衆議院

メインへスキップ



第14号 令和3年4月21日(水曜日)

会議録本文へ
令和三年四月二十一日(水曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 とかしきなおみ君

   理事 大岡 敏孝君 理事 門  博文君

   理事 菅原 一秀君 理事 長尾  敬君

   理事 橋本  岳君 理事 中島 克仁君

   理事 長妻  昭君 理事 伊佐 進一君

      青山 周平君    安藤 高夫君

      上野 宏史君    大串 正樹君

      大隈 和英君    神田  裕君

      木村 次郎君    木村 哲也君

      木村 弥生君    後藤 茂之君

      後藤田正純君    高村 正大君

      佐藤 明男君    斎藤 洋明君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      田畑 裕明君    武井 俊輔君

      百武 公親君    細田 健一君

      村井 英樹君    盛山 正仁君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      渡辺 孝一君    尾辻かな子君

      大島  敦君    川内 博史君

      白石 洋一君    津村 啓介君

      西村智奈美君    松田  功君

      山川百合子君    山井 和則君

      吉田 統彦君    早稲田夕季君

      高木美智代君    桝屋 敬悟君

      宮本  徹君    青山 雅幸君

      高井 崇志君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   内閣府副大臣       三ッ林裕巳君

   厚生労働副大臣      山本 博司君

   内閣府大臣政務官     岡下 昌平君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  松田 浩樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君

   政府参考人

   (内閣法制局総務主幹)  嶋  一哉君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 海老原 諭君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 難波 健太君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           彦谷 直克君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            千原 由幸君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        藤原 朋子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 田島 浩志君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   宇波 弘貴君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     出倉 功一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  正林 督章君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           渡辺由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    赤澤 公省君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 伊原 和人君

   政府参考人

   (特許庁総務部長)    小見山康二君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     神田  裕君

  小島 敏文君     斎藤 洋明君

  武井 俊輔君     村井 英樹君

  津村 啓介君     吉田 統彦君

  山川百合子君     松田  功君

同日

 辞任         補欠選任

  神田  裕君     国光あやの君

  斎藤 洋明君     盛山 正仁君

  村井 英樹君     武井 俊輔君

  松田  功君     山川百合子君

  吉田 統彦君     津村 啓介君

同日

 辞任         補欠選任

  盛山 正仁君     細田 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  細田 健一君     八木 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     小島 敏文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

 高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案(西村智奈美君外十名提出、衆法第一一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

とかしき委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案及び西村智奈美君外十名提出、高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として独立行政法人地域医療機能推進機構理事長尾身茂君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官松田浩樹君、内閣審議官内山博之君、内閣審議官梶尾雅宏君、内閣法制局総務主幹嶋一哉君、内閣府大臣官房審議官海老原諭君、大臣官房審議官難波健太君、規制改革推進室次長彦谷直克君、科学技術・イノベーション推進事務局審議官千原由幸君、子ども・子育て本部審議官藤原朋子君、外務省大臣官房審議官田島浩志君、財務省主計局次長宇波弘貴君、文化庁審議官出倉功一君、厚生労働省大臣官房総括審議官山田雅彦君、大臣官房審議官大坪寛子君、医政局長迫井正深君、健康局長正林督章君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、職業安定局長田中誠二君、子ども家庭局長渡辺由美子君、社会・援護局長橋本泰宏君、社会・援護局障害保健福祉部長赤澤公省君、老健局長土生栄二君、保険局長浜谷浩樹君、政策統括官伊原和人君、特許庁総務部長小見山康二君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

とかしき委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。今日も、お疲れのところ、よろしくお願いをいたします。

 立憲民主党、長妻昭でございます。

 大阪、東京にも、兵庫にもですかね、緊急事態宣言が今まさに出ようとしているさなかの質疑、しかも、この法案質疑が、七十五歳以上の人の窓口自己負担を倍増するという法案、非常にちぐはぐな審議が今されているということで、その審議に立って質問するというのも内心じくじたる思いがあるのでございますが。

 一番重要なことは、これは前から申し上げているとおり、共通認識だと思いますが、助かる命が助からなくなる、これは国家として絶対に招いてはならない。この事態が大阪でまさに今起ころうとしている、いや、起こっている、事実ではないかというふうに思います。

 その中で、田村大臣、政府はやはり本気で反省してほしいと思うんですね。緊急事態宣言の解除について、まず。反省なくしては的確な対策というのは打てないし、また失敗するというふうに思います。

 大阪も東京も、やはり緊急事態宣言の解除が早過ぎたのではないか。特に東京については、私も東京に住んでいますから、肌感覚として、先月の二十一日に解除する、これは幾ら何でもおかしいということで、解除前に再三再四駄目だと申し上げ、我が党の枝野代表も解除前に解除は危ないと再三再四申し上げたにもかかわらず、振り切って解除してしまったということで。

 これは、今お配りしているのは、昨日の「ニュースウオッチ9」というNHKの番組で報道された図でございますけれども、夜の繁華街、夜八時から十時までの繁華街の人出ということで、大阪は緊急事態宣言解除の二月二十八日からぐんと伸びて、人出が増えた。東京もぐんと伸びて、三月二十一日以降、人出がもう垂直に近い形で伸びたということでございます。是非、政府は本当に反省してほしい、田村大臣含めて閣僚の皆さん。

 尾身先生にお伺いしますが、やはりこれは、東京、大阪について緊急事態宣言は解除は早過ぎた、こういうような総括というのは、あるいはそういうようなお気持ちというのは今思っておられますか。

尾身参考人 解除の時期については、いろんな意見があると思います。

 それで、東京も大阪も、そもそも政府の方は、解除の条件として、ステージ3になって、それから、更にステージ2の方に向かっているということは、ずっと言っていたわけですよね。そういう意味で、当時は、東京も感染の方はもうステージの2になっていたと思います。

 そういう意味で、ただ、委員おっしゃったように、ちょっと2になっているんだけれども少し上がりかけたというところはあると思いますが、そういう意味では、解除自身は前から言っていた基準に合ったので、そこは私は合理性があったと思って、当時の諮問委員会の会員全員も、ここはしようがないんじゃないか、ずっと緊急事態宣言、ただし、と同時に、諮問委員会の全員が同時に意見を述べたのは、これはもうリバウンドが必ず起きるから、そっちの方に全力をしっかりと注入して、リバウンドがあった場合にはすぐに強い対策を打ってほしいということを申し上げて、まあ、そういうことで。

 ただ、今委員の解除のことについては、いろんな経験もあるので、変異株のことがあるので、これからは、解除については今まで以上に慎重に、それからなるべく感染を下げるということは、これからの解除の仕方として私は当然のことだと思います。

長妻委員 そうすると、尾身先生のちょっと今の御発言でありますと、リバウンドは必ず起こるという前提で解除したということで、今回ぐらいの事態というのは予測済みで解除されたということでございますか。

尾身参考人 私たちは、リバウンドが起こるということはもう想定しておりました。大阪の場合はここまで来たという、大阪についての今度の諮問、例の重点措置の時期がどうだったかというのは当然議論があると思いますけれども、今の委員の御質問のリバウンドは、想定したかという意味では、これはもう間違いなく想定をしておりました。

長妻委員 そうすると、今、こういう事態、大阪、東京の、特に大阪の医療崩壊、これは、じゃ、予想済みでこのぐらいになるだろうということで、リバウンドはこのぐらい起こる、今ぐらいの規模で、中身で、これを分かっていながら解除した、こういうことでよろしいんですか。

尾身参考人 今現在、大阪が直面しているような状況ですよね。これは、私は、もう医療の逼迫、一般医療にも深刻な影響が出て、こういうことを当然想定して、こういうことがないようにという意味で、それを防止するために、リバウンドの兆候が多少でもあれば早く対策を打ってほしいというのが、当時の諮問委員会の総意だったと思います。

長妻委員 これは、閣僚の皆さんも政府の皆さんも、ちょっと曖昧にしてはいけないと思うんですね。ちょっと、今の御発言でありますと、失礼ながら、いや、このぐらいの今日の事態は想定して、このぐらいのリバウンド、このくらいといってもこれは大変なことですけれども、それで解除したんだ、こういうように聞こえるんですけれども、そういうことでよろしいんですか。

尾身参考人 そういうことでは決してございません。今のような大阪が直面している状況を許容するなんてことは全くありませんで、こういうことがないように、しっかりと早い対策、リバウンド防止の対策ということでいろんなことを申し上げてきたと思います。

長妻委員 そうすると、尾身先生の専門家の目から見て、政府のこの緊急事態宣言の解除について、何らかの後悔というか、これはもう少しこうすればよかったというようなものはございませんですか。

尾身参考人 これは、私は、解除の時期というものはなかなか一〇〇%正解はないと思います。実際、あのときも、緊急事態宣言を出していながらも、人流というのは徐々に上がってきていたわけですね。効果がだんだん薄まっているということも一方であった。ただし、一方で、委員おっしゃるように、なるべく感染のレベルを下げて、ゼロに近くしたいという思いは当然ありますよね。そこの言ってみれば判断だと思いますけれども。

 先ほど申しましたように、ステージ2になったら一応解除すると前から政府は言っていたわけですね。我々も、それについては一応諮問委員会として認めた。

 ただし、やはり問題は、私は、課題は、リバウンドはもうこれは再三再四あると申し上げて、今委員も申し上げたような、ああいうふうな今の大阪になるようなことは絶対に避けなくてはいけないので、少しでも小さな山という予兆があったら、いわゆるハンマー・アンド・ダンスですけれども、このことをやるということが特に、当時はまだ変異株のことが余り問題になっていませんでしたが、そういう意味では、今はもう少し、これからはしっかりと下げるということが今まで以上に大事になるということは、その部分はあります。

 これは正解はなかなかないんですけれども、あのときの解除というのは、いろんな総合的意味では私は合理性はあったと思いますけれども、むしろ、我々が強調したのは、リバウンドが来るから、それにどう早く対応するかということで、これは今も重点措置の、あるいは緊急事態宣言が今議論になっていますけれども、そういう精神で私はやる、なるべく早くやるということがこれから更に、特に変異株のことがあるので、求められていると思います。

長妻委員 やはり、過去のそういう判断の総括、反省というのはきちっとしなきゃいけないというふうに思いますし、ステージ2だからいいんだということではないというのは再三再四分科会でもおっしゃっていたはずなんですね。いや、ステージ2とか3とか単純ではなくて方向性だと。そして、リバウンドが起こらない程度まで抑え込めるかどうかを、それもよく見なきゃいけない、医療の逼迫度合いも見なきゃいけない、単純なステージ判断では駄目なんだ、こういうふうにおっしゃっていたはずなんですね。

 この東京の解除のときの、判断した三月十七日の水曜日は、一か月ぶりに新規感染者が四百人を超えたんですね。あるいは、三月十八日、判断の前後ですけれども、これも、それまでの一週間の平均は前週を上回ったんですね。どんどんどんどん新規感染が急拡大しているときに解除しちゃった、解除の判断をしてしまったということで、我々は警鐘を鳴らしていたんですが、リバウンドは起こるのは想定済みだとちょっと言われると、なかなか我々も納得できない。

 やはり、我々はゼロコロナ戦略という、海外でも取られている政策、政府のウィズコロナではなくて、つまり、リバウンドができる限り起こらないレベルまで下げたときにそういう事態を解除するなりそういう判断をしなければ、かえって経済にもマイナスになる、こういうことを再三再四申し上げたわけでございます。

 そして、よく政府は、こういう事態の宣言を出しても出さなくても、重要なのは中身なんだ、何をやるかなんだ、こういうふうにおっしゃっているんですが、それもそうなんですけれども、やはり緊急事態宣言という言葉の重みがあるんですよ。

 事実、老健局が、これも恐縮なんですが、厚労省のことで、クラスターを起こしてしまいましたね。これは、三月二十四日に例の宴会をして、深夜まで、クラスターを起こしてしまったということなんでございますが、これについても、その宴会を主催した課長に間接的にお話を聞きますと、二十一日に緊急事態宣言が明けたからやっていいと思った、こういうふうにおっしゃっているんですよ。つまり、政府が言うように、中身なんだといっても、国民の皆さん、厚労省ですら、緊急事態宣言が明けた後、よし、繰り出そう、こういうマインドになっちゃうわけですよ。

 だから、是非、空振りを恐れないということも尾身先生はおっしゃっておられたと思いますので、今、政府は、これは最終的には総理大臣が判断するわけなので、総理にも本当は申し上げたいのは、空振りなんか一度もないじゃないですか、今の日本で。つまり、後手後手に回ったから、空振りようがないんですよ。やはり、先手でいって、空振りを恐れないで、緊急事態宣言を出していくということが本当に必要だというふうに思いますので、是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 尾身先生、ありがとうございました。ここで結構でございます。ありがとうございました。

 そして、ちょっとこの法案の審議に入る前に、田村大臣に一点だけ。

 今、いろんな方から私のところにも意見が来るのは、ワクチンを接種する、打つ主体であるお医者さんや看護師さん、この方々は、ワクチンを打たないで高齢者の接種に励んでおられる方もいるので、それは幾ら何でも、やはり接種する主体のお医者さんや看護師は、まずワクチンを、その会場で、その場でもいいから打った上で、そういう接種の主体としてやるべきだという意見が非常に強いんですが、そのぐらい大臣、指示すればすぐできると思うんですが、それを指示していただけませんか。

田村国務大臣 今、接種全体の対応というのは、河野大臣の下でやっていただいております。河野大臣と我々も連絡を密に取らせていただいているんですが、五月の十日の週に、累計四百八十万人分が、二回接種できる量が入ってくるということでございますので、早急にワクチン接種、医療関係者の方々、二回という形でございますけれども、対応すべく準備を進めているというふうにお聞きをいたしております。

長妻委員 いやいや、接種主体の医療関係者にも優先的にお願いしたいということなんです。

田村国務大臣 高齢者に関しましては、今、六月末までに高齢者全員分、二回目も含めて、打てるだけの供給量が入ってくる予定であるというふうに、これも河野大臣の方からも報告を受けておりますけれども、当然、いろんな形で、高齢者の方々を打つ中において、医療関係者の方々に対しても、打てる環境というものがありますから、そういうのは、高齢者の方々を打つ中において、医療関係者の方々が、日々の状況の中で、余ってくるという言い方はよくないですけれども、ワクチン等々に余裕がある場合には、それは医療関係者も打つべきである、こういう発言を河野大臣がしていただいているというふうに認識いたしております。

長妻委員 与党の皆さんも、これは余りにも冷たいと思いませんか。高齢者で打つ分が余ったら、接種主体の医療関係者にも打ってやると。そんなばかな話があるのかね。

 これ、ちょっと、田村大臣、河野大臣だけに任せないで、所管なんですから、お医者さんの。やはりそこは、そんな、何百万人もいないわけですから、それは、モチベーションが下がりますし、今確保が難しいわけですから、是非リーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 そして、今回の、後期高齢者の窓口負担が倍になるという、この今の法案でございますけれども、我々は、そういうことではなくて、保険料の賦課限度額を上げて、非常に富裕層、七十五歳以上の、その方に保険料をもう少し御負担をお願いする、こういうことと、一部公費を合わせて、現役世代の負担を軽くすべきだ、こういう主張をずっとしているんですが、政府はかたくなに、二割負担、自己負担倍増で突っ走っているわけです。

 その中で、田村大臣が、前回の私の、前々回ですか、私との質疑で、いやいや、自己負担を上げても平均寿命が下がったということはないんだよ、こういうようなことを答弁でおっしゃったんですね。

 これについて、実は、それを見ていた医療経済学者の方から、私のところに、非常にこれは深刻な話ですということで御連絡があって、その方ともお話しいたしました、ほかの医療学者の方ともお話しいたしましたところ、これは、平均寿命が、一九九八年から九九年、下がった、原因がこれはなかなか分からない。二〇〇四年から二〇〇五年も平均寿命が下がった、これも原因がなかなか分からない。今まで、リーマン・ショックのときも少し下がって、これはある程度リーマン・ショック絡みではないか。東日本大震災のときも若干下がって、これも東日本大震災ではないかということだったんですが、冒頭申し上げた二つについてはなかなか原因が分からないとおっしゃるんですね。

 その医療経済学の大学の先生がおっしゃるには、例えば一九九八年から九九年に下がった平均寿命については、もしかすると、その前の年にあった被用者保険の窓口負担が一割から二割に上がった、あるいは高齢者の自己負担が増えた、このことが影響しているのではないのか。あるいは、二〇〇四年から二〇〇五年に平均寿命が下がったのは、二〇〇三年に被用者保険が二割から三割負担になったんですね、窓口、現行になった。あるいは、二〇〇二年には、高齢者の窓口負担一割、これが確定した。こういうことが影響をしたのではないか、ほかになかなか原因は思いつかないんだというふうにおっしゃっておられて、これは私はショックを受けました。

 これが事実かどうかというのは分かりませんけれども、そういう、ちゃんとした学者の方から指摘があるわけですから、大臣、事実だとしたらこれは大変なことだと思うんですよ。大臣の答弁に関わることでございますので、これをきちっと調査すると御答弁いただけませんか。

田村国務大臣 先ほど申し上げました、私、余ったらというのを訂正させていただいていますので、ワクチンですね、現場で。要するに、現場において、そこで自治体等々の御判断であれば、言われるとおり、打つ方がワクチンを打っていないということ自体、いろいろと御不安な部分もありますので、それは打っていただいていい、自治体の判断でございますけれども、ということでありますので、そこは御理解いただきますようにお願いいたします。

 今の部分に関しましては、ちょっと勉強させていただきます。

長妻委員 いやいや、自分で勉強するんじゃなくて、ここの委員会で示してくださいよ、厚労省の見解を。

 いやいや、長妻が言ったり医療経済学者が言っているのは心配にすぎない、杞憂にすぎないんだよ、こうこうこういう理由なんだよと。なのか、いやいや、これはひょっとするとひょっとするんだということなのか。

 ひょっとするとひょっとするということであると、与党の皆さんだってこれは黙っていられないと思いますよ。すんなりこの法案を成立というわけにいかないと思いますので、この委員会で、どういう状況なのか、次回にでも報告いただけませんかね。

田村国務大臣 取りあえず勉強させていただきます。そう簡単には多分分析できない話だと思いますし、まず勉強をさせていただくということをいたしたいと思います。

長妻委員 ちょっと軽過ぎないですか、取りあえず勉強しますと。与党の皆さん、大丈夫なの、これ。

 だって、平均寿命が下がって、医療経済学の先生がおっしゃっているわけですよ、さっき申し上げたように。多分分からないから勉強しますと。何にも調べないうちに多分分からないという話は無責任じゃないですかね。

 委員長、この委員会に、この採決の前に、与党が、生煮えのまま採決をしたいということを先ほど理事会でおっしゃいましたけれども、採決の前に、この今私が申し上げた疑念を払拭するような、そういう見解、調査、分析、これを厚労省からいただくということで、理事会で御検討いただければ。

とかしき委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

長妻委員 それに本当にこだわるのは、いろんな、日医総研の調査なんかも、昨日の参考人で二木先生がおっしゃいました、それも拝見しましたけれども、非常に大丈夫かなという調査なんですね。自己負担が上がると受診を控えていく、そして、経済的理由で受診しない場合、相当数の方が病状が悪化する、こういうような調査もあるわけでございます。

 その中で、六ページを見ていただきますと、昨日、参考人で二木先生がおっしゃっていたことでございますが、厚生労働省の今回の、七十五歳以上、二倍に自己負担を上げる、これを議論した審議会の部会、医療保険部会の資料、令和二年十一月十九日の資料の中で、窓口負担の見直しに係る財政影響というのが出ているんですね、五パターン。ここに、下にちょっと線を引きましたけれども、米印の三ということで、本当にこれは老眼の方はちょっと見えないんじゃないかと思うんですが、いわゆる長瀬効果も見込んでいると。医療費の増減効果、いわゆる長瀬効果を見込んでいる、金額は書いていませんけれども。

 ということは、部会にも、医療抑制で九百億浮くんだよと、こういう九百億という数字は一切出さなかったんですか、部会の先生にも。

田村国務大臣 これは審議会での資料ということですよね。ここに書いてありますので、長瀬効果を含んでいるということは前提でありますし、多分、これは我々与党も、毎度こういうふうに、自己負担等々上がる場合は、長瀬効果というのはずっと議論をしてきて、大体自民党の社会保障をやってきた方々は長瀬効果という言葉をよく知っておられるんだというふうに思いますけれども、審議会の方々も、こういう場合には長瀬効果というものを見込んでいるということは、基本的には御理解いただいているんだろうと思いますけれども、ここにちゃんとそれも注釈で入れさせていただいているということでございますので。

 そういう意味では、与党の中の議論の中でも長瀬効果の議論はあったというふうにお聞きをいたしておりますので、しっかり御認識をいただく中において、今回の御判断をいただいたものであろうというふうに理解をさせていただいております。

長妻委員 いやいや、質問に答えていただきたいのは、長瀬効果は書いてありますが、九百億円という具体的な、初回でいうと一千八百億円超財源が出る、そのうちの九百億の、半分も受診抑制で出るんだよと。九百という数字は出ていないんじゃないですか、部会で。

田村国務大臣 ちょっと私、具体的にどういう議論が委員の中から出たのかどうかは今把握しておりませんが、長瀬効果というのはそういうかなりの額が出るというものは、以前からそういう認識で、我々も、今まで何回か改正する中において、長瀬効果というのを党内でもいろいろ議論してまいってきておる経緯がございます。審議会でも御理解はある程度いただいているものだというふうに認識いたしております。

長妻委員 いやいや、ちょっと答えていないですね。九百億円という具体的数字、これは重要なんですよ。審議会の部会の中で具体的に九百億ということが、資料では示されていません、全部見ましたし。全部傍聴した方からも聞きましたが、そういうことは出ていないと言っておりますので、それで確認をしているんですよ。

 これはちょっと一回整理してください、一回中断して。

田村国務大臣 ですから、ここには金額はお示しはしていないということは事実でありますので、その上で、全体の金額をお示しして影響等々をお示しをいたしておりますので、その中での御理解だと思います。

 長瀬効果というのは、それぞれ、以前から、こういうことをやったときには長瀬効果というものがあるということは、大体、関係されている方々は御理解いただいているものだと思いますが、あえてここで注釈で、長瀬効果というのを見込んでいますよということをここに書かせていただいておるということでございますので、入っている中で、全体の影響額はこれぐらいあるという中で御理解をいただいているということで認識いたしております。

長妻委員 昨日の参考人の二木先生も、九百億というのを見て、初めて見た数字だということで、驚いておられました。

 今認めましたけれども、この部会では九百億という具体的数字が出ていないということですよね。部会の、言葉で出たということなんですか。(田村国務大臣「そこは確認していない」と呼ぶ)じゃ、確認してください。

田村国務大臣 今、事務方に確認しましたけれども、発言もなかったという話であります。

長妻委員 これは、与党の皆さん、審議会で議論して大丈夫だということで閣法が出てきているわけですが、九百億受診抑制があるという数字自体が一切示されていないんですね。大丈夫なんですかね。

 宮本議員の質問で、与党の、つまり、最終的に公明党の代表と菅総理ですかね、それで、今お配りした六ページの真ん中の上位三〇%に決まったんですよ、五パターンの中で、どれにしようかなということで。これのときも九百億というのが示されていないというのは、宮本議員の質問でも答弁で出てきた。

 何にも分からずに、それだけの受診抑制があるというのも分からずに決めちゃって大丈夫なんですかね。もう一回やり直す必要があるんじゃないですか、先生方に聞いて。非常にこれは無責任だと思いますよ。自民党の人、笑っていますけれども、笑っちゃ駄目だよ、これ。

 私、本当に高齢者の人にちょっと冷たいと思うんですね、七十五歳以上の人に。どうせ一割なんだから、前期高齢者は二割、現役は三割なんだから、まあ二割ぐらいいいんじゃないか、根拠根拠と野党が言っているけれども、そんなものあるわけねえだろうと言わんばかりの答弁だと私は思うんですよ。それ、本当に大丈夫なんですかね、高齢者。

 高齢者は一割だからという方がいるんですが、御存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、七十五歳以上になると、一人当たりの医療費、つまり、病院にかかる頻度が増えて、一割負担でも、年齢によっては現役の三割負担よりも絶対額の自己負担の金額が大きくなる方がたくさんおられるんですよ。よく分かっているのは桝屋先生だけかもしれませんけれども、よく分かっている与党の方がもっと増えてほしいと思うんですね。

 だから、是非、こういう何か根拠が曖昧なまま、七十五歳以上の方々を軽く見ているんじゃないかなと私は思いますよ。我々現役のときの体調と違うわけですから、いろんな調査があるわけですから、そこはもうちょっと丁寧にやっていただかないと。

 この五つの中で、じゃ、真ん中に決めたのは何でなんですかね。この真ん中に決めたのは、これは与党のお二人に聞かなきゃいけないんですが、何か科学的、ある程度の根拠があって真ん中の、今の、年収二百万であればそんなに影響がないというエビデンスがあって決めたのか、どれにしようかなで決めたのか、利害関係で決めたのか、もめるからこれにしたのか、そういう根拠も何にも示されないじゃないですか。ただこれをやれ、採決しろと。無責任だと思いますよ。

 これも宮本議員が本会議で聞いたところ、総理はこうおっしゃっているんですね。受診行動の変化による減少は九百億円だと。これは認めました、菅総理も、四月八日の答弁で。このことが直ちに患者の健康への影響を意味するものではない、こういうふうに断言されたんですね。健康への影響を意味しない、直ちに、これはどんな根拠なんですか。

田村国務大臣 何度も申し上げておりますけれども、長瀬効果を今回の場合に当てはめた場合に九百億円というのは、これはマクロ的に見た数字で、要はこれ全体は、今までの経験則から長瀬方式というもの、こういうものを入れた場合にこういう形になってくるというのは、これはある程度、その証左というのは出てきているわけであります。マクロ全体でありますから、それが健康に与える影響とかそういうものを示しているわけではないということを総理はおっしゃっておられるというふうに思います。

 何度も申し上げておりますが、結果的に外来は、確かに言われるとおり、平均でありますが、三十三回の医療機関にかかっているのが三十二・二回ということで、年間〇・八回減ります。月でいうと〇・〇七回受診が、回数としては、マクロではそういう減少をするという数字が出てきておりますが、それはあくまでもマクロの数字であって、それが健康に対して影響を与えるというような証左ではないということをおっしゃっておられるということであると認識をいたしております。

長妻委員 そんな子供だましの答弁でいいんですかね。与党の皆さんはどう思います。

 今のおっしゃったのは、長瀬効果というのはあくまでもマクロの計算式ですよ、机上の計算をして九百億と出たんですよと。それだけの話なんだから、今おっしゃったように、健康に与える影響を示しているわけじゃないんだよ、こういうふうにおっしゃったんですね。

 長瀬効果そのものは、机上の空論というか机上の計算ですね、計算でこのぐらい出ると。これは分かりますよ。ただ、私が聞いているのはそのことではなくて、そうすると、受診抑制が起こるわけですよ、個々の一人一人の人間を見ると。人間を見てくださいよ。

 そうすると、その積み重ねでそういう数字が出るということが、患者さんの行動である程度把握できるということで、その原理が出ているわけですから、その根本には一人一人の患者さんの行動があって、その行動で受診抑制が起こる、これは事実なわけで、その受診抑制が起こった一人一人の患者さん、この方々の中で、かなりの方あるいは一部の方、どのくらいの方が健康に悪影響を及ぼすような状況になるのかということを聞いているんですよ。

田村国務大臣 ですから、所得上位三〇%、年金を、四十年間平均的な収入で保険料を納められてもらえる年金額より以上の方々、収入がある方々に対してということが一つですね。医療を受けていただける、それだけの御収入があるであろうということの判断の下、今回こういうような二割負担という、もちろん経過措置を取りますのですぐということではありませんけれども、三年間、上がっても月額三千円が上限というような形になりますが、外来の場合。そういう措置を取って対応させていただく、必要な医療は受けていただけるということを我々は考えながら、こういうことをさせていただきました。

 ただ、計算上、言われるとおり、長瀬効果というのは、平均で、月にしますと外来が〇・〇七回減る、そういう数字が出てきているのは、これは長瀬効果は事実でありますから、その部分は、平均すると〇・〇七回、月、外来に行かれる数が減る、年間でいうと〇・八回減るということでございますので、それはそれでお示しをさせていただいておるということでありますが、必要な医療は受けていただけるという方々に対して、今回御負担をお願いをさせていただいているということであります。

長妻委員 これは大臣、根拠は何なんですかね。

 上位三〇%の場合、今の年収二百万であれば、必要な医療は受けていただけるレベルなんだ、こういうことですけれども、必要な医療は受けていただける、そういう水準で二割上げているという根拠はあるんですか。

田村国務大臣 これも平均的になりますけれども、その収入層で、どれぐらいの、生活費の中において余裕があるか等々を考えつつ、この負担の上昇に対しても対応いただけるだろう。あわせて、同じ収入世帯で、例えば、現役世帯の方と比べてどうであるか、また貯蓄がどうであるか、こういうことも踏まえながら、今般、このような形で御議論をいただいて、決定をさせていただいたということであります。

長妻委員 何か家計調査で、大体このぐらいなら金が余っているからいいんだろうみたいな。現役の人の収入と比べちゃ駄目ですよ、同じ収入の人と比べるとおっしゃいましたけれども。後期高齢者は、さっき申し上げたように、医療にかかる頻度が全然違うんですよ、現役の方に比べて。こういう、与党の方、本当にいいんですか、大ざっぱな。もう少し何らかの資料がなくて、採決なんて突っ走っていいんですか。このコロナの中で。

 田村大臣がおっしゃいました配慮措置ですけれども、これも、配慮措置を受けられるのかなと思うんですよ。これは与党の方も是非聞いていただきたいんですが、七ページですね。

 これは、後期高齢者の方で、平成三十一年の三月だけ、一か月だけ限定して、受診した医療機関は、一人が何医療機関受診したのかを調べていただくと、一件だけの方は四六・五%、つまり半分以下なんですよ。半数を超える方が二件以上の、結構多いのは歯医者さんともう一つのところ、あるいは、体があれなんで整形外科ともう一つのところとか、いろいろ、二つぐらい受診する。

 そうすると、一つの病院だけ受診した七十五歳以上の二割負担の対象者は、何もしなくても上限三千円で収まるんですよ、増加が、二割になったとき。これはこれでいいんですが、ただ、それも三年でなくなっちゃうわけですよ。がんとまた上がる。

 ただ、複数受ける場合は自分で申請しなきゃいけない。役場から書類を取り寄せて、書類を申請して、いろんなことを書いて、領収書も全部添付して。つまり、一つの病院で千五百円だった、自己負担が、今月。もう一つの病院が千円だった、二千五百円になる。もう一個が千円だった、三つ足すと三千円を超えるので、差額が償還、後でお金が戻ってくる。こういう仕組みなんですね。

 これは、ほとんどの高齢者の人、できないですよ、この手続は。公明党と自民党も、配慮措置があるあるとよくおっしゃいますけれども、事実上、これは難しいですよ、そんなこと。コロナの中で。あるいはコロナが終わった直後でも。あるいはコロナがなくても、そんなの分かりますか。ここで七百円、ここで二千円、ここで足し算するとこれは増えたから、ここで申請して、書類を取り寄せて、それを提出する。事実上できないんじゃないんですかね。できるんですか。それは知っていましたか、そういう複数の。知っていながら与党が合意したのならいいんですけれども、知らなかったんじゃないですかね。ちょっと大臣、どうですか。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

田村国務大臣 与党は知っておられたんだと思うんですけれども、高額療養費というのは一般的に使われるものでございまして、今も多くの方々が御利用いただいております。

 初回申請していただくと、後はもうそのまま、登録された口座に、その後は自動的に振り込んでいただくという形になろうと思いますので、それは与党の先生方は知っていただいていると思いますが、今、長妻委員の御心配は、多分、その初めの申請のところをなかなか皆さんが対応いただけないのではないかという御心配だったという、それでいいんですよね、そういうことですよね。

 でありますので、そこは、そういう御心配のお声もありますので、どういう仕組みでそういう方々に対してもちゃんと高額療養費の対応ができるかというのは、ちょっと今、検討中でございます。

長妻委員 検討中ということで、非常に心もとないんですけれども。

 今も与党の方からやじが飛んで、いや、高額療養費制度なんて高齢者は知っているんだ、ばかにするなみたいなやじがありましたが、七十五歳以上で高額療養費制度を使っている人って何%ぐらいなんですか。

田村国務大臣 済みません、突然の御質問なので。

 入院されている方は、高額療養費、ひっかかる方々が多いので、御申請いただいている方はかなりいられるということでありますが、ちょっと、パーセンテージが、どれぐらい高齢者の方々で入院されている方々がおられるのか、今手元にすぐないので、また後ほど、お調べをさせていただきます。

とかしき委員長 長妻昭君、申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

長妻委員 私も、私の周りにおられる七十五歳以上の方に聞きましたら、それは何千人、何百人も聞いておりませんけれども、高額療養費制度を使っている人はいませんでした、私の周りには。

 だから、そういう意味では、三千円とかそういう金額の中での形で、つまり、皆さんが錦の御旗のように、配慮措置があるから、配慮措置があるからというふうに繰り返されるから、それはそんなに簡単に受けられるものじゃないんだよ、非常に手続が煩雑なんだよということを申し上げて、この法案については、一旦立ち止まって、さっき申し上げた課題をきちっと説明できるようにした上で前に進めていただきたいというふうに強く思います。

 余り高齢者を軽視をすると、かえって病状が悪化して、医療費もかえって高くつく、こういうことは往々にして起こるわけですから、是非心していただきたいと思います。よろしくお願いします。

とかしき委員長 次に、山川百合子さん。

山川委員 おはようございます。立憲民主党・無所属の山川百合子でございます。

 私も、法案審査の方から入らせていただきたいと思います。

 ただいまの長妻委員からの御質問の中でも、本当に、二割負担にすることで影響がどうなのかということが厚労省側がきちっと調査ができていない、説得に足るような説明に至っていないというような印象を強くやはり持つわけであります。

 それで、私も、やはり医療費の財源をどうしていくのかというのは非常に難しい問題だという認識はもちろん持っております。ただ、今回、コロナ禍の中で後期高齢者の医療費の負担を二割に引き上げることが果たしてどうなのか、そして、本当に、そのことによって受診控えが起こって、そのことが健康被害につながっていくんじゃないかということを私も大変懸念しております。

 そこで、最初に、繰り返しになるのかもしれませんが、伺いたいのは、年収単身二百万円とした根拠、そしてその妥当性ですね、上位三〇%、五段階のうちの真ん中ということの説明はございますけれども、より明確に、二百万円だとどうして二割にしても大丈夫だというふうに判断をされているのか、その根拠と妥当性について御説明をいただきたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来大臣からも御答弁申し上げておりますけれども、一つは、年収ラインの中で上位三〇%に相当する収入であること、それから、年金額として平均的な年金額を相当程度上回る水準であるということと、現役世代の負担軽減といったことを総合的に勘案して決定したわけでございます。

 また、配慮措置も三年間講ずるといったこと、また、生活状況につきましては、貯蓄が若い方に比べて多い、それから、平均的な世帯における支出モデルとして計算いたしますと、この年収二百万円以上の世帯につきましては収入が支出を一定程度上回る、こういったことを総合的に勘案いたしまして決定したものでございます。

山川委員 総合的に勘案したということですが、必ずしも皆さんが余裕のある、貯蓄が十分あるとは限らないわけであります。

 それで、結局、年収二百万ということを基にしているということは、二百万円あれば一年間の生活がきちっと成り立つということが明確にされていないと、なかなか根拠と妥当性の説明としては十分ではないんじゃないかなというふうに思うんですね。それぞれいろいろな事情がありますし。

 そこで、私の疑問というか関心事として、生活保護の方々は医療費は無料です。ですので、医療にかかる際に医療費を心配することはなくていいわけでありますが、生活保護の方は、もちろん、どこに住んでいるかとか、いろいろな要件というか、ありますけれども、例えば、東京に住んでいて七十五歳の単身の方というふうに考えたときに、もちろんどういうところに住んでいるかにもよりますけれども、生活扶助費そして住宅扶助費を合わせると、一月十三万円強ですね。ですので、年間にして百六十万円ぐらいじゃないか、ざっくりですけれども、というふうに思うわけであります。

 二百万円の収入の方は、そこから税金を払わなければいけませんし、保険料も払わなければいけません。そして、そこから医療費も払っていかなければいけないですし、また、決してぜいたくはしていなくても、どういうところに住んでいるか、持家なのか、それとも家賃が生じているところなのか。家賃が生じているといっても、必ずしも生活保護の方が住宅保護費の中で住めるアパート等に住んでいらっしゃるとも限らない。

 もちろん、すごくぜいたくな暮らしをしているということを前提としているわけではないですが、それまでの生活を継続している中でどれぐらいの家賃負担があるかも分からない中で、果たして二百万円の方が、収入階層としては上位三〇%だとしても、一年間の生活を維持していくのに本当に十分余裕があると言ってしまって大丈夫なのかということを本当に懸念するんですね。

 いや、大丈夫なんですというデータなりをちゃんと示していただければいいんですけれども、省庁の方とやり取りしていても、生活扶助それから住宅扶助のことについても数字もさっと教えていただけないような状況で、本当にそこのところに関心があるのかな、一人一人の生活が大丈夫なのかなというところに関心があるのかなというところに疑問があるんですが、御説明というか、何かこちらを説得するような十分なデータをお持ちでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、生活保護でございますけれども、モデルでいいますと、七十五歳以上で単身の生活保護受給者でありまして、在宅で通院している場合には、生活扶助と住宅扶助を合わせて、居住地に応じまして年間約百五万円から約百五十三万円を上限といたしまして保護費が支給されまして、これに加えて医療扶助が現物給付されます。

 ただ、生活保護でございますけれども、御案内のとおりと思いますけれども、資産、能力、あらゆるものを活用することを要件としておりまして、預貯金等がある場合には保護を受けることはできません。そういう意味では、単純な比較はできないものというふうに考えております。

山川委員 単純な比較をしてくださいと言っているのではなくて、今、七十五歳の方で上限百五十三万とおっしゃったわけであります。それは、やはり生活するのにそれだけ最低限必要だということですね。それにプラス医療、現物給付ということでおっしゃられましたけれども、二百万円というその収入を得ている方が必ずしも貯蓄を持っているとは限らないし、貯蓄がある方はもちろんいらっしゃるでしょうし、七十五歳までの間に貯蓄を取り崩しちゃって、もう貯蓄がなくなっている方もいらっしゃるかもしれませんし、事情は様々だと思います。そういう中で、その二百万円という収入が、そこから税金が引かれ、保険料が引かれ、そしてそこに医療費を負担するだけの収入なのかというその妥当性ですね。

 生活費の扶助とか住宅の扶助を受けている方々と比較してどうかということではなくて、二百万円という数字が本当に生活を維持していくのに大丈夫なのか、医療費を二倍にしても大丈夫なのか、医療の受診の抑制につながらないのかというところの数字、データをお示しいただきたいということであります。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 先ほどと少し繰り返しになりますけれども、今般の改正法案で提案しております窓口負担の見直しの所得基準でございますけれども、高齢者の負担能力、家計への影響を踏まえて決定したものでございます。

 具体的には、単身世帯の場合には年収二百万円以上としておりますけれども、この年収二百万円以上の世帯につきまして家計調査を特別集計してモデル的に算出いたしますと、単身では年間十二万円の収支差が平均的にはございます。また、国民生活基礎調査によりまして年齢階級別の貯蓄額を特別集計いたしますと、七十五歳以上の世帯については一千六十七万円の貯蓄ということで、若年者に比べると貯蓄額も多いといった状況もございます。

 もちろん個々の世帯に応じまして状況は様々であろうとは思いますけれども、こういった状況を勘案いたしまして所得基準を決めたものでございます。

山川委員 同じような答弁の繰り返しなんですけれども、個々の状況は様々だということはおっしゃられました。その中で、医療費の負担が倍になることで受診控えが起こることを私たちは懸念していて、そのことは繰り返しここで、先ほども長妻先生もおっしゃられているわけでありますけれども、その受診控えが起こること、そして、受診控えによって体調の悪化、健康の悪化があるかどうかということが調べられていない中で、本当にやって大丈夫なのか。

 昨日の参考人招致のところで二木先生がおっしゃっていた資料の中で、私もちょっと見てみたんですけれども、日本医師会総合政策研究機構が、先生は三つ言っていましたが、去年、二〇二〇年ですね、去年発表されたその調査もちょっと見てみたんですね。先生も昨日ちょこっとおっしゃっていたかもしれませんけれども、経済的理由で必要な医療を受けなかった人というのは全体で四・五%、それに対して、この場合は等価所得で書かれていますが、二百万円未満の人の場合には七・八%。すなわち、経済的に所得、収入の低い人の受診抑制は実際に起こっているということになるわけであります。

 そうすると、国民皆保険制度の理念の下で、国民全てがひとしく一定程度のちゃんと医療サービスを受けられるという国民皆保険制度の下で、経済的な格差が受けられる医療サービスの格差になっているということのデータでもあろうかと思うんですね。

 やはり、私からも、この受診抑制、そして、その受診抑制が、健康の被害というか、健康の悪化、体の状況の悪化につながらないというような調査をしっかりとしていただきたいなというふうに思いますが、それについてお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 多分、日本総研の意識調査、これは江口さんと出口先生の意識調査なんだと思いますが、言われるとおり、過去一年間に具合が悪いのに費用負担が理由で医療にかからなかった、こういう方が全体の四・五%おられる中で、等価所得二百万円未満の人では七・八%であったということだというふうに思いますが、これは二十歳以上の方々を対象に男女一千二百名ということでございまして、今回、七十五歳以上という意味からするとちょっと対象がずれているのと、今般、そういうような、これを我々は意識したわけじゃないんですけれども、上位三〇%、平均的な所得で年金を四十年間掛けてもらえる収入以上ということで、二百万円以上というような形をさせていただいておりますので、そこでちょっと対象が違うということがあると思います。

 いずれにいたしましても、配慮措置もそういう意味ではしっかりと対応させていただいておりますので、様々な御研究があられようと思いますけれども、我々としては、必要な医療は受けていただけるというような認識の下で御提案をさせていただいております。

山川委員 ありがとうございます。

 対象が違うから、ちょっと筋としては、ここでの議論には必ずしもそぐわないんじゃないかというふうにおっしゃられたというふうに思いますが、ただ、今また大事なことを大臣はおっしゃられたんですが、二倍にしたとしても必要な医療はちゃんと受けていただけるというふうにおっしゃられて、それはすごく重要なポイントであって、本当にそうなのかということを私たちは懸念をしていて、それについて明快な説明なり調査のデータなりをいただきたいという、やり取りはずっとそのやり取りだと思いますので、私からは、ほかの先生方と同じにはなりますけれども、やはり調査をしっかりとやっていただきたい、そして、受診抑制を大変懸念している、それによる健康被害ということを大変懸念しています。

 受診抑制というのは、このコロナ禍で受診抑制とか検診抑制で、実はがんの罹患率が上がっているというようなことも言われたりしています。四週間治療が遅れると死亡率が高まるとかということも最近の報道もよくされています。やはり、一人一人の本当に大事な命でありますから、経済的格差が受けられる医療サービスの格差につながってしまっては、これは日本の国民皆保険制度そのものが崩れていっちゃう。どんどん崩れていくと、もうそれが本当に際限なくなっていくんじゃないかなということを懸念しておりますので、指摘をさせていただきたいと思います。

 続いて、今回の法案の中であります傷病手当の一年六か月を通算にするということについてです。

 もちろんこの制度を私は大変歓迎いたしますし、逆に、今までそうでなかったということが、世の中の時代の流れの中で、闘病しながら働く、働きながら闘病するということが当たり前になってきている中では、ようやくという感じがいたします。

 ただ、この傷病手当というのは市町村国保の方々には適用されていない。市町村がそれぞれ条例で定めればできることにはなっていますけれども、私の知るところ、それをやっているところは、省庁に聞いたところ、その把握はされていないようであります。

 ただ、このコロナ禍において、コロナに感染された方については、市町村国保は、市町村の方がやはり条例で定めれば傷病手当は出します、その財源は政府が出しますということで予算づけもされていますが、これの現状、どのぐらいの傷病手当が支払われているのか、また、どれぐらいの自治体がこれをしっかりと制度として組み入れているのか、まず伺いたいと思います。

とかしき委員長 では、ちょっと速記を止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 では、速記を起こしてください。

 浜谷保険局長。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 今、市町村国保と国保組合の合計の数字でございますけれども、支給決定件数二千件、支給決定金額一・六億円でございます。

山川委員 実は、私、ちょっといろいろ地元の自治体とかなんかの検索なんかもしてみているんですが、最近、ここ三月、四月でこのお知らせをいろいろな自治体がしているんですよね。去年の段階でちゃんとしていたのかどうかまでちょっと追っていませんけれども、最近すごくしているんです。三月の終わりとか四月の頭ぐらいの辺で。

 これは、政府が通知か何かを出してやられているのかもしれませんけれども、二千件ということで、当事者にとっては大変ありがたいことだと思うんですが、今回の法の改正でここに光が当たったので、私は、是非この機を捉えて、市町村国保の方でもやはり傷病手当ということをもっと積極的に考えていくべきだ。

 コロナに感染した患者さんへの対応は市町村会から要望があったというふうに聞いていますが、これをやはり拡大していくためには財源の問題というのはすごく大きいわけですよね。コロナにとどまらず、傷病手当、市町村国保の方でもそれを拡大していくということについて、いろいろ課題があるんですというふうにおっしゃられていますが、私は是非拡大していく方に向かっていろいろな制度設計とかしていっていただきたいなというふうに思いますが、財源の問題だけじゃないというふうにもおっしゃっていますので、ちょっと課題も含めてお聞かせいただければと思います。

田村国務大臣 おっしゃられたとおり、国保、これは任意で給付という形になっておりますので、要は、条例等々でお決めいただけると任意という形になります。

 今回、コロナのことがございましたので、被用者に関しましては国の方が財政支援をするということになっておりますが、多分今のお話は、そもそも傷病手当自体を国保で今の形で恒久化しろというお話なんですかね、被用者。

 国保全体を、傷病手当をみんな、給付を任意ではなくて法定給付のような形にするという話になると、一番難しいのは、事業主の方々が入っておられて、所得の状況が変わっていくというのと、働き方がいろいろな働き方がある。自らが仕事を休んだり働いたり、結構自由の利く、そういうような話であります。

 もちろん、これは傷病手当なので、あくまでも病気にかかったということが前提になってまいりますけれども、そう考えた場合、事業主というのは、そもそも、いろいろなリスクを抱えながら、自らで事業資金も含めてある程度生活資金を確保しながら御商売されている、そういう就労形態なものでありますから、そこになかなかそぐってこないという部分があるというのが一つ。

 それから、財政的な問題があります。

 被用者だけでもという話もありますけれども、被用者は、今はこういうコロナ禍で国が財政を入れておりますから各自治体も対応いただいているんですが、もし被用者だけにすると、事業主等々にしてみれば、何で被用者だけ出て、実際問題、雇っている俺たちが働けないんだみたいな話になっちゃうわけで、なかなかそこは難しい条件が出てくるわけでありますので、そこの公平性という問題も出てまいります。

 様々な問題があって、国保の中においてもこの傷病手当を法定給付化しようという話にはなっていないわけでございますので、様々な課題がある中において、委員がおっしゃられる問題点というのは問題点として我々も理解いたしておりますけれども、慎重な検討の必要があるというふうに考えております。

山川委員 様々な課題があることは承知をしているんですが、今回のコロナ禍で明らかになっていることは、特に、非正規雇用の方々など、社会的な不安定雇用にある方が最も大きなこういうときの影響を受けるんだということが如実に社会現象として明らかになっているというふうに思います。

 ですから、せめて、もちろん公平性の問題というのは課題としてはよく分かりますけれども、是非、国保は社保よりも平均収入が低いということも、この委員会の中での答弁とか、あと発言の中にもありますので、やはり、社会的な弱者という方々にもっと目を向けていくような施策、社会保障・税の一体改革の中でも議論を更にしていただければなという、これは要望でございます。

 法案については私の方はこれで終わらせていただいて、続いて、何回かやらせていただいているコロナワクチンのことなんですけれども、いわゆる感染症対策の非常に重要な対策であるワクチンが、接種を希望する全ての国民に一日でも早く提供していかなければならない段階に入っていますが、日本では接種の率が非常に低い。国産ワクチンの開発に成功したアメリカとかイギリスでは既に国民の接種率が五〇%を超えているのに対して、日本ではまだ一%という低い水準であります。

 今後、国民が安心して、政府が承認し勧奨するワクチンを積極的に接種していけるようになるためには、ワクチン承認のプロセスの中で、想定される副反応や傷病、障害について詳しく説明する説明責任はもちろんのこと、先行して国民への接種を実施してきた他の国々で、例えば、日本ではまだ承認されていないアストラゼネカ社製ワクチンが血栓を生じさせるということが問題視されている事例がありますけれども、先行接種している他国でどのような副反応や健康被害の報告が上がっているかなどについても、政府は、国民に対してしっかりと誠実に説明する説明責任を果たすべきだというふうに考えます。

 さらに、今後、実際に政府が承認し勧奨するワクチンの接種による健康被害が発生した場合には、速やかな救済措置を講じるなど、説明責任の次には結果責任を負うことになり、このことについても明確な態度を表明しておくべきであると思います。当然、これには賠償とか補償責任も伴います。傷病や障害など健康被害に対する説明責任、結果責任、そして賠償責任は、私は三点セットであるというふうに考えています。

 菅総理は、初の訪米で、日米首脳会談に合わせて、ファイザー社のCEOとも電話会談をされたというふうに伺っています。同社のワクチン供給を加速するように要請されたわけでありますが、これから日本国民全体に対する本格的なワクチン接種の勧奨が始まろうとしている今、これら三つの責任をどのように果たしていくおつもりなのか、まずは大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

田村国務大臣 これは、承認をしないと我が国ではワクチン接種できませんので、海外のいろいろな情報等々ありますけれども、それも含めて、PMDAで今、例えば、アストラゼネカでありますと、今審査をしていただいております。その過程において、様々な懸念等々、総合的に審査をする中において、最終的に、承認という形になれば、その後、審議会で御議論いただいて、いよいよワクチン接種に向かっていくわけでありますけれども、当然、その承認過程においてのいろいろな議論等々を踏まえて、国民の皆様方に開示できるところは開示していかなきゃならないというふうに、もちろん、企業等々のいろいろな企業秘密はありますから、その点はなかなか難しいということは御理解いただく中においてでありますが。

 その上で、何かしらの副反応の疑いがあれば、それは、報告制度がございますので、今も、報告制度にのっとって報告をいただいたものは、これも審議会等々で御議論をいただいて、そしてその結果を開示をさせていただいておるということでありますし、審議会の頻度を上げております。何か非常に重いものが出れば、これは臨時に開いていただくというような対応もさせていただくということで、今、頻度を上げて審議会の方で御議論をいただいております。

 それから、何か副反応の疑いがあって、そしてこれが健康被害救済制度という形の中に乗れば、これはそこでしっかりと審査をした上で給付になりますが、ここでよく言われるのが、なかなかそれで対応していただけない部分もあるのではないかと言いますが、基本的には、厳密に医学的な因果関係までは必要とせずに、接種後の症状が予防接種によって起こること、これ自体を否定できない場合も対象という形でございますので、そういう意味では、明確なエビデンスまでは求めずに、疑いが否定できなければというような形で、そこに関してはこの考え方に基づいていろいろな審査をいただいておるということでございます。

 いずれにいたしましても、これは、実際問題、疾病・障害認定審査等々における審査に関して、このような考え方にのっとって対応をさせていただき、予防接種法にのっとって、いろいろな形で、これはA類と同様の手厚い対応をコロナワクチンに対してはさせていただいておりますので、そこでしっかりと審査をいただくという形であります。

山川委員 御答弁ありがとうございます。

 今、救済制度のことを御説明いただいたんですけれども、確かにその制度がございます。救済制度はあるんですが、ちょっと私も資料を調べてみたんですけれども、健康被害の認定率というのを見たところ、平成二十六年度には八五・七%であったのに対して、令和元年度には六七・二%、下がっているんですね。

 ワクチンのときに必ず私が心配するのは、子宮頸がんワクチンのときの経験であります。その重篤な被害を受けたという状態にある本当に若い女性、高校生でしたね、当時お会いして私も衝撃を受けました。こういう神経的な被害が起こるとすれば、このワクチンは怖いぞと。

 私もすごく強烈な印象に残っておりますし、全国でのケースがやはり国民に対して、ワクチンが怖いんじゃないかというような印象を強く持った方々もたくさんいらっしゃるでしょうし、ましてや、勧奨を政府がやめるということにまで至っているわけであります。重篤な神経障害を伴う被害を訴える方が今も苦しんでおられて、訴訟なんかもやられているわけでありますが、そのデータを見ると、被害者救済の認定が三十二件、それから否認が三十件ということであります。

 この制度そのものは優れているというふうに思う面もあるんですが、その内容そのものに課題はあるものの、評価している点、先ほど大臣もおっしゃられたんですけれども、厳密な医学的因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とすると。因果関係は証明できなくても否定はできないという方針で行われて、つまり、疑わしきは救済するという制度に制度としてはなっているんだというふうに理解するんですね。そのことはすごく評価できるんですけれども、ほかのワクチンは下がってきているとはいえ約七割の認定率であるのに、子宮頸がんワクチンに関する認定率は約半数にとどまっている。

 しかも、政府は、子宮頸がんワクチンと被害者が訴えている健康被害との因果関係が否定できないことを理由に、同ワクチンの勧奨を取りやめました。そのことに対する結果責任はどう取っていくのか。せめて、否認と結論づけた半数近くの方に対しても、因果関係が明確に否定されるまでの経過措置として、例えばお見舞金など、一時金を出すなどの救済措置を取ることはできないのかということ。

 また、さらに、認定された健康被害が同程度出ているほかのワクチンの累積接種回数を見てみると、ちょっとデータをいただいたので比較してみましたところ、子宮頸がんワクチンの累積接種回数は平成二十五年から三十年の期間に百六十万一千六百四十三回だったのに比べて、PCV、これは一千八百四十六万七千百五十七回、Hibワクチンは一千九百五十万七千七百三十八回。つまり、同じ被害数が認定されるまでに十倍以上の接種が実施されているわけです、ほかのワクチンでは。健康被害を訴える人々の主張を約半数を否認して退けているにもかかわらず、子宮頸がんワクチンの健康被害の発生率はほかのワクチンの十倍も高いことになります。

 このようなワクチンに対する政府の対応が、日本のワクチン行政全般に対する国民の信頼を損ねることにつながっていやしないかと私は懸念をするわけであります。

 是非、今回の新型コロナウイルス感染症の蔓延防止のためにこれからワクチン接種を本格的に勧奨するに当たって、この子宮頸がんワクチンについての政府の信頼回復がすごく大事なんじゃないかなというふうに私は思っています。今も裁判が行われています。どのように大臣が御見解をお持ちか、伺っておきたいというふうに思います。

田村国務大臣 今申し上げましたけれども、健康被害救済制度に関しましては、審査会でしっかり審査いただくということでありまして、考え方は、先ほど委員がおっしゃられたとおり、明確な医学的な因果関係までは必要としないけれども、要は、予防接種を打って起こったことが否定できなければそれは対象にするというような考え方の下でやっていただいています。逆に言えば、そこで審査した結果、起こるということが否定できたということになるんだろうと思うんですけれども。

 子宮頸がんワクチンに関しましては、予防接種、定期接種にしたときに、いろんな症状が、副反応の疑いということで事象が起こりました。今も因果関係が分からないもの、実態が分からないものは多々あるわけであります。

 そのとき、積極的勧奨を一度止めたというのは、審議会でも御議論いただいて、まずはこの状況というものをしっかりと見る、調査する必要があるであろうということで止まったわけでありますが、一方で、やはり、世界の状況を見ると、子宮頸がんワクチンを止めている国というのはほとんど基本的にないと私は認識いたしておりますけれども、世界中で打ってそれなりの効果等々が出てきております。スウェーデンでしたか、これによって子宮頸がんを六十数%抑えられたというような数字を、たしか昨日、私、参議院の厚労委員会で御報告させていただいたような、そんな記憶がありますが、そういう成果も、もう年数がたってきておりますから、出ております。

 日本は今、子宮頸がんワクチンの接種率が非常に以前より落ちておりまして、そういう意味では、それを危惧するWHOのいろいろな御評価もいただいているわけであります。しっかりとやはり情報を国民の皆様方にこれをお伝えをしていって、それぞれが御判断を、今、積極勧奨はしておりませんけれども、しかし定期接種であることは間違いありませんので、しっかりとこれに対して御判断いただけるような、そういうような資料というか材料をお示しすること、これは大変重要だというふうに思っております。事実をちゃんと正確にお伝えすること、これに心がけてまいりたいというふうに考えております。

山川委員 ありがとうございます。いろいろ御答弁いただいてありがとうございます。

 二つあると思っていて、一つは、やはり、子宮頸がんワクチンの問題、被害者、被害を訴えている方、本当に苦しんでいる方に対してどういう対応をしていくかということが一つの重要な問題。そして、今後のワクチン行政への信頼をきちっと得るためには、大臣がおっしゃられたように、やはり情報をしっかりと伝えていくということ。これは両方ともすごく大事なことで、今日はそのことを申し上げたかったわけですが、説明責任、そして結果責任、そしてそれに伴っての賠償、補償、この三点セット、是非、私もこの三点セットで今後の政府の対応を見ていきたいと思います。

 特に、今後に向けては、その情報開示のところで、やはり、果たして十分な、まあ、開示はされています、確かに。厚労省のホームページを見ると全部出ていますね。いろいろ全部出ています。ですが、そのことが国民の認識の中にきちっとあるかどうかということはまた別だと思うんですね。出しているからいいですという話でもないんじゃないかな。情報は受け手に主導権がありますから、伝わらなければ伝えていることにはならないというふうに思いますので、その点はまたここでも取り上げさせていただきたいというふうに思います。

 子宮頸がんワクチンで本当に苦しんでいる方々は、本当に終わりのない苦しみだと私は思うんですね。ですので、そのことには是非、政府も一生懸命やっていただいているとは思いますが、何とか納得と、それから、やはり、その苦しんでいることの救済につなげていただきたいなというふうに思っています。

 今日はあと二問あるんですが、もう時間がなくて、内閣府の方がお一人来ていただいているので、済みません、そちらの四番目の質問に、最後、ちょっと全部できませんけれども。

 不妊治療に付随する課題ということで、先日、生殖補助医療の勉強会に、専門家の先生がたくさん集まる勉強会に私も参加させていただいて、いろいろお話を聞いていたんですね。そうしましたところ、不妊治療とか生殖補助医療のコンテクストの中ではないんですが、当時の竹本大臣が、受精卵は人の体の外にあるときには単なる物なんだという御発言をされたことが話題になって、その専門家の方たちが、あれは問題だ、ああいうことは大変問題だということだったんです。

 私は、自分の不妊治療の経験からしても、受精卵になるということがどれほど大変なことなのか。理科の授業で学んだ、卵子と精子が受精をして胚盤胞になっていく、分割していくわけですね。あれが自分の卵子と夫の精子で起こっているその写真を見て、そこに命の誕生を本当に感じている。これは単なる物じゃないし、破棄は簡単にできるものじゃないんですよね。

 その単なる物という発言に、非常に、これは大変な発言だということを専門家の先生も御指摘されていたんですが、内閣府として、あるいは政府として、人の誕生というものをどういうふうに位置づけているのか。そして、最後、大臣には、単なる物という発言は、田村大臣の御発言ではないですが、私は、そういう言い方は、要は単なる物だ、そういうのは大変よろしくないと思うんですが、田村大臣の御見解を伺いたいと思います。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の御質問ですが、令和元年十一月二十七日に行われました科学技術・イノベーション推進特別委員会での御答弁のことと理解しております。

 内閣府におきましては、平成十六年に、当時の総合科学技術会議におきまして「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」を取りまとめておりまして、この基本的考え方では、ヒト胚は生命の萌芽として尊重されるべきものとされておりまして、竹本前大臣も同様の見解であると考えてございます。

 また、令和元年六月に総合科学技術・イノベーション会議において取りまとめられました報告書におきましては、ゲノム編集技術等を用いたヒト受精胚を人又は動物の胎内へ移植することは容認しないとの見解が示されておりまして、ヒト受精胚は胎内に戻すと人になり得る存在であり、倫理的観点から慎重に検討すべきとの趣旨を竹本前大臣がお答えしたものと理解しております。

田村国務大臣 竹本大臣の御発言、そういう御発言があったということはお聞きしておりますが、どういう脈絡の中で出た話かよく分からないということで、ちょっとコメントを控えさせていただきますが、今内閣府の方からお答えがあったというような認識の下でおっしゃっておられたんだというふうに思いますが、いずれにいたしましても、正直申し上げて、ヒト受精胚は人ではないことは確かなんですが、ただ、そうはいっても、やはり社会的価値という意味からすると、これは人の尊厳というものに大変大きな影響のあるものであろうというふうに思います。

 今、それこそ、不妊治療をされておられる方々、その心に我々としてはしっかり寄り添いながら、これから、そのような不妊治療に対するいろいろな支援、こういうものを進めてまいりたいというふうに考えております。

とかしき委員長 山川百合子さん、申合せの時間が来ております。

山川委員 御答弁ありがとうございました。

 では、もう時間になりましたので、ほかの質問を御用意いただいた方、次の機会に回させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 本日もよろしくお願いいたします。

 全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案ということで、今議論をさせていただいているわけです。全世代対応型の社会保障制度を構築するためのと大上段に振りかぶっているわけですが、中身は、高齢者の窓口負担を倍にして現役世代の負担を軽くするという、健康保険制度の中で完結させようという、ちょっとこの大上段に振りかぶった名称と法律の中身が違うんじゃないかと私は思っておりまして、全世代対応型という言葉ですけれども、本件改正で窓口負担が倍になる。

 大臣、物の値段を上げる、あるいはサービスの値段を上げるというときに、いきなり倍にするビジネスモデルなんか世の中にどこにもないですよね。配慮措置で、三年かけてやりますわということになっているわけですけれども。

 とはいいながら、国にとっては、いや、一割負担を二割負担に一割上げるだけですからと。

 しかし、受け手の側、国民の側からすれば、そのサービスを受けようとすると倍になります、値段が倍になるんですと。うひゃあみたいな話で、高齢者の中でこの窓口負担が倍になることをよかった、うれしいわと思う人は恐らく誰もいないですよ。恐らく誰もいない、喜ぶ人は誰もいないというふうに思うんですけれども、大臣、どうですか。

    〔委員長退席、大岡委員長代理着席〕

田村国務大臣 サービス料という言い方がいいのかちょっとよく分からないんですが、給付が九割から八割になるわけで、要は、全体の給付率が下がるというふうに考えていただければいいのかなと。九割給付されていたものが八割になる方々という、本来これは保険給付ですから、基本的に何か物を買うだとかというような、そういうものではないということは御理解いただきたいというふうに思います。

 その上で、確かに、それにしたって自分の御負担が上がるんですから、みんながみんな快くこれを望んでいただくとは思いません。

 ただ一方で、現役世代の方々の負担が、人口構成が変わっていく中において増えていく。その中には御自身のお孫さんもおられるでありましょうし、お子さんもおられるでありましょうし、そこを持続可能な医療保険制度を維持するためには、それは、負担は増えるのは嫌だけれども、しかしそこは理解をしようという高齢者の方々も一定程度私はいていただけるのではないかというふうに思っております。

 そういうことで、全世代型、これは、これだけをもってして全世代型と言うつもりもありませんでして、一連の流れで、幼児教育の無償化やいろいろなことを今まで政府はやってきたわけでありまして、その流れの中において、全世代型というような形で、今回この名前というものを使わさせていただいておるということであります。

川内委員 大臣、今のような理屈は取ってつけたような理屈というのであって、全世代対応型の社会保障制度と言いながら、健康保険制度をいじっただけで、社会保障制度全般にわたる改革をし、財源を見つけ、皆に、国民みんなに喜ばれるような改革をしてこそ、初めて全世代対応型という言葉を使うことを政府は許されるのであって、自分たちで全世代対応型と名づけて、高齢者の窓口負担を倍にして、いや、何とか理解してくださいというのを全世代対応型と言うのは私は違うんじゃないかと。

 幾つか実証したいと思いますが、改めて、メタボ健診ですね。この十年で、国、地方、企業負担、自己負担、この前は国負担だけ御答弁いただいたわけですが、この十年で、国、地方、企業負担、自己負担、合わせてどのぐらいのお金が投下をされたのかということを教えていただきたいと思います。特定健診。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、特定健診、特定保健指導の総事業費につきましては、健保組合、協会けんぽの被保険者が国庫補助の対象外でございますので、把握はしておりません。その上ででございますけれども、補助率がおおむね三分の一でございますので、仮にその国庫補助に係る総事業費を機械的に推計いたしますと、令和三年度予算ベースで六百六十六億円程度。それから、特定健康診査と保健指導が開始されました平成二十年度以降の累計額といたしましては、八千二百十一億円程度と見込んでおります。

川内委員 八千二百十一億円程度を投入して、当初の厚労省のもくろみでは、二・二兆円医療費の適正化をする、二・二兆円の医療費適正化効果を見込んでいたということですよね。それはいいわけですよね、二・二兆円の医療費。はい、どうぞ、見込んでおりましたと。

浜谷政府参考人 平成十八年当時、御指摘のような推計をいたしております。

川内委員 この前も申し上げましたけれども、その二・二兆円の適正化効果、今まで八千二百十一億円余りを投入してきた。しかし、平成二十九年一月十二日に発表された医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会取りまとめでは、医療費ベースでの適正化効果は、この特定健診については二百億円、〇・〇二兆円、二・二兆円ではなく〇・〇二兆円であったと報告されている。

 大臣、厚労省として、この特定健診事業の費用対効果は十分な成果を上げたというふうに評価していらっしゃるんですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、特定健診、保健指導の医療費適正化効果の検証の取りまとめの、ワーキンググループの取りまとめ、これは平成二十八年四月でございますけれども、この取りまとめにおきまして、レセプトデータと特定健診等データを突合いたしまして、健診の結果に基づく保健指導を受けた方と受けていない方につきまして五年間の経年データを分析いたしました。

 その結果、外来医療費が年平均で約六千円下回るといった効果を確認いたしました。その結果に基づきまして、約二百億円といった適正化効果を算出したものでございます。

 こういうことでございますけれども、予防、健康づくりにつきましては、個人のQOLを向上いたしまして将来不安を解消する、あるいは健康寿命を延ばして社会保障の担い手を増やす、あるいは地域社会の中で高齢者の活躍促進を図るといった多面的な意義があるものと考えております。

 そういう意味では、特定健診、特定保健指導につきましては、医療費適正化だけではなくて、こうした予防、健康づくりに役立つことも含め、必要な取組であるというふうに考えております。

川内委員 答えた、費用対効果がちゃんと出ていると評価しているのかということを聞いたんですけれども。

 八千億円かけて、二・二兆円適正化効果を見込んでいたけれども、前提はいろいろ違うかもしれない、二百億円しか出ていませんということについて費用対効果をどう御自分たちで評価しているのかと。これはまずいな、もうちょっと何とかしなきゃなというふうに思っているのか、いいんだもん、これでいいんだもんと言い張るのか、どっちなんですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 予算面等から見ますと、毎年約二百億円程度の投入、それから医療費適正化効果約二百億円ということで、それが十分かどうかといった議論はあろうかと思います。

 ただし、この特定健診、保健指導につきましては、医療費適正化ということだけではなくて、先ほど申し上げましたようなQOLの向上等々、そういった多面的な効果もあろうかと考えております。

 また、特定健診、特定保健指導の健康増進効果とか医療費の関連につきましては、まだまだこれからその十分なエビデンスを蓄積することも必要と考えておりまして、引き続きその実証事業を、現在行っておりますけれども、そういった事業を通じまして、事業効果や医療費との関連について検証を進めてまいりたいというふうに考えております。

川内委員 だから、今、委員長、答弁は、費用対効果についてはいまだ実証されておりませんと言ったわけですよね、八千億円かけて。

 だから、そういうことをきちんと総合的に議論して、みんなに喜ばれる、後期高齢者の皆さんの負担も増えないように何とかしていこうねというふうに考えるのが厚労省の役目なんじゃないかなというふうに言わざるを得ないですね。

 もう一点、聞かせていただきますけれども、この法案、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案が実際に施行された場合、この施行のために要する、システムを改修したりとかいろいろなことをしなきゃいけないわけですね、システム投資の総額の所要をどのくらいというふうに見込んでいらっしゃいますか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 本法案の施行によりまして必要となるシステム改修の詳細につきましては現在検討中でございまして、費用についても現在検討、精査中ということでございます。

川内委員 現在検討中って、これは後期高齢者の皆さんの窓口負担を倍にして進めていこうという法案ですよ。それで、どのぐらいこの法案を実現するのにシステム投資にお金がかかるのかは分かりません、まだ言えませんと。これじゃ、この法律がどういう法律なのかということが分からないということじゃないですか。

 次の金曜日の質疑までに、その所要、概算額ですよ、概算どのぐらいかかるのかというのは出せますか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 現在、そのシステムの詳細につきまして、関係団体等々と調整、検討しておりまして、直ちにその金額をお示しすることは難しいものと考えております。

川内委員 駄目。理事、そう思いません、長妻先生。今、詳細というお言葉をお使いになられたけれども、概算でいいんですよ、大体このぐらい。九百億円受診抑制がかかりますというのも概算ですからね、長瀬効果。概算でいいんですよ。高齢者の負担を増やして九百億円浮かすために、システム投資幾らするんですかと。それは言わないと。次までに出すと言わなきゃ、これ以上質問できないですよ。(発言する者あり)

大岡委員長代理 では、一回止めてください。

    〔速記中止〕

大岡委員長代理 速記を起こしてください。

 浜谷保険局長。

浜谷政府参考人 恐縮でございますけれども、法案が成立した暁には速やかにシステム改修に入りたいと考えておりますけれども、現在、関係団体、システム会社等とシステムの詳細、費用等について検討中ということでございまして、直ちに数字を出すのは難しいものと考えております。

    〔大岡委員長代理退席、委員長着席〕

川内委員 では、委員長の御指名ですから、一応もう一回発言しますけれども。

 後期高齢者の皆さんの負担を倍にしようという法律ですよね。では、そうすることによって、一体どのぐらいのシステム投資をこの法律が見込んでいるのかということは、私ども、これは与党の先生方も多分知りたいと思うんですよね、この法律を成立させる前提として。

 だって、システム投資、大事ですよ。だけれども、厚労省、毎年四千億ぐらいシステム投資するわけですからね、四千億ぐらい。そのうち、使われていない、あるいはほとんど使われていないというふうに会計検査院に指摘されているようなシステム投資もあるわけで、じゃ、それにどのぐらいお金がかかるのということについては、私どもはこの法律を成立させる前提として知る必要があるんですよ。概算。

 それは、絶対次までに言うとここで言わないと駄目でしょう。(発言する者あり)

とかしき委員長 筆記を止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 筆記を起こしてください。

 田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 給付を一二%下げる法律なんですけれども、この給付を一二%下げる法律のそのシステム費というのは、実は、御承知のとおり、厚生労働省だけでやる話じゃなくて広域連合全体に関わるお話でございますので、そことやはり対応しないと、なかなか今、国が勝手にどれぐらいだということは申し上げられないということは御理解をいただきたいというふうに思います。

川内委員 だから、概算でいいんだということを申し上げているじゃないですか。そういうことをきちんと答弁せずして、こういう法律を通してください、後期高齢者の負担を二割に引き上げますよというのは、私は通らないと思いますよ。大体どのぐらいかかりますということは言わないと、次の委員会で。

 そもそも、ある事業を行う場合に所要の経費がどのぐらいかかるというのは、それは事業を行う場合の前提じゃないですか。法律が成立してから、まあ、おまえらには教えてやるから、それで勘弁しろよみたいなことを今おっしゃっていらっしゃるわけですけれども、それは通りませんよ。だって、国民負担をお願いする、後期高齢者に負担をお願いする法律なんですから、これは。

 次までに答えると言っていただかないと、私、これ以上質問できないですよ。

田村国務大臣 同じことばかり申し上げて恐縮なんですけれども、これは、勝手に国が概算だと言って、それでやれという話にもなりませんし、これはある意味、広域連合といいましても、広域連合自体、元々、御承知のとおりのように、自治体と非常に関係の深い団体ですよね。こういうところとちゃんと調整をしないと、概算も、概算だからいいかげんな数字を出していいんだという話なら、適当な数字を出して、後で知りませんよという話ですけれども、そんなことは許さないわけでしょうから。それはやはり、ある程度、詰めたといいますか、概算といえどもこれぐらいのということが話合いの中で分からないことには、政府が勝手に申し上げるというわけにはいかないというふうに思うわけでありまして、御理解をいただきたいというふうに思います。(発言する者あり)

とかしき委員長 議事の進行をお願いいたします。

 川内博史君。(発言する者あり)

 じゃ、一回、筆記を止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 筆記を起こしてください。

 田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 ちょっと概算でも、どういう手法も含めて、なかなかそれも、いいかげんなものは出せないので、根拠がないと。その根拠という意味で、今はそれがないので、各広域連合と話をさせていただいた上でやらなければお出しすることはなかなかできないということを申し上げておりますので、何かいいお知恵があるのならば、御示唆いただければありがたいと思います。

川内委員 過去に様々なシステム投資を、だから、言ったじゃないですか、厚労省は毎年四千億システム投資をしていますから。様々なシステム投資をされているので、そういう過去の事例、おつき合いの深いベンダーなどに聞けば概算はすぐ分かりますよ、概算は。いいかげんな数字じゃないです。概算は分かりますから、その概算の数字を次の委員会までにお答えいただけますかと。

 今答えろなんて言っていないじゃないですか。今答えられないんだったら次の委員会までに答えてくださいねと私は優しく言っているわけですよ。それを答えられませんなどと言うのは、法律に付随する質問ですよ、法律に。法律に付随する質問をして、答えられませんと言うんだったら、質疑できないじゃないですか。

田村国務大臣 次の委員会は、明日、あさってということになると思います。努力はしてみますけれども、今ほど来申し上げておりますとおり、広域連合とちゃんと話合いをせず、詰めずに、ベンダーと今まで何かそういう経験があるだろうという話でありますが、何をおっしゃられておられるのか分かりませんが、それで本当に出るのか出ないのか。一応、精査はしてみますけれども、必ず出せるというような私はここではお約束はできませんが、精査、やれるかどうかというものは検討してみたいというふうに思います。

川内委員 局長さん、出しますよね、出せますよね。だって、保険制度というのはシステムの塊なんだから、今まで幾らでも経験があるんですから、それをしらばっくれるのは国民に対する裏切りで、信頼感を失うだけですよ。いやしくも、全世代対応型の社会保障制度を構築するためのと大上段に振りかぶった法律を提案されているわけですから、だったらそれにふさわしい政府としての態度、御答弁というものを求めたい。

 今、大臣は努力するとおっしゃった。局長としては、その大臣の答弁に呼応して、精いっぱい努力して次までに答弁できるようにしたいということをおっしゃってください。

浜谷政府参考人 先ほど大臣から申し上げたとおりでございますけれども、広域連合など関係者と十分な精査、調整がございます。大臣の御指示どおりの努力はしたいというふうに考えております。

川内委員 じゃ、次、システム投資の概算額ですね、出していただけるものと。政府として努力するとおっしゃったわけですからね。

 次に、ワクチンのことに進みたいというふうに思いますが、河野大臣が、ゴールデンウィーク明けに立ち上がるワクチンの量で自治体からの需要を満たせるのではないかと考えているという趣旨の御発言をされていらっしゃいます。

 ゴールデンウィーク明けに立ち上がるワクチンの量とは、何回分あるいは何人分のことを指しているのかということを教えていただけますか。

正林政府参考人 お答えします。

 医療従事者向けのワクチンについては、五月十日の週に二回接種分として千箱を配送することをもって、累計で四百八十万人を超える数量の配送が完了する見込みであります。

 高齢者への優先接種については、四月の十二日から始まり、先週、今週は各都道府県に十箱、東京都と大阪それから神奈川県は二十箱になりますが、そのワクチンを届け、来週には全ての市区町村に一箱、計千七百四十一箱ずつ配送することにしています。

 その後、四月の二十六日から五月の九日の二週間で四千箱、五月の十日からの二週間で一万六千箱のワクチンを、六月末までには高齢者全員分のワクチンを配送する準備ができ、自治体の需要に応じてお届けすることにしております。

川内委員 正林さん、私が聞いたのは、ゴールデンウィーク明けに立ち上がるワクチンの量、ゴールデンウィーク明けのワクチンの量。国で管理して、ワクチンシステムで自治体からこれだけ下さいという要請があるわけですよね、その要請に応えられるワクチンの量、その時点における量を聞いているんですけれども。ゴールデンウィーク明け。ゴールデンウィーク明けというのは、五月六日がゴールデンウィーク明けですよね。五月六日の国の在庫量を教えてねという質問をしたんですけれども。

正林政府参考人 先ほどお答えしたつもりではありましたが、四月の二十六から五月の九日の二週間で四千箱、五月の十日から二週間で一万六千箱ということです。

川内委員 四月二十六、二十七、二十八は、こうずっと出ていくわけですね。二十九が休みで、三十また出ていく。一日、二日は休みで、一日、二日、三、四、五が休みで、六日になるわけですけれどもね。

 じゃ、四月二十六日から五月九日に供給されるであろう四千箱、この四千箱のうち五月六日に国として管理しているのは何箱ですか。何箱になる予定ですか。

正林政府参考人 済みません、二週間単位で我々考えていますので、何日という単位ではちょっとお答えすることができません。

川内委員 やはり、自治体の不満というのは、一体何がどうなっているのかということがよく分からぬというところにあるんだと思うんですよね。

 今般、日米首脳会談で、総理が、九月末にはめどが立ったということで約束できたんだと。しかし、実際には合意書はありませんということなんですけれども。

 総理にワクチンレクをしたのはどなたか、いつしたのか。また、そのときに、いや、供給のめどが立っていますから、九月末には、九月にはというようなレクをしたのかということを教えてください。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、様々な機会に総理には状況の御報告をしているところでございまして、その一つ一つについて、いつ、どういった内容であったかというお答えは差し控えさせていただきたいと思っております。

 いずれにいたしましても、今回の電話会談をしていただくことによりまして、九月までに我が国の全ての対象者に供給されるめどが立ったものというふうに考えております。

川内委員 さすが総理にお近い大坪審議官の御答弁だなと。総理にどのようなレクをしたかは差し控えたいと。これは、総理にどのようなレクをしたかというのは国民にとっては一番大事な情報で、説明責任があるんですよ、政府には。それを、差し控えたいと。下々の者に聞かせる必要はないと。さすがだなと。いや、恐れ入りました。

 電話会談の前に担当者レベルでの交渉があったのか、その担当者レベルの交渉において、全国民に供給できるだけの量を九月までに確保していただきたいとする趣旨のLOI、意向の表明書を日本政府としてファイザーに提出をしていたのかというようなことについてはいかがですか。

正林政府参考人 お答えします。

 事務レベルの交渉はもちろんやっておりますが、内容については控えたいと思います。

川内委員 今回のこの合意について、MOUを交わすんですか。

正林政府参考人 これまでの経過からしたら、交わすことになると思います。

川内委員 交わすことになると思いますと言ったの。もう一度。

正林政府参考人 交わすことになると思います。

川内委員 それでは、早期にそのMOUを交わしていただいて、九月までの全国民への供給量の確保というものの、本当の文書上のめどが立ったということを私ども国民にもお示しをいただきたいというふうに思います。

 この日米首脳会談の際の、首脳会談の際じゃないですね、電話会談の際に、ファイザーのCEOとの電話会談の際に、日本側で同席をした方は誰か、先方は同席はどなただったのかということについて教えていただきたいと思います。

田島政府参考人 お答えいたします。

 四月の十七日に行われた菅総理とファイザー社CEOとの電話会談には、日本側から、坂井官房副長官、阿達総理補佐官、和泉総理補佐官、北村国家安全保障局長、冨田駐米大使、鈴木外務審議官、市川北米局長ほかが同席したと承知しております。

 先方の同席者については、相手方の関係もあり、CEO以外の方についてはお答えを差し控えたいと思います。

川内委員 正林健康局長からMOUを交わすことになると思うという御答弁があったわけですけれども、大坪審議官の方に、この電話会談の結果についてMOUを交わすことになると思うよという御報告があったのはいつですか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 電話会談の様子につきましては外務省のホームページにおいて公表されているところと承知をしておりますが、その内容につきましては、会談の後に予防接種室の職員から私は報告を受けております。

川内委員 期待した答弁が出なくて残念でしたけれども。

 いずれにせよ、早期にMOUを交わしていただいて、私どもを安心をさせていただきたいというふうに思いますが。

 そこで、昨日、一部ネットのマスコミの報道で、ファイザー社の意を受けた、契約したコンサル会社から、厚生労働省の幹部、次官クラスあるいは局長が接待を受けていたという趣旨の報道が出ておりまして、かなり確度が高いというふうに書いてございました。

 これは、老婆心ながら、一応これは出ている以上聞かなければならないわけでありまして、二〇一六年以降、そのコンサルタント会社あるいはファイザーの関連会社等を含めて、会食の届出というものが幹部クラスから出ているのか、次官クラス、局長さんから出ているのかということを教えていただきたいと思います。

山田政府参考人 お答えします。

 御指摘の会食の届出については、確認されなかったです。

川内委員 あわせて、そんなに対象の人数は多くないでしょうから、二〇一六年以降の次官クラスの方、あるいは局長経験者、あるいは局長さんに聞いていただいて、そういうコンサルタント会社から接待を受けた事実がありますかということを聞いて答えてくださいというふうに申し上げてありますけれども、お聞きいただけましたでしょうか。

山田政府参考人 直接そういう形では聞いておりませんが、厚生労働省においては、平成二十八年、二〇一六年から、全職員に対して、利害関係者との飲食状況などの確認をする法令遵守に係る、厚労省独自のものですけれども、自主点検を年二回実施しております。そうした中で御指摘のような事案は把握されておらず、改めて調査することは考えておりません。

川内委員 改めて調査することは考えておらないと強気の御答弁をされましたけれども、報道されたメディアはちっちゃなメディアですけれども、確度の高い報道をされるメディアとして業界では大変注目をされておるメディアですから、余り強気にならずに、調査ぐらいは、ちょっと聞いてみますということぐらいは言っておいた方が、続報が出たときにこっぱずかしいという話になりますから、いかがですか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 先生の方から資料もいただきましたけれども、具体的な事実が書かれている報道でもない中で、改めて調査する考えはございません。

川内委員 じゃ、また何か新たな事実が報道されたらお聞きすることになろうかと思いますが、今強気の発言をされたことは覚えておきたいというふうに思います。

 続いて、日雇派遣看護師さんの問題を取り上げさせていただきますが、スーパーナースという会社の代表として、規制改革会議の専門委員を務められていらっしゃった滝口進さんの、専門委員の任命は内閣総理大臣が任命をされるということでありますけれども、任命に当たっての決裁文書一式をいただきたいと申し上げておりました。昨夜の段階では、精査、確認が必要ということでしたけれども、どうなりましたかね。委員会前にはいただけるということだったんですけれども。

彦谷政府参考人 お答えいたします。

 人事の決裁関係の資料について現在確認しているところでございます。確認した上で、公表につきましては情報公開法の規定に従って対応させていただきたいと思います。

川内委員 早急に対応をお願いしたいというふうに思います。

 この日雇派遣看護師さんの規制改革提案をされたNPO法人ですね、このNPO法人のホームページには、協力会社として、先ほど申し上げた滝口進さんが代表を務められていらっしゃったスーパーナースという会社が、協力会社としてこのNPO法人のホームページに出ているわけでございますけれども。このNPO法人、実体がないのではないかとか、決算をホームページ上に公表すると定款でうたいながら決算を公表していないのではないかとか、そもそも特定の団体のためにこのNPO法人は活動していたのではないかとか、様々NPO法に反するものがあるのではないかというふうに指摘をされておるわけでございますけれども。

 実際のNPO法人を所管しているのは東京都でございます。しかし、NPO法を所管しているのは内閣府でございますから、このNPO法人について、NPO法を所管している内閣府の担当セクションから東京都に、NPO法との、この団体との絡みをしっかりと確認をしていただきたいというふうに考えておりますけれども、確認をし、御報告をいただけますでしょうか。

海老原政府参考人 お答えいたします。

 特定非営利活動促進法の第九条におきまして、御質問にもありましたが、NPO法人の監督は、所轄庁である都道府県、指定都市、御質問の場合であれば東京都になりますが行われていることとなります。

 特定非営利活動促進法上は、認証NPO法人については、国から所轄庁に対する監督権限はございません。しかしながら、今回、委員から御質問をいただいておりますので、そのことにつきましては東京都にお伝えをしたいと思います。また、東京都から回答がございましたら、委員にお伝えをしたいと考えております。

川内委員 そもそも、このスーパーナースという会社の代表を滝口さんが務めていたということは、規制改革推進会議の事務局は把握をしていたのでしょうか。

彦谷政府参考人 お答えいたします。

 委員就任時におきまして職歴等について一定の確認を行っているところでございます。ただし、その当時にそういう認識をしていたかどうかといったことにつきましては、個々の人事のプロセスに関する情報でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

川内委員 よく分からない。委員長、今の説明、分かった、よく分からないですよね。

 一定の確認はしていたけれども、個々の認識については分からぬと。どういう意味なんですか。履歴書には書いてあったけれども、その書いてあることをみんなが認識していたかどうかは分からぬよ、そういう意味ですか。

彦谷政府参考人 繰り返しになりますけれども、委員就任時におきまして職歴等について一定の確認は行うことが通例でございます。実際にその認識をしていたかどうかということにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、人事のプロセスに関する情報でございますので、お答えは差し控えさせていただきます。

川内委員 まあ、規制改革推進会議の、やはり今、問題点を象徴するような答弁ですよね。大臣、私はそう思うんですよ。

 委員とか専門委員、あるいは過去に委員とか専門委員であった方々が規制改革提案をする。これはどんな人でも提案できるわけですから、規制改革提案をする。それを取り上げて御自分のビジネスにつなげていく。これは、規制改革提案について何らかの制限を加えることについては内部的な取決めもないそうです。委員なり専門委員なり、あるいは過去に委員、専門委員であった人が規制改革提案をすることも自由だと、頼むねと言えるんだと。

 それは、ちょっとやはりおかしいんじゃないですかね。内部的なやはり取決めを、委員とか専門委員である人、あるいは過去何年以内あった方というのは、そういう規制改革提案はできませんよというふうに内部的な規定を定めるべきじゃないですか。

彦谷政府参考人 お答えいたします。

 規制改革推進会議の委員は優れた識見を有する者のうちから内閣総理大臣が任命することとされており、所属している組織等を代表して参加しているものではございません。

 規制改革推進会議における議論は、委員、専門委員が自由に議論を行い、その議論の過程をできるだけ公開する中で、透明性のある議論を行うとともに、答申等の決定に当たっては会議体としての意思決定をしているところでございます。したがいまして、委員や元委員が利害関係のある分野について提案しないようにするといった内規や申合せはないところでございます。

 もちろん、委員、専門委員は、特定の利益を、利害を代弁するものではなく、有識者としての発言をすることが期待されているところでございますけれども、そのことが直ちに、利害関係のある委員が議論に参加すべきではないということにつながるものではないと考えております。

川内委員 できるだけ公開することによりって、本委員会の理事会に提案された規制改革推進会議に向けた会合の資料、黒塗りだらけじゃないですか。全然公開されていませんよ。何にも分からない。

 何か言っていることとやっていることが全然違って、ああ、そうですか、すばらしいことをしていらっしゃるんですねというふうには全然思えないですね。何かこそこそこそこそして、都合が悪くなったら、認識がどうだったか分かりませんとか、人事のことですから答えられませんみたいな。立派なことをやっているんだという自負があるんだったら、堂々とすればいいじゃないですか。堂々と、見てください、こんなにすごいことをやっているんですよ、我々はと言えばいいじゃないですか。何なんですか、この黒塗りは。

 平成三十年十一月二十八日に規制改革推進会議専門チーム会合で、本件、日雇看護師派遣を取り上げることが決まったと。平成三十年十一月十九日の規制改革推進会議の本会議で、この専門チーム会合でヒアリングをするということは決まったということなんですよね。それはいいですか。

彦谷政府参考人 御指摘のとおりでございます。

川内委員 平成三十年十一月十九日の規制改革推進会議本会議で、二十八日にヒアリングしようねということが決まったと。

 じゃ、そのヒアリングをする案内は、厚生労働省には、十一月二十八日、ヒアリングするから出ておいでということを厚生労働省に案内があったのは何日ですか。

田中政府参考人 十一月十四日であったと承知しております。

川内委員 だから、十一月十九日に推進会議で決定する前に、十四日に案内を出しているんですよ。

 委員長、聞いた、びっくりしない、当然じゃんと思う、おかしいでしょう、これ。全てがこうなんですよ。ヒアリングすることを十一月十九日に決定したんです、手続に瑕疵はありませんと言いながら、案内はもう十四日に出しているんですよ。何じゃそれみたいな話じゃないですか。

 もう私の時間が終わりますから、西村委員に交代しますけれども、この問題はやはりもうちょっときちんと説明してもらわないと、結局、出来レースで、人の命に関わる仕事をされる看護師さんの仕事が日雇派遣になった。日雇派遣というのは原則禁止なんでしょう。原則やっちゃ駄目よというのが日雇派遣なんでしょう。特別な事情があるときに、まあ、こういう場合だったら仕方ないねということで認めるのが、日雇派遣を認めるということになるわけで、じゃ、それがどういうプロセスで決まっていったのかということについては、次長さん、もうちょっと丁寧に我々にも説明してもらわないと。肝腎なところは分かりません、分かりませんじゃ、それは通りませんよ。

 ということを申し上げて、次回、また一生懸命頑張りたいというふうに思います。

とかしき委員長 次に、西村智奈美さん。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 今ほど川内委員から、看護師の日雇派遣の解禁問題について、規制改革推進会議等におけるやり取りの質疑がありました。私もちょっと順番を変えて、こちらの方から伺いたいと思います。

 驚きました。今日、資料にお配りをしておりますけれども、私が、前回の委員会のときに理事会協議事項にしていただいて、この日本派遣看護師協会からの提案が専門チーム会合で取り上げられるに至った経緯について分かるペーパーを出してほしいというふうに要請をいたしましたところ、先週の金曜日に、真っ黒々塗りのペーパーが出てきました。

 理事の御努力によって、ちょっとだけ開いたペーパーが、前回ですか、前回の理事会に提出されたということで、今日資料におつけしているんですけれども、それでも真っ黒々なんですね。余りにもおかしいと思ったので、全ページつけました。真っ黒々です。大臣、見てください。

とかしき委員長 済みません、提示については理事会で承認しておりません。

西村(智)委員 ああ、ごめんなさいです、提示についてはですか。はい、分かりました。済みません。

 ですけれども、こんなに真っ黒々の経過で看護師の日雇派遣が解禁されたということ自体、私はやはり、行政が本当にゆがめられちゃったんじゃないかというふうに思わざるを得ないんですよ。

 それで、まず、内閣府の規制改革担当の、今日は政務官かな、お越しいただいているんですけれども、一番最初に示された資料では、この私のつけている資料の一枚目の、表題のところまで消されていたんですよ。ヒアリングメモというのが残っているだけで、当方というところも、参事官、補佐、補佐、主査という、ここも塗られていたし、NPO法人日本派遣看護師協会というところも塗られていました。

 今日出てきて、昨日、この前の理事会で出てきた資料で、これは、日本派遣看護師協会へのヒアリングを行ったメモだなということは分かりました。ところが、一枚めくっていただいて、議事概要と書いてある上がまたこれは真っ黒塗りなんです。表題すらも分かりません。これで、本当に、どうやって、看護師の派遣について協議したメモだということを確認したらいいんですか。本当に、これは何の会合の議事概要ですか、政務官。

岡下大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、当委員会理事会より、日雇派遣に関しまして、専門チーム会合の開催を決定するまでの政策決定に関する公文書の公開を求められましたので、資料を提出したところでございます。

 資料を二つ提出させていただいておりますが、それらは、看護師の日雇派遣について、当時の担当者が提案団体から事前に面談して話を聞いた際のヒアリングのメモ、及び、規制改革ホットラインの要望の取扱いについて、委員間で議論を行った際のやり取りのメモであります。

 また、これらの資料は、非公開を前提に、率直な意見交換を行うことを目的に実施したものでございます。非公開を前提に行った打合せの内容を公にするとなれば、政府部内又は委員相互間における率直な意見の交換が損なわれるおそれがあるため、情報公開法第五条五号に該当するものといたしまして、発言者の氏名及びその発言内容のマスキングを行ったものでございます。

西村(智)委員 ちょっと教えてください、もう一回。

 この、議事概要と書いてある上が黒く塗られている理由は何ですか。これ、どうやったらこの専門チーム会合に関する内容の議事概要だというふうに確認したらいいんですか。ちゃんと合理的に、分かるように説明してください。黒く塗られていたら何も分からないですよ。

岡下大臣政務官 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、本件は非公開を前提に行った打合せでございまして、タイトルにつきましても、会議の内容に関わるものでありますために、発言の内容と同様に、情報公開法第五条五号に該当するものとしてマスキングさせていただきました。

西村(智)委員 これは疑問なんですよ。議事概要と書いてありますよね。さっきこちらの方からもありましたけれども、こんなにちゃんとした議事概要を作る非公式な会議なんて聞いたことないですよ。きちんと作られていますよ。「皆様には御多用中、御出席いただき、まことにありがとうございます。」「どうぞよろしくお願いいたします。」まるで会議ですよね。

 こんなにはっきり作っている議事概要の表題をなぜ隠さなきゃいけないんですか。これが情報公開法第五条の第五号に則してという、その理由は何ですか、判断理由。政務官の言葉でお答えください。答弁書を読まれていても、もう分かりません。

岡下大臣政務官 お答え申し上げます。(発言する者あり)

とかしき委員長 御静粛に願います。

岡下大臣政務官 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、この議論の内容を公にいたしますと、率直な意見交換が損なわれる可能性がある。したがって、マスキングをさせていただいた次第でございます。

 以上です。

西村(智)委員 政務官は、じゃ、マスキングしていない議事概要、それから、NPO法人日本派遣看護師協会ヒアリングメモ、これはマスキングしていないものを全部御覧になりましたか。政務官は御覧になりましたかと聞いています。後ろから紙が入ってきたって何も分かるわけないでしょう。

岡下大臣政務官 お答え申し上げます。

 私といたしましては、黒塗りする前の文書を見た上で申し上げております。

西村(智)委員 では、政務官は、この二つ出していただいた文書が、規制改革推進会議の専門チーム会合で、日本派遣看護師協会からの要請が専門チーム会合で議論されるに至った経緯のペーパーであるというふうに確認をしているということですね。

岡下大臣政務官 当委員会理事会より、看護師の日雇派遣に関しまして、専門チーム会合の開催を決定するまでの政策決定に関する公文書の公開を求められ、規制改革推進室における文書を確認し、内閣府として、御要請いただいた内容に該当する行政文書であると判断した上で、当委員会理事会に提出させていただいたものでございます。

 行政文書であったといたしましても、情報公開法の規定に基づき不開示の取扱いとする場合がございます。本件につきましても、非公開を前提とした会議でございましたために、情報公開法第五条第五号に該当するものとしてマスキングをしたところでございます。

西村(智)委員 もう、ちょっとこれ以上やっていてもらちが明かないんですけれども、第五条第五号にどういう点で抵触するからこれをマスキングしたんですか。

岡下大臣政務官 この第五条第五号には、「率直な意見の交換」というものが記載されております。したがって、率直な意見を交換していただくために議事録等々をマスキングさせていただいたということでございます。(発言する者あり)

とかしき委員長 静粛にお願いします。

西村(智)委員 ごめんなさい。今、ちょっとこちらからの発言で政務官の答弁がよく聞こえなかったんですけれども。何か声が小さくて、政務官の答弁が。何かすごく自信なさそうな感じで答弁いただいているので。

 そもそも、じゃ、議事内容及び開催自体を非公開として開催する会議ってそんなにいっぱいあるんですか。これ、私、すごく疑問なんですよ。非公開だということを前提として会議を開いて、だけれども、議事概要はこんなにちゃんと作っている。二十三ページまでびっしりと作っているんですよね。こんな非公式の会合というのは、規制改革推進会議の周りの、例えば専門チーム会合に関するものとかで、そんなに非公式の会合というのはいっぱい開かれているんですか。

岡下大臣政務官 お答えいたします。

 本件につきまして、これは非公開として、あらかじめ非公開という形でメモを取らせていただいておりますので、こういう形のマスキングとなった次第でございます。

西村(智)委員 今の政務官の答弁ですと、何かこの会議だけが非公開だというようなふうにも聞こえるんですけれども、じゃ、ほかの会議は、みんな議事録を取って公開しているということですか。それと、非公開と公開の基準、これはどういうふうに決めているんですか。

岡下大臣政務官 それは運営規則にのっとってさせていただいております。

西村(智)委員 運営規則というのはどれのことですか。

岡下大臣政務官 お答えいたします。

 会議の運営規則というものがございますので、それにのっとって行わせていただいております。

西村(智)委員 答えになっていません。(発言する者あり)

とかしき委員長 今、発言していますので、済みません。

西村(智)委員 ちょっと、止めて整理してください。もう一回答えてください。もう一回、答えが来ないんだったら整理してください。委員長、お願いします。

とかしき委員長 筆記を止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 筆記を起こしてください。

 岡下内閣府大臣政務官。

岡下大臣政務官 済みません。

 今確認いたしましたけれども、委員の打合せに関しましては非公開ということでございます。

 以上です。

西村(智)委員 ごめんなさい。今、政務官は何を答弁されたんですか。

 委員の打合せは非公開。それは、打合せというのは、一枚、裏表で出していただいたヒアリングメモ、これのことですか。

 私が聞いているのは、この議事概要の方なんですけれども。

岡下大臣政務官 提出させていただいたものが打合せのメモでございます。

西村(智)委員 ちょっと待ってください。これは打合せメモなんですか。それにしては、議事概要となっていて、議事。

 これは、見ていない人は分からないと思うんですけれども、きちんと会議の形式になっているんですよ。これは、一、日時、二、場所、三、出席者、ちゃんと書いてあります。四、議題、五、議事概要。すごく正確な、閣議なんか等も、多分、これに同じような形で議事録を作っているはずですよ。

 これほどまでかっちり作っているものが、打合せメモと言い切れるんですか、政務官。ちゃんと答弁してください。

岡下大臣政務官 何度も同じ答弁になりますけれども、それが打合せのメモということでございます。

西村(智)委員 じゃ、この議事概要と書いてあるこの上の黒塗りのところに打合せメモと書いてあるんですか。そこを白くして出してください、もう一回。

岡下大臣政務官 タイトルにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、情報公開法とも重なりますので、コメントは差し控えさせていただきます。

西村(智)委員 いや、今政務官が打合せのメモだとおっしゃったので、打合せのメモだと分かるような部分だけでもいいから白抜きにして出してくださいと言っていますけれども、どうですか。

岡下大臣政務官 お答えいたします。

 あくまでも情報公開法にのっとって対応させていただきます。

とかしき委員長 西村智奈美さん。(発言する者あり)

 では、今、手が挙がっていますので、済みません、答弁を聞いてください。

 岡下内閣府大臣政務官、お願いします。

岡下大臣政務官 その体裁ではなくて、中身の問題だとこちらは認識しております。

西村(智)委員 じゃ、打合せじゃないということですか、打合せだと書いていないということは。

 これ、形式、皆さん、与党の方もこの手の会議にたくさん出ていられますよね。これ、打合せメモの議事録でしょうか。はっきりした会議ですよね、これ。議事概要ですからね。議事概要を作っているということは、これよりまたほかに議事録というものがあり得て、議事概要というのは、すごく政府の方がきちんと作っているということですよ。

 打合せだというふうに判断できる根拠は示していただけますか、政務官。それを示していただかないと、情報公開法の話も、私、五条五号、違うと思いますけれども、ちょっとその先に進むためにも、打合せだというふうに、打合せのメモだというふうに議事録のどこを見れば証明できますか。黒くなっていて全く分からないんですけれども。

 その部分だけでも白くしていただけませんか。どこか、打合せのメモです、打合せですというところがあれば、そこを白くしてくださいよ。この会合は打合せですというふうに書いてあるところがあれば、白くしてください。

岡下大臣政務官 繰り返しになって大変恐縮なんですが、打合せのメモで、あくまで打合せでございますので、その点に関しましては、情報公開法にのっとって対応させていただきます。

西村(智)委員 もう何か、ちょっとこれ、本当に、都合が悪くなると打合せのメモだと言って非公開にする、これが許されたらとんでもないことですよ。こんなにはっきりと議事概要と、本当に正確に書いてあるであろうと思われるものができてきていて、あって、しかし、これは打合せのメモだから公開しない。こんなことが政府の中で本当にもっとほかにも行われているということですか。これは許し難いことですよ。

 情報公開法と公文書管理法では、これはやはり情報、行政上の持っている情報というのは国民共有の知的財産であるというふうに書いてあるわけですよ。政策決定が裏づけられるように国民に情報を開示しようというのが二つの法律の趣旨なはずです。もちろん、まだ不完全なところはありますけれども。これに全然則していないというこの政府のやり方。いや、ちょっと信じられないですね。

 いや、ここから先、どうやって進んだらいいか、ちょっと何か途方に暮れます、本当に。

 とはいえ、先に進まないといけないので、じゃ、進みますが、公文書管理担当の、今日は副大臣に来ていただいています。

 この議事概要のペーパーに、非公開となっておりますと。この資料と議事内容及び開催自体が非公開となっておりますというふうに書いてあるんですけれども、私がさっき申し上げた公文書管理法では、行政文書というのは国民共有の知的財産だというふうに書いてあるんですけれども、この会議の議事録に出ているこの部分、これだけをもって見ても、私は、公文書管理法の目的に合致しない、行政機関による、あえて言います、恣意的な会議等に対する取扱い、会議メモ、会議の議事録、こういったものに対する取扱いが行われているんじゃないかというふうに考えますけれども、公文書管理担当の副大臣としてはどういう見解ですか。

三ッ林副大臣 お答えいたします。

 公文書管理法において定められているのはあくまで文書の作成、保存でありまして、各府省の会議体等における議事の公開、非公開、あるいは、情報公開請求に基づく行政文書の開示、不開示、さらには、国会に対する資料要求への対応とは別物であることをまずは御理解いただきたいと思います。

 公文書管理を担当する副大臣として、意思決定の過程や事務事業の実績を合理的に跡づけ、検証できることができるよう、適切な文書の作成を行っていただく必要があると考えているところでありますけれども、実際にどのような文書を作成するかの判断、また、作成した記録の公開の在り方については、各業務を担当する部局において、個々の業務の性質、内容等に応じ、適切に判断されるべきものと考えております。

西村(智)委員 今年から、アーキビストという資格をつくって、アーキビストの募集を始めているんでしょう。その内閣府が今の答弁じゃ泣きますよ、アーキビストに応募してくれた人たちが今の答弁を聞いて泣いていますよ。ちょっと考え直してもらわないと困りますね。

 各府省に任せている、非公開でも構わない。こんな会議が、じゃ、規制改革推進会議の周りで非公開の会議がたくさんたくさん行われているかもしれないですよ、今の政務官の答弁だと分からないですからね。たくさんたくさん行われていて、それが、全部議事録、きちんと作っているにもかかわらず、メモだとか何だとか詭弁を言って公開しないなんということがあったら、公文書管理担当副大臣としては、これはまずいでしょう、ちゃんと職務をやっていないということになりますよ。

 済みません、先に進みます。

 もう一回、岡下政務官に聞きますけれども、それで、先ほど川内委員との質疑の中でもありましたけれども、ホットライン対策推進チームの主査というのが決めて、それで、規制改革推進会議の議長や議長代理の了承を得て、それで、専門チームで看護師の日雇派遣の問題を、課題を議論するということになったということなんですね。

 それで、政務官、ここは明確にお答えいただきたいんですけれども、これ、規制改革ホットライン運営方針にも確かに書いてあります、そういうふうに。看護師の日雇派遣が重要だと判断したわけですよね、ホットライン対策チームの主査という方が。それが誰かというのはちょっとおいておきます。その判断は、どういう場で、どういう形で行われたものですか。それが一つ。

 それから、それを専門チーム会合で取り扱いますよということについては、議長又は議長代理の了承を取り付けなきゃいけないことになっています。これはどういう場でどういうふうに取り付けられて、そして、専門チームは、いつ、どのような形で設置をされたんでしょうか。三点、お願いします。

岡下大臣政務官 お答えいたします。

 平成二十九年九月十一日に規制改革推進会議決定されました規制改革ホットライン運営方針で、本会議又はワーキンググループ等で扱わない事項につきましても、ホットライン対策チーム主査が重要と判断した事項につきましては、議長又は議長代理の了承を得て、専門チームにおいて検討するとされ、専門チーム会合が設置されることとなりました。

 本件につきましても、この取扱いに従いまして、当時のホットライン対策チームの主査が平成三十年十一月十二日の委員等との意見交換を踏まえまして重要と判断され、平成三十年十一月十九日の規制改革推進会議に諮った上で、同月二十八日に専門チーム会合で議論されました。議長の了承につきましても、規制改革推進会議の前に得たと聞いております。

西村(智)委員 今おっしゃった、十一月十二日にホットライン対策チーム主査が判断した、ヒアリングを経て判断したというふうにおっしゃったときの議事録が、前回理事会に提出してくださった黒塗りになっているものの議事概要ということでよろしいですか。

岡下大臣政務官 そのとおりでございます。

西村(智)委員 では、答弁してくださったので、それが分かるところだけでも白抜きにしてもらえませんか。

岡下大臣政務官 済みません、度々の答弁になりますけれども、それは情報公開法にのっとって対応させていただきます。

西村(智)委員 いやいや、政務官、今、政務官ははっきりと、十一月十二日の、会合だか何だか分かりませんよ、これは黒塗りになっているから、政務官はヒアリングとか打合せとおっしゃるかもしれないけれども、とにかく、何がしかが行われて、その場で、この看護師の日雇派遣の課題を専門チーム会合で諮ることをここの場で判断したというふうに答弁してくださった。今、はっきり答弁してくださったわけですから、少なくともその部分だけは明らかにできるでしょう。明らかにできるでしょう。明らかにしなきゃおかしいですよ。

岡下大臣政務官 度々になりますけれども、情報公開法にのっとって対応させていただきます。

西村(智)委員 理事会での協議をお願いします。

 委員長、これは、日雇派遣の問題、派遣法で今まで禁止してきた看護師の日雇派遣をこんなふうにずるずるずると解禁していったら、あれもこれもになっていくおそれが非常に強いと思います。しかも、看護師の皆さんが働く環境、それ自体も重要だけれども、看護師の皆さんが働く場所、そして相手にする人がいらっしゃるわけですから、人に対するサービスについてのものですので、ここはきっちりと理事会での協議、更なるここの白抜きをお願いしたいと思います。

とかしき委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

西村(智)委員 それで、田村大臣、こんなふうに、何か黒塗りになっている議事録で決まってきた看護師の日雇派遣の規制改革ですよ。

 厚生労働省は当初、抵抗していました。抵抗していたんだけれども、抵抗するといいながら、ニーズ調査もするというふうに言ってしまって、ニーズ調査したんだけれども、ニーズも、はっきりとあるというふうには私には読めなかったです、あの調査報告の中で。雇用管理上の懸念も非常に強いというふうに受け取りました。

 実際にこの日雇派遣に反対だった厚労省が、何でその懸念を払拭するに至ったのか、材料は何かありますか。この前の答弁だと、労政審に諮って、派遣先と派遣元にそれなりの対応を取ってもらうんだということですけれども、それだと、今まで看護師の日雇派遣を禁止してきた理由、状況とは何も変わっていないということですよね。状況は何も変わっていないけれども、今後はちゃんとやってもらうから大丈夫と、これでは懸念を払拭したことにならないんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

田村国務大臣 規制改革実施計画にのっとって調査をしろということでございまして、調査をいたしました。それも、今言われたとおり、一つは、社会保障審議会医療部会で、これは、業務というものが本当に大丈夫か、つまり日雇派遣という形で。そういうことを、福祉施設等々で健康管理ということに限定しながら看護師が日雇。元々、言われるとおり、日雇派遣というのは原則禁止なんですけれども、専門性の高いものに関しては、これは、その中身に従って、例外もあるという形にしておりますから、そういう意味では、看護師というのは専門性が高いというのは確かであります。

 ただ、一方で、一つは、委員の言われるように、人に接する職種でございますので、そこが大丈夫なのかということ。そこは、健康管理というものに限定するという中で、おおむね妥当であろう、妥当といいますか、要するに、そこはある程度管理できるであろう。

 それからもう一つは、雇用管理というような観点からは、これは労政審の方で御議論いただいて、そこで、介護施設側もお招きして、要望があるのかどうか、まさに聞きましたらば、やはり、その中において、業務を限定してであるけれども、どうしても休まなきゃならないという場合が出てくる、看護師の方も。それは、ワーク・ライフ・バランス、いろいろあるんでしょう。

 そういう中において、スポットで入っていただける、そういうような意味合いでのニーズはあるということでございますので、雇用管理上も、それはしっかり対応すれば何とかなるし、そもそも、ずっとそこで働かれるという話じゃないので、日雇を繰り返してそこで働くわけじゃなくて、要するに、今言ったように、スポットという形のような感じでそこに入ってこられるということでありますから、そこは雇用管理上もしっかり対応すれば大丈夫であろうということで、おおむね妥当というような、そういう評価をいただいたんです。

 ですから、今いろいろとるる経緯があられましたが、それは内閣府の中でいろいろと御判断をされる話であって、我々は規制改革実施計画にのっとってそのような対応になったといいますか、言うなれば、審議会を二つかけて、二つとも御了解をいただけたということでございますので、そういう意味で、今般のこの実施計画の中での決定に至ったというふうに認識いたしております。

西村(智)委員 審議会の中でも懸念の声はすごくたくさんありましたよね。それにもかかわらず解禁の方向でというふうに決めちゃったのは、やはり、最近、何か出来レースの会議が厚労省回りでも多くなっているなというふうに私は思います。

 それから、スポット的なところでだったら日雇をというふうに大臣はおっしゃったんだけれども、まさに、ニーズ調査を行った厚労省の調査の中、よく見てください。逆に、スポットだったら問題があるというふうに言っている施設がありましたよ。例えば、急に休みがあって空いたのでスポットで来てくれとか、そういうのだと、業務の連携とか、逆に問題があるというふうに言っている施設がありました。

 だから、ここは厚労省としては、やはり踏ん張らなきゃいけなかったところだと私は思います。今からでも踏ん張れると思うので、一度解禁された、四月一日から解禁されていますけれども、もう一回止めていただいて、もう一回、この経緯が明らかになるまで、この黒塗りの資料で、だって、法にのっとってやっているはずの行政が、何かこんな黒塗りの議事概要を出してきて、それで専門チーム会合に諮ることにしましたなんという、こんなずさんなやり方で、私たち、とても納得できないですよ。大臣もそうじゃないですか。ここは強く要請しておきます。

 時間が、済みません。高齢者医療制度の方をやらせていただきたいと思います。

 私たち、今回の政府提案に対しては、対案を提出いたしております。病気になった人たち、高齢者の方が窓口に行ったところでの負担を倍にするというのではなくて、保険料を払ってくださっている方々から、富裕層の高齢者の方から賦課限度額を引き上げさせていただいて、保険料を上乗せしていただく、応能負担ですね。まさにこれは応能負担だと思うんですけれども。

 やはり、窓口での年収要件をつけての負担ということになると、結局のところ、サービスに対する負担ということになりますから、年収二百万円ぐらいですし、これがまたすごく上がったり、すごく下がったりということであればまた別の考え方があるかもしれませんけれども、年収二百万円以上ということになると、やはり、これは応能負担というよりは、応益負担の意味合いが非常に強いというふうに思うんですよ。

 私たちも、もちろん現役世代の負担軽減というのは大事なことだと思います。一割、四割、五割、後期高齢者、現役、そして公費、この負担割合でスタートした当初の後期高齢者医療制度は、今だんだんだんだんその後期高齢者の医療負担割合は増えているんだけれども、現役世代の負担というのも、それはやはり総額としては増えているのは分かります。分かるんだけれども、何でそのときに、窓口負担の引上げということなのかなと。

 いろいろやり方は私もあると思うんですよ。私たちが提案しているように、まさにその後期高齢者の皆さんが払ってくださっている保険料の中で、応能負担の考え方をもっと入れていくというやり方、ほかにもいろいろあるでしょう、公費を増やすとか、いろいろあると思うんですよ。いろんな選択肢がある中で、何で後期高齢者の窓口負担の引上げという方法を選択したのか。ここが私はやはり、最初から結論ありきだったというふうに思えてならないんですけれども。窓口負担を上げようねと最初からその結論があって、じゃ、どのタイミングで、いつやろうか、そういう話だったのかなと思うんですけれども、大臣、どうですか。ほかの選択肢はなかったですか。

田村国務大臣 いろんな御議論はいただいたんだと思います。審議会の中でいろんな御議論をいただく中において、最終的にこういう形に決定したんですが、そもそも、立憲民主党さんが提案されている、賦課限度額を引き上げるのと税財源をどこかから二百数十億持ってこられるというような案でありますが、賦課限度額は、我々もこれを上げること自体を否定しているわけではなくて、今も二年ごとに上げてきているわけでありますね。上げたばかり、昨年度上げたばかり、平成二年度という形であります。

 急激に上げるという話になると、御承知のとおり、これは国保の賦課限度額とある程度平仄を合わせながら、まあ、元々低いですからね。だから、そういう意味からすると、もちろん、二割という言われ方もあれば、九割給付を八割給付、一二%給付を下げたという言い方もありますから、それはいろんな考え方があると思いますし、そもそも保険は給付ですからね。これは、給付で基本的な。もう中島先生はよく御理解いただいていると思います。ですから、そういう意味からすると、そういう見方もありますので、そこは……(発言する者あり)長妻先生、私はここで答える必要はないので。

 失礼いたしました、申し訳ありません。

 そういう中において、要は、急激にやはり上げるということになると、これは参考人のお話もあったようでありますけれども、保険財政が厳しいということになると、比較的所得の低い方々が賦課限度額までいっちゃうというようなお話もあったようでございますが、そういうこともやはりしっかり踏まえていかなければならないんだというふうに思います。

 ですから、上げること自体は、我々はやはり、高齢者の中でもいろんな形で御負担をどう担っていただくか、これも重要だと思いますけれども、今般の改正に当たっては、そこに中心的に上げるとなると、これだけじゃなくて、五割、四割、一割という、これはまた根幹ですよね、それぞれ誰がどう負担するんだという、ここも変えなければ、今のままですと高齢者だけでの負担軽減になりますから。

 そこまでしないと若いところに行かないというと、ここの根源に議論が入っていくとなると、やはり国民的な御議論を更にいただかなきゃならないということを考えますと、幅広く、この全世代型という考え方の中で、若い人たちの負担というものを、一定の負担能力のある方々にお願いしていこうということを考えると、今般の改正が御理解を一番いただきやすいのではないかということで、我々としては提案をさせていただいているわけであります。

 決して、立憲民主党さんがおっしゃっておられるような部分に関しても全く我々は否定しているわけではなくて、そこも、これからまだまだ、正直申し上げて保険財政は厳しいわけでございますから、この保険をもたせるためには、そこも更に、これからの中において、急激な負担の上昇というのは難しいかも分かりませんけれども、賦課限度額の上昇は難しいかも分かりませんけれども、お願いしていく部分というのは多々あるというふうに考えております。

西村(智)委員 何か評価していただいたのかしていただいていないのかよく分かりませんが。

 急激に上げるとそれは大変だと大臣おっしゃいましたけれども、今回、まさに政府の法案によって、一割の人が二割に、倍になるわけじゃないですか。これは急激に上がるというふうに言いませんか。

 やはり、私たちの法案も、一、四、五、ちょっと一のところを増やすんですよ。一のところを増やした上で、そこに富裕層の高齢者、年収およそ九百万です、全国平均ですけれども、九百万以上の方々の賦課限度額を上げて、その分を投入し、足りない分については公費で負担をするという考え方ですので。

 ただ、私も今回いろいろ勉強してみて、やはり、持続可能な形にしていくためには、政府案でもない、政府の提案で、今回窓口の負担を増やすというやり方ではない、また、私たちだって、今回、コロナの状況で、とにかく、やはりいろいろ、高齢者の皆さん、現役世代の皆さん、あるいは医療機関、こういったところも考えて、当分の間ということで今回の提案をさせていただきましたけれども、後期高齢者医療制度そのものが、やはり、私、もっともっと本質的なところで議論していかないといけないんじゃないかというふうに思っているんですよ。そんな中で高齢者の皆さんの窓口を二倍にするということが一体どういう影響を及ぼすのか。

 時間が、済みません、ちょっとなくなってきまして、それで、昨日参考人質疑がありまして、長瀬効果があるということは明確になって、それで、これは厚労省も認めていることで、長瀬効果によって受診の抑制は起こるということは認めておられるんだと思います。

 ただ、ここから先が分からないのが、長瀬効果の数式も、新しいものをちゃんと出した方がいいというふうに参考人の方はおっしゃっていたので、それは是非出していただきたいと思うんですけれども、そこから先です。受診の抑制が起きた後で健康への影響がどのくらい出てくるのかということについて、厚労省は何の調査も分析もしていないということ。これは、今までに、長妻委員始め、宮本委員もいろいろ質疑をされている中で、とにかく何にも調査もしていないんですよね。

 ところが、例えば、日本国内でいいますと、日医総研が、先ほど長妻委員の資料にもありましたけれども、受診控えをした結果、半数以上の人が、症状が悪化したというふうに回答している。これは二〇一二年のアンケート調査だそうなんですけれども、そういうふうに明確に言われております。

 また、この調査の結果概要では、こういうふうにも書かれているんですね。「窓口での支払いが増えたときに受診回数を減らすという回答が多い。この背景には、所得格差等もあると推察されるが、今後、受診を差し控えない患者、差し控える患者の格差が拡大していくことが懸念される。」と。二〇一二年当時のペーパーです。

 そして、昨日の参考人の方も紹介してくださった、アメリカで行われたランド医療保険実験ですけれども、これはすごい巨額のお金をかけてアメリカで行われた社会実験だということです。今のお金に換算すると三億ドルぐらいのお金をかけてやられた社会実験、二千七百五十世帯に対して行ったということなんですけれども、その資料をつけております。

 最後のページですけれども、これは、「世界一わかりやすい「医療政策」の教科書」という本に、このランド医療保険実験の、簡単な、分かりやすい日本語訳の文がありますということで、私も見てみました。

 ここに、「自己負担があるほうが健康状態が悪くなるという結果が認められました。」というふうに書いてあります。また、「医療費の自己負担は医療の質に影響を与えるのか?」というところでいいますと、「医療費の自己負担割合が高くなると、価値の高い(効果的な)医療サービスと価値の低い(効果のない)医療サービスの両方の消費量が、同じくらい低下することも明らかになりました。」。

 これはすごく重要なことだと思うんですよ。効果的な医療と効果的でない医療が、両方とも低下しちゃう。(発言する者あり)もちろんそうですよ。簡単には判断できないけれども、効果的な医療も減ってしまうということです。

 そうすると、これはやはり、日本国政府としても、本当に、窓口の負担を上げることによって健康への影響がどの程度出るのか、ある程度の分析とか調査、それをやった上でないと、この窓口負担の二割への引上げというのは、そんなに安易にやってはいけないというふうに考えるんですけれども、大臣、いかがですか。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が来ましたので。

田村国務大臣 これがなかなか難しいというのも御理解いただいているんだと思うんですけれども、このランド実験も、内容としては、自己負担があることにより一般的には健康状態への悪影響は認められなかったこととなっているんですね、結論が。

 これは、そもそも保険がないんですよ。保険がない国で、自己負担〇%、二五%、五〇%、九五%といっても、ちょっと日本の皆保険制度とはもう比較しないような中での結果であり、書いてあるのは、最も貧困で健康状態の悪い六%の人たちの中でという限定で書かれている。正直申し上げて、七割給付は最低ある日本の皆保険制度とはもう比較のしようがないわけでありまして。

 その中で、要するに、九割給付から八割給付にする中においての影響というのは、ちょっとここのランド調査と比べるには余りにも私は状況が違うということでございますので。

 なかなか、この九割から八割という中において、他のいろんな要因があって、健康の状況等々をどのように判断するかというのは、これは本当に難しい中でございますので、今までもいろんな形で調査はありますけれども、全ての方々がこれはそうだよねと言うような、衆目がもう認めるような調査というものはなかなか出てきていないというふうに理解いたしております。

とかしき委員長 西村智奈美さん、申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

西村(智)委員 私の質問は、日本でもちゃんと分析をすべきではないですかということなんですよ。アメリカの調査がどうのこうのと、別にそんなことを答弁してくださいなんて私は一言も言っていませんよ。日本でちゃんと影響調査をしないでこんな法律案を出してくること自体が、政府の責任としてどうなんですかということです。

 時間なので、終わります。

とかしき委員長 午後零時五十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十七分開議

とかしき委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉田統彦君。

吉田(統)委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 大臣、今日はよろしくお願いします。

 何かアクリル板があるとちょっと遠く感じますね、本当にね。

 本日は、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案に関して質疑をさせていただきます。

 早速始めたいと思います。

 今回の法改正の最大の問題点は、年収二百万円以上の七十五歳以上の後期高齢者が医療機関で支払う医療費の窓口負担を一割から二割、つまり倍に引き上げるということだと思います。

 そこで、冒頭、まず確認させていただきますが、厚生労働省は、七十五歳以上の後期高齢者の受診控えによる医療費圧縮想定額をどのくらいと見積もって財務省と折衝したのですか。大臣、いろいろ聞きたいので、簡潔に御答弁をお願いします。

田村国務大臣 長瀬効果分ということでいいんでしょうか。その部分だけですね。

 長瀬効果分は約九百億円と試算をいたしております。

吉田(統)委員 それをもって財務省とお話をされたということですね。財務省と、でも、お話しされていますよね、絶対、ここは大事な問題ですから、されていると思いますが。

 では、大臣が今答弁された受診控えによる医療費の削減額。病院の収入は大臣はお詳しいんですが、労災や自由診療もありますが、おおむね診療報酬の積み上げですね、大臣。とすると、ニアリーイコール保険医療機関の収入と考えてよいわけですね、診療報酬が。

 そうすると、大臣は、口ではいつも、新型コロナウイルス対応をしてくださっている医療機関、そして全ての医療機関に対して感謝しているとしきりにおっしゃっていますね。私も何度か聞いております。

 ただ、以前私も内閣委員会などで指摘したように、大学病院や、特に大きな規模の総合病院、また、クリニックだと耳鼻科や小児科が深刻な影響を受けていることは、マスコミでも報道されていますし、大臣はよく御承知だと思います。

 実際に、現下の新型コロナウイルス蔓延の中で頑張っているアカデミア、総合病院及び全ての医療機関に対して、政府は、本法案で、応援するどころか、減収をさせるというメッセージを出したということでいいですか。イエスかノーでお答えください。

田村国務大臣 長瀬効果というもので九百億円という話をしましたが、そもそも、医療の給付、医療費というのは年間九千億円ぐらい増えていくわけですね。これは医療の高度化もあれば、あと、高齢者自体が増えますから。

 そういう中で、なかなか財政が厳しい状況があって、だからこそ後期高齢者支援金をこのままでやっていけば若い人たちの負担が増えるということでございますから、それで今般の法案を出させていただいておりますので、そもそも、給付自体は伸びていくという大前提がございますから、各医療機関に行くお金という意味からすると、給付は伸びるということを前提に考えております。

吉田(統)委員 大臣、それは誰が作ったんですか、そんな答弁。

 おっしゃるように、自然増というのは、医学の進歩がすごく大きいです。それは、新しい技術や新しい薬が出ることによって誰の収入になるんですか。ほとんどは製薬会社だったり医療機器メーカーだったりそういったもの、それは、つまり、日本ではそういったところが非常に遅れているから、外国の収入になるんです、大臣。

 だから、全然それは違いますよ。全くそれは考え違いであって、基本的に医療機関のそもそもの取り分に関しては大きく減ります。間違いないんですよ。

 じゃ、大臣、今おっしゃったことが事実であると自信があるのであれば、医療機関を減収させない、絶対に医療機関が減収しないと約束できますか。

田村国務大臣 それぞれの医療機関がありますから、全てがということを申し上げるつもりもありませんが、そもそも、今の、いろんな意味で医療の言うなれば技術革新みたいな部分もありますが、高齢者自身も増えますから、その高齢者の伸びというものが非常に大変だということで、今般、七十五歳以上。特に、お話がありましたよね、七十五歳以上になると医療費がかかると。ここが団塊の世代が入っていくということで大変だということで今回出しておりますので、そこのインパクトも私はかなりあるというふうに考えております。

吉田(統)委員 それは実際に、大臣、ないと思いますよ。それはよく見てください。いやいや、大臣、自然増というのは技術の革新が極めて大きいんですよ。分かってみえますか。大臣は、一緒に出た勉強会でもそういう説明があったとき、一緒にうなずいていましたよ。いやいや、十年前ですけれども、僕は覚えていますもの。大臣は、うん、そうそう、そのとおりと。そのとき一緒に、当時野党でしたけれども、おっしゃっていましたよ。私は覚えていますもの、それ。

 ですから、そういうことで、分かりました、大臣がそれを御主張されるならいいですが、今後それが明らかになりますから、大臣、今回言ったことには責任を持ってください。

 本法案が成立し施行されると、確実に医療機関の収入は減ります。そうすると、勤務医始め医療従事者の待遇及び雇用環境の悪化も必然的に、大臣、起こります。さきに衆議院で可決して、現在参議院で審議中の医療法改正案における医師の働き方改革と政策的に、大臣、矛盾しますよ、これ。

 当然、勤務医始め医療従事者の給与は減らされます。そして、医師をサポートする医療従事者の増員は当然無理です。逆に減員される可能性が高いと思われます。ましてや、医師や医療従事者、特に非資格保持者、資格を持っていない方を増員することはほぼこれで無理になりますので、タスクシフトを進めて医療従事者、特に医師の働き方を進めるという政府の考え方と矛盾すると思うんですが、どう思われますか。

田村国務大臣 医師の働き方改革ということで、長時間というものをどう是正していくかということもございましたので、先般の前回の診療報酬改定で、救急等々の対応を一定数以上やっていただいている医療機関には診療報酬、それから、それ以下のところに関しましては医療介護総合確保基金で対応する等々もやっております。

 様々なことをやりながら医師の方々の働き方改革を進めなきゃなりませんし、ある意味、医療機関の収入も増やしていく中において、言われるとおり、医療職種だけじゃない他の職種の方々も含めて、しっかりと職場の環境改善、それは処遇も含めてやっていかなきゃならないと思っております。

 先ほど来、ちょっとここは合わないんですけれども、この法律をもってして医療機関が収入が減るということは、私はないと。個々は別ですよ、個々は。全体としては医療の給付費が増えていくわけでございますので、そこがもし減っていくのであるならば、それはおっしゃられる意味は分かりますが、医療の技術が進む部分もありますが、高齢者が増える部分というのも、これもインパクトが大きいというふうに我々は思っております。

吉田(統)委員 いや、だから、大臣、それは分かるんですよ、一定程度。しかし、基本的には、医療が高度化するから自然増は起こるんです、基本的には、大臣。それだけじゃないとおっしゃいましたが、それは大きい要素ですよ、極めて。極めて大きいんだから、それはちゃんと勉強してください、本当に。勉強してもらわなきゃ困る。いや、本当にそうですよ。

 大臣、でも、僕は覚えていますよ、本当に。それは大臣もそのときはちゃんと、そのときコンセンサスがありましたから、一緒に勉強会で勉強していたときは。それはいいです。

 ただ、結局、しかし、これは間違いなく医療機関は絶対患者が減りますよ。当たり前ですけれども、受診控えが起こるわけですから。

 繰り返しになりますけれども、じゃ、アカデミアとか大病院の見かけの収入は増えるかもしれない、見かけの収入。ただ、さっきから申し上げているように、高度化した医療の部分に関しては医療機関の収入にはなりません。例えば、後で話しますけれども、抗VEGF剤とかの投与は、薬だけ高くて、見た目の診療報酬は上がります。しかし、実質的な技術料、つまり、本来、従業員、スタッフ、医療従事者に還元される部分の診療報酬は伸びないんですよ。分かりますよね、大臣、それは。抗VEGF、キムリア、そういったものを使えば見かけの診療報酬は上がる。見かけの診療報酬は上がるんですよ、場合によっては。これも分かりません。しかし、本体のそういった経費のようなものを抜いた部分の診療報酬に関しては、減る可能性が極めて高いんですよ。大臣、だからそこをしっかり検証しないといけないわけです。

 だから、大臣は断言されたけれども、断言されるんだったら、じゃ、そこに関するちゃんとしたデータを厚生労働省がお持ちなのかをもう一度大臣はちゃんと確認された方がいいですよ。だって、さっきから言い切っている割には、本当に、じゃ、そう言い切れるのか、甚だ疑問ですよね。薬とか、大臣はまだ若いから余り病院にかからないかもしれないですけれども、本当に新しい医療は高いんですよ。今、TAVIとかいろいろなものも入ってきていますよね。残念ながら、それは海外の技術であることがほとんどなんです。そこは是非ちょっと入れた上で、もう一回試算し直してほしいです。

 じゃ、もっと大臣、行きますよ。

 政府は、予防とか早期発見、早期治療の重要性というのはずっと訴えてきていますよね、健康日本とか、いろいろなことで。アメリカの政策を当初はかなり参考にした部分が多いですが、予防は保険診療じゃないです。しかし、早期発見、早期治療、そして予防というのはこれは極めて有効で、多くの国民の命を、健康を守ってきたということなんです。しかし、長瀬効果というものを期待するという前提だと、受診控えが起こるわけですよ。

 これは、大臣、そうさっきもおっしゃっているわけですから、そうすると、大臣、根本的に、概念として、受診控えを起こさせるということは、早期治療、早期発見ということを政府は諦めたということなんですか。そして、早期発見、早期治療よりも医療費の圧縮を優先したという考えでよろしいですか。

田村国務大臣 これも何度も申し上げておりますけれども、必要な医療はちゃんと受けていただくということを前提で我々は考えております。もちろん、長瀬効果はマクロの数字でございますので、年間三十三回の外来、これが三十二・二回になる、〇・八回減る、年間ですね。これは月に換算すると〇・〇七回。これは平均ですから、これがどうだと言うつもりはありませんが、つまりマクロでそれだけ減る話であって、必要な医療は受けていただくということを前提で、そういうような所得のある方々、上位三〇%という方々に対して、今回、給付を九割から八割、つまり一二%給付を下げるということをさせていただくということで、もちろん、本当はやりたくないというか、やらない方がいいんだと思います。

 ただ、そこはやはり、保険というものが持続可能であり続けるためには、若い方々に対してのいろいろな御負担がこれからも増えてきますから、その増えていくのを若干抑えていくということもやっていかないと、なかなか若い方々からも御理解いただけないという中で今般のことをさせていただいておりますので、早期に受診していただいてそこで病を発見していただいて、早期に予防していただく、若しくは重症化を予防する、これは大変重要な観点でございますので、我々はそこはこれからもしっかり進めてまいりたいと思います。

 そのためにデータヘルス等々をやっておるわけであります。若い方々に対しましては、四十歳以下に関しましても、今まで、安衛法にのっとった事業所内の健診、こういうものと保険者との連携等々をしながら、しっかりと健康管理をつなげていこうということも今進めているわけであります。

吉田(統)委員 大臣、苦しい答弁だと思いますね。るるおっしゃっていただきましたけれども、これは響かないですね、国民には、残念ながら。駄目ですよ、それは。一番、本当に、多分、早期発見、早期治療、特に、がん、悪性腫瘍等々で必要な世代にこれは直撃しますよ。間違いない。

 だったら、大臣、医療費を削減する方法なんていろいろほかにあるんですよ。私は後でどんどん提言していきますけれども、そういったことをやった方がいいですよ。だって、大臣はさっきくしくもおっしゃったじゃないですか、本当はやらない方がいいと。やはり、大臣は国民のことを思ってくださっているからそういう言葉が出たんだと思いますよ。

 だって、やらない方がいいんですよ、これ。やらずにほかのことをやった方がいいけれども、大臣はやはり完全な医療とか科学技術、薬とかの御専門ではないので、大変聡明な大臣ですけれども、だから役所にだまされちゃうんですよ、本当に。だって、後で話しますけれども、アバスチンなんてアメリカでもやっていることなのに、医療費を削減するために日本でなぜやらないのか。ちょっと後でそれはやりますけれども。

 歯科のこともちょっと指摘させていただきますね。

 政府は、骨太の方針等で、健康寿命における歯の重要性、歯科ですね、重要性を指摘しています。歯科医師全体に聞くと、歯科は経験的に自己負担の診療費が上がると受診控えが起こるということ、やはりデータとしてあるようですね。

 今回の改正で後期高齢者の歯科受診控えが起きると、歯の健康を失い、健康寿命に悪影響を及ぼします。もう大臣は分かっていらっしゃると思います。歯がどんどん抜けていっちゃうと認知症を起こしやすくなりますし、何といっても誤嚥を起こしやすくなります。口腔ケアは非常に大事です。

 こういった形で、やはり、今回のことを見ていると、歯科の先生たちは、歯科に頻繁にかかる方から見ると、歯の健康が健康寿命を延ばすという従来の政府の方針と矛盾するように思うという意見があるんですが、そこはどうお考えになりますか。

田村国務大臣 委員おっしゃられるとおり、歯科口腔という意味からすると、誤嚥性肺炎を防いでいったり、あと、言うなれば糖尿病との関係等々もいろいろと今エビデンスができつつあるというふうにお聞きしております。

 歯科口腔保健というものをしっかり守っていただくということは重要だというふうに思いますので、我々としても、昔は歯科医も子供たちが中心でしたけれども、最近は高齢者に変わってきておりますので、高齢者の方々も歯科医に行っていただきたい、口腔のケアをしっかりやっていただきたいという思いがあります。

 一方で、コロナでなかなか減っているというお声もお聞きしまして、そこは我々もいろいろな、受診勧奨ではありませんけれども、必要な歯科口腔、歯科医療は受けてもらいたいということもお伝えをさせていただいております。

 いずれにいたしましても、今回の法案は法案ですけれども、私も歯科は非常に重要だと思っていますし、歯科口腔保健法の提出者の一人でございますので、しっかりとこれからも歯科口腔の重要性を訴えてまいりたいというふうに思っております。

吉田(統)委員 大臣、とはいっても、歯科の先生たちはやはりがっかりしていますよ、本当に。

 だって、大臣、歯科の方が今受診させなきゃいけない時代なんですよ。大臣は分かっていらっしゃると思うんです。高齢者というのは歯科はやはりかからないんですよ。医科の方を優先しちゃったり、いろいろな事情があって。

 コロナは、くしくも、歯科医院はかなり衛生管理をやっているみたいで、今のところ、クラスターとかが発生した事例は、私が知らないだけかもしれませんけれども、余りないように思います。今、本当に、逆に歯科に関しては、受診控えどころか、歯科はどんどんかかってもらわなきゃいけない時代なんですよね、大臣。

 だから、そこはしっかりと頭に入れて、歯科口腔保健法を提出された、それだけ思い入れがあると思いますので、大臣、ちょっと本当に踏みとどまって、やはりこの法案はやめたとおっしゃった方がいいと思いますよ。

 じゃ、大臣、その後を聞いていきます。

 今回の改正を皮切りに、今後も段階的に窓口負担を増加させて国民のフリーアクセスを制限するつもりがあるのか、若しくは、今後は二度と窓口負担を増加させないつもりでいらっしゃるのか、イエスかノーかでお答えください。

田村国務大臣 一つは、フリーアクセス、これはしっかりと守っていくというつもりであります。

 ただ、一方で、ある程度、外来機能の明確化ということを申し上げておりますので、なるべくかかりつけ医機能のあるところでまずは初診を受けていただいた上で、紹介という形で大きな医療機関に行っていただいた方が、御本人にとっても、ずっと待って、それから、短い、短いといっても三分診療ということはないんでしょうけれども、医療機関で診療いただくよりかは、よく知っていただいている方に初診を受けていただくということが非常に我々としても重要だというふうに思いますので、そういう意味では、決してGP制度じゃありませんよ、そういうような自分のフリーアクセスの中で対応していただくということは必要だと思いますが、フリーアクセスは我々も維持したいというふうに思っております。

 それから、もう一点は何でしたっけ。(吉田(統)委員「もう上げないのか、もう二度と。それとも、じゃんじゃん上げる気なのか」と呼ぶ)

 取りあえず、我々は、今の現時点で、今回、この二割負担ですね、八割給付と言った方がいいのかも分かりませんが、これは二百万円以上、単身世帯という形にしましたけれども、これを即座に上げるなどということは今私は全く考えていないわけでありまして、今回のものを提出をさせていただいたばかりでございますから、我々としては、この法案をしっかり御審議をいただいた上で成立をいただければありがたいということでございまして、今、更に上げるなんということは毛頭考えておりません。

吉田(統)委員 大臣、状況によってまた下げるということは考えませんか。

田村国務大臣 それは、全くないか、あるかというのは、それはもう何が起こるか世の中分かりませんから、絶対ありませんとは言いませんけれども、だけれども、今の人口構成、国の財政、いろいろなことを考えていくと、これを下げて税金をばっと入れるということができるかどうかというと、なかなか難しい状況でもございますし、現実的に考えて、これを下げるということは、よほど何か幸運が起こらない限りは難しいんだというふうに思います。

吉田(統)委員 当面は、じゃ、これを大臣は成立をさせて、今後は負担を上げる気も下げる気もないという理解でいいですね。うなずいていらっしゃるので、じゃ、次のテーマに行きたいと思います。

 ここから、じゃ、大臣がおっしゃったように、なかなかこの医療費が増えていく中で、やはり打てる手は打っていかなきゃいけないんですよ。

 その中で、先般、内閣委員会で、私は、我が国の健康・医療戦略、科学技術研究開発、障害者対策、難病対策、医療保険、さらには現在の新型コロナ感染症対策にもつながる重要かつ広範な問題について、健康・医療戦略を担当する井上大臣に質問しました。

 要旨はお手元にお届けしていますが、我が国の医療研究や創薬面での遅れは深刻ですね、大臣。よく分かっていらっしゃると思います。二〇〇〇年以降に、新型コロナウイルスに対するワクチンについてまず申し上げると、研究費の額よりも、この分野における基礎研究や基盤技術の開発において非常に遅れていたと。

 三年ほど前、中日新聞の記事で私も見ましたけれども、感染研がSARSに対するワクチンの開発をしたいと言ったら、厚生労働省が却下した、そういった記事がございましたね。やっていれば全然違ったと思います。

 それで、メッセンジャーRNAワクチンに関して申し上げると、二〇〇〇年以降に発表されたメッセンジャーRNAワクチンに関する論文は、日本は実は僅か一編です、大臣。バングラデシュ、トルコ、チリ、ブラジルと同レベルであります。

 さらに、世界の遺伝子治療に関する臨床研究の登録数も、アメリカがもう圧倒していますが、フランス、イギリス、中国、韓国や台湾にも実は負けています。大臣、負けているんです。本当にひどい状況です。

 そして、世界で開発される遺伝子治療の製品というのは、ベンチャーの買収資金やパテント料が高額で、しかもその情報開示がされていない。中医協もブラックボックスだと、大臣、指摘していますよね。

 例えば、そこで、私の母校でもあるんですけれども、名古屋大学では、小児がん等に対して、安価なCAR―T製剤の開発を目指して、独自の技術によるCAR―T製剤の開発に成功しています。二〇一八年一月から臨床試験を開始していて、タイのチュラロンコン大学にも技術提供して、承認されたキムリアは三千三百四十九万を超える薬価であるのに対して、百万円以下で治療が可能なんですよ、大臣。

 しかし、新規に承認される最先端医療、メッセンジャーRNAワクチン、CAR―T製剤など、遺伝子治療、再生医療の高額な薬価の算定と、アカデミアでの治療の是非など、保険財政と最先端医療の課題は切っても切れない状況になっているわけです。

 最初に確認したように、今回の法改正に伴う受診控え、いわゆる長瀬効果は九百億円と大臣はおっしゃいました。しかし、この自己完結型のアカデミアの最先端の医療が一定程度でも進むと、保険財政には大きなプラスの影響を与えますね、大臣、当然。

 ここからちょっと質問に詳しく入っていきますが、高額な薬価というと、昨日の財務金融委員会でも問題提起しましたが、ちょうど私が十年前に、二〇一一年三月二日の厚生労働委員会で、ルセンティスという加齢黄斑変性に使う薬の市場規模は、当時で百五十七億円です、大臣。百五十七億円。ただ、大腸がんに対して使われるアバスチンは、アメリカでは適応外使用されています。このアバスチンを加齢黄斑変性の、元々使っていたんです、元々使っていた、治療に実際に用いれば、百分の一の費用で済むんですね。ルセンティスが高過ぎて治療を諦める方も、今後二割負担になったら出てくるでしょう。また、医療財政にとっても非常によいですね。こういった趣旨の質問を過去にいたしました。

 また、数年前にも、日米共に、アバスチンはルセンティス上市前に元々使用されていた薬であります。元々使われていたのはアバスチンなんですよ。数限りない多くの論文によって安全性は完全に担保されているから使用すべきだと委員会の場でも申し上げています。

 実際、大臣、結構深刻なんです。ルセンティスのほかにも保険収載された抗VEGF剤は、厚生労働省からの資料ですよ、これは。アイリーア、七百四十億円、二〇一九年のデータです。同様に、ルセンティス、二百八十五億円。ベオビュという更に新しいものはデータがありません。つまり、もう一千億を軽々と超えてしまっているんです。

 私は、厚生労働委員会の質疑で、十年前にも、これは早晩一千億は超えると予見しておりました。医療財政の実際大きな負担。だって、この一千億は長瀬効果分とまさに一緒なわけですよ。

 例えば、もちろんルセンティスの特有のメリットもあります。半減期が短いとか、そういうメリットももちろんある。だから、全て置き換える必要はないんですが、せめて、ある一定程度アメリカのようにアバスチンに置き換わると、今回の長瀬効果に近い金額がそれだけで捻出されてしまう可能性があるんです。

 だから、大臣、適応外使用とかいろいろなことで、アメリカ同様に使用を認めたらどうですかね。これは、真剣に、大臣。ただ、大臣はすごくお詳しいですけれども専門家じゃないので、役所の皆さんに丸め込まれちゃうんですよ、役所の皆さんに。だから、ここは本当に、大臣、ちょっと突破してほしいんです、大臣に、ここ。どうですか、大臣。

田村国務大臣 御紹介のとおり、先生もお詳しいからお知りでしょうけれども、要は、四半期再算定やいろいろな形で、非常に医療費が伸びる医薬品に対しては、今、四半期ごとに下げていっているという実態があります。このアバスチンの問題は、私も眼科医会の方からもいろいろなお話を聞かせていただいて、ルセンティスやアイリーア等々もこのアバスチンで代用できれば非常に患者の皆様方の負担自体も減るんじゃないかなんというような御提案もいただいております。

 ただ、一方で、制度的に、これも御承知のとおりだと思いますけれども、薬事承認しないと保険収載は、若干例外はありますけれども、基本的にはできないわけでありまして、そうすると、薬事承認するために申請が出てこないといけない。申請を出すのは基本的には製薬メーカーという形になります。今、そういうような状況になっていないという中で、適応外では使えるのかも分かりませんけれども、あとはメーカーと適応外でどのような交渉があるのかどうかというのはまた別の話だというふうに思います。

 いずれにいたしましても、そういう一応制度上のいろいろな問題がある中において、委員のおっしゃっておられる意味は分かりますけれども、なかなか現状は難しいということであります。

吉田(統)委員 大臣、でも、例えば、医師主導治験、あと公知申請、論文がありますから公知ですよね。ですから、そういうもので突破できると思いますよ。あとは薬剤の提供ですよね。おっしゃるように、製薬メーカーのある一定程度の協力は必要ですが、逆に、これもアカデミアが作るなんということになれば、それはそれでいいんですが、大臣、ちょっとこれは真面目に検討した方がいいですよ。

 あのアメリカ、いろいろ訴訟でうるさいアメリカですら使っているんです。逆に言うと、じゃ、例えば、特殊なケースだけれども、医療機関の責任において使ってもいいよ、そういったことにするだとか、いずれにせよ、これは一定の対応をしないと、大臣はさっき、だから、高齢化するとという話をされたじゃないですか。加齢黄斑変性ですからね、これ。今、一千億ですけれども、大臣、十年後、二倍、三倍になっている可能性は本当にありますよ。

 最終的には高齢者の方が減るという意味ですかね。薬価を下げるといっても、十分の一にできるわけじゃ、大臣、ないですよね。薬価を十分の一に大臣がしてくれるならいいですけれども。

 ですから、こういったことをやりながら、本法案は本当は廃案にした方がいいんですよ。大臣、ちゃんと御検討くださいね。

 では、次に行きますよ、大臣。いろいろ言っていきますから。

 我が国で、大臣、二例目となる小児の遺伝病である脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療製剤であるノバルティス社のゾルゲンスマ、これは二〇二〇年の五月に薬事承認されて、一億六千七百七万七千二百二十二円の薬価ですかね、想像を絶しますよね。

 ゾルゲンスマというのは、アデノ随伴ウイルスベクターを利用した遺伝子治療薬にほかなりません。元々、アメリカのネーションワイド小児病院からスピンアウトした研究者がアベクシスというベンチャー企業を設立して、十数人の患者に対する治験を行ったところ、その結果が非常に有望だったということで、ノバルティス社がアベクシスを一兆円で買収しています。キムリアと同様に、ノバルティス社が自社開発したものじゃ実はありません。

 我が国でのゾルゲンスマの薬価は、先行の脊髄性筋萎縮症の治療薬であるスピンラザを基に類似薬効比較方式で算定されていますね、大臣。現在の薬価では、スピンラザを十年使った場合の費用は三億七百五十六万円に達すると思います。

 このゾルゲンスマの対象者は何人いらっしゃるんでしょうか。それでもこの薬は保険財政への影響は限定的だと厚生労働省はお考えですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、ゾルゲンスマでございますけれども、重篤な神経難病である脊髄性筋萎縮症の……(吉田(統)委員「いやいや、ちょっと待った。聞いたことだけ答えてください。時間がないので」と呼ぶ)はい。

 二〇二一年度の投与患者数は年間二十五人、市場規模は四十二億円と予測しておりまして、医療保険財政への影響は限定的であると考えております。

吉田(統)委員 保険財政への影響は限定的と厚生労働省はお考えだということでいいですね。分かりました。

 またその後いろいろ聞いていきますが、それでは、早期承認制度のことをちょっと聞きたいですね。

 コラテジェンという、大阪大学発のベンチャー会社であるアンジェス社が開発した肝細胞増殖因子遺伝子をコードしたDNAプラスミド製剤、これは薬理活性がいまいち分かりにくい製剤ですが、動脈硬化症やバージャー病による下肢の潰瘍が適応となっています。投与一回当たりの薬価は六十万三百六十円で、田辺製薬が販売しています。既に二〇〇一年から医師主導治験が行われており、米国、欧州を含む第三相試験では、コラテジェン群の優位性を示すことはできませんでしたが、早期承認制度の適用により、六例と極めて少数の臨床試験の結果で薬事承認を得ています。

 これは適正だったと言えますか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のコラテジェンですが、先生御指摘のように平成三十一年に承認しました。標準的な薬物治療の効果が不十分で、血行再建術の施行が困難な重症虚血肢を有する慢性動脈閉塞、ASOの患者を対象にプラセボ対照無作為二重盲検試験の結果、本品又はプラセボの初回投与から十二週後の安静時疼痛又は潰瘍の大きさの改善率などから本品の一定の有効性が期待でき、また、安全性は許容可能と判断して承認したものでございます。

吉田(統)委員 何か、本当に最近、大臣、厚生労働省は恣意的に承認する例が結構あるんですよ。今もしっかりしたシグニフィカントのデータが国際的に出ていないですよ、これは。出ていない。だから、大臣、本当にそういうことは、役所の皆さんは、何か恣意的に最近承認されることがある。

 大臣、僕は文書を一字一句読んでいって説明してあるので、役所の方に。大臣にちゃんと理解してほしいからやっているので、次は、必ず大臣、私の話を聞いてくれれば分かりますから、必ず大臣が答えてくださいね。

 さて、大臣、いいですか、よく聞いてくださいよ。高額な薬価がついたゾルゲンスマの成功を見て、大臣、我が国での遺伝子治療薬の治験が続いています。中でも、血友病患者に対する遺伝子治療製剤の治験には注目がすごく集まっています。

 血友病に対する抗凝固因子製剤はそもそも高額です。委員長はお詳しいと思いますけれども。成人の総医療費は年間二千五百万円ぐらいに達するんですよ。血友病の遺伝子治療薬の薬価を、類似薬効比較方式で、例えば凝固因子製剤を二十年使った場合の費用の五〇%を根拠にして算定すると、二億五千万円になるんです。二億五千万円。我が国の血友病患者数は、血友病A、Bを合計すると六千人に達します、大臣。

 血友病遺伝子治療製剤がこれまでと同様の方法で薬価認定されれば、保険財政に破壊的な影響を与えかねないと考えます。また、もう一個、患者数が二万人を超える筋ジストロフィーの治験も間近なんです。

 今の私の話を聞いても、保険財政への影響はこれらが承認されても限定的だと、大臣、お答えいただけますか。

田村国務大臣 基本的に、まず、薬価の算定、これは類似薬効なのか、それとも原価計算方式でやるのかという話になると思いますが、なかなかデータが開示されていないと分からない、つまり、その研究開発費がどれぐらいなのか、製造経費がどれぐらいなのか分からないというものに関しては、減算等々、加算部分を減算したりでありますとか、対応しておるわけであります。

 ちょっと委員のおっしゃられている意味合いが、将来的にというお話だったのか、今すぐ増えるという話だったのか分かりませんが、いずれにいたしましても、一定程度売上げが伸びた場合には、御承知のとおり、先ほど申し上げましたけれども、拡大再算定というのをオプジーボのときに入れたわけでありまして、その後、四半期でやってがんがんがんと下がって、オプジーボはかなり下がっています。そういう方式を入れて、今まで、委員が御心配いただいているような高額のものが出てくると、様々な対応をしながら薬価を下げてきておるという現状があるということでございまして、様々なものを使いながら御心配の結果が起こらないように我々もいろいろなことをやっておるということであります。

吉田(統)委員 大臣、でも、これは早晩出てくるんですよ。さっき将来か近い将来かということがあったんですが、近い将来です、大臣。六千掛ける二億五千万というのはどれだけの額になるか、もう大臣は計算できていらっしゃると思いますけれども、一発これがあっただけですごいインパクトだと大臣は思いませんか。

 だから、大臣、要は、そこを、聞いていただければ分かります、大丈夫。次に行きますから、大臣、ちょっと聞いてください。

 それをちゃんと備えて対応して大臣がリーダーシップを取ってやってほしいんです。そうじゃないと、今回の長瀬効果どうのこうのなんて一発で吹き飛ぶどころか、さっき大臣は、今後しばらくは上げないと。しばらくというのは、大臣のしばらくはどれぐらいか分かりません、僕は十年、二十年だと大臣がおっしゃったのは信じますけれども。そうやっても、大臣、こういうことが起こったら一発で吹き飛んじゃうんですよ。そこを相当考えてもらいたいということを要望して、次に行きますね。

 時間が大分あれですので、いろいろ聞きたいことがあるんですが、じゃ、ちょっと、同じCAR―T製剤のことに行きたいと思います。大臣、よく聞いてください。

 キムリアの承認時に、厚生労働省の見解では適応となる症例が二百五十ぐらいなので、保険財政への影響は限定的であるとおっしゃいました。今も、先ほどゾルゲンスマは限定的だという話でした。であれば、私の心配が杞憂になればそれはいいですよ。

 しかし、大臣もさっきおっしゃいましたが、中医協でも、先ほど申し上げたとおり、まるでブラックボックスだという批判が出ていますよね、薬価を決める際に関しての。

 キムリアの承認から二年もたたないうちに、今度は、同じCD19を標的とするCAR―T製剤であるカイトファーマ社のイエスカルタや、セルジーン社のブレヤンジが薬事承認されています。また、今後、多発性骨髄腫や急性骨髄性白血病などの血液がんや固形腫瘍に対するCAR―T製剤も開発が進んでいます。こういったものも続々と、大臣、出てくるんですよ。これはすぐ出てくるわけです。

 じゃ、逆にここは、こういったものが出てくることに関して今後の保険財政に与える影響自体をどう考えるか、大臣のお考えを逆に聞きたいです。

田村国務大臣 まず、負担を上げないという話は、それは二割のところをどうするんだという話であって、先ほど来立憲民主の皆様方がおっしゃっておられるように、賦課限度額等々をどうするんだとか負担割合をどうするんだとか、こういう問題は別です。これは、要するに、医療保険制度を維持するためにはいろいろなことをやっていかなきゃならないので、いろいろな対応は我々としても検討しなきゃならないと思っています。

 にしても、多分、いろいろな高額な医薬品が出てくる。これは、我々も、大臣になる前からずっと党の中でもこの議論というのは大変な議論をしておるわけでありまして、その一つが言うなれば費用対効果評価だったわけでありますから、もちろんこれが全てだと思いません、これは本当に限定的なものでありますから。こういうものを更に高額なものが出てきたときにどうするんだと。

 つまり、製薬メーカーは製薬メーカーでそれなりに開発費を使って開発するわけですよね。ですから、一定の利益が上がらなければ、新たな薬を開発しようという意欲が湧いてきません。そこはちゃんと我々も認めながら、一方で、保険財政をどう守っていくんだという値決めをしなきゃなりませんから、それは使う方々の人数と薬価収載の金額で決まるわけでありますから、そこら辺も踏まえながら、薬価のつけ方といいますか在り方がどうあるべきかということは、これはこれからも不断に我々は検討していかなきゃならぬというふうに思っております。

吉田(統)委員 だから、大臣、やはり国産のイノベーションは大事なので、そこを頑張ってほしいということと、だから、大臣、最初のところの話に戻るわけですよ。こういったものがどんどんどんどん入ってくるから医療費は上がっているんです。分かりますか。

 だから、高齢化に伴うものや疾病構造の変化とか、いろいろなものがもちろん自然増というのは影響しますよ。そんなのは当然分かって私は言っているんです。ただ、今の時代は特にこういった情勢があるので、自然増のかなりニアリーイコールの部分が高度な医療になるんだということを僕は言っているんです。これは御理解いただけましたよね、これで私の言っていることが。まあ、元々分かっていますけれどもね。分からぬと、ちょっとさっきはそうやっておっしゃっていましたけれども。

 じゃ、大臣、時間がないので最後に一問だけ問いますが、さっきのように、要はアカデミアでやると百万円で済むという話をしましたね。遺伝子治療というのはこれからもあまた出てきます。多分、世界の潮流は、もう再生医療じゃなくて遺伝子治療です。この遺伝子治療がどんどん出てくる中で、私がさっきもっと本当は提案したかったのを時間がないのでまとめていきますけれども、遺伝子治療は特にそうなんですが、アカデミアで完結するんですよ。要は、遺伝子治療製剤はアカデミアで作れちゃうんです。製薬会社とかいろいろな力は要らないんですよ。

 だから、ここに関しては、我が国は、大臣がリーダーシップを取って、アカデミアで完結させる医療というものを一定程度厳格なルールを作って認めていくことによって医療費の拡大を抑制ができるという提案を私はしたいんですが、大臣、そこに関して、最後、是非やると言ってほしいんですけれども、どうですか。でも、これはリーズナブルな話でしょう、大臣。ちょっとお答えいただけますか。

田村国務大臣 私も研究者じゃないので委員ほど詳しいわけでも何でもないんですが、名古屋大学でいろいろなことをやられておられるという話は私も役所の方からいろいろ聞いております。

 再生医療は再生医療で法律があるわけでありまして、一定の安全性、有効性を担保しておりますけれども、遺伝子治療というのはなかなかその範疇でないという部分もございます。

 どうあるべきか、委員からもいろいろなお話をお聞かせいただきながら、ここの部分に関しては、特に新しい分野というよりかは今までもあった分野なんでしょうが、それが更に進化している分野でございますので、必要があれば何らかの対応をしなきゃなりませんので、関係者からもいろいろなお話をお聞かせいただきながら対応してまいりたいというふうに考えます。

吉田(統)委員 時間なので終わりますが、大臣、本当にそういうことをちゃんとやれば、こんな法律は出さなくていいんですよ。本当ですよ、大臣。笑っていらっしゃるけれども、僕はもう深刻で、本当にこの法案の話を聞いてから胃がずっと痛いんです。本当に国民にとって幸せな法案なのか。大臣、私の提言も是非検討いただいて、適切な医療を国民に届けるよう努力してください。

 以上です。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、尾辻かな子さん。

尾辻委員 立憲民主党の尾辻かな子です。

 今日は健康保険法の改正案ということなんですけれども、これは後期高齢者の窓口二割負担の話をするんですけれども、本当に今、私たち厚生労働委員会で、この議論をしていていいんですか。平時であれば、この話、重要な話でやっていくんですけれども、大阪、兵庫、既に医療崩壊です。そして東京も緊急事態宣言を要請するという状況の中で、この厚生労働委員会という、一番皆さんの命と健康を守るこの委員会が今窓口負担の二割のことを議論しているって、国民の皆さん見られたらどういうふうに思われますか。これは危機感が伝わらないと思うんですよ。

 委員長、今、私たち、この議論、もっと本当はコロナの医療崩壊や変異株のことについて議論すべきだと思いますが、私たち、これはちゃんと議論できていると委員長は評価されていますでしょうか。

とかしき委員長 今、法案審査をさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。

 大阪は大変ですけれども、でも、今、法案審査を優先させていただいておりますので、よろしくお願いいたします。

 尾辻かな子さん。

尾辻委員 委員長、法案審査を優先させている場合ですか、今。だから、これがどういうふうに見えるかということなんです。今回、私も健康保険法の議論をしたいですよ。でも、この議論の前に、やはりコロナのことをせざるを得ない、そういう状況である。そういう間に、この大事な法案が議論が半分のまま通っていくということについて、やはり、私、今こういうことをやるべきじゃないということをまず強く申し上げておきたいと思います。

 コロナ対応についてお聞きをしていきたいと思います。

 本当に、私は、三月の末ぐらいから大阪が感染者が増えました、六百人ぐらいになったときに、これはもう早く緊急事態宣言を出してほしいと言っていたわけです。ただ、先に蔓延防止等重点措置をやるんだということになって、ただ、これでは止まらない、変異株もある、医療逼迫もある、三次救急が受入れ制限をかけていると。これは一刻も早く緊急事態宣言を大阪、兵庫には出していただきたいと言っていたわけです。

 ところが、結局、総理が十五日から十八日まで訪米をするというところで、ここでまず空白期間が出てしまい、そして十九日、おとつい、大阪府は要請をかけたわけですけれども、いまだ、今日に至っても、まだ緊急事態宣言がいつ出るのか、いつ決定されるのか調整中というまま、分からないということで、これはちょっと余りにも遅過ぎるんじゃないかと。その間にも大阪では、入院できずに自宅待機で亡くなる方が続出されたり、救急車を呼んでも、最大七時間、救急車の待機というような、医療崩壊、そういう状況が起こっているわけです。

 なので、今回のまずは緊急事態宣言を大阪で出すに当たって、なぜこんなに遅かったのかということをまずお聞きしたいと思っています。

 お手元に、四月二十日の読売新聞の記事を持ってきました。そこでは、実は、十日以降、大阪府の新規感染者数が九百九十一人となり、重症病床の使用率も八一・三%になった、これ以降、吉村知事は西村氏と、大臣ですね、緊急事態宣言発令について相談をしたというふうに書かれてあります。

 今日は、和田政務官、来ていただいております。ありがとうございます。この間、大阪からは相談はあったのか、そして、あったとしたらいつ頃からこの相談はあったのか、教えていただければと思います。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生御指摘のありましたとおり、昨日、四月の二十日の日に、大阪府より政府に対して、大阪府を対象区域とする緊急事態宣言の発出について検討するよう要請をいただきました。それに先立ちまして、十九日の日に、吉村知事が緊急事態宣言に関する政府への要請を行うといったことを発表されました。それに先立って、既に西村大臣と吉村知事が電話でお話をしておりまして、本件についての考えを伺ったというふうに聞いてございます。

 緊急事態宣言につきましては、都道府県知事から要請が、要件となっているものではございませんけれども、知事と緊密に連携をしながら、感染状況や病床の逼迫状況を注視し、専門家の分析、評価もいただいた上で、最終的に判断をさせていただきたいと考えております。

尾辻委員 和田政務官、私は、この間、大阪から相談はあったのか、あったとしたらいつ頃からあったのかということについてお伺いしております。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 四月の十二日、十三日あたりからもう既に相談はあったそうですけれども、実際に緊急事態宣言に関する言及があったのは十八日というふうに聞いております。

尾辻委員 十二や十三から相談があった。

 つまり、相談はあったけれども、大臣がこの発令を止めていたということですか、そうすると。

和田大臣政務官 対処の仕方について相談をしていたということであって、決して大臣が止めていたということではございません。

尾辻委員 今、本当に重要な答弁をされたんです。大阪はSOSを出していた。にもかかわらず、押しとどめていた。十二や十三に、既に大阪からはSOSが出ていたんじゃないですか。

 ここにも書いてありますよ、こういうふうに。政府と調整がついていたらとっくに宣言を要請していると、吉村知事はいら立ちをぶちまけることもあった。

 これは、政府が緊急事態宣言を出すのをちゅうちょしたということではないんですか。(発言する者あり)

とかしき委員長 じゃ、済みません、速記を止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 速記を起こしてください。

 和田内閣府大臣政務官。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 大阪府の方からも、十九日までにどのようにするかというふうなことを判断した上で要請をするといったことで聞いております。

 なお、現時点におきましても、大阪府知事の方からは、緊急事態宣言の発出に際しまして取るべき措置といったものも、提案といったことで出ておりますけれども、ここも、目下、西村大臣とそして知事の間で検討中、相談中ということでございます。

尾辻委員 西村大臣は、なぜに緊急事態宣言の相談があったのに、それを受けなかったんでしょうか。

和田大臣政務官 相談があって受けなかったということではなく、取るべき措置、対応の仕方について両者で緊密に連携をして相談をしていたということでありますので、相談をしていないということではございません。

尾辻委員 なぜ、それを受け止めて、だから、相談を受け止めて発令の方に動かなかったのかということを聞いているんです。

和田大臣政務官 現場を最も分かっておられる自治体さんとの合意形成というのが極めて大事でございますので、そこの合意形成をするに当たっては、連携、協議、こういったことをやっていたということでございます。

尾辻委員 だから、大阪から相談があったのに、なぜ西村大臣は発令の方に動かなかったのかということについて聞いているんです。お答えになっていません。

和田大臣政務官 大阪府知事との合意のないままに国が一方的に発令とすることが果たして適当かどうかというのは議論の分かれるところかと思っております。しっかりと合意形成をした上での発令といったことを大事にしたいというのが政府の思いでございます。

尾辻委員 結局、私が何でここにこだわるかというと、遅過ぎるからです。緊急事態宣言を出すのが遅過ぎて、結局、医療が崩壊している。だからこそ、誰が一体どこでこれを止めたのかということを知りたいんですね。でも、今ちょっとやはり明確なお答えはないなというところなんですけれども。やはり、私、思うに、総理の訪米の日程があって、この部分で空白になったんじゃないかと思うわけです。

 本来、緊急事態宣言を出すとか蔓延防止等重点措置を出すというのは、ステージごとの評価でやらなければいけないと思うんですが、大阪府がステージ4になって一体何日今たっているでしょうか。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 四月十九日に開催された大阪府の対策本部では、四月十九日時点、陽性率以外はステージ4相当の水準とされておりますけれども、ステージの判断は、各都道府県が、地域の実情等を踏まえて、それらの目安になる指標を総合的に判断して行うこととなっておりまして、政府としては、いつどのステージに該当するかについて発言することは差し控えたいと思います。

 いずれにしましても、都道府県と国が連携をして地域の実情に合った対策を講じていくことが重要だと考えております。

尾辻委員 ステージ4の指標に大阪府が入ってから何日たっていますか。

和田大臣政務官 繰り返しになりますけれども、政府として、いつ、どのステージに該当するかという発言は差し控えさせていただいております。

尾辻委員 指標です。政府が定めた六つの指標のステージ4、ここにいつから大阪府は入ったかということは、数字ですから、ちゃんとお答えください。私、ちゃんと質問通告しています。(発言する者あり)

とかしき委員長 筆記を止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 速記を起こしてください。

 和田内閣府大臣政務官。

和田大臣政務官 お待たせをして申し訳ございません。

 陽性率以外は、四月の十五日からステージ4相当といったことになっております。まだ、陽性率に関しては、ステージ3相当の状況でございます。

尾辻委員 済みません、私、手元で確認したら、四月五日で陽性率以外ステージ4なんですが、もう一回確認していただけますか。(発言する者あり)

とかしき委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 筆記を起こしてください。

 和田内閣府大臣政務官。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 お待たせして失礼いたしました。

 まず、新規感染者数のところですけれども、この数字だけにつきましては、三月の下旬にステージ4相当というふうなことでなっております。あと、病床占有率におきましても三月末にステージ4相当となっております。

 先ほど、済みません、四月の十五と言いましたのは誤りでございまして、おわびをもって訂正させていただきます。

尾辻委員 私、難しいことは聞いていませんよね。ステージ4の指標になったのはいつかと聞いたら、その担当している政務官が日にちを間違えるというのは、一体どういう危機感でやっておられるのかということを本当に私は疑います。

 今お答えいただいたように、もう三月の後半から指標はステージ4だったんですよ。だから、ここでやはり対処しておかなければいけなかったものが、決断の遅れによって大阪は医療崩壊しているんです。新型コロナに今感染して、大阪は自宅療養で自宅待機中に亡くなるという話もあちらこちらから聞こえてきています。

 そこで、厚労省にお聞きしたいんですけれども、この第四波になって、自宅待機や宿泊待機で亡くなった数、これはどれぐらいなのか、お答えください。

正林政府参考人 お答えします。

 今、手元にある数字では、十二月一日から一月二十五日までの間の数字ですが、自宅療養中二十七例、宿泊療養中二例が死亡事例として確認されています。

尾辻委員 一月二十五日というのはかなり前で、第四波の前ですよね。今この感染の波が来ているわけですけれども、そこで、宿泊、自宅待機で亡くなった方は把握しているのかいないのか、これをお答えください。

正林政府参考人 自宅療養、宿泊療養でお亡くなりになった方を把握するのは、かなり保健所とか現場に負担を強いることになるので、そう頻回には把握できません。したがって、今現在は直近のデータは把握しておりません。

尾辻委員 ということは、医療崩壊がどうなっているのかということすら分からないし、何のためにHER―SYS、じゃ、入れたんですか。

 私、ちょっと都道府県とかに聞くと、厚労省にはちゃんと報告しているという話もあります。集計して、この理事会に出していただけないでしょうか。

正林政府参考人 検討いたします。

尾辻委員 提出していただきたいんですけれども、検討ではなくて、ちょっと、提出するようにしていただきたい。もう少し踏み込んだお答えをお願いします。

正林政府参考人 現場の負担がどのぐらいあるかがちょっと分かりませんので、まず、ちゃんと把握できるかどうか検討したいと思います。

尾辻委員 私が聞いたところは、厚労省には死亡した場所については報告しているというのも聞いておりますので。

 何のためにHER―SYSを入れて、一年たっているのか。一年たっても一体どこで亡くなったか分からないということ自身、これはもうむちゃくちゃ問題だと思います。しっかりと状況を教えていただきたいと思います。

 今、私、本当は、今週、もう緊急事態宣言は今日ぐらいで出るのかなと思っていたんですけれども、まだ緊急事態宣言が出ていない。どうも金曜日ぐらいに国会への報告もあるんじゃないかというようなことも聞こえてくるわけですが、この大阪、兵庫、今、東京もですけれども、緊急事態宣言はいつ出されるんでしょうか、政務官。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 目下、政府と大阪府知事の間で検討しつつ、また、政府の中でも検討している最中でございます。

尾辻委員 一体、何の調整があって、そんなに遅れているんですか。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 この状況を何とかしても感染者数を減少させなければならず、更に強い集中的な対策が必要であることはもう論をまちません。

 飲食店に対する二十時までの営業時間短縮要請に加えまして、更に強い措置を講ずる必要があるというふうに考えております。具体的に何を強化するべきか、何をするべきか、知事と連携しつつ、専門家の意見を聞きながら、対策の強化について検討を急ぎたいと思っております。

尾辻委員 余りに遅過ぎるんです。緊急事態宣言、だから、さっき言ったように、指標は三月の末からステージ4で、蔓延防止等重点措置も効かないという中で来て、緊急事態宣言が十三日には西村大臣の方に相談されていて、そして正式に十九日に知事が発言されて、二十日に大阪府が言った。なのに、いまだにこの緊急事態宣言の中身の内容が詰まらないということで、金曜日までまだ時間を引き延ばすようだということに、私、愕然としているんです、準備していなかったのかと。どこに休業を出すのかということすら、政府、どれだけ準備をしていなかったのか。つまり、緊急事態宣言を出さないという意思ありきで、準備を怠っていたんじゃないかと言わざるを得ないと思うんですよ。

 本当にこれ、一体、国民の命が懸かっているんです。一日遅れたら、また病床はあふれていくんです。そういう危機感を本当に持っていただかなきゃいけない、そう強く思います。

 今日、済みません、お忙しいところ、尾身先生、もう一度来ていただきました。御多忙の中、本当にいつもありがとうございます。

 それで、尾身先生にお聞きしたいと思います。

 まず、現状の大阪、兵庫への認識、緊急事態宣言が遅かったのではないか、このことについての尾身先生の御意見をお伺いできればと思います。

尾身参考人 お答えします。

 今、委員御指摘のように、私は、もう大阪は、医療の逼迫で一般診療にも影響が出ていますので、早く強い対策を打って、感染者の数を減らすということももちろん大事ですけれども、大阪の場合は、兵庫も多分一緒だと思いますけれども、むしろフォーカスは、今の医療が逼迫、もうこれはある一線を越えていますから、この逼迫している期間をどれだけ短くするかというところに私は焦点を置くべきだと思います。

 一方、今、東京に関しては、感染の拡大のスピードが徐々に加速しています。と同時に、今の重点措置の発出期間ですけれども、人流の下がりは余りよくないです。したがって、私は、東京はかなり強い対策を打たないと、早晩、そんなに長い時間でなくて、かなり短期間の間に大阪のようになることが、そういう可能性が考えられます。したがって、私は、もう今は、緊急事態宣言を出すか出さないか、一体何をするのかというのを早急に判断、検討すべき時期に来ていると思います。

尾辻委員 その中で、蔓延防止等重点措置が、結局、この二週間、大阪で過去最高の今感染者数を記録しているということを考えると、やはり蔓延防止等重点措置は効かなかった、効果が余りなかったと私は言わざるを得ない状況だと思います。

 尾身先生の評価はいかがでしょうか。

尾身参考人 重点措置というのは初めての経験で、なかなかこれは発出の時期も含めてみんなが苦労したことだと思いますけれども、今ここに来て、今の段階でいえば、重点措置をこのまま続けても、これはかなり重点措置でも幅の広い政策を大阪でも打っていますよね。ところが、実際には人々の行動は、その思いに比例するだけの行動変容がないということが今分かっているので、もうこれは、遅かったかどうかという議論はあると思いますけれども、今はともかく早く緊急事態宣言の発出の議論をして、と同時に、何をすべきかというのも、これは時間の余裕はないですから、早急に判断すべきだと思います。

尾辻委員 もう本当に早急に判断してほしい、一日遅れたら、その分だけ感染拡大、そして病床が逼迫するということです。

 この緊急事態宣言、もう一度出たときに、前回は、結局、三月二十一日から解除になり、三月二十五日から聖火リレーが始まるという、やはりこれはオリンピックの日程とかを見ての解除だったんじゃないかなと思うわけです。

 なので、今回の解除に当たっては、やはりちゃんと指標がステージ3とかステージ2に落ちること、それが解除の基準になるんじゃないかと思うんですけれども。尾身先生、今、緊急事態宣言したときに、やはりこれは落ち切るまで、私は今回はとにかく解除をすぐにせずにやっていくことが大事だと思います。尾身先生、いかがでしょうか。

尾身参考人 私は、緊急事態宣言はもう出す時期に来て、検討すべき時期に来ていると思いますが。

 出た場合には、当然、解除という問題が出てきますけれども、私は、今までの経験を踏まえて、と同時に、変異株の影響がありますから、解除については出口戦略というのを明確にしておく必要があると思います。どのぐらいになったら。そのときには、変異株のこともあるし、また、これから重要な時期に差しかかっていますよね、いろいろな意味で。そういう意味では、感染のレベルをできるだけ下に下げるということは私は必要だと思います。

 同時に、出口を、いずれ出ますね、いずれ解除されますけれども、解除後のことも、なぜかというと、非常に重要で、解除するとどうしても人々の行動が変わりますので、そうした解除は、だけれどもいずれしなくちゃいけないので、解除の戦略と同時に、解除した後の、どういう道筋かというのを明確に示す必要があると思います。

尾辻委員 今、尾身先生にも、現状の認識、そして変異株のことについてお伺いをしてきました。とにかく一刻の猶予もありません。

 大臣、今、大阪の方にやっと医療の、全国から来ていただいているということなんですけれども、今、大阪の病床不足について国からどういうふうな具体的支援が行われているかということを大臣からお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 大阪とは連携させていただきながら、とにかく、重症化病床等々、非常に人が足らないというようなお声もいただいております。

 そういう中において、国を挙げてという形で、今、人を何とか、差配といいますか、お願いさせていただいておりまして、百三名お声がけさせていただく中で、六十六名が重症化、ICU対応という形でお手をお挙げいただいています。三十二名がもう決まったということで、早急に動き出しているということでございます。重症化病院ですかね、あそこの病床も、三十病床、これがフル稼働できるようにという形の中で、しっかりと人員の支援をしながら、大阪の皆様方のコロナに関する健康をしっかりと守るために、我々も努力、協力をしてまいりたいというふうに考えております。

尾辻委員 大阪はもう災害レベルだということをおっしゃっています。できる限りの御支援をお願いしたいと思います。

 尾身先生、そして和田政務官、お忙しい中ありがとうございました。これでお二人への質問は終わりですので、御退席ください。

とかしき委員長 ありがとうございました。

 尾辻かな子さん。

尾辻委員 引き続いて、済みません、窓口二割負担の話、後期高齢者の話、していきたいと思います。

 二割負担を年収二百万円とした理由と妥当性は、もうこれは何回も聞いていますので、飛ばしていきたいと思います。

 私が気にしているのは、めちゃくちゃややこしくなるんじゃないかと思っているわけですね。ちょっと二ページ、配付資料を見ていただければと思うんですけれども、結局、今回の二割負担の線引きによって、介護保険のことと併せて考えると、基準がどれもばらばらなので、例えば、単身であれば、二百万円以上の方は、後期高齢者医療は二割負担になるけれども、じゃ、介護保険はというと、ここはまだ一割なんですよ。二百八十万円以上になったら、介護保険も二割、後期高齢者医療も二割。そして、単身であれば、三百四十万円以上になったら、後期高齢者医療は二割、介護保険は三割というような形で、所得によって負担割合が違う、ばらばらになる。更にここに高額療養費の線まで入ってくるんですね。

 これは本当に、じゃ、支払う高齢者の方々が、自分が今どこで、どれぐらいの割合で、どうなったら負担が増えるのかということが、余りにこれは複雑になり過ぎませんか。結局、今回、二百万円でというところで決着をしたがゆえに、制度全体としての整合性が何かばらばらになっているというふうに私は思うんです。

 何か本当に入れ子細工みたいになったこの負担割合について、大臣、分かりやすいというふうに思いますか。いかがでしょうか。

田村国務大臣 介護保険と医療保険は制度が違いますので、何もかも全く一緒というわけにもいきませんし、そもそも介護保険自体は原則一割という形の中で動いているわけでございまして、状況に応じて、今三割が生まれ、今二割負担の方々も負担能力という形でお願いいたしております。

 そういう意味では、ちょっとやはり医療保険とは基本的な考え方が違う中においてスタートし、もちろん後期高齢者医療保険制度が後なんですけれどもね、実は誕生したのは。でありますから、そこの違いは御理解いただきたいというふうに思います。

尾辻委員 要は、いろいろなものが複雑化していくと、自分が今どういう制度の中でどうなっているのかというのが分からなくなって、自己決定というか、何か本当に介護保険もそうなんですけれども複雑化し過ぎて、利用者にも家族にも全然分からないような制度になっている。後期高齢者もまさにこれになってしまうんじゃないか。私は、もっとシンプルにすべきですから、やはり一割負担のままがいいんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。

 私が医療の現場とかで思っていることは、あと、高額療養なんかがやはり命綱になるわけです。高額療養費のキャップがどの辺になるかということで、かなり医療費負担は変わってきます。

 ちょっともう時間がないので、このことは指摘だけにしておいて、実は、医療費負担の中で、ちょっと議論にはならないんですけれども、負担が大きいものというのでいうと、入院とかしたときに、実は医療費以外にかかるものがあるんですね。それが、リース代とか、シーツのお金だったりタオル代とか、あといわゆる病衣といったようなものを、うちはリースですよということになって、例えば、私が実際行っていたところでは、これが大体月額六万円ぐらいかかったりするんですよ、一日二千円で。だから、ここは高額療養も利きませんし、そういうキャップがないので完全に払わなければいけないというので、実は入院費以外のこういった費用負担が非常に重くなっている。

 これは、厚労省も通知は出しているんですけれども、上限規制とかはないんです。今から、例えば二割負担の人も、なってしまったら、また入院のときとかに更なる負担がここにかかってくる。やはりここの部分も何らか上限規制の議論をしていかなきゃいけないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、病衣貸与代等の日常生活上のサービスに係る費用につきましては、保険給付とは別に、保険外のサービスとして提供されるものでございます。このため、その費用につきまして、健康保険法によりまして制限を行うことはなかなか難しいというふうに考えております。

 ただ、議員御指摘のとおり、その提供及び費用の徴収につきましては、保険医療機関等と患者、利用者の同意に基づき行われるものでありますことから、患者、利用者の選択に資するように、サービスの内容や料金等につきまして、患者、利用者に対して十分説明し、同意を確認の上で徴収すること、その費用につきましては、社会的に見て妥当、適切なものとすること等の留意事項を通知でお示ししておりまして、こうした取扱いが適切に行われますように、引き続き周知してまいりたいと考えております。

尾辻委員 ゼロ回答なんですけれども。

 大臣、ちょっともう少し何かやはり検討は必要やと思うんです。いかがでしょうか。

田村国務大臣 ここは、委員おっしゃられるとおり医療保険の範囲の話じゃなくて、言うなれば、それぞれ入院されている方と医療機関の中で話合いの部分だと思いますが。

 ただ、入院される方の大方は高額療養費が適用されると思いますので、今般の二割負担というよりかは高額療養費で、今もなおそういうものの負担が大変だという話は我々もお聞きしておりますので、いろいろな形で御理解をいただけるような対応を我々もこれからも進めてまいりたいというふうに思います。

尾辻委員 現実にはやはりここが結構問題になってくるんです。せめて基準額とかを示して、やはりそれ以上は駄目とか。

 患者さんって非常に弱い立場に置かれています。その中で、ここの病院ですよと言われて、じゃ、自分でほかの病院を探しますと言える人はほとんどいないんですね。だから、救急で運ばれたら余計ですけれども。そこで、うちはこれだけ費用がかかりますと言われたら、もうそれを受けざるを得ない。そういう立場の違いを考えると、これはやはりもう少し検討をいただかないと皆さんは不安になっていきますので、ちゃんと検討いただきたいと思います。

 あとちょっとまだ時間がありますので、マイナンバーカードと保険証、これはもう何度も通告しながらできなかったところですので、やっていきたいと思います。

 新聞報道もつけておりますけれども、マイナンバーカードと保険証の新システムの運用というのは半年延期になったわけです。半年延期になった理由というのは、もうこれは時間がないので、聞きますけれども、登録番号間違いとかがあったということで、これは本当にあってはならないミスなんですよ。これをやってしまったら、個人情報とか、その人の、例えばHIV感染症であるとか、透析を受けているとか、肝炎であるとか、そういうことや薬剤情報がほかの人から見られるということで、これは大問題なわけですけれども、これをどういうふうに捉えているのか、また、このミスは本当になくせるのか、お伺いしたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 結論から申しますと、しっかり対応したいということでございます。

 プレ運用の開始など、本格運用に向けました準備の中で、保険者が医療機関等向け中間サーバー等に登録した加入者データの一部につきまして、保険者が登録した個人番号が正しくない、あるいは被保険者証の情報が登録されていない、それから被保険者番号が正確でない等の誤りが判明したところでございます。

 これらの事象につきましては、例えば、保険者におきまして同一の届出に記載されましたものについて取り違えて入力するとか、あるいは短期間で退職するなどして保険証を発行する前に資格を失った方のデータが中間サーバーに登録されていない、あるいは保険者のシステムと中間サーバーのシステムでのデータ様式の違いのために正確に取り込めないデータがあったことなどが原因と考えております。

 このような状況を踏まえまして、保険者側の個人番号の誤入力を中間サーバー側におきましてシステム的にチェックする機能を導入をしたり、あるいは保険者におけるレセプト請求に必要となる資格情報の再確認、修正の重点的な実施を行います。

 また、去年も住基ネットへの照会を行いましたけれども、住基ネットへの照会による個人番号の再確認などを計画的に実施してまいりたいというふうに考えております。

尾辻委員 残余は後ほど行います。

とかしき委員長 この際、暫時休憩といたします。

    午後二時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五十八分開議

とかしき委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。尾辻かな子さん。

尾辻委員 済みません、残り三分、させていただければと思います。

 今、マイナンバーカードと保険証の新システムのことを聞いていたんですけれども、さっきお答えありましたけれども、本当に、新たなミスを防ぐということを言っておられますけれども、今後、新規登録でミスが生じる可能性というのはないんでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 そういうヒューマンエラーを前提といたしまして、システムでチェックできるようにということでございます。具体的に申しますと、保険者が加入者情報を登録するときに、支払基金のシステムにおきまして、マイナンバーと生年月日によりまして、中間サーバーに既に登録されている方のマイナンバー、生年月日と突合しまして、不一致の場合にはそれを検知するというようなシステムを導入する予定でございます。

尾辻委員 このシステム、非常にお金がかかっている割に効果が本当にあるのかというところが、私はやはり疑問なんですね。

 例えば、聞いたところでは、元々、J―LISに情報を確認するというのに、たしか一件当たり十円かかったということで、これは全部でこの確認には幾らかかりましたでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、本人確認情報の提供手数料につきましては、一件当たり十円でございます。

 それで、先ほど申し上げましたけれども、昨年十二月に、オンライン資格確認等システムを運営する社会保険診療報酬支払基金が、入念的に確認する観点から、一括して被用者保険等に係る本人確認情報の照会を行ったところでございます。

 当該費用につきましては、特例的に、通常はそこは保険者負担でございますけれども、特例的に国からの補助金を充てる予定でございますけれども、具体的な額は現在精査中ではありますが、約八億円程度と見込んでおります。

尾辻委員 そうなんですね。J―LISに確認するだけで八億円使っているんですよ。

 さらに、じゃ、このシステムにかける初期費用と運営コストは一体どれぐらいなのかということをお聞かせください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのオンライン資格確認等システム構築事業の予算額でございますけれども、令和三年度は百八億円、令和二年度は百四十五億円、令和元年度は三百十八億円、三か年を合計いたしますと五百七十一億円でございます。

尾辻委員 大臣、百億以上のお金がかかっているんですね。それで便利になるというなら、私らも、ああ、確かにと思うんですけれども、そういう情報がもしかしたらずれるというリスクがあったりとか、結局、病院にとってはシステムを並行するわけです、紙の保険証もあるしマイナンバーもある。これって結局ややこしいんじゃないかと思うんです。

 今日は質疑で言いませんでしたけれども、例えば、今回、生活保護の医療券に関してもデジタル化する。これも、逆に、紙とデジタル化が両方走ることで、余計現場の負担が重くなって、ややこしくなるんじゃないかなと思います。

 このように莫大なコストをかけるメリットというのはどこにあるのかということを、最後、大臣にお聞きしたいと思います。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が来ておりますので、御協力をお願いします。

田村国務大臣 要は、全員になるまで確かに両方とも持っていなきゃいけないという状況になります。そのためには、医療を受ける方々、提供者ですね、これが要するにリーダーを持っていただかないと、リーダーがないところではマイナンバーカードでは対応できないという形になりますから。

 メリットは、もう時間がないので余り言えないんですが、例えば、一つ言うと、高額療養費の認定制度自体、その証明発行が不要になるでありますとか、それから、本人の確認を、これもオンラインでできますから、そこで間違いが減るでありますとか、保険者も保険者で、そのデータ等々を、御本人の了承を得た上で、薬はどういうものを使っているだとか、そういうようなデータを今度は保健事業で使えるでありますとか、様々な利点があるわけでございますので、何がというと、総合的にいろいろなメリットがある中でこういうのを導入していく。

 デメリットはというと、その経過期間中は両方とも持っていただかなきゃなりませんから、早くマイナンバーで全て対応できるような形にしていくということが大変重要になってくるというふうに思っております。

とかしき委員長 尾辻かな子さん、申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

尾辻委員 はい。

 システムコストがやはりかなりかかってくるんですね。最初、何かマイナンバーも、カードリーダー、私、最初議論したときは、数千円のカードリーダーですよと言っていたのが、いつの間にか顔認証つきのカードリーダー、十数万円とかになっていて、非常にコストがかさんでいると思います。これまた、今後も議論したいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、山井和則君。

山井委員 よろしくお願いいたします。

 それでは、四十分間質問をさせていただきます。

 まず最初に申し上げたいのは、今も東京で新規の感染者が八百四十三人、一週間前は五百九十一人と、これは本当に大幅に急増していますね。兵庫も五百六十三人で過去最多、大阪も千二百五十人ぐらいじゃないかと言われております。

 もうこれだけ感染拡大して、医療崩壊しようとしている真っ最中に、まさか、高齢者の窓口負担二割の法案を強行採決するなんてことはしていただきたくない。これ、世界から笑われますよ。

 医療崩壊して人が死んでいて、ホテルにも病院にも入れなくて亡くなる人が出ている。当然、厚生労働大臣と厚生労働省は国民の命を救うために全力で投球しているのかと思ったら、いやいや、高齢者の方の自己負担を上げる法案を審議して強行に採決する。これ、本当に世界から批判されますよ。

 そういう意味では、委員長にお願いしたいんですけれども、今やるべきことは、私たちが三月一日に提出しています議員立法で、コロナ特別給付金法案、三千万人の生活困窮者あるいはコロナで大幅減収の方々に十万円ずつ給付する、三兆円のこういう法案、前回もお願いしました。今やるべきことはそっちなんじゃないんですか。是非、早急に審議をしていただきたいと思います。委員長にお願いします。

とかしき委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

山井委員 これは私、与野党の見解の相違とかはないと思いますよ。与党の議員の方々も、地元に帰ったら、緊急事態宣言がまた出て、もうこれは大変だと、みんな顔色が変わっているんですよ。そんなときに、いやいや、国会では高齢者の自己負担を二割にする法案を審議していますよ、引き上げますよと言えますか、これ。まさか金曜日に採決するなんてことはやめていただきたいと思います。

 さらに、前回から指摘しておりますように、この法案には年収要件が書かれておりませんから、最初は年収二百万円以上かもしれませんが、国会審議を経ず、法改正なく、審議会のみでいかようにも年収要件を下げて、それこそ、原則一割というような、少しでも一割を残せば、大部分の方は二割ということにもできるわけであります。

 ついては、田村大臣にお伺いしたいんですけれども、スタートするときは年収二百万円要件ですけれども、未来永劫、国民年金の方が二割負担になるということは絶対にないということをこの場で確約していただけますか。

田村国務大臣 済みません、国民年金の二割負担というのは、ちょっと意味がよく分からないので、申し訳ありません。

山井委員 国民年金並み収入の方が二割負担になるということはないか。

田村国務大臣 国民年金並みの人が二割負担にならないかということですか。

 今現状、御承知のとおり、年収二百万円以上、単身でありますけれども、そういう方々を対象に法案を提出させていただいております。もちろん、所得も関係してまいりますけれども。

 そういう中において提出させていただいておりますので、今現在、この基準を更に引き下げるというようなことは毛頭考えておりません。

山井委員 いや、だから、未来永劫そのことはないとお約束くださいと言っているんです。

田村国務大臣 未来永劫というのは、ちょっとどういう意味でおっしゃっておられるのかよく分かりませんので。

 未来永劫って、法律で書いてあろうが、未来永劫は法律改正すればやれる話でありますし。ちょっと言われている趣旨がよく理解できておりません。

山井委員 そうおとぼけになるんでしょうけれども、結局、これは法律に書いていないわけだから、いつ国民年金レベルの月六万円ぐらいの方が二割負担になるか、全くこれは、一回法律を通してしまうと分からないんです。

 だから、当然、私たちとしては、これはもう、一回法律を通したら、低所得の方も含めて二割負担に自由にできる法案を強行採決されようとしているんだというふうに理解をせざるを得ませんし、繰り返し言いますけれども、医療崩壊で多くの人が亡くなろうとするときに、それをやるのが今の厚生労働省の仕事では私はないと思いますし、落ち着いたときに一割負担か二割負担かを改めて議論をさせていただきたいと思います。

 それでは、こういう危機的な状況ですので、今日も、お忙しいところ、本当に尾身会長に連日で申し訳ありませんが、お越しをいただいております。

 私、残念です。ここ二、三週間議論して、大阪の、二週間前に蔓延防止措置が出るときにも、私、この場で尾身会長や田村大臣と議論をして、蔓延防止措置をやって、効果がなくて、途中で緊急事態宣言で切替えになって、後手後手になるということだと取り返しがつかないことになりますよ、それだったら、最初から緊急事態宣言の方が早く経済の打撃も立ち直ることができる、蔓延防止措置というのが、引き延ばし、後手後手になる口実になったら駄目ですよということを恐れ多くも私は申し上げましたが、全く、絵に描いたような後手後手になってしまっております。本当にこれは残念でなりません。尾身会長も本意ではないんだと私は信じております。

 そこで、今も、八百四十三人と、東京の新規感染者はまた大幅に増えておりますけれども、漏れ聞くところでは、東京は四月二十九日から五月九日、十日ぐらいの緊急事態宣言を検討しているのではないかという報道がございます。

 ついては、尾身会長、お聞きしたいんですが、去年の四月は一か月半の緊急事態宣言だったんですね、東京、第一波は。そして、第三波は、一月八日から三月二十一日までで約二か月半。一か月半、第一波。第三波が二か月半。今回、もし十日ということであれば、まあ、その報道が正しかったらですけれども、それはちょっと短過ぎるんじゃないかと思うんですけれども。

 連休中だけ、四月二十九日から五月九日だけ緊急事態宣言をするというような考え方について、東京について、こういう考え方について、尾身会長はいかが思われますか。

尾身参考人 私は、今回も、東京を含めて大阪、緊急事態宣言の発出について真剣に議論すべきで、何をやるかということも議論すべきだと思います。

 その期間については、私は、今回、最も重要な要素としては変異株のことがありますよね。これで、変異株の問題があるので、私は、今回、緊急事態宣言を出すというときには、一回目と二回目とはやはり違う覚悟でやる必要があると思います。

 それはどういうことかというと、前回の二回目の場合は、飲食というものを中心に感染が広がっているのが分かっている。しかし、今回の、今の状況は、飲食店も含めて、それ以外の広い、職場であり、学校であり、その他の場所で、かなり多様に感染のしやすい状況がもう今出てきて、その中での変異株ということで、今回の緊急事態宣言を出す場合には、かなり強い対策を集中的に打つ必要があると思います。

 その中で、やはり大事なことは、全部のことはあれですけれども、幾つかポイントがあると思います。

 一つは、この一年間、多くの人は実は本当に協力してくれていますよね。同時に、これは、現実、私は人を非難するとか差別するとかそういう気持ちはありませんけれども、公衆衛生の専門家として、客観的に見ると、一部の人の感染対策が不十分であったということは間違いないと思います。したがって、もし今回、緊急事態宣言を出すのであれば、そうした感染の対策が必ずしも十分でなかった人、そういう人にも協力してもらえるような環境づくりというのは物すごく重要だと思います。

 それからもう一つは、今回、これは学んだことを反映させなければいけませんから、もう一つ大きなことを学んだのは、実は、恒例行事というのがございますよね。恒例行事で感染ががっと広がるということをもう十分経験してきたということで、今回の場合には、ゴールデンウィークというものに、また感染がここで拡大して、東京なんかの場合には、今委員おっしゃったように、もう早晩、このままだとこれは大阪のようになることは、私はほぼ間違いないと思います。そういう意味では、ゴールデンウィークというのは余計問題が出てきますので、その時期を含めて、これは前二回のときに比べてかなり徹底した対策を打つ必要が私はあると思います。

 最後には、今回の場合には、前二つのことと関係しますけれども、出口の戦略というものが非常に重要で、なるべくなら下まで、なるべく下げるという強い思いが私は国と自治体に求められていると思います。

山井委員 今の尾身会長の話を聞くと、連休だけ、十日前後では短過ぎるんではないかと私は思いますが、尾身会長、いかがでしょうか、その期間の十日前後ということについては。

尾身参考人 恐らく、近々しかるべき会議が開かれると思います。そこで正式に政府の提案があって、我々委員も意見を言うと思いますけれども、これは十日というのは短過ぎると思います。私の私見ですけれども、三週間最低は必要だと私は個人的に思います。

山井委員 これも報道ベースですけれども、これは本当に報道ベースで申し訳ないんですけれども、これは本当に東京の問題じゃなくて、日本全国に関わる問題なので、あえてお聞きしたいと思うんですが、報道ベースでは四月二十九日からと。今日がまだ四月二十一日ですよね。だから、という意味では、もし四月、九日からということでは、えっ、これは緊急事態なのに、開始されるのは一週間以上後ですかと。ちょっと本当にこれはびっくりしちゃうんですよね。

 そのことについて、もし緊急事態宣言の発出が四月二十九日とか、今より一週間以降、先という考え方については、尾身会長、いかが思われますか。

尾身参考人 これは二つ。

 一つは、私は、公衆衛生の専門家としては、もうここまで来ると、出すのなら早い方がいいと思います。

 一方、恐らく国の方は、これは私の判断というか、感想ですけれども、恐らく国と都道府県で何をやるかというののいろんな調整というのが今やられていると思いますし、あとは、プロセスとして踏まなきゃいけないプロセスがあるということもあると思いますが、なるべく早くやった方がいいと思います。

山井委員 私も、今でももう遅過ぎると思っているわけですから、急ぐべきだと思います。

 それで、今、尾身会長が、いろいろ自治体と国とのすり合わせとか調整があると思いますからということなんですけれども、それはあるでしょうけれども、その準備をやってくれというのは、三週間前ぐらいから私たちは言っているんですよ。そういう意味では、今から調整するなんというのは、もう本当にあり得ない話なんです。

 それで、尾身会長、それに関してお聞きしたいんですけれども、今回のこの緊急事態宣言、確実に発令されると思いますが、これは、オリンピックというものに関してはどのような影響があると思われますか。

尾身参考人 私ども専門家は、オリンピックのために感染対策あるいは緊急事態宣言をやるというふうには考えていません。私は大阪も非常に深刻な問題だと思いますけれども、大阪の場合には、もう医療の機能不全が起きちゃっているわけですよね。これを何とかするというのが最優先課題で、むしろ、大阪の方も非常に重要ですけれども、それと同時に、オリンピックの話は私はリンクはさせませんけれども、首都東京ですよね。首都圏での感染が、もう私はこのままでは早晩来ると思います。

 これを何とか大阪のようにならないように、変異株の問題がありますから、それに全力を尽くすということが非常に重要で、そのことが結果的にはオリンピックの開催に影響は多少すると思いますけれども、オリンピックの開催の有無にかかわらず、私は、日本人の健康、首都圏の健康、全国の人々の健康のために、今、かなり強い対策を一気に打つ必要があると思います。

山井委員 先ほど尾身会長は、少なくとも三週間ということをおっしゃいました。ただ、早晩確実に大阪のようになると。ということは、多分、同じようなトレンドで上がっていったら、おっしゃる意味は、東京は、一月のとき最多が二千人超えでしたけれども、その二千人超えはするだろうという理解でよろしいですか、東京。

尾身参考人 何人ということも大事ですけれども、私の判断は、いろんな情報を見ての現在の判断は、今の東京の感染のスピード、今、委員、八百人超えという、もうこれは、かなり、一週間前ぐらいからずっと、あえて言えば、六週前からこのペースは続いているんですよね。このことがそのペースで続けば、早晩、何人というよりは、医療の逼迫が来る可能性が極めて高いということだと思います。したがって、早く対策を打つことが、これは、東京周辺、そして日本にとって非常に、首都ですから、重要だと私は思います。

山井委員 その尾身会長のお話から考えると、私は、悪い話ですから余り予測はしたくないですけれども、到底、三週間で緊急事態宣言解除なんというふうにはならないんじゃないかと思うんですね。第一回目、二回目よりも、三回目の方が、変異ウイルスもあって、はるかに深刻なわけですよね。繰り返し言います。一回目が一か月半、二回目が二か月半、三回目が三週間、これはなりませんよ、これからどんどんどんどん大阪のように増えていくわけですから、変異ウイルスに置き換わって。

 ということは、聞きづらい質問ですけれども、まだピークアウトしていないわけですから、これからどんどんピークに向かって、一週間も二週間も、多分、東京はいく危険性があります、幾ら緊急事態宣言を出してもですね。そうすると、これ、下手をすると一か月か二か月ぐらい緊急事態宣言が続く可能性があるというふうに私は思わざるを得ないんですけれども、そこについてはいかが思われますか。

尾身参考人 もちろん、どのぐらいかかるかということを正確に占うことはできませんけれども、私は、大事なことは、先ほど申し上げましたように、今回は、二回目の緊急事態宣言よりもはるかに強い、ある意味では一回目よりも強い部分がある、このことをする必要がある。もう一つは、人々の心理学的な要素をすると、長くやるといっても、人に限界があるので、短期間に集中するということが、これは経済的にもいいし、感染症対策上にもいいですね。

 今の感染の状況を分析すると、一体何が起きているかというと、結局は、感染の場がいろんなところに多様化しているので、今、大事なことを一言で言えば、感染の機会をなるべく少なくするということだと思います。

 そうすると、そのためには、先ほど私は、必ずしも感染対策が不十分だった人たちも協力してくれるような環境づくりということで、例えば、大きな、非常に魅力的な、私どももたまには行きたいという店がありますよね。大きな、集約、いろんなことができる。そういうところが開いていると、やはり行きたくなる。そうすると、必ず接触の機会が増える。そういうような接触の機会を根本的に減らすということが今回求められているので、それは、変異株のこともあるし、いろいろ学んできたということがあるので、それが、今回の、私、緊急事態宣言を出すのなら、一番目の柱になると思います。

山井委員 私がなぜ一、二か月延びるんじゃないかとあえて聞いているかというと、それによって、これは補正予算を組むことになると思います、五月には。何か、緊急事態宣言は十日ですよ、三週間ですよと言うと、ああ、それぐらいで終わるのと思っちゃうと、補正予算の規模もはっきり言って小さくなってしまうわけですよ。でも、私は、これはそう簡単に解除できないと思いますよ、これから増えていくわけですから。

 ついては、田村大臣にお伺いしたいんですけれども、やはり、先ほど委員長にもお願いしましたように、それによって多くの方が生活困窮しますので、先ほど言ったような、私たちが三月一日に国会提出しているコロナ特別給付金法案のような、本当は全ての現役世代に十万円と言いたいんですよ。でも、まず第一歩として、少なくとも、三千万人ぐらい、低所得の方々やコロナで大幅減収の方々に一人十万円の給付金、こういうものを、緊急事態宣言を出すのであればセットでやるべきだと思います。田村大臣、いかがですか。

田村国務大臣 今般、緊急事態宣言が出るかどうかというのは、これから議論をしっかりやった上でという話なんだと思います。

 我々、それ以前に、数度にわたって、二度にわたって緊急事態宣言を発令し、その間も、いろんな、時短のお願い、各自治体でやっていただきました。厳しい状況は続いていると思います。

 だからこそ、緊急小口、総合支援資金、こういうものを二百万まで拡大しながら、これを更に新規再貸付け、更に申し上げれば、住宅確保給付金でありますとか、そして低所得の子育て世代、これは一人親だけじゃなくて対応させていただき、さらには、一人親の方々に関しましては住宅資金の貸付けというもの、返還免除つきという形で、これに関しましても創設をさせていただいたわけであります。

 様々な対応をさせていただく中で、重層的な対応の下でしっかりとお支えをさせていただきたいという思いでございますので、緊急事態宣言を発令しようがしまいが、厳しいということを我々は認識しながら、しっかり対応してまいりたいというふうに考えております。

山井委員 前回も申し上げましたけれども、貸付けじゃなくて、今必要なのは給付金なんです。

 田村大臣からそういう答弁を先日も得たので、私もこの週末、何人かの社会福祉協議会の方に話を聞きましたけれども、やはり、返済見込みはありますか、返済能力はありますかというところに、失業中の方は、はいと書けないんですね。そうしたら、断られるケースが多いんです。これは高井さんがずっとやってくださっていることですけれども。

 だから、私、本当に言いたいのは、田村大臣の答弁というのは、困っている人がいるんですか、社協に行ってください、運がよかったら貸してもらえますよという話なんですよ。当て物みたいなものなんですよ。私の知り合いも、断られた人はいっぱいいますよ。そのショックで立ち上がれない人もいますよ。

 そういう当て物のように、もらえるかもらえないか分かりませんという、そんな話をしているんじゃないんですよ。家庭崩壊しかかっている、進学を断念しかかっている、自殺しようかと悩んでいる、そういう人に、もらえるかもしれませんよと、そんな話じゃ今済まない状況だということを申し上げたいと思います。

 続いては、内山審議官もお越しをいただいております。今回、緊急事態宣言が出るのであれば、十分な休業補償、それと、取引先も含めたそういう補償を必ずセットでやっていただきたい。梶尾審議官もお越しをいただいております。

 内閣官房にお聞きしたいんですけれども、そのことについて、内閣府、内閣官房から御答弁をお願いしたいと思います。

梶尾政府参考人 お答えいたします。

 現在十都府県で実施しております蔓延防止重点措置では、時短要請に応じました飲食店への事業規模に応じた月額最大六百万の協力金、また、時短営業の影響により売上げが五〇%以上減少した中堅・中小企業者への月当たり上限二十万の支援、これは現在経産省で詳細を検討中です。

 また、加えて、業種、地域を問わない支援として、雇用者一人当たり月額上限三十三万の雇用調整助成金について、中小企業に加えて大企業も助成率最大一〇〇%で支援している、そういった支援がございます。

 こうした中、昨日、大阪府から国に対しまして緊急事態宣言発令の要請が行われたところでございます。状況を精査しまして、大阪府と緊密に連携しつつ、専門家の意見を聞きながら、対策の中身について速やかに検討していきたいと考えておりまして、その対策の内容に応じまして、どういった支援が必要なのかということも併せて検討を進めていきたいというふうに考えております。

山井委員 本当に、これは一年以上続いて、このままいけば倒産、廃業、自殺、失業は急増します。本当に与野党を超えて、政府とも協力して、何とか防いでいくのが私たちの責務だと思います。

 そこで、田村大臣、前回も質問しましたが、今日も二割負担の話ですけれども、認知症の方でもこの二割負担になる方は多いんです。

 ついては、今日の配付資料で、こういう事件が起こっているんですね。配付資料の十二ページ、尾身会長にもちょっとだけお聞きいただきたいんですけれども、「ワクチン接種 「本人同意」がネックに 静岡市の高齢者施設は同意六割にとどまる」。これは、私が二週間前に指摘したとおりのことが起こっています。

 この施設に対して、報道機関から、何人ぐらいの方を接種されますか、高齢者にと聞いたら、最初は、できるだけほとんどの人を打ちたいと思いますと答えたら、報道機関の方から、いや、でも、厚労省のガイドラインは本人同意必要ですよ、全員、本人同意を取れているんですか、家族同意では駄目ですよと厚労省は言っていますよと言われたら、この施設も、ああ、確かにそうなんですね、じゃ、厳格にやりましょうということでやったら、ここに書いてあるように、四割、六十人の認知症の高齢者は意思表示できなかったから接種できなかった。詳しくはこの記事を読んでいただきたいと思いますが、十二ページ。

 そして、十一ページ。地元では、家族会、お医者さん、施設側からも、六十人、四割も打てないというのは困ると。また、私の知り合いの施設に昨日聞いてみましたら、五十人のうち半数の方は意思確認ができませんでした、ですから半数しか打てませんと。家族は、一人を除いて、五十人中四十九人、全員が家族は打ってくれと言っていると。

 ついては、前回もお願いしましたけれども、これは法改正じゃなくて政省令を変えればいいということですので、本人同意が無理であっても、やむを得ず意思表示できない場合は、コロナワクチンを打つか打たないかは、命に関わる問題ですから、家族同意でもオーケーにしていただきたい。

 田村大臣、命に関わる問題ですから、これを打てるかどうかは。施設も家族もお医者さんも、多くの方がこれを要望しておられます。ハードルが高いのは分かっています、田村大臣からも先日答弁いただきましたから。何とか特例で、この緊急事態で、打たなかったらクラスターになりますから、半数の方が打たなかったらそれはもう話になりませんから、何とか家族同意で特例的にワクチン接種が、認知症で意思表示できない方も打てるようにしていただけませんでしょうか、田村大臣。

田村国務大臣 委員も、分かっていて多分おっしゃっておられるんだと思いますが、別にコロナワクチンに限った話じゃなくて、インフルエンザワクチンも含めて全て同じであります、そこは。要は、一身専属性の高い話でございますので、民法上の話でありまして、本人の同意を得なければ、そのような、その方の体に侵襲のあるような行為はできないわけであります。

 ただ、その本人の意思というものを誰が一番分かるか、ここが重要でありまして、常にその方と接している方はいろんな方がおられると思いますが、その方が、御本人の意思はこうであるというふうに御判断をいただいて、そして、接種をする、しないということを最終的にはお決めになられるということであります。

 でありますから、そこはそれぞれの施設で、そのような御本人の意思がどうであるかというのを御確認をいただいた上で、そして、接種をする、しない。

 これは、多分、政省令では変えられない、民法のもう本当に根源的な話でございますので、一身専属性の問題でございますから。首を振っておられるのなら、委員、どうやってやればいいのか教えていただきたいと思いますけれども、そう簡単ではない話でございますから、現場現場でそこは柔軟に、御本人の意思をどのような形で、一番分かる方が御確認をいただくかということでございますので、なかなか、おっしゃられても、今この現状で対応を、私が一言言って済むというような簡単な話ではないというふうに認識いたしております。

山井委員 皆さん、この十二ページの下の厚労省が出しているガイドラインを見てください。これは深刻ですよ。成年後見制度を利用していない認知症の方など、本人の同意が取れない場合は、家族の同意のみでは接種することができないとの認識でよろしいでしょうか。コロナワクチンについては、本人の意思に基づき接種を受けていただくものであることから、家族や嘱託医等の協力を得ながら意思確認を行い、接種の意思を確認できた場合に接種を行います。つまり、本人の意思を確認できなかったら打てないことになっているんです。

 それで、ここに政省令がありますが、第五条の二、説明と同意の取得、この中の最後に、「適切な説明を行い、文書により同意を得なければならない。」のところの同意を、家族の同意でもいいというように政省令でやれば、できるんではないかと私は思っております。

 田村大臣、首を振っておられますが、ということは、田村大臣、これは本質的な問題ですよ。田村大臣の理屈でいけば、意思表示できない認知症の高齢者はワクチンの接種を打つことができない。これはすごいことですよ。これは、一歩間違うと認知症の高齢者などへの差別になりかねませんよ。命が懸かっているからワクチンを打ちたいと思っているのに、意思表示できない人間はその権利を奪われるんですか。

 何が起こるか。例えば四割も、六十人もの人が打たなかったら、その施設では、集団免疫になりませんから、クラスターが発生して、五人、六人、亡くなる可能性がありますよ。欧米でも、亡くなっている人の半数以上は老人ホームのクラスターですからね。それが効かないんですよ。

 ということは、いいですよ、田村さんおっしゃるように本人同意が必要だと言い続けたら、その施設は五十人も六十人も認知症などの高齢者はワクチンを打てないわけだから、そこでクラスターが発生して亡くなる可能性がありますよ。

 私が言っているのは、このままいけば、認知症のお年寄りに老人ホームでクラスターが発生して、亡くなりますよということを言っているんですよ。私は救いたい、認知症の方々の命を。家族もお医者さんも施設側も、そう多くの方は願っています。だから、そこを何とかしてもらえませんかと言っているわけですけれども。

 改めてお聞きしますが、田村大臣、意思表示できない認知症のお年寄りが一定数おられることは分かっておられますよね、一定数おられることは。分かられますよね。その方々は、今の厚労省のガイドラインではワクチンは打てないということですけれども、私はそれは問題だと思います。認知症のお年寄りも命を守る権利があります、その家族にも。特例として、家族の同意で認めるべきではないかと思います。これは個人のことではなくて、さっきも言いましたように、五十人、六十人、その老人ホームで打てない方がいたらクラスターが発生しますから、半数の人に打っても余り意味がないんですよ、これは。

 田村大臣、これは、私は別にけんかする気はないんです。何でかというと、全国でこの問題はこれから起こってきますから、うちの施設は三十人打てなかった、五十人打てなかった。多分、もたないと思いますよ。全国の家族、お医者さん、老人ホームから、助けてくれと。

 私、何で今この質問をしているのかというと、多分、二、三週間後には、何とかしますということにならざるを得ないんです。そのときには、既に多くの老人ホームは終わっちゃっているから、もう一回遡って、打てなかった人にもう一回打ちますというのは、これはできないですよ。大混乱になりますよ。だから、私は二、三週間前から言っているんです。

 何とか、検討するとだけでも言っていただけませんか。

田村国務大臣 成年後見人がおられても、成年後見人の判断ではできないんです。これは成年後見推進法をやったときに我々も議論して、これは……(発言する者あり)いや、そうですよ、できませんよ。成年後見人の判断ではやれません。一身専属性のある、例えば手術であるとか、それから体に針を刺したりするような行為は成年後見人はできません。ですから、成年後見人は、この問題に関しては、我々をこれでやれるようにということはないからということを常におっしゃっておられます。

 一身専属性というのはそういうものでありますので、これはお調べいただければ、我々、法律を改正したときに、この議論で、ここをどうするんだということをやってきたわけでありますから。

 要は、御本人の意思が示せないというお話がありましたが、日々御生活をされておられて、いろんな形でコミュニケーションを取っておられるわけであります。そこは、私は、近くにおられる方若しくは御家族、一番分かっておられて、そこをどのように、それぞれの方々のお気持ちを参酌されて、ワクチンを打つのである、そういう御意思を表示されているんだろうなということを感じ取っていただければ、そこはそれでいいわけでございますので。

 そこは民法の世界の話でございますので、たとえ私がこれを書いたところで、今度、これを書いたら、これは法律上いいのかという話になりますから、そうではなくて、あくまでも御本人の意思を一番分かっていただける方がそこを酌み取っていただくということを現場で対応いただくということが重要であろうというふうに思います。

山井委員 田村大臣は余りにも現場を分かっておられない。この病院もこの老人ホームも必死で悩んで、六十人打てません、半数が意思確認できませんという結論を出してきているんですよ。努力したら意思確認できますって、そんな浮世離れした話は駄目ですよ。通用しない、それじゃ。

 これは、きついことを言うようですけれども、認知症の高齢者をコロナから救うのか救わないのかという根本的な問題です。私は繰り返し言います。意思表示できない認知症の高齢者にワクチンを打たせないというのは駄目、それでは通らないと私は思います。これは引き続き議論したいと思います。

 失礼ながら、尾身会長に一言お聞きしたいと思います。今の議論を聞いておられて、ある高齢者の施設では、四割、六十人の認知症高齢者が、本人同意がないからといって打てないんです。尾身会長の立場からして、これは、リスクが高いから、老人ホームや老人病院で優先的に打っているんですよね。でも、実際、本人確認できなかったら、六十人、四割が打てない。こういう現状は仕方ないと思われますか。いかがですか。

尾身参考人 法律の今のたてつけは私も理解しているつもりです。その上で、公衆衛生あるいは医療の現場を昔もやっていた者として、あるいはWHOに長く勤めた人の個人的な思いとしては、確かに、認知症を患っている人は、必ずしも意思の明確に表明できない方も当然おられるというのは現実だと思います。

 そうした場合には、私は、これは、超法規的といいますか、法律はそういうことであるわけで、法律違反はするわけに、多分、大臣、悩まれるのはそこだと思うんですよね。ただ、私のような専門家としての立場としては、そういう意思が表示できない場合は当然あり得るので、そういう場合には、やはり、そこで働く医師や看護婦さん、それから家族の人と相談して、そういうことで打ちましょうということを、もちろん家族の人も入ってですよね、これが普通の医療の現場の考え方で、ここの辺は、そういうふうに私は一医師としては思います。

山井委員 もう尾身会長のおっしゃるとおりです。田村大臣、何とか超法規的に御検討いただけませんか。

田村国務大臣 尾身先生と私が言っていることは同じだというふうに思います。同じでございます。

 法律は破れません。しかしながら、必要がある方にワクチンは接種しなきゃならないんです。そのときに、御本人がどう思っておられるかというのを周りの方が一番御理解をされると思いますので、そこをうまく御理解をしていただいて、そしてワクチンを打つということをしていただければいいわけで、法律は我々は破れませんから、そこを破れと言われることだけは私はどうしてもできません。

山井委員 いや、もう本当に、一歩間違うと、これで認知症の高齢者はどんどんクラスターで亡くなっていきますから、私はそんな無責任なことはできません、国会議員の一人として。そのことは申し上げたいと思います。

 最後の質問をさせていただきます。

 河野大臣が、ワクチンが、高齢者、年内に接種できないという報告は聞いていないということなんです。そこでお聞きしたいんですけれども、これは、全二千の市町村から、高齢者や全住民のワクチン接種がいつ頃終わるかという報告を、厚労省や内閣官房はそもそも報告を受けておられるのか。

 受けていないんだったら、報告が来ていないところは高齢者も年明けになる可能性がありますし、そうならないためにも、その質問の答弁と、十三ページにありますように、厚生労働省はこういう予防接種実施計画作成表で、いつから打ちますかとか、一覧表を作っているんですね、アンケートを。この中に、高齢者の接種はいつ頃終わりそうですか、一般の高齢者の接種はいつ頃終わりそうですかと、質問を二つ加えたら、それでもう簡単なんですよ。それを加えて、厚生労働省、内閣官房として、高齢者のワクチン接種、全住民のワクチン接種がその市町村でいつ終わるかというのを把握していただけませんか。いかがでしょうか。

 尾身先生、お帰りください。もう終わります。

とかしき委員長 ありがとうございました。

 内山内閣官房内閣審議官、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

内山政府参考人 お答えいたします。

 現状では、全ての市町村からそういった御報告というのを受けているわけではございません。

田村国務大臣 これは予算委員会で、やはりこの部分に関しては、ワクチン競争、接種競争にならないように、そこも勘案して……(山井委員「把握してくれと言っている。公表と言っているんじゃない」と呼ぶ)把握をして。表に公表するんじゃなくて。(山井委員「まず把握してくださいと言っているんです」と呼ぶ)公表するんじゃなくてですね。それは、その計画自体をですか。計画自体を把握するということですか。

 どういうような状況なのか、V―SYS等々で御要望はいただくんだというふうに思いますけれども、把握というか、まずは体制の整備というものが出てくれば、それはおのずと分かってまいりますので、まずは体制の整備をしっかりやっていただくということになろうというふうに思います。

山井委員 これで終わりますが、私はちょっとあれっと思ったのは、河野大臣は、年明けまでかからない、そんな報告は聞いていないということですけれども、今の話だと、そもそも二千市町村全部、報告を聞いているわけじゃないということですので……

とかしき委員長 申合せの時間が経過しておりますので、お願いいたします。

山井委員 知らないところで年明けになるところもあるんじゃないかと思いますし、是非、厚生労働省、そういう悠長なことを言っているんじゃなくて、全市町村に早く把握していただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございます。

とかしき委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 七十五歳以上の医療費負担二倍化法案について質問いたします。

 今回の法案は、二割負担を導入する、まずは二百万円、単身世帯であれば、その収入がある方からということになっております。

 今朝も、この二百万円の方というのは負担能力があるのか、ないのかという議論がありました。大臣は、十二万円の収入と支出に差がある、余裕があるんだということをおっしゃっているわけですけれども、私は、こういう、統計を見て平均だけで議論するというのはやめた方がいいというふうに思いますよ。それは、同じ二百万円の中でも、それまでの人生の中で貯蓄がある方、ない方、いろいろな方がいらっしゃいます。そして、その二百万円の使い道の中でも、医療費の支出がかなり多い方も現にいらっしゃるわけであります。あるいは、家賃の負担が高い方もいらっしゃるわけであります。

 元々、根拠にしている家計調査も、二百万円プラスマイナス五十万円、百二十三世帯という物すごい少ないサンプルで出されているわけですけれども、ちょっとお伺いしますけれども、じゃ、この百二十三世帯の中で最も医療費の負担が多いケースは年間幾ら負担していますか。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省からお示ししている七十五歳以上の世帯の収入と支出の状況につきましては、御指摘のとおり、統計法に基づき総務省において実施しております家計調査の調査票情報の提供を受けまして、厚労省におきまして特別に集計を行ったものでございます。

 御指摘の医療費が最も高いケースでございますけれども、これは、個別の調査対象が特定されるおそれがありますことから、総務省のガイドライン上、お示しすることができないということになっております。

宮本委員 個別のデータも示さないで、平均値だけで議論しろというのはめちゃめちゃな話ですよ。あり得ない話だと思うんですよね。

 同じように、住居費なんかも、予算委員会でも言いましたけれども、年間の住居費は、二百万円の方は年間で十七万円となっているわけですけれども、賃貸だったら年間十七万円なわけがないわけですよね。ですから、賃貸の方なんかからは本当に悲鳴の声が、今回の法案について私のところにも寄せられております。

 ですから、率直に言って、この百二十三世帯の調査をもってして負担能力がある、こういうふうに結論づけるのは極めて乱暴だと思いますが、大臣、そう思いませんか。

田村国務大臣 現役の皆様方でも、同じような所得の方々のみならず、やはり同じような形で生活される中で三割負担を対応されておられるわけであります。もちろん、医療にかかる回数は高齢者の方が多いじゃないかとおっしゃられますが、その分、現役世代の方々は子育て費用やいろいろなものがかかってくるわけであります。

 ですから、そこのところをどう考えていくかということと、それから、もう一点申し上げると、このモデル世帯の支出、これを見ると、もちろん、家賃十七万円、年間という形で、これは住居費という形でありますけれども、ほかにもそれぞれの支出があるわけでありまして、そういうものの中には、言うなればいろいろな形で、生活必需だけではなくて、それぞれが生活する中でいろいろな形でお使いになられておられるものもあるわけであります。

 そういうものも含めて全体を考えた場合に、今回の九割給付から八割給付になる方々、一定の所得の方々に対しては、これはその中でしっかりと対応をいただきたいということで御提案をさせていただいているわけでございますので、決して若い方々と見て非常に高齢者だけが厳しいというわけではない中において、御理解をいただければありがたいというふうに思います。

宮本委員 生活必需以外のものもあるでしょうというのは、そういうことを大臣が言っちゃまずいんじゃないですか。生活必需品以外の生活を全部医療費で犠牲にしてもいいんだと言わんばかりの答弁というのはまずいですよ、それは。当然、人間らしい文化的な生活というのは、人間である以上はみんなやる権利があるわけですから、この二百万円のところには生活必需品以外も入っているんだから、そこも削ればいい、こういう議論には私はならないというふうに思いますよ。

 その上で、ちょっとお伺いしますけれども、年収二百万円の方の七十五歳の場合は、税と社会保険料の年間の負担額というのは、後期高齢者医療制度の発足時は幾らで、二〇二〇年度では幾らですか。

浜谷政府参考人 これは自治体によって異なりますので、例えば新宿区にお住まいの方の年金収入二百万円で単身の方について申し上げますと、所得税、住民税と社会保険料の年間負担額でございますけれども、機械的に計算いたしますと、後期高齢者医療制度が施行されました二〇〇八年度におきましては十七・七万円、二〇二〇年度におきましては二十・七万円でございます。

宮本委員 新宿区の例でいえば、後期高齢者医療制度が始まってから十二年間で三万円、税と社会保険料が上がっているということであります。これは東京の新宿の例ということでございます。

 当然、税と社会保険料の部分というのはこれからも上がっていくわけですよね。後期高齢者の平均の保険料額を年額でいうと、現状は幾らで、将来の見通しはどうなっていますか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 後期高齢者の一人当たり保険料、月額でございますけれども、現在、六千三百九十七円でございます。

 将来見通しにつきましては、もうちょっと古いんですけれども、平成三十年五月に公表いたしました、二〇四〇年を見据えた社会保障の将来見通しにおきまして、一定の前提を置きまして試算しております。その試算によりますと、二〇二五年度で月額六千三百円から六千四百円、二〇四〇年度で月額八千円から八千二百円ということでございます。

宮本委員 年額でいえば幾ら増えることになりますか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 六千四百円の十二か月分でございますので、現状で八万円程度かと思います。

宮本委員 ですから、現状から二〇四〇年でいえば、年額でいえば何ぼ増えることになりますか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 済みません、先ほど少し数字が、もう少し正確に申しますと、七万五千円程度でございます。

 それで、二〇二五年度、年額でいいますと七万五千円強ぐらい、それで、二〇四〇年度で申しますと九万六千円程度でございまして、年額でいうと二万円程度の差ということでございます。

宮本委員 年額でいえば二万一千円程度増えると。

 それから、当然、介護保険料も上がっていくと思うんですが、これは平均でいえば年額、現状は幾らで、将来の見通しはどうなりますかね。

土生政府参考人 お答えいたします。

 介護保険料につきましては、保険者である市町村ごとにサービス見込み量、被保険者数の動向等を踏まえて定めているということでございますけれども、直近の第七期の計画期間で平均保険料額、月額五千八百六十九円、年額にいたしますと七万四百二十八円となってございます。

 それから、将来の試算につきましては、ただいま保険局長から御答弁申し上げました将来見通しの中で一定の前提を置いて試算をいたしております。二〇二五年度で申し上げますと、月額約六千九百円から七千二百円、年額ですと八万二千八百円から八万六千四百円、二〇四〇年度につきましては、月額で八千八百円から九千二百円、年額では十万五千六百円から十一万四百円と幅のある試算になってございます。

宮本委員 つまり、これから後期高齢者の保険料も介護保険料も上がっていく。後期高齢者でいえば、七・五万円が二〇四〇年には九・六万円、二・一万円ぐらい上がる、介護保険料は、今、七万円ぐらいが平均なものが、二〇四〇年には十万五千六百円から十一万三千円ということですから、大体三万五千円から四万数千円上がるということですから、五万数千円から六万円ぐらい更に保険料だけでも上がっていくということになるわけですね。

 今、十二万円の収支の差があると言っておりますけれども、保険料だけでもその半分はこれからなくなるというのが皆さんの見通しなわけですよね。しかも、これから物価は上がっても年金は目減りするというのがずっと続いていくわけですよ。

 そうすると、今回の年収二百万円というのは、平均で見て十二万円の差があるということを一生懸命皆さんおっしゃいますけれども、これは平均にすぎないですし、しかも、平均で見ても、これは時がたてばたつほど全くその差はなくなっていくということになるじゃないですか。これに医療費の負担がかかるんですよ。そうなったら、どうなるんですか。年収二百万円でも保険料は上がる、そして窓口負担は上がる、暮らしはたちまち赤字になっていく、こういう方が増えていくということになるんじゃないですか。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 個々の世帯におきましては、収支をそれぞれ工夫しながら生活をされているというふうに認識をいたしております。例えば、貯蓄がある方であれば、まずは貯蓄などの活用、生活の工夫などで現在でも対応しているということでございまして、そういった個々の生活の工夫の中で対応していくものと考えております。

宮本委員 ですから、赤字になれば貯蓄があるだろうというふうにおっしゃいますけれども、貯蓄がたくさんある方はそうやって対応できると思いますよ、対応するしかないと思いますけれども、問題は、じゃ、みんなが貯蓄があるのかということなんですよ。それまで、例えば家族の中に大きな病気を抱えている方がいらっしゃる、あるいは本人自身もいろいろな病気で入退院を繰り返す、貯蓄をほとんど使い果たす人だっているわけですよね、七十五歳までになると。

 あるいは、この世の中は本当にひどい世の中ですから、例えばジャパンライフみたいなものがあるわけですよ。高齢者の貯蓄を狙って、詐欺で身ぐるみを剥がす。私の地元でも、高齢者の方、ジャパンライフで全く全部貯金がなくなって、年金は二百万もないですから、生活保護で暮らされている方がいらっしゃいますけれども、そういう人だっているわけですよね。みんなが年金二百万円だったら貯金があるというのは、それは平均の議論であって、一人一人を見た議論では全くないと思いますよ。

 こういう平均で見て、年収二百万円の人は貯金があるから、将来保険料が上がって窓口負担を増やしても大丈夫なんだ、こういう議論はやめていただきたいと思います。

田村国務大臣 年収二百万のところを特におっしゃっておられると思いますが、そもそも、今いろいろと話が出ていたのは将来の話でありますから、そのときにどのような社会保障の姿であるかというのは今現状でつぶさに申し上げられないというのは一つありますが、年収二百万の方々プラス、要するに課税所得二十八万でございますので、保険料が上がっていけば当然課税所得の方がそれを下回っていくということもあり得ますから、一割になられる方、特にその瀬戸際におられる方々は一割になられる方も出てくるんだというふうに考えております。

宮本委員 そういうせこい答弁をしないでくださいよ。

 でも、実際は、保険料が上がるのと併せて物価も上がっているわけじゃないですか。この五年間でも、私、予算委員会でも示しましたけれども、高齢者の生活必需品の物価というのは三%上がっている、でも年金は全く五年間ほぼ横ばい、こういう事態で、実際は、年金の価値というのは下がっている。同じ二百万円の価値というのは、高齢者にとっては下がり続けているというのが現状なわけですよね。それは今後も続きます。ですから、そういうことを言わずに、やはりこれは考え直していただく必要があると思いますよ。

 それで、今日、朝から議論がありますけれども、昨日参考人質疑がございました。それを踏まえて質問させていただきたいと思います。

 参考人の二木先生から紹介があった研究、今日も御紹介がありました。私も刺激を受けて、アメリカのランド研究所の一九七〇年代に行った大規模な医療保険実験について紹介してある本を早速拝見をさせていただきました。医療費の負担による受診抑制が健康にもたらす影響があるということが書かれているわけですよね。

 二ページ目でいえば、医療費に関しては、自己負担ゼロのプランと比較して、自己負担二五%のプランは二〇%医療費削減が見られましたと。最も貧困で健康状態の悪い六%の人たちにおいては、三十個の健康指標のうち四つで自己負担がある方が健康状態が悪くなるという結果が認められました、その四つの悪影響が認められた健康アウトカムは以下になりますと。高血圧症、視覚・視力、歯科ケア、重篤な症状ということで、影響が出た疾患についてもやられているわけですよね。これは、一九七一年から一九八二年にかけて、物すごい長い期間やられた社会実験ということになるわけであります。

 何か今日の大臣の答弁を聞いていたら、これは元々日本とアメリカとは健康保険の制度が全然違うから全く参考にならないんだと言わんばかりの答弁がありましたが、私は、こういう社会実験、壮大な社会実験ですよね、ある意味。十年間以上にもわたって行われた。ここで出ている傾向というのは、当然、医療費の負担と健康について日本として学ぶべきものがあると思いますよ。そういう謙虚な姿勢でこの研究結果を捉える必要があるんじゃないですか。

田村国務大臣 そもそもアメリカは公的医療保険では、メディケード、メディケアはありますけれども、基本的にはないわけで、そこで自己負担が〇%、二五%、五〇%、九五%という形で割合の保険に加入させて、受診行動やその後の健康の影響、これを三年から五年で追跡調査、評価をされたというものでありますので、要は、我が国は、そういう意味では、今般は九割給付が八割給付に変わるという話でございますので、正直申し上げて、この研究はこの研究で私は敬意を表したいと思いますけれども、これをもってして日本の今般のことをどう評価するということにもいきませんし、併せて申し上げれば、日本とこれとを見て、これから日本の今般の九割給付を八割給付にする場合の、しかも二百万円以上の収入の方々でありますけれども、その方々の健康がどのように変わっていくかというのを調査をする手法というものをここから見出すというのはなかなか難しいというのが率直な私の感想でございます。

宮本委員 別に、初めから調査が難しいなんて決めつける必要は全くないわけですよ。

 大体、総理は、本会議での私への答弁で、今度の受診行動の変化は健康への影響はないんだ、こういう答弁をしたんですよ。だけれども、実際は、海外では、医療費の負担増は健康に与える影響というのが詳細な長期間にわたる調査の中で出ているわけですから、この研究自体をひっくり返す皆さんの側の研究結果、調査結果なるものが示されない限り、総理の答弁は虚偽答弁ということになりますよ。

 それで、参考人の二木先生からは、日本でも調査があるということで紹介されました。それについては、今日、先ほど紹介されましたけれども、日医総研のアンケートの結果を私も配付資料で載せておりますので、それは大臣も御覧になっていると思いますけれども、二〇二〇年でも、過去一年間に費用負担を理由とした受診控えがある割合、二百万円未満は七・八%、二百万円から三百万円は二・八%。収入が少ないほど受診控えが二〇二〇年もあった。

 十一ページ目には二〇一七年のも載せておりますけれども、過去一年間に具合が悪いが費用がかかるという理由で医療機関の受診を見合わせたことがある割合、二百万円未満は七・八%、二百万円から三百万円は五・三%。これも、収入が少ないほど今でも医療費の負担増が受診控えを起こしている。これはある意味常識だと思うんですよね。

 それで、少し戻りまして、資料の七、八、九とつけておりますけれども、これは、二〇二〇年、昨年五月二十六日に出ました日医総研のリサーチエッセイですけれども、この中で、患者負担と受診抑制、過去にどんな先行研究があるのかというのを日医総研でまとめられているわけですよね。

 八ページにありますけれども、受診抑制については、複数の調査から、経済的理由で受診を控えた者が一から二割程度あることがうかがえる。また、受診抑制は低所得者層で多いことも指摘されているというので、いろんな研究結果が、その後、並べられております。

 当然、経済的理由で受診を控える人が一割、二割いる、こういう認識は厚労省も持っているということでいいわけですよね。

田村国務大臣 ランド調査は、我々は、自己負担があることにより一般的には健康状態への悪影響は認められなかったことということに結論づけられているというふうに認識いたしております。もちろん、最も貧困で健康状態の悪い六%の方々は別でありますけれども。

 それから、今ございました日医総研の、これも二百万未満と二百万以上でございますから、今般我々は二百万以上の方々にお願いをいたしておりますので、これ自体も、我々が言っていることを裏づけているという意味も、言うつもりもありませんが、ですから、要は、それでは分からない、なかなか調査結果は難しいということを申し上げているわけでありますし、一割負担、二割負担も、これは、二割負担に関しましては、多分子供たちだというふうに我々は認識いたしておりますので、御高齢者の方と子供を比べている。これもまた、判断するのが本人か本人じゃないかということもございますので、なかなかこれをもってしてどうだという評価、だからどうだと私も言うつもりもありませんけれども、これをもってして証左だと言われると、なかなか我々も、そうですかという話になります。

 そもそも、今我々が対象としているのは、七十五歳以上の収入が二百万円以上の方々に対して申し上げておりますので、ちょっと委員がおっしゃられている意味が私自身よく理解ができていませんので、いずれにいたしましても、なかなか、これを見ておりましても、調査をしっかりとやるということは難しいなということが改めて分かりました。

宮本委員 基本的に、収入の状態と医療費の負担という点でいえば、当然、収入が少ないほど受診控えがあるし、医療費の負担が増えるほど受診控えが起きるというのは、あらゆる調査がそうです。

 私、二回前の一番初めのこの法案の審議のときに、今回の医療費の負担増についてのある西日本の病院の調査を示しましたよね、七十五歳以上、五百人ぐらいの方が回答していると。二百万円以上、百何十万円以上、それから二百四十万円以上と区切ったら、まさに日本の七十五歳以上の方々の調査でも現に受診控えがある。私は調査を示しましたよ。大臣は、それはコメントしようがないみたいな答弁でしたけれども。

 そういう現に今受診控えがあるんだという現実からも目を背けて、恐らく、今受診控えがあるんだということを認めたら、それ以上負担増というのはできないから、今でも受診控えがあるんだということを認めたくないのかも分かりませんけれども、しかし、そこで、あらゆる調査で同じ傾向が出ているわけですよ。そこから目を背けて突っ走るというのは、私はいかがかと思いますよ。

 それから、もう一点、今日は資料をつけております。四ページ目からつけているのは何かといいますと、日本での調べた結果なんですけれども、これは、学習院大学の鈴木亘先生ですね、経済論集、二〇一一年に出されたものですが、「慢性疾患と自己負担率引上げ 糖尿病・高血圧性疾患レセプトによる自己負担率引上げの動態的効果の検証」というやつなんですけれども、これは結論のところだけ、考察と結語だけ私は引っ張ってきましたけれども、資料の五ページ目のところに「結語」と出ていますけれども、

  本稿は、政策的に重要性が高い自己負担率引上げ後の医療費の動態的な変化に着目し、慢性疾患の中から糖尿病と高血圧性疾患を取り上げて分析を行った。具体的には、百十一健保組合のレセプトデータの個票から六種類のエピソードデータをつくり、それを水準とトレンドの両方に差分の差を設定するモデリングで推定を行った。その結果、糖尿病については自己負担率引上げ後に受診率が抑制されたものの、その後、入院確率、入院医療費が増加したことを主因に医療費の回復効果があることが分かった。すなわち、日本医師会などが主張する「受診抑制による医療費増」というメカニズムが働いた可能性がある

というふうに書いてあるわけですね。

 つまり、糖尿病、毎月かなりの、三千円、四千円、人によっては五千円、自己負担一割の方でもありますので、今、七十五歳の人でもあります。これは七十五歳の人をやった調査ではありませんけれども、糖尿病の毎月毎月の診断と、インシュリンだとか、かなり負担があるわけですよね。その下で自己負担を引き上げたら、これは受診が、外来が減ったと。しかしその後、糖尿病の入院が増えたということが言われているわけですよね。それは悪化して増えた可能性が指摘されているわけですけれども、いつもこの負担増の議論をするときは指摘されるわけですけれども、窓口負担を引き上げると受診控えが起きて症状が悪化する、そして重症化してから病院にかかる、そのことによって医療費が逆に増えるんじゃないか、糖尿病についてはこういう指摘が当たるんじゃないか、こういう分析がされているわけですよね。

 この研究については、厚労省はどういうふうに考えられているんですか。

田村国務大臣 鈴木亘先生の、これは平成九年九月、被保険者の自己負担が一割から二割に上がったときの研究であります。

 言われるとおり、糖尿病と高血圧に着目して、言われるとおり、七十五歳以上じゃなくて零歳から六十九歳でありますから、単純に私は比較できないと思っておりますが、ここで窓口負担引上げ直後に、言われるとおり、糖尿病については外来受診が減少していったということであります。その後、医療費増加等々、言われているとおりであります。

 一方で、高血圧については、逆に、負担割合引上げ後、外来受診が増加しておるということでございまして、何を言いたいかというと、負担が増えたから高血圧は外来受診が増えたということを言いたいわけではなくて、つまり、様々な要因があって出てくるアウトプットが糖尿病と高血圧で違うわけでありますから、併せて申し上げれば、やはりなかなか、負担のみでどうだということを検証するのは難しいな、いろいろな要因、要素があるなということを改めて感じさせていただいております。

宮本委員 この鈴木先生の六ページのところでも最後に言われておりますけれども、やはり「早急に、各疾病ごとの弾力性、動態的効果の計測を行い、基礎的知見を蓄積する必要があると思われる。」というふうに先生は書かれているわけですけれども、当然、負担増をやれば影響が出る疾病があって、そのことが重症化リスクを高める疾病があるという大変厳しい指摘だと思うんですよ、私は。

 そういう一つ一つの疾病に対してどういう影響があるのかというのをしっかり調査もやらずに、高血圧は受診が高まった、糖尿病は受診率が下がった、だから全体として見ればよく分からないんだ、そういうことじゃないと思いますよ、私は。

 国民の命と健康が懸かっているんですよ。命と健康を守るための健康保険なんですから、それが、その窓口負担増によって本来の機能を果たせなくなるということがあっては絶対ならない、それが本来厚生労働省が取らなければならない立場だというふうに私は思います。

 ですから、結論ですけれども、もうこの法案の審議は中断をして、まず調査しましょうよ。負担増がそれぞれの疾病、そして国民の健康、そして、今日、長妻さんから、平均寿命も含めて影響を与えているんじゃないか、こういう指摘がありました。そういうのをしっかりはっきりさせてから、また与党協議から始めたらどうですか。

田村国務大臣 与党のことは私が申し上げるわけにいきませんので、お言葉を差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、七十五歳以上に団塊の世代の皆様方が二〇二五年には全員なられるということになります。そういう意味で、負担というものを考えたときに、若い方々に後期高齢者支援金という形で御負担していただくその割合、額というものが増えていっているわけで、そこを何とかしないと、やはり若い世代の方々、現役世代の方々の負担というものが過重になってくるわけでありまして、私どもは、今ここでそこにまず第一歩を踏み出さないと、これからこの社会保障制度、医療保険制度というものが国民の皆様方から信頼いただけないものになってしまうのではないかというようなおそれを思いながら、思い描きながら、今般この法律を出させていただいております。

 もちろん、御負担が増える方々には、大変厳しい中、申し訳ないという思いはあるわけでありますが、そこは、この保険制度をこれから将来に向かって守っていくまず第一歩であるということを御理解をいただいて、どうかこの法案に対して、しっかりと御審議をいただいた上で御判断賜れればありがたいというふうに思います。

宮本委員 全く納得できない答弁ですね。現役世代の負担の軽減というのは、別に、高齢者の窓口負担増をしなくても、やりようは幾らでもあるわけですよ。

 私たちは国庫負担を増やせばいいじゃないかということも言ってまいりました。立憲民主党さんからは、後期高齢者の保険料の賦課限度額の上限を引き上げよう、それから国庫から負担を入れよう、そのことによって現役世代の負担軽減は当面できるじゃないかという提案がありました。昨日の参考人質疑でも、賛成だ賛成だという意見が出ていましたよ。私も賛成ですよ、立憲民主党さんの提案には。それでいこうという声が与党からも是非上がってほしいというふうに私は思います。(発言する者あり)

とかしき委員長 御静粛にお願いします。

宮本委員 ちょっと残り時間が短くなってきまして、今日はたくさん通告していたんですけれども、次回に回さざるを得ないものがありますけれども。

 ちょっと幾つか、法案から離れてお伺いしますが、一つは、配付資料でお配りしているのが、資料の十三ページ目からランセットの論文をつけております。

 これは四月十五日に出たものですけれども、新SARS―CoV―2のエアボーントランスミッションですね、空気感染を支持する十の科学的根拠というのが出ているわけであります。

 ちょっと今日は時間がないので、本当は、時間があったらこれを紹介してゆっくり議論したいなというふうに思っているんですけれども、大変説得力がある中身なわけですけれども、これについて、厚労省の見解についてお伺いしたいと思います。

正林政府参考人 お答えします。

 議員御指摘のペーパーについては、新型コロナウイルスの感染経路について、ある科学者が示した、空気感染することを結論づけるのは困難との報告に対し、著者らが、空気感染が主要な感染経路ではないかとの反論を行ったものと承知しています。

 このように様々な見解があるところ、WHOにおいては、昨年の七月の感染経路に関する科学的見解として、感染は感染者の唾液や飛沫等が主体であること、医療施設等でエアロゾルが発生する手技が行われている場合にはそれによる感染が起こり得ること、室内の密集した空間等では飛沫感染と併せてエアロゾル感染が起こっている可能性が示唆されること、エアロゾルを発生するような手技を伴わない環境下での空気感染等については質の高い研究が必要であることを発表しているものと承知しています。

 また、アドバイザリーボードにおいて、室内の密集した空間等では、飛沫感染と併せてマイクロ飛沫も起こっている可能性が指摘されており、厚生労働省としても、いわゆる三密の回避や頻回の換気を行うことなどを推奨しているところであります。

 引き続き、新型コロナウイルスに関する最新の知見を収集し、効果的な対策に生かすとともに、国民への正確な情報提供に努めてまいりたいと考えております。

宮本委員 もう一か月以上前ですかね、この場で尾身会長にも、エアロゾル感染と換気の問題について議論して、消毒よりもよほど換気が大事なんだと、エアロゾル感染の対策が今極めて大事だという話が、尾身さん流の言葉はマイクロ飛沫感染という言い方ですけれども、ありました。

 ところが、厚労省自身は、そのときも指摘しましたけれども、主な接触感染のルートは飛沫と接触というところがちっともホームページが書き改められないわけですよ。分科会の皆さんが言われていることがなぜ正確に書き換えられないのか。

 私は、本当に、先日の兵庫県の県知事のうちわ会食の話がありましたよね。批判を浴びてやめましたけれども、あれは、飛沫感染と接触感染だというふうに皆さんが言うからああいう誤解が生まれるんですよ。飛沫はマウスガードやうちわでブロックができると。違うんですよね。エアロゾル、マイクロ飛沫、空気感染というのがかなりのクラスター発生では重要な要素になっているから、うちわ会食は駄目なわけですよ。

 ですから、本当に国民の誤解が広がらないように、やはり最新の知見をしっかり私は示していくのが厚労省の役割だと思います。やはり厚労省がそこを改めないと、なかなか、お医者さんなんかも、やはり厚労省の言うことだと結構、ああ、そうかなと思っていますから、病院によっても、前も紹介しましたけれども、接触と飛沫対策中心で、エアロゾル、マイクロ飛沫対策が弱いのもあるわけですよね。

 私は、正しい感染経路について認識をすることが新型コロナとの戦いで一番の土台だと何度も言っておりますので、この点、よろしくお願いします。

正林政府参考人 もしかしたら多少誤解があるかもしれませんが、何回か先生とは議論していますけれども、マイクロ飛沫があることを私どもは否定はしておりません。あり得ると思っています。

 あのときも議論しましたが、空気感染という言葉を使うと、はしかとか結核とか、そういうものをイメージして、例えば、はしかというと相当な感染力ですから、この部屋で一人はしかの患者さんがいたら部屋中に場合によっては広がってしまう。そこまでの感染力はないだろうということで、我々はマイクロ飛沫とかそういう言葉を使っています。

 いずれにしても、飛沫感染、接触感染、マイクロ飛沫、いずれの可能性もありますので、そういう経路で感染しないように皆さんで気をつけましょうという普及啓発は今後も行っていくつもりです。

宮本委員 分科会の皆さんはやられているんですけれども、厚労省の基本のホームページのところには、主な感染ルートは接触と飛沫と書いてあるんですよ。マイクロ飛沫とは書いていないですからね、エアロゾルとは。そこをはっきりして、もっと伝えなきゃまずいですよということを申し上げておきたいと思います。

 最後ですけれども、ちょっと話が全然離れますけれども、資料十五ページ目に、これは昨日の朝日新聞、「「激戦」〇歳児クラスに異変」ということで、認可保育園、ゼロ歳児がかなり東京でも空いているということが出ています。

 実は、この朝日新聞の記事を見る前に、月曜日にこの質問通告をしたんですけれども、私も週末に地元の保育園の方々から、実はゼロがかなり空いていて、園の経済的な運営でも大変な状況が生まれているというお話を伺いました。

 私は、ゼロというのは、元々、四月でいっぱいに埋まるのが理想の姿じゃなくて、年度の途中も空いていて、必要なときに預けられる。生まれるのは、四月に合わせて子供は生まれるわけじゃないですから、生まれて働くときに合わせてゼロというのは預けられるようにするというのは非常に大事なので、空きがあってもいいと思うんですけれども、空きがあっても経営が成り立つように私はしていかなきゃいけないというふうに思っているんですね。でも、現状は、三人空いたら、一対三の配置基準ですから、人件費が一人分大変だということになっております。

 ちょっと、入所状況と経営への影響を早急に把握をして、どうするのかという対策を考えていただきたいと思いますが、いかがですか。

渡辺政府参考人 まず、入所状況につきまして厚労省の方からお答え申し上げます。

 厚労省では、毎年四月一日時点の認可保育所の利用定員数それから入所児童数につきまして、これは市町村単位でございますけれども、児童の年齢別に調査を行っております。

 令和三年、直近の四月一日時点の調査、これは現在実施中でございまして、取りまとめ次第、例年九月ぐらいになりますが、公表を予定しておりますが、今回の調査におきましては、併せまして、定員数とか入所児童数だけではなくて、新型コロナウイルス感染症の発生の影響についてもアンケートという形で併せて調査を行っているところでございますので、こういったことにつきまして、併せまして保育現場の状況もしっかりと把握していきたいと思っております。

宮本委員 まとめるのは九月だという話がありましたけれども、ずっと空いている状況が続いたら、結構園の運営も大変になるわけですよね。やはり、子育て世代、この間の新型コロナの影響で仕事がないということで、そのこともあってゼロが空いているという影響もあるというふうに地元の保育園の方々からも伺っております。

 恐らくこれは、全都、全国でもそういうことになっているというふうに思うので、大臣、これはちょっと、どういうことができるかというのを、実際、早急に、まとめるのは九月だといったら遅くなりますので、事態はつかみ始めているということですけれども、経営状況なんかも含めて、関係団体も含めて意見を聞いていただいて、ちょっと何らか検討していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

田村国務大臣 詳細に経営状況を集めるというのは、ちょっとこれはなかなか大がかりになって難しい話だと思いますが、いろいろなネットワークを使いながら、どういう状況なのかというのをピンポイントで聞いてみたいというふうに思います。

宮本委員 是非お願いします。その上で必要な対策をしっかり取っていただきたいと思います。

 終わります。

とかしき委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸です。

 本日も、大変貴重な時間、ありがとうございます。

 早速です。

 今日、大変重要なデータが、私の先日の当委員会での質問の要求に応えて、理事会で開示されました。何かというと、日本におけるファイザーワクチン、医療従事者への先行接種の、接種後の方の感染状況、これが経過日数も付随して開示されたわけです。

 まずは、その数字について、ここで明らかにしていただきたいんですが。

正林政府参考人 お答えします。

 新型コロナウイルス感染症の感染者のワクチン接種歴を、HER―SYSのデータを用いて、接種日から報告日までの日数別に集計したところ、ワクチンの接種後の感染者の報告数は、二月の十七日から四月の十五日において合計二百三十一件。内訳ですが、一回目接種後が二百五件、二回目接種後二十四件、不明二件でありました。

 ワクチン一回目接種後十五日以降で報告数は減少し、二回目接種後十五日以降は報告数が更に減少したことが明らかになっております。

青山(雅)委員 今の中で、もう一度。一回目接種後の日ごとの内訳も分かっていますよね、それから二回目接種後の。それとともに、一回目、二回目の接種者数、正確な数字も先ほどおっしゃっていた、これを併せて答えてください。

正林政府参考人 まず、二百三十一の内訳ですが、一回目接種後二百五ですが、その更に内訳ですけれども、接種後七日までが八十三件、八から十四日が九十一件、それから十五から二十一日が二十九件、二十二日以上が二件です。

 それから、二回目接種後、合計二十四件ですが、その内訳で、接種後七日目までが十七件、八から十四日が六件、十五から二十一がゼロ件、二十二日以上が一件。

 不明が二件です。

青山(雅)委員 すぐ出ますか。

 それじゃ、私が口頭で言うので、それでいいかどうかの返事をしてください。一回目接種後の人数が、先ほどの理事会では百十七万五千三百二十四人、二回目接触後が六十七万八千四百五人というところまでのデータだということですけれども、それでいいですか。

 すぐ答えられるならいいんですけれども、答えられないんだったら時計止めてください。時計止めてください、委員長。

とかしき委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 速記を起こしてください。

 正林健康局長。

正林政府参考人 まず、合計百八十五万三千七百二十九で、一回目が百十七万五千三百二十四、二回目が六十七万八千四百五です。

青山(雅)委員 数字をきっちり確認したのは訳があって、後でこれに基づく感染率をうちの方で計算したので申し上げたい。その前提としてきちんと言ってもらいました。

 私、ワクチンの接種に関しては、ずっと、本会議での総理あるいは田村大臣の答弁にもあるように、自己判断でやるのが大原則であり、その自己判断の前提は、利益な情報も不利益な情報もきちんと開示するというのが非常に大事であるということでお願いしているわけです。

 今回、遅ればせながら開示されたことは喜ばしいわけですけれども、私はちょっと遅ればせながらだと思っています。

 その理由は、この数字を聞いて驚かれた方も大分おられるようです。一回目の接種後、七日までは八十三人、八日目から十四日までは九十一人と、特に二週間、よくネットなどで二週間は非常に危ないんだというような風評が出ていたわけですけれども、数字的にはそんなに少なくない。

 これがどうなのかということについて計算をしてみました。どういう計算をしたかというと、ワクチンの接種者、二週間、仮に一番有利な数字として四月一日から十四日までに感染したと想定すると百七十四人です。これを先ほど言われた百十七万五千三百二十四人で割ってみると〇・〇一五%、二週間における感染率が〇・〇一五%になります。

 ワクチンを打つ方というのは医療者ですから、二十代から六十代がほとんどだと思います。そこで、二十代から六十代の全人口、これは令和三年二月の推計値、総務省によるものです。そこから今言った百十七万人を引いたものを母数として、結局七千五百六十一万人になるわけですけれども、その間に、厚労省が毎週水曜日時点のものを発表している当該年代における、つまり二十代から六十代における陽性者数、これで割ったものを出してみると〇・〇三八%です。

 先ほど申し上げた〇・〇一五%は、実は、これは〇・〇三八%の四〇%ですから、一回目接種後でも減っているという数字は出ています。ですから、ワクチンの有効性には変わりはないと思っています。

 そして、更にもう一つ進めて、二回目の同様の接種後七日までと八から十四日までの数、二十三、これをやはり接種人数の六十七万八千四百五で割ると〇・〇〇三%になります。つまり、先ほど言った〇・〇三八%に比べると、やはり九〇%の効果がある、大体言われているとおり。二回目接種すると、二回目接種から二週間の間でも九〇%の効果はあるということになります。それで、それ以降はもっと上がるんだと思いますね、この数字を見ると。

 ただ、こういう数字をきちんと出さないと、宮坂先生なんかがSNSでよく書いてあるんですけれども、一回目接種した後に感染者が目立つのは気の緩みだと言われている。この数字を見ると、確かに、気の緩みというよりは、まだ効果がそんなに出ていない、有効率が六割くらい、四〇%の人は発症してしまうわけですよ。こういうものをきちんと開示しないと、私は非常に危険だと思うんですね。

 例えば、今の先行接種、医療者です。医療者の方、やはり、もし医療者の方のところでクラスターが発生すると、入院患者さんなんかで多くのクラスターが出てしまう可能性がある。危険な方、リスクが高い人に。

 実際に、資料1を御覧ください、これは北海道の病院で先行接種が行われていたところでクラスターが出たよと。もちろん、先行接種された方がその感染源であるということまでは分かっているわけではない、そんなことが分かっているわけではないですけれども、可能性としてはそういうこともあり得るということなので、これは十分に注意しなきゃいけないと思うんです。

 そこで、まずお伺いしたいんですけれども、この北海道の病院の事例について、何か調査をされる予定、あるいは、されたでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 御指摘のこの北海道の医療機関については、今月、新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生し、当該医療機関に勤務する医師一名、看護師二名が新型コロナウイルスに感染したものと承知しております。もちろん、そのほかに患者さんも感染者がいたと思います。

 取りあえず、以上です。(青山(雅)委員「私が聞いたのは、調査したかどうか、あるいは調査する予定はあるかということです」と呼ぶ)一応、把握できる情報は入手しております。

青山(雅)委員 是非調査して、今言ったように、接種しても、やはり一回目接種、二週間たたないうちは一定程度発生する確率が特にあるわけですから、そこはきちんと調べていただきたいと思います。また次回聞きます。

 そして、もう一つ大事なのは、厚労省はそういう可能性についてやはりきちんと把握していたんだと思うんです。というのは、各都道府県宛ての令和三年三月三十一日の事務連絡で、HER―SYSへの入力についてワクチン接種の有無について遺漏なきようにというものを発せられております。それから、接種後二週間以上たって診断された症例においては検体送付まで呼びかけておられるんですね。聞いてみたら、なかなか実際には検体送付まで至っている例はないというんですけれども、やはり危険性には気づいておられるんだと思います。

 こういうことをきちんと告知しないと、しかも今言ったような数字をつけて告知すると、やはり一回目接種しただけではまだまだ注意がきちんと必要なんだ、二週間の間は特に注意しなきゃいけないんだということが、リスクは減りますけれども、考えなきゃいけないんだと思うんです。それは告知しないといけないんだと思うんです。

 今日せっかくおいでいただいているものですから、この開示が今日だったものですから通告できておりませんが、尾身先生のちょっとお考えをお伺いできればと思います。もし答えていただけるのであれば。

尾身参考人 委員のお尋ねは、告知した方がいいかということですよね。

 私は、こうしたコロナの実際にワクチンを受けた後でも、特に一回目の後には感染するという可能性があるので、しかし、逆に今度は二回目で二週間以降になると少ないということは、我々が前から得ていた情報とそれほど違わないですよね。

 このことは、ある意味では、一般市民が知ることで、やはりこれは結構効くんだなと。一回目ではなかなかということであるので、これは開示した方が、私は、特に開示をしない理由が多分ないと思うので、これは、ワクチンについては国民がいろいろ、知る権利というよりは、知りたいという関心があるので、これは是非、公開をなるべく早い時期でやったら、しかも、まとめてある程度解説をつけてやったらいいんじゃないかと思います。

青山(雅)委員 おっしゃるとおりだと思います。こういう情報があると、不要な、例えば言い方によっては、この二週間について非常に強調した言い方で警戒を呼びかける人もいるけれども、実際には、確かにあるけれども、普通の罹患率よりは下がるんだという、先生がおっしゃったようなよい情報に変わるわけですね。ただ、そういうのが分からないと、うわさばかり尾ひれがついて出てしまうので、私はどんどん開示すべきだったと思います。

 その点について、こういったリスクコミュニケーションがすごく大事だと思います。先日、当委員会で、桝屋議員の御質問に対する山本副大臣のお答えだと、ワクチンに関するリスクコミュニケーションは河野大臣が担当ということですけれども、この手の情報が河野大臣から発せられたのは余り見たことがないわけです、アナフィラキシーにしても。

 やはり、本当の所管は厚労大臣が責任を持つべき話だものですから、それについて是非言っていただきたいんですけれども、河野大臣からもこういった情報もきちんと発表するようにということを。大臣のお考えをお聞かせいただきたいんですが。

田村国務大臣 リスクコミュニケーションは河野大臣の担当にはなっておりますが、ワクチンの効果等々は、これは私の所管でもございます。

 このままというよりか、ちょっと、今、尾身先生、こういうお話がありましたけれども、専門家に一度評価をしていただいて、その上で、これが有効な情報であれば、それは国民の皆様方にしっかりとお伝えをさせていただきたいというふうに思っております。

青山(雅)委員 ありがとうございます。是非そういったことをやっていただきたいですし、今後もこういった情報は日々積み重なっていくと思いますので、また積極的な開示の方をよろしくお願いいたします。

 続きまして、これも通告の順番を変えて、尾身先生おいでなものですから先にやらせていただきますけれども、私、肥満と喫煙、これを、生活習慣と新型コロナ、これは国の手引にもきっちり書いてあるわけですね、重症化リスクとして。

 資料の2を御覧いただきたいんですけれども、この資料の2、これは非常に面白い資料が、グラフにしてみました。これは、日本のファクターXが何なのかとずっと議論されていて、罹患率が低いのはこれでは説明がつかないんですけれども、死亡率の低いのははっきりと因果関係があるかなと私は思っています。

 これはすごいんです。この肥満率というのは、何とBMI三〇以上です。だから、やはり、よくワクチンの接種しているのを、海外の人、特にアメリカのやつを見ると、物すごい腕の太い方によく打っておられて、やはり肥満率、大分差があるなと思っているんですけれども、実際にそうなんですね。

 意外なことに、アフリカなどは余り感染爆発と聞くことがない。日本や韓国それからタイとかも、そんなにイメージとしてもやはり欧米諸国に比べれば肥満率は少なそうだと。

 そうすると、やはり死者数も少ないんですね。百万人当たりのコロナ死者数が、右側の軸で見てください、この折れ線グラフです。そして肥満率が、肥満者の割合ですね、BMI三〇以上の人が人口に占める割合が高いほど、明らかに死者数が多くなっている。

 そうすると、私は是非これを尾身先生の方にお願いしたいんですけれども、政府参考人にまずはお伺いしますけれども、こういう、時間はかかりますけれども、糖尿病対策にもなりますし、自分の身を守ることにもなるので、地道に自分の体重管理に気をつけようとか、あるいは、この委員の中にも喫煙者の方はおられるので、ちょっと言いにくいところもあるにはあるわけですけれども、町中の喫煙所を見ると、前にもちょっと申し上げたんですけれども、密集しているわけですね。そして、先ほどのエアロゾルもありましたけれども、その中でマスクを外して当然たばこを吸っているわけです。国会が一時話題になって、最近一人しか入らないようになっているようですけれども。これは隠れた感染源ではないかと、尾身先生がおっしゃっている、私は疑っているわけですけれども。

 こういったこともきちんと呼びかけたらいいと思うんですが、まずは政府参考人からお伺いしたいと思います。

正林政府参考人 委員御指摘のとおり、喫煙とかそれから肥満、これは今回の新型コロナウイルス感染症の重症化をさせるリスクファクターの一つだというふうに考えています。

 まず、肥満についても、そういった観点から、例えば十一の知識であるとか、それから健康増進月間というのを毎年九月にやっていますけれども、そういう機会、あるいはオンラインで、体操のオンラインイベント、自宅で気軽にできるような体操とか、そういったものをオンラインで配信しながら、国民の皆様に生活習慣病予防あるいは肥満予防のための活動をしていただくべく情報発信はしているところです。

 また、喫煙についても、禁煙支援マニュアル、元々今回のコロナに関係なく、たばこは健康には悪いものですから、普及啓発、禁煙支援マニュアルを作成したり、それから世界禁煙デー、こういったときに、様々なイベントを通じて禁煙、喫煙対策、そういったこともやっています。

 また、特に喫煙所ですね。よく五つの場面というのをPRしていますが、そのうちの一つの場面が、居場所が切り替わる場面ということで、やはり喫煙所に行ってたばこを吸うとか、そういうのが典型例ですので、それについてもできるだけやめていただくような、そういう五つの場面はやめていただくようなPRをしているところです。

 そうした様々な普及啓発で、生活習慣病、ひいては今回のコロナのリスクファクター、そういったものを予防していこうという活動を展開しているところです。

青山(雅)委員 ちょっと対策が生ぬるいんじゃないかなと思うんです。というのは、例えば緊急事態宣言を取られて、今度は非常にもっと幅広い措置が考えられている。その中に、私は、よりリスクが高い喫煙所、街角に幾つかある、あれを閉鎖すべきだと思うんですね。公園を閉鎖するんだったらあれを閉鎖しなきゃおかしいわけで、あるいは大型の商業施設なども、いろいろ検討、言われていますけれども。

 私は、是非そういったこともきちんと検討して、分科会でも提案してもらいたいんですけれども、尾身先生のお考えをお聞かせください。

尾身参考人 喫煙場所なんかも、なるべく、特に緊急事態宣言が仮に出されれば、そういうところを使用を控えてもらうように促すというのは非常にいいことだと私は思います。

青山(雅)委員 ありがとうございます。非常に効果的な対策になる可能性もあるので、是非御検討ください。

 尾身先生、済みません、もう一つ先生にお伺いしたいので、もうしばらくお待ちください。済みません。

 次に、先ほど宮本議員のお話にもありました、同じ論文を実は私も添付資料で訳をつけて入れてございまして、それに関連してお伺いしたいんですけれども、感染の伝播方法に関する再検討は私も必要だと思うんですね。新型コロナの感染症拡大から一年が経過して、経験則としてもいろいろ分かってきましたし、直感に反するような事実も明らかになってきました。

 昔よく言われたのが、満員電車をそのままにしておくと大変なことになるよとよく言われたんですけれども、今のところ満員電車で感染、クラスターが発生したということは聞いておりません、私の知る限り。

 そうしたところ、ちょっと見てみたら、鉄道総研のシミュレーション、資料3ですけれども、非常に面白いのがありまして、よく東京の地下鉄は乗るわけですけれども、窓が十センチほどですか、開いている。ただし、物すごい風通しがいいんですね、走っているものですから。しかも、面白いことに、混めば混むほど、空気の体積が少なくなるものですから、換気効率がよくなると。なるほどなと思ったわけです。そうすると、特に鉄道を止めたりする必要もないのかなと、窓さえ開けていれば。

 ふと考えると、国会は、何人か陽性者の方は出ているんですけれども、特にクラスターは出ていない。天井がやたら高いわけですね、国会って。本会議場もそうです。あれだけ密なのに出ていないのは、恐らくエアロゾル等が充満しにくい。そして、まめに開けてくださっていますので。

 私は、換気というのが非常に重要な対策の柱かなと今思っておるんですけれども。そうなると、逆に、これだけ広いところではこういうアクリル板というのは、私はいいんだと思うんです、別に、風通しは元々いいですから。ところが、狭い、ちっちゃな飲食店にいっぱいアクリル板を立てちゃうと、それで妨げちゃうということも当然あるかと思うんです。

 なので、やはり、そういった新しい知見に基づいて考え直すところは考え直すべきだと思う、常にアップグレードすべきだと思うんですけれども、そういったことについて何か厚労省は検討とか分析をしているんでしょうか。

正林政府参考人 アクリル板を始めとするようなパーティションについては、飛沫が拡散することを抑える効果があるとは考えており、飲食店に対して、アクリル板の設置や、席と席の間隔を空けるとか、そういったことをガイドラインに盛り込んで遵守をお願いしています。

 内閣官房においても、換気がよく、座席間の距離も十分で、適切な大きさのアクリル板も設置され、混雑していない店を選択するよう、そういった呼びかけをしていると承知しています。

 アクリル板を設置することで直ちに換気に悪影響を与えるとは考えていませんが、感染防止対策は重ねがけであって、アクリル板の設置と併せて、換気の徹底、それからマスクの着用、人と人との距離の確保などを併せてお願いしたいというふうに考えております。

青山(雅)委員 要は、そういった最新の知見、先ほども宮本議員の質問にも答えていた、これは論文というかコメントなんです、ランセットのコメントで、査読済み論文ではないわけですけれども、一応載っている、ランセットに。そういったもので常にアップデートしていただきたいんです。

 そして、よく言われるのが、こういうのも、アクリル板、高さが高過ぎると要は換気を妨げる。よくある、コンビニである、ビニールのべっとしているやつ、あれなんかも完全に、逆に言うと密閉空間をつくってしまうようなところがあります。その店が広ければいいんでしょうけれども、狭いところには逆効果なんじゃないかと。

 私は、そういった微に入り細に入りというようなところまでそろそろいってもいいんじゃないのかと。ただアクリル板設置を呼びかけるのではなくて、高さもそれほど高くないもので、風通しを妨げるとか、そういったきめ細かいことをやらないと、いいと思ったことが実は逆効果ということも世の中よくあるわけですね、特に医学の世界などは。そういうような知見の改定の繰り返しだと思うんです。

 その点について、私は風通しを重視した方がいいんじゃないかなと思うので、そこの点について、尾身先生の意見をちょっとお伺いしたいと思いますが。

尾身参考人 委員おっしゃるように、私は、換気ですよね。特に、我々、マイクロ飛沫というのが接触感染とかいわゆる飛沫感染よりもだんだん大事になってきて、しかも今後、変異株のこともあって、いわゆる換気をよくするということが今まで以上に重要になって、飲食店なんかでも、例えばCO2の濃度を測って、一定程度、例えば一〇〇〇ppm以上になったら気をつけてくださいというようなことをやることはこれからもますます重要で。

 一方、今、政府参考人の方からもありましたけれども、アクリル板というのは、一応、例のスーパーコンピューターの「富岳」で、たしか一・四メートルぐらいだと飛沫を、それより低いとなかなかだけれども、かなり防げるということもあるので、そのことが換気を防ぐかどうかというお話については、はっきり言ってそこまでのまだ研究がないので、委員おっしゃるように、そういうこともこれからしっかりと、きめの細かい研究というのは確かに重要だと思います。

青山(雅)委員 是非よろしくお願いします。

 尾身先生への質問はこれで終わりましたので、御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

 続きまして、健保法について若干お尋ねをさせてください。

 当初、二〇二一年三月開始とされていたオンライン資格確認が延期となっております。これまでにオンライン資格確認の事前申請をした人数と、被保険者のうちのその人数の割合、それから延期となった理由、いつ頃開始できそうなのかの目途をちょっと示していただきたいんですけれども。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードの健康保険証利用の申込みでございますけれども、四月十一日時点で三百五十一万二千七百三十五人でございます。これは、対象被保険者に対する割合は二・八%でございます。なお、マイナンバーカードの健康保険証利用の申込みは事前に行うこともできますけれども、医療機関、薬局に設置されております顔認証つきカードリーダーで当日に手続をすることも可能でございます。

 また、延期の理由とめどでございますけれども、マイナンバーカードの健康保険証として利用できるオンライン資格確認の導入につきましては、この三月からの本格化運用を開始することを目指しまして、一部の医療機関等の協力を得ながらプレ運用を開始するなど、本格運用に向けた準備を進めてきたところでございます。

 先ほど申し上げましたけれども、その準備の過程で、コロナ禍による出勤制限等による健保組合など保険者の加入者データの確認、修正作業の遅れ、あるいは、医療機関等における、世界的な半導体不足等を原因とするパソコン調達の遅れなどによる導入準備の遅れといった課題が判明したことを踏まえまして、本年十月までに本格運用を開始することといたしております。

青山(雅)委員 厚労省だけではないんですけれども、日本におけるデジタル化の遅れといいますか、スムーズに進まないというのは、もう本当に、給付金の、特別給付金ですかね、持続化給付金ですかね、でも非常に目立った。それから、COCOAですか、あれも非常に残念な状況になっております。一層のそういった力をつけていただきたいと是非思います。何もかも遅れ遅れでは、本当に諸外国に比べて非常に残念。ドイツなどは、準備期間が十日で、ドイツの持続化給付金みたいなやつは、下手すると初日に、もう申請して払われた例まであるというくらいなものですから、是非、予算も限られている中で大変だとは思いますけれども、そういったことに対する目配りもよろしくお願いします。

 マイナンバーカードを持ち歩くにしても、健康保険証を持ち歩くにしても、持ち歩くというのは紛失のリスクがありますし、そもそも性質の異なるカードなものですから、それぞれに固有のリスクがある。そういったリスクの感応度の問題ですけれども、単に便利になるというだけで人が動くとは考えられない。行動経済学的に見ると、幾らかの利益よりも僅かな損失に敏感になるのが、人間というのは普通なんですね。少し利益があるくらいよりも、それよりも損失の額の方が少なくても、そっちの方に敏感になってしまうというのが人のさがということでございますが。

 こういったオンライン資格確認のシステムの再点検をして、遺漏なきように是非していっていただきたいと思うわけですけれども、厚労大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 言われますとおり、行動経済学では、リスク回避の志向といいますか、そういうものがあるというふうに私どもも認識いたしております。

 そういう意味では、今般、これはプレでスタートしたということで、ある意味、本当は四月一日からスタート、三月終わりからなんですけれども、スタートしようと思っておったんですが、プレ期間にこういう問題が出たというのは、まあ、あえて言うと、そのまま突入しなかったという意味では、国民の皆様方に御迷惑をおかけをせずに済んだのかなと。それだけに、早くこれを対応しなければならぬというふうに思っております。

 例えば、保険者の個人番号の誤入力、こういうものもシステム的にチェックできるような、その仕組みを入れさせていただいて自動的に分かるようにしようでありますとか、それから、保険者のレセプトの請求に必要な資格情報の再確認でありますとか修正、これは重点的に取り組んでやっちゃおうということ、さらには、住基ネットに照会をして、それで個人番号等々、再確認をしっかりできるような仕組みにしちゃおうということで、こういうことをやることによって、今般あったいろいろな保険者のいろいろなデータの問題というものが自動的に分かって修正できるような形、こういうことも含めて進める中において、国民の皆様方に安心していただけるような、そんな環境整備、これを厚労省もしっかりと保険者と協力しながら進めてまいりたいというふうに考えております。

青山(雅)委員 昔は、日本というのは非常にそういったものが、科学技術が優れているというイメージで世界中から捉えられていたと思います。ところが、このコロナ禍で、実はそれが幻想であり、むしろ少し遅れているんだということがはっきりしてきてしまっております。今大臣がおっしゃったようなことを万全にやっていただいて、さすが日本と言われるような形で是非運用を開始していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 続きまして、療養中死亡の問題です。これ少し、ずっと時間がなくてできなかったものですから、若干時間が経過しちゃったんですけれども。神戸新聞で、資料の5でつけさせていただきましたけれども、非常に残念な例がまた出てしまいました。これは三月二十一日に出てしまっているわけですけれども。

 これを見ると、すごく残念なのが、実は兵庫県というのは、兵庫県の医師会が保健所と提携しまして、医師を派遣したりオンライン診療をしてくれているんですね。ところが、二重行政、ここに残念なものが出てしまって、神戸市は政令指定都市なものですから、神戸市はそれをやっていなかった。

 そこで、こういうふうに、高熱もあって解熱剤で対応と。三十九度台というと相当な高熱ですよね。そして、七回、看護師らが電話などで健康状態を確認していた。やはり、看護師さんが七回確認しても、なかなか次の判断にいけないんですね。

 前、NHKで、やはり同様に、某タレントの方がコロナにかかって自宅待機、自宅隔離で、そのときに、電話で具合が悪くなったときに相談しても、看護師さんは自分で決めてくださいと、もう本当にショックだったというようなお話ですね。

 ところが、この間ちょっとほかの委員会でも御紹介したんですけれども、静岡とか今言った神戸とか、医師が保健所と提携して、医師が判断する、医師が電話とかあるいはオンラインで診療してくれる、あるいは、災害派遣のJMATですか、仕組みを利用して、ホテルなどの療養施設に行ってくれる、こういうことをやっている。

 こういったことをどんどん進めるべきなんですけれども、まずはそういったところをどのくらいやっているかということについて、厚労省、つかんでおられるでしょうか。

正林政府参考人 こうして宿泊療養中、健康観察が大変重要なので、一義的には保健所なんですけれども、パルスオキシメーターを使ったり、あるいは往診をお願いしたり、それからオンライン診療、そういったことも是非やってくださいということは各自治体にお願いしています。特に保健所の負担軽減という観点から、場合によっては医師会に委託をしてドクターに診てもらう、そういうこともお願いしていますが、済みません、その実態まではちょっと把握はできておりません。

青山(雅)委員 私、それがすごく残念なんです。いつも申し上げるんですけれども、私、厚労省の方というのは、どこまで本気で人を救おうとしているのかというのはこういうところに表れるんですね。

 例えば、通知は出しましたとおっしゃる。制度はつくったとおっしゃる。だけれども、私がもし厚労省のトップだったら、本当にその通知どおりにいっているか、結果を絶対確認したいんですね。自治体にしても、厚労省からどうなっていますかというのが来れば、ああ、やっていないと言うと恥ずかしいからやろう、あるいは、実態調査された上で、全国例えば千の自治体のうち五百がやっているのに、うちがやっていないと言ったらそれはまずいからやろうということになるんだけれども、それを実態調査しないというのが私は本当にまずいんだと思うんです。病床数確保も多分同じだと思います。

 何を聞いても、通知は出していました、いつ付の通知は出していましたよと。では、その通知の結果、どうなんですかと。前の高齢者施設の従事者への検査数の問題も同じなんですけれども、そこから改めていただきたいんですけれども、改めるということについて、大臣に、是非強い決意と、それと実態調査を指示していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 実態、全く分かっていないわけではないんだと思いますが、全国押しなべて調査といいますか返事をいただいていることはないというふうに思いますので、そこは、病床数等々報告をいただくわけでございますから、それに合わせてそういう対応ができているか。多分感染が拡大していないときにはそういう体制ではなくて、何かあったときにそういう体制になるというようなことを地域医師会としっかりと連携してくださいということは我々もお願いしていますから、その結果、そういう体制を組めているかどうかということを確認したいと思います。

 なお、神戸のお話がありました。神戸は、どちらかというと、基本的には、初めの頃は病床の方に入っていただいていて、自宅待機はなるべく減らしていった地域でありますが、増えてまいりましたので、自宅待機の方を増やしてまいっておられる、今や自宅待機はかなりおられると思いますので。

 私の方からも、事務方の方に、神戸の方はちゃんと、今言われた、医療機関、地域の医師会と連携しながら、自宅の方々の健康観察、若しくは往診等々の対応ができるような状況になっているか確認をしてくれという指示はいたしまして、神戸市の話は私はちょっとあれだったんですが、政令市でありますから保健所は違うと思うんですけれども、兵庫県の方はそういう対応を取っていただいている、そういう報告を受けておりますし、それから東京都も、こういうふうになる前にちょっと心配でございましたので、東京都もいよいよ増えてくるぞ、これはと。在宅の対応も増えてくるので、東京都がしっかりとそういう体制になっているか、この確認もしてもらいたいということでありまして、今その体制を医師会の方々とともに組みつつあるというような御報告を受けております。

青山(雅)委員 大臣がそういう姿勢で、実態を調査することを指示していただく、あるいは、それが今言った、順番からは大都市圏でもいいと思うんですけれども、津々浦調査していただければ必ず変わってくると思うんですね。そして、大事なのは、その結果も発表していただくと、やはり競争意識は誰でも持ちますので、そういう形で、いい競争、つまり、コロナの死者を一人でも減らすという競争に向けて是非御努力をお願いしたいと思います。

 時間になりましたので、そういったことについて是非お願いをして、本日の質問は終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。

 今日も、七時間の審議、お疲れさまでございます。

 最後、三十五分、今日はいただきましたので、しっかり審議していきたいと思いますが、私も、法案に入る前に、コロナ対策のことをちょっと幾つか伺いたいと思いますが、これは先週の内閣委員会で結構問題になっているんですけれども、厚労省のV―SYSの操作マニュアルに、ワクチンの廃棄数を報告する欄というのがあって、そのマニュアルを読むと、一回も接種せずに廃棄した場合に、そのバイアル本数、瓶ですね、バイアル本数の累計を入力してください、開封後に一回でも接種したバイアルについては含めないでくださいと。

 つまり、一バイアルで五とか六とか注射できるわけですけれども、それを一回でも、もし、五人分打てるのに一人分だけ使ったら、もうそれは報告しなくていい。つまり、四回分余っても、それを捨てましたといっても、それは廃棄のカウントにしなくていいという、これはやはりおかしいと思いますよね。

 今日、河野大臣にも同じことを聞いたんですけれども、やはり、河野大臣なんかは、一人分でも二人分でも余ったら、とにかく回してください、有効活用してくださいと言っているのに、廃棄するときは、四人分余ったのをどこかに勝手に廃棄しても、それは報告しなくてもいいということになるわけですから、これは先週、山本副大臣が、内閣委員会に来ていただいて質問をしたときには、二つこれができない理由として挙げられたのが、一つは、入力作業が結構大変なんだとおっしゃるんですけれども、入力はそんなに大変じゃないと思いますね。

 なぜそう言ったかというと、二〇〇九年の新型インフルエンザのときに、相当数の破棄があったそうです。なので、そのときはかなりの破棄をしたそうなので、だから結構入力が大変だったのかもしれませんけれども、今回のワクチンは、そんなに大量に破棄したら、これ、本当に国民の皆さん、もう大騒動を起こすぐらい怒ると思いますので、そんなはずはないと思います、本当に数本というか微々たる数ですから。

 しかし一方で、国民の皆さんは、どれだけ使われなかったかというのはより正確に把握したいと思うので、これは、もう簡単な、マニュアルをちょっと変えればいいだけだし、医療機関だって自治体だって、そんなに入力に大した作業がかからないと思いますので、是非大臣、これはマニュアルを変えていただけませんか。

田村国務大臣 これはちょっと、かなり難しいのは、五回打ちのシリンジなのか六回打ちのシリンジなのかによっても違いますし、六回打ちのシリンジの場合は、ちょっと失敗しますともう五回しか打てなくなっちゃうなんてこともあるわけで、なかなか、その残留をもってしてどう見るのかというのが、各医療現場でこれを把握するのは難しいと思います。

 何を言いたいかというと、だからといって無駄にしてもらっては困るということで、河野大臣が、そういうような余った場合には、しっかりと、優先順位ということはあるけれども、そこはある程度気にせずに有効的に活用してくださいということをおっしゃられたんだというふうに思います。

 そもそも、何でV―SYSにこれがあるかというと、どれぐらい無駄があったかというものも一つあるんですけれども、もっと重要なのは、要は、期限切れで破棄したというものがあるかないかというのは、そのまま在庫に関わってきますので、次、送るときに、どれぐらい在庫を抱えているかということをある程度管理するために、そういうようなことをお願いをいたしておりますので。

 そういう意味からいたしますと、開けたものを破棄するというのは、もう開けていますから、元々使っておりますので、そこは記録しなくてもいいというような、そういうような利便性といいますか、そういうことでやっておる部分もございますので、なかなか、開けた部分が、残りどれぐらいあったか、何人分残ったかまで全て現場で管理いただくというのは、御負担が増えて非常に大変だということでございますが、一方で、無駄はなくしていただいて、しっかりと有効にお使いをいただきたいということを我々としてはお願いをいたしたいというふうに思っております。

高井委員 何人分余ったかまで別に、だから、三人分なのか一人分なのかとかまで書かなくても、要は、つまり、廃棄した瓶というかバイアルの数。

 もちろん、多分、厚労省とすれば、その数を全部報告して、何か報道なんかに出ちゃうと、本当は一人分だけ使わずに破棄した、一人分だけ残っていて破棄したものまで五人分とカウントされてしまうから、実際破棄したものよりも数字が大きくなってしまうということを恐れているのかもしれませんけれども。

 しかし、いや、分かりますよ。在庫管理のために厚労省がそのシステムを作ったというのは、恐らく、二〇〇九年の新型インフルエンザのときはそうだったんでしょうけれども、今は局面が違うというか、国民の皆さんはやはり、一日でもワクチンをとにかく、ニュースなんかを見ていたら、予約を取るのに何百回とか何千回とか電話して、みたいな。

 それで、もうとにかく一刻も早く打ちたいという国民がいる中で、破棄された数がどの程度あるのかということは、やはり、その概数でもいいから、システムがある以上、それは取って、厚労省としてそれは公表する。それをしないと、それはやはり隠蔽だというふうに言われても仕方ないんじゃないですかね。隠す理由が分からない。

 繰り返しますけれども、一バイアルのうち何人分余ったかまでカウントしなくても、とにかく一バイアル全部捨てた場合だけ報告してくれというのがこのシステムなんですけれども、この一バイアルのうち何人分か使ったけれども、例えば二人分使いました、でも三人分は余りました、それは破棄しましたということが、今のままだと、もう報告しなくていいから、つまり、使ったことになっちゃうんですね、報告上は。だけれども、実際は使っていなくて、三人分余ったというか捨てているわけですから、やはりそこの部分は報告するようにしていただけませんか。これは結構、国民の皆さん、知ったら怒ると思いますけれどもね。

田村国務大臣 一つは、在庫管理上、それだともう一立て、何かシステムを組まないといけないというようなことが起こってくるのかも分かりません。

 それから、基本的に余らせていただきたくないんですけれども、いろんな事情で余る場合はありますよね、当然のごとく。それを、医療機関の方々は一生懸命頑張っていただいておりますのに、それをもってして、打たなかったから悪いから、じゃ、おまえが残り全部打てというわけにもいかないわけでありますから、そこはなかなか、つらい、医療現場の皆様方にもそれを出していただくと。

 その医療機関が何かミスしてたくさんのものを破棄したということは、これは問題があると思いますけれども、一生懸命やっていただく中において、なかなか時間的なものやいろんなものがあって破棄せざるを得なかった、身近な方々にも無駄にしないようにいろんな形で対応したけれども、しかし破棄するものも出てきたという場合を考えると、なかなか全てを打ち尽くすというのは、かなり人がばんばん来るところはいいですけれども、そうじゃないところはいろんな形の対応があろうと思いますから、それをもってして医療機関の皆様方に負荷をかけるというのは、なかなかお願いしづらいというところであります。

高井委員 いや、だから、破棄することを悪いと。多分、責められるから隠したいというふうに聞こえますけれどもね。だから、いいじゃないですか、別に破棄してもいいんですよ。破棄したことを我々は責めようということじゃなくて、正確に把握したいというだけですから。それを何か、正確に把握されたら、要するに、医療従事者が、とにかく全部打ち切らないと怒られると思ってプレッシャーになってしまうから、だから報告はなしにしたいと。それは言葉を換えれば、やはり隠したい、隠蔽したいというふうに取れますから。

 是非これはもう一度、大臣、多分、先週の岸本委員が内閣委員会で取り上げて初めて大臣も気づかれたというか知ったんじゃないかと思いますので、もう一度よく御検討いただけたらというふうに思います。

 それでは、ちょっと次の話に参りますが、これもコロナ関係で、大臣には何度も同じことを言って恐縮なんですけれども、総合支援資金の問題なんですが、同じことを何遍も言うのも恐縮なんですけれども、やはり今一番苦しんでいらっしゃるのは、総合支援資金で不承認になってしまった方と、あとは、今回は恵まれて、承認はされたけれども、九か月借りたけれども、やはりそれでもまだ今仕事がコロナでなくなって、足りないという中で、更にもう三か月再貸付けをしてほしいという方がやはり一番苦しい方なんですよ。

 こういう方というのは、例えば一人親の給付金とかももらえない、子供がいない方もたくさんいらっしゃるわけですし、一番取り残されてしまっている。生活保護に行くか求職者支援制度に行けばというふうに大臣はおっしゃるんですけれども、それがなかなか難しい方なので、この方を何とか救おうと。

 さっき山井さんが、一律十万円の定額給付金、私たちも法案には賛成しましたので是非やってほしいですけれども、でも、三千万人に一律十万円配るといったら三兆円ですよね。これはなかなか、三兆円ですけれども、今私が言っている話は三十億とかそのくらいの話ですからね、是非これは。

 ちょっとその前に、生活保護に行けとおっしゃるので、じゃ、ちょっと生活保護のことも取り上げたいと思うんですが、これは局長で結構ですけれども、コロナ禍になって、去年の二月ぐらいから生活保護を受けている人の数というのがどのくらいいて、そしてその給付額が幾らか、できれば、その前の年とかと比べて増えているのかどうかみたいなこともちょっとお答えください。

橋本政府参考人 まず、生活保護を受けておられる世帯数でございますけれども、令和二年二月以降おおむね横ばいで推移しておりまして、今年の一月でございますが、百六十三万八千世帯というふうになってございます。

 それから、あと、支出額の方でございますが、これは自治体の方からの毎月の報告によりますと、令和二年二月から令和三年一月までの月平均支出額が約二千九百三十六億円、対前年同月比で平均で見てみますと、九八・四%という状況でございます。平均ではなくて月別の傾向で見ましても、対前年同月比でおおむね横ばい、ないしは若干の減少傾向というふうになってございます。

 直近の動向でございますけれども、昨年九月以降、生活保護の申請件数の対前年同月比が緩やかに増加傾向にございまして、今後の動向を注視していく必要があるというふうに考えてございます。

高井委員 今御説明あったとおり、増えていないんですよね、意外なことにというか。対前年、九八・四%と言っていましたから。ということは、やはり移行できていないんですよ。大臣が生活保護にどんどん行ってくださいとおっしゃっても、いろんな壁があるんだと思います。これも後で聞きたいと思いますけれども。

 それで、あと、金額ですよ。月二千九百三十六億円、毎月ということですよね、月ということは。これだけの額が生活保護だとかかるわけですよ。だから、生活保護にどうぞ行ってくださいと言っても、結局、生活保護に行ったら毎月毎月お金がかかって、ここの額がどんどん増えていくということですから。

 それであれば、私が申し上げている、今回の総合支援資金の不承認になった方をもう一回再申請を認めてあげる。それから、今九か月で制度上終わっていますけれども、あと三か月、何とかやってあげる。そうすると、大体、不承認の方が再申請すれば、多分三十億ぐらいじゃないかと思います。再々貸付けをもう一回やったら多分七百億ぐらいなんですけれども。それでも、今の生活保護の金額に比べたり、あと、山井さんの三兆円に比べれば、やはり全然微々たる額ですから、是非、それを私はやっていただくのが一番いい解決策だと思いますけれども。

 今日、主計局次長、また来ていただいていますけれども、このくらいは、私は、主計局も認めていただいた方が予算的には絶対いいですよ、お得ですよ。是非お願いします、大臣。

田村国務大臣 宇波さんに頼んでおられるかと思いました。私ですね。

 まず、午前中、いろんな話の中で、この総合支援資金等々がなかなか貸してもらえないんだというようなお話もありました。何か、借りられるか借りられないかが、どっちか分からないぐらいのことをおっしゃられていましたけれども、一生懸命、社会福祉協議会の皆様方が頑張っていただいているということは、これは本当に我々は感謝をしながら、大変多くの業務量の中でやっていただいて、決して、貸す貸さないということを、いいかげんなことをやっておられるわけではないということは、これはどうか御理解をいただきたいというふうに思うんです。

 その上で、それでも中には、いろんな形の中で、本来借りられるはずなのに借りられなかった方もおられないかどうか、これはちょっと分かりませんが、そういう場合には、当然、再申請いただければ、しっかりと審査いただいて、再貸付けということもあり得るんだというふうに思います。

 それから、いろんなものにつなげていくという方法もあると思います。今委員がおっしゃられた、更にもう一回延長という話がありました。最大今二百万円行っていると、なかなかこれはお返しいただくのがつらい。もちろん、我々、大胆な、財務省の御理解もいただきながら、返済を免除する、償還を免除するというようなスキームを、住民税非課税の方々に対してこれをスタートをいたしておりますから、かなりそういう意味では、本当に大変生活に困っておられる方々に対しては対応させていただけるというふうに思っておりますが、これを更にというのがいいのか、何かいろんなことを考えた方がいいのか、そこはなかなか難しいところであります、お金のかかることでありますから。

 今委員がおっしゃられた、ほかのやり方と比べればこんなにお金がかからないんだというようなお話もございましたので、参考にさせていただきながらではありますけれども、まずはこの生活支援資金、しっかりと、我々としては、まだお借りになれる方々にお借りをいただくということに、社協と協力しながら全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

高井委員 是非、今日、宇波次長もおられますから、この後でも協議していただいて。

 というのは、あさって、菅総理も来ていただいて質疑が予定されているようですので、私は五分しかないんですけれども、五分で言いますから、菅総理に。

 これは、菅総理が結構答弁しているんですね。やはり定額給付すべきだというのに対して、いや、貸付けがあるんだ、どうぞ貸付け、返済も免除ですというかなりリップサービスを言っているので、生活困窮者は相当その言葉が耳に残っていて、もう今、菅総理はうそつきだみたいな空気になっているので、是非、これは本当にいい制度ですから、私もこれだけしつこく、余り山井さんみたいに大きな声が出ないので熱意が伝わらないかもしれませんけれども、本当にこれは切実な思いで訴えていますので、是非、あさって総理に聞きますので、総理から言っていただいたら。

 あと、補正予算もあると思いますよ、今後。いや、緊急事態宣言ですから。これはやはり、今までも、緊急事態宣言のたびにこの再貸付けを延長してきているという経緯もありますから、やはりもうここは大臣が決断いただいて、総理から是非、主計局次長も多分大丈夫だと思いますから、是非協議いただいて、それをやっていただきたいと思います。

 先ほどちょっと生活保護の話が出ましたので、これもちょっと聞いておきたいんですけれども、やはり、生活保護を受けるのにハードルがある。これは二つあると思うんです。条件のハードルですね、いろいろな要件が合致しないということと、あと心理的ハードル、これも結構大きいと思うんですね。ここの二つのハードルを私はやはり解決していかないと、いろいろ細かな改革をやっていただいているのは知っていますけれども、やはりもっと根本的、抜本的な生活保護改革を、まさに今回のこのコロナ禍を機にして私はやるべきだと。

 大臣も、もう貸付けじゃなくて生活保護にとおっしゃるなら、そこまでやっていただけばまだ納得しますけれども、是非大臣、やっていただけませんか。

田村国務大臣 生活保護自体、私も、年末にも、保護は、皆様方、本当にお困りになられたとき、その資格のある方々が受けられる権利ですというようなお話をさせていただいて、是非とも、本当に必要な方々は申請をいただきたいということを申し上げました。

 ただ、一方で、御承知のとおり、持ち得る能力を最大限、これは、資力、いろんなものを使っていただいた上でということであります。それが要件でありますし、扶養が保護に優先するということがございますので、扶養していただける方がおられれば、そこはその方々のお力もおかしをいただくというのが、これが、そういうような優先というような形があります。

 いろんな要件緩和は、もう委員には御承知でしょうから、要件を緩和してまいりまして、例えば先ほど言った持ち得る能力といっても、実際まだ仕事がない場合がありますから、そういう場合に、あらかじめ、本当に仕事をしているのかというのを事細かく、仕事を得られていないのかということを調べるというよりかは、今コロナ禍ですから、そこは特例で対応しようでありますとか、車も、やはり就労やいろんな形で必要な場合は、もちろん高級車というわけにいきませんけれども、必要な車をお持ちをいただいていいでありますとか、あと住居も、本来の基準額よりも高い住居であったとしても、これはコロナで一時的なものですから、わざわざ引っ越してもらわなくても結構ですよというようないろんな要件、この緩和といいますか、コロナ特例というような形で対応させていただいております。

 もちろん、生活保護になられた後、自立をしていただくということが前提です、特に現役世代の方々に関しては。だから、そういう意味では、就労を支援するためのいろんな、この中で仕組みをつくらせていただいておりますので、就労のためのいろんな活動をされるのならば、それに対して支援費を出させていただいたり、また、自立をされた場合には、就労者に対して給付金をお支払いをさせていただいて、何といっても、自立したときにはいろんなものにお金がかかりますから、こういう対応もさせていただいております。

 とにかく、生活保護だからもうこれで次はないんだじゃなくて、生活保護になっていただいた後に、次、また自立に向かった、そこにはいろんな支援もあるということを御理解をいただきながら、本当に困ったときには生活保護の申請をしていただくように、我々としても更にしっかりと広報してまいりたいというふうに思います。

高井委員 それでも、やはり生活保護が増えていないんですね。さっき聞いて、ちょっとびっくりしましたけれども。ですから、やはりどこかにボトルネックがあって、私は、意外とというか、やはり心理的ハードルが大きいんじゃないかなと、周りの目とか。

 だから、それはなかなか一朝一夕には変えられませんけれども、やはりここでちょっと本気で検討していただいて、そういうことを払拭する何かいい手を、何か名前を変えるとか、コマーシャルするとかも、ちょっとすぐ私もいい提案はできないんですけれども、是非それを考えていただきたいな、厚労省の皆さんのお知恵で考えていただきたいとお願いしておきます。

 それでは、法案の話に入りますが、法案も、私、財源の問題にこだわってずっとやってきました。先日の参考人質疑でも、保険料と公費とのバランス、これをどうするんだと。結構、やはり公費を期待している声が参考人の方も多かったです。公費といえば、税と、あと国債ということだと思いますけれども。

 大臣は、今後、少子化、高齢化で、この社会保障費がどんどん逼迫していって、保険料だけで私は賄うのはもうやはり無理が今後来ると思いますけれども、この辺りのバランス、保険料と公費、税、国債のバランスはどのようにすべきだと考えておられますか。

田村国務大臣 午前中も、後期高齢者医療保険制度の負担の割合の見直しの話が出てまいりました。我々も、やはり将来的にこれはやっていかざるを得ないだろうと思っております。

 ただ、一方で、税というものも、これも、じゃ、誰が払っているんだといえば、国民の皆様方からいただいており、どの税を充てるかによって、その負担の対象が変わってくるわけであります。ですから、そこまで含めて考えていかなければならないでありましょうし、消費税ということになれば、全国民が消費活動される中でお支払いいただくということになろうと思います。

 様々な負担の在り方があると思います。保険料がこれから大変上がっていく、これは後期高齢者医療保険制度も、さらには介護保険制度も、先ほど話があった、宮本委員のお話のとおりであります。

 そういうものが本当に持続可能であるのかどうかということを踏まえた上で、これは私は、大臣でなければ持論をいつも申し上げておったんですが、大臣でございますので、ちょっと責任が入ってまいりますから、あえてここで持論は申し上げませんが、国民的な議論をする中において、この社会保障制度、特に医療と介護。

 年金の場合は、マクロ経済スライドという制度がある中で、持続可能性と、あとは国民年金の目減り分をどうしていくんだ、基礎年金部分でありますが、この問題になってこようと思いますが、医療保険と介護保険は、それ以前に、これは単年度制で収支を基本的には合わせていく。介護は三年で保険料を見直していくということでありますが、基本的にはそういう形でありますから、ここはちょっと国民的な議論をしっかりさせていただきながら、将来に向かっての議論が必要になってくるんであろうなと、これは私の思いとして持っております。

高井委員 同じ質問を財務省にも聞き、と思ったんですが、もう時間が押してきましたので、ちょっとそれは省いて、私は、この間、国債を発行してそれを賄えるまだ余地があるんじゃないか、まだまだあるんじゃないかということをずっと申し上げてきました。

 どのくらい国債を発行できるかという問いに対して、財務省のキーワードは、財政に対する信認だと。債務の持続性なんという言葉も言われましたけれども。それは具体的に何かといえば、私はインフレ率だと思っていますけれども、財務省は多分、債務残高対GDP比を一つのメルクマールとして考えているんじゃないかと思うんですが。

 ここからが、これは前回も同じことを聞いて、ちょっと主計局次長から余り要領を得ない答弁だったので、もう一回聞きますけれども、通貨発行権がある日本で、しかもデフレですよ、今。インフレじゃない、デフレがもう二十年続いているわけですよ。それで、自国通貨建てで国債を発行していて、それで国債を発行して財政に対する信認が失われる、損なわれるということはありますか。

宇波政府参考人 三点申し上げたいと思います。

 まず第一点として、これはせんだっての委員会でも申し上げたことでございますけれども、自国通貨建ての国債であっても、債務の持続性に対するマーケット、市場の信認を失う事態が発生して、金利の上昇を通じて、資金調達が困難となる可能性が否定できないということが一点でございます。

 それから二つ目に、通貨発行権があるからという御指摘でございますけれども、通貨発行権がある中央銀行が、最終的には紙幣を刷って、国債を無限定に引き受けて財源調達を行うということが前提になるわけでありますけれども、財政政策、金融政策の運営がそのような前提で行うということであれば、急激なインフレによって深刻な影響が生じ得るものと考えております。

 三点目に、日本の財政状況でございますけれども、これは、社会保障の受益と負担がアンバランスな状態にある、これが財政赤字の主たる要因でございます。これを放置して、そのままアンバランスな状態をずっと続けるということは、社会保障制度の持続可能性に対する信頼、ひいては国民の将来不安を助長しかねず、このこともまた財政の持続可能性に対する信認が損なわれるということではないかというふうに考えます。

 政府といたしましては、財政に対する持続可能性に対しての市場あるいは国民の皆様の信認が損なわれることのないように、経済の再生と財政健全化の両立を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

高井委員 それは、財務省が心配されているそのような事態が起これば、インフレになるはずなんですよ。インフレになっていくんですよ。ところが、日本はデフレなんですよ。インフレ二%目標とずっとやっているけれども、デフレが続いている間は大丈夫じゃないですかと。私も、永久に国債を発行していいなんて言っていませんよ。

 積み木の例でいうと、主計局長が、今、積み木を積み上げて大丈夫だけれども、将来倒れるかどうかは誰も分からないと。まあ、誰も分からないけれども、その基準はやはりインフレ率だと思いますよ、私は。ほかの基準があるんですか。財務省は、債務残高対GDP比だとおっしゃるんですか。積み木が倒れるときの基準、何を基準だと思われていますか。

宇波政府参考人 今申し上げた三点の、財政に対する信認でありますから、どの方が見るかによって見方が変わってくると思います。

 一つの特定の指標ではないと思いますし、委員御承知のように、例えば債務残高GDP比を例に取れば、我が国は先進国の中でも際立って高い水準にございますけれども、特定の水準とか数字について、政府として何か申し上げたことはございません。

高井委員 その基準が、だから、これが、いろんな経済学の論争があって、その一つが、私が申し上げているのは、MMTと通称言われる現代貨幣理論の考え方を、まあ、私も全てMMTが完全に正しいかどうかは分かりません。だけれども、やはりインフレ率がその客観的な基準だという点は、これは多くの方もそう言って、主流派経済学の方だってそこは認めているわけですよ。

 ところが、これは、二年前に財務省が財政審で配った資料で、「説明資料 (わが国財政の現状等について)」というところで、参考として、MMTについてという四枚の資料を配っていますよね。

 それを見ると、批判のオンパレードなんですね。MMTがいいと言う経済学者のは一つも入っていなくて、全部批判ばかりなんですけれども、これは、財務省がそういうMMTは駄目だという考えを持っているからそういうのを選んだんじゃないかと思いますけれども、財務省のMMTに対する見解はいかがですか。

宇波政府参考人 繰り返しになって恐縮です。

 MMTの理論は、これは、先生御指摘のように、インフレにならない限り、過熱しない限り、政府の債務残高がどれだけ増加しても問題はない、つまり、財政赤字を拡大していっても問題がないという考え方として知られているというふうに承知をしております。

 繰り返しでございますけれども、こうした考え方に基づいた政策を取った場合に発生し得る過度なインフレあるいは悪い金利上昇、これは悪い金利上昇でございますけれども、こういったものは予測困難で、一旦起きれば制御不可能であります。

 かつ、先ほど、インフレになるまでは財政赤字というふうに先生御指摘でありましたけれども、せんだっての委員会でも申し上げたとおり、こういう運営を行った場合には、我が国の財政赤字の主たる要因は社会保障制度の給付と負担のアンバランスに起因しているものでございます。

 物価上昇局面において、急にそこで歳出の大きな部分を占める社会保障の減額あるいは増税といったようなことを行うということは、国民生活に悪影響を与えかねない、これは、やはり、財政あるいは社会保障制度の持続可能性を高めるような改革をきちんと行っていく必要があるというふうに考えてございます。

高井委員 どういう聞き方をしてもその話が出てくるんですけれども、ちょっと理論的にかみ合っていないと思うんですけれどもね。ちょっとそこは、私の方でももう一度、どう聞いたらちゃんと議論できるか、また時間のあるときにしたいと思いますが。

 今の話で、もう一つ、ちょっと聞きたいことがありまして、その財政審で示した資料の中で、ラガルドIMFの専務理事のコメントも出ているんです。これはMMTに対して大変批判的なコメントなんですよ。

 ところが、これはインタビューか何かのコメントなんですけれども、その後にラガルドさんはこうも言っているんです。デフレに見舞われたりするなどの状況下では、短期的には効果的かもしれないと。

 私は、まさにこれを言っているわけです。デフレのときであれば、短期的でもいいですよ、採用すべきじゃないですかということを申し上げているんですけれども、財務省はあえてこのコメントをカットして財政審には配っているんですね。これは意図的にカットしたんですか。

 また、あと、ラガルド専務理事が言われている、デフレに見舞われているときの状況下では、このMMTが短期的には効果的だと言っている、この指摘に対する財務省の見解はいかがですか。

宇波政府参考人 御指摘のあったラガルド氏の記者会見でございますけれども、これは、ラガルド氏は質疑のまず冒頭において、MMTについて、MMTが持続可能な方法で実際によい価値を提供できる状況にある国、こういった国が現在あるとは考えていないというふうに述べておられます。全体としてMMTに基づく政策運営に対して懐疑的な見解が表明されているというふうに私どもは受け止めております。

 御指摘のあった発言につきましても、その発言部分に続いて、その後、金利が上がり始めるとわなに陥るというふうに、そこのところも、そういうふうに述べておられるというふうに承知をしております。短期的にそれをやったとしても、その後、金利が上昇すれば財政運営がわなに陥るというような御発言だったというふうに承知をしております。

高井委員 そこは、だから、インフレになればそうなんですよ。確かに、いろんな経済学者も、MMTの考えは分かるけれども、インフレがコントロールできないとおっしゃる方は多いんですね。あと、政治家が、それ、ちゃんとできるかみたいな。

 そこは、だから、この間私が申し上げたとおり、法律でしっかり定めれば、インフレ何%までになれば、国債の発行、それ以上はもう発行しません、抑制しますということを法律で定めれば私はいいと思いますが。

 これだけ、財務省が心配するように、債務残高対GDP比が世界で一番高くなっている、大変だと。でも、大変でもデフレということは、日本はそれだけすごいということじゃないですか。余力があるんですよ。潜在力があるから、だからデフレなんですよ。インフレにならないんですよ。ということは、まだまだ大丈夫ということですよ。

 それと、もう一つ聞きたいのは、債務残高対GDP比が問題だというのなら、GDPを増やすことをやるべきですよね。債務を減らすことを財務省は一生懸命やるんじゃなくて、GDPを増やすことに一生懸命力を尽くすべきだと思いますが、いかがですか。

とかしき委員長 宇波財務省主計局次長、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

宇波政府参考人 短くお答えします。

 債務残高対GDP比の引下げに向けて、その分母である御指摘のGDP、これを増やしていくことは重要であるというふうに考えてございます。

 他方、今後、高齢化に伴って一人当たりの医療費あるいは介護費が大幅に上昇いたしますと、成長への取組を行っても社会保障の給付と負担のアンバランスは増大していくと見込まれることを踏まえれば、成長だけではなくて、社会保障給付の伸びの抑制などの歳出改革、あるいは国民負担の見直しなどの歳入改革をしっかり行っていくことが重要であるというふうに考えております。

 御指摘のあったように、ポストコロナに向けた経済構造の転換、好循環や民需主導の経済成長を実現していくということは重要であると考えておりますが、それとともに、社会保障の持続可能性を高める改革など、歳出歳入改革の取組を継続して、経済再生と、それから財政健全化の両立を図るというのが政府の方針でございます。

高井委員 そういう答弁だと、財務省設置法をやはり変えるべきだという気になりますけれども、引き続き議論させてください。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.