衆議院

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第17号 令和3年5月7日(金曜日)

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令和三年五月七日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 とかしきなおみ君

   理事 大岡 敏孝君 理事 門  博文君

   理事 田畑 裕明君 理事 長尾  敬君

   理事 橋本  岳君 理事 中島 克仁君

   理事 長妻  昭君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    安藤 高夫君

      上野 宏史君    大串 正樹君

      大隈 和英君    木村 次郎君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      国光あやの君    小島 敏文君

      後藤 茂之君    後藤田正純君

      佐藤 明男君    塩崎 恭久君

      繁本  護君    武井 俊輔君

      百武 公親君    本田 太郎君

      村井 英樹君    山田 美樹君

      渡辺 孝一君    稲富 修二君

      尾辻かな子君    大島  敦君

      川内 博史君    白石 洋一君

      津村 啓介君    西村智奈美君

      山川百合子君    山井 和則君

      早稲田夕季君    太田 昌孝君

      桝屋 敬悟君    宮本  徹君

      青山 雅幸君    高井 崇志君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   厚生労働副大臣      山本 博司君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   内閣府大臣政務官     三谷 英弘君

   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  時澤  忠君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   宇波 弘貴君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           川中 文治君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  正林 督章君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 椎葉 茂樹君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月七日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     本田 太郎君

  伊佐 進一君     太田 昌孝君

同日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     高村 正大君

  太田 昌孝君     伊佐 進一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

 高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案(西村智奈美君外十名提出、衆法第一一号)


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     ――――◇―――――

とかしき委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案及び西村智奈美君外十名提出、高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として独立行政法人地域医療機能推進機構理事長尾身茂君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官時澤忠君、財務省主計局次長宇波弘貴君、文部科学省大臣官房審議官川中文治君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官達谷窟庸野君、医政局長迫井正深君、健康局長正林督章君、社会・援護局長橋本泰宏君、老健局長土生栄二君、保険局長浜谷浩樹君、防衛省大臣官房衛生監椎葉茂樹君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

とかしき委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。繁本護君。

繁本委員 ありがとうございます。自由民主党の繁本護でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 健康保険法等の一部を改正する法案ということでありますので、この法案の質疑から入りますが、緊急事態宣言もいよいよ延長される議論が、報道も昨日からありますので、そのことについても質問させていただくことをお許しいただきたいと思います。赤澤先生も、今日は副大臣として、御答弁者として、ありがとうございます。お世話になります。

 さて、まず法案審査のことについて一点質問させていただきたいと思いますが、この委員会でも、もうずっと議論してきました。

 私も一番心配するのは、やはり窓口負担が上がることによる受診抑制ですね。長瀬効果というものも、九百億という数字も出ながら、この委員会でもずっと議論されてきたわけでありまして、その中身がどうなのか、それをどうケアしていくかといったことが大きな論点の一つになってきているわけでありますが、その九百億円の内訳を調査するとか、あるいは、どこまでが必要な医療なんだとかということを線を引いてしっかり仕分していくことというのは、ある程度、もう限界があるのではなかろうかと思います。現実的に、後期高齢者に対する必要な医療をしっかりお届けするために、前向きに、具体的に何ができるかという提案も、この委員会で議論していくべきではなかろうかと思うんですね。

 そこで、私も、受診抑制を、しっかりさせないために、一つのアイデアとして、健診、健康診断をしっかり受けていただくということは非常に大事だと思います。

 私も、このゴールデンウィーク中、何人かのお年寄りに今回の法案のことについてお話を伺いました。そうしたら、その人は、ある病にかかっていて治療を受けているわけです。ふだんから僕は病院に行っているから健康診断なんか受けなくても大丈夫なんだ、むしろほかに病気が見つかったら心配やしといった声もあるぐらいだったんですよ。

 それがいいか悪いかどうかは別として、健診をしっかり受けていただくことで、仮に通院されている患者さんであっても、そのお世話になっている先生、病以外の病気も見つかるかもしれない。それに対して早い段階で医療サービスを提供していくことが大事なことではなかろうかなと思うんですが、この委員会での議論の中でも、やはり後期高齢者の健診率が低いということは議論されてきました。したがいまして、今回の法案、様々議論はございますけれども、一つ前向きな今後の対応として、健診率をしっかり上げていく。今現状、どれぐらいになっているんでしょうか。

 そして、それを大臣として、健診率を目標値を定めて、これぐらいまで上げることで、今回の健康保険法の一部改正をした後も、必要な医療をしっかり受けていただくよすがとするといったことを是非御決意としていただきたいし。

 健診にもいろいろあります。この委員会で最も熱心に歯科健診の重要性を訴えていただいているのは長尾先生であります。私も全く同感でありまして、歯の健康は全身の健康なんですね。したがいまして、口腔ケアをしっかりしていく、歯科定期健診をしっかり進めていくということは、これは人生百年時代の全世代型社会保障の礎になるんですね。

 したがいまして、歯科健診も含めて、後期高齢者、ひいては現役の世代の健診率をしっかり上げていくといったことについて、大臣として今後どう取り組んでいくか、決意を、お考えをお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 委員おっしゃられる意味、非常に重要なところであります。健康診査等々をしっかりと受診していただいて疾病等々を未然に防いでいく、非常に重要なことだと私も思っております。

 そういう意味では、今、後期高齢者広域連合のやっておられる保健事業、健康診査事業、健康診査事業の受診率は大体三〇%弱ぐらいということを我々も調べの中で聞いておりますけれども、やはり、疾病予防等々、しっかりと健康を守っていくために、これをしっかり進めていくということは非常に重要であって、健康診査、健診の体制の充実も必要でありますし、健康診査を受けていただくような受診勧奨もやっていかなきゃなりません。

 そういう意味では、広報もしっかりやりながら進めてまいりたいというふうに思っていますし、そこで歯科健診というものも、私も歯科口腔保健法の提案者の一人でございましたので、そういう意味では、フレイルでありますとか疾病予防に非常に効果があるということもエビデンスが今出てきているわけでありまして、ここも重要だというふうに思っております。

 一方で、受診率、目標値を健診に対して組むべきだと。これがなかなか難しいのは、後期高齢者というところで、じゃ、例えば百歳の方、九十歳以上の方がどれぐらいの受診率というのを、なかなかこれはエビデンスを出しづらいというところがございまして、そういう意味では、具体的に受診率というのは、それまでの年齢の方々と比べると、上限はありませんから、七十五歳以上という形になっておりますので、どのように設定するのかという非常に難しいところがございます。

 一方で、必要な病院、医療機関への受診、これが長瀬効果等々でどうなんだと。我々は、必要な医療機関への受診は、これは減るものではないというふうに御主張はさせていただいておりますけれども、かなりやはり七十五歳以上の方々は、そういうところで、実は、医療機関で、いろいろな疾病、慢性疾患を抱えながら治療を受けておられる方も多いわけで、そこでほかの病気が見つかったら困るというような話もありましたが、ただ単にその疾病だけ診ていただくわけではなくて、例えば、地域包括診療料という形で包括的に健康管理をしていただいている方々もおられます。そういうところでいろんな疾病も見つけていただくということもございますから、両方相まって、高齢者の皆様方の疾病予防、健康管理というものが必要になってこようというふうに思っておりますので。

 委員のおっしゃられている意味は非常に重要だというふうに思っておりますから、我々もそういう観点から、高齢者の健康というものを守るためのいろんな対策というものはこれからも不断な見直しをしてまいりたいというふうに考えております。

繁本委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 様々、やり方はいろいろあろうかと思うんですが、それを全部ひっくるめて、できるだけ見える化して、国民に安心して、この受診抑制、受診勧奨を実現、実施していただきたいと思います。

 それでは、続きまして、これ以降はちょっとコロナのことで質問をさせていただくことをお許しいただきたいと思いますが、いわゆる雇調金なんですね。雇調金は六月までですね。七月以降の見通しがないことについて、私の地元であります京都においても、観光業界中心に、非常に不安の声が届いているところであります。

 これまでも、雇調金は特例措置として一万五千円で、本当に高いげたを履かせていただいて、これで助かっているんですよね。このゴールデンウィークも、実は、観光業界でありますから、旅館の方に大分話を聞いてきたんですよね。この雇調金が命綱なんですよ。

 実際、緊急事態宣言が発令された京都でありますが、それ以前に蔓防が出て、実は、蔓防というのは、緊急事態宣言の手前の措置で、決して軽いものではなくて、この蔓防が出たということは、すごいやはりお客様に対しても旅館に対してもインパクトがあって、緊急事態宣言並みに、予約のキャンセルという形で影響が出ているんですよ。

 四月の二十九日から五月の五日までの七日間で、私、十九の旅館にアンケートを取ったんですが、これは延べで百三十三日、営業できる日数があるんですけれども、実際、お客様を一組でも受け入れた営業日は、百三十三分の四十七で、これは三五・三%です。例年なら、ゴールデンウィーク、客室は一〇〇%の稼働率になるんです。営業日数ベースでもこの三五・三という低い数字ですから、客室稼働率でいったら、もっとこれは低いことになるんですよね。

 今何が起きているかというと、七月以降の見通しがないということですと、修学旅行の受入先である京都において、九州方面から、十一月の修学旅行のキャンセルが来ているんですよ。十一月ですよ。ワクチンが、これは政府も覚悟を持って、九月末まで、七月末までといろいろスケジュールを切りながらやっているじゃないですか。それが終わるであろう十一月の旅行すら、この京都ではもう方面変更が出ています。大分市というのは、固有名詞を出して恐縮ですけれども、市内二十七の中学校が、京都に行くのをやめよう、ほかに回そうというような方針まで出しているんです。都市型の観光を抱える京都みたいなところは本当に厳しいんですよ。

 したがいまして、七月以降の本当に命綱である雇用調整助成金は、これからできるだけ前もって前もって、早め早めに、七月以降も大丈夫ですよという見通しを是非出してほしいんです。これはもう経済対策、コロナ禍における対策のげたみたいなものですから、それをまずしっかり履かせていただいた上で、今日は赤澤先生いらっしゃっていますけれども、経済対策、様々相まって、コロナ禍においても経済を守る、そして感染蔓延防止するというのが王道ではないかと思うんです。

 そのために一番大事な雇調金の七月以降、これは終息するまでやってほしいという声、様々いただいております。一番熱心なのが、全国ハイヤー・タクシー連合会の神谷理事長ですよ。何回も、うちの事務所に来てくれています。そのことを受けて、大臣、お答えをいただきたいと思います。

田村国務大臣 御承知のとおり、今現状は、五月、六月という形で企業業績が非常に厳しい、売上高が昨年、一昨年と比べて、三か月平均が三割以上、下がっているというような企業に対しては、これは特例措置という形で一万五千円、十割というか十分の十、こういう補助をさせていただいているわけであります。七月以降は、段階的にこれは本来の本則に戻していくという今方向です。

 ただ、言われるとおり、そのときの状況を見ないと分からないわけで、なるべく早く、そういう意味では先を見越していかなきゃならないというふうに思っておりますが、一方で、いつまでも特例ばかり続けるというわけにもいきませんので、やはり企業の業績等々がどういう状況かということも踏まえながら、我々としては、言われるとおり、なるべく早くこれから先のことを見通せるように。

 ただ一方で、なるべく経済の方も、このコロナを何とか終息をさせる中で、ワクチンというような、今新たな我々は対応もさせていただいているわけでありまして、世界的に見ると、英国あたりは、ワクチンの接種が進んでくる中でかなり経済活動、人の動きというものも戻ってきている。アメリカの方も、これからワクチンを大幅に接種を進めていく中で、ニューヨーク等々は経済活動を今までいろんな形で止めていたものを動かしていこう、こういうような方向もあるわけでありまして、我が国も、ワクチンの接種をしっかりと計画的に進める中において経済自体を戻していきたい、こういう思いもありますので、そこも踏まえながら検討してまいりたいというふうに思っております。

 観光関係は本当に厳しいというのは我々もよく理解いたしておりますので、委員からのいろんな御意見もしっかり踏まえさせていただきたいというふうに思っております。

繁本委員 ありがとうございました。

 おっしゃるとおり、やはり感染の状況がどう落ち着いていくか。その業種業種、そして、私申し上げました、都市型観光といった地域的にも経済の状況がどうなっているかということをしっかり見極めていただきながら、必要なところに先、先の見通しを是非与えていただきたいと思うんですね。

 経営者の視点からすると、例えば七月末まで雇調金が延長になるとなれば、六月末の段階で、ああ、これで従業員を守れるな、解雇せぬでいいなというような気持ちで、本当に毎月固唾をのむように雇調金の制度の見通しについて、私のところにも問合せが山盛り来ているんですよね。ですから、くれぐれも早め早めに、見極めながら情報発信をしていただきたいと思います。

 質問の順番を変えて、赤澤副大臣に御指導いただきたいと思うんですけれども。

 今日も朝のニュースを見ておりましたら、百貨店だとかあるいは大型の遊園地だとか、たくさんの方々がお集まりになる施設については、延長の方針も報道されながら、その後の対策として、休業要請から営業時間の短縮要請に切り替えていこうじゃないかという報道もありました。これから決定されることかと思うんですけれども。ある意味、これはめり張りの利いた対策だと思うんですよね。ゴールデンウィークに遊園地にたくさん人が集まらないように、百貨店に集まらないようにという政府の戦略だったと思うんですよ。

 ただ、この方針が、基本的対処方針が出たときには、その辺が実は国民にはクリアカットに伝わっていないんですよね。狙いはそうだったと思うんですよ。今になって分かったんですよ。

 だから、今回の三回目の緊急事態宣言が出たときも、二回目は飲食店に大分的を絞りました、今回はそれに酒類の提供も加えて幅広くしたのは、ここで尾身先生がおっしゃったとおり、変異型が怖いからですよね。今回、基本的対処方針が変更されて、じゃ、例えば百貨店は営業時間短縮でいいですよと言われたときに、その裏づけはどうなんですか、変異型はもうそこでは怖くないんですかということは多分答えられないと思うんですよね。

 したがいまして、その辺りの説明は、常々、全閣僚一致して分かりやすい、国民に納得のいく説明をしていただくとともに、それでも我慢を強いるときには、しっかりとした経済対策としてお金をつけなくてはいけないんですよ。今回も、だから、百貨店に対して二十万という話がほんまに足りるのかという怨嗟の声、不安の声、いっぱい来ていますよね。

 だから、ウィズコロナ戦略として赤澤副大臣にお聞きしたい、お願いしたいことは、分かりやすく、国民がしっかり我慢ができる訴え方。これは、施設側にもお客様側にも、それをやってほしいんです。特にこれから大事だと思うのは、お客様側に対する要請ですよ。

 施設側は、こういうアクリル板も含めて、本当に一生懸命、設備投資してやっていただいています。どこへ行ってもこれがありますよね。二酸化炭素濃度計もある。かなりやり倒しているんですよ。

 でも、お客様といえば、ついつい大声が出てしまう、手指衛生を怠ってしまうなどなどあるんだから、例えば、ニュージーランド方式とか、そこまでは言わないけれども、COCOAを義務づけるとか、お客様側にもっともっとやるべきことをやっていただいた上で、営業時間、少しできるようにするとか、そういった意味においても、もうちょっと進化した、変異型を警戒しながらではありますが、状況を見ながら、ワクチンの接種率も見ながら、めり張りのあることをやってほしい。

 それともう一つは、最後に副大臣に特にお話を伺いたいのは、これから延長されるわけです、その方針のようでありますよ。そうしたら、やはりこの影響は、先ほど来私が申し上げているとおり、観光産業、飲食業、旅館業、タクシー、ハイヤー、バスと、影響が大きいところがありますよ。今の経済対策ではまだまだ十分ではないんです。

 したがいまして、予備費を五兆円活用するなどなどしながら更なる経済対策をやってほしいし、ほんまに、どれぐらい借金を積み上げながら、影響を色濃く受けている業界が、今歯を食いしばって耐えているか、それをよく考えてもらいながら、最後の最後は、劣後ローンの話もありますけれども、借金を一部棒引きにするぐらいの大胆な、本当に経済対策をこれから打っていく必要があるんだと思うんです。

 この辺りについて、赤澤副大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

赤澤副大臣 大変濃い内容の御質問をいただきまして、答えられる範囲でできる限りお答えをしていきたいと思います。

 まず、御案内のとおり、当委員会の開始時刻と同じ時刻に基本的対処方針分科会が始まって、まさに今、諮問をして、了承を得られるか議論中ということであります。かなり長くなる可能性もありまして、したがって、ちょっとそこについては触れづらいということがまずございます、諮問の内容も含めてですね。

 そして、おっしゃったとおり、今日御臨席の田村大臣、あるいは菅総理、西村大臣からも、本当に分かりやすい説明をいつも心がけていただき、私どもも説明を尽くしていかなきゃいけないということはよく理解をしているところでありますし、今日委員から御指摘のありました、国民、そしてまた、本当に厳しい状況におられる事業者の皆さんに大変真摯な御協力をいただいているということについて私どもは感謝しているということも、冒頭申し上げておきたいと思います。

 その上で、飲食店については、委員が行かれているお店はしっかりしているんでしょうけれども、ただ、これは全く油断できないのは、自主申告のいろんなマークを貼りながら守っていないところも散見されるというか、そういうこともあるので、飲食店、お客様共に、しっかりこれからも対応をお願いしたいというふうに思うところであります。

 感染拡大防止と社会経済活動の両立というのがまさに委員の御質問の本質だろうと思いますが、これはまさに、命対経済の問題ではなくて、命対命の問題であると心得ております。菅総理がおっしゃっているとおり、政治の使命は国民の命と暮らしを守り抜くことであり、暮らしを守らなければ命も守れない。私ども、三次補正、三次にわたる補正を打ち、合計でいえば事業規模三百兆円に迫る。その結果、失業率も、四月末発表されましたが、前月比でも〇・三ポイント低下をしているということで、今のところ経済対策が効果を発揮していることは間違いないだろうというふうに思っています。

 ただ、今、感染拡大防止の最優先の時期でありますので、緊急事態措置について言えば、委員御指摘のまさに変異株、これを一番我々は念頭に置いて、大型連休に短期集中で、飲食店だけでなくて、徹底的に人流を抑えるということをやりました。

 現に、この人流については、一番最初の緊急事態宣言の頃並みに大阪はなっていますし、東京もなりつつあるということで、これも効いてきているというところだと思います。本日の分科会の議論を踏まえて、専門家の御意見を伺いつつ、引き続き適切に対応していきたいと思っています。

 今後も流行の波は発生すると考えられますが、とにかく、それをステージ2以下に抑えて、感染拡大防止と社会経済活動を両立していくというのが本当に重要な私どもの心得ていることでありまして、目下の感染拡大防止に最優先に取り組む中で、引き続き、厳しい影響を受ける皆様に、重点的、効果的な支援策を迅速に実行し、事業と雇用、生活を支えるなど、経済財政運営にも万全を期してまいりたいと思っています。

 とにかく、命対命の問題であります感染拡大防止と社会経済活動の両立をしっかりと図ってまいります。

とかしき委員長 繁本護君、申合せの時間が来ております。

繁本委員 はい、分かりました。

 ありがとうございました。

 本当に分かりやすい、国民と政府一体となって取組が進むようなメッセージの伝え方、対策をお願いしたいと思います。

 今日は国保組合の質問も、こやり先生、予定しておりましたが、時間が足りず、力不足でありました。おわび申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 立憲民主の白石洋一です。

 ワクチン接種についてお伺いします。

 私の地元、愛媛県でも変異株が猛威を振るっておりまして、クラスターが発生しております。クラスターが医療機関、介護施設、福祉施設で散見される状況になってきました。

 そんな中で、介護施設と福祉施設については、感染者がそこの利用者さんであったとしても入院できない。あるいは、入院しなくていいということで、そこにおられる。その利用者さんにとっては自宅が施設ですから、そこにとどまっている。そうすると、そのケアをそこの職員、スタッフがやるわけですね、介護施設の職員、スタッフが。ゾーニングして、そして感染防止に万全の注意を払いながら対応していっていらっしゃる。これが今、愛媛県を始め、地方の状況だと思います。

 そこで、ワクチン接種ですけれども、ワクチン接種は、今、医療提供者をまずやって、その次には高齢者。高齢者の中でも、恐らく大体のところが、七十五歳以上については、接種券を郵送して、今、予約を取ってもらっているところだと思います。

 そこで、大臣、地方の声としてお願いしたいのは、クラスターが発生した介護施設や福祉施設でケアをされている職員やスタッフさんについては、医療提供者、医療従事者と同じ優先順位でもって扱い、緊急的にワクチンを接種してもらえるように制度を整えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 委員も御承知のとおり、医療従事者が今打っている最中。同時に、高齢者の方々も打ち始めてきております。

 この連休明け、もう今週、来週という形の中で、医療従事者二回分のワクチンがしっかり確保できて日本の国に入ってくるわけでありまして、これは早急に医療従事者が打つわけであります。

 同時に、高齢者のワクチン分も入ってきておりますので、高齢者も順次これから、大体二週間で一千五百万回分ぐらいのワクチンが打たれると……(発言する者あり)いやいや、だから説明しているので、ちょっと申し訳ないですけれども……

とかしき委員長 御静粛にお願いします。

田村国務大臣 高齢者を打つときに、施設では介護従事者も一緒に打てるようにということで、それを今説明をする中でお話をしているわけでありまして……(発言する者あり)

とかしき委員長 御静粛にお願いします。

田村国務大臣 ちょっと、委員がおっしゃられるなら分かりますけれども、外から外野が言わないでいただけます。委員から今言われているわけじゃないでしょう。(発言する者あり)端的に答えろって、何ですか、その言い方。何ですか、答えろって。

とかしき委員長 静粛にお願いいたします。

田村国務大臣 答えなさいならいいですけれども、答えろって何ですか。もうちょっと言葉を丁寧に使ってくださいよ。長妻さん、お願いしますよ。

 それで、申し訳ない、ちょっとこちらの話はおいておきます。

 高齢者が始まっておりますので、高齢者自身が打たれるときに、自治体の御判断で、ワクチンがあれば、介護施設等々に高齢者がおられますから、一緒に打っていただけるようにというような判断をしていただけるようになっております。ですから……(発言する者あり)ちょっと静かにしてくださいよ。

 ですから、そこで御判断いただいて、高齢者とともに介護従事者の方々もその施設の中で一緒に打っていただくという対応をしていただければ、今委員がおっしゃっておられるようなことの心配に対しての対応ができるというふうに我々としては考えております。

白石委員 スピード感を求めたいんです。クラスターが散発している、いきなり発生した、対応に追われている、でもリスクが高くなっている、そういう職員さんに対して緊急的にワクチン接種ができるようにしていただきたい。

 もちろん、高齢者施設等の利用者さんと一緒にワクチン接種を職員さんもできるというのは分かっています。でも、それは時間がかかるんです。計画書を出して、そしてそれが、市がちょっと早めにやってくれるかもしれない、でも、そんなことをしているうちに一週間、二週間たってしまうわけです。

 私が言いたいのは、もしクラスターが発生したら、医療従事者と同等の優先順位でもって、まずV―SYSにインプットしないといけないですね。介護施設が病院の系列であったり連携医療機関があったら、V―SYSはそこが打ってくれるでしょう、医療機関が。でも、そうじゃない介護施設だってたくさんあるわけです。ですから、そういったときには保健所長がV―SYSにインプットして、多分、二十人、三十人だと思うんですけれどもインプットして、そして接種ができるようにし、そして加えて、予約している時間ももったいないですから割り込みをして、予約して順番を待っていると思いますけれども、そういった緊急避難的に、クラスターが発生した介護施設、福祉施設の職員については、待っている人に悪いですけれども、割り込みしてワクチンを接種するようにしていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 御承知だと思いますけれども、ワクチンというのは打ってすぐに効果が出るものではなくて、打たれた後、二週間、三週間たってある程度効果が出てきて、三週間後に二回目を打った後に、またそれから二、三週間たって、それから本格的な効果が出てくるわけでありまして、クラスターが出たからといって、そこですぐに接種して、その後すぐに効果が出てくるというものではないものでありますから、委員がおっしゃられる意味も分からなくはないんですが、なるべく早く、そういう介護施設等々に関しては、通常のルートの中で高齢者とともにワクチン接種をしていくということが非常に重要であろうというふうに考えております。

白石委員 医療従事者の接種は早めにやった、それは意味があったと思うんです。医療従事者と同等の人ですから、医療従事者はもう四月からスタートしているわけですね、その方々にキャッチアップする意味で、割り込みをして早くやってもらうということは意味があるんじゃないでしょうか。

 効果が出てくるのはおっしゃった何週間後かもしれませんけれども、クラスターが発生したら、囲い込み、封じ込めまでやはり数週間かかります。その後の療養もあるでしょう。そういうことを考えたら、クラスターが発生したら、緊急避難的に、まずV―SYSにインプットしてもらって、そしてさらには割り込みをする、この二つですね、その二つをできるように厚労大臣として通達なり出していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 ですから、先ほどの話に戻るわけでございまして、先ほど外野からいろんな御意見が出ましたけれども、高齢者の方々の接種がもう始まっておりますので、そこで、各自治体でそういう問題があるということでございますれば、感染拡大地域では施設等々で一緒に打っていただけるということがもうできるようになってまいりますので、そういう形で早く、一体となって接種をいただくということが私としては一番早い近道になってこようというふうに考えて、もう打てるところに来ておりますので、共に施設等々で自治体の御判断で打っていただくということが必要になってくるというふうに考えております。

白石委員 それでは、計画書を出して、そしてまた割り込みもさせないということであれば、やはりずれ込むと思うんですね。もっと早く、医療従事者と同等のリスクが高い仕事をしてもらっているわけですから、そのように扱っていただきたいと思います。

 次は、医療系の学生なんですけれども、主に、医学生というよりも、看護学校であるとかあるいは歯科衛生士の学校で学んでいる最終学年の学生たち、この方々も医療従事者に相当するリスクも負っている。つまり、実習があるわけですね。医療機関に行って面接して、そして内定をもらって、あるいは、学校の最後の学年ですから、実習なり、あるいは内定が決まったところでの研修なりがあったりするということで、少なくとも来年の四月からは医療従事者そのものです。

 そういうことを考えれば、医療系の学生についても、医学生だけじゃなくて医療系の学生についても、ワクチン接種は、医療従事者であるとか、あるいは、そこまでいかないにしても、一般の接種者の中でも優先順位を上げていただきたいんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 御指摘の医療従事者等には、医学部生等の医療機関において実習を行う者のうち、実習の内容により新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する場合には、実習先となる医療機関の判断により対象となることは可能であり、こうした内容については自治体に既にお示しをしているところです。引き続き丁寧に説明してまいりたいと思います。

白石委員 それは、医療従事者のV―SYSへのインプットというのは四月にはもう終わっていますよね。でも、今から内定が決まっていく人たちを医療従事者として扱うには、またもう一回医療従事者としてのV―SYSへのインプット等が必要になるんじゃないですか。そこは、そこまで考えていらっしゃいますか。

正林政府参考人 先ほど申し上げた方針は、かなり前に、もう既に市町村にお伝えしていて、もしV―SYS上の扱いとかができていないのであれば、改めて市町村でやればいいかなと思いますけれども。

白石委員 確認ですけれども、V―SYSは、後から追加的に医療従事者のインプットもできるような仕組みになっているんですね。なっているんですか。

正林政府参考人 済みません、ちょっと訂正しますが、医療従事者に関しては、今回、V―SYSではなくて名簿でやっていますので、高齢者からV―SYSを使って管理をしています。

 したがって、医療従事者については、やはり市町村の中で、医学生の場合だったら医学部、看護学生だったら看護学科ですね、そこでよくよく相談して、どのように進めたらいいかということを考えていただけたらと思います。

白石委員 市役所と相談するのもいいんですけれども、やはり国がどういうふうな方針があるのかというのを確認したいというのが市町村の担当者の心理だと思うんですね。ですから、リスクが高いというふうに思われる者については積極的に、市町村でも、医学部学生にかかわらず、医療系の学生についても、最終学年についてはその他のカテゴリーの中でも優先的に接種するということを勧めるというふうに通達なり事務連絡すればいいんじゃないでしょうか。

正林政府参考人 御趣旨はもう既に伝えてあると思いますが。

白石委員 現場ではそうなっていないので、またそこをもっと目配りして、目詰まりが起きているようだったら、その対応をよろしくお願いしたいと思います。

 次は、コロナ病床です。新型コロナ受入れ患者は、受入れ病床が今逼迫しておりまして、その病床をどうやって増やすかというところが課題になっています。

 先ほど申し上げた介護施設、福祉施設でクラスターが発生しても入院できないということで、そのままとどまる、これは全国的にも増えているんじゃないかと思うんですけれども、統計的にいかがでしょうか。

正林政府参考人 愛媛県の状況でよろしいでしょうか。(白石委員「愛媛県でもいいです」と呼ぶ)

 御指摘の介護、障害施設の入居者が感染した場合の施設療養と入院の割合について、それについては把握していないんですが、去年の年末、十二月二十三日から、現時点、四月二十八日までの療養状況調査によると、愛媛県では、社会福祉施設等で療養されている方の数は、一月末から増加した後、二月半ばから減少傾向にありましたが、四月下旬から再び増加傾向にあります。また、入院者数については、一月末にかけて増加し、その後減少傾向となった後に、三月末から再び増加傾向にあります。

白石委員 入院できるようにしてあげたいんですね。そして介護施設の負担を減らしてあげたいという思いから、その今の状況を変えたいんですけれども。

 それで、大臣、今でも首都圏とか大阪圏とか、医療崩壊、医療逼迫ということが一番の問題になって、そして緊急事態宣言等を延長するという話になっていますけれども、病床を増やすということについて、厚労省の打ち手というのはどんなものでしょうか。

田村国務大臣 様々なことを各自治体と協力しながらお願いをしてきているわけでありまして、三月の二十四日でしたか、要するに、例の年末から一月にかけての感染拡大を我々も教訓にしながら、各都道府県に対して五月末までを目途に、言うなれば一般医療とそれからコロナを両立できるような医療体制というもので、重症化病床も含めて病床をもう一回見直していただいて、去年決めた病床の確保数を更に増やしていただきたいということをお願いいたしております。

 ただ、一方で、愛媛もそうなんですけれども、四月もやはり感染拡大がありますので、四月に関しては、若干いろいろなことはありますけれども、五月に向かってのいろいろな目標を前倒しする形ででも感染者が増えた場合には対応いただくべくお願いをして、ダブルトラックで走っていただきたいというお願いを三月に出しております。

 あわせて、一千九百五十万というのがございました。もちろん、緊急事態宣言等々を出しているエリアとそうじゃないエリアで若干支援額が変わってきますけれども、これに関しても、新たに増やしたものに関してはこれをもう一回適用するという形でお願いをさせていただいておりまして、とにかく、言われますとおり、重症化病床をしっかり確保すること、それから、重症化病床にいつまでも回復してからもおられては、これはなかなか利用ができませんので、ある程度回復されてコロナをうつすおそれのない方になった場合には一般病床に移っていただけるような転院支援、こういう形も含めながら、一方で、他の医療機関からコロナの重点病院に来られる場合の医師や看護師の派遣に対する支援も、当初の三倍の金額を御支援をさせていただく等々のいろいろな対策を組みながら今進めております。

 愛媛も大変だというふうに思いますけれども、しっかりと我々としても支援をしてまいりたいというふうに思っております。

白石委員 おっしゃいましたけれども、その中で、新規受入れ病床、一床当たり一千九百五十万というのがありましたけれども、愛媛でいったら、これは緊急事態宣言下ではないから、蔓延防止等重点措置ではあるんですけれども、ですから、ここは一千八百万円なんですね。

 でも、蔓延防止等重点措置も、緊急事態宣言下の地域とほぼ同様の緊張感でやっているわけです。そういうことを考えれば、蔓延防止等重点措置も一千九百五十万でいいんじゃないでしょうか。つまり、一千八百は、何も発令もされていないところと蔓延防止等重点措置地域と同じになっているんです。それを、蔓延防止等重点措置については、緊急事態宣言下の地域と同じく、一千九百五十万円、一床当たりにしていただけませんでしょうか。

田村国務大臣 先ほども申し上げたとおり、緊急事態宣言下の地域とは若干違うということで、言われるとおり一千八百万でありますが、やはりそれは、病床等々を含めて総合的に判断して、緊急事態宣言の場合は、フェーズ4というところに総合的に判断した上で、対象とするところに対しての支援ということでございますので、そこは若干なりとも差があるということは御理解をいただきたいというふうに存じます。

白石委員 これだけ病床が逼迫しているということを考えれば、たとえ一千九百五十万でも少ないんじゃないでしょうか。この政策の効果というのはどれぐらいあったものか、検証されていますでしょうか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 お尋ねの新型コロナの患者受入れ病床に割り当てた場合の千九百五十万、最大ではございますけれども、支援につきまして、昨年度中に、全国の新型コロナ患者等受入れ医療機関数、これは約二千になるわけでありますけれども、そのうち約八割から、合計で病床数にしまして二万八千床分の申請がございました。そのうち約七千床分につきましては新規に確保されたという病床数になっておりますので、一定の効果はあったというふうに理解をいたしております。

 先ほどの蔓延防止重点措置の対象地域も含めてでありますけれども、これ以外にも、コロナ患者受入れのための、御案内のとおり、病床確保、休止病床に対する確保の支援。それから、診療報酬に関しましても、コロナの診療の部分と、それから、先ほど大臣が御説明させていただきましたけれども、その後の後方支援も重要でございますので、後方支援でその評価を高めることで、病床の更なる回転といいますか、フローがより拡大されるというようなことも含めました確保支援などを行っておりますので、引き続きこういった必要な支援に取り組んでまいりたいと考えております。

白石委員 ここにお金を惜しむことなく、少なくとも蔓延防止等重点措置地域については、緊急事態宣言下の地域と同等の手当てをお願いしたいと思います。

 加えて、お金もありますけれども、ネックになっているものとして、看護師さんの不足というのがあるわけですね。看護師さん、特に、やはり地方になると、潜在看護師さんの数も少なくなるわけです。

 そんな中で必要なのはタスクシフトということで、今、感染症第二類相当ということで、非常に感染防止に気を遣って、一人の患者さんに対してたくさんの看護師さんがついている、つけないといけないということになっている。そのことが一つの病床を増やすことのネックになっているんじゃないかと思います。

 ついては、今看護師さんがやっている仕事をどんどん業者さんにシフトしていって、その場合には必ずワクチンを打ってもらわないといけないですよ、順番を待ってください、柔軟に対応しますじゃなくて、緊急避難的に割り込みでもして列の並びに入ってもらって打ってもらわないといけないと思うんですけれども、そんなことをしながら、今の看護師不足に対して手を打って、そして病床を増やすことができるようにしていただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 タスクシフトといいますか、本来、コロナの中等症、重症者の方々に関しては一定の専門知識を持った看護師の方々が対応いただいているわけでありまして、専門医療という意味では、やはり看護師の皆様方のお力をおかしをいただかなきゃならないんだと思います。

 一方で、言われますとおり、例えば、病院のベッドの周りの対応、シーツを替えたりだとかいろいろなこと、こういうことは、本来、看護師の方じゃなくても対応できることでございますので、例えば、そういうリネン業者等々、ビルメン業者、そういうところが対応いただいてやれるようにということで、これは業界の方に国の方からもお願いをして、対応できますかといったら、やれる業者はあられますということでございますので、各都道府県でいろいろと御対応いただいているというふうに思いますし、それだけじゃなくて、生活の、身の回りのいろいろな患者の皆様方に対する支援、これも看護師の方でなくて看護補助者の方々でも対応ができるわけでございまして、本来、コアな医療行為に関しては看護師が、専門的な方々じゃなければできないわけでありますが、そうじゃない部分に関しては、言われるとおり、タスクシフトがしっかり進むように、我々としてもいろいろな形で今お願い、支援をさせていただいている最中であります。

白石委員 お願いはしているということですけれども、そこでネックになっているんじゃないかと思われるのが二つあって、一つは、人員配置基準ですね。

 人員配置基準というのは、感染症病床についてはこれだけの看護職員がいないといけないとか、そういった人員配置基準がネックになっているんじゃないかなと思われますが、ここの対応というのはどうされていますでしょうか。

田村国務大臣 なかなか難しいのは、やはり、二類相当になっているわけでありますけれども、よく五類に落とされたらいいじゃないかという御議論もあるんです。

 ところが、問題は、このコロナというのはやはり恐ろしい疾病であることは間違いないわけで、感染力も非常にありますし、高齢者の場合は重症化するおそれがある。今回の変異株の場合は、高齢者のみならず、四十代、五十代でも重症者が増えてきているというような、そういう現場のお声も、これはまだ完全には検証できていないんですが、実際、私も昨日、大阪の担当者の方からお聞きいたしました。そういうことを考えると、五類相当ならばある程度感染防護というものも含めて緩まるんですが、感染するとやはり困っちゃうわけですね。

 例えば、普通の医療機関で受け入れられて、そこでクラスターが生まれれば困るわけで、だから一般の医療機関はなかなかコロナの患者を診るのにはいろいろなハードルが高いんだということをおっしゃられるわけでございますので、やはり一定のマンパワーがいないと対応できない。しかも、重症者ということになれば、それに対して人工呼吸器、これは挿管、抜管を繰り返さなきゃいけませんし、ECMOという場合もあります。

 そういう意味で一定程度のやはり人員が必要だということは致し方がないわけでございますので、そうじゃない中等症の患者に関しては、一定程度の柔軟化をもって今現場では対応いただいているようにしております。

白石委員 もう一つは、業者さんにタスクシフトする上で、業者さんとしても、言われても、やはりワクチンを接種していないと怖いと。でも、今、普通にやっていたら、一般、その他のところに入っているわけですね。これを医療従事者というところに上げて、そして、もう一旦、医療機関は、私のところから申請する医療従事者というのはこれだけの名簿ですということで出していると思いますけれども、名簿ベースでやっていらっしゃるでしょうから、後からそれを業者さんを足して、そして優先的に、そして割り込み、列を中に割り込みさせてでもワクチン接種できるようにして、そして重症患者病床の業者さんも対応できるようにしていただきたいんですけれども、その点はいかがでしょうか。

正林政府参考人 そこで想定している業者さんというのは、病院の中に入ってきて、場合によっては患者さんと接するような方をイメージされていますでしょうか。であれば、医療従事者等で読めますので、病院の中でよくよく相談していただいて、その方を対象にすることは可能かと思います。

白石委員 相談してくださいということなので、それで、医療機関というのは名簿にその人たちを書き足して、そしてその人たちをワクチン接種で医療従事者ということで優先接種させることはできるんでしょうか。

正林政府参考人 はい。可能であります。

白石委員 この辺りのところ、まだ現場のところでは情報を周知されていないかもしれませんので、周知の方をよろしくお願いします。病床をつくるということが今地方では非常に重要なことになっていますから、そこの看護師に代わる業務をしてくれる業者さんというのは、医療従事者と同じような扱い、丁寧なワクチン接種の対応をお願いしたいと思います。

 次に、介護施設で一般の利用者についてですけれども、ずっと面会ができなくて孤独にさいなまれている利用者さんもいるということで、前回、先月も大臣にお願いしたんですけれども、オンライン面会、これはやはり手間がかかるんです。機材だけの話じゃないです。それは、家族もおられて、双方向でスタンバイしてもらって、マッチング、機械を機能させるという作業がありますから、これは大変な時間がかかると思うんですね。

 加えて、最近出てきたのはワクチンの電話予約です。これも介護施設でやってあげないといけないのか。大臣、全ての介護施設が施設接種しているわけじゃないですからね。普通に一般の高齢者と同じように電話して予約しないといけない、そういった方に代わって、接種券の説明書を教えて、電話の予約の手伝いをしてあげるとか、こういったことも出てきているんですけれども、それはこれからの問題として、今、喫緊の問題としては、オンライン面会のセットアップを、これをオンライン面会特別加算的な診療報酬に見ていただけないでしょうか。

田村国務大臣 前回も委員に申し上げたんですけれども、介護報酬というのは介護行為に対して支払うものでございまして、面会というものに対して設定はなかなかしづらいというのが今現状です。

 委員が前回おっしゃられましたので、四月の二十三日に事務連絡を出しまして、しっかりとこういうオンラインでの面会等々をお進めをいただけるようにというようなことは各自治体の方にお出しをさせていただきました。

 問題はそこでかかる費用でありますが、前回も申し上げたんですが、総合確保基金等々でしっかりとこの端末等々の対応もできるというような形になっておりますので、そういうものを御利用いただきながら、介護報酬に関しましては、今回のコロナ対応での加算部分というもの、これを使っていただいて対応いただければありがたいというふうに思っております。

白石委員 窓口負担の後期高齢者の一割、二割の議論がちょっとできなかったんですけれども、また機会を持たせてください。

 ありがとうございます。

とかしき委員長 次に、尾辻かな子さん。

尾辻委員 おはようございます。立憲民主党の尾辻かな子です。

 まず、今日、今本当に、午前中に緊急事態宣言の延長、対象の追加、蔓延防止等重点措置の地域、新たに地域を広げたり解除したり、まさにこういう重大な事態、そういう時間を迎えているわけです。

 そして、もう本当に、その状態の中で、今、衆議院のこの厚生労働委員会が健康保険法の改正案について議論している。そして、中身は後期高齢者の方の窓口の二割負担、この負担増について議論しているということ、私も前回申し上げましたけれども、やはり今回も、これは本当に、見ていらっしゃる人が、何考えているのと。緊急事態宣言を延長しなければいけないほど感染状況が厳しい中で、大臣が、いや、皆さん、窓口負担が二割になってもねとかいう話をしたり、そこに大臣を縛りつけていること、このことがいかにずれているのか、本当にこれは、私は、もどかしい、悔しい、もう仕方がないです。

 今、本当に、この緊急事態宣言の中で、私も後で議論しますけれども、医療崩壊。医療崩壊というのは、私の中では、ふだんできる医療ができなくなることを医療崩壊というふうに私は呼んでおりますけれども。高齢者の皆さんも、その中で一年以上自粛生活をされている、引きこもり状態になっている、病院もなかなか、定期通院も、今行っていいのかどうか悩みながら定期通院されている。さらに、今、ワクチン接種については予約も本当に取れなくて、いつ自分はワクチンを打てるんだろうか、順番がちゃんと回ってくるんだろうかということを、不安になっているんですよね。

 そんなときに、なぜ負担増の、それも今日採決をするという話も聞こえてきました。今、神戸の高齢者施設で十三人の方がコロナで亡くなられたというニュース、大阪でも四十四名の定員のところの十四人がコロナで亡くなられた。こんな状態の中で、まさか今日採決をするなんということは、私はあってはならないと思います。

 今日、まさにニュースは緊急事態宣言延長ですから。緊急事態宣言延長のときに、衆議院の厚生労働委員会は高齢者の皆さんの窓口二割負担を強行に採決をした。これが本当に、メッセージとして、ニュースとしていいのかということを、是非ここにいる理事、委員の皆さんには強く考えていただきたい。命を守る、健康を守る、それがこの厚生労働委員会であり、厚生労働省なんだということをしっかりと言えるように、皆さん考えていただきたい。強行採決されるなどということはないように、強くお願いを申し上げておきたいと思います。

 そして、やはり、まずは、先ほど、私、三人目になりますけれども、ほぼほぼ皆さんがコロナ関連の質問をされております。つまり、優先順位がどうしてもここにならざるを得ないんだ。私も、まず先にこの話をしていきたいと思いますけれども。

 私は、やはり、今回の政府の対策についてなんですけれども、例えば、聖火リレーが始まるから、それまでにやはり緊急事態宣言を解除しなければいけないというようなことがあったんじゃないか、日米首脳会談があるから、その前にやはり緊急事態宣言は出せなかったんじゃないか、オリンピック、パラリンピックがあるからということで、非常に私はこのコロナの感染対策がゆがめられている、それが今の例えば大阪の、兵庫、また様々な地域での医療崩壊と呼ばれるような状況が生まれているのかと思います。私も、本当に大阪の話を聞いていると、あちらこちらで救急車が走っている、ふだんとは違う状況が生まれている、そういう状況になっております。

 まず、大阪の最新の感染者、重症者数や、重症病床運用数、自宅療養者数、入院・療養等調整中の人数、今どういう状態になっているのか、お答えいただきたいと思います。

正林政府参考人 お答えします。

 お尋ねの大阪府の医療提供体制の状況についてですが、五月六日の時点で、大阪府の公表によれば、重症者数が四百九十六人、これは府の基準では三百七十人になります。ちなみに、府の基準ではハイケアユニットを含めておりません。それから、重症患者用の確保病床数、これは六百四床です。府の基準では三百七十床になります。それから、自宅療養中の人数が一万三千六百五十人です。それから、入院・療養等調整中の方が三千百六十九人であります。

尾辻委員 今、正林局長、やはり、いろいろおっしゃっていただきました。実は、大阪府においての重症病床の数の数え方と、多分、国においての重症病床の数の考え方がまず違う。だから、重症病床の例えば運用率はどれぐらいなのかとか、占有率はどれぐらいなのかとやるときに、何かばらばらになっているんですよ。本当にばらばらになっていて、これが一年続いていて、私も、何か正直、メッセージがなかなか伝わりにくくなっているというのはやはり非常に問題だと思っています。これは、自治体議員からもその声が聞こえているんですね。

 今、正林局長におっしゃっていただいたことであれなのは、結局、重症病床より重症者数は超えているんです、超えているんです。大体、運用している重症病床は、さっき三百七十とおっしゃっていただいたかと思います。重症者数がたしか四百九十六人だとおっしゃっていただいたかと思うんですね。三百七十しかないのに、四百九十六人も重症者数がいる。つまり、百二十人以上の方が、本来は重症病床に入らなければいけない状況なのに入れていない状況がある。

 そして、一万三千人の方が自宅療養されているんです、大阪府内だけで一万三千人が今自宅療養。そして、入院・療養等調整中、つまり、これは入院するのか療養するのか調整できていない人が三千人いるんですよ。つまり、一万六千人の人が今も医療とかそういうことにかかれないままいるという状況が今の大阪だ。もう大変な状況です。

 では、これによって、最近、死亡者数も増えてきました。大阪府の直近七日間の新規の死者数、人口百万人当たりでも結構です、何人になっていますか。

正林政府参考人 大阪府の直近七日間、四月の三十日から五月六日までの新規のお亡くなりになった方の数は百五十七人で、令和元年十月一日現在の総務省人口推計に基づき算出すると、人口百万人当たりで十七・八人であります。

尾辻委員 一週間に今約百五十人ぐらいの方が亡くなって、大体一日に二十人の方が、毎日毎日毎日、大阪ではコロナで命を失われている状況。また、発表によってはちょっとばらつきがあるんですけれども、四十人とかお亡くなりになるんです。四月二十九日だと四十九人の方が亡くなられて、五月一日でも四十一人の方が亡くなられている。

 総感染者数は、今もう大阪は八万六千人になったんです。これは百人に一人の方が感染されたということです。救急車を呼んでももう運ぶ場所がなくて、今、待機センター、二か所目ができました。コロナに感染しても行政検査を終えるまでに一週間かかる状態は、結局、一年たっても変わりません。自宅療養の期間が終わる頃に行政の支援策、例えば食料をどうしますかとかが十日ぐらいのときに来るぐらい、保健所はパンクしている。感染しても、重症化しても、入院できるかどうか分からない。そして、通常医療はもう既に制限されている。大学病院のICUがコロナ病床に変わる。自宅で亡くなる。これが変異株に置き換わった大阪の状況であり、本来はこんな状況になる前に食い止めなければならなかったと思います。

 大臣にお聞きしたいんですが、五月四日、大阪府の入院率は一〇%になりました。つまり、九〇%の方は入院できていない状況が生まれました。これはやはり、今も支援していただいておりますけれども、更にこの支援策は強化しなければ大阪の医療崩壊は止まらない、そういう状況になっているかと思います。大臣にお伺いいたします。

田村国務大臣 昨日、ちょうどアドバイザリーボードを開催いたしまして、大阪の担当者の方もオンラインで御参加をいただきました。

 大阪のみならず兵庫も大変な状況になっているわけなんですけれども、状況的には、言われますとおり、救急搬送が困難な事例も増えてきている、一般医療も制限せざるを得ないというような状況もあるということであります。言われるとおり、自宅及び宿泊療養中の方で悪化されるという方々もこれも増えてきて、それに対しての緊急、迅速な対応、これができていない場合も見られるということであります。

 大阪自体は、蔓延防止等重点化措置から一か月、緊急事態宣言からも十日過ぎてきているわけなんですけれども、新規感染者、直近では減少の動きは見られていますが、ただ、ここ連休中は御承知のとおり検査数もやはり減っておりますので、この数字自体が本当はどうなのかというのは、ちょっとまだ、これは平時に戻らないと、多分、来週にならないとなかなか分からない部分もあると思うんですが。ただ、全体的に見ると、爆発的な感染というよりかは、ある程度今天井になりつつあるのではないかという状況であろうというふうに評価されているわけでありますが、ちょっとこれは、これからの動きを更に注視していく必要があるというふうに思います。

 言われるとおり、変異株がもう八割置き換わってきておる、こういう状況でありまして、国の方といたしましても、以前も申し上げましたけれども、関係する医療機関、これは例えば国立病院でありますとか、労災病院でありますとか、また赤十字病院、大学病院等々、こういうところで重症化病床を中心に確保のお願いをさせていただき、一方で、大阪のコロナ重症化センター、これも何とか三十床全て稼働ができるようにはなりました。国の方からは約百四十名の看護師、これを全国から確保を何とかいたしまして、既に百十名が派遣調整が完了いたしておりますので、しっかりとマンパワーも含めて支援をしていかなきゃならない。

 言われるとおり、非常に厳しいということは我々も十分に認識いたしておりますので、厳しい中でしっかり医療が提供できるように、我々としても協力をしてまいりたいというふうに考えております。

尾辻委員 できる限りの支援をお願いしたいと思っております。

 さっき、今大臣がおっしゃった、本当に感染がどうなっているのかは実は来週を見てみないと分からない、今、ゴールデンウィークでしたから検査数がどうなのか。後で議論しますけれども、だから、本当は十一日までの緊急事態宣言というのは、やはりちょっとずれているんですよね、どう見ても。短くするということがやはりこれはすごく中途半端で、不発に終わっていたということじゃないかなと思います。

 ちょっと質問を一つ飛ばしますけれども、前の議論のときに、自宅待機や療養中の死亡をどうにか把握できていないのか、それについては、やり方を含めて、負担がかかるから検討をするということでしたけれども、この把握については進んでいますでしょうか。

正林政府参考人 自宅療養又は宿泊療養中にお亡くなりになった方を網羅的に把握できているわけではありませんが、都道府県を通じて調査を行って把握している限りでは、前回申し上げた数字を改めて申し上げますけれども、十二月一日から一月……(尾辻委員「それはいいです」と呼ぶ)はい、前回申し上げたとおりです。

 その後、二月の一日から四月の三十日までの間で、HER―SYS上で、検案した場所が自宅と入力された件数が、合計で三十一件あったことは把握しております。

 引き続き、把握の方法について、これはやはり自治体では相当な負担になるようですので、どのような、できるだけ負担の少ない形での把握の仕方について、引き続き検討していきたいと思います。

尾辻委員 HER―SYSでは三十一件分かったということなんですけれども、じゃ、ちょっとHER―SYS上で分かったことだけでもしっかりとこちらに言っていただきたいと思います。例えば公表するとか、工夫をしていただきたいというふうに思います。何のために十何億もかけてHER―SYSをやって、運用もたしか毎年二十億ぐらいかけていたと思いますから、しっかりとそれで把握できるようにお願いしたいと思います。

 今日、緊急事態宣言が延長になったわけですけれども、私は……(発言する者あり)ああ、まだですね、なるというところで議論がされているというところでございますけれども、やはり、私はずっと申し上げてきた、蔓延防止等重点措置がやはり効果が限定的だった、感染拡大を抑止できたとは言い難い状況が今の延長の議論だというふうに思っております。

 このときの、今回の蔓延防止等重点措置、特に大阪、兵庫、これをどのように評価をされているのか、お聞かせください。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 大阪府や兵庫県を始め、感染拡大傾向にある都道府県とは日頃から連絡を取り合っておりまして、大臣が各知事から直接電話で感染状況を聞き取るなど、今後の対応について意見交換を行ってまいりました。

 また、先般の法改正で創設された措置であること等を踏まえまして、今後取り組むべき措置等について事務的にも意思疎通を図るなど、緊密に連携をしてまいりました。

 特に、事務方におきましては、ほぼ毎日のように自治体とそれから政府等の間で連絡を行い、感染状況の分析、特に、クラスターの状況や、地域別、年代別等の感染特性や、今後の見通し等々について、綿密に意見交換を行ってまいりました。

 その後も、国と府が連携をしながら、大阪の場合は大阪府でありますけれども、府、県と連携しながら、継続的に感染状況や病床の状況を注視してまいりましたが、変異株の影響等による更なる感染拡大を受けて、三月二十九日に吉村大阪府知事が蔓延防止等重点措置の要請を行う考えを示され、政府としても、関係自治体と連携し、専門家の意見を伺いながら、蔓延防止等重点措置が実施された場合に講ずるべき方策等について検討を行ってきた次第でございます。

 そういった中、三月三十一日、大阪府知事から蔓延防止等重点措置に関わる公示要請がなされたため、その翌日には、感染状況や医療提供体制の状況、これまでの取組の効果等を考慮して、大阪府、兵庫県について蔓延防止等重点措置の適用を決定し、周知期間を経て四月五日より措置を実施したものであり、対応が遅れたとは考えてはございません。

 効果でございますけれども、四月五日以降、蔓延防止等重点措置として、大阪府や兵庫県を始めとする十一都府県において、イベントの人数制限や、地域を限定した、飲食店に対する二十時までの営業時間短縮要請など、緊急事態宣言と同等の厳しい措置を講じてまいりました。

 飲食店に対する営業時間短縮要請と併せて、ガイドラインの遵守の徹底の呼びかけ、こうした対策が夜二十一時以降の人出の減少につながり、大阪府、兵庫県におきましては、新規陽性者数が、高い水準ではあったものの、その伸びが鈍化いたしました。

 例えば、この期間中でありますけれども、人出が、大阪府では三〇%減少いたしまして、兵庫県では三六%減少しております。また、新規陽性者の変化率も、当初一二〇%プラスというようなことであったものが、プラス七%と踊り場に近い状況までやってきました。

 ですので、この蔓延防止等重点措置の機動的活用によりまして一定の効果が表れたというふうに考えております。

尾辻委員 もう少し、済みません、端的にお答えいただけるとありがたいんですけれども。

 だから、ちょっと効果はあったというお答えだなと、最後のところだと思うんですけれども、私自身は、やはり、蔓延防止等重点措置の効果が見られなかったことが今回の緊急事態宣言の延長につながっているというふうに思っておりますし、大阪府が緊急事態宣言を要請したのが二十日です。二十五日から実施ということで、五日間、緊急事態宣言の内容をどうするかで、物すごく時間がかかりました。私から見ると、そんなことは元から決めていなかったのか、準備していなかったのかとちょっと驚くところがあって、一千平方メートル以上の商業施設とか出ていましたけれども、まさか要請されてから本当に中身を詰めていくという作業になるとは、正直、驚いた、こんなに準備ができていなかったのかということを驚いた次第です。

 ちょっと時間がありませんので、今日は本当はちょっと尾身先生にもお聞きしたかったんですが、尾身先生は今日は会議の方があるので、また今度、尾身先生にもちょっといろいろとお聞きしたいと思いますが、一つは、緊急事態宣言の解除については、大阪の専門家、コロナ対策本部の専門家の先生は、第二波の収束時の重症病床二十床までの減少を指標の一つにしてほしい、完全に落とし切っていただかないと困るということをおっしゃっている。なので、本当に早く解除というのは難しい。今日、五月いっぱいまで延長するんじゃないかということを聞いておりますけれども、しっかりと、その辺、指標を見ていただきたいと思います。

 こんな状況でオリンピック、パラリンピックが本当にできるんだろうかと。選手にワクチンを打つ、ワクチンを提供するという話が出てきました。それに対して大臣なんか前向きな答弁をされていたかと思うんですが、一方で、アメリカのメディアなどからは、やはり、今こういうことはできないんじゃないか、やめた方がいいんじゃないかというような話も出てきております。

 緊急事態宣言の延長を受けて、本当にオリンピック、パラリンピックを開催、本当は可否について検討すべきときがやってきていると思いますが、いかがですか。

三谷大臣政務官 お答えいたします。

 政府といたしましては、新型コロナウイルスの感染拡大と戦後最大の経済の落ち込みというこの国難とも言える状況に対しまして、国民の命と暮らしを守ることを最優先に取り組ませていただいております。引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

 その上で、東京大会につきましては、現在、大会関係者が一丸となって準備に取り組ませていただいております。この夏の大会を成功させるためには、何よりも国民の皆様に安心して東京大会を迎えられると思っていただけるようにすることが重要だと考えております。

 そして、東京大会に向けた最大の課題は新型コロナウイルス感染症対策でございまして、国、東京都、大会組織委員会、感染症専門家等によるコロナ対策調整会議において、実効的な対策の検討を進めて、昨年十二月に中間整理を取りまとめたところでございますけれども、その後、変異株等への対応について検討を進め、先月二十八日には追加的な対策についての方針を取りまとめたところでございます。

 東京大会の在り方については、主催者であるIOC、IPC、そして大会組織委員会、さらには東京都において決定されるものでございますけれども、政府としては、引き続き、安全、安心を最優先に、内外の感染状況等を注視しつつ、様々なスポーツ大会における感染対策の取組や専門的知見も踏まえまして、東京都や大会組織委員会、IOCなどと緊密に連携しつつ、大会に向けた準備を着実に進めてまいります。

尾辻委員 尾身会長もここの場で、実は、オリンピック、パラリンピックの開催については議論をすべきときが来ているというふうにおっしゃっております。せめて専門家の意見を聞いていただくという機会を設けていただけませんか。イエスかノーでお答えください。

三谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 国民の皆様の中にも、このオリンピックを開催することによって起きる人流、人の流れが感染拡大を引き起こし、それが医療への負担を引き起こすのではないかという懸念を持たれているということについては十分理解をしております。

 その上で、専門家の皆様とはしっかりと連携をしつつ、医療への負荷を低減するためにどのような対策が必要かということについて、開催都市の地域医療を担う東京都、大会運営を担う組織委員会としっかりと協議をしていくものと承知しております。

尾辻委員 尾身会長とか専門家に御意見を聞いてくださいということについては、実はお答えを返していただいていないんですね。イエスかノーで、そこまで今諮問会議をされている会長がおっしゃっているわけですから、ヒアリングの機会を検討するということぐらいお答えいただけないでしょうか。

三谷大臣政務官 先ほども申し上げましたとおり、開催都市の地域医療を担う東京都、さらには大会運営を担う組織委員会とよく協議をしていくものと理解をしております。

尾辻委員 非常に残念です。

 田村大臣からも、丸川大臣にしっかりと専門家の意見を聞くように言っていただけますでしょうか。

田村国務大臣 東京都、組織委員会の意見も非常に重要だと思います。それからIOCの御意見もあろうと思いますが、専門家の意見は、いずれにいたしましても、いろんな機会で聞いているとは思っておりますので、専門家の方々の御意見も随時、政府として聞きながら対応していくものだというふうに認識いたしております。

尾辻委員 やはり、分かる形で、どのようにして、誰がどういうことを言って、その結論になったか、その際に専門家がどのように関わったのかというのは非常に大事なことであります。透明性がある形で、そして、聞いていただきたい、必ず聞いていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。

 実は、私、あともう一個、ホストタウンのことについてお聞きしたいと思っていまして、オリンピック、パラリンピック、今回の東京大会の最大の売りの一つは、おもてなしということなので、ホストタウンをやるんだということで、例えば、ホストタウン交流をするんだ、各自治体と来た選手団が交流すると言っているんですよ。これはどう書いているかというと、「日本の自治体と世界各国・地域の方々が交流し、お互いを学び合い、お互いを思い合う、大会史上初の取組として世界に誇れるものである。」。これを、まだやるということを言っておられるわけです。

 ルールブックも改定されました。ルールブック改定の中には確かにホストタウンのことも少しは書いてあるんですけれども、一方で、例えば、これは、私、オンラインの自動翻訳で翻訳した文書、これは今英語版しかないんです、早く日本語版を作っていただきたいということもお願いしておきますけれども。感染症のリスクを軽減し、安全にゲームを成功させるために、滞在機会を最小限に抑える必要があると。出発から目的地に到着するまでの間、衛生面や距離の取り方など、プレーブックや日本の当局からの指示、要請に従ってくださいということで。

 何か私たちも、今報道では、これはちょっとバブル方式でやるんじゃないのと、選手村があって、練習場があって、大会会場があって、そこぐらいしか行かないんじゃないかなと思いきや、実はホストタウンはやると言っているわけなんです。

 まず、ホストタウンになっている自治体の数、また、今辞退した自治体があるのであれば、まずこの数だけ教えてください。

三谷大臣政務官 お答えいたします。

 ホストタウンの登録については大会の延期が決まってからも少しずつ増えてきておりまして、二〇二一年四月二十七日現在で登録件数が四百五十六件、自治体数としては五百二十八となっております。そして、辞退した自治体の数でありますけれども、現時点のところございません。

 以上です。

尾辻委員 つまり、四百以上の自治体に選手団はやって来て交流をするということがいまだに計画をされ、そして、四月末の時点での改定でも、これはそのままやるんだということなんです。

 例えば、ホストタウンの受入れマニュアルを見ると、東京大会出場後から帰国までにいろいろなことをやってくださいねという中に、例えば食事の提供を伴うものというのがあるんですよ。そば打ちするとか、おにぎりを作るとか、茶道体験、給食交流等。そこには、作業、食事中の会話を抑制し、社会的距離の確保をして。

 本当にこれだけで、バブル方式と言っている割に全然バブルにもなっていない、もう何か抜け穴だらけ。ボランティアの方のワクチンはどうするのかとか、そんな細かい話もあったりしますけれども、これはさすがに自治体の負担が重過ぎると思うんです。

 これは、現実的ではないと思います。ホストタウンは中止すべきではないでしょうか。

三谷大臣政務官 お答えいたします。

 ホストタウンにおいては、選手と住民双方が安心して交流を行うために、選手の入国から出国まで、移動、宿泊、練習など場面ごとの感染防止策の実施、検査や行動管理などトータルでの環境整備を行うこととしております。

 こうした対策を行った上で、選手と住民の交流は、入国後十四日間は選手との接触が生じない形、例えば練習見学などの交流を原則としております。そして、十四日を経過した選手とは、感染防止策を講じた上で、それぞれのホストタウンのニーズに応じた交流を実施することが可能となっておりまして、先ほどのそば打ちに関しましても、十四日以内はできない、十四日を経過した後のみできるというようなことと整理させていただいております。

尾辻委員 与党側からも本当かというようなちょっと反応が返ってきたかと思います。これは、だから、一回決めたら何があっても止まれないという典型の事業じゃないかと思うんです。皆さん、本当にこれを今やるかどうか。与党の皆さんも今日聞いていただいたかと思います。特にホストタウンをやっているのはかなり小さい町とかもありますから、これは本当に、住民の健康を守ったり、やはり選手自身もしっかりと競技をするというためには、今じゃないと思いますので、これは私は中止すべきだということを強く要請しておきたいと思います。

 次に、ワクチンの大規模接種と予防接種法のことについてもお伺いしたいと思います。

 三谷政務官と和田政務官、以上で質問を終わりますので、御退席ください。お忙しい中、ありがとうございました。

 私自身は、やはり、ワクチンを早急に打っていく、そのために持てる資源全てを使っていくというのはありだと思っております。これがやはり感染拡大を今止める中では一番重要になってまいります。なので、今回、自衛隊を使っての大規模接種というのは、手段として、やれるならばやっていってもいいというふうには思っているんですね。

 他方で、予防接種法においては市町村が打つ事務ということになっておりますから、これはどんなスキームで自衛隊がワクチンを打つということになるのか。ちょっと時間がないので、簡潔にお答えいただければと思います。

正林政府参考人 お答えします。

 今般のコロナワクチンの接種では、接種、流通業務を効率化し、関係者の事務負担を軽減する観点から、市町村と実施機関、医療機関との間で締結されるワクチン接種の委託契約について、それぞれをグループ化し、グループ同士で包括的な契約、集合契約と呼んでいますけれども、それを実施する仕組みにしています。

 今回の大規模接種も、この包括的な契約、集合契約に参加して行うものと承知しており、このため、市町村から委託を受けた形で接種を行うこととなるかと思っています。

尾辻委員 これは防衛省の方がいいのかもしれません。昨日のちょっとヒアリングで聞くと、東京の方は中央病院、関西の方は阪神病院、ここが委託契約をするということになるというふうに聞いているんですけれども、それでよろしいでしょうかね。

椎葉政府参考人 そのとおりでございます。

尾辻委員 だから、大阪の方でいうと、大阪には病院がないので、何か診療所扱いみたいなことをするというのも聞こえてきました。

 あと、関東は、東京、一都三県で対象が決まったんですけれども、関西は、まだちょっとその対象がどこまでかというのは決まっていない状況かと思います。うなずいていただいて、まだですね、これが。早急に枠組みを決めていただければと思うんですけれども。

 更に言うと、これはシステムがどうなるのかというのも私はやはり心配なんですね。今までも議論してきました。VSRがあって、V―SYSがあって、予防接種台帳があって、住基ネットがあって、住民基本台帳があって。昨日も参議院の厚生労働委員会の方で、保健所の所長の方が、こういった自分たちがやらないときの予防接種、大規模接種がどういうふうなシステムになるのかというのは非常に危惧をしているところです。ちょっと時間がないので、ここも指摘にとどめて。

 じゃ、この大規模接種に関わる自衛隊員の方、この方々は接種開始日までに二回ワクチンの接種は終わるんでしょうか。この辺り、準備はどうなっていますか。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 自衛隊の医官や看護官等の医療従事者のうち、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受けている方は、現在のところ一部にとどまっているところでございます。一回接種が約五割でございます。二回接種が約三割というところでございます。

 大規模接種センターの運営に関わる医師、看護師及びその他の職員のうち、まだワクチンの接種を受けていない者の接種につきましては、ワクチンの供給状況等を踏まえつつ、できる限りセンターの開業までに少なくとも一回のワクチン接種を受けられるよう、関係機関と調整してまいりたいと考えております。

尾辻委員 そうなんです。少なくとも一回という状況が、これは何とかやはり接種する側には二回接種終了、それも、大臣が今日おっしゃいましたけれども、接種してからやはり二週間ぐらい効果が、かかるわけですから、どれだけ前倒しできるかは本当にこれは大事だと思います。

 医療関係者のワクチン接種率も聞こうと思っていたんですが、多分、今二割ぐらいだと思います、ちょっと時間がないので。こことか、あと空港検疫の担当者もまだワクチンを全部打てていないと思うんです。ここに関しても、とにかくそういう実務で、業務でやる方々は早くワクチンを接種していただきたいということをお願いしておきます。

 あと、ちょっと現場から出ていることが、問診票のサインのことなんですね。問診票の、予診票というんですかね、サインが二か所あると。これは二か所とも自分でサインするのがとても大変で、一か所だけは判ことかにしてくれないかと思う、デジタル化と言っているんだからということで、こういうような、ゴム印とかでもいいよという運用にならないでしょうか。

正林政府参考人 御指摘のように、予診票には二か所あります。一つが、問診及び診察の結果、接種が可能か否かを記入する項目について署名、記名押印を行う欄と、それから、接種の記録のために医師名とそれから実施場所などを記入する欄があります。

 まず一つ目の、接種の可否を記入する項目について、これはゴム印等での記名と、それから医師の押印でも差し支えないとしています。それから二つ目の、医師名、実施場所を記載する欄について、医師の指示の下に医師以外の者が記入することも可能である、更に言うとゴム印等でも、その記載で差し支えない、そういった形で資料においてはお示しをしています。

尾辻委員 ということは、局長、両方ともゴム印で大丈夫だということですか。

正林政府参考人 はい、そのとおりです。

尾辻委員 現場でこのことを知らない、本当に先生方が一生懸命サインしておられますので、ゴム印で大丈夫だというようなことをしっかり分かるようにまた広げていただきたいと思います。

 やっと、最後の、健康保険法の改正のところでお聞きしたいんですが、私、ちょっと気になっているのは、生活保護の医療券のデジタル化が、結局、余計にコストがかかって複雑化したりするんじゃないかとか、ちょっといろいろ思うところがあるんですね。

 一つは、マイナンバーカードを使うことによって、生活保護受給の方が病院に行かれるときにはカードリーダーを使うことになりますよね。そうすると、そのカードリーダーはいつの間にか顔認証つきに変わってしまいましたから、顔認証によって認証されて医療券の有無が病院の受付で確認される、こういうシステムに今回変えるということでいいんでしょうか。あと、費用も一緒に併せてお答えください。

橋本政府参考人 今般の改正法によりまして導入しようとしているオンライン資格確認でございますが、これは医療機関の窓口におきましてマイナンバーカードを用いて資格確認と本人確認を可能とするものでございまして、先行して医療保険において導入することとしております。医療扶助におきましても、同様の仕組みによりまして、医療券情報を含む資格確認等を行うということを予定しているものでございます。

 それからあと、コストについてのお尋ねがございました。

 このオンライン資格確認導入のためには、社会保険診療報酬支払基金等が運用するオンライン資格確認システムに対しまして、福祉事務所から医療扶助の受給者に係る情報の送付を可能とする等の対応が必要でございます。

 この導入につきましては、法案成立の暁には令和五年度中に開始する予定というふうにしておりますので、まず今年度中にこのシステムの改修の詳細や実務について更なる検討を行った上で、令和四年度から必要な予算措置を講じてシステム改修を進めるということを予定しておりまして、現段階では、初期費用やあるいは運用費用などにつきまして、いずれもまだ算出はさせていただいておりません。

とかしき委員長 尾辻かな子さん、申合せの時間が来ております。

尾辻委員 カードリーダーで顔認証というのは、ちょっとプライバシーの問題も踏み込んでくることがあると思いますので、これはやはり慎重に検討した方がいいんじゃないかということを申し上げておきたいというふうに思います。

 最後に、今日、二割負担が強行採決されるなんということはやはりあってはならないと思っていますので、委員の皆さん、是非ともまだ審議続行をお願いをしたいと思います。

 以上で終わります。

とかしき委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

とかしき委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 お疲れさまでございます。立憲民主党の長妻昭と申します。

 まず、お忙しいところ、尾身先生、ありがとうございます。尾身先生にお尋ねをいたします。

 九時から始まった諮問分科会が、三時間以上ですかね、四時間近く、相当白熱した議論だと聞いておりますけれども、最大の議論のポイントというのはどういうところだったのでございますか。

尾身参考人 二つあったと思います。

 一つは、今回、延長ということになりまして、新たな緊急事態宣言を使える県も加わったわけですけれども、一体どういうふうになったら解除をするかというような話はかなり出ました。

 それから、もう一つ大きなのは、単に緊急事態宣言を解除というよりは、これから高齢者を中心にワクチンを多くの人に接種するまでの間、しばらく、数か月、高齢者だと恐らく数か月ですよね。この間、人々はもうだんだんと徐々に日常の生活に戻す必要があるというふうに考えている中で、少し、一体、この数か月の間、どんなことを目標にして、どういう考えで政府はやるかということについて、しっかりとした方針というのを、今までもあったと思いますけれども、ここに来て変異株のことも出てきましたので、しっかりとした国の方針、国がどういうところで汗をかくのかということをしっかり示す必要があるという、この二点が今日の主な論点でした。

長妻委員 一点目は本当に重要だと思います。

 思い起こせば、ここの厚生労働委員会でも、三月の二十一日に、東京周辺、東京を含めて緊急事態宣言が解除されたときに、その前に、我々は、解除するのは早い、早過ぎる、解除したら大変なことになる、こういうふうに申し上げたんですが、それを振り切って三月二十一日に解除してしまって、年度末の人の移動、尾身先生もよくおっしゃる、行事が大変感染の機会を増やすという、そこを緩めてしまったという痛恨のことがあったわけで、政府に安易に解除させないという一点目の論点は大変重要だと思います。

 そういう意味では、今日の議論も踏まえ、尾身先生個人の見解も含めて、どういう状態であれば解除する、逆に言えば、こういう状態であれば解除してはいけない、こういうある程度客観的なものというのが私は必要だと思うんですが、そこら辺は、どんな議論、あるいは尾身先生の個人の御見解でも結構なんですが、いかがですか。

尾身参考人 幾つか大事なことが、今日、私の個人的な意見というよりも、ある意味でコンセンサスのようなものができ上がったと思います。

 それで、一つは、今までの二回の解除については、もう少し下げた方がいい、もう少し長くという意見があることは……(長妻委員「えっ」と呼ぶ)過去二回の解除、特に二回目のことも、できればもう少し下げればよかった、あるいは、少し下げ止まりだった状況をもう少し長くしたらいいんじゃないかという意見も、当然そういう意見もありますが、そういう中で、もう一つは、今度は変異株の要素も更に加わったわけで、今日、正式に、基本的対処方針の中で、解除の方針というのがもう既に従来から書かれていたわけですよね。それについては、政府の方に対して、従来の基本的対処方針の解除の仕方の部分があるので、そこについては、変異株の影響があるので、今までよりも慎重にしてくださいという趣旨をしっかりと書くように申し上げて、それは政府も合意して、そういうことになっていました。

 それから、実際に下げる、どういうところで下げるかということで、もうこれは、今日のメンバー、基本的対処方針の会でのコンセンサスだったと思いますけれども、二つあって、なるべく下まで下げたい。当然ですよね。ある委員なんかは、百なんという数字を言う人もいます。しかし、一番いいのは、すぐに百までいくということが理想ですが、実際には、どんなに一生懸命やっても、そこまでいかないで止まることがあり得るわけですよね。そのときは、今までの経験、あるいは、変異株の場合は前よりもリバウンドが早いですから、そのときは、少し我慢をして、百まではいかないかもしれない、いっていないんだけれども、もう少し高いところで止まったとしても、少しそこを我慢して、その状態を長くすることは必須じゃないかということは、今日のコンセンサスだったと思います。

長妻委員 私が心配するのは、尾身先生を始めとする専門家の意見を振り切って政府は行動することが多々あるんですね、過去も。三月二十一日の解除も、専門家の意見は慎重論が多かったのにもかかわらず振り切ったという例もありますし。

 あるいは、今回、今の緊急事態宣言も、二週間ちょっとなんですね、期間が。このときも、今回の今の緊急事態宣言の前に、ここでの質疑で尾身先生に、どのくらいの長さ、緊急事態宣言を出したらいいんでしょうというふうに我が党の議員が尋ねたところ、尾身先生は、少なくとも三週間は必要なんだ、こういうふうにおっしゃったんですが、実際、政府は、今出ている緊急事態宣言のことですけれども、二週間ちょっとという非常に短い宣言に終わってしまったということで。

 やはり尾身先生には本当に頑張っていただいて、専門家の意見が政府に通らないということがなぜ多々起きるのか、そこら辺はいかがですか。

尾身参考人 私たちの意見が通ったこともあるし、今委員おっしゃるように、必ずしも通らなかったことがありますが、なぜかと言われると、恐らく、私は、個人的には、我々、私も含めてパブリックヘルスをずっと長くやってきて、感染症対策をずっと長くやってきた者としては、当然、私は、人々の生活、仕事、今でいえば飲食店の人々の非常に苦しい立場というのも、私としても一応理解はしているつもりですが、ともかく、早く感染のレベルを下げることが最終的には経済にもという思いがあります。

 しかし、恐らく、政府の方はそういうことをお分かりだと思いますが、どうしてもやはり経済。これは私の想像ですが、感染症の立場以外の立場の人もいっぱいいるわけですよね、商店を経営している人、飲食店を経営している人、そういう人からなるべく早くというような要請が当然あるのではないかということで、政府の方としては、感染症の方の要素も当然、私はしょっちゅう大臣を通して話して、十分理解しておられると私は信じています、そう思っています。ただし、私どもよりも、いわゆる経済活動や事業者の立場、そういうことで、感染症がもたらす経済、社会への影響というのも随分考えられるということがあって、そういうことが時々起こるんだと私は想像しております。

長妻委員 やはり、今回分かったのは、経済のことをおもんぱかる余り、感染症対策の規制が、すぐ緩めてしまうと、むしろ経済にマイナスになる。

 尾身先生がおっしゃったように、最低三週間必要だというのを振り切って、政府は二週間ちょっとの短い緊急事態宣言を今回出して、案の定また延長する。

 こっちの方が迷惑なんですね、経済にとっても。この日に解除できるということで、いろんなお店を回っても、休業は十一日までですという張り紙が至る所にあるわけで、皆さん準備しているわけで、初めからきちっと、尾身先生がおっしゃるように一定の期間を取っておけば、こういうような後手後手、ばたばたにはならなかった。解除が早過ぎる、そして短過ぎる。こういうことについて、政府は本当に反省してほしいと思います。

 そして、もう一点、デパートについては緩めるということが今回決定したようでございますけれども、これはなぜでございますか。

尾身参考人 実際に、デパートとかそういう具体的なことは主に政府の方が考えて、我々は了承ということが基本でありますけれども、私の個人的な理解は、今回も百貨店というのを、特に、今回はゴールデンウィークという特別な期間ですよね。この期間の人々の行動というのは、どうしても、百貨店に行く理由がゴールデンウィーク以外のふだんのときよりも多いということが私はその背景にはあったと思います。

 実際、今回も、夜の飲食店の云々のこともありましたけれども、百貨店を閉じたということで昼の人流も結構減ったということもある、これは最終的な評価はなかなか難しい、そういうふうに感触を得ています。

 今度、恐らく政府が、比較的そこの部分は、ゴールデンウィークが明けると人々の行動パターンというのが変わってきて、むしろ仕事というようなもので、百貨店というものの影響がゴールデンウィークのときよりも少なくなるんじゃないかという思いが基本的にはあったと私は思っております。

長妻委員 尾身先生、そうであれば、私はめり張りということをずっと申し上げていたんですけれども、例えば飲食店ですね。飲食店は、昼間、ランチタイム、本当に満員の中で、かなり換気もよくないところでおしゃべりしながら食事をされている、こういう光景も非常によく目にします。

 そういう意味では、デパートをそういう措置を取るのであれば、逆に飲食店については昼間も相当規制をしていく。当然、補償金を上乗せというのは必要なんですけれども、そういうお考えというのは、取るおつもり、検討というのはございませんか。

尾身参考人 委員おっしゃるように、私は、もうこれからは、全て駄目ということ、駄目駄目の期間、そういう方針では一般の人はついてこられませんよね。そういう意味では、むしろ一般の人の納得のある方針をこれからは、特に、だんだんと解除をする時期が来るでしょうから、そういうときには、飲食店なんかも全部止めるということを永久に続けるわけにはいかないので、やはり、今までも議論していた、飲食店における認証制度なんかをしっかりやって、しっかりと感染対策をしている店については評価をして、そこにお客さんが集まるような、そういう仕組みをつくる。

 その仕組みをつくっても、それを実行することが必要なので、そういう意味では、自治体あるいは政府の関係者がもっと今まで以上に汗をかいて、そこの部分でしっかりと、認証制度というのを今考えてもらう。それを実行することによって、ああ、なるほど、政府もそういうところで汗をかいて、こういう店に行けば安心だということ、そういうことを今まで以上にしっかりやる必要が私はあると思います。

長妻委員 私は、飲食店は今以上に規制を厳しくする必要があるというふうに思っております、昼間も含めてですね。当然、その補償金の上乗せというのが必要だと思いますけれども。

 そして、インドからの入国について、五月十日から、来週から厳しくする、隔離、待機を六日間にする、そして検査も四回にする、こういうことが決まったと聞いておりますけれども、これは遅過ぎるというふうに私は思うんですけれども、田村大臣、これは遅過ぎると思いませんか。

田村国務大臣 まず、委員、三月の二十一日のお話を先ほどされましたが……(長妻委員「インド、インド」と呼ぶ)いやいや、まずこれだけ言わせてください。

 これは前も尾身先生おっしゃられましたけれども、このときには多くの委員が了承して、大体考え方は一致しておったということでございますので、委員が、それはちょっと反対があったのでは、多かったのではないかということはなかったということは申し上げたいというふうに思います。

 その上で、インドの話でありますけれども、インド株に関しては、実のところを申し上げますと、純然たるエビデンスといいますか、それは、専門家の下でも、どういう影響があるかというものに関しては、ちゃんと確定はしていないといいますか、分かってきていない中において、今回、緊急事態宣言ということもございますので、そういう意味では、幅広にこういうものに対してしっかり対応していく必要があるであろうということでございまして、今回の対応というような話になってきたわけであります。

長妻委員 ちょっとびっくりするんですね。インド株については分かっていないことも多いから、見極めて来週から絞っていくと。もう分かっていますよ、これ。だって、世界で論文も出て、インド株は大変なことになるということで、インドの現状も御覧になっておられると思うんですね。非常にこれは遅いと思います。

 そして、田村大臣、二十一日の解除の件をおっしゃいましたけれども、これも尾身先生、最後に一問ですけれども、非常にその分科会のたてつけというのが、私はちょっとよくないなと思っているんですね。

 今日も、冒頭、西村大臣が政府の方針をまずばんとしゃべっちゃう、こういう方向でいきますと。それで、なかなかその政府の方針を、今まで分科会で、大きなところでひっくり返したことというのはないんじゃないかと思うんですけれども。

 やはり、専門家の方が政府の方針が出る前に、ある程度真っさらなところで何回か議論して、そこで政府の方針をつくり上げるという方が私は専門家の知見がきちっと入ると思うんですが、そこら辺、尾身先生、いかがでございますか。

尾身参考人 それはなかなか難しい問題で、今日も、実は諮問委員会のメンバーの中には、これは議事録を見ていただければそういうところが何回も出るので、ここでも申し上げたいと思いますけれども、これは去年からずっと続いていることで、諮問委員会に政府の案がもう示されるわけですよね。それについて、我々はそれほど与えられているオプションはなくて、イエスと言うかノーと言うかということで。ただ、我々としては、イエスと言った場合に、今までもイエスと言ってきたわけですよね、ただ、無条件のイエスではなくて、いろんな条件をつけるということがせいぜいできるということで、それが現実です。

 今日なんかも、実は、緊急事態宣言をあるほかの県ももう一つ加えた方がいいんじゃないかという意見が出ました。それについて、私どもメンバーは、我々は政府と意見が違うということは、私はこれは自然なことだと思います、立場が。そういう意味では、私たちの意見をやはりしっかりと申し上げるということが去年からの教訓だったので、今回も、これはみんなの了解を得て、ある県については、今回、政府の緊急事態宣言追加県には入っていなかったけれども、これはメンバーの多くの人がこの県も加えるべきだということは申しました。

 ただし、そこで今日、それを、じゃ、専門家が言ったからそれを変えましょうというふうには、政府は。一応政府は政府なりでその県を入れない理由というのを説明していただきました。ある県を入れろと我々が言ったけれども、いやいや、それはあなたたちの意見も分かるけれども、しかじか、こういうことで入れなかったんだという政府のしっかりした説明がありました。

 そういう中で、私ども、これは私が座長として提案したのは、ただ無条件に合意したんじゃなくて、その県については、多くのメンバーが追加した方がいいと思うということはしっかりと議事録にも残すし、今日の政府の対策本部でも私どもも申し上げるということで、みんなが合意したということであります。

長妻委員 今は本当に国家の危機ですから、本当によろしくお願いしたいと思いますし、政府にも申し上げたいのは、やはり分科会で、冒頭、カメラが入って、西村大臣が国の方針をばんとまず発表しちゃって、どうだと。なかなか、その後、反対しづらい。それを前提として、どういうふうにそれをうまく着地するような感染対策というふうになりがちだったと思うんですね、これまでの議論が。やはり、白紙の段階である程度やり取りして、そして、政府の方針、素案を決める段階から専門家の方の関与というのが私は必要だと思いますので、是非、田村大臣におかれましても、閣内で共有していただければと思います。

 尾身先生、ありがとうございました。

 今るるお話ししたように、大変コロナ感染が広がっております。変異株もございます。先ほどニュース速報が出まして、重症者が千百三十一人、過去最多となったということで、本当に助かる命が助からない現実がもう起こっています。

 こういう中で、高齢者の七十五歳以上の方の窓口負担、医療窓口負担を倍にする、自己負担を、こういう法案を今日強行採決をするというようなことを与党は示唆されておりますけれども、ちょっと、とんでもないんじゃないでしょうか。我々ももちろん、現役世代、若い世代の方の負担、医療の負担、大変重い、これは、軽くするというのは、ここにいる議場の方、多分全員、異議がある方はどなたもいないと思うんですね。私もそうです。だからこそ、我々は、年収二百万円の方を、窓口負担、自己負担を倍にする、七十五歳以上、それではなくて、同じ財源を、平均で年収九百万の高齢者の方に、賦課限度額、保険料の上限を上げて、そこで御負担をいただいて、そして一部公費を加えて、そして同じ金額を出していこうと。

 今、こういう時期に、やはり我々の案の方が適切なんじゃないか。こういうことを申し上げると、公ではないところでは、与党の方も、うん、それのがいいんじゃないかという方も、ここでも何人かうなずいていただいていますけれども、おられるわけで。せめて、じゃ、修正協議で、折衷案でもいいですよ、その二割負担のことについて、重症化しないとか健康に影響がないという確認が取れないままこの法案を世に送り出すということは、私はあってはならないというふうに思っています。

 そこでお伺いするんですが、配付資料の四ページを見ていただきますと、政府に作っていただいた資料で、今ここで、二割負担だ、こういうふうに議論していますよね、二割負担になる、七十五以上の方が。いやいや、実は二割負担じゃないんですと政府はおっしゃるんですね。計算上は一・一割負担だ、ほとんど一割負担と変わらないんだよ、大したことないんだというようなことを、四ページですね、政府の資料ですけれども。つまり、実効給付率ということで、確かに二割になるけれども、仮に全員がきれいに高額療養費制度をくまなく申請したらば、実は一・一割負担なんだ、大したことないんだ、こういうふうにおっしゃっておられるわけですが。

 じゃ、仮に高額療養費制度、これがなくなった場合、仮に全員が高額療養費制度を申請しない場合は、どのくらいの減になるのか、医療費水準が。これは五ページに政府に出していただいていますけれども、まず、この数字を教えていただけますか。

田村国務大臣 これはちょっと、今委員がおっしゃられておられるのは、今回の経過措置が、あれですよね……(長妻委員「高額療養費」と呼ぶ)高額療養費ですよね。この部分だけじゃなくて、全ての高額療養費ということですか。全ての高額療養費。

 全ての高額療養費ということになるとマイナス九・四%になりますが、それは、今までも高額療養費を使っておられる方はたくさんおられて、今までも、長瀬効果も、そういうものも含めて出して、近似値として近い数字が出てきておるということは改めて申し上げておきたいというふうに思います。

長妻委員 九・四%減ということなんですね。つまり、どういうことかといいますと、二割負担に今回なる、七十五歳以上の方に。当然、今までも高額療養費制度を使う方もいるし、今回の配慮措置も、これも広い意味で高額療養費制度ですので、これもあると。ただ、これが全部、もしない場合は、二割負担になると、医療費が九・四%、一割近く下がる。つまり、医療が一割近くも削減される。これは本当に大変なことだと思います。

 ただ、九・四%削減ではないんですね。政府は、全て、高額療養費制度を、二割負担になったときでも全員が使った場合はマイナス二・六だ、医療が二・六減らされると言っているんですよ。だから、高額療養費制度を全員使うわけがないので、そうすると、二・六パーから九・四パーの間のどこかなんですね、実際は。

 これがどのくらいかということをお尋ねしたいんですけれども、そうすると、高額療養費制度を使える方が、対象者がどのくらい申請をされておられるのか、こういうデータや推計値というのはありますか。

田村国務大臣 どれぐらいの方が申請されているかというのは手元にはございませんが、今般に関しては、前から申し上げておりますとおり、この三千円という経過措置でございますね、負担が増えるのが。これに関して、新たに、導入に関しては、保険者の皆様方にしっかりとこの高額療養費制度というものがあるということを周知していただくための対応をお願いして、しっかりと多くの方々がこれを御利用いただけるようにというような形で対応してまいりたいというふうに考えております。

長妻委員 結局、全然分からないということなんですね。

 非常に心配なのは、複数の病院にかかったときに、自分がそれぞれの病院での自己負担を覚えていて、それで、足し算して、自分の要件に合った、上限を超えていたらば、その月は申請を自分で考えてするというようなことに初回はなっていくわけですので、私は、多くの方がなかなかできにくいことになるんじゃないかということで、最大一割減ということでありますから、どこまで利用されるのか、これはやはり見極めていかないと非常に心配だ。

 これは十ページでございますけれども、協会けんぽの埼玉支部が調査したところ、これはもちろん七十四歳以下ですからね、協会けんぽですから。高額療養費制度を知っていますかと聞くと、六三%しかいないんですよ、知っているという方が。全国平均だと六八・九%ということらしいんですが。つまり、四割近くの方が高額療養費制度を知らないというようなケースもあるので、非常にここは注意深くやらないといけない。非常に私は、相当医療費減になる危険性があるというふうに考えております。

 そして、平均寿命の件ですが、この資料の一ページ目でありますけれども、これも前回も質問させてもらいましたが、こういう表を作ってみました。

 医療経済学の学者の方と議論しておりまして、一九九九年と二〇〇五年は平均寿命が男女共に下がった、これの理由がなかなか分からないんだというふうに言われております。今言われているのが、自己負担の引上げがそれぞれの平均寿命減につながったのではないのかということで、ちょうど一九九九年の前も、一九九七年九月に一割から被用者二割に上がり、高齢者の定額負担引上げがあった。そして、二〇〇五年の前の二〇〇三年の四月、二〇〇二年の十月にも、高齢者、被用者の自己負担の引上げがあった。これが影響しているのではないのかと。こういうような、非常に事実だとしたら驚くべき指摘だと思うんですね。

 田村大臣がこれについて前回御答弁されたのを表にしてまいりました、二ページ。

 田村大臣は、いやいや、これは医療費の引上げではないんだよ、そうじゃなくて、インフルエンザプラス肺炎の死亡者がちょうど増えると、私が言った一九九九年、平均寿命が下がっている、二〇〇五年も相当きゅっと増えたので平均寿命が下がったんだよ、こういう説明をされたんですね。

 ただ、一九九二年なんかはちょっと死亡者が上がっているけれども平均寿命は下がっていないとか、本当にそうなのかということもありますが、仮にそうだとしても、これは窓口負担は関係ないという根拠にならないと思うんですよ。

 震災とかなら分かりますよ。震災は病気と関係ないですよね、分かりますか。地震、災害、これでお亡くなりになって平均寿命が下がる、こういうケースがありましたけれども。そうじゃなくて、インフルエンザの肺炎死亡が増えたから平均寿命が下がったんだ、窓口負担と関係ないと。いやいや、そうではなくて、可能性として、窓口負担が上がったから、インフルエンザとか肺炎の兆候が出てもお医者さんに行かずに、そして重篤化して死亡した、こういうことも考えられるんじゃないですか。いかがですか。

田村国務大臣 インフルエンザが流行拡大したから、結果として、インフルエンザ、またそのインフルエンザに起因するような肺炎、そういうものの死者が増えているということでありますので、それはインフルエンザの拡大というのが大きな要因であるというふうに分析をいたしておるということであります。

長妻委員 であれば、一九九二年とかあるいは九三年ですね、拡大しているにもかかわらず平均寿命は下がっていないじゃないですか。

 そして、二〇一七年も本当はこれは拡大しているんですね、学者の皆さんの分析によると。ところが、二〇一七年から死因の分類が変わっちゃったんですよ。それで、肺炎が激減してしまいまして、統計データがちょっと連続性が損なわれたわけですので。

 ですから、そういう意味では、田村大臣にお伺いしますが、そうすると、死因、つまり、平均寿命が短くなったことと窓口負担とは、これは関係ない、こういうふうに言い切れるということでいいんですか。

田村国務大臣 調査というものほど、まあ結果的に、そういうものの調査というのは、なかなか調査の仕方が難しいという意味で、なかなか調査自体がしづらいということで、いろんな調査がありますけれども、全体として、それ自体が確証的な結果ではない、いろいろな調査がありますから、それは。関係ないという調査もあれば、それによって健康状況が悪くなったという結果が出た調査もあるということで言っているわけでありますが。

 ただ、今言われたそのインフルエンザの場合、委員が言われたインフルエンザの流行というものと、今ここで私が二年に対して言ったインフルエンザの流行、それは流行の規模が違うというのが一つあります。それから、インフルエンザの流行によって、確かに、肺炎ですね、インフルエンザだけじゃないかも分かりませんが肺炎、これによる死亡者というのは増加をしておりますが、一方で、それぞれ毎年医療が進歩する中において、がんでありますとかいろんなものによって失われる命というものが、やはりある程度そういうものが減ってきている、これも事実でございますので、そういうものの差引きということもこれは勘案をしていかなければならないんだというふうに考えております。(長妻委員「窓口負担の影響は、じゃ、ないんですね」と呼ぶ)

 ですから、我々は、窓口負担の影響がないような、そういうようなことで、今回、所得層を設定している。つまり、年収二百万円以上というようなことも含めて、いろいろとそれぞれの世帯の支出等々を勘案しながら、これぐらいの世帯であれば、必要な医療は受けていただけるであろうということで、今回、設定をさせていただいているということであります。

長妻委員 影響がないような所得層にと言うんですが、じゃ、影響がないような所得層というのはちゃんとエビデンスはあるんですか、根拠が。ないんでしょう。

 そして、この平均寿命、私が聞いたのは、平均寿命が短くなったのは窓口負担とは関係ない、こういうふうに言えるんですねということを念押ししたんですが、御回答がないわけですね。

 それで、これは一ページ目を見てみると、一九八八年も平均寿命が男女とも減っているんですよ。その前の年の一月に、高齢者の、七十歳以上本人のみの自己負担が増えているわけですね、これも。

 こういうことが、これは偶然なんでしょうか。医療経済学の私がお話しした方は、これは自己負担増が関係しているというふうにおっしゃっておられるわけで、是非、こういうことについても曖昧にしないで、健康に影響が出ないように設定するとかですね、非常に抽象的なことであります。ちょっとしたことであれば我々もこだわらないんですが、これは生き死にに関わることですよ。

 政府が出していただいた調査資料というのを、十二ページ目、六つぐらい持ってきていただきました。中には五番目のように影響がないというデータもありましたが、これは、死亡率は影響がないということで、あるいは、個人の感想を聞いて影響がない、こういうことで、非常にこれはちょっと抽象的なデータで、それ以外は、かなりレセプトを分析したりしているんですが、その多くはやはり影響があるということなんですよ。

 これは、後ろに主なものをつけさせていただいておりますけれども、例えば十四ページ目、日医総研。過去一年間に経済的な理由により受診を控えた結果、症状が悪くなったことがあるかと。あるというのが五四・五%ある。

 十五ページ目は、二割負担の方でも、経済的理由により受診しなかったことがあるが一〇・二%、その結果症状が悪化したことがあるが七・一%。

 あるいは十七ページ目。これは学習院大学の論文でございますけれども、糖尿病については自己負担引上げ後に受診率が抑制されたと。そして、その後、入院確率、入院医療費が増加した、つまり入院が増えたということが書いてあるわけですね。

 十八ページ目。これは馬場園先生という方の資料でございますが、これは、二割負担導入時、過去の例で、ほかの年代で二割負担が入ったときのことですけれども、二割負担導入時には標準報酬の低い組合の外来や歯科の受診率が低く、受診日数が長くなっている傾向が認められ、重症化してから受診している可能性があることが示唆されたと。

 そして十九ページ目。例えば、風邪での受診は不必要な受診とされることが多いが、患者は発熱やせきなどの症状があるときに、それが風邪であると自分で診断できない。医師が頭痛という主訴でMRIやCTをオーダーすると過剰診療と指摘されることが多いが、頭痛という症状でMRIやCTを撮れないとなると脳腫瘍の早期発見をすることは困難になる。明確なことは、自己負担を上げれば経済的な理由により、患者が受診を自ら抑制することが増え、早期発見、早期治療が困難になる傾向があることである。こういうことも結論として出されております。

 二十ページ。畝先生という方ですね。これは、糖尿病患者の受診は、この三回の自己負担増のいずれにおいても有意に抑制された、受診抑制は特に軽症の糖尿病に顕著な傾向が認められたということで、いろんな論文を見ると、糖尿病に相当悪い影響があるというようなことが幾つかの論文でも出ているわけでございます。

 一端を紹介しただけでもこれだけ懸念事項があるからには、是非、大臣、どうしても財源が必要だ、これも私も同感でありますから、保険料の賦課限度額を上げて、そこで財源を調達する、そういうことは、大臣、駄目なんですかね。

 それで……(田村国務大臣「答えさせてもらっていない」と呼ぶ)どうせ容認しないんでしょう。

 だから、大臣、今日、強行採決、是非しないでおいて、それで、そうしたら、ちょっとこの先のことも聞きたいんですけれども、じゃ、この二割負担が仮に実現してしまったと、与党が強行採決して。その後に、健康にどういう被害があったのかなかったのか、実現した後、追跡調査をきちっとする、こういうことは言えますか。

田村国務大臣 質問がちょっと多過ぎて、どれに答えればいいのかちょっとよく分からないんですが、まず、研究調査に関して、一割負担と二割負担の部分がありましたが、これは前田先生の調査なんでしょうけれども、一割負担は七十歳以上、二割負担は、これは義務教育就学前の子供たちの話なので、当然対象が違うということでありますし、鈴木先生のこの調査に関しましては、これは受診率が上昇している場合もあるということもございます。馬場園先生の場合は、定量的ではなく定性的な研究であるということ。それから、古村、別所先生は、評価は、関係なかったというような、そういうような結論もございます。

 いろんな調査があって、結果的には、なかなか、この調査をやれば、結果、健康に影響があったかどうかというものが明白に分かるというような、そういうようなものがない。今までもありませんし、どうすればそれが出てくるのかというのが、負担だけじゃなくて、いろんな受診行動というのは皆様方のいろんな状況によって変わるわけで、だからこそ、全てのいろんな調査がばらつきがあるんだというふうに思います。

 その上で、賦課限度額に関しては、我々も上げていくつもりです。二年ごとに今までも上げてきております。委員らの、立憲民主党の皆様方の御提案は、急激に上げろということだと思います、それは財源を出すために。ただ、これは、たしか津市の市長様からもお話があったと思いますが、財政力に各自治体、差があって、収入が少ないのに限度額まで張りついちゃうというような、保険者の財政力によってかなりの差が出てくるという心配点、懸念点もあったというふうにお聞きをいたしておりますので、なかなか急激にというわけにいきません。

 調査に関しては、先ほど申し上げましたが、調査をするにも、いろんな理由で、調査結果というものを、信頼に足りるような調査手法というものがなかなか我々としても思い浮かばないということで、以前から、難しい、そういうようなお話をさせていただいているわけであります。

とかしき委員長 長妻昭君、申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

長妻委員 何か大臣、これ、随分おかしなことを言いますね。まず、急激に上げる、我々が賦課限度額。急激に上げるといったら、与党の方が倍ですよ、これ。今、閣法は倍ですよ。急激に上げるじゃないんですか。窓口負担が倍というのは、これは二倍ですよ、大臣。これこそ急激じゃないですか。大臣、分かっているんですかね、それだけ実際の声を多く聞いていますけれども。

 大臣らしくないのは、批判ばかりじゃないですか。この調査データ、学者の先生が一生懸命作ったデータは、全部これはおかしい、おかしい、おかしい。じゃ、自分で調査してくださいよ。

とかしき委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

長妻委員 厚生労働省がちゃんと調査してくださいよ、これ。

 今聞いて、私も非常にがっかりしたのは、二割負担が実現した後も調査はしない、こういうふうに明言されましたので、これは相当危ういと思いますよ、大臣。いろんな調査がこれはあるんですから、少しは追跡調査、サンプル調査、いろんな手法はあるでしょう。そういうことを議論しないまま、しないと。ここで門前払いというのは余りにもこれはおかしい、不誠実であるということで、この問題については我々の案を通すまで私たちは頑張っていきたいと思いますし、是非、与党も折り合いをつけて、修正案を含めて検討いただきたいということを申し上げて、質問を終わります。よろしくお願いします。

とかしき委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 法案に入る前に一点だけ。

 私は、この間ずっと、もう昨年から、この新型コロナはエアロゾル感染が大変大きな役割を果たしている、換気対策、マスクが大事だということを申し上げてまいりましたが、連休中、四月三十日にWHOが新型コロナウイルスの感染経路についてアップデートいたしました。資料をお配りしておりますけれども、一つ目に挙げているのが、短距離のエアロゾル、飛沫による感染、二つ目に換気が悪い環境での長距離のエアロゾル感染、三つ目に接触感染ということを挙げている。一つ国際的にはここまで到達したのかなと、私がそんな偉そうなことを言ったら怒られちゃいますけれども、思います。

 二ページ目に、ところが、厚労省のホームページですけれども、依然として「Q 新型コロナウイルス感染症を拡げないためには、どのような場面に注意する必要がありますか。」「A 新型コロナウイルス感染症は、主に飛沫感染や接触感染によって感染するため、」云々ということで、主には、ここにエアロゾル感染、専門家の皆さんはマイクロ飛沫感染という言葉をよく使われますけれども、これが入っていない。それから、三ページ目、新型コロナウイルス感染症の診療の手引、第四版、これについても、感染経路は飛沫が主体ということが書かれているということなんですね。

 やはりこれは、しっかりアップデートする。アップデートすることによって、今日は委員長はマスクも不織布ということで、政府がやはりエアロゾル感染ということでマイクロ飛沫感染対策ということを強調する中で、委員長もこうやって、政治家がこうやって示していくというのは非常に大事なことだと私は思っているんですね。

 四ページ目には、これは参考資料ですけれども、仙台の西村秀一先生が、従来の空気感染、飛沫感染の説明と、現実に起きている感染、エアロゾル感染がどう違うのかということで整理をされています。世界的にもこういう方向で感染の整理をしようという方向に学問の世界では向かっているのかなというふうに思いますけれども、ちょっと是非これは直していただきたいということを申し上げて、質問に入ります。ちょっと時間がないもので、正林さんには聞いていただきたかったということで。

 それで、法案ですけれども、窓口負担の二倍化で必要な医療が抑制されるのではないのか、健康が悪化するのではないのか、ここがこの委員会で一貫して焦点となってまいりました。厚労省に過去の負担増の影響の調査を示すよう求めて出てきたのが、先ほど長妻さんからも御紹介がありました六つの論文ということなんですよね。なぜこの六つなんですかね。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 厚労省で以前から把握していたもの、それから、今回の国会審議の過程で明らかになったもの等をまとめてお出ししたということでございます。

宮本委員 じゃ、現時点で厚労省が把握しているものはこれで全てだということだと思うんですよね。

 長妻さんから指摘がありましたように、この六つのうち五つについては、負担増というのは一般的に、様々なケースを分析していますけれども、健康の悪化をもたらす受診抑制につながると、六つのうち五つがそのことを示しているわけですよ。

 一つ目は、ランド研究所の医療保険実験。これは参考人からも紹介がありましたけれども、低所得の人、そして健康上のハイリスクの人、この方々への悪影響をもたらす、健康悪化をもたらすと。

 それから、日医総研のワーキングペーパーも、先ほど長妻さんから紹介がありましたけれども、過去一年間に経済的理由により受診を控え、その結果、症状が悪化したことがあるという方が五・二%。この結論は、机上の計算のみならず、患者の声に耳を傾ける必要があると書いてあります。

 それから、三つ目の鈴木亘先生の、これは私が国会で取り上げました。糖尿病については自己負担引上げ後に受診率が抑制され、その後、入院確率、入院医療費が増加したということで、治療中断が起きて悪化して入院するということになったと。

 四つ目が馬場園先生の、自己負担増による慢性疾患の受診への影響として、高齢者には一割負担でも影響があることは明らかになった。これも私が紹介した論文です。糖尿病でいえば八・六%、高血圧症で四・四%、受診中断が起きたと。

 五番目が古村先生ですね。古村先生と、あと、なぜか金融庁の官僚の方や財務省の研究所にいた方などと一緒の研究論文になっていますけれども、これについては健康への影響はなかったということを言っているわけですけれども、ほかの研究はレセプトを使ってやっているわけですけれども、これはレセプトを使っているわけじゃないわけですよね。国民生活基礎調査での主観的な健康評価と、あとは人口動態調査の死亡票ということで、しかも平均値で見ているんですね、平均値、これは。

 内外のこの間の先行研究というのは、低所得者や健康リスクが高い人に影響が出るというのが、レセプトだとかあるいは実際の追いかけた調査で明らかになっているんですよ。平均値ではそういうのは捉えられないわけですよね。ですから、五番目も含めて大臣は参考にならないというようなことを言っていましたけれども、私は、五番目については、平均で見るというのはやり方としては違うんじゃないかということを大変感じております。

 それから、六つ目が畝先生のもので、これは、私が国会で紹介した馬場園先生の論文のベースになった、馬場園先生も一緒に参加されているということであります。

 ですから、多くは、健康に影響を与える。厚労省が把握している論文なんかでもそうなっているわけですよ。

 ちょっとお伺いしますけれども、多くが糖尿病への治療中断をもたらすということになっているんですけれども、糖尿病を治療中断したらどういう疾病を併発する可能性があるんでしょうか。

    〔委員長退席、長尾(敬)委員長代理着席〕

正林政府参考人 お答えします。

 一般的に、糖尿病の罹病期間が長期化するほど、数年から数十年かけて糖尿病の慢性合併症を引き起こす患者の割合が増加することが知られています。

 合併症の内容としては、糖尿病網膜症とか、それから、腎不全となり血液透析の導入の原因にもなる糖尿病腎症、それから、感覚障害による下肢の壊死や壊疽の原因にもなる糖尿病神経障害、そして、動脈硬化及びその結果としての心筋梗塞、脳卒中、下肢の末梢動脈疾患などが考えられます。

宮本委員 ですから、大変深刻な病気を引き起こすわけですよね。失明したり、人工透析になったり、手足を切断したり。

 私も昔、目で入院していたことがあるんですけれども、同じ部屋で入院されていた患者の方の中で、やはり糖尿病の網膜症で本当に片目が見えなくて苦労されている方もいらっしゃいましたけれども、大変な病気を引き起こすのが糖尿病の治療中断なわけですよ。そして、この治療中断をもたらすのが患者の負担を増やすということなんだ。そこをこれだけ厚労省自身が把握している論文でも指摘しているわけですよね。しかも、六つ目に紹介している畝先生の論文というのは、表紙を見たら、厚生労働科学研究費補助金、政策科学推進研究事業と書いているんですよね。これは厚労省自身が採択して行った研究ですよね。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の畝氏の論文につきましては、二〇〇四年の論文でありますけれども、大分昔の話ですので、当時どのような経緯で調査研究が行われたかの詳細は不明でございますけれども、当時応募があって厚生科学研究として採択が行われたものでございます。

宮本委員 つまり、厚生労働省自身が採択を行った研究なわけですよ。この研究テーマというのは非常に大事だということで、窓口負担の引上げが糖尿病患者やあるいは高血圧症患者にどういう影響を与えるのかというのを厚労省自身が問題意識を持って採択をした。

 この中の一番初めの方の、全体のまとめが初めに書いてありますけれども、糖尿病患者の受診は、この三回の自己負担増というのは、これは高齢者の負担増も含めて、あるいはサラリーマン本人の負担増だとかいろいろ含めてですけれども、「糖尿病患者の受診は、この三回の自己負担増のいずれにおいても有意に抑制された。」ということが書かれているわけですよね。そして、「糖尿病が強く疑われる人は七百四十万人に達すると推計されており、こうした患者の多くが医療費の自己負担増により医療へのアクセスが阻害されるならば、将来、糖尿病による合併症を併発した多くの患者を抱え込むことになる危険性がある。」そして、「糖尿病医療費が高いことが治療中断の大きな要因の一つになっており、糖尿病、特に、軽症糖尿病に対する診療費を低くし、受診を継続し易くする保険医療政策を推進する必要があると考えられた。」という考えが書いてあるわけですね。

 この自己負担増を分析した、厚労省が採択して行った研究論文の結果は、窓口負担増を更に引き上げろということじゃなくて、既に糖尿病については受診抑制で健康悪化が生じている可能性があるからもっと負担を引き下げなきゃいけない、これが結論じゃないですか。厚労省自身が補助金を出して採択した研究の結論と真逆のことを今回やるということに、大臣、なっているんじゃないですか。

田村国務大臣 今おっしゃられた畝氏の論文でありますけれども、一つは、受診が抑制されたという部分と、高血圧等々は受診が逆に増えたというような部分があるわけであります。

 あわせて、この抑制された部分も定性的に言われている話で、定量的には示されていないというようなことがある中で、なかなか評価が難しいというような最終的には厚生労働省としては判断をさせていただいております。

 併せて申し上げれば、初め、ほとんどと言われましたが、ランド研究、アメリカで行われたものは、これは負担割合と基本的には健康状態には影響がなかったというのが前提で、低所得者に関しては、一部低所得者に関しては影響があったと言われているというものでございますので、我々としては、そのような低所得者にならないような範囲の中で、今回、対象者を絞らさせていただいているということであります。

宮本委員 ランドの研究は、低所得者及び健康上のリスクを抱えている人たちが受診抑制で健康状態が悪化したと。

 では、年収二百万円の七十五歳以上の方が低所得者なのか、高所得者なのか。

 確かに、現役世代に働いてそれなりの収入があって、年金がそういう水準の方もいらっしゃるでしょう。しかし、そこに至るまでに、いろいろな家庭の事情があって貯金をもう費やさざるを得なくなっている方、あるいは、いろいろな理由でいろいろな出費がある方、こういう方も中にはいらっしゃるわけですよね。だから、私は平均で見ちゃいけないということをいつも言っているわけですよ。

 ランドの研究だって、平均で見たら影響はないけれども、個別に所得階層や健康状況に応じて見たら影響が出ると。全部そういう点では同じですよ。平均で見ずに、収入階層やあるいは健康上のリスクに応じて見ていったら、それは当然、負担増というのは受診抑制を引き起こす、そのことが健康悪化につながるのははっきりしているじゃないですか。

 大体、長妻さんが前回紹介された資料でありましたね、高齢者の現役世代並み所得の方を二割から三割に負担を引き上げた際、長瀬式による理論値は、受診日数は〇・四日減だったけれども、実際には〇・五日減だったと。見込みの一・二五倍も受診日が減ったというのは、前回、長妻さんが厚労省の資料を示されておられました。

 つまり、現役世代並みというのは、単身でいえば三百八十三万円あるわけですよ、七十五歳で。なかなかそれぐらいある方はいらっしゃらないですよ。世帯で見れば五百二十万円あるわけですよ。そういう世帯であっても厚労省の見込みの一・二五倍も受診日が減るわけですよ。減るんですよ、これは実際に。

 それが今度は、二割負担の対象はその半分ぐらいの収入ですからね、二百万円以上の方から二割負担になる。三割負担の現役世代並み所得とされる方でもこれだけの受診抑制が起きたら、今度は二百万円以上で二割負担の対象をもっと収入が低いところに広げるわけですから、更に大きな受診抑制を引き起こして、更に大きな健康悪化をもたらすというのは、私は火を見るよりも明らかだと思いますよ。これを否定できますか、大臣。

    〔長尾(敬)委員長代理退席、委員長着席〕

田村国務大臣 後期高齢者の所得上位三〇%という一つの区切りの中で、今回、九割給付を八割給付という形にさせていただくという改正でありますが、あわせて、言われるとおり、それぞれ平均で見ると、若しくは中央値で見ると、この層というのは、現役並みの同じような所得層と比べても貯蓄が多いという話になってまいります。それだけに、現役の方々に対しての負担を考えればということになるんですが、しかし一方で、個々はそれぞれいろいろな事情が違うということもあろうと思います。

 そういう意味も含めて、一つは経過措置を取っているということもありますが、もう一つは、そのために日本の国には高額療養費制度というものがあるわけでございまして、高額療養費の中において、それぞれの所得に合わせて上限が決まる中において医療を受けていただけるということでございますから、そういう意味では、国民皆保険制度のもう一つの我々は大きな柱であるというふうに考えております。

宮本委員 ですから、健康への悪化をもたらす受診抑制を引き起こすということは否定できないわけじゃないですか、先ほどの話を聞いても。経過措置がありますよ、経過措置は三年で終わってしまうんですと。高額療養費がありますよと言いますけれども、糖尿病だけの方は高額療養費まで一般的にはいかない水準の方が多いんじゃないですか、毎月毎月の負担でいえば。もちろん、たくさんの病気にかかっていたら年間の外来の限度額ぐらいまでいく方もいるかと思いますけれども。

 しかし、それにしても、これだけいろいろな研究があり、そして、大臣も健康への影響は出ないんだということは一言も今日はおっしゃることができないわけじゃないですか。出さないように経過措置がありますと言ったって、経過措置は三年で終わるわけですから、何の担保にもならないわけであります。

 それで、資料七ページ目に示しておりますけれども、長妻さんからは立憲民主の案として、賦課限度額を引き上げること、それから、国庫負担を増やすんだという話があります。

 私は国庫負担の話を今日したいんですけれども、後期高齢者医療制度の発足時に比べて、国庫負担率というのはかなり実際は下がっているんですね。これは何が下がっているかといったら、支援金中の国庫負担まで含めれば大変下がっております。

 お伺いしますけれども、支援金中の国庫負担を含めれば、後期高齢者医療制度の国庫負担率は当初幾らで今幾らなのか。当初と同じ国庫負担率にすればどの程度国庫負担は増えますか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、後期高齢者医療制度創設時から現在までの給付費に対する国庫負担率は十二分の四、三三・三%でございます。その上で、議員御指摘のとおり、各保険者からの拠出金に対する国庫負担につきましては、後期高齢者支援金への総報酬割の導入に伴いまして減少しております。ただ、その際には、例えば、国保への財政支援の拡充、あるいは財政力が弱い健保組合への支援を併せて拡大するなど、必要な支援を行ってきたところでございます。

宮本委員 私は数字を言ってくださいと言っているんです。答えてください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 拠出金に対する国庫負担額も含めて、後期高齢者医療費に占める割合で見た場合には、後期高齢者医療制度創設時、平成二十年度に三六・五%であったところでございますけれども、直近の実績、平成三十年度では三三・四%となっております。

 仮に、後期高齢者医療制度創設時の拠出金に対する国庫負担額も含めた後期高齢者医療費に占める国庫負担割合、すなわち三六・五%を平成三十年度の医療費の実績十六・四兆円に乗じた場合には、約六兆円となります。同じ年の国庫負担額の総計は約五・五兆円でございまして、その差は約五千億円程度となります。

とかしき委員長 宮本徹君、申合せの時間が来ております。

宮本委員 つまり、支援金の国庫負担まで含めれば、五千億円、後期高齢者医療制度への国庫負担は実質的には減っているわけですよね。これを元に戻すだけでも、何も窓口負担増をやらなくても、現役世代の負担軽減の財源は、今回やる分は優に出てくるわけですよ。なぜこういうことをやらないのか。なぜ健康への悪化をもたらす窓口負担増を一本やりで突き進んでいくのか。まともな説明になっていないと思いますよ。

 私は、こんなままで、いろいろな対案が出ているにもかかわらず、高齢者の健康悪化をもたらす窓口負担増を強行採決することは絶対に許されないということを申し上げまして、質問を終わります。

とかしき委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 本日も貴重な質問の時間をありがとうございます。

 早速ですが、法案の質疑をさせていただきます。

 まず、将来的な課題です。負担の在り方についてですね、公平な負担の在り方。

 今回の見直しは、当委員会における過去の政府答弁をお聞きしていても、中長期的にこれでずっといくというのではなくて、不断の検討が必要なもの、こういう答弁が何回かされておられる。

 私は先日の総理との質疑でも同じことを聞かせていただいたんですけれども、将来の課題として非常に大きなものとしては、今回の収入区分でも、源泉分離される配当所得や株式譲渡所得、これがいかに巨額でも、例えば一億あろうが十億あろうがこれは勘案されないわけですね。当然、高齢者の中には非常に大きなそういった収入を得ている方が当然いるはずですね、長年働かれてそういった形で財を成されて。そういった方には、今回の例えば二割負担、こういったものがいかない。国民の中で考えてみると、そういうのは非常に不公平な話でありまして、証券会社関係というのはこれはもうマイナンバーを必ず登録しておりますので、国税庁は把握しているはずなんですね。そういった所得も、将来的な課題として、自己負担割合の決定に当然考慮されるべきだと私は思っております。総理にお尋ねしたところ、それも前向きに検討していきたいというような御答弁だったと思います。大臣もお聞きになっていたと思います。

 そこで、改めてお伺いしますけれども、田村厚労大臣としてこの点についていかがお考えか、お聞かせください。

田村国務大臣 今委員が言われた源泉分離課税等、こういうものに関しては、少なくとも今この所得の中の計算には入っていないわけでございまして、そういう意味では、委員が言われるとおり、公平性の観点から考えると非常に重要な指摘だと我々も思っておりますし、これに関しては以前からもこういう議論はあったわけであります。

 ただ、問題なのは、広域連合が保険者として運営する中において、このような配当所得などの情報をどのように入手するかというところが今でき上がっていないわけでありますし、当然、そのためにはその根拠というものをつくらなければならないわけでございます。

 その所得自体、源泉分離によって得られた所得に対しての所得の計算方式、これも多分、どういうふうな計算方式で保険料を取るかということも考えなきゃいけないという技術的な問題はあろうと思いますが、いずれにいたしましても、それはどれぐらいの所得があるかということが前提になりますから、まず所得情報というのが一番の私は問題点になってくると思います。

 どのような形で進めるのか、非常な重要点でございますので、これはちょっと事務方にも、我が省だけではなかなかできない話であると思いますけれども、検討はさせていかなければならないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、委員が先ほどおっしゃられたとおり、今回の改正は、まだまだ高齢者が増えていって、言うなれば後期高齢者医療保険制度というものの財政が厳しくなり、それに対していろいろな形で支援をしていかなきゃならぬという状況になれば若者も大変になってきますから、それをどのような形でどのような人たちが負担していただくのか、こういうことを考えていく話でございますから、重要な指摘として、我々といたしましては検討の課題にさせていただきたいというふうに思っております。

青山(雅)委員 ありがとうございます。

 本当にいつも申しております二〇五〇年、二〇六〇年、三十年、四十年ずっとこの状態が続くというか悪化していくというか、不断の見直しというのは、見直しするための作業を積み重ねることが必要で、今大臣がおっしゃったような難しい課題も、それは時間をかければできるわけですね。それを一週間、一か月でやろうというと難しいわけですけれども。ですから、困難な課題ですけれども、是非チャレンジをお願いしたいと思っております。

 続きまして、この健保法の二割負担に上げることによる受診抑制の問題についてお伺いしていきたいと思います。

 今日の議論を聞いておりましても、受診抑制が国民の健康に影響を与えることについての非常に真剣な議論がなされております。それ自体は大変有意義なことだと思っております。

 ただ、若干視点として欠けているのは、医療というのは本当に難しい側面がございまして、特に私は、個人的な経験で、医療訴訟に深く、この十五年、二十年くらいずっと関わってきた患者側の弁護士からしてみると、医療にはやはり光と影がある。これは私が別に言っているわけではなくて、これはアメリカなんかでは非常に基礎的な調査がなされております。

 例えば、ここにCNNのニュースのデータがあるわけですけれども、二〇一六年の話ですけれども、米国人の死因、第三位は医療ミスか、推計二十五万人が死亡、こういうお話もあります。第三の疾病、医療過誤というふうな名前で、非常に大きな話題を呼んだこともあります。個人的にも、私の親しい家族が、過剰診療というか過剰な医療によって苦しんだという経験もございます。そういうところから考えると、何が適正なのかというのはすごく難しいんだと思っています。

 今日お手元にお配りした資料、これを御覧ください。資料1というものです。これを見ると、日本は、これは日本医師会の研究機構が出しているものですけれども、OECDの中で第二位の受診回数、一人当たりのですね。韓国に続いて第二位。非常に多く受診回数、機会があるわけです。この十二回というのは、一番少ないスウェーデンが二・八ですから、四倍以上なわけですね。

 もう一つ。かなり大きな受け控えというのが昨年あったことは皆さん御承知のとおりだと思います。二〇二〇年、特に高齢者の方が怖がって、一般の今まで通院していたお医者さんにも行かなくなった。私も、個人的に通っているある目医者さん、それまで物すごい混雑だったのが、コロナ禍が発生して以来、通っている患者としては助かるんですけれども、患者数が激減して通うのが非常に楽になったという事実がある。

 そんな中で何が起こっているかというと、実は、二〇二一年の三月十五日に発表している政府の発表によると、感染症研究所でしたかね、いずれにしても公的機関の発表によると、超過死亡と過少死亡の推計を比べると、過少死亡が圧倒的に優位になっているんです。つまり、去年、受け控えの結果、実は逆に死亡者数が抑制されているというような事実もあります。

 ですから、私は、これは単純に、受診回数が減った、受け控えがあったからといって、直ちにそれが国民の健康を損ねるかどうかというのはいろいろな解析が必要である。

 というのは、私は、医療過誤の訴訟をやっていると、医療の常識は本当に五年から十年単位で大きく変わることがあるな。コレステロールが全部悪玉だった中から善玉もあるんだとか、あるいは、中性脂肪はすごく基準値が低く抑えられて、積極的な投薬をした挙げ句に、逆に健康被害を引き起こして基準値が引き上がるとか、やはりいろいろ揺れ動くんですね。そうすると、私は、やはり適正な受診回数であるとか適正な医療というのはどこかにある、ただ、それを測るのは非常に難しいので、そこだけの議論をしていってもなかなか結論は出ないのではないかなと皆さんの議論を聞いていて思うんです。

 先ほどの受診回数の表に戻るわけですけれども、これを見ると、世界第二位。普通、平均的なところが六くらいでしょうか、それに比べると倍あるわけですね、受診回数。そういうような日本の今の現状を見ると、今回の改正案によって、これが、国際的な水準から見ての話ですけれども、健康維持や療養に当たって不相当な水準まで抑制されるとは私は一概には考えられないんじゃないかなと思うんですけれども、政府はその点についてどうお考えになっているのか、御意見をお聞かせください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、OECDの調査におきましては、国民一人当たりの受診回数は年間十二・六回ということで、韓国に次いで多い結果でございます。

 これは、我が国におきましては、国民皆保険の下で患者が自由に医療機関を選んで受診できるフリーアクセスが確保されている結果、諸外国に比べて受診回数が多いのではないかというふうに考えております。

 今回の見直しによるいわゆる長瀬効果につきまして、機械的に受診日数の変化に換算いたしますと、これまで答弁申し上げていますとおり、七十五歳以上の方の外来受診日数は三十三日から三十二・二日へ、二・六%減少する一応計算になります。

 これが、議員の言われるように、諸外国と比べて大きいか小さいか、この減少幅がどうかということをなかなか評価することは難しいですし、御指摘のとおり、個人の健康には様々な要因がございますので、窓口負担見直しに伴う受診行動のみを取り出して健康状態に影響を与えるかどうか、分析することは難しいと考えております。

 いずれにいたしましても、今回の改正法案では、一定の収入以上の方々のみを対象に窓口負担を二割とするものでありまして、また、配慮措置もしっかり講ずることで、必要な受診抑制を招かないようにしているということでございます。

青山(雅)委員 私は、今、質問で一つの結論に導こうというつもりは毛頭ございません。

 今の日本の社会保障というのは、先日も参考人質疑でも申し上げましたけれども、大変優れたもの、国際的に比較しても。そして、自分自身も安心してかかれる、いろいろな専門分野にかかれると思っています。

 ただ、これが我々の世代だけがそれで満足していてはいけないわけで、子供たちの世代にもきちんと受け継いでいかなければいけないし、そのためには、やはり、厳しい財政状況の中で、維持可能な、SDGsな医療にしていかなければいけないし、そのためには、やはりスリム化しなきゃいけない部分も出てくるんだと私は思っています。

 ですので、財政、そして国民の健康、どちらも難しい課題ですけれども、その点について、政府は、どちらかに偏るのではなく、そして今だけに偏るのではなく、三十年、四十年を見据えた検討を是非お願いしたいと思っております。

 それと併せて、大臣に御所見をお伺いしたいのは、最後に、もう時間がないものですからこの一問で終わりになると思いますけれども、資料2を御覧ください。

 これを見ると、資料2、3、圧倒的に今度は人口千人当たりの医師数や人口十万人当たりの医学部卒業生は低いわけですね、少ないわけです。受診回数は多くて、医師数、それから医学部卒業生は少ないわけですから、これは当然、お医者さんは混雑しますし、待ち時間は長くなりますし、今回のコロナのような問題があれば即応できない。

 前々から申し上げておりますけれども、やはりこういう現実を見ると、私は医師数は増やさなければいけないと思いますし、その点についていま一度大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 我々も、医師数を増やさなければならないという意識の下で、医学部の定員を地域枠というものを中心に増やしてきたわけでありまして、以前も申し上げましたけれども、年間、今、医師の資格を失われる方、もちろん亡くなられる方もおられると思います、それから新しく医師になられる方、その差が三千五百から四千人ぐらい増えてきておる。毎年であります。

 二〇二七年に、ここで表をお示しいただきましたけれども、OECD諸国の加重平均まで今のままでいくといくであろう。医師は、大体八年、養成に最低かかりますから、そういうことも踏まえた上で、これを減らすだとかという話じゃなくて、今の枠をどうしていくか。

 つまり、今、コロナのお話もありました。これは、コロナという話をしますと、ただ単に医師を増やすだけではなくて、例えば呼吸器の感染症ですね、こういうような医師を養成していかなきゃいけないということになりますから、診療科というものも重要になってくるわけでありますけれども、そのようなことも踏まえながら、どれぐらいが適正なのかということをこれから議論して決めていかなきゃならぬというふうに思っておりますので、決して今から医師を減らしていくということではないということは御理解をいただきたいというふうに思っております。

青山(雅)委員 是非、現在の状況も踏まえた上で、今おっしゃったように、適正な国民全体のことをおもんぱかった医師の数あるいは医学部卒業生の数について御議論をいただきたいと思います。

 時間がまだありますので、では、もう一問お伺いしたいと思っておるんですけれども、大臣に是非お伺いしたいんですけれども、企業において労働者は、どうしても今の日本は、人手不足であったりとか、例えば今の政府の厚労省とかがまさにそうですけれども、休むことが許されないような状況になっている。欠席よりも、体調不良なのに無理して出勤する。そうすると、当然、例えばコロナのような場合では広がってしまうわけですね。その方が経済的にも損失が大きい。

 保険者と事業者が、要は健康保険組合と企業が積極的に協力し合って労働者の健康を守る、これをコラボヘルスというわけですけれども、これには労働部門と保険部門の連携が欠かせないわけですね。これが今後日本における大きな課題になってくると思うんです。長時間労働や過酷なプレッシャーを、ただ健康のためにやめなさいと言ってもそれをやめない。そのためには、労働部門の方がきちんとそこをサポートしなきゃいけない。

 そういったことで、是非私は田村大臣にそこをリーダーシップを取っていただきたいわけですけれども、それについての御見解をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 保険者という意味では、保健事業をやっていただいて、健康的な生活をしていただくためのいろいろな健康管理、これは企業、事業主がやっていただくということでありまして、平成三十年から、日本健康会議、この間、私、大臣になってすぐに出席させていただいたんですけれども、ここで、経産省でありますとか、あと産業界の方々といろいろと、保険者等々も含めていろいろな協力体制を組んでいくということの重要性、そして、健康スコアリングレポートというものを作っておりますので、これを事業者単位で作っていただく中において、しっかりと事業者もそこに責任を持って健康管理に加わっていただく、こういうことも今進めておる最中でありますが、あわせて、事業者の下で年に一回健康診断を安衛法にのっとってやっていただいておりますが、こういうデータを保険者の方に御提供いただいて協力していく中において、しっかりと健康を保っていくということも重要でございます。

 いずれにいたしましても、今委員が言われた点は非常に重要なところでございまして、このコラボヘルスというもの、これをしっかりと進める中において、事業者と保険者というものが一体となって、従業員の方々の、労働者の方々の健康をしっかり守っていただける、こういう環境を我々も整えるためにいろいろな協力をしてまいりたいというふうに思っております。

とかしき委員長 青山雅幸君、申合せの時間が経過しております。

青山(雅)委員 よく財務金融委員会で麻生副総理が、日本の最大の課題は、高齢化社会、そして社会保障の両立、ここを言われるわけですね。

 一番難しいポジションに今、田村大臣はおられると思いますけれども、中長期的課題、国民全体のために、一部のところだけを見る、目配りするのではなく、是非広い目配りでお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。

 私が最後の質問者になるようでございますが、済みません、今日も宇波次長、財務省、来ていただきましたけれども。

 正直、残念です。この後、与党の皆さんは、野党の筆頭理事の了解なく、合意なく採決に踏み切る、動議を出すやの話を聞いておりまして、私は、先ほど午前中に尾辻委員がおっしゃった、本当に同感です。まさに緊急事態宣言が延長になる。このコロナ禍で、この厚労委員会で質疑すべきことは本当にたくさん。

 私も正直、この法案の中身よりもコロナ対策のことを今日も聞かせていただこうと。それは、聞かざるを得ないんですよ。私はインドの方の入国を止めるべきじゃないかということを今日この後聞こうと思いますけれども、それは今日聞かないと間に合わないですからね。来週とか再来週やったってしようがないんですよ。だから、今日やらせていただきますけれども。

 そういう中で、この法案、まだまだ問題点がたくさんある中で採決するのは本当に早過ぎると思います。

 ただ、我が会派の中で、国民民主党会派の中で、法案の議論は大激論になりました。大激論になりましたけれども、問題点は本当にたくさん、この委員会でもたくさん出た。その課題はあるものの、ただ、現役世代の負担軽減、これはもう待ったなしであることも事実だと。私からすると、本当にやむを得ずですけれども、法案については賛成をいたします。

 ただ、動議が出た場合は、これは私、賛同しかねますね。この状況で採決するという動議には反対をすることを申し添えた上で、ちょっと質問に入りますけれども。

 まず、先日、私、入国、水際対策で、今、大体、約二千人が一日に入国されていますけれども、そのうち十四日間自宅待機にしてもらう方をどう確認するかということで、位置情報アプリを登録してもらう、その数が約四分の三だという答弁でした。それから、その四分の三のうちの約八割は返信してくれるけれども、二割は返信がないということでした。ということは、四分の三掛ける五分の四、掛けると、四割、約八百名は、これは何の、野放しというか、自宅待機を本当にしているかどうか分からないという計算になるわけですけれども、ちょっとこの正確な数字を、通告していますので、日によって違うと思うので、直近の一週間の平均値で結構ですから、今私が申し上げた数字の正確な数字を教えてください。

正林政府参考人 済みません、通告は、位置情報確認アプリで、インストールだけじゃなくて、IDとかパスワードを入れてログインしている件数はどうかという通告だと伺っていますが、それでよろしいですか。(高井委員「それでもいいです」と呼ぶ)

 入国者のフォローアップに当たって国が運営を委託する入国者健康確認センター、そこが、メールとか電話を通じた各入国者の健康状態の確認に加えて、位置情報確認アプリを通じた居どころの確認によって自宅等待機の徹底を図っています。

 具体的には、フォローアップ対象の方々に、入国時に、本人同意の上で、位置情報を確認できるスマートフォンアプリをインストールしていただくとともに、十四日間の待機期間中、センターからの連絡に応じて画面上のボタンを押していただくことにより、本人の居場所がセンターに通知され、本人の自宅等での待機を確認できる仕組みとなっています。

 このアプリを使用する際、インストールに加えて、センターから個別に通知されるIDとパスワードを入力してログインを行う必要があるところ、ログイン実施済みであることが確認されているのは、直近で、確認できる五月三日までの一週間の平均値で、対象者一日当たり二万一千五百五十二人のうち一万六千三百三十六人、パーセンテージで七六%になります。このうち、位置情報の確認に応じていることが確認されているのは一万三千二十七人であり、これはログインいただいている方のうち約八割、フォローアップ対象者全体のうちの約六割に相当します。

高井委員 いろいろ言われましたけれども、要は、二万一千人のうち一万三千人しか把握できていないということなんですよ、皆さん。そういうことなんですよ。今ちょっと煙に巻いたように、いろいろ言われましたけれども。

 ほかの方は、ある意味、登録したってログインしてくれなかったら意味がないし、それからビデオ通話も、ビデオ通話は何か増えたと聞いているんですよね。ちょっと後で教えてください。私の前回の答弁で、一日百人しかやっていないと言ったのが今幾らになったか。それから、もう一つ通告していますけれども、今言った数字の中で、インドからの帰国者はこのうち何名ですか。

正林政府参考人 まず、国に関してですけれども、滞在国別の状況については入国者別のデータの精査が必要なので、ちょっと今お答えすることができません。

 それから、ビデオ通話の件ですけれども、ビデオ通話の実施体制について、前回、私、百というふうに答弁しましたが、直近で一日当たり千三百件の架電を行っているところであります。

 今後も、人員の増加、それからシステム上の効率化等の業務改善の検討を行って、更に多くの対象者の状況を確認し、十四日間の自宅等での待機を遵守していただけるよう対応を進めてまいりたいと考えております。

高井委員 今、百が千三百に増えたそうなんですよ。これは、やればできるじゃないかと。だって、人を増やすだけでいいんですからね、オペレーターセンターに委託しているんですから。その予算を増やせばいいと大臣と主計局次長にこの間言ったら増えたので、それはよしとしますけれども。

 しかし、大臣、是非ちょっと聞いていただきたいんですけれども。インドの方、まず、分からないと言われましたけれども、そんなことないですよね。昨日の時点ではすぐ調べますと言っていたものが、二十四時間以上たって、こんな、出てこないというのはおかしいですから。きちんと、次また聞きますから、出るまで聞きますから、教えてもらいますし。あと、今言った数字をまた精査したいと思いますけれども、やはり完璧に把握しないと、特にインドから来た方が、自宅待機十四日間と言っておきながら、結局、位置情報も登録せずに、テレビ電話もしなくて、どこかうろうろしていたら、それはやはり広まりますよね。イギリスのとき、同じ轍を踏んだわけですよ。

 私は、さっき法務委員会で、法務省と外務省には、入国を止めるべきだと、インドからの帰国者は。ただし、日本人は、やはり、戻りたいという人はチャーター機を出してあの武漢のときのようにやるべきだと言いましたら、外務省、法務省も、今政府で検討していると。恐らく厚労大臣も含めて三省で検討することになりますから、これは本当に速やかに検討して、あの英国の轍を踏まずに、今度のインド種は確実に捕捉する。

 そして、その鍵となるのは、インドから帰ってきた方には確実に、テレビ電話、ビデオ通話、あるいは位置情報。インドに限らないでいいですよ、一日二万人、これはしっかり一人も漏らさずやるぐらいの決意を是非大臣にお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 人で対応しているもの、これはAI等々を含めて対応できないかと。要するに、本人の確認、顔画像でできればいいわけでありますので。そういうことを含めて、しっかりとこれはやはり対応していかなきゃならないというふうに我々も思っております。インド、今それからネパールでありますとかパキスタン、こういうところを中心に対応していかなきゃならないというふうに思っております。

 一方で、今、力を入れているのはN501Yの変異株でございまして、これは国内でかなり増えてきておりますので、これに対する対応をどうするかということも考えていかなきゃならないと思います。

 インドの変異株に関しては、まだエビデンス自体は実はよく分からない中において、それでも三日間停留しているのは、N501Yも実はインドでは増えているんですね。ですから、N501Yが非常に増えているというところで今三日間の滞在をお願いしておりますが。今回、緊急事態宣言でございますが、延長いたしますので、これはもうエビデンス云々ではなくて、幅広に抑えていかなきゃならないというふうに思っておりますので、委員がおっしゃられたところをしっかりと我々も肝に銘じながら、早急に対応してまいりたいというふうに考えております。

高井委員 本当に厚労省は仕事が多いので大変なのは分かりますけれども、そういう医学的なことよりも検疫。検疫の、ちょっとここはやはり、大臣、少しおろそかになっているような気がするんですよね、もっと目を配っていただいて。やはり、ここはちゃんと人とお金をかければしっかりできる話ですから、是非ここを、入国、水際対策、しっかりお願いしたいと思います。

 それで、あと五分なので、法案の話を聞きますが、主計局次長、来ていただいていますが、私は、参考人質疑でも出たんですけれども、金融資産の三分の二が高齢者に集まっている、やはりそこにも負担をお願いすべきだという、四人の参考人、皆さん同じ意見でした。ただ、これをやるにはマイナンバーが必要ですよねと言ったら意見が分かれました。

 財務省は財政制度分科会で、財務省が社会保障の改革案として医療費の自己負担割合に金融資産を加味する仕組みの導入を提案したという報道があるんですけれども、それが事実かということと、あと、これをやろうと思ったらマイナンバーと預貯金口座のひもづけが必須じゃないかと考えますが、財務省、いかがですか。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、財政制度審議会での議論は事実であります。かつても、例えば昨年十一月の建議においても、金融資産の保有状況も勘案して負担能力を判定する体系を構築すべく、具体的な制度設計について検討を進めていくべきであるというような建議がなされております。

 社会保障の費用を分かち合う際の、応能負担を取る場合に、これをより公平なものにしていくためには、フローの所得だけでなく資産の保有状況も勘案することが重要であるというふうに考えてございます。

 具体的な実施方法については、委員御指摘のマイナンバーの預貯金口座へのひもづけ、これも極めて重要な一つの方法ではないかというふうに考えておりますけれども、具体的な設計については、実効性あるいは公平性確保の観点から、引き続き関係省庁ともよく検討してまいりたいというふうに考えております。

高井委員 私は財務省のこの提案はいい提案だと思いますけれども、厚労大臣の御見解はいかがですか。

田村国務大臣 預金口座は、まさに、今のところ本人の申告といいますか、それ以外にないわけですね。介護保険で補足給付に関しては、御本人の申告と、それから金融機関に対して調査をすることの同意をたしかいただいた上でやっておりますが、本当に全部捕捉できているかというとなかなか難しいところがあると思います。でありますから、今言ったようにマイナンバーを使いながら捕捉をしていく。ただ、これは、一つは社会的には反対をされる方々もおられるということでありますから、そこの御理解を十分にいただいていかないとなかなか難しいということでありますが。

 ただ、いずれにいたしましても、金融資産というものに一つ大きく目を向けていかないと、社会の、負担能力というものに対して、国民の皆様方の御理解というものがなかなか得られにくくなりつつあるという認識は持っておりますので、我々も、これに関してはしっかりと財務省、金融庁とも相談をさせていただきながら、これから検討を進めたいというふうに思っております。

高井委員 本当にこれはすぐに検討していただきたいと思いますし、それと加えて、この委員会で私もずっと取り上げてきたのは保険料と公費の負担のバランスですね。公費は税もあれば国債もあります。そのことで何度も主計局次長とはやり取りしてきましたけれども。やはり、ここのバランス、負担を今後考えていく。

 今回の法案は本当に第一歩ということで仕方ないとしますけれども、やはり今後の改革が極めて大事で、先日、四月二十一日のこの委員会で、大臣は、今後の社会保障財源の国民的議論が必要だという私の質問に答弁をされていますけれども、これは一体、いつ、どのような形で国民的議論を行う考えか、お聞かせください。

田村国務大臣 これは、答弁書に書いてあるとおりにいくと、まさに今回の附則第二条第一項において、実績の検証を行うとともに、総合的な検討に着手すると書いてあるわけでありますが。

 早く、というのは、根幹的な見直し、より大きな見直しをしようと思うと、これはやはり国民的な御理解をいただかなきゃいけませんから、時間がかかります。ということは、なるべく早く着手をしないと、国民的御理解をいただくためには一定の時間がかかるということでございますので、私はなるべく早く国民的な議論をしていかなければならないというふうに考えております。

高井委員 まさにこの点が、私もずっとこの委員会で取り上げてきたことですけれども、やはり全然結論が出ていないし、やはりもっと議論を深めて、保険料と公費のバランスの問題は議論しなきゃいけない、まだまだ不十分だと。

 このまま採決に入るのは極めて遺憾だ、残念だということを申し上げて、質問を終わります。

とかしき委員長 大岡敏孝君。

大岡委員 議事進行に関する動議を提出いたします。(発言する者あり)

 現在審議中の両法律案のうち、内閣提出法律案について質疑を終局し、討論を省略し、直ちに採決されることを望みます。

とかしき委員長 大岡敏孝君の内閣提出法案の質疑終局、討論省略、直ちに採決すべしとの動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

とかしき委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、全世代型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

とかしき委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

とかしき委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

とかしき委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十八分散会


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