第14号 令和7年5月28日(水曜日)
令和七年五月二十八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 中村 裕之君
理事 今枝宗一郎君 理事 小林 茂樹君
理事 永岡 桂子君 理事 青山 大人君
理事 亀井亜紀子君 理事 坂本祐之輔君
理事 高橋 英明君 理事 日野紗里亜君
五十嵐 清君 石橋林太郎君
井野 俊郎君 大西 洋平君
小渕 優子君 加藤 鮎子君
黄川田仁志君 木原 稔君
工藤 彰三君 國場幸之助君
坂本竜太郎君 柴山 昌彦君
高見 康裕君 渡海紀三朗君
丹羽 秀樹君 萩生田光一君
船田 元君 松野 博一君
三谷 英弘君 山本 大地君
阿部祐美子君 安藤じゅん子君
五十嵐えり君 小山 千帆君
佐々木ナオミ君 下野 幸助君
高橋 永君 竹内 千春君
辻 英之君 波多野 翼君
眞野 哲君 山 登志浩君
山岡 達丸君 吉川 元君
うるま譲司君 前原 誠司君
美延 映夫君 西岡 義高君
浮島 智子君 金城 泰邦君
大石あきこ君
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文部科学大臣 あべ 俊子君
厚生労働副大臣 鰐淵 洋子君
文部科学大臣政務官 金城 泰邦君
政府参考人
(内閣府大臣官房総合政策推進室副室長) 矢作 修己君
政府参考人
(内閣府知的財産戦略推進事務局次長) 守山 宏道君
政府参考人
(警察庁交通局長) 早川 智之君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 源河真規子君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 須藤 明裕君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 三宅 浩史君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 中澤 正彦君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 日向 信和君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長) 笠原 隆君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局長) 茂里 毅君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 望月 禎君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 伊藤 学司君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 井上 諭一君
政府参考人
(文部科学省研究振興局長) 塩見みづ枝君
政府参考人
(文部科学省国際統括官) 北山 浩士君
政府参考人
(スポーツ庁次長) 寺門 成真君
政府参考人
(文化庁次長) 合田 哲雄君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 尾田 進君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 江澤 正名君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局首席国際博覧会統括調整官) 茂木 正君
政府参考人
(国土交通省総合政策局次長) 大野 達君
政府参考人
(観光庁観光地域振興部長) 長崎 敏志君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君
文部科学委員会専門員 藤井 晃君
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委員の異動
五月二十二日
辞任 補欠選任
波多野 翼君 津村 啓介君
同日
辞任 補欠選任
津村 啓介君 波多野 翼君
同月二十八日
辞任 補欠選任
遠藤 利明君 黄川田仁志君
小渕 優子君 井野 俊郎君
木原 稔君 國場幸之助君
鈴木 貴子君 五十嵐 清君
簗 和生君 坂本竜太郎君
山本 大地君 大西 洋平君
竹内 千春君 山岡 達丸君
辻 英之君 下野 幸助君
波多野 翼君 山 登志浩君
同日
辞任 補欠選任
五十嵐 清君 石橋林太郎君
井野 俊郎君 小渕 優子君
大西 洋平君 山本 大地君
黄川田仁志君 加藤 鮎子君
國場幸之助君 工藤 彰三君
坂本竜太郎君 簗 和生君
下野 幸助君 辻 英之君
山 登志浩君 波多野 翼君
山岡 達丸君 竹内 千春君
同日
辞任 補欠選任
石橋林太郎君 高見 康裕君
加藤 鮎子君 丹羽 秀樹君
工藤 彰三君 木原 稔君
同日
辞任 補欠選任
高見 康裕君 鈴木 貴子君
丹羽 秀樹君 遠藤 利明君
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五月二十二日
教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(上野賢一郎君紹介)(第一二二八号)
同(眞野哲君紹介)(第一二四六号)
同(斎藤アレックス君紹介)(第一二七〇号)
同(関芳弘君紹介)(第一三七二号)
設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(高橋永君紹介)(第一二二九号)
同(山崎誠君紹介)(第一二三〇号)
同(白石洋一君紹介)(第一二五七号)
同(篠原豪君紹介)(第一二九〇号)
同(村岡敏英君紹介)(第一三一二号)
国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(眞野哲君紹介)(第一二四七号)
専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(青山大人君紹介)(第一二七一号)
学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願(斎藤アレックス君紹介)(第一二七二号)
教職員が教育に専念できる環境整備等を求めることに関する請願(馬場雄基君紹介)(第一二八九号)
同月二十八日
教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(櫛渕万里君紹介)(第一四七三号)
同(佐々木ナオミ君紹介)(第一四七四号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一四七五号)
教職員が教育に専念できる環境整備等を求めることに関する請願(堀川あきこ君紹介)(第一四七六号)
高等教育無償化を求めることに関する請願(堀川あきこ君紹介)(第一四七七号)
同(森田俊和君紹介)(第一五一〇号)
国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(佐々木ナオミ君紹介)(第一四七八号)
設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(佐々木ナオミ君紹介)(第一四七九号)
同(津村啓介君紹介)(第一四八〇号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一四八一号)
学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願(津村啓介君紹介)(第一四八二号)
私立幼稚園を始めとした幼児教育の充実と発展に関する請願(堀川あきこ君紹介)(第一四八三号)
直ちに学費半額・入学金ゼロ、奨学金を給付中心にすること及び奨学金返済の半額免除に関する請願(堀川あきこ君紹介)(第一四八四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件
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○中村委員長 これより会議を開きます。
文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房総合政策推進室副室長矢作修己君、知的財産戦略推進事務局次長守山宏道君、警察庁交通局長早川智之君、こども家庭庁長官官房審議官源河真規子君、総務省大臣官房審議官須藤明裕君、外務省大臣官房参事官三宅浩史君、財務省大臣官房審議官中澤正彦君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官日向信和君、大臣官房文教施設企画・防災部長笠原隆君、総合教育政策局長茂里毅君、初等中等教育局長望月禎君、高等教育局長伊藤学司君、科学技術・学術政策局長井上諭一君、研究振興局長塩見みづ枝君、国際統括官北山浩士君、スポーツ庁次長寺門成真君、文化庁次長合田哲雄君、厚生労働省大臣官房審議官尾田進君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江澤正名君、商務情報政策局首席国際博覧会統括調整官茂木正君、国土交通省総合政策局次長大野達君、観光庁観光地域振興部長長崎敏志君、環境省大臣官房審議官飯田博文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○中村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松野博一君。
○松野委員 自由民主党の松野博一でございます。よろしくお願いいたします。
あべ俊子大臣にお伺いをします。
あべ大臣の施政方針演説をお聞きをして、志高く、感銘をいたしました。その中で、一点確認をさせていただきたい点がございます。
大臣は、施政方針演説の中で、公教育の再生とおっしゃいました。
通常、再生という言葉は、その対象が機能停止をしているとか崩壊をしているとか、そういった状況に対して出てくる言葉なのかなとも思いますが、私は、日本の公教育、特に小中学校の義務教育は世界のトップクラスであると認識をしております。学力、またスポーツ、健康管理等も含めて、現場の先生方の御努力で大変な成果を上げていらっしゃると思いますが、施政方針演説で大臣が再生というお言葉をお使いになったのは、どういう現状に対する認識があるのか、また、その中で再生という言葉にどういう思いを込められたのか、お聞きをしたいと思います。
○あべ国務大臣 松野委員にお答えさせていただきます。
委員がおっしゃるように、我が国の学校教育でございますが、国際的な学力調査におきましても世界トップレベルの水準を維持していることに加えまして、また、学習指導だけではなく、生徒指導の面でも重要な役割、特に、児童生徒の状況を総合的に把握をして教師が指導を行うことで、知徳体、これを一体的に育んでいるとして、諸外国からも高い評価を受けてきたというふうに認識しております。
また、さきのコロナ禍を経まして、学校が、子供たちが安心、安全につながることができる居場所、さらにはセーフティーネットの役割も担ってきたことが認識されたところでございます。
こうした我が国の学校の優れた面はこれからも維持しつつ、一方で、教師の長時間に及ぶ働き方、不登校児童生徒の増加等の様々な課題がございまして、これに取り組みながら、多様化する子供たちの一人一人の可能性を最大限伸ばす学びを実現していくことが重要であるということを考えていたところでございます。
以上です。
○松野委員 大臣と共通の認識を持っていると理解をいたしました。
現場の問題に関して厳しく分析をして対応するというのは大事なことだと思いますが、現場の御努力ですばらしい成果を上げているということに関しては、しっかりと評価をしていかなければならないと思います。
もちろん、学校教育というのは、家庭の教育力と地域の教育力という二つの土台に乗っかっているものでありますから、当然のことながら、社会環境の変化でありますとか様々なひずみが学校現場に表れてくるというのは、これはいつの時代も続くことでありますので、現状においても問題がないということではありません。その中にあって、それを乗り越えて教師の皆さん方がすばらしい成果を上げていただいているということだと思います。
ただ、一点問題なのは、このすばらしい成果が教員の長時間労働によって支えられているということであります。この長時間労働が続いていくと、このすばらしい日本の義務教育の持続可能性に問題が生じてくる可能性がございます。
大臣は今回、給特法の改正、半世紀ぶりのこの改正に向けて、既に衆議院は通過をいたしました。大臣のリーダーシップに心から敬意を表しますとともに、文科委員会でも与野党を通じて真剣な意見がなされたことも、すばらしいことだと思います。処遇改善というのは重要ですが、しかし、教師を志望している学生が二の足を踏んでいる今一番の理由というのは長時間労働でございますから、いよいよこれから本丸に入っていくということでございます。
この流れの中で、私、長年提案をしていることがございまして、もう十何年言っていることなんですが、今、中学校の授業時間というのが五十分、小学校が四十五分であります。これは省令で書かれているかと思いますが、私は、この時間が本当に適切で効率的であるのかどうかを検証すべきだというふうに思っております。
例えば、小学校の四十五分を四十分授業にしたときに、学力の面、授業効率の面でどのような変化が表れてくるのか、また、教師の在校時間の変化にどういうような影響を与えるのか、こういったことを検証してこれは考えていかなければいけないと思います。
もう既に文科省でも、研究校でこの四十分授業等を行いながら、その分析をしていると考えていますけれども、四十分授業にして五分間短縮した結果、学力の面でどういった変化が表れているのか。また、教師の皆さんの在校時間の変化等、どういった結果が表れているのかを踏まえて、現状の文部科学省の評価、考え方をお聞きをしたいと思います。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
今の松野委員御指摘の標準の単位授業時間、中学校は五十分、小学校は四十五分というものを、文部科学省の研究開発学校の制度の下におきまして、これを五分ずつ短縮をして生み出した時間を、学校の子供たちの特色ある学習活動、あるいは教職員の研究、研修などに充てる、そうした研究が今進められてございまして、令和七年度からは、この実施校数、実施自治体を大幅に拡大をしたところでございます。
先行して実施をした学校からは、子供たちが授業に集中しやすくなったというお声、あるいは、教員の授業研究等の充実によりまして教育の質の向上にもつながったというような、そうした調査研究でのアンケートも現在のところ出ているわけでございます。
特に、令和元年度から全ての市内の小学校において取り組んでいます目黒区におきましては、令和五年度の研究成果の発表、報告も行ってございまして、この中では、国語や算数の正答率、いわゆる全国学力・学習状況調査の正答率でございますけれども、これは取組の前後で下がっていない、そして時間外在校等時間、時間管理の観点でございますけれども、これも縮減につながっているという調査も出ているところでございます。
文部科学省では、現在中教審において次期学習指導要領の検討を始めているところでございますけれども、こうした目黒区を始めとした研究開発学校の成果あるいは課題もしっかりその中に、検討の中に入れながら、一定の要件の下で各教科の標準授業時数を裁量的な時間に充てることの適否も検討しているところでございまして、教師と子供双方に余白を生み出し、全体として教育の質の向上につながるような在り方についてしっかり検討をしたいと考えているところでございます。
○松野委員 教育の専門家の方に児童心理学の面から、特に小学校の低学年の児童がどのぐらい集中力がもつのかということを質問しますと、大体十五分から二十分という答えが返ってきます。
そういった点と兼ね合わせて、今の授業時数、私は授業時間は四十分でも十分に、今の局長からの答弁でも、五分短縮しても学力の成果は変わっていない、上がっている面もある、そして教師の皆さんの在校時間も短くなる方向であるということであるならば、それをしっかりと公表して全国的に展開をしていく必要があるのではないかなというふうに考えていますが、この成果をどういった形で公表、また研修等に役立てているのかという点と、各教育委員会がどうこれを判断をして、実行するときは手続が必要なのか、この点について答弁をいただきたいと思います。
○望月政府参考人 目黒区の事例を先ほど申し上げましたけれども、目黒区では、時間外在校等時間の縮減の場合、学校によって異なりますけれども、例えば月平均で六時間程度減少している学校があるという報告でございます。こうした研究成果の報告、発表につきましては、国の研究開発学校でございますので文部科学省のホームページでその成果を公表してございますけれども、中教審の特別部会でも、その目黒区の教育委員会から全国の皆様方に事例発表ということで紹介をいただいたところでございます。
一方、この研究開発学校の仕組みはまさに指定校でございまして、全国で同じようなことを現在制度上はできないことになってございます。単位授業時数を五分間短縮すること自体は現在でも各学校の判断でできるわけですけれども、その生み出した時間を教員の研究、研修、あるいは学校の裁量的な活動に充てるといったようなこと、それは研究開発学校の指定を受けて研究を行うのみとなってございます。
研究開発学校におけるこれまでのその成果、この目黒区のような成果、あるいは目黒区以降続いてやっているところのそうした成果や課題というものをしっかり我々は踏まえながら、そしてそれを公表し、そして各自治体にも自ら考えていただくという機会にし、今、制度の枠の中でもできることをしていただくというために、できるだけオープンな形にしていきたいというふうに考えているところでございます。
全体として教育の質の向上につながり、子供たち、教師が余裕を持っていろいろなことを考えることができる、あるいは学習に向かうことができる、そうした時間と教育の質の両面、しっかり中教審においても具体的な検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○松野委員 各授業時間を五分間短縮すると、六時間授業で一日三十分短縮されます。週で百五十分、一か月で十時間の短縮ができますので、是非、今は一定の条件の下ということでありますが、できるだけ早く、それぞれの教育委員会の判断で、この時間に関して判断ができるような形に移行していただきたいというふうに思います。
もう一点、部活動等の問題が今取り上げられていますけれども、今、文科省としても部活動の地域スポーツ化を進めるという方針であります。
なかなか、これらの問題というのは、学校が主体となって地域スポーツ化を進める等々は難しい側面があります。例えば、様々な問題、部活動指導者の立場、どういった立場で、今はもう自発的に、自主的にやっているということになっています。また、時間外在校時間の問題もありますし、学校の安全管理義務の問題もあります。スポーツ団体等の交渉もあります。
こういったことを考えると、部活動は校務から切り離して、教育委員会を中心とした市の当局等に移した方がいいんじゃないかという考え方を持っています。
このことに関して、今、文科省ではどういうような見解をお持ちでしょうか。
○寺門政府参考人 お答えをいたします。
現在進めております部活動の地域展開につきましては、学校が責任主体となっている部活動につきまして、教育委員会等の地方公共団体が責任主体となり生徒のための環境を整えるものでございまして、まさに委員の御指摘に合致したものであると認識をしているところでございます。
○松野委員 部活動の問題に関しては、積極的に、自主的に部活動に取り組んでいただいている先生も大勢いらっしゃいます。このことはすばらしいことだと思います。ただ一方で、部活動に対して非常に負担に感じる、また負担に感じている、こういった方々が、民間の調査では六三%を超える数字が出ているんですね。この数字を見ますと、このまま看過していくことはできないというふうに思います。
是非、参加したいという意欲を持った先生方には新しい形で部活動に参加をしていただければいいので、この主体を私は教育委員会等に移していくということが明確化されるべきではないかというふうに考えていますけれども、教育委員会等、地方公共団体でどのような手続を行えばそのことを進めることができるんでしょうか。
○寺門政府参考人 お答えをいたします。
学校が責任主体となる部活動を教育委員会等の地方公共団体が責任主体となる活動に転換することは現行でも可能でございまして、条例を改正するなどの特段の手続を行わなくとも、教育委員会等の地方公共団体の判断により行うことができるというふうに認識をしているところでございます。
○松野委員 教師の皆さんの部活動指導というのは、いわばアンペイドワークになっているんですね。もちろん今の体制ではそういう仕切りになっているわけでありますけれども、これを新たに教育委員会等の団体による責任にしますと、今までそういった明確にしなければいけなかったラインというのも明確に進められるということもあると思いますので、是非その方向で御検討いただいて、様々なモデルケースを全国的にも提示をしていただければと思います。
そして、最後の質問になると思いますけれども、日本がイノベーション立国としてこれから更に発展をしていくためには、それを担う人材の養成が不可欠であります。
OECD諸国の中でも最も低い理工系学生の学生の割合、これは大体三四%前後ぐらいなんであろうかと思いますけれども、これをOECD諸国での最高比率である五割程度を目指して今後五年から十年の期間に集中的に取組を推進するという目標を立てて、私立大学等を中心に転換を促すために三千億円の基金を設立をしておりますけれども、現状の理工農学部への転換の状況をお伺いしたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
文部科学省におきましては、理工農系の分野の学生を増やすため、今御指摘いただきましたように、令和四年度の第二次補正予算を活用いたしまして、約三千億円の基金を創設し、成長分野への学部転換等の改革への支援に取り組んでいるところでございます。
これまでに、令和五年度及び令和六年度の二回にわたり、二百を超える大学等の計画を選定したところでございます。現在、各大学におきましては、学部等の開設に向けた準備を進めているところであり、今後、理工農系学部等の拡充が順次図られる予定となってございます。
文部科学省としては、こうした理工農系学生の割合、理系学生の割合を今後五年から十年程度の期間に五割程度まで高める、この目標の実現に向けて、引き続き、デジタル、グリーンなどの成長分野への学部転換等を目指す大学の取組に対し、しっかりと支援をしてまいりたいと考えております。
○松野委員 この転換が難しい理由として、大学生の八割は私立大学に通っていますけれども、この私立大学には、今の文系学部を理工農に転換するための財政的な余裕がないというのが大きな問題であります。そのためにこの三千億円の基金をつくったわけでありますけれども、そういった事情も総合的に勘案をしていただいて、まずは五割という目標に向けてお進めをいただきたいというふうに思います。
まだまだ質問したいこともありますが、時間がもう来ておりますので。あべ大臣が大変積極的に様々な分野の改革にお取り組みをいただいております。私たちは応援団でありますから、是非使っていただいて、こういった部活動の問題、授業の問題、また授業の内容等々もありますけれども、是非、積極的にあべ改革をお進めいただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○中村委員長 次に、波多野翼君。
○波多野委員 立憲民主党の波多野翼です。
本日は、子供たちの命と心を守る教育現場の在り方について質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
給特法改正の質疑の中でも、教育現場の深刻な状況が浮き彫りになったかなというふうに思っております。文部科学省の公立学校教職員の人事行政状況調査によれば、二〇二三年に精神疾患により休職した公立学校の教員は七千百十九人と、教員全体の〇・七七%と過去最多になりました。また、今年三月に厚生労働省、警察庁が発表した二〇二四年の自殺者の確定値では、小中高生の自殺者数が前年より十六人も多い五百二十九人と、これも過去最多となったということであります。
小中高生の自殺の原因や動機は、学業不振や友人関係などの学校問題が二百七十二件と最多となっており、学校という生活空間が、ストレスや孤独感、そういったものが子供たちに深刻な影響を及ぼしていると言えるのではないかと私自身思っております。
そういった教育現場ではありますけれども、しっかりと、学びの場であると同時に、やはり、先ほど大臣も言いましたけれども、セーフティーネット、安心できる、そういった場所であることが求められるんじゃないかと私自身も思っております。そういった安心の場をつくるためには、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった専門家が不可欠だと思っておりまして、そこで大臣にお伺いをいたします。
大臣は、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの役割について、どのような認識をお持ちかどうか、是非お聞かせください。よろしくお願いいたします。
○あべ国務大臣 委員にお答えいたします。
本当に学校が、学びの場だけではなく、安心できる場であることは、本当に大切だと思っております。
そうした中で、教育課題が複雑化、また多様化する中にございまして、学校を安心して学べるという場所にするためにも、心理の専門家でございますスクールカウンセラー、また福祉の専門家でございますスクールソーシャルワーカーと教員が連携協力しながらチームで支援していくことがまさに重要だというふうに認識しているところでございまして。
文部科学省といたしましては、この令和七年度予算におきましても、スクールカウンセラーまたスクールソーシャルワーカーの配置時間の充実を図るなどをいたしているところでございまして、引き続き、各学校における教育相談体制の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。
○波多野委員 ありがとうございます。
こういった、チームで子供たちを支えていく、そして、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の充実を図っているということでありましたけれども、では、実際、公立の小学校、中学校、高校におけるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置率、そして週当たりの相談対応時間について、最新の状況を教えていただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。
○望月政府参考人 文部科学省が実施をしてございます調査におきましては、令和五年度におけるスクールカウンセラーの活動実績のある公立学校の割合につきましては、小学校、九六・九%、中学校、九八・八%、高等学校、九五・二%でございます。スクールソーシャルワーカーにつきましては、小学校、七九・〇%、中学校、八一・三%、高等学校、五〇・九%となってございます。
令和七年度予算におきましては、全体、総額約八十六億円を計上いたしまして、スクールカウンセラーにつきましては、基盤的な配置として、全公立小中学校に対して週四時間程度、スクールソーシャルワーカーを全中学校区に週三時間程度措置をしてございますけれども、不登校やいじめ対策等の課題に応じた重点配置としまして、プラスで、スクールカウンセラーは週四時間と、スクールソーシャルワーカーは週三時間の追加配置が可能となるような予算を計上しているところでございます。
○波多野委員 ありがとうございます。
スクールカウンセラーもスクールソーシャルワーカーも、配置率はすごく高くなっております。
ただ、やはり、週に相談できる時間というのがまだまだ短いかなというふうに私自身思っておりまして、実際に地元の教員からも、学校に問題を抱える子供たちがたくさんいるけれども、カウンセラーが来校するのは週に一度、しかも午後の数時間だけということで、その時間に合わせて相談できない子供が出てきているという声を聞きました。心理的な支援というものは、子供たちの今話したい、今助けてほしいんだという声に早期に対応する必要があると私自身思っております。
また、スクールカウンセラーは公認心理師の国家資格を持っていたり、スクールソーシャルワーカーは社会福祉士や精神保健福祉士の国家資格を有している人が多い。その国家資格を有していても、雇用の形態が、ほとんどが一年単位の雇用契約であって、非常勤の会計年度職員がほとんどだというふうに聞いております。こうした不安定な雇用では、子供たちや先生との信頼関係をスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーさんが築いていくというのは難しいと私自身思っております。
この点について、文部科学省として、どのように認識されているのか、また、継続して安定的な雇用に向けた処遇の改善というのは検討されているのかを、是非お聞かせください。よろしくお願いいたします。
○望月政府参考人 御指摘のとおり、スクールカウンセラーの継続的な支援によりまして、不登校児童生徒の三一%、スクールソーシャルワーカーの継続的な支援によって、不登校児童生徒の三五%ぐらいの状況が解決した、そういう我々としてのデータもございます。
スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーにつきましては、先生の御指摘のとおり、チーム全体での子供たちに対する支援あるいは相談という中のお一人として重要な役割を果たしているという観点から、平成二十九年に学校教育法施行規則にその位置づけをしたところでございます。
任期、任用の在り方につきましては、各教育委員会の権限と責任の下で判断されるべきものと承知してございますけれども、先ほど申し上げましたように、カウンセラー、ソーシャルワーカーが関わった、相談を受けた児童生徒でも一定のそうした相談の効果もあるということでございまして、悩みを抱える児童生徒等に対して適切な相談や対応が取れる体制づくりに取り組む必要があると考えてございます。
先ほど申し上げました文部科学省としての予算八十六億円、これを増額してきてございますけれども、スクールカウンセラー等が安心して職を全うできるよう、そうした常勤の職として求められる職責、あるいは担うべき職務の在り方についての検討に資する調査研究を続けているところでございます。
引き続き、教育相談体制の充実の構築のため、必要な支援を続けてまいります。
○波多野委員 しっかりと、常勤ということで配置できるように、検討を進めていただければというふうに思います。
少し話を変えていきます。
給特法改正の、今回、不当な要求等を行う保護者等への対応相談ということが修正して盛り込まれました。文部科学省も、スクールローヤーを配置し、法務相談体制を整備していくことが必要だと、例年、各教育委員会に通知を出しているかというふうに思います。
そこで、お伺いいたします。
スクールローヤーに相談できる体制は、全国的にどこまで整備されているのでしょうか。
○望月政府参考人 令和五年度に教育委員会の方に聞いてみた調査によりますと、いわゆるスクールローヤーに相談できる体制のある自治体につきましては、都道府県で八七・二%、指定都市で九五・〇%でございますけれども、市町村等では一三・七%となっているところでございます。
○波多野委員 やはり、市町村では、本当に少ない、対応ができない状況かなというふうに思っております。
令和二年度から、域内の学校や市町村をサポートする都道府県及び指定都市教育委員会における弁護士等への法務相談費について、普通交付税措置が講じられているというふうに承知しておりますが、各都道府県、幾ら措置されているのか、自分たちで分かるのでしょうか。教えてください。
○須藤政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の都道府県等の教育委員会における弁護士等への法務相談に要する経費については、令和二年度より普通交付税措置を講じております。具体的には、標準団体、すなわち人口百七十万人の標準的な都道府県当たり百三十万円を積算し、人口に応じて算定しております。
各都道府県、それぞれにおいて自分のところに措置されている額が把握できるかということでございますけれども、これは把握可能でございます。具体的に申しますと、普通交付税の基準財政需要額は単位費用に測定単位及び補正係数を乗じることにより算出されますが、単位費用の積算内容や補正係数の設定内容については、総務省のホームページに掲載するとともに、地方団体に対し説明を実施してきております。
お尋ねの弁護士等への法務相談経費に係る都道府県別の措置額は、先ほど申し上げました標準団体の措置額百三十万円を人口百七十万人で除して人口一人当たりに換算し、各都道府県の人口と所要の補正係数、段階補正係数等でございますが、これを乗じることで措置額を算出することが可能でございますので、各団体において把握することが可能でございます。
○波多野委員 ありがとうございます。
実際、私も、市の職員として予算取りをしていくんですけれども、こういったモデルの金額というのをもっとはっきりと提示をしていただけると、予算を取るときにも、すごく財政当局と交渉がしやすいというのがありますので、この百七十万人で百三十万円というところを、しっかりと通知を出して説明をしていただければというふうに思います。
また、この法務相談の経費ですけれども、実際、都道府県に措置がされていますけれども、この都道府県が設置したスクールローヤーの事業を県立高校ですとか市町村の委員会が利用することは可能だということで、全体の八五%がそういったことがあるということで理解はしておりますけれども、小学校で問題が起こったときに、その県のスクールローヤーの事業を使うとなると、実際に相談を受けるまでに相当な時間がかかってしまいます。また、通知の中でも、スクールローヤーが学校や教育委員会の代理人として直接保護者とのやり取りをすることが適切である事例もあるというふうに書かれております。
そうしたことを考えますと、市町村等の学校で問題が発生してから、すぐにスクールローヤーに相談できる、そういった体制が重要だと思っているのですが、文部科学省の見解をお伺いいたします。
○望月政府参考人 学校に対する過剰な苦情や不当な要求に対応して、スクールローヤーが学校を支援することで速やかな課題の解決につながる、そういった事例も出ているところでございます。
一方で、特に小規模な市町村につきましては、法務相談が必要となる案件がちょっと少なかったり、あるいは対応可能な弁護士の確保が難しいといったような悩みがございまして、独自でスクールローヤーを配置するのがなかなか難しい部分もあると承知してございます。この場合に、都道府県教育委員会が域内の市町村の状況の助言、あるいは相談に乗っていただきまして、連携支援することがやはり重要だと考えてございます。
都道府県配置のスクールローヤーにつきまして、域内の市町村でも、各事務所単位もございますので、各事務所なども、各基礎自治体ともよくコミュニケーションを取っていただきまして、活用可能とすることなどを通じて、市町村もスクールローヤーを活用できる体制を整備することが大事であると考えてございます。
先ほど波多野委員からも御指摘ございましたように、全国の四十一の都道府県のうち三十四の都道府県において、市町村教育委員会の活用もできると今なってございます。これを更に我々としても進めてまいりたいと思っておりますし、都道府県教育委員会と市町村教育委員会がよく話をしていただきながら体制の構築をしていただくよう促してまいります。
○波多野委員 ありがとうございます。
やはり、学校の先生たちも、何か問題が起こったときにすぐに対応していただける、そういった体制が先生たちの心の安心にもつながってきますし、子供たちとの良好な関係を築く大事なことだと思いますので、しっかりと整備の方を進めていただければというふうに思います。
続いて、教科に関する質問に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。
小中高校で行われている教育の中では、国語、数学、理科、社会といった、受験に関わる五教科に少し重きが置かれがちになっているんではないかと私自身少し感じております。もちろん、学力の基礎になるということではすごく重要な教科ではありますけれども、それと同じぐらい、図工や美術、そして音楽、体育、家庭科、技術といった教科も、子供たちが自分の可能性を広げ、個性を発揮して創造力を育む、そんな大事な教科だと私自身思っております。
そこでお伺いしますが、政府として、この図工や音楽などの、受験に関係ない五教科の果たしている教育的な役割についてどのように認識されているか、お聞かせください。
○望月政府参考人 学校教育におきましては、教育基本法に規定する教育の目的、学校教育法に規定する各学校の段階の目標に基づきまして、学習指導要領において各教科等の目標を定めております。
教育基本法の教育の目的、これは、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身共に健康な国民の育成を期する、これは、まさに入試で出るような五教科のみならず、感性や創造性を育んでいくという観点からも、それ以外の、御指摘のような体育とか家庭とか図画工作といった教科についても、これは全人的な教育という観点から、大変大事な教科であると考えてございます。
余り御質問がないので、あえて申し上げますけれども、例えば小学校で、図画工作ではどんなことを目標としているかといいますと、造形的な創造活動の基礎的な能力を育てることや、感性や想像力等を働かせて、表現したり鑑賞したりするなどの資質、能力等の育成、家庭科では、衣食住などに関する実践的、体験的な活動を通して、生活をよりよくしようと工夫する資質、能力の育成、体育科では、生涯にわたって心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフを実現するための資質、能力の育成、こう記載のあるところでございます。
子供たちが、いろいろな個性、あるいは得意な分野、あるいは自分の創造力というのを磨いていく、あるいは非認知能力というのを磨いていくという観点でも、いずれの教科も大変重要であるというふうに考えているところでございます。
○波多野委員 ありがとうございます。
重要だということで回答をいただきましたけれども、実際、お手元に、資料一、あるかと思いますが、小学校の好きな教科ということで、各年代ごとにありますけれども、小学校のときにはこういった体育とか図工とか音楽というのが入っていますけれども、学年が上がるにつれて体育のみが五位以内に入るということで、やはり、受験に関係ないとか、評価が分かりにくいといったことで重要性が薄れているのではないかと思いますので、しっかりと、この点、力を入れて進めていっていただきたいなというふうに私自身思います。
最後の質問に行きたいというふうに思います。
そうした重要な、受験に関係ない教科のところですけれども、だからこそ、美術とか家庭科を始めとする特別教室のエアコンについても積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
資料二、新聞記事を御覧ください。タイトル「特別教室の授業「全身汗だく」」ということで、これは広島の小中学校においての記事ではありますけれども、実際に、福井県の十七市町に対しましても、私、聞き取り調査を行ったところ、やはり、ランチルームは小学校ではエアコンを九一%設置をされているんですけれども、理科室七七%、美術室が四六%、家庭科室は四四%ということで、どうしても、美術とか家庭科室とか、そういったところが設置率が低い。中学校も同じで、ランチルームが九〇%、理科室が九一%、美術室が六七%、家庭科室が五七%ということで、どうしても、特別教室の中でも美術とか家庭科、常に授業があるにもかかわらず設置率が低いということになっていまして、ある美術教員からは、美術室が暑過ぎるということで、普通教室で机の上でできる、そういった授業しかできないということも聞いております。
そこで、文部科学省として、特別教室へのエアコンの設備を、普通教室に準じた位置づけとして、地方自治体の財政支援も含め、具体的にどういった対策を講じていくのか、是非お声を聞かせていただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。
○笠原政府参考人 お答えいたします。
今先生から御指摘ございました美術、家庭科室を含めました特別教室につきましては、普通教室と同様に児童生徒が過ごす場でございますし、健康的な学習環境を確保するためにも、空調設置は重要であるというふうには認識してございます。
公立小中学校の特別教室への空調設備の設置状況につきましては、平成三十年九月一日時点で四二%でありましたけれども、令和六年九月一日時点で六六・九%と一定の進捗は見られているものの、引き続き整備を進める必要があるというふうに我々も認識してございます。
文部科学省におきましては、特別教室等への空調設備の整備に関しまして国庫補助で支援をしているところですが、具体の実施ですとかその時期等の方針につきましては、あくまでも各自治体においてその実情に応じて判断することが必要になってくるというふうに思っております。
しかしながら、文部科学省といたしましては、各自治体が整備方針を検討するに当たって参考となるよう、補助制度の周知を図るとともに、計画的な整備が可能となるように必要な予算の確保に努めてまいります。
○波多野委員 しっかりと進めていただければと思います。
質疑を終わります。ありがとうございました。
○中村委員長 次に、佐々木ナオミ君。
○佐々木(ナ)委員 立憲民主党、佐々木ナオミでございます。
本日は、私から、まず主権者教育についてお尋ねをしてまいりたいと思っております。
先日、地元の二宮駅で、私、活動ニュースを配布しておりまして、そのときに、随分と学生さんが取るなというふうに感じたんです。何でだろうなと思いましたら、そこの自治体議員さんが誇らしげに、うちは模擬投票をやっているからねというふうにおっしゃいました。
平成二十七年に、選挙権の十八歳への引下げから、文科省としても主権者教育の推進に力を入れ、学習指導要領にも、小中高校と、各学校段階での主権者教育の充実が図られ、様々な取組が行われております。とりわけ、模擬投票や模擬議会、模擬請願といった取組は、主権者教育推進会議が示しているところの現実の具体的な政治的事象を扱うという、とても意義ある取組と思っております。
私の地元の小田原市でも、昨年の小田原市長選挙と同時に、子供たちが直接候補予定者の話を聞いて模擬投票を行うといった活動を実施した子供サークルさんがありまして、選挙が終わった後も、家庭で子供と当たり前に市政の話をするようになったというようなお話をお聞きしました。
また、児童生徒が直接市長や執行部に質問や政策提言を行う子供議会の取組、これも各地で広まっております。
私の地元の山北町、こちらでも、子供たちが町政に質問や提案を行う山北町子ども議会も今年の二月六日に行われまして、小学生、六年生が、議員として考えたテーマを町長に直接質問する。これは二〇〇五年から続いているということで、大変よい取組をしているなというようなところでございます。
リアルな政治を児童生徒に体験してもらうことで、政治を自分事として向き合い、民主主義を担う主権者として成長してほしい。主権者教育は、まさに社会総がかりでの国民運動として取り組むべきテーマだと私も考えております。
一方で、現場の教員の負担感、それから、政治的中立性を求められることから、教員が指導をちゅうちょしてしまうということも指摘をされております。
そこで、こうした模擬投票、模擬議会、模擬陳情といった取組、推進すべきと考えますが、まずは、大臣のお考え、お尋ねいたします。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
委員が御指摘のように、まさに主権者教育におきまして模擬選挙また模擬会議、模擬議会などを行うことは、生徒が選挙また政治をより身近なものに感じていきながら主体的な投票行動へつなげていく上で、大変重要だと私どもも考えております。
また、令和四年に公表いたしました指導資料におきましては、選挙管理委員会の協力の下に、いわば架空の候補者また選挙公約を生徒が考えて、模擬的に市長選挙を行う中学校の事例、また、町長に質問を行う子供模擬議会に参加する代表を選挙で選ぶ小学校の事例などを周知しているところでございまして、こうした中、委員が御指摘の政治的中立性、この確保に配慮をさせていただきながら、実際の選挙の機会を活用いたしまして模擬投票等を行う事例も出てきているところでございまして、主権者教育が一層充実するよう、引き続き積極的に好事例の周知を図ってまいりたいと思います。
○佐々木(ナ)委員 架空の候補者というのはありますけれども、なかなか実際の選挙にというのが事例がまだまだ少ないとは思うんですけれども、是非しっかり推進をしていただきたい。そのときには、やはり政治的中立性、ここで皆さん悩んでいらっしゃる、その悩み感をどう乗り越えていくのか、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
その上で、取り組んでいらっしゃる方々にいろいろお話をお聞きしますと、これは投票率が上がることが目的ではないのだと。そうではなくて、児童生徒が質疑をするときに、その前提となる様々な調査を行ったり、それから、違う意見を持っている人と議論をして意見をすり合わせたり、それから、意見を言うことで、その人自体を否定することではないんだ、そういうことを、どうやって安心できる自分の意見を述べる場をつくるとか、そういうことを悩みながら進めていっていると。
このお話を聞いて、私は、まさにこれが、民主主義の面倒くささを学ぶ、これこそが主権者教育のとても大事な要素、効果だというふうに考えております。
一方で、現実の政治の世界では、やはり、子供たちもそうですけれども、ネットやSNSで簡単に情報が手に取れてしまう。その中では、デマやフェイクニュースによって民意が形成されてしまうような現実があります。また、私も、それには、大変大きな問題だと受け止めております。
児童生徒に自ら正しい情報を選び取る力を育てていく、このリテラシー能力を高めること、主権者教育を進める上でも、また、今の、この昨今の状況におきましても、まさに今求められているものだと思っております。
そのリテラシー能力を高めるのに、私は以前から、むしろ、デジタルではなく、アナログな学校図書館をしっかりと活用をしたリテラシー能力の醸成ということを訴えておりまして、この調べ学習、学校図書館を活用した調べ学習、もっと充実をしてほしい。そして、今、学校司書さんが各学校に配置をされておりますから、調べ物のエキスパートである学校司書さん、これをしっかりと活用する。そのことで、更なる主権者教育、子供たちが充実できるものにつながっていくのではないかと思います。
その点、何か現状、文科省の方で取り組んでいらっしゃいますでしょうか。
○茂里政府参考人 お答え申し上げます。
文科省が定めます学校図書館ガイドラインというものがございまして、この中で、児童生徒の読書意欲の喚起、調べ学習や探求的な学習に資するよう配慮、工夫するよう努めることや、児童生徒のグループ別の調べ学習等に関連いたしまして、学校図書館の施設を整備、改善していくよう努めることとしているところでございます。
また、今お話がありました学校司書の活用につきましては、同ガイドラインにおきまして、学校図書館を活用した授業やその他の教育活動を司書教諭や教員とともに進めるよう努めるとしているところでございます。
このため、文科省におきましては、学校司書が学級担任や教科担任と連携をいたしまして、調べ学習におきまして、資料選びの補助や、まとめる学習活動の補助をしたり、必要な図書資料を公立図書館から収集する、そういった活動を、学校司書と連携した授業づくりを実施する先導的なモデル、これを事業として取り組んでいるところでございます。
こういった取組の成果をしっかりと普及いたしまして、学校司書の活用をより一層促進してまいりたいと思います。
○佐々木(ナ)委員 ありがとうございます。
まさに、学校司書の皆さんにそのような活動に取り組んでいただきたい、そう思っておるんですけれども、現場ではなかなか十分に行われていないということも聞いております。
この学校司書さん、本来は全ての学校に一人配置すべきですが、ほとんどの方が、複数かけ持ちとか、又は、先ほど波多野議員からもありましたが、スクールカウンセラーさんやスクールソーシャルワーカーさんと同様に、非正規の会計年度任用職員さんというようなこともあります。調べ学習をしっかりと行う、また、授業の中に組み込んでいただく、そして、多忙な教職員と連携する必要がある、この学校司書さんも、やはり常勤化、常設化が必要だと私は考えております。
これはまた別な機会を捉えて是非やらせていただきたいと思いますが、これに関してもしっかりと取り組んでいただきますよう、この件は要望をいたしておきます。
次に、子供たちの尊厳と学校健診についてお尋ねいたします。
学校保健安全法に基づき行われている学校健診ですが、健診時の児童生徒への脱衣に関するプライバシー配慮について、これが取り沙汰されております。この委員会でも、過去に何度か議論が行われているというふうに承知をしております。
子供や保護者から、異性の医師に裸を見られるのは嫌だという不安の声。また、京都府長岡京市では、二〇二二年に、健診で下着の着用を求める五千三百筆もの署名が市教育委員会に提出されたということでございます。
また、医師による盗撮事件なども起き、二〇二二年に、岡山市の開業医の男が中学校の定期健診でペン型カメラで盗撮して逮捕、その後、十年間で小中学生二百八十人分の盗撮をしていたということで再逮捕されております。二〇二三年にも、大阪府内で学校健診での盗撮事件で医師が逮捕されております。
昨年、二〇二四年一月に、文科省は、健康診断実施において、児童生徒のプライバシーや心情に配慮した体制で行うよう通知を出し、正確な健診、診察に支障のない範囲で、原則、体操服や下着等の着衣又はタオル等により体を覆うことや、視触診する際には事前に保護者や児童生徒に説明を行うことなどを示しておりますが、自治体や学校で内容の解釈に差があり、対応が分かれております。
プライベートゾーンはほかの人に見せなくてもいいということが人権の基本だという時代に、強制的に見せることはやはり子供といえどもできないと考えております。
それで、私も地元のお母様方にこの件をお尋ねしました。同じ自治体の中であっても学校によって対応がばらばらで、裸の上にジャージを着て、聴診器を当てる際にはばっと見せるみたいな学校もあれば、男子生徒さんに対しても体操着の上から聴診器を当てる、一切肌を見せなくてよい学校もあるということなんですね。それで、先ほど言ったばっと見せるところでは、やはり裸を見せるのが嫌で泣いている同級生もいたというようなお話を聞きました。
学校健診、本当に大事です。また、いろいろな異常を早期に発見するということも大事ですが、子供を泣かせてまでやることなのかなというのが私の率直な感想でございます。
今週の月曜日、二十六日、学校健診の実施方法を議論する有識者会議の初会合が行われたということでございます。この会議の中で、是非、児童生徒が泣かないで済む、安心して受けられる学校健診の在り方、しっかりと議論をしていただきたいと考えております。
いかがでしょうか。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
まさに、特にプライベートゾーンなどに関しましては、子供たちにとって本当に重要な部分は、私たちは、子供たちが安心して健康診断を受けられるということはまさに大切だと思っております。
委員がおっしゃったように、私ども、令和六年一月に発出した通知におきまして様々なことは言っているんですが、学校によって解釈が違うこと、まさにおっしゃるとおりでございまして、児童生徒の健康診断につきましては、学校保健安全法に基づきまして、学校において行うこととされております。
そうした中で、検査、診察時の服装等については、基本的には、先ほど委員がおっしゃった令和六年一月の通知の趣旨などを踏まえて、各学校において判断されるものではあるとは考えております。
文科省といたしましては、各学校におきまして正確な検査、診察が実施されるとともに、特に、児童生徒等のプライバシー、また心情、ここに配慮をした健康診断が実施されるよう、引き続き周知にしっかりと努めてまいりたいと思います。
○佐々木(ナ)委員 だから、その通知の中でまだ曖昧な部分があるので、学校や自治体ごとでばらばらになっているということですね。なので、そうではなく、混乱しないような形で、しっかりと子供の尊厳が守れる形、これは文科省が責任を持って通知を出すなりなんなりする、方針を決めるというのを、是非その会議の中でそこに向けた議論を進めてほしいというふうに申し上げているんです。
いかがでしょう。
○あべ国務大臣 委員の御指摘をしっかりと受け止めさせていただきながら、私ども、前向きに検討もさせていただきたいというふうに思います。
○佐々木(ナ)委員 是非お願いいたしたいと思います。
それから、今、本当に医師不足で、この学校健診、やってくださるお医者さんもなかなか見つからない、そういう現場の声もあることも承知をしております。
そもそも、学校健診の、集団でやるというやり方そのものの在り方も見直されるべきときに来ているのではないのかなというふうにも思っております。
この会議の中でそうした多面的な議論が行われることを再度要望させていただきまして、次の質問に参りたいと思います。
最後の質問となります。片耳難聴の児童生徒の支援についてです。
障害者総合支援法による補聴器支給の対象とならない、軽度、中等度難聴児の言語の習得やコミュニケーション能力の向上を支援するため、各都道府県で児童生徒さんに補聴器の購入費用を助成する独自の制度を行っております。しかし、その制度の内容が各都道府県まちまちで、特に、片耳の耳は正常だけれども片方の耳だけが難聴になっている、片耳難聴の子供たちへの支援は対象外になっているところが少なくありません。
この片耳難聴に関しては、先日も新聞報道でも御紹介がありました。片耳は聞こえるから大丈夫ということではなく、言葉の習得やコミュニケーションに困難が生じる、また、音のする方向が分からなかったり、雑音の中では人の話を聞き分けることができないことから、学校の中はもちろんですが、車の音や自動車の音に気がつかないので、通学のときの安心、安全という面でも大変に心配があるというような状況でございます。
片耳難聴の児童生徒さんにも是非とも補聴器の支援、そして、補聴器が結構高いのと、成長に合わせてやはり五年に一回ぐらい買い換えなければならない、補聴器の中の電池も結構な頻度で交換するんですが、それも結構高いというようなことで、経済的な負担で困っていらっしゃるというお声をいただいております。
今年はデフリンピックが開催される年であります。それに伴い、聴覚障害者をめぐる様々な報道を目にする機会も増えました。これもしっかりと、聴覚障害者の支援も、私自身はまだまだ不十分だと思っておりますが、その中でも更に理解されにくい片耳難聴、これから言語を習得する児童生徒の支援について、今都道府県が行っておりますが、国として、できることに取り組むべきだと考えております。御見解をお尋ねいたします。
○源河政府参考人 御質問にお答えいたします。
障害者総合支援法に定めております補装具費支給制度におきましては、障害者などの身体機能を補完、代替する用具として、補聴器を始めとする補装具の購入などに要する費用の一部を支給しているところでございます。
この補聴器への助成制度の対象となるお子様は、高度難聴用及び重度難聴用の補聴器が必要な方としておりまして、これに該当しない場合は、議員が今御指摘いただきましたとおり、補装具費支給制度の補助対象にはなっていないところでございます。
一方で、こども家庭庁といたしましては、いわゆる片耳難聴のお子様も含めまして、聴覚障害児など専門的支援が必要なお子様とその家族への対応は非常に重要であるというふうに認識しておりまして、聴覚障害児支援中核機能強化事業を行っておりまして、聴覚障害児の地域の支援体制の整備強化を図っているところでございます。
引き続き、お子様一人一人のニーズに応じた専門的支援を強化するとともに、ライフステージに応じた切れ目のない支援の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。
○佐々木(ナ)委員 お時間が来ました。是非、片耳難聴の財政的な支援、よろしくお願いしたいと思います。
終わります。
○中村委員長 次に、高橋永君。
○高橋(永)委員 徳島一区の立憲民主党、高橋永でございます。
本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私は、神戸大学理学部生物学科で学び、今年の万博の日本館でも注目されています藻類の基礎研究に取り組んだ理学士の端くれでございます。その経験から、日本の科学技術政策の現状と未来に強い危機感を抱いております。
日本は既に国際的存在感を失いつつあるように私は感じていますが、再び世界で確かな道を築いていきたい。観光だけで外貨を稼ぐ国ではなく、資源に乏しい国だからこそ、科学技術で未来を切り開く国として、国家の在り方を根本から見直してほしいと考えています。
失われた三十年を経て、日本社会は、経済だけではなく、自信や挑戦の気概まで失いつつあるように見えます。
研究人材の育成でも、失敗を恐れ、短期成果に偏る余り、個人の力や自由な発想を生かす環境が失われつつあるのではないでしょうか。また、日本の若者の研究離れ、研究者不足という根本的課題に向き合わなくてはなりません。特に、女性や博士人材の数自体が足りず、力を発揮させられていない現状があります。例えば、東大の女子学生比率はいまだに二〇%台にとどまり、ハーバード大学の五〇%、MITの四〇%超と比べても歴然です。
女性を含む全人口の能力を生かし切れていない国が、生かしている国にイノベーションを生み出す力や研究力で肩を並べられるはずがありません。私たちに必要なのは、過去の手直しではなく、新たな国家ビジョンを描く勇気です。
そうした思いを強く抱いたのが、徳島の神山まるごと高専の視察です。山合いに開かれたこの学校では、若者たちが、技術、デザイン、起業を融合させ、まさに未来をつくる力を育んでいます。彼らが体現するベータメンタリティー、完璧よりまず試す、失敗から学ぶ姿勢は、日本がこの四半世紀で忘れてしまった精神そのものです。こうした挑戦に応える国家戦略が、日本には今欠けているのではないでしょうか。
科学技術・イノベーション基本計画第六期も示すように、これからのイノベーションは個人の力を信じる社会から生まれます。利己主義ではない個人主義、一人一人の志と好奇心を尊重する社会への転換が求められています。
本日は、日本の研究力再建の制度、予算、ビジョンについて、文部科学省と率直に議論させていただきたいと思います。
日本が失ってしまったこの三十年の間、日本の科学技術分野の国際的な地位は大きく後退してしまったと認識しています。具体的にどのような事象が顕在化しているのか、また、この日本の研究力の低下について文科省としてどのように課題を捉えているのか、文科大臣の率直な見解を伺いたいと思います。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
近年、我が国の相対的な研究力の低下が指摘されているところでございまして、例えば論文の総論文数で見ますと、ここ二十年で、我が国は約一・一倍となっているところでございますが、これに対しまして、アメリカ、ドイツ、約一・五倍、中国は約十八倍となっているところでございます。
この原因といたしまして、我が国におきましては若手研究者、この活躍の場が不足している、また、国際化を含めた研究人材の流動性の不足など、複数の課題があると私どもも認識しているところでございまして、文部科学省といたしましても、この研究力の向上に向けまして、これらの課題に対して必要な取組をしっかりと進めているところでございます。
○高橋(永)委員 ありがとうございます。
あえて申し上げれば、日本の研究力の低下は、文部省と科学技術庁が統合したこの四半世紀の間に進行しました。教育と科学技術の連携が促進され、大学や研究機関における研究開発の推進や人材育成が一層強化されることが期待されたにもかかわらずでございます。
改めて文部科学省にお伺いします。具体的にはどういった点が最も深刻なボトルネックになっているとお考えでしょうか。予算の問題なのか、制度設計なのか、それとも運用面の問題か、もう少し具体的にお答えをいただければと思います。政府参考人にお伺いします。
○井上政府参考人 お答えいたします。
我が国の研究力の相対的な低下、この課題といたしましては、まず研究開発投資の停滞がございます。これに加えまして、キャリアパスの不透明さなどによる博士後期課程学生、研究者数の伸び悩み、また、研究者が先端的な研究設備、機器に十分アクセスできない、そのような問題、また、ドイツやフランスでは全論文のうち六〇%以上が国際共著論文であるのに対しまして、我が国は三六%にとどまっているなど、我が国の研究者が国際的な研究活動に入れていない、こういったことが非常に大きな課題だと認識してございます。
これらを踏まえまして、博士人材のキャリアパス開拓や産業界とも連携した人材育成に加えまして、全体の一八%にとどまっております女性研究者への支援など、多様な人材の活躍の促進、また、自由で挑戦的な研究への支援の強化、先端研究設備、機器の戦略的な共用、研究機器利用を支える技術者の確保などを通じた研究環境の改善、国際共同研究や人的交流などを通じた我が国の研究者の国際ネットワークへの参画の促進、こういったことに取り組むことが重要であると考えてございます。
○高橋(永)委員 非常にたくさんの課題を御指摘いただきました。そうした課題意識は、私も共有するところでございます。
複合的に絡み合う課題を解決するための構造改革を進めるのと同時に、私は、男女を問わず、日本の若者が日本で研究者になりたい、日本の研究者に希望を持ってもらうことが非常に重要だと考えています。そのためには、日本が国家としての、科学技術で世界と渡り合っていくという明確なビジョンを示すということ、そして戦略を持つことが必要です。
今、研究力、科学技術で世界をリードしているアメリカでは、政権による圧力によって研究活動そのものが危機に瀕しています。まず、アメリカ国内で、研究者や大学、大学のスタッフなどがどのような状況に追い込まれているのか、ちょうど今朝の日経新聞の電子版の主要記事のトップにも載っていましたが、文科省が把握している範囲で教えていただければと思います。
○井上政府参考人 お答えいたします。
イギリスの科学誌ネイチャーの行ったアンケート調査によりますと、トランプ政権の政策を踏まえ、若手研究者を中心に回答した約千六百人のアメリカの科学者のうち、約七五%の科学者が欧州やカナダへの出国を検討していることが明らかになったと報告をされております。
また、その他、報道ベースでは、ハーバード大学における助成金の打切りや、コロンビア大学における研究者の解雇などがございます。
また、日本国内の大学におきましても、米国在住の研究者から複数の問合せがあることなどを把握しているところでございます。
○高橋(永)委員 アメリカでのこのような頭脳流出の可能性は、日本にとっては千載一遇の人材獲得の機会でもあるはずです。アメリカの一流の研究人材獲得が日本の研究力向上にどのような意義を持つのか、また、日本の研究力強化への活用可能性について、文科大臣の所見をお伺いできればと思います。
○あべ国務大臣 我が国の研究力の強化に向けましては、米国を含めた海外からの優秀な研究者の積極的な呼び込みなどを通じまして、優れた研究者が世界中から日本に集う国際的な頭脳循環を確立することが必要不可欠だというふうに考えておりまして、文科省といたしましては、このため、海外の優秀な研究者を引きつけるための世界トップレベルの研究拠点の整備と、また、大学ファンド、これを通じました国際卓越研究大学への支援など、取組を進めておりまして、まずは諸外国の動向も踏まえつつ、こうした取組を引き続きしっかりと進めていきたいというふうに考えております。
○高橋(永)委員 日本国内における研究力の低下という課題を踏まえて、人材獲得の観点で、国際競争の中で日本が置かれている立場について、より具体的にお伺いしたいと思います。
例えば、EU諸国の対応を見ると、日本とはかなり違う動きをしているのではないでしょうか。文科省として、EU及びEU諸国が現在どのような方針で研究者の誘致を行っているのか、詳細を分かりやすく教えていただけますと助かります。
○井上政府参考人 お答えいたします。
EUにおきましては、海外研究者の呼び込みのために、チューズ・ヨーロッパ・フォー・サイエンスというプログラムを立ち上げ、二〇二五年から二七年にかけて五億ユーロが投じられる予定というふうに承知をしてございます。
また、フランスにおきましては、四月にマクロン大統領が、世界中の研究者の受入れを支援するイニシアチブとしまして、チューズ・フランス・フォー・サイエンスの立ち上げを発表いたしまして、五月の演説では、研究者誘致のためにフランス政府が一億ユーロを投じると発表をしてございます。
このほか、あとは、フランスやドイツの大学や研究機関のベースで様々な呼びかけがなされていると承知しております。
○高橋(永)委員 EU諸国は単に研究費の予算を積み上げているのではなく、アメリカの政治の不安定化に伴う人材流動に戦略的に対応するという強い意思だというふうに捉えています。対して日本は、EUやフランスを含めたこの大きな国際的な流れを前に、今何をしているのか。手をこまねいていたら、優秀な人材を全てヨーロッパに持っていかれることになりかねません。アメリカの研究者はもう動き始めていますし、そして、EUは既に予算を確保して国を挙げて迎えに行っています。
文科省として、日本がこの流れにどう応じるべきと考えているのか、予算、制度両面でどう戦略的に打って出るのか、国家戦略としての人材誘致、研究者誘致、そしてそのための予算確保を含む枠組みの立ち上げについて強い意思を持って対応するべきだと思いますが、政府参考人に所見をお伺いします。
○井上政府参考人 委員御指摘の点、これは、我が国の研究力強化のためには、アメリカからの研究者の受入れ、これは非常に重要だと思います。優れた人材の確保という意味で、まさにチャンスだと考えております。
このようなこともありますので、先ほど大臣からも答弁がありましたけれども、海外の優秀な研究者を引きつけるための世界トップレベルの研究拠点の整備や大学ファンドなどを通じた国際卓越大学の支援、これを進めておりまして、まずは、こうした取組をしっかりと進めていく、またこのような既存の取組の中で優秀なアメリカの研究者を呼び込む、そういった活動を、非常にこれはもうチャンスということでございますので、しっかりと進めていくということだと考えております。
○高橋(永)委員 文科省から、まさに今の国際的な頭脳流出、アメリカの頭脳流動の加速は日本にとってチャンスであるという御答弁をいただきました。
しかし、率直に申し上げて、まだ今の状態では、検討するという状態では、政策上よく使われますけれども、現場にとってはこれは停滞しているということになりかねません。日本は、いつ、どうやって、何の予算で誘致策を更に本格化するのか、是非、文科省がその旗振り役として、関係省庁を巻き込みながら、日本版研究者誘致戦略の中核を担っていただきたい。私としては、明確な予算枠と制度設計が提示されることを期待しています。
この場で、文科省として、国家戦略として、研究者誘致に本腰を入れるという言葉、決意について、文部科学大臣からいただけないでしょうか。
○あべ国務大臣 委員にお答えいたします。
私どもも今鋭意、様々な形で、どういう形ができるかも含めて、既に各大学に問合せが米国から来ているというのも私ども聞いておりまして、そこをどういう形で制度的に受け入れることができるかということをしっかり考えているところでございまして。
また、繰り返しになりますが、やはり、国際的な頭脳循環の確立に向けましては、海外研究機関から優秀な研究者を積極的に呼び込むことがまさに重要でございますが、私ども文科省と関係省庁としっかり連携を進めていきながら、速やかに必要な予算の確保、まず、予算の確保を含めた制度設計をしっかり今鋭意やっているところでございますので、また委員と御相談させていただきながら、また御指導いただきながら、共に頑張ってまいりたいと思います。
○高橋(永)委員 力強いお言葉、ありがとうございます。
これまで国際的な研究人材獲得の戦略の必要性について議論してまいりました。ただ、もう一つ、極めて本質的な観点があると思っています。それは、研究者は研究資金や施設の整備だけで動くわけではないということです。彼らが何より重視するのは、政治からの独立性、つまり、科学が自由で真理に忠実であることを保障する制度的な土台です。
アメリカは、今、トランプ大統領の復権に伴って、科学、学問の軽視、気候変動やLGBTQプラス、多様性といった研究領域への資金削減や、大学への監視の強化をしつつあります。だからこそ、今、米国の研究者が国外移動を検討しているわけでございます。
しかし、アメリカのこうした政権による露骨な介入が続く中でも、アメリカのナショナルアカデミー、NASは、政府からの独立性を制度的に維持しています。会員は、政府ではなく学術界自身によって選出され、政府はその人事に関与できません。しかし、確固とした制度を持ったNASですら、政権の圧力や予算削減によってその機能や信頼性が試されている状況です。
学術の独立性という近代国家の常識すら持ち合わせない無知な政権が出現したら、国民に保障されるべき科学の中立性を保つのは容易なことではありません。
こうした背景を踏まえると、先般、衆議院で通過した日本学術会議の改革法案には重大な疑問を感じざるを得ません。学問の自由とは、単に個々の研究者の権利を守るにとどまらず、学術機関や研究コミュニティー全体が政治的介入から自律的に運営され、自由な発想と批判的精神を保持することを意味するものではないでしょうか。
そうした前提に立ったとき、今回の日本学術会議改革の法案が結果として学術界の独立性や自由な研究環境を損なうおそれがあるのではないか、学術会議改革の議論の前提として、学問や学術、研究の自由の本質をどのように捉えているのか、文部科学省の率直な意見を、見解をお聞かせください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
憲法二十三条に定められてございます学問の自由は、広く全ての国民に保障されたものでございますが、特に大学における学問研究の自由、研究発表の自由、教授の自由を保障したものであると認識をしております。
○高橋(永)委員 ありがとうございます。
学術会議の法案改正でやるべきなのは、政治的圧力に屈しやすく独立性を弱めることではなく、むしろ、国民の利益に資するように、学術会議が政府に対してより積極的に忠実に助言を行うための制度的な改革と組織機能の強化であったと私は思います。
アメリカのNASの状況を見れば、独立した予算枠の確保、会員選出の自己完結的な仕組みを維持強化しつつ、例えば新型コロナウイルス感染症への対応であれば、学校の一斉休校やアベノマスク、そしてイソジンによる予防といった、政府や地方自治体による科学的根拠に基づかない誤った施策や発信があった際にはスピード感を持って批判を行うこと、また、学術会議の発信がたとえ政府にとって意図しない内容であっても、それを政府が助言として受ける責任の明文化といった制度設計であり、独立性の強化をしながらも、国民に資する政府への助言、社会への情報発信を制度的に促す改革こそが今まさに求められているのではないでしょうか。
今回、政府提出の法案は、形だけ独立性を装い、政府が人事に影響を与える余地を残し、統制を強めているのではないかと懸念していますが、いかがでしょうか。学術の自由を保障するという原則の下、金を出すから政府が口を出すという目的ではないということを明確にしていただき、また、政府への助言を行うなどの機能強化についてどう考えているのか、内閣府の政府参考人にお伺いします。
○矢作政府参考人 お答えいたします。
日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会では、近年、サイエンス・フォー・ポリシーが強く求められるようになっていることは世界的な潮流であり、ナショナルアカデミーの使命、目的の中で大きなウェートを占めるに至っている、学術会議には、海外アカデミーのように社会の関心、状況を踏まえつつ科学的エビデンスや学術的な知見を適切に整理し、政府等とコミュニケーションを取りながら適時適切に提供していく役割を積極的に引き受けていくことも期待されているという議論がございました。
また、懇談会報告書におきまして、学会や審議会ではできないナショナルアカデミーにふさわしい活動、世界的、社会的にインパクトのある提言等を求められているように、政府としても、学術会議には現代のアカデミーにふさわしい、よりよい役割の発揮を期待をしております。
学術会議におきましても、先日、四月十五日の声明におきまして、世界及び国内の社会課題の解決に寄与しつつ、学術の更なる発展のために自ら行動し、更なる改革を進め、次世代へと引き継いでいくことを国民、社会に約束すると宣言されたと承知してございます。
学術会議には、十分な対話を通じて国民、社会、行政などの問題意識や状況を踏まえつつ、学術の立場から、学術の向上、発達、社会課題の解決に取り組んでいただきたいと考えてございます。
今国会に提出しております日本学術会議法案では、独立性、自律性を抜本的に高めることによる学術会議の機能強化を目的としたものでございまして、法人化により学術会議の独立性が組織面でも明確となり、政府とは別の法人である海外アカデミーと同様の高い独立性を有する組織になります。
また、会員につきましても、現行の総理任命はやめまして、海外アカデミーと同じように学術会議だけで自律的に選任できるようになります。少なくとも、一部の人たちがこれまで特定の思想の人たちを排除するような選考を行ってきたという懸念が生じてございますが、本法案では客観性及び透明性を確保する方法で会員を選任することとしており、この方法がダイバーシティー確保に向けて適切だということは、決議の提案者である会員の方にも御評価をいただきました。
政府としては、直ちに会員の選考方法を改正し、このような懸念を払拭することが必要と考えてございます。今般の改革を通じて、学術会議が拡大、深化するアカデミーの役割に主体的にチャレンジし、国民の期待に応えていくことを期待してございます。
○高橋(永)委員 研究者にとっての信頼できる国家とは、潤沢な研究資金を拠出するだけの、委託するだけの国家ではなく、同時に学問の自由を尊重する国家です。研究力向上の基盤となるその信頼を日本が維持強化していけるよう政府に対して強くお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○中村委員長 次に、山岡達丸君。
○山岡委員 山岡達丸です。
本日は、文科委員会の質疑の時間をいただきました。委員長、理事、委員の皆様の御理解、そして御厚情に大変感謝しながら質問をさせていただきたいと思います。
全国の青少年教育施設ということで、道内にも国立の青少年施設が二か所あります。私が政治活動をしているエリアは北海道日高地域なので、その事例を基に本日は質疑をさせていただきたいと思っておりますが、まず、大臣に伺いたいと思います。
全国に国立青少年自然の家等の交流施設を持つということ、この政策的な意義をどのように考えておられるか伺いたいと思います。
○あべ国務大臣 委員にお答えいたします。
国立の青少年教育施設でございますが、青少年の団体宿泊訓練、また研修などを通じまして、青少年教育の振興、また健全な青少年の育成を図ることを目的に設置をされたものでございます。
また、国立施設におきましては、例えば、専門性の高いモデル的な体験活動の提供、課題を抱える青少年を支援する取組の推進、青少年教育指導者の養成や資質向上などの取組を実施いたしまして、青少年教育のナショナルセンターとしての、公立の青少年教育施設や民間の青少年教育団体を先導する役割を果たしているところでございます。
デジタル社会が急速に進展する時代だからこそリアルな体験活動は大変大きな意義を持っていると認識しているところでございまして、現在におきましても国立青少年教育施設は重要な役割を果たしていると考えているところでございます。
○山岡委員 今、大臣より、やはりリアルな体験、自然体験等は非常に大きな意義がある、重要なものだというお話をいただきました。
ところが、全国でも同じことが起こっていると思いますが、私の地元の青少年自然の家、令和六年十月、物価高騰が著しい、光熱費等の高止まりによって運営が急激に圧迫されたということで、一時休館するということで半年ぐらいそうした期間が設けられ、令和七年も同じ措置が講じられました。しかも、十月から休館ということだったんですけれども、その通達が八月頃だったということもあって、非常に、利用者もいたということで、特に北海道日高地域はスキーの伴う宿泊もありましたから、前々からかなり予約もあった中で、自治体もそうですし、利用者も混乱が生じたということでございました。
これは文科省に伺いたいんですけれども、令和六年、七年の一時休館に関するこの件について、どうしてこういうことになったのか、事情を説明していただきたいと思います。お願いします。
○茂里政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘ございました日高青少年自然の家を始めまして、全国に二十八か所の国立青少年教育施設を設置いたします独立行政法人国立青少年教育振興機構におきましては、昨今の光熱水費や燃料費の高騰、あるいは利用者数の減少などの理由により、財政状況の悪化を招いている状況にございます。
これらの対策といたしましては、令和六年度下期より、一部の施設において閑散期における利用者の予約調整を行い受入れ日を集中させるとともに、一時休館を実施することにより、ランニングコストの低減に努めていると法人より報告を受けているところでございます。
また同時に、同機構におきましては、利用料金の改定やネーミングライツ事業などの外部資金の獲得、そのほか利用者増加に向けた各種取組なども実施しており、これらの取組によりまして早期に財務の立て直しを図り、国立施設の機能強化をしっかりと図ってまいりたいと思います。
○山岡委員 閑散期に止めたということなんですけれども、かなり元々予約が入っていたということで、何とか開けてくれと地元が申し上げて開けたという経過もありますので、必ずしも計画的じゃなかったと思うんですよね。
予算上の話でいうと、文科省から、独立行政法人国立青少年教育振興機構の運営交付金は、二十年前は百十五億、五年前には九十七億ということで二十億くらい減っているわけですが、たった五年過ぎて今は七十七億と、更に二十億減っているわけであります。
賃上げとか物価高騰のインフレ局面でいろいろな施策を皆さん打っているわけでありますけれども、そうした中で、余りにも減らすスピードが大きいということで、コロナで厳しい中、ようやく回復してきている中で、突然の休館だということで、非常に地元はこれからの先行きというのに大きな懸念を持っているところであります。
例えば、では、この日高の青少年の家、地元が努力していないのかといえば、そういうことではないと思うんですよ。昨年六月には、この地域、国内最大の自然公園ということで、日高山脈襟裳十勝国立公園として正式に国立公園に認定をされて、そこにある青少年教育施設なんて、先ほど、モデルのようなリアルな体験が重要だというところには非常に大きな期待ができるというふうに思うわけであります。
今日、環境省さんにも来ていただいていますけれども、この日高山脈襟裳十勝国立公園の指定によって日高町は第二種特別地域に該当するということで、この国立公園の利用拠点計画と自然体験活動促進計画の策定に着手しているところでありますけれども、この地域の今後の展望を環境省はどのように期待を持たれているか、御答弁いただけますか。
○飯田政府参考人 お答え申し上げます。
日高山脈襟裳十勝国立公園は、令和六年六月に三十五か所目の国立公園として指定され、中でも、日高町は、宿泊施設やスキー場などの利用施設が集積する主要な利用拠点となっております。
委員お尋ねの国立公園利用拠点計画は、国立公園の利用者の満足度向上を目的に、市町村や地域の関係者による協議会が目標や事業内容などを定めるものであり、これに基づき、滞在環境の上質化に資する利用拠点の整備などが促進されるものです。
また、自然体験活動促進計画は、利用者の多様なニーズに応え、その長期滞在に資するべく策定するものであり、地域の魅力を生かした自然体験アクティビティーの提供、ルールの策定など、市町村やガイド事業者などの関係者が一体となった取組が促進されるものです。
現在、日高町は国立公園日高町協議会を立ち上げ、両計画の策定などに向けた議論が進められていると承知しております。これらの取組は国立公園の魅力向上につながるものであり、環境省としても引き続き支援してまいりたいと考えています。
○山岡委員 ありがとうございます。
今のお話に、この青少年の家も含まれているわけであります。
観光庁さんにも来ていただいていますが、日高町では、こうした流れも受けてですけれども、令和七年度、地域観光資源の多言語解説整備支援事業で、国立公園日高町事業として応募して採択をされたわけであります。その計画には、もちろんこの国立日高青少年自然の家も含まれているわけですけれども、採択の理由を簡単に御説明いただけますか。
○長崎政府参考人 お答え申し上げます。
観光庁におきましては、国立公園や世界遺産を始めとする、地域の観光資源の魅力を訪日外国人旅行者に分かりやすく伝えるため、平成三十年度から地域観光資源の多言語解説整備支援事業により、多言語解説文の支援をしてまいりました。
委員御指摘の日高町の事業につきましては、国立公園日高町協議会から今年度事業として申請がなされたものでございます。観光庁として審査した結果、同地は、昨年六月に指定された日高山脈襟裳十勝国立公園の一部を成す地域でございます。今後、訪日外国人旅行者を誘致するため、外国語でその魅力を発信していきたいと御意向が示されたことから、これを採択したものでございます。
○山岡委員 今、お話がありました。
環境省も観光庁も、この国立公園化の中で地域を応援してくださっているわけでありまして、これは、私、日高の地域の事例でありますけれども、全国にある様々な施設もそれぞれ大きな取組をしながら地域として努力をしていると思いますし、まさに訪日外国人も増えてくる中で、自然体験というのが極めて重要だという中で、そうした取組の一環として、この国立施設というのが機能しているんだということを思うわけであります。
この間、地元の日高町も、町長、あるいは議会の議長、副議長、あるいは選出の道議会議員も含めて、文科省には、何としてもこの存続ということも含めて、是非活性化を求めてきていますし、通年の経営というのをしないと、特にスキー客とかもいる地域でもありますし、一律のそういう対応というのが非常に困るということもあって、そうした要望をしてきたところであります。
大臣に伺いたいんですけれども、先ほど、政策全体としては重要な意義があるという話をいただきました。国立公園の地域特性を生かして様々な努力を重ねているこうした自治体があるという中で、青少年自然の家、教育施設として、存続とともに、有効活用のための措置を強く要望したいと思います。大臣として御見解をいただけますでしょうか。
○あべ国務大臣 委員御地元の日高青少年自然の家を始めといたしまして、国立青少年教育施設の地元自治体から存続を希望する声があることに対しましては承知をしているところでございます。
持続可能な国立青少年教育施設とするためには、多様な利用者から求められる施設となるということがまさに重要でございまして、こうした点を踏まえまして、現在、文部科学省におきましては、国立青少年教育施設の振興方策に関する有識者会議を設置をさせていただいておりまして、今後の青少年教育の機能強化を始めといたしまして、多様な利用者の確保策、また、国立施設の合理化、効率化に向けた議論をまさに進めているところでございます。
こうした中、委員御指摘のように、地域の魅力的な資源の活用は極めて重要であるというふうに私どもも考えておりまして、例えば、文化観光資源を活用した探求的なプログラムの展開など、また、自治体と連携しました取組を一層促進することによりまして、国立青少年教育施設の魅力化をしっかりと、外部資金の獲得、利用者増加も含めた形で進めてまいりたいというふうに思います。
○山岡委員 大臣に一言更に問いたいと思いますけれども、この一時休止の流れとか、予算は減っていく。過去の議論の経過を踏まえると、やはり地元自治体はこれが将来なくなっていくんじゃないかというような不安が広がっているわけでありますけれども、今、大臣、極めて前向きなお答えをいただきました。
是非明快に伺いたいんですけれども、文科省として、こうした施設はなくす方向とは考えていない、生かす方向で考えている、そういう理解でよろしいんでしょうか。大臣に伺いたいと思います。
○あべ国務大臣 私ども、国立青少年教育施設に関しましては、今後も青少年の体験活動の振興にはまさに重要な役割を果たすべきものというふうに考えております。
現在、利用者数の減少また施設の老朽化の課題に直面する中にございまして、持続可能な国立青少年施設の在り方について引き続き検討をしてまいります。
○山岡委員 ありがとうございます。是非、これまでと発想は変えなきゃいけないところもあるかもしれませんが、よい意味で生かしていただきたいということを強く申し上げます。
機構の一番の収入源になっているのが、東京にある国立オリンピック記念青少年総合センターだということであります。大人は八千円で泊まれる。値上げをしてこの価格だそうでありまして、ただ、旅館ではないので、旅館業法にかからないので、伺うと、きちんとした広報はされていないそうであります。ただ、もう東京も旅行客があふれて、我々だって宿泊の場所を取るのに万の単位が当たり前の数字の中で、八千円で泊まれる。
日高の青少年自然の家は、大人二千五百円であります。国立公園に囲まれて、スキー場に行ける、知られていない、立地はいいところにある。外国の人たちなんて、こんなことを知れば、相当足を運ぶ可能性がある。そうした時代を迎えているんだと思います。
そのときに、この値段でいいのかということもありますし、もちろん、本来の青少年の交流という未来の子供たちのための事業を中心にやっていくということは重要なんですけれども、その施設維持とかあるいは施設の改修、整備といった部分は、この時代に合わせて、多くの人に有効活用していただくことの中で私は変えていくことができると思います。そうした、まあ何といいましょうか、もしかしたら機構側の意識改革も必要かもしれませんが、広報も含めて、是非この利用を促していただきたいということ、施設整備を進めていただきたいと思います。
最後に、少し関連して大臣に伺いたいと思いますが、北海道では、この日高の隣接する地域では、国家プロジェクトの先端半導体の量産化に向けたラピダスの事業も動いていて、先日はその支援の法律も通りましたが、この四月にはパイロットラインというのが動き始めて、二〇二七年には量産化に向けて、これがもう今プロジェクトが進んでいる最中であります。
私、まだこのプロジェクトの動き出す頃、本当に始まりの頃でありますが、令和五年の十一月二十二日に予算委員会で、当時、岸田総理のときでありましたけれども、このラピダスプロジェクトは非常に重要なんだけれども、これから高度のグローバル人材、外国のIT人材が、例えば二十代、三十代、家族連れで日本に来る、住む、住んでもいいと思える場所にしなきゃいけないときに、インターナショナルスクールの環境整備も極めて重要だということを申し上げたときに、その重要性は、当時の総理として、大変重要な話だ、それを進めていきたいという話もいただいたところであります。
日高は隣接しているわけでありますけれども、同時に、国内最大のサラブレッドの産地でもあって、馬の牧場はもちろん、競馬場もありますし、競りが行われる市場もありますし、英国型のインターナショナルスクールなどは、その授業には乗馬なども欠かせない、寮とかにみんな住んで、そうした教育に欠かせない分野等もあって、地域の特性を生かしたインターナショナルスクールということも私はいろいろ検討できる特性が、環境がある地域だと思っております。
是非、ラピダスの国家プロジェクトを成功させる、インターナショナルスクールをつくっていく、その中で、地域の特性、あるいは地域と連携しながら、こうしたインターナショナルスクールの整備も、整えていくことも文科省として推進していただきたいと思いますが、大臣に御見解を伺いたいと思います。
○あべ国務大臣 委員にお答えします。
御指摘のインターナショナルスクールでございますが、一般的に、英語で外国人の子供を対象として教育を行う施設でございまして、国内におきましては、四十三校が各種学校として認可を得て活動を行っているところでございます。
その設置主体は、学校法人が十三校、また準学校法人が二十八校、一般社団法人が一校、株式会社一校となっているところでございまして、国が自ら設置することは考えておりませんけれども、外国人材にとって魅力的な学校、インターナショナルスクール等の教育環境の整備のためのモデル開発を進めることによりまして、私ども、学校法人等によるインターナショナルスクールが設置されるときの参考にしていただけるものと考えているところでございます。
○山岡委員 直接の設置はしないにしても、モデルをつくっていく、こういう部分については、済みません、確認ですけれども、文科省として支援していくということでよろしいのか伺いたいと思います。
○北山政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のラピダスプロジェクトに関しましては、二〇二七年の量産開始を目指しているものと承知しておりますが、この製造拠点において優秀な人材を海外からも呼び込むために、子供の教育環境の整備は重要な課題であるというふうに認識しておりまして、文部科学省としては、日本語指導補助者や母語支援員の配置など、外国人児童生徒等への支援に取り組む自治体への支援、優秀な外国人材にとって魅力的な学校、インターナショナルスクール等の教育環境の整備のためのモデル開発などに取り組んでいるところでございます。
こういった取組を通じて、日本の教育のグローバル化に取り組んでいき、ラピダスプロジェクトの推進にも貢献していきたいというふうに考えております。
○山岡委員 ありがとうございます。
大臣からも文科省からも極めて心強いお話をいただきました。是非、地域の特性を生かした教育環境の整備にまたいろいろな御指導をいただきたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございます。
○中村委員長 次に、前原誠司君。
○前原委員 日本維新の会の前原でございます。
今日は、大学改革の必要性について大臣と議論をさせていただきたいと思います。
まず総論でございますけれども、大学改革の必要性は主に二点あると私は考えております。一つは、大学を真に学びの場にすること、もう一つは、大学の自立性を高めること、この二点について議論していきたいと思います。
まず一点目でありますけれども、真に学びの場にすることということの中で、お配りをしている資料の一枚目を皆様方に御覧いただきたいと思います。
これは何かといいますと、いわゆる大学の卒業率と言われるものです。大学の卒業率というのは、入学した者のうち卒業する者の比率を表したものでありまして、OECD、主な国々が並んでおりますけれども、OECD平均は六八%。そして、一番低いのはハンガリー、スウェーデン、アメリカ、五三%ですから、二人に一人ほどしか卒業していないということであります。
他方、日本は一番高くて、九割ということでありますけれども、まず大臣にお伺いしたいと思いますが、日本の大学卒業率が高い理由、これはどこにあると考えておられますか。
○あべ国務大臣 前原委員にお答えさせていただきます。
日本の大学卒業率が高い理由でございますが、様々な理由があると私ども考えておりますが、例えば、日本の大学におきましては、学校教育法によりまして修業年限が四年と定められているところ、多くの大学におきまして、学生が四年で卒業できるように、学生へ丁寧な指導を行っていることも一つの理由かと考えております。
また、我が国の場合、在学中に就職活動を行いまして、卒業後すぐに就職する慣行がございますことから、学生の就職に影響が生じないよう配慮していることも理由ではないかと考えております。
○前原委員 私は、別にこれは高いのが悪いと言っているわけではないんですけれども、日本特有の高さというのが、今大臣は二点お答えをされましたけれども、あるんだろうというふうに思います。特に私は、後者ですね、日本の雇用制度というもの、つまりは、新卒一括採用ということで、四年、あるいは大学院に行くと六年勉強して、そしてすぐに入るということであります。
リクルートワークス研究所によりますと、初めて就職した時期のうち、大学や大学院を出てすぐに就職するという割合は、日本が他国よりも圧倒的に高いんですね。七八・九%ということで、ほぼ八割です。では、ほかはどうなのかというと、ドイツが三七・九、フランスが三一・七、イギリスが三二、アメリカが二六・一、中国が三二、スウェーデンが二八・一、ほぼ三割前後なんですね。日本だけが八割ということで、突出して高いということであります。
企業からするといい人材を早く採りたい、学生からすると早くいい企業に内定をもらいたい、両者のニーズが合致をしているところでありまして、この方向性というか今までの慣行というのはなかなか変えることは難しいし、変えるべきかどうかという議論もあるんだろうというふうに思います。
大事なことは、これは三人以上の子供さんが大学の無償化になるときでもこの場で大臣と議論をさせていただきましたけれども、企業側に就職協定を厳守してもらうということ。つまりは、青田買い、内々々定とか内々定とか、そういったものは絶対に駄目であるということ。つまり、学びの場にするためには、しっかりと、やはり四年目、そして大学院だったら六年目、こういったところで本当に号砲が放たれるというふうにしていくということ。
つまりは、就職協定を厳守させるということが大事であるということと、大学側にも出席、成績要件をしっかり厳しくするということが求められると思いますけれども、この二点について、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○あべ国務大臣 学生が学業に専念をして、また、安心して就職活動に取り組むことができますよう、学修時間を確保する観点からも、特に御指摘の就職、採用活動日程に関しましては、経済団体また業界団体のところに要請をいたしまして、趣旨をお知らせしているところでございますが、依然として早期化の傾向があることは私どもも承知しているところでございまして、文部科学省としても課題として受け止めさせていただいているところでございます。
現状を踏まえまして、今後、どのような対応が考えられるのか、関係省庁とも連携しながら就職、採用活動の在り方について引き続き検討してまいりたいというふうに思っております。
○前原委員 検討ではいけなくて、検討したことをやはり実施して、先ほど大臣おっしゃったように、文部科学省だけでできる話ではないんですね。ですから、各省庁連携して、政府として、強く経済団体に対して申入れをする、実行を促す。そして、ペナルティーというのはなかなか難しいと思いますけれども、やはり、違反した企業の名前を公表するとか、そういった具体的な、そして実効性のある取組をやっていくことが、本来、大学が学びの場になっていくというふうに私は思いますし、門戸を広くして、そして卒業は難しくしていくという方向にしていくことが、小学校、中学校、高校の学びの在り方も変わっていくということで、学習そのものが私は大きく変わっていくというふうに思います。
もう一度、大臣、そこは各役所と連携をして、しっかりと対応策を財界に迫り、それを遵守させるという決意をお示しをいただきたいと思います。
○あべ国務大臣 委員御指摘の点は大変私どもも重要だというふうに考えておりまして、特に、委員がおっしゃるような、入学は門戸を広く、卒業は難しくということも含めまして、私ども、大学におきましては、まずは卒業認定と学位の授与の方針、さらには、教育課程の編成、実施の方針の策定、公表が義務づけられているところでございまして、これらに基づきまして、厳格な成績評価、卒業認定が実施されることがまさに重要だと思っております。
文部科学省といたしましては、知の総和向上に向けまして、教育研究の質を高めるために、中教審の答申も踏まえまして、大学の学びをしっかりと可視化していきながら、厳格な成績評価を通じて、出口の質保証、これを促進していくこと、また、学生がいかに伸びたか、いわゆる数段階で評価することや大学の教育活動の状況を分かりやすく公表することも含めまして、今年の四月に設置されました中教審質保証・質向上システムの部会におきまして、まさに委員のおっしゃることを検討しているところでございます。
また、企業の採用活動の選考活動におきましても、学修の成果や、また、企業への取組状況が適切に評価されるよう、大学が社会に対して積極的に説明責任を果たしていくための取組を、委員が御指摘のように、また御指導賜りながら、促してまいりたいというふうに思っております。
○前原委員 実効性のある取組をお願いをして、次の質問に移ります。
次は、大学をベンチャーの拠点にということであります。
私は、日本の国際競争力の低下というのはいろいろな要因があると思うんですけれども、新陳代謝というのが必要だというふうに思っていまして、別に今ある企業というのは大事なわけでありますけれども、新たなものが出てきて、そしてそれに取って代わるという新陳代謝というのはすごく大事だと思うんですね、経済活動においても。
例えば、これも何度か引用している事例でありますけれども、マイクロソフトとかアップルという、今、時価総額で世界でナンバーワン、ナンバーツーの会社というのは、たかだか五十年前にできたベンチャー企業なんですね。そして、生成AI向けの半導体のエヌビディアに至っては、三十一年目です、まだ、創業が。それがもうトップスリーに並んでいるということ。
新たなベンチャーが生まれてきて、それが新たな付加価値を生み、新たな雇用を生み、そして経済を牽引していく。そして、働いている人たちはより高い給与のところに移動できて、そして、言ってみれば新陳代謝が進む。こういうことをしっかりやっていくためには、ベンチャーを育てるということは大変重要なことで、そして、それを、拠点に私は大学をしっかりと育てるべきだというふうに思っているわけであります。
大学をベンチャーの拠点にということで、じゃ、どうしていくのかということなんですけれども、一つは、やはり大学の自立性を高める、それは資金的な自立性を高めるということが大事だと思うんですね。国からの資金に頼るだけでなく、国立だったら運営費交付金、そして私学だったら私学助成、そういった国からの資金に頼るだけではなくて、自ら資金を集める。そのためにも、ベンチャーをつくり、そしてベンチャーを育てて、そして恩返しのために寄附をさせるという好循環をつくっていくということが大事だというふうに思っております。
今私が申し上げたことを、例えば他国の例で申し上げると、二〇一八年度の基金による運用益、ハーバード大学は二千四億円、そしてイエール大学が千四百九億円。それに対して東京大学は幾らだったかというと、二・四五億円ですよ。ハーバードが二千億円超え、そしてイエール大学が千四百億円超え、東京大学は二・四五ですよ。三桁違うんですね。
ですから、そういう意味においては全くもって大学の在り方が異なっているということで、ベンチャーを育てるという社会のニーズと、そして大学が拠点になるということの、言ってみれば好循環を生む、つまり、ベンチャーを育て、そしてベンチャーが成功し、大学に恩返しで、そして寄附をさせるという好循環を生み出していく、こういった循環をつくり出すということは大事だと思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○あべ国務大臣 委員のおっしゃるように、大学発のスタートアップ、まさに大学の研究成果とともに新たな製品またサービスを創出しながら、特に、地域の経済成長だけじゃなく、また日本全体の雇用創出など、本当に貢献するものだと私どもも考えているところでございます。
具体的には、小型でいわゆる高精細な合成開口レーダーを開発して令和五年に上場した九州大学のスタートアップ、QPS研究所、また、静岡県にございます、先進的な陸上養殖プラントを開発、整備する京都大学発のスタートアップ、リージョナルフィッシュなどの事例が挙げられるというふうに思っております。(前原委員「スタートアップ」と呼ぶ)そうです、そうです。京都大学発のスタートアップ。
それで、文部科学省といたしましては、大学の研究成果をスタートアップにつなげるギャップファンド、ここのファンドの特に充実や企業支援体制の整備など、全国九つの地域におきまして、大学を中心といたしましたスタートアップエコシステムの構築を、まさに委員御指摘のように進めさせていただいているところでございまして、引き続き、関係府省と連携しながら、大学発スタートアップの創出とこの成長に向けた取組を更に推進させていただきながら、地方創生、また日本のしっかりとした経済成長にいわゆる資するような形に貢献をしてまいりたいというふうに思っております。
○前原委員 今大臣御答弁いただいたように、私も地方創生の切り札だと思いますよ。各大学がそういったスタートアップ、ベンチャーを育てて、そして地域に根差した新たな付加価値、雇用を生み出していく、そしてそれが税収にもつながっていくということで、私は大事なことだというふうに思いますので、是非それについてはしっかりとサポートしていただきたいと思います。
その上で、国際卓越研究大学第二期公募と官民イノベーションプログラムのパフォーマンスの関連について質問させていただきたいと思います。
二枚目のグラフを御覧いただきたいと思います。
官民イノベーションプログラムというのは、これは二〇一四年から二十年間にわたって行われるということで、今まだ行われているものであります。真ん中に書かれているように、東北大学に百二十五億円、東京大学に四百十七億円、京都大学に二百九十二億円、大阪大学に百六十六億円、合計一千億円出資して、そして大学発のベンチャーを育てていくということであります。
まだ継続期間中ですので途中経過になりますけれども、途中経過を申し上げたいというふうに思います。
それぞれの大学が資金を二期に分けて投資されていますけれども、二〇二四年三月末日現在、まず京都大学。一期目は、投資実績が四十二者、百二・六億円の投資に対して、今、その時価評価額は三百三億円。二期目は、現在進行形でありますけれども、投資実績が十九者、投資額三十六・四億円に対して、時価評価額は五十七・六億円。エグジットしたベンチャー企業は十社で、投資金額九・五億円に対して、回収金額は二十・二億円。つまり、二百三十二億円のプラスを生み出しているんですね、京都大学は。
東京大学。一期目、投資実績が四十四者、百八十・九億円に対して、時価評価額は百七十八・四億円。二期目は、三十五者、九十一・二億円の投資に対して、時価評価は百六億円。エグジットしたベンチャー企業が九社、投資金額が三十二・三億円に対して、回収金額が七十四・八億円。つまり、五十四・八億円のプラス。これは東京大学。
次は阪大です、大阪大学。第一期目の投資実績が、三十七者、九十二・四億円の投資に対して、時価評価額は七十六・三億円。二期目の投資実績が十六者、投資金額が二十二億円に対して、時価評価額は二十六・七億円。エグジットしたベンチャー企業が十八社、投資金額が三十一・三億円に対して、回収金額は四十九・七億円。つまり、七億円のプラス。大阪大学は七億円。
最後、東北大学。第一期目は、投資実績が二十六者で、投資金額が六十一・九億円に対して、時価評価額は六十三・五億円。二期目が、十八者に対して三十三・四億円投資し、時価評価額は三十四・五億円。エグジットしたベンチャー企業は十三社、投資金額が十三・四億円で、回収金額は七・六億円。つまり、東北大学は三・一億円のマイナスなんですよ。
百二十五億円投資した東北大学が三・一億円のマイナス。四百十七億円投資した東京大学が五十四・八億円のプラス。二百九十二億円投資した京都大学は二百三十二億円のプラス。百六十六億円投資した大阪大学は七億円のプラス。これで正しいですか、まず事実関係。
○井上政府参考人 ただいま前原先生から挙げていただいた数字で正しいと認識しております。
○前原委員 じゃ、この官民イノベーションプログラムで、ベンチャー支援がうまくいっていない、唯一のマイナスの投資実績の東北大学がなぜ国際卓越研究大学に選ばれて、パフォーマンスのすばらしい京都大学、東京大学はなぜ選ばれなかったんですか。
○あべ国務大臣 国際卓越研究大学の設定の審査に当たりましては、文部科学省に設置されました有識者会議におきまして、国際卓越研究大学法に基づく基本方針に基づきまして、まずは、国際的に卓越した研究成果を創出できる研究力、また、実効性が高く、意欲的な事業、財務戦略、自律と責任あるガバナンス体制といった三つの観点を総合的に審査したと承知しているところでございまして。
東北大学におきましては、有識者会議におきまして、研究者が独立して研究を行うことができる体制へ移行を図る明確な戦略があること、また、執行部が学内のリソースの再配分の必要性を強く認識をしながら、改革の理念を組織に浸透させていること、分野ごとの研究力強化策、人事戦略などの、この計画の具体化が図られていることから、認定、認可の水準を満たし得るものと、結論に至ったというふうに承知しておりまして。
また、選ばれなかった大学につきましては、それぞれ意欲的な提案が提出されましたが、東京大学においては、既存組織の改革に向けたスケール感、スピード感が必ずしも十分でなく、工程の具体化と学内調整の加速、具体化が求められること、京都大学におきましては、責任関係、指示命令系統の明確化に加えまして、実効的なガバナンスやマネジメントの実現が求められること、大阪大学に関しましては、研究力強化のための制度や環境を全学展開していく道筋が必ずしも明確ではなかったことが有識者会議から御指摘を受けているところでございまして、選定に至らなかったと承知しております。
○前原委員 もちろんこの官民イノベーションプログラムのパフォーマンスだけで判断をしていないということは分かっていますけれども、私ももう一度この大学ファンドの支援対象となる国際卓越研究大学の公募、選定について見てみたんですよね。
判断のところでいうと、世界最高水準の研究大学の実現に向けた変革への意思、ビジョンとコミットメントの提示、つまり、コミットメントの提示ということと同時に、要件として、先ほど大臣も御答弁をされましたけれども、実効性高く、意欲的な事業、財務戦略、こういうことも入っているわけですね。
つまりは、結果を残しているんですよ、京都大学とか東京大学は。政府から、二〇一四年から二十年間において、投資してみなさい、そして、これについてベンチャーを生み出してみなさいということで、実際にやってみて、そして結果を出しているんですよ。
結果を出しているところが選ばれなくて、この件について結果を出していないところが選ばれているというのは、事情がそれだけではないにしてもですよ、外形的に言うと、何だ、不公平だなというふうに思われるんじゃないですか。二百九十二億円を元手に二百三十二億円をプラス、生み出していて結果を出している京都大学、これは第二期にも、八校のうち、東大も京大も阪大も、また再度チャレンジされていますよ。
大臣が選ばれるわけではないけれども、有識者会議が選ばれるということは知っていますよ、知っていますけれども、これもちゃんと参考にして、そして実績をちゃんと判断しないと、外形的に、恣意的に選ばれていると。言葉だけ先ほどおっしゃったけれども、実績を残しているところ。
だから、一番初めに申し上げたじゃないですか。ベンチャーを大学で生み出すことが、これから日本の発展につながっていくということですよね。それが付加価値を生み、そして雇用を生み、そして地域を元気にするということをおっしゃったじゃないですか、先ほど。実績を残しているところが選ばれるべきだと思われませんか。
○あべ国務大臣 各大学が官民イノベーションプログラムについて、同計画に記載する場合におきましては、その取組も審査対象に含まれるところでございますが、審査におきましては、その基本方針に基づきまして、これまでの実績や蓄積のみだけで判断するのではなく、世界最高水準の研究大学の実現に向けまして、変革への意思とコミットメントの提示に基づき選定が進められるものと考えているところでございます。
○前原委員 変革への意思を持っているから、ベンチャーを育てて、ベンチャーが育っているんでしょう。
水かけ論になるからこれだけにしておきますけれども、是非、実績を残したところが割を食わないように、しっかりと大臣には、大臣が選ばれるわけではないけれども、こういった議論が文科委員会でもあったということは、是非有識者会議に伝えておいてください。いいですか、伝えておいてください。
じゃ、残りの時間で次の質問に行かせていただきたいというふうに思います。いつもこれは必ず申し上げていることなので、二つまとめて御答弁ください。
国際卓越研究大学は、数校ではなくて十校程度にすべきだ。これは、二〇一三年の第二次安倍政権の閣議決定された日本再興戦略の中に、東大、京大、タイムズ・ハイアー・エデュケーションの中で百位の中に二校しか入っていなかったのを、十年後には十校にするということが閣議決定で書かれているんですよ。ですから、十校にすべきだということと、三人以上の子供さんについては無償化になりましたけれども、厳格な要件を生徒や学校にも定めた上で、一人からの大学の無償化、これをしっかりやっていくということが大事だ。この二つについて御答弁をください。
○あべ国務大臣 一点目でございますが、国際卓越研究大学の採択校数でございます。
大学ファンドによります助成の対象となる国際卓越研究大学におきましては、総合科学技術・イノベーション会議におきましての議論を踏まえまして、世界最高水準の研究大学の実現を目指しまして集中的な支援を行うため、数校程度にすることとしているところでございまして、昨年、東北大学、国際卓越研究大学の第一号に認定いたしまして、現在、まさに委員のおっしゃる第二期の選定を進めているところでございまして、まずはこの取組を着実に進めていくことが重要だというふうに考えているところでございます。
二つ目の御質問のところでございますが、大学授業料の無償化の対象でございます。
大学の授業料など、高等教育費の無償化につきましては、低所得者世帯、多子世帯だけではなく、全ての世帯を支援するべきとの声は承知をしているところではございます。
政府といたしましては、まずは、本年三月末に成立した法律に基づきまして、多子世帯の学生向けに拡充した授業料等の無償化に関わる支援を着実に実行をさせていただき、その効果を見定めながら、更なる負担軽減と支援の拡充についても、論点を整理した上で十分に検討を行いつつ、取り組んでまいりたいというふうに思います。
○前原委員 この二つは、国際卓越研究大学を十校に、そして、一人から高等教育は無償化に、これはとにかくやっていかなければいけないことだと思っておりますので、是非、これは本当に超党派で、実現をするために、我々も、財源含めて、あるいはファンドの拡充含めて、取り組ませていただきたいというふうに思っております。
最後に、大学の授業料についてお話をさせていただきたいというふうに思っております。
皆様方にお配りをしております資料の三枚目、最後ですね、これをご覧いただきたいと思うわけでありますが、世界の大学の授業料ということで書かれております。無料のところもあるんですけれども、フランスとかドイツとかノルウェー、こういったところは国内、あるいは、ノルウェーに至っては海外の方も無料にしているということでありますけれども、大概、留学生の方が高い金額になっている、こういうことであります。
私は今、文科省が、国内の大学の授業料については、約五十四万円を二割程度まで上げることについては構わないという見解を示されているということと同時に、外国人に対しては青天井で上げていいですよ、こういうことをおっしゃっているということも存じ上げた上で申し上げておりますし、また、私自身が大学の自立性を高めるべきだということを申し上げているので、そういう矛盾をするようなことは言えないわけでありますけれども。
ただ、例えば、東京大学は授業料を上げますよね。授業料を上げる中で、東京大学の一部先生からは、日本人の授業料を上げるんだったら海外の留学生の授業料を上げて、日本人の授業料を上げるべきではない、こういった意見も私は具体的にいただいているんですね。
ですから、今後、日本の大学の授業料、東大に追随するなんということが出てくるかもしれないし、先ほど私が指摘しましたように、本来であれば、授業料あるいは国からのお金だけではなくて、自ら寄附を募り基金を組成し、そして、それを運営して、そして、それを大学の運営に充てていくという形の中で、子供からは負担をもらわない、減らしていくという方向が必要だと思いますが。
他方で、海外からの留学生はどんどん増えていますよね。そういう意味では、海外からの留学生については別料金、別料金という言い方はおかしいですけれども、しっかり取るべきは取ったらいいんじゃないかというようなことを私は大臣がおっしゃるべきではないかと思うんですが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○あべ国務大臣 我が国におきましても、外国人留学生の受入れの質の向上を図るための必要な対価の徴収といたしまして、授業料設定の柔軟化を図ることがまさに重要でございまして、昨年四月に制度改正を行いまして、国立大学における外国人留学生の授業料の上限額を撤廃したところでございます。
外国人留学生の受入れのための制度、体制整備、また支援には相当のコストがかかることなどから、文部科学省といたしましては、制度の趣旨の周知徹底を一層図りまして、また、留学生の授業料の適切な設定の推進に努めてまいりたいというふうに思います。
○前原委員 終わります。ありがとうございました。
○中村委員長 次に、日野紗里亜君。
○日野委員 国民民主党の日野紗里亜です。
質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。
早速、大臣に御質問させていただきたいと思います。
二〇二一年に医療的ケア児支援法が施行され、学校において、看護師などの専門職などの配置によって、常時医療的ケアが必要な子供たちが学校教育の場に参加できるようになったこと、これは大きな前進でございます。
しかしながら、その一方で、新たな壁が生まれたことを大臣、御存じでしょうか。今、学校現場における専門職の配置、これは医療的ケアの有無によって決まっています。したがいまして、例えば、医療的ケアのない肢体不自由児、そして、自分で動くことができる知的障害児、これらの子供たちは、介助ですとか、あと、見守りを要する場合であっても、看護師や作業療法士などの専門職の支援が届かないのが実情であります。医療的ケアの有無で支援体制に差があることが、障害児における新たな支援格差を生んでおります。
また、こうした現状によって、医療的ケアがあった方が手厚く支援を受けることができるといったことから、本来なら医療的ケアを卒業できる子供たちが、支援を受け続けるために経管栄養などをあえて継続し続けるのような選択肢を保護者がせざるを得ないような状況が続いております。これは、本来、医療的ケア児支援法が目指した全ての子供が安心して教育を受けることができる社会とは違った結果ではないでしょうか。
大臣、真のインクルーシブ教育とは、医療的ケアの有無によって支援に差がつくことではなく、子供一人一人に応じた適切な支援がなされることではないでしょうか。制度が新たな格差を生むことがないよう見直しを進めるお考えはあるか、それとも、これからも医療的ケアの有無によって線引きをするのか、大臣、明確な御答弁、お願いいたします。
○あべ国務大臣 文部科学省におきましては、この医療的ケア児支援法の趣旨を踏まえまして、学校においての医療的ケア児が安全、安心に医療的ケアを受けられる体制の整備をまさに進めているところでございます。
具体的には、医療的ケアを行う看護職員の配置に関しまして財政支援を行っているところでございまして、各学校においては、主治医が作成をした指示書の内容に従いまして、医療的ケア、看護職員が中心となって、医療行為である医療ケアを実施しているところでございます。
また、委員御指摘のこの医療的ケア児以外の障害のある児童生徒に対しましては、日常生活上の介助、学習支援等を行う特別支援教育支援員の配置、また、教師に助言等を行う作業療法士等の外部専門員の配置などの支援を行うための、これも財政的支援を行っているところではございます。
文科省としては、引き続き、障害のある児童生徒に対して、それぞれの障害の状況を踏まえました支援の充実にしっかりと努めてまいりたいというふうに思います。
○日野委員 今、大臣からしっかりと努めていきたいという力強いお言葉をいただきまして、大変感謝しております。なかなか、今、学校現場の実態はそうではないような現実があると思います。
また、今、非ケア児について私、質疑させていただきましたが、やはり医療的ケア児につきましても、安心、安全なケアが提供されているわけではない。また、例えば気管切開ですとか胃瘻ですとか、医療的ケアを受けているにもかかわらず障害者手帳を取得できない子供たち、福祉サービスのはざまに落ちています。先ほど佐々木議員の質疑にもありました片耳聴覚障害児ですとか、本当にケアを必要とする子供たちが、現行の制度のはざまで大きく支援を受けていない、必要な支援が届けられていない現状がありますので、ここについてしっかりと文部科学省として、他省庁との連携について再検討をいただくようお願いしたいと思います。
また、法律が先行する一方で、やはり、現場で頑張ってくださっている専門職の方々が役割と責任の曖昧さの中で奔走される、そういったケースも出ておりますので、しっかりここのガイドラインも併せて設定していただきたいなと思います。
是非、大臣も現場に足を運んでいただいて、現場を見ていただけましたら大変うれしく思います。
この件につきましては、引き続き質疑をさせていただきたいと思います。
続きまして、ちょっと時間の都合で走りぎみにはなるんですけれども、先日、給特法の修正案が衆議院を通過いたしまして、教員の働き方改革が一層求められる中で、部活動の地域展開の流れは今後ますます重要性を増してくると思います。
以前の質疑でも私は取り上げさせていただきましたが、我が愛知県尾張旭市では、民間企業の東邦ガス株式会社と連携し、部活動を地域で支える新たな仕組み、尾張旭モデルを構築し、実証実験に取り組まれています。
私は、先日その報告会に参加させていただきました。本当に、民間企業がここまで部活動の地域展開について協力してくださることに、改めて感銘を受けました。それと同時に、それほどの協力がなければ地域で部活動を成り立たせることがいかに困難かということを改めて痛感いたしました。
そして、何が困難かと申しますと、もちろん多く挙げられるのが指導者の確保ですね、受皿の問題でございます。これは非常に大きな課題なんですけれども、もう一つ大きな課題が見えてまいりました。それが、部活動運営の裏側を支えるバックオフィス業務、これの多さと煩雑さでございます。
具体的には、指導希望者の受付、面談、登録、活動日程や場所の調整、生徒や保護者からの出欠連絡、指導者の勤怠管理と引継ぎ、活動報告の作成と集計、報酬の支払いなど、実に多岐にわたります。こうした非常に多くの煩雑な業務は、部活動の地域展開が進めば進むほど比例して増えていくといった現実があります。そうなってくると、当然、この業務を誰が担うのかですとか、どの範囲まで責任を持ってやるのかといった疑問や不安の声が上がってまいります。この見落とされがちな実務の負担にしっかりと目を向けて、仕組みを整えていく必要性があると強く感じました。
そこで、以下の二点に絞ってお伺いさせていただきたいと思います。
まず一点目。こうしたバックオフィス、政府としては誰が担うことを想定されていますでしょうか。政府は運営団体と学校の連絡調整などにコーディネーターを設置することを推奨されていると思いますが、このコーディネーターの業務範囲はどこからどこまでで、どのぐらいの規模に何人配置する想定をされていますでしょうか。
二点目。こうした業務を担う予算措置は本当に現状の予算措置で十分だとお考えでしょうか。本気で部活動の地域展開を進めていくためには、追加の財政措置、これが必要だと思います。もしこれがないと受益者負担は免れないと思いますが、政府としての方針を、大臣、是非お答えください。
○あべ国務大臣 委員より部活動の地域展開につきましてのバックオフィスの担い手、コーディネーターの業務範囲、配置人数、また、国による制度の見直し、財政支援について御質問いただきました。
一点目のバックオフィスの担い手に関してでございますが、委員御指摘の様々な業務を含めまして、基本的に地域クラブ活動の運営団体の職員が担うことを想定しているところでございます。また、コーディネーターに関してでございますが、指導者、活動場所の確保、また、関係団体との調整等の業務を担うことを想定しているところでございますが、その具体的な業務範囲、人数については、地域クラブ活動の規模、また、地域の実情等を踏まえまして、地方公共団体においてお決めになるものというふうに私ども考えております。
また、国による制度の見直し、財政支援に関しての御質問でございますが、まずは国が地域クラブ活動の要件等を定めまして、また地方公共団体が認定する仕組みを整備していく必要があるというふうに私ども考えているところでございまして、その上で、財政支援につきましては、令和七年度までは実証事業によりまして支援を行っているところでございますが、令和八年度以降に関しましては、地方公共団体による取組の見通しに関する調査を行わせていただきながら、本委員会の審議を踏まえまして、衆議院で修正されました給特法改正案の附則第三条の規定を踏まえまして適切に対応してまいりたいというふうに思います。
○日野委員 どうでしょう、受益者負担については国の方針としてはいかがでしょうか。そちらの部分、お答えいただけますと幸いです。
○寺門政府参考人 補足の御答弁をさせていただきます。
負担の在り方につきましては、文科省が設置しております有識者会議の最終取りまとめにおきまして、負担のバランスを考えて制度設計をするようにというような趣旨の提言をいただいてございますので、今大臣からも御答弁申し上げました基本的なラインに沿いまして、適切な負担の在り方については、各地方公共団体に対して今調査を行ってございますので、そうしたことも踏まえながら適切に今後検討してまいりたいと考えているところでございます。
○日野委員 私が先日参加させていただいたその報告会、本当に県内外から多くの行政関係者の皆様が集まっておられました。そこで見えてきましたのが、やはり部活動の地域展開に関する関心の高さ、そして課題の多さだと思っております。
こうした状況の中で、部活動の地域展開が属人的また地域依存的な形になってしまえば、依存が困難になってしまったり、自治体間で格差が生じてくるかと思います。
そうした事態を防ぐためにも、政府には、是非、尾張旭モデルのような先進的事例の積極的な周知、そして、以前もアスリート雇用なんという提案をさせていただきましたが、民間企業が参画しやすくなるような環境整備、そして十分な予算措置、この三点、是非ともお願いさせていただきたいと思います。
お時間がないんですけれども、三点目の質疑に入らせていただきたいと思います。
本日、波多野議員の質疑にもありましたが、小中のエアコン設置についてありました。県立の高校についても悲痛な声が上がっております。
県立高校の空調設備については、普通教室にはやはり整備されている一方で、体育館やそういったところには設置されていない、又は、設置されていても実際には使用できないといった学校が少なくないそうです。そして、設置はされていても、運転に係る電気代などランニングコストを賄う予算が確保されていないので、結果としてエアコンがただのインテリアになってしまっている。また、大体設置から十年ほどで電化製品は故障してしまいますので、修理費、修繕費が予算計上されていないため、故障しても手がつけられず、そのまま放置されているといったケースも伺っております。
このような状況の中で、特に近年、夏場は大変暑くなってまいります。熱中症のリスクもありますので、そういったものを考慮して、体育の授業が座学になっている、こんな状態もあるそうなんです。これは異常事態だと思います。まさに、命と教育の両面に関わる重大な問題だと思っております。
この空調設備の整備とか維持に関する予算というのは、地方自治体の一般財源の中でやりくりをされていると思いますが、やはり教育施設における空調費用につきましては、今述べさせていただいた理由から、別建てで予算措置を行っていく必要性があると思いますが、こちらに含めて、大臣の御見解をお願いいたします。
○あべ国務大臣 空調の整備を含めました公立高校の施設設備、また維持管理、基本的に設置者である地方公共団体の一般財源と地方債の発行などで実施されているところでございまして、国と地方の役割分担を踏まえる必要があるというふうに私どもは考えているところでございますが、その上で、高校の空調の設備を含めまして、公立学校の施設の防災機能強化、着実に進める必要がございまして、まずは、文科省で、事例集の作成、公表を通じまして、高校を含む公立学校施設の防災機能の強化、特に学校が防災の場所になることも含めた上で考えているところでございまして、また、指定避難所となる場合における公立学校の施設におきましては、特に空調設備、実施する場合は、地方財政措置が講じられているというふうに私ども承知しているところでございます。
文部科学省としては、引き続き、事例集の周知、また、地方財政措置の紹介などを通じまして、高校を含めた公立学校施設の防災機能強化を含めて、推進してまいりたいというふうに思っております。
○日野委員 国と地方の役割分担があるかと思いますが、実際問題、やはり子供たちが体育の授業ができないといったのが現実ですので、是非よろしくお願いします。
以上で質疑を終わります。ありがとうございます。
○中村委員長 次に、西岡義高君。
○西岡(義)委員 国民民主党の西岡義高でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、日本の伝統工芸品、伝統美術品に関しての質疑をしたいと思います。
私は、日本人としての誇りであったり大和心というものをしっかり守っていくためにも、古くから伝わる伝統工芸品であったり美術品、そして建造物など、形あるものをしっかりと守り、これから先の世代に受け継いでいくこと、これが非常に大切なことだと考えております。
そのためには、学校教育の中で伝統工芸品に触れ合うような時間を取り入れたりすることなどをして、しっかりと後継者をつくって技術を承継していく、このことは当然重要なことなのではありますが、何よりも、現代の作家さん、職人さんがこれをもってしっかりと生計を立てていける、豊かになれることが何よりも重要なことだと考えております。
伝統工芸品などの作家さん、職人さんが生計を立てていく、稼ぎを上げていくためには、インバウンド需要、輸出ということも、これからはとても重要なポイントになると考えております。
例えば、日本刀、現代においても刀鍛冶の技術というのは続いておりまして、新作刀も多く作られております。その新作刀は、海外では美術品としての価値が非常に高まっているという現状もございます。
こういった伝統工芸品、美術品、政府として、これからインバウンド需要としっかり結びつけていくために支援、情報発信をしていただきたいんですけれども、現状の支援策、情報発信策と、これからの、どういう策を施していくのか、教えていただければと思います。
○長崎政府参考人 お答え申し上げます。
日本の各地域で育まれてきた伝統工芸や伝統美術は、古来より大切に受け継がれてきた我が国の宝でございまして、訪日外国人旅行者からの関心も高く、更なる誘客、消費の拡大に向けて重要な観光資源である、こう認識しております。
このような観点から、観光庁におきましては、地域の工房を訪れ、職人の手仕事を直接体験していただき、伝統工芸品の購入につなげるような体験型旅行商品、これの造成への支援でございますとか、日本政府観光局、JNTOでございますが、このウェブサイトを通じ、伝統工芸品等の日本の文化に関する情報発信を実施しているところでございます。
観光庁といたしましては、伝統工芸品や伝統美術品の魅力をより広く世界の方々に感じていただけるよう、取組支援を行っていきたいと考えております。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
訪日客に日本の伝統工芸品、美術品、そのよさに直接触れ合って知ってもらうこと、このことが、職人さんがしっかりと稼げるようになるためには必要なことだと思いますし、さらに、地方への誘客、地方活性にもつながっていくと思いますので、より一層の支援をお願いしたいと思います。
伝統工芸品や美術品の中でも歴史的な価値があるものは国宝、重要文化財、こういったものに指定されるものがございます。
国宝や重要文化財は、文化財保護法で海外への持ち出しが禁止されております。しかしながら、日本刀や陶器、掛け軸、仏像、これら古美術品と新作の区別がつきづらいもの、こういったものは通関の現場での見極め等の対応が難しい面があるかと思います。
現状における伝統工芸品や美術品の海外持ち出しの通関手続、この点はどのようになっているのか、お聞かせください。
○中澤政府参考人 お答えいたします。
我が国から外国に向けて貨物を輸出する際には、税関に輸出申告を行い、税関による必要な審査、検査を受けた後に輸出の許可を受けることとなります。その中でも、委員御指摘の伝統工芸品の輸出につきましては、重要文化財等に該当する場合と該当しない場合で手続が異なるところでございます。
まず、輸出貨物が重要文化財及び重要美術品であるときは、文化財保護法に基づき、その輸出に際して文化庁長官の輸出の許可が必要とされております。税関においては、当該許可を受けている旨の証明がなされない場合には、重要文化財等の輸出の許可を行わないということとしておるところでございます。
一方、重要文化財等に該当しない伝統工芸品につきましては、輸出に際して文化庁長官の許可は不要であり、税関での審査においては、必要に応じて文化庁が発行する古美術品輸出鑑査証明書の提出を求め、重要文化財等に該当しない旨の確認を行うこととしております。
今後とも、文化庁等の関係省庁と連携して、必要な審査、検査を行うとともに、適正かつ迅速な通関の確保に努めてまいりたいと思います。
以上でございます。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
今挙がりました古美術輸出鑑査証明についてなんですけれども、例えば、日本刀でしたら、現物を見て新品か文化財であるかどうかを確認するためには、つかの部分を外して銘を確認しなければならない等、結構な手間がかかるということで、明らかな新品の場合であっても、通関で止められないように、念のため古美術輸出鑑査証明を取得するということを聞いております。
この古美術輸出鑑査証明、取得に時間もかかりますし、明らかな新品であってもわざわざ申請しなければいけないということが職人さん等々の現場の手間にもなっているということを聞いております。
この古美術輸出鑑査証明、現状の申請の状況、インバウンド等々の伸びもあるかと思いますけれども、現状の審査状況と審査体制についてお聞かせいただければと思います。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘いただいておりましたように、重要文化財に指定されているものには原則として海外輸出が禁止されてございます。このような仕組みの中で、文化庁では、申請に応じ、当該美術工芸品が国宝や重要文化財への指定等がなされていない、なされているものではないことの証明として、古美術品輸出鑑査証明を発行してございます。
この古美術品輸出鑑査証明の年間の発行件数でございますが、平成二十八年度には約三千四百件であったところ、直近の令和六年度では約九千二百件と大幅に上昇いたしてございまして、文化庁としても、対応する職員の増員等を行うことによって、記載の不備等による差戻し等が不要な申請については、可能な限り申請から十営業日程度で証明を発行できるように取り組んでいるところでございます。
具体的には、令和六年八月には、この専従の職員の数を三名にいたしました。また、より円滑な申請に資するように様式等の全面的な見直しを行ったところでございます。これによりまして、令和六年度第二・四半期には発行件数は二千百八十件、平均日数は十六・六日でございますが、第三・四半期には発行件数は二千三百九十一件、平均日数は十一・八日となってございます。
もとより申請数により平均日数が変動することが見込まれますが、引き続き、輸出に必要な、可能な美術工芸品ができるだけ円滑に海外に輸出されるよう、文化庁としても、関係省庁と連携しながら必要な取組をしっかり進めてまいりたいと存じております。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
インバウンドの高まりによって申請数も大きく増えているということでございますね。このペースでいけば、今後更にリードタイムも延びることが予想されます。そのことがインバウンド需要の足を引っ張るようなことがないように、しっかり体制を整えていただきたいと思います。
反面、先日、韓国人窃盗団によって盗まれた対馬の重要文化財の仏像がようやく帰ってきたという報道がありました。韓国に持ち出された際は、重要文化財ではないと偽って持ち出されてしまったわけですけれども、このように、国宝や重要文化財が不当に海外に持ち出されるのは当然しっかりと防ぎながらも、同時に、効率的に商品、製品、伝統工芸品を海外に出荷することも進めていっていただかなければならないと思います。
そのために、引き続き関係省庁がしっかり連携を取っていただくことは当然ながら、税関職員の方に目利きの力を高める研修であったりですとか、先ほど増員もされているということなんですけれども、文化庁の証明書発行の担当の方を補強するなど、伝統文化をしっかりと守っていくためにも、政府には予算措置を引き続き検討していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○中村委員長 次に、浮島智子君。
○浮島委員 公明党の浮島智子です。
本日は、コンテンツ振興についてお伺いをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
昨年、角川の大映スタジオの稲葉尚人さん、そしてTOHOスタジオの片平大輔さん、映画プロデューサーの石塚紘太さんが私のところに来てくださいました。この方々は、「東京リベンジャーズ」、「シン・ゴジラ」、「ラジエーションハウス」などの数々のヒット作を生み出して、日本の映画界をリードされている方々でございます。
このプロデューサーの皆さんが要望された内容は、映画界の人材育成、そして制作支援、そしてロケーションの誘致ということでした。日本では、映画に係る人材育成のプロセスや人材としての力量のレベルを可視化などされていない、また、人材育成を担う中核的な高等教育機関がない、そして、それがとても大きなネックになっていると。
また、若い才能が思い切って映画制作を行うためには公的な後押しも欠かせない。
ロケ誘致では、映画やテレビドラマ、CM撮影を特定の地域に誘致することを指しておりまして、地域経済の振興や観光の活性化、映像の産業の発展などの効果が期待できるところであります。交通規制や消防規制といった規制の緩和、ロケ誘致支援、外国映画を含む誘致のプロモーションなど、様々な行政分野が関わってくるところでもあります。
政府としても、是枝裕和監督や山崎貴監督、俳優の大沢たかおさんにも御参加いただいて、昨年の九月にコンテンツ産業官民協議会を設置して、本年の四月十日には是枝監督や山崎監督、大沢さんらが石破総理に対話をしたり、同月の十六日には協議会の下に置かれる映画戦略企画委員会も開催されたりするなど、体制の強化、また施策の展開が今進められているということを私は承知をいたしております。
そこで、まず文化庁にお伺いしたいんですけれども、二〇二三年度の補正予算で創設したクリエーター支援基金などにおいて、映画に関する人材育成、制作支援についてどのように取り組んでいくか、教えてください。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の映画を含むコンテンツ振興につきましては、一昨年度、令和五年度の補正予算におきまして、お話を賜りましたように、五年間で百億円規模のクリエーター支援基金を創設をいたしました。この基金を活用し、国際的な活躍が見込まれる卓越した才能を持つ若手クリエーターやプロデューサーなど、五百名以上が既に世界に向けて活動を始めているところでございます。
また、昨年九月にコンテンツ産業官民協議会を設置し、政府全体でコンテンツ支援に取り組んでいるところでございます。
これを受けまして、昨年度の補正予算では、経済産業省とも連携をいたしまして、この基金を更に約二百億円拡充をいたしまして、大学や専門学校等にコンテンツ分野でグローバルに活躍する高度専門人材の育成に本気で取り組んでいただくよう、学科、コース等の創設を強力に後押しすることとしてございます。また、質、量共に不足するクリエーター、技術職、スタッフなどの中核的専門人材の育成、確保にも努めてまいりたいと考えているところでございます。
これらのクリエーター支援基金による施策の前提として、毎年度の予算では、卓越したクリエーターを生み出す土壌を豊かにするため、基金による支援につながる若手映画監督やスタッフに制作の機会を提供するなど、創作環境の整備等に取り組んでいるところでございます。
これら単年度の仕組みと、三年から五年にわたって支援できる基金の仕組みの組合せによって、人材育成や制作支援にしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
○浮島委員 しっかりと現場とも連携を取って進めていただきたいとお願いをさせていただきます。
次に、経産省にお伺いをさせていただきたいと思います。
経産省は、映画の制作支援、またロケ誘致の支援を行っておりますけれども、この映画の制作支援が単年度では、企画段階から実際の撮影まで行うのに二年以上かけて準備が進んでおることに関しまして、キャスティングなどの時期がずれた場合、また支援を受けられる機会を逃してしまうことも少なくないと。そして、企画段階の構想は変更されることがとても多いということもあります。なので、単年度事業では対象時期に合わせるのが最も難しいということで、さらに、ロケ誘致の事業については、現場の方々からは、海外の映画会社が外国で映画制作を行う場合、単年度の支援では時間的に合わない場合がある、また、インバウンドの効果も高い外国の映画のロケ誘致のせっかくの機会を逃してしまうことも多々あるとお聞きいたしました。
したがって、経産省においては、映画の制作支援に加えて、ロケ誘致についても複数年度にわたる支援を行うことが必要であると思います。これは前からも訴えさせていただいておりました。また、現状と今後の方向性について教えていただければと思います。
○江澤政府参考人 お答え申し上げます。
映像作品の制作支援とロケ誘致支援についての複数年度対応について御質問いただきました。
経済産業省では、映像作品の国際競争力や制作会社の収益基盤の強化を促進する取組として、映像作品の制作支援を実施しております。
当該制度は、今年度から、クリエーター支援基金でございますけれども、基金化しまして、複数年度の支援が可能となったところでございます。
また、もう一方の海外作品のロケ誘致支援については、二〇二三年度から単年度の予算事業として、国内映像産業の高度化や地域振興、インバウンドの増加等を目的として実施しています。既に誘致の実績も出てきているところでございます。
一方で、このロケ誘致支援については、誘致に積極的な諸外国と比較すると日本のインセンティブの規模は十分ではないという指摘もいただいています。委員御指摘のとおり、複数年度申請など、支援期間についても海外の制作会社等から柔軟な対応を求められているといった状況があると承知しております。
ロケ誘致は、映像産業だけじゃなく、地域の活性化、高い経済波及効果が見込まれることから、大型の海外の作品の誘致の実現を目指し、適切な支援の在り方を前向きに検討してまいりたいと考えております。
○浮島委員 今、御答弁の中で、適切な支援を前向きにということで、力強い御答弁、ありがとうございます。
であれば、今訴えさせていただいた単年度から複数年度という、これを訴えさせていただいてたしか二年になったと思いますけれども、二年では企画段階から撮影段階までということは極めて短過ぎるという現場の声もありますので、最低でも三年から五年は必要だという声を伺っておりますので、適切な支援ということで、どうかそこのところもしっかりと考えていただきたいと再度要望させていただきたいと思います。
また、二〇二〇年の八月に、映像作品のロケ撮影に関わる環境改善に向けて、内閣府を中心に関係府省庁が連携をして、ロケの撮影の円滑な実施のためのガイドラインというのが公表されました。しかし、現場からは、いまだに道路、公園、河川での撮影の許可に大変な時間がかかり、結果、日本での撮影を断念し、海外で仕方なく撮影したということも伺っております。
これらの改善を求める要望や地方の観光インバウンドの効果、これを想定したロケ誘致を進めるために、本年の三月に、内閣府において、映画制作の現場の皆さんの指摘を踏まえ、道路での撮影などの好事例、また、国交省、警察庁などの相談窓口の記載等の改善を行った「ロケ撮影ハンドブック ロケ撮影・誘致の拡大に向けて関係者が知っておくべきこと」というのを取りまとめられました。
現場の方々にとって分かりやすいハンドブックをまとめたということで現場からは評価をしていただいているところでありますけれども、記載されているような申請窓口の紹介はあったとしても、国土交通省、警察庁など国の部署、また自治体など撮影許可に関する担当部署は複雑に分かれていて、一件の撮影についても複数の窓口に相談をする必要があり、今後本当にうまく機能するかどうかという現場のたくさんの懸念の声を伺っているのが状況であります。
そこで内閣府にお伺いしたいと思いますけれども、このハンドブックを踏まえまして、国土交通省、警察庁などと連携して、窓口の相談対応、迅速な許可が円滑に行われるよう、ハンドブックの周知徹底、これをしっかり図る必要があると考えます。具体的な取組についてお答えをいただきたいと思います。
○守山政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のロケ撮影ハンドブックは、本年三月に、日本国内における実写映画等のロケ撮影について、相談窓口の明確化や許認可手続の円滑化を図ることなどを目的として、令和二年策定のガイドラインを改定したものです。
改定に当たっては、フィルムコミッション、製作者団体、関係省庁等が参加するロケ撮影の環境改善に関する実務者懇談会において、許認可に係る予見可能性を高める観点からの議論を行い、内閣府として、改定時に懇談会の各構成員に対し、その内容についての周知を依頼したところでございます。
構成員において関係者や関係部局に周知を進めているところであり、例えば、国土交通省においては、出先機関や関係事業者等に周知を進めています。警察庁においては、各都道府県警に対する本ハンドブックの周知に向けた取組を進めております。内閣府としては、全国約百四十のフィルムコミッションの担当者に対して周知を行うとともに、本ハンドブックのポイントをまとめた簡易なパンフレットを日英二か国語で作成し、国内外の関係者に対して発信することも予定しております。
引き続き、関係者と連携し、周知徹底を図ってまいりたいと考えています。
○浮島委員 ハンドブックの周知徹底とともにお願いをさせていただきたいのが、撮影に特化した専門の窓口をつくるとか、あるいは、一つの窓口からそれぞれに関連する部署にしっかりと情報共有ができるようにしていただきたいと思いますので、これもしっかりと考えていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。
伺うところによると、撮影に必要となる道路、そして公園、河川の撮影許可、特に公園許可については、なおハードルがすごく高いということも、お声をお伺いしておるところでございます。
ロサンゼルスでは、道路や車線の封鎖、閉じてしまうとか、駐車禁止の標識を必要とせずに、午前七時から午後十時までの撮影時間帯であれば、制作会社が市に保険を適切に申請していれば、二十四時間以内に許可が発行される可能性があると承知しています。
また、シンガポールでは、誘致作品に対し、政府観光局から特別許可というのを付与して、国内で撮影を円滑にするように働きかけているということも聞いているところでございます。
そこで、国土交通省と警察庁にお伺いをさせていただきたいんですけれども、今年の三月のハンドブックを踏まえて、また諸外国のロケ誘致政策も参考にしながら、道路、公園、河川の撮影許可や公園許可について、映画作成側や、文化庁、経産省、内閣府と連携を図り、円滑で迅速な許可を行うべきと思いますけれども、現状と今後の方向性についてお伺いをさせていただきたいと思います。
○大野政府参考人 お答え申し上げます。
ロケ撮影の誘致につきましては、雇用創出等を通じた経済効果や、地域振興、日本の魅力の世界への発信を通じたインバウンドの促進等の観点から、非常に重要な取組であると認識しております。
国土交通省におきましては、現在のロケ撮影ハンドブックの前身であります令和二年のガイドラインの策定時より、地方支分部局や地方自治体等のいわゆる許認可現場に対しまして、この考え方や、それを踏まえた許認可権者に求められる事項の周知、対応の円滑化の要請等を行っているところでございます。
これを受けまして、許認可現場におきましては、申請者に対する適切な助言や許認可基準の情報提供など、許認可手続のハードルが低くなるよう、申請者の立場に立った丁寧な対応に努めるとともに、手続の迅速化や申請者の負担軽減に資する取組として、申請手続の電子化なども進めているところでございます。
さらに、この三月に策定されたハンドブックの周知に合わせまして、許認可の予見可能性を高めるとともに、更なる手続の円滑化、迅速化に資するよう、これまでに得られた先行事例を許認可現場に周知することにしております。
引き続き、関係省庁等と連携し、ロケ撮影の円滑な実施に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○早川政府参考人 お答えいたします。
ロケ撮影が道路で行われる場合、警察におきましては、道路交通の安全と円滑を図る観点から、道路使用許可を行っているところでございます。これまでも、ロケ撮影ハンドブックの事例集に記載されておりますとおり、渋谷スクランブル交差点など撮影需要の高いロケーションにつきまして、関係者と密接に協議し、道路使用許可を行っている事例がございます。
道路使用許可に当たりましては、ロケ撮影の実施場所や時間、形態などにより、一般の交通への影響となる程度も千差万別である上、地域住民の方々、また道路利用者の方々との合意形成の状況も必ずしも一様ではないことから、円滑なロケ撮影の実施のためには、関係者と密接な意見交換を行うことが重要であると考えております。
また、事前の相談に当たりましては、必要に応じ、具体的な日時や場所の代替案を提示するなど、ロケ撮影を実現するための助言に努めているところでございます。
改定されたハンドブックも踏まえまして、関係機関、団体と連携し、円滑で迅速な許可に向け、引き続き取組を進めてまいりたいと考えております。
○浮島委員 ありがとうございます。
日本は撮影がしづらい、許可が下りないということで、もはや世界で周知の事実になろうと残念ながらしているところでもございます。今から制度を変えるというのは時間がかかるだろうし、難しい面も、慎重にやっていかなければならない面もあると思いますけれども、せめて、こちらで誘致した海外の作品に対しては特別な許可を付与する形にしていただきたいということを強く要望させていただきたいと思います。
また、次に、映画以外のコンテンツの分野で、特に舞台芸術について、私は、本年の四月の三日の地こデジの特別委員会で、カーテンコールに並べない子供たちについて質問をさせていただきました。
これは、現状の理解では、特に十五歳未満の子役は、二〇〇五年以降、厚生労働大臣の措置で午後九時までの出演が可能となり、運用がなされています。
劇団四季では、二五年の三月時点で、子役を起用する演目は「ライオンキング」と「アナと雪の女王」、この二つですけれども、「ライオンキング」は上演時間が二時間四十分、「アナ雪」は二時間二十五分、ソワレは、「ライオンキング」が平日午後六時半、土曜日五時半、「アナ雪」は平日六時、土曜日は五時となっています。
したがって、「ライオンキング」の場合は、平日のソワレの終演が、終わるのが九時十分となります。十分過ぎているために、子供たちはカーテンコールに出て御挨拶をさせていただくことができません。
私も何度も行かせていただいて、袖で見ているときは、子供たちは、やはり、私もプリマバレリーナとして世界で踊らせていただいているときもそうでしたけれども、子供たちも大変いろいろな苦しみを乗り越えて舞台に出ます。舞台に出て最後にお客様から拍手をいただいたときに、その苦労というのが全部消えて、また次頑張ろうという気持ちにもなります。子供たちもそうなんです。でも、十分間、たかが十分間過ぎているからということで、袖でお客様の方を向いて、真っ暗な中で涙を流しながらおじぎをしている姿を何度も見ました。私は、この十分間というのが、子供たちにとって、拍手をいただくことがどれだけ子供たちの力になるかということで、地こデジ特別委員会で質問させていただきました。
そこで、三原こども担当大臣からは、こうしたお子さんにとってカーテンコールの意味、特に経験をした者なら分かるものかもしれませんが、本当に大変な名誉であり、御褒美のようなものであり、カーテンコールに出ることができるようにすることは、子供の意見を一番に尊重する私どもの立場からすると、これはまた深く考えなければならないので、しっかりと考えるという答弁をいただきました。また、労働基準法担当の鰐淵厚生副大臣からは、様々な御意見がありますので、それを踏まえた上でしっかりと検討させていただきたいという御答弁もいただきました。
そこで、まず文化庁にお伺いさせていただきますけれども、文化庁として、子役がカーテンコールに出ることができないと今なっておりますけれども、この鰐淵副大臣の答弁のとおり、厚労省においてもこの問題について検討しているということでありますけれども、文化庁としっかりと連携をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○合田政府参考人 手短にお答え申し上げます。
先生御指摘のことは私どもしっかり受け止めまして、文化庁として、厚生労働省の検討状況を伺いながら、子役の創造活動をよりよいものにする観点から、同省とよく連携をし、取り組んでまいりたいと考えてございます。
○浮島委員 鰐淵厚生労働副大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、四月の三日に私が質問させていただいたときに、検討する、検討させていただきたいという御答弁をいただきましたけれども、それ以降の検討状況について教えてください。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
先日の委員会で浮島委員から御指摘をいただきました。それを踏まえまして、私の方からは、関係者の御意見、様々ございますので、どのような対応ができるか、その可否も含めて検討してまいりたいと答弁をさせていただいたところでございます。
その後、厚生労働省としましては、まずは、演劇で演技を行う児童の実態や課題を把握するために、様々な立場の関係者の方々から御意見を伺うなどの対応を進めていきたいと考えておりまして、その準備を現在進めているところでございます。
○浮島委員 もう約二か月がたちますので、準備段階ではなくて、しっかりと現場のお声を聞いて進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
最後ですけれども、一つだけ確認をさせてください。スクールガードリーダーについてです。私の地元の西成区でも、千本小学校通学路で起きてはならない事件が起きてしまいました。また、立川の学校には人が入り込むなどの事件がありましたけれども、現場が誤解をしております。スクールガードリーダーは通学路だけは守れるけれども、学校の校内には入れなかったんだ、入れないんだというお声もいただきました。それは事実なのかどうか確認をさせてください。
○茂里政府参考人 お答え申し上げます。
文科省といたしましては、スクールガードリーダーにつきまして、その配置を支援しているところでございますが、その際、学校内での活動につきまして特段の制限は行ってはございません。スクールガードリーダーが学校内も含めて定期的に巡回を行い、学校に対して安全上の指導等を行っていただくことは非常に有益だと考えております。
御指摘いただきました点も踏まえて、各教育委員会や学校において理解を深めていただくよう、文科省としてもしっかり工夫をして周知をしてまいりたいと思います。
○浮島委員 子供たちを守るために、是非周知をよろしくお願いいたします。
これで質問を終わります。ありがとうございました。
○中村委員長 次に、大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
公立学校の先生のお給料と労働時間について伺います。
まず、厚労省に伺います。公立学校の先生にも適用されている労働基準法三十二条が労働時間の上限を設けている趣旨は何ですか。
○尾田政府参考人 お答えいたします。
労働時間は、賃金と並んで最も代表的な労働条件であり、国際的にも長年における歴史の中で労働時間の短縮が図られ、一日八時間、週四十時間が到達すべき社会的基準とされてまいりました。
我が国の労働基準法は、労働者の労働条件が人たるに値する生活を営むための必要を満たすものとなるよう、その最低基準を定めるものでございまして、第三十二条に定める週四十時間、一日八時間の労働時間につきましても、原則として全ての労働関係の当事者に遵守されるべき最低基準として規定されているものでございます。
○大石委員 今の、人たるに値する生活を営むという、この文言を学校の先生に聞かせたいですよ。この五月十五日にこの衆議院で通過してしまいました給特法の改正、これは、公立学校の先生から、先ほどおっしゃられた人たるに値する生活、これを営む権利を引き続き五年以上奪うものだ。そういうものを皆さんで賛成してしまったんです。れいわ新選組と日本共産党を除き、衆議院で賛成されて通過してしまい、今、参議院で審議がされています。
時間外在校等時間というのが、この給特法の改正というもので、月平均で三十時間やっていいんだということが容認されてしまう。しかし、この時間外在校等時間というのは、何度も言いましたけれども、ただ働きの労基法違反です。ですから、これはもう速やかに、当然許せるものではないので、速やかに抜本的に、国が一兆円レベルの国費を措置して、抜本的に教員を増やさなければいけないんです。
そして同時に、給特法の改正の議論で、給特法をまともに変えなければいけないんですよ。この不払い残業、ただ働きを解消するために、簡単なことだったんです、給特法の三条二項と、あと五条を変えて、労基法を守って残業代を払うことですね。このゴールは明快であったのにもかかわらず、違うことをやって、それが単に国の予算をけちるためであった。これは絶対に許されることではありません。
今後、先生が学校で子供たちの目の前で倒れる、亡くなる、このような過労死が今後も続くということです。これは生徒たちにとって、それが目の前で起きたら生徒たちはどう思うでしょうか。トラウマになりますよ。
そして、これは公立学校の先生のためだけに言っているのではありません。このようなただ働きを許す、文科省が許し、そして立法府、国会がそれを容認してしまう、賛成するということは、これは公立学校の先生だけではなくて、民間労働者や経営者にも大きな影響があります。
こうやって、ただ働き、労働基準法、先ほど三十二条の趣旨を読み上げられましたが、八時間以内労働を守らなくていいんだ、守らぬでええやろという、そういう日本社会の風土を更に固定化してしまうということは、これは民間の労働者、そして経営者にも影響があります。
どこでも当たり前にサービス残業、不払い労働をやっているというこの日本社会において、たった一社だけが、うちは三十二条、守ります。まあ、そういうところもあるでしょうけれども、それができるのは非常に特殊な条件が重なった一部の企業ですよね。そうすると、自分がどんなにホワイトな、三十二条はせめて守りたいとしたとしても、他の製品と競争しているわけですから、商品だったり、サービスだったり、そういうものが通常の場合、負けてしまうわけですね。
ですから、みんなで規制を、労働者が人たる、人に値する生活をするための最低限の規制というのを、まず全体が、みんなが規制を守って、そこで維持される商品やサービスの価格というものをちゃんと国が責任を持っていかなければいけないんです。それを、こうやって官製のただ働きを固定化させるということをこの機にやってしまったということは絶対に許せないし、あらゆる手を尽くして変えていかなければなりません。
さて、厚労省に引き続き伺います。これは文科省にも次に聞きますので、あべ大臣、よく聞いておいてください。
参議院でも今給特法が審議されているので、それについて伺いますが、厚労省、問い四です。この五月二十二日に参議院の文科委員会において、吉良よし子委員が厚労省に対して質問を行ったんですけれども、それを今から一言一句たがわず同じ質問をいたしますので、一語一句たがわず同じ答弁をしてください。
伺います。
厚労省に確認したいと思うんですけど、労働基準法の労働時間についてです。文科大臣は、超勤四項目以外は職務命令がないから労働時間じゃないということを言っていると思うんですけれども、この労働基準法上の労働時間というのは、明示的な指示がなくても黙示的な指示があれば労働時間に該当するということでよろしいかということ、そして、その労働基準法上の労働時間の考えというのは、基本的には公立学校の教員にも適用されるということでよろしいか、お答えください。
○尾田政府参考人 お答えいたします。
労働基準法における労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであり、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは個別具体的に判断されるものでございます。
すなわち、たとえ明示的な指示がなくとも、客観的に見て黙示的な指示に基づき業務を行ったものと判断されれば、労働基準法における労働時間に該当するものと評価されることとなります。
労働基準法における労働時間は、公立学校の教育職員も含め、労働基準法が適用される労働者には基本的に同じ考え方で適用されるものと考えております。
○大石委員 問い六で、文科大臣、あべ大臣に伺いますね。
先ほどの私の質問、それから厚労省の答弁がありました。厚労省の答弁、文科大臣も同じ見解ですか。同じか同じじゃないかでお答えください。
○あべ国務大臣 労働基準法上でございますが、所定の勤務時間外に業務を行う時間が労働時間に当たるかについては、指揮命令下に置かれているかどうかで判断されると認識しているところでございます。
その上で、給特法におきましては、公立学校の教師に対して、時間外勤務命令では、いわゆる超勤四項目以外の業務について出せない仕組みとなっておりまして、所定の勤務時間外に、時間外勤務命令によらず、教師がいわゆる超勤四項目以外の業務を行う時間は労働基準法の労働時間とは言えないものと考えます。
○大石委員 あべ文科大臣、私の質問は、先ほどの厚労省の答弁とあべ大臣は同じ見解かと聞いたんです。
じゃ、もう一度聞きますけれども、違う見解なんですか、今お答えしたのは。
○あべ国務大臣 厚生労働省のガイドラインにございますが、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無から、個別具体的に判断されるものであると認識しているところでございます。
○大石委員 ちゃんと答えてほしいんですね。
先ほどの厚労省の答弁と、今あべ大臣がおっしゃったことは同じか違うかは、ちょっと分からないんです。
私が聞いているのは、先ほど厚労省が言った答弁と文科省は見解が違うことがあるんですかと聞いているんです。同じですよね。同じですよねと聞いているので、同じなのか同じじゃないのか、それでお答えください。
○あべ国務大臣 繰り返しになりますが、私どもは、労働基準法適用に当たっての考え方を否定するものではございませんが、客観的に見て、厚生労働省のガイドラインにあるとおり、使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうか、これは、労働者の行為が使用者から義務づけられて、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無から、個別具体的に判断されるものと認識しておりまして、労働基準法適用に当たっての考え方を否定するわけではありません。
○大石委員 だから、見解が同じなのかどうか聞いているんですよ。今あなたがおっしゃったことはどっちでもいいですけれども、聞いていないことだから、違います。
答えるのは、厚労省の先ほど私に答弁したことと、あべ文科大臣の見解は、同じなのか違うのか。それ以外は答えないでください。委員長、それ以外は答えないように指示してください。差配してください。
○中村委員長 あべ文部科学大臣、的確な答弁をお願いします。
○あべ国務大臣 労働基準法の適用の考え方を否定するものではございません。
○大石委員 同じでいいんですね。つまり、この部分、いいですか、否定しないんですね。同じなのか、もう一回読み上げますね、この部分。
たとえ明示的な指示がなくとも、客観的に黙示的な指示に基づき業務を行ったものと判断されれば、労働基準法における労働時間に該当するものと評価される。この部分は否定しない、同じでよろしいですね。
○あべ国務大臣 労働基準法適用に当たっての考え方を否定するものではございません。
○大石委員 つまり、公立学校の先生においてもその考えが適用されるでよろしいですね。もうイエス以外ないんですけれども。
○あべ国務大臣 そのとおりでございます。
○大石委員 ありがとうございます。
問い七、伺いますね、同じだということで。
そうしますと、公立学校において、学校の先生が定時以降の部活動の指導を行ったときに、たとえ校長の明示的な指示がなくとも、客観的に見て黙示的な指示に基づき業務を行ったものと判断された場合には、当該指導時間は労働基準法における労働時間に該当しますか。その際に、これは法律の解釈なんです。なので、個別具体的判断とか、仮定のお答えはできませんという答弁はやめてください。どうぞ。
○あべ国務大臣 指揮命令下に置かれているとの評価に関しましては、厚生労働省のガイドラインにありますので、このガイドラインを説明させていただきますと、個別具体的に判断されるものでございます。
委員御指摘の、客観的に見て黙示的な指示に基づいて業務を行ったものと判断された場合という一般論に対してはお答えすることは困難でございますが、給特法におきましては、いわゆる超勤四項目以外のいわゆる業務に関しましては、時間外勤務命令を出せない仕組みとなっております。
また、その上で、公立学校の教師に関しましては、給特法の仕組みの下におきましては、所定の勤務時間外に、部活動指導など、いわゆる超勤四項目以外の業務を行った時間に関しましては、時間外勤務命令に基づくものではないと整理をされておりまして、労働基準法上の労働時間には当たりません。
○大石委員 問い七で通告したとおりなんですよね。この問い七で通告したとおりの労働時間というのは、校長の明示的な指示がなくとも、客観的に見て判断、個別具体的に判断されるんですよね。そうしますと、個別具体的に判断して、労働基準法における労働時間に該当し得る、可能性はゼロでないということを文科大臣はお認めになったと考えますが、それでいいですね。イエスですね。
○あべ国務大臣 公立学校の教師についてでございますが、給特法の仕組みの下におきましては、所定の勤務時間外に、部活動指導など、いわゆる超勤四項目以外の業務を行った時間は、時間外勤務命令に基づくものではないというふうに整理をされて、労働基準法上の労働時間には当たりません。
○大石委員 その整理でいきますと、給特法は労基法に矛盾していますね。変えなきゃいけないんじゃないですか、その部分。文科大臣。
○中村委員長 あべ文部科学大臣、時間が来ていますので。
○あべ国務大臣 労働基準法三十二条は、公立学校の教師にも適用はございます。そうした労働基準法上では、一定の場合におきましては、労働基準法三十二条の労働時間を延長し、労働させることができるものとされているところでございまして、法令の根拠に基づきまして時間外勤務命令を行った場合においては、所定の勤務時間を超えて教師を勤務させることができるものと承知をしておりまして、この給特法の仕組みの下におきましては、所定の勤務時間外に時間外勤務命令によらず教師が業務を行う時間は労働基準法の労働時間には当たりませんが、在校等時間が一日八時間や週四十時間を超えた場合、そのことが労働基準法に照らして違法になるとは言えないというふうに考えているところでございます。
○中村委員長 大石あきこ君、まとめてください。
○大石委員 はい。まとめますね。
ごちゃごちゃ言っても、労基法との矛盾を暴露しているんですよ。これは別にもう、ごちゃごちゃ言っているとかはどうでもいいですよ。でも、最後は、人たるに値する生活を営めるかどうかでしょう、公立学校の先生が、日本の労働者が。だから、この問題は終われませんよ。今日は質疑の時間が来たので終わりますが、引き続き扱います。
終わります。
○中村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十六分散会