衆議院

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第10号 平成30年4月18日(水曜日)

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平成三十年四月十八日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 橋本  岳君 理事 堀内 詔子君

   理事 渡辺 孝一君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井野 俊郎君    小田原 潔君

      大岡 敏孝君    大西 宏幸君

      加藤 寛治君    門  博文君

      金子万寿夫君    菅家 一郎君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      国光あやの君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    後藤田正純君

      佐藤 明男君    塩崎 恭久君

      繁本  護君    白須賀貴樹君

      田畑 裕明君    高橋ひなこ君

      津島  淳君    長尾  敬君

      福山  守君    船橋 利実君

      本田 太郎君    三浦  靖君

      三ッ林裕巳君    宮路 拓馬君

      山田 美樹君    伊佐 進一君

      中野 洋昌君    浦野 靖人君

    …………………………………

   議員           池田 真紀君

   議員           初鹿 明博君

   議員           山井 和則君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      高木美智代君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           定塚由美子君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     足立 康史君

同月十八日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     金子万寿夫君

  木村 弥生君     大西 宏幸君

  国光あやの君     本田 太郎君

  小泉進次郎君     三浦  靖君

  小林 鷹之君     門  博文君

  三ッ林裕巳君     津島  淳君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     宮路 拓馬君

  門  博文君     小林 鷹之君

  金子万寿夫君     穴見 陽一君

  津島  淳君     加藤 寛治君

  本田 太郎君     国光あやの君

  三浦  靖君     小田原 潔君

  浦野 靖人君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     小泉進次郎君

  加藤 寛治君     菅家 一郎君

  宮路 拓馬君     木村 弥生君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     福山  守君

同日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     三ッ林裕巳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

 生活保護法等の一部を改正する法律案(池田真紀君外九名提出、衆法第九号)


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 理事をして再度御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請させましたが、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案及び池田真紀君外九名提出、生活保護法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省子ども家庭局長吉田学君、社会・援護局長定塚由美子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。浦野靖人君。

浦野委員 おはようございます。日本維新の会の浦野靖人です。本日は、よろしくお願いいたします。

 きょうも、法案提出者として山井さんに来ていただいています。外で記者が、野党が欠席する中、山井さんだけが来ているので、何があるんですか、何があるんですかといってざわざわしていましたけれども、答弁だけちゃんとしていただけるということで、ありがとうございます。

 この間の質問のときに、山井さんの方に、我が党に法案の説明に来ていただいていないので、しっかりと来てください、足立康史委員に言ってくださいということでお願いをいたしましたら、月曜日に早速説明に行っていただいたということで、ありがとうございました。

 足立さんも山井さんと、何か聞くところによると、非常にフレンドリーに話をされたということで、法案の内容についても、足立さんのフェイスブックにもありましたけれども、我が党としても前向きに検討すべき項目があるんじゃないかということで、我が党としては、しっかりとその辺も含めて俎上にのせていこうということで、足立さんと今お話をさせていただいております。

 まずは、きょう、こういった形の委員会ですけれども、しっかりと対応していただいたお礼ということで、ありがとうございました。

 この法案について、この法案についてだけです、そのほかのことは発言せぬようにしていただいて、受けとめをお願いしたいと思います。

山井議員 浦野委員、御質問ありがとうございます。

 先日、浦野委員から御指摘をいただきまして、昨日、足立委員のところに御説明に行かせていただきました。御説明にお伺いするのが遅くなったことをおわびしながら説明をさせていただきました。

 足立委員の反応は、全てではないけれども、私たちの子供生活底上げ法案について、よい面もある、賛同できる部分もあるということをおっしゃっておられました。

 子供の貧困対策には与野党ありませんから、ぜひとも維新の会にもこの法案に賛成をしていただきたいですし、維新の会のみならず与党の方々にも賛成いただいて、もちろん、この法案、一〇〇%賛成でないかもしれませんけれども、賛成できる部分が多々あれば、多くあれば賛成していただいて、成立をさせていただければと思っております。そうすれば、本当に貧困家庭の子供たち、またその御家族の皆さんも大喜びをされると思いますので、私からも改めて切にお願い申し上げます。

浦野委員 これは、自民党さんとか公明党さんに説明に行っているんですか。

山井議員 いや、説明には行っておりません。

浦野委員 それは各党で対応されることだと思うので、もう言いませんけれども、しっかりとした議論をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 僕の質問は、もう山井さんはこれで、ありがとうございました。

 それでは、閣法について、きょうは、一つ目、高齢者世帯の対策について質問したいと思います。

 本会議の我が党の井上議員の質問でも触れていましたけれども、高齢者の割合が非常に高くなってきている、そして、これが更にふえていくということはもうわかっております。答弁をいただいた中には、今の、今ある制度をしっかりと運用して、そういうことに対応していくんだということを答弁されていたと思います。

 我が党としては、それだけではもう限界が来ているんじゃないか、新しい制度、高齢者の生活保護の皆さんに対する制度というものをしっかりとつくらないといけないんじゃないかという立場で質問をさせていただいております。

 そういった議論というのは、政府内で、あるのかどうかを確認をしたいと思います。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢者の方々、特に、低所得や低年金などで厳しい生活をしておられる方にどのような支援をするかということにつきましては、政府といたしましては、生活保護制度に加えまして、社会保障と税の一体改革の中での年金受給資格期間の二十五年から十年への短縮、あるいは医療、介護の保険料負担、既に実施したものに加えまして、今後、年最大六万円の年金生活者支援給付金の創設、介護保険料のさらなる負担軽減など、社会保障のいろいろな制度全体で支援をしていくべきだという立場に立っておりまして、このような方策で支援をしていくということ以外に、生活保護にかわるような新しい高齢者単独の生活保護類似の制度ということについては、今のところ議論していないところでございます。

浦野委員 これからますますふえていきますので、今の、今ある制度でどこまで対応がしていけるのか。そして、実際に対応できていない部分、漏れている部分というのが少なからず出始めているという話も、我々、大阪は特に生活保護世帯の多い地域なんかもありますので、そういったところからは、やはり何かやってもらえないかということもありますので、ぜひこれから、まだ検討したことがないということですけれども、そこら辺の部分もしっかりと検討していっていただけたらと思います。

 続いて、生活保護における外国人の方々の扱いについての質問をしていきたいと思います。

 これにかかわる最高裁判決が出ておりますけれども、その判決の概要を、まず政府の方からしっかりと言っていただきたいと思います。

定塚政府参考人 最高裁判決についての御質問でございます。

 御指摘の判決は、平成二十六年七月の最高裁判決でございますが、こちらは、永住者の在留資格を有する外国人の方が、生活保護の申請却下処分の取消しと保護開始決定の義務づけなどを求めて提起した訴訟の上告審というものであると承知をしております。

 この最高裁判決におきましては、現行の生活保護法第一条、第二条は、法の適用対象を国民と定めており、外国人は適用対象には含まれないこと、また、昭和二十九年の通知に基づく行政措置として、一定範囲の外国人に対して生活保護を事実上実施してきているわけでございますけれども、そうだとしても、立法措置を経ることなく、生活保護法が一定範囲の外国人に適用されるものではないことなどが示されているところでございます。

 すなわち、昭和二十九年の通知に基づきまして、行政の中で外国人に対して保護を行っているということを前提とした上で、外国人は生活保護法、法律の適用は除外されているということを示したものであると受けとめております。

浦野委員 要は、そのときの判決の内容は、直ちに外国人の方々の生活保護はだめなんだという判決ではなかったということでよろしいですか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 この判決は、現行の行政措置、通知で外国人の保護を認めているわけでございますけれども、一定の外国人について認めているわけでございますけれども、この点について直接判断をしたものではございませんで、あくまでも生活保護法、法律の適用除外ということで、生活保護法に基づいた請求というものはできないということを判示したものでございます。

 したがいまして、現行の通知による外国人の保護についての取扱いを否定したものではないと考えております。

浦野委員 よく、これはどこまでが本当のことなのかというのはありますけれども、特定の外国人の皆さんが生活保護で優遇されているという都市伝説的な話がやはり聞こえたりするんですよね。大阪はそういう方々が割とたくさんいらっしゃる地域ですので、そういったことを言う世代の方々も、いまだにたくさんいらっしゃいます。私たちの同世代では、僕の友人とかでも、そこまで言う人間はほとんど見たことがありませんけれども、やはり上の世代の年配の方々なんかは、そういうふうなことが行われているんじゃないか、優遇されているんじゃないかというようなことをおっしゃる方も中にはいらっしゃいます。

 その昭和二十九年の行政措置がずっと続いているということなんですけれども、そもそもこれ、措置がされた理由、続けている理由というのは何でしょうか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 昭和二十九年に発出した通知におきまして、日本人と同様に、日本国内で制限なく活動できる在留資格を有し、適法に日本に滞在する外国人の方、こうした方について、行政措置として、一般国民に対する生活保護の取扱いに準じて、必要と認める保護を行うということとしているわけでございます。

 具体的には、対象としては、出入国管理及び難民認定法別表第二の永住者、定住者、永住者の配偶者等、日本人の配偶者等の在留資格を有する方及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の特別永住者、在日韓国人や在日朝鮮人、在日台湾人の方々でございます。並びに、出入国管理及び難民認定法上の認定難民等の方が、こうした取扱いの対象となっております。

 このような取扱いをした経緯、理由でございますけれども、昭和二十五年に、旧来の生活保護法にかえて現在の生活保護法が制定された際に、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基づいて、生活保護法に基づいて受給権を有する者は日本国民と限定をしたところでございます。

 そうしたことから、それまで旧生活保護法に基づいて生活保護を受給していた外国人が適用対象ではなくなったものの、当時、現に生活保護を受けている外国人が少なからずいらっしゃったということ、また、昭和二十七年のいわゆるサンフランシスコ平和条約の発効に伴いまして、在日韓国・朝鮮人等は日本国籍を離脱することになりましたが、当時生活保護を受けていた方に対して直ちに保護を廃止することは人道上問題があったことなどを踏まえて、この昭和二十九年の通知の措置が講じられたところでございます。

 その後、昭和五十七年には難民の地位に関する条約が発効いたしまして、この条約において、難民に対する公的扶助は、自国民に与える待遇と同一の待遇を与えることが締約国の責務とされているところでございまして、難民に対する保護の措置、この昭和二十九年通知により行われることとされて、今日に至っているものでございます。

 このような経緯でございまして、現在も、外国人に対しての保護については、人道上の観点から、行政措置として行っているものでございます。

浦野委員 やはり戦後の日本における状況とかで、今の生活保護のそういう対象に行政措置をしているということだと思うんですけれども、生活保護法で日本国民のみを対象としているというふうになっているのもあって、こういったことに批判的な方々は、だからこそ、外国人の皆さん、永住をされている方々、生活保護の対象になるのはおかしいという議論がやはりあります。

 私も、この根拠法がないということが一つ大きな原因になってしまっているんじゃないかなと。行政措置でそのままずっといくというふうに国は思っているんでしょうけれども、私は、やはりここは根拠法をしっかりとつくった方がいいんじゃないかというふうに思っているんですけれども、そういった議論というのは今まで国では行われてきたんでしょうか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、外国人に対しての保護、現在、通達、通知で行っているわけでございますけれども、法律で根拠規定を設けて行うべきではないかという指摘、特に国会審議で何回か指摘を受けているところでございます。

 しかしながら、生活保護法は、御承知のとおり、憲法二十五条の理念に基づいて、この二十五条、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」ということで、日本国民を対象としておりまして、一方で、現在行っております外国人に対する保護については、こうした生存権保障の責任は、第一義的にはその方が属する国が負うべきであるという考え方に立っております。

 しかしながら、人道上の観点から行政上の措置として行っているというものでございまして、これを法律に位置づけるということは、さまざまな慎重な議論が必要なものであると考えております。

 現段階において、政府部内で法律をつくるという検討、議論をしているという状況にはございません。

浦野委員 これはなかなか難しい問題だとは思います。

 一方で、やはり不当な思い込みでそういった方々を批判をされる方もたくさん存在するということも事実なので、私は、そこら辺のところ、なぜそういう措置が行われているかというのは、本来はしっかりと説明を聞いていれば、それはそういう措置がとられてしかるべきだという部分も理解できますし、これはやはり日本国民が、日本という国は非常にすばらしい国だともちろん思っています。そういった人、たとえ日本人、日本国民でなかったとしても、そういう困った人を見て見ぬふりをする、助けないというのは、やはりそれはどうかと思いますので、それはしっかりと対応していっていただけたらと思います。

 ただ、やはり、先日の法案審議でも言いましたけれども、これは納税者の皆さんが、自分たちが納めた税金の中から原資として出していただいているものですから、そこはやはり、まあ、受ける方々の権利はもちろん大事ですけれども、それを出している、要は納税は国民の義務ですから、その義務を果たしている皆さんからのいろいろな指摘もしっかりと聞いて、法案というか、生活困窮者の皆さんのどこまでの範囲を国で見ていくのかというのは議論しないと、その目線をやはり忘れてはいけないと思っております。

 よく権利と義務の話がありますけれども、やはり我々は義務を果たして初めて権利を主張できると私も思っていますので、当然、果たしたくても、さまざまな理由でその義務を果たせなくなるということもありますので、そういった人たちは、この日本のすばらしい制度でやはりしっかりと見ていく。

 きのう、実は、中学時代の友人が、今アメリカにいてるんですけれども、仕事の関係で一時帰国をして、久しぶりに御飯を食べたんですけれども、アメリカなんかはやはりそういったところは結構シビアですよね。医療に関しても、入っている保険が違えば、どの病院には使えないとか、そういったいろいろなことが、保険に入れているという時点でアメリカではいい方ですよね、保険に入れればいい方です。もちろん、保険に入れていない人もたくさんいてて、そういう人たちは非常に苦しい生活をアメリカでは送っています。

 その友人も言うには、やはり日本は何だかんだ言ってもすごくいい国や、病院に行って、逐一、この部分に関してはこの専門医がいてますのでこの人から聞いてください、この部分はこの専門医がいてるのでこの人から聞いてくださいと、もう平気で何時間も拘束されて、たらい回しになる、それが当たり前。要は、アメリカですので、後の訴訟リスクをちゃんと抑えるために、全ての部分において責任者をちゃんと置いて、その人たちが説明をしましたよということをちゃんとやっているんですね。だから、すごく時間がかかると。子供さんがけがをされたときに、ちゃんと保険がきくという確認をして連れていった病院だったのに、病院の都合で、それがオンラインで確認がどうもできなかった、できなかったからということで、ほかの病院に行ってくださいと言われて断られたと。

 そんな病院、まず日本やったらあり得へんやろ、日本やったら、行ったら必ずちゃんと診てくれるし、どういった形でも対応してくれるんだ、それは本当にすばらしい国なんだということもやはり言っていました。

 医療と生活困窮の話はちょっと違うかもしれませんけれども、でも、根底にはやはり日本らしさというのがあると思うんですね。私は、そういう制度、制度というか、そういう国の雰囲気は大事にしていただきたいですし、この法案、これから野党の皆さんがいない中で審議されますけれども、私も野党ですけれども、ついつい自分が野党というのを忘れてまうんですけれども、野党も参加した中で議論をされていますけれども、しっかりとこの法案が、落ちついた静かな環境で審議ができるように私もしていきたい、重要な法案ですので、していきたいと思っています。

 大臣……(発言する者あり)そうですね、めちゃくちゃ静かですね。いつも、ここで質問してはるときの山井さんはめちゃくちゃうるさいですよね。とうとう高橋先生までが、うるさいから席を移りたいと実は言い出しているんですよね。ここなので、うるさいから席を下げてほしいということを言うんですね。山井さん、いてはるやん。山井さん、ほかの人が質問しているときに、やじがうるさいんですよ。僕らも近くやから、やじがうるさくて質問者の声が聞こえなかったりするときがあるので、山井さん、静かにしてくださいね、今度から。うんとうなずいていますけれども、絶対やりませんよね。絶対だまりませんよね。それは各党いろいろありますから、それはもうここまでにしておきますけれども。

 大臣、先ほど、外国人の部分ですけれども、いろいろな難しい議論はありますけれども、大臣、どういうふうにお考えというか、受けとめていらっしゃるか。

加藤国務大臣 委員から、特に外国人については、生活保護法という制度ではなくて、通知に基づいて対応しているということ、これについて御指摘がありました。

 それについては、局長の方からも、この間の経緯、考え方を申し上げさせていただいたところでありますけれども、やはり今、生存権保障の責任は、第一義的にはその者の属する国家が負うべきであるという考え方に立ちつつも、これまでの経緯等もあり、人道上の観点から保護を行っている、したがって行政措置にとどまっている、これが現行の取扱いでありますけれども、当時、昭和二十九年以降でありますけれども、この状況には、私は、その判断を変えなきゃいけないというほどの大きな変化はないのではないかというふうに考えております。

 ただ、委員御指摘のように、やはりこうした制度そのもの、これは生活保護に限るわけではありませんけれども、基本的に国民の税金、あるいは場合によっては保険料、あるいはさまざまな形で成り立っているのが国の制度でありますから、当然、それに対する理解というものをしっかり求めていく、そして、その理解の上に立って初めて制度は円滑に運用されていくわけでありますから、そういった意味において、この制度の経緯等を含めてしっかりと説明をしていくということは、我々は更に努力をしていかなければならない、こういうふうに思います。

浦野委員 ありがとうございました。

 ぜひ、またさまざまな議論をしていただけたらと思います。

 ちょっと、少し早いですけれども、質問を終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、渡辺孝一君。

渡辺(孝)委員 自由民主党の渡辺孝一でございます。

 きょうは、質問の時間をたっぷりいただきまして、ありがとうございます。

 ぜひ、きょうは真剣な議論をさせていただきたいなと思いますし、私は、国会議員になる前は地方の市長を十年間務めておりまして、今回の法案に関しましては、いわゆる社会福祉事務所あるいは市の健康福祉部等々の職員の方々ともお話ししたことを織りまぜながら、現場の立場に立った形での質問もしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 ただ、一言だけちょっと言いたいことがございますけれども、浦野先生からもちょっと御指摘がありましたけれども、きょうは説明員として山井先生と池田先生に来ていただいておりますけれども、野党の方々からも、この法案については、大変待ち望んでいる方々がいらっしゃるというお声を聞いたことがございます。本当に、関係者の方々はこの法案に期待をし、そして、現実に困っている方もいらっしゃるのではないかと思います。

 そういうことは野党の皆さんも十二分に知っているがゆえに、今回法案を提出したというふうに私は受け取っておりまして、その姿勢は立派だと思いますけれども、であるならば、きょうみたいなこの異常な委員会の状況を見たときに、ぜひ野党の先生方にお願いしたいのは、やはり、この正式な委員会の場で堂々とお互いの意見をぶつけ合いながら、ある意味、国会議員として法案をつくるに当たって、建設的な考えですばらしい法案にすべきではないかというふうに思っているのは私だけではないというふうに思います。

 山井先生と池田先生には、ちょっと耳の痛い話になるかもしれませんけれども、ぜひ仲間の先生方にお話をして、委員会を拒否する等々の理由は私も理事会の中でいろいろお聞きをしておりますけれども、この法案は、先ほど言ったように、大切な法案でもございますし、待ち望んでいる方もいらっしゃいます。ぜひこの法案は法案としてしっかり議論していただくようなことを皆さんにお誘いかけていただければありがたいと思いますので、これはお願いでございますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速ですけれども、生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案について質問をいたしたいと思います。

 まず、この資料を見させていただきまして、生活困窮者に対する包括的な支援体制強化について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、定義についてですが、今までは、経済的に困窮し、最低限度の生活が維持できなくなるおそれのある者という方を定義に置いていたようでございますけれども、今回は、経済的視点だけではなく、就労の状況、心身の状況、また、地域社会との関係その他の事情というのをこの定義に加えたことは大変すばらしいというふうに感銘をしております。

 地方の現場におきましては、やはり困窮という言葉が、なかなか、単に経済的だけではなく、人それぞれいろいろな事情がございまして、生活に苦しいという定義というのは、要因というのはさまざまになってきているのではないかと思います。であるから、いわゆる包括的なという、きめ細かい相談体制や支援体制は、ぜひしっかりとお進めいただきたいというのが私の気持ちでございます。

 ただ、少し、ちょっと気になる点がございまして、冒頭申し上げましたように、政府としては、我々も立法府ですけれども、法律をつくるのはそれで大変よろしいかと思いますが、最終的な事務作業をするというのはやはり地方自治体、あるいは福祉事務所、あるいは地域の方々というふうに、現場にかかわる方々が大きくこの法律の成否に私はかかわっているのではないかと思います。

 例えば、家計改善支援事業と就労準備支援事業については、あくまでも任意という、つまり困窮者みずから相談に行くという、つまり能動的に申請する方式で行うということでよろしいんですよね。やはり、先ほど申し上げましたように、事業の中心は、そういう地域の行政や関係団体の方々と行うと思いますけれども、この方式で本当に相談に行きやすい状況がつくれるのかというのが、私、率直な疑問を持っております。

 本来のこの支援事業、それぞれの支援事業の達成しなければいけない目標なども示していただきまして、ぜひ、相談に行きやすい環境にするためにはどうしたらいいかということを考えているのか、政府の考えを聞かせていただきたいと思います。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 議員に御指摘いただきましたように、現場の自治体や福祉事務所、あるいは現場の民間団体等の支援者の活動が的確に進められて、この制度に効果がまたもたらされるということ、まさにそのとおりであるというふうに考えております。

 家計改善支援事業と就労準備支援事業でございますが、こちらは、自立相談支援機関における相談を受けた場合のいわば出口、どのように具体的に支援をしていって自立につながる道をもたらすかという、出口のための重要なツールであると考えているところでございます。

 今回の法案では、自立相談支援事業、こちらは必須事業でございます、これと、これまで任意事業でありました就労準備支援事業と家計改善支援事業、この三つを一体的に実施するということを促進することとしておりまして、これによって、地域における生活困窮者への包括的な相談支援体制をつくって、相談者に効果的な支援を提供できるというふうに考えてございます。

 では、この一体的実施をどう進めるかということでございますけれども、まず、就労準備支援事業と家計改善支援事業、この二つを努力義務化いたします。また、この二つの事業の適切な実施を図るために必要な指針をつくる。また、自立相談支援事業とあわせて、この二つの事業が効果的、効率的に行われている場合には、家計改善支援事業の補助率を引き上げる。現在二分の一であるものを三分の二に引き上げるという措置。さらには、就労準備支援事業における利用促進や定着支援に要する費用などに関する加算措置をするということを予定してございます。

 こうした取組で就労、家計面での支援体制を整えるということによりまして、生活困窮者の、まず自立相談支援窓口に来た方が、具体的にこの方は家計の支援が必要だねということがあれば、自立相談窓口から家計支援の方に行きましょうということを提案しますし、また、すぐにハローワークに行けない方は就労準備支援に、じゃ、まず取り組んでみようかということで提案をするといったようなことで、三つの事業を相互に密接に連携を保ちながら連続的に支援を行う、このような体制を図ることができるのではないかと考えているところでございます。

 目標というお尋ねでございましたが、政府としては、自治体の実情に留意しながら、平成三十一年度から三十三年度までの三年間を集中実施期間として計画的に進めて、家計改善支援事業、就労準備支援事業を全ての福祉事務所設置自治体で実施できるということを目指してまいりたいと考えております。

 また、議員から、能動的に、任意で相談に行くということは難しいのではないかという御指摘もいただきました。

 この点については、相談に来るのをただ待っているということだけではなくて、アウトリーチで支援をしていくということは大変重要と考えておりまして、今回の改正では、関係の自治体の部局、例えば福祉や就労、教育、税務、住宅などの窓口で困窮の端緒を把握した場合には、自立相談支援事業を利用勧奨するということを努力義務化しております。ほかの窓口で把握された場合にも、自立相談につなげるということをする。そのほか、アウトリーチの手段というものをいろいろ図りながら支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

渡辺(孝)委員 説明はわかりました。

 この努力義務につきましては、恐らくいろいろな議論を経てそういう結果になったんだというふうに私も理解をしております。

 確かに、いきなり強制的な、ある意味上から決めつけてしまうような形で地方におろすというのは、これは非常に暴力的だというふうには思いますが、とはいえ、私も行政の経験者として申し上げるなら、努力義務というのは非常に弱いです、受け取る側にとってみれば。

 努力した、しない、私は、自分がその当時、努力義務というのは、我々が努力をしたという結果を出せばいいのではなくて、相手側が努力しているねという評価をいただけるような形にしないと、この努力義務という意味が本当に果たされていないんじゃないかということをよく職員の皆さんと話したのを覚えておりますけれども、そういう意味では、集中期間、ぜひ、この努力義務が本当にしっかりとこの事業の目標にそぐうような結果をもたらしていただきたいなというふうに思います。

 そこで、私からの提案ですけれども、この努力義務化を、更に必須化と言ったらちょっと、先ほど言ったように非常に厳しい形になるかもしれませんけれども、必須化、若しくは努力義務よりももうちょっと強い形にするお考えはないんでしょうか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のこの制度の改正に当たりましては、社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会において、さまざまな観点から、現場の支援者の方も入って御議論いただいたところでございます。

 そうした議論の中で、家計相談支援事業、就労準備支援事業のあり方については、御指摘もいただきましたとおり、必須化を含む全国的実施を図るための方策について議論されまして、意見の中では、必須化という意見も出ていたところでございます。

 全国的な実施の必要性がある一方で、地域によっては、需要が少なかったり、マンパワーや委託事業者が不足しているという実情があるという指摘もあったところでございます。

 審議会の報告書では、最終的には、法律上の必須事業とすることも目指しつつ、全国の福祉事務所を設置している自治体で実施されるようにすべきと記載をされているところでございまして、このような報告書の記載を踏まえて、両事業の実施率がまだ約四割にとどまっているということ、また、今、報告書の中で指摘があると申し上げたように、地域によっては、マンパワーや委託事業者が不足しているというところもあるというような実情があることなども踏まえて、今回の見直しでは、必須事業化ではなくて、まずは両事業のさらなる推進を図るということで、努力義務にあわせて、先ほど申し上げたような家計改善支援事業の補助率を一定の場合には引き上げる、あるいは就労準備支援事業の加算をつくるというようなメリットも与えて、自治体に取組を促していくということとしたいと考えたところでございます。

 あわせて、この際、非常に効果的な取組として、従来から、県が管内自治体のこうした事業の実施体制をつくることを支援すると非常に円滑に多くの自治体が参加していただけるという実例もございます。

 こうしたことから、都道府県による管内自治体における両事業などの実施体制の構築支援ということも今回の制度改正として考えておりまして、これらによりまして、一体的実施を促進することとしていきたいと考えております。

 こうした方策で、今後三年間の間にまずは両事業を全ての福祉事務所設置自治体で実施できるということを目指して、自治体とともに取り組んでまいりたいと考えております。

渡辺(孝)委員 お答えありがとうございます。

 メリットの話は、地元の方でも、努力すればある意味報われるというか、その努力が認められることに関しては評価をしておりましたけれども、正直申し上げますと、それが正直言って行政職員、地方の方々の、関係者のモチベーションにはならないと思います。

 というのは、現実の話なんですが、実際、今の地方の段階では、相談窓口を仮につくります、そして、どういうことが想定できるかというと、地元の方では、まず本人の方が困窮者だと思っていない人がいるんじゃないか。先ほど冒頭で申し上げましたように、困窮の要因というのはさまざまでございますので、本当に自分が困窮者、真の困窮者と思っていない人がいるのではないかという分析もしておりましたし、また、やはり家計相談になりますと、正直言ってとても恥ずかしくてなかなか相談になんか行けないですよと。我が身に振り返りますと、正直言って、私も、相談に行く立場ではないかもしれませんけれども、我が家の家計を相談するというのはかなり抵抗があるのではないか。

 また、窓口に、どうしても地域の方ですから、やはりお知り合い、要するに窓口にいる相談員の方等々がお知り合いだとかいう人であると、とてもじゃないけれども恥ずかしい。中には、しっかりと個人情報を保護してくれるのかなんということも言う方もいらっしゃるそうで、それはしっかりと法の、制度の中で守られるよとは言っておりますけれども、やはりさまざまな行けない理由というのがあるかと思うんです。それではやはり包括的な支援というのがなかなかうまくいかない。

 そんな中で、必須化についても議論されていたということをお聞きしまして、ちょっと安心しましたけれども、例えば、政府として、国として、こういう問題点を考えながらこの事業を考えたのか、つまり、こういう方々に対してどういうアプローチをすれば最終的にこの事業が成功するんだという議論はなされたのかどうかということをちょっとお聞きしたいんですけれども。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 この制度を議論していただきました審議会の議論の中でも、この制度の施行、三年ほど経過しているわけですけれども、効果としては、実際に窓口に来られた方については非常に支援効果が上がっていると。一方で、窓口につながっていない、本当は生活困窮者なんだけれども来られていない、あるいは知らない、あるいは、議員おっしゃられたように、なかなか来にくいという方、さまざまいらっしゃる中で、どのようにつなげていくか、窓口の相談につなげていく方策をどうするかということは非常に重要な論点であるということで、かなり時間を割いて御議論いただきました。

 そうした中で、やはり届くようにするためのアウトリーチの観点が重要である、先ほど議員から御紹介いただいたように、いろいろな事情を抱えていること、あるいは、日々の生活に追われていて、また自尊感情が低くなっていて、自分でなかなか窓口に行けないというような方へのアウトリーチが重要であるというような指摘を多々いただいているところでございます。

 こうした観点の中から、本法案においては、先ほども少し御紹介をしましたけれども、福祉、就労、教育、税務、住宅などの関係部署が生活困窮者を把握したときには、その方に、こういう生活困窮者自立相談窓口というのがあるよ、ここへ行ってみたらどうですかと。例えば、税の滞納をしていたり、水道料金が払えなかったという方が、これまでは、その窓口で、払ってくださいと、何とかこう分割したらとか、その窓口だけで終わっていたものを、根本的な問題も含めて、生活困窮者自立相談窓口に行って、相談をして解決をしなさいよということで、紹介をして、相談をしてもらう。

 こういうことで実際に解決がうまくいっているという事例が審議会の中でも紹介をされまして、やはり、せっかく自治体、あるいは自治体だけではなくて関係団体にいろいろな窓口やネットワークがあるのであるから、そういうネットワークで来た方というのを把握して、その方にこの窓口をお知らせをするということで、アウトリーチを進めていくということが重要であろうという意見が多々ありまして、利用勧奨を行うということを努力義務とする規定を盛り込んでいるところでございます。

 また、分析の中では、法律を施行している状況の中で、自立相談支援窓口に、庁内のいろいろな関係機関からどのぐらいつながっているかというのを統計的にとっておりまして、多くの関係機関から自立相談の窓口につながっているという自治体ほど新しい相談件数が多いと。相談窓口だけで待っているのではなくて、やはり、いろいろな連携先を持って、紹介してもらう方が件数が上がるということがデータでもわかっておりますので、そうしたことからも重要かと考えております。

 また同時に、自治体及び生活困窮者支援に携わる関係者の間で支援を必要とする方についての情報共有を行うということも重要であろうという議論もされておりまして、例えば、一つの窓口、一つの支援関係者のところでは、やはりある世帯の一人の人の状況しかわからない。だけれども、別の窓口ではもう一人別の世帯の方の状況がわかるということで、それらをあわせてみると、実はこの世帯は非常に困窮で、複合的な要因を抱えている世帯だったんだということがわかるということがございます。

 そうしたことから、いろいろな関係者の中で、支援を必要とする方と世帯についての情報共有を行うということを進めていこうということで、今回の改正の中では、支援会議というものを設置して、その構成員の守秘義務の規定も盛り込んでおります。この支援会議の中で、今申し上げましたような関係者間の情報共有を進めるということで、これは世帯全体として非常に支援の緊急度が高いケースだねということが早期に把握されれば、早期にアウトリーチで支援に行くということも可能なのではないかというふうに言われているところでございます。

 また、さらに、生活困窮者本人への効果的な支援を行うためには、家族からの相談というものを広く受けとめていく必要があるということで、この法案については、本人の家族などの関係者についても相談対象であるということ、以前からもそうであったんですが、これを明確化する改正も盛り込んでいるところでございまして、こうしたことを通じまして、幅広い方からの相談を受けとめるということについての一層の周知を行うことができると考えているところでございます。

渡辺(孝)委員 今ほど、窓口に来た方の調査等々では、効果が上がっているということで、大変いいことというか、すばらしいことだと思います。

 ただ、問題は、その後説明がありましたように、来ない人が問題でございまして、何とか来られる体制の中で、御説明ありましたように、いわゆる各種の連携、特に縦横斜めの関係がしっかりできていれば、拾える人も数多くいらっしゃるのではないかというふうに御報告いただきましたけれども、それをもっともっときめ細かくやっていただくことをお願い申し上げたいなと。

 先ほど言いましたように、本当に、来たくても来られない、相談を受けていただければ生活保護にはならなかったのになという、そういうような結果をもたらしていただけるような制度、政策になるように、我々地方にいる人間も頑張らなきゃいけませんけれども、ぜひ行政の、厚労省の方も頑張っていただきたいというふうに思います。

 そして一方、若干話もいたしましたけれども、今度は受ける側、要するに地方の行政や福祉事務所、さらには一般の地域の方々もそうですけれども、受ける方々も非常に大変な状況であるということはおわかりいただけているのかなと思いますが、俗に言いますマンパワー不足。役所の職員、これは皆さんも御承知のとおり、嵐のような行革が吹き荒れまして、各地方の行政におきましては、本当に爪に火をともすような苦労をしながら、予算の健全化、あるいは赤字解消のために職員の数を減らすという、断腸の思いで、そのところから手をつけた行政がほとんどでございます。

 そういう意味では、年々、退職者に見合ういわゆる新規採用ができない状況でおりまして、それが如実に、地方行政のいわゆるマンパワーが不足している原因にもなりますし、いわゆる行政力というのも、私は、人がいないがゆえに落ちていっているのではないかと思います。

 そこで、提案も含めてですけれども、この人材不足に対して、包括的な事業を進めるに当たって、いわゆる行政支援、例えば、人員を補充するような支援は考えていないのか。支援員、相談員については支援をしていただけるというふうに思いますが、例えば、これは地元から出た声なんですけれども、やはり、改めてそういう相談員の方々に御協力いただくのはありがたいんですけれども、例えば、地域に根を張って活動している組織、団体もございます。例えば、民生委員、児童委員の方々は、本当に地域に根づいてきめ細かい情報を収集できる方々ばかりです。そういう方々の協力をかりるというのは、私はあってもいいのかなというふうに思っております。

 最終的には人対人の作業になりますので、やはり人間関係ができていないと、なかなか、先ほどの質問で言いましたように、行きづらいとか行けない、そういう方々に、本当に地域の方がワンプッシュ、背中をちょっと押すだけで、あるいは付き添っていってあげるというだけで、困窮者対策にどんどんつながっていくのではないかと思いますけれども、ぜひ、そういう形の考えがあるのかということと、今厚労省が大変力を入れております地域包括のケアシステム、これも本当は別な機会にしっかりと質問したいんですが、正直言って、行政体には、市町村あるように、大中小の行政がありまして、なかなかこのケアシステム、うまく回転しない地域もございます。

 ただ、これを機に、ぜひこの困窮者対策、包括的な対策ですから、この地域包括ケアシステムとは全然関係ありませんよ、まあ、関係ないというか、事業そのものは違いますけれども、ぜひ、こういういろんな制度とも絡ませながら協力していただけるというのは、私は非常に効果が高くなるのではないかと思いますけれども、そういう、地域の中で今不足している地域力や、もう死語になりつつあります隣近所という言葉も、何か地方でも非常に希薄になってきているように聞いておりますけれども、ぜひ、包括的に地域の方々を支援する何か考えを、ありましたらお聞かせいただきたいんですが。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 幾つか御質問の点があったかと思いますけれども、まず、相談支援の人員体制ということそのものについてでございますが、この生活困窮者自立支援制度については、自治体直営でやっていらっしゃるところと、それから社会福祉協議会そのほかの民間団体等に委託しているところと両方ございまして、どちらかというと委託を多く使っているというところが多くなっております。

 いずれにしましても、相談支援をしっかり進めていくということが肝でございますので、さまざまな課題に対する相談に対して包括的に対応できる相談員の配置が重要であるということ、これは審議会の中でも繰り返し述べられてきたところでございます。

 こうしたこと、あるいは支援員を何人配置しているかということと新規相談件数との間の関係というのも、これもデータでとってみましたところ、やはり相関関係にある、支援員が多いところは相談件数も多くなっているというデータもございましたので、今回の法案では、自治体に対して必要な人員配置の努力義務を創設をして、人員体制の整備を促すこととしております。

 また同時に、支援実績の高い自治体を補助に当たって適切に評価をしていくということで、全国的な人員配置の充実や支援実績の向上を図るということと、人員配置の状況を全国の比較で客観的に把握できる、自分のところの自治体が一体どのぐらいかということが把握できるような仕組みを設けるということで、人員配置が厚いところと薄いところとございますけれども、薄い自治体の底上げを促すということとしているところでございます。

 また、人数とともに質も大変重要でございますので、都道府県による市町村の相談員に対する研修の実施などに関する事業も今回の法案では法定化をしているところでございまして、この費用への補助の仕組みも設けているということで、人員配置を各自治体において進めることについて、質、量双方の側面から支援してまいりたいと考えているところでございます。

 また、地域の民生委員であるとか、あるいは地域包括ケアということと絡めて支援をしていくべきではないかという御質問、全くそのとおりでございまして、実は、地域の民生委員の方々、既にかなり困窮の事業にも応援、支援をしていただいております。全国で今、民生委員、児童委員の方、二十三万人程度いらっしゃるわけでございますけれども、地域住民の生活状況を把握し、見守りをしていく中で、このうちはやはり困窮だよ、なかなか解決、難しいよ、複合的でという場合に、この生活困窮の支援窓口につないでいただいているというところ、たくさんございまして、我々としても、そのようなつなぎをぜひお願いしたいということを民生委員サイドにもお願いをしているところでございます。

 また、地域との関係でございますけれども、これは、やはり地域においていろいろなケースがふえている。例えば、介護が必要な八十歳の御家庭のところに五十歳の引きこもりの方がいらっしゃるとか、いろいろ複合的な事案を抱えている。あるいは、先ほど御質問でも出ましたように、自分で相談に行けない、だけれども困窮とか困り事を抱えているというケース、たくさんあるわけでございまして、こうしたケースに対応していくためには、高齢者を対象としている地域包括ケアシステムということをもう少し広めまして、必要な支援を地域で包括的に確保するという考え方、これを普遍化して、高齢者に限らず、その地域で生活上の困難を抱える方を対象としての包括的な支援体制をつくっていく、こういうことが必要であるという考えに立っているところでございます。

 こうした体制をつくるためには、御指摘いただいたとおり、地域で助け合うというようなこと、あるいは、支えられる側、支える側と二つに分けるのではなくて、支えられる側も支える側に回る、高齢者の方も自分でできることは支える側に回るといったような、地域で互助をしていくような地域力の強化をしていくということ。

 また同時に、住民で努力するということだけではなくて、やはり住民同士では解決できないことは行政もしっかりと責任を果たすということで、住民と行政がしっかり協働して支えていく。個人や世帯が抱えるさまざまな生活課題を、公的な体制による支援と相まって、地域住民、行政が協働して解決をしていくということが重要であると考えておりまして、こうしたことから、昨年の通常国会で社会福祉法の改正を行っております。

 こうした中で、地域の共生社会の実現ということで、社会福祉法の中では、新たにこうした地域住民が交流する拠点の整備などの地域づくりの取組をするということ。また、身近な地域で、高齢者、障害者、子供などいろいろな相談がありますけれども、相談を包括的に受けとめられるような場を整備していただくということ。また同時に、そうした相談の中で、難しい課題については相談支援機関が協働して課題を解決するネットワークを組むということ。この三点について自治体が整備をするという努力義務をかけた包括的な支援体制の整備というものを進めていこうという改正を行っておりまして、これがちょうどことしの四月から施行されて、進めようとしているところでございます。

 こうした取組の中では、今、改正をお願いしております生活困窮者自立支援制度の相談支援、まさに難しい複合的な課題を解決するための中核的な役割を果たすということが期待されているところでございまして、まさに生活困窮者自立支援制度と今申し上げたような地域包括ケアが更に深化をした地域の共生社会実現のための取組、これを一緒に取り組んでいくということが必要ではないかと考えております。

 ちなみに、こうした地域の取組については、厚生労働省としてもモデル事業を実施しておりまして、平成二十九年度は全国八十五自治体、平成三十年度においても、引き続き予算をつけまして実施をしてまいりたいと思っておりますので、こうした取組を含めて進めてまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

渡辺(孝)委員 ありがとうございます。

 今ほど、モデル地区も制定しながらいろいろな支援をしていただいていることは、地方自治体にとってみれば大変ありがたいことだと思います。ぜひこれからも、逆に小さなところに光を当てていただければ大変ありがたいなと思います。

 ちょっと質問とは関係ないんですが、そろそろ三十年度の予算が決定いたしまして、地元から首長さんがいわゆるお礼の挨拶回りに来ようかと思いますけれども、早速来た市長さんと町長さん二人ですか、三人にこの事業のあらましを話をし、広域的にやはり取り組むべきではないかというお話をしたときに、余り乗り気でなかったようというか、なかなか受けとめ方がすきっとしなかったというのが私の感想でございます。

 ですから、広域行政の必要性というのは、別に厚労省だけではなく、全ての各省で訴えていることでもございますし、この包括的な支援体制というのは、決して一自治体や一団体がやることだけではなく、もっと広域的に行うことが、そのマンパワーの不足や、よりきめ細かな情報というものの収集には私は非常に役に立つんじゃないかと思います。

 ですから、この広域的な支援体制というのも、これはもっと厚労省の方が地方自治体に向かって発信していく形をとれば、大きな町と小さな町、本当に協力し合ってできるのではないかと思いますので、この生活困窮者を一人でも多く救うという目標の中で、ぜひそういうところにも視点を当てていただきたいなというふうに思います。

 では、一方、次は就労支援の方の質問にちょっと移りますけれども、資料を見させていただきまして、この就労に関しましては決して困窮者だけの問題ではないんですが、一般的なアドバイスやハローワークへの同行などというふうに資料に書かれておりますけれども、まだほかにもあろうかと思いますけれども、まず、このハローワークとの連携はどうなっているのかなというのをちょっとお聞かせ願いたいと思う。

 私からの提案なんですけれども、例えば、就労支援員の方に、どうでしょうか、全ての仕事にオールマイティーに知識を持っている方というのは私は一人もいらっしゃらないと思うんです。そこで、では、そういう支援員を地域の方々から要するに育てるような機関や財源があるかといったら、私はないと思っています。

 何を言いたいかというと、実際に就労するに当たって、例えば、私の北海道の地元で、東京に働きたいなんという就労相談というのはゼロだと思います。やはり地元の中で働きたい。そういう方々が働きたいといったときに、この支援員の方々がどこまでアドバイスするのか。

 ハローワークに連れていって、ハローワークの職員も、あくまでも、企業からもらった情報を提供して、来た方がそれを見ながら、自分の状況に、環境に合ったのを選択しながら仕事を選んでいるという現状なんですけれども、現場に行ってそういう方々の話を聞くと、どうだい、この画面を見て、あなたたち、これがわかるのかいといったときに、正直言って、若い人は、あの募集要項を見ただけでわからないと。ただ、何を見ているんだといったら、まず給料とか働く条件とか、やはりそちらの方ばかり見ていて、なかなか職種とか、どういう仕事をしているかというのが非常に理解度が低い中で、ミスマッチが結構起きているんじゃないかと思う。

 私の言いたいのは、この支援員の制度をより強化するために、ぜひ、地元でそれぞれの職業についている、もちろん協会や団体もありますから、そういうところにも協力をしていただいて、そういう方々に、よりその仕事について詳しく相談できるシステムや、あるいは、その企業に特化した、社長さんがいらっしゃるわけですから、そういうところにじかにこの支援員の方が、ハローワークに連れていくだけじゃなくて、そういう企業に連れていって社長と面談することで、より深掘りした中で就労につける可能性が高くなるのではないかなと思うんですけれども、ぜひ深みのできるような支援員制度にしていただきたいと思うんですが、何か厚労省の考え方がありましたら、その支援員についてお聞かせいただきたいと思います。

定塚政府参考人 生活困窮の就労支援についてですけれども、生活困窮者自立支援制度においての就労支援は、まず、自立相談支援事業における就労支援、それから、なかなか自立相談支援事業の窓口だけでは、例えばすぐにハローワークに連れていっても就職できないという方については、就労準備支援事業で一定期間コミュニケーション能力を習得したり、あるいは毎日仕事に行くという習慣を身につけたりという支援をしていく、大きく二本立ての制度になっております。

 この自立相談支援事業の就労支援員でございますが、どのような支援をするかというのはかなり自治体によってばらつきがありまして、まず、支援対象者の方もさまざまでございますので、ハローワークで、いろいろハローワークにある求人を見ていただければ、その中で何とか就職口が決まっていくという方もいらっしゃいます。一方で、それだけではすぐには決まらない、いろいろと、やはり訓練を経たりとか、いろいろなメニューを経て就職に行くという方。さらには、それでも難しければ、先ほどの就労準備支援に行くというような、その方の状況によって対応を変えていかなくてはならないわけでございますけれども、そこの見きわめをして、しっかり対応できているかということ。

 さらには、議員指摘のように、ハローワークの求人とか、場合によってはハローワークだけではなくて、今、地方版ハローワークということで、自治体の方で直接、無料紹介事業を行っている自治体もかなりふえてございますけれども、こういうところに来ている求人を出しているというぐらいしかできていないという自治体も実際にはございますが、大変よく取り組んでいる自治体は、それだけではなくて、実際に企業の方に出かけていって、その人にふさわしい求人、この人は、例えば引きこもりであったり、あるいは大分就労期間があいてしまったという方は、すぐにはフルタイムでほかの人と同じような就職をするというのは難しいので、まず徐々に働き出すであるとか、あるいは、引きこもりの方については、やはり適当な職場というのはございますので、適当な職場を開拓するとか、いわゆる職場開拓というようなことまでしていただいている就労支援員の方もいるという状況でございます。

 まさに、議員から言われて、私もそのとおりだなと思ったんですけれども、ハローワークに従来あるものだけではなくて、今のような職場開拓を具体的にするということをもっともっと推進していかなくてはならないのかなというふうに思っております。

 そのほかには、取組としては、先ほど申し上げた地方版ハローワークの制度であるとか、ハローワークと福祉事務所が連携して、チームで支援をしていくというような支援をしている場合もございます。

 さらに、三十年度においては、福祉部門と労働部門の連携での就業支援の強化方策ということで、福祉事務所にハローワークの常設窓口を置いているというところが既にございますけれども、こうした窓口、大変効果を発揮しているので、その窓口の数をふやそうということ。

 あるいは、就労準備支援事業、これは大変有効な事業でございますが、これまで年齢要件、六十五歳未満という要件がありましたので、これを撤廃しまして、六十五以上でも、働きたい、働く意欲と能力がある方は利用できるようにということをしている。

 さらには、一定程度の就労意欲を持つ高齢者の方は、ハローワークで支援をすることや、シルバー人材センターとの連携で高齢者の就労支援を強化するというようなことも三十年度予算で考えているところでございます。

 こうしたさまざまなメニューを、支援者の状況というのを勘案しながら、ハローワークと連携をして支援するように、自治体にもお勧めしてまいりたいと考えております。

渡辺(孝)委員 ありがとうございます。

 いずれにいたしましても、これから本格的な、私は、勝負というかスタートだというふうに思いますので、当然その一番の目標は、困窮者の方をどのようにして生活保護にしないのか、さらに、困窮者の方々がもっと世の中で生きがいのある生活をしていただくことをどのように結びつけていくかということが大事なことだと思いますので、私は、ぜひ、地方の行政、あるいは窓口、あるいは関係者の方もそうですけれども、国としても、やはりそういう方々、対象者の方々の一人一人と向き合うような気持ちで、これからもいろいろと制度、政策等々にお知恵を絞っていただきたいというふうに思います。

 私としては、この制度、事業が、もちろん大成功の結果になっていただきたいと思いますし、ぜひ、年々深化していただくことを御期待申し上げまして、この点についての質問はまず終わりたいと思います。

 では、次、生活習慣病の予防等の取組の強化、医療扶助の適正化についてに質問を移ります。

 まずここで、野党の皆さんに、提案をされておりますので、この委員会でもやりとりがあったことでちょっと気になることがありましたので、提案者にお聞きしたいんですが、後発医薬品の原則化については、野党提案の方々は、答弁の中で、なぜ生活保護の方だけ、劣等処遇に当たるのではないかというお答えもあったように私、記憶しております。

 私は、これはちょっといかがなものかなというふうに思っているのは、やはり、生活保護の制度を考えてみますと、納税者の方々の温かいお気持ちでこの生活保護の制度が成り立っているということ、さらには、一般の方々は、健保にしろ国保にしろ、病院の窓口では必ず三割の自己負担を支払っているわけでございまして、だからといって、一円も払わない生活保護の人がジェネリックにせいなんという、そういう乱暴なことも私は思っていません。

 ただ一方で、このことについては、経済効果で百億というお答えもあったような気がしておりますけれども、むしろ、野党の方々にお願いしたいのは、であるならば、やはり今の社会保障費というのは国家予算にとっても大変大きな負担になっていることは、国会議員の皆さんはよくわかっているかと思います。ここで例えば百億が浮くというなら、それをいわゆる財政赤字やあるいは借金を返済するとかいろんな事業に回すのは、私はいろいろありかと思いますけれども、提案者の皆さんに、この百億が浮くのであるなら、例えばこの百億を使って更に高齢者の方々の健康政策につなげる案を提案するとか、そういうお考えはないんでしょうか。

池田(真)議員 幾つかの御質問があったかと思いますけれども、まとめてお答えさせていただきたいと思います。

 まず、ジェネリックの医薬品の使用割合を八〇%にする目標については、生活保護世帯に限ってジェネリック医薬品の使用を原則化するという立法措置を講ずるということについては、合理性はないというふうにこちらは考えております。使用割合につきましても、平成二十九年六月の審査分につきましては、医療扶助のうち、ジェネリックの医薬品ありの先発医薬品の額の割合は三・五%にすぎないというふうに思っております。ジェネリックの医薬品の使用を原則化しても、さしたる効果は期待できないというふうに考えております。これがまず一点目。

 そして、経済効果に関するその他の施策ということでございますが、この間でございますけれども、国においては医療扶助を財政視点から考える傾向が非常に根強いというふうに思っております。医療扶助を含む財政負担の増大それ自体が悪であるかのような認識のもと、それをどう抑えるかというような問題意識、そのような意識といったものが露骨であるというふうなことがまずは懸念をされているかと思います。

 したがいまして、そもそもこの医療扶助が高額に及ぶというものは、第一点、今先生もおっしゃいましたけれども、国保資格を喪失をさせるということが、制度上の問題が非常に大きいということがまず一点、挙げられるかと思います。そして、第二点目につきましては、保護利用世帯に高齢者の方々が多いというので、当然ふえていくと言ってよいと思います。第三点としては、現行の医療券方式においては、アクセスにおける問題点及びスティグマ上の問題点があるということはこの間も指摘をされておりますので、今回のこのジェネリックの原則化を生活保護受給世帯にのみ限って行うということ自体は、このスティグマをより強めてしまうということで、まずここの部分を取るというふうな考えでございます。

 先生がおっしゃるように、その他の効果がある施策があれば、それは他法というところで整備していくことについては、私も否定はいたしておりません。

渡辺(孝)委員 財政の話まで、私もちょっと火をつけたのが悪いんですけれども、それはここの委員会ではちょっとそぐわないかと思います。私としては、やはり、この福祉という問題は非常にデリケートな問題だというふうに理解しております。

 ただ、先ほど質問したように、やはり、納税者の方々の御理解があった中でこの福祉制度というのも成り立つし、一方では、受ける方々も、やはり受益者負担が原理だというところまでは私も厳しいことは言いませんけれども、やはり感謝していただく気持ちを持って、その理解と感謝の気持ちがしっかりと重なった中で、私は制度というのがより充実していくのではないかというふうに思います。

 ですから、原則化そのものが否定されるような物の言い方でなく、確かに野党の皆さんはこの原則化というのが気に入らないと思うんでしょうけれども、厚労省としては、私の聞いたところでは、別に、一般の、健常者の方々も含めて、将来は八〇%は皆さんジェネリックを使いたいという方針でもあるというふうにお聞きしておりますから、私としては、それほど目くじらを立てるような問題ではないというふうに思いますので、むしろ提案者の皆さんの方から、逆に、この原則化についてよく説明をしていただいて、そして皆さんも、効能や薬能等々には差はないというお答えもいただいておりますから、ぜひ、そういう御協力をいただければ大変ありがたいなというふうに思います。

 それでは、生活習慣予防についてちょっとお話ししますけれども、最初の質問で、経済効果と効能、効果については、これはよろしいです。飛ばして次の方に行きますけれども、厚労省として、ああ、いいです、これについては飛ばしたいと思います。どうもありがとうございます。

 済みません、もう時間がだんだんなくなってきたので、最初は余裕をかましていたんですけれども、よく見たら時間がだんだん迫ってきていますので、次の質問、児童扶養手当についてちょっとお聞きしたいと思います。

 これも、野党の提案者の方々から回数のことについて触れられておりました。私としては、まず厚労省にお聞きしたいんですけれども、厚労省側は三回から六回にしたということの大きな理由というか、その考えをちょっと教えていただきたいんですけれども。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今回御提案申し上げております児童扶養手当の支払い回数の見直しにつきましては、まずは、前回の平成二十八年の児童扶養手当法の改正時における附帯決議というものを踏まえた上で、その際にも議論になりました地方公共団体における手当の支給事務の事務負担をも十分考慮してということを踏まえ、現状の年三回から六回にふやすということを提案させていただいております。

 具体としましては、前回の改正法の成立後、その附帯決議に基づきまして、支給実務を行う自治体の方々に、支払い回数がふえることの可否、あるいは、回数増をいたしますとどうしても支払い事務がふえるということになりますので、それを自治体としてのみ込んでいただけるような、可能あるいは必要な運用の見直しについて調査、ヒアリングをさせていただき、それを踏まえて、地方三団体の方々とも意見交換そして調整をさせていただいて、今回の提案につなげさせていただいたということでございます。

 その上で、御質問いただきましたように、私どもとしては、出発点として、二十八年法の附帯決議というものを踏まえてございますけれども、御提案申しております、年六回を奇数月という形で支払いにすることによりまして、一方、児童手当の支払い月、これは現行、二月、六月、十月となってございますので、それとの重複が避けられて受給者の方々の収入の波が小さくなるという点、あるいは、奇数月ということになりますと、入学準備費用が必要な三月、あるいは夏休み期間に入る前の七月という月に支給できるという形、これは一方で、いろいろな方々のお話を伺いますと、支出が多くなる時期だということでも伺っておりますので、その時期に支給ができるというようなことなどを踏まえ、全体として家計管理がより容易となり、また、一人親家庭の方々の家計の安定を通じて自立の促進につなげることができるのではないかということをもって御提案申し上げております。

渡辺(孝)委員 今お聞きしたように、現場の事務作業をなさる行政側のことも配慮し、さらには、家計管理等々についても述べていただいての六回という、今回、政府案の提案でございますけれども、それに対しまして、野党提案の方は十二回になっておりますけれども、今の政府のいわゆる六回の妥当性の説明に対して反論がありましたら、ちょっとお聞かせいただきたいんですけれども。

山井議員 渡辺委員、御質問ありがとうございます。

 今、吉田局長から御説明がありました年六回の支給、これは一歩前進だと思っております。

 といいますのは、野党が平成二十八年度に提出しました児童扶養手当法の改正案、私も提出者の一人でありましたけれども、その中には毎月支給というのを入れておりました。そういう中で、今のお話のように、平成二十八年度の児童扶養手当法の一部を改正する法律案の附帯決議の中に、「地方公共団体における手当の支給実務の負担等を考慮しつつ、ひとり親家庭の利便性の向上及び家計の安定を図る観点から、支給回数を含め、所要の改善措置を検討すること。」と。この附帯決議に基づいて、今回、一歩前進で年六回になったというふうに承知をしております。

 やはり、野党が提出した議員立法を真摯に政府・与党が受けとめ、それによって、年三回であった児童扶養手当の支給が今回年六回になったことは喜ばしいことであります。

 しかし、私たちがなぜ毎月支給にこだわっているのかと申し上げますと、私もさまざまな貧困家庭の方々からお話をお聞きしたことがありますが、その中で、こういう話もあるんですね。

 残念ながら生活保護が受けられなかった困窮世帯で、それで児童扶養手当を受けていた。残念ながら、お金が底をついて、親子心中になってしまった。それは結局、支給が少ない月に収入が底をついて親子心中になってしまった。そして、もし毎月支給であって平準化されていたら、もしかしたらこの親子は心中しなくてよかったのではないかなという印象を私は持たせていただきました。

 ですから、渡辺委員がおっしゃる、自治体の事務にとっては過重になるということはわかります。前回のこの法案審議の際にも、お金がかかる、地方自治体の負担が大変だから、二カ月に一遍や毎月支給は無理だという答弁を政府からお聞きしました。しかし、その後二年たって、やはり与党・政府の努力によって一歩前進したわけですね。

 そういう意味では、今回も、あともう一息、二カ月に一度支給までしていただいたのであれば、本当に、おっしゃるように、自治体の職員さんの御負担は大変だと思います。私は、それは本当にわかります。ただ、これによって救える命があるかもしれないということは、当事者の方々の生の声であるんですね。やはり、貧困家庭の親子心中が収入の谷間によって起こることがあってはならないというふうに思っております。

 特に、生活保護で児童扶養手当を受給する一人親家庭では、児童扶養手当の支給がない月についても、児童扶養手当が支給されたものとして生活扶助費が減額されることになり、月単位で見れば、最低限度の生活水準に必要な額に達しているとは言えないような月も生じています。

 その意味で、最低限度の生活水準に必要な額が毎月支給されるべきであり、トータルで支給されるからよいというわけではないと思っております。

 最後になりますが、やはり、国会審議によって与野党が合意して、政府も受け入れて、結果的に一歩前進するというのは、私は国会審議の理想であると思っております。ですから、こういう建設的な議論を踏まえて、ぜひ、今回の法案も、年六回支給ではなく毎月支給に修正をしていただければというふうに願っております。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

渡辺(孝)委員 それはそれでわかりました。

 私も、市長経験で、行政職員に楽させようなんてことはこれっぽっちも思っていませんよ。ただ、やはり扱うお金というのが、この児童扶養手当、当然ミスはあってはいけないでしょうし、また、子供のためということを考えると、それだからそのお金に対してはより神経質にとか緊張せいとか言っているわけではないですけれども、やはり行政の職員もこの手当の支給については非常に重く感じております。

 だから、余計にミスがあってはいけないという中で、やはり現状として、今、担当部署のお話を聞きますと、正直言って手いっぱいな状況だと。そんなことで、もしミスが生じた場合は、今、電算化されているケースが多うございまして、一つのミスが何千人にもなるというケースがちょくちょく報道されていますように、逆に昔の手書きの時代が懐かしいなんという、大先輩の方々も言われるように、そういう時代は、ミスがあっても、本当に担当の課長あたりが申しわけありませんと謝ったら済む時代がよかったななんということを言う古参の職員さんもいますけれども、ぜひ、行政側の立場も考え、また手当をいただく方々のことも考えながら、ぜひ、今回は何とかこの六回で皆さんを説得していただけるぐらいの話合いにしていただければ私としてはありがたいなというふうに思いますので、御協力よろしくお願いします。

 さて、あともう十五分ぐらいになりました。済みません、ちょっと質問を端折ってもよろしいでしょうか。

 次、子供の学習支援事業について移りたいと思います。

 さて、こんなことを言うと、私、若い方々によく言われる言葉が、昭和の人間ですねとよく言われるんですけれども、まあ、そう言っている若い職員も昭和の後半生まれなので、ちょっと心外だなと思っています。

 けれども、確かに、今の子供を取り巻く環境というのは、もう今、五年ぐらいのサイクルでかなり状況が変わっているんじゃないかなと。昔は、十年一昔ということで、時間の流れも何かゆっくりだったような気がするんですけれども、事現代に至っては、この移り変わりというのが非常に私は早くなってきたのではないかという考えでいるんですけれども、これも年のせいでしょうか。皆さんはどんなふうに思っているんでしょうか。

 ただ、昔も今も、私は、子供たちがすくすくと明るく優しい大人に育ってくれるということを望んでいる大人の方がほとんどではないかというふうに思います。

 今回、学習支援事業、資料を見させていただきましたけれども、昔から言われているように、家庭教育、学校教育、社会教育、この三位一体の関係の中で子供は育てるべきだというのは今も変わっていないのではないかと思います。

 今回の法案で、いわゆる子どもの学習・生活支援事業についてちょっと気になる点があったので質問したいんですけれども、進路のきっかけづくりに資する情報提供とは、どんなことをイメージされていますか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、子供の学習支援事業につきましては、従来の学習支援に加えまして、子供の生活習慣や環境改善に向けた子供やその保護者への支援、並びに、高校中退者などを含む高校生世代の進路選択に当たっての相談支援等の拡充を行いまして、子どもの学習・生活支援事業として強化をすることとしているところでございます。

 御質問は、高校生世代の進路選択に当たっての相談支援等の中で、進路のきっかけづくりに資する情報提供などを行いますということを説明資料に記載しておりました、その点についてでございます。

 具体的には、例えば大学生や就職した方による体験談や相談会をするということや、困窮者でございますので各種の奨学金などの情報を提供するということ、また、大学や各種学校などの説明会やオープンキャンパスの情報を提供して参加を促すといったことに加えまして、進学ではなくて就労を希望するという方に対しては就労体験などを実施する、並びに、高校を卒業できなかった方もいらっしゃいますので、高校卒業程度認定試験や、高校での再就学に関しての情報提供を行うなど、より進学や再就学あるいは就職といったこと、どうしたらいいかということがそもそもわからないというお子さんがいらっしゃる場合が多いかと思いますので、自分の将来を身近に感じられるような支援をそれぞれのお子さんの状況に応じて提供していく、こういうことを考えているところでございます。

渡辺(孝)委員 ありがとうございます。

 大変いいことだと思います。最終的には、どんな大人になるかという、小さなころの教育から就労に至るまで、しっかりとその道がつくられていく、あるいは周りでフォローしていくという体制ができ上がれば、私は立派な大人になっていただけるというふうに思いますけれども。

 ここで、先ほどの質問でもちょっと話題提供をしたんですけれども、最終的に就労を決める決めないといったときには、これも支援員の方でしょうか、あるいは別な方でしょうか、この指導する方の影響というのはすごく大きいかと思います。

 私、ここで何を言いたいかというと、やはり、全ての職業について精通している行政職員はいないし、学校の先生も同じだと思うんです。ですから、町で働いているどこどこ会社の社長さんやあるいは施設長さんとか、そういう方々がその道のプロなんです。そういう方々もこういう就労支援の補助員でしょうか、支援員とまでは言わなくても、補助できるような形をぜひつくっていただければ、やはり、その仕事につくに当たってのいわゆる苦労、あるいはついてからの苦労というのを子供のころからしっかり教えておきますと、自分が将来何をやりたいということに、私はもっと、ほわっとしたイメージよりも鮮明なイメージを持って自分の目標にしていただけるんじゃないかと思いますので、ぜひ、進路のきっかけづくりなり情報提供については、もっといろいろ、あの手この手、民間の方々やいろいろな組織の方を使っていただくことをまずお願い申し上げたいなというふうに思います。

 先ほど、子供を育てるにはやはり三位一体だというふうに申し上げましたけれども、例えば学習支援事業につきまして、文科省、あるいは、地域でいえば総務省も関係あると思いますけれども、他省庁との関係は一体どういうふうになっているんでしょうか。

定塚政府参考人 子供の学習支援に関する事業としては、主なものとして、生活困窮家庭の子供に対する学習・生活支援事業のほか、ほかの施策として、一人親家庭の子供に対する生活・学習支援事業、並びに文部科学省で行っております地域未来塾といったような事業がございます。

 これら三つの事業については、それぞれ目的や対象者が異なっているところでございますけれども、地域の人材の活用あるいは関係機関の情報共有などの点において、事業間の連携を図っていくことが重要であると考えているところでございます。

 実際に、自治体の中では、地域でこれら事業の連携の工夫を進めているというところもございまして、本法案においては、子どもの学習・生活支援事業と一人親家庭の子供の事業、それから文科省の事業との連携規定を設けているところでございます。

 これによりまして、福祉部門と教育部門間での連携方策、ますます検討を進めながら、より一層効果的、効率的な実施を進めてまいりたいと考えております。

渡辺(孝)委員 ありがとうございます。

 子供たちの将来がかかっております。ぜひお答えのように進めていただきまして、子供たちがこの国で、この地域で生きていく上で、夢を持って生活していける、働いていけるような環境づくりに、これからもぜひお力添えをいただきたいというふうに思います。

 さて、もう五分を切りましたので、本当に余裕をかましていたら大変なことになりまして、ちょっと質問も端折って申しわけありませんけれども、最後の質問にさせていただきます。

 いろいろと議論させていただきましたけれども、狙いとしては、困窮者をある意味救済するに至っては、やはり最終的には生活保護者にしないということが一番の目的だというふうに思います。

 そこで、ちょっと私、気になっておりまして、生活保護のそもそも論で、もう最後の質問でそもそも論も申しわけないんですけれども、平成二十九年の、いわゆる社会保障審議会ですか、その生活保護基準部会におきまして、見直しの答申を受けて今回の改正になったというふうに私はお聞きしております。一般国民の水準の中で、下位一〇%の方々の所得水準を基準にしている消費実態に合わせた見直しというふうにも説明を聞いておりますが、済みません、私の頭の中では実態感がないものでございまして、具体的な所得、金額で提示するとしたら一体どういう数字になるのか、ちょっと教えていただけますか。

定塚政府参考人 今回の生活保護基準の検証でございますけれども、生活保護基準の見直しにおいて比較対象としたモデル世帯、夫婦子一人世帯でございますが、この年収階級下位一〇%の一般低所得世帯でございますが、こちらの生活扶助に相当する支出額が、一カ月当たり約十三万六千円となっております。これは現行の生活保護の生活扶助基準額とおおむね均衡しているということが確認をされて、したがいまして、モデル世帯においては、生活保護基準について、上げる必要もないし下げる必要もない、据置きという結論になっているところでございます。

 お尋ねいただきましたのは、このモデル世帯である夫婦子一人世帯の年収階級の下位一〇%に当たる世帯の年収ということですが、平均額は約三百万円となってございます。

渡辺(孝)委員 もうあと二分しかないので質問は終わりにしますけれども、なぜこんなそもそも論を聞いたかといいますと、今、地方に行きますと、特に若い者が、どうせ年金なんかもらえないんだ、だったら先生、年をとったら我々も生活保護を受けりゃいいよねなんという軽口をたたいている子供がいるのに、正直言って愕然としております。

 そういうことを聞きますと、私なりに、それは否定し、そして、しっかりと働くこと、そして社会に貢献することなどを子供たちに説明しながら、何か自分もいつの間にか説教じじいになってきたかななんて思いながらも、でも、そういうゆゆしき状況がひしひしと伝わってくるのでございます。

 ですから、この生活保護の基準が、下げればいいと言っていることじゃないし、かといって、上げてくれとも言っているわけじゃない。むしろ、生活保護にさせないためにどうしたらいいかという議論をこれからもっともっと深めていただかないと。私は、制度、政策はわかりますし、憲法で保障されているのもわかります。今ここでそれを問うのではなく、そういう社会環境にならないように、本当に、私は、十三万六千円以上の生活ができるように、あるいは給料がもらえるような、そんな社会にしていただきたいということで、この生活保護の基準額、基準をちょっと聞いたわけですけれども、もっともっと厚労省で、世間一般に、子供たちに、ぜひそんなことを、ある意味啓蒙というんでしょうかね、しっかり運動していただくことを最後、お願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 本当にありがとうございました。

高鳥委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 早速質疑に入らせていただきたいと思いますが、本日の委員会、こういう姿になりました。

 一言だけ最初に申し上げておきますと、この厚生労働委員会の現場、私も理事の一人として運営に携わってまいりましたけれども、例の野村不動産の特別指導について大臣に報告を上げられたあの資料、マスキングされた資料、理事会に報告されたわけでありますが、これを外せというような議論が随分ありまして、事の性格上それはできないということもずっと議論が続いておりまして、私は、理事として、与党筆頭の大変な努力もあって、この委員会、法案審議に入って、法案審議以上に集中審議をやっているというような事態が起きておりまして、私は、与党筆頭の努力も評価していただきたいと思います。

 それから、何よりも、先日の委員会を聞いて、山井先生が今いなくなりましたけれども、いないですね、残念だけれども、先日の山井委員の委員会での議論を聞いておりまして、もう山井先生の頭の中には、厚生労働省側が意図的に過労死を隠しているという大変なシナリオをおつくりになって追及されているわけであります。私、ずっと大臣の答弁も聞いておりまして、やはり違法な裁量労働は許してはならぬということで懸命に取り組まれたんだろう、こういうふうに理解をしているんですが、事は、監督指導の情報は明らかにできないということでありまして、これがずっと平行線、ずっと平行線なんです。

 法案質疑以上に集中審議が長くなっているということもありまして、私たち与党としては、会期末までのスケジュールを考えますと、重要な法案もあるわけでありますから、何としても法案の審議を優先して進めなきゃならぬということで、きょうはこういう絵姿になったわけであります。

 本当に残念なこの委員会の姿だなと思いながら、そんな緊張感のある中で、きょうは、私の質問通告に対して野党の提案者もおいでいただきました。ありがとうございます。お会いできるかどうか、本当に朝まで心配したのでありますけれども、野党の提案者の皆さんのお取組を評価したいというふうに思います。

 できればこの後もほかの皆さんもお連れいただいてここへ座っていただければ、こんなありがたいことはないわけで、それをお願いしながら、早速、野党提出、生活保護法の一部を改正する法律案に対する質疑もしていきたいと思います。

 きょうは一点に絞りたいと思っております。野党の皆さん方は、この法案を見ましたら、生活保護法第十条、いわゆる世帯単位の原則、ここに一項を加えるということで、大学も含めて、大学等に就学することができるよう配慮しなきゃならぬ、その世帯にとどまりながら。これが大きな内容なんであります。

 ここで伺いたいのでありますが、御案内のとおり、生活保護法というのは、さっき申し上げたように、大きな原則は世帯単位ということになっているわけですね。その上で、一定の条件のもとで例外も認められている。その一つが大学進学でございまして、きょうは保護の実施要領を持ってまいりましたけれども、この保護の実施要領では、大学に生活保護世帯から進学をする場合は、一定の条件、修学資金を受けて大学に進むというような場合は、世帯を分けて、世帯分離をして保護世帯から外してあげるという対応をしているわけでありますが、提案者の法案では、これを、就学する場合は、大学に就学ですよ、世帯単位で保護を適用するよう配慮を求めている。

 この配慮というのは何ですか。どういう配慮をケースワーカーはすればいいのか、私、ケースワーカー出身者として悩むわけでありますが、お答えいただきたいと思います。

初鹿議員 桝屋先生、御質問ありがとうございます。

 桝屋先生は、初代の厚生労働副大臣もお務めされて、そして山口県庁で福祉の分野でずっと活動をされてきたということでありますし、また、今先生からもお話がありましたとおり、ケースワーカーもされていたということで、そういう先生から御質問いただいたことを非常にうれしく思っております。

 今の御質問ですけれども、現在の生活保護法の運用では、高等学校における就学について、世帯の自立助長に効果的と認められる場合に、世帯内において就学すること、すなわち、就学する者の最低生活費を生活保護の給付の対象とすることが認められております。

 これは、かつて高等学校における就学について世帯分離がなされていた運用を、昭和四十五年に改めたことによるものであります。それは御承知のとおりだと思います。

 他方、大学等についての就学については、現在でも世帯分離がなされて、その結果、就学する者の生活費は生活保護の給付の対象から外れることになっております。それが大学進学等への妨げになっているという指摘を受けているところであります。

 そこで、本法案では、現行の高等学校への就学の取扱いを大学等への就学にも及ぼすべく、大学等への就学は世帯の自立助長に効果的と認められるものとして、世帯内就学を認める運用への転換を促しております。

 この点については、超党派の子どもの貧困対策推進議員連盟、こちら、田村筆頭が会長を務めていらっしゃると思いますが、この議員連盟の提言の中でも、「世帯分離が、昭和四十五年に高校進学について廃止されたことに鑑み、大学または専修学校等への進学についても、来年度の進学に間に合わせるべく早急に効果的な支援策を講じること。」という提言も出されておりますので、与党の皆様方も思いは同じではないかというふうに思います。

 そこで、法案提出者としましては、この規定の趣旨を踏まえて、まずは現在の運用の根拠となっている通達が改められて、ケースワーカーの方々がそれに基づいて対応されることを期待しているところでございます。

桝屋委員 最初に私の立場を申し上げておかなきゃならぬと思います。私も、野党の提案の皆さん方、大学進学の扱いも、できればそうしたいなという思いもあるんですが、これはなかなか難しいという立場でありますので、先ほど超党派の議連の話もありましたが、私ども公明党も参加しておりまして、そこの思いは共通する思いがあるだろうと思うんですが、ただ、高等学校を世帯分離していたものを世帯内をオーケーした、じゃ、大学は世帯分離していたんだけれども今度は世帯内就学をオーケーにするというのと、僕は、高校と大学を全く同じように扱うということは、まさにさっきから言っていますように、現場の感覚として、いいんだろうかという疑問も拭えないわけであります。

 今の初鹿先生の御説明だと、配慮するということは、要するに、今までの経緯をおっしゃったわけですから、じゃ、高等学校就学と大学就学は同じように扱う、ケースワーカーは、保護の実施は、という理解でよろしいんですか。

初鹿議員 そのように運用が進むことを期待しているところです。

桝屋委員 期待は結構ですが、そうしたいということですね。

 そうなりますと、さっき言いましたように、私が簡単にここは乗り越えられないというふうに申し上げたのは、世帯内にとどまって大学での就学ということを生活保護上オーケーにしますと、じゃ、その世帯、大学へ行っている人も含むその世帯の保護の要否判定とか、あるいは収入認定、これはどういうふうに扱うのかという問題が出てくるわけであります。

 生保世帯、生活保護世帯にとどまるということは、よく我々、ケースワーカー時代、言っておりました、もう食べ物が最後のパン一枚になった、たとえ一枚であっても、保護世帯であればともに分け合って食べなきゃいけないんだというふうによく指導されたんです、先輩から。そういう世界にいるということがいいのかどうかという、私は素朴な疑問があるんです。

 もうちょっと言いますと、世帯分離してあげた方が主体的な就学生活に向いているんじゃないかというふうにも思わなくもないんですが、いかがでしょうか。

初鹿議員 まず、パンを分け合うというお話ですが、まずは、やはり最低生活を保障する制度が生活保護ですから、そういうことにならないような基準の扶助をきちんと決めていくということが必要なんだろうというふうに思います。

 それで、今のお話ですけれども、まず、生活保護世帯の子供たちが大学へ進学するに当たって、かねてからの世帯分離の運用が大きな壁になっているということは申し上げたとおりでございますが、具体的に、生活保護世帯の子供が大学等へ進学した場合、その世帯は世帯分離により従来より一人分少ない保護費になりまして、食費、水道光熱費などの諸経費を払わなければなりません。こちらは、今までどおり、支出は同じになるわけであります。また、進学した子供は、例えば国保に入って保険料も支払わなければならなくなるというように、非常に支出がふえることは事実だと思いますので、必ずしも先生の御指摘は当たらないのではないかというふうに思います。

桝屋委員 ここは議論でありますが、私さっき申し上げたのは、高校生と大学生が違う、高校と大学は違うというふうに私は思っているのであります。

 大学生の場合、私も大学時代、苦学をいたしまして、学資はもちろん自分で稼ぎましたし、弟たちの仕送りまでするような生活をしておりましたけれども、大学へ進学しながらも世帯にとどまるということは、例えば、修学資金の借入れをしたり、あるいは最近の修学資金は生活費も含んでいるようなケースもあります、そうしたことは、借金というのは、生活保護上、基本的にできませんわね、絶対に。

 それから、問題は自動車ですよ。自動車なんかは、やはり、若い世代で学費を稼ぎながら頑張りたいと思うときに、車の活用が本当にできるのかどうか、そんな不自由さが生活保護世帯にとどまるということで起きてくることもあるので、ここは、高校生はそんなことは言いませんよ、大学の場合は、むしろそこは自立させてあげた方がいいのではないか、こういうふうに感ずる点もあるんですが、もう一度、その辺はどうお考えですか。

初鹿議員 ありがとうございます。

 それこそ、ケースワーカーの力量の問題になってくるんじゃないかと思います。

 私も、必ずしも、全て世帯分離をしないで世帯内就学ということを求めるべきだという主張をするつもりはありません。それぞれの家庭の中で、それぞれの個々のケースで、ケースワーカーがきちんとケースワークをする必要があるんだというふうに思います。ただ、今の運用ですと、就学をすると世帯分離をしなければならないということで、世帯内就学が認められないということですので、そこは認めるようにするべきではないかと。

 それとあと、あわせて、アルバイト代や奨学金が受けにくくなるのではないかという御指摘ですが、世帯分離をやめると同時に、大学に就学する子供たちのアルバイトの費用だとか奨学金などの収入は大学等の授業料だとか就学に必要な費用に充てているものであるということで、収入認定から除外をする措置も必要ではないかというふうに考えております。

桝屋委員 ただ、その場合は、必ず収入申告書をいただいて、その中身を精査することになるわけですね。それはやはり本人にとって、大学生ですから、ケースワーカーから、まあ、まさにそれはケースワーカーの力量だと言われるかもしれないけれども、必要な学費はここまでですよ、あとは世帯に入れてくださいよと言われる可能性もあるわけで、なかなか簡単ではないなと。

 ちょっと話題をかえますと、じゃ、高校生と大学の違いという観点で、もう一つ論点は、今のように収入認定しないというようなことになれば、世帯内にとどまっているわけでありますから、生活保護というのは補足性の原理があって、その世帯が持っているあらゆるものを最低生活に充当するということが保護の要件でありますから、その場合には、能力活用ということが十分求められる。

 例えば、大学生、高校修学を済ませて、ある人はもう世に出て働く人もいる中で、大学に行く、これを認める場合、まさに能力活用という観点から、稼働能力の活用という観点でこの問題をどう整理されるのか、教えていただきたいと思います。

池田(真)議員 お答えいたします。

 稼働能力の活用ということは、御指摘のとおり、生活保護法の四条一項の補足性の原理ということではございますが、しかし、今現在におきましても、受験資格を大学卒業者に限定している資格や企業も少なくなく、大学への就学が認められないことによって、子供たちが将来つける職業の選択肢が狭められているという現状がございます。また、大学に通うかどうかで生涯賃金が異なってくるという統計も先生も御存じかと思います。金額につきましては割愛をさせていただきますが。

 このように、職業の選択の観点からも、最終学歴によって生涯賃金に大きな格差が生じることから、大学に進学すればその稼働能力を高めるということの蓋然性が高いということで、このような世帯内就学ということにさせていただきました。

桝屋委員 私は、今の御説明で、例えば保護世帯が大学に進学する、それはその世帯の自立助長に資するということは今の説明でも理解できますよ。私もできればそうしてあげたいという思いはある中で、しかし、なお、稼働能力の課題、これは高校生とは違う。やはり大学生の場合の稼働能力、私自身が大学生のときは本当によく稼ぎましたから、休み中はもうほとんど二十四時間バイトをやって、信じられないぐらい稼いでおりましたので、あっ、二十四時間はまずいんですね、働き方改革を議論するときに。ただいまの発言は取り消したいと思いますけれども、そういう中で、今の説明が本当に……。

 じゃ、ちょっとまた話題をかえて、例えば、生活保護で大学進学を認めているケースが今でもありますね。これは夜間大学。夜間大学の場合は、昼間は能力活用をしっかりしていただいて、残った余暇の時間を将来の自立助長のために大学に行くというのは、これは大いに結構。この場合は、その進学の経費等も収入認定しないような配慮をするわけですね。こういうケースがある。

 一方、皆さんが言われるように、じゃ、大学、世帯内でオーケーとしますと、片方は、昼一生懸命働いて、しかも世帯の自立助長を目指し、生活を、さっき、パンも、一枚のパンをみんなで食べながら頑張っているケース。こっちは、今度皆さん方がオーケーしたら、多分、ケースワーカーさんの判断で、昼間能力活用しないで大学に行くこと、自立助長のためにはオーケーするわけですね。この違い、公平性はどうでしょうか。これは公平だと言えますか。国民は納得しますかね、この説明。どう御説明されますか。

池田(真)議員 お答えいたします。

 まず、大学進学率が七割を超えている現状ということでございますけれども、高校の授業料を生業扶助ということで創設したときと同様の時代背景があるというふうに、まず大前提に考えております。新たな扶助費を創設しないという現状であれば、せめて世帯分離をせずに大学に進学するように環境を整備するということが、まずこの第一歩の、法案の中に定めさせていただいております。

 あと、バランスにつきましてですけれども、今おっしゃったように、大学への進学率を同じ水準にするべくこのアンバランスを解消するということが、世帯内保護の子供たちが大学進学を選択するようにする必要があるということが、貧困の連鎖を断ち切って、生活保護世帯の子供たちが大学に進学しやすくなるように支援することが子供たちの将来のために重要であると考えて、今回の改正の中では、生活保護の世帯分離の運用の改善を図ったというところであります。

桝屋委員 今のお答えはよくわかります。そうした立法の背景を御説明いただいたので、そこは私も理解するんですが、じゃ、そうした場合に、皆さんの案を成案とした場合にどういう問題が起きるかというと、今のように昼間能力活用して夜学ぶ人と、じゃ、昼間能力活用しないで、将来自立助長のために大学進学を認めるわけですから、就学を。これは、この二つ、バランス、公平ですかねという素朴な質問です。

初鹿議員 ありがとうございます。

 むしろ、そうであるならば、昼間働いて夜大学に行っている方についても、逆に、昼間学校に行って夜大学に行っている方と同じように収入の一部を収入認定の除外から外すとか、そういう運用の仕方も考えて公平性をとることもできるのではないかというふうに思います。

桝屋委員 ちょっと聞き取れませんでした。よくわからなかった。今、初鹿先生、何とおっしゃったのか。もう一回同じことをおっしゃってください。

初鹿議員 昼間仕事をしてそして夜大学に行っている方も、要は、主が仕事で従が大学という考え方があるんだと思いますが、昼間大学に行って夜アルバイトとかで収入を持っている人と同じように、大学に通うということを主と考えて、昼間働いている収入については、世帯内で昼間大学に行っている人と同じように、それを収入認定から除外をするというような運用の仕方をすれば公平性は保てるのではないかというふうに思います。

桝屋委員 その場合は、能力活用というさっきの保護の補足性に矛盾しませんか。生活保護というのは、何度も言いますけれども、国民の大事な税金を使って、多くの国民の皆さんから御支援をいただいて、世帯の自立助長のために頑張るわけですから、それはやはり、能力活用はしっかりしていただくということが必要で、世帯にも還元していただくということは必要だし、何よりも、本人がそうしたいという学生はいっぱいいますよ。そのために夜間の大学があるわけでありますから。そこは説明がちょっと、私はすとんと落ちないのでありますが、どうでしょう。

初鹿議員 どうもありがとうございます。

 まず、本人がそうしたいという学生が多くいるということでありますが、本人の希望があればそのとおりにすればいいんだというふうに思いますが。

 先ほどの補足性の原則ということですけれども、目先の、直近のことで考えれば、能力の活用ということで、今ある能力をということになるのかもしれませんけれども、もう少し長いスパンで考えていったときに、先ほども申し上げたとおり、最終学歴が大学卒業か高校卒業かで生涯賃金が大きく変わります。そして、更に言えば、大学を卒業した後、安定した仕事について一定の収入を得るようになれば、その子供が親を逆に扶養することになり、生活保護から脱却をする可能性もあるということを考えたら、補足性の原則をもう少し長いスパンで考えたら、大学進学をして安定した仕事につけるようにするということで、そこは解消できていくのではないかというふうに思います。

桝屋委員 今回の立法の背景、立法趣旨、それはわかりますよ。ただ、現実に、今の現行の生活保護制度をそのように移行していこうとするときに出てくる問題について、ちょっと初鹿先生のその答弁では生煮えだなと、ちょっと現場のケースワーカーは大変困ると私は思っておりまして。ただ、批判しているんじゃないですよ。我々も、できれば、今私が問題提起しているような問題がきちっと解決できればやりたいと思っているのでありますが。

 もう一つ聞きたいのは、そんなことより何より、大学進学をしないで、本人の選択でですよ、自分はこの世帯の自立のために働いて貢献したいという人との公平性、これは多分また同じ回答が返ってくると思うのでもう質問しませんけれども、そういう問題はあるんですよね。うなずいていただいて。

 この問題を乗り越えなきゃならぬ。それで、超党派でいろいろ議論をして、現行制度の中で今やれることは何かというと、それは、単に大学進学率が八〇パーとかそういう数字ではなくて、やはり、今の制度の中で少しでも大学進学を支援できるような、阻害要因を外していこうということで、今回、進学準備給付金を創設し、さらに、最大のネックとなりました住宅扶助の減額もやらないというようなことを、現行制度でできることをやる。ここは賛成なんでしょう。どうでしょう、今の政府案について。

初鹿議員 まず、進学準備給付金の創設についてですけれども、当然我々も、この三十万円、十万円ということが支給されることは、ないよりかは、プラスになるわけですから、前向きに評価をしたいと思います。

 しかし、御承知のとおり、三十万、十万ということで果たして足りるのかということなんですね。やはり、不足をしているんじゃないか、不十分じゃないかということは、もう先生も十分に御承知のことだと思います。

 全国大学生協連の調査によりますと、受験や入学準備にかかる費用は、自宅生だと約五十万円、自宅外では百三十万円ということでありますから、三十万、十万だと、それこそ単純に考えても四十万、百万足りないということになるわけで、それだけの費用を預貯金が認められない生活保護世帯で賄えるのかというと、非常に厳しいのではないかというふうに思うわけであります。

 そして、それに加えて、大学に進学する意欲を持つようになる、又は学力をきちんと持てるようになるためには、その前からが私は非常に重要ではないかと思うんですね。小学校、中学校、高校の段階で学力がきちんとつくようなそういう環境が整えられているのかということ、それと、自尊心をきちんと持てるように育つかどうかということなんだと思います。

 そういう観点からすると、今回、残念ながら、子供のいる世帯の四割は生活扶助費がマイナスになるということでありますし、例えば三歳未満の児童養育加算がなくなるということで、子供のより小さいときの支援が手薄になるということは、私は、結果として、大学進学の意欲を持てる子供を減らしてしまうことになりかねない、なりかねるのではないかという心配をしております。

 そして、住宅扶助の減額についてですけれども、これは当然、世帯分離を前提としての住宅扶助を減額しないということでありますので、今の現状ですと、住宅扶助を減額しないという措置をとっていただくというのはありがたいことだというふうに思いますけれども、我々は、先ほどから申し上げているとおり、世帯分離をしないで世帯内就学ができるようにすることを法案で提出をさせていただいておりますので、全く評価をしないとは申し上げませんが、やはり、住宅扶助の減額を取りやめることではなくて、しっかり世帯内就学を認めるべきではないかというふうに考えております。

桝屋委員 いっぱいしゃべっていただきました。ありがとうございます。

 初鹿先生の目を見ておりますと、今回のこの進学準備給付金の創設あるいは住宅扶助の減額の廃止等は大きく評価しておられるような顔に見えるんです、さっき私の推定もされたので。超党派で、みんなで、この問題、大学進学問題を何とかしようということで議論してきた結果が一つの成果だろうと思っておりまして。

 なお、初鹿先生がおっしゃった生活保護基準の問題もございますけれども、ここは更に政府が、安倍総理が、幼児教育の無償化から高等教育の無償化まで消費税を使ってやろう、このようにおっしゃって、今大きく、大学の授業料の減免のあり方であるとか、給付型の奨学金、こうした制度も今、与党で議論しておりますから、こうしたこととあわせて、その議論があると、今回、生活保護の大学進学の扱いにどう影響するかというのは、実は私も悩んでいるところでありますが。

 ただ、結論から言いますと、初鹿先生、野党提案者の思いは、まだやはり乗り越えるのは無理ですよ。ちょっと生煮えのような、私は、ケースワーカーが大混乱を起こすという、確かに自由裁量の余地のあるケースワーカーの業務でありますけれども、先ほどの御説明ではちょっと、私がケースワーカーだったら随分悩むなというふうに思う次第であります。

 目指す方向は同じ思いでありますから、きょうは本当に出てきていただいたこと、涙が出るほどうれしいわけでありまして、この後もおつき合いを賜りたい。くれぐれもよろしく。山井先生と議論できることを本当に楽しみにしていたんですけれども、残念であります。

 それで、今、初鹿先生がおっしゃったけれども、二十万、三十万じゃ足りないというお話もありましたが、定塚局長、何か一言、政府側から一言言ってください。

定塚政府参考人 私ども厚生労働省としても、やはり、大学進学する、したいという気持ちを持っているお子さんを支援していきたい、その気持ちは、まさに桝屋先生おっしゃったように皆さんと共通のものとして、それではどのように支援をするかということをいろいろと審議会でも御検討いただき、我々としても考えてきたところでございます。

 この十万円、三十万円でございますが、御説明させていただいているとおり、生活保護世帯のお子さんの進学準備のための一時金、理由としては、生活保護費の中から大学等への進学後の費用を貯蓄することが認められていないということを踏まえて、生活保護世帯特有のものであるという位置づけで設定をしているところでございます。

 金額については、全国大学生活協同組合連合会が実施した調査で、自宅生では、家電製品、衣類や身の回り品等が九万円程度、自宅外生では、そのほか、寝具、家具、実用品等も加えて約三十二万ということなどを踏まえて、いろいろなことを総合的に勘案して決定をしたところでございまして、もちろん、この給付のほかに、高校生のアルバイト代等、これについては、実は今回、収入認定除外の措置として、高校生のアルバイト代等を大学の受験に必要となる交通費や宿泊費などに充てる場合に、収入として認定せず、手元に残せるということを改めて明確化をしたところでございます。また、必要に応じて、奨学金であるとか預貯金などもあわせて進学に向けた準備をする。

 さらに、議員から御指摘いただいたように、新しい経済政策パッケージにおいての支援ということもございますので、これは生活保護家庭を含めた、周辺の所得が低い家庭のお子さんたちの支援も含めてということでございますので、こういうことも含めて、文科省とも連携しながら、進学支援に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

桝屋委員 だから、十万、三十万というのは、それだけではない、いろいろな要素がほかにあるということも考えなきゃならぬというふうに思っております。

 野党提案者の皆さん、本当にありがとうございました。私の質問はここまでにしたいと思います。もしあれでしたら、退席されても結構でございます。こっち側へ座ってください。どうもありがとうございました。

 それでは、残された時間、若干ありますから、例の札幌市のそしあるハイム火災事故の問題について、もう一点だけ確認をさせていただきたいと思います。

 先般の委員会質疑で、三万二千人ぐらい、同じような施設で生活する生活保護受給者がいらっしゃるみたいな御説明があったと思いますが、ちょっとその確認と、それから、私は、生活保護受給者が共同で住んでおられる共同住宅について、火災事故、今まで何件かありましたが、ほとんどの現場に足を運んでおります。そのたびに心を痛めているわけでありますが、生保受給者に係る今回のような火災事故、どれぐらいあったのか、厚労省が把握しておられる状況をお示しいただきたいと思います。お願いいたします。

定塚政府参考人 無料低額宿泊所と、生活保護受給者が二人以上利用し、住宅の提供以外に何らかの料金を徴収している社会福祉各法に法的位置づけのない施設の利用状況について調査を行っているところでございますが、平成二十七年六月調査では、無料低額宿泊所の利用者数が約一万六千人、このうち生活保護受給者は約一万四千人、社会福祉各法に位置づけのない施設に入所する生活保護受給者数は約一万六千人でございまして、合わせると利用者は約三万二千人、そのうち生活保護受給者が約三万人となってございます。

 また、多数の生活保護受給者が罹災した火災事故があるということをもちろん承知してございますが、残念ながら網羅的には把握はしてございません。

 平成二十一年に群馬県渋川市の高齢者向け施設でございました。また、平成二十七年には、川崎市の簡易宿泊所で多数の生活保護受給者がお亡くなりになられております。昨年も、北九州市や秋田県横手市でのアパート火災など、痛ましい火災事故が発生しているということを承知しているところでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 私も、渋川とか川崎、あるいは、今は報告なかったんだけれども、二十七年の三月に名古屋市でも同じような集合住宅で火災があり、被保護者が亡くなるというそんな現場に足を運んできました。

 大臣が帰ってこられましたけれども、私、現場に行っていつも悩むのは、一番悩むのは、これは何ですかと聞くと、有料老人ホームでもない、それから無低でもない、無料低額宿泊所でもない、下宿だとかね。そのくせ、当該自治体の福祉事務所、ケースワーカーは、大事な宿所、住居として物すごい重宝している。だけれども、その状態が放置されたままいっていて、ふだんはそれでいいんですが、大きな火災事故があって、十人、十一人と亡くなられる。今回の事故も本当に痛ましいと思っております。

 大臣は、いろんな答弁の中で、この無料低額宿泊所、社会福祉法に基づく無低のあり方について見直しを検討する、このようにもおっしゃっていますが、これは、あわせて、有料老人ホームの、老健局になりますけれども、よく局ごとに連携をして、この定義の見直しをしっかりしていただきたいというお願いと、それから、直ちにやってもらいたいことは、これももう既に通知を出されているようですが、さっき三万人という数字がありましたけれども、現に生活保護を受けておられる集合住宅におられる方々、今回はポリタンクが不用意なところへ置いてあったということでありますが、ケースワーカーの定例の訪問時に、やはりしっかりと現場をケースワーカーの目で、関係機関とも連携しながら点検をしていただきたい、総点検活動をぜひこういう機会にやってもらいたいというふうにお願いをしておきたいと思います。

 大臣、もう時間がないから、最後、大臣とお話をして終わりたいと思いますが、大臣、本当に、現場の福祉事務所から言わせると、現地に行くと必ず言われるのは、これがないと困るんです、本当に困っちゃう、だけれども、何かわかりませんと。そしあるハイムの場合は、自立支援事業だ、こうまでおっしゃっているわけで、ぜひ大臣、こうした不幸な事故が起きないように取組を進めていただきますように、改めて大臣の決意をお伺いして、終わりたいと思います。

加藤国務大臣 まず、今、桝屋委員からもお話がありました札幌市の施設火災、十一名の方がお亡くなりになり、三名の方が負傷される大変痛ましい事案でありまして、厚労省からも高木副大臣に現地に赴いていただいて、献花もしていただき、また、札幌市等からもいろいろお話も聞かせていただいたところでございます。

 生活困難者の住まいにおける、まず防火安全対策については、発生直後から消防庁、国土交通省と協議を重ね、三月二十日に三省庁連名で通知を発出し、地方自治体の福祉部局、消防部局及び建築部局が連携した取組の実施を依頼したところであります。

 また、これによって、今ケースワーカーのお話がありましたが、ケースワーカーによる受給者本人への注意喚起、また、ケースワーカーが把握した施設の情報等々もそれぞれと共有をしていく、そして防火安全対策に生かしていく、こういう取組をしっかり進めていきたいというふうに思っております。

 また、今回の法律案においては、これまでは法的拘束力のないガイドラインでお示しをしておりました無料低額宿泊所の設備や運営に関する基準について、法律に根拠を持った最低基準を定め、違反した場合には改善命令を発出するということで規制の強化を図っているところでございますけれども、防火防災対策を含む最低基準をどうするのか、それから、届出の対象となる施設の範囲をどうするのか。札幌の場合は、札幌市の判断で、無料低額でもないし高齢者の施設でもない、こういうことでちょうど真ん中に入ってしまったということでもありますので、無料低額宿泊所の現状等もしっかり踏まえながら、また、地方自治体、事業者など関係者の意見も聞きながら、改正法の施行までに検討していきたいと思っております。

 また、高齢者福祉施設に関しても御指摘もございました。そこもよく我々はもう一度検証していく必要があるんだろうと思います。

 また、いずれにしても、真ん中に来るところもありますが、そこで起居されている生活保護者の方もおられますので、それに関しては、先ほど申し上げた、ケースワーカーの方からのそうした注意喚起と、加えて、また、訪問した際にいろいろ情報を得たこと、それは共有をしていく、そうしたさまざまな対応で、こうした事案が二度と起こらないように努力をしていきたいと思います。

桝屋委員 ぜひ、我が党も改めて取組を進めたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 いまだ立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党所属委員の御出席が得られておりません。

 理事をして再度御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請させましたが、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これより立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党の質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

高鳥委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 理事をして再度御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請させましたが、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 質疑を続行いたします。

 これより立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党の残余の質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、渡辺(孝)委員長代理着席〕

    〔渡辺(孝)委員長代理退席、委員長着席〕

    〔委員長退席、堀内委員長代理着席〕

    〔堀内委員長代理退席、委員長着席〕

高鳥委員長 これにて立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党の質疑時間は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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