衆議院

メインへスキップ



第10号 平成29年3月31日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十九年三月三十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 丹羽 秀樹君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 三ッ林裕巳君 理事 井坂 信彦君

   理事 柚木 道義君 理事 桝屋 敬悟君

      赤枝 恒雄君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    江渡 聡徳君

      大隈 和英君    木原 誠二君

      小松  裕君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      高橋ひなこ君    谷川 とむ君

      冨岡  勉君    豊田真由子君

      中川 郁子君    長尾  敬君

      丹羽 雄哉君    福山  守君

      堀内 詔子君    務台 俊介君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      阿部 知子君    大西 健介君

      岡本 充功君    郡  和子君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      初鹿 明博君    水戸 将史君

      伊佐 進一君    角田 秀穂君

      中野 洋昌君    吉田 宣弘君

      高橋千鶴子君    堀内 照文君

      河野 正美君

    …………………………………

   議員           初鹿 明博君

   議員           井坂 信彦君

   議員           大西 健介君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   内閣府副大臣       石原 宏高君

   厚生労働副大臣      古屋 範子君

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   厚生労働大臣政務官    馬場 成志君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福島 靖正君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    堀江  裕君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  蒲原 基道君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十一日

 辞任         補欠選任

  中野 洋昌君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田 宣弘君     中野 洋昌君

    ―――――――――――――

三月三十日

 安全・安心の医療・介護を求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第六四一号)

 憲法を生かして安全・安心の医療・介護の実現を求めることに関する請願(池内さおり君紹介)(第六四二号)

 介護労働者の処遇改善と介護報酬の緊急改定に関する請願(堀内照文君紹介)(第六四三号)

 子供のための予算を大幅にふやし安心できる保育・学童保育の実現を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第六四四号)

 若い人も高齢者も安心できる年金を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第六四五号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤交代制労働の改善に関する請願(真島省三君紹介)(第六四六号)

 同(寺田学君紹介)(第七三四号)

 同(細野豪志君紹介)(第七四一号)

 介護保険制度の改善、介護報酬の引き上げ、介護従事者の確保・処遇改善に関する請願(堀内照文君紹介)(第六七七号)

 同(真島省三君紹介)(第六七八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六七九号)

 同(宮本徹君紹介)(第六八〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第六八一号)

 国の責任でお金の心配なく誰もが必要な医療・介護を受けられるようにすることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六八二号)

 同(池内さおり君紹介)(第六八三号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第六八四号)

 同(大平喜信君紹介)(第六八五号)

 同(笠井亮君紹介)(第六八六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六八七号)

 同(斉藤和子君紹介)(第六八八号)

 同(志位和夫君紹介)(第六八九号)

 同(清水忠史君紹介)(第六九〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六九一号)

 同(島津幸広君紹介)(第六九二号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(秋葉賢也君紹介)(第六九三号)

 同(秋元司君紹介)(第六九四号)

 同(池田佳隆君紹介)(第六九五号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第六九六号)

 同(岩田和親君紹介)(第六九七号)

 同(岩屋毅君紹介)(第六九八号)

 同(漆原良夫君紹介)(第六九九号)

 同(小渕優子君紹介)(第七〇〇号)

 同(大見正君紹介)(第七〇一号)

 同(金子恭之君紹介)(第七〇二号)

 同(上川陽子君紹介)(第七〇三号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第七〇四号)

 同(小林史明君紹介)(第七〇五号)

 同(後藤田正純君紹介)(第七〇六号)

 同(佐藤茂樹君紹介)(第七〇七号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第七〇八号)

 同(坂本哲志君紹介)(第七〇九号)

 同(田島一成君紹介)(第七一〇号)

 同(田畑裕明君紹介)(第七一一号)

 同(高鳥修一君紹介)(第七一二号)

 同(谷畑孝君紹介)(第七一三号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第七一四号)

 同(寺田学君紹介)(第七一五号)

 同(西村明宏君紹介)(第七一六号)

 同(西村智奈美君紹介)(第七一七号)

 同(額賀福志郎君紹介)(第七一八号)

 同(野田聖子君紹介)(第七一九号)

 同(初鹿明博君紹介)(第七二〇号)

 同(福山守君紹介)(第七二一号)

 同(真山祐一君紹介)(第七二二号)

 同(松田直久君紹介)(第七二三号)

 同(松浪健太君紹介)(第七二四号)

 同(松本剛明君紹介)(第七二五号)

 同(水戸将史君紹介)(第七二六号)

 同(宮路拓馬君紹介)(第七二七号)

 同(宮下一郎君紹介)(第七二八号)

 同(村井英樹君紹介)(第七二九号)

 同(八木哲也君紹介)(第七三〇号)

 同(山口俊一君紹介)(第七三一号)

 同(山下貴司君紹介)(第七三二号)

 同(山田賢司君紹介)(第七三三号)

 同(大口善徳君紹介)(第七四二号)

 同(大畠章宏君紹介)(第七四三号)

 同(太田昭宏君紹介)(第七四四号)

 同(岡田克也君紹介)(第七四五号)

 同(岡本充功君紹介)(第七四六号)

 同(梶山弘志君紹介)(第七四七号)

 同(勝沼栄明君紹介)(第七四八号)

 同(門博文君紹介)(第七四九号)

 同(菅家一郎君紹介)(第七五〇号)

 同(木村太郎君紹介)(第七五一号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第七五二号)

 同(河野太郎君紹介)(第七五三号)

 同(中川正春君紹介)(第七五四号)

 同(長崎幸太郎君紹介)(第七五五号)

 同(野田毅君紹介)(第七五六号)

 同(野間健君紹介)(第七五七号)

 同(古川康君紹介)(第七五八号)

 同(牧島かれん君紹介)(第七五九号)

 同(三原朝彦君紹介)(第七六〇号)

 同(井坂信彦君紹介)(第七六二号)

 同(石田真敏君紹介)(第七六三号)

 同(石破茂君紹介)(第七六四号)

 同(江田康幸君紹介)(第七六五号)

 同(小沢鋭仁君紹介)(第七六六号)

 同(鬼木誠君紹介)(第七六七号)

 同(金子万寿夫君紹介)(第七六八号)

 同(城内実君紹介)(第七六九号)

 同(岸本周平君紹介)(第七七〇号)

 同(小島敏文君紹介)(第七七一号)

 同(佐田玄一郎君紹介)(第七七二号)

 同(斎藤洋明君紹介)(第七七三号)

 同(笹川博義君紹介)(第七七四号)

 同(助田重義君紹介)(第七七五号)

 同(園田博之君紹介)(第七七六号)

 同(中野洋昌君紹介)(第七七七号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第七七八号)

 同(宮崎岳志君紹介)(第七七九号)

 同(山井和則君紹介)(第七八〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

 将来にわたる質の高い介護サービスの提供の確保等のための介護保険法等の一部を改正する法律案(初鹿明博君外六名提出、衆法第七号)

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(初鹿明博君外六名提出、衆法第八号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

丹羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案、初鹿明博君外六名提出、将来にわたる質の高い介護サービスの提供の確保等のための介護保険法等の一部を改正する法律案及び初鹿明博君外六名提出、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省高等教育局私学部長村田善則君、厚生労働省健康局長福島靖正君、社会・援護局長定塚由美子君、社会・援護局障害保健福祉部長堀江裕君、老健局長蒲原基道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。

 本日より介護保険法の法案質疑、これは与野党それぞれの委員の方が、まさに多岐にわたる法案が今回一本化されておりますが、我々も対案も提出させていただいておりますので、私はきょうは政府の方に質疑をさせていただきますが、きょうのそれぞれの委員の中では民進党の対案の方にも質疑もさせていただく中で、しっかりと論点を共有させていただいて、そして、与党のあるいは政府の皆様におかれましては、野党からの案でも取り入れるものは取り入れようじゃないか、こういったぜひ前向きな御答弁をお願いしたい、まずそのようにお願いを申し上げます。

 きょう、資料の一枚目に、あしたから年度がかわるわけですが、年度がかわって、さまざまな、医療、介護に絞って、高齢者の方々の主な負担増の例を挙げさせていただいております。

 これはもちろん、新年度からすぐというものもあれば、当然、法施行後というものも含めてですが、上から順番に、医療分野がずっと続きます。そして介護、特にこの介護のところは、高額介護サービス費の見直し、そして、この法案にもかかわる二割、三割の部分、それぞれ、二割から三割、一割から二割になったときのもあわせて、こういった形で、一番右側に負担増加額という形で、もちろん介護のところは平均値で算出をしておりますが。

 私たち、きょうも質疑の中でしっかりと触れさせていただきますが、例えば、やはり一番、一つの論点になっている、二割から三割負担あるいは一割から二割になったとき、そういった部分で、これは年額で、二割から三割は十七万二千八百円の負担増、一割、二割は十八万円負担増。これはもちろん、両方、ダブルでかかるというケースの方もおられるわけですから、三十五万円負担増とか、さまざまなそういった状況を、その影響を、ではサービスの利用抑制がどのような形で起こっているのか、あるいは今後起こり得るのか、そういったところも含めて、しっかり、やはり調査、検証、そして、その検証結果を政策に反映させていく、PDCAサイクルをしっかりと回していくことが非常に重要であるというふうに思っております。

 それで、今、新年度からのこういう状況もある中で、今回、もちろん政府の法案についてもこの後議論をさせていただきますが、我々民進党として、これは五ページ目に資料としておつけをしております対案の御説明も簡単にさせていただければと思います。

 通称介護崩壊防止法案ということで、初鹿委員が筆頭提出者として、先日も本会議で趣旨説明並びに答弁もそれぞれ提案者の方からさせていただいておるところでございます。

 これは主に、右、左、二本の柱で成り立っていて、大きく全体で五つの安心という形で私たちとしては提案をさせていただいております。

 一つ目は、この一、二を一緒に見ていただければいいんですが、私たちは、介護従事者、ヘルパーさん以外の障害福祉従事者の皆さんにもきちんと処遇改善加算がとっていただける、こういう提案をさせていただき、政府も来年度から一万円の処遇改善加算、これも、私たち先立って、まさに介護・障害等従事者の処遇改善のための法案も提出をして、来年度は引き上げとなるわけですが、一万円の引き上げでは、これは保育士さんもそうですけれども、全体の、約十万円程度の、一般の産業別の平均月収に対しての差がまだまだ埋まり切れない中で、これは三十年度からでございますから、二年連続で一万円ふえれば二万円、現状から月給が加算される、こういうことであります。

 それから、その下の三については、処遇改善加算をとっても、介護報酬本体がマイナス、処遇改善加算でプラスでも実質マイナス改定であれば、今、やはり介護従事者さんを確保するために事業者さんが持ち出しで、もちろん介護従事者さん以外の方も含めて給与をちょっとずつでも改善をしていく中でそれでも人手が足りなくて、そして、事業者倒産件数は、先日も井坂委員もされていましたけれども過去最悪、こういう状況がある中で、やはり三十年度から報酬の引き上げを想定、こういうところも重要だということで盛り込んでおります。

 左側を見ていただきますと、これはずっと一、二から行くんですが、ポイントを言うと、前回の改正のときに一割から二割になった方、そして今回二割から三割になる方、そういった負担増が行われる方に対しては、そもそもその負担増自体が、本当にその後の介護サービスの利用抑制あるいはその他の生活全般のさまざまな支出の抑制、いろいろなことを諦めてしまう、こういうことも起こり得る中で、まずは、これは、法案で金額が、負担がふえる方の所得が書かれるのではなくて、政令で、事実上、国会審議を経なくてもどんどんその対象を拡大していける。社会保障審議会の中でも、二割を全ての方に適用すべきだ、こういう意見も出ている中で、我々は、まさにおおむね上位二〇%の所得額以上、つまり、それより所得の低い方には拡大しないという歯どめをかけよう、こういう趣旨です。

 それから、まさにあしたから地方に移管をされる生活援助サービスですね。いわゆる軽度者の方々に対する支援。これについても、これは自治体間のさまざまな格差も、この間も、総合事業の取り組みが指摘をされてきています。現場からもお話を聞いております。

 そういう中で、やはり軽度者切りになってしまっては、これはその方々が重度化をしてかえって医療費が高くつく。あるいは、地方でそういうサービスが受けられなくなれば誰が介護するのかといえば、やはり家族の方々がその介護に当たられるということであれば、家族介護による離職者年間十万人、三百万人がそういうことをされながら仕事もされている。そういう離職者がふえてしまいかねない中で、やはり軽度者支援というものをしっかりと私たちとしては重視していく、こういうことで法案に入れております。

 それから、六番目を見ていただくと、育休もそうなんですけれども、介護休業。これは、これまでも、議論の中で、法改正の際にも、附帯決議の中でも、やはり介護休業の日数や回数をもっと、今後どんどん介護のサービスを必要とされる方がふえてくる、家族介護をされざるを得ない方がふえてくる中で、やはりその拡充が非常に重要だということで盛り込んでおりまして、これらを五つの安心という形で、次の六ページ目に、コンパクトに、この五項目をこういう形でまとめさせていただいておりますが、一応、こういう形で今申し上げてまいりました。それぞれ、一から五、申し上げました。

 介護・障害福祉従事者及びそのほかの方々への処遇改善については、まさに介護従事者離職防止法案と言える、そういう内容。そして、介護報酬もセットで引き上げるというのは介護事業者倒産防止法案とも言える、こういう内容。そして、介護サービス利用者負担、これは二割。三割についても後ほど議論させてもらいますが、どんどん政令で対象を拡大していくということに歯どめをかける、負担の拡大防止法案、こういう位置づけ。そして、軽度者切りはだめですよということで軽度者サービスカット防止法案。そして五点目の、まさに介護離職防止につながる介護休業・介護休暇拡充、介護離職防止法案。こういう五つの安心から成り立っているということでございます。

 こういう対案を政府案とともに私たちしっかりと議論をさせていただく中で、やはり必要な、必要なというか、ぜひ修正等を含めて前向きな御対応、答弁もお願いをしたいと思っているところでございます。

 それで、実は本会議で安倍総理も答弁をいただいたわけですけれども、答弁の中で、お互いに今後前向きに議論をしていく上で、一つだけちょっと私も述べさせておいていただきたいと思ったのは、七ページ目につけておきましたけれども、安倍政権以前の自民党さんの政権の、麻生政権以降の介護報酬改定のところを、ちょっと赤線を引かせていただいております。

 安倍総理が、本会議で民主党政権のときには六千円の処遇改善のプラスだったとわざわざ言及されたわけですが、私たち、どっちがやったやらないの話じゃなくて、その手の議論をするときには、その前段の麻生政権のときに、これは確かに麻生政権のときに実現したことです。ただ、その前段に、当時の民主党が議員立法した法案を、委員長提案で成立させた議員立法を踏まえて、まさにプラス処遇改善が行われた。あるいは、安倍政権の一万三千円の部分についても、まさに私たちが議員立法して、ほかの野党の皆さんとも一緒に委員長提案で成立させたものを踏まえて処遇改善加算が行われた。あるいは、もう言うまでもなく、社会保障・税一体改革の中で、やはり負担増に見合った安心増をということで、ここで財源を確保した上でのこのような流れになってきておりますので。

 これまで、麻生政権以降の九千円、民主党の六千円、そして安倍政権になってからの一万三千円、これはどっちがどっちということじゃなくて、まさに与野党ともにしっかりそのような処遇改善の必要性を認識して取り組みをしてきたからこそ、この間の四万円以上の加算になっているということは付言をさせておいていただきたいと思います。

 それで、質問をさせていただきます。

 特に私からは、まず、一割から二割になって、今回、さらにそれが二割から三割になっていく、こういう負担増、この負担増によって何が起こるのか、あるいは何が起こってきたのか。そこをやはり評価、検証せずして、三割、三%、十二万人の方がアリの一穴でそこからどんどんまたさらに拡大していくということは、非常に私は、サービスの利用抑制、それに伴う家族介護の負担増大、そして介護離職、ゼロどころかむしろふえてしまう、さらに言えば、重度化が進んで、結果的には医療、介護の費用負担、公費の支出も多くなってしまう、こういう懸念を持っておりますが、一割から二割になった負担の影響、昨日も、厚生労働部門会議の方に老健局初め皆さんお越しいただいて説明をいただいたんですが、やはり一割から二割になった影響の検証についてはまだまだ不十分である、そのように認識をしております。

 四ページ目には、これは以前も一度御紹介させていただきましたが、ケアマネジメントオンライン、千二百十二人の方が会員の雑誌の調査で、実際、もちろんこれはケアマネジャーさんが答えた比率の中でですから、四割の方が訪問介護やデイサービスの利用を減らした、こういう回答があります。

 それに対して、昨日説明をいただきましたが、三ページ目におつけをしております、政府の方の調査ですね。これなんですけれども、これはこの後も、きょう以降も、各委員からも多分、この分析の仕方についてはさまざま論点があると思いますので指摘があろうかと思います。

 これは、上側は、一割のままの方と二割になった方で、要は、サービス利用が減少した方が二ポイントぐらいふえています。不変の方は逆に三ポイントぐらい減っている。増加というのも〇・八ポイントある。これはさまざまな分析の仕方があると思いますし、特養、老健、介護療養、それぞれ見ていただくと、退所したという方、それぞれの一割、二割の差を見ていただくと、特養が一・四ポイントふえている、老健が二・七ポイントふえている、介護療養も一・七ポイントふえているということであります。

 これは母数が何十万人もですから、これだけのポイント差でいっても、当然、統計的に解析をすれば有意差が出るような水準だと思いますし、有意差が出る場合に、退所や利用抑制をどのような要因で、ではどういう対策が必要なのか、こういったことを考えていかないと、ただ単に、顕著な差は見られないというような分析の仕方は余りにも大ざっぱでありますし、先ほどケアマネオンラインの数字も紹介しましたけれども、やはり、サービスの利用抑制が起こっているというところに対してどのように分析をして対応をとっていくかということが非常に重要だと思います。

 大臣、このデータの分析のあり方、これ自体もそうですし、今後、この後も質問しますけれども、やはりさまざまな角度から調査の分析、それに伴う対策を講じていくべきだと私は考えますが、介護の質問、若干前後しますが、大臣、この点について御答弁いただけますか。

塩崎国務大臣 今、私どもの方の資料もお配りをいただいて、二割負担の導入の影響度合いについてのお話をいただきました。

 受給者の約九%の方々が二割の対象になるわけで、全員が二割になったわけでは決してないということをまず申し添えておきます。

 前回の、二割負担を導入した際の平成二十七年八月の施行前後の受給者数の伸び、それから八月以降の一割負担と二割負担の受給者数の伸び、これに顕著な差は見られないというふうに私どもは考えております。

 また、二割負担の導入前後の平成二十七年七月と八月を見まして、一割負担者と二割負担者の間でサービス利用回数等の傾向あるいは施設の継続利用の傾向に顕著な差は見られないというのは、このお配りをいただいている上側のものですね、そういうことでございます。

 加えて、私ども、複数の自治体についてお伺いをしてみました。その際に、二割負担の導入前後におけるサービス利用回数等の比較を行っていただいてその差はどうだろうかということでありますが、顕著な差は見られなかったというのが自治体からのお答えでございました。

 制度改正の影響につきましては、このような利用に関する全国的なデータの分析に加えて、自治体あるいは介護事業者などの関係者から実態をしっかりとお聞きするということを通じて実態把握に努めているところでございまして、当然、引き続き、サービス利用の実態把握にしっかりと努めていかなければならないと思っておりますので、必要な方に必要なサービスが提供されるように対応してまいりたいと思います。

 さらに、この調査を、別の調査もいただいておりますが、制度改正による影響の実態把握は当然のことながら大事でありますから、これは、全国的なデータに加えて、さっき申し上げたように、自治体に聞いていく、あるいは介護事業者を通じてどうなのかという影響についても聞いていくということが大事だろうということで、私どもとしても、全国的なデータを進めるとともに、そのほかにも、どういう工夫ができるのかということについてはしっかりと考え、影響については絶えず子細に見てまいりたいというふうに思っております。

柚木委員 非常に重要な御答弁だと思います。

 これは、自治体が回答して、厚生労働省が調査をして、そしてそれぞれまとめていただいている調査でございますが、それに加えて、やはり、事業者さん、そして利用者さん、その御家族、こういった、どの視点で利用抑制というデータを集計するかによって非常に差も出てくると思います。

 自治体についても、私もここでは申し上げませんが、三つの、A市、B市、C市ということで、二割負担導入の影響に関する独自の調査を、これは我々のまさに党の会合の提案を受けて独自に調査をしていただいたということで、それについては感謝を申し上げますが、やはりちょっとエリアが偏っているというか、都会、都心に偏っているんですね。

 ですから、これもやはりバランスよく、これは全国で影響してくることですから、まさに生活援助サービス等を含めて。もう少しバランスよく、もちろん自治体の負担が余りにも過剰になってはいけませんから、そのあたりは委託調査等も含めていろいろなやり方も研究いただいて、自治体についてもやはりもう少し調査対象、件数も広げていただく。

 そして、事業者については、私もこれは地元の事業者さんにアンケートをお願いした百四事業所から返ってきているんです。実際、二割負担者への介護サービスの変化として、サービスを減らした、サービスを中止した、あるいは滞納がふえた、合わせて二五%、四人に一人、これは事業者さんの調査ですよ。

 ですから、こういうことも上がってきておりますので、やはり調査の仕方によってこの数字というのは非常に増減があると思います。それは、エリアあるいは事業者さんの形態、そしてもちろん利用者さん。

 やはり、そういう視点で、今御答弁をいただいたことは非常に重要で、それぞれの視点でこれは丁寧に、大事にこの調査をしていって、そして、どういうやり方が工夫できるのかという今御答弁がありましたので、ぜひ私は、どういうやり方でそれをやっていただけるのかということもきのうかなり担当課の方と、きょうも同席されておりますが、議論をさせていただいておりますので、私としては、例えば、これは老健事業に入れていただくことができないのかなと、調査テーマを決めて。

 ただ、これもこのタイミングからやると、もう既にデータが出てくるのがかなり先になる。そうしたら、実際に総務省がやっている調査がありますけれども、これを踏まえて今後の負担増への影響を勘案してやっていくということを考えても、これも出てくるのが来年の夏ごろとか、もうこれは制度の改定が決まってしまってやっていっても、さっきのケアマネオンラインで四割という数字も紹介しましたけれども、やはり生身の生活者、御家族に影響が出てきてしまいますから、ぜひそれは担当課の中で、なるべく早く自治体あるいは事業者あるいは利用者の視点で調査をどういう形でできるのか。自治体も三つということでは十分と言えません、偏りもありますので。

 ぜひそれは工夫をいただいて、何らかの形でこれは調査を実際行っていただく、この発動をするまでに。やはりそういう視点を大臣、ぜひ工夫をいただきたいと思いますが、いかがですか。

塩崎国務大臣 先ほどの三つの自治体で私どもやったわけで、確かに地理的には関東地方に集中しているということで、先生の中国地方や私の四国が入っていないということでもあります。

 しかし、私どもとしては、これは、影響が出なかった自治体のみ恣意的に取り上げているわけでは決してないわけでありまして、客観的なデータによる検証については、全国でやるとちょっと相当膨大な作業になってしまうので、日ごろから非常にコンタクトをよくとっているところに特にお聞きをしたということであります。

 しかし、今、柚木委員から御指摘があったように、やはりいろいろなチャンネルを通じて工夫をして情報をとって、実態はどうなのかということを立体的に見ていくということが大事だろうと思いますので、どういうような工夫があるかということはさらに考えていかなきゃいけないなというふうに思っております。

柚木委員 ぜひ、さらに考え、御検討いただいて、やはり、これは調査をやって、そしてその影響を検証というか、見通しを立てながらこの負担増については導入を検討するということでなければ、そもそも一割から二割のときに、私たちもそういうことが不十分だということで賛同できなかったわけです。

 今回、二割から三割も入っていますよ。これはぜひ、法案審議は今やっていますけれども、やはり発動するまでにちゃんと調査をして、その影響も勘案して、場合によってはその対策もセットで講じていくことが必要ですから、発動するまでの中でちゃんと調査を、今、考えるということはいただきましたが、調査をぜひやりたい、そういうことを、ぜひ一言、大臣、御答弁いただけませんか、工夫をして何らかの調査をやりたいと。

塩崎国務大臣 今御指摘のように、どういう効果が政策変更によってあるかということは何においてもしっかりと見ていかなきゃいけないので、さっき申し上げたように、この工夫をしながら立体的に見る努力を私どもとしても鋭意やっていかなきゃいけませんし、少なくとも、今回この法改正をやる際の施行に当たって、しっかりと実態を踏まえ、そしてまた、どういうようなことが今まであったのかということも踏まえた上で施行に臨むということは大事だというふうに思いますので、我々としては、当然、施行までにはしっかりと把握をした上で、どういうようなことが起こり得るのかということを考えた上で施行をしてまいりたいというふうに思っております。

柚木委員 ということは、やはり当然こういうさらなる調査、検証をやっていただかないと今の御答弁が担保されませんからね。私はそういうふうに理解しました。これは非常に重要ですよ。一割から二割、私たちもそういうことが不十分で賛同できなかったんです。今回、二割から三割、三%、十二万人といえども、やはりそこからアリの一穴でどんどん対象拡大して、これはだって政令でできるわけですから。

 これは、やはりその調査、検証なくして負担増なしということで、今後の質疑をやっていく中でこういうことの一つ一つの積み重ねが非常に重要ですからね。今、施行までに影響をちゃんと踏まえてでないと今後こういうことは進めないというふうに理解できる答弁をいただきましたので、大臣、これはちゃんとやってくださいよ、本当に。

 そうじゃないと、このほかまださまざまな論点がありますので、審議が前向きに進んでいかないと思いますので。今非常に重要な答弁をいただきましたので、私たちとしては、ちゃんとしたさらなる調査、検証をやっていただけると。今うなずいていただいております。私、ちゃんとこの後の審議もしっかりチェックさせていただきますから、まず一つ目のポイント、そういうことで今御答弁をいただいて、それは私たちも重要視したいと思います。

 次の質問に行きますけれども、では、こういう負担増もあるんですが、冒頭申し上げましたように、介護事業者の経営状況、そしてその経営状況に何が直結するかといえば、もちろん処遇改善加算は重要なんです、人手の確保。しかし、やはり本体の報酬がどうなるか、これがまさに事業者倒産とも直結をしてきている。こういう中で、まず事業者の経営状況、御説明をこの間もいただいてまいりました。

 こういう説明なんですね。多くの介護サービスにおいて収支差率は低下している、これは、低下しているとは認めているんです。ただ、二十七年度の収支差率はおおむねプラスになっている、そういう評価をされておられるわけですね。

 しかし、それぞれのサービスの種類ごとに見ていくと、これは二十七年度の決算のものを二十六年度決算と比較しているんですけれども、やはりマイナスのところが非常に多いんですね。

 ですから、これは、マイナス幅がちょっと減っているからよくなっているということではなくて、このままいくと、前回も実質マイナス改定ということで、倒産件数、ニーズの高い小規模多機能等の倒産もふえていますから、やはり、まず事業経営概況調査、これが今回そういう結果ですが、これから、夏の実態調査、それを踏まえる年末の介護報酬改定、診療報酬と同時改定になります。ここでしっかりと報酬を引き上げていく。

 ただ単に引き上げるんじゃなしに、まさに人材の確保、育成、キャリアパス、そういったことも含めて事業者がそれをちゃんと算定できて、さらに言えば、ヘルパーさん以外の職種の方々に対してもやはり引き上げていかないと不公平感が出てきますから、持ち出しでやっているんですね。それも含めて原資が必要ですから。

 ぜひ、夏の実態調査も含めて、今のは概況調査ですから、そして年末の改定に向けては、少なくとも、やはり人材をしっかり確保できる、そして事業者倒産がこれ以上ふえない、そのためには、やはり引き上げるという方向性の中でしっかりと厚生労働大臣として議論をリードしていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか、介護報酬改定に向けて。

塩崎国務大臣 二十七年度の介護報酬改定について言及がございましたけれども、全体として、我々としては、収支差が残るように適正化も同時に行うということ、それから、処遇改善加算を拡充するということで、介護職員に焦点を当てて行った、それから、中重度の要介護者などの受け入れをする場合に加算するという、言ってみれば、めり張りのきいた介護サービスを質を高めながら提供する、そういう意味で、手厚い報酬がそういった質の高いところには行く、こういったようなことでやらせていただいたわけでございます。

 今、介護事業経営概況調査の結果についてお触れをいただきましたけれども、多くのサービスでは、収支差率は低下はしているけれども、おおむねプラスだというのが概況からわかったことであります。

 それから、報酬改定から昨年の四月までの介護報酬の請求事業所数の増加は約一万件ということで、改定前と変わらないペースでございまして、介護サービスは、これを見る限り安定的に供給されているというふうに考えるべきなんだろうというふうに思います。

 我々は、これから介護事業経営実態調査を当然詳細にやっていかなきゃいけませんし、それに加えて、先ほど申し上げたように、ヒアリングベースでもいろいろな形でいろいろな方々に聞いていくということ、これが大事だと思っておりますので、我々としては、三十年度の介護報酬の改定というのは、医療計画と介護保険事業計画が初めて全国で同時に改定されるという、極めて大事なことであります。

 いわゆる団塊の世代が全て七十五歳以上になる二〇二五年までに、残された期間が非常に短くなってくるわけでありますので、今回の六年に一回の診療報酬と介護報酬の同時改定というのがどういう形でやるのかということは非常に重要になってまいりますので、いろいろ御意見を承りながら、しっかりやっていかなきゃいけないと思っております。

 特に、介護報酬改定につきましては、今全国でそれぞれ自治体も目指していただいております、地域包括ケアシステム、この構築をそれぞれの地域に合った形でやっていく際に、高齢者の自立支援に資する取り組みを推進するということ、それから中重度の在宅の方々を支えるサービス機能を強化していくということ、それから入退院時における医療と介護の連携、まさに包括ケアでありますが、これを推進すること、あるいは介護ロボットとかICTを活用して、現場のワークロードを軽くしながら効率のいい介護サービスを提供するといったようなことをしっかりやっていかなきゃいけない、そういう報酬体系にしなければいけないというふうに思います。

 当然、今御指摘のあった介護事業所の経営状況を適切に把握しながら、介護サービスを安定的に供給していく必要性、あるいは保険料などの国民負担、介護保険財政、こういったところに波及する影響などを踏まえて、必要な対応についてしっかりと検討していかなければならないというふうに考えております。

柚木委員 これまでの介護報酬あるいは同時改定に向けての御答弁、私もずっと拝聴してきましたけれども、非常に前向きな、若干踏み込んだニュアンスを私は感じました。

 ぜひ、六年に一度のまさに同時改定、これは、二〇二五年、社保・税一体改革、本当に一緒に取り組ませていただいたわけですけれども、やはりこれとその次、この二段ステップをうまく本当にしっかり対応しないと、団塊の世代の方が二〇二五年、全員七十五歳以上になっていかれる中で、現場が本当にもたなければ、受け皿がないわけですから、介護離職、女性活躍、全部ゼロ、絵に描いた餅になりますので。

 ここは本当に大臣、責任重大なので、我々も当然対案を出していますが、ぜひ、これは政府・与党として、大臣が先頭に立って、今本当に六年に一度の同時改定を重要視しているという御答弁をいただきました。しっかりそれぞれの省庁、大変なのは、私も与党時代経験しておりますので、そこはぜひ頑張っていただきたいと思いますよ。これを本当にしっかりやっていただかないといけないし、処遇改善に加えて、報酬の引き上げが非常に重要だという認識は共有できたと思いますので、これはぜひ。

 ちなみに、この処遇改善加算、確かに今説明はあったんですけれども、私もこの百四社の事業所アンケートを見ると、二十七年の加算の申請も九割、今度二十九年度申請予定も九割、確かに高いんです。他方で、答えている同じ事業者さんの前回の介護報酬改定以降の介護事業収益、悪化しているが五三%、過半数なんですよ。ですから、先ほどサービス減少のことも触れました。ちなみに人手不足は七二%ですよ、不足と大いに不足を合わせて。

 ですから、処遇改善加算と報酬のプラス、これはセットでやることが非常に重要なので、先ほどの答弁はその認識を私は共有していただけたと思っておりますが、これは実際に本当にそれをやっていただくことが重要ですので、我々の対案もそこがまさに、介護従事者離職防止法案、あるいは介護事業者倒産防止法案、そういうたてりで、やはりそこが最大の一つの柱、ポイントだと思っていますので、今の答弁、本当に実態ある形でお願いしたいと思います。

 一点だけ、処遇改善加算が通っていればいいんだということではないということで問題提起を一つしておきますけれども、逆に、この処遇改善加算が通って業績が悪化しているところが結構多いんですよ。

 ですから、この今の改善加算の制度がそもそも実態に即しているのかどうなのか、これはあるべき賃金水準を明確化することも含めて何らかのさらに違う視点も制度の中に加えていかないと、これは、新規参入、どこと比較してどうやっていくのかによってもまた全然制度の運用が変わってくるということで、きのうも実際現場からそういう声を聞いています。そして、人手の確保、事業者経営の持続可能性のためには、やはり五〇%を超える方々が介護報酬の引き上げと答えているんですね。

 ですから、処遇改善加算をやればそれでいいということではなくて、やはりセットで報酬の引き上げをしていくことが人材の確保かつ事業の持続性、つまり安心してサービス利用ができる、介護離職ゼロにつながっていく。このダブルでやることが重要だということについては、その必要性は認識していただけますか、大臣。

塩崎国務大臣 これは、今、労働市場が全体としては非常によくなっているわけでありますけれども、人手不足という意味においては、この介護はその中でも飛び切り厳しい状況になっているぐらい人手不足ということであります。

 それは、その理由の一つにやはり処遇の問題があって、ワークロードと処遇とをバランスしてみるとやはりなかなか厳しいということで、人手不足であることは、私の地元なんかでもしばしば聞くことでありまして、そういう意味で、処遇改善をするということで前回も処遇改善加算をやらせていただいて、これは、平成二十一年の四月からずっと足し合わせてみると、約五万三千円相当の効果がこれまで入れ込まれてきたわけであります。私どもとしては、自公政権でそのうち四万七千円程度の引き上げをやってきたというふうに思っております。

 いずれにしても、次なる改定においても、この人材確保ということを考えてみれば、処遇についてもしっかりと考えていかなきゃいけないというふうに思っております。

柚木委員 ぜひそこは、我々も引き続き注視していきますし、きょう以降もしっかりそこの点についても議論を深めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 実は、ちょっと私、保育園の関係の問題でずっと気になっていたことがあって、ちょうどきょう年度末で、あした付で、実は全国で初めて兵庫県で認定こども園の認定取り消しということが起こってしまう。これは、内閣府にもきょう来ていただいておりまして、私、非常にショッキングなんですね。

 資料にもおつけしておりますが、兵庫県姫路市で、これはおかずの絵、ちょっと報道から、絵で見た方がわかりやすいのでとってきましたけれども、本当に、これは、保育士さんも水増し請求、そして園児さんも、定員に加えて私的契約で二十二人、定員四十六人のところを。その半分ぐらい、要は、違法な形で、私的契約という形で園児さんを受け入れて、その結果、給食が、本来ならば六十八人分のところを四十人分で、こんなに、本当にちょっとだけということで運営がされてきて、おまけに、本当に冬の寒い、子供たちが寒くて泣いているようなときも、親御さんが来ているときだけ暖房をつけるけれども、暖房をつけない。

 これは、聞けば聞くほど、本当にこんなことが実際起こっているとなると、親御さんたちも泣く泣く、当然これは今回取り消しで、園長も今月末での閉園の意向を示しているということですが、私、気になるポイントが二つあります。

 まず一つは、四月以降、本来なら在籍予定だった、定員四十六人、四十四人ですか、それから定員外二十二人がどうなっちゃうのか。四十六人のうちの、四十四人ですか、これについては受け入れ先が既に決まった。しかし、残りの定員外の二十二人については、要はもう退園していただくしかないという状況で、もちろんその先決まっている方もおられるんですが、要はいろいろな意味でのサポート等が必要な状況にある。私も保活を自分でやらせていただいて、その大変さを本当に実感しております。もう新年度になっちゃうんですよね。あした付で取り消し。

 こういう、退園してまだ次が決まっていない方に対してぜひ支援をお願いしたい。この点を、まず一点目、御答弁お願いします。

石原副大臣 お答えいたします。

 姫路市によると、私的契約児二十二人のうち認可保育所等への入所を希望する十五人については、姫路市と保護者で相談の上、四月以降に別の施設に入所する予定となっております。

 六歳児のお二人については卒園をされて、残り五人については別の施設への希望は出ていないとのことでありまして、ただ、姫路市としては、その五名の方についても今後しっかりと相談に乗っていくということでありまして、私どもとしても、姫路市、兵庫県に対して、引き続き適切に対応するようにお願いをしているところであります。

柚木委員 ぜひお願いします。あしたから新年度ですから。本当に、仕事を抱えていて、受け入れ先が決まらない。私も、一人目のときは妻は復職しましたけれども、二人目、それで復職の前日に退職しちゃったんですよ。本当に今、切実なタイミングです。お願いします、今のような御対応。重要な答弁です。

 もう一つは、この五年で認定こども園、九百件から四千件まで激増してきていますよ。今回、初めて全国で認定取り消し。これが、場合によっては氷山の一角じゃないかどうか、心配されています。これは、四千までふえていますから、全部を調査するのは大変だと思いますよ。しかし、やはりここで一度一斉点検。さまざまな不慮の事故等も起こっています、現場で。ぜひ、全国の四千に膨れ上がっている認定こども園の何らかの形の一斉点検、緊急点検を御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

石原副大臣 認定施設として基準を守っていただくということは当然でありまして、質の高い保育サービスが提供される中で子供たちが健やかに成長していくことが重要であると考えております。

 今回の一連の県、市の対応や事案の実態を国としてもきちっと把握して、その上で、指導監査のあり方等を含めて必要な対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

柚木委員 ぜひお願いします。これは本当に、何か事が起こってからでは遅いんですよ。私もこの間、皆さんもそうかもしれません、本来ならば入りたいところがあったけれども、やむを得ず入れるところに入った。入った日に亡くなっちゃった、事故で。うつ伏せ死とか、起こっていますよ。水増しで、どれだけ園児さんに目が行き届くんですか、保育士さんの。何か事が起こってからじゃ遅いんです。ぜひ早急に何らかの点検をやっていただいて、また御報告をいただきたいと思います。

 副大臣、ここまでで結構です。ありがとうございました。

 それで、きょうは、資料提出、ボードが許されなかったんですが、ちょっと一点。きょうはプレミアムフライデー二回目なんですけれども、役所の方もぜひきょうは本当なら三時までに帰っていただきたいと思って、我々はそう提案したんですけれども、五時までとなっておりますけれども、実は、役所の職員の方は本当に、働き方改革でも、やはり皆さんが率先垂範いただける取り組みは大事なんです。

 ところが、残念ながら、ちょっと資料、ボードは許されませんでしたが、安倍総理の昭恵夫人付の秘書官というか、おつきの秘書さんたち五人、常勤、非常勤、おられますが、今よく取り上げられている谷さん初め、皆さん本当に、土日も出勤をして、この資料の九ページ目に、さまざまなイベントに昭恵さんが出席をされる、そのときに同行しても、当初は、それはボランティア、しかし、途中から、それはさすがにということで休日手当、本人が申請していないから出ないと言っていたのを出るようにして、しかし、その昭恵夫人の行っている業務は私的な業務だと。

 これはちょっと、非常に国民の皆さんから見たときにわかりにくくて、私もちょっと確認をしました。しかし、これはどう考えてもちょっと理解できないんですよ。

 これは、官房長官もされていた塩崎大臣だから、地元の方から聞かれたらどういう説明をされているのかなというのを教えていただきたいんですけれども、この昭恵夫人付の秘書的な方が五人、省庁の職員でおられるわけですが、この方々が、残業代も受け取っていないから、残業代も計算して払うという方向を聞いていますけれども、これは何を根拠に、私的な業務に同行した職員の方が、公費、つまり税金から給料が出て、おまけに残業代まで支払われる。これはどういうふうに説明したら、私的業務に公務員が同行して、公費、税金から給料が出る。これは、官房長官もお務めだった大臣ですから。

 私、残業の未払いとかいろいろな問題、今度働き方改革の中でも議論したいんですけれども、今回のケースは、残業代も含めて公費から計算して支払われると聞いているんですよ。総理夫人の私的な業務に関して同行してですよ。これはどう整理したらいいんですか。私、国民の皆さんが納得できるような説明はどうしてもできないんですよ。

 大臣、聞かれたら、どのように答えられますか。官房長官もされておられましたから、教えてください。

塩崎国務大臣 予算委員会等々でいろいろやりとりがあった中で、私人たる安倍昭恵夫人に公務員が土日についていったことについてのいろいろな答弁がありました。

 これは私は全く今かかわっていないので、どういう整理をして、どういうふうなことでお答えになっているのかは、これは官房長官などがお答えになっているのでありましょうから、そちらの方に聞いていただくのが筋だというふうに思います。

柚木委員 いや、私が聞いているのは、政府答弁は承知しているんですよ。それで皆さんが本当にすとんと落ちているかどうかなんですよ。

 聞いてもらって、私も聞いたんですけれども、どう考えても、政府答弁は、昭恵夫人の私的な活動に対して、谷さんたち同行者には、いや、私は、払われるべきだと思いますよ。だって、辞令を受けて、例えば大臣も今秘書官がおられますよね。私も、政府のときには本当にお世話になりましたよ。もう秘書官といえば秘書さんと一緒で何でもやるわけですから、本当にそれをボランティアと言われたり、休日も手当がつかなかったり、残業代がつかない、これは働き方改革になりませんよ、中枢でそんなことをやっていたら。ぜひこれはちゃんと説明がつく形にしてほしいんですよ。

 やはりそれは、正直、奥様の仕事は、私的な部分も当然あれば、やはり公的な部分もありますよ。だから、そこを整理しないと説明に無理がある。それが一つですよ。そして、私的な行為に対してだったら、やはり公費から、税金、残業代も含めて支出するというのは、これは納税者の皆さんから見たら非常にわかりにくい。これが二つ目。

 ここはやはり整理しないと、働き方改革とかいって、本当に中枢におられる方、職員の方、疲れ切っているとかいう話も聞きますけれども、ぜひこれはちゃんと整理をしていただいて。

 閣僚のお一人で、官房長官まで経験されて、働き方改革、議長代理でもいらっしゃってですよ、お役所の皆さんの中の働き方改革、ぜひ、総理夫人に五人も秘書の方がつかれるというのは前例もないわけですが、私的な業務と公的な業務、これをやはりちゃんと整理をすることと、私的と言い切ると、公費で、税金でおつきの方の給料を支払うというのは、やはり私、説明に無理があると思いますので。

 安倍政権の一閣僚として、官房長官までお務めでよくわかっているんですから、これはちゃんと整理すべきだ、そういう認識は、まさに働き方改革、先頭に立ってやっていただかなきゃいけないんですから、ちゃんと国民の皆さんにわかるように説明していただけませんか、今後の方向、自分はこう考えていきたいと。

塩崎国務大臣 公務員は、国家公務員は労働基準法の対象ではないということがまず第一点で、私どもの所管する法律のもとで働いておられるわけではないということでありますので、まず、そういう形で、私が答弁する立場にはないということであります。

 一方で、官房長官は、たしか予算委員会でも、今回の件も受けて、海外のいわゆるファーストレディーがどういう扱いになって、それに対してどうしているのか、たしかアメリカの大統領夫人は警備もついていたような気がいたしますが、いずれにしても、いろいろな形での連絡調整などに人がついているということはあり得る話なので、しかし、そこはしっかりとよく調べて整理をした上で国民の理解も得ないといけないということが多分官房長官の思いで、御答弁されているんだろうというふうに思います。

 私どもとしても、確かに働き方改革という意味においては大変大事なことでありますが、一方で、国家の危機管理であったり、そういうような問題でもありますので、そこは、官房で整理をされて、外国の例も見ながらしっかりとしたルールを確立していくんじゃないかなというふうに私は理解をしております。

柚木委員 きょうはもう時間が来て、まだまだ入り口なので、これは、通告しているその他、もちろん法案の問題もたくさん、半分ぐらい残っちゃいましたし、今、昭恵さんに関連することでいえば、まさに森友学園、きょう大阪府と大阪市が調査にも入られる。そして、もちろん学園側もその改善に向けて、新しい理事長さんになって、まさに、さまざまな親御さんの申し入れもあった中で、しっかりと対応したいという意向も表明されていますよ。

 これは、本当にきょう行かれているわけですから、今この瞬間に。所管の関係省庁におかれましても、この森友学園問題についてはしっかりと、園児さんたちの環境、不正受給や補助金の問題については私はこれまで質問させていただきましたが、ちゃんとやはり必要なところは、正していくべきところは正していく。園側もそう対応されようとしていますから、そこもしっかりお願いをした上で、きょうの質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。民進党の初鹿明博です。

 きょうも質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 質問に入る前に、ちょっと一言、私から言わせていただきたいんですが、今、柚木さんも触れましたけれども、きょう、月末の金曜日で、プレミアムフライデーですよね。何か一カ月前、随分大騒ぎして、私も、一カ月前の二月二十四日、委員会をやるのかなと思っていたら、結局やらずに、プレミアムフライデーだということで早く帰りましょうということを言っていて、きょう、私も、充実した審議をやることはいいんですよ。でも、何か場当たり的過ぎて、政府でプレミアムフライデーを進めましょうと言っているんだから、与党として少し整理をしていただきたいと思うんですよね。

 毎回毎回、委員会のたびに何時までやるかとかいうことを議論するんじゃなくて、今国会は四月と五月、あと二回、月末の金曜日がありますから、そこのときにどういう対応をするのか。ぜひ委員長、各委員会ばらばらということでもないと思うので、委員長同士で、ぜひどういうふうにするのかということを与党で整理していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

丹羽委員長 理事会でお諮りさせていただきます。

初鹿委員 では、中身に入らせていただきますが、先ほど柚木議員から質問がありまして、私も、今回の法案の中で問題だと思う点を幾つか取り上げさせていただきたいと思います。

 非常に多岐にわたっているので、これを全て取り上げていくとなると、やはり一日や二日の審議では十分に審議を深められないと思いますので、まず十分な審議時間を確保していただきたいと思います。

 きょうは、先ほど柚木議員からも取り上げましたが、二割負担に引き上げた影響と、また、今政府が提出している三割への引き上げについて、まず最初に取り上げさせていただきます。

 まず、お手元に資料をお配りしておりますが、先日の我が党の部門会議で厚生労働省がお示しをしていただいた資料です。二割負担者、一割負担者の介護サービスの利用状況、また、サービス別受給者数の伸び率、これは前月比ですね。それと、二割負担者、一割負担者の介護サービスの利用状況、こういう資料を出していただいているわけですが、現時点で厚生労働省として、二割負担に引き上げた影響について、どう考えているのかをまずお伺いいたしたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、前回の介護保険法改正、ここで二割負担というものを一部導入したわけで、先ほども申し上げたとおりでございますが、平成二十七年の八月に施行になりました。その前後の受給者数の伸び率、それから、平成二十七年八月以降の一割負担と二割負担の受給者数の伸び率、これを見ますと、顕著な差は見られない。そして、二割負担の導入前後の平成二十七年七月と八月では、その間では、一割負担者と二割の負担者の間で、サービス利用回数等の傾向や、あるいは施設の継続利用の傾向に顕著な差は見られていないということであります。

 さっきも申し上げたとおり、複数の自治体にヒアリングベースでお聞きをしたところが、二割負担の導入前後におけるサービス利用回数等の比較を見る限り、顕著な差は見られないということでございまして、このような利用に関する全国データの分析、そして自治体あるいは介護事業者などの関係者からの実態をお聞きすることなどを通じて、日ごろから実態には触れているわけでありますが、当然、引き続き、サービス利用の実態把握に努めるとともに、必要な方に必要なサービスが確実に提供されるように、私どもとしてもしっかり目配りをし、対応をしてまいらなければならないというふうに思います。

初鹿委員 今の段階では、その答弁をずっと繰り返しているから変えることはできないんだというふうに思うんです。

 まず、サービス利用者の数は変わらないということですが、やはり数だけで見ても意味がないんだと思うんですよね。それと、七月と八月というふうに、制度が変わった前の月とその次の月との比較ですが、この費用負担増の影響というのは、すぐ次の月に出るものなんですかね。最初は、倍になったけれども何とかできるかなと思って、そのままサービス継続をして、貯金を取り崩したり、生活の質を少し切り下げたりして頑張ってくるけれども、途中で、やはり貯金が尽きたり、食事を減らすとかいうことは限界かなと思ったり、そういうことになって、サービス利用というのは、どんどん減らしたり見直したりしていくものではないかなというふうに思うんですよ。

 そう考えると、次の月の数字を見て変わらないから変わっていませんと言うのは、余りにも短絡的過ぎるんじゃないかという指摘をさせていただきます。

 先ほど大臣が、常日ごろからいろいろな声は聞いているという答弁をされていました。聞いているんだと思いますが、聞いた結果、それが政策にどう反映していくかというのが私は重要なんだと思うんですよ。

 前回の改定と今回の改定でやはり多くの人が心配をしているのは、前回の改定によってさまざまなサービスが、利用者の側からすると切り下げられたと思っているわけですよね、そして費用負担がふえたんですよ。事業者側からすると、報酬が下がっているから経営が苦しくなっている。そういう状況があって、今回の改正でまたさらに、利用者にしてみれば、利用できるサービスが狭められたり負担がふえたり、そして事業者側からすると、経営がさらに厳しくなるような報酬の改定がこの先待っているんじゃないか、そういう懸念がある中での新たなこの法改正だという認識をまず持っていただきたいんですね。

 特に、声を聞いていると言うんですが、私はどう考えても、聞いているかもしれないけれども、それが今回の政策に反映されているとは思えないんですよ。

 皆さんのところに資料をお配りしていて、三枚目を見ていただきたいんですけれども、二〇一五年、介護保険改定についての当事者の声、利用者、家族への影響調査アンケートからということで、二〇一六年六月に認知症の人と家族の会が提出をしたこの資料をつけさせていただきました。これは厚生労働大臣宛てに提出をしたということで、二〇一六年の四月の二十二日の午後に、この会の副代表の方や理事の方々、東京の支部の代表の方々が、厚生労働省の当時の老健局長や認知症施策推進室長に手渡しをしているということですね。

 この際に、副代表の方は何と言っているかというと、財政が厳しいからといっても、今回の費用負担の増加はあまりにも苛酷だ、そういうふうに言って、この要望書を渡しているんですよ。二割負担は過酷だと言っているんですよ。それなのに、皆さん方が出してくるデータは、影響がないというか、一割の人と二割に上がった人とで差はない、そういう答えをして、それに基づいて次の三割負担をつくるということをやっている。私はやはり、もうちょっと利用者や家族の声に真摯に向き合う必要があるんじゃないかと思います。

 この声、読まれましたか。少し紹介します。次のページ、めくっていただきたいんですが、介護保険の負担が二割になった事例。

 一番最初に出てくる方、この人、かなり大変だと思います。月五・四万円の負担増。これまで、何とか年金と少しの収入でやっていけたのが、二割負担になり、貯金を取り崩さなければならなくなった。貯金は後々入院するようになったときの費用に充てるつもりだったが、それもできなくなった。グループホームの費用の支払いができなくなったら、親二人を引き取ることも考えている。少しの所得オーバーで二割になるのはつらい。自分たち家族も年金世帯、これからどうなるやら不安。お金のないやつは、早く死ねということなのか。六十代女性、要介護二、要介護三、要介護四の三人の認知症の親が特養やグループホームに入所中。

 これは、所得だけで見ても、収入だけで見ても、この方のように三人も介護をしている人がいるような家族は、それは大変なわけですよね。

 次の十六。月二万円の負担増。デイケアの利用回数を減らす相談をしたところ、本人が、そんなに、費用がかかっているのかと悲観してデイケアに行くのをやめてしまった。今は息子が自宅で入浴介助をしている。四十代女性、要介護二の祖母を自宅で介護中。

 明らかにこういうのを利用抑制というんだと思うんですよね、やめちゃったわけですから。

 次のページを見ていただきたいと思います。

 月三・二万円の負担増。一番上ですね。高額介護サービス費で一・二万円ほど返ってくるものの、やりくりが大変になった、障害による医療費補助のある療養病棟に移った。それで二万円ほど負担を減らすことができた。高額介護サービス費があっても、これは後で質問させていただきますが、償還払いだから、一回払ってしまって後で返ってくるという形だとやりくりが大変だという指摘をしております。

 その二つ下、二十九番ですね。月二万円の負担増。毎月の出費が年金の半分になるので、ショートステイの利用を減らし、歯科受診も半分にした。介護時間がふえて疲れるが、自分の体をいたわりながらも生活しようと思う。六十代女性、要支援二の夫を在宅で介護中。

 歯科診療の受診を半分にして、これは、口の中の状態が悪くなってしまったら、この人の健康状態も悪くなって、介護をしている方も介護が必要になってしまうかもしれませんよね。こうやって家族は切り詰めているんですよ。

 その下も、月二・七万円の負担増。やりくりを考え、自分の気分転換として時々していた、外食や服の出費をやめた。医療費の負担も合わせると月十万円以上になるので不安。

 こうやって生活を切り詰めてやりくりするんですよ。そういうことをぜひ考えていただきたいと思います。

 単に、サービス利用量が変わっていません、サービスも今のところ変化がありませんと言っても、生活の実態がどうなっているのかということをきちんと考えているように思えないんですよ。

 この資料を見ていて本当に感じるんですけれども、利用者数だけで調べていてもやはりわからないし、自治体に聞くだけではだめだと思うんですよ。先ほど柚木議員からも指摘がありましたが、まず、介護事業所やケアマネに、今どういう状況になっているのかということをきちんと調べましょうよ。それで、本当に利用抑制が起こっていないのかを把握しましょうよ。こういう調査、実態調査ですね、自治体じゃないですよ、実際に介護を行っている事業者やプランをつくっているケアマネに調査をすることを求めますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 まず第一に、きょう今、例を幾つかお挙げいただいたわけであります。先ほど冒頭、導入をした前後ということで七月、八月を見るだけではおかしいじゃないかという御指摘があって、それは、ある意味、その点は当たっている部分もあると思います。それはなぜかというと、この七月、八月を見るというのは、継続利用をする人がやめたかどうか、そういうのを見ているものですから、新規でやろうと思ったら二割負担になったからやめたというのがもちろんあるかもわからない。

 そういう意味で、いろいろな意味で、さっき柚木委員に申し上げたように、やはりいろいろな角度から立体的に見ていかないといけないし、立場の違う方々からも聞いてみないといけないという意味において、今、ケアマネ等々ございましたが、そういうことも含めて、やはり調査の仕方というのは今後考えて、施行までには、前回やったことがどうだったのかということを踏まえた上で今回やることを決めていく、決めるというか、導入に臨むということをやっていくということは先ほど申し上げたとおりでありますので、今ケアマネのお話も出ましたから、その立場からどう見えているのかということも大事だろうというふうに思います。

 一点申し上げたいのは、先ほど、この資料の中の、月五・四万円の負担増だという三人分の認知症の親をお世話されている方のお話がありましたが、これは、保育の利用者負担というのは世帯の所得に応じているわけでありますけれども、そういう意味で、きめ細かく八段階に分けて国としては保育料負担というのをつくっていますが、介護保険の利用者負担につきましては、これは家族で見るのではなくて、高齢者お一人お一人の所得に応じて負担割合というのは決まっています。

 したがって、三人抱えているというお話でございましたけれども、その三人のお一人お一人の、三人ということは奥様の親御さんと自分の親御さんということなんだろうと思うんですけれども、それぞれの所得がどうなのかということで決まってくるので、そこの点は少し正確に言うと、どういう負担能力の中でこの二割負担が決まっているのかなということは、つぶさに見てみないとわからないということでもあろうかと思います。

 いずれにしても、調査については、初鹿委員御指摘のように、立体的に、いろいろな立場の方からの声もちゃんと聞きながらやっていきたいというふうに思います。

初鹿委員 ちょっと確認ですけれども、それは、次、政府案では三割に負担を引き上げるということを入れているわけですが、その三割の負担に引き上げるまでの間に、ケアマネや事業所に対する調査を実施して、そしてその内容をきちんと分析をして、その結果に基づいてこの引き上げをするかどうか決める、そういう今答弁をしたということでよろしいんでしょうか。

塩崎国務大臣 今の法律、御審議いただいておりますが、この施行は、三割部分については来年の八月ということでありますので、そこまでの間に、施行される前に、我々としては、調査、そして今お話のあったように分析、調査だけしても分析しなきゃ意味がないわけですから、それを踏まえて、心の準備をした上で導入をしていくということが大事だというふうに思いますので、そのようにさせていただきたいというふうに思います。

初鹿委員 心の準備はいいんですけれども、やはり調査をしてくださいよ。ちょっと断言していただけませんか。

塩崎国務大臣 いやいや、調査の上で分析もして、心の準備をしてやると言っているんだから、それはやると言っているわけじゃないですか。

初鹿委員 だから、心の準備はいいんですけれども、分析した結果、かなり影響があるということになったら、ではそのときはどういう判断になるんですか。

塩崎国務大臣 まず第一に、二割の、今既に導入をされている部分について、我々として、それなりに、ふだんからのヒアリングベースで聞いている先、あるいは課長会議というのも定期的にやっているわけで、そういうところで聞いてみて、先ほど、私たちの判断は、余り大きな影響はなかったのではないかというふうに思いますが、しかし、そうは言っても、もっとちゃんと調べろということでありますから、やろうと思っていますので、その結果がどうなのかということについては、もちろん、その結果次第でありますけれども、これは法律として私ども御審議をお願いして、この三割導入は来年の八月からということで、所得の高い方に限って導入をするということでありますので、その際に何か、私たちが今まだ十分わかっていないことでわかったことがあった場合には、細心の注意を払いながら導入をしていくということだというふうに思います。

初鹿委員 いや、導入をしていくって、導入をすることが前提になると、調査をして分析する必要は全く意味がなくなるんじゃないかと思うんですよ。

 やはり、きちんと状況を調査して分析した結果、いや、これは影響がかなりあるな、または影響がある層がどういう層なのかとかいうことがわかったら、そこに対して対策をとらないと、それは大変なことになると思うんですよ。

 ちょっともう一回確認しますけれども、影響が非常に大きいということになったとしても、それでも三割の負担増は予定どおり八月に上げるという趣旨で今答弁をしたんでしょうか。

塩崎国務大臣 これは法律をごらんのとおり、私どもとしては、二割に上げたことも踏まえ、その影響も踏まえた上で、今回、さらにこの制度の持続性を考え、なおかつ負担能力に応じた負担ということ、世代内、世代間負担などもあわせ考えた上で、来年八月の施行ということで三割負担については導入をするという法律を今御審議いただいているわけですから、私どもの考え方は、この御提起申し上げている法律のとおりでございます。

 ただ、今御指摘をいただいているように、調査をしっかりやれ、こういうことでありますので、私どももしっかりやろうというふうに申し上げているわけでありますので、法律にはそういうふうに、御提起を申し上げているとおりでございますから、それは、私どもとしては、そういうふうに言うのが筋だというふうに思います。

初鹿委員 皆さん方は提出しているわけですから、そういう答弁になるしかないのかなとは理解はしますが、理解はするというのは、提出をしてその立場で言っているということに理解をするということですよ。答えていることを承知したということではないですからね。

 ただ、やはり調査をして分析した結果、影響があったら、それに対してきちんと対応するのが政治の責任だと思うんですね。

 やはり与党の皆さんも考えていただきたいんですけれども、政府が出したものがそのまま一〇〇%正しいというふうに判断をするんだったら、こんな国会での審議なんか必要なくなるわけですよ。国会の審議を通じて、いや、どうもやはり政府の今の二割に対する影響の分析は不十分だなというふうに感じるんだったら、私は、来年八月の施行日というのを決めるべきではない、修正を求めていくこともあるんじゃないかというふうに思いますよ。そこは、ぜひ与党の皆さんに考えていただきたいというふうに思います。

 先ほど大臣の答弁で、今回の調査だと、継続している人の調査だ、新たになった人でやめる人もいるんじゃないか、そういうお話があったんですが、僕は逆だと思うんですよ。

 認定を受けて、二割の人がこれからサービスを受けるというときに、今まで受けていた人は、上がると、上がったということで負担がふえたというのは思うんですけれども、初めて介護保険を受ける人が、二割の人が受けるとなると、まあこんなものかなと思うんじゃないかと思うんですよね。ただ、それをずっと続けていったときに、続くかどうかが私は問題だと思うんですよ。

 皆さんのところにお配りをしている声でも、そういうことが書いてあるんですよ。七ページと書いてあるところの百六十番、上から二番目の方。最近要介護認定を受けて、初めから二割で老健施設に入所したので、比較はできない。比較はできないんですよ。本人は独身で、預貯金はきれいに使い果たしており、月に二十五万円、いろいろ引かれて手取りは二十万円ほどの年金しか収入がない。姉妹で金銭管理をしているが、いずれ本人の自宅を売却するしかない。今後、医療費がかさんだり、介護度が上がったらどうなるか不安。七十代女性で、要介護三の兄が老健施設に入所中。

 見る限り、所得というか、年金収入はそこそこある方ですよね。だから、入った時点ではそんなに負担感はないと思っているんですけれども、結局、預貯金を取り崩していくということになったら、どこまでもつのかなということなんだと思うんですよね。だから、預貯金額によっては、やはり十年は何とかなるという人もいれば、三年で底を尽きちゃうという人もいるし、一年でもう無理だなとバンザイしちゃう人も出てくるんじゃないかと思うんですよ。

 もう一枚めくっていただいて、百九十八番。ここも新たに利用した人ですが、九月から利用を開始したので比較はできないが、請求書が手元に届いて意外に高いと思った。本人の希望もあり、利用回数を週三回から二回に減らした。これから高齢者が多くなるので、ますます負担割合が高くなり、年金生活では、なかなかサービスが利用できなくなるのではと不安。自分たちで助け合って生活していくしかない。六十代女性、要介護一の夫を在宅で介護中。

 この方なんかも、利用するときは、よくわからないからケアマネさんがつくったプランに基づいて利用を始めて、請求書を見て、ああ、こんな高いんだとびっくりしたという話ですよね。

 だから、新たにサービスを利用する方は、むしろ、高いからやめるということにはならないで、使い始めるんですよね。だから、利用者数で変化がないんだというふうに思うんですよ。そこは、ぜひ間違えないでいただきたいというふうに思います。

 それと、やはりこの声を聞いていると、家族の形態だとかによって随分影響の度合いは違うんじゃないかと思うんですよね。同じ収入でも、二人介護をするような人がいる場合と、一人だけの場合、または単身の場合。そして、本人の収入は低いけれども、そこをバックアップしてくれる家族が、子供さんとかで収入が高い人がいる場合。逆に、家族はいるけれども、家族が働いていないような状態の人、引きこもってしまっているようなお子さんがいるとか、そういう方とで、同じ収入だけれども、実際に負担できる能力というのは私は違うと思うんですよね。だから、単純に所得水準だけで、負担ができる、負担ができない、負担能力があるというのは、私は適切ではないと思うんですよ。

 あと、先ほどからお話ししていますが、預貯金も人によって差がありますよね。やはり資産をどれだけ持っているかによって、負担が上がったときに持ち出しが多かったとしても、その後、そのサービスをずっと続けられるのか、それとも、貯金が尽きてやめるのかどうかの期間が変わってくると思うんです。

 ですから、この分析をするときに、どういう家族構成で、どういう介護の状態になっているかということも、私は詳細に丁寧にやっていく必要があると思うんですよね。特に施設ではなくて在宅で介護サービスを受けている場合、誰が介護を担っているのかということもやはり重要だと思うんですよ。ひとり暮らしなのか、家族がいるのか、それが奥さんなのか子供なのか、稼働している子供なのか、それとも、お孫さんを育てている場合だってありますよね、まだ学校に行っているようなお子さんを育てているのかどうか。

 私は、そういうこともきちんと分析をしていって、単に所得が高い、所得がある程度あるというだけじゃなくて、実は家族二人が介護状態になっていたらここには影響が大きいとか、まだ学校に行っているような子供がいるような高齢者世帯は非常に負担感が重いとか、そういう分析をきちんとして、仮に三割というものをつくる、また二割をこのまま維持するとしても、そういう特定の家族類型のところに対する支援策というものも考える必要があると思うんですよ。

 そういう家族構成、世帯構成、介護の状態も含めた調査も行っていただきたいと思いますが、まず現状、そういう調査データというのはありますか。なければ、それを調査するということはできますか。現状、そういう家族や世帯構成による、そういうデータがあるかどうか。

塩崎国務大臣 家族、今おっしゃったように、引きこもりの子供さんがいる家庭とか、そういういろいろなケースを想定してつくった調査はあるのかということでありますが、結論的には、今のところ、そういうものはございません。

 しかし、一定程度の、やはりモデル化するような形でのパターンで調査をするということは、工夫をすればできるかもわかりませんから、いずれにしても、工夫をして、いろいろなパターンをやはり考えるということは大事なのではないかというふうに思います。

 一方で、これは保険料負担も、それから、原則一割を二割にして、九%の方々が二割負担をしていただいているわけでありますが、今度三割にするに当たっても、いずれにしても、まずは、やはり御本人の所得がどうなのか。

 今、例を挙げていただいた、月二十五万の年金収入しかないと書いてありますが、基礎年金だけの方を考えてみたら、マックスでも六万五千円、御夫婦で十三万ということを考えてみると、月々二十五万、年金の収入のある方というのは、かなり年金生活者の中では年金所得が多い方ではないかなというふうに思いますので、そういう方の御不満があるということも、もちろんわからないではないわけでありますけれども、しかし、六万五千円、あるいは低年金の方の場合なんかは、もっともっと大変なことになっておりますので、我々は、基本はやはり、高齢者、要介護者一人一人の所得がどうなのかということで、保険料も、そして一割か二割の負担、今度は三割ですが、そういうことを原則としてそれを決めるということは、これはなかなか避けて通れないのではないかと思いますし、代案はなかなかないんだろうと思います。

 その上で、今のようないろいろなパターンで、どうなのかという検証をする。これは初鹿委員御指摘のとおり、工夫をしてやってみたいというふうに思います。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

初鹿委員 おっしゃることもわかるんですけれども、やはり資産の状況とかによって随分違うと思うので、所得だけじゃなくて、資産の状況とかも考えて負担割合が決められるような制度というのを私は考えていただきたいというふうに思います。ここは答弁を求めませんけれども。

 あと、いただいた資料の中で、二枚目の裏のところなんですが、こちら、単位数が増加したか減少したか。先ほど、一月の違いではわかりませんよねという指摘をしました。この調査も、ぜひ、一年後どうなったのかということを調べてもらいたいと思うんですね。

 その上で、ちょっと指摘をさせていただきたいんですけれども、こちらの上の表の方は、「要介護度が変化している者を除く。」と書いてあって、要介護度が変わらない人にとって、サービスを増加したのか、変わらなかったのか、減少したのかという調査なんですよ。私は、もう一つ、やはり介護度が変わった人の場合、どうなっているのかを調べることが非常に重要だと思うんですよ。

 つまり、皆さん方の資料を見ると、二割負担になった方は比較的介護度が低い人が多い、二割負担者は軽度の方が多いと書いてあるわけですよね。軽度の方が多いということは、状況によっては介護度が上がる可能性がある。

 問題はここですよ。介護度が上がっているのにサービス利用量が変わっていないとしたら、それはやはり、二割負担になって費用が高くなっているから、これ以上ふやせないということでふやしていない可能性が高いわけですよね。だから、こういうことをやはりきちんと調べてもらいたいと思います。

 逆に、介護度がふえました、そうしたら利用時間を減らしましたということになったら、やはりこれは二割負担の影響なのではないかと思うんですよ。だから、ここをぜひ調べていただきたいと思います。

 介護度がふえたのに、そのまま利用時間が変わらないということであれば、やはりお金が足りないからふやせなかったということかもしれませんし、こういう介護度の変化に応じた影響の調査というものをお願いしたいんですけれども、いかがですか。

塩崎国務大臣 御指摘のように、これは「要介護度が変化している者を除く。」という調査でお配りをしたわけでありまして、これは、要介護度の変化がない者を時系列で分析する場合に、サンプル数が減少したりするというとともに、サービス利用の変更の要因が不明瞭になるというようなことから、同じサービスの方々を見ているということですけれども、おっしゃるように、要介護度が変わる方もおられるわけでありますから、それに対して利用がどうなのかということについては、見ていくということは一つの考え方だろうというふうに、確かに思います。

 したがって、調査に当たっては、そのようなケースも含めて調査をするという工夫をしないといけないのかなというふうに思います。

初鹿委員 あと、次、下の方ですけれども、施設の場合の例ですけれども、施設の場合ですと、高額介護サービス費で上限まで行っている方は、利用者負担がふえない場合もあるわけですよね。ですから、ここは、利用者負担がふえた人に限って、退所している人の割合がどれだけなのかということを私は調べるべきだと思うんですよね。

 これを見ると、「特養(一割→一割)」「(一割→二割)」で、一・六%から三・〇%で一・四%違うし、老健だと、四・二の六・九と二%以上違う。介護療養でも、三・一で、一割から二割になった人は四・八%で一・五%ぐらい高くて、皆さん方はそれほど差はないという言い方をしているんですけれども、この数字をもし利用者負担がふえた人だけに限って見たら、もっと大きくなるかもしれませんよ。ですので、ここも、利用者負担が多くなった人に限って、退所した人がどれぐらいなのかということを調べていただきたいし、もし今あるなら、そういうデータがとれるなら、すぐに提出してもらいたいと思います。

 それと、これは利用者負担が上がっていっているわけですよ。それと、利用者負担も上限があるわけだから、一万円上がった人と、二万円上がった人と、三万円上がった人で、やはり対応が違うのではないかと思いますので、幾ら負担が上がったかどうかによっての退所者数、退所者割合を出してもらいたいと思いますが、そういう調査、すぐできますでしょうか。できるなら、すぐに提出していただきたいんですけれども。

塩崎国務大臣 今、退所者の数についての言及がございましたけれども、今直ちにそういうデータがあるかというと、それは今手元には、手元というか、調べてはいないということで、改めて工夫をして、利用者負担がふえた場合に利用量がどうなのかということ、あるいは、退所するかどうかということについての動きについての調査は、それを含めて考えていきたいというふうに思います。

初鹿委員 ぜひこういう詳細な調査をして、本当の影響というのを把握してもらいたいんですよ。

 やはり介護というのは生活に物すごく直結をしているし、これからの人生設計にも非常に影響を及ぼすものであるわけですから、それを、大きな数字だけで見て影響がないと言って、人々の生活に物すごい多大な悪影響を及ぼすような結果にはしてもらいたくないということを指摘させていただきます。

 それでは次に、処遇改善の問題について質問を移らせていただきます。

 まず、この処遇改善加算、昨年も我々、今回出している法案と同じ、助成金を出す、そういう法案を提出して否決をされました、与党の皆さんによって。しかし、我々がそのときに主張したことが影響したのか、来年度、途中で改定をして加算をふやすということにしたということで、そのこと自体、私は非常に評価はします。

 ただ、加算というやり方が本当にふさわしいのかどうかということには、私はずっと疑問を持っていたんです。

 そもそもこの処遇改善は、最初、導入したときは交付金で始まったわけです。それが、これは民主党政権のときに加算に変わるんですけれども、そのときから私は疑問だなと思っていて、ずっと定着をしてきて、見ていて、加算というやり方が本当に正しいのかどうか、今疑問を持っています。

 まず、どうして加算という形で処遇改善を行っているのか、お答えいただきたいと思います。

馬場大臣政務官 お答えします。

 平成二十一年度補正予算で、全額国費による処遇改善交付金を措置したところでありますが、先ほど先生からもお話がありましたように、民主党政権下の平成二十四年度介護報酬改定において、安定的で継続的な処遇改善を図る観点から、処遇改善加算として介護報酬に組み入れたものと承知しております。

 この加算については、賃金体系の整備や研修の実施など、介護職員の資質向上に向けた取り組みを評価するものであり、その点において手厚いサービスが提供されることから、利用者にもそれに応じた御負担をいただくこととしておるところであります。

 また、本体報酬の引き上げは、必ずしも全て介護職員の賃金に、引き上げに充てられるわけではありませんが、処遇改善加算は、加算の形にすることで、その算定額を賃金引き上げに充てることを担保しているものであり、処遇改善加算の実施によって介護職員の着実な処遇改善に努めていくという趣旨でございます。

初鹿委員 今、加算にした理由として、安定的、継続的にという答弁だったんですけれども、この加算をとっている事業者の方は、誰もそんなふうに思っていないんですよ。いつこの加算がなくなるのか、みんな不安に思っているんですよ。

 ここに、介護職員の処遇改善に係る実態把握に関する調査研究事業報告書、これは平成二十七年度の厚生労働省の老人保健事業推進費等補助金でつくられた研究なんですけれども、三菱総研がやったものです。この報告書に、十幾つかの事業所にヒアリング調査をした結果、取りまとめて報告をつくっているんですが、そのいろいろな事業所の調査した結果の回答を見ると、やはり加算だと将来なくなるんじゃないかというのが非常に不安だ、そういう指摘がすごくあるんですよ。

 それと、先ほど政務官もお答えしていただいたんですけれども、利用者負担に反映するんですよ。加算をとっている事業所と加算をとっていない事業所と同じサービスを受けたときに、加算をとっている事業所を使う方が利用者負担が高くなるんですよね。それについて、やはり事業者の方々も、家族への説明に困るとか、そういう指摘をしているんですね。

 先ほどの答弁で、加算をとって、質の高いサービスになるから利用者の負担も、そういう答弁でしたけれども、本当にそうでしょうか。加算をとっている事業所のヘルパーさんと、とっていない事業所のヘルパーさんで、それだけをもってサービスの質が変わると断言できるんでしょうか。私はできないと思うんですよね。

 ですから、やはり加算という形だとしても利用者負担に反映をしないような、そういう仕組みにする必要があると思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 もともとこれは、さっき交付金というふうに言っていただきましたが、麻生内閣のときにやったんですね、一・五万円。これは税金でやっているわけで、これは、随分当時の民主党と私ども自民党との間で議論があって、政府との間でも議論があって、それでやはり処遇改善をしないといかぬということで、ダイレクトに税金で処遇改善をする、こういうことをやった。これは、ですから、間違いなく、それは税金として行って、そして報酬にはねる、報酬というかお給料、処遇にはねるようになっていた。

 しかし、それをずっとやり続けるというのは、やはり税金としてなかなかファイナンスがつかないということなので、これは民主党政権のもとで、さっき、安定的に処遇改善が続くようにするために、処遇改善加算として介護報酬に入れる、つまり、介護保険料は上がるということになるわけですね。

 今、加算と、それから本体に入れ込むのとお話を事実上されたわけでありますけれども、これはどちらにしても、利用者の負担は、交付金、税でやらない限りは、やはりはねるわけですね。

 ですから、加算がいいか、本体に溶け込ますのがいいのかというと、我々は今、特に介護の現場の人たちのお給料が低い、ここが確実に上がるようにするために、加算ということで、事前の計画もとり、そして報告を受けて、事後的にそれがちゃんと回ったかどうかということを見て、今回、一万二千円相当が約一万三千円強の実績となっているということも見れるのは、これは加算であるから見れるので、本体の中に溶け込ますと、事務職の方にも行く、ほかの方々にも、介護関係職、医療関係職の方にも行くということになって、我々として一番大事な、介護の現場で一番苦労されている方々の処遇を上げようというときには、やはりこういう形が当面いいのかなと。それは、定着したら本体の中に入れていくということでも可能だと思いますが、しかし、それでも利用者負担は同様に上がるということは変わらないので、そこのところは、当分の間、やはり介護の現場の人たちの処遇が確実に上がっていることを確認しながらやるということで、今こういう形でやらせていただいているということでございます。

初鹿委員 そこもやはりきちんと議論する必要があると思うんですよ。

 私も、実際に介護の現場にいる方々の処遇を改善していくことは非常に重要だと思いますが、事業所の側からすると、その人たち以外の職員もいて、その人たちとのバランスを考えたときに、この加算の制度は非常に使いづらいという指摘がされているんですよ。

 こちらの資料に出した報告書、一番後ろを見ていただきたいんですが、最後結論が書いてあって、そこに「介護職員処遇改善加算において検討すべき課題」といって、二つ挙げています。一つは対象範囲の拡大、二つ目は事務負担の軽減なんですよ。

 この対象範囲の拡大のところで、やはり、「職種間の公平性の確保及び、経営者の負担軽減の観点から、拡大をすることが望ましいと考えられる。」そういうふうに、まず冒頭言っているんですね。最終的にこの結論では、現状やむを得ないから介護職員に限定をしてしようがないねということになっているんですけれども、やはり問題意識としては、職種を限定しないでほしいということが書かれております。

 実際に各事業所ごとの回答を見てみても、ぜひ大臣、この事業所ごとの回答を見てもらいたいんですが、非常にこの二つの指摘のところは多いですよ、事務負担の軽減と対象範囲の拡大。私は、だから、我々が出している法案のように、ヘルパーを対象にする加算と、ヘルパー以外も対象にするような加算というものと……

三ッ林委員長代理 既に持ち時間が経過しております。

初鹿委員 両方、事業所が選べるようにした方が、事業所にとってはありがたいと思います。

 こういう考え方を今後導入していくということについて、御見解をお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 私どもの考えはさっき申し上げたとおりでありますが、今のような考え方、我々も当然、介護の職の方々、現場の方々の処遇が、事務職や他の職種に比べると、例えばPTとか、相対的にやはり、かなり、他の介護外との比較をしてみると、ギャップが大き過ぎるというので今介護に特化しているので、ですから、今おっしゃったような点も考慮に入れながら、今後どうするかを考えていきたいというふうに思います。

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

初鹿委員 時間が来たので、かなり質問を残しましたので、次回以降にまたさせていただきたいと思いますが、やはり介護の問題は生活に密着している問題なので、論点が多岐にわたりますので、十分な審議時間を確保するように委員長にお願いをして、質疑を終わらせていただきます。

丹羽委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 民進党の中島です。

 本日、火曜日の本会議に引き続いて、政府提出の介護保険関連法等改正案、そして民進党提出の二法案について、議員立法法案について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 火曜日の本会議でも質疑させていただいたわけでありますが、政府提出法案は安倍総理にだけ質問をさせていただいたわけですが、正直残念だなという感想でありました。全くやる気は感じられない、むしろ関心ないんじゃないかというような小さな声で、つくられた作文を読まれておるという印象で、厚生労働大臣はまさかそんなことはないというふうに思うわけでありますが、まず本会議での質疑の感想であります。

 本会議でも申し上げたとおり、政府提出法案は、本則で十二本そして附則で十九本、全部で三十一本になりますが、本当に内容も論点も多岐にわたる法改正を一括して、束ねて今回提出をされておる、極めて乱暴だということは本会議でも指摘をさせていただきました。

 また、ほとんどが政省令に委ねられています。条文上、数えてみると、政令で定める部分が二百四カ所、そして省令で定める部分が五百七十六カ所です。全部で七百カ所近くが政省令に丸投げされておる。

 本来であればこういう部分について、例えば介護サービス事業所の支援者数や施設の面積だったり、必要な設備と運営基準等々、介護サービスの内容、水準は全て政省令ということであれば、国会で審議する間もなく今後決められてしまう。現場の皆さんが、そういったことがどう変わっていくのかといったことを非常に注視している中で、国会で議論もされずに、ただこれだけ束ねた法案の中で、後ほど決められる。これに対しては、今回の政府提出法案で、実際どのくらいの介護がどのような水準で提供されるようになるのか全く見えてこない、これが政府提出法案の内容だということであります。

 このことは本当に大変問題だということを本会議でも指摘させていただいたわけですが、そんな内容の法案のよしあしをどんな基準で判断すればいいのか、全くわかりません。そのことを改めて指摘させていただきたいと思います。

 そういった意味から、我々民進党が提出をしている議員立法も含め、十分な審議。私はとにかくこの内容を見て、例えば介護医療院、これが従来の転換先と進められていた老健と一体何が違うのか、そもそも老健になぜ転換できなかったのか、この内容についてしっかりと検証する必要もあると思いますし、さらには負担増の問題、多岐にわたる問題が一括して内容に入っておりますから、少なくとも審議時間は四十時間。

 そして、この内容に沿って、まあ、さきの雇用保険法の参考人質疑も、やはり、参考人の皆さん、それぞれの専門家の方が来られていて、論点がばらけてしまうわけです。そういう意味からいくと、参考人も、それぞれ論点を絞って、少なくとも二回。

 そして地方公聴会も、介護の現状はやはり地域性も随分関与すると思います。そういう意味からいきますと、都市部や地域、あとは、それぞれの地方の特性を踏まえるべく、地方公聴会もやはり四回はやるのが必要じゃないかというふうに私は思います。

 その指摘を踏まえて、今法案の乱暴な内容、さらには、あわせて、慎重に審議をする必要性、私の指摘に対する大臣の見解を求めたいと思います。

塩崎国務大臣 三十一本の法律だ、乱暴だというお話がございましたが、今回御審議をお願いしている法律は三十一本あるというふうにおっしゃって、機械的に数えればそのとおりでありますが、これには、例えば条番号の変更など、その改正を行うことが本法案の直接の目的ではないものも含んでいるわけであります。

 それから、政省令に落とし過ぎだというお話ですが、中島委員はみんなの党御出身で渡辺喜美さんのお仲間だった方であるので、民主党政権時代は御経験をされていないわけでありますが、今は、どちらかというと根っこは民主党の政党におられるわけでありまして、その民主党は平成二十三年に介護保険法の改正をされています。そのときにも同じように、政省令に委ねるものは、数字とかそんなのは大体やるのが常識ですので、そういうことをやっているということで、何ら、今まで民主党政権時代にやってきたこととそう変わったことをやっているわけではないということを申し上げておきたいと思っております。

 それから、今回の法案の目的とする改正の基本的な構成は、中心は介護保険法です。

 そしてもう一つは、我々は我が事・丸ごとと言っておりますけれども、私も二年半余り厚生労働大臣をやらせていただいて、いろいろなところに行ってみて、やはり地域づくり、町づくりがうまくいっているところで初めて、子育てにしてもあるいは高齢者のケアにしても、今我々が言う地域包括ケアですが、こういったこともうまく回っているということで、やはり地域のコミュニティーの助け合いの仕組みというものを一緒につくっていく、そういうことがなければ福祉というのはうまくいかない。それも、かたがた、縦割りではうまくいかない。助けられるばかりの側と助けるばかりの側というふうに分かれるのではなくて、場合によっては助けたり助けられたりいろいろ変わるということで、私どもは、今、地域共生社会の実現ということを提唱して、我が事・丸ごとのために社会福祉法の改正というものを今回御提起申し上げております。

 さらには老人福祉法、この三つが大きな固まりでありまして、それに、さっき言ったような条番号の変更とかそういうことがあっていろいろ一緒になっているということであります。

 地域包括ケアシステム、あるいは子育ても含めてになるのかもわかりませんが、あるいは障害者も含めての、そういう縦割りじゃない、新たな、地域をベースにした福祉の仕組みというものを、あるいは医療も含めてしっかりとやっていこうというのが共通の目的で、関連性のある法律を束ねている、こういうことで今の法律で御審議をお願いしているということでございますので、御理解を賜れればありがたいというふうに思います。

中島委員 全く理解できないですね。

 長々と答弁をされて、前段の部分は本当に余計な答弁だと思います。私は確かにみんなの党でしたし、民主党政権は知りません。これは前回も反論させていただきましたが、私は前向きな話をしているのであって、後ろ向きな話は絶対しないでいただきたいと思います。

 それと、前回もそうですが、民主党という政党はもうありません。我々は民進党ですから、その比較をして争点をぼかされるのは今後一切やめていただきたいということは言わせていただきたいと思います。

 そして、私も決して、縦割りに横串を刺していくということを否定しているわけではありません。むしろ、従来から私もその必要性はあるということは言っておりましたが、今回、地域包括ケアシステムの強化と。当たり前じゃないですか。介護分野と医療分野と福祉分野、かかわるのは当たり前であって、それに横串を刺していくに当たって、従来の制度が一体どうなっているのか、どこに不備があるのかを丁寧かつ慎重にやるのが必要だと私は言っているんです。これを一気に束ねて。だからといって束ねていいなんということはあるわけないじゃないですか。そのことを私は指摘しているわけで、長々と中身がない答弁はぜひやめていただきたいというふうに思います。

 これは、なぜ私がきょうこのことをもう一回言うかというと、きょう田村前厚生労働大臣がいらっしゃいますが、ここ数年、社会保障にかかわる法案は全てこういう形態になるんです。

 四年前の社会保障制度プログラム法もそうです。三年前の地域医療介護総合確保法もそうです。そして二年前の国民健康保険法の改正も全てこのような形態で、そして、そのときも何度も同じ指摘を私はしているんです。そのたびに、例えば三年前の医療介護総合確保法であれば、病床機能報告であったり、特定看護師の制度、さらに医療事故調まで入っていたんですよ。そして、二年前の国民健康法改正案は、患者申し出療養とか、国保の運営主体を県に移管する内容であったりとか、後期高齢者医療制度の全面総報酬割。本当に論点が違う。もうここ四年間、こういう法案ばかりじゃないですか。

 先ほど安倍総理のやる気のなさも指摘をしましたが、厚生労働省、塩崎大臣も、こういうことを容認してしまうようであれば、本当に国民生活に大事な医療、介護、二〇二五年を踏まえて、本当にそのやる気が試される、そして、たびたびこういうことを繰り返すということに疑念を抱きます。

 このようなことがまかり通ってしまうと、これは本会議でも指摘をいたしましたが、立法府の意思、すなわち国民の声が反映されず、制度は幾ら維持したとしても、国民生活は本当に立ち行かなくなってしまいますよ。いや、答弁は求めていないです。

 ぜひ、先ほど言った、審議時間のしっかりとした確保、そして、参考人質疑はそれぞれの論点に沿ってやるべきですし、そして、地方公聴会は、いろいろな地方でさまざまな、まさに地域包括、地方の事情を踏まえてと言っているわけですから、一回のみならず二回、そして二回に分けてトータル四カ所、最低でもやっていただけるように。

 間違っても、審議時間、何か、私、筆頭理事、理事等に聞くと、当初、十時間ぐらいと、外務委員会でのACSA法案を例に出してそんな提案をされたとも聞いておりますが、とんでもないことだというふうに思います。ACSA法案は、日米、日豪、日英の物品役務協定の承認をとるための法案です。それと今回の法案を横並びに並べて比較するようなことは、ぜひやめていただきたいというふうに思いますし、打ち切るようなことはあってはならない。

 委員長にも、ぜひそのことはしっかりと認識して対応していただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

丹羽委員長 ただいまの案件につきましては、理事会で御協議させていただきます。

中島委員 政府提出法案、今も指摘をしたように……(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

中島委員 そのタイトル、地域包括ケアシステムの強化というふうにうたっているわけですが、私、この中身の前に、その前提、地域包括ケアシステムが今どういう状況にあるのか、そして、今後どういうスキームで二〇二五年問題に備えていくのか、その前提の話をきょうは質問してまいりたいというふうに思います。

 やはり、その前提の話となると、介護人材の確保、これは先ほど初鹿委員も質問をしておりましたが、我々も喫緊の課題だという認識、これは与野党問わず共有できることだというふうに思っています。

 政府は、昨年我々が提出した、介護従事者、障害福祉従事者の処遇改善、議員立法も踏まえながら、この四月、介護報酬改定、前年度、前倒しする形で報酬改定をされる、処遇改善するということは、私も一定の評価をしたいというふうに思います。

 ただ、介護現場、本当に人材が足りません。有効求人倍率も、直近の数字は過去最高、三・五。そして、介護養成学校の定員割れは慢性的な状況。さらには、介護福祉士、国家、合格者、これも激減している。これには実務者実習等が必須化されたという要因もありますが、やはり、一億総活躍プランで工程表を示しておられるとはいいながら、本当にこれが達成できるのか。ここが、人材が確保できなければ、絵に描いた餅になってしまう。そこで立ち行かなくなるのは、まさに今介護を受けている方々、これから介護が必要になる方、そこに響いてしまうわけであります。

 そういった意味から、一億総活躍プラン、加えたことと同時に、この委員会においても、先日の本会議でも、我が民進党からも処遇改善に対する法案が提出をされております。

 まず、議員立法提出者にお尋ねをしたいと思います。

 今回提出されております民進党案では、先ほども少し触れておられましたが、報酬改定による処遇改善加算ではなく、助成金という形態をとっておりますが、その理由について提出者にお尋ねをしたいと思います。

初鹿議員 御質問ありがとうございます。

 ただいま、処遇改善加算ではなくて、助成金という形態をなぜとっているのかという御質問をいただきました。

 政府の行う処遇改善加算は、対象となる事業者の受ける介護報酬が増加する仕組みであるため、利用者の自己負担もその分増加することになります。そのため、利用者から見れば、同じサービスを受けているにもかかわらず、事業所が処遇改善加算を受けることとなった場合は利用者負担が増加することとなり、利用者や家族の納得感を得にくいと考えられます。また、利用者負担の発生が処遇改善加算を受けることの足かせになっているという調査の結果もあります。そこで、介護報酬の加算という形態ではなくて助成金という形態をとった次第であります。

中島委員 ありがとうございます。

 今委員御答弁いただいたように、利用者の負担の発生、これを事業所は非常に気にしている、そして、加算の場合、今後いつまでその加算があるのか、このことに対して事業所はいつも不安を感じておるという意味で、そういう助成金という形態をとるということは現場の声がより反映された内容ではないかなというふうに思います。

 加えて、政府案とは違って、民進党案では、介護・障害福祉従事者以外の、例えば調理を担う職員の方であったりとか事務を担う職員の方にも、同じ施設で働く職員の方にも処遇改善ができるような特別助成金を設けております。これを設けた意義について、議員立法提出者にお尋ねをさせていただきます。

初鹿議員 先ほど私も質疑でこの点を指摘させていただきましたので、御質問いただき、ありがとうございます。

 介護事業所も障害福祉事業所も、直接利用者にサービスを提供する従事者以外の他の職種の職員も働いていますが、現在の処遇改善加算の仕組みのもとでは、これらの職員は対象となっておりません。

 そのため、事業所の職員全体の処遇を改善することとなると、処遇改善加算対象者以外の職員の処遇改善に要する費用を事業所が自己負担することとなり、その負担感が非常に重い、そういうことが事業所の方からも指摘をされていて、処遇改善加算を受ける足かせになっているという調査の報告もあります。

 このような声に応えて、処遇改善加算対象の職種以外の全ての職員を対象にした特別助成金の制度を設けることといたしました。

中島委員 特に小規模の事業所等は、送迎であったりとか調理であったりとか、そういう介護と違う仕事を兼務している方も結構多いわけです。そういった状況から、もちろん、政府の答弁にもありましたように、介護人材に重点的にという考え方もありますが、これは介護事業所のそれぞれの事情によって選択できる方が、より現場の実情に沿う内容ではないのかなというふうに思います。

 いずれにしても、全産業別で約十万円低い介護人材、その確保のための処遇改善はしっかりとやっていかなければいけないという意味で、提出の議員立法法案は非常に評価できるのではないかなというふうにも思います。

 先ほど、柚木委員のときにも質問があって、政府も答弁いただいておりますが、前回の介護報酬、二・二七%という、実質、史上最大のマイナス改定の影響も各事業所に出ているのではないかというふうに思います。事業所自体の経営が苦しくなってしまうと、処遇改善どころではなくなる。政府は調査もしておられるようですが、今後、こういった状況が続くと、本当に処遇改善には至らない。

 処遇改善と介護報酬はセットという御指摘もありましたが、処遇改善を確実にするため報酬全体をプラスにして経営を安定させなければ意味がないという先ほど質疑にあった内容について、今回の議員立法、どのように考えられるのか、提出者にお尋ねをしたいと思います。

大西(健)議員 中島委員より、処遇改善を確実なものにするためには報酬全体をプラス改定にしていかなければならないのではないかとの御質問をいただきました。

 委員御指摘のように、安倍政権は、平成二十七年度の介護報酬改定で、全体では二・二七%、加算部分を除いたサービス単価のみで見ると四・四八%と、九年ぶりのマイナス改定、過去最大の減額幅となる大幅な引き下げを行いました。その結果、東京商工リサーチの調査結果を見ると、二〇一六年一年間の老人福祉・介護事業の倒産件数は調査開始以来最多となっており、倒産の増加要因の一つとして、介護報酬の実質マイナス改定による収益への影響が挙げられております。

 介護報酬の大幅引き下げが介護事業所の経営に深刻な影響を与えていることは言うまでもありません。仮に二回連続で介護報酬を引き下げることになれば、介護事業所の経営は深刻度を増し、介護サービスの基盤は崩壊してしまうことになります。幾ら介護職員の処遇改善をしても、介護事業所の倒産が続けば、国民は必要な介護サービスを受けることができなくなってしまい、要介護状態等の悪化や家族の介護離職を招くおそれがあります。

 介護事業所の経営実態を見ますと、収支比率が悪化する一方で、給与費は伸びて、収入に占める給与費の割合は高まり続けております。処遇改善を行う余力がないのが実態であります。したがって、処遇改善を実効ならしめるためには、介護報酬を引き上げて、介護事業所の経営を安定させることが不可欠だというふうに思います。

 そこで、本法案では、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の改定に当たっては、全ての介護・障害福祉事業所等のサービスの提供の安定的な継続、介護・障害福祉従業者の賃金の改善による将来にわたる職業生活の安定及び離職の防止に資するように配慮しなければならないこととしております。特に、平成三十年度介護報酬改定に当たっては、平成二十七年度改定による報酬引き下げの影響を勘案することと明記をさせていただいております。

 つまり、端的に申し上げますと、提案者としては、平成三十年度は介護報酬を引き上げることを想定しております。

 以上です。

中島委員 ありがとうございます。

 やはり、政府提出法案のタイトル、地域包括ケアシステムの強化とうたっているわけでございまして、さらには、政府は、一億総活躍社会の実現の三本の矢の一つに介護離職ゼロともうたっていて、その内容を実際に実践していくためには、さらには介護従事者の処遇改善をしっかりとやっていくためには、やはり事業所自体の安定化を図らなければならない。少なくとも次回、三十年度の介護報酬改定はプラスにする、私もまさにそのとおりだなというふうに思います。

 先ほど、大臣も答弁の中で、二十七年度の報酬改定の評価のような話をされておりました。経営概況調査は、実際、各サービスごとに低下しているわけでありまして、そういう指摘に対しては、これは総理も答弁で述べられておりましたが、収支差率は低下しているが、おおむねプラス。意味が全くわかりません。私は全く意味がわからない。

 そういう状況から、やはり介護事業所の経営がしっかりと安定していくための次回の介護報酬改定プラス、これは重要なのではないかなというふうに、今、答弁者のお話を聞いて改めて感じたところでもございます。

 提案者の方はもう大丈夫です。ありがとうございます。

 冒頭にも言いましたように、本法案の中身について、それに入る前に、きょうは一回目ということで、その前提のお話、確認を何点かさせていただきたいというふうに思います。

 まず、今回、先ほども言ったように、地域包括ケアシステムの強化とうたっているわけですが、改めて、基本的な部分ではございますが、塩崎大臣にお尋ねをいたします。地域包括ケアシステムの目的、改めて明確にお答えいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 地域包括ケアシステムは、重度な要介護状態となっても住みなれた地域でそれぞれ自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることが可能になるというために、医療、介護、予防、そしてまた住まい、生活支援、こういうようなことが包括的に提供される体制のことを指しているわけでありまして、在宅サービスももちろん大事なその要素であるわけであります。

 また、今回の法案は、地域包括ケアシステムの柱の一つであります予防というのを強化して、高齢者の自立支援あるいは重度化防止、まさにこれは介護保険法の理念そのものでありますけれども、これらに取り組むこととしておりまして、その結果として給付費の伸びが抑えられることなど、介護保険制度の持続可能性を高めることにも寄与する合理的なものであるというふうに考えております。

 さっき申し上げたとおり、地域包括ケアシステムというのは、医療、介護、そしてまた、我々は、これからは障害者も、そして子育て支援も含めて、地域の大きな意味での助け合いの仕組みというものの上に乗っかって初めて有効に機能するものだというふうに思いますので、そういうようなことを包括的に御議論を賜るということが大変大事なことではないかというふうに思っております。

中島委員 私が今確認させていただいたのは、先ほど大臣にお答えになっていただいた後段の部分、地域での障害者、子供、課題を抱えて支援が必要な方というくだりですね。

 これは大臣所信の中でも、地域包括ケアシステムに関して、「全ての人が、さまざまな困難を抱えた場合でも、社会から孤立することなく、安心してその人らしい生活を地域で送ることができる包摂的な社会の実現を目指します。」その後、地域包括ケアシステム、従来の、高齢になっても、要介護になってもというくだりがあり、また最後の方で、「また、地域で支援を必要としている方は高齢者にとどまりません。縦割りから丸ごとへ、」ということで、共生社会ということをうたっているわけです。

 ちょっと明確にしておきたいんですが、あくまでも地域包括ケアシステムは地域の高齢化に対する対策、先ほど大臣は後段でお答えになりましたが、さらに、地域で支援が必要な障害者の方、お子さん、もしくは難病の方々、そういった方にも、まさにこの所信でも述べられていた包摂的なシステムという位置づけなのか、これは明確に答えていただきたいと思います。

塩崎国務大臣 もともとこの地域包括ケアシステムは、医療と介護とを一体的にということで、既にもう何年かにわたってこれを基本的な考え方としてやってまいりましたが、さっき申し上げた包摂的なという、いわゆるインクルーシブな社会をつくっていくということをやらないと、この地域包括ケアシステムも生きてこないというふうにつくづく思うようになっております。

 なおかつ、先ほどから申し上げているように、いわゆる福祉が縦割りになっていて、障害者の地域の生活、子供さんたちの地域での育ち、あるいは地域におられる生活困窮者の皆さん方とか、そういうような問題も含めて、地域包括ケアシステムを全ての住民のための仕組みにするとともに、その土台となる地域の力をやはり強化しないといけないな、こういうことで、インクルーシブな社会という意味で地域共生社会というのを今申し上げて、それは、象徴的に、我が事のようにみんなが参加をして町づくりをする中で助け合いのネットワークを強化していく、あるいは場合によってはそういうネットワークをつくっていくということ、その中で全ての人が包摂的に暮らしていくことが可能な社会ができるんじゃないかということであります。

 地域包括ケアシステムそのものは、医療、介護を中心に、生活あるいは住宅、そういったことも含めてやってまいりましたが、それとともに、今、他の福祉の対象であります子供さんや障害者の皆さん方も一緒にやっていける、そういう社会にしていかなきゃいけないということでございます。

中島委員 大変曖昧な言い方だと思うんです。内容は、別に私はさっき言った地域共生的な考えは否定もしませんし、むしろ前から、介護事業所で障害のある方もしくはお子さん、富山式デイサービスのような形態は、やはり縦割りを排して進めていくべきだという考えは持っておりますが、今の大臣所信もそうなんですが、私は大変唐突感があったんです。

 資料にも、これは厚生労働省のホームページです、ここには、地域包括ケアシステムの実現へ向けてという従来の、まさにこれは高齢化対策ですよ。二〇二五年、団塊の世代の皆さんが全て七十五歳以上になる、そのためのさまざまな取り組みと、そして下にある絵ですね。これは、もう従来から示されている、中心には住まい、そして高齢者の方がいて、それを取り囲むようにケアマネジャーさんがいて、そしてそれを取り仕切っているのは地域包括支援センター、さらにはケアマネジャー、これをずっとうたっていて、私も平成十六年に診療所を開業して、厚生労働省が何度も何度も説明に来て、来るべき二〇二五年問題を踏まえた地域包括ケアシステムは新しいコミュニティーなんだ、そういう説明でずっと来られた。

 しかし、今も大臣の答弁を聞いていると、高齢者を中心にというくだりがついてくる。私は、一体いつからそういうくだりがつき、いや、私は否定はしていませんが、今回の法案の中にも入っている共生社会、こういった目的というか、最大の地域包括ケアシステムが目指すものがあそこに何か加わったような印象があるんですね。私は内容を否定しているわけではなくて、取り組むのは自治体ですから、そういう曖昧な言い方だと、非常に対応、困惑するんじゃないか。

 先日、本会議で、きょう桝屋先生がおられますから、桝屋先生の質疑の中で、公明党さんは、先日、党内の地域包括ケア推進本部を改組して、地域共生社会推進本部を立ち上げましたとおっしゃっていて、私はこれもまたびっくりしたんです。地域包括ケアシステムと先ほど言われた共生社会、今回は共生サービスということで各自治体の計画を作成する旨が入っておるわけですが、地域包括ケアシステムから共生社会、そのビジョンに変わったんですか。

 ここは、あくまでも厚生労働省はその中に、先ほども言ったように、いつからそういう、丸ごと何でしたっけ、それ自体の議論も全く我々に見えてこないまま今に至っていて、そして大臣所信で、当然のごとく、地域包括ケアシステムは、高齢者のみならず、障害を持った方々、そういった方々までも含むというような御発言は非常に唐突感があり、地域包括ケアシステム、そして、もし共生社会の話になるなら、この地域包括ケアシステムの、従来から市町村に配られているこの紙、この下の絵面にどういうかかわりを持たせるつもりなのか。

 地域包括ケアシステムと我が事・丸ごと地域共生社会、この関係性について、改めて明確に、目指すべきものを含めてお示しをいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 多分これは、先生、地元でお歩きになっていれば、かねてから感じておられたことだろうというふうに思うんですね。

 さっきから出ている地域包括ケアシステムというのは、確かに、高齢化、高齢化ということで、医療と介護の、言ってみればインテグレーションを有機的にやろうということで、それを地域でやって、なおかつ、それは医療と介護だけにとどまらずに、生活とか住宅とかいろいろなものを含んでいるということをさっき私から申し上げました。

 しかし一方で、例えば地域包括支援センターがいろいろな方々の御相談を受けています、これはもう昔からそうなんですが。その中に、例えば障害者の問題であったり高齢者の問題であったり、さまざまな問題を受けているわけであります。

 確かに、例えば高齢者の親と働いていない独身の五十代の子供さんが同居している八〇五〇世帯と呼ばれている方々、あるいは介護と育児に同時に直面する世帯、いわゆるダブルケアの大変な思いをされている女性であったり、そういうようなことで、一つの世帯が複数の課題を抱えて、既存の縦割りの制度では効果的な解決策を探し得ないということが出てきているのは御案内のとおりであります。

 高齢者の支援ということで地域包括支援センターをそれぞれつくっておられますが、私の松山もそうですが、そこに行ってみて、実は、この我が事・丸ごとの話をしたら、ぜひやりたいと言って、それで今回、二十九年度予算で百カ所程度の自治体で実施をしていただくモデル事業がありますけれども、私どもの地元から言ってきているのは、地域包括支援センターが子供も障害者も一緒にやりたいということでこのモデル事業をやっているわけです。

 したがって、地域包括ケアシステムそのものがなくなるわけでもないし、変わったわけでもないし、ただ、社会全体のニーズがそういうように多様化をし、そして有機的に結びつけないと解決をしない、そして社会を、コミュニティーを強くしていかないと解決をしづらいということをだんだんだんだん我々も認識して、こういう形で我が事・丸ごとということを申し上げているわけで、恐らく、中島先生も地元をこつこつ歩いておられるんでしょうから、そういうことは肌身に感じてこられたので、この縦割りをやめて大きくやっていこうということを申し上げているわけであります。

丹羽委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。

中島委員 何度も言っているように、否定しているわけではなくて、余りにも唐突感があって、今おっしゃっていましたが、混乱しますよ。特に各自治体の方は、例えば今回の共生サービスもそうですが、社会福祉法、介護保険法、障害者総合支援法、児童福祉法にかかり、そういう通達が行くわけですよね。従来、地域包括ケアシステムは地域包括支援センターが中心にやっていた。そういうことから、ここは混乱しないように、ちゃんと一旦整理をされた方がいいと思いますよ。

 要するに、今回のその我が事・丸ごとですか、それの位置づけが、だって、当然かかわってくるじゃないですか。このポンチ絵が、この資料にある絵、この中に、我が事・丸ごと地域共生社会ですか、どういう関係性を持ってやってくるのか。全く、今の大臣の答弁は、別じゃない、別ではないけれども、地域包括ケアシステムの目標は、従来のここに書いてある高齢化対策のためにということを大前提にしていると。

 私も実際混乱したんです。そして、この法案が出て、大臣の所信を聞いて、地元に帰って、まさに大臣と私は一緒です。地元の包括支援センターへ行って、これをどう考えるかといったら、いや、さっき言った縦割りは悪くないんです。考え方を私は言っているのではなくて、もう一度整理して、これからしっかり、どういうものを目標にやっていくのか、地域包括ケアシステムは従来どおりでいいのか、それとも、今回の共生社会、それがどう絡み合ってきて、この絵面が変わっていくのかどうか。

 ここは厚生労働省としても、大臣がいいと思ったから言いましたではなくて、本当に固唾をのんで見ているわけですから、行き当たりばったりな言い方ではなくて、明確にその役割もしくは、いや、いいですよ、私だって別に、もし目的が変わったのであれば、ちゃんと目的を変えて、地域包括システムは、高齢者対策のみならず、包摂的なシステムとして、これから共生社会を目指すべく横串を刺して新たな形を見出すというのなら、それを明確に示してからこの共生社会、共生サービスの議論もしないと地域は混乱するという指摘をしているわけですが、大臣、何か御答弁ございますか。

塩崎国務大臣 突然というお言葉でありますが、全く突然ではございませんで、去年の一億総活躍プランの中に地域共生社会という言葉は既に入っていて、そこに概念は書いてございます。

 それで、これも多分、釈迦に説法だろうと思いますが、例えば、富山市にある「このゆびとーまれ」というNPOがやっているデイサービスで、障害者に対するサービスも提供しています。そもそもそこはデイサービスで、もともと高齢者向けでありながら、そこは実はB型の施設にもなっていて、そういう中で障害者に対するサービスもされているけれども、基準該当ということで不利になっている。お配りをいただいている、もう既に、だから、デイサービスというのはこの世界ですよね、地域包括ケアシステムの世界です。しかし、そこにもう障害者も子供も入っていて、そこで、縦割りであるがゆえに障害者に対するサービスが有機的に提供されていない、障害者に対するサービスについては実は高齢者も支える側になっている、そういう場であります。

 したがって、そういうものは事実上どんどん世の中に存在をしていて、制度がついていっていないというのが現状です。そのことについて、今回御提起申し上げている法案の中にも入っておりますので、よくごらんをいただければというふうに思います。

中島委員 よく見ています。よく見ているからそういう疑問が湧いたということです。

 さっきも言ったように、別に、富山型のデイサービスとか、そういう各市町村で取り組まれていることを否定しているわけではなくて、従来から各自治体、それぞれ温度差はあるかもしれませんが、地域包括ケアシステムは高齢化対策だといって今まで厚労省も取り組んできたわけです。それに我が事・丸ごと共生社会を加えて、そういったものをかみ合わせていくんだったら、それは私も否定しませんが、しかし、そうであるならしっかりと今後のビジョンというものを、地域包括ケアシステムにどう埋め込んで、どう合体させていくのかということをまず示さないと、いきなり共生サービスといっても、現場は困惑するということを指摘しているわけです。

 堂々めぐりになってしまいますので、またにしたいと思いますけれども、また共生サービスのところでその問題提起はさせていただきたいというふうに思います。

 そうしたら、あくまでも地域包括ケアシステムは高齢化対策、従来と何ら目標、目的も変わりませんということでよろしいんですね。いいんですね、大臣。

塩崎国務大臣 地域包括ケアシステムについては、先ほど申し上げたとおり、これまでも高齢化対策としてやってきたことでありますが、それをさらに、言ってみれば深化させる形で、社会全体の中での位置づけを新たに加えているのが、去年の一億総活躍プランの地域共生社会づくりということだというふうに理解をしております。

中島委員 そういう方針なら、そのことを明確に各自治体に周知して、そして、このポンチ絵も、加えたのなら、やはり変わってくるはずじゃないですか。これを堂々と、厚生労働省ホームページの、地域包括ケアシステムの実現といって、その共生社会の部分なんかは何にも入っていないですからね。だったら、これはちゃんと変えるということでいいんですか。

塩崎国務大臣 まさに縦割りの弊害だと思いますので、直します。(中島委員「だから、ここで変えるんですか」と呼ぶ)直しますと今申し上げました。

中島委員 遅いじゃないですか。去年の六月にと言って、今の時点で何にも変わっていないし、だから私は指摘しているんです。政府もしくは厚労大臣がそういう意気込みを持ってやられて、そして一億総活躍プランに盛り込んだというのはいいですが、だって、従来のものが厚生労働省のホームページには堂々と出ているじゃないですか。全く盛り込んでいないし、そのことを各自治体に周知もしていないじゃないですか。だから唐突感があるということを指摘しているんです。

 最初に余計な答弁をされるから、時間がもうなくなってしまいました。三分の一しか質問ができませんでしたので。

 何ですか、どうぞ。

塩崎国務大臣 今回の法律の中で、例えば、先ほど申し上げたような基準該当のように、縦割りであるがゆえにうまくいっていないことを直していただく、こういうことができないと、本当に有機的に地域包括ケアシステムと地域共生社会づくりというのがうまくいかないということでもあったものですから。まだ、地域包括ケアシステムそのものはそのものとして、もちろん生きているわけでありますので。

 ただ、その連携、関係はどうなっているんだということについて説明をもっとしっかりせいということはそのとおりだと思いますので、謙虚に受けて、しっかりこれから説明を、さらに努力をして、これは桝屋先生からも大ごとだと言われましたから、しっかりやっていきたいというふうに思います。

中島委員 時間になりましたのでやめますけれども、要するに、そういう前提をなあなあにして、今回、政府の提出法案、本当にふわっとした感じになっちゃうと思いますよ。だから、先ほども言ったように、これからそういうものを目指すのなら目指すで明確にして、その上で、地域ケア会議だって、従来は地域包括支援センターが中心で医療との連携とかやって、今後は障害分野や子育て分野も入ってくるということを念頭に置いているわけですよね、だとすれば。その辺もはっきりしないじゃないですか。しないんですか。そうですか。わかりました。

 私は、ここがしっかりしないと今後の議論は入れないというふうに思っていますので、また次回も質問させていただきたいと思います。

丹羽委員長 次に、新谷正義君。

新谷委員 自由民主党の新谷正義でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと存じます。

 介護保険制度が制定されてから十七年が経過しました。介護保険制度自体、大変すばらしい制度でございますけれども、その中で、私は、特にすばらしい点は現物給付が中心である点にあると考えております。

 これが現金給付だと、つまり現金を渡すものであると当然ほかのことにも使えてしまうわけでございますけれども、現物給付、つまりサービスとして受け取るのであればそのようなことはなく、また、通常、人生において早く介護を受けるような状態になりたい、そういったような方はいらっしゃらないわけでございまして、介護という目的以外にも制度が使われる可能性が低いからでございます。

 介護に限らず、保健、医療、生活保護を含む福祉の全般におきまして可能な限り現物給付を行い、その制度自体がゆがんでいくのを防いでいく、そういったことは常に考えていかなければならない、そのように考えております。自助自立を促すはずがかえって自助を妨げてしまう、こういったことは往々にしてあるからでございます。その上で、現物給付もニーズに合ったものとなるようにしっかりと不断の見直しをしていく必要があると考えております。

 介護サービス利用者は、今、約五百万人となっております。また、介護の総費用も十兆円を超えておりまして、開設当初よりおよそ三倍というところになっております。

 制度開始から十七年、さまざまな課題も新たに浮き彫りとなってきました。今後も高齢化は進んでまいりますし、特に都市部では急速に介護不足となっていく事態が懸念をされております。今、介護保険制度も、より現実に合わせた調整が必要な時期に来ていると考えております。

 介護保険制度をより持続可能なものにしていく、また公平に負担を分かち合い、需要に合ったサービスを提供していく、その視点から、内閣提出の今回の介護保険法改正案の意義を政府に御説明いただきたいと存じます。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正法案でございますけれども、高齢化の進展に伴いまして、介護を必要とする高齢者がふえていく中で、介護保険制度を含めた地域包括ケアというものをきちっと強化していくということ、さらには、これが将来にわたり機能するために持続可能性を高めていく、こういうことが非常に大事だというふうに認識をいたしております。

 まず、地域包括ケアの強化の関係ですけれども、今回の法案では、介護保険の保険者であります市町村が自立支援、重度化防止の取り組みを積極的に行うといったことなどを通じまして、地域包括ケアシステムの強化を図っていくということでございます。

 また、介護保険制度の持続可能性を高めるという観点から、負担能力に応じた負担を求めていきましょうということでございまして、具体的には、一定所得以上の所得を有する方々の負担割合を見直すこと、さらには、四十歳から六十五歳までの方々の保険料につきまして、これは被用者保険者の介護納付金について、いわゆる標準報酬総額に応じた負担ということに変えていく、こうしたことを通じまして持続可能性を高めていく。この二つがポイントであろうかというふうに思っております。

 こうした改正を通じまして、今後とも、地域包括ケアシステムの強化、さらには、将来にわたりこれが機能するように努めてまいりたいというふうに考えております。

新谷委員 ありがとうございます。

 介護保険制度を持続可能なものにするため、まさにこのためには財源が当然に必要となってきますが、常に考えておかなければならないのは、世代間で余り不公平が生じないようにする、そういったことではなかろうかと思います。

 介護保険料の支払いは四十歳からでございます。現役世代にのみ過剰に負担を強いることは、結局、経済全体の活力をそいで、かえって社会保障制度の足元がぐらつくことになります。ここ五年さえよければいい、こういった考え方は明らかに間違いでございまして、現役世代は自分の数十年先を見据えて介護保険料を払っているわけでございますから、しっかりと数十年先を見据えて制度づくりをしていく必要があると考えております。世代の中で、あるいは世代を超えてともに支え合っていく、そのための制度づくりをしていく、これがまさに我々の役目である、そのように思っております。

 今回、政府改正案では、介護保険サービス利用に当たっての自己負担割合、先ほど来議論に出ておりますけれども、今回、最大三割まで引き上げられることになっております。しかし、これはあくまで現役並みに所得がある高齢者の方に限るものでございまして、さらに、医療保険と同様に、自己負担額には上限があると認識をしております。

 報道におきましては、報道機関によるんですけれども、この自己負担額の上限に関してはきちんと伝えていないものがよくあります。中には、三割負担ということは出ているんですけれども、全くこの上限に関しては触れていないものもございます。同時に、年収による区分も国民の皆様に十分に伝わっているとは言えないと私は考えております。

 例えば、介護保険制度を利用して、特別養護老人ホームの場合なんですけれども、月の最初から最後まで一月、一般的な入所をしている場合においては、自己負担額においては今回の改正は影響することはない、そのように認識をしておりますが、自己負担額が青天井に三割負担になってしまうんじゃないか、そのように誤解をされている方もまだまだ多いと思いますので、改めて、今回、改正案においても自己負担額には上限があるということ、これをわかりやすく政府に御説明いただきたいと存じます。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案では、介護保険制度の持続可能性を高めるという観点で、これは公平ということが大事ですけれども、一つは、世代内の公平というのがございますけれども、先ほど先生からお話ございましたとおり、現役世代との公平といった意味では、世代間の負担の公平というのも極めて大事だということでございます。そうした観点を踏まえて、負担能力に応じた負担を求めるという観点から、現役並みの所得を有する方の負担割合を三割に引き上げるということにしたわけでございます。

 こうした三割負担の対象となる方でございますけれども、二割負担者の方よりも一層範囲を限定した、特に所得の高い現役並みの所得の方ということでございまして、年金収入等で三百四十万円以上というのが一つの基準でございますけれども、そうした方々を対象にしているというのがまず一点でございます。

 あわせて、お話がございました上限額でございますけれども、こうした方々については月額四万四千四百円の負担の上限ということがございまして、これは据え置くという配慮をしております。

 このため、三割負担となる場合、何か、二割から三割になる場合、限定された方であっても負担額が一・五倍にすぐなるということではなくて、例えば、先生お話ございましたとおり、特別養護老人ホームに入所されている方で既に今二割負担の方々のほとんどは既に負担の上限額に張りついているわけでございまして、そうした方々については新しく負担増というのは生じない、こういうことでございますので、そうしたことをきちっと説明していきたいというふうに考えております。

新谷委員 少しまだ誤解があるようですので、しっかり周知をお願いしたいと存じます。ありがとうございました。

 次に、今回、議員立法の法案を提出しておられる民進党の提出者の先生方にお伺いしたいと存じます。

 介護保険に関しましては、先ほども中島委員の議論もありました。利用者負担割合について、平成二十六年の介護保険法改正のとき、当時、民主党の先生方は、年収によって利用負担割合が一割から二割になる、この改正があったわけでございますけれども、基本的には賛同をいただけなかった、そのように記憶をしております。

 しかし、今回提出しておられる議員立法の法案におきましては、利用者負担割合が年収によって二割になることは、一応前提としてはおられるということで理解をいたしております。その上で、自己負担割合においては、二割負担となる所得額を定める政令の考え方を明確化すること、あと、前回の介護保険法改正の検証をすること、これは先ほど来お話がありますが、その二点のみを自己負担割合に関して法案に盛り込んでおられる、そのように認識をしております。

 先ほどまでのお話にございましたとおり、財源というものが非常に重要でございまして、財源がなければそれこそ介護保険制度は崩壊をしてしまう、そういうことであろうと思います。今回の政府案では、利用負担割合での上限は上がるとはいいましても、自己負担に上限があるということ、青天井に上がっていくのではないということも、先ほど政府の答弁で明らかになったところでございます。

 会派を超えて、先生方には、介護保険制度を維持していくには当然に財源が必要であるということは御理解はいただけるものと思います。その上で、今回、政府法案の年収によっては三割負担を導入する、この議論が出てきたと思いますし、この上限を上げるということに関しては、報道においてもおおむね理解を得られている、そのように私は認識をしております。

 ただ、先ほど、利用負担割合と利用率、さまざま御議論がありました。今回提出された議員立法においては、この三割負担に関してはまだ民進党の皆さんは態度を余り明確にしておられない、そのような印象を受けているところでございます。

 政府法案の収入によっては三割負担導入、この案に賛成か反対か、議員立法提出者の先生方にどのようにお考えかお伺いしたいと存じます。

井坂議員 三割負担の部分について賛成か反対かということに関しては、まさに本日審議が始まったばかりですので、私も後ほど質疑者として立たせていただきますが、この点も本日議論をしようというふうに思っています。

 そういう意味では、質疑を踏まえてこの部分についての賛否も決まっていくというふうに考えています。

新谷委員 ありがとうございます。

 またこれから議論が深まっていくことを期待したいと思います。

 先ほど各委員の質疑の中で、検証結果次第というお話もありました。応能負担という考え方があろうかと思います。

 実は、御党、民進党の蓮舫代表、昨年の本会議の総理への質問の中で、財源に限りがある中、所得に余裕のある高齢者には負担をふやすなど、世代内の再配分が必要であると考える、こういう旨の御発言をされていらっしゃいます。蓮舫代表も応能負担というところには賛同されておられるのかな、そのように私は理解をしております。

 現役並みの所得のある方々には負担をお願いすべき、つまり、応能負担を強化すべき、この方向性自体に関しては賛成いただけると考えてよいのか、また民進党の先生方にお伺いしたいと存じます。

井坂議員 ありがとうございます。

 自己負担が二割に引き上げられたことでサービス利用の抑制が起こっていないかということ、午前中もずっと質疑をさせていただいてまいりました。利用抑制とか、実際に生活困窮が起こっていないか、こういう影響を検証した上で、一般論としては、応益負担から応能負担への転換を進めるということは是認をしております。

 ただ、今回我々の法案には三割負担のことについては書いておりませんけれども、これは単に現行法に対する改正案なので書いていないということでありまして、二割負担の影響について十分な検証も行わずに新たな三割負担という負担増を行うことは拙速であるというふうに考えています。

新谷委員 ありがとうございます。

 私自身も、高齢者世代内において応能負担をお願いしていくということは、現実的には、財源を考えるとやむを得ないのかな、そのように考えております。

 次に、また政府にお伺いしたいと存じます。

 応能負担というところでは、今回、政府案では総報酬割が導入されることになっております。今回の改正案によりますと、負担減となる方は約一千七百万人、それより少ないですが負担増となる方は約一千三百万人と予想されております。

 持続可能性、財源の現実を考えると、保険者においても、今回の負担能力に応じた負担となるような見直し、これはやむを得ないところもあると考えておりますが、ぜひこれは混乱が広がることがないように段階的にお願いをしたいと考えております。

 政府提出の改正案のとおり総報酬割が導入されることになった場合、今後、激変緩和措置がどのように行われていくか、政府に御質問したいと存じます。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案におきましては、現役世代内における負担の公平という観点、さらには負担能力に応じた負担を求めるという観点から、介護納付金に御指摘の総報酬割というのを導入するということにいたしております。

 この導入によりまして、総報酬が低い医療保険者につきましては介護納付金の額が軽減をされるということになりまして、お話がございましたとおり、被用者保険の被保険者のうち六割程度の方々は、いわば介護保険料の負担が軽減されるということになるわけで、一方、残りの方々はふえる方もおられる、能力に応じた負担ということですから、そういうことになろうかと思います。

 そうすると、今回負担増になる例えば健保組合など、あるいは、そこにおられる方々をどうするかという話だと思いますけれども、こうした方々に配慮するために、今回の総報酬割につきまして、段階的に導入する、具体的には二十九年度の途中から平成三十二年度にかけて段階的に導入するということが一つでございます。

 また、あわせまして、負担の増加が特に大きい健保組合などにつきまして、被保険者一人当たりの介護納付金の額に上限を設けるなどの激変緩和措置、こうしたことも講ずることといたしておりまして、そうした負担がふえる方々に対する納得といったものをきちっと得ていかなきゃいけないというふうに考えております。

新谷委員 ありがとうございます。

 ぜひそういった激変緩和措置、今後もとり行っていただきたい、そのように存じております。

 次に、介護療養病床に関してお伺いいたします。

 介護保険施行機会につくられた介護療養病床でございますけれども、医療、介護の役割を明確化する、この観点から、平成十八年に既に廃止が決まっておりました。

 しかし、実際には、医療療養病床とほとんど変わらない重症患者さんを診ている場合もございます。介護療養病床には、脳梗塞後遺症、急性期病院で治療した後でも意識障害あるいは重度の麻痺が残った方が入院されていることも多いです。

 このような方は、食事も口からとることができず、点滴や胃に届くチューブ、胃瘻とかマーゲンチューブというものがあるんですけれども、そういったもので日々の体の必要とする栄養をとっている場合も結構あります。重度の麻痺がある場合は、関節などは曲がって固まってしまいまして、入院したときから体の向きを変えるのもままならない、そういった方がいらっしゃいます。

 一般的な社会生活をしていると、なかなかこういった方々、身近な人がならない限りは、会うことはございません。しかし、実際には、こういった患者さんが介護療養病床には入院をなさっていることが多々ある。そして、このような患者さんの家族あるいは介助者は、日々、褥瘡、つまり床ずれでございますけれども、あるいは誤嚥性肺炎の予防あるいは治療にも追われることになる。こういった方々が介護療養病床に入院をなさってきたわけでございます。

 結局、介護療養病床ですが、老人保健施設への転換にもなじまず難渋をしておりました。自民党が野党だった民主党政権の時代にも、平成二十三年、この介護療養病床の廃止をさらに延期することになりました。これまでずっと宙に浮いてきた介護療養病床でございますけれども、今後どうあるべきか、もうそろそろ示していくときが来ていると考えております。

 その中で、今回政府提出の改正案におきましては、新たに介護医療院を設置するということになっておりますが、その趣旨をぜひ政府にお伺いしたいと存じます。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、高齢化が進む中で、慢性期の医療と介護のニーズをあわせ持つ高齢者の方々がふえていくということだと思います。そうした中で、そうした方々に対する対応ということが大事になってくるわけでございます。こうした方に対して、一つは在宅の医療や介護の整備ということを進めるのも重要でございますけれども、あわせて、医療処置等が必要で、なかなか自宅や老人ホーム等での生活が困難な高齢者にも対応できる受け皿といったものを確保することも重要であろうかというふうに思います。

 先ほどお話ございました介護療養病床におられる方々でございますけれども、先生お話がございましたように、例えば経管栄養をしている割合が四割ぐらいだとか、幾つかやはり医療的ニーズがあるわけでございます。そこで提供されております日常的な医学管理やみとりやターミナルの機能、こうしたものは非常に大事なものだというふうに考えておりますが、一方で、現行の介護療養病床での療養の期間が非常に長期にわたっていることから、入院先が実質的に生活の場となっているような利用者にとって、そうした方々にとってふさわしい場所といったこともあわせて重要なことだというふうに考えるわけです。

 そのため、今回の制度改正におきましては、一つは機能面で、日常的な医学管理やみとりやターミナルといったような機能、これをきちっと持った上で、それにあわせまして、生活施設としての機能、これをあわせ持つ新しい施設というのをつくろうということにいたしたわけでございまして、お話がありました介護医療院というものはそうした施設として新しくこの介護保険法の中につくっていって受け皿として位置づけていこう、こういうことでございます。

新谷委員 住まいの機能も満たす新たな類型として、そのニーズにも対応していくものとして介護医療院が創設されるとのことでした。ありがとうございました。

 介護療養病床からの移行を想定するとしましても、実際は、この移行に当たって、急に対応できないよ、こういった不安があるんじゃないかと私は思っております。この介護療養病床から新たな介護医療院に移行するに当たって、ぜひこれは円滑に無理なく行われていくことが極めて重要である、そのように考えております。

 そのことに関しまして、政府のお考えをお伺いしたいと存じます。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 今の介護療養病床からの介護医療院への移行でございますけれども、一つは御本人の立場。現在、介護療養病床を利用されている要介護高齢者の方々のいわば療養生活に悪影響が生じないように円滑に進めていくという観点が一つ大事だろうと思います。

 また、もう一つは介護療養病床の設置者の方の観点でございますけれども、新しくできます介護医療院の基準や報酬、これはまだ今後の審議会等で議論することになってございますけれども、それを十分に精査して、自分のところの介護療養病床あるいは自分のところの病院がこの介護医療院に移行するかどうかについて十分によく検討する時間が必要でありましょうし、また、仮に移行するとした場合でも、自分のところの職員の配置などを変えなきゃいけないといったことで、どうやるかといったことを考える時間というのも大事になってくると思います。

 そのため、こうした新しい介護医療院への対応といったところについては十分な時間が必要であるということから、今回、六年間の経過措置期間ということで、介護療養病床については六年間経過措置として存続するということを設けたところでございます。

 こうした経過措置の期間中にしっかりと支援を行いまして、また、その過程におけます移行状況等をよく把握しながら適切に支援をしていくということが大事かというふうに思っております。

新谷委員 ありがとうございます。

 この新たに創設される介護医療院も含めて、地域包括ケアシステムを強化していくことであろうと思います。

 介護医療院も創設されれば、介護、福祉のニーズを満たす一類型になっていくと思いますが、近年、福祉ニーズは多様化、複雑化してきております。政府は、先ほど議論にもありました、新たな福祉ビジョンとして地域共生社会の実現を掲げているところでもございます。先ほど大臣との質疑の中でダブルケアの例等もございました。地域共生社会とは、子供、高齢者、障害者など全ての人々が、地域、暮らし、生きがいをともにつくり、高め合う社会とされておるところでございます。

 ここで、議員立法提出者の民進党の先生方にお伺いしたいと存じます。

 提出されている法案では、政府が以前より掲げている地域共生社会に関しては特段言及はなかったと思います。また、政府云々は抜きにしても、何らかの新たな福祉ビジョンに関しても言及はなかったと思いますけれども、皆が役割を持って支え合う地域社会の実現という地域共生社会の理念に関してはどのように思われるか、お伺いしたいと存じます。

初鹿議員 御質問ありがとうございます。

 民進党は、昨年の三月二十七日に結党しまして、ちょうど一年がたったところでありますが、結党に当たりまして、我が党は綱領を定めました。そこの綱領に、「一人一人がかけがえのない個人として尊重され、多様性を認めつつ互いに支え合い、すべての人に居場所と出番がある、強くてしなやかな共に生きる社会をつくる。」ということを掲げさせていただいております。

 ここに書いてあるとおり、まさに我々が目指していることが地域の共生社会であるということを、まず冒頭、申し上げさせていただきます。

 その上で、今回の政府の地域共生社会の理念についてということですが、政府が言っている地域共生社会と我が党の地域共生社会が同じなのか違うのかということはなかなか判断がつかないところなんですけれども、政府が提出している法案にあるように、介護保険と障害福祉の両方の制度を新たに共生型サービスとして位置づけていくということについては、地域で暮らす高齢者や障害者、また子供たちのことを考えると、子育ての世代なども含めて孤立の防止につながっていくことになるとは考えております。

 ただ、一部、障害の福祉にかかわっている人や障害者の団体の方から、これが一歩となって障害福祉と介護保険制度というものが統合されることになるんじゃないかという懸念が示されているということもありますので、その点については、我が党としては注視をしていかなければならないというふうに考えております。

新谷委員 ありがとうございます。

 今回、政府案で、高齢者と障害者が同一の事業所でサービスを受けやすくする、こういった新たな共生型サービスも提案されているところでありますけれども、恐らくそういった部分に関しては異論はお持ちではないと思います。地域共生社会、先ほどちょっと質疑の中でも議論はありましたけれども、基本的な理念の部分は会派を超えて共有できるのではないか、そのように考えている次第でございます。

 今までは、公的な福祉サービス、いろいろ分かれておりました。よく言えば専門的でありますけれども、ある意味融通がきかない部分もあったと考えております。同じ人でも、定義が重なったり、あるいは別の定義に移行するとうまくサービスが受けられなくなったり、そういったこともありましたので、やはり総合的に対応していく必要がある。私は、地域共生社会の概念は、これからもどんどん推し進めていくべきだと考えております。

 次に、地域を挙げてというところで大きくかかわってくるんじゃないかと思うんですけれども、認知症対策に関して政府にお伺いしたいと存じます。

 認知症の罹患数が今後ふえていくことは、今後、介護保険とも大きくかかわってくるところであると考えております。

 認知症の方による犯罪、事故も社会問題化してきております。交通事故においては、運転をされて加害者になり、このとき被害者となられた方はどこに怒りをぶつけていいかわからない、そういったような大変痛ましい事故が起きていることも事実でございます。

 認知症に関しては、まだ、決定的に治療をする、根治をする、そういったことはできませんが、早期に診断をして進行をおくらせる、二次的に発生する被害を防ぐ、こういったことが可能でなかろうかと思っております。

 現在、六十五歳以上の高齢者の約四人に一人が認知症または認知症予備軍とされています。この数字を見ただけでも、認知症対策が待ったなしとなることは明らかでございます。認知症の方あるいはその予備軍の方が日本の人口のかなり大きな部分を占めているこの現実に対して、国を挙げて向き合っていかなければなりません。

 今回、改正案におきまして、認知症対策を推進するため、新オレンジプランの基本的な考え方を介護保険に位置づける意義、それを政府にお伺いしたいと存じます。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 認知症施策の推進につきましては、平成二十七年一月に策定いたしました新オレンジプランに基づきまして、着実に施策を進めているということでございます。

 ただ、このプランに記載されている中で、幾つかの基本的な考え方については、現行の介護保険法には規定されていない状況でございます。

 幾つかというのは、三つぐらいございまして、一つは、認知症への理解を深めるための知識の普及や啓発に関すること、さらには、認知症の方を介護する人への支援を推進すること、また、認知症の方やその家族の意向を尊重する、これは新オレンジプランの一番基本的な事項として七本目の柱に書いていることでございますけれども、こうしたものにつきましては、今回の法改正におきまして、新オレンジプランの基本的な考え方として法律上明記をいたしまして、これに基づいて、新オレンジプランなどの施策をさらに一層推進をするということにしてまいりたいというふうに考えてございます。

新谷委員 ありがとうございます。

 近年、自助、共助、公助の中で、自助の取り組みも広がってきているところでございます。自助の延長というところで互助という考え方もございますが、認知症サポーターという取り組みがあるところでもございます。橋本副大臣も認知症サポーターとしてみずからこの対策推進に向き合っておられると伺っておりますけれども、こういった互助の取り組みも政府が支えていく必要があると思います。

 これはちょっと、お考えを質問しようと思っていたんですけれども、時間が参りましたので、ぜひこの互助の取り組みも政府を挙げてお支えいただければと考えている次第でございます。

 以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

丹羽委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十五分開議

丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 本日も、質疑の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思いますが、午前中、皆さんの質疑を聞かせていただいておりまして、とりわけ利用者負担が、一割負担が二割負担になった、そのときにサービス抑制が起こっているんじゃないかというような議論がございました。委員の皆様の中には、数字が、受給率あるいは退所者の数字を見て下がっているので、抑制が起こっているんじゃないかという話がありました。

 初鹿委員が配っていただいた資料、特に一枚目なんですが、これも大分いろいろ示唆するところがあるかなというふうに私は思っておりまして、せっかく初鹿委員が配られたんですが、一枚目には触れられなかったので、ちょっと私の方から、あえて厚労省に質問したいと思います。

 というのは、初鹿委員の一枚目の資料というのは、二割負担になったときに受給率が下がっていますね、八〇・一%から七六・七%に下がっています。これをどう捉えるかというのがこの資料だと思うんですが、ちょっとこれについて、厚労省、説明をお願いします。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 午前中の資料の件だと思いますけれども、二割負担者と一割負担者について受給率に差があるということが、上のところの表に書いてあるわけでございます。この受給率の差の要因が何であるかということを分析しているのが下の部分でございますけれども、二点について書いてございます。

 一つが、男女別の受給率の違いという点でございます。これは、下の表の上の、真ん中の表を見てもらいますと、二割負担者の構成割合は男性が多いということになっているわけでございますけれども、実は、この段の一番下の受給率のところにそれぞれ、男性が七八・二、女性は八三・〇と書いてございますけれども、男性の方が女性に比べて受給率が低い状態になっているということでございます。したがって、二割負担者の受給率については、いわば受給率の低い男性の影響が強く出ているという、この点が一つの背景ではないかというのが一点でございます。

 また、下の図でございますけれども、これは要支援も含めまして、要介護の状況で分けているものですけれども、二割負担者のところを見ますと、要支援一から要支援二のところが約七割になっているということでございます。

 二割負担者のところは、いわば軽度の方が多いということでございますけれども、この軽度の方、ここで言う軽度というのは要支援一から要介護二のことでございますけれども、この方々については、ここにも数字が一番下にございますけれども、受給率が七八・〇ということで、要介護三から五の九五・八に比べると低い状態になっているということで、二割負担者の受給率には受給率の低い軽度の方の影響が強く出る、こういう状況になっている。

 ということで、この二つの点において、一番冒頭の、二割と一割のいわば受給率の差が説明できる、こういうシートでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 そもそも二割負担の方々というのは、収入が一定以上あるということで男性が多いわけですが、男性の受給率というのは、そもそも女性よりももともと低いので、受給率の低い男性がたくさんいらっしゃる二割負担は、結果として、二割負担は受給率の割合が低くなる。

 あるいは、要支援一あるいは要介護、要介護のレベルでいきますと、二割負担をされている方というのは収入が多い、働ける方もいらっしゃるわけで、そうすると、必然的に要介護度が低い方が多い、七〇%いらっしゃる。そういう方は、受給率は、当然、要介護度が低いから受給率も低いわけで、受給率が低い要介護の低い方がたくさんいらっしゃる二割負担は、当然受給率が低くなる。そういう観点で、この二割負担、一割負担の差になっているんじゃないかというのが、この一枚目の資料だったと思います。

 一割と二割の負担、つまり、受給率が違うとなったときに、いろいろな要素があると思うんです。一概にこれだというのはやはり言えなくて、そういったものを今後厚労省も調査をされるということですので、こうしたいろいろな、さまざまな観点も含めて、実態がどうかというところをしっかりと把握していただきたいというふうに思っております。

 それでは、この質疑に先立って、私もこの週末、月曜日にも、いろいろな介護の方々に集まっていただいて、さまざま意見も聞きました。また、党内でもいろいろな意見を聞いたんですが、その中で、ちょっと声を紹介したいと思います。

 地域包括支援センターの方の声です。何をおっしゃったかというと、三職種のスタッフ六名で運営していますと。六名でやっているんですが、業務がどんどんふえています。予防支援があって、総合事業の取り組みがあって、認知症対策、徘回対策のモデル事業もやっていらっしゃる。医療、介護の連携があって、オレンジカフェの運営、百歳体操の指導と、この地域包括支援センター、いろいろなことをやっていらっしゃるわけです。その上、町づくり協議会との連携だったり、地域づくりなどの業務と、もう現場はあっぷあっぷです、これは人をふやしてほしい、こういうような声でした。

 こうした状況というのは、多分、この地域だけじゃなくて、いろいろなところで起こっているんだろうなと想像されるわけですが、今回の法案はどうなっているかというと、この地域包括支援センターについては評価をしなさいということになっているわけです。地域包括支援センターが自分たちで自己評価、これを義務づける、あるいは市町村も評価をする、これも義務づけるということになっておりまして、現場は一生懸命やっているんだ、一生懸命やっているのに、さらに評価もしようというのはどういうことだ、こういうような趣旨のお言葉もいただいたんですが、この評価についての趣旨を確認したいと思います。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 お話ございました地域包括支援センターは、住民の健康の保持だとか生活の安定のために、さまざまな、いろいろな相談業務、あるいは権利擁護の関係の業務をやっているところでございます。

 こうしたセンターが、役割が非常にたくさんあるということでございますけれども、今後とも地域において充実した機能を果たすためには、やはり、運営に対する評価、点検等をきちっと行って、それを改善につなげていく、そういうサイクルが必要であろうかと思います。

 現在のところ、努力義務ということで、一定の率、これは約六割でございますけれども、センターあるいは市町村による評価が行われているところでありますけれども、今回の改正法案におきましては、地域包括ケアシステムの中で重要な役割を果たす地域包括支援センターでありますので、努力義務としている評価の実施を義務化するということにしている。

 この趣旨でございますけれども、実際は、さまざまな業務ごとに実施状況あるいは業務量というのをきちっと把握してもらって、それを、できれば第三者的な運営協議会というような形で評価、点検してもらう。それによって、大変だという定性的なところではなくて、具体的な、この業務がこうなっていて、しかもこんなふうに状況があるといったことを、きちっと評価、点検してもらう。そうすることによって、その業務に必要な、では人材をどうしようか、あるいは体制をどうしようかということにつなげていってもらって、評価自体のところは一つ、作業ではありますけれども、むしろ、それを通じて、きちっとした人員体制、業務体制をとれるようにつなげていく、こういうのが今回の趣旨でございます。

伊佐委員 現場が大変だ大変だといったときに、本当に大変なんだというのを見える化させていくというか、こういう取り組みだと。そうであれば、決して、この評価をつくったことによって、逆にこの評価によって切り下げられるというようなことのないように、また、現場の評価の作業というのも、できるだけ負担の少ないものになるようにお願いしたいと思います。

 地域包括支援センターの話をしましたが、今の地域包括ケアの取り組みというのは、市町村の責任であるとか期待というのがどんどん大きくなっている。

 例えば、今回の法改正でも、介護事業者の指定というところの改正がございます。これは、市町村の権限を強化する。例えば、市町村が、小規模多機能をふやしたい、こういう計画を持っているときに、その趣旨に合わなければ指定を拒否できる、こういうような改正であったり、あるいは、都道府県が指定するところにすら市町村は条件をつける、こうして市町村の権限を強化していくということになっているわけですが、これは、市町村が、地域ニーズであるとか、あるいはサービスの見込み量であるとか、これを正確に把握しているというのが前提だと思っています。

 今、市町村に伺ったアンケート調査では、四割の市町村が、そうしたニーズやサービス見込み量というのは市町村では把握できないというふうに回答しているわけです。これは、市町村の責任や権限がどんどんふえて、頑張っている市町村はいいです、ところが、いろいろな理由があって頑張れない市町村があって、差がどう広がっていくのかという懸念もある。

 今回の法案が、さっき申し上げたように、事業者の指定であったりとか、地域包括ケアの評価であったりとか、あるいは介護計画の策定、評価と、いろいろな市町村の期待、責任というのがふえるわけですが、これはしっかり、いろいろな理由で頑張れていないところに対して国が丁寧に支援をしてあげないと、せっかくの制度が効果的にならないというふうに思っておりますので、ぜひ、国としてしっかりとそうした地域も支援するという大臣の思いを伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 今回の法案では、高齢者の自立支援とか重度化防止、こういったことを進める観点から、市町村の保険者機能を強化する。やはり厚生労働省とか都道府県だけではだめで、基礎自治体が保険者になっている介護保険でございますので、この保険者機能を強化するために、財政的なインセンティブの付与など、必要な仕組みの創設も盛り込んでおります。

 一方で、市町村の人員体制とかノウハウの蓄積などの状況は今御指摘のようにさまざまで、厚労省あるいは都道府県が積極的かつ丁寧に支援をしていかなければ、なかなか、均一的に、全国的に底上げされて、いいサービスというか、お世話ができるということにならないんだろうなというふうに思います。

 具体的には、都道府県による市町村への支援を法律上明記するとともに、厚労省としても、市町村が多角的に地域課題を分析できるように、要介護認定率とか、あるいは給付費などに関するデータを積極的にこちらから提供するということ、それから、自立支援や重度化防止という介護保険のまさに理念そのものに関する研修をやはり繰り返し実施していくということで市町村の取り組みをしっかり支援して、保険者機能を発揮していただきながら、自立支援、介護を含めて、地域の高齢者の自立支援と重度化防止を実現できるようにしていきたいというふうに思います。

伊佐委員 大臣、ありがとうございます。

 これは、現場は、担うべき仕事というのがどんどんふえている中で、体制も含めてきちんとバックアップされるのかどうかというのが非常に不安だという声もやはりありまして、さっき大臣の方から、本会議場で我が党の桝屋理事の質問の中で、我が事・丸ごとといったときに、それは大ごとですというようなことを紹介していただきましたが、これは、実は桝屋さんも大分丸めて言われて、私、後で聞いたら、この我が事・丸ごとは、地域の方は、何事かと言ったそうなんです。

 どうやら、この丸ごとというものが、また地域に丸ごと何か仕事が投げられるという誤解がやはりありまして、本来の我が事・丸ごとというのはそういう趣旨じゃないはずだと思っていますので、午前中の質疑もありましたが、それぐらい地方には危機感があります。

 だから、この我が事・丸ごとについても、誤解を生まないように、この趣旨も徹底をしていただきたいというふうに思いますし、また同時に、国もしっかりとした支援をお願いしたいと思います。

 次に、介護医療院について伺いたいと思います。

 この介護医療院、私自身も予算委員会の場で大臣と議論させていただきまして、これは非常に重要な取り組みだというふうに思っております。

 これは、今まで介護療養病床というものがあって、それを廃止する。この介護療養病床の看板のつけかえじゃないか、こんな誤解を生んじゃいけないわけで、当然、全く違うものだと。この介護療養病床との違いも含めて、まず趣旨を簡潔に伺いたいと思います。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 介護療養病床につきましては、病院、診療所として、長期間の療養を必要とする要介護者に対しまして、日常的な医学管理、さらには、みとりやターミナルケア等の機能、こうしたものを提供しているところでございまして、その機能は非常に重要だというふうに考えてございます。

 一方で、そこに入院されている方々の期間が、長期間の療養が必要になってくるということがございまして、入院先が実質的に生活の場となっているような状況がございまして、このような利用者の方々に対しましては、そうした状態にふさわしい環境といったものがまた重要であるというふうに考えまして、今回の制度改正では、いわば、もともと介護療養病床が持っておりました日常的な医学管理や、みとりやターミナル機能、そういう機能に加えまして、生活施設としての機能、これを兼ね備えた施設として新しく介護医療院を創設した、こういうことでございます。

伊佐委員 そうすると、今まで厚労省がやってこられたのは、介護療養病床を転換する、転換して、介護療養型の老健、介護老人保健施設というものに変えてきたわけです。厚労省からこういう指導があって、こうして介護療養型に変わった老健なんですが、今回、介護医療院ができることによって、この転換した老健の位置づけがどうなるかというところが一点です。

 もう一点は、普通の老健、これは転換したものじゃなくて、今の地域の老健というのは、みとりを一生懸命頑張ってくださっているところというのは結構多いと思います。もちろん、本来の老健の趣旨というのは、できるだけ在宅復帰、リハビリをしっかりして、そして在宅に帰っていただく。ところが、地域の本来のついの住みかである特養というのはいっぱいですので、今一生懸命ふやしていますが、それでいくと、結局、老健が地域のためにターミナルの部分までしっかりと支えていただいているという状況になっていると思います。

 こうした現状において、みとりも一生懸命やろうと思っている老健、体制を整えて取り組んでいるわけですが、これが、介護医療院ができたら我々は一体どっちの方向に向かえばいいんでしょうかというお声もありました。つまり、在宅復帰を目指していく方向でいいのか、あるいは、みとりも引き続き積極的にカバーしていっていいのか、こうした声にも配慮いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 二点あったと思います。

 一点目につきましては、介護療養型老健施設ということで、既にそういう老健施設に転換しているものの扱いだと思います。

 もちろん、ここは当該施設の経営者の方々の御判断になろうかと思いますけれども、もともとの介護療養病床からここに変わってきているという経緯もありますし、そうした状態の方々がそこにおられるということもありますので、一つの選択肢として、今回の介護医療院というのが、またそこに移るというような選択肢がその方々に生じてきているということだというふうに考えております。それが一点でございます。

 もう一つ、介護老人施設についての、みとりの話がございました。

 これにつきましては、リハビリテーション等を提供いたしまして、入所者の居宅における生活への復帰を目指すというのが本来のこの老健施設の性格でございますけれども、入所後の経過というのはいろいろな個人差がありまして、結果的に入所しているときにみとりに至る、こういう場合も当然あろうかというふうに思います。

 このように、介護老人保健施設につきましては、地域におけるみとりの機能を担っている、こういう場合もありまして、現実にも点数の上で、ターミナルケア加算として報酬上の評価も行っている、こういうことでございます。

 みとりの問題につきましては、さまざまな場所で提供される必要がありますから、先生御指摘ございました、介護老人保健施設等において、引き続き、みとりの機能というのが適切に果たされるように、そこのところはしっかりと対応していきたいというふうに考えております。

伊佐委員 ターミナルケア加算の話をされましたので。

 これは、老健として、みとりだって在宅復帰だって両方ともできますという力のあるところはいいわけですが、中には、こうやって介護報酬が下がっていく中で、ターミナルケア加算をもらわないと経営がやっていけないというような老健もあるわけでして、そういったところも配慮いただきたいというふうに思っております。

 次は、自己負担、利用者負担の話を質問させていただきたいと思います。

 今回、二割から三割負担、一定以上の収入があれば二割負担から三割負担になりますということなんですが、これは、負担増の話が午前中の質疑にもありましたが、具体的にどういう方が負担になるか、やはりイメージをしながら議論するのが大事だと思いました。先ほども、午前中も、月二万ふえますという方がいらっしゃって、収入としては月二十五万の収入があるという方もいらっしゃった。

 今回三割負担になる方というのは、収入が単身で三百四十万円以上。三百四十万円というと、イメージでいえば、例えば、厚生年金を満額でもらっている場合、満額で、モデルケースでいえば大体年二百万円ですので、満額厚生年金モデルケースの二百万円に、さらに百五十万円ぐらい上乗せ。だから、厚生年金以外に家賃収入などがあって、それが例えば月十数万ぐらい、家賃収入も厚生年金とは別に入ってくる、こういう御家庭、こういう単身の方に対して、負担能力に応じた負担ということで御負担、三割負担をお願いしたいということだというふうに思っております。

 これが、では、二割が三割になったときどれぐらいふえるか。もう一個大事なポイントは、自己負担限度額です。これは資料をお配りしました。一枚目。

 今回、三割となる方々は現役並み所得ですので、自己負担限度額は変わりません。つまり、月々四万四千四百円を上回る部分は個人で負担する必要はない。だから、ここは変わらないので、一定の配慮はなされているというふうに思います。

 問題は、議論になったのは、この一般のところでして、自己負担限度額、一般の方々は、つまり住民税非課税より上の方々は、三万七千二百円から四万四千四百円に引き上がります。我が党でこれは大分議論しました。一気に上がるのはどうなのか、激変緩和措置をしっかりやらなきゃいけないんじゃないかと。

 これは、医療も同じように上がったわけですが、介護の世界は医療よりも変動が少ないと言われています。つまり、医療であれば、一気によくなって、回復に向かって、上限以下に下がるということがあるわけですが、介護の場合は、上限に張りついていると、そのままずっと上限に張りつくという例も多々ありますので、負担増が、そのまま上限が負担増になっていくということもあります。

 こういう方々にどう配慮するか、こういう議論を行いました。午前中の議論で、野党の皆さんの質問の中で、与党は政府案をそのまま受け入れているじゃないかとおっしゃいましたが、全くそんなことはありませんで、我々、党内で相当議論しまして、ここはこだわって、政府案に大分修正をかけていただきました。

 この激変緩和のための配慮措置について、説明いただきたいと思います。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険制度の持続可能性を高めるという観点、あるいは世代内、世代間の負担の公平を図るということで、負担能力に応じた負担を求めるということが必要であります。

 お話のございました高額介護サービスの見直しも、こうした観点を踏まえて行うことにしております。これは、ことし、平成二十九年八月から、先生お話がございました、いわゆる一般区分ということで、これは、現役並み所得を有する方がいる世帯を除く、市町村民税を課税している世帯でございますけれども、その利用者負担の上限額を三万七千二百円から四万四千四百円に引き上げるということでございます。

 その際の配慮でございます。ここにつきましては、長期の利用者に配慮いたしまして、一割負担のみの世帯につきましては、年間の負担額が現行の年間の最大負担額を超えることがないように、この現行の額というのが三万七千二百円でございますので、これの十二倍ということで、数字では四十四万六千四百円でございますけれども、こうした年間上限額を設ける。これは三年間の時限措置にとりあえずなっていますけれども、そういうことで、まず配慮をしている。

 このほか、高額医療・介護合算制度におけるいわば一般区分の上限額、これもございまして、これについても、もともとの現行の額を維持するということで配慮をしている、こういうことでございます。

伊佐委員 受給者全体で五百万人というふうに言われていますので、そのうち、今回、激変緩和は四百五十万人、九割ぐらいの方々には激変緩和措置をしっかりと行っていくということです。

 総報酬割の話を伺いたいと思います。

 介護保険はこれまで、加入者割、人頭割で、その頭数で割ってきたわけですが、これを総報酬割にしましょうと。負担能力に応じて、それぞれ各保険者が負担する。これは強く反対する意見も相当数あったと報告書に書かれております。両論併記の中で、その一方を採用したわけですが。

 いま一度議論に立ち返ってみたときに大事だと思うのは、今の高齢者の皆様方の安心をどうやって確保するかというのと同じように、支える現役世代、支える側の皆様にどう納得していただけるか。これは車の両輪だというふうに思っております。そうじゃないと、これは保険ですので、メンバーシップですので、成り立たないわけです。

 今回、例えば、負担増になる健保組合、ここは一千億円の負担増。医療保険でも全面総報酬割、まさしく平成二十九年度、あしたから始まるわけですが、健保組合は千五百億円の負担増で、今、だから、保険料を払うと、保険料を払った半分がそのまま拠出金になる、召し上げられてしまうというような状況になっています。医療保険の、後期高齢者の総報酬割した際には千五百億円の負担があるんですが、そのかわりに、別の観点で、七百億円を国が支援したということがございました。

 では、今回の介護保険の総報酬割、負担がふえるところに対してどういうふうに軽減措置をするか、説明いただければと思います。

蒲原政府参考人 総報酬割の導入に伴います、負担が特にふえる保険者についての激変緩和措置ですけれども、幾つかの観点がございますけれども、段階的に導入するというのも一つございますけれども、恐らく、今の先生の話でございますれば、介護納付金がふえるときに、一人当たりの介護納付金の額に上限を設けまして、その上限を超える超過分については、全ての被用者保険間で加入者割によって再案分するという仕組みをまず設けるということが一つでございます。

 また、この再案分による負担につきましては、一定の被用者保険者に対しまして、これは予算措置でございますけれども、全部または一部を国費により補助する、こういう形で、そういう負担がふえるところについて配慮していきたいということでございまして、しっかりと、こうした仕組みを通じまして、負担の増加、特に大きい保険者を支援いたしまして、いわば総報酬割の導入というのが円滑にいくように努めてまいりたい、こういうことでございます。

伊佐委員 これは資料二なんですが、今局長は大分はしょって言っていただいたと思うんですが、これは相当複雑なんですよ。相当ややこしくて、いろいろな、あっちを離してこっちに入れ込んで、ここのところにまた出してこっちへとかというのをやっていまして、もちろん、財務当局とのいろいろな折衝の過程で最終的にこうなったということだろうと思いますが、結論としては、一千億の負担に対して、いろいろな計算がありますが、共済と健保組合を合わせて大体百億円ぐらいは負担減ですが、一千億に対して百億円ですから。

 今回私が言いたいのは、健保組合の肩を持つというわけじゃないんです。というのは、資料三を見ていただいて、今、健保組合の状況は、この折れ線グラフを見ていただくと、どんどん解散しているんです。減っていっているんですよ。健保組合が解散するとどうなるかというと、協会けんぽに移管します。協会けんぽの世界に入れば国庫負担があるんです、一六・四%。国が出す必要が出てくるんです。そういう世界にどんどん入ってこられているわけです。だから、結局は国としても負担増になる。

 これは、保険料がふえるからというので、例えば企業の行動として、では正規を非正規に転換しましょうというようなことにもしなってしまえば、国費投入が五〇%ふえますからというような観点もあって、結局は国全体としても高くつくというようなことになります。

 そういう観点もあって、今回の総報酬割への移行も含めて、能力に応じた負担というものを、もしこの社会保障改革で目指すのだったとしても、政府は、負担増となる側の納得感というものをしっかりと得られるように最大限努力をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 介護保険は、やはり国民同士の助け合いの仕組みでもありますから、納得感というのは極めて大事だと思っております。

 今回の法案では、支える側である現役世代の中の負担の公平、それから、負担能力に応じた負担を求めるという観点から、介護納付金に総報酬割を導入することとしたわけでありますが、これによって、総報酬の低い医療保険者につきましては介護納付金の額が軽減をされることとなって、被用者保険の被保険者のうち約六割の方が介護保険料の負担が軽減をされるということになる見込みでございます。

 一方で、負担の増加が特に大きい保険者につきましては激変緩和措置を設けるということにしたわけでございます。また、あわせて、一定以上の所得を有する高齢者の方々にも三割負担の導入などの御負担をお願いして、見直しを行うということにいたしました。

 今後とも、大事なのはやはり納得感ということなので、世代内、世代間、この公平を図り、それから、現役世代の方にも納得感を持っていただいて保険料を納めていただけるようにしていかなければならない、そうしないとこの持続性がないということになるんだろうというふうに思います。

伊佐委員 そこは、ぜひ御配慮をお願いしたいと思います。

 もう紙が来ましたので、最後に一言だけ申し上げたいんですが、もう最後、言いっ放しで終わります。資料四ですが、これはきょうの議論もありました、本会議でもありました。介護事業の倒産件数がふえている、百八件、調査以来最多だ、これは事実だと思います。

 問題は、この数字をどう見るかで、資料四を見ていただくと、今、請求事業者数というのはふえています。つまり、事業者数というのは、十八万、十九万、二十万、二十一万とふえています。二十万、二十一万とふえている中で倒産件数が百八件になったということで、ある意味、新陳代謝が今どんどん行われている状況じゃないかと。ただ、事業者数自体はふえているので、安定したサービスが行われているということだと思います。

 こうして一つ数字をとってみても、やはり、この委員会の場所では、客観的にこの数字をどう見るかというのは、委員の皆様でしっかりと認識を共有して議論を進めていくのが大事じゃないかということを最後に申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、郡和子君。

郡委員 民進党の郡和子でございます。

 また、きょう時間をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 政府提案の地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案、○○のための何たら法律の一部を改正する法律案、こういう名称はとても注意して当たらねばならないなというふうに思っております、これまでの経験からして。

 というのも、いろいろと議論にもなっておりますけれども、大変重要な法律の本則、十二本変えるというものでありまして、ここに出ているのは、表上は一本の法律になっているわけですけれども、中身は、介護保険法だけではありませんで、医療法、障害者総合支援法、児童福祉法、社会福祉法、本当に幾つもの法律、重要法案がたくさん入っているわけです。

 こういうふうにして提案をするというのは、それこそ役所の方の立法のテクニックの一つなのかもしれませんけれども、やはり余りにも乱暴であるということを私からも申し上げなくちゃいけないと思います。とにかく、わかりにくくなりますし、細部についての丁寧な議論ができないんです。大きな問題だというふうに思いますし、そして、国民の皆様方にも理解していただくのには大変苦労するというか、難しいということです。

 うがった見方をすれば、役所は、そういうふうに理解が進むということをもとより考えていないというんでしょうか、そういうおつもりなのかなとさえ思ってしまう。とにかく、私は、非常に問題のある提案だということをまず冒頭申し上げさせていただきます。

 午前中の議論にもありましたけれども、二〇一五年の改正で二割負担が導入されたことによる検証というのも十分に行われないまま、三割負担を導入するというのも許せないなというふうに思っているわけです。

 今回、ケアプランの策定の一割負担というのは見送られましたけれども、介護の社会化がうたわれて介護保険が導入されて十七年になるわけですけれども、今、やはり介護崩壊の危機にあるというふうに言わざるを得ない状況だと思っていて、私たちは、通称介護崩壊防止法案を提案させていただいたわけであります。

 将来にわたって質の高い介護サービスを確保する法律案、そして介護・障害福祉従事者の人材確保の特別措置法案、この議員立法についてお話をいろいろなところで聞かせていただいているんですけれども、大変評判がよろしゅうございます、自分たちで言うのもなんですが。一日も早く、とにかくこの法案をぜひ成立させてほしいという熱い声が届いているということをまず御紹介申し上げて、ぜひ委員の皆様にも御理解を賜りたいというふうに思います。

 それでは、私もこの議員立法の方の提案者なものですから、これについて質疑することができないので、きょうは政府提案の法案について質問をさせていただきます。

 本法案の説明資料では、全市町村の保険者機能の強化による自立支援、重度化防止というのが掲げられております。

 第百十七条第二項の三号及び四号におきまして、これは新設をされて、地域における自立した日常生活の支援、要介護状態等となることの予防または要介護状態等の軽減もしくは悪化の防止及び介護給付等に要する費用の適正化に関し、市町村が取り組むべき施策、及びこの施策に関する目標について、新たに市町村介護保険事業計画で定めるというものです。

 安倍総理が、昨年の十一月の十日、未来投資会議でこのような発言をされております。きょうは、資料の一枚目に添付をさせていただきました。そのちょうど中間ごろでしょうか。「介護でもパラダイムシフトを起こします。」の後をごらんいただきたいと思います。

 「これまでの介護は、目の前の高齢者ができないことをお世話することが中心でありまして、その結果、現場の労働環境も大変厳しいものでもありました。これからは、高齢者が自分でできるようになることを助ける自立支援に軸足を置きます。本人が望む限り、介護は要らない状態までの回復をできる限り目指していきます。」このようにお話しになったわけであります。

 私は、この御発言は、介護を医療的な側面から捉えている、いわゆる医療モデルとして捉えているということで、その観点に立った政策でいいのかという問題意識を強く持っているわけです。

 この自立支援、重度化防止とは、あるいは介護は要らない状態までの回復ということを目指すということでしょうか、大臣に伺います。

塩崎国務大臣 今の御質問にお答えする前に、先ほど、三十一本の法律を束ねるのはけしからぬ、こういうお叱りを頂戴いたしました。

 ちなみに、平成二十三年の民主党政権のときの介護保険法等の改正のときには三十二本まとめておられたということを参考までに申し上げておきます。

 介護保険制度は、高齢者の自立を支援して介護の重度化を防ぐということが理念だということは何度も繰り返し申し上げてまいりましたが、ここで言う自立支援とは、高齢者がその有する能力に応じて自立をした日常生活を営むことができるように支援をするということだと思います。

 今回の制度改正でもこの点はもちろん変わらないわけでございますが、全国を通じて高齢者の自立支援や重度化防止の取り組みを進めていくためには、市町村の保険者機能を強化していくことが重要であって、法案で必要な仕組みの創設を盛り込んでいるところでございます。

 もう既にそれぞれ自発的に自立支援や重度化防止を、みずからの手法を編み出してやっていらっしゃるところもありますけれども、私どもとしては、やはり基本は保険者機能の発揮、強化ということでそれを進めていただきたい、こういうことだと思います。

 なお、今、未来投資会議、昨年十一月の安倍総理の発言についてお話がございましたけれども、この介護保険の考え方のうち、特に、高齢者が自分でできるようになることを助ける自立支援に軸足を置くこと、そして、本人が望む限り、介護は要らない状態までの回復をできる限り目指していくこと、ここに重点を置いて説明をしたものだと思います。サービスを使わないということを強要することではないということは言うまでもないところでございます。

郡委員 塩崎大臣、限られた時間なんです。質問したことにしっかり答えていただきたいと思うんです。余計なお話はなさらないでください。大変もったいないです。

 質問を続けます。

 保険者機能の強化ということで、第百十七条第七項で、市町村は、市町村介護保険事業計画の実績に関する評価を行うことになっております。

 資料の二枚目につけさせていただきましたけれども、実績評価するための適切な指標、これは、ここにポンチ絵、厚労省の説明資料がありますけれども、この指標というのは具体的に一体何なのでしょうか。説明資料にある「要介護状態の維持・改善の度合い」や「地域ケア会議の開催状況等」なのでしょうか。そして、この「等」というのにはどのような内容が含まれているんでしょうか。そして、その指標は、誰が、どこで、どのような根拠で定めるんでしょうか。

蒲原政府参考人 お答えを申し上げます。

 高齢者の自立支援や重度化防止の取り組みを進めていくという観点で、PDCAサイクルを活用して市町村の保険者機能を強化するということでございまして、今回の法案では、そのための仕組みを法律上のものとして創設するということでございます。

 その一環として、市町村の計画に、先ほど話がございましたとおり、いろいろな自立支援や重度化防止に関する取り組み内容あるいは目標というのを書いてもらいまして、その実績に関する評価を行う、こういう仕組みでございます。

 この場合、厚生労働省におきまして、保険者のさまざまな取り組みを評価できるように、客観的な指標を設定した上で、市町村に対する財政的インセンティブの付与を予定しているということでございます。

 指標の設定についてでございますけれども、まず考え方を申し上げます。

 やはり、これは適正なサービス利用の阻害につながらないことが大前提であるというふうに思います。その上で、各市町村、各保険者においては高齢化の度合いだとか地域資源の状況が違いますので、そうした違いも踏まえた上で、アウトカム指標とプロセスの指標を組み合わせて公平な指標にするということが重要だというふうに考えてございます。

 具体的な指標について、先ほどお話がございました、ここに書いてあること以外のどんなものがあるかということでございましたけれども、例えば、プロセスの指標として、地域包括ケア「見える化」システムということで、各自治体の取り組みが比較できるものがございますけれども、そうしたシステムの活用状況を含む当該市町村の地域における地域分析の実施状況、こういうのも一つございます。

 また、各市町村でいろいろな取り組みをしていく場合、ケアマネジメントやあるいは地域ケア会議等に関する当該保険者の基本的な考え方というものを、地域包括センターだとかあるいはケアマネ事業者あるいは事業者の方々と共有していくことが大事なので、そうした共有の状況、さらには、これは予防的な取り組みですけれども、例えばサロンだとか通いの場への参加状況、こうしたものが指標として考えられます。

 いずれにしても、これは、いろいろな自治体関係者等の意見もよく伺いながら具体的に検討していきたい、こういうふうに考えてございます。

郡委員 今、局長から説明がありました。それぞれの自治体を比較させて、競わせるというふうなことにもつながるのかもしれないというふうに感じる御答弁だったので、ちょっと、ますます気になってしまったんですけれども。

 財政的なインセンティブの付与について、この法律で制度化するわけです。そして、ごらんいただいていますように、この説明資料のところですけれども、ここで、先進的な取り組みを行っている和光市と大分県の認定率が低下しているということ、保険料の上昇抑制を例示して、そしてインセンティブを付与するんだというふうになっているわけです。

 介護保険事業計画で認定率を抑えた場合、当然、利用者は減って、そして給与費の抑制につながるわけで、介護保険全体の抑制につながっていくということだと思うんですけれども、しかし、今お話しになられた例でそれぞれの市町村が認定率を下げていけるのかどうか、今お話しいただいた手法でこの和光市、大分県はこういう結果になったというふうに理解していいんでしょうか、どうでしょうか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの資料にございますとおり、要介護認定率の推移は事実としてこういうふうになってございます。ただ、これは、各市区町村におきまして、当該地域の実情に応じていろいろな取り組みがされていることの結果でございまして、例えば、今話が出ました和光市あるいは大分県の幾つかのところについては、例えばこんなような取り組み、高齢者の方々が積極的に参加できる住民主体の通いの場、これは体操教室の場だとか、あるいはちょっと人が集まってお話ができるサロンの場だとかそういうところがありますけれども、そうした介護予防を推進するようなこと、これが一つ、いろいろな取り組みとして行われております。

 また、もう一つは、これは当該要介護の人あるいは要支援の方々に対する適切なケアマネジメントの推進という観点で、リハビリの専門職だとかあるいは管理栄養士の方々等が参加した、多職種が参加する地域ケア会議ということで、そういう場でいろいろなケアプラン等をきちっと話し合ってよりいいものにしていくというようなことを通じて、取り組みが行われていることもございます。

 こうした取り組みが行われているということを伺っておりまして、先ほどもちょっと出ましたけれども、要介護認定率そのものを何かどうこうするということじゃなくて、まずそうした取り組みでもってこういう結果が出るといったことを考えている、こういうことでございます。

郡委員 具体的に、財政的インセンティブとはどういうことですか。

蒲原政府参考人 財政的インセンティブにつきましては、各市町村の高齢者の自立支援や重度化防止に対する取り組み状況に応じて、先ほど言った幾つかの指標で評価した上で付与するということにしております。あるいは、都道府県の場合は、各市町村をどういうふうな形で支援しているか、こういうことを踏まえて具体的にインセンティブを付与するということでございます。

 ただ、この具体的な内容あるいは手続等につきましては、この制度自体が平成三十年度から動くということでございまして、三十年度からの具体的な、円滑な実施に向けて、その具体的な中身については、自治体関係者の意見等を聞きながら中身をきちっと詰めていきたい、このように考えてございます。

郡委員 今、実際に和光市なり大分県なりがどのように取り組まれてきたかという例もお話しいただいたわけですけれども、保険者に対して財政的なインセンティブを与える、その前提になるのが、これまた暇も手間もお金もかかるさまざまなことをやらねばならない、そういうふうにも聞こえまして、これはなかなか難しいなというふうに率直に思います。

 実際、例に挙げられた和光市と大分県ですけれども、そもそも、第一号被保険者、六十五歳以上の方々の人口も低い、あるいは認定率も特異なまでに低い。これも資料につけさせていただきましたけれども、そういう状況の中で好事例としてお挙げになるのは、全国の自治体に、そういうようないろいろな取り組みというものもさることながら、認定率を下げろ、ひいては高齢化率を下げろというふうにも言っているように聞こえなくもないということは注意していただかなくちゃいけないと思うんです。

 介護保険制度において認定を受けなければ、それこそ自立支援や重度化防止の対象にはならないわけでして、これは、和光市の場合、申請を受け付けていない可能性もあるかもしれないし、あるいは該当する申請者が少ないというようなこともあるかもしれないし、極めて特殊な事情ではないかというふうにも思うんですけれども、この辺はどういうふうに捉えていらっしゃるんですか。

蒲原政府参考人 和光市におけます自立支援、重度化防止の取り組みにつきましては、幾つか特徴的なことがございます。

 一つは、徹底して地域の課題を把握するということ、いろいろな調査をきめ細かくやって地域課題を把握しているということが一つございます。もう一つは、これはいろいろなところから視察も来ておるようですけれども、リハビリ専門職やあるいは管理栄養士等の多職種が参画する地域ケア会議、ここを丁寧な形で開催しておりまして、個別の事例、ケースを、介護予防あるいは自立支援に向けて、ケアマネジメントのあり方について個々のケアプランを対象にしながらいろいろな意見でもっていいものをつくっているし、また、そうした地域ケア会議を通じまして地域の課題といったものをきちっと把握している。こんなことがございまして、そうした取り組みにより利用者一人一人の状態が改善しているというふうに伺っております。

 なお、先ほどちょっと出ましたけれども、高齢者の高齢化率についても、あわせて、和光市の場合は六十五歳以上の高齢化率が一七・一、全国平均は二六・三なので、そうした高齢化率が低い自治体であることも含めてこのようなことになっているのではないかというふうに考えております。

郡委員 でも、厚労省から出てきた説明資料の中にはそういうことが一切ないわけです。一切ないわけですよね。これは非常にミスリードされるんじゃないかと思って心配をしているんです。

 しかも、介護保険の被保険者である第一号、六十五歳以上の方々ですけれども、私はきょう資料をつけていますけれども、認定を受けているのは圧倒的に八十代以上が多いわけですよ。そういう八十代以上の、それこそ年を重ねて、老いの時代をどういうふうに、いろいろなところが機能しなくなっていく中で介護保険を使ってどのように生活をしていくのかということがまさに問われているわけでして、こういう背景を何も語らず、何も示さず和光市と大分の例を出されても、本当にこれでいいのかということを問題提起させていただきたいと思います。そして、各自治体には、そのことも含めて丁寧な御説明をいただきたいと思います。

 そして、この保険者機能の強化の財政的インセンティブですけれども、被保険者が認定を申請する権利、これをまず保障するということをしっかりと掲げておくことを忘れてはほしくないというふうなことを申し上げたいと思います。

 次に、生活援助サービスの見直しについて伺わせていただきます。

 今回の介護保険法等の改正案を検討した社保審の介護保険部会は、生活援助中心のサービス提供の緩和された人員基準の設定については、二〇一八年度の介護報酬改定の際に改めて検討を行うという意見をまとめられました。

 質問を進めていきたいと思うんですけれども、まずその前に塩崎大臣に伺いたいんですけれども、大臣は、社会人になられてから、御自宅で、あるいはほかの方のおうちで、いわゆる生活援助サービスで提供される掃除、洗濯、調理などを行ったことがおありでしょうか。

塩崎国務大臣 行うというのは、サービスを提供されたことがあるかという、掃除とかそういうことをやったことがあるかというんですか、一般的に。

郡委員 ですから、大臣が、御自宅あるいはほかの方のお宅でこのようなことをしたことがおありですかと尋ねました。

塩崎国務大臣 当然、掃除は赤坂宿舎でも時々やっていますし、お風呂も自分で入れていますし、それから食事も、野菜を食べろと女房から言われているものですから、野菜スープをつくるのが趣味になって、自分でやっている。そうすると、皿洗いも何もかもやらなきゃいけないということで、自分でやっています。

郡委員 御自分でやられているということ、大変好ましく思いますし、お話を伺って、少し大臣を見る目を変えなくちゃいけないなというふうにも思ったところです。

 ところで、大臣が御自身のためにそういうふうにできるというのはとてもいいことだと思うんですけれども、御自身がせっかく趣味のように思えるようになってなさっているということですけれども、いつかできなくなる日も来るわけです。そして、そのできなくなった方々が受けているのが生活援助というサービスですね。

 この生活援助という介護保険のカテゴリーというのは、平成十五年、二〇〇三年の介護報酬の見直しに当たって、自立支援、在宅生活支援の観点から、身体介護また家事援助型、複合型というふうに類型された訪問介護から名称が改まったものであります。私が説明するまでもないというふうに思いますけれども。

 そして、その訪問介護の前身というのは、昭和三十七年までさかのぼります。御承知でしょうけれども、老人家庭奉仕員派遣制度というのがもともとなんですね。老人家庭奉仕員派遣制度であります。この制度に基づいて、かねてからこのようなサービスがホームヘルプサービスというふうに言われて行われてきたわけです。

 平成十年、一九九八年に開催された老人保健福祉審議会介護給付費分科会で、訪問介護の業務内容の中で特に家事援助に関しては、誰でもできる簡単な仕事と思われがちだが、サービスの個別性が要求され、非常にストレスが加わる仕事でありと、家事援助の専門性について指摘をされております。

 昨年の十月十二日、第六十六回の社保審の介護保険部会において、複数の委員の先生方から、この生活援助サービスについて、生活動作が自立することなく何年もだらだらと提供され続けている、自立支援につながらないような生活援助をだらだらとやっているではないか、だらだらと生活援助が続くというのは解消していくべき、こういう指摘が相次ぎました。つまり、生活援助については、委員の先生方、切り込んでいくというふうな意見なのだろうなというふうに思いましたけれども、先ほど議論にもなった、保険者へのインセンティブを付与することにもこれは直接的にかかわってくる、大変問題のある発言であるというふうに私は思っているんですね。

 介護保険制度が始まる前から、介護が必要な人の自宅での暮らし、これを支える訪問介護であったことは先ほども申し上げたとおりであります。訪問介護は、生活援助それから身体介護に大別されて、少数利用にすぎないんですけれども、通院等乗降介助というのもあるんです。

 改正案の検討を行った社保審のこの部会では、繰り返しますけれども、医療関係者、有識者の方々から、だらだら続く生活援助という発言が相次いでいる。この委員の先生方のおっしゃる自立というのは一体何だろうなと、私は頭をひねらざるを得ませんでした。

 ホームヘルパーの皆さんたちが訪問しているのは、病気や障害を持つ認定者のお宅であります。例えば、想像していただきたいんですけれども、認知症を患っていらっしゃる御老人のお宅のところにホームヘルパーが参ります。玄関をピンポンとしてあけるのですけれども、そのたびごとに、あなた、誰でしたか、覚えておりません、知らない人ですと言われたら、入れないんです。毎回毎回そういうことを繰り返す、そういうこともあるわけですね。認知症も含めて、一言で認定者というふうに申し上げても、それぞれの方々の状態も違うし、性格も違うし、文化的な背景も違っているわけです。その個々の暮らしを支えていくためには大変高度な能力が必要なんだというふうに思います。

 介護保険制度が創設されて以来、ひとり暮らしの方々や高齢夫妻がふえてきて、その生活を維持していることを支えているのが、私は、この訪問介護に代表される生活援助、ホームヘルパーの方々のお力ではないかというふうに思っているわけです。それから、利用者の方々の心身の変化にいち早く気づいてくださるのもホームヘルパーの方だというふうに思っております。近年、ごみ屋敷、セルフネグレクトというようなことも社会問題化しているわけであります。そういうことにいち早く気づいてくださるのも、そしてそれを解消してくださるのも、ホームヘルパーがまず第一線にいるということです。それから、特殊詐欺、これにだまされるようなことを防いでくださるのも、ヘルパーの方々、大変貢献をいただいています。

 塩崎大臣は、とりわけ在宅サービスの柱として介護が必要な高齢者の皆さんたちの暮らしを支えてきた生活援助の専門性、そのサービスを担っているホームヘルパーの方々の技能、能力についてどのように見ておられるのか、伺わせてください。

塩崎国務大臣 今御指摘になった昨年の審議会での各種発言に関連しての御質問だと思いますが、軽度の要介護者に対する生活援助サービス、さっき家事支援サービスというような表現もあったかと思いますけれども、そのあり方について検討をこの審議会で行っていた中で、生活援助を担う訪問介護員というのは重要な役割を果たしていて、専門性が必要だという意見もあった一方で、先ほど御指摘をいただいたような、看過できないと郡委員は思っていらっしゃる、そういう発言も、生活援助サービスの提供についての発言というのがあったんだろうというふうに思います。

 介護保険のもとでのいわゆる生活援助サービス、これにつきましては、やはり利用者の心身とか、今御指摘のような、家族がどういう構成になっていて、どういうお住まいの状態なのかなどを踏まえた上で、適切なケアマネジメントのもとでサービス提供をされることが大事なんだろうというふうに思います。

 また、今御指摘のホームヘルパー、このヘルパーの皆さん方には、利用者の自立支援あるいは重度化防止の観点から重要な役割が期待をされているものだというふうに思います。

郡委員 ありがとうございました。

 この社保審の部会は、生活援助中心のサービスの提供の緩和された人員基準の設定について、二〇一八年の介護報酬の改定時に考えるというようなことをまとめたわけでありますけれども、緩和された人員基準というのは一体何なんだろうか、研修資格がない、そういう人たちを指しているのかどうか、これも確認をさせていただきたいというふうに思っています。

 昨年は、政府の骨太方針やそれから財務省の建議で、軽度者と生活援助を給付から外す意見が強まっております。生活援助の利用者の不安は大きくて、死ねと言うのかというような、本当に悲痛な声も届いております。

 今回の改正案では軽度者、生活援助の削減は見送られたわけですけれども、この部会が、生活援助中心のサービス提供の場合の緩和された人員基準の設定については改めて検討だというふうに意見をまとめ、先ほどの同じ部会で、生活援助については、だらだらという発言が委員の方々から出ていたということは、非常に、生活援助の削減、そしてここで言うところの緩和というのが悪い方向に進むのではないか、それを誘導するような発言ではないかと私は思うということを指摘させていただきたいんです。

 その発言の前の部会、七月の二十日の部会なんですけれども、きょう資料を皆さんにお渡ししているところ、棒グラフがあるんですが、これは三菱UFJのリサーチの会社がつくった、もとになっている資料なんです。実は、これがその部会に出された資料です。これはちょっと見にくいものですから、そのもとの資料を、グラフを見つけてまいりました。

 何を言いたいかといいますと、生活援助等のところを見ていただきたいんですけれども、掃除、洗濯、衣類の整理、ベッドメーク等々のところで、基本的な知識、技術を備えた者あるいは介護福祉士等々ここにあるんですけれども、このグラフで、厚労省が部会に出したものは、ここにあるとおりに、訪問介護における生活援助に求められる専門性について訪問介護事業所の管理者に聞いたところ、介護に関する知識、技術をそれほど有しない者でもできる、または介護に関する基本的な知識、技術を備えた者であればできるが八割を超えている、こういうふうな説明資料になっていました。

 しかし、これは委員の一人も指摘しています。知識を有していないのは一九%、基本的知識、技能を備えた者が七〇%以上、それ以上を含むと八〇%。すなわち、何を言いたいかというと、この方もおっしゃっているんですけれども、訪問介護の責任者は、全体的に、基本的知識や専門性が必要だということも含めて八割以上に達しているんだ、だけれども、文書では、出された資料は専門的な知識を有しないとされている、グラフの見方と表現については十分に留意してほしいと苦言を呈されておりました。私も本当にそのとおりと思っています。

 現行では、ホームヘルパーは研修資格がなければサービスを提供することができないわけで、ここで言うところの人員基準の緩和とは、研修資格がない人でもいいということでしょうか。無資格のホームヘルパーによって介護報酬を引き下げて、サービス提供事業者が実質的にいなくなってしまうということにつながってくるんじゃないかと思われるんですが、この緩和の意味を教えてください。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 生活援助サービスにつきましては、昨年、いろいろな議論があったのを踏まえまして、最終的には、年末の改革工程表の中で、先ほど委員話があったとおりに、平成三十年度の介護報酬改定で対応というようなことになっているわけでございますけれども、いろいろな中身はよく検討しろという趣旨になっております。

 一方で、社会保障審議会の介護保険部会の報告書の中において、これはいろいろな意見がございます。一つは、人員基準の緩和を行い、介護専門職と生活援助を中心に実施する人材面での役割分担を図ることが重要である、こういう意見があった一方で、人員基準を緩和すればサービスの質の低下が懸念されるとの意見もあったところでございます。

 緩和された人員基準につきましては、このように、サービスの質の確保の重要性について指摘もいただいているところでございますので、今後、これまでの部会でのいろいろな意見、あるいはこれまでいろいろなところから寄せられている意見を踏まえて、社会保障審議会介護給付費分科会におきまして、具体的な人員基準のあり方について議論をしていただくということで考えていきたいというふうに思っております。

郡委員 ぜひ、これからも議論されていくんでしたらば、部会に出される資料も恣意的な手を加えないでもらいたいなというふうに思いますよ。ちゃんと正しいことを理解していただいた上で、委員の先生方の議論を進めてもらいたいということを申し上げたいと思います。介護保険法を改正しなくても介護報酬で削減の操作ができるというのは、それこそ、被保険者、特に認定された方々、介護者に対する欺瞞行為でもあろうかと思いますので、本当にここは厳しく申し上げておきたいと思います。

 今回の改正案では、療養病床の移行を想定する介護医療院の新設も盛り込まれているんですけれども、ちょっと時間もなくて、これについても質問がきょうはできませんけれども、後ほどまた時間があれば質問させていただきたいと思いますし、何も中高度な方々ばかりが対象じゃなくて、今私がずっと議論してまいりました軽度の方々、そういう皆さんたちのサービス、これがその方々の生活に大変貢献をしているということをしっかり知った上で制度をつくってもらいたいと思います。

 ちょっと、介護保険制度が始まるときのことなんですけれども、「賃金と社会保障」という二〇〇〇年の九月上旬号に立命館大学の佐藤卓利教授が「介護保険とホームヘルプ労働についての考察」と題した論文を掲載しております。時間が余りないものですから、一部その朗読をもって終わってしまうかもしれませんけれども、大臣、ぜひお聞きいただきたいと思うんです。

 Mさんという方に対して三年間にわたるホームヘルプのサポートをしてきた、その結果をもとに書いておられるんですけれども、「Mさんへの三年間にわたるヘルパーの働きかけは、その過程において確かにMさんの生きる意欲を高め、生活の改善をもたらした。」「Mさんは心筋梗塞の発作以来、再び元の状態へと後退したかのようである。現在は入院中であり、在宅復帰の見通しは立っていない。だが、このことをもってヘルパーの三年間の労働を無意味であるとは言えない。」

 ヘルパーの方々が三年間、初めは御自身で衣服を着ることもできなかったんですけれども、それもできるようになっていったという過程が前段に随分書かれていて、それがそのまとめなんですね。

  その労働の目的は、生活上の障害を持った人が、在宅で人間らしい生活を続けられるよう支援することである。しかしその目的が、対象者の状況の変化によって達成されないことが、多々ありうる。目的の達成=一つの固まった成果、を労働の評価とする近代社会の価値基準とは異なる評価基準が求められているように思われる。それは、対象者の満足度という主観的基準とも異なる、社会的な、客観的な基準でなければならない。なぜならそれは、ホームヘルパーの報酬=賃金の水準と関わるからである。

  人間の生きる過程=生活の継続そのものの評価と深く結びついた、生活支援労働としてのホームヘルプ労働の社会的評価が求められている。

というふうに結ばれているんです。

 私は、やはり、ホームヘルパーさんを含めて、介護職にあられる皆さんたちの給与水準というのを、あるべき給与水準、質の担保、これらも含めて議論をしっかりとしていかなくちゃいけないんだというふうに思っているんです。

 まだまだ、この法案に関係して、また我が党が出している法律もございますので、議論を続けさせていただきたいと思います。

 きょうはこれで失礼します。ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 本日よりいよいよ介護の議論が始まります。このたびの法案は、三十一本の法改正を束ねたもので、形式的な改正十九本を除いても十二本の法改正が含まれております。

 政府は、十二本ではなく実質は三本だけだというふうに火消しに回っておられるわけでありますが、我々は、介護の重要広範議案として、過去の審議時間並みの四十時間ぐらいは必要だというふうに考えております。他党からは、例えば、参考人二回で、地方公聴会一回だ、こういう声も出ているぐらいでありまして、今回は我が党からも多くの法改正を含む総合的な対案を提出して、政府案と並べて審議もしていただいておりますので、十時間とかは論外としましても、二十時間、三十時間などで終わることがないように充実した審議を求めたいと思います。

 本日は、この長い審議の初日でありますから、現状認識のすり合わせやデータの分析から議論を始めさせていただきます。

 まず、午前中から議論となっております自己負担割合二割また三割、こういう問題であります。

 ちょっと質疑、通告順序を二問ほど飛ばしますけれども、前回の二割負担の導入により介護サービスの利用を控える動き、これはやはり起きたのではないでしょうか、参考人に現状認識を伺います。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 午前中の議論に関係いたしておりますけれども、前回の介護保険法改正におきまして導入いたしました二割負担に関しまして、幾つかのデータを分析しております。

 一つは、平成二十七年八月の施行前後におきます受給者数の伸び率について顕著な差は見られないということ。もう一つは、平成二十八年八月以降の一割負担の方と二割負担に上がった方の受給者数の伸び率、これについても顕著な差は見られないという点がまず一点でございます。これはいわば人数ベースの状況でございます。

 また、人数とは別に、そもそも利用回数等がどうなっているかということでございますけれども、二割負担の施行前後の平成二十七年七月と八月で比べました一割負担者と二割負担者の間で、例えばサービスの利用回数等の傾向、あるいは施設の継続利用の傾向に顕著な差は見られないという状況でございます。また、これに加えまして、複数の自治体におきまして、二割負担の導入前後におけるサービス利用回数等の比較を行ったところ、顕著な差は見られなかったというふうに伺ってございます。

 制度改正の影響につきましては、こうした利用に関する全国的なデータの分析、さらには、自治体や介護事業者などの関係者から実態をお聞きすることなどを通じまして実態を把握しているところでございます。

 引き続き、サービス利用の実態把握に努めるとともに、必要な方に必要なサービスが提供されるよう対応してまいりたいということでございます。

井坂委員 本日お配りしております資料の二枚目の方を先にごらんいただきたいんですけれども、二枚目の下にあります横型の棒グラフ。これは、二割負担が導入された平成二十七年八月に特養を退所する人が、一割負担のままの人は一・六%、しかし二割負担にふえた人は三・〇%ということで、特養を退所する人が実に一・八八倍にふえ、同じく老健を退所する人が二割負担になったということで一・六四倍にふえ、介護療養を退所する人が二割負担になったということが理由で一・五五倍にふえているというグラフが、この二枚目の下のグラフであります。

 参考人に伺いますが、これでなぜ施設の継続利用の傾向に顕著な差は見られないという真逆の結論になるのか、お伺いいたします。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 全体の特養、老健、それぞれにつきまして継続利用の率のところにつきますと、九八、九七、それぞれの数字ということでございます。そうした数字を見て、まず顕著な差は見られないというのが一つでございます。

 さらに申し上げますと、施設の退所者数の状況でございますけれども、例えば老健施設の場合、二割負担者の場合は一割負担者と比べまして要介護度が低い方が多くて、在宅復帰の可能性が高い方が相対的に多いといったことなど、さまざまな要因が影響しているのではないかというふうに分析をいたしております。

 いずれにしても、冒頭申しましたとおり、その傾向に顕著な差というところまでは見られないんじゃないかというふうに認識をいたしているところでございます。

井坂委員 苦しい答弁だと思いますが、顕著なということを強調されましたので、差は見られるというのが当たり前の分析だというふうに思います。

 しかも、これはグラフの書き方がずるくて、青いところを見れば、それは九八・四%と九七・〇%、ほとんど一緒じゃないかという印象は受けるんですけれども、当然ここは、注目すべきは赤いところで、施設をやめた人の割合が、特養だったら倍近く二割負担の人はふえているわけですから。

 今、人数も出してくれと言っていますけれども、一・六%とか三・〇%とか、パーセントで見れば少ないという印象だけは受けますけれども、これは人数にしたら、二割負担にふえたことが主な理由で退所した人というのが万単位、あるいは、場合によっては十万単位でいるかもしれない、こういうデータであります。先ほどの答弁は非常に苦しい答弁だというふうに思いますが。

 もう一つ、今度は一枚目の方もごらんいただきたいんです。

 この赤と青の折れ線グラフですけれども、私はこれも怪しげな折れ線グラフだなというふうに見ておりまして、先ほど答弁でちらっとおっしゃいましたけれども、仮に受給者数が一割負担でも二割負担でも全く変わらなかった、ここに書いてあるとおりだとしても、我々が今問題としているのは、別に受給者数が減るという話ではなくて、受給者ではあり続けるけれども、二割負担になって受ける介護サービスの回数や量を減らさざるを得ない利用抑制があったのではないか。これは現場の声を聞く限りは、本当にそういう声ばかりが聞こえてきますから、こういう議論をしているわけであります。

 参考人にお伺いしたいんですが、平成二十七年九月のところだけがぽんと二割負担が上振れをしているわけです。赤いグラフ、平成二十七年九月のところだけがぽんと上振れをしている。これは、二十七年八月に二割負担が導入されて、普通に考えれば受給者数が減るのかなと思いきや、導入翌月の九月には、二割負担のグラフ、受給者数が伸びて上振れをしている。これは非常に奇妙な気がするんですが、なぜですか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、二十七年八月から制度が変わって、おっしゃるように、負担がふえている方がおられるということでございますけれども、これは少しいろいろな手続の関係がございまして、あなたは二割負担になりますよという通知が御本人の方に行って、もちろん、それが即本人の手に行くのが本来ですけれども、例えば施設入所の場合に、御家族のいるところに行ってしまって、何か事後的におくれて本人に行くというようなことがありまして、そんなことの関係で、いわば二十七年八月の段階では数字にあらわれずに、少しおくれて二十七年九月のときに対象としてあらわれてきている。

 こういうことが事務処理の関係で生じてきているということでございますので、我々といたしますと、むしろ、二十七年九月よりも、その後のところのいろいろな数字の状況を見ると、まさに一割負担者と二割負担者について、先生おっしゃった数のところでございますけれども、受給者の伸び率については顕著な差は見られないというふうに分析している、こういうところでございます。

井坂委員 平成二十七年九月は、事務的な特殊事情で二割負担の受給者数が伸びた。要は、前月分がおくれて、八月分がおくれて九月分に上乗せをされたので伸びた、特殊事情であるという御説明であります。

 事前にそういうふうに御説明を伺っていたんですけれども、だとすると、今度つじつまが合わなくなってくるのが、では、なぜ平成二十七年十月は赤も青もぴたっと重なっているのかということであります。平成二十七年九月が特殊事情で上振れをしていたのであれば、これは対前月比のグラフでありますから、平成二十七年十月はその反動で、要は、九月だけ伸びて十月は平年並みだったら、十月は対前月比で大きなマイナスになっていなければおかしいんです。ところが、ここは平年並みとなっているということなので、九月だけの単独の特殊事情でこうなっているわけではないというのが私の見方であります。

 考えられるのは、このグラフの何が一番怪しげかというと、肝心の八月のことが全く書いていないんですね。二割負担を導入した八月に二割負担になった人とそうでない人にどういう差が出たのかということが全く書いていない、一番知りたいことが書いていないグラフでありますから。それで、九月はなぜか伸びている、十月以降はずっと一緒だからいいじゃないですかと言うんですけれども。

 九月が特殊事情で伸びているという御説明が本当であれば、十月は、赤いグラフは下振れをしていなければおかしいんです、対前月比のグラフですから。そうなっていないということは、これは私が逆算で考えれば、十月も平年並み、九月も実はほぼ平年並みで、八月が赤いグラフが本当は大幅に下振れをしていて、八月が下振れをしていたので、九月が対前月比で大きく上振れをして赤いグラフが見えているだけなのではないかというふうに見ているんですけれども、いかがですか。

蒲原政府参考人 これはよく分析をする必要がありますけれども、まず一つは、二十七年八月のところが、いわば共通のポイントになって、対前月比で次の九月以降にこうなっているという、これは、二十七年八月に初めて一割と二割の人が生じてきているということに起因いたしております。

 もともと先生の御指摘でいうと、二十七年八月がどうだったのかということをわかるためには、二十七年七月の段階で、この人たちが、一割になるかもしれない人、二割になるかもしれないとか、分かれていないとできないんですけれども、ここのところは数字が分けられていないので、そこのところは、七月データのベースとしたものがつくれずに八月から起点がある、こういうことになろうかと思います。

 全体のところについては、一応、今のようなことが一つ大きな点ではないかというふうに思っております。

井坂委員 最後、今のようなところというところが大きく丸められて、よくわかりませんでしたが、私は、八月が数字を出せないというところはわかりますよ。八月の数字を、何かあるのに隠しているとか、そういうことを申し上げるつもりはないです。

 少なくとも、一番知りたい八月のことはこのグラフは一切述べていなくて、そして九月がなぜか二割の方が上振れをしている、十月は別に下振れをしていない。この三つから推測できることは、八月が二割負担は大きく下振れをしていて、九月がその反動で対前月比が大きく上振れをしている。十月以降は、別にその反動下振れが出ていないわけですから、別に九月が特殊事情で単にふえているという影響はほとんど大きくないのではないかというふうに見るのが、私は今のところ自然だろうというふうに思っております。

 大臣にお伺いしたいと思いますが、年金のときもいろいろありました。厚労省にお願いをしたいのは、さも問題がないかのように見えるグラフをつくって、議員の目を問題からそらすのではなくて、利用者負担をふやせば利用抑制が起こるという当たり前の事実をまず認めていただいて、前回の二割負担の悪影響をきちんと検証して、対策を考えることではないでしょうか。

塩崎国務大臣 これは経済原則として価格効果というのは、何らかの価格効果というのは当然あるんだろうというふうに思いますから、今御指摘になったことは、程度の差こそあれ、やってみてどういうことが起きるのかというのはそれぞれですから。でも、そのようなことはやはりちゃんと踏まえた上で、当然、二割にするというのは、価格効果を考えた上で導入しているというところももちろんあるわけでありますから。

 しかし、いずれにしても、持続可能性ということをしっかり考えて、なおかつ、それをやることが、持続可能性というのは、別に財政的に持続可能だけじゃなくて、人間を対象とする介護保険という制度そのものが、その目的である自立と、それから重度化防止、この観点から持続可能であるということも同時に考えていかなきゃいけないんだろうということで、率直な、素直な心で数字をやはり見ていかなきゃいけないというのは、おっしゃるとおりです。

井坂委員 ありがとうございます。

 値上げをすれば、どうしても抑制効果がある、価格効果があるというのは、大臣のおっしゃるとおり、基本的な原則はそういうものがあるというふうに思います。

 その上で、予断なく検証していただけるということは午前中からも答弁をいただいておりますが、大臣に一点だけ、気になったので、重ねてお伺いをしたいのは、次に、今度、三割負担にふやすまでに、前回の二割負担導入の効果、特に悪影響の部分を検証していただけるということだと思いますが、問題は、検証したときに、多少は悪影響あるけれども、さほどではないということであれば別にいいんですが、思ったより悪影響がどうもあったな、今度の三割負担の導入でも悪影響がありそうだなとなったときなんですよ。そのときにどうするんですかという質問に対して、先ほど大臣は、なかなかうまい答弁だなと思いましたが、心構え、心の準備というような答弁をされたというふうに思います。

 私、ここは確認をしたいんですが、せっかく検証していただいて、悪影響が出る、出そうだということがわかっても、三割負担の見直しをせずに、三割負担導入したら悪影響が出そうだなと心の準備だけして、三割負担を強行するようでは、これは検証の意味が全くないというふうに思います。

 大臣にお伺いいたしますが、これは当然、悪影響が出そうだということになれば、三割負担の導入にも何らかの見直しをかける、少なくとも論理的にはそういう可能性があり得るということでよろしいですか。

塩崎国務大臣 先ほども御答弁申し上げたように、今回、こうやって法律を出す限りは、二割に上げたことが、壊滅的なことが起きたわけでは決してなくて、ここまでサービスも、破綻をしているサービス事業者が多い、ふえているという話がある一方で、サービスとしては着実に提供されているということは何度も申し上げてきているわけでありますから、それは、とりもなおさず、二割負担に一部、九%程度でありますけれども、なっても、そういう形でサービスは提供され続けて、問題は、それで肝心なところにいっていないということが聞こえてきているかというと、それもそうでもないということでありますからこそ、我々は今回、三割負担というものも一部、所得が明らかに高い方々に関して導入しようということであります。

 そこで、三割負担を施行するまでに、工夫をしながら、調査をして、どういうことが二割負担にしたときに起きたのかということは、今以上に立体的に見たいというふうに思っています。

 それで、明らかに深刻な影響があったというときにどうするのかということでありますが、まず第一に、それは、私たちはそのように考えていないからこそ、今こうやって御提案を申し上げているわけでありますので、しっかりと調べた上で、仮に問題があるとすればどういう問題なのか、その解決には何が必要なのかということを、先ほど申し上げたとおり、心の準備をしながら、成立している法律を、施行をしっかりやっていくということで、混乱が起きないようにしていくというのは絶えず考えていかなきゃいけないことだろうというふうに思います。

井坂委員 もちろん今、政府側は、特に参考人が最初に答弁されたように、二割負担も全く影響なかったという認識からスタートしておられるわけですから、三割導入しても問題ないだろうという見通しで、今回、三割負担導入を提案されておられるんだと思います。

 ただ、午前中からずっと議論をさせていただいているように、あるいは政府側が出したこのグラフ一枚とったって、本当にそうかと思えるところが多々あるわけでありまして、そこを大臣は、これは予断を持たず素直な心で多角的に検証していくというところまで言っていただいたのは、私は大変ありがたいことだというふうに思っております。

 そこまでしていただくのであれば、政府側からしたら、そんなことはないだろうと思っておられるでしょうけれども、一方、我々は、現場の声を聞く限りは、結構利用抑制があったんじゃないかというふうに思っておりますから、その場合に、いや、思ったより大きな影響があった、今後もありそうだということであれば、これは見直しを排除せずというのは検証するに際して当たり前の態度ではないかというふうに思うんですけれども、一言だけ、いかがですか。

塩崎国務大臣 そういうことが、そういう結果が調査でも出てこないということを我々は予想はしておりますけれども、もちろん、どういうことになるかはやってみないとわからない部分が全然ないわけではないので、それはそれとして、しかし、私たちはそういうことは恐らくないんだろうというふうに思いますので、しっかりと調査結果は見ていくものの、成立している法律でありますから施行はやはりしていく、しかし、そのためにはきちっと準備もしていかなければいけないということだろうと思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 さらに、この三割負担の問題で、先ほど大臣も、価格効果は確かに値上げをすればある、ただ、そうはいっても制度の持続可能性も必要なんだ、こういうことをおっしゃいました。

 そこで、参考人にお伺いをいたしますが、今回の介護サービスの三割負担を新たに導入することによって介護財政は幾らぐらい改善をされるんでしょうか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢化が進展する中で介護の給付がふえるということでございまして、これは、いずれにいたしましても、保険料と公費と利用者負担の組み合わせで対応していくということでございますので、三割負担の導入については、介護保険制度の持続可能性を高めるということに資するものでございます。

 今回の件でございますけれども、見直しの時期は平成三十年の八月ということでございますので、具体的な給付への影響については三十年度の予算編成過程で精査されるものでございます。したがって、現時点で確定した金額ということにはなりませんけれども、現時点におけます粗い見積もりで申し上げますと、これは平年度で見ると給付費ベースでおおむね百億円程度になるのではないかというふうに見通しております。

井坂委員 つまり、もし今回法律が通って来年三割負担を導入することになれば、そのことによって大体介護給付費が、その方々が三割負担する分だけ自己負担になって、介護給付費がその分減るということで、それが約百億円ぐらい、大まかに言うとそれぐらいではないかという答弁でありました。

 今、介護給付費全体は年間十兆円でありますから、十兆円の給付費が九兆九千九百億円ぐらいに減るのではないかというようなことなんだというふうに思うんですけれども、これは全体でいえば、今回三割負担を導入することで改善される介護財政は全体のわずか〇・一%ということであります。これは、サービスの利用抑制のおそれ、また、その結果として中長期的に介護度が悪化するかもしれない、こういうおそれもある中で、その結果得られる財政効果としては、私の率直な第一印象は、余りにも小さな効果ではないかなというふうにも思ったんです。

 そこで、今一部疑われていますのが、最初は百億円しか効果がないんだ、三割負担の導入、では、何のために入れるんだといえば、これは恐らく、別に政府がそんなことを言っているわけじゃないですけれども、心配をする側が疑っているのは、最初はごくごく対象を絞って百億しか財政効果がない三割負担を法律で導入して、その対象者は法律に書いていないので後から幾らでもふやせるじゃないか、後から法律に書いていない対象範囲を政令で広げていくのではないかということが、当初の効果が余りにも少ないばかりに逆に疑われているわけであります。

 大臣に率直にお伺いをいたしますが、この介護サービス三割負担の対象者、あるいは既に行っている介護サービス二割負担の対象者は、今後拡大をしていく可能性がありますか。

塩崎国務大臣 今回の法律では、介護保険制度の持続可能性を高めるために、世代内あるいは世代間の負担の公平あるいは負担能力に応じた負担を求める、そういう観点から見直しをして、現役並みの所得を有する方の負担割合を二割から三割に引き上げる。

 この三割の方は全体の約三%。この間まで、二割だったというのが九%が対象でありましたが、今度の場合の三割というのは三%の方々が対象になるということであります。三割負担の対象となる方につきまして、今申し上げたとおり、二割負担者よりも一層範囲を限定して、特に所得の高い、現役並みの所得を有する方ということにしたわけで。

 高齢化が進展をする中で増加が見込まれる介護サービスの負担について、保険料と公費と利用者負担、この三つしか財源はないわけでありますから、それ以外というのは給付を切るしかないので、それはなかなか高齢化が進む中では難しいということであれば、保険料と公費と利用者負担をどう適切に組み合わせていくのかということが必要で、何もしなくて保険料が上がっていってしまうというのは、もう今既に五千円台で、二〇二五年までには八千円台に、このままいくと、高齢化のままでいくと八千百六十五円までいくと推計もされています。今、五千五百十四円。

 そういうことでありますので、制度の状況を常にウオッチして、点検して、必要な措置をあらゆる面で考えていかなければならないし、そして、今般の見直しは、今後の対象者の拡大を前提とするものではないわけで、今考えられるさまざまな改善の中で御提案を申し上げる初めての三割負担というものでございます。

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

井坂委員 対象の拡大を前提とするものではないという答弁でありました。これはこれで一つ大きな論点でありますから、また日を改めて議論をさせていただきたいというふうに思います。

 もう残り時間わずかなんですが、大分飛ばしまして、一点、処遇改善加算について参考人にお伺いをします。全部通告どおりです。

 処遇改善加算、この間機能しているというふうに思います。しかし、一部聞くところによりますと、もういよいよ介護事業所の経営状況が悪化して、処遇改善加算をもらって職員さんのお給料を上げたけれども、もう経営が悪化して、結局は職員さんのお給料を下げざるを得なくなった。

 こういう場合に備えて、特別事情届出書というものがあります。こういうものを都道府県に出せば、処遇改善加算をもらって、処遇改善加算分はふやしてあげるんですけれども、本体分を下げて、要は、事実上、処遇改善加算分の賃上げをしなくても許されるという緊急避難的な仕組みがあるようであります。

 この処遇改善加算を事業所運営に回す特別事情届出書、こういう例がふえていると現場の方からは先日聞いてまいりました。実態を把握しておられるかどうか、お伺いいたします。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 処遇改善の関係でございますけれども、事業所の経営状況によりまして、やむを得ず賃金水準を低下せざるを得ない場合、その上で処遇改善加算をやりたいという場合ですけれども、そうした場合については、勝手に事業所が下げるということは認められておらずに、事業所は、先生のお話がございましたように、特別事情届出書というものを都道府県等に届け出ることで、その前提で処遇改善加算を取得できる、こういう仕組みになっているわけでございます。

 この場合に、加算の算定額については、当然のことながら一旦賃金は下げますけれども、上に乗せる加算の算定額については、当然のことながら介護職員の賃金改善に充てるということが必要でございまして、この点については、まず計画の段階でチェックをいたしまして、その上で事後的に実績報告書でも確認をしているということでございます。

 御指摘のような例はちょっと、まず想定されておりませんし、私のところもいろいろ聞きましたけれども、そうした状況については聞いておらないんですけれども、仮にそのような事態が発生した場合については、都道府県等において、例えば、既に支給された加算の一部または全部を不正受給として返還させること等の……(井坂委員「そういうことを聞いているのではないんです」と呼ぶ)そうじゃない。

 それで、今の特別事情届出書の実態について、提出の件数については、二十八年度の調査のときに約〇・四四%のところから出てきているという、そのくらいの低い水準になっているということでございます。

井坂委員 処遇改善に関して、介護の職員さんの賃金に関して最後もう二点だけお伺いをしたいと思います。

 これは地元で、私もいろいろな介護施設の方とお話をしておりまして、随分前から言われていたことでありますけれども、介護の職員さんは一生懸命、今本当に人集めが大変ですと。せっかく集めて雇用契約を結んで職員さんを雇っても、その職員さんに派遣会社が耳打ちをするんだそうです、あなたは時給幾らですかと。一千円ですとか一千三百円ですとか、そういう。

 では、そこに直接働かないでうちの派遣会社を通してまたどこかで働いたら時給は上がりますよ、時給百円、二百円すぐ上がりますよ、こういう話が来て、その人は、もうやめて、派遣会社経由でどこかの介護事業所に派遣をされる、そうすると、実際その人に払われる時給も上がるんだそうなんです、百円、二百円。それは本当にそうだろうなというふうに思います。

 介護の職員さん一人一人のお給料をふやしたいという思いが私はありますので、同一賃金法なども以前出させていただいてありますので、時給千円の介護職の方が派遣会社経由で千百円、千二百円もらえるようになった、これは個人単位では別に悪くないことかもしれません。

 しかし、介護事業所の方が非常に弱っておられたのは、これを許し始めると、今、介護業界ほど人手不足、売り手市場という特殊な状態にあって、派遣会社が、うち経由で働いた方がいいですよとどんどん引き抜きを始めている、それは損得で考えれば派遣会社経由で働いた方がお給料をもらえるんですから、どんどん流れてしまう。

 現場では、派遣会社経由じゃない、ちゃんと雇用契約を結んでいる職員さんは、例えば、時給千円で働いて、しかも直接雇用ですから、責任も重い仕事を千円でやっている。一方で、千百円、千二百円で派遣会社経由の人は、同じ仕事もやるけれども、基本的には直接雇用のやるような責任を負わずに、むしろ責任が軽いような形でやっている。現場の士気にも大きなかかわりがあるし、やはり直接雇用の人を探すのが今後どんどん大変になってくる、何らかの歯どめが必要ではないかというふうに言われております。

 まず参考人に、ちょっと時間が足りないので端的に、派遣会社経由の介護スタッフがふえているという実態を把握しておられるか、お伺いします。

蒲原政府参考人 介護労働安定センターの調査によりますと、まず、事業所ベースでいうと、約一〇%の事業所において派遣労働者を受け入れているということでございます。また、そうした受け入れている事業所における従業員の、派遣労働者の全従業員に対する割合も大体約一〇%になっている、これが今の現状というふうに認識をしております。

井坂委員 最後に大臣にお伺いをしたいのですが、大臣は経済学的なお考えをいつも御披露いただいておりますけれども、今のお話は、派遣会社経由で働いた方がスタッフもお給料が上がる、しかも、どちらかというと仕事の責任がやや軽くなる、こういう選択肢があったときに、経済的に考えれば、もとの施設によほどの強い思い入れがなければ、では、もうしんどいし、派遣会社経由で働こうかなというインセンティブが非常に強く働く選択肢だというふうに思います。

 まだ一〇%程度ということでありますけれども、これは、流れとしては、経済的に考えればふえる方向の流れではないかなという中で、大臣に一度御検討いただきたいのは、医療関係業務、これは現状でも派遣法の適用除外というふうになっています。介護は、手おくれにならないうちに、医療関係業務と同様に派遣法の適用除外にするということを一度検討する必要があるのではないかと思いますが、大臣、最後にいかがでしょうか。

古屋副大臣 労働者派遣事業は、臨時的、一時的な労働力の迅速的確な需給調整を図るための一般的なシステムとして、原則として、いかなる業務についても行えることとなっております。

 例外的に、特別な労働力需給制度のある港湾運送業務や建設業務のほか、その業務の適正な実施を確保するためには、派遣労働者に従事させることが適当でないと認められている業務について、労働者派遣法により、労働者派遣事業を行うことが禁止されております。

 具体的には、請負形態により業務を処理することが警備業法上……(井坂委員「現状の制度はよくわかっております」と呼ぶ)はい。直接雇用される労働者と派遣労働者が混在して業務を処理することにより、当該業務の適正実施に支障が生じる医療業務が該当しております。

 介護については、以上のような労働者派遣事業を行うことが禁止される業務に該当する事情はないと考えているところでございます。

井坂委員 ちょっと通告先でないので、逆に何かプラスの御答弁があるのかなと思ったら、ゼロ回答だったので、これはまた後で事務方に抗議したいと思いますけれども。

 大臣、仕組みは今のとおりなので、そういうのにはほっておいたら当てはまらないかもしれませんが、ただ、これはほっておくと本当に派遣会社経由でみんな働くということになりかねないと思いますから、一度真剣に御検討いただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、堀内照文君。

堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。

 先日の本会議での質問に続きまして、きょうは法案の質疑で幾つか質問させていただきます。

 介護保険をめぐっては、この間の負担増と給付の抑制によって、高い保険料を支払いながら、いざというときに介護保険を利用できず、家族依存が増してきた、そういう中で、介護離職や介護殺人などの問題が社会的な問題になってきたと思うんです。当初目指された介護の社会化とはほど遠い現実が横たわっていると言わなければなりません。

 しかし、今度の法案は、国民的に解決が求められているこれらの課題に向き合わず、介護保険制度の持続可能性を名目に、一層の負担増と給付抑制に拍車をかけるものだと。さらに、我が事・丸ごと地域共生社会づくりという名前のもとで、福祉の公的責任を後退させるものだと言わなければならないと思っております。

 きょうは、まず初めに、その中でも、自治体に保険者機能の強化を求め、自立支援、重度化防止に向けた取り組みを制度化しようとしている問題について質問したいと思います。

 自立支援、重度化防止に向けた自治体の取り組みを評価する指標ということで、私、本会議でこの問題も質問させていただきました。これに対して大臣からは、アウトカム指標とプロセス指標を組み合わせて公平な指標を設定するんだという答弁がありました。これは、実は郡さんからも先ほど同じ質問があって、具体的な例示ということで、幾つか既に答弁がございました。

 その中でちょっと幾つか気になりましたのが、例えば要介護認定率は、そのものをどうこうというものじゃないんだという御答弁がありましたけれども、そのものどうこうじゃないにしても、何か使うのか。認定率の低下や、ここで言われているのは、保険料の上昇抑制、特にアウトカム指標について、それから給付費の低下なども、こういうものももちろん、当然、政府が今言っている持続可能性という関係では大事なんだろうと思うんです。大事というか、大事だと考えておられるんだと思うんですが、そういったものも指標になるのか、ちょっと具体的にお聞かせいただきたいと思います。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢者の自立支援や重度化防止の取り組みのためにPDCAサイクルを回して市町村の保険者機能を強化するということで、そうした考え方のもとで大きな枠組みをつくるというのが今回の趣旨でございます。そうした中で、客観的な指標をつくって、これに基づいて一定のインセンティブを与えようということでございますけれども、この一定の指標でございます。

 先生お話がありましたとおり、基本的な考え方は、いわばサービスの適正な利用というものを阻害しないようにするというのがまず大前提で、その上で、今話が出ましたとおり、アウトカムの指標とプロセスの指標とを組み合わせる、あるいは、高齢化とか地域のいろいろな事情が違うので、そうしたことにも配慮するというのが基本的な考え方でございます。

 その上で、先生御指摘ございましたアウトカム指標の関係でございますけれども、これは、結果として出てきている、我々が使っている要介護の認定率の高低という、そのものを用いるということは今考えてございませんで、例えば、要介護状態の維持、改善の度合いといったものをうまくはかるような指標というのがないのかどうか、そうした保険者の取り組みの成果を反映する指標というのがないのかどうかといったあたりを、これから考えなきゃいけないかなと思います。

 あわせて、プロセス指標については、先ほど郡委員に対して御説明したような幾つかのものを考えてございます。

 いずれにいたしましても、こうしたものにつきましては、今回の仕組みでは、やはり市町村、都道府県というのが、いわばプレーヤーとして非常に大事な主体でございますので、そうした自治体の関係者の方々などとよく意見を聞いた上で、中身をよく詰めていきたいな、こういうふうに考えております。

堀内(照)委員 要は、介護度がよくなったり、維持、改善の度合いということがありましたけれども、これは結局認定率の低下と余り変わらないんじゃないかなと思うんですね。

 それで、いろいろな事情の違いがある、それを配慮すると言われるんですけれども、どうやってその公平性というのを、それぞれ本当に保険者は違いますから、公平性を担保するのかと思うんです。そういう意味では、その目標というのを点数化、数値化して並べていくということにイメージとしてなるんでしょうか。

蒲原政府参考人 この仕組みにつきましては、平成三十年度から動きますし、それまでの間に、先ほど申しましたけれども、関係する一番のプレーヤーである自治体関係者等とよく相談しながら詰めていきたいというふうに思っておりまして、今、ちょっと具体的に数値化とかいうところまでは、まだ検討の最中だというところでございます。

堀内(照)委員 まだ検討中だということでありますけれども、これは本当に、大臣、公平にはかっていくことができるのか。いずれにしても、国から示された指標を基準に、保険者間で競わせるということになるわけですし、それから、財政的インセンティブもつくということでありますので、私は、やはり、この間の流れを見ていると、チェックリストで申請を受けさせないとか介護保険から卒業させるというのは、今の、阻害させない、利用阻害がないようにと言いましたけれども、そういう方向に向く圧力としてこの指標が働くということにならないでしょうか、大臣。

塩崎国務大臣 医療でのHTAというのがあって、ヘルス・テクノロジー・アセスメントというのがあって、要は、アウトカム評価をどうするのかというのは世界的にもまだまだ確定をしているわけではない、今、試行錯誤をしている。しかし、それはやはり、患者から見た価値がどうなのか。ですから、介護であれば、介護を受けられる方から見て意味のあること、価値があること、これを実現する、そのための指標というものは何なんだろうか。それを要介護度だけで見るとかいうようなことをすると、いわゆるクリームスキミングというか、割合簡単になる人だけ入所してもらって、あるいは介護保険のサービス提供対象にするというような逆選別が起きて、肝心のサービスが必要な人にサービスがいかない、こういうことがやはりあってはならないので、そこが、先ほど申し上げたアウトカムの指標のあり方についてどうするのか、そしてプロセスの指標を組み合わすということで、今申し上げたようなことを避けるということなんだろうというふうに思います。

 自立支援介護ということが最近よく言われるようになってきました。つまり、服が自分では着られなかったのが着られるようになるというようなことを、どう科学的に評価するのかという意味での指標なんだろうというふうに思います。

 今回の自立支援あるいは重度化防止を進める観点から、今申し上げたように、財政的インセンティブの付与などで必要な仕組みの創設を盛り込んでいますが、財政インセンティブに関する指標の設定に当たっては、適正なサービス利用の阻害につながらないことが今申し上げたように大前提でありまして、アウトカム指標とプロセス指標を組み合わせるなど、自治体関係者等の意見も伺いながら、そして科学者の判断、医学者の判断なども参考にしながら、公平な指標を検討してまいりたいと考えております。

堀内(照)委員 いろいろ言われたんですけれども、全くどう利用阻害を防ぐのかというのがまだよくわからないんですね、見えてこないんですね。その財政的インセンティブの財源はどうなるのかということも、ちょっとお聞きしておきたいと思います。

 これは新しい交付金というふうに法案では読めるんですけれども、そういうものなのか。それとも、既存の調整交付金の枠内で行われるものなのか。いかがですか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、市町村及び都道府県に対しまして、先ほど来出ております自立支援や重度化防止の取り組み等を支援するため、予算の範囲内において交付金を交付するという旨の規定が新設されているところでございます。

 この財政的なインセンティブについての中身、あるいはその財源でございますけれども、これは、昨年、介護保険の関係の審議会、ずっと議論いただいて、昨年十二月に意見書を取りまとめてもらったわけでございますけれども、その意見書の中におきまして幾つかの意見が出てございます。

 一つは、追加財源をきちんと確保した上で実施すべきという意見がある一方で、ディスインセンティブも組み合わせた上で財政中立で実施すべきとの意見もあったということで、そこは両論併記ということになっております。

 一方でこれは、今回の取り組みについて、先ほど来申しましたとおり、市町村なり都道府県がいわば主要な関係者になるわけですけれども、そうした自治体関係者からは、追加の財源によって実施すべきという強い意見が、まあ審議会でもありましたけれども、それ以外でも来ている、こういう状況でございます。

 こうしたいろいろな状況を踏まえまして、具体的内容につきましては、自治体関係者等の意見も伺いながら、今後、これは三十年度からの予算編成の中で詳細を検討してまいりたいというふうに思っています。

 いずれにしても、そのような意見を踏まえたいというふうに思っています。

堀内(照)委員 ディスインセンティブなんて、これはとんでもないんですけれども、今のお話では、調整交付金の枠内もまだ排除されていないんですよね。そうなると、私は、これは本当に大変だと思うんです。指標を満たさない自治体にとっては、これは事実上のディスインセンティブになるわけです。限られた調整交付金の中からインセンティブを与えるということになれば、ふえるところもあれば減るところも当然出てくるわけであります。

 調整交付金というのは、もともと、後期高齢者の割合や高齢者の所得状況によって自治体間で避けられない、そういった自然的な差異、社会的な差異を埋めるものだと思うんです。もともと基盤の弱い自治体が、国の求める保険者努力の指標をクリアできるのか。クリアできないと、従来受けていた調整交付金が減るという可能性も出てくる。そうならないためにと、今度は必死に指標をクリアするということに追われることになる。だから、私は利用阻害にならないのかと思うんです。

 大臣、いかがですか、再度。これは利用阻害につながらないと言えますか。

塩崎国務大臣 やはり介護も、さっき申し上げたとおり、服が着られない人が着られるようになるとか、歩けない人が歩けるようになる、そういう方向に行った方が、それは御本人にとって一番いいわけで、自立そして重度化防止、これが介護保険のもともとの理念でありますから、それに役立つサービスはどういうものなのか、あるいはケアはどういうものなのかということを考えるのに、今こういう形で、できる限り軽度化を図る。ところが、今のままだと、介護保険のサービスの、軽度なサービスになれば、今度は努力がむしろあだになって報酬が減るということになってしまいますから、それも避けないといけない。

 したがって、状況が御本人にとって改善をして、そしてサービスを提供する側から見ると、その努力が評価をされるということが大事なので、なかなかそう簡単ではないというふうに思いますが、しかし、それを客観的にどれだけ見られるかということを、この指標でもって工夫をしていこうじゃないかということで、その際にインセンティブ、場合によってはそれを全くやらないでいるディスインセンティブもあり得るということを申し上げているわけです。

 しかし一方で、高齢化が物すごく高い中山間の自治体に無理なことをやれと言っても、なかなか難しいことも今御指摘のとおりだと思いますから、その辺のことも十分考えた上で、本当に要介護の方々のために何がいいのか、そして制度そのものの持続性がちゃんと確保できるようにするためにどうするのか、そういうことを考えていかなきゃいけないというふうに思っています。

堀内(照)委員 ディスインセンティブなんか、本当にとんでもないですよ。

 それでは、今そういうふうにおっしゃるのであれば、厚生労働省が作成している説明資料で、今もありましたけれども、和光市の例も取り上げられているわけです、和光市の例が。その和光市で何が起こっているのかということなんです。

 本人同意なしに突然介護の制度から卒業になったという方がおられます。市から卒業記念証というのを受け取られた七十六歳の男性の方です。

 もともと要支援二で、週二回のデイ、これは朝の十時から夕方四時まで通っておられました。週一回四十五分のヘルパーも来ておられました。これが打ち切られたんです。デイとヘルパーです。目の前が真っ暗になったとおっしゃっていた。

 かわりに案内されたのが、これを使いなさいと言われたのが、総合事業で行われている週一回わずか一時間半の健康教室。先ほども郡さんへの答弁の中で、秀でた取り組みとして、通いの場というのがありましたが、まさにそこですよね。

 しかし、身体機能は、むしろそれで悪化してしまいました。転倒のおそれもあり、見守りや介助が欠かせないということになったわけです。

 また、別の方も、九十歳代で独居の方で入浴の見守りが必要な方なんですが、訪問介護が打ち切られた。本人の同意がなかったというのです。

 現にやはり利用阻害の事態が生まれているんじゃありませんか。

蒲原政府参考人 ちょっと今の御説明について、私もよく和光市の人から話を聞いたり、実際に行ったりしています。あるいは話を聞いておりますけれども、和光市において、私の把握している限りでいうと、まず、介護保険というのはどういうときに使うかということと、やはりできるだけ本人も要介護にならないとか、あるいはそうした場合についてはきちっと、今卒業という言葉をおっしゃいましたけれども、要介護、要支援から抜けた場合も、そうした居場所の場所をちゃんと確保して、そこでいろいろな活動をしてもらうことが大事ですよといった共通の認識を、これは事業者、ケアマネ事業者あるいは住民も含めて、共通の認識をきちっと持ってもらおうと。これは、介護保険の本来の趣旨のことを理解してもらうということをまず最初にやっているというふうにお聞きしております。

 今の例について言いますと、恐らく、いろいろな要支援なり、いろいろな地域の事業を受けていた過程で、一定の状態が要支援状態から脱したときに、ただ、そこで脱したまま何も行き場所がないと、逆に本当にまた戻ってしまうので……(堀内(照)委員「通いの場に行った」と呼ぶ)ええ、だからこそ、先ほどのような体操の場あるいは集いの場といったものを、一般予防の場としてきちっとつくっているというふうに、和光市でやっているというふうに認識しておりまして、何か打ち切ってこっちに行ったというよりも、むしろよくなってそっちに行った、逆に、そういう場があることによって一定の予防効果が出て、また要介護なり要支援状態にならないようにする、そういうことでやられているのではないかというふうに認識をいたしております。

堀内(照)委員 この七十六歳の男性の例は、実は市当局が誤りを認めております。本人や家族へは終了だと伝えただけになっていたと。保健福祉部長は、卒業の判断に一〇〇%間違いがないとは言えない、こう言っているんですよ。

 本人の同意ということもありましたけれども、よくいろいろ聞いてみますと、希望を聞くのではなくて、いわゆる自立支援型のプランでなければあなたはもっと悪くなりますよ、こういうふうに言われて、そうなのかと。説得されているということなんですね。

 また、三重県桑名市、国から派遣された特命副市長が介護の総合事業の計画をつくったということなんですが、介護を利用するために、この前ありましたよね、多職種による応援会議というのをやっております。一人一人のプランを検討しているんだというんですね。六カ月ごとに、卒業できるかどうかというのを検討するわけですよ、六カ月ごとに。そして、卒業すれば地域活動デビューだと。それを目標に、特に桑名市では短期集中型、いわゆる専門職による短期集中型の機能訓練に特化したものを利用させているわけなんですね。デビューすれば、サービス事業者、対象者、マネジメント実施機関に対して元気アップ交付金がつく。交付金がつくということなんです。

 聞きますと、既にもうここではチェックリストによる判定者が百人を超えている、認定ではなくてチェックリストによる判定。高齢者人口がふえているにもかかわらず認定者率がぐんと減少して、要支援一が特に極端に減っております。これは、総合事業開始から一年少しの間に三百人も減っているわけであります。まさに、要支援一が減るということは、恐らく卒業ということが多いんだろうと思うんです。しかも、同市では、一年後には現行相当サービスの廃止まで計画されている。まさに一年後の三月三十一日に現行相当サービス廃止と言っているんです。ですから、要支援一、二の人は、専門職のサービスが、今言った短期集中型以外はもうないんだ、無資格の方やボランティアのサービスしかなくなると。

 桑名市でひとり暮らしの八十八歳の男性。要支援一と判定されて、本人は通所介護利用を希望したんですが、要支援者で通所介護を使うのは難しいと地域包括センターから言われまして、ボランティアによるシルバーサロンを勧められた。しかし、そこは月一、二回しかなくて送迎もない。通えなくて、三カ月間、家で引きこもって経過するうちに認知症が進んでしまったんだという事例であります。

 介護保険を利用して状態がよくなること自体は何も悪いことじゃないんです。大臣も先ほど言われました。私もそのこと自体を別に否定するものじゃありません。むしろ好ましいことだと思います。

 しかし、本人や家族の意向よりも、いわゆる自立支援型の介護が大事だということで勧め、実際には利用する条件がないという場合もありましたし、それから、それで一時状態がよくなったとしても、それで卒業して適切な支援ということが、通いの場はあったとしても適切な支援ということが行われないと、やはり加齢によって、年を重ねると、できないことがふえるというのは自然の摂理であります。支援が途切れ、状態が悪化すれば、私はやはり元も子もないじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 卒業というのが何を意味するか、こういうことが深くかかわるんだろうと思いますけれども、何度も申し上げているように、介護保険の理念は、自立を支援して重度化を防ぐ、こういうことで、やはり介護サービスを使わなくても、みずから生活ができるということになるのが一番いいわけでありますから、それを人によっては卒業と呼んでいるのかもわかりません。

 問題は、当然、その後また逆戻りしないようにするための介護予防ということも保険者の大事な責任であるわけであって、これは医療保険でも同じであって、やはり、病気にならない、予防をする、そしてそれを点検するための健診をする。早期発見、そして早期治療をして、できる限り、本人のためにも、早期発見の方が治る可能性が高い。

 そして、介護の場合も同じように、軽度のうちに、できる限り自立に戻るようにするための予防をするということで、保険者は当然、保険事故になる前に予防をしていくという責任がありますから、この場合も介護予防をしていくということで、ほったらかしにしてまた逆戻りということでは全く意味がないし、それは保険者としての機能を今回強化しようと言っているわけで、その保険者の機能発揮ができていないからこそ、安易な判断でまた逆戻りをするような状態を卒業と単純にもし言ったとすれば、それは保険者の責任を全て果たしていることにはならないんだろうなというふうに思いますので、そういうようなことをどうするかということをみんなで考えていかなきゃいけないということだろうと思います。

堀内(照)委員 もちろん、自立した生活ということが望ましいということでしょうけれども、しかし、誰もが、みんながみんなそうなるわけじゃありませんし、今ありましたように、では一旦卒業となったときに、予防も含めた支援とおっしゃいましたけれども、現実にはやはりそうなっていないわけなんですよね。介護の制度が使えない、専門職のサービスが使えないということになる。ボランティアなどで本当にそういうことがフォローできるのかということなんだと思うんです。

 それから、本来、やはり支援が続いてこそ、何とか状態も維持できるし、改善に向かうということにも道が開けるんだと思うんですね。その支援を閉ざしていいのかということなんだと思うんです。そんな中で、重度化防止ということを言われていますけれども、こういうことにも反するんだと思うんです。

 それで、これも郡さんも示されましたし、私も本会議で、未来投資会議での、いわゆる自立支援介護と強調されていることについてただしました。

 資料で総理の発言の後半部分を一ページ目に載せておきましたが、私の質問に対して総理の答弁は、「本人が望む限り、介護が要らない状態までの回復をできる限り目指すものであり、サービスを使わないことを強要するといった指摘は当たりません。」というものでありました。

 しかし、この会議での総理の発言を読みますと、明確に、これまでの介護は目の前の高齢者ができないことを世話することが中心で、これからは高齢者が自分でできるようになることを助ける自立支援に軸足を置く、そのことを、パラダイムシフトを起こすんだというふうに表現されているわけであります。

 この会議でいろいろな有識者も発言されておりますが、それらの資料を見ますと、こんなこともありました。基本は要介護者を限りなくゼロにすることとか、介護は自立支援介護で行うとの明確な方向づけと制度改革だ、それから、介護報酬について、介護度改善を評価する報酬体系へのシフトと。

 今後の介護のあり方というのは、もう介護の世話にならずに自分でできるような自立を求める、そのための助けになるものへとシフトすると。明確なんだと思うんです。

 これは、自立とは何かということだと思うんですが、郡さんの質疑の中で、サービスを使わないという状態を目指しているのかということがありましたけれども、大臣の答弁は必ずしもそういうものではなかったと私はお聞きをしましたが、ただやはり、そういう方向へ軸足を移す、目指すんだということも言われたんじゃないかと思ってお聞きしました。

 それで、大臣に伺いたいんですが、介護が要らない状態までの回復をできる限り目指すということ、そこへシフトするということですから、では、お世話をするということはおろそかにならないのかと思うんですが、いかがですか。

塩崎国務大臣 それは、さっき私が答弁したとおり、究極の目標は自立であって、その手前に、重度化を防止していくというための介護保険だということだと思います。

 当然、自立をキープしていくためには介護予防が必要ということであるわけでありますので、日常生活をみずから営むことができるように、どう保険者が中心となって支援をしていくのかということが大事でありますので、総理が未来投資会議で言っていることは、決して、必要な介護保険サービスを使わないように求めるというようなことでは全くないというふうに思います。むしろ、自立のためにどういうサービスが一番ふさわしいのかということを、これから本当に科学的にもよく解明をしていかなければいけない。

 私も今、厚労省の中でデータヘルス改革推進本部というのを設けて、介護を科学しろというふうに言っておりまして、外のいろいろな学者の皆さん方にも応援をしてもらいながら、それをどういうふうにやるのが一番いいのかということを考えてまいりたいと思っております。

堀内(照)委員 この議論には、全国老人福祉施設協議会からも異論が出ております。資料の二枚目、三枚目に、まさにその未来会議で議論された「「自立支援介護」について」という意見を載せておきました。

 二ページ目の左側の下の方から、「未来投資会議で一部有識者から提案されたいわゆる「自立支援介護」は、数ある観点から要介護度改善を唯一の評価尺度に置き、水分・食事・運動・排泄による基本ケアを万能的に捉えることで、こうした自立支援の精神を一個の仕組み(加算等)に固定化しようとするものです。」とありまして、「その場合、」ということで、三点危惧を表明されております。「要介護度改善の見込みが難しい高齢者の受入れに関する阻害要因となり、在宅において一層介護が必要となるリスクを生むこと、」とか、第二に、「利用者に望まぬ栄養摂取やリハビリテーション等を課すことになること、」第三に、「在宅復帰などを望まないあるいは適応が困難な利用者にもそうあるべきという強迫観念を与えること等、」懸念を表明されています。

 ずっと行っていただきまして、次の三ページ目の左側の後段では、いわゆるADL、日常生活動作の改善に重きを置くということについていろいろ危惧を表明しながら、ちょうど真ん中から後半ら辺なんですけれども、「とりわけ単身、独居の方など、社会に居場所がなく、安心、安全の終の棲家である特養に安住できた方々にとって、事実上要介護度改善の義務化を課すことは、もはや虐待と言っても過言ではありません。」と。ここまで厳しく指摘をしているんです。

 改めて、大臣、この指摘、どう受けとめられますか。

塩崎国務大臣 老施協の皆様は私のところにも来られました、これを持って。

 それで、まず第一に、二ページ目の「この点、」と書いてあるところで、「厚生労働省からは、データベースを活用し、提供されたケアの内容を丁寧に分析することで、より幅広く「科学的に裏付けされた介護」の普及を目指す旨が示されており、本会も賛同するところです。」と。これは、先ほど申し上げたデータヘルス改革推進本部でやろうと言っている、介護を科学しろというふうに言って、今努力をしてもらっているところでありますが、同時に、次の括弧一で、「原則として中重度要介護者を受け入れる特別養護老人ホームにおいて、利用者の状態が重たくなることは、「自然の摂理」です。」と書いてあるのは、さっき申し上げたように、要は、要介護度だけで見られては困りますということをおっしゃっているわけで、それは、そのことが、実は、介護を提供する側から見れば報酬が減るということになって、努力をして要介護度を下げたら報酬が減ってしまうという矛盾に直面をするからこそ言っているので、そこのところをどう評価して、むしろ、要介護度が改善をされたときにどういう評価をしたらいいのか。

 前向き評価をすることが大事なので、それを、表面的な要介護度を軽くすることだけを評価してもらっても、それは結果として自分たちの努力が評価されないことになる、こういうことをおっしゃっているんだろうと思うので、先ほど申し上げたとおりでありますので、ごもっともなことをおっしゃっている部分も多々ありますので、私たちがやらなきゃいけないのは、先ほど申し上げたとおり、理念である自立と重度化の防止を科学的にも実現していくための評価を我々は手法としてしっかりと確立をしていかなきゃいけない。それでないと、介護サービスを提供される側から見れば、自分たちの努力が評価をされないということになってしまうので。

 そして、何よりも大事なのは、そのことによって、クリームスキミングで、本当にサービスが必要な人が、加齢によってどうしても運動機能が低下していくということもマイナスに評価をされたのでは、これでは何の意味もないので、そういうところを総合的に判断できる方法というものを考えていかなきゃいけないと思っております。

堀内(照)委員 この全国老人福祉施設協議会の文書では、今少し大臣も触れられましたけれども、二ページ目の右下のあたりからですか、経年とともにいわゆる健康状態が悪化するというのは自然の摂理だ、その自然の摂理をありのままに受け入れ、社会で支え合う中で、今できることを、できるだけの間、できるままでいてもらうことも、次第にできることが限られていく中にも、その人らしく暮らしていける環境をつくることにも大いに価値があるんだ、それらを実現するための入浴や排せつ等日常生活の支援を評価せず、要介護度が軽度になることだけを尺度にすることは、自然の摂理を無視し、生活の質を軽んずるものであり、介護保険制度の歴史に逆行すると。やはりここをしっかりと受けとめるべきだと思うんです。

 大臣、いろいろ言われましたけれども、安倍総理のこの発言を見ると、やはりそうはいっても、介護に頼らない自立への、その助けになる方へシフトするんだ、軸足を置くんだということを明確に言っているわけで、そこを私は危惧しているわけです。

 介護保険法の第一条の目的では、「その有する能力に応じ自立した日常生活を営む」とあるわけですから、決して介護に頼らず自立できるように能力を伸ばせということではないと思うんです。支援を受けながら、ありのままの、その人らしく暮らしていけるということをしっかり支援していく、これはやはり介護の大事な支援の中身だ、自立支援の中身だと思うんです。そういうことを通して、もちろん状態がよくなるという場合もありますでしょうし、本当の意味で自立していくという、助けによらないということもあり得るでしょうけれども、しかし、そのことを何か自己目的化して、本来あるべき介護というのがないがしろになるようなことは私はあってはならないと厳しく指摘をしておきたいと思います。

 続いて、実はこれも郡さんが取り上げられたことなんですが、身体介助を伴わない生活援助を介護保険の給付から外す動きというのがこの間起こっております。要支援一、二に続いて、要介護一、二の人まで軽度者として保険給付から外すことを検討されております。この問題では、次の報酬改定で生活援助の人員基準の見直しということが、介護保険部会の意見書では盛り込まれております。これは、具体的にはどんな見直しをするんでしょうか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 生活援助サービスにつきましては、高齢者の自立を支援し、介護の重度化を防ぐという介護保険の理念を踏まえつつ、一方で、制度の持続可能性の確保や介護人材の確保が課題となっていることにも応える観点から、社会保障審議会の介護保険部会で議論をいただいてきたところでございます。

 それを踏まえまして、昨年末に改定された改革工程表におきまして、生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準の緩和及びそれに応じた報酬の設定について、具体的内容を検討し、平成三十年度の介護報酬改定で対応するという方針が示されているところでございます。

 ここにございますとおり、来年、平成三十年度の介護報酬改定については、今後、この社会保障審議会の介護給付費分科会で具体的に検討することになってございますので、その場でいろいろな形での検討をしてまいりたいというふうに思っております。

堀内(照)委員 これは、いわゆる生活援助のみを担う専門職を別に育成する、それで、そういう人相応の報酬に変えるということでしょうか。

蒲原政府参考人 これは、具体的な中身については、これからの検討ということでございます。

 ただ、改革工程表の中では、生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準の緩和及びそれに応じた報酬の設定について検討するという趣旨が書いてございますので、これを踏まえて中身をこれから具体的に検討していこう、こういうことでございます。

堀内(照)委員 私、大臣の所信質疑で、介護の総合事業について議論させていただきましたけれども、総合事業では、いわゆるこの基準緩和型サービスを、まさに短時間の研修を受けた無資格者が担う、無資格者だからということで報酬が引き下げられていると。今回は、生活援助のみを担う人材だからといって、同じような別の短時間の研修で養成をして安上がりに使うということになれば、私、総合事業の議論ときに指摘しましたが、安易な担い手はやはり育たないですし、むしろ処遇悪化につながっていく、利用者にとってはサービスが利用できないという事態になっていく、深刻な事態になるというふうに、総合事業の実施されているところではですね。そういう現場を見てまいりましたけれども、そういうことにならないのかと思うんですが、いかがですか。

蒲原政府参考人 まず、総合事業の場合と違いまして、こちらの場合は、現在、介護保険法上の個別の給付というふうに位置づけられておるものでございまして、そうした個別の給付の中でのいわばサービスのやり方について、先ほど来申しました改革工程表にあるとおり、人員基準の緩和及びそれに応じた報酬の設定をするということで、ちょっと総合事業とは、まず個別給付の体系であるというところが一つ違うと思います。

 さらに、その上で、冒頭申しましたとおり、これは介護保険の部会でも議論されたときに、生活援助サービスのいわば重要性というのをちゃんと踏まえた上で、一方で、制度の持続可能性の確保の観点、あるいは介護人材の確保の観点、これはいろいろな形で、多様な人材を確保するという観点もあろうかと思います。そうした観点から介護保険部会でも議論いただいたという経緯もございますので、そうしたことを踏まえながら、最終的に介護保険給付費分科会でいろいろ御議論していきたい、こういうふうに考えてございます。

堀内(照)委員 給付という仕組みが違うということなんでしょうけれども、しかし、報酬で差をつけるということになれば、単価が下がるということにもなっていくわけですから、これも郡さんが言われました、だらだら介護が続いているというのは、私も本当に驚いて読みました、あの介護保険部会での議論の議事録ですね。

 それで、大臣からは、先ほどの答弁では、生活援助については重要な役割を担っているんだということがありました。私も、尼崎で事業を開いている方なんかに現場でお話を伺いましたら、行けば、薬をちゃんと飲んでいるかとか、部屋の散らかりぐあいや食事の残しぐあいなどを見て、心身の状態や認知症の進行度などを把握して必要な機関につなげていくという、本当に大事な役割を果たしておられる。いわゆる家事代行なんかじゃ決してないんだということなんだと思うんです。

 大臣、この検討しようとしている人員基準の見直し、生活援助について、これをやりますと、私はやはり、そうした専門性を否定することになるし、サービスの質の低下や介護人材の処遇悪化につながるんじゃないか、つながらざるを得ないと思うんですけれども、いかがですか。

塩崎国務大臣 介護を受けられる方のいわゆるクオリティー・オブ・ライフ、QOLが下がるということは避けていかなきゃいけないというのは、常にそうだろうというふうに思っています。

 先ほど来申し上げている、自立を支援して介護の重度化を防ぐという理念のもとで、生活援助サービスがやはり適切なケアマネジメントのもとで提供されるということが大切なわけでありまして、一方で、制度の持続可能性の確保、それから、介護人材の確保が課題となっているわけでありますから、これらをどう両立させながら、最も大事な、介護を受けられる御本人の生活の質が下がらない、むしろ向上するというためにどういう支援ができるのかということを考えていくべきなんだろうというふうに思います。

 こういう考え方に立って、サービスの質に留意をしながら、改革工程表というのは、これはもう内閣としてやるということを言っているわけでありますから、今言ったようなことをしっかりと踏まえた上で、どういうふうに改革工程表で求めていることを実現もし、制度そのものがもたなくなるのでは困るわけでありますから、介護保険がしっかりと介護保険として持続可能になるように改善を図っていきたいというふうに思います。

堀内(照)委員 介護保険部会の報告の中で、まとめた意見の中でも、生活援助の人員基準を緩和すればサービスの質の低下が懸念されるとか、介護報酬引き下げにより介護人材の処遇が悪化し、人材確保がより困難になり、サービスの安定的な供給ができなくなる可能性があるとか、さまざまやはり指摘されているわけであります。

 今、大臣が、QOLが下がることがないようにと言われましたけれども、そうであるならば、やはりこういう基準緩和はやるべきじゃない、こう申し上げたいと思います。

 最後に、ちょっと法案から外れるんですけれども、麻疹、風疹ワクチン不足の問題についてお聞きしたいと思います。

 資料の四枚目に大阪保険医新聞を載せておきました。これは、製造元の出荷停止に加え、昨年は八月末に関西空港で集団感染がありまして、近畿圏で一気にワクチン不足になっているということであります。この大阪の保険医協会の皆さんが府内の自治体に直接アンケート調査をやりまして、一覧表にもありますように、非常におくれているということであります。

 実は、定期接種の期限はきょうまでなんです。あす、四月以降は任意接種になりまして、費用負担の面でも、それから、健康被害が出た際の補償でも大きな差が出てしまいます。

 それで伺いたいんですけれども、麻疹風疹混合ワクチンの定期接種の対象者がこの定期接種期間中に接種できない場合、今後も定期接種の対象にしていくような措置、もしくはそれに準じた国の対応、これを検討すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

福島政府参考人 お答えいたします。

 感染力が強い麻疹、風疹対策としては、感染の蔓延を防止するためにも、定期接種の接種率を高く維持することが非常に重要であると考えております。

 今御指摘がございましたように、昨年八月に麻疹の広域的な発生がございまして、任意接種での麻疹風疹混合ワクチンの使用量が増大するということが予測されましたために、私ども、九月以降、その麻疹風疹混合ワクチンの必要な供給量を確保して、地域におけるワクチンの偏在等を解消するために、都道府県等の自治体やワクチンメーカー、それから卸売販売業者などの協力を得ながら、前倒し出荷の要請や偏在等に関する情報の共有など必要な対応をとってまいりました。

 この接種率の動向でございますが、九月末日以降の状況、毎月の状況を今調査しておりますが、最もMRワクチンの偏在が懸念されました昨年十一月末時点での接種率は、直近、平成二十七年の同月末時点の数字とほぼ同じでございまして、今年度末には少なくとも平成二十七年度と同程度の接種率が見込まれるというふうに考えておりまして、定期接種を受けられる期間を延長する措置を講ずる状況にはなっていないと考えております。

 また、十二月末の状況を今私どもも把握をしておりますが、十二月も同じような傾向がございまして、これから一月末、二月末、三月末の数値が出てまいりますけれども、私どもとしては、先ほど申し上げましたような取り組みを必要に応じて実施して、ワクチンの安定供給ができるようにしてまいりたいと考えておるところでございます。

堀内(照)委員 その調査は全国の数字なんですよね。

 今言われましたけれども、大阪の保険医協会の皆さんがとられているのは一月末で、一番そういう意味では新しいんですよ、数字が。国の接種率目標は九五%以上なわけですよね。これは全く間に合っていない状況であります。

 それで、近畿二府四県の医師会も要望されていると思います。関西空港では、昨年九月に、従業員九百人に接種をさせましたし、兵庫県下でも、これは神戸新聞の報道ですが、例月数百件の接種なのに、昨年九月、十月は二千件を超えたというんですね。ですから、これは本当に足りないということになっているんだと思うんです。

 私も、直接いろいろ伺ったドクターからは、予防接種のポスターを張っていたけれども、もうワクチンがないから外しましたとか、予約の電話が来るけれども断らないといけないですとか、それから、一歳半健診でずらっと皆来るわけですけれども、母子手帳を見ると軒並み接種の記録がないということになっているわけなんですね。

 これは今いろいろ対応されているということですが、私も一月の事務連絡というのを読みましたけれども、これは都道府県と市町村には努力を求めているんですけれども、近畿丸ごと、ごそっとワクチンが足りないという状況になっていると、結局、各府県の努力だけではなかなか追っつかないんだと思うんです。だからこそ、これを国がしっかり対応することが必要だと思うんです。

 最後、ちょっと大臣、定期接種はきょうまでなんですけれども、状況をぜひ把握していただいて、今、全国平均の数字だけではなくて、個々の状況、関西では去年、関西空港での感染等々、特殊な事情がやはりあると思いますので、ぜひつかんでいただいて、国として対応を検討していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

塩崎国務大臣 これは私も、関西の自治体の長から、こういう問題が起きているという話はお聞きをしておりました。

 やはり公衆衛生の基本がワクチンでありますから、地域的にも、おっしゃるように、その供給にボトルネックがないようにしていくということに絶えず目配りをしていくということが我々にとっても大事な責任だというふうに思いますので、しっかり見てまいりたいというふうに思います。

堀内(照)委員 よろしくお願いします。ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 介護保険法等の一部改正案ということで、何回かに分けて質問時間をいただけると思います。きょうは第一回ということで、たくさん準備しておりますが、行けるところまで順番に行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。我が党は持ち時間が少ないですし、介護保険法、聞くことはいっぱいあると思いますので、しっかりこの法案に関連して質疑をさせていただきたいと思います。

 介護保険制度ができてから十七年がたちました。制度が始まった二〇〇〇年四月には二千百六十五万人であった六十五歳以上の被保険者は、昨年末時点で三千四百二十三万人に、要介護、要支援認定者は二百十八万人が六百三十・五万と、それぞれ一・五倍、三倍と、大きく増加をしております。

 これまでの十七年間の取り組みを振り返って、介護保険制度がどのような役割を果たして成果を得てきたのか、課題がどこに生じているのか、介護保険制度がなかったとすれば現在どのような社会になっていたのか、こういった政府の受けとめ方を伺いたいと思います。

蒲原政府参考人 平成十二年に介護保険制度が創設されましたけれども、現在、サービス利用者数で見ると、創設時の三倍以上ということで、高齢者の介護になくてはならないものとして定着、発展しているというふうに思っております。急速に高齢化が進む我が国において、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みとして重要な役割を果たしているというふうに認識をいたしております。

 今後、二〇二五年には団塊の世代が全員七十五歳以上になるなど、さらなる高齢化の進展が見込まれているわけでございますけれども、こうした状況下において、一つは、高齢者の方が住みなれた地域でその有する能力に応じて自立した日常生活を営むことができるように、引き続き支援をするということが大事だと思います。

 また、今回の法案にも関係しますが、要介護状態となることの予防、あるいは要介護状態の軽減または悪化の防止といった制度の理念を堅持いたしまして、質が高く、必要なサービスを提供していくことがより大事だと思います。

 これと同時に、財源と人材をより重点的、効率的に活用する仕組みというのもあわせて構築することが大事でありまして、そうしたことを通じて制度の持続可能性というのを確保していくこと、こうしたことが今後非常に重要であるというふうに認識をいたしております。

河野(正)委員 平成二十年代に入ってから、今回で四回目の制度改正になると思います。平成二十三年改正では、地域包括ケアの推進の理念が盛り込まれ、その三年後の二十六年改正においては、地域包括ケアシステム構築に向けた地域支援事業の充実などが進められてきました。そして、二年後の今国会では、地域包括ケアシステムの深化、推進と銘打った法律案が出されております。

 地域包括ケアシステムは、重い要介護状態になっても住みなれた地域で自分らしく暮らし、人生を全うすることができるように、今答弁もいただきましたが、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供される仕組みであり、八年後の二〇二五年をめどにした取り組みだと思います。

 これまでの六年で理念を示し、構築を進め、今回深化させるということのようですが、どのように評価をされているのか、改めて伺いたいと思います。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 地域包括ケアシステムにつきましては、委員お触れになりましたけれども、平成二十三年の介護保険法改正で、その考え方を国、地方公共団体の責務として規定をまずしたということでございます。

 その上で、平成二十六年には、地域包括ケアシステム、こういう用語を法律上規定するとともに、在宅医療・介護連携事業の推進など、幾つかの事業をきちっと法定いたしまして、住みなれた地域で生活を継続できるように、医療、介護、あるいは生活支援、介護予防といった面での充実を図ってきたということでございます。

 こういうことを受けまして、先ほど来申し上げましたとおり、高齢者の自立支援や重度化防止を図るため、全ての市町村で保険者機能をきちっと発揮してもらって取り組んでもらう仕組みを制度化するといったこと、あるいはこれまでの縦割りの福祉サービス、あるいはいろいろなサービスを丸ごとへ転換していって、高齢者、障害者、子供など全ての地域住民が抱えますさまざまな分野にわたる生活課題を解決するための包括的な支援体制の整備を進めること、こうしたことを今法案で盛り込んでいるところでございまして、御指摘がありましたとおり、地域包括ケアシステムを深化させていく、こういうことで今回取り組んでいるところでございます。

河野(正)委員 本改正案では、地域包括ケアに加えて、地域共生社会、我が事・丸ごとといった言葉が新たに登場いたしました。

 厚生労働省によれば、地域共生社会とは、制度、分野ごとの縦割りや支え手、受け手という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が我が事として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて丸ごとつながることで、住民一人一人の暮らしと生きがい、地域をともにつくっていく社会と定義づけられているということであります。このことは、これまでの地域包括ケアの理念とどういうふうに違っているのか。

 実際に介護現場の方からお話を伺いますと、言葉や理念は立派だけれども、言葉は躍るが実態は変わらない、しょせんは東京の中央省庁の役人の机上の議論ではないか、たびたび変わるので期待していないといった悲観的な言葉も聞かれるところであります。

 今回、こうした声に応えるものとなり得るのか。現場の方々は一部懐疑的なまなざしで議論を見ておられるようにも思いますが、厚生労働省としてそうした指摘にどう応えるのか、大臣の見解を伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 しょせんは霞が関で考えたことでは決してないのがこの地域共生社会でございまして、先ほども申し上げたとおり、富山の「このゆびとーまれ」という、これは惣万さんという看護師さんがやっていらっしゃるデイサービスがB型の施設にもなっていたり、重度の障害者がおられる、通っているというようなこともあって、知的障害の方が高齢者あるいは放課後の子供たちのお世話をしたり、重度の障害者のお世話をしているというようなこともあります。

 それから、北海道の当別町というところで、これは大原さんという方が中心にやっていらっしゃいますけれども、やはり同じように、認知症、発達障害、高齢者、あるいは子供さんたち、それも普通の放課後の子供たち、そういった方々がお互い助けたり助け合ったり、そういうことをやっています。

 もともと、地域包括ケアシステムは、高齢期におけるケアを念頭に論じられておりました。必要な支援を地域の中で包括的に提供して、地域での自立した生活を支援するという考え方は、障害者の地域生活への移行、あるいは困難を抱える地域の子供、子育て家庭に対する支援、さらには生活困窮者などの方々への包括的な支援、こういったことにも応用可能な考え方ではないかと。

 そのために、私どもは、地域包括ケアシステムを全ての住民のための仕組みとするとともに、その土台となる地域の力、つまり、町づくり力、助け合いの力、ネットワーク、こういったものを強化して、地域共生社会の実現を図っていこうじゃないかということで、行政が上からやってもやはりこれはなかなかうまくいくものではなくて、一億三千万、二千万の方々がそれぞれの地域でそれぞれの地域なりのやり方で助け合うという上に、いろいろな公的なサービスも組み合わさって乗っていくということで、公的サービスを少なくして、民間だけでやってもらおうなんという発想では決してない。両々相まってやれるようにしていくことが一番ベストな組み合わせになるんじゃないか、こう考えております。

 さっきどなたかの御答弁でも申し上げましたが、高齢の親と働いていない独身の五十代の子供が同居しているというのを八〇五〇と呼ぶそうでありますが、それから介護と育児に同時に直面するダブルケアの世帯、そういった方々など、一つの世帯が複数の課題を抱え込んで、既存の縦割りの制度では効果的な、適切な解決策を講ずることができない、難しい。あるいは、ごみ屋敷という言葉が先ほど来も何度か出ていますけれども、いわゆる既存の制度のはざまにあって、ごみ屋敷の人の対策はどうするんだ、どういうお手伝いができて、どういうケアをできるんだというと、特にそれを正面から取り上げている制度はないということでもございます。

 今回、社会福祉法の改正は、こういう現場のニーズが全国で起きている、それをしっかり酌み取って、地域共生社会の実現に向けた取り組みを推進するということで、世帯全体の多様で複合的な課題の発生予防、把握、そして解決、これを住民、そして福祉関係者と行政が協働して行うための我が事・丸ごとの包括的支援体制の整備を行うものであるわけでございますので、福祉現場の後押しとなると私たちは考えており、押しつけというふうに受け取られているとするならば、私たちはもう少し汗をかいて説明に相努めるということが大事なんだなというふうに思います。

河野(正)委員 今、富山とか北海道のこともおっしゃいましたけれども、また私の地元のことも交えて質問をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、一点、ごみ屋敷の対策は、実は環境委員会の理事をしているときに小沢鋭仁先生と一緒に議員立法で、超党派で出させていただいたんですが、残念ながら、その後、解散になったりで廃案になっておりますので、またチャレンジしたいというふうに思っているところでございます。

 地域共生社会の実現に向けて、本改正案では、市町村に対し、地域福祉活動に住民の参加を促すための環境整備や、住民に身近な圏域で、分野を超えて地域生活課題に総合的に相談に応じ、関係機関と連絡調整などを行う体制づくりなどに努めることとされております。

 まず、こうした改正が必要な背景について確認をしたいと思います。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣からも御紹介申し上げましたけれども、地域社会では、いわゆるダブルケアや八〇五〇問題、あるいはみずからなかなか相談窓口に行くということが困難な方、あるいは地域の中で孤立しておられる方などさまざまな方がいらっしゃいます。また、委員から御紹介のありましたごみ屋敷など、既存の制度のはざまにありまして、既存の制度ではなかなか解決が難しいという課題、特に福祉分野では高齢、障害、児童など各分野ごとの制度になっておりますが、こうした縦割りの制度ではなかなか解決が困難であるという課題を抱える方などが多く出てきているということがございます。

 こうした背景を踏まえまして、今回の改正においては、こうしたニーズをしっかり酌み取って、確実に支援につなげようとしていくものでございます。すなわち、先ほど申し上げたようなさまざまな生活課題を、住民と行政などが協働して、公的な体制による支援と相まって解決していくことができるように、市町村においてこれを包括的に支援する体制を整備する、このために必要なものだと考えております。

河野(正)委員 次に、地域住民が福祉活動へ参加することを促進するための環境整備とは具体的にどのようなものかを確認したいと思います。

定塚政府参考人 御質問の地域福祉活動への住民参加を促す環境整備でございますけれども、地域住民が自分の暮らす地域の課題について、人ごとではなくて我が事として捉えられるようになるような環境整備ということでございます。

 具体的には、例えば、住民が気軽に立ち寄ることができるような居場所、例えば子育てサロンであるとかコミュニティーカフェといったようなところが見られますけれども、こういうところを設けていく。あるいは、住民と専門職の方が地域で地域課題を話し合っていくというような場を設ける、機会を設けるということ。また、参加しやすいイベント、例えば災害ボランティア報告会などを企画したり、住民を対象にした福祉に関する学習会を企画したりといったことなどが想定されるところでございます。

 これ以外にも、各自治体でさまざまな創意工夫をこれまでもされているところだと思いますし、これからもさまざまな取り組みを行っていただきたいと考えております。

河野(正)委員 市町村に対しては、包括的な支援体制づくりに努める旨の規定が置かれます。現場からは、既にそうした支援体制があるのに今さらかという声もある一方、そうした取り組みが進んでいないという自治体もあるかと思います。

 なぜあえて規定を置くこととしたのか、問題意識を確認したいと思います。

定塚政府参考人 我が国では、人口減少に伴いまして地域の力が大変脆弱化している。こうした中で、やはり、地域で、地域づくりとともに、丸ごとの課題への包括的な支援体制の整備をきちんと行う、早急に行うということが急務だと言われているところでございます。

 先生御指摘のように、市町村によって、これまでもこういった取り組みのために体制整備をしっかり図っているという自治体もあれば、全く手つかずというところもあるわけでございまして、今回の包括的な支援体制の整備におきましては、新しく、法律上、市町村の努力義務として明記をするということによりまして、既に体制を整備している自治体だけではなくて、これから整備しようという自治体に気づいていただいて、底上げ、後押しとなるようにというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 こうした取り組みの狙いとしましては、介護や、障害者、就労など多様な背景を持ち、問題を抱えた住民に対して制度横断的に支えていこうということかと思います。その思いは理解できますが、現に今行政の窓口を利用する立場から、現在の制度こそ見直してほしいという声も伺っております。

 例えば、障害児を抱える親御さんは、身体障害者手帳の認定に向けた手続、自立支援給付や障害者医療の手続、障害福祉手当、児童扶養手当などの手続、療育や教育機関向けの手続と、役所の窓口を何カ所も訪ね歩かなければならない、それぞれの手続のためにさまざまな必要書類を作成し、また医師には診断書や意見書を依頼し、そろえていかなければならないといった声を伺っております。

 手続に追われる日々が続き、それを的確にこなしていく作業は決して楽なものではない。仕事と両立させることも簡単ではないし、共働きや一人親世帯、あるいは御自身も病気を抱えている場合、あるいは求職活動中であったりすると、なおさら厳しい問題である。支援が必要な人々を、制度の複雑さゆえに遠ざけてしまうという結果も見られるということであります。

 制度それぞれが独自の経緯で設けられ、違う目的を持って運用されている中、利用者にとって複雑で使いにくいものになってしまっているのではないでしょうか。包括的な支援体制というのであれば、国が持つ制度をしっかりと整理しておくこと、あるいは、手続のワンストップ化など、利用者と自治体窓口、それぞれの事務負担を軽くすることが重要でないかと思いますが、政府の見解を伺いたいと思います。

堀内大臣政務官 河野先生がただいまおっしゃったような、いわゆる複合化して複雑な課題をお一人の方が抱え込んでいる、そういった方が、どのような制度を使うことができるのかを御自身で調べるのは大きな負担であり、今回の包括的な支援体制づくりでは、まずは、そのような方がどこかいずれかの相談機関にかかわれば、ほかにもどこに相談すればさまざまな課題を解決できるのかが確実にわかるような仕組みにしたいと考えております。

 その上で、御指摘のようなワンストップで利用申請等ができるようにすることにつきましては、今後の課題であると考えておりますが、自治体によっては、そのような体制を設けようとしているところもあると認識しております。今回の包括的な支援体制づくりの取り組みを契機として、利用者サービスを向上しつつ、行政事務の見直しに踏み込んで対応する自治体もあればよいと考えております。

 さらに、厚生労働省として本年二月にお示しした「当面の改革工程」では、市町村における福祉関係部局の横断的、包括的体制のあり方について検討することとしており、今後三年を目途に、引き続き検討してまいりたいと存じます。

河野(正)委員 地域包括ケアシステムでは、自助、互助、共助、公助をつなぎ合わせるような役割が重要であり、とりわけ都市部では意識的に互助の強化を行わなければ強い互助を期待できないと指摘されております。

 ここで言う互助が地域共生社会実現にも不可欠との認識かどうか、なぜとりわけ互助に注目しているのか、問題意識を伺いたいと思います。

定塚政府参考人 委員から御指摘いただきましたとおり、地域共生社会の実現のためには、住民主体の取り組みと公的な体制による支援、両方が相まって安心して暮らせる地域を実現するということ、これが大変大切なことであると考えております。

 特に都市部では、地域の人間関係が希薄化している。例えば、オートロックのマンションの住民に対して、地域の民生委員さんからなかなか働きかけが難しいなどの声もお聞きしているところでございます。

 こうした中、公的な支援だけでは、みずから相談に行くのが困難な方やさまざまな地域の課題を持っている方を発見して、確実に支援につなぐということが難しいわけでございます。

 こうした方々を支援につなぐためには、地域の住民主体の取り組みとして、声を上げることができない方に気がついたときに地域の支援機関にしっかりつないでいただく、あるいは、ひとり暮らしの地域の高齢者などの方に対して、見守りや声かけによって孤立の解消を図るように努めていただく、あるいは、地域住民の居場所を設けることによって地域の顔が見える関係というのをつくり直していくなど、身近に暮らしていらっしゃる住民の方々だからこそできる取り組み、こうした住民相互の支え合いを進めていくということが重要であると考えた次第でございます。

河野(正)委員 地域での互助は、費用負担が制度的に保障されていないボランティアなどの支援、住民の取り組みと示されております。これは例えば民生委員、児童委員といった方々が負ってきた役割とも重なるように思われるところです。

 ただ、こうした委員の方のなり手がいないという問題が指摘されております。また、地元では、老人会が組織できなくなってきたという話も伺っております。参加するとお年寄りの介護も手伝わされるので入らないといった声も広がっていると聞きます。こうした動きは必ずしも都市部だけで見られるわけではなくて、都市近郊にも広がっていて、既に少なくない地域で互助が崩れかけているのではないかというふうにも思われます。この点について、政府の受けとめを伺いたいと思います。

堀内大臣政務官 私も、地元などで話を聞くと、河野先生のおっしゃること、本当に同じような感じを持っております。自治体の話などを聞きますと、都市部だけではなくさまざまな地域で、地域における支え合いが弱まっていると感じているところでもございます。

 厚生労働省の委託調査である高齢社会に関する意識調査によると、地域で困っている人を助けようと思うと回答した方の割合は約七割いらっしゃる一方、地域で困っている人を助けようと思わないと回答した人たちの理由の中では、ふだんつき合う機会がないからという方が最も多いという結果になっております。

 住民参加の機会づくりや住民の交流拠点づくりなどの取り組みを行う中で、住民のこうした思いが表にあらわれ、住民自身の生活の張りを生んだり、生きがいをもたらすなどの効果も期待できると考えております。

河野(正)委員 互助の問題は、なかなか難しい時代なのかなというふうに思います。

 地元の方々にお話を伺うと、住民に参加してもらうことの大変さ、難しさを語っておられました。例えば、社会福祉協議会の職員が、日々の業務の合間を縫って地区の住民の会合に出向き、自主的な支援の取り組みの必要性や重要性を説明し、住民自身が立ち上がろうとする動きをサポートしていく、成功すればとてもやりがいのあるものであるけれども、さまざまな住民意識がある中で、まとまることは大変難しい、そういう実際の難しさは、先ほど大臣も答弁いただきました、中央省庁の皆さんは本当にわかっているのかといった声も伺ったところであります。

 また、そうした地域での自主的な活動の全てを無償のボランティアが担うような形は、住民にとっても負担が重いということであります。全てがボランティア、無償奉仕というのではなくて、多少なりとも金銭的な見返りがあってこそ、支援を受ける側と担い手が互いに気持ちよくやりとりができるということかもしれません。

 地域共生社会の議論を見てみますと、ともすると、介護保険などの公的な制度、つまり共助、公助による負担を減らしたいために費用負担の低い互助を促そうとしているようにも見えかねない、そういった御意見もございます。

 ボランティアというと無償が前提と思いがちですが、むしろお金を多少媒介させた方が住民自身の取り組みを進めやすいということもあるかと思いますが、政府の見解を伺いたいと思います。

定塚政府参考人 地域共生社会づくりを目指していく上で、住民参加ということは大変重要なわけでございますが、同時に、先生からも御指摘をいただいたように、簡単ではないということでございます。

 今回の法案では、先ほど御説明したとおり、住民参加を促す環境整備ということを規定しておりますが、これを法律で規定するだけではなくて、うまくいっている自治体の好事例などもしっかり横展開をしながら、この難しい課題をぜひ地域で解決して、住民参加を進めていくということを促してまいりたいと考えております。

 また、ボランティアでございますけれども、地域づくりのためには、一人でも多くの住民に地域活動に参加をしていただけるように働きかけるということが重要だと考えております。

 このために、二十九年度予算におきましても、二十億円を計上いたしまして、地域づくりを支援していくモデル事業を展開する予定でございまして、この中で、地域住民に対する、地域課題に関する学習会やボランティア体験、交流の場といった創意工夫あるきっかけづくりの取り組みについても支援をしてまいりたいと考えております。

 こうした中で、地域活動への参加方法はいろいろ、多様なものを地域で準備していただくということがむしろ望ましいと考えておりまして、例えば、公的サービスでは補い切れない、買い物や掃除、話し相手などを地域で有償で行うボランティアなども、現在でも存在しているところでございます。

 無償の形あるいは有償のボランティアの形など、さまざまな地域における住民同士の活動というものを目指して、やりがいを感じながら参加をしていただく、こうしたことが有意義であると考えております。

河野(正)委員 ここから、実際に私の地元でいただいた御意見というか御相談を紹介しながら、伺いたいと思います。

 福岡県の福津市というところに若木台という地区がございます。JR鹿児島本線の東福間駅の南側に広がる住宅街で、地域内を国道三号線が通る、人口四千五百人ほど、二千世帯弱が暮らす地域であります。地域住民による高齢者支援のために、この地に、若木台三区サポートの会というのが発足いたしました。具体的な支援内容としては、ごみ出し、家事、大工仕事の手伝い、買い物に同行したり、買い物の代行をしたりということを行っておられます。

 こうした支援活動に当たって、地域内にある介護事業者のデイサービスちからいっぱいというところが、ボランティアとして送迎などに加わっていただける予定だったそうです。ところが、地元の福津市に相談しましたところ、介護事業時間内にボランティア活動をするのは問題があるので控えた方がよい、日曜も含めてかかわらない方がよいといった、御相談があったそうです。そこで、この若木台では、地域のボランティアの方の車両に保険などを掛けて、一回の利用ごとに会費をいただく形でスタートすることになったということであります。

 地域共生社会を進める、互助が大切、地域でみんなが支え合う仕組みをつくろうというのに、こういった状況に直面してしまうということで、なかなか厳しいなというふうに思います。

 この若木台の取り組みは、地域で暮らす住民の方がその地の事業者とも協力して高齢者をサポートする活動を立ち上げた、まさに互助であり、支え合いによる地域包括ケアを体現する意義深い活動だと思います。しかし、実際支援を始めようとすると、今申し述べましたようにさまざまな制約が立ちはだかってきます。

 まず、確認でございますが、デイサービスをする介護事業者には、こうしたボランティア活動に携わろうとする場合、どのような制約があるんでしょうか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 デイサービスの事業所が地域のボランティア活動を行う場合でございますけれども、まずは当該サービスの提供が大事なので、それに支障のない範囲で行うことが必要であるというふうに認識しております。

 このため、例えば、人員や設備の基準を遵守した上で、なお余力がある場合に、サービスの提供に支障がない範囲で、職員の方が地域のボランティア活動などほかの仕事に従事すること、あるいは、車両をごみ出しや買い物支援などのボランティアに活用することは可能であるというふうに考えてございます。

河野(正)委員 今御答弁いただきましたが、御承知のように、医療や介護というのは施設基準であるとか人員配置基準というのがありますので、仮に手があいているという方がいても、本来業務の人員が本当に足りているんだろうかとか疑念が生じたり、場合によっては報酬を返還しなさいという命令が来てしまうこともある、こういったことから、さわらぬ神にたたりなしといったような状況になってしまっているのかなというふうに思います。

 その辺は、もうちょっと柔軟な対応をさせていただけるということでよろしいんでしょうか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣を本部長といたします「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部の「当面の改革工程」におきまして、地域課題の解決力の強化のために、以下のようなことが書かれております。

 福祉事業者が積極的に地域活動に貢献できるよう、今年度中に、福祉事業の実施に係る職員の基準について、一定の要件のもとで、職員が地域づくり事業あるいは活動へ従事可能であることを明確化するなどの見直しを行う、こういうことが工程の中に書かれているところでございます。

 これを受けまして、先ほど一応解釈は申し上げましたけれども、デイサービス等の職員が地域活動を行う場合の取り扱いについて明確化するための通知を出したところでございまして、厚生労働省といたしましては、こうした取り組みを通じて、デイサービスの事業所あるいはその職員の方が、あるいはそこの持っている車両などが積極的に地域活動に貢献できるように支援をしてまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 よろしくお願いいたします。やはり、そういったデイサービスとかで使っている車だと、お年寄りの方が乗りやすい形になっていたりとかすると思いますので、地域住民の方が自分の車を使ってやるというよりはいい場合もあると思いますので、ぜひそういったことはお考えいただきたいと思います。

 時間もありませんので、最後に大臣に伺いたいと思います。

 地域共生社会の実現のためには、介護事業者も地域に根差した活動にも積極的にかかわっていくということが望ましいはずであります。今回の今お話しした例は、地域住民がいざ動き出そうとしたときに直面した問題でありましたが、全国各地の方々が、多かれ少なかれ、こうした問題と向き合いながらも地道に取り組んでおられるのが現状かと思います。国として、理念を打ち出すだけではなくて、それを実現する仕組み、財政面も含めた支援、体制整備が求められるというふうに思います。

 こういったことから、地域の創意工夫を推し進めていくようなことを考えていただきたいと思いますが、大臣の見解を最後に伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほど、介護事業者が公的な保険サービスに携わっていながら地域の活動がなかなかしづらいというお話がありましたけれども、人員や設備の最低基準を守る必要があるがために、本来のサービスの提供に支障がない範囲内で、積極的に地域活動に貢献できるようにするということは先ほど局長からも答弁申し上げたとおりで、そこのところをきちっと担保できるように制度化をすることが大事なのかなというふうに思っています。

 二月七日に、地域共生社会の実現に向けた「当面の改革工程」を取りまとめました。この改革工程に従って、本日、介護職員等が一定の要件のもとで地域づくり事業あるいは活動へ従事可能であることを明確化する通知を発出させていただきました。

 今後とも、この「当面の改革工程」を踏まえて、二〇二〇年代初頭の地域共生社会の全面展開を目指して、地域のニーズを踏まえながら、改革を着実に進めていきたいと思っています。

 いずれにしても、上から行政が押しつける助け合いのネットワークや仕組みではうまくいかない、やはりそれぞれの地域がテーラーメードで自分たちのオリジナルな助け合いの仕組みをつくることで、行政の公的なサービスと相まって地域が暮らしやすくなる、こういうことじゃないかというふうに考えております。

河野(正)委員 時間が参りましたので、これできょうは終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.