衆議院

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第4号 平成31年3月19日(火曜日)

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平成三十一年三月十九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 大串 正樹君 理事 小泉進次郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 田畑 裕明君

   理事 橋本  岳君 理事 西村智奈美君

   理事 大西 健介君 理事 高木美智代君

      安藤 高夫君    上野 宏史君

      小倉 將信君    大岡 敏孝君

      大隈 和英君    神山 佐市君

      神田  裕君    木村 哲也君

      木村 弥生君    国光あやの君

      小林 鷹之君    後藤田正純君

      佐藤 明男君    塩崎 恭久君

      繁本  護君    新谷 正義君

      田村 憲久君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    船橋 利実君

      古川  康君    堀内 詔子君

      本田 太郎君    三浦  靖君

      三谷 英弘君    三ッ林裕巳君

      宮澤 博行君    宮路 拓馬君

      山田 美樹君    渡辺 孝一君

      阿部 知子君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    大串 博志君

      吉田 統彦君    稲富 修二君

      岡本 充功君    白石 洋一君

      山井 和則君    桝屋 敬悟君

      鰐淵 洋子君    高橋千鶴子君

      串田 誠一君    丸山 穂高君

      中島 克仁君    柿沢 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       根本  匠君

   総務副大臣        鈴木 淳司君

   厚生労働副大臣      大口 善徳君

   厚生労働副大臣      高階恵美子君

   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   政府参考人

   (内閣法制局第四部長)  木村 陽一君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局次長)         遠山 義和君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 田中 勝也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       横田 信孝君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 高橋 克彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         宮本 真司君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 藤澤 勝博君

   参考人

   (元厚生労働省大臣官房統計情報部長)       姉崎  猛君

   参考人

   (元厚生労働省政策統括官)            酒光 一章君

   参考人

   (厚生労働省前政策統括官)            大西 康之君

   参考人

   (毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会委員長代理)          荒井 史男君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  丸山 穂高君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  串田 誠一君     丸山 穂高君

同月十九日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     三谷 英弘君

  小林 鷹之君     神山 佐市君

  佐藤 明男君     本田 太郎君

  塩崎 恭久君     宮澤 博行君

  丹羽 秀樹君     古川  康君

  池田 真紀君     大串 博志君

  丸山 穂高君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     小林 鷹之君

  古川  康君     丹羽 秀樹君

  本田 太郎君     神田  裕君

  三谷 英弘君     木村 哲也君

  宮澤 博行君     宮路 拓馬君

  大串 博志君     池田 真紀君

  串田 誠一君     丸山 穂高君

同日

 辞任         補欠選任

  神田  裕君     三浦  靖君

  宮路 拓馬君     小倉 將信君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     塩崎 恭久君

  三浦  靖君     佐藤 明男君

    ―――――――――――――

三月十八日

 医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件(毎月勤労統計調査等)


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件、特に毎月勤労統計調査等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として元厚生労働省大臣官房統計情報部長姉崎猛君、元厚生労働省政策統括官酒光一章君、厚生労働省前政策統括官大西康之君、毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会委員長代理荒井史男君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣法制局第四部長木村陽一君、人事院事務総局職員福祉局次長遠山義和君、警察庁長官官房審議官田中勝也君、総務省大臣官房政策立案総括審議官横田信孝君、外務省大臣官房審議官高橋克彦君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、厚生労働省大臣官房長定塚由美子君、医政局長吉田学君、医薬・生活衛生局長宮本真司君、職業安定局長土屋喜久君、政策統括官藤澤勝博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの大串です。

 早速、質問に入らせていただきます。

 統計不正に関する集中質疑ということですので、しっかり事実解明をさせていただきたいと思いますが、まず冒頭に、これは厚生労働省のどなたに答弁をいただいても結構です。

 私、昨日来、質問レクを通じて、きのう参議院の予算委員会で我が党の石橋さんから指摘のありました、二十九年の七月十三日の資料があるのではないか、そこにはいわゆるローテーションサンプリングの導入に向けてどうするかということで、なかなかうまくいかない実態があらわれていて、なぜうまくいかないかというと、抽出調査をしているものだからなかなかうまくいかない、どうしよう、どうしようということを見てとれる文書があり、かつ、これに関する関連のメールもあるでしょう、このことを特別監察委員会として確認していますかという問いを彼は行い、必要な資料はチェックしているということだったので、その七月十三日の資料及び関連するメールを出してくださいという問いかけを石橋委員は行われていました。

 同じく私も、きのうのレクの際から厚生労働省の皆さんに、それを見せてください、少なくとも私の九時の質疑の前までには見せてください、それをもとに質疑しますからということ。といいますのは、二十九年の夏の段階で、少なくとも、かなり組織的に抽出調査をしていたということを知った上でいろいろなことをやられているのであれば、これはまさに組織的に何かを隠そうとしたということが見てとれるようになってくるわけですね。

 ですから、そういう資料をきちんと、あるならあるで示していただいた上で議論しないと、特別監察委員会の監察報告が適切だったのかということも含めて国会として解明できません、ですから資料を出してくださいというふうに申しておるんですけれども、きょうの今まで何の返答もないんですよ。

 まず、何の返答もないということ自体が非常に私はおかしいと思うんですね。ないならないで、あるいは調査中なら調査中でちゃんと言ってくれればいいのに、何もないんですよ。

 どなたでも結構です、厚生労働省、大臣でも結構です、資料はあったのかないのか、お答えください。

藤澤政府参考人 御指摘の文書は、昨日の参議院の予算委員会におきまして石橋議員からお求めのございました、タイトルが平成三十年一月分調査、第一種事業所部分入れかえ予定事業所についてという文書を御指摘いただいております。

 これにつきましては、文書の存否及び真正性の確認などを現在行っているところでございます。確認できた場合には、速やかに提出をさせていただきたいと考えているところでございます。

大串(博)委員 存否及び真正性を確認していますというふうに言われました。それらしきものの存在はあったんですか。

藤澤政府参考人 繰り返しになりますけれども、その文書の存否及び真正性の確認などを行っているところでございます。確認ができました場合には、速やかに提出をさせていただきたいと考えております。

大串(博)委員 藤澤さん、誠実に答弁してください。同じ答弁を繰り返されるのは極めて心外です。委員会ですからね。

 存否及び真正性の確認をしているとおっしゃったので、真正性とおっしゃったから私は聞いているんです。真正性を確認する段階に至っているのであれば、これかなと思われる文書はあったということですね。いかがですか。

藤澤政府参考人 文書の存否及び真正性の確認を行っておりますので、まずそこから確認をしているという状況でございます。(大串(博)委員「全然だめだ。オウム返しの答弁じゃだめですよ。国会は詰めるところなんだから、誠実に答弁しないと。何かあるということは認めればいいんですよ。誠実に答弁してくださいよ。とめてください」と呼ぶ)

冨岡委員長 もう一度質問を繰り返してください。

大串(博)委員 質問を繰り返してくださいじゃないんですよ、委員長。そんな変なことを言わないでくださいね。質問を繰り返してじゃないんです。

 真正性を確認していると言われたので、真正性を確認すべきものは何がしかのものがあったんでしょうと言っているんです。いかがですか。

藤澤政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、文書の存否及び真正性の確認などを行っているところでございます。確認できた場合には、速やかに御提出をさせていただきたいと存じます。(大串(博)委員「委員長、ちゃんと差配してくださいよ。きちんと答えさせてくださいよ。少しずつ解明しなければいけないんだから。委員長、ええかげんにしてくださいよ、こんなの。真正性を確認する何がしかのものはあったんでしょうと聞いているんですよ」と呼ぶ)

冨岡委員長 要求はちゃんとされているわけですよね。(大串(博)委員「もちろん、していますよ。当たり前ですよ、そんなの。誠実に答弁しなきゃ」と呼ぶ)

 同じ答弁ですか。(大串(博)委員「委員長、答えさせてください。ちゃんとしてください、委員長。真正性を確認する何かがあったんですかと言っている」と呼ぶ)

 一旦とめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 速記を起こしてください。

 存否と真否というのを、うまく信憑性を、これから調べて、その信憑性についてはまた後日報告するという解釈でよろしいですか。(大串(博)委員「委員長、時計。雑談しているんだったら休憩にしてください」と呼ぶ)

 じゃ、ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 速記を起こしてください。

 それでは、藤澤政策統括官。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 お求めのあった文書は、平成三十年一月分調査、第一種事業所部分入れかえ予定事業所についてというタイトルの御指摘をいただき、また、たしか、昨日、石橋議員から何年何月何日付の文書だという御指摘もいただいておりますので、それらについて、その御指摘をいただいた点について、さまざまな文書の中から現在確認作業を行い、文書の存否及び真正性の確認などを行って、確認ができた場合には、速やかに提出をさせていただきたいと考えているところでございます。

冨岡委員長 それでいいです。

大串(博)委員 それが真正なものかはわからないというのは、真正性のチェックをするというのはわかります。よくチェックしてください、真正性のチェックはよくしてください。

 一点お尋ねしますけれども、石橋氏がきのう言ったタイトル、一月調査、第一種云々かんぬん、彼はきのう文書のタイトルを述べましたね。そのタイトルの文書はあったんですか。中身が真正かどうか、同じものかどうかはわからないで結構です。ただ、彼はタイトルをきのう述べたというふうに今おっしゃいましたね。そのタイトルの文書はあったんですか。

藤澤政府参考人 今ほど申し上げましたように、昨日の参議院の予算委員会で、文書のタイトルとそれからその日付について御指摘をいただきましたので、省内のたくさんございます文書の中から、その存否及び真正性の確認などを行って、確認ができた場合には、速やかに提出をさせていただきたいと思います。

大串(博)委員 委員長、よく質問を聞いてくださいね、私の質問を。彼は同じことをずっと答弁しているんですけれども、私は彼の答弁を受けて一つ一つ積み上げる質疑をしているので、委員長、それに答えていなかったらその瞬間に、審議はもうそれでできないから、とめてくださいね。

 私が聞いているのは、今そういうふうにおっしゃったから、そのタイトル、日付はいいです、日付が同じかどうかはいいです、問いません、タイトルが同じものはありましたか。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 これは昨日、幾つかの点について、タイトル以外の点も含めて御指摘をいただきましたので、それらについて、文書の存否及び真正性の確認などを行っているところでございます。

大串(博)委員 委員長、委員長は私の質疑を理解していますか。

冨岡委員長 理解していますよ。その同じタイトルのものがあるかどうかを今確認しているという答弁だと思いますが。(大串(博)委員「見ているんだから、確認した結果、タイトルが合致しているものがあるかどうか、その一点だけなんですよね」と呼ぶ)

 調べているというふうに聞きました。(大串(博)委員「だから、わかりませんという答弁なら私もわかります、まだ。そのタイトルの資料は見つかっていませんという答弁なら私はわかります」と呼ぶ)

 そうじゃないんですか。いや、僕が答弁しているようなあれじゃないんで。(大串(博)委員「だから、差配してください」と呼ぶ)

 趣旨はわかりますから。ちゃんとわかっておられると思いますよ。だから、それを今調べているというふうな答弁だと思いますけれども。たくさんあるんじゃないですかね。まあ、わかりませんが。(大串(博)委員「答弁させてください。そのタイトルの文書があるかないか。真偽は別として、信憑性は別として、タイトルの文書があったかどうかだけお答えくださいということなんです」と呼ぶ)

 藤澤さん、質問内容、シンプルでわかりますよね。そのタイトルは捜されているんですかね。

藤澤政府参考人 昨日の石橋議員からの御指摘は、そのタイトルは、平成三十年一月分調査、第一種事業所部分入れかえ予定事業所についてというものでございましたけれども、それにつきましては、完全に一致するものは今のところ見つかっておりません。そのタイトルや、先ほど申し上げた日付の点も含めて、文書の存否及び真正性の確認などを現在省内で行っているところでございます。

大串(博)委員 完全に一致するものは見つかっていないということなので、そこから推測するに、極めて近いものは見つかっているということだと思うんですね。

 石橋氏は、関連する文書を出してくださいと言っています。それだけ出してくださいと言っているわけじゃないんです。関連する文書を出してくださいと言っていますので、今、かなり踏み込んで言われましたので、関連する文書を、委員長、この委員会にも、その文書だけじゃなくて関連するメールのやりとり等々も含めて出してくださいときのう石橋氏は言いました。

 私も同じく、今言われた、完全に一致するわけじゃないと言われました、完全に一致するわけじゃないんだったら、完全に一致しなくてもいいから、その近辺、日程的に、二十九年の七月十三日近辺に当時部内でやりとりされた文書及びメール、これをこの委員会に出していただくように、今チェックされているらしいですから、それは完全に一致する必要はないので、二十九年七月十三日、その周辺の部内の本件に関する文書及びメール、いいですね、これをこの委員会に提出していただくようにお願いします。お取り計らいください。

冨岡委員長 理事会で諮りたいと思います。

大串(博)委員 お願いします。それを事実解明の一助としていきたいと思います。

 藤澤さんにお尋ねします。

 先般、この委員会で私が問わせていただいた二〇一五年九月十四日の経緯ですけれども、資料を皆さんに配っているのでもう一回見てくださいね。九月十四日にはこういうことがあったというのが一枚目の資料です。

 二枚目、ここにありますのは、藤澤さんが補佐から聞いたこととして、十四日十四時〇一分時点のファイルは主に報告書案の前半部分を修正したもので、二十二時三十三分時点のファイルは主に報告書案の後半部分とタイトルを含めて修正作業が完了したものであるが、部長の指示を踏まえた修正箇所は、報告書案の後半部分であったために、結果的に、二十二時三十三分時点のファイルにおいて反映したとのことでございました。

 すなわち、姉崎さんから早く指示は受けておったけれども、十四日の十四時〇一分までの間には前半部分を中心に修正していたので、まさに姉崎さんから指示を受けた部分は二十二時三十三分になっちゃいましたということですけれども、そういう答弁だったですね、藤澤さん。

 ところが、資料三枚目、四枚目を見てください。三枚目が二時〇一分です。前半部分を主に修正したと言われていますけれども、最後の二ページまできれいに修正されています。いいですね、最後の二ページまできれいに修正されている。

 驚くべきことに、まさにポイントの部分、継続審議とするという部分は、四枚目です、二十二時三十三分に修正したものに関しては、これは後半部分を修正したと言われていますけれども、後半部分を修正しているわけではないんです。まさに当該部分、引き続き検討するというところを修正しているんです。これ以外に後半部分を修正していないんです。

 ですから、藤澤さん、きのうレクでも言いました、もう一回補佐にきちんと確認した上で、十四時〇一分までの間には前半部分を修正していた、二十二時三十三分までには後半部分を修正した、よって、姉崎さんから事前に指示を受けていた部分に関する反映に関しては二十二時三十三分になった、この説明は間違っていますよねということを、間違っているなら間違っているで撤回してくださいということを、きのうの夕方からお願いして、確認してもらっているはずです。これだけ明らかな資料を出していますから。かつ、この資料、きのうきれいに線づけして、全体を厚労省に渡しているんです、全部。見てもらっていると思います。

 分科会のときの私への答弁が間違っていた、あるいは訂正しなきゃならぬということだろうと思いますが、藤澤さん、いかがですか。

藤澤政府参考人 御指摘の、主に前半部分、あるいは主に後半部分という点でございますけれども、御指摘の毎月勤労統計の改善に関する検討会の報告書案の修正でございますが、九月八日の十四時一分時点の前は、九月八日からでございますけれども、九月八日から九月十四日十四時〇一分時点のファイルまでに修正された箇所を申し上げますと、この報告書案は、一、経緯、二、検討結果、それから、三、まとめというふうな構成になってございますけれども、一、経緯の修正が八カ所、二、検討結果の修正が三十三カ所、また、三、まとめの修正は五カ所でございました。

 さらに、二、検討結果の修正の中には、委員からの意見を踏まえて、ローテーションサンプリングの導入に対し、サンプルの違いによるギャップの縮減を図る観点のみならず、結果、精度の向上が図られる可能性もある旨の記載、また、新旧サンプルの重複期間を設けるなど、部分入れかえ方式を採用する場合の対応の明確化等が盛り込まれているところでございまして、当時の担当部長の修正指示を踏まえた関係箇所が九月十四日の十四時〇一分までに行われているところでございます。

 また、その後の、同日二十二時三十三分時点のファイルの修正でございますが、これは表題の修正がなされておりますのと、あわせまして、三項目のうち、一の経緯の修正はございませんでした。二の検討結果の修正が一カ所、また、十四時〇一分時点の、三、まとめから見出しが変更された、三、中間整理の修正が六カ所のほか、結論部分の修正等が反映されているところでございまして、主に、三、中間的整理の部分が中心の修正となっているということでございます。

 したがいまして、二月の二十七日の衆議院の予算委員会第五分科会では、今申し上げましたようなことを踏まえまして、十四時〇一分時点のファイルは主に報告書案の前半部分を修正したもの、また、二十二時三十三分時点のファイルは主に報告書案の後半部分とタイトルを含めて修正作業が完了したものと私から答弁をしたものでございます。

大串(博)委員 姉崎さんは、当時、補佐に具体的にどことどことどこを修正しなさいというふうに指示したか、具体的に修正の指示した箇所を覚えていますか。覚えていたら言ってください。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 個別具体的にいろいろな箇所を言ったことはないと思いまして、サンプル入れかえ方式について引き続き検討するというようなことで修正してくださいというふうに申し上げたと思います。

大串(博)委員 藤澤さん、矛盾しませんかね。姉崎さんはどこを具体的に直せということを言ったか覚えていないとおっしゃっているんですよ。あなたは今答弁の中で、藤澤さんは、姉崎さんから指示を受けたここと、ここと、ここと、こことも十四時〇一分のときに修正をしてありますよねと言いましたよね。姉崎さんがどこを修正しろと指示したか覚えていないものを、何であなたが言えるんですか。不思議ですね。どうですか。

藤澤政府参考人 先ほど申し上げましたのは、何々等が盛り込まれているところであり、当時の担当部長の修正指示を踏まえた関係箇所の修正が行われているというふうに申し上げましたけれども、それは一部分について申し上げたわけでございまして、全体といたしますと、当時の担当補佐の修正作業は、部長の指示であったり、あるいはそれまでの委員からの意見であったりといったようなものを反映させたものだというふうに承知をしております。

大串(博)委員 資料から見てもらってもわかるように、極めて苦しい答弁をやりくりされて、何とか中江秘書官からの指示がなかったということを取り繕おうとされているのがもうありありなんですよね。

 一つ聞きますけれども、補佐は、姉崎さんから指示を受けたということを明確に覚えているんでしょうか。私への分科会の答弁では、記憶は定かでないがというふうに言われています。これもきのうきちんとレクのときに聞いていますけれども、補佐は、明確に姉崎さんから事前に指示を受けたということを覚えているんでしょうか。

藤澤政府参考人 これは当時の担当補佐に確認をしておりますけれども、四年前のことであり記憶が定かでないが、指示があった日付については恐らく十四日月曜日の朝だ、十一日ではなくて十四日の朝だと思うということでございましたので、そのように確認をした上で私から御答弁申し上げているところでございます。

大串(博)委員 記憶は定かでないということなんですね。記憶が定かでないということを頼りにして、中江さんからの指示ではないということだけを立証しようとしている。きのうも参議院の予算委員会でも議論になっていましたけれども、かなり無理くりの説明をしようとして、事実を隠蔽しようとしているというのがもうかなり明らかなんじゃないかと私は思うんですね。私は、これはどこかで無理が出てくると思いますよ。私は、組織として本当におかしな状況になっているというふうに言わざるを得ないと思います。

 きょうは特別監察委員会、荒井代理にも来ていただいております。ありがとうございます。

 ただ、委員長、ちょっとお尋ねしたいんですけれども、厚労委員会の集中審議であるにもかかわらず、なぜ樋口委員長が来られていないんですか。委員長、お答えください。

冨岡委員長 先ほどの理事会で合意されまして、合意というか、合意できなかったから今のような格好になっています。理事の方に聞かれてください。

大串(博)委員 そうすると、野党は求めていますので、与党の皆さんの方から出席できないということだった、そういうことですね。

冨岡委員長 それぞれの理由を申し上げた方ですから、理事の方に聞いてください。

大串(博)委員 国会も問われると思うんですよ、真相を明らかにしようとしているかどうか、どれだけ議論しようとしているかどうか。ぜひ与党の皆さんにも、与党からも求めたんだという声がありましたので、本当かなと私は思いますよ、ぜひ真剣に私たちと一緒にやっていただきたいというふうに思います。

 それで、委員長代理にお尋ねしたいと思いますけれども、私が非常に気になっているのは、室長Fさんですね、二十九年五月まで三倍補正をやらなかった、二十九年五月以降、ローテーションサンプリングとともに三倍補正のシステム改修をした。

 なぜ二十九年五月まで三倍補正のシステム改修をしなかったのか。それはどういうことなんでしょうか。

荒井参考人 お答えさせていただきます。

 御指摘の件につきましては、追加報告書に書いてございますように、課長Fと略称しておりますが、前任者からの引継ぎによりまして適切に復元されていなかったことを知っていたのですから、本来であれば、直ちに上司に報告して、問題点やその後の対応等について相談すべきでございましたが、ローテーションサンプリング方式への移行のための業務が多忙であったということを理由に、こういった対応を怠ったというふうに述べております。

 本委員会としましては、こういう言いわけは認められないということで、非難されるべきであるという判断を示しております。

大串(博)委員 ありがとうございます。

 代理にもう一つお尋ねしますけれども、今答弁されようとしたときに、私から見てすぐ右隣のお二人の方が答弁補助をされていらっしゃいますけれども、そのお二人の方はどちらの方でいらっしゃいますか。私から見てすぐ右手のお二人の方。緑のリボンをつけていらっしゃらないものですから、どちらの方かなと。緑のリボンをつけていらっしゃるのであれば、恐らく外から来られた方かなと思いましたけれども、つけていらっしゃらないのでどうかなと思って。念のための確認です。

荒井参考人 厚生労働省の特別監察委員会の庶務を担当している職員でございます。

大串(博)委員 答弁補助をつけられるということが理事会でも認められると聞きましたけれども、何となく私は妙な感じもするんですね。独立した委員会ですよ。

 きのうのレオパレスの第三者委員会の報告書、報道でも皆さん見られたと思います。非常に厳しい中間報告が出ていました。それに対して、レオパレス側の記者会見で、どう思いますかと問われて、これに関して私たちは関知していないので答えられませんというふうにレオパレス側は言っているんですよ。第三者の報告書とはそういうものじゃないでしょうかね。

 それが、これですよ。答弁補助まで厚労省から受けている。これがおかしさの根源ではないですか。皆さん、どうでしょうか。私はどうしても不思議に思うんです。

 では、お尋ねします、委員長にもう一つ。

 今、三倍補正をやらなかったのは業務多忙だったからだというふうに言われています。かつ、室長は、なぜこれを公言しなかったか、公に言わなかったか、こっそりやったかということに関して、誤差は小さいと考えたというような記述も中にありました。

 誤差が小さいということに関して、誤差は一体どのくらいだったんでしょうか。これは監察委員会で確認されているんでしょうか。その誤差は、監察委員会として、確かに小さいというふうに確認されているんでしょうか。

荒井参考人 結論から申し上げますと、〇・二%そのものの正しさにつきましては検証はしておりませんが、仮にその数字が正しいものだとしましても、本人は、〇・二%程度であって誤差の範囲内であると思っていた、こういう供述をしておりまして、そういった過小評価をすることは許されるものじゃないという判断でございます。

 これは、一月報告にも書いてありますように、復元処理による影響について室長Fから得られた供述として、「東京都分を的確に評価すると誤差は〇・二%程度であり、正直、誤差の範囲内であると思っていた」、こういう供述がございましたので、そういった過小評価は許されないということでございます。

 委員会としては、室長Fが復元処理による影響を過小評価したというふうに評価しております。

大串(博)委員 それでは、この室長Fさんが抽出調査をしていることを政策統括官に言ったときに、政策統括官からしかるべき対応をしなさいよと言われた、しかるべき対応をしなさいと言われたにもかかわらず、これを放置した。これに関して、私が予算委員会で聞いたときに、樋口委員長は、放置しておくというつもりではなくて、数カ月間状況を見ようと思った、数カ月間状況を見ようと思ったときに、どこかに行っちゃったんだというふうに言われていました。

 本当にそうなんでしょうか。この室長Fが政策統括官の指示を受けて抽出調査であることを外に向けてどうして発表しなかったのか。ここの経緯はきちんと確認されたんでしょうか。

荒井参考人 二月二十八日の衆議院の予算委員会で樋口委員長から答弁させていただいたことに関連すると思いますが、室長のFというのは、何もしないということを考えていたわけではありませんで、平成の三十年の一月以降の復元実施に伴う影響に関するデータがある程度集積されました場合に、その影響について検討して総務省に話をしようと思っていたようでありますが、三十年の三月に異動がございまして仕事を離れました。結果的には、何らの対応をすることもなかったということだと考えております。

 以上でございます。

大串(博)委員 そこがやはり隠蔽じゃないかということが問われるわけですけれども、この隠蔽のことに関しては、殊さら意図的に隠そうとしたものとは見受けられなかったという表現がこの追加報告書にたくさんあります。

 ところが、これに関して、樋口委員長は私に予算委員会の場で、これは白と言っているわけじゃないんだというふうに言われていました。白というふうに言っているわけじゃなくて、意図的かどうかを確認するまで至らなかっただけなんだ、こういうふうに言われていました。グレーなんだと言っていました。

 ということは、白でもない黒でもない、要するにわからないという結果がこの追加報告書じゃないかと思うんですね。そういう理解でよろしいでしょうか。つまり、白でもない黒でもない、要するにわからないということなのか、それとも、いやいや、もう少し一歩進んで、殊さらに意図的に隠そうとする意図を持って行ったものではなかったというふうに言えるのであれば、何か、より積極的に、いいですか、積極的に隠そうとしたわけではなかったという証拠、これを見つけられたんでしょうか。見つけられたんだったら、この場で言ってください。

荒井参考人 特別監察委員会に与えられた使命、役割と申しますのは、今回の統計不正問題についての事実関係の確認でございます。

 一月報告以来、本件について、組織的なかかわり、関与とか、組織的な隠蔽があるんじゃないかといった御指摘がいろいろ問題とされていることを念頭に置きました上で、監察委員会の仕事としましては、組織的なかかわりとか組織的隠蔽があるかということが一つのテーマでございます。答えとしては、あるというふうには認めるに足りないというのが結論でございました。

 それは、私、一月報告のときの記者発表のときに記者の方々からそういう趣旨の質問がたくさん出ましたときに、私の言葉ではグレーということを申しましたし、委員長がお述べになりましたのが、やはりグレーという言葉を使われたかと思うんですが、それは白か黒かわからないということではなくて、黒だという問題の投げかけに対して、黒であると認めるには足りないという趣旨でございます。

大串(博)委員 この場合は、黒なのかどうかということをはっきりさせなきゃならない、これが追加報告書の使命だったと思うんですよ。黒という投げかけに対して黒とまでは言えないということ、消極的に言っているだけの話だったら、証拠不十分、誰でも言えますよ。これは本当に追加報告書としての、特別監察委員会としての役目を果たしているかということなんです。

 六ページ、資料を見てください。

 統計委員会の方から、私は、極めて適切かつ厳しい、(2)のところですけれども、「不適切処理の経緯は明確か」ということで、経緯が明確でないということを言われているんですね。

 特に、私が今質問しました、三倍補正をなぜ行ったのかということに関する分析もないし情報提供もない、この点に関して統計委員会としては明らかにしなきゃならないから情報提供を求めたい、こういうふうに言われています。

 これは大臣にお尋ねします。

 つまり、この追加報告書は終わっていないんですよ。この追加報告書で全く明らかになっていないから、八条委員会たる、第三者委員会たる統計委員会としては、終わっていないんですよ、政府としては。大臣、特別監察委員会を私は終わらせちゃいけないと思うんです。違うボディーでやらなきゃいかぬと思うんですね、しかも。

 大臣、統計委員会の不適切処理の経緯は明確かという問題意識、これに対してさらなる情報提供を求めたい、これに関して、厚生労働省としてどう調査をし、いつまでに、どういうふうな答えをしていくつもりですか。

根本国務大臣 まず、統計委員会、五人の統計委員会の皆さんが提出した意見書、これは基本的に特別委員会について批判するものではなく、統計技術的、学術的な観点から情報提供を求めたものと受けとめています。

 そして、その上で、この意見書については、その提出を受けて、西村統計委員長の命により厚生労働省への情報提供の要望が取りまとめられ、この要望書が総務省の担当室から事務的に届けられた旨承知しております。

 情報提供の御要望に対しては、お求めの事項について、統計委員会での検証に当たって適切に説明を行ってまいりたいと思っています。厚生労働省として受け取ったのが、統計技術的、学術的観点からの情報提供の要望ですから、これについてはきちんと御説明していきたいと思います。

 その上で、今委員のお尋ねがありましたので、五人の意見書が指摘している、平成十六年以降行われたものは統計技術上適切な復元であるのかという点について、特別監察委員会の一月報告及び追加報告では、担当者の供述を得ながら、抽出調査することについて、調査計画の変更等の適切な手続を踏むことなく担当課のみの判断として調査方法を変更したこと、これは不適切な対応であった。

 二点目。復元プログラムの重要性に対する認識も低く、かつ、システム改修の体制が事務処理の誤りが長年にわたって発見されにくい体制となっていたことがこの問題の背景にある。

 そして三点目。適切なチェック体制を整備せず、プログラム改修を部下に任せきりにしていた部長、課長等の責任が強く問われるべきであるということで、これは特別監察委員会ではこういう判断をしております。

 ですから、どうしてこういうことが起こったのかということについては特別監察委員会で明らかにしていただいた。そして、その上で、統計技術的、学術的観点からの情報提供の要望ということでありますので、統計技術的、学術的観点からの要望についてはきちんと説明していきたいと考えています。

大串(博)委員 私はそれをぜひ公でやっていただきたいと思うんです。内部でこちょこちょとやらないで、ぜひ公の場で。統計委員会は公ですから、それでもいいですし、ぜひ公の場できちんとやってほしい。

 かつ、厚生労働省の中にも、内部だけで検討して統計委員会に答えるんじゃなくて、この特別監察委員会とは異なる人選で、もう一度違う人選で第三者的なボディーを立ち上げた上で追加報告書は行わないと、こんなものは追加報告書とは言えないですよ。だって、黒という問題が投げかけられて、黒と言うところまでは行けなかったというだけの報告書だったら、何ら意味がないじゃないですか。

 もう一度、追加報告書に対して、第三者ボディーを新しくつくってやり直す、どうですか、大臣、やり直していただけませんか。

根本国務大臣 まず、統計委員会にはきちんと情報提供をし、説明したいと思います。

 そして、統計委員会というのは公開で行われていますから、ここは、統計的、技術的観点からの審議は公開の場で行われるものと思います。

 さらに、特別監察委員会については、今回の事案に関して、統計の専門家、元高等裁判所長官、今、荒井代理ですけれども、弁護士などの民間有識者による中立的、客観的な立場から集中的に検証を行って、さらに、事務局で法曹の専門家を加えて、合議制で、事実関係と関係職員の動機、目的、認識など、責任の所在を明らかにすべく、二度にわたって報告をまとめていただいたものであります。

 中立的、客観的に私はまとめていただいたと考えております。

大串(博)委員 これで終わりますけれども、きょうは統計委員会の担当者も来ていただいていると思いますので、統計委員会も極めて重い責任を負うというふうに思うということを私がここで述べていたということを委員会の先生方にお伝えいただくことをお願いして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの尾辻かな子です。

 きょうは統計の集中審議ということでこの委員会は開催されているわけですけれども、先ほど大串委員からもありましたとおり、統計の集中というにもかかわらず、例えば、重要なお聞きしたい相手である、毎月勤労統計検討会の座長である阿部座長が本日は御出席をされておられません。そして、特別監察委員長の樋口委員長もきょうは御出席されていないという状況があります。これで、どのようにして真実を明らかにしていくという統計集中の委員会になるのか。まず、条件が整っていないと言わざるを得ないと思います。

 なぜ、きょうは阿部座長は出張だということでお聞きしておりますけれども、こういう日に設定をされたのか、特別監察委員長が出られないこのような日に設定されたのか。私はこれは非常に問題があると思いますけれども、委員長、なぜきょう開かれたのでしょうか。

冨岡委員長 これは、筆頭間で御協議をいただいた結果と私としては受けとめておりますので。

 理事の方に、先ほど理事会が開かれまして、一応説明をして、個人のいろいろな御都合もあるようなので、そこは後で聞いてください、経過の途中は。

尾辻委員 委員会開催の条件が整っていないというふうに委員長は思われませんでしょうか。

冨岡委員長 それは、委員会ですから、筆頭の言葉をかりれば、我々も望んだことだけれども調整がつかなかった、そういうふうに聞いております。

尾辻委員 こうして座長が出てこられない、監察委員長が出てこられないということで、結局、審議しても本当に真実が明らかになるのかということについて疑問が残ってしまうわけです。

 これは統計の問題で、統計というのは正確な数字を出すことが当たり前なんですね。そこの部分が今、これだけ不安が広がっている。国民の間にも、もう政府が出してくる数字はうそなんじゃないか、全部自分たちの都合のようになっているんじゃないか、そういう不安があるからこそ、この統計集中は必ずキーパーソンはいなきゃいけないんですよ。そうしないと、統計に対する、そして毎月勤労統計に対する不安とか、真実が明らかになっていないということは、これは明らかにならないと思います。

 委員長、もう一度、やはりきょうのこれが本当に適切かどうか、お答えください。

冨岡委員長 委員長に対する質問みたいになっているんですけれども、それは議会の、委員会の理事会でお諮りして理事の間でやはり決めておりますので、その経過を私は尊重して委員会を開いているわけでございます。

尾辻委員 自民党の皆さん、そして公明党の皆さんも、この状況では、私は本当に危機感を持っているんですよ。政府が出した数字が信用されなくなったらどうするんですか。これは崩壊してしまいますよ。だからこそ、これは与野党関係ないはずなんです、しっかりした数字を出す。いつ、どこで、誰が、何をやってこういうふうになって、今までずっとこのようなデータとか計算方法になったのかというのは、これは関係ないと思うんです。ぜひとも、しっかりとまた呼んで統計集中をしていただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。

 実は私、この質問をする前に、この「統計制度論」という本をちょっと読ませていただきました。これは、政府で統計業務に従事された島村史郎さんという方が二〇〇六年に出版されたものなんですね。

 ここには統計の十原則ということが指摘をされています。どういうふうに書かれているかというと、筆者は長年我が国の統計業務に従事していて、統計職員の中には伝統的に守られてきた行動原則があるように思えるということで、十個の原則をここで並べられております。

 まず最初が、一つ目が非政治性の原則。非政治性の原則です。じゃ、今の毎月勤労統計は、非常に政治的な流れの中で計算方法やサンプリングの方法が変わってきているという、この第一の原則がまず守られているのか。

 二番目、調査結果の完全公表の原則。これも、今でも統計委員会からいろいろな資料を出せというふうに言われている状況から見ると、調査結果の完全公表の原則というのも、私は守られているようには思えません。

 以下、言っていきます。三、統計調査の継続性の原則。四、理論性の原則。五、統合性の原則。六、比較性の原則。七、統計調査と報告の分離原則。八、統計調査の重複禁止の原則。九、正確性の原則。十、効率性の原則。

 こういった十の原則が、当てはめると、本当に今、この現状は当てはまっていないんじゃないかなというふうに思っております。

 先ほど大串委員も、追加報告書について、やはりこれは不十分だという議論がありました。その中で、大臣は、これは公平性で、客観的に見ても十分なんだみたいなことをおっしゃっておられました。

 ちょっと質問の前に一点だけ確認ですけれども、この毎月勤労統計の検討会に出ておられた先生と、そして特別監察委員、ここと同じ人が私は入っているように思うんですけれども、これは客観的な事実ですから、いらっしゃるかどうか、どなたでもいいです、お答えください。

冨岡委員長 質問は通告どおり行っていると思いますが、いいですか。

定塚政府参考人 特別監察委員と毎勤の検討会の委員の重複ということですが、委員としては重複はないと承知しております。

 ただ、毎勤の検討会の方に協力者として出ていただいた廣松先生、これが特別監察委員会委員になられているということでございますが、廣松先生は統計の専門家ということで、その資質に着目をしてお務めいただいているということで、特段の問題は生じないと考えているところでございます。

尾辻委員 大臣が、これはもう客観的にしっかり調査したんだとおっしゃっておられますけれども、こうやって、どうやって制度設計しようかといっている検討会に、委員ではありませんけれども、参加された先生が、結局それを監察委員として見ているというのは、これはおかしくありませんか。どこに客観性があると思われますか。共通する人がいるということについて、大臣は御存じでしたか。

根本国務大臣 今、廣松先生は、当時の統計情報部内において検討会の構成員を検討する中で廣松先生の名前が挙がったけれども、構成員になっていただくのは、兼業規制がありますから構成員になっていない。ただ、協力者として参加はしていただいたという事実であります。

尾辻委員 私、客観性は担保されていないと思います。検討会に出られた先生が監察の方でも、だから、自分たちがやったものを結局同じ人が見ていて、どうやって客観性が担保されているのか。やはりこの追加報告書はおかしいと思いますよ。

 多分次の方もやっていただけると思いますので、私の方からは指摘ということにさせていただきたいと思います。

 これは学会からもすごくいろいろ言われているわけですよ。日本統計学会とか、日本経済学会とか、経済統計学会、社会調査協会、学術団体からもこの毎月勤労統計については声明が出ているということで、本当にこれはゆゆしき事態だと思います。

 次に、ベンチマーク更新の話をお聞きしていきたいと思うんですけれども、きのうの石橋委員の質問の中でも、統計委員会の北村委員長代理が、遡及改定は議論していないということをおっしゃっております。しかし、総務省と厚労省の統一見解の中には、統計委員会の指摘、答申に沿っているというような話があるわけです。これはおかしくないでしょうか。

 本当に、統計委員会は今、議論していないと言っているんですよ。なのに、皆さんの答申は、統計委員会に諮って大丈夫だというふうに、これはそごがあると思うんですけれども、ここについては一体どのように思われているんでしょうか。

藤澤政府参考人 毎月勤労統計でございますけれども、従前から、二、三年に一回のサンプルの総入れかえに加えまして、経済構造の変化を反映するためにウエートの更新も行っておりました。これら双方の要因から、新旧の数値に、総入れかえの際にギャップ、断層が生じていたものでございます。

 その際、過去の統計数値をさかのぼって補正する取扱いを従前は行っておりましたために、かねてより利用者にとってわかりにくい等の問題があって、政府全体の基幹統計の見直しの中で課題となっていたところでございます。

 そういった事情を背景に、先ほど委員からお話がございましたけれども、平成二十七年には毎月勤労統計の改善に関する検討会を開催して、今申し上げましたような課題について厚生労働省として議論を行ったところでございます。

 その後、統計委員会に検討の場が移りまして、平成二十八年の六月から九月に行われた新旧データ接続検討ワーキンググループなどにおいて、標本交代による新旧ギャップへの対応としては、過去の値を補正することなく新旧の計数をそのまま接続する、また、全数調査などベンチマークとなるもの、真の値が存在する場合には、それを利用して数値を滑らかに遡及改定する等の考え方を示されたものでございますので、厚生労働省としては、今申し上げましたような統計委員会の議論の経過も踏まえつつ、ウエートの更新を含めて、過去の数値を遡及改定しないということにしたところでございます。

 以上でございます。

尾辻委員 ベンチマークの遡及改定をしないということは、いつ、どこで、誰が、どのように決めたんですか。

藤澤政府参考人 平成二十八年の十月に、厚生労働大臣から総務大臣に対して、毎月勤労統計調査の変更申請が行われております。その後、統計委員会に諮問がされて、御議論をなされているわけでございますが、今申し上げました平成二十八年十月の申請でございますけれども、当時の政策統括官の専決事項による文書決裁が行われているものでございます。

尾辻委員 ということは、これは政策統括官が一人で決めたということですか。きのうも、統計委員会の委員長代理も議論はなかったと言っているわけですよね、統計委員会の方では。

 そういうことで、じゃ、厚労省は一体どこで勝手にこれを決めたのかということ。今、政策統括官が決裁したということですけれども、じゃ、何も議論しなかったわけですか、これは。

藤澤政府参考人 文書につきましては、今ほど申し上げましたように、基幹統計調査の変更の承認の申請に関する事項は当時は政策統括官の専決事項とされておりましたけれども、当時の担当に確認をしたところ、こうした判断については部長あるいは政策統括官までは上がっていたということでございます。

尾辻委員 これは、みんなで会議とかしていないんですか。全く何の会議もしないままに、そうやって、もうベンチマーク更新の遡及はしないんだということが決まっていったということなんですか。

藤澤政府参考人 文書の決裁につきましては、今申し上げましたように部長あるいは統括官まで上げていたということでございますが、それに至る過程で組織内でさまざまな議論が行われていたのだろうというふうに考えております。

尾辻委員 だから、いつ、どのようにそのさまざまな議論が行われたのかということを聞いております。

藤澤政府参考人 大変申しわけございませんが、事前に御通告をいただいておりませんでしたので、詳細については、現在答弁できる内容を持ち合わせておりません。

尾辻委員 いや、言っていますよ、このベンチマークの遡及更新についてどうするのかということについては。通告はないというのは違うと思いますよ。それに、ずっとこれは議論になっている論点じゃないですか。もう一度答えてください。

 というか、今もわからないということですね。わからないということであれば、後日、理事会に提出をしていただきたいと思います。

 委員長、よろしくお取り計らいください。

冨岡委員長 今答えられますか。

 理事会で諮りたいと思います。

尾辻委員 というのは、今回のベンチマーク更新で、〇・四%、賃金が上振れしているんですよね。じゃ、その分を遡及改定しないと、これはやはりわからないというか、わかりにくい数字になることは間違いないわけです。あり方検討会の中でもずっと言われているわけですよね、遡及はするべきだというふうに。ですので、ここが一体どのようにしてこのようになったのかというのは非常に大きな論点です。しっかり出していただきたいと思います。

 次に行きたいと思いますけれども、実は、調査事業所数が公表資料よりもおおむね一割程度少なくなっていたというふうに報告書には書かれております。これは一体いつからということでいうと、平成八年、一九九六年以降少なくなってきたというふうにあるんですね。

 これは実はずっと続いていて、本当にゆゆしき事態なんですけれども、二〇一八年、平成三十年まで実際の調査件数は三万三千二百件やっているよというふうに言っていたけれども、三万二百九十七件ということで、ずっと約一割近く、一・一七とか一・一〇、件数が水増しをされてきたということで、二十年以上、本当に調査している数字が出てこなかったというのは、これはゆゆしき事態だと私は思っております。

 いつからこのように一割程度少なくなっていたということをやってきたのかということが、ここの調査報告書では、確認できた範囲は平成八年以降なんですね。

 ちょっと問題提起なんですが、東北大学で社会調査を専門に研究されている田中重人先生が、どのように、いつからなのかということを計算されたんですね。それは、毎月勤労統計の要覧の各年度版から誤差率の数字を拾ったということなんです。そうすると、一九九〇年代から二〇〇一年までずっと誤差率は〇・三五%ぐらいで一定であるということを考えると、どうも、調査対象事業所の改ざんはもう一九九〇年代から行われていたのじゃないかという指摘をされています。

 これについてどうお考えになりますでしょうか。

藤澤政府参考人 お答えを申し上げます。

 特別監察委員会の一月二十二日の報告書では、これまでの集計方法の説明として、「規模三十人以上四百九十九人以下の事業所のうち、抽出されるべきサンプル数の多い地域・産業について、一定の抽出率で指定した調査対象事業所の中から、半分の事業所を調査対象から外すことで、実質的に抽出率を半分にし、その代わりに調査対象となった事業所を集計するときには、抽出すべきサンプル数の多い地域・産業についてその事業所が二つあったものとみなして集計する方式であり、全体のサンプル数が限られている中、全体の統計の精度を向上させようとしたものである。」とされております。

 一方で、委員の御指摘の大学の先生のレポートでございますが、毎月勤労統計では、事業所数が半分になると誤差率がルート二倍になるというように、標準誤差率と事業所数が一定の関係を持っている、特別監察委員会報告書は実質的な抽出率を操作していたのは二〇〇三年までとしているが、二〇一七年までの誤差率の推移を見ても、三十人から四百九十九人規模事業所の誤差率はずっと高いままで、現在の毎月勤労統計調査でも三十人から四百九十九人規模事業所はサンプルが減らされていると見るのが合理的というふうな指摘をいただいているものと承知をしております。

 それで、御指摘の標準誤差率の変動でございますけれども、これは回収率の多寡や母集団事業所数の増減が影響するものでございまして、確かに先生の御指摘は二〇〇三年以前とのそごがあるということでございますが、原因は不明でございますけれども、毎月勤労統計の年報において公表されております達成精度計算の標準誤差率によりますと、全国平均で、五人以上規模事業所について、平成十五年は〇・六五%、平成十六年は〇・四三%、また、三十人以上の規模事業所については、平成十五年は一・一〇%、平成十六年は〇・六二%となったというふうなものと承知をしてございます。

 その上で、現在についても三十人から四百九十九人規模の事業所のサンプルを減らしているという御指摘でございますが、平成十五年から、あるいは十六年以降の回答事業所数の推移や、平成二十一年以降の指定事業所数の推移を見る限り、実際にサンプルを減らしているとの事実はないものというふうな認識をしているところでございます。

尾辻委員 ちょっと、質問が多分かみ合っていないんですけれども、それは次の質問だったんですね。

 まず指摘をしておきますけれども、だから、全体の中で一割減らしていたよということですよね。公表数から一割減らしていた、これはなぜかというところについては今お答えをいただいていないんですよ。さらに、平成八年より前もあったんじゃないかということはお答えをいただいていません。

 このことについては、それより前かどうかということについて、まずちょっとお答えください。

冨岡委員長 藤澤政策統括官、時間が過ぎていますので、簡潔にお願いいたします。

藤澤政府参考人 これは、委員からも今御指摘をいただきましたが、一月の特別監察委員会の報告書によりますと、調査対象事業所数が公表資料よりもおおむね一割程度少なくなっていたのを確認できた範囲としては、平成八年、一九九六年以降でございます。

尾辻委員 ただ、誤差率から見ると、これは更に以前からあったんじゃないかという指摘があるんですね。

 なので、ちょっとこの指摘が本当に合っているかどうか検討していただいて委員会に提出をいただきたいと思うんですけれども、委員長、よろしくお取り計らいください。

冨岡委員長 はい。

 時間がオーバーしています。いいですか。

尾辻委員 西村委員から、五分ぐらいオーバーしてもいいということで、西村委員の時間をいただいておると……(発言する者あり)

冨岡委員長 私の方には伝わっておりませんので、一応時間ということを申し上げましたけれども、西村さんが同意していただければ構いませんよ。

尾辻委員 はい。

 平成八年より前にも一割減らしていたのではないかという指摘について調査をして、委員会の方に調査報告を出していただきたいということをお願いしたいと思います。

 委員長、よろしくお取り計らいください。

冨岡委員長 はい、わかりました。理事会でお諮りしたいと思います。

尾辻委員 先ほどお答えいただいたのはこの次の質問だったわけですけれども、お答えをいただいたんですけれども。

 結局、さっき、原因は不明だとおっしゃったと思うんです。なぜそういうふうに誤差率があるのかということについて、三十人から四百九十九人のところでも、これはやはり抽出率が抽出表どおりになっていないんじゃないかという指摘だったわけですよ。

 なぜこれがそのようになるのかということについて、原因が不明ということをおっしゃいましたので、更に原因を追求していただきたいと思います。それをまた委員会に報告いただきたいと思います。

 委員長、よろしくお取り計らいをいただきたいと思います。

藤澤政府参考人 御指摘の標準誤差率の変動でございますが、回収率の多寡や母集団事業所数の増減が影響するものでございますので、二〇〇三年前後のそごでございますけれども、原因は不明だというふうに考えているところでございます。

尾辻委員 なので、この原因が不明のところについて、今指摘もありますから、更に調査をしていただきたいと思います。そして、その結果をまた委員会に返していただきたいと思いますので、委員長、よろしくお取り計らいください。

冨岡委員長 理事会で諮らせていただきます。

尾辻委員 以上で終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの西村智奈美です。

 先ほどの尾辻議員とのやりとりの中で、大臣が、もともと尾辻議員の問題意識は、恐らく、特別監察委員会に統計の関係者、統計に関する会議、検討会の関係者である廣松さんがいらっしゃるということはどうなのかという趣旨で質問をされたんですけれども、その大臣の答弁の中で、廣松さんは、兼業規定に反するから、構成員ではなく、構成員以外の関係者としてお入りいただいているという答弁がありました。

 これって正当ですか。認められるものですか。兼業規定に禁止されているから入れないというのが兼業禁止規定の趣旨なのではないですか。

根本国務大臣 兼業規制があって、構成員になっていただくのは難しかったから構成員にはなっていない、そして協力者として参加いただくこととした、こういうことであります。

西村(智)委員 私も議事録を見ましたけれども、廣松先生は毎回発言されているんですよね。まさに構成員と一体とみなされなければならない状況です。

 その方が、兼業規定で入れないのに、なぜか構成員以外の協力者として入っているというのは、これはどこかでお墨つきをもらった話ですか、厚生労働省が単独で判断してそういうふうにやっているんですか。答えてください。

根本国務大臣 私は、これは当時の部長が決めたと聞いております。そして、私は、兼業規制があるから構成員にはなっておりませんが、協力者として参加していただいていると承知しております。

西村(智)委員 いや、ちょっと待ってください。兼業規定の趣旨って何ですか。同じ方が幾つもの委員をかけ持ちして、そこで考えを述べるということを避けるために兼業禁止規定等々があるんじゃないですか、あるいは利益相反を避けるために。それを、構成員以外の協力者ということで入れるというのは、これはおかしいと思いますよ。

 ちょっとこれは突然の質問なのですぐには答えられないと思いますので、ぜひ理事会で諮っていただいて、きちんとした資料、これに関する厚生労働省の見解を求めたいと思います。

 委員長、お願いします。

冨岡委員長 理事会にてお諮りいたします。

西村(智)委員 それで、私も、ベンチマーク更新のことについて、時間もないので、まずお伺いしたいと思っています。

 平成二十七年の九月の十六日に毎月勤労統計の改善に関する検討会の中間報告が取りまとめられて、そこで、ベンチマーク更新時の賃金・労働時間指数については、新旧ベンチマークの差に伴う労働者構成のギャップ補正を行う、ただし、過去の増減率については変更しないというふうに結論づけられております。

 それで、その後、統計委員会にも無断でその方法を変えてしまった、こういった問題はあるわけですし、また、その後、後づけのように、厚生労働省と統計委員会が何だか統一見解ペーパーなるものを出したということはあるんですけれども、私がきょう質問したいのは、では、なぜこの検討会の結論が厚生労働省のその後の検討でひっくり返ってしまったのかということなんです。先ほど尾辻さんも質問しておられました。

 これは、昨日、私は詳細に質問通告もしておりますが、きのうの時点で持ってきてくださいと言っていたペーパーも、全く出てきませんでした。

 大臣、お答えいただきたいんですけれども、二月の二十八日に衆議院の予算委員会で長妻委員からの質疑もあって、どの部長のときに、どういう経過で、いつこの決定を覆したのかということを改めて出してくれという要請がありました。私もこの点について全く同じことを通告しておりますので、ぜひお答えいただきたいんですけれども、ベンチマーク更新をしたら遡及すべきという結論は、一体、いつ、どのような議論を経て変えられたのか、お答えください。

根本国務大臣 お尋ねのウエート更新、重みづけですね、ウエート更新については、新旧データ接続検討ワーキンググループなど、統計委員会における一連の議論を積み重ねて、その中で、統計の利用者のニーズやわかりやすさ等の観点から、サンプル入れかえと同時に行われるウエート更新も、同様に、今回の遡及改定しないという対応に至ったものと承知をしております。

 そして、ちょっといいですか、このウエート更新の取扱いに関する認識について、事務方に、じゃ、誰がというお話だったので、平成二十八年十月の変更申請当時の政策統括官から聞き取りを行わせました。

 当時の政策統括官は、四点ほど申し上げたいと思います、ローテーションサンプリング方式への変更に係る総務省への申請に当たり、ウエート更新に係るギャップの補正について明示的に議論した記憶はないが、今回の毎月勤労統計調査の見直しについては、過去にさかのぼって数値の改定をすることがわかりにくい、これがそもそもの問題でしたから、問題となっていて、このことはウエート更新も含めたものであると考えていた、そして、なお、統計委員会において平成二十七年に行われた未諮問基幹統計の議論、これは毎月勤労統計が対象で議論をされましたが、その際にもウエート更新時も含めた数値の補正方法について議論されたと聞いており、今回の見直しに当たっても、経過措置期間中の取扱いについて同様の方法を提案したが、統計委員会における議論の結果、数値はそのまま接続し、遡及改定も行わないこととしたところであるという旨報告を受けております。

西村(智)委員 統計委員会の話というのは後づけの話ですよね。何か過去の話と、要はこの問題が明らかになった後の後づけの話と一緒くたにして答弁をしないでください、大臣。混乱しますよ。(根本国務大臣「混乱していない、ちゃんとやっております」と呼ぶ)混乱していますよ。

 二十八年に明確に議論した記憶がないということは今答弁をされました。では、二十八年時点での政策統括官は、そういった話はしていないから、方式を変えているということは決めていらっしゃらないのでしょう。

 では、どの部長のときに変わったということは明確にわかっておられるんですか。これは通告していますよ。答えてください、大臣。

根本国務大臣 当時の政策統括官は安藤よし子であります。

西村(智)委員 それは、平成二十八年の、明確に議論した記憶がないがとおっしゃった人が安藤さんということですね。

 私は、いつ、この方式、要するに検討会で出された結論がどなたが部長のときに変わったのかということを聞いているんですよ。

 じゃ、一人一人聞いていきます。

 姉崎さん、あなたが部長のときでしょうか。

姉崎参考人 お答えいたします。

 私、平成二十七年の十月で人事異動をしておりますので、私ではございません。

西村(智)委員 じゃ、大西さん、あなたのときですか。

大西参考人 私が着任したときには、既に新しい方式で統計調査が行われておりましたものでございます。

西村(智)委員 じゃ、酒光さん、あなたが部長のときですか。

酒光参考人 お答えいたします。

 私が着任しましたのが平成二十九年の七月でありまして、着任時には、もう既にこれは決定済みの事項ということで受け取っておりました。

西村(智)委員 きょう、私は、平成二十七年十月からの部長である小川さんと、それから、平成二十八年六月から政策統括官であった安藤さんも、参考人として答弁していただきたいということでお願いをしていましたけれども、きょうは来ていただいていません。これでは、きちんとした真実が明らかにならないと思いますよ。つまり、検討会の結論を部内の議論で変えてしまったんですから。

 これは大臣も答弁していますよ。資料できょうおつけしていますので、見てください。大臣もおっしゃっているんですよね。長妻委員の質問に対して、内部で更に検討を加えたと事務方から私は聞いております、部内での検討で、いろいろな議論がありますということで、部内でそれは検討してきたということで変わったんだというふうに大臣はおっしゃっているわけですから、きちんとこれは調べてもらわないと困りますけれども。

 大臣、もう一回お願いします。

根本国務大臣 では、ちょっと私に答弁をさせていただきたいと思います。

 先ほど、私は前段で答弁をいたしました。ウエート更新については、新旧データ接続検討ワーキンググループなど、統計委員会における一連の議論の積み重ねの中で、統計の利用者のニーズやわかりやすさ等の観点から、サンプル入れかえと同時におけるウエート更新も、同様に、今回の遡及改定しないという対応に至ったものと私は聞いて承知をしております。

 ウエート更新の一連の議論、ここは答弁させていただきたいと思いますが、毎月勤労統計では、もともと、過去の数値を遡及補正するため、かねてより利用者のニーズやわかりやすさ等の観点から問題である、これがそもそもの発端であります。

 そして、このような問題意識の中で、統計委員会での議論は、全体的には影響の多い標本入れかえの議論が中心でありましたが、その議論の結果、全数調査など真の値がある場合、それを利用して数値を滑らかに接続する等の考え方、つまり、全数調査のような真の値がある場合には滑らかに接続するとなっておりますが、今回の賃金については、全数調査などの真の値ではありませんので、今回のウエート更新は、サンプルの入れかえ、そしてウエートも同時に一体的にやった、こういう認識でやった。

 それから、もともと統計委員会では、ウエート更新も課題の一つとされていました。そして、平成二十八年度中の諮問の時期までの検討課題とされてきました。

 厚生労働省では、このような一連の議論の経緯を踏まえて、全体として見れば一体的に判断いただいたものと認識していた、こういうことであります。

西村(智)委員 またごちゃごちゃにして答弁されたんですね。

 つまり、話はシンプルなんですよ。厚生労働省が設置した検討会で出された結論が、何だか、めちゃめちゃかねてから問題視されていたとか、後づけで統計委員会からオーケーとも言われましたとか、そういう話と一緒くたにして答弁されているんだけれども、私が聞きたいのはシンプルです。厚生労働省が設置した検討会、ここが出した結論が、いつ、どういう議論を経て、なぜこの遡及改定をしない、遡及をしないということに変わってしまったのかということなんです。

 大臣、もう一回答えてください。

根本国務大臣 これは、検討会からその後統計委員会に移って、専門的、統計的な見地から議論されていったものであります。

 ここは、繰り返しになりますが、私は、ぐちゃぐちゃにして答弁しているつもりはありません。きちんと答弁をしております。

 もともと、過去の数値を遡及補正するための対応、これは、かねてから利用者のニーズ、わかりやすさ等の観点から問題になっていました。このような問題意識の中で、統計委員会での議論は、全体的には影響の多い標本入れかえ、要はローテーションサンプリング、これの議論が中心でありましたが、その議論の結果、要は新旧サンプルを接続するかどうか、こんな議論もさんざんやってきた上で、全数調査など真の値がある場合はそれを利用して、全数調査は全部わかっていますから、数値を滑らかに接続する。逆に言えば、そういう全数が明らかでないものは新旧をストレートに接続するということが示されて、そして、そういう考え方も踏まえながら、今回のウエート更新に至ったものであります。

 これは、もともとウエート更新も課題の一つとされて、平成二十八年度中の諮問の時期まで検討課題とされてきましたから、厚生労働省は、私が答弁したように、一連の議論の経緯、経過を踏まえて、全体として見れば、ウエート更新と新旧サンプリング入れかえ、これを一体として判断していただいたものと認識していたということであります。

西村(智)委員 もう一回聞きますけれども、いつこの結論は変わったんですか。ベンチマーク更新の遡及をしないというふうに決定したのはいつですか。通告しています。明確に答えてください。

根本国務大臣 これは、担当の当時の部長から聞き取りを行わせました。そして、私は先ほど答弁をいたしました。ローテーションサンプリング方式への変更に係る総務省への申請に当たり、ウエート更新におけるギャップの補正について明示的に議論した記憶はないが、そもそも今回の毎月勤労調査、統計の見直しについては、過去にさかのぼって数値の改定をすることがわかりにくいということが問題となっており、このことはウエート更新も含めたものであると考えていたと。

 それを前提にして、そういう考え方のもとに変更申請をしていたので……(西村(智)委員「そんなことは聞いていない」と呼ぶ)正確に私は答弁をさせていただいております。

 そして、統計委員会においても経緯を説明しています。平成二十七年に行われた未諮問基幹統計の議論の際には、この補正方法についても議論されたと聞いております。

西村(智)委員 委員長に申し上げます。

 今、大臣は同じことを答弁されたんですよ。私は、いつと伺ったんですよ。今の話の中で、いつという言葉は一言でも出てきましたか。出てこないですよね。大臣はちゃんと答えてくれるんですか、いつって。

冨岡委員長 根本大臣、いつごろかがわかればお答えください。

根本国務大臣 だから、私は、それを踏まえて変更申請をしたということですから、こういう考え方を前提として、平成二十八年十月に厚生労働大臣から変更申請が行われた。だから、いつというのは、ここの変更申請が行われたときにこういう考えのもとにやった、こういうことであります。

冨岡委員長 十月ごろということですかね。

西村(智)委員 二十八年の十月に申請をしました。ですから、それまでに、いつやったんですか、いつ変更したんですかと聞いているんですけれども、全く答えないんですよ。議論の経過も答えられない。

 こんなむちゃくちゃで、〇・四%の差が出ているんですよ、これ。一番大きい差なんですよ、ほかの由来のものよりも。しかも、この結果、ことしに入ってもまた実質賃金は下がっていない、ずっとプラスだと言っている。昨年のものも、今の厚生労働省の公式データではプラスのままです。

 ですけれども、大臣は私の質問に、認めましたよね、平成三十年の一月から十一月はマイナスでしたと。はっきりと数字を示してください、昨年の実質賃金の数字を。

 私、もっと質問したいことはあるんですけれども、まだ大丈夫かな。ちょっとやってみたいと思います。

 ちょっと委員長、まず、先ほどの私の質問のことについて理事会で諮ってください。いつ決定したのか、どういう議論を経て決定したのか、理事会に資料を出させるようにお願いします。

冨岡委員長 今の案件について、大臣、お答えがありますか。(発言する者あり)

 一応、お答えがないようですので、理事会で諮りたいと思います。

西村(智)委員 委員長からも私の質問時間を少なくされて、大変心外です。

 適切な復元処理ということについて、きょうは委員長代理からお越しいただいていますので、一つだけ質問をさせていただきます。

 私、中規模の事業所についての復元の処理というのは、それはそれで、あると思うんですけれども、大規模事業所についての復元処理というのは、統計委員会の委員の方が意見を表明されておられますけれども、やはりもともとのところに返らないと適切な復元処理というのはできないんじゃないかというふうに思うんです。

 ただ、追加報告書の中では、この大規模事業所に関する処理も、適切な復元処理と、繰り返し繰り返し、繰り返し繰り返し、何十回も出てくるんですね。

 これは、実は厚生労働省が、この案件が発覚したときに一番最初に、本来やるべき復元を行っていなかったことが問題であるというふうに言った、大臣も昨日の答弁で、本来やるべき復元をやっていなかったことが問題の本質だというふうにおっしゃったんですけれども、でも、私は違うと思う。もともとのところにやはり戻っていかないといけないというふうに思うんです。

 そこで、きょうは荒井委員長代理にお越しいただいていますので、大規模事業所に関する処理というのは本当に適切な復元処理と言えるのかどうか、統計委員会の委員の方々からの指摘もあります、それを踏まえて御答弁をお願いします。

荒井参考人 結論から申し上げますと、大規模事業所とそれから中規模事業所の二つについて、その適切な復元処理というのが違うかどうかということにつきましては、変わるところはないと考えております。

 統計委員会からの御指摘につきましては、特別監察委員会に直接宛てたものではないということで、この点につきましては厚生労働省の方で適切に対応されるものと考えております。

 御指摘の適切な復元処理という表現でございますけれども、大規模事業所、中規模事業所、いずれにつきましても、抽出調査を実施する場合や抽出率を変更する場合には統計上の処理として必要な復元処理を行うことは当然でありまして、本来実施すべき復元処理を講じることを適切な復元処理と表現したものでございます。

 もっとも、平成三十年一月調査分からの復元処理につきましては、適切な調査変更の手続を行っていない、その上で抽出調査の実施や抽出率の変更を行ったからこそ実施されたものでありまして、また、当時は公表もされておりません。この点とあわせて考えますと、不適切な行為であったと言わざるを得ないところでございます。

冨岡委員長 西村君、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

西村(智)委員 これは、こっそり三倍補正なんです。私は、適切な復元処理ということではないということを申し上げて、まだまだこれは終わりません、きょうは参考人の方からも十分来ていただけませんでした、そのことを申し上げて、終わります。

冨岡委員長 次に、山井和則君。

山井委員 三十分間、質問をさせていただきます。

 まず冒頭申し上げますが、朝からの質疑を聞いておりますけれども、根本大臣の、本当に聞いたことに答えない、あるいは、役所の担当者の方々も聞いたことに答えない、それで、委員長も適切にそれを指導せず、とめない。こういうことでは、政府・与党による統計不正の隠蔽と受け取られても仕方ありませんよ。

 こういう状況でやるのであれば、ぜひもう一回、この統計の集中を改めてやっていただきたいということを、まず最初に委員長に申し上げたいと思います。

冨岡委員長 理事会でお諮りいたします。

山井委員 当たり前の話ですけれども、これは真相を国民のために究明するために審議をやっているんですから、隠蔽するために、真実を隠すために私たちは審議しているんじゃないんです。これは、与党も野党も関係ありません。

 私の配付資料にも、たくさんのデータを載せさせていただきました。私も、この問題、二カ月ずっと取り組んでおります。

 答えはシンプルなんです。与党も野党も関係ない。ここの資料にある、実質賃金プラス〇・二%と言っているけれども実際はマイナスの〇・三%だということを、多くのエコノミスト、国内外のマスコミも指摘しています。野党だけではありません。実際はマイナスの実質賃金なのにプラス〇・二%と発表し続けているのは、これは虚偽ですよ、うそですよ。これは深刻な問題です。

 私も、議員になって十九年、ほとんど厚労委員会に所属していますけれども、後年、ことしのこの賃金統計だけは異常に上振れして信用ならない、めちゃくちゃなうその賃金統計が昨年は発表されたということが、これは突出して、五年たっても十年たっても必ず言われます。実際聞いたところでは、日銀も、プラスの実質賃金ではなくて、マイナスという共通事業所系列の賃金の低い方を参考にしているという話を聞いております。

 そういう意味では、五年、十年、二十年たって、ことしの賃金統計だけがぴゅうんと伸びて、不自然でうそで間違っている。そのとき、皆さん、どう言われますか。当時の厚生労働大臣はうその統計を発表したんですねと。それ以来、国内だけじゃなくて国際的にも、旧ソ連や発展途上国のように統計でうそをつく日本の賃金統計は信用できない。一回、このレッテルが今もう張られています。この信用を取り戻すのは簡単なことではありません。

 さらに、当時の与党は何をしていたんだ、野党も何をしていたんだと。私は、与党だけの責任にするつもりはありません。野党も責任は問われます。なぜ国民にうその数字を発表したままにしたんだと。

 おまけに、ことし十月には消費税増税が予定されています。考えてもみてください。昨年がプラス〇・二%実質賃金アップだったら、おととしの〇・二%からアップしているんですよ。あっ、よくなっているじゃないかということになるんですよ。でも、多くのエコノミストや国内外のマスコミが指摘するようにマイナス〇・三%であれば、あっ、二年連続実質賃金マイナスだったら消費税増税はだめだよねということにもなるんです。

 先ほども西村さんがなぜ必死に質問されたかというと、この〇・四%、〇・五%の水増し、上振れになった経緯すら、今の答弁を聞いたら、いつ、どこで、誰が〇・四、五%の上振れを確認したのか。もともと毎勤統計検討委員会で、上振れにならないように遡及改定するとベンチマーク更新は決めていたのに、それをどこでひっくり返したのか。実質賃金が本当はマイナスなのに、プラスにひっくり返すような大きな変更をいつ、どこで厚生労働省が決めたのですかと聞いても、いまだにわかりませんと。

 今、根本大臣、やじで関係ないじゃないかとおっしゃいましたが、ありありですよ。何が関係ないんですか。本質じゃないですか、これが。国民をだまして一〇%の消費税増税をこのまますることになるんですよ。そんなことは許されません。

 ついては、私も政争の具にする気はありません。ファクトに基づいて質問します。

 配付資料の六ページ。三月八日、厚生労働省が発表した資料にはちゃんと書いてありますよね。米印三、平成三十年はベンチマーク更新を行ったために、前年との比較においてはベンチマークの違いによる断層が発生していましたと書いているんですよ。

 この断層というのは何%ですかということに関しては、参議院の予算委員会でデータが出てまいりました。それは、配付資料を見ていただくと、七ページに書いてあります。〇・四%の段差が発生と書いてあるじゃないですか。これは極めてシンプルです。昨年の賃金伸び率は段差が発生しています、上振れしています。その段差は〇・四%です。

 ここで、根本大臣にお聞きします。

 ということは、非常に単純に考えれば、昨年の実質賃金伸び率は〇・二%と言っていたのは、マイナス〇・四%、げたが履かされているんですから、げたを外したらマイナス〇・二%の方が実態には近いですよね。さらに、名目賃金も一・四%と言っているけれども、その〇・四%のげたを脱がせたら一・〇%ぐらいになります。

 これは、段差の〇・四%を外した値、差し引いた値の方が、景気指標としての賃金伸び率としては実態に近いという理解でいいですね。

根本国務大臣 まず、いろいろ今お話がありましたが、今回のこの統計は、精度を高めるために新たな統計指標を用いた、統計委員会の審議も経て客観的、中立的、専門的に出されたもの、これが基本的な前提であります。誰がどう言ったかとか、そんなことで影響はされておりません。統計委員会で専門的、客観的にやられた、まずそれを確認したいと思います。

 その上で、要は、今回の制度については遡及改定はしない、これも統計委員会でも言ってまいっている。それで……(山井委員「答えてください。時間に限りがあるんですから、聞いていないことはいいです。根本大臣が答弁されることは全部私は知っています、この二カ月間勉強して。私の聞いたことだけに答えてください」と呼ぶ)委員よく勉強されていると思います。

 ウエート更新のギャップ〇・四%は、一月のデータ、これは新と旧のサンプルを一月だけはとりますから、そこの結果差を要因分析したものであります。このため、この推計については、平成三十年一月という一時点のみで見た推計値にすぎません。それ以外の月も同一の数値であったとは言えない、これで言う限り、私は言えないと思います。その意味で、年単位の設計に用いるのは適当ではないし、また、〇・四%をそのまま前年同月比から単純に引くことなどが統計上正しいとは一概に言えないと思います。

山井委員 だから、私はわざと、実態に近いのはどちらですかと聞いているんです。かといって、〇・四%は使えないと言っているけれども、一・四と〇・二も、ベンチマーク更新の〇・四%という上振れをしているんでしょう。こっちも不正確じゃないですか。だから言っているんです。

 今の根本大臣の答弁だったら、上振れしたのも不正確、〇・四%を引いても不正確、去年の賃金の伸び率はわかりませんという答弁じゃないですか。そんな無責任なことで通りますか。恥ずかしいです。

 ついては、配付資料の二十三ページを見てください。

 こんな議論は私もしたくない、情けないから。でも、今、エコノミストからどう言われているか、政府・与党が発表しているこの賃金統計が。「統計の信ぴょう性を疑わざるを得ない」「今年の賃金の伸び率はまったくあてにならない」「信頼性の高い賃金統計がなくなってしまった」「サンプルがそもそも違うため調査結果には何の意味もない。」「一七年、一八年の大半の月で参考値がマイナスだと指摘する野党の主張は正しい。」中立な、専門的なエコノミストの方々がここまで酷評しているんです。

 かつ、次のページを見てください。

 先ほど西村さんもおっしゃいましたよ。機械的に粗く計算したらマイナスになるという西村さんの質問に対して、厚生労働大臣もお認めになったじゃないですか。誰が計算してもそうなるんですよ。

 おまけに、その次の日経新聞夕刊、二月八日に実質賃金プラス〇・二%が発表されたときのこの記事、皆さん読んでみてください。涙が出ますよ。昨年〇・二%プラス、実態はマイナスか、実態に近い参考値はマイナスになった公算が大きい、一八年の参考値に基づく実質賃金を簡便な手法で試算するとマイナス〇・四%程度になる。日本経済新聞も、プラス〇・二%と政府は発表したけれども、これは間違っていて、実際はマイナス〇・三か〇・四ですと丁寧に注釈まで加えてくれているじゃないですか。

 こんな情けないことがありますか。厚生労働省の発表は間違っているとみんなもうわかっているんです。根本大臣も安倍総理も裸の王様ですよ、正しいと言い続けたって、もう国内外のエコノミストは信用していないんだから。旧ソ連じゃないんですよ、アベノミクスがうまくいっているために偽装する、水増しするって。

 そして、遡及改定をしないと一番最初に言い出したのは、中江安倍総理秘書官。そして、正式に言ったのは、二〇一五年十月十六日、経済財政諮問会議、麻生財務大臣。その横に座っていたのは安倍総理。安倍総理主導の経済財政諮問会議が遡及改定をしないと言い出したことから、この賃金の上振れが始まっているわけであります。

 そこで、共通事業所系列にすると、そちらの方がいいと統計委員会が発表して、〇・三%マイナスじゃないか、プラス〇・二じゃないということを多くのエコノミストや私たちも言っております。ところが、最近また新しい資料が出てまいりました、実質賃金検討委員会で。配付資料の中の十七、十八。

 実は、驚くなかれ、マイナス〇・三%という、より正しい実質賃金の共通事業所の数値さえ、十七ページや十八ページにありますように、サバイバルバイアスがプラスになっている。つまり、同じ事業所を比べても、その一年間でやめたところが離れていくから、生き残っているところだけ見ると上振れしているんじゃないか。(発言する者あり)今、橋本さんも、そうそうとおっしゃっています。十八ページにありますように、その結果、共通事業所の比較は、賃金の高い大企業が多いということで、何と、私たちが低目に試算している共通事業所系列の賃金伸び率でさえ上振れしているのではないか、こういう資料が出てきました。

 根本大臣に御質問します。

 ということは、この調査結果によれば、共通事業所系列の前年比の賃金伸び率も、生き残りバイアス、大規模事業所が多いということで実態よりも上振れしている、高く出ている可能性があるということでよいですか。

根本国務大臣 委員いろいろおっしゃられましたけれども、まず二つだけ言わせてください、先ほどの質問だったので。

 共通事業所系列というのは、景気指標の観点からそれは見るべきだという話は言われている。それから、毎勤統計の全労働者の平均の賃金の水準あるいは時系列の比較は毎勤統計の指標で見るべきだ、これは政府の公式見解であります。まずそれを確認させていただきたいと思います。

 それと、今、共通事業所系列については、共通事業所というのは本質的な特性がある。それは何かというと、毎月毎月とるわけですが、大企業の生き残りバイアスがかかると言われている……(山井委員「いや、ここに、資料に書いてあるじゃないですか。検討会の資料じゃないですか」と呼ぶ)だから、それは検討会の方の意見だと思いますが、大規模事業所のことをウエートに復元するから、その影響はないと私は聞いております。

山井委員 いいですか、今の答弁で。本当にいいんですか。ここは生き残りバイアスがあって大規模事業所が多いと出ているけれども、共通事業所系列の賃金伸び率は上振れしていると私は聞いていますよ。聞いているけれども、大臣、上振れしていないという答弁で本当にいいんですか。

 ちょっと、一旦とめてください。

冨岡委員長 今、質問ですよね。(山井委員「いやいや、とめてください。本当にとめてください。今レクを受けているから、とめてくださいよ」と呼ぶ)

 では、一旦整理をしますのでとめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 それでは、起こしてください。

根本国務大臣 大企業で、去年もことしも生き残っている、そこは生き残りバイアスが高目に出る可能性は、一般論としてあり得ると思います。(山井委員「あり得るんでしょう」と呼ぶ)だから、一般論として。生き残っているんだから。それと、ウエートに復元したやつについては大規模が多いかどうかということについては、ウエートで結果的に復元するので、そこは影響はない。私は二つ申し上げたいと思います。

山井委員 ちょっと、どっちなんですか、結論としては。共通事業所系列で出ている数値は上振れしている可能性があるのかないのか。二つ言わないでください。どっちなんですか。上振れしている可能性はあるのかないのか、どっちか言ってください。

根本国務大臣 大きな企業が生き残っている、そこは生き残っているんだから、生き残りバイアスがかかる可能性はある。そしてもう一つ……(山井委員「それでもういいです」と呼ぶ)いいですね。大規模事業所の数が多くなっても、母集団労働者数を用いて推計を行うことになるので、ここについては上振れなどの伸び率に影響は生じない、こういうことを申し上げております。

山井委員 つまり、この公表値よりもはるかに低い共通事業所の値ですら上振れしているということは、去年の実質賃金はプラス〇・二じゃなくてマイナス〇・三と共通事業所では見られているけれども、もっと低い可能性があるんですよ、実態は。そんなので消費税増税ができるんですか。

 もう一つ、大臣にお聞きします。

 先日来私は国会で聞いておりますけれども、昨年の各月の景気指標としての賃金伸び率は何%ですかということで、これはきょうの配付資料の四ページですね。

 つまり、根本大臣、うなずいていただいたらいいですけれども、先ほどおっしゃったように、景気指標としての賃金伸び率は共通事業所を見なさいというのが、重視しなさいというのが統計委員会と厚生労働省の見解です。ということは、根本大臣、確認しますよ。去年の一月は〇・三、二月は〇・八、三月は一・二、四月は〇・四、五月は〇・三、六月は一・四、七月は〇・七、八月は〇・九、九月は〇・一、十月は〇・九、十一月は一・〇、十二月は二・〇。景気指標としての昨年の賃金伸び率は、本系列の括弧した方じゃなくて共通事業所系列、今読み上げた方を重視するということで、厚生労働大臣、いいですね。

根本国務大臣 まず、景気指標というのは、いろいろな指標を見ているんだと思いますよ。先行系列、一致系列、遅行系列、いろいろある。

 そして、委員のおっしゃるように、共通事業所系列は、景気指標を見る指標の一つとしてはありますが……(山井委員「重視すべき」と呼ぶ)いや、これは私は重視すべきという立場にはありません。経済全体の分析だから。だから、それは……(山井委員「ちょっと待ってください。統計委員会と厚生労働省で合意しているじゃないか、重視すべきと。何でそんな違う答弁をするんですか」と呼ぶ)ちょっといいですか。

 それはどういうことで言うかというと、二つあるんですよ。毎月勤労統計で、全労働者の平均の賃金水準を見るのは毎月勤労統計。そして、景気指標としては実質……(山井委員「だめです」と呼ぶ)いや、共通事業所……(山井委員「この数字でいいですかと聞いているんですから」と呼ぶ)だから、それで言っているんでしょう。

冨岡委員長 ちょっと静かに。まず答えを聞いて、それから手を挙げて質問してください。これが委員会のルールだから。

根本国務大臣 共通事業所系列は名目で出されていますが、共通事業所系列の名目でお示ししている指標だけ、それが、共通事業所系列というのは名目で見ているわけですから、月々の振れを見ているんだから。(山井委員「読み上げたのは正しいですかと聞いているんですよ。何を言っているんですか。ちょっと委員長」と呼ぶ)いいですか。読み上げたのは、共通事業所系列の名目の伸び率、それを読み上げられたんでしょう。(山井委員「だから、景気指標としての伸び率はこれでいいんですかと聞いているんじゃないですか」と呼ぶ)いやいや、だから、景気指標はいろいろあるけれども、その一つとしての共通事業所系列の伸び率は、委員がおっしゃってまとめたとおりであります。

山井委員 厚労大臣も、もっと勉強してから答弁すべきですよ。ひど過ぎる。

 去年の九月、厚労省と統計委員会の見解に、この配付資料、景気指標としての賃金変化率は継続標本、共通事業所による前年比を重視していくと、もう結論が出ているじゃないですか。結論が出ていることを、何をごたごた言っているんですか、ここで。いい加減にしてくださいよ、本当に。ひど過ぎる。

 委員長、こんなことじゃ委員会が成り立ちませんよ。去年九月に厚労省と統計委員会が決めて発表していることを、そうとは言えないとか、何ですか、これは。

 それで、ちょっと私も時間があるんです。(根本国務大臣「ちょっといいですか」と呼ぶ)もういい。つまり、私が言いたいのは、共通事業所系列を重視すべきというデータはこちらなんですね。それを平均すると、去年の名目賃金の伸び率は〇・八になるんです。にもかかわらず、厚生労働省が発表しているのは、なぜか本系列の平均で一・四。おかしいじゃないですか。各月は共通事業所を景気指標として重視すべきと言っておきながら、一年間になったら何で共通事業所が消えて、実態と遠いと言われている本系列の数字になるのか。おかしいでしょう、これは、根本大臣。聞かれたことだけにお答えください。これはおかしいですよね。

根本国務大臣 ちょっと、私、きちんと申し上げますから、聞いていただきたいと思います。

 共通事業所は……(山井委員「もう説明はいいです。それは全部知っていますから、私」と呼ぶ)じゃ、年平均がなぜ出せないのか、ちょっと説明させてください、私も勉強して説明していますから。

 まず、共通事業所についての特性、これは、前年同月との共通事業所群、翌年同月の共通事業所群、これは異なる事業所群になるんですよ。ですから、各月においては二つの実数が併存する。そして、その意味では、月々は確かに出るんだけれども、それを平均していいのかという問題点が実は専門家から指摘されている。

 そして、実質化については、実質化の本来の意味というのは、経年的な月々の動きを時系列で見るのが実質化の意味ですから、価格変動を除くから。だから、指数化できるかという議論になる。

 その名目の賃金指数かあるいは実質賃金指数、共通事業所の本来持っているこの課題がありますから、その意味では、我々、経年変化を見る指数化にはなじまないので、年平均でも、月々の共通事業所群が月々違うんだから、それを単純に平均できますか、実はこういう課題であります。

山井委員 全く納得できません。なぜならば、この一・四を算出した前提となる本系列は、重視すべきでないと言っているやつじゃないですか。この一・四もおかしいじゃないですか。一・四よりは〇・八の方が当然実態に近いと考えるのが当たり前でしょう。

 同じ考え方でいきますと、共通事業所の実質賃金の伸び率も、この括弧した方が、統計委員会の昨年の実質賃金の景気指標としての伸び率としては共通事業所の方が正しいというふうに私たちは考えざるを得ません。それを計算すると、マイナス〇・三になるんですね。

 そこで、このことは、私たちだけじゃなくて、先日、実質賃金検討委員会に参考人として呼ばれた明石順平弁護士、明石順平先生も実質賃金検討委員会でおっしゃいました、計算すればすぐに出る、今公表されている数値は虚偽であると。配付資料の十一ページ、十二ページ、十三ページ。

 厚生労働省の実質賃金検討委員会で、十一ページ、十二ページ、十三ページを配って明石先生がおっしゃったことはシンプルです。これは簡単に計算できる、去年の実質賃金伸び率は。この十三ページの表のような計算で十分で出る、それはマイナス〇・三%である、これをすぐに公表すべきだ、公表すべきじゃないかということを検討会で発言されました。私の秘書も傍聴をしておりましたし、私もその話を明石先生本人から聞きました。

 ところが、そういう主張をしているにもかかわらず、なぜか検討会の論点整理にはその論点が載っていないんですね。

 ちょっと見えにくいですけれども、配付資料の十六ページを見てみると、厚労省によると、明石先生は、マイナス〇・三%、単純に計算すればすぐ機械的に出てくる、実質賃金は昨年マイナス〇・三%の方が今公表されている〇・二%よりも正しいということを、今の配付資料をもとに検討会で発言されました。しかし、見てください、この十六ページ。その明石先生の発言は、なぜかこの赤線に変わっちゃったんですよ。「「共通事業所」には偏りやバイアスがあることから、その利用には一定の限界があり、「本系列」の見直しを考えるという選択肢もあるのではないか。」

 こういう趣旨の発言もされましたよ、一部。でも、メーンの発言は、すぐに出せるマイナス〇・三%だ、すぐに公表すべきだということを検討会でおっしゃったじゃないですか。それをここに入れてください。その主な主張じゃなくて端っこの、こういう趣旨のことも別におっしゃったけれども、これはメーンじゃないじゃないですか。

 参考人として呼んで、すぐに参考値、共通事業所を出せる、マイナス〇・三%だ、すぐに公表しなさいということを、この論点整理の発言の中に少なくとも明石先生の発言としては入れてください。いかがですか。

根本国務大臣 これは委員会の今の段階での論点を整理したものであると、私はこれを読むと理解していますが。

 要は、これは今までの状況の中での要約ですから、我々、随分精力的に議論をしていただいておりますので、いずれ、いや、できるだけ早く中間的な論点の取りまとめをしていただきたいと思っておりますが、これはまさに専門家が集まった検討委員会での議論そしてまとめですから、そこは検討委員会の判断になるものと考えております。

山井委員 きょうもお呼びしているんですけれども、この実質化検討会の今野座長にぜひお越しいただきたいと思うんです。

 私、余りこういうことを国会で議論したくないんですけれども、予算委員会の参考人でも明石先生は来られているんですよ。そこで、実質賃金はすぐに計算できる、マイナスだ、早急に公表せよと言った予算委員会の公述人を実質化検討会が呼んで、同じ主張をしたにもかかわらず、そのことを論点整理に載せずに全く違う部分を載せる。これは虚偽、隠蔽じゃないですか。こんな検討会のやり方をしていたら意味ないじゃないですか。

 御本人は、共通事業所は出す意味がある、早急に出せる、マイナスだと言ったのに、何で勝手に委員会の権限でその趣旨を載せないんですか。隠蔽じゃないですか、虚偽じゃないですか。これは呼んだ参考人にも失礼ですよ。載せてください、これは。そんなのだったら、これだけ見たら、共通事業所で難しいから発表できないのかと思いますよ。まさか、既に数字は出ている、すぐ公表すべきだという意見があったなんて、誰もわからないじゃないですか。

 根本大臣、これはゆゆしきことですよ。改ざんですよ、隠蔽ですよ、虚偽ですよ、ここまでやったら。明石先生は明確に、早急に公表すべき、マイナスだ、計算は簡単だと言っているんですよ。別にそれが結論にならなくていいですよ。でも、そういう発言が趣旨として強く主張された以上は、ここに載せるのが当たり前でしょう。根本大臣、載せてください。

根本国務大臣 隠蔽とおっしゃられましたが、この委員会は、先生も傍聴されましたよね、公開でやられております。そこは公開のもとでの議論が行われておりますので、中間的取りまとめはその検討委員会において判断されるべきものだと思います。これは検討委員会が専門的に、客観的にやっていただいておりますから、そこは検討委員会の御判断だと私は思います。

山井委員 こんな検討会は聞いたことがありませんよ。参考人が言った主な主張を載せない、違うことを載せる。

 根本大臣、ぜひ要望してください。計算したらすぐ、マイナス〇・三%と機械的な数値は出てきます。それがほぼ正しいということは、西村さんの質問に対して根本大臣も認めている。あしたも検討会はありますけれども、この〇・三%、明石参考人が検討会の場で主張した数値を早急に公表すべきか否か、それを検討会で議論してください。すぐ答えは出ます。いろいろな注釈をつけていいです。限界があることもわかっています。でも、この〇・三%を公表すべきです、参考値として。それをするかどうかをこの検討会で早急に議論してもらってください。そうしないと、一番肝心のことを検討せずにずるずるずるずる時間延ばししているのでは、私は検討会は隠蔽委員会になってしまうと思います。

 根本大臣、いかがですか。

根本国務大臣 まず、検討会は、繰り返しになりますが、公開で行われております。そして、検討委員会、これは現段階での論点整理ということでお示しいただいたんだろうと思いますが、検討会がどういう判断をされるか、これは検討会の主体性に、判断にまちたいと思います。

山井委員 最後に一つだけお聞きしますが、そうしたら、検討会は、公表するか否かを決定する権限を持っていますか。かつ、数値を出す権限を持っていますか。きょう配付した二十五ページでは、論点整理だけで、公表するか否か、あるいは数値を出すというところまでは権限が与えられていないように思いますが、公表するか否か、かつ、その数値を出す権限を検討会は持っているかどうか、最後にお答えください。

冨岡委員長 時間が来ております。

根本国務大臣 検討委員会はさまざまな論点を踏まえて議論しておりますので、その結果、こういうことが可能かどうかということも含めて検討されているものと承知をしております。

山井委員 もう終わりますが、ここにありますように、締切りは、今回の検討会の任期は八月で、参議院選挙が終わるまで引っ張るんじゃないかというふうに私は非常に心配しております。ぜひ、引き続き、もう一回集中審議をやっていただきたい。国民にうその実質賃金プラスを発表して消費税増税を断行するということは、絶対許されません。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 まず、統計の質問に入る前にちょっと一つだけ、厚生労働省に確認しておきたいことがあるので、確認しておきたいと思います。

 お配りした資料の九ページにありますけれども、医療用の麻薬そして向精神薬等について、それを持って海外に行く人もふえてきています。今、厚生局に申請をするという手続で国内的には手続がとれるという話でありますが、各医師や各患者に任せっ放しでいいのか、件数がどのくらいあるかというのをきちっと、今どんな状況かというのは、資料としてまず厚生労働委員会に提出していただきたい、理事会に出していただきたいと思いますが、委員長、お取り計らいをお願いできますでしょうか。

冨岡委員長 理事会に諮りたいと思います。

岡本(充)委員 その上で、今、各個人に任せっきりになっているのは負担が大きいんじゃないかと思うので、これはぜひ対策を考えるべきではないかと思っています。

 更に言うと、渡航先の海外によってそれぞれ手続が違うという状況になっています。きょうは外務省にも来ていただいておりますので、外務省も厚生労働省と協議の上、そうした疾患がある方が海外に安全に渡航できるか検討すべきだと考えていますが、どうですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 医療用麻薬を含む医薬品の持込みの可否は、原則として各国の専権事項となっておりますので、まずは海外に渡航する邦人が在京の各国大使館や渡航先国の関係当局のホームページから情報収集していただくことが重要だろうというふうに考えております。

 それではあっても、海外から、渡航される邦人から外務省に対して医療用麻薬等、医薬品の持込みに関して照会があった場合には、所管の在外公館等を通じて収集した情報を可能な範囲で提供しておりますし、一部の国に関しましては、外務省の海外安全ホームページを通じて情報提供してきております。

 また、持込みに当たって、実際現地に行かれてから、現地の関係当局との間で問題が生じた場合には、各在外公館において邦人保護の観点からできる限りの支援を行うこととしております。

 他方、委員御指摘のとおり、厚生労働省と協調しながらより丁寧な対応ができないかという点に関しましては、我々まだまだ改善すべきところがあると思いますので、連携をしながら検討していきたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 大臣、個人で得られる情報には限りがありますから、厚生労働省も協力してきちっと対応策をとっていただきたい。大臣、一言。

根本国務大臣 今、岡本委員の問題意識を聞かせていただきました。麻薬や向精神薬に関する各国の規制は、その国の歴史的背景、医療の状況などによって異なっております。もう委員、御案内だと思います。

 厚生労働省では、医薬品として用いる麻薬や向精神薬の輸出入に当たり、国内の必要な手続をホームページで説明しております。また、海外における輸出入の可否や手続については、各国の駐日大使館等に問い合わせていただくようお願いしております。

 委員の御提案も踏まえて、患者の皆様がより簡便な方法により海外の情報を収集することができないか、外務省とも連携しながら検討していきたいと思います。

岡本(充)委員 では、お願いします。

 そうしましたら、統計の問題に入りたいと思います。

 毎月勤労統計、いろいろな議論がなされていますけれども、特別監察委員会の委員、正直申し上げて、この方々が自立的に委員会を開催したということで、資料も厚生労働省からいただきました。開催日時や開催する議論の内容、これを全部自立的に決めたのか、私は疑問点がやはり残るわけであります。特に、一体何回開催するかは予算にもかかわります。

 そこでお尋ねしますけれども、この委員の皆さん方への謝金は当然予算立てをしているはずです。何回分の予算を用意したのか。つまり、予算が用意できなければ委員への謝金は払えませんから、それは一体どういう予算立てだったのか、御答弁いただきたいと思います。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 特別監察委員会の謝金についてということでございますが、この特別監察委員会の開催はあらかじめ年度当初に予定されていたというものではなく、個別の人件費の見積り、計上は行っておらず、省内の謝金などの予算の中で調整をしているところでございます。

 具体的には、人事課の謝金予算から捻出をして、不足した場合に省内の謝金予算で調整をするという形で予算を確保しているところでございます。

岡本(充)委員 私のところには、謝金以外の予算の残額から財源を捻出し、流用を行うことで経費を確保した、こういうメールが来ています。流用したんですか。どこの予算をどういうふうに流用したんですか。

定塚政府参考人 今御答弁申し上げたとおり、人事課の謝金予算から捻出をして、不足した場合、省内の謝金予算で調整、更に不足した場合に謝金以外の予算の残額から財源を捻出して流用を行うということで経費を確保することとなると承知をしております。

岡本(充)委員 だけれども、上限があるでしょう、やはりこれぐらいの予算の中でやらなきゃいけないという。それはだって、どこからでも流用できるわけじゃないでしょう。そもそも、流用していいのかどうかも議論があると思いますが。

 やはり上限があったんじゃないか。これ以上はやはり使えない、このぐらいの範疇でやってほしい、それは当然のことながら、厚生労働省の中でも、青天井でどれだけかけてもいい、こんな話じゃなかったですよね。その予算額というのは大体幾らだったんですか。全く青天井だったんですか。

定塚政府参考人 今回、特別監察委員会に関する謝金等の総額は、結果として約三百十六万円となっておりますけれども、この金額について、もうこれ以上払えないとか足りないとか、そういったことはなかったというふうに伺っているところでございます。

岡本(充)委員 それは結果論で、やはり最初にこれだけの予算の中でやらなきゃいけないという天井は絶対あったはずですよ。だから、何回開けるかというのはおのずから決まってくる話になってくると思いますよ。幾らでも払える話ではないんですから。

 そういう意味で、何回ぐらいでやらなきゃいけないということ、若しくはこのぐらいの予算を用意している、こういったことについては監察委員の誰にも伝えていない、そういう理解でいいですか。

定塚政府参考人 今委員からおっしゃられたような、予算面で何回しかできないというようなことは、何回までというような制約については、お伝えしたことはないと承知をしております。

岡本(充)委員 いや、先生方だってそれぞれ予定があるわけですから、大体このぐらいの期間でという提案を絶対していると思いますよ。これぐらいの期間で、そういう期間の提案もなく委員を皆さん引き受けられた、本当にそういう理解でいいんですね。

定塚政府参考人 この委員会の検討スケジュールでございますが、一月三十日の特別監察委員会におきまして、追加報告及び取りまとめ時期はこの委員会で決める、拙速な議論を避けて、委員の合意のもとにスピード感を持って取り組むという旨の再確認を委員会でされたと伺っておりまして、どのようなスケジュールで議論を進めるかということは委員会の判断で行っていただいたところでございます。

岡本(充)委員 私の質問に答えていないんです。

 このぐらいのスピード感でということについてのめど感ぐらい、何も伝えていないということでいいんですね、厚生労働省から。何も伝えていないならそれでいいです。それとも、何かしらこんなイメージで、若しくはこういうようなスケジュール感で、そういうようなことを含めて伝えなきゃ委員を引き受けないと思いますよ、いつまでかかるかわからないような委員会。それは全く伝えずに委員会を引き受けてもらったんですか、そこだけ。

 では、全く伝えずに委員会を引き受けてもらったんですか。

定塚政府参考人 繰り返しになりますけれども、一月三十日に、改めて特別監察委員会の中で、この委員会で追加報告及び取りまとめ時期は決める、みずから委員会で決めるということを決定していただいたところでございます。(岡本(充)委員「委員に伝えずにお願いしたのか、答えていない。同じことの繰り返し。とめてくださいよ、この時間」と呼ぶ)

冨岡委員長 では、ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 速記を起こして。

 定塚大臣官房長。

定塚政府参考人 この特別監察委員会が最初に発足をした一月の時点については、ある程度のスピード感を持ってということをお伝えしておりますが、一旦、一月二十二日の報告後、次の追加調査、この点につきましては、厚生労働省からそのようなことはお伝えはしておらず、委員会でスピード感を持って取り組むということを委員会で決めていただいているということです。

岡本(充)委員 委員会の追加をやるときに、委員に頼むときに、全くもってどのぐらいの時間が必要なのかということを伝えずに頼んだんですか。そんなことあり得ないでしょう。委員に伝えたのかどうか、そこを聞いているんです。

 とめてください、委員長。速記をとめて。

冨岡委員長 では、一応とめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 速記を起こして。

 定塚大臣官房長。

定塚政府参考人 先ほどの答弁のとおりでございまして、一月の当初のときは、先ほど申したとおり、お伝えしたこともございましたが、一月二十二日の報告後、次の追加報告に向けての取りまとめ時期はこの委員会で決めるということで、厚労省の方からどうこうということは申し上げていないと承知をしております。

岡本(充)委員 委員に伝えたのかということですよ。これはちゃんと整理をして、もう一度理事会に報告してもらいたいと思います、答えていませんから。

冨岡委員長 理事会に諮りたいと思います。

岡本(充)委員 さて、きょうは総務省の家計調査を聞きます。

 家計調査、大変ですね。資料を見ました。サンプルと書いている、皆さんにお配りしている資料では四ページ、五ページ。これはあれですか、家計簿をつけてください、単なる家計簿じゃない、例えばホウレンソウを買ってきたら、ホウレンソウ何グラム、タマネギ何グラム、グラム数まで書いて報告するんですよね、どうですか。

鈴木(淳)副大臣 野菜につきましては、一カ月目だけグラム数を書くようです。(岡本(充)委員「グラム数を書くね」と呼ぶ)はい。

岡本(充)委員 大変なんですよ。これは基幹統計なんです。

 それで、グラム数まで書いてもらって、クレジットカードも一体何に使ったか全部書く。これはなかなか大変で、これはどうやって調査しているんですか、これは無作為抽出ですと。そういうことですね、無作為抽出です。こういうふうに書いています。追加の資料を見てください。三ページ目に書いていますが、最終的には無作為に選定するとなっています。

 ところが、これは断られるでしょう。さすがに、これをやってくださいといって、買ってくるたびに、コマツナをほどいてグラム数をはかって、幾ら。単身世帯なんか断るんじゃないか。いやいや、単身じゃなくても断るという人がいますが。

 それで、一体どうなんだと。最初は、いやいや、法律にのっとっての調査ですからみんな答えてくれていますと。そんなことはないでしょうとぎりぎり言ったら、三軒に一軒ぐらいしか協力してもらえないと。今そういう状況ですね、どうですか。

鈴木(淳)副大臣 家計調査におきましては、二人以上の世帯の調査世帯を一世帯確保するためには、約三世帯に調査依頼をしております。また、東京はなお大変で、調査世帯を一世帯確保するために四世帯に依頼をしております。

岡本(充)委員 つまり、無作為抽出をしているのではなくて、答えられる家庭の中で抽出しているんですよ。結局、断られたら削除している。

 現にどうなったかというと、六ページを見てください、皆さんにお配りをした六ページ。例えば、二人以上の世帯で、最初に抽出された世帯と実際に答えた世帯の年代に差があるかということを出してみました。また、その下、国勢調査と比べて、実際に答えた世帯とそれから国勢調査の世帯主の年齢階層がどうなのか、これを出してみました。

 これは統計学的に検定すると有意差がありますね。

鈴木(淳)副大臣 家計調査と国勢調査の二人以上の世帯における分布でありますが、有意差は五%、有意水準であります。単身世帯につきましても、五%、有意水準で、統計的差異はございます。

岡本(充)委員 つまり、統計学的に差が出ちゃっているんです。それで無作為抽出と言えるのかといったら、これはもう無作為抽出ではない、無作為抽出になっていない。

 つまり、答えてくれる世帯にたどり着くまでひたすらくじ引きを引き続けているけれども、これは答えてくれる人の中からくじ引きを引いているのと全く同じ意味ですよね。

 つまり、大きなポッドがあって、全世帯が入っているところから無作為に抽出してきて選んでいるのならこれは無作為調査です。しかし、その中から一定のバイアスをかけてこの中からだけ選んでいたら、これは無作為抽出とは言いませんね。総務副大臣、どうですか。

鈴木(淳)副大臣 家計調査におきましては、調査地域を選定した後に、調査対象世帯を無作為に抽出しておりまして、このような標本設計でございますから、調査計画上、無作為抽出となっております。

 ただ、一月に取りまとめた基幹統計につきましての点検結果におきまして、御指摘の点につきまして、調査計画と異なるものとは整理していないところでございまして、調査の実施に際しましては、どうしても引き受けられない世帯につきましては代表標本を抽出することとしておりますが、この場合も、乱数表によりまして無作為に抽出いたしております。

岡本(充)委員 違うんです。

 これは誰に聞いてもわかる話です。ずうっとポッドから引き続けて、当たりが出るまで引き続けたら、これは本当の抽選と言えますか。当たりが出るまで引かせてください、そんな福引きが町内会にあったらくじ引きとは言わないんですよ。当たるまで引かせてくれるんですよ。

 今回だって、答えてくれる人が出てくるまで引き続けるんですよ。これでは無作為抽出にならない。だから、現に、国勢調査ともそれから最初に選んだ年齢層とも、有意差をもって差が出ていると総務省みずから認めているじゃないですか。

 でも、一月二十四日、総務省は、基幹統計の中で抽出に問題があった調査にこれを挙げていない。何で挙げていないんですか。抽出に問題があるじゃないですか。

 きょうは時間が限られています。これは大きな問題ですよ。何にこの数字が使われているか、厚労大臣、御存じですか。

根本国務大臣 何に使われているか、これは、総務省がこういうことで利用されていますということで、それは総務省に聞いていただきたいと思いますが、ちょっと所管外なので、私は控えさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 じゃ、このペーパーを見てください。ここに書いています。これらの御回答により得られた調査の結果は、我が国の景気動向の把握、生活保護水準の検討に使っているんですよ。これは生活保護水準にはねる話なんですよ。だから、厚労委員会で話をしました。これは大変重要なデータなんじゃないか。

 その中でも、いろいろな出費がどう変わっているのか。例えば、皆さんにお配りしている七ページ、住居費、家賃がどう変わっているか、こういった支出なんかも、こうした統計をもとに数字を出しているわけですから、当然、厚生労働省にまたはねる話なんです。

 ただ、そもそも、一月二十四日に総務省がみずからの調査でこの抽出方法に問題があるということを何で報告しなかったのか、そこについては私は疑問が残るので、きょう副大臣に来てもらいました。なぜ報告しなかったんですか。

鈴木(淳)副大臣 家計調査におきましては、調査地域を選定した後に調査対象世帯を無作為に抽出しておりまして、こうした標本設計でありますから、調査計画を無作為抽出と呼んでおります。

 ただ、先ほどの話でありますが、家計調査は、世帯分布を踏まえまして、年齢階級別の世帯分布を補正した結果を参考値として毎月公表しているところでありますが、それによりますと、公表値と参考値ではおおむね同じような水準で推移していることがわかります。

岡本(充)委員 そんなことは聞いていないんです。抽出方法に問題があったということを先ほどお話をしたじゃないですか。当たるまで引き続けるなんというのは無作為抽出じゃないでしょう。これは無作為抽出というんですか、総務省においては。そこだけ最後に確認したいです。

鈴木(淳)副大臣 それは無作為抽出でございまして、統計委員会が認めております。

岡本(充)委員 では、続きはまたやらせていただきたいと思います。時間になりました。

冨岡委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 早速ですが、資料の一枚目を見てください。三月六日の統計委員会で示された、毎月勤労統計調査の特別監察委員会追加報告書に対する意見書であります。

 先ほど大串委員が紹介されたものと同じものでありますけれども、毎月勤労統計にかかわってきた五名の委員が抱いた共通の疑問という趣旨で出されておりますが、この意見書は統計委員会としてどのような位置づけになっているのか、総務省にお伺いします。

横田政府参考人 お答えいたします。

 この意見書につきましては、三月六日の統計委員会におきまして、この五人の委員の方々、これは統計委員会に対して意見を出したという形になってございます。通常、委員会におきましては、それぞれの委員から意見を承るという形で議論が進められるわけですけれども、この回のときには五名の連名で出てきたという形になっております。

 これを統計委員会の方では議論いたしまして、三点、そこに書いてありますような議論を行ったということでございます。その場では意見の一致を見たということで、これにつきまして、統計委員会としては、委員長が預かった形にいたしまして、その後に、統計委員会事務局の方から、委員長の指示に基づいて、厚生労働省の方に情報の提供の要請をしたということでございます。

 情報の提供を要請したと申しますのも、統計委員会につきましては、統計技術的観点から意見を言うという形になっております。これは、厚労省の特別監察委員会の方の報告書を見た限りでは統計技術的観点からはなお不足している情報がある、そういう認識があったということでございまして、その点について議論をした、そういう形になっておるものでございます。

高橋(千)委員 統計委員会に出されたものを全体の認識として共有して、西村統計委員長の名前でその情報提供を求めたということだと思います。

 ですので、確認したかったのは、連名で書かれているけれども、その五人の統計委員の方たちが個人的な意見を述べたということに終わっていないということ、そのことを統計委員会として認められたものであるということを確認したかったわけであります。よろしいです、それで。何が言いたいかというと、それだけの重みのある意見書であると。

 (3)を見ていただきたいんですけれども、「再発防止策は適切か」というふうに指摘がございます。それで、三行目から読みますけれども、「学術の世界で、このようなデータの不正やねつ造、盗作などがあれば、間違いなく学界から追放されることは、研究不正に対する最近の事案からも明らかである。それほどに、重大な事案であり、」というふうに指摘をしている。大変厳しい指摘だと思っております。

 本日は荒井委員長代理にお越しをいただいておりますから、率直に、この指摘をどのように受けとめているのか、お伺いしたいと思います。

荒井参考人 御指摘の件につきましては、三月六日の統計委員会におかれまして五人の委員の方々からの意見書が出されました。最終的には、三月十一日に統計委員会から厚生労働省に対して、この意見書を受けた厚生労働省への情報提供の要望という形で届けられたものと承知しております。

 この要望書では、統計委員会から厚生労働省に対して、私どもの報告書で提言した再発防止策を可及的速やかに具体化、実行していくことを求めるとともに、統計技術的、学術的観点からの再発防止策の必要性やその内容を聞くものとなっているというふうに認識しております。

 いずれにしましても、この要望書は厚生労働省において対応されるものと考えておりまして、この委員会の立場としては、特段のコメントをする立場にはないと考えております。

高橋(千)委員 厚労省に対して情報提供を求めた、それはそのとおりでございます。

 でも、きょうはせっかく荒井先生においでをいただきましたので、先生はもともとの監察チームのメンバーでございまして、その後、特別監察委員会になってからも参加をされて、委員長代理という形でずっとこの監察委員会のやり方を、当事者としてかかわってきたわけであります。そういう意味で、いろいろな思いがあるんじゃないかと。そのことに対しての意見書なわけですから、それに対して当事者としての率直な思いを伺いたいということであります。

荒井参考人 委員会のメンバーとしての私の意見を申し上げるべきではないと思いますが、報告書の中では、今御指摘のように、八項目にわたる提言をしておりまして、厚生労働省職員の、公的統計の意義やその重要性に対する意識の低さ、幹部職員の公的統計に対する無関心さ、厚生労働省の組織としてのマネジメント機能の不全、ガバナンスの欠如、これらが統計に対する不適切な取扱いを生み出し、国民の信頼を失わせたものだと、厚生労働省に対して厳しく非難をしているのが報告書でございます。

 これらを含めて、その実現を厚労省に対して求めた御意見だと受けとめております。

高橋(千)委員 大変残念に思います。この場では、委員個人としてのお言葉がいただけないと。先生の最初の一回目の記者会見のときの映像もテレビで見ておりましたので、非常に悔しさがにじんでおられたなと思っておりますから、率直な意見、これほど内外から指摘をされているからこそ御意見をいただきたかったなと思っております。

 本当に、経済統計学会、あるいは弁護士らによる任意団体、第三者委員会報告書格付け委員会、これは評価に値しない、Fランクということで評価、指摘をされた、こういうことが続いているわけなんですね。

 ここまで来ると、樋口委員長ですとか委員会そのものよりも、この調査を追認している大臣の姿勢がやはり問われると私は思うんです。重要な基幹統計を行う行政機関の長としての責任が全く感じられない。

 先ほど、尾辻委員の質問に対する答弁もちょっと驚いたんですけれども、指摘されたのは、毎勤改善検討会にずっと出ていた廣松教授が特別監察に入るのはおかしいという指摘に対して、兼業規定にさわるから協力者となったと。その兼業規定にさわるような人を更に特別監察委員のメンバーにして監察させるって、わけがわからないんですね。そこを問題だと思わないところに非常に深刻な問題が横たわっていると思います。これは大臣に答弁は求めません。

 委員長に求めますけれども、厚労省とは独立した第三者委員会の設置について国会として求めていくことを議論したいと思いますが、お願いいたします。

冨岡委員長 はい。理事会で諮りたいと思います。

高橋(千)委員 では、よろしくお願いします。

 次に、姉崎元統計情報部長に伺います。

 二〇一五年九月十六日の毎勤統計改善検討会の中間報告にある基本的考え方で、増減率は、その時点における政策判断や評価をする際に用いられた正しいと判断された情報という表現が使われておりますけれども、これがいわゆる遡及しないという意味でよろしいかという確認と、姉崎元部長は何度か、このことを質問されているときに、別に中江元首相秘書官に言われたからとか会ってから考えを変えたのではなく、自分自身が決めていったというふうなお答えをされておりますので、この点についても、御自分で官邸関係なしに決めたことよという確認、それでよろしいのか。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 今委員がおっしゃった報告書のところですけれども、過去の増減率はその時点では正しい数字だったということで、これは過去にさかのぼって遡及改定をしないということでございます。

 それから、前から説明させていただいておりますけれども、私自身も、統計ユーザーの一人としていろいろ分析していたときに、サンプルの入れかえに伴って過去にさかのぼって数字が変わってしまうというのは、統計を分析する者にとっては大変わかりにくいということで、これは少し改善をした方がいいのではないかという問題意識をかねてから持っていた、こういうことでございます。

高橋(千)委員 遡及改定をしないということが結論であったということを確認されました。

 これは、もともと検討会の開催要綱の中に検討事項というものがありまして、サンプル入れかえ時のデータの信頼性及び遡及改定の問題点ということで、このこと自体を議論する検討会である、一つではないけれども、そういうふうに位置づけられているということだと思うんですね。私、これは重要なことではないかなと思っておりますので、確認をさせていただきました。

 その上で伺うんですけれども、これは大臣に伺います。

 野党は、先ほどの山井委員も質問されていましたけれども、繰り返し、共通事業所の実質賃金を示すように求めてまいりました。それは、昨年九月二十八日の統計委員会において、労働者全体の賃金の水準は本系列、景気指標としての賃金変化は共通事業所を重視していくとされたわけで、どっちが正しいかという議論をしているわけではないわけですよ。そうですよね。

 大臣も、傾向としては同じになると野党の試算を認めているにもかかわらず、これを公表するか否かについて、わざわざ有識者による検討会を立ち上げ、二月二十二日第一回から、既に一月で五回というハイペースで議論をしています。

 わざわざ検討会を開く必要があるのか、野党が求めているのは一定の条件のもとにという説明をつけさえすれば公表できるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 私は、この議論をずっと聞いていて、どこが違うのかなと考えておりました。

 要は、ユーザーは、示された統計でユーザーの皆様がいろいろな加工を施す、これはユーザーとして当然だと思うんですね。ただ、我々は統計をつくる側ですから、統計をつくる側とすれば、この統計の指標が果たして、きちんと合理的なものかどうか、我々は説明責任もあるわけですから、実は私は、共通事業所系列の問題というのはそこだろうと思っております。

 共通事業所については何が問題か、課題として指摘されているか。

 景気指標の賃金変化率、これは重視すべきだとなっているから、私はそれぞれ重視していいと思うんですよ。それから、全体の労働者平均の賃金水準は、名目も実質も出して、時系列を見るようにしている。その上で、共通事業所の問題。

 これは、前年同月の共通事業所群と翌年同月との共通事業所群が異なる事業所群になりますから、各月において二つの実数が併存することになるんです。そして同時に、前年同月との共通事業所群を見ますから、月々で、前月と同月、この横の比較が、異なる事業所群なものだから、こういう基本的性格があるので、実質賃金というのは、価格の変動を除いて指数化して経年変化を見るというのが実質化の意味ですから、ここは経年変化を見る指数化にはなじまないという課題が存在いたします。それで、専門家に検討をお願いしている、こういうことであります。いろいろ課題がありますけれども、そういうことであります。

高橋(千)委員 どうしてこのときだけ統計メーカーとしての説明責任、そういうことを言うんですか。十五年間もデータに穴をあけておいて、それがなぜなのかは一切明らかになっていないんですよ、今だって。それで、このときだけ、しかも条件をつけてと、わかった上でやっている話に対して、出せるか出せないかわからないと延々と議論しているんですか。全くおかしいです。(発言する者あり)そうです。時間稼ぎとしか言いようがありません。

 今大臣が説明したのは、資料の3につけてありますけれども、月によって共通事業所が少しずつ減っていくんだという説明を、わざわざこれは厚労省が説明しているんです。でも、共通事業所というのは、縦の比較ではなくて横の比較なんですよ。前年の同月と比べて共通事業所がどうなったかというのを見るために参考値をとることを議論してきたんじゃないですか。それを、何でそういう、話をごっちゃにするんですか。そう言わなきゃいけない。

 これは、もう一回資料の2に戻ってください、平成三十年三月六日、閣議決定ですよ、継続標本による参考指標を三十年度以降も継続して公表するとわざわざ閣議決定して、この参考値のやり方を大事にしてきたんです。

 それで、ここの資料では、振出しは二〇一六年、平成二十八年の三月二十四日の第四回経済財政諮問会議で統計委員長の発言であると整理をされているんだけれども、実際はもっと前から、二〇一四年度統計法施行状況に関する審議結果報告書、未諮問基幹統計確認関連分に繰り返し出てくる。つまり、それまでの長い議論があって、共通事業所については参考系列として提供していくことが検討事項とされていたということなんです。

 この点を総務省に確認します。

横田政府参考人 今御指摘がございましたように、統計に関しまして、統計委員会におきまして、未諮問基幹統計の審議ということで、平成二十七年から議論が進められてまいりました。

 その中で、毎月勤労統計調査に関する、平成二十八年三月二十二日、統計委員会報告書の中に御指摘がありますけれども、それに至る審議の過程で、ローテーションサンプリング導入に際して、共通事業所系列による前年同月比の公表が望ましく、検討すべきとの指摘が行われておりました。

 この統計委員会の指摘を踏まえまして、平成二十八年十一月の調査計画変更に係る諮問を受けた審議におきまして、厚労省から、平成三十年一月分調査結果から、賃金・労働時間指数について、継続指数を作成し、参考系列として公表したい旨の説明がなされました。平成二十九年一月二十七日の統計委員会答申もこれを適当としたものということになっておりまして、今後とも継続して公表されるというふうに理解しておるところでございます。

高橋(千)委員 今答弁があったように、今後とも継続して公表するということが確認をされて、ずっと議論をしてきたわけですよね。

 ギャップが生じても遡及しないということを検討会で決めたと、さっき姉崎元部長がお話しいただきました。結局、それを補うために参考系列というのは必要なわけですよね。いろいろなやり方、ローテーションサンプリングにするかどうか、本当は細かく、一年に何回も変えていったら問題ないんだけれども、お金がかかるねとか、そういう議論もしていましたよね。そういう議論をずっとする中で、でも、遡及をしない以上はやはりギャップがあるよと。でも、そのギャップの意味をきちんと参考系列の指標を示すことによって補う、そういう議論がされてきたのではないか、ここを確認したいんです。

 だとすれば、この共通事業所の持つ意味をきちんとやはり公表する、つまり、実質賃金でも見ることに何のためらいがあるのかということが言いたいわけなんです。

 検討会が、検討会というのは今の共通事業所の是非の検討会ね、立ち上がった同じ日に、二月二十二日に平成三十年分の毎勤統計の確報が公表されています。どうしてここに、一年間を通してとり続けた共通事業所のまとめがなかったんでしょうか、先ほど山井さんが指摘したやつ。それは、名目賃金ですら発表しなかった。なぜですか。こういう議論があって出してきた数値、これからも出すと言っている数値、それを、なぜ一年たったら出せないんですか。

根本国務大臣 共通事業所系列の意味そして経緯は、委員がお話しのとおりであります。

 そして、問題は、課題は、共通事業所系列というのは、景気指標として月々の振れ、これは確かに見ております。そして、これを実質化できるか、あるいは年平均という形で示せるか、これが実は検討会でも大きな課題になっていて、先ほどの繰り返しは避けますけれども、共通事業所の持つそもそもの特性がありますから、繰り返しは避けますが、前年同月、翌年同月、異なる共通事業所群になるので、これをどうやって年平均で出せるか、縦はいいんですよ、そこが統計的、専門的に大きな課題として指摘されておりますので、ここは、この一点だけ申し上げましたけれども、検討会で専門家に検討をしていただいているということであります。

高橋(千)委員 検討会で大きな課題となりましたと今おっしゃいました。でも、検討会で課題が出てから皆さんが答えているわけじゃないんです。厚労省が野党合同ヒアリングで何度も答えてきたことを、検討会で同じことをまとめているだけなんです、五回もやって。先ほど山井さんが紹介した論点整理は、全部、野党合同ヒアリングで屋敷参事官が答えたことです。何のためにやっているんですか。厚労省が言いたいことを認めさせているだけじゃないですか。

 長年にわたる統計不正がなぜ起きたか。真実に迫る姿勢もなければ、不都合な数字は発表もしない、これこそがアベノミクス偽装であり、安倍政権の姿勢そのものです。大臣も潔くそのことを認め、しかるべき決断をするべきだと指摘をして、終わります。

冨岡委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時七分開議

冨岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田でございます。

 きょうは勤労統計の質疑の集中ということでございますが、いろいろと議論がなされている中で、行政が非常にこれで引き締まって、こういったようなことがないというようなことであれば本当にありがたいのですけれども、きのう、大手新聞に掲載されましたけれども、環境省の動物愛護管理法関連で、七週と八週が非常に今、超党派で議論されて、法律を成立させようとしているときに、環境省が提出をしてきた資料で、なかなかこれが進まない。ところが、その資料が間違いであった。引用元の本にその引用が何も記載されていないし、その資料に関する関連が常識であるんだということに対して、学界ではそんな常識はないんだ、そういう指摘をされて、訂正文を出したばかりなんですね。それはきのう発表されたばかりなので、全く、そういう意味では、反省しているのか、やる気があるのかというところはやはり問われなければならないと思うんです。

 そういう意味で、統計というのは、連続性、前と比べるから初めて統計ということになると思うんです。この連続性に関して、どのような重要性を感じているのか、まずはお聞きをしたいと思います。

根本国務大臣 統計調査においては、正確性とともに、過去との比較という観点から、連続性が大変重要であると認識しています。

 そうした中で、毎月勤労統計において不適切な取扱いが長年にわたって続けられ、また、そのうち平成十六年から平成二十三年までの期間については、必要な資料が見つかっていないため再集計ができていないことについては、大変遺憾であります。

串田委員 今大臣も連続性の重要性というのを述べられたんですが、私の地元の神奈川県に有名な駅伝、東京と神奈川の箱根駅伝というのがあるんです。これは全長が二百十七・一キロ、ことしは、青学が五連覇するんじゃないかということだったんですが、東海大学が、大会新記録、十時間五十二分九秒ということで優勝したんです。

 新記録というのはどういうことかというと、これまでの記録と比べるから新記録なんですね。じゃ、この比べた記録というのはどれと比べたのか。九十五回なんですよ、今回の大会は。

 ところが、この箱根駅伝の通過地点のところに、函嶺洞門という非常に有名な通過地点があるんです。これは一九三一年に設立をされたんですが、もう老朽化して、二〇一五年から通行できなくなったんですね。それで、函嶺洞門のバイパスを通るようになった。これで、二十メーター弱、十八メーター何とかぐらいちょっと延びたんです、秒数でいうと三秒から四秒。さあ、それで、どうするかということなんですね、これまでの記録は。

 ここには、五区に、東洋大学の柏原竜二さんという、一時間十六分三十六秒という偉大な記録があるんですよ。この記録は正式記録としてさすがに残すべきだという意見があったんですが、結果的には参考記録にしたんですよ、五区を。五区が参考記録なら、六区も参考記録です。それだけじゃなくて、往路も復路も総合も全部、第九十回までの記録が全部参考記録になったんです。ですから、九十五回の今回の新記録というのは、わずか五年間だけの新記録なんですよ。九十五回の歴史の中で九十回は、わずか三秒から四秒、割合でいうと〇・〇〇〇一八%なんです、二百十七・一キロに対して、この二十メーター弱延びたということで、だけれどもこれを参考記録にしたのは、同じ道じゃないからなんですよ。

 そういう意味で、記録というのを比較するときというのはそれだけ重大だということであるにもかかわらず、今回は、全数を抽出にしたりとか、復元をしたりしなかったりとか、そういうことをしながらも比較をしていったというのは、ほかのスポーツ業界にしても何にしても、余りにもずさんじゃないかというふうに思うんです。

 問題は、これを、どういうふうにガバナンスを解決していったらいいのかということなんですが、どうやったらこれは、本当に直るんでしょうか、ガバナンスできるんでしょうか、お聞きをしたいと思います。

根本国務大臣 組織のガバナンスというのは非常に大事だと思います。

 二月二十七日に特別監察委員会で取りまとめられた追加報告書、これにおいては、今回の問題について、公的統計の意義やその重要性に対する意識の低さ、幹部職員の公的統計に対する無関心、組織としてのガバナンスの欠如などが厳しく指摘されております。このことについては真摯に受けとめております。

 その上で、これからどう再発防止策を講じていくのか。監察委員会でも、幹部職員も含めた統計の基本知識の習得や意識改革の徹底、ガバナンスの強化を目的とした管理職を含めた研修の強化など、八項目にわたる提案をいただいております。

 毎月統計をめぐる事案等によって、公的統計への信頼を始め、厚生労働行政に対して国民の皆様の不信感が高まっており、統計に対する意識とともに組織のガバナンスが問われていると思います。

 個人レベルで法令遵守の意識を徹底することはもとより、統計部門の組織や業務の改革だけではなくて、厚生労働省全体が国民の目線を忘れずに、これに寄り添った行政をできる体制を構築していかなければならないと思っております。

 このため、次の三点を柱とする改革案の策定に早急に取り組みたいと思っております。

 一つは、統計に関する認識、リテラシーの向上であります。例えば、全職員に対する統計研修の実施や、他府省や民間の統計専門家などとの人事交流などが考えられると思います。

 二つ目は、統計業務の改善であります。統計の調査内容の正確な公開や利用者の視点に立った統計の見直しなどが考えられます。

 三つ目は、組織の改革とガバナンスの強化。統計を外部有識者により審議する仕組みの強化や、民間人材の活用、内部組織の強化等が考えられます。

 これは、私が先頭に立って、厚生労働行政の重みに対応した、しっかりとした組織のガバナンスを確立していきたいと考えています。

串田委員 今、いろいろと前進できそうな提案もいただいたんですが、どうしてこういうような疑問といいますか疑念というのがまだ残っているかというと、それも、報告書というのが、ちっとも改善をするということに対して前向きに見えないというところが確かにあるのではないかなと思うんですね。報告書というのは、直そうと思っているから報告書なのであって、基準を変えてはいけないわけですよ。だから、基準を変えてはいけないというところで出されているのが今回の報告書であるのに、報告書の中身自身に基準を変えている部分が私はあると思うんです。

 今回、テレビ放送されている予算委員会というのもありました。本当に嘆かわしいなと思ったのは、今、子供が、まねをしてくる子がいっぱいふえてきたというんですよ。いろいろなうそを言ってごまかしをしているときに、先生に叱られると、うそは言ったけれども隠蔽の意図はございませんと言うらしいんですよね。子供がこういうようなまねをするわけですよ。霞が関の超エリートが、うそは言ったけれども隠蔽の意図はないって、わからないじゃないですか。

 では、これはどうしてこういうことになったかといいますと、隠蔽という言葉は、大辞林で調べれば、見せたくないものを隠すことと書いてあるわけです。この隠すところの中に、覆いかぶせたり、移動させたり、うそをついたりと言っているわけです。うそをつくということの動機づけは隠すためなんですよ。なのに、うそをついたのに隠すつもりはないという日本語は、テレビを見ている人にはわかるわけがないんですね。

 そういう意味で、これは国際間でも一緒でして、例えば条約の場合には、条約法に関するウィーン条約というのがあります。これは条約に関する基本的な条約なんです。日本も一九八一年に批准しているんですが、いろいろな国が、言語も違う、文化も違う、考え方も違う中で、じゃ、どうやってその条約を守るんだ、それぞれの国が勝手にやっていったら守りようがないということでつくられたのがこの条約法に関するウィーン条約なんですが、その三十一条には、条約は、非常にシンプルなんです、通常の意味で、誠実に解釈すると書いてあるんです、通常の意味で。

 ですから、テレビを見ている人も我々国会議員も、報告書を読んで通常の意味で質問をするしかないんですよ。それなのに、隠蔽という言葉を勝手に定義づけて、そしてハードルを高目にして、この隠蔽には該当しませんと言っていたら、いつまでたっても該当しないわけです。

 要するに、この報告書は、基準を変えてはいけないということを改善するためにつくられている報告書であるにもかかわらず、みずから言葉の定義を変えて基準を変えてしまっている。まさにこれは統計偽装そのものの象徴たるものなんですよ、この報告書は。

 ですから、報告書をつくった構成員が問題というのは、指摘されて、まさにそのとおりだと思うんですけれども、報告書自身が定義を変えていってしまっている、こんなことをしていたら会話は成り立たないですよ。日本語の普通の言葉として報告書にしても予算委員会の答弁もしてもらわないと、何のためにテレビで国民に見てもらっているかわからないと思うので、これから、そういう意味では、基準だとか定義というのを勝手に変えないということだけは約束をしていただかないと、わけがわからなくなるんだと思います。

 そこで、ちょっと質問はかわりますが、今回の全数調査と抽出調査ということがありますけれども、統計学的には今、抽出調査もかなり精度が高いというふうに言われているんですね。それなのに全数調査にしている。だから、ある程度のサンプルをとれば正確に数字が出るんだというのが統計学的に出ているから、安易にそういうふうにしてしまったんだと思うんですが、今回の件で、全数調査にし続ける意味というのをしっかり理解しているのか。そうでなかったら、もともとは抽出調査でよかったのを、改正をしなかったがために全数調査にしていただけなんだというふうに思っているのか、それとも、本当にこれは全数調査をする必要があったのかということの認識を確認したいと思います。

藤澤政府参考人 毎月勤労統計調査は、月々の賃金あるいは労働時間また雇用の変化を迅速に把握することを目的とする調査でございます。対象事業所の選定に当たりましては、常時五人以上の常用労働者を雇用する事業所から無作為に抽出することを基本としつつ、ただ、規模五百人以上の事業所については全数調査をしているところでございます。

 全数調査と抽出調査の違いでございますが、全数調査は、全数であるがゆえに誤差が生じず、地域別、産業別あるいは職業別などの各種の区分を二重、三重に組み合わせて詳細に集計することができるという特徴がございます一方で、抽出調査の方は、一部の標本から全体を推計するために一定の誤差が生じるものの、月別の推移など、結果を早期に得ることができるといった特徴があるものと承知をしております。

 その上で、毎月勤労統計につきましては、五百人以上規模の事業所は全数調査とする旨を公表していたものでございまして、当然全数調査とすべきであったところ、これを、適切な手続を経ることなく、東京都について抽出調査としていたことは不適切な対応であったと考えております。

 それで、どうするのかということでございますけれども、現在、総務大臣の承認を得ております調査計画に沿って必要な調査を実施することがまずは重要であると考えておりまして、その方向で統計委員会など関係者と調整をしているところでございます。

串田委員 もう一問実は質問したかったんですけれども、今終わりの紙が回ってきそうなんですが、箱根駅伝というのは、金栗四三、今「いだてん」で有名になっていますけれども、この方が紹介したのが箱根駅伝の一番のスタートなんですね。この金栗四三というのは日本のオリンピック第一号ということで大変有名なんですけれども、この金栗四三をモデルにしたのが道頓堀のグリコサインと言われているわけです。厚労省の職員の方はあれを見てぜひ反省をしていただきたい、こう申し上げまして、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 社会保障を立て直す国民会議の中島克仁です。

 統計問題集中審議ということでお時間をいただきましたので、私からも質問させていただきますが、本日も朝から、各委員、大臣また参考人との質疑を聞いていて、やはりかみ合っていないし、やればやるほど論点が抽出されてくる。

 今、串田議員もおっしゃいましたが、私、一昨日、地元で大学生と医療のシンポジウムをやったんですが、そこで出てきた言葉が、医療の話より、その前提として、政治が信頼できない。その理由はと尋ねたら、テレビで国会中継を見ていて、質問に答えない大臣始め国会議員。そういったうまくごまかそうとする姿勢が、先ほど串田議員もおっしゃっていましたが、テレビ中継を見ている国民の皆さんが本当にこういう内容で納得できるかどうか。

 そういう観点から、午前中も山井議員も言っていましたが、これは与野党関係なく、厚労省も含めて全容解明して、再発防止。大臣はたびたび、先頭に立って全容解明に取り組むとおっしゃっていますが、きょうの集中審議、参考人の出席のあり方を含め、体をなしていないということは私からも指摘をさせていただきたい、そのようにまず思います。

 本質的な問題は、私、十分しか時間がございませんので端的にお聞きをしたいと思いますが、今回、毎勤統計不正調査のみならず、賃金構造基本統計問題に対して三月八日に総務省の行政評価局の緊急報告がなされました。この中で、厚生労働省の危機管理対応の不備、遵法意識の欠如と事なかれ主義の蔓延、組織と運営体制を見直してガバナンスを高めることが必要、これは本当にぼろぼろ、ぼろかすに言われているわけですよ。大変恥ずかしい指摘だと言わざるを得ないというふうに私は思うわけです。

 大臣には、この率直な受けとめとともに、統計を学術的に高めていくということはありますけれども、過去にもさまざま、厚生労働省でいろいろな問題が起こり、職員の意識改革等をされてきたわけですが、そもそもぼろくそに言われてしまう、なぜ厚生労働省はそうなってしまったのか、その本質的なことについて大臣はどうお考えになっているか、お尋ねいたします。

根本国務大臣 まず、今回の統計問題、私は誠実に答弁しているつもりです。つまり、統計というのは非常に専門的、今回、統計が極めて専門的なものですから、そこの説明をきちんとしたいと思って私は説明をしておりますが、ここは少しきちんとしたやりとりをぜひしたいなと私も思っております。

 そして、その上で今、遵法意識の欠如、事なかれ主義の蔓延、厳しく指摘されました。そして、公的統計の意義や重要性に対する意識の低さ、あるいは公的統計に対する幹部職員の無関心、組織としてのガバナンスの欠如、これが指摘されております。

 私は、こういう問題の根本的な原因、大事なのは、厚生労働省全体が国民の日々の生活に思いをいたし、国民に寄り添う行政を展開していくという姿勢を十分に持てていなかったことがあると思います。

 個人レベルでは、当然のことですが、公務員ですから法令遵守の意識を徹底する、これは当然として、統計部門の組織の改革だけではなくて、省全体が国民の目線を忘れずに、国民に寄り添った行政ができる体制を改めて構築していかなければならないと考えています。

 そして、具体的に、今回の事案の反省に立って、統計への信頼回復や再発防止に向けて、次の三点を柱とする改革案の策定に早急に取り組みたいと思います。

 一つ目は、統計に関する認識、リテラシーの向上。例えば、全職員に対する統計研修の実施や、他府省や民間の統計専門家などとの人事交流等が考えられます。

 二つ目が、統計業務の改善。統計の調査内容の正確な公開や、利用者の視点に立った統計の見直しなどが考えられます。

 三つ目は、統計の改革とガバナンスの強化であります。統計を外部有識者により審議する仕組みの強化や、民間人材の活用、内部組織の強化などが考えられます。

 厚生労働省として、統計に対する姿勢を根本から正し、再発防止を徹底するとともに、しっかりとした組織のガバナンスを確立していきたいと考えています。

中島委員 今のはもう何度も何度もお聞きしている内容で、私がお聞きしたのは、例えば二〇一六年も年金個人情報の流出があったりとか、一八年には裁量労働制にかかわる不正な労働時間の調査、昨年ですね、そういう問題のたびに、職員の意識改革、ガバナンスの強化、一番最後におっしゃいました。そもそも、どうしてこういう、先ほど、総務省行政評価から言われたと。このときも、昨年の裁量労働制の不正な調査のときも、組織風土の問題は根深いというふうになっておると思いますし、そのたびにガバナンスの強化を言われ続けているにもかかわらず、また今回、こういう状況を起こしてしまった。

 今指摘された遵法精神の欠如と事なかれ主義の蔓延、これはどう正していくおつもりなのか、具体的にお示しいただきたいと思います。

根本国務大臣 法令意識の徹底が指摘されていますが、例えば、全職員を対象とする公務員倫理等に関する研修などを実施し、自主点検を徹底する、あるいは、新任管理職研修において職員管理として法令遵守の徹底を求めているところでありますが、それでもなお今回の事態に至っていること、改めて真摯に反省して、コンプライアンスの一層の徹底を図る必要があると考えています。

 それから、先ほどのことに加えて言えば、厚生労働省として、統計に対する姿勢を根本から正し、再発防止を徹底するとともに、業務量の増大に適切に対処できる体制を整えるなど、厚生労働行政の重みに対応したしっかりとした組織のガバナンス、これが必要だと思っております。

中島委員 従来から、幹部研修を始め、遵法に関してさまざまやられていると思います。それにもかかわらず、また再度起こっている。これは本当に根深い話だと思うんです。

 そもそも、今回の毎勤統計不正調査に至っては、根本大臣が昨年末に報告を受けながら来年度予算を黙認してしまったり、年が明けて報道が広がった瞬間に、すさまじいスピードで一月二十二日の調査結果、そして、二十四日の本委員会で、監察委員会がお手盛り調査、第三者性が全く保たれていない調査。この行動自体が、根底、その疑念にかかわっていると私は思うんです。厚生労働省の根深い体質を改善していくために、根本大臣みずから先頭に立ってと言いますが、その大臣が、この経緯の中、初動動作でまさにそういう行動をとってしまったということが私は根底にあるというふうに思います。

 そういった意味で、二十四日に素早く関係の処分を示されたわけですが、今回、追加調査の結果も、私としては、先ほど来委員が御指摘しているとおり、第三者性が保たれているとは言えない追加調査の結果でありますので、二十四日に発表した処分について、その処分が妥当だと考えているのか、それとも今後処分の内容が変わるのか、それだけお聞きして、質問時間が来ましたので終わりにしたいと思います。

根本国務大臣 私の一連の対応についてのお話がありました。

 簡単に言いますと、十二月二十日に初めて私は報告を受けました。だから、経緯、原因等について、速やかに徹底的な調査を行うように指示した。そして、その時点では、例えば事案の具体的な内容や影響が明らかになっておりませんから、十二月二十一日に政府予算案が決定された、これは予算案との関係性を判断できる状況にはなかった。

 私は、とにかく徹底した調査をやれと指示して、精力的にやらせたつもりです。そして、十二月二十七日に、統計を復元していなかった結果、統計上の賃金額が低目に出ていた可能性がある、国民経済計算や雇用保険、労働保険給付等への影響の可能性がある旨報告を受けて、私から影響について見定めるよう指示しました。

 そして、事務方で精力的にやらせた上で、ここは簡単に言いますが、一月十一日にこれまでの調査によって一定の結果が取りまとめられたので、事案の概要や雇用保険、労災保険の追加給付が必要となる旨、これは具体的な数字がもう上がっておりましたので、今後の対応等について公表し、要は、年末年始から精力的にやらせました。そして、報告書も出させた。

 一月二十二日に行った関係職員の処分については、同日の特別監察委員会の報告書を踏まえ、これはずっとヒアリングを続けてきていますから、我々、監察チームで年末から精力的に。ですから、厳正に実施したところであります。

 現在、二月二十七日にまとめられた追加報告書について、事案を十分に精査しているところであって、処分の要否等についてしっかり検討していきたいと思います。

中島委員 長々答弁されましたが、私が言いたいのは、要するに、大臣が一生懸命やったということよりも、結果的に第三者委員会はお手盛り調査であって、その結果、国民全体の疑念が蔓延しているということの当事者意識をぜひ持っていただきたいということを述べて、質問を終わります。

冨岡委員長 次に、国光あやの君。

国光委員 茨城六区の国光あやのでございます。

 本日は、毎月勤労統計の集中的な審議ということでございますので、まず勤労統計問題からぜひお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほど各委員からの御質問もありましたけれども、真相究明というのは本当に確かに大事なことだと思いますが、私、思いますのが、地元の茨城の皆様方の御意見を伺っていましても、また国会での審議を聞いていましても、国民の皆さんが今必要と思っていることは何でしょうか。

 追加給付、これは起こっちゃいけない問題です。猛省すべきだと思います。ただ、実際に七十六万人ほどの方、これは雇用給付ですね、それとまた労災の方は二十二万人の方がもらい損ねているという状況があるわけです。追加給付、これを早くちゃんとしてくれ、必ず届くようにしてほしいという御希望があることと、それから、厚生労働省は一体どうしているんだ、一体この問題は何なんだ、同じ問題を起こさないでくれというふうな御意見、空気というのを私は非常に感じます。

 その点をまず質問させていただきたいと思うんですが、きのう三月十八日から、この追加給付がとうとうスタートいたしました。私、この追加給付の対象の方にぜひ円滑に情報が行って円滑に給付されるということが、まずもって厚生労働省の一番の反省の成果となるのではないかと思います。この点につきましてはいかがな状況になっているか、きのうから始まっているわけでございますから、御答弁をお願いいたしたいと思います。

上野大臣政務官 委員御指摘のとおり、雇用保険給付を現に受給している方の将来の給付分については、昨日から、再計算された適正な額でのお支払いを行っております。

 あわせて、雇用保険、労災保険、船員保険の追加給付について、現在の連絡先を特定できない可能性がある一部の方を主な対象に、御自身で氏名、生年月日、住所などの情報をインターネット上で登録できる、追加給付に係る住所情報等登録フォーム、また、雇用保険の基本手当の追加給付について、受給開始時の年齢や離職前の平均月収、受給を開始した時期を入力することで大まかな額の目安を簡単に計算できる簡易計算ツール、これを厚生労働省のホームページに開設したところであります。

 今後とも、さまざまなツールを活用し、国民の皆様の不安を解消するとともに、これは既にお示しをしておりますけれども、工程表に基づいて国民の皆様に対して必要な追加給付を円滑にお支払いできるように、全力で取り組んでまいります。

国光委員 政務官、ありがとうございます。

 いろいろな手段で、ツールでこの追加給付の広報をされているということは、今お伺いいたしました。ただ、実際に厚労省がされているという広報が国民の皆様に届いているのかということは、また別問題なのかなというふうに思います。

 例えば、今回の追加給付の話、私もちょうど先週末に、地元でも恐らく対象となっているであろうと濃厚に思われる皆様と意見交換をさせていただきました。ただ、あしたから、三月十八日から追加給付が始まるんですよというお話は、ほとんど余り知られていない。

 厚労省の行政でよくあります。大事なことを一生懸命広報されている、それは厚労省のホームページやツイッターで宣伝しているのはわかりますが、誰がそれほどそれを見るでしょうか。リーフレットが配られているのもわかります。ただ、それは山積みになっていませんか。一生懸命やられている広報のプロセスが、大事なことは、国民の皆様、特に困っていらっしゃる対象者の方に届くことだというふうに思います。

 例えば、この追加給付以外にも、虐待がこれだけ騒ぎになって、これだけ各与野党を超えて一生懸命やろうとされています。一番、一人一人の国民の方ができることというのは何でしょう。「いちはやく」、一八九番に電話をする。そうしたら、誰だって個人情報は特定されずに児童相談所につながって、支援の網の目が、セーフティーネットが広がるかもしれない。とても大事だと思います。

 ただ、この「いちはやく」、一八九番、認知度はどれぐらいでしょう。(発言する者あり)ありがとうございます。調べましたら、アンケートではたった一〇%。いや、一〇%も私はないんじゃないかと思います。

 私、自分の例えば地元で、国政報告会だとかいろいろな集まりで、一八九を知っている方はとよく聞きます。そうしたら、例えば国政報告会に集まってくる方は、基本、結構意識の高い方々ですよね。必ず、虐待は本当に何とかしてあげてほしい、国光さんとおっしゃいます。ただ、一八九はほとんど知られていません。百人に聞いても、手を挙げるのは数人です。ぜひこういう状態を変えていただきたい。

 さらに、例えば、私はもともと医師ですけれども、お医者さんからよく言われます、診療報酬、介護報酬、改定のたびに分厚くなりますと。今、これが診療報酬の本ですけれども、年々大体五ミリぐらい厚くなっているんじゃないでしょうか。これでわかれというのは結構無理だと思います。しかも、通知が出るのは、四月スタートなのに三月三十日。レセプトのソフトを変えるのも大変です。こういう状況は非常に国民を苦しめているんじゃないかと思います。

 ぜひこのあたり、厚労省の今回の追加給付もそうです、認知度はまだ不足しています、虐待もそうです、もうちょっと今までのやり方より新しい形で取り組んでいく必要、小泉進次郎部会長を始め一生懸命取り組まれているPTもございますけれども、実効性のある形でやはり組織的にやっていかないと根づかないと私は思います。ぜひその辺、御答弁いただければと思います。

上野大臣政務官 まさに委員御指摘のとおり、厚生労働省の各種施策は国民の生活に密着をしております。丁寧にわかりやすくお伝えする必要があるというふうに考えています。

 厚生労働省の広報室の中に、分かりやすい広報指導室というものを設置しています。ここにPR会社の出身の方等を配置して、各局が作成するプレスリリースやパンフレットについて、タイトルを工夫してニュースのポイントをわかりやすくする、また言い回しなどの表現を簡素化するといった点を始め、わかりやすく、読みやすくなるように必要に応じてアドバイスを実施するとともに、広報実務を担当する職員への研修等も実施をしてまいりました。

 さらに、戦略的な広報を展開するために、記者や民間企業の広報部長さん、PR会社等に講師をお願いして、広報力を向上するための研修を実施しております。また、最近では、ウエブを活用した広報や、記者から見た厚労省の広報をテーマに実施をしたところであります。

 さらに、各局に広報委員を配置しています。戦略的広報を展開するための企画などを担うこととしています。

 しかしながら、まさに今委員御指摘のとおり、施策が十分に知られていない、対象者に対する働きかけが弱い、さらには内容が専門的でわかりにくいといったさまざまな声をいただいているということは認識をいたしております。広報の取組を充実させつつ、継続的に行っていくことが必要と考えております。

 このため、引き続き、各局に配置をしている、先ほど申し上げました広報委員を広報のかなめとして活用することを基本としつつ、広報委員が各局における広報をわかりやすく戦略を持って行うことができるよう努めてまいります。具体的には、広報に関する研修メニューについても、広報の基礎知識のみならず、危機管理事例や広報の好事例、先進事例などを取り入れるなど内容を充実するとともに、分かりやすい広報指導室、これも先ほど申し上げました、こことも十分連携できる体制を構築するなど、国民の皆様に必要な情報がわかりやすく届くようにこれからも努めてまいりたいと思います。

国光委員 ありがとうございます。ぜひ、戦略的な広報、実際に国民に届く形でゴールが達成されることを心からお祈りしております。

 この毎月勤労統計の問題、広報以外の話で、私、これは本質だと思うんですけれども、厚労省はやはりちょっと問題が多過ぎる。ここにいる恐らくほぼ一〇〇%の方が同じくそう思っていると思います。(発言する者あり)ちょっとじゃないという御意見もあります。これは何で起こるんでしょうか。

 私、自分自身が厚労省にいたこともありますので本当に思いますが、組織体質もそうです、組織のガバナンスもそうですけれども、職員の例えばマンパワー、そしてまた、特に今回の統計問題はそうだったかもしれませんけれども、職員の資質の問題、こういうことをやはりきちんと正して対応していかなきゃいけない。これはやはり与党である立場としてもぜひ取り組んでいかねば、国民の負託に応えることができない。今後も同じ問題が起こり得るんじゃないかというふうな危惧を多くの方が持っていると思います。

 そこで、大臣、根本大臣も連日大変お疲れのことだと思っておりますが、それもこれも、やはり厚労省の組織を強化して厚労省を立て直して、国民のために、同じような問題を起こさないような厚労省に変えていくということが非常に重要ではないかと思いますけれども、その点、ぜひお伺いさせてください。

根本国務大臣 私も、今回の事案、そして私の就任以来いろいろな課題がありましたから、それをこなす中で、特に今回の問題で、私はきちんと、今、厚労省の業務量の拡大に伴って、人員体制もかなり厳しいというお話もいただきました。そういうこともあるだろうと思います。とにかく、この際、厚労省の現状を総点検して、再点検して、そして厚労省のガバナンスの強化に具体的に取り組んでいきたいと思っております。

 私は、これまで半年間、大臣をやってきましたが、私も半年やって、どういうところに問題があるか、課題があるか、私なりに体験しておりますので、これは魂を据えて、厚労省の組織改革そしてガバナンスの強化、厚労省のメンバーも、そもそも厚労省の仕事がやりたいという熱い思いで入ってきた若手そして今働いている人間もたくさんいますから、彼らの力を引き出して、しかし、厚労省としてこういう改革をする、国民の信頼を回復する、政治家として私も二十数年やってまいりましたが、これはしっかりと取り組みたいと思います。

国光委員 ありがとうございます。

 ぜひ厚労省の改革、たたくだけじゃなくて、前向きな改革を通して国民の負託にしっかりかなうことができる厚労省、一般会計予算も三分の一が厚労省でございます、答弁回数も委員会の時間数も、圧倒的に厚労省がどの省よりも多い、そういう中で、しっかり国民のためになるような厚労省に、大臣のリーダーシップを心から期待しております。

 続きまして、厚労省の特に社会保障制度。

 今回の統計問題、雇用保険や労災保険の話もございますが、私、以前から非常に気になっていること、社会保障制度というのは、当然ながら、税金や保険料を皆様の本当に暮らしからいただいて、それをもとに運営されているものでございます。

 例えば、今の消費税の問題。ややもすると、消費税を上げること自体、上げてどうなるのか、経済影響はどうなのかとか平準化対策だとか、そういう話が中心の議論になっております。

 それはそれで大事なことでございますが、私、非常に重要だと思いますのが、本来何で消費税を上げるのか。上げるのは、当然ながら、社会保障、厚労省がつかさどっておられます年金、医療、介護、そしてまた子育てのためでございます。今回も、例えば低所得者の方に年金や健康保険の御支援をさせていただく、そして、さらにまた経済パッケージで幼児教育、保育の無償化や待機児童対策に取り組むことになりますが、税をいただいて社会保障を充実していくんだ、この因果関係が余り国民にうまく伝わらない。ややもすると、お上に税金を取られるだけというふうなアレルギー的な反応。これにより、時には衆議院を解散したり、時には政権自体の立場が非常に危うくなったりということを繰り返しているのがこの厚労省を取り巻く歴史ではないかと思っております。

 そこで、一つ非常にその中で一歩前進だと思いましたのが、教育の関係でございます。

 このたび、小中高どれもそうですけれども、学校の教育指導要領が変わります。例えば高校。今、公民という教科があります。公民という教科の中で、公共という、一人一人の有権者、つまり十八歳以上はもう投票できます、有権者が、十八歳以上の方が例えば国家、社会のために何ができるか、その視点を入れていく、その中で、例えば納税者の視点、あるいは領土、領海、領空の話、そういうことを更に入れていくということが決まっております。

 これは私は非常に重要だと思います。やはり、特に税金は、召し上げられるだけじゃなくてしっかりと社会保障の充実に使われるということを、ぜひ幼いころから、学童期のころ、そして高校生のころから学んでいただきたい、本当にそう思います。

 ぜひ、その点、今どういう状況になっているかということをお伺いさせていただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 子供たちが、持続可能な社会の担い手として財政及び租税の役割や社会保障についての理解を深めることは、大変重要なことだというふうに理解しております。

 このため、平成二十九年、三十年に改訂いたしました新しい学習指導要領では、主に小中学校社会科や高等学校の公民科におきましてその内容の充実を図ったところでございます。

 具体的には、例えば今先生御指摘の、高等学校公民科に新設いたしました必履修科目、公共におきまして、財政及び租税の役割、少子高齢社会における社会保障の充実、安定化について財政の持続可能性と関連づけて扱うこととしたところでございまして、この学習においては社会保障にかかわる受益と負担の均衡などに触れることといたしております。

 文部科学省といたしましては、今後とも、財政、租税、社会保障などに関する教育の推進に努めてまいりたいと考えております。

国光委員 ありがとうございます。

 私も、このテーマは本当に十年以上、個人的にいろいろ研究をさせていただいているんですが、やはりデータで見ても、実際に海外へ行っても、特に北欧とかと比べると、またヨーロッパと比べると一番何かこの点が違う。例えばイギリスだって、毎年消費税が結構変わるような国でございます。今、二〇%ぐらい。北欧も四〇%ぐらい。ただ、上がることに対してアレルギーがない。それはやはり、先ほど政府への信頼という話もありましたけれども、信頼感、そして、きちんと支出したものがリターンで返ってくるんだという、まさにおっしゃった、負担いただくことがサービスとして返ってくるんだというふうな実感というものがあるかないかが非常に今後大きいんじゃないかと思います。

 ぜひ、文部科学省さんにおかれても、しっかりと御協力をいただけるようにお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、恐縮ながら、ちょっと話題をかえさせていただきます。

 私、もともと医師でございます。医療現場で最近非常に不安といいますか、やや混乱が起こっている点、実は先週、橋本岳委員も御質問をいただきました、医師法の関係で、異状死の届出に関する通知、これはバックに医師法二十一条という長年よく議論になる条項がございますけれども、こちらの通知が出ました。

 これにつきまして、橋本委員への先日の御答弁では、こちらは既存の解釈を超えるものではないですと。現場では、新解釈じゃないか、外表だけを見て届出をすればいいという外表異状ということがかなり一般化されて捉えられていた嫌いもありますが、これを超えるものではないか、新規解釈かというふうなお話もありましたが、そういうものじゃないですという御答弁をいただきました。さらに、基本的に医師が現場現場の状況を踏まえて個別に判断をするものだ、それが基本だというふうな御指摘がありました。

 私、それはそれで、橋本岳委員に対する御答弁は非常に評価をいたしたいと思いますし、一定の現場に対する理解というものも少し示されたのではないかというふうに思いますが、ただ、この点、非常に議論の多い、歴史的ないろいろな議論があることは承知しておりますが、最近私、このような意見も聞きます。

 現場の医師が一番困ることは何でしょうかというと、目の前の事象、亡くなっています、異状死かどうかわからないけれども亡くなっている。これを届けなかったですと。そうしたらば、御存じのとおり、医師法の二十一条は罰則規定があります。後で、届けなかったから違反として罰則の対象になる。この点が現場の医師としては非常に心配で不安で、一番のストレスになっているという意見も聞きます。

 そこで、あえてお尋ねしたいんですけれども、既存の解釈を超えない、医師の個別の判断が基本だ、これはわかります。原則、プリンシプルとしてわかりますが、実際の運用や現場のオペレーションを考えたときに、届出の基準、何をもって届けたらいいのというのが全くなくて、後になって違反だと言われるということはたまらないという御指摘があることも踏まえて、一定の最低ラインの、こういうときは届けましょうというふうな何らかのメルクマールをつくるということも私は考えてもいいのではないかというふうに思う部分もございます。この点をぜひお伺いさせていただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘いただきました本年二月八日付の医政局医事課長の通知、「医師による異状死体の届出の徹底について」という文書でございますが、今お触れいただきましたように、医師が死体を検案するに当たっては、死体外表面に異常所見を認めない場合であっても、死体が発見されるに至ったいきさつ、死体発見場所、状況など諸般の事情を考慮し、異状を認める場合には、医師法第二十一条に基づき、所轄の警察署に届けるということを明らかにさせていただきました。

 これにつきましては、今またお触れいただきましたように、異状死体の届出基準そのものではございませんで、医師が異状を認めるか否かを判断する際に考慮すべき事項を示したもの。そして、医師法二十一条に基づく届出の基準について御指摘をいただきましたけれども、私どもとしては、なかなか全ての場合に適用し得る一律の基準を示すことが難しいという認識に立った上で、個々の状況に応じて死体を検案した医師が届出の要否を個別に御判断いただくことにならざるを得ないのではないかということ、これまでも同様の解釈に立っておりますが、このような考え方に立って今運用しておりますし、先日、二月十三日の当委員会において橋本委員から御質問いただきました際の答えにつきましても、この通知の解釈についてはこれまでと変わらないことを含めてお答えさせていただいたというふうに思います。

 さらに、ここの部分について、いろいろと工夫の余地があるのではないかという御提案をいただきました。

 まず、私どもとしては、その前にお話がございましたように、今回の通知が、我々の意図ではございませんけれども、医療現場の方々にいろいろな思いを、あるいはいろいろな動きを生じさせてしまったという点については、今回の通知は今申し上げたような解釈、事実関係でございますので、丁寧に説明をいろいろな機会を通じてやらせていただくということを考えたいと思います。

 その上で、さらなる御提案につきましては、これまでの経緯も含めていろいろな議論があろうかと思いますので、我々の中でいろいろな方々の御意見も聞きながら考えさせていただきたい。今の段階でなかなか、申し上げましたように、一律の基準を示すことは難しいという認識の上に立っているところでございます。

国光委員 ありがとうございます。現段階ではそのような御答弁になるということは容易に想像しております。

 さっきおっしゃった、現場の意見をよく聞かれるということは、ぜひお願いをしたいと思います。よく聞く。今回の通知は、やはり私、思いますに、ちょっと確かに突然過ぎちゃったかなというところが混乱を招く。厚労省は、ちょっとさっきの広報の話にも通じるんですけれども、よくありますのが、調整をしておられるつもりかもしれないけれども、一番核心で不安に思っていらっしゃる方に調整がないまま、そこには届かないまま広く出してしまって、後で非常に今のような不安だけあおられてというところが、その出している内容が仮に真実であり妥当なものだとしても、結果的にはプロセスで失敗してしまうということを何度も恐らく繰り返していらっしゃると思います。そういう調整や段取り、意見をよく聞く、ぜひ建設的で現実的なやり方で工夫をしていただきたいというふうに思います。

 関連して、一点、現場の不安とさっき申し上げましたけれども、医師法二十一条、異状死体の届出の根底にありますのが、やはり警察の方が、医療、最近は介護の話もよく伺いますが、現場に介入をしてこられるということが、現場の実体験として非常にストレスであるということ。

 私自身も実はこういうことがあったんですけれども、もう十五年ぐらい前になりますが、結果的には特に事故ということではないというふうなことになったんですけれども、一回、警察の方が来られて調査をされるときに、その言動がかなりやはり威圧的に感じる。非常に萎縮してしまうぐらいの、具体的には胸ぐらをつかみかかられたり、あるいは白衣を引っ張られたり、あと机をばんばんたたく。ばんばんたたくというのは、今の感覚だとパワハラですよねというような、やはりそういうカルチャーがあったのかなというところが、ずっと都立広尾病院の事件や大野病院の事件やそのほかいろいろありましたけれども、それぞれの捜査やそれぞれの事実関係の根底に、やはり警察に対する不安感、不信感、恐怖というものが必要以上に問題を難しくしてきてしまったということも感じております。

 その点、現在どのように認識をされていて、どのような行動を、模範とするような例えば何かルールメーキングはあるのかどうかなど、ぜひちょっとお伺いさせていただきたいと思います。

田中政府参考人 警察におきましては、医療事故について捜査を行う場合には、この種の事案が医療という専門性の高い分野にかかわるものであることを踏まえまして、事案に応じ、専門的知見を有する医師等の意見を求めるなどして、慎重に捜査を行っているところであります。

 今後とも、警察といたしましては、医療の専門性や医療現場の実情等に配慮しつつ、個別の事案ごとに、法と証拠に基づき適切に対処してまいる所存であります。

 なお、警察といたしましても、捜査によりいたずらに医療の現場を萎縮させることにならないようにすることが重要であるというふうに認識をしております。一方で、警察は、患者、遺族の方々と直接に接する立場でもありまして、その処罰感情やその他さまざまな声に応えて事案の真相を明らかにする責務を負っているところであります。また、患者、遺族の方々が事前に弁護士と相談の上で告訴、告発をされるというケースもありまして、警察が捜査を行わなければならない場合もございます。

 いずれにせよ、具体的な対応につきましては、個別の事案ごとに、法と証拠に基づいて捜査を行っているところであります。

国光委員 ありがとうございます。

 医療の不確実性、そういうふうなお言葉がありました。医療というもの、もちろん事故はあっちゃいけないけれども、不確実性は本当にあります。私自身も、いろいろなことを経験してまいりました。

 ぜひ、この不確実性のところを客観的、合理的に評価していただいて、捜査という介入行動をされるときに、これまた妥当な介入をしていただきたい。この点をぜひ申し上げて、地域医療に過度の不安を与えないようにお願い申し上げたいと思います。

 最後に、またちょっと医療の話で恐縮なんですが、これまた非常に日々ニュースに出ておりますけれども、東京の公立福生病院という病院で、透析の患者さんがおられましたが、この方がドクターと相談をされた上で透析を中止されて、中止された結果、報道によりますと、一定の苦痛、苦しみを感じながら亡くなったという報道があります。

 これにつきましても、ドクターのサイド、また患者さんのサイドからさまざまな報道がなされておりますけれども、私、非常に現場を察するに、双方悩みながらの結論になったのかなというふうにも思っておりますが、ある意味、これは本当に、一つの治療法を選択されるときに、どうやって医師が患者さんに説明をして、例えばこの透析も、血液透析以外の腹膜透析だとか腎臓移植だとか、いろいろなオプションはありましたけれども、それを説明されていたのかどうか。さらに、それぞれの治療法で、当然、メリット、デメリットがあります。その点を、医師の恣意性をなくした形で、ノンバイアスな形でちゃんと提示していたのでしょうか、その上で患者さんは妥当な形で選べたんでしょうかというふうなインフォームド・コンセント。

 そしてまた、この方は、選んだときは終末期じゃございませんでしたが、結果的に終末期を迎えられ、終末のステージを迎えられ、死に至っているわけでございます。そういうときに、どういうふうなあり方が望ましかったのかということを本当に問いかける深い話なんじゃないかというふうに思っております。

 今現在、東京都が調査されているというふうには承知をしておりますが、ぜひこういう問題も厚労省が、初め、ちょっとお尋ねしたときは、余り承知していないような回答がありましたけれども、私、それじゃやはりいけないんじゃないかと思うんです。しっかり厚労省としても対応していただきたい。

 そういう意味で、今どういうふうな受けとめと対応をとられるおつもりなのか。東京都が調査されているのは存じ上げていますけれども、その点をぜひお伺いさせていただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 医療の現場におきましては、医療法に、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師等の医療の担い手と医療を受ける側との信頼関係に基づき行われるものではならないというふうに規定されているとおり、今御指摘いただきました中にもございました、医療提供者の方々と患者、家族の方々の信頼関係を築いていただくとともに、適切な説明、インフォームド・コンセントをしていただくこと、まずはそれが重要であるというふうに思っております。

 また、透析医療を行っておられることをもって直ちに人生の最終段階ということではないということをまず申し上げたいというふうに思いますが、その上で、御指摘いただきましたような人生の最終段階における医療、ケアなどにつきましても、本人による意思決定を基本とした上で、また、本人の意思は変わり得るものであるということを前提に、医療、ケアのチームが家族の方々と繰り返し話し合って丁寧な対応をしていくということなどを、これまで、人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインなどにおいて定めさせていただき、このような形で普及啓発をさせていただいております。

 本事案についてというお問合せでございます。

 お話がございましたように、日本透析医学会あるいは東京都が今調査している段階というふうに承知をしておりますし、私ども、個別の案件につきまして、現段階においてコメントすることは差し控えさせていただきたいとは思いますけれども、このあたりの動きについては十分関心を持って私どもとしてもきちっとフォローさせていただくとともに、一般論として、厚生労働省として、信頼関係に基づいた医療や適切な説明が行われる、そして、それぞれに対してきちっとした医療、ケアが行われるような環境整備に努めてまいりたいというスタンスを持って取り組ませていただきたいと思います。

国光委員 ありがとうございます。ぜひ前向きな対応をお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は私が最後のバッターでございます。今国会における重要課題であります毎月勤労統計調査につきまして、共通事業所の賃金指標をめぐる議論につきまして質問をしたいと思っております。

 まず、毎月勤労統計調査の共通事業所の賃金指標についてであります。

 この点につきましては、共通事業所の実質賃金を示せという御意見を耳にすることもあるわけですが、初めに確認をしておきたいのは、毎月勤労統計調査における共通事業所の位置づけでございます。

 毎月勤労統計調査の結果につきましては、月の上旬に速報値、下旬に確報値が発表されております。そこで、配付資料の一ページをごらんいただきたいと思います。この一ページのところ、これを見ていただきますと、これは、参考資料、毎月勤労統計における共通事業所による前年同月比の参考提供について、三月八日に発表された一月分結果速報の十三ページに当たります。共通事業所に関するページでございます。

 この中の、下線を引いた部分、注の二を、小さな字で恐縮ですがごらんいただきたいと思います。「共通事業所とは、「前年同月分」及び「当月分」ともに集計対象となった調査対象事業所のことである。」とされております。更に説明がここに加えられておりますが、先ほど来議論がありましたとおり、ここは省かせていただきます。

 そこで、こうした共通事業所につきましては、全ての調査対象事業所を集計対象とする本系列とは異なる特性があると考えております。そうであれば、そうした特性が実質賃金の算出に影響するのではないかと考えます。その点、まず厚生労働省から説明をしていただきたいと思います。ゆっくりと、はっきりと答弁をお願いしたいと思います。

藤澤政府参考人 お尋ねの毎月勤労統計の共通事業所でございますけれども、これは、調査対象事業所の部分入れかえを平成三十年の一月から開始をしたことに伴いまして、共通事業所の集計値を参考値として把握をして公表しているものでございます。

 特徴についてのお尋ねでございますけれども、三点あろうかと思います。

 一点目は、毎年事業所の一部の入れかえがありますために、前年のある月とことしの同じ月の共通事業所と、ことしのある月と来年の同じ月の共通事業所とは中身が異なりますために、一つの月に二つの賃金額が存在をし、何を基準として時系列で賃金を比較するのか決めがたいこと。

 二点目といたしまして、比較的経営が堅調な企業が多い一方で、新設の事業所は共通事業所の調査対象とならないことなどから偏りがある可能性がございます。必ずしも日本全体の事業所を代表した賃金額とは言いがたいことという特徴があろうかと思います。

 三点目でございますが、毎月勤労統計の賃金の本系列と比べまして、標本数が少なく、また標本誤差が大きくなることといったような、今申し上げました三点の特徴があろうかと存じます。

高木(美)委員 関連しまして、もう一つ伺わせていただきます。

 政府は実質賃金を公表しようとしないといった批判の声もあるわけです。この配付資料の二ページ、裏を見ていただきたいのですが、これは時系列表第六表、左の上でございます。実質賃金指数でございまして、これはきちんと公表されております。

 この点についても、厚生労働省から説明をしていただきたいと思います。

藤澤政府参考人 先ほどの繰り返しになりますけれども、毎月勤労統計の賃金系列につきましては、従来より全事業所を対象とする本系列を作成をしていますほかに、平成三十年一月より、サンプルの部分入れかえ方式、ローテーションサンプリングを導入するのとあわせまして、共通事業所の集計値についても参考値としてお示しをしているところでございます。

 今申し上げました共通事業所の実質賃金につきましては、専門的に検討すべき統計上の課題がございますので、現在、有識者を参集した検討会において御議論をいただいているところでございます。

 他方で、御指摘の本系列の実質賃金でございますけれども、これは、従来より、毎月、速報値と確報値の双方について国民の皆様にしっかりとこれまでもお示しをしてきているところでございます。労働者全体の実質賃金を公表することに私どもとして後ろ向きといったようなことはございません。今後とも積極的な情報提供に努めてまいりたいと考えているところでございます。

高木(美)委員 今、政府の答弁を聞きまして、三点、私なりに考えております。

 一つは、共通事業所における賃金につきましては、実質化、すなわち物価変動を取り除いて時系列比較をする上で多くの難しい問題があるということ。

 これは、今、藤澤政策統括官からお話がありましたとおり、特に、各月に二つの賃金額が存在をするわけで、昨年同月の事業所群とことしの同月の事業所群はそれは同じであるので比較はできる、しかしながら、ローテーションサンプリングですので、ことしの同月と来年同月の共通事業所群はそれは異なるのだと。

 したがって、一月に二つの数字が生まれてくるという今のお話ですが、ということは、これからどんどん一月に二つの数字がずっと並んでくるということでございまして、したがって、長期的なこうした指数化であるとかまた実質化であるとか、果たして可能なのかなということは、率直に私自身も考えるところです。どうなのかなというふうに思います。なかなか難しいというところが、今も確認をさせていただいたとおりです。

 あわせて、そこに新規に入ってくる事業者がなかなか入らない。特に、これを果たしてそのまま日本を代表する賃金というふうにしていいのか、こういう答弁でした。また、あわせて、標本数も少ない、誤差率が大きい、こういう点を今確認をしたわけです。

 そういうことを考えますと、二点目としては、政府では先月から専門家を参集した新たな検討会を開催していらっしゃる、中間取りまとめに向けて精力的に議論をされている、ここの点については、この検討会をしっかりやっていただきたいと思っているのですが、今後の見通しについて、これは通告しておりませんが、もし可能でしたら答弁をお願いしたいと思います。

藤澤政府参考人 御指摘の検討会でございますけれども、二月の二十二日以来、統計の専門家などを参集いたしました検討会を開催しているところでございます。

 共通事業所の名目賃金について、実質化、すなわち価格変動の影響を取り除くことにより長期的な賃金価値の推移を示すことが可能なのか、現在、鋭意御議論をいただいているところでございます。

 この検討会におきましては、委員の方々には精力的かつ速やかに議論を深めていただいているところでございまして、三月中をめどに中間的な取りまとめを行うよう努力をしていただいているところでございます。

高木(美)委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 そして、三点目ですが、そもそも、実質賃金指数は現在でも本系列で公表されている、広く提供されているものである、こうした点について、今、三点にわたりまして私は確認をさせていただきました。

 既に本系列の実質賃金指数が公表されている中で、さまざまな課題を抱えた共通事業所の集計値について、本当に実質化する作業が必要なのかどうか、これはまさに統計技術的な専門的な話でありまして、これを私はいたずらに政争の具にするようなことがあってはならないというふうに考えております。

 厚生労働省には、ぜひ、有識者の意見を十分に聞いた上で、基幹統計である毎月勤労統計調査の内容について、統計技術的かつ専門的な視点からきちんと説明できる対応を求めたいと思います。検討会をしっかりと回していただきまして、わかりやすい結論、また、そうした表現でお示しいただきたいと思います。

 そこで、次の質問に移りますが、改めて、配付資料の二ページをごらんいただきたいと思います。

 ここでは、本系列の現金給与総額が出ております。これは、平成二十七年がマイナス〇・八%、二十八年はプラスに転じてプラス〇・八%、二十九年は再びマイナスに転じてマイナス〇・二%、三十年はプラスに転じてプラス〇・二%となっておりまして、横ばいで推移していることがわかるわけです。

 ここで考えるべきは、そもそも、働き方が多様化する中で、労働者一人当たりの実質賃金ばかりを見るのがいいのかどうか、妥当なのかという点でございます。

 最近の人手不足の中で我が国の労働市場を支えてくれているのは意欲のある高齢者また女性の社会参加でありまして、こうした方々の中には、パートタイムなどを選んで、むしろ時間や日数を自由に選択させてもらいたい、そうした働き方を求める方も多くいらっしゃいます。女性の場合は育児などとの兼ね合い、また、高齢者の場合は体力などを考慮して、フルタイムまではいかないけれども可能な範囲でと、こうして労働市場に入ってきてくださっている方がいらして、人口減少の中にありまして就業者数は大きく伸びているというのが現状です。

 こうした環境のもとにあって、賃金についてどのように見ていくべきなのか、厚労省から説明をしていただきたいと思います。

大口副大臣 私の方からお答えさせていただきます。

 自公連立政権下の経済政策により、雇用環境も大きく改善しております。平成二十四年から六年間で就業者数は三百八十四万人増加しています。

 このように所得や雇用の環境が改善されているにもかかわらず、実質賃金は横ばいとなっていることは委員御指摘のとおりでありますが、これは、デフレからの脱却に取り組む中で物価が上昇したことが押し下げ要因となっていること、また、景気が回復し、雇用が増加する過程において、正規雇用労働者などと比較して相対的に賃金水準の低いパートで働く方の比率が上昇したことが、賃金の平均値を押しとどめている要因となっているという背景があります。

 他方、名目賃金は増加傾向が続いております。

 さらに、経済全体の雇用・所得環境を見るためには、国民みんなの稼ぎである総雇用者所得を見ることが大切であります。近年、女性や高齢者の就労参加が進んだことで、生産年齢人口が減少する中で雇用が大幅に増加し、総雇用者所得が名目でも実質でも増加が続いています。平成三十年ですと、総雇用所得、名目がプラス三・一%、実質一・四%ということでございまして、増加が続いていることは雇用・所得環境が着実に改善していることをあらわしていると考えます。

 厚生労働省といたしましては、働く意欲がある女性や高齢者、若者、障害者、難病のある方など全ての方々が希望に応じて働くことができるよう、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇確保の着実な推進に向けて、働き方改革関連法案の円滑な施行を始めとする対応をしっかり取り組んでまいります。

高木(美)委員 副大臣、ありがとうございました。

 私も全く同じ考えでございます。むしろ、実質賃金の平均値にばかりこだわるのではなくて、国民経済を総合的に見ていくことが重要だということを改めて確認をさせていただきました。

 と同時に、やはり、私たちが急ぐべきは、ふえる傾向にあるこうしたパートタイム労働者の方たちの処遇改善でありまして、同一労働同一賃金法制の円滑な施行であるとか、最低賃金の底上げであるとか、こうしたことに引き続き取り組んでいくことが重要である、またその重要性が増していると考えます。格差是正が急務であると思っております。厚生労働省には、そうした施策の強化を改めてお願いをしたいと思います。

 そしてまた、もう一つは、今も答弁にありましたとおり、物価で割り戻したときに横ばいないし低下する傾向にあるというのは、デフレ経済から脱却して消費者物価がようやく上昇基調になっているということであって、一人当たりの実質賃金が、一人当たりの平均値が低下しているということ、これで、アベノミクスは本当は間違っているとか偽装であるとかということにはならないというふうに私は考えております。

 政府が実質賃金を引用してアベノミクスの効果をアピールしてきたならともかく、むしろ、総理は国民みんなの稼ぎである総雇用者所得は名目でも実質でも増加している、こちらの国民みんなの稼ぎのところを答弁で引用されているわけでありまして、その意味からも、ここが重要で、家計全体の所得もふえている、こういう現状も踏まえまして、国民みんなが豊かになっていく、格差を是正していく、こうした方策を更に前に進めることが必要であると思っております。

 そういう意味では、必ずしも実質賃金が経済情勢や国民の豊かさを代表する指標ではないということを、私は再度この場をおかりして申し上げておきたいと思っております。

 大臣、最後にもう一問、実は、幼児教育の無償化に伴ってということでお伺いしたいと思っておりまして、保育における副食費が実費負担となることから利用者の実負担増となることのないよう、政府から既に各自治体に対しては事務連絡が発出をされております。

 東京二十三区におきましても、保育課長会、いわゆる意見交換会が実施されていると聞いております。東京も各区独自で手厚く支援してまいりました。したがいまして、こうした原資をもとにしていただいて副食費などもしっかりと抑えていただき、これまでの利用者負担を守っていただくようにしていきたいということで、今私たちも地方議員と連携をしているところです。

 大臣から自治体に対するメッセージをぜひ一言お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 内閣府の所管であることを前提に答弁させていただきたいと思います。

 これまで自治体独自の保育料軽減措置を講じていない自治体等においては、無償化に伴う副食費の取扱いについては、年収三百六十万円未満相当の世帯は副食費を免除することとし、年収三百六十万円以上相当の世帯は、免除対象とはしないが、副食費以外の保育料が無償となるため、現行制度より負担は軽減されるということになります。

 お尋ねの、市町村が地方単独補助により年収三百六十万円以上相当の世帯の保育料を四千五百円未満まで軽減している自治体においても、今回の無償化に伴い保護者の負担が増加することがないよう、内閣府とともに、本年一月十一日付の事務連絡により対応に御配慮いただきたい旨お示ししたところであります。

 引き続き、所管の内閣府とともに、都道府県等説明会などさまざまな機会を捉えてその旨伝えてまいりたいと思います。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、そのようにしていただきますようお願いを申し上げます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

冨岡委員長 次に、内閣提出、医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。根本厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

根本国務大臣 ただいま議題となりました医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 近年、医療水準の高度化等により、国民の健康寿命が延び、医療に対する国民のニーズが多様化する中で、公的医療保険制度における保険者に対し、これまで以上に、保険者事務の適正な実施と、予防、健康づくりに資する保健事業の充実が求められています。また、近年、社会経済のあらゆる分野において情報通信技術が目覚ましく進展する中で、医療機関や保険者における情報化の推進により、良質な医療をより効率的に提供できるようにすることが求められています。

 これらを踏まえ、医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図ることを目的として、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、被保険者番号を個人単位化し、電子資格確認による被保険者資格の確認の仕組みを設けるとともに、被保険者番号を健康保険事業等以外に用いないよう利用制限等を設けます。あわせて、電子資格確認を始め医療分野における情報化の促進を図るために医療機関等へ支援を行う医療情報化支援基金を創設します。

 第二に、医療及び介護給付の費用の状況等に関する情報について、連結して解析するとともに、幅広い主体による利活用を促進するため、安全管理措置等の義務を課した上で、地方公共団体、研究機関、民間事業者等に提供するための枠組みを設けます。

 第三に、高齢者の保健事業を効果的かつ効率的で、きめ細かなものとするため、後期高齢者医療広域連合が、高齢者の保健事業を市町村に委託できることを規定し、委託を受けた市町村が、高齢者の保健事業を国民健康保険の保健事業や介護保険の地域支援事業と一体的に実施するための枠組みを設けます。

 第四に、被用者保険の被扶養者等の要件について、一定の例外を設けつつ、日本国内に住所を有することを追加することとします。

 第五に、社会保険診療報酬支払基金について、従たる事務所の廃止や診療報酬請求書情報の分析等の業務の追加等の組織改革を行います。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、平成三十二年四月一日としています。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

冨岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十分散会


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