衆議院

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第4号 令和元年11月8日(金曜日)

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令和元年十一月八日(金曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 盛山 正仁君

   理事 後藤 茂之君 理事 新谷 正義君

   理事 冨岡  勉君 理事 長尾  敬君

   理事 平口  洋君 理事 小川 淳也君

   理事 大西 健介君 理事 高木美智代君

      あべ 俊子君    安藤 高夫君

      上野 宏史君    大岡 敏孝君

      大串 正樹君    大隈 和英君

      木村 哲也君    工藤 彰三君

      国光あやの君    小島 敏文君

      小林 鷹之君    後藤田正純君

      佐藤 明男君    繁本  護君

      白須賀貴樹君    新藤 義孝君

      田村 憲久君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    津島  淳君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      三ッ林裕巳君    宮内 秀樹君

      宮路 拓馬君    宗清 皇一君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      阿部 知子君    池田 真紀君

      泉  健太君    稲富 修二君

      尾辻かな子君    岡本 充功君

      白石 洋一君    中島 克仁君

      西村智奈美君    初鹿 明博君

      本多 平直君    山井 和則君

      柚木 道義君    伊佐 進一君

      桝屋 敬悟君    宮本  徹君

      藤田 文武君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   法務大臣政務官      宮崎 政久君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局次長)           佐々木雅之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 山内 由光君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  寺門 成真君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         藤澤 勝博君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大島 一博君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     津島  淳君

  後藤田正純君     吉川  赳君

  塩崎 恭久君     宮内 秀樹君

  白須賀貴樹君     宗清 皇一君

  船橋 利実君     工藤 彰三君

  阿部 知子君     本多 平直君

  稲富 修二君     泉  健太君

  初鹿 明博君     池田 真紀君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     船橋 利実君

  津島  淳君     あべ 俊子君

  宮内 秀樹君     新藤 義孝君

  宗清 皇一君     白須賀貴樹君

  吉川  赳君     後藤田正純君

  池田 真紀君     初鹿 明博君

  泉  健太君     稲富 修二君

  本多 平直君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  新藤 義孝君     宮路 拓馬君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     塩崎 恭久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案起草の件

 ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

盛山委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局次長佐々木雅之君、法務省大臣官房審議官山内由光君、文部科学省大臣官房審議官蝦名喜之君、総合教育政策局社会教育振興総括官寺門成真君、厚生労働省医政局長吉田学君、健康局長宮嵜雅則君、雇用環境・均等局長藤澤勝博君、老健局長大島一博君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

盛山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

盛山委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。津島淳君。

津島委員 おはようございます。自由民主党の津島淳でございます。

 本日は、質疑の機会をいただきまして、委員長、理事の皆様、委員の皆様、本当にありがとうございます。

 本日、ただいまは一般質疑の時間ということなんですが、ハンセン病元患者家族に関する諸問題について特化して質疑をさせていただきます。

 このハンセン病の問題については、超党派のハンセン病対策議員懇談会とハンセン病問題の最終解決を進めるための国会議員懇談会にて議論を行っております。

 ちなみに、私は、地元に国立松丘保養園が所在することもありまして、ハンセン病対策議員懇談会の事務局長を今務めております。今回、元患者御家族の補償法案の立法を両議懇合同のワーキングチームで行うこととなり、私もチームに加わり、皆様の御推挙により取りまとめ役を僣越ながら務めさせていただいたということでございます。

 質問に入っていきたいんですが、まず、そもそもハンセン病とはいかなる病気かということについて、事実関係をお聞きします。

 これは、今後、政府、国会において取り組むべき差別、偏見の解消という点で極めて重要な点になります。重要な事実関係ですので、特に確認をさせていただきます。この点、宮嵜健康局長にお願いします。

宮嵜政府参考人 お答えいたします。

 ハンセン病は、らい菌による経過の慢性な感染症でございます。らい菌は感染力が非常に弱く、また、感染した場合も、現在の日本の衛生状態や医療状況、生活環境に鑑みれば、発症することはまれでございます。また、現在では、リファンピシン、DDS、クロファジミンという有効な治療薬が開発され、これらの三種類の飲み薬を併用する多剤併用療法が行われておりまして、早期発見と早期治療により後遺症を残さず治るようになってきております。

 なお、現在、日本での新規の患者数についてですが、毎年ゼロ名から、出ても一名とか数名という状況でございます。

津島委員 ありがとうございます。

 今のお答え、答弁を整理させていただきますと、ハンセン病の感染力は非常に弱い、感染しても発症するとは限らない、現在は発症自体がまれである、例えば日本での新規患者数は毎年ゼロ名から数名である、万が一発症しても急激に症状が進むことはない、したがって、早期発見と早期治療により後遺症を残さずに治るようになっている。つまり、ハンセン病はもはや不治の病ではない、治る病気だということでございます。

 しかし、我が国では、国の誤った隔離政策や差別、偏見により、患者本人のみならず、家族も多大な精神的苦痛を味わってきたわけです。

 元患者本人には、平成十三年にハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給に関する法律、以下、入所者等補償法と呼ばせていただきます、が、また、平成二十年にはハンセン病問題の解決の促進に関する法律、以下、解決促進法と呼ばせていただきます、が、それぞれ議員立法で制定されています。

 しかしながら、元患者家族に対する慰謝や差別解消に向けた取組はなされてこず、平成二十八年、元患者家族ら五百六十一名が原告となり、国に対し損害賠償を求める訴えを熊本地裁に提起をいたします。その裁判は、ことし六月二十八日に判決を下されました。

 ここでお伺いします。

 この判決で示された国等の違法行為はどのようなものであったか、また、判決後の政府の対応について、これもまた宮嵜健康局長さんですかね、お願いいたします。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のありました六月二十八日、熊本地裁における判決についてですが、その中で、一つ、厚生大臣は、昭和三十五年以降、平成八年まで、ハンセン病患者家族との関係でもハンセン病隔離政策等を廃止する義務を、また、厚生大臣及び厚生労働大臣は、昭和三十五年以降、平成十三年末まで、ハンセン病患者家族に対する偏見、差別を除去する作為義務を負っており、その義務違反があったこと、二点目として、法務大臣及び文部科学大臣は、平成八年以降、平成十三年末まで、ハンセン病患者家族に対する偏見、差別を除去するための人権啓発活動、教育等を実施するための相当の措置を行う義務を負っており、その義務違反があったこと、三点目として、国会議員には、昭和四十年以降、平成八年まで、らい予防法を廃止しなかった立法不作為の違法があったことを認め、原告の損害賠償請求権を一部認容いたしました。

 政府は、この判決には幾つかの重大な法律上の問題点があるとしながらも、ハンセン病対策の歴史と、筆舌に尽くしがたい経験をされた患者、元患者の家族の皆様の御労苦に思いをいたし、極めて異例の判断ではあるが、控訴は行わないこととするという総理大臣談話を七月十二日に閣議決定いたしました。また、七月二十四日には総理が原告団、弁護団の方々と面会し、直接おわびをいたしました。

 厚生労働省におきましては、厚生労働大臣が原告団、弁護団と面会し、また、実務者レベルで補償についての協議を行いました。現在は、法務省、文部科学省とともに連携して、原告団、弁護団と偏見、差別解消に向けた協議を行っているところでございます。

津島委員 ありがとうございます。

 ただいまの答弁にございましたように、判決では、国会がらい予防法の廃止などを行わなかった立法不作為も指摘をされています。この判決を受けとめ、かつ、過去の二つの法律が議員立法で定められたことを踏まえれば、元患者家族に対する補償も議員立法によるべきであるというのが先ほど申し上げました両議員懇談会共通の思いでありまして、そのため、両議懇のもとに立法に向けたワーキングチームを設置し、超党派で議論をし、法案の骨子案を取りまとめました。

 そして、骨子案をもとに、本日の委員会の最後に委員長により起草されると思いますが、ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案、これは以下、家族補償法と呼ばせていただきます、と、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案、以下、これは解決促進法改正案と呼ばせていただきます、が作成されています。

 法案作成にかかわらせていただいた立場として、ワーキングチームでの論点について若干御説明をさせていただきたいと存じます。

 まず、家族補償法の前文です。

 私個人の思いを申し上げれば、判決で指摘された立法府の不作為に対するおわびと補償はもとより、家族の皆様が家族関係の回復を望んでおられることをしっかりと書き込みたいという思いが強くございました。ワーキングチームでは、国の責任、謝罪の意をしっかりと書き込むべき、御家族の問題への取組がなされてこなかったことを明記すべき等の御意見をいただきました。

 そこで、前文では、元患者家族等も偏見と差別の中で長年多大の苦痛と苦難を強いられてきたにもかかわらず、問題の重大性が認識されず、国会、政府において取組がなされてこなかったこと、国会、政府は、その悲惨な事実を深刻に受けとめ、深くおわびすること、元患者家族がこれまでにこうむった精神的苦痛を慰謝するとともに、元患者家族等の名誉の回復及び福祉の増進を図ることを書き込むこととなりました。

 続いて、この家族補償法の具体的な内容ですが、補償の対象者であるハンセン病元患者家族は、らい予防法が廃止されるまで、すなわち平成八年三月三十一日までの間にハンセン病の発病歴のある元患者の方々と一定の親族関係にあって、施行日において生存している方々としております。また、この親族関係については、元患者の方々の発病から平成八年三月三十一日までの間に元患者の方々との間で有していたことも要件としています。

 この補償の対象について、この法案では、ハンセン病療養所への入所歴を問わないこととしていることも重要なポイントでございます。

 この点、確認となりますが、熊本地裁判決における入所歴の有無の取扱いと認容額について、宮嵜健康局長に御説明いただきたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 熊本地裁判決では、御家族の被害を偏見、差別を受ける地位に置かれたことと家族関係形成阻害に区分し、前者の偏見、差別を受ける地位に置かれたことにつきましては三十万円、それから、後者の家族関係形成阻害につきましては、元患者の方々に入所歴があると認められた場合に、親族関係に応じ百万円又は二十万円が認容されてございます。

 したがって、判決では、国の義務違反があったとされる昭和三十五年より前しか入所歴がないとか、あるいは、沖縄が日本に返還される昭和四十七年より前にのみ沖縄で入所していたなどの元患者の方々の御家族については、当該元患者の方々との家族関係形成阻害の被害は認められておらず、認容額が低くなってございます。

津島委員 ありがとうございます。

 判決についてはただいま御答弁いただいたとおりですが、これに対して、この法案では、偏見、差別を受ける地位に置かれたことと家族関係形成阻害を区別せず一体的に認め、入所歴の有無は問わないこととすることで、今ほどございました、昭和四十七年以前の沖縄での入所であったこと等により判決では入所歴が認められなかった元患者の御家族についても金額面で不利とならないこととしており、このことにより、多くの御家族に対して判決より手厚い補償金が支払われることになります。

 次に、補償金の金額についてです。

 この点については、判決では最高でも百三十万円というものでした。判決確定後、原告弁護団と厚生労働省との間で実務者協議が重ねられました。その結果について、ワーキングチームでは、双方が受入れ可能な額として弁護団及び厚生労働省より報告をいただき、それを是とするか、議論がございました。最終的に、判決で認容された額より手厚くなっている点、原告弁護団が受入れ可能としていることから、ワーキングチームとして、親族関係の類型に応じ、配偶者、親子などが百八十万円、その他の兄弟姉妹などが百三十万円といたしました。

 ここで宮嵜健康局長さんにまた再度お願いしますが、今般の法律が成立した場合の補償について原告の方々に当てはめると、判決における認容額と比較してどの程度拡充することになるのか、また、対象となる御家族の数及び必要な経費はどの程度を見込んでいるのか、御説明をお願いいたします。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 原告の方々に議員懇談会で取りまとめられた骨子案に基づく補償金額を当てはめた場合の平均は約百七十万円でございまして、判決の認容額の平均であります約六十万円と比べて約二・八倍となってございます。

 また、今般の補償の対象となる御家族の数についてですが、これは一定の前提を置いた上で試算したものですが、約二万四千人、必要な経費としては約四百億円と試算しているところでございます。

津島委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただきましたように、法案による補償金は判決の認容額より手厚くなっているわけですが、補償金を受け取るべき方々が実際に受け取っていただけるようにすることが重要であり、元患者家族に対する十分かつ速やかな周知につき最大限努力するよう国に求める意見もあったことから、法案においては、そのための措置を国において適切に講ずるものとしております。

 次に、解決促進法改正案について御説明いたします。

 ハンセン病問題の解決の促進に関する法律は、ハンセン病患者であった方々などを対象として、福祉の増進、名誉の回復等に関し基本理念等を定めているところ、これまでハンセン病の患者であった者等を対象としていた名誉の回復等の諸規定に、ハンセン病の患者であった者等の家族を新たな対象として追加します。

 また、解決促進法改正案では、国立ハンセン病療養所における医療及び介護に関する体制について、一、充実に努める趣旨を追加するとともに、二、国立ハンセン病療養所に勤務する医師の人材確保のため、国家公務員法の特例を設け、医師の兼業に係る規制を緩和することとしています。

 今回の法案は、一部の規定を除き、両法案とも施行日を公布の日としており、厚生労働省におかれましては、円滑な施行に向けて最善を尽くしていただきたいと思います。

 まずは、補償金を迅速にお払いすることであります。さらに、重要なことは、原告の皆様が何より名誉の回復と家族関係の回復を強く望んでおられることでございます。この点は決して忘れてはならないのだと思います。

 以上申し上げた上で、最後に、加藤大臣にお伺いします。

 補償金の支給に関する業務や家族関係の回復等に向けた取組について、今回の法案が成立した場合の厚生労働大臣としての決意をお聞かせください。

加藤国務大臣 今回の法案が出されていくということでありますけれども、これに関しても、かつての施設入所政策のもとで、元患者のみならず、御家族の方々が、大変厳しい偏見、差別があり、また、その中で大変な御苦痛、苦難を強いられてこられた。そうした事実をしっかり我々は受けとめ、反省し、またおわびをする、そういう思いの中で対処しなければならないと考えております。

 そういった意味で、今委員御指摘のように、この法案が成立した際には、その趣旨を十分踏まえ、私みずから先頭に立ちながら、この法案の円滑な施行に対して万全の体制で取り組んでいきたいと思っております。

 具体的には、補償については、広報用ポスター、リーフレット、ホームページの活用により、申請を前提としておりますから、申請を積極的に呼びかけていく。また、元患者の方々の団体への周知、国立ハンセン病療養所内へのポスター掲示や、療養所職員等の協力を得て入所者の方にも補償制度の趣旨をお伝えすることを通じて、御家族の方への周知を図っていく。また、国における相談、受け付け体制を整備し、書類の書き方や手続をわかりやすく説明するなど、対象となる方に対して補償金が円滑に支給されるよう取り組んでいきたいと思っております。

 また、家族関係の回復については、先月の原告団、弁護団の皆さんとの協議においても、専門家による支援等が必要だという意見をいただいております。こうした意見も含めて、引き続き、御家族や関係の皆さんの御意見も伺いながら、鋭意検討を進めていきたいというふうに考えております。

津島委員 ありがとうございます。

 このハンセン病の問題の解決に向けて、我々、ワンチームで取り組んでまいりたいと思うんです。

 とにかく、家族であるということを対外的に言うことがはばかられる、そういう状況にあった方々が、堂々と世間に向かって、家族だ、我々は家族なんだというふうに言えるようにするということが何よりであって、そのために、引き続き議員懇談会として、しっかりと御意見を承りながら進めてまいりたいと思っております。

 今回の法案については、原告団、弁護団の御要請等も踏まえながら、どのような対応ができるか、与野党問わず検討を重ね、一日も早い成立を目指しつつ真摯な議論を積み重ね、一定の結論を得るに至ったと考えます。

 この場をおかりして、ワーキングチームに御参加いただきました方々、また、さまざまに御支援をいただきました、アドバイスをいただきました方々に心より厚く御礼を申し上げる次第でございます。

 この質疑を通じまして、ぜひ委員の皆様におかれましてはこうした点を御理解をいただきまして、速やかな成立に向けて御協力をお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

盛山委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、感謝申し上げます。

 ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案及びハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、私も、公明党を代表して立法の過程に携わらせていただいてまいりましたので、今後政府においてしっかり取り組んでいただきたい点を中心に、質問をさせていただきます。

 ハンセン病に関する問題は、元患者の方々に対しましては、二〇〇一年、熊本地裁が国に賠償を命ずる判決を下し、当時の坂口力厚生労働大臣の強い主張によりまして控訴を断念した経緯があり、以来、公明党は、元患者の方たちの権利回復に向けて精力的に取り組んでまいりました。

 ハンセン病元患者の御家族の方々に対しましては、本年六月に熊本地裁が国に賠償を命ずる判決を下し、政府として控訴は行わないこととしました。

 これを受け、公明党は、各党に先駆けて、八月二日、桝屋議員を本部長とする公明党ハンセン病家族救済対策本部第一回会合を開催しました。その折、今回の原告を始め、原告以外の御家族も含めてできるだけ広く救済できるよう、補償に向けた立法措置が必要であり、御家族に寄り添った内容を目指す方針を確認したわけでございます。

 その後、党派を超えてこの問題の解決を図るために、先ほどの津島議員のお話のとおり、十月二日、ハンセン病対策議員懇談会及びハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会によりまして合同会議のワーキングチームが立ち上げられ、各党の代表者で、公明党は私と山本博司参議院議員がメンバーとなりまして、補償内容等を議論し、十月二十四日に基本方針、この法案の骨子案を取りまとめることができたわけでございます。

 そこで、まずは補償金の額に関してですが、骨子案に示された補償金額百八十万円、百三十万円は、厚生労働省の事務方と弁護団との実務者協議において双方が受入れ可能と判断するに至った額としてワーキングチームで説明を受けたものでございます。ワーキングチームでは、さまざまな議論の上で、判決の認容額と比較しても手厚い額であること、そして弁護団が受入れ可能としていることを踏まえて、これに決定をいたしました。

 改めて、厚労省と弁護団の実務者協議におきまして、金額に関してどのようなことが論点となったのか、熊本地裁との対比を交えて御説明いただきたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 弁護団と厚生労働省との実務者協議におきましては、熊本地裁判決における認容額をベースとしつつ議論を行わせていただきました。

 具体的には、地裁判決で示されました認容額に関して、一点目の、差別を受ける地位に置かれたことによる損害に対する慰謝料額三十万円の方につきましては、差別被害の認識時期が最も遅い者を算定の基準にしたことにより控え目に算定された点、それから、国の違法行為の開始時が米国統治下の後であること等により、他地域より違法性の程度が低い沖縄における違法行為を念頭に算定が行われた点がございます。

 それから二点目として、家族関係形成阻害に対する慰謝料額につきましては、入所者との親族関係等により設けられている差、すなわち、入所者が親子又は配偶者である場合は百万円、入所者が兄弟姉妹である場合には二十万円となっていることが適切なのかどうかという点につきまして、いかなる考慮を行うべきかということが論点となり、議論を行ってきたところでございます。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 本法案の成立によりまして、ハンセン病元患者の御家族の方々へ補償金を支給する制度が創設されるわけですが、そもそも、この制度を御家族の方々に知っていただかないと補償金の支給は始まらないわけでございます。しかし、裁判の原告の大半の方たちが匿名だったことを考えますと、差別や偏見を恐れて請求をためらうようなことがあってはなりません。また、戦前の台湾、朝鮮等の本邦も含んでおります。

 この補償金制度をどのように周知していくのか、伺いたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案が成立した際には、厚生労働省としても、御家族の方々に補償金制度をしっかりと知っていただけるように、相談、受け付け体制を整備しますとともに、広報用ポスター、リーフレットやホームページの活用等による申請の呼びかけの準備を進め、対象となる方に補償金が円滑に支給されるようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

高木(美)委員 そこで申し上げたいのですが、この補償の対象となる範囲につきましては、原告団と厚労省の実務者協議では、元患者の配偶者、親子、兄弟姉妹のほか、同居を要件として孫、おい、めい等としておりましたが、ワーキングチームで検討した結果、同居を要件とした上で、対象範囲を事実婚の配偶者の連れ子や孫の配偶者まで拡大することとなりました。

 なお、この同居については、骨子案では、生活の本拠を同一にしていたことを意味し、休暇時の帰省等の一時的な滞在は含まないとしております。

 ただし、この事実婚、同居については、書類のみで認定していくことは困難な場合が十分想定されます。

 そうしたことから、骨子案におきましては、補償の認定に当たっては、まず、厚生労働省において、家族の過去の補償金等の受給歴、療養所の患者台帳や診療歴、戸籍等の関係する書類により、請求者が対象者に該当することを確認し、これらの書類等により確認できない場合、厚生労働大臣は、当該請求の内容に関し、外部有識者から成るハンセン病元患者等家族補償金支給認定審査会に審査を求めなければならないとしております。

 そこでお伺いしますが、この認定審査会における認定基準につきまして、ワーキングチームでは、明らかに不合理ではなく、一応確からしいこととすること、このような議論をさせていただき、これを踏まえて、政府において認定手続に適切に取り組むべきと考えております。政府の方針について説明を求めます。

 あわせて、この認定審査会における認定の公平性にもかかわることですので、審査会の人選について、どのような方針で検討しているかについても伺います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 認定審査会における認定基準につきましては、議員懇談会で取りまとめられました骨子案では、認定審査会における判断に当たっては、関係者の証言や供述等の内容が、当時の社会状況や請求者が置かれていた状況、収集した資料等から考えて、明らかに不合理ではなく、一応確からしいことを基準とするとされております。

 法案が成立しました際には、厚生労働省としても、議員懇談会での御議論を十分に踏まえ、対象となる方に補償金が適切に支給されるよう、認定審査会の適正な運用などに努めてまいります。

 また、認定審査会の人選につきましては、例えば、医療、法律等に関してすぐれた識見を有する方として、国立ハンセン病療養所長や裁判官の経験者といった方々を念頭に置いてございます。

 具体的な人選は法案成立後に決定することになりますが、いずれにいたしましても、公平性や中立性の観点から、適切な委員を選任してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 適正な認定ができるよう、御対応をお願いしたいと思います。

 さて、今回の法案では、法施行時に生存している方のみが対象となっております。法施行前に亡くなられた原告の方々の対応は、合同ワーキングチームでも大きな議論となったところです。

 法施行前に死亡した原告につきましてもこの法の中の補償の対象とすべきとの意見があり、私もとても悩みましたが、周囲の反対で訴訟を提起できずに法施行前に亡くなった家族の方もいらっしゃる、こうした方との公平性の問題があること、また、亡くなった原告の方に果たして訴訟の提起をもって補償金を請求する意思があったとすることは、制度設計としての合理性を欠くものではないか、こうした問題があることから、今般の補償の対象として法律に書くことは困難との結論に至ったわけでございます。

 しかしながら、他方で、亡くなった原告の方たちがいらしたからこそ、御家族の偏見、差別と家族形成を阻害されて苦しんでこられたその実像を知ることができ、今日の流れがあるということを思うと、何かできないだろうかというこの心情は、まさにワーキングチーム全員が共有をしたところでありまして、更に議論を重ねました。

 その結果、補償金とは別に、法案の概要の紙にあるとおり、訴訟を通してこの問題の解決を促したことに鑑み、特にこれに敬意を表し、ねぎらい、いたわり、もってハンセン病元患者の家族の名誉の回復に資するためとして、法案の第二十四条にあります名誉回復と福祉の増進を根拠として、省令による特別一時金を支給するということで合意をいたしました。

 この関係の規定は省令での措置を想定しておりますが、厚生労働省としての受けとめを伺います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 法施行前に死亡された原告につきましては、議員懇談会の合同ワーキングチームにおきまして、委員から御紹介ございましたが、訴訟を通してこの問題の解決を促したことに鑑み、特にこれに敬意を表し、ねぎらい、いたわり、もってハンセン病元患者の家族の名誉の回復に資するため、特別一時金を支給することとされたと承知しております。

 厚生労働省といたしましても、こうした一時金の趣旨を十分に踏まえ、訴訟を提起する決断をされ、法施行前に亡くなった方々に対して、補償金と性格の異なる金銭としての特別一時金につきまして、省令において適切に対応してまいります。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 それでは次に、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案についてお伺いいたします。

 国立ハンセン病療養所における医師確保に関しましては、国としてもこれまでさまざまな取組がなされてきたところですが、安定的な医師確保は困難な状況にありまして、入所者の方々から強い御要望があると承知しております。

 骨子案におきましては、国立ハンセン病療養所に勤務する医師の人材確保のため、国家公務員法の特例を設け、医師の兼業に係る規制を緩和することとしておりますが、療養所における医師確保の現状及び今後の見込みについてお伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 ハンセン病療養所に勤務する医師の方々は、令和元年五月現在におきまして、定員百四十六人に対して現員が百十一人であり、三十五人の欠員となってございます。

 これまでも、関係自治体、医学部を持つ大学などの機関に対して協力を依頼するなど、医師の確保に努めておりますが、医師の処遇の問題や医療技術向上の機会の確保という課題があるというふうに承知をしております。

 今般、医師の勤務時間における兼業規制の緩和が骨子案に盛り込まれたことで、ハンセン病療養所に勤務しながら他の医療機関において診療行為を行うことが可能となりますことから、医師の確保につながるものと考えております。

 また、医師の処遇改善についても、今年度より、園長及び副園長について俸給の調整額の適用対象となったことで、年額六十万円程度の給与改善が図られたところでございます。

 こうした取組などを通じまして、入所者の方々に良質な療養環境を提供できるよう、引き続き医師の確保に努めてまいりたいと思っております。

高木(美)委員 今回取りまとめた骨子案におきましては、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律における名誉回復等の規定の対象に、家族を新たに追加することとしております。これは偏見、差別解消の施策を進める上で推進力となると考えております。

 十月二十四日、両議員懇談会の合同会議におきまして骨子案が了承された際、原告団長から、胸がいっぱいだ、きょうの日を迎えることができてありがとうの言葉しかない、今後は偏見、差別解消に向けた啓発、教育が大きな課題になるという旨のお話をいただきました。

 この点につきましては、七月十二日閣議決定の内閣総理大臣談話におきましても、「関係省庁が連携・協力し、患者・元患者やその家族がおかれていた境遇を踏まえた人権啓発、人権教育などの普及啓発活動の強化に取り組みます。」とあります。

 とりわけ、厚労、法務、文科の果たす役割は大きく、今後の三省連携での一層の取組を期待しております。

 橋本副大臣を始め、宮崎法務大臣政務官、また文科省、それぞれから、ハンセン病に係る偏見、差別解消に向けた取組への決意を伺いたいと思います。一言ずつお願いいたします。

橋本副大臣 先月、厚生労働省、法務省、文部科学省と原告団家族代表の皆様方などとの協議の場として、ハンセン病に係る偏見、差別の解消に向けた協議会を立ち上げ、御家族の方々から貴重なお話や御意見をお伺いしたところでございます。

 そして、その中で、例えば、国というのは無らい県運動というのをやってきたわけですね。そうした大キャンペーンを張って患者の方を療養所の方に隔離するということを、ある意味で官民を挙げてという言い方もできるのではないかと思いますが、そういうのをやってきた歴史があったわけであります。例えばそうした勢いでなぜ普及啓発ができないのかということも問われましたし、一方で、そうしたことをこれまで国がずっと率先してやってきて、ある日から突然、ハンセン病の方々に対する差別、偏見を解消しましょう、そんな手のひら返しなんか誰も通用しない、そんなお話もいただきました。また、国のいろいろな施策、取組というのはなかったわけではございませんが、やったらやりっ放しだというお話もいただきました。

 そうした厳しいお声をたくさんいただいた、これを私たちはしっかりと受けとめて、偏見、差別の実態を踏まえるべきだとか、謝罪広告など名誉回復措置を実施すべきだとか、家族関係の回復に向けた施策を実現すべき、そうしたこともいただいたわけでございます。

 今後、まず実務的に具体的な議論をするということになっておりますけれども、そうしたことも踏まえながら、法務省、文部科学省とも連携し、そして、これは総理が所信で、政府一丸となりという表現もされました。そのこともしっかりと受けとめながら、そして、元患者の方々、御家族の皆様とも議論を深め、全力で取り組んでまいりたい、このように考えております。

宮崎大臣政務官 患者、元患者の方のみならず、御家族にも、社会において大変厳しい偏見、差別が存在しているということは厳然たる事実でございます。

 今、橋本副大臣から言及がありました、先月、十月二日の原告団、弁護団の皆様との協議の場、私も法務省を代表して出席をさせていただきました。

 その際に、御家族の方から、御両親は病気になりたくてなったわけではない、でも、この世で一緒に暮らすことができない、その悲しみがあって、その御家族の方は、分骨をしてでも将来あの世で一緒に暮らして、失った時間を取り戻したい、こんなお話も聞かせていただきました。重く受けとめなければいけないと改めて思った次第でございます。

 患者御家族、患者、元患者のみならず、御家族の方を含めた偏見、差別の解消に向けた普及啓発活動のあり方については、皆様と一緒に、ともに考えていきたいという旨のお話もさせていただきました。

 法務省としましても、原告団の皆様を始めとして、当事者の皆様の御意見を伺いながら、厚生労働省、文部科学省とともに、偏見、差別の解消に向けた取組を一層推進していきたいと考えております。

 以上です。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 文部科学省といたしましては、これまでも、関係省庁と連携し、ハンセン病問題を含めた差別や偏見の根絶に向けて人権教育の推進に取り組んでまいったところでございますけれども、ハンセン病患者、元患者の皆様や御家族に対する偏見や差別はいまだに強く残っているというのが実態であると認識してございます。

 こうした実態や、ことし七月に閣議決定しました内閣総理大臣談話等を踏まえまして、先月十六日には、佐々木文部科学大臣政務官が東村山市にある国立療養所多磨全生園と国立ハンセン病資料館を訪問されまして、療養所の皆様、入所者の皆様に直接お会いしてお話を伺うとともに、偏見や差別に関する歴史や資料について説明を受けたところでございます。

 また、ハンセン病の患者、元患者の皆様やその御家族の置かれていた境遇を踏まえた人権教育を推進するための具体的な検討を行うことを目的といたしまして、佐々木文部科学大臣政務官を座長とするハンセン病家族国家賠償請求訴訟を踏まえた人権教育推進検討チームを省内に設置いたしまして、先月二十九日に第一回を開催したところでございます。

 今後は、御家族の皆様との協議や、先ほど申し上げましたチームでの議論等を踏まえまして、関係省庁と連携し、取組の一層の充実を図ってまいります。

高木(美)委員 最後、加藤大臣に一言だけコメントをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 今委員御指摘の点を含めて、今回の法案によって行われる補償、さらには差別、偏見の解消、そして家族関係の回復、これらの課題に対して、やはりこの間、施設入所政策のもとで、ハンセン病の元患者の方々のみならず、御家族の方々も本当に厳しい差別、偏見のもとで、また苦痛、苦難を強いられてこられた、それに対して政府が対応を十分にとってこなかった。そういった反省、そしておわび、これをしっかり持ちながら、今申し上げた施策をしっかりと進めていきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 終わります。

盛山委員長 次に、本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 共同会派を代表して、質問をさせていただきます。

 ハンセン病の大切な問題の前なんですが、まず、昨晩から報道がございます件について、大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 安倍政権の鳴り物入りで進められております全世代型社会保障検討会議、この会議の中で政府の意に反するような発言をされた、ましてや経団連の会長という立場のある方の発言が、意図的にかどうか、これから調査が進むと思いますが、削除されていたという問題がございます。

 とんでもない、議事要旨としてもここは抜かしちゃいけないところだと思いますし、議事録であれば改ざんだということになる。まさに安倍政権、一連、森友問題から続いてきている問題がまだことしになってからも起こっているという、大変な問題が発覚をしてまいりました。

 そもそも、検討の俎上に上がっている在職老齢年金、これの廃止、見直しをすると一部の高額所得者の年金は上がり、一般の中低所得の人間の年金が下げられる可能性があるという、非常に問題のあるものについて、この動機を、一部の高額所得者の意欲がどうなるかという大事なことについて触れた経団連会長の発言について、議事録から意図的に削除をする、改ざんをする、こういう疑いが出ています。

 そこで、お聞きをしたいんですが、この九月二十日の問題になった初会合、加藤大臣も出ていらっしゃいますが、年金を所管する大臣として、ましてや経団連会長が、今政府が進めようとしている年金制度の方向と反対の、経営者から見ると、意欲を減退させることはないというような趣旨の発言をされた御記憶はございますか。

加藤国務大臣 九月二十日の第一回の全世代型社会保障検討会議、私もメンバーの一人として参加をさせていただきました。

 今の委員御指摘の議事録、あるいは議事概要、あるいはそこにおける発言に関しては、本人、例えばそこで私が話をしたことについてはしゃべってもいい、ただ、他者がしゃべったことについては内閣官房に一任する、こういう仕組みになっておりますので、私の発言であればともかく、それ以外については内閣官房の方でお聞きをいただければと思います。

本多委員 では、この大事な問題について経団連の会長が発言をされた記憶はございますか。

加藤国務大臣 経団連の会長が出席をされていたということと、それから有識者からそれぞれ発言が求められた、それはそのとおりだと思いますが、ただ、個々については、先ほど申し上げたように、その議事において内閣官房の責任を持ってそれには対応する、こういう仕組みになっておりますので、私の方からは、それ以上の発言は控えさせていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)

盛山委員長 本多君、質問を続けてください。

本多委員 議事整理の間は時間をとめていただくように、よろしくお願いします。

 大臣、議事録が載っている会議なんです。大臣が出ていらっしゃったんです。年金に対して大事な発言を経団連の会長がされているんです。一言一句じゃなくてもいいんですが、もう議事録は出ているんです、内閣官房から。大臣の記憶があったかどうかと聞いているんです。これはもう別に、こんなことも言えないんなら、国の税金を使って会議をやっている意味がないじゃないですか。まず、記憶があるかどうかお答えください。

加藤国務大臣 これは検討会議だけでなくて、一般的な政府における会議は全部そういう仕切りでやっているんですよ。ですから、そのルールの中で、そしてそれを前提に、他の、要するに政府以外の参加者もそれにのっとって対応していただいている、あるいはそういうことを前提に参加をされている。

 したがって、今回についても、私から申し上げられるのは先ほどが限界であって、私が何をしゃべったかに関しては私からもちろん答弁させていただきますけれども、私以外の者についての発言については、御本人か、あるいは内閣官房からお聞きをいただきたいというふうに思います。(発言する者あり)

盛山委員長 続行してください。続行してください。本多委員、続けてください。

本多委員 では、議事録に載っている発言は認められるんですか。

 では、例えば、こういう発言はあったんですか。もうこれは議事録に載っています。内閣官房の、財源の問題もあるので慎重に検討した方がいい、この発言は認められますか。内閣官房のホームページに載っているんです。

加藤国務大臣 ですから、それに対して私が言及するのではなくて、そうした議事録、議事概要だと思いますけれども、それが内閣官房の責任で出ているのであれば、それはそういうものなんだろうというふうに思います。

本多委員 それで、この内閣官房の議事録の中に、大事な、この制度の根幹にかかわる、働いている人間の意欲なんかそがないんだという経団連の会長の発言が削除されていたという疑惑が発生をしています。

 この制度を所管をしている大臣としても、経緯を調べて、内閣官房と調整していただいて、理事会に報告をしていただけますか。

 どういう経緯でこの発言の一部が載って、発言の一部は削除されているのか。この事実関係を調べて、内閣官房と調整をして、この委員会は年金を所管をしています、ここに、理事会にきちんと報告していただくということを答弁いただけますか。

盛山委員長 本多君に私の方からお答えをいたします。

 先ほどの理事会の場で本件については協議が行われていたところでありまして、現在休憩という形で、委員会後また協議を続けることになっておりますので、理事会での協議を待っていただきたいと思います。

本多委員 その協議でいいんですが、私は理事会に入っていませんので、私は質問者として、大臣にもその調査に御協力をいただけますか、内閣官房と協力をして、経緯を調査をして報告をしていただけますかと。これは言えると思います。

加藤国務大臣 ちょっと、委員会の協議のことは私は存じ上げませんが、私の方からは、厚生労働委員会で委員からそういう話があった、そのことは内閣官房にお伝えいたします。

本多委員 それでは、ハンセン病の質問に移りたいと思います。

 今回、私も、きょう、ようやくこの法案が審議をされ、成立をしていくことになると信じておりますが、ここまで、ハンセン病元患者の皆さんの家族の問題が大変遅い、なかなか取り組んでこられなかった、このことについては立法府にいる一員として私からも心からおわびを申し上げたいと思いますし、そのことを反省をしたいと思います。

 そして、きょう、いろいろな方の御努力の中でこの法案がかかってきたということ、いろいろな御努力をいただいた皆さんに敬意を表したいと思いますし、安倍政権の政策にはいろいろ言ってまいりましたが、今回の控訴断念という判断については、政府内にもいろいろ意見があった中で賢明な判断をしていただいたということも率直に評価をしたいと思います。

 そしてまた、我が党だけに限っても、例えば、らい予防法の廃止に尽力をしました菅元首相を始め、きょうおられます阿部知子先生も私と一緒にこの法案作成の作業に携わりました。元議懇の会長を務めた川内博史さんも、大変この問題に尽力をされてこられました。こうした多くの各党の議員の力でようやく、大変おくればせながら今回この法律がこうしてこの委員会にかかってくるという状態、大変喜ばしく私も思っています。

 この一連の審議の中で、私も、法案を作成をするワーキングチームに我が党からは阿部知子さんと一緒に出させていただいたんですが、共同会派として、幾つか、ここだけは何とか入れてほしいということで、協議の柱を立てさせていただきました。

 今回、私、この法案を見て、前文におわび、反省の主体をはっきり国会と政府と明記をしたということは非常に重要なことだと思っています。この件について我々と認識をともにするのか、大臣から御答弁をいただければと思います。

加藤国務大臣 法案そのものはこれから提出されるということで、こういう法案が合意をされたということを前提にお話をさせていただきたいと思いますけれども。

 やはり、これまでの施設入所政策のもとで、ハンセン病の元患者の方のみならず、御家族の方々も、長きにわたって本当に極めて厳しい偏見、差別があり、その中で家族関係も阻害をされてきた。そうした事実、本当に御苦労また御苦痛、御苦難を強いられてきた、そのことを我々はしっかり受けとめ、そして、その間の政府の対応について反省をし、おわびを申し上げるということ、そういった立場の中で、今回、多くの皆さん方のお力でおまとめをいただきましたその内容、そして、そこに至る過程で議員懇談会からさまざまな御意見もいただいております。また、御家族の方からもお話を聞かせていただきました。

 そうしたことを踏まえて、ハンセン病に係る偏見、差別の解消、あるいは家族関係の回復、これらに向けて、政府として責任を持って取り組んでいきたいというふうに考えております。

本多委員 もう少し寄り添って答弁をしていただければと思ったんですが、法案が通りましたら、この思いをしっかり受けとめて行政に当たっていただきたいと思います。

 もう一点、この法案作成に当たって、死亡された原告の方々の取扱いについても、しっかりとこの皆さんについても含めるべきだ、しかし法的整合性はどうなんだと、いろいろな議論をワーキングチームの中でもさせていただきました。

 こうした中で、実は厚生労働省さんにもいろいろお知恵をいただいて、名誉回復一時金を支給するという案にまとまっております。このことについても厚生労働大臣から一言コメントをいただければと思います。

加藤国務大臣 この法施行前に亡くなられた原告の方々に対して、議員懇談会の合同ワーキングチームで、訴訟を通じてこの問題の解決を促したということに鑑み、特にこれに敬意を表し、ねぎらい、いたわり、もってハンセン病元患者の家族の名誉の回復に資するため、特別一時金を支給することとされたということ、そのことは私どもよく承知をしております。

 厚生労働省としても、こうした特別一時金の趣旨を十分に踏まえて、訴訟を提起する決断をされ、法施行前に亡くなった方々に対して、補償金とは性格が異なるものではありますけれども、特別一時金について適切に支給をしていきたいというふうに考えています。

本多委員 ぜひこの趣旨を、もちろん皆さんでつくり上げてきた法案ではありますけれども、特に我々の共同会派で強く申し上げた点、いろいろな工夫をいただいて実現をしていただいた、そのことをしっかりと行政の中でも進めていっていただきたいと思います。

 もちろん、この法律が通ったとしても、これで偏見、差別、家族の皆さんの被害の回復がすぐに実現するわけではありません。

 それで、解決促進法の十七条の中には、相談、情報提供、助言という内容が含まれています。いろいろな案が考えられるんですが、私は、家族相互の皆さん、同じ体験をされた皆さんが集まっていろいろな情報、思いを共有する場や会合、英語で言うとピアサポート、セルフヘルプグループ、こういう言い方をすると思うんですが、こうしたもの、それから、例えば体験を出版する、こうしたことに財政支援をする、こういった具体策。いろいろこれから考えていくと思うんですけれども、一つ提案をさせていただきたいんですが、こういう提案は具体策としていかがでしょうか。

加藤国務大臣 先月、厚生労働省、法務省、そして文部科学省に、原告団家族代表等との協議の場として、ハンセン病に係る偏見、差別の解消に向けた協議会を立ち上げ、御家族の皆さんからも貴重なお話や御意見を伺って議論を進めているわけでございます。

 協議会においても、家族関係の回復の促進、専門家による支援体制、あるいは、要請書の中においては当事者のエンパワーメントの活用といったことも含まれておりまして、多分そういったものに今委員の家族相互のピアサポート等が含まれるんだろうと思いますけれども、そうしたことも踏まえて具体的に議論をさせていただきたいというふうに考えておりまして、引き続き、今御提案のあった点、あるいはそうした御家族の方々のお話、それらも踏まえて、家族関係の回復を促進するためにはどうすべきなのか、そういった観点に立って取り組んでいきたいと思います。

本多委員 今大臣からも答弁ありましたけれども、この相談、情報提供、助言については家族の皆さんの思いをしっかり受けとめながら進めていただきたいということを強く申し上げておきます。

 実は、私、このハンセン病の問題にかかわるきっかけになりましたのは、与党当時に総理大臣補佐官を務めておりまして、その際、家族の方とはちょっと別に、元患者さんの話になるんですが、療養所の定員の問題、これがもう、定数削減が非常に厳しく、ずっと政権ごとにかかっておりまして、非常に実態にそぐわない、介護や看護に当たる皆さんの定数が無理な削減をされて、大変不安な思いの中で、入られている皆さんはハンガーストライキもしなきゃいけないというような状況の中で、過去、大臣と交渉してまいりました。

 そして、当然、加藤大臣はどちらかというと定員管理の側の内閣人事局の局長も務められましたのでこの問題は詳しいと思うんですが、実は、その定員削減の枠はかかっているけれども、我が政権当時であると小宮山洋子厚生労働大臣、それから自民党に戻った後も田村憲久厚生労働大臣などの非常に熱い思いの中で、定員削減の枠を取り戻す、増員をすることでこの環境の維持を、何とか食いとめてきた経過がございます。

 当時、そのことを、定員管理に厳しい側の内閣人事局も理解をいただいていると思うんですが、この一連の事情。普通の施設じゃないんですね。国の間違った政策によって大変な思いをされた皆さんの老後をきちんと、不安な思いをさせないというこの定員の問題、どういうふうに認識をされているか、お答えをいただけますか。

加藤国務大臣 このハンセン療養所の定員について、今委員御指摘のように、定員合理化の対象ということで、これまで逐次定員が削減をされてきた。

 そうした中で、もうこれ以上定員を削減されては困るということで、療養所に入所されている方を中心に、ハンガーストライキでもやって我々のこうした状況をしっかりと示していきたい、そういう強い思いを踏まえて、当時の厚生労働大臣、あるいは厚生労働大臣を経験された方々も間に入りながら、二十六年八月に統一交渉団との間で、入所者の皆さんの高齢化が進み、職員の介護、看護によらなければ日々の生活を維持することが困難となっている方もふえている、そういったことを踏まえた合意書が締結をされて、合意の中身はもう説明いたしませんけれども、それを踏まえて今やっております。

 ただ、定員については、その合意を単に機械的にするだけではなくて、やはり入所者の療養環境の状況を踏まえて、そして医療、介護の質を確保していく、そういう観点に立ってこれまでも取り組んでまいりましたし、引き続き療養環境の充実に努めていきたいと考えています。

本多委員 大変いい答弁をしていただいたと思うんですが、この平成二十六年八月の合意は、あくまで最低限と私は捉えています。

 だんだん入所者の皆さんの介護の必要度も高まっていますので、今回、この法律には介護環境の整備に加えて充実という文言が入りました。これは過去の議員立法でも例がないということを衆議院の法制局からもお聞きをいたしました。ぜひ、この観点に立ってしっかりと充実を進めていくということを、そして、二十六年の合意はあくまで最低限のところであって、実態を踏まえたということを、もう一度最後に、今回まとまった法案に整備に加え充実という新しい文言を入れたことを踏まえて、お答えをいただければと思います。

加藤国務大臣 国立ハンセン病療養所に入所されている皆さんが安心して生活を営んでいただけるように、これまでも医師、介護員の確保、処遇改善に努めてまいりましたが、先ほども他の委員への答弁がありましたように、医師については特になかなか確保ができない、こういう状況もあります。そして、その上で、委員のお話がありましたように、入所者の方の高齢化が進み、医療、介護に対するニーズも高まってきている。そういった意味において、医療及び介護に対する体制の充実、これは必要だというふうに認識をしております。

 そういった意味で、今回の改正法案にもそういった趣旨が今お話があったように載っているということを踏まえながら、もちろん合意は合意としてきちんと守りながら、しかし、先ほど申し上げた、機械的に適用するのではなくて、入所者の皆さん方の医療、介護を含めた療養環境の整備、これにしっかりと当たっていきたいというふうに考えております。

本多委員 ぜひ、介護環境の充実に向けてしっかりと取り組んでいただくことを申し上げて、私の質問を終わります。

盛山委員長 次に、泉健太君。

泉委員 ありがとうございます。国民民主党の泉健太であります。

 また、共同会派の仲間、そして厚生労働委員会の委員のメンバーの皆さんには御協力いただきまして、きょうは質問の機会をいただきましたことに感謝をしたいと思います。

 まず、冒頭、本多委員からもありましたけれども、全世代型社会保障検討会議の議事録の問題というのは私も大変問題意識を持っております。

 確かに、振り返ってみますと、過去にも、有識者の方で、いろんな会議体に参加したんだけれども、実際には自分の言ったはずの意見が載っていなかったという話はどこかで皆さんも聞かれたことがあるんじゃないでしょうか。

 よく、事務方が丸めるというようなことはこれまでもあったんじゃないかということも含めて、改めて、この際しっかりとこういうことを正していただきたい。やはり、いい意見も悪い意見もしっかりと正確に載せていくということが政府に求められる、それが公文書の役割であるというふうに思いますので、ぜひ、委員長、これはしっかりと理事会の中で前向きな協議をしていただきたい、まずそのことをお願いしたいと思います。

盛山委員長 理事会で協議いたします。

泉委員 そして、ハンセン病のことについてであります。

 私も、森山裕会長のもと、ハンセン病問題の最終解決を求める国会議員懇談会の事務局次長という立場をしておりました。そして、今回のワーキングチームのメンバーでもありました。

 我が党は、玉木雄一郎代表も当選前から、地元高松、香川県に大島青松園があるということもあって、そこを訪問し、また、これまで、当事者の皆さんと一緒に厚生労働大臣要請にも毎年参加をしてまいりました。特に、先ほど話もありました療養所の職員の定員問題についても要請をして、合理化計画の例外とするということに尽力もしてまいりました。

 玉木代表自身もこういう努力をしてきたということや、最終解決を求める国会議員懇談会、事務局長は我が党の榛葉参議院議員でありますので、そういった意味で、ワーキングチームで一緒に取り組んだ岡本充功衆議院議員も含めて、我が党もこの問題を長く取り扱ってまいりました。

 そういう中で、いよいよこの法律が議員立法に結実をして、今最終段階を迎えるということで、多くの悲しみを背負った方、つらい思いをした方にとって、ようやくと言っていいと思うんですけれども、一歩前進という状況が生まれてきていると思います。

 先ほど御質問のあった項目で重複を避けて質問させていただきたいと思いますので、その点、どうぞよろしくお願いをいたします。

 先ほど、患者が恐らく一万人超ということで、その御家族、いわゆる対象者が二万四千人、そして、恐らく総額としては四百億円ぐらいを用意しているというお話がありましたので、そこについての質問は省かせていただきますけれども、原告団の皆さんや弁護団の皆さんからは、やはり、今回のこの議員立法の目的が何にあるか、さまざまな目的があると思うんですが、この議員立法を通じて家族関係の修復ということも大事な要素ではないかということをおっしゃられておりました。

 そういった意味では、できる限りということでありますけれども、患者当事者がおられて、その患者当事者からも御家族の方々に伝えていただくというのは、家族関係の修復という意味でも極めて大事な手法ではないかということをおっしゃられておりました。

 政府にこの認識があるかどうかということを改めてお伺いしたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の補償制度による補償金の請求等をめぐりまして、元患者の方々と御家族との間でより意思疎通が図られるようになることも考えられ、それを通じて、議員御指摘のありましたように、家族関係の回復につながることもあり得るというふうに考えております。

 いずれにしても、対象となる御家族に補償金が円滑に支給されますよう、元患者の方々も含めて制度周知に努めてまいりたいと考えております。

泉委員 まず、そういった意味では、入所者、そして退所者、非入所者、この方々が、情報というか、皆様の広報資料等々を手にする、あるいは目にする、こういうことが不可欠だと思うわけですが、こういった入所者、退所者、非入所者の方々への通知というのはどのようにされるんでしょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今回法案が成立した際には、厚生労働省としても、対象となる方に補償制度を知っていただけるよう、広報用ポスター、リーフレットやホームページ等を介して、申請の呼びかけの準備や相談、受け付け体制の整備を進め、対象となる方に補償金が円滑に支給されるように取り組んでまいりたいと考えております。

 御指摘がありましたとおり、元患者の方々から御家族の方への呼びかけが補償制度を知る端緒となることも想定されます。

 現在、国立ハンセン病療養所に入所されている方への周知については、療養所内にポスターを掲示するほか、療養所の職員等の協力を得るなどして補償制度の趣旨をお伝えすることを考えております。

 また、退所者及び非入所者につきましては、ハンセン病療養所退所者給与金やハンセン病療養所非入所者給与金の受給者を対象に、厚生労働省から直接リーフレットをお送りすることも考えられるというふうに思っております。

泉委員 ぜひ、その給与金の対象者の方々への郵送ということもしていただきたいと思いますし、先ほど、ポスター、リーフレット、ホームページというふうにありましたが、時々、政府広報なんかで新聞に広告を掲載されるケースもあったと思うんです。こういったこともぜひ実現をしていただきたいということを要望させていただきたいと思います。

 そして、さらには、この周知については、全療協ですとか原告団、弁護団、ここも私は役割を担えるんではないかというふうに思っておりますけれども、現時点で何か考えられていることはあるでしょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の訴訟の原告団の方々には、制度につきまして弁護団へ情報提供することなどを通じて、速やかに請求が行われるように周知してまいります。

 また、元患者の方々の関係団体でございます、御指摘のありました全国ハンセン病療養所入所者協議会やハンセン病違憲国家賠償請求訴訟全国原告団協議会などの団体にも情報提供を行い、周知に御協力をいただきたいというふうに考えているところでございます。

泉委員 やはり、対象者が申請書類をまず簡単に入手できることというのが大事だと思うんですね。

 政務三役にぜひ聞いていただきたいんですが、簡単に入手できることという意味で、ホームページをごらんいただければダウンロードできます、それはそうかもしれません。しかし、みんながそういうことができるかどうかというのがある。

 聞きますと、地方の厚生局には置きますと。しかし、それは一般の方々にとって身近な施設でしょうかねということを考えると、各自治体に置けるかどうか、あるいは、各自治体の職員にお願いをすれば、例えばダウンロードをして渡していただくだとか、そういうこともぜひ考えていただかないといけないかな。

 もちろん、居住している自治体に行くと顔がさすからという御意見は当然あります。なので、例えば、私は今、京都の伏見というところに住んでおりますが、そこの区役所ではなくて、東京のどこかの区役所であろうが、どこの行政区に行ってもそういう資料をもらうことができるとなれば、職場の近くでその資料を受け取ることもできるということになれば、随分と精神的なハードルは下がるんじゃないかというふうに思うんですね。

 要は、自分の顔が知れている場所でその書類を受け取るのはちょっとという方があるのではないかと思いますので、かといって、先ほど話しましたが、厚生局ではちょっと遠過ぎるというふうに思いますので、何らか受け取りやすい仕組みを考えていただきたいと思います。

 そして、手続が容易であること、そして必要な添付書類が多くならないこと、問合せ窓口がわかりやすいことということが重要だと考えております。ぜひ、ポスターができるとすれば、当然ながらですが、相談窓口を大きく書いていただく、そして、例えば、厚生労働省から、お電話さえいただければ必要な書類は全部お届けしますということにするのかどうかも含めて、お答えいただきたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘がありましたように、申請書類を簡単に入手できることとか、あるいは手続が簡易であることというのは、我々は大変重要なことだというふうに受けとめております。

 まだこれからですので、具体的なことというのは特に今の段階で決まったことはございませんが、御指摘もありました申請書類の入手につきましては、これだけではだめと言われましたが、様式を厚生労働省のホームページからダウンロードできるようにするほか、厚生局もそうですけれども、ハンセン病療養所等においても入手できるようにすることも考えておりますし、御指摘のありました自治体についても、これからちょっと御相談できればと考えております。また、御要望に応じて、御希望の宛先に厚生労働省から様式をお送りすることも可能にしたいというふうに考えているところでございます。

 また、リーフレットやQアンドAを作成して書類の書き方や手続をわかりやすく周知するとともに、添付書類についても最小限にとどめ、必要な書類の準備等において過度な御負担をおかけしないように努めてまいりたいと考えております。

 問合せの窓口につきましては、厚生労働省本省に専用ダイヤルを設ける予定でございまして、広報用リーフレット等に問合せ先を明示するなど、御相談しやすい環境を整備してまいりたいと考えております。

泉委員 ありがとうございます。

 この辺は、実際に施行されてから、ちょっとやりにくいだとか、いろいろ改善点が出てくると思いますので、ぜひ、原告団ですとか弁護団、さまざまな当事者の方からの御意見も聞いて、より実効性のあるものにしていただきたい。我々も提言をきょうしましたけれども、ぜひ聞いていただければと思います。

 さて、ここからですけれども、やはり、先ほどお話をしたように、必要な添付書類が煩雑にならないことだとか、あるいは余り過度な立証が求められないことというのが大事だと思います。

 要は、請求の審査において必要なのは、患者がハンセン病患者であったことの証明と、その御家族である、御親族であるということの証明、端的に言えばそういうことだと思うんですね。

 その意味ではなんですけれども、今一つ課題になっているのが、入所証明書をとれるかどうか、入所証明書をいただけるかどうか、これがある意味、場合によっては患者本人の意思に委ねられてしまう。家族であることはどう見たって家族なんだけれども、入所証明書が得られないなんということになってしまえば、これは果たして本当に家族の関係の修復になるのか、逆になってしまうんじゃないかということすら考えてしまうわけであります。

 そういったことをいかにして減らすかということで、きょう三つほど提言というか提案をしたいんですけれども、まず一つは、国から先ほど話のあった給与金が支給されている方々、これは国から支給されているわけであります。そういった方々は当然患者でありますよね。であるならば、家族の側から、私の家族はいつ発病して、どの診療所にいて、ああです、こうですという証明の書類を送らなければそれは認められませんというのではなく、この給与金が渡されている方々については家族関係さえ証明されればよいのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか、副大臣。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 補償金の支給の認定審査に当たっては、先ほど、ハンセン病元患者に該当するかどうか、それから当該元患者と一定の家族関係があったかどうかというお話をされましたが、同居要件がある場合には、同居をしていたかどうかについても確認する必要があるということは一点補足させていただきたいと思います。

 その上で、今御指摘の事例についてですが、おっしゃるように、確かに、国ないしは療養所は、ある方が元患者であったかどうか、入所されていたかどうか、あるいはその給付を受けていらっしゃったかどうかという記録は当然持っているわけでございますが、一方で、これは元患者その方の個人情報に当たるということで、私たちとしては個人情報保護法令に基づいた取扱いをしなければならないという立場にもございます。

 これは一般論として申し上げれば、例えば、ある方はハンセン病元患者の方ですかと聞かれて、それはやはりその元患者の方の同意がなければ国としては答えられないというのが個人情報保護法上の取扱いということになるわけでございます。

 そういう意味で、今お話しになったような例であって、例えば、給付を受けておられれば、給付の通知など、もちろん、それに関する書類を御家族の方でお持ちになっておられれば、それは一つの証明になろうと思いますが、国の方でこの方は元患者の方かどうか確認をしろということを言われるということになるとすれば、そこはやはり難しいと考えております。個人情報保護法上するべきではないというふうに思っております。

 そういう意味で、先ほどもお話がありましたように、やはり、入所者の方々にきちんと私どもも今回の補償の趣旨等についてお話をし、円滑な支給について図っていくということが大事なのだと思っております。

泉委員 そこをぜひ乗り越えていただきたいというか、この方がハンセン病患者でありましたとかということを、申請のあった御家族に一つ一つ通知をする必要はないと思うんですね。

 要は、国が確認する段階で、その方が給与金の対象者だったかどうかということを確認すれば、それは患者であったということの証明になるわけですから、何もそれを相手側に、この方は患者でしたとか、ではありませんでしたということを別に通知する必要はない。何とか乗り越えていただかないと、家族だといって請求をしたけれども、実際に受け取れない方がやはり出てくると思うんですね。ここを何とかしていただきたいなというふうに思います。

 もう一つ、やはり、認知症や寝たきりのケース、御自身で意思を表明できない方、こういう方々については明示的な反対がない限りは入所証明書を交付するという運用があってよいのではないかというふうに思いますが、いかがですか。

橋本副大臣 御質問の趣旨というものは私たちもとてもよくわかるのでありますけれども、やはり、個人情報保護法上、同意というものが必要だ。

 要するに、目的外の情報の利用についてはという縛りがかかっている以上、例えば寝たきりの人であろうと、例えば明示的な意思表明が難しいような状況の方であろうと、やはり、だからといってそこのところを緩く運用するということは困難であると思っております。

泉委員 また、さらに、例えば、親族の中のこの人から請求があったときには、当事者の方は手続に応じて、患者であることの証明を、入所証明書を出した、別な親族が出した場合にはその証明書を出さなかったというケースも場合によっては出てくると思うんですね。

 こういうことも、一度その方が患者であるということを御自身で入所証明書という形として出したのであれば、他の家族が請求をしたときにも、それは一度、意思というか、御自身としての患者であるということを出しているわけですから、他の家族、親族でも対象者であればそれを使えるようにしてもよいのではないかと思いますが、これも難しいですか。

橋本副大臣 今お話しになった例について申し上げれば、それは、私たちはやはり元患者の方の個人情報保護の観点というのは踏まえなければなりませんが、一方で、場合だとか、どういう形でそうしたことを御証明いただけるかということにもよろうかとも思いますので、多分、幾つか要件などを私たちも考える必要があろうと思いますが、整理してみたいと思います。

泉委員 ぜひ、そこはできる限り、請求した方が、周りから見ていてもそれはもう御家族なのにという状況で、残念ながら請求が実らないということにならないようにしていただきたい。

 最後に、ちょっと時間がなくなってしまったのであれなんですが、先ほどから大臣の方が、家族関係の修復には専門家の支援が必要だということをおっしゃられる。また、当事者についてのエンパワーメントということも大臣はおっしゃられました。

 ぜひ、十月二日に行われた協議の場ですが、これを継続してほしいのと、やはりその中で、先ほど、専門家による支援が必要だとか当事者によるというものがありましたので、それぞれ部会をつくっていただいて集中的に議論していただく、そういう場があってもよいのではないかと思いますが、この質問を最後にさせていただきたいと思います。

盛山委員長 時間となっておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。

橋本副大臣 今いただいた御意見、御指摘も踏まえて、しっかり家族の方、また関係者の方々と協議をさせていただきたいと思います。

泉委員 では、終わります。

盛山委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 ハンセン病元患者家族補償法案、そして基本法改正法案を作成するワーキングチームには、高橋千鶴子衆議院議員とともに、私も日本共産党の代表として参加して議論してまいりました。

 今回、補償の対象となる家族の人数は、推計二から三万人ということでございます。国としてどうおわびを届けていくのか。先ほど来議論になっておりますが、申請には乗り越えなければいけないハードルがあるのも事実であります。

 今、療養所に入所されている方には、家族から縁を切られた状態で入所されている方も少なくありません。迷惑をかけるという思いから、なかなか入所者の側から言えない、こういうお話も伺います。

 また、退所している元患者でも、周りの方に知られないように、給与金関係の連絡が厚労省から直接行かないように、入所者の友人から届けていただいているという方も現にいらっしゃいます。

 そして最近も、聞いた話では、夫の家族に元患者がいるということを知った奥さんが子供を置いて出ていってしまった、こういうお話も伺いました。本当に丁寧にこれはやっていかなきゃいけないなと思っております。

 一方で、今回の家族訴訟の経緯を見ますと、今回の補償を通じて、家族関係の回復の契機にもなり得るのかなというふうに思っております。

 ですから、この補償金の申請でも、家族関係の回復のための支援についても、ぜひ、全療協や弁護団、原告団の皆さんの知恵もおかりしながら、入所者、元患者の皆さんの気持ちに寄り添った丁寧な相談体制をしっかりとつくっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 私も家族の方とお話をする機会がありまして、今委員御指摘のように、さまざまな、本当に厳しい状況の中で、家族関係もなかなかつくれない、あるいは自分の伴侶に事実を明かすこともできない、本当にいろいろな状況があっているということは、そうした機会を通じて認識を深めさせていただいたところであります。

 私どもとしても、そうしたそれぞれの家族状況というのでしょうか、置かれておられるそれぞれの状況をしっかりと踏まえて丁寧に配慮をすると同時に、こうした申請に当たっても、そういう状況があるんだということを十分想定しながらやっていかなきゃいけないと思いますし、今御指摘のように、補償の支給、さらには特に差別解消、あるいは家族関係の回復、こういった議論については、家族の皆さん、あるいはこうした活動にかかわってこられた方々のお話、そういったものを十分踏まえながら取組をさせていただきたいというふうに思います。

宮本委員 しっかりとお願いしたいと思います。

 そして、偏見、差別が解消してこそ最終解決ということになってまいります。国の隔離政策が生んだ偏見、差別の解消は、やはり国の責任であります。

 偏見、差別の解消にとって、やはり教育には大きな力があると思います。ハンセン病元患者の皆さんが学校などで語り部を行っております。子供たちは真っすぐ受けとめるという話をよく伺います。それで、多磨全生園には、地元の小学校はもちろんのこと、近隣市からも小学生がよく訪れて、歴史も含めて学んでおります。そして、小学生が来ると家でも話題になって親御さんの理解も広がる、こういう話も伺っております。

 ハンセン病を正しく理解し、ハンセン病問題の歴史について正しい知識を普及するために、学校教育の場での取組を真剣に進めていかなきゃいけないと思います。この点は、文科省、きょう来ていただきましたけれども、この間の取組の反省も踏まえて今後どう取り組んでいくのか、お話しいただきたいと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 本年七月の総理大臣談話におきましては、関係各省が連携協力し、患者、元患者やその家族が置かれた境遇を踏まえた人権啓発、人権教育などの普及啓発活動の強化に取り組みますとされております。学校教育におきましても、ハンセン病に関する正しい理解を促進することはこれまで以上に重要であるというように考えているところでございます。

 文科省としては、これまで、関係省庁とも連携し、ハンセン病問題の歴史も含めた中学生向けのパンフレットの活用の促進でありますとか、ハンセン病に関する教育を含めた学校における人権教育の特色ある実践事例を取りまとめるなど、ハンセン病問題を含めた偏見や差別の解消に向けて、人権教育の推進に取り組んできているところでございます。

 加えまして、今般、熊本地裁の判決の受入れといったようなことも踏まえまして、八月三十日に、改めて、各都道府県の教育委員会や私立学校の担当部局等に対しまして、ハンセン病に対する偏見や差別の解消のための適切な教育の実施について通知を発出いたしますとともに、各種の会議の場等を通じた教育、啓発への協力要請を行っているところでございます。

 また、こうした問題の解決のためには教員の理解と努力というものが大変重要であると考えてございまして、独立行政法人の教職員支援機構が実施をする教員研修の内容の一層の充実についても検討をいたしているところでございます。

 また、佐々木文部科学大臣政務官を座長といたしますハンセン病家族国家賠償請求訴訟を踏まえた人権教育推進検討チームを文部科学省内に設置いたしまして、ハンセン病の患者、元患者やその御家族が置かれていた境遇を踏まえた人権教育を推進するための具体的な検討を行っているところでございます。

 御家族の皆様との協議も踏まえながら、関係省庁とも連携しつつ、取組の一層の充実を図ってまいる所存でございます。

宮本委員 最近でも、学校の先生が全く反対の、間違ったことを伝えるということがあってしまったわけですから、そういうことの反省を踏まえて、しっかり取り組んでいっていただきたいと思います。

 この間、政府が、法務省なんかも含めてシンポジウムなど啓発活動に取り組まれておりますが、当事者の話を聞きますと、あの劇の「光りの扉を開けて」というのは非常に、何回見てもいいというお話を聞きますが、それ以外のシンポジウムの内容というのはおざなりだという話をよく聞きます。啓発活動の内容も、何か委託業者任せではなくて、当事者の声を聞いてしっかり進めていっていただきたいというように思います。

 そして、ハンセン病問題基本法の改正案では、療養所における医療及び介護に関する体制の整備及び充実のために必要な措置を講ずるということで、充実という文言が新たに加わりました。この充実という言葉が入った意味をどう受けとめているのか、これは大臣と人事院とにお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 国立ハンセン病療養所に入所されている皆さんが安心して生活を営んでいただけるよう、これまでも医師、介護員の確保、処遇の改善には努めてきておりますけれども、しかし一方で、医師の確保等が十分に進んでいないという現状、そしてさらには、今後高齢化が進み、介護度がより高まっていく、そうしたことも踏まえて、医療及び介護に関する体制の充実が必要であるというふうに認識をしております。

 厚労省としても、今般の改正法案の趣旨を踏まえて、国立ハンセン病療養所の医療及び介護に関するさらなる充実に努力していきたいというふうに考えております。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 ハンセン病療養所において、高齢化が進んでいる中、入所者の皆様が引き続き安心して豊かな生活を営めるよう、医療及び介護に関する体制の充実が必要であるという御趣旨と認識しております。

 ハンセン病療養所におきます医師等の人材確保の重要性を踏まえまして、人事院といたしましては、これまでもハンセン病療養所の医師等の給与改善に取り組んできたところでございます。

 引き続き、所管省であります厚生労働省のお考えを伺いながら、今回の改正法案も踏まえ、必要となる検討を進めてまいりたいと存じます。

宮本委員 医師の不足は大変深刻であります。

 医師の確保の問題については、予算の分科会で加藤大臣とは以前議論させていただいたことがございます。そのときに、法務省の矯正医官と同様に兼業を可にできないかという提案もさせていただきまして、今回、法案に盛り込まれました。これまでよりリクルートしやすくなるのは間違いないと思います。

 同時に、民間病院との給与の差額というのはまだまだ大きなものがありますので、同時並行で、医師確保のためには、やはり処遇の改善を抜本的に進めていかなきゃいけないと思います。その決意について、大臣と人事院にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 今委員御指摘のような措置も、今回の法案を踏まえて対応していく。同時に、国立ハンセン病療養所の医師の処遇改善については、今年度より、園長、副園長についてということでありますけれども、俸給の調整額の適用対象となり、年額六十万円程度の処遇改善が図られたというところであります。

 引き続き、医師の処遇の改善、医師の確保を図っていくためにも必要でありますので、関係省庁ともよく協議をして対応していきたいと考えております。

佐々木政府参考人 国の医師の給与については、医療職俸給表(一)が適用されました上で、勤務地域にかかわらず一六%の地域手当が特例的に保障されるほか、人材確保の観点から、初任給調整手当が支給されております。さらに、ハンセン病療養所の医師につきましては、職務の特殊性を評価いたしまして、俸給の調整額が支給されているところでございます。

 医師の給与につきましては、こうした人材確保の観点から、これまでも初任給調整手当の改善を行っております。また、今大臣からもお話ございましたとおり、本年度からは、ハンセン病療養所の所長及び副所長に対しまして、俸給の調整額を新たに支給しております。

 人事院といたしましては、こうした近年の給与改定の内容を踏まえつつ、厚生労働省のお考えを伺いながら、国立ハンセン病療養所の医師の給与につきまして、必要となる検討を進めてまいりたいと考えております。

宮本委員 この後採決される法案では充実となりますから、充実につながるような結果を出していただきたいと思います。

 そして、職員の問題であります。

 隔離政策で家族を実質的に奪われ、そして断種で子供をつくれなくなった入所者の皆さんにとって、職員は家族のかわりであります。今、三交代勤務の導入が試みられております。職員数をふやさずにやると何が起きるのかというと、日中の人が減るわけですよね。

 松丘保養園ではこういう話があるというのをお伺いしました。入所者のお風呂を、以前は午前中に入ってもらっていたのが、午前午後、一日かけて入れることになった。入所者の方の生活リズムを変えることになってしまった。さらに、この十一月からはセンターを一つ閉めて集約した。このことによって、盲人の方が新しいセンターに移動したけれども、これまでの間取りとも違うし、広さも違うということでございます。高齢の盲人の方がずっと住みなれた部屋から間取りも広さも違うところに行って新たな生活をせざるを得ないというのは、これは結構大変なことだというのはもう想像にかたくないわけであります。

 今、大幅な国家公務員の定数削減計画というのが示されているわけですが、現状の職員の状況でも、職員をふやさずに今働き方改革として職員の三交代をやろうとしておりますけれども、こういうことを進めていくと入所者の皆さんの生活に影響が出る実態があるというのは、大臣は認識はございますでしょうか。

加藤国務大臣 まず、三交代に関しては、これまで当直で対応していたものを三交代に変える。その背景においては、夜間における介護の必要性が高まって、それにしっかりと対応していかなきゃいけないということであります。

 今、六つの園において三交代が導入されているというふうに承知をしておりまして、そういう中で、今委員の御指摘もありますが、一方で、手当てがしっかりできるようになったという声も聞かせていただいております。

 具体的に、介護員については、全体の定員事情の中ではありますけれども、増員をさせていただいている。あるいは会議の集約、研修でより効率化を図るということで、できる限り入所者、昼の対応にも十分対応できるようにしているところでありますし、また、実際、三交代を実施するに当たっては、入所者の状況や介護員の夜間の業務内容、あるいは職員の意見などを確認しながら、入所者の方の安心、安全な生活ができるよう、それを第一に考えながら進めさせていただいているところでありますので、引き続き、入所者の皆さん方が昼も夜も安心して過ごしていただけるように努力をしていきたいと思います。

宮本委員 充実をちゃんと進めていくんだ、医療、介護の体制、そのことについては大臣も言明されているわけであります。

 ですから、実態としてそれを充実していこうと思ったら、私は、先ほど議論がありましたけれども、ハンセン病療養所については国家公務員の定数削減の対象からは実質的に外していく、そして必要な人はしっかり配置していく、この立場をとることが必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 国立ハンセン病療養所の定員については、委員も御指摘のように、定員合理化の対象ではありますけれども、平成二十六年の八月の統一交渉団との間での合意書、あるいは入所者の療養環境の状況、これらを踏まえてこれまでも決定してまいりましたし、今後も決定していくことが重要だというふうに考えております。

宮本委員 先ほど本多委員とのやりとりで、機械的に適用することはなくというお話がありましたけれども、それは、実質的には定員削減の対象から除外していくよという意味でよろしいんでしょうか。

加藤国務大臣 あくまでも定員合理化の対象ではありますが、合意内容を踏まえ、あるいは入所者の療養環境、状況を踏まえ、毎年、統一交渉団と協議を重ねながら、療養所の療養環境をしっかり維持していく、そういう中で対応している、こういうことであります。

宮本委員 では、こういう聞き方をします。

 では、実態として、充実という、この後採決されるであろう法律の趣旨を損なわない形で定員はしっかりと確保していく、こういうことでよろしいですね。

加藤国務大臣 そうした定員の問題も含めて、今回、充実ということの中身が入っているわけですから、そうした定員の問題あるいは施設の問題、そういったことを含めて、しっかりと充実に努めていきたいというように考えております。

宮本委員 しっかり充実の立場で、定員の問題も当たっていただきたいと思います。

 そして、この間、各療養所では、少しずつ期間業務職員や賃金職員の方の定員化を進めてまいりました。これが定員削減がやられるとできなくなるんじゃないかという心配の声もあるわけですよね。

 賃金職員、期間業務職員は、四、五年目ぐらいから正規の定数に入っている職員との賃金差が出てまいります。十八年で給与は頭打ち、日額単価は九千七百円、調整額は八百五十七円。十九年以上勤めている方も、賃金職員の方、昨年の時点で五十二名いらっしゃいます。

 やはり、こういう賃金の格差というのは、同じ仕事をしているわけですから、職員のチームワークにとってもマイナスですし、入所者の皆さんにとっても、介護でお世話になっているのに、そういう皆さんの処遇が悪いと大変気になるわけです。

 そして、昨年度一年間でやめられた賃金職員、期間業務職員の数を伺いましたら、五十九人と。もちろん、体調が悪くてやめられる方だとか、結婚で住む場所が変わって退職される方もいるわけですけれども、なれ親しんだ方が処遇の低さから離れざるを得なくなるというのでは、入所者の生活の質にも影響するというふうに思います。

 ですから、期間業務職員、賃金職員の皆さんはやはり全員定員化を図っていく必要があると思いますし、処遇を改善して正規職員との賃金格差も改善していく必要があると考えますが、その点、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 国立ハンセン病療養所におきましては、常勤職員に加えまして、賃金職員あるいは期間業務職員という形での非常勤職員につきまして、入所者の介護業務等に従事しておりますので、療養環境の確保のために必要な職員でございます。

 これまで、常勤職員が退職した後、非常勤の介護職員を常勤職員として採用しておりまして、令和元年度は五十七名を採用いたしました。

 また、非常勤職員の処遇改善につきましては、令和元年度において日額単価の改善を行いまして、職員一人当たり、これは平均ではございますが、年間五万円程度の処遇改善を図ったところでございます。

 今後も、定員あるいは予算の範囲内で、常勤職員としての採用や処遇改善に努めてまいりたいと考えております。

宮本委員 しっかり進めていっていただきたいと思います。

 そして、医療、介護の体制の充実を図るためには医師と職員をどう確保していくのか、この問題を考えた場合には、もう一点大事なことは、職員の皆さんから伺っているのは、やはり将来の展望という話でございます。

 入所者の平均年齢は八十代後半であります。国として最後の一人まで責任を持つということははっきりしているわけですが、療養所で働いている職員の中でも、将来が見えないという不安があるというお話を伺います。そして、この間、新入職員確保のために一生懸命頑張っていた職員の方でも、先が見えない中で知り合いを誘いづらい、こういう話も出てきているわけであります。そして、お医者さんが他の病院を蹴ってまで療養所に行く上でも、やはり将来の見通しというのも大変大事だと思います。

 給与などの待遇をよくするというのは当然前提なわけですけれども、やはり、将来も国が責任を持つから思う存分療養所で働いていただきたい、こういう姿勢をしっかり国が示していく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 その前提として、まず、ハンセン病療養所のあり方というのが問われるわけでありますけれども、これについては、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律第十条において、国は、入所者の意思に反して、現に入所している国立ハンセン病療養所から当該入所者を退所させ、又は転所させてはならないとされておりますし、平成二十三年度また平成三十年度においても、統一交渉団と国の交渉の場で確認をされているわけであります。

 こうした方針のもとで、これからも療養所の職員が安心して勤務をしていただける、そして入所者が将来にわたって安心して生活ができるよう、入所者の療養環境の整備にしっかりと取り組んでいきたいというように考えています。

宮本委員 若い職員の皆さんにも将来展望をしっかり示せるようにしていっていただきたいと思います。

 時間になってしまいましたので、最後に一問、介護員の手当の引上げも必要じゃないかというお話をしたかったんですけれども、時間になりましたので、その点は要望にとどめさせていただいて、終わります。ありがとうございました。

盛山委員長 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 ちょっと冒頭、他党の先生からも社会保障検討会議の議事録削除の件がありましたので、我が党と私のスタンスも少しお話しさせていただきたいと思います。大きな改革を進める中で異論はあると思いますけれども、その異論をこういった形で処理してしまうのではなくて、所管は違うと思いますが、いろいろな異論を正面から受けとめて、本当の本質的課題に取り組むという姿勢をぜひ大臣には見せていただきたいですし、本質的な議論のために我が党の提案も出させていただきたいというふうに思います。

 一方で、所管外の委員会等が、他の委員会も今ちょっと混乱しているというのを聞いておりますが、やはり、所管外の委員会に関しては、特に厚生労働委員会に関しては幅広い課題を扱う非常に重要な委員会でございますから、質疑の時間、そして委員会の日程等、私は粛々と進めていただきたいという立場を表明いたしまして、質問に入りたいと思います。

 本日、ハンセン病についてでございますが、いろいろな角度から他党の先生方が御質問されておりますので、私もそもそも余り詳しくはなかったんですけれども、この委員会に入りまして勉強しまして、学べば学ぶほど、元患者、そして元患者の御家族、関係者の皆様の悲痛な叫びを見聞きいたしまして、本当に、国会議員の一人として、これから覚悟を決めてこの問題にも向き合っていきたいというふうに思うわけでございます。

 今回の補償について、家族に補償をしっかりとしていくということと本質的課題を解決に向けて進めていくというこの法案に関しては、金銭で解決できるものではありませんが、他のいろいろな要件も入っておりますので、一歩前進ということで、本当に、この法案に携わられた各委員の皆様、議員の皆様に感謝申し上げたいと思います。

 その上で、今後の差別、偏見をなくしていき、人権侵害等を、国家のこういう不良な政策によって迫害されてしまったようなこの事案を引き起こさないために、そして復権を引き続き進めていくための覚悟を含めて、取組を教えていただけたらと思います。

橋本副大臣 偏見、差別等の解消等につきまして御質問をいただきました。

 これは先ほども同じ問いをいただきましたけれども、先月、厚生労働省、法務省、文部科学省と原告団、家族代表等の協議の場として、ハンセン病に係る偏見、差別の解消に向けた協議会を立ち上げ、御家族の方々から貴重なお話や御意見を伺ったところでございます。

 先ほどこれは委員も触れられましたけれども、結局、この差別の問題というものの大事なことは、というか私たちがきちんと踏まえておかなければならないことは、国が誤った隔離の政策を行い、そのことによって一般国民の方々にそういう意識を植え付けてしまったということに対して、しっかりとした反省と、そうしたことを二度と起こさないという覚悟を持って取り組むべきことなのだろうというふうに、その協議でいろいろなお話を聞く中で思ったところでございます。

 先ほども触れましたが、無らい県運動といったキャンペーン的なことを行ってきたわけでありまして、だとすれば、差別、偏見を解消する、これは簡単なことではないかもしれない、時間がかかるかもしれませんけれども、やはり、それ以上の力を持って取り組まなければならないというふうに思っているところでございます。

 具体的には、今事務方の協議というのをやっておりまして、それも踏まえて具体的な取組というのを、取り組んでまいりたい、議論をしてまいりたいと考えておりますが、元患者の方々あるいは御家族の皆様と議論を深め、偏見、差別の解消に向けて、法務省、文部科学省とも連携して全力で取り組んでまいりたいと考えております。

藤田委員 真摯な御答弁ありがとうございます。私も、国会議員の一員としてしっかりと向き合って、解決に向けて動いていきたいと思います。

 続きまして、ハンセン病は離れますが、基本政策について幾つか質問させていただきたいと思います。

 特定処遇改善というのが最近導入されました。これはちょっといろいろ問題や現場での混乱も見聞きしているものですから、これの導入に至った経緯についてまず御説明いただけますか。

大島政府参考人 御説明いたします。

 特定処遇改善加算でございますが、平成二十九年十二月に新しい経済政策パッケージが閣議決定されております。その中で、「介護人材確保のための取組をより一層進めるため、経験・技能のある職員に重点化を図りながら、介護職員の更なる処遇改善を進める。 具体的には、他の介護職員などの処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めることを前提に、介護サービス事業所における勤続年数十年以上の介護福祉士について月額平均八万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に、公費一千億円程度を投じ、処遇改善を行う。」という記述が盛り込まれました。

 これを踏まえまして、昨年の九月、平成三十年九月から、介護施設あるいはサービス事業者の関係者等が参画します社会保障審議会介護給付費分科会がございまして、そこにおきまして具体的な制度設計について御議論いただき、同年の十二月に審議報告がなされ、平成三十一年二月に諮問、答申が行われております。

 この答申をもとに、介護報酬告示を改正する手続を行いまして、ことしの三月二十八日に公布しております。

 その後、関係団体や都道府県と連携して説明会を行いまして、政府広報なども行っております。

 これらを経まして、ことしの夏から申請届出の受け付けを開始しまして、十月から制度が始まったという経過でございます。

藤田委員 御説明ありがとうございます。

 これは、もともと、勤続十年以上の介護福祉士が月八万円収入がふえるよというような、そういうふれ込みで最初打ち出されたわけです。なかなか、その十年というのを、自分の事業所なのか、他も含めていいのかとか、いろいろな議論の末に、弾力的に非常に曖昧な規定で運用されるということと、それを、何というんですか、ぶっちゃけて言えば、事業所側がある程度裁量で推薦することができる、こういうような制度なんですね。なおかつ、該当する熟練の職員とその他の職員には支給する額については差をつけないといけない、こういうような要件が入っていまして。

 私、そもそも論として、こういう給与の査定や給与の配分に関して規定を余りつくらない方がいいというふうに思っています。というのも、実際の現場でいうと、長く働いている人がパフォーマンスが高いかどうかというのは、相関関係は薄いこともあります。実際に、期間が短くても非常にパフォーマンスを発揮していたり、チームの役に立てている、こういうこともありますから。

 この規定の中で、年数が長い人、より定着して職についてくださる方を優遇するというのはわかりますけれども、企業の人事戦略、給与を決定する中では非常にこれはわかりにくいし、また事務作業も難解ということがありますから、もっとわかりやすい仕組みにすべきではないかというふうに思いますが、御見解はいかがでしょうか。

大島政府参考人 先生は詳しく御承知だと思いますが、一応、念のため今回の仕組みの概略を申し上げますと、事業所の職員を、経験、技能のある介護職員、その他の介護職員、介護職員以外の職員の三つに区分をいたしまして、加算額全てを経験、技能のある介護職員に配分することも可能でございますし、事業所の判断によりまして、その他の介護職員にも配分することも可能ですし、さらに、そこに加えまして介護職員以外の職員にも配分することが可能というふうな形になっております。選べる形になっております。

 具体的な改善額につきましては、平均の改善額が、経験、技能のある介護職員はその他の介護職員の二倍以上、介護職員以外の職員はその他の介護職員の二分の一を上回らない範囲で各事業所が設定することなどとしております。

 この区分に当たりまして、経験、技能のある介護職員は勤続十年以上の介護福祉士であることを基本としとはしておりますが、介護福祉士の要件、ここはそのとおりでございますが、十年以上のところにつきましては、事業所の能力評価や等級システムを生かして、勤続年数については必ずしもこだわらずに、技能や業務を勘案して対象とすること、区分の当てはめをすることができるという形にしておりまして、一定程度そういったところには配慮した形でございます。

 こうした取扱いは、先ほどの施設あるいは介護事業所関係者が入りました介護給付費分科会では相当議論をいたしまして、こんな形に取りまとめたものとなっておりまして、まずはその実施状況の把握にしっかり努めてまいりたいと考えております。

藤田委員 議論の末に落としどころとして決まったのはよく想像できるんですけれども、その中で複雑になっていくというのがこういう制度の特徴でして。私は、簡素でわかりやすいものが一番経済成長を生むというふうに思っておりますので。

 そもそも、この処遇改善加算というのは、事業所はもちろん、何というんですか、全部配分しないといけない上に、事業所のもうけにはなりません。しかしながら、これは後でもらえるものですから、計画を立てて、いわゆる報酬にパーセンテージを掛けて、後で入ってくるものですから上下するわけです。そうすると、ボーナスで全部渡してしまえばそれは解決しますけれども、毎月の給与に上乗せするとすると、下回ってしまったら問題ですから、やはり少し多目に払うというのが通常のやり方です。そうすると、結果的に人件費はふえるわけです。こういう制度を使うことによってふえてしまうというのは、健全じゃない給与の配分の仕方ではないかなというふうに思うわけです。

 結論的には私は、処遇改善のような、事務コストも非常にかかる、御存じの方もたくさんいらっしゃると思いますけれども、先に計画書を出して、それから報告書を出すというフローですけれども、その中の内訳なんかも、給与明細を見返して書かないといけなかったりですとか、結構事務コストがかかるものなんですよね、事業所側からすると。私は、基本報酬自体を上げるべきだというふうに思います。

 というのは、今、労働市場が非常に人手不足の時代ですから、どちらかというと、売り手市場、買い手市場でいうと、買い手市場のころよりも労働者が自由に選択をしやすい環境に寄っています。ですから、基本報酬自体を上げ、そして待遇を上げていく企業が生き残り、そうでない企業は淘汰されるという力学を働かせた方が市場に健全だと思いますが、いかがでしょうか。

大島政府参考人 確かに、今回の処遇改善につきましても、事前に事業所から処遇改善計画を出していただきまして、事後に実績報告を求める、これは毎年度行います、それで介護職員の賃金改善が図られるかどうかを担保する、そういう仕組みになってございます。したがいまして、それに伴う書類とか事務手続の負担があることは私どもも認識はしております。

 ただし、わざわざ基本報酬の引上げではなく加算による対応としておりますのは、まさにこうした担保措置によりまして確実に介護職員等の賃金改善が図られているということの確認といいますか確保ができることがあるためでありまして、逆に言いますと、基本報酬の引上げに対応した場合には、正しく賃金配分に充てられたかどうかの確認がしづらくなるという懸念がございます。

 介護給付費分科会におきましてもその点につきまして議論があり、介護報酬における加算の形で必要な対応を講じることが適当というふうにされたところでございまして、職員の処遇改善という趣旨に鑑みれば、加算という措置には一定程度事務処理が伴いますが、現時点においては適切な対応ではないかなと考えております。

藤田委員 これからの労働市場改革とそれから分配を考えたときに、大臣にも少しお考えいただきたいんですが、いわゆる基本報酬に上乗せして事業所の適正利益の中でちゃんと分配していくというやり方と、間接的に事業所を通じて処遇改善のような形で渡すパターンと、それから直接分配する、こういう三パターンの中で、私は一番、今の労働市場がこの働き手不足の中では、一番に挙げた、やはり市場原理をフルに活用した方が適正に市場、マーケットが健全化されていくのではないかというふうに思いますし、ちょっと制度の設計思想として、私はすごく違和感がある制度だというふうに思っています。

 それから、事務コストの面でいうと、物すごく問題なのは、これはどの分野もそうなんですけれども、許認可事業や指定事業の中で権限移譲が進んでいくのはいいことだと思いますが、一方で、例えば、各市町村に権限移譲されたものが、届出書類みたいなもののフォーマットが、何というんですかね、ひな形みたいなのが多分示されているのはいるんでしょうけれども、類似で、ちょっとずつずれている。そうすると、指定権者が他市町村にわたる事業所さんなんかはコピペできないんですよ。そうすると、単純に事務コストが上がる。それから、オンライン化もされていない。

 こういう現状が、先日の質問でもさせていただいた働き方改革の、厚生労働省の若手プロジェクトの中にもいかに効率化しようみたいなことが書かれてある中で、まさにこういうことが事業所に負担を強いているというのは、このIT化の時代に関して考えられないというふうに私は思います。

 権限を移譲することと、例えば統一プラットフォームのようなものを政府ないしどこかの機関が提供して、それをオンライン化するなりして、できるだけ事務コストを下げて、対人業務に使える時間をふやしていくというのは誰もが賛同することだと思うんですけれども、この点に関していかがですか。

大島政府参考人 この点、委員の御指摘のとおりと考えます。

 ことしの八月に、審議会のもとに、自治体の職員、介護事業者の代表者、それから学識経験者から成ります介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会というのを設けまして、今、ヒアリングを含めまして四回開催いたしました。

 その中で大体結論は見えてきておりまして、大きく三つの書類、介護事業所の指定申請の関係の書類、報酬請求の書類、それから自治体の指導監査に関する文書、大きく三つございます、それぞれにつきまして、一つは簡素化、押印や提出方法の見直し、様式の簡素化、あるいは添付書類の削減、それから二つ目は標準化、自治体による差異をなくすための様式例の整備と周知、そして三つ目がICT化、ウエブ入力、電子申請、これは委員がおっしゃった電子のプラットフォームということになりますが、につきまして、今取りまとめの段階に入っております。年内には取りまとめをしてまいりたいと考えております。

 こういった委員会での議論を、介護現場の負担軽減あるいは生産性向上の観点から、実現に向けていきたいと思っております。

藤田委員 ぜひ、今のIT化の時代に合った、事務コストをできるだけ効率化するやり方を進めていただきたいというふうに思います。

 それから、厚生労働行政にもかかわることですが、働き方改革とそれからこういう許認可の関係性について、働き方改革の中で最近、男性育休を推進しようという動きが各所で見られておりますけれども、これは男女かかわらずのことですが、人員要件で、例えば管理者とか、サービス管理責任者とか児童発達支援責任者とか、そういう役職についておられる方が育休をとりにくいというのはあるんですよ。

 例えば、マックスでそれを例えば一年とかとりますと、実際には人員要件が満たされないので、事業所を廃止しないといけない。中小企業に至っては、中小企業が今、企業の数は九九%以上で、七〇%は赤字企業ですから、その中でも従業員は全体の七〇%ぐらいを占めていて、育休をとりやすい大企業のところは、風土の問題だというなら風土はすぐ改善したらいいと思うんですけれども、現実的に、自分が育休をとると会社が潰れてしまうというこの現実に直面したときに、なかなかそれに踏み込めないというのはリアルな問題としてございます。こういうことを解決せずに育休推進というのは、僕は無責任やなというふうに思うわけです。

 例えば、この許認可事業、指定事業の人員要件に関して、私はちょっと柔軟な、弾力的な運用をなしてもいいんじゃないかなというふうに立場として思っています。

 というのも、例えば、管理者でしたら、今度、薬機法に入りますけれども、管理薬剤師は三十二時間以上の常勤でないといけないとか、他の職種にもありますけれども、そういったものを、まあ、育休というのは必ず戻ってくる前提でお休みをとられますから、その期間に関しては補完的要素を、幾つか要件をそろえて、例えば代替の人員を複数で埋めるとか、そういうことを勘案しながら弾力的な運用ができないものかというふうに思いますが、働き方改革又は男性育休、女性も含めて育休取得推進の観点からもこう考えるわけですが、いかがでしょうか。

盛山委員長 時間となっておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

大島政府参考人 サービスの質を確保する観点から人員配置基準を設けておりまして、一方で、育児休業取得促進ということを進めるということも重要な観点ではありますが、人員配置基準によって質の確保を担保しているという点から鑑みますと、そこの緩和につきましては慎重に検討していかざるを得ないのかなというふうに考えております。

藤田委員 ちょっと時間がなかったので、一言だけ。

 人員基準を無視しろと言っているわけじゃないんです。要件を緩和して、ある程度柔軟に対応、例えば週に何回か来たらとか遠隔でとかいろいろなやり方はあると思うんですけれども、そういったことを、状況によって、絶対にとれない状況に追い込まれている人も多数いらっしゃるということをちょっと踏まえて、また制度設計を考えていただけたらと思います。

 この後、ハンセン病の採決がある予定になっておりますけれども、この問題に関して一歩前進したことを非常に大きく受けとめて、私も今後の活動をしていきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

盛山委員長 次に、ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 本案は、ハンセン病元患者家族のこうむった精神的苦痛を慰謝するための補償金の支給に関し必要な事項を定めるとともに、ハンセン病元患者家族等の名誉の回復等について定めようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、本法律案に特に前文を設け、らい予防法を中心とする国の隔離政策により、ハンセン病元患者のみならず、元患者家族等も、偏見と差別の中で、ハンセン病元患者との間で望んでいた家族関係の形成が困難になる等長年にわたり多大の苦痛と苦難を強いられてきたにもかかわらず、その問題の重大性が認識されず、国会及び政府においてこれに対する取組がなされてこなかったことについて、国会及び政府は、その悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受けとめ、深くおわびするとともに、偏見と差別を国民とともに根絶する決意を新たにすることを明記しております。

 さらに、前文では、国会及び政府が責任を持ってこの問題に誠実に対応していく立場にあることを深く自覚し、ハンセン病元患者家族のこうむった精神的苦痛を慰謝するとともに、ハンセン病元患者家族等の名誉の回復及び福祉の増進を図るため、この法律を制定することを規定しております。

 第二に、国は、ハンセン病元患者家族に対し、補償金を支給することとしております。ここで、ハンセン病元患者家族とは、らい予防法が廃止される平成八年三月三十一日までの間に、ハンセン病の発病歴のある元患者と一定の親族関係にあった者であって、この法律の施行の日に生存しているものとすることとしております。

 第三に、補償金の額は、事実婚を含むハンセン病元患者の配偶者、親、子等については百八十万円とし、兄弟姉妹や元患者と同居していた孫、おい、めい等については百三十万円とすることとしております。

 第四に、厚生労働大臣は、補償金の支給を受けようとする者の請求に基づき、当該支給を受ける権利の認定を行うこととするとともに、請求の期限は、この法律の施行の日から五年とすることとしております。

 第五に、国は、ハンセン病元患者家族に対し補償金の支給手続等について十分かつ速やかに周知するための措置を適切に講ずるとともに、補償金の支給を受けようとする者に対する相談支援その他請求に関し利便を図るための措置を適切に講ずるものとすることとしております。

 第六に、国は、ハンセン病元患者家族等について、名誉の回復及び福祉の増進を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。

 第七に、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から施行することとしております。

 なお、この法律による補償金とは別に、この法律の施行前に亡くなった国家賠償請求訴訟を提訴された方について、元患者家族への差別等の問題を改めて明らかにし、その解決を促したことに鑑み、一時金を支給する措置を省令において講ずることを想定しております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

盛山委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 衆議院厚生労働委員長提出のハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案につきましては、政府としては異議はありません。

 この法律案が御可決された暁には、この御趣旨を踏まえて、速やかな補償金の支給に努めるとともに、ハンセン病元患者家族の名誉回復及び福祉増進のために可能な限りの措置を講じてまいる所存でございます。

盛山委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております草案をハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

盛山委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

盛山委員長 次に、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 本案は、ハンセン病問題解決の一層の促進のため、名誉の回復、福祉の増進等の規定の対象にハンセン病の患者であった者等の家族を加えるとともに、国立ハンセン病療養所における医師等の兼業に関する国家公務員法の特例を設ける等国立ハンセン病療養所における医療及び介護に関する体制の整備及び充実等の措置を講じようとするものであります。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

盛山委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております草案をハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

盛山委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、両法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

盛山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十八分散会


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