

 なかなかアンケートでは見えないところでも、実際にはこうした形で、子供たちの問題行動で負担の多さが表れてしまっているというふうには考えられないでしょうか。これはちょっと問題だなと思ったので御紹介させていただきましたが、この図を見てどのようにお感じでしょうか。

望月政府参考人 御指摘の北海道教職員組合の調査につきまして、私ども詳細に把握をしているわけではないわけでございますけれども、今拝見しますと、不登校やいじめの増加については様々な要因が複雑に関わっておりまして、こうした調査、分析というのは参考に一つなるかなというふうには考えてございます。

 ただ、その不登校やいじめの防止については、国全体としてやはり重要な政策課題と捉えていますので、このいただいたデータにかかわらず、全ての子供が安心して学べる、そうした学校づくりを進めていくことが必要であるというふうに考えてございまして。

 また、学習指導要領の実施に伴う負担の御指摘について真摯に向き合いながら、次期学習指導要領の検討においても、過度な負担や負担感が生じない在り方を、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、教科書の内容、分量の精選も含めまして検討してまいりたいというふうに考えてございます。

佐々木(ナ)委員 是非検討をお願いしたいと思いますし、次の学習指導要領に向けてしっかりと議論を進めていただきたいと思います。

 先ほども申し上げましたが、不登校が過去最多、全国で三十五万人です。これだけの子供が今、学校の中にいるのが苦しいと言っているんだと思っております。また、なかなか数字では示せない子供たちもまだ学校の中にいるのではないでしょうか。教師も、そして子供たちも悲鳴を上げている状況を変えるには、学習指導要領の見直し、内容の適正化、標準時間数の削減、これを実現するしかないと考えておりますので、是非とも前向きにこれに取り組むようお願い申し上げたいと思います。

 次に、支援スタッフの配置拡充による次世代型チーム学校について伺います。

 教員業務支援員、これは以前のスクールサポートスタッフのことだと思いますけれども、今回拡充するということになっております。この具体的な内容をお聞きしたいと思います。

あべ国務大臣 委員にお答えします。

 複雑化、多様化している教育課題対応を図る上で、私ども、心理、福祉に関する専門家、また教師の業務を支援するスタッフの配置充実を進めていくことがまさに重要だというふうに考えています。

 こうした支援スタッフの配置拡充につきましては、学校現場からも実は、委員御指摘のように、ニーズも高くて、文部科学省といたしましても、令和七年度におきましてもスクールカウンセラーを始めとした専門家の方々、また教員の業務を支援するというスタッフに関わる予算を拡充をさせていただいたところでございます。

 また、弁護士等への法務相談経費につきましては、例えば、地方財政措置が講じられているほか、手引の作成等のスクールローヤーの配置充実に向けた支援も行っておるところでございまして、引き続き文科省としては、様々な支援スタッフの配置充実で、教師が教師でなければできないことに専念できる環境整備にしっかり取り組んでまいります。

佐々木(ナ)委員 本当にそのとおりだと思いますので、今回のこの教員業務支援員の拡充、これは大変によいことだと思うんですけれども、一方で、チーム学校という中で、本当に、大臣から今ありました、先日も予算委員会の分科会で申し上げさせていただきましたが、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、拡充は分かっていますけれども、常勤化、常設化に向けて是非ともこれは再度お願いを申し上げて、また別の機会でもやらせていただきたいと思います。

 次に、増え続ける教職員の精神疾患による病気休職に対するメンタルヘルスの対策についてお尋ねいたします。現状の対策をお尋ねします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 令和五年度における教育職員の精神疾患による病気休職者数は七千百十九人とこれまでで最多の人数となってございまして、まさに御指摘のとおり、教師のメンタルヘルス対策は非常に重要な課題であるというふうに認識してございます。

 このために、教師を取り巻く環境の改善が必要だと考えてございまして、今回の法案でも、働き方改革の更なる加速化、学校の指導、運営体制の充実などについて、具体的な方策を入れさせていただいたところでございます。

 これに加えまして、令和五年度からメンタルヘルス対策に関する調査研究事業を実施してございますけれども、その効果的な取組の研究事例を、今我々も具体的にそれを把握をしているところでございまして、令和六年度の補正予算と令和七年度予算もこのための経費を計上してございます。

 専門家との協力という観点では、医師や臨床心理士、それから保健師などの、そうした医療の観点での側面の協力も得ながら事例の創出に取り組んでいるところでございまして、なるべく効果的なそうした取組が創出できるように努力してまいりたいと思ってございます。

 心身共に健康な状態で教師が子供と向き合えるということは何より大切なことでございますので、教師のメンタルヘルス対策にその意識を持ちながらしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。

佐々木(ナ)委員 是非お願いしたいと思います。

 それで、ちょっと一点確認なんですけれども、労働安全衛生法の学校現場での適用というのがあるかと思います。教職員五十人以上の学校に産業医を置く、衛生委員会の設置をするということになっているんですが、これは進んでいるんでしょうか。

望月政府参考人 学校は、労働安全衛生法の事業場に当たりますので、労働安全衛生法に基づきまして、例えば常時五十人以上の教職員を使用する学校におきましては、衛生管理者、産業医の選任、衛生委員会の設置、ストレスチェックの実施が義務づけられてございまして、一方で、現状のところ、常時十人以上五十人未満の教職員を使用する学校では、衛生推進者の選任が義務づけられているところでございます。

 例えば常時五十人以上の教職員を使用する学校での、先ほど申し上げました義務づけされている設置の状況でございますが、これは私どもも調査をしてございまして、例えば衛生管理者の選任率、五十人以上の学校では、小学校九四・一%、中学校九六・二%、高等学校は一〇〇%という数字になってございます。産業医の選任率につきましては、小学校八五・三%、中学校九〇・六%、高等学校九七・三%となってございます。

 ちなみに、先ほどの十人以上五十人未満の衛生推進者の選任というところにつきまして、これは、小学校九六・一%、中学校九五・一%、高等学校が九八・七%と、まだこれは一〇〇%になっていないところでございますので、我々は引き続き、周知と、これはやはり法令で義務づけられているものでございますので、しっかりこれを設置していただくことが、まあ、これは自治体としての義務でございますので、努めてまいりたいと思ってございます。

 この率については、令和四年度あるいはその前よりも進んでいるという状況はございます。

佐々木(ナ)委員 済みません、ちょっと時間がなくなってきたのであれなんですが。

 それで、もちろん、産業医の設置は義務ですから、一〇〇%を是非目指していただかなければならない。それからもう一つ、この衛生推進者、これは、恐らくというか、教頭先生とか養護教諭の方がほとんどなのではというのがちょっとヒアリングの中で出てきております。

 改めて、令和四年度の勤務実態調査でも、教頭や副校長は教員よりも更に在校等時間が長く、十一時間以上です。そのうち約三割が十三時間以上ということですから、これは、設置をするといっても、更に教頭先生にいろいろな業務が重なり過ぎていて、さらに、メンタルケア、そんなに簡単に、ちょっと聞けば治るとか、そういうものではないと思うんですね。

 これはやはり、窓口を、学校の中ではなく、また、教頭先生に更なる負担をさせるのではなく、外側にちゃんと置くべきなのではないか、そのことを申し上げまして、済みません、お時間になりましたので、私からの質問を終わりといたします。

 御清聴ありがとうございました。

中村委員長 次に、竹内千春君。

竹内(千)委員 立憲民主党・無所属の竹内千春です。よろしくお願いいたします。

 教員の長時間労働、教員不足が全国的に問題となっていますが、長時間勤務は、一般の民間の労働者でも当然問題になります。でも、公立学校の先生たちは、長時間労働をしても、給特法に基づく定額四%の教職調整額が払われるだけで、残業代が支払われないということがすごく問題になっています。

 このような厳しい勤務環境が敬遠されて、公立学校の教員の人気が低迷し、教員不足で、本来予定されていた配置数に満たない教員で学校の業務を行わなければならないという、それで一人当たりの業務負担がますます増して、長時間労働に拍車がかかり、更なる教員不足を招くといった、そんな負の連鎖も生じています。

 昭和四十六年に制定された給特法、これは令和元年に一度改正されていますが、このとき教職調整額は変更されず、三十一年のガイドラインで、在校等時間という名の下に、校務を行っていても、自発的な活動だから、残業代が支払われる労働時間には含まれないという整理がされて、定額働かせ放題ともやゆされるようになりました。令和四年に実施された直近の小中学校教職員の勤務実態調査でも、平均四十七時間という長時間労働という結果が出ています。

 一部、予算措置によって、今回、教職員の増加、そして、文科大臣と財務大臣の大臣合意では、今後五年間で時間外勤務を約三割縮減するということを目標とされていますが、具体的に業務削減のための作業を誰がどう行うのかも明らかではなく、今回の改正案では、この定額働かせ放題という仕組み、この教職調整額もそのまま維持されています。これで本当に長時間労働や教師不足が改善されるのか、私は疑問に思っています。現場の先生たちからも、給特法を廃止して、学校の先生の数をもっと増やしてほしいという切実な声が届いています。

 私は、この問題の根本は、給特法の立法事実、そもそもどういう問題があったのか、立法趣旨、それを法律でどう克服しようとしたのか、この認識が給特法の制定当時と今とでずれているところにあるように思います。何が問題で、法で何を解決しようとしているのかが曖昧のまま、あるいは、ちょっと都合に合わせて巧妙に変化させながら、法の制定、改正がなされてきたんじゃないかというふうにも思われます。

 そこで、今日は、しっかり過去の経緯を検証し、その上で、現状の問題に向き合う必要があると考えます。資料一に、簡単に過去の経緯も整理をしましたが、給特法の趣旨、これまでの給特法改正の目的やその成果、在校等時間なる概念の問題点、そして労基法との関係等に焦点を当ててお尋ねをしたいと思っています。

 資料の二に、これは給特法が最初に導入されたときの資料。これは、済みません、ちょっと資料作成のときに、いつ配られたものかという日付が落ちているんですけれども、平成十八年十二月十一日に配付をされています。

 このときは、例えば二番目の、教員の勤務状況調査の実態、昭和四十一年度に一年をかけて全国的な勤務調査を実施した。それで、三番目、その勤務の態様の特殊性に鑑み、当分の間は月額の四%を出すというような話。じゃ、この教員の特殊性とは何なのかというところがこの五番目のところに解説をされているんですが、この当時はこの勤務態様の特殊性しか注目されていないように見えるんですね。

 裏のページにも、その勤務態様の特殊性を具体的に言うと、一、時間外勤務手当を支給しない、その代わりに、その当時の実態調査、この紙には小中学校の平均が八時間であったということはちょっと書いていないんですけれども、最後のページにも、緻密に計算をして、実態調査の結果に基づいて、平均どれぐらいの時間外労働がされているかということを基にこの四%というのがはじき出されています。

 これを見ると、学校の先生たち、なかなか勤務時間がここ、ここ、ここと決められないから、管理が難しいから、だったら平均的な時間を取って教職調整額を決めようとしているように見えるんですね。

 この趣旨がそのまま貫かれていれば、今回、直近の令和四年度の実態調査では、小中学校の平均四十七時間、これは文部科学省にも確認を取っていますが、四十七時間の平均の時間外勤務がまだあるとすると、これはとても、今回提示されている一〇%、来年は五%ですけれども、五、六、七、八、九という数字はかなりおかしいと思うんですが、ちょっとこの点について、まず、残業代の代わりという趣旨からずれているように感じる、この点について質問をさせてください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 今、給特法の制定、改正の経緯についての資料をいただきまして、ありがとうございます。

 この中で、残業代見合いとしての、過去、その教職調整額を制定当時四%にしたということでございますけれども、そうした性格的なものもありますけれども、ただ一方で、教員のそうした職務の特殊性あるいは勤務態様の特殊性ということを踏まえて、基本給に対して本給相当の四%を上乗せをするということで、必ずしも勤務時間の、つまり正規の勤務時間の中だけを評価してその本給に上乗せする教職調整額という性格を持たせたわけではないということでありますので、そういう意味では、超過勤務の部分というものも一応加える形で、本給の相当として加えているというものでございます。

 ですから、必ずしも、八時間という見合いだから四%というところが、時間で計測したものがそのまま四%になっている、そういう意味合いのものだけではないというものでございます。

竹内(千)委員 私の指摘は、今はそういうお答えになるかと思うんですけれども、この当時配られた資料からはそこが読み取れないということが私の問題提起なんですね。

 今は時間がかかるのであれですが、じゃ、今回その一〇%という数字が出てきたのが、これが、ちょっと人確法と趣旨が混同されてしまっているような気がするんです。今、済みません、ちょっと言葉はあれですね、一般の行政職よりも学校の先生たちを優遇しなきゃいけない、でも、その割合が今〇・三五にまで落ち込んでいる、じゃ、それをまた一度ピークであった七点台に持ってくるには一〇%以上の教職調整額が必要だったというような説明がされているんですけれども、これはもう二つの法律の趣旨がごっちゃになってしまっていて、後づけでこの一〇%というのはそういうものだというふうな説明がされているように私はとても見えるということをちょっとまず、ここでは御指摘だけに留めていきたいんですけれども。

 令和元年に給特法の改正が一度行われていますが、このときは教職調整額には何も手がつけられていなくて、一応資料二をお持ちしましたが、このとき二つのポイントが挙げられています。一つが、一年単位の変形労働時間の適用と、もう一つは、これは、ガイドライン、その前に作られている在校等時間を記したガイドラインを指針に格上げするよというこの二つ。

 この二番目はいろいろ文科省の資料にも上がってきているんですけれども、まず、この一年単位の変形労働時間の適用というところなんですが、この改正の目的、二つのうちの一つと置いた割には、ちょっと、その後これがどういう成果を見せたのかとか、そういうことの記載がなかなかないんですね。

 これは、令和元年の国会質疑を見ますと、かなりこの変形労働時間を入れることについても問題視するような質疑もありました。これは元々、この変形労働時間制というのが、残業時間を抑制するというよりも、残業代を抑制する、多少オーバーに働く時間があっても、別のところで下げて、残業代が余り多くならないようにするという趣旨の制度であるはずなんです。

 これをここに入れると、より先生たちの勤務時間は大変になるんじゃないかというふうな、そういう問題もあっているんですが、ちょっとお尋ねしたいんですが、そもそも、令和元年の改正時にこの制度を導入しようとした目的と、そして、それの結果ですね、成果、この検証結果を教えてください。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 令和元年の給特法の改正におきましては、休日のまとめ取りの推進のために、一年単位で変形労働時間制を地方公共団体の判断によって条例で導入できるようにしたものでございます。

 文部科学省が令和五年の八月時点で行った調査におきましては、この一年単位の変形労働時間制につきましては、十二の都道府県と政令市におきまして条例を制定しているところでございまして、さらにその後、一つの県において条例が制定されたと承知しているところでございまして。また、この調査におきまして、実際に活用している教育委員会の約九割から、時間管理、ワーク・ライフ・バランスの意識が向上したというメリットを感じているという回答がございましたところで、本制度の導入による一定の成果は得られたと私どもは考えているところでございます。

竹内(千)委員 済みません、この問題に余り時間を費やすあれはなかったんですけれども、じゃ、今、その導入した自治体の、全体の割合は何%なんでしょうか。

望月政府参考人 自治体の割合ということでございましたけれども、全体は、一年間の変形労働時間制は十二の道府県、政令市において条例を制定しているという、そして、更に一つの県において条例が制定されたということでございますので、何%かというのは、済みません、直ちにちょっと申し上げることはなかなか難しいと思ってございます。

 あと、大臣の答弁に一点だけ補足をさせていただきますけれども、元々、この制度を導入しましたのは、一年単位で全体の我々が働く時間を考えたときに、全体として休日の増加などが、社会一般で確実に週休二日制というものが広まっていく中で、本制度を導入することだけで直ちに日々の教師の業務や勤務時間が縮減されるというものではないものの、学期中及び長期休業期間中の業務量の削減と併せて実施をすることによって、ほかの施策と相まって、働き方改革を進める選択肢の一つになるという観点から導入したものでございます。

竹内(千)委員 済みません、ちょっと私、今、今日、パーセンテージをここに持ってきていなかったんですけれども、パーセンテージは出ているんです。かなりこれは低いパーセンテージしか出ていないんですね。ですので、その中の九割というと、ちょっとニュアンスが変わってくるなと思って、今の意見を言わせていただきました。

 ここで私がこれを言ったのは、その改正の目的とかその成果がどうだったのか、じゃ、この変形労働制をこれからも推していくべきなのかとか、何か、そういう検証もされないまま次に進んでいくという、そのような姿勢を変えなければならないんじゃないかという問題意識で聞かせていただきました。

 次に、平成三十一年のガイドラインで概念が紹介されて、元年の改正で指針に繰り上げられた、在校等時間について伺います。

 ちょっと定義は省略をしたいと思うんですけれども、皆さんもう御存じだと思いますが、これは、超勤四項目に該当する以外のもので、休憩時間とかを抜いた後ですけれども、この業務を教師の自発的な判断により行った時間であって、労基法上の労働時間には含まれないという整理がされていると思うんですけれども、ちょっと改めて確認したいんですが、この自発的行為の、この自発的ということ、これは一体どういう意味なのか。義務的ではないから校務を行わなくてもいいという、そういう意味なのか、行わない自由というのが認められるのかをちょっと確認させてください。

望月政府参考人 在校等時間につきましては、正規の勤務時間、それに、校長が職務命令でいわゆる超勤四項目として職務命令を行った時間、そして、教員としては、どこまでが、その業務を勤務時間の中でやるのか外でやるかというのを、例えば子供の相談とか支援が必要な場合に、すぐさま時間によって切ることがなかなか難しいということから、自分自身で校務として学校において働いているという時間がございます。これを、校務として必要な従事している時間を捉えて在校等時間としてございますので、職務命令に基づくいわゆる時間外勤務命令も含めて校長の指揮監督にあるもの以外の時間も校務として従事している業務全体を捉えて在校等時間としているところでございます。

竹内(千)委員 今、私は、在校等時間が何かを聞いたのではなくて、在校等時間の中で、正規の時間ではなく、超勤四項目にも当たらない、休憩時間とかにも当たらないいわゆる校務、これを、自発的だからやらなくていいと考えているのかが知りたかったんです。

 これを、もしも、自発的行為だから対価は、自発的行為なので残業代は払われないと言っていて、もしそれでやらなくていいのであったら、学ぶ子供たちの教育を受ける権利というのは一体どうなるのだろうと思いますし、ここをやらなくてはいけないという整理をすると、超勤四項目以外に校長の指示は出せないという法の縛りにしておきながら、ながら、でも、ここは自発的にやっているんだというふうな整理の下、超勤手当は出せないと。これはもう論理が破綻しているというふうに私は思うので、今ここで言わせていただきました。

 私は、国会議員になる前は、弁護士として多くの労働事件も扱ってきたんですけれども、一般の労働事件で、例えば月四十時間、五十時間と残業していて、自発的行為だから時間外勤務は要らないよとか、そういうふうには絶対にならないんですよね。黙示の残業指示というものも認められます。知っていても黙っていたら、使用者は残業代のそういう厳しい規制を受けることになるんです。

 それが、就労の対価を伴わない在校等時間なる概念をつくって、そしてこれをこれから三割縮減しますという目標を掲げても、これが労働者、教員保護になるんですかと。甚だ私は疑問に感じます。

 それと、あと、文科省も、在校等時間は残業代の対象にはならないけれども、さすがに、勤務時間管理の対象にはなるというふうに整理をされていると思います。

 判例も同じことを言っていて、学校は、使用者として、教員がその生命身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をする。要するに、安全配慮義務の対象にはなるということを言っています。

 ところが、ちょっとこれは通告していないんですが、この準備の段階で、ガイドラインの中のQアンドAで、在校時間が八時間を超える場合に、労基法上与えなければならない休憩時間は一時間となるのかという質問に、アンサーが、所定の勤務時間と超過勤務命令に基づき勤務を行った場合の合計が八時間を超える場合以外で、在校等時間が八時間を超える場合には、休憩時間を直ちに一時間与えなければならないことにはならないとなっているんですね。これはちょっと矛盾すると思うんです。

 お金は払わなくてもいいけれども、健康のための、そのための管理だといいながら、どうして、在校等時間を含めて八時間を超えても、労基法上の労働者の安全を守るためのこの規定すら適用されないのか。これを教えてください。

望月政府参考人 労働基準法上の労働時間といいますのは、ここで言う管理職、つまり校長の指揮命令下に基づくものでございまして、給特法の仕組みの下では、教師がいわゆる超勤四項目以外の業務を所定の勤務時間外に行った時間は、時間外勤務命令に基づくものではないと整理をされるものと認識してございます。

 ただ一方で、管理運営に責任を有する校長や教育委員会は、教職員の健康を管理し、働き過ぎを防ぐことなど、所属職員の安全配慮を確保することについても責任を有しているところでございまして、時間外勤務命令に基づくものではなくても、教師が学校教育活動に関する業務を行っている時間として外形的に把握できる時間、これを在校等時間として、これを明確に位置づけまして、教育委員会と校長が管理し、それを業務量が多い場合には縮減すべきであるというものを示しているということでございます。

竹内(千)委員 私は、在校等時間が何かと聞いているわけではなくて、学校に長く仕事、校務であろうがお金が払われる業務であろうが、仕事をしている場合には労基法上の安全、健康面の部分については適用するように考えなきゃいけないんじゃないんですかというのが私の指摘でしたが、ちょっと時間がないので、次に行きます。

 今回の給特法の改正に、これだけ長時間勤務の実態がまだ継続している、それにもかかわらずなぜ給特法を維持するのかなんですが、多分もう答えが、済みません、ほかの質疑で見ていましたので、中教審のこの答申で合理性はいまだにという回答が来るんだろうなということを想定して、ちょっと時間がないので。

 新聞記事で、二〇二四年五月十三日付毎日新聞の記事で、改善に期待が持てる教職調整額の増、これは、中教審の委員の方で、教職調整額を増やすことに賛成の方の意見として出ているんですね。インタビュー記事が入っています。これは資料はないんですけれども、ちょっとだけ読み上げますね。

 残業代を支払う方向に仕組みを変えるのは難しいかということに対してこの先生が答えているのは、教員の業務は放課後や夜間、休日でも対応が求められる状況がある、一定の時刻にシャッターを下ろし、今日はこれで終了ですと言えない特殊性がある、残業代の対象となる時間外勤務と同じ扱いが難しいと言っているんですね。

 この特殊性というのは、学校の先生たちの業務というのはそんなものだから、もう長時間になるのは当たり前、だから残業代は払えないというふうな論理に聞こえてしまうんです。だから、とても私は、まあ、この先生の意見だけじゃないですけれども。

 逆に、同日の毎日新聞には、元委員の、元中教審の先生で、教職調整額に反対する方もインタビューも載せていましたけれども、教職には大きな魅力があるが、ブラック過ぎるのが問題だ、教員不足の根幹にあるのはやはり教職調整額を規定する給特法だというふうなことを言われています。

 だから、中教審が今まだ合理性があるからではなく、やはりしっかり政府として考えて、本当にこれでいいのかということを考える姿勢を持っていただきたいと思います。

 そして、時間がないんですけれども、労基法の観点から見たところなんですけれども、済みません、質問じゃなくて、私の話す時間が長くなっちゃいますけれども。

 労基法の三十七条の趣旨というのは、時間外労働割増し賃金を支払うべきことを使用者に義務づけて使用者に時間外労働を抑制させるというのがこの三十七条の趣旨なんですよね。それを給特法というのはそっくりそのまま適用除外にしているんです。

 もしこれが民間だったら、三十七条違反、割増し料金を払わなきゃいけないから、使用者は何とか残業を減らそうとするわけですよ。それでも払わなかったら労基法百十四条というところで付加金といって、未払いの残業代と同額の支払いを裁判所は命ずることもできるんです。そして、労基法というのは強行法規なので、AさんとBさんが、じゃあ僕らは残業代なしでやろうねって、こんなの無効になるという、それぐらい労働者を守っている法律なんですね。

 それをこの給特法はもうそっくりそのまま取っちゃっている。その趣旨が、教員の職務と教員態様の特殊性ですよ、こっちの要請が。こっちは時間外労働に、その先生たちを守ろうとする。これは一体どっちを選ばなきゃいけないのか。この点を、大臣の見解を聞かせてください。

あべ国務大臣 給特法に関しましては、公立学校の教師の職務と勤務態様の特殊性に基づきまして、公立学校の教師の給与その他の勤務条件についての特別法でございまして、労働基準法と勤務時間に関する考え方に違いがございます。

竹内(千)委員 それは私も分かっていますね。特別法で省いているから違うんですよ。だから、それがそのままでいいのかということを私は今問いたかったんですが、非常に残念です。

 もうあと五分ということが来ましたので、最後に、ちょっと変えて、教員の長時間勤務を減らすには、やはり教員不足が今どれぐらいなのかというこの実態を正確に把握しなきゃいけないということがあると思うんですけれども、令和三年に文部科学省は実態調査を行っています。二千六十五人の教師が不足しているということを、結果が出ているんですけれども、令和三年はしっかり全体の調査をやっていながら、令和四年、五年、六年というのは、各都道府県の教育委員会に、前年度と比べて改善されましたか、同程度ですか、悪化しましたかというアンケートで終わらせてしまっているんですね。

 もちろんこれは、やり取りの中で、現場のマンパワーが取られて大変だからという話はあったんですが、それよりもやはり、重要な、しっかりとここを把握しないと、どんな法改正をやっていくべきなのかということが分からないと思うんです。ちょっとその点について聞かせてください。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年度の、今ほどお話ありました調査では、一部の学校現場で年度当初に学級担任がおらず、校長、教頭等の管理職が学級担任を代替しているなどの指摘があったことを踏まえまして、特に年度開始当初の状況を把握するために、始業日時点及び五月一日時点の教師不足の有無について初めて全国調査を行ったところでございます。

 それ以降、年度後半の教師不足の状況等につきましては、各教育委員会からの聞き取りを通じて把握しており、年度後半の方が深刻化するという傾向もあると聞いております。

 年度後半も含め、今後どのような形で教師不足の実態について把握していくかにつきましては、学校現場の、今ほど御指摘がありました負担、こういったことも考慮しながら、各教育委員会から意見を聴取してまいりたいと思います。

竹内(千)委員 済みません、それは次に聞く質問の答えだったと思うんですね。

 次に聞くのが、この調査、四月の始業日時点と五月一日にデータが取られているんです。ただ、今私が最初に聞いたのは、その前段階で聞いたのは、令和三年だけ全体の調査がしっかりされているのに、四年、五年、六年がアンケート調査で終わらせているということの、ここの問題点を指摘したかったんです。

 令和七年はこれはどうするつもりかということを併せてお聞きしたいのと、今ちょっと先にお答えいただきましたけれども、四月の始業日時点と五月一日、これは、私の、現場の先生たちからも、四月の最初から正規の先生で足りないところを臨時で任用している先生たちで穴埋めをしているということなんですね。これはヒアリングのときも確認しています。そこの数字まで入れて、だから、その先生たち、正規が何人足りないかじゃなくて、臨時の先生たちまで入れてあと何人不足かという数字なわけで。その後にどんどんと、体調不良だったりとかいって先生たちがいなくなっていくと、年度後半の方がかなり教師不足は深刻化するんだという現場の声も聞いています。ちょっと今紹介はしないですけれども、論文の記事もあります。

 だから、四月と五月一日だけの数字ではとても正確な数字が取れるとは思わないので、これはお願いなんですが、年度後半の数字をしっかり取っていただきたいのと、あと、やはり、今これだけこの問題が重くなっているので、令和七年度はしっかりと実数調査というか、それを行ってほしいと思いますが、いかがでしょうか。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 先ほどは失礼いたしました。気持ちが先走り、済みません、失礼いたしました。

 今、先生からいろいろ年度後半の話や実際の現状把握についてのお尋ねがございました。今後どのような形で教師不足の実態について把握していくかにつきましては、現在、中央教育審議会で教員の質の向上についての議論をしているところでございます。そういった見直しの議論も含めながら、教育委員会や学校現場の負担にも考慮しつつ、効果的な実施、調査の方法又はそのタイミングについて、各自治体の実情も伺いながら考えてまいりたいと思います。

竹内(千)委員 ありがとうございます。しっかりとした実態調査をお願いします。

 教育は本当に大事です。今もう先生たちが、一部は過労死レベルという長時間勤務を続けていて、教員の仕事が魅力的に映らない、辞める、精神的に参ってしまう、ますます残った教員に負担がかかる、こういう負の連鎖を絶対に断ち切らなければいけないと思います。

 先ほども申し上げた、自発的行為だからこれは働いても残業代が出ないんだという、先生たちの善意、厚意、そこを搾取するようなことは、私はもうやめるべきだと思います。

 これ以上この問題を先送りする猶予は今の教育行政には私はないと思っていますので、真剣な改革をまた検討していただきたいと思います。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、五十嵐えり君。

五十嵐(え)委員 立憲民主党の五十嵐えりです。本日もよろしくお願い申し上げます。

 本題に入る前に、ちょっと、非常に重要な問題についてお伺いをしたいと思います。

 武蔵野東学園なんですけれども、三月十二日に私質問もさせていただきましたところ、その後、特段東京都が何してくれたということはないんですけれども、昨日の夕方、武蔵野東学園が卒業生らに七億円を請求したと。在学中に理事長を刑事告訴した生徒さんを含むということで、昨日の夕方、武蔵野東学園が七億円の訴訟を提起しましたということで公表をしております。

 昨日の夜十時頃、毎日新聞の報道が出ておりまして、「武蔵野東学園、卒業生らに七億円を請求 在学中に理事長を刑事告訴」ということで、ちょっと記事を読ませていただきますと、「東京都武蔵野市で学校を運営する学校法人武蔵野東学園(松村謙三理事長)は十五日、理事長を刑事告訴するなどした卒業生らに対する損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こしたと発表した。請求額は七億二千五百七十二万円で、今後増額する予定としている。保護者向け連絡アプリでも同じ内容を配信した。」と。学園長と事務長の連名で、訴訟の概要とする欄に、卒業生と保護者、学園について記事化した週刊誌記者ら、計八名の実名を被告として記載をしている、請求額には松村氏の損害賠償額三千三百万円を含むと。そういった記事が昨日の夜出ております。

 元生徒ということで、今、大学生ですね、大学に通っている生徒さんらを含む保護者らに七億円、余りにもちょっと高額で、スラップ訴訟で、脅しのような高額な訴訟じゃないかと思うんですけれども。こういうこと自体、公共性のある私立学校のやり方として正しいのかという点もありますし、ちょっとまだ請求原因がよく分からないので何とも言えないんですけれども、要するに、週刊誌の記者に学校の、強要されたというようなことを話をして、それについて訴訟を受けたりとか退学処分とかというようなことを受けるというのであれば、今改正法を議論されていますけれども、公益通報者保護法の観点からも問題があると思うんですよね。

 この点、三月十二日にも質問をさせていただいて、大臣、最後に、「私どもは、文科省として、本当に必要があれば、東京都に対して指導と助言を行っていくことが必要だというふうに思っております。」というようなことを御答弁いただいているんですけれども、これは本当に、昨日からも保護者の方から本当に悲痛なお声をたくさんいただきまして、この報道を見て、見せしめのようだ、子供が学校に通っているけれども、子供には悲しくてこんな事実は伝えられないと、保護者の方たちも生徒の方たちも本当に恐怖に震えているんですよね。そういう状況で、本当に、文科省にも助けを求めていますし、東京都にも助けを求めていますし、武蔵野市にも助けを求めていますし、昨年の二月に理事長が交代してから、現状、今このような状態が続いているんですけれども、本当に、文科省にも助けてほしいといった声を上げられているんですね。

 大臣、この点について見解をお伺いしたいと思います。この中継、保護者の方も生徒さんも見ていますので、是非、大臣、よろしくお願いいたします。御見解をお伺いします。

あべ国務大臣 武蔵野東学園の所轄庁は東京都でございます。そうした中で、当該学校法人に関する指導等について判断するのは東京都であるため、文部科学省が直接、当該の学校法人また学校に対して指導等ができないことは御理解いただければというふうに思います。文部科学省といたしましては、必要に応じて東京都に対して適切に助言等を行ってまいります。

 その上で申し上げますと、私といたしましても、この武蔵野東学園には、あくまでも子供たちの教育上適切な対応をお願いしたいというふうに考えております。

五十嵐(え)委員 本当に緊急を要しておりまして、被害者というか、命をなくす方も出るんじゃないかという本当に悲痛な声をいただいていますので、今、きちんと適切な運営をお願いするとおっしゃいましたけれども、本当に必要があればということで、今まさに必要なときで、緊急を要していると思いますので、しっかり東京都に、調査の上、そして是正指導を、指導助言でもいいので、しっかり行うように引き続き対応していただきたいと思います。

あべ国務大臣 本当に、委員の今のお気持ち、発言はしっかりと承らせていただきました。

 他方で、文科省から直接学園に対する指導の立場にないということは御理解いただきながら、また、前回、また本日、こうしたやり取りが委員会の中で行われたということに関しては、東京都にもお伝えさせていただきます。

五十嵐(え)委員 本当によろしくお願い申し上げます。

 本題に移りたいと思います。給特法でございます。

 本日午前中に吉川委員からもちょっと御指摘があった、触れられていらっしゃった点なんですけれども、附則三条について、私もちょっと気になる点を確認させていただきたいと思います。

 今日、資料をお配りをさせていただいておりますけれども、附則三条の書きぶりで、何を心配しているかといいますと、教職調整額というのが、四%、五%、六%から一〇%まで増えるということで今回の改正は予定はしているんですけれども、そこに、条件というか、学校の先生にお伺いすると、働き方改革がうまくいっていなかった場合にはこれを減らされてしまうんじゃないかといったことを実際に御心配に思っていらっしゃる先生がいるとのことでございます。

 なぜそう思うのかなというと、改正の附則の三条にこういうふうに書いてあります。政府は、附則第一条ただし書施行日以降二年をめどとして、公立の義務教育諸学校等の教育職員の勤労環境その他の勤務条件に関する状況、人材確保の動向並びに給与及び報酬等に要する経費についての財源の確保の状況その他の事情を勘案し、当該教育職員の勤務条件の更なる改善のための措置について検討を行い、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、附則第一条ただし書新給特法附則第二項の規定により読み替えて適用する附則第一条ただし書新給特法第三条一項に規定する教職調整額に係る率の変更を行うことを含めて、必要な措置を講ずるものとすると。

 要するに、勤労環境とか働き方改革の状況とか、そういうのを見て、政府が必要があると思ったときには、率の変更も含めて必要な措置を講ずる、こういった改正附則三条の書きぶりになっているんですけれども。

 これをちょっと文科省に事前に確認をさせていただいたところ、昨年十二月の教師を取り巻く環境整備に関する合意というところで、二というところ、中間段階、施行日二年をめどとしてのところですね。中間段階、令和九年度以降で、文部科学省、財務省両省で働き方改革や財源確保の状況を確認しながら、その後の教職調整額の引上げ方やめり張りづけ、その他のより有効な手段なども含めて真摯に検討、措置するという規定があって、これがその改正附則三条と同じという意味だというふうに伺ったんですけれども、この合意では、その後の教職調整額の引上げ方ということで、引上げというふうに書いてあって、下げることは書いていない、予定をしていないんですね。下げるということは書いていないんですね、この文言には。

 であるにもかかわらず、その附則第三条には、率の変更を行うことを含め必要な措置を講ずるということで、ただただ変更というふうになってしまっていて、ちょっとこれは、書きぶりが合意から落ちる、劣るのではないかというふうに思うんですね。下がってしまうことも当然文言としては変更に含むので、この改正附則三条の書きぶりだと、下げることも変更という意味で入ってしまっているんじゃないかということが懸念をされるんですね。

 なので、この点、ちょっと改めて確認をさせていただきたいんですけれども、合意では引上げ方と書いてありますけれども、附則三条では変更と書いてある。この変更というのは、状況によっては下げるということもあり得るのか、解釈として教えてください。

東大臣政務官 お答えいたします。

 教職調整額については、昨年末の大臣合意において、委員御承知のとおり、令和十二年度までに一〇%へ段階的に引き上げる、そして、令和九年度以降の中間段階で、働き方改革や財源確保の状況を確認しながら、教職調整額の引上げ方等について検討、措置する等としておりますけれども、こうした合意を踏まえて、本法案においては、教職調整額を毎年一%ずつ引き上げる、そして、附則第三条においては、令和十年一月以降を目途として、働き方改革や財源確保の状況等を勘案し、教員の勤務条件の更なる改善のための措置について検討を行い、教職調整額に係る率の変更を行うことを含め、必要な措置を講ずる旨を規定しているというふうに承知をしております。

 財政当局といたしましては、こうした合意、規定に基づき適切に対応していくということでございますので、御理解をいただきたいと思います。

望月政府参考人 昨年十二月の財務大臣と文科大臣との合意では、教職調整額の率を令和十二年度までに一〇%への引上げを行うこととする、そして、時間外在校等時間の縮減を条件づけをすることなく、令和七年度に五%にして、確実に引き上げていくということでございます。

 したがいまして、この合意に基づきまして今回の法律ございまして、法律の本則で一〇%にするということになってございまして、さらに、附則三条で、勤務条件の更なる改善について検討を行うと。それで、教職調整額の率の変更のみならず、ほかの政策も含めて、しっかり勤務条件の更なる改善を進めていこうということでございまして、教職調整額の率を、一〇%を変更するとかいうことになれば、これは法律に、本則で規定してございますので、まさに国会の審議でもう一度変更をしなければいけない、この法律のとおりだと、でございますですから、この教職調整額の率をこの規定に対して下げていくということは想定をしてございません。

五十嵐(え)委員 今、財務大臣政務官に、東大臣政務官にも御答弁いただきまして、ありがとうございます。そして、文科省にも確認をさせていただきました。

 下げることは考えていないということで、変更については基本的に引き上げる方向で考えていると。ちょっと細かいんですけれども、例えば、附則で一%となっているところを、例えば〇・五%引き上げるといったことも変更として含まれるんでしょうか、想定されていらっしゃるんでしょうか。引上げ幅の減少ですね。

望月政府参考人 この附則、原始附則の方で、令和十二年度までに一〇%にしつつ、それを附則で読み替えて、毎年度、毎度一%になってございますので、仮にそういったことがあれば、この場での審議が必要になるというものでございます。

五十嵐(え)委員 そうですね。改正、法律本体を、もちろん率を変えるときには変更が理論上はもちろん必要になるんですけれども、現時点で、この変更というのは、附則のとおり、毎年一%引き上げることを想定しているということでございますね。確認をさせていただきました。ありがとうございます。

 働き方改革のやはり確認の仕方、本日もいろいろ質問が出ておりましたけれども、やはり、本来は学校の先生の業務量を減らすということが目的であって、引き上げることがその主眼ではないので、減らすためにやることなので、やはり本当に減ったのかというのを確認しなければいけないという話があると思います。

 まず、働き方改革や財源確保の状況を確認しながらというところの、どうやって確認するかなんですけれども、実は先生から、負担がある、負担が多いというお話、今日の質問でもありましたけれども、やはりきちんと実態を把握するためには、教員勤務実態調査、対象が教職員の調査を個別にしっかりやってほしいといった声がやはりあるんですね。かつ、持ち帰り業務ですね、やはりこれが増えていたら意味がないということで、やはり、そういった働き方改革の進捗状況については、先生方からも教員勤務実態調査をしてほしいといった声があるんですけれども、この点について伺います。

望月政府参考人 勤務実態調査についてのお尋ねでございます。

 過去に行いました勤務実態調査につきましては、抽出された学校の教師一人一人が一週間における全ての業務内容を事細かく記録して、学校現場の負担もやはり大きい調査であったということが直接上がっています。我々が聞いている生の声からいくと、質問項目が多過ぎて記入の負担が大きい、調査に回答する時間により通常業務に支障が出ている、量も多く勤務時間内には回答できないという声がありまして、実際、勤務実態調査の中で、この調査にかかる時間というのが計測されているところでございます。

 他方、教師の在校等時間の客観的な把握が、令和元年のときの改正のときに、まだ校務支援システムがほとんど普及していなかった。五年間でこれは相当把握をできる状況下になってございまして、教育委員会の方も意識が高まってきている。

 今回、教育委員会の方で計画を策定することを通じまして、更にその客観的な把握、そして、それに応じた策を講じていくということになります。その中で、全国の教育委員会が確実に把握している、年間を通じて把握される在校等時間の状況について、文部科学省においてきちんと集計をすることが可能となってございますので、まずは、毎年度学校現場に負担をかけることなく、教育委員会を対象とする調査において、教師の勤務の状況を把握していきたいというふうに考えているところでございます。

五十嵐(え)委員 何より、きちんと正確な事実を把握しなければ対策もできないと思いますので、その点、しっかり確認していただきたいと思います。

 合意の五で、先ほどからもありますけれども、やはり、五年間で約三割、時間外在校等時間を三割縮減して、月三十時間を目標とすると。これもやはり、学校の先生にお伺いすると、計画があっても、結局やるのは現場任せ、自治体任せ、これだと、計画を立てたところで、目的が達成できないということですね。

 この点についても具体的な工程表が必要だと思いますし、やはり国として、きちんとこれを減らすんだということを、本来はそういった具体的な工程表などでしっかりと示すべきだと思うんですけれども、国として、時間外在校等時間をこの五年でまずは三割縮減、この点についてしっかり減らすんだということを現場に示していく必要があると思いますけれども、この点について伺います。

望月政府参考人 今回の法案が施行、お認めいただけましたら、施行される令和八年度以降は、時間外在校等時間の更なる縮減に向けた具体的な取組が実行されてくる。その状況を、しっかり国としてもその進捗状況をフォローアップして、次の改善につなげていくことは大事であるというふうに考えてございます。

 そのために工程表を作ってはどうかという、そうした御提案でございますけれども、国の指針に即しまして、全ての教育委員会が実施計画を策定することになるわけでございますけれども、学校や地域の実情がいろいろ状況が異なってございますので、国のしっかり意思としてそうした目標を定めていることを学校現場あるいは地域の方々に分かっていただくということは大事だと思ってございますけれども、逆に、自治体にとって、そうした工程表自体が一つの制約になって、地域のそれぞれの状況に応じた取組が、それがむしろ制約になって、足かせになったりすることのないような形を考えていかなければならないのではないかというふうに考えてございます。

 各教育委員会に対しましては、分かりやすく今回の法案の趣旨や目標とすべきところをお示ししていく、そうしたものを考えてまいりたいというふうに思ってございます。

五十嵐(え)委員 国として、しっかり先頭に立って現場に伝えていっていただきたいと思います。

 続いて、主務教諭ですね、この新設についても伺いたいと思います。

 これもやはり先生たちにちょっとお話をお伺いしますと、やはり、主務教諭ということを置くことで、僅かな加給と引換えに過大な業務負担を背負わされる危険があると。先生からは、授業を持たない業務を抱える教員を増やすというのは本質的な解決にならないのではないかとか、やはり、こういう主務教諭という中間的な役職が置かれることで、教員間の分断や、そして物言えぬ職員室をつくり出す危険があるんじゃないかとか、やはり、上から監視されている、管理されている、そういった構造になってしまうんじゃないかといったことを心配されている先生方もいらっしゃいます。そして、やはり、新たな職を導入することで、教諭の基本給、ほかの先生の基本給が減ってしまうのではないか、こういったことを心配されている先生もいらっしゃいます。

 なぜこういうことを心配されるかというと、東京都では、この主務教諭に似た主任教諭というのが導入をされておりまして、その一方で、ほかの主任教諭じゃない先生の基本給の削減も、新たな給与級が設けられたことで、ほかの先生の給与が減ってしまった、そういったことがあるということでございます。そのため、今回の主務教諭が新設されることによって、東京都で行われていた主任教諭という制度が他県にも広がってしまうんじゃないかということを心配されている先生がいらっしゃいます。この点、ちょっと伺いたいと思います。

 今回のこの主務教諭、東京都の主任教諭とは何が違うのでしょうか。ほかの先生の給与が減ってしまうのではないか、こういった心配について、御見解を伺いたいと思います。

望月政府参考人 今回の法案において創設します主務教諭についてのお尋ねでございますけれども、これは、現在、職として主務教諭という形ではなく行っている、教員間の調整を行っている方々が実際いらっしゃいます。その職務と責任に見合った適切な処遇を実現するために、給料表上の教諭と主幹教諭の間に新たな級を設けて、本給の改善による処遇をするというものでございます。

 東京都のいわゆる主任教諭というものも我々は一つ参考にはもちろんしてございますけれども、今回、国の方でこうした制度を考えております主務教諭につきましては、職の新設に伴い、教諭の職務や責任について特に変更を加えることは想定しておりませんで、教諭の基本給を引き下げることを考えているものではございません。

 主務教諭の創設に当たりましては、文部科学省令において定めている義務教育費国庫負担金の算定に用いる単価について、主務教諭に対応したものを新たに設定する予定でございますけれども、その際、教諭に用いている単価を減額する予定はございません。国庫負担上、教諭はこれまでと同様に算定されることになります。

 こうした趣旨、点について、地方自治体の方にも丁寧に説明してまいりたいというふうに考えてございます。

五十嵐(え)委員 引き下げることは考えていないという御答弁でございました。

 ただ、これは、置くかどうかは自治体が決めるもの、任意なんですよね。ということで、自治体が置いた場合に、実際に下げるような自治体が出てきてしまったら、文科省としてきちんと対応していただけるんでしょうか。

望月政府参考人 今回の主務教諭の、先ほど申し上げましたけれども、主務教諭の創設の趣旨、そして、給料表上の、やはり、その職務に応じた給与にする、給与を高めていくというような観点について、しっかり説明をしてまいりたいというふうに考えてございます。

五十嵐(え)委員 しっかり説明をした上で、しっかり、引き下げることは行わないというその文科省の方針、きちんと理解していただきたいと思います。

 今回、教職調整額が引き上がるものはあるんですけれども、一方で、義務教育教員等特別手当などが減る、減ってしまう手当もあるということでございますけれども、ほかにというか、今回の法改正に伴って、手当とか、引き下げるものがあるのかについて伺います。

望月政府参考人 今般の教師の処遇改善に当たりましては、教職調整額の改善を図るだけではなく、教師の職責や業務負担に応じた給与とする観点から、給与全体について検討を行ってございます。

 令和七年度予算におきましては、義務教育等教員特別手当と多学年学級担当手当を見直すことにしてございます。また、令和八年度以降、給料の調整額について見直すこととしてございます。

五十嵐(え)委員 済みません、見直すことというのは、実際に、どういう手当がどれぐらい減るのかについて御説明をお願いします。

望月政府参考人 今申し上げました三つの給与の見直しの内容についてでございますけれども、義務教育等教員特別手当につきましては、これは教職調整額と違ってあくまで手当ですので本給相当ではございませんけれども、大体本給の今一・五%ぐらいのものになっているのが、級と号によって少しずつ違っていますけれども、三分の一これを見直すということ、つまり、給料の一・五%から一・〇%ぐらいになるということ。

 多学年学級担任手当につきましては、これは日額で二百九十円措置されてございますけれども、今、チームが、学級の状況というのも、一人一人個別の子供たちの支援というのに当たっていますので、過去にあった多学年だけを担当する学級担任手当というものが状況にだんだんそぐわなくなってきているものから、これを廃止とするということ。

 それから、給料の調整額、これは特別支援教育に携わる教師に支払われる給料として、調整額として設けられているものでございますけれども、これは令和八年度からでございますけれども、これは一・〇から〇・五にするということでございます。この給料の調整額、特別支援に携わる方については、もちろんこれは、令和八年度から教職調整額が高まっていくという段階において、個人個人の給料が下がることがないようにという観点から七年ではなく八年というふうにしてございまして、通常の同じぐらいの年代であれば、一般の教諭よりも、やはり特別支援に携わる方の方が、この給料の調整額が半減することによっても、まだ少し高いという状況がございます。

五十嵐(え)委員 結局、その教職調整額がせっかく上がっても、ほかの手当で下げられてしまうものもあると。まあ、今御答弁で、トータルとして下がることがないようにといったお話だったと思うんですけれども、結局、ほかの手当を下げることで、やはり下がってしまうわけですよね。それではやはり今業務量が多い中で本末転倒というか、本当に減らすべきものなのか、その点などをきちんと見直していただきたいと思います。

 済みません、時間が余りなくなってしまったんですけれども、今日資料でもお配りをしておりまして、最近、先生個人が何かミスをした場合に、賠償請求、賠償責任を負うといったようなことが結構多発しておりまして、有名なのが、川崎市の、プールの水道の水を閉めるのを忘れてしまって何百万円も市に損害が生じてしまって、その賠償責任は先生が負った、何百万円も負担したみたいなお話があるんですけれども、昨年の七月に文科省から通知が出ております、今お配りしておりますけれども。これの方向性としては、本件に係る損害賠償責任が特定の教師等に生じることのないよう、積極的な取組を御検討いただくようにお願いしますということで、私としては、非常に、個人の先生のせいにしないということで意味があると思うんですけれども、ごめんなさい、この通知の趣旨だけ確認をさせていただきたいと思います。

望月政府参考人 御指摘の令和六年七月の、学校における働き方改革に配慮した学校プールの管理の在り方についての通知でございますけれども、昨今、学校プールの管理業務に関する教師等の負担が重くなっており、また、給水の止め忘れなどによりまして、教師等に対して水道料金の損害賠償請求がなされる事例も見受けられたところでございます。

 こうしたことから、令和六年七月、つまり昨年の七月に、学校プールの管理に係る教師等の負担の軽減に向けまして、指定管理者制度の活用を始めとする積極的な取組を御検討いただくことを依頼するために発出したものでございます。

中村委員長 五十嵐えり君、時間が来ております。

五十嵐(え)委員 済みません。

 時間がなくなってしまったので、やはり法律違反とか悪意があったりとかする以外の行為によってミスが生じてしまった学校の先生の責任については、ちょっとまた改めて質問させていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

中村委員長 次に、高橋英明君。

高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。

 大臣、本日もよろしくお願いいたします。

 では、早速ですけれども、大臣にお聞きしますけれども、今回の改正案で、なり手不足だとか定額働かせ放題だとか、様々な問題がありますけれども、こういったことがしっかりと解決できるとお思いでしょうか。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 現在の採用倍率の低下、特に、近年の大量退職、採用を背景とした構造的な要因があることが存在することに加えまして、教師を志す学生さんたちから、教師の長時間勤務、また処遇の実態、これが、教師の勤務環境に対する不安の声が大変あるというふうに承知しているところでございます。

 こうした不安の声を解消するためにも、学校における働き方改革の更なる加速化と、学校の指導、運営体制の充実、教師の処遇など、一体的、総合的に進めていくことが重要だと思っておりまして、今回の法案に盛り込ませていただきました施策を確実に実行するとともに、ほかの様々な施策も総動員することによって、教師の魅力を高めて、働く環境整備を進めていって、教師に優れた人材を確保することが促進されると考えております。

高橋(英)委員 じゃ、自信がおありだということでよろしいですか。

あべ国務大臣 しっかりと人材を確保することが促進されるというふうに考えております。

高橋(英)委員 今日、午前中からやっていますけれども、本当に様々な問題が出ておりましたけれども、非常に問題が多いんだなというふうに改めて感じさせていただいています。

 そして、まだこれからもこの質疑は続くんだと思いますけれども、これから出るものも含めて、今日出たものも含めて、しっかりと取り入れていただいて、よりよいものに仕上げていただきたいと思いますが、いかがですか。

あべ国務大臣 審議にしっかりと丁寧に答弁をしていきながら、頑張らせていただきたいと思います。

高橋(英)委員 分かりました。しっかり取り入れて、お願いをしたいと思います。そうしてくれるものと受け止めさせていただきましたので、よろしくお願いいたします。

 次に、これは各都道府県なんですけれども、今後、どんどんどんどん少子化も進んでいくんだろうなと思いますけれども、そういった将来を踏まえた採用計画というのはきっちりできているのでしょうか。

あべ国務大臣 任命権者でございます都道府県等の教育委員会におきまして、今後の少子化の動向等も踏まえた上で中長期的な視野に立った計画、この計画的な教員採用に取り組むことがまさに重要だというふうに思っておりまして、文部科学省におきましては、各都道府県等の教育委員会に対しまして、教員採用計画の策定の際に、少子化の影響また年齢構成なども踏まえた上で、今後の必要な教員数の見通しを精緻に分析をしていただいた上で、中長期的な視野に立ちまして計画的な教員採用を実施するようにこの通知におきましても依頼しているところでございまして、文科省としても、今後とも見通しを持った教員採用等が適切に行われるよう、各都道府県に対して助言等を行いながら、計画的な定数改善に努めてまいりたいというふうに思っております。

高橋(英)委員 ということは、文科省はしっかりと管理、把握をしていくということでよろしいですね。

あべ国務大臣 しっかりと各都道府県に対し助言等を行うとともに、計画的な定数改善に努めてまいります。

高橋(英)委員 しっかりと管理、把握をお願いをしたいと思います。各都道府県によって全然状況が違うんだろうというように思いますので、是非、しっかり把握しておいていただかないと大変なことになるんだろうと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、給特法の調整額、これを見たときに、第一感想なんですけれども、随分しみったれているなと思いました、やはり。皆さんも思っていると思いますけれども。四パーから一〇パーを六年かけて、一%ずつというのは、これはどういうことだろうなというふうに思いましたけれども、経緯に関してはこれまでの質疑で何となく分かりましたけれども、もう一回聞きたいんですけれども、何で段階的に上げていくんでしょうかね、この理由をお聞かせください。

望月政府参考人 教職調整額につきましては、令和十二年度までに確実に一〇%とし、それを、給特法の附則において一%ずつ段階的に引き上げていくこととしてございます。これは、教職調整額の引上げの年限につきましては、教職員定数の改善でありますとか、あるいは学校における働き方改革の加速化といった他の施策と一体的に進める必要があるということ、それから、地方自治体の財政状況にも急激な変化を与えないようにするということなどを総合的に勘案しまして、六年間で改善することとしてございます。

 なお、令和六年の人事院勧告では、一般行政職全体につきましては平均三・〇%、初任給については一二から一三%程度の改善が図られてございまして、さらに、教職調整額に加えて、学級担任への義務教育等教員特別手当の加算でありますとか、主務教諭の設置に伴う新たな級の創設など、処遇改善につながる他の様々な措置も講ずるところでございまして、それを総合的に勘案した上での一〇%を確実に支給するための段階的な引上げということでございます。

高橋(英)委員 全く段階的にやる理由にはならないのかなという気がしてしようがないんですけれども、何で他の政策とこの給料の値上げがリンクしていくのかもよく分からないし。というのは、何となくですけれども、先ほど五十嵐さんの質疑にもありましたけれども、義務的な手当なんかは下がるわけですよね、一・五から一%に。下がるものもあって、また上がるのもあろうかというふうに思うんですけれども、要は、何となく、財務省にまんまとうまくやられているような気がしてしようがないんですけれども、その点はいかがでしょうか。

望月政府参考人 今回の教師の処遇改善につきましては、教職調整額という、基本給に教師を取り巻く職責を踏まえた上乗せである本給相当の教職調整額をしっかり高めていく、これは、五十年以上改正されなかったものをしっかり高めていくとともに、教師の職責や業務負担に応じた給与とする観点から、一部見直しも行い、給与全体について検討した結果であるというふうに考えているところでございます。

高橋(英)委員 聞くところによると、これは最終的に一〇%まで調整額が上がっていくと、総額で八百億円ぐらいの規模になると聞いたんですけれども、間違いなく八百億円、これから一〇%に上がったときに、八百億円、予算が確実に増えているということがまず最低限の条件だと思いますけれども、何だかんだ言われて、何となくまたうまいこと丸め込まれないように、是非これはお願いしたいというように思います。

 あと、もう一点なんですけれども、先ほど小林先生からの質疑で、警察と月に六万円ぐらいの給与の差があるという話でしたけれども、やはり、警察、消防、自衛隊とか、あと教員もそうですけれども、これは国にとってめちゃくちゃ大切な職業だというように思いますので、絶対に警察とかと差をつけてはいけないというように思います。

 人づくりなくして国づくりなしとさっき言っていましたけれども、まさにこれは非常に大切なので、是非、次の検討が、令和十年でしたか、九年でしたか、あろうかと思いますけれども、こんなちまちま、一〇%なんかにこだわらずに、警察ぐらい、並ぶぐらいやっていただきたいんですけれども、その意気込みでも何でもいいですけれども、聞かせてください。

望月政府参考人 公的な他の職種と同じ教師を比べることはなかなかできないとは思いますけれども、自衛官や警察の方が国を守る仕事であれば、教師はまさに子供たちに直接関わって国をつくっていく仕事であるというふうに考えているところでございます。

 そうした職責の重要性に鑑みれば、今回の、五十年以上の改正が行われなかった教職調整額というものをしっかりと高めていくということ、それから他の処遇改善も併せて行っていく、そして、処遇改善だけじゃなく、しっかり働きやすさを確保するための働き方改革を並行して進めていくということを、これは、国だけでなく、地方公共団体、学校、それぞれの役割分担の中でしっかりやっていく、それをちゃんと見える化してフォローアップしていくことが大事かと思っているところでございます。

高橋(英)委員 もう教育が大事だというのは全国会議員が分かっているので、全員がフォローしてくれると思いますので、ちょっと気合を入れて頑張ってください。こんなんじゃ足らない、本当に。是非お願いしたいというように思います。

 次に、労務管理についてちょっとお聞きしたいというように思いますけれども。

 まず、労務管理をやるに当たって、教師がやるべき仕事とやらなくてもいい仕事というのを明確に分けるのは当たり前だと思うんですけれども、今、教師がやらなくてもいいような仕事までやっているから大変な部分もあろうかと思いますが、まずこれをやるのは当たり前の話で、それともう一つに、一つだけじゃないですけれども、補教業務の量の可視化というのが大切になってくると思うんですけれども、補教業務の可視化についてどのようにやっていくか、これは労務管理をやる上で大切ですので、お願いいたします。

あべ国務大臣 補教とは、担任の教員が病欠、出産などで不在のときに、ほかの教員が代わりに授業を行うことを指しておられるというふうに承知をしているところでございまして、校長は校務をつかさどって所属職員を監督するものでございまして、校務が円滑に行われるように教師の勤務実態、また欠員状況等を把握しながら、教育委員会とも適切に連携を図りながら、教師の業務量の最適化、また必要な環境整備等に取り組むことが必要でございます。

 こうした中で、各教師が担当する授業こま数や、代わりに授業を行った場合にはその状況につきましても、校長が適切に把握する必要があるものと私どもは考えております。

高橋(英)委員 聞けば、そのこま割りですか、こま割りするだけでも大変だというのも聞きましたけれども。

 あと、では、今の話でいくと、もう補教業務は可視化されているということでよろしいんですか。

望月政府参考人 校長の勤務の割り振りによりまして、また校務分掌によりまして、どの教員がどの授業を担当し、一週間にどれだけ授業を担当するかということは、それはもう学校として当然明らかになっているところでございます。

 その上で、大臣から御答弁させていただきましたけれども、教師は、授業は大事でございますけれども、授業以外でも、生徒指導や進路指導その他の学校の学級の運営に関する業務など多岐にわたる様々な業務を担当して、それが、一人一人の子供たちのきめ細かな支援や、あるいは見取りとなっているものでございまして、そうした授業以外の学校の多様な状況も踏まえながら、授業のこま数の設定以外の生徒指導などの負担の大きい校務というのも先生が行っている状況も鑑みまして、校長のリーダーシップの下で適切に校務分掌を考えていただきたいというふうに思ってございます。

高橋(英)委員 労務管理をしっかりやるのには、やはり持ち帰り業務というのはあったら駄目ですよね。これはもう何となく文化みたいな感じがするんですけれども。うちの妻も、塾の先生みたいなことをやっていて、やはり持ち帰って採点とかしているんですよね。これ、禁止した方がいいと思いますが、いかがですか。

望月政府参考人 持ち帰り業務についてのお尋ねでございます。

 これは、持ち帰り業務は基本的には行わないようにするということを方針を示しまして、令和元年度の給特法の改正の際に位置づけました文科大臣の指針にも明確にしているところでございます。

 ただ、一方で、令和四年度の勤務実態調査でも、やはり三十分程度の持ち帰り時間は発生しているところでございまして、これは、持ち帰り時間、業務そのもの自体をできる限り減らしていくということが、やはり減らしていく必要があると思ってございますので、そのために、学校のそうした業務の、全体の業務の縮減あるいは適正化、そして働き方改革というのを実行することによって、持ち帰りの業務を減らしていくことが大事かというふうに考えてございます。

高橋(英)委員 何で聞くかというと、これ、明らかに個人情報だと思うんですよね。含まれているとね。個人情報を家に持ち出してきているのと同じようだと思うんですけれども、これ、今まで全然問題になったことはないんですかね。

望月政府参考人 教師が持ち帰って行う仕事一つ一つを、どのようなことをやっているか、我々が把握しているわけではないんですが、持ち帰りをしている中には、自分の授業準備のための、教材を作成しているような、個人情報に関わらない、それもあると思いますけれども、個人のテストの採点の一部が残ってしまったものとかもあると思います。そういう意味では、個人情報に関わるところもございまして、個人情報というものはしっかり確保しながら学校のDXを進めていく必要があるのはもっともでございます。

 ですから、そうした個人情報が万が一流出したりすることは、これはもう本当に大変なことでございますので、そうしたプライバシーに関わるものについて基本的に持ち帰るということはないようにしなければいけないのは、ごもっとものとおりでございます。

高橋(英)委員 じゃ、ちょっと確認。今までそういったことで問題になったことはないということなんでしょうか。

望月政府参考人 具体的にそうした調査を我々の方で行っているわけではございませんけれども、やはりいろいろな報道等でも時々、個人情報に関わるような資料でありますとか、あるいは個人情報が含まれているような、そうした業務について持ち帰ってしまっているということがあることは仄聞しているところでございます。

高橋(英)委員 十分に注意というか、これはもう本当にやめた方がいいというように思いますので、その辺は徹底した方がいいと思います。

 そして、やはりこれをきっちりやらないと、労務管理はできないですよね。ということは、やはり、頑張って一生懸命やっている人間たちの評価がなかなかできないと思うんですよ。やはり労務管理をしっかりして、頑張っている人がきっちり報われるようにならないと駄目だし、そして、それが明確になったら、しっかりボーナスとかにプラスアルファをするべきだというように思いますが、いかがでしょう。

あべ国務大臣 公立学校の教師も含む地方公務員におきましては、地方公務員法の規定を踏まえまして、職員の能力また業績を的確に評価することで職員一人一人のモチベーションの維持向上、人材育成に取り組むために人事評価制度が導入されておりまして、この人事評価制度を通じまして、一人一人の教師の能力また業績でございますが、昇給また勤勉手当に適切に反映されて処遇上もしっかり報われるようにしていくということは、頑張る教師を応援しながら、また、学校教育全体の信頼性を高めていく上で大変重要なことだと私どもも考えているところでございます。

 文部科学省といたしましても、これまでも機会を捉まえて、各教育委員会に対しまして人事評価とその結果の勤勉手当などの活用を促してきたところでございます。頑張っている先生方、教師に報いるための基本的な制度である人事評価制度をしっかりと活用させていただきながら、また、地方公務員法に基づいた、適切に運用いただくように、引き続き、私ども文部科学省といたしましても、各教育委員会に対して指導を徹底してまいりたいというふうに思います。

高橋(英)委員 やはり、一生懸命やって報われないんじゃ、なり手なんか、大臣が言う優秀な人材なんか集まるわけないというように思いますので、これは口だけじゃなくて、しっかりと数字で明確に出してやった方がいいですよ、金額で。是非お願いをしたいというように思います。

 ちょっと順番を変えますけれども、今年、十年に一度の学習指導要領の改訂の年だというように思いますけれども、前回か前々回だか大臣に質問しましたけれども、やはりこれは、国として明確な教育の目的、ビジョンというのをまず掲げないと、学習指導要領も、それに対して各教科がぶら下がっていくものですから、そこのところが明確になっていないと駄目だというように思うんですけれども、その点を教えてください。

あべ国務大臣 今後の学習指導要領の在り方に関しましては、学校教育法の定める教育の目標を踏まえまして、昨年十二月に中央教育審議会に諮問を行わせていただきました。

 また、諮問におきましては、今後想定される変化の激しい社会においては、自らの人生をかじ取りする力、これを身につける必要があることを始め、広範にわたる問題意識をお示しさせていただいた上で、これからの時代にふさわしい学習指導要領の在り方についての検討をお願いをしたところでございます。

 その後、専門的な審議を行う場として、教育課程部会に特別部会を設置をさせていただきまして、まずは改訂に関わる基本的な方向性、また、教科等横断的な事柄に関しまして、各教科等の個別の論点に先立って審議を行っているところで現在ございます。

 子供たちが新たな時代に求められる資質また能力をよりよく身につけることができるよう、引き続き中央教育審議会での議論を通じまして検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

高橋(英)委員 何だか余計分からなくなってきちゃいましたけれども。やはり、もうちょっと分かりやすいビジョンというか目的ですね、そういうのを掲げてやって、学習指導要領を私も読んだことがありますけれども、まあまあ、結構すごいですよ、量が、あれは。あれに基づいて学校の先生たちが動くんだろうというふうに思いますけれども、もうちょっと分かりやすく作るべきだというように思いますし、もうちょっと何か、こういう目的というのも分かりやすくやるべきだと思いますので、いかがですか。

あべ国務大臣 中教審におきましては、教育基本法また学校教育法に規定されますところの教育の目的と目標を踏まえた上で、自らの人生を、先ほども申し上げましたように、かじ取りする力と持続可能な社会のつくり手となる資質と能力を育むために広範にわたる審議が行われているところでございますが、具体の審議事項は多岐にわたりますが、例えば今、情報活用能力の抜本的向上、さらには質の高い探求的な学びの実現、国家、社会の形成者として主体的に社会に参画するための教育の改善など、新たな時代にふさわしい教育について議論を今進めていくことになります。

高橋(英)委員 是非、そういった人生のかじ取りをできる方々を育成できるような学習指導要領にしてください。

 あと、これは、やはり、これからの時代という話ですけれども、必ず外国人問題は入れるようにしてください。やはり、これからの時代ですから、是非、その辺の点も中教審に言ってください。お願いします。

 次に行きますね。

 三月二十五日、高校一年生の教科書の検定結果が公表されたと、三月二十六日の、これは一斉に載っていましたね、新聞各社、載っていましたけれども、その中で、夫婦別姓問題がすごい多く取り上げられていたと書いてあったんですけれども、これは令和八年の教科書なんですよね。夫婦別姓は、まだ国会でもこれからだと思うんですけれども、何ゆえこれは令和八年度の教科書に載っていて、検定で何にもこれは出なかったんでしょうか。

あべ国務大臣 今回、検定合格いたしました高等学校の教科書におきましては、選択的夫婦別姓制度に関しまして、実は、公民科、家庭科において、様々な意見があることなどが記載されております、というふうに承知しております。

 教科書におきまして、学習指導要領を踏まえ、どのような事柄を取り上げ、どのような記述をするかについては、欠陥のない範囲におきまして、民間の各教科書発行者の判断に委ねられるものでございまして、その上で、今回、検定合格した全ての図書の記述に関しては、教科用図書検定調査審議会において学術的、専門的見地から慎重に審議された上で合格と判断されたものでございまして、適正に検定がなされたものであると認識をしているところでございます。

高橋(英)委員 では、この国会で結論が出たら、それと違うものであったら、これは訂正するわけですよね。

望月政府参考人 教科書において、学習指導要領を踏まえ、どのような事柄を取り上げ、どのように記述するかについては、欠陥のない範囲におきまして、民間の各教科書の発行者の判断に委ねられているところでございますけれども、今の高橋委員御指摘の選択的夫婦別姓制度、令和八年度から使用される高校の教科書というのは、今現行で使われている教科書の二回目の検定でございまして、今使用している教科書を一部改訂する形になります。

 今でも夫婦別姓制度について記述しているところがございますけれども、例えば、一番採択率の高い高等学校の家庭科の教科書なんかを見てみますと、法律で夫婦同姓を義務づけている国は日本以外に見当たらない、日常生活での旧姓使用が認められない場面もあり、あえて事実婚を選択する人もいるという記述がある図書の中に、一方で、夫婦や家族の一体感、家族よりも個人が優先されることへの危惧などが上がっているなどの意見も併記して、併せて載せていたり、あるいは、別の教科書では、選択的夫婦別姓制度を説明した後、一方で、選択的夫婦別姓制度を導入すると、家族の一体感の薄れや子供への影響、相続問題も生じるとして導入に反対する意見もあると。

 いろいろな教科書の検定におきましては、学習指導要領を踏まえて、民間会社が作ってきたものも指導要領を踏まえて、子供たちに誤解がないような形で検定を行ってございますので、事実が、それが間違っているということではなく、そうした意見もあるというものについては、これは許容されるところでございます。

高橋(英)委員 でも、これは、この国会で結論が出たらどうなるのか、ちょっと分からないですけれども。教科書が、その点、どういうふうになるのか、ちょっとこれはもう一回考えていただいた方がいいかなというように思いますので、是非お願いをいたします。

 それと、これ、教科書なんですけれども、前回も聞きましたけれども、領土問題、拉致問題、これらはしっかりと、載せるだけではなくて、学習させているのか。近代史というのは余りしっかりやっていないイメージがあるので、その点、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 領土問題と拉致問題についてでございますが、我が国の将来を担う子供たちが自国の領土、また拉致問題について正しく理解できるようにすることは極めて重要なことだと私どもも考えております。

 高等学校の教科書の領土に関する記述につきましては、学習指導要領を踏まえまして、地理総合、また公共の全ての教科書で、北方領土、竹島、尖閣諸島が我が国固有の領土であることなどについて記載されています。

 また、北朝鮮当局による拉致問題に関してでございますが、人権教育・啓発に関する基本計画において人権課題の一つとして位置づけられておりまして、高等学校の公共の全ての教科書で取り扱われているものと承知をしているところでございます。

 教科書は、児童生徒の教授の用に供せられる主たる教材といたしまして使用義務が定められておりまして、各学校においては、教科書に基づき適切に指導がなされているものと承知をしているところでございます。

高橋(英)委員 余り時間がなくなってきちゃいましたけれども、これは、授業で教えている、ただし、やはり学校によって濃淡があるという話なんですね。これは、淡じゃ困っちゃうので、濃になってもらわないと困っちゃうので、是非、大学入学共通テストとかに、試験で出していただければ、これはもう各学校、濃淡の濃の方になると思いますので、その点、いかがでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 大学入学共通テストは、高等学校段階におきます基礎的な学習の達成の程度を判定し、大学教育を受けるために必要な能力について把握することを目的としているところでございます。この目的を踏まえまして、大学入学共通テストにおける問題は、高等学校学習指導要領に準拠するとともに、高等学校で使用されている教科書を基礎として作成をされているところでございます。

 大学入学共通テストにおける実際の出題内容につきましては、これらのことを踏まえつつ、実施者である大学入試センターにおいて適切に判断されるべきものと考えてございます。

高橋(英)委員 でも、大学入学共通テストというのは文科省も関わりがあるはずだと思いますけれども、違いましたか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 この大学入試センターは、文部科学省が所管してございます独立行政法人でございますので、その上では、当然文部科学省として関わりはあるところでございますが、実際に、テスト問題、どういう出題をしていくのかということについては、独立行政法人である大学入試センターにおいて、その責任において適切に実施をすべきものになってございます。

高橋(英)委員 一言言えば何とかなるんじゃないですか。そう思いますので、是非お願いしたいというように思います。

 ちょっともう時間がないんですけれども、今度、新しく教育委員会で作る実施計画ですか、これは罰則規定等々がないんですけれども、改ざんとか隠蔽とか、やはり学校というのはそういう体質がどうしても拭えない部分があるんですよね、これまでを見ていると。その辺、罰則規定は設けられないのか、ちょっとお聞かせください。

あべ国務大臣 公立学校、教育委員会が改ざんや隠蔽を行うようなことはあってはなりません。

 本来、校長や教育委員会は、把握した勤務実態を確認をして、保護者、地域も含めた社会に対してその状況を公表しながら、業務や環境整備等の状況を検証、改善しながら働き方改革の実効性を高めていくことがその本来の役割であります。

 こうした考えから、今回の法案においても、計画の公表を定めているところでございまして、この法案をお認めいただきましたら、改ざんや隠蔽が行われないように、こうした趣旨について、各教育委員会に対して指導を徹底してまいります。

高橋(英)委員 各教育委員会から、まあ要は現場ですよね。私、市会議員をやっていたときに思ったんですけれども、空き教室とかが結構出始めた頃なんですね、結構都市部に住んでいますけれども。そうすると、やはり、空き教室の有効活用をどうしようと考えるわけですよ。でも、学校の先生は絶対嫌がるんですよね、部外者を絶対入れたがらないんですよ。やはり自分たちのものなんだなという意識がすごい強いんですね。そんなわけないんですけれどもね、町のものなのに。

 だから、そういった隠蔽体質みたいなのが必ずあるんだというように思いますので、是非、その点を注意していただきたいと思いますけれども。手を挙げているので。

あべ国務大臣 先ほど申し上げたように指導を徹底しますが、その上で申し上げれば、今回は御指摘の点に関して罰則は設けてございませんが、万が一、公立学校、教育委員会が計画の公表に当たって改ざん、隠蔽を行った場合には、関係者は、信用の失墜行為として、地方公務員法上の懲戒処分等の対象になるものと考えております。

高橋(英)委員 もう時間ですので終わりにしますけれども、やはり余幅がないといい仕事はできませんから、教育現場の環境改善、しっかりとお願いをしたいというように思います。

 では、今日は終わります。

中村委員長 次に、うるま譲司君。

うるま委員 日本維新の会のうるま譲司です。

 通告しておりました九番、一番最後のところから、大臣質問ではございませんので、一番最後の九番の特別支援学級の教員の調整額加算のところから先に質問させていただきます。

 先日の毎日新聞の報道で、今回、教員全体の調整額を一〇%へと引き上げる一方で、特別支援学級の担当教員に対する従来の調整額加算三%が引き下げられるとの報道がございます。

 このようなつけ替えは、特別な支援が必要な子供を担当する教員の職務の重要性や負担に見合っておらず、本末転倒ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の教師の処遇改善に当たりましては、教職調整額の改善だけでなく、教師の職責や業務負担に応じた給与とする観点から、給与全体について検討を行っているところでございます。

 今御指摘の給料の調整額につきましては、特別支援学校、特別支援学級及び通級による指導に関わる教師に支給されるものでございますが、近年、通常の学級にも特別支援教育の対象になる児童生徒が非常に多くなってきているなど、全ての教師が特別支援教育に関わることが必要になってきていること、また、教職課程におきまして、特別支援教育に関する科目の必修化も行われたこと、採用後十年までに特別支援教育を二年以上経験するよう文部科学省としても通知をして、皆が特別支援教育に関わる、そうした意識も高まってきているところでございます。こうした教員養成などの取組も進んでいることなどの状況の変化もございまして、こうした点を考慮し、今般の見直しを図ることとしてございます。

 こうした背景を踏まえまして、中教審答申におきましても、この点、負担と処遇のバランスに配慮した見直しの必要性が提言されているところでございます。

 教師の給与全体を検討する中で、教職調整額の一〇%への引上げ等を踏まえつつ、引き続き、他の教師と比較し、一定の特殊性もあるということから、これは全くの廃止ということではなく、半減する方針としまして、個人個人にとって給与が下がることがないように、令和七年度ではなく、令和八年度から二年かけて行うことにしているところでございまして、教職調整額が高まっても給料の調整額が下がるのではないかというところに関しましては、個人個人のそうした給与の処遇の改善とともに、教師の職責や業務負担に、給与全体から検討してもらうというふうに御理解いただければと思ってございます。

うるま委員 通常の学級でも、恐らく、共に学び、共に育つ教育を進めていくということで、通常の学級の先生も特別支援に近いようなことをたくさんやっているからという答弁ではございましたが、一方で、やはり特別支援学級では、子供の様々な特性に応じてそれぞれに合った教育も行っているという、そういう重要性だとか専門性、負荷が高いと思っておりますので、ここは文科省も、そのとおり、引き続き重要性はあるというところは認めているところであるのでしょうか。ちょっと再質問で聞かせていただきたいです。

望月政府参考人 うるま委員御指摘のとおり、今後更に通常の学級にも特別支援教育の必要なお子さんも増えていく可能性も高いと思いますし、また、そうした資質をどの教員にも持っていただくことが必要だと思っています。

 一方で、そうした特別支援教育に直接携わっている学校の先生方にとって、給料の調整額というものがございますけれども、これを全く廃止するのでなく半減している、個人個人にとっては、これが、給与が下がることがないような、そうした措置を取ってございまして、一定のそうした特別支援教育、特別支援学校に携わっている先生方にとってのそうした業務の状況というものを勘案しているものでございます。

うるま委員 ちょっと、特別支援学級の重要性はまだしっかりとあるというところはお答えいただいていないかと思うんですけれども、やはり加算は必要だと思いますので、その点、意見として申し上げさせていただきます。

 おっしゃるとおり、通常学級で共に学び、共に育つ教育を行う上で、担任の先生もやはり負担が増えていると思っております。それを助けるための補助の、特別支援の支援員というんですかね、こういった方々との連携も含めて、同じ教室にいる補助員たちとの連携ですね、こういった連携も含めた教育環境の充実や拡充、通常学級の担任の先生のために、負担を減らすためにそういった拡充や充実も必要だと思いますが、その点に関して、国の、文科省の認識をお伺いします。

望月政府参考人 各学校におきましては、校長のリーダーシップの下で、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒を支援することができるように、関係する教職員が連携し、組織的に対応するということが必要であると考えてございます。

 そのため、きめ細かな指導等を可能とするための教職員定数の改善、そして、今御指摘ございました特別支援教育支援員、外部専門家の配置や、特別支援学校のセンター的機能による支援の強化などを行ってございます。

 具体的には、公立の小中学校における通級による指導の基礎定数化として、平成二十九年度から十年間で、児童生徒十三人に教員一人を開始するとともに、外部専門家の配置事業としては、令和七年度は、昨年度より増加して五百六十人分、そして、特別支援教育支援員の配置に係る経費の地方財政措置につきましても、令和七年度から、令和七年度に増加しまして七万六千四百人分、特別支援学校のセンター的機能の強化に係る教職員定数の改善、これを小中学部、高等部それぞれに行っているところでございます。

 加えて、学級担任が特別支援教育支援員とも連携し、適切な指導に当たるためには、やはり特別支援教育に係る専門性向上も重要でございまして、各自治体等における特別支援教育に関する研修の充実を図ることなどを促しているところでございます。

うるま委員 通常学級の担任の先生からは、共に学び、共に育つ教育を進めていく上で、やはり今現実に負担は大きくなっているという声もいただいておりますので、しっかり、その辺、よろしくお願いいたします。

 通告一番に、順番どおりに戻らさせていただきます。

 一月の朝日新聞の報道では、教員増員の方針について、文科省は、令和七年度に六千人の教員を増員するとし、また、小学校における教科担任制の拡大に伴い、四年で六千六百人、中学校の三十五人学級導入によって、令和八年度からの三年間で約一万七千人を増員するとしております。この記事は、さらに、これらの教員の増員は、財務省との折衝の中で、教職調整額の上げ幅よりも強くこだわった、文科省が最も重視した政策であるというふうに記事に書かれております。

 文科省は、教職調整額の上げ幅も大切だけれども、とにかく人手が足りない、人が足りないという現場の声もあるということで、ここをすごく重要視をしたということで理解しておりますが、そこで、今回予定されている教員増員の規模、大臣合意ベースのですね、その全体像と、これによって働き方改革にもたらされる具体的な効果、そして本当にこの増員計画が実現可能なのか、本当に必要なところにしっかりと人が配置されるのか、国としての見通しをお伺いしたいと思います。詳細にお答えをお願いいたします。

望月政府参考人 うるま委員の方から新聞報道についてございましたけれども、我々文部科学省としては、今の学校の働き方改革、そして教職が魅力あるものとなって優秀な人材がしっかり教職に就いていただく、そしてなるべく離職しないで子供たちと向き合っていただきたいというためには、学校の全体の環境を整備するという観点から、教職員定数を改善することが大事であるし、そして教師の処遇改善も大事であるということで、定数だけが大事であるということではなく、まさに働き方改革も含めて三位一体で、定数の改善、処遇の改善、働き方の改善、これを全体として進めていくということを方向として持っているところでございます。

 その上で、教職員定数の改善につきましては、令和七年度予算につきまして、小学校における教科担任制の拡充といたしまして九百九十名、中学校における生徒指導担当教師の配置拡充として千名、小学校三十五人学級の、これは完成といたしまして三千八十六名など、過去二十年間では最大となる五千八百二十七名の定数改善を計上いたしまして、先ほど申し上げました教科担任制などにつきましては、しっかり四年間で計画的に推進するということも財務省とは合意できてございまして、令和七年度予算を含め改善総数は六千六百名を予定しているところでございます。

 加えて、財源確保と併せて、令和八年度から中学校における三十五人学級の整備を行うための定数改善を大臣合意はしてございまして、その詳細については今後検討してまいりたいと思ってございます。

 効果についてのお尋ねがございました。

 これらの定数改善によりまして、とりわけ持ちごま数の多い小学校につきましては三・五こま程度の持ちごま数、教員一人当たりの持ちごま数の軽減や、中学校が生徒指導上の課題が多いわけでございますけれども、そうした生徒指導上の課題が多い中学校では生徒指導体制の強化が図られるなど、まさに働き方改革とともにきめ細かな指導が更に可能となるような指導体制の充実ができるものでないかというふうに考えてございます。

 この点、教師を取り巻く環境を整備していくことは、これは今後とも大きな課題であると考えてございまして、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思ってございます。

うるま委員 ありがとうございます。

 これは、詳細、説明いただきましたけれども、一時的な人員増であると思うので、やはり、これを継続的にずっとやっていくためには、義務教育法を見直して、教員の定数、こちらの改善も必要なのかなとは思います。

 人をたくさん採っていくということでなっておるんですけれども、今人手不足とか言われている中で、しっかりと人材確保策としていろいろとやっていかなければならないんですけれども、我々も、維新の会が本会議登壇で質疑で提案した、四つ項目を提案をさせていただいたんですけれども、そのことについて、総理からも答弁ありましたけれども、更に詳しくその四つについてお伺いしたいと思います。

 これはこの今日の委員会でも何度も議論されていることですけれども、まず一つ目の人材確保をやっていくための提案として、保護者対応に対する専門家支援チーム、スクールローヤーの導入に対して、総理からは本会議場で、経験豊かな管理職OBなど様々な専門家と連携した行政による支援体制の構築を進めると答弁がございましたが、具体的な予算規模であったり体制整備の進捗状況についてお伺いいたします。

望月政府参考人 学校のみでは解決が難しい事案の対応に当たりましては、教育委員会が学校に任せることなく保護者等から直接相談を受けたり、学校関係者が専門家に随時相談可能な体制を構築したりすることができる体制を整備していくことが大事であると考えてございます。

 令和六年度よりモデル事業を実施し、令和七年度予算においても約七千四百万円を計上しているところでございますけれども、モデル事業を実施している自治体からは、コーディネーターの活用が職員の負担軽減につながっているというお声、あるいは、早期に専門家とつながるということが課題の早期解決につながっているなどの声が出ていますけれども、我々としても、引き続き、こうした事例における成果はしっかり把握して、横展開をしたいというふうに考えているところでございます。

 あわせまして、そうした保護者対応においては、やはりスクールローヤーも一定の効果があると考えてございまして、先ほども答弁させていただきましたけれども、教育委員会の法務相談経費について普通交付税措置を講じているところでございますが、配置しようとしている自治体からは、学校の実情に理解のある弁護士の探し方がちょっと分からない、そうしたお声もあったり、我々としても課題も把握をしたりしてございます。

 手引の作成や、スクールローヤー配置アドバイザーといった弁護士の方に、直接文科省の方にそうした御相談があったときには、そのアドバイザーの方が御相談を受ける、そうしたこともしてございますけれども、いろいろな現場の実践での課題や成果などもこちらも把握していきながら、各教育委員会における配置充実に向けた支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。

うるま委員 こちらは先ほども質問があって、特に市町村での普及率が低いというところを数値で、一七%ぐらいでしたか、お答えいただいたので、しっかり普及できるように進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 我が党が本会議登壇質疑でさせていただいた二番目の提案、部活動を引き受ける教員に対して、現在は土日などの指導には若干の手当はつきますが、それとは別に、平日の指導も含めてしっかりと対価の支払いを認めるということはないのか、改めてお伺いさせていただきます。

望月政府参考人 部活動指導手当についてのお尋ねでございます。

 部活動指導手当は、本給等に加えまして、土曜日、日曜日等に部活動の指導に従事した場合に、特殊勤務手当として支給されているものでございます。

 特殊勤務手当といいますのは、著しく特殊な勤務をし、給与上特別の考慮を必要とするものに措置するという趣旨を踏まえまして、平日の部活動指導については、本給等に加えて更に手当を支給することはしてございません。

 一方、部活動を地域移行、地域展開した地域クラブ活動において指導に携わることを希望する教師につきましては、兼職、兼業によりまして地域クラブの指導者として従事することも可能でございまして、そうした場合には別途、別の形での報酬を得ることも可能でございます。

 こうした地域の実情を踏まえた部活動改革の全国的な実施を推進していきたいというふうに考えてございますが、お尋ねの、平日を含めた部活動指導手当を支給をということに関しましては、特殊勤務手当という性格のものでございますことから、平日にということは今は考えているところではございません。

うるま委員 地域移行といいましても、受皿のない地域もあると思いますので、是非この点も御検討をよろしくお願いいたします。

 我が会派が本会議で質疑させていただいた三つ目の提案というところで、教員採用試験において春と秋の二期制を一般化する提案をさせていただきました。総理からは、複数回実施など、工夫改善を進めると答弁がございましたが、特に我々が提案しているのは、試験の複数回実施にとどまらず、採用を春と秋の二回やってはいかがかというものでございまして、採用を二回することによって、海外大学や九月入学の大学の卒業生が受けやすくなったり、多様な経験を持つ人材が確保できる上、産休とか病休によって年度途中で発生する人員欠員にも対応が可能だと考えますが、この提案について、改めてお伺いします。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 公立学校教員の採用につきましては、任命権者である各教育委員会の権限と責任において行われております。今お話ありました複数採用でございますが、学校現場の実情や学事暦を踏まえつつ、採用の時期を年に複数回設けることも実際問題、可能だと考えております。

 文科省といたしましては、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成の観点から、幅広い分野から、様々な状況にある方々が教師へ、その入職にチャレンジできるよう、教員採用選考の複数回実施などの工夫改善を教育委員会に対して要請しており、こういったことも功を奏しまして、春に加え、秋から冬にも選考を実施する、そういった自治体が増加していると認識しております。

 引き続き、各教育委員会に対し、教員の採用選考の試験の工夫改善などを促してまいりたいと思います。

うるま委員 採用の二期制は可能だということで御答弁いただいたと認識しましたので、是非、文科省としても推奨いただけたらと思います。あっ、これは決めるのは自治体だということですよね。じゃ、是非、推奨の方、よろしくお願いいたします。

 続きまして、我が党が、四つ目、提案させていただいた専門人材の教職参入制度や免許取得要件の緩和に関しましては、総理から、中教審において、多様な専門性を有する質の高い教育集団の形成の観点から、その在り方の検討を行っていると答弁がございましたが、具体化に向けた状況はいかがでしょうか。お伺いいたします。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 技術革新など社会の変化や教育課題の高度化、多様化が進む中におきまして、子供一人一人の能力を最大化する教育を実現するためには、多様な専門性や背景を有する質の高い教師人材を確保することは極めて大事なことだと考えております。

 こうした背景を基に、昨年十二月に、中央教育審議会に対し、大臣から諮問を行いました。具体的には、教師人材の質の向上と入職経路の拡幅の観点からでございますが、より多くの学生が教員免許取得を目指すことができるような教員免許制度の在り方であったり、社会の変化や学習指導要領の改訂等も見据えた教職課程の在り方であったり、さらには、教師の質を維持向上させるための採用、研修の在り方、加えまして、特別免許状の更なる活用の促進や、社会人が大学院での教職に関する学修によって教員免許の取得が可能となる、そういった仕組みの構築などを中心に、現在、御議論いただいているところでございます。

 現在、教職課程や教員免許制度の在り方等について御議論いただいているところ、中教審での御審議の状況次第ではございますが、今年の夏頃までに主な論点と方向性の整理を行っていただいた上で、さらに、具体的な制度設計等について御議論いただき、令和八年中を一つのめどに答申をまとめていただけないかと考えております。

 文科省といたしましては、中教審における議論も踏まえながら、関係法令の見直しも含め、学校現場での多様な専門人材の積極的な活用に向けて、必要な改革を進めてまいりたいと思います。

うるま委員 審議会の方で議論されており、令和八年度中に答申がまとまるということでありますけれども、人材獲得競争が激化している今、スピード感が必要だと思いますので、今ある制度、例えば特別免許証の制度だったり、こういったものの柔軟化でもし対応できる部分があれば、是非、よろしくお願いいたします。

 続きまして、業務の三分類についてお伺いさせていただきます。

 平成三十一年の中教審の答申では、教員が担う業務を、本来担うべき業務、必ずしも教員が担う必要のない業務、担うべきでない業務の三つに分類し、学校、教師の業務適正化を図る方針が示されました。

 そこでお伺いしますが、まず、この三分類に基づく業務の見直しの進捗状況と、それに伴う現場の課題について、政府としてどのように把握しているか。とりわけ、地域格差や教育委員会の体力差によって取組状況に差が出ている可能性があると考えますが、認識をお伺いします。また、三分類を徹底していくためには、これまで学校が担ってきた業務の一部を引き受ける受皿の整備も必要不可欠だと思いますが、国としてその受皿をどのように構想しているのか、お伺いします。

望月政府参考人 学校、教師が担う業務に係る三分類についてのお尋ねでございます。

 文部科学省が毎年度、教育委員会に行っている調査結果におきましては、令和元年度の給特法改正以降、全体的に取組が進んでいるとは思ってございます。

 ただ、その進捗の状況についてはかなり差がございまして、特に、登下校時の対応は、令和六年度は七二・六%の教育委員会が地域での協力を得ている。部活動については、七四・四%、授業準備については、教員業務支援等と教員が連動をして八〇・〇%、何らかの取組を進めている。支援が必要な児童生徒への対応は九八・四%が学校内での支援で対応しているということで、全体としては、七割以上の教育委員会での、いろいろな業務についての見直しは行われているところではございます。

 ただ一方、うるま委員御指摘のとおり、政令市、都道府県に比べますと、やはり市町村の進捗度合いは低い状況があったり、都道府県の中でも、やはり市町村の中でも差があるという状況でございまして、こうしたことが今回の法案にもつながっているところでございますけれども、全ての教育委員会において取組を進めていただきたいということが我々の思いでございます。

 そして、三分類のうち、とりわけ学校以外が担う業務ということに関しては、地域の協力を得て見直しを進めていかなきゃいけないところでございますけれども、例えば登下校に関する対応が七割に達している以外は、大体半数程度の実施率にとどまっているような課題もございます。

 業務の見直し、役割分担の見直しを進めるためには、やはり、首長部局の連携や保護者、地域住民との連携協力を進めることが大変大事でございまして、自治体の方で、それぞれの状況で進めていただく必要があるという観点から、今回、首長部局も関わる総合教育会議での報告というものを、策定された計画については法案の中に入れてございますけれども、なお、規模の小さい市町村もあって、必要な条件整備を進めることもなかなか思うようにいかないというところもあるかもしれません。

 国としては、そうした自治体の実態に応じて進めることができるよう、例えば、スクールガードリーダーの配置や地域との連携を進めるための地域学校協働活動推進員の配置、活用などにつきましては、補助事業も展開して、そうした取組が進むよう、都道府県の支援をしているところでございます。

 こうした事業も活用をしていただくことを促しながら、それぞれの地域の実情を踏まえた形での、いわゆる受皿となるものを含めまして、あるいは業務の削減とかを含めまして、条件整備を進めていただくよう、引き続き、国としても支援をしてまいりたいと考えてございます。

うるま委員 教師が、学校が担うべきでない業務の受皿があることが重要だと思いますので、そういった補助事業、しっかり展開、よろしくお願いいたします。

 それと別に、教育委員会によって、この業務三分類の徹底など、働き方改革や勤務管理の進捗に差が出る原因というのは何なのかについて、ちょっとお伺いしたいなと思います。

 例えば、我々が本会議場で質問をさせていただいた、教育委員会の統合だったり広域化、そういったところを質問させていただきましたけれども、これは法的には可能だと総理から答弁いただいたんですけれども、教育委員会の再編統合や広域化がこういった働き方改革のプラス方向に合致するのであれば、こういったことも進めるべきじゃないのかなというふうに考えておるんですけれども、これについて、御認識をお伺いいたします。

望月政府参考人 うるま委員御指摘の、各教育委員会によって取組状況が随分異なるという要因につきましては、設置されている学校の規模や、あるいは自治体の中での学校の数、それから一学級当たりの児童生徒数が山間部と都市部はかなり違っていることであるとか、そうした学校の状況の違い、そして課題を抱える家庭や児童生徒が多いような地域も実際あるわけでございまして、地域の協力が得られやすいかどうかということなど、様々な要素が考えられるところでございます。その地域の実情も踏まえた形で、今回、それぞれの教育委員会におきまして、国が定める指針に即した計画を策定し、地域の協力を一層得るために公表をお願いするところでございます。

 そして、各教育委員会で取組を進めるに当たりましては、御提案の、近隣の市町村と協力をして取り組むことが有効な場合も考えられると考えてございます。

 文部科学省としまして、教育委員会の取組をまとめた「「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた手引き」の中でも、複数の自治体の学校事務職員が共同で研修を行うことで、ノウハウを共有して学校事務の効率化を図る小規模自治体間の連携の事例なども紹介しているところでございます。

 教育委員会を近隣の市町村と共同で設置することは、本会議答弁でもさせていただきましたが、可能でございまして、各教育委員会で適切に御判断いただくべきものでございますけれども、こうした働き方改革に効果があるような、そうした教育委員会同士の連携の事例も、文部科学省としては引き続き把握に努めてまいりたいと考えてございます。

うるま委員 地域によっては、教育委員会によっては、そういう広域化だったり再編統合も効果があるというところで御答弁いただいたと思っておりますので、是非、もしそれがそうであるんだったら、地域にも推奨するように、教育委員会にも推奨するようにお願いいたします。

 もう時間があれですので、最後の質問とさせていただきます。最後に、学校給食の無償化についてお伺いさせていただきます。

 学校給食無償化によって本改正案にプラス効果が期待される部分もあると思っております。例えば、料金の、学校の給食費の徴収ですね。また、地域によっては、学校自体が徴収していたりだとか、そういったこともあると思うんですけれども、学校給食無償化によって本改正案にプラス効果が期待される部分はあると思いますが、まず、大臣所見をお伺いいたします。

あべ国務大臣 委員にお答えいたします。

 いわゆる給食の無償化に関しましては、三党間の合意におきまして示されていますように、子育て世帯への支援を強化する観点から、まず、小学校を念頭に実現に向けて取り組むこととされていると認識しておりまして、この三党合意に関しましては、効果検証を始めとしまして、児童生徒の公平性、また、支援対象者の範囲の考え方など、検討すべき様々な論点が示されておりますが、今後、十分な検討を行いまして、安定的な財源の確保と併せて、いわゆる給食の無償化が意義あるものとなるように取り組んでまいりたいと思っております。

 また、未納金の督促なども含めました学校徴収金の徴収、管理につきましては、学校給食費無償化の議論にかかわらず、基本的には、学校、教師の本来的な業務ではなく、学校以外が担うべき業務でございまして、特に学校給食費につきましては、公会計化及び地方公共団体の徴収を基本とすべきであると私どもは考えておりまして、このため、学校給食費の徴収、管理につきまして、これまでも、教員の負担軽減、透明性確保の観点から、学校給食費の徴収、管理に係る公会計化等の実施を促してきたところでもございます。

 引き続き、様々な施策を通しまして、教育の質の向上にも資する、学校現場の負担軽減に向けた取組を進めてまいりたいというふうに思っております。

うるま委員 ちょっと長くて分からなかったんですけれども、給食の無償化は学校の負担を減らすというところもあるということで答弁いただいたと思っております。

 これは、ほかにまた詳細な効果があるのであれば局長からもいただきたいんですけれども、特にないですかね。なかったら、あっ、じゃ、ないということで、先ほど大臣、たくさんお答えいただいたので、これをもって私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、日野紗里亜君。

日野委員 国民民主党の日野紗里亜です。

 質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 さきに質疑された先生方の本当に様々な観点、そして鋭い質疑が、私も大変勉強になっております。

 では、入ります。

 公立学校の教員の給与は、いわゆる給特法により、現在は、残業代が支払われず、一律で月給の四%が上乗せされる仕組みです。本改正法案では、教員の処遇改善のため、六年後までに一〇%に引き上げるとしています。しかし、一〇%に引き上げても、換算すると月二十時間ほどの残業分にしかならず、現実には、その水準を大きく超える長時間労働が常態化しています。

 実際、国が上限とする月四十五時間を超える教員は中学校で七七・一%、小学校で六四・五%に上り、中学校教員の三人に一人が月八十時間に達する残業をしています。ほかの業界では、法定労働時間を超えれば割増し賃金が支払われます。労働の対価として残業代が支払われるのは当然でございます。

 なぜ、教育現場だけは適用されず、無制限に働かされるのでしょうか。先生方は、日々、授業準備や子供たちの対応、保護者対応、学校行事、部活動指導、特別な配慮が必要な子供たちや不登校またその傾向がある子供たちへの対応まで、多岐にわたる業務を担ってくださっています。昭和四十六年に制定された給特法が時代の流れとともに定額働かせ放題と呼ばれる仕組みを固定化し、時間外労働の実態が直視されないまま、ブラックな労働環境が続いています。

 なぜ教員の長時間労働がそういうものだとして放置され続けているのでしょうか。こう聞きますと、先ほど来、教職の特質性が繰り返し挙げられているかと思います。これは、職務上、専門性、自発性、自律性といった特性があるため、時間管理が難しく、残業代ではなく、職務遂行全体に一定の調整額を支払うという給特法制定時の理由につながるものだと思っていますが、私はこの特質性という言葉がそもそも不思議で仕方ないのです。

 と申しますのも、私、以前は介護施設を運営しておりました。介護職もまた、人の命を預かり、人の尊厳に関わる特質な仕事で、専門性が高く、自発性、自律性を要する仕事です。

 そんな介護職の方々が働く介護現場では、食事介助、入浴介助、排せつ介助という三大介助以外にも、分かりやすい例で申しますと、認知症の方の徘徊対応、そして夜間の急変、利用者間トラブルなど、突発的で報酬の対象外となる業務が日常的に発生しています。

 そうした対応で時間外勤務、超過勤務が生じれば、事業者に報酬が入らない業務であっても、事業者は従業員に対して残業代、時間外労働に対する賃金を支払います。サービス外の労働に対しては、事業収入にはならないし、あなたが自発的にやったことだから、そこに関してはお給料は支払わないからねなんてことはないわけなんです。介護、福祉業界も大変給料が低い業界ではあるものの、働いた分は賃金を支払う、これは当たり前のルールでございます。

 なぜ教員は特質性を理由にルールから外されているのでしょうか。時間で計れないから払わないではなく、時間で計れないほど大変だからこそ正当に支払うという考え方が私は正しいと思っていますが、これに対する大臣の御意見、お願いいたします。

あべ国務大臣 教育活動に関しましては、日々、子供たちと接している教師の創意工夫がまさに重要でございまして、給特法におきましては、逐一、管理職の職務命令ではなくて、教師が専門性を発揮して業務を遂行し、教師の裁量を確保する仕組みとなっているところでございます。

 教育審議会におきましても、一年以上にわたりまして、給特法等の法制的な枠組みを含め、総合的な議論が行われまして、教師の裁量性を尊重するこの仕組みは現在でも合理性を有しているというふうにされたところでございます。

 このために、給特法を維持した上で高度専門職としての教師の職務の重要性にふさわしい処遇を実現するため、この教職調整額を一〇%に引き上げることを盛り込んだ給特法の改正案を提出することといたしました。

日野委員 今、大臣の御答弁で、給特法は合理性を有しているということをお聞きしましたが、給特法の廃止を含めた抜本的な見直しの必要性というのは、恐らく、本日質疑されたほかの議員の皆様とも、私は共通の認識だと思っております。要するに、学校の先生たちの悲痛な声だけではなく、先生方の心身の健康を守り、子供たちの学びと育ちの質を確保してほしいという国民全員の切実な願いであります。

 そのような中、今回の改正案では、教職調整額を一年に一%ずつ、六年かけて段階的に一〇%まで引き上げるとされていますが、現段階で既に一〇%の労働をしているから引き上げるわけでありまして、本来であればその賃金は直ちに支払われるべきだと私は思っています。

 六年間の賃金の未払いの状態が続くと理解しますが、ここに大臣の御所見をお願いいたします。

望月政府参考人 失礼いたします。

 教職調整額につきましては、教員のそうした職務の重要性や職務の特殊性ということを踏まえまして、本給相当のものとして本給に上乗せをしていくものというものでございます。

 勤務時間全体を包括的に評価するものとして教職調整額はございまして、いわゆる正規の勤務時間を超えたものが、時間がどのくらいであるかということの時間的な計測だけをもって教職調整額の率、パーセントを決めているわけでは、考えるわけではございませんですから、今の状態が、要は、教職調整額の一〇%に相応するからというものとは考え方が少し異なるものであるというふうに考えているところでございます。

日野委員 私、あともう一つ、すごく、この一%ずつ、一年ごとに一%ずつというのの心配点がありまして、要するに、この法案が成立することにより、最低でもこの六年間は給特法の抜本的な見直しを行わないということにならないか、これを私、すごく心配しているんですね。

 これから先六年間も、活発な議論、そして必要な改正を行うことができるのか、これが見直しの終着点となってしまわないのか、こちらについてお答えいただければと思います。お願いします。

望月政府参考人 先ほど大臣からも御説明させていただきましたけれども、今回の給特法の見直しにつきましては、令和元年の給特法の改正を受けまして、各自治体でも働き方改革の実装が徐々に進んできているとはいえ、令和四年度の勤務実態調査において、やはり、長時間労働という状況が顕在化しているという、そうした学校の働き方全体をもう少し考えていかなきゃいけないというような背景に立って、根本からこれは議論をいたしまして、一年以上議論いたしまして、その上で、時間外手当料化のような、教職調整額の見直しに係るような意見も出ましたけれども、ただ、中教審全体の意見としては、やはり、現在の教職調整額の仕組みを採用し、そして、教師の裁量性をしっかり確保した、そうした働きがいにつなげていくといったことが最終的な結論となったところでございまして。

 この教職調整額の仕組みによって形作られている給特法そのものを、今回の法案で働き方改革を進めていくということはありますけれども、直ちにそれを抜本的に根本から変えていくということではなく、しっかりこの給特法の下に、上で、働き方改革を進めていくということが必要であるというふうに考えているところでございます。

 その上で、附則の規定で、中間段階での見直しにおいて、教員のそうした働き方の状況を踏まえて、更に勤務条件の改善が必要かどうかということについて検証を行うということになっているところでございます。

日野委員 今の御答弁、ちょっと要約すると、これが成立すると六年間は抜本的な見直しが行われないのではないかなというやはり私の懸念が高まる一方ではありますが、ちょっと時間の都合もありますので、続きましての質問に移りたいと思います。

 教員の処遇改善、今お伝えさせていただきましたこと、これは急務でございます。しかしながら、決して忘れてはいけないのは、お金を稼ぐためだけに先生になった人は一人もいないということです。ほとんどの先生は子供たちのために日々全力を尽くしてくださっています。だからこそ、単に給与を上げるだけでは子供たちにとっていい教育環境をつくることはできません。

 今、学校の現場は、学校は、教育の場にとどまらず、子供たちの抱えるあらゆる課題、虐待や貧困、不登校、発達障害、医療的ケア、ヤングケアラー、外国人児童の対応など、家庭でも福祉でも地域でも支えることができない、そんな課題が学校の現場に押し寄せてきています。その結果、先生方の仕事はかつてとは比べ物にならないくらい複雑で、重く、幅広くなっています。

 そうした現場の実情を制度をつくる側がしっかりと直視しなければならないと思いますが、大臣は、所信において、学校運営の改善に向けて学校の校長の判断で実行できることは多くある、そう述べられていました。しかし、現状ではこの学校長の判断、これに委ねられ過ぎているが余り、教員の業務が増え続けています。

 私は小学生四人を育てていますが、子育てと教育には共通する側面があるというふうに思っています。というのも、子供のためという言葉は、往々にして全てを正当化する理由になりがちです。表現が悪いんですけれども、殺し文句なんですよね、子供のためという言葉は。母親だからそう思います。その結果、やるべきことが増える一方で、やらないことを決めるという視点が欠けてしまうのであります。

 だからこそ、各学校長の判断に委ねてしまえば、この学校ではここまで対応するが、あの学校ではそこまでしない、そういった不公平が生じかねません。そのため、国として明確な指針を示し、不公平が生じない仕組みを整えることが私は必要と考えますが、そもそも、学校運営の改善に向けて校長の判断でできることとは、具体的にどのようなことでしょうか。大臣、お願いします。

あべ国務大臣 委員にお答えいたします。

 本当に校長の判断でできることはかなりございまして、ただ、それを実際行っている学校がどれだけあるかということは、なかなかどこまでできるかが理解されていないということも実はありまして、ですから私は所信でそれを述べさせていただいたのでございますが、校長は、学校教育法の第三十七条四項におきまして、「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」とされておりまして、法令の範囲内におきまして、学校において行われる学校教育活動の実施に責任と権限を有しているところでございます。

 そうした中で、学校運営の改善に向けましては、各学校の校長の判断でできることはたくさんあります、先ほど申し上げたように。例えば、教師一人一人の業務状況を踏まえた教職員間のいわゆる校務の分掌の見直し、誰が何を担当するかを見直していくとか、例えば標準を大きく上回る授業時数の見直し、これはここまで授業をやる必要があるのかというところの柔軟な教育課程の編成の部分も校長ができますし、また、学校行事の精選、重点化、これは必要、これを重点化するなどの取組などが実は挙げられておりまして、文科省といたしましては、校長の判断で実施することが可能な具体的な対応策の例とかチェックシートを今示しておりまして、引き続き、学校や教育委員会における働き方改革の加速化にしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。

日野委員 学校長の判断でできることが十分に理解されていない、周知されていない。これ、校長先生にも理解されていないということであれば、地域や保護者にはもっと理解がされていないことだと思うんですよね。そういうこともあって今の過重な労働が先生方にかかっているとするのであれば、やはり、私としては学校業務のユニバーサルデザインについて国がしっかりとイニシアチブを取って進めていくべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 引き続き、私ども、しっかりと、具体的な事例、またチェックシートを使いながら、働き方改革の加速で、学校や教育委員会にしっかりと示唆をしてまいりたいというふうに思います。

日野委員 続いての質問に入りたいと思います。

 文部科学省の令和四年度教員勤務実態調査によると、平成二十八年度と比較して、平日、土日共に全ての職種で在校等時間が減少しているとされています。しかし、現場の実態を見ると、精神疾患による休職者数は増加し、過去最多を更新しています。

 これは、私はしっかりと、友人ですけれども、先生にお話を聞いてまいりました。先生方からは何というお話があったかというと、残業時間をつけるとストレスチェックが始まり、かえって業務が増えるため、残業記録を残さずに仕事をするようになった、持ち帰り仕事が増えているなどの声が上がっています。

 このような状況下で精神疾患による休職者が増加しているのは、当然の結果とも言えます。業務負担を減らすことなく残業時間のみを規制したのであれば、隠れ残業が増え、実際に労働環境が改善されたわけではなく、ただただ表面的な数字が取り繕われただけではないでしょうか。

 この現状を大臣は直接耳にされたことがありますでしょうか。もしこの声が届いているのであれば、なぜこの状況を放置されているのでしょうか。私は、大臣は人の心の痛みが分かる、人のために涙を流せる、そんな優しい方だと思っています。放置せざるを得ない本当の理由を教えてください。

あべ国務大臣 お答えさせていただきます。

 私もいろいろな意見を聞いているところでございますが、文科省が行いました令和四年のいわゆる教員の勤務実態調査でございますが、これは実は、インターネットを通じて直接教師が回答する方法で実施をいたしました。

 実は、この回答内容は、管理職を含めたほかの教職員が閲覧することができない設計になっておりまして、調査対象になる各教師にもこのことはしっかりと周知をした上で実施をした調査でございます。

 私ども、ほかの教員の意見などを気にすることなく勤務実態の報告が可能であったというふうにこの調査に関しては思っておりまして、本当に今大変厳しい状況にある先生方、教師の皆さんのお話も聞かせていただきながら、私どもとしては、この勤務実態調査の結果をしっかりと捉まえた上で対策を立てさせていただいているところでございまして、それ以外の声があることも聞いてはいるところでございますが、私どもとしては、調査結果をまずは信用した形で次の対策を立てさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

日野委員 恐らく、いろいろなアンケートとかが先生の元に来ると思うんですよね。それこそ学校の先生方においても、給特法そのものを知らないという先生も実はいらっしゃる、そんな現実がある中で、やはりアンケートに本音で回答しづらい、こういったことが常態化していると思います。それは今の労働環境によるものだと思っておりますので、その点、しっかりと大臣にも現場の声を聞いていただきたいと思います。

 続きまして、教員の長時間労働の背景には、依然として多過ぎる授業数、いわゆる持ちこま数の過重があるというものが現場の先生から寄せられる切実な声でございます。一日六こま、週三十こま近く授業を担当し、もはや心も体も限界です、そういった声が届いています。

 このような声を受け、文科省として教員の働き方改革を進める中で持ちこま数の見直しを進めてくださっていますが、現状では、持ちこまの上限について中教審では参考値が示されていますが、これはあくまで目安にとどまり、法的な拘束力はなく、現場の実態とは大きく乖離していると思います。

 こうした教育委員会任せ、学校任せ、現場任せ、この姿勢を長年続けてきた結果、精神疾患による病気休職者の数は年々増加を続け、現在では七千人を超える状況となっています。これはあくまで表に出ている数字にすぎず、実際には、不調を抱え込みながら休むことができず、限界の中で働き続ける先生たちが数多くいるのが現実、それは皆さん周知の事実だと思います。

 まずは、国が本気で教員の業務削減を進めるという方針を明確に示し、それに見合う財政措置、これを講じるのが不可欠であり、計画の策定だけを教育委員会に求め、必要な予算措置も示さないのであれば、それは実質的な責任放棄であり、丸投げと受け取られても仕方ないと思います。

 依然として過重な持ちこま数の実態は、自治体や学校によって大きくばらつきがあり、担任一人当たりの負担が大きい、こういった現実があります。その結果、週二十五こまを超える授業になっている教員も少なくなく、教科指導や生徒対応、教材研究に十分な時間を確保できないまま、疲弊し切っているという声が後を絶ちません。

 そんな中、改めてお伺いします。

 教員一人当たりの持ちこま数には上限があるべきだと考えていますが、大臣はその上限は何こまが妥当だと思っているでしょうか。お答えください。

望月政府参考人 教員の持ちごま数を軽減をし、子供たち一人一人に向き合う時間を確保していくということは大切なことだと思っています。

 このために、これまで、小学校の教科担任制、あるいは、この令和七年度でも、小学校四年生に拡大しようということ、そして中学校でも、基本的に教科を持たない生徒指導の担当教師とはしていますけれども、先生方一人一人の分担というのを軽減していこうというような予算措置をしているところでございます。

 教師一人当たりの週当たりの持ちごま数については、最新の学校教員統計調査では、小学校は二十四・一こま、中学校では十七・九こまとなっているところでございますけれども、国としましても、教員配置の状況が、それぞれ地域や学校の状況が違ってございますので、画一的に、教員同士の持ちごま数が、どのこまがということではなく、全体の持ちごま数を軽減していく、そうした取組を進めている中において、自治体において、教職員配置を適切、あるいは、学校の中でも、校務分掌によって、一人の教師がとりわけ多い負担になることのないような形で役割分担をしていただきたいというふうに考えております。

日野委員 ただいま具体的な数字をお答えいただきました。

 その数字に見合った教職員定数の改善、予算措置は現状の取組で十分だとお考えでしょうか。お答えください。

望月政府参考人 今申し上げました教師一人当たりの週当たりの持ちごま数、持ち時間数につきましては、これは今の予算措置の中で、これは平均とはなりますけれども、達成されるんじゃないかというふうに考えているところでございます。

日野委員 現在の予算措置で達成されるというお答えをいただきましたが、それであれば、なぜ達成されていないのかという疑問が残りますが、続いての質疑に入りたいと思います。

 現在、小学校では、令和七年度を完了として三十五人学級を進めていただいていますが、現場では、やはり三十五人ではなく三十人学級が望ましいのではという声があります。

 政府として、少人数学級の更なる推進について具体的な計画がありましたら、お答えください。お願いします。

あべ国務大臣 少人数学級に関しては更に推進すべきではないかと私どもも考えておりますが、特に多様化、困難化する教育課題への対応を図る上で、きめ細かな指導を可能とする指導体制、これはまさに整備していく必要があると思っています。

 令和七年度におきましては、三十五人学級が完成する小学校に続きまして、財源確保と併せまして、令和八年から中学校に三十五人学級の整備を行うために定数改善を行うこととしておりまして、引き続き、望ましい教育環境、また指導体制の在り方の検討を続けまして、学校の指導、運営体制の充実をしっかり図ってまいりたいというふうに思います。

日野委員 二〇二五年度からは小学校高学年における教科担任制の対象が更に拡大されること、先ほどお伺いいたしました。これ自体は、専門性の高い指導の充実や教員の負担軽減を図る上で重要な一歩だと受け止めています。ありがとうございます。

 一方で、現場では、いまだに教科担任制が十分に実施されていない学校も多く存在していまして、地域や学校規模による導入格差、これが課題になっていると思っています。

 また、現在、教科担任制の対象となっている外国語、算数、理科そして体育に加えて、現場の先生方からは、準備に多くの時間がかかる図工、これについても教科担任制を導入してほしい、こんな声が上がっています。

 こうした声に応えていくためにも、国としては、現場のニーズを踏まえた対象教科の見直しと人材配置を行い、制度の実効性を高めるための支援策を更に強化すべきだと考えます。

 そこで、お伺いします。

 二〇二五年度以降、教科担任制の導入格差の是正と更なる対象拡大に向けて、国としてどのように現場支援と制度設計を進めていくお考えでしょうか。お願いいたします。

あべ国務大臣 必要があれば後ほど政府参考人からも補足をいたしますが、小学校における教科担任制につきましては、やはり現場も何度か見せていただきましたけれども、教育の質の向上とまた教師の持ちこま数の軽減、また準備の段階も含めた働き方改革の双方から誠に効果的な取組、また子供たちにとっても、ずっと教科担任だと分かりやすい授業を提供できるということもありまして、本当に効果的な取組と考えていまして、私ども、令和四年から、定数改善によりまして小学校の高学年の教科担任制の推進を図ってきましたが、加えまして、令和七年度の予算におきまして、新たに、小学校の高学年の、いわゆる小学校四年生の教科担任制の拡充を広め、九百九十人の定数改善を計上させていただいているとともに、今後四年間で計画的に推進をしまして、改善総数は三千九百六十人を予定しているところでございます。

 引き続き、持続可能な学校の指導体制の充実強化に努めてまいりながら、教科担任制を入れていきながら、先生方の働き方、また持ちこま数の軽減など含めて、総合的にしっかりと努力をしてまいりたいというふうに思います。

日野委員 続きましての質問に入ります。

 小学校では、今、新卒の先生がいきなり一クラスの担任を任され、十分な支援もないまま孤立し、五月までに離職してしまうケースが少なくないと伺っています。こうした早期離職は、先生本人の将来にとっても、そして受け持つ子供にとっても、大きな損失であると思います。

 現場では、初任者に対して、副担任からスタートする、若しくは副担任をつける、こうした体制を整えてほしいという声が数多く上がっています。これは単なる働きやすさの問題ではなく、教育の質と教職員の定着率を左右する、そんな重要な課題だと私は思っています。

 もちろん、国としては、教科担任制などと同じように、加配措置とかいろいろな支援により、自治体の工夫で副担任を置けるような仕組みをつくってくださっていることは既に承知をしております。しかし、現場の実感としては、できるようにしているだけではやはりまだまだ不十分でありまして、財政や人員の制約から実施に至らない、そんな学校も少なくありません。

 だからこそ、離職防止と教育の質の確保の観点からも、副担任制を制度として明確に位置づけ、全国の学校で実施できるような予算措置、制度設計が必要だと考えます。

 そこで、お伺いします。

 離職防止と教育の質を確保するために、初任教員に対する副担任制度を明確に位置づけていただくことはできませんでしょうか。お願いします。

あべ国務大臣 御意見はしっかりと承りながら、今、制度として、私どもは、やはり委員がおっしゃるように、若手の教師の方はほかの年代と比べて在校時間が長くて精神疾患による休職率も高いということを私ども存じ上げておりまして、組織としてしっかり支援をしていく必要があるというふうに考えています。

 とりわけ、持ちこま数の多い小学校の教師につきましてはやはり負担軽減を図る必要があるので、新卒一年目は、やはり学級担任ではなく副担任をしながら教科担当をするなど、初任の教師を支援することが可能になるように、令和七年度の予算におきましては、新たに百九十人の定数改善を計上しておりまして、また、今後四年間で計画的に推進していきながら、初任の教師への支援は改善総数七百六十人を予定しているところでございまして、初任の教師が円滑に教師として資質、能力を向上させていくことができるように、引き続き、文科省としても支援に取り組んでまいりたいと思います。

日野委員 まだ質疑は残っておりますが、御準備いただいた方、申し訳ございません。次回に持ち越したいと思います。

 本日はありがとうございました。

中村委員長 次に、西岡義高君。

西岡(義)委員 国民民主党の西岡義高です。

 まず冒頭、昨日、我が党の結党に御尽力いただきました岸本周平和歌山県知事が急逝されました。心よりの哀悼の誠をささげさせていただくとともに、私自身は直接の面識はございませんけれども、岸本知事の結党の志をしっかりと受け継ぎ、我が国のために尽力していくことをお誓い申し上げて、質問に入らせていただきます。

 それでは、勤務実態調査についてお伺いいたします。

 先日の本会議で、教員の勤務実態調査について、今後どのように展開していくのかを伺いました。その際に、今後は、基本的に毎年度教育委員会に対して実施する調査を通じて、全国の教師の時間外在校等時間の状況を適切に把握すると御答弁がございました。

 毎年実施することで、どのように変わっていくのか、しっかりと経過を見ていくことは重要でございますけれども、午前中の吉川先生の御指摘にもありましたように、調査の内容の精度についてはちょっと疑問があるところもあるかと思います。この毎年度行っていく教育委員会の調査、具体的に今年度以降どのような形で進めていくのか、内容を詳しくお聞かせください。

あべ国務大臣 ちょっと、岸本知事に関して、私は大変お世話になっておりまして、超党派のいろいろな議員を御一緒させていただいたのと、また、財務省御出身でございましたが、本当にすばらしい方でございまして、人格的にもバランスが取れていて、我々、超党派でいろいろなことが御一緒できたこと、本当に心から感謝し、私は、和歌山県の知事になられて、これから教育関係も含め御一緒にいろいろなことができたはずだったなと思いながら、大変無念で仕方がないところでございます。本当に国のために何をすべきかをしっかり考えてくだすった方だと、本当に私は心から尊敬する方でございました。

 それで、答弁に入らせていただきます。

 今回の調査に関してでございますが、全国の教師の時間外在校等時間の把握方法につきましては、過去に実施いたしましたこの教員勤務実態調査、学校現場の負担の大きい調査でございました。

 それで、昨今、各教育委員会におきましては、在校等時間の客観的な把握が徹底されてきたことを踏まえまして、今後は、基本的に教育委員会に対して実施する調査を通じて把握していく予定でございまして、具体的な内容に関しましては今後検討していく予定でございますが、毎年度実施している学校の働き方改革に対する調査を見直しまして、服務の監督教育委員会が年間を通じて把握している在校等時間の状況を集計していきながら、全国の一か月当たりの平均時間を算出するほか、また、学校と教師が担う業務に関わる三分類に基づく業務の見直し、この進捗状況、また、業務改善がしっかりとPDAサイクルの実施に関わる取組状況などを把握していくことを私ども考えているところでございます。

 これによりまして、教師に追加的な調査負担を生じさせることがなく、しっかり国において全国的な状況を把握することが可能になるというふうに考えているところでございます。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 勤務実態調査については、一週間全ての業務を記入するというのはかなり負担が重いかと思いますので、調査内容の精度と負担軽減と併せて、国の方でしっかりハンドリングしながら進めていっていただければと思います。

 それでは、次の質問に移ります。

 先日の報道で、総理が全国民に五万円程度の現金給付を検討しているというようなニュースもございました。今朝の報道ですと、マイナポイントなんという話も出ておりましたけれども、財源の議論なしでいきなり六兆円とかいう規模の話が出てきております。これについては、我々は、だったら百三万円の壁も一気に百七十八万円に引き上げられたんじゃないかと思うところはあるんですけれども、教育予算という観点からも、これまでも様々な教育施策、提案ございましたけれども、そのたびに財源が財源がとおっしゃっていたわけでございます。人づくりこそ国づくりとおっしゃいながら、教育へのお金は出し渋って、選挙前のばらまきに力を入れているような印象を受けてしまうわけですね。

 学校の先生たちから現場の声を聞いていますと、やはり現場に予算がないから余計な業務が増えているんだというような声も耳にしております。

 例えば、小学校の先生がテストを外注で発注するときに、自分たちで安いテストを探しているというような話も聞きました。十分な予算があれば、こんなことに手間も気も取られなくて済むのにということをおっしゃっておられました。

 あと、宿泊体験学習の際に、体験学習の中にある講座の受講料が、子供たちの分は自治体から補助が出るけれども、先生の分は出ないので、自腹で支払う必要があるというような、そんな話も聞きました。

 こういった話を聞いてしまうと、業務量を減らしたり、ストレスを減らしたり、働き方改革を進める上で、やはり現場に十分な予算を与えていかなければいけないと思うんですけれども、この点はいかがお考えになりますでしょうか。

あべ国務大臣 お答えさせていただきます。

 やはり、必要な予算を確保していきながら、教育、まずは、一生懸命、大変な思いをしながら子供たちのために頑張っている教師に予算を取っていくということは、私ども文科省としては、もう本当に重要だというふうに思っています。

 特に、教師を取り巻く環境整備としては、令和七年度予算におきまして、直近二十年で最大となる教職員定数の改善を計上しているところでございまして、特に、先ほども申し上げました、小学校の教科担任制、これは本当に先生方の働き方に資するというふうに思っておりまして、また、中学校の生徒指導担当教師の配置拡充、今後四年間で計画的に改善を行うほかに、また、教員の業務支援員、また、副校長・教頭マネジメント支援員を始めとする支援スタッフの充実で、必要な経費を計上しているところでございます。

 一方、学校現場の厳しい勤務実態を踏まえますと、学校における働き方改革は、絶えずその取組を前に進めていく必要があると思っておりまして、引き続き、校務DXの推進、学校だけでは解決が難しい対応の、学校における働き方改革の更なる加速化に必要な予算をしっかりと確保しながら、学校、教師が担う業務に関わる三分類の一層の徹底を取り組むことによって、教師の業務負担の軽減をしっかりと努めてまいります。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 何度も予算については質問させていただいていまして、そのたびに頑張るとおっしゃっていただいていますので、本当に頑張っていただきたいんですけれども、ここからはちょっとお願いという感じですが、教育国債、次世代に投資する教育国債を、これも併せて交渉していってもらいたいなというところでございます。

 教育国債、負担の先送りという言われ方もしますけれども、国を成長させる人材、これへの投資をおろそかにしてきた結果が、失われた三十年と言うこともできます。しっかりと、国を成長させる人材を育てるための投資をしていただきたいと思うところです。一人当たり、生涯賃金の平均は二億二千万、そのうちの半分ぐらい、一億円ぐらいを税金と社会保険料で国に納めますので、一人一千万円投資しても、十倍のリターンがあるというような見方もできます。

 とにかく、大臣、予算取り、頑張っていただくという意気込みは以前から受け取っておりますので、後は結果をしっかり出していただければと思います。

 では、次の質問に移りたいと思います。

 私たち国民民主党は、おかげさまで、今、若い世代からの支持が増えておりまして、中高生などが、若い世代、いろいろ私のところに話しに来てくれるわけですけれども、その中で、先生たちの処遇をよくしてあげてほしいということを、いろいろな場面で耳にするわけですね。子供たちが、先生の状況を見て、非常に心配しているという状況です。

 私のところに来た中高生が、独自に同年代の仲間に、今、ネットで全国つながるので、百五十人ぐらいにアンケートを取ったものを見せてもらいました。

 一部紹介させていただきますと、教員から、忙しい、大変など、仕事についての苦労を聞いたことはありますかという項目に対して、何度も聞いたことがあると回答した子供が七五%いました。現場の先生は、かなり子供たちにも愚痴っているというような状況です。

 このアンケートで、教員にもっと時間を使ってほしいと思うことは何ですかと、これは複数回答できる設問があるんですけれども、授業の準備とか生徒の相談時間といった回答が三割ぐらいありました。その中で、七割近い子供が回答している項目があるんですけれども、何だと思いますか。家族のために過ごす時間と答えているんですよ、子供たちが。先生に、家族と過ごすための時間を持ってほしいと思っているんです。子供たち、本当に優しいなと思うんですけれども。

 でも、こんなことを子供たちに言わせるって、本当は駄目だと思うんですよね。これを聞いたときに私は、もう本当に教育現場の深刻さは、先生たちに話を聞くよりも非常に深刻な状況だなということをやはり改めて認識いたしました。

 ほかの意見としては、教員自身が心の余裕を持てなければ、生徒にいい影響も与えられないだろうな、どこかで負の連鎖が起きていそう、学校から厳しい雰囲気が消えて、温かい雰囲気で教育が進んで、心穏やかにみんな育てばいいのにと思うですとか、公立だから最低限でいいみたいな生徒への接し方はやめてほしい、そういった声があるわけです。

 子供たちは教員に心配や不安を抱いたまま学校に通っているわけなんですけれども、この状況が発育や学習についていい影響があるとは決して思えないわけです。今の教員が置かれているこの現状が子供たちに与えている影響、これについて、大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。

あべ国務大臣 本当に、教師の皆さんが、厳しい状況の中で、特に子供たちが抱える課題が複雑化、困難化している中にあって、特に地域から保護者の方々の要望も実は私は増えているというふうに思っておりまして、学校、教師に対する期待が高いことから、結果的に、教師の負担が増大しながら、非常に厳しい状況にあるんだろうなと思っています。多分、非常に厳しい状況なので、子供たちに声をかける、笑いかけるみたいな時間も本当にできなくなってしまっていることもあるのかなと思っておりまして、中高生から働き方を心配されるような現状というのは私はあってはならないと思っております。

 今回も、この法案を通していきながら、国と教育委員会、学校が一体となって、教師の時間外在校等の時間を縮減する仕組みをしっかりと構築しながら、働きやすさと、教師が子供たちと生き生きと向き合うことができるような、この働きがいなども含めた、高めていくことがまさに重要だと思っておりまして、特に今回は、この働き方改革をするために、教師の業務量の管理をしていく実施計画の策定、公表を制度化することに加えまして、特に教職員定数、また処遇改善、一体的に進めていきますが、子供たちに心配されないように、私たちも、文科省としても、しっかりこの取組を通じて教師の魅力を向上していきながら、教職志望者が増えていく、その結果、増えていき、教師に優れた人材が集まっていくこと、これこそがまさに国づくりのために必要だというふうに思っておりますので、御一緒に頑張らせていただければと思います。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 子供たちが、自分たちが心配しなきゃいけないような職業に将来なろうとは思えませんので、このまま、子供目線で考えても、将来的に教員不足は解消されないんじゃないかというような未来が見えてしまいますので、現状をしっかり共有していただいて、対症療法ではなくて、しっかりと大きな改革をしていかなければいけないんだという現状を共有していただけるとありがたいです。

 それでは、法案の中身に質問を移らせていただきます。ちょっと通告と順番を変えさせていただきます。

 今回の法律案で、学校内外との連携、調整や若手教員のサポートを担うためとして、東京都の主任教諭を参考に、教諭と主幹教諭の間に位置づけられる主務教諭を創設することとされています。こちら、何度かありましたけれども、改めて確認という形でお聞きいたします。

 現場の教員の方から、この新たな職や級ができることで、一般の教諭の基本給が引き下げられるのではないかという声を私もいただいておりまして、この懸念について、一般の教諭の給料が引き下がらないよというところを改めて御確認させてください。

望月政府参考人 主務教諭のお尋ねでございます。

 主務教諭につきましては、その職務と責任に見合った適切な処遇を実現するために、今回、法律に位置づけるわけでございますけれども、給料表上の教諭と主幹教諭の間に新たな級を設ける、新たな職として設けるということで、本給の改善により処遇をすることとしてございます。

 この主務教諭の職の新設に伴いまして、他の教諭の基本給を引き下げていくということは考えてございません。主務教諭の創設に当たりまして、義務教育費国庫負担金の算定に用いる国の単価について、主務教諭に対応したものを新たに設定する予定でございますけれども、繰り返しになりますけれども、その際、教諭に用いている単価を減額する予定はなく、国庫負担上、教諭はこれまでと同様に算定されることになります。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 ここで基本給が下がるようなことになれば、もう現場の先生はこれ以上やっていられないということになりますので、しっかり文科省としても注視して、自治体の方を見ていっていただければと思います。

 では、次の質問です。

 国立大学の教員、こちらは元々、給特法が適用されていたかと思います。平成十六年の国立大学法人法の施行に伴って、身分が非公務員化されました。そこで、教員としての職務内容であったり勤務態様には変化がないにもかかわらず、給特法の適用から外れて、労働基準法の適用を受けるようになり、時間外勤務にはそれ相応の時間外勤務手当が支給されるようになったということでございます。同じ仕事をしていて、一方は労働基準法が適用できているというのが現状です。

 公立学校の教員が給特法を適用されている論拠として、一般行政職の公務員と異なる職務と勤務態様の特殊性、これを有しているからだと本会議でも御答弁いただいております。

 確かに、一般行政職の公務員とは異なるかもしれませんけれども、同じ仕事をしている国立学校の教員は労働基準法が適用できているというのが現実でありますので、また、現在の公立学校の厳しい職場環境を見ますと、この一般行政職の公務員と異なるということだけで公立学校の教員に給特法を適用していくのは、ちょっとやはり論拠としては弱過ぎるのではないかなと思います。

 給特法自体が現在の教育環境に適していないと考えてはいるんですけれども、この点、どのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

望月政府参考人 国立学校とそれから公立学校についての、同様の職務に従事している、教員としてのそうした職務や勤務態様の特殊性というものは、これは公立学校でも国立学校でも教師としては共通の性質はあるところでございます。

 その上で、十日の本会議では、大臣から、地方公務員の勤務条件につきましては法律及び条例によって決定される中にございまして、公立学校の教師については、特別法である給特法と、それに基づく条例等によって勤務条件が定められてございますけれども、非公務員となりました国立学校の教師につきましては、民間の労働法制の下、私的契約によって決定される、である旨を御答弁させていただいたところでございます。

 それに加えまして、先ほど浮島委員のときにもお答えさせていただきましたけれども、やはり公立学校につきましては、全ての地域において様々な多様な子供たちに対する対応を行ってございまして、教育の機会を保障する役割を担っているというふうに考えてございます。

 一般職の地方公務員と教員の間では、人材確保法の趣旨も踏まえて、一般の公務員よりも教師が優遇されるべき人材確保法の趣旨がございますけれども、その職務においては、単なる事務書類、書類を相手に、対象にしているのではなく、日々変化する子供たちを相手に仕事をしてございまして、教師のそうした、日々の子供たちの状況あるいは地域の状況も踏まえた、そうした業務のまさに職務の特殊性という観点から、こうした今の教職調整額を支給するような特別措置法によって勤務条件を定めているといった、国立学校との、またそして一般公務員との違いというところから、公立の教員については特別法としての給特法が措置されているというところでございます。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 勤務条件の決定のされ方というか、契約が違うということだったんですけれども、国立学校の教員は勤務条件が私的契約で決定されていて、公立学校の教員は地方公務員として法律及び条例によって勤務条件が決定されているということですけれども、そもそも一般行政職の地方公務員は時間外勤務手当があります。

 勤務条件の設定方法が違うというところで、一般行政職との、職務と勤務態様の特殊性、これを考慮するならば、時間外手当を支給しつつ、給料表の改定で差別を図っていくのか、若しくは義務教育等教育特別手当、これの増額で対処していくのが本筋だとは思うんですけれども、この件の見解をお伺いしたいです。

望月政府参考人 先ほども御説明をさせていただきましたけれども、一般行政職と異なる教員の職務は、日々子供たちと関わり、そして、子供たちを取り巻く環境の変化にも対応して、どのような形で子供たちの指導をやっていくか、あるいは支援に当たっていくかという、そうした柔軟性と裁量性が大きな職務であり、管理職の一つ一つの、個々の逐一の職務命令によるといった業務の仕方ではない、そうした職務の特殊性があるという観点から、教職調整額というものが本給相当のものとして支給されているものでございます。

 ですから、今回の法案でも、この教職調整額というもので、本給相当のものとしての、給与の全体の増額ということで処遇の改善を行いまして、本給そのものの、あるいは本給相当ではない手当である義務教育手当というものについては、これはまさに本給を補完するものとしての手当でございますので、給与全体の観点から、そうした教職調整額を高めつつ、義務教育手当については、その中で学級担任という、そういう特殊の仕事の職務の困難性というものを考慮した形で、職務の程度に応じた形での給与の全体の見直しを行ったというものでございます。

西岡(義)委員 済みません、もう一点、給料表の改定で差別化を図るという点についてはいかがでしょうか。

望月政府参考人 これは、一般職の行政職であれば行政職の俸給表、そして、教育職であれば教育職としての俸給ということでございます。

 なお、主務教諭のお尋ねが先ほどございましたけれども、教育職の俸給表のところでは、今まで、教諭と、主幹教諭がある場合、ない場合がありますけれども、主幹教諭がある場合には校長まで五級、ない場合には四級という中に、新しい職で、いわゆる中間管理職的な、ミドルマネジャー的なものを、二級とそれからその上の三級ないし四級の間において、新たな職を俸給として、そして処遇の改善をしていく、俸給表の改善、全体を、ここを改善していくということにつながるものではないかと考えてございます。

西岡(義)委員 ちょっと、提案としては、教員の給料表のベースの部分をしっかり上げて一般行政職との差別化を図ったらどうですかという提案だったんですけれども、次の質問に移らせていただきます。

 令和五年の教職員の精神疾患による病気休職者数、こちらが七千百十九人と前年度から約一〇%増えまして、三年連続で過去最多を更新する、そのような状況でございます。それに伴って、在職者に占める精神疾患の割合も増えていると。

 また、採用から一年未満で辞めてしまった新任教諭、こちらの方も過去最多の七百八十八人で、前年度と比べて百五十一人も増えている、そのような状況になっております。そして、そのうちの二百六十九人が精神疾患ということでございました。

 本会議の総理の答弁の中に、計画の策定、公表、計画に基づく実施など、教育委員会や学校が教師の業務量を管理する措置を講ずる旨の規定を盛り込んでおり、給与面と併せて徹底した働き方改革を進めるとありましたけれども、具体的な業務削減策が示されていない中で、教育委員会ですとか校長先生などの上位の人が管理を強めていくということが、現場の教員の方々にとって必要以上のプレッシャーになってはしまわないかと懸念しております。

 精神的な負担が増えてしまうのではないかと思うんですけれども、この点、どのようにお考えになっているのか、御見解をお聞かせください。

望月政府参考人 学校における働き方改革につきましては、先ほど来御答弁させていただきますけれども、教育委員会における取組状況にはやはり差がある、これは意識の差もあるというふうに考えてございます。

 その実効性を高めていくために、それぞれの自治体が自分たちの状況というのをしっかり確認をして、自分事として学校の設置者としての責務を果たしていただくべく、取組をしていただくということが必要でございます。

 このために、今回の法案で、文科大臣の指針に即して、働き方改革に関する計画を策定、公表し、それを首長が設置する総合教育会議でも報告をいただくといった、そしてまた改善につなげていくといった、地域も巻き込んだPDCAサイクルを構築していくことが大事であるというふうに考えているところでございます。

 そして、働き方改革を進む上で、校長や教育委員会は、教師の在校等時間といった数字、これをやはり削減していくことが一つの目標でございますけれども、単に在校等時間を目標とする時間の範囲内にすることのみを目的にするのではなく、把握した状況を踏まえて、どの部分が、なぜ取組がちょっとできていないんだろうか、もう少しこういう点は地域の協力も得られるのではないだろうか、あるいは、コミュニティースクール、いわゆるそういう仕組みを活用して、あるいは首長部局とも相談をして、協力を得られるところがある、あるいは、そういうところの理解を求められるときがあるだろうかということについての、そうした業務の改善のための措置を、時間の目標とともに考えて講ずることがやはり大事であるというふうに考えております。

 こうした時間外在校等時間、あるいは在校等時間を縮減することのみを目的とするんじゃなくて、まさに業務の軽減、あるいは精選自体を促進していただくよう、文部科学省としても周知に努めたいと思ってございます。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 しっかりと、今お話しいただいたようなことを、教育委員会、現場の学校、校長であったりとか、今、意図が下まで下りていくように、パワハラですとか時短ハラスメントといったことが起こらないように、しっかり配慮、周知していっていただけたらと思います。

 では、次の質問に移ります。

 教育の質を高めていくというところでは、やはり、先生にしっかりと授業準備、これをしてもらうことが大切だと思うんですけれども、現状の時間割りの中では、勤務時間内に十分時間を割けないというのが現実でありますし、授業内容も、最近はアクティブラーニングと呼ばれるものであったりとか、あとは、例えば○○教育、一例を言いますとがん教育とか原子力教育とか、こういった、より先生の負担とか、準備に負担がかかるような授業も増えている現状であります。

 時間内にしっかりと準備をしていただいて、教育の質を高めていくためには、今ある標準時間数、千十五時間、これは準備を含めるとやはり多過ぎるのではないかと思うんですけれども、今後減らしていく必要があると私は考えていますけれども、この点、どのようにお考えでしょうか。

望月政府参考人 教師の子供たちへの関わりというものについては、授業、それから生徒指導、あるいは教育相談といった多様な関わりがありますけれども、授業において子供たちのいわゆる真の学力を高め、そして、子供たちに自分たちで学んでいく、そうした力をつけていくために、教師が授業準備もしっかりして、質の高い授業を目指していくということは大事であるというふうに考えてございます。

 お尋ねの授業時数の問題につきましては、標準授業時数、小学校四年から中学校三年生までは年間千十五時間と、単位時間になっておりますけれども、これを、例えば二こま以上、大幅に上回るような教育課程を編成している学校が、改善はされてきたとはいえ、まだ二割弱あるというのが実態でございます。

 これは、いろいろ、災害等に備えてよかれと思って授業時数を上乗せで行ってきたりしている学校があったり、あるいは、これまでの慣例で授業時数を見直さずに来てしまっているような学校もあるわけでございまして、今般の働き方改革を全体、令和元年から進める中において、文部科学省としても、最終的にもし災害等があって授業時数が標準授業時数を下回ることのみで直ちに法令違反になるものではないということも明確にした上で、指導体制に見合った計画とするように強く要請をしてきて、ようやくここまで来たのが実情でございます。

 依然、都道府県間でも、それから市町村間でも、学校でいろいろな状況はありますけれども、かなり標準授業時数を大幅に上回るところもあるわけでございますので、こうしたことをまずあらゆる機会を通して改善をちょっと促していくというのがまずかと思います。

 その上で、年間を通じた授業時数の観点につきましては、教師あるいは児童生徒にいわゆる考える時間の余白を生み出していったり、あるいは次の授業、あるいは次の学びにつなげていく、そうした振り返りの時間とか、あるいはいわゆる余白的なものを生み出していくことは大事だと思ってございます。

 一方で、それが指導要領そのもののことなのか、あるいは、それを具体化している教科書であるとか、入試であるとか、教師用の指導書の影響などございますので、そうした授業づくりの全体を捉えまして、中教審におきましても、過度な負担や負担感が生じにくい在り方というのを検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

西岡(義)委員 ありがとうございました。

 ちょうど時間になりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

中村委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 給特法改正について、文科省に伺います。

 労働基準法は、公立学校の教員に適用されますか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地方公務員には、一部の規定を除いて労働基準法が適用されています。その上で、公立学校の教師は地方公務員でございますが、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与その他の勤務条件についての特別法としての給特法の規定に基づきまして、必要な読替えが行われた上で、一部の規定を除いて公立学校の教師にも労働基準法が適用されているところでございます。

大石委員 お答えのように、一部の規定を除いて公立学校の教師にも労働基準法が適用されている。これははっきりさせておく必要があって、じゃ、どの規定が適用されているのか、どこが適用されないのかをはっきりさせていかないといけないんですけれども、まず一番大事なところをはっきりさせたいなと思って、労働基準法第三十二条の労働時間なんですけれども、今から伺うのは通告で言う問い二で、総務省に伺いますね。

 労働基準法三十二条というのは何かから読み上げますね。労働基準法三十二条、労働時間、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」、二、「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」ということが、労働基準法の三十二条に労働時間が規定されています。

 そこで、問い二で総務省に通告していたやつの、その三十二条部分だけ伺いますね。

 地方公務員、先ほど文科省がお答えになった、公立学校の教員は基本的に地方公務員なんだと。地方公務員法適用なんですけれども、まず、その地方公務員法から聞きたいんですけれども、地方公務員法で労働基準法の一部適用除外は認めていますけれども、労働基準法の三十二条、先ほど読み上げた三十二条は除外されていますか、適用されますか。

小池政府参考人 地方公務員法五十八条第三項におきまして、地方公務員に関する労働基準法の一部条項の適用除外について規定をしておりますけれども、御指摘の第三十二条につきましては含まれておりませんので、地方公務員にも適用されるところでございます。

大石委員 労働基準法三十二条の労働時間は、地方公務員法で適用される。

 続いて、学校の先生に適用されるかというところで聞いておきますね。文科省で、通告では問い三で、その三十二条部分のみ聞きます。

 給特法で読み替えての適用で、結果として、労働基準法の第三十二条、労働時間は、適用除外に含まれますか、それとも適用されますか、あべ大臣。

あべ国務大臣 労働基準法第三十二条でございますが、給特法第五条において、適用除外を認める労働基準法の条項には含まれていません。

大石委員 適用されている、労働基準法三十二条が公立教員に適用されているでよろしいですね、同じ意味ですけれども。イエスでお答えください。

あべ国務大臣 労働基準法第三十二条は、公立学校の教師にも適用があります。

大石委員 ありがとうございます。

 この労働時間の定義なんですけれども、定義が同じでないといけないので、厚労省にお尋ねするんですけれども、問い、通告十三関連ですけれども、厚労省は、労基法の三十二条で言うところの労働時間というのを、この場、給特法の文脈で論じられる場合も、特にギャップがない、同じ労働時間として使っておられますよね。

尾田政府参考人 お答えいたします。

 労働基準法第三十二条は、使用者は一日八時間、一週四十時間を超えて労働者を労働させてはならないという原則的な労働時間制度について定めたものでございます。

 この労働基準法上の労働時間に該当するか否かにつきましては、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインというのがございまして、そちらの方で基本的な考え方を示しており、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に該当するとしております。

 一方、給特法におきましては、公立学校の教師に対して、いわゆる超勤四項目以外の業務については時間外勤務命令を出せない仕組みとなっていると承知しております。あくまでも個別具体的な判断になりますが、この仕組みの下で、超勤四項目以外の業務を使用者の指示なく所定労働時間外に行ったと評価される場合には、一般的には労働時間に該当しないと判断されることになると考えております。

大石委員 ちょっと分からなかったんですけれども、厚労省は、厚労省はといいますか、先ほど所管庁の方で、公立学校の教員にも労基法三十二条は適用されると言いました。そうすると、労基法三十二条に定める定義の労働時間というのがそのまま公立学校の教員にも当てはまると考えますが、それで合っていますね。

尾田政府参考人 お答えいたします。

 労働時間の概念につきましては、先ほど申し上げたとおり、労働時間の適正な把握に関するガイドラインというもので明確にしておりますけれども、これは、労働基準法が適用される労働者について、基本的に同じような考え方で適用すべきものと私どもとしては考えております。

大石委員 もう一回、同じことを言っているので聞きたいんですけれども、結局、だから、労基法三十二条が公立教員にも適用されるという話になっていますので、つまりは、今おっしゃった、三十二条適用の労働者には三十二条がそのまま適用されるとおっしゃったので、つまり、公立教員にもその同じ労働時間の定義が適用されるで合っていますよね。

尾田政府参考人 お答え申し上げます。

 労働時間の定義は先ほど申し上げたとおりで、それは労働基準法が適用される限りにおいて、同じ考え方というふうに認識しております。

大石委員 これはあべ大臣にも聞いておきたいんですけれども、今のお答え、厚労省のお答えと、文科省、同じでいいですよね。

あべ国務大臣 労働基準法上の労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいうと私ども認識をしておりまして、公立学校の教師に対しましては、時間外勤務命令によらず、所定の勤務時間外に教師が業務を行う時間は、労働基準法上の労働時間とは言えないものと考えております。

大石委員 ちょっと厚労省に伺いたいんですけれども、通告の問い十四になりますが、先ほどの労働基準法の三十二条なんですけれども、これは労働時間について定めているんですけれども、労働時間と非労働時間以外に、それ以外の中間領域というのはあるんですか、お答えください。

尾田政府参考人 お答えいたします。

 労働基準法における労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいまして、使用者の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間ということになります。

 よって、これに当てはまるものは労働時間に該当し、これに当てはまらないものは労働時間に該当しないということになります。

大石委員 そうですよね、だから、二つの世界しかなくて、労働基準法三十二条では、基本的に、労働者は四十時間以内しか働かせてはいけない、労働させてはいけない。その労働というのは、労働とカウントするか、労働じゃないとカウントするかで積み上げて四十時間以内にしなきゃいけないので、今おっしゃったのが、労働時間か労働時間じゃないか、その二つの世界しかないよというふうにおっしゃっています。

 そこを、給特法でというか、給特法を使ってとも言えないと思うんですけれども、非常に、違法状態を無理くりに合法化しようと試みておられるのが文科省であり、この部分をたださないといけないと考えています。

 今日のやり取りもそうですし、ほかの委員の方も指摘していますけれども、あべ大臣が何か法律違反の影を踏まんとこうと幾ら一生懸命やったって、もう踏んでいますから。だから、そこを変えなきゃいけないんですよ。給特法を守るためにじゃなくて、労基法を守ってください。それは矛盾しません。

 それで、公立学校の教師に一体どういう法律が適用されているのかというところを、労基法がどこが適用されているのかをもう少し、三十二条以外にもはっきりさせておきたいと思います。ですので、総務省に伺います。問い二ですね。

 地方公務員法第五十八条第三項は労基法の一部適用除外を認めていますが、何が適用除外されているのか、次にいうような条項で適用除外されているものはありますか。一つに、労働基準法三十二条、先ほど適用だと聞きましたが、三十四条、休憩ですね、労基法三十五条、休日、三十六条、時間外及び休日の労働、そして三十七条、時間外、休日及び深夜の割増し賃金が、地方公務員法において適用除外にされているかどうかお聞きします。

小池政府参考人 地方公務員法におきましては、今御指摘のありました三十四条、第三十五条、第三十六条、第三十七条は、適用除外には含まれておりませんので、地方公務員にも適用されます。

大石委員 地方公務員には三十二条、三十四、三十五、三十六、三十七、適用されるという確認でした。

 公立の教員はどうでしょうという確認をしておきます。あべ大臣ですね。先ほど質問、問い三です、問い三の既に三十二条は聞きましたが、同様に、労基法が、給特法下において、労基法三十二条、三十四条、三十五条、三十六条は適用除外に含まれていますか。含まれていないんですけれどもね。

あべ国務大臣 労働基準法第三十二条、第三十四条、第三十五条及び第三十六条は、給特法第五条において、適用除外を認める労働基準法の条項に含まれていません。

大石委員 適用除外されていない、適用されているということですね。ですので、公立学校の教員には、労基法上の労働時間規制三十二条と休憩規制三十四条、休日規制三十五条、そして時間外及び休日の労働規制三十六条は適用されると。

 じゃ、何が適用されていないのかという、適用されていないものもはっきりさせておきたいと思います。

 あべ文科大臣、問い四です。給特法第五条は、地公法第五十八条第三項を読み替えて、労働基準法の一部適用除外を認めていますが、適用除外を認める労働基準法の条項として、労働基準法第三十七条、時間外、休日及び深夜の割増し賃金は含まれていますか。

あべ国務大臣 労働基準法第三十七条は、給特法第五条により、適用除外とされています。

大石委員 労基法の適用除外がされているということですね。ですので、公立学校の教員には、労基法上の時間外、休日、深夜の割増し賃金を規定した三十七条は適用されない、つまり、時間外手当、超勤手当が支払われないという適用除外項目があるということです。

 さらに、給特法は、三条第二項において規定されているんですけれども、「教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。」と規定しています。これが、給特法の定める重大なルールの一つですね。ここが、言ったら、働かせ放題とも受け取られるような除外項目として捉えられているということです。

 あべ文科大臣に伺います。問い七です。公立学校において、校長は、一日八時間、週四十時間を超えて教員を労働させることはできますか。

あべ国務大臣 公立学校の教師の所定の勤務時間は、条例等で七時間四十五分と定められていると承知しておりますが、所定の勤務時間外に勤務するよう、法令の根拠に基づき、校長が教師に対して時間外勤務命令を行った場合は、所定の勤務時間を超えて教師を勤務させることができます。

大石委員 その超勤は、いわゆる超勤四項目以外で超過勤務命令を発することができますか。

望月政府参考人 いわゆる超過勤務命令を出せるのは、超勤四項目に限られているところでございます。

大石委員 大臣は知っていましたか。

あべ国務大臣 局長が申し上げたとおりでございます。

大石委員 ですので、労基法上の三十七条が適用除外である、そして、給特法三条二項において、休日勤務、時間外勤務手当は支給しないという規定はされておりますが、だからといって、何でもかんでも働かせていいと法的には定められておりませんで、文科省も言っているように、いわゆる超勤四項目以外は超過勤務命令を発することができません。それ以外の労働時間が発生するのは違法となります。

 超勤四項目というのは四つありまして、簡単にお伝えしておきますね。一つには生徒の実習、二つには修学旅行等の学校行事、三つ目には職員会議等の会議に関する業務、四つには災害等のやむを得ない事由による業務だと。超勤四項目。例えば、超勤四項目以外のものでいうと、授業準備だったり、部活動だったりという、あとは保護者への対応だったりとされています。

 それで、やはりはっきりさせておかないといけないのは、学校教員にも労基法で言うところの四十時間以内労働が適用されていて、かつ、何でもかんでもその除外項目で働かせていいんだではなくて、超勤四項目以外は駄目だ、超勤四項目はオーケーなんだ、その代償として教職調整額があるわけなんですけれども、それ以外をやると不払いになりますよということがはっきりしています。

 しかし、時間外在校等時間という概念を持ち出さないといけないぐらい、あべ大臣もよく御存じのとおり、超勤四項目以外はそもそも超勤命令をしてはいけない、そして、週四十時間労働を守らなければいけない存在の公立教員の実態が全然違う。実態として、時間外在校等時間の九割がそれ以外の、本来超勤を命じてはいけない内容の業務をさせられていて、これは業務なんだから違法概念だろう、ほかの委員からも指摘がありましたけれども。それを、何というか、けじめがなさ過ぎるんですよ。

 働き方改革で三十時間には減らしますとか、そういう問題じゃないでしょう。これはだって、法律違反なんだから。労基法を守っていないんですからね。本当は分かっているでしょう。労基法を守れていないんじゃないですか、明らかに。なのに、三十時間に減らそうねって、自分たちの違法状態を認めておきながら、違法状態にしておきながら、違法をちょっとは減らしましょうみたいな。二〇一九年の改正もそうだったわけですけれども、ここへ来てもう一回これでやって、三年後見直しとか、その三年後の見直しも違法を続けますよ。

 だから、教師のためにとか未来の子供のためにじゃなくて、まず法律を守ってください、文科省は、労基法を。ウナギみたいに、ああ言えばこう言う、逃げるみたいなので許しては駄目なんですよ。違法概念がまかり通っているのは、自発的、自主的とか、それで乗り切れるというふうに思っているんでしょう。それは無理ですよ、乗り切れないですよ。

 なので、一個一個、これは詰めていかないといけないと考えているんですけれども、残り十分で。

 本当にしゃれにならない、学校の先生が死んでいますから。労基法を文科省が守らないことによって、学校の先生が死んでいますからね。裁判も起きていますから。何かふわっと、ええことをやってくださいねという話じゃないんですよ。その教師の死とかをちゃんと法制度に生かしていかなきゃいけないんですから。

 先ほどから厚労省とかもお答えになっていますけれども、厚労省の労働時間の定義というのは、ガイドラインがあって、そのガイドラインに沿って、個別具体的に、白か黒か、労働時間か非労働時間かというふうに分けていくんですよね。その二つしかないんですよ。文科省も採用しているガイドライン、厚労省のガイドラインの中にも、余儀なくされるというところがありますよね。労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無から個別具体的に判断されるものであると。

 だから、今日の恐らくあべ大臣の話だと、校長とかから業務命令がない、使用者からの指揮命令があるかないかみたいなところでごまかそうとしているんですけれども、厚労省のガイドライン、そしてそれを採用している文科省ですら、これを余儀なくされていた状況の有無というところが一つの評価なんですよね。それで個別具体的に判断されるものなんですよ。だから、この事例は、結局、余儀なくされているんじゃないんかと。

 例えば、部活動とかですよ。部活動は、学校教育法で、仕事ですので、やらなきゃいけないことなので、例えば、終業時間五時まで部活動を先生が見ました、これは時間内の業務だと。五時以降からは、いきなり自発性。ずっと継続していて、五時から、過ぎたら、いきなり自発性のある、労働時間じゃないかのような扱いというのは、それは無理ですよね。じゃ、そういう形の部活動は、これを余儀なくされているんじゃないのかというのをはっきりさせたいんですよ。

 じゃ、一個聞きますけれども、あべ文科大臣、五時が終業時間であった場合に、そこまでは業務で、校長に命令された部活をやっていた、五時を過ぎました、そこから、労働時間ですか、その部活は。

あべ国務大臣 給特法に関しましては、公立学校の教師に対しまして時間外勤務命令は、いわゆる、先ほど委員もおっしゃいました超勤四項目以外の業務については出せない仕組みになっておりまして、いわゆるこの超勤四項目以外の業務を所定の勤務時間外に行った場合においては、時間外勤務命令に基づくものではないと整理されるものと認識しております。

大石委員 いや、ですから、その整理が違法でしょうと。

 給特法が違法なんやったら、その違法部分を変えてください。私は両立できると思っていますし、百歩譲って給特法が違法状態の法律であっても、労基法を守らなきゃいけませんから、労基法上、これは労働時間やと当然みなされるようなものについては残業代を払わなきゃいけないんですよ。

 部活動、今さらっと言って、そういうのって、本当に学校の先生というのはどういう思いで聞いているんでしょうね。部活動で安全配慮義務、適用されますよね。安全配慮義務というのは、年々その考え方が強化されているとも言えます。例えば、部活動中に熱中症で生徒さんが亡くなってしまった、そういう死亡事故があって、そこで教員の安全配慮義務とかが問われたケースもあるんですよね。安全配慮、これは例えば平成十五年の神戸地方裁判所の判決で、ラグビー部の事例でそういうことがあったわけです。注意義務が認められるということが認定されたわけなんですよ。

 だから、これは、学校の先生は大変やねだけではないんですよ。安全配慮義務は誰にかかるのという話ですよね。学校でそういう起こるべきではなかった事故が起きたときに、誰が責任を、どういう責任を問われるんですかというところでは、刑事上と民事上と行政上の責任があるようです。それは学校の先生にも問われるけれども、それは施設側、学校だったり、国にも問われるんですよ。

 公立学校の学校事故における損害賠償の根拠法は国家賠償法になっています。これは民事上の責任が問われるんですけれども、この場合は、教員個人はこの民事上の責任、賠償責任は負わずに、国又は公共団体が問われるんですよ。

 だから、何か学校の先生が五時以降勝手に部活動をやっていたわみたいな話じゃなくて、五時以降、時間外での部活動で何か事故があったときに安全配慮義務を問われるのは、教師だけではなく、むしろ、教師ではなくて、国だったり、あべ大臣だったり、自治体だったり、学校だったりするわけでしょう。だったら、その人たちの責任じゃないですか。ちゃんとした業務として命じておかないと駄目なんじゃないんですか。既にそういう安全配慮義務を怠ったという、認定された事例もあるわけなんですよね。

 あべ大臣、今の話の中で、やはりこれは自分の責任として残業代を払うべき部活というのが存在するなと思われましたか。

あべ国務大臣 済みません、繰り返しになりますが……(大石委員「ちょっと声が小さいですけれども」と呼ぶ)

中村委員長 明確に答弁をお願いします。

あべ国務大臣 繰り返しになりますが、時間外勤務命令に基づくものかどうかということに関しての判断基準になるものと考えられますが、給特法においては、公立学校の教師に対して時間外勤務命令はいわゆる超勤四項目以外の業務については出せないという仕組みになっているものでございまして、その超勤四項目以外の業務を所定の勤務時間外に行った時間は、校長等からの指示、すなわち時間外勤務命令に基づくものではないと整理されるものと認識をしております。

大石委員 給特法においてはを強調しているんでしょう。だから、給特法が違法なんでしょう。だったら、給特法を改定するコーナーなんですから、これ。違法状態を解消するような給特法改正にしないといけないでしょう。

 それで、まだほかにもありますよ。

 埼玉県の教員、超勤訴訟で、労働時間かどうかというのを判定しているんですよ。結果として、これは労働時間として認定されたものが結構あるんですね。ただ、文科省がこうだからだと思いますよ、その判決は、賠償額が低いから損害賠償は成り立たないなる変な結論だったんですけれども。でも、その結論と同時に、労働時間としては認定されているんですよ。例えば、翌日の授業準備とか、いっぱいありますよ、通知表の作成とかね、いっぱい労働時間として認定されているんです。一審で認定されて、二審でも、追加的にこれも労働時間やったわと認定されているんですよ。だけれども、その額、積み上げ額が少ないから損害賠償のほどには当たらぬ、けれども、法改正だったり、こういった法改正の議論を待つといった判決なんですよ。

 だから、それを、これは二〇二一年の訴訟ですね、受け止めなきゃ、全くこの改正の議論をしている意味がないというか、もう裏切りですからね。

 また次に明らかにしたいと思いますけれども、ほかにも、部活動も含めてむちゃくちゃ土日に休みがなくて、それでくも膜下出血で労災認定された方もいらっしゃるんですよ、教員で。労災でしょう。それは部活動も含まれているんですよ。労災認定されているんだから、それは労基法で言うところの労働時間ですからね。全然休みがなかった、つまりは労基法の三十二条に違反するような労働実態があって、労災認定されているんだから、労働時間なんですよ。だから、もう詰んでいるんですよ。

 その細かいことはまた、公務員の労災なので、ちょっと裁判じゃないので資料を請求しないといけないんですけれども、ちゃんとその罪を認めて、違法状態を認めて、根本的に変えてください。何かさっき、抜本的には今回変えるものではなくてとか、違法を開き直るという最悪な場になっていますからね。

 またこの給特法の質疑は続きますので、このような違法状態の解消こそ、今回の改定で求められるものだと申し上げて、本日は終わります。

    ―――――――――――――

中村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十八日金曜日午前九時、参考人として国立大学法人千葉大学副学長、教育学部教授貞広斎子君、慶應義塾大学教職課程センター教授佐久間亜紀君、東北大学大学院教育学研究科教授青木栄一君、日本大学文理学部教授末冨芳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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