第19号 令和2年7月1日(水曜日)
令和二年七月一日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 盛山 正仁君
理事 後藤 茂之君 理事 新谷 正義君
理事 冨岡 勉君 理事 長尾 敬君
理事 平口 洋君 理事 小川 淳也君
理事 岡本 充功君 理事 高木美智代君
あべ 俊子君 安藤 高夫君
上野 宏史君 大岡 敏孝君
大串 正樹君 大隈 和英君
木村 哲也君 国光あやの君
小島 敏文君 小林 鷹之君
後藤田正純君 佐藤 明男君
塩崎 恭久君 繁本 護君
白須賀貴樹君 田村 憲久君
高橋ひなこ君 谷川 とむ君
船橋 利実君 堀内 詔子君
三ッ林裕巳君 山田 美樹君
阿部 知子君 稲富 修二君
尾辻かな子君 岡本あき子君
下条 みつ君 白石 洋一君
中島 克仁君 西村智奈美君
山井 和則君 柚木 道義君
伊佐 進一君 桝屋 敬悟君
宮本 徹君 藤田 文武君
…………………………………
厚生労働大臣 加藤 勝信君
内閣官房副長官 西村 明宏君
内閣府副大臣 宮下 一郎君
厚生労働副大臣 稲津 久君
厚生労働副大臣 橋本 岳君
経済産業副大臣 牧原 秀樹君
内閣府大臣政務官 神田 憲次君
内閣府大臣政務官 今井絵理子君
厚生労働大臣政務官 小島 敏文君
厚生労働大臣政務官 自見はなこ君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房総括審議官) 田中 誠二君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官) 浅沼 一成君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君
政府参考人
(厚生労働省医政局長) 吉田 学君
政府参考人
(厚生労働省健康局長) 宮嵜 雅則君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局長) 坂口 卓君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 谷内 繁君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 橋本 泰宏君
政府参考人
(厚生労働省老健局長) 大島 一博君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 浜谷 浩樹君
政府参考人
(国立感染症研究所長) 脇田 隆字君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 江崎 禎英君
参考人
(独立行政法人地域医療機能推進機構理事長) 尾身 茂君
厚生労働委員会専門員 吉川美由紀君
―――――――――――――
六月十七日
一、保育等従業者の人材確保のための処遇の改善等に関する特別措置法案(西村智奈美君外九名提出、第百九十六回国会衆法第三九号)
二、公職の候補者となる労働者の雇用の継続の確保のための立候補休暇に関する法律案(森山浩行君外十名提出、第百九十八回国会衆法第一九号)
三、認知症基本法案(田村憲久君外五名提出、第百九十八回国会衆法第三〇号)
四、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(山花郁夫君外八名提出、衆法第一一号)
五、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案(山花郁夫君外八名提出、衆法第一二号)
六、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部を改正する法律案(山花郁夫君外八名提出、衆法第一三号)
七、児童扶養手当受給者に対する臨時特別給付金の支給に関する法律案(尾辻かな子君外十名提出、衆法第一五号)
八、労働者協同組合法案(田村憲久君外十四名提出、衆法第二六号)
九、業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案(西村智奈美君外六名提出、衆法第一八号)
一〇、厚生労働関係の基本施策に関する件
一一、社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する件
一二、労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
厚生労働関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○盛山委員長 これより会議を開きます。
この際、御報告いたします。
昨年成立した旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律第二十一条において、国は、旧優生保護法に基づく優生手術等に関する調査その他の措置を講ずるものとされているところ、衆議院及び参議院の厚生労働委員会理事会における協議の結果、お手元に配付のとおり、調査を行うことで合意いたしました。
本調査は、旧優生保護法が存在した昭和二十三年から平成八年までの間、優生手術等が行われてきたことについて、旧優生保護法の制定、改正の経緯、社会的背景、優生手術の実施状況等に関して調査を行い、もって共生社会の実現に資することを目的とし、旧優生保護法の立法過程、優生手術の実施状況等の調査項目について、おおむね三年程度の期間をかけて、衆議院厚生労働調査室及び参議院厚生労働委員会調査室が分担し、国立国会図書館の協力を得て、報告書の原案を作成することとなっております。
本合意を踏まえ、六月十七日、そのだ参議院厚生労働委員長とともに、両調査室に対し、それぞれ調査を命ずるとともに、国立国会図書館社会労働調査室に対し、調査への協力を要請いたしました。
以上でございます。
――――◇―――――
○盛山委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房総括審議官田中誠二君、大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君、大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官達谷窟庸野君、医政局長吉田学君、健康局長宮嵜雅則君、労働基準局長坂口卓君、社会・援護局長谷内繁君、社会・援護局障害保健福祉部長橋本泰宏君、老健局長大島一博君、保険局長浜谷浩樹君、国立感染症研究所長脇田隆字君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江崎禎英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○盛山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○盛山委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長尾敬君。
○長尾(敬)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の長尾敬でございます。
質問の機会をいただき、ありがとうございます。
まず、武漢発の新型コロナウイルス、信念を持って武漢ウイルスと呼ばせていただきたいと思いますが、今回私たちが経験をしましたのは、やはり、中国による非常に高圧的な戦狼外交でありました。今、私たちは、特定の国に過度に依存した生産拠点のあり方に大きな方向転換を見出さなければならぬと思っております。
安全保障と社会保障は両輪であります。安全保障には、軍事的な側面と経済的な安全保障がある。本日は、厚生労働省も、経済産業省だけでなく、経済安全保障そして軍事的な安全保障と無関係ではないという観点から質疑をさせていただきます。
本題に入る前に、幾つかの整理をしたいと思います。
まず、医薬品の製造に使用されたときに医薬品の有効成分ともなるものを原薬といいますが、この原薬製造のサプライチェーンについて、厚生労働省の課題認識と対策についてお尋ねします。
○吉田政府参考人 お答えいたします。
今御指摘いただきました中の医薬品につきましては、製造の一部を海外で行っているものが多い状況にございまして、例えば、後発医薬品につきまして、私ども厚生労働省の委託事業として、メーカー百九十社を対象としたアンケート調査、これは平成二十九年度の実績でございますが、これによりますと、約四七%の品目が原薬の製造までを海外で行う、日本では輸入した原薬の製剤化のみを行っているという状況でございます。
この原薬の輸入先といたしましては、同じ調査によりますと、購入金額ベースで、韓国が約二二%、中国が約一九%となっております。
こうした状況の中、昨年には、抗菌薬の一つでありますセファゾリンにつきまして、海外での製造トラブルにより、長期間、国内での供給不足が生じた。さらに、今般の新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延に伴っても、海外で製造や物流、輸出等が停滞したことによりまして供給不安が生じている、あるいは今後生じる可能性がある品目が、関係者から複数指摘をいただいておるところでございます。
国内市場シェアの高いものから順次、あらかじめ学会と代替薬の調整を行うなどの事前調整をこれまで行わせていただいております。
厚生労働省としましては、重要な医薬品につきましては国内の生産体制を増強すべく、今年度の一次補正予算事業としまして、海外で生産されている原薬や原料への依存度が高い医薬品を製造する企業に対して、その国内生産に要する設備費用の一部を補助する事業を新たに実施することとし、昨日から公募をしてございます。
引き続き、中長期的な対策も含めまして、関係者の御意見を伺いながら、医薬品の安定確保を検討して、予防措置などを含め、対応を進めてまいりたいと考えてございます。
○長尾(敬)委員 やはり、安定的な供給を確保するためにはサプライチェーンの再構築が必要であると思います。
先ほど四七%が海外というお話もございました。非常に海外依存度が高い中で、今後、コロナ禍のような状況がたくさん予想されるわけであります。あわせて、中国などでも環境保護の政策の規制が強化されたり、突然の操業停止や供給停止、あるいは爆発が起きて、日本のユーザーの要求を満たさない現状も出ておりますので、これらリスク回避に万難を排していただきたいと思います。
また、武漢ウイルス感染症の治療効果があるとしてアビガンが非常に注目を浴びましたが、原料を生産できる国内企業を探していたところ、三年間工場が停止になっていた、これを稼働していただいた。この背景と、それまでに経産省さんが取り組んでいただいた対策について御答弁ください。
○江崎政府参考人 お答えを申し上げます。
今御指摘ありましたアビガンの原料でございますマロン酸ジエチルでございますけれども、これを国内で唯一製造しておりましたデンカ株式会社でございますが、これは、中国などからの輸入品との価格競争にさらされまして、約三年前に国内製造を終了していたところでございます。
今般、新型コロナウイルス感染症の治療薬として期待されるアビガンの緊急増産を行うに際しまして、中国からの原料の輸入途絶、これがネックとなることが判明いたしました。
このため、デンカ株式会社に対しまして、まだ解体されずに残っておりました原料製造プラントを点検、修繕いたしまして、マロン酸ジエチルの再生産を依頼することとしたものでございます。本プラントの再稼働に当たりましては、デンカ株式会社が行う設備投資に対して補助を行うなど、国による徹底した支援を行ってきたところでございます。
今般の経験を踏まえまして、国民の健康や生命を守る医薬品等の安定供給を実現するためには、まずは生産プロセスの把握、これを行うとともに、原料の調達先の多元化、そして備蓄による対応、その上で生産能力の確保などに関して厚生労働省を始めとする関係機関と連携を図りながら対応してまいりたいと考えております。
○長尾(敬)委員 今般、経産省さんは本当に頑張っていただいたと私は高く評価をしたいと思います。
夏に工場が取り壊される寸前のところで、補助という、金額は私は聞いておりますが、本当にそういうときこそ国家ぐるみで今後も支えていただくスタンスを貫いていただきたいと思っています。
国内や東南アジアに移転するという方向性、特に、国内製造が始まればGDPにカウントをされてきますので、あわせて地域に雇用が生まれ、地域経済も活性化する、もちろん乗り越えなきゃいけない問題はたくさんあるわけですけれども。
第一次補正予算でも二千四百億円の国内回帰の予算を講じておりますけれども、先ほど医政局長からお話がありました、これは多分、医薬品安定供給等支援事業のことだと思いますが、これが三十億円。
ちなみに米国は、このコロナ禍に対応しているということではなく、さまざまな、国の方針として、創薬メーカーに対して何と五兆五千億円の投資をしてまで国内回帰を目指している。この金額の差は何なんだ、ある種の国家の意思のあらわれ、その差ではないかということを指摘させていただきたいと思います。
また、今度は、医療機器製造のサプライチェーンの現状と問題点について御答弁ください。
○吉田政府参考人 お答えいたします。
医療機器につきましては、平成二十九年の輸入総額が一兆六千四百九十二億円、輸出総額が六千百九十億円になってございまして、結果、一兆余りの輸入超過という状況でございます。
分野別に見ますと、特に人工心臓弁などのいわゆる治療系の医療機器について、製品の供給を輸入に依存しているところが高うございます。
輸入先といたしましては、米国が約半数、欧州諸国が約二割、次いで中国を含めたアジアが約一割となってございます。一方、輸出先につきましては、米国が約二割、中国が約一割、欧州諸国が約二割という状況でございます。
こうした状況におきまして、例えば、ほぼ全てを輸入に依存しております人工呼吸器につきましては、異業種による新規参入の促進をお願いするとともに、これは経産省さんの方からですが、経産省による増産のための設備投資支援など、必要台数の確保にこれまで取り組んでいるところでございます。
新型コロナウイルス感染症拡大時の教訓として、特に医療現場に不可欠な医療機器につきましては、国際的な情勢変化にかかわらず安定的に確保されることが重要ということを改めて認識をいたしましたので、今後、特に医療上の重要性が高い医療機器を中心として、経済産業省と連携して、国内での開発支援、国内生産体制の増強、サプライチェーンの複線化などに取り組んでまいりたいと考えております。
○長尾(敬)委員 続いて、ちょっと関連でもう一つ質問させていただきます。
外為法において、今般、六月の十五日の報道発表で、医薬品と医療機器をコア業種リストに加えた背景について御答弁ください。
○吉田政府参考人 お答えいたします。
外為法では、投資自由の原則のもとで、国の安全等にかかわる一定の業種を事前届出対象業種に指定をして、当該業種への直接投資に対する審査を行った上で、国の安全等を損なうおそれがある投資を適切に規制するという仕組みが設けられております。
これまで医薬品につきましては、公衆の安全に係る業種として、生物学的製剤製造業に限って対象業種としてきたところでございますけれども、今般の新型コロナウイルス感染症の蔓延を踏まえまして、国民の生命、健康にかかわる重要な医薬品、医療機器の製造基盤を維持することは極めて重要ということから、外為法に基づく事前届出対象業種とする必要があると認識をいたしまして、六月十五日に、今御指摘いただきましたように、告示改正を行い、七月十五日からの適用開始を予定してございます。
具体的には、感染症の治療等に必要な医薬品やその原料、それから、高度な製造、品質管理等が求められる医療機器やその附属品、部分品の製造業を事前届出対象といたしまして、事前届出対象のうちコア業種に追加することとし、外国からの投資に適切な対処ができるようにしたものでございます。
○長尾(敬)委員 外国からの投資、あくまでもマネーの部分ということになりますけれども、資料の四ページ、これは外為法の内訳で、改正前は指定業種百五十五種が一くくりであったのが、先ほど局長から御答弁がありました懸念もあるので、コア業種の分野とそれ以外のものと分けていったわけです。
資料の二ページが今局長から御説明があった内容であります。あくまでも、国民の人命、健康にかかわる重要な医療産業の国内基盤を維持することというものが目的とされている、これは当然のことだと思います。
ちょっと一ページを見ていただきたいんですね。どうも、私、このコア業種に、リストに載ったということは大変画期的なことだというふうに思っているのと同時に、もう一声欲しいというところ、これは何かというと、軍事的な要素に関する経済安全保障ということなんですね。
一ページの、つまり、診断系医療機器というのが、真ん中、右下にありますけれども、例えば、注目したいのは画像診断システム。これは、医療に使用すれば、お医者さんが見つけることのできない小さながんを画像処理によって発見できるけれども、実は、軍事MアンドAの専門家に言わせますと、例えば、ドローンを飛ばして粗い画像で上空から撮影をして、画像処理技術を使用して精緻な画像にして相手の状況を完璧に把握するという軍事転用が可能であると。
また、生体現象計測・監視システムというのは、本来であれば、衣服等の着用上の人体への影響であるとか、あるいは身体サポート用具のリハビリ効果の確認であるとか、スポーツ科学の分野の筋肉疲労のことであるとか、こういったところに有用なシステムでありますが、やはり人の動きを監視することに応用ができるので、軍事的にも、建物や郊外での敵の動きを事前に把握するという、瞬時に把握するという軍事転用が可能だという指摘があります。
つまり、デュアルユース、こういった高度な技術というのは、平和的利用もできますが、軍事転用される可能性があるということも忘れてはならないと思います。
そこで、今回外為法が改正された背景には米国の存在があります。米国は、国防権限法、これは資料三の真ん中にあります「二〇一八年八月米国で新法成立」というのがその法律に当たるんですが、その輸出管理改革法というのをここで求めています。
これは何かというと、昔、ココム規制というのがあったんですが、つまり、共産主義国への最先端技術の輸出によって軍事力の強化を防止するために、NATOの加盟国、アイスランドを除く、加えて日本とオーストラリアが行ったものでありますが、このココムの現代版を今米国が提案しているという現実を私たちは認識しなければいけない。昨年の十一月に、安全保障上重要な日本企業への出資規制を強化する外為法が改正になった。つまり、日米の動きというのは、実は完全に連動しているということを認識したいと思います。
そこで、大臣にお尋ねしたいんですが、医療機器技術に関する安全保障上の問題点を回避するため、厚生労働省は今後どのような取組を行っていただけるんでしょうか。よろしくお願いします。
○加藤国務大臣 医療機器という意味においては、これは国民の生命や健康の保持に資するという大変重要な物資であります。また同時に、今委員御指摘のように、医療目的というだけではなくて、特に高度な技術が適用されているものもありますから、それが他の分野、特に軍事技術等々に転用されるというおそれがある。これは、医療機器だけじゃなくて、さまざまな高度先進のものはそういう可能性があるんだろうというふうに思います。
したがって、そこを厚労省としてということになると、これはむしろ政府全体の中で安全保障上の観点からそこはどう考えていくのかという議論になっていくんだろうと思いますけれども、しかし、そういった観点というのは非常に大事だというふうには思います。
また同時に、今回の外為法はそこを射程にしているというよりは、国内において安定的な供給をされるべきもの、これまではワクチン等は対象にしていましたけれども、それ以外の医療機器、先ほど局長から話がありましたけれども、あるいは感染症の治療薬、こういったものについてはやはりしっかりサプライチェーンを確保していかなきゃいけないし、国内の供給というものも、その重要性ということを改めて我々認識をしたわけであります。
そういった観点も含めて、今回告示の改正をし、七月十五日から具体的な適用がなされるということでありますから、ちょっと視点が違う部分もあるんだろうと思いますが、ただ、いずれにしても、広い意味で国を守り、そして国民の安全を確保するということにはつながっていくんだろうというふうに思っておりますので、我々は、厚生労働省は厚生労働省の視点として、また、政府全体は政府全体の中の議論においてそれを踏まえながら、しっかり対応させていただきたいというふうに思います。
○長尾(敬)委員 今大臣がおっしゃられた少々の違いがあるということを承知で、今質問をさせていただいております。
というのは、今現状はそうであるからということになります。軍事的には日米同盟を基軸としてやっております。では、経済安全保障ではどことパートナーを組んでいくのかということになると、我が国のサプライチェーンのみならず、経済のあり方というのは、どうしても特定国に非常に依存し過ぎているという現状があります。
例えば、米国というジャイアンがいて、中国というジャイアンがいて、安全保障は米国と、経済については今まで中国依存が多かった。では、日本はどういう立ち位置で今後対応していかなきゃいけないのか。
先ほど、国防権限法を米国が設置をいたしましたが、いわば、この発動によって、例えば中国のとある企業と取引、あるいは部品を使っている企業は、米国側から取引を禁止されるというようなことも、当然、経済産業省さんはそれをもう完全に想定をしていらっしゃる。
コロナ禍で余り話題にはなりませんでしたが、この四月に国家安全保障局、NSSの中に経済班が設立をされました。私はこれに大変な期待をいたしております。厚労省には厚労省の考え方がある、また各省庁の考え方があるんですが、やはり、国家全体として、政府全体としての経済安全保障をつかさどるのは私は経済班であるというふうに確信をいたしておりますので、ぜひ、厚生労働省さん、このNSSと緊密な連携をとって、私たちの健康と安心のみならず、軍事的な安全保障もお守りをいただきたい。提言をいたして、質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○盛山委員長 次に、桝屋敬悟君。
○桝屋委員 おはようございます。公明党の桝屋敬悟でございます。閉会中審査、発言をさせていただきます。
冒頭、本題に入ります前に、各党の先生方に御礼を申し上げたいと思います。
さきの通常国会の最後のところでありましたが、六月の十二日、労働者協同組合法案、全会派一致で国会に提出をし、既にこの委員会に付託され、各党の理事の先生方、委員長の御配慮によりまして継続案件になっております。やっとここまで来たという思いでございまして、御協力いただいた先生方に心から感謝を申し上げたいと思います。
この上は、解散なんか絶対しないで、この法案が通るまで、ぜひとも、私はこの閉会中審査でも審査をしたいぐらいの心境でございまして、大臣、解散は絶対ないように、よろしくお願いをしたいと思います。
さて、本題に入りたいと思います。きょうは、コロナ禍における生活保護制度の取扱いについて若干の議論をさせていただきたいと思います。
新型コロナウイルスの感染拡大、東京都を中心に隣県への拡大が続いておりまして、往来リスクは鮮明になりつつある。西村大臣も、正直、嫌な感じだと危機感をあらわしておられます。こういう容易ならざる状況だろうと思っております。そんな中で、生活保護の取扱い、最後のとりでとしてこの制度がどう今動いているかということを確認をしておきたいと思います。
コロナ禍の中で新規申請が相当ふえているという報道がございます。実態はどうなのか。一月前の報道では、四月の保護申請件数が、特に特定警戒都道府県とされた十三の都道府県で、対前年度比で相当ふえている、二割から三割新規申請がふえているという報道もありました。
そろそろ被保護者の調査、四月分が出るころだろうと思っておりますが、その状況を確認をしたいというふうに思います。局長、よろしくお願いします。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘の生活保護の申請件数、被保護者調査で調べておりますけれども、四月分につきましては、実は本日の午前十時に公表ということでございまして、現時点においては非公表でございます。
なお、三月分の申請件数を申し上げますと、前年同月比でプラス七・四%になっております。また、直近の状況につきましては、幾つかの指定都市を中心といたしまして自治体から聞き取っておりまして、それについての申請状況をお答えいたしますと、前年同月比及び前月比ともに、四月分については増加している自治体が多い、ただ、五月分については減少している自治体が多いというふうに聞いているところでございます。
いずれにしましても、四月分につきましては申請件数が増加すると見込まれまして、それにつきましては新型コロナウイルス感染症の影響による雇用環境の変化等が背景にあると考えられますので、引き続き今後の動向には注視してまいりたいと考えております。
○桝屋委員 ありがとうございます。
きょうの十時が発表ですから、それを待ちたいと思いますが、四月分は、この数日間のマスコミの報道を見ておりましても、マスコミも独自に調査をされておられまして、先ほど申し上げた特定警戒都道府県とされた地域等を中心にかなりふえている、二割から三割ふえているというような報道もあるわけであります。
政府の一次補正あるいは二次補正の対策、十万円の定額給付とか緊急小口資金の活用など、いわゆる生活支援メニューの取組との関係もあるのではないかと思っておりまして、ここは、生活保護、公的扶助の制度の中で、他法他施策との関係が大変大事に今現場ではなっているのではないかというふうに思います。
生活保護の適用に当たっては、コロナ禍という事態の中、よほどきめ細かな判断と対応が求められるのではないか、最後のとりでである生活保護が、決して間違った判断をしてもらっては困る、こう思っているわけであります。
厚労省においても、矢継ぎ早に保護の取扱いについて事務連絡を発出されておられます。逐一見ておりますけれども、特に四月七日付の事務連絡は非常に大事だなというふうに思っております。とりわけ保護の要否判定における留意事項は重要でございまして、稼働能力の活用あるいは通勤用自動車の保有について特段の配慮をしようという事務連絡が出ておりますが、そのポイントについて御説明をいただきたいと思います。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘にありますように、四月七日に事務連絡を発出しておりますけれども、これにつきましては、生活保護制度を適切に運用する上で特に留意が必要な事項につきまして、福祉事務所に対して発出したものでございます。
具体的には、先生御指摘の、まず一点目の稼働能力の活用でございますけれども、これにつきましては、稼働能力の活用の有無については、新たに就労の場を探すことが困難な場合は判断を留保できるといったこと、また、通勤用自動車の保有でございますけれども、今般の事態の収束後、スムーズに就労再開できるよう、通勤用自動車等の資産の保有を柔軟に取り扱って、また、保有を認めた場合には、例えば求職中の一人親世帯の保育園送迎等に使用してもよいことなどの弾力的な運用を行うよう、今般の事態に合わせた形で改めて周知しているものでございます。
○桝屋委員 ありがとうございます。
とりわけ、車両、車の扱いについては、今のコロナ禍の中でどうしても当面は生活ができないというケースがある、しかし、落ちつけばまた自立できるというケースもあるわけでありまして、そういう取扱い、今御説明いただいたような取扱いは極めて大事だろうと思っております。
また、一時的な居所の確保に係る住宅扶助の取扱い、あるいは医療扶助の取扱いも丁寧にやらなきゃいかぬと思っておりますが、この点について取扱いを御説明いただきたいと思います。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
まず、一点目の一時的な居所の確保に係る住宅扶助でございますけれども、今般の事態におきましては、居所のない方からの相談、申請も多く想定されることを踏まえまして、こうした方を案内するための民間宿泊所等の情報収集を求めるとともに、生活保護を申請した方が、やむを得ず一時的にこのような民間宿泊所等を利用して、生活保護を開始した場合の宿泊料につきましては、その後に移ったアパート等の家賃に充てる住宅扶助費とは別に支給するという取扱いを事務連絡で改めて周知したところでございます。
また、二点目の医療扶助についてのお尋ねでございますけれども、今般の事態を踏まえまして、緊急の場合は指定医療機関以外の医療機関でも受診できることとしておりますほか、生活保護受給者が福祉事務所を訪れることなく医療を受けられますよう、電話連絡等での申請に対応するなどの配慮をした形で実施できるという取扱いを周知したところでございます。
○桝屋委員 それから、これは通告をしていないのでありますが、けさ、改めて頭を整理する中で、我々与党も強く、とりわけ公明党、高木美智代さんなんかが激しくお願いして、例の、低所得の一人親世帯に対して五万円を、あるいは家計急変の世帯は更に五万円、十万円以上を手当てしようという制度が動いておりまして、これから、まだ私は事務連絡を確認していないんですが、今申し上げた低所得の一人親世帯への臨時特別給付金、この生活保護上の取扱いはどうなるのか、もし御答弁できるようでありましたら、お答えをいただきたいと思います。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
議員お尋ねの、ひとり親世帯臨時特別給付金でございますけれども、生活保護世帯が受け取られますのは児童扶養手当受給世帯全体に向けて給付される基本給付が主体となると思いますけれども、その趣旨、目的でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響による子育て負担の増加に対する支援であることに鑑みまして、生活保護上の収入として認定しないということとしております。
これにつきましては、六月十八日の通知で各自治体に知らせているところでございます。
○桝屋委員 ちょっと六月十八日の内容を私はまだ十分確認をしていなかったのでありますが、今の御答弁では、児童扶養手当に加算される五万円については、これは生活保護上、収入認定の対象としないと、趣旨に鑑みて。
ただ、家計急変の、プラス二階建ての部分は、これはやはり生活保護上は、当然ながら、生活保護で手当てをされるがゆえに、ここは収入認定の対象とするということでいいんですね。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
議員お尋ねの追加給付の方でございますけれども、基本的に、生活保護受給者でございますけれども、収入が減少した場合にはその分保護費が増加されるということになりますため、ひとり親世帯臨時特別給付金のうち収入が減少した児童扶養手当受給世帯等へ給付される追加給付は、基本的には支給対象とならないというふうに考えております。
ただ、ひとり親世帯臨時特別給付金の申請時期と生活保護の申請時期がずれる等の原因によりまして、追加給付が支給されてしまうという場合もあると思います。そういった場合には、その全額を収入認定するということとしております。
○桝屋委員 それは、まさに一次補正で行いました定額給付金十万円の取扱いとほぼ同じなんだろうな、こう思っております。あの場合も収入認定しない。ただ、十万円いただいて、その後に生活保護の申請をする場合は、これはやはり資産として考えざるを得ないということだろうと思っておりまして、そういう整理をさせていただいたわけであります。
先ほどから話がありますように、今、保護率が一・六四%。私が現場で働いているころはパーミリでいつも表現しておりまして、生活保護の実態も大分変わってきているわけでありますが、全体としては保護の申請件数が二割、三割ふえているという状況だろうと思っておりまして、私は、このうち保護の開始世帯がどのぐらいなのかということ。
さらには、ここから大臣にも聞いていただきたいのでありますが、生活保護の場合は、まず、保護の相談、福祉事務所へ生活相談に行かれる。そして、これはやはり生活保護の適用が必要だなという判断をいただいて、生活保護の申請をなさる。申請をしたケースの中で、場合によっては保護が適用できないケースもあるわけでありますが、最終的に保護決定になる。
こういう段階でありまして、心配なのは、私は、相談件数が相当ふえているだろうと。福祉事務所に相談をされた中で、どれぐらい保護申請につながり、そして、そのうち保護の決定がどのぐらいなのかということで、相談から申請に至らないケース、かつては申請書を渡さないみたいな、問題になったようなこともありますけれども、そういう事態、保護の申請に至らなかったケース。あるいは、申請はしたけれども保護決定に至らなかったケース。こうした方々の生活実態ということが大変気になるわけであります。
そこで、局長、生活保護の相談で福祉事務所へお見えになった方々の相談件数というのは、これはデータとしては把握されていないというふうに私は理解しているんですが、ここはどうでしょうか。そのトレンド、動向がわかれば、ちょっと、まずお答えいただきたいのでありますが。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
生活保護の調査、毎月公表しているものでございますけれども、申請件数、開始決定件数につきましては公表させていただいておりますけれども、保護の相談件数につきましては公表していないところでございます。
ただ、現下の状況を把握するために主要な自治体に状況を聞いておりまして、保護の相談件数で申し上げますと、一営業日当たりの相談件数につきましては、先ほどの保護の申請件数と同じように、相談件数につきましても四月分は前月比で増加している自治体が多い。
ただ、五月分につきましては、申請件数と同様に、聞いている自治体の範囲内では、前月比で減少しているところが多いというふうに聞いているところでございます。
○桝屋委員 まさに申請件数と同じで、五月には二次補正等のさまざまな生活支援サービスが届くということもあり、落ちついてくるのかなと、それを期待しているわけでありますが。
大臣、やはり、今、私も国会が終わりまして現場をずっと回っております。先日も大臣の地元の高梁市に行っていろいろ状況を聞いてまいりましたけれども、社会福祉協議会あるいはハローワーク、さらには、さまざまな、商工会議所とか労働基準局とか、いろいろなところを困った方々はお訪ねになり、そして、なかなか思うようにいかない、最後は生活保護の申請というようなことになるわけでありまして、コロナ禍の影響というのは今後ともちょっと予断を持てない状況もあるわけでありまして、更に生活保護の相談、申請がふえるという状況も私たちは考えておかなきゃならないだろうというふうに思います。こうした方々への丁寧な対応が、今何よりも求められているのではないかというふうに思います。
優秀なケースワーカーさんこそ、他法他施策を活用して、できるだけ保護にならないようにというベクトルが働くわけでありますが、それはそれであっていいとして、このケースは救わなきゃならないというものは、ちゅうちょなく保護申請に至る、決定に至るという取扱いが必要だろう、他機関としっかり連携をしていただいて、保護に持ち込ませないための連携ということよりも、真に困っている方は絶対に救うという姿勢で生活保護行政に当たっていただきたい、私はこう思うわけでありますが、大臣の所見を伺っておきたいと思います。
○加藤国務大臣 やはり、今回の新型コロナウイルス感染症そのものの影響、あるいはそれに伴う経済の停滞、あるいはそれが雇用に与える影響等々、それぞれ皆さんの生活に大変さまざまな、又は、中には大変厳しい影響が出てきているわけであります。
それに対して、国あるいは地方公共団体それぞれさまざまな制度を持っておりますから、それをうまく活用していただくということが基本的に大事だと思いますが、ただ、先ほどから委員御指摘のように、最後のセーフティーネットは生活保護なんだということ、それも踏まえて、先ほど局長からも答弁させていただきましたけれども、運用についても弾力的な運用を、我々、中にはなかなか行き届いていないケースも指摘をされましたので、再三再四、通知を発出して、徹底もさせていただいております。
それに加えて、やはり、これから相談も更にふえていくということも想定をする中で、福祉事務所の面談、相談業務や、保護決定までの手続事務、補助を行う臨時職員の雇い上げ費用、これは補助をするとかですね。これは地方創生臨時交付金を活用していただくことにはなりますけれども、休日の開所、あるいは業務のデジタル化等への取組、こういったこともその中でやっていただくことは可能だということもお示しをさせていただいて、その相談あるいは実際の申請等々に対して的確に対応していく体制、これをしっかり我々も、それぞれの地方公共団体と連携をしながら、更に構築をしていきたいというふうに思っております。
○桝屋委員 ぜひよろしくお願いいたします。
今、大臣が地方創生臨時交付金の例を挙げられました。きのう、おとついか、高梁市に行ってびっくりしましたけれども、岡山県は、地方創生臨時交付金、一次補正分の都道府県分の配分を、そっくりそのまま、一定程度、三分の一ぐらいを、県が執行するんじゃなくて、そのまま市町村にお渡ししているという事例、これは恐らく岡山県だけだろうと思うんですけれども、それを受けた高梁市の状況を聞いてきました。
県がやるより市に実弾をもらった方が、よっぽど早く、支援策は早く届くというふうに市長が言っておりまして、なるほど、県が手を抜いたような気もしたんですが、いや、それは一つのアイデアかなと思ったり、二次補正分についても、相当、更に二兆円追加したわけでありますから、よっぽど知恵を出してやらなきゃいかぬなと感じた次第でございまして、私の感想を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○盛山委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 立国社の阿部知子です。
本日は、六月十七日に国会が閉会いたしまして、先ほどの桝屋議員の御質疑にもありましたが、国民生活が非常にコロナの影響を受けて苦しい中にある。あわせて、私が本日取り上げさせていただきます医療機関の問題も、大変深刻な、危機的な状況がコロナのいわゆる緊急事態宣言が終了したと言われてなお更に広がっていると思いますので、その点について御質疑をさせていただきます。
まずは、いわゆる労働災害の問題でございます。
大臣もお手元に私の配付資料が届いておりますと思いますが、いわゆるコロナの院内感染、これは六月の八日の時点で全国二千百五人、これは患者さんも医療者もですが、この約半数が医療者である。当然ながら、患者さんを診て、たくさんの医療者が感染をされます。きょう来ていただいている尾身先生の東京メディカルセンターでも院内感染があって、診療に当たる側の従業員も感染をされたかと思います。
そうした医療者あるいは医療関係者が感染をして、果たしてどれほど労働災害に上がっているだろうか。あるいは、他のエッセンシャルワーカーズの皆さんも含めて、このコロナ禍にあってもいろいろお仕事をしてくださった皆さんが果たしてコロナの感染を受けて労働災害としてどのくらい申請されておるかということを見ますと、まず医療者について申し上げさせていただきますが、大臣、一枚おめくりいただきまして、新型コロナ感染症に関する労災請求件数というのを見ていただきますと、ここに請求件数四百二十一、うち医療従事者三百四十八。千人余りが感染しているのに申請数は三百四十八である。非常に申請数が少ないし、また、支給決定はそれからまた更に遅くなりますから少ない。
大臣は、こうした実態について、そもそも四月二十八日の通達では、これは労働環境で生じたことがほぼ否定しようがない事案ですから即座に労災申請、認定に結びつくべきだと二十八日に発出しておられますが、なぜこんなに少ないのか、そして、少ないことに対してどんな対策を打っておられるのか、一問目、お願いします。
○加藤国務大臣 今回の感染症に対する労災の適用について、当初から、特に、感染症の場合、どこで感染したか、なかなか正直言ってわからないという問題もあります。また、そうしたリスクの高い特に医療従事者等の皆さん方については、基本的に、業務外で感染したことが明らかである場合を除いて、原則として労災保険給付の対象になるんだという考え方もお示しをさせていただいているところでありまして、そうした中でそういった面に関しての安心をしていただいて業務に従事をしていただくというふうに考えております。
五月の十四日付で、日本医師会等、医療関係五団体、日本医療法人協会、また日本精神科病院協会、日本病院会、全日本病院協会等の団体宛てに、医療従事者の労災補償の考え方、請求手続への協力、請求勧奨の要請を行ったところであります。また、都道府県労働局においては、集団感染が発生した医療機関を把握した場合には、当該医療機関に対して直接同様の要請をさせていただいているところであります。
引き続き、医療従事者の方のみではありませんけれども、医療従事者の方に関しても積極的に労災請求いただくよう、労災請求の勧奨に努めていきたい、また、特に使用者方に対してしっかりと周知を図っていきたいと思っております。
○阿部委員 今大臣は、もろもろの通知を発出されて、また、特に個別の医療機関についても労災発生ということで申請を上げるように推奨されているとおっしゃいましたが、果たして、六月八日段階で九十九医療機関、個々は報道されておりますが、これは事務方で結構です、一体この九十九のうち幾つの医療機関に対してそうした労災申請の勧奨が行われたのか。
あわせて次の質問もさせていただきますが、いわゆる専門家会議とも関係いたしますところのクラスター班、これはクラスターが医療機関八十五で発生したと言われておりますが、そのうち労災申請は十一件しか私が質問主意書でお尋ねした六月一日段階ではございません。八十五件あって十一件しかない。また、九十九件既に報道上上がっているもので一体幾ら勧奨されているでしょうか。これは事務方で結構です。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
まず一点目の、集団感染があった医療機関に対しての請求勧奨の状況ということでございますが、都道府県労働局におきまして、ことしの六月三十日現在で百五機関を把握してございまして、このうち九十八機関に対しまして被災労働者から労災請求を行っていただくよう勧奨をしているところでございます。なお、請求勧奨していない七機関につきましては、既に請求済みであったことから勧奨していないというものでございます。
それから二点目の、先ほど委員お尋ねの五月十日現在の集団感染として把握していた八十五件の状況ということでございます。先ほど委員の方からございましたとおり、六月一日の質問主意書でいただいた時点では十一機関での請求ということでございましたけれども、お尋ねの八十五の医療機関のうち、これも六月三十日時点でございますが、労災請求に係る医療機関は三十七機関ということで、請求機関も、先ほどの六月一日時点では二十三件ということでございましたが、現在、請求件数の合計は二百四十二件ということで把握をしてございます。
○阿部委員 後半のクラスターとして登録されたもの八十五件、五月の段階、十一日とおっしゃいましたが、そこで現在に至るも三十七件しか勧奨がされていない。クラスターとして把握されて、なおかつ何でそんなに少ないんでしょうか。大臣、私は、クラスターを研究班で一生懸命追跡して、いいことだと思いますが、それは、もしそこで労働者が感染しておれば全例勧奨されるべきと思いますが、いかがでしょう。
○加藤国務大臣 今申し上げたのは、全部に対して勧奨はさせていただいて、結果的に請求に至っているところが、例えば八十五機関という話に関しては三十七機関だったということでありますので、私どもとしては、そうした対象に対して、特にクラスターが発生しているものに対しては全て勧奨しておりまして、まだ出てきていない医療機関に関しては引き続き勧奨させていただきたいと思います。
○阿部委員 次の第二波、第三波のことが話題になっている中で、これまで起こった労災についてもまだ申請をされていないということは、何らかの問題があるんだと思います。今大臣がおっしゃいましたが、積極的に労働災害として把握される努力を更に進めていただきたいし、もう一点、例えば国家公務員の場合はどうでしょうか。これは私が主意書で伺いましたが、ただいまのところ人事院に上がっているものはゼロということでございますが、なぜこうした状態なのか。
もう時間がないので恐縮ですが大臣に伺いますが、あのクルーズ船のときに厚生労働省の職員も感染しておると思うんですね。国家公務員だと思うんです。なぜ国家公務員の感染が人事院に労働災害として上がっておらないんでしょう。
○加藤国務大臣 質問主意書の時点と今は随分時間がたっておりまして、六月三十日時点で申し上げますと、ダイヤモンド・プリンセス号に乗船して新型コロナウイルス感染した厚生労働省職員に関する公務災害については、職員が所属する担当部局の長、これは補償事務主任者と呼びますけれども、から実施機関の長である厚生労働大臣に対して三件の報告がなされておりまして、この三件は既に厚生労働省から人事院に報告を行っております。
実際、ダイヤモンド・プリンセス号で感染した職員は九名というふうに承知をしております。残りの事案については補償事務主任者である部局長等が調査中であるが、速やかに調査を進め、報告を行うよう指示をしていきたいと思います。
その上で、実施機関の長に報告があった事案については、必要に応じ、人事院と協議の上、個別の事案に即して公務災害に該当するか否かを適切に判断していきたいと考えております。
○阿部委員 今の御答弁も二月の事案ですからね。それが、今もう七月になりました、なぜそのように手間取るのか。それも足下の、大臣の足元の厚生労働省でありますから、まず隗より始めよで、迅速にやっていただきたい。
あわせて、じゃ、他の職種はどうであるか。今、東京都で特に夜の町感染云々と言われておりますが、そうした感染も含めて、事業主側も労働者側も果たしてどの程度労災認識があるのか。ここで、医療従事者以外の例えば六月二十六日段階の請求件数は七十三件という極めて少ない件数であります。
これを見ると、労働災害としての認識が薄い、あるいは徹底しておらないと思うのですが、大臣には二点にわたって、事業主側にどうしたアナウンスをするか、また、労働者側に、働いている皆さんにどうした申請の手助け等々の工夫があるか、この点について大臣に伺います。
○加藤国務大臣 まず、使用者団体、労働組合側も含めてでありますけれども、令和二年五月十四日に、約二千二百の労使団体について、医療従事者以外の方に係る労災請求についての請求勧奨、請求手続の援助について要請を、これは労働基準局長からでありますが、行わせていただいたところであります。
また、厚労省のホームページのQアンドAにおいても、事業主が請求人の請求手続を援助しなければならない、これは労働災害補償保険法施行規則第二十三条に規定されているわけでありますが、その周知も行っているところであります。
さらに、先ほどの医療従事者に対する考え方というのは、原則として業務外で感染したことが明らかである場合を除きということでありますが、一般の方々はちょっと基準が違ってまいりますが、既に、これまで労災認定をした具体的な事例について、幾つか事例が出てきていますから、こういった事例については労災が適用されますよという具体的な話、これを早々にお示しをさせていただくことによって、こういったことあるいはこういったことが確定できれば労災請求ができるんだということをしっかりと周知していきたいというふうに思っています。
○阿部委員 今の大臣の御答弁の後段、これは主意書においてもそのような御答弁に近いことをいただきましたが、具体的なケース、こういうのが労災に当たるんだということを労働者側にも通知していただきたい。
例えば、ここの文章だと、顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務とか、こういう書き方になっているんですけれども、具体的にどういうことですか。夜の町はその典型と思います。
そして、やはり、感染されればきちんと労働災害として補償されるということはあらゆる職種で重要ですので、ぜひ具体例を示して、今後の労災申請、もっとしっかりと労働者の権利が保障されるようにお願いしたいと思います。
前段は医療現場あるいは働く皆さんの問題で、後段は医療提供体制についてお伺いをさせていただきます。
大臣は六月十九日に、今後を見据えた医療提供体制整備についてという文書を発出をされまして、これは、緊急事態宣言が一応終了して、その後、今後の医療提供体制について、各都道府県に、本来都道府県が主体となって推進する医療提供体制について厚生労働省側のお考えを示して、また、それに基づいて、いろいろな、必要なベッド数配置などを厚労省に報告することを求めたものでございます。
でも、私はこれを見ましたときに、あれ、そういえば、たしか三月六日、大騒ぎをして、基本再生産数二・五だ、このままだと四十二万人の死者が出る、西浦理論ですが、それに基づいて各都道府県にベッドの整備を厚労省が働きかけた。三月六日発出。そして、何回も何回も発出して、なかなか、安倍総理が五万床とか言って、しかし、現実、最終的に六月二十四日段階でも、お手元の三ページ目の資料、現状で整備できたのが二万床という、ここまで持ってくる、報告するのにも各都道府県は大変だったと思うんですね。
また新たに厚生労働省から、今度は、それじゃなくて、実効再生産数も一・七とか二・〇とかまた計算式を変えて、新たな医療体制整備を報告しなさいとなっておりますが、この前せっかくやったこれはどうなるのでしょう。
そして、私は大臣に伺いたいんですが、こうしたことをやる前に、まず地方公共団体の首長たちとはどのようにお話しされたのか。たんびに厚労省が県に、こういう数値設定で、こういう目標で出してきなさいと言いますが、言われた方はたまったものじゃない。たんびに計算し直して、現状のベッドは限られているのに、これをその要請に基づいて数え直して上げていくという作業をしなければなりません。
二点お願いします。前回のこれはどうなったのか、そして、自治体の知事たちとは今回新たなこの医療提供体制の整備の数値を上げてくるのを求めるに当たってお話はされたのか、二点お願いします。
○加藤国務大臣 まず、前回先生がおっしゃったRは二・五じゃなくて一・七でやらせていただいておりますけれども、いずれにしても、三月の推計は、当時の武漢のデータに基づき、余りデータはありませんでしたから、どういった医療機関の数が必要かということをそれぞれ算出していただいて、そして、今日において、今お話がありましたように、医療について、入院者については、受入れ確保病床については、直近の六月二十四日のデータでありますが、一万九千五百三十二、また受入れ確保想定病床は三万百三十八床ということで、それぞれの都道府県が今においても御努力いただきながら確保を続けていただいているわけであります。
さらに、今回、日本における感染症の動向等も踏まえて、改めて、そして、その後の自粛要請等が効果が出てきたわけであります。
そうした動向も踏まえた中で、私どもとして、一つは、人口の構成が高齢者が非常に多い地域とそうでもない地域があるということ、それから、先ほど申し上げた実効再生産数をどう規定するのか、さらには、どういった段階で介入をしていくのか、そこはそれぞれの都道府県の御判断もあろうかと思いますので、その辺の選択肢も含めた上で推計をしていただいて、それに基づいて医療提供体制を確保していただくということ。
もう一つ大事なことは、だんだんだんだん感染者数がふえておりますが、最初から全てを新型コロナとして確保する必要はないわけであります。他の疾患の患者さんに対する、入院等に対する対応等も含めて、そこはバランスよくやっていただく。しかしながら、だんだんふえていけば、その状況に応じて段階的に対応していただく。そうした考え方も今回示させていただいて、これまでの実態を踏まえた、より具体的なことを踏まえて、今回の医療提供体制のみならず、検査体制、保健所の機能を含めて体制の整備をお願いをし、その状況を私どもの方で掌握をさせていただくとともに、それに向けて第二次補正予算の中身等々もしっかり活用していただくということにしております。
なお、今お話がありました関係者等の意見でありますけれども、事前に都道府県を含む関係者の御意見も伺っておりますし、全国知事会にも意見を伺っております。そうした中においては、現実的な数値になっている等の御意見、一定の御理解もいただいているというふうに承知をしているところであります。
○阿部委員 私がお手元に御紹介したのは、和歌山県の仁坂知事の御発言というかお考えです。もともと、ここに本当に端的に、赤で入れさせていただきましたが、感染症法の原点に戻ることで、保健所の権限で早期隔離ができることが日本の最大の武器で、政府は接触の制限だけを強調したが、営業自粛、行動自粛だけだと経済と生活が破壊されてしまうと。これは誰もが持っている実感だと思います。
と同時に、病床のあり方については、私は、今大臣たちがなさろうとしている実効再生産数に基づいて推計して上げていくという手法よりも、実際にどんな病棟が整備されていて、その積み重ねで一体どんな絵柄ができ上がるのかを見ていくべきだと思います。
例えば、厚労省は、平成二十八年に総務省から感染症病床のありようについて勧告を受けました。その勧告にもまだ答えを出しておられません。昨年の暮れ、公的・公立病院の統廃合と称して、感染症病院四十九を含むものを統廃合の対象に入れておられました。そういうことを一方でやっていて、片一方で数値モデルで出してこいというのは、私は、本当に現場には迷惑だし、見ていないと思います。
大臣にはぜひ、この手法自身をもう少し、自治体は、こうすればこれだけの補助を出すと言われれば、そうせざるを得ないのです。でも、それが机上の空論で終われば、先ほどお示しした三月六日から三カ月以上かけて出してきた数値も、もはやこれは使われないものになってしまいます。本当に意味がない。そして、躍るだけだと思います。
大臣には、恐縮ですが、総務省の報告を受けて、勧告を受けて、きちんと早急に返事を出していただきたい。今度の新たな病床の計画が七月末までとなっていますが、その前にまず厚労省がやらなくちゃだめでしょう。総務省の勧告に答えを出すこと。これは、昨日のレクの段階では七月にということでしたので、きちんと出していただきたい。その上で、どのくらい感染症病床があればいいか、一般病床はどうか、とても重要なことです。具体的にやっていかなきゃいけない。公立病院改革はもうとめるべきです、一旦。
これは、大臣、どうですか。
○加藤国務大臣 まず、総務省の関係には、委員からも再三御指摘をいただいておりますので、調査結果を、取りまとめ、分析に時間を要しておりますけれども、早期に取りまとめて、国として必要な助言、支援は行っていきたいと思っております。本年の七月中を目途に今作業はさせていただいているところであります。
ただ、今お話のあったように、三月のやつが無駄ではありません。三月に確保した病床も含めてもう一度精査をしていただく。場合によっては、そこまで要らないという場合もあるかもしれません。足らないところも地域によってはあるかもしれません。それをそれぞれ見ていただくということでありますから、そういったいわば目の前の対応と、地域医療構想のように少し長いスパンのものと、これは少し変わってくるんだろうというふうに思います。
ただ、いずれにしても、地域医療構想についても、今般の感染症の対応、また、ここで得た知見、これらを踏まえながら更にそれぞれの地域においてしっかりと御議論いただく。また、それに対して我々も支援をしていきたいと思っております。
ただ、当面は、目の前の新型コロナウイルス感染症の、これから、第二波と言ったり第三波と言ったりもしておりますけれども、そうした状況に対応する体制をそれぞれにおいてどうとっていただくのか。別に、私たちのメニューは、国がやったとおりやるからお金を出そうと言っているんじゃなくて、それぞれの都道府県がそれを踏まえてこういうふうに整備をすることに対してそれを支援をするということでありますから、あくまでも都道府県がそれぞれの地域の実情を踏まえた判断に基づいて対応はしていただきたいと思います。
○阿部委員 今の御答弁、確かに伺いました。要らない、足らない、そんなことを急に言われても本当に困るんです。病床は、要らないからぽい、足らないからつくるというわけにいかないんです。持続性を持って運営しないと。そして、臨機応変にその使途を変えることは、私は各都道府県がやったらいいと思います。そうした都道府県の努力に国が補助をすべきです。
大臣は御存じと思いますが、今、多くの医療機関が赤字であります。存続自体が危機的であります。そんな中で計画を出したって計画倒れになるんじゃないか。大臣のお手元に、新聞記事ですが、四月は三分の二の病院が赤字だということを申し添えてあります。これは、いずこの調査でも、医師会の調査でも、病院協会の調査でも、保険医協会の調査でもほぼ同じ傾向です。受け入れた病院も赤字、受け入れなかった病院も赤字、診療所も赤字。医療基盤が揺らいでいるんだと思います。
きょうは、JCHO、尾身さんに来ていただきましたが、尾身先生の預かるJCHOにおいて、四月、五月、一体どの程度減収があったでしょう。教えてください。
○尾身参考人 お答えいたします。
JCHOの令和元年、昨年度の決算においては、JCHO五十七の病院のうち四十五病院が黒字でありましたけれども、今年度、令和二年度四月の実績では、黒字だったのは一病院で、ほかの五十六病院が赤字。それから、五月の月次決算でも、黒字だったのは二病院で、その他五十四病院は赤字となっております。
こうした中、独立行政法人を任された責任者としては、まず、安定的な運営にこれからも取り組んでいきたいと思います。それから、コロナ禍の対応下においても一般診療の適切な医療をこれからも続けていくことが大事だと思います。三番目に、国や自治体との連携あるいは支援をいただきながら、コロナの患者の受入れ体制をこれからもできるだけ頑張っていきたいと思っております。
○阿部委員 今お示しいただいたように、大変に、二十六年に発足して以降ずっと黒字計上してきたJCHOですらほとんどの病院が赤字であります。そして、多くの病院が、今、単に診療報酬を上げるだけじゃなくて、減収分の補填を求めています。これは、大臣、継続していくためにいろいろな無利子無担保の借金をしろと言われても、それは返済するお金で、医療機関の場合は、ほとんど診療報酬を、どのくらい、もう決まった高しかいただかないわけです。非常に他の職種と違って、これは減収というところへの手当てが難しい。
尾身さんは、今回、専門家会議の委員として、こうした病院の継続という点について、私は余り専門家会議が御発言ではなかったと思うんですね。その点は非常に残念であります。ウイルスがいて、人間がいて、それをサポートする医療機関があって、働く人がいて、これで成り立って、地域があって、社会があって、国がある。当たり前のところであります。
尾身先生、今回、専門家会議が、六月二十四日ですか、尾身先生たちが会見中に西村大臣が廃止というふうなお言葉を使われましたが、恐縮ですが、私が今申し上げたような問題意識も含めて、実は専門家会議からはもっともっと御発言をいただきたかった。この廃止というような事態はあらかじめ御存じでありましたか、教えてください。
○尾身参考人 お答えいたします。
その前に、先ほどの、令和二年の五月の実績を二病院が黒字と申しましたけれども、三病院でございます。訂正させていただきます。
それで、今の先生の御質問ですけれども、知っていたかというのは、実は、専門家会議の方は、かなり以前から、我々医療関係者だけではこれから経済の再開と感染防御の両立を図るということを提言するのは少し無理があるということで、かなり前から政府に対しては、経済、社会の専門家も入れた新しい会議体のようなものをつくっていただいて、しかも、専門家会議の役割というのを今まで以上に明確にしていただきたいという要望を出してまいりました。
それで、この前の二十四日の会見で、そういうことをまとめてぜひお願いしたいということで、それ以前にずっと政府にお願いして、政府の方は我々の要望に関して前向きに検討していただいていることは私は十分知っていました。どういう形でという具体的な組織の名前等については知りませんでしたが、我々の要望に沿った形で政府がいろいろ検討していただいているということも知っていましたし、それから、いわゆる医療関係者が中心になっている専門家会議というのも、実は、発展的に移行するということも我々は十分知っておりました。
そうした中で、私が驚いたと申しましたのは、実は、我々の会見のときに、たしか西村大臣がほぼ同じ時期に会見をした、そういうことをされたということについて驚いたということでありまして、それ以前のいろいろな動きを、政府が我々の要望に応えていろいろやっていただいているということは十分承知しておりました。
○阿部委員 私は、そのプロセスを国民に見える化する必要があったと思います。大変唐突に映りましたし、尾身さんの戸惑ったような表情もそのまま国民に伝わっていきました。
専門家会議はそれなりの役割を果たしていただいた。私は、要望するのは、医療の経営状態が本当に逼迫していることに発信がなかったということは残念です。でも、尾身さんたちは尾身さんたちでいろいろなことをなさっていただいた。それと、政府はそれを受けて、例えば議事録がないとか、どこの部分を採用したのかとか、そういうことが見える化されていない積み重ねの中で、同時並行的に廃止と記者会見というのは、私は、余りにも国民に不安のメッセージを与えるもとであったと思います。
きょうは、尾身先生の正直な、いつもそうですが、お言葉を聞くことができてよかったと思います。引き続いて、しっかりと医療を守る、そして国民を守るために御尽力いただきたいと思います。
ありがとうございます。
○盛山委員長 次に、西村智奈美君。
○西村(智)委員 西村です。よろしくお願いいたします。
まず最初に、きょう資料で配付いたしましたものの一枚目をごらんいただきたいと思います。
これは英国の雑誌ですけれども、エコノミストのインテリジェンスユニットというところが、OECD加盟国の中で、新型コロナウイルス、COVID―19に対する対応を各国がいかに行っているかということについてランキングをした資料であります。ですので、一番右側にカテゴリーと書いてあって、優、良、可、不可というふうに区別されているわけですけれども、その中で見ますと、日本は可、フェアなんですね。
それで、何が問題か。例えばベリーグッドとかグッドというところもあったりする一方で、USがグッドというのがちょっと私的にはよくわからないところですけれども、日本で一番問題なのは、やはり、テスト、対人口比で検査件数が非常に少ないということが足を引っ張っていて、フェアという評価にとどまっているんだというふうに思います。
この間、PCR検査については、抗原検査や抗体検査なども可能になってまいりましたけれども、先ほどの尾身先生がいらっしゃった専門家会合などでは、抗原検査、抗体検査が出てきたんだけれども、PCR検査もやはり並行して体制を整えなければいけないという話であるとか、日本医師会のタスクフォースなども、やはりPCR検査は医療と社会経済を維持するための社会基盤であると認識する必要があるというような提言ですとか等々、いろいろなことが言われておりまして、やはり、この時期にあってもなお検査体制というのは非常に重要だ。これから海外との往来についても各国政府との協議が行われてくることだと思いますけれども、そういったことを考えてもやはりそこは非常に大事な点なのではないかというふうに思うんです。
私、五月に厚労省に質問しようと思って通告をしておりまして、質問できなかったことがありますので、改めてここで聞かせていただきたいと思います。
第一次補正で、PCR検査体制の拡充のために四十九億円の補正予算がついた。これで自治体にそれぞれ体制を整えてもらうということだったので、例えば、オートメーション化、PCR検査がオートメーションでできるという設備が一式四千万円くらいあればできますよというようなことですとか、それから、昨今も話題になっておりますプレシジョン・システム・サイエンス社等々、全自動のPCR検査をやるところがありますよというようなことについて検討していただけないかというふうに質問をいたしました。そうしたら、それも対象にはなるということだったんですけれども、具体的に、第一次補正がついたPCR検査によって一体どのくらい拡充が行われてきたのか。
具体的に申しますと、例えば、機械があって人材がいない、これはまた人材の話は別の話としてあるんですけれども、そういう方々に研修をするとか、それから、自動でPCR検査ができるようにするという機械を購入する費用もこの第一次補正の中の費用として面倒を見るというような話だったんですけれども、この自動PCR機器などは購入されたでしょうか、具体的にお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 基本的に、細かい話は事務局から御説明させていただいた方がいいんですが、先生は事務局は答弁させないということなので、細かい点についてはまた別途の機会に御説明させていただきたい。
まず、PCR検査の検体採取に係る研修は、従来、感染症予防事業費等負担金により実施されているが、検査体制の確保、拡充のために重要なものであるため、一次補正、二次補正の予算によって拡充を行っており、都道府県に対して積極的な実施をお願いしているところでございます。
感染予防事業費等国庫負担金に関しては、第一次補正予算分、第二次補正予算分については交付申請の手続を今進めているところであります。
また、全自動PCR検査については、厚生労働省として、これは全自動PCRがいいということではなくて、全自動PCRも含めてそれぞれの地域に合ったものを採用してほしいということでありますけれども、緊急包括支援交付金の対象には当然なっておりまして、そういった中で支援をしていくことにしております。
さらに、一次補正では、国庫補助率二分の一で、残りの二分の一は地方創生交付金を使って、実質十分の十ということでありましたが、二次補正については十分の十に拡充をさせていただきました。一次補正予算分の交付決定は六月十六日付で行っているところであります。
全自動PCR検査システムを含めた検査機器の整備状況については、現在、都道府県に対して調査を行っているところであります。地方自治体において、地域の実情に応じて必要性を御判断してそれぞれ導入していただいているものというふうに思っております。
調査結果については今鋭意精査中でありますので、精査ができれば公表をさせていただきたいというふうに思っております。
○西村(智)委員 自治体への情報提供とか、あるいは状況調査なんですね、肝心なのは。つまり、予算はついた、こういったものが措置できるということは状況としてはありながら、では、一体、各自治体がどのような前提でどういうふうに自分たちのところで検査体制を整えていったらいいのか。そこには、例えば新たな人手の研修、新たな機器の購入、もちろん試薬とかいろいろあるわけですけれども、そういったことをそろえていったらいいかということについては、やはり、国の方からのしっかりとした情報提供なりがないと、自治体の方としてはなかなか動けないというふうに思うんです。
そもそもが、第一次補正の四十九億円はとても額が少なかったので、自治体で知恵を出そうとしてもなかなか限界があったことだというふうには思うんですけれども、では、自治体への情報提供、情報収集はどういうふうに行ってきているのか、それについて伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 自治体に関して、例えば、都道府県についても逐次事務連絡を出して、研修に対しての積極的な実施のお願いをさせていただいているところであります。
また、PCR検査そのものの拡充等でありますけれども、都市部を中心に効率的にPCR検査が実施できるよう、地方衛生研究所等におけるPCR検査機器の整備、全国で今二百二十一カ所になっておりますが、にPCR検査センターを設置し、地域の医師会等へ委託する形で運営、あるいは、検体採取については歯科医師の方々にも御協力をいただく、こうしたことについて充実を図っております。
先ほど申し上げたようなさまざまな、第一次補正予算、また第二次補正予算でも予算を確保しております。こうした中身については、事務連絡等において適宜発出しているほか、テレビ会議等による説明会により都道府県に対して説明する等の情報提供を行っているところであります。
第一次補正予算の執行状況については、先ほど申し上げたように現在調査中でありますので、引き続きその把握に努めていくとともに、各それぞれの自治体においてこうした予算を積極的に活用していただけるように更に我々としても周知等々を図っていきたいと思っております。
○西村(智)委員 ですから、情報提供として何を情報提供しているかということが大事なんですよね。恐らく、今、更に質問をしても内容について大臣ははっきりとはお答えくださらないと思いますが、やはり、積極的に検査体制を整えていくという前提で予算をつけます、それからこういったことが考えられますということを、一般的な、今、例えば検査センターを設置するというような、それ自体は本当に大変な御苦労だったと思いますけれども、それ以外に自治体として具体的に何を取り組めるのかということを丁寧に説明をしていく必要があると思います。
他方で、先ほど阿部委員が配付資料の中で御指摘された和歌山県知事の記事を、興味深く、私もしみじみと読ませていただきました。この間、地方の保健所機能が弱まってきてしまったところにコロナの問題が出てきてしまったということが、やはり構造的な問題としてあるんだというふうに思うんです。
自民党政権のもとで、やはり、経費削減という話になると、保健所の数がどんどん減っていっていますし、非正規化が進んでいきますし、それから、検査技師が減少の一途をたどっているということで、以前は保健所で行っていた検査も地方衛生研でやるようになってきた。
ですから、今回、全国で行われているPCR検査の検査件数を見ると、やはり一番頑張っているのは地方衛生研なんです。それ以外に保健所もちょっとはやっているんだけれども、非常に数が限られている。それもそのはず、これだけ数が減らされ、非正規化が進み、検査技師が減っているということですから、地方衛生研に重い負担がいっているということになるわけです。
その地方衛生研も、地域によって、専門性がすごく高かったりノウハウを持っていたりというところと、そうでないところと、格差が非常にあるということで、全体的に見れば、やはりそういうふうに保健行政の部門が痩せ細ってきたというところがそもそもの問題なんじゃないかというふうに思います。
しかし、とはいえコロナの検査をしなくてはいけませんから、衛生研にこれ以上伸び代をとってくれという話もなかなか酷だ。となると、やはり民間とか大学、こういったところにやっていただくしかないんじゃないかというふうに私は考えたんですけれども、総理が五月のゴールデンウイーク中に、大学の機器があるという京都大学の山中先生からの発言を受けて、大学にあるものも使わせてもらえるように調整したいというふうにおっしゃいました。その後、私、五月の十五日、この厚労委員会で文科省の副大臣から来ていただいて質問しましたら、現在調査中だという話があって、取りまとめをしているという話だったんですね。
この大学への調査結果というのは、その後、もう一カ月以上たっていますので、きちんと取りまとめられたということだと思っておりますけれども、厚労省として、文科省とそういった大学における検査の調整状況はどんなふうに今進んでいるでしょうか。
○加藤国務大臣 大学におけるPCR検査について、これは既に大学病院を中心に今御協力をいただいているところでございます。これに加えて、大学等の個々の研究室が保有しているPCR機器について、新型コロナウイルスの検査に活用できる機器数や感染防護体制を有する施設の数の把握に向け、文部科学省において五月十一日付で全大学等に対して調査を行ったと承知をしております。
この調査では、約九割、千十七のうちの九百一ということでありますが、の大学等から回答をいただき、八大学九部局の二十一台が既に検査に協力をしていただいていること、四十五大学五十四部局の九十一台が今後検査への協力が可能と見込まれること、百三十七大学三百六部局の七百六十三台が今後他の検査機関に貸し出すことが可能と見込まれると報告があったと承知をしております。
大学等におけるPCR検査の構築に向けては、文科省ともこれまで連携を図ってきておりますが、六月十七日付で、検査に協力する大学等が活用可能な予算上の支援措置についても文科省と連名で周知を図らせていただきました。
さらに、文部科学省では、大学等と自治体との協力を一層円滑に進める観点から追加の調査を実施していただいておりまして、厚労省としては、当該調査で把握された大学等の情報を各自治体に対して提供する予定であります。
なお、一部の大学等では、既に自治体との間で具体的な協力に向けた相談を先行的に行っているところもあるというふうに承知をしているところであります。
引き続き、大学の研究施設が保有している検査機器の活用に向けて、文部科学省とも協力して取組を進めていきたいと考えております。
○西村(智)委員 やっと聞きたかった答弁が出てまいりました。ありがとうございます。これからだと思います。ですので、予算の措置等々も含めて備えて、しっかりとやっていただきたい。
他方、先ほどの記事を読みまして私もやはりそうだなと思ったんですけれども、やはり地域から保健行政が切り離されてしまったということがこれほど痛いというふうに痛感したことはありません。やはりもう一回、行政の中にというか、保健行政を地域住民に近く、自治体の手元に置いておけるようなそういった仕組みを、ぜひこれから、厚生労働省としては長期的な課題として、今までは、とにかく削減、削減で保健所の数を減らし、非正規化を進めということでやってきましたけれども、今後は、来るべきいろいろな事態を見ますと、そうじゃない方向性にやはり私はかじを切っていかなければいけないと思っています。それをぜひ私は今の時点では要請をしたい。
他方で、検査体制についてなんですけれども、今、ようやく文科省と厚労省の方でこういうふうに厚労大臣から答弁いただけるような状況になりましたけれども、司令塔ですね、抑制するような方向ではなく、もっと自治体に情報提供するとか、あるいは、これから海外との往来というのが出てくると思いますけれども、そういう意味での検査の司令塔、これをやはり今からでもつくるべきではないかと思うんですけれども、内閣府に伺いたいと思います。
○神田大臣政務官 お答え申し上げます。
先生お尋ねの新型コロナウイルス感染症対策の実施に当たっては、国全体として統一的な方針のもとで、国、地方公共団体におきまして、数多くの関係する機関による措置が総合的に調整されながら推進されることが必要であると考えております。
そのため、政府の司令塔として、総理を本部長とした全閣僚をメンバーとする新型コロナウイルス感染症対策本部を設置いたしました。同本部はこれまで三十九回開催され、水際対策の強化や基本的対処方針の策定、緊急事態宣言の発出など、さまざまな対策の判断の決定を行ってきたところでございます。
PCR検査や抗原検査の体制強化又は政策の調整につきましては、対策本部の方針に沿いまして、厚生労働省が、専門家の参画も得ながら、関係府省や都道府県等と連携して取組を進めておるところと承知しております。
○西村(智)委員 いや、全く答えになっておりません。いや、ちょっとひどいですね。これはひどいですね。
私の質問の意味はわかっていますよね。司令塔をこれからでもつくったらいかがですか、検査体制の強化に向けて。いかがですか、もう一回、一言で答えてください。長い説明は要りませんから。
○神田大臣政務官 お答え申し上げます。
これまで、政府の司令塔としては、総理を本部長として、全閣僚をメンバーとする感染症対策本部を設置して対応に当たっております。
さらに、先生お尋ねの検査体制の話ですが、この対策本部の方針に沿って、厚生労働省が、専門家の参画も得ながら、関係府省や都道府県等と連携して取組を進めているところでございます。
○西村(智)委員 これ、私、きのう、厚労省に答弁してもらおうと思ったら、あえて内閣府が答弁するからといって、それで来てもらっているんですよ。全然答えになっていないですよ。これだったら厚労大臣に答えてもらった方が全然いい。とめてください、ちょっと。
○盛山委員長 ちょっととめてください。
〔速記中止〕
○盛山委員長 じゃ、時計を動かしてください。
神田政務官。
○神田大臣政務官 政府全体の司令塔となる組織は既にあります。先生のおっしゃるところの御指摘には当たらないものと考えております。
○西村(智)委員 司令塔というのはどこですか。
○神田大臣政務官 対策本部です。
○西村(智)委員 対策本部長は総理で間違いないですね。そうですね。
○神田大臣政務官 おっしゃるとおりでございます。
○西村(智)委員 私は、検査の司令塔を特につくる必要があるのではないかというふうに言っているんですけれども、じゃ、検査体制の整備も対策本部長である総理がやるということでよろしいんですか。確認させてください。
○神田大臣政務官 同じ返答になりますけれども、御回答になりますが、PCR検査の部分におきましては、厚労省が、専門家の参画も得ながら、関係府省や都道府県と連携して取組を進めているところということでございます。(発言する者あり)総理です。
○西村(智)委員 じゃ、総理だということに……(神田大臣政務官「ごめんなさい、ちょっともう一遍」と呼ぶ)ちょっと、このぐだぐだ、やめてくださいよ。
○神田大臣政務官 司令塔は対策本部ということでございます。
○西村(智)委員 いや、ちょっと、このぐだぐだな時間を返してほしいですね。対策本部なのか本部長なのか、それもはっきりしない。対策本部だったら、どこにあるのか明確に言えなきゃおかしいでしょう。こんなことだから、フェア、一、OECD諸国の中で日本だけが検査が評価が一番悪いんですよ。こんな状況にいつまでも甘んじているということがやはり私は大問題だというふうに申し上げたいと思います。
時間がないので先に行きます。質問をたくさん用意していましたが、先に進みます。
テレワークについて伺いたいと思います。
テレワークに関する調査が、連合本部が行ったものがあります。これを見ますと、大変なことがはっきりした。通常の勤務よりも長時間労働になることがあったと約半数が回答している。時間外、休日労働をしたにもかかわらず申告していない回答者が六割を超えているということなんですけれども、内閣府が生活に関する影響評価をやっているというのはわかっていますが、厚労省として、いわゆる働き方の面で見て、テレワークのデータなどは、大臣、調査等々は行っていますか。
○加藤国務大臣 まさに今回の新型コロナ感染症の拡大を一つの契機として、テレワークが、特に企業への出勤等の自粛等もあって、広範に展開されているわけでありますので、これについての、実際どういう実態だったのかどうか、今委員御指摘の点も含めて、私どもとして調査をすべく今準備をしているところであります。
○西村(智)委員 よかったです。きのう、おとといの時点では、内閣府がやっていますという紋切り型の答弁しか返ってこなかったんですけれども、今準備していただいているということを聞いて、ちょっとほっとしました。
実態はこういうことであるし、その次のページ、資料の三枚目を見ていただきますと、これはツイッターでテレワークというのとサービス残業で検索すると結構出てくるんですよ。皆さんサービス残業をしている。しているんだけれども、なかなか、今の連合の調査でいうと、申告すらできないということなんですね。
既に、実はテレワークが長時間労働につながるというのは、日本国内だけではなくて、ILOとそれからユーロファウンドが二〇一七年にやった調査報告があります。ここでも、いい面はあるんだけれども長時間労働になる傾向があるということで既に警鐘が鳴らされていて、なおかつ、長時間労働が言ってみれば常態化してきた日本ですから、そこにテレワークが入ってくれば、やはりこれは大変なことになっていくんじゃないかというふうに思います。
ですから、テレワークがいいんだ、いいんだという幻想ではなくて、きちんとした規制を施していかないと、例えば、万が一労災などということになったときになかなか認められにくくなる。ですから、働き方改革の中でインターバル規制なんかも考えていかなきゃいけないというふうに思うんですけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 テレワークについては、一方でそのメリットを感じている方もいらっしゃるわけでありますから、これまで、テレワークにおける適切な労務管理のガイドラインも整備をさせていただいております。そうしたものをしっかり周知を図りながら、働く方にとってもプラスになるような形でテレワークが展開されるよう、我々もしっかり進めさせていただきたいというふうに思っております。
また、勤務間インターバル制度の導入については、長時間労働を是正するための有効な手段と考えております。厚生労働省としても、制度の導入促進に向けた取組を行っているところであります。
ただ、こうした導入は、もともと労使間の話合いの中で、そして、その制度の趣旨に沿った形で運用を図っていただくということが基本になるわけであります。
引き続き、勤務間インターバル制度の導入促進に向けて、テレワークを既に実施している企業も含めて、更に我々として周知等を図っていきたいというふうに思っております。
○西村(智)委員 ガイドラインは、確かに大臣がおっしゃるようにあります。だけれども、ガイドラインがあってもなおこの状況だということなんですよ。そこが問題だというふうに私は思うんですね。
厚労省はテレワークについて、もちろんいい点もたくさんあるんですけれども、これは一丸となって推進していくという姿勢を表向きはっきりと出しているわけです。だけれども、例えば日本の都市部での住宅環境などを考えれば、テレワークをするにはやはりちょっとふさわしくないところも多々あるのではないかなというふうに思いますので、ぜひ、労働者をきちんと健康管理をするという労働行政の観点から、調査等々はしっかりやって対策を検討していただきたいというふうに考えております。
そして、この間、テレワークが行われていた風景を、コロナの間でどういうふうだったかというのを思い出していただくと、皆様の想像にかたくないとおり、学校が一斉休校になっておりましたので、自宅で育児をしながら仕事をするという御家庭が結構あったというふうに思うんですよ。そういう方々は、これは全国認定こども園協会が緊急アンケート等も行っていますけれども、いらいらして怒りっぽくなったという方が六三%もいらっしゃるんです。仕事の効率は上がらないし、子供との向き合い方、子供もいらいらしてストレスをためていくし、親の方もストレスがたまっていくしということで、この全国認定こども園協会の緊急アンケートは、実は九割ぐらいが女性の回答者だったんですけれども、こういうところからも新型コロナの中で女性と男性が受けた影響の差というのがうかがい知れるというふうに思います。
また、これは厚労省所管ではないですけれども、特別定額給付金などは受給権者が世帯主になっていますから、世帯主であるということで、どれだけ社会の中での世帯主義といいますか、そういうもので、やはり、さまざま、自分は受給権者ではないのか、家庭の中で世帯主に下さいと言わなければ定額給付金を受け取れないというような事態もたくさん発生をしていて、これまた、私も今ちょっと正確なデータはないですけれども、世帯主といえば大抵は男性だと思うんです、女性の一人世帯とかいうようなことでなければ。ということからすると、やはり、このコロナの中で男性と女性とで受けた影響というのは圧倒的な違いがあるんじゃないかというふうに思います。
そこで、思っておりましたところ、六月のいつだったでしょうか、橋本大臣が、このコロナの影響で、男女の差に注目をして影響を調査分析したいというふうに述べておられます。
お伺いしたいのは、先ほど私が申し上げたような差、それから、やはり、テレワークの影響だけではなくて、そもそも女性と男性と比べると賃金の差が歴然としてあります。仮にそこで休業手当がうまく出たとしても、ですので、賃金に比して差が出てしまうということになるわけで、それから、六月が過ぎましたけれども、登録型派遣の方々などは非常に女性の方が多くて、多くの方は恐らく六月までで登録打切りというようなことになっているというような影響も懸念をされます。
深刻化したのではないかと思われるジェンダーの不平等、これに着目をして調査をするということをぜひ確認させていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○今井大臣政務官 新型コロナウイルス感染症の影響を男女共同参画の観点から把握することは、先生御指摘のとおり大変重要であると考えております。
具体的な調査内容はこれから検討していくところですが、新型コロナウイルス感染症の拡大が性別によって雇用や生活等に与えている影響の違い等について、さまざまな民間調査も参考にしつつ、効果的な調査分析にしてまいります。
また、スケジュールなどについては、データ等の入手状況にもよりますが、可能な限り早期に着手してまいります。
また、ヒアリング等も含めた丁寧な調査をしてまいります。
○西村(智)委員 その調査分析をどうやって生かすかということも問題だというふうに思うんですよね。これまではなかなか男女共同参画の主流化ということができてきませんでした。しかし、今回のコロナ禍にあって、やはり主流化できてこなかったことのデメリットが一気にここで噴出してしまったというふうに私は思っているんです。ですので、ぜひ強力にやっていただきたい。
最後に一点聞かせてください。
専門家会議が廃止されることになりました。それで、組織図を見ますと、今度は新たに分科会ということで設置をされるようであります。そして、六月二十四日、まさに西村大臣が廃止しますと言ったときの同じ時刻に専門家会議の皆さんは記者会見をしておられて、政府への提言ということで大変重要な点を幾つか述べておられます。
私、その中で着目していますのは、やはりリスクコミュニケーションをできる専門家を入れてくれ、あるいは、そこをきちんとやれるような機能をつくってくれというような話でした。
これは、私、二月の予算委員会の分科会でも触れさせていただいたところなんですけれども、実際、このリスクコミュニケーション、今までは、やはり、私、何だかんだ言って専門家会議の皆さんがその役目をある程度果たしてこられたんだというふうに思っているんですけれども、今後、リスクコミュニケーションはこの対策本部の中で誰が、どこが行うことになるんでしょうか。これがやはりできないことが大変大きな問題だったというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。大臣がやられることになりますか。
○加藤国務大臣 対策本部の議論のリスクコミュニケーションというのと、政府全体におけるリスクコミュニケーションというお話と、厚労省におけるリスクコミュニケーションと、いろいろなリスクコミュニケーションがあるんだろうというふうに思います。
今おっしゃる対策本部ということになると、今、対策本部の後に西村大臣が多分会見をされているのではないかなというふうには思いますけれども、やはり、それぞれ、私ども、あるいは場合によっては官房長官が記者会見等でそれに触れておられる等々、リスクコミュニケーションというのは一体何をもってリスクコミュニケーションと言うかということにもなりますけれども、まさにコミュニケーションをしっかり図っていくという意味においては、それぞれ各大臣が、それが十分行われているかどうかということに対する批判は謙虚に受けとめていかなきゃならないと思いますけれども、させていただいているところでもございます。
さらに、私ども厚労省という立場でいえば、そうしたリスクコミュニケーションの専門家からも、これから、先般もお話を聞かせていただきましたけれども、専門家としてのアドバイスもいただきながら適切な対応をしていきたいと思っております。
○西村(智)委員 専門家から話を聞いていただくのはいいと思うんですけれども、それは本来もっと早い時期にやっておかなければいけないことだったと思います。
この提言は、専門家会議の皆さんが、本当に最後に、自分たちの組織のあり方、それから今後の政府の対策のあり方として、本当に最後の最後の取りまとめということで置いていかれるものだと思うんですよ。
この中で、やはりリスコミの重要性がすごく重視されるということであって、西村大臣がやっているということであれば、あれはリスクコミュニケーションと本当に言えるのかどうか。唐突に専門家会議を廃止するということを専門家会議の皆さんにも言わずに発表するとか、緊急事態宣言を発出するような状況にないということを、まさに独断なのか何なのか、言うとか、そういったこと一つ一つが国民に対するある意味での不信感を招くんだというふうに私は思いますので、ぜひこれは厚労省、そして政府全体、対策本部として酌み取っていただいて、実現できるように要請して、終わりたいと思います。
○盛山委員長 次に、岡本充功君。
○岡本(充)委員 それでは、限られた時間ですので、質問させていただきたいと思います。
まず、事実関係の確認から行きたいと思います。
先週ですか、唾液による抗原検査、定量法の抗原検査が保険適用になりました。
確認をしたいです。医師がコロナウイルス感染症ではないかと疑った場合、その理由を後で記載しなければならない、レセプト上記載するということが必要になるとは聞いてはおりますが、無症状の方にも唾液による抗原検査を行う、それも、同じ患者さんに、疑う中で二回、同月中に行うことができる、これが事実かどうか端的にお答えいただきたいと思います。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。
六月二十五日に、抗原量の測定ができる新たな抗原検査の保険適用をしたところでございます。
この抗原定量検査につきましても、PCR検査と同様に、患者に対して行う手術等の内容や周囲の感染状況等を踏まえ、医師が患者の診療のために必要と判断して行った場合でございますけれども、鼻咽頭検体につきましては、有症、無症を問わず、全ての対象者に保険適用でございます。唾液検体につきましては、発症から九日目以内の有症状者について活用可能ということでございます。
○岡本(充)委員 いやいや、保険適用は、有症、無症を問わずに、唾液のPCR検査も保険適用ということでいいですよね。いいか悪いか。九日目までに限りませんよね。疑えば、症状があるなしにかかわらず、保険適用で定量検査ができますよね。簡易検査じゃないですよ。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。
制度上、保険適用の有無ということであれば、保険適用自体は、唾液検査についても保険適用でございます。
ただし、先ほど申し上げましたけれども、医学的判断の根拠を書いていただくわけですけれども、現状のエビデンス等も踏まえながら審査をしていくということだと思います。
○岡本(充)委員 もう一点確認です。
行政検査として検査を行った後でも、契約を結べば、無症状の人の抗原検査も全額公費で見ていただけることになる、これも事実でいいですね。事実か事実でないかだけ答えてください。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。
集合契約の内容いかんということでございますけれども、契約の内容いかんによりまして、行政検査の患者負担分についての適用が行われるということでございます。
○岡本(充)委員 違う。私が言ったとおりですか、どうですかと聞いているんです。そこを端的に答えてください。
○宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。
行政検査ということですので、保険で見て、一部負担分のところは公費で見るということになります。
○岡本(充)委員 検査の後でもいいですねと言っているの。検査した後に、行政検査の契約を結んで全額公費にすることも、一般の医療機関でもできますね。もうこれだけの質問、時間が限られているんですから。
○宮嵜政府参考人 申しわけございません。
御指摘のとおりでございます。
○岡本(充)委員 ぜひ、きちっと周知をしていただきたいと思います。
続いて、医療従事者等への支援のことでちょっとお伺いしたいと思います。
新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業は、一体いつごろにこの交付金が実際の労働者に届くことになるのか、まずその時期的なものを聞きたいと思います。
○吉田政府参考人 お答えいたします。
慰労金につきましては、既にその考え方、対象などについてお示しをしているところでございますが、お尋ねのございました時期につきまして、現在、具体的な給付方法あるいは給付時期の詳細について、都道府県などの関係者の方々と調整を進めているところでございます。
最終的には、私どもが今想定しておりますのは、お一人お一人に支給をさせていただく慰労金についても、基本的には医療機関を通じて申請をしていただくというオペレーションを予定してございまして、その上で、関係者の協力を得て、八月下旬から各都道府県が給付を開始できるように調整をさせていただいている段階でございます。
○岡本(充)委員 もう一つ確認したいです。
派遣労働者、つまり、病院と雇用契約がない人についても病院を通じて支給をされる、そして、もう一つは、QアンドAを、お問合せのダイヤルですね、自分が対象者かどうか問合せができる、そういうダイヤルを用意する、この二点でいいですか。いいか悪いかだけ。
○吉田政府参考人 お答えいたします。
慰労金につきましては、感染すると重症化するリスクが高い患者、利用者との接触を伴い、継続して提供が必要なサービスである、また、これまでのクラスターの発生状況などを踏まえまして、今回、医療機関、介護、障害福祉サービス事業者に勤務して、患者、利用者と接する方を対象としてございます。
その対象につきましては、こうした慰労金の趣旨を踏まえて、今、派遣についてのお尋ねでございましたけれども、職種や雇用形態は問わず、感染すると重症化するリスクが高い患者さん、あるいは利用者の方々と接するという、その業務の実態に応じて判断をしていきたいというふうに考えてございます。
その上で、給付対象であるかの判断につきまして、今後、私どもといたしましては、リーフレット、あるいは、各方面からの御質問をいただいたものはQアンドAの形で整理をさせていただいてお示しをする。また、コールセンターによる相談対応も予定をしてございまして、実際に支給に対して対象となり得る医療従事者の方々、あるいはその間の仲介をしていただくといいましょうか、医療機関の方々に対して適切に周知をし、現場における混乱がないようにいろいろな工夫をしてまいりたいと考えているところでございます。
○岡本(充)委員 一点答えていないんです。派遣の人たちも病院を通じて支給をされる、そういう理解でいいですか、支給方式です。
○吉田政府参考人 先ほど申しましたように、現在、慰労金の具体的な給付方法、オペレーションにつきましては関係者と調整をしているところでございます。
私どもとしては、先ほど申し上げましたように、基本的には医療機関を通じて、これは職種を問わず、対象となる方については申請をしていただき、それに対して支給をするということを念頭に置いてございますが、関係者の方々との調整、あるいは御理解をいただく、その中で準備を進めさせていただき、遺漏のないように努めたいと思っております。
○岡本(充)委員 ぜひ、確実に届くようにしていただきたいと思います。
きょうは感染研の脇田所長にもお越しいただいています。
今、どうでしょう。皆さんが期待をするワクチンの開発状況、一部報道では、大阪で治験に入ったという報道もありますが、現状、どういう見通しで、なかなか予断を持って言えないとは思いますけれども、言える範囲で結構です、現状についてちょっと御説明いただきたいと思います。
○脇田政府参考人 お答えいたします。
先日の厚労省の調査によりましても、抗体の陽性率が東京都では〇・一%ということですので、まだかなりの多くの方が感染の感受性を持っているということになります。
したがいまして、ワクチンの開発というものがこの感染の終息のためには非常に重要であるということは、もう専門家の間でも、もちろん我々も認識しているところでございます。
ワクチンの開発でありますけれども、さまざまなワクチンが開発の途上にありまして、その中でも核酸を使ったものに関してはかなりスピードが速いということであります。
ただ一方で、そういったものは、なかなか、今までに承認されたものはございませんので、そういった面に関しましては、有効性や安全性ともにしっかりと見ていくという必要があります。
そのほかに、いわゆる今までつくってきた不活化のワクチンであるとか、組み換え型のワクチンというものも開発は進んでおります。
感染研におきましては、そういったワクチン開発を促進するという立場でもありますし、また、その安全性をしっかり見ていくという立場でもありますので、今、臨床試験が、委員の御指摘のように、昨日より大阪では始まっていると伺っています。そのほかのワクチンも今、非臨床試験が始まり、そして年内には臨床試験が始まるというふうに承知しています。
一刻も早く実用化されるように、我々としては協力していきたいというふうに考えております。
○岡本(充)委員 なかなか難しいかもしれませんけれども、所長の感覚として、どうでしょう、これ、来年の早い時期に国民への接種が始まる段階にあるというふうにお考えでしょうか。まだそれよりももう少しかかるんじゃないかというふうにお考えでしょうか。そこはお答えいただければと思います。
○脇田政府参考人 委員の御質問でございますけれども、なかなか、まだこの段階で予断を持って言える段階にはないというふうに考えています。しっかりと有効性、安全性を見きわめて、一刻も早く実用化されるものが出てくるように、我々としても協力をしていきたいと思っています。
○岡本(充)委員 予断を持って言えないというのはそうなんです。なかなか本当に難しいと思います。ウイルスは政治的なそんたくもしてくれませんし、残念ながら。これはもう科学的に私は純粋に効果があるものが出てくることを期待をしたいと思っています。
きょうは、尾身先生にもお越しをいただいています。これからちょっと病床の話をするんですけれども、東京都の。先生がJCHOの理事長としてお仕事をされる中で、JCHOにも重症を受け入れる病床があると思います。ここで重症の新型コロナウイルス患者をどのくらい受け入れられるのか。なかなか、数字で出せるのなら出していただきたいですが、それが難しいのであれば、昨年のどこかの時点で、この重症用のベッド、私は後ほど資料でも出しますけれども、重症用の病床として使うものの中で空床のものというのは大体どのくらいの割合あるのかということについて、教えていただければと思います。
○尾身参考人 お答えいたします。
JCHOにおいては、現時点では、国や都道府県の支援を活用しつつ、それから自治体の要請も受けておりますので、六月三十日時点で、合計三十六施設において三百八十八床の受入れ病床を今準備しているところであります。
実は、六月十九日に、厚生労働省から各都道府県に対して、七月の末までにしっかりした医療提供体制を整備するということが連絡が行っております。したがって、私どもも、その事務連絡に基づいて、JCHOとしても都道府県からの要請に沿って、地域医療体制を維持、継続するための一般医療の提供とともに、新型コロナウイルスの重症患者の受入れ体制についてもさらなる病床確保に努めていきたいと思っております。
○岡本(充)委員 具体的な数字は言っていただけませんでしたけれども、一体どのくらい受け入れられるのかというのはこれから議論をしていきたいと思います。
その前に、昨日、東京都が新たな今後の感染状況を追っていくスキームを発表されました。東京都の患者数というのは、皆さんのお手元にもお配りをしていますけれども、これは東京アラートって何だったのかと思うわけでありますけれども、東京アラートを出していた当時、二十人、三十人といった感染者数だったものが、残念ながら今や五十人を超えている。
厚生労働省もこの人数をやはり気にするんだと思いますが、きのう、西村大臣と小池知事が会って話をしていると思います。どういった内容で、そして、今後どうしていくという話の中で、こうした数値目標を出さないことについての話合いがあったのかどうか。ここについて聞きたいと思います。きょう、ちょっと、副大臣に来てもらっているんですから、答えてください。
○盛山委員長 じゃ、ちょっととめてください。
〔速記中止〕
○盛山委員長 動かしてください。
宮下内閣府副大臣。
○宮下副大臣 ただいま事務方に確認しましたところ、昨日の会談において、数値目標についての話はなかったということだそうであります。
○岡本(充)委員 いや、数値目標を設定しないということについて、じゃ、政府に対して説明はなかった、こういう理解でいいですね。
○宮下副大臣 そういう理解をしております。
○岡本(充)委員 数値目標をつくらないというのはどういうことなのかということを、ちょっと聞きたいと思います。
政府の方で出されている資料によると、一体どのくらいのベッド数が必要なのかということをシミュレーションしていきたいと思いますが、患者数がどうふえるのか、高齢者群中心モデルと生産年齢人口モデルで指標を出しています。
皆さんのお手元にも資料をお配りをさせていただいていますけれども、その中で、いわゆる生産年齢人口群中心モデルである東京都において、感染者の数が人口十万人当たり二・五人になった日をデー1として、週当たりですね、そして、何日目にいわゆる自粛要請をかけるかでその後の重症者数がどう変わるか、これを見ています。
そのモデルによると、皆さんのお手元にお配りをしているペーパーでもお示しをさせていただいておりますけれども、現実的に、このモデルによると、皆さんのお手元には黄色と青の縦の数字が書いてありますが、東京都、Rが二・〇で、デー1でいわゆる自粛要請をかけた場合、重症患者は四百十三人になる、こういう考え方で正しいですね。まず、正しいかどうか、事務的に確認します。
○宮嵜政府参考人 この仮定がどういうふうな仮定で置かれているというか、試算しているかちょっと私もわからないところがあるんですけれども、先ほど先生が言われた、R二で基準日一ということで計算をするということで、一つの計算としてこういうものが出てくるというふうになろうかと思います。
○岡本(充)委員 四百十三人ですね。
今確認をしたいです。東京アラートの解除の要請若しくは要請の一つの目安とされているものと、今の東京都の状況はどうなっているか。これも厚生労働省に出してくれと聞きましたけれども、お答えいただきたいと思います。
東京都が言っている感染状況、新規の陽性者数、それから新規の陽性者における接触等不明率、週単位の陽性者の患者比、六月三十日までの一週間、そしてその前の一週間と比較してどうなっているのか、それぞれお答えをいただきたいと思います。
○宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。
ちょっと全ては今聞き取れなかったので大変恐縮なのでございますが、多分一番ポイントになる数字といたしまして、週当たりの感染者数十万人当たりの数値というのが、六月十七日から二十三日までの、前の一週間では一・六二、それから六月二十四日から昨日六月三十日までの一週間が二・七七というような数値が出ております。
○岡本(充)委員 人口十万人当たり、もう二・五の感染者数を超えているんですね。
したがって、政府で言うところの自粛要請をかけるべき第一日が、きのうの時点でもう来ているということで間違いがないのかどうかを、じゃ、次は聞きたいと思います。
○宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。
きのうまでの一週間で二・七七というふうに申し上げましたが、済みません、もうちょっと正確に申し上げますと、その一日前の六月二十三日から六月二十九日の一週間、おとついまでの一週間でとりますと二・六一ということで、この段階で二・五を超えているというのが事実関係でございます。
○岡本(充)委員 したがって、きょうはもう三日目なんですね、三日目なんです。政府が言うところの自粛要請をかけて患者さんがどうシミュレーションされるかという、シミュレートしてきた数字のこれはもう三日目になっているということになるわけでありまして、二・〇で三日目ということになると、東京都の患者さんは、そこで示している四百十三人を超えて五百六十八人。これがR二・〇だとすると。これを七日目まで放置をすると、千八十四人の重症者が出る。これが政府、そしていわゆる専門家会議で得た結論だったんじゃないんですか。違うんですか。
これだけ多くの患者さんが出るということで、自粛要請をかけていくべきじゃないか。皆さんのお手元の資料にもお配りをしておりますけれども、政府の出しているペーパーでも、最後のペーパーでありますけれども、同様の効果が得られるならば、その内容について都道府県知事が判断されるものとしていますが、前回と同等の効果の協力要請を可能な限り早期に行うもの、こうしているわけですから、これはもうかけなきゃいけない段階に来ているのではないか。
これはもうデー三日目がきょう来ているんだという認識だという理解でいいのかどうか。先ほど、おとといがデー1と言っているんですから、きょうがデー3になっちゃうわけなんですけれども。これで本当にいいんだとすれば、これはかけるべきではないかというのが政府の考えなのではないかと思いますが、確認をしたいと思います。
○宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。
今、一つの数字として十万人当たりの数字を申し上げましたが、これは昨日か一昨日、東京都の小池知事もそういうふうに言及しておりますが、一つの数字を見るのではなくて、臨床の状況とか、PCRのセンター等をつくっていただいて動かしている現場の数値とか感覚を踏まえて総合的に判断するというふうに答えられておりまして、政府としても、この二・五ということだけではなくて、いわゆる夜の町でかなり大量に検査を受けていただいているとか、あるいはベッド数とか、そういう状況も見ながら考えていくべきものというふうに考えております。
○岡本(充)委員 これは、これまでも結局、政治的ないろいろな出来事をやはり踏まえているんじゃないか。東京オリンピックの延期が決まった翌日に東京都を含むいろいろな都道府県で自粛要請が行われ、そして東京アラートも東京都知事選挙の前には解除をされ、そして今、都知事選挙が行われている真っ最中、大変患者の数がふえてきて、これから感染拡大をする、数理モデル的には、手おくれになると千人を超える重症者が出るという数理モデルが出ている中で、今、自粛要請をかけない。このような状態をどう思うのか。
ちょうどきょう、尾身先生がいらっしゃっていますが、尾身先生、どう思われますか。
○尾身参考人 これはどの立場か、JCHOの立場か専門家かちょっとわかりませんが、私の一個人としての今の思いは、東京都に関しては、これは懸念する状況であることは間違いありません。これからどうなるかは推移を見なければいけませんけれども、徐々に、二つ主に懸念の材料があると思います。
一つは、いわゆる夜の町を中心に、あるいは職場のクラスターというところで、いわゆるクラスター感染がかなり報告されているというのが一点です。
それからもう一点は、そのクラスター、特に東京を含めたクラスターがいろいろなところに波及しているということがあって、いわゆる孤発例が、クラスターからちょっと離れたところに今、感染が広がっている。
しかも、もう一つの懸念は、この孤発例というものが実は一体どういうところで感染しているのか、どういう状況で感染しているのか。これは、地元の保健婦さん、関係者は本当に懸命な努力をしておりますが、それについては本当に私ども敬意を表して感謝しておりますが、その努力にもかかわらず、この感染対策に必要なスピードで必要な情報が必ずしも、これは保健婦さんたちの努力とは無関係な、いろいろな複合的なシステムが、要因が関与しておりますけれども、なかなか我々が思うようなスピードで、いわゆる疫学情報が分析可能なものが集まっていないというのが今の。ここについては今、HER―SYSだとかいろいろな努力をされていますので、ここについてはいま一歩の、急速な努力が私は必要だと思います。
したがって、それ以外にも、今、医療体制の準備だとか、あと、検査をもう少し充実してやる、検査も押しなべてやるという考えもありますけれども、今の場合は、やはりリスクの高い、二次感染がはっきり高いところをやはり集中的にやって、余裕があればほかでもで、そういう戦略的な検査が私は必要だと思います。
それと、あとは感染の防御の方も、先ほど先生は、もう一度緊急事態宣言みたいなものを出すか出さないかということで、私自身の個人の考えは、なるべくああした非常に広範囲な、緊急事態宣言ですよね、四月七日に出したものはもうかなり、社会に対して極めて強い影響があった。今の状況は、そうした経験を踏まえて、社会経済の活動と感染防御を両立させるということが今、社会のコンセンサスだと思います。
したがって、何か、一部自粛要請等々をするのであっても、押しなべて今までのようなことをするのではなく、もう少し戦略的に、めり張りのついた感染対策が必要だというのが私の個人的な考えであります。
○岡本(充)委員 したがって、同様の効果を得られるものをやりましょうと言っているんです。大臣、どうでしょう。これは、いや、だから、私も別に緊急事態宣言を、同じものを出せと言っているわけじゃない。少なくとも、夜の町と言われているところに対する自粛要請をするなり何らかアクションをとるべきではないかと思っているんですが、これは、アクションをとるのが遅くなればなるほど死者が多くなる、若しくは重症者が多くなる、この認識をお持ちであるのであれば、私が指摘しているように、エリアは、全部やれと言っているわけじゃないですよ。クラスターがわかっているならそのエリアだけでもやるべきではないかと私は思うんですけれども、大臣、どうですか。
○加藤国務大臣 まず、私どもが医療提供体制を議論するために出しているというのは、これは、一定の仮定を置きながらシミュレーションをさせていただいて、そして、それに対してどういう医療提供体制をつくるかという観点から議論しているわけでありますから、ここで前提としているものが、直ちに個々の都道府県における自粛の判断等々にすぐにつながるわけではないということ。これはちょっと、全く別ということは言うつもりはありませんけれども、それはそれであり、これは一つの前提においてやっている、そこはまず御理解をいただきたいと思います。
その上で、じゃ、夜の町対策は今やっていないかというと、やっているわけですね、いろいろと。都においても、私ども連携をさせていただきながら。そして、そういう中で、そこで働いている皆さん方からも積極的な検査に応じていただいている。そして、その中で、例えば東京都における陽性者の比率は、今は二十代、三十代の方がかなり高い割合になってきている、一つの背景にはそうしたこともあるんだろうと思いますので。
そういった意味において、どういうことをすればどういう効果があるかというのは、必ずしも全部わかっているわけではありませんけれども、必要な措置は随時とっているというのが今の状況だと思いますが、ただ、先ほど尾身先生がおっしゃられたように、懸念すべき状況であることは間違いないということでありますから、しっかり注視していく必要があると思います。
○岡本(充)委員 大臣、限定的でも自粛要請をかけるべきではないかと聞いています。それについてはどうですか。
○加藤国務大臣 ですから、おっしゃるような自粛要請というのは具体的に何を指しておられるのかというのは、これはケース・バイ・ケースなんだろうと思います。
そして、先ほど申し上げましたように、そうしたところで働いている方々に対して積極的に、例えば、症状があればもとよりでありますけれども、その店内において陽性者が出てくればほかの方についても積極的な疫学調査に応じてもらうとか、さまざまな措置を今でも講じさせていただいている。そして、その中で、追うべきものはしっかり追っていくということはさせていただいているという中で出てきた数字だということは一つあるんだろうと思いますが、ただ、いずれにしても、先ほど尾身先生がおっしゃったような点もありますから、引き続きよく我々は注視をしていきたいと思います。
○岡本(充)委員 いや、結局、おくれたら千人の重症者が出るということ、これは政府で出しているんですから。これは、対策がおくれたら。そうやって言っているうちにおくれるんじゃないかということを私は懸念しているわけです。
これは、結局、この三ページの表を見ると、例えば隣の埼玉県、これはデー1で要請をかけているんですね。これは、二百二十五人のR二・〇で重症者が出て、埼玉が用意している重症者用のベッドは六十ですよ。これは足りなくなるじゃないですか。隣の山梨県、これは高齢者群中心モデルですけれども、準備できている病床は今十三ですよ。デー3で自粛要請をかけたとしても、しかも山梨県は人口が東京より少ないから、三、四人で感染者が出たところで自粛要請をかけないと、二十四人の患者が出たら、十三のベッドでは足りなくなる。これは、全部のICUのベッドをよもや新型コロナウイルス対策だけに使うわけにはいかないんです。ほかの医療が回らなくなるんです。だから、早目に、限定的でもいい、同様の効果の自粛をかけるべきじゃないかと言っているわけです。
だからこそ、私は、全面的にとは言っていません、こうしたところをやるべきじゃないか。もう一度尾身先生に最後にちょっと御意見を伺って、私、この問題を終えたいと思います。
○尾身参考人 お答えいたします。
自粛するかどうかというのは都道府県知事が決められることだと思いますけれども、これを感染症対策という観点から見ますと、一つ、私は、今の夜の町だとかクラスター、そういう職場のクラスターというところが感染の拡大の一つの契機になっていることは間違いないと判断しておりますから、そこの、いわゆるクラスターの起きている場所の職員の方、事業者の方、そういう方と、これが、いわば、上から目線じゃなくて、その人たちと一緒に協力をして、その人たちと納得をするというプロセスが、今もう既に始まっているというふうに私は理解しておりますが、そういう従業者の人たちと一緒にこれをどうしていくかという、そのガイドラインはもうつくっていきます。それに加えて、一緒にみんなで協力してやっていこうという精神が極めて、今回のケースについては特にそこが大事だと私は思っております。
○岡本(充)委員 時間になったので、ちょっと、ほかの問題もありましたけれども、これで終わらなければいけませんけれども、繰り返しになりますけれども、近隣の都道府県にも東京は影響を及ぼすということを私はしっかり踏まえて対応するべきだと思うし、そうやって何がどういう効果があるかわからないなどと言わずに、これは国が出している重症患者の推移のモデルですから、これに基づいて私は対応するべきだと思います。
済みません、西村副長官にお越しをいただいたんですが、ちょっと時間がなくなってしまったことをおわび申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○盛山委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。
きょうは、まず初めに持続化給付金についてお伺いします。
一昨日から、フリーランス、雑所得や給与所得で申告していても持続化給付金の申請が可能になりました。待ちに待っていたという声がたくさんありました。しかし、ふたをあけてみると、いろいろな条件が課されて、今度もまた対象外となってしまったと、大変憤りの声が広がっております。そして今、是正を求めてまた新しい署名運動がフリーランスの皆さんの中で始まっております。
きょうは資料をお配りしておりますが、今までのものとは違って、またいろいろな条件がついてしまったということで、要求項目、六点書いてあります。
一つ目が、「事業所得が一円以上あるフリーランスも持続化給付金の対象にして下さい。」と。今までのは事業所得だったですよね。もともとあったのは、事業所得について、それが対象ですよと。今度は、給与所得、雑所得が主な収入であっても、事業所得が一円でもあったらこちらは使えない、ですから古い方のだけ使ってくださいと。そうすると、物すごい、給付金としてもらえる対象というのは少なくなるわけですね。
資料の二ページ目に、今、フリーランスの皆さんが集めているアンケートから一部抜粋をさせていただきました。
通訳案内士の方ですね。年収の全てをこの仕事から得ており、たまたま二〇一九年の確定申告では、JTBを事業一五%、阪急交通社を給与八五%で行いましたというわけですね。この場合は、今度の新しい制度は使えない、事業所得があるから。事業所得の一五%の方しか、古いタイプの持続化給付金しか使えないので、当然、給付額は一部しかもらえないということになります。
ただ、この下に、この通訳案内士の方も、下の方に書いていますけれども、私と同じくJTBと阪急から委託されている同業者は、JTBを雑所得、阪急は私と同じ給与で申告している、この方たちは全員満額もらえるわけですよ。
わかりますか。事業所得と給与所得だと事業所得の一五パーしかだめです、雑所得と給与所得だと一〇〇パーこれを対象にして給付金が支給されるということになるわけですね。全く実態に合っていない仕組みが今回つくられたんじゃないかということなんですよね。
ですから、このページにはイベントコンパニオンや役者や自由業やヤマハの英語講師の方々の声を載せておきましたけれども、とにかく、事業所得や給与所得が混在しているわけですね、フリーランスの方々というのは。その実態を踏まえずに今回のようなやり方をしたら、極めて不公平な事態が生じるということです。
それから、要望の四つ目のところに行きますね。「被扶養者のフリーランスも持続化給付金の対象にしてください。」とあります。
もともと、事業所得だけの給付金の場合は、被扶養者であっても対象になりました。しかし、今度の新しいタイプは、被扶養者では対象にならない。ちなみに、雇用調整助成金は、パートやアルバイトであっても今対象になっているわけですね。被扶養者か被扶養者じゃないかなんて関係なく出しています。事業所得のみの場合も、被扶養者であってもいい。
ところが、今回新しくできた、主たる収入が雑所得、給与所得の場合は、被扶養者だとだめだということです。
次のページに、そのことにかかわる声がたくさん載せられております。
例えば、バレエダンサーの方も、事業所得の人は扶養に入っていても給付されるのは平等ではないと。
音楽教室ピアノ講師の方。被扶養者が対象外で絶望しています、主人の給料だけでは到底子供二人を食べさせていけません、これからも、生徒が減れば報酬も減ります、いつどうなるかわからないため大変不安です、どうか対象を拡大してくださいと。
フリーカメラマンの方。税務署指示で雑収入と記入したばかりに何も支援されないとは、何と残念なことかと思う、扶養されていれば生活できると世帯を軸に考えていたら、事業はおろか生活できない人はどうしたらいいのですか、女性が輝く何とかっておっしゃっていましたが、被扶養者の収入を家計の両輪にしている家庭は少なくありませんと。
通訳案内士の方。配偶者のいる女性を対象から締め出そうとする政府の意図を感じる、通訳ガイドは不安定な仕事なので被扶養者であることは難しい、誇りを持って仕事をしている女性の正当な権利を認めてほしいと。
演奏家の方。私は被扶養者ですが、配偶者の収入は高くなく、夫婦で働かないと生活は成り立ちません、配偶者は契約社員でしたが、このたび失業しました、来月から被扶養者でなくなりますと。
あと、校正の方、個別教室講師の方、いろいろ書いていますけれども、皆さん、夫婦で、このフリーランスで働いている被扶養者の方の収入も含めて生活が何とか成り立っている、子供の学費は出している、そういう方はたくさんいらっしゃるわけですよ。ところが、それは対象にならないということが起きているわけですね。
それから、資料の次のページを見ていただきたいと思いますけれども、今度は被雇用者も対象にならないということです。
例えば、ダンス教室の方。私を含め、二つ仕事をしている方と書いていますけれども、ダンス教室の主催者です、ダンス教室だけでは、家賃等の支払いもあるため、それだけでは生活ができない、だから、ダンス教室に加えて事務の補佐員の仕事もやっているんだということですね。
あるいは、グラフィックデザイナーの方。私のようにフリーランスと派遣をかけ持ちしている人は少なくありませんと。
あと、私たちのところに寄せられたたくさんの声でも、実は、持続化給付金が、主な収入が雑所得や給与所得の方は待ちに待ちに待たされて六月まで待った、その間、収入がないからアルバイトを始めたという方もたくさんいらっしゃるわけですよ、一時的に。そうしたら、アルバイトを始めたら雇用者だと。
政府の対策がおくれて雇用者になった、あるいは、さっきの被扶養者についてもそうですけれども、政府の対策がおくれたために、今回、被扶養者になった方々もいるわけですよね。そういう方々も対象にならない。
さらに、国保に入っていなきゃいけないということが、添付書類として二〇一九年から国保に入っていることの証明が求められているわけです。
その次のページを見ていただきたいと思いますが、予備校講師の方。私は予備校の推薦により、私学共済に加入しておりますが、契約は業務委託契約です、他の国民健康保険の講師と置かれた状況は同じですということで、雇用ではない、業務委託契約だけれども、私学共済に入っている方もいるわけですね。国保じゃなきゃだめだと言われたら、この人も、多分予備校側の善意で私学共済に入れてもらっていたんだと思いますけれども、その善意があだになるということになるわけであります。
あるいは、講師、翻訳、通訳。対象外になった理由。国民健康保険証の資格取得日が二〇二〇年二月だと。二〇一八年の収入が扶養対象額でしたので、二〇一九年度は主人の扶養家族、二〇一九年の収入が多かったため、扶養対象から外れ、ことし二月に国民健康保険に加入しましたと。こういう方も、二〇一九年から国保に入っていなきゃいけないから対象にならない。
きょうは牧原さんに来ていただきました。私、一番初め五月八日にこの問題を取り上げて、そのときは、与党の皆さんにも同じような声がたくさん寄せられているでしょうと与党の皆さんに聞いたら、そうだそうだという声で、考えていただいて、やっと今度制度ができたのに、こんなに対象外の方がいたらだめじゃないですか。これ、ちゃんと制度設計をもう少しやり直す必要があるんじゃないですか。
○牧原副大臣 前回ここで先生から御指摘を賜りまして、そのときは原則とその当時のことで御説明をさせていただきましたけれども、原則としては、あくまでこの持続化給付金というのは、事業の継続を支えるために、事業からの収入が半減している事業者を支援をするというものでございます。
他方で、もう四月ぐらいの状況を考えると、一刻も早くそうした皆様に給付を行うというそのスピードですね、これも考慮しなければいけないし、他方で、今日までに大体二百四十万件の申請がございます。当初は百五十万社ぐらいではないかと見積もった一次補正に、二次補正でもこの予算を積み増して、給付自体はもう一次補正分を上回っていまして、大体二百四十万件の申請のうち二百十一万件をお支払いし、その金額は二兆七千九十億まで達しております。
これだけ膨大な金額を二カ月間にお支払いするというのは大変な事務でございまして、それの裏には、当然、あるところでぱっとお支払いをできるような要件を設定しなければならず、この間の委員会でも先生にお答えさせていただいたように、余り個別の事情を考慮すると、その申請一件一件に物すごい時間がかかりますので、当初、フリーランスのいろいろな方の判断は、確定申告上の事業収入の有無で判断させていただきました。
それを先生からも御質問いただいて、さまざまな御指摘も踏まえ、今回、事業収入じゃない場合、雑所得や給与所得になっているんだけれども、実はこれは事業収入だというような判断ができる場合には対象とさせていただくというふうに広げたわけでございます。
今御指摘がありましたように、例えば、事業所得もあるんだけれども、申告しているんだけれども、他方で、雑所得、給与所得の中にやはりそういうのもあるんだというような御事情はあるのかもしれませんが、そうするとまた、では何で、こちらは事業収入として申告したのにこっちはしなかったんだろうというような個別の判断は相当難しいものになりますし、また、既に事業収入がある方はもう申請ができますので申請をされていた場合に、またこっちで申請をすると二重申請がありまして、これのチェックは結構大変なものになります。こうしたことを考えまして、事業収入がもう既にある方というのはそちらの方で申請をしていただきたい、こういうことにさせていただいたということでございます。
もう一個、被扶養者の話がございました。被扶養者の方については、これは大変難しかったんです。雑所得や給与所得があって、その中で事業収入があるんだというような場合に、通常は国民健康保険を出しているということを今回やっているんですけれども、要するに、外形的には業務委託等の契約に基づく収入であっても、例えば単発のものとかいうことは、我々が対象としている事業活動とは呼べないので、事業収入と同視できないものがかなり多く含まれているものと思います。
そういうことで、それの判断として被扶養者の方は対象外とすることとし、それの判断として国民健康保険の写しを提出をいただくようにしたということでございます。
これは、家計全体で見ると、別途、主たる収入が存在をしておりますので、他の個人事業者の皆様との公平性でありますとか、あるいは事業規模、こうしたことについても配慮をさせていただいて、このようなものに判断をさせていただいたということでございます。
これは大変言いにくいことではありますけれども、持続化給付金は、あくまで経済産業省の所管をする事業でありますけれども、先ほど申し上げたように、事業の継続を下支えをするということが趣旨でございます。生活者の支援の重要性というのは、それぞれ私も重々理解をしておりますけれども、それはこの趣旨ではございませんので、さまざまな働き方の間での公平性や、他の制度との役割分担の観点を踏まえても、個別の収入減で、生活ということに関しましては、例えば特別定額給付金や緊急小口融資等の生活支援に基づいた制度もございますので、そちらを御活用いただけないか、こう思っているところでございます。
○宮本委員 全然なっていない答弁だと思うんですけれども。
事業収入がある方はそちらでやっていただく方と今回のと、両方使ったら二重請求される可能性があって、チェックが大変だというふうにおっしゃいましたけれども、チェックすればいいだけじゃないですか。チェックしたくないから、チェックするのが面倒くさいから、そういう給付はしませんよと。おかしいじゃないですか。
持続化給付金の目的というのは、先ほどおっしゃったとおり、事業の継続のためですよ。給与所得と事業所得とあって、給与所得の方が多く支払われたと。仕事の出方は同じで、それを全部業務委託だとか何だとかという形で、仕事は出ているけれども、仕事は受けているけれども、なぜか源泉徴収票で給与と来ているから給与と申告しているわけですよ。中身は同じ。それを人によっては給与じゃなくて雑所得で申告している人もいるし、いろいろな形で申告しているわけですよ。
ですから、実態を踏まえてやらなきゃだめじゃないですか。二重チェックが大変だったら、大変だったらと言うんじゃなくて、やればいいだけの話だ。ちょっと考えてくださいよ、それは。
それからもう一つ、公平性ということをおっしゃられましたね、扶養者の問題で。ですけれども、家計の支えじゃないんだという話とか言いますけれども、公平性といったら、じゃ、事業所得で申告している給付型の持続化給付金の場合は被扶養者でもオーケーじゃないですか。雇用調整助成金、被扶養者のパートやアルバイトの方も、出しているじゃないですか。公平性ということを言うんだったら、給与所得やあるいは雑所得を主たる収入にしている方に対しても、ちゃんと、被扶養者であっても制度の対象にする方がよほど公平だと思いますよ。
それから、私のアンケート、配っているのを見ていただければわかりますけれども、被扶養者の皆さんだって、みんな事業としてやっているわけですよ。アニメーション、バレエダンサー、フリーカメラマン、通訳案内士、演奏家、校正。単発の仕事どうのこうのということを言われましたけれども、皆さんそれぞれ社会にとってなくてはならない仕事を事業としてやられているわけですよね。なぜ対象にしないのか。
もう一度、副大臣にお伺いします。持ち帰って検討してください。前回も同じやりとりを五月八日にした記憶がありますけれども。
○牧原副大臣 五月八日に先生に御指摘を賜って、当時の回答としては、個別の事情になかなか鑑みることは難しい、こういうお話をさせていただきましたけれども、省内ではさまざま検討し、この二十九日から、フリーランスで、いわゆる事業所得で申告をしていない方への救済ということで、この措置をスタートしたばかりでございます。この措置はこの措置で、かなりの申請件数がまた重なるかもしれません。ちょっとこれはやってみないとわからないんですけれども。
御承知のとおり、この持続化給付金、私もずっと見てまいりましたけれども、例えば、当初の申請では相当な記入の漏れだったりミスだったりということがあって、結局個別の対応というのが相当あった結果、当初、支払いがおくれるという御批判もございました。今日、先ほど申し上げたように、二百四十万件の申請のうち二百十一万件をお支払いするというところまで来ておりますけれども、まだこのギャップは三十万件ぐらいあるということで、この方々はこの方々で申請して、今まだ待っているということでございます。
そういう意味で、やはりスピード感を大切にしつつ、この新しいことを、今までは全く対象でなかった、つまり事業所得の申告をしていなかったがために、全く、給与所得、雑所得があって、この中にまさに事業収入があるのに対象にならないのはおかしいじゃないかという先生とかの御指摘も踏まえて、今回対象になった方でございまして、今先生が御指摘いただいたように、もともと事業収入があって、そちらで申請ができたんだけれども、こちらで加えれば更に大きな金額になるのにというような場合というのは、要するに、事業収入がない人というのは、つまり、税理士に言われたりいろいろ言われて、雑所得や給与所得にしちゃったんだという御指摘だったと思うんですね。
この方はやはりその中で判断をしなきゃということであったんですけれども、事業所得でされている方は、別途、事業所得の申請をされているわけですから、更に加えてこちらの給与所得、雑所得にされているというのは、いわば区分けして所得申請、確定申告されている方なので、より個別の要するに事情が相当あるのではないか、こう考えているところでございますので、今、対象にしないということにはさせていただいております。
いずれにしても、制度が始まったばかりでございますので、しっかりとこれを運用していくということをまず最優先をしていきたい、こう思っているところでございます。
○宮本委員 これだけたくさん声があって、私はこれを少し抜粋しただけで、ほんの数日で何百という声が寄せられているわけですよ、この一人の人がアンケート調査をやっただけで。その背後には、物すごい困っている、国から自分は不必要な仕事だと思われたんじゃないかと傷ついている方がたくさんいらっしゃるんですよね。
先ほど、事業所得と給与所得と分けて区別しているのは本人の都合だみたいな話をされていますけれども、出した側の話なんですよ、それは。仕事を出した側が、これは源泉徴収票つきで、委託契約にもかかわらず給与で出してきていたから、給与と出した。やっている中身の仕事は全く同じなのに、事業になったり給与だったり雑所得だったりというのが混在している方がたくさんいらっしゃるわけですよ。しかも、税務署もまちまちの対応を場所場所、人人によってやっているわけですよ。同じ収入源を雑所得にしたり事業所得にしたり給与所得にとなっているわけですよね。だから、それはちゃんと対応しなきゃだめですよ。
ほかの質問をたくさん通告していますから。これで終わらなきゃいけないんですけれども、与党の皆さんからもちょっと言っていただけますか。たくさんの方がうなずいていらっしゃるから、与党の皆さんからも言ってくださいよ。こういうのは皆さんのところにもたくさん来ていると思いますよ。
牧原さん、与党の皆さんからもたくさんこれから意見が行くと思いますので、しっかり省内で検討してください。よろしくお願いします。
ちょっと、ほかの質問をたくさん通告しているのでこれで終わりにしたいと思いますので、牧原さん、御退席して、早急に検討をよろしくお願いいたします。
済みません。ちょっと、通告しているのが全部行かないかもわからないんですけれども、厚労省の職員の超過勤務についてお伺いします。
この間、コロナの対応で、たくさんの、残業された方、いると思いますが、月八十時間以上、また月百時間以上の超過勤務は、一月から五月、それぞれ何人か、お伺いします。
○田中政府参考人 お答えいたします。
厚生労働省の本省内部部局の超過勤務の状況についてお答えいたします。
本年一月から五月に、月八十時間以上百時間未満の超過勤務を行った厚生労働省本省職員の人数は、一月百五人、二月二百十人、三月二百五十人、四月四百二人、五月三百十二人でございます。
また、月百時間以上の超過勤務を行った本省職員の人数は、一月二十六人、二月百十五人、三月百三十四人、四月百四十五人、五月百三十五人となっております。
○宮本委員 ちなみに、一月から五月まで最も超過勤務が長い方は何時間ですか。
○田中政府参考人 一月から五月の間で最も長い超過勤務を行った職員の超過勤務時間数は、二月でございましたが、二百十五時間となっております。
○宮本委員 ちなみに、去年の三月、四月と比べると、どうですか。
○田中政府参考人 三月、四月、去年の数字と比較いたしますと、まず、月八十時間以上百時間未満の超過勤務を行った人数は、去年の三月が百十九人、ことしの三月が二百五十人、去年の四月が五十四人、ことしの四月が四百二人です。
月百時間以上の超過勤務を行った人数は、去年の三月が十四人、ことしの三月が百三十四人、去年の四月が十八人、ことしの四月が百四十五人でございます。
○宮本委員 ですから、大変な長時間勤務になっていると。これは超過勤務命令に基づいて命令簿にあるものですから、恐らくそれ以外も、自主的という名前のもとであるんじゃないかというふうには思うんですけれども、先ほど、過労死ラインじゃないかという声も委員の中から上がりましたけれども、健康管理はどうなっているのかと大変心配になりますが、この実態について、大臣の受けとめをお伺いします。
○加藤国務大臣 今、具体的な数字を申し上げさせていただきましたけれども、まさに新型コロナウイルス対策に関して、さまざまな、厚労省の場合には、医療関係のみならず雇用関係を含めて全般的な対応をしているということで、大変、職員の超過時間が昨年に比べて大きく増加をしているところであります。
当然、そうした中において、できる限り、他省庁からの応援をいただく、あるいは他部局からの職員においてローテーションする等さまざまな体制も構築をする中で、職員の心身の健康管理、これについて万全を図ってきたところでありますけれども、いずれにしても、また、多くの職員が交代で休暇がとれるよう、外部委託等も活用して業務の効率化も進めさせていただいているところでございます。
引き続き、やるべき対策、対応、これはさまざまございます。そうしたことに対応しながら、他方で、個々の人間の超過勤務、これを最大限縮小、縮減しながら、職員の皆さんの心身の健康を確保しながら、万全な体制で対応できるように、引き続き私ども注意を払っていきたいというふうに思います。
○宮本委員 仕事が多くなるのは、こういう事態ですからあれですけれども、本当にいろいろな人的な体制をとって、健康管理、労働時間管理にはしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
あわせて、この間、職員をどんどんどんどん減らしてきたわけですよね、厚労省全体としていえば。そしてさらに、内閣人事局長からは、定員合理化目標として、これから五年で一割、職員を減らしていく目標が示されている。こういうのは私はやめるべきだと思いますよ。
それから、もう一つ、職員の方から、組合の方から、年度内の残業代は確保できるのか、もし秋、冬にコロナの大きな感染の波が来て、また多く残業をしなきゃいけなくなった場合はどうなるのかという声も上がっているわけですよね。
この定員の合理化、これはもうやめるべきだという点と残業代の確保について、大臣の御所見をお伺いします。
○加藤国務大臣 定員合理化そのものについては、これは、内外の行政課題に機動的、戦略的に対応できる体制を構築しつつ、効率的な行政運営を実現するという、これは閣議決定にもありますけれども、それにのっとってやっているということであります。
厚労省においても、業務の効率化によって定員合理化を一方で図りながら、他方で、業務量が増大をしている状況、また、新たに取り組まなきゃならない分野等については、適宜、増員要求を行っております。
例えば、令和二年度の本省について見れば、前年度と比べて百五十二人の定員増にもなっているところでありますので、今、新型コロナウイルス対策がかなりの割合を占めておりますけれども、それも含めて、厚生労働行政が適切に実施できるよう、引き続き必要な人員の確保に努めていきたいと思います。
それから、超過勤務手当についてでありますけれども、これは、超過勤務をしたことに対しては手当が支払われるのは当然のことでありますので、その予算の確保についても努力をしていきたいと思います。
○宮本委員 時間になってしまったので、たくさん通告をしていたんですけれども、終わらなければなりません。
介護保険の問題で、この間、デイサービスとショートステイの報酬について、上乗せできる特例が設けられましたが、利用者に負担が発生するという問題で、大変な批判が寄せられております。
それから、障害者福祉の減収問題についてもちょっと取り上げたいと思っていました。
それから最後に、非正規雇用への休業手当を支払っていない大企業への指導の問題もちょっと取り上げたかったんですけれども、時間になってしまいましたので、通告している中身で対応をお願いしたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○盛山委員長 次に、藤田文武君。
○藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。
きょうは十五分しかありませんので、ちゃっちゃっと行きたいんですが。
冒頭、今、宮本先生から厚労省の働き方の話があって、私もこれは結構注目して質疑でもやったんですけれども、まずは感謝を申し上げたいとともに、業務量が非常に多いことは業務効率化も含めて対策を打っていただきたいんですが、私たち、自分事としてどちらかというと受けとめたいなと。国会の対応についての示唆がずっと出されていますけれども、そこの部分が最もストレスというか、それは心身ともに大きいんじゃないかということは、私はそれが一番だと受けとめていますので、国会改革については個人のライフワークとしてもこれから取り組んでいくことを宣言したいと思います。
まずは、きょうは検疫体制についてお聞きしたいと思います。
先日来、大阪の吉村知事が、第二波の抑止と経済復活のためには水際対策が非常に重要であるということと、それから、空港の検疫体制が非常に問題点が多い、つまり、大変だなということが起こり得るということを言及しておりまして、報道なんかにも出ていますが、関空検査センターのような組織をつくって組織的にやっていくべきだという要望を出したいという表明をされております。
その中で、吉村知事も実際関空に赴いて現場の検疫官といろいろ意見交換をした中で、いろいろな示唆をしているんですけれども、まずは、アナログ方式の、手書き方式の質問票が、非常にこれがボトルネックになっているという問題点。これをICT化していかないといけないという必要性がかなり高いんじゃないかということがまず一つ。
それから、検査の方法や場所の確保、検査時間の短縮やマンパワーの確保といった、個別の空港によってまた事情も違うと思うんですが、そういったものをしっかりと整えていかないといけない。
その中で、唾液検査や、高性能、大量処理できる抗原検査機器を導入したりとか、そういうようなアイデアを、既に大阪では報道も含めて出てきているんですが、この検疫体制の強化は非常に重要な課題だと思いますが、この点、特にICT化の推進については、含めて御見解をいただきたいんですが、いかがでしょうか。
○浅沼政府参考人 お答えいたします。
現在、検疫におきましては、入国者全員から滞在歴や健康状態を把握するための質問票の確認、入管法に基づく入国拒否対象地域に過去十四日間以内の滞在歴のある方全員に対するPCR検査の実施、入国者全員に対する自宅等指定場所での十四日間の待機及び公共交通機関を使用しないことについての要請、そしてPCR検査を受けた方々に対しまして保健所を通じた十四日間の健康フォローアップの実施などの措置を講じておるところでございます。
この措置を適切に実施するために、成田空港、羽田空港、関西国際空港の検疫所に、他の検疫所からの応援も含めまして、必要な人員については配置をしているところでございます。
また、業務効率化を図る観点から、健康フォローアップにつきましてはスマートフォンアプリを開発し、入国者の健康状態を管理する帰国者フォローアップシステムを五月から導入するとともに、御指摘の質問票につきましては、内閣官房IT総合戦略室あるいは税関、出入国在留管理庁など関係省庁と連携し、ICT化を進めるよう検討に取り組んでいるところでございます。
検査体制につきましては、唾液による迅速検査など、現在の鼻咽頭拭い液によるPCR検査にかわる検査の導入に向けて準備に取り組むなど、検査能力の拡充に努めているところでございます。
今後、国際的な人の往来の部分的、段階的な再開が検討されている中、迅速かつ適切な検疫が実施できるよう、体制の強化と効率化に努めてまいります。
○藤田委員 ありがとうございます。
非常に前向きな答弁をいただきましたので、このICT化の結構重要なポイントだと思いますので、よろしくお願いします。
次に、緊急事態宣言の効果についてちょっと議論したいと思います。
六月十一日に大阪府の新型コロナウイルス対策本部専門家会議が行われまして、いろいろな議論がなされたんですが、要点として、これは報道でも大きく取り上げられているんですが、感染拡大の終息に外出自粛や休業要請又はこの緊急事態宣言というものが効果がなかったんではないかというような議論が、指摘がございました。
そこには、オブザーバーとして、専門家の意見として、大阪大学の中野貴志教授がいらっしゃいまして、K値という、これは厚労省にも事前にお聞きしたんですが、ちゃんと把握しているということで、K値は、いわゆる累積患者数当たりの直近一週間の患者数を比率で示した数理モデルで、いわゆる政策決定に効果があったか、なかったかとか、また、感染拡大がどのような曲線を描いているかということを予測又は効果検証するという数理モデルでございます。
それを見ると、この会議で出された見解というのは、三月の二十八日には恐らくピークアウトは迎えていて、そこから減少に向かっていた。その前に行われていた国民の皆さんの自発的な自粛や感染拡大防止策、マスクや消毒等も含めて、そういったものが行われていて、その後に緊急事態宣言が行われ、半ば強制的に近い営業自粛要請というのがかかって、それが劇的に更にその曲線を強めた、いわゆる感染終息に向かったという検証結果は得られなかった、つまり、事前に行われたものと同等ぐらい、又は効果がなかったんじゃないかという示唆がありました。
これは把握されているというふうにもお聞きしているんですが、誤解がないように一言申し上げますと、緊急事態宣言や外出自粛要請、営業自粛をやるべきじゃなかったんではないかという批判ではありません。未知のウイルスとの戦いですから、大きくリスクを見繕ってそれをやるということは悪くなかったと思います。それを言うのは無責任だと思います。
しかしながら、次の第二波、第三波を考えたときに、同じような、非常に経済的ダメージの大きい、広範囲にわたる、そして長期間にわたる営業自粛や外出自粛要請を出していくべきか、又は緊急事態宣言をもう一度出すべきかというところは、これは慎重にならざるを得ないというふうに思います。そういった意味で、検証をやはりすべきだと思います。
この点に関して、今の大阪府の議論への見解、又は、今後のために、緊急事態宣言や非常に厳しい営業自粛要請についての効果検証について御意見をいただけたらと思います。
○宮下副大臣 先生御指摘のように、検証しておくというのは大変重要なことだと思います。
特別措置法改正の際の附帯決議においても、危機管理組織のあり方を検討せよとか、感染症への政府がとった対応について客観的、科学的に検証せよ、また、特措法の適用の対象となる感染症の範囲について検討すること、こういった附帯決議も出されております。
この例示でいいますと、足元の感染状況もまだ油断できない状況でありますので、組織をどうすべきかとか、法制度をどうすべきかということについては、まだ検証のタイミングではないというふうに考えておりますけれども、一方で、今回の新型コロナウイルス感染症でとった対応につきましては、政府として、専門家の科学的知見に基づく助言を伺いながら、検証、改善しながら日々進めているというのが現状であります。専門家会議による状況分析、提言等、適時に御意見をいただきながら、政策に反映し、改善をしているという認識であります。
また、先生御指摘のように、感染拡大を防止しながら経済への影響を最小化するようなバランスを図るというのも大変重要な観点であります。
さまざまな指標について経済への影響を分析しているところでありまして、こういった分析も踏まえまして、第一次、第二次補正予算を打ち出してきたところであります。今後も、感染防止に努めながら、経済の再生にもしっかり取り組んでまいりたい、こう考えております。
繰り返しになりますが、新型コロナウイルスの発生の初動から終息までの全体を見渡した検証、総括につきましては、感染が終息した後の適切な時期に、組織、法制度、各取組など、各分野にわたってしっかり検証を行っていきたいと考えております。
○藤田委員 ありがとうございます。
初動から全て俯瞰した検証というのは私もずっとかなり早期から訴えてきたことなので、それを前向きにきょう御発言いただいたことにまずは感謝申し上げたいとともに、やはり、緊急事態宣言を例えばもう一回やって、同じように二カ月ぐらいやって、経済的なダメージを受け入れて、それに対して補償をちゃんとしてということは、これまた、今回でも五十兆ぐらいの真水予算、五、六十兆の真水予算を組んでいますから、これをもう一度やるというのは、相当財政にも負担がかかりますし、これはなかなか難しい問題、できれば避けなければいけない問題。
であるならば、より効果的なメッセージの放ち方というのをやらないといけないというふうなのは、恐らく問題意識として今おっしゃっていただいたと思いますので、ぜひともよろしくお願いします。
その中で、じゃ、どこが検証していくのかというのが重要な話で、最後の問いなんですが、専門家会議が先日廃止されました。ちょっとミスリードもあって、いろいろ報道が、結構極端な報道もあるなというふうに思いながら、新たな分科会が設置されると。
これは、私自身は、いわゆる政策決定を専門家会議がしているんじゃないかというような誤解を受けさせてしまったという指摘がありますけれども、私はこれは政治のコミュニケーションの能力の低さだというふうに結論づけているんですが、今後、やはりこの分科会もワークしていかないといけない、しっかりワークさせないといけない。
その中で、報道等では、もちろん今の専門家会議の主要メンバーの人も含め、都道府県知事や経済の専門家等も入っていただくというふうに話が、報道では出ていますが、この構成メンバーについて今お伺いできることがあったら教えていただきたいのが一点と、要望というか、私の個人的な考えでは、やはり都道府県知事は絶対に入れるべきだと。この二、三カ月において、現場での生の対応をやられていて、それぞれの地域差がある中で個別の補償や要請等を行ってきた都道府県知事の意見はやはり聞いて、政策設計に生かすべきだとも思います。
同時に、政策決定を専門家の皆さんがあたかも院政のようにされているような誤解を受けたということは、私は情報公開をしっかりすれば全て解決される問題だと思います。いわゆる、大阪府が専門家会議でやられているように、動画を公開したらいいんだと思うんです。そうすると、改ざんのしようもないし。ちょっと前の報道では、専門家会議から出てくる書類を政府の意向で文言を変えさせた、これは問題じゃないかということがありましたが、そういったこともできないわけです。その方が専門家の皆さんも安心して、責任を持って発言していただいたらいいわけであるし、国民の皆さんも、ニュアンスも含めて経緯を明らかにすることによって理解が深まる、そういうやはり国民とのコミュニケーションをやるべきじゃないかというふうに思います。
ですから、新しい分科会においては、構成メンバーはどのようにお考えかということと、情報公開のあり方、これについて御意見をいただけたらと思います。
○宮下副大臣 新しく設置される分科会のメンバーにつきましては、感染症や疫学の専門家の皆様に加えまして、経済学者、そして今御指摘の知事、また病院経営者や企業経営者等を加えた幅のある構成としたいと考えておりまして、人選については、専門家会議との連続性を踏まえつつ、まさに今検討しているところというのが今お答えできるぎりぎりのところであります。
新しい分科会の議事の記録の取扱いにつきましては、具体的には第一回の会議で先生方にお諮りすることとなりますけれども、先般、専門家会議において決められました、発言者名を明らかにした議事概要を作成して公表するという扱いを踏襲したいと考えております。
全てを公開する、こういうことにつきましては、議論が個別の地名や個人情報等も含む機微な事項について行われる可能性があること、また、専門家の先生方についても個人攻撃や訴訟などのリスクにさらされるおそれもあるということで、会議全体を公開することは適当ではないと考えているところであります。
このため、新分科会におきましても、自由かつ率直な議論をいただくため、これまでの専門家会議における取扱いと同様としたいというふうに考えております。
○藤田委員 非常に慎重な態度、情報公開については慎重な姿勢だということは理解しておりますが、私は、これは専門家の皆さんは受け入れてくださると思うんですね、専門家の皆さんから専門家としての意見をいただくと。それから、個別のプライバシーにかかわるようなことは、公開されているから控えるというのは、これは当たり前のようにできることだし、結論を言うと、私は政治サイドや意思決定側がやりたくないんだろうなということを思ってしまいます。
ですから、これはまた今後の課題として、後で何か意図を変えて出したとかというのは不信感につながることだと思いますし、これを公開して、実力も含めて可視化していくということは政府の信頼も高めることだと思いますので、ぜひとも検討していただきたいということで、きょうは終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○盛山委員長 本日は、これにて散会いたします。
午後零時八分散会