衆議院

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第28号 平成30年6月13日(水曜日)

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平成三十年六月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 橋本  岳君 理事 堀内 詔子君

   理事 渡辺 孝一君 理事 西村智奈美君

   理事 岡本 充功君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井野 俊郎君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    神谷  昇君

      神田  裕君    木村 哲也君

      木村 弥生君    黄川田仁志君

      国光あやの君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    後藤田正純君

      佐藤 明男君    塩崎 恭久君

      繁本  護君    白須賀貴樹君

      田畑 裕明君    高橋ひなこ君

      長尾  敬君    福山  守君

      船橋 利実君    三浦  靖君

      三ッ林裕巳君    宮路 拓馬君

      山田 美樹君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    長谷川嘉一君

      初鹿 明博君    吉田 統彦君

      大西 健介君    白石 洋一君

      山井 和則君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    串田 誠一君

      柿沢 未途君

    …………………………………

   議員           岡本 充功君

   議員           大西 健介君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      高木美智代君

   財務大臣政務官      今枝宗一郎君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   政府参考人

   (内閣官房人生100年時代構想推進室次長)    大島 一博君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 塚田 玉樹君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 新川 浩嗣君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   市川 健太君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           下間 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福田 祐典君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       鈴木 良典君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十二日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     足立 康史君

同月十三日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     神谷  昇君

  国光あやの君     神田  裕君

  小林 鷹之君     鬼木  誠君

  繁本  護君     三浦  靖君

  長尾  敬君     宮路 拓馬君

  三ッ林裕巳君     黄川田仁志君

  足立 康史君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     小林 鷹之君

  神谷  昇君     木村 弥生君

  神田  裕君     国光あやの君

  黄川田仁志君     福山  守君

  三浦  靖君     繁本  護君

  宮路 拓馬君     長尾  敬君

  串田 誠一君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     三ッ林裕巳君

    ―――――――――――――

六月十三日

 健康増進法の一部を改正する法律案(岡本充功君外一名提出、衆法第三六号)

同月十二日

 ウイルス性の肝がん・重度肝硬変患者の支援と肝炎ウイルス検診等の推進に関する請願(穴見陽一君紹介)(第二〇七三号)

 同(井野俊郎君紹介)(第二〇七四号)

 同(江田康幸君紹介)(第二〇七五号)

 同(柿沢未途君紹介)(第二〇七六号)

 同(後藤田正純君紹介)(第二〇七七号)

 同(佐藤明男君紹介)(第二〇七八号)

 同(階猛君紹介)(第二〇七九号)

 同(白須賀貴樹君紹介)(第二〇八〇号)

 同(中野洋昌君紹介)(第二〇八一号)

 同(西村智奈美君紹介)(第二〇八二号)

 同(福田昭夫君紹介)(第二〇八三号)

 同(三ッ林裕巳君紹介)(第二〇八四号)

 同(青山雅幸君紹介)(第二一四一号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第二一四二号)

 同(尾辻かな子君紹介)(第二一四三号)

 同(大西健介君紹介)(第二一四四号)

 同(小林鷹之君紹介)(第二一四五号)

 同(山井和則君紹介)(第二一四六号)

 同(渡辺孝一君紹介)(第二一四七号)

 同(渡辺博道君紹介)(第二一四八号)

 同(後藤茂之君紹介)(第二一七八号)

 同(柚木道義君紹介)(第二一七九号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤交代制労働の改善に関する請願(大河原雅子君紹介)(第二〇八五号)

 同(岸本周平君紹介)(第二〇八六号)

 同(佐藤公治君紹介)(第二〇八七号)

 同(玉城デニー君紹介)(第二〇八八号)

 同(川内博史君紹介)(第二一二〇号)

 同(日吉雄太君紹介)(第二一二一号)

 同(松平浩一君紹介)(第二一二二号)

 国の責任で社会保障制度の拡充を求めることに関する請願(藤野保史君紹介)(第二〇八九号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(今井雅人君紹介)(第二〇九〇号)

 同(西村明宏君紹介)(第二〇九一号)

 同(加藤鮎子君紹介)(第二一二四号)

 同(馳浩君紹介)(第二一二五号)

 障害福祉についての法制度の拡充に関する請願(藤野保史君紹介)(第二〇九二号)

 同(堀越啓仁君紹介)(第二〇九三号)

 同(道下大樹君紹介)(第二〇九四号)

 同(山内康一君紹介)(第二〇九五号)

 同(吉川貴盛君紹介)(第二〇九六号)

 同(尾辻かな子君紹介)(第二一二六号)

 同(大串博志君紹介)(第二一二七号)

 同(川内博史君紹介)(第二一二八号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一二九号)

 同(田中英之君紹介)(第二一三〇号)

 同(馳浩君紹介)(第二一三一号)

 同(日吉雄太君紹介)(第二一三二号)

 同(山井和則君紹介)(第二一三三号)

 同(山本拓君紹介)(第二一三四号)

 同(穴見陽一君紹介)(第二一七〇号)

 同(江田康幸君紹介)(第二一七一号)

 同(谷川弥一君紹介)(第二一七二号)

 同(本多平直君紹介)(第二一七三号)

 同(笠浩史君紹介)(第二一七四号)

 公正な賃金・労働条件に関する請願(藤野保史君紹介)(第二〇九七号)

 同(道下大樹君紹介)(第二〇九八号)

 同(日吉雄太君紹介)(第二一三五号)

 同(櫻井周君紹介)(第二一七五号)

 難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願(西村明宏君紹介)(第二〇九九号)

 同(藤野保史君紹介)(第二一〇〇号)

 同(堀越啓仁君紹介)(第二一〇一号)

 同(道下大樹君紹介)(第二一〇二号)

 同(浮島智子君紹介)(第二一三六号)

 同(神田憲次君紹介)(第二一三七号)

 同(田中英之君紹介)(第二一三八号)

 同(馳浩君紹介)(第二一三九号)

 現下の雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の拡充・強化を目指すことに関する請願(矢上雅義君紹介)(第二一〇三号)

 同(大西健介君紹介)(第二一四〇号)

 同(尾辻かな子君紹介)(第二一七六号)

 同(柚木道義君紹介)(第二一七七号)

 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願(大河原雅子君紹介)(第二一一六号)

 同(大西健介君紹介)(第二一一七号)

 同(中川正春君紹介)(第二一一八号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第二一八〇号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第二一八一号)

 同(荒井聰君紹介)(第二一八二号)

 同(尾辻かな子君紹介)(第二一八三号)

 同(後藤茂之君紹介)(第二一八四号)

 同(武井俊輔君紹介)(第二一八五号)

 国の責任でお金の心配なく誰もが必要な医療・介護を受けられるようにすることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二一一九号)

 難病患者が安心して生き、働ける社会の実現に関する請願(馳浩君紹介)(第二一二三号)

同月十三日

 過労死と職場における差別の根絶に関する請願(柚木道義君紹介)(第二二〇九号)

 障害福祉についての法制度の拡充に関する請願(枝野幸男君紹介)(第二二一〇号)

 同(大岡敏孝君紹介)(第二二一一号)

 同(佐藤英道君紹介)(第二二一二号)

 同(高市早苗君紹介)(第二二一三号)

 同(冨岡勉君紹介)(第二二一四号)

 同(西田昭二君紹介)(第二二一五号)

 同(藤丸敏君紹介)(第二二一六号)

 同(星野剛士君紹介)(第二二一七号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二二一八号)

 同(三原朝彦君紹介)(第二二一九号)

 同(宮路拓馬君紹介)(第二二二〇号)

 同(山崎誠君紹介)(第二二二一号)

 同(吉川元君紹介)(第二二二二号)

 同(早稲田夕季君紹介)(第二二二三号)

 同(阿部知子君紹介)(第二三四一号)

 同(石川昭政君紹介)(第二三四二号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三四三号)

 同(高村正大君紹介)(第二三四四号)

 同(山本公一君紹介)(第二三四五号)

 同(横光克彦君紹介)(第二三四六号)

 同(安藤裕君紹介)(第二四二七号)

 同(伊藤渉君紹介)(第二四二八号)

 同(太田昌孝君紹介)(第二四二九号)

 同(岡本あき子君紹介)(第二四三〇号)

 同(加藤寛治君紹介)(第二四三一号)

 同(国光あやの君紹介)(第二四三二号)

 同(左藤章君紹介)(第二四三三号)

 同(斉木武志君紹介)(第二四三四号)

 同(鈴木淳司君紹介)(第二四三五号)

 同(田嶋要君紹介)(第二四三六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二四三七号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二四三八号)

 同(中山成彬君紹介)(第二四三九号)

 同(平井卓也君紹介)(第二四四〇号)

 公正な賃金・労働条件に関する請願(大岡敏孝君紹介)(第二二二四号)

 同(金子恵美君紹介)(第二二二五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二二六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二二二七号)

 同(藤野保史君紹介)(第二二二八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二二九号)

 同(宮本徹君紹介)(第二二三〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第二二三一号)

 同(阿部知子君紹介)(第二三六五号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三六六号)

 同(吉川元君紹介)(第二三六七号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二四五九号)

 難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願(大岡敏孝君紹介)(第二二三二号)

 同(金子恵美君紹介)(第二二三三号)

 同(佐藤英道君紹介)(第二二三四号)

 同(田所嘉徳君紹介)(第二二三五号)

 同(高市早苗君紹介)(第二二三六号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二二三七号)

 同(吉川元君紹介)(第二二三八号)

 同(阿部知子君紹介)(第二三六八号)

 同(伊佐進一君紹介)(第二四六〇号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第二四六一号)

 同(国光あやの君紹介)(第二四六二号)

 同(左藤章君紹介)(第二四六三号)

 同(広田一君紹介)(第二四六四号)

 現下の雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の拡充・強化を目指すことに関する請願(吉川元君紹介)(第二二三九号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二四六五号)

 ウイルス性の肝がん・重度肝硬変患者の支援と肝炎ウイルス検診等の推進に関する請願(岡本充功君紹介)(第二二四〇号)

 同(船田元君紹介)(第二二四一号)

 同(船橋利実君紹介)(第二二四二号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二二四三号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第二三六九号)

 同(田中和徳君紹介)(第二三七〇号)

 同(伊佐進一君紹介)(第二四六六号)

 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願(遠山清彦君紹介)(第二二四四号)

 同(船橋利実君紹介)(第二二四五号)

 同(三ッ林裕巳君紹介)(第二二四六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二三七一号)

 同(稲富修二君紹介)(第二三七二号)

 同(小川淳也君紹介)(第二三七三号)

 同(中野洋昌君紹介)(第二三七四号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第二三七五号)

 同(工藤彰三君紹介)(第二四六七号)

 学童保育(放課後児童健全育成事業)の「従うべき基準」を堅持することに関する請願(阿部知子君紹介)(第二三〇六号)

 同(枝野幸男君紹介)(第二三〇七号)

 同(大河原雅子君紹介)(第二三〇八号)

 同(大塚高司君紹介)(第二三〇九号)

 同(神山佐市君紹介)(第二三一〇号)

 同(亀岡偉民君紹介)(第二三一一号)

 同(重徳和彦君紹介)(第二三一二号)

 同(階猛君紹介)(第二三一三号)

 同(高木錬太郎君紹介)(第二三一四号)

 同(早稲田夕季君紹介)(第二三一五号)

 同(岡本充功君紹介)(第二四六八号)

 介護保険制度の改善、介護報酬の引き上げ、介護従事者の処遇改善と確保に関する請願(阿部知子君紹介)(第二三一六号)

 社会保険料の負担軽減に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第二三一七号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤交代制労働の改善に関する請願(阿部知子君紹介)(第二三一八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二三一九号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三二〇号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第二三二一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三二二号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三二三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三二四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二三二五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三二六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二三二七号)

 同(藤野保史君紹介)(第二三二八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三二九号)

 同(宮本徹君紹介)(第二三三〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第二三三一号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第二四一七号)

 同(田嶋要君紹介)(第二四一八号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二四一九号)

 同(広田一君紹介)(第二四二〇号)

 同(道下大樹君紹介)(第二四二一号)

 難病患者が安心して生き、働ける社会の実現に関する請願(阿部知子君紹介)(第二三三二号)

 同(広田一君紹介)(第二四二二号)

 精神保健医療福祉の改善に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二三三三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二三三四号)

 同(藤野保史君紹介)(第二三三五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三三六号)

 同(宮本徹君紹介)(第二三三七号)

 同(本村伸子君紹介)(第二三三八号)

 国の責任で社会保障制度の拡充を求めることに関する請願(小宮山泰子君紹介)(第二三三九号)

 同(関健一郎君紹介)(第二四二三号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(山本公一君紹介)(第二三四〇号)

 同(田嶋要君紹介)(第二四二四号)

 同(平井卓也君紹介)(第二四二五号)

 同(広田一君紹介)(第二四二六号)

 神経系疾患である筋痛性脳脊髄炎の研究推進に関する請願(阿部知子君紹介)(第二三四七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二三四八号)

 同(井上義久君紹介)(第二三四九号)

 同(稲津久君紹介)(第二三五〇号)

 同(大西健介君紹介)(第二三五一号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第二三五二号)

 同(柿沢未途君紹介)(第二三五三号)

 同(神山佐市君紹介)(第二三五四号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第二三五五号)

 同(重徳和彦君紹介)(第二三五六号)

 同(中谷真一君紹介)(第二三五七号)

 同(福田昭夫君紹介)(第二三五八号)

 同(松本純君紹介)(第二三五九号)

 同(御法川信英君紹介)(第二三六〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第二三六一号)

 同(務台俊介君紹介)(第二三六二号)

 同(山井和則君紹介)(第二三六三号)

 同(渡辺博道君紹介)(第二三六四号)

 同(井上英孝君紹介)(第二四四一号)

 同(浦野靖人君紹介)(第二四四二号)

 同(江田康幸君紹介)(第二四四三号)

 同(岡本充功君紹介)(第二四四四号)

 同(金子恭之君紹介)(第二四四五号)

 同(木原誠二君紹介)(第二四四六号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第二四四七号)

 同(国光あやの君紹介)(第二四四八号)

 同(左藤章君紹介)(第二四四九号)

 同(田嶋要君紹介)(第二四五〇号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二四五一号)

 同(中村裕之君紹介)(第二四五二号)

 同(西村智奈美君紹介)(第二四五三号)

 同(星野剛士君紹介)(第二四五四号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第二四五五号)

 同(三ッ林裕巳君紹介)(第二四五六号)

 同(務台俊介君紹介)(第二四五七号)

 同(柚木道義君紹介)(第二四五八号)

 若い人も高齢者も安心できる年金制度を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二四一五号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(広田一君紹介)(第二四一六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 健康増進法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)

 健康増進法の一部を改正する法律案(岡本充功君外一名提出、衆法第三六号)


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、健康増進法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房人生一〇〇年時代構想推進室次長大島一博君、警察庁長官官房審議官小田部耕治君、外務省大臣官房参事官塚田玉樹君、財務省大臣官房審議官新川浩嗣君、理財局次長市川健太君、文部科学省大臣官房審議官下間康行君、厚生労働省健康局長福田祐典君、労働基準局安全衛生部長田中誠二君、子ども家庭局長吉田学君、保険局長鈴木俊彦君、農林水産省大臣官房生産振興審議官鈴木良典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。船橋利実君。

船橋委員 おはようございます。自由民主党、船橋利実でございます。

 今回は、健康増進法の一部を改正する法律案に関しましての質疑の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。加藤厚労大臣を始め、政務二役、厚労省の皆さん、よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 今回の健康増進法改正案によります受動喫煙対策の強化は、多数の方が利用する施設の管理者に受動喫煙対策の努力義務が設けられた平成十五年の健康増進法の施行以来、実に十五年ぶりとなるものであります。

 受動喫煙に遭遇した人の割合につきまして、厚生労働省の調査によりますと、平成十五年当時には飲食店で七割でありましたけれども、平成二十三年には四割台へと減少をしております。その後は横ばいとなっておりまして、依然、多くの方々が望まない受動喫煙を受けている状況にあります。したがいまして、対策の強化というものが国民的にも期待をされていたものと思うところであります。

 そこで、今回の改正法案の審議に先立ちまして、これまでの健康増進法における受動喫煙対策の評価と、このタイミングで改正法案を提出をされた趣旨について、加藤厚生労働大臣にお伺いをいたします。

加藤国務大臣 我が国では、平成十五年、この健康増進法が施行されて、多数の者が利用する施設を管理する者に、受動喫煙の防止措置を講ずる、これは努力義務が設けられたわけでありますが、今、船橋委員からお話がありましたように、平成十五年時点の過去一カ月に受動喫煙に遭遇した人は、飲食店で約七割、それが平成二十三年に四割台に下がりということで、一定の効果は上げてきたわけでありますけれども、二十三年以降、若干数字が下がっているといっても四割台をずっと推移をしている。依然として多くの国民がこうした施設において受動喫煙を経験しているという状況にあるということ。そして、二年後の東京オリンピック・パラリンピックを一つの契機として、国民の健康増進を一層図るためには、受動喫煙対策を更に強化していく必要がある。

 特に、望まない受動喫煙をいかに防止していくのかというのは国民的な課題ということで認識をされているわけでありまして、そのため、望まない受動喫煙の防止を図る観点から、多数の者が利用する施設等について、その区分に応じ、当該施設等の一定の場所を除き喫煙を禁止するとともに、当該施設等の管理権原者が講ずべき措置等について定め、本法案により、先ほど申し上げた望まない受動喫煙をなくすということを趣旨としているところでございます。

船橋委員 ありがとうございます。

 次に、今回の法案では、多数の方が利用する施設の屋内について原則禁煙として、屋外については、学校、病院などの施設の敷地内を除き、喫煙は禁止されておりません。

 今後、屋内での原則禁煙が進んでまいりますと、屋外で喫煙する方がこれまで以上にふえ、歩きたばこによるやけどや、たばこのポイ捨てによる町の環境汚染が懸念されます。そこで、厚生労働省に、今回の法案による規制を屋内に限定している理由を伺いたいと思います。

 また、今回の法案に合わせて、公衆喫煙所などの屋外の分煙施設についても、その整備を推進するべきではないでしょうか。こうした施設がふえることによりまして、国民が安心して屋外を歩けるようになるとともに、喫煙者の喫煙場所が確保されることにより、屋内での受動喫煙対策を一層後押しすることになると思いますが、見解をお聞かせください。

福田政府参考人 お答えいたします。

 屋外につきましては、通常、煙が拡散することや、その場に長時間とどまることが想定されないことから、今回の法案では、多数の方が利用する施設の屋内を原則屋内禁煙とする等の規制を設けることとしてございます。

 一方で、御指摘のとおり、屋外でございましても、多数の方が通行する場所など、近くを通る非喫煙者が容易に煙にさらされるような環境を喫煙場所とすることは望ましいとは言えないとも思います。このため、屋外等で喫煙をする際には周囲の状況に配慮すべき旨の規定を法案の中に設けているほか、屋外における望まない受動喫煙を防止するための環境を迅速に整備するため、地方自治体への財政支援を行うこととしてございます。

船橋委員 ありがとうございます。

 次に、今回の法案は、これまで努力義務による自主的な取組に頼ってまいりました我が国の受動喫煙対策について、全ての国民及び施設の管理者等に対して罰則を伴う新たな義務を設けるという、非常に社会的インパクトの大きな内容であろうと考えます。

 こうした法律を二〇一九年のラグビーワールドカップ及び二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて段階的に施行していくためには、この法律の趣旨や内容はもとより、受動喫煙が健康に与える影響について、国民や事業者に広く御認識をしていただく必要性があると考えます。

 こうした周知に当たっては、飲食店団体等の関係団体にも協力を求めることにより、より実効性のあるものになっていくというふうに考えるわけでありますけれども、都道府県や保健所設置市への情報提供というものも非常に大事なことになってくると思いますけれども、これに加えて、周知の必要性や実施方法について、厚生労働省の見解をお聞かせをいただきたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただいているとおり、今回の法案の実効性を高めるためには、まず、この新しいルールを混乱なく社会に定着させていくことが重要であり、受動喫煙対策の必要性も含め、広く国民に御理解をいただけるよう周知徹底を図っていく必要があると考えております。

 このため、厚生労働省では、インターネット広告やラジオCMなどを活用した普及啓発や、若年層や妊婦、子育て世代など特定の世代をターゲットといたしました、受動喫煙によります健康影響等の普及啓発イベントの開催を行い、広く周知を図るほか、飲食業界などの各種関連の業界団体や関係省庁、出先機関とも連携協力し、それぞれの業界内の事業者への周知徹底を図ることなどによりまして、受動喫煙対策に関する普及啓発を行っていくことといたしております。

 また、あわせまして、地方自治体におきます受動喫煙に関する知識の普及や受動喫煙の防止に関する意識の啓発などの取組に対しまして、予算補助を行うことといたしてございます。

船橋委員 ありがとうございます。

 今回の法案では、子供や患者などが主たる利用者となります学校や病院等を除き、多数の方が利用する施設は第二種施設として分類をされ、原則屋内禁煙にするとともに、喫煙専用室内での喫煙のみ認めることとされております。

 このうち、既存の小規模飲食店につきましては、事業継続に配慮をして経過措置の対象となっておりますけれども、コンビニエンスストアやドラッグストアの中に最近ふえておりますイートインのような新しい施設に関しましては、この経過措置の対象となるのかどうか、厚労省の見解を、解釈をお伺いしたいと思います。

 また、ショッピングモール内の既存小規模飲食店でありますカフェなどの喫煙可能な飲食店において、親子連れで訪れたときに、まず親だけがその施設を利用する、要するに親だけが喫煙スペースを利用している場合に、一緒に行っていた子供たちが、初めは別な場所におりましたけれども、親が喫煙をしている場所に子供たちが行くということは当然想定されることでありますけれども、こうした状況、子供たちがいわゆる喫煙可能な場所に入ってしまったというような場合には、これは誰が義務違反ということになるのか。こうしたことについての解釈についても、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 経過措置の対象となります飲食店に該当するか否かにつきましては、飲食店営業許可の有無で判断することといたしてございます。このため、コンビニ等が飲食店営業の許可を取得しイートインコーナーを設けているような場合、資本金が五千万円以下であって、客室面積が百平米以下という要件を満たす場合には、経過措置の対象となります。

 しかしながら、コンビニ等の店内を遮蔽なく喫煙可とする場合には、店内には、二十未満の方は客も従業員も立ち入ることができなくなることとなります。現在のコンビニの実態を踏まえましても、実際にそのような取扱いをするコンビニなどは少ないのではないかというふうに考えてございます。

 また、御指摘のショッピングモール内の取扱いについて、第二種施設として専用の喫煙室などがある場合に、喫煙可能な場所へ二十未満の方を立ち入らせない義務というものは、当該施設の管理権原者等に係るものでございます。

 したがいまして、御指摘の場合におきましては、当該施設の管理権原者などは、二十未満の者が喫煙可能な場所に入ろうとしたことを認知したときには、退出を促すなどの対応をとっていただくことが必要となります。

 さらに、施設の管理権原者は、喫煙可能な場所に、二十未満の立入禁止である旨などを記載した標識を掲示することが必要であることから、その標識を見た保護者につきましても、子供が喫煙可能な場所に立ち入らないよう注意をしていただきたいと考えております。

 以上でございます。

船橋委員 コンビニあるいはドラッグストアでのイートインコーナーというのは、必ずしも飲食の提供をするということよりも、売っているものをそこで、でき上がっているものをそこで食べるという形態の方がほとんどではないかというふうに思うんですけれども、後段御答弁されたように、基本的に、いわゆる面積要件として、そういう場所では吸えないという解釈でいいのかどうか、再度お聞かせをいただきたいと思うのであります。

 また、後段お尋ねをいたしました、いわゆるカフェ等の場合に関しまして、やはり保護者の方にあらかじめ、いかに法律上そういうことができないということをわかりやすく説明をするかということが大事ではないかというふうに思うのでありますけれども、こうした点について、再度、どういうやり方を事業者側の方に御説明されるのか、お聞かせいただきたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、やはりこの新しいルールにつきましては、関係の方々にきちっとまず御理解をいただくことが非常に重要であるというふうに考えております。

 したがいまして、まず、事業者、管理権原者を含みます飲食店等の事業者につきましては、事業者団体も含めまして、さまざまなルートで、この新しいルールにつきましてきちっと広報し、御理解をいただくということを念頭に置いてございます。

 また、いわゆる保護者の方々や一般の方々についての啓発につきましても、先ほど申し上げましたとおり、自治体を通じての普及啓発のほか、学校等さまざまな場を通じまして啓発をしてまいりたい。そういう意味で、関係省庁とも連携をしながら啓発を進めてまいりたいというふうに考えております。

船橋委員 次の次の質問でも、今の点にかかわった部分をお尋ねするのでありますが、その前にお尋ねしたいのは、今回の法案では、施設の利用者が喫煙禁止場所で喫煙をした場合、施設の管理権原者等が喫煙の中止や喫煙禁止場所からの退出を求めるとともに、改善が見られない場合には、都道府県等の保健所に通報し、当該保健所からの指導、命令により是正を求め、それでも改善されない場合には罰則を適用することとされております。

 しかし、実際のケースを想定してみますと、保健所に管理権原者等が通報をして指導等に至るまでには相当な時間がかかることが当然予想されるわけであります。その間に喫煙者が立ち去ってしまうということも予想されるわけでありますが、立ち去ってくれるということであれば、それはそれでいいと思うのでありますけれども、これが繰り返されるというような場合も想定されるのではないか、こう思います。

 こうした場合、勧告、命令などを出す場合の、相手、対象者に対しての氏名や証拠などの確認方法、それから、過料の通知などの手順とか、ここに発生する費用などというものはどうなっていくのでありましょうか。

 さらに、利用者が暴力を振るう、恫喝をするというようなケースも当然想定されるわけでありますけれども、こうした場合、警察との協力連携というものが進められていくことが必要になると思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 施設の利用者が喫煙禁止場所で喫煙をしていた場合、まずは、先ほどお話し申し上げましたが、施設の管理権原者等が喫煙の中止を求めることが原則であると考えております。

 それでも改善されない場合には、都道府県等の保健所に御連絡をいただくことになり、都道府県知事等によりまして、今お話ございました指導、命令が行われるところになります。この際、氏名や証拠などにつきまして、保健所の職員が現地等で確認を行うこととなります。

 さらに、都道府県知事によります命令によっても改善がなされない場合、これは裁判所に通知の上、過料が科されることになるわけでございますが、通知に当たりましては、さきに保健所の職員が確認をいたしました証拠等をそろえて通知をすることとなります。

 また、管理権原者等や保健所の職員が暴力を振るわれるなど、刑法に抵触するような場合には警察との協力連携が必要と考えており、管理権原者や保健所の職員がそのような事態に遭遇した場合には、警察に通報いただきたいと考えております。

船橋委員 今回、この法改正の対象となる施設の場合には、一般的に、御利用される方々の氏名、住所などを必要としない場所がほとんどではないかと思います。したがって、お店の方と顔なじみになっている、あるいは、偶然その方の知人、友人等であるという場合には、氏名であったり住所であったりということは確認することは可能かと思うのでありますけれども、不特定多数の方々が利用される施設において今申し上げたような状況が生まれたときに、なかなか、管理権原者等の方々も、そこのお店のオーナーさんの場合と働いていらっしゃる方々の場合ではかなり状況が違ってくるということが言えるわけでありますけれども、そうしたときに、本当にこの氏名等の確認というものが行うことができるのかどうか。

 しかも、今ほどお話ありましたように、実際の確認は保健所の職員等がするというお答えでありますから、その前にいなくなることが何度も何度も繰り返されるということになると、これはなかなか本人の特定というものが難しくなってくるのではないかというふうに思います。

 したがいまして、どうやって実効性ある証拠の確保ということがなされなければいけないかということについては、もう少し内容を詰めていかれる必要性があるのではないか。いわゆる証拠能力として存在するもの、例えば、今でありましたら、いろんなお店に、店内に防犯カメラなども設置をされていたりするわけでありますから、そうしたものなども、悪質な場合などについては、本人特定をしていくために使っていくということなども私は考えていくべきではないかなというふうに思っておりますけれども、そうした点についての御見解があればお聞きしたいと思いますし、今申し上げたように、非常に手続そのものが難しいということを考えますと、喫煙禁止場所での喫煙を防止するためには、指導、命令、罰則適用等による対応だけではなくて、義務がそもそもあらかじめ守っていただけるように、そうした環境をつくっていくということが重要ではないかというふうに考えます。

 このため、厚生労働省から施設の管理権原者等に対して、その場所の喫煙禁止あるいは違反時に罰則が適用され得る旨を示した掲示を施設内にしてもらうというようなことなども、通知によりまして依頼をしていくということなども検討していくべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 まず、保健所の職員が現地で本人等を確認する、氏名や証拠書類等の確認につきまして、現実的になかなか困難ではないか、更に具体的な対応を考えるべきではないかという御指摘についてでございます。

 御指摘のとおり、この部分につきましては、いわゆる刑事罰ではなくて秩序罰でございますので、そういった面につきましても、都道府県知事等が、本人が確認できる書類を強制的に求めるというようなことはできないという実行上の限界もいろいろあるところでございます。

 そういった面も含めまして、今、委員からの御指摘もございましたけれども、具体的な取組の内容につきましては、これから更に詰めてまいりたいというふうに考えてございます。

 また、その後の御質問についてでございますけれども、今般の法案では、禁煙措置や喫煙場所の特定を行い、喫煙が可能となる場所に掲示を義務づけるということにしております。この掲示につきましては、誰にでもわかりやすく、かつ簡潔なものとする必要があると考えてございまして、今後、モデル的な様式もお示しすることも含め、しっかりと内容を検討していきたいと思っております。

 その中で、あわせまして、今御示唆ございました、新しい法律のルールの適用には罰則があるというようなことなども含めまして、広く法案の内容を周知徹底してまいりたいというふうに考えてございます。

船橋委員 今ほども申し上げさせていただきましたけれども、こうした不特定多数の方々が利用される場所というのは、利用される方々のその利用する状態といいましょうか、状況も、かなりいろんな方がいらっしゃるケースが多いかと思います。対応されるお店側の方々も、経営者の方もおられれば、責任ある立場の方もおいでであれば、いわゆるアルバイト等の方々もいらっしゃるというのが実態だというふうに思っております。

 したがって、そういう場所で、でき得る限りトラブルが起きることがないように万全な対策というものを講じていくということが、まずもって重要ではないかというふうに思うわけでありまして、やはりこの改正法が成立を見た以降、しっかりとした対応というものを求めていきたいというふうに思うところであります。

 次に、今回の法案では、経過措置の対象となります既存の小規模飲食店に該当するかどうかを判断するため、客席面積百平米以下が要件の一つとされております。

 この客席面積につきましては、具体的にはどのように計測をすることになるのでしょうか。例えば店舗内の玄関あるいは通路、こうした場所が客席に含まれるのかどうか、やや複雑な問題というものもあろうかと思いますけれども、計測方法が結果として飲食店ごとにまちまちになってしまったり、あるいは、都道府県あるいは保健所設置市ごとに違ってしまうというようなことがあってはならないというふうに思うわけでございまして、そういう意味では、厚労省として詳細な考え方を示していくべきではないかと考えますが、所見を伺います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 今般の法案では、既存の飲食店のうち、経営規模が小さい事業者が運営するものにつきましては、直ちに喫煙専用室等の設置を求めることが事業継続に影響を与えることが考えられることから、これに配慮をいたしまして、一定の猶予措置を講ずることといたしてございます。経営規模が小さいことにつきましては、客席面積百平米以下を一つの要件として判断することといたしてございます。

 御指摘の玄関や通路の取扱いにつきましては、客室との一体性がどの程度あるかなど、お話がありましたように、さまざまなケースが想定されることから、施行までの間に詳細をよく整理をした上で、統一的にお示しできるようにしてまいりたいと考えております。

船橋委員 今ほど一体性という表現をお使いになりましたけれども、ここがかなり難しい部分ではないかというふうに思います。店舗のつくりというのは、まさにそのお店ごとに違いが出てまいります。それこそテーブルの大きさ一つ、あるいはカウンターのつくり方、それから調理場の設置の仕方、あるいは空間的に見せる場所をどう見るかということなども含めて、どういう場合にどう判断するかということがかなり難しい面があろうかと思いますけれども、ぜひ、お店によって差があるということがない、いわゆる統一的な、理解されやすい形の基準づくりに努めていただきたいというふうに思います。

 次に、今回の法案では、多数の方が利用する施設について原則屋内禁煙とした上で、子供や患者などが主に利用する学校や病院などを除いた施設については、喫煙専用室内でのみ喫煙ができるとされております。この喫煙専用室の具体的な基準というものは、今後、厚生労働省令で定める予定であると伺っておりますけれども、施設利用者の望まない受動喫煙というものを防いでいくためには、煙が容易に外部に漏れ出さないような厳しい基準を課していく必要性があると考えますが、厚労省の見解をお聞かせください。

福田政府参考人 お答えいたします。

 喫煙専用室の基準につきましては、労働安全衛生法などに基づきます受動喫煙防止対策助成金の対象の要件としております、入り口における風速が毎秒〇・二メートルであること、非喫煙区域と隔離された空間であることといった要素も参考といたしまして、専門家の意見をお伺いしながら策定をしたいと考えてございます。

 本法案では、各施設などの管理権原者に、喫煙専用室を基準に適合させることとする義務を課していることから、基準の内容などにつきましては、管理権原者にしっかりと周知を図っていきたいというふうに考えております。

船橋委員 私は、外部に煙が漏れ出さないようにしっかりとした施設をつくっていただくように、それなりに厳格な基準というふうに申し上げたのでありますけれども、ただ、それは裏返すと、施設側からすると、非常に費用負担の部分がかなり大きなところになってくるということも考えられます。したがいまして、やはり基準は基準、しかし、その費用的なことをどうするかということも、ここは勘案をしながら基準づくりを進めていく必要性があるのではないかというふうに考えます。

 次に、受動喫煙対策をより総合的に進めるためには、本法案による規制等だけではなく、喫煙専用室等を設置する施設への財政的な支援、そして全ての国民、事業者に対する周知、広報を徹底していくことが重要であるというふうに考えます。

 そこで、今ほども設備の基準のことについてお話を、費用負担の部分も含めてお話しさせていただきましたけれども、受動喫煙対策の予算について。

 冒頭申し上げましたけれども、厚労省の調査によりますと、受動喫煙率が、健康増進法ができてから四割程度まで下がったということでございますけれども、この法改正が成立をする以降は、この法律の効果もあって、四割の方々のいわゆる受動喫煙率がどんどん下がっていって、ゼロになることが目標だと思うのでありますけれども、そこに加えて、この機会に禁煙しようかという方々もふえてくる可能性もあろうかな、こう思うわけでございます。そうすると、望まない受動喫煙をされていた方々の喫煙率が下がって、さらに、喫煙された方々の禁煙といいましょうか、たばこをやめるという方もふえてくることによって健康になる方がふえてくるであろう、健康状態を保持することができる方の割合がふえてくるであろう。

 そうすると、それが医療費の適正化ということにもつながってくるかと思いますし、ある意味、病気になることなくお仕事をすることができる、社会とのかかわりを持つことができるということは、経済効果という部分でも見込めるところが出てくるのではないかというふうに思いますけれども、こうした点なども、ほかにもまだ要素があろうかと思いますが、試算などをしていった上で、いわゆる受動喫煙対策に関する予算というものを決めていくべきではないかなというふうに思うわけでございますけれども、現状でどのような補助メニュー、あるいはどの程度の予算額というものをイメージしていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 受動喫煙対策につきましては、二年後の東京オリンピック・パラリンピックなどを契機に、望まない受動喫煙のない社会の実現に向けて、予算によります各種支援策の推進、普及啓発の促進など、総合的かつ実効的な取組を進めることが重要と考えております。

 具体的には、平成三十年度予算におきまして、中小企業の事業主などによります、先ほどお話にありましたが、喫煙専用室等の整備、こちらに対する費用の助成に三十三億円、それから、受動喫煙の防止に関する普及啓発、相談対応などに九億円の、計四十二億円を計上しているところでございます。

 また、加えまして、屋外における望まない受動喫煙を防止するための環境を迅速に整備する観点から、屋外におきます分煙環境の整備を行う地方自治体に対しまして、地方財政措置を講じることといたしております。

船橋委員 ありがとうございます。

 これ、まず、スタートダッシュをこれから切るというお話の中での予算組みのお考えだというふうに思っておりますので、今後、実情に応じた必要な予算措置、補助メニューの用意というものをいただきますように要望しておきたいというふうに思うところであります。

 次に、本法案では、多数の方が集まる施設について原則屋内禁煙にするとともに、既存の小規模飲食店については経過措置を設け、喫煙が可能となっております。

 また、加熱式たばこについては、現時点で受動喫煙の健康に与える影響が明らかでないことから、飲食等も可能な加熱式たばこ専用の喫煙室においても喫煙が可能となっております。

 このように、法案の施行後も一定の場所において喫煙が可能となっていることを踏まえると、このような場所で働く従業員の方々への対策というものもしっかりと講じていくべきではないかと考えますが、御所見を伺います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 従業員の受動喫煙対策につきましては、施設の管理権原者などに対しまして、喫煙可能な場所への二十未満の立入りを禁止する義務を課すことに加えまして、事業者などに対し、従業員の受動喫煙を防止するための措置を講ずる努力義務規定を設けた上で、対応の具体例をガイドラインで示すこと、また、事業主が求人を行う際の明示事項に、職場におきます受動喫煙対策の状況を追加することといった法令上の措置に加えまして、助成金等によりましてその取組を支援することで、望まない受動喫煙が生じないように対応してまいりたいと考えております。

船橋委員 ありがとうございます。

 私の後の繁本委員からは、先ほどお聞きしましたら、この加熱式たばこに関して御質疑があるというふうにお聞きしましたので、私からは詳しく余りお聞きをいたしませんけれども、加熱式のたばこについても種類が少しずつふえてきております。

 最近私が耳にした商品は、ニコチンもタールもないという商品でありました。これをたばこと言えるのかどうかというところでありますけれども、それをつくって売っていらっしゃる方はたばこメーカーだということですから、たばこに類似する商品としての販売ということになるのではないかと思います。

 こういうふうに、加熱式たばこ、判断が難しいんですけれども、こういう新しいものがこれからも出てくるたびに、それに対してどうするかという対応も実際には求められてくる、判断が求められてくるということもあろうかと思いますけれども、そうした点なども念頭に置いてはいらっしゃるのかどうかという点についてだけ、お聞かせいただきたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる新しいタイプのたばこ、たばこといいましょうか、そういったもの、いわゆる世の中では加熱式たばこという形で、たばこの葉を加熱をする形で、その蒸気を吸うというものが現在の加熱式たばこの定義になっているわけでございますが、先ほど先生お話ありましたように、いわゆる電子たばこという形で、たばこ的な成分が一切ないというような形のものも世の中にはあるということでございまして、こちらの方については、現時点では、たばこの範疇には定義としては入っていないという状況でございます。

 ただ、いずれにいたしましても、今お話がありましたように、さまざまなものが今後出てくる可能性が高いわけでございまして、私どもといたしましては、世の中の動向とか、そういったことも含めまして、きちっと把握をし、かつ、必要な調査研究をしていくという形で、法案の中にも、そういった調査研究的なことも含めまして盛り込ませていただいているという状況でございます。

船橋委員 イメージとして、ノンアルコールビールのときを思い起こすのでありますけれども、あるパーセンテージのところの段階までは何となくアルコールという分類になっていて、最近の商品は、〇・〇〇という商品になると、これはアルコールではないということの扱いになってきていたりします。これも多分、税法の関係等もございますので、行政としての一つの判断というものがあるのではないかなというふうに思うわけでありますけれども……(発言する者あり)そうですね、禁煙パイポ。

 こういう新しいものが出るたびに、いわゆる管理権原者等の方々も、利用する方々も含めて、混乱が起きることがないような速やかな対応というものが望まれるのかなというふうに思ってございますので、ぜひそうした情報収集と適時適切な対応というものを望ませていただきたいと思うところであります。

 最後に、加藤厚労大臣にお尋ねをしたいと思うのであります。

 先日、私、選挙区内、天気のいい日であったんですけれども、札幌大通公園というところがございまして、そこで私、駐車中、信号待ちをしているときに、お隣に一台乗用車がとまったんですけれども、暑い日だったので前後の窓があいていたんですね。前後の窓があいていて、ちょっと変わった感じの車だったものですから、ふと目をとめましたら、助手席から煙がぷわぷわぷわと出てまいりました。ああ、たばこを吸っているんだなと思って何げなくのぞき込みましたら、女性の方でございました。結婚指輪もされていらっしゃったので、ああ、奥様がたばこを吸われているのかなというふうに見ていて、その後ろを見ましたらベビーチェアが積んであったんですよ、チャイルドシートが。チャイルドシートには赤ちゃんが乗っておりました。見たところ、一歳ぐらいのお子さんかなという感じでありました。信号が青になって車が動き出して、興味があって御主人の方も見てみたんですよ。そうすると、御主人もたばこを吸っていらっしゃったというような状況がありました。

 これは、望まない受動喫煙ということでいえば、大人の方々は意思表示というものをできるんだと思いますけれども、子供さん方はなかなかそういうことができないというのは大変だなというふうに感じた場面でありました。

 そういうことは、これは全く今回の法改正には対象外というふうになっている部分のことでございますけれども、最近見た状況としてお話しさせていただきたいと思いました。

 最後に、今回の健康増進法改正に伴い、望まない受動喫煙のない社会の実現に向けて、担当大臣であります加藤厚生労働大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。

加藤国務大臣 今回の法案は、今御指摘のように、望まない受動喫煙をなくすという基本に立って、多数の方が利用する施設等については、法律上、原則屋内禁煙とするということでありますが、既存の小規模飲食店については経過措置は設けておりますけれども、新たに開設する店舗については原則屋内禁煙としていること、また、喫煙可能な場所について、二十未満の方の立入りを禁止するといった内容を盛り込んでおります。今後、受動喫煙対策が段階的に進む実効性のある中身になっているというふうに考えております。

 また、本法案の閣議決定とあわせて、がん対策推進基本計画においても、本基本計画の計画期間中、これは平成三十四年度まででありますが、において、望まない受動喫煙のない社会をできるだけ早期に実現するということ、つまり、望まない受動喫煙をゼロにするということを目標として追加をしたところであります。

 望まない受動喫煙のない社会の実現に向けて、本法案の規制のみならず、各種支援策の推進、普及啓発の促進など、総合的かつ実効的な取組を進めていきたいと思っております。

 先ほど、車の中のお話がありました。この法律の中においても、第二十五条の三において、「何人も、喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない。」という規定も設けさせていただいております。その趣旨に沿って対応していただけるよう、更に周知啓発に取り組ませていただきたいと思います。

船橋委員 ありがとうございました。今、大臣からの決意のほどもお聞きをいたしました。

 望まない受動喫煙がゼロとなるということを目指して、私もこれからも活動してまいりたいと思っておりますけれども、加藤大臣始め厚労省の皆様方にもさらなる取組を御期待、そしてお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、繁本護君。

繁本委員 自由民主党の繁本護でございます。

 質問の機会をいただきました理事の先生方、ありがとうございます。

 大臣、政務二役の皆様、よろしくお願い申し上げます。

 さて、私からも健康増進法の一部を改正する法律案について順次説明をさせていただきます。船橋先生からもう既に議論がありましたので、幾つか割愛しながら進めてまいります。

 受動喫煙による疾病、これはもう明らかであります。年間一万五千人の国民が受動喫煙による肺がん、虚血性心疾患、脳卒中などが原因で死亡しているという報告がございます。こういった現状を国民の皆様が多く理解しながらも、なかなか、受動喫煙対策、全てを事業者の努力に委ねている現状では、望まない受動喫煙を防止していくことは困難であるかと思います。

 二〇二〇年には東京のオリンピック・パラリンピックが開催され、我が国はホスト国として、この受動喫煙の防止対策をしっかりと進める必要があるかと思います。

 ただ、今回、当分の間の措置として、加熱式たばこの取扱いも法律で位置づけがあるのでありますが、加熱式たばこについては科学的によくわからないことがたくさんあるということで、まだまだ議論の余地があるのではないかと思い、このことについて、きょうは絞って議論をしたいと思います。

 我が国で加熱式たばこが初めて出たのは二〇一四年の十一月であります。現在、三種類の製品が市場に出回っております。これは私の個人的な経験でありますが、隣で加熱式を吸われて、本当にむせるような刺激を受けるようなものもあれば、全くにおいすら感じないようなものもあって、かなり呼出煙の成分も違いがあるというふうに感じているところであります。

 いずれにしても、紙巻きたばこよりは加熱式の方が有害成分は少ない、あるいは、火事のことを考えても火災の発生リスクも少ないということで、市場においてはだんだん受け入れられて、今そのシェアをどんどん伸ばしているところであります。

 これからますます社会において加熱式が普及をし、販売数量がふえていくと思うんですけれども、これからどの程度それがふえていくのか、政府の見解をお願いします。

市川政府参考人 御答弁申し上げます。

 加熱式たばこのシェアにつきまして、これまで政府で示している資料といたしまして、二十九年度上半期の実績値一二%というものをよく示しているところでございますが、より新しい数値もございますので紹介いたしますと、二十九年度通期、すなわち二十九年四月から三十年三月までの加熱式たばこの販売箱数は十二・七億箱。これは、加熱式たばこ一箱を紙巻きたばこ二十本と換算すれば、紙巻きたばこ約二百五十三億本に相当し、紙巻きと加熱式を合算した市場全体に占めるシェアとしては約一五%となります。つまり、上半期の一二%から、通期にいたしますと一五%、ふえているということでございます。

 加熱式たばこの今後の需要見込みにつきましては、たばこをめぐるさまざまな要因に左右されるため、確たることは申し上げられませんが、足元における各社の販売動向、力の入れようなどに鑑みますと、今後も加熱式たばこが市場に占めるシェアは更に高まっていく可能性があるものと考えております。

繁本委員 御答弁ありがとうございました。

 加熱式、これから市場においてどんどん紙巻きたばこに置きかわってくるのはどうやら確かなことのようでありますが、ここで一点確認ですけれども、現行法の健康増進法では、この加熱式たばこによる受動喫煙を防止する努力義務、これは課されているか、端的に御答弁をお願いします。

福田政府参考人 お答えいたします。

 現行の健康増進法におきましては、多数の者が利用する施設を管理する者に対する受動喫煙防止の努力義務規定が定められております。加熱式たばこにつきましては、現行法制定時には存在しておらず、また、販売されてまだ間もないこともあり、現時点におきまして、この努力義務規定の対象となるたばこに含まれるかどうかは明らかにしてきておりません。

 本法案の提出に当たって、加熱式たばこについて最新の調査を行ったところ、現時点での科学的知見では、受動喫煙による将来的な健康影響を予測することは困難であるものの、その主流煙に健康に影響を与えるニコチンや発がん性物質が含まれることは明らかであることから、受動喫煙による健康影響が明らかになっている紙巻きたばこと同様の規制は行わないものの、加熱式たばこについても一定の規制が必要と判断をしているものでございます。

 本法案におきましては、喫煙をする際の配慮義務規定等が盛り込まれており、成立後速やかに施行することといたしておりますが、こうした規定の対象には加熱式たばこも含まれることから、現行法上の扱いにつきましてもあわせて整理をしてまいりたいと考えております。

繁本委員 これからますますふえていく加熱式でありますけれども、現行法ではその扱いが必ずしも明らかではないということでありますが、今回の法律によって、いよいよその対策が盛り込まれております。

 さて、その加熱式たばこの煙、一回口に入ってそれを吐き出したときの呼出煙、その呼出煙による健康影響についてはいろいろな研究成果が、これは加熱式たばこをつくっているメーカーからも出されているところでありますが、例えば一つ御紹介いたしますと、大阪の国際がんセンターの大島明という研究員がいらっしゃって、加熱式たばこは紙巻きたばこの喫煙者に対しては相対的にやはり害が少ないわけでありますから、これは害の多い紙巻きの代替品として勧められるとまで言うような研究成果もございます。

 また、厚労省が発表している現時点での科学的知見によって見ておりますと、加熱式たばこ喫煙時の室内におけるニコチンの濃度、これは紙巻きたばこに比べて低いというふうに明言もされているわけであります。

 先般の六月八日の衆議院本会議で公明党の伊佐進一君が質問した答弁としても、大臣は、ここは科学的に明らかになっておりませんということは御答弁されたばかりであります。

 さて、この科学的な根拠ということが、やはり一定の規制をかける以上は大事かと思うのでありますけれども、過去に振り返って、紙巻きたばこの健康影響は今の時点でかなり明らかにされているところでありますが、ひとつ参考までに、紙巻きたばこによる、その受動喫煙による健康への影響については、科学的に明らかにするまでにどれぐらいの期間を要したのか、お聞かせいただきたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 紙巻きたばこの受動喫煙による健康への悪影響につきましては、我が国の平山雄氏が一九八一年に世界で初めて報告をし、国内外に大きな論争を巻き起こしたものと承知をいたしてございます。

 科学的に立証された時期をピンポイントでお示しすることは困難ではございますが、その後、数多くの科学的研究がなされた集大成として、二〇〇四年の国際がん研究機関の報告及び二〇〇六年の米国公衆衛生総監報告が出されたことによりまして、その健康影響が明らかとされてきたものであると考えてございます。

 その意味で、委員御質問の期間につきましては、二十数年というふうに考えております。

繁本委員 二十数年かかっているんですよね、紙巻きたばこによる健康影響をはっきりさせるまで。

 今回の法律は、加熱式たばこについて、受動喫煙を防止するために一定の規制をかけるわけでありますが、私、実は自民党の厚労部会でこの点を聞いたら、担当の方は数年でわかるとおっしゃいましたよ。ところが、今やはり紙巻きの事例を踏まえましたら、加熱式たばこによる受動喫煙による健康影響も相当時間がかかると思うんですけれども、この点については、どれぐらい加熱式による影響を研究するのに時間がかかるか、見解をお聞かせください。

福田政府参考人 お答えいたします。

 加熱式たばこの受動喫煙によります健康影響につきましては、比較的短時間で症状があらわれる呼吸器系の疾患であっても、今お話ありましたが、数年程度、また、肺がんでは更に長期間かかると想定されるなど、その研究は中長期的に対応すべき課題であると考えております。

 いずれにいたしましても、加熱式たばこに関する研究は重要な課題であると認識しておりまして、国内外の知見収集を行うなど、引き続き研究に取り組んでまいりたいと考えております。

繁本委員 やはり中長期的な取組、研究が必要というのが厚労省の今、御見解でありまして、そこははっきりしたところであります。

 さて、今回の改正法案では、加熱式たばこのもたらす健康影響が明らかになるまで、当分の間の措置として一定の規制をかけるとしていますが、この当分の間というのが、じゃ、どれぐらいかかるのかということは、我々よく考えないといけないと思います。

 そして、この厚労委員会でもよく出る言葉でありますけれども、立法を行うに当たっては、やはりエビデンスに基づく立法、エビデンス・ベースト・ポリシーというものを進めていかないといけないと思うんですけれども、この加熱式たばこの呼出煙による健康影響についてはわからないことが多い、そして時間もかかる、市場ではその製品がどんどん販売数量を伸ばしていく、受け入れられているということでありますから、科学的なエビデンスが明らかになるまでは、この対策のあり方についてはいろいろ慎重に考えていかなければならないと思うんですけれども、このような規制の合理性、妥当性について、国民にわかりやすく大臣から御説明いただければありがたいと思います。

加藤国務大臣 今委員からも御質問があり、また、答弁もさせていただきましたが、加熱式たばこについては、その主流煙に健康に影響を与えるニコチンや発がん性物質が含まれているということは明らかでありますが、現時点の科学知見では、その受動喫煙による将来的な健康を予測するというのは大変難しいというふうに認識をしております。

 このため、受動喫煙による健康影響が明らかになっている紙巻きたばこ、これは明らかになっているわけでありますが、と明らかになっていない加熱式たばこ、これを同列で議論するわけにはいかないということで、仮に将来、受動喫煙による健康影響が明らかになった場合には大きな問題になり得ること、また、WHOにおいても、現時点での健康影響は明らかではなく、さらなる研究が必要としているものの、現時点でも一定の規制は必要と判断していることということを踏まえて、一定の場所でのみ喫煙を認めるということにさせていただきました。

 具体的には、非喫煙者も喫煙者も双方がともに安心して施設を利用できる選択肢を設けるという考え方に基づいて、加熱式たばこ専用喫煙室については、非喫煙空間としっかり区分する形で施設の一部に設けることができる、こういった形での整理をさせていただいたところでございます。

 いずれにしても、加熱式たばこの健康に対する影響については、引き続き研究をさせていただきたいと思っています。

繁本委員 御答弁ありがとうございました。

 現時点でも、WHOの見解を踏まえて、一定の規制を当分の間やっていく必要があるということでありますが、じゃ、その当分の間、多数のお客様が出入りする施設を管理する者がこの法律に基づいてやらなければならない加熱式たばこに関する措置として、例えば、禁煙スペースと加熱式たばこだけを吸えるスペースとを間仕切りする必要がありますよね。間仕切りをするスペースを施設管理者が設けた際に、その施設に対しては国が助成する用意があるのか。

 あるいは、先ほど船橋先生のお話にもありましたけれども、さまざまな飲食店の形態もあるわけでありますから、一体どういう間仕切りが例えば望ましいのかということについて国は考えていく必要があるかと思うんですが、これらの点について御見解をお願いいたします。

福田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案では、加熱式たばこにつきましても、原則屋内禁煙とし、喫煙専用室又は飲食等が可能な加熱式たばこ専用の喫煙室でのみ喫煙を可能といたしているものでございます。加熱式たばこの喫煙を認める場合には、こうした部屋を設置する必要がございます。

 加熱式たばこ専用の喫煙室の基準につきましては、喫煙専用室と同様に、受動喫煙防止対策助成金の対象の要件といたしております、入り口におきます風速が毎秒〇・二メートルであること、非喫煙区域と隔離された空間であることといった要素も参考に、法案成立後に、専門家の御意見なども伺いながら策定をしたいと考えております。

 御指摘の加熱式たばこ専用の喫煙室の設置に対する費用の助成につきましては、今後策定をいたします基準も踏まえつつ、その要件を検討してまいりたいというふうに考えております。

繁本委員 やはり、加熱式たばこについては科学的な知見がないものですから、例えば、今申し上げた間仕切りに対して助成をするにしても、その前段として基準が要るわけですよね。その基準をつくるにしても、まだまだ科学的な知見が足りないということでありますから、ここはこれからの議論になってくるかと思いますが、とにかく国民にわかりやすく、事業者も納得するような形で、研究を、そしてルールをつくっていっていただきたいと思います。

 さて、電子たばこの質問を用意しておりましたが、船橋先生がお聞きになったので割愛したいと思います。

 一つ、私、ここで京都での取組を紹介したいと思います。

 京都では、やはり受動喫煙をいかに防止するか、議論になったことがございます。京都で出した結論は、条例という形ではなくて、京都府と京都市と、そして生活衛生業を営む事業者団体、この三者が相まって、きょうお手元に連携協定とステッカーをお配りしておりますが、このような形で、条例という形ではなくて、三者が話し合った上で、たばこを吸う方も吸わない方も共存する社会を目指そうということをつくったものであります。

 今回の受動喫煙防止法の改正案についても、ステッカーの表示義務ということが含まれているわけでありますが、今回、科学的な根拠が少し弱い加熱式たばこの呼出煙による受動喫煙の影響、そしてこれを心配した対策を考えるに当たっては、一定の間、当分の間、規制を設けるということも一つのやり方であって、WHOもそういう見解も出しています。そのWHOの見解を踏まえて、例えば韓国、イタリア、カナダなんかも実際、規制対象にしているわけでありますから、一つ有効な手だてかとは思うんですが、いわゆるこういう京都方式で受動喫煙を防止するという対策も非常に有効であると思うんですけれども、この点について御見解をお願いできればと思います。

加藤国務大臣 京都において、このお出しいただいた資料を見ると、平成二十七年の十二月に、京都市と京都府受動喫煙防止憲章事業者連絡協議会、またそれにたばこ産業が一緒になってこうした協定を結んでいわば自主的な取組をしていただいているということであります。

 こうした取組は、非喫煙者も喫煙者も双方が安心して施設を利用できる、そうした選択肢を設けていく、そうした環境をつくっていくという意味においては一つの対応の仕方だというふうに思っておりますし、こうした取組をされた、京都における取組に対して敬意を表させていただきたいというふうに思います。

 そういった意味で、今回法案を提出させていただいておりますので、法案が成立した場合には、その法律の上にのっとってまたこういった取組を進めていただければ、より一層、こうした望まない受動喫煙をというその環境あるいは機運の醸成、こういったことにつながるんだろうと思います。

 なお、加熱式たばこについては、先ほど申し上げたところに尽きるところでありますので、掲示をするだけではなくて、一定の場所でのみ喫煙を認めるという判断をしておりますので、そのことはぜひ御理解をいただきたいと思います。

繁本委員 一番大事なことは、やはり、受動喫煙によって国民が健康を損なうということがないように、国民の健康を守ることが最優先でありますから、今回の法律改正によって加熱式たばこについても一定の規制をかけることについても私は賛成をいたしますけれども、とにもかくにも科学的根拠が足りません。しっかりと調査研究を進めていただくとともに、京都方式も参考にしながら、包括的に総合的に受動喫煙対策を政府には進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 いよいよ健康増進法改正、受動喫煙防止対策法案が議論になったわけであります。

 昨年の三月、厚労省が受動喫煙防止対策に係る基本的な考え方を示しましてから、今日まで随分時間がかかったわけであります。

 公明党は、昨年もずっと議論を続けながら、たしか昨年の五月十七日だったと思いますが、部会において、受動喫煙防止対策の徹底について、東京オリパラの機にぜひやろうということで、昨年の国会中に法案を提出すべしという決議をやったり、いろいろ努力をしてきたわけであります。

 余り我が党だけ格好つけるつもりはありませんで、我が党も、もともと、厚労の現場の責任者である私はヘビースモーカー、党首は厳しい禁煙論者という、小さい党でありますから、個人の価値観は大きく違うわけでありまして、悩んだのは正直であります。

 一方、自民党の皆さん方、大きな党でありますから、これは個人の価値観というよりも、具体的には言いませんが、規制に対する賛成派と慎重派で激しい議論があったことも事実じゃないかな、こう思っております。

 今回の法案は、ぎりぎり、さまざまな皆さんの、国民の声を聞きながら、何とかまとめられたのではないかな、こう思っている次第でありますが、ただ、何ゆえこの国会まで法案提出がずれ込んだのか。思うことは多々ありますけれども、きょうは塩崎前大臣もいらっしゃいまして、本当に御苦労されました。その後を受けて、加藤大臣、この法律、新しい枠組みの法律を抱えてこの国会に立っておられるわけであります。

 改めて加藤大臣の所感を伺いたいなと思うわけであります。

加藤国務大臣 今、桝屋委員からお話がありました。

 昨年の三月、厚生労働省において、基本的な考え方の案、これを公表したところでございますけれども、経過措置をどうするか、すなわち面積が一定規模以下のバー、スナック等の経過措置、それをどうするかをめぐって、与党内を含めていろいろな議論があり、残念ながらまとめることができずに、昨年の通常国会には法案を提出することができなかったわけであります。

 その後、それまでの、もちろん議論をいろいろしていただいたという、それもベースにしていきながら、その後のさまざまな御意見等を踏まえて、今回提出させていただいたこの法案をまとめることができた。それに当たって、桝屋委員始め御党における御努力に対しても、また関係者の皆さんの御努力に対しても、改めて敬意と感謝を申し上げたいというふうに思います。

 今回については、まずは望まない受動喫煙は防止するんだ、これはもう共通の理念であり、皆さんが共有されているところだ、その上において、それをどう具現化していくのかというところでいろいろ議論があったところであります。

 今回、一定規模以下の飲食店については配慮を行うことが必要と考え、経過措置を設けさせていただいたところでありますが、他方で、従前の議論の中ではなかった概念、新たな店舗、開設する店舗については原則屋内禁煙をする、こうした条項を盛り込ませていただき、また、喫煙可能な場所については二十未満の方の立入りを禁止するということも入れさせていただくことによって、場所ということと、それから、そうした受動喫煙から、やはりできるだけそうした状況に置かれないようにする人たちをどう守っていくのか、そういう観点から議論をし、そうしたことを盛り込ませていただきました。

 そうしたことによって、受動喫煙、これは各国もやはり段階的にいろいろ進めておられるんですね、見ておりますと。そういった意味においても、今回の受動喫煙対策、段階的に進むという仕組みになり、また、実効性のあるものになっている、こういうふうに認識をしております。

桝屋委員 改めて、この国会でぜひ成立をさせたいと今度は思うわけであります。この国会で一日も早く上げるということが私は極めて大事だと思いますが、特に東京オリパラ、あるいはその前のラグビーのワールドカップの開催時期を念頭に置きますと、私は、一日も早い法律の成立を期さなきゃならぬ、こう思うわけであります。

 改めて、東京オリパラ等の準備作業の中でこの法律を急ぐということをきちっと国民に御説明をいただきたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案は、国民の健康増進を一層図るために受動喫煙対策を更に強化するものであり、ラグビーワールドカップ開催前の二〇一九年夏ごろには一部施行、東京オリンピック・パラリンピック開催前の二〇二〇年四月に全面的に施行することといたしております。

 本法案が社会全体に影響を与えるものであることから、十分な周知期間が必要であり、また、喫煙専用室などを設置をする場合には施設の改修などに一定の時間を要することから、早期に成立をさせていただく必要があるというふうに考えております。

 本法案が成立した暁には、新しいルールについて丁寧に説明、周知を行い、受動喫煙対策を段階的かつ着実に前に進めてまいりたいと考えております。

桝屋委員 どうも局長の話を聞いておりますと、随分のんびりされた感じがするのでありますが、これは一刻も猶予はならないという段階に来ているんだろう、私はそういう気迫をちょっと局長から感じないなという感想を申し上げながら、これはやるのは大変だなというふうに思っているわけであります。

 特に東京は、きょうの新聞報道等によりましても、六月の十二日に条例を提出されたと。条例の中身も国とも連携をされたようでありますが、きょうの報道を見ておりましても、東京の条例、特に表示ステッカーの義務の施行が来年の九月だというようなことでありますから、これは本当に法案成立を急ぐわけで、これがおくれるとまた、ステッカーが東京方式とか国方式とか、いろいろなものができちゃうわけで、ちょっと東京の条例との関係でどういうふうにお考えなのか、局長、もう一度御答弁をお願いいたします。

福田政府参考人 お答えいたします。

 東京都におかれましては、オリンピック・パラリンピックの開催都市としてのお立場から、受動喫煙に関する条例についての内容を検討してきているものと承知をしてございます。

 この法案におきましては、一般論として、各自治体の条例において法律に上乗せの規制を課すことは制度としてあり得るものと考えております。

 政府としては、受動喫煙対策を進める観点から、東京都を始めとする関係自治体と、引き続きよく協力連携をしてまいりたいと考えておりますし、この法案をぜひ早期に成立をさせていただいて、東京都との協議というものも、より実効性があり、具体的なものであって、なおかつ現場に混乱が生じないようにというような観点から、積極的に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

桝屋委員 大分局長の姿勢が、迫力が伝わってきました。胸につけておられるバッジも、もっとでかいのをつけられてもいいんじゃないかと私は思ったりするのでありますが。

 今、条例の話が出ましたが、受動喫煙防止を議論するときに、たばこ吸いである私が一言悩みを言いますと、日本の場合は、大臣、やはり外から来たんですよ、規制が。要するに、受動喫煙、子供の安全とかということで、戸外をまず規制をし、今回屋内をということでありますから、たばこ吸いにとっては吸うところが全くなくなるわけでありまして、ここはちょっと不幸な歴史だな、こう思ったりするのでありますが、それでもやらなきゃならぬと私自身も思っているわけであります。

 さて、公明党は、法案審査をする中で二つ悩みました。

 二月の八日に大臣にも八項目にわたる要請文をお出ししましたが、一つは、きょうも話が出ていました百平米の話であります。例外措置の基準として、新たに客室面積百平米という数字が示されました。昨年の三月の厚労省の考え方が三十平米、これは店舗面積全部でありますが、三十から百になったということで、これは随分甘くなったんじゃないかという報道もございました。あるいは、東京でいきますと、客室面積百平米以下というとほとんどの飲食店がこれに該当する、これは甘過ぎるんじゃないか、これは果たして国民に理解されるんだろうかということは、我が党内の大きな議論でありました。

 この点について、新たに客室面積百平米以下というこの基準、例外措置の基準でありますが、これがどういう効果を持つのかということを、局長、もう一回国民に説明をいただきたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、既存の飲食店のうち経営規模が小さい事業者が運営するものにつきましては、直ちに喫煙専用室などの設置を求めることが事業継続に影響を与えると考えられ、一定の経過措置を講じているところでございます。

 また、経過措置の対象となります事業者の要件につきましては、今申し上げた考えに沿いまして、資本金及び客室面積、客席面積で判断することといたしております。中でも、面積要件につきましては、既に受動喫煙防止条例が施行されております神奈川県や兵庫県の例なども踏まえ、客席面積百平米以下としておるところでございます。

 一方、この法案におきましては、新たに開設する店舗につきましては原則屋内禁煙となること、さらに、喫煙可能な場所につきましては二十歳未満の方の立入りを禁止することといった内容を盛り込んでいるところでございます。

 つまり、今後、飲食店につきましては、新規に出店する店舗は原則屋内禁煙となるほか、経過措置の対象となる店舗におきましても、喫煙可能な場所には二十未満の者の立入りはできないこととなっていることから、例えば、家族連れを顧客にしているレストランなどでは、経営者の判断によりまして、原則屋内禁煙の店舗とすることを自主的に選択されることもあり得る。

 こういったことによりまして、今後、受動喫煙対策が段階的に進む実効性のある案になっているものと考えております。

桝屋委員 それで、局長、その場合、国民が一番知りたい、我々も国民に説明しなきゃいかぬと思っていることは、新規店舗は原則に戻るということでありますと、さっき私が言いましたように、東京の場合は、ほとんどの飲食店、九〇%以上、九五、六%ぐらいまでがこの例外の対象に、広さでいきますとなるわけでありますが、もう既に準備をしている、そういう対策をとっている飲食店もある、それがどれぐらいなのか。残った飲食店が、今の新規開店、お店の開店で、どれぐらいのスピードでこの環境が変わっていくのか、ちょっと数量でお示しをいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 まず、先ほども申し上げました要件でいきますと、いわゆる中小企業や個人という形の部分のところを除くとどのくらいになるかといいますと、大企業分が約一割くらい、一割弱でございます。したがいまして、いわゆる中小企業が、又は個人営業というものが九割強という形になります。

 また、客席面積百平米以下というものにつきましては、ここのところも全体の中で一定割合ございまして、ここのところが、百平米超えが二割弱ありますので、百平米以下が八割強という形になります。

 それに、そういった中におきまして、既に受動喫煙対策、つまり禁煙対策を店舗でとっておられるというようなところが三割弱ございますので、そういった、九割強、それから八割強、そして七割というようなところも掛け合わせてまいりますと、この経過措置の対象となります店舗というものは約五・五割というような形の量になるというふうに、これは既存のデータで使えるものを活用して、そのような形で推計をさせていただいているというところでございます。

 また、飲食店のうち、新たに出店した店舗につきましては、これは二年間で大体全体の約二割弱くらいが入れかわるというデータもございまして、そういった実情にあるという中で、私どもとしては、経過措置を置きながら、着実かつ丁寧にこの対応を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

桝屋委員 今御説明がありましたように、新規店舗は規制の対象になるということで、相当私は、この東京においても環境の整備が進むんだろう、こう期待をするわけであります。

 もう一つ、百平米ということで、先行事例で先ほどお話がありました神奈川の事例でありますが、聞くところによりますと、百平米以下の飲食店における条例を神奈川もおつくりになったわけでありますが、受動喫煙に対する効果測定といいましょうか、効果はどうであったのか。もしデータなどあれば御説明をいただきたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 神奈川県の条例については、飲食店につきまして禁煙又は分煙の措置を義務づける一方で、事業の用に供する床面積から食品の調理の用に供する施設又は設備に係る部分を除いた部分の床面積の合計、ここが百平米以下の飲食店については努力義務にとどめているものと承知をしてございます。

 この条例におきましては、平成二十二年四月に施行されておりますが、神奈川県が行いました県民意識調査によりますと、飲食店において、過去半年間に受動喫煙に遭わなかった者の割合が、条例施行前の平成二十一年には一五%程度であったものが、条例施行後五年経過した平成二十七年には、百平米超えの飲食店、それから百平米以下の飲食店ともに四割を超えているなど、受動喫煙対策が一定程度進んだものと承知をいたしております。

桝屋委員 というデータもあるわけでありまして、今回の新たな客室面積百平米以下というこの例外措置の基準、ここは、多くの方々の声を伺いましたが、我が党としてもぎりぎりの選択肢ではないかな、こう思っている次第であります。

 もう一点、我が党で議論したのが、二十歳未満の方の取扱いであります。

 受動喫煙防止の観点から、従業員を含めて二十歳未満の者の取扱いは極めて重大なポイントであろう、こう思っております。ただ、今回の法律案では、従業員も含めて二十歳未満の者を喫煙可能場所に立ち入らせてはならないと先ほどから何度も説明があるところでありますが、管理権原者が、特に悪質な管理権原者も想定されるわけでありまして、そうした方々には罰則の適用がここはないわけであります。

 とりわけ悪質な、もうわかっていても二十歳未満の者を喫煙可能場所に立ち入らせるという事態もあり得るわけで、飲食店はアルバイトあたりもたくさん使っておりますから、そういう事例もあるのではないかと思いますが、罰則を適用しない理由というもの、罰則がないということで、では、それにかわるものとして、どのように二十歳未満の者を守るというこの法案の実効性を確保するのか、この点について確認をさせていただきたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案では、多数の方が利用する施設について、法律上、原則屋内禁煙とするとともに、喫煙可能な場所につきましては、健康影響が大きい二十未満の者の立入りを禁止するなど、社会的な影響の大きい規制を設けるものでございます。

 このため、まずは、この新しいルールを混乱なく社会に定着させていくことが重要であると考えており、この二十未満の方の立入禁止という新しいルールも含めまして、広く国民に理解いただけますよう、周知徹底を図っていくこととしております。

 その上で、問題がある事例につきましては、各都道府県などに相談窓口を設置するなどして把握するとともに、個別に事業者に改善を促すことにより、こうした新しいルールの定着と実効性の確保を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

 なお、法律の施行後は、その施行状況も定期的に把握をした上で、必要があれば、その規制のあり方の見直しを検討してまいりたいというふうに考えております。

桝屋委員 局長、私が伺ったのは、まず、今回、管理権原者について罰則を設けない、二十未満の扱いについて。それは、罰則までつけることは不適切だという判断があるんだろうと思いますが、そのことをもう一回きちっとお答えをいただきたいと思います。

福田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、多数の方が利用する施設について、法律上、原則屋内禁煙とするとともに、健康影響が大きい二十未満の者の立入りを禁止するという点、非常に社会的な影響が大きい規制を設けるということで、まずは、罰則を設けてというよりも、新しいルールが円滑に定着をしていくためにきちんと理解を求めていく。そのための手続が非常に重要であるというふうに考えておりまして、そういった観点から、今回は罰則を設けることをせずに、広く国民、これは利用者の方、それからそこで働く方、また、いわゆる管理権原者の方も含めましてでございますが、広く国民に理解いただけるように、まず周知を徹底するというところから始めていきたいということで考えたものでございます。

桝屋委員 いや、それは罰則をつけた方が早いんじゃないのというのは誰でも思うことでありまして、まずはしっかり国民全体に周知を図るということ、その段階から始めるんだということなんでしょうが、確かに子供連れで大人が入ってくるというような事例、そこを管理権原者がきちっととがめない、ストップをかけるということはなかなか現実に飲食店の営業上難しいということがあるのかなと思ったりはしますが、ここの実効性が大変心配であります。

 こういう事例はどうでしょうか。実際に喫煙可能な場所への立入りの可能性があるアルバイトを雇う求人募集をするのに、実際に喫煙可能場所にも入ってもらわなきゃならぬというのを、いやいや、我が店舗は全部禁煙ですよということで募集をかけて従業員を雇い入れた場合、これは一体どういう扱いになるのか、ここは副大臣、お答えをいただけますか。

高木副大臣 ただいま御指摘ありました、実際に喫煙可能な場所への立入りの可能性があるにもかかわらず、禁煙施設と偽って従業員を雇い入れた場合の取扱いがどうなるのかという、この御質問につきましては、既に、従業員の受動喫煙対策につきましては、今回の健康増進法改正法案におきまして、施設の管理権原者等に対し、喫煙可能な場所への二十歳未満の立入りを禁止する義務を課すこと、また、事業者等に対し、従業員の受動喫煙を防止するための措置を講ずる努力義務規定を設けるとともに、対応の具体例をガイドラインで示すこと、こうしたことによりまして対応していくこととしております。

 現行の職業安定法におきましては、求人を行う際に、賃金や労働時間、就業場所に関する事項等の労働条件を書面などで明示することを義務づけております。今回の健康増進法改正を踏まえまして、明示すべき事項として、職場における受動喫煙対策の状況を追加することとしております。仮に虚偽の明示をしていた場合には職業安定法違反となるわけでございますが、そういったことのないよう、健康増進法改正法案の施行に当たりまして、事業主団体等を通じて、従業員の受動喫煙対策の内容、また職業安定法の取扱いにつきまして、しっかりと周知してまいりたいと考えております。

桝屋委員 ぜひここは、まずは徹底するということが大事だろうと思いますけれども、悪質な経営者が、管理権原者がいるということも想定されるわけでありまして、ここは、ガイドラインの策定とか、お話もございましたが、しっかり取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 時間がなくなりました。あと二問だけ。

 今後の課題で、一つは、経営規模が小さい飲食店について、我が党も一定の例外措置が必要だろうという姿勢でおりましたけれども、今回の法律ができまして、そうした小規模店舗も含めて、喫煙室の整備であったり準備をしなきゃいけません。大規模店と同様の対策が講じられるようにしっかりと支援をするという観点も大事だろうと思いますが、この予算等も必要だろうと思いますが、この点、いかがでしょうか。

高木副大臣 御指摘の支援策は重要であると思っております。

 このため、飲食店等における中小企業の事業主等による喫煙専用室の設置などに対しましては、予算措置による費用の助成、具体的には、今年度三十三億円を確保しまして、上限百万円、助成率、飲食店は三分の二、その他は二分の一としております。

 また、租税特別措置を活用することによる税負担の軽減、具体的には、資本金が、こちらは三千万円以下の中小企業又は個人事業主に限るわけですが、取得価額の特別償却三〇%又は税額控除七%の適用を認める措置をとっております。

 こうしたことによりまして、支援を行ってまいりたいと考えております。

桝屋委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、先ほどの同僚議員の質問を聞いておりましてちょっと思ったんですが、加熱式たばこについてはエビデンスの整理が必要だということで、中長期的な課題というような御答弁がありましたけれども、普通の紙巻きたばこ、エビデンスを整理するのに二十年かかったというような話もあったものですから、当分の間というのは二十年かと私は言いたくなるような気がしまして、さっき御答弁がありましたように、やはり、主流煙には確かに有害物質があるということもわかっているわけでありまして、ここはしっかりと調査研究をしていただきたい。

 特に呼吸器等の疾患をお持ちの方等に対する影響というのは、二十年かけてやってもらうんじゃ困るなと私は思っているんですが、当分の間というのはいつまでもいくんだということでないという姿勢を局長から伺いたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 法案におきましても、いわゆる調査研究、そして最新の内外の情勢をきちっと把握をするということは位置づけられておりますし、また、現在、さまざまな研究に取り組んでおりますけれども、その研究におきましても、できるだけ早く成果を出せるようなことも含めまして、研究のあり方について、また調査のあり方についてもデザインを考えていただいているところでございますので、今委員御指摘の点をきちっと受けとめながら、私どもとしても、早く的確な結論が出るように、できる限りの努力はしてまいりたいというふうに考えています。

桝屋委員 ありがとうございます。

 二月八日、我が党から申し入れた文書には、加熱式たばこについては、調査研究の上、その結果において必要な措置をとる必要があるというところまで申し上げておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 この前の本会議の答弁、質問を聞いておりましたら、ある党は十八項目質問されておりました。大体論点は全部そろったな、こう思っておりまして、この国会で成立できるように、しっかりと審議を深めてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。

 きょうは受動喫煙防止対策のための健康増進法の一部改正案の審議ということですけれども、まず、大臣、きょうは十三日ですよね。会期末は二十日です。恐らく今週中に採決ということにはなかなかならないということを考えると、参議院で会期内に成立させるまでには非常に厳しい、そういう状況の中で審議入りをしているんですけれども、これはもう延長するということを含んで、そこは閣内で合意がされてこういうことになっているということでよろしいんでしょうか。

加藤国務大臣 私ども、国会に提出、本件については特に提出期限に提出をさせていただいて審議をお願いしていたということで、今委員会で審議ができる状況になっておりますので、政府としては、しっかり御審議いただけるよう、誠心誠意対応させていただきたいと思っています。

初鹿委員 仮に衆議院で採決して、延長にならないで参議院で採決に至らないと、廃案になってしまうわけですよね。そういうことも含めて考えてこの法案が今ここで審議されているということだと思うんですけれども、私からあえて言わせていただきますが、成立を急いで拙速な審議の打切りということにならないようにぜひしていただきたいと思います。この法案というのは、非常に国民の関心が高いものであるし、さまざま意見が対立をしている中で出てきているものでありますので、今週、例えば、金曜日に参考人が入っておりますが、午前中は参考人をやって、午後には質疑終局なんということにならないようにぜひしていただきたいと思います。

 先ほど桝屋議員が、大体論点は出そろったというようなお話がありましたけれども、始まったばかりでそういう意見というのは、ちょっと、私はいかがなものかなと、先輩に失礼ですけれども、言わせていただきます。これから我々、聞きたいことがまだたくさんあって、まだその疑問を解消できていないわけですから、まだこれからだということをまず指摘をさせていただいて、質問に入らせていただきます。

 さて、今回提出された法案は、あちらに塩崎前大臣がいらっしゃいますけれども、塩崎前大臣時代に出されたたたき台からすると、相当に後退をしたと指摘をせざるを得ない内容になっております。さまざま御苦労があったのは理解をしているところでありますけれども、それでもやはり後退はしているのは間違いないと思います。

 この法案というのは、なぜ今国会でここまで急いでやらなければならないかというと、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに間に合わせるためであるというふうに私は理解しているんです。そうであると、この内容で、IOCとWHOが合意をして始まったたばこフリーのオリンピック・パラリンピックという理念に沿うものになっているのかというと、私、非常に疑問に思っているんですが、大臣は、この内容で、IOCまたWHOが提唱してきたたばこフリーのオリンピックというものに合致しているというように考えておりますか。

加藤国務大臣 WHOとIOCとの合意は、身体活動を含む健康的な生活習慣を選択すること、全ての人々のためのスポーツ、たばこのないオリンピックについての合意ということだというふうに承知をしております。

 今回の法案においては、多数の方が利用する施設については、法律上、原則屋内禁煙とした上で、必要な経過措置を設けるということでありまして、実際、これまで我が国の受動喫煙対策は、委員御承知のように、努力義務による自主的な対応によってきたわけでありますけれども、受動喫煙の率も四割ぐらいまで下がって以降、そのあたりを推移している、こういったことでさらなる対策の必要性があり、また、同時に、二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックがある、これは一つの契機ということで、今度、法律上新たに設ける義務のもとで段階的かつ着実に前に進めていこう、こういうことであります。

 前回、前に出したやつよりも後退しているとおっしゃいますが、経過措置について確かにそういう御議論はあるとは思いますけれども、一方で、新たに開設する店舗については原則屋内禁煙にするという新たな中身を盛り込ませていただく、また、喫煙可能な場所についても二十未満の方の立入りを禁止する、こういった内容も盛り込ませていただいているわけでありますので、そういった意味において、受動喫煙対策が段階的に進む実効性のある案になっている、こういうふうに認識をしているところであります。

初鹿委員 大臣、そうおっしゃいますけれども、後退しているのは間違いないと思いますよ。経過措置があるだけではなくて、例えば、学校とか病院とか、以前の案では敷地内禁煙、全面禁煙だった場所に、屋外に喫煙場所をつくることを認めるようになっているというのは、これは明らかに今までの考え方を大きく変えることにつながっていると思いますから、そこは素直にやはり認めていただきたいと思います。

 その上で、皆さんにお配りした資料の中に、WHOの事務局長のマーガレット・チャン氏からの書簡の仮訳をつけさせていただいております。去年の三月二十九日に来日した際に、書簡を政府宛てに送ったということであります。

 ここを見ていただきたいんですけれども、一ページ目の方の三段落目、たばこフリーという方針は、一九九八年以降の各オリンピックで実施されてきました、現在では、呼吸器の健康を改善し心血管疾患を減らすという世界的な風潮を反映した方針となっています、二〇一五年時点で、公衆の集まる場の喫煙を禁止している(屋内の指定喫煙場所がない)のは、レストランについては六十三カ国、パブ、バーについては六十三カ国、職場については六十四カ国と広がっていますと。

 つまり、指定喫煙場所がない喫煙の禁止、禁煙をしているところでも六十三カ国あるということをマーガレット・チャン氏は示した上で、次のページに移っていただきたいんですけれども、最後の結論は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会で、長い伝統であるたばこフリーという政策を維持するよう、要請します、特に、屋内の公衆の集まる場での喫煙の完全禁止を全国レベルで実施するよう要請します、そう締めているんですね。

 皆さん、ここに文書がありますけれども、下線が引かれているんですよね。屋内の公衆の集まる場での喫煙の完全禁止を全国レベルで実施するよう要請しますと。これは誰が下線を引いたかといったら、下線は厚生労働省が引いているんです。

 このマーガレット・チャン氏の書簡を見ると、完全禁止を全国レベルで実施をするという要請がされている。それに厚生労働省も御丁寧に下線を引いているわけですね。

 今回の案は、このWHOのマーガレット・チャン事務局長の書簡、これにきちんと応えた内容になっているというふうに大臣は考えているんでしょうか。

加藤国務大臣 昨年の三月、WHOのマーガレット・チャン事務局長から書簡で今お示しの中身が出されていたわけでありますが、この要請も含め、これに書いてありますけれども、熟慮に熟慮を重ねということで、政府内、与党内でも議論を重ねた結果として今回の法案を出させていただいた、こういうことでございます。

初鹿委員 マーガレット・チャン氏が言っているのは、自分が熟慮に熟慮を重ねたことをどうか受けとめてくださいで、皆さん方が熟慮を重ねてくださいと言っているわけではないわけですよ。全く答えになっていないんです。

 つまり、今回のこの法案は、WHOの事務局長の要請には全く応えていないし、たばこフリーのオリンピックということからすると、そこに達しているとは言えないレベルだということを指摘をさせていただきます。

 その上で、資料を一枚めくっていただきたいんですが、去年の六月二十日に塩崎前大臣が談話を出しているんです。結構この談話はいいことを書いているんですよね。塩崎大臣、頑張っていただけに、私は、そのまま続けていただいてこの法案をまとめていただきたかったなとは思っているんですが、まず、この談話、今でも厚生労働省の方針として引き継がれているという理解でよろしいんでしょうか。

加藤国務大臣 今の方針は、出させていただいた法案が全てということでございますので、この塩崎大臣の談話の趣旨も踏まえながら議論をさせていただいて、そしてつくり上げた上で出させていただいた今の法案、これが私たちの方針ということでございます。

初鹿委員 私が聞いているのは、じゃ、今出された法案は、この塩崎談話をきちんと継承した中身になっていますか、それとも、塩崎談話で書かれていることを一部否定をするような内容の法案になっていますか、どちらですか。

加藤国務大臣 これまでも御説明しておりますように、昨年、厚労省からも基本的な考え方を出させていただきましたけれども、与党内でもいろいろ議論があり、取りまとめに至りませんでした。

 その後、こうした塩崎大臣の談話もあり、また与党内外からいろんな議論があって、今回の法案がつくられてきたということでありますので、当然、全てが全てということではありませんけれども、この談話の趣旨については継承させていただいている、こういうふうに考えております。

初鹿委員 趣旨が継承されているけれども、継承されていない部分もある、そういう発言だったというふうに私は理解しましたが、私は、趣旨をきちんと徹底して継承されたのかというと、そうでもないような感じが非常にするので、そのことも含めて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、二ページ目のところで、一番上に、「国立がん研究センターの発表によれば、受動喫煙を受けなければ亡くならずに済んだ方は、国内で少なくとも年間約一万五千人とされています。」ということが例示をされております。これは厚生労働省内でも共有をされている事実だというふうに思うんですけれども、この一万五千人の受動喫煙を受けなければ亡くならなかった方々を減らしていくということが、やはりこの対策にとって必要なことだと思うんですね。そうだという合いの手を入れていただきまして、ありがとうございます。

 そうであるとしたら、今回のこの法案による規制で一万五千人はどれだけ減らせるんでしょうか。年間の数値目標のようなものは立てているんでしょうか。お答えください。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

高木副大臣 お答えいたします。

 二〇一四年の死亡数に乗じて算出した受動喫煙による年間死亡数推計値は、一万五千三十人とされております。

 本法案による規制の効果といたしまして、受動喫煙により亡くなる方を減少できると考える具体的な数値及び減少目標を立てることは困難であると考えておりますが、本法案におきまして、望まない受動喫煙をなくすための対策を徹底することを踏まえまして、がん対策推進基本計画におきましても、同じように、本基本計画の計画期間中において、望まない受動喫煙のない社会をできるだけ早期に実現すること、このような目標を追加しておりまして、これは望まない受動喫煙をゼロとすることと同義であると考えております。

 また、我が国では、各自治体による屋外、路上での喫煙の規制が先に進んできた経緯があるなど、他国と異なる事情もあると考えております。本法案による規制とあわせまして、各種支援策の推進、また受動喫煙の健康影響に関する普及啓発の促進などを進めて、本目標の達成に向けまして、我が国としての総合的な受動喫煙対策を着実に進めてまいりたいと考えております。

初鹿委員 つまり、数値目標みたいなものは設けられないし、わからないということで、望まない受動喫煙が減っていけば、それに伴ってこの一万五千という数も減っていくだろうというふうに推察をしているということなんだと思うんですけれども、じゃ、望まない受動喫煙はこれで減るんですか。

高木副大臣 今回の法案は、重ねて申し上げることになりますが、多数の方が利用する施設につきまして、法律上、原則屋内禁煙とした上で、必要な経過措置を設けるものでございます。

 これは、我が国の受動喫煙対策につきましては、これまで努力義務による自主的な対応によっていたものから、法律上新たに設ける義務のもとで段階的かつ着実に前に進めるものでありまして、その意義は大きいと考えております。

 既存の小規模飲食店につきましては経過措置を設けているものの、新たに開設する店舗については原則屋内禁煙となること、また、喫煙可能な場所について二十歳未満の方の立入りを禁止することといった内容を盛り込んでおりまして、今後、受動喫煙対策が段階的に進む実効性のある案になっていると考えております。

初鹿委員 そうは言うんですけれども、まず、飲食店で例外を設けてしまった時点で、望まない受動喫煙というのは完全に防ぐことができなくなってしまったと思うんですよ。

 先ほど、店で表示をすればそれで選べるということも言われていた方もいますけれども、みんなが自分で店の選択ができるわけではないですよね。店の選択権がない人もたくさんいるわけです。例えば、職場で上司が喫煙者で、職場で懇親会をやりましょうといったときに、やはり、たばこを吸う店を選ぶ、それを断ることもなかなか難しいでしょうし、例えば、クライアントとの食事をするのに、相手側がたばこを吸う場合に、ここの店と指定されたときに、私はたばこを吸わないので、たばこを吸わない禁煙の店にしてくださいというのはなかなか言えない。

 そういう弱い立場の方々からすると、どうしても望まない受動喫煙を受けざるを得ないことになりかねないんじゃないかと思いますが、この点について皆さん方は一体どう考えているのかということをぜひお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 一つは、職場ないし仕事の延長線上かそうでないかということで若干違うんだろうと思いますし、今お話があった、もともとの大前提としては、望まないところ、喫煙かどうかは別として、そもそも、望まない、例えば仕事の後につき合わなきゃいけないとか、これ自体がそもそもどうかという問題がまずあるんだろうと思います。

 その上ででありますけれども、本法案においては、望まない受動喫煙を防止するための配慮義務を課しているわけであります。それから、仕事ということであれば、労働安全衛生法において、事業主に労働者の受動喫煙防止の努力義務も課しているわけでありますので、それらを踏まえて、受動喫煙を望まない方を喫煙可能な場所に連れていくことは避けるべきであるといったことなどの留意事項、これをガイドラインとしてまとめた上で、自治体、経済団体とも連携して、企業、事業主、ひいてはそこで働く方々にもしっかり周知をさせていただく。そうした周知を図っていくことによって、本人の意思に反して喫煙可能な場所に連れていかれることがなくなるような、そうした環境をつくっていきたいというふうに思います。

初鹿委員 言うのは簡単ですけれども、私はそうは絶対ならないと思いますよ。本当に望まない受動喫煙をなくすということならば、やはり私は、全面禁煙以外にないということを指摘させていただきます。

 では、ちょっと具体的なことを聞いていきますけれども、塩崎前大臣の示したたたき台では、ちょっと二枚めくっていただいて、いろいろ施設の類型を挙げられておりますが、官公庁と書いてあったんですね。官公庁だったんです。それが、出てきた法案だと、官公庁という単語がなくなって、行政機関に変わっているわけであります。

 たたき台では官公庁だったものが行政機関に変わった、その理由はいかなるものでしょうか。

加藤国務大臣 今回の法案においては、多数の方が利用する施設については原則屋内禁煙としつつ、喫煙専用室でのみ喫煙できること、これを原則とし、そして他方で、特定施設等、第一種施設とさせていただいているわけでありますが、国や地方自治体の行政機関、これについては、この法律の中において、国民や住民の健康を守る観点から、受動喫煙対策を総合的かつ効果的に推進する責務を設けたということであります。

 また、そもそも、受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者を含め、広く国民及び住民が利用する機会が多い、そういった観点から、法制の過程において、それぞれ、このカテゴリーをどこに当てはめるか、例えば大学なんかも当初案から変わってきているわけでありますが、そういった精査をする中で、行政機関の庁舎については対策をより一層高めた敷地内禁煙、こういう整理にしたところであります。

初鹿委員 私は、国会をあえて外すために、官公庁を行政機関にして、立法機関、司法機関を外したというふうに見えてしまうわけですよ。いろんな議論があったと思いますけれども、そういう中で立法機関を外して国会を除外した、私は、これはいかがなものかなと思うんですよ。

 先ほど、大臣、法律で受動喫煙対策を総合的かつ効果的に推進する責務を行政機関に課している、立法機関や司法機関には課していない、だから別にしたんだ、そういうお答えだったと思うんですけれども、司法機関はおいておいて、そもそも立法機関はこの法律をつくるわけですよ。つまり、行政機関に責務を課すことを決めるのは国会じゃないですか。決めた当事者である国会はその責務の対象から外しますよ、責務にはなっていないかもしれないけれども、規制の対象から外しますよというのは、私は国民感情からしていかがなものかなと思いますよ。

 私は、だから、この国会はきちんと行政機関と同じような扱いにしないとやはりおかしいと思いますし、先ほど、未成年者も含めていろんな人が利用するのが行政機関だ、そういう答弁だったと思いますが、国会だって、たくさんの人が来ますよね。毎日毎日、未成年者、修学旅行で来ませんか。来ていますよね。そして、それだけじゃありませんよ。皆さん方の議員会館の部屋を、がん患者の方とか、受動喫煙に対して本当に配慮しなければならないような方も要請に回るわけじゃないですか。そういう方々が来る施設であるということを考えたら、私は、この国会こそ率先して、受動喫煙対策をとるために全面禁煙をするべきだと思います。それが、やはり国民に対して姿勢を示すということになるんだと思うんですよ。大臣、違いますか。

加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げたのは、それぞれのカテゴリーにはめるための考え方を申し上げたわけであります。まさに原則的な取扱いを申し上げた。

 それ以上どうされるかということについては、それぞれの機関で御判断することを妨げているわけではございませんので、国会においてそうしたことでお決めになられるんだったら、そういったことで対応していただける、こういうことであります。

初鹿委員 それでは、ちょっと角度を変えて聞きますけれども、では、たたき台にあった官公庁という単語、これがなくなって、行政機関という単語に切りかわる、その意思決定過程について明らかにしていただきたいと思います。一体、いつ、誰が、どのような発言をして、そしてどういう経過をたどってこういう法案に最終的になったのか。与党の部会でのこの審議の状況も含めて、きちんと記録が残っていると思いますが、その記録を全部出してください。

加藤国務大臣 そもそも、もともとの案があって、いろいろヒアリングをしたり、いろんな方々のお話を聞き、そして、望まない受動喫煙をなくすという基本に立って、多数の方が利用する施設については原則屋内禁煙とし、喫煙専用室でのみ喫煙できるとまず原則的な取扱いを決め、そしてその上で、子供や患者等に特に配慮するという考え方に立って、学校や病院については、一段厳しい規制の、原則屋内禁煙にとどまらず、屋内禁煙と原則敷地内禁煙としたところであります。

 そうやって分けていく中で、国、地方公共団体には、あわせて、受動喫煙対策を総合的、効果的に推進していく上での責務を有することも必要だということで、これも法律上明示をした。

 そうした議論の中で、国、地方公共団体がこういうような責務を課されることを踏まえて、行政機関について、それから先ほど申し上げた利用の状況というのもあります、原則的な取扱いの対策からより一層高めた敷地内禁煙というような第一種施設ということにさせていただいたわけでありますから、そういった流れの中で決めたところであります。

 公文書管理については、この四月からも新たな規則が施行されておりますし、従前についても、我々として、公文書管理の適切な運用には努力をさせていただいているところでございます。

初鹿委員 公文書管理のことを触れていただきましたので、皆さんのお手元に厚生労働省の行政文書管理規則をつけさせていただきました。

 そして、その裏には、ことしになってさまざまな公文書の問題が出ておりますよね。改ざんがされたというとんでもない問題や隠蔽があった。こういうことを受けて政府が出した、行政文書の管理に関するガイドライン、この改正、これもつけております。

 ここには、一番上に、政策立案や事務及び事業の実施の方針等に影響を及ぼす打合せ等の記録については文書を作成することを義務づけと書いてあります。

 もともと、厚生労働省の文書管理規則にも、第十条に、「厚生労働省における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに厚生労働省の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、文書を作成しなければならない。」こう書いてあるんですよ。そして、十一条には、「政策立案並びに事務及び事業の実施の方針等に影響を及ぼす打合せ等(職員と職員以外の者との折衝等を含む。以下「打合せ等」という。)の記録については、文書を作成するものとする。」と書いてあるんです。

 この打合せの記録を全て出してください。もともとたたき台で出てあったものが、これが変わったその経過というものをやはり国民にきちんと知らせなければならないと思います。これは、国会の部分だけじゃなくて、三十平米だったものが百平米に変わった、ここについての経過も、一体、誰とどういう折衝をして、その結果どういう判断を皆さん方がしてこの案になったのかということを、全て記録を出してください。

 まず、こういう文書はきちんとつくっているということでいいんですよね。

加藤国務大臣 まず、私どもとして、ヒアリングの概要とか、あるいは基本的な考え方、あるいは与党あるいは野党に出させていただいた審査の資料、こういったものは当然持っておりますし、決裁の資料、これも持っているところであります。

初鹿委員 じゃ、その持っている資料を全部公表していただけますか。

加藤国務大臣 全部と言われても、なかなか何が全部なのかわからないので、そこはぜひ理事会で御協議いただいて、それに対して、できることを対応させていただきたいと思います。

初鹿委員 福田元総理のインタビュー記事を載せております。皆さん、こちらを見てください。これは私が個人の意見として言っているだけではなくて、公文書管理法をつくったときに、重要な役割、中心的になって働いた元総理がこう言っているんですよ。

 「「記録を残す」とはどういうことか。新しい法律ができたとします。それはどんな社会情勢の中で、どんな議論を経てできたのか。国民がその時々の政治や行政を評価するためには、後々まで残る正確な記録が必要になる。それが選挙では投票行動につながり、政治家が選ばれ、政策が決まっていく。正しい情報なくして正しい民主主義は行われない。記録というのは民主主義の原点で、日々刻々と生産され続けるのです。」こういうように言っているわけです。

 つまり、この政策決定の中で、今までの案から後退をした、そこに各政治家がどのようなかかわりを持っていたのかということを明らかにすることが民主主義の原点なんですよ。そうやって選挙で投票行動を有権者は決めていくわけじゃないですか。そういうことを考えたら、今回、この意思決定過程の中で出てきた議論の経過をきちんと示すことが必要だと思います。

 ぜひ、公文書管理法の精神にのっとって、出せる資料を全部、理事会に提出するようにお計らいいただきますように、委員長、よろしくお願いいたします。

橋本委員長代理 ただいまの件につきましては、後刻、理事会で協議をいたします。

 質疑を続行してください。

初鹿委員 では、もう少し国会の話をしていきますが、与党の部会の中では、いろいろ記事、新聞の記者がいろいろ取材した結果、こんな発言があったということがしばしば出てきていたんですけれども、中には、複数の議員が、議員会館の自分の事務所で吸えなくなるのは困る、自分の部屋でたばこが吸いたいなんという発言をした方もいたということであります。これは仄聞ですので、確認はしておりませんが。

 今回、この規制が行われると、議員会館の事務所の中では当然吸えなくなるということでよろしいんですよね。

福田政府参考人 お答えいたします。

 議員会館の議員事務室は、議員や秘書の方がそれぞれの政策立案などの業務のために用いる施設であり、通常のオフィスと同様の性質を持つものと考えております。

 そのため、議員事務室は、第二種施設として、原則屋内禁煙となります。この際、喫煙専用室の設置は認められることとなりますが、当該喫煙専用室において執務を行いながら喫煙をするということは認められないこととなります。

初鹿委員 違反した場合はどうなるんですか。

福田政府参考人 違反した場合についてでございますけれども、違反した場合につきましては、喫煙者につきましては、まず最初には、基本的には、喫煙をしないでください、こういう形になりますけれども、喫煙した方について、最終的には、三十万円の過料といいましょうか、そういったものが法律上は用意をされているという形になります。

初鹿委員 ただ、そこに至るまでには、管理権原者がまず注意をしてとか、それでもだめだったら保健所が注意をするんですか、そういうことにはなかなかならないと思いますので、これが本当に実効性があるのかというのは非常に疑問に思っております。

 私はやはり、国民に対して、喫煙をされている方に、屋内では禁煙で頑張ってくださいということを言う以上は、国会議員もきちんとルールを守るべきだと思いますので、この辺は相当に厳しく徹底していただきたいということをお願いさせていただきます。

 ちょっと議員会館から離れるんですが、去年、私、質問主意書を出しまして、大臣、副大臣、政務官の執務室で喫煙を認めているような部屋が幾つあるのかということを伺いました。そして、正直に何カ所かという答弁をいただいているんですが、一年経過しました。それで、この法律を出しております。さすがに今の段階になって喫煙を認めているような部屋はないと信じたいんですけれども、一年経過して、今、現状、どうなっていますか。

高木副大臣 お答えいたします。

 御指摘の質問主意書に対しまして、昨年五月十六日付の答弁書におきまして、閣僚本人の判断で喫煙を可能とすることのできる執務室は九カ所、副大臣及び大臣政務官本人の判断で喫煙を可能とすることのできる執務室は十カ所ということでございましたが、喫煙を可能とするかどうかの御判断は日時や来客等の状況によって異なるということで回答をさせていただきました。

 今般、今申し上げた九カ所及び十カ所に改めて確認をしたところ、閣僚本人の判断で喫煙を可能とすることのできる執務室は二カ所、副大臣及び大臣政務官本人の判断で喫煙を可能とすることのできる執務室は四カ所であることが確認できました。ただし、先ほども申し上げたとおり、喫煙を可能とするかどうかの判断は日時や来客等の状況によって異なることから、喫煙が実際に行われているかどうかについては明らかではありません。

 なお、今回の法案におきましては、多数の方が利用する施設について原則屋内禁煙としつつ、喫煙専用室でのみ喫煙できることを原則とする一方、御指摘の執務室を含む国や地方自治体の行政機関につきましては、国民や住民の健康を守る観点から、受動喫煙対策を総合的かつ効果的に推進する責務が課せられているということから、第一種施設として、対策をより一層高めた敷地内禁煙としているところでございます。

 こうした対応によりまして、望まない受動喫煙の防止は強化されるものと考えております。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

初鹿委員 現状でも大臣室で二部屋、そして、副大臣、政務官室で四部屋あるということなんですが、法案を出して、これから国民の皆さんにも我慢してもらいましょうというわけですから、やはり政府全体として、大臣の執務室ぐらいは完全禁煙にしておかないと私はいけないと思うんですよ。

 ぜひ、加藤大臣、あしたからでも禁煙にしなさいとぜひ閣議で言ってください。

加藤国務大臣 それは、今は法律がないわけでありますから、それぞれの方の判断によって対応していただくということでありますけれども、今回こうして政府が提案をさせていただいておりますから、そのことも踏まえて対応していただきたいと思います。

初鹿委員 今の答弁、ちょっとひどいと思いますよ。今法律がないからいいみたいな話に聞こえちゃうんですけれども、法律がなくても率先してやるのが政府の立場じゃないですか、今法案を出しているんですから。それが、一部の大臣はたばこを吸えるようにしていますよというのは、私はおかしいんじゃないかということを指摘させていただきます。

 では、続いて、FCTCのガイドラインに沿ってちょっと質問していきたいんですが、外務省のホームページを見ておりましたら、このFCTC条約のページはあるんですけれども、ガイドラインのことを調べようかなと思って見てみたら、WHOの英文のところにしか飛ばないんですよね。翻訳が全くないのかというと、今皆さんのお手元にお配りしているんですが、これは、厚生労働省と独立行政法人の国立がん研究センターが一緒に仮訳をしたものががん研のホームページの方に記載がされているわけであります。

 この条約をきちんと徹底していこうということを考えるならば、やはりきちんと、外務省の条約を示しているページからこのガイドラインにもリンクを張って飛べるようにして、みんなが確認できるようにするべきだと思うんですが、なぜなっていないんですか。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 まず、本件の英訳でございますけれども、今般御指摘いただいた点を踏まえまして、早速、国立がんセンターとも相談の上、ぜひ、リンクを張るということで検討させていただきたいというふうに思います。

 なお、一般に、ガイドラインにつきましては、いろいろな国際機関等で採択されておりまして、数は大変膨大に上るということから、その全てを政府として和訳をするということは、現在は行っておりません。

初鹿委員 きのうやりとりしたときは、一般的にはガイドラインは載せないのでリンクしないんですよみたいなことを言っていたのを、リンクを張るという前向きな答弁だったので、それは評価をさせていただきたいと思いますが、やはりきちんと徹底していかなければいけないと思うんですよ。

 ガイドラインはかなり厳しいことが書かれております。

 ちょっとガイドラインに沿っていきますけれども、ガイドラインの三ページ目のところに、四つ目の勧告ということで、勧告じゃなくて原則ですね、原則のところで、「政府関係者や職員における利益相反を避ける。」という項目があります。ちょっとこの点について突っ込んでいきたいと思うんです。

 この項目があるんですけれども、我が国では、JT、日本たばこ産業に財務省の方が天下りしておりますよね。会長も財務省OBだというように伺っておりますが、これは条約の趣旨に反しないんでしょうか。

今枝大臣政務官 お答えを申し上げます。

 FCTC第五条三項は、たばこ産業の関係者がたばこの規制に関する政策を決定する立場にある者に対して不当又は不法な影響力を行使することがないように、国内法に従い取り組むことを締約国に求める規定であると承知しております。

 その上で、FCTC第五条三項のガイドラインは、政府関係者や職員における利益相反を避けるとの観点から、たばこ規制にかかわる政府職員等に対し利益相反にかかわる明確な規則を求めることが重要であること、そして、たばこ会社が政府機関や政府職員等に提供する金品及びサービス等は利益相反となる可能性があるなどを記載していると承知しております。

 日本においては、たばこ事業法等の規制にかかわる国家公務員は、国家公務員倫理規程により、OBを含め、利害関係者たるたばこ会社やその役職員から利益提供を受けることは禁止されており、FCTC第五条三項のガイドラインが求める利益相反の回避は適切に行われていると考えております。

初鹿委員 そうはいっても、国民からすると、こういうたばこの規制にかかわるような法案を審議している中で、政府関係者がたばこ会社に天下りをしているということはなかなか理解をされにくいことではないかというふうに思うんです。FCTCでも、かなりこの点は厳しく言っているわけであります。

 ですので、委員長、ちょっとここは委員長にお取り計らいいただきたいんですけれども、たばこ関係の会社に再就職をしている公務員OBのリストをぜひ提出をしてもらいたいと思います。ぜひ、理事会で検討してください。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

初鹿委員 なぜこういうことを言っているかというと、この条約で一番気にしているのは、政策決定にたばこ産業が介入をしてゆがめることにならないようにしなければいけないということを非常に厳しく言っているわけでありますね。ですから、私は、議論の過程とかそういうものもきちんと示すべきだということを言っているわけです。

 そして、四ページを見ていただきたいんですが、この中で、こういう規定もあります。「国内法及び憲法原則を考慮し、締約国はたばこ産業又はその利益促進を図っている組織から、政党、候補者、選挙運動に対する献金を阻止する又は当該献金を全面的に開示することを義務付ける効果的な措置を講じるべきである。」こう書かれているわけです。

 そして、もう少し下に行って、五の二のところは、「締約国は、たばこ産業及びたばこ産業の利益の増進のために活動している者に対して、ロビー活動、慈善事業、政治献金、及びその他の、条約第十三条の下で禁止、又はまだ禁止されていない全ての活動を含むたばこの生産、製造、市場シェア、販売経費、収益、及び他の全ての活動について定期的に情報を提出するよう求めるべきである。」と書かれているわけです。

 つまり、これにのっとっていけば、政治献金を受けている議員がいたらそれをきちんと公表をする、これが必要だと私は考えます。

 そこで、きょう皆さんのお手元に、日本禁煙学会がホームページで公表している政治献金の実態調査というものを出させていただきました。

 私は、献金をすることがいけないとは言いません。受けることもいけないとは思いません。そして、献金をする側は、当然ながら、自分たちの業界の利益になってくれるように動いてくれる、それを期待して献金をする、そして、受けた側もそれに応えて行動するというのは、これはおかしなことではないと思うんですよ。民主主義というのはそういうものだと思います。でも、この政策決定の過程の中で、それが本当にどうだったのかということをきちんと明らかにして、それによって、次の選挙や、将来何かが法案で不備があったときに振り返ってみて、ほかの、未来の有権者が検証できる、そういうことにするためにはこういうものはきちんと公表するべきだと思うんです。

 そこで、実態調査が出て、各議員の皆さんの献金額が出ているんですが、これは私も正しいかどうかわかりません。全部照合し切れなかったので正しいかどうかわからないので、ぜひ、率先して出していただきたいと思います。これは与野党問わず調べてもいいと思いますし、総務省がきちんと把握をされていると思いますので、一覧にしていただきたいと思いますが、ぜひ、理事会でお取り計らいいただきますように、委員長、お願いをいたします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

初鹿委員 この献金のリストを見ると、今回頑張って規制を強めていこうとしておられた塩崎大臣も献金を受けていたりしているわけで、献金を受けているからといって必ずしも業界の利益のためだけに動いているわけではないと私は思っております。だからこそ、きちんと示していただきたいと思うんですね。

 ちなみに、加藤大臣も名前が挙がっているんですが、これでよろしいんでしょうかね。四十八万円か何かが、献金を過去受けていたということでありますけれども、これは事実でよろしいんですよね。

加藤国務大臣 私の方は、私の政治資金団体等々を見ても、当該団体等から献金している事実は一切ございません。

 こうした資料があるので、これはちょっと委員もぜひ、調べたら、さっきリンクの話がありましたが、これはちゃんともう少しリンクしていくと、もう少し詳細が出ているんですね。そうするとそこに、党費、党費、党費と書いてあるんですね。ですから、党費というのは、一時的にはもちろん、我々は党費を集めますが、これは全部党に出すものであります。それから、一番下にあるものは県連のパーティーでございますので、これも、県連で全部。したがって、私にかかわるところにおいては、こうした献金は全く受けていない。

 何でこうなっているかは、ちょっとわかりません。

初鹿委員 大臣、率直に答えていただいて、ありがとうございます。だから、ちゃんと自主的に出した方がいいんじゃないかなということを私は言いたいんです。

 禁煙学会という方がまとめたものが、これはやはり一部出回ってしまったりしているわけでありますよね。それで誤解を受けるようなことがないように、やはり明らかにした方がいいんじゃないかなと思いますし、先ほど言ったように、政治献金については、条約のガイドラインで厳しい勧告が出されているわけですよ。「たばこ産業又はその利益促進を図っている組織から、政党、候補者、選挙運動に対する献金を阻止する」と書かれているわけですよ。

 国は阻止をするということが求められているわけですから、そういう中で今回この法案が審議にかかっていて、実際に献金を受けている方がいて、そして、もしかしたら、その方々がこの政策立案の意思決定の中でたばこ産業の意向を受けた発言をし、そして、それによって最初に出されていたたたき台が変更されることになっているということであるとしたら、やはりこれはきちんと情報を公開して、後の有権者がきちんと判断をできるようにしていただきたい。だから、私は、この意思決定の過程も全部公開をしてくださいということを言っているわけであります。

 ぜひ、そのことも踏まえて、委員長、きちんと理事会にこれらの資料を提出するように求めていただきたいと思います。よろしくお願いします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

初鹿委員 そろそろ時間がなくなってきたんですけれども、ちょっと最後に一点だけ確認をさせていただきますが、今回、飲食店の百平米以下と五千万以下のところを、別の法律で定める日までの間の措置として経過措置を設けるということであります。

 この件ですけれども、塩崎大臣談話によりますと、三ページに書いてあるんですけれども、「広範な例外措置を恒久的に認めることは受動喫煙被害を助長・容認する結果となりかねません。したがって、例外措置を認めるとしても、」ちょっとここからきちんと聞いてくださいね。「あくまで小規模飲食店を対象とし、かつ、時限を明確にした激変緩和措置としての位置づけとすべきであるとの立場です。」と。

 時限を明確にしたと書いてあるんですよ。今回、この法律は時限を明確にしていないんですよ。これはいつまでの経過措置なんですか。

福田政府参考人 小規模飲食店に係ります経過措置につきましては、別に法律で定める日までの間という形に整理をしてございます。

初鹿委員 つまり、塩崎大臣談話から大幅に後退をしていると言わざるを得ないですよね。別の法律というのは一体いつ出てくるんですか。結局、このままずるずる恒久的に続くようなことになってしまったら、この塩崎大臣が指摘しているように、これは対策にならないと言わざるを得ません。そういう面でも今回の法案は非常に緩いと言わざるを得ない、そう申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

高鳥委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 おはようございます。立憲民主党・市民クラブの尾辻かな子です。

 健康増進法の一部を改正する法律案について、順次質問をさせていただきたいと思います。

 先ほどから、もう四人の方が質問されたので、少し同じ部分もあるかと思いますけれども、まず、現状のたばこ被害の認識という部分でお伺いをしていきたいと思います。

 先ほど初鹿委員からもあったように、受動喫煙の被害によってどれぐらいの死亡数があるのかということですね。これは、先ほどからあるように、一万五千三十人、受動喫煙によってあるということになっております。この一万五千三十人というのは、一日で割ると四十人なんですよね。つまり、一日四十人の方が、毎日毎日、受動喫煙の被害によってお亡くなりになっているという推計が出てきている、これは非常に深刻な事態である。まずは、この認識を持たなくてはいけないと思います。

 国立がん研究センターによると、受動喫煙を受けている者が、受けていない者に比べて、病気になるリスクが何倍かというのをはかったところ、肺がんになるリスクが一・三倍、脳卒中になるリスク一・三倍、虚血性心疾患になる確率一・二倍、乳幼児突然死症候群は四・七倍ということになっております。

 そして、この一万五千三十人、一年間に亡くなるということなんですけれども、推計の内訳を見ると、肺がんが二千四百八十四人、虚血性心疾患で四千四百五十九人、脳卒中で八千十四人、乳幼児突然死症候群で七十三人となっているわけです。私も、きのう表を見せていただきましたけれども、結構、男性と女性の比率も違って、受動喫煙で亡くなる推計の一万五千人のうち、男性が四千五百二十三人、つまり三分の一ですね。残り三分の二が女性で、一万四百三十四人ということで、なぜかこの死亡数の推計値は女性が二倍になっているなんということもわかっていまして、女性がより受動喫煙を受けやすい立場にあるのかなということも、ここからわかるのかなというふうに思います。

 なおかつ、今は受動喫煙の人数ですけれども、じゃ、喫煙をしている方がどれぐらい亡くなっているのかということも、きのう資料でお示しをいただきました。喫煙による死亡は年間約十三万人ということでありますから、毎日約三百五十人の方が日本では喫煙で死亡をしておられる。これも非常に大きな数字になるかと思います。

 大臣に、まず、この私が挙げた数字は事実として合っているのかどうか、また、この現状について大臣はどう思われているのか、認識をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 今御指摘いただいた数字、これは、能動喫煙については東京大学が二〇一二年の論文で公表したもの、また、受動喫煙については、国立がん研究センターが二〇一五年に厚生労働科学研究で実施したものでありまして、それぞれにおいて、喫煙であり、受動喫煙による健康影響があることが明らかになる、こういう重要な研究というふうに認識をしているところであります。

尾辻委員 その数字について、重要だということですけれども、受けとめをお聞きしたいんですね。

加藤国務大臣 受けとめというか、これを踏まえて、厚生労働省では、第二次健康日本21において、成人喫煙率の減少、未成年者及び妊娠中の喫煙をなくすことに関する目標を掲げて、禁煙の支援あるいは普及啓発等の取組を進めているところであります。

 またさらに、受動喫煙対策を強化するため、今回法案を提出させていただいて、これらの取組を通じて、望まない受動喫煙、これをなくしていきたいというふうに考えております。

尾辻委員 私は、非常にこれは深刻な事態だというふうに考えています。年間一万五千人が受動喫煙で亡くなる、毎日四十人。そして、毎日三百五十人が喫煙で亡くなっている。じゃ、今回のこの受動喫煙の防止策によって本当にこれは減るんだろうかということについて、これから順次お伺いをしていきたいと思います。

 今回の法案は、これらの今申し上げた被害を防止する受動喫煙対策として、私は、これは不十分である、そして、骨抜きになった法案ではないかというふうに考えております。こう考えているのは私だけではありません。禁煙を進めてきた、例えば東京都医師会の尾崎会長も記者会見をされておりまして、その中で、受動喫煙を防ぐには全面禁煙しかないんだ、煙が漏れない喫煙室はないということで、今回の法案は不十分だということを指摘をされておられるということであります。

 ですから、この受動喫煙、実は、数字でいうと、たばこを吸われる方は二割、たばこを吸わない人は八割なわけです。たばこを吸っておられる二割の方によって、これは言い方、見方ですけれども、八割の非喫煙者の方の命が脅かされている、そういう状況であると思いますし、私は、これは人によって見方が分かれるかと思いますが、喫煙をされている方、個人のたしなみだと認識されておられる方、確かに多いと思います。しかし、医療的な側面でいうと、これはニコチン依存症ということも言えるわけでありますから、本来であれば、ニコチン依存症対策もしっかり進めていかなければいけないものだと思います。

 今回の、健康増進法の一部を改正するということで、喫煙禁止場所ができるわけです。そして、この喫煙禁止場所、きょう配付しました一枚目のところに、義務を違反したらどうなるかということで書いてあります。

 まず、喫煙禁止場所において喫煙をした場合、どのような罰則になっていくのか、どのような手順を経るのかということについて、先ほどからありますので、簡潔にお答えいただければと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 施設の利用者が喫煙禁止場所で喫煙をした場合、これはまずは、施設の管理権原者等が喫煙の中止を求めること、これが原則であると考えております。それでも改善されない場合、都道府県等の保健所に御連絡いただくことになり、都道府県知事等によりまして指導、命令が行われ、都道府県知事等による命令によっても改善されない場合、裁判所に通知の上、過料が科されるということになります。

 また、管理権原者等からの通報につきましては、都道府県等に設置をする相談窓口を通じて行い、義務違反者に対しては、まずは指導を行い、改善されない場合には、義務違反者の氏名等も確認の上、命令を行うこととなるということでございます。

尾辻委員 そうなんですよね。だから、最初に管理権原者の方が中止を求めるということなんですけれども、これで本当に中止してくれるのかどうか。これは本当にこの罰則の有効性があるのかということなんですけれども、実際考えると、じゃ、たばこを吸っている人が、本当は吸っちゃいけないところで吸っています、管理権原者の人が、済みませんが、ここは禁止なのでやめてくださいと言いました、それでも、いや、いいじゃないか、一本ぐらいいいじゃないかと吸い続けていました。これは、今言うと、窓口に通報するということですけれども、例えば、私、保健所は土日も休みだと思いますし、夜間もあいていないと思うんですね。この通報先というのは、土日とか夜間とか、あいているんでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 これは秩序罰ということでございますので、基本的には行政の枠組みの中で対応させていただくという形になるところでございます。

 御指摘の点につきましては、これから、いわゆる関係者への対応の強化とか普及啓発の中で、保健所の機能強化を含めまして、いろいろ議論していきたいと思っておりますけれども、現時点では、これからの検討材料ということになろうかと思っております。

尾辻委員 ですよね。

 通報の際に、じゃ、必要な要件というのは、もう今決まっていますか。例えば、だから、名前であるとか、住所であるとか、日時であるとか、何をもって証拠として通報するのかとか、この辺は決まっていますか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 基本的に本人を特定をするというところが重要となると思いますので、氏名などの確認が必要になってくると思いますけれども、そういった点につきましても、これから精査をしてまいりたいというふうに考えております。

尾辻委員 名前とか住所とかを聞くのは、管理権原者が聞くことになるんでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 基本的には、これは行政の枠組みの中でございますので、保健所の職員が確認をした上で、その上でのものを必要があれば裁判所の方に通知をしていく、そういう手続になろうかと思っております。

尾辻委員 そうすると、本当に現行でされているときにしか保健所というのはいられないわけで、その人が立ち去ってしまったら、もう名前とかわからなくなるということですよね。

福田政府参考人 お答えいたします。

 おっしゃるように、当事者の方が、その時点で、いつまでもいらっしゃるというわけでも必ずしもないと思いますけれども、反復継続されるような場合とか悪質な場合につきましては、行政機関であります保健所と、それから事業者の方で話合い、連携をしていただいて、より適切な対応をとっていただくような形になるというふうに考えております。

尾辻委員 そして、都道府県知事と保健所が指導するということですけれども、この指導は文書による指導ですか、口頭による指導をするんでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 指導につきましては、口頭の場合も、また文書の場合も、いろいろな場合が考えられるというふうに思います。

 基本的には、まず口頭で御指導いただいた上で、その後の対応をとっていく場合には文書で残しておくということが大事になるのかなというふうには考えておりますが、そういう状況でございます。

尾辻委員 今の手順を聞いただけでも、相当に困難がありまして、本当に保健所が指導に入ることができるんだろうかというところで、ここに書いてあるこの矢印が、本当に一つ一つクリアしていって、罰則の適用まで本当にこれは来るんでしょうか。それも、地方裁判所に通知ということは、これは裁判所が決定して通知を出すということですよね。この辺の裁判所についても教えてください。

福田政府参考人 喫煙禁止場所で喫煙をした場合ということでございますけれども、その場合について申し上げますと、裁判所の方に通知をした上で、裁判所の方は職権で対応する、若しくは検察官及び当事者の言い分を聞いた上で判断をするというのが、手続としてはなってございます。

尾辻委員 ということは、簡易裁判所ではないということですよね。確認です。地方裁判所ですよね。

福田政府参考人 お答えいたします。

 通知をする先は地方裁判所でございます。

尾辻委員 さっき、検察官まで出てくるという話が出てきました。

 ということは、本当に喫煙禁止場所における喫煙の過料と罰則の適用が現実的なのかというと、果てしなく遠く、非現実的であるということで、これは本当に実効性であるとか抑止力になるんですかという疑問が非常につきます。

 千代田区では生活環境条例によって路上喫煙対策をされておりますけれども、これは区の巡回パトロールで取り締まっていらっしゃるんですね。その場で現行犯、現行犯という言い方はあれですけれども、その場で吸われている方がいらっしゃったら、過料二千円をその場で支払っていただくという方法か、後日納付する方法があって、これだと二〇一六年度には六千八百五十六件の過料処分件数があるということであります。

 これと比べると、いや、三十万円の罰則がありますと言っている割に、本当に三十万円の罰則を受ける人がいるんだろうか。

 率直に聞きたいと思うんですけれども、ちょっと大臣、三十万円の罰則を受ける人が本当に出てくると思いますか、この手続で。

加藤国務大臣 かなり悪質で反復継続をしているといったような状況でないと、なかなかこういった流れにはならないのではないかなと。一回、二回、たまたまそこで吸った、大体、たまたまそこで吸った方までその過料の対象にということには多分ならないんだろうと思いますので、そうした本当に悪質で反復継続していく、そういったことを抑止をしていく、これがこうした過料を設けている背景にあるというふうに思います。

尾辻委員 ですから、これはちょっと、私自身は、この有効性、実効性については甚だ疑問であるということを指摘をさせていただきたいと思います。

 次に、飲食店の受動喫煙の規制についてもお伺いをしていきたいんですけれども、私は、飲食店は、公平性の観点からも、そしてそこで働く人たちの健康を守るためにも、面積基準などの例外を設けずに、やはり全面禁煙にすべきだというふうに考えております。さまざまな学術調査からも、完全禁煙にしても売上げが減少しないということはわかっていることであります。

 私も非喫煙者でありますので、飲食店においては本当に受動喫煙に遭うことが多いんですね。調査なんかを見ても、非喫煙者が月一回以上受動喫煙に遭う場所は飲食店が四六・八%ということで、五割の確率で飲食店では受動喫煙に遭ってしまうということであります。

 しかしながら、今回、資本金五千万円以下、そして客席面積百平方メートルであれば、既存特定飲食提供施設ということになって、飲食とともに喫煙が可能になる、ただ喫煙するんじゃなくて、喫煙しながら飲食ができる。この割合が、厚生労働省さんの資料によると、今の飲食店の五五%の飲食店で該当することになるということでありますから、本当に五五%も喫煙が飲食とともにできる状況というのが受動喫煙防止というふうに言えるのかということであります。

 先ほどから初鹿委員も言われているように、例えば、職場の歓送迎会で、一番トップの人が、自分はやはりたばこを吸いながらじゃないとお酒とかみんなでわいわいできないよと言って、というふうにしたら、本当は受動喫煙を受けたくない人までそこに行かざるを得ないわけですよね。取引先の偉いさんがたばこを好きだ、それは御飯を食べるときぐらいたばこを吸わせてほしい、そういうことでその会場をセッティングされたら、受動喫煙は防止できないことになりますよね。働く人にとってもそうですけれども、二十歳以上であれば働けるわけですから、これも受動喫煙防止にならないということに私はなると思います。

 この飲食店、結局ややこしいんです。四つも今パターンがあるんですね。屋内禁煙、喫煙専用室が設置されている、加熱式たばこ専用の喫煙室の設置、これだと飲食も可能、先ほど申し上げた既存特定飲食提供施設。こういうややこしい状況を、どうやって消費者の人はわかるのかということも非常に私は問題だと思います。

 ちょっと時間がないので、ここは指摘だけにしておきたいと思うんですが、インターネットでお店を探して、行ってみたら実はたばこを吸えたなんということも、逆のパターンもあると思います。こういった、今ではインターネットを経由してお店を選ぶ人たちに対しても、何らか、きちっと表示の対策が必要ではないかということ。そして、これは経過措置というふうにされていますよね、特定のところでたばこが吸える。ところが、先ほどからあるように、どの時点で終了するのかということが明記されていないんです。時間軸で区切るのか、それとも飲食店の割合が一定になれば終了するのか。やはりこれは区切りをつくらないと、いつまでたっても、激変緩和といいながら、この経過措置、続いていくんじゃないかと思うんです。

 先ほどは参考人の方がお答えいただいたので、大臣、これは時間を区切って、若しくは割合を区切ってやはりやらないと受動喫煙対策は進まないと思うんですが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 法案の中身については、先ほども政府参考人の方から説明をさせていただきました。

 したがって、受動喫煙防止に関する国民の意識や既存の特定飲食提供施設における受動喫煙防止のための取組の状況、これを勘案して適切に判断するというふうに書かれているわけでありますので、今の段階で、具体的にどの時点までということを想定しているわけではありません。

 しかし他方で、新規については、これはもう認めない、原則認めないということでございますので、そういった全体の措置で、段階的な望まない受動喫煙の防止につながっていく、こう考えているところであります。

尾辻委員 いや、年限を区切るべきだと思いますよ。そうしたら、そこに向けてこうやっていこうとなりますけれども、ここで何もなかったら、ああ、じゃ、このままでいいんだ、つまり、受動喫煙できる飲食店があってもいいというメッセージを私は発することになると思います。これは、厚生労働を担当する大臣としては、この発言では私はいかがなものかと思います。

 今回の受動喫煙防止で守れないものがほかにもあるのではないかということで、指摘と質問をしたいと思います。家庭における子供の受動喫煙防止であります。

 東京都も努力義務で条例をつくるということをされております。条文を見ますと、二十五条の三のところで「何人も、喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない。」という配慮義務にとどまっておりまして、では、家庭内で親御さんとかが吸っておられるときに、子供さんの受動喫煙、この健康被害はこれでは防げないのではないか。乳幼児突然死症候群や呼吸器の症状とか気管支炎、肺炎、中耳炎、子供たちにはこういった健康被害があるということがわかっております。中でも、SIDS、乳幼児突然死症候群は、親が喫煙者である場合はリスクが十倍になると言われております。

 本当にこれで子供の受動喫煙防止になっているのかということについて、高木副大臣、お聞きしたいと思います。

高木副大臣 お答えいたします。

 今回の法案の目的は望まない受動喫煙の防止を図ることでございますが、法が強制力を持って踏み込むことがなじまない家庭などのプライベートな居住場所については、本法案の規制対象外としているところでございます。

 その上で、家庭等であっても、子供などの周囲の方たちを望まない受動喫煙から守ることは必要であることから、先ほど委員御指摘のとおり、法の第二十五条の三第一項におきまして、喫煙可能な場所で喫煙をする場合も周囲の状況に配慮すべき旨の規定を設けているところでございます。

 これを踏まえまして、国民、喫煙者の理解、協力が得られるよう、子供、妊婦、患者などは受動喫煙による健康影響が大きいことを含めまして、受動喫煙に関する正しい知識の普及に努力してまいりたいと考えております。

尾辻委員 私、これもやはり、非常に緩いのではないかと思います。特に家庭というのは難しいですけれども、それによってこれだけの健康被害がわかっているということであれば、やはりもう少ししっかり対策するべきだと思います。

 私、この質問をしているときに、受動喫煙で、そういう有害物質がどうやって外に漏れているかをはかる数値がしっかりとこの法律では示されていないということが問題だと思いました。

 配付資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、実は、煙がどれぐらい漏れていて大気が汚染されているかというのをPM二・五ではかるというのが一般的なんですね。大気です。空気で、PM二・五が非常にきょうは漂っていて注意してくださいというときというのは、三十五マイクログラム・パー・立方メートルなんです。いわゆる、大陸からPM二・五が来ています、きょうはちょっと大気の状態が悪いです、三十五なんですね。

 では、喫煙によってどれぐらいこのPM二・五がふえるのかということでいきますと、例えば喫煙可能な喫茶店だと、一番高いと四百九十四なんです。ということは、緊急事態なんですよ、この一番上の真っ赤なところ。タクシー内、つまり密閉されたところで喫煙したら千六百というような数値。先ほどあった自由喫煙の居酒屋でも七百を超えるんです。

 本来であれば、こういう、PM二・五がどれぐらいになるかということをしっかり測定して、本当に煙が漏れているのか漏れていないのかをやらなければいけないのに、これが実は今回の中では何もないということで、私はこれは非常に問題だと思います。

 測定する数値がないと、どのように危険なのかということもわからない。これは今後、非常に課題だと思いますので、ぜひとも検討して、測定できる数値を、そしてその数値目標なり、数値のやはり上限などを決めていただきたいということを申し上げて、私からの質問としたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 もう既に何人かの方が質問されておられますけれども、まず最初に、委員長、今回の健康増進法の審議入りの極めて異例なあり方について、私、一言申し上げなければなりません。

 国会の会期末で、参議院先議の医療法、医師法が既に衆議院に送付されている中で、衆議院と参議院をあわせて考えれば、成立の見込みがこの六月二十日までの会期内ではとてもないこの健康増進法をなぜ先に審議しなければいけないのか、私は全く理由がわかりません。

 オリンピック・パラリンピックへの対応ということで急ぐんだということであれば、もっとこの法案の優先順位を先にするということが十分にできたはずです。それをやらずして、最後の会期末でこういうふうに押し込んでくるというのは、私は、とてもおかしいというふうに言わざるを得ません。

 理事会の中でも既にこれを協議をしておりますけれども、私はやはり、医療法、医師法を先に、参議院先議でしたから、これをきちんと六月二十日までの会期内に仕上げないといけないですから、しっかりと議論を、そっちの方を先にやるべきだったということを、まず一言申し上げたいと思っております。

 それで、今回の健康増進法ですけれども、私は、今回の法改正、一つには、先ほどのように、時間切れの中で無理やり押し込んでくるということが大変おかしいということと、昨年一回、考え方が取りまとまっているはずなのに、そこから大幅に後退した内容になっているということについては、これはやはり苦言を呈さないといけないというふうに思っております。

 もう既に指摘がされておりますけれども、受動喫煙防止ということであれば、屋内全面禁煙こそがその対策であって、それが国際標準なのだということは、もう多くの方が指摘されていることであります。

 また、屋内における主要なPM二・五の発生源として言われているのがたばこである。しかも、たばこが原因となって、受動喫煙で、国立がんセンターの推計によれば、年間一万五千人の方々が亡くなっていると。これは本当に大変な数字だと思います。ですので、これはもう緊急で対策をとっていかなければいけないということだと私自身も承知しておりますけれども、しかし、今回の法案、いろいろやはり抜け穴があるということでは、とても褒められた内容ではないなというふうに思うんです。

 まず一点、私、どうしてもひっかかるので、大臣にその意味を聞かせてもらいたいと思っていることがあるんですけれども、条文の中で、望まない受動喫煙という言葉がたびたび出てまいります。第一条のところから、第一条の中の第二十五条のところから、望まない受動喫煙という言葉が出てくる。この望まない受動喫煙というのは何を意味するんでしょうか。

加藤国務大臣 まず、受動喫煙というのは、法律に書いてありますが、「人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされる」ということであります。

 屋内において受動喫煙にさらされることを望まない方、すなわち非喫煙者がそのような状況に置かれることのないようにするということ、また、子供など二十歳未満の方々、患者など、受動喫煙による健康影響が大きい方々が主たる利用者となる施設について受動喫煙対策を一層徹底する、これを基本的な考え方にさせていただきました。

 この望まないというのがついている理由としては、やはりここをはっきりしていく必要があるということで、例えば喫煙室内で喫煙をしている者の受動喫煙は、これは対象としないということでありますので、まさにたばこの煙にさらされるのが嫌な方、その受動喫煙を守る、それをより明確にするという意味において、望まないという言葉をつけたところであります。

西村(智)委員 喫煙所にたばこを吸いに行った人がほかの人が吐き出した煙を吸い込む、これは、私は、多分この法律の中でいえば、外に漏れないように機械を設置しなきゃいけないということですから、それはそもそもあり得ない話だと思うし、万が一ほかの人の煙をたばこを吸いに行った人が吸うとしても、それは、その方は、自分でたばこを吸いに行って、そのほかの人のたばこの煙も吸っているわけだから、それは受動喫煙防止という対象にするのかどうかというのは、ここは一つ論点としてあるというふうに思うんですね。

 では、望まない受動喫煙ということですけれども、受動喫煙がいろんな疾患の原因になっているということは、これはもう確立している。しかも、家庭の中で、親とかあるいは妊婦さんがたばこを吸うことによって乳幼児突然死症候群の原因になるということもわかっている。

 そういう中で、乳幼児が、これは自分にとって望んでいる受動喫煙か、あるいは望まない受動喫煙かということを本当に言えるというふうに思いますか。

 私は、望んでいるとか望んでいないとかいうことにかかわらず、やはり政府の法案として、受動喫煙全体を防止するんだという考え方に立たなければいけなかったんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、どう考えますか。

加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げたように、今委員からもありましたけれども、例えば喫煙室内で喫煙をされている、その方は喫煙して、同時に受動喫煙もされているというわけでありますから、そういった場合は対象になりませんよと。そういった意味で、そこを明らかにし、何を、どこを守るべきなのかという意味において、たばこの煙にさらされる方の、嫌な方を受動喫煙から守る、そういった意味で、望まない受動喫煙、こういうふうに申し上げているわけであります。

 今、乳幼児の場合がありましたけれども、これは基本的に、意思がどっちかと言っても、これはやはり、そうした子供さん方は、これは望まない。しかも、基本的に、子供については、二十未満は、これは喫煙も認められていないということでありますから、当然、そういった方々を守るというのは、これは当然のことなんだろうというふうに思います。

西村(智)委員 いやいや、おかしい。喫煙所に行っている喫煙者の人たちは、望んでいるから対象外だと。しかし、子供だとかについては、意思が、客観的に、それは望まないというか、望ましくないということなんでしょうね。望ましくないから受動喫煙の害から守るということで、何というか、違うんですよね、つまり。私は、望まないという言葉が入ることで、やはり今私の中でも、例えば、では子供が望むのかとか、そういう質問も出てきかねないというふうに思うんですよ、そういうことを避けるために。

 それから、望まない受動喫煙という言葉が、この法律案の中に何回も何回も出てきます。一方で、先ほど大臣も答弁されましたけれども、受動喫煙というのは何かというのをきちんと定義しておられます、法案の中では。「人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされること」というふうに定義されている。

 これで十分なんじゃないかと思うんですよ。これで十分であって、あえて望まない受動喫煙というふうに書いたことによって、私は、例えば、社長さんが一緒に飲みに行こうというときに、たばこを吸うところに行くけれどもいいよねと言った、それは望まない受動喫煙だけ禁止するんだから、あんた、いいよねと言われれば、やはり、はいと言っちゃわないとという状況に多分なっていくと思うんですよね。

 なので、私は、そういうエクスキューズ、余計なエクスキューズをつくらないために、望まない受動喫煙という文言の中の、頭の望まないというのは取るべきじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、どうですか。

加藤国務大臣 その場合の望む、望まないというと内心の意図の問題がありますので、そこはちょっと別の問題なんだろうというふうに思います。結果的に、本人が望まないにもかかわらず、望めない、しかし私は望みたくないんだけれども嫌々ついていった、そこをどう考えるのかという判断なんだろうと思います。

 いずれにしても……(発言する者あり)いや、ですから、そこはどう考えるのかというのは、それは単に、これはハラスメント全体の話にかかわる話だということを申し上げているわけでありまして、それで、先ほど申し上げた、ここは明らかにはっきりさせるということで、もう同じことになりますけれども、喫煙室内で喫煙をしている本人の受動喫煙は対象としないということで、望まないという言葉をつけることによって、そこをより明確化させていただいたということであります。

西村(智)委員 じゃ、嫌々ついていって無理やり吸わされるたばこの煙については、受動喫煙防止対策はとらなくてもいいということですか、大臣。

加藤国務大臣 その嫌々ついていくというところが問題なんだろうというふうに思います。ついていかされるということが問題なんだろうというふうに思いまして、本人が受動喫煙を望んでいなければ、まさに望まない受動喫煙に該当するというふうに思います。

西村(智)委員 私、重ねて、これは単なる受動喫煙であるべきだと思います。望まないというふうにつけた瞬間に、いろんな言いわけ、言いわけと言ったらあれなんだけれども、エクスキューズを許すことになってしまうと思います。だから、これは絶対に削除すべきだということを一つ申し上げたい。

 それから、きょう、資料を何枚かおつけしているんですけれども、(五)の「非喫煙者における受動喫煙防止対策が推進されることを望む場所」というところから見ていただきたいんですけれども、どこで受動喫煙の防止対策が推進されることを望みますかというふうに聞かれると、やはり一つには飲食店が出てくる。次に路上とか子供が利用する屋外の空間ということで、私も大体こういう感じかなというふうに思うんですけれども、では、飲食店での受動喫煙対策というのはどの程度行われているのか。

 今回は四つの類型に分かれて対策をとった、しかも、表示をさせるとか、いろいろなことが言われている。お客さんに対してのことがメーンで言われているんですけれども、従業員に対する受動喫煙防止対策というのも、これは私、大変重要だというふうに思うんです。

 それで、次の、図二十二の一と書いてあるところなんですけれども、料亭、小料理店、バー、スナック、キャバレー、ナイトクラブ、酒場、ビアホールなどのところで、従業員に対して受動喫煙対策をどの程度やっていますかということでいうと、六割のところが特にしていないというふうになっているんですね。

 それで、他方、じゃ、今度は職場一般というところで見ますと、一番最後のページですけれども、職場での受動喫煙の有無ということでいうと、あると回答している三四・七%、これは、ほとんど毎日あるところが一三・四、時々あるところが二一・三というふうに書かれているんですけれども、受動喫煙があるというふうに書かれているところで、職場での受動喫煙に関して、不快に感じること、体調が悪くなることがあるかどうか聞いたら、三七%、実に四割近い人たちが、不快に感じている、あるいは体調が悪くなっているというふうに答えているんです。

 ちょっときょうは、あっ、そろそろ時間ですかね。

 じゃ、午前中はここで終わります。済みません。

高鳥委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。西村智奈美君。

西村(智)委員 午前中の続きで質問させていただきます。

 それで、大臣、飲食店あるいは事業場でも受動喫煙が結構日常的に起きている、それがしかも健康被害を起こしているということは、申し上げたようないろいろなデータからも既に明らかになっていることなんですけれども、まず、この解決に向けて、まずはその従業員の皆さんに対して、管理権原者である雇用主になりますね、そうした人たちからの説明が、これは今回の法改正によってきちんと行われるようになるのでしょうか。

加藤国務大臣 今おっしゃった従業員、雇用主、それから管理権原者と、ちょっと幾つか出てくるので、多少整理させていただきながら答弁させていただきたいと思います。

 今回の法案では、施設等の管理者は、喫煙禁止場所に喫煙器具及び設備を設置してはならない責任、また、喫煙可能な場所について二十歳未満の立入りを禁止する等の責任が施設の管理権原者にあるわけでありますが、それに加えて、喫煙可能な場所に掲示を義務づける責任なども負うことになっております。

 また、一方、労働安全衛生法においては、事業者に対して、労働者の受動喫煙防止の努力義務を課しているわけであります。このため、雇用主と施設の管理権原者と一致する場合には、当然、雇用主も健康増進法上の責任を負うということになりますが、一致しない場合には、雇用主は労働安全衛生法上の努力義務を負うということであります。

 また、既存の小規模飲食店など喫煙可能な場所のある施設で働く、飲食店でのそうしたところで働く従業員については、事業者等に受動喫煙を防止するための措置を講ずる努力義務規定を設けるとともに、対応の具体例を国のガイドラインによりお示しすること、また、事業主が求人を行う際の明示事項に、職場における受動喫煙対策の状況を追加すること、また、施行の際、現に従業員を使用する者に対し、その実情に応じ、従業員の受動喫煙対策を防止するための適切な措置をとるよう努力義務を課すことにしておりますので、それぞれの施設の管理権原者あるいは雇用主において適切に対応していただきたいと思いますし、また、その旨をしっかりと、まず雇用主等に、さらにそこで働く方々に周知が図れるよう努めていきたいと思います。

西村(智)委員 雇用主の方は努力義務だけであるということであります。

 それで、今回の法改正によって、従業員の募集を行う者に対して、どのような受動喫煙対策を講じているかについて、募集や求人申込みの際に明示する義務を課すというふうに聞いております。どの程度の義務を課すということを今お考えですか。何を明示するか。

加藤国務大臣 事業主が求人を行う際の明示事項に、職場における受動喫煙対策の状況を追加するということでございますけれども、具体的な内容については、これから検討、整理をさせていただきたいと思っております。

西村(智)委員 そうしますと、分煙なのか喫煙なのか、それとも、もっと細かい内容まで書くということすらも決まっていないということですね。

 私、これは多分、分煙とか禁煙というだけの文言だけが出る状況になるんじゃないかと思っています。もう少し具体的に、従業員の健康を守るという点からすれば、やはり詳しく書くべきだというふうに思うんですよ。この点は省令で定めるということなんですけれども、非常に大事なところだというふうに思います。

 そもそも、雇用主が従業員の受動喫煙を防止するという点について、どの程度の責任を今回の法律の中では負わせているんでしょうか。

加藤国務大臣 先ほどについては、今議員御指摘のように、求人する側がそうした状況がしっかり把握できる、そういった内容にするべく検討させていただきたいと思います。

 その上で、まず、雇用主ということになれば、これは、一般的に言えば労働安全衛生法上と先ほど整理をさせていただきましたけれども、ということでございますから、今回の法律上、特にこの労働安全衛生法に伴って改正している部分はございませんから、従前どおり、事業者に対して労働者の受動喫煙防止の努力義務、これを課しておる、それにのっとって対応するということでありますけれども、ただ、それに基づく今ガイドラインがありますけれども、このガイドラインに当たっては、今回、健康増進法上こうした法的な措置がとられるということを踏まえて、その具体的な内容を、もう一回ガイドラインの形でお示しをさせていただきたい、こういうふうに考えているわけであります。

西村(智)委員 どのようなガイドラインになっていくのか、現在では全くわかりません。

 それで、例えば、こういうことが起きた場合にはどうなるでしょうか。募集要項を見て、禁煙、喫煙、分煙という表示を見て、あっ、分煙されていると思って、募集に応じて、その雇用主のところで仕事に従事することになりました。ところが、入ってみたら、分煙というのは名ばかりで、圧力で閉鎖するような仕組みにもなっていないし、日常的にたばこの煙が仕事をしているところまで流れてくる。そういう場合に、従業員の方が改善を求めたい、雇用主に対して改善を求めたときに、不利益な取扱いをそれを理由にされるということはないということでよろしいでしょうか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 まず、今の場合、例えば虚偽であった場合、最初からそういうつもりがないにもかかわらず、そうしていたということであれば、これは職業安定法違反ということになりますので、状況によっては罰則が科せられる、こういうことになります。

 また、そうしたことがないように、健康増進法改正後の施行に当たっては、事業主団体などを通じて、従業員の受動喫煙対策の内容、あるいは今お話がありました職業安定法の取扱いについては、これはしっかりと周知をしていきたいと思います。

西村(智)委員 いや、虚偽ではなくて、例えば分煙と書かれていた場合であっても、その分煙対策が不十分なケースというのはあると思うんですよ。あるいは、例えばアルバイトで入った子供とか、アルバイトじゃなくてもいいです、あそこの喫煙所の灰皿の掃除をしろというふうに命じられて、それを拒否したときなどに、それを理由に不利益な取扱いなどがなされないということは、これは当然のことだと思うんですけれども、それはいかがですか。

加藤国務大臣 今言ったように、分煙としてなっているにもかかわらずなっていないとすれば、それはまた問題になるわけですけれども、ちょっと、その今おっしゃっているケースがどういう場合に発生し得るのかなということであります。

 いずれにしても、従業員が例えば喫煙場所への立入りをしろと命じられて、そして拒絶した場合に、使用者が業務命令違反として従業員の処分等を行うということ、こういうことになると、これは民事上の問題なので、最終的にはケース・バイ・ケースで司法の判断ということになろうと思いますけれども、一般的に申し上げると、使用者の業務命令自体の有効性については、労働契約法第三条第五項の権利濫用禁止の規定に照らして適法なものである必要がありますので、就業規則や労働契約等の内容にのっとった有効なものでなければ、当該業務命令自体が権利濫用として無効とされる可能性があります。

 また、当該業務命令に違反したことに対して従業員を降格等の懲戒処分にすることについては、懲戒処分に関する就業規則や労働契約等に明記されている必要があるほか、懲戒処分自体が労働契約法第十五条の懲戒権の濫用規定に照らして適法なものである必要があり、懲戒処分が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的な合理性を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、これは権利の濫用ということで無効になる可能性があると思います。

西村(智)委員 一言で言えばケース・バイ・ケースということで、はっきりとは答えていただけなかったようなんですけれども、私、やはりこれはいろんなケースが考えられると思うんですよ。分煙であるのに分煙じゃない、煙が出てくるというケースがあるのかということなんですけれども、例えば扉をあけていたりとか、あると思うんですよ。あるいは、禁煙となっているにもかかわらず喫煙をしていたりとか、そういうようなケースの場合に、十分にこれは考えられる。

 つまり、従業員の側が、これは何とかなりませんかと申し出たときに、申し出るということは十分考えられるというふうに思いますので、それを想定した上で、ガイドラインないしは今後の政省令の制定などは必要になってくるというふうに思います。

 端的に伺いたいんですけれども、今回の法改正によって、職場それから飲食店、こういったところでの従業員の受動喫煙対策というのは本当に可能になるのでしょうか。この後また質問させてもいただくんですけれども、これは結局、経過措置等々がありまして、十分な私は形にはなっていないというふうに思うんですけれども、これで従業員の受動喫煙対策というのは本当に十分だというふうに大臣はお考えなんでしょうか。

加藤国務大臣 これまでの法案と比べると、今回の法案では、多数の者が利用する施設については原則屋内禁煙となることから、職場や飲食店についても原則屋内禁煙となり、そこで働く従業員の方々の受動喫煙対策も前進することにつながると考えております。

 もちろん、既存の小規模の飲食店については一定の経過措置を設けておりますけれども、この経過措置の対象となる飲食店で働く従業員についても、先ほど申し上げましたけれども、事業者等に受動喫煙を防止するための措置を講ずる努力義務規定を設けるわけでありますし、また、それを踏まえ、対応の具体例を国のガイドラインによって示して助言指導を行っていきたい。

 また、事業主が求人を行う際の明示事項に、職場における受動喫煙対策の状況を追加するということになっておるわけでありますから、従業員の受動喫煙対策、望まない受動喫煙が生じないよう、しっかりと対応させていただきたいと思いますし、そういった意味においては前進につながっているものと考えております。

西村(智)委員 私は、厚労省であれば、望まない受動喫煙だけ防止するというのではなくて、全ての受動喫煙を防止するというふうに言わなければいけないと思うんですよ。これは、先ほど一番最初に私が質問したところにやはりどうしても戻っちゃうんですけれども、望まない受動喫煙と言ったことで、私は、随分法案の中で穴をつくることにつながってきちゃっている、そのための枕言葉だったというふうに思うんです。ですから、この点について、根本的に考え方が違うということを申し上げなければならないところでもあります。

 それで、各国と比較して、では我が国はどうなっているのかということなんですけれども、これまでのオリンピック・パラリンピック開催国での受動喫煙防止対策と並べてみますと、我が国の今回の改正法によっても、実は状況は寒いということがよくわかります。

 一枚目は、昨年の三月の段階で、当時の厚労省案ということで出されたものでして、このときも、喫煙専用室がなくても喫煙可とする経過措置があるということで、これはこれで一つの論点ではあったんですけれども、今回どういうふうに分類できるのかということで厚労省から書いてもらいましたのが、二枚目の「受動喫煙防止対策 施設類型ごとの取扱い(各国比較) 未定稿」、これは出典が厚生労働省作成資料となっているものであります。

 何か、赤い色と緑色の印と色分けされているので、ああ、そこそこできているのかなというふうに皆さん思われるかもしれないですけれども、まず、小中高、医療施設、大学の敷地内禁煙でも、これは注一というふうに書いてあって、屋外で必要な措置がとられた場所に喫煙場所を設置することができるということになっていて、これは完全な敷地内禁煙ではないわけなんです。

 それから、官公庁のところも、行政機関というところだけ少し線が細くなって書いてありましたり、飲食店のところも原則屋内禁煙と、本則、原則はそういうことだというふうな書き方なんですけれども、実際には経過措置で、多くの施設が例外的な取扱いになるわけですよね。しかも、その経過措置というのは一体いつまでになるのかということが全く明確になっていない。

 この一覧表は、私、せっかく厚労省からつくってもらったんですけれども、残念ながら虚偽の表だというふうに言わなくてはなりません。本来は、次のページにあります、衆議院法制局が作成したような表にならなければおかしい。こういうふうにきちんと正しく認識してもらわなければ、厚生労働省が本当の意味で受動喫煙対策などとれるわけがないというふうに思います。

 大臣、これはもう既にいろいろな方から質問がありましたけれども、経過措置については、これはせめて立法者の意思として、あるいは厚生労働省の意思として、いつまでだというふうに、その目安ぐらいはここで述べるべきだというふうに思います。そうでなければ、ここは法案のまさに肝になるところでもありますので、いつまでかということぐらいは言っていただかないと、これは法案審議になりませんよ。どうですか、いつごろまでと考えていますか。

加藤国務大臣 その前に、委員御指摘の、どこが違うというようなことがあれば、ちょっと後で御指摘をいただければと思います。何か……(西村(智)委員「もう時間がないんです」と呼ぶ)いや、後で結構でございます。

 それから、ここについては明文で明確に、「受動喫煙の防止に関する国民の意識及び既存特定飲食提供施設における受動喫煙を防止するための取組の状況を勘案し」ということで書いてありますので、その状況を踏まえて、その段階で法律で定めるということになるわけでありますから、まずはそうした状況をしっかりと把握に努めさせていただきたいというふうに思います。

西村(智)委員 ごめんなさい、時間が終わっているんですけれども、何がどうなったら経過措置を解除するんですか。

加藤国務大臣 ですから、受動喫煙の防止に関する国民の意識あるいは既存特定飲食提供施設における受動喫煙を防止するための取組の状況、そういったものがこれからどう変わっていくのか、そういったことを踏まえて判断をしていく、こういうことであります。

西村(智)委員 全く答えになっていません。

 終わります。

高鳥委員長 次に、吉田統彦君。

吉田委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。どうぞよろしくお願いします。

 大臣には、さきの本会議場で二十一問、問わせていただきまして、時間がない中でしっかりとある程度答えていただいたと考えておりますが、ただ、その中でやはりもっと詰めていかなければいけない部分やさらなる疑問点等々もございますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 大臣は本会議場で、法案の五年後の見直しというものを言及されましたね。法案の成立前に伺うのは恐縮ではあるんですが、今後の社会保障政策や関連産業、関連団体、そして中小零細の店舗に対しては極めてこれは重要な点ですので、まずは、五年後の見直しをする理由と、どの点に留意して五年後の見直しを行うのかということを、現時点での方向性を教えていただけますか。

加藤国務大臣 法律の施行から五年経過後の見直し規定を本法案で盛り込ませていただいております。基本的には、法施行後に各施設での受動喫煙の実施状況を調査、把握をさせていただいて、必要に応じて法律の見直しをするということを想定したものであります。

 現時点で具体的にどういう点かということを申し上げることは大変困難でありますけれども、法律が施行された際には、厚労省において、今申し上げた各施設での受動喫煙対策の実施状況を定期的に把握をし、その結果に基づいて必要な見直しについて検討していきたいと思っております。

吉田委員 そういうお答えなんだろうなと思いますが、ちょっと確認させていただきたいのが、大臣、今のお答えの中で、海外の諸国、規制の進んだ国というのは、大体段階的に規制を強めているんですよね、それは本会議場でもお伺いしたんですが。その見直しの中に、はっきりとお答えいただきたいのは、さらなる段階的な規制の強化を主たる目的としても含めているのかどうかということをちょっとお答えいただけませんか。

加藤国務大臣 具体的に、規制を強化するということなのか、あるいは、今回規制をするということになっているけれども、実態的に規制がそのとおりきいているのかを含めて、これは幅広い議論が対象になってくるんだろうと思いますので、今の時点で、五年後の見直しが常に規制の強化になるかということについて断ずることはできないというふうに思います。

吉田委員 これだけこの法案は、穴もあるのではないか、規制が甘過ぎるのではないか、そういった指摘を受けているわけですから、五年後の見直しに向けては、さまざまなそういった諸条件はあるんですが、やはり規制を更に強くすべきだということが明らかになれば、それはしっかりと当然やっていただかなければいけないし、その辺はしっかりと留意して進めていただきたいと思います。

 それでは次に、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約、FCTCは、我が国は二〇〇四年の三月九日に署名をしています。二〇〇四年の六月八日に国連の事務総長に対して受諾書を寄託、そして二〇〇五年二月二十七日に本条約は発効しております。当然、我が国でも効力が発生しているわけであります。

 本会議場でも申し上げたんですけれども、受動喫煙については、二〇〇七年の第二回締約国会議において、喫煙室や空気清浄機による対策は不適切である、受動喫煙を防止するためには一〇〇%全面禁煙とする必要があると方針、ガイドラインが示されていますが、本法案とそごがこのガイドラインとはあるわけですね。その点に関して、大臣自身、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。

加藤国務大臣 たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約、いわゆるFCTCでは、締約国は、屋内の公共の場所等においてたばこの煙にさらされることからの保護を定める効果的な措置を既存の国の権限の範囲内で採択、実施することとされておりますので、現行の我が国の受動喫煙対策及びこの法案は、これにのっとって提案しているものであります。

 また、今御指摘のガイドラインにおいて、直ちに屋内全面禁煙が実施できない場合には、最小限の例外を設け、その例外をなくすよう継続的に努力することを求めており、本法案はこれに違反するものではないというふうに認識をしております。

 今回の法案は、我が国の受動喫煙対策について、これまでの努力義務による自主的な対応によっていたものから、法律上新たに設ける義務のもとで段階的かつ着実に前に進めるものでありますので、その意義は大きいというふうに思っております。

吉田委員 大臣が今おっしゃったように、例外は、それをなくすように段階的に努力するというふうになっているんですよ。ということで、私の最初の質問があるんですよ。

 だから、ちゃんと五年後の見直しに関して、そのガイドラインの趣旨に沿えば、例外事項を設けているわけですから、それに関しては、やはりしっかりとした規制を進めていくという方向にしないと、今大臣自身がおっしゃったガイドラインの趣旨とは外れていくと思うんですね。そこはどう思われますか。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、それぞれの国においても、ワンステップで高い規制をしているというよりは、むしろ何回かにわたって規制を強化していく、あるいは、規制自体はある程度一遍に行くにしても、議論の中でそれがだんだん強化されていった結果としてそれが適用されている、そういう例が幾つかある。むしろ多いのかもしれません。そういったことは当然のことだというふうに思います。

 ただ、先ほど私が申し上げた、もちろん、我が国において望まない受動喫煙をゼロにしていく、こういう形で進んでいるわけですから、それに逆行するようなことは絶対にまずあり得ない。ただ、五年後の見直しのときにどうなっているのかと言われると、そこは、そうなっている場合もあるし、そうでない形の見直しというものがあるのかもしれないという、ちょっと、可能性といいますか、そういったことを申し上げたんですが、ただ、申し上げたいのは、私どもは、望まない受動喫煙をゼロにする、これに向けて進んでいきたいと思います。

吉田委員 大臣のおっしゃる趣旨はわかります。ただ、ちょっと苦しい答弁だったとは思います。おっしゃったことと、若干の、どうしても、五年後、見直しに規制強化を含めないということであれば、やはりそごが出てしまいますから。

 ただ、大臣の思いとしては、五年後はともかく、その先に関しては段階的に規制を強めなければいけないという認識を多分お持ちなんですよね、今のお話だと。

 では、それを一言だけ。

加藤国務大臣 五年後の見直しの中に強化が入らないということを言っているわけではありません。もちろんそういった見直しもあると思いますが、ただ、今の段階でそれがそうなるということについては断じることはできない。

 ただ、我々として、先ほどから申し上げておりますように、望まない受動喫煙をゼロにする、こういう思いで取り組ませていただきたいというふうに思います。

吉田委員 わかりました。五年後はともかく、その先にはちゃんとそういったことを見据えていただけるという御答弁なのかなと思いますので、そこはしっかりやっていってください。

 少し趣向を変えて、私、子供のころ、よく地元の名古屋のナゴヤ球場というところでドラゴンズ戦を観戦していたんですが、このときに、よく、前で喫煙される方の煙を、子供の私ですね、少年のころの、本当に高濃度のものを浴びるということが毎回ありました。見に行けば毎回必ずそういうことがあったんです。

 まずお伺いしたいのは、ドームのない野球場というのは屋内か屋外かということと、あわせて、その喫煙の可否をお答えいただきたいんです。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の野球場等は第二種施設に該当いたしまして、屋外は禁煙ではありませんが、施設管理者の判断により、既に神宮球場などは、屋外禁煙となっている施設もあると承知しておりまして、厚生労働省といたしましても、このような、法律を上回る措置をとっていただくことは望ましいものと考えております。

吉田委員 それで、大事なんですけれども、もっと小規模な市民球場とか、まず、そういったところは禁煙になっていますか。それとも禁煙に今後しますか。ちょっとお答えください。

大沼大臣政務官 基本的には屋外は禁煙ではないというところでございまして、第二種施設におきましては、屋外の部分につきましては禁煙ではないという整理になっております。

吉田委員 いや、そういうことじゃなくて。要は、僕がさっき言ったじゃないですか。子供がたばこを浴びるんですよ。だから、そういったところをこのまま放置することは明らかに本法案の趣旨とも概念とも照らして問題があると思うので。

 いいですか、僕が聞きたいのは、こういった球場をちゃんと今後禁煙にするのかどうか。だから、自発的にやっているNPBの、ナゴヤ球場はもうないですけれども、ナゴヤドームに、私の事務所の近くにあるんですけれども、神宮球場はやってくれていますよ。甲子園もたばこはもう吸えませんよね、多分。

 ただ、一般の市民球場や小さな球場は禁煙になっていないところがあるんじゃないか。やはりそれは禁煙にしないと、小さなお子さんたちがしばしば出入りするところだし、前の席の人が喫煙したら、後ろの子というのは、幾らこれは拡散していくといっても、極めて高濃度のたばこを浴びるんですよ。そこをどうするのかということをはっきり答えてください。

大沼大臣政務官 施設は大小、規模が大分差がありまして、委員御指摘のように、全ての施設が必ずしも禁煙になっていないということは承知しております。

 ただ、屋外ということに関しましては、第二種施設というところに該当するということで、基本的には、厚生労働省といたしまして、この屋外に対する規制というものに関しては、このたびの法案においては禁煙ではない場所ということで整理させていただいております。

吉田委員 いや、政務官、だからもうそれはわかっているんです。僕が聞きたいのは、そういうところを禁煙を促すような施策をとるのかどうかということ、省令とかを含めてとるのかどうかということをはっきりと答えてほしい。

 そういう姿勢を厚生労働省は見せるのか否かだけ答えてください。それだけ。

大沼大臣政務官 望まない受動喫煙を生じさせることがないよう……(吉田委員「いやいや、余り前置きは。委員長、ちょっとこれ、答弁長過ぎます。だから、はっきり、そこだけ」と呼ぶ)

高鳥委員長 簡潔にお願いします。

大沼大臣政務官 はい。

 周囲に配慮しなければならないという規定になっておりますので、そのように進めてまいりたいと思っております。

吉田委員 ここでちょっと時間を大分使っちゃったんですけれども、じゃ、ラグビー場、サッカースタジアムはどうですか。これは大事な話なんですよ、結構。こういうところで受動喫煙は極めて多く起こっているんです。競艇場、競輪場、競馬場、どうですか。今後、どのように厚生労働省として考えていくのかを簡潔にお願いします。

大沼大臣政務官 屋外でございますので、そういったところへは、管理者に対して、望まない受動喫煙を生じさせないように努力していただくということが第一義的でありまして、屋内部分、側壁があったり、また屋根があるという部分につきましては、その範囲について今後検討していくところでございます。

福田政府参考人 お答えいたします。

 施設類型に基づきます基本的な法律の枠組みは今政務官の方からお答えいただいたとおりでございますけれども、法律の中にいわゆる配慮義務がございますので、その配慮義務を積極的に活用して、子供たちが多い場所とか健康に留意をするような場所については、そういった配慮義務というものについての周知をきちっとしていきたいというふうに考えております。

吉田委員 競輪場、競艇場、競馬場は子供は入れませんけれども、ただ、喫煙率がむちゃくちゃ高いのはもう御存じですよね。みんな歯を、たばこを食いしばりながら、一生懸命予想されたりしていますので、ちょっとそこは考えていただいた方がいいと思いますよ。

 これは受動喫煙の濃度が極めて高い屋外だと考えられますので、繰り返しになりますが、競馬場、競輪場、競艇場、あと、子供が入るところではラグビー場、サッカー場、そして政務官お答えいただきましたけれども、野球場なんかはやはりしっかりと、望まない受動喫煙と大臣おっしゃっていますから。相当起こっていますからね、ここで。そこはちゃんと、しっかりと今後のガイドラインづくりやさまざまな政省令での対応も含めて、屋外とはいいながら、特殊な環境にある屋外と考えられますので、少しそこはしっかり対応していただきたいなと思います。

 それでは次に、これも本会議場で聞いたことで、具体的に聞きたいんですが、カジノにおける喫煙場所というのはどういう場所か、ちょっと具体的に教えていただけませんでしょうかね。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 カジノは第二種施設に分類されることとなると考えられるため、原則屋内禁煙になります。喫煙専用室内でのみ喫煙できることになりますので、カジノにおける喫煙場所は、基準に適合した喫煙専用室又は屋外となると考えております。

吉田委員 政務官、それだと大臣がお答えになったことと余り変わらないので、大臣笑っていらっしゃいますが。

 政務官、もうちょっと本当に具体的な例を例示してほしいんですよ、イメージが今のでは湧かないので。もうちょっと、カジノの中で例えばどのような場所、今カジノ法案を議論しているわけだから、カジノもこの法案は関係するわけですから、ちょっと具体的に、こういったスペースのこんな感じのところになるということは言えないですかね。

大沼大臣政務官 カジノにちょっと行ったことがないのでよくわからないんですけれども、カジノが行われるそういったスペースにおきまして喫煙専用室というものを設置いただく。入り口における風速が毎秒〇・二メートルであること、非喫煙区域と隔離された空間であるといったことで、きっちりと煙が出ないようにそういったものを設置いただくというふうになると思います。

吉田委員 政務官、一生懸命お答えいただいたけれども、みんな多分、ちょっと同じ答えだなと思って聞いているんですよ。

 ごらんになったことがないということなので、ちょっと誰か答えられますか、役所の方で。具体的に、行ったことあるでしょう。だって、視察ぐらいしているんじゃないですか、どこか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 私はシンガポールのカジノしか行ったことがないので、あそこを見た限りにおいては、やはり広い屋内がございますので、そういう中で、喫煙専用室とかそういったような形のものを、実際にゲームをする場所から少し離れたような場所にきちっと置いていただく、こういうようなことはあり得るのではないかなというふうに思っております。

吉田委員 今おっしゃいましたね。実際プレーするところからかなり離れたところという認識でいいですね。今おっしゃいました。まあ、いいです、確認ですから。

 それは大事なことですからね。今、はっきりお答えになりましたね。実際ゲームをやるところからかなり離れたところとはっきり言いましたよね。それは守っていただかなきゃいけないですよ。いや、もういいです。今お答えになった、ちゃんとそういったルールのもとでやるならやっていただきたいということです。

 次へ行きますね。

 放射線というのは、体に影響を与えるときに、確定的影響と確率的影響というのがありますよね。実際、我々が不安になるのは、確率的影響といって、わずかでも放射線を浴びちゃうと起こる健康被害の方が怖いですよね。発がんの大抵のものは、もちろん確定的なものもありますが、確率的な影響ですよね。我々はそういうときに、だからこそ被曝を最小限にしようと思うし、被曝をしないようにするわけじゃないですか。つまり、健康とか命を守るというのは、基本的に疑わしきものは罰すという姿勢が絶対に大事じゃないですか。

 そうすると、大臣が金曜日の趣旨説明で答弁されたように、加熱式たばこの主流煙や副流煙に有害物質が含まれているということをはっきりおっしゃっていらっしゃいます。その中で、じゃ、健康への影響が明らかになるまでは、区別をして、より緩い規制にするんじゃなくて、完全に安全だと証明されるまでは、より厳しい方の規制に合わせるという方が本来的には正しいと思うんですが、いかがですか。

加藤国務大臣 安全の証明というのはなかなか難しいので、そうすると、委員の立場に立つと、この今ある中で、ほとんど禁止になってしまうので、やはり物事によっては、基本的にそうなるべきものもあります、許可制とかそういう対象になっているものもありますけれども、基本的には、そうした意味での影響があるかないか、その判断をした上で、規制をする、しないということにつながっていくんだろうと思います。

 紙巻きたばこの場合には、この紙巻きたばこの煙ということでどう健康に影響があるのか。これについては閾値がないということですから、ちょっとでもあると健康被害がある。これは、先ほどの議論では二十年の議論があったというふうな話がありましたけれども、あると。そして、それがどう来るかは、これは確率的に影響が出てくる、こういうことでありますけれども、加熱式たばこの煙ということについては、そこのところにまだ至っていないわけですよね。その中にはもちろんニコチンとか発がん性の物質は入ってはいるけれども、総体としてそれがどういう形になっているかということが明らかになっていない。

 したがって、何らかのリスクはある、しかし、どういうリスクになっているかというところまでは、あるいは紙巻きたばこと同様なリスクがあるかと言われると、今の段階でそこまで断じるわけにはいかない。

 そういうことで、現時点ではリスクの大きさ等の予測は困難ということで、この法案では、加熱式たばこについてはああした形での取扱いをし、そして、引き続きその影響を研究していく、こういうことになっているわけであります。

吉田委員 大臣、後でちょっとお示ししようと思うんですけれども、データとしては、物によっては紙巻きたばこと同様のリスクがあるとされているものも結構あるんですよ。それは後でお話しします。

 大臣、おっしゃっている趣旨はよくわかります。大臣は本会議において、中長期的な調査研究が必要と答弁されました。先ほども、二十年ほっておくのかなんという、そういった意見もありましたが、今おっしゃったように、加熱式たばこの主流煙にニコチンが含まれている、副流煙及び吐出煙、吐くところにもニコチンが一定程度存在する、そうするとゼロとは言い切れない、それは大臣も今おっしゃっていただいた。

 そこで、長期的影響というものをいつ評価するのかというのは結構大事な問題だと思うんですよね。

 さっき二十年と言ったのは、例えば今すぐから、コホート研究といって、加熱式を吸う群、何も吸わない人、そして紙巻きたばこを吸う群、この三つを群にして、これを先をずっとフォローして統計を出すということが多分一番正しい統計になるんだと思います。コホート研究と言いますよね。

 ただ、コホート研究というのは極めて長い時間がかかってしまうし、そのコホート研究の結果、やはり多くの人が亡くなってしまっただとか、コホート研究やそういうものを待つということは、それによって人が亡くなるということを待つというような形にもやはりなってしまうんですよ。

 だから、この長期的というのが大体いつごろを想定しているのかということをお答えいただきたいんです。

加藤国務大臣 こうした件については、むしろ吉田委員の方がお詳しい部分もあるんだろうというふうに思いますが、受動喫煙を受けてから健康影響が生じるまで、これは呼吸器系疾患の場合には割と短期間、数年であらわれると言われているわけでありますけれども、肺がんということになると、大体、がんというのはそういうところがあるんでしょう、きっと、急になるわけではなくて、その前の状況がずっと続いて、ある段階でがんとして出てくる。こういうことになると二十年、三十年かかるということでありますので、これはやはり、影響が生じるまで相当な期間が生じるということになると、現時点で影響が出るかどうか判断するにも、それなりの時間はどうしてもかからざるを得ないというふうに思います。

 ただ、先ほど申し上げたように、短期間でわかるものもありますから、それを別に二、三十年たって判断する必要はありませんから、短期間でわかるようなものについては短期間で判断をしていく。そして、長期間かかるものについては、先ほど委員のお話がありましたコーホート研究というようなことをしっかりやらせていただく中で、時間を追って観察し、そして研究をし、その研究結果に基づいて判断をしていく、これも並行して走らせていきたいと思っておりまして、この研究についてはもう三十年度から実施できるように取りかかっていきたいと思っています。

吉田委員 三十年度からもう研究、恐らく公衆衛生学的なところにも指示をしてやっていくという形なんだと思いますけれども、ぜひそれはしっかりやっていただきたいですし、がんだけじゃなくて、喫煙は肺気腫を起こすんですよ。肺気腫も、大臣、これはかなり深刻なものでして、今結構、酸素を吸って歩かれている例も、安藤先生もたくさん見ていらっしゃると思いますけれども、多いんですよね。これも莫大な医療費を使うし、御本人のQOLも非常に悪いし、やはりちょっとそこら辺も含めて公衆衛生学的なしっかりとした調査を、大臣、今始めてくださるとおっしゃったので、しっかりとやっていただきたい、適正にやっていただきたい。そういうお声をいただいたので、それは私もしっかりと見させていただきたいと思います。

 さて、大臣、海外の調査の結果も勘案してというようなことも答弁されていましたね。

 そもそも、この加熱式たばこは世界の何カ国ぐらいで発売されていますか。大臣、お願いします。

加藤国務大臣 私たちが現時点で把握しているところによりますと、これは固有名詞を言っていいのかどうかよくわかりませんけれども、A社と言わせていただきますと、A社については、日本、カナダ、ドイツ、英国等計三十七カ国。B社については、昨年の調査時点で、日本、スイス、カナダ、韓国、ロシア、ですから五カ国。C社については、日本とスイスと合衆国の一部の州において発売をされているというふうに承知をしております。

吉田委員 私、非常に不思議なんですけれども、ちょっと具体名を挙げてしまって恐縮なんですけれども、フィリップ・モリスのアイコスというのは、発売元フィリップ・モリス社は米国ですね。米国でフィリップ・モリス社のアイコスは発売されていませんよね。そして、グローというのは同様に、これはブリティッシュ・アメリカン・タバコですから、本国はイギリス、英国ですよね。英国で販売されていませんよね。

 おのおの、その本社がある国で販売をされていないというのは、私はすごく不思議に感じるんですけれども、大臣、どう思われますか、これ。

加藤国務大臣 今お話があったアメリカのフィリップ・モリス社は、加熱式たばこのカテゴリーでアメリカのFDAに申請をしているということで、これはリスク低減たばこ製品ということで申請をして、そして承認が出ていないというふうに承知をしているところでございますので、ちょっとそこは、アメリカの仕組みはわかりませんけれども、もし普通のたばことして申請を出していたのならどうなのかという部分もあるのではないかと思います。

吉田委員 後でこの問題はまた詳しくちょっと討論したいと思いますが、グローはどう思われますか。イギリスですよ、英国。これは私、通告しておきましたけれども、ちゃんと。大臣、まずお答えください。

福田政府参考人 お答えいたします。

 各社がどこの国でどういうものを販売するかということにつきましては、基本的にはそれぞれの企業の企業戦略、販売戦略によるものというふうに理解をしてございます。

吉田委員 大臣にお答えいただきたかったんですけれども、大臣はどう思われますか。不思議に思いませんか。純粋に、そういったものが、私は、経営戦略といっても、普通は本国で売るんじゃないですかね。日本のJTのつくったやつは何でしたっけ、あれは日本で売っていますよね。

 だから、非常にこれは不思議だし、さっき大臣、お詳しくちゃんと調査していただいたと思いますけれども、FDAは、後で申し上げますけれども、これはまだ許可がおりていないし、継続調査になっているんですよね。だから、そういったことで、低リスクになっていないというふうにFDAは判断しているということは重く受けとめなきゃいけないと思いますよ。これは本当に大事な問題です。

 調査ですけれども、大臣、これはちょっと一言申し上げておきたいんですけれども、民族によって、SNPだとか遺伝的特徴で、ある特定の病気へのなりやすさや薬物とか外的要因への感受性はすごく違うんですよ。民族特有のものがあって、コケージアンとチャイニーズも違うのは当たり前ですけれども、実はチャイニーズと日本人はかなり違って、日本人はかなり特有なSNPとかを持っていて、さまざまな原因と関連疾患のオッズ比とかが他のアジア人とですら違うんですよ。

 だから、そもそも、他の国民で大丈夫だから日本も大丈夫ということには絶対ならないので、これは一言申し上げておきますけれども、大臣、調査をされるに当たったり、また、さまざまなデータを引用するに当たって、海外で安全だから日本でも安全だとか、他の民族で安全だから日本人で安全だというのは、やはりちょっと医学的にも疫学的にも問題が起こりますので、ここはちょっと、一言申し上げるだけ申し上げておきますけれども、ぜひ御留意いただければと思います。

 さて、日本呼吸器学会は、非燃焼・加熱式たばこや電子たばこについて、非燃焼・加熱式たばこや電子たばこの使用は健康に悪影響がもたらされる可能性がある、非燃焼・加熱式たばこや電子たばこの使用者が呼出したエアロゾルは周囲に拡散するため、受動吸引による健康被害を生じる可能性がある、従来の燃焼式たばこと同様に、全ての飲食店やバーを含む公共の場所、公共交通機関での使用は認められないとの見解を公表していますが、この見解に対しての御見解を求めます。

福田政府参考人 お答えいたします。

 加熱式たばこに関する研究につきましては、これまでのところ、とりわけ開発者でありますたばこ産業によるものが多いとの印象がございます。これらの研究報告に対しましては、公的研究機関等第三者機関によります検証が不可欠と考えております。

 いずれにいたしましても、厚生労働科学研究費補助金などにより実施された我が国の研究結果から、加熱式たばこについては、その主流煙に健康に影響を与えるニコチンや発がん物質が含まれていることは明らかでございますが、現時点の科学的知見では、受動喫煙による将来的な健康影響を予測することが困難であるというふうに認識をしているところでございます。

吉田委員 次の問いは大臣に絶対答えてほしいんですけれども、NIHの心臓肺血液研究所とFDAのたばこ製品センターのグラントで実施された研究が、二〇一七年の十一月のアメリカ心臓病協会年次総会で発表されています。アイコスは紙巻きたばこよりもはるかに害が少ないと宣伝をされているけれども、しかしながら、この調査の結果だと、動脈硬化や心臓疾患の原因になる血管内皮機能障害を紙巻きたばこと同程度もたらすことが明らかにされているんです。

 これはつまり、インビボのデータですけれども、心血管系のイベントがアイコスで少なくとも減少しないということを示唆しているんじゃないかと思いますけれども、本法案との整合性やそういったことに関して、これは大臣からお答えいただきたいです。

加藤国務大臣 いろいろな研究があるんだろうと思いますし、それから、先ほど委員がおっしゃったように、海外の研究を日本にそのまま適用できるかどうかという、また……(吉田委員「これは動物です」と呼ぶ)動物ですか。では、動物が人間に適用できるのか、また海外が日本に、日本人の場合どうなのか、いろいろな研究を積み重ねる中で判断をしていかなきゃいけないんだろうと思いますので、そういうデータ、研究結果があるということは我々も受けとめていかなきゃならないと思います。

吉田委員 そうですね。大臣に私が言ったばかりですからあれですけれども、ただ、薬をつくるときはインビボからやっていくわけですから。

 しかも、これはよくできた研究なんですよ、大臣。なかなか、ちゃんと人体において吸った状況をかなりきれいに再現しているいい研究だと、私、そのものを見させていただいて思いましたので。これはもう明らかなんだと思いますよ。やはり血管内皮機能を傷害するということは多分間違いなく明らかですし、これだけきれいなデータが出ていると、やはりそれを無視することはちょっと難しいんじゃないかなと思います。また、これはNIHとFDAのグラントでやっておられるものですから、かなり精度が高い。恐らく、そのうち論文になると思いますけれども。

 こういったもの、これは動物です。ラットですけれども、やはり、こういったものも参考にしていただいてちゃんと対応していかないと、結局、私は、少なくとも本人に与える影響というのは一緒ぐらい悪いんじゃないかなといろいろ文献を見ていると最近思っていますけれども、それは大臣おっしゃるように、今後の調査研究やさらなるものが必要なのかもしれません。

 ちょっと時間がなくなってきましたけれども、FDAが独自に行っている健康被害調査の暫定報告書の結果が公になりましたね。その調査はまだ最中ですが、二〇一八年にアイコスの健康被害暫定報告書がFDAから出ました。これは、FDAブリーフィングドキュメントという七十五ページぐらいの大容量のファイルだったと記憶をしておりますが。

 これによると、やはり、アイコス自体の有害性は低いんじゃないかということも指摘をしていますが、さらなる調査結果が必要な項目があるとも指摘をしています。また、アイコスが生み出すエアロゾルは、細胞を破壊し、人体組織に悪影響を及ぼすおそれがあるということも言っています。ただ一方で、紙巻きたばこより全体的に深刻度は低く、被害は一部に集中的に起こっているとも指摘をしています。

 つまり、やはり体に悪いのは事実なのかな、ただ、確かに被曝する物質量が少ないから、深刻度が若干下がる可能性があるというような、そんなような話だと思うんです。

 こういったものを見ると、アイコスがアメリカで低リスクのものとして発売されるのはちょっと難しいんじゃないかなという感じもするんですが、どういった感想を、このFDAの暫定の報告に関して、印象をお持ちなのかということを大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 これは、フィリップ・モリス社の申請の状況について、FDAたばこ製品科学諮問委員会、ここの、今、判断というか、まだ判断が出ていないということなのかもしれませんけれども、そうしたお話だったというふうに思います。

 したがって、かつ、私ども、具体的な審査の基準あるいはその状況等について承知をしているわけではありませんから、今の時点でその件に関して具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに思いますが、ただ、私どもの考えは、これまで申し上げているとおり、加熱式のたばこの喫煙、受動喫煙による健康影響が明らかでない一方で、その主流煙中にはニコチン、発がん性物質が含まれている、そういったことを踏まえた対応が必要だというふうに考えております。

吉田委員 重なっているお話はちょっと割愛して、政府案で、新設の飲食店については原則屋内禁煙とされていますよね。例えば、同じ事業者が業態を変更する場合とか、また、店名等を変えないまま経営権が他者に譲渡される場合というのは、新設ですか、そうではありませんか。

高木副大臣 法施行後、新たなルールのもとで喫煙させる場合には喫煙専用室等の整備が必要となる中で、経営規模の小さい飲食店につきましては、法施行時に直ちに対応することが困難ということから、事業継続に配慮した経過措置を設けることとしたものです。

 今御指摘ありました、既存、新規ということですが、建築基準法、また風俗営業法など、他の法律におきましても、既存の施設に対して新たな規制の適用を猶予している例があると承知しておりまして、今回の健康増進法の経過措置も合理的な取扱いであると考えております。

 そこで、既存の飲食店につきましては、法施行後に何らかの状況の変更があった場合、引き続き既存の飲食店に該当するかどうかは、一つは事業の継続性、二つ目に経営主体の同一性、三点目に店舗の同一性などを踏まえて総合的に判断することとしております。

 例えば、同一店舗でも全く別の経営主体が新たに開設する場合につきましては、基本的に既存には該当せず、新設に当たるものと考えておりますが、詳細な事例につきましては、委員御指摘のとおり、さまざまな事例が考えられることから、法施行時までにQアンドAで具体的にお示ししたいと考えております。

吉田委員 最後の部分だけが私に対する答弁ですよね。

 副大臣、じゃ、もうちょっと聞きたいんですが、先ほど来、実は私がちょっと厚生労働省の方に問いを聞いたんですよ。そうしたら、新規と既存を飲食営業許可証で判断するような発言もあったんですが、副大臣、これは本当ですか。

高木副大臣 先ほど申し上げましたとおり、詳細な事例につきましては、法施行時までに具体的にQアンドAでお示ししていきたいということでございます。

吉田委員 いやいや、ちょっと副大臣、これは大事なところなのではっきり答えてください。

 もう一回言いますけれども、新規と既存を飲食営業許可証で判断するというような趣旨のことを厚生労働省の方がおっしゃっていたんですが、それが正しいのか正しくないのかを端的に答えてください。お願いします。

福田政府参考人 お答えいたします。

 今お話ありましたように、全く新規の事業が新しく出てくるような場合には、そういう許可証というものも活用できると思います。ただ、許可証をもってその新規云々というところを判断するという形で考えるというわけではない。つまり、手段の一つとして活用する、活用できるときもあるんですがという意味でございます。

吉田委員 そういうことになると、例えば既存の喫煙可能な飲食店が廃業しちゃっても、実質的に廃業しても、喫煙可能な状態の食品衛生法上の許可証が休眠状態にされて、それが売買されるようなことだって、これは絶対あるんですよ。今、田村元大臣もおっしゃっているし、本当にそうなんです。だから、そういうことがないように相当細かくルールづくりをしないと、いろんな不正やいろんなことがはびこりますよ。

 つまり、本当は新規なのに既存のように見せかけて、この法案の趣旨に合わないようなところは出てくるんですよね。だから、それは今ここでしっかり指摘しておきますので、副大臣、さっき、ちゃんとしたQアンドAを細かくやってくれるんですよね。そうやっておっしゃっていましたから、しっかりとしたQアンドAをつくって、こういった抜け穴とかが、やるんだったらないように、ちゃんとしなきゃ。これはかなり重要な点ですから、はっきり申し上げておきますね。

 実際、そうすると、今の趣旨で、本当は先に聞こうと思ったことなんですけれども、同じ雑居ビルの同じ階に存在するスナックやバー、カラオケスナック、片方は禁煙、片方は喫煙という状態で乱立するということはもうやむを得ないとお考えだということでいいですか。つまり、不公平さもそうだし、吸うところと吸わないところがあると、階段部分なんかはやはりたばこがちょっと漏れてきたり、そういうことがあると思うんですが、そこは副大臣、どうですか。

高木副大臣 当然のことながら、管理権原者が判断をするものと考えております。

吉田委員 違いますよ。それは法に照らしてそういうものだというのでいいんですね。踊り場なんかは、たばこで、漏れたもので充満してくる可能性があるんですが、それはしようがないとお考えですか。

高木副大臣 既存の施設での対象になっていれば、それはやむを得ないことになります。

吉田委員 わかりました。

 時間が大分迫ってきて、まだたくさん聞きたいことがあったんですけれども、次の審議もまた期待して、ちょっと、じゃ、何個かポイントで先に聞いておきたいところがあるんですが、まず、二十歳未満の若者の飲食店のバイトというのはたくさんされていますよね。それはもう御承知おきだと思います。二十歳未満の若者は、喫煙可能な店ではもうバイトできなくなりますよね。それは家族経営のお店でも、喫煙可能な店であったらその家庭の子女はもうバイトできなくなりますよね。大臣、どうぞお答えください。

加藤国務大臣 先ほど名義貸しの話がありましたけれども、名義貸しは今、食品衛生法上、明らかに違法ということでありますから、それはそれにのっとって対処するということになると思います。

 それから、今、立ち入れないということでありますが、経過措置の対象となる既存特定飲食提供施設においても、店内の全てを喫煙可能とする場合には、店内には当然二十未満の者は客も従業員も入れないということでありますから、身内であろうと同じ措置ということになるわけであります。

吉田委員 じゃ、家族経営のところもちょっと人手が要って大変なのかな。それは、ただ、この法案の趣旨に照らせばしようがないですから、そこはしっかりとやっていかないといけませんね。

 それで、西村委員も少し聞いたんですが、もうちょっと聞きたいので。

 喫煙可能な店の従業員に対する受動喫煙を防ぐためのガイドラインというのは、関係者の意見を十分に踏まえた上で早急に示していく必要があると思うんですが、もう一度ちょっと、いつごろまでにということと、どういったところを特に留意をしてやっていくのか、その骨子になるところをお示しいただけませんか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 福田健康局長。

福田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案では、従業員の受動喫煙対策として、事業者等に対し、従業員の受動喫煙を防止するための措置を講ずる努力義務規定を設けるとともに、対応の具体例をガイドラインで示すことなどを行うことにより、望まない受動喫煙が生じないように対応していくこととしてございます。

 法案成立後には、喫煙専用室の基準等について、専門家の御意見も伺いながら策定することとしておりますけれども、そうした制度の詳細が決定後、できるだけ早い段階でガイドラインにつきましてもお示しをしたいと考えております。

 また、事業者に対する支援といたしましては、中小企業の事業主等によります喫煙専用室の設置等に対し、予算措置によります費用の助成や租税特別措置を活用することによります税負担の軽減などによりまして支援を行っていくことといたしてございます。

吉田委員 ありがとうございます。これはしっかり細かく通告をしておいたので、あれですけれども。

 それで、もう一点聞いていきたいんですけれども、受動喫煙という観点で、加藤大臣始め厚生労働省の皆さん、相当、この望まないものは徹底的になくしていくという趣旨の法案ですから、聞きたいのは、たばこ由来のニコチンとか化学物質は、喫煙者の毛髪や衣類などの表面にもついて残留することがよく知られています。それが反応したり再拡散したものが汚染源になって、いわゆる三次喫煙は実はしばしば発生しているということが考えられているんです。

 特定屋外喫煙場所を設置することによって、たばこのニコチンとか有害物質がついたまま病院や学校に入る方があらわれる可能性はありますよね。現在でも、たばこのにおいがした教師が学校で授業を行ったことに対して保護者からクレームが来たなんという事例もよく聞くわけでありますが、例えば、奈良県の生駒市の市役所の庁舎は喫煙後四十五分間はエレベーターに乗っちゃいけないそうですね。禁じているそうです。

 こうした三次喫煙の受動喫煙防止に対する取組に関して、厚生労働省の皆さんの評価と、そして本法案との関連、今後の取組姿勢をお伺いします。

高木副大臣 御指摘の三次喫煙につきましては、いわゆる喫煙者の衣類、また部屋のソファー、カーテンなどに付着した残留化学物質が反応、再放散して発生すると考えております。残留受動喫煙とも言われております。

 しかしながら、三次喫煙は新しい概念でありまして、研究はまだ少なく、健康影響についても明らかとなってはいないという状況です。こうした中で三次喫煙に関する規制を設けることは、実行面での課題もあり、現時点においては考えておりません。今後、国内外の研究結果等、三次喫煙に関する知見の収集に努めてまいりたいと思います。

吉田委員 まあ、そうですよね。三次喫煙まで対応するとなると、これはもうみんながエレベーターに乗れなくなってしまったり、いろんなふぐあいも生じてくるとは思いますので、副大臣のお答えが、現時点ではそうなんだろうなとは思いますが、ただ、これからやはりニコチンの影響やいろんなものを、ゼロではないですから、そういったものもよくお考えいただいて、今後の御対応に生かしていただければと思います。

 最後に、大臣も何度も聞かれていることで大変恐縮ですが、一問だけ聞かせていただきたいと思います。

 今回、三十という当初の案から百平米にされた、これはほかの自治体等のものを参考になさったということなんですが、参考になさっただと合理的な説明としては少し弱いんじゃないかなとやはり思うわけであります。ですので、他の自治体が百でやっているからということではなかなか、国家のやり方としては、神奈川、奈良ですかね、の設定を参考にしたということではなかなかちょっと理解が得づらいと思いますので、合理的に百平米とした理由をもう一度しっかりとお答えいただけませんか。

高鳥委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

加藤国務大臣 今回の経過措置というのは、直ちに喫煙専用室等の設置を行うことが事業継続に影響を与えるということ、あるいは与えないようにするということでございますので、したがって、一定規模の飲食店について配慮を行う必要がある。

 じゃ、その一定規模がどうなのかということ。喫煙専用室の設置、これもこれから基準を設けるので、今幾らかかるかというのは絶対的な数字は申し上げられませんが、これまでの事例等を見て大体このぐらいかかって、そして、事業規模として、利益から出すしかありませんから、その利益がどうなっているのか、そういうところなどを念頭に置きながら、既存の、そうはいっても切りがいいところがありますので、そこがどういうことかということで、資本金であれば中小企業規模、あるいは客席面積ということであれば客席面積ということで先行の事例、それを踏まえてこの基準を具体的には設定させていただいた。

 その考え方は、今申し上げた、直ちに喫煙専用室の設置等を行うことが事業継続に影響がある、そういうことでございます。

吉田委員 ありがとうございました。時間なので終わります。

高鳥委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 国民民主党の岡本です。

 それでは、きょうは健康増進法の改正案についての質疑でありますが、冒頭、きょうも少しは触れさせてもらいますけれども、今般、児童虐待で五歳の女の子の命が失われた事件があったという話でありました。どうしてこういうことになったのかということは、当委員会でも私はしっかり議論するべきだと思いますし、そして、加えて、やはり原因究明のために調査するべきだということを理事会でも私は発言をしてきました。この間において、残念ながら当委員会で集中審議が開かれておりませんし、こうした調査が行われていないことは大変遺憾だと思います。

 委員長、ぜひ、改めて私も提起をしたいと思いますが、この件について理事会で協議をお願いします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

岡本(充)委員 理事会の中の発言を議事録に残すということは考えてはいませんが、私は、現時点でこの調査ができていないことは大変遺憾だと思います。

 時間がないという話もありましたが、現に、きのう、立憲民主党さんと我が党は本会議が終わってから香川県まで調査に行ってくることができました。児童相談所も行った、自治体も行った、児童養護施設にも行ってくることができたわけでありまして、その気になれば決してできないことではないと思います。そういう意味で、その気があるのかどうか、やはりこれは委員会として問われていると思いますので、ぜひお願いをしたい。

 それと、厚生労働省にお願いであります、大臣。やはり、当委員会が調査をするに当たっては、ぜひ厚生労働省の誠実な協力が必要だと思います。残念ながら、当事者の一部が、忙しいということを理由に、調査の受入れについて難色を示しているという話も聞いています。しかし、これは大変重要な課題でありますから、きちっと調査に協力するように。いつならいいのかと聞いたら、いつになっても調査を受けることは難しい、こう言っているというような当事者がいたのでは、話にならないわけであります。だから、きちっとこれは……(発言する者あり)厚生労働省から聞いています。したがって、これはきちっと調査に協力してもらえるように厚生労働省としても協力をお願いしたいと思います。大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、原則論として、委員会等が調査をされることに対して、厚労省としては最大限の支援、支援というか協力をさせていただくというのは、これは当然のことだというふうに思います。

 今委員がおっしゃった件、ちょっと済みません、私、具体的なそのやりとりを聞いておりませんからコメントはできませんけれども、ただ、我々も協力しますが、ただ、相手は相手としていろんな事情があるので、その範囲の中で協力をしていただくということにならざるを得ない、これはもう委員御承知のとおりだというふうに思います。

岡本(充)委員 ただ、例えばすごく先の時期になって行くという話ではなくて、やはり課題が何なのかということは私は早急に調査をするべきだということでお話をしているわけであります。ぜひ、厚生労働省の協力も求めて、しっかりとした調査をしたいと思います。

 さて、法律について質問をまずしていきたいと思います。

 法案についての質問は、いろいろとこの法律、努力をされてここまで来たんだろうということは一定程度私も思う一方で、しっかり、はっきりさせておかなきゃいけないところがあるというふうに思っていて、まず聞くわけでありますが、この法律に言うところの、第二十五条の四、たばことは一体何なのかということですけれども、たばこ事業法に規定されているたばこ、これと全く同じものを指すのか。つまり、たばこというものは、喫煙用に供されるもの及び同法第三十八条第二項に規定する製造たばこ代用品をいうということでありますけれども、これは、喫煙用に供されるものでなければたばこでない、こういう理解でいいですか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきまして、たばことは、たばこ事業法第二条第三号に掲げる製造たばこであって、喫煙用に供されるもの、また、同法第三十八条第二項に規定する製造たばこ代用品を示すものとしております。

 たばこ事業法におきます製造たばことは、「葉たばこを原料の全部又は一部とし、喫煙用、かみ用又はかぎ用に供し得る状態に製造されたものをいう。」とされており、研究等の用途にかかわらず、当該状態のものであれば製造たばこに該当するということでございます。

 また、喫煙関連研究場所についても規定してございますけれども、こちらの方は、たばこに関する研究開発の用に供する場所をいいまして、例えばたばこ製造会社の研究所が該当するというところでございます。

岡本(充)委員 それは、答弁が幾つも、別のところを見ています。それは、二十五条の四の喫煙関連研究所とはどこかという問いも一緒に答えちゃっているんですけれども。

 ちょっと確認したいんですけれども、せっかく答えていただきましたから。個人で喫煙関連研究場所を設置することはできますか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 たばこに関する研究開発の用に供する場所についてのお尋ねでございますけれども、その場所が法的に喫煙を認めるだけの妥当性を有するかどうかという点で個別具体的に判断をすることになりますので、その具体的な状況によるということでございます。

岡本(充)委員 私が聞いているのは、個人でたばこを研究する喫煙関連研究所を設置することが可能かと聞いているんです。

福田政府参考人 お答えいたします。

 通常、そういったことを考えてはいないという状況でございます。

岡本(充)委員 それはおかしいです。私は条文に従って聞いているんです。

 これは個人で設置することが可能ですね。どこにでも設置することが可能ですね。これを確認しているんです。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 福田健康局長。

福田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、法的に喫煙を認めるだけの妥当性を有するかどうかという点から個別に判断ということでございますので、妥当性を有すれば、個人の開設も可能であるということ……(岡本(充)委員「どこでも置けるか」と呼ぶ)法的に喫煙を認めるだけの妥当性を有するかどうかというところで判断されるということでございます。

岡本(充)委員 つまり、特定施設、この法で言うところの特定施設にも置くことができる、こういう理解でいいですね。

福田政府参考人 先ほど申し上げましたけれども、法的に喫煙を認めるだけの妥当性を有するということであれば、特定施設においても可能でございます。

岡本(充)委員 その妥当性は一体誰が判断するのか。どこに、条文の中にありますか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 保健所の方が判断をするという形になります。

岡本(充)委員 それは条文のどこに書いていますか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 福田健康局長。

福田政府参考人 お答えいたします。

 条文のところにそこは明記をされてはございませんが、この法律のいわゆる指導監督につきましては、都道府県、具体的には保健所が行う、こういう形でございますので、その中で判断をされていくということでございます。

岡本(充)委員 つまり、大臣、極めて、僕は、これは大きな今回の法律の穴だと思っているんですけれども、喫煙関連研究場所という名前で、実は、JTの恐らく研究所を想定して、ここでは喫煙することができるという整理にしようと思ったけれども、この喫煙関連研究場所というのは、二十五条の四の六で示されているところが極めてラフだと私は思うんです。

 ここがきちっと定められなければ、自分でつくって喫煙の研究をしているんだ、このたばことこのたばこを合わせたらどういう味になるか、これを食べながら、これを飲みながら吸ったらどういう味になるか、これをやり始めたら、これは研究の一環ですよね。研究開発って、何も開発だけじゃない。研究開発というのは、こうしたいろんなものとのミクスチャーも含めて研究開発ですよね。これまでの法文の利用例としてはそうですよね。局長、どうですか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたが、法的に喫煙を認めるだけの妥当性を有するかどうかという観点になりますが、おっしゃるとおり、そこは研究としての側面を十分持っているというふうに思います。

岡本(充)委員 これはやはり少し、どういうふうなたてつけにするのかということは厚生労働省内でも議論をした方がいいんじゃないかと私は思っていますので、大臣、今の議論を受けて、この喫煙関連研究場所、きちっと、どういう方法で、まあ、個人が勝手にやることができないと法文上も書いていないというこの状況ですから、ちょっと、少し整理をすることが必要じゃないかと思うんですが、どうでしょう。

加藤国務大臣 多分、どこが研究開発に当たるかどうかはちょっとこちらへ置かせておいていただいて、喫煙関連研究場所というものであれば、それはそういう研究開発のためであれば誰でもがどこでも設置できる、こういうものであって、それに対する規制は特段ないということでありますから、それをまず前提としながら、今委員御指摘のように、研究開発でなくて単に吸うだけの場所みたいな形でこれが悪用される、そういうことがあっては、もちろんならないというふうに思いますので、そういった観点から、この喫煙関連研究場所というのはどういうものを指すのか等々についてはよく整理をさせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

岡本(充)委員 これが私、ちょっとこの条文を読んでいて気になったところです。

 それからもう一つ、ちょっとそもそも論にまた戻るんですけれども、第二十五条の四にまた戻るんです。喫煙とは一体何を指すのか。喫煙ということを定義した条文は他法令にありましたか。

福田政府参考人 喫煙自体を定義しているものはございません。

岡本(充)委員 したがって、今回初めて、これが喫煙だということを決めたんですけれども、人が吸入するためという言葉を使ってしまうと、肺に入ることが喫煙であって、口に含むことは喫煙ではない、こういう理解でいいですか。つまり、葉巻とかは、口に含んで吐くだけということはあり得るわけですね。吸入という言葉を使ってしまうと、これは肺の中に入ることを指すと一般的には思いますけれども、この定義でいいんでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 吸入の定義につきましては、一般的に言うところの吸い入れることや吸い込むことを指しております。葉巻のような吸い方や口で吹かすだけのような場合であっても、このような吸い入れる又は吸い込む行為を伴っているものであれば、吸入に該当するものと考えてございます。

岡本(充)委員 吸入、どこに吸入するんですか。肺に吸入するんでしょう。どこに吸入するんですか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 葉巻等は一応吹かすような形になります。そういう意味におきましても、一応口の中に吸入をするということで、肺に吸入するという意味ではございません。

岡本(充)委員 局長は医学部を卒業されているんじゃないかと思うんですが、一般的に、吸入というのはそういうことを指さないですよね。肺の中に入ることが吸入ですよ。したがって、口に含むということを別途やはり定義しておかなきゃいけなかったんじゃないか、これも定義として私は不十分だったんじゃないかという気がします。

 厚生労働省の定義はいろいろとあるとは思いますけれども、私は、今回、厚生労働省のこの考え方、繰り返しになりますけれども、頑張って、本当に努力されてこの成案を得たんだろうという意味において、決してそれが、すなわち、即、これが大問題だということではないけれども、これから先のことを考えると、この定義で本当によかったのかということについて疑問を感じているということであります。

 その上で、ちょっと幾つか聞いていきたいと思います。

 もう少し聞いていきますが、そもそも、今回、たばこを吸っている者、例えば二十五条の五でありますけれども、都道府県知事は、違反して喫煙をしている者に対し、喫煙の中止又は特定施設の喫煙禁止場所からの退出を命ずることができると書いていますが、退出を命ずるまでに相当程度、保健所を想定しているんでしょうけれども、時間がかかると思います。つまり、誰かからの通報があって行ってみたら、もうたばこを吸い終わっている、たばこ、長くてもそんな何十分も吸う人はいないでしょうから、吸い終わっているということになると思いますが、これは、現にそこにいるほかの者が退出を命令する、近くにいる、つまり、保健所の者でない人が、出ていってください、店の中にいる人が、出ていってください、建物の中にいる人が、出ていってくださいと言うことはできるんですか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 現にその場にいる方、管理権原者やそれから管理者につきましては、これは努力義務ではございますけれども、そういった退出や、たばこを吸うということについてやめていただきたいということについて、それを求めることはできます。

岡本(充)委員 いやいや、法に基づいて今言っているんです。二十五条の五の二項ですか、ここに基づいて退出を求めることはできますか。

福田政府参考人 御指摘のその条文につきましては、これは都道府県知事の権限になっておりますので、そこは都道府県知事ということでございます。

岡本(充)委員 そうすると、管理権原者は、これは二十五条の六の二項のところで、喫煙の中止又は当該喫煙禁止場所からの退出を求めるよう努めなければならないなんですよ。だから求めなくてもいいんです。そういうことですね。

 加えて言えば、そこにいるお客さんが、あなたは煙たいから出ていってください、これを言うことは法律上認められていませんね。

橋本委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 高木厚生労働副大臣。

高木副大臣 まず、整理させていただきます。

 まず、喫煙の中止を依頼することが、店主が利用者にできるか、それが義務かという……(岡本(充)委員「義務かじゃない、違う」と呼ぶ)できるかということです。まずちょっとそのことについてお答えさせていただきます。

 今お話ありました第二十五条の六第二項におきまして、施設の利用者が喫煙禁止場所で喫煙をした場合、施設の管理権原者等は、当該利用者に対して、喫煙の中止又は当該喫煙禁止場所からの退出を求めるよう努めなければならないとしておりまして、あくまでも努力義務でございます。

 なおかつ、退出させることはできるかというところでございますが、今申し上げたことに加えまして、仮に、管理権原者等による喫煙の中止や当該喫煙禁止場所からの退出の求めにも応じず、同じ場所で何回も喫煙を行っているような場合にあっては、管理権原者等からの通報を受けた都道府県知事等による指導等による対応を行うとしております。

岡本(充)委員 ちょっと微妙に違うんですよ。

 それは二十五条の六の二項の話をしているんです。私が言っているのは、ここで言うところの、二十五条の五の二項の条文は都道府県知事だと言っています。退出を命ずることができると書いているのは、ここに書いています。命ずるよう努めなければならないが二十五条の六です。私が聞いているのは、このいわゆる退出を命令するのは、そこにいる店の客はできるのかと聞いているんです。どうなんですか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 お客さんがそこができるかという御趣旨だというふうに理解いたしましたけれども、そこは法律上はできないということでございます。

岡本(充)委員 もう一つ確認したいです。

 じゃ、管理権原者等の等には管理者が入ると私は聞きました。多分そうなんだと思います。その上で、この管理権原者等の中には客が入らない、そして管理者のみしか入らない、こういう理解でいいですか。

福田政府参考人 管理権原者等とは管理権原者及び管理者のことを指しておりまして、お客様は入りません。

岡本(充)委員 そこで聞きたいんですが、管理者が出ていってくれと言ったときに、食べている途中だった、料理が出たばかりだった、このときの料理のお金は払うのか払わないのか。そこはどういうふうになるんですか。

橋本委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 福田健康局長。

福田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のような無銭飲食は本来あってはならない……(岡本(充)委員「無銭飲食じゃないだろう、それは」と呼ぶ)ならないようにしなきゃいけないわけですが、いずれにいたしましても、望まない受動喫煙を防止する観点からは、施設の管理権原者におかれましては、適切にお客様を誘導したい、これは民事上の話でございますので、そういう意味におきましては、その場の状況に応じた形を考えていただくということになろうかと思います。

岡本(充)委員 別に、お金を持ってきた人は無銭飲食じゃないんですよ。払う気は十分あるんですよ。でも、食べないままに出ていってくれと言われたから、俺は食べていないんだから金は払わないと言ったときにどうなるのだ。つまり、言ったら金を払ってもらえない、つくった、金を払ってもらえないという話になったら、いや、ちょっと言うのを待とうかなと、努めなきゃいけないと書いてあるけれども、努めなきゃいけないだけだから、ちょっと、食べ終わってから言うかな、お金を払ってもらってから言うかな、こういう話になったら法の効力がないと言っているわけですよ、私は。

 だから、きちっと、ここは、退出を求めることができた上で、これは合法的に、無銭飲食じゃないですよ、合法的に法律に基づいて退出を求めるわけだから。それについてのいわゆる損害を誰がどう持つのかということについて一定整理してくれと言っているわけです。どうですか、整理したところは。

福田政府参考人 お答えいたします。

 これはある意味で民事的な部分もございますので、具体的な部分の対応の仕方につきましては、これから適切に整理をしてまいりたいというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 実効性があるような話になるのかということを私は聞いているわけですね。なかなか、今の話だと、実効性があるように私には思えない。やはり、ちょっと遠慮してしまう、こういうことになるのではないかと思いますね。

 ちなみに、もう少しちょっと聞いていきたいんです。

 先ほど西村委員もちょっと指摘をしていましたが、ちょっと前後しますけれども、二十五条の五、今回、望まない受動喫煙を防止するということにしましたが、西村委員の質問は、望まないを削除して、受動喫煙を防止するためというふうにしたらどうかという話でしたが、可能な限り受動喫煙を防止するためというふうに書いた場合とどういうふうに違うんでしょうか、法的意味は。

福田政府参考人 お答えいたします。

 受動喫煙とは、人が、他人の煙によりまして、たばこから発生した煙にさらされることをいうわけでございます。

 本法案では、例えば、喫煙をしている者の受動喫煙を対象としておらず、たばこの煙にさらされることが嫌な方を受動喫煙から守るということを目的としたものであることから、望まないという言葉をつけたものでございます。

 こうした考え方に照らしまして、場面に応じまして、法施行に当たる諸機関も判断することとなると思いますけれども、望むか望まないかの判断につきましては、最終的に個人の主観によらざるを得ないものと考えております。

岡本(充)委員 違うんです。可能な限りと書いた場合、どういうふうに法的効果が違うのかということを聞いているんです。

福田政府参考人 お答えいたします。

 望まない受動喫煙という形であっても、又は可能な限りということであっても、現場におきまして、受動喫煙をなくしていく、減らしていく、そういう観点からは基本的には同じ方向性で進めているということかと理解しております。

岡本(充)委員 いや、違うと思いますよ。違うと思います。大臣も違うと言っている。私も違うと思いますよ。

 本当にそれでいいの。可能な限りと、望まないとは、法律の及ぶ効果が違うと思いますけれども、ちょっと整理した方がいいんじゃないですか。いいですか、そのままの答弁で。ちょっと整理したら。

福田政府参考人 お答えいたします。

 可能な限りというのは、あくまでもできる範囲という形でございますので、今回におきますと、法律で適切に規定している部分というものをルールとして規定をするということでございますので、そういう意味におきましては、今回におきます法律の中で、より具体的に実効性の上がるような対応をとっていくということになろうかと思います。

岡本(充)委員 禅問答みたいですね。

 ちょっと、それは整理されていないと思いますよ。可能な限りというワードと、望まないという言葉と、及ぶ効果が違うのではないかと言っているわけです。

 これはきちっと、他法令と比較をして、こういうふうに違うんだということを答えるべきですよ。今答えられないんだったら、答えられないとちゃんと言ってください。他法令を調べたんですか。本当にそれでいいんですか。

橋本委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 福田健康局長。

福田政府参考人 お答えいたします。

 望まないという部分につきましては、基本的には、その部分についてはなくしていくという形になります。可能な限りというのは、そこの部分で、可能な限りの範囲ということでございますので、その部分につきまして法的効果が異なるというふうには考えております。

岡本(充)委員 いや、いいよ、大臣もいいです。ぎりぎりやっていたら、これはなかなかちょっと、答弁が多分、整理できていないから、委員長にお願いします。

 あしたの理事懇までに整理して出すように、ちょっと厚生労働省に委員長からも指示してください。

橋本委員長代理 ただいまの件については、理事会で対応を協議させていただきたいと思います。(発言する者あり)

岡本(充)委員 いやいや、もう今何遍も聞きましたから。

 それで、ちょっと次に行きます。まだいっぱいあるんですよ、条文、いろんな課題があるなと思っていましてね。きのうも本当に、香川に行く直前に、それからその前から、それから帰ってきてからも厚生労働省に尋ねたわけでありますが、ちょっともう一回確認をしたいところが幾つかありますが、その前に、ちょっと時間がなくなるといけないので、きょう他省庁にも来てもらっていますので、ちょっと確認をしたいと思います。

 今回、民法の成年年齢引下げに伴い十八歳以上は喫煙可能ということにしなかったわけでありますが、どうして今回、十八歳にこの喫煙可能年齢を引き下げなかったのか、御説明いただきたいと思います。

小田部政府参考人 未成年者喫煙禁止法が二十歳未満の者による喫煙を禁止している趣旨は、健康被害防止と非行防止の二点にあり、民法の成年年齢の定めとはその趣旨を異にしているところであります。このため、必ずしもその年齢を一致させる必要があるものではないと考えているところでございます。

 近年、国内外におきまして、喫煙が健康に与える悪影響を防ぐための取組が強化されているところでもあり、今回の民法改正を理由として喫煙を禁止する年齢を引き下げることとはしなかったものであります。

岡本(充)委員 非行かどうかという判断でいえば、十八歳にすれば非行ではなくなるわけですから、非行の理由は当たらないんじゃないですか。

小田部政府参考人 健康情報の発信の場として厚生労働省が開設しておりますホームページ、e―ヘルスネットにおきまして、未成年を含め若者の喫煙の問題点として、健康影響が大きい、より高度なニコチン依存症に陥りやすいほか、喫煙以外の薬物依存の入り口となることが挙げられている旨掲載していると承知しております。

 海外におきましては、先ほど説明した厚生労働省のホームページにおきまして参考文献として掲載されておりますアメリカ合衆国の保健福祉省が取りまとめた報告書におきまして、喫煙は一般的に違法薬物の使用に先行し薬物使用の危険を増大させることから、若年者にとって喫煙は薬物使用の入り口になっていることが指摘されているものと承知しております。

 また、喫煙と犯罪の関係につきまして、例えば、科学警察研究所が行いました調査研究によりますと、覚せい剤取締法違反や刑法犯で検挙された少年は、一般群として設定した者に比べまして喫煙経験者の割合が高く、また、喫煙経験がある検挙群の喫煙開始年齢は、一般群より平均して二歳ほど低いことが示されているところでございます。

岡本(充)委員 私が聞きたかったのは、年齢引下げの法律が成立をすれば、十八歳から喫煙可能の法律が成立をすれば、十八歳以上の人がその法に従って喫煙をすることは非行ではないですよね。その確認だけです。

小田部政府参考人 非行であるかどうかということにつきましては、必ずしも成年年齢の引下げの問題とは直接のリンクはないと考えておりますが、いずれにいたしましても、喫煙に関しましては、一方、健康増進法に基づきまして定められた国民健康増進の総合的な推進を図るための基本方針でございます健康日本21の目標達成状況や取組状況を取りまとめた健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料におきまして、未成年期からの喫煙は健康影響が大きく、また、成人期を通じた喫煙継続につながりやすいことが指摘されているところでございます。

岡本(充)委員 いや、だから、健康への影響はわかった。いいんです。先ほどの答弁で、非行の可能性があるからと言ったから、それは十八歳になったら、これは非行ではなくなりますよね。法律では十八歳から吸えるんだもの。そういうことですよね。健康への影響はわかっています。非行についてのみ聞いているんです。

小田部政府参考人 喫煙を許容される年齢として成年年齢とリンクさせるかどうかは別の問題といたしまして、いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、例えばでございますが、アメリカ合衆国の保健福祉省が取りまとめた報告書におきましては、喫煙は一般的に違法薬物の使用に先行して薬物使用の危険を増大させることから、若年者にとって喫煙は薬物使用の入り口になっているといったことが指摘されていることから……

橋本委員長代理 答弁者に申しますが、その答弁をさっきからされていますけれども、成年年齢に達した人がたばこを吸っても非行とは言わないんじゃないかという趣旨で問われているんだと思うんですが。

小田部政府参考人 未成年者喫煙禁止法の違反になるかどうかは別の問題といたしまして、喫煙が、先ほど申しましたような、薬物使用の入り口になる可能性があるということにつきまして御答弁しているところでございます。

岡本(充)委員 私はその調査はちょっと知らなかったですけれども、もし、その話の議論の延長線でいくと、二十であったとしても、喫煙が薬物依存若しくは違法薬物への入り口になるから二十でも禁止すべきだという議論になっていくんじゃないんですか。そういう意味で、これはちょっと理解ができない議論ですね。

 次の質問をしたいところなんだけれども、ちょっと、もう一回整理して。二十になったら違法薬物の入り口にならないけれども十八だと違法薬物の入り口になる、その理由は何ですか。

小田部政府参考人 先ほど来御説明させていただいているところでございますが、若年者にとって喫煙は薬物使用の入り口になっているということが指摘されていることから、そういった観点から、非行防止の観点で年齢についても規制を定めているところでございますが、今回、年齢につきまして引き下げることとしなかった一方で、先ほどのお話にありましたように、更に年齢を引き上げるというふうなことにつきましても特段の措置をとらなかったということに関しましては、こちらにつきましては、平成二十四年に内閣府が実施いたしました特別世論調査で、喫煙の禁止年齢を現行の年齢どおり二十歳とするといった回答が七五%を超えているなど、二十歳という禁止年齢が社会的にも相当程度浸透しているといったようなことを踏まえまして、現状において直ちに禁止年齢の引上げを検討する必要性が乏しいと判断したものでございます。

岡本(充)委員 社会に浸透しているから引き下げないんだったら、投票の年齢だって、二十だというのはこれまでかなりのところに浸透していたわけですから、それを言い出したら切りがないと思いますよ。ちょっと整理ができていないような気がしますけれども、もう時間がないのでほかの論点に移ります。

 それで、今の話で、若年者へのたばこのリスク等について啓発をしていくことが極めて重要だと思いますけれども、きょう文科省にも来てもらっていますけれども、教育、啓発の現場でどういうふうな教育、啓発の仕方、特に健康に関してはどのような啓発の仕方をしているんでしょうか。

下間政府参考人 お答え申し上げます。

 若年者へのたばこ対策とのお尋ねでございましたけれども、小学生から大学生に対してどのような啓発、教育を行っているのかという観点でお答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、受動喫煙も含めた喫煙による健康課題を防止するため、正しい知識を身につけ、健全な価値観を養うための教育や啓発を行うことが重要であるとの認識のもとに、学校における教育や啓発に取り組んでおります。

 小学校から高等学校におきましては、学習指導要領に基づき、体育科及び保健体育科を中心に喫煙防止に関する指導が行われておりまして、具体的には、小学校では、喫煙については、呼吸や心臓の働きに対する負担などの影響がすぐにあらわれることや、受動喫煙により周囲の人々の健康にも影響を及ぼすこと、中学校では、たばこの煙の中には有害物質が含まれていること、常習的な喫煙によりがんや心臓病などさまざまな病気を起こしやすくなることや、未成年者の喫煙については依存症になりやすいこと、高等学校では、喫煙は生活習慣病の要因となり健康に影響があることや、周囲の人々や胎児への影響があることなど、喫煙の健康への影響について指導が行われているところでございます。

 また、大学におきましては、約七割の大学等におきまして、ガイダンスや学内広報物による周知などを通じて喫煙問題に関する指導、啓発が実施されているところでございます。

 文部科学省におきましても、小学校五年生、中学校一年生、高等学校一年生向けに、喫煙の健康への影響等を総合的に解説する啓発資料を作成するとともに、厚生労働省が呼びかける世界禁煙デーへの取組に合わせて通知を発出いたしまして、大学や教育委員会等に喫煙防止教育と受動喫煙対策の一層の推進を促すなど、喫煙防止教育の充実に努めているところでございます。

 以上です。

岡本(充)委員 ちなみに、先ほどの警察庁の話じゃないですけれども、違法薬物の入り口になるということは指導しているんですか。

下間政府参考人 私どもの資料におきましても、薬物乱用防止と一体として、こうしたものが、直接の文言は今手元にございませんが、入り口になるといったような観点からの指導も行っているところでございます。

岡本(充)委員 具体的にどういう時間に指導しているんでしょうか、その小学校五年生、中学校一年生、高校一年生。配るだけじゃなくて、どういう時間に、どのくらい時間をかけて話をしているんですか。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

下間政府参考人 先ほどお答えを申し上げましたとおり、これは学習指導要領に基づきまして全ての学校において取り組まれているところでございますが、体育科、保健体育科を中心に、特別活動、これは学校行事とか、例えば外部から講師を招いた講習会とか、そういうものも含めて喫煙防止に関する指導が行われているところでございます。

 具体的に、このことについて授業時数において何時間取り組みなさいというようなことまでは定めておりませんけれども、各学校においては、学習指導要領に示す内容を確実に学習させる観点から、必要な授業時数を確保するなどして適切に指導しているものと考えております。

岡本(充)委員 冊子を配ってさらっと説明しているというようなだけじゃないでしょうね。どういうような実態なのか、やはりちゃんと調査をして、またそれは後ででもいいですから報告をしていただきたいと思います。

 続いて、きょうは財務省にも来てもらっています。

 どうなんでしょう、たばこ税の納税額、今幾らでしたっけ。

新川政府参考人 直近の実績が二十八年度でございますので、二十八年度の国、地方合わせた金額で申し上げますと、二・一兆円でございます。

岡本(充)委員 これは結局のところ、よく言われるように、いわゆる、たばこの値段とそして税収には関係性があるという理解なんでしょうか。それとも、一定のところで、要するに、どこかまではついていくけれども、どこかからはついていかない、そういうものなのか。どのような関係性があるというふうに財務省としては考えているのか。

新川政府参考人 科学的、統計的な知見ということではありませんが、当然、値段が上がれば消費量はそれに伴って下がるということでございますので、税収の見積り等におきましても、増税額に応じて一定程度数量に効果がある、そういったものを見込んでいるところでございます。

岡本(充)委員 その数式というのは公に出しているんでしたっけ。

新川政府参考人 見積りの内訳につきましては、いろいろ事務的な、さまざまな前提がございますが、それらについては今のところ公にはしてございません。

岡本(充)委員 やはりそこは、私、きちっと評価にたえるようなものを出していく必要がそろそろ出てくるんじゃないか。だんだんだんだん値上がりしてきて、本当に、税収どうなるのか、気にはなりますよ、それは。決して小さくない金額ですから。だけれども、その一方で、健康被害でどれだけお金がかかっているのかというような話が、これが本当かどうなのかと、まあいろんな検証の方法があるんでしょうけれども、世の中的には。お配りした二枚目で、厚生科学研究で、一兆四千九百億円のいわゆる超過医療費という数字もあるわけでありまして、ここら辺を考えると、国の税収への影響というのはどうなのかというのは冷静に考える必要があると思います。

 加えて、ちょっと聞きたいんですけれども、昨今気になるんですけれども、喫煙文化研究会、公益財団法人喫煙科学研究財団、いろんなところで活動されています。これは、財務省ないしはJTからの補助金、助成金等が出ているのか、また、人事交流、若しくはOB等が就職しているのか、これについてお答えいただきたいと思います。

市川政府参考人 お答えいたします。

 若干お答えが前後してしまうかもしれませんが、まず、公益財団法人喫煙科学研究財団、これは、喫煙等に関する科学的な調査研究の助成等により、喫煙と健康の問題の検討に資することを目的として設立された公益財団法人と承知しておりますが、今回、お尋ねに基づきまして聴取いたしましたところ、JTは過去三年間において、平成二十七年度及び二十八年度は四・六億円、平成二十九年度は四・五億円寄附するとともに、財団の評議員、役員にはJTのOBが在籍している、そのように聞いております。

 これに対し、喫煙文化研究会、こちらは任意団体と承知しておりますが、JTからの寄附や人的交流は行われていないというふうに伺っております。

 また、財務省として、過去三年間において、これら財団や研究会への補助金等の支給は行っておりません。

 一方、財団の評議員、役員には、OBが在籍している、ないし在籍していたということを確認してございます。

 以上でございます。

岡本(充)委員 具体的には、何人中何人ぐらいこうしたOBなんでしょうか。

市川政府参考人 財団のホームページによりますと、評議員が全体で八人おります。うち、JTのOBの評議員が二人でございます。それから、財務省にかつて在籍していた者が評議員として現在一名入っております。

 それから、役員は、これは監事も含めてでございますが、全体で八人でございまして、JTのOBが三人でございます。財務省のOBは、現在は入っておりません。

岡本(充)委員 結構高い比率ですね。

 こうした公益財団法人ですから、いろいろやっているんじゃないかと思いますけれども、この財団から喫煙文化研究会にはお金は行っていませんか。公益財団法人から喫煙文化研究会にはお金は流れていないですか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 私ども、この財団の監督省庁ではございませんので、それは把握してございません。

岡本(充)委員 私は、ちょっとやはり、どこからそれだけのお金が入っているのかよくわからないなと思うところもあるわけですけれども、先日も、東京の地下鉄に乗っていたら、大々的に広告が出ていたりするのを見ると、かなりのお金をかけて喫煙文化を広げる努力をされている。それぞれの立場がありますから、それぞれのお考えの中でやられるんだろうと思いますけれども、そこにどういうふうな形でJTや財務省、国が関与しているのかというのは、またちょっと、私自身も少し研究したいと思います。

 その上で、きょうは農水省にも来てもらっています。

 たばこ農家の一反当たりの収入はなかなか高いなと思っていまして。どうでしょう、米などと比較すると、要するに主食用作物と比較をすると、単収でどのくらい差がありますか、何倍ぐらい差がありますか。

鈴木(良)政府参考人 お答えをいたします。

 農林水産省では、葉たばこの粗収入についての統計調査は行っていないところでありますけれども、鹿児島県の調査によりますと、平成二十六年産の葉たばこの粗収入、十アール当たりで約五十万円となっております。

 また、同じ条件でということで、同じく鹿児島県のほかの作物の十アール当たりの粗収入、平成二十六年産で、米で約十一万円、大豆で約八万円、大根で約三十六万円、ニンジンで約五十四万円となっておりまして、葉たばこは、農家の方にとりまして、十アール当たりで見て、比較的高い収入を確保できる作物の一つというふうに認識しております。

岡本(充)委員 私、昔、労働安全衛生法を改正したいなと思ったころがあって、鹿児島の葉たばこ農家にも行って話を聞きましたよ。いろんな皆さんの取組を聞きました。非常に興味深かったのは、これは大臣に言う話じゃなく、農林水産大臣に言うべきかもしれないけれども、閣議のときに小ばなし程度に話す機会があったら。

 結局、あのとき、私、何とか転作が進まないかなというので、一部の値段の張る漢方薬にできないかと思って、当時、高知の県立植物園の園長が大変漢方薬の栽培に造詣が深かったということで、この方と御一緒になって、何とかならないかといろいろ努力をしました。一部転作をしたところが出てきているというふうに聞いています。

 農水省も、ぜひそういったところに力を入れてみてはいかがと思うし、政府としても、これから先、たばこの消費量がふえていくということはなかなか考えにくい中、そうした新たな高付加価値の農作物を育てていくという取組、例えば朝鮮ニンジンのようなニンジンは、台風が来ると日陰のネットが飛んでいっちゃうんですって。なかなか南九州では大変だとか、こんな話を私も現地へ行って聞いてきました。なかなかつくるのも大変だし、苦労も多い作物だと聞いていますけれども、もう少し、ぜひ、農水省、研究してほしいし、大臣もまたこういう話を農林水産大臣としてほしい。

 お二方から、ちょっとこれについての感想をいただきたいと思います。

鈴木(良)政府参考人 議員から御指摘ありました薬用作物、これにつきましても、今、国産の薬用作物が求められておりまして、ただ、なかなか求められる成分のものをつくるのは難しいというのもありまして、漢方薬の会社と一緒になりまして産地の方へ入る、そういう支援も行っております。

 農家の皆さんがもうかるような形で生産をする、もうかる品物、求められるものをつくっていく、これに対して農水省としても頑張って取り組んでまいりたいと考えております。

加藤国務大臣 漢方薬については、厚生労働省としても、適正な供給がなされていくことが大事でありますから、国内外ではありますけれども、国内においても、一定の供給あるいは原料の供給がなされていく、その土台をつくることは大事だろうと思います。

 それから、先ほど、たばこから、違う、転作の話がありました。私の地元は、昔はたばこ農家がたくさんあったんですが、今は全部がピオーネになって、それなりの収入を確保しているところでありますので、そういった地域地域によって適するものは違うんだろうと思いますけれども、それぞれの状況、これからたばこはどうなるかと見据えることも必要でありますけれども、あわせて、それぞれ、強い農業をつくっていくという意味においても、さまざまな努力が必要だろうと思います。

岡本(充)委員 そういう施設でつくるものは、なかなか最初の初期コストもかかったり、なかなか高かったりするというようなところもあったりするんですね。したがって、先ほど、キュウリなんかも高いと言いましたけれども、キュウリは施設なんですよね。だから、結局、露地物でつくれるようなものの単価を出していないんです。ピオーネもそうでしょう。そういう意味で、一定程度、研究が必要でしょうけれども、またぜひそういう観点で取り組んでもらいたいと思います。

 それじゃ、また逐条で聞いていく質問に入ろうかというふうに思うわけでありますが、皆さんの顔がにこにこされるので、次回にしますか。(発言する者あり)一問だけ聞いてほしい。じゃ、皆さんの要望に応じて。まだまだ逐条でお聞きしたいところが、二時間ぐらい、三時間ぐらい聞けるのは幾らでもあるんですけれども、じゃ、きょうのところはもう少し聞きましょうか。

 法二十五条の五の正当な理由とは一体何ですか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 正当な理由でございますけれども、これは、職務上の必要性から、社会通念上、正当と認められる場合などでございまして、具体的には、喫煙専用室を設置する過程におきまして、その部屋につきまして技術的な基準に適合するか否かといったようなことを確認するために、喫煙専用室を製造する会社の従業員が、例えばそこで喫煙をするというような場合などを想定してございます。

岡本(充)委員 その、などを少し詰めてほしいと言っているんですね。喫煙ができる正当な理由というのは一体何なのか、もう少し列記してくださいというお願いをしています。お願いします。

福田政府参考人 この正当な理由につきましても、適切な運用のためには非常に重要なポイントでございますので、委員の御指摘も踏まえまして、十分に詰めてまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 つまり、これはまだ詰まっていないんですね。きのう随分やりましたけれども、これは詰まっていない。どういうときに正当な理由としてこの法律の適用を除くことができるのかというのも議論がありますし、そもそも、挙げていけば切りがないぐらい、いろいろ論点があるなと思います。きょうのところは、ちょっとまだ時間の関係でやりませんけれども、人の住む場所についてこれは除くという話なんですが、人の住む場所とされている場所は、例えば、特定施設の中に住む場所をつくっていった場合どういうことになるのかというようなことだとか、議論の論点はいろいろあるんです。きょうはちょっと時間の観点でやりませんけれども、非常に論点は多岐にわたると思います。

 ちょっとここから残された時間、大臣に、きのうの、私、香川へ行ってきて感じたことと、やはり、改めて皆さんに考えてもらいたいこと、それはやはり、児童相談所もそう、一般の市町村もそう、極めて多くのケースを抱えて少人数でやっています。それで、正直言って、もう手が回らないというのが本当のところだと思います。それでも頑張っている。数人の正規職員と、それより少し多いぐらいの非正規職員で三桁の相談のケース、それから虐待も百件を超えるようなケースを見ている児相もあるわけですし、市町村もあるわけです。そういう意味で、人員の増強を早急に図らなければならないと思うんです。

 大臣、政府として方針を掲げて、四万人でという大枠は伺いました、きょうの資料にもつけていますけれども。これでは、とてもじゃないけれども足りないんじゃないかと思うんです。大臣、実際のところ、いや、それはお金があれば何人でもつけたいよとかそういう話ではなくて、今、児童福祉司の配置基準の見直しをしているところはわかりますが、これでは追いつかないんじゃないかということをすごく感じたんですけれども、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 今、多分、委員がそのことも御指摘されていると思うんですが、児童相談所強化プランということで、平成二十八年度から三十一年度までの四年間で、児童福祉司等の専門職を千百二十人、うち児童福祉司については五百五十人増員すると大幅な増員目標を定め、平成二十九年度における全国の児童相談所の、これは児童福祉司でありますけれども、三千二百五十三人と、平成二十七年度に比べて三百二十三人、五百五十人、四年間でということでありますから、二年間で三百二十三人の増員を図っているところであります。

 公務員全体、特に地方公共団体の組織・定員全体としては合理化が迫られているわけでありますけれども、この平成三十一年度までの向こう四年間、具体的な目標を定め、そして、例外的な取組として増員をしているということでありますし、また、毎年度、必要な地方財政措置が講じられるよう、総務省とも、これまでも協議をしてまいりましたけれども、今後とも協議をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 いずれにしても、こうした児相における対応が適切に実施されるよう、その体制の整備に向けて引き続き努力をさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 努力をしていきたいと言うけれども、早急にふやさないと、とてもじゃないけれども、一人で何十件、何百件というケースを見ていくのは大変ですよ。本当に想定するだけでも大変だし、手が回らない状況がよくわかりました。

 もう一つ重要なのが、今回、私がポイントだと思っているのは、児相間での引継ぎがうまくできたのかという話です。

 きのう厚生労働省に、どういうような児相間での連絡をしているかと言ったら、この五ページにお配りしている、一時保護に向けたアセスメントシートを渡してもらいました。これは一時保護に向けてのアセスメントシートであって、これで児相間の連絡、そして引継ぎをやりなさい、こう言っているわけではないですよね。これでやりなさいと言っているわけではないですよね。どうですか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 委員お示しいただきましたアセスメントシートにつきましては、まさに、一時保護を行うに当たりまして、その判断を行うに際しての資料として使うべきものとして、私どもお話をさせていただいているところでございます。

 ただ一方で、私ども、今回の個別ケースにつきましてはこれから検証させていただきますが、一般論として、保護者の転居に伴う場合、児童相談所の管轄が変わるという場合には虐待のリスクが高まるということで、これまでも、関係者間の情報共有のために、児童相談所運営指針、あるいは「子ども虐待対応の手引き」において情報共有の手順を定めておりまして、その際には、このようなアセスメントシートに基づいてまず緊急性の判断をしていただいて、その後、情報共有をしていただくということになってございますので、委員御指摘のように、このシートを使って情報共有をしろというところまで明確に申し上げているわけではございませんが、現地においてはこのようなものも活用されているというふうに私どもとしては承知をいたしております。

岡本(充)委員 つまり、児相ごとに判断が違うんですよね。つまり、これが重篤なケースなのかどうか、これが緊急性を要するケースなのかどうか、こっちはそう思って引き継いだつもりだけれども、受け手はそう思わないというケース、恐らく全国にあるんじゃないかと思うんですね。

 私が指摘をしたいのは、早急に児相間での情報共有のあり方について厚生労働省で整理をするべきじゃないか。リスクが高いものは一体何なのか、緊急性が高いものは何なのかというのを整理をして、どういう方法で引継ぎをするのが望ましいのか、どういう方法でしなさいという、ある意味その手順を定めるなりするべきじゃないか。

 この国会が終われば、夏のシーズン、転校する児童も生徒も多いシーズンがまたやってきます。そういう意味では、ぜひ大臣、こうした引継ぎのあり方、早急に検討するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、この間も答弁させていただきましたけれども、今回の事案についてどこが課題なのかということについては、我々もしっかり香川県あるいは東京都等から聞かせていただいて分析をさせていただきたいというふうに思いますし、その上で必要な対応を考えていく必要があるんだろうと思います。

 それから、本件の事案にかかわらず、こうした虐待に関してさまざまな課題があります。今委員がおっしゃったことも一つの課題だと思います。それから、これまで、警察と児相との連携についてという御質問もいただきました。そうした幾つかの課題について、これは別にこの事案と離れても構わないわけでありますから、それについてしっかりと、具体的に、今状況がどうなっているのか、そして改善すべき点はないのか、そういったことも含めてしっかり議論させていただきたいと思います。

岡本(充)委員 しっかりやることも重要だけれども、これは早急にやらなきゃいけないと思うんですよ、本当に。だから、そういう意味で、これは今認識にばらつきがあるわけです。認識にばらつきがある。したがって、この認識にばらつきがあるところをきちっと共通化するそのスキームだけは早急につくるべきだと思いますけれども、どうですか、大臣、しっかり議論するのもいいですけれども、そこの部分、早急につくるという点については。

加藤国務大臣 早急というのは、もちろん、何事も全て早急にやるべき話なんだろうというふうに思います。

 今回のケースとまたちょっと区分けをしながらでありますけれども、今申し上げた、児相、都道府県の中において、あるいは特に都道府県を超えた場合において、そうした引継ぎがどういう形で行われているのか、そして、その前に委員がお話がありました、これが大変重篤な、重篤というんでしょうかね、緊急性が高いと判断されているその判断がしっかりと引き継がれていっているのか、そういったことを含めてしっかり我々としても分析をし、そして、その上に立った必要な対策をできる限り速やかに対応させていただきたいと思います。

岡本(充)委員 時間になりましたから終わりたいと思いますが、最後に、この場をかりて、きのう本当に忙しい中協力していただいた香川県西部子ども相談センター、そして香川県の健康福祉部子ども政策推進局長、そして子ども家庭課長、さらには丸亀市長や亀山学園の皆様方に感謝を申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、山井和則君。

山井委員 これから五十分間、質問をさせていただきます。

 前半は、受動喫煙防止について、閣法について、そして後半は、今、岡本議員からも話がありましたが、昨日、私も香川県の結愛ちゃんがもとおられたところの視察に行かせていただきました。その中で、子ども相談センターの方々等々と話をする中で、ぜひ皆さんの現場の声を国会に届けさせていただくという話をしましたので、きょうは後ほど、後半、その話をさせていただきたいと思います。

 特に冒頭、先ほど西村議員、岡本議員からも話がありましたが、やはり今回のこの結愛ちゃんの件のみならず、足立区でも、またお子さんの虐待死が問題になっております。やはりこれは党派を超えて取り組むべき緊急課題だと思います。

 公明党さんも、高木副大臣を先頭に、非常に児童虐待に関しては今までからリーダーシップをとっておられますし、また、聞くところによりますと、骨太の方針の中にも、自民党の会議の中で、児童相談所の体制強化という文言も入れる方向で検討が進んでいると聞いております。

 そういう意味では、このような悲劇を繰り返さないために、この厚生労働委員会、与野党を超えて英知を結集して、やはり大幅な虐待防止対策の拡充ということをすべきだと思います。

 その件について、早急に集中審議と、超党派における厚生労働委員での現地視察ということをお願いをさせていただきたいと思います。委員長、お願いします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

山井委員 私のもとにも、本当に、今回の悲惨な結愛ちゃんの事件、再発防止するために何とかしてという悲鳴や、そういう要望の声がいっぱい上がってきております。それに何としても応えねばと思っております。

 それで、健康増進法ですけれども、質問通告をたくさんさせていただきました。幾らあっても時間が足りないんですが、きょうの質疑の前半で逐条的に確認をさせていただきたいと思います。割と細かい質問もさせていただきますので、質問通告以外のことはできるだけ聞かないようにしますので、正確にお答えをいただければと思います。

 それでは、質問通告の三番目からですけれども、特定飲食提供施設について、面積基準、資本金基準が設けられた理由は何ですか。さらに、面積が狭い店舗、資本金が少ない店舗で望まない受動喫煙が容認される理由は何ですか。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 本法案では、既存の飲食店のうち経営規模が小さい事業者が運営するものにつきましては、直ちに喫煙専用室等の設置を求めることが事業継続に影響を与えると考えられることから、一定の経過措置を講じたものでございます。この経過措置の対象となる事業者の要件につきましては、今申し上げました考えに沿って、資本金及び客席面積で判断することといたしました。

 具体的には、資本金要件につきましては、中小企業基本法における中小企業の定義を踏まえ五千万円以下とし、面積要件につきましては、既に受動喫煙防止条例が施行されております神奈川県や兵庫県の例も踏まえまして、客席面積百平米以下としたものでございます。

 なお、既存の特定飲食提供施設におきましても、喫煙可能な場所につきましては提示を義務づけること、喫煙可能な場所につきまして二十歳未満の立入りを禁止することなどによりまして、望まない受動喫煙が生じないための対策を講じることとしております。

山井委員 また質問通告に従って細かいことをお聞きしますが、今御答弁あった経過措置の対象となる飲食店が法改正後に、例えばラーメン店から洋食店に店主がかわらないまま衣がえをした場合は既存施設と言えるのか。また、店主はかわらないが経営権が他に移転する場合はどうなりますか。

大沼大臣政務官 既存の飲食店につきましては、法施行後に何らかの状況の変更があった場合に、引き続き既存の飲食店に該当するかどうかは、事業の継続性、経営主体の同一性、店舗の同一性等を踏まえて総合的に判断することとしております。

山井委員 総合的に判断するということですが、そこはなかなかケース・バイ・ケースで難しいのではないかと思います。

 ついては、この経過措置というのはいつまで行う予定ですか。

加藤国務大臣 これは法律にも定めておりますけれども、別に法律で定める日については、本法案の施行後、受動喫煙防止に関する国民の意識や既存の特定飲食提供施設における受動喫煙防止のための取組状況を勘案して適切に判断していくということにされておりますので、それにのっとって対応させていただきたいと思います。

山井委員 ちょっと更問いをさせていただきますが、例えばイメージだけでも、一年とか五年とか十年とか、そのあたりはどれぐらいのスパンを考えておられますか。

加藤国務大臣 まさに今申し上げた、国民の意識あるいは取組の状況、それがどの程度転換していくのか、変わっていくのか、それに応じていくということになるんだろうというふうに思います。

山井委員 ちょっと違った角度から質問をさせていただきますが、受動喫煙による健康リスクあるいは不快に感じるリスクは、面積の広い飲食店と面積の狭い飲食店ではどちらが高いというふうに考えられますか。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の、受動喫煙による健康リスクや不快を感じる度合いというものにつきましては、店内における喫煙者の数や時間当たりの喫煙本数、喫煙者との距離によって変わるため、飲食店の面積によってリスクが高くなるかどうかは一概に言うことができないというふうに考えております。

山井委員 先ほどの議論でもありましたけれども、この経過措置の対象とならない飲食店で、規制にもかかわらず喫煙する利用者がいる場合、店主が利用者に喫煙の中止を依頼することは義務ですか、任意ですか。

高木副大臣 お答えいたします。

 今般の法案第二十五条の六第二項におきまして、施設の利用者が喫煙禁止場所で喫煙をした場合、施設の管理権原者等は、当該利用者に対して、喫煙の中止又は当該喫煙禁止場所からの退出を求めるよう努めなければならないとしておりまして、努力義務でございます。

山井委員 努力義務ということでありますね。

 そして、それに関連して、次に、経過措置の対象とならない飲食店で、規制にもかかわらず喫煙する利用者がいる場合、店主は本改正案に基づいて当該利用者に退出させることはできるのか、若しくは他の法令により退出させることはできるのか。先ほど、岡本議員も似たような質問をされていましたけれども。

高木副大臣 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、今般の法案におきましては、施設の利用者が喫煙禁止場所で喫煙をした場合、施設の管理権原者等は、当該利用者に対して、喫煙の中止又は当該喫煙禁止場所からの退出を求めることができるとしております。

 仮に、管理権原者等による喫煙の中止や喫煙禁止場所からの退出の求めにも応じず、同じ場所で何回も喫煙を行っているような場合にありましては、管理権原者等からの通報を受けた都道府県知事等が指導等の対応を行うこととしております。(発言する者あり)これは、都道府県知事と、あと保健所設置市の市長も入ります。

山井委員 それに関連して、逆から質問をさせていただきますと、経過措置の対象とならない飲食店で、規制にもかかわらず喫煙する利用者がいる場合、店主が当該利用者に喫煙の中止を求めないことは本改正案に違反するか。また、中止を求めたにもかかわらず喫煙を中止しない場合は本改正案に違反するか。退出を求めれば本改正案の違反とはならないか。いかがですか。

高木副大臣 先ほど申し上げてまいりましたとおりでございます。施設の管理権原者等が中止等を求めないことにより、これは当該努力義務違反となります。

 また、施設の利用者が喫煙禁止場所で喫煙をしている場合は、管理権原者等からの喫煙の中止の求めに応ずるか否かにかかわらず、本法案に違反することとなります。

山井委員 それで、もう少し具体的に聞いていきますと、経過措置の対象とならない飲食店で、規制にもかかわらず喫煙する利用者がいる場合、受動喫煙を求めない利用者あるいは従業員に対して、店主が、健康を害されたことを理由に損害賠償責任を負うことは想定されるか。これは、本改正案の施行の前後により状況が変わるか。いかがですか。

高木副大臣 御指摘の損害賠償責任につきましては、一般論として申し上げれば、裁判所において判断されるものと承知をしております。

 具体的には、利用者又は従業員の健康被害と、施設の管理権原者等である店主の行為との間に因果関係があるか否か、また、店主に故意又は過失が認められるか否か、こうした民法上の原則に基づいて判断がされるものと承知をしております。

 なお、民法上の原則に基づいて裁判所で判断されるという点につきましては、法の施行前後で変わるものではないと考えております。

山井委員 それとも関連して次の質問ですが、次は、経過措置の対象となる飲食店で、店主の判断で禁煙とする場合で、店主の定めにもかかわらず喫煙する利用者がいる場合、本改正案を根拠に店主が利用者に喫煙の中止を依頼することはできますか。

高木副大臣 まず申し上げますが、経過措置対象の店舗でありましても、店主、いわゆる管理権原者が原則禁煙を決めれば、一般の店舗と同様の扱いとなります。

 したがいまして、今般の法案第三十条第二項では、喫煙禁止場所において喫煙をし、又は喫煙をしようとする者に対し、喫煙の中止又は喫煙禁止場所からの退出を求めるよう努めることとしております。

 したがいまして、御指摘のような場合については、まずは店主等に、喫煙する利用者に対して喫煙の中止等を求めていただくことになります。

山井委員 同じく、経過措置の対象となる飲食店で、店主の判断で禁煙とする場合で、店主の定めにもかかわらず喫煙する利用者がいる場合、受動喫煙を求めない利用者あるいは従業員に対して、店主が、健康を害されたことを理由に損害賠償責任を負うことは想定されるか。これは、本改正案の施行の前後により、状況は変わりますか。

高木副大臣 先ほど申し上げましたとおり、経過措置対象の店舗であっても、管理権原者が原則店内禁煙を決めれば、一般の店舗と同様の扱いとなります。

 したがいまして、今御指摘の損害賠償責任につきましては、一般論として申し上げることになりますが、裁判所において判断されるものと承知をしておりまして、具体的には、利用者又は従業員の健康被害と、施設の管理権原者等である店主の行為との間に因果関係があるか否か、また、店主に故意又は過失が認められるか否かなどの民法上の原則に基づいて判断がされるものと承知をしております。

 なお、民法上の原則に基づいて裁判所で判断されるという点については、法の施行前後で変わるものではないと考えております。

山井委員 ちょっとそもそも論に戻らせていただきますが、本改正案の目的は、望まない受動喫煙をなくすということが目的と、これは最初のページにも書いてありますけれども、それが目的ということでよろしいですか。

加藤国務大臣 今おっしゃるとおり、この法案は、たばこの煙にさらされるのが嫌な方を受動喫煙から守ること、つまり、望まない受動喫煙をなくすことが目的で、さまざまな措置を定めているということであります。

山井委員 ということは、望まない受動喫煙をさせられないということは、国民の権利であるというふうに考えてよろしいですか。

加藤国務大臣 今、望まない受動喫煙をなくすことが目的だと申し上げましたけれども、望まない受動喫煙をさせられないということを本法案で権利として想定しているわけではありません。しかし、本法案の内容を円滑に施行し、そして周知啓発等、総合的な対策を進める中で、望まない受動喫煙のない社会、この実現を図っていきたいというふうに考えております。

山井委員 ちょっと戻りますが、先ほど、都道府県知事や市長により退出させることができるという答弁がございましたけれども、その場合、具体的には、都道府県の職員や市町村の職員がそういうことの執行に参加するということもあり得るということですか、退出についての。

高木副大臣 保健所の職員になります。

山井委員 保健所の職員さんが退出のために動くということになるわけですか。

 例えば、今までそういうケースというのは、もちろん、食中毒で保健所が立入りするとかいうことはあったんでしょうけれども、今まで保健所の職員さんがこういうふうな感じのことで店舗に、SOSを聞いて、来たというケースというのは、今までの何か法律とか制度であったんでしょうかね。

高木副大臣 承知しておりません。

山井委員 そうですね、本当にさまざまな、新しい取組かと思います。実際、どのようにこれが実効性を持って動いていくのかということについては、今後も議論をしていかねばと思います。

 それで、ちょっと、その点なんですけれども、今までそういうケースはなかったということですが、そういうケースがどれだけあるかというのはわからないんですけれども、そういう、保健所の職員さんがSOSを聞いて、来て、退出のお手伝いをするということについては、規定されているのはわかるんですよ、実効性はそもそもあるんでしょうか。いかがですか、素朴な疑問なんですが。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 先ほども御議論がありました、まさに吸っている最中にすぐ来れるかといえば、それは実質的にかなり厳しいというふうに思います。むしろ、一回限りやった方を摘発というよりは、むしろ故意的に重複というか、何回も反復継続するような方に対して、それを抑止していく、そういった観点から設けられている事項だということでありますけれども、いずれにしても、そういう場合において、いかに実効性をどう担保するかということは大事な観点でありますので、その点を含めて、保健所の体制の整備も含めて、よく検討させていただきたいと思います。

山井委員 それと、あと、家庭内における、子供を初めとする家族の受動喫煙防止対策というのは、今後どのように講じていかれますか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げた今回の法案の目的は、望まない受動喫煙の防止を図るということでありますけれども、一般的に法が強制力を持って踏み込むことがなじまない家庭などプライベートな居住場所、これについては、この法案の規制対象の外としているところでございます。

 ただ、その上にあっても、家庭等で子供や配偶者の方など周囲の方を望まない受動喫煙から守ることは必要でありますことから、本法案においては、喫煙可能な場所で喫煙をする場合も周囲の状況に配慮すべきであるという旨の規定を設けさせていただいているところでありますし、また、これを踏まえて、国民、喫煙者の理解、協力が得られるよう、子供、妊婦、患者などは受動喫煙による健康影響が大きいということも含めて、受動喫煙に関する正しい知識、これを普及啓発をしていく、そうしたことにより、家庭内における受動喫煙を、その防止に努めていきたいというふうに思っております。

山井委員 質問、一つ戻りますが、先ほど特例措置、この特例措置というのは経過措置のようなものですけれども、特例措置をいつまで行うのかということに関して、受動喫煙という問題の、その国民の状況を見て判断するということです。この特例措置がいつまで続くかというのは一つの大きな関心なんですけれども、もう少し具体的に、どういう状況になったときに特例措置が解除されるのかということ、可能であれば御説明いただけませんか。

加藤国務大臣 今の段階で、どういう状況かというのはなかなか、具体的に申し上げるのは難しいところでありますけれども、例えば、今回の措置においては、新規の者については、原則として、受動喫煙といいますか禁煙措置をとっていただく、こういうことにもなっているわけであります。あるいは、特定飲食提供施設においても、私どもとしても、さまざまな、喫煙をする場所の設置に向けての支援もさせていただくわけでありまして、そういったものがどこまで取り組んでいくのか、そういったことをしっかり見きわめた上で適切に判断をさせていただきたいと思います。

山井委員 素朴な疑問なんですが、起こり得る状況として、こういう強化をされると、たばこを吸われる方はお店からちょっと出て、道というか外に出て、すぐ隣か二十メートル先かはおいておいて、外で吸ってきてまた戻ってこられるという方も、どうしても吸いたい方はおられると思うんですよね。

 この法案においては、店の中はわかるんですけれども、その方が、ちょっと五分、十分、店の外に出て、吸って、吸い終わって、再び店の中に戻ってこられる、そういうことについては、何か規制なり、何かそういうことは本改正案においては関係はするんですか。

加藤国務大臣 今回の法案では、多数の方が利用する施設の屋内について、原則屋内禁煙とする等の規制を設けているわけでありますが、一方で、屋外であっても、まさに、今でもありますよね、屋外でも、喫煙可能な場所ということで多くの方が吸っておられるという場所があります。そうした場所で、多数の者が通行する場所、また近くを通る非喫煙者が容易に煙にさらされるような環境、これは決して望ましいものではないというふうに考えております。

 この法案では、屋外等で喫煙をする際に周囲の状況に配慮すべき旨の規定を法案の中に設けさせていただいております。また同時に、屋外における受動喫煙を防止するための望ましい環境を迅速に整備するため、地方自治体が取り組む屋外の分煙施設、これを地方自治体が整備をする、そうした場合には地方財政措置による支援も行いたいと思います。

山井委員 本当、これ、一つ一つを引き出せば、かなり詰めていかねばならないことはまだまだ多いと思いますので、引き続きじっくり議論をさせていただきたいと思います。

 また話は最初に戻りますが、一方では、ちょっと児童虐待防止の話に移らせていただきますけれども、目黒の女児死亡事件、この配付資料の七ページを見ていただけますか。このことに関しても、この厚生労働委員会としては待ったなしで、しっかりと議論を深めねばと思っております。

 ここの写真にあります現地、私も先日、少しですけれども行かせていただきました。本当に痛ましい事件が起こった現場で、私も非常に胸が締めつけられる思いでありました。

 そういう中で、先ほども申し上げましたように、今こそ、再発を防止するために党派を超えて取り組まねばと思っております。公明党さんも力を入れておられますし、自民党の会合でも、骨太の方針に児童相談所の体制の強化という文言を入れようという議論にもなったというふうに聞いております。

 そこで、この配付資料にもありますが、まず、内閣官房にもお越しいただいているので、今回、八千億の無償化や、あるいは二兆円の新しい経済政策のパッケージというのがありますよね。八千億の幼児教育無償化、あるいは、もっと広げて二兆円の新しい経済政策のパッケージ、この中で、児童虐待防止の予算というのは幾らぐらい入っておりますか。

大島政府参考人 昨年十二月に決定いたしました二兆円規模の新しい経済パッケージの中には、幼児教育の無償化、保育の受皿整備、保育士処遇改善、高等教育無償化、介護職員処遇改善が盛り込まれ、児童虐待防止に直接関連する施策は盛り込まれてはおりません。

 ただ、このパッケージの中に盛り込まれています保育の受皿整備につきましては、多様な家庭の子育て支援を担っているということもございますので、これを通じて児童虐待の防止に資するものもあるかとは承知します。

山井委員 そういうことですけれども、直接児童虐待防止に関連する予算も入っていないということであります。

 やはり、八千億円もかけて幼児教育の無償化をする、おまけに、先日から言っておりますように、高所得者にもかなり流れる、そういう中で、喫緊の課題である児童虐待防止の予算が十分にふえないというのは、私は極めて問題だと思っております。

 私の配付資料の十一ページを見てください。

 それで、先日、加藤大臣が私の質問に対して、結局、八千億というのは決定した数字じゃありませんけれども、仮に幼児教育無償化が八千億とすれば、やはりそれが高所得者に多く流れるのは問題じゃないかという質問をしたら、加藤大臣が、いや、そのうち四割は既に地方自治体が負担していますから、六掛ける八で、八千億は四千八百億円ですという答弁をされたんですね。

 それで、私、そのとき、ちょっとよくわからなくて、その六掛ける八の四千八百億ってどういう意味なんですかと聞いたら、厚生労働省から出てきたのが、この十一ページの配付資料であります。

 つまり、話は簡単で、八千億なんだけれども、既に四割分は軽減や無償化が地方自治体の独自財源でやっているから、八千億の無償化というけれども、新規に無償化や軽減をされるのは六割の四千八百億円ですよという話なんですね、これを見たら。

 加藤大臣、そういう理解でよろしいですか。

加藤国務大臣 八千億とか四割というのは、非常にこれはざっくりした話であることを前提とさせていただくと、現時点においても、それぞれ地方で単独補助はなされております。

 今回の無償化は、その地方単独補助が出ていない前提で計算をしており、計算というか、それぞれにお金を出すことになっておりますから、当然、地方単独補助を出している地方自治体においては、その分は、これまで出していた分を出さなくて済むということになるわけであります。

 したがって、その分を、多分、それぞれの自治体で、基本的にはこうした子供さんの対応等に使われるというふうに思いますから、それがどういうふうに使われるかによって、委員が所得階層別にお示しなされた数字、これは変わってくる、変わり得るのではないんですかということを申し上げたわけであります。

山井委員 やはりこれはすごい話だと私は思います。消費税増税してまで八千億の財源をつくるのに、そのうち四割の三千二百億円は直接国民には恩恵はなしで、四割は地方自治体の財政負担の肩がわりに行っちゃう。失礼な言い方かもしれないけれども、こんな非効率な政策というのは国民の理解を得られないんじゃないかと私は思います。

 さらに、今、加藤大臣は、その肩がわりを、なくなった部分は地方自治体に子育て支援関係に回すように求めるとおっしゃっていましたけれども、前回もこの委員会で池田真紀議員が質問してくださったように、それは必ずしも強制力がないということでありました。ということで、私は、このことも非常に問題だと思います。

 ということは、八千億のうちの四千八百億円が新規の幼児教育無償化の恩恵である上に、十ページにありますように、私の事務所の試算によれば、結局、そのうち、一千万以上に五百六十億円、それで八百万以上に九百七億円ということで、合わせれば約千五百億円ぐらい行くのではないか。

 これは本当に、繰り返し言いますけれども、もちろん、将来的には幼児教育の無償化、高所得者も含めて完全に無償化が私も理想だと思いますが、やはり物には優先順位というのがあるわけで、今言ったような児童虐待の問題、そして保育士の処遇改善、子供の貧困対策で、本当に困っている子供たちが多い中で、やはり高所得者に今のままの案で無償化を進めるというのは、私は優先順位からして明らかにおかしいと思います。

 そんな中でなんですけれども、そういう状況の中で、岡本議員もおっしゃいましたように、昨日、香川県の子ども相談センターに行ってまいりました。結愛ちゃんが引っ越し前にお世話になっていた相談センターでありますが、そこで、国への要望はありませんかと聞いたら、一番おっしゃっていたのが、児童福祉司が少な過ぎる、大幅にふやしてほしい、国の基準を引き上げてほしいと。今これは四万人に一人なんですけれども、これを引き上げてほしい、そういう悲鳴に似た声を現場の方々から聞かせていただきました。

 それで、私たち、聞いたんですね。では、一人当たり、児童福祉司さん、何人ぐらいの虐待ケースを相談に乗っておられるんですかと聞いたら、もう本当に忙しくて、一人が何件担当しているかを、わざわざというか、カウントする暇もないぐらい私たちは忙しいんですということをおっしゃっておられました。

 そこで、具体的なことを申し上げたいんです。

 きょうの配付資料の七にありますように、児童相談所強化プランということで、先ほど加藤大臣の岡本議員への答弁にもありましたように、既に二十八年から四年間かけてやっているんです。これは合計五百五十人ぐらいをふやすんですけれども、一年当たり百五十人ぐらいで、これではもうだめだと思うんです。

 ついては、加藤大臣、やはりこの結愛ちゃんのことだけじゃないんですけれども、今本当に、今こそ何とかせねばという機運が高まっている中で、児童相談所強化プランの前倒しや上乗せでの実施、つまり、これを着実にやりますということじゃなくて、これを着実にするんだったら、全く結愛ちゃんの事件の再発防止策にも、ある意味でならないわけですから、やはり、今までの児童相談所強化プランの実行の前倒しや上乗せをするということを明言をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 児童福祉司の配置基準については、従来、人口四万から七万人に一人とされておりましたけれども、平成二十八年の児童福祉法改正を踏まえて、よりきめ細やかな対応を確保するため、児童福祉法施行令を改正をして、人口当たりの配置人数を人口四万人に一人以上ふやす、また、業務実態に応じて、児童福祉司一人当たりの虐待相談に係る持ち件数が四十件以下、要するに、これは地域によっていろいろありますから、となるよう、ケース数に応じた加配をするということで今やらせていただいております。

 平成二十九年度から、今、人口五万人に一人ということで、そして三十一年度からは人口四万人に一人ということでやるべく、今お話がありました児童相談強化プランというものをつくらせていただいて、四年間で、専門職全体では千百二十人、今お話があった児童福祉司については五百五十人増員するという大幅な増員目標を立てて、そして、平成二十九年度において二十七年度比三百二十三人の増員になりますから、四年間で五百五十に対して、二年間で三百二十三の増員も図らせていただいているということであります。

 地方公共団体全体としては、定数削減等々がある中で、こうした取組、これは例外的な取組ということでもありますし、そして、今申し上げたように、これまで五万人に一人を四万人に一人という形で、質というんでしょうか、人数を実質的に増加する、こういう措置をさせていただいておりますので、まずは、このプランの目標の実現に向けて、必要な地方財政措置が講じられるよう、総務省ともしっかり協議をさせていただきたいと思います。

山井委員 私は、やはりおかしいと思いますよ。これだけの大事件が起こっているのに、今既に決めている児童相談所の強化プランをやっていきたいと言って、それだったら結局何も前進していないじゃないですか。こういう事件が起こったのに前倒しも上乗せも検討もしない、それはちょっとやはりあんまりじゃないですか。

 公明党さんも声を上げておられると聞いておりますし、自民党さんも職員体制及び専門性の強化ということを骨太に入れようとおっしゃっていると聞いているので、ここはそれは、すぐにやりますという、そんな簡単に答弁できないのはわかりますけれども、少なくとも、児童相談所強化プランの前倒しや上乗せを検討する、それぐらいのことは、ぜひ方向性として答弁をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 この児童相談所強化プランそのものも、昨今における相談人員の増加を踏まえてつくられているわけでありまして、そういった意味で、先ほど申し上げたのは、まずはこの実現をしっかりと取り組ませていただきたいというふうに思います。

 ただ、今委員お話がありますように、児童虐待相談対応件数、これは、ここ最近においても増加をしております。したがって、そうしたことも踏まえて、必要な対策については、更に児童福祉司の増加を早める等々も含めて、総務省ともよく連携しながら検討していきたいと思います。

山井委員 今、更に児童福祉司の整備を早めるということをおっしゃいましたけれども、それは児童相談所の強化プランの前倒しや上乗せ等も含めて検討するということでよろしいですか。

加藤国務大臣 今の段階では、強化プランをまずしっかりと実現をしていくということで、これは毎年、でもこれだけふえているという、ふやしているというのは、かなりの努力が必要だということであります。

 その上において、児童虐待相談対応件数が、現在、要するに二年前と比べて、二年前はたしか約九万件が、今十二万件になっているんですね。ですから、こういった状況を踏まえて、当時どこまでそこを織り込んでいたのか、そういったこともしっかり検証して、先ほど申し上げた、必要であれば、児童福祉司の増加等を含めて検討させていただきたいと思います。

山井委員 本当に、こういう危機的な状況になってもそういう答弁ということでは、これは別に野党が怒るということだけじゃなくて、与野党を超えて、みんな、それでは納得しないと思います。これは絶対納得しない。あり得ない。これだけのことが起こっているのに、ただ単に児童相談所強化プランを着実に実行しますなんて、そんな答弁をしていたら国民は許さないと思います。

 ついては、私、具体的な提案をしたいと思います。

 というのが、今、大臣が答弁された、人口四万人に対して児童福祉司一人で、七ページにもありますように、二〇一九年度には三千四百八十人となっているんです。

 私は、ここで、先ほど岡本議員からも話がありましたけれども、四万人に一人ではなくて、この際思い切って、三万人に一人に国の基準を引き上げるべきだと思うんです。これは児童福祉法の政令に書かれている四万人に一人、これを三万人に変えるべきだと思います。

 なぜならば、百五十人ずつ一年でふやしていっても全然追いつかないんです。昨日も、所長さんが、件数がふえるだけじゃなくて、困難ケースがふえていて、本当に対応できないという悲鳴を上げておられました。

 ですから、これを、じゃ、四万人に一人を三万人に一人にする、あるいは更に、その三万人に一人にした上で、全国の各児童相談所にプラス一する、そういうふうなことをやると、全国で、この三千四百八十人に加えて、更に千人ふやすことになるんです、千人。一人当たり約六百万円です、一人当たり。となると、千人となると、一年間、これは地方交付税措置だと思いますが、六十億円なんですね。

 これは、千人ふやす、四万人を三万人に一人にする、大変なことだなと思われるかもしれませんが、六十億円なんですよ。幼児教育無償化に八千億円使っているわけですよ。高所得者だけにウン百億あるいは一千数百億、幼児教育無償化の財源が行くんです。それと比べたら、年間六十億円の財源というのは、虐待されている子供たちを救うためには私は出せると思うんですね。もちろん、千人ふやしたら、それで全て解決とは言いませんよ。でも、ここで第一歩を踏み出すべきだと思います。

 国の基準を四万人に一人から三万人に一人に引き上げることを含めて、国の基準を引き上げることも含めて検討するということを加藤大臣から答弁をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 現行は、原則一人の児童福祉司が、これは全国平均ですから地域によって違うことは重々承知をしておりますけれども、四十人ということをベースに、そして全国の人口一人当たりの虐待相談対応件数、これは約千分の一、そして約四万ということでありまして、現在の計算、先ほど申し上げた二十八年度の数字をもってしても、ほぼこの水準になっているわけであります。

 その中で、では実際、今委員お話しになりました、かつての四十人と今の四十人がどうなっているのか。そういった中身については、よく議論していく必要があると思いますし、人数的において、たしか四十をはるかに超えている都道府県もあります。それが、今回の解消プランの中でどこまで解消されるのか、その辺もよく見きわめていく必要があるので、いたずらに数字を議論していても、やはり、それなりの根拠にのっとった形でやっていかなきゃならないんだろうというふうに思います。

 今の段階で全く大丈夫だということを申し上げているわけではなくて、先ほど申し上げたかったのは、まず、今も増加をさせていくわけでありますから、これをまずしっかりやっていく。その上において、それを上乗せするということにおいて、どういう形で上乗せすることが必要なのか、そこについてはしっかり議論させていただきたいと思います。

山井委員 これは本当に、お互い争う問題じゃなくて、方向性は、与野党、そして私たちと厚生労働省、また総務省も含めて、政権も含めて、思いは同じだと思うんですね。もちろん、児童相談所は自治事務で、都道府県でありますけれども、やはり、地方自治体に任せますでは、これは本当に、これだけの虐待の深刻な事件が起こっているのに、国は何をやっているんだ、厚生労働委員会は何をやっているんだということになるわけです。

 そういう意味では、国として何ができるか、現場の声を私は聞きましたけれども、やはり、財源は地方交付税措置でありますけれども、厚生労働省として、一番、児童虐待防止に向けて、今、発することができるメッセージは、四万人に一人の児童福祉司の基準を三万人に一人に引き上げる、そういうことだと思うんです。例えば、これを千人ふやすとしたら、人材の不足もありますよ、急にそんなことを言われたって、なり手がいないわけですから。来年四月からふやすのであれば、年末の予算編成のときに、ふやしますと言ったって、そんな、もう人材は集まらないですよ。

 そういう意味では、骨太もあす発表されるということですけれども、早急にこの四万人に一人の配置基準を引き上げる、このメッセージを厚生労働大臣がリーダーシップをとって発する、このことが私は一番重要な一歩だと思います。

 改めまして、もちろん、ここにも資料があるんです。実際、三万人に一人というふうに基準を引き上げても、それよりも数多くの児童福祉司を既に配置している市や都道府県もあるんです。だから、でこぼこはあるんですけれども、それでもベースアップをやはりしていくためには、この四万人の一人という児童福祉司の基準を三万人に一人に引き上げていくべきだというふうに思います。

 改めまして、児童福祉法が政令で定めた国の基準、この基準の引上げも含めて検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 同じ答弁の繰返しになって申しわけないんですが、今の段階で、具体的な数字をもって、四万人に一人がいいのか、今は四万人に一人でありますが、それを三万人に一人かどうか、これは少し議論しなきゃいけないというふうに思います。

 ただ、いずれにしても、先ほど申し上げた、まず今の強化プランでやることを確実に実施をし、その上で、今の状況においても、それが十分なのかどうか、これは決して十分ではないんだろうというふうに思います。その上において、それは人数的な問題なのか、やはり、それぞれの子供さんの抱える事案が非常に難しくなってきて、一件当たりに大変時間がかかるということなのか。そういったことも含めてよく検証し、人数と同時に、人数の問題もあります、それから、やはり、その専門性の向上を図ってスキルを上げていくといいますか、いろんな子供さんに対応できる状況をつくっていくということもあると思います。そういったことを総合的に我々検討し、具体的に実施に向けて努力をしていきたいと思います。

山井委員 おっしゃるように、もちろん人数だけではなく、質の向上、専門性の向上、待遇の改善、そういうことをセットでしていかねばならないと思います。

 私も、政治家になった一つの理由は、私、六年間、酵母菌の研究を大学でしていて、理系だったんですけれども、同時に、児童福祉施設で、崩壊家庭の子供や虐待を受けた子供のボランティアをやっていまして、ところが、その子供たちの相談とか遊び相手とか、いろいろ家庭の相談に乗っても、もう足りないんですよ。児童福祉施設の現場も、困難ケースもたくさんありまして、それで結局、手が回らないうちに、犯罪が起こったり、非行が起こったり、けんかが起こったり、もういろんなことで非常に苦労が多かったんです。

 私は、そういう現場を見ながら、やはりこういう声を政治に届けて、そういう職員さんの数をふやす、まずは数をふやさないと、幾ら気持ちがあっても、困っている子供たちの悲鳴を受けとめることが、また保護者の声を受けとめることができないんです。ですから、ぜひとも人手の、人手というか、児童福祉司をふやすことについては決断をいただきたいと思います。

 それで、加藤大臣もすぐ今答弁できないのはわかるんですけれども、でも、これは年末の予算編成までに答えを出すということでもないと思うんです。やはり鉄は熱いうちに打てで、今、与野党を超えて、また国民の中で、この結愛ちゃんのような悲劇を繰り返しちゃだめだというときに、決断していただく必要が本当にあると思います。

 今おっしゃったような前倒しや上乗せ、あるいは国の基準の引上げ等々について、いつぐらいまでに結論を出されますか。

加藤国務大臣 今、児童福祉の、児童相談所のお話がありましたが、児童虐待に係る話というのは、厚労省の所管のみならず、文科省とか幅広い役所とも関係をしております。

 御承知のように、二十八年度から、こうした児童虐待の企画立案総合調整業務、これは内閣官房から厚労省に移管をしているところでありますので、私としても、単に厚労省のみならず、やはり政府全体として、今回のことを契機に、しっかり取り組んでいく必要があるだろうというふうに考えております。

 また、その上で、今お話がありました、今の段階で具体的に日程を示すというのは非常に難しいというふうに思いますけれども、今回の事案等も含め、あるいは、最近における児童虐待相談件数が非常に増加してきている、そして、本当に痛ましい事案が新聞で見る限りも連日出てきている、こういったことを踏まえて、現在の体制、あるいは、現在増加しようとしている、強化しようとしている体制で足りるのかどうか、こういった検証を早急にさせていただいて、必要な対応を厚労省において、また、厚労省を超えることがあれば、それは政府全体においてしっかり対応させていただきたいと思います。(発言する者あり)

山井委員 今、柚木さんが非常事態宣言だということをおっしゃいましたけれども、本当にこれは私たちも反省しないとだめなんです。この厚労委員会でも、何度も何度も、悲しいこういう虐待死の議論をしております。やはりこれは立法府の責任で、先ほども言ったように、三万人に一人に変える、千人をふやすのに六十億円。繰り返し言って申しわけないけれども、幼児教育無償化に八千億円使っているわけでしょう。経済政策パッケージに二兆円使っているわけでしょう。たった六十億円、千人の増加ができないということは全くないんですね、これは。

 繰り返し言いますけれども、一千万以上の所得の方々が数百億円、八百万円以上の年収の方々に千数百億円ぐらい無償化の財源が流れるんですよ。桁違いなんですよ。そういう状況において、今こそ国会が、そして政府が、虐待されている子供たちに応援するというメッセージを出すには、この引上げしかないと思います。

 今早急に検証するとおっしゃいましたが、じゃ、早急というのは、いつまでに方向性を出されますか。六月じゅうに出していただけますか。お答えください。

高鳥委員長 申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

加藤国務大臣 先ほど申し上げた、今の段階で具体的なスケジュールを明示し得るほど、今、検討あるいは整理が進んでいるわけではありませんので、できるだけ速やかに対応させていただきたいと思います。

山井委員 速やかに対応したいという言葉を信じたいと思いまして、この問題については本当に与野党関係ないと思います。今こそ、この厚生労働委員会というものが問われておりますので、早急に集中審議をして、現地視察もして、厚生労働委員会の与野党を超えた声によって、ぜひとも、さまざまな課題はいっぱいありますよ、まずは児童福祉司の増員、国の基準の引上げというものを、与野党を超えて皆さんと一緒に実現できるように、これからも議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 健康増進法、いわゆる受動喫煙対策は、これまで与党の中の調整が続き、塩崎大臣による政府原案は大きく変えられてしまいました。会期末の今ごろに審議入りというのは、本来ならあり得ないことだと思いますが、私にとってはきょうが初めての質疑でございますので、十分な審議時間を確保していただくよう、委員長また与党の委員にも強くお願いをしたいと思います。

 当然、きょうたくさんの方が質問されましたので、一部ダブりもあると思いますが、流れの関係で、なるべく調整をしつつ進めていきたいと思います。

 それで、資料の1ですけれども、二〇一六年十月十二日に出された政府のたたき台であります。受動喫煙防止対策の強化についてとタイトルがついています。基本的な方向性が、これは大変高い志がありまして、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック等を契機に、日本の受動喫煙防止対策をオリンピック開催国と同等の水準にするため、日本のスモークフリー元年を確実に実現すると。このまま政府案として出してほしかったなと思っております。

 質問は、おさらいになりますが、まず、受動喫煙とは何か。守られるべきは非喫煙者だけなのか。なぜ、望まない受動喫煙、つまり、望まないがついているのかについて伺います。

加藤国務大臣 まず、受動喫煙とは「人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされる」ということで、これは法律で定義をさせていただいております。

 この法案では、屋内において受動喫煙にさらされることを望まない方が、すなわち非喫煙者がそのような状況に置かれることのないようにする、子供など二十未満の方々、患者など受動喫煙による健康影響が大きい方々が主たる利用者となる施設等について受動喫煙対策を一層徹底する、これを基本的な考え方としているところでございます。

 受動喫煙に望まないがついている理由でありますけれども、例えば喫煙室内で喫煙をしている者の受動喫煙は対象としておらず、たばこの煙にさらされるのが嫌な方を受動喫煙から守る、これを目的としたものであることから、望まないという言葉をつけたところであります。

高橋(千)委員 これはちょっと整理したいと思うんですが、受動喫煙と言った場合に、その対象者は非喫煙者だけではないと思います。例えば一日一本しかたばこを吸わない人が喫煙室でたばこを吸って、いろいろ、ずうっと吸っている人の煙を吸うことも含めて受動喫煙と言っているはずです。ここを確認したい。

 それから、望まないイコール非喫煙者という、望む人はいないんだということでよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げた受動喫煙の定義は「人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされることをいう。」ということでありますから、人と書いてありますので、人は非喫煙者だけじゃなくて、喫煙者を含めた人ということに当然なるわけであります。

 それから、望むということでありますけれども、ここは、したがって、望まないという、先ほど申し上げた、こうした言葉をつけた一つの例示を申し上げさせていただきましたけれども、例えば、御自身がもちろんたばこを吸う目的ではありますけれども、喫煙室に入れば、当然、他人の吸われた煙を受動喫煙するということになるわけでありますけれども、そこは、今回においてそれは対象にしていないということでございます。

高橋(千)委員 ですから、今二つ分けて聞いたんですね。

 望まないイコール非喫煙者とおっしゃいました。ですから、非喫煙者、たばこを吸う習慣はないけれども、望む人はいるんだという意味ではないですよねということを確認したんです。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

橋本委員長代理 済みません、もう一回質問してもらっていいですか。

高橋(千)委員 さっき西村委員の質問に対する答えを聞いていてふっと思ったんですね。つまり、自分から吸いに行く人は、要するに、望まない人には入らないんだということをおっしゃいました。でも、吸わない人の中で望む人がいるかのような言い方はおかしいんじゃないかという意味で、非喫煙者は全て望まないということでよろしいのかと聞いただけです。

加藤国務大臣 非喫煙者は基本的に、多分、望まないことになるんだと思います。

 その上で、今委員は喫煙者の話で、喫煙者においても、通常のスペースでほかのたばこを吸っている方の煙というものを嫌う方は当然おられるわけでありますし、当然それは受動喫煙ということになります。

 ただ、先ほど申し上げたように、喫煙専用室等においては、それは必ずしもここで言っている望まないということには当たらないというふうに考えているわけであります。

高橋(千)委員 わかりました。

 ですから、本来ならば、望まないという表現は使わなくてもよいのだと思います。受動喫煙の中には当然喫煙者も入っているということが確認をできました。

 その上で、やはり望まないという人は、みずから望む、たばこを吸わないのに望んで受動喫煙するよという人はいないんだということで、ここは言葉が必要ないんじゃないかと思います。逆に、そのことによって、できない、今回の法案ではカバーし切れないことを暗に言っているのかなということがあるので、このことを重ねて指摘をしたかったわけです。

 二〇一六年八月に、国立がん研究センターが、受動喫煙に遭っている者はそうでない者に比べて肺がんになるリスクが約一・三倍に高まるとして、受動喫煙における肺がんのリスク評価をほぼ確実から確実に変更をしました。

 ですから、意識している、していないにかかわらず、受動喫煙を本当に防止をしなければならないわけです。日本でも毎年一万五千人が受動喫煙により亡くなっているというのは、繰り返し皆さんが指摘をされているところです。

 平成二十八年度の国民栄養調査でも、習慣的に喫煙をする方は一八・三%、二割を切っている。八割が非喫煙者なわけですよね。そのうち、四二・二%が飲食店で、そして三〇・九%が職場で受動喫煙をしている。ここまではっきりしているわけですから、やはりそこをピンポイントで対策をしていく、封じ込めていくということが必要なのではないかという視点で議論していきたいと思います。

 まず最初に伺いたいのは、受動喫煙の中にサードハンドスモーキングは含まれておりますか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のいわゆる三次喫煙、サードハンドスモーキングでございますけれども、これによります健康影響につきましては、現時点におきまして科学的知見が十分ではございません。このため、本法案の受動喫煙には含まれておらず、このような中で三次喫煙に関する規制を設けるということは、実効面での課題もあり、現時点においては考えてはございません。

 今回の法案は、我が国の受動喫煙対策につきまして、これまでの努力義務による自主的な対応によっていたものから、法律上新たに原則屋内禁煙を基本とする規制を設けるものでありまして、まずはこの新しいルールを混乱なく社会に定着させていくことで、国民の健康増進を着実に前進させてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 受動喫煙の中には含まれていないという答弁がまずありました。

 資料の二枚目を見てください。

 これは、二〇一六年九月に発表された通称たばこ白書にある文章であります。ですから、たばこ白書ですので、厚労省が発表しています。

 三次喫煙ということで書いています。ちょっと真ん中から下の段を読みますけれども、「三次喫煙の問題点は、一旦、有害化学物質が壁や埃に吸着するため換気といった対応では解消できないことが上げられる。三次喫煙の概念が報告されてからまだ数年のため、現段階で三次喫煙による健康影響を示す疫学調査報告は見当たらない。」ここまでは何度もおっしゃるわけですよね。それで、「最近は家屋の埃にも発がん性のたばこ特異的ニトロソアミンが含まれるなど三次喫煙を示す実験結果は、次々に報告されている。今後、わが国においても三次喫煙に関する研究成果が蓄積され、健康影響に関する報告が増えることが予想される。」

 研究成果が蓄積され、健康影響に関する報告がふえることが予想される、そういうふうに厚労省自身が書いている、これをちゃんと受けとめていただきたいと思うんですね。

 皆さんもよく経験があると思うんですが、私なども、ホテルの禁煙ルームを希望するんだけれども、あきがなくて喫煙ルームにやむなく入りますと、幾ら消臭剤をかけた後だとしても、においで頭が痛くなります。タクシーで前の人が吸ったなとすぐわかります。実はきょうのことなんですが、けさ、本館からエレベーターに乗っておりようとしたら、二人の男性がおりてきまして、強いたばこ臭で正直吐きそうになりました。

 こういうことというのは本当によくあるんですけれども、化学物質過敏症というのは、吸っていたわけじゃないんですよ、残っているんですよ、外で吸っていた人のにおいが。過敏症というのは、こうしたことがきっかけで発症するわけですよね。

 実際、化学物質過敏症の専門外来のある国立盛岡病院を受診された方の中には、職場で隣の席の人がヘビースモーカーだったために、部屋の中では吸っているわけじゃないんですよ、だけれども、においに発症し、一年間の休職を余儀なくされた。職場の車に乗ったときに、前に乗った人のたばこ臭があって目や喉がちかちかする、それで窓をあけて運転したんだけれども、その後、少しのたばこ臭でも反応するようになり、結局、過敏症になった。狭い車内だからこそ、高濃度の汚染状態となっていたためです。

 先ほど尾辻委員が、PM二・五の資料を見せていただいたと思うんですけれども、このようなことを、やはり現時点であるんだ、そしてふえる見通しがあるんだということは、その認識くらいは共有できると思いますが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 私もたばこを吸いませんので、非常に今、高橋委員おっしゃるところ、よくわかるところもございます。

 ここにありますように、一つあるのは、健康影響を示す疫学調査報告がないということ、これが今の現状だと思います。

 ただ一方で、そうした発がん性等の物質というんでしょうか、そうした実験報告が出されているということでありますから、我が方としても、まずそうしたさまざまな文献等をしっかり収集し、また分析をして、こういった問題にもしっかり当たっていく必要があると思いますが、ただ、現状は、先ほど申し上げたように、まだそこまでの分析をし得る状況に至っていないということでございます。

高橋(千)委員 まずは共有するところから始める。

 それで、いわゆる禁煙外来、今どのくらいあって、どのような症状に対し保険点数がついているのでしょうか。

鈴木(俊)政府参考人 お答え申し上げます。

 禁煙外来につきましては、診療報酬におきまして、ニコチン依存症管理料を設けて評価を行っているところでございます。

 この管理料でございますけれども、スクリーニングテストでニコチン依存症と診断された方であって、習慣的な喫煙者として一定の要件を満たす方のうち、直ちに禁煙することを希望していらっしゃる患者さんに対しまして、禁煙指導を行った場合に算定するものでございます。

 このニコチン依存症管理料の届出機関数でございますが、増加傾向にございまして、平成二十八年時点では一万六千五百十三機関でございます。

高橋(千)委員 初回は二百三十点というふうなことも聞きました。

 一万六千五百十三届出機関になっている、ふえているということでありまして、やはり禁煙外来というのが一定の、これは全部かなうことではないかもしれませんが、保険点数になっているということは重要だと思うんですね。

 それで、二〇一六年十月八日に、日本禁煙学会は、受動喫煙症の分類と診断基準、これを十一年ぶりに改訂しました。そして、受動喫煙にはサードハンドスモーキングを含むと加えられました。たばこ煙あるいはたばこ臭を嗅ぐことで起こる、この中に、電子たばこ、加熱式たばこも同じ扱いになっているわけです。

 レベルがゼロの正常から五の重症受動喫煙症まであるんですけれども、このレベル五になりますと、急性・慢性受動喫煙症の経過中に、致死的な病態又は重篤な後遺障害の合併に至ったものとして、悪性腫瘍、肺がん、副鼻腔がん、子宮頸がんなど、乳幼児突然死症候群、クモ膜下出血、脳梗塞、心筋梗塞などがあるというふうになっています。

 私が言いたいのは、まだ始まったばかりではあるんですけれども、今後、サードハンドスモーキングについても、やはり基準ができたわけですから、症例が積み上がっていくと思うわけなんです。

 そこで、第二十五条の六に、「国は、受動喫煙に関する調査研究その他の受動喫煙の防止に関する施策の策定に必要な調査研究を推進するよう努めなければならない。」とあるわけです。

 それで、まず、たばこ白書は二〇一六年九月に発表しましたけれども、今後どのようなスパンで出していくのか、また、当然、そうした調査研究の中に、今お話ししたサードハンドスモーキングも入れていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今委員御指摘のこれはたばこ白書と呼ばれて、ただ、白書と呼ばれている割には毎年出ているわけではありませんけれども、については、たばこの健康影響に関する科学的知見の蓄積状況や、たばこを取り巻く社会的変化の状況、こういったことを見ながら、必要な更新を検討していきたいというふうに思います。

 これは二〇一六年九月に公表したところでありますから、しかも、それは十五年ぶりということでありました。十五年というのはちょっと長過ぎたという感じは私も持つところでありますけれども、最近できたということもございますけれども、そうした状況を踏まえながら、更新をしていくということでは検討していきたいというふうに思います。

 それから、三次喫煙の話であります。

 法案の中の受動喫煙にどこまで含み得るのかという議論がありますので、余り厳密に言うと、入るのかなという議論もありますが、ただ、幅広い意味で研究していくということで、このサードハンドスモークですか、いわゆる三次喫煙については、いまだ、先ほど申し上げた、健康影響について明らかになっておりませんけれども、今後、国内外の研究結果等、知見の収集等に努めていきたいと考えております。

高橋(千)委員 きょう初めてこの問題を質問しましたので、今の言葉の中に意が含まれているというふうに受け取りたいと思います。

 それで、次に、既に詳しく取り上げた委員もおられますけれども、FCTC、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の趣旨と本法案の関係について伺いたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約、FCTCでございますが、これは、たばこの消費等が健康に及ぼす悪影響から現在及び将来の世代を保護することを目的とし、たばこに関する広告、包装上の表示等の規制及びたばこの規制に関する国際協力について定めたものでございます。

 この条約の第八条には、たばこの煙にさらされることからの保護に関する規定が定められており、本法案の内容は、同条を踏まえた措置に対応しているものでございます。その他の規定を踏まえた措置につきましては関係省庁で対応することとしており、二年に一度、厚生労働省が、条約の履行状況につきまして世界保健機関の条約事務局に報告をすることとなってございます。

 以上でございます。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(千)委員 資料の三枚目に、これは厚労省がまとめてくれた枠組み条約の中身を、概要をつけておいたんですけれども、一番右下にわざわざ、注、ガイドラインに法的拘束力はない、こう書いているのが、厚労省が言いたいことなのかなというふうに思いますね。

 先ほど来多くの方が議論をされているわけですけれども、二〇〇七年の第二回FCTC締約国会議、第八条履行のためのガイドラインの中で、やはり受動喫煙の被害をなくすには完全禁煙以外の方法はないということを言われているわけですが、日本は、これは全く別物の、今の法案は完全禁煙するべきだというガイドラインとはやはり別物なんじゃないか。それは、法的拘束力がないからいいのよと思っているのか、あるいは、いや、目指していくんだという意味なのか、伺いたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 今お話ございましたが、FCTCのガイドラインにおきましても、直ちに例えば屋内全面禁煙が実施できない場合には、最小限の例外を設けて、その例外をなくすよう継続的に努力をすることを求めているものでございまして、そういった観点からも、本法案がこれに反するものではないというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 今のお答えは、じゃ、継続的にということは、五年後の見直しもありますし、当然これは完全禁煙を目指していくという趣旨でおっしゃいましたか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 望まない受動喫煙をまずなくしていく、そういう観点から法律の円滑な施行を目指していきまして、その上で、その実施状況も踏まえまして必要な見直しをしていくという形で考えているところでございます。

高橋(千)委員 今の答弁の中に、望まない受動喫煙をまずなくしていくと。だから、そこに望まないを入れているのはそういう趣旨なんだよねという、完全禁煙にはかなりほど遠いけれども、たどり着くかどうかわからないけれども、一応掲げているけれども、その一歩だという程度の認識なわけですよね。それをもって違反ではないと言っているということは、非常に残念に思っております。

 それで、時間の関係でこちらから言ってしまいますけれども、資料の4に、これもよく指摘をされているわけですが、WHOの調査で、世界の百八十六カ国中、公衆の集まる場所八種類全てに屋内禁煙義務の法律があるのは五十五カ国です。日本はその法律がないので最低区分、これは今現在そうですよね。そのゼロから二種類のところに日本が入って、アメリカと仲よく入っているわけです。

 ただ、今般の健康増進法改正法案により、区分は一ランク上がる。一ランクですよね。これは五年に一回一つ上がるくらいではちょっと全然間尺に合わないわけで、今の答弁とこの最低区分のランクの問題、いかがですか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 まず、WHOの評価基準についてでございますが、これは八種類の公衆の集まる場所、パブリックプレーシズの中で、完全禁煙の種類数で評価をしているものでございます。

 現在、我が国では罰則つきの規制が導入されていないため、四区分のうち、ゼロから二種類、先ほどお話ありました最低区分のところで評価をされているところでございますが、本法案が可決、成立して施行されることになりますと、一つ上の三から五種類の区分になるというふうに考えてございます。医療機関、大学以外の学校、そして大学の三つはカウントされるものと想定をされております。

 いずれにいたしましても、望まない受動喫煙をなくすという法律の適正な施行によりまして、さらなる受動喫煙対策というものを進めていくことが必要であるというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 やはりそういうところに覚悟が見えるんだろうと思っております。私は、例外が多過ぎると言わなければならない、最初の案に戻るべきだと思っております。

 資料の5ですけれども、少し飛ばします。

 受動喫煙対策により、現状がどのように変わるのかということで、五五%が経過措置の対象になっているのは多いんじゃないかとか、百平米の根拠は何かとか、さまざま質問を用意しておりましたけれども、大体質問も、それ自体が果たして根拠があるのかということも含めて議論があったので、少しそこは飛ばしたいと思います。

 私が思うには、既存の飲食店のうち経営規模の小さい店舗は、言っちゃ悪いが、今までと何も変わらないんですよね、経過措置と言いながら。二十未満の人が入っちゃいけないということと、表示をちゃんとしなさいというだけで、結局何も変わらない。

 経過措置と言いながら、期限がわからない。これはやはり絶対おかしいと思います。それで、新しい人はちゃんとやりなさいと。これはダブルスタンダードじゃありませんか。

加藤国務大臣 本法案では、既存の飲食店のうち経営規模が小さい事業者が運営するものについては、直ちに喫煙専用室等の設置を求めることが事業継続に影響を与えると考えられることから、一定の経過措置を講じたものであります。

 こうした一定の経過措置を講じた事業者においても、先ほどのお話に加えて、そこで働く人に対する配慮等、これも求められているわけでありますけれども、法施行後に新たに開設する飲食店については、これはもう法施行されているわけでありますから、何をどうしなきゃいけないということが既にそこで明らかになっているわけでありますので、それを前提に開設ということを当然お考えになられる。であれば、喫煙専用室を整備する費用も含めて、開設に必要な資金を事前に確保し得るということにもなるわけでありますので、現在の既存の店舗とは状況が異なるということから経過措置の対象とはしていないということでありますが、こうした規制は、規制を入れるときにはあり得るやり方だというふうに思っておりますので、合理的なものであるというふうに思います。

高橋(千)委員 二〇一七年の三月二十四日の発表ですが、九州看護福祉大学の共同研究グループのプレスリリースがあります。厚労省原案、最初の案に、性別、年齢、職業、業種などに偏りなく、賛成が七三・一%でした。飲食業に従事している方々も、六五・四%が賛成しています。

 ですから、何か声の大きい人がいたかもしれませんが、飲食業の方たちも三分の二は賛成している。やはりそういう立場で議論をしていかなければ、だって、ダブルスタンダードと私は言いましたけれども、もし、いきなりは無理よというのであれば、ちゃんと期限を区切ればいいじゃないですか。それでこそ経過措置というんじゃありませんか。

加藤国務大臣 経過措置については、国民の意識、あるいはそれぞれの取組状況、そういったことを勘案して判断するということで、具体的にというか、考え方の基本は、そこの中に設けさせていただいているところでございます。

高橋(千)委員 ですから、全くその見通しが出てこないわけなんですよ、経過措置といいながら。普通であれば、五年の見直しの間までに一定整っているというのが普通じゃないですか。

加藤国務大臣 ですから、そこは、別に法律に定める日までの間ということで、そして、別に定める日については、本法案の施行後、受動喫煙防止に関する国民の意識や既存の特定飲食提供施設における受動喫煙防止のための取組の状況、これを勘案して適切に判断するという一つの判断基準も、判断の考え方もこの法案の中に盛り込ませていただいている、こういうことであります。

高橋(千)委員 残念ですよね。五年の見直しまでにさえも言えない。だから、さっき言った、ランクが最低から一ランク上がるだけですけれども、到底、目指す枠組み条約にふさわしいとは言えない、批准した国とは言えないと指摘しなければならないと思います。

 それで、具体的に聞きますが、喫煙専用室、どのようなものですか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 喫煙専用室につきましては、第二種の特定施設につきまして、専ら喫煙をするという場所として規定をされているものでございます。

 具体的には、たばこの煙が他に漏れないというようなところで規定をしているところでございますけれども、具体的な基準等につきましては、今後、法案が成立した後で、有識者を交えて検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 漏れない以外の基準、今何も言えないんでしょうか。だとすれば、ふさわしい対策をとったとさえ言えませんよ。

福田政府参考人 お答えいたします。

 一つは、現在、労働安全衛生法の中で進めております取組、これを一つの参考としてというところでございまして、その部分につきましては、入り口部分での風速が〇・二メートル、それからいわゆる隔壁で遮断をきちっとされているといったようなところが参考になるというところでございますが、具体的な点につきましてはこれから検討してまいるということでございます。

高橋(千)委員 最初にそうお答えになるべきだったと思うんです。労働安全衛生法の基準を一定参考にするんだというふうに説明を受けております。

 それで、資料の6を見てください。

 これは、まず屋外の話です。喫煙専用室は屋外の話をしてから質問したいと思います、考え方の整理が必要なものですから。

 まず、さっきの資料の中で、敷地内禁煙と言っている部分も、学校、病院、児童福祉施設等も敷地内禁煙なんだけれども、屋外で受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所に喫煙場所を設置することができる、こういうのがあるわけなんですよね。

 それで、屋外の喫煙所ってどんな基準がありますかということで出していただいたのがこれで、「労働安全衛生法の一部を改正する法律に基づく職場の受動喫煙防止対策の実施について」。職場の受動喫煙防止対策ですから、完全に一致とは言えないと思いますが、参考になると思います。平成二十七年の五月十五日なんですが。

 屋外というのは、開放型と閉鎖型というのがある。外から内部が見えること、これもなるほどなと思っているんですけれども、これは、たばこ煙を速やかに屋外喫煙所の外に排出するためには、煙が内部に滞留せず、また天井に沿って水平方向に拡散しないようにすることが効果的であるというので、図があって、天井が斜めで、あえて開口部があるということで、ああ、そうか、屋外というのは煙を外に出す仕組みなんだなと思ったんです。

 そうすると、言いたいことはわかると思うんですが、学校とか病院とかの敷地の中で、屋内は禁煙ですといっても、その出入りする場所は、幾らスペースが設けてあったとしても、煙は外に出すわけなんですよね。それはやはり受動喫煙になるよなと思うわけなんです。

 それで、まず安衛部長に、この考え方についてちょっと一言説明いただきたい。

田中政府参考人 屋外喫煙所の関係での御質問ということでございますけれども、今お示しいただいている資料、これは2の(2)というところですけれども、2の(1)のところに屋外喫煙所の設置場所というのがございまして、その開放系のところについて御説明しますけれども、たばこ煙が事業場の建物の内部に流入すること等により、労働者が受動喫煙することを可能な限り避けるためには、建物の出入り口や窓、人の往来が多い区域から可能な限り離して設置することが効果的であるというふうに書いてあります。

 ですから、喫煙所自体の構造とあわせて、これをどこに設置するかといったことについても配慮すべきということをお示しさせていただいておりまして、これは全く事業所の外で設置するものですけれども、そこから流れる煙についても適切に配慮するようにお願いをしているところでございます。

高橋(千)委員 外なんだけれども、出入り口にもろに煙が行っちゃうでは意味がないという説明が今あったんです。

 だけれども、校庭の、玄関、校舎の入り口からうんと遠いところにあったって、いずれ、帰る子供たち、朝出てくる子供たち、あるいは校庭で鉄棒をやる子供たち、それは、少しは離してやりますよといったって、結局は煙は外に出すわけですから、やはりこれは設けないというふうに整理するべきだと思うんですね。

 文科省の調査だって、九割以上は既に全面禁煙になっている、学校敷地内は全面禁煙になっているわけですから、こういう、外に置いてもいいなんてことはやめたらいいんじゃないでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきましては、病院や学校等の第一種施設は敷地内禁煙としているところでありますが、敷地内を全面禁煙とした場合、施設外での喫煙に伴います近隣施設等との摩擦などの問題も生じ得ること等から、特定屋外喫煙場所において限定的に喫煙を認めることとしたものでございます。

 なお、特定屋外喫煙場所につきましては、これは、望まない受動喫煙を生じさせないように、施設の利用者が通常立ち入らない場所などを想定しているところでございます。

高橋(千)委員 これは言えば言うほどおかしくなるんですよね。

 きのうも随分やりとりしたんですけれども、玄関から離すんだ、敷地の外だといったら、敷地の外になったら他人の敷地なんだから、他人の敷地に置くわけにはいかないでしょうとなったら、その敷地の際に置いてしまったら、やはり、今言ったように、近隣の方に御迷惑をかけるじゃないですか。やはりおかしいんですよ、この考え方は。やはり、例外として外に置いてもいいということをやめるべきだと思うんです。

 では、中の方はどうなのか。中の方は、では安全なんですかということなんですけれども、資料の7に、これは安衛法における喫煙専用室の考え方。これは中ですので、いきなり、例えば本会議場の前にもエリアがありますけれども、あそこからもくもくと煙が出ていたら大変なわけで、ダクトとか換気扇と空気清浄機の合わせわざみたいな状態になっていることと、それから、出入りのときに煙が漏れない工夫というふうなことを説明を受けました。なるほど、しかし煙はやはりどこかに出さなきゃいけないのであって、専用室だからといって煙がなくなるわけではないという、かなりの限界があるなと思うんですね。

 この資料を見ても、要するに換気扇か、この程度のことを言っているのかなというふうに思うんですが、安衛部長、一言、あったらお願いします。

田中政府参考人 事業場の中に喫煙室を設けて対応する場合でございますけれども、この場合、ここにも書いてありますように、まず、しっかりとした換気装置といいますか、これは単なる空気清浄装置ではなくて、それではなかなかガス成分が取れないものですから、空気全体を屋外に排出するということを推奨しております。

 それによって喫煙室の中の滞留を、速やかに煙の滞留を解消していただくとともに、喫煙室から喫煙できない場所への逆流を防ぐために、〇・二メートル毎秒の気流を確保してくれということでございます。

 この気流の基準につきましては、平成十四年に専門家の方に御検討いただきまして、この気流を確保していれば、開口部からの逆流については問題ないであろうということで基準を定め、さまざまな助成金を今支給しておりますけれども、助成の対象とする喫煙室の基準についてもこの基準で対応させていただいているところでございます。

高橋(千)委員 やはり、こういう限界があるということなんだと思うんです。

 ちょっと、問いがいっぱいあって、時間との競争を今しておりますので、冷静に次に行きたいと思うんですが、資料の5に戻っていただきたいと思うんですね。

 この真ん中の部分、規制がある、飲食店のうち百平米以上のところですね、あるいは新たに開設する店舗のところなんですけれども、喫煙専用室設置又は加熱式たばこ専用の喫煙室設置、こういうふうにあるんですね。

 加熱式たばこの専用の喫煙室というのは飲食も可能だと聞いています。そうすると、専用室といっても、百平米のうちの何割とかという決まりが一切あるわけではありませんので、同じフロアで違う専用室を設けるというのは非常に考えにくいと思うんですね。加熱式たばこを吸う人が、その専用室がなくて、喫煙者の方に入ることはありだと。でも、その逆はまずいということも聞きました。

 これは非常にややこしいと思いますが、どのように考えますか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 今般の法案では、禁煙措置や喫煙場所の特定を行いまして、喫煙が可能となる場所に掲示を義務づけることといたしております。

 この掲示につきましては、誰にでもわかりやすいものとする必要があると考えております。今後、モデル的な様式をお示しすることも含めまして、しっかりと内容を検討していくことで、今御指摘ございましたけれども、間違えてしまったり、迷ってしまったりというようなことを極力減らしていくような努力をしてまいりたいと思います。

 御指摘のように、間違って入室することがないよう、加熱式たばこ専用の喫煙室と喫煙専用室の標識につきましても、その違いが明確にわかるような内容となるように検討してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 さっき一言指摘をするのを忘れたんですけれども、小さい規模で、大臣、すぐには大変だとおっしゃったんですけれども、全面禁煙、条約のもとになる全面禁煙をすればお金は一円もかかりませんから、そうすると、自分のところだけ不利だということもないですから、やはりそういう立場が一番わかりやすいと思うんですね。これは、加熱式たばこと紙巻きたばこが間違えるかもしれない、わかりやすくやるんだとか、こんなことまで考えなきゃいけないという、本当に異常な事態だと思うんです。

 ですが、加熱式たばこの議論、先ほどもありました。国内で製造、販売されているのは三種類あるわけですけれども、いずれも葉たばこを使っている。だから、法令上はたばこ事業法における喫煙用の製造たばこなわけですよね。

 そうすると、WHOの受動喫煙防止対策においても加熱式たばこは区別していないと思いますが、いかがでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 WHOにおきましては、たばこという枠組みの中に加熱式のたばこというものは含まれるということで、一定の規制をすることについてはお考えをお示しになっておりますけれども、具体的にどのようにという点については、まだ具体的な情報はない、そういう状況でございます。

高橋(千)委員 時間がなくなってきましたので、これを最後の質問にして、また次の機会、お願いしたいと思います。

 二〇一七年七月二十一日に日本禁煙学会が、緊急警告、加熱式電子たばこは普通のたばこと同様に危険です、受動喫煙で危害を与えることも同様で、認めるわけにはいきませんということで、アイコスの蒸気の内容物について、その含有量を普通の紙巻きたばこと比べた、アメリカの医師会の雑誌にスイスの学者が公開した資料。ニコチンの量が紙巻きたばこの八四%、アクロレインが八二%、ホルムアルデヒドは七四%、ほぼ変わらない、こういう指摘があるわけなんですね。

 それで、きょう大臣にどうしても伺いたいのは、こういう中で、加熱式たばこが禁煙の一つのステップみたいに宣伝をしたり、使っている人もいるんですが、そういう使い方は推奨するべきではないと思いますが、考え方を伺います。

加藤国務大臣 加熱式たばこなどの新規たばこの製品群、これは、禁煙したいと思っている喫煙者にとって魅力的であるということを示されているということは承知をしておりますが、これらの製品が禁煙に有効であるかどうかについては、相反する研究があるというふうに承知をしております。

 支持する方々からは、新規製品に禁煙への潜在的な可能性があり、紙巻きたばこより安全な製品への切りかえを促すという主張、いわゆるハームリダクションということを言っておられます。

 しかし、他方で、今委員が取り上げられた例もそうだと思いますけれども、その反対の立場の方からは、これらの製品が逆に喫煙者の禁煙意欲を低下させ、結果的にたばこ消費を増加させるリスクがあるなどという主張がされて、専門家の間でも意見が分かれているというふうに承知をしておりまして、現時点でいずれかの結論には達していないと考えておりますし、そういう状況ですから、推奨するという状況には当然ないというふうに認識をしております。

高橋(千)委員 最後に明確な答弁をいただいてよかったと思います。また続きをやりたいと思います。

 終わります。

高鳥委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 この手の法案というのは党内でも議論をするのが大変難しいわけでございまして、喫煙者と喫煙しない者というのが両極端に分かれて、真ん中をなかなか選べないということでございます。私は、オリパラに向けて受動喫煙防止議連に入っているということなので、きょうの質問もそういう方向で質問させていただきますが、うちの会派の控室は小さな一部屋しかございませんで、そこは喫煙可になっているわけでございます。もう逃げ場がありません。選挙に弱いと、こういう厳しい現実が待っているんだなと実感しているわけでございますが。

 まず最初に、たばこは、国として、健康被害を発生させるものであるということを正面から認めたということでよろしいんでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省としては、平成十六年に国会でも承認をいただき、我が国も批准しておりますたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約にもあるとおり、たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されているものと認識をしているところでございます。

 具体的には、喫煙や受動喫煙によりまして、肺がん、脳卒中などの疾患リスクが高まるものと承知をしているところでございます。

串田委員 そういう病気であるということを認定されたということなんですが、禁煙外来というのが健康保険で適用されている根拠というのは、どういうことなんでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 喫煙そのものは病気ではないわけですが、喫煙を通じまして、たばこの煙に含まれます依存性物質でございますニコチンを吸引することにより、ニコチン依存症という疾病が引き起こされるところでございます。ニコチン依存症になりますと、禁煙をすることが困難となり、喫煙が続くことで肺がんや脳卒中などの疾患リスクが高まると考えられるわけでございます。

 このため、平成十八年度の診療報酬の改定におきまして、ニコチン依存症と診断された患者のうち禁煙の希望のある者に対する禁煙指導を評価するニコチン依存症管理料を新設したところでございます。

串田委員 ところで、健康保険法の百十六条には、故意によって給付事由を生じさせた者には給付を行わないという規定があるわけですよね。無理やり吸わされるのであればそれは故意ではないと思うんですが、喫煙というのはみずから吸うわけですよ。体にも悪いというのはもう示されているわけですから、故意にこういう給付事由を生じさせたということで、これは法律上問題ないんでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 第三者行為というか、本人のという、そういった議論があったことは承知をしてございますが、そういった議論も踏まえ、中医協の議論の中で、健康保険の適用という形で進められているものと理解をしてございます。

串田委員 いや、今のは議論の中でという、法律上は百十六条に完全に僕は反していると思うんですよ、故意ですから。これを議論でどうやって乗り越えているんでしょうか。

高鳥委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 済みません。今、ちょっと突然の御質問なので、ちょっと私ども、今、的確に答弁できる資料また者がおりませんので、整理をさせていただいて、後ほど答弁させていただきたいと思います。

串田委員 ところで、国が病気になるものであるということを認定している、そういうものを国が販売を許可している根拠というのはどういうことなんでしょうか。

市川政府参考人 御答弁申し上げます。

 たばこは、我が国には十六世紀末ごろヨーロッパから伝来したという説が有力なようでございますが、いずれにせよ、他国と同様、嗜好品として国民の間に広く受け入れられてきた長い歴史がございます。そうした中、戦後、喫煙と健康に関する社会的意識が高まる中で、科学的知見が蓄積され、現在は、先ほど健康局長から御答弁がありましたとおり、喫煙が特定の疾病に対するリスクであることが科学的に認められております。

 このような経緯のもと、たばこについては、合法的な物資ではあるものの、消費者が喫煙と健康に関するリスクを適切に認識した上で喫煙するか否かを判断できるよう、たばこパッケージに注意表示を義務づける等、厳格な規制を講じ、そのもとでのみ流通を認めているところでございます。

串田委員 たばこの横に書いてあるのは私も承知しているんですけれども、だからこそ、そういうことで承知をしているということが今回クリアしている理由だと思うので。受動喫煙というのは、まさにそういうようなことに対して了解を得ていないわけですよね。ここがやはり、受動喫煙に対しては厳格な規制をしていかなきゃいけない、スタートラインだと思いますので、そういったようなところを考えていただきたいなと思います。

 次に、店舗の規模に区別が設けられているわけですけれども、小規模店舗に関しては規制をするのが難しいというような、これは、どういうことが理由で小規模店舗に関しては規制外ということになるんでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 今般の法案では、飲食店につきましても原則屋内禁煙として、喫煙を認める場合には喫煙専用室等の設置が必要となります。

 この際、既存の飲食店のうち経営規模が小さい事業者が運営するものにつきましては、直ちに喫煙専用室等の設置を求めることとすると事業継続に影響を与えることが考えられるところでございます。

 このため、一定の猶予措置を設けることといたしまして、具体的には、経営規模につきましては資本金及び面積で判断をすることとさせていただき、資本金につきましては資本金五千万円以下、面積につきましては客席面積百平米以下を要件としたところでございます。

串田委員 健康に悪いということをはっきりと国が認めている中で、分煙の施設を設けるのが小さい規模であれば難しいということではあるんですけれども、ならば、そんな施設をつくらないで全面禁煙にすればよかったのではないかなと思うんです。厚労省は健康のためにある省でありますので、小規模の店舗の経済的な、経産省じゃないんですから、経産省と同じような発想で、そういうふうな考えというのは必要ないんじゃないか。

 特に、イギリスのパブでは、全面禁煙になると営業利益が上がったという報告もあるんですけれども、全面禁煙になると小規模というのが経済的に悪くなるという証明とか、何かそういう根拠はあるんでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 経営への影響についてでございますけれども、例えば、WHOのIARC、国際がん研究機関によります報告におきまして、レストラン、バーなどを全面禁煙にしても、総じてマイナスの経済影響は認められなかったとの記載があることは承知をいたしてございます。

 しかしながら、この調査につきましては、屋外についての規制のない海外におけるデータであることや、個別の飲食店ごとに見た場合には、禁煙化に伴ってプラス、マイナスの両面の影響が生じること、これらについては否定をされていないことも踏まえますと、今回の受動喫煙対策が個別の店舗の経営に影響を与えないと言い切ることは難しいと考えております。

串田委員 喫煙ができる場所には二十歳未満の者は入れないということをお聞きしております。また、その健康被害に関しては、損害賠償というのが別の委員から質問がありまして、民事としては因果関係や故意、過失、そういう話があったんですけれども、仮に、従業員の中でも、分煙になったときに、若い子と一緒に働いている人もいるでしょう、そのときに、二十歳未満の人は喫煙のところには行かせないということだと思うんですけれども、だからといって、二十歳以上であればそっちに行ってねと店長というか経営者が言われたときに、非常に嫌だなと思う従業員もいると思うんです。そういう中で、そこに行かせるということはパワハラにならないんでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、たばこの煙にさらされることを望まない従業員につきましては、望まない受動喫煙から守るための対策が必要でございます。

 施設の管理権原者などに対しまして、喫煙可能な場所への二十未満の方の立入りを禁止する義務を課すことに加えまして、事業者等に対しまして、従業員の受動喫煙を防止するための措置を講ずる努力義務規定を設けるとともに、例えば勤務シフト等の工夫により受動喫煙対策を行うなど、対策の具体例をガイドラインで示すことなどによりまして、従業員の望まない受動喫煙が生じないように対応していくということで考えているところでございます。

 なお、御指摘の状況がパワーハラスメントに該当するかどうかにつきましては、その内容や状況に応じまして個別に判断する必要がございまして、一概にお答えすることは困難でございます。

 ただし、一般論といたしましては、厚生労働省において行われた職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会の報告書におきましては、職場のパワーハラスメントの概念は、一つとして、優越的な関係に基づいて、優位性を背景に行われること、二つとして、業務の適正な範囲を超えて行われること、三つとして、身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること、この三つの要素のいずれも満たすものと示されているところでございます。

 この検討会の報告書によりますと、職場におきますパワーハラスメントに該当するかどうかにつきましては、その行為が業務の適正な範囲を超えているか、それが精神的、肉体的苦痛を与えるのかなどを評価した上で、個別具体的に判断されることとなるというふうに承知をしているところでございます。

串田委員 今、三つの要件をお話をいただきましたが、まさに見事にこれに全部当たっているのではないかな。上下関係で、精神的、肉体的にも苦痛を感じるわけですし、職場環境は悪いですよね。非常にパワハラになる蓋然性は高いと思います。

 そのために、従業員が、私はそういうところに物を運びたくないというようなことで拒絶をした場合に、不利益扱いを受けるということがないということでよろしいでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 まず、たばこの煙にさらされることを望まない従業員につきましては、望まない受動喫煙を防ぐ観点から、例えば勤務シフトの工夫などにより対応するなど、各事業所の実情に応じて対応いただきたいと考えております。

 なお、従業員が喫煙場所への立入りを拒絶した場合に、使用者が業務命令違反として従業員の処分等を行うことについては、民事の問題でありまして、最終的な判断は司法に委ねられるものではございますが、一般論として申し上げますと、まず、使用者の業務命令自体の有効性については、労働契約法第三条第五項の権利濫用禁止の規定に照らして適法なものである必要があり、就業規則や労働契約等の内容にのっとった有効なものでなければ、当該業務命令自体が権利濫用として無効とされる可能性がございます。

 また、当該業務命令に違反したことに対して従業員を降格等の懲戒処分にすることについて、懲戒処分に関して就業規則や労働契約等に明記されている必要があるほか、懲戒処分自体が、労働契約法第十五条の懲戒権の濫用規定に照らして適法なものである必要がありまして、懲戒処分が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らしまして、客観的な、合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、権利の濫用として無効となる可能性がございます。

 厚生労働省といたしましては、こうした労働契約法上の民事問題につきましても、都道府県労働局に相談があった場合には、必要に応じて啓発指導等を行うなど、使用者に慎重な対応を促しているところでございますが、職場におきましても、業務範囲等について事前に労使間でよくコミュニケーションをとるなど、トラブルにならないように努めていくことが望ましいと考えているところでございます。

串田委員 二十歳未満の場合には入れないということなんですけれども、そういったような分室、分煙のところで、二十歳以上であれば入ることになるわけですが、例えば二十歳以上の女性が妊娠をしたような場合、これは、二十歳未満は入れないというのははっきり書いてあるんですけれども、こういった妊娠をしたような場合には、労使関係で何か話合いをするのではなくて、明確に、そういう場合にはそこに行かせてはいけないということを示すべきだと思うんですけれども、法案としては、その点、どうなっているんでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案では、受動喫煙によります健康影響が大きい子供、患者等に配慮する観点から、学校や病院などの子供や患者、妊婦等が主たる利用者になる施設等については敷地内禁煙、それ以外の施設につきましては、原則屋内禁煙としつつ、喫煙専用室でのみの喫煙ができることとしてございます。

 このほかに、今お話ありました、成人の妊婦の方につきましては、喫煙が可能となる場所への標識の掲示をまず義務づけることによりまして、喫煙可能場所を認識することができるほか、従業員への受動喫煙対策につきましては、事業所等に対しまして、従業員の受動喫煙を防止するための措置を講ずる努力義務規定を設けるとともに、妊婦の方には特に配慮が必要であることも含めまして、対応の具体例をガイドラインで示すこと、また、事業主が求人を行う際の明示事項に、職場におきます受動喫煙対策の状況を追加することなどによりまして、妊婦の方も含めまして、望まない受動喫煙が生じないよう対応していくことといたしております。

 また、妊婦の方、子供や患者などは受動喫煙による健康影響が大きいことも含め、今回の法案の趣旨を広く国民に理解をいただくことが重要と考えておりまして、国民への周知啓発も行ってまいりたいというふうに考えております。

串田委員 みずからそうやって行くような人が、妊婦であれば確かに自分でみずから避けるんだと思うんですけれども、私の質問というのは、先ほどちょっとお話がありましたけれども、従業員が妊娠をしたときに、努力義務ということではなくて、妊娠をしている者にそういうところに行かせるというような飲食店、そういったようなことはできないんだということを、これは啓発活動といいますか、周知徹底というものをやはりしていただきたいなと思っております。

 次に、完全禁煙の場所というものをすぐにわかるようなマップというものをぜひ政府でつくっていただきたいと思うんですけれども、そういう予定はないんでしょうか。

大沼大臣政務官 本法案では、望まない受動喫煙をなくすためには総合的かつ効果的な対策を進めていく必要があると考えておりまして、禁煙措置や喫煙場所の特定を行い、喫煙が可能となる場所に提示を義務づけていることとしています。

 これに加えて、今後は、民間の飲食店情報サイト等と連携し、各店舗の禁煙、喫煙情報の別などを掲載していただくことを考えております。

 こうした対応等によって、誰でもわかりやすく利用しやすい環境を提供できるように努めてまいりたいと思います。

串田委員 最後に、大臣、今回、法案でかなり、百五十と三十の間をとって百というようなことにもなったような気もするんですけれども、この法案に関して大臣としては満足をしているのか、それとも、もっと改善しなきゃいけないのか、その点についての所感をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 昨年来いろいろ議論をしていただきながら、残念ながら、昨年、通常国会に出せなかったわけでありますけれども、それまでの議論、そしてこの間の議論を踏まえて、今回一つの、政府・与党、特に与党の皆さん方の御協力もいただきながら、中身をまとめることができたというふうに思っております。

 経過措置については、一定規模への配慮が必要ということから設けたものでございますし、またその上で、本法案では、新たに開設する店舗を原則屋内禁煙とする、また喫煙可能な場所に二十歳未満の方の立入りを禁止する、こういった内容を盛り込んでおりますので、これまで努力義務の規定でありましたけれども、更に受動喫煙対策が段階的に進む実効性のある案になっているというふうに考えております。

串田委員 これまでは、ピオーネは非常に高級なので食べなかったんですけれども、これからは、よくぞ転用してくれたなということで、ありがたくいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

高鳥委員長 次に、本日付託になりました岡本充功君外一名提出、健康増進法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。岡本充功君。

    ―――――――――――――

 健康増進法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岡本(充)議員 ただいま議題となりました健康増進法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 平成十五年に健康増進法が施行され、多数の者が利用する施設の管理者に受動喫煙防止措置を講じる努力義務が課されました。以来十五年が経過しましたが、今なお多くの人々が受動喫煙に苦しんでいる状況にあります。既に受動喫煙による健康への影響は科学的にも明らかにされており、受動喫煙による肺がんのリスクは確実とされています。また、受動喫煙による肺がん、虚血性心疾患、脳卒中等が原因で年間約一万五千人の方が亡くなっているとの研究もあります。したがって、国民の健康を守るためには、受動喫煙防止対策の強化は待ったなしの状況であります。

 しかし、今回、政府が提出した健康増進法改正案は、残念ながら、検討段階から内容が後退し、諸外国と比べて不十分なものになってしまったと言わざるを得ません。これでは、国民の健康を守ることができないばかりか、来年のラグビーワールドカップ、再来年のオリンピック・パラリンピックのホスト国としての責任を果たすことさえできません。そのため、現時点で我が国として最低限講ずべき受動喫煙防止対策として、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の主な内容を御説明いたします。

 第一に、多数の者が利用する施設等の区分に応じ、一定の場所を除き、何人も、喫煙をしてはならないこととしております。

 具体的には、多数の者が利用する施設のうち、小中高等学校、病院、児童福祉施設等の受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者が主に利用する施設は第一種施設とし、屋内及び屋外の場所で喫煙をしてはならないこととしております。ただし、緩和ケア等が行われている病院等において施設内での喫煙が入院患者の療養生活の質の維持向上等のために必要やむを得ないと管理権原者が認める場合に限り、屋外に喫煙可能な場所を定めることができることとしております。

 また、大学、老人福祉施設等の受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者が相当数利用する施設、国会、裁判所を含む官公庁施設等は第二種施設とし、喫煙可能と認めた屋外の場所を除き、屋内及び屋外の場所で喫煙をしてはならないこととしております。

 これらのほかの飲食店、職場など、第一種、第二種施設及び特定事業目的施設以外の施設は第三種施設とし、都道府県知事が指定する、受動喫煙防止の構造設備基準に適合した喫煙専用場所を除き、屋内の場所で喫煙をしてはならないこととしております。

 なお、第二種施設及び第三種施設の屋外の場所であって、テラス席など座席等が指定されている場所についても喫煙をしてはならないこととしております。

 第二に、第三種施設のうち、二十歳未満の者の利用がほとんど見込まれず、かつ、主として酒類の提供が行われる施設であること、当該施設の面積が三十平方メートル以下であること、管理権原者等以外に従業員がいない、又は、喫煙可能であることについて全従業員の同意を得ていること等の要件を満たすものについては、当分の間、受動喫煙を防止するための措置の規定は、適用しないこととしております。

 第三に、第三種施設等においては、加熱式たばこによる受動喫煙が人の健康に及ぼす影響に関する科学的知見に鑑み、当分の間、加熱式たばこ専用の喫煙場所を設けることができることとし、その中で飲食等も可能となっております。

 最後に、この法律の施行期日は、来年九月のラグビーワールドカップ開催までに施行することができるよう、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、速やかに御審議の上、御賛同いただきますようお願い申し上げます。

高鳥委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 内閣提出、健康増進法の一部を改正する法律案及び岡本充功君外一名提出、健康増進法の一部を改正する法律案の両案審査のため、来る十五日金曜日午前九時、参考人として一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長、一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパン理事長天野慎介君、日本肺がん患者連絡会理事長長谷川一男君、名古屋市立大学大学院医学研究科心臓・腎高血圧内科学分野教授、名古屋市立大学病院副病院長大手信之君、青森県健康福祉部医師確保対策監兼中南地域県民局地域健康福祉部長(弘前保健所長)・全国保健所長会会長山中朋子君、東北大学環境・安全推進センター教授、東北大学大学院医学系研究科産業医学分野教授黒澤一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十五日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十二分散会


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