衆議院

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第4号 平成29年3月10日(金曜日)

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平成二十九年三月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 丹羽 秀樹君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 三ッ林裕巳君 理事 井坂 信彦君

   理事 柚木 道義君 理事 桝屋 敬悟君

      赤枝 恒雄君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    江渡 聡徳君

      大隈 和英君    勝沼 栄明君

      金子万寿夫君    菅家 一郎君

      木原 誠二君    黄川田仁志君

      小松  裕君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    冨岡  勉君

      豊田真由子君    長尾  敬君

      丹羽 雄哉君    鳩山 二郎君

      福山  守君    堀内 詔子君

      宮崎 政久君    村井 英樹君

      山下 貴司君    若狭  勝君

      阿部 知子君    大西 健介君

      岡本 充功君    郡  和子君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      初鹿 明博君    水戸 将史君

      山尾志桜里君    伊佐 進一君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    堀内 照文君

      河野 正美君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   内閣府副大臣       石原 宏高君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   会計検査院事務総局第二局長            岡村  肇君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局次長)           合田 秀樹君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           刀禰 俊哉君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        中島  誠君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          高原  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         宮川  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            生田 正之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       坂根 工博君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       吉田  学君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     宮崎 政久君

  中川 郁子君     勝沼 栄明君

  山下 貴司君     若狭  勝君

  中島 克仁君     山尾志桜里君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     菅家 一郎君

  宮崎 政久君     金子万寿夫君

  若狭  勝君     山下 貴司君

  山尾志桜里君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     赤枝 恒雄君

  菅家 一郎君     鳩山 二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  鳩山 二郎君     黄川田仁志君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     中川 郁子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

丹羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局次長合田秀樹君、内閣府子ども・子育て本部審議官中島誠君、総務省自治行政局公務員部長高原剛君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長吉田学君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。

 きょうは、雇用保険法の法案質疑の予定でもともとおりまして、通告もしておりますが、昨日、私も驚きましたが、降って湧いたような報道で、今問題になっております森友学園、この森友学園が運営をする保育園、森友保育園、この保育園が、過去二年間、一千七十一万円もの補助金を二重受給というか、不正受給という報道がございました。この問題は、今、待機児童問題も含めて、きょうもそういう視点から質問される方もおられますが、非常にゆゆしき問題だと思います。

 ちょっと順番を入れっこして、まずこの問題を、厚生労働大臣、そしてまた、きょうは関連して内閣府それから文科省、それぞれ副大臣、政務官、お越しいただいておりますので、まずこちらの方を先に質問させていただきます。

 資料の六ページ目をごらんください。それぞれ、テレビ朝日とNHKの報道をつけておりましたが、各社、新聞も含めて、同様の報道が昨日からけさにかけてなされております。

 大きく言うと、二つの問題が大きく報じられています。

 一つは、森友学園に新疑惑、妻兼務で補助金二重取り。この妻というのは、籠池理事長の奥様のことでございます。

 そしてもう一点は、NHKのニュースをつけましたが、森友学園理事長の妻が園長の保育園で虐待の情報で調査へということでございます。これは本当に、昨日の報道でも、児童虐待は過去最悪、初の五万件を超えてしまう、そういった報道もなされている中で、親御さんが子供の命を託している保育園においての虐待の疑惑がある、こういうことでございます。

 この二点については、どうしてもこの質疑の中でやりとりをさせていただきたく、通告を申し上げております。

 資料の、これはどこにもまだ出たことのない資料だと思いますので、ボードにいたしました。ページ数が八ページ目です。

 これは、まさに一千七十一万円の不正受給も含めて、その一千七十一万円というのは平成二十七年、二十八年度の部分なんですが、それぞれ二重受給と言われる理由、一つは、森友保育園への補助金、これは、二十七年、二十八年度は子ども・子育て新システムに移行して内閣府からの支給、それより以前は厚生労働省の運営費ということでございます。そして、もう一方の、もともと報道もされております塚本幼稚園、これは文部科学省からの私学助成額、それぞれでございます。これは、過去十年、記録が残っていない、クエスチョンにしているところもありますが、ざっと計算していただくと、十億円を超える額が、それぞれ、森友学園所管、運営の保育園と幼稚園に支給をされております。

 まず伺いたいのが、そもそも報道されている二十七年、二十八年度分、これはこちらの保育園のスキームでございます。一千七十一万円が不正受給であるとの報道がなされておりますが、これは所管の内閣府の石原大臣、やはり今、大阪府、市、それぞれ調査に入る、両方入らなきゃいけないから日程の調整もしていると伺っていますよ。この調査を一刻も早くやっていただくことと同時に、当然、これは府や市を通じて国に返還をしていただくべきと考えますが、いかがでしょうか。

石原副大臣 お答え申し上げます。

 現在、大阪市に確認をしたところ、大阪市において調査を進めるというふうに承知をしております。まずは大阪市の調査を待った上で、必要な対応をさせていただきたいと思います。

 そして、一般論になりますけれども、補助金の、この報道のケースは専従の園長に対する加算ということでありますけれども、その加算の要件が満たされなかったことが明らかになった場合には、市町村が施設に対し補助金の返還請求を行い、内閣府は都道府県を通じ、市町村から国庫負担の返還を受けることに、一般論としてはなることになります。

柚木委員 常勤・専従規定違反と言われておりますね。昨日のお昼ごろの共同通信の、これは私はある意味スクープだと思いますが、私も驚きましたよ。籠池理事長の奥様、森友保育園の園長、そして塚本幼稚園の副園長、保育園の園長として一週間で滞在時間二十五分。二十五分です。

 副大臣、これで常勤・専従規定を満たしていると一般論としても言えますか。

石原副大臣 ちょっと今の報道については確認をしていないところでありますけれども、専従の考え方でありますけれども……。済みません、ちょっと待ってください。(発言する者あり)

丹羽委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

丹羽委員長 速記を起こしてください。

石原副大臣 済みません。

 専従の考え方ですけれども、同保育所の保育士等の他職種や他施設の職員としての兼務を行わず、所長として業務に従事しているという状況であります。

 また、保育所の就業規則に定められた所長の勤務時間が極端に短い、まあ、二、三時間、二十五分というのはちょっと確認をしておりませんけれども、二、三時間といったような場合には、加算の対象としては望ましくないというふうに考えるところであります。

柚木委員 それは重要な御答弁ですよ。

 実は、まさに森友保育園が保護者の方に入園時に示されている重要事項説明書には、園長は常勤で、勤務体系は午前七時半から六時半と明記されているんですね。十一時間ですよ、十一時間。一日ですよ。一週間で二十五分、これは明確に違反している。これはこの場でおわかりだと思いますので、今の御答弁、そういう趣旨の御答弁を承りました。

 これはもはや、もちろん市や府が調査に入られるわけですが、まさに調査を待たずしても常勤・専従規定に違反していることは明らかですから、これは調査し次第、即刻返金を国としても求める、こういうことで最後に一言確認をしたいので、それでよろしいですか。

石原副大臣 まずは大阪市の調査の報告を待ちたいというふうに思います。

柚木委員 先ほど、調査を待った上で対応をとりたいと言われましたので、これは本当に国の税金でございますので、そして待機児童、本当にこれを減らすために、党派を超えて今懸命に保育園を整備して保育士さんをふやそうとしている、そういうところに、働いていない園長さん、いない園長さん、一週間に二十五分しかいない、二年だけで一千七十一万、この後さらにさかのぼって、これは二重不正受給の疑いが大変強いので、その点も申し上げますが、ぜひ副大臣におかれましては、所管の二年分だけでも、きっちり国民の税金を国に返還していただくことを求めたいと思います。

 続いて、このスキームというのはちょっと、私も調べてみるまで、ああ、こういうことなのかなというふうに思っていたわけですが、文部科学省から、きょうは樋口大臣政務官にもお越しいただいているんですね。

 今、一千七十一万と言ったのは二十七、八の分だけの話で、しかも保育園に対する補助金なんですね。しかし、文部科学省から大阪府を通じて塚本幼稚園、この塚本幼稚園の副園長を、森友保育園の園長である籠池理事長の奥様が兼務されているんですね。そして、当然、先ほどの専従・常勤規定、こちらも同様にかかりますから、この二年分、これは昨日、大阪府の松井府知事も述べておられますが、大体、年間百八十万ぐらい、園長さんの人件費、百八十三万という資料もあります、交付されています。二年でいえば三百六十六万になります。

 これについても、これは当たり前の話ですけれども、こっちを返還していただくなら、奥様は返還すると言われていますからね、きのう報道で。こちらについても当然、常勤・専従規定に、どっちかしか専従・常勤規定は満たせないんですから、どっちもは無理なんですから。当然これも、調査の上、返還してもらわないと、おかしなことになってしまいますよ。これは、大臣政務官、いかがですか。

樋口大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生がつけていただいている資料の九枚目にありますとおり、私立の幼稚園に対する私学助成でございますが、これは都道府県が実施主体で、自治事務でございます。国は補助した都道府県に対して補助を行うことになっておりまして、個別の幼稚園に対する私学助成の配分は大阪府が行っているところでございます。このため、本件につきましては、助成主体である大阪府において、事実関係を確認の上、対応を判断することになると考えております。

 国から大阪府に対して行っている補助金の取り扱いにつきましては、大阪府の判断を待ちまして適切に対応してまいりたいと思います。

柚木委員 これは当然、先ほど石原副大臣が御答弁いただいたのと同様に、私は判断を待つまでもないと思いますが、しかし、ちゃんと調査いただいた上で、これは間違いなく明らかになりますので、ぜひ、それぞれ、内閣府、文科省を通じて、ちゃんと府や市を通じて国に返していただくように強く申し上げておきます。

 本来ならば、これでとなるんですが、調べてみると、これは本当に驚きましたよ。実は、この二重受給、不正受給の期間は、二十七、八だけではない可能性が極めて高いということでございます。

 どういうことかと申し上げますと、森友保育園が開設、スタートしたのは平成二十二年の四月一日でございます。その前に当然申請をしていて、建設補助等も社福に出ていますけれども、開設して以降、二十二以降ずっと、それぞれ、保育園への運営費、幼稚園への私学助成額、払われているんですね。

 調べましたら、少なくともこの二十七、八よりさかのぼって三年間分は、間違いなく、籠池理事長の奥様は森友保育園の園長そして塚本幼稚園の副園長を兼務されているんですね。記録が残っている三年間、ほぼこれは間違いない。調査で明らかになると思います。もっと言うと、最大二十二年からその可能性もあり得るということであるようですので、これは下手をすると、最大、それぞれ合わせて三千万円、最低でも二千万円、二重受給、不正受給の可能性があるんです。

 これは私も、こんなことが許されるんだったら、本当に全国でこういうモラルハザードが蔓延しちゃいますよ。そうでなくても、待機児童問題で、みんなお金がなくて、何とか保育園をふやそう、保育士さんの処遇を改善しようと困っている。こういうことはあってはならないと思いますよ。

 それで、これは厚生労働大臣にも伺わなければなりません。

 今申し上げましたように、少なくとも平成二十九、二十八より前の二十六、五、四の三年分が、これは厚生労働省の所管でいえば、こちらの保育園への運営費の額になりますが、今申し上げましたように、実は所長設置加算という名目だそうですね。冒頭お答えをいただいた一千七十一万円とは別に、この平成二十二年、森友保育園が開設されて以降、最大五年間で、これは保育園側だけですから、保育園側だけでいえば二千万円。そして、二十四から二十六の記録が残っている中で、保育園の園長、幼稚園の副園長を籠池理事長の奥様が兼務していることがほぼ確実であるこの三年間に限って言っても、一千五百万円が、兼務をしている、つまり常勤・専従規定に違反している。これは記録上見ればそうなんです。ですから、大阪市と大阪府が調査に入れば、このことも明らかになると思いますよ。

 当然、この三年間、一千五百万円あるいは最大五年間で二千万円についても、大阪、これは市を通じてですね、保育園ですから、国に返還いただくべきだと思います、事実が明らかになれば。厚生労働大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 先ほど文科省や内閣府の方からも御答弁があったと思いますが、現在、大阪市が調査を進めているというふうに理解をしております。

 大阪市の調査の結果、仮に、今御指摘のような不正受給、こういうことが確認された場合には、一般的に申し上げれば、大阪市を通じて国庫負担分の返還を受けるということになるわけでありますが、いずれにしても、何が起きているのか。平成二十六年度以前は、この運営費は厚生労働省から出ていたわけですね。したがって、大阪市の調査結果を待った上で、必要な対応を必要があれば検討していくということになると思います。

柚木委員 これは本当に、下手をすれば、過去十年近くにさかのぼって不正受給、二重受給が行われていた可能性、これは極めて高い部分が出てまいりましたので、所管の二十六年以前の、これも国民の税金でございますので、これは一円でも本当に保育園待機児童問題の解決に使っていただきたいですから、一刻も早く戻していただきたいということでございます。

 そして、当然、そういう意味でいうと、塚本幼稚園に対して、過去十年で約五億円ぐらいですね、こちらも文科省から府を通じて私学助成金が支払われておりますよ。

 樋口政務官、先ほどの二年分について答弁いただきましたが、これは当たり前の話ですけれども、二十六、五、四、この三年分については記録が残っていますから、これはもうほぼ確実に、私も取材しました、籠池理事長の奥様、塚本幼稚園の副園長、森友保育園の園長を兼務している。つまり、常勤・専従規定に反する、そういうことになりますので、これも、まさに調査が明らかになれば、過去三年で見ても約五百五十万円、五年で見れば九百十五万円、一千万円近いお金、これも不正、二重受給の可能性、これは極めて高いです、特にこの三年は。これも調査の結果、私は待つまでもないと思いますが、しっかり見据えて、返還をいただくということでよろしいですか。

樋口大臣政務官 大阪府に対して行っている補助金でございますので、大阪府の判断を待ちまして、適切に対処してまいりたいと思います。

柚木委員 つまり、判断が、専従・常勤規定に違反をしているということであれば、先ほどの共同通信の調査は二十五分ですよ、保育園にいる方。必要な対応をとるというのは、調査して、専従・常勤規定に反していることがわかれば返還をしていただくということで必要な対応という理解でいいですか。

樋口大臣政務官 大阪府の専任教員の要件というところに、勤務日数が週平均五日以上であること、また、兼務教員は対象外というふうに規定をされておりますので、そういうことで判断をされるんだというふうに思っておりますので、その判断に従って適切に対処したいと思います。

柚木委員 昨日の共同通信の取材、一週間に二十五分、保育園。ちなみに、幼稚園の方は四日でございます。明確に違反していますね、今の答弁だと。当然、国庫に返納いただくべき、そして、必要な保育園と幼稚園あるいは先生たちの処遇の改善に使っていただきたい。強く申し上げます。

 塩崎大臣、こういう不正受給の問題が起こって、私もきのう、あの報道を見て驚きました。大臣はごらんになったかどうかわかりませんけれども、奥様、このようにおっしゃっているんです、この不正受給、二重受給を。不正の認識はなかった。その後ですよ、不正の認識がないと言っているのにおかしいんですけれども、その後、補助金は返還する、きれいにすると笑顔でおっしゃっているんですよ。これは本当に、私はそれを見て、例えは悪いですけれども、お金を盗んでも返せばいいんでしょう、万引きしても返せばいいんでしょう、どこが違うのかと正直思っちゃいましたよ。

 不正受給、返金する、きれいにしますとにこにこ笑顔で。そういう認識の方が、保育園の園長、幼稚園の副園長をされている。こういう実態、どう思われますか。保育園の園長先生ですよ。大臣、どう思われますか。

塩崎国務大臣 きのうはテレビを見ていないので、よくわかりません。

柚木委員 大臣、本当に真面目に答えてください。各社報道していますし、そのことが、当然、朝を含めていろいろなレク等、情報共有されていると思いますよ、質問に臨まれる前に。

 それを確認いただきたいとも思いますが、不正受給していても返せばいいんでしょう、返します、きれいにしますと、にこにこ笑顔でおっしゃっている。不正受給していても返せばいいという、これは一般論としてで結構ですよ。不正受給していても返せばいいんだという認識を園長が持っていること、これは適正なんですか、どうなんですか。

塩崎国務大臣 正直、私はテレビを見ていないんですが、保育園の園長には、保育園の園長としての、しっかりとした資質を持った人になっていただくということが子供たちのために大事だということは、そのとおりだと思います。

柚木委員 まさにおっしゃるとおりです。

 こういう御発言、まさに幼稚園の副園長として教育をつかさどり、保育園で、園児さんたちの本当にこれからの未来を、園長先生として一番トップの管理をする立場におられる方が、資質がふさわしいかどうかということなんですよ。

 そして、その園長先生が、開設以来、これは二十二年からの可能性もありますし、少なくとも三年後以降は、記録に残っているだけでも園長として、しかも、常勤・専従規定を果たされない形で勤務されている中で、次の質問に移りますが、虐待の疑惑が報じられています。

 これは私も、実際にこの森友保育園にお子さんを二人通わせておられたお母さんから直接話を聞きました。二人とも、もう退園しています。お嬢さん、息子さん。

 これは本当に驚きました。給食が決められた時間内に終わらない子供は椅子の上に給食を置いて正座をさせて食べさせる。お漏らしをすると秘密のお仕置き部屋、お仕置き部屋というのはもう伝統で、やめた人も今いる人もみんな知っている。このお仕置き部屋に放り込まれ、一歳以上の子供はお昼寝は禁止。ゼロ歳児、生後六カ月、七カ月の子供が帰ってきて戻したことがある。何でかと調べたら、そのとき吐いたものを見たら、離乳食ではなくて、単に普通の食材を刻んだだけのもの。保育園に連絡しても、ああ、そうですかと。そのお母さんは、離乳食のつくり方の本までお預けされたそうですよ。ほかの子供も帰ってきて毎回吐くからおかしいなと思っていたら、まさに離乳食ではなくて普通の食材をゼロ歳児に食べさせている。

 こういうことで虐待が行われているのではないかというふうな疑いがあって、近く、まさに今回の補助金、私学助成金の不正、二重受給ともあわせて、調査に市や府が入られるということでございます。

 しかも、これはもう常態化しているおそれがあるんです。やめた方は、少し前にやめられていますけれども、最近の保護者の方からも同様の苦情、そしてママ友同士でそういう情報が共有されているんです。

 これは、所管の厚生労働省、塩崎大臣、こういう虐待が子供たちの命を預けている保育園で行われているとするならば、これはもちろん一義的には市そして府が調査に入るわけですが、所管をする厚生労働省としてどのような対応をお考えですか。お答えください。

塩崎国務大臣 この保育園に対する指導監督権は大阪市が持っているわけでありまして、今、いろいろ、るるお話がございましたけれども、事実確認のための調査を大阪市がやっているということでございますので、この調査の実施を含め、対応について検討をしているというのが今の大阪市の状況のようでございますので、私どもとしては、大阪市が調査を行えば、しっかりお聞きをして、私どもとして何をすべきかは考えてまいりたいというふうに思います。

柚木委員 当然の御答弁でございますよ。

 これを確認した上で改善指導、あるいは、それを本当に常態化しているおそれがありますから、もう改善命令が必要な段階かもしれません。一番厳しいのは、まさに認可取り消しなわけですが、そこまで行くと、待機児童がまたふえるじゃないかという議論も出てきますよ。

 これは本当に大臣、御自分のお子さんやお孫さんを、そういう情報が蔓延をしている保育園に、塩崎大臣、御自分のお子さん、お孫さんを、もしこの報道が事実だとすれば、お預けされたいと思われますか、思われませんか。一人の親あるいはお孫さんの立場だったら、どう思われますか。

塩崎国務大臣 まずは、大阪市が調査を行うとすれば、その中身がどうなのかということをよく見た上で物事は判断をしなければいけないんだろうというふうに思っています。

 これは保育所保育指針に、総則の中の「保育所の役割」というところに、こう書いてありますね。「保育に欠ける子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設であり、」ということでありますから、それにのっとった運営をしっかりやってもらえたらありがたいなというふうに思います。

柚木委員 その運営指針にのっとった指導監督が行われる、あるいは、それが実際に行われていたとしても、先ほど二重受給、不正受給の補助金の問題で申し上げましたように、籠池理事長の奥様、森友保育園の園長先生、一週間に二十五分しかいなくて、このような虐待が行われているかどうかの管理監督が園長としてできると思いますか、一週間二十五分で。大臣、どうですか。

塩崎国務大臣 大阪市の調査の中身をよく見て考えたいというふうに思います。

柚木委員 これは本当に、私も二人の子を持つ親として、まさに保育園へ通っています。大臣、こういう問題、虐待が起こったときに、親御さんは、あるいはお子さんはどういう対応、どういう反応をされると思いますか。

 これは私も、保育園、いい先生方です。でも、やはり心配な場面が何度かあって、本当に園長先生と相談させてもらったこともあります。お散歩に行くとき、三歳児二十人に先生二人ぐらいしかおられない。でも、配置基準上、認可かそうでないかもありますが、仕方ないんだと。でも、階段から子供が落下しそうになった、たまたま妻が下にいてキャッチした、いなかったらどうなっていたかとか、本当にこういう情報があると、親御さんは、やめさせたい、転園させたいと思うんです。実際、私がお話を聞いたお母さんは、それで二人のお子さんをやめさせているんです。

 しかし、まず最初は、それでも我慢して通わせるんですよ。なぜか。やっと入れた保育園なんですよ、認可の。私が聞いたお母さんも、一園落ちてやっと入れた保育園、だから我慢をした。だけれども、余りにもひどい。お子さんが帰ってきて戻される、離乳食じゃなくて、ゼロ歳児に普通の食事を食べさせられている。お仕置き部屋に入れられる、正座をさせられる。紙おむつ禁止なんですよ、森友保育園、ゼロ歳から。汚物が入った下着を持ち帰らせる。さまざまなことが塚本幼稚園同様に起こっています。ちなみに、運動会も一緒にやっています、この二つは。

 普通の親御さんは我慢するんです、最初は。働きながらやっと保育園を見つけて、一園落ちて、何園も落ちて入った保育園。そして、私がお話を聞いたお母さんもやめさせている。次の保育園へ入るのは、また大変なんですよ。受験や就職と、あるいはそれ以上の倍率。妊婦さんのときから探している。そんな中で、やっと入った保育園でこんなことが行われているんですよ。

 今この瞬間も、不安におののきながらお子さんを預けて働かれているお母さんがおられる。これは一日も早く、不正受給はもとより、この虐待、命にもかかわる問題ですから、大阪府、所管の市の調査を待って、それは建前はそうですよ。一日も早く調査をして結果を報告するように、厚生労働大臣として求めていただけませんか。

塩崎国務大臣 当然、事務的には厚生労働省の担当課と大阪市の担当課とは連絡をとり合っているわけでありますから、当然今おっしゃったような意図は通じているものだというふうに理解をしております。

柚木委員 本当に一刻も早く調査して対応してください。

 本当に、保育園でさまざまな重大事故が起こったり、お子さんが事故で亡くなってしまったり、この間、阿部委員も質問されていましたよ。そんな中で、安心して預けたいんですね、保護者の方は。安心して預けられないんです、今の保育園に、残念ながら。これは今、本当にきっちりとした対応をお願いしたいと思うんです。

 私は、こういうことが行われているこの森友保育園、塚本幼稚園、不正受給、虐待、特に不正受給、二重受給の点でどうしても腑に落ちないのは、奥様、学園の副理事長ですか、御主人が理事長。まさに籠池理事長は、この不正受給が行われていたことを知っていたのか、あるいは、そういうことを誰かが指示したのか、そうでないのか。これは本当にそういうことも含めて調査をいただかないと、真相究明に至りません。

 したがって、今この国会の中でも、一番物事をわかっておられる、実態をわかっておられる籠池理事長の参考人招致が求められておりますが、私、場合によっては奥様にもお越しいただいて、お話しいただかなきゃいけない場面が出てくるかもしれません。記録が残っていないんですから。不正受給、税金が使われている可能性があるんですから。府や市が調べてもわからなかったら、本人に来ていただいて、開園の二十二年四月一日から園長先生でしたかと確認いただかなきゃならない。

 これは委員長、当然、籠池理事長はもとより奥様についても、今後の調査が進んで、ここがわからなかったら、場合によっては国会にお越しいただいて説明いただく必要があると思いますので、委員会でぜひ協議をお願いします。

丹羽委員長 理事会で協議いたします。

柚木委員 これは本当に、昨日も衆議院の本会議で、この森友学園、疑惑の総合学園ではないかという代表質問での言葉がありました。私は本当に、疑惑だけじゃなくて、格安小学校、そして下手をすれば虐待保育園、虐待幼稚園というようなうわさが父兄の中で蔓延している、やめている人もふえている。クラスを、三つあったのを一つにしなきゃいけない。先生もどんどんやめている。こういう実態ですよ。疑惑だけじゃ済まない、虐待が行われているかもしれないんですから、必要な説明責任を、当事者である籠池理事長、そして園長、副園長もされているその奥様、お話しをいただく必要が私は極めて今高まっていると。理事長については、少なくとも説明をいただく説明責任があると思いますよ。

 きょう、それぞれ所管の政務、お越しいただいています。ぜひ、これは実態調査を早急に行っていただかないと、不正受給もそうですけれども、虐待の場合、子供の健康、命がかかっていますからね、お願いを申し上げます。

 通告をしておりました質問の時間がほとんどないですが、一問だけでもさせてください。

 私、雇用保険法改正、当然、今の待機児童問題も含めた働き方改革にもかかわる重要な問題で、これは、資料、本来ならこっちからいくはずだったんですけれども、育休二年の問題、この後、同僚委員がされると思うんですね。

 この育休二年を実際に進める、拡大をする上において、既に育休・介護法の改正も含めて、パパ・ママ育休プラスが、つまり一年二カ月、一年から延長できて、当初半年は、田村前大臣の御英断もあって、イクメン議連も皆さんと一緒に取り組ませていただきました。育児休業手当が五〇パーから、期間中の保険料免除も含めて八割まで引き上げられて、取得が進むであろうと期待していたら、一%台ですよ、利用が。男性の育休も残念ながら二%台。つまり、残念ながら、やはり内容もまだ不十分、周知も不十分なんですね。

 そこで、ぜひこれは提案申し上げたいんですけれども、塩崎大臣、このパパ・ママプラスを二年に延長しても、実際に育休の休業補償がその分、引き上げられた分延長されないと、実はなかなか実際進まないんですよね、取得が。

 これは、ほかの外国の例を、それぞれ二枚目、三枚目以降につけております。実際にとれると思ってとれないという実態調査と、スウェーデンやノルウェーの事例。育児休業手当が八割、一〇〇%支給期間、それぞれある、スウェーデン、ノルウェー。

 そして、私たち民進党は、これはきょうの資料の五枚目にもつけておりますが、まさに一〇〇%の休業手当を保障することで、男性の育児、家事参加なくして、育休二年というのは男性がとることを前提につくられていませんから、そもそも。男性にもとっていただくことを考えたら、お金の壁、制度の壁、意識の壁があるんです。お金の壁を乗り越えなきゃいけない。

 そこで、休業手当一〇〇%にその期間中することの提案と、そして、これは二年ですから、一年二カ月じゃなしに、その残り八カ月分も延長して休業手当一〇〇%保障、かつ、それぞれ両親で育休がとれるように、このパパ・ママプラスを改善、進化させていただきたいんです。これはほかの国では実効性が上がっていますから、ぜひ前向きな御答弁を、田村前大臣も頑張っておられましたから、前向きな答弁をお願いします。厚生労働省、二〇二〇年までに三〇%の男性育休という目標を上方修正までされていましたから、ぜひ現大臣の塩崎大臣のさらなる御英断、前向きな答弁をお願いします。

塩崎国務大臣 法案審議をお願いしているわけでありますことを、まず申し上げておきたいと思います。

 育児休業中の所得保障について、今、さらなる保障をすべきというお話でございますが、一般会計の財政状況が厳しいことはもう御案内のとおりでありまして、雇用保険制度の育児休業給付の給付率を、今、六七%に上げているわけでありまして、これは平成二十六年の四月から上げているわけでありますが、失業給付が、これは五〇%から八〇%の給付率でありまして、こういったことのバランスも考えることが必要だろうというふうに思いますので、今、六七%にしていること自体も、これは私どもとしても、財政的に今できる最大限の努力を行っているというふうに思っております。

 男性の育児休業取得の促進というのが重要であることはもう御指摘のとおりで、私もそう思っていますし、また、大臣室でいつも大きな声を出して、私はこのことを言っております。

 言っておりますが、民主党政権のときに具体的にどういうことをおやりになったか、私もつぶさには存じ上げませんが、これまでも、育児休業取得に対するハラスメント防止措置の義務づけというのを、これはことしの一月からスタートしておりますが、さらに今、厚生労働省のイクメンプロジェクトもやっております。

 それから、積極的に取り組む企業に対する助成等を行って、私は、厚生労働省の男性職員に、イクボス宣言をして、しっかり育児に当たるようにということで、育児休業についても取得促進を、前月に子供さんが生まれた人たちは皆、上司とセットで呼んで、私の部屋か、あるいは副大臣、政務官の部屋で、必ず育児休業をとるようにということを促しています。

 加えて、今回提出している改正法案では、事業主が育児休業の対象となる方を把握したときは、その方に個別に取得を勧奨するという仕組みを設けているということであります。

 こういうようなことをいろいろ組み合わせながら、そして働き方改革というのがやはり一番大きいので、職場がどういう受けとめをするのかというのはとても大事なことだろうと思います。スウェーデンが九割ぐらい男性が育児休業をとりながら、日本が二・六%では、やはりこれは問題であるというふうに私も強く思っておるところであります。

柚木委員 終わりますが、今言われたスウェーデン、ノルウェーモデル、私が提案した、まさに一〇〇%のノルウェー、男性の育休四%が、導入後、さらに拡大をして、六年で九〇%男性が育休をとるようになっていますから、これは革命的なことですよ。

 働き方改革は、お父さんの働き方改革をしないと女性活躍もあり得ませんので、強くお願いを申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、郡和子君。

郡委員 民進党の郡和子です。

 今、柚木委員とのいろいろやりとりを聞かせていただきましたけれども、問題になっている森友学園の問題は、そもそもが、初めは、国有地の大変不可解な、不可思議な、異例のディスカウントの払い下げでございました。きょう、柚木さんが資料を添付している中に、朝日新聞大阪版朝刊、一九九五年の記事が出ているんですね。このときから、籠池理事長がいろいろ問題のあるということがわかったわけであります、新聞に報じられている。

 こういうことを把握していながら、大阪府、大阪市も、今回、小学校の認可に向けても異例のスピード手続というようなこともあり、これはやはり、籠池理事長御本人の問題もさることながら、大阪府、大阪市の対応が本当によかったのかどうか、いかがなものなのか、そういう思いも強くいたしました。

 国有地の問題ですから、この問題について全く疑念が拭い払われていないわけで、国会には、ぜひ、籠池理事長ら、この問題にかかわる皆さんたちの参考人招致、私も強く改めて求めさせていただきます。

 では、質問に入ります。

 先日の私の代表質問の際に、塩崎大臣の答弁がございました。待機児童の統一基準をつくるべきだというふうに問うた私に対しての答弁でございます。待機児童数調査検討会の目的は、待機児童の定義の見直しではなく、市区町村ごとの不合理な運用のばらつきを是正することであり、年度内をめどに取りまとめる予定でございます、こういう御答弁だったんです。これの意味がよくわかりませんで、統一基準をつくるのかつくらないのかもお答えになっていない。

 そこで、改めてお尋ねするのですけれども、私たちが主張しております待機児童の統一基準、実態を把握して見える化させる、これが一番重要だという考えのもとで申し上げているわけなんですけれども、これと異なるものを取りまとめるということなんでしょうか。私どもの提案と同じ方向で考え方を取りまとめるということなんでしょうか。

塩崎国務大臣 結論的に申し上げれば、待機児童の全国統一基準をつくるという考えは持っておりません。

 昨年九月から行っております待機児童数調査検討会、これは、待機児童の定義を見直すものではなくて、市区町村ごとの、さっき引用していただきましたが、不合理な運用上のばらつきを是正するということを目的に今検討会を進めているわけでございます。

 現在の待機児童数調査は、国が定めた要領に基づいて、各市町村が自治事務の範囲内でそれぞれ、みずからのお考えでやっていらっしゃるわけですね。国の要領では、例えば、他に利用可能な保育園があるにもかかわらず、特定の保育園を希望して待機している場合、こういう場合には、これに関しては待機児童数に含めないということとしているわけであります。

 この他に利用可能な保育園というものの考え方について、具体的な範囲については、地域によっていろいろ、地理的な要因とか、あるいは交通手段などの違いなどによって、各市町村で運用が異ならざるを得ないわけで、例えば、これはちょっと申し上げましたけれども、都内の場合と、あと仙台でもそうでしょうが、特に郡部に行った場合とか、そういうようなことで、いろいろ地理的要件、交通手段のアベイラビリティーによって随分変わってくるわけであります。

 こういうような地域の実情によって生じる違いについては、必ずしも不合理なばらつきとは言えないわけでございまして、その取り扱いを全ての市区町村で完全に統一するということは、なかなか難しいんじゃないかというふうに考えております。

 一方では、特定の園のみを希望している方の取り扱いについては、入園申込書に限られた保育園のみを記載している場合に、特定の保育園を希望している方として捉えて待機児童数に含めていないという市区町村もあれば、希望した保育園に入園できない場合に、他に利用可能な保育園の情報を紹介して丁寧に対応しているという市区町村もございます。

 ということが私どもいろいろと調べる中で明らかとなっているわけでありまして、こういうことを踏まえて、市区町村ごとの不合理な運用上のばらつきを是正すべく、年度内をめどに取りまとめる予定が私どもとしてあるということでございますので、よく全国統一基準というふうにおっしゃいますので、どういうものが全国統一基準として皆さん方の案としてあるのか、もしあるならば勉強させていただければというふうに思います。

郡委員 今、長々御答弁いただきました。

 この検討会、そもそも、今大臣がおっしゃったように、待機児童のカウント方式が市区町村ごとに違っているので、これをどういうふうにしていくべきなのか、そういう指摘を受けて設置をされたので、私自身もすごく期待をしておりました。自治体によって定義や基準や人数の数え方が違う、これを是正していってこそ、そして統一的な基準をつくることでこそ、今の待機児童問題の解決が図れるんだというふうにやはり考えるわけです。

 現在、厚労省の通知そのものでも、保護者が育休中は待機児童数に含めないことができるというふうにされているわけで、育休中の方は待機児童数にはならないわけですから、育休が明けて入れようと思っても、入れられないんです、数えられていないんですね。こういう通知を出しているから、全国で六割を超える自治体がこれに倣っているんです。こういうこともおかしいんですよ。

 やはり、どんなふうに取りまとめられるかわかりませんけれども、より実態に即して、待機児童の解消に向けた取り組みができるような取りまとめにしていただきたいものだと思います。

 そもそも、OECDの参加国を中心に、幼児教育やそれから保育への投資というのは社会全体にもたらす経済的な効果が高いというふうに認識をされてきています。日本の保育環境はそういう世界から見ると周回おくれになっているんだ、二周、三周おくれだと有識者の方々が指摘をされてもおります。これは重く受けとめなくちゃいけないんじゃないかというふうに思います。

 もちろん、各国での働き方の状況それから育児休業の制度も違ってはいるわけですけれども、日本の、保育に欠けるですとか保育が必要だとかという子供のための施設ということではなくて、子供を国全体で育てていくんだというその強い理念を持って制度をつくっていっていただきたいものだということを強く申し上げたいと思います。

 今しがたやりとりがあったところですけれども、先ほど柚木さんも示されましたが、男性の育休取得については、きょう、資料一枚目ですけれども、どんなにかけ声をかけても、まだ二・六五%でしかない。

 そして、二枚目の資料、先ほどあったパパ・ママ育休プラスなんですけれども、利用状況のところなんですが、見ていただきたいと思います。丸印はついていないんですけれども、実は男性正社員で制度を利用した人は〇・三%なんです。男性は〇・三%しかとっていないんです。しかも、この制度を知りながら利用しておらず、利用したいとも思わなかったという人が一〇・八%いらっしゃるんです。これは本当にびっくりいたします。

 そもそもの男性育休取得も二・六五%まで徐々に徐々に上がってきたものの、そこの内実を見てみれば、何と、十日未満が、十日未満ですよ、十日未満が四六・八%なんです。いや、本当に残念だなというふうに私は思います。

 審議会でも、このパパ・ママ育休プラスについても周知が必要だというふうに言われてきたわけですけれども、もう施行してから七年、八年と経過しております。周知と同時に、制度の内容の改善というのを求めたいというふうに思うわけです。

 現行制度は、既に、保育園に入れない場合、一歳六カ月までの育児休業の延長ができるということになっているんですけれども、これがさらにこの育休プラスの利用状況を押し下げているんじゃないだろうかとも思えますし、二〇二〇年までに一三%、先ほど三〇%と大変戦略的な数字も出てまいりましたけれども、育児休業取得率を上げていくために、私は、ぜひパパクオータ制を導入すべきだというふうに思っております。

 あるいは、現行パパ・ママ育休プラスの育休延長期間を、法改正が行われる、保育園に入れない場合の育児休業の延長期間に合わせるなどすべきではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今いわゆるクオータ制について御提言をいただいておりますけれども、日本の育児・介護休業法では、両親がともに育児休業を取得する場合には、原則より最大で二カ月長い、一歳二カ月まで育児休業を取得することができる、これが先ほど来出ておりますパパ・ママ育休プラスという特例であるわけでありますけれども、今資料を配っていただきましたように、認知度が低い、活用されていないという実態があることはそのとおりで、私どもとしても、これは何とかせないかぬ、こう思っているわけであります。

 まず、このパパ・ママ育休プラスをどうやったら活用してもらえるだろうか。その上で、さらに、使いにくいというところがあれば、その原因を突きとめて、しっかりと分析の上で、御指摘のような点も含めて改善策をさらに検討しなきゃいけないと思いますが、やはり私ども、今働き方改革をやっておりますけれども、働き方改革、つまり、職場でとりづらいとかそういうのがあるから、せいぜいとっても短い期間しかないということなんだろうと思うんです。

 今回提出している改正法案では、事業主が育児休業の対象となる方を把握したときは、その方に個別に取得を勧奨する仕組みを設けることにしておりまして、この仕組みも活用しなければいけないし、それを周知して、会社の上司がしかるべく対応を、それぞれ育児を行いたいと思っている人にやっていくということが大事なんだろうというふうに思います。

 これは、もう既にことしの一月からのハラスメント防止措置の義務づけとか、それからイクメンプロジェクトのような、これは、言ってみれば職場の雰囲気を、文化を変えるということ、そういうようなことをやりながら、男性の育児休業取得に積極的に取り組む企業には助成も行って、引き続き男性の育児休業の取得を図っていきたいというふうに思っております。

郡委員 周知を図っていくという御答弁もあったわけですけれども、周知について、育児休業の取得対象者に対しての周知は努力義務として新設になっていて、なぜ義務じゃないのかなと思うんですが、これも端的にお答えください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今大臣からも御答弁ありましたように、今回の法案では、働く方が育児休業の取得をちゅうちょすることを防ぐために、事業主が、女性社員本人、あるいは男性社員の配偶者が妊娠、出産したことを知った場合に、その方に対して育児休業を取得できることなどを周知、勧奨する努力義務を新たに追加することとさせていただいております。

 これを義務という御指摘ではございますけれども、妊娠、出産は働く方のプライバシーに関する事項でもありますし、そういう意味で慎重な対応が必要となる場合があるのではないか、また、事業所の規模や企業の風土、あるいは対象となる方々の状況などを考慮いたしますと、効果的にまず個別周知が行われることが望ましいのではないかというふうに考えまして、法的義務ではなく努力義務として今回提案させていただいております。

郡委員 周知が行き届いていない。特に、配偶者が妊娠、出産をした場合の、つまり男性側の育休、パパ・ママ育休プラスなどは、先ほど申し上げたように〇・三%しか活用されていないんですね。

 こういうことも踏まえれば、周知を徹底するという意味で、やはり義務化すべきだというふうに思うんですね。今プライバシーの問題があることはわかりましたけれども、そうであるならば、義務化した上で、プライバシーに配慮する点、それを別に指針等々で設ければいい話じゃないんですか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 重ねての答弁でございますけれども、今回新設いたします規定につきましては、今御指摘いただきましたように、妊娠、出産が働く方のプライバシーにかかわるということなどの観点を考えまして、努力義務とさせていただいております。

 私どもとしまして、事業主から対象者に個別に周知をしていただくこと、これは育児休業の取得を促進する上で重要であると考えております。私どもも、男性の育児休業取得促進というのがこれから進めるべき非常に重要な点であり、そのためにも、先ほど来御指摘いただきましたように、制度を知っていただく、またそれを利用していただくということが重要だということは同じ考えでございますけれども、そのような考え方の上に立って、まず個別周知がプライバシーにも配慮して効果的に行われるよう、今回の改正の内容についてきちっと提案をし、周知を徹底させていただきたいというふうに考えているところでございます。

郡委員 やはり、プライバシーで余り深く触れられたくないことがある働く人もいるかもしれませんけれども、いろいろなケースがあり得るかもしれないけれども、例えば、ごくごく普通でいえば、女性社員であるならば、妊娠をして出産をするのに休みを自分から求めなくちゃいけない、それこそ、ちゃんとした働く人たちの権利として育休というものが定められているわけですから申請をするし、男性社員であっても、扶養家族がふえることになれば、その届け出もするわけですよね。

 そういうことも考えれば、大変問題があると思われるケースを除いて義務化した上で、そのことに配慮する指針を設ければ済むだけの話だと思うんですよ。だから、私は、今の御答弁を伺っても、育休の取得、パパ・ママ育休プラスにしても、取得率を上げたいという厚労省の意思が全く伝わってこないんです。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 私どもとしては、重ねて申し上げておりますように、男性の育児休業取得促進というものが非常に重要な課題であるという基本的な認識に立って、今回の改正案についても立案させていただいておりますけれども、今御指摘いただきましたように、まず個別周知というものを、それぞれの形で、今回、努力義務とさせていただきました。

 企業によっては、先行して、あるいは今回の制度改正を踏まえて、いろいろ工夫をなさって事例が積み上がっていく。我々としても、望ましい周知、あるいは働く方々に対して情報が届くという手法もこれから出てこようかと思いますので、まずその把握をさせていただいて、企業における取り組みなど好事例を横展開する、事業主がやるということで、基本的に周知徹底させていただきたいというふうに取り組みたいと思っております。

郡委員 同僚議員からも場内でもいろいろな声が上がっています。私は納得はできないんですね。ぜひ一考いただきたいというふうに思います。

 それから、保活に取り組んでいる女性たちの声をここでちょっと取り上げさせていただきたいと思うんです。

 なぜ苦労するか、しかも、育休は一年ちゃんと保障されているのに、その一年を満期までとらずに途中で切り上げなきゃいけないのか、あるいはまた、延長せずに無認可に預けた方が復帰しやすいというふうに考えて、そうするかという声です。無認可に預けて働くことで来年度の入所選考のポイントがふえる、会社の業績が振るわなくなったら解雇の対象になりかねない、育休中、自分の仕事をしてくれていた同僚たちへの責任もある、再就職は小さな子供がいるとなかなか厳しい。

 こういう声は厚労省も把握されていると思います。女性の肩にこうした育児の負担がのしかかっているわけで、女性が子供を産み、働き続ける上での難しさ、なぜ、こんなにいろいろ議論しても、今なお政治が解決できないのだろうか、こういう保活をされているお母さんたちを含めて、大変私は申しわけなく思うんです。

 本当に申しわけないですよ。保育園をふやすためにどれだけ規制緩和しても、どれだけ補助金を出しても、そしてまた、待機児童がどれだけいるのか、その実態が把握できない、しかも保育士の待遇は低いままだ、これでは、ますますお母さんたちの期待に応えられないんです。だからこそ、今回の改正の中で少しでも上積みできるものはないかと思って議論をさせていただいているわけです。

 実は、仙台市、国家戦略特区がございまして、その制度を利用して、市内の都市公園の中に民営保育所を新しくつくることになりまして、この四月開設、開所式を迎えます。私もこの保育所の建設現場を冬場訪ねさせていただいて、いろいろとお話も聞かせていただきました。今週末には、地域の住民の方々で、皆さん参加して、園庭部分になるところへ芝生の張りつけ作業を行うというふうになっていて、地域の皆さんたちの期待も大きいんです。

 そういう意味で、私も大変心強いなというふうに思っているところなんですけれども、この都市公園、実は、公園関連の施設以外の設置というのが制限をされているわけでして、仙台市は、特区の措置を使って、青葉区中山地区に中山とびのこ公園というのがあるんですけれども、その公園の一部敷地に、この春、ゼロ歳から五歳児の合わせて九十人を受け入れる保育所をつくることになりまして、その運営を行うのは、芝の張りつけを行うなどする地元の住民などでつくる社会福祉法人なんです。

 保育士さんの確保もできていて、今開所を待つだけになっているところです。この施設を運営される方々に話を聞きましたけれども、保育士さんの処遇というのにやはり一番気を使ったということでありました。

 そこで、保育士さんの処遇について、給与水準について伺いたいというふうに思います。

 保育士さんたちが長く働き続けるようにするためには、保育環境の整備に加えて、施設におけるキャリアアップ体制の構築ができるような、希望の見えるような賃金制度、これが重要でもあろうかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕

中島政府参考人 委員御指摘のキャリアアップ体制の構築、さらには賃金の改善ということでございます。

 これまでも、三%の処遇改善をさせていただいておるところでございます、御存じのように。その条件といたしましては、役職や職務内容等に応じた賃金体系の設定、さらには資質向上のための計画の策定といったものの要件を課した上で三%の処遇改善加算という形で、キャリアアップ要件というものを組み込んだ形での処遇改善策を講じさせていただいているというところでございます。

 また、新たに、現在御審議いただいている来年度予算でも、さらにこの三%を五%という形に引き上げる。その際、同様にキャリアパス要件を設定させていただきます。

 また、経験年数がおおむね七年以上の方々に対する月額四万円等の処遇改善につきましても、研修によります技能の習得によりキャリアアップができる仕組みということで、キャリアアップ研修を創設するなど、キャリアアップの仕組みとともに、キャリアに応じた処遇改善をできるような体制を構築したいと思っておるところでございます。

郡委員 今、内閣府から御説明いただきました。

 私の配付資料の三、四、五と見ていただきたいと思うんです。

 三番目につけさせていただいたのは、「保育分野における人材不足の原因・理由」ということで、ここの赤で囲ったところ、賃金が希望と合わない、休暇が少ない・休暇がとりにくいというようなこと、間に、自身の健康・体力への不安というのもありますけれども、そういうようなことが多く挙げられているんですね。

 そして、次の資料四ですけれども、見ていただきたいんです。今の保育士さんたちの給与が全職種とどういうふうに違っているのか、ここに主なものを挙げて比べてみたところです。介護職の方々、それから医師の方々、看護師の方々等々を見ていただいていますけれども、一目瞭然です。保育士の年収というのは大変低い。もちろん勤続年数が比較的短いということもあるのかもしれませんけれども、そういうことが言えるわけです。

 そして今御説明のあった、新しい「キャリアアップ・処遇改善のイメージ」ということで、資料五に添付をさせていただきました。そもそも、七年を超えた方々に対して、新たなライン職とそれからスタッフ職ということで専門職を設けて、月額四万円の処遇改善を行うのだというふうにされています。

 もう一遍戻っていただいて、平均勤続年数は七・六年であります。この対象になる方というのは、では、どれぐらいいるんでしょうかということが言えるんじゃないですか。

 それと、ここにキャリアアップ研修を受けなければならないわけです。例えば、副主任保育士になるためには、マネジメントの講習と三つ以上の分野の研修を修了していなくちゃいけない。専門リーダーについては、四つ以上の研修を受けなくちゃいけない、こういうふうになっているわけです。

 そもそも、ここに位置できる保育士さんがどれぐらいいるのかということと、その保育士さんたちの中で、これだけの研修で時間をあけることができるのかということです。

 またページを戻ってもらっていいですか。休暇が少ない・休暇がとりにくい、要するに、現場の保育士さんたちは日々大変な仕事に当たっていて、この研修に何十時間もとられてしまっては、実際の保育業務ができなくなってくる。そういう要件を重ねてしか賃金を上乗せできない。

 どういうことなんでしょうか。

中島政府参考人 委員御指摘のように、研修要件を課すことによってますます保育士さんの人手不足ということが過重になっていくのではないかという御指摘でございます。

 この研修体制の整備については、県等における体制整備を含めて順次整えていくということでございますとともに、この研修を受けた場合の研修代替保育士の確保ということについてもあわせてさらに充実をさせていただきたいということでございまして、可能な限り、研修を受けられない現場の保育士さんたちの負担がさらに重くならないような形でこの研修受講の整備というものをしていきたいと思っておるところでございます。

郡委員 十分に配慮していただかなくちゃいけないと思います。

 先日も、保育士さんたちの集まりの中で声を聞かせていただいたんだけれども、この新たなキャリアアップについて保育現場で分断が起きる、そのことも大変懸念されていました。

 この研修に出す職員については、ですから、その保育園の中でみんなで協力し合って出すわけですよ、誰かを選んで。残された人たちは、その人たちの、その保育士さんの分も頑張ってカバーしていくわけですね。だけれども、給与アップは研修に出るその人なんですよ。その研修に出る方もどうも気持ちが晴れないでしょうし、残された方だって、私たちが一生懸命に頑張っているのに、あの人だけ給与が上がるのということになるんですよ。

 こういう新たな分断を現場に持ち込むことというのもどうなんでしょうか。私は問題があると思います。答えてください。

中島政府参考人 まさにそのキャリアアップ研修というものについて、三年目の方々に対しても一定の研修を受けていただいて、五千円相当の処遇改善を図る。さらには、四万円の対象というものについては、四万円を確実に上げていただく方というのは対象の二分の一を前提ということでございまして、その残りの部分については各園の判断によって五千円から四万円の範囲で処遇改善を図っていただくことも可能という形で、柔軟な形での、四万円の配分については仕組みをつくらせていただいているところでございます。

 いずれにせよ、保育所において今後どのような方々を中核にリーダーとして据えてその保育所の運営をやっていくのかということは、園の設置者においては当然考えていただいておることでございまして、それをある意味ではバックアップするものとなるように頑張ってまいりたいと思っているところでございまして、必ずしも分断ということの起こらないような形で、保育士さんたちがキャリアアップを図って満足いく職場となるように努力をいたしたいと思っているところでございます。

郡委員 雇用保険法等の一部改正法案の審議ですけれども、この育休にかかわるところだけでも物すごく論点があるんです。きょう私もいろいろと質問を用意してまいりましたけれども、そのさわりしかできませんでした。徹底的な議論をしていただきますよう、審議をしていただきますように求めまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

とかしき委員長代理 次に、山尾志桜里君。

山尾委員 おはようございます。民進党の山尾志桜里です。

 よろしくお願いします。

 けさも、私、子供を保育園バスに送って仕事に向かうお母さんと二人で駅に向かって走りながら、待機児童の話をずっとしてきました。あの保育園落ちたというブログから一年たちましたけれども、私の周りには、ことしも、あと三週間後、四月の一日に本当に自分が仕事に戻れるのか戻れないのか決まっていない、自分の子供が認可は全部落ちているんだけれども、今認証を回って、祈るような気持ちで電話を待ちながら、でもあと三週間後に大事な子供が保育園に行けるのか行けないのかもわからない、やはりそういう親子で今もあふれています。

 きょうの育休の話にもつながるので、私の周りにいる二人のお母さんの話からスタートしたいと思います。

 お一人は、下の子が認可も認可外も全部今のところ決まっていなくて、四月に復帰をするつもりで全部お母さんは段取りを整えていたんだけれども、結局、もう恐らく無理だということで職場に育休を申し出て、それでも自分の気持ちの整理がつかないというふうに本当に苦しんでいるお母さんがいます。

 一方で、また別のお母さんですけれども、下の子が唯一入れた保育園、奇跡的に電話がかかってきたときょう言っていましたけれども、でもそれが電車で一つ先の駅の保育園で、そうすると、もちろん兄弟は別々。でも、この選択肢を断ったら仕事を続けられない。でも、実際に、どうやりくりしても下の子と上の子を、上の子を今の保育園に入れたまま、奇跡的にひっかかった駅が違う保育園にもう一人下の子、送り迎えが、どう算段しても仕事に間に合わない。では、おばあちゃんに頼むかというと、でも、今なかなか、電車の中にベビーカーを入れることもいろいろな御意見があるこの世の中で、朝の満員電車の中で、年をとったおばあちゃんにちっちゃい子供を連れて電車に乗ってその送り迎えを頼むということも、やはりとてもとてもイメージできない。こういう形で途方に暮れているんですね。

 でも、この今のお母さんは、最初にお話しした全部落ちたお母さんにはこの悩みを相談できないんです。自分は一つでも入れているから。

 私にそういう声が届くのは、もちろん、私がこうやって国会議員で待機児童のことをやっているというのを御存じだというのもあると思うんですけれども、もう一つは、うちの子はもう四月で小学生になるんですね。だから、私は、残念ながらもう保育の当事者ではなくなります。そうすると気兼ねがないんですよね。

 だから、同じ立場にいるお母さんたちが、保育園に入園するという競争にさらされてすごく苦しんで悩んでいるのに、それを分かち合うこともできない、そういう社会を大臣と一緒に、今変えなくていつ変えるんだという気持ちできょうは本当に御質問したいと思います。

 待機児童の問題は二十年前から言われていて、去年からようやく社会の大きなテーマに上がってきて、ここでもう一回火が消えちゃったら、本当に何のためにお母さんたちも含めてここまで頑張ってきたのかということになるので、本当にお願いしたいと思います。

 今回、まずは、私がずっと大臣にこだわり続けている待機児童のカウントの仕方なんですけれども、今の二人のお母さんの事例でもカウントされない可能性が高いんですよね。育休が延長できちゃったらカウントされないし、兄弟別々で行かせられないということになれば、場合によっては、私的な理由で行かないだけでしょうということでカウントしないということも今許されている、自治体ごとに。やはりちょっとおかしいなと思うんですよね。

 よく大臣は、大変なのはわかるけれども優先順位をつけてとおっしゃるんだけれども、やはり個々の事例を見ていると、定型的に今のような事例が優先順位が低いという状況では、多分ないと思います。

 そういう中で、まず、大臣が去年、私とのやりとりの中で、定義づけ、自治体の運用には確かに課題があるねということで検討会を立ち上げてくださった、このこと自体は私は大変よかったなと思っています。この検討会なんですけれども、取りまとめの締め切りなんですね。二月の二十七日、この間の予算委員会で質問した際には、大臣は、今年度の三月でまとめるということは何も変わっておりません、こういうふうに答弁していらっしゃいます。そうするとあと三週間足らずなんですけれども、そこで取りまとめるという御予定に変更はありませんか。大丈夫ですか。

塩崎国務大臣 この間も、分科会を含めて、山尾委員とはやりとりをさせていただいておりますけれども、その際申し上げたとおり、今引用していただきましたけれども、待機児童数の調査検討会の結論は、私どもとして、年度内に取りまとめるというこの予定に変わりはございません。

    〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕

山尾委員 この検討会ですけれども、一回目が九月十五日、二回目が十一月二十九日、三回目が一月十六日、それ以降開かれていないんですね。もし本当に今年度内にまとめるということであれば、大臣、やはり早急に状況を確認して、次の予定が立っているのかどうか。私は、四回目で取りまとめられる状況になっているとは、議事録を見ている限り思えないんですけれども、しっかりその点、指示を出していただきたいというふうに思います。

 では、三月までに取りまとめるという前提で話を進めますけれども、そうだとすると、新しい取りまとめによる運用はことしの四月一日時点の待機児童の把握から当然、私は利用されるべきだと思っていますけれども、それでよろしいですか。

塩崎国務大臣 今、回数が少ないじゃないかというお話がありました。お役所におられたからよくわかっていらっしゃると思いますけれども、オープンにやっているのと、いろいろな意見交換も水面下でやっていくということもございますので。しかし、御指摘のとおり、しっかりやるように改めて督促をしておこうというふうに思います。

 それで、昨年の九月から行っているこの検討会の結論を踏まえた調査については、各自治体がその趣旨を十分理解して、入園申込書などを見直した上で行っていただく必要があるわけでありますが、その見直しの時期については、特に現時点で決まっているものではございません。

 今後、この検討会の議論を踏まえて、いつからそれをやっていくかという見直しの時期については改めて決めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

山尾委員 督促の指示をするという前半はいいんですけれども、決まったものをいつから運用するのかはこれから決めるというのは、ちょっと納得がいかないというか、かなり納得がいきません。

 というのは、三月七日の本会議で、大臣自身がこのようにおっしゃっています。本年四月以降に明らかになる改善状況などを見きわめた上で、待機児童ゼロのための新たなプランを六月までに決定したいと。

 ことしの待機児童を正確に見きわめるためには、より正確に見きわめるために今検討会で結論を得ようとしているわけですから、この新たな方式で把握する以外ないではないかと思うんですけれども、いかがですか。

塩崎国務大臣 基本的な考え方は、方向としてはそういうことだと思いますけれども、自治体がそれぞれどうやるかというのがあって、さっき申し上げたとおり、その趣旨を十分理解して、入園申込書などをどうつくるのか。

 私も見てみました。いろいろなスタイルがあって、希望も、五つ書くところ、十個書くところ、もっとたくさん書けるところ、いろいろありますね。そういう場合に、十個書けるのに三つしか書いていないとか、その場合にどうするのかとか、そういうことを今詰めているわけであります。

 今後、自治体がどういうふうにするのかということなどを含めて、私どもとしてはにわかに、すぐにいつからということを申し上げられないということですけれども、方向としては、待機児童解消、ゼロにするというのが我々の目標でありますから、常時ゼロになるようにしていくようにしようというのが当然私どもの目標でありますので、今おっしゃったような気持ちはもちろん、私ども持ちながら、具体的なことについてはまだ議論を深めていかなければならないというふうに考えております。

山尾委員 ちょっとここはしつこくこだわりたいと思うんですね。

 待機児童ゼロを目指すとおっしゃっているんだから、その待機児童というものが正確に把握されなければ。ゼロにすることが目的じゃないですよね。本当に待機して困っている人の苦労をなくすということが目的ですから。なので、今そうやって、できるだけより丁寧に把握するための検討会で新たなことを考えていると。

 では、大臣にお聞きしますけれども、三月末までに取りまとめるという結果報告は、当然、自治体に通知をされるわけですよね。その通知に基づいて各自治体はまたカウントの仕方を変えていくわけですけれども、その通知には当然、ことしの四月一日の待機児童のカウントから、こういう厚労省の考えがあるのできちっとそれに従ってカウントをして、厚労省の集計にはそれで答えてくださいよ、そういうことを書いてしかるべきだと思うんですけれども、まだ決まっていないとおっしゃるなら、そういうことを書くように、そういう方向でこれから三役できちっと議論していただきたいんですけれども、いかがですか。

塩崎国務大臣 当然、そのためにやっているわけでありますから、我々が検討会でみんなと一緒に議論して、そこで、これは統一基準をつくるわけじゃございませんので、考え方を整理し、また、丁寧にやっていないところが実はあるわけでありまして、そういうことを含めて今回の考え方をまとめたいと思っております。今度はそれにのっとって市町村がどうするのかということが出てきますので、市町村には、今回ここで私どもとして方向性を出したら、それを踏まえてやってもらうというのは当然のことだというふうに思います。

山尾委員 今、統一基準をつくるわけではないと明言をされて、これまでも、大臣が何回かそういうふうにおっしゃるたびに私は大変がっかりしているんですけれども、そこにちょっと考えの大きな隔たりがあるように思うんですね。

 私の場合は、統一基準はつくれるし、統一基準をつくるべきだと思っている。大臣は、これはあくまでも、統一基準ではなくて、自治体の運用のばらつきを寄せるようなことを考えていらっしゃる。だから、私は、統一基準をつくるなら当然直近の調査からきちっとそれで運用してくれと言うし、大臣は、もうちょっとふわっとしているんですね、中身も、スタートする期間も。

 でも、このふわっとしてきたことがお母さんたちや自治体の間にそごを生んで、今も苦しめているということなので、少し私はその中身について、まあ期限については、これがどういうものであれ、三月末にまとめるんだったら、ことしの四月一日からの各自治体の待機児童の把握にきちっと反映されるように厚労省から自治体に言うべきだ、このことは強く申し上げた上で、ちょっと中身の話にしたいと思います。統一基準なのか、違うのかという話ですね。

 では、一つ、私が何で統一基準にこだわっているか。

 保護者が育休中の場合は待機児童数に含めないことができる、今、これが運用ですね。私は、これについては少なくとも取り扱いを統一させて、保護者が育休中の場合については原則として待機児童に含めるんだ、こういうふうにやるべきだと思うんです。

 なぜなら、とりわけ今回、育休二年の延長がありますよね。そういう提案をなされている。私の問題意識は、育休中は待機児童に含めない、こういう運用が許されている中で育休が二年に延びれば、見かけの数字は減るかもしれないけれども、保育園の見通しが立たないので、本当に悩みながら育休を延長して待機を続ける、こういう現実の困っている待機児童とお母さんは減らないんですね。だから、とりわけ言っています。

 今回、育休二年に延長するという提案をされている。それに、育休は含めなくていいなんという運用をそのままセットでくっつけないでほしいんです。そこの問題意識は、大臣、わかっていただけますか。

塩崎国務大臣 今回の二年に延長することができるというのは、あくまでも緊急的に、保育園にやはり入れなかったというときに、そのまま一年半で終わってしまってにっちもさっちもいかなくなるのではなくて、緊急的に半年さらに延ばせるようにしよう、そういう緊急措置だということはよく理解をしていただけたらなというふうに思います。

 それで、育児休業中の者の扱いということで、これは、現在の待機児童の調査で、国が定めた要領に基づいて各市町村が行っているわけでありますけれども、育児休業中の者について、現行では、待機児童数に含めないことができるというふうになっているわけですね。できるわけですから、それは、どう判断するかは市町村にかかっている。例えば、保護者の復職する意思を確認しないで、育児休業中の者だということで一律に待機児童数に含める市区町村もあれば、逆に、一律に含めないという市町村もある、そういうばらつきがあるんですね。

 こういう市区町村ごとの不合理な運用上のばらつきの実態を踏まえて、それを是正する必要があるということで、ではどうするんだということを今議論していただいているわけでございまして、そういうようなばらつきをどう収れんさせていくのかという考え方を、私たちは今議論をお願いしているということでございます。

山尾委員 私の提案ですけれども、やはり、育休については原則、待機児童に含める、カウントをするんだ、こういう形で厚労省からの通知を変えた方がいいと思いますね。

 保育は自治事務だというふうに言われるんだけれども、待機児童数を厚労省として定義づけて、ぜひこの定義で集計を厚労省に伝えてください、こういうことは自治事務でも何でもなくて、厚労省本体の仕事なんですね。だから、ああいう通知も出せているわけです。だから、私は、育休中は、原則は待機児童にきちっと含めてほしい。

 ただ、私も現状をわかっていますよ。唯一、場合によっては例外的に含めないというのは、まさに復職のつもりが全くなくて育児休業給付をもらうためだけに保育園を申し込んでいる、こういう場合が例外的にあるという話が出てきています。それはもともと入園希望が本来はないわけだから、そういうものは例外として外せばいい。

 ただ、それは本当に極めて例外的な場合なんだから、原則として育児休業中は待機児童にきちっと含めてカウントしてくださいよ、こういうことを厚労省として私は言うべきだと思うんだけれども、いかがですか。

塩崎国務大臣 これは、皆さん方が今、隠れ待機児童と呼んでいる四類型について、今までずっと、民主党政権時代も含めてオープンにしてこなかったわけですね。それを去年の議論の中で、事務方は何か、余り言わないように今までやってきましたからとか言っていましたけれども、私は、こんなものは別に隠す話でも何でもないので、これはきちっと出していくべきだと。その中に、今の育児休業中の者というものが、今であれば七千二百二十九名というのが入っているわけですね。

 したがって、今、山尾委員がおっしゃっているのは、気持ちはとても私もよくわかります。したがって、それをどうするかということは柔軟に私も考えたいなというふうに思っています。間違いなく、二年に延ばしたとしても、そこから先に保育園に行きたいというのはほぼ明らかなわけでありますから、それを含んで今回も議論を深めていきたいな、そんなふうに思っておるところでございます。

山尾委員 なかなか確としたお答えがないんです。気持ちは通じれど、結果に反映されるのかというのがいつも不安なんです。育休二年の延長ということが今回のテーマになっているんだけれども、何度も申し上げますけれども、二年に延長するならば、やはりこの運用は変えていただかなければいけないと私は思いますよ。育休の期間を延長して、その期間は待機に含めなくていいという運用が続いているというのは、私はおかしいというふうに思います。

 それで、育休二年の延長を訴えている自治体の首長さんのインタビューの記事というのを、私、幾つか読んだんです。いずれも男性の首長さんなんですけれども、こういう発言をされている方もいらっしゃるんです。

 確かに今後日本で女性の活躍は欠かせない、ただ、私の考えが古いのかもしれないが、子供の成長に母親は大切、女性活躍よりも子供をしっかり育てることの方が日本の将来には重要だと思うと。ちょっと微妙な発言ですね、政治的には。こういう発言をインタビューでされている方が、育休二年の延長を申し出ている方の一人です。

 あるいは、やはり同じような立場の首長さんで、育休延長のメリットとして、最も人手がかかるゼロ歳児の間は家庭で子育てできるようになり、保育関連予算を削減できる、こういうことをおっしゃっている方もいらっしゃいます。

 大臣、今回の延長の目的というのは、保育の予算の削減ですか。

塩崎国務大臣 私、子供が二人いますが、下の子なんかはゼロ歳児から保育園に行かせていましたし、上の子は、二歳かな、三歳ぐらいから行っていましたが、それによってどう変わるのかというのは余り、私はそんなに、それぞれだなというふうに思っています。

 それで、今の二年に延長することについて改めて申し上げれば、何でこれをやるのかというときに、これは、もともと、昨年八月に閣議決定されております未来への投資を実現する経済対策というのがあって、これはいろいろな議論の結果そうなったわけですけれども、「雇用の継続のために特に必要と認められる場合の育児休業期間の延長等を含めた両立支援策について、必要な検討を経て、成案を得、平成二十九年度において実現する。」こうなっています。

 ですから、やはり、育児休業期間の延長というときに、両立支援、つまり、仕事と子育てと両立をしっかりやるためには、緊急的に今回やりますけれども、そういう場合もあるよねということで、閣議決定されたものとして今回こうやって御提起を申し上げているわけであります。

 これは、労政審で議論しておりまして、緊急的なセーフティーネットとして育児休業の再延長を認めることについて建議をいただいて、その建議に基づいて今回の法案を提出したという経緯であります。

 したがって、今お尋ねがございましたけれども、予算カットとか、何かそういうようないろいろなことをおっしゃっている方がおられるということでありますけれども、私どもの考えは、両立支援策としてこれは緊急的にやはり要るんじゃないだろうかというのが基本的な考えです。

山尾委員 大臣はもう退席されなきゃならないということなので、一つちょっと申し上げますけれども、緊急対策で、結局、仕事に復帰できないリスクというのは、今の現状では圧倒的に母親、女性が負うんですね。だから、私、仮に延長するなら、延長分はお父さんがとれる制度にするとか、二年に延長するなら一年はお父さんとお母さん一人ずつだとか、そういう意見が実際あったわけだから、これはもっと本気で、今からでも遅くない、考えた方がいいと思うんですよ。

 ということで、どうぞ参議院の方に行っていただいて、あとの五分は副大臣と議論させていただきたいと思います。

 今の件ですけれども、いかがですか。(橋本副大臣「どの件ですか」と呼ぶ)聞いていていただいたとは思うんですけれども、やはり、緊急対策の負担、職場に結局復帰ができない、そのいろいろなデメリットというのは、現状では圧倒的に女性が負うんですね。御存じのとおり、女性の育休取得率は八一・五、男性は二・六五、こういう中で、保育園にまた入れなかった、育休を延ばさなきゃならないと、やはり女性が延ばすんですね、延ばせるときは。

 だったら、もし仮に緊急避難的に延長しようという選択をとるのだったらば、延長分は父親がとる、あるいはその一年半とった人とは別の性別の親がとる、パパ・ママ育休プラスの延長の形で今回もう少し、制度設計を今からでも考える余地が私はあると思うんですけれども、いかがですか。

橋本副大臣 失礼いたしました。

 今の御指摘の問題意識というものは私どもも共有をするところであります。

 御指摘をいただきましたように、男性の育児休業取得率がそもそも二・六五%だというのも御認識のとおりでございまして、これをやはりできるようにしなきゃいけないというのがまずやるべきことなんだろうということでございます。

 そのために、育児休業取得に対するハラスメント防止措置、これは別に男性、女性に限った話ではない、あるいは、イクメンプロジェクトの実施、男性の育児休業取得促進に取り組む企業に対する助成等の施策を進める。あるいは、これもさっき郡議員で、なぜ努力義務なのかという議論がございましたけれども、対象者に対して個別に周知、勧奨する仕組みを設けるというようなこともございます。

 そうしたことを積み重ねていきながら、それからあともう一つさらに、働き方改革というのをやっております。男性の方も女性の方も、当然ながら、しかるべくワーク・ライフ・バランスを持った働き方ができる、同時に、休みたいというときに休めるという環境も全部整えていくことの中で、今おっしゃったような問題意識に対しても、進めていきながら、より必要があればさらにそのときにまた検討するということはあり得ることだと思いますが、まず今申し上げたようなことを進めていくということで取り組ませていただきたいと思います。

山尾委員 二〇二〇年までに、育休取得率、男性一三%を目指しているんですよね。そういう中で、せっかくこういう制度をつくるんですね、緊急避難的に延長する。だったら、この機を捉えて、あとの半年はお父さんですよ、お父さんがとるならあと半年延ばせますよ、こういう制度にしたら、二〇二〇年、一三%が見えてくると思いますよ。なぜそれをやらないんでしょう。やれることをやっているというお答えだったけれども、この機会にやりましょうよ。やれるから。

 やれない理由はおっしゃっていないんですね。やれない理由は何かありますか。

橋本副大臣 私どもも、政策を決める、考えるときに当たって、当然ながら、さまざまな関係の方の御意見等も踏まえながら進めていく必要がございます。もちろん、国会の御意思で、そうだということで法律で決めるということは、国会のことで可能だということも認識はしておりますけれども、政府として政策を考えるに当たって、やはり、さまざまな方々の御意見を伺い、できるだけ合意形成も図っていきながら進めるということも求められていることだと思っておりますので、その中でできることを一つずつやっていくということで御理解をぜひいただきたいと思います。

山尾委員 ごめんなさい。全く理解ができないんですね。こういうことがあってやれないんだということは何一つ出てこないわけです。だったらやりましょうよというふうに私は声を大にして言い続けたいと思いますし、恐らく、こちら側の委員の皆さんの中には、やった方がいいよなという、こんな空気を私は勝手に感じております。ぜひ、この場でしっかり議論をして、立法府がその気になればできるというところを私は見せていきたいというふうに思っております。

 あと、時間はあるんでしょうか。では、あと三十秒、一分ですかね、聞いていただきたい、ちょっと大臣にも伝えていただきたいと思うことが一点あります。

 本来は文科委員会の話なんですけれども、今回、日本スポーツ振興センターというところの災害共済給付、いろいろな学校や保育施設での事故があったときの給付、この範囲を拡大しようという議員立法が出るように聞いております。保育の施設にも対象が拡大されるのはいいことなんですけれども、いまだ認可外についてはかなり限定的なんです。

 それで、今、この厚労委員会の問題として、お母さんたちは好んで認可外に入れているわけではない、選んで認可外に入れているわけではない、政治が責任を果たし切れていないからやむなく入れている方もたくさんいる。そういう中で、保育事故があったときのリスクに大きな差があるというのは、私はちょっとおかしいと思うんですね。

 これは文科委員会でも議論がされるんでしょうけれども、この厚労委の問題としても、この議員立法、あるいはもし法律が成立したらその対象範囲については政令の問題にもなってくるでしょう、そのときにはやはり厚労省としてもしっかりと関与していただいて、この範囲拡大について、保育施設、できるだけ認可外も広くカバーされるような働きかけをぜひしていただきたいと思うんですけれども、一言、どちらでも構いません、言っていただけますか。

橋本副大臣 今の御意見、問題関心はしっかりと受けとめさせていただきます。

 その上で、私たちとしては、当然ながら、やはり質もきちんと確保したところを、ぜひ整備を進めたいということで、足りないという御指摘はいただいていますが、そういう思いもございますので、いろいろなことを考えさせていただきたいと思います。

山尾委員 ぜひ一緒に頑張っていきましょう。よろしくお願いします。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、政府参考人として内閣府規制改革推進室次長刀禰俊哉君、厚生労働省大臣官房総括審議官宮川晃君、労働基準局長山越敬一君、労働基準局安全衛生部長田中誠二君、職業安定局長生田正之君、職業安定局派遣・有期労働対策部長鈴木英二郎君、職業安定局雇用開発部長坂根工博君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長岡村肇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 次に、高橋ひなこ君。

高橋(ひ)委員 自由民主党の高橋ひなこです。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 雇用保険法等改正法案について、主に雇用保険法関係と育児・介護休業法関係について質問をしてまいりたいと思います。時間が二十分ですので、可能であれば職業安定法関係についてもお伺いしてまいりたいと思います。

 我が国の合計特殊出生率は、平成十七年には一・二六まで落ち込み、その後、一定程度上昇しているものの、出生数は減少傾向にあります。人口の年齢構成も大きく変化をして、今後も一層の少子高齢化が見込まれています。

 こういった状況下で、安定した経済成長そして国民生活の物心両面での向上を実現していくためには、労働生産性の向上が不可欠であり、それぞれの労働者がその能力を高めていくことを支援することが待ったなしの課題となっています。

 現在政府が提出している雇用保険法等の一部を改正する法律案では、教育訓練を受講する方を支援する教育訓練給付の拡充が盛り込まれており、まさに今申し上げた方向性と合致する改正であると考えますが、改めて、今回の教育訓練給付制度の見直しについて、その趣旨と内容をお伺いいたします。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 今、我が国は少子高齢化が進展をしているという中にあるわけでございます。その中で我が国が持続的に成長していくというためには、それはやはり、働いておられる労働者の方々の職業能力の開発、向上に取り組むことが重要でございます。要は、人が少なくなっていく、その中で売り上げだとか成果を上げていくというためには、生産性を向上していくという必要があります。これは経営者の問題でもありますが、やはり働く方々の能力向上ということもそれに資するということでございます。

 このため、働く方の中長期的なキャリアアップを支援するため、今回の法案においては、専門的かつ実践的な教育訓練を受講する場合の給付、これを専門実践教育訓練給付と申しますが、この支給割合を、今最大六〇%というところにしておりますところを七〇%に引き上げるということをいたします。

 また、四十五歳未満の離職者が、今申し上げた専門実践教育訓練を受講する場合に、失業手当が切れた後には教育訓練支援給付金というのを出すということにしておりますが、その給付額を基本手当の今五〇%相当額ということにしておりますが、これを八〇%相当額に引き上げるということにしております。

 こうした取り組みを通じまして、働く方々が、離職をされた、次、転職をする、そのときにキャリアアップをして転職するということをぜひ実現できるように、そういうのにつなげていくようにしたいと考えております。

高橋(ひ)委員 非常に必要なことだと思いますので、よろしくお願いします。

 質問を続けてまいりたいと思います。

 安倍政権は、女性が活躍する社会の実現を目指しています。女性の就業率は上昇していまして、女性が結婚、出産期に当たる年代に一旦低下をして、育児が落ちついた時期に再び上昇するといういわゆるM字カーブについても、この三十年間で大きく上方にシフトして、くぼみが大幅に浅くなるなど改善傾向にあります。他方で、女性が結婚、出産等で一度離職をすると、正社員として再就職することが困難という実態もあります。

 こうした状況は、女性がその能力を発揮し、労働生産性の向上を図る上でも問題で、女性がライフステージに応じて再就職したい環境を整えることが求められています。このため、出産、育児等によりキャリアを中断した女性の再就職、キャリアアップに資するいわゆるリカレント教育の拡充により、多くの方が学び直しができるように支援するべきではないかと考えますが、政府の取り組み方針をお伺いいたします。

生田政府参考人 お答えいたします。

 現在、教育訓練給付につきましては、離職された方も受給できるんですけれども、ただ、その場合につきましては、離職後一年以内に訓練を開始する必要があるというのが原則になってございます。ただ、一年の期間に、出産や育児など、やむを得ない事由がある場合につきましては、これは最大四年間まで延長できるということになってございます。

 ただ、育児やあるいは出産などがある場合につきまして、離職後四年ではなかなか訓練が受けられないという方もおられるということもございまして、今般、開始までの期間につきまして、最大十年まで延長するということといたしております。

 それから、先ほど副大臣からの答弁にもございましたように、教育訓練給付自体の内容の拡充もあわせて行いまして、それから、給付の対象となる講座につきましても関係省庁と十分相談して、キャリアを一旦中断した女性の学び直しに資するようなコースをきちんとつくっていくということにしたいと思っておりまして、こういったことを通じまして多くの方にリカレント教育を受講していただく、学び直しの機会を得ていただくというふうにしていきたいと考えてございます。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。

 例として、私のところに、例えば看護師さんが一年後に復帰とかをしたいという場合に、医療技術の向上についていくのが大変だというようなお声も実は届いておりますので、非常に必要だというふうに思っておりますし、また、ほかの業種の方々にとっても、本当にさまざまな部分で私も女性として実感をしている部分ですので、ぜひサポートをお願いしたいと思います。

 あわせて、複数のお子さんを出産した後に自分が復帰したいという場合を考えてのこの延長、大変ありがたいことだと思っております。ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、育児・介護休業法の改正について質問したいと思います。

 まずは、今回の改正内容について、厚労省に御説明をいただければと思います。

堀内大臣政務官 まず、育児休業期間について、現行制度が、原則子供が一歳になるまで取得でき、そして、保育園に入れないなどの事情がある場合には一歳六カ月まで取得することができることとなっておりますけれども、今回の法案では、一歳六カ月に達してもなお保育園に入れない等の事情がある場合の延長を、最長二歳までとすることとしております。

 このほかにも、事業主が、例えばそれを、お父さんであれお母さんであれ、育児休業の対象となる方を把握したとき、その方に個別に取得をお勧めする、お知らせする、そういった仕組みを設けています。そういったことや、就学前の子供を有する働く方が育児にも使える休暇制度を設けることを努力義務として盛り込んでおり、男性も育児をすることが当たり前の社会を目指してまいりたいと思っております。

高橋(ひ)委員 今御説明をいただいた、保育園に入れない場合の延長幅を延ばす措置、私はさまざまなメリットがあると考えています。ここまで私も子育てをしてまいりましたし、ママ友としての友人、また、たくさんの方々の御要望をお伺いしてきた中で、今回の法改正にはたくさんのメリットがある。

 その中で、まず一つ目のメリットです。

 生まれ月によっては、現行の最長一歳六カ月までの延長だと、一般的な保育園の入園時期の年度末に達成しないケースが生じますよね。例えば、七月生まれのお子さんだと、原則は翌年の七月まで育休を取得することができますが、待機児童が多い都市部にお住まいの場合、年度途中の七月に入所するのはとても難しいと思います。この場合、保育園に入所できず六カ月延長しますが、一歳六カ月までの延長だと翌年一月まで、こちらも年度途中ですよね。つまり、一月から三月末までは、育休も取得できず、保育園にも入れない時期ということになります。

 このようなお子さんをお持ちの御家庭はどのような行動をなさるのか。一月で育休が終了することがわかっている御家庭は、恐らくは、その前年の年度末、つまり、お子さんが零歳のうちに育休を切り上げて会社に復帰するという選択肢をとられるでしょうし、現に私のところにも、実際にそのような声が寄せられています。

 今回の改正で最長二歳まで延長できるということになれば、生まれ月によってこのようなケースが発生するということがなくなるわけで、やむを得ず育休を切り上げて復帰するという事態がなくなると思われます。

 二つ目のメリットです。

 子供の視点に立った場合、親元で一緒に過ごせる時期が長い方がいいと思っている方も多いと思うんですね。子供のために育休を長くとりたいと思う方もいらっしゃるでしょう。御両親も、できれば育休をもう少し取得して子供と過ごしたいという思いがあるのに、やむを得ず育休を切り上げているという現状の家庭にとっては、今回の改正は親子双方にとって非常によい結果を生むものであると私は言えると断言させていただきます。

 三つ目は、待機児童問題の観点からです。

 今、各市町村では必死に保育園の整備をやっていただいていますが、ふえ続ける保育ニーズや保育士不足等々の問題もあり、整備が間に合っていない地域があります。そして、実際に保育園の整備が間に合わず、園児が在籍する期間が長期にわたることにより、定員を超える受け入れを行っている保育園が見られます。

 先般、定員を超えた園児が在籍する保育園に係る公定価格の特例措置の適用期間を延長する措置を講じていただきました。これは自治体から要望があったんですね。今、保育園の整備を必死でやっているんだけれども、来年百人は受け入れができる、再来年も何百人か受け入れができる、どうしてもこれが間に合わないので、どうか延長措置をしてくれ、そういう要望がありました。

 育休が延長されるということによって、やむを得ず早期に保育園に入園させる方が減るということになれば、定員を超えた園児が在籍する保育園も減っていくと考えられ、保育園の整備の観点からもよい結果を生むのではないかと思います。さらには、園児の枠があくことによる待機児童対策にもなると思います。

 今回の延長措置を行うと同時に、保育園の整備は緩めることなく、引き続きやっていただく必要があると思いますが、今回の延長措置によって、各家庭にとっての両立支援の選択肢がふえるということは間違いないと思います。その上、結果的に待機児童問題にも一定の好影響を与える今回の改正、私は非常に評価したいと考えておりますが、今回の改正を行おうと考えられた趣旨、こちらについて厚労省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

堀内大臣政務官 高橋委員にお答え申し上げます。

 四月から九月生まれのお子さんの場合、一歳六カ月まで育児休業を取得しても、一般的な保育園の入園時期である四月に届かないために、先ほど高橋委員がおっしゃったような、初めて迎える四月に育児休業を切り上げて職場復帰をする方や、職場復帰を諦めて、そして退職する方が一定数いらっしゃることは考えられております。

 そこで、今回の改正案により、休業期間を最長二年まで延長することで、子供の生まれ月による不公平を是正し、保育園等を利用できないために離職せざるを得ない事態を防ぐための緊急的なセーフティーネットを整備することといたしたいと思います。

 今回の改正を含め、働く方々それぞれの状況に応じて育児休業等を利用していただき、仕事と家庭の両立につなげていただきたいと考えております。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。

 今回の改正は、子育て中の方々に大変メリットの多い内容であると思います。働く女性の活躍する社会をつくるということ、そして、あわせて、子供の立場からも考えていくという視点も踏まえて、ぜひお進めいただきますようお願いをいたします。

 最後に、職業安定法の改正について質問をさせていただきます。

 出産、育児等によりキャリアを中断した女性を初め、働く方一人一人がそれぞれの希望に応じて、また、それぞれの能力を発揮して働くことができるようにするためには、働く方を求める事業主と仕事を求める方々との間で適切なマッチングが図られなければなりません。

 そのために、仕事を求める方々が最初に目にする求人広告や職業紹介の場面において、労働条件がしっかりと明示されることが必要不可欠です。事業主による労働条件の適正な明示に向けて、これまでどのような対応が講じられてきたのか、また、今回の職業安定法の改正でどのような対応が進むことになるのか、具体的にお伺いをしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 現行法におきましても、事業主が虚偽の労働条件を提示して働く方を募集することは職業安定法に抵触するものでございまして、こうした事案に対しましては、指導等により是正を図っているところでございます。

 今回の改正におきましては、これに加えまして、ハローワーク等に虚偽の労働条件を提示する場合も罰則の対象に加えることといたしております。こうした事案につきましても、必要な指導等により是正を図ることといたしております。

 また、事業主が求人票等に記載していた労働条件を変更して労働契約を締結するという場合もございますけれども、こうした場合におきましても、働く方がその旨を理解した上で労働契約を締結することができるよう、その変更箇所等を明示するということを新たに義務づけしたいと考えてございます。

高橋(ひ)委員 この今厚生労働省から出てきておりますさまざまな法案、いろいろと私の方も質問をさせていただき、また担当者の方々にもいろいろなお話を伺うにつけ、大変さまざまなところが工夫をされている、そして、これまでいろいろな点で指摘があった部分、また国民の皆さんの声などをお聞きするに当たっても、ああ、この部分が工夫されているなということを非常に私の方では実感しながら説明を受けさせていただいております。ぜひいろいろお進めいただきたい。また、安倍政権が進めております一億総活躍社会を目指して、高齢者も、若い人も、男性も女性も、活躍できる社会を目指しているということに非常に合致しているというふうに考えております。

 引き続き、厚生労働省、そしてまた政府の皆さん、いろいろなところでお進めいただきたいと思うんですが、大変恐縮なんですけれども、副大臣がこちらをじっと見ていらっしゃいますので、何というんでしょうか、この法案、本当に私はすばらしいと思っておりますので、ぜひお進めいただきたい、そして、その決意がありましたら、一言でいいですけれども、お願いできますか。よろしくお願いします。

橋本副大臣 どのような質問をされているのかをしっかり伺わなければと思って見ておったわけでございますけれども。

 冒頭御説明申し上げましたように、今、少子高齢化を迎えるという中で、いかにして働く方々の、だから働き方改革というのをやるわけですが、環境を整えて、そして、しっかり日本として、稼げる日本というものを維持し、さらに成長させていくかという岐路に立っていると思っております。

 そうした中で、今回の法案を、いろいろなことを考えた上で提出させていただいておりますので、ぜひしっかり御審議の上、これをぜひ成立させていただけるように私たちとしては頑張っていきたいと思いますし、お願いをしたいと思っております。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。突然ですが、大変恐縮です。

 いろいろ皆さんの御答弁をお聞きしておりまして、さまざまなところで、しっかりとした対応の部分、また、それ以外の法案でも、私の方では、本当にたくさんの方の御意見が反映されている。

 また、いろいろな視点もあるとは思いますが、この法案は絶対必要だ。しかも、一億総活躍、若い人、それから子育て中のお母さんも、そしてまた男性の育児参加のお話もありますが、まずこれを進めて、そしてさらにいろいろなことをともに考えていき、若い方、お年寄り、そして女性、男性、全ての方が活躍する社会となりますよう心から祈願を申し上げまして、質問を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

丹羽委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、通告に従いまして質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 近年、アベノミクスによる雇用情勢の改善を受けまして、雇用保険の積み立て、これが六兆四千二百六十億ということで過去最高に達している、こういう状況でございます。

 さまざまな指標が言われております。有効求人倍率が史上初めて四十七都道府県全てで一倍を超えているでありますとか、雇用が非常に安定的に推移をしている。

 こうしたことで得られた果実、これを用いて、雇用保険料率、これは連続の引き下げになりますけれども、この時限的な引き下げ、あるいは給付の拡充などをしっかり行っていく。これに加えて、また一億総活躍社会の実現に資するようなさまざまな改革を行っていく。

 これにつきましては、私ども公明党も今まで強く求めてきたところでございまして、昨年十二月、働き方改革全体に対しましても党として提言をいたしました。働く人の立場に立った働き方改革の実現に向けた提言ということでございます。こうした私どもの意見の多くが今回の改正案に盛り込まれている、こういうことをまずは高く評価させていただきたいというふうに考えております。

 本法律案は、大きく分けますと、雇用保険、職業の紹介のところ、そして育児休業、大きく三つ、それぞれ改正を行うということでございますので、これにつきまして、それぞれ質問をさせていただきたいというふうに思います。

 昨年の私どもの提言の中では、女性や若者の活躍しやすい社会に向けた環境整備、これをさまざま進めていただきたいということで提言をさせていただきました。

 女性の活躍、本日もさまざまな場面で議論になっておりますけれども、やはり、仕事と育児を両立させていく、これが非常に大事だと思っております。そのためには、やはり待機児童の問題、これをしっかりと解消していかないといけない。特に都心部を中心に、待機児童の状況は本当に大変でございます。これにつきまして、今回、育児休業期間を、一歳から保育所に入れない場合は六カ月延長できる、こういう仕組みがあるものをさらに再延長する、こういう仕組みを新たに導入しております。

 これにつきまして、さまざまな指摘が、きょうもずっといろいろな議論をされておりましたけれども、いろいろな議論があるということもございまして、やはり本来のこの制度の趣旨というか、どういうメリットがあるのか、そういうものを、しっかり、はっきりさせていく必要があるのではないかなというふうに思います。

 そして、私は、あくまで保育所に入れない場合、緊急避難的に延長する、こういうことであるというふうに理解をしておりますので、本来は、増大をする保育ニーズ、これに対してしっかりと対応していくということがやはり一番大事なのではないかというふうに思っております。

 地元の兵庫県でも、毎年、かなり一定の規模の保育の受け皿というのを整備させていただいているんですけれども、やはりそれに応じて新たな保育ニーズというのが出てきて、そして待機児童の数がなかなか減っていかない。確かに、それだけ受け皿を整備しておりますので、それだけの方が、仕事をしたいという女性の方が実際に働けているということは、私は評価をすべきだと思うんですけれども、しかし、待機児童が減っていかない、こういう問題を解消していかないといけないと思います。

 ことし、また新たにニーズの把握をしていって見直しをしていく、こういうお話もございました。これに対応して保育の受け皿確保を図っていく、これをやはり最優先でしっかりやっていくということが大事なんだろうというふうに思います。

 ですので、まず第一問目といたしましては、育児休業のところの部分の改正の趣旨、どういう趣旨で改正をするのか、どういうふうなメリットがあるのか、そして、やはり保育の受け皿を確保していくということが一番大事だというふうに思いますので、それをどう進めていくのか、こういう点についてまずは答弁いただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

堀内大臣政務官 中野委員にお答えいたします。

 公明党さんとしてさまざまな御提言をいただく中で、今回の改正法案に対して御評価をいただいておりますことを、大変ありがたく思っております。

 その中で申し上げます。

 現在、育児休業は、保育園に入れない等の事情がある場合には一歳六カ月まで取得することができますが、今回の改正法案によって、緊急的なセーフティーネットとして休業期間を最長二年まで延長することで、子供の生まれた月にかかわらないで、一般的な保育園の入園時期である四月まで育児休業を延長することが可能となります。これにより、保育園に入れない等の理由で離職を余儀なくされるといったことを防ぐことができると考えております。

 そして、もとより、今回の育児休業期間の延長とあわせて、育児休業から復帰を希望する時期に子供を預けられる環境を整備することも重要であると考えております。政府としては、平成二十九年度末までの五年間で、五十万人を超える保育の受け皿拡大を進めています。

 先般、総理から、女性の就業率の増加や保育利用率の上昇などがこれからも続いていくことを踏まえ、平成三十年度以降も待機児童ゼロを絶えず実現するといった趣旨の御発言があったことを踏まえまして、四月以降明らかになる、いわゆる各自治体における改善状況等をいろいろと見きわめた上で、新たなプランを六月までに決定してまいりたいと思っております。

中野委員 ありがとうございます。

 先ほどおっしゃられた、生まれ月によって、延長で入れたり入れなかったり、そういうことがございまして、こういうところをしっかりと不公平がないようにしていく。もちろん、もとより受け皿確保というものを、また、新たにこのニーズというものを見直して、しっかり進めていくという御答弁をいただきました。これは非常に大事だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、雇用保険について質問いたします。

 今回、失業した方への給付の日数というものが拡充をされる部分がございます。これは、三十歳から四十五歳のところで拡充をされるということでございます。

 これは非常に大事なことでございますけれども、裏返して言いますと、やはり三十歳以上になってくると、再就職がそれだけ時間がかかっていくということなんだろうというふうに思います。ですので、この失業給付の拡充というのはもちろん大事ではあるんですけれども、こうした、ある程度中高年というか、こうした世代の再就職の支援策そのものを強化していくということが私は非常に大事だろうというふうに思っております。

 実際やはり、年齢がこうした年代になってきて仕事をやめて、もう一回就職活動をされるという方のお話も伺うんですけれども、これはどうしてもなかなか面接をしても通らなくて、全然仕事が見つからないというふうなお話もかなり伺うところでございますので、どういう形でこの就職の支援策をやっていくのかということが非常に大事だというふうに思います。

 また、今現在、三十歳から四十五歳というところがクローズアップされましたけれども、まさに私も三十九歳でありますので、この年代であるんですけれども、実は、この年代というのは就職氷河期世代でございまして、三十五歳から四十四歳ということで、大卒の最初の新卒のときの就職の状況が非常に悪かったということで、最初に正社員になれなかった。そのままなれずに、フリーターのような仕事で、それが長く続いていて、なかなか安定した仕事につけない、こういうお話は同世代としてよく伺っております。

 こうした就職氷河期の世代に着目をして、ここの支援をしていくということも私は非常に大事だというふうに思います。今回の法律の改正の趣旨とあわせまして、こうした就職支援策の強化をどう図られるのか、これについても答弁いただきたいと思います。

生田政府参考人 お答えいたします。

 まず、委員御指摘の、失業給付の所定給付日数の引き上げでございますけれども、現在の所定給付日数で、就職率につきまして、被保険者であった期間あるいは年齢階層別に見ますと、倒産、解雇等で離職した方で、被保険者であった期間が一年から五年の三十歳から四十五歳の方が、所定給付日数内で就職する率が、他の層と比較して非常に低くなっているということがございます。こういった事実を踏まえまして行うものでございます。

 こういった層に対する再就職の支援でございますけれども、まず、中途採用を拡大する企業への新たな助成措置を平成二十九年度予算で盛り込んでございます。それから、教育訓練給付の拡充も行っておりまして、学び直しの支援を強化しております。

 それから、就職氷河期に着目した対策といたしまして、現在、不本意ながら非正規雇用で働いている方々に対しまして、平成二十九年度予算で、支援対象者の意欲喚起などにつながるような短期集中セミナーをやるといったこと、あるいは、正社員として雇い入れた事業主の方に対する助成措置を新設するということ、さらに、わかものハローワークなどによるマンツーマンによる支援を強力に行いまして、雇用失業情勢が改善している今がチャンスでございますので、この時期を捉えまして、正社員就職のための支援を強化してまいりたいと考えてございます。

中野委員 ありがとうございます。

 職業安定法の関係の質問もさせていただきます。

 私は、公明党の青年委員会のメンバーということで、若い人たちがやはり就職、社会で活躍できる、そういうものを目指していこうということで、若者雇用促進法の成立、これについて強くお願いをしてまいりました。これは、若者を使い捨てにするような企業は許さないということで、例えば、一定の期間内にすぐ離職をしてしまわないかとか、こうした一定の指標を公開するような仕組みを設ける、あるいは、労働関連法令に違反するような悪質な企業、これは新卒求人向けのハローワークでは求人を不受理にする、こうした仕組みを導入させていただきました。

 法律の制定後、やはりこうした仕組み、一般的にも拡充をもっともっとしていった方がいいんじゃないか、こういうお願いもさせていただいておりました。あわせて、ハローワーク等の求人票、これについては、表記もわかりにくかったりですとか、あるいは、実際に出ている求人と本当の契約の出てきた中身と、実態とかなりかけ離れているんじゃないか、こういう指摘もございまして、これもあわせて提言もさせていただいておりました。

 今回の法改正、こうしたさまざまな提案をまさに実現するものだというふうに私は思っておるんですけれども、これを実際に実効性を持った仕組みとすべく、施行に向けて万全に準備をしていっていただきたい、こういうふうに思っております。

 こちらについても、改正の趣旨と施行に向けた取り組みということで答弁いただきたいというふうに思います。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 今、委員御指摘がありましたように、平成二十八年三月から、若者雇用促進法に基づいて、ハローワークにおいては、求人の質を担保する必要性が特に高い新卒向け求人を対象として、労働関係法令違反を繰り返す事業主等からの求人を不受理とすることが可能となっております。

 その法律の、もちろん、累次公明党さんからも御提言をいただいております。また、法律の議決時に附帯決議で、「不受理とする求人者の範囲及び不受理の対象となる求人の範囲の拡大を検討すること。」こういうお宿題を私たちとしてはいただいておったということもございます。

 そうしたことも踏まえまして、今回の職業安定法の改正では、就職後のトラブルの未然防止を強化するため、ハローワークや、若者雇用促進法ではハローワークにおいてということでございましたが、今回はそれを民間の職業紹介事業者なども含め、全ての職業紹介を行う機関においてということで範囲を拡大した。そしてまた、若者法では新卒者向けの求人ということになっておりましたが、今回はこれを全ての求人を対象として、労働関係法令違反を繰り返す、いわば悪質な事業主等からの求人等を不受理とすることを可能としております。こうしたことを通じて、そうした労働関係法令違反を防ぐという効果もあるんだろうというふうに考えているところでございます。

 この実効性の確保についてでございますけれども、民間職業紹介事業者等は、必要に応じて事業主等に自己申告を求めることができるということにしております。

 これによって求人不受理の対象に該当するかどうかを確認するということにしておりまして、その際に、自己申告が事実かどうか疑わしい場合には、職業紹介事業者等は労働局に通報し、労働局が、その自己申告は事実でなかった、要するに、実際には何か指導を受けていたとか、あるいは違反があったということになったというようなことが、その自己申告が違っていたという場合ですね、そういう場合には、事業主に対して自己申告を修正するように勧告をし、これが是正されない場合はその旨を公表する。この事業主はこういう自己申告を、誤った自己申告をしていましたということを公表することができるようにするということで、実効性を確保しようということでございます。

 また、求人不受理の対象については、若者雇用促進法の求人不受理の対象を参考としつつ、その施行状況を見ながら、さらに職業安定法改正法の施行までの間に検討していきたいと考えております。

 また、求人不受理のほかのことでございますが、今回の改正では、虚偽の条件を提示して求人の申し込みを行った者に対する罰則を整備いたしました。そして、それによって、公共職業安定所や職業紹介事業者が提示する求人情報の適正化を図ることとしております。

 また、それに加え、事業主が求人票等に記載していた労働条件を変更するなどして労働契約を締結しようとする段階において、働く方がその旨を理解した上で労働契約を締結することができるということが大事で、後で、その求人のときと話が違っていたじゃないかということを防ぐという意味で、しっかりとその締結のときに変更箇所を働く方に明示することを義務づける。

 このようなことをしておるということでございまして、今申し上げたようなもろもろの変更を通じまして、悪質な企業とのマッチングを防ぐということを私たちとしては取り組むところでございます。

中野委員 ありがとうございます。

 私も、制度の実際の設計のところで、労働法令違反をしているという情報そのものは労働監督部局が持っているので、どうしてもそこは一旦は自己申告ベースになるということで、やはりここの実効性の担保というのはすごく大事な部分だろうなというふうに思いますので、ここはしっかりと厚労省としても、どのくらい実際うまくいっているのかというところをしっかり見ていただきながら、これを進めていっていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 少し時間が押してまいりましたので、通告の順番とは前後しますが、がんや難病、こうした患者の皆様、こうした病気になっても働き続けることのできる社会の実現ということでお伺いをしたいというふうに思います。

 今や、二人に一人ががんの宣告を受ける、こういう時代でございます。であるにもかかわらず、離職を余儀なくされるケースが非常に多い、こういうことが現実でございまして、今回、働き方改革の実行会議でも、がんや難病、こうした病気の方も希望すれば働き続けることのできる社会、これが非常に大事だというふうに考えております。

 しかし、治療を受けながら就労を続けるということでございますので、やはり医療側、雇用側、それぞれこうした理解も必要でございますし、それを政府として後押しをしていく、こういうことが必要であるというふうに思いますので、今後の取り組みについて、政府の答弁を求めたいというふうに思います。

山越政府参考人 お答えを申し上げます。

 御質問いただきましたように、難病あるいはがん患者の方の中には、病気のために仕事をやめざるを得なくなった方もたくさんおられますし、また、仕事を続けておられる方でも、職場の理解が乏しいといった苦労に直面されている方も多いわけでございまして、御指摘いただきましたように、治療と仕事の両立が働き方改革の中での重要なテーマになっているというふうに考えております。

 このために、昨年十月に開催をされました働き方改革実現会議におきましても、大臣から、病気の治療と仕事の両立支援の今後の対応といたしまして、まずは企業文化の改革を進めることでございますとか、新たに専門人材を育成することなどによりまして企業と医療機関の連携を強めること、そして患者に寄り添うような相談や支援を充実させていくこと、こういったことが特に重要であるということをお話しさせていただいているところでございます。

 中でも、患者に寄り添う支援体制につきまして、この会議の中で生稲議員から御提案もございまして、総理からも、トライアングル型サポートということで、主治医それから会社、産業医やカウンセラー、こういったトライアングル型のサポート体制の検討について御発言があったというふうに承知しております。

 こういったことも踏まえながら、今月末にこの実現会議で実行計画が取りまとめられる予定でございますので、それを踏まえまして、しっかりと取り組みを進めていきたいと思います。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長代理 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民進党の岡本です。

 きょうは、法改正の審議でありますが、きのう通告はしていないんですが、大臣に考え方を聞きたいと思っておりまして、先ほどちょっとお願いをしたんですが、昨日、規制改革推進会議で、労働基準監督官を民間に一部業務委託することが可能か否か検討して六月に結論を出すみたいな話が報道されていました、けさのニュースで。

 大臣として、この考え方についてどのようにお考えになられているのか、そして、これからどうしていくおつもりなのか、現時点でお話しできる範囲でお答えいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 今の点についてはまだ私は何も聞いておりませんで、きのう開催をされた規制改革推進会議でそのようなお話が出たということは聞いておりますが、中身、詳細を聞いているわけではございませんで、労働基準監督業務の民間活用タスクフォースというのが設置をされたというふうに聞いております。

 今後の議論の進め方は全く決まっていないように聞いておりますけれども、まずは、この規制改革会議でどのような議論が進められるのかなどを確認した上で対応方針を考えていきたいと思っております。

 中身がわからないうちにコメントするのもいかがなものかなというふうに思いますので、そのようなことで御理解を賜れればと思います。

岡本(充)委員 監督官の業務を民間に一部委託することは可能だというふうにお考えですか。そこはどうなんですか。

塩崎国務大臣 これは規制改革会議がどういう主張をされているのかよくわかりませんので、そのようなことがわかった上でお答えをしたいというふうに思います。

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

岡本(充)委員 やはり、駐車違反と同列で議論されるのはちょっと違和感があって、司法警察権がある監督官でありますし、駐車違反の監視員は事実の確認でありますけれども、もちろん専門家である社労士さん等にお願いをするとはいえ、やはり強制権を持って入っていくというのは、なかなか民間に委託しづらいでしょうし、日ごろの巡回だって、やはりいろいろな秘密を知り得ることになってくる中でなかなか難しいところもあると思いますから、きょうは、お答えできないでしょうから指摘にとどめておきますけれども、何か規制改革推進会議に厚生労働省はやられまくっているような感もしなくもない。いや、大臣、そうやって手を振られますけれども、本当に最近一本とられてばかりじゃないですか。きちっと主張するべきは主張して、きちっと信頼ある行政の推進をしてもらわなきゃいけないと思います。

 それでは、法改正の中身に入ります。

 まず、二十七年の百八十九通常国会で成立した勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律、これによって、皆さんお手元の資料にあるかもしれませんけれども、実は現時点で既に、若年者雇用の促進法第十一条に基づくハローワークでの求人の不受理を行うことができるようになっていまして、実際にどのくらい不受理しているのだということを伺いましたところ、昨年末時点で、六十四求人で、事業所数三十六ということであります。

 こうした不受理の状況を見て私が思うのは、これがきちっと実効性があるようになっているのか。言い方は悪いですけれども、抜け道が存在していないのかということを非常に危惧しているわけであります。私の資料の二ページ目ですね。大臣、一枚めくっていただいたところです。

 それで、まず、そもそも、最賃法違反で求人をかけてきて、これで不受理になるというのもいかがなものか。要するに、その場で、最賃法違反ですから、あなた、この金額にしてください、こういうだけの話なんですよね。これはそもそも不受理になるに当たり前の話で、この法律がある以前から当たり前に不受理ですよね。局長、まず、そもそもそうですよね。こんな求人、受けませんよね、最賃法違反。うなずいていただいています。

 したがって、この法律の効果という話ではないと思います。この上だと思います、正直言って。その残りのもので、この状況で、実際にこうした状況、では、どのように改善をされているのかというと、実際に改善するのは法目的じゃないから、実際に改善するかどうかは監督部局でやってもらっています、こういう話です。

 では、法目的の第一の目的である、ここへの求職をする可能性のあった人たちがこういったブラック企業に行かなくて済んだ、こうした実績をどのように評価しているのか、まずお答えをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま議員が御指摘いただいたとおり、確かに、求人の内容自体が違法な場合、例えば最賃法違反でありましたら、それは従来からそういった違法な求人は不受理でいいということになっておりますことに加えまして、当該求人自体は違法ではないけれども、その求人を出している事業所自体が法令違反を繰り返しているというような事業所である場合には、若者雇用促進法におきましては、ハローワークで受け付ける際に学卒求人については不受理ということができるというふうにしたところでございます。

 こういったことで、当該求人だけではなく、いわゆる若者使い捨て企業というような企業の求人を、この若者雇用促進法では新卒求人でございますけれども、不受理ということができるようになりまして、これについては、六十四件の求人を実際に不受理にもしてございますので、一定の効果が上がっているのではないかというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 いや、これでは見えてこないんですよね。先ほど言われた、最賃法の第四条の第一項違反で不受理にしているのは、そもそも若年者雇用促進法第十一条に基づかなくても不受理でしょう。だから、この法律によって不受理じゃないんですよ、そもそも。だから、この整理の仕方も、厚生労働省として出してくる整理としてどうかとは思いますが、私は三十四件なんじゃないかと思いますけれども、あっ、三十四事業所、六十二件。

 この状況で、一体どれだけの効果が上がって、結果として、就職しなくて、そうしたブラック企業に行かなくて済んだ求職者の方がいたのか。

 もしくは、逆にこれをすり抜けて、つまり、名前を変えたり、それから資本関係を変えたり、すり抜けるような事態があったのかなかったのかの調査というのはやはりやっていかないと、これは法律で五年後見直しでしたか、そうすると三十二年の十月には見直した法律を施行しなきゃいけないわけですから、であるとすると、もうそろそろ調べ始めなきゃいけない。どういうスキームで調べるかとか何を調べるかでこの法律の効果を測定しなきゃいけないと思うんですけれども、そういった意味での検証がなされていないと思うんですね。それについてはどう思われますか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、当該事業所、違反した事業所から出てきた求人の不受理制度でございますけれども、その事業所ではなく同じ企業の別の事業所、例えば、本社から求人が出てきた、その求人は、実は本社採用といいつつも違反事業所に対して配置する、こういった求人というようなことで脱法ということが考え得るというのは御指摘のとおりかと思います。

 こうしたことで、ハローワークにおきましては、違反事業所の本社や関連会社を企業名等から把握いたしまして、求人を受理する際に、これらの求人の就業場所に違反事業所が含まれていないことを確認することとしておりまして、こうした取り組みを今でもやっておるところでございます。

 五年後見直しということもございますので、実際どういう法の抜け道を行ってくるのかというのをハローワーク経由で調べまして、当該見直しの参考にしてまいりたいと考えてございます。

岡本(充)委員 それともう一つ、大臣、これもお願いなんですけれども、やはり法の目的は、確かに求人を不受理にすることでブラック企業に求職者が就職しないというのが法の目的ですが、一方で、副次的に、こうした企業に是正を促したいというのもあるはずなんですよね、やはり不受理になっちゃうわけですから。これは要するに副次的な効果ではありますけれども、現実にこうしたことを通じて改善が進んだかどうかということも調べるべきだと思います。これは監督部局の方でしかわからないことでありますから、それについても、大臣、ぜひ調査をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 御趣旨はそのとおりで、改善をしてもらわなければいい求人を出してきてもらえないわけでありますので、どういうふうに企業が変わるのかということについてどういうふうに調べるのがよいかは中身がいろいろあろうかと思うので、そういうことはしっかりと見ていかなきゃいけないことはそのとおりだと思いますから、できる限り、どういうやり方をするかはまたいろいろあろうかと思いますけれども、調べて、むしろそういう企業が変わっていくということを確認していくようにしたいというふうに思います。

岡本(充)委員 ぜひ、それはお願いをしたいと思います。

 その上で、めくっていただいて三ページ目。今回の法改正で、こうしたスキームに類似して、今回、若者だけだったハローワークでの不受理の仕組みを全ての求人に広げるわけですが、一方で、民間の職業紹介をする事業者にもこうした類似の仕組みともいうんでしょうか、不受理をすることができる求人をふやしていこうという話です。

 そもそも、左側の求人者というか会社ですね、個人かもしれないんですけれども、ここが求人の申し込みを職業紹介事業者Aにしました。この時点で職業紹介事業者Aが、あれ、この会社はおかしいなと思うと、労働局に通知、照会、通報するわけですね。そもそも何がきっかけで職業紹介事業者Aはこの企業をおかしいと気づくんでしょうか。どういうものを想定しているんですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 これはいろいろなケースがあろうかと思いますけれども、例えば、マスコミ等で、こういった企業がいろいろな法違反を犯しているというような報道で知る場合。それからまた、職業紹介事業者でございますから、日常的に求職者の方と接しております。また、就職された後の労働者の方ともいろいろ連絡をとるケースもあろうかと思います。そういったことで、当該企業について、非常に労働条件がおかしいというような相談でありますとか、情報をつかんだ場合、こういったケースで、どうも法違反があるんじゃないかと疑うような場合に通報をいただけるんじゃないかというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 既に報道されているのであれば、そもそも求職者はその会社に手を挙げませんよね、もう知られているわけですから。

 一方で、職業紹介事業者さんが、就職した後、求職してきた人とどのくらい接触して、どのくらいその後フォローアップしているんですか。そもそも、そういうフォローアップしているのはごくわずかだと思いますよ。そういう意味で、その情報が入ってくることもなかなかないと思うんです。

 したがって、照会、通報する可能性というのはかなりレアケースとなるんじゃないかと思うんですが、その点についてはいかがですか。

鈴木政府参考人 今回の職業安定法の改正におきましては、別の項目におきまして、紹介した後の定着率の公表ということを職業紹介事業者に義務化するという項目がございます。この場合は、当然、職業紹介事業者は、紹介して就職された労働者等と接触いたしまして、その定着状況などを把握することになろうかと思いますので、現在、ひょっとして余り接触しておらないかもしれませんけれども、今後はいろいろと労働者の情報を接触して把握するということもあろうかと存じます。

岡本(充)委員 それは会社に聞くことも可能ですよね、定着率は。どうですか。会社に聞くことが可能なんです。何人も雇っていたら、全員にアクセスするのはなかなか難しい。例えば、会社で百人一括採用しました、百人に電話するより、会社に、この百人どうなりましたか、こう聞く方が合理的ですよね。したがって、そういう意味では、結果として、もとの求職者、今は就職している人と接触する機会も少ないんじゃないか、そう思うわけです。

 何か、ここに書いていますけれども、事業者にインセンティブがなければ、なかなか通報しない。通報した結果、その求人を省くという話になると、結果として、省けばどういうことになるかというと、その分お客さんが減るわけですから、求人紹介事業者としてはお客さんを失うことにもつながります。

 そういう意味で、何か、逆に、自分たちが通報することで、せっかくいただいた求人広告を切ることになるわけでありますから、逆の意味でのインセンティブというか影響が出るのではないか、こう考えるんですけれども、ここを促進する何か具体策を考えないと、現実的にこの最も肝である通報、照会が行われないのではないかと思うんですが、その点についていかがですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 民間の職業紹介事業者につきましては、職業紹介のサービスの質を高めて、それによって求職者、それから求人者、これは事業主でございますけれども、を集めまして、そこでマッチングすることによってビジネスを営んでいるという仕組みになってございます。

 こういった中で、求人不受理の対象に該当するおそれのあるような事業者であると把握しながら、それを放置して職業紹介を続けた場合には、後々、求職者からの評判が悪化いたします。それから、就職後の早期離職が生じるというようなことも起こり得ると思っております。こうしたことになりますと、その職業紹介事業者はどうも悪質な求人者に対して紹介をしているんだというようなうわさが立ちまして、事業運営が損なわれるというようなことになろうかと思っております。

 さらに、今回の改正におきましても、先ほども申し上げましたが、適切な職業紹介事業者を求職者、事業者が選択できるように、職業紹介事業者の紹介実績などをインターネットによって情報提供する義務を設けているところでございまして、こうしたことを通じまして、的確な紹介先を確保するというようなインセンティブが高まるのではないかというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 大臣、今の聞いていましたか、つながり。何か、風が吹いたらおけ屋がもうかるみたいな話で、間にいろいろあるんですけれども、どれも希薄なんですね。ぐるぐる回っていったら、最後は業者が淘汰されるんじゃないか、こういう話ですけれども、これは全て仮定に基づいて、つまり、それだけ悪質な求人ばかりが集まれば、それはそういう話になりますよ。職業紹介事業者としては、もちろん質も重要ですけれども、種類、数も重要なんですよ。そういう意味で、質はいいけれどもちょっとしかない求人紹介事業者のところに、では逆に行きますか。

 やはりこれはスキームに無理があるんだと思います。いや、民間まで広げたい気持ちはわかりますが、大臣、聞いていただいていますか、民間まで広げたい気持ちはよくわかるんですけれども、しかし、これはやはり、特に右側の矢印のところに無理があるんじゃないか。今回まずこれで始めてみるという答弁をされるのかもしれませんけれども、このインセンティブ、もしくは何か効果的な方法、これからもう少し、一工夫していくべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 今回、これは初めて民間に広げて、しかし、みずから不受理の対象になる事業者かどうかがわからないままに受ける、そういう可能性があるわけです。しかし、照会もできるということでもありますので、今、岡本委員がおっしゃっていたように、とりあえず、こういうことでできるということでやってみて、どういうことになるのか。できる限り、労働局も協力すべきところを協力しながら、照会があればしかるべき手順をとっていくということでありますので、とりあえず、これは網をちゃんとかけておくということではないかなというふうに思います。

岡本(充)委員 いや、どのくらいの照会があったのかは後でわかると思いますから、それはぜひ統計をとっていただきたいと思いますし、そもそも、全求人の数からいえばごくわずかなこうした悪徳な事業者を、職業紹介事業者が気づけるのかという、ここも大きな問題があると思います。

 あわせて、これは先ほどの話と一緒です。今度、Bというところに、Aでだめだという話、Aでばれちゃったということがわかるわけですね、求人者の方に労働局からフィードバックしてきますので。あなた、こうしてください、是正をしてくださいという勧告が来ます。ああ、これはAではいかぬなと。今度は、職業紹介事業者Bに行って、求人票を持っていく。こうしたときに、またBも気づかなきゃいけないんですね。これはまた難しい。Aも気づき、かつBも気づく。これはやはり、報道されているぐらいじゃないとなかなか出てこない話じゃないかと思うんですね。

 そういう意味で、こうした仕組みが本当に実効性があるのか。やはり、ちょっとたてつけに、ここも難しさがあると思います。したがって、いや、大臣、これは、けしからぬと言っているわけではありませんが、ちょっと無理があるから、やはり何か少し、できる範囲で工夫をしないと、うまく回らないと思いますよ。したがって、ここも含めてもう一度御検討をいただきたい。いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 もともと、今までもこれはハローワークに準じた取り組みを進めるように勧奨していたのを、今回、これを全ての求人に広げるとともに、民間の職業紹介事業者に広げていこうということで、さっき申し上げたとおり、これは、やや怪しいなと思った場合に、労働局に通報して調べてもらうということができるわけで、フィードバックが直接来るわけではありませんけれども、それなりの手だてをして、自己申告書を修正せざるを得ないというところに企業を持っていくわけでありますから、そこのところが完璧かどうかということで、全数お尋ねするわけにもなかなかいかないかもわかりませんけれども、やはり、一定程度推測をしながら、みずからの情報のもとで労働局に尋ねていくということをやった上で、きちっとした紹介ができるようにするということで、とりあえず、私は、やっていく価値はあるんではないかなというふうに思っているわけであります。

岡本(充)委員 いや、しかし大臣、これは結局、紹介事業者、今言われたとおり、AもBもフィードバックがないですから、怪しいかなと思ったけれども、通報したけれども、ナシのつぶてですから、そのまま求人票を受け付けて、結局そこに就職する人が出てくる可能性があるんですよ、これは。フィードバックされないわけですから。したがって、これは結果として求職者を守れないんじゃないか、こういうこともあり得ますので、このスキーム自体、やはりちょっと工夫をすることが必要だと言っているんです。

 まず始めたいんだ、いや、だから、これが全くもってけしからぬと言っているわけじゃないです。いろいろ工夫しないと、結果として、この求人票は、職業紹介事業者Aは怪しいかなと思って通報はしたけれども、わからないので、そのまま求人はしばらくの間出し続けます。是正勧告して、是正がなされるかどうかわからない。是正勧告をして、是正勧告に基づいて是正をされるまでの相当の期間、求人票は載るわけです、この間に就職しちゃうわけです、だからこのスキームに無理があるという話をしているんです。

 だから、大臣、これは一工夫すると、ちょっと考えて、実際に実施するときにちょっと工夫をしなきゃいけないな、そういう認識はおありですよね、私の指摘を受けて。

塩崎国務大臣 もともと民間の職業紹介事業者はこれまでも紹介をしてきたわけですね。そこに今回改めて全ての求人について不受理をできるというか、受理しないことができるようにする中で、先ほど申し上げたように、労働局に通報し、問題があれば労働局が事業主に対して勧告をして、自己申告書の訂正をさせれば、それでこの民間の紹介事業者もわかるわけでありまして、事業主は労働局に対して報告して、勧告に従わなかったことが確認できた場合には、労働局は事業主が勧告に従わなかったことを公表するということになっているわけでありますので、そういう中で若干時間のギャップがあるじゃないかという御指摘はそれなりにわかりますけれども、これを、どれだけ、工夫という意味においては、スピードアップをどこまでやっていくのかということになるのかなと。

 もし、ではこういうものがない場合に、今までどおりこの民間事業者が知らずにやっていたら、それはもっと、何のひっかかりもなく紹介してしまうという結果になってしまいますから、一歩前進であることは間違いないのではないかなというふうに思いますが、なお、そのスピードの問題、タイミングの問題等々、何か工夫ができるかどうかということは、おっしゃるとおり考えてみたいというふうに思います。

岡本(充)委員 ぜひ、私もそれは、第一歩として、こういう仕組みで悪質な事業主からの求人を受け付けないという仕組みをつくるということは一つの考え方だと思いますが、たてつけがちょっと無理があって、いや、考え方はいいと思いますよ。たてつけをもう少し考えていかないと実効性がないですよということを指摘しているわけです。では、またその工夫はぜひ教えていただきたいですけれども。

 さて、続いて、今度はお金の話ですね。労働保険特別会計に属する国有財産の売却の現状をちょっといろいろ教えてもらいました。たくさんあるんですね。

 冒頭、ちょっと資料に誤りがあったそうでして、これは厚生労働省からいただいたんですが、十三番の青森市中央三丁目の物件ですが、これは入札ではなくて、期間入札ということだそうです。

 そもそも、入札にかけて、そして入札した者の中で高いお金の人とその土地の売買契約を結ぶ。合理的に考えればそういう話なんだろうと思いますが、現実に本当に適正な価格で売却していることになっているのか。昨今、いろいろなところで土地の話題が出ていますから、私もちょっと、国有財産の売却のあり方はどうなのかと。

 きのう、連絡がついた労働局で一つ伺いましたのが、例えば山口ですね、これでいうと四十四番の山口市泉町、なかなかよさそうな物件でありますが、調べてみたら、湯田温泉という駅から徒歩十八分ぐらい、国道九号線に比較的近い、大変商業施設も多いエリア。売ってみたら、二百十四平米の土地が四百五十四万円、これが先着順。これは、結局入札で入札する人がいなくて、その後、価格を公示して、この価格でいかがでございましょうかと聞いて先着順に受け付けた。

 これは、私、調べました。国土交通省の土地鑑定委員会が平成二十七年七月一日に標準地の現況を分析して価格決定した地価公示では、一平米四万七千四百円、同じ泉町の二百番地の、ほぼ近くです、泉町二百番地台。これは国土交通省のホームページにも出ています。これで計算すると一千十六万円なんですよ。四百五十四万で売っている、先着順。

 たった一カ所、僕は、どこが連絡がつくんだと聞いて、これを全部聞くのは大変だから、どこが連絡つくの、選びましょうよと言って、適当にと言ったら失礼ですけれども、ぱっと選んだ。たった一件の物件がこの話でびっくりした。いや、そうしたら、これは連絡がつかなかったそうです。

 あれっと思って、ほかに、では、ちょっと適当にと思ってこれまた適当に聞いたら、二十六番、藤枝市潮字久保新田、ここは静岡労働局の台帳を見ると三百六十四万七千円の価格のものが百二十五万円でこれまた売られている。

 何で入札はこんなふうになるのと話を聞くと、どうやら、この価格で入札をかけて、落とす人がいなければもう一度鑑定し直して、不落だった、不調だったことを踏まえてディスカウントの基準価格をつくる。また売れなければもう一回ディスカウントの基準価格をつくる。これをやっていけば最後はただになっちゃうんだよね。いや、それはやはりやり過ぎだというので、どこかで踏みとどまる結果が、三百六十四万七千円の台帳価格で百二十五万円で売れたという話なんですね。これは本当にこの価格で売ることが適切なのか。

 そして、なおかつ、驚いたことに、土地の価格を鑑定してもらっていますという不動産鑑定士は、入札をして、最も安い手数料で鑑定してくれるたった一者に鑑定してもらって価格を決めている。そして、その鑑定してもらった土地鑑定士と実際に札を入れて入札をする業者や個人との関係について、何らか縁故やいろいろな利害関係があるのかないのかを含めて調べることはしない。こういう状況の中でやっています。

 さまざま手続に問題があると思うんですが、この私が今一連話してきたこと、事実でしょうか。まずお答えいただきたいと思います。

宮川政府参考人 何点か、複数の問題点を御指摘であろうと思いますので、少し説明させていただければと思います。

 まず、未利用地の売却でございますけれども、未利用財産につきましては、一般競争入札で売却する、これが原則でございます。

 売却に当たりましては、国有財産の売り払いの基本原則にのっとりまして、公用、公共用利用優先の考え方を原則としつつ、まずは地方公共団体などからの利用要望を受け付け、一定期間内に利用要望がない場合には、一般競争入札に付し、速やかに、かつ、透明で公平な手続に従って売却する、これがまず原則でございます。

 続きまして、それらのものがどのような価格で売却されているのかという御指摘かと思います。台帳価格との関係ですね。

 台帳価格は、取得時において国有財産台帳に登録したその当時の取得価格ということになろうかと思います。一方、売却額、これは基本的には、今先生がおっしゃられたように、不動産鑑定評価により得られた鑑定評価額を基本として売却するという形でございますので、お尋ねの台帳価格と売却額には差異が出ることは当然あり得るものと認識しております。

 また、物件の売り払いについて、入札が不調になった場合、割引になるんじゃないかというようなお話でございました。

 入札が不調になった場合の一般的な売却手続は、一定期間、価格など必要な情報を公表し、買い受け希望を受け付け、相手方を決定するよう努めた上で、それでも相手方を決定することができない場合に、改めて不動産鑑定評価を実施して入札を行うこととしております。

 その結果、不動産鑑定評価を再度実施した結果、不動産鑑定評価が減額される場合があるものと承知しているところでございます。

 以上でございます。

岡本(充)委員 不調だったことを踏まえて不動産鑑定し直して、その分、不調だったことはマイナス要因として働いてディスカウントになるときのうは説明を受けました。

 逆に高くなっている事例もあるわけですか。であれば、それも含めて、また水曜日も質疑があるようでありますから、これは間に合わないと言われましたが、私がたまたまランダムにとったこの二件に余りにびっくりしてしまって、残り全部やろうと思ったらそれこそ過重労働になりますから、ちょっと時間をあけようと思いまして、水曜日の質疑に間に合うようにちゃんとデータを出してください。台帳の価格、実際に不動産鑑定士に鑑定してもらって、どういう経過を経てこの価格に至ったのか、それから、周辺との価格、先ほど言った公示地価との差。こういうのを考えると、甚だ疑問があると思っているんです。

 ちなみに、六ページにありますように、二十三年から二十七年、五年分でお願いをしておりますので、それについてもやっていただけるということで、宮川さん、いいですね。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 不動産鑑定評価を再度実施した結果、不動産鑑定評価額が減額されるような例というような形でございますが、具体的にどのようなケースがあるか、都道府県労働局に確認しないといけませんので、できるだけ早く明らかにして御報告させていただければと思いますが、数の点については、過重労働にならない範囲内でということで御容赦いただければと思います。よろしくお願いいたします。

岡本(充)委員 今度、大臣の耳にも入っていると思いますけれども、厚生労働省の職員の過重労働の問題、私はかねてからずっと聞いているんですね。やはりそれは確かに過重労働にならない範囲でですけれども、しっかり事実を明らかにしてほしいんですね。

 それで、雇用勘定の貸借対照表を持ってきました。これをいろいろ見ていると、やはり、あれっと思うんですね。

 気になった話は、一つは、未収金というのは何なんだという話を聞きました。借方の方ですね。こちらは結構でかい金額です。

 聞いてみると、八十億円ぐらいが過誤で交付をした交付金、助成金などであり、そして、八十億ぐらいが期日が来ているのに入ってこない保険料であったり、総額二百十億ぐらいが本来入ってくるべきお金としてこの期日までに入ってきていない、おおよそですけれども。こういった実態は正しいんでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 この未収金、二百四十二億円でございますけれども、これにつきましては、大きいのが雇用関係助成金の不正受給の回収がございますけれども、そういったものが百五億円ございます。それから、職業訓練受講者に貸し付けする制度が以前あったわけですけれども、その貸付金の回収をするということで、技能者育成資金というのがございまして、それに係るものが八十二億円ございます。それから、失業等給付の不正受給五十二億円ぐらいが大きなものでございます。

 こういったものにつきましては、回収に努めているところでございます。

岡本(充)委員 その中で、期日が来ているのに支払いがなされていない、いわゆる焦げついている未収金というのは一体幾らあるんですか、その二百四十億円のうち。

生田政府参考人 未収金のうちで、債務者の資力が乏しいといった事情で回収ができないということで、不納欠損という処理をいたしておりまして、そういったものにつきましては、平成二十七年度で八億円ございます。

岡本(充)委員 いや、不納欠損ではなくて、現に期日が来ているのに回収ができていない。いや、これはまた水曜日に聞きますから、それをしっかり調べておいてほしいと思います。これはゆっくりやりましょう。しっかり審議をしたらいいと思いますので。

 それで、もう一つ聞きたいのは、この中で、固定資産評価差損、これは結構でかいですね。この中には、実際、台帳の価格と実際に売れて現金になった土地の差のお金が入っているんじゃないかと思いますが、この内訳は一体どういうふうになっているのか。これについては、きょう、お答えいただけますか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 固定資産評価差損につきましての詳細、ちょっと現在この場でお答えすることはなかなか難しゅうございますので、調べまして、またお答えさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 大臣、いろいろ課題があるんですよ。

 それで、ここの機械器具というのも、中がどういうものになっていてどういうものがあるのか、車が一体何台ぐらいあってどういうふうになっているのかなどなど、これはいろいろ、額が大きいですから、今回の法改正の料率にもかかわる話ですので、しっかり調べてやはり詳細を明らかにするべきであると思います。

 きょうは一回目ですからいつもに比べて大変易しい質問でありましたけれども、次に向けてしっかりこういったところを調べてもらわないと、次は委員長に時計をとめてもらうことになりかねないと思いますから、しっかりこれを調べてちゃんと報告に来るということを、大臣、最後に約束してください、この場で。

塩崎国務大臣 それは、立法府からのリクエストには応えるというのが行政府の使命だろうというふうに思いますので、具体的に何をすべきかということを出していただいて、それにお応えをしたいというふうに思います。

岡本(充)委員 それと、もう一つ。ちょっと指摘を忘れましたが、最後に出資金が並んでいるんです。この出資金の妥当性は会計検査院から何度か指摘を受けています。それで、結果として本当にどうなのか。

 それぞれの法人も土地を売却しているようです。特に、例えばこの中でも高齢・障害・求職者雇用支援機構などは、千葉・美浜区に何億円もの土地を遊ばせているじゃないかという指摘を受けておったりしているんですね。

 その売却の価格なども適正なのか、同じ観点で資料を用意していただいて、国の直接売却はさっきのお話でしたが、機構での売却がどうなっているか、これも調査をしてお持ちいただけますか。それを踏まえて水曜日質疑したいと思いますが、いかがですか。

生田政府参考人 御指摘の案件は平成二十九年の一月に国庫納付を既に済ませておりますけれども、売却価格が適当かどうかという点につきまして、ちょっと詳細を調べさせていただきます。

岡本(充)委員 いや、それだけじゃないんですよ。いろいろ累次にわたってほかの団体も指摘されていますから、要するに、土地の売却をどういうふうに機構がやっているのか、ほかの案件も含めてです。今回のは何億というでかい話でしたから。

 ぜひしっかり調べて御報告をいただきたいと思います。続きは水曜日にやらせていただきます。

 きょうは、これで終わります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十四日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。井坂信彦君。

井坂委員 井坂信彦です。

 本日は、雇用保険法の改正について質疑をさせていただきます。

 まず、教育訓練給付の成果について伺います。

 我々は、幼児教育から高等教育、また職業訓練まで含めて、人への投資を最優先すべきだということをこの間強く訴え続けてまいりました。

 今回の法改正では、専門実践教育訓練を受けるときにもらえる給付金をふやすということになっております。

 一方で、そもそも雇用保険は失業給付を優先すべきじゃないか、こういう意見もあるわけであります。これは、もともと雇用保険が失業保険と呼ばれており、失業中の生活をいかに支え、再就職に向けた支援をするかが大事だ、こういう考え方だというふうに思います。ところが、現在の教育訓練給付は失業者だけではなく、在職中の就業者が講座を受けると給付金がもらえる仕組みになっています。

 お配りをいたしました資料一は、左側が就業者、在職中の人、右側が失業者、就業していなかった人が一般教育訓練給付の指定講座を受けた際、どういう理由、目的で受けたのかというグラフでありますが、在職中の方で、処遇の向上、社内外の評価が高まる、また配置転換や円滑な転職、そして趣味、教養に役立つ、さまざまな理由、目的で教育訓練給付が支払われているわけであります。こういう失業していない、仕事を既に持っている人の、特に趣味や教養に雇用保険のお金を使う意味があるのかというのは、疑問に思うところであります。

 そこで、まず参考人に伺いますけれども、失業していない就業者に対する教育訓練給付はどのような成果を上げていますでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 まず、教育訓練給付のうちの一般教育訓練給付につきましては、在職者の利用が中心になってございます。委員が配っていただきました資料の中にもございますけれども、在職者の中でも、処遇の向上に役立つということで回答いただいた方が四割程度いらっしゃいまして、あるいは、円滑な転職に役立つという回答も一割強ございます。こういった方につきましては、大きな効果があるのではないかというふうに考えてございます。

 それから、もう一つ、専門実践型の教育訓練給付がございます。これにつきましては、受給者へのアンケートでございますけれども、就業している方の受講の効果といたしまして、処遇の向上に役立つというふうに答えている方が三割、円滑な転職に役立つと答えている方が二割、社内外の評価が高まると答えている方が二割程度いらっしゃいます。

 こういった教育訓練給付につきまして、特に専門実践型の給付につきましては、まだ施行して余りたっていないということもございまして、平成二十九年の四月以降、要するにことしの四月以降に、初めて多くの受講者が講座を修了するということがございます。この中で、指定講座ごとに、例えば資格を取得したり、あるいは雇用保険の被保険者として雇用されている方の割合などいろいろなことがわかるということがございますので、そういった実情把握というか、検証をきちんとやっていかなければいけないなというふうに思っております。これは一般の教育訓練給付についても同様だというふうに思っております。

 PDCAを回すということは非常に大事でございますので、今後、今申し上げたようなデータや、あるいはまた新しいデータも集め、分析して、より政策効果が上がるような方向で対応していきたいというふうに考えてございます。

井坂委員 まさに今参考人から答弁がありましたように、成果をきちんと把握していかなければいけないなという段階だというふうに思います。

 私がお配りした資料も、やはり、単に受講者のアンケートですから、処遇の向上とか社内外の評価が高まるかもしれないな、高まるといいなぐらいの、受講者本人のあくまで主観的な受講理由が書かれているだけであって、本当に処遇が改善されたのか、つながったのかということは一切把握をされていないわけであります。こういう状態ですと、やはり、こんな効果もわからないことに雇用保険を使うよりは、失業給付にもっと優先的に使ってくれという議論が出てしまうのもいたし方がないというふうに思います。

 この教育訓練給付の対象者についても、これは大臣にお伺いをしたいと思うんですけれども、やはり雇用保険のお金の使い道は、失業者が生活を破綻させることなく、いかに早く、そしてよりよい再就職をできたのか、こういう政策効果をしっかり測定しながら使い道を決めるべきだというふうに思います。

 資料二をつけさせていただきました。これは、既存の資料がなかったので、厚労省の担当者の方にいろいろと計算やらをしていただいて、政策効果をまとめていただいたものであります。

 例えば、一番上の再就職手当引き上げの前後で、大体、期間中に就職した方の割合が五〇・七%から五三・四%にふえましたよと。三%ふえたのがかけたお金に見合うかどうかというのは、私、以前この委員会でも議論をさせていただきましたが、三%はふえたという成果はあるわけであります。また、二つ目の丸で、一般教育訓練受給者の再就職率、これは、一般の失業者全体は、再就職率は六八・三%だ、ただ、その中で一般教育訓練給付を受けた人は七六・六%、だから大体八%ぐらいは再就職率が、一般教育訓練給付を受けたということによって上がっているんじゃないか。

 少なくともこの程度は成果をきちんとはかっていかないと。なおかつ、それにかけたお金は幾らだったのかということで費用対効果を厳しく見比べて、大事な雇用保険のお金ですから、何に優先して使っていくのかということを決めていく必要があるというふうに思います。

 一方で、この二ページ目の資料で気になるのが、下の方に書いてあります教育訓練給付の受給者の内訳であります。

 一般教育訓練給付は十二万人の方が受けている。しかし、その中で非就業者、要は失業しておられる方はわずか二万人である、一七%であるということであります。

 先ほど参考人からお答えがあった専門実践教育訓練給付、これはまだアンケート程度しか資料がないんですけれども、正社員が四三%、非正規の方が一六%、そして失業中の方が四〇%、こういうことになっております。

 そこで、大臣にお伺いします。

 正社員の方が雇用保険の教育訓練給付の大半を受け取っておられる。もちろん中小零細企業の社員の方もおられるかもしれませんが、しかし恐らくは安定した企業の正社員の方が、しかも中には、趣味や教養という目的を当初から御本人が掲げてこういう給付を受けている、あるいは社内の評価が高まるんじゃないかという曖昧な理由で受けている講座に、雇用保険のお金が教育訓練給付として支払われている。

 こういうことではなくて、やはり雇用保険ですから、失業者の方の教育訓練、さらには非正規で働いておられて正社員を希望しておられるような方の教育訓練、こういった方々にもっとたくさん使っていただいて、教育訓練給付はこういった方々が支給先の中心となるような制度に変えていくべきではないかと思いますけれども、大臣のお考えをお伺いします。

塩崎国務大臣 井坂委員の今のお考えは、それなりの一つの大事な考え方だというふうに思います。

 少子高齢化が進んでいく中で、働く方がこれからいろいろと、働き方改革もあって転職やらいろいろな形の働き方が出てくるわけであって、そういう中で最終的に私ども今議論をしながら大事だというのは、やはり、一定の職務に対して能力をちゃんと評価してもらえるように力をつける。ですから、もちろん評価をちゃんとしてもらわないといけないという前提がありますけれども、しかし、やはり能力を上げていくことがさまざまな意味で、キャリアアップ、同じ会社かもわかりませんし、そうじゃないかもわからないという意味で、今後ますます職業能力の向上というのは大事だろうというふうに、まず一般的に言えるんだろうと思うんです。

 本来、離職をされた方が主にこの教育訓練給付も使うべきだという今お話でありましたけれども、このことは両方とも、離職者も、そして在職者も当てはまることであって、在職者、離職者双方が教育訓練給付の対象となって職業能力の開発、向上に取り組んでいくというのがやはり必要なんだろうと思います。

 ニーズとして、仕事がないから早くという意味で離職者に特に力を入れるべきだというふうに御指摘で、確かに、今、計算をさせていただいたこれを見ると、もう少し離職された方々、失業された方々が使うケースがあってもいいのかなというふうに私も思わないではないわけでございます。

 その上で、特に離職者の再就職を支援するために、現行でも、四十五歳未満の若年離職者が専門実践教育訓練を受けた場合には、教育訓練給付に加えて、いわゆる生活費というか、基本手当の五〇%相当の額を定期的に給付する制度を設けていますし、また、今回の改正においては、さらに支援を強化するために、この給付額を基本手当の五〇%相当額から八〇%相当額に引き上げるということで、離職中も訓練を受ける、能力アップをする、そのチャンスをさらに厚目にするということをさせていただいているわけであります。

 また、企業が非正規雇用の皆さんに、従業員に対してキャリアアップのための訓練などを行った場合には、雇用保険二事業によってキャリアアップ助成金を支給していることはもう何度も申し上げてきているわけでありまして、これらの施策を通じて能力開発をやるということが、最終的に再就職ないしはキャリアアップ、そしてまた転職に役立つということになろうと思いますので、そういうことでしっかり応援をしていきたいというふうに思います。

井坂委員 実は、私は三年前もこの議論をさせていただいて、そのときも同じような答弁をされていたんですね。ですから、失業者の方にもより手厚くやっているんだという御答弁なんですけれども、しかし、こうやってエビデンスを見てみれば、結局、一般教育訓練給付で失業者の方が受け取っておられるのはわずか一七%。そして、より手厚くということで専門実践教育訓練給付、こちらの方も、アンケートベースのざっくりした数字でもわずか四割ということでありますから、手厚くやっておられるという御答弁は、それは了といたしますが、しかし、なかなかそれが結果としての数字にはこの間つながっていないのではないかと思って質問をさせていただいております。

 大臣が御答弁くださった専門実践教育訓練給付、今回、講座数が二千五百から五千に倍増されるということでありますけれども、しかし、この専門実践教育訓練給付、平成二十七年度予算では百二十八億円も予算は確保をされていたにもかかわらず、実際に平成二十七年度に使われたのは十一億円と、予算の一割以下でありました。よく執行率といいますけれども、予算が一割以下しか使われないというのは、政治、行政の世界では私は極めて異例のことではないかなというふうに思います。

 今回、法改正で、一人がもらえる上限額も引き上げられるということでありますが、しかし、そもそも現状、今の上限額いっぱい使っている方が全体の一割しかこれもまたいないということで、何かみんなが上限いっぱい使ってもっとふやしてくれという状態なら上限を引き上げる効果はわかりますけれども、現状、まず、この制度自体誰も使っていない、加えて、上限いっぱい使っている人はそのさらに一割しかいないということでありますから、今回の拡充が一体どのような意味があるのか疑問に感じるわけであります。

 参考人に伺いますが、予算に比べて全く利用額が少ない、予算の一割以下しか使われていない、また、上限いっぱい使う人もそのさらに一割しかいない、これはなぜなのか、原因をお伺いします。

生田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の専門実践教育訓練給付でございますけれども、先ほど申しましたように、平成二十六年十月から施行されました。施行当初の指定講座が非常に少ないということもございまして、二十七年度の受給者は非常に少ない状況でございました。

 この教育訓練給付自体は、講座の開設ができないと受給者が出てこないという特徴がございまして、講座の開設を積極的に進めないといけないというふうに我々もちょっと反省をいたしております。

 それで、平成二十九年の一月では指定講座が二千四百十七講座に増加をしておりまして、平成二十八年度の受給者数は、講座がふえるので増加する見通しでございます。

 今回、教育訓練給付の拡充をさせていただきました。繰り返しになりますけれども、給付率、支給割合自体を六〇%から七〇%に上げますので、上限にかからなくても給付額自体はふえるという特徴がございますのと、あと、子育て後、離職されて一年以内に開始できなかったときは四年間まで受講の開始をおくらせることができるという仕組みを、十年までおくらせることができるような仕組みにいたしましたり、先ほど大臣が御答弁しましたように、四十五歳未満の離職者につきましては、訓練受講中の生活費を従来、基本手当の半分だったのを、基本手当の八割まで出すということでございますので、それなりの金額になるということで、訓練が受けやすくなるということもございます。

 こういったことも組み合わせまして、とにかく、より活用されるように持っていきたいというふうに考えてございます。

井坂委員 このことをお伺いしましたのは、やはり人への投資ということで我々は真剣に考えておりますので、何かとりあえず講座を開いて、どんな理由でも受けてくれればいいだろうというようなことでは、とても見過ごすことはできないというふうに思っております。

 大臣にお伺いをしたいんですけれども、成熟産業からこれから伸びていく成長産業への労働移動ということを、安倍政権、とりわけ塩崎厚生労働大臣は繰り返しおっしゃっているというふうに思います。ちょうど一年前のこの厚生労働委員会では、労働移動支援助成金、これはリストラ助成金じゃないか、こういうことで大議論があったわけであります。

 真面目に考えると、成熟産業、これから余り伸びていくような種類ではない産業ですよね、成熟産業で働いている人が、うちの業界ももう成熟産業でこれ以上残念ながら伸びていかない業界であるというふうな自覚もありつつ、これから成長産業に移っていこう、自発的にこういう労働移動をやろうと思えばどういうルートをたどるかというと、自己都合退職、みずから会社をやめて、そして一時的に失業する、その間に、あるいはその前も含めて成長産業で働けるような準備をする、こういうルートをたどって労働移動というのは本来行われるものだというふうに思います。

 昨年議論になったような、何か補助金でお尻をたたいて無理やりやめさせてみたいなことはあってはならないわけで、やはり自己都合退職ということに普通はなるんだというふうに思うんですね。

 ところが、日本の雇用保険では、会社の倒産とか廃業、あるいは会社側からのリストラ、こういう会社都合の退職に比べて、自己都合退職というのは、自己責任という考え方なのかどうかわかりませんが、十分な失業給付がされているとは言えないというふうに思います。

 大臣にお伺いしたいのは、労働移動ということ、特に自発的な労働移動ということを本気で考えるのであれば、自己都合退職と、それからこの間、きょう議論してまいりました教育訓練の給付を強化しなければ、成熟産業から成長産業への自発的な労働移動というのは起こらないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今、成長産業へ成熟産業から移動することの重要性については、井坂議員にもお認めをいただいている重要な点だということだろうというふうに思いますが、その際に、どういう形で離職をするのかということで今御議論があったわけであります。

 倒産、解雇など、あらかじめ再就職の準備をする余裕がなくて離職を余儀なくされちゃう、こういう方については、自己都合の離職者と比べても再就職まで一定の期間を要すると想定されるので、特定受給資格者として給付日数も手厚くしているということでございます。

 一方で、自分の御都合でおやめになった方に対する給付を充実するということについてどう考えるのかということであります。他の先進国の中でも、こういうケースには出さないというところもあるようでございますが、今の日本の場合には出すことは出すわけですけれども、それを拡充するという御提案であろうかと思いますが、早期再就職のインセンティブを弱めるのではないか、それはまたかえって自分でやるという意気込みを減衰させてしまって、結果として再就職を阻害してしまうんじゃないかというようなこともあり得るわけでございますので、慎重な検討が必要なのかなと。

 それから、教育訓練給付については、先ほど、特に自己都合離職者にもさらに強化すべきだというお考えだったかと思いますけれども、御指摘の成熟産業から成長産業への労働移動を推進するには、やはり、さっき申し上げたとおり、職業能力を上げて評価をしてもらっていくことが労働移動をよりスムーズにするということだろうというふうに思います。リカレント教育を経験した方々のお話を聞いてみましたが、やはり能力をきちっとつけた方が仕事につきやすくなっていることは明らかだったと思いました。

 今回の法案においても、働く方の中長期的なキャリアアップを支援するために、専門的かつ実践的な教育訓練を受講する場合の給付の支給割合を最大六〇%から七〇%に上げるということをしておりまして、できるだけ多くの方に、キャリア形成をしながら新しい仕事に移っていただければというふうに考えているところでございます。

井坂委員 大臣の御答弁の中で気になる部分があるんです。失業給付を余りふやすと、再就職へのインセンティブ、やる気がそがれて再就職への動きが鈍るんじゃないか、よく議論の中では出てくる話、大臣も答弁の中でそういうことをおっしゃるんですが、参考人でもいいですけれども、それは本当にそうなんですか。失業給付がふえると再就職が鈍るというのは、何かエビデンスはあるんでしょうか。

生田政府参考人 従来、雇用保険の給付につきましては、自己都合離職とそれから倒産、解雇は給付日数が同じでございました。それで、諸外国の例で見ますと、自己都合離職の場合は給付をそもそもしないという国もございまして、そういう国でのいろいろな研究成果が、自己都合離職について給付を手厚くするということによって再就職の意欲がなくなるんじゃないかというふうなものがございまして、そういうものも参考にして、平成十二年のときに給付を分けたということがございます。

 それで、今この場で具体的なデータをお示しすることは非常に難しいんですけれども、また戻りまして、ちょっと精査をしてみたいと思います。

井坂委員 データ、あるのはあるんですか、今手元にないだけで。要は、よく聞く議論なんですが、本当に根拠があるのかなと思って。では、失業給付を下げれば下げるほどみんな早く再就職するということなんですか。ちょっと本当にそうなのかなと思うので。そういうデータはあるということなら、細かい話は後で伺いますから、ありやなしや、お伺いします。

生田政府参考人 済みません。データはございますけれども、下げれば下げるほど早期に再就職するというわけではないです。やはり最低限、一定程度の仕事探しの期間がないと落ちついて仕事が探せなくなるので、逆にだめになるということもございますので、日本の制度では、きちんと自己都合退職のときも一定の給付をするという思想でございます。

井坂委員 大臣、お伺いしたいんですが、諸外国では、自己都合のときはそもそも失業給付しない国があるというお話でした。もちろん、失業したときに失業給付がない国では、それはもう一刻も早く次を探さなきゃいけない、そういうお尻をたたかれる感じは当然あるんだと思います。

 ただ、先ほど議論させていただいた、労働移動を真面目に考えるならば、もう何でもいいからとにかく今月中に再就職しないとうちは干上がってしまうんやというような状態では労働移動は当然無理ですから、そういう文脈で、やはり自己都合でもきちんとほかの業界に転職ができるような、しっかりと余裕を持って、期間も持って、なおかつ本当に意味のある教育訓練を受けてということがそろわないと労働移動は起こらないですよという趣旨で申し上げておりますから、ちょっと最後、その点だけ大臣にお考えをいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 かつて、ドイツでシュレーダー改革というのがありましたが、その大きな柱は労働市場改革でありました。日本よりもはるかに優遇されている労働政策だったと思いますが、シュレーダーは、例えば失業給付の期間を短くする、だからこれはトータルで見れば給付額も減っているわけですけれども、そういう中で労働市場の活性化というか、つまり再就職して、ゆっくりしないで次の仕事を一生懸命探すというふうに持っていったというふうに理解をしております。ハルツ改革はいろいろなことをやっているというふうに理解しておりますけれども、今のお尋ねのような考え方でやっている国の一つとしてはドイツも挙げられるんじゃないかなというふうに私は思っています。

 今、転職の際に一カ月とかそんなんじゃ間に合わないじゃないかという話ですけれども、これからの前向き、積極的な転職というのは、当然のことながら、ふだんから能力をアップしながら、それをみずから売り込みながら、あるいは認めてもらいながら、次なる仕事の準備をしておくという助走期間は当然持っていないと、やめてからいきなり、さあこれから探そうでは、家族もおられたりするわけですから、そうはなかなかうまくいかないので、そういう意味で、在職中にパワーアップするということは意味のある訓練ではないかというふうにも思うわけであります。

 そういうような形で、みずからの人生設計を築いていく際にサポートする、意味のあることはサポートをしっかりやっていくということが経済の活性化にもつながるんじゃないかというふうに思います。

井坂委員 ちょっと大事な論点なので、また、引き続き議論させていただきたいというふうに思います。

 次に、移転費の支給対象について伺います。

 今回の法改正では、紹介を受けた仕事が遠方だったときに引っ越し費用がもらえる移転費、これも対象者が拡大をされます。これは、議員向けの説明資料には、都会から地方へのUターンを希望する人を支援するためというふうに一番上に明記をされているわけでありますが、しかし、制度の実際は、都会から地方だけじゃなくて、地方から大都会への引っ越しにも移転費は同じく支払われるということであります。

 資料三、これは平成二十六年に、どの地方からどの地方に再就職で移った人が何人いるかの一覧表であります。一番上の行の横軸がもといた場所、左側の縦軸が就職した先。

 これを見ると、例えば一番上、東北地方から南関東、東京、神奈川へ行った人は三万九千人、それに対して南関東から東北へ行った人は二万四千人ということで、東北から首都圏への流入が多い。同じように、北陸から首都圏への流入も大分多い。首都圏から北陸へ行く人はほとんどいない。また、北陸から東海へ行く人は多いけれども、東海から北陸へ行く人は余りいない、三分の一以下だ。こういう表であります。

 これは実際、部会の中でも専門委員から議論があったというふうに聞いておりますけれども、地方から都市部、特に東京や神奈川あるいは名古屋、こういったところに就職をする際にそういう引っ越しの費用まで移転費で払うのは、都市部への集中を助長して地方創生に逆行するのではないかというふうにも思いますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 平成二十七年度の移転費の支給実績を見ますと、東京における支給実績の全体に占める割合というのは、支給件数、支給額ともに約八%となっております。このように、東京へ上京する方も給付の対象でありますけれども、これが特別多いという形にはなっていないわけであります。

 また、改正後は、地方自治体が行う職業紹介によって就職される方も対象に入ってくるわけでありまして、各自治体がこれを活用してUIJターンを促進するということも考えられるのではないかというふうに思っております。

 こういうことで、今般の改正はUIJターンを希望する方の支援にも資するというふうに考えておりますので、必ずしも都会にだけ行くということを応援するという発想ではないということを御理解いただければというふうに思います。

井坂委員 それは、都会にだけ行くのを応援する制度であったらもう大問題だと思いますから、そんなことはないんですけれども、しかし、両方ともに払われる、そして実際には都市部への流入の方が都市から地方への再就職よりも明らかに多い。

 これは別に求人倍率が、地方に仕事がなくて都会に仕事があるからそうなっているんだったらまだわかるんですけれども、一応、資料四でつけましたのは、東北と南関東は求人倍率は同じ平成二十六年で一緒ですし、あるいは北陸と南関東だったら北陸の方が求人倍率は高いわけで、北陸に仕事がいっぱいあるのにあえて東京に行くという人に引っ越し費用を雇用保険で払って移ってもらうことに、果たして本当に政策的な意味があるのかという問題提起であります。そもそも件数自体が物すごく少ないという根本的な大問題がありますけれども、政策の方向性としていかがなものかという問題提起をさせていただきました。

 最後に、労働生産性の定義について伺います。

 今回の法改正では、雇用安定事業と能力開発事業の理念に労働生産性のアップという考え方が加えられます。

 私は、労働生産性は、もうずっとこの国会で、日本は弱点だ、上げるべきだと言い続けてまいりましたが、しかし、今回の厚生労働省の考える労働生産性の定義は大変くせ者で、分母は雇っている社員の数、そして分子には人件費が入っているわけであります。

 つまりは、分母の社員数を減らせば、厚労省の定義では労働生産性がなぜか自動的に上がってしまうことになりますし、あるいは、同じ社員数で長時間労働を無理やりさせて、そうすると、分母は変わらないけれども分子の残業代や割り増し賃金はふえるわけですから、厚労省の定義では長時間労働をさせればさせるほど労働生産性が上がってしまう。これは計算でそうなるわけです。まして、長時間労働をなくそうと思ってもう一人雇いました、ワークシェアしました、そうすると、分母の人はふえる、分子は割り増し賃金とかが減るから、労働生産性が下がった、こういう判定になってしまうわけであります。

 世間一般の定義とかけ離れたむちゃくちゃな定義だというふうに思いますけれども、厚生労働省における労働生産性の定義はこれでよいのか、お伺いをいたします。

坂根政府参考人 お答えいたします。

 急速な少子高齢化の進展により、労働力人口の大幅な減少が見込まれております。そうした中では、個々の労働者の能力を向上させ……(井坂委員「定義がこれでいいのか。ちょっと時間が限られているので、お願いします」と呼ぶ)はい、承知しました。

 おおむね委員がおっしゃった定義の中身になっておりますけれども、一つ申し上げたいと思いますのは、この労働生産性、生産性要件の対象となった期間中に事業主都合による離職者を発生させていないことがこの助成金の支給の要件となっておりますので、人減らしをして労働生産性を高めるということはこの対象にはならないということは明言したいと思います。

 また、労働時間を長くして生産性を高めるんじゃないかというお話があります。

 生産性の向上については、本来、例えば、機械化を導入することによって労働者の負担を軽減したり、働き方改革を進めて効率的な働き方をしたり、あるいは、先ほど来ありますように能力開発を図ることなどを通じて達成をすべきものと考えております。

 このため、生産性の算定に当たっては、本来、長時間労働を抑制する観点からも、労働者の時間当たりの生産性、一人、頭数じゃなくて、時間当たりの生産性を見ることが望ましいと考えております。

 一方で、助成金については、大量の支給申請を迅速に処理しなければならないという使命もございます。そういったことから、事業所で働く全ての方の総労働時間をタイムカードなどで計算することは、実務的には非常に困難な面があるのかなというふうに考えています。

 もとより、労働基準法の労働時間に関する規定に違反した場合など、労働関係法令違反がある事業主に対してはこの助成金を支給しない取り扱いとしております。これによって、長時間労働を抑制する一定の効果があるものと考えております。

 御指摘の点もありますので、今後とも、この生産性要件については、受給事業所の実態を丁寧に把握しながら、適切な運用が図られるよう努めていきたいと考えております。

井坂委員 時間が参りましたが、大臣、申し上げるだけにしますが、人が減ったら労働生産性がふえるとか、あるいは長時間労働させたら労働生産性がふえるというような定義の仕切りで、それを労働生産性と呼ぶのは完全に間違いだというふうに思いますから、定義を変えるか、労働生産性という呼び方を変えるか、どちらかはぜひしていただきたいというふうに思います。

 以上申し上げて、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、田畑裕明君。

田畑(裕)委員 自民党の田畑裕明でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 それでは、私から雇用保険法改正等についての質疑をさせていただきたいと思います。

 三月一日から平成三十年四月採用の就職活動が、いわゆる解禁をされているわけであります。町を歩けば、初々しいリクルートスーツの若者を見るわけでありますが、売り手市場であります。民間企業の調査によりますと、大卒予定者の求人倍率は一・七四倍ということでもあります。

 求職者は、自分自身の人生設計ですとか、ライフステージを俯瞰した職業選択を果たしてもらいたいと思いますし、雇用側は、自社の強みをさらに伸ばしてくれる人材であったり、求める人材像を明確に採用につなげていただきたいと思います。

 また、もちろん企業側は、人材育成に力を入れることも強く求めるものであります。また、政府は、就労支援や、働く人の立場、視点に立った働き方改革を実現していただきたいと思います。まさに政労使が一体となって、一億総活躍社会の実現に向けて取り組むべき事柄でなかろうかと思います。

 アベノミクスを推し進めることによって雇用のミスマッチを解消し、人材を成長分野への移動をしっかり進めること、また、今ほどもお話がありましたが、労働生産性、この高めといいますか、その精度、質をしっかり高めること、また、増大をさせて、より柔軟な働き方への環境整備、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避しなければならないとも考えるわけであります。

 大臣は常々、働き方改革は、多様な働き方の選択を可能として、企業の生産性や競争力の向上、賃金アップ、経済成長につなげることが重要であるというふうに述べられております。まさしくそうだと思います。今、同一労働同一賃金のガイドラインも提示をされているところでありますが、まさに働き方改革、これをしっかり推し進めていただきたいと思います。

 それでは、そういったことを踏まえて、雇用保険法の一部を改正する法律案についての質問に入りたいと思います。

 まずは、雇用保険法の改正について、雇用保険法関係であります。

 これは、平成以降も数次にわたって改正がなされてきているわけであります。雇用や失業実態に鑑み、いわゆる給付率の上下調整であったりですとか、雇用保険を二事業への統合をしたり、再編をしたり、また、一般財源からの国庫負担の導入といったことが、これまでの歴史の中で改正をされているわけであります。

 今回、そうした中での、時限的なことへの暫定的な措置の延長であったりですとか、その中身の若干の変更も含まれているわけであります。雇いどめされていた有期雇用労働者の所定給付日数を、倒産、解雇並みに手厚くする暫定措置の実施等が今回の改正案には盛り込まれております。二十九年の三月、二十八年度末で期限を迎えるものでございますが、雇用のセーフティーネットを守るためにも、年度内の成立は必ずやはり果たすべきだと考えるものであります。

 また、個人の学び直しですとか求職者のキャリアアップを支援することはとても大切であります。今ほど井坂委員からのお話もありましたが、求職者と在職者のその利用の実態についても数字があるわけでありますし、一人当たりの教育訓練給付費自身は減少傾向にもあるとお聞きをしているわけでありますが、企業における人材育成に加えて、労働者個人を支援する教育訓練給付制度についての支援強化というのは、もちろん、これからもしっかりやっていかなければいけないと思います。

 今回は、専門実践教育訓練給付についての拡充ということであります。先ほどからもお話も出ておりますけれども、子育て女性のためのリカレント講座の増設など、助成対象講座も拡充をされるということでありますので、これは、もちろん、評価をしたいと思います。実施に当たっては、当然、周知徹底をしっかり行ってもらいたいと思いますし、土日の講座ですとか、子育てが一段落をされた方々への講座の充実ということも図られていたり、完全Eラーニングの実施ということも、増設ということも盛り込まれているわけであります。

 もちろん、これは、離職者が就職、求職につながるように、非正規の方が正規への移動がスムーズにいくように、離職者そしてまた在職者両方が、政策効果が高まることを切に期待をしたいところでございます。

 実際、私も、はるか、サラリーマン時代に教育訓練給付金を活用して資格取得の学校に通い、無事に資格も取得をして、その後、自分の職場でも非常に重宝したというか、自分自身の仕事の幅も広がったという実体験をしているわけでありますので、そうしたことも踏まえて、広げていくことを御期待したいと思います。

 中でも、まずお聞きしますのは、失業等給付の拡充の中でも、賃金日給の水準見直しについてお聞きをしたいと思います。

 近年、いわゆる最賃が、最低賃金の大幅な引き上げがなされておりまして、雇用保険の賃金日額の引き上げにもつながったものだと理解をしているわけでありますが、今回の賃金日額改定の趣旨と内容について、改めてお伺いをさせていただきたいと思います。

生田政府参考人 お答えいたします。

 離職前の平均賃金でございます賃金日額につきましては、それに給付率を掛けまして基本手当の給付額が決まっております。

 この賃金日額につきましては、賃金が高額であった方が基本手当に依存して、再就職意欲を減退させることがないようにするということ、それから、低所得者については、失業中の生活を保障するということで、上限額、下限額がそれぞれ設定をされてございます。

 今回の改正につきましては、近年の最低賃金の引き上げによりまして、平成二十八年度の賃金日額の下限額が、最低賃金で就業した場合を下回るという水準となったものですから、最近の賃金分布に基づきまして、この下限額だけじゃなくて上限額も含めまして全体の見直しをして改正をするということにいたしました。

 その結果といたしまして、上限、下限ともに上がるということもございまして、基本的に全ての受給者の方の給付水準が向上するということになります。

 さらに、今回の改正によりまして、今後、賃金日額の下限額の、最低賃金との逆転現象が生じないようにするということで、下限額が、最低賃金を基礎として算出された賃金日額を下回るような場合につきましては、その最低賃金日額を下限額とするということにいたしまして、給付水準がセーフティーネット機能を確実に果たせるような形になるような措置をしているところでございます。

田畑(裕)委員 御答弁ありがとうございます。

 全ての対象者、漏れなくということでありますので、そこはしっかりまた対応をお願いしたいと思うところでございます。

 雇用保険料率の原則の保険料率を、三年間、時限的に引き下げを行い、弾力条項に、労使合わせた料率は〇・六%に下がるわけであります。これは、過去二十年間においても最小、一番低い保険料率となるものだと思います。これは、もちろん、アベノミクス効果等によって、失業、景況感の推移、上昇、改善ということが、それにはもちろん寄与しているのではなかろうかと思います。

 そういった意味で、雇用保険財政が改善をしていく中、今回の法案においては、企業、労働者それぞれに対して、こうした成果をどのような形で還元をしていくということになるんでしょうか。また、この還元によって、いわゆる労使とも負担が減るわけでありますけれども、これによって、一方では雇用保険財政、こちらについての影響について、どのように試算なり見解を持っていらっしゃるのかをお聞きさせていただきたいと思います。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 近年、雇用情勢が大変改善をしております。その結果として、雇用保険の被保険者数が増加をするということ、それから受給者の方は減少傾向にある、こういうことによりまして、雇用保険財政は安定的に推移しているような状況でございます。

 このため、費用負担者である労使の負担軽減をするという観点から、このたび、今御指摘がありましたように、平成二十九年から三十一年度の三年間に限定して保険料を引き下げることとしております。これにより、実額で申しますと、労使それぞれ千七百五十億円の負担軽減が図られるということになります。

 では、それで財政が大丈夫なのかということも御質問いただいておりますが、今申し上げたように、安定的に雇用保険財政の運営が維持されると見込まれる三年間に限って実施をするというふうにしております。

 では、三年たって平成三十一年度末はどうなるのかということですが、私どもの方で推計をしている限りにおいて約四・一兆円の残高ということになろうというふうに考えておりまして、これは弾力倍率という言い方がございますが、要は、その年に給付をする金額の倍、大体二倍程度ということになるということが見込まれていて、これはまだ安定的な状況であると評価できるというふうに思っておりますので、そういう意味で、今回の措置を講じた上でも、今後も安定的な運営が維持できるものというふうに考えております。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 近年、雇用情勢は好転をしておりますから、二十六年においても雇用保険会計では一千九百六十五億円のプラス、二十七年では一千六百七十四億円のプラスであったというふうにお聞きしております。二十八年の見込みは一千六百二十五億円の支出超過という見込みというふうにもお聞きしておるわけでありますが、今言われるように、三年間の時限的なこと、いろいろ資料ですと平成三十三年度まで収支見通しが示されているわけでありますが、適切な積立額の見通し、今副大臣からもお話がありましたけれども、財政状況をしっかり見定めていただきたいと思いますし、この後、育児休業給付などは、やはり自然増というか、いろいろな意味で、働きやすさを拡充していく中ではふえていくのではなかろうかと思いますし、その中で、失業給付はそれなりの低水準になるようにも、これは当然、アベノミクスを、経済政策をしっかりやっていくことが何よりも肝要だと思うわけでありますので、一時期、リーマン・ショック時代等においては一兆円を下回るような残高にもなった時期もあったかと思うわけでありますので、きっちり対応をお願いしたいと思いますし、財政的な収支を見定めながら、これからも政策の実行に努めていただきたいと思います。

 それでは、職業安定法関係についての質問に移りたいと思います。

 少子高齢化に伴い生産年齢人口が減少する中、育児等で離職した方、中高年層等を含めて、それぞれの方が意欲や能力に応じて働くことができる社会づくりは大変重要であります。多様な求職、求人ニーズのマッチングがより適切かつ円滑に行われるよう、労働力の需給調整にかかわる民間人材サービスの機能強化も求められると思います。

 働く人一人一人が、それぞれの希望に応じて、それぞれの能力を発揮して働くこと、そのための社会を実現するために、こういった求職、求人についての人材のマッチングの機能の強化が必要不可欠であろうかと思います。今回の職業安定法の改正においても、そうした観点からの改正だというふうに認識をしているわけでありますが、改めて、どのような対応を盛り込んでいるのか、お聞かせいただきたいと思います。

橋本副大臣 人材マッチングの機能強化ということについて御質問いただきました。何点かございます。

 まず一点は、これは既に御議論があったところではございますが、ハローワークや職業紹介事業者など、全ての職業紹介を行う機関において、そして新卒向け求人のみならず、全ての求人を対象として、労働関係法令違反を繰り返す事業主等からの求人等を不受理とすることを可能とするということにしております。それが一点。

 それから、民間の職業紹介事業者、そういう事業者も大変ふえておりまして、またサービスの多様化も進んでいて、どこの民間の職業紹介事業者に行けばいいのか、選ぶのが難しくなっているという点がございます。

 この点について、今回の法改正では、求職者や事業主による適切な職業紹介事業者の選択に資するように、職業紹介事業者に対し、紹介実績や手数料に関する事項について、インターネットにより情報提供する義務を課すこととしておりまして、そうしたもので優良な職業紹介事業者を選んでいただけるようにしようということをしております。

 さらに、求人情報サイト等について、募集情報等提供事業として新たに法律上に位置づけを設けた上で、情報の適正化に向けた努力義務を課し、仮に不適正な情報等があったということがあれば指導監督を行うことができる、こういう規定を設けております。

 以上のようなことで、マッチングが適正に以前より行われるようにということを取り組んでいるところでございます。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 偽装求人とかブラック求人ですとか、また虚偽の求人とか、やはり、弱みにつけ込んで、そしてまた労働者を使い捨てにするような、そうした悪質な業者の排除というのは、これは当然だと思います。

 旧来型のそうした人材求人サービスが、このようなインターネットであったりですとか、さまざまな媒体を通じて、そうした求職活動が行われる、求人活動が行われることによっては、現行の法体系ではカバーし切れない部分も当然出てきているのではなかろうかと思います。そこも見定めながら、しっかり改善をしていただきたいと思います。

 今回の法改正の中では、いわゆるインターネットの告知に関する規制強化ということもいろいろ盛り込まれているわけでありますけれども、改めて確認をいたしますけれども、求人情報サイトですとか求人情報誌を利用して仕事を探す方が多い中、こうしたサイト等に掲載される情報の適正化がより重要であろうかと思います。今ほども御答弁もありましたけれども、御対応について、改めて副大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 まさに御指摘をいただきましたように、インターネット等の求人情報サイト等も広がっておりまして、その中で不適切な募集情報の掲載もあるのではないか、こういう御指摘もあるところでございます。そうした状況を踏まえまして、求人情報サイト等の募集情報等提供事業というものに対して、業務運営の改善向上に向けた努力義務を課すこととしております。

 その努力義務として実施を求める具体的な内容は、この法律を成立させていただいた後に指針としてお示しをすることとなりますけれども、具体的には、苦情処理の体制を整備していただくこと、あるいは個人情報の保護などの業務運営面の取り組みについて、あるいは事業主と協力をして募集情報を適正化する取り組みなどを想定しておるところでございます。

 さらに、こうした適正な業務運営の履行を確保するために、もしそれがなされていないという場合において、必要に応じて指導助言あるいは報告徴収を行うことができることとしたところでございます。

    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 直接ちょっと法案には関係ないですけれども、前回のこの関係の法改正で、国のハローワーク情報が、希望のある地方自治体等に提供ができる体制が整っているわけであります。

 私自身は、基礎的自治体のそうした情報収集であったりですとか、そもそも、基礎的自治体として中小企業施策ですとか産業政策をやっているわけでありまして、そこがうまく機能して、特に地方においても、人材の求職、求人の、そうした自治体を介してのマッチングがしっかりと機能していくこと、ワークしていくことがとても大事でなかろうかなと思いますので、いろいろな施策を組み合わせて当然やっていかなきゃいけないと思いますので、成果が上がることを期待申し上げたいと思います。

 最後、育児・介護休業法について、ちょっとお聞きをしたいと思います。

 午前中からの質疑もございました。いわゆる育休の期間を、特例措置ということで、一年六カ月からさらに半年延ばすということ。これは、いわゆる年度初めの四月入所についての谷間を埋めるといったようなこともあるし、先ほどからもお話ありますように、あくまでも緊急措置ということであろうかと思います。

 待機児童問題は、もちろん、国のみならず、基礎的自治体の役割がとても大きいわけでありますので、役割分担ですとか連携協力をしながら、もちろん待機児童の完全ゼロということに向けて、政府・与党が一緒になって取り組んでいかなければいけないなというふうに思っております。

 また、保育所、認定こども園等で働く保育士の方々等の処遇改善のキャリアアップ研修等が創設をされるわけでありますけれども、そうした働く方々のやりがいと処遇のバランスがとれ、研修を通じてより専門性が高まることについても、両にらみで取り組んでいただきたいなと思っています。

 育休等の延長について、これまでもさまざまな議論が進められてきていたわけでありますが、この法改正に至り、労政審の中での雇用均等分科会での議論について、改めてちょっとお知らせといいますか、御報告を兼ねて御答弁をいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきました労働政策審議会雇用均等分科会におきましては、お子さんが保育園などに入れないために離職せざるを得ない方が一定数いるという中で、雇用の継続に特に必要と認められる場合の育児休業期間の延長等を踏まえた両立支援策について御議論をいただいたところでございます。

 御議論の中で、特にこの育児休業の延長につきましては、その育児休業の延長の期間は最大二歳までと考えられること、一歳六カ月に達した後のさらなる延長については、緊急的なセーフティーネットとしての措置であることが明確になるようにすべきであることを踏まえるべきという御意見をいただいております。この点につきましては、十二月十二日に建議として、「経済対策を踏まえた仕事と育児の両立支援について」という形でおまとめいただいております。

 今回御提案させていただいております法案につきましては、この建議を踏まえて作成させていただいたものでございまして、法律案の要綱を諮問した一月の雇用均等分科会におきましては、おおむね妥当と答申をいただいております。あわせて、分科会からは、保育所等の整備を一層進めることが重要であるなどの、この延長に当たって留意すべきとしていただいた御意見もございまして、私どもとしては、この点、真摯に受けとめて、今後進めさせていただきたいと思っております。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。時間でございます。

 ちょうど私自身の妻も今子供を授かっておりまして、ちょうど国会の会期末ぐらいが出産予定日ということでありまして、我々、職務に当然邁進していかなきゃいけないと思いますが、イクメンとしてしっかり活動できるように、いろいろな先輩議員のお話も聞きながら取り組んでいきたいなと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長代理 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 まず冒頭、労働基準監督官の体制について質問をいたします。

 資料の一枚目に、七日付の日経新聞をおつけしました。「労基署業務を民間委託」というこの見出しに非常にびっくりしたわけですけれども、最もなじまない分野のはずだ、こう思ったわけですね。長時間労働をなくすためにも活躍が期待されている監督官、記事では「九日の規制改革会議で検討に着手し、六月の答申に盛り込む」と書かれております。

 きょうは内閣府に来ていただいておりますが、二枚目に、みんな知らない知らないと言ったけれども本当だったんだなと思ったのは、やはり、記事にあるように、きのう規制改革会議がやられまして、「「労働基準監督業務の民間活用タスクフォース」の設置について」というものが決まったということで、資料の二枚目につけております。

 どういう経緯でこの議論が出て、どんなことを考えているのか、御説明いただければと思います。

刀禰政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員からお話のありましたタスクフォースというものができたわけでございますが、これは昨年十月の規制改革推進会議で、本会議で取り上げる案件のうち、本会議での議論の前に専門的検討を行った方が望ましい課題について、必要に応じタスクフォースを置く、タスクフォースで取り上げる議題については本会議で決定するとされていたところでございます。

 その後、タスクフォースで取り上げる具体的な議題について検討が行われ、昨日九日の規制改革推進会議において、今お話がございましたように、労働基準監督業務の民間活用を議題としてタスクフォースを設置することが決定されたものでございます。

 今後、規制改革推進会議の答申取りまとめに向けて検討が進められることとなりますが、その具体的な進め方についてはタスクフォースの中で議論されることになると承知をしております。

高橋(千)委員 済みません。もう一つだけ伺ってよろしいでしょうか。

 タスクフォースを設置するということは昨年の十月に決まっているわけですよね。ところが、今回決まったのはまだ一つ目だということであります。そして、議題はまだ去年の時点では決まっていなかったということなんですが、昨日伺ったところによりますと、八代氏が主査になることだけは決まっていた。議題は決まっていないんだけれども、八代氏が主査になることだけは決まっていたということなんですね。

 これは、最初から何か筋書きがあるんじゃないでしょうか。

刀禰政府参考人 お答えいたします。

 経緯につきましては先ほど答弁申し上げたとおりでございますけれども、事柄の性格といたしまして、本会議というのはいろいろな案件を取り扱いますが、中には専門的な検討を事前に行った方が望ましい分野もあるのではないかという問題意識が、議長を初め委員の方々おられまして、タスクフォースというのを設置しながらこの本会議を機動的に運営していこうというお考えがあったものと理解をしております。

 その中で、タスクフォースの設置については、他のワーキングの座長等を決定する際に、本件については八代先生にお願いするということはあらかじめ決まっていたものでございます。その後、八代先生と大田議長等が相談をされまして、その中で、今回、議題の提案が行われ、このテーマを取り上げるということが決まった、そのような経緯でございます。

高橋(千)委員 聞いていて皆さんも本当におかしいなと思うと思うんですね。

 本会議の前に専門的にいろいろと議題を決めてやるのは、それはありだと思うんですよ。そういうことを十月に決めておきながら、きのうまでまだ一つも立ち上がっていないわけですね。そして、いきなり立ち上がったんだけれども、立ち上がる前に座長だけは決まっていた。何を専門的にやるのかわからないのに、やる人だけは決まっていた。これは誰が考えたっておかしいですよ。

 実は、十月のその規制改革会議の前の九月の会議のときに、八代氏がこの民間委託について発言をしているんですよね。やはりそれはそんたくされているんだろうと思うんです。ちょっとだけ時間を置いたということなのかもしれません。

 言い出しっぺの八代氏がタスクフォースの主査になった。この八代氏は、三月一日付のダイヤモンド・オンラインで、次のようなことを述べています。

 「ブラック企業の労基法違反摘発を「民間委託」すべき理由」、これがタイトルです。「過労死等の事故が増え、政府の「働き方改革」でも法律で定められた上限を超えた長時間残業を罰則付きで規制することでほぼ合意されている。しかし、ここで見落とされているのが、労働基準監督官の不足に象徴される、職場環境を守る監視体制のお粗末さだ。 労働法違反の摘発を進めるためには、一般企業への定期監督等」、これは具体的なんですよ、「一般企業への定期監督等の業務の一部を民間事業者に委託することで、悪質な企業への「臨検」に力を入れられるようにする「集中と選択」が不可欠である。」要するに、人手が足りないから民間だと言っている。しかも、八代氏は、駐車違反の取り締まりも、いろいろ反対があったけれどもうまくいったじゃないか、そんなふうにやればいいんだと言っているんですね。これは本当に本末転倒だと思うんです。

 大臣、この考え方に対して、やはり厚労省として、それは違うと言うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 それは、ダイヤモンド・オンラインに載っている八代さんの書いたものについての今コメントがあったかと思うわけでありますけれども、私ども、先ほども答弁を申し上げたように、この労働基準監督業務の民間活用タスクフォース、これがこういうことになってできたという話は、できたということは聞いておりましたけれども、中身は、今、刀禰さんからもお話があったように、今後の議論の進め方は決まっていないというわけでありますので、まず、この規制改革推進会議でどういう議論が進められるのか、一体、民間活用というけれども、何に活用するのか。

 人が足りないということは、我々も非常に強化したいと思っていますから、そういう意味では、人を強化するということ自体は、人材を強化したいということはそのとおりであるわけで、また財政的にも非常に厳しいということもわかってはいますが、さあ、それをどういうふうにやるのかというのは、まだこれから私どもとしては議論しなきゃいけない。

 駐車違反をやるのと同じだというようなお話があるようですけれども、駐車違反とは少しやはり違うのではないかなという感じはいたします。

高橋(千)委員 少しですか。もう少し自信を持ってお答えいただいたらいいんじゃないでしょうか。

 資料の三枚目に、監督官の定員の推移ということで十年間の数をつけておきました。監督官は、これは十九年度と二十九年度と、左から、ちょうど十年間のスパンでとっておりますが、十年間で二百八十人ふえているんです。しかし、下の方を見ていただくと、監督官を除く定員は二百六十九人減っております。合わせると十一人しかふえていないんですね、相対で。

 これはどうしてそうなっているかというと、二十一年度からは、新人事制度ということで、監督官として全部採用する。今までは、それぞれ安全衛生分野、労災行政、技官、事務官ということで採用しておりましたけれども、全部ひっくるめて採用して、それぞれの分野を一年ずつ回って経験を積むということになっているそうです。

 そうすると、確かに一つわかることはあるんですよ。つまり、監督官しかできない業務と言っていたおかげで、その方が例えばそれこそ育休をとったり病気になったりすると補充されていない、そういうところに私は居合わせたことがあって、やはりそれはだめだろうと思うんです。

 だけれども、一年ずつ順繰り順繰りだと、やはり必要な経験は積むことができない。安全行政というのは、化学物質ですとかさまざまなことを覚えなければなりません。労災は今とても複雑になっております。やはりその道をずっと積み上げていくということが大事なんじゃないのかというふうに思うんですね。

 特にこの間「かとく」の活躍が非常に目立ち、ブラック企業取り締まりなども期待されているんです。だからこそ、総枠をふやすべきなんです。

 さっき紹介した日経の記事に、雇用者一万人当たりの監督官を見ると、日本は〇・六二人で、主要国ではドイツの一・八九人や英国の〇・九三人などを下回ると指摘をしています。本来、ILO基準であれば、雇用者一万人に一人、つまり五千人以上にしなければならないんですね。

 働き方改革は安倍政権の目玉です。きちんと増員要求するべきと思いますが、いかがでしょうか。

    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎国務大臣 働く方の労働条件を守って、労働基準監督署はそれなりに頑張っているわけでありますが、監督署は、長時間労働の是正など監督指導を通じた法令遵守の徹底、そしてまた労働災害の防止というのも大変大事な仕事、そしてまた迅速な労災補償の実施、こういうような、いずれも重要な役割を求められておりまして、これまでも必要な体制の確保は努めてまいっているわけであります。

 平成二十九年度の定員については、今お配りをいただきましたけれども、監督署全体で九人増でありますが、そのうち監督指導を行う労働基準監督官は、長時間労働の是正に向けた法規制の執行強化の観点から五十人増、こういうことになっています。それから一方で、今お話をいただいたように、労働災害防止とか労災補償を担う定員は四十一名減ということにこの二十九年度はなっているわけであります。

 労働災害防止のための安全衛生指導、過労死等の複雑な事案を初めとする労災補償の適切な実施を含めて、労働基準監督署が求められる役割をしっかりと発揮できるように、今後とも監督署全体の体制確保に努めていかなければならないというふうに考えております。

高橋(千)委員 二〇一七年の労働基準監督官の採用試験、「働く人たちを守る! 労働Gメン!!」という、なかなか工夫をして、どこかテレビドラマにあったものにちょっと雰囲気が似ているかななんて思って見ておりましたけれども、それぞれの分野で活躍している現場の人たちの写真とメッセージが載せられていて、とても意欲的なパンフレットかなと思いました。

 「労働基準監督官に任官された者は、ILO条約などで規定されている労働監督制度の趣旨に従い、労働基準法により労働基準監督官分限審議会の同意がない限り罷免されません。」こう書いている。やはり特別な存在なんですよね。特別な存在だからこそ、これを一部は民間でもいいんだ、社労士さんが来ていいんだ、そういう議論では全然ないということを、今大臣も懸命にふやしているということをおっしゃいましたけれども、それはしっかりと発言をしていっていただきたい。規制改革会議は、なかなか、大臣がいつも出ているのではなくて呼ばれないと行けない仕組みになっておりますので、やはり決まってからでは遅いわけで、声をうんと上げていっていただきたいということを重ねて指摘したいと思います。

 それでは、雇用保険について質問をいたします。

 本案では、雇用保険料率が〇・八%から〇・六%に引き下げられ、本則も一・二%から一・〇%へと再度の引き下げをいたします。

 きょう問題にしたいのは、国庫負担の部分です。

 資料の四枚目につけてありますけれども、国庫負担は本来は基本手当の二五%であるべきである、それが本則であるわけですけれども、今でもその五五%、つまり一三・七五%しか負担していません。ところが、今回は、わずか、その本来負担すべき額の一〇%、基本手当から見るとたった二・五%しか国は負担しないということに決まったわけです。これにより、一千百億円の国費が削減できます。こういうことになるわけですね。下にあるように、保険料率等国庫負担を減らしても、三年後にまだ積立金残高は三兆六千億円あるから大丈夫、こういう説明がされているのかなというふうに思うわけです。

 労政審雇用保険部会の報告でも、「雇用保険の保険事故である失業は、政府の経済対策・雇用対策とも関係が深く、政府もその責任を担うべきであるとの考えによるものであり、失業等給付に係る国庫負担の制度を全廃することは、国の雇用対策に係る責任放棄につながり、適当ではない。」とされています。全廃じゃないからいいという意味ではなくて、「変更を加え、その低下につながるような場合も、国の責任の観点から合理的かつ十分な説明が求められる」としております。

 二・五%で国の責任を果たしたとは到底言えません。まして、基金が余っているから減らすとしか思えないんです、これでは。三年後に戻すと言っていますが、何の保証もありません。いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 近年の雇用情勢は改善をしているということは総理から何度も御説明を申し上げておりますが、そういうことから、雇用保険の被保険者の数は増加をする一方で受給者も減少傾向にあるということで、雇用保険財政はこのところ安定的に推移をしているわけでございます。

 今回の国庫負担の引き下げは、こうした状況を踏まえて、雇用保険制度の安定的な運営を確保できることを前提として、三年間に限定をして時限的に行うものでございまして、失業が国の経済政策、雇用政策と関係が深く、政府もその責任の一端を担うべきということで国庫負担を導入してきているわけでありまして、この基本的な考え方は全く変更はないということでございます。

 また、国庫負担率の引き下げを三年間に限り行うということは法律上も明記をされているところでございまして、その後は現在と同じ水準に戻るということに法律上もなっているわけでございます。

高橋(千)委員 法律上もなっている、ですが、二〇一五年のときの報告も、「できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとする」、つまり二五%に戻すということを書いてあったわけですよね。それが、その後の今度の改正で逆に遠のいているわけですよね。近づくんじゃなくて遠のいている。法律に書いたと今おっしゃいました。だったら、これは絶対に変えないと約束いただけますか。

塩崎国務大臣 今申し上げたように法律で三年に限ってということが書いてあるわけでありますから、当然、法律どおりこれは執行されるものだというふうに思います。

高橋(千)委員 基金に余裕があるように見えるけれども、本来必要な人に支給されているのかということがやはり問題だと思うんです。

 完全失業者に占める基本手当受給率はどのようになっているでしょうか。そのうち、自己都合ということで給付制限を受けている受給者はどのくらいでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 まず、完全失業者に占めます基本手当受給率でございますけれども、平成二十七年平均で約二二%となってございます。

 ただ、労働力調査で完全失業者をはかるわけですけれども、その中に、雇用保険の受給者の中で、三カ月間の給付制限期間中の方についてはカウントされていない、その期間中はカウントされていないということがございますし、新しく仕事を探し始めた方や自営業を廃業した方も含まれていないということを考えますと、この二二%という水準がそんなに低いわけではないんじゃないかというふうに考えてございます。

 それから、給付制限を受けた方の数でございますけれども、平成二十七年度の受給資格決定者のうちで正当な理由のない自己都合離職であるために給付制限を受けた方は七十五万人となってございます。

高橋(千)委員 今、七十五万人という数字をいただきました。給付制限の人などがいるから全体としては二二%でも少なくないんだという答弁でありました、ちょっと正直驚いて。

 今の答弁、新しく就職活動をする人も全部ひっくるめての数だからという答弁は前にも聞いているんですね。だけれども、資料の五枚目にその数字をグラフに示したけれども、私が前に質問したときは三割だったわけなんですよ。さらに下がっているじゃないかということですよね。

 しかも、先ほど井坂委員も質問されておりましたけれども、自己都合の人に対しても、この間何度も議論があって、一定、要件を見直ししているわけですよね。でも、それでもこんなに率が上がっていかないということは、やはり重く見る必要があるんじゃないか。そういう必要な人が受給権がとれていないのに、いや、基金がまだまだあるじゃないかというふうに見られるのは、やはり私は筋が違うというふうに思うんです。

 それで、一つだけ聞きますが、自己都合退職は今言ったように原則三カ月の給付制限があるんですけれども、部会報告においても、「特定受給資格者以外の給付についても見直すべきである旨の意見があったが、」と書いているんですね。「が、」の次が、後何もないんですよ。どうなんでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 報告書の中にそういう記述がございますけれども、そういう議論があったわけですけれども、その後、具体的にその議論を生かしてどうするということまで議論が深まらなかったということでございます。

高橋(千)委員 とても残念な答弁ですね。せっかく議論があったと書いていただいたけれども、深まらなかったということでありました。

 であれば、今要望しますけれども、せっかくこの間、自己都合というふうに振り向けていたものを、いろいろな、そうはいっても会社の都合なんじゃないかということで、限定的に絞ってきた経過があるわけですよね。私も、これは自己都合にされているけれどもサインせざるを得ない関係、要するに労使の間でそういう関係にあったんだとか、そういう事例も述べたこともありました。

 だったら、一定の見直しをしてきたことでどんなふうに変化があったのか、見直しをするだけの材料が一定出てきているのかということについて調査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 まず、自己都合離職の関係につきましては、御本人が職場でどういう状況に置かれて自己都合になったのかということにつきまして御疑問があられるときにつきましては、ハローワークの窓口で申し出ていただければ、実態を把握しまして、実際は自己都合じゃないんじゃないかというふうなことがあれば、その離職理由を見直して、給付も見直していくということは日常的にやっておるところでございます。

 それから、今回の改正におきまして、特定受給資格者の要件を変えるということで、例えば、事業主の方が労働条件を変更した結果、当初の労働条件と著しく異なることになったときについては、就職後一年以内に離職したケースしかそういう変更を認めていなかったんですけれども、労働条件変更後一年以内に離職した場合につきましては特定受給資格者として扱うようなことですとか、あるいは、育児・介護休業法の法的義務に事業主が違反した場合につきましては特定受給資格者として扱うとか、あるいは、妊娠、出産の不利益変更があったような場合につきましてはそういう扱いをするだとかといったような見直しはやっておるところでございまして、今後とも、給付制限がかかる、あるいは、特定受給資格者になる、ならないというふうな判断につきましては、きめ細かに状況を把握して、必要な対応をとっていきたいと思います。

高橋(千)委員 引き続き、どんなふうに実際に運用されているのか、正しくされているのかと見ていきたいということも今ありましたので、引き続き見ていきたいなというふうに思っております。

 ちょっと質問の順番を変えて、一番最後の資料について質問したいと思います。

 労働契約締結前の労働条件等の明示について、今ちょっと触れられましたけれども、今回、求人票と違う労働条件を面接などで提示されても、弱い立場の求職者は拒否できなくなるんじゃないか、私、このように思うんですね。

 求人側の都合のよいように使われるおそれがあるわけで、やはりこれはやめるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 労働契約の締結に際して、一つ一つの具体的な労働条件について、通常、事業主と働く方との交渉などによって確定をするわけでありますが、働く方の希望とか能力などによって、最初の求人票などで示された労働条件から変更されるということは十分あり得るわけでございます。

 このように、実際の労働条件が求人票等で示された労働条件から変更される場合であっても、働く方がその変更点を十分に理解した上で労働契約に臨んで締結をするということになるようにすることは、働く方を保護するということになるんだろうというふうに思います。こういうことから、今回の改正では、こうした変更前の明示を新たに義務化するということにしたものでございます。

高橋(千)委員 今大臣は、求職者の希望に沿った場合、希望とか能力によって変更される場合と、何かいい方向の話だけを紹介したと思うんですね。

 本来なら、労働条件の明示というのは、労働基準法十五条違反なわけですから、非常に慎重に扱わなければならないわけです。

 ここの資料の例も比較的いい例ばかり挙げているなと思いますけれども、1のところは、基本給三十万円と書いていたけれども、基本給二十八万円、こういうふうに変わる。労働条件が期待したものよりも下がる、賃金が実は安くなっちゃう、あるいは、週休二日制ですよとちゃんと書いていたのに時間が違っちゃう、こういうことが当然想像されるわけなんですね。

 日本労働弁護団は、ハローワークに苦情というのはもう毎年一万件を超えている、その中身は、今言ったように、賃金や時間が違うというものなんだと。そのときに、今は、働いてからの条件変更じゃないわけですよ。まだ働く前の、採用される前の話でしょう。そうすると、その方たちが、労働組合があるわけでもないし、まして就職活動をしているわけですから、全く弱い立場なんです。そういう人たちが、訴えるとかそういうことよりもやはり就活に専念したい、だったら諦めるしかないのかなというふうになっちゃうんだということを指摘しているんです。

 結局、そういう求職側の弱みにつけ込んでと言ったら表現がよくないですけれども、はなから二十五万円しか出すつもりはないのに求人票を三十万と書いて、そのつもりだと思ったら、面接の時点で言われちゃう。どうですか、それだったら、ちょっと都合が悪くて少し減っちゃうけれども採用するつもりですよと言われたときに、なかなか断れない状況が生まれるじゃないですか。こういうことを許せるんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今、例えば、はなから払うつもりもないのに賃金を高目に提示して実際の交渉で引き下げるというようなお話もありましたが、そういうケースにつきましては、まず、これは虚偽の求人条件の提示になりますので、今回の法改正の中でも事業主が虚偽の条件を提示して募集ないし求人票の提示などを行いました場合には罰則という形になってございますので、まずは、そういうケースは、罰則をもって担保し、かつ、その指導をするということでございます。

 今回ここで申し上げておりますのはそういうケースではございませんで、例えば賃金を幅を持って提示するとか、例えば、幅はないけれども、ハローワークなんかでも、若干求人者側のニーズに合わない方でも、雇用の安定のために、こういう方でもちょっと面接してくださいというふうにお願いをして面接に送り出すこともございます。そういうケースで、若干条件は外れるけれども雇ってもいいよというケースは、交渉に応じて賃金を下げて雇うというケースもあります。

 そういうさまざまなケースがある中で、上がる場合、下がる場合がございますけれども、労働者の方が納得して労働条件を変更した上で契約を結ぶというのは、これは十分あり得ることだと思いますし、逆に、そういう交渉の中でいろいろと条件が提示された場合に最終的にどういう条件になったのかというのがなかなかわからないケースもあるので、そこは最後にきちんと、では最終的にはこういうことですねということを明示して契約を結ぶということは、これは十分求職者の利益につながるのではないかと考えておるところでございます。

高橋(千)委員 はなから払うつもりがないのにと私が言ったことに対して、それは虚偽であるとおっしゃいました。そのとおりです。虚偽であり、罰則もあります。だけれども、どこにその境目を設けますか。それは、はなからそんなつもりはなかったと言うかもしれないじゃないですか。どこでそれに境目をつけますか。

鈴木政府参考人 虚偽かどうかにつきましては、当初からそういう、賃金を支払う条件で雇うつもりがなかったかどうかでございますけれども、実際は、さまざまな形かと思いますけれども、例えば、実際に刑事訴訟等にもなりましたら、それは、そういう形で、求人を提示した場合に、全ての、かなりの数が、下がって雇っているとか、そういういろいろな外形上のものを判断して、虚偽かどうかというのを見きわめるものだというふうに承知をしております。

高橋(千)委員 結局、境目を決めるには訴訟しかないんですよ。きのうそう言われましたよ。だから言ったじゃないですか、たった今就職活動をしていて、そんなことをやっている場合じゃないって泣き寝入りしちゃうと。だから、訴訟とかそういう前に行く段階でやめさせなきゃいけないでしょう。それを見きわめるのは本来職安の仕事じゃないんですか。

 適格紹介という原則があるじゃないですか。本来は、求人票の内容と面接時に聞いた内容が違っている、そうなったときには、求人者に対して求人票の内容を確認する、実施する、事業所を訪問してどうしてそうなったんですかと聞く。そういう虚偽を言っているような、あるいは、はなからそのつもりだったかもしれない、そういうところには紹介を保留する、こういう手続をとるべきだ。これは、総務省の行政評価局の監査で、東北地方のハローワークを全部評価したときに、そういうことをちゃんとやるべきだということを改めて指摘しているんです。

 適格紹介の原則というのがあるじゃないですか。そして、その上でどうしても条件を変えなきゃいけないというんだったら、求人票をちゃんと出し直す。それは窓口で指導できるじゃないですか。何でそれを、面接に行った人がどうするああするという話になっちゃうんですか。だからこれは、これを書かなくてもハローワークがやるべきことをすれば防げる話じゃないですか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 まず、ハローワークの業務のやり方といたしまして、求人条件を受けて、それを求職者に提示して紹介するわけですけれども、最初、求人企業から受けた求人条件は、基本的には最終的な就職の条件と余り変わらないようにするということで、まず指導するという対応は今もいたしておりますし、これは今回この規定ができたから変わるわけではなくて。

 この規定はどういう意味かといいますと、仮に、その求職者の方が求人企業に行って、それで、現状の制度だと、求人条件の明示と、それから最終的な、労働基準法に基づく採用に基づく明示しかないわけですけれども、ここはこう変わったということがもし仮にあるとすれば、その変わったということを御本人に明示するという義務を課すことによって、より御本人がそれに気づく機会がふえるということがございます。

 ハローワークの紹介については、今、求人条件が最終的な就職と変わったときに、事業主の方に、条件相違ということで、変わった条件について連絡してもらうようになっているわけですけれども、事業主の方を信頼すれば確実に連絡があるわけですが、必ずしもそうとも限らない中で、労働者の方からもそういう報告がとれるということは非常に意味があるというふうに思っております。

 それから、民間の紹介所の紹介につきましては、そもそもそういうことが担保できない可能性もある中で、今回新しく求人企業に対してそういう義務を課すことによって、労働者の方の気づきが生まれるというふうに思っております。

 ですから、明らかに労働者の保護になるというふうに思っております。

高橋(千)委員 違うでしょう。労働者にまだなっていないんですよ。これは採用前の段階じゃないですか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 求職者の方でございますので、ただ、採用された後は労働者になるということでございますので、労働者と一般的に申し上げました。失業者の方につきましても、労働者という表現を使うことは当然ございますので、おかしいとは思っておりません。

高橋(千)委員 とんでもない表現だと思いますよ。

 私、最初に言いましたよね。労働者になってからは、労働組合があったりとか、一度結んだ労働条件を変更するというのは、もっと意味が違ってくるわけですよ。

 だけれども、この今回の労働条件の明示というのは、求人者等と求職者等との交渉等となっている、面接の場面なんですよ。そのときに、実際は、済みません、予定より五万円安いんです、雇うつもりなんですといったときに、それは約束と違うと言って、訴えますとか、そうなるわけがないじゃないですか。それを、そういう仕組みをつくってしまうということが大問題だと言っているんです。その自覚がないんですか。

塩崎国務大臣 大分熱の入った議論になっておるものですから、ちょっと私の方から説明をしたいと思います。

 高橋先生がおっしゃっているのは、適格紹介の重要性ということをおっしゃっていて、それはそのとおりだと思います。

 ただ、ここで、今回、この労働契約締結前の明示というのは、締結をしてしまったらそれで終わってしまう、確定してしまうわけですね。確定してしまう前に、改めてこういうことだということを示すこと、そして確認をその方にしていただくということ、そのチャンスをもう一つかませるという意味で。

 先ほど私がお話をしたときに、いい方向の話だというふうにおっしゃいましたが、逆のときでも、いい方向であろうと悪い方向であろうと、話し合いの中で、実は週五日じゃなくて、自分は三日でいいんだ、あるいは三日がいいんだというようなことで少し変えるということもありましょうし、いろいろなことがあって変わるということもあり得るわけで。

 もちろん、悪意を持って変えてくるということもないことはないので、それを、締結を正式にする前にチェックをまず入れるという、そのステップを今回かませるということで、労働者保護になるということを前提にこの新しい制度を入れるということでありますので、そこのところは、多分、働く人を守るという意味においては同じ方向でなかろうかというふうに思います。

高橋(千)委員 本来、求人票に何が書いてなければならないか、そして正しくなければならない、それは原則なわけですよね。それを、初めて社会に出る、そうじゃない人もいっぱいいるわけですけれども、求職者がそこまでチェックして、しかも条件が変わって、いやいや違うだろうという話にはならないんですよ。その前段階で、求人票としてちゃんとしたものになっているかというのをチェックするのはハローワークの仕事なんですね。それを本来はできていなければならない。だけれども、今は、民間職業紹介とのいろいろな連携などもやられている中で極めてそれが難しい状態になっている、そういう中でこの議論が出てきたんだと思います。

 虚偽の求人との境目も非常に曖昧であった、それどころか訴訟するしかないという議論にもなりました。これはやはり、ちゃんと本来のやるべきことをやれば大丈夫なんだという、そして、そのために必要な人をふやさなきゃいけないという議論にどうしてもなっていきますけれども、そういう立場で、これは断じて認められないということを指摘して、終わりたいと思います。

丹羽委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 雇用保険法改正案について質疑をさせていただきますが、きょうは持ち時間を二十七分いただいておりまして、多分質問が最後まで行かないんじゃないかなと思います。改めて、両筆頭間の御配慮で多数の時間をいただけると期待しながら、行けるところまで行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 昨年の通常国会におきましても雇用保険法改正案が審議されております。昨年改正したばかりで、ことしもまた改正案が国会に提出されたわけで、随分頻繁に法律を改正するものだといった声もあります。

 これまでの雇用保険法の改正の経緯を見てみますと、平成二十六年、二十四年、二十三年、二十二年、二十一年、十九年、十六年、十五年というふうに実施されております。十四年で十回ほど改正されているということとなります。

 一般に法律改正は、社会の実情を反映するため、実態を把握して、立法が必要な事実を見定めて、法律のどこをどのように修正していくかを検討し、議論を積み重ねて実施されるものだと思っております。そう考えていきますと、ここまで改正が続く事態をどう捉えればよいのか。まず初めに、毎年のように法律改正に当たられている厚生労働省のお考えを伺いたいと思います。

生田政府参考人 お答えいたします。

 近年続いております雇用保険法の改正につきましては、特にリーマン・ショック以降、経済情勢や雇用情勢等が大きく変動いたしまして、こういった情勢の見通しが非常に難しい中で、緊急的、暫定的な措置も入っておりますけれども、そういう措置も含めまして適切な対応を行うため改正を行ってきたものでございます。

 雇用保険法は雇用対策の基本的な法律でございますので、経済変動やあるいは雇用変動に機動的に対応するという面がございまして、今回も改正をさせていただくということでございます。

 ただ、今回の改正につきましては、リーマン・ショック以降、急激に悪化しました雇用情勢や経済状況に鑑み設けた暫定措置がこの三月末で切れるということがございまして、この暫定措置の対応は必須であるということなどがございまして、必要な対応をすることになったということでございます。

河野(正)委員 法案の内容が多岐にわたりますので、以下、個別の論点について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、雇用保険給付の拡充ということで、今回の法改正では、雇用保険の被保険者期間が一年以上五年未満の三十歳から四十五歳未満について、所定の給付日数内で就職できる者の割合が少ないことから、給付日数を延長するといった規定が盛り込まれております。

 まず、そもそもこの世代の就職率が低くなっている理由をどのように分析しておられるのか。そして、本改正案では、三十歳以上三十五歳未満については三十日、三十五歳以上四十五歳未満については六十日給付を延ばすこととされておりますが、それぞれの延長期間の根拠と、期間に差をつける理由もあわせてお伺いいたしたいと思います。

生田政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回の失業給付の所定給付日数の引き上げでございますけれども、所定給付日数内の就職率を全体的に見たときに、被保険者であった期間、年齢層別に見ますと、倒産、解雇等の中で、被保険者であった期間が一年から五年の方で三十歳から四十五歳の層につきまして、就職率が他の層と比較して低くなっていることが非常に大きな原因でございます。

 まず、離職者全体の就職率の平均値が五三・三%でございますけれども、被保険者期間が一年から五年の三十歳から四十五歳層につきましては四〇%ということで、相当低いのが目立っているということでございます。

 一般的に、この世代がいわゆる就職氷河期世代ということで、学校を卒業する際に正社員としてきちんと就職できなくて非正規で残っている方も多いということもございまして、非常に、就職に当たってもなかなか厳しい環境に置かれているというのも背景にあるかというふうに思っております。

 それで、基本手当の所定給付日数につきましては、まず、再就職の困難度というのを見るということで、年齢だとか離職理由を見るということになっております。年齢が高ければ高いほど就職が難しいというのが日本の労働市場の特徴でございますので、高い方が手厚いことになってございますし、離職理由につきましては、倒産、解雇等のように、事前の予測ができなくて急に失業してしまったというときはなかなか就職が難しいということもございまして、倒産、解雇等の離職理由の方について厚くするといったような形にしております。

 それから、給付と負担の均衡の問題がございまして、保険料をお納めいただいているわけですけれども、そのバランスが余りにも悪いという状態ですと、保険制度として非常にうまくいかない。特に失業した方に出す給付なものですから、こういったバランスが大事であるということもございまして、被保険者であった期間を考慮して決定しております。

 今回の引き上げ幅が、三十歳から三十五歳とそれから三十五歳から四十五歳は違いますけれども、この違いは、年齢が高い方が就職しにくいということで、ほかの被保険者であった期間で比較しても、年齢が高い方が就職しにくいということもあるものですから、手厚くするときに若干の差を設けて、三十歳から三十五歳が三十日プラスでございまして、三十五歳から四十五歳が六十日プラスという形にしたものでございます。

河野(正)委員 就職率が低い、少ないという意味では、被保険者期間が一年に満たない人々も同様であると思いますが、こちらは全世代とも九十日という所定の給付日数のまま維持されているのはなぜなのか。特に就職支援の必要性をどう考えられているのか、別途支援策を講じているのか、見解を伺いたいと思います。

生田政府参考人 お答えいたします。

 まず、先ほどの答弁とダブるわけですけれども、雇用保険は保険という方式で失業に対しての支援を行うということでございますけれども、給付と負担との関係というのを考慮して、被保険者期間を考慮したような日数にしております。

 特に一年未満の方につきましては、働いてすぐ離職するということで給付が手厚くもらえるというふうなことになりますと、どうしても給付と負担の均衡、バランスが崩れてしまうということもございまして、一年未満の方について所定給付日数自体を上げるということはなかなか難しい、一律に上げるということは難しいんじゃないかというふうに考えてございます。

 ただ、御指摘のように、短期間で離職した方で就職が厳しい方もいらっしゃるのは事実でございます。例えば、就職氷河期世代につきまして、三十五歳以上の方で過去十年間に五回以上離転職を繰り返すという要件なんですけれども、そういった就職氷河期世代で非常に御苦労されている方につきまして正社員として雇い入れた企業に対する助成措置を新設するといった、就職氷河期世代対策について力を入れておるわけですけれども、そういった対策も含めまして、本当にお困りの方につきましての支援はきちんとやっていきたいというふうに考えてございます。

河野(正)委員 次、病気の方の就労支援ということでお話を伺いたいと思います。

 本改正案では、個別延長給付を恒久化して、心身の状況や大規模災害による離職者などについて給付日数が延長できるようになります。そこで、心身の状況を理由にした給付延長について、その背景を確認しておきたいと思います。

 働いている方が病気に直面することは何ら珍しいことではなく、誰にでも起こり得ることだと思います。そのとき病気の治療と就労を両立させていくことは、その人が経済基盤を保つとともに、それまで培ってきたキャリアをさらに生かしていくためにも大変に重要なことだと思います。

 特にがんにつきまして、昨年秋の臨時国会で成立した改正がん対策基本法においては、国や自治体は、がん患者の雇用の継続、円滑な就職に資するよう、事業主に対して啓発普及などの必要な施策を講ずるよう定められており、国としても施策を整えていく必要があると思っております。

 実際、企業において、病気を理由にした休職者がどれくらいいるのか、また、病気を理由に離職した労働者や再就職を目指している方がどの程度いるのか、把握している実情をお示しいただきたいと思います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 病気を理由とする休職の実態につきましては、これまで余り詳しい調査は行われておりませんけれども、平成二十五年に厚生労働省で行った企業アンケート調査、六百三十一社に御回答いただいておりますが、これによれば、病気を理由として一カ月以上連続して休業している従業員がいる企業の割合は、がんが最も多く約二一%、脳血管疾患が約一二%などとなっております。

 また、病気を理由とした離職の状況については、がんについての調査がございますけれども、平成二十五年のがん体験者に関する調査においては、在職中にがんに罹患した方の約三四%が離職をしているという報告がございます。また、平成二十七年の別の調査では、がんに罹患した後に離職をした方のうち約四〇%の方は、がんの診断後、治療開始前のかなり早い段階で離職しているという報告がございます。

河野(正)委員 病気の治療と就労を両立させるために困難を抱えている方が少なからずおられることがわかるかと思います。

 こうした実態を踏まえて、現在の制度にはどのような課題があり、それをどのように改善していこうと捉えられているのか、政府としての問題意識を伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 この問題は働き方改革実現会議でも取り上げられまして、議論をさせていただきました。病気を治療しながら仕事をされている方は、働く方々の三人に一人と、多数おられるわけであります。一方で、病気を理由に仕事をやめざるを得なくなった方も、先ほど部長から御説明申し上げましたが、結構また多いわけであります。仕事を続けている方でも、職場の理解が乏しいということで働きづらいという問題にも直面をしているということがあって、働き方改革の中で議論してまいりました。

 厚生労働省としては、これまでも、平成二十八年の二月に、両立支援に関する企業向けガイドラインというのを初めてつくりました。企業の取り組みを促して問題意識を持ってもらうというガイドラインをつくりました。それから、がん診療連携拠点病院に、これは全国で三百九十九カ所、拠点病院がありますけれども、その中に百二十一カ所の、就労支援のための専門家を配置する、また、四十八カ所のハローワークが拠点病院と連携して就労支援を行う、そういう取り組みを拠点病院で始めているわけでございますが、まだまだこれは十分とは言えない、そういう状況であります。

 こういうことから、仕事と治療の両立支援の今後の対応として、第一に、経営トップの皆さん方の意識改革をしっかりとしていただいて、両立可能な社内制度をみずからつくっていただくということがやはり大事で、それが患者を支える企業文化の醸成に新たにつながる。それから、第二に、新たに専門人材を育成するということも必要だろう、企業と医療機関の連携強化を図るためにこういった人材が活躍してもらいたいということでございます。それから、第三には、患者に寄り添う相談支援の充実、今はどこへ行っていいかわからないという状況になっていますから、この相談窓口を工夫していくということなどが大事ではないかなというふうに思っております。

 その他も含めて、今月末までにまとめます働き方改革実行計画にさまざまな手だてを入れ込んでいきたいというふうに思っております。

河野(正)委員 よろしくお願いいたします。やはり、がん等々で治療することになれば、その治療費用というのもかかってくると思いますので、仕事ができないと収入がなくなってしまう、減ってしまうということになれば、生活とともに治療も十分にできないということになってしまいますので、そういった御配慮はいただきたいと思います。

 平成二十五年に公表された、独立行政法人労働政策研究・研修機構のメンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査によれば、過去三年間で半数以上の企業に休職者がいて、実質的な病気休職制度はおよそ九割の企業にあるものの、非正規職員は半数弱の企業で対象となっておりません。

 さまざまな働き方が提唱され、非正規雇用の増加も著しい中で、このように正規と非正規で差を生じさせる制度の存在というのは軽視できないと思いますが、政府の見解はいかがでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 正規、非正規の待遇差につきましては、不合理な待遇差をなくしていくということが必要なことと考えておりまして、これは、賃金にとどまらず、福利厚生、病気休職も含まれますけれども、こういったものもカバーしていくべきだと考えてございます。

 このため、昨年末に公表いたしました同一労働同一賃金のガイドライン案におきましては、病気休職につきまして、「無期雇用パートタイム労働者には、無期雇用フルタイム労働者と同一の付与をしなければならない。また、有期雇用労働者にも、労働契約の残存期間を踏まえて、付与をしなければならない。」というふうに規定しているところでございます。

河野(正)委員 早急に対応しなければいけない問題だと思います。

 病気にかかってやむを得ず離職をした方にとっては、再就職するために失業等給付が支えとなります。本改正案では、特定受給資格者等のうち、心身の状況が政省令で定められる基準に該当する者について、給付日数を延長できるようになっております。そもそも、病気によって退職する選択をした人の中には、休みがちになることで会社に迷惑がかかると考え、自己都合でやめることも少なくないように思われますが、本改正案の対象は、会社都合退職などが多いとされる特定受給資格者等となっております。

 自己都合退職を選ぶとこのような給付日数の延長は受けられないのか、また、心身の状況について定める厚生労働省令では具体的にどのような内容となるのか、延長を六十日とした理由とあわせて確認をさせていただきたいと思います。

生田政府参考人 お答えいたします。

 まず、倒産、解雇などにより離職した方につきまして、特定受給資格者ということで、個別延長給付も含めて手厚い給付日数としておりますけれども、この理由は、あらかじめ再就職の準備をする余裕がなくて離職を余儀なくされた方については、自己都合離職者と比較して再就職までに一定の期間を要すると想定されるということが前提でございます。

 御指摘の難病等になられてみずからやめられた方につきましては、残念ながら、この趣旨に当てはまらないということもございまして、延長給付の対象にはならないということでございます。

 ただ、別途の措置といたしまして、その離職につきましてはやむを得ないものだというふうに考えられますので、退職の理由として正当な理由のある自己都合退職ということになります。そうしますと、給付の要件として、普通は十二カ月保険に入っていないと給付は出ないんですけれども、六カ月間入っていれば出るという措置がございまして、そういった形で受給できる、受給しやすくなるということはございます。

 それから、心身の状況の具体的な基準につきましては、難病を有することや、あるいは発達障害者であることなどを想定してございます。

 それから、六十日間の延長ということでございますけれども、これにつきましては、従来から、個別延長給付といいまして、個々人に着目して給付を延長するのを個別延長給付といっているんですが、基本的には六十日という日数を設定しておりますので、その考え方に倣ったものでございます。

河野(正)委員 ちょっと話がそれるかもしれませんが、私は精神科医でしたので、うつ病の患者さんとかをよく診ておりました。うつ病の患者さんというのは、うつ状態のひどいときには重大事項を決めてはいけないということを診察のときに指導していくわけなんですけれども、大抵、会社とかが非常にストレスになっていたりするので、とにかく目先のストレスを排除したいということで、どうしても状態の悪いときにやめてしまうという方がおられて、後で再就職に困るという例をたくさん見てまいりました。

 我々の外来に来ていただければ、とにかく今は休息しましょうということで、やめるとかそういったことはすぐに決断しないでくれというふうに言うんですけれども、どうしても目先のそういったものを自分なりに排除したいということで、後から後悔される方もいらっしゃいますので、この自己都合退職の問題、病気に関しては十分に検討していただきたいと思いますし、また、そういった特例的なものがあるのであれば、しっかりと啓発をしていただきたいなと思いました。

 難病患者にとりましても、できる限り就労を継続していくことが、その人の経済的な基盤を固める上で重要だというふうに先ほど来お話ししております。近年、難病対策では、障害者総合支援法のメニューも利用できるようになるなど、障害者と難病それぞれの政策を相互に利用できる取り組みが進んできたかと思います。

 障害者雇用対策では、障害者雇用促進法による、事業主に対して障害者の雇用を義務づける制度が大きな柱となっております。身体、知的障害の雇用が義務づけられる一方、精神障害者は、特例として障害者雇用率の算定対象とする扱いとなっております。

 この仕組みにおいて難病患者さんはどのように位置づけられているのか、確認をさせていただきたいと思います。

生田政府参考人 お答えいたします。

 まず、障害者雇用率制度につきましては、障害者手帳をお持ちの方を対象とするという考え方でございまして、難病と名づけられる患者の方でございましても、障害者手帳をお持ちの方につきましては対象になるということでございます。

 この雇用率制度につきましては、社会的連帯という考え方で、企業の採用の自由をある程度制約するという面がございまして、あと、法定雇用義務が未達成の企業からは納付金を徴収するといった措置を企業に課すということもございまして、その対象をどう決めるかということにつきましては企業の皆様の理解が必要だ、重要だというふうに考えてございます。

 現段階でこうした事情を勘案しますと、対象者については、企業における雇用管理のノウハウの蓄積があったり、あるいは企業の雇用環境の改善、地域の就労支援体制の構築など、ある程度見通しが立っている、一定程度進んでいるような対象者であって、それから、採用の自由の例外として雇用義務を課す必要があると言える就職困難性が一様に見られるというか、一定の基準でわかりやすく判断できるということなどを満たすことが必要であるということでございまして、難病患者であっても障害者手帳の対象にならない方につきましては、現時点で対象にするということはなかなか難しいというふうに考えてございます。

河野(正)委員 手帳のあるなしでそういった支援が変わってしまうというのは、ちょっとどうなのかなと思いますが、早急に検討していただきたい。今のところ議論はされているということでしたので、よろしくお願いいたします。

 本改正案では、雇用保険二事業について、「労働生産性の向上に資するものとなるよう留意しつつ、行われるものとする。」という規定が追加されることになっております。雇用関係のさまざまな助成金には、障害者雇用対策につながる助成金も多くありますが、それらは必ずしも労働生産性の向上に資するものばかりとも言えないというふうに思います。

 今後、障害者雇用対策などの助成金が縮小していくのではないかとの懸念も聞こえてくるんですけれども、どのような影響があるか、政府の認識を伺いたいと思います。

坂根政府参考人 お答えいたします。

 我が国において急速な少子高齢化が進展する中では、働く方々の能力を向上させ、生産性を高めることが職業の安定にもつながることから、今般、御指摘のように、生産性の向上を後押しする理念を雇用保険法に明記することといたしました。

 しかしながら、障害のある方の就労支援策など、生産性向上を求めることが必ずしもなじまないものについては、これを要件とすることは考えておりません。

 なお、障害のある方が活躍できるようにするためには、その方々の希望や能力、適性に応じて働くことができる環境の整備が重要と考えております。今後とも、そうした環境整備を進めてまいります。

河野(正)委員 残り時間が少なくなりましたので、先に行きたいと思います。

 きょうは会計検査院の方からも来ていただいていると思うんですが、雇用調整助成金についてであります。

 これは、極めて、不正受給の問題が後を絶たないということで、大きな額になってきているかと思います。会計検査院におかれまして、雇用調整助成金を初めとした雇用保険関係の助成金に関する不正受給がどの程度指摘されてきたのか、これまでの指摘事項や金額などを確認させていただきたいと思います。

岡村会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院は、雇用保険関係の助成金等については、従来、その支給が適正に行われているかなどについて検査を行い、不適正な事態について検査報告に掲記するなどしております。

 これまでの指摘事項といたしましては、雇用調整助成金の支給が適正でなかったもの、失業等給付金の支給が適正でなかったもの、特定求職者雇用開発助成金の支給が適正でなかったものなどについて検査報告に掲記しているところでございます。

 このうち、雇用調整助成金について申し上げますと、近年では、平成二十一年度から二十七年度までの各年度の検査報告において、事業主が休業等を行っていないのに行ったと偽るなどして支給を申請していたものを不当事項として掲記しておりまして、支給が適正でなかった支給額は、直近の平成二十七年度決算検査報告では一億七千四百四十六万余円となっております。

河野(正)委員 手元に資料をいただいておりますが、かなり看過できないような額なんじゃないかなというふうに思っております。

 このように不正受給が指摘され続けている状況を踏まえて、会計検査院としては、どのような原因が背景にあると考えられておるのか、また、どのような対応をされているのか、お聞かせいただきたいと思います。

岡村会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院は不適正な事態を各年度の検査報告に掲記しておりますが、このような事態が生じていたのは、事業主が誠実でなかったり、制度を十分に理解していなかったりしていたため、支給申請書等の記載内容が事実と相違していたのに、これに対する調査、確認が十分でないまま支給決定を行っていたことによるものでございます。

 会計検査院といたしましては、このように不適正な事態について各年度の検査報告において指摘していることに加えまして、平成二十五年十月には、雇用調整助成金に係る事業所訪問調査における関係書類の確認が十分でなかったりなどしていて不正受給を把握できていない事態が見受けられましたことから、不正受給防止の実効性の確保を図るよう、事業所訪問調査の際に必ず確認すべき調査項目やその確認方法を明確にするなどの是正改善の処置を厚生労働省に対して求めるなどしております。

 会計検査院といたしましては、雇用保険関係の助成金等につきまして、引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 時間が来ましたので、最後に一問だけ、済みません。

 厚生労働省といたしましては、この不正受給について、どのような理由を考えておられるのか、そして、どのような対策をとられているのか、お答えいただきたいと思います。

坂根政府参考人 雇用調整助成金は、景気の変動、産業構造の変化などの経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者の休業、教育訓練または出向によって雇用の維持を図った場合に、その費用の一部を助成するものでございます。

 不正受給が続く理由に関して、その例を申し上げますと、出勤簿などを偽造することによって、出勤していた者を休業と偽ったり、あるいは、教育訓練の受講証明を偽造することによって、教育訓練を受けていないにもかかわらず虚偽の申請をしたり、そういった事案が多く見られるところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、厚生労働省といたしましては、まず、不正受給があった場合には三年間の助成金の不支給措置を講じるとともに、事案に応じまして、企業名の公表、刑事告発などを行っております。また、不正受給の防止を図るために、支給決定の審査の徹底、支給決定後の事業主の実態調査なども行っているところでございます。

 引き続き、不正受給防止のための措置の徹底に取り組んでいきたいと考えております。

河野(正)委員 時間になりましたので、残ったものは次回、機会をいただいてやりたいと思います。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 次回は、来る十四日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五分散会


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