衆議院

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第10号 令和7年4月23日(水曜日)

会議録本文へ
令和七年四月二十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中村 裕之君

   理事 今枝宗一郎君 理事 小林 茂樹君

   理事 永岡 桂子君 理事 青山 大人君

   理事 亀井亜紀子君 理事 坂本祐之輔君

   理事 高橋 英明君 理事 日野紗里亜君

      五十嵐 清君    遠藤 利明君

      小渕 優子君    加藤 竜祥君

      木原  稔君    柴山 昌彦君

      鈴木 貴子君    高木  啓君

      高見 康裕君    田畑 裕明君

      渡海紀三朗君    萩生田光一君

      深澤 陽一君    福原 淳嗣君

      船田  元君    松野 博一君

      三谷 英弘君    簗  和生君

      山本 大地君    吉田 真次君

      阿部祐美子君   安藤じゅん子君

      五十嵐えり君    市來 伴子君

      小山 千帆君   佐々木ナオミ君

      高橋  永君    竹内 千春君

      辻  英之君    波多野 翼君

      眞野  哲君    吉川  元君

      うるま譲司君    前原 誠司君

      美延 映夫君    西岡 義高君

      浮島 智子君    金城 泰邦君

      山崎 正恭君    大石あきこ君

    …………………………………

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   文部科学大臣政務官    金城 泰邦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 須藤 明裕君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         浅野 敦行君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    寺門 成真君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           尾田  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     高木  啓君

  鈴木 貴子君     福原 淳嗣君

  松野 博一君     田畑 裕明君

  山本 大地君     高見 康裕君

  辻  英之君     市來 伴子君

  金城 泰邦君     山崎 正恭君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     加藤 竜祥君

  高見 康裕君     吉田 真次君

  田畑 裕明君     松野 博一君

  福原 淳嗣君     五十嵐 清君

  市來 伴子君     辻  英之君

  山崎 正恭君     金城 泰邦君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     深澤 陽一君

  加藤 竜祥君     木原  稔君

  吉田 真次君     山本 大地君

同日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     鈴木 貴子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

中村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官須藤明裕君、文部科学省総合教育政策局長茂里毅君、初等中等教育局長望月禎君、高等教育局私学部長浅野敦行君、スポーツ庁次長寺門成真君、文化庁次長合田哲雄君、厚生労働省大臣官房審議官尾田進君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三谷英弘君。

三谷委員 皆さん、おはようございます。自由民主党、衆議院議員の三谷英弘です。

 今日は、この文科委員会におきまして質問の機会をいただきましたこと、理事そして委員の皆様に感謝、御礼を申し上げたいと思います。

 この給特法の質疑に先立ちまして、小学校のときの私個人の先生に対する思いを申し上げたいと思います。

 特に、私が小学校一年生のときでございました。どちらかというと、今でもそうかもしれませんけれども、座っておとなしく先生の話を聞ける、そういった子供ではありませんでした。今でもですけれども、そういった、おとなしく話を聞いて、本当に静かにしている、そういったことが苦手な、どちらかというと発達に凸凹があるような子供に該当するんじゃないかと思いますけれども、いつも叱られていて、居残り勉強もさせられておりました。でも、その先生がいつも、そういった居残り勉強をする際に、あなたは将来必ず大成するからというふうに事あるごとに話をしてくれました。辛抱強く居残り勉強にもつき合ってくれたという、本当にそういった記憶が非常に強く残っています。

 そのときの記憶がありまして、これまでの人生、もちろんいいときも、そして厳しい局面もありましたけれども、そのとき積み重ねさせていただいた成功体験、そういったものを踏まえて乗り越えることができたと、本当に感謝しております。今の自分があるのはそのときの先生のおかげでもありますし、感謝申し上げたいと思います。

 そういった意味で、勝手ながらではありますけれども、教育の価値を誰よりも本当に理解している一人だと思っております。本日は、自分を育ててくださった先生方に対する恩返しになれば、そういった思いで質問をさせていただきます。

 改めて、この国の資産は人でありまして、教育こそが最大の未来への投資だと考えています。しかしながら、現在、その中核を成すべき先生のなり手が少ないという状況がありまして、魅力のない職業になってしまっている現状は何とかしなければならない、こういった理解は、この委員会の場においても、皆さんとともに共有できているんじゃないかと思います。

 この教員のなり手不足につきましては、教員の採用選考試験の倍率は過去最低というところからも分かるかと思います。ただ、果たしてずっとそうだったかというと、そうではありませんでした。私が大学を卒業したのが平成十二年。その頃は、実感として、教員のなり手不足という認識もありませんでしたし、むしろ、教員になるのが大変だ、そういった時代だったと思います。

 まず、事実関係のみ確認させていただきたいと思いますが、その年の小学校の教員の採用人数と競争率、お答えください。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのありました平成十二年度教員採用選考試験におきます小学校教師の採用人数でございますが、三千六百八十三人、競争率は十二・五倍でございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 約三千六百人の採用人数で、競争倍率が十二倍を超えていた。

 過去の推移を見ますと、実は、平成三年以降になりますが、次々にその採用人数というものが減らされていきまして、先ほどの平成十二年のときには、そのときの四分の一程度にまで減らされている。その間、受験者数は増えておりましたため、競争倍率が著しく上がっていた。その頃は、時代はまさに就職氷河期の時代でございますが、先生というのはとても狭き門でございました。

 しかしながら、平成十二年を過ぎると、そこから平成十八年にかけて、今度は、採用人数を四倍近くまで急激に増やしています。この平成三年から平成十八年までの十五年間、採用を急激に絞って、また一気に増やす、見方によっては一貫性のない対応をしているように見えますが、急激に採用人数を減らした理由、また、その直後に急激に増やした理由として何があるのか、お答えください。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 公立学校教員の採用につきましては、それぞれの域内の児童生徒数の変動を踏まえました教職員定数の見通しや、教職員の年齢構成等を踏まえました退職者数の見込み、こういったことを勘案いたしまして、任命権者である教育委員会の判断で各年度の採用人数が決定されているものと承知をしております。

 その上で、平成三年度以降の全体的な採用人数の減少につきましては、急速な児童生徒数の減少による教職員定数の減、これがあったことが主な要因と考えております。

 また、平成十三年度以降の全体的な採用人数の増加、これにつきましては、児童生徒数の減少幅が緩和したことに加えまして、国として教職員定数の改善に取り組んだこと、また、定年退職者が増加したこと、こういったことが主な要因だと認識してございます。

三谷委員 お答え、ありがとうございます。

 今るる御説明がありました。しかしながら、今、ちょうど大学を卒業して教員採用試験を受験しようとしている学生の多くは、実は、こういう新人採用が大変絞られていた時期に採用された先生方に教えられた生徒だというふうになります。当時は採用が少なく、限られた若手の教員が四苦八苦しながら子供と向き合ってきたことが容易に想像されるわけでございますが、残念ながら、そういう苦労をしていた姿というのが、子供たちからは、もしかしたら魅力的に見えなかったということなのかもしれません。

 時代は、まさに就職氷河期時代でございました。当時の不況が深刻化する中で、今、答えには直接ありませんでしたけれども、様々な歳出削減圧力があったということは当然容易に想像されるわけですけれども、やはり大切なのは、教育こそが最大の未来への投資であるということを前提に、そういう圧力をはね返してでも、教師の採用方針には一貫性を持っていただきたかったと思います。文科省での教員定数の改善の取組という話もありましたけれども、それがあるのであれば、あんなに減らす必要はなかったと思います。

 先生方には、専門的知識を前提に、ある程度職務に余裕を持って、しっかりと子供に向き合っていただけるような環境を整えていかなければいけないと考えますが、いかがでしょうか。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 公立学校の教員の採用につきましては、各教育委員会の権限と責任において行うものでございますが、児童生徒の教育を直接担う公教育の要である教師の年齢構成のバランスを保つ意味でも、安定的な教員採用は、今ほど御指摘のとおり、大変重要なことだと考えております。

 このため、各教育委員会に対しましては、中長期的な必要教員数の見通し、これをしっかり立ててもらい、その上で、これを踏まえた計画的な新規採用を進めるよう要請しているところでございます。

 また、文部科学省といたしましても、中長期的な見通しを持った計画的な採用に資するよう、義務標準法の改正により計画的な定数改善を行っているほか、今後につきましても、令和七年度から、小学校における教科担任制、中学校における生徒指導教師の拡充などにつきまして、新たに四年間で計画的な定数改善を図ることとしております。

 引き続き、文科省としても、中長期を見通した計画的な採用ができるようしっかりと努めてまいりたいと思います。

三谷委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 その上で、子供たちから見て教員がより魅力的な仕事になるために、よく言われることでございますけれども、三つの観点から改革を進めていかなければいけないというふうに思います。まずは働き方改革、そして教職員定数の改善を始めとする学校の指導、運営体制の充実、それから処遇改善、それぞれについて、以下質問させていただきます。

 まず、働き方改革についてです。令和元年の給特法改正で行われた働き方改革、どのようなものがございますか、お答えください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年の給特法改正におきましては、平成二十八年度の教員勤務実態調査におきまして教師の厳しい勤務実態が明らかになったことを踏まえまして、文部科学大臣が定める指針におきまして、教育委員会が行う業務量管理の原則として教師の時間外在校等時間の上限を定めまして、客観的な時間管理の徹底等を求める仕組みを導入したところでございます。

 さらに、教職員定数の改善あるいは支援スタッフの配置充実、校務のICT化、部活動の活動時間等の適正化などを推進をすることによりまして、学校における働き方改革の取組を推進してきたところでございます。

 その結果、全国におきまして客観的な方法での在校等時間の把握が徹底はされてきたと思ってございますけれども、一方、令和四年度の勤務実態調査の結果においては、時間外在校等時間が減少するなどの状況は見られるところではありますけれども、依然として時間外在校等時間が長い教師も多く、また、対策の事後的な検証が十分でない自治体もあるなどの課題があるというふうに考えているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 もちろん様々な課題があるということで、その以降も、様々な残業時間を減らすことに主眼を置いた働き方改革に向けた取組というものは進められてまいりました。

 例えば、私が以前、文部科学大臣政務官であった時期にも、全国における働き方改革事例集というものを公表させていただきまして、例えば、六時を過ぎたら留守番電話に切り替える、そういった、本当にささやかに見えるけれども、工夫を通じて少しでも残業時間を減らせるようにするための好事例を集めて横展開をするようにしておりました。

 また、同じ時期に、ツイッター、今のXですけれども、教師のバトンというハッシュタグ、これを創設いたしまして、教師の生の声を聞く活動もスタートしております。学校での働き方改革による職場環境の改善ですとか、ICTの効果的な活用等々、そういった様々な事例、エピソードあるいは日々の現場における先生方の思いを社会に広く知っていただくとともに、今教職を目指す学生の方々や社会人の方々の準備に役立てていただきたいという取組でございます。

 こういったことによって文科省に直接声が届けられるということで、大変盛り上がって今に至っているところでございますが、この点、念のためですけれども、この教師のバトンというハッシュタグ、大臣、御存じでしょうか。

あべ国務大臣 三谷委員にお答えさせていただきます。

 その前に、最初に委員がお話しされた、居残り授業で、学校の先生が信じてくれて、あなたは必ず偉くなるからねと言ってくれた。私、やはり誰かが信じてくれるというのはすごく大切だと思っていて、やはり学校の先生が、そういう時間がしっかり取れるようになれるといいなと思いました。

 お答えさせていただきます。

 教師のバトンプロジェクト、文科省が行ってきたことは承知をさせていただいております。

三谷委員 ありがとうございます。

 是非、時間があればまた見ていただければと思います。引き続き様々な声、寄せられておりますので。

 残念ながら、しかしながら、こういう取組を経てもなお、残業時間が劇的に減少することはなかったというところでございます。そこで今回の法改正ということでございますが、今回、文科省が平均時間を、残業時間を三割減らし、月三十時間程度にするという目標を掲げるとともに、法律で業務量管理・健康確保措置実施計画の策定など、こういったものを教育委員会に義務づけしようとしているわけです。

 この教育委員会への義務づけにつきましては、先日行われた参考人質疑におきまして、青木参考人が、緊急事態とも言える現在の教員の働き方を改善するという強い意志の表れと評価されておりましたが、改めて、この異例とも言える教育委員会への義務づけを行う意義を確認させてください。

望月政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、これまで、令和元年の給特法の改正を踏まえまして、教育委員会も一定努力をしてきたところでございますが、教育委員会の取組とはかなり大きな差が見られるところでございます。

 今回、こうした課題を改善しまして、全ての教育委員会が確実に働き方改革を自分事として捉え、主体的に取組を進めることに加えまして、各教育委員会がそれぞれの地域あるいは保護者等も含めた共有あるいは理解を進めながら、PDCAサイクルを構築をしまして、業務量管理・健康確保措置実施計画を策定し、公表することなどを制度化をしたところでございます。

 青木参考人のお話、いただきました。御専門の国と地方の関係から考えた場合、教育行政が地方の自治事務とされており、本来は服務監督権者である教育委員会が自らの職責である教師に対して取り組むべき事案であるこうした働き方改革に関しまして、国がこうした義務づけという形で計画を策定をするということにつきまして、国の強い意志の表れであると述べられたものと考えてございまして、我々もその気持ちでございます。

三谷委員 本当に、残業時間を減らしていく、負担を軽減していくということの課題については、もう待ったなしで本気で取り組んでいく。もちろん文科省もそうですけれども、各自治体における教育委員会を含め、現場の先生方を含めて、一丸となって是非とも進めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 また、続きまして、教師の処遇改善についてお伺いをいたします。

 今回の処遇、法改正につきましては、教職調整額の引上げと学級担任に手当を加算することを内容とするものでございますが、この中で、教師の業務の過重な負担について教職調整額の引上げで対応する前提として、教師については職務の特殊性が専門職としてあると説明をされております。

 この教師の職務の特殊性とは具体的にどのようなことか、また、その中で給特法はどのような意義を有してきたのかについて説明をお願いします。

望月政府参考人 教師は、子供たちの抱える課題が複雑化、多様化する中におきまして、必要となる知識や技能の変化に合わせて学び続けることが求められるところでございます。

 教師は、日々変化する目の前の子供たちと向き合い、臨機応変に対応することが求められていることから、教師自身の自発性あるいは裁量性に委ねるべき部分が大きく、教師の業務はどこまでが職務かが切り分け難いという特殊性を持ってございます。

 こうした教育活動には、日々子供たちと毎日接している、そういう中での創意工夫が非常に重要であり、給特法におきましては、逐一管理職の職務命令によるのではなく、その専門性を発揮して業務を遂行し、教師の裁量を確保する仕組みとなってございまして、それを制度的に担保している、いわば勤務時間の内外を包括的に評価するものとして教職調整等を支給することとしてございます。

 この点、中央教育審議会におきましても、教師の裁量を尊重するこの仕組みというものは、現在も教師の意義や職務の在り方を含めまして変わらないものとされているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 この点に関して、この教職調整額の引上げという形ではなく、教師にも時間外勤務手当を支給する、そういったことを求める意見があるということは承知をしております。しかしながら、仮にそのようにした場合、思うような授業の準備等が行うことができなくなるということについては理解をいただきたいと思います。

 例えば、児童生徒の理解状況を踏まえて、習熟度に合わせた演習問題というものを勤務時間外に準備しよう、本当にそういった思いのある先生がやろうとしても、管理職の理解が足りなくて、演習問題は既存の問題集を活用すればよい、だから時間外勤務をせずに帰宅するようにというふうに命じられた場合、残って準備することもできませんし、また、帰宅をした上で当初予定していた演習問題の作成をしたとしても、それは時間外勤務の対象とならない、手当の対象とならないと理解をせざるを得ませんが、そういう理解でよいか、お答えください。

望月政府参考人 時間外勤務手当につきましては、正規の勤務時間外において、管理職の職務命令により業務に従事した時間の長さに応じて支給されるものでございます。

 この時間外勤務手当が支給されることになった場合におきまして、三谷先生御指摘のような場合におきましては、管理職の具体的な命令に反して、所定の勤務時間外に自らの作業を行ったこととなる場合が多いと思いますので、個別具体の状況によりますけれども、時間外勤務とは認められないと考えてございます。

 その上で、給特法が廃止された場合を考えますと、所定の勤務時間外の業務は、すべからく日常から、日頃から子供たちを必ずしもきめ細かく把握し、直接指導しているわけではない管理職の指揮命令の下で行われることが必要になる、このことから、教師の裁量の低下、あるいは創意工夫の発揮はしにくくなるものではないかと考えてございます。

三谷委員 お答え、ありがとうございます。

 また、昨年の中教審の答申におきましては、県費の負担の教職員制度の下においては、時間外勤務手当化、仮にしたとしても、民間企業と同様の形では時間外勤務を命じないというインセンティブが機能しないという指摘がございます。つまり、仮に時間外勤務手当という形にしても、現在の過重な負担を減らすことにはつながらないという課題があります。

 他方で、この時間外勤務手当をそれぞれの市町村が負担する仕組みにすればよい、そういった意見もございますけれども、こういった御意見について、文科省の見解はどうか、お答えください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 今、三谷先生御指摘の県費負担教職員制度につきましては、地方財政の大きな負担となる教職員の給与費を財政的に安定している都道府県の負担とすることで義務教育の水準の維持向上を図る制度でございます。これによりまして、財政力の格差が大きい市町村が設置する小中学校の教職員につきましても、必要な水準の給与や定数が確保され、一定水準の教職員の配置を行うことも可能となってございまして、まさに教育水準の維持向上を図る観点からは必要な制度であると考えてございます。

 昨年の中教審の答申の中でも、先ほど三谷先生から御指摘ありましたように、仮に時間外勤務手当を支給することとした場合には、こうした県費負担教職員制度の下では、服務監督権を有する市町村は、時間外勤務手当を支払う責務を負わないため、民間企業と同様の形では時間外勤務命令を発しないようにするインセンティブが十分には機能しないだろうということが指摘をされております。

 一方で、仮に時間外手当化をし、市町村教育委員会が負担する仕組みとした場合には、市町村の財政によって過大な負担になるとともに、自治体の財政力の差、これが教育活動の質や量に大きな差として跳ね返ってくる、大きな差が生まれてくるおそれがあることから、適切ではないというふうに考えてございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 今お答えいただきましたとおり、時間外勤務を命じる者とその負担を行う者というものがずれるということによって様々な課題があるし、一致させたら一致させたでまた問題があるというところでございますので、なかなかそういった形での実務上の対応というのも難しいということは御理解いただけるのではないかというふうに思いますので、教職調整額の引上げということで、本当に大きな一歩を踏み出させていただいたというふうに理解をしておりますので、是非とも御理解をいただきますよう、お願いを申し上げます。

 また、他方で、今回の法律の対象外ではありますけれども、公立学校の教員のみならず、私立の小中学校の教員の処遇改善というものも重要な課題ではありますが、国としては、私立の学校における教員の処遇の改善についてどのように取り組んでいるか、お答えください。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の私立学校の教師の処遇改善につきましては、私立高等学校等経常費助成費補助金の生徒等一人当たり単価を例年より引き上げ、経常的経費に対する補助を拡充するなど、令和七年度私立高等学校等経常費助成費補助につきまして、対前年度二億円増の一千十四億円を計上しております。

 引き続き、必要な予算の確保に努めてまいります。

三谷委員 ありがとうございます。

 その上で、さらにということにはなりますが、今回、法律の対象外でもありますし、審議の対象外ということなんだろうというふうに思っておりますので質問にはいたしませんけれども、一点言及させていただきたいのは、高校無償化に関してでございます。

 現在は、高校に関して、公立、私立、そこまで大きな給与の差というものはないかもしれませんけれども、今後、高校無償化という形で多額の国費が私立の高校に投じられるということになりましたら、それに伴って教員の給与というものが引き上げられるということも当然ながら想像されるわけでございますが、そうなれば、当然ながら、高い給与というものが魅力的になりますので、優秀な教員については私立の高校に流れるということになりかねませんし、そのことによって公立高校というものが空洞化しかねないという懸念というものがございます。

 答弁は求めませんが、この高校無償化、今後、制度設計をされていくというふうに理解をしておりますので、この点について、しっかりとそういった懸念がないよう検討を進めていただきたいと思います。

 では、続けて、指導、運営体制の充実の観点から質問させていただきます。

 まず、この改革の中で最も大きなものが教職員定数の改善でございます。先生がクラスの一人一人と向き合う、生徒と向き合う時間を増やすためには、物理的にこのクラスの定数を削減していくというのは不可欠です。

 私が文部科学大臣政務官の時代、この委員室の中にもいらっしゃいますけれども、萩生田光一文科大臣、当時の大臣でございますが、そのリーダーシップの下、小学校での一クラスの定員削減というものが行われました。これは四十年ぶりの大改革だったと理解をしております。その後も定数に関しては改革が進んでいると承知しておりますが、具体的にどのような改革が行われたか、お答えください。

望月政府参考人 まさに三谷委員が大臣政務官として在任されていらっしゃいました令和三年三月に成立しました改正義務標準法に基づく小学校三十五人学級の計画的整備が、今年度、令和七年度にようやく完成をすることになります。これによりまして、教員の一人当たりの授業時数というものが計画的な整備ということで減ってきているということがあると思います。

 多様化、困難化する教育課題への対応を図る上におきましては、きめ細かな指導を可能とする指導体制の整備は引き続き大変重要であるというふうに考えてございまして、小学校に続きまして、昨年十二月の文部科学大臣と財務大臣の合意に基づきまして、令和八年度から中学校における三十五人学級の整備を行うための定数改善も行いたいというふうに考えているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 今のお答えのとおり、令和八年度からも、さらに、今度は中学校に関する定数の改善というものが進んでいく。当時言われておりました小学校、中学校における定数の、クラスの定員の引下げというものがようやく形になろうというふうにしているということになりますので、まずは、そういったときの目標を達成することになるわけでございますが、しかしながら、では三十五人でいいのかということなんです。

 他の先進国において、例えば初等教育機関のクラスの定員というものはもっと少ないと承知をしております。他のOECD加盟諸国の小学校のクラスの定数について御説明ください。

望月政府参考人 お尋ねがございましたOECD加盟諸国と我が国におけるクラスサイズということでございます。

 令和四年、二〇二二年、これが最新でございますけれども、一学級当たりの児童生徒数の国際比較につきまして、OECDの調査によりますと、小学校段階は、日本が二十七・〇人であるのに対しましてOECD平均が二十・七人、中学校段階は、日本が三十一・八人に対しましてOECD平均が二十二・九人となってございまして、御指摘のとおり、日本の一学級当たり児童生徒数は他国に比べて大きい現状にあるというふうに承知してございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 今のお答えのとおり、もちろん一つ一つこの改革を進めていくというのは重要なことではありますけれども、それでよいと結論づけるわけにはいかない。引き続き、この定数の改善についても、取組を一丸となって進めていければというふうに考えております。

 また、この指導、運営体制の充実に関連して、チームとしての学校という考え方についてお伺いをしてまいります。

 学校における教育力を上げるために、専門性に基づくチーム体制の構築ですとか、学校のマネジメント機能の強化、また教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備、そういったものが不可欠ですが、今回の法改正の中で創設される主務教諭とはどのような職務を担うのか。また、主務教諭の配置により、学校組織においてどのような課題が解決されるのか、その狙いをお答えください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 主務教諭についてのお尋ねでございます。

 主務教諭は、児童の教育をつかさどるとともに、校長等から命を受けて当該学校の教育活動に関し教職員間における総合的な調整を行うとされておりまして、担当する教育活動に関して、教職員間のまさに核となって調整を行うことが想定されるところでございます。

 近年、学校におきましては、学校が組織的に対応すべき横断的な課題、取組が多様化、複雑化する中にございまして、例えば、特別な支援が必要な児童生徒に関しまして、学級担任、教科担任や支援スタッフと連携した対応を行うことや、あるいは情報教育とか防災、安全教育、そうした横の連携が必要な事柄に関しまして、学校横断的な取組を行うことなどにつきまして、主務教諭が核となって調整を行うとともに、また、若手教師をメンター的な役割として支援することによりまして、学校全体が組織的に対応できる体制が構築されていくものではないかと考えているところでございます。

三谷委員 続きまして、専門家の活用という観点から、学校薬剤師についてもお伺いします。

 大学以外の学校に、学校医や学校歯科医とともに学校薬剤師というものを設置すると学校保健安全法に規定されておりますが、私の地元でも、薬物乱用防止といった授業を行うケースがありますけれども、この学校薬剤師の意義についてのお考えをお伺いします。

望月政府参考人 学校薬剤師につきましては、学校保健安全法の第二十三条の二項で規定がございます。

 学校の環境衛生の維持改善に関しまして、必要な指導助言を行うとともに、児童生徒等の健康相談や保健指導に従事するなど、学校における児童生徒等の健康の保持増進を図るため重要な役割を果たしていると認識しているところでございます。

 特に近年は、感染症等の対策の観点から、教室などの適切な換気の方法についての指導助言や各学校における薬物乱用防止に関する指導に外部講師として参画することなどの取組が進んできているところでございます。

 文部科学省といたしましては、児童生徒等の健康の保持増進の役割を担う学校薬剤師の重要性につきまして、引き続き、自治体等への周知に努めてまいります。

三谷委員 ありがとうございます。

 また、近時大きな課題となっております、学校における親子の交流支援についても確認させていただきます。

 親子が離婚した場合に、学校における様々なイベント、運動会等、別居親が子供と顔を合わせたり、また子供の成長を確認したり、そういった機会になっております。もちろん、このことによって教員の負担というものが増える、そういったことにならないように、そこは最大限留意をしなければなりませんけれども、三組に一組が離婚すると言われる時代、そういった学校の場で必要な調整が行われるように、スクールソーシャルワーカーの役割というものがこれまで以上に重要になってくるのではないかと考えておりますが、この点について、いかがお考えでしょうか。

望月政府参考人 親子交流につきましては、学校も一つの場になり得ると思っておりますけれども、昨年成立しました民法改正法の施行後に、学校現場に混乱が生じたり、あるいは教師の負担となったりすることがないよう、必要に応じて教育委員会が福祉担当部局等と連携するなど、適切に対応していただく必要があると考えてございまして、現在、法務省を始めとした関係府省庁が連携して検討を進めております解説資料、あるいは学校における親子交流の具体例について周知をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、三谷委員御指摘の福祉担当部局との連携を担うスクールソーシャルワーカーにつきましては、まさに福祉の専門家でございまして、学校と家庭をきめ細かにつなぐという役割を果たしているところでございます。我々が承知している事例としても、スクールソーシャルワーカーが関係機関と連携して親子交流においても役割を果たす場面も見られている、そういうケースも出てございます。

 児童の福祉に関する支援に従事するスクールソーシャルワーカーにつきましては、その重点配置を今年度予算でも進めてございまして、対前年度比で一千校増の一万一千校の配置に必要な予算を計上するなど、文部科学省といたしましては、そうした支援スタッフの充実にも努めてまいりたいと考えているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 福祉部局とつないでいただくスクールソーシャルワーカーの役割というものは、非常に重要になってまいります。先生方の過重な負担というものを軽減するためにも、是非とも、その設置、それをお願いしていくということを進めていっていただければと思います。

 また、この専門家の活用という観点から問題をちょっと飛ばして質問させていただきますけれども、チーム学校という観点から、スクールローヤーの役割について確認をさせてください。

 保護者や地域住民から、いわゆるモンスターペアレントみたいな言葉で言われることもありますけれども、本当に、いろいろな学校の活動には参画をしないけれども、ひたすら文句を言う。アメリカには、自分も海外に行ったときに、そういったモンスターペアレントというものがいない、いろいろ文句を言う親はいるんだけれども、ヘリコプターペアレントといって、何かあったらすぐ出てくる。でも、出てきたはいいけれども、ちゃんと学校の運営にも責任を持って関与してくれるというのが大前提なんだそうです。

 だけれども、やはり日本の場合は、ただ単に苦情だけを言う、それが過重になった場合には、学校では対応し切れないという場合に専門家の活用をするということで、スクールローヤーを活用していかなければいけないということになるんだろうというふうに思いますけれども、こういったスクールローヤーの費用というものは、財政上の措置というものが必要になります。

 現在、法務相談体制の構築に向けて講じられております普通交付税措置を拡充すべきではないかと考えておりますけれども、この点について、お考えをお答えください。

須藤政府参考人 お答えいたします。

 いじめなどの学校現場が抱える様々な課題に法的な観点から対応できるよう、教育委員会における弁護士等への法務相談に要する経費について、令和二年度から普通交付税措置を講じております。

 学校における働き方改革を進め、教師の負担軽減を図ることは重要と考えており、御指摘のスクールローヤーの活用を含め、自治体の取組状況を踏まえつつ、文部科学省と連携して対応してまいります。

三谷委員 ありがとうございます。是非とも進めていっていただければと思います。

 以上、るる様々な質問をさせていただきました。本当に様々な課題がある中で、現在、教職の現場で必死に歯を食いしばって子供たちのために頑張ってくださっている本当に多くの先生方がいらっしゃいます。

 そういった方々に向けて、文部科学省として、これから教育あるいは教員の目指すべき姿についてどのようにお考えなのか、あべ大臣の率直な思いというものをお答えいただければと思います。

あべ国務大臣 まずは、委員御指摘のとおりでございまして、学校現場で子供たちに頑張っていらっしゃる教師の皆様に、私、本当に心から、心から敬意を表したいというふうに思います。

 これからの学校教育でございますが、多様化する子供たちの学習状況や興味また関心を適切にしっかりと把握をしながら、一人一人の可能性を最大限伸ばしていくという学びを実現していくことが重要であるというふうに考えておりまして、今回の法案によりまして、学校における働き方改革を進めながら、働き方改革により創出をしたその時間を活用していただきながら、教師の皆様が教師でなければできない仕事に注力をし、自らの人間性、創造性を高めていきながら、高い専門性を最大限に発揮して教育活動を行うことができるようにしてまいりたいというふうに文科省としても考えているところでございます。

 学校現場で子供たちのために日々尽力していただいている教師の皆様に、今回の法改正によるいわゆる改革の成果をしっかりとお届けできるように、全力で取組を進めてまいります。

三谷委員 是非お願いいたします。

 あと二問、ちょっと質問させていただきます。若干、毛色は変わります。

 少子化が進む中で、学生数の確保と私学助成金の獲得を目的として、安易に外国人留学生を多数受け入れているような私立大学が存在する、そういった課題についてお伺いをします。

 そういった私学助成金狙いというような私立大学への交付の在り方を見直すなどの対応が必要ではないかというふうに考えておりますが、この点について、大臣のお考えというものをお聞かせください。

あべ国務大臣 大学等におきまして優秀な外国人留学生を受け入れていくことは、我が国の教育研究及び経済社会の活性化にとっては寄与するものというふうに考えているところでございます。

 他方、学生数の確保のみを目的としながら、適切な教育研究環境を整備しないままに安易に外国人留学生数を増加させることは適切ではなく、各大学におきまして、適切な受入れ、管理体制を整備し、教育研究水準の向上に努めることが必要でございます。

 文科省といたしましては、日本人学生の学習環境の充実をおろそかにし、安易に多数の外国人留学生を受け入れているような大学に対する公的な支援の適切な在り方については、その実情を踏まえながら、しっかり検討してまいります。

三谷委員 お答え、ありがとうございます。

 更にもう少し毛色の違う質問をさせていただきます。

 コンテンツ、私のライフワークとして取り扱わせていただいておりますけれども、日本の残された勝ち筋の一つであるコンテンツに関してなんですけれども、日本の音楽というものを世界に広げていくという上で非常に画期的な取組が始まろうとしています。

 来月、五月二十二日に、日本版グラミー賞とも言えるミュージック・アワーズ・ジャパンというものが初めて開催されることになっています。

 これは文化庁の都倉長官のたっての思いが結実したというふうに承知をしておりますけれども、このミュージック・アワードを行うに関連して、文化庁の関わりがどういうものか、それを通じて日本のコンテンツをどう世界に発信しようとされているかについてお答えいただきたいと思います。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 ミュージック・アワード・ジャパンでございますが、御指摘のとおり、作曲家として数多くの実績を持つ都倉文化庁長官の構想に音楽団体等が賛同し、主体的に設立する音楽賞というふうに聞いてございます。

 文化庁といたしましては、本アワードがアジア域内の注目を集める優れた取組であることを踏まえ、本アワードをきっかけに、我が国音楽分野の国際的なネットワーク形成やグローバルな展開を強力に推進してまいりたいと考えているところでございます。

 我が国のコンテンツは大きな価値やポテンシャルを持っているところでございます。しっかりとその振興に取り組んでまいります。

三谷委員 時間となりました。以上です。ありがとうございました。

中村委員長 次に、青山大人君。

青山委員 青山でございます。

 早速質問に行きます。

 ちょっと事前の通告と順番を変えさせてもらいまして、最初に参考人の方にお聞きさせていただきます。

 まず、今回の改正案の七条、八条、先ほども三谷委員の方からも、なぜ現行法で教員の業務管理を法令上書かれているのに更に厳しくするのかというような御指摘もございました。今現在も、各市町村でしっかり取り組んでいるところもあると思います。そういった市町村の教育委員会からしたら、今回の法改正によって更に業務が増えるんじゃないかとか、そんな不安、懸念もございますが、参考人に、今回、七条、八条の趣旨をちょっと改めてお伺いいたします。

望月政府参考人 青山委員から、改めて、今回の給特法の改正、特に八条についての御趣旨について御質問いただきました。

 先ほども御答弁させていただきましたけれども、令和元年の給特法の改正を踏まえまして、文部科学省では、勤務時間管理を適正に行い、業務の縮減方策等の実効性を高め、徹底をしていくために、令和二年一月に時間外在校等時間の上限等を定める指針を策定したところでございます。これが第七条に規定するところでございます。

 一方で、依然として教師の厳しい勤務実態があるということ、あるいは、教育委員会における取組状況にもかなり大きな差が見られるということ、取組が進捗していない教育委員会が一定数に上るということが課題と考えてございまして、時間外在校等時間の縮減を確実に進めるためには、全ての教育委員会における取組状況の見える化、及び、それを通じたまさにPDCAサイクルの構築などが不可欠だと考えてございます。

 このため、給特法、この法案の第八条を新設いたしまして、全ての教育委員会に対しまして、文部科学大臣の策定する指針に即しまして、服務を監督する教育職員に係る業務量管理・健康確保措置実施計画の策定及び公表等を義務づけることといたしました。これによりまして各教育委員会の働き方改革の着実な実施を促進してまいりたいと考えているところでございます。

 なお、青山委員御指摘のとおり、現状においても、令和元年の改正以降、自ら指針を踏まえまして計画、まあ、計画まではいかないんだけれども、大きな方針を定める中で様々な取組を進めてきていただいているというところは、これは実際ございます。そこが大きく、やはり意識の差あるいは体制の差もあって、差が生じているところが実際でございます。

 こうした取組の進んでいるところ、進んでいないところの状況は様々ではございますけれども、どの自治体においてもこの働き方改革を自分事として進めていくということにするために、今回の第八条の規定になっているところでございます。

 計画につきましても、例えば、今回の改正内容及び指針を踏まえた内容であるかを改めて自治体の方では確認をしていただきまして、他の計画と併せて一体的に策定するとか、あるいは既にある計画を指針に即した形でまた改めていただくなど、ここは、新しく一から作って大きな負担となるということでなく、これまでの取組を踏まえて、適宜必要な見直しをしていただいたり、実効性のある形で改めてもう一度振り返っていただく、そうしたことが必要ではないかというふうに考えているところでございます。

 文部科学省といたしましては、こうした制度の趣旨あるいは内容につきまして、丁寧に説明を行ってまいりたいと考えてございます。

青山委員 丁寧な御答弁ありがとうございます。

 要は、あくまでも今回の改正の目的は、教員の皆様の健康とか福祉の確保、そして業務量の適切な管理をしっかりやるということですから、いわゆる、よくこういうのを作っちゃうと、まさか、計画を作ることが何か目的になっちゃうケースもあるので、そんなのじゃないと。

 ですから、あくまでも現場の裁量を尊重、重視したものであり、既に実際今、現行法でもしっかり取り組んでいる教育委員会に対して必ずしも新たな負担を生じさせるものではない、そのような認識でよろしいでしょうか。

望月政府参考人 一言で申し上げると、御指摘のとおりです。

 要すれば、これまで自らでしっかり計画ないしは方針を策定していただいているところは、今回の法改正も踏まえまして改めてその内容等を見直していただいて、また、学校や地域の状況もその後変わってあるかもしれませんので、そうした地域の協力も得ながらバージョンアップをしていただければいいということで、新たな負担をそうしたしっかりやっている自治体に課すというものではないと考えてございます。

青山委員 もしこの改正案が成立した際には、現場の教育委員会が安心して本制度を受け止められるよう、丁寧に周知と、また支援体制の構築も併せてお願いいたします。

 それでは、次の質問に行きます。

 お手元にペーパーを配らせてもらいましたけれども、これは、前回の委員会でもほかの委員さんも配っていましたけれども、昨年十二月二十四日の文部科学大臣と財務大臣の、教師を取り巻く環境整備に関する合意の文書でございますけれども、今回のこの改正案、この合意文書を基にいろいろ制度化されたというふうになっていますけれども、この合意文書というのは、どのような位置づけといいますか、ずっとこれは効力を発するものなのでしょうか。お伺いいたします。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 昨年十二月に財務大臣と合意いたしました事項につきましては、それぞれ内閣法と、また及び国家行政組織法に基づきまして行政事務を分担管理する主任の大臣としての合意でございまして、大臣が交代したとしても効力は維持されるものと認識しているところでございます。

青山委員 とはいえ、大臣、文部科学省が発足してから、みんな一年で替わっているんですよね。複数年やられたのが、今日いらっしゃる萩生田さんが二年やられていて、あとは下村博文先生が三年やられていて、ほかはみんな一年で替わっているんですよ。

 この合意文書だって、いや、私はあべ大臣に二年、三年やってほしいですよ。ただ、もし替わってしまった場合、こんなペーパー、どこかに行っちゃうと思うんですよ。私はしっかり、あべ大臣がいるうちに、この内容を、例えば閣議決定するとか、しっかり法律に落とし込むべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 済みません、繰り返しになりますが、いわゆる内閣法と国家行政組織法に基づいておりますので、効力はしっかり維持されますので、そのように私ども認識しているところでございます。

青山委員 今回の改正案を見ますと、一部附則にも載っているのもあるんですけれども、私、合意を見ますと、四ポツのところなんですけれども、令和八年度から中学校三十五人学級への定数改善を行うというのは、これは本当にあべ大臣も頑張っていただいたのかなと思いますし、やはりそういったのをちょっとちゃんとしっかり法律に書き込んだ方がいいのかなと思うんですけれども、その辺、大臣いかがでしょうか。

望月政府参考人 先ほど大臣からも御説明をさせていただきましたけれども、この大臣合意に関しては、行政官のトップがしっかりと合意をした内容でございまして、これはきちんと実行に移していくという責務が生じているものというふうに考えてございます。

 その上で、先ほど御指摘の中学校三十五人学級の実現ということに関しましては、これはこの合意に基づいて、具体的なプロセス、つまり法律の改正というものも必要になってございます。それは法律でございますから、国権の最高機関であるこの国会においてしっかりとオーソライズしていただくような形で我々としては準備を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 したがいまして、今回の法案、つまり給与その他勤務条件を定める給特法の改正とは別の確定した法律がございますので、そちらの改正の方でまた御審議をしっかりいただくというふうに考えているところでございます。

青山委員 そうしますと、ここの合意文書には令和八年度から中学校三十五人学級を実現ということですので、今令和七年度ですから、法律の改正は間に合うんでしょうか。これから各教育委員会、採用とかもあるんですけれども、その辺、どうされるのか、お伺いいたします。

望月政府参考人 大臣合意でも大きな方針が示されているところでございますので、それに基づきまして、各自治体の方では、これはいろいろな予算事業もそうですけれども、文部科学省が概算要求のときにこういったことをといったことをお示しをして、それが具体的に予算案の審議を通して一定の準備をしてもらうという形の行政の流れになると思いますけれども、いずれにしましても、我々としては、行政としてはしっかりその準備を進めてまいりたいと考えているところでございます。

青山委員 というのは、繰り返しですけれども、昨年十二月の文科大臣、財務大臣の合意のところで、もちろん今回の教職調整額の件は法律に入っているんですけれども、それ以外のこの中学校三十五人学級、これは本当に我々立憲民主党としても実現したいという中身なんですけれども、令和八年度からと具体的な数字を本当に入れてくれたのは非常に大臣、頑張ってくれたと思うんですけれども、だったらなおさら、これを実施するにはちゃんと裏づけになる法整備が必要だという中で、今回の給特法の附則あたりにつけ加えてもいいのかなということで、我々は考えていますけれども、いかがでしょうか。

望月政府参考人 繰り返しの部分で恐縮でございますけれども、昨年十二月の大臣間の合意というのは重いものであるというふうに考えているところでございます。

 我々としましては、中学校の学級編制の標準を定めています義務標準法の改正がこれに基づき想定されるところでございまして、法制上の措置を含めしっかり検討したいというふうに考えているところでございます。

あべ国務大臣 合意事項にしっかりと沿いながら、私ども取りまとめてまいりたいというふうに思っております。

青山委員 では、しっかり、あべ大臣の任期中に必ず実現に向けてお願いいたします。

 それでは、次の質問に行きます。

 改正案の附則第三条においては、第三条第一項本文に定める教職調整額百分の十の規定について、いわゆる段階的に引き上げる経過措置のことが設けられています。これもこの前の委員会で各委員からもあって、最終値は一〇%、この二年間は一パーずつ上げていく、徐々に上げていくんですけれども。

 ただ、これはよく法律文を見ますと、最初の二年間は一%ずつだけですけれども、場合によっては、三年目からは一気に残りをぐっというふうに引き上げることも可能に読み取れるんですけれども、そういうような解釈でよろしいでしょうか。

あべ国務大臣 まずは法案をお認めいただきました後に、この法案に盛り込まれた施策を具体的にさせていただいた上で、この附則第三条に基づく検討を行いまして、必要があると認められる場合には、教員の勤務状況の更なる改善のための教職調整額の率の変更も含めまして必要な施策を講じてまいりたいと思います。

青山委員 ですから、いわゆる、この法案が通れば、令和八年の一月にまず一%上がります、次、令和九年の一月のお給料からまた一パー上がって、合計六%になるということですよね。その間、何かいろいろな中間の状況を見て、必要であれば令和十年一月から一気に上がって、調整額が一〇%になる可能性もあるということで。

 私は、大臣、もちろん、令和九年度のいろいろな検討とかと今おっしゃいましたけれども、どうせ上げるのでしたら、だって、これは当初、ずっと報道で、政府が給特法の改正をします、調整額を上げますといって、最初は、一三%かとか、そういうふうにすごい期待が上がったじゃないですか。蓋を開けてみたら、一〇%となったと。まあ、でも、いろいろ財務当局との折衝もあったんだな。更によく法案を見ると、何ですか、一%ずつ上げていく。

 これ、大臣、学校の先生のお気持ちの立場になった場合、どうでしょうか。今、こういう教員のなり手不足。もちろん、業務が増える中で、政府としても業務管理、時間管理をやると。分かります。これだけ物価も上がっています。民間企業と違って、賃上げとか、労使交渉できません。

 まさに今回のこの法案は、ある意味、公立の先生のための賃上げの法案だと思うんですよ。そういう中で、一%、一%じゃなくて、この法案を読み解いて、大臣、むしろ私が言ってほしいのは、逆に言うと、施行後二年の令和九年度、報告を見て、しっかりそこで、業務管理とか教員の健康、福祉がしっかり改善された、だから私は残りを一気に一〇%に持っていきます、それぐらい言うのが大臣じゃないですか、どうでしょうか。

あべ国務大臣 まずは法案をお認めいただきまして、この法案に盛り込まれた施策を具体化させていただいて、附則三条に基づく検討を行いまして、必要があると認められる場合には、教員の勤務条件の更なる改善のための教職調整額率の変更も、繰り返しになりますが、含めまして、必要な施策を講じてまいりたいと考えております。

青山委員 大臣、あなたは誰のために大臣をやっているんですか。

 もちろん、それは分かりますよ。我々だって、財務当局との厳しい折衝があるのは分かっていますよ。ただ、今現在、日本国の教育の行政をつかさどるトップの人がそんな考えで、これは変わるんですか。

 私は、是が非でも今回の法案を通して、しっかり労務管理して、教員の働き方改革を自主的にする、それのために現場の皆さんも協力してくれ、ただ、私は、三年後には調整額を一〇%に上げると、それぐらい言い切らないと何も変わらないじゃないですか。真剣なんですよ、私たちは。

 私、令和元年の給特法改正の議事録を全部見ました。当時の萩生田大臣、私、立派だと思いました。何で給特法を改正するんだという思いがこもっているんですよ。

 今回、教員の働き方、その令和元年のときですよ、働き方を変えるんだけれども、この法案改正は、ひいては日本国の将来を担う子供たちのためなんだ、だから今こうしないと駄目なんだということを言い切っているんですよ。

 当時は変形労働制の導入等があって、我々野党は反対しましたよ。今回我々は、はなから反対しようとかじゃないんですよ。むしろ、一緒になって、現場の先生のためにいい法律を作っていこう、そう思っているんですよ。それを、はなからできませんと。じゃ、何のためのこれは改正なんですか。

あべ国務大臣 私自身も、学校の先生方にしっかりと働き方改革をしていただいて、子供たちとの、様々複雑化する中で、やはり先生方がしっかり子供たちのことを考えていけるような環境をつくっていかなければいけないと思っております。そうした中で、今回、この法案を出させていただいたわけでございまして、萩生田大臣のときから取り組んでいきながら、どういう方法が一番いいかということを皆で考えて努力をしてまいりました。

 そういう中で、やはり委員がおっしゃるように、教育は人なりでございまして、学校教育の成否、まさに教師に懸かっているところでございまして、私ども、教職の魅力をしっかりと引き上げていくためにも、教師に優れた人材を確保するためにも、この給特法の改正が是非とも必要だというふうに思っておりまして、まずは処遇改善、一体的、総合的に推進をさせていただきまして教師を取り巻く環境を整備していく、その第一歩がこの法案だと思っておりまして、様々な施策を総動員をしていきながら、まずこの取組をさせていただきたいというふうに思っておりますので、一体的に進めていくために、まずは教職調整額につきましては、令和十二年度までの一〇%を考えていきながら、引上げの上限の年限につきましては、ほかの施策と一体的にしっかりと進めてまいります。

 この必要性を私どもはしっかりと理解しているところでございますし、人材確保につきましては、いわゆるよい影響を持続させていくことがまず大切でございまして、地方自治体の財政状況に急激な変化を与えないようにしていくことも重要でございますので、総合的に勘案しながら、六年間で改善することになりますので、何とぞ御理解をいただきたいというふうに思います。

青山委員 だから、要はさっきの、冒頭質問しましたように七条、八条のやつをしっかりやっていけば、そういう三年目にはがっと上がるというような認識で、それでいいんですよね。そうしないと、現場はやらないじゃないですか。

望月政府参考人 大臣から御答弁をさせていただきましたけれども、今後の検討、二年後の令和十年一月以降に、先ほどの人材確保の状況等を踏まえて、しっかり検討をしたいと思っています。

 なお、ちょっと付言させていただきますけれども、今回の教職調整額の改善はまさに五十年以上ぶり、つまり、教職としてのそうしたまさに職責にふさわしい処遇を法律で定めているこの給特法、これをしっかりと処遇を高めるということは、本給相当の教職調整額でこれまでずっと変えてこれなかった、こういったものをまさにベースアップをしていきながら、そして、働き方改革と学校の指導、運営体制を全体、しかも全ての自治体が自分事として地方やあるいは首長部局とも連携をして進めて、それを多くの方々に知っていただいて、それをみんなでやはりこういう状況は変えていこう、そういうものの精神でございます。

 ですから、教職調整額が六年でしっかり、今一%ずつとなっているところを、法律で規定をさせていただいて、それを本則とそして原始附則で規定をしているというところで、私どもとしては、処遇の改善はしっかり、そして処遇の改善だけではなく学校の環境全体を変えていきたいというふうに考えているところでございます。

青山委員 ですから、みんなで働き方改革を実施すれば、そういった調整額が前倒しになるんだよということで、みんなで自分事としてできるようにということだと私は思っておりますし。

 関連して、これは給特法ではないんですけれども、私も何でこのタイミングにこういう報道が出たのかびっくりしたんですけれども、ちょうど給特法の議論が始まるときに、これも先週ほかの委員がやっていましたけれども、特別支援教員の調整額とか義務教育等教員特別手当、これを下げるという報道が出て、これはちょっと余りにも筋が悪いなと思ったんですよ。

 確かに、今回、給特法改正によって教職調整額が上がっていくので、特別支援教員調整額や義務教育等教員特別手当が下がっても全体としては上がるというような答弁なんですけれども、例えば、仮に現在、特別支援教員調整額と義務教育等教員特別手当をもらっている人がいたとすると、教職四%に支援手当三%、教員手当が一・五%で、合計八・五%なんですよね。これが令和八年一月になると、義務教育教員手当が〇・五%マイナスになっちゃうんですよ。ですから、結果的に言うと、合計加算が九・〇%、すなわち、今までの八・五%からプラス〇・五%しか増えないという状況なんですね。さらに、令和九年一月になると、今度、特別支援教員の調整額が〇・七五%減るので、結果的に、合計加算すると九・二五%なので、仮に調整額が二パー上がったって、〇・七五しか実際は上がっていないというような状況なんですよね。

 ちょっとまず確認したいんですけれども、特別支援教員の調整額というのは、大体年間予算というのはお幾らぐらいなんですか。あと、あわせて、義務教育等教員特別手当の大体の年間の予算額を教えてください。

望月政府参考人 特別支援教育に携わっている方々の今の給料の調整額というものにつきましては、現在六十二億でございます、が給料の調整額でございます。それから、義務教育手当の特別手当でございますが、これが現在六十三億でございます。失礼しました、義務教育手当は百二十億でございます。大変失礼いたしました。まず数字だけお答えいたしました。

青山委員 大臣、これは足しても百八十二億円なんですよね。今回、国として教員の皆様の処遇改善、そういうことで、今も、先ほど参考人も五十年ぶりの歴史的な改正ということで教職調整額を上げる中で、百八十二億円、ここは現状を維持した方が、私は、現場の教員の皆さんに対する、モチベーションもそうですし、国としてのいいメッセージになると思います。

 私は、今回の教職調整額が上がったとしても、現行の特別支援教員調整額、義務教育等教員特別手当は現行のまま維持すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 今般の教師の処遇改善に当たりましてでございますが、教職調整額の改善だけではなくて、実は、教師の職責また業務の負担に応じました給与とする観点から、給与全体に関して検討を行わせていただいたところでございます。

 御指摘の給与の調整額の見直しに関しましては、近年、通級を受けている児童生徒が急増し、また、通常の学級にも特別支援教育の対象となる児童生徒が増加して、全ての教師が特別支援教育に関わることが必要となっているなどの状況の変化もございまして、これを踏まえて見直しを図ることとしておりまして、昨年八月の中央教育審議会の答申におきましても、こうした背景を踏まえていきながら給与の調整額の在り方についての検討を進めることが提言されたところでございまして、なお、この教職調整額の率の引上げを行うことに関しては、特別支援教育に関わっている教師の給与水準、毎年度上がることになるとともに、そのほかの教師と比べて引き続き高い処遇となることとなっております。

青山委員 細かい金額よりも、やはりメッセージなんですよね。こうやってみんなで今調整額を上げようとやっている中で、何をやっているんですかと。しかも、これは法改正しなくてできるんですよね。大臣、今からでも遅くありません、これは絶対やった方がいいです。多分、夏の参議院選挙、これは相当やられますよ。

 大臣、もう一回、今からでも遅くないですよ。やはり、ここの手当については現状維持しますとやった方が絶対僕は自民党さんにとってプラスだと思います。私は、現場の先生を踏まえて、ここは大臣、今からでも直すべき。できないでしょうか。

中村委員長 あべ文部科学大臣、時間が過ぎておりますので、まとめてください。

あべ国務大臣 御意見は受け止めさせていただきます。

青山委員 必ず現行を維持するよう重ねて要望し、質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、辻英之君。

辻(英)委員 立憲民主党の辻英之です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございました。

 私は過疎地で三十年間暮らしてきまして、全校児童六十人程度の小学校に子供三人が通いました。保護者も極めて少ないので、毎年、常にPTA役員。教職員と一緒に子供の教育環境改善に立ち向かってきました。

 また、過疎地のNPOを経営しつつ、全国の大学の非常勤講師、まさに非正規ですが、十五年務めてきました。今もその立場にあります。大学の教え子はざっと一万人ほどいまして、教員の道に進む子も多いんですね。教員となった教え子たちからは、やりがいの声と同時に、過酷な状況に苦しむ声も届きます。

 今回の給特法改正案では、教員不足を改善する内容は規定されていません。これでは長時間労働是正の根本的な改善にならないでしょう。審議を通して確信することは、教員不足を解消することこそ本来真っ先に着手すべきだということです。

 そこで、今日は、これまでの委員会及び参考人質疑、福井県を始めとした全国の地方の教職員の皆さん、地方自治体職員の皆さんの声を基に、教員不足に絞って質問をします。

 資料一を見てください。

 これは皆さんもう知っているとおり、令和四年の教員不足実態調査ですね。四月一日で二千五百五十八人、五月一日で二千六十五人不足しています。少ない数字だと思うかもしれないんですが、その背後にいる子供の数は、三十五人を単純に掛ければ、ざっと七万人前後。年度当初に担任がいない子供たちがこれだけいるんですね。さらに、その背後に保護者や家族もいます。決して少ない数ではありません。

 四月十日の本会議で、首相から教員不足の要因についての答弁がありました。

 改めて伺います。

 現在の教員不足の要因、大臣、どうお考えでしょうか。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 現在の教師不足でございますが、教師の年齢構成、それが一つ起因するところの近年の大量の退職と、また大量採用、この背景といたしました特に産休と育休、この取得者の増加、また想定を上回る特別支援学級の増加などによりまして、臨時講師の需要がかなり拡大する中にあって、正規採用の増加による臨時教師のなり手が実はかなり減少しておりまして、その構造的な要因もあるものと認識をしているところでございます。

 また、教師を志す学生の声の一つとしては、やはり教師の勤務環境に対する不安が特にあるというふうに承知をしているところでございます。

辻(英)委員 そうですよね。首相と大臣の今の答弁も、現象面においては、それはそのとおりで、否定はしません。

 でも、教員不足というのはいきなり生じたわけじゃないんですね。なぜ不足してきたのかという歴史的な検証、これが足りない、本質を捉えていないと考えています。深刻な教員不足は教員定数を安定的に確保できなかった政策の失敗なんじゃないかな、こんなふうに思っています。

 まず、基本的なところから、義務標準法で教員数はどんなふうに決められるか、端的に教えてください。

望月政府参考人 義務標準法では、個々の学校ごとの教職員数の標準を定めるものではございませんで、都道府県・指定都市ごとの教職員定数の総数の標準を定めるものでございます。

 学校数、学級数、児童生徒数によって機械的に算定される基礎定数の部分と、様々な教育課題に対応しまして特定の政策目的を達成するために算定する加配定数、これらの合計によって決定されるところでございます。

辻(英)委員 そうですよね。国が算出する基礎定数と加配定数で決まって、その後、各自治体が条例定数等を決めていくということだと思います。

 資料二を見てください。

 これも資料ですけれども、基礎定数は、五月一日の児童生徒をその年の学級編制基準、クラス上限の人数なので、現行では三十五人で割って算出した学級数が基になります。その学級に一人教員がつきますね。加配定数は政策目的に応じて配分、予算措置されるということで、ちょっと加配定数については後ほど指摘します。

 しかし、この日本の決め方、つまり学級に一人という教員の決め方は、逆の見方からすれば、教員の仕事がどれだけ増えても、学級数が増えなければ教員の数を増やせない仕組みとも言えます。だからこそ、教員の数を増やすには、少人数学級の実現、つまり、一学級当たりの人数を減らして学級数を増やすことが必要になります。そうでしょう。

 実は、少人数学級化は二つの機能を果たしてきたんですね。一つは、子供の学習環境を改善する方法です。もう一つは、教員数を増やして教員の労働環境を改善する方法。そうですよね、大臣。よくできた政策なんですよ、これは。

 実は、政府はある時期までは教員が不足しないような政策、つまり、教員の労働環境を改善する政策を取ってきているんですね、ちゃんと。これはとても評価できるんです。しかし、あくまである時期までなんですね。

 少人数学級化を進めるためには、学級数が増えるので、当然のことながら、より多くの教員が必要になりますね。そこには、教員の給与を誰がどう負担するかも問題になります。

 ちょっと聞かせていただきます。

 義務教育費国庫負担法に基づく教員の給与、現在の負担割合を教えてください。

望月政府参考人 義務教育費国庫負担制度につきましては、地方公共団体の財政力の差によって教育水準に格差を生じさせないため、国と都道府県・政令市が市町村立学校の教職員給与費を負担することによりまして、その全額を保障する制度でございます。

 御指摘の国の負担割合につきましては、現在は三分の一でございます。

辻(英)委員 そうですね。教員の給与は、国が三分の一、地方自治体が三分の二ですね。教員を雇用するのは地方自治体です。その給与の三分の一が国から補助されるという仕組みですよね。だから、国は、教員数を増やすための人件費を中長期的に補助する計画を示すことによって、自治体が安心して教員採用計画を立てられるようにしてきたんですよね。これが教員定数改善計画ですね。

 資料三を見てください。

 昭和三十四年から平成十三年まで、七次にわたって、ほぼ切れ目なく、定数改善計画が策定されています。教員が不足しないように計画的に改善が図られてきました。これは本当に評価できる点なんですよ。ちゃんとやってきているんですね。しかし、これは、資料を見て分かるように、第七次を最後に、二十年間、計画が策定されていないんですね。

 そこで伺います。

 教員定数改善計画が第七次を最後に二十年間も策定されていないのはなぜでしょうか。

望月政府参考人 第七次の定数改善計画の後は、教職員定数改善計画という名称はつけていないわけでございますけれども、これは、当時の政府全体の総人件費改革を踏まえたものでございます。名称は計画とはつけてございませんけれども、その終了した後も、毎年度、学校現場の課題を踏まえながら、定数改善はしっかり続けてきているところでございます。

辻(英)委員 行財政改革はよく分かっておりますが、理由はどうあれ、定数を改善するための中長期改善計画を作ること自体が中止されていますよね。これは事実です。

 つまり、第七次、平成十三年において、学級規模を小さくすることはしない、つまり、これ以上の教員数の改善は行わないということが決まったということです。これは本当にいただけない、残念なことだと思いますよ。平成十三年、二〇〇一年、ここから教員不足が始まったと言ってもいいんじゃないかと思います。

 ちなみに、平成二十三年、これは資料三、三十五人学級実現は、政権交代した民主党政権下です。小学校一年生のみ三十五人学級となり、定数改善したんですね。

 資料四を見てください。

 実は文科省は、平成二十二年に新教職員定数改善計画案という八か年の計画をまとめています。その内容はそこにありますが、小中学校全学年で三十五人学級を実現した後、小学校一年生、二年生で三十人学級を実現させる、こういうことです。予算折衝で小学校一年生のみになりましたが、中長期の改善計画を策定した点は評価できるんですね。

 ところが、その後、資料三に戻って、再び政権交代した自民党政権では、定数改善されていないんですね。四十人学級が続きました。そして、令和三年に、コロナの制約上から、ようやく小学校のみ五年かけて三十五人が実現し、今、教員の基礎定数が増えました。コロナが引き金となったとはいえ、改善された点は評価できます。しかし、中長期計画に基づく改善ではなく、突如決まったという感は否めません。結局、政府、正確に言えば自民党政権さんですが、平成十三年以降は積極的な中長期的な教員定数改善をほとんどやってこなかったということじゃないでしょうか。

 更に伺います。

 平成十三年に改善される以前の国庫負担法に基づく教員給与の割合を教えてください。

望月政府参考人 国の負担割合は、現状は三分の一でございますけれども、これはいわゆる三位一体改革によりまして、国庫補助負担金の改革、国から地方への税源移譲、地方交付税の改革が行われまして、義務教育費国庫負担金につきましては、この国庫負担制度はしっかり維持を、堅持をしつつ、平成十八年度から国の負担割合が二分の一から三分の一に変更されたところでございます。

 地方負担分の三分の二については、所要の交付税措置を講じているところでございます。

辻(英)委員 ありがとうございました。数字が出ました。それまでは国と地方自治体の負担は二分の一だったんですね、共に。

 資料五を見てください。

 赤字で前と今なんですけれども、それが平成十八年、つまり第七次改善計画が終わった直後、地方自治体負担が三分の二に引き上げられたんですね。これでは財政難に苦しむ地方自治体は教員を採用しづらいですよ。中長期的な教員定数改善計画を中止し、地方自治体の財政負担を上げる。これは、まさに地方自治体が安心して教員を採用することをちゅうちょする、採用控えを招いた、教員が不足することを促すような政策と結果的になってしまったんじゃないかと思います。

 更に伺います。

 教員定数改善計画が中止された後、どのように教員定数の改善を図ってきたのか、教えてください。

望月政府参考人 先ほど辻委員の方からも資料をお示しをいただきましたところでございますけれども、第七次定数改善計画が終了した以降も、毎年度、学校現場における課題を踏まえながら定数改善を行ってきたところでございます。

 義務標準法の改正などによりまして、具体的には、基礎定数の改善としましては、平成二十九年度からの十年間での通級指導等の基礎定数化や、令和三年度から五年間での小学校三十五人学級の計画的整備、加配定数の改善としましては、令和四年度から三年間での小学校高学年の教科担任制の推進、これは一年前倒しをしたわけでございますけれども、また令和七年度から新たに小学校における教科担任制、これは四年生、そして中学校における生徒指導担当教師の拡充につきまして、四年間で計画的な定数改善を図ることとしてございまして、その改善総数は六千六百人を見込んでいるところでございます。

辻(英)委員 ありがとうございました。

 基礎定数を改善を図られていることは大変評価できるなと思っていますが、加配定数を増やしてきたということは、これはちょっと問題が多いんですね。

 ちょっと伺います。

 大臣合意で、これは令和七年度の教員増員五千八百二十七人という合意ですが、このうち、基礎定数と加配定数の内訳、数字のみで結構ですので、教えてください。

望月政府参考人 令和七年度の予算に計上しています五千八百二十七名の教職員定数の内訳のお尋ねでございます。

 基礎定数としましては、小学校三十五人学級の推進、そして通級、日本語指導等のための基礎定数化として、合計三千六百三十七名、加配定数は、小学校四年生への教科担任制の拡充、あるいは新任、新規採用教師の支援など、それから中学校の生徒指導担当教師の配置拡充、これを含めまして、二千百九十名となっているところでございます。

辻(英)委員 数字が出てきましたけれども、基礎定数が一定数あるのは、これは評価できます。しかし、全数の三八%が加配定数ですね。

 加配定数は政策目的に応じて配置されますが、加配定数は年度ごとに決まるので、次年度の確証がないんですね、地方自治体から見れば。地方自治体からすれば、正規雇用する財源を確保したことにならないですよね。確保したのに、翌年度、加配定数をもし減らされたら、雇用した教員の給与は国からの補助はありません。だから、自治体が負担することになりますよね。

 財源の厳しい自治体にとっては、国が幾ら加配定数を増やしたとしても、正規雇用教員を増やすことは難しいという声が届いています。そのため、実際には、加配定数のほとんどは非正規枠の教員枠としか機能しないという嘆きです。

 資料六を見てください。

 また教員不足の調査ですが、事実、おおよそ、まあ、定義や計算の仕方にもよるんですけれども、非正規をどう捉えるかというのは。おおよそ一一から一五%が非正規で、特別支援学級は二三%を超えています。子供が出会う七、八人に一人ぐらいは非正規教員だという状況ですね。加配定数を増やしましたと胸を張っている場合かというふうに思ってはいます。

 以上、指摘したように、平成十三年の第七次教員定数改善計画で、基礎定数を増やさない、つまり学級を増やさない、正規教員を増やさない、増やすとすれば加配定数で増やす、つまり非正規教員を増やしてしまう、こういう政策では、教員の非正規化を急激に進めたと言わざるを得ないでしょう。非正規教員では担えない重要な業務が正規の教員にのしかかり、業務量が増えて労働環境が悪化する。退職者や病気休職者が増えた上に志願者も減るという悪循環ですね。もう分かっていると思うんですけれども、起点となっている平成十三年は小泉政権誕生の年です。

 伺います。

 現在の教員不足の要因は、平成十三年以来の自民党政権による四半世紀にわたる政策的な失敗だったんじゃないのか、大臣の見解を伺います。

あべ国務大臣 教職員の定数に関してでございますけれども、定数改善計画という名称にかかわらず、義務標準法の改正などによって複数年度の計画的な定数改善を行っているところでもございまして、具体的には、平成二十九年からの十年間で、通級指導、また日本語指導の基礎定数化を行わせていただきました。また、それとともに、令和三年からの五年間におきまして、小学校三十五人学級の計画的整備を図るなど、順次計画的な改善は進めているところでございます。

 また、義務教育費の国庫負担金に関しましては、特に、平成十八年度に国の負担割合が二分の一から三分の一と委員が御指摘のようになりましたところでございますが、地方負担分につきましては地方財政措置が講じられておりまして、現在の教師不足の直接的な要因とは私ども考えていないところでございまして、文部科学省といたしましては、教師のなり手不足の、このなり手確保に向けた取組を進めさせていただきながら、中長期的な見通しを持った採用に資するよう、これからも計画的な教職員定数の改善に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

辻(英)委員 まあ、失敗とまではいかなくても、平成十三年を起点とした政策の転換が要因との認識は必要だと思いますよ。であれば、政策でもって改善をするしかないし、それは可能と考えています。実際、小出しではありますけれども、定数改善も少しずつ進んでおりますので。

 私は、問題の多い給特法は、廃止を含めて根本的に見直すべきと考えています。これは、ほかの議員さんも皆さん指摘しているとおりです。それでも、まずは、少しでも現状よりよくなるために修正を加えた形で改善を図ることが急務と思います。

 残った時間で、給特法の見直しを含めて国がすべきこと等を言っていきたいと思います。

 やはり、しっかりした調査データがあるから、こうやって質問も回答もできるんですよね。正確な教員不足実態調査の意義の大きさを感じますし、多くの議員が、勤務実態の調査も含めて、その必要性を指摘しています。

 教員不足の実態調査ですが、当然のことながら、定期的に実施すべきと思います。時期についても、二学期、三学期と月を追うごとに、産休、育休や病休に入る教員の欠員補充が見つからないというのが現場の悲鳴なんですよね。そのためにも年度後半の数字の把握が必要です。

 そして、対象拡大についてですが、資料一に戻っていただいて、一の下の方の四角ですけれども、令和四年の教員不足実態調査では、都道府県と政令指定都市だけを対象にしています。ただ、この方法だと実際の学校現場での教員不足を正確に把握することはできないんですよね。なぜなら、少ないとはいえ、市区町村も独自に教員を配置していますので、その教員は対象に含まれていないからです。

 そこで、提案します。

 教員不足実態調査の定期的実施と年度後半の数字の把握、対象の拡大をすべきではないか。見解を伺います。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 教師不足の状況につきまして、その調査でございます。

 公立学校教員の任命権者である都道府県等ごとに調査を行っております。令和三年度に実数も含めた詳細な調査を行った後、それ以降は、学校現場の調査負担も考慮しながら、各教育委員会に対しまして、前年度当初と比べた状況の変化などを毎年調査しているところでございます。

 加えまして、必要に応じまして各教育委員会からヒアリングなどを行っておりまして、年度後半の方が、今ほど御指摘ありましたとおり、教師不足が深刻化する、そういう傾向も把握してございます。

 対象の話がございました。

 現在、教師の任用に当たりましては、国が定める義務標準法に基づく採用と、また、いわゆる県担と言われる採用と、今お話ありました市単独の採用という三層構造になってございまして、ただ、実際の任命権者というのは都道府県でございますので、まず、義務標準法に基づく採用と、加えましての県担の部分の採用、これについて任命権者の計画どおりの配置ができているかどうか、こういったことをつぶさに調査するのが重要だと考えております。

 いずれにいたしましても、今御指摘ございました調査の重要性については、文科省としてもしっかり認識してございます。並行して、中教審においても現在議論が行われておりますので、その中教審の議論への還元も含めて、今後、調査のタイミングや方法について検討してまいりたいと思います。

辻(英)委員 ありがとうございました。

 今、見ていますよ、全国の教員が、全国から。

 この後から大臣、答弁を全てお願いします。

 これは、教員勤務実態調査にも同じことが言えますよね。時間と予算、そして手間をやはり投入すべきなんですよ。その覚悟が政府には問われている、このように強く思います。

 次に、提案します。

 国の教員定数改善計画という中長期的な計画を再開させて、見える化して、長期的かつ安定的に地方自治体を財政支援する見通しを立てるべきではないでしょうか。見解を伺います。

あべ国務大臣 先ほどの答弁にございましたように、教職員の定数に関しましては、定数改善計画という名称にかかわらず、義務標準法の改正によりまして、順次、複数年度にわたる計画的な定数改善を行っているところでございます。

 今後につきましても、今年度からは、小学校における教科担任制、また中学校における生徒指導担任教師の拡充につきまして、新たに四年間で計画的な定数改善を図ることとしておりまして、改善総数は六千六百人と見込んでいるところでございまして、文科省といたしましても、地方公共団体における中長期的な見通しを持った計画的な採用に資するよう、今後とも計画的な教職員定数の改善に取り組んでまいりたいと思っております。

辻(英)委員 これも見ています、全国の地方自治体の皆さんが固唾をのんで見守っていますよ。

 令和八年度からの中学校三十五人学級化する合意内容を含めて、小出しに出すんじゃなくて、中長期の改善計画をしっかりと立てるべきだと強く思います。

 少なくとも、中学校の三十五人学級化についてはこの給特法法案に明記すべきだと思います。先ほども青山議員もおっしゃいましたが、大臣、決断いただけませんか。見解をお願いします。

あべ国務大臣 令和四年度の教員の勤務実態調査では、やはり、小学校、中学校、担任として受け持つ児童生徒が少ないほど、おおむね平日の在校等の時間が短いことに、まさに明らかになっておりまして、少人数学級の推進は本当に重要だというふうに私ども考えておりまして、そのため、令和七年度におきましては三十五人学級が完成する小学校に続きまして、財源確保と併せて、八年度から中学校における三十五人学級の整備を行うための定数改善を行うこととしまして、昨年の十二月に私と財務大臣の間で合意をさせていただきました。

辻(英)委員 分かりました。法案に是非明記していただければということを強く申し上げます。

 次に、提案します。

 加配定数だけを増やす政策、だけじゃないんですけれども、加配定数が増えていくような政策は再考すべきではないでしょうか。見解を伺います。

あべ国務大臣 文科省におきましては、学校における指導、運営体制の充実を図るために、これまでも、基礎定数と加配定数、それぞれの充実を図ってきたところではございますが、基礎定数の改善に関する近年の取組といたしましては、義務標準法の改正を踏まえまして、平成二十九年度からの十年間で通級指導また日本語指導の教員配置の充実を行ったことに加えまして、令和三年から五年間で小学校三十五人学級の計画的整備をしてきたところでございまして、また、令和七年度予算に関しましては、基礎定数の改善の三千六百三十七人を含めまして、過去二十年間で最大の五千八百二十七人の定数改善を行っているところでございまして、引き続き、基礎定数を含めた教職員の定数の充実には努めてまいります。

辻(英)委員 資料七、最後、これは新聞記事ですけれども、毎年、担任という重い職務を担う非正規教員の雇用教員を場当たり的に探し回らなければならないという結果を招くだけなんですね。是非とも再考していただければと強く提案します。

 次に、提案します。

 国庫負担法に基づく教員の国庫負担の割合ですね、元どおり二分の一に戻すべきではないでしょうか。見解を伺います。

あべ国務大臣 義務教育費の国庫負担制度に関しましては、地方公共団体の財政力の差によりまして教育水準に格差が生じないために、私ども国と都道府県と政令市の負担によりまして教職員給与費の全額を保障する極めて重要な制度であると私ども考えておりまして、義務教育に係る費用の国の負担割合の在り方につきましては、国と地方の役割分担と財源配分の在り方の観点から、政府全体で慎重な検討が求められている課題でございまして、文部科学省としては、引き続き必要な教育予算の確保に努めてまいりたいというふうに思います。

辻(英)委員 分かりました。

 肝腎要ですけれども、教員の労働環境改善をすることですよね。長時間労働の是正については、在校等時間を二十時間にすることを目標に、まず五年かけて三十時間に引き下げていく。これはきちんとやってもらいたいんですが、そのために、詳しい工程表を是非とも法案に明記すべきだということも強く申し上げます。

 最後に、伺います。

 資料二で示したとおり、戻っていただくと、乗ずる数というのがあるんですね。つまり、副校長や教頭、音楽などの専科教員など担任を持たない教員の定数を算出するための係数ですね。これを改善すべきだと考えます。

 ところが、平成五年の小幅な改善を最後に、三十年以上改善されていません。黄色括弧で分かるように、現状では、担任を持たない教員は、地域によって差異はありますけれども、全六学級の小学校で一人、全十二学級で一人から二人、全十八学級で二、三人ほどしか配置されていません。改善により担任を持たない教員が少しでも増えれば、教員一人当たりの授業時数などを減らすことができると思うんですね。

 そこで、伺います。

 乗ずる数を改善すべきじゃないか。見解を伺います。

あべ国務大臣 委員の御指摘も聞かせていただきまして、今後、学校における指導、運営体制の更なる充実を図っていくために、教育環境、指導体制の在り方につきまして検討を進めていく中におきまして、必要に応じて、乗ずる数も含めた今後の義務標準法の在り方について検討してまいります。

辻(英)委員 是非とも検討をお願いしたいと思います。

 財源がないとか、いろいろ常套文句となっているんですけれども、大学の修学支援法でも同じでした。でも、資料四の下にも注でありますし、参考人も指摘しましたが、教員の数は自然減するんですね。つまり、給与の額も減っていくので、その部分を財源として定数改善幅を調節可能だと思います。

 また、令和七年度の予算案の審議の経過で、無駄もいろいろ洗い出せば出てくることも指摘をしておきました。ないと言いつつ、数兆円規模の給付金の話がされています。まあ、すぐ撤回されましたけれども。大事なことにはやはり財源を捻出しますよね、政府。予算、何とかするんでしょう。ないのはやはり財源じゃなくてやる気と覚悟じゃないでしょうか。

 人づくりは国づくり、そのとおりです。であるならば、腹をくくって、教育に最大投資する、こういう政策転換の覚悟、これが必要だと強く思います。その覚悟を示していただけるのであれば、私たちももちろん協力していきたいと思っております。しかし、その覚悟なしに、定額働かせ放題と言われる給特法の枠組みを維持しながら教員の働き方改革を進めようとする小手先の政策を進めることは、長時間労働に苦しむ教職員の現状を変えるにはむしろ逆効果であること、ひいては子供たちの教育の質に悪影響が出続けることを強く指摘します。

 この四月から、大臣、私の大学の教え子が教員となりました。非正規でいきなり担任です。周囲からブラックなのになぜと言われつつも、希望を胸に、誇りを持って学校に果敢に飛び込んだ多くの新採用教員がまさに働く喜びを手にして、ひいては子供たちが豊かな学びを手にすること、今回の給特法法案の審議がそのための確かな法改正になることを心から強くお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、小山千帆君。

小山(千)委員 立憲民主党・無所属、愛知十五区の小山千帆でございます。

 本日は、質問の時間をいただき、誠にありがとうございます。

 私は、昨年まで、二人の息子それぞれの通常学校と特別支援学校のPTAの役員をやっておりました。昨今、PTAに関する問題や課題はたくさんあります。しかし、先生方は、子供と関わる時間を増やしたい、もっと時間が欲しいと言ってくださいます。そんな先生方の働き方の改善のために本日は質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 先日、千葉県松戸市の小学校で、教諭が特別支援学級の児童に体罰を加えた上、校長に虚偽の報告をしていたという事件が明るみに出ました。このような事件は許せるものではありませんが、大多数の教諭は真面目に、真摯に児童生徒に向き合って日々指導に当たっています。

 現場の声を一部紹介しますと、登校から下校までの間、先生がトイレに行く時間もないほど子供たちからは目を離さず、神経を集中させて指導している。子供たちのけがや失踪を防ぐためである。医療的ケアの必要な子供たちも増えてきました。中には酸素ボンベを車椅子に積んでくる子もいます。命を預かるというのは決して比喩ではありません。給食はペースト状に再調理しますが、それでも誤嚥をして子供が死亡する事故も過去にはあります。てんかん発作の子もプール指導します。できません、責任を負えませんとは言いません。そうやって障害の多様化、重度化に対応しています。子供たちの教育と成長のために力を尽くしています。それが特殊性です。

 そのほかにも、特別支援学校は三千三百五十九もの教室不足状態であること、クラス十二名を特別支援学級の教員が一人で担当したこと、自己負担で民間の研修を受け専門知識や技能を身につけた等、劣悪な環境の中で教員が必死に頑張っている声をいただいております。教員の方はお金の問題ではないと言っていますが、私は、この専門性、特殊性の高い業務に携わっている特別支援学校、学級の教員の方に相応の対価をお支払いするのは当然であると思います。

 そこで、現在、特別支援学校、学級の教員に対する待遇、この方たちに支払われている手当についてお尋ねいたします。

望月政府参考人 御指摘の特別支援学校あるいは特別支援学級の指導に直接携わっている教師につきましては、一般の教員と異なりまして給料の調整額が支給されているところでございます。

 給料の調整額は、公務員給与の制度の中におきまして、同じ給料表の同じ職務の級に格付けられている職員の中にも、その勤労条件等の面で他の職員と比較して著しい特殊性を有する場合があり、これを同じ給料月額で措置することが必ずしも適当でない場合があり、その特殊性に応じて給料表に定められた給料月額を調整するものとして設けられているものでございます。

 特別支援教育に携わっている教師に対しましては、障害のある児童生徒の教育に携わっているという観点から、これは都道府県等にもよりますけれども、おおむね月額一万一千円程度が支給されているものでございます。

小山(千)委員 御答弁ありがとうございます。

 現在、特別支援教育に従事する教師は、給料の調整額として、今答弁もありました一万一千円程度、約三%、支給されていることが言われています。

 それでは、本改正案でこの給料の調整額はどのようになるのでしょうか、教えてください。

望月政府参考人 今般の教師の処遇改善に当たりましては、教職調整額、これは教員全体に係るものですけれども、この教職調整額の改善を図るだけではなく、教師の職責や業務負担に応じた給与とする観点から、給与全体について検討を行ったところでございます。

 御指摘の給料の調整額につきましては、令和八年度以降、今年度ではなく来年度以降見直すこととしてございます。給料の調整額につきましては、特別支援学校、特別支援学級等に携わっている教師に支給されるものでございますけれども、これは小中学校の通常の学級にも特別支援教育の対象となる児童生徒が増加するなど、全ての教師が特別支援教育に携わることが必要になってきている、こうした背景を踏まえまして、中央教育審議会におきましても、負担と処遇のバランスに配慮した見直しの検討も提言されたところでございます。

 教師の給与全体を検討する中で、教職調整額の教員全体に係る一〇%への引上げ等を踏まえつつ、引き続き、他の教師と比較し一定の特殊性は有していることから、これを廃止するのではなく半減とすることとしてございます。

 教職調整額の引上げを行う中で、毎年度、個人の給与が下がることのないように、しっかり給与水準が上がるようにするために、これを一度に見直すのではなく、また令和七年度ではなく令和八年度から二年かけて見直すということにしてございます。

 特別支援教育に携わっている教師につきましては、その他の教師と比べまして相対的に引き続き高い処遇が保たれるということになるわけでございます。

小山(千)委員 御答弁ありがとうございます。

 この内容も、四月十五日、大臣の記者会見で、近年、通常の学級にも特別支援教育の対象となる児童生徒が増加するなど、全ての教師が特別支援教育に関わることが必要となっているので引き下げるとの御答弁がありました。私は、これは逆ではないかと思います。全ての教師が特別支援教育に関わるのであれば、全ての教師に給料の調整額を支給すべきではないでしょうか。

 今御答弁いただきました二年間にわたって引下げ、これは、聞いておりますところ、〇・七五%ずつ、今三%を〇・七五%ずつ二年で引き下げ、一・五%になると聞いております。この引下げで浮いた資金を教職調整額の引上げ資金に充てるという意見を耳にしたことがありますが、そうなんでしょうか。

望月政府参考人 給料の調整額の見直しにつきましては、近年、通級指導を受けている児童生徒が急増するなど、通常の学級にも特別支援教育の必要な児童生徒が増加をしていますこと、このため、通常の学級も含めて全ての教師が特別支援教育に関わることが必要になってきている、また、教職課程におきましても、特別支援教育に関する科目の必修化、あるいは、採用後十年までの間に特別支援教育を二年以上経験するよう文部科学省としても通知をしていまして、これが進んできてございまして、そうした教員養成などの取組も進んでいることなどの状況の変化もございまして。

 給料の調整額については、一定の極めて特殊性の高いものとして昭和三十一年に設けられたものを見直さないできたという経緯がございます。

 今回の処遇全体の改善をする中におきまして、教職調整額の引上げのこれを原資とするということではなく、教師の職責あるいは業務負担に応じた給与の観点から見直しを図ったものでございます。

小山(千)委員 ありがとうございます。

 済みません、今思ったんですけれども、特別支援教育は、自分が障害児の母だからこそ言えることなんですが、全員が関わっている、インクルーシブ教育を目指すためにもちろんすごく大事なことなんですけれども、冒頭にも申し上げましたように、やはり命を預かる現場もある特別支援教育、知的、情緒、情緒で通級に行っている特別教育、特別支援教育、本当にいろいろあると思います。それを一緒くたに何%となるのはおかしいのではないかと思い、やはり、この教職調整額の引上げにかかわらず現状を維持すべきだと思います。逆に、その調整額をするのであれば、グラデーションがあってもいいのではないかと思います。

 今は、教職調整額と給料の調整額との関係を問題にしましたが、先ほど青山議員がおっしゃっていたように、学級担任手当についても言えます。

 小中学校の単式、複式学級の学級担任については、国庫負担の算出上、義務教育等教員特別手当に月額三千円を加算することが予定されていますが、これも特別支援教育に関わる先生たちは手当の加算が対象外とされています。給料の調整額が支給されていることや、特別支援学校では学級担任以外の教師も教員活動を含む学級運営に多く関わっていることなどを考慮したことが理由だそうです。

 先ほども述べたとおり、給料の調整額は別個独立した手当であり、学級担任手当と二者択一ではありません。また、学級担任以外の教師も学級運営に関わっているのであれば、関わった教師の方全員にやはり学級担任手当を支払うべきだと思います。スクラップ・アンド・ビルドという言葉がありますが、私には、本改正は給料をスクラップして業務をビルドしているように見えます。給料の調整額はボーナスや退職金にもカウントされる手当であり、教員個人の人生設計にも深くする手当です。

 これは、私、よく女性教師の生活、ライフスタイル、前職で御相談することがありました。子育てをしながら、教員を辞めるか続けるか、すごく悩む教師の中で、お母さん、教師、どっちを取る、でも、女性として、やはり退職金がきちんともらえる、ありがたい、やはり続けることに意義があるということで、子育てをしながら女性教員の相談、本当に乗っていました。

 退職金、本当に考えながら、人生設計しながら働いている先生に対しても裏切るような今回の法案、人生設計に深く関係する手当と、でも先生たちは気がついてない、本当にその辺をちゃんとやっていかなきゃいけないと思っています。教職調整手当が引き上げられるから、トータルで増額になるからいいじゃないかという御意見もありますが、給料の調整額を単独で見て、きちんと特別支援教育に従事する教師に過大な不利益を及ぼさないようにお願いしたいと思います。

 次の質問に移らさせていただきます。

 次に、インターン制についてお尋ねいたします。

 先日、NHKの報道によりますと、文部科学省は、教員採用試験の前倒しを要請し、また、大学三年生の段階で受験機会を設ける動きが広がっていて、三年生のうちに内定まで出す自治体がありますとのことです。

 例として挙げられた学生は、内定をもらった後、大学四年生のときに行った教育実習は、採用試験日の前日まで実習があったといいます。四年生のとき、空いた時間を活用してフリースクールに通う子供の支援活動にも参加したということで、実際に働く意識を持ちながら学生生活を過ごせたとのことです。

 このように、実際に教員になる前に少しずつ仕事に慣れていくことは大事なことなのですが、三年生のうちに内定を出さない自治体では、そうであるなら、実態ではなかなか難しいことでしょう。そうであるならば、命を預かる医者の分野でインターン制があるように、日本の未来をつくる教師の分野でも、僅かな期間の教育実習だけではなく、就職後に一年なり二年なりを使ったインターン制を導入すべきではないでしょうか。インターン制を導入すれば、新人教師も業務を迅速、正確に覚えられ、今いる教師も新人教師が早く戦力になれば負担軽減となり、ウィン・ウィンの関係になります。

 このような教師のインターン制を導入することに対し、文部科学省の意見をお伺いいたします。

あべ国務大臣 委員にお答えいたします。

 新任教師がまさに円滑に教職人生をスタートできるように、新任者の研修を含めまして、入職後の支援、育成に取り組むことは本当に重要だというふうに私どもも考えているところでございます。

 文科省といたしましては、新任教師の負担、これを軽減していきながら育成するため、小学校教科担任制の拡充を含む教職員定数の改善を行うとともに、この法案におきまして、若手教師を支えて、一人で課題を抱え込まない体制づくりにもつながる主務教諭の職を創設もしているところでございまして、新任教師の負担軽減、組織的なサポートを取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 また、教師としての育成支援の観点からも、さらに、この養成の段階だけじゃない、採用後の研修も踏まえた実践経験の充実をどのように図っていくかということも踏まえた点につきましても、中央教育審議会におきまして、議論を踏まえまして、しっかりと検討してまいりたいと思います。

小山(千)委員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 このインターン制は、新人教師だけではなく、様々な理由で一旦教職から離れた人が再び教師として復職する際にも、久しぶりにうまくできるかな、昔とやり方は変わっていないかなといった不安を解消し、復職しやすくなり、また、教員資格を持った方が、一般企業にお勤めしていて、教師に転職を考えるきっかけにもなる制度だと思っております。是非、文部科学省において前向きに検討をお願い申し上げます。

 次に、教員の負担軽減についてお尋ねいたします。

 日本経済団体連合会は、二月十八日に、二〇四〇年を見据えた教育改革を提言としてまとめ、その中に、教員が教育指導に集中するため、業務を連携、分担する体制が整備されたチーム学校を推進すべきと記述があります。

 その実例というべき事例が、二〇二五年三月二十四日の日本教育新聞に掲載されていました。

 横浜市は四月から、市内の全小中学校で教科分担制と学級担任に対する支援を組み合わせたチーム学年経営を導入する。学級を一人の教員に任せないという方針だ。既に実施している学校では、担任以外の教員への相談が増えるなど、子供たちが安心して生活ができる環境づくりになっております。主に高学年を教科分担とし、学級を持たずに学年全体をサポートするチームマネジャーと呼ばれる教員を配置する。時間割り調整のカリキュラムマネジメントをするほか、少人数指導やチームティーチングで直接学級に関わる役割を担うなど、チーム学年経営が目指すのは、子供の心の安定と教員の負担軽減だ。教材の研究の効率化にもつながると期待されているとのことです。教員同士がカバーし合う意識が強まった。過去三年間で学級の崩れは一度もなく、保護者から担任への苦情もほとんどなくなったという結果も出ています。

 このような取組は全国的に推進すべきだと考えますが、文部科学省の見解をお伺いいたします。

あべ国務大臣 委員の御紹介いただきましたこの横浜市の取組を実施するに当たりましては、国の教科担任制の加配定数、これも活用されているというふうに承知しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、令和四年度から定数改善によりまして進めてまいりました小学校高学年における教科担任制に加えまして、令和七年度からは、新たに四年生への教科担任制の拡充など、四年間で三千九百六十人の定数改善を予定しているところでございまして、また、本法案におきましては、学校の教育活動に関しまして、教職員間の総合的な調整を行う主務教諭の職を創設するところとしておりまして、学校全体の課題に対しまして対応しながら、若手教師が本当に一人で抱え込まないという体制づくり、これにつながることが期待されるところだというふうに考えております。

 文科省としては、引き続き、様々な専門性を有する教師が連携した、多面的な児童の理解を通じました教育の質の向上、さらには教師の持ちこま数の軽減、この学校における働き方改革に資する体制の整備を推進してまいりたいというふうに思っております。

小山(千)委員 御答弁ありがとうございます。

 本当に、若手の先生から、やはり保護者対応がすごくつらいというお話を聞いています。モンスターペアレンツ、モンスターペアレンツとよく言われますが、やはり、そうすぐになるわけではなく、最初の信頼関係構築が大変だと思います。正直、私、今五十歳ですが、自分の息子、六年生の担任の先生がもし新卒の二十二歳でしたら、その先生の御両親よりも年上の親御さんと先生は話さなきゃいけない。やはり、そういう部分で、最初のファーストタッチ、悩んでいる先生は本当にたくさんいると思います。そういう意味では、先ほど言ったチーム学年制、そういう活用は必ず必要だと思っています。

 続いて、長時間労働改善の方策についてお尋ねいたします。

 長時間労働の改善の方策の一つとして、中央教育審議会の答申に、十一時間の勤務間インターバルが盛り込まれています。十分な生活の時間や睡眠時間を確保し、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることを可能にするためにも、また、業務の属人化を防止するためにも、勤務間インターバルは有効な手段だと考えます。

 答申でも必要性が指摘されているこの勤務間インターバルを、国として強化していくのでしょうか、教えてください。

あべ国務大臣 教師が十分な生活時間、また睡眠時間を確保していきながら、心身共にゆとりを持っていきながら教育活動が行うことができるよう、十一時間を目安とするこの勤務間インターバルの取組、学校においても推進することが重要だというふうに思っております。また、委員御指摘のように、早出遅出の勤務など、柔軟な働き方も含めた、可能としていくことは、教師一人一人のワーク・ライフ・バランスの実現にも重要だというふうに考えています。

 文科省としては、昨年の中央教育審議会の答申を踏まえまして、十一時間を目安とする勤務間インターバルの取組を進めるよう、昨年の九月に各教育委員会に対しまして通知を行ったところでございまして、引き続き取組を促進してまいります。

小山(千)委員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 そうですね、私もニトリでずっと勤務しておりましたので、早番、遅番が当たり前。やはり、そういった企業もやっているようなことを先生たちも、やはり教職は朝のスタートが決まっておりますので、なかなかそういう部分では難しいかもしれませんが、やはり働くお母さん、子育てしながら、お母さんをしながら教員をやっている方、遅番だったら本当に楽なのにというお声もいただいています。ですので、可能な限り、働く教師にとって本当にためになる制度として導入をしていただきたいと思います。

 次に、人材の有効活用についてお尋ねいたします。

 先ほどの日本経済団体連合会の提言の中で、人材の多様化に関して、従業員が校長、副校長や教職員として活躍できるよう、副業、兼業制度や学校現場への在籍型出向を導入すべきと企業に求めたと記載があります。

 さらに、企業が学校現場に人材を派遣している例としては、富士通を紹介した、川崎市との間で包括協定を結び、市立の小中高等学校に四人の社員を特別非常勤講師として派遣しました。富士通に籍を置いたまま、エンジニアや、最近多い外国人の生徒の方に対しても、外国居住の経験を生かした指導を行っているそうですとの実例を挙げています。

 このような取組は、従来の教員とは違った目線、価値観を学校に取り入れることができ、広く全国的に展開していくべきだと考えますが、国としての取組を教えてください。

あべ国務大臣 委員御指摘の川崎市におきます取組、企業の人材活用という形で非常に先駆的な事例であるというふうに私ども考えておりまして、特に、多様な専門性また背景を有する質の高い教育人材を確保することが大変重要でございまして、文科省といたしましても、企業人材を始めとする社会人が学校に入職する際の不安を軽減していきながら、円滑な入職につなげるためのオンデマンド研修教材の開発、提供などにも取り組んでいるところでございます。

 さらに、昨年十二月に中央教育審議会に、教師人材の質の向上と入職経路の拡幅の観点から諮問を行いまして、特別免許状の更なる活用、さらには、民間企業に在籍しながら、委員御指摘のような、教師として勤務する際のいわゆる任用形態の在り方について御議論いただいているところでございまして、中央教育審議会の議論も踏まえさせていただきながら、学校現場での多様な専門人材の積極的な活用に向けまして、必要な改革を進めてまいります。

小山(千)委員 大臣、ありがとうございます。

 やはり、派遣される方は六十代の方が多く、この方々のセカンドキャリアとして今までの知識経験を有意義に活用できるという、ウィン・ウィンな関係になっています。いい取組ですので、是非国としても積極的に推進していくことをお願いいたします。

 続きまして、時間外在校等時間の法定化についてお尋ねします。

 先日、委員会で、我が党の高橋議員がこの点について質問をしました。大事なことなので、もう一度質問させてください。

 教職調整額の引上げの根拠とされている月三十時間の時間外在校等時間という目標は、現場にとって極めて重要な数字だというふうに考えています、だからこそ、この上限目標を法律の中に明記すべきではないでしょうかとの質問に対し、望月参考人は、文部科学大臣の指針を、この法案をお認めいただいたら改定する御予定でございますと答弁されています。

 ここで確認なのですが、法律と指針では、実際の効力、法的拘束力ですとか強制力に何か違いはあるのでしょうか。

望月政府参考人 十六日に高橋委員にお答えを私の方から申し上げましたのは、各教育委員会が文部科学大臣の指針に即しまして計画を策定することと今回の法案をお認めいただければなるわけでございますけれども、今後、その実効性を高めるために指針を改定する予定と申し上げたところでございます。その中で、各教育委員会が学校における働き方改革を更に進めるための目標を設定する際の考え方もお示しできるように検討するということをお話し申し上げました。

 文部科学大臣が策定する指針の改定内容につきましては、今後検討してまいりますけれども、各教育委員会が指針に即して策定いただく計画について、その実効性を高めることにつながるような内容を盛り込むことを考えてございます。各教育委員会におきましては、この指針に即して計画を策定していただくことになりますので、各教育委員会の計画の内容は、文部科学大臣の指針の内容が適切に反映することとなるわけでございます。

 令和元年の給特法の改正におきましても、まさに公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインを法律に基づく文部科学大臣の指針に格上げするということを法律事項といたしまして、それを、改正をした結果、指針に基づき各教育委員会が、時間外在校等時間の上限に関する方針、これを条例の整備や規則の整備ということで定めてございまして、働き方改革が進んできたということがございます。

 すなわち、実効性を高めるという観点から、文部科学大臣の指針というものに関して、どのようなことを明記をしていくかを検討したいというふうに考えてございます。

小山(千)委員 ありがとうございます。

 さらに、上限方針を定める教育委員会の規則等については、令和五年八月時点で、令和五年度中の整備がない市町村が三十三市町村となっています。この三十三市町村において、法的拘束力のある規範は何も持たない状態なのでしょうか。最後、お答えください。

望月政府参考人 失礼いたします。

 御指摘のとおり、令和五年八月時点では、五年度中の整備予定がないとする市町村が三十三自治体ございましたけれども、その後、我々のフォローアップによりますと、令和六年度では十三の教育委員会が未整備であり、そのうち十一の教育委員会が令和七年度中に整備を行うと。要すれば、あと二自治体が令和七年度中の整備予定がないという感じになってございます。

 今回、法律、法案をお認めいただけましたら、指針をしっかり改定する中で、こうした計画の実効性についてもしっかり高められるよう検討を重ねてまいりたいというふうに考えているところでございます。

小山(千)委員 ありがとうございます。

 本当に、そのような市町村は郊外であることが多く、山村留学や島留学で子供たちに非日常的な経験を積ませるように、適したところが多いと思います。

 多様化している子供たち、やはり、未来の子供たち、よい国をつくるためには、文部科学省が中心となって乗り越えていかなければならない、もうこのままだと教育が崩壊してしまいます。本当に、そのためには、文部科学省中心、この委員会を中心に何とか変えていきたい、その思いで本日質問させていただきました。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、安藤じゅん子君。

安藤(じ)委員 お疲れさまでございます。ありがとうございます。立憲民主党の千葉六区、松戸市選出の安藤じゅん子です。

 通告に従いまして、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について質疑を行います。

 まず、公立の中学校における三十五人学級の実現についてでございます。

 先番の青山委員、辻委員からもありましたけれども、大切な観点だと思いますので、私からも一問お願いします。

 まず、こちらの方、公立中学校における三十五人学級の実現について法制上の措置で行うべき観点から伺いたいと思います。

 十八日に開催されました文科委員会、参考人意見陳述で、佐久間亜紀参考人の説明から、教職員定数改善計画の中止が教員不足に与えたインパクト、正規から非正規への置き換えが進み過ぎてしまった教員不足についてデータを用いた丁寧な御説明がなされ、教員不足解決に一番利く、すなわち、教員の数と給与を保障する仕組み、安定性の獲得には教員定数改善計画の再開が欠かせないという提言には同意するものであります。

 学校における指導、運営体制の充実のうち、令和三年に義務標準法が改正され、約四十年ぶりに小学校の学級編制の標準が三十五人に引き下げられ、令和七年度に小学校六年生の三十五人学級が完成しました。中学校においても、個別最適な学びと協働的な学びのため、きめ細かい指導があることは変わりないため、令和八年度から、中学校でも学年進行で計画的に三十五人学級を実現すべきです。

 そこで、伺います。公立の中学校における三十五人学級の実現について法制上の措置で行うべきと考えるが、どうか。

望月政府参考人 御指摘のとおり、学校の指導、運営体制を充実して子供たちのきめ細かな教育を行うという観点では、教職員を含め、その定数措置あるいは支援スタッフの充実が大変重要であるというふうに考えておるところでございます。

 先ほど御答弁をさせていただきましたけれども、昨年十二月に財務大臣と文部科学大臣の間で、令和八年度から中学校三十五人学級への定数改善を行うことについて合意をしたところでございます。詳細につきましては、準備をしっかり進めてまいりますが、中学校の学級編制の標準を定めている義務標準法、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、この改正が想定されるところでございまして、法制上の措置を含め、検討してまいります。

安藤(じ)委員 御答弁ありがとうございます。

 大臣が御紹介されていた教科担任制、加配ですけれども、こういった予算措置だけでは教員不足は解消はできません。

 毎年五月一日等に向けまして、あるいは秋以降に発生する教員不足に対し、教員確保に奔走する自治体、教育委員会、学校の立場や、来年も今の職場に仕事があるのか、児童生徒とじっくりと向き合うことができるのか、そのような思いを抱えながら教壇に立たざるを得ない教員の立場、それぞれの立場を改善することは、中央教育審議会の令和六年八月答申に、学校における働き方改革、処遇改善と一体的、総合的推進が必要とされていますけれども、教員不足を解消することは、働き方改革と処遇改善の効果を一層高めるものと思います。すなわち、教育効果を高める最重点方策であると思います。

 また一方で、文科省が進めている、能登半島地震を経て、被災地学び支援派遣等の枠組み、D―EST、こちらの方、災害時の子供を支える大切な取組となっていますけれども、やはり、平時から人材確保がままならなければ、しっかりと機能させていくことは困難であると思います。

 こういった観点も踏まえて、予算措置ではなく、計画的に見通しのつく法制措置、教員定数改善計画の再開こそ是非実現していただきたく、要望をいたします。

 次に、指導改善研修の被認定者について伺います。

 今回の改正で、児童等に対する指導が不適切であると認定され、指導改善研修を受ける教員については、認定を受けている間、教職調整額の支給は行われないこととされるものであります。

 指導改善研修とは、所属校を離れ、都道府県教育委員会等が設置する教育センター等の教員の研修を行う機関において行われることが多く、原則として児童生徒の指導に関わることはない。本法律案においては、答申において職務や勤務の状況に応じた給与体系を構築することが必要とされたことを踏まえ、実態として教職から離れている指導改善研修被認定者については、教職調整額を支給しないこととしているとあります。

 そこで、まず、令和五年度においては全国で二十六名であった指導改善研修被認定者を教職調整額の支給対象外にする意義、これについてと、今津孝次郎著「教師が育つ条件」によれば、そもそも指導改善研修の被認定手続が煩雑でありとあります。具体的には、校長から市町村教委を経て県教委へ、医師、弁護士、臨床心理士、教育学者、保護者代表などの専門家によって構成される認定諮問委員会へと書類が上げられていくようであります。学校、校長評価のみではないがゆえに、ここ最近の教職員の多忙化と反比例するかのごとく、十年近く前には約百三十名程度であった被認定者はぐっと減少してきています。実際に、被認定者となった者以外にも潜在的に予備軍がいるのではないかという指摘もあることも申し添えさせていただきます。

 このような現状で果たして教育の質を担保できるのか。考えなくてはならない指摘もあります。また、原則、研修は、職場復帰が目的となっていることから、研修後半からは在籍校や受入れ協力学校での、学校に復帰してもらうことが望ましいとされている指導改善研修について、以下伺います。

 令和五年度、全国で二十六名、全教員およそ八十三万七千人のうちの二十六名の指導改善研修被認定者を、教職調整額の支給対象外にする意義はあるのか。また、本法律案を機に、今後、支給対象外とする者の範囲が広がるおそれはないのか。お願いします。

望月政府参考人 御指摘の指導改善研修被認定者につきましては、御紹介いただきましたけれども、指導が不適切であると認定をされました、いわゆる指導力不足の教師として、子供たちの指導や相談に直接携わることがなく、任命権者により定められたプログラムに基づいて研修を受けている者でございまして、教職調整額を支給する前提となる教師としての職務等の特殊性を発揮し得る状況にはないと考えてございます。

 本法案における教職調整額の引上げが、教職の魅力を高め、教師に優れた人材を確保することを目的としまして、専門職である教師にふさわしい処遇を実現する趣旨であることを踏まえますと、指導改善研修を受けている教師に教職調整額を支給することはその趣旨と大きく異なるため、今回の法改正に当たりまして支給対象外と整理をしているところでございます。

 なかなか、この人数が少ないのではないかという御指摘もございました。これは、指導改善研修というものの被認定者になるときには、法律の教育公務員特例法でその手続が具体的に定められてございます。それに基づきまして任命権者が被認定者として認定をするわけでございますけれども、これは、学校復帰ができるのかどうか、それとも別の職、例えば事務職とかに転職するか、あるいは、その後もう全く職から離れていくかということを、やはり指導改善研修の最中において見極めをしまして、本人としてもちゃんと教壇に立てるかどうかというのを自分自身も確認した上で、それをまた被認定者として認定するかどうかという、教員の最終的には身分にも関わることでございますので、そこは、任命権者としては慎重なプロセスを取ることが必要であるということ。

 そして、人数が減ってきているということに関しましては、指導改善被認定者になる前に、任命権者としては、いろいろなプログラムを用意する、あるいは研修を実施する、そして人事管理をしっかり行う、あるいはそこに至るまでの間にいろいろサポートを行うといった、そうした、この制度ができて以降、いろいろな改善も自治体の方ではされてきてございまして、結果的に、人数自体、被認定者自体は少なくなっているところでございます。

 現時点では、支給対象外とする者について範囲を広げるということは、このほかには考えていないところでございます。

安藤(じ)委員 ありがとうございます。

 支給対象外とする意義について了解しました。また、範囲については、今後広がるおそれはないということで了解をいたしました。

 当該研修に限らず、様々研修はあろうかと思います。研修によって真に目的を果たすために、改善のための不断の見直し、行っていただいているとありますけれども、現場の声を聞きながら引き続きお願いしたいと思います。

 次に、授業準備の時間のかけ方について伺います。

 佐久間参考人のときにも触れられておりましたけれども、教員が必要としているのが、授業を準備するための勤務時間です。

 千葉十三区の宮川伸衆議院議員の元に寄せられた教職員の方の現場の声によれば、部活動はいまだ無制限、朝練オーケー、十八時下校、働き方改革が進んでいる学校と、そうではない、校務分掌も一部の教員に過剰に集中してしまっている学校と、地域差が大きい実態があり、本来の授業準備を行う時間を満足に確保できていないというお声が多数寄せられています。

 一九五八年、義務標準法を制定したとき、一時間の授業をするためには一時間の準備時間が必要という前提で教職員定数を算出したという。教員不足が顕在化し、いよいよ抜本的な対策を求める声が上がっていた二〇一六年十一月二日、文部科学委員会において、文科省の藤原誠初等中等教育局長当時が、この解釈に変更がないと答弁をしています。

 文科省の解釈どおりに考えれば、小学校教員が毎日五こまの授業を担当するなら、翌日の授業五こまの準備時間がその日のうちに必要だということになるので、これだけで既に勤務時間をオーバーしてしまう。ちなみに、令和四年の勤務実態調査では、授業一こま当たりおおよその準備時間は、小学校教員で十五・八九分、中学校教員で二十二・九分と。学習指導要領においては探求学習という、生徒の主体性や思考力、創造力、コミュニケーション能力、そして実践力という能力引き出し型の学習は、これまで以上に準備時間を要することが容易に想像されます。

 こうした観点も考慮いたしますと、授業準備時間の考え方も見直していく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

望月政府参考人 安藤委員御指摘の、平成二十八年、二〇一六年十一月の本委員会における当時の初等中等教育局長の答弁につきましては、義務標準法に規定されております教職員定数の標準について、どのような考え方によって設定されているのかということを御質問いただいたときの答弁であると承知してございます。

 具体的には、教員の指導時数は勤務時間の半分程度を充て、残りの半分程度の時間は授業指導の準備などの授業以外の校務、授業準備だけではなく、授業以外の校務に充てることを想定をしてございます。

 これは、当時の藤原局長の方からも答弁をさせていただいたとおりでございまして、この考え方については現在も変更はございません。

安藤(じ)委員 ありがとうございます。

 授業と授業以外の校務時間が一対一という御説明もありましたけれども、先般の参考人の方々も、在校等時間は労働時間との答弁をされています。教員には、外的報酬と内的報酬という言われ方があるようですけれども、自主、自発とみなされないよう、一刻も早く月八十時間教員がゼロへ、五年後には三割縮減で月三十時間を実現していくのであれば、是非、授業準備時間の考え方も、より授業効果を発現できるよう、出現、出させられるよう、専門性を発揮していただけるよう、見直しをお願いしたいと思いました。

 続きまして、学校における働き方改革の更なる加速化について伺いたいと思います。

 国通知に従いまして採用試験の時期や対象者の前倒しを行った高知県や鳥取県では、例えば、高知県では、小学校教員採用試験で、二百八十人の合格者のうち二百四名、実に七割以上が辞退するという、大量辞退者を発生させる悪循環に陥っている状況となっています。国通知が教職員志望者を自治体間で奪い合うことにしかならないことが証明をされてしまっています。

 昨今では、初任給三十万円、テレワーク、リスキリングなどの処遇のよさや働きやすさ、研修機会の充実をうたう民間企業も現れています。今後、国は、あらゆる政策を総動員することで、公立学校で働くこと、教職がいかに魅力的な仕事であるのか、働きやすい職場環境であるかを実現し、国が広く周知して志願者を増やし、倍率を上げていけるかが問われているんだと思います。

 そこで、学校における働き方改革の更なる加速化について大臣に伺います。国として、教員が担うべきではない業務の明確化を行うべきと考えるが、どうでしょうか。

あべ国務大臣 まさに、働き方改革、教職の仕事の魅力をしっかりと伝えていくためには重要だというふうに思っておりまして、私ども、働き方改革について、教育委員会における取組状況に大きな差がある、先ほど委員も御指摘してくださいましたが、取組が十分に進捗していない教育委員会があることなどが課題となっているところでございます。

 こうした中で、学校における働き方改革の実効性を更に向上させていくためには、全ての教育委員会が働き方改革を自分事として捉まえて、また、教育委員会の取組状況を見える化していく、公表していく、それを通じましてPDCAサイクルを構築することが不可欠だというふうに考えております。

 今回の法案におきましては、全ての教育委員会において、文部科学大臣が定める指針に即しまして、教師の働き方改革に関する計画を策定と公表をしていただくことに加えまして、その実施状況も、首長が設置をするところの総合教育会議に報告するとともに、広く公表していただくということを盛り込んでいるところでもございます。

 文科省として、こうした取組も通じまして、学校における働き方改革の実効性を向上させていきたいというふうに思っております。

安藤(じ)委員 ありがとうございます。御答弁ありがとうございました。

 平成三十一年に示された学校及び教師が担う業務の適正化、いわゆる三分類の一層の活用に向けての徹底は本当に大切なことでありますし、本法案が施行された際には、教育委員会に計画策定を義務づけていくということであります。期待を寄せるものでございますが、今、部活動を何とかしなくてはならない、再度ガイドラインを守るように発出してもらいたい、十七時完全下校を明記されたい、こういった具体的なお声が届いています。

 立憲民主党の子供部会でも、働く子育て世代が増え、朝学童をどうするのか、先進自治体の取組を学ばせていただいておりますけれども、先進自治体以外がどのように対応しているのかは明らかで、定時よりも早く出勤している教員等が校門前に並ぶ児童たちの対応をせざるを得ないという現状が現場の先生方から寄せられております。

 学校を変えるためには、国が、教員が行うべきではない業務の明確化を行うことが大変重要です。地方に対し調査を公表して終わりではなく、しっかりと結果が出るまで、学校が変わるまで、国は指導と支援を継続していただきたいと思います。

 大臣、ありがとうございました。

 続きまして、大臣合意では、学校における働き方改革を強力に推進するため、業務見直し、首長部局や地域への、本来業務以外の時間の抜本的縮減、勤務時間管理の徹底、在校等時間の見える化、校務DXの推進などで、将来的に教師の平均時間外在校等時間を月二十時間程度に縮減することを目指して、まずは、今後五年間で平均時間外在校等時間を三割縮減し、月三十時間程度に縮減することを目標とするとありますが、今すぐ月八十時間勤務教員をゼロにすることが、五年後の三割縮減よりも、過労死やうつのリスクが高まる長時間労働から教員を守るにはずっと効果があると考えます。

 そこで、伺います。ライフ・ワーク・バランスの実現のために、教員の過労死を防ぐために、勤務間インターバルを実現すべきと考えるが、国はどのように取り組んでいくのか。

望月政府参考人 安藤先生御指摘のとおり、過労死レベルにあるような、時間外在校等時間が月八十時間以上、これは、令和元年の改正によりまして文科大臣が指針を策定し、各自治体に取り組んでいただいた結果、かなり減ってはきていますけれども、まだ一定程度いる。しかも、学校の中において、かなり、相当職務上忙しい、校務分掌で忙しい方とそうでない方も一定程度いらっしゃる。つまり、校務分掌が、あるいは校長のリーダーシップをもう少し発揮させれば適切な役割分担ができる、そういったケースもあるわけでございます。

 そういった中で、学校を取り巻く働き方改革を進める中で、教師の健康福祉の観点から、勤務間インターバル確保ということにつきましても、これは中教審でも提言をされているところでございます。

 先ほど大臣から答弁をさせていただきましたけれども、教師が自分らしく子供に当たることができるように、教育の充実を図ることができるように、自分の時間を持つこと、そして、しっかり、翌日のために、生活のリズムをつくるためにも、睡眠時間を確保して、心身共に健康で教育活動を行うことができるように、そうした勤務間インターバルの取組を学校においても推進することが大事であると考えてございます。

 これは、地方公務員、国家公務員、同じでございますが、教育公務員につきましても、そうした取組が今実際に進んでいるところでございますので、そうした取組につきまして、我々も好事例をやはり集めまして、昨年九月にも教育委員会に対して通知を行ったところでございますけれども、今回の法案をお認めいただく、そういう中において、この勤務間インターバルの取組も進むことができるよう、そうした周知、あるいは、事例をまた各自治体の方に紹介をしていきたいというふうに考えているところでございます。

安藤(じ)委員 ありがとうございます。

 好事例を広げていっていただくこと、本当に大切だと思います。

 教員不足の原因の一つに、産休、育休、若手の方を大量採用しているということで挙げられております。民間で起きたM字カーブを防ぐためにも、この産休、育休から帰られた方、復職された方、現場に、教壇にまた戻ってこられる方が、ライフ・ワーク・バランスの実現、この勤務間インターバルの実現、これによって本当に、離職を防ぐ大切な手だてになっていくと思います。喫緊の課題であります。

 また、あわせて、休業中を支える職員の方、教員以外の方、こういった職種の方全てをしっかりと処遇を改善をしていかなければ、支えていかなければいけないと思いますので、是非お願いしたいと思います。

 最後に、ちょっと順番が、先を聞かせていただきました。主務教諭について伺いたいと思います。

 先番の方からは、主務教諭の創設、あるいは、教諭の基本給の引下げ等はない、また、学校組織の在り方に対する質疑等が行われておりました。了解いたしました。

 私からは、本法律案において、学校内外との連携調整、若手教員のサポート、こういったところで、教諭と主幹教諭の間に位置づけられているこの主務教諭に期待すること全般を是非ともお聞かせいただきたいと思います。また、ちょっと、労働時間についても、もし認識ありましたらばお願いできたらと思います。お願いします。

望月政府参考人 学校では、教育相談、情報教育、防災教育、あるいは特別支援教育といった、学校が組織的に対応すべき横断的な課題がございます。

 現在でもそうした横断的な調整を行っていただいている一定の、三十代のいわゆるミドルリーダー的な者がいらっしゃいますけれども、その方々を職として処遇をし、学校全体として組織的あるいは機動的なマネジメント体制が校長の下で発揮することができるように、今回、教職員間の総合的な調整を行う主務教諭の職を創設することにいたしました。

 現在、主幹教諭が校長、教頭の下で、これは自治体によってはいない場合もありますけれども、いる場合には、主幹教諭の勤務実態調査での結果は、学級担任ほどではないですけれども、やや若干、勤務実態調査では時間外在校等時間が長いということがございます、実態として。ただ、これは、主幹教諭に基づくいわゆる職責を果たしたり、ある一定のそうした職責に基づく、管理職に対する支援を行っているという観点から、そうした主幹教諭については勤務実態調査の結果になっているというところでございます。

 主務教諭につきましては、今ある職の職務の内容を、特に新たに付加をするということではなく、職としてしっかり処遇をし、そして学校全体が機動的にマネジメントできるようにするための新たな職の設置ということを想定してございまして、その職務と責任に見合った適切な処遇の観点から、本給の改善による処遇ということを考えているところでございます。

安藤(じ)委員 どうも御答弁ありがとうございました。

 プレーイングマネジャーというネーミングも青木参考人の方で触れられていました。調査と改善、是非とも、現場で想定と乖離が生じた場合には、国としてしっかりと検証をお願いしたいと思います。

 あと、私の方からも、特別支援調整額の引下げについてはたくさんお声をいただいておりますので、是非ともストップしていただきたい、引下げはやめていただきたいことと、そしてまた、定年引上げに伴いまして、再任用時の給与減額についてもお声をいただいております。この全体としてしっかりと処遇を改善していかなければ、学校として、現場は本当に立ち行かなくなると思いますので、こちらの観点も是非ともお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

中村委員長 次に、眞野哲君。

眞野委員 立憲民主党・無所属の眞野哲でございます。

 文科の質疑は今日が三回目です。大臣、よろしくお願いいたします。

 まず、今回の提案の中で一つ欠けているのが、子供の健やかな成長のためにというところが少し欠けているのかなというふうに考えております。

 そして、ホットなニュースが実は一つあったかなと。夕べ、公立高校の、いわゆる今まで一校しか受けられなかったのが、単願制を見直して、複数公立高校が受けられるような検討段階に入ったというホットなニュースがありました。これで、いろいろ、高校をたくさん受けることによって、より行きたい学校に進学をして、さらに、教員になっていただく方が増えればいいかなというふうに考えております。

 それに関連して、教員のいわゆる採用方法についてお尋ねしたいです。

 現在は、都道府県によって、一校しか受けられないんですね、採用試験が。それを一度に、例えば近隣の学校を受けて、たくさん試験を受けて、呼びかけるということを文部科学省として提案していただけるかなというふうに考えております。いわゆる志がある方が教員になる機会をもっともっと増やしていただきたいというふうに考えていますが、いかがでしょうか。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘いただきました、より教師に有為な人材を確保する、その選択の幅を広げろということかと思っております。それは、外部人材も含めまして、いろいろな形でその選択の幅を拡充しようということで、現在、特別免許状の活用を含めまして、取組を進めているところでございます。

 また、制度的な問題としては、今、中央教育審議会で御議論いただいておりまして、外部人材の拡幅も含めて、しっかりとその点は検討してまいりたいと思います。

眞野委員 ありがとうございます。より多くの学生に機会を増やしていただいて、教員になるという道筋をつくっていただきたいと考えております。

 今お配りした資料がありますが、実態調査ですね。いわゆる教員が少ないということで、先ほど辻委員もお話しした内容とかぶりますが、要は、教員が本当に少ないということがとても問題であると思います。

 その中で、給与の件を少しだけ聞きたいんですけれども、二〇一五年の、フリージャーナリスト、前屋さんという方がヤフーニュースで、財務省は教育破壊をしたいのかという記事の中で、財務省は今後九年間で三万七千人を減らすということを文部科学省に求めている、構えがあるということをNHKのホームページに掲載されております。

 その記事から約十年たっておりますが、財務省は今でも教員を減らすべきだと考えているか、お答えください。

東大臣政務官 お答えをいたします。

 御指摘の内容は、平成二十七年度の財政制度等審議会において、少子化の進展に応じて基礎定数を算定して、かつ、加配定数の割合を維持したとしても、平成三十六年までには教職員定数は約三・七万人の減となる旨を説明した、そういった資料の下での恐らく御指摘だと踏まえております。

 しかし、教職員定数については、これまでも改善をしてきているところでありまして、令和七年度においても、小学校三十五人学級の推進、そして小学校教科担任制の拡大、そして中学校の生徒指導担当教師の配置拡充なども大幅に改善をしているところでございまして、こうした取組もあり、勤務実態調査を実施した平成十八年度以降、児童生徒当たりの教員数は増加している一方、教員の時間外在校等の時間は減少してはおりません。

 こうした点や、少子化等も踏まえ、必要な教員数は確保しつつ、学校業務の縮減等による働き方改革を徹底して、勤務環境の改善を図っていくことが必要であるというふうに踏まえているところでございます。

眞野委員 御丁寧な長い答弁、ありがとうございました。

 簡潔にお聞きします。

 過労死ラインに届きそうな在校時間ですね。今の給料の水準は妥当だと考えているのかということが聞きたいです。教員の働き改革というのは、民間でいえば、残業手当を払っていない、未払いの状態で、これはまさに違法状態と言ってもいいのかなと。なおかつ、ブラック企業、これは早急に改善するべきだと考えます。これは国の責任だと思います。処遇改善を行ってから業務改善をするべきだと考えますが、財務省の御意見を教えてください。

東大臣政務官 給与水準についてのお尋ねでございますが、教職調整額は、令和十二年度までに一〇%へ段階的に引き上げていくとともに、人事院勧告による給料の改善や手当の加算等を行うことによって、相当程度改善するというふうに認識をしているところでございます。

 また、現下の教員の勤務実態に鑑みれば、負担感の大きい業務の抜本的縮減など、学校の働き方改革を徹底することが重要であって、給与面と処遇改善と一体的に進めていく、そういう必要性があると考えているところでございます。

眞野委員 まず、処遇改善も本当に是非見直していただきたいと思っております。

 そして、文部科学省は、財務省の時間外勤務手当を支払う制度への切替えに反論しているということがあります。これは、教師の裁量が著しく低下し、創意工夫を発揮しにくくなるとかの理由なんでしょうけれども、これは、民間企業では、社員の裁量で業務は存在して、残業手当は支払われているということです。

 教師は、時間外在校等の時間が定められて、時間外手当が支払われていない、支払っていないことが問題だと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

望月政府参考人 眞野先生御指摘の時間外勤務手当についてでございますけれども、時間外勤務手当は、御承知のとおり、労働基準法上、使用者の指揮命令下に置かれている時間外労働時間に対して支払われるものでございまして、教師に時間外勤務手当化した場合には、勤務時間外の業務について管理職の指揮命令下に置かれているということが必要となるわけでございます。その意味では、専門職としての教師の裁量あるいは創意工夫というのが発揮をすることがしにくくなるのではないかと考えてございます。

 例えば、教師については、子供たちを日々目の前にしまして、子供たちの成長につながるように、個々の子供たちの状況に合わせて、どのような子供たちに対処をするか、あるいは相談を行うか、支援を行うかということを、それぞれの状況に応じてきめ細かく対応しているわけでございます。

 そうした教師の教育的見地からの判断に委ねている部分というのがこれは大きくございまして、そこが民間の、今民間の労働時間の観点のお話もいただいたわけでございますけれども、教師のそうした高度な専門職という観点での職務の特殊性という観点におきましては、時間外勤務手当という形ではなく、勤務時間の内外を問わず包括的に評価している教職調整額というものを本給相当としてこれを上乗せし、それをしっかり処遇として高めていくということを今回の法案で提出をさせていただいたところでございまして、そうした教師の職務の在り方を踏まえた形でのこうした処遇の改善が必要であるというふうに考えているところでございます。

眞野委員 ありがとうございます。

 給特法の廃止ではなく改正となった理由が聞きたいんです。

 そもそも、労働基準法では強行規定であり、当事者同士の合意があっても変更することが許されません。教員が労働基準法の対象外となったのは給特法や人確法の優遇措置があったからと考えるのが自然で、一般の公務員よりも優遇することによって教員の優れた人材を確保し、義務教育水準の維持向上を図ることが目的ではないんでしょうか。優遇措置のない今、この給特法を維持することは違法状態を放置するように思えますが、大臣、いかがでしょう。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 教育活動でございますが、日々子供たちと接している教師の創意工夫が重要だというふうに私ども考えておりまして、給特法に関しましては、労働基準法また地方公務員法の特別法といたしまして、逐一管理職の職務命令によるのではなく、教師が専門性を発揮して業務を遂行し、教師としての裁量を確保する仕組みとしまして、給与その他のいわゆる勤務条件につきまして特例を定めたものでございます。

 給特法におきましては、こうした職務の特殊性を踏まえまして、また、時間外勤務手当はない、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして、教職の調整額を支給するものというふうにすることとなっております。

 今回、中央教育審議会におきまして、一年以上にわたりまして、この給特法の法制的な枠組みを含めまして、総合的な議論を行った結果を踏まえまして、この給特法を維持した上で、高度専門職としての教師の職務の重要性にふさわしい処遇、これを実現するために、教職調整額を一〇%に引き上げていくとともに、やはり大切なのは働き方改革でございまして、この更なる加速化のための仕組みをしっかり構築することも盛り込んだ上で法改正を提出することにさせていただきました。

眞野委員 大臣、ありがとうございます。

 今、働き方改革とおっしゃっていただきました。とてもいい言葉だと思います。もちろんそこの中には、賃金とか待遇、今、いわゆる働き放題とかブラック企業などと言われているそんな状態の中では、働き改革と言われる以前の問題だと思っております。

 ただ、私も教員になりたい方とか学生ともたくさんお会いしたんですけれども、今働いている教員の先生、いろいろ聞くと、実は、給料だけではないんだ、むしろ二の次だという方もいらっしゃる。何かというと、一日の時間の中で働く時間が余りに多過ぎて、家でも仕事、学校でも仕事、もう自分の人生何なのということです。同級生がちょうど就職活動のときに民間企業に行くと、もう十万ぐらい給料が高いんですね、用意ドンが。なおかつ、向こうは残業手当がつく、こちらは残業手当がつかない。まあ、元々教員になりたい夢があって教師になったから、そこはいいんでしょうけれども。

 さきの質疑で、実は私の息子も、亡くなる前、学校の教員になりたいという夢があって大学に進学しました。社会学の教員になりたいという夢があって、社会のことをいっぱい勉強していたんですけれども、残念に、ちょっと駄目で、その後、私が教員になる夢を少し引き継いで、実は私、五十歳を過ぎてから大学に行って、それから大学院を卒業して、母校の教員になったんですけれども、実務家教員というのは、大学とか大学院では教えられるんですけれども、義務教育では教えられないんですよ。

 そこで、今の特別免許状について、もう少し大臣、発揮していただけないかなと。前回の質疑のときにも、大臣が、統合問題について、統廃合のときに、ハイブリッドもありだという言葉を言っていただいて、多くの地方からたくさんお便りがあって、あべ大臣、やるじゃん、そのリーダーシップをもっと発揮してほしいと。どこを向いて政治決断されるかというと、やはり子供とか教員の立場になって、その方たちのために発揮していただく、そういったことを私は望んでおります。

 そして、今、例えばアメリカのテキサス州、公立学校は週四日なんですね。フロリダ州では、学士号を持っていない、教員の免許もない、そういった退役軍人が教壇に立っているということが、これが決定しました。さらに、アリゾナでは、フィリピンの教員を輸入するとか、そういったことで、各国、教育の在り方、また教員になるプロセスをどんどん精査して変えているということなんですよ。

 実は、日本は、大学を卒業して、教職課程を経て、教員になる。教育実習を受けて、長たらしいプロセスがあって、これはこれまでの歴史の中にあった制度なんでしょうけれども、例えば、魚屋さんのおやじさんが実は社会学にすごく詳しくて、さらに教えるのがうまい、又は、ラーメン屋さんの店主が数学、算数がとっても得意で、なおかつ教えることがうまいと。御商売をやっているので、教える能力はすごくあるんですね。でも、実は中学しか出ていないので、当然教員にはなれないということなんですけれども、ここの教員の資格ですね、もう少し緩和できないかなと。

 私も、大学とか大学院では教えられるんですけれども、小学校、中学校で教えられないじゃないですか、教員免許がないから。大学で教えているんですよ。でも、中学校で教えられない。では、専門性はないかというと、専門性はあります。でも、教えられない。

 そういうところを、今回、あべ大臣のリーダーシップで壁を破壊して、前に進めていただけないかなと考えているんですよ。やはり、あべ大臣の大臣任期中に、歴史を残していただきたい、改革をしていただきたい。

 今回の、ハイブリッドもありというその発言が、全国の地方のお父さん、お母さん、子育て支援の親御さんから、あべ大臣、すごい、よく言っていただいたと。そんなの、普通、大臣は、ハイブリッドなんて言えない。なぜか。小学校、中学校の教員というのは対面式が大原則。大原則にもかかわらず、あべ大臣の個人発言で、私はハイブリッドありだということを言っていただいたことが、すごく反響があって、全国のお父さん、お母さん、喜んでいるんですよ。

 今、教員不足ということであれば、例えば一例で言うと、私は、TEEPという進化型実務家教員養成プログラムを修了しているんですね。もちろん専門性もありますし、シラバスを作ったり、大学生を教えたり、いろいろなことをやっているんですよ。でも、私たちは、教員として小学校、中学校で教えられないんですよね。専門性はないかといったら、あると言っている、これまでそういう例えば名古屋市立大学を卒業したTEEPの修了生はたくさんいらっしゃるんですけれども、そういうTEEPだけではなく、魚屋さんとかお肉屋さんとかラーメン屋さんとか、本当にすごく能力を持っている方がいらっしゃる。

 では、そこにおいて、学校、都道府県の自治体で面接をして、あなたは学歴はないけれども、どんな能力があるんですかと。又はペーパー試験を課してもらってもいいですよ。それでもしクリアしたら、大学を卒業しなくたって教員になれるじゃないですかという、新しい歴史をあべ大臣に築いていただきたいと私は思うんですが、どうでしょう。

あべ国務大臣 文部科学行政に関しては、やはり地方の教育委員会が、特に小中なども、高校も含めた形で、どう考えていくかに関して、文科省として対応をいつも取らせていただく、地方自治がまさに優先するところでございます。

 そうした中にありまして、教員、特に教職課程を終えた新卒の教員だけではなく、やはり、私は、子供に対して、しっかり、次の次世代を背負う子たちを育てるんだという、その意気込みを持った方々が教員になるということはまさに重要であります。

 いわゆる知識があるということと教えることが上手な方はちょっと違っていると私は思っておりまして、逆に、知っているからこそ教えることが、分からない子に教えていくときは、逆に、知らない人が学んだときの方が教えることが上手になることがあるということを私は様々の場面で見させていただいている中にありまして、やはり、そういう意味でいったら、いろいろな方が教職を目指していただくということ、教員を目指していただくということ、また教員になっていくということは、まさに重要だというふうに思っているところでございます。

 特に、子供たちは、これからの新しい時代、様々なことが起きている中にありまして、必要な能力、特にAI、サイバー、様々なことが起きている中にありますが、実社会と結びついた学び、また分野横断的な探求的な学びなども展開していく上で、多様な専門職を有する方々に、教職員集団の形成が重要だというふうに思っているところでございます。

 そのために、委員が御指摘のTEEPの修了者を含め、教科に関する高い専門性、また実務経験を有する多様な方々に特別免許状を活用していただきたいということは、私、実はずっと前からお願いをしているところでございますが、なかなか進まない中にあって、教師として学校教育に携わっていただくことは、まさに重要な、大きな意義があるというふうに考えているところでもございます。

 実際に、特別免許状の取得の方には、民間企業で、実務経験を生かして、例えば高校「情報」、「商業」、「工業」などの特別免許状を取得しながら学校で勤務している方もいるというふうに承知しております。

 文科省におきましても、実は、昨年末に中央教育審議会に諮問を行いまして、特別免許状の更なる活用促進を含めまして、多様な専門性また背景を有する社会人などが教職に参入していただきたい制度の在り方について審議をいただいているところでございます。

 こうした議論も踏まえまして、引き続き、優れた外部人材の活用、委員の御指摘も踏まえ、また御意見もいただきながら、活用して促進してまいりたいと思います。

眞野委員 ありがとうございます。

 大臣、TEEP修了者の私たちに、特別免許状、是非下さい。

 そして、先ほど大臣がおっしゃったように、知識がたくさんあっても教える能力が少なかったら、これだけの知識があってもこれだけしか伝えられなかったら、余り意味はないんですね。でも、例えば、七割ぐらいの知識の方でも、くまなく伝えることができた能力がある方がいれば、そちらの方が教員としてはいいんですよ。そこに、例えば大学を出なければいけないとか、教職課程を経なければいけない、そういったことも取っ払って、学歴関係なく教員になれるような、そういう窓口も、是非、あべ大臣、任期中につくっていただきたいと思います。

 時間がありませんので、質疑を終わります。

中村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋英明君。

高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。

 大臣、本日もよろしくお願いいたします。

 質疑に入る前に、今日の新聞、読売新聞ですね、「小学校教員 採用難」というのが出ているんですけれども、ちょっと読みますけれども、高知県は小学校教員約百三十人を募集し、二百八十人が合格したが、二百人以上が辞退。北海道では今春、札幌市を除く全道で計約四百人の小学校教員を必要としたが、採用者は約二百八十人にとどまった。教員にならなかった理由を大学四年生に尋ねたところ、八割近くが休日出勤や長時間労働のイメージがあると答えたということで、やっぱりしっかりとここでいいものを作っていかなければいけないんだろうなというふうに思います。

 そして、先週金曜日に私が質疑で聞きましたことで、もう一度、再度お尋ねを大臣にしたいと思いますけれども、あれ以降、今日もいろいろな意見が出ました、やはりこういった意見をしっかりと取り入れて、よりいいものに仕上げていくというお気持ちはございますでしょうか。お願いいたします。

あべ国務大臣 国会の審議に対して真摯に対応してまいります。

高橋(英)委員 いいものを作りたいと思いませんか、よりよい。

あべ国務大臣 今、本当に教師不足の中、社会で教師を支えていくということをみんなで醸成しながら、今日よりも明日がよくなるということを信じて、委員会もしっかり皆さんと議論させていただきたいというふうに思っております。

高橋(英)委員 大臣はよく、とにかくこの法案をまずは通していただいてというふうに言っておられますけれども、このままの法案ではお断りいたしますので、是非よりよいものに仕上げていただきたいというように思います。

 では、今日の質疑に入らせていただきます。

 やはり労務管理、業務量の管理、これをまずしっかりと把握しないと絶対にこれはうまくいくわけないというふうに思います。どれだけの仕事量があってというのが可視化されないと、一体どれだけの人が足りないのか、どれだけの教員が必要なのかというのは出てくるわけございませんので。

 たまたま昨夜ユーチューブを見ていたら、金曜日の質疑のユーチューブを見たんですけれども、望月局長が、持ち帰りの業務、これは把握をできていないというような答弁をしていたんですけれども、これは把握をしないとどうしようもないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

望月政府参考人 恐縮でございます、私の。

 令和四年度の勤務実態調査におきましては、教員の一人当たりの持ち帰り時間につきましては、小学校で三十七分、中学校で三十二分という、これは取ってございます。

 今回の持ち帰り時間というものは、在校等時間、時間外在校等時間にはこれは含まれないわけでございますけれども、教員のそうした健康福祉の観点も含めて、全体の教員の職務というものに照らした今回の給特法の改正にしているところでございまして、在校等時間については時間管理をしっかりと校長がしていく、管理職がしていくこと。そして、持ち帰りについては、持ち帰り時間があるということは実態でございますけれども、それをできる限りなくしていく。そのために、業務量全体を管理したり、あるいは地域や首長の協力と連携も経て、それを見直したり削減したり、あるいは効率化をしていく、学校の中でも役割分担、校務分掌もしていく、そういった総力戦的な、そういう様々なことを総合して持ち帰りが行われないようにしていくということが大事じゃないかと考えているところでございます。

高橋(英)委員 要は、冒頭言いましたけれども、持ち帰りの業務はやはり把握ができていないというのを今の答弁を聞いても分かるわけですけれども。これは産みの苦しみかもしれないですけれども、ちょっと一回、持ち帰りはもう禁止ということにして、実際どういうふうになっているのかという実態をしっかり、学校学校で違うのかもしれないですけれども、これを把握をすることがやはり絶対に必要だと思うので、これはちょっと強く大臣から、文科省からでも、一度そういうものをやめて、本当に可視化をしっかりしていく。

 可視化をしていかないと、どの先生がどれだけ頑張っているかも分からないですからね。補教とかもありますけれども、それ以外にも、保護者対応だ、何だかんだいろいろなことがあろうかと思いますので、全てを可視化しないと、やはり、頑張っている先生、あ、この先生の方が頑張っていると、優劣は余りつけたくないですけれども、日々の給料には反映できないかもしれませんけれども、そういう人にはやはりきちんとボーナス等々で反映をしていくべきだというふうに思いますので、文科省からしっかりと通達をするということと、この可視化の部分で、頑張っている先生にしっかりボーナス等々で反映をするということをできないかどうか、ちょっとお聞かせください。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 本来、業務の持ち帰りは行わないというのが実は原則になっているところでございますが、給特法に基づきます指針におきましてもこれをはっきりと明記をさせていただきまして、あわせまして、校長や教育委員会、業務全体の見通し、縮減、教師間の業務分担の見直し、適正化を行うことが求められることにつきまして、学校現場における取組が徹底されるよう、引き続き私ども指導を行ってまいりたいと思っております。

 また、教育委員会の計画を策定する中で、義務づけなどによりまして働き方改革を進めていくという中におきましての、業務を持ち帰ってまで行わなきゃならない、その環境、ここがまさに問題でございまして、教育環境の整備にしっかり取り組んでいきます。

高橋(英)委員 今ボーナスの件は出ませんでしたけれども、是非目に見える形で反映をしていただきたいというように思います。

 ちょっと順番を変えますけれども、教員の年収についてお尋ねをしたいと思います。

 これは、公立の小学校、中学校の先生、平均ですけれども、六百九十五・七万円という話なんですね。そして、東証プライム上場企業だと平均七百三十五万円というのが出ているんです。

 先日の参考人質疑のときに、末冨先生だったかな、教員になるような、採用試験に受かっている方々は、やはり民間でも内定が出ているんだ、そうすると、比べると、当然、給料だけじゃないですよ、様々な環境もあるんだろうけれども、とはいえ、やはり給料というのもでかいんだという話をしていました。

 やはり、これだけ差があると、生涯年収だとかなりの差が生まれてくるんだろうなというふうに思います。

 今般、五十年ぶりの改正だということですけれども、前回も言いましたけれども、年一%、青山先生も言っていましたけれども、六年かけてちまちましみったれてやっても、これはどうしようもないので、令和九年、しっかりとまた見直しするんでしょう、これは。そのときまでに、今言った業務量の管理なんかもしっかり可視化をして、これだけの業務量があって、これだけの仕事をするんだから、せめて、前回も言ったけれども、警察官並みの給料にするとか、あとは上場企業並みの給料にするとか、そういった交渉も是非やっていただきたいんですが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 教員を魅力ある職業とし、それで、教師に本当に本務の職務にしっかり携わっていただくという環境を整備していくということが大事でございまして、そのための一つの方策としての働き方改革とともに給与の改善というのがあると思ってございます。

 今高橋先生から御指摘いただいた点は、附則の第三条に今後の検討として明記をさせていただいてございまして、この二年間の人材確保の状況等もいろいろ踏まえまして、勘案しまして、検討をしっかり行ってまいりたいというふうに考えてございます。

高橋(英)委員 まあまあ、検討はいいんですけれども、しっかりと実施をしていただきたいと思います。

 あと、これは地域間格差が現状あるのは致し方ないのかなという気もしますけれども、東京都みたいなところもあれば、ほかの、地方もあるんだろうと思いますけれども、でも、地域間格差があると、これは全て、学校のみならずですけれども、東京の一極集中というのは絶対直っていかないというふうに思うんですけれども、この教員の地域間格差の是正についてちょっとお考えをお聞かせください。

望月政府参考人 教員は、公立の教師は地方公務員でございますので、地方公務員の場合には、地方公務員法の第二十四条二項ないしは五項で、その給与等に関する勤務条件は条例で定めるということになってございます。

 その上で、これは教育公務員のみならず、一般の地方公務員も同じでございますけれども、その条例で定めた給与に基づいて、これは条例に基づいて支給されるということで、国の方としては、義務教育費国庫負担制度、あるいはそれに裏づく地方財政措置、そして今回の教職調整額の上乗せというところに関して、あるいは他の学級担任に対する手当、これをしっかりきっちりと国庫負担上の算定もして、自治体の方にもしっかり活用していただくということを促してまいりたいと思っています。

 そもそもの、地方公務員で、各それぞれの自治体においての条例で定めるところにおいて、それは同じ年齢におきましても、そこは自治体の考えるところによりまして全く同じではないというのが実情でございまして、そこを国の方でこの差異を埋めるということは、やはりそれぞれの地方自治の本旨に基づくものであると思いますので、今回の法改正も踏まえて、各自治体で改めて、そうした教員、これは教員だけじゃないかもしれません、給与については考えていただく機会ともしていただければとも考えているところでございます。

高橋(英)委員 ごめんなさい、これは通告していなかったですね。ごめんなさい。でも、聞けてよかったですよ。やはり地域間格差があるところは国でちょっとフォローをしていくべきなんじゃないかなというふうに思いますので。

 これはやはり教員の働き方ですよね、前にも言いましたけれども。何の仕事でもそうだけれども、余幅がないと絶対いい仕事はできませんから、教員に限らず。

 これは笑い話になっちゃうかもしれないんですけれども、私、小学校の先生と、何年前かな、結構前だけれども、十年以上前かな、ちょっと飲んだときがあるんですけれどもね。もう全く違うじゃないですか、私が小学校の頃と今の状況というのは。クラスの人数も違いますしね。だから、先生に聞いたんですよ。今の先生は生徒の見る数が少なくていいよね、先生の頃は大変だったでしょうと言ったんですね。そうしたら、何と言ったと思いますか。これ、笑っちゃうんですけれども、多分冗談なんですよ、おまえは何も分かっていないと言われたんですね。我々の頃は、はなから半分捨てていたと言うんです。まあ冗談だと思いますよ。今そんなことを言ったら大変だろうけれども。

 でも、やはりそれだけの、何というのかな、ゆとりじゃないけれども、余裕じゃないけれども、そういう言葉が当時を思い出して出るというのがやはり大切なんじゃないかなというふうに思うんですよ。そういう余裕のある、余幅のある仕事の環境づくりというのを是非心がけて、この法案を作っていただきたいというように思います。

 では、次に移りますけれども、先日の参考人質疑を聞いていると、やはり学習指導要領というのが非常に大切なんだなというふうに改めて感じさせていただきました。そして、今回、十年に一度の改正ですから、これはうまくやらないと、また十年間このままいくということですから、是非、この学習指導要領の中で教師の働き方というのをきちんと反映しているのかどうか、お聞かせください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 学校の働き方改革に向けましては、標準の授業時数、これを各学校でも、国の示しております標準を踏まえて、各学校で教育課程の編成権がございますので、考えていただく必要があると考えてございます。

 現在、標準授業時数を大幅に上回る教育課程を編成している学校が二〇%近くある。これはかなり、我々も二年に一遍調査していますけれども、減ってきたところはございますけれども、まだ二〇%近くある。また、そのうち、今二〇%のうちその二五%の学校は、標準を上回る部分の具体的な使い方を余り想定していないというような回答もいただいているところでございまして、私どもとしては、やはりそれは学校の指導体制に見合った教育課程の編成、つまり計画をしていただくよう求めていく必要があるかなというふうに考えているところでございます。

 これまでも、教育委員会、学校にそうしたことを強く要請をしてきたところでございますけれども、特にこの働き方改革を進めていく中において、そこは一層、我々としても、なぜそういう状況なのかということに関して、自治体に対して丁寧にお聞きをしたりしてございます。依然として、都道府県間、学校でもちょっと大きな差があるところもありまして、あらゆる機会を捉えて改善をしてまいりたいと思ってございます。

 その上で、中教審の次期学習指導要領の議論が今スタートしているところでございます。学習指導要領のみならず、学習指導要領の解説。実際、子供たち、保護者の方が見るのは教科書の方が圧倒的に機会が多いわけでございますけれども、教科書が近年どんどん厚くなっているというのが実際でございます。そうした教科書の在り方。それから、高校入試等の在り方。それから、教師用指導書。これは、教師が自分の指導を行うために参考として購入されるもの。それも、やはりかなり丁寧に、教科書とともに厚くなっているようなこともありまして。

 そういう意味では、それを全部、全て教師がこなさなきゃいけないというのは、なかなかそれはやはり難しい。正直、無理がある部分もあると思ってございまして、学校の先ほどの指導体制にも見合った教育課程の編成を考えていただくとともに、授業づくりの全体を考えていただいて、いわゆるカリキュラムマネジメント的なことですけれども、過度な負担や、実際、負担や負担感が生じにくいような、そうした在り方の検討をお願いしたいと思ってございます。

 実際、中教審においても、そういった観点も含めて、子供たちの学びを更に豊かにし、そして、子供たちの主体的な学びに資するような、その中でうまく効果的に時間を使っていくという観点からも議論をしているところでございます。

高橋(英)委員 是非、中教審にもどんどんどんどん意見を言っていただきたいと思います。中教審が仲よしグループになってもらっちゃ困っちゃうので、しっかり言うべきことは言っていただきたいというふうに思いますので、是非お願いを申し上げます。

 先日も言いましたけれども、想定外のことが非常に起きていて、外国人の生徒が異常に増えているんですね。私の地元もそうだし、ほかでもそうだと思うんですけれども。これは非常に、教員の方々は、負担がそういった部分で増えているというふうに思っているんですけれども、その点の対応はいかがですか。

あべ国務大臣 委員御指摘のように、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒は、実は、令和五年に約五・八万人と、約十年間で二倍に増加をしておりまして、支援の充実が求められているところでございます。

 文部科学省におきましては、これまで、日本語指導のための特別の教育課程の制度化と、また、日本語指導に必要な教員定数の着実な改善と、また、オンラインを活用いたしました日本語指導を含む外国人の児童生徒への支援に取り組む自治体、それぞれの自治体で外国人の数が様々でございますので、に対する支援などを行ってきたところでございます。

 引き続き、こうした施策を推進することによりまして、教師の負担軽減を図るとともに、日本語指導が必要な児童生徒に対する支援に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

高橋(英)委員 これは、外国人十八人に一人当たりの担当者をつけると前聞きましたけれども、そういった専門の先生以外に、学級の中にやはり必ず外国人、それは当たり前ですよね、半分ぐらいいるという話だから。そうすると、学級崩壊どころの騒ぎじゃないという保護者もいっぱいいるわけですよ。

 だから、これは以前も言いましたけれども、これは文科省だけじゃなく、ほかの省庁でもこの外国人問題というのはすごいと思うので。ただ、文科省はもう完璧に巻き込まれていますから、だから真剣に取り組んでいただかなければいけないし、この外国人の受入れに関しては、我が国は全くなってないというふうに思っているので、そういった部分で、きちんともう一度、全ての省庁横断をして考えてやった方がいいと思うんですけれども、一からつくり直さなければいけないというふうに思っていますので、文科省はもう完璧に巻き込まれていますから、是非お願いをしたいというように思います。

 じゃ、もう時間もなくなってきてしまいましたけれども、最後に、学校の統廃合についてちょっと聞きたいんですけれども、学校の統廃合、非常に難しいと思うんですね。やはり、おらの町の小学校がなくなるというと、すごい大騒ぎするOBの方々はいっぱいいますから、中学校もしかりですけれども。

 ただ、例えば、一例で言いますと、私の町なんかは、私が子供の頃から、学校の数、全然変わっていないんですよ。生徒なんか、ほとんどいなくなっている学校もあるわけですね。当然、クラブ活動は一校では、例えば、中学、サッカー部ですよ、うちの学校は伝統あるサッカー部だったんですけれども、もう大会に出場ができない。隣の中学と一緒に部活動をやっているような状況なんですね。

 これは、そう考えると、やはり、先生の負担等々も考えると、学校の統廃合というのは、もちろん地域によりますよ、やはりどんどんどんどん進めざるを得ないというふうに思うんですけれども、お考えをお聞かせください。

あべ国務大臣 学校の統廃合でございますが、この適正規模と適正配置の検討につきましては様々な地域で課題となっているというふうに私も認識しておりまして、私が多分お訪ねした一番少なかったところは、六学年全員で十二名でございました。

 その上で申し上げれば、学校の適正規模とまた適正配置につきまして、児童生徒の教育条件、ここの改善する観点を中心にいたしまして、各地域の実情、それぞれ地域によって実情が違いますので、設置者である自治体、これにおいて検討が行われるべきだと思っております。

 文科省といたしましては、この自治体の皆様の検討に資するよう、例えば、学校の規模の目安、手順、また留意点、それをおまとめした手引と、また参考となる事例の周知を行っていくとともに、施設整備、また通学手段、バスを使わなきゃいけないかどうかも含めたその確保に関する支援等を行っているところでございまして。また、今年の二月からでございますが、調査研究協力者会議を立ち上げたところでございまして、昨今の社会の変化も踏まえまして、今、議論をまさに深めているところでございまして、こういう議論を踏まえつつ、改めて文科省としての考え方をまとめ、必要な取組も行ってまいりたいと思っているところでございます。

高橋(英)委員 これは、もちろん地域によって事情が違うので、各自治体に任せるというのはもっともな話なんだろうというふうに思います。各自治体が一番現状を把握しているから、それはそうなんだろうと思いますし、一校を廃校にしたら隣の学校まで二十キロ歩いていかなきゃいけないとかになったら大変ですから、残さなければいけないところは残すんでしょうけれども、でも、それはやはり非常に費用等々もかかるし、自治体の負担にもなろうかと思いますので、そういった部分では、そういうケースではやはり国でフォローしてあげなければいけないというように思います。

 ところが、私が言った、首都圏でもそういう状態になっているところがいっぱいあるわけですよ。そういうところは、やはり文科省が積極的に言った方がいいですよ。これは各自治体じゃ本当に難しいですから、やるのは。私、市会議員のときに、実は、三つ統廃合したんです、先頭に立って。ぼろくそ言われましたよ。これはすごいですよ、バッシングが。だから、誰もやりたがらないんです。行政もなかなか動きたがらないんですよ、文句を言われるから。でも、誰かが動くと、町のうわさじゃないけれども、やばい、何か、うちの学校は本当に統廃合されそうなんだぞとうわさが広がるので、そうすると、行政というのは変なもので、動きやすくなるんですよね。

 そういった、このきっかけづくりじゃないけれども、そういうのは、ちょっと国が悪者になるのかもしれないけれども、やはり先頭に立ってやった方がいいですよ、これは国からのちょっとお達しだからと。そうすれば、各自治体も動きやすくなりますからね。そうすると、やはり、教師が足りないとなれば、二校、三校が一校になったら、これは大分また変わってくるというように思いますので、是非検討していただきたいと思います。

 時間が来ましたので、大臣、とにかくいい法案を作りましょう。

 終わります。

中村委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会、美延映夫です。よろしくお願いいたします。

 早速質疑に入らせていただきます。

 日本は、少子化は本当にかつてない速度で進行しており、出生数は八十万人を下回っています。これにより、社会全体の人口構造が急激に変化し、働き手となる若い世代が減少しており、地域社会や経済の持続可能性に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。このような状況の中で、我が国が国際的な競争力を高め、持続可能な成長を実現する原動力となるのは、何といっても教育であると思います。

 我々日本維新の会は、結党より、子供たちが経済的な負担なく、子供たちの適性に応じた、多様で質の高い教育を受ける機会を十分に確保される教育の無償化とともに、教育の質の向上についても必要であるとずっと訴えてまいりました。

 今回の給特法改正案について、単に教師の負担軽減や待遇改善を図るだけではなくて、教育の質の向上につなげるということが重要だと思うんですけれども、その辺は、あべ大臣はいかがお考えですか。

あべ国務大臣 委員のおっしゃるとおり、本当に教育の質の向上、これがまさに重要だというふうに考えております。

 本法案に掲げる施策等によりまして教師を取り巻く環境整備を進めた先に私どもが目指すのは、まさに学校教育の質の向上を通じました、全ての子供たちへよりよい教育を充実、実現していくことでございます。

 具体的には、まずは、教師の働き方改革によりまして創出した時間を活用いたしながら、教師が自らの人間性、創造性を高めて、高い専門性を最大限に発揮して教育活動を行うことができる学校教育の実現につなげていきたいというふうに私どもも考えておりまして、また、働き方改革、処遇改善を通じまして、教師に多様な人材を確保しながら、質の高い教職員集団の実現を図ってまいりたいというふうに考えております。

 これらによりまして、学校教育の質の向上、まさに委員が御指摘くださいました質の向上を図りまして、全ての子供たちによりよい教育を実現してまいります。

美延委員 そうなんですよね。質の向上、本当に、先生と生徒さん、児童さんが向かい合って、やはり、先生のよし悪しで、生徒さんや児童さんの例えば学力、そして学力以外でもいろいろなことが上がってくると思うので、そこはしっかりやっていただきたいと思います。

 教師の質の向上をし、子供たちの力を伸ばす。実現するには、今も言いましたように、児童生徒と向き合う時間を十分に取るということが私は必要だと思います。

 一方で、教師は多忙を極めており、時間を十分に取ることができていないのが今の現状であります。これでは、教育の質の確保が難しくなるばかりか、先生のやりがいも創出するのも難しくなってくると思います。

 私の地元の大阪市においては、一昨年五月に、「第二期「学校園における働き方改革推進プラン」 教員の働き方満足度日本一をめざして!!」を策定し、学校における働き方改革を全力で取り組んでおります。このように、学校設置者である教育委員会が自分事として働き方改革を進めることは必要不可決であり、本法案においても実施計画の策定、公表等の義務づけを行うことがこのための仕掛けになると私は考えておるわけです。

 国の働き方改革に対する方針、考え方を示した上で、小規模な自治体も多数存在する中で、この計画の策定、公表等を形骸化させず、実効性を担保するために、自治体の負担を過度に生じさせないことが必要ですけれども、文部科学省としてどのようにこれから取り組んでいくのか、お聞きいたします。

望月政府参考人 先生御指摘のとおり、学校における働き方改革の実効性を高めていくためには、まさに例示をいただいたように、各自治体がそれぞれ自治体の状況に応じてプランを策定をして、それを確実に実行する中で、また、どういうところができなかったのか、あるいはどういうところに課題があったのかというのを点検をしながら、また次に進んでいく。それを学校の関係者だけではできないことがあって、地域や保護者の協力を得て、そして首長も巻き込んで社会全体でやっていく、そういう仕組みをつくっていくことが大事であると考えてございます。

 このため、御指摘いただきましたように、今回の法案の中では、全ての教育委員会において確実に取組が進められる、このために、各教育委員会において教師の業務量や健康確保に関する目標や措置の内容を定める計画を策定し、その状況を公表し、また改善につなげていくということを仕組みとして設けているところであります。

 その際、基礎自治体の中には、十分なノウハウや、あるいは実効性がなかなか伴っていかないんじゃないか、そういう自治体もあるかもしれない、あるいは、負担が重くなってくるところもあるじゃないかという御指摘だと思いますけれども、その計画の策定自体が大きな負担となり、計画の実施の方に注力できないということになりましたら本末転倒でございますので、そうならないように、文部科学省におきましては、計画のひな形を策定をすることでありますとか、小規模自治体における共同策定などの工夫、あるいは少ない分量でもポイントを押さえて計画を策定して、現在も策定しているところがあります、そうしたところの好事例の紹介などを通じまして、全ての自治体がそれぞれの地域の状況も踏まえて計画策定をしていただく、そうした負担軽減もしていきたいというふうに考えているところでございます。

美延委員 それは是非していただきたいと思います。自治体によって、やはりなかなか、大小もあるでしょうし、お願いいたします。

 そして、本法案において計画の策定を義務づけることは、学校における働き方改革について、全ての教育委員会においてPDCAサイクルを回していくという観点から意味がある内容だと考えます。ただし、先ほども言われていました、計画が作って終わりというのは、計画倒れになったら全く意味がないので、計画の実行をしっかり行っていくための仕掛けが私は重要だと思うんですけれども、どのような仕組みが必要と考えておられるのか、文科省の御見解を伺います。

望月政府参考人 まさにこの法案のそのものになってくるわけでございますけれども、各教育委員会が自ら定めた計画の実施状況を毎年度公表する、そして首長が設置する総合教育会議にも報告をする、地方自治体全体で考えていただく。そして、校長が学校運営協議会、地域の協力を得る、その学校運営協議会の承認を得ることになっている学校運営に関する基本的な指針に業務量確保、健康確保措置の実施に関する内容を含めることをこの法案で規定してございまして、こうした仕組みを通じて、教育委員会の取組に実効性を持たせることが期待できるというふうに考えてございます。

 また、今回の改正では、改めて都道府県教育委員会が域内の市町村教育委員会の今回の計画の実施等が不十分な場合には指導助言等を努める、そうした規定も置いているところでございます。

 文部科学省といたしましても、都道府県を通じ、またあるときには直接市町村に対しても、伴走しながら積極的に働きかけを行ってまいりたいと考えているところでございます。

美延委員 今局長がおっしゃられたように、都道府県が指導助言を行う、それでも駄目だったら文科省が直接、そういう形にするというようなことをおっしゃっていたんですけれども、いわゆる地方自治体任せにするのではなくて、やはりしっかり文科省もしてもらわないと、初めてのことですから、そこはしっかりやってもらいたいと思います。

 次に、公表の仕組みについて伺いたいんですけれども、実効性の担保からは公表の仕組みというのは重要だと思うんですけれども、自分の評価に関わることで、学校や教育委員会において、うまくいっているのを見せるために数値の改ざんや隠蔽につながることも考えられるんですけれども、こうした懸念をどのように払拭するのか、文科省のお考えを伺えますか。

望月政府参考人 働き方改革の目的を見失うような形で、教師の在校等時間を減らしていくということだけを目標にして、業務全体の量とかあるいはやり方などを考えないということで、実際の時間よりも短い虚偽の時間を記録するようなことがある、あるいはそれを見せかけだけのものにしてしまうということは、それはあってはならないことと思ってございまして、現在の指針においてもその旨を一定程度明記はしてございますが、そこは、今回法案がお認めいただければ、指針においても改めてそこの部分を見直しておきたいと思ってございます。

 公表を、じゃ、どういう仕組みがというと、むしろ今まで、せっかく改革はいろいろやってきても、それが見える化をしていなかった、要はクローズであったということがあったと思います。それを、公表を基本的に行っていただいて、それを改善につなげていく、それを地域の人に分かっていただく、首長の方にもその状況を分かっていただく。つまり、学校だけでは改善できないところもあるということを、しっかりそれを公表をしていただいて、そして、その公表された数字だけではなく、業務全体がどうかということも、実際の記録が実態とかけ離れているものじゃないかどうか、あるいはそうしたお声がいろいろなところからまた上がるということによって、学校としても気づいたり、あるいは自治体自身が主体的に改善をしていく、そうしたサイクルをつくっていくということが大事じゃないかというふうに考えているところでございます。

美延委員 今まさにおっしゃられたとおりですけれども、そこをしっかり実行していただくということが必要だと思います。

 教育委員会は、自分事として働き方改革に取り組むことで、学校における働き方改革は一定進むと評価できると思います。しかし、それだけで働き方改革が完結するわけではありません。定数改善や支援スタッフの充実等により人手を増やすことに取り組まない限り、働き方改革が真に進むことはありません。

 今回、文科省が本法案にとどまらず定数改善に取り組もうとしていることは承知しておりますが、参考人質疑においても、参考人の先生方からその必要性が述べられておられましたが、具体的にどのように定数改善に取り組んでいくのか、あべ大臣の御所見を伺います。

あべ国務大臣 委員にお答えいたします。

 学校における働き方改革、また、多様化、複雑化する教育課題への対応に向けまして、まさに委員御指摘のように、教職員の定数を改善すること、大変重要でございます。

 このために、小学校における教科担任制の拡充をしていきながら、また、中学校における生徒指導担当教師の配置、この拡充など、今後四年間で計画的に改善を進めていくこととしているところでございまして、令和七年度予算を含めまして、改善総数六千六百人と予定しているところでございます。

 加えまして、財源確保と併せまして、小学校に続きまして、令和八年度から、中学校における三十五人学級への定数改善を行うことを財務大臣との間で合意をしているところでございまして、引き続き、学校の指導、運営体制の充実と強化を図るために、教職員定数の改善に取り組んでまいります。

美延委員 よろしくお願いいたします。

 次に、教師は、ただ単なる授業をしているわけではありません。特に、最近では、特別な支援を要する児童生徒、不登校や不登校傾向にある児童生徒、外国籍の児童生徒など、様々な背景を持った子供たちに、誰一人取り残すことなく、子供たちの人格の形成と我が国の未来を切り開いていく人材を育成するという極めて複雑困難な職務を担っておられます。そのように全力で子供たちに向き合う教師に報いるという意味で、教職調整額の引上げ等を通じて処遇改善を図ることについては、私もこれは一歩前進であると評価をしています。

 ただ、その上で、教職調整額を一%ずつ段階的な引上げとなった点については非常に懸念が残るというか、疑問が残ります。教職調整額について、一%ずつの段階的な引上げではなくて一気に、それであるならば一〇%まで引き上げる方がやはり私はいいのではないかと思うんです。

 財源の問題があるということはもちろん、多分それを答弁されるんだろうと思うんですけれども、そこは、私は是非、段階を踏むということではなくて一気に一〇%にした方がいいと思うんですけれども、大臣の御所見をお願いいたします。

あべ国務大臣 教育は人なりでございまして、そのように言われるように、学校教育の成否、まさに教師に懸かっているところでございまして、教職の魅力を向上させる、教師に優れた人材を確保していくことが重要でございます。

 このため、学校における働き方改革、更なる加速化と、学校指導、運営体制の充実と、教師の処遇改善を一体的、総合的に推進させていただきながら、教師を取り巻く環境を整備することがまさに重要だというふうに思います。

 具体的には、この教職調整額の引上げと学校担任の手当の加算等による処遇改善だけではなく、それ以外にも、教職員定数の改善、支援スタッフの充実、働き方改革の促進など、総合的な施策を総動員しまして取組を進めてまいりたいというふうに思っておりまして、こうした取組を一体的に進めていくために、教職調整額につきましては、令和十二年度までに一〇%とすることをいたしまして、それで、毎年一%ずつ段階的に引き上げていくこととしておるところでございます。

美延委員 多分そういうお答えなんだろうと思いますけれども、やはりインパクトということもしっかり考えていただきたいと思います。私は、ここで一気に、先生にやる気を持っていただくという意味でも、やはり一気に引き上げるというのは必要ではないかなと思っております。

 もう時間がなくなっちゃいましたので、最後、一問だけ聞かせていただきますけれども、教職調整額の引上げは、これは管理職の先生には支給されないわけです。学校管理職のなり手不足、本当に教頭先生がなり手がないとかそういう話をよくよく聞くんですけれども、学校管理職の処遇改善もしっかり図って、マネジメント支援員の積極的な配置により負担軽減を図るということが必要だと思うんですけれども、これに関しては大臣はどうお考えですか。

あべ国務大臣 校長や教頭などの管理職でございますが、教師を取り巻く環境整備、これに当たりまして、学校組織のリーダーとしての学校における働き方改革の推進はもとよりでございますが、職場の心理的な安全の確保、さらには働きやすい職場の環境の構築、教師の働き方を高めていくことなどが総合的に求められているところでございまして、組織運営の観点から、その役割の重要性がまさに高まっているというふうに私どもも認識しているところでございます。

 このため、今般の教師の処遇改善に当たりましては、教職調整額の引上げと併せながら、この教職調整額が支給されない管理職に関しましては、本給の改善を図ることとしているところでございます。また、こうした処遇の改善に加えまして、管理職がリーダーシップを発揮できるように、勤務環境の改善も重要でございまして、副校長また教頭マネジメント支援員の配置を拡充しながら、また、組織的、機動的なマネジメント体制の構築に向けまして、主務教諭の創設にも取り組んでいるところでございます。

美延委員 ありがとうございました。

 これに関しては、また改めて続きの質疑をさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

中村委員長 次に、西岡義高君。

西岡(義)委員 国民民主党の西岡義高でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきます。

 教員の皆様は、今、長時間勤務を改善するために業務量の削減に取り組んでいるかと思います。しかし、既に現場の努力だけでは限界という声も聞いております。教員の定数を増やして、教員でしかできない業務もシェアできる環境を整えていく必要があるのではないかと考えております。

 今年度、五千八百二十七人の教員定数改善とされておりますけれども、そのうちの半分以上の三千六百三十七人、こちらは基礎定数の増なのですけれども、主に小学校六年生が三十五人学級になることからの学級数増に伴ったものでございまして、基本的な業務量改善には影響を与えるものではないかと考えております。

 残りの約二千人は予算措置による加配となっておりまして、この予算措置による加配ですと、来年度も同じ加配がつくとは限らない、そういった状況で、自治体は、計画的な採用に踏み切れなかったりですとか、非正規雇用の教員しか雇えなかったり、あとは、長期的な研修を受けさせられないといった声も出ております。また、雇われる側としましても、来年度以降も継続して働ける保証がない仕事に就くのは足踏みをしてしまうという状況もございます。

 そこで、余裕ある人員を計画的に確保していくためには、義務標準法の乗ずる数を引き上げることによって基礎定数の引上げを行うべきだという考えに立ちまして、以下、質問してまいります。

 まず、この義務標準法に乗ずる数が設定されているその目的と、その目的が達成できているのかどうか、どういう御評価をされているのかお聞かせください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 義務標準法に基づく教員定数の算定におきましては、学校規模ごとに学級数に乗ずる係数を定めてございまして、これが今西岡委員御指摘の、法律上、この係数のことを乗ずる数と規定しているところでございます。

 この乗ずる数の設定におきましては、教員の指導時数は勤務時間の半分程度を充て、残り半分程度の時間は授業準備などの授業以外の他の全体の校務に充てることを想定しているところでございます。

 令和四年度の教員統計調査によりますと、例えば、小学校の授業担任の平均持ち授業時数は週当たり二十四・一こまとなってございます。授業の一単位時間が四十五分が通常でございますので、一週間当たり約十八時間授業をしていることとなりますけれども、週三十八時間四十五分の勤務時間の十八時間、およそ半分程度になっているものと考えてございます。

西岡(義)委員 では、その乗ずる数、小学校で、各学年一クラスずつ、六学級だとしますと一・二九二、各学年二クラスずつ、十二学級だとしますと一・二一、各学年三クラス、十八学級ですと一・二という形になっておりますけれども、この乗ずる数、この根拠を改めてお聞かせください。

望月政府参考人 先ほどの答弁とちょっとかぶりますけれども、義務標準法は、個々の学校ごとの教員配置の標準を定めるものではございませんで、都道府県・指定都市ごとの教職員定数の総数の標準を定めるものでございまして、基礎定数と加配定数に大別されます。このうち加配定数につきましては、個々の学校や児童生徒の抱える課題に対応するため、毎年度予算の範囲内で御承知のとおり措置されるものでございますけれども、校長や学級担任など、学校を運営する上で基礎的な人員配置につきましては、乗ずる数を中心とした基礎定数で算定されることとなります。

 この乗ずる数は、基本的には、当該学校の学級数を基に、教員一人当たりの授業をしている時間を一日の勤務時間の半分程度とするという考え方の下、何人の教員を配置する必要があるかという考えで設定をされているものでございます。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 では、その根拠を基に今の乗ずる数になったのが一九九三年です。そこから三十年以上、乗ずる数が変わっておりません。その間、ゆとり教育になったり、逆に脱ゆとりになったり、そして今は主体的、対話的で深い学びということで、アクティブラーニング、これまでと違った学びが増えています。

 環境は大きく目まぐるしく変わっているのに、乗ずる数はこの三十年以上変わっていない。なぜなのか、この理由をお聞かせください。

望月政府参考人 委員御指摘のとおり、乗ずる数そのものは一九九三年、いわゆる平成五年以降変更が行われてございません。

 近年は、義務標準法の改正による基礎定数の改善としましては、平成二十九年度に加配定数で措置していた少人数指導等のための教員定数の一部の基礎定数化、あるいは、平成二十九年度からの十年間で通級指導や日本語指導のための教員配置の充実を行ってきたことに加えまして、令和三年度からの五年間では小学校における三十五人学級の計画的整備を行っておりまして、様々な教育課題に対応したきめ細かな指導を行うための教員定数の改善に取り組んでまいりました。

 この直近の約三十年間につきましては、児童生徒数が減少傾向にある中で、乗ずる数を変更して基礎定数を包括的に改善するよりも、特定の教育課題への対応といった政策目的を確実に達成する方法として加配定数の改善を中心に進め、そして、今御説明しました平成二十九年度あるいは令和三年度義務標準法の法律改正も踏まえて、基礎定数の改善にも取り組んでいるというところでございます。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 特定の対応に絞って加配で対応してきたということなんですけれども、結局、特定の対応に絞ってしまったがために、現場では安定した雇用を生み出せないというような現状にもなっているかと思います。

 大体、今、週の一人当たりの授業持ちこま数というのは二十三・九こま、一日当たり約五こまを受け持つ計算になります。先ほどの、この乗ずる数の根拠が、授業時間とその他業務の時間で半分半分になるようにということで設定されたということでした。それに対して、一時間の授業に対して、その準備等に同程度の時間が必要であるという見解も出されております。であれば、一日五時間、六時間の授業だと、その準備に五時間、六時間かけなければいけないというような状況になっております。

 小学校三年生以上では、今、週当たり授業時間数を二十七時間以上に設定している学校が九割以上ございます。一週間に二十四こま持ちこまがあるとすると、一週間に三こま程度しか空きこまができないような状況ということになります。

 勤務時間内に必要な業務をこなして、しっかりとした、一時間の授業に対して同等程度の準備時間をかけるとするには、そもそもの一人当たりの授業こま数が多過ぎるのではないかと思います。この持ちこまをシェアする、要は、教員にしかできない業務、この授業をシェアするためには、教員を増やす必要がある。そのためにも、乗ずる数を引き上げる必要があるのではないかと考えております。

 現在の文科省における、教員一人当たりの持ちこま数に対して、これは多いのか少ないのか、どのような認識でいるのか、お考えをお聞かせください。

望月政府参考人 西岡委員から、先ほど、今の現在の持ちこま数、小学校二十三・九こまという御披露がございましたけれども、先ほども答弁させていただきましたが、令和四年の教員統計調査によりますと、授業担任の週当たりの平均持ちごま数は、小学校二十四・一こま、中学校十七・九こまでございますけれども、小学校四年生から中学校三年生までは標準の授業時数が千十五時間となってございますので、大体それを、通常の場合ですと週大体二十九こまということになるわけでございます。それを、先ほども御答弁させていただきましたが、それを三十一こまとか三十二こま、それ以上にかなり設けているところがまだ二割ぐらい残っているという、そういうことでございます。

 それは、改善を、学校の指導、運営体制に合った形で見直すよう、これは強く働きかけているところでございますけれども、一方で、二十四・一こま、あるいは十七・九こまといった、そうした令和四年の教員統計調査のその持ちごま数自体につきましては、教育の質の向上、あるいは学校における働き方改革の観点から、特に持ち授業時数の多い小学校については軽減を図ることが大事であるというような観点から、この令和四年度からの三年間、これは四年間を三年間に前倒しいたしましたけれども、小学校五年、高学年の教科担任制を推進してまいりまして、三千八百人の加配定数を改善してきたわけでございます。また、令和七年度からは、四年間で計画的に、小学校四年生、そして新規採用教師の持ち授業時数の軽減という観点からの定数改善を行うことを考えて、予定をしてございます。

 こうした持ち授業時数というものについて、子供たちにとっても教師にとっても、ある意味考える余白、あるいはまた、試行錯誤を繰り返しながら授業を行い、そして自分自身で考えることのできる、そうした時間を確保していくという観点が必要かというふうに考えているところでございます。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 持ちこま数を減らしていかないと、やはり、一時間に対して同程度の準備が必要で、乗ずる数の根拠が、指導時間と準備時間は校務と半分半分にしていくんだと、その考え方が、同時にやるとすると、結局残業が前提の構造というのは変わっていかないと思いますので、そのためには、しっかり教員の人数を増やして業務をシェアできる状況をつくるとか、若しくは標準時間自体を減らしていかなければならないのではないかと考えております。

 では、また別の観点からこの乗ずる数について質問をいたします。

 精神疾患で休職となった教員が三年連続で過去最多を更新しまして、七千百十九人となっています。教員の方というのは、児童生徒、保護者、校長先生などの管理職、教育委員会など、いろいろな評価の目にさらされておりまして、孤立しやすい職業だと思います。

 令和六年八月二十七日の中教審答申において、必ずしも持ち時間の減少のために用いられない可能性があるとして、目的を限定した加配定数による持ち授業時間数の軽減を図るとございます。しかし、チームティーチングであったりとか複数教員での学級運営というのは、先生方の精神衛生上必要なことだと思います、チームでやっていくんだ、仲間がいるんだと。そういった面から、目的が限定されない学級担任以外の教員を増やす、この乗ずる数こそ私は引き上げるべきなんだと思っております。

 そこで、文科省が考える学級担任以外の教員の方の意義であったり必要性についてどのようにお考えなのか、お聞かせください。

望月政府参考人 日々、一日の時間の半分ぐらいを学校で生活する児童生徒にとって、やはり学級、あるいは学級活動における子供たち同士の関わり、あるいは教師との関わりというのは非常に大きく、学級活動を基本にしているというふうに思います。

 ただ、その上で、現在の学校の状況、複雑化、多様化する教育課題に対応し、一人一人の児童生徒にきめ細かく対応する、そうした観点からいきますと、学級担任以外の教員というものを増員し、充実した教員配置を実現していくことは、学校全体のそうした教育力を高めていくという観点から非常に重要であるというふうに考えているところでございます。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 重要であるとお考えであるのであれば、教員の数をしっかり増やしていくということは重要だと思います。

 この乗ずる数について、最終的に改善していくのか、また、どうしていくのか。今後どう取り組んでいくのかという、今後の見通しについてお聞かせください。

あべ国務大臣 学校教育の充実、発展にとりまして欠かせない存在でございます教師の厳しい勤務実態がある中でございまして、教師を取り巻く環境整備を図ることはまさに重要だというふうに私ども考えているところでございます。

 令和七年度予算におきましては、過去二十年間で最大の五千八百二十七人、これは委員がお話もしてくださったところでございますが、の定数改善を計上しているところでございますが、今後、学校の指導、運営体制の更なる充実を図っていくために、教育環境、指導体制の在り方につきましても検討を進めていく中にありまして、必要に応じて、委員の御指摘の乗ずる数も含めた今後の義務標準法の在り方についてもしっかり検討してまいります。

西岡(義)委員 ありがとうございます。教員の職場環境の改善、計画的な採用、将来を見通せる就職先となるように、是非前向きな検討をお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、日野紗里亜君。

日野委員 国民民主党の日野紗里亜です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本当に給特法、重要広範となるとこんなに長い質問時間をいただくことができて、この委員会、皆さんで、子供たちのために、先生たちのために、教育現場のためにいい改正法案を作れる、その一員となれていることに本当に喜びをかみしめております。

 では、早速質疑に入りたいと思います。

 四月十六日の質疑におきまして初等中等教育局長は、教育委員会による取組状況調査を通じて勤務の実態を把握していくことが望ましい、このように御答弁をされておりました。しかし、教育委員会による調査と文部科学省が実施している勤務実態調査との間にずれがあるという点については、同日のほかの議員の質疑でも既に指摘があったかと思います。

 まず、もう一度、私の認識を確認させてください。教育委員会による学校の働き方改革のための取組状況調査の調査項目にある時間外在校等時間、これに持ち帰り時間は含まれていないという認識でよろしいでしょうか。はいかいいえでお答えください。お願いします。

望月政府参考人 御質問にお答えいたします。

 取組状況調査の方においては、現状、持ち帰り時間の把握は行っておりません。

日野委員 御答弁ありがとうございます。

 となると、残業時間に時間外在校等時間は入っているけれども持ち帰り時間は入っていない、こういうことになるかと思います。働き方の実態を正確に把握するためには、校内での勤務だけではなく、持ち帰り時間を含めた勤務実態調査を行う必要があると思いますが、持ち帰り時間を含めた実態調査、毎年行っていただけますでしょうか。お答えください。

あべ国務大臣 全国の教師の時間外在校等時間の把握方法につきましては、過去に実施いたしました教員勤務実態調査が学校現場への負担の大きい調査でございましたことから、今後は、教師に追加的な調査負担を生じさせることがないように、基本的には教育委員会に対して実施をしている、実施する調査を通じて把握していくという予定でございます。

 給特法に基づきます指針におきましては、教育委員会がいわゆる講ずべき措置の留意事項といたしまして、上限時間を遵守することのみを目的として自宅等に持ち帰って業務を行うことは厳に避けなければいけないということを明記をさせていただいているところでございまして、業務の持ち帰りに関しては本来行わないことが原則であることを徹底していくことが重要であると私ども考えておりまして、これに関しては引き続き指導を徹底してまいりますが、持ち帰り時間に対する調査に関しましては、学校現場の負担も考慮した上で、実際に業務を行っていたかどうかをどのように確認するかという点におきましても慎重な検討が必要であるというふうに考えておりまして、その必要も含めて今後検討してまいります。

日野委員 先ほど負担が大きいと言っていました勤務実態調査、これはおおむね十年に一度、現段階で四回ほど過去実施されていると思います。

 ちょっとそこで聞きたいんですけれども、これは負担が大きい一つに設問の多さも挙げられていると思います。

 令和四年度に実施された教員勤務実態調査のうち、教員調査の設問のクエスチョン二十九でこんな設問がありました。あなたは一か月後に一万円もらう代わりに、十三か月後に最低幾らもらえれば満足できますか。これはちょっとやや唐突な質問だと思います。

 勤務実態の把握を目的とする調査の中で、なぜこのような項目が設けられたのか、そもそも、この設問は調査全体の中でどのような意味を持つのか。お答えをお願いします。

望月政府参考人 勤務実態調査につきましては、今、日野先生から御指摘ございましたように、実際の学校現場からも、何でこれだけの時間を使ってこれだけの項目について回答しなければいけないのかといったようなお声があることは承知してございます。また、時間もかなり、一日三十分刻みでどの業務を行ってきたということを事細かに記録しなきゃいけないということで、そういう面からもかなり負担が多いというふうに思ってございます。

 今御質問いただいた点については、学校業務の全体とそして教員の意識というか考え方というのを同時に併せてこちらとしても把握するために取らせていただいたものと考えてございます。

 また、特に持ち帰り時間についてでございますけれども、これはあくまで全ての勤務実態調査は自己申告でございますので、実際持ち帰り業務へどの程度のどのようなものの時間を活用されたかは、まさに自己判断のところでの把握であることは御理解いただきたいと思ってございます。

日野委員 やはり、先ほどのような質問、これは教員の勤務実態とは直接関係ないばかりか、やはり回答する教員にとっては違和感や不信感、負担感につながるおそれがあるかと思います。働き方の実態を真摯に把握し、改善に生かすための調査であれば、本筋とは関係のない設問は今後お控えいただきたいというふうに思っております。

 また、持ち帰り時間について、その必要があればというお言葉とか、ちょっとぼやっとしているような御回答だったんですけれども、私は、これは必要があるかというと、相当必要だと思っております。

 というのも、何を懸念しているかと申しますと、今後、時間外在校等時間の上限、これを具体的に目標を持って取り組んでいくことになると思うんですね。今日の質疑の中でも、幾つか、四十五時間とか三十時間とか二十時間といった具体的な数字が挙がっていたかと思います。今が異常ですから、これは数字の目標を立てることはすごく大事なことだと思います。

 しかしながら、その一方で、今、業務削減に関する具体的なものが政府から何も示されていない、今回の改正法案にも盛り込まれていない中で、これは、持ち帰り時間、これをカウントせずに時間外在校等時間のみを規制することによって、反対にどんどんどんどんと持ち帰り仕事が増えてしまう、持ち帰り時間が増えてしまうといった可能性が大いにあるというふうに思っています。

 だからこそ、持ち帰り時間も含めた実態調査、これは必ず、必ずですよ、行っていただきたい。でないとまた、時間外在校等時間が減っているのに、教員の精神疾患に罹患する率が上がっていくといったことが容易に起きてしまいます。

 調査結果をパフォーマンスとして使うのではなく、本当に先生のため、教育現場のため、子供たちのために行うのであれば、持ち帰り時間も含めた調査、これは毎年行っていただきたいと思いますが、行っていただけますでしょうか。お答えください。

あべ国務大臣 今後、教育委員会が把握する教師の勤務の状況でございますが、文科省が調査、集計することに加えまして、それ以上の調査が必要かどうかにつきましては、学校現場の負担も考慮しながら、慎重に検討させていただきたいと思います。

日野委員 行っていただきたいと思います。

 さらに、先ほど大臣の御答弁の中で、持ち帰りをそもそもしてはならないといった言葉があったかと思います。これは、現に持ち帰っているのにもかかわらず、その実態を大臣も知っているのにもかかわらず、持ち帰らないものとしているのは、ちょっとずるいなと私は思ってしまうんですよね。

 というのも、学校の先生方は、現状でこれは教員の仕事じゃないですよということもいっぱいやってくださっているんですよね。登下校に関することは教員の仕事じゃないと言っていても、例えば登下校の最中に子供たちがけんかして、何だったら、地域住民も巻き込んで、えらいことになっている。学校の先生は、通り過ぎられますでしょうか。生徒が目の前で車にひかれてしまった、救急車だけ呼んだ、ほな、さよならということができますでしょうか。

 そういったことはできないと思いますので、今後、学校長のマネジメントを問うのであれば、やはり政府がそこら辺をしっかりとマネジメントしていくということはすごく私は大事なことだと思いますので、しっかりとやっていっていただきたい。

 加えて、先ほど大臣からも心理的安全性という言葉が出てきました。やはりこれは、やれとは言っていないよ、でも、じゃ、私がやらなかったら、この仕事は誰がやってくれるのという状態だと、教員の先生方、心理的安全性、全く確保されないと思うんですよね。なので、ここら辺も国がしっかりと責務を持って取り組んでいただきたいと思いますので、重ねてお願い申し上げます。

 それから、先ほどちょっと言ったので、二転三転して申し訳ないんですけれども、教員勤務実態調査のうち、やはり教員調査、調査項目のうち、全く関係ないという項目は入れないでいただきたいと思うんですけれども、これも、関係ない項目については今後入れないという方向性でやっていただけますでしょうか。お答えください。

望月政府参考人 勤務実態調査の項目につきましては、教員の様々な特性と勤務の関係ということも調べる必要があったためこれまでお聞きしてきたところもあると思いますけれども、そうした教員の負担、負担感ということも我々としても把握をしているところがございますので、全体が負担という声ももちろんありますけれども、記入は一回きりとはいえ、そうしたお声もお聞きして、調査全体については考えていきたいというふうに考えてございます。

日野委員 御答弁ありがとうございます。

 では、次の質問に入りたいと思いますが、ちょっと通告と前後いたします。

 先日、局長の御答弁の中で、教員の持ちこま数について、小学校二十四・一こま、中学校十七・九こまという、これは平均値が示されたかと思います。やはり、この平均値の裏に隠れて、毎日ほぼ六こま持っている、連続授業で準備時間ゼロといった、こういった現場の声があることも事実だと思います。本来、やはり問うべきは平均ではなく上限だというふうに思っています。

 先日御答弁いただいたように、必要な予算措置が既に講じられている。であるとするのであれば、現場にその変化が届いていないということは、これは政策実行に重大な遅れがあると指摘せざるを得ないと思います。

 なぜ可能なはずな改革が進んでいないのか、この政策と実態の乖離をどう受け止めているのか、そして教員の持ちこま数に明確な上限を設けることについてお伺いしたいと思います。お願いします。

あべ国務大臣 必要がございましたらまた後ほど政府参考人からも補足をいたしますが、文科省が実施をいたしました調査結果におきましては、持ち授業数が多くても受け持つ児童生徒が少ない場合は在校等時間が短くなるなど、持ち時間、授業数のみで教師の勤務負担を捉えることは十分ではないという課題があるとは認識しているところでございます。

 このため、持ち授業の時数に関しましては、国が一律に上限を設けるのではなくて、特定の教師に過度な負担が生じないように、例えば持ち授業時間数が多い教師には、そのほかの校務分掌、これを軽減するなど、各教育委員会や学校の実情、それぞれ違いますので、それに応じまして柔軟に対応するべきものというふうに私ども考えております。

 他方で、持ち授業数の軽減を図ることは、まさに委員が御指摘のように重要な課題であると認識もしております。特に持ち授業の時間が多い小学校におきましては、教員定数の改善、また教科担任制を進めているところでございまして、令和四年から六年までに改善した高学年に加えまして、令和七年度予算におきましては第四学年への拡充に必要な改善数を計上を今しているところでございまして、引き続き、文科省といたしましては、持ち授業時数の軽減にも資するような形で教職員の定数の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。

日野委員 今、ちょうど私、持ちこまのことに関して取り上げさせていただいたんですけれども、大臣から校務分掌というお話も出ました。

 私、教員の働き方改革、これに関しては、やはり政府も一生懸命取り組んでくださっている、なので、一部では確実に進んでいて、在校等時間とは言いません、残業時間が本当に減っている、そんな自治体ももちろんあることは事実だと思います。ただ、確実に進んでいるところと、やはりまだまだ進まないところと、自治体間格差、この二極化といったことが最近顕著なんじゃないかなというふうに思っているんですよね。

 この自治体間格差を埋めるために政府ができること、これは、先ほどいろいろなところに行かれて好事例を教育委員会を通して通知していただいているという御答弁、どなたかの質疑であったかと思います。私としては、やはり、それだけではなく、とりわけ時間外在校等時間が長かったり休職者やうつ病の罹患者が多い地域に限っては、最重点地域とか重点地域とか、そういった位置づけをして、通知だけではなく、業務改善計画への伴走支援でしたりとか、あと、やはり必要な財政措置、これをやっていくことがすごく大事なんじゃないかなと思います。

 先ほど言った、やはり、アンケートというのは地域の事情もしっかり分かると思いますので、本来は実態調査といったものはそういったものに御活用いただければと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

望月政府参考人 先生御指摘のとおり、地域の状況は様々でございます。取組状況の観点を我々見ていましても、かなり、令和元年度以降、働き方改革が進んでいるところ、そしてそうでないところ、そして、進んでいないところの原因も、その自治体では余りよく分析していないところと、そのまま調査をしただけに終わっているところ、いろいろ状況がございます。

 今回の法改正では、繰り返しで恐縮でございますけれども、全ての教育委員会が自分事として自らの状況をしっかり把握をしていただいて、それを、状況を見える化をし、そして、首長部局や地域を巻き込んだ形で改善をしていこうというのを、制度化の仕組みを入れているわけでございます。

 ですから、今回、都道府県教育委員会が、そうした、なかなか取組が進んでいないというところは、市町村の状況はもちろんいろいろあるわけでございますけれども、それをしっかりまた見ていただくということも改めて法律で規定をさせていただいているということでございます。

 そして、国としても、そうした首長の関わりというのはかなり大きいと思いますけれども、こちらとしても、地方財政措置も含めて、地方自治体の方にも予算化をしてもらわなきゃいけませんから、いろいろな、人の手当てにつきましても。そういったことを、我々としては、やはり教育関係の、せっかく予算を皆様の御支援の下、予算化をしているところもございますので、そうしたものをしっかり使っていただくということを含めて、学校の環境をそれぞれの身近なものとして改善をしていただく、そういう改善のプロセスをしっかりこういう法案を通じての機会で考えていただくよう、改めてそこは指導をしていきたい。

 また、必要なところには、我々も、一つずつ、市町村の基礎自治体に全部くまなく、それはなかなか難しいと思います。やはり、都道府県教育委員会がありますし。ただ、そうした非常に厳しいところは、直接市町村の方からお問い合わせをいただいて、お答えしたりアドバイスをすること、もちろんこれはできます。

 ですから、そうした働き方改革にどうしてもお困りのところに関しては、我々、そういうお求めがあれば、それは当然、どこまでできるかというのはありますけれども、御助言等はもちろんさせていただきたいと思ってございます。

日野委員 どうしても、やはり、政府としてはやっているけれども、教育委員会がなかなかやってくれないところがあるんだということもあると思うんですけれども。比較したらすごく失礼だと思うんですけれども、やはり子供の勉強と一緒で、子供に勉強しなさいと言ってもなかなか勉強しないんですよ、うちの子は本当に。そういうときは、じゃ、ママが横について一緒にやってあげるねと。そういった姿勢を政府の方にも持っていただけると、やはり現場の先生方の負担感、大分変わってくると思いますので、重ねてお願い申し上げます。

 時間も少ないので、最後に、私、働き方改革で一番大切なことは、保護者や地域の意識の変革、これが醸成されていくことだと思っています。

 やはり、法律が改正されたとしても、保護者や地域の方々が、先生は子供たちのために無限に働くべき、こういうふうに思っていると、実態は変わらないと思います。制度を生きたものにするためには、人々の意識と行動の変革が不可欠だと思います。

 私自身も、やはり文部科学委員会に所属して学ぶまでは、先生方のお仕事がどこまでかということを全く知らなかったんですよね。今となってはすごく反省しています。でも、これが本当に保護者の声で、そういった保護者の方々は多いと思います。

 そんな中で、こうした認識不足、これが先生や学校に対する過度な期待につながり、結果として本来の役割を超えた負担を強いてしまっている、こういったことがあるかと思います。

 親ですから、やはり子供たちにとって本来であればいい環境がいいわけで、先生たちが心身共に健康でお仕事してくださっているのがいいわけで、だけれども、今、本末転倒の状況となっている中で、やはり、政府としても、法律の制定にとどまらず、社会全体の意識改革を進めるべきに、国が担っていく役割といったものを明確に私は定める必要があると思うんですけれども、最後にそこを大臣にお答えいただければと思います。お願いします。

あべ国務大臣 御指摘のとおりでございまして、教師の業務負担の軽減を図るために、保護者また地域住民の理解、協力を得ることがまさに重要でございまして、これまでも、文部科学大臣から保護者、地域住民の方々に対しまして、学校の働き方改革の理解、支援をお願いするメッセージを発出するなどの取組を行ってまいりました。

 今後とも、この改革の趣旨が社会全体で認識いただけるように努めてまいります。

日野委員 時間ですので、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 文部科学委員会で二年ぶりの質問となります。本日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 まず初めに、学校、教師が担う業務に関する三分類についてお伺いします。

 教員の働き方改革に関しては、昨年十二月二十三日に公明党としての提言をあべ大臣に提出しましたが、この提言をまとめるに当たり、私も自らの教職経験も踏まえて議論に参加してまいりました。

 教師の業務を、教師の業務だが負担軽減が可能な業務、例えば授業準備とか、成績処理とか。次に、学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務、校内清掃や事務業務等です。そして三つ目が、基本的には学校以外が担うべき業務、PTA行事の運営等がございますが、この三分類を行うことにより、教師の業務を確実に縮減していく仕組みでありまして、学校、地域、保護者、また支援スタッフとの適切な役割分担を進めることが必要であり、現場からの期待も非常に大きい取組であります。

 そこで、先週四月十六日の質疑で我が党の浮島智子議員から、この学校、教師が担う業務に関する三分類に基づき質問させていただいたのに対し、武部副大臣から、三分類の内容を給特法に基づいて大臣が定める指針に位置づけるということを力強く答弁いただきましたが、この点について、改めてあべ大臣にお伺いいたします。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 学校における働き方改革の更なる加速化、このためには、各教育委員会におきまして、御党から御提案いただきました学校、教師が担う業務に関わる三分類、これに基づく業務の精選を徹底していくことがまさに重要でございます。

 今回の法案におきましては、全ての教育委員会におきまして、文部科学大臣が定める指針に即しまして、教師の業務量の管理、健康を確保するための計画を策定することとしているところでございます。

 四月十六日の本委員会における浮島議員からの御質問で武部副大臣が答弁させていただいたとおりでございまして、文部科学省といたしまして、学校、教師が担う業務に係る三分類の内容を指針に位置づけながら、計画の策定、実施を通じた業務の見直しを加速させてまいります。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 是非、現場の先ほども言いましたけれども期待の大きい取組ですので、しっかり進めていただきたいと思います。

 今回の給特法の改正により、教職調整額を基本給にしっかり上乗せしていくという取組だと承知しております。この背景には、現在の大変厳しい教員を取り巻く環境があり、それに対して何とか手を打っていきたいという文科省の決意の表れでもあるというふうに承知しております。

 やはり、様々今までも議論されておりますように、一番の問題は教員不足でありまして、その状況は年々厳しくなっており、現場の教員の皆さんが悲鳴を上げておられます。

 私の地元高知でも、小学校で教頭先生が担任をするのは当たり前、前は十月ぐらいからでしたけれども、もう今は四月の当初から教頭が担任をしたり、昨年は校長先生が仕方なく臨時的に授業を行うといったこともありましたし、一学年二クラス、一人の先生が休まれて、新しい先生が来ないので、二クラスまとめて見ているといった、そんな非常に厳しい状況も出てきております。

 今回、そういった中で、働き方改革も重点的にこの目的の一つに置いていると承知しております。

 現場の声、また私の自らの経験から、教師の仕事の負担を考えたときに特に影響が大きいのはこの二つだと思っています。

 一つは、教員の配置を増やしてほしい。その学校に教員が何人いるかが重要でありまして、例えば、国や県からの指定授業を受けてくるにしても、お金よりも人が欲しいというふうな声がよく聞かれます。加配教員を多く取ってくる校長が現場の教員からは校長よくやったと評価が高かったり、それは、たくさん教員がいることで授業以外の教員をみんなで分担できる、まあ当たり前といえば当たり前のことなんですけれども、やはり、何人先生がその学校にいるか、この配置の問題が重要であります。

 もう一つは、先ほど来、西岡委員や日野委員からもお話がありました、やはり教員の持ち時間は非常に重要だと思います。私が教員を始めた三十年前ぐらい、大学を出て最初に持ったのは週十五時間でしたが、最後に学級担任をした平成二十一年のときには二十一時間ぐらいを持って、あと、担任は、生活記録ノートとうちの学校は呼んでいましたけれども、子供たちと交換日誌をやっています。それを見る時間が一時間あって、見えない時間割りが一日一時間ずつありますので、プラス五時間。それでも生徒指導の担当をやっているという状況でした。

 最初のときみたいに十五時間ですと、一日三時間なので、準備に同じ三時間かけるということで、その当時から随分負担は変わってきましたけれども、やはり何時間持つかということが非常に大きい要素だというふうに思います。

 ここで今強く指摘されているのが、私もたくさんこの意見を伺ってきました、一つは、先ほども出てきました定数改善のことがやはり指摘されています。それともう一つは、正教員をそこで増やすことなくずっと臨時教員で賄ってきたからゆえにこういった厳しい状況を招いたという指摘がございます。そして、授業の持ち時間数につきましては、先ほど来出ております、やはり乗ずる数を変更して、もっと減らしていくべきだ、そうすることによって働き方改革も進むし、教育の質がしっかり上がっていくんだという、こういった指摘があるのを承知しております。

 この二つの指摘はごもっともな指摘で、公明党は今までも三十五人学級の実現を強く主張し、小学校から学年ごとに段階的に引き上げてきました。昨今の発達障害の子供さんへの対応、不登校の現状からも、よりきめ細やかな教育が重要であり、次は三十人学級等更なる取組が必要だと考えていますし、この定数改善により、正教員の数を、未来を見据えても、しっかり増やしていくこと、教員採用数を増やしていくということ、また、持ち時間数に関する乗ずる数の改正を行い、持ち時間数を今より減らしていく、こういった大きな二つの取組は今後必ず必要な取組であるかなというふうに思っております。

 ただ、私が一点気になるのは、それは必要だという大前提とした上で、例えば、私の今地元の高知県なんかはもう教員がいません。採用志願者数も少ないですし、臨時教員も、この四月の段階から、例えば小学校と中学校でいえば一桁しか臨時教員のバンクの中にはいません。産休、育休等が決まっていても張りつけることができないくらい教員が枯渇している状況であります。

 そこで、そんな状況で定数改善は必要でありますが、今すぐ定数改善を進めると、更なる現場での教員不足が加速する、もっと欠員が出るのではという懸念があります。

 そこで、現在の教員採用と臨時教員の現状についてお伺いいたします。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど御指摘がありました、教師人材の不足でございます。その分析につきましては、教師の年齢構成に起因する大量退職等に伴い採用者数が増加している、そういう状況の下で、産休、育休取得者や特別支援学級の見込み以上の増加、こういったことによりまして臨時講師の需要が増加している一方、大量退職に伴い臨時講師のなり手である既卒の受験者数が減少している、こういった構造が、現下の教師不足や採用倍率の低下の要因となっていると考えております。

 今ほどお話がありました教師の不足についての調査でございますが、全国の公立学校におきまして、令和三年度始業日時点で二千五百八十八人、五月一日時点で二千六十五人となってございます。その後も、各教育委員会に対し毎年度調査を行っており、依然として厳しい状況と認識しているところでございます。

 また、令和六年度採用選考の採用倍率につきましては、全学校種の総計で三・二倍、うち小学校で二・二倍、中学校で四・〇倍、高等学校で四・三倍となってございます。

 文科省といたしましては、できるだけ多くの教師志願者を確保するといったことが重要だと考えております。教職の魅力向上に向けた取組を総合的に進めてまいりたいと思います。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 高知県なんかも、実際の状況でいうと、実は、臨時教員の割合の中で七割が、もう退職した先生方にお願いして続けてもらっているという状況がございます。非常に状況が厳しい中で、今、茂里局長からもお話がありましたけれども、やはり、定数改善、乗ずる数も大事なんですけれども、まずやらなければならないのは、そういった現状もあり、教員になりたい人を増やしていかないと、なかなかその改善をしても、逆に今は首が絞まってしまうということがあります。

 今後、教員になりたい人を増やすのにどのように取り組もうとしているのか、お伺いいたします。

金城大臣政務官 山崎議員にお答えいたします。

 議員御指摘のような教師不足の現状などを踏まえまして、教職の魅力を向上させ、教師に優れた人材を確保することが重要でございます。

 そのための環境整備としまして、一つには、教師の時間外在校等時間の縮減に向けた、学校における働き方改革の更なる加速化、二点目に、多様化、複雑化する教育課題への対応に向けた組織的な学校運営や指導の促進、三つ目に、高度専門職である教師の職務の重要性にふさわしい処遇の改善を進める必要がございます。

 昨年十二月に公明党よりいただいた御提言などを踏まえ、今般の給特法等改正法案におきましては、教育委員会に対する業務量管理・健康確保措置実施計画の策定及び実施状況の公表等の義務づけ、主務教諭の職の新設、教職調整額の基準となる額の引上げ、職務や勤務の状況に応じた処遇とするための学級担任への義務教育等教員特別手当の加算といった内容を盛り込んでおります。

 さらに、令和七年度予算におきましても、今後四年間で計画的に推進することとしております、小学校における教科担任制の四年生への拡充や、中学校における生徒指導担当教師の配置拡充の初年度分や、小学校六年生における三十五人学級の整備などのため、過去二十年間で最大となる五千八百二十七人の教職員定数の改善を盛り込むとともに、教員業務支援員の単価の引上げや、副校長・教頭マネジメント支援員の配置拡充などの支援スタッフの充実に必要な予算を盛り込んでおります。

 文部科学省といたしましては、教師を取り巻く環境の整備を通じ、教師に優れた人材を確保するため、引き続き全力で取り組んでまいります。

山崎(正)委員 ありがとうございます。教員の働き方改革を進めながら、魅力ある仕事としてしっかり発信をしてもらいたいと思います。

 次に、今回の法改正において重点的に考えている教員の働き方改革について、様々な調査や現場の声、私の経験からも、保護者対応がうまくいっているかどうかというのが大きな要素を占めると思います。

 そこで、文科省の指定事業で面白い取組がされています。奈良県天理市では、保護者からの相談を学校が受けずに、これからは現場の先生方ではなく私たちに直接相談してくださいと、市が開設する子育て応援・相談センター、ほっとステーションで受けるという取組です。保護者からの直接の声はほっとステーションに行き、そこで対応方針が考えられ、ほっとステーションから保護者や学校にバックしていくというシステムになっています。

 私は正直、この取組を最初聞いたときには、面白い取組だが絶対にうまくいかないんだろうなというふうに考えていました。そんな、スタートの段階から学校が関与しない、受けない取組なんて無理だ、本来しっかり学校が入って対応すべきところを第三者に任すなんて絶対無理だろうと固定観念に縛られた頭で考えていました。

 しかし、驚くべきことに、実際にはかなりこれがうまくいっているようであります。よくよく聞いてみると、うまくいっているのにはポイントがあるなと思いました。

 まず、元々保護者対応にたけた校長先生らがスーパーバイザーとしてスタッフに入っている。もう一つは、教育現場が分かった臨床心理士の先生がセットで対応しているということです。ここでしっかり保護者からの相談をどう捉えて、分析して、どう対応すればいいのかを見立てて対応策を考えています。それをしっかりと保護者に返していくとともに、学校側にも具体的にこのような対応、支援をしたらどうかということが助言されています。専門的な見立て、対策が、保護者と同時に同じものが教員にも返される仕組みになっています。

 その中で天理市が語っていたのは、私も経験があるんですけれども、保護者からの相談も、実際子供の相談のようで、よくよく聞いてみると、実は私は小さいときに親から虐待を受けていたとか、保護者自体のそういった課題が出てくることもあります。そういったことに対して適切に専門家とともにケアをしていく、そういう深い見立てによって、また専門的な対応によって、保護者の皆さんが納得されるような対応ができているというのがうまくいっている大きな要素ではないでしょうか。

 しっかり傾聴して専門的に見立てて寄り添っていく。学校側から見ても、今、教員不足で新卒新規採用教員がすぐに学級担任を持たなければならないことがありますが、例えば四月の今の時期に、まだ右も左も分からない状況で、いきなり保護者の方にがつんと言われてしまうと、もう無理です、退職しますというパターンも増えているようですが、この天理市のように、一旦ワンクッション、ほっとステーションを入れて、そこでしっかり見立ててくれて、こう対応したらいいですよという助言がもらえる。そうしたほっとステーションが入ることで、恐らくこの助言は、一人じゃなくて、管理職とともに若しくは最低でも学年主任が一緒に聞くでしょうから、いつの間にか新卒教員が保護者に言われていて落ち込んでいて、気づいたら先ほど言ったように辞めますという、そういった対応は防げるのではないかと思います。また、その助言を受けてその教員が対応し始めたときにも、保護者にも同じ見立ての支援が行われていることにより、よい変化が生じやすい、そういった非常によいシステムになっていると思います。

 そこで、天理市が二〇二四年四月から行っている子育て応援・相談センターの取組は、今後の教員の働き方改革を考えた場合に、その業務負担の軽減に非常に有効な取組であると考えますが、文科省の認識をお伺いします。

望月政府参考人 山崎委員御指摘の奈良県天理市のケース、文部科学省の委託を受けていただいていまして、市の教育総合センターの中に相談専用窓口を開設し、保護者から学校への意見や相談などを一元的に受け付け、そして、首長部局も関わりながら、弁護士やカウンセラー等との専門家も連携した部局横断的な支援体制の下で、個別のケースに応じた支援や学校などに対する専門的な立場からの支援を行っていると存じます。

 今回、天理市に改めて聞いてみますと、全教職員を対象としたアンケートで、学校管理職の七割、教職員の三割が保護者対応の負担感が実際軽減したという回答もあったと伺っております。

 また、年間で二十数件の自治体からも視察の申込みがあったということで、注目を集めている事例かと思います。

 こうした好事例の成果の普及も進めまして、過剰な保護者からのそうした要求等に対応する、そうした学校全体の業務運営の改善、取組につながっているような取組については周知をしてまいりたいと考えているところでございます。

山崎(正)委員 是非横展開してもらいたいんですけれども、天理市は、人口が六万、小学校が九校、中学校が五校ですけれども、これより大きい自治体の場合、市で一本では無理かなということと、何より最大のポイントは、やはり保護者対応にたけたスタッフと学校現場に精通している臨床心理士、ここをそろえられるかどうかがポイントだと思うんですけれども、しっかり指導してノウハウは積み上がりますし、教員の対応力も安全な状況で積み上げられますので、更なる磨きとスピード感を持っての横展開を是非お願いしたいと思います。

 最後に、今回の法案で言っている働き方改革、もう一点です。

 部活動の地域展開、これについてもまだまだ道半ばだと思いますが、子供たちのスポーツ、文化活動の機会の確保を第一の目的としながらも、それとともに教員の働き方改革という観点にももう少し踏み込んで進めていかないと、今後、致命的な教員不足を生んでいく要因になると大変危機感を持っています。

 その点について、スピード感を持って更に力強く推進してほしいと思いますが、見解と今後の推進への大臣の決意をお伺いします。

あべ国務大臣 委員御指摘のとおり、部活動改革、子供たちのスポーツ、文化、芸術活動の確保、充実を主目的として実施しているものでございますが、学校における働き方改革にもまさに資するものと考えております。

 令和八年度以降の部活動改革に関しましては、有識者会議で検討を進めているところでございまして、先日の会議で示されました最終取りまとめ、素案でございますが、これにおきましては、令和八年度から令和十三年度の改革実行期間におきまして、休日について、原則全ての部活動において地域展開の実現を目指すことが示されているところでございまして、文科省としては、地域の実情に応じまして、スピード感を持って部活動の地域展開と全国的な実施を推進してまいります。

山崎(正)委員 子供たちのためが第一です。しかし、しっかりとその裏には教員の働き方改革があるということも言わないと、また危機的な状況を生むと思いますので、よろしくお願いします。

 最後に、働き方改革はこれで終わりではなくて、不断のこれからの推進をお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 大変にありがとうございました。

中村委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 給特法の改正について。

 給特法というのは公立の学校の先生のお給料に係る法律ですね、それを改正しようということで、四月十日から本会議の質問が始まり、先週が質疑、参考人質疑があって今日を迎えていて、これはゴールデンウィーク明けまでこの法律の審査が続くということで、これは私はよかったなと思っています。

 といいますのも、私は質疑で度々申し上げていますが、時間外在校等時間、今日もその話はたくさん話されましたが、この九割が超勤四項目の違反であって、超勤四項目に基づく超勤以外が九割であって、ですから、この時間外在校等時間というのは基本的に違法な不払い残業になっています。この事実を、やはり、重要広範ということでゴールデンウィーク明けにもこの審査が続きますので、国会の外の多くの方に知っていただき、教員の方にもちゃんと見ていただいて、この状況をきっちりとこの機に変えなきゃいけない、そういう意味で、ゴールデンウィーク明けまでこの審査が続くというのは大変いいことだなと考えています。

 今日、パネルを用意いたしました。

 今日、たくさん話されました。教育現場がもう崩壊の危機にあって、崩壊が今始まっているんだということ、これはほぼ共通認識であります。これをどうやって変えるのかというところでは、義務標準法の乗ずる数、これを変えていくんだということも複数の会派から、委員から出されまして、私も異論がない、それ以外にはないと考えています。学校の先生を根本的に増やすということですね。

 でも、それに向かって今すぐ何をやるのかというところでいうと、やはりこれは、不払い残業、支払われていない労働時間に対するお給料、これを今すぐ払わせていかなければいけない。そして、不払いになっていたお給料、これは人件費、費用ですから、ちゃんと払って、こんなに費用が発生するんだなって文科省が、こんなに人件費、予算が要るんだなという、痛い目に遭わせなきゃいけないんですよ。痛い目にというか、法律を守るための費用です。法律を守るための費用を見える化させて、こんなに人件費を払わなあかんのか、ほんなら、人を増やすのと同じですからね、あるいは手当が乗りますから、一刻も早く予算確保のためにも人を増やさなければならない。そういうふうに追い詰められて初めて、義務標準法を改正して、根本的に人が増えるものだと考えますので、まず法律を守ってくださいよ、当たり前のことですけれども。結果として、法律を守ることで学校の先生を増やすという、それが最大のドライブになるだろう、私はそう考えております。

 さて、皆さんに資料をお配りしております。ここにもパネルがあるので、まず、その資料の説明からいたしますね。

 パネルが、皆さんのお手元配付には一になります。こちらは厚労省のガイドラインによる、労基法三十二条、労働時間、これの判断基準です。

 先週の質疑又は参考人質疑で、労基法の三十二条は学校の先生にも適用されるということはもう答弁をいただき済みです。

 じゃ、その労基法三十二条というのは、基本的には労働者という人間には二十四時間の時間がありますが、そこには労働時間と労働時間じゃない時間しか存在しない、これも先週までに厚労省に答弁をいただき済みであります。

 そうしないと、労働者というのは、往々にして、その使用者が、これは労働時間じゃないんです、労働時間じゃないといって不払いにしていくということが実際に起きるものですから、だから、厚労省がガイドラインを定めて労基法三十二条の労働時間の判断基準を示し、使用者は、このガイドラインに基づいて、労働時間なのに労働時間逃れをして不払いにするだとか、あるいは八時間以内労働という三十二条を守らないということを防ぐために厚労省がガイドラインを整備していますので、その判断基準を分かりやすいように〇一に示しました。

 これは大石が勝手に捏造というか作ったものじゃないのかと言われても困りますので、厚労省にお話をしまして、厚労省が確認済みのものがこの資料一です。厚労省のガイドラインを、厚労省も確認済みで、判断基準を資料にしたのがこの一ですね。この資料一のバックデータとして、資料二、三、四という、そういうこのガイドラインのフローの基となったものを添付しているわけです。

 労働基準法、資料二ですが、もう一度読み上げておきますね。労働時間について規定しております。労基法三十二条、これは公立学校の先生にも適用される、前回までに答弁済みのものですが。三十二条、労働時間、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」、二、「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」、学校の先生も含めて一日八時間以内労働制が適用されているという、労働基準法三十二条を〇二で引用しております。

 資料三ですが、といいましても、この労基法三十二条というのが往々にして破られるものですから、様々な裁判を労働者が起こしたり、それを厚労省がガイドラインに追加したりしているところの重要な判例が、〇三の資料です。

 三菱重工長崎造船所事件における最高裁判所の判断。これは、二〇〇〇年、平成十二年の最高裁の判例ですね。読むのは割愛いたしますが、これは、要点としては、使用者が勝手に、例えば、命じている業務、その前段に制服を着替えないとその業務ができないという状況下において、制服を着替えるのは労働時間かどうか、そういったことを争ったもので、労働時間だと認定されたもので、使用者が勝手に就業規則とか労働協約とかルールを決めたとしても、使用者の気持ちだったり労働協約とかで労働時間が決められるものではなくて、あくまで客観的に、客観的な物差しで労働時間が決められるものですよということを最高裁の判例で示されているのが〇三。

 この判例を受けて、厚労省はガイドラインを策定しています。この判断基準の基に、その最高裁判例がありますよということなんですよ。

 それを示すものが〇四ですね。厚労省自体がリーフレットに三菱重工長崎造船所事件を引用して、労働時間とはという定義の中にこの最高裁判例を示しており、その最高裁判例と整合した労基法三十二条のガイドラインにしている。

 〇五が、そのガイドラインの考え方ですね、の重要なものを、コピーというか、写しをつけました。

 それを基に作ったのがこれで、厚労省も確認済みのものです。この資料一、二十四時間あります、その労働者の時間は、労働時間か労働時間ではないか、その二つに分けられます。三つ目の中間領域というものはありません。文科省の言うようなそういうものはないんですね。それは後で聞きますね。

 労働者の指揮命令下に置かれている時間が労働時間である、労働者の指揮命令下に置かれていない時間が労働時間ではないというふうに定義をしているんですけれども、重要なところは、この判断基準の一、二というところですね。先ほどから何度も言いました、客観的に決まるものです。使用者が勝手に、いや、これは労働時間じゃないので、使用者の指揮命令下に置かれていないのでという言葉では、ルールでは決まりませんよとしているのが、この判断基準なんですよ。

 この論理的整合ですね、今文科省がやっていることは、これに論理的に整合しているんですか。これが適用されますとは認めておられるんですけれども、言っていることやっていることは論理的に整合しているんですかというところを、厚労省と文科省に問うていきたいと思います。その上で、具体的な労働、例えば部活動とかで、具体的判断ですね、この判断基準のどれに当たるんですかというのを問うていきたいと思います。

 厚労省に問います。通告では問い三ですね。

 この判断基準の、判断基準二というところなんですよ。これは、使用者という言葉を校長、公立学校においては、使用者が校長先生になりますね、労働者というのが公立の教員になるんですけれども、それをただただ置き換えた場合に、公立学校教員の行為が校長から義務づけられ又はこれを余儀なくされた等の状況の有無等から、個別具体的に判断し、客観的に見て校長の指揮命令下に置かれていると評価される場合には、労基法三十二条のこっち側、労働時間に該当するという可能性があるというのは、このガイドラインの使用者を校長に置き換えて、労働者を学校の先生、公立教員に置き換えれば明らかなんですけれども、それは厚労省も認めざるを得ないと思うんですけれども、文科省が、かたくなに、校長の時間外勤務命令によらないものはこっちやと、労働時間ではない方やと言うので、厚労省にお聞きしますね。それはおかしくないですか。

 何を聞きたいかというと、問い三ですね、校長の時間外勤務命令によらずとも、この判断基準の二にあります労働時間、労基法三十二条の労働時間側に当たるとされる可能性があると、このガイドライン上は論理的にそう読めますが、それで間違いないですね。お伺いします。

尾田政府参考人 お答えいたします。

 労働基準法における労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものでございまして、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるものでございます。

 すなわち、たとえ明示的な指示がなくとも、客観的に見て黙示的な指示に基づき業務を行ったものと判断されれば、労働基準法における労働時間に該当するものと評価されることとなります。

 なお、公立学校の教育職員の勤務時間の取扱いにつきましては、給特法の運用に関する問題でございまして、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

大石委員 ちょっといいですか。お答えを差し控えたいっておかしくないですか。今、労基法について聞いているんですね。所管庁は厚労省でしょう。だから、答弁差し控えは、答弁拒否は無理だと考えているんですけれども、委員長、ちゃんと答弁するように言ってください。

尾田政府参考人 お答えいたします。(大石委員「端的にお願いします」と呼ぶ)はい。

 労働基準法上の労働時間の考え方は、労働基準法が適用される労働者、今回の公立学校の教育職員ついても同じ考え方で適用されるものと考えております。

大石委員 今おっしゃったことは、結局はこっち側の判断基準が公立教員にも適用されるという、いいお答えだったと考えます。これは何でお答えを差し控えたのかちょっと意味が分からないんですけれども、最初から答えておいてくださいね。まあ、答えてもらってよかったです。

 論理的にあり得るので、論理的にあり得るよと言ったんですよ。論理的にあり得るだけではなくて、実例もありますので、厚労省も今お認めになったので、問い四について、これは実例なので、実例も確認しておきたいと思います。

 埼玉教員超勤訴訟というのがあって、これは二〇二一年に第一審判決があったんですけれども、その第一審判決において、原告である公立学校の教員が、次の一から三の行為にかけた時間は、労基法三十二条の労働時間、このフローのこっち側、この下、労働時間ではないと言われていたけれども、争って、こっちの上の労働時間の側やということが認定された裁判です。第二審判決も二〇二二年にありましたが、同様に、こっち側やと認定されています。

 どんな行為やったか、次の一から三の行為、言いますね。翌日の授業準備、判決では、授業という教員の本来的業務を円滑に実施するために、必要不可欠な準備行為と言えるからという判決でした。そして、通知表の作成、これは本件校長がその実施を決定したものであり、学級担任の教員に当然作成が求められるから。当然ですよね。そういう判決。そして三番目、当該学校で統一して実施されていた業者テストの採点、なぜならば、本件学校で統一して実施されていたことがうかがわれるから、その採点業務も、各教員の自発的な取組ではなく、授業に付随する必要不可欠な行為として、本件校長の指揮命令に基づいて行われていたと評価すべきだからという判決でした。

 厚労省に、もう一回、念のために伺いますけれども、ガイドラインとその判決は整合しているんですよね。ガイドラインのまさに使用者、校長が、労働時間やない、私は時間外勤務命令出していないとか言っても、決まらぬでと。客観的に見て、これは自発的じゃないでしょうという裁判のその判決を受けても、だから、今後も、このような同様の、校長や文科省が労働時間やないでと言っても労働時間であったりするということが実例でもありますし、だから、論理的にも実例でもあり得るということで、厚労省、よろしいですよね。

尾田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の三つの業務に関しましても、労働基準法における労働時間に該当するか否か、これは、委員御指摘もございましたが、客観的に評価される、個別具体的に判断されるものでございます。

 ですので、委員御指摘のような業務を行っている時間が労働基準法における労働時間に該当するか否かについても、同様の基準で判断されることになると考えております。

大石委員 あり得るという四文字で済むと思うんですよね。なのに、文科省が、それはあり得へんみたいなことを言っちゃっているから、厚労省も何か、身内やから、同じ政府やから、おつき合いでコメントを差し控えるとか、それは大人としてどうなんですか。でも、一応、ちょっと何か、一緒に不法行為に手を染めるような、自分の所管の法律においてそういうことはお避けになったのかなという意味ではよかったなと思います。

 なので、論理的にも、実例を用いても、今後も客観的に、このガイドラインに基づいて労働時間かどうかが判断されますよというお答えだったかと思います。

 それから、次、問い五は実質的に答えてくださったと思うので、飛ばしますね。時間があと五分なので。

 あべ文科大臣に問いたいと思います。

 あべ文科大臣の問題答弁があるんですよ。ほぼ厚労省のお答えによって裏づけられたと考えますが、先週、四月十六日に、この文科委員会において、あべ文科大臣がこのような答弁をしたんですね。労働基準法上の労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいうと私ども認識をしておりまして、公立校の教師に対しましては、時間外勤務命令によらず、所定の勤務時間外に教師が業務を行う時間は、労働基準法の労働時間とは言えないものと考えておりますという答弁をしていて、この答弁の意味は、このガイドライン上でいいますと、時間外勤務命令はしていないからという、つまり、時間外在校等時間は全部こっちやと言っているのと論理的に等価な答弁を文科大臣がやっていて、違法なんですよ、厚労省のガイドラインに違反しております。

 それで、せめてちょっと、客観説の立場に取れるのかというところで、問い七を聞きたいと思います。

 最高裁判所の、先ほどの資料の〇四にもおつけしました、三菱重工長崎造船所事件の判決ですね。この判決では、労働契約とか就業規則の定めによって決定されるべきものではないよと、労基法三十二条の労働時間は。だから、客観的な判断基準の下、審査するべきだという、いわゆる客観説というんですけれども、これは学説上も通説で、当たり前ですよね、使用者が、校長が、時間外、労働時間じゃないと言ったら労働時間じゃなくなるみたいなことって、それは労働者を保護できませんので。だから、そういうのは駄目だという客観説というのが通説になっているんですけれども、あべ大臣は、その客観説の立場に立っていますか、労基法の三十二条の。問い七です。

あべ国務大臣 労働基準法上、所定の勤務時間外に業務を行う時間が労働時間に当たるかについては指揮命令下に置かれているかどうかで判断されると理解しておりまして、労働基準法の適用に当たって、委員御指摘の、最高裁判所が平成十二年判決において示した考え方を否定するものではありません。

 他方、給特法は、公立学校の教師につきまして、その専門性を発揮いたしまして、裁量を確保し、業務を遂行できるよう、給与その他の勤務条件につきまして、労働基準法及び地方公務員法の特例を定めたものでございまして、こうした法の趣旨に鑑みれば、給特法におきましては、時間外勤務命令に基づく勤務ではない、すなわち労働基準法上の労働時間には該当しないものの、学校教育活動に関する業務を行う時間というものが想定されているところでございます。

大石委員 ちょっと厚労省にやはりお聞きしたいんですけれども、今、文科大臣の言っていることっておかしくない、もう自分の役割が終わって聞いていなかったですか、そうしたらまた次回に回しますけれども。

 労働時間か非労働時間しかないし、三十二条適用だから裁量労働制じゃないし、裁判の判決で、労働時間やないと言っていても労働時間やぞというのも出ているのに、この答弁はあり得ないので、あり得ないと指摘して、また問題答弁として次回やりますね。

 部活について伺いたいんですけれども、部活は特勤手当が出ているじゃないですか、教員特殊業務手当。それが出ているのに、この労働時間じゃないんですか、文科大臣。

あべ国務大臣 公立学校の教員に対しまして、それぞれの都道府県・政令市におきまして、部活動指導に関わる手当が支給されているところでございまして、国庫負担の算定上は、週休日など三時間程度の部活動の指導を行うことを想定しているところでございます。

大石委員 明らかに労働時間なので、そういうのは無理ですからね。

 もう一個お聞きします。

 部活動は、校長が部活動担当者を校務分掌によって配置しているじゃないですか。校務分掌なので、それに基づいて個々の業務に当たっているんですよ。なのに、労働時間じゃないんですか。指揮命令下に置かれていない、確実に置かれていないと言えるんですか、その時間外の部活動は。どうぞ、文科大臣。

あべ国務大臣 申し訳ございません、繰り返しとなりますけれども、教師が週休日などに行う部活動に関しましては、給特法の仕組みの下では、労働基準法の労働時間とは言えませんが、学校教育活動に関する業務を行っていると整理をされているものでございまして、部活動指導に関わる手当は、その負担を考慮しながら、地方自治法の規定に基づいて支給されているものでございます。

大石委員 もう一個聞きたいんですけれども、先週金曜日、参考人質疑が十八日にあって、中教審の委員、副会長をやっている貞広さんも、時間外在校等時間は労働時間ですかと言ったら、私が聞いたら、労働時間であると考えますと述べているんですけれども、労働時間じゃないんですか、同じ考えですか。

中村委員長 あべ文部科学大臣、時間が過ぎていますので、おまとめください。

あべ国務大臣 はい。

 繰り返しになりますが、文科省といたしましては、いわゆる超勤四項目に定める業務以外の時間外在校等時間は、給特法上、労働基準法上の労働時間とは言えないものと認識をしております。

大石委員 まとめますね。

 このような、文科大臣が違法行為、違法答弁を重ねるということこそが、学校現場を疲弊している、崩壊させている最大の原因ですからね。

 大阪府教委の平成二十四年の通知では、部活動は公務やというふうに定義され直したんですよ。それはまた次回お持ちしますけれども。だから、どう考えても労働時間なんです。振替休日を取ってもいいという運用に変えたので、労働時間なんですよ。

 またその資料、詳細は続きでやりますけれども、まず、文科大臣、あなたが労基法を守ってください。質疑はこれからも続けてまいります。

 終わります。

    ―――――――――――――

中村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十五日金曜日午前九時、参考人として戸田市教育委員会教育長戸ヶ崎勤君、日本教職員組合中央執行委員長梶原貴君、全日本教職員連盟委員長渡辺陽平君、大阪大学大学院人間科学研究科准教授高橋哲君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四分散会


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