衆議院

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第20号 令和3年5月19日(水曜日)

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令和三年五月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 とかしきなおみ君

   理事 大岡 敏孝君 理事 門  博文君

   理事 田畑 裕明君 理事 長尾  敬君

   理事 橋本  岳君 理事 中島 克仁君

   理事 長妻  昭君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    安藤 高夫君

      上野 宏史君    大串 正樹君

      大隈 和英君    木村 次郎君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      国光あやの君    小島 敏文君

      後藤 茂之君    後藤田正純君

      高村 正大君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      武井 俊輔君    出畑  実君

      西田 昭二君    百武 公親君

      村井 英樹君    山田 美樹君

      渡辺 孝一君    稲富 修二君

      尾辻かな子君    大島  敦君

      川内 博史君    白石 洋一君

      津村 啓介君    西村智奈美君

      山川百合子君    山井 和則君

      吉田 統彦君    早稲田夕季君

      伊佐 進一君    桝屋 敬悟君

      宮本  徹君    青山 雅幸君

      高井 崇志君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣     三原じゅん子君

   厚生労働副大臣

   兼内閣府副大臣      山本 博司君

   経済産業副大臣      長坂 康正君

   防衛副大臣        中山 泰秀君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   内閣府大臣政務官     三谷 英弘君

   外務大臣政務官      國場幸之助君

   財務大臣政務官      船橋 利実君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  十時 憲司君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 猪原 誠司君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 木村 秀美君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       塩見みづ枝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  正林 督章君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           渡辺由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    赤澤 公省君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    奈須野 太君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 椎葉 茂樹君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     出畑  実君

  高村 正大君     西田 昭二君

  川内 博史君     吉田 統彦君

同日

 辞任         補欠選任

  出畑  実君     国光あやの君

  西田 昭二君     高村 正大君

  吉田 統彦君     川内 博史君

    ―――――――――――――

五月十八日

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(海江田万里君紹介)(第八二一号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第八二二号)

 同(小島敏文君紹介)(第八二三号)

 同(関健一郎君紹介)(第八二四号)

 同(竹本直一君紹介)(第八二五号)

 同(宮腰光寛君紹介)(第八二六号)

 同(山本拓君紹介)(第八二七号)

 同(横光克彦君紹介)(第八二八号)

 同(吉川元君紹介)(第八二九号)

 同(早稲田夕季君紹介)(第八三〇号)

 同(井上義久君紹介)(第八四一号)

 同(小里泰弘君紹介)(第八四二号)

 同(中川正春君紹介)(第八四三号)

 同(青山周平君紹介)(第八五八号)

 同(石田真敏君紹介)(第八五九号)

 同(太田昭宏君紹介)(第八六〇号)

 同(奥野信亮君紹介)(第八六一号)

 同(福田達夫君紹介)(第八六二号)

 同(泉健太君紹介)(第八七一号)

 同(大串博志君紹介)(第八七二号)

 同(笠井亮君紹介)(第八七三号)

 同(井出庸生君紹介)(第八八五号)

 同(木村次郎君紹介)(第八九二号)

 同(馳浩君紹介)(第八九三号)

 同(後藤茂之君紹介)(第九〇四号)

 同(岩屋毅君紹介)(第九〇八号)

 同(塩崎恭久君紹介)(第九一四号)

 同(山本公一君紹介)(第九一五号)

 同(白石洋一君紹介)(第九二〇号)

 同(森山裕君紹介)(第九二二号)

 同(西村明宏君紹介)(第九二五号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第九二六号)

 同(小熊慎司君紹介)(第九九〇号)

 福祉職員を増やし、賃金を引き上げることに関する請願(津村啓介君紹介)(第八三一号)

 七十五歳以上医療費窓口負担二割化に反対することに関する請願(宮本徹君紹介)(第八四〇号)

 安全・安心の医療・介護の実現と国民の命と健康を守ることに関する請願(中川正春君紹介)(第八四四号)

 同(笠井亮君紹介)(第八七五号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第一〇三八号)

 パーキンソン病患者への難病対策の推進に関する請願(中川正春君紹介)(第八四五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第八九四号)

 同(江田康幸君紹介)(第八九五号)

 同(佐藤英道君紹介)(第八九八号)

 同(金子恵美君紹介)(第九〇一号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第九〇五号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第九二三号)

 同(馳浩君紹介)(第九二四号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第九二七号)

 同(柚木道義君紹介)(第九二八号)

 同(岡本あき子君紹介)(第九九三号)

 同(田畑裕明君紹介)(第九九四号)

 同(平口洋君紹介)(第一〇一九号)

 同(階猛君紹介)(第一〇二八号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第一〇二九号)

 同(細田健一君紹介)(第一〇三〇号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一〇三二号)

 同(石田真敏君紹介)(第一〇三九号)

 七十五歳以上医療費窓口負担二割化撤回に関する請願(亀井亜紀子君紹介)(第八四六号)

 同(亀井亜紀子君紹介)(第八六三号)

 同(高木錬太郎君紹介)(第八九九号)

 同(森田俊和君紹介)(第九〇〇号)

 同(日吉雄太君紹介)(第九〇二号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第九一〇号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第九一一号)

 同(池田真紀君紹介)(第九七二号)

 同(川内博史君紹介)(第九七三号)

 同(山内康一君紹介)(第九七四号)

 同(山川百合子君紹介)(第九七五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九九五号)

 同(日吉雄太君紹介)(第九九六号)

 同(中川正春君紹介)(第一〇二〇号)

 同(村上史好君紹介)(第一〇二一号)

 同(山本和嘉子君紹介)(第一〇二二号)

 同(吉川元君紹介)(第一〇二三号)

 同(岡本あき子君紹介)(第一〇四〇号)

 医療・介護の負担増の中止を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第八七四号)

 同(小川淳也君紹介)(第九〇九号)

 同(谷田川元君紹介)(第九九一号)

 同(中川正春君紹介)(第一〇一八号)

 子供のための予算を大幅に増やし国の責任で安全・安心な保育・学童保育の実現を求めることに関する請願(谷田川元君紹介)(第八九一号)

 同(宮本徹君紹介)(第九一九号)

 障害福祉についての法制度拡充に関する請願(松田功君紹介)(第九〇三号)

 七十五歳以上医療費窓口負担二割化撤回を求めることに関する請願(小宮山泰子君紹介)(第九〇七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九二九号)

 同(笠井亮君紹介)(第九三〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九三一号)

 同(志位和夫君紹介)(第九三二号)

 同(清水忠史君紹介)(第九三三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九三四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九三五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九三六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第九三七号)

 同(藤野保史君紹介)(第九三八号)

 同(宮本徹君紹介)(第九三九号)

 同(本村伸子君紹介)(第九四〇号)

 同(山川百合子君紹介)(第九七六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九九七号)

 同(笠井亮君紹介)(第九九八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九九九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇〇〇号)

 同(清水忠史君紹介)(第一〇〇一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇〇二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇〇三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇〇四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一〇〇五号)

 同(藤野保史君紹介)(第一〇〇六号)

 同(宮本徹君紹介)(第一〇〇七号)

 同(本村伸子君紹介)(第一〇〇八号)

 新型コロナ危機打開のため雇用調整助成金の特例措置の延長等に関する請願(志位和夫君紹介)(第九六八号)

 同(清水忠史君紹介)(第九六九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九七〇号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第九九二号)

 中小零細・個人事業者の社会保険料負担の軽減と制度拡充に関する請願(畑野君枝君紹介)(第九七一号)

 社会保険料の負担軽減に関する請願(田村貴昭君紹介)(第一〇一七号)

 新型コロナ対策の強化、介護報酬の引上げ、介護従事者の大幅な処遇改善、介護保険制度の抜本改善を求めることに関する請願(宮本徹君紹介)(第一〇三六号)

 全国一律最低賃金制度の実現を求めることに関する請願(藤野保史君紹介)(第一〇三七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

とかしき委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官内山博之君、厚生労働省医政局長迫井正深君、健康局長正林督章君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、子ども家庭局長渡辺由美子君、社会・援護局長橋本泰宏君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

とかしき委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村委員 B型肝炎ウイルス特措法改正案について質問いたします。

 特措法の制定から十年、最大四十五万人と見込まれる対象者のうち、昨年末の時点で約八万人台の提訴数ということで、この大きなギャップを何とか解消していかなければならないという中で、来年の一月にはこの特措法の期限が切れる、それではまずいということで、これを延長しようというのが今回の改正案の趣旨だと理解しております。

 問題の核心は、ウイルスの検査がなかなか進んでいないということ、そしてもう一つは、弁護士費用が高額になっていることなど、幾つかの要因が背景だと考えておりますが、本日は、三つの観点からこの五年間の厚労省さんの取組をファクトチェックさせていただきながら、一部御提案を差し上げたいというふうに思っています。

 まず一つは、実態把握、感染者の方々についてどういう形でそもそもファクトを確認しているのかということ。二つ目は、前回、五年前の参議院での附帯決議で、このウイルス検査を定期健診のメニュー化すべきだということが与野党の合意で明記されているわけですけれども、これについての取組が進んでいるかどうかということ。そして、弁護士費用についても、前回、塩崎大臣はかなり踏み込んだ御答弁をいただいているので、その後、日弁連とのやり取りがどうなっているかということの確認でございます。

 まず最初に伺いますが、平成二十八年の衆議院厚生労働委員会で、当時の政府参考人の福島さんは、今回延長した場合、五年前のことですけれども、法制定時と同じように、最大四十五万人の方に提訴いただくことを見込んでいると答弁されています。この四十五万人という大きな枠組みについては変化はございませんか。

田村国務大臣 法制定時、基礎資料等々、広く活用されている患者調査というのが平成二十年に行われておりまして、この資料でありますとか、あと献血データ等を基に、疫学、統計学的に専門家の方々の御意見を伺いながら、最大四十五万人という形で推計したわけでありますが、その後、現在に至るまで、B型肝炎ウイルスの感染力、感染率、こういうものについて新たな知見もないことでございますので、今委員言われましたとおり、現在も、この四十五万人、最大でありますけれども、こういう形の中で推計、これは変更いたしていないということでございます。

津村委員 当時の平成二十八年五月十二日の参議院での質疑の中で、やはり福島さんは「肝炎ウイルス検査の受検状況を把握するために、平成二十三年度に私どもで実施した調査におきましては、国民の約半数の方が肝炎ウイルス検査を受けていると推計をされたわけでございますけれども、このうち、御本人が検査を受けていたということを自覚していらっしゃる方がそのうちの三分の一ぐらい」と御答弁になっています。

 この受検率そして認識受検率ということがまずはこの議論の大前提になると思うんですが、直近の国民におけるB型肝炎ウイルス検査の受検率及びそれを本人が認識している認識受検率について、直近の調査が、私の伺っているところでは平成二十九年度かと思いますが、正確な数字をB型肝炎についてお答えいただければと思います。二十九年度以降の調査がないかどうかも確認させてください。

山本副大臣 肝炎ウイルス検査を受ける機会といたしましては、自治体による検査、職域による健診、妊婦健診、医療機関での手術前における検査等がございまして、職域健診や妊婦健診など、他の検査項目と一体的に行うものもあるため、御本人が自覚しないうちに受検している場合もあると考えている次第でございます。

 今委員御指摘ございました平成二十九年度に、国民の肝炎ウイルス検査の受検状況を通した研究におきましては、C型肝炎ウイルスでは国民の六一・六%、B型肝炎ウイルスでは国民の七一・〇%が検査を受けたと考えられておりますけれども、自身が検査を受けたことを認識している方の割合に関しましては、C型肝炎ウイルスでは国民の一八・七%、B型肝炎ウイルスでは国民の二〇・一%でございまして、御指摘の平成二十三年度の調査とは調査の母数などが異なるため、単純に比較することはできませんけれども、検査の受検率には一定の改善が見られるものの、受検を自覚している割合には大きな変化はないと考えられる次第でございます。

津村委員 委員の皆さんに是非聞いていただきたいんですけれども、今日、私は、二十分の質問時間で約十個の質問をしようと思って、早口でしゃべっております。訳が分からないと思いましたので、問い起こしを全部差し上げていまして、コロナウイルスのことを最後に聞きたいんですが、まずは、今日はB型肝炎の貴重な機会なので、この質問をB型肝炎のところから始めさせていただいて、今、二番目と三番目の問いに来ているところです。

 ここから厚労省の取組について伺いたいんですけれども、平成二十九年の調査について今御紹介いただきましたが、五年に一回B型肝炎のこの特措法を議論するのは、そういう仕組みになっているわけじゃないですか。どうしてこの議論の直前にきちっとこの調査をしていただけないんですか。平成二十九年の数字を見ながらこの議論をするというのはちょっと間尺に合わないと思うんですけれども、いかがですか。

田村国務大臣 これは、言われるとおり、平成二十九年に実施した調査でありますが、幾つか調査をやっていまして、令和元年から令和三年の調査、令和二年から令和四年に向かっての調査は今も走っている最中でございまして、そういう意味では、その時々の受検率といいますか、こういうものに対する調査に関しては、必要な部分に関していろいろな調査をそれぞれの研究者の下でやっていただいております。

 今般はこの二十九年度ということでありましたけれども、これからも順次検査というものはやっていくわけでございますので、次に向かって、次にまた国会で御審議をいただくというようなことになれば、そのときの直近のデータは、今やっている調査よりもまた新しい調査がまとまれば、その調査でしっかりと御議論いただきたいというふうに思っております。

津村委員 今回も五年の延長ですので、この五年間で全て問題解決することがベストシナリオではあるものの、場合によっては五年後にまたこの議論をすることになるかと思います。そのときに四年前の数字で議論するというのは、やはり正しい問題認識ができないと思いますので、今大臣は前向きなお答えをしていただきましたけれども、五年後にこの議論をもう一回するときには、是非そのときから見た直近の数字をきちっと整えていただきたいということを御要望いたしますし、御了解いただいたものと認識をいたしました。

 そうした中で、次ですけれども、B型肝炎ウイルス検査の実施状況についてということで、これは、前回、平成二十八年五月十二日、参議院の質疑で、川田龍平さんとの福島参考人のやり取りですけれども、やはり大事なのは職域における定期健診、ふだんからサラリーマンの方々が受ける定期健診において、四十代から五十代の働き盛りの方の受検率が低迷しているという中で、最も有効なのは定期健診のメニュー化をすることだろうという質問に対して、福島さんは、「職域における肝炎の受検率でございますけれども、」「平成二十三年度から二十五年度までに行いました厚生労働省の研究班の報告によりますと、千人以上の事業所で約三七%、六十人未満の場合は約一四%ということで、特に中小企業では低い受検率となっておるわけでございます。 御指摘のように、検査を受ける方の利便性を高めて受検率を向上するためには、職域における肝炎ウイルス検査の受検を促進していくことは重要であると考えているところでございます。」

 このやり取りを受けて、参議院での附帯決議におきまして次のような文言が追加されました。これは十年前の特措法のときにはなかった文言ですが、「肝炎ウイルス検査の受診率を向上させるため、現行の諸施策の効果について検討した上で、定期健康診断等のメニューへの追加や、当該検査費用助成の拡充について検討すること。」

 この定期健康診断等のメニューへの追加ということについてどういう議論がなされたかということと、この数字、今の三七%、一四%が向上しているかどうか、確認させてください。

山本副大臣 企業の受診状況に関しての実施に関しましては、平成二十三年からの研究班が行った研究以降、全国的な調査は行っておりませんけれども、広島県が県内企業を対象とした実施によりますと、肝炎ウイルス検査を実施していると回答した企業は、平成二十五年度では二九・五%、平成二十八年度では三二%となっている次第でございます。

 こうした職域における検査は大変大事でございますので、従業員の受検率の向上も重要と考えている次第でございます。

田村国務大臣 二つほどそのとき附帯決議があるわけですが、一つは定期健診等へのメニューの追加と、当該検査費用助成の充実ということでありまして、充実に関しては、内容的に、助成の額といいますか、負担を軽減というような形と、これは陽性者に対する定期検査費用でありますけれども、もう一つは、陽性者に対する初回精密検査の助成の対象者、これに関して、自治体検査の陽性者に加え、今言われた職域検査でありますとか妊婦健診、手術前検診の陽性者、これを追加をさせていただきました。

 今言われた定期健診に対するメニューの追加なんですが、これは御承知のとおり、定期健診は事業主がやっておられるわけでありまして、労働安全衛生法にのっとってやっております。これは実施義務違反がついておりまして、罰則規定もあります。でありますから、基本的に、業務起因性が明らかでないもの、こういうものに対してメニューに追加するということは、なかなか事業主等々の御理解を得られないということがあります。

 そういうこともございますし、毎年毎年やるということになると、毎年やる必要が本来あるのか。分かればいいわけでございます。

 というようなこともございまして、なかなか、今現状、附帯決議にお書きはいただいているんですけれども、事業主の御理解をいただくということが難しいということであります。

津村委員 踏み込んだ御答弁、ありがとうございます。

 私も、ここに書いているように、一週間前、五月十一日にこの質問通告をさせていただきましたので、その後、事務方の皆さんと随分やり取りをさせていただきまして、今のようなお話もいただいたんですが、この話を初めて聞かれる方もいらっしゃると思うので、もう一度少し御紹介しますと、なかなか難しい問題だということは特措法ができた十年前からこれはもう皆さん認識されていたことで、当時から、平成二十三年の衆議院、参議院両方の附帯決議で医療費助成については触れられています。

 しかし、それでは生ぬるいということで、五年前のこの議論のときに参議院でさっきのやり取りがあって、そして、費用助成にプラスアルファで定期健康診断のメニュー化という話が、衆議院ではついていないんです、参議院の附帯決議でついたんです。なぜなら、さっきの参議院の質疑があったからです。

 つまり、国会質疑が生かされてこうして一歩ずつ前に進めていっていることを、その次の国会質疑である今確認をしている、そういうことであって、私は思いつきで言っているわけじゃないんです。当時与野党が合意して附帯決議にまで書かれていることについてのお話です。

 私は二つ問題にさせていただきますけれども、さっきの山本副大臣の御答弁では広島の調査とおっしゃいましたけれども、なぜ広島の調査しかないんですか。そもそも、できるできないの今の大臣の話に行く前の話として、その後の調査をやっていないというのはおかしくないですか。大臣、いかがですか。五年前と数字が何ら更新されていないんですよ。定期健診がどれだけされているかという調査さえしていないんですよ。どういうことですか。

山本副大臣 委員の御指摘も踏まえまして、今後の調査の検討ということをしてまいりたいと思います。

津村委員 検討じゃ駄目です。調査してください。

山本副大臣 調査をしてまいりたいと思います。

津村委員 結構です。ありがとうございます。

 続きまして、先ほど大臣がおっしゃられた後段の部分に参ります。

 労働安全衛生法の話だというのは聞きましたので、皆さんおめくりいただきますと、まず、今大臣が言及された条文を一応一通り持ってまいりました。

 定期健康診断というのは、元々は旧厚生省のラインではなくて旧労働省のラインで、労働安全衛生法のメニューとして、そのお仕事に就かれていることによって病気が発生したものをサポートするというのが大きなたてつけなので、B型肝炎の話とは、元々、氏素性が違うというか、ルーツが違うわけで、それを継ぎはぎするというのは確かに何らかの知恵が必要だということかもしれません。

 一枚おめくりいただきますと、定期健康診断がちゃんとできているかどうかというのを労基署が確認するフォーマットです。この報告書にちゃんと書く。例えば、血糖値がどうかとか血圧がどうかとか、そういうものを何人に調査したかというのを毎年報告されているわけですね。

 私は、ここに、労働安全衛生の枠組みの中に読み込もうと思えば、それはそれで、例えば、前のページに戻りますけれども、労働安全衛生法に基づく定期健康診断の目的についての中の、例えば、その上で、努力義務である保健指導において活用するものであることが必要。労働安全衛生法の枠組みにも幾つかの、何といいますか、少し幅がありますので、この保健指導のところでB型肝炎のことも読み込むことができるんじゃないか。狭義の業務遂行性だけじゃなくて、読み込むことができるかもしれませんし、更に言えば、厚生省と労働省が一緒になってもう二十年になるんですから、労働基準監督署の中で定期健康診断という枠組みを業務遂行性だけで絞って、これだけ国民的テーマとしてもう十年前からやっている、厚生労働省が合併した後に始めたこのB型肝炎の検査を、私は別に必ず保健にのせなきゃいけないと言っているわけじゃなくて、まず、ここの検査の、心電図検査と貧血検査のところにスペースがあるじゃないですか、ここに例えばB型肝炎を載せるとか、ほかの感染症もあるかもしれませんけれども、調査に加えること自体はお金がかからないわけです。

 ここにもう一項目追加するだけで、こういうことはちゃんとやっていかないといけないんだなというサインになりますよね。各事業主の方は、ここは義務じゃないからやらないけれどもという方もいるかもしれないけれども、こういうこともやはり大事なんだなというふうに啓発する大きな意味があると思うんです。

 そういう意味で、私は、この労基署に提出する報告書にB型肝炎を載せるべきだということを一つ御提案したいんですけれども、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 委員がおっしゃっている、この定期健康診断結果報告書というものに明記をしろということでありますか。明記をすれば、当然検査をしなきゃならぬという話になると思うんですよね。検査の費用、これは全額事業者持ちになってくるわけでありまして、そこは、先ほど来、業務起因性の話もしましたけれども、実は、様々な健康診断を定期健診の中に入れてもらいたいというお声はいろいろなところから来ているんですが、そういうものを一つ一ついろいろな研究事業でやりながら、エビデンスがあるのかどうなのか、業務起因性と比較してどうなんだというようなことも含めてやっているわけなので、今、周知啓発をさせていただきながら広めさせていただいているということでございますので、先ほど申し上げましたけれども、そのような形でお願いをさせていただいているということであります。

津村委員 前段のさっきの広島の話を、大臣、思い出してください。まず調査ができていないんですよ。厚労省としてどれだけこの定期健診ができているか調査できていないとおっしゃるから、だとすれば、ここに項目を追加すれば自動的にただで調査できますよと言っているんです、まず。

 ここに載せるからといって、別に必ず義務化だとしなくていいじゃないですか。ここに注記して、これは任意の検査であると一行書けば、別に、イコール義務化とは限らないわけで、もっとおっしゃるならば、ここに義務化させちゃうと事業主に費用を負担させちゃうことになるとおっしゃったけれども、何回も大臣は、検査費用は助成すると言っているんだから、ここについては助成しますともう一行書けばいいじゃないですか。助成しているんですから、現に。

 だから、ここに追加するということと厚労省の追加費用がかかるということはリンクしませんよ、いかがですか。ちょっと整理してください。

とかしき委員長 ちょっと速記を止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 筆記を起こしてください。

 田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 肝炎の検査に関して事業主に対しては助成はいたしておりませんので、そういう意味では助成事業ではないということ。

 それから、ここに書いてあるのは、基本的に検査をやっていただく項目で書いてありますので、委員は多分、そこに任意ということを一言書けば、それで調査も含めてやれるのではないかというお話なんだろうと思いますけれども、それ自体、事業主によく御理解いただけるかという問題もありますし、多分、任意という話になるといろいろな任意が更に入ってくる。いろいろな要望が来ておりますので、そことのどうバランスを取るのかという話もあろうかというふうに思います。

津村委員 今日、すぐに答えが出るとは思っておりませんでした。

 と申しますのは、皆さんにお配りしている問い起こしにも書いていますけれども、これは旧労働省と旧厚生省のまさに縦割りの弊害でありまして、せっかくこっちでツールがあるのに、元々のルーツが違うからという理由で、確かに、おっしゃるように、法律のたてつけが、工夫しないとがっちゃんこできないんだとは思うんですけれども、ただ、お金のかからない、さっきから申し上げている、ここの空白を埋めるだけの、少し注記を加えるだけの、そして、もしかしたら通達の一本、二本は多少何か新しい連絡をしなきゃいけないかもしれないけれども、少なくとも法律の枠組みでは問題のない工夫によって、この定期健診の受検率の数字をまず毎年確認できるということと、そして啓発できるということについての具体的な提案として申し上げました。

 今回、附帯決議に定期健診のメニュー化ということを書かれるのかどうか私は分かりませんけれども、もしそういう議論があるのであれば是非書いていただきたいと思いますし、この議論を、これからの五年間と言わず、一日も早く取り上げていただきたいというふうに言い残しておきます。

 最後に、お許しいただければ、最後のこの問いだけお聞きしたいんですけれども、前回、岡本充功議員がるる議論された四%の基本合意、弁護士費用ですね、これが実際には一七%とか非常に高額になっていることについて、当時、塩崎大臣は懸念を表明されています。

とかしき委員長 申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

津村委員 はい。では、簡単に御紹介しますけれども、弁護士費用について、これは塩崎大臣の答弁ですが、「国から四%払っているということは、もし仮に、ここにあるとおり一七%払うということになれば、その差額を和解金から取り崩すような格好になっているんだろうというふうにも考え得るわけでありますので、ここはやはり弁護団としてこの基本合意は守っていただかなければならないわけでありますので、日弁連にも、私どもの方からもただして、どういうことなのかということをしっかり言っていきたい」、これについて、その後確認されたんでしょうか。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、答弁の方は簡潔にお願いいたします。

田村国務大臣 平成二十八年五月及び令和二年十二月でありますけれども、厚生労働省担当室長が日弁連の事務局にお伺いいたしました。国会での経緯等々をお伝えしたんですが、これは日弁連事務局のお答えなんです。そのままちょっと読ませていただきますが、そのままというか、要約してありますけれども、不当に高額な報酬を受け取っているなど、個々に依頼者から相談があれば、非違行為に当たるかどうかについて判断することはあるが、依頼者と弁護士との間の報酬額については当事者同士で自由に定めるものと考えているとのことでありました。

 いずれにいたしましても、我々としては、引き続き、国会のいろいろな御議論、こういうものを含めて団体の方には周知をしてまいりたいというふうに思っております。

津村委員 理事の先生方、附帯決議の御検討をよろしくお願いします。

 終わります。

とかしき委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 時間をいただきましたので、B型肝炎特措法改正案、質問をさせていただきたいと思います。

 B肝は集団予防接種の際の注射器の連続使用ということ、これはB型肝炎だけでは、私は地元が山梨でありますけれども、C型肝炎、日本住血吸虫、地方病でありましたが、私の地元でもC型肝炎の蔓延ということも問題になっております。

 このB肝、感染した方々への給付金請求期限を令和四年一月から九年の三月三十一日までの五年間延長する内容でございますが、何点か確認をさせていただきます。

 請求期限の延長は、前回、平成二十八年にも五年間延長されておりますが、依然として提訴者は推計対象者を大きく下回る状況が続き、今回また五年の延長ということであります。

 改めて、基本的なことでございますが、請求者が少ない要因、また今後の取組、また、五年たったらまた同じ内容で五年延長とならないために、これまでの取組とは具体的に何が違って、どういった取組を具体的にされるつもりなのか、お答えいただきたいと思います。

正林政府参考人 お答えします。

 B型肝炎給付金の請求者数が少ない要因としては、給付金制度について、一定程度の周知は進んでいるものの、まだ知られていない可能性があること、無症候性キャリアについては、感染していても症状が出ないので、気づいておられないなどが考えられます。特に、推計対象者四十五万人のうち約四十一万人を占める無症候性キャリアの提訴が約一割程度にとどまっていることが大きな要因であると考えられます。

 請求期限を設けているのは、救済を制限するためではなく、早期提訴を促すためであります。

 早期の提訴を促すためにも、これまでも、ウイルス検査の結果が陽性であった方に給付金制度の周知が図られるよう、地方自治体や医療機関、検査機関に対しリーフレットを配布するとともに、「知って、肝炎プロジェクト」を通じた肝炎ウイルス検査の受検勧奨を行うなど、様々な取組を行ってきたところであり、引き続き、給付金制度の周知、広報や肝炎ウイルス検査の受検促進に取り組んでいきたいと考えています。

 また、本法律案を御可決いただいた場合には、定期的に開催している各都道府県の肝炎治療の拠点病院や各都道府県の肝炎対策担当者を集める会議の場などにおいて、法改正により請求期限が延長されたこと、対象者、特に無症候性キャリアの提訴が少数にとどまっていることなどについて改めて説明し、医療機関等における本制度の周知徹底を改めて依頼するなどし、この五年間でできるだけ多くの方に提訴いただけるよう努めてまいりたいと考えております。

中島委員 無症候キャリアの方がなかなか症状がないということから発見が遅れ、一定程度の状況の中で原因はよく分かっているわけでありまして、今までの延長線ではなかなかそういった具体的に増えていくということにはつながらない可能性もあるので、より具体的な対策をお願いしたいと思います。

 このB型肝炎に関しては、これは、私も医者でありますけれども、感染力が強く、家庭内感染、また、今、保育園などで集団感染も少なくないと報告されておりますし、世界においても三・五人に一人の割合で感染ないし感染既往があると言われていて、キャリアの約一〇%は、その後、慢性肝炎、肝硬変、そして肝がんと移行していくと言われております。

 我が国におきましては、一九八五年から母子感染防止対策が始まっており、今も進められていると承知しておりますけれども、従来から極めて少なかった遺伝子型AのHBVが主に欧米から性感染症として輸入され、短期間に我が国にも蔓延しているということも知られていることであります。

 改めて大臣に確認をしたいと思いますが、B型肝炎の現在の状況、課題について、どのように整理をし、認識をされているのか、お尋ねをしたいと思います。

田村国務大臣 この法律自体は、我々が野党のときに民主党政権で内々に集まっていろいろな議論をしました。そういう意味では、被害者の方々を救済するための費用というものが非常にかかるという中において、しかし、ここは一歩踏み出すべきだということで、当時、与野党共通しての議論をさせていただいた。

 そういう意味では、本当に自分自身が関わってきた問題でもあるわけでありますが、B型肝炎自体、非常に、発症しないとなかなか分からないというふうな形の中で、どうやって早期発見、早期治療、これを進めていくかということが一つ大きな課題ですし、そういう意味では、どうやって検査をするか、受検率をどうやって上げていくか、これは先ほど来の議論でありますが、これも大きな課題であるというふうに思います。

 あと、発症した後の医療を受けるときに、居住地等々、住んでおられるところで医療の質が変わるということがあってはいけないので、そういう医療というものの体制の整備、これも重要でありますし、C型肝炎は、そもそもウイルスを消し去るような治療薬が出てきている、根治薬が出てきているわけでありますが、B型肝炎ウイルスに関しては、ウイルスを排除する治療薬がまだでき上がっていないということもございますので、この開発というもの、これも大きな課題であるというふうに思います。

 あわせて、まだ偏見、差別というものが残っているということもあるわけでございます。

 肝炎の皆様方と我々も超党派で実は議員連盟をつくっておりまして、これはB型だけじゃなくてC型の方々も入っていただいておりますけれども、もちろん薬害の方々もおられれば、今回の訴訟団の方々も入っておられます。そういう方々といろいろな議論をさせていただく中において、肝炎全般、肝がんになった場合のいろいろな医療費助成はどうするんだという話の中で、今、研究事業という形の中でそれも広げてきた。

 様々な課題をこれからも議論をさせていただきながら、B型のみならず、肝炎対策というものをしっかり進めてまいりたいというふうに思っております。

中島委員 今までのこと、また、これから、今現在、様々な課題、今は新型コロナウイルス感染症であり、このB型肝炎、これもウイルス性肝炎ですね。C型肝炎に関しては、ノンAノンB、C型が見つかってから、インターフェロン、PEG、リバビリン始め治療法の確立がされ、しかし、その後また問題が、なかなかウイルス感染症を完璧に制圧するということは難しい中で、その状況において最新の知見によって臨機応変に対応していく、この繰り返しなんだというふうに思います。

 この欧米から持ち込まれたタイプのHBV、成人の感染でも約一〇%キャリア化すると言われております。さらに、分子標的治療などの最先端医療によってHBV感染既往者におけるHBVの再活性化などの問題から、HBV肝炎リスクの高い方への選択的接種から、全出生児を対象にHBワクチンを接種するユニバーサルワクチネーションへの移行が喫緊の課題ということも言われています。

 このユニバーサルB型肝炎ワクチンの重要性をどのように考えているのか、B型ワクチンの今後の長期的な課題について一緒にお答えいただければと思います。

田村国務大臣 感染予防という意味では、やはり母子感染対策を中心にということで、そういう意味では、乳児の皆様方に対してのユニバーサルワクチネーションということで、ワクチンを接種いただく定期接種、これは平成二十八年十月からB型肝炎は始まりました。

 そういう意味で、遺伝子型Aというもの、全体の一部ではありますけれども、そういう意味では、乳幼児のときに感染するとそれが持続してしまうということが非常に高いということもございまして、この時期にワクチンを打っていただくということが非常に意義があるということでございますので、そういう中において、肝炎をいかに減らしていくかという形の中で、今、高い接種率でありますから、引き続きこれを引き上げていくということが非常に重要であろうというふうに考えております。

中島委員 具体的に今後の課題について取り組んでいただきたいと思います。

 今ワクチンの話をいたしましたので、ちょっと時間が限られておりますから、新型コロナウイルスワクチンに関してお尋ねをしたいと思います。

 資料の一枚目、先日、質疑の後、田村大臣に、私は立憲民主党の新型コロナワクチン課題検討プロジェクトチームの座長を仰せつかっておりまして、一次提言は三月、また、先日お渡しした二次提言、それ以外にも緊急提言を二度行っております。この内容について、大臣もお忙しいと思うので、また、今日は時間がありませんが、質疑の中で確認をさせていただきたいと思うんですが。

 ワクチン、いわゆる大規模接種、二十四日にも始まる、そして十七日にその予約が始まったということでございますが、昨日、我が党の部会で防衛省に確認をしたところ、この東京における大規模接種、大阪も含めてかもしれませんが、モデルナのワクチンを念頭に、体制、準備をしておると明確にお答えされておりました。

 当然ながら、アストラゼネカ、モデルナ製ワクチンに関しては、報道によると、ここ数日以内にPMDAの取りまとめ、薬食審、特例承認ということが行われると聞いて、報道でされておりますが、大規模接種はモデルナ製若しくはアストラゼネカも念頭に置いておられるということでよろしいんでしょうか。

鎌田政府参考人 まず、ワクチンのお尋ねのあったモデルナとアストラゼネカ社の審査、承認状況でございますけれども、今先生から御紹介いただきましたが、我々の方で記者発表いたしましたが、明日、五月二十日に薬食審で御議論いただく。それで、そこにおきまして有効性、安全性が確認されれば、速やかに承認という見込みでございます。

 なお、大規模接種におきましてどういったワクチンを使うかにつきましては、こうした状況を念頭に対応されているものと理解しております。

中島委員 明日の二十日、薬食審で審議が行われ、その結果によって特例承認がということでございました。

 二月の十二日は、ファイザー製薬の特例承認だったか、薬食審だったか、ちょっと定かではないですが、そのときに、PMDAの取りまとめ、報告書を即時に開示してほしい、加えて、薬食審の議事録に関しては、できるだけ速やかに公開すべしと。いわゆるこれは、国民、社会とのリスクコミュニケーションのために必要ということで求め、対応していただきました。

 今回、アストラゼネカ若しくはモデルナ、一遍にかどうか分かりませんが、今、明日、薬食審が開かれるということでございますので、PMDAの評価取りまとめは理事会にも前回の場合はお示しをいただきました。加えて、薬食審の議事録も速やかに公開するという理解でよろしいでしょうか。

鎌田政府参考人 御指摘のPMDAの審査報告書につきましては、我々としては、薬食審で審議が終われば、承認を受けて速やかに公表いたしますし、また、議事録につきましても、同じように、関係者間の内容のチェックが済みましたら速やかに公表してまいりたいと思います。

中島委員 今日、水曜日ですから、明日、薬食審ということで、PMDAの取りまとめはあるということでございますので、金曜日の理事会若しくはその場で提出していただくことを求めますが、委員長、お諮りいただきたいと思います。

とかしき委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

中島委員 それでは、二十日、明日、モデルナ、アストラゼネカも含めてということかもしれませんが、薬食審が開かれるということで、その内容については理事会で示していただくということでお諮りをいただくと思います。

 ファイザー製薬の場合は、いわゆる特例承認、その後、先行接種する医療従事者四万人、そして二万人の方にいわゆるコホート調査が行われた。今回、モデルナ製若しくはアストラゼネカ製が新たに導入されると、このコホート調査はどのような形で行われるのか、確認させてください。

正林政府参考人 今の段階では、一応、やることだけは決めていますが、具体的にどうするというのはまだ検討中でございます。

中島委員 これはもう大分前から、先行接種するファイザーの場合は、日誌をつけて調査をしていた。その結果、我々が聞いている、副反応部会も二週間に一回やられておりますけれども、まず、先行接種した医療従事者の調査、これをいわゆるリスクコミュニケーションの大前提と。

 今回、いわゆる大規模接種にモデルナ、これは防衛省がはっきり言っていましたから、モデルナ製のワクチンを大規模接種に導入していく、鋭意準備していると。

 ただ、もちろん特例承認がされたらという前提でありますが、ファイザー製薬のものとモデルナが混在して、管理方法も移送方法も、そして接種期間も違うわけですよね。

 しかも、先行接種、ファイザーの場合は医療従事者でありますから、例えば副反応の在り方。私も一回打ちました、二十九日、二回目は来週ですけれども、痛いですよ、それは。二回目、調査を見ると、八度前後の発熱が二十代、三十代、医療従事者でありますから、全体で四割発熱すると。この調査の在り方。

 これからは一般の方でありますので、ファイザー製のときの先行接種、日誌、調査と、今回、モデルナ、アストラゼネカの調査、これは比較するということが本当に可能なのかどうか、大変懸念ですし、どうあるべきかということはもう大分前から私は指摘しております。具体的に、二十四日ですよ、防衛省がおっしゃるには。これは早急に、どう調査していくのか、いつまでに決められるんですか。

とかしき委員長 正林健康局長、申合せの時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

正林政府参考人 はい。

 できるだけ早く決めたいと思いますが、二十四日から大規模接種が始まったとしても、先行接種と呼んでいいのかどうか、その調査の結果を待つ必要はないかなとは思っています。同時に進めていって、ファイザーのときもそうでしたけれども、定期的に副反応検討部会とかそういう場に調査者の方に来ていただいてプレゼンをしていただき、それを情報公開する、そういう形で対応してきましたので、同じようなやり方でこれから進めるかなと思っています。

中島委員 終わりますが、最初から分かっていた課題ですから、的確にちゃんと評価できるような体制を取っていただきたいと思います。

 終わります。

とかしき委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 コロナ療養から戻ってまいりました。この間、本当に、委員長また理事の皆さん始め多くの委員の皆様にも様々御配慮いただいて、また激励もいただきました。心から御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

 やはり、自分がなって分かったことというのが様々ありまして、今日はちょっと、自分が当事者だから気づいたことというのをいろいろと政府にぶつけていきたいというふうに思っております。

 大臣が、あと多分五、六分でもう出られるということだと思いますので、後遺症の話、大臣、二問目の質問を大臣にもお話しさせていただいて、そこで総括的に大臣にお答えいただければというふうに思っておりますが。

 私自身、まだやはり一〇〇%じゃありません。疲れやすさというのもあったんですが、これは大分ましになってきましたが、せきはまだ出ます。という中で、やはり私の感覚では、コロナになったときとか初期よりも、後の方が結構しつこいなという気がすごいしておりまして、まず、厚労省が行っている、後遺症について今調査研究を三つやっていると思います。その内容について、簡潔に伺いたいと思います。

正林政府参考人 新型コロナウイルス感染症から回復した方のうち、一定の割合で何らかの症状が持続している方がいるということは承知しております。私も、知人で感染して、やはりその後いわゆる後遺症らしきものに苦しんだ人を承知しています。

 ただ、この新型コロナウイルス感染症と回復後に見られる症状については、いまだ関連の有無が明らかになっていない点も多く、まずはその実態を明らかにしていくことが重要かと考えています。

 後遺症については、昨年度より、その実態把握や原因究明に関する調査研究などを開始したところであり、研究結果が取りまとまり次第、速やかに公表していくことにしています。

 具体的な内容としては、まず、後遺症障害として頻度が高いとされる呼吸苦、これに関する研究、それから、後遺症の症状、頻度、持続期間などに関する研究、そして、味覚、嗅覚障害に関する研究、以上の三つを、研究を行っているところでございます。

伊佐委員 まだ、恐らくは六月中に出てくるというふうに私は伺っておりますが、海外ではもう既にいろんな研究成果が出ております。

 例えばランセット、非常に権威ある医学誌でありますが、ここで、中国の論文では、入院した患者千七百人以上を調査した結果、七六%の方が数か月たっても症状が続いていると、七六%。倦怠感は六三%です。イタリアの大学病院は、これは二か月後の時点での調査なんですが、八七・四%の方が何らかの症状があると。オックスフォード大学は二十三万人やりました。二十三万六千三百七十九人やって、三四%の方が精神や神経の病気と診断されているということで、相当な率だというふうに私は思っておりまして、もちろん、それぞれ指標もあるし、程度の差もあると思いますが。

 世界でこれだけ後遺症の論文が今出ているという状況の中で、日本は、さっきの答弁にありますとおり、まだ研究中ですということで、なかなか世の中に知られていなくて、私は、雇用にも結構影響が出ているというふうにも伺いました。

 というのは、今、後遺症について相談されることが、あるクリニックで多くなったので、後遺症外来というのを開いたお医者さんがいらっしゃって、その方にデータをいただきました。千五百人診ていらっしゃるんですけれども、後遺症外来に来ていらっしゃる方で、仕事をされていた方の中で六五・八%の方が働き方に影響があったと。もっと具体的に言えば、この外来に来られた方で休職、解雇された人は六一・三%です。

 だから、倦怠感というのが、多分、保健所から、もう軽症ですよ、大丈夫です、働いてもと言われるんです。私も言われました。でも、やはりすごい倦怠感が最初あって、これは、無理して働くと、慢性疲労症候群とか、あるいは筋痛性脳脊髄炎、いわゆるMEとかCFSと言われるようなものにつながっていく。

 ただ、世の中の理解がなければ、軽症だったんでしょう、大丈夫でしょう、治っているから大丈夫よね、ちょっと大げさじゃないかとか、こういう雰囲気も実はあるんじゃないかというふうに思っておりまして、本人が、この後遺症について理解されないので、相談するところもなくて、不安も増している。一部の自治体では後遺症相談センターというのがあって、ただ、ここも不評で、相談してもアンケートに答えさせられただけだったという声もあります。

 だから、厚労省としては、政府としては、調査中だというのはもちろん分かるんですが、ただ、私も、これはやはりしっかり後遺症について周知をすべきじゃないかというふうに思っています。

 例えば、療養所を出るときとか、あるいは病院を退院するときとかに、後遺症でこういうのが今ありますよとか、リーフレットとかで周知をすべきじゃないかというふうに思っております。あるいは相談センターの体制整備もすべきじゃないかと思っておりますが、それも含めて、後遺症について大臣の御意見を伺いたいと思います。

田村国務大臣 答弁書に書いてある内容は局長そのものなんですね。同じことを言っても仕方がないので。

 今、局長からもお話がありましたけれども、研究事業は進んでいる。一部、金沢医科大学のがもう終わったと。これは嗅覚、味覚の影響というやつがもう終わったというふうにお聞きをいたしております。やがてまとまったものの報告が出てくると思います。

 あわせて、今言われた頻度でありますとか症状、それから期間、どれぐらいかというのは、これは慶応大学がやっていただいている調査であります。

 これと、もう一つ、高知大学でやっております呼吸器の障害といいますか後遺症、この研究が、まだこれは研究が持続しているという話でございまして、どうも延長して研究をやられるみたいでありますので、それの中間報告が六月に出てくる。取りあえず、延長していますから中間報告を出していただきたいということで、出てくるということでございます。

 特に、頻度がどれぐらいなのかというのと期間がどれぐらいなのか、症状も当然我々は知りたいんですが、そういうものがある程度出てくると、こういうものがありますよ、これぐらい続くというようなデータがありますよ、頻度もこれぐらいありますよと。

 今委員が言われたように、その海外のデータが本当に正しいかどうか分からないんですけれども、かなりの頻度というか確率で後遺症が残るみたいな話も我々も聞きますので、これは言われるとおり、もう治ったから大丈夫だろうというのは、完全に、せっかく治って、でもしんどいという中で、まあ大丈夫だろうということでどんどん現場復帰をせかされると、逆にこれは精神的なダメージも受けるわけでございますので、そういうことをしっかりと、我々としては、広報というか、国民の皆様方に周知、発表していかなきゃならないなというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、まだ十分に我々もこういう事例を整理できていないものでありますから、今すぐに何かをお示しをすることはできないわけでありますが、中間報告を待って、しっかりと広報できるものは広報してまいりたいというふうに思っております。

伊佐委員 私の場合は、我が党は非常に優しい党でして、一週間終わった後もちょっと自宅療養させていただきましたけれども、やはり、新型コロナのまさしく急性期の治療が終わった後で、倦怠感を感じたら無理しなくていいよ、あるいはだるくなるようなことはしないでくださいね、こういうことが知れ渡るだけでも全然私は状況が変わってくるというふうに思っておりますので、是非周知をお願いしたいというふうに思っております。

 大臣、もう時間ですので、出ていただいて結構です。ありがとうございました。

 引き続き、後遺症について、最後、厚労省に伺いたいと思いますが、先ほど申し上げた後遺症外来の患者さんでそのアンケートを取ってもらって、複数回答なんですが、どういう症状かというと、やはり倦怠感が一番多い、九三・四%です。あとは、気分の落ち込みというのが八六・八%、息苦しさが七七・五%、嗅覚障害が五〇・七%という状況です。倦怠感が多いと。

 そこで、さっき私が申し上げた筋痛性脳脊髄炎とか慢性疲労症候群につながっていくという観点で、どれぐらいの患者さんが、じゃ、厚労省のいわゆる慢性疲労症候群の診断基準、PS、パフォーマンスステータスと言われていますが、これはゼロから九まであって、ゼロが一番軽度です。六以上の人がどれぐらいいるか。六というのは、いわゆる準寝たきりという方々、調子のいい日は軽作業はできますという方々なんですが、この準寝たきりになっていらっしゃる方々が三三・八%です。特に若い女性、十代の女性は、五二・四%がこのPS六以上というふうなデータをいただきました。

 だから、コロナの症状自体は軽症だったとしても、その後の後遺症で悩んでいらっしゃる方々がいると。だから、若い人も絶対気が抜けないというふうに思っております。

 このME、CFS、筋痛性脳脊髄炎とか慢性疲労症候群とコロナの研究というのは、実はアメリカではやろうとしていまして、一千億円以上かけてやろうというふうになっています。だから、日本もこうしたコロナの後遺症とME、CFSの関係についてしっかり研究していくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 御指摘の筋痛性脳脊髄炎、それから慢性疲労症候群、ME、CFSについてですけれども、この病気自体の発病の機構も不明ですし、それから、今回のコロナの後遺症との関係も含めてまだまだ分からないことが多数ありますので、これらのそれぞれの関連についても含めて、実態をまず明らかにすることが重要だと考えています。その方面の研究を、まず調査研究を進めることが大事かなと思っています。

 それから、先ほど幾つか御指摘いただいたものについてもちょっと簡単に御答弁申し上げますと、できるだけ正確な情報を発信していくことも大事かと思っています。まだまだ調査研究の途上ではありますが、先ほど委員が御指摘いただきましたけれども、イタリアで八七%の方がいろんな症状を訴えられている。特に倦怠感とか呼吸困難の頻度が高かったとか。ほかにも米国の調査とかフランスの調査とか、それは、この結果については診療の手引というものを学会の御協力もいただいて厚労省のホームページで公表していますが、その中にかなり細かく記載をしております。こうしたことを通じて情報発信しています。

 それから、後遺症に悩む方の相談窓口ですけれども、自治体の中には独自にそういう相談窓口を開設しているところもあるようです。そういったところについてはいろいろ勉強をさせていただきたいなというふうに考えております。

伊佐委員 正林局長、その診療の手引というのは誰が読むかというと、お医者さんですよね。私はやはり、患者さんであるとか、一般のもっと社会の認知度を高めていくべきだというふうに思っていますし、診療の手引であって、あれ、私も読みましたけれども、三、四十ページある中で、後遺症というのは二分の一ページで、さっき私が申し上げた海外の例がちょっと書いてあるだけ。しかも、後遺症と書いていなくて「いわゆる後遺症」という書きぶりだったというふうに思っております。

 いずれにしても、これから後遺症で苦しむ方々というのは私は増えてくるというふうに思っておりますので、是非、後遺症についてのしっかりとした実態把握と、手を打ってほしいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 もう少しちょっと私の実体験からなんですが、私の場合は、発症して熱が出て、翌日、一日寝ていれば普通風邪だったら大体治るんですけれども、それでも治らなかったので、その次の日、いわゆる三日目にPCR検査を受けて陽性になりました。家族にうつせないので、療養先ホテルをそこで申請をする、申請をしたら、次の日に保健所から、ここに決まりましたよという連絡が来る、その次の日に車が手配されてみんなで乗り合って療養ホテルに行くというような状況になります。だから、そこまでで既に六日かかっているんです。私は、ちょっと事情があって、後で言いますけれども、その日は一回断って、七日目に結局移動になりました。

 最初の数日は、多分、一週間たった数日よりも重症化する確率が私は高いんだというふうに思っておりまして、しかも感染力だって強いわけですから、家族から離れて家族に感染させないという観点からすれば、これはもうちょっと早くできないかというふうに思っております。いかがでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 厚生労働省としては、新型コロナウイルス感染症に対応した宿泊療養などについて、自治体に対して、療養先の宿泊施設の確保をお願いするとともに、家庭内での感染事例が発生していることや、症状急変時の適時適切な対応が必要であることから、宿泊施設が十分に確保されている地域においては、宿泊療養を基本として対応していただくようお願いしております。

 宿泊療養の円滑な実施のため、地域によっては、陽性で入院の必要がない方には、地域の医療機関との連携の下、宿泊療養施設に迅速に入所してもらうことを優先し、一般的には、入所前に行われる保健所による積極的疫学調査について、入所手続と同時並行で行い、入所後にも聞き取りを行うといった工夫も見られます。

 また、保健所における入所調整業務等の応援体制の整備について、これまで、全庁的な応援体制の整備や各業務についての外部委託の検討などについて取り組んでいただいております。

 引き続き、宿泊療養施設の確保の支援に努めるとともに、こうした好事例の共有を通じ、迅速な入所や保健所の調整業務等に係る支援に取り組んでまいりたいと考えております。

伊佐委員 私は、ちょっと今のは余り答えになっていないなというふうに思っていたんですけれども。

 私は、厚労省の担当の方に来ていただいて、その方は、まさしく療養施設にいて、ドクターでずっと現場を見ていらっしゃった方だったんですが、三日は優秀な方ですと言われたんです。大阪で、申請をして、次の日に決まって次の日に移動というのは、実は優秀な方ですと言われました。ほかはもうちょっと時間がかかっていると。

 だから、もちろんたくさんの方が今感染していて、たくさんの方を全部割り振ってというのは大変な仕事だと思いますが、こういうところこそ、私は、デジタル化というかアプリとかでできないのかな、これはそんな複雑なアプリじゃないと思います。遅ればせながらにはもちろんなりますが、そんなに複雑じゃないと思いますので、こういうところをもっと、申請したらその日に決まって、一番その日の遅い時間あるいは次の日の朝にでもせめて移動できるようにできないかというふうに思っております。

 次は、ホテル療養中の医療提供体制についてなんですが、というか、医療提供体制といっても、実際は、一日に二回、看護師さんから部屋に電話がかかってきます、どうですか調子はと。いや、こうこうこうですと。私の場合は軽症で済んだからよかったんですが、中で伺うと、いや、すごく苦しいですということもおっしゃって、ああそうですか、酸素はどれぐらい、九十幾つですかというのを聞いて、そうですか、もうちょっと、あと一日苦しかったらまた言ってくださいとか。

 薬だって、自分で持ってきてくださいと言われたんです、保健所に。処方もしてくれない、だから不安で仕方ないというふうに言われていて、国としては、いやいや、オンライン診療できる体制になっていますと言っていますが、私は、実態上どれぐらいなされているか、非常に疑問を持っています。

 大阪で、私、療養中にニュースになって、えっと思ってびっくりしたのは、拠点のホテルに医師を配置して、そこからオンライン診療ができるようになりましたというのがニュースになっているんですよ。

 だから、オンライン診療を大阪でできるようになったというのが今になってようやくニュースになっているという状況で、厚労省は制度上ちゃんとやっていますと言うんですけれども、本当に現場でできているかというと、私は、もうちょっとちゃんと実態を把握して、手を打ってほしいというふうに思いますが、いかがですか。

正林政府参考人 まさにオンライン診療のことを答弁しようと思ったんですが、先におっしゃっていただいちゃったのであれですが、御指摘のとおり、かなり前から、そういう宿泊療養中あるいは自宅療養もそうですけれども、オンライン診療につなげられる、あるいは往診もどうですかとか、そういったことを実際にこれまでお願いをしてまいりました。

 実際にどこまでやられているかというのは確かに把握はしていないんですけれども、誰も関わらないのは余りよろしくなくて、やはりきちんと医療関係者が関わる形で宿泊療養が続けられる方が望ましいとは考えてもおりますので、引き続き、どのようにしたらそれが進められるか、検討していきたいと思います。

伊佐委員 これは私、是非実態把握していただきたいのは、もしかすると重症化する前に本来オンライン診療しなきゃいけないのに、どっちかといったら、重症化してしまってから慌てて搬送先を探している、そこで初めて医療が提供されるという状況だというのを、私はそこにいて実感をしました。だから、療養中に亡くなっているケースというのは非常に多いわけで、ここをもう少ししっかりと厚労省としても把握して、手を打っていただきたいというふうに思います。

 あともう一問だけ。

 私がさっき申し上げた、本当は発症して六日目に入れる予定だったのに七日目に延ばした理由というのは、切実な理由がありました。それは何かというと、妻に感染したらどうしようかという思いがあったんです。私、小学校の子供が二人いて、妻が感染したらこの子らの世話を誰が見るのやろうというふうに思って。もちろん、私の実家がすぐ近くなんですが、ただ、高齢者ですので、濃厚接触者を高齢者に預けるというわけにはやはりいかないというのもあって。

 私が検査した日に、すぐ妻も家族も検査をしました。陰性でした。ところが、我々、国会から戻っていくわけで、接触してまだ二日なんですよ。だから、陰性と出てもまだ今後どうなるか分からないというので、いざとなったら私がやはり陽性でも子供の世話をしないといけないなというふうな思いから、妻が発症するかどうかを見極めていたんです。これで一日延ばしました。

 というのもあって、これはちょっと、子育て世代でこうなった場合に、両親とも隔離が必要になった場合にどういうふうに対応すればいいのか、政府はどういう想定をしているのか、伺いたいと思います。

渡辺政府参考人 御指摘のような、保護者が感染した場合の子供さんの養育の先ということで、今想定しておりますのは大きく三つございまして、一つは、宿泊施設の中でそういった子供さんの一時保護を行う場所を確保して一時保護を行うということ。それから二つ目が、医療機関に対して子供の一時保護委託という形で御相談すること。さらに、三点目としては、児童相談所とかあるいは児童養護施設などの児童福祉施設において、これは当然、ほかの子供さんと別の場所を確保する必要がありますが、そういった場所で一時保護を行うということなどが考えられまして、これは、昨年四月に各自治体に具体的な対応策、今のようなことをお示しして、さらに、具体的にそれぞれの自治体でどういったことを対応しているかという取組事例の周知も昨年の五月に行ったところでございます。

 また、これに対しての財政措置としましては、昨年度の補正予算におきまして、濃厚接触者等の子供の対応に当たって、一時保護所に看護師の配置等を行うことによる体制強化の支援ですとか、あるいは宿泊施設の借り上げ費用、一時保護所等の改修費用等の支援といった方策を盛り込んでおりますし、また、令和三年度予算におきましては、医療機関に一時保護委託をする場合に一時保護委託手当の支弁を可能とするような仕組みも創設したところでございます。

 国としても、引き続き、子供の適切な養育環境が確保できるように、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

伊佐委員 これは本当に、一年前に通知を出されたということなんですが、なかなか私は難しい問題だなというふうに思っています。

 さっきおっしゃったような、医療機関に子供を一時保護委託するというのも、これは医療機関が本当に今できるのかということもあるし、児相にといったとしても、児童相談所で子供を預けるということが、本当にそれが子供にとってもどうかとか、なかなか解は確かに難しいところがありますが、しっかりとここも一つの課題として是非意識していただきたいというふうに思っております。

 それでは、B型肝炎の特措法について質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、法案の必要性について伺いたいと思いますが、このB型肝炎の特措法というのは、集団予防接種のときの注射器の使い回しが原因だということですので、できるだけ早期に被害者の方々に提訴していただいて給付金を受け取っていただく必要がありますが、今、救済対象者は元々四十五万人と見越していたわけですが、現時点で、昨年の十月末時点で提訴者は八万二千人。だから、多くの方々がまだ未提訴という状況であります。

 だからこそ、今回、法改正をして、給付金の請求期限を延長するということなんですが、何でこんなに少ないか、まず理由を教えていただければと思います。

正林政府参考人 お答えします。

 提訴者数が少ない要因としては、給付金制度について、一定程度の周知は進んでいるものの、まだ知られていない可能性があること、それから、無症候性キャリアについては、感染していても症状が出ないので気づいておられないことなどが考えられます。特に、推定対象者四十五万人のうち四十一万人を占める無症候性キャリアの提訴が約一割にとどまっていることが大きな要因であると考えられます。

 早期に提訴を促すために、これまでも様々な取組を行ってきたところであり、引き続き、肝炎ウイルス検査の受検促進や特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の周知、広報に取り組んでまいりたいと考えております。

伊佐委員 おっしゃっていただいたとおり、これは周知、広報というのをしっかりとやっていただきたいというふうに思っております。感染しているかどうかというのも早く知っていただく必要がありますし、感染されている方はまた受診にもつなげていかなきゃいけないというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

 ちょっと肝炎対策基本方針について伺いたいと思いますが、この肝炎対策基本方針、五年ごとに見直しというふうになっておりまして、例えば、書かれていることは、地方でも都市部でも同じように医療が受けられる医療の均てんの話であったりとか、あるいは、差別、偏見というものを解消しましょうという話であったりとか、治療薬の研究開発というような様々なことがこの基本方針に書かれているわけですが、今年が最後の一年になります。見直しが今必要になっています。

 だから、この肝炎対策基本方針の見直しについて、まず一点は、患者団体の皆さんの意見をしっかり聞いてほしいということが一点です。

 もう一点は、あわせて、さっき申し上げた治療薬については、肝炎研究十か年戦略というのに基づいて今まで進めてきていただきました。これも今年が十年目です。最後の一年。治療薬、C型肝炎は大分いい薬が出てきましたけれども、B型肝炎についてはまだまだ決定的な治療薬がないという状況の中で、この治療薬の研究開発も、この十年で当然終わりじゃなくて、引き続きしっかり力を入れて進めていただきたいというふうに思っておりまして、この二点について伺いたいと思います。

正林政府参考人 まず、一点目の肝炎対策基本指針についてでありますが、令和三年一月から肝炎対策推進協議会で見直しについての議論を開始したところであり、次回の協議会、これは二十一日ですけれども、において、患者団体から指針の改正に関する御意見をいただく予定であります。

 引き続き、協議会で議論を重ね、肝炎患者も含めた様々な関係者からの御意見を丁寧に伺いながら、検討を行ってまいりたいと考えております。

 二点目、肝炎研究十か年戦略ですけれども、これも本年度に最終年度を迎えます。専門家が参集する肝炎治療戦略会議において取りまとめていただいた同戦略の見直しについての中間取りまとめにおいて、B型肝炎ウイルスを体内から排除する治療薬の開発は、引き続き重点的に研究が必要な課題として位置づけられているところでございます。

 引き続き、B型肝炎の根治薬の実用化に向けた研究を今後とも着実に推進してまいりたいと考えております。

伊佐委員 最後の一問になりますが、肝炎医療コーディネーターについて伺いたいと思います。

 さっき申し上げたように、そもそも感染を知らない方、潜在キャリアと言われている方が七十八万人というふうにも言われております。感染を知っているんだけれども、症状が悪化していないから受診されていないというような方々が五十三万人から百二十万人というふうに言われておりまして、肝炎の予防もそうですし、検診もそうです、受診もそうなんですが、こういうものをしっかりとやっていただいて、肝硬変とか肝がんとかに移行していく、重症化していくのを減らすということが非常に重要なわけで、ここを、役割を担っていただいているのが肝炎医療コーディネーターの皆さん。各地域にいらっしゃいまして、都道府県で研修を受けた保健師さんだったりとか、患者会の方であったり、自治体職員、あるいはお医者さん、看護師さんと、様々な方がいらっしゃいます。私も驚いたのは、全国で今二万人以上いらっしゃる、二万四十九人いらっしゃると。

 これだけたくさん養成してきていただいているわけなんですが、こういう方々の活用というか、活躍の場所というのをしっかりと用意していただきたい、活躍の場を与えていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 身近な地域や職域において、肝炎患者やその家族からの相談への対応や、肝炎についての基礎知識や医療費助成制度の説明、行政窓口の案内などを行う肝炎医療コーディネーターを養成、活用することは、患者や家族を支援する上で重要なことと考えております。

 現在、御指摘のように、全国で約二万人の肝炎医療コーディネーターが養成されているところ、厚生労働省の研究班において、個々の肝炎医療コーディネーターが地域において活動する上で役立つ、相談があった場合の適切な応答集や、肝炎についての基礎知識などが記載されたポケットマニュアルの作成、配付、それから、県と肝疾患診療連携拠点病院が協力して開催した肝炎患者向けの相談会における多様な職種の肝炎医療コーディネーターの協力事例の紹介など、肝炎医療コーディネーターの活躍の促進を図っているところでございます。

 引き続き、身近な地域や職域で活動する肝炎医療コーディネーターを育成し、その活躍を推進してまいりたいと考えております。

伊佐委員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

とかしき委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

とかしき委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉田統彦君。

吉田(統)委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 三十分、本当に貴重な時間をいただきまして、ありがとうございます。

 B型肝炎にまつわる本法案を含めたいろいろな問題に関してお伺いしたいと思います。あと、時間があれば、感染症等に対する全体的な対策。

 まず、B型肝炎で、集団予防接種で注射器を使い回したとしても、リスクは高いですけれども、当然一〇〇%感染するわけではありません。B型肝炎はSTDあるいは入れ墨なんかによる感染などもあります。そういった可能性は完全に当然排除することはできませんね。また、STDによる感染は不顕性感染となる場合が多くて、その多くはジェノタイプAであると考えられます。

 そこで、まず厚生労働省の認識として、注射器の使い回しが行われた集団予防接種を受けたものの、それが原因ではなくて、STDやあるいは入れ墨が原因の感染が紛れ込んで、完全に排除できるものではないということでよろしいですね。

正林政府参考人 お答えします。

 B肝特措法に基づく給付金を受給するためには、まず、B型肝炎ウイルス感染が集団予防接種によるものであることを立証いただく必要があります。

 因果関係の認定に当たっては、母子手帳などの集団予防接種を受けたことが分かる資料に加え、B型肝炎ウイルスの持続感染が判明したとき以降一年分の医療記録を提出していただいていますが、その医療記録等の記載から成人後の感染が疑われる場合には追加資料の提出を求めるなど、集団予防接種以外の感染原因がないことの確認を行っているところでございます。

吉田(統)委員 委員長、ちょっとこれ、厚生労働省さん、私、これは二回わざとレクをして、ちょっと難しい内容を含むので、文書を昨日に至っては読んでいるんですよ。読んで、ここで答弁、ここで答弁、ここで答弁、何個ずつ答弁があってということまで昨日確認しているんです、大臣に答弁していただきやすいように。そこまでやって、どうして大臣、答弁してくれないんですか。

 そして、今の局長の話だって、私が聞いていることと全然違うことを答えているじゃないですか。私は端的に、こういったものが紛れ込む可能性があるということを前提条件として確認をしたいだけです。全然聞いていないことをしゃべるのはもうやめてください。

 大臣、お願いします。

田村国務大臣 申し訳ありません。委員、丁寧にやっていただいているのは感謝申し上げます。

 ただ一方で、私も限られた時間でやっているものでありますから、事細かく委員のやつを一つ一つというわけにいかないものでありますので、こういうことになってしまいまして申し訳なく思っております。

 紛れ込みに関しては、極力紛れ込まないように、いろいろな資料、また、いろいろな方から、そのことを知っておられる方々から聞いたりなんか、いろいろなことをしております。

 ただ、それは、そうはいっても全部排除できるかどうかというのはなかなか難しい中において、そこは言うなれば信頼をして、その事実関係等々、いろいろな資料を提出いただく中において、最終的には対応するということもあろうかというふうに考えております。

吉田(統)委員 今の大臣のお答えが欲しかったんです。ありがとうございます。私の聞きたかったことを答えていただきました。

 要は、一般的に、集団予防接種の例えば記録が残っていない場合は、大臣、注射したことが数学的な十分条件になりますので幅が狭くなります。しかし、こういった紛れ込みに関しては、大臣が今おっしゃっていたように、やはり結構幅広に取っていただいているんだと思います。これはいいことだと私は思うんです。これは評価すべき部分です。逆に、大臣、そんな、余り狭めることも今後ないんだと思います。

 一方で、ちょっと、補償の在り方、厚生労働省の。例えば、原爆訴訟における、原爆における補償になると、内部被曝まで含めると対象者の幅は極めて広くなります。悪性腫瘍など生命に関わる重篤な疾患に関しては、被害に関しては、確率的影響であるために、厚生労働省は、実はここは大変厳しいスタンスを取るんですよね。どうしても原爆の影響だとしか思えないものもありますし、日本は史上唯一の被爆国であります。無辜の民が大量虐殺をされた、戦争犯罪です、今起こったら。こんなこと、あり得ないこと。だから、厚生労働省は、すべからく全ての原爆被害者を救済する、補償すべきだと思います。特に内部被曝の危険性は、実は私が、原発事故が起こる前、相当前ですね、二〇一〇年四月九日、既に文部科学委員会で行っているんですけれども、このとき政府は、今でこそ内部被曝と原発事故の後おっしゃいますけれども、余り十分に理解しているように思えなかったんですよね。

 この幅広に取っていただいている理由は分かりました、肝炎に対して。ただ、原爆訴訟についてもその被害申請において幅広に取っていくべきだと私は思うんですが、ここに関して非常に厚生労働省は厳しいんですよね。そこに関して、大臣、何でですかね。

田村国務大臣 B型肝炎に関しては、要するに、B型肝炎は肝炎ウイルスがあるということが前提ですよね。ですから、そういうことは前提ですから、要は、その原因が何であったかということが、証明をいただくのにいろいろな資料をいただくということでありますから、ウイルスに感染していることはこれは前提であるわけであります。それ自体は分かっているわけであります。

 一方で、原爆の場合は、例えば、がんや悪性腫瘍でありますとか、ほかにも、白血病もそうでありましょうが、いろいろな症状、一部それ以外の症状も認められていますが、それが本当に放射線に起因しているかどうかというのが分からないわけであって、つまり、爆心地から何キロという中で放射線を浴びているであろう、あろうことによってこういう疾病が生じているであろうという形でございますので、そこに証明というものが非常に難しい。

 つまり、ウイルスを持っていれば、そのウイルスがどこから来たかというだけの話でありますけれども、それ自体、その疾病自体が、本当に被爆が原因かどうかということ自体がなかなか証明できないわけでありまして、そこは、一定の爆心地からの距離で、被爆しているであろうということで、最終的には判断をするということであります。

吉田(統)委員 大臣、おっしゃるとおりなんですよ。むちゃくちゃ難しいんです。

 しかし、何で私が内部被曝の話をしたかというと、先生、今の常識で考えたら、当時の医療レベルや原爆に対する恐れ、放射線に対する知識を考えたら、ほぼ、相当広域まで高濃度の内部被曝をしているに決まっているじゃないですか。大臣、それは当たり前ですよ。原爆が落ちて、やはりちょっと、大臣、原爆補償のこともよくよく勉強していただいて、科学的知見を持っていただかないとやはり困ります。すごい量の内部被曝をしているに決まっているんですよ、当時。

 だって、全然分からないわけだから、知識がないわけですから。普通に生活していたわけですよ、いろいろなことが、いろいろな人が。第五福竜丸でしたっけ、あれも、黒い雪でしたっけ、雨が降ったけれども、それを口の中に入れてしまったなんという話があったわけですから。

 そこは、私は、是非大臣にちゃんと考えて、こういった部分の補償も、老いて余命かなり短い方に対する補償でもありますから、もう少しスタンスを肝炎ぐらい広くやっていただきたいなと思います。

 では、次に行きます。

 四十五万人という対象が見込まれていたわけですが、現実の提訴者数は八万二千人にとどまっています。見込み数が多いことは悪いことじゃないですよ。全ての対象の方が救済されることが一番の目的です。しかし、かなり大きな乖離が見られるわけですが、どうしてこういう乖離が見られると厚生労働省はお考えでしょうか。

田村国務大臣 これは、周知が十分、給付金のことができていないということが一つあると思いますし、やはり、無症候の方々が圧倒的に多いということでありまして、検診率の話がございましたけれども、自分自身が感染しているという疑いをお持ちをいただいていない方々も多いんだと思います。

 そういう意味からいたしますと、今、四十五万人中四十一万人ぐらいが、これは一応、無症候キャリアではないかというふうに言われておりますけれども、この方々の多くはやはり提訴をされないということでありまして、全体としては一割にとどまっているということになるんであろうというふうに思います。

吉田(統)委員 大臣、本当にそのとおりだと恐らく思います。ほかの要素もあるとは思います。

 私が基礎研究室で机を並べて一緒に研究した方で、肝臓疾患の専門家は何人かいますが、特にお一人に詳しく聞いたんですが、やはり専門家の中でも、治療する側の専門家ですよ、無症候キャリアの方をどれだけこの法案によって救済できるか、どれだけ数を増やすかということをいろいろ考えていらっしゃるみたいなんですよ、現場の医療人たちも。

 厚生労働省の研究班も、かつては、集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する研究班がありましたね。報告書を私は見せていただきました。肝炎等克服実用化研究事業の中でも、多くの関連する研究班は今でもございますね、大臣。

 例えば、職域、職場による健診での拾い上げ、これは大臣は分かると思うんですが、あと献血時の結果だとか、入院及び手術前のスクリーニングでピックアップすることが非常に大事だし、私もそういう場合にピックアップを心がけています。いろいろなところに働きかけもしているんですが、なかなか十分に機能していないんですよ。大臣、それはよくお分かりだと思います。

 無症候キャリアの方、九〇%は、無症候期、肝炎期、肝炎鎮静期と移行して、生涯そのまま経過する方も多いですが、一〇%は、やはり慢性肝炎になります。肝がん、肝硬変の危険性がありますので、非常にこのピックアップが重要であります。

 そこで、臨床の場でのさっきのピックアップ、かなり限界がある中で、厚生労働省としては今後のこういった対象者のピックアップはどういうふうにしていくことを考えていらっしゃるのか、大臣にお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 局長も午前中でしたか申し上げましたが、「知って、肝炎プロジェクト」、こういうものをやって、とにかく普及啓発等々をしっかりやると同時に、利便性の高い健診体制というのはなかなか難しいんですけれども、先ほど来話が出ております職域等々での健診等々、こういうものも働きかけていかなきゃならぬというふうに思っておりますし、先ほど来言われております手術前の検査、これも手術前医学管理料が請求できるようになりましたが、この適用の要件として、患者への説明及び文書による提供、これが必要になっている、要件になっておりますので、こういうこと等もしっかりとやっていかなきゃならぬと思います。

 いずれにいたしましても、肝炎担当者等々、それぞれ各都道府県等々におられますから、そういう方々を集めて、会議の場なんかで、例えば、今回の法案が通れば請求期限が延長するということになりますから、そういうこともお伝えしなきゃいけませんし、やはり今言われた、最近、テレビの宣伝でやっていただいているところもございますけれども、無症候性キャリアの方々を、しっかりと、可能性がありますよということで、いろいろなところで検査をやっていただくということが非常に重要になってくるんだというふうに考えております。

吉田(統)委員 なかなか、だから、大臣の今のお話を聞いても、効果的な施策が難しいということですよね。本当に、いろいろやってくださっているのも分かりますが、なかなか難しいんですよ。これはもうちょっといい手がないか、やはり考えていかなきゃいけないですよね、本当にね。

 では、大臣、これからはちょっと現行の課題についていろいろ聞いていきたいと思います。

 まず、母子感染でないことの証明の問題に関してお伺いしたいと思います。

 本法律の救済を受けるためには母子感染でないことの証明が必要でありますね、これは大前提でありますから。しかし、昭和二十三年の予防接種法施行以来、六十三年に旧厚生省が各都道府県に対して予防接種の実施に当たっては接種一回ごとに注射器の針だけでなく注射筒も被接種者ごとに取り替えるように指導する通知の発出により徹底されるまで、四十年間、集団接種を受けた被接種者の中にこの法律の対象になる方々がいるわけであります。その中には、やはり御本人が既に、御本人自体が高齢で、お母様がもう鬼籍に入られていることで、母子感染を証明できないことがありますよね。

 では、「B型肝炎訴訟の手引き」第五版によりますと、母子感染でないことの証明のためには、以下の一から三のいずれかの資料が必要と。

 一は、簡潔に申し上げますが、母親のHBs抗原が陰性かつHBc抗体が陰性の検査結果ですね。母親が死亡している場合は、母親が八十歳未満の時点のHBs抗原陰性の結果のみでも可。

 二に、年長のきょうだいのうち一人でも持続感染者でない者がいること、これは母親が死亡している場合に限る。

 三は、その他、医学的知見を踏まえた個別判断により、母子感染によるものではないと認められる場合には、母子感染でないことを推認するということですね。

 したがって、やはり母親の血液検査結果によって判断することが原則で、二、三は例外ですよね。そうすると、大臣、母親が既に死亡、年長のきょうだいがいない場合に、母子感染と認められることは非常に困難になるわけじゃないですか。

 そういう場合、給付を受けられない方が出てきてしまうのですが、この点はどのように救済していくんですかね。

田村国務大臣 一次感染を証明するというのはなかなか難しいわけで、そういう意味からすると、今言われたように、母親がおられればそれは母親を調べれば分かりますし、きょうだいがいれば推定ができるという話になるんだと思いますが、もう両方ともお亡くなりになられているという場合、あえて言えば、近親者の方々のいろいろなお話をお聞かせをいただいて、そこに真実性があれば、そういうものは一応対象にはさせていただくということにはなっております。

吉田(統)委員 じゃ、かなり、そこは大臣、幅広に拾っていただけるということでよろしいですかね。

 じゃ、大臣、昭和六十年の五月十七日の通知、B型肝炎母子感染防止事業の実施によって、昭和六十年に世界に先駆けて施行されたB型肝炎母子感染防止事業というのがあって、その後、平成七年四月一日より、HBs抗原陽性の妊婦に対するHBe抗原検査、HBs抗原陽性の妊婦から出生した乳児に対するHBs抗原・抗体検査、抗HBsヒト免疫グロブリン投与及びB型肝炎ワクチン投与が、健康保険法上の給付の対象として取り扱われることを受けて、新たに平成七年三月三十一日付の通知、「B型肝炎母子感染防止事業の実施について」によって、現在まで引き続き実施されて、その効果によってほとんど母子感染って予防できているんですよ、大臣。

 ただ、残念なことに、全ての母子感染は防止できていなくて、少数のB型肝炎の患者さんが本事業の恩恵を受けずに発症しているんです。ここに該当する、例えば、ワクチン未施行もそうですし、ワクチン抵抗性というのがあるんですね、大臣。あと、子宮内感染などによってワクチンによる予防不成功例などがあるんですが、三十七歳未満の日本生まれのB型肝炎の患者の救済、こういった方に関してはどのようにしていくおつもりでしょうか。

田村国務大臣 本人が昭和六十年十二月三十一日以前に出生していること、これも一つの要件として認定する場合もありますけれども、以降出生している場合という話ですよね、今。

 これに関しては、出生しても、ワクチンを打っての話になりますので、ワクチンを打つまでの間に母子感染が起こるということもあり得ますよね。そういうことが認められることでありますとか、それから、そういうのを認められなくても、そもそもウイルスの塩基配列が母親と一緒であれば、これは多分母子感染ということは推測できますので、そういうものも対象にできるわけであります。

 あとは、医学的知見を踏まえた上で個別判断により本人の持続感染が母親からの母子感染によるものと認められることと。これはちょっと、私、専門家ではないので、どういう場合がこれが認められるかというのはなかなか難しいんですが、これなんかもその対象ということになっておるようであります。

吉田(統)委員 なかなかここは、結構、治療する側から見るとポイントになるところみたいですので、大臣、ちょっとここは、せっかくこの法律をまた延長するわけですし、少してこ入れをしていただきたいと思います。

 では、次に行きます。

 ジェノタイプ検査というのは、もう大臣御承知だと思いますけれども、B型肝炎ウイルスへの感染時期を確認して、成人になってからの感染ではないことを証明するためにも必要な検査ですよね、訴訟の提起という意味ではですよ。

 ジェノタイプAe型のHBVは、平成八年以降に日本での感染例が増加してきています。また、これは成人以降に感染しても一〇%前後がキャリア化することが分かっている。一方、従来より日本に多いジェノタイプCとBのB型肝炎ウイルスは、成人してからの感染ではキャリア化することはまれです。

 現行、ジェノタイプAe型のHBVに持続感染している方は、給付金支給の対象外とされていますね。平成八年以降にHBVへの感染が判明した方については、ジェノタイプがAe型でないことを証明するための検査を提出する必要がありますよね。

 なお、HBV分子系統解析検査は、母子感染や父子感染を立証又は否定するために必要になることがありますが、検査が必要であるかどうかは、個人の病状や事情によって異なってくると思います。場合によっては、代替資料で証明することがあるということも承知しているんですが。

 その中で、肝臓疾患を専門とする臨床現場の医師の指摘では、ワクチン接種に起因する、集団予防接種ですよね、小児期の慢性肝炎の中にもジェノタイプAeがいるらしいんです。これが救済されていないんじゃないかという指摘があります。

 救済してあげた方がいいので、これはちょっと、難しかったら参考人でいいですよ。厚生労働省としては、このジェノタイプAeの現状をどう考え、今私が指摘したところです、ここを救済できないかと結構現場の医師たちは思っているようなんですが、どうされますかね、これ。局長。

正林政府参考人 済みません、私にとってもちょっと難しい問題ですので、また調べて考えたいと思います。

吉田(統)委員 一応レクでは申し上げたんですけれども、難しいですかね。

 でも、局長が状況を知らないというのはちょっと深刻なので、逆に。局長、今日、分かりました、お預かりいただいて、しっかりとちょっと御知見や、私にも文書でいただきたいし、是非理事会の方にも御報告をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

とかしき委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

吉田(統)委員 お願いします。委員長、ありがとうございます。

 ジェノタイプAというのは、Aa型、アジア・アフリカ型と、Ae型、欧米型に分かれますね。さっき申し上げたように、平成八年から、このAe、欧米型が増えています。ジェノタイプAというのはキャリアの二%ぐらいなんです。最も多いBが八五%、Cが一二%。少ないんですが、急性肝炎の肝障害の程度はジェノタイプCと比較して軽いんですが、HBs抗原消失までの期間は長い、そしてジェノタイプAの慢性化率はジェノタイプCと比較して高くなる傾向があることが報告されていますので、しっかりと対応しなければいけません。

 そこで、ちょっとこれ、大臣、もしここも分かりにくかったら参考人で結構ですが、実は、遺伝子型の表記に関しても、このAeとAaというのが使われているのは御存じですよね。ただ、これはどうも日本特有のガラパゴス現象だそうです。国際的には、AaというのはA1、AeはA2、あとA3、A4と表記するので、ここを訂正をしていった方が国際的な基準ではいいんじゃないかという意見がかなり多いようです。

 野球でも、ワンストライク、ツーボールが、ツーボール、ワンストライクになってきましたよね、国際基準で。

 例えば、ヘモグロビンA1c、これも国際標準化として、厚生労働省、日本医師会、保険者団体を始めとする関係諸団体の協議で、二〇一二年四月一日から、日常臨床等においてJDSからNGSP値に変わりましたよね。

 だから、ここに関して、やはり、肝臓疾患の専門家や研究者から、ちょっとガラパゴス現象になっているから統一した方がいいんじゃないかという意見がかなり出ているようなんですが、大臣、いかがお考えになりますか。

田村国務大臣 AeとA2を併記されているものがありますよね、今。それを統一しろと、A2に世界標準で統一しろということをおっしゃられているんですか。

 Aeで通っている部分もありますので、いきなり全部A2にしちゃうと、いろいろな意味で誤解も招く可能性もあるかも分かりませんから、ちょっとこれは検討をさせてください。いきなり全部というわけには、なかなか難しいんだと思いますけれども。

吉田(統)委員 だから、大臣、併記でいいんです。併記もされていないものが多いんです。大臣おっしゃるとおりで、併記した方がいいということです。ヘモグロビンA1cも結構併記されて、あれは数字がずれますから、両方書いてありますよね。

 やはり、大臣おっしゃるように、混乱させちゃいけない、大事なのは医療現場に混乱を起こさないことなので、逆に今は、大臣、併記していない例の方が多いんですよ、一般で使われている場合は。つまり、Aeと書かれているだけ。そうすると、やはりちょっと具合が悪いと思いますので、大臣おっしゃるように、是非併記していくような形をなさっていった方がこれから長い目で見ていくとよろしいんじゃないかという提案ですので、是非、大臣、またその辺は、ヘモグロビンA1c等も変わっていきましたし、世界的にそういう流れがありますので、是非御検討ください。

 では、集団予防接種等とB型肝炎ウイルス感染との因果関係が認められた原告に関しては、病態区分に応じて給付金が支払われますね、大臣。死亡、肝がん、重度の肝硬変の場合は最大三千六百万円の給付です。無症候キャリアで二十年の除斥期間が経過した場合は五十万と、給付額は一気にやはり下がりますね、低くなります。

 さらに、提訴する場合には弁護士費用もかかりますが、国から支払われる弁護士費用は給付金額に対して四%であります。無症候性キャリアの場合は、そうすると、五十万の四%で、二万ですね。そうすると、弁護士費用が高額な場合には、提訴者の手元に戻る額が決して多くないことが多いんです、大臣。

 かつ、一方で、カルテ開示の手続等、訴訟の提起には必要ですよね。訴訟手続の煩雑さや、国を被告とするわけですから、訴訟を提起することの抵抗感も当然あります。そういったわけで、労多く益少ない状態にあるわけであります。

 また、訴訟の提起をすることで、自分がB型肝炎のキャリアであることが親族や周囲の方に伝わって、偏見とか、さらされる可能性があります。

 こういった事態、現状における評価と、これらの状況を受けて、やはり、特に無症候キャリアをピックアップしたければですよ、大臣、給付額の増額や弁護士費用の一定額までの制限ですよね、そういったものが必要になると思いますが、大臣、そこはいかがお考えでしょうか。

田村国務大臣 制度設計をしたときに、無症候性キャリアの方々はどうするんだというので、多分、五十万円のたしか支給金の何か根拠をそのとき、ちょっと私、今記憶がないんですけれども、何らかの根拠があったような記憶がありますが。基本合意の内容に従って五十万円、そういう、根拠という根拠ではないんですけれども、こういうような考え方ってあったというのは記憶しておりますが。そのときに、弁護士費用等々の支給を給付金とともに行っているという形になっているわけでありますが。

 検査は検査で、一方で、必要なものという形で対応しているわけなので、そういう意味からすると、五十万をもらっていただきながら継続して検査いただいて、結果的にその病状が出れば、今度はそれぞれの症状にのっとっての給付金になるわけなので、決して申請されること自体が何か損だとかという話にはならないはずなんです。

 ですから、その先のことも考えても、やはり、提訴をいただいて、それで判決にのっとって支給いただくということが、私は、それが、得という言い方でなくて、それが皆さんのためなんですというようなことをどう伝えていくかということが非常に重要なのかなというふうに考えております。

吉田(統)委員 大臣、でも、よく問題の本質を理解いただいているようですね。実際そうなんです。

 しかし、名前は挙げませんけれども、グレーゾーン金利とかで活躍した弁護士さんとかは、やはりそれは、ここでちょっとひとつ収益上げてバブっていこうなんということを考えて、額を見ると結構高額のところは結構ありますよ、大臣。だから、ここに関してはやはり制限をかけないと。

 本来は、大臣の趣旨は、申請してもらって適切なフォローアップを受けてほしい、そして、五十万なのか、そのうちの幾ばくか引かれた分をちゃんと受け取ってほしいという趣旨ですよね。

 そうすると、やはり、どうしても人間、目先の部分も大事ですから、すごく弁護士さんに取られて面倒くさいわということだと、本来提訴していただきたい人が提訴できなくなっちゃうわけですよ。

 さっき言ったように、やはりこれは個人情報が漏れてしまうなんという、病気のことというのは究極の個人情報ですから、そういう意味でやはりためらっちゃうんですけれども。

 額は、議論の中で、そして、この後ちゃんとフォローされる中で、ちゃんと本人にとってメリットがあるんだよということを大臣に言っていただいて、そのとおりなんだと思うんです。

 しかし、やはり、弁護士さんの、場合によってはすごく法外な、分からない人から見たら、五十万で例えば四十万取られちゃっても、ちょっと余り訳が分からない方だと、そんなような状況も出ちゃうかもしれないんですけれども、そこは、そういう一定の制限なんというのは別にかけたりするような、そういうことは考えないですか、やはり、大臣。制限や何らかのストッパーを。だから、弁護士費用ですよ。

田村国務大臣 午前も我々お答えをさせていただいたんですが、塩崎大臣のときに、御答弁の中で、そういうものに対して、一定のこの合意の中でルールといいますか基本的な考え方を示しているので、それを弁護士会の方に、日弁連の方にお伝えをするということで、実際、我が省から二回お伺いをさせていただいております。

 答えは、最終的には民民の話なのでと。非常にひどい場合があった場合には、我々として考え方にのっとって対応するということでありますが、基本的には民民の契約なのでというような、そういうお答えではありましたが。

 一応、我々としては、そういうことはしっかりとお伝えさせていただきながら、そういう部分では皆様方にも周知させていただいて、法外な形にならないようにお願いをしていきたいというふうに思っております。

吉田(統)委員 弁護士会も、やはり目安をおっしゃるだけですから、そもそも。よっぽどひどい場合じゃないと懲戒請求とかそういうのは無理ですから。分かりました。また今後も努力してください。

 最後に、肝炎の医療費助成制度について伺っていきます。

 B型、C型肝炎ウイルスに起因する肝がん、重度肝硬変に関する医療保険各法又は高齢者の医療の確保に関する法律の医療に関する給付を受けている者で、臨床調査個人票及び研究への同意書を提出した者で、年収三百七十万円以下の方について、今年四月の改正で、従来の入院治療に加えて、分子標的剤による肝がんの通院治療も対象になりましたね、大臣。過去一年で三か月以上高額療養費算定基準額を超えた場合に、高額療養費算定基準額を超えた三か月目以降に、医療費に対して公費負担を行う制度であって、自己負担額が一万円ということで、制度そのものは大変評価できると、大臣、本当に頑張っていただいていると思います。また、今年から、四か月目以降から三か月目以降と負担軽減も図られましたよね、大臣。

 また、治療適応は、HBe抗原陽性無症候キャリア、慢性B型肝炎、B型肝硬変ですが、その抗ウイルス治療は、インターフェロンと一般的に核酸アナログ製剤で行われますね。特に核酸アナログ製剤は一旦開始すると多くの場合終生継続が必要になりますよね、大臣。こういったバックグラウンドがあります。

 そして、日本政府は責任があるわけですよ。一九四八年には既に注射針、注射筒の連続使用の危険性を認識していたけれども、四十年、やはり使い回しの現状を放任していた。そういった行政の不作為にも起因する医原性の病気でもあるわけです、医原性ですね。

 これは、毎年申請しなきゃいけないですよね、大臣。これは結構大きな負担で、本当に必要なのか、甚だ疑問に感じます。患者さんは高齢化をしています。毎年申請するのが大きな負担になってくるのは更に明白ですよね、大臣。

 なので、厚生労働省として、この申請期限を毎年じゃなくて、一度申請すれば例えば五年有効にするとか、再度の申請不要にするなどして、患者さんの負担軽減を図っていただけませんか。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

田村国務大臣 御承知のとおり、初回交付から三年間はお薬手帳等々で確認して簡素化しているんですが、基本的には、やはり所得の多寡によって、二十三万五千円でしたかね、によって一万かそれ以上かというのがあるので、その確認をしなきゃいけないのと、もう一つは、やはり一年に一回、ちゃんと治療を受けていただいているかというのを確認しているというようなこともあるようでございまして、それで一年置きというような形にしているということでございます。

吉田(統)委員 終わりますが、簡素化、今大臣がおっしゃったように、なるべくやはりしてあげた方がいいとは思います。そう大きく変わるものではないと思いますので、是非御勘案ください。

 以上で終わります。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 B肝法について質問します。

 四月二十六日にB型肝炎訴訟の最高裁判決がありました。慢性肝炎が再発した原告二名に対して、最初の慢性肝炎発症時を起算点として除斥期間を適用した福岡高裁の判決を破棄した、そして、再発時点を除斥の起算点にすべきだということになったわけであります。

 資料をお配りしておりますけれども、資料の二ページ目に、判決を踏まえて、全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団が田村大臣宛てに要請書を出しております。こう書いていますね。「原告らは、他の被害者らと同様に、自らは何の落ち度もないのに乳幼児期の集団予防接種によりB型肝炎に感染させられ、二度にわたって慢性肝炎を発症し、長年にわたり苦しみ続けてきたにもかかわらず、最初の発症から二十年という時の経過のみをもって正当な救済を阻まれてきた者である。」こうした上で、要請事項の一つ目で、「国は、本件原告らに対し、正義・公平に反する除斥期間の主張をして苦痛を与えたことについて真摯に反省し、謝罪するとともに、直ちに正当な救済を実現すること」とあります。

 大臣にお伺いしますが、苦痛を与えた、こういう原告団の指摘に対する認識はいかがでしょうか。

田村国務大臣 四月二十六日、最高裁の判決がありましたが、HBeの抗原陰性慢性肝炎、これが発症したということは、そこを除斥の起点とするというふうに、起算点をここに持ってくるというふうに、最高裁、これは、原判決が破棄された上で高裁に差し戻されたという案件であります。

 地裁と高裁で判決が分かれるというようなものでございますので、そういう意味では非常に難しい時間のかかる案件であったというふうに思いますが、しかし、最高裁において、HBeの抗原陰性慢性肝炎の発症時を起算点というような考え方であるとすれば、これは、除斥というものに関して今までの考え方とは変わってくるわけでございますので、本事案については、そういう意味では他の被害者の方々と同じ対応になるということでございますので、同様な形でおわびを申し上げたいというふうに思います。

宮本委員 おわびを申し上げるということですが、争い続けたこと自体が苦痛を与えたということだと思います。

 その上で、慢性肝炎を再発しながら、国から除斥を主張されている原告が、最高裁判決の二人を含めて百十三名いらっしゃるということなんです。

 資料一ページ目につけておりますが、この判決には、最高裁の三浦守裁判長の補足意見というのがあるんですね。最後の四行を読みますけれども、「極めて長期にわたる感染被害の実情に鑑みると、上告人らと同様の状況にある特定B型肝炎ウイルス感染者の問題も含め、迅速かつ全体的な解決を図るため、国において、関係者と必要な協議を行うなどして、感染被害者等の救済に当たる国の責務が適切に果たされることを期待するものである。」ということで、同じ立場にある方々をみんな早急に救済するためにしっかり協議をせよというのがこの補足意見の趣旨だと思いますが、当然、この裁判長の補足意見をしっかり受け止めて、制度の見直し、同様の状況にある被害者全員の救済のために直ちに原告弁護団との協議に入っていく、こういうことでよろしいですね。

田村国務大臣 お尋ねの、同様の事情にある方についての対応でありますとか原告弁護団との協議の進め方など、今回の判決を受けた対応については、判決内容を詳細に分析しながら、関係省庁とも相談をさせていただきつつ、これは迅速に検討していきたいというふうに思っております。

宮本委員 基本的には、同様の状況にある方については、当然、最高裁の指摘を受けて救済するということで、そういう方向で検討するということでよろしいですね。確認です。

田村国務大臣 どういう方が同様の事情かということも我々は検討しなきゃいけませんので、そういう意味では、これは判決は判決でいただいておりますので、この判決に沿って我々としては検討させていただきたいということであります。

宮本委員 全く同様の事例で百十三名だというのが私は弁護団から伺っている話でございます。

 更に加えて、今年二月末時点で、全国の未和解原告のうち、国から除斥を前提とした減額した給付金であれば和解すると言われている方が三百二十八人いらっしゃるということなんですね。この人たちは、でも、除斥を前提とした給付金は納得いかないということで、この三百二十八人の方は承服しかねるということで争っているわけです。

 このうち、先ほど言ったとおり、最高裁判決と同じ再発例が原告を入れて百十三人。原告団・弁護団の大臣への要請書にはこう書いてあるんですね。「慢性肝炎の再発事案に限らず、除斥期間を理由に正当な救済を阻まれている全国の原告らの早期解決に向けて、直ちに我々全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団との協議を開始すること」というふうに書かれております。

 ですから、最高裁と同じ再発事例の方が百十三名いるわけですけれども、再発以外の方でも、様々なことで除斥の問題で承服できないという方々がいます。こういう方々の解決も含めて是非協議のテーマにしていただきたいと思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 あくまでも今回の最高裁の判決というものが我々は非常に判断するのは重いというふうに考えておりまして、最高裁は、要するに、再燃事案のうちHBe抗原陰性下での再燃ということを判断を示したものであるということであります。

 そういうような判決内容も分析しながら、関係省庁と相談をしつつ検討してまいりたいということであります。

宮本委員 最高裁の判決の範囲というのはそういうことなんですけれども、同時に、やはり特措法一条は、そもそも感染被害の迅速かつ全体的な解決を図ることを目的とするということが書かれているわけですよね。やはり、被害の全体的な解決ということであれば、今この除斥の問題で争っている方々についてもしっかり協議の議題に私はすべきだと思います。

 とりわけ、B型肝炎は治療で鎮静化する方もたくさんいらっしゃいますが、一方で鎮静化しない人もいるわけですよね。除斥はおかしいと争っている人の中には、慢性肝炎の症状がずうっと続いている方もいるわけですよ、何十年と。そういう方というのは、再発の人よりもある意味被害を受けている期間というのは長いということになります。

 弁護団にお伺いしましたら、先ほどの三百二十八人のうち、二十年以上前に発症しているけれども再発や継続によって提訴時以降も慢性肝炎に苦しめられている原告というのは、再発の百十三名を入れて百六十七人いらっしゃるということであります。

 私自身の個人的な立場は、本来、除斥で差別することなく、慢性肝炎を発症した原告はひとしく満額で救済すべきだというふうに思っておりますけれども、最高裁の判決を踏まえれば、私は、この再発の百十三名はもちろんのこと、ずっと慢性肝炎の症状が継続している人も含めて、提訴時以降も慢性肝炎の症状がある原告は、除斥という差別をすることなく救済すべきだと思うんですね。

 というのも、今回の最高裁判決は除斥期間の起算点を再発時というふうにしましたけれども、その根拠に置いたのは、再発の損害は発生するかどうかあらかじめ予測できない、だからあらかじめ請求することは不可能だ、こういう論理で最高裁は再発時というふうにしたわけですよね。

 そうすると、慢性肝炎の発症がずっと継続している人も、その論理は同じように私は当てはまると思うんですよね。最初の発症時に将来の提訴時以降まで慢性肝炎の発症が続くということを予測できたかというと、それは、将来の損害をあらかじめ予測して請求することは不可能だったということが言えると思います。

 ですから、今回の最高裁の論理からしても、少なくとも、提訴時以降も慢性肝炎に苦しめられている被害者は、再発事例であれ、ずっと何十年慢性肝炎が続いている人であれ、除斥を適用すべきでないと私は考えますが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 ちょっと何度も申し上げて恐縮なんですが、今回の最高裁の判決は、この除斥の起算点というものを、HBeの抗原陰性慢性肝炎が発症した、そこに要は起算点を置くということになりますので、このような判決を我々はしっかりと理解しながら検討していかなきゃならないというふうにお答えしたわけでありますが、今委員がおっしゃられたのは、今般の判決の内容じゃない方々に対してどうなのだ、長期持続して感染というか発症されておられる、そういう方々に対してということでありますが、これはまだ裁判が係属中でございますので、これに関しては、ちょっとコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

宮本委員 当然、裁判をやっていて、ここで何かしゃべるというのは、確かに裁判との関係でというのはあるのかも分からないですけれども、同じ苦しみをずっと味わってきている方々を線引きをしてはならないというのは私は基本的な考え方だと思いますし、政治が判断すれば、こういう方々は最高裁の判決の論理と同じ論理で考えていけば私は救済できるというふうに思いますので、その点も弁護団、原告団の皆さんとの協議の中で是非よく議論していただきたいというふうに思います。

 なぜならば、やはり、誰が引き起こした被害なのかということだと思うんですよね。国が感染の危険を承知しながら、注射器を交換せずに使い続けるというのを何十年も放置してきた。それがこれだけの被害を生み、長く長く苦しむ被害者を生んでいったということだと思うんですね。

 ですから、本来からいえば、私自身の考え方を申し上げれば、時の経過だけを理由に切り捨てるというのは、被害に苦しむ当事者からすれば極めて理不尽だというふうに思いますよ。その点は思いを共有できますよね。

田村国務大臣 除斥制度というものがある中で、もちろん、これ自体は閣法でありますけれども、制度設計当時、いろいろな議論になったんだというふうに理解いたしております。除斥という制度がある中においてどのような対応をしていくのかという中で生まれた今回の法律であるというふうに理解いたしております。

宮本委員 ですけれども、やはり除斥という考え方が正しかったのかどうかという検証もあったと思うんですよね。だからこそ、昨年四月から施行された改正民法では、除斥期間という解釈はできないように改正されて、除斥じゃなくて時効なんだと。時効だから、除斥と違って、停止だとか、そういうものもあるわけですよね。

 ですから、もちろん、改正された民法を昔のことにさかのぼって適用するというのは、当然それは法律上ならないと思いますけれども、ただ、やはり、こうした損害賠償の問題で除斥という考え方はやめようというふうに政治自体は決断を民法まで変えてしたわけですから、その精神を踏まえてしっかり私は弁護団、原告団の皆さんとの協議に当たっていただきたいというふうに思いますが、その点はいかがですか。

田村国務大臣 まず、今回の最高裁の判決というものは我々も真摯に受け止めながら、これから対応をいろいろな形で検討の上やっていかなきゃならぬと思っています。

 民法において除斥制度を時効という、これに関しては、それは一つの考え方でありますが、過去に上って遡及適用されるものではないわけでありますので、その中において、要するに、この肝炎の問題のみならず、社会一般、除斥という制度の中でいろいろな形で秩序が守られてきたということはあるんだというふうに思います。そういう全体の中での判断においてこういう法律の体系になっているという理解をさせていただいております。

宮本委員 なかなか冷たい答弁なわけですけれども、やはりそれは、法律も国民世論と立法の努力の中でいろいろな点で前進していく面があるわけですから、過去の法律を作ったときの法律の全体の体系とは違うものができたら、その時点で、やはり政治はどうなのかという検証を絶えずほかの法律についてもしていくべきだというふうに思います。

 その上で、残された時間で幾つかのことをお伺いしたいと思いますが、特措法制定時、集団予防接種時の注射器連続使用などによってのB型肝炎感染者の患者は約四十五万人と推計されているわけですけれども、給付金支給者が大きく下回っているわけですよね。その要因について先ほど来いろいろ議論があるわけですけれども、皆さんが今日言われていることの理由以外に、私は、書類がそろえられない、こういう相談は私自身も幾つも受けてきましたけれども、そういう問題もあると思うんですよね、基本合意で求められている書類がそろえられない。こういうものが相当な数に上るという認識というのは政府はお持ちなんでしょうか。

正林政府参考人 書類がどの程度そろえられないかという点については、余り承知はしておりません。

 何度も繰り返し答弁していますけれども、やはり、大多数が無症状の方々というのが一番大きいのではないかなと思います。症状がないと、御自身が肝炎に感染したということを認識することがなかなかできませんので、そこが一番大きな要因ではないかなとは思います。そのために、検査の奨励とか普及啓発活動を行っているところでございます。

宮本委員 一番大きな要因はそこにあるにしても、同時に、私自身は、基本合意で定められた書類が、いろいろなものが求められますよね。そろわない人たちの相談、厚労省とも何回かやり取りしたことがありますけれども、あるんですよね。ですから、当然、基本合意は基本合意としてあるわけですけれども、私は、そういうところも含めて、本当に全員を救済するためにはどうしたらいいのかということをもっと考えなきゃいけないところに来ているのではないかということを指摘させていただきたいと思います。

 最後、ちょっと時間がないからあれですけれども、まとめて二問お伺いをいたします。

 一つは、C型肝炎は薬で完治するようになりましたけれども、B型肝炎は根治するための治療薬はありません。ここをどう開発していくのか、一層の支援が必要ではないかということと、あと、資料三枚目にお配りをしておりますけれども、先ほど津村さんとの質問のやり取りで、職場健診については広島の例が出されて、B型肝炎のウイルス検査が増えてきていますよと広島の例でおっしゃいましたけれども、一方で、自治体での検査というのはかなり減ってきているのではないかというふうに思いますので、やはりこの受検率を上げる対策が私は必要だというふうに思います。

 私自身、もう大分前の話ですけれども、二十数年前ですかね、後輩が二十三歳でB型肝炎、肝臓がんで亡くなりました。やはり沈黙の臓器と言われますから、なかなか気づかないというのはよく言われますよね、いろいろ進行しても。いろいろな事情があって、実はその告知のときにも私は立ち会っていたんですけれども、本当にそのときのことを今でも思い出します。

 そういう点では、やはり治療薬と検診、これは本当に大事だと思いますので、その点、よろしくお願い申し上げます。

正林政府参考人 御指摘いただいたように、B型肝炎についてはまだまだ根治療法がありませんので、その辺はしっかり研究していく必要があるというふうに承知しています。

 また、検査についても、先ほども御答弁申し上げましたが、できるだけ多くの方に検査を行っていただくよう、これも普及啓発をしっかり行っていきたいと思います。

宮本委員 終わります。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 本日も、貴重な時間をありがとうございます。

 時間が余りございませんので、早速ですが、まず、これはちょっと通告にないんですが、本日の委員会での質疑を聞いていて私は非常に残念だったところがございまして、それからさせていただきます。

 私は弁護士でございまして、実は、平成十八年最高裁判決の後に、全国で最初にB型肝炎訴訟を起こした弁護士でございます。その後、全国弁護団として加わって、様々な政治的折衝、そのときには自民党にも大変お世話になったわけですけれども、民主党政権時に主に内閣官房におられた方と政治的折衝を繰り広げて札幌地裁で和解に至り、この法案成立に至ったというところをリアルタイムでまさに目撃しつついた弁護士でございます。

 その中で、今日、何人かの委員の方が弁護士費用の問題をお出しになりました。

 これは前身が民主党のときの話ですから、よく聞いていただければすぐ分かる話なんですけれども、今日、四%の弁護士費用しかないのに、それ以上取るのはけしからぬというような議論があったわけですけれども、本来は、四%以上、弁護士の報酬ですから、着手金や報酬を合わせれば、一般的な報酬基準からいってそれ以上になることは当然のところではありますけれども、国からの給付金ということで限りがあるものですから、うち四%は国が面倒を見るよとされたにすぎないわけであって、四%しかそういった弁護団がいただかないことを国と約束したわけでもないし、原告の皆さんと約束したわけでもないわけですよ。その辺はちょっと御調査になればお分かりのはずのところなんですね。ところが、お話を聞いていると、何かそういったところの経緯がすっ飛ばされて、その辺については触れない御答弁だった。

 それからもう一つは、費用が過大だという話があって、私も気になって調べてみたら、確かに、例に出されたクレサラ系の弁護士だと、一番少ない五十万円の給付金のときに、どうなんだろうなと思うような金額を出しているところもあるわけですけれども、一般的に、最もこの問題に取り組んできて、つい先日も最高裁判決を得て除斥の壁を一部打ち破った弁護団はそういう金額にはなっていないわけですね。

 その辺のところをやはりちゃんと調査した上で御答弁いただきたいと思うんですけれども、大臣の御見解をもしお答えいただければお願いいたします。

田村国務大臣 私は、当時、塩崎大臣のときに、多分、委員会で何か議論があったのかな、それをもってして、多分、塩崎大臣が、弁護士、日弁連とお話しするということを答弁されたんだと思うんです。それで、その後、うちの担当が日弁連に行って国会でのいろいろな議論の内容をお話をされた。その結果を申し上げているだけでございますので、これは、初めに基準を作ったのもいろいろな経緯があったというのは、当時も私も議員で関わっておりましたので、どういう経緯かということもよく知っておりますけれども、事実として、今、そういう状況の中で、日弁連に行っていただいた御返事というものを、ただ単に、まあ、客観的という話は、我々がお聞きした話ですから客観的じゃありませんけれども、そのような形でお伝えをさせていただいたということであります。

青山(雅)委員 まさに大臣がおっしゃるとおりだと思いますね。

 それから、この問題はそれで、次に行かせていただきます。

 この問題、そもそも、なぜ国がこのB型肝炎にかかった方々に対して補償をするということになったのか、どこに問題があったのか、厚労省はいつから何を間違えていたのかについて、簡潔な答弁をお願いしたいと思います。

正林政府参考人 お答えします。

 B型肝炎の問題については、集団予防接種等の際の注射器の連続使用により多くの方にB型肝炎ウイルスの感染被害を生じさせたこと、また、遅くとも昭和二十六年には、我が国でも、血清肝炎が人間の血液内に存在するウイルスにより感染する病気であることや、注射をする際に、注射針のみならず、注射の筒を連続使用する場合にもウイルスが感染する危険があることなどについて、医学的知見が形成されていたにもかかわらず、国は、集団予防接種等の実施機関に対して注射器の一人ごとの交換又は徹底した消毒の励行等を指導せず、注射器の連続使用の実態を放置していたことから、国家賠償法上の賠償責任を負うことになったものと承知しております。

青山(雅)委員 おっしゃるとおりなんですね。

 最初の頃は、ウイルスが分かっていませんでしたから、血清肝炎と呼ばれていて、それが注射器の連続使用によって感染を引き起こしてしまう、それが分かっていながらずっと厚労省はそれを放置していたわけですね。理由としては、手間がかかる、費用がかかる、そういったことだったと思います。

 そして、その放置の度合いがすさまじい。昭和六十三年に正式な文書を出してようやくやめたということと記憶していますけれども、いかがですか。もしお分かりになれば。

正林政府参考人 昭和六十三年に通知を出して、そこまで続いたと認識しています。

青山(雅)委員 実際、そうなんですね。

 私は、昭和六十年代の方だったかな、物すごいお若い方が被害に遭われて、実際それを受け付けたものですから、物すごく驚いたことがあります、昭和六十年代に入ってまでまだそんなことが続いていたんだと。これはすさまじい放置なわけですよ。

 私は、厚労省は本当に考えてもらわなきゃいけないと思うのは、一人一人別の注射器や器具を使うということ、これは、戦後すぐならまだ、もしかしたら、しようがないというところがあったかもしれない。でも、昭和六十三年までそれを続けていたわけですよ、放置していたわけですね。

 厚労省は繰り返しているわけですよ。このB肝の問題だけじゃなくて、同様に、血液製剤もそうですし、それからC型肝炎などもそうですし、そういった放置を繰り返すその状況というのは、実は、私が再三最近お願いしている、日本全体では病床数が余っているのにもかかわらず、システムがないがために、一部の大都市圏で患者数が増えたときに医療が逼迫して十分な医療ができずに、若い方まで結局のところ亡くなるような状況を招いている。これは、私は、将来になれば訴訟が起きてもおかしくないと思っているんですよ。やれることがあるのに、分かっていながら一年も放置している。

 前にもちょっと申し上げましたけれども、フランスなんかは、もう去年の三月に国内間移送はしています。ドイツは去年の三月にスペイン、イタリア、フランスから受け入れています。それを先日私は田村厚労大臣に申し上げたところ、山の壁があるとか、ちょっと今ここは日本なのかというようなびっくりするような、二時間の壁がある、移送が間に合わない。

 いや、新幹線はないんですか、ドクターヘリはないんですか、自衛隊には輸送ヘリがないんですかという話なんです。実際に、九州や沖縄では、普通の船で行けば二時間以上かかるところ、車で行けば二時間以上かかるところは平気でドクターヘリで運んでいます。

 私は、この同じ過ちを、先ほど言ったのはそうでしたね、B型肝炎、C型肝炎、薬害エイズ、またやるのかという話じゃないですか。放置した挙げ句に、亡くなる方や重篤な健康被害の方をいっぱい出した。

 私は、もう早急にこの件を反省材料として、大臣には、今すぐ自治体間の輸送システム、患者の移送システムをつくってもらいたいと思うんですけれども、その点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 重い方といいますか、ECMOを使っている方に関しては、日本集中治療医学会等々に委託しまして、重症者治療搬送調整等支援事業というのがあって、これは医師を派遣した上で対応するというのをやっていただいております。ECMOの患者というのは余りおられませんので、基本的には人工呼吸器。

 ドクターヘリの話も出ました。私自身も、ドクターヘリの議員連盟で今も副会長をやっているのかな、応援している立場の国会議員なんですが、一つはやはり、呼吸の話なので、気圧の問題があるというのがあります。それから、どうしても、ECMOの方がかえって安定している状況であって、人工呼吸器の場合は何が起こるか分からないという中で、ドクターヘリのスペースですと、なかなか、いろいろな器具等々を持ち込んで、何かあったときに対応できない。これは実際問題、ドクターヘリの関係者の方々にお聞きしましたら、やはりなかなか難しいと。

 搬送は、既に、御承知のとおり、大阪から滋賀で一件ありますが、これも結局また大阪に戻っている。理由はよく分からないんですが、人工呼吸器をつけたまま大阪に戻られたという話であって、その後やはり、これは言っていいのかどうなのか分かりませんけれども、県民からもいろいろなお声があられたようであります。

 そういうことを考えますと、元々、やはり広いところで、前から申し上げているように、滋賀は滋賀で、滋賀も大変なんですよね、今。ですから、要は、移動できるところというのは、感染症ですから、その感染エリアから人が行くので、そこも感染しているという状況の中でありますので、今おっしゃられたとおり、ドクターヘリを全国中に飛ばして、北海道は今大変でありますけれども、例えば東北地方にというような話であれば対応できるのかも分かりませんけれども、この感染症、この疾病というのはドクターヘリもなかなか適しないという状況の中で、それは、考えないから悪いんじゃないかと言われるかも分かりませんけれども、いろいろなことを検討しますけれども、なかなか難しいというのが現状であるということであります。

青山(雅)委員 事前のレクの時点では前向きな答弁がいただけるかのような感触もあったわけですけれども、結局また同じ話ですね。

 別に重症者じゃなくたっていいわけですよ。重症者になる一歩手前の方、それを早手回しに搬送してもいいし、別にドクターヘリじゃなくて、自衛隊のもっと大きい輸送ヘリがありますよね。御承知だと思いますけれども、ドイツなんかはエアバスを改造して物すごいのを造って、それこそ気圧の問題だってありますよ、だけれども海外へ飛ばした。もう人工呼吸をつけたままで輸送している。御承知のはずなんですよ。フランスはTGVを去年の三月の時点で既に改装して患者輸送しているわけです。新幹線だったら気圧の問題もありません。

 できない理由をいつまでも並べ立てて、例えば全国に四千二百からの重症者用病棟があって、そのうち千二百しか使っていないのに、三千も余っているのに、医療逼迫だの何だの言って、全国には、三万でしたか、それ以外の病床があって、そのうち一万しか使っていないのに、二万も空いているのに、入れないで若い方を亡くしていて、一体いつまでその議論をしているんですか。やれるための検討というのを、じゃ、何としてもやろう、そのためにいいアイデアはないかという検討を内部で一回でもやったことがあるんですか、大臣。

田村国務大臣 ですから、各都道府県には、要は必要な病床数の整備をお願いをし、今、大体上がってまいりました、五月中にと。私は二倍感染者が増えてもというようなお話でお願いしたんですが、事実、二倍以上の病床を確保している、そういう計画の都道府県も出てきております。

 でありますから、そういう対応をお願いはさせていただいているわけでありまして、委員のおっしゃられる意味もよく分かります、私も手をこまねいているわけではございませんでして、いろいろな対応は検討いたしておる中において、今、現状、急速に感染が伸びる場合にはなかなか対応できない地域が出てきておるということであります。

青山(雅)委員 いや、質問に答えてください。私は、自治体の枠を超えた移送について内部的な検討をちゃんとしたことがあるんですかと言っている。今、全然違う話をされた。したことがないから、そういうことをおっしゃっているんじゃないんですか。どうですか。

田村国務大臣 内部検討といいますか、事実上、やはり都道府県単位で基本的には病床確保をお願いしておりまして、事実、どこもかもやはり感染拡大してきているという状況があるのは事実であります。もちろん、その中には濃淡がありますから、重症化病床等々が空いているところもありますが、しかし、比較的、都心部というのは、御承知のとおり、感染が拡大しやすいというのは御理解いただいていると思いますし、今もやはり政令都市で感染が拡大している地域が非常に多うございます。

 地方もいろいろなところでは病床が空いているところもありますが、そういうところも、結果的には、一つクラスターが起こると、重症者がぱっと出るとそれで満床になってしまう。事実、三重県なんかもあっという間に病床が埋まっていくという状況にあるわけでありまして、そういうことを考えると、委員がおっしゃられるみたいに、全国的にうまくマッチングしながらというのは、その地域はその地域のやはり計画の中において病床を確保しているものでありますから、なかなかそこのところに対してのうまい対応というものを御理解いただきづらいという事実があるということは御理解いただきたいというふうに思います。

青山(雅)委員 私ははっきり申し上げます。今、政府・自民党、内閣の支持率は下がっています。理由は一つです。やるべきことをやらずに、余り効果的とも思えない、飲食店を閉める、百貨店を閉める、お酒を出すな。それで景気はだだ下がりです。

 今言ったように、EUは去年の三月に、だから発生してから一か月ですよ、やっていることを、一年たってもやれない理由ばかり言っている。支持率は下がるに決まっているじゃないですか。

 厚労省ができないから、ワクチン接種だって、河野担当相が出て、自衛隊が出ているんでしょう。本当は厚労省がやるべきことじゃないですか。でも、厚労省に任せたら今みたいに言い訳ばかり言うから、こういうことになっている。その自覚はあるんでしょうか。最後にもしお答えいただければ。

田村国務大臣 私が力がないことは申し訳ないと思っておりますけれども、それこそ内閣を挙げてこのワクチンも含めてコロナ対応をしておりますので、私だけがコロナ対応をしているわけではなくて、いろいろな感染防止等々も含めて、西村大臣にも御活躍をいただいているわけでありますし、その中においてワクチン担当を河野大臣にしていただいているわけであります。

 実際問題、動いているのは、その中でやはり厚生労働省であるということでございますので、私自身が力がないことはおわびを申し上げたいというふうに思います。

青山(雅)委員 最低限、検討くらいしてください。大臣の話を聞くと、知り合いに聞いただの、そんな話ばかりです。これだけ大事なことを、今だってそうでしょう。聞いてみるとと言うと、平野で広がるとかなんとかという話じゃないですか。

 これはまたやらせていただきます。検討はしてください、正式に。お願いをして、本日の質問は終わります。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。

 今日は法案審議ですけれども、ちょっと一つだけ、一問だけ、総合支援資金のことを聞かせてください。

 これは質問というか、本当にお願いです。今これだけ、緊急事態宣言も長引いて、連日、テレビや新聞、報道を見ていると、生活困窮者の窮状が訴えられている。しかし、政府の支援策は前と全然変わっていないです。総理も四十一回、国会で、緊急小口資金などをやっていますからとおっしゃいますけれども、これでも、二月十九日ですから、前回延長したのは。それから三か月たって、ちょうど三か月ですね、三か月たっているわけで、緊急事態宣言もこれだけ長引いていますから、是非ここのやはり延長をしていただきたい。

 これは実は、与党もようやく動き出して、先週の議運では公明党の佐藤先生から御指摘いただき、また、「日曜討論」を見ていましたら、竹内政調会長が、総合支援資金、延長すべきだと言っていました。私のこの今の質問を公明党の三人の皆さんに代わりたいぐらい、本当に訴えていただいています。

 そして、「日曜討論」を見ていたら、自民党の下村政調会長も、総合支援資金、延長をということを、受けておっしゃっていましたので、本当にもう決断のときだ、大臣のいよいよ決断のときだと思いますので、是非、大臣、御決断をお願いします。

田村国務大臣 下村政調会長は多分おっしゃっておられない。ここにそのときの文字起こしがありますけれども、緊急小口とか、それから総合支援とか、さらに、まあ確かに、延長することとと書いてありますね、確かに。そういう意味では、もしかしたら。真意の方をよく確認をさせていただきたいというふうに思います。

 竹内政調会長も、それから、総合支援資金ということで最大二百万円まで借りられることになっているわけでございますけれども、これも六月末までとなっておりますが、これの継続も必要であろうと考えております、また、新しい仕組みもちょっと必要ではないかと思っております、こういうような発言をされておられる。新しい仕組みが何なのか、ちょっと私は分からないわけでありますけれども。

 いずれにいたしましても、それぞれ、与党でいろんな御議論もございます。与党の御意見もお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

高井委員 これは、二月の十九日もそうだったんですけれども、発表になってから準備期間がやはりどうしても要って、それでその間に社協が非常に混乱して、申請がもう一気に殺到して、それで結局、交付が遅れて、本当に二か月とかかかった社協もあるんですよね。

 そう考えると、本当に、やるんだったら、もう一刻も早く御決断をいただいて、そして社協にも準備をするように言っていただきたい。与党がこれだけもう声が出ていますから、本当に私は公明党さんにお願いしたいです。弱い立場の味方で、是非やっていただけると信じて、本当に大臣にも、今、与党とよく協議をするとおっしゃっていただきましたから、本当に一日も早い御決断をお願いをいたします。

 それでは次に、ちょっとワクチンのことを、法案というよりも、ちょっとワクチンつながりで聞きたいと思うんですが、これも、私、日曜の朝のフジテレビの日曜報道プライムを見て、ちょっと驚きました。桜井よしこさんが、東京都の医師会所属の先生方は一割から二割ぐらいしかワクチン接種を担っていない、何か、一万二千人のうち二千人ぐらいしかされていないというふうに言われたんですけれども、これは本当でしょうか。

 東京都だけじゃなくて、全国の医師会所属の先生のうち、どの程度がワクチン接種を担っているのか、そして、あわせて、厚労省としてはどの程度の医師会の先生方にこれをやってもらいたいという考えを持っているのか、お聞かせください。

正林政府参考人 お答えします。

 新型コロナワクチンの接種に関して、院長等が東京都医師会に所属する医療機関数の四割を超える医療機関が、また、院長等が日本医師会に所属する医療機関数の六割を超える医療機関が、新型コロナワクチン接種に係る集合契約に参加していただいており、ワクチン接種への従事又は準備をしていただいていると承知しています。

 また、こうして御協力いただける医師の確保も重要ですので、医師会に対しては、菅総理から中川医師会長に対して、ワクチン接種体制の確保へもう一段の支援を依頼したほか、また、厚生労働省においても、接種体制の構築について協力を依頼するとともに、都道府県医師会の理事の会議等において説明を行ったりしています。

 どのぐらいというのも、できるだけ多く御参加、御協力いただけたらと思っております。

高井委員 今、東京都は四割、全国は六割ですか。一割とか二割に比べればいいですけれども、しかし、国民の皆さんからしたらどうなんでしょうね。四割でやっていますと言って、本当に納得されるのか。

 確かに、厚労省はお願いするという立場かもしれませんけれども、私は、お願いの仕方にも、もう一つこの後ちょっと聞きたいんですけれども、私の友人が北九州で看護師をしているんですけれども、その方は、病院を休んで、休診にしてワクチンを打ちに行っているそうですが、一日、百人以上接種して、一万五千円しかもらえないそうですよ。通知も見せてもらいました。これはちょっとやはり安過ぎませんか。お医者さんは四万二千円、そして看護師さんは一万五千円。

 それは地域の医師会が決めているのかもしれませんけれども、やはり国がもっと支援をして、お医者さんがもっと打とうと思えるような、そのくらいのお金を出すべきじゃないでしょうか。

正林政府参考人 ワクチン接種の費用については、医療従事者への謝金など、ワクチン接種のために基本的に必要となる費用を、接種一回当たり二千七十円として負担金において措置しており、接種会場までの交通費など、通常の予防接種での対応を超える経費については、補助金において措置することによって、地域の実情を反映して、合理的に必要と考える費用について国が全額負担をしているところでございます。

 これらの財政措置から、市町村が、接種を実施した医療機関等に対して必要な経費を支払い、医療機関等が、接種に従事した医療従事者を雇った場合の費用に充当するものと考えており、医療従事者への手当については、医療機関等と医療従事者との間で決定されるものと考えております。

 また、七月末を念頭に、希望する高齢者がワクチン接種を二回終えることができるよう、各自治体において、平日の体制を引き続き強化するとともに土日や夜間にも接種を進めていただく必要があることから、土日、夜間において、接種単価の引上げや、集団接種に医師、看護師を派遣してくださった医療機関への支援を行うことにしております。

高井委員 一回当たり二千七十円ということは、百人したら二十万円ですよね。ある意味、じゃ、国がそれだけ出しているけれども、自治体の方で、あるいは医師会の方で、全然、百人以上接種した看護師さんに一万五千円しか払われないというのは、これはやはり、医師会任せにせずに、ちょっとその辺も見ていただいて。

 やはりお医者さんが足りていないんじゃないですか。これだけ予約が殺到してなかなか、もちろん会場の確保とかいろんな問題があると思いますけれども、やはり、まずは、私、この後もいろんな提案をしますけれども、まずはお医者さんでやるんだ、看護師さんでやるんだとおっしゃるなら、そこは、もうほぼ一〇〇%に近いぐらい打っていただけるような政策をしっかり厚労省で考えていただきたい。

 それを前提として、それでも、私はやはり足りないと思うんですよ。やはり、一日百万回、これは相当な計画で、でも私は、何度も言いますけれども、計画を立てるのはいいと思います。それは、なぜならば、やはりワクチンがないから。今日も、これは日経新聞、今日の社説ですけれども、GDPが三四半期ぶりにマイナスになった、でもこれはもうワクチン次第だ、迅速なワクチン接種が経済回復の前提だと。あるいは、東京新聞、経済浮沈、ワクチン次第と。

 ワクチン次第で、もう本当に日本経済がどうなるか、そして本当に困窮している、緊急事態宣言もどうなるか、こういったことが決まってくることを考えれば、私は、百万回接種を目標にしていただき、その代わりあらゆる手を尽くすという、やはりこれはもう政治家の覚悟だと思います。厚労省に幾ら言っても駄目で、私はやはり大臣の、あるいは総理の覚悟だと思います。

 その中で、一つ提案は、やはり薬剤師のワクチン接種。これは、昨日河野大臣が記者会見では薬剤師も検討対象になると認識を示したが厚生労働省は慎重な立場だといって、厚労省幹部が慎重なコメントを載せています。だけれども、その隣には、日本薬剤師会の山本会長は接種に向けた研修の準備を進めたいと、かなり前向きに言ってくださっています。

 それから、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ドイツ、スイスなどでは、地域の薬局で薬剤師がワクチンを接種している。そして、アメリカの一部の州では、歯科衛生士、獣医師、救急隊員、検眼士、助産師、医学生、看護学生にもワクチン接種を可能とする法改正を行ったと。やはり、このくらいの覚悟を持って私はやらないと一日百万回接種はできないと思いますが、大臣の決意をお聞かせください。

田村国務大臣 日本も、保健師、助産師は打てるとは思うんですけれども。

 おっしゃられる意味も分からなくはないんです、それは。やれることは何でもやらなきゃいけないなというふうに思っておりますが。

 ちょっと我々としても心配なのが、日本の国というのは、やはり、医療というのはがっちり、かっちりしている国で、接種を受ける国民の側もそういう意識を持っていただいているわけであります。

 今まで打ったことのない方々、海外ではボランティアみたいな話も出てきているわけで、それも含めてでありますけれども、果たして、そういう方を、安心して接種を受けていただけるかということも我々は考えなきゃなりませんし、問題があったときにどういう形で対応するかということも含めて考えなきゃいけないことでございますので、いろんな形を我々も考えていないわけじゃないですよ、いろんなことをシミュレーションしているんですけれども、すぐに誰も彼もというわけにはいかないということは、なかなか難しい、御理解いただきたいというふうに思います。

高井委員 国民が不安に思ったり心配するのは分かります。それをやはり大臣も気にされるのも分かりますが、何度も言いますように、一日百万回接種というのは、これは並大抵のことじゃできませんから。また、多くの国会議員も、そんなのできるわけないだろうといって反対をされますけれども、だけれども、やらないと、さっき言ったように経済が沈没してしまいますから、多少のいろんな不安とか不満とか、いろんな声があっても、私は、やるという覚悟をやはり政権が見せてほしい。それはもう政府というか、大臣と総理です。ですから、今の点は、私は、そのくらいの法改正をやるぐらいの覚悟を示せばそれがやはり伝わりますから、是非考えていただきたいと思います。

 それと、ただ一方で、このワクチン接種の足を引っ張るようなことも起こっているわけですね。それは何かというと、これは産経新聞の土曜日の記事なんですが、ワクチン新システムに不具合頻発ということで、国が導入した新システム、これはVRSですね、に自治体や医療機関から不満の声が上がっていると。接種券を読み取るタブレットの不具合に加え、システムへの入力作業などが重荷になっているからだということで、私は、これは導入当初からちょっと不安に思っていました。

 今まで厚労省がずっと検討してやってきたことを、一月に河野大臣が就任して、突然新しいマイナンバーと連動するシステムを入れた。私は、マイナンバーを使うことはいいと思うんですけれども、やるんだったら、何でもっと早く、去年のうちから検討していなかったのかと。

 そして、本当に大丈夫なんですかと河野大臣に私が聞いたら、大丈夫と思いますと一言答弁されたんですけれども、しかし、案の定こういうような不具合が起きてしまっていることを、これは内閣官房が担当だと思いますけれども、どのように受け止めておられ、そしてこれをどうやって改善していくのか、お答えください。

内山政府参考人 お答えいたします。

 ワクチン接種記録システム、VRSにつきましては、四月十二日の高齢者接種の開始に合わせて運用を開始し、昨日五月十八日までに百三十六万回以上を超える接種記録を入力していただいているところでございます。

 VRSではOCRライン十八桁の数字を読み取っていただくわけですけれども、その読み取りについては、システム開発の委託先と連携し、高い精度で行うことができるものを提供しておりまして、汚損等による手入力作業、これにつきましては、順調に入力ができている自治体からは、ほとんどないというふうに伺っています。

 他方、手ぶれ等によりOCRラインの数字をうまく読み取れないといった自治体の声を受けまして、まず、医師会等と連携して、分かりやすい操作説明の動画を配信する、バーコードではなくOCRラインを読み込むことを自治体向け説明会あるいはシステム上の画面表示で改めて周知する、手ぶれをなくし、より簡単に接種券のOCRラインを読み取ることができるよう、読み取りを補助するための読み取り台を配付するといった対応を行っているところでございまして、これによりまして、入力の負担が軽減し、円滑な読み取りが行われるようになるものというふうに考えてございます。

 引き続き、自治体や医師会の声を伺いつつ、きめ細かく相談に乗りながら運用を進めてまいりたいと考えております。

高井委員 いや、本当にこういうことで決して足を引っ張ることのないように、これは予算を幾らかけてもいいと思いますよ。本当に万全の体制で、そして、一日百万回をやるのなら本気で、あらゆる力を投じてやっていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

とかしき委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

とかしき委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

とかしき委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

とかしき委員長 次に、厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人地域医療機能推進機構理事長尾身茂君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官十時憲司君、警察庁長官官房審議官猪原誠司君、国税庁長官官房審議官木村秀美君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官塩見みづ枝君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君、大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官達谷窟庸野君、医政局長迫井正深君、健康局長正林督章君、労働基準局長吉永和生君、雇用環境・均等局長坂口卓君、社会・援護局長橋本泰宏君、社会・援護局障害保健福祉部長赤澤公省君、老健局長土生栄二君、保険局長浜谷浩樹君、中小企業庁次長奈須野太君、防衛省大臣官房衛生監椎葉茂樹君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

とかしき委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 法案の質疑、採決に続きまして、質問をさせていただきます。

 まず、ワクチン接種につきまして、三点お伺いしたいと思います。

 まず一点目は、職域でのワクチン接種に期待する声は大きなものがあります。特に、職域での接種の在り方につきまして早急に示していただきたいというお声が強くございます。例えばバス会社では、六十五歳以上の運転手の方のワクチン接種につきまして、予約がいつ取れるか分からない、シフトがそのために組めない、また、産業医が職域で接種できれば、やっと入ってきた仕事に対応できるといったお声もいただいております。

 職域での接種の在り方を早急にお示ししていただきまして、またその作業も開始していただきたいと思いますが、大臣の御答弁を求めます。

田村国務大臣 今、高齢者がスタートし、大規模接種会場も動き出しました。やがて一般の方々にも、この接種が回ってまいります。そのときに、委員言われるように、やはり職場等々で打っていただくということは非常に効率的にも接種ができるわけでございますので、これはもう早急に検討していかなければならないと思います。

 もちろん設置主体は、これは自治体でございますので、そことの連携をしっかり取らなければいけないわけでありますけれども、言われるとおり、非常に重要な観点だというふうに思っておりますので、しっかりと早急な検討をさせていただきたいというふうに思っております。

高木(美)委員 できれば、先ほど申し上げたように、六十五歳以上の高齢者の方もなかなかやはり自治体の予約が取りにくい、七月いっぱいというお話ですが、それではやはり仕事が間に合わないという、こうしたバス会社などの業種があるということを是非御勘案いただきまして、早急な御提案をお願いしたいと思います。

 また次に、接種する医療人材の確保に相当自治体は苦労しております。私も日夜その相談を受けているわけですが、歯科医師の方に御協力いただくということは既に事務連絡も出されておりまして、自治体で実施するところもあると聞いております。また、既に昨日、オンライン研修システムの事務連絡が流れたということも承知しております。実施状況につきまして答弁を求めます。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 新型コロナワクチンの接種に当たりましては、医療関係者の確保が重要でございます。一定の条件の下で歯科医師にワクチン接種のための注射に御協力いただくことを可能と整理をいたしまして、自治体にお知らせをしたところでございます。

 さらに、ワクチン接種を進める観点から、受講が必要としている研修に関しまして、各自治体等が実施するのに当たり御活用いただけるように、関係団体の協力を得ながら、研修動画を用意いたしまして、五月十一日にウェブサイトに公開をし、その旨、自治体に周知をするとともに、日本歯科医師会と連携をいたしまして、受講修了者に対して受講修了証が発行されるEラーニング教材を五月十八日から提供開始をいたしたところでございます。

 歯科医師によるワクチン接種の実施状況についてでございますけれども、日本歯科医師会の調査によりますと、十四県の約二十の地域歯科医師会に対し、自治体等から、歯科医師によるワクチン接種の協力要請があったと承知をいたしております。

 具体的な事例といたしまして、兵庫県神戸市では、五月十五日に、医師会の協力を得て、歯科医師会、歯科医師の事前研修を行っておりますほか、神奈川県大和市では五月十八日に歯科医師によるワクチン接種が始まっておりますほか、幾つかの事例の報道もあると承知をいたしておりまして、引き続き、関係団体や総務省を始めとした関係省庁と連携をいたしながら、自治体の体制整備を支援してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 この歯科医師の方に御協力いただくということにつきましては、様々な要件があります。筋肉注射の経験があるとか、また、地元の医師会との合意があるとかといった、そういうことを、要件を見ますと、どうもやはり、自治体の中には、要するに、余り歯科医師はやりたくないからこうした要件がついているのではないか、こうした認識も走っているところでありますので、是非とも、十四県二十地域と今御答弁いただきましたけれども、こういう事例をどんどん発信していただきたい。

 むしろ、医療従事者を挙げて、特に医療崩壊を防ぐために私たちは協力するのだ、そうした歯科医師の方たちの実に潔いそういう御決意をしっかりと私たちも受け止めていく、こういう流れを更につくっていきたいと思っておりますので、是非ともお願いをいたします。

 そこで、局長、もう一歩進めて、問診についてはどうかということについて御答弁を願います。

迫井政府参考人 先ほど御答弁させていただきました、今回、一定の条件の下で、ワクチン接種のための注射について歯科医師に御協力いただくことを可能としましたというところでございます。

 この新型コロナウイルス感染症のワクチン接種におきましては、ワクチン接種を希望する方に対しまして、予診として、その健康状態や既往歴などを踏まえ、接種を受けることが適当か否かについて判断を行った上で接種を行うこととなっておりますけれども、その予診の判断につきましては、医師がその医学的知識に基づき適切に判断する必要があるということでございます。

 なお、予診票の確認や記載のサポートにつきましては、歯科医師も含めまして、医師以外の方にも協力いただくことは可能でございまして、各自治体においては、必要に応じて、歯科医師の御協力も得ながら接種体制の構築に取り組んでいただきたいと考えております。

 厚生労働省といたしましても、引き続き、関係団体とも連携しながら、自治体の体制整備を支援してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 御答弁ありがとうございます。

 ちょっと確認をもう一回させていただきます。

 そうしますと、いわゆる接種前の予診ですね、予診票の確認であるとか。これは歯科医師は可能なのか可能ではないのか。いかがでしょうか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど御説明しましたとおり、それは医師によって行われる必要がございますので、歯科医師につきましては、予診については行っていただくことはできないと考えております。

高木(美)委員 ありがとうございます。確認させていただきました。

 次に、訪問接種について伺いたいと思います。

 やはり、ホームヘルプを受けていらっしゃる要介護者の方、また障害者の方などは、接種会場に行きたくても行けない。そういう方々に対しまして訪問接種をどのように実施をしていくか、自治体の現場は非常に悩んでおります。ALSとか、医療的ケアが必要な重度障害児者の方たちから、御自身も早く接種を受けたい、また、密接なサービスを展開してくださるヘルパーの方たちに対しても早期の接種を望む要望もございます。

 この訪問接種のチーム編成、オペレーションの在り方、また好事例の紹介など、早急に示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 地域の実情やお一人お一人の置かれた状況に合わせてワクチン接種の機会が確保されるよう、市町村においては適切に体制を構築していただくことが必要と考えております。

 寝たきり状態の方など接種会場に出向くことができない方については、医師などが自宅に赴いて接種を行うことが可能であり、訪問により接種を行う場合に必要となる費用も含め、地域の実情を反映して合理的に必要と考えられるワクチンの費用については国が全額負担することとしております。

 接種後の経過観察について、接種後にアナフィラキシー等の症状が生じることがあるため、厚生労働省においては、医療機関向け手引において、接種後一定時間は被接種者の状態を観察する必要があることをお示ししております。

 訪問によりワクチンを接種した場合についても、体調に異変があった際に、接種を行った医療機関等に連絡して適切な対応が取れる体制を整えていただきたいと考えており、例えば、家族、在宅サービスの従事者などが一定時間、被接種者の状態を見守ることや、医師が被接種者の自宅から遠く離れない範囲で次の診療を行い、何かあれば医師に連絡して戻ってきてもらうことなどを事例として取りまとめ、周知することを検討したいと考えております。

 いずれにしましても、全ての方に安心して接種していただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。

高木(美)委員 恐らく、その際、在宅サービスを展開されるヘルパーの方たちのいわゆる報酬をどういうふうに見ていくか、これも非常に重要な点だと思いますので、併せてよく御検討をお願いしたいと思います。

 そして、これも、速やかにと先ほど申し上げましたけれども、こうしためどがあると、皆様もやはりそこで、こういう時期になれば打てるという、その一つ希望が見えるということがあります。どうかそういう点からも早期のお示しをお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、生活支援につきまして伺いたいと思います。

 先ほど高井委員からもいろいろお話がございましたが、私もずっとこの一年余り、公明党としても懸命に取り組み、そしてまた悩んでまいりました。特に、最初の、一人親家庭を支援するときの支援は、田村大臣も当時応援をしてくださって、とうとう実現をすることができたという、そういう内容でありまして、三回目も実現をできて、支援団体の方たちからは、それを聞いたとき、その報告に泣きました、こういうお声もいただいているところです。

 いずれにしても、コロナの影響による厳しい経済状況が続いている中で、生活困窮の方たちをどう支えていくか、ここは本当に悩まなければいけない、そして、与党、野党を問わず取り組まなければいけない課題だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、緊急小口資金、また総合支援資金、住居確保給付金について、それぞれの申請件数、決定件数、貸付総額、支給総額を伺いたいと思います。

橋本政府参考人 まず、緊急小口資金等の特例貸付けの方でございますが、これにつきましては、令和三年五月八日時点の速報値といたしまして、緊急小口資金については、申請件数が百二十万二千三百八十六件、決定件数が百十七万九千八百二十件、決定金額が約二千百九十億二千万円。

 それから、総合支援資金でございますが、これは再貸付けを含めまして、申請件数が百二万九千八百十件、決定件数が九十八万九千八百十八件、決定金額が約六千八百九十七億二千万円となってございます。

 それから、もう一つの住居確保給付金でございますが、令和二年度の速報値でございますけれども、新規の申請件数が十五万二千九百二十三件、新規の決定件数が十三万四千九百七十六件、再支給の決定件数が四千七百八十五件、支給済額は約三百六億円というふうになってございます。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 そこで、先ほど申し上げたように、やはり、こうした緊急小口資金、そして総合支援資金、これは六月末までで申請期限が終わることになります。問題は、この七月以降、どう支えていくか、どうするのか、特に、二百万円借り切っている方をどのように支えていくのか。これ以上の貸付けは、返済等を考えますと厳しい状況にあると思います。

 また、貸付けを利用している方の中には、生活保護を受給したくないという方も多くいらっしゃいます。私の地元の江東区の担当者は、借り切った方たちに、借り続けても返さなければいけません、今は、返さなくてもいい生活保護を受けて体力をつけて、時が来たら、伸びていけばいいじゃありませんかと説得をしているそうですが、嫌だという方が多くいらっしゃる。特に、住居確保給付金の受給者につきましては、家さえあれば、仕事さえあれば生保は受けたくないという傾向が強くあるというお話を聞きました。

 そこで、コロナの影響が長引くということを考えますと、生活保護水準、若しくはそれに準ずる水準にあるにもかかわらず、様々な事情で生活保護を受給しない生活困窮者の方に限定をしまして、令和三年度内の特別の措置として、生活保護の一歩手前のセーフティーネットとして、生活支援給付金、仮称でございます、生活支援給付金を世帯人数に応じて給付すべきと考えております。

 これが、新たな給付を考えなければいけないという竹内政調会長と詰めてきた内容でありまして、この内容につきましても、私たちは様々な案を既に練り上げさせていただいたところでございます。大臣の御見解はいかがでしょうか。

田村国務大臣 緊急小口資金、総合支援資金等々、対応してまいってきております。

 住居確保給付金に関しましても、今お話がございました。それから、さらには、一人親世帯の特別給付金、そして、償還免除つきですね、一人親世帯等々への、これは住宅支援資金というような形で、貸付けでありますけれども、対応する。償還免除でありますから、償還免除もついているということであります。

 もちろん、その中において、職業訓練受講給付金等々でしっかり対応していただくのに、シフトの方々に対して要件を緩和したというようなこともございました。重層的にいろんな対応をさせていただいているわけでございまして、今日のところはこういうようなことでお許しをいただきたいというふうに思います。

高木(美)委員 大臣がそうおっしゃる意図を私は大きく善意で受け止めさせていただきたいと思います。長いおつき合いの中で、問題意識、そしてその危機感、十分に共有してくださっていると受け止めさせていただきたいと思います、うなずいていらっしゃいますので。

 是非とも、ここは大事なところでございますので、やはり、その方たちを、この七月、終わったからといって、そのままじゃどう支えていくのか、重要なところだと思いますので、総合的に御検討をお願いを申し上げます。

 そこで、もう一つ、住居確保給付金の再支給の特例の延長等につきまして、伺いたいと思います。

 この住居確保給付金、九か月の受給期間を更に十二か月まで延長していただきました。そして、昨年の四月分からスタートいたしましたので、四月から利用した方は今年の三月で既に切れております。

 そこで、私たちは、さらに、この再支給をお願いをいたしまして、もう一回、この四月以降も三か月延長していただくことを要請をいたしまして、既に決定されているとおり、六月末までが申請期限となっております。

 そこで、まず一つは、一旦外れて、もう一回受給し始めたというこの方たち、この方たちの再支給の特例の申請期限延長をお願いしたいと思います。併せまして再支給の期間延長、今通算十五か月まで来ておりますけれども、これをもう一回更に三か月、トータル一年半まで延ばしていただきたいと思います。是非とも御検討をいただきたいと思いますが、山本副大臣の答弁を求めます。

山本副大臣 住宅確保給付金につきましては、新型コロナウイルス感染症の特例として、令和二年度中の新規申請につきまして、支給期間、今委員の御指摘のとおり、最長九か月から十二か月まで延長し、追加的な支援策といたしまして、令和三年度六月末までの間、支給が終了した方に対しまして、三か月間の再支給を可能としたことでございます。

 六月末までになっている再支給の申請期間の延長という議員の御提案に関しまして、前段に関しましては、貴重な御意見として受け止めさせていただきまして、今後の動向も踏まえて検討していきたいと思う次第でございます。

 後段に関しましては、少し慎重に検討させていただきたいと思います。

高木(美)委員 副大臣、是非とも、これは、本当にまさに、これこそ七月からばっさり切られて、その方が家を失う、果たしてそれでいいのかという、ここのところはやはり公明党出身の副大臣といたしまして、ここはもう強力にイニシアチブをしっかり発揮していただいて、頑張っていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。深くうなずいていただきました。

 そして、もう一問お願いいたします。この緊急小口資金特例貸付けの新規受付期間の延長についてです。

 これにつきましても、新規受付をせめて令和三年度内、どこまで状況が続くか分かりませんので、少なくとも年内、あと六か月、継続することを決定していただきたいと思っております。三か月単位で今までずっと延長してきましたけれども、この実務を担ってくれる社協は、派遣社員を雇用してやってくれているわけです。三か月単位の、まさにシャクトリムシという表現がありますが、そういうやり方では、やっと習熟した方が、また三か月たって別の人が来る、そしてまた新規の派遣人材の訓練はもう大変なんですと。もう三か月単位はやめてくれ、せめて半年単位にしてほしい、こうした切実な御要望でございます。

 あわせて、この貸付業務を担ってくれている社協の事務負担軽減等を図ることも重要ですし、十分な財政支援もお願いしたいと思います。

 橋本局長の御答弁、お願いいたします。

橋本政府参考人 まず、この新規受付の申請期限の延長についてでございます。

 この新型コロナウイルス感染症の影響が長期にわたる中で、緊急小口資金等の特例貸付けについては、申請期限を本年六月末まで延長してまいりました。

 七月以降の対応でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の今後の状況ですとか、あるいは貸付けの動向等を踏まえて、また、今委員から御指摘いただきました様々な点、これを参考にさせていただきながら検討させていただきたいというふうに思います。

 それから、もう一点、社会福祉協議会の事務体制の、事務負担の問題も御指摘をいただきました。

 社会福祉協議会の事務負担の軽減あるいは体制強化を図るということが重要でございますので、そういった必要な人件費等の支出ができるように、特例貸付けに係る経費につきましては、貸付原資と貸付事務費を一体で全額国庫負担で措置させていただいております。

 ただ、それでもなお体制強化がなかなか進まないというふうな御指摘もいろいろいただいておりますことから、私ども厚生労働省の方から都道府県に対しまして、この社会福祉協議会の業務の状況をしっかりと把握をして、人件費の措置や応援職員の派遣などの適切な対応を行っていただくように依頼をさせていただいております。

 引き続き、社会福祉協議会に対する支援につきまして、この社協の事務負担にも配意をしながら、様々な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、GDPの伸び率、戦後最低という状況もあります。そうしたことをやはり私たち政治家はしっかり受け止めて、一人一人の命と暮らしを守っていく、そのために今全力で働くべきときだと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭でございます。

 お疲れさまです。特に尾身先生におかれましては、今日もありがとうございます。

 まず、私もこの委員会で何度も申し上げておりますけれども、やはり、助かる命が助からなくなる、こういうことは絶対に国は起こしてはならない。入院すれば助かったはずの命、これが失われているという現実が、私が今こういうふうに質問している、このときにも、無念の中で、医療的ケアが受けられずに亡くなっておられる方というのが私はおられるというふうに思います。非常に深刻な、戦後最悪の医療行政の私は失態だというふうに思っております。

 そこで、政府に対して強く申し上げたいのは、まず現状把握が不十分、そして対策も非常に不十分、それぞれ地方自治体任せにし過ぎて、政府がもっと全面に関与しなければ、この問題は食い止めることができないということを強く申し上げたいというふうに思います。

 そこで、警察が非常に興味深い調査をしていただいておりますので、まず実態把握の一端ということで質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず警察にお伺いしますが、配付資料の三ページに概要をお示しをいただいておりますけれども、これについて簡単に説明をいただければというふうに思います。

猪原政府参考人 お答えをいたします。

 三ページの資料でございますが、これは警察の新型コロナウイルス陽性死体の取扱状況についての資料でございます。令和二年一月から令和三年四月まで、陽性死体取扱数、PCR等検査の実施時期、発見場所について整理したものでございます。

長妻委員 ここにあるものは、警察が、新型コロナウイルス陽性死体取扱いというのは、どういう死体を取り扱うという定義になっているんですか。

猪原政府参考人 警察取扱いの新型コロナウイルス陽性死体の定義でございます。

 警察が検視等により取り扱った御遺体のうち、生前又は死後にPCR等の検査を実施して新型コロナウイルス陽性と判定されたものでございます。

長妻委員 これは、医療的ケア、つまり主治医がいて、死亡診断書が書かれない、そういうようなことですか。

猪原政府参考人 ただいまお答えいたしましたケースでございます。

 警察は、通報や届出等により、不自然な死を遂げたおそれのある御遺体を認知した場合、その死が犯罪に起因するものかどうか等を判断するため、現場に赴き、医師の方と連携し、御遺体の状況を確認するなどの事務を行っているところであります。

 御質問の警察に通報や届出等が行われるケースでございますが、例えば、亡くなった方と同居していた御家族からの一一〇番通報の場合、一一九番通報を受けた救急隊からの通報もございますが、御遺体を確認された医師の方からの異状があるとしての届出等があると承知してございます。

長妻委員 基本的には、お医者さんがその方をケアしているということではなくて、その方に対して、そのときにお医者さんが対応して、診断書をなかなか書きづらい等々の事案だというふうに聞いているところでございます。

 その中で、死因がコロナウイルス感染症、これによる死因と確定をした方々の人数でいうと、今の死体取扱状況のうち、それぞれ月次で出ておりますけれども、最多だった、一番多かったのは何月で何人でございますか。

猪原政府参考人 警察が取り扱いました新型コロナウイルス陽性の御遺体のうち、検案医等により死因が新型コロナ感染症とされたもの、これは、今年一月に六十三件、今年四月に六十四件等となっております。

長妻委員 そうすると、これまでで、令和二年の一月から毎月取っているわけですが、一番多かったのは何月で何人ですか。

猪原政府参考人 本年四月の六十四件でございます。

長妻委員 今年四月に、死因がコロナというふうに断定されて、医療的ケアが基本的にはない方が六十四人、最多だったということでございます。

 そのうち、生前に、つまり生きているときに陽性が判明した方は何人なのか、死んだ後に、亡くなった後に陽性が判明した方は何人なのか、教えていただければ。

猪原政府参考人 令和三年四月中の六十四件のPCR等検査の実施時期の内訳でございますが、生前に実施されたものが二十六件、死後に実施されたものが三十八件であります。

長妻委員 非常に深刻な私は数字だというふうに思うんですね。

 警察が調べていただいたものでありますけれども、つまり、四月に一番多かった、コロナと断定されたいわゆる不審死、医師がケアしていないコロナ死ですね、ほとんどが自宅でございます。その中で、亡くなった後に陽性が判明して、そして死因はコロナだったという方が、全体六十四人、四月だけで六十四人のうちの三十八人、六割がそういう方だったと。一体これはどういうことなのか。

 いろいろなチェックをすり抜けて、医療的ケアが受けられていないという状況の可能性が非常に高いわけでございますけれども、これは尾身先生にお伺いしますが、専門家の立場として、これほど、四月だけで三十八名もの方がコロナで亡くなった、しかも亡くなった後にコロナと分かったということなんですが、ここら辺については、調査ということについてはいかがお考えでございますか。

尾身参考人 私どもも自宅でこういうふうな亡くなった方がおられるということは認識していましたけれども、このような統計表を見たのは今日初めてであります。

 これには様々な理由があるかと、今初めて見たときの感想ですけれども。これは、多分、具合が悪かった状況があったのか、あるいは症状があったのか、それは分かりませんけれども、多分、中には軽い症状があった人もいると思うので、その人たちが、何らかの理由で医療へのアクセスがなかった人もいるし、あるいは検査もなされなかったということも様々な理由があると思います。

 そういうことで、大変残念なことで、これには、医療あるいは検査へのアクセスをしなかった、あるいはできなかった、それはよく分かりません、私は今初めて見たので。それから、症状があったのかないのかということも。

 そういうことからすると、これを得て、これからどうするべきかというのは、今までもやられてきましたけれども、これからは更に、全く症状がない人をひっかけるというのは難しいですけれども、今回、最近は、分かってきたことを私も、総理との記者会見でも申し上げましたけれども、症状が多少でもある人、具合が悪い人というのはやはりPCRをすると陽性率が高いんですよね。そういうことで、抗原キットも今随分出てきましたので、そういうことがこれからますます重要になってくるのではないかと思います。当然、PCRとうまく組み合わせてやるということは……(長妻委員「調査はされますか、この方々に」と呼ぶ)

 これについて私どもは、今初めて見たので、これは分科会でこのことを主たるテーマとしたことは、こういうことはもちろん我々も知っていましたけれども、これについて特化した議論というのは今までしたことはございません。(長妻委員「する予定はありますか」と呼ぶ)

 これは、医療へのアクセスというか、今の、多くの人が在宅で療養しているということの中の一つだと思うので、必要があれば厚生省と一緒になって考えていくということはもちろんやるべきだと思います。

長妻委員 これは、本当に私はこの数字は深刻だと思うんですね。

 生前に陽性が判明した人、不審死等二十六人。恐らく、生前に陽性が判明していて自宅におられれば保健所は少なくとも知っているはずだと思うんですが、当然、生前に陽性が判明していなければノーチェックで、恐らく、どういう状況か分かりませんが、本人は体調が悪くて、何らかの理由で医療、保健所にアクセスできない、あるいは検査が受けられないとか、いろんな状況があったんじゃないか。これは四月の話でございますので、つい先月の話でございます。

 そういう意味で、尾身先生にもう一度、もう一問お伺いしたいんですが、入院すれば助かったはずの命が失われている、こういう現実というのは今起こっているというふうに理解してよろしいんですか。

尾身参考人 医療体制に余裕があって、症状があって医療のケアが必要な人が受けられるというのがいいですよね。ところが、今、大阪なんかでは、本来ケアが必要な人が、病床がいっぱいなので、ホテルなんかにいる、あるいは自宅にいる、あるいは調整中というようなことがあるので、こういうことが今起きているので、これについては何とか早く改善するということに、今、全力を注入すべきだと思います。

長妻委員 そして、警察にもう一問聞きたいんですが、そうすると、四月が最多だったと、コロナでお亡くなりになったと判定、診断された不審死等の方が、医療的ケアが受けられていない方が。

 そうすると、その四月の六十四名の方々の県別の人数、上位三つの県、分かりますか。

猪原政府参考人 令和三年四月中の六十四件につきまして、取扱いの多い都道府県を見ますと、大阪府三十一件、兵庫県十七件、北海道四件、千葉県三件であります。

長妻委員 件というのはちょっと、三十一件とか、件というのは違和感があるんですけれども、これは人数、人ということですよね。

猪原政府参考人 そのとおりでございます。

長妻委員 大阪が断トツに、三十一人、医療的ケアが受けられずに、自宅等でコロナでお亡くなりになった方ということなんですが。

 これは厚労省にお伺いしますが、大阪で自宅療養者等の死亡例というのは何人ぐらいと把握しておられますか。

田村国務大臣 私しかいないですね、厚労省。済みません。大臣と言っていただければ分かったんですが。

 五月の十日に、医療の管理下になかった自宅また宿泊施設でのコロナ関連死として、これは大阪が五月十日に公表している数字ですが、三月から五月で十八名というふうに公表されております。

長妻委員 これは今、厚労大臣から、三月から五月で十八名。ところが、私が今申し上げた、警察が今おっしゃっていただいたように、三十一人あるんですね、四月だけで。どこまでダブっているのか、重なっているのか、定義も若干違うと思いますが、余りにも差があり過ぎると思いますので。

 田村大臣、これはやはり調査をして、三十一名の大阪、兵庫も十七名、四月だけでおられますけれども、医療的ケアが基本的にない方が。これは一体どういうことなのか、調査をして、そして、もうこういうことが二度と起こらないように、原因を解明して、対策を講じるというようなおつもりはございませんか。まず、調査をする、どうして、どういう方なのかと。

田村国務大臣 警察に確認はしてみます。

 これは、県にお聞きをしないと分からないということになると、ちょっと今現状、まだ、大阪に関しては、それだけの人手を、省いていただくだけの状況にございませんので、若干落ち着いてからという形になるというふうに思います。

長妻委員 これはちょっとおかしいですね、警察に聞いてみる。

 これは警察にお伺いしますが、既に私どもの指示で厚労省に資料を渡しているんじゃないですか。

猪原政府参考人 これまで検視等により警察が取り扱い、新型コロナウイルス陽性と判明した御遺体に関しましては、必要な状況を提供させていただいているところであります。

長妻委員 厚労省に提供しているんですよ、詳細データを。詳細データ。厚労省からもいろいろ問合せしていただいているみたいなんですね、警察に。ですから、情報が足りなければ問合せしていただいて、警察も出せるものは出すと言っているわけですよ。

 さっきもちょっと質問がありましたけれども、相当重く受け止めていただかないと、本当に今それが、現在進行形で進んでいるわけで、それで教訓を得て、早く、何が原因になったのか、こういう方々が一体どういう状況で、どこですり抜けて、どこでチェックが甘かったのか、これを解明して、こういうような、また五月、私は相当な方がこういう形でお亡くなりになっていると、今私が質問している最中にも、そういう方々がお亡くなりになっておられると。大臣、首かしげていますが、かしげている場合じゃないですよ、お亡くなりになっていると思いますよ、今も、医療的ケアが受けられずに。入院すれば助かった命がどんどん失われる、こういうようなことがあるわけで、是非、ちょっと調査をして、何がこれは不足しているのか。

 これは厚労大臣に聞きますけれども、そうすると、入院すれば助かった方々の事例というのは、例えば、こういう方がこういう状況で、大臣ちょっと話さないでいただいて。これは大臣、例えば、厚生労働省として、ちょっといいですか、こっちが話していますので。厚生労働省として、死後にコロナの陽性が出た、それで死因がコロナであった、医療的ケアを受けられていない、こういう方々の事例を一例でも把握されておられますか。

田村国務大臣 中に、検査を出して、つまり行政検査を受けて、自宅で待機をされておられて、そのまま亡くなられて、そして実際搬送された後に検査結果が出たというものが入っているかも分かりません。

 これは、早急に、病床、また医療にしっかりつないでいく、それから、健康観察等々をしっかりやる等々を踏まえた上で対応していかなきゃならない案件で、比較的どうすればいいのかということは、分かりやすいということはない、対応するのは大変なんですけれども、解決策というのはある程度分かるわけで。

 問題は、委員のおっしゃられている意味が、全く何の予兆もなく、自分も感染しているかどうか分からない、たまたま家族と家におられて、気がついたら朝亡くなられておられて、搬送されて、警察で、搬送された後に言うなればPCR検査、原因が分かりませんから調べたら、PCR検査で陽性だった、そういうものに対してどう対応するのかというお話ではない……(長妻委員「違う、違う」と呼ぶ)じゃ、もうちょっとどういう案件なのかをお聞かせいただければありがたいですが。

長妻委員 田村大臣、よく聞いておいていただきたいんですが、死後に陽性が判明された方が四月だけで三十八名おられたんですね。ただ、その方々が、症状が出ていて、いろいろなパターンがあると思いますよ、検査が受けられずに分からない形でお亡くなりになった、あるいは、検査を受けても結果がまだ出てこない間に亡くなられた、あるいは、ひょっとすると症状がほとんど、自覚症状がなくて亡くなられた方もいるのかどうか分かりませんが、そういう方もいるかもしれない。

 だから、三十八名の方々を含めて、警察が全部資料を持っているわけですから。ちゃんとお医者さんが死因をコロナと確定して、診断を出しているわけですから。そういう資料をもらって、きちっと分析をしていただきたい。これは生き死にに関わる重大なことですよ、医療行政の。ということを申し上げております。

 大臣にちょっと現状把握のもう一問、聞きますけれども、大阪で、自宅で療養されている方が今一・五万人おられる、こういうことなんですね。そのうち、お医者さんのケアがある方、つまり、リモートでもいいんですけれども、お医者さんがその方々の相談に乗っている、つながっている方々というのは、一・五万人のうち大体どのくらいおられるんですか、何%ぐらい。

田村国務大臣 ちょっと前段の話、もう一回だけ確認させてください。(長妻委員「いいです、時間がないんで」と呼ぶ)何か要請されたんだけれども、いいんですね。じゃ、分かりました、もういいということで。

 一万五千人でありますけれども、これは一万五千三十一名、五月十二日時点で、自宅で療養されておられる方というのがおられるというのは、これは大阪府の方から、そういう数字であるということは承知をいたしております。

 基本的には、大阪府においては、こういう方々には、定期的な健康観察、これを保健所がやっているか、その上で、夜間等々民間事業者へ委託しているでありますとか、何かあった場合には、自宅療養者への往診、訪問看護、こういう医療機関への支援、こういうことを一応やっておるとは承知しておりますが。

 具体的に、この一万五千件に関して、どのような状況で、何かあったときに、医療に対応したことがあるのかないのか、今現状どういう頻度で対応しているのかまでは、我々としては把握いたしておりません。

長妻委員 これは、大臣、本当にそんな認識でいいんですかね。

 そうすると、一万五千人の方々に対しては、今のような対応がほぼ全員になされているということなんですかね。どのくらいの方々が今おっしゃったような対応がなされていて、これは、五月の連休に大阪に調査に入ったお医者さんがおられるんですよ。自宅療養者の御自宅を相当回った方とお話ししましたけれども、お医者さんのケアがない、お医者さんとつながっていない、脱水症状になってもう本当に生き死にの状況、家族全員が、高齢者もいる、お子さんもいる、夫もいる、相当重症な状況で、そしてやっとその方が地元の開業医につないで、初めてつながって、そして点滴をして何とか事なきを得たと。その方によると、相当数がお医者さんのケアがないんじゃないかと言われているんですね、一万五千人の中で。

 どのくらい、半分ぐらいはお医者さんのケアがあるのか、さすがにそのぐらい、どのぐらいがケア、そのうち比率としてあるのか、そこら辺は分からないんですか。

田村国務大臣 そういうお願いをしているわけでありますけれども、実態、我々もいろんなところで、マスコミ等々のいろんな報道でお聞きするのは、なかなか全員が対応しているわけではないというような状況もございます。

 ここに関しては、大阪の方にはしっかり確認してみたいと思います。

長妻委員 やはり、ちょっと地方自治体任せじゃないんですかね。一万五千人で、自宅におられる方のうち、医療的ケアが受けられている、受けられていないというのは一体どのくらいの比率なのか。これは、国としてちゃんと乗り出すか乗り出さないか、その指標によっては。相当重要ですよ。

 これは、一万五千人の中で入院が本当に必要だという方は何人かというのも分からないわけでしょう、国は。だから、さっぱり分からないわけですよ。一万五千人の中で、入院は必要じゃない方もおられるかもしれません、もう今日入院しなきゃいけない方もいるかもしれません。一体どういう分布になっているのか、それも分からないわけですよね。

 これはちょっと国が、平時は地方自治体任せでいいと思うんですが、こういう緊急時は国が出張っていって、相当、大阪と一緒に、いや、また首をかしげておられますけれども、そういうマインドは、平時のマインドじゃ駄目なんですよ。国が前面に出ないと。

 尾身先生にお伺いしますが、病床確保がなかなかできない。先進国で、人口比で最も病床数が多い国の日本、一つですね。これは尾身先生、なぜ病床確保できないのか、そしてどういう対策が必要だと思われますか。

尾身参考人 感染者数が比較的諸外国に比べて少ないにもかかわらず医療のいわゆる逼迫がなぜ起きたというのは、随分もう議論がされていて、いろいろな、医師数とかICUの数だとか診療報酬の問題だとか保健所の人数、そういうことを、これは繰り返す必要はないと思いますけれども、むしろ、私は、今の状況に、何をこれからすべきかということで、いろいろな努力がなされていますけれども、ここは私は三つあると思います。

 一つは、病院ですよね。これは公的病院もそうですし、民間、いろいろやってくれていますけれども、ここの、これは頑張っていますけれども、今委員おっしゃるように、自宅療養なんかしている人がおられるわけですから、何とかこれは早く改善する必要がありますよね。

 そのためには、いま一歩、私は、この病院で、大きな病院もあるし民間の病院も、これの連携というか、これはもう各都道府県の対策調整本部みたいなのが全部一貫してやる、そういうシステムが都道府県で必要で、それはもう少し、役割分担という部分で、大変頑張っていらっしゃっているんですけれども、もう少し改善の余地があると私は思います。

 それと、もう一つは、実は、先ほどの自宅での療養で不幸な転帰を終えられた方がおられるということと関係しますけれども、ここは病院とは別に、二番目のカテゴリーは、やはり開業医の方ですよね。開業医の方ももう一生懸命努力を様々なところでやっていただいていますけれども、私は、例えば今の話でも、多くの高齢者の人はどこかの医院にかかっていることが多いですよね。そういう意味では、開業医の方々に今まで以上に、特に在宅、自宅で療養している人、あるいはホテルで療養している人に、もう少し強い関与を今まで以上にやっていただければと思います。

 最後、国の方は、国もいろいろやっていただいていますけれども、そうした取組を、国は個別のことを、ミクロのことができませんから、そういう大きな仕組みで、あるいは医師会との交渉でもっとやってくださいというようなことを含めて、そういう意味での国のリーダーシップということ、その三つの私はレベルがあると思います。

長妻委員 私も同感でございます。

 その中でちょっと田村大臣にお伺いするんですけれども、報道なんかを見ますと、大阪では、救急車が到着しても、これは私もにわかに信じられませんけれども、報道では、四十七時間も救急車が到着しても病院が見つからずに待機されておられるケースもあると。恐らく、報道では十時間とか何時間というのはざらに見ておりますけれども、こういう状況であれば、近隣か、あるいはある程度の余裕のあるところに広域搬送をしていく、こういうようなことが今必要なんじゃないのか。

 当然、その患者さんの容体もありますよ、状況もあります。車で揺れたところで、救急車で運ぶということがどうなのか。ただ、十時間も、ある程度医療が、入院できずにいるのであれば、二、三時間、あるいはもう少しの時間があって入院できればそれにこしたことがないんじゃないかと思うんでございますが。

 これは、大臣、そういう広域調整、自治体任せじゃなくて、国が出張っていって調整していくというようなお考えはございませんか。

田村国務大臣 国といたしましては、病床、これは例えば国の関係する医療機関等々含めて、大阪、百五十一床ほど、何とかお願いいたしました。人員はもう百五十九名、看護師の皆様方、関係医療機関にお願いして派遣をさせていただきました。

 今、尾身会長がおっしゃられたとおり、医師会との対応というものも、もう以前から、大阪府のみならず、いろいろなところにお願いして、そういうことをずっと言ってきておるわけでありますけれども、なかなかそれがうまくいかない、そこに対して国がどういうふうなリーダーシップを示していくのか、これはまた我々も考えていかなきゃならないというふうに思っております。

 その上で、広域搬送の話でありますが、なかなか難しいのは、先ほど来話に出ておりますとおり、まず、大阪ですと、近隣は全部、感染拡大しております。ですから、搬送するにも、他県も非常に感染拡大して、蔓延防止をやっておったりであるとか、緊急事態宣言のところもあるわけであります。あわせて、先ほど滋賀のお話もありましたが、県民の方々のいろいろなお声もあるということでありまして、一件、滋賀に関してはあったわけでありますけれども、これもなかなかうまくいっていない。

 正直言って、日本は国土が狭いものでありますから、感染拡大したときには他の地域も感染拡大しておりますので、その地域はその地域で、自分のところが更に感染拡大したときのために病床を確保したいというようなこともありますが、ただ、委員がおっしゃられるとおり、空いている機関において何とか連携できるということは、これは我々も何とか進めていかなきゃいけないということでございますので。

 それぞれ地方自治というものはあるにしても、知事会等々としっかりとそこのところは連絡を取りながら、そういうものがつくれていければいいなというふうな認識の下で、国としてリーダーシップを取る部分に関しては、しっかり取っていかなきゃならぬというふうに考えております。

長妻委員 つくっていければいいなと。ちょっと、こういう温度感でいいんですかね。今、私が質問している最中にも、救急車の中で今待っておられる方はたくさんおられるんじゃないですか、全国で。病院がなくて、入院先がなくて。

 ちょっと、国が本当に出張っていって、私どもが申し上げているのは、総理大臣をトップとした病院調整本部をちゃんと官邸に設置して、それぞれの医療圏ごとに、そこで医師会、病院協会、関係者が集まって、行政も含めて、そこで協議をしていく。そして、人、物、金は国が全部きちっと出すということで、それの裏づけを、その総理をトップとした本部で適時指示を出していく。こういうようなことをオール・ジャパンで取り組まなければ本当に駄目なんじゃないかというふうに思います。

 尾身先生がおっしゃったことにも関しているんですけれども、この一枚目に、配付資料、いたしましたけれども、やはり、田村大臣、国が関与を強めるべき三つの調整。これは、民間病院が主役、主体ですから、があんと命令、指示というのはなかなか難しい。ただ、特措法で一部それが入りましたけれども、まだそれをきちっと有効に使っていないというところはございますが。医療資源の偏在調整、そして役割分担調整、広域入院調整。それについては、国の全面的な財政保障が裏づけとしてなければならない。クラスター減収補償、経費前払い、赤字補填などなどなんですけれども。

 こういうことを、やはり、今、喫緊の課題、助かる命が助からなくなるということを、本当に真剣に、総理がトップの病床確保調整本部を設置をして、是非、号令をかけていただきたいと思うんですが、そういうことを、田村大臣、進言していただけないでしょうか。

田村国務大臣 必要であるということであれば、我々、別に総理じゃなくても、厚生労働大臣の下で、それをやりたいというふうに思いますが。

 問題は、今現状は、先ほど来申し上げておりますとおり、大阪周辺の病床使用率が非常に高くなっておりますので、大阪の患者の方々をどこかに搬送といったら非常に難しいのは、もう委員も御承知のとおりだというふうに思いますので。

 その上で、どのような形ができるのか、これは知事会ともしっかりと我々は相談をさせていただきながら、我々も、そういうようなものができれば、これは確かに必要なものであろうというふうに思っておりますので、知事会としっかり相談をさせていただきたいと思います。

 ただ、今の状況は、もう御承知のとおりの状況でございますので、他県の患者の方を預かっていただけるというような状況がなかなか近隣の県にないというのも御理解をいただきたいというふうに思います。

長妻委員 他県では、うちは受け入れますよと言っているところ、ありますよ。

 これは尾身先生、今の議論を聞いていただいて、オール・ジャパンで本当に総理を中心にやるべきだと思うんですが、尾身先生の御意見、いかがでございますか。

尾身参考人 医療というのは、普通は、平時は、これは日本の法体系がそうなって、医療体系もそうですけれども、地方で、元々医療というのは普通の生活に近いから、国が一々箸の上げ下げまでやるということじゃないので、地方にかなり権限が与えられていて、地方が決める。特に知事ですよね。

 しかし、今回の場合、私は、前から私の思っていることは、こういう、もうこれは危機の時期で、今そういうことで大阪を始めなっているときは、地方のいろんな努力を支えるという意味で、やはり国は、今回も例えばワクチンの接種なんというのは国がかなりリーダーシップを取ってやったので、かなり進みそうですよね。そういう強いリーダーシップというのは、こういう時期には、知事たちの努力ももちろんやっているから、それを更に支えるという意味では、そういう全国的な仕組みというのは、どういうことかは私は分かりませんけれども、それは必要だと私は思います。

長妻委員 是非、大臣、本当によろしくお願いしたいと思います。

 最後に、ちょっと私も信じられないことなんですけれども、インド株の問題で、御家族が、インドに赴任しておられて、そして日本に今年の四月二十九日に全員家族が帰国した。帰国をされて、そのまま自宅に帰られた。自宅には、いろいろ配慮があるので、ハイヤーで自宅に帰られた。

 ところが、四月の二十九日に帰国されて、そして五月の一日にお子さんが熱が出てしまったということで、これは毎朝十一時に厚労省から健康状態をチェックするメールが来るらしいんですね。毎日来るので、子供が熱が出たというところにチェックして送り返しても、うんともすんとも言ってこないので、その日のうちに広島市にPCR検査をしてくださいというふうにお願いしたらば断られたということで、そして厚労省に相談したら、いやいや、市にちょっと連絡してもらわないとということで言われ、熱があることは理解したという厚労省の回答だったという、これはマスコミ報道ですけれども、報道がございました。その後、家族全員が発熱あるいは喉の痛みが出て、帰国後六日後にして検査をすることができて、全員陽性だったということなんですよ。

 これは、インドから帰った方が、水際作戦、完璧ですと政府はおっしゃっておられますけれども、PCR検査すらできない、この報道が事実であるとすれば。

 大臣、この重大案件は御存じで、原因、なぜPCR検査ができなかったのか等々、調査はされておられますか。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

田村国務大臣 広島の対応ということでありまして、広島の検査の話ですよね。ですから、そういう意味からすると、混み合っていた可能性があるんだと思いますけれども、感染拡大の中で。やっていただかなければこれは困る話であります。

 ただ、今現状は、これは六日間ホテルに滞在いただきますので、ホテルの中で、もしこのような発熱があれば、早急な対応という形の中で検査をしておりますから、当然、今の現状ならこれは見つかっている話だと思うんですが、それまでの以前の話でございますので、こういう案件もしっかりと対応いただくべく、厚生労働省としては、各都道府県にはしっかりとこれからも指導してまいりたいというふうに思っております。

長妻委員 PCR検査が混んでいてできない、帰国後かなりたってから。こんなこと今もやられているんですか。混んでいてできないんですか、今。

 だって、症状がない方が民間の検査をどんどんやっているじゃないですか。民間の検査を買い上げればいいじゃないですか。

とかしき委員長 申合せの時間が経過しております。

長妻委員 尾身先生、ちょっとこの検査ができないということについて最後コメントいただいて、質問を終わりたいと思います。

とかしき委員長 尾身独立行政法人地域医療機能推進機構理事長、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

尾身参考人 過去のことはそういうことだと思いますけれども、私はこれからが本当に大事で、検査はPCRも、抗原検査というのを何度も私申し上げましたけれども、ちょっとでも症状があれば、病院に行くまでならないうちにやるということが、PCRの陽性率を、かなり確率が高いので。そうすれば、早く患者さんの治療ができると同時に、そのケースによるクラスター感染、大爆発を抑えるということで、ここは本当にPCRと抗原の検査のキットを早く必要なところに配付していただければと思います。

長妻委員 これで質問を終わりますが、もう本当に一年半前から検査、検査と言っているのは、一体どうなっているんですかね。本当にちゃんとやってください。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、山川百合子さん。

山川委員 立憲民主党・無所属の山川百合子です。よろしくお願いいたします。

 今日は、尾身先生にいらしていただいて、ありがとうございます。

 先生にいらしていただいているので、順番を変えて、最初に尾身先生に、今後の新興感染症に向けた感染症研究、ワクチン開発研究体制等、まずはお伺いをしたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 また、コロナ禍における多大な御貢献をいただいていることに、心から敬意と感謝をまず申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。

 さて、私は、厚労委員会と外務委員会に所属をしていることから、国産ワクチンの開発と我が国が推進をしている人間の安全保障が、新興感染症の発生という事態においては一体の施策であるというふうに思っており、そのコンテクストで、国産ワクチンの開発とその基礎研究、さらには、感染症学をもっと重要視すべきだという提言をこれまでも政府に行ってまいりました。そういう質問もしてまいりました。

 尾身先生におかれましては、感染症学の御専門で、現下のコロナ禍での政府対応で日々多大な御苦労をいただいているわけですが、本日私が先生にお伺いしたいのは、緊急事態宣言がいつ解除あるいはどうだといったような現状に対する内容ではなくて、日本国として、今回のコロナ禍の経験からもう一年半たちました、まだ現状は戦っているところではありますが、それでもいろいろな課題が浮き彫りになってきていると思います。このコロナ禍の経験からどのような希望と将来を切り開いていくことができるのかというビジョン、現時点での先生のビジョンをお伺いしたいと思います。

 大変失礼ながら、今の日本の医学界においては、「白い巨塔」とか「ドクターX」等に象徴されるように、外科が花形。それから、製薬業界においては、その受益を多くの方がすぐ受ける、あるいは利益にもつながるということで、がんの治療薬といったものなどに最も光が当たりやすい一方で、予防薬やワクチン、そこに関わる感染症学に余り注目が集まってこなかったと私は今回痛感しているんですね。

 ところが、我が国は、天然痘の根絶に至る歴史の中において、法律によるワクチン接種義務化や、今まさに尾身先生に担っていただいている社会的介入、また、日本人向けの改良ワクチンの開発と製造など、かつてはワクチン大国と言えるような時代を経験してきたと私は思うわけであります。

 そのような中で、野口英世博士、細菌学だったでしょうか、黄熱病の研究成果が世界を動かすという、地道で地味ではあるけれども、しっかりと人々の命と健康を守るための予防医学というのでしょうか、基礎研究分野に光が当たった時代もあったというふうに思います。

 ところが、今回、日本が新型コロナワクチンの開発に大きな後れを取っているのは、日本が得意としてきた伝統的な不活化ワクチンの開発ではなくて、世界の大きな流れがいわゆる遺伝子レベルの研究に基づくワクチンに大きく移行しつつあり、この分野の日頃の研究の差が今回のメッセンジャーRNAワクチンであったり、DNAワクチン、また組み換えたんぱくワクチンの開発であり、それが今回の成果に結実していると理解をしています。

 尾身先生にお伺いしたいのは、今回の新型コロナ感染症を根絶させるような究極のワクチンがまだあるわけではなく、改良の余地を残す現状において、そして、さらには新しく新興感染症が発生した場合にも備えて、我が国はどのような対策、そしてどのような備えをしていくべきかという一点に尽きるわけであります。

 述べました野口英世博士について、私たち日本人は日本の研究者として誇りに思っているけれども、実は、ロックフェラーなどの支援で米国で研究を続けたわけでありまして、頭脳の流出というばかりではなくて、研究成果は実際は日本のものではなく、アメリカのものだとさえ私は思っているわけであります。

 今回のコロナ禍を受けて、日本の感染症学の研究者たちにもっと光を当てて、日本の感染症学の地位向上のために、例えば、日本型のBARDAというんでしょうか、米国生物学先端研究開発局の創設や、基礎研究分野の国家プロジェクトとしての日常的な研究助成制度を作るべきだ。

 少し長くなりましたが、これは私の考えです。

 是非、この機会に尾身先生の御所見をお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

尾身参考人 委員のは二つのテーマがあったと思います。一つは、がんなんかのような病気が脚光を浴びているということと、それからワクチンの開発という二つだと。

 まず、一点目ですけれども、今、委員、これは私の私見ですけれども、日本の医療は、基本的には、いわゆる臨床家というものを多く育てるということでやってきたと思います。優秀な臨床家が日本にはたくさんおられます。いわゆる臨床家というのは、基本的には患者さんを一対一で診る、そういうお医者さんですよね。

 ところが、もう一つは、先生は予防医学とおっしゃいましたけれども、もう少し広い概念で、パブリックヘルス、コミュニティーを見る、社会全体を見るというのが実はパブリックヘルスで、感染症もその一つですけれども、この分野は実は物すごく大事なんです。

 ところが、日本は歴史的にドイツ医学というものの影響を受けたということもあって、このパブリックヘルスというものが少し臨床医学に比べて優先度が落ちてきたということで、しかし、これから、こういう時代になりますと、やはり臨床家はこれからも大事ですから優秀な人材は行ってほしいですけれども、パブリックヘルスという、この社会全体、それは、疫学の統計学を含めたり、単に医学だけじゃなくて、社会学とか経済学という分野のこともある程度理解できるような人材というのが、もう少し視野の広いお医者さんと縦型の人と、こういうことが今の日本には物すごく私は求められていると思います。それが一点。

 ワクチンの方は、実は三つあると思いますが、一つは、日本のワクチンをこれからどうするかというのは、これはあらかじめ戦略を作っておかないといけない。日本はその戦略がなかったと思います。

 二つ目に大事なことは、これは国だけが主導してできません。これはパブリックとプライベートとアカデミアとが一体になってやる必要があるので、国がもちろん主導をする必要がありますけれども、民間の活力をどうやって、プライベートの、あるいはアカデミアの活力をどう。

 日本の場合には、個々の優秀な研究者はいっぱいいますけれども、システムとして全体で力を出すという仕組みが今のところありません。これが二つ目。いわゆるコンソーシアムという、プライベート、パブリック、アカデミアのコンソーシアムというのが非常に重要。これは国がしっかりと音頭を取るということ。

 それから三点目は、実は、日本の場合には、研究者というのは、すぐれた基礎研究がいるんです。ところが、開発の谷というのが、これは有名な、この専門領域には、これをマーケットにするための大きな谷があるんです。そこは、開発したものをマーケットするというには、単に試験管で、実験室でやる仕事とは別のいろいろな経験が必要で、これが日本には極めて少ないので、せっかくいい種、シードといいますけれども、これを開発しても、結局は欧米にマーケットを占有されるということがあるので、これは、開発からマーケットまで、それぞれ、多くの人、みんな一緒のコンソーシアムに入れて、それぞれの役割、そういう大きな構えが私は必要だと思います。

 それを日本がやろうと思ったら、日本の場合には、シーズ、開発で、ワクチンなんかは世界トップクラスの日本の研究者。ところが、その後のマーケティングの大きな谷があるわけです、それを応用する。

 これが実は、さっき私はパブリックヘルスと言って、細かくどんどん野口英世さんのように見る人と、広く見る、両方が、縦と横、それは日本の医者もそうです、専門医と総合医と。こういうことが今日本には求められていると思います。

山川委員 ありがとうございます。素人の私にも全体像は何となく分かります。

 それで、ただ、先生が言っていただいたこれを実行していくには、具体的にどういう国としての施策を、国の強力なリーダーシップがなければというお話もあったと思うんですが、一年半たちまして、日本がオリンピック開催国であるにもかかわらず国産のワクチンがないということ、それで国民に接種ができないというこの事態は、本当に私も日本国民としてすごくじくじたる思いがあるんですね。

 じゃ、どうしたらいいのかというところについて、もし、もう少し踏み込んだことをいただけるのであればお願いしたいというふうに思います。

尾身参考人 それは比較的クリアで、二つの側面があって、今は、もう既に、いろいろな研究者、企業が、開発、今のコロナワクチンについて、かなりこれは真剣にやっていますから、これを国が全面的にサポートするということだと思います。それは国もやっていますが、更なるサポートが必要。というのは、これは今の戦いをやっているわけですから。

 もう一つの話は、これから新たな戦略という意味では、もう少し感染が収まったら、これから国際的に競争力のある日本のワクチンをどうするかというのは、これは大きな絵を描いて、その中でしっかりと、多分法律的なことですね、そういうことも含めて、しっかりした腰を据えた戦略が必要で、それは今なかなかその余裕がないと思う。

 今の方は、今やっていることに政府がかなり支援をしていただけていますけれども、更なる支援をしていただければと思います。

山川委員 ありがとうございます。

 貴重な御提言をいただきまして、ありがとうございます。是非、私もまだまだ未熟ではありますけれども、しっかりとこの問題に向き合って取り組んでいきたいと思いますので、引き続きの御指導をよろしくお願いいたします。

 それでは、先生には御退席いただければと思います。どうもありがとうございました。

 続きまして、今日はたくさん準備をさせていただいて、他省からも政務三役にお越しいただきまして、ありがとうございます。

 ですので、済みません、ちょっと順番をやはり変えまして、中山防衛副大臣にお越しいただいていますので、そちらを先にやらせていただきたいというふうに存じます。

 大規模接種センターでの接種に関してでございます。

 予約を開始して、本当に僅かな時間で予約の枠はいっぱいになったということで、やはり希望する国民がこれだけ求めているんだということが示されたというふうに思います。

 しかし、片側で、システムの不具合とか、あるいは二重予約とかいったいろいろな問題も生じていまして、本当に、その問題点を今日は細かくお聞きするというよりは、やはり早急な接種を望んでいる国民がこれだけいるので、それにどうやってきちっと対応していけるか、そして、ワクチンの大規模集団接種がむしろ密を引き起こして、また問題を引き起こさないということに是非注力していただきたいと思いまして、二つ伺いたいというふうに思います。

 一つは密対策ですけれども、この委員会でも質問なども出ていますが、私の方からも伺っておきたいのは、一日一万人、最初からそうではなさそうですが、それでも一万人近いということでありますと、特に、十二時間で、通勤の時間帯にも重なるわけですよね、出勤と退勤というんですか。そうすると、高齢者の方が公共交通機関で移動して、大手町とか竹橋ですかで降りて移動するということは、相当なやはり密状態が日々の生活の中に生まれるというふうに思うわけですね。

 会場の中の密は回避するような整えはしたとしても、会場の周辺、それから移動中、そういったことについての密対策、それから、やはり必ずしもそういう都心にかつて出勤していた方ばかりでもないでしょうから、場所が分からないとか、いろいろな問題が生じると思うんですよね。それに対しての対策について伺っておきたいと思います。

中山副大臣 まずは、山川先生、こうやって命を守るということに関して党派を超えて真摯にいろいろな意見等を御質問いただいて、できるだけ多くの国民に詳細な情報を提供しようというお心に対して、防衛省・自衛隊を代表して、現場の士気をおもんぱかっていただいた御質問に心から感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。

 まず、この大規模接種センターの会場の選定に当たりましては、センターの最寄り駅から徒歩圏内となっており、交通アクセスの利便性を最大限考慮したものでございます。

 それからさらに、駅からセンターまでの間に案内板を設置する、又は案内のための係員を配置するなど、ワクチンを接種される方が円滑に御移動いただけるような取組を検討しているところであります。

 また、ホームページ等々でも、まだまだうまく解説ができていないだろうということで、準備期間を含めて省内でも今検討し、更に分かりやすい御説明に取り組んでいこうということで、今、プロジェクトを前に進めているところでございます。

 また、大規模接種センターでのワクチン接種に当たりましては、来場者にマスクの着用を要請するとともに、センターの職員も業務中のマスクの着用及び手指消毒を徹底をさせていただく。それから、受付時に体温測定と体調確認を行い、体調不良の方の接種を防止する。あとは、机、椅子等の定期的な消毒を行いますとともに、問診や接種のブースは十分な間隔を取って配置する、また、パーティションを設置するなどの取組を行わせていただいて、新型コロナウイルスの集団感染のリスクを極限まで対策を打っていくということを考えてございます。

 いずれにしましても、自衛隊大規模接種センターを利用していただく国民の皆様方に対しまして安全かつ効率的に接種を実施できるような環境づくり、この整備をより行い、より多くの方々にワクチンを届けられるように取り組んでまいりたい、かように考えてございます。

山川委員 御丁寧に御説明ありがとうございます。

 現場は大変な御苦労だと思うんですね。突然、大規模接種だということで、本当に担当の方、それから医官、看護官を始めとして、本当に皆さん、大変な思いで備えていただいていると思うんですが、本当に丁寧に御答弁いただいたんですが、一点、通勤ラッシュのときに、私も電車を使うこともあるんですけれども、やはり、今、テレワークも、以前の一年前のときとは違って、少し移動されている方が戻っていらっしゃると思うんですね。特に通勤時などは、駅でやっていてもその様子が見えるんですけれども。

 この通勤ラッシュのときに高年の方がどう対応できるかな。高齢者、高年者の方にもいろいろな年の方がいらっしゃると思うんですけれども、ちょっとそこは心配していて、例えば、御本人の御希望によるんでしょうけれども、御希望によって、自分は昼間のすいている時間帯に移動したいと思って予約が必ずしもできるとは限らないじゃないですか。その辺、私はとても心配なんですが、どういう事態になるかなと、通勤中の混雑が。

 その辺は、一時間当たりで考えると千人ぐらい、まあ、八百人から九百人、千人ぐらいの移動になると思うんですよね、一時間単位で見ると。その辺どうなのかなというふうに思っているんですが、もう少し御答弁いただけることがあればお願いします。

中山副大臣 ありがとうございます。

 まず、このプロジェクト自体は、内閣官房が主務官庁として我々に対してもいろいろと協力をいただいております。そして、ワクチンを私どもの防衛省・自衛隊まで、厚生労働省が御尽力をいただいていろいろ御配慮いただいている。また、地方自治体とは総務省が御調整をいただいており、私たち防衛省・自衛隊としては、被接種者の方にとにかくしっかりワクチンを接種する、打つということだと考えています。

 そして、予約の間隔でございますけれども、三十分刻みで予約をお取りをさせていただくようにしております。これは、先生が御懸念のような通勤の方々、そしてまた会場までお出ましをいただく間の感染を抑止するということも考慮をし、いっときに集中しないような対策という意味で、予約の段階で工夫をさせていただくという取組をさせていただいてもらっています。

 できるだけ時間を遵守して被接種者の方にはお出ましをいただけるように、我々も広報に徹してまいりたい、また御協力を賜りたい、かように考えてございます。

山川委員 もう一点なんですけれども、これはスタートしてみていろいろな課題も、幾ら準備してもいろいろまたそれは出てくるかと思うんですが、準備もまだ追いついていないという状況でもあるのかもしれませんけれども。

 今、東京と大阪ということでありますが、この東京、大阪の大規模接種もすごく無理をして決まったんじゃないかというようなことも言われてはいますが、ほかのところでもという話が自治体の方から出てくるような場合、防衛省として検討するのかということと、大規模接種はこうやって移動の問題がありますし、むしろ、じゃ、打ち手が今足りないんだから、逆に自治体の集団接種会場に派遣してほしいというような要請が防衛省の方に寄せられた場合にどのように検討していかれるのか、それについてもお伺いしたいと思います。

中山副大臣 ありがとうございます。

 先月、四月の二十七日の総理の御指示を踏まえまして、防衛省・自衛隊といたしましては、今月の二十四日から自衛隊の大規模接種センターの運営を開始すべく、全力で準備に取り組んでいるところでございます。

 東京都につきましては大手町合同庁舎第三号館、大阪府につきましては大阪府立国際会議場にそれぞれ自衛隊大規模接種センターを設置をさせていただき、これは三か月間運営をする予定でございますが、現時点におきましては、このほかに大規模接種センターを設置する予定はありません。

 今後、地方自治体から相談が寄せられた場合には、全国の医療情報やワクチン接種情報を幅広くお集めになられている厚生労働省を始め、関係省庁と対応を検討していきたい、そのように考えてございます。

山川委員 自治体への派遣についても伺っておきたい。要請があった場合に、集団接種とは言わなくても、人の派遣、災害対策の範囲では検討は可能というお答えもいただいてはいるんですが、いかがでしょうか。

中山副大臣 ありがとうございます。

 さらに、災害派遣要請が寄せられた場合の対応ということでございますが、医官や看護官等は自衛隊の大規模接種センターにおきまして任務に従事している中ではございますが、今後、知事からワクチン接種支援に関わる災害派遣要請が寄せられた場合については、ニーズ元の自治体ともしっかりと御相談をさせていただきつつ、全国の医療情報を幅広く集めておられる厚生労働省を始め、関係省庁とも調整をさせていただいた上で、保有する能力に応じて適切に対応してまいりたい、そのように考えてございます。

山川委員 ありがとうございます。

 本当にワクチン接種を待っている、希望されている方が不安の中でいらっしゃる中で、やはり安全に接種を進めていただくよう、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、ありがとうございました。

 続いて、ちょっと時間が限られているんですが、ワクチンパスポートについて伺いたいと思います。

 あと七分ということで、随分用意してきたんですが、ここで伺いたいワクチンパスポートは、国内の経済活動等や国内での国民に当てはめるワクチンパスポートのことではありません。あくまで国際社会の移動についてのワクチンパスポートについて今日はお聞きしたいということで、よろしくお願いをいたします。

 まず、外務省からは國場外務大臣政務官にいらしていただいているので、ちょっと前置きがもう時間的に何なんですが、少し話させていただくと、パスポートというのは移動の自由を保障するもので、日本のパスポートというのは世界一と言われていて、私も留学中に、日本人はいいよねというふうに、日本のパスポートはどこでも信用されるからと随分羨ましがられました。

 今回、このコロナで、コロナのワクチンを打っていることをワクチンパスポートとして、世界的な移動の自由を保障する一つの手段としてこれを活用しようとする議論が世界で起こっていると思います。もしも外務省が、ワクチンの接種証明を国際社会の入国管理のスタンダードにしようとするこの議論に乗り遅れれば、日本のパスポートで入国拒否が行われる事例が出てくるんじゃないかということを心配するわけです。そうすれば、日本のパスポートの価値が下がる危険性がある。ですので、これに備えることが必要。

 厚労省は接種証明書は出すということであるわけですから、これを英文に置き換えるとか、ワクチン接種を入国要件とする国が今後出てきた場合に備えておくということについての見解と、その論点整理について伺っておきたいと思います。

國場大臣政務官 ワクチン接種証明については、水際対策と結びつけられるものを含め、様々な議論がありますが、現時点で把握している限りにおきまして、ワクチン接種証明書がなければ一律に入国ができない国、地域はありません。

 他方、新型コロナの世界的感染が徐々に終息に向かう中で、国際的な人の往来も再開されることが見込まれているところ、御指摘の海外渡航者向けの国際的な接種証明のニーズへの対応については、各国の検討状況を踏まえつつ、関係省庁間で連携しながら対応を検討することになると考えております。

山川委員 ちょっと日本がまだそれを議論するような状況じゃないというふうなことが片側にあるかもしれませんが、準備はしておかないと、本当に日本だけが取り残されるようなことにならないように、是非よろしくお願いいたします。

 それで、なぜ今日このことを聞いているかといいますと、準備はちゃんとしてくださいということもそうなんですが、何よりもオリパラですね。

 私は、状況的には、選手のことを思えば本当に開催できるといいなと思いますが、状況を見ると、オリパラはなかなか開催は難しいと私は思っていますが、しかし、政府がやるという方向でいますので、であるならば、準備は十分でしょうかということで、このワクチンパスポートのこともお聞きしているんですね。

 つまり、時間もないんですけれども、国内、国民にワクチンパスポートをと言っていることではないので、そこはまず繰り返し御理解いただきたいと思うんですが、オリパラをやるときに、ワクチンパスポート、つまり、ワクチンの接種を勧奨する、お願いする。外国から来る方々に、選手団一団、関係者にワクチン接種をお願いするということは、やはりこの際だからしてみたらどうか。

 厚労省はそもそもワクチンパスポートは国内に対して否定的だし、それは私もそうなんですが、入ってくる人に対するワクチンパスポートについても、結局、接種したからといって、感染リスクと重症化リスクは下げる効果はあるけれども、感染させないというリスクについては、つまり、無症状のまま移動した場合は非感染者に感染させるリスクを否定することはできない、したがって、ワクチン接種を我が国への入国許可の要件にはしないという趣旨の御答弁、御議論を政府はこれまでしてきたというふうに理解をしています。

 ですが、しかし、ワクチン接種がワクチンを接種した人の感染リスクや重症化リスクを軽減するということについては政府見解としては異論がない、繰り返しになりますが。そうすると、これほど日本の今のコロナの医療体制が逼迫して、本当に、これまでの質問にもありますが、もう医療が崩壊するという現状の中で、それでもオリンピックをもしやるのであれば、本来は選手村で医療体制は完結して、例えば重症者が出た、ECMOが必要となった場合も、選手村の中で全部完結するような医療体制がその中にちゃんと整備されていればいいと思うし、それは外国の人たちに対しても安心感を与えると思うんですね。

 ところが、今そういう状態じゃない。大会指定病院に搬送するというようなことを聞いているわけであります。

 であるならば、果たして準備は本当にできるのか、日本の国民の命を危険にさらすようなことのないような医療体制を組めるのかということでお聞きしたいのは、選手団、関係者の総数は何人を想定して、そのうちの指定病院は何床用意しようとされているのか。つまり、パンデミック、クラスターなんかが起きたときにも対応できるような準備が本当に整えられるか、あるいは整える目標値はどうなっているのかということをお伺いしておきたいというふうに思います。

とかしき委員長 三谷内閣府大臣政務官、申合せの時間が来ておりますので、簡潔に答弁をお願いいたします。

三谷大臣政務官 お答えいたします。

 まず、政府といたしましては、東京オリンピック・パラリンピック大会を安心、安全な大会として開催をさせていただくということに向けまして鋭意努力をさせていただいております。

 その中で、委員のようなお気遣いをいただきまして、誠に、まず御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 その上でお答え申し上げます。

 医療体制に関してですけれども、まずもって、陽性者が発生した場合、コロナの陽性ということだからといって急遽病院に行くということではありませんで、軽症、無症状者につきましては、東京都や組織委員会が確保する宿泊療養施設において健康管理や相談等を行い、症状の悪化により治療等が必要な者については大会指定病院へ搬送する仕組みとなっているというふうに承知をしております。

 そして、どの程度確保されているかという御質問についてなんですけれども、大会指定病院については、都内約十か所程度、都外約二十か所程度の確保を念頭に、組織委員会が会場等の周辺の大学病院と調整を進めている状況にあるというふうに伺っております。

 そして、じゃ、具体的に、様々な患者が出た場合にどのように対応するのかという点でありますけれども、この点、強調させていただきたいと思いますけれども、コロナ対応につきましては、住民と選手とを分け隔てなく、現在自治体が行っている入院調整の仕組みの中で対応させていただくことというふうにしておりまして、組織委員会といたしましては、特に大会専用の病床の確保を求めているものではありません。

 しっかりと、そういった地域医療に支障を生じさせないように配慮をしながら、準備を随時進めさせていただいているというところでございますので、その点、御理解いただければと思います。

山川委員 最後に、ちょっと一つだけ、ワクチンパスポートの検討についてのお考えをお願いしたいというふうに思います。このオリンピックに関してです。お願いします。

とかしき委員長 申合せの時間が来ておりますので、済みません、簡潔に答弁をお願いいたします。

三谷大臣政務官 お答えいたします。ありがとうございます。

 政府といたしましては、そもそも、ワクチンの接種の有無にかかわらず、様々な検査ですとか厳格な管理を通じまして、大会関係者の感染を防止し、安全、安心な大会運営を確保するということを大前提とさせていただいておりまして、そういったワクチンパスポートといったものを現在検討しているわけではないというふうに承知をしております。

山川委員 ありがとうございます。

 検討をお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 立憲民主党の白石洋一です。

 ワクチン接種についてお伺いします。

 大臣、ワクチン接種をできるだけ早く行うためには、地方自治体、特に基礎自治体、市町村には、安全に短期間に、できるだけ多くワクチン接種をするということに集中してもらって、それ以外のことについては国で引き取ってセットしてあげるということが必要だと思うんです。と申しますのは、今の状況は、市町村に投げていて、市町村で考えてやってくださいということが非常に多いと思うんですね。

 そう感じた項目についてこれから申し上げるんですけれども、まずは潜在看護師やアルバイトがワクチン接種、特に集団接種でサポートする、お手伝いする場合、じゃ、自分の、潜在看護師さん、退職ナースですね、自分自身のワクチン接種はどうなるのかということについて、ちょっと少し前は、それは、市の回答としては、まず集団接種の会場に来て手伝ってもらっているうちに、必ず予約キャンセルが出てきますから、そのときに打ってもらうことを考えていますというような回答だったわけです。それではちょっと困る、つまり、就業前にワクチン接種をしたい、そのことを確認してじゃないと、やはり怖くて集団接種の手伝いに入れないと。こういうことがあって、県としては就業前にワクチン接種をしますというふうに変えたんです。

 市町村にそういったことを考えさせたら、どうしても、県と相談するとか、隣の市はどうなっているのかとか、場合によっては地元の医師会と相談しないといけないとか、そういうことが出てきて、先ほど言った、なるべく安全に短期間に、できるだけ多くの接種をする、ロジスティックなところですよね、そこに集中しないで、ほかのことを考えないといけないということになる。だから、国として、そういったものは引き取って、方針とか基準を明確に出してあげて、こういうときはこういうふうにしてくださいというものを出すべきだと思うんです。

 まずは、お手伝いに来られる看護師さんとか、あるいはその他のスタッフについてのワクチン接種について、どういうふうに考えていますでしょうか。

田村国務大臣 一番フレキシブルなのは、さっき委員がおっしゃられたとおり、余ったワクチンを、もう、すぐに参加したいと思われている看護師の方々に順次、この日はあなた、この日はあなた、必ず余りますでしょうから、打っていくというのが多分一番フレキシブルなんですが、それだともう限られてきますし、システミックではないわけですよね。ですから、委員が今おっしゃられたようなお話だというふうに認識いたします。

 そういう意味では、基本医療機関で働く方と言った方がいいのかな、そこに復職をされる方、基本型接種施設ですね。そこの場合は、基本型接種施設というのは接種券が発行できますので、印刷できますので、そこであらかじめやっていただければ、もう接種券が出て、接種ができる。ただし、もちろん、タイムラグがありますから、接種してから復職までに時間がかかるということはありますけれども、そういうやり方をやるというのが一つだと思います。

 基本型接種施設じゃない場合に関しては、これは自治体に、要するに、こういう形でこの人たちはここで接種をしていただきますから、集団接種施設等々をつくる場合、それが、基本的にはそういうところは基本型になっている可能性が高いんだと思うんですが、なっていない場合なんかも、そういうところに関して、その人たちの名前を登録して自治体が接種券等々を出していただけるということになれば、その方々をやっていただいて、そして現場に復職をいただいて接種をやっていただけるという形になりますので、そういうのをちゃんと自治体に伝えるようにということであろうと思いますので、しっかりと、今おっしゃられたように、こういうやり方でやれるのでやってくださいという形で伝えられるようにいたしたいというふうに思います。

白石委員 予約キャンセルで打てますよというのは、それは分かりますけれども、それに手を挙げている退職ナースの心理としては、私のところに来ていますけれども、それだと不安だというんですね。

 だから、基本線は就業前にワクチンを打ってください、医療従事者と同等ですということで、さっき大臣がおっしゃった、基本型だったらこうする、そうでなければこうする、こういうことをばんと出してあげれば、市町村は、迷うことなく、基本的にこの書いてあるとおりやればいいんだというふうに、次のアクションに進めるわけですね。それを是非やっていただきたいなと。

 次は、看護師や准看護師さんだけじゃなくて、ワクチン接種、特に集団接種の場合はいろんな補助が必要なわけですね。例えば問診の記入補助とか、あるいは接種後の、待機している様子を見てあげる。このことまで看護師さんにお願いしているのはもったいない、コロナの患者でも看護師さんは必要なわけですから。ましてやオリンピックもあるでしょうから。

 そういうことであれば、ほかの士業の方々、例えば社会福祉士であるとかこういった方々、医療、福祉、国家資格の専門職の方々から大々的にサポートをいただいて、それもやはり、市町村に丸投げして、そういったこともありますよじゃなくて、国の方で、そういった士業の団体、全国団体があるでしょうから、そこで話をつけて、そこから下りていくようにして、そして、市町村としては、それをオプションとして使える、あるいは使わない、そういったところまで国がセットしてあげるべきだというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 有資格者じゃない、なくてもやれる業務というのは、いろんな方がやっていただけるんだというふうに思いますが、より、そういうような士業の方々というのは、いろんな知識をお持ちでありますから、有効に活用はいただけるんだというふうに思います。

 それぞれの地域にそれぞれの士業の会があられますので、そことしっかり対応いただくようにということで、地方の組織に国の方からお声がけをさせていただいて、それぞれの地域で連携を取ってくださいというところはやれると思いますが、マッチングまでは、これはちょっと、各自治体でやり方が違いますので、細かいところまでは国がそこに入っていくほどの、言うなれば人がいないというのが国の本当のところでございますので、こういうような形でお声がけしてありますので、必要な場合はここの団体にお声がけをいただければ、中央の方からは一応お声がけしてありますというようなことはやれるというふうに思いますので、一度中央の会の方とも相談をさせていただきたいというふうに思います。

白石委員 是非相談していただいて、医師会とか、あるいは最近であれば歯科医師会、薬剤師会、やっていること、それをまたほかのところに横展開して、使えるということを地方で判断したら使っていただく、こういうふうにすればいいと思います。

 それから、三番目として、これは事務方の方に確認したいんですけれども、先ほど申し上げた、集団接種等で応援に入っている看護師さんとかほかの方が、書面の雇用契約があるのが望ましいですけれども、その書面の雇用契約にいろいろ条件を書いている、そういったものなしでお手伝いをして、そして、会場で、例えば使用済注射の針刺し、針を指に刺してしまったというような事故がもし起こった場合、労災上どうなるんでしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 労災保険法上、労働災害が起きた場合につきまして、労働者が業務上受けたものにつきましては補償するという制度になってございます。この場合、労働者がどのような状態にあるかというものは、雇用契約が御指摘のように書面であればまず間違いないわけでございますけれども、仮に口頭の場合であっても実態で判断していくということになりますので、実際に雇用されている、働いていらっしゃるような状況であれば当然対象となるということでございます。

 したがいまして、今御指摘のような針刺し事故など業務上に起因したものにつきましては、労災の保険の対象になるということでございます。

白石委員 分かりました。じゃ、答弁としては、労災保険上の対象になる、実態で雇用しているというところが確認できればということですね。ボランティア保険だけではちょっと弱いという声もありますので、その点、確認させていただきました。

 次に、大臣、首長がワクチン接種を今受けるべきかどうかということがマスコミでもちょっと言われたりしていますけれども、首長によっては、自分なりに基準を考えて、自分は打つ打たない、あるいは幹部のここまでは打つとか、発表されている方もおられますけれども、これこそ国の方で、方針と、そして首長以外の人、幹部になったら、その線引き基準、それを示してあげて、ルールがこうなっているんだから私は打ちます、あるいは私はもう少し待たないといけないんですと、それを示してあげた方がいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

田村国務大臣 ルールは決まっておりまして、首長は、高齢者であれば今打てる状況になっております。ですから、ルール自体は、もう御承知のとおり、まず医療関係者、それからその後高齢者、そして基礎疾患を持っておられる方等々になるわけでありますから、そのルールにのっとってやっている。

 ただ、委員がおっしゃるように、多分、先般からいろんなお話があるように、余って破棄をするようなものに対して優先的に打つなんというようなものが幾つか出てきております。それに関しては、余ったものを余らせないようにいろいろと有効活用してくださいとは国の方からは申し上げております。それをどういうようなルールにするかは、それぞれがやはり開示をされるのが私は一番いいのではないかと。

 だから、首長さんがやはり行政をちゃんとやるためには私は打つんですとあらかじめ市民の皆様方におっしゃっていただいて、理解を得られればそれでいい話であって、それを、後から、打ってから何か理屈を言われると、それは何なんだというふうにやはりいろんな方々がおっしゃられますので、あらかじめ、余ったものに対して、もちろん首長さんじゃなくて、それを消防士さんでありますとかそういうエッセンシャルワーカーの方々に優先的に打つという自治体もあります。それぞれでございますから、そこは御判断されて、市民にしっかりとそれを開示いただくということが大事なんだろうというふうに思います。

白石委員 国としてどういう優先順位で打つかというのを示しているのは分かっているんです。加えて、今出てきた問題は、危機管理として今首長に倒れられてしまったら代えがいないとかあるわけです。

 危機管理として、首長そして主要な幹部、線引きも国が示して、これで、追加ですけれどもこの基準で優先的に打ってくださいと言ったら、首長さんはいろいろ考える必要はなくて、随分楽になって、打つ人は打つということになると思うんですよ。いかがでしょうか。

田村国務大臣 委員は首長さんが打つべきだというような多分意識でおっしゃっておられるんだと思いますが、そこはやはり、地方自治で首長さんがトップを張ってやっておられるので、自らがそういうことをおっしゃっていただいて、我々としては、首長は大事なんだよと、大事だというのは首長だけじゃないと思うんですけれども、行政を守るためにこういう人たちは大事なんだということをやはり市民の方々におっしゃっていただくということが大事なんだろうと我々は思っています。

 少なくとも、国としては、優先順位の中は、とにかく医師であり、高齢者であり、そして基礎疾患でありというような順序はあるわけでありますので、その中において、地方行政を守るためにしっかりと必要なんだということを首長さんがおっしゃっていただいて、その上で、破棄されるようなワクチン、そうならないようにしっかりと接種をいただくということが私は重要なのではないかというふうに考えます。

白石委員 矢面に立つようなことはできるだけ首長から取り除いてあげたらいいと思うんですね。

 次の質問に行きます。

 今、申込制になっているからいろんな混乱が生じているわけです。今からでも遅くない、日時指定制に切り替えることはできないかという声はやはり根強くあるんですけれども、ここのところはいかがでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 予約の方法については各自治体において決定しており、各自治体の判断により、例えば、地区単位で接種する時間や場所をあらかじめ指定する方法を取ることも可能であります。

 一方、予約の方法については、地域の実情に応じて各自治体において適切に検討いただいているものと考えており、国において一律の方法をお示しすることは考えておりません。

白石委員 そういう答弁、地方自治体で考えてくださいと。私が冒頭申し上げたように、そのことによって地方自治体は本当に大変な思いをして、それが遅延につながっているということを認識しておいていただきたいんです。

 少なくとも、今、ファイザーのワクチンですから、二回接種する、三週間後が望ましいと。一回電話がつながったら二回目も必ず取れるようにする、これはマストでいいんじゃないでしょうか。私の、どことは言いませんけれども、自治体は、それぞれに電話がつながって予約しないといけないことを必要としておりますが。

正林政府参考人 今の御質問は、一回電話して、二回目の接種の予約も最初の一回で取れるようにという意味だったんでしょうか。(白石委員「そうです」と呼ぶ)それは、多分、自治体でやろうと思ったらできると思いますけれども。

白石委員 だから、そういったところをやはり国として、申込制にするんだったら、少なくとも三週間後、基本は同じ三週間後の時間、場所で自動的に取るということは指導していただきたいと思います。

正林政府参考人 済みません。

 まず一回電話して、電話かどうか分からないですけれども、予約を取って、まず接種をする。同じワクチンを打つ必要がありますので、またもう一回予約を取って二回目を打つということになろうかと思いますけれども。

白石委員 三週間後にまたセット、二回目の予約が取れる保証がないわけです。そこを言っているわけで、もうちょっと厚労省としてもどういう実態になっているのか調べていただいて、必要なルールづくり、先ほど申し上げた、基本的に自治体にお任せじゃなくて、これはもう最低限やってください、もう考えずにこれはやってくださいというのをつくっていただきたいと思います。

 次は、感染者が出た介護施設の職員や、そこに県の制度とかで応援に入っている介護士さん、もう緊急的に、医療従事者と同じですから、そこで感染者が出て、そのまま自宅療養的に施設におられる場合は、医療関係者と同じですから、緊急避難的に、割り込みさせてでもワクチンを接種させるべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 委員からいろんな御示唆をいただいて、今、先ほどの点も、二回目というのが、多分、自治体によって対応が違うと思うんですね。ですから、ちょっとこれは、確かに、言われるとおり確認しなければ、多分、一回目打った会場で次、二回目を予約される方、そういう自治体もあると思いますし、一回で二回というところもあるのかも分かりません。いずれにいたしましても、重要な点でありますので、自治体がそれぞれどうやっているのか、混乱が生まれたらこれは大変でございますから、これは確認いたしたいと思います。

 その上で、今のお話なんですが、これは前回もお話しさせていただいたと思うんですが、なかなか難しいのは、一回、その後、例えば三日後にワクチンを打ったとしても、それから二週間たたないと効果は余り出てこない、一回のワクチン。二回目を打とうと思うと、それから三週間、打って、それからまた更に何日かたってからじゃないと効果が出づらいというところがあるので、なかなかすぐに出ないワクチンでありますので、ましてや、打った後、じゃ、二週間は働かないと言われたら、これは困っちゃう話でございますので。

 なかなか、ここに関しては、すぐに次の日も働いていただかなければつらい状況の下で、大変、現場におられる方々には申し訳ないんですが、だからこそ早く、施設等々に関しては、ワクチンを皆さん、働いている方々も打っていただきたいというのが我々の思いでございますので、一緒に、高齢者とともに打っていただくというような形も、こちらの方から各自治体にこういうやり方がありますよとお願いをさせていただいているわけでありますから、ちょっとそこはなかなか難しいというのは御理解いただければありがたいというふうに思います。

白石委員 一回打っても相当の効果があるというふうに出ていますね。(田村国務大臣「二週間」と呼ぶ)まあ、二週間かどうか。とにかく早く打つにこしたことはなくて、職員さんも、高齢者施設の施設接種のときには一緒に打てますからと。じゃ、その順番を待つのか。

 そう言っていた方が余計時間がかかるのは明々白々なので、一旦介護施設でクラスターが発生したら、そこで施設療養ということになったとしたら、そこのスタッフは医療従事者と同等の優先順位で、割り込みさせてでも医療従事者と同等の優先順位でワクチンを接種すべきだというふうに通知として国から出すべきだと思います。大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 今委員が言われたのは、そのままそこで、その介護施設で、感染をしている方々に対して、要するに医療機関に行けずに、治療の代わりに対応しておられる介護従事者の担当者という意味ですかね。

 ちょっと検討させてください。言われる意味は、もうほとんど医療で対応している人と同じような方だということですね。ちょっと検討させてください。

 ただ、ちょっと、先ほども、二週間ぐらいやはり効果が出るのに時間がかかるので、そこも勘案しながらという話でありますけれども。

白石委員 介護施設は病院系だけじゃないんです。いろんな介護施設があって、そういったところから、あるいは福祉でも病院が併設していなかったら、医療従事者としてなかなか打てないんです。そういったところにもちゃんと医療従事者として対応するようにと、市あるいは保健所ができるようにしておいてください。

 それから次は、同じ状況です。介護施設で感染者が出て、患者がそのまま施設で療養されている、そういった場合、介護職員、介護士さんは非常に大変なんですね。そういった場合、介護報酬の加算等でちゃんと報いるべきだというふうに思うんですけれども、ここは、大臣、どうなっていますでしょうか。

田村国務大臣 当然、感染が出た場合にいろんな費用がかかってまいりますので、これはかかり増し経費ということで出させていただきます。

 あわせて、それだけではなくて、いろんなものがかかる、かかり増し以外の部分をどう考えるかというのは、ちょっといろんな今御意見をいただいております。

 どういう形にしろ、結果的にそれで介護施設が採算が合わずに運営できないというようなことのないようには、しっかりしてまいりたいというふうに思っております。

白石委員 いろんな制度があるのは分かっています。それをお願いしたら、厚労省さんの老健局の方でまとめてくれました。これは非常にありがたいんですけれども、この中にないものは介護報酬の加算ですね。これの面からもちゃんと対応していただきたいというふうに思います。

 次は、コロナの重症患者をどこで診るのかということなんですけれども、愛媛県は大分抑えられてきたんですけれども、やはりほかの地域は大変ですよね。重症者病床をどう確保するのか。

 それで、いろんな要因が、なかなか確保できない要因があると思うんですけれども、これからは中堅の民間病院にお願いするというのが私は大事だと思うんです。というのは、少なくとも愛媛の場合は、公立・公的病院とか大学病院はもうフルに重症者用の、あるいは中等者用の病床を提供しています。ですから、これからは中堅の民間病院にどれだけ提供いただけるか、特に重症者病床を。

 その中で、どうしても、今まで感染症は診たことがないとか、あるいは感染症がいるところには受診控えが起こってしまうとか、そういったものに対応するために金銭的な支援というのは大事だと思います。

 そこで、今、国の支援としては、緊急事態宣言県であれば一千九百五十万円補助、そして、それ以外のところでは一千八百万円というのがありますけれども、蔓延防止等重点措置一千八百万円、でも、それは一般の県、余り感染者がいないところと同じなんです。ほとんど感染者が出ていないところも一千八百万円、蔓延防止等重点措置の県でも一千八百万円。ここは差をつけて、蔓延防止等のところは緊急事態宣言と同じ一千九百五十万円にして、緊急事態宣言のところはもっと金額を上げてもいいと思うんですけれども、ここの面で、ここでけちらないで、ここでちゃんと金額をアップして、特にターゲット、フォーカスすべきは、中堅の民間病院にも重症者を診てもらうようにすべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 基本的には、緊急事態宣言ということで、一千九百五十万というような特例の特例をつくりましたが、一千八百万円でもそれなりの対応であろうというふうに思っておりますし、これは、重症化病床だけでは成り立たない話であって、重症化病床から退院される方々の後方支援の医療機関も確保いただかないと、結果的には、コロナ自体は治られたけれどもそこから出られないというような話になってしまいますので、そういう意味では、そういうところに対しても、今般、後方支援病院に更なる加算をつけさせていただいて、回転率を上げようということもやらせていただいております。

 基本的に、ちょっと、この一千九百五十万が特例中の特例なものでありますから、これをもっと上げて、一千八百万円を一千九百五十万円にしろというような委員の御提案だというふうに思いますが、なかなか、一千八百万というのも結構それなりに喜んでいただいておると思いますので、有効に活用いただきながら、ほかにもコロナ自体の診療報酬の加算も十分にさせていただいておりますので、そういうもの、これだけではございませんから、全体を御利用いただいて、対応いただければありがたいというふうに思います。

白石委員 それでもなかなか確保できないんですよね、あの愛媛の状況を見ていたら。なぜできないのかというところをもう一度その要因を分析して、対応していただきたいと思います。

 次に、ワクチン一瓶当たり、一瓶来たら、それは六人分というふうにされているんですけれども、実際は七・五人分作れるらしいんです。ですから、余分に一・五人分あるわけですね。

 それを、これはどことは言いませんけれども、問い合わせたら、少し多めに打ってくださいというような対応がされたり、でも、このファイザーのワクチン、やはり副作用だって無視できないぐらいあるわけですから、多めに打つというのは避けた方がいいと思うんです。

 一瓶で六人分の計算だけれども実際は七・五人分取れて、一・五人分余るわけです、瓶の中で。これをどうするかということなんですけれども、対応はどういうふうに考えればいいでしょうか。

田村国務大臣 基本的に、七本全部その一瓶から取れるというのはなかなか難しい。例えばインスリンの注射器なんかだとやれるらしいんですけれども、注射針が短かったりなんかするということもございまして、しっかりと筋肉まで行くかどうかというのを確かめて、あれは、たしかどこかの病院は対応いただいたということはあると思います。

 基本的にデッドスペースがございますので、なかなか、これは七回分、理論上は取れるんですが、七回分取れるかというと、場合によっては六回の針でも五回しか取れないという場合もございますので、我々としては、確実に取っていただける六回分を推奨しています。もちろん、ファイザーは七回取ること自体を否定はしていませんけれども、基本的にはちゃんと必要な量だけ取っていただくということが前提でございますから、デッドスペースを考えますと、六回ということを厚生労働省としてはお願いをいたしております。

白石委員 七回じゃなくて七・五回分なんですね。だから、そのデッドスペースもうまくやれば、〇・五に抑えられて七回。でも、それを多めに打つんじゃなくて、仕方がないのでそれは廃棄してくださいというふうに言ってあげた方がいいと思いますよ。ちょっと多めに打ってくださいとか、そんなことが対応としてあったらいけませんから。

 供給は、六月になったら、全部高齢者向けのワクチンは入るんでしょう。だから、そんなにどんと入ってくるから、余ったら廃棄して結構です、こういうふうにはっきり言われたらいかがでしょうか。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

田村国務大臣 基本的に、今六回の針をお配りさせていただいていますので、シリンジと針を。六回でお願いいたしておりますので、僅かに仮に残ったとしても、それをまた有効活用してくださいというお願いはいたしておりませんから、しっかりとそういうものはもう破棄をいただくという形でお願いいたしております。

白石委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、早稲田夕季さん。

早稲田委員 皆様、こんにちは。立憲民主党、早稲田夕季でございます。

 他省庁からも御出席を賜りまして、ありがとうございます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 前回、委員長のお取り計らいで、オリパラの準備、それから大会関係者、出場する選手、コーチ、それからプロスポーツ、この入国を認められた者の人数と、それからコロナ感染症の陽性者として判明した人数というところで、お答えが出ませんでしたので、おまとめをいただきました。そして、私の方にも数をいただきました。

 二月、三月から四月までですけれども、全体で新規入国者数はオリパラ関係者で千六百十一人、そしてオリパラ関係者千四百六十四人、プロスポーツ選手が百四十七人ということでございました。

 そして、陽性が確認された方は二人という数字をいただきました。私が質問の中で申し上げましたスリランカのスポーツ選手の方、これはこの中には入らないそうであります。五月に確認をされたということでありますので、これは四月末の数字ですから仕方がないと思いますけれども。

 引き続き、こちらの方も、待機をしないで特別にオリパラ関係者の方は入られている状況でありますから、しっかりと厚生労働省としても把握をしていただきたい、入管庁、オリパラ事務局、それからスポーツ庁任せにしないで。その関係者においても、どのような健康状態であるのかということと、そうしたことをしっかりと見ていって、注視をしていただきたいということを申し上げておきます。

 引き続きまた質問させていただきますが、先ほどの委員の質問にもございましたが、インドの方の対応とか、なかなか、水際対策強化とずっとおっしゃっていらっしゃいますし、実際、段階を踏んで上げてきていただいていますけれども、インドと日本の定期便が止まっているわけではないですし、そうですよね、定期便が止まってはおりません。そうしたこともありますから、まだそうした中でお入りになっていらっしゃる方もいらして、その中で、このインド株というものはVOCに格上げと、厳しくなりました。これはWHOもそうしましたから、日本もすることですけれども。尾身会長も大変ここは厳しい措置をやはりするべきだということを前回もおっしゃっていらっしゃいましたので、そこは私も更に注視をして、また引き続き議論をしてまいります。

 それでは、前回質問ができませんでした、卸売酒店への支援について伺います。

 財務省そして内閣府からも御出席をいただいておりますが、配付資料の一ページでございます。これは禁酒令に値するのではないかという怒りの声が書かれておりまして、私の神奈川の地元紙、神奈川新聞の記事でございますが。本当に、蔓延防止等重点措置も延長をされ、それから拡大をされまして、逗子市など八市町に拡大をされまして、地元の酒店、また卸の酒店、こうしたところから悲鳴が届いております。

 政府はようやく五月七日に臨時交付金のメニューに加えるということの支援を決めたようでありますけれども、私は大変金額的に不十分なのではないかと。酒類を出すのをやめる飲食店に対しては一日当たり二・五万円以上ということの協力金もありますから、これに比べれば大変少ない額だと、大変不満、不満というか不十分であると思いますけれども、これについて、財務省そして内閣官房の方に伺います。

和田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 まず、酒類販売業者への支援につきましてでありますが、これまで、今回の緊急事態措置等の影響で売上げが半減する全国の酒類販売業者を含む中堅・中小事業者に対しまして、月当たり上限で、法人が二十万円、個人が二十万円の月次支援金を支給することとしてまいりましたが、今般、緊急事態措置の延長というようなことで、酒類の提供停止による影響が長期化することなどから、酒類販売業者に対する都道府県の支援を後押しすることといたしました。

 具体的には、酒類の提供を停止する飲食店と取引のある酒類販売業者さんには、国の支援する月次支援金につきまして、上限額の上乗せ、これは二倍までということと、売上げ五〇%減少等の要件を緩和する、三〇%まで緩和するといった措置ですね。地方創生臨時交付金の協力要請推進枠を活用して、都道府県に対して必要額の八割の財政支援を新たに実施することといたしました。本支援は、緊急事態措置等の期間が一か月未満であっても活用可能というふうにする所存でございます。

 更に申し上げますと、業種横断的な支援として、雇用調整助成金に加えまして、地方創生臨時交付金につきまして、先般、事業者支援分として五千億円の予備費の使用を決定し、酒類販売業者さんへの積極的な活用について、国から働きかけを行っているところでございます。

 引き続き、各地域の事情に応じて酒類販売業者さんへの支援が行われるよう、しっかりと後押しをしてまいりたいと思います。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 今ほど和田政務官から御答弁があった内容と重複をする部分もございますけれども、私どもといたしましても、まず今ほど政務官からお話がありました地方創生臨時交付金、これは四月三十日、三千億円、こちらを各都道府県にプッシュ型で既に配分いたしてございまして、ここから各地域の事情に応じて、今ほど委員からお話があったような酒類事業者の皆様方にも手厚く支援をしていただけるという内容にもなってございます。

 実際、これまでの事例で申し上げますと、都道府県の中には、酒類事業者の方々に、法人の場合であれば二百万円上乗せをするというような事例もございます。

 そこに加えまして、地方創生臨時交付金の協力要請推進枠というものを、これは五月七日付で私どもとしても対応させていただくということでございますので、この内容については今ほど和田政務官の方からお話があったとおりのところでございます。また、我々としても、具体的な支援策の検討というものを都道府県に対してお願いをしているという状況下でございます。

 いずれにいたしましても、厳しい経営状況下にある酒類事業者の皆様に対しまして適切な支援が行われるよう、引き続き関係部署と連携をして取り組んでまいりたいと思います。

早稲田委員 私は、これで不十分なのではないですかということを申し上げたんですね。つまり、一つよかったなと思うのは、三〇%減の方まで、これが対象としていただいた、拡大していただいた。これは、私も地元で、大変皆さんが、五〇%じゃ使えない、もうそこまで来たら店が潰れているよというお声もいただいておるところでございますから、これは評価をさせていただきますが。二倍になっても、個人商店の場合、二十万円です。家賃分にもならないよというお話もたくさんございます。

 ですから、私としては、そしてまた、これは臨時創生交付金でございますけれども、その八割ですよね、国の方で見ていただくのは。ですから、無尽蔵にある交付金ではない、あれにもこれにも使わなくてはならないコロナ対策でありますから、非常に厳しいと思うんです。

 そういう意味におきまして、私は、ここ、一か月たたなくても、一か月の十万円をいただけるということに、今、船橋政務官の方から御説明いただきましたが、それにしても、やはり少し、これは余りにも飲食店と比べても低いのではないかということを思っておりますので、引き続きこれがもっと拡大できるように私は考えていただきたいと思います。

 今回の飲酒禁止というのは初めてのことですよね。しかも国が決めたことですから、それはやはり責任を持って、しっかりと自粛をしていただくには、協力金それから支援金、そうしたものを皆さんが、一〇〇%納得でなくても、やはり胸に落ちるような、そういう支援をやっていただくことを強く要望させていただきます。

 引き続き、持続化給付金の再給付について、立憲民主党、野党は、三月十九日に議員立法で出しております。与党の皆さんにも是非これを審議していただきたい。そして、持続化給付金を再給付すべきではないかと思いますので、これについてお答えをいただきたいと思います。

長坂副大臣 お答え申し上げます。

 本年一月以降の緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の影響を受けた事業者に対しましては、時短要請に応じた飲食店に対する協力金、取引先の時短や外出自粛によって売上減に直面する事業者への一時支援金など、支援策を講じております。

 また、四月以降につきましては、月次支援金を新たに創設するほか、百貨店等の大規模施設やイベントのキャンセル費用に対する支援などの支援策を講じております。

 こうした政府が現在実施しております支援策は全国全業種一律のものではございませんで、時短要請などの地域や業種に絞って講じられている措置の内容に応じましてきめ細かく支援を行うものであります。また、地方創生臨時交付金を活用し、自治体が地域の実情に応じた独自の支援策を講じることも応援をしております。

 他方、委員御指摘の持続化給付金は、新型コロナの経済への影響が未知な中で、迅速な支援のために全国一律で講じた政策でございまして、その再給付は考えておりません。先ほど申し上げましたとおり、本年一月以降の緊急事態宣言や蔓延防止措置の影響については、一時支援金や月次支援金で支援をいたしております。

 今後とも、自治体と連携をしつつ、きめ細かく事業者支援を講じてまいりたいと考えております。

早稲田委員 いつもその御答弁をいただくわけなんですけれども、本当に、一年以上になりまして、全国どこでも大変疲弊をしている。GDP比のマイナスを見ても分かるとおりでございますし、それから、特に蔓延防止、緊急事態が何回も重なっているところ、こうしたところには、飲食という業種は特に強い措置でありますけれども、それ以外のところも、人流を抑えているわけですから、人がたくさん来て買物をしてくれるわけがないわけです。

 ですから、またこの持続化給付金をやっていただかないと、こうした店舗が本当に廃業、失業の危機になっております。雇調金なども延長とかいろいろ考えていただいている、対策も練っていただいているのは分かりますが、それでもやはりこの持続化給付金は今やらないと、また国会が今終盤になっておりますので、今度はいつになるか。またこれが延長になればこうしたことも議論できるでしょうけれども、そうでなかったら本当に取り返しのつかないことになるのではないかと、私は大変地元を歩いていて心配をしております。多分、政府の皆様も同じ思いだと思いますので、是非ここは、与党の皆様、もう一度お考えをいただいて、そして持続化給付金の、緊急事態それから蔓延防止等、その地域だけでも、せめてこうしたものをやっていただくように、再度御検討をいただきたいと強く要望しておきます。

 そして、ワクチン接種についてでございますが、大臣と、それから山本内閣副大臣の方に伺います。医療従事者、高齢者、この方たちが今までにどのくらい接種を、回数として接種をされたのか、お尋ねいたします。

田村国務大臣 医療従事者は二月十七日から接種を開始いたしておりますが、五月の十八日時点で五百七十万回の接種を行っております。このうち、二回接種、約二百万回ということでありまして、一回接種が三百七十万回ということでございます。

 また、高齢者についてでありますが、これも五月の十八日時点でありますけれども百四十万回の接種を行っておりまして、このうち、百三十万回が一回接種、十万回が二回接種となっております。

早稲田委員 ちょっと私がいただいている数字と異なりますが、二回接種の医療従事者でも二〇%ぐらいということになると思うんですね。そして、もちろん二回接種の高齢者という意味においては、一%にならない、〇・一七%、私のいただいている数字では九万人でございましたので、〇・一七%ということになっていると思います。

 その中で、一日百万回という数字が出てまいりました。これの、いかに、前回も田村大臣から、インフルエンザは一日六十万回やっているんだよ、だから無理な数字ではないんですよとおっしゃいましたけれども、なかなかそれは無理だと思います、インフルエンザとワクチンの種類が違いますから。七十二度のマイナスで保管をしているものですから、それを解凍して云々、そして配送してと大変なことなんですね。それは私が申し上げるまでもない。

 その中で、今いろいろな問題が起こっております。まずは電話がかからない、それからシステム不具合でネットでもつながらない、そのような状況が全国各地で続いているわけです。

 また、私の神奈川県の方では、県議会の厚生労働委員会の方で問題になったのは、大変、ワクチン担当の職員が、増やしても増やしても、半数以上が八十時間以上、百時間に近い、百時間を超える方もいると聞いています、残業で、もう本当に参ってしまうというようなこともよく分かりました。これは、もちろん神奈川だけではなく、それから全国の医療従事者の方、同じだと思います。

 その中で、七月末という数字が、百万回打つんだという数字ばかりが独り歩きしております。特に心配しているのは、厚生労働省からのお電話ではなくて、総務省から各自治体に電話が行っていると。圧力ではないと大臣はおっしゃったそうですけれども、受けた側が圧力だと感じれば圧力ですよね。大変そこで私は問題があると思うんですね。頑張っていないならともかく、どこの自治体も、一日も早く一人でも多くの方を接種したい、そして感染率を低くしたいと思っているのは全国民同じ気持ちですから、そこに七月末までになぜできないのかということを何回も電話するというのは私はあり得ないと思っています。

 そして、七月末までにという数字が出たために、高齢者の方が、七月末までに受けられないともう八月は受けられないんでしょうと、そういうことをおっしゃる方も少なからずいるんです。一つ何か数字が出ると本当に怖いなと私は思いました。

 ですから、そうではなくて、首長さんが数字にはこだわらないとおっしゃっている方もいるので、そういうところは安心できますけれども、余りに職員のお尻をたたいてやるのであってはならない、そういう意味においても、これだけの接種期限を区切ってプレッシャーをかけるようなことがないように、改めて厚生労働大臣にお願いをしたいと思います、そのことを。ですから、是非総務省ともよく連携をしていただいて、もうこれ以上プレッシャーをかけないでいただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょう。

田村国務大臣 総務省ではございませんので、プレッシャーをかけているわけではなくて。

 当然、六月いっぱいで二回分のワクチン、国内、確保できます、高齢者の。となれば、そのことはもう伝わっておりますので、各住民、特に高齢者の方々は早く打ちたいという思いがあられる。それに応えるためには、七月いっぱいを一つ目標と置いて打てる体制を組むということで、いろいろと調査票、回収をさせていただいて、分析もさせていただきながら、やれるところ、やれないところがある。

 特にやれないと言われているところに関しては早めに御連絡をさせていただいて、どこに問題があるのかということを共に考えさせていただいて、協力をさせていただきたい。決してお尻をたたいてできるような話じゃなくて、どこに問題があるかということを解決しないとこれは進まない話でございますので、伴走というか、共にやるというか、協力してやっていくという思いの中で、住民の方々の期待に応えていかなければならないということでございますので、お尻をたたくつもりは毛頭、こちらがお尻をたたかれても、こちらがお尻をたたくということは毛頭ございませんので。

早稲田委員 あくまでも努力目標の一つですということで、そして、システムの不備や何かも、また大規模接種会場でも、自衛隊のやっていただいている方でもあったわけですから、やはり計画どおりにいかないのが当たり前なので、そういうことも踏まえて、総務省からこれ以上圧力もかけていただきたくないし、大臣からも、そういう意味には、総務省の大臣にもいろいろお話をしていただいて、進言をしていただきたいと私からは要望させていただきます。

 それでは次に、大阪の医療崩壊。大変、もうずっと議論をされておりますけれども。今、これを見ると、五月十六日時点ですけれども、療養者数、人口十万人当たり二百十四という数字になっております。それから、病床確保使用率も七九%。重症病床の方は少し下がって六五ですけれども、もう入れないんだと。先ほどもお話がありました、一万五千人が自宅というか入院できないで待機をしていらっしゃる状況ですから。そこを見たときに、私は非常に、もう少し、本当に国が、尾身先生が言われていらっしゃるように、プッシュ型支援を国を挙げてやっていただきたいという思いで質問をさせていただくのですが。

 四月十六日の当委員会において、田村大臣、私、自衛隊に協力要請を大阪府知事と一緒になってやるべきではないかという趣旨を申し上げたんですが、自衛隊の協力要請は知事から要請がないとできません、動けませんと答弁をされました。

 このときはちょっと時間がなくて申し上げられなかったのですが、防衛省に伺いたいと思います。昨年の横浜港でのクルーズ船対応、これは自衛隊が活躍されましたけれども、そのときに神奈川県知事の要請によるものだったのでしょうか、副大臣に伺います。

中山副大臣 ありがとうございます。

 新型コロナウイルス感染症への対応として実施させていただきましたダイヤモンド・プリンセス号への対応及び主要空港での水際対策強化につきましては、特に緊急に対応をする必要があり、かつ、特定の都道府県知事等に全般的な状況を踏まえて自衛隊の派遣の要否等を判断の上で要請を期待することには無理があり、要請を待っていては遅きに失すると考えられました。そのため、一刻も早く感染拡大を防止するため、自衛隊法第八十三条第二項ただし書に基づく自主派遣による災害派遣を実施したものであります。

 自衛隊の災害派遣は都道府県知事等の要請を原則としておりますが、都道府県知事等が区域内の災害の状況を全般的に把握し、都道府県などの災害救助能力などを考慮した上で自衛隊の派遣の要否などを判断するのが最適との考えに基づいております。

 なお、市中感染拡大を防止するための対応として、宿泊施設における生活支援や自治体職員等に対する感染防護に関する教育支援等を行っておりますが、これらは都道府県知事からの要請に基づく災害派遣として実施をしているところでございます。

早稲田委員 自衛隊法八十三条二のただし書で、これは自主派遣ということができると、今、副大臣がるる御説明をいただきました。もちろん緊急的、そしてほかに方法がないということなんでしょうけれども、あのときも神奈川県も横浜市もそういうふうに動いていたはずなんですね。ですから、そういう力が結集してそうなったのだと思います。

 そこで、田村大臣には、この間、できませんとおっしゃいましたけれども、そこは、こういうことですから、自主派遣ができないことではないので、そこは訂正をしていただきたい、認識を改めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 八十三項は、前提として、これは……(早稲田委員「八十三条」と呼ぶ)八十三条、ごめんなさい。都道府県知事の要請があった場合というのが前提であります。これは原則です。

 二項はただし書で、先ほど副大臣から話があったような、例えば、全般的な状況を踏まえ、自治体の、派遣の要否を判断の上で要請を期待することは無理があり、こういうようなことがあるんですね。

 ダイヤモンド・プリンセスを考えると、あれは洋上の船、日本国内じゃないですよね。つまり、神奈川県からしてみれば、住民でも何でもない、中には住民もおられたかも分かりませんが。そういう中においてどう対応するんだということでありますから、神奈川県知事にそこを要請いただくのは酷な話でございますので、そういう意味で対応させていただいたということ、このただし書を使わせていただいたということです。

 一方で、今般の大阪は、大阪の中でいろいろな対応を知事が中心になってやっておられる。主体性はこれは知事にあられるわけでございますから、そこに自衛隊を無理やりというか、こちらが勝手に入れるというのは、それはやはり、地方自治の大原則もありますし、なかなか難しいわけでありますので、そういう場合には基本的にこの原則にのっとって、これは知事からの要請の上で対応するということであろうと私は考えております。

早稲田委員 無理やりということを申しているのではないんですね。

 先ほども御質問の答弁の中でもありましたけれども、広域的に今病院の搬送もした方がよいのではないかと私は思います。大阪の場合、それから兵庫もそうかもしれません。そういうところが増えてきて、そうはいったって近隣はもう病床がいっぱいじゃないかとおっしゃいますし、あれですけれども、でも、少し離れれば、行かれるところだってあると思うんです。現に、神奈川県も東京都も、病院、病床、受け入れてもいいですよと大阪の方におっしゃいました。だけれども、やはり搬送手段がないので諦めるみたいな、そういうふうになっているんです。

 ですから、ここでやはり自衛隊の方々にこうしたことも活躍をしていただけるのではないかと思いましたので、私は、もちろん無理やりではないけれども、国がプッシュ型で、大阪府知事とも、それから兵庫か分かりませんが、そういうところとこういうふうに後手後手に回らないように是非やっていただきたいと思います。

 十二月には、重症病床センターを開設するときには、確かに入れて、自衛隊の医官が派遣されました。でも、その後、何かもっと第4ステージってすごいのに、一切そういう要請とか、それから国からも働きかけがないのは、私は非常に不思議だなと思っているんです。

 それで、次に申し上げますけれども、病床がなければ、特措法に基づく臨時病床をつくっていただきたい。それも一回大阪はやっていますけれども、六十床。でも、足りていないわけですよね、だから一万人も待機している方がいるわけだから。それも国がもっとプッシュ型で働きかけをして、面倒も見るというようなことをおっしゃって、是非この臨時病床をやっていただきたいと思います。

 神奈川県は、県の、徳洲会が協力をして、百八十床の臨時医療施設、これをやっております。それから、さらに、酸素投与センターというのもつくりました。まだ稼働はしておりません、今必要がないということで。だから、そういう意味においては、非常に前倒しでやっていって、感染が上がっていないから神奈川はそういうことができたけれども、それでも第三波のときには、この百八十床が満床になる、近い形でした。

 ですから、今これだけ大阪が大変だといって、先ほどの質疑にもありましたとおり、分からずに、医療も受けられずに亡くなっている方が三十一人ということが、これは明白なわけですから。是非、災害派遣的な、そういう防衛省の御協力と、それから臨時病院開設、これは特措法の方ですから、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 臨時病院も都道府県が開設をいただくということになっておりますので、開設いただくことは、これはやっていただく、体制が組めれば、それは一つだと思います。

 何よりも、病床があってもマンパワーが足らなければこれは運営できないということでございます。ですから、自衛隊の方は要請はされませんでしたが、国の方には当然要請をいただきましたので、我々は百五十名以上の看護師を確保し、病床自体も、これは要請をいただきましたので、厚生労働省から国に関係する各医療機関、こういうところにお願いして、これも百五十一床でしたかね、これを確保して、それは今稼働をしているということでありますから。

 要請に応じて、我々は、知事ともしっかりと連携しながら、いろいろな対応をいたしております。もちろん、まだ十分じゃないところがあれば、これからもしっかりと支援はしてまいりたいというふうに考えております。

早稲田委員 今、百五十床と百五十人のお話が出ました。やっていただいているのは分かります。でも、それでも足りないんですよね。足りないから、自宅で亡くなっているんですよね。それを私は申し上げているので、是非、臨時病院のことも含めて、もっと再考していただきたいと思います。

 それでは、文科省にもお越しいただいておりますので、ヤングケアラーについて御質問させていただきます、最後に一問。

 親や兄弟の介護、家事に一日四時間以上かけているというヤングケアラーについて、五月十七日、厚労省と文科省は支援策の案を盛り込んだ報告をまとめられました。また、その具体的施策は余り盛り込まれておりませんけれども、家事支援サービスなどということも入っておりますが、大変これも遅いのではないかと私は思っております。

 ヤングケアラーの特徴としては、自ら絶対に言わない、カミングアウトしないということも分かりましたし、とにかく大丈夫と笑顔を見せて聞かれても答えるということをよく言われております。

 そして、先生も忙しい中で、誰が、じゃ、そこを発見するのかということが大変重要になってくるのではないか。

 私は、NHKの「クローズアップ現代+」を見ましたけれども、尼崎市では、自らがヤングケアラーで過ごしてきた方がスクールソーシャルワーカーとなって、きめ細かく小学生の提出物とかそうしたものをチェックを、チェックというんじゃないですね、一緒に見たり、遊んだりして、交流を通じて発見に努めているということでした。

 その中で非常に印象的だったのは、絶対に悪いものが一つあります、これは何やと思われますか、それは貧困でしょうか、能力でしょうか、そうじゃない、孤独なんですという言葉が、本当に胸に響きました。

 イギリスでは、二〇一四年に法律を制定して、地方自治体に対して、ヤングケアラーの発見と適切な支援の義務づけをいたしました。

 スクールカウンセラーについて、これは全ての小中学校に一応は配置されるように、自治体として補助も出ましたし、やってはおりますが、このスクールソーシャルワーカーについては、十九億円と三分の一の予算であります。

 配付資料を御覧ください。ここに全国の自治体の、まとめさせていただきました。これは文科省等からいただいた資料を基にやったものですけれども、非常に自治体によって人数も予算額もまちまちです。格差がもうここに表れていると思います。

 スクールソーシャルワーカーの予算は、いじめ、不登校、虐待防止のため重点配置を、今年度予算で増やすなど努力をされていることは重々分かるんですけれども、さらに、今回このヤングケアラーの報告書をまとめていただき、来年度予算から対策のための重点配置ということを是非文科省として求めていっていただきたいと思いますが、鰐淵文科大臣政務官に伺います。

鰐淵大臣政務官 お答えいたします。御質問ありがとうございます。

 委員御指摘のとおり、学校におきまして、ヤングケアラーなど、様々な課題を抱える児童生徒に対しまして、福祉の専門家として支援を担うスクールソーシャルワーカーの配置の充実を図ることは極めて重要と考えております。

 こうした認識の下、今年度予算におきましては、これまでの全中学校区にスクールソーシャルワーカーを配置する経費に加えまして、いじめ、不登校や虐待、貧困対策のための重点配置に係る経費につきまして措置をしているところでございます。

 また、御案内のとおり、スクールソーシャルワーカー補助事業は地方自治体の申請に基づき交付決定を行っており、自治体の地域の実情を踏まえながら配置に努めていただいております。

 しかし、委員からも御指摘がございましたけれども、スクールソーシャルワーカーの配置には地域の間での差も見られることから、文部科学省としましては、学校教育法施行規則におきましてスクールソーシャルワーカーを法令上位置づけるとともに、教育委員会の担当者が出席する全国会議におきましてスクールソーシャルワーカーの活用事例などを横展開するなど、活用を促しているところでございます。

 引き続き、ヤングケアラーの支援を充実させる観点からも、スクールソーシャルワーカーの配置の促進に努めてまいります。

とかしき委員長 早稲田夕季さん、申合せの時間が来ております。お願いします。

早稲田委員 はい。

 是非、これからまた実態調査なども地方自治体でやるように国から働きかけをされると思いますが、支援として、まずは寄り添っていただくための発見ですね、そういう子がいるんだと。そして、そこに、支援につなげていかなければならないので、支援の前に、まずはスクールソーシャルワーカーの大幅増員ということを文科省としても政策として充実をしていただきたい。

 そのことを私も提案をさせていただきまして、またこの問題に取り組んでまいりたいと思います。

 今日はありがとうございました。

とかしき委員長 次に、武井俊輔君。

武井委員 自民党の武井俊輔です。

 厚労省の皆さん、そしてまた委員会の皆さんも遅くまでお疲れさまでございます。早速質問をさせていただきます。ありがとうございます。

 まず、ワクチン接種について、冒頭一問お伺いをしたいと思います。

 先日も、地元の宮崎、私、宮崎市ですが、宮崎市郡医師会でありますとか宮崎市保健所、様々にお話を伺ってきているところでございまして、高齢者に七月末ということで、様々な工夫をしながら、今取り組んでいただいているところでありますけれども、我々としても、改めて、情報提供、サポートしていかなければいけないと実感しているところでございます。

 その中で、国としても、このワクチン接種を、二千七十円から、時間外は二千八百円、休日は四千二百円と増額していただき、集団接種もこれから、医師が一時間当たり七千五百五十円に、看護師が二千七百六十円と、こういったような取組も高く御評価いただいているところです。

 しかし、一方、ファイザー製のワクチンは、解凍、希釈の問題、やはり課題を多く伺うわけでありまして、そうした中で、少しでも多く打つということで、診療の開始と同時に接種をしたいといったようなことですと、どうしてもその分、やはり担当の方は一時間ぐらい大体早く出勤をして、いろんな準備をしなければいけない。また、終わった後もいろんな手当てをしなければいけない。こういった、早朝夜間の残業代がやはりかなり発生をするといったようなことの課題を伺うところでございます。

 そういう意味で、七月末までの接種の完遂ということを考えても、しっかりと、よりしっかりと打てる体制というものを充実していくという意味におきましても、こういった残業に係る手当というものについても、より丁寧に手当てをしていく必要があると考えますが、厚労省の見解を伺います。

正林政府参考人 お答えします。

 新型コロナワクチン接種については、希望する高齢者に、七月末を念頭に各自治体が二回の接種を終えることができるよう、政府を挙げて様々な対応をしているところでございます。

 こうした中、御指摘の医療従事者に対する財政支援措置については、自治体において、平日の体制を引き続き強化するとともに、土日や夜間にも接種を進めていただく必要があることから、土日や夜間において、接種単価の引上げ、先ほど御指摘いただきましたが、時間外二千七十円のところを二千八百円とか、それから休日は二千七十円を四千二百円とか、上乗せをして引き上げておりますし、それから、集団接種に医師、看護師を派遣してくださった医療機関等への支援、これについても、時間外、休日のワクチン接種会場への派遣ということで、医師一人一時間当たり七千五百五十円、それから看護師等は一人一時間当たり二千七百六十円、そうした支援を行っているところでございます。

 厚生労働省としては、医療従事者等の確保など、各自治体において円滑に接種が進むよう、緊密に連携しながら全力で取り組んでまいりたいと考えております。

武井委員 勤務時間に打つから時間外にならないわけですね。時間外にならないけれども、時間外が発生するといったような状況になっているわけですので、ちょっとこの辺りは、是非また、引き続き柔軟に御検討いただきたいとお願いをしておきたいと思います。

 続きまして、雇用調整助成金についてですが、今、自民党の中では、今日もまさにそうでしたし、今日は国土交通部会というところでした、昨日は雇用問題調査会というところでしたが、もう連日、この話題で一色でございまして、多くの皆さんが来られて、何とかこの維持をしていただきたいということで言われているところです。

 今、景気はK字回復、まさにこのKの下がっている業界というのが、飲食であるとか、観光であるとか、交通であるといったようなところであるわけなんですが、そういう皆さんから、この雇調金がなければ事業の継続に、この雇調金の条件が変わっていけば直結していくといったような不安の声が多数あるわけであります。

 そういった中で、在籍出向を、やはりこれから、非常に今、国も力を入れておられて、それはそれで趣旨は分かるんですね。在籍して、例えば航空会社で地方自治体に行ったりとか、いろんな取組も分かるんですが、ただ一方で、私は元々バス会社で仕事をしていたんですけれども、やはり、バスなんかの業界で話を聞くと、バスの運転者でも運転をしていない人たち、こういう人が、じゃ、トラックとか別のところに行く。

 そうしたときに、やはり職業選択の自由がありますから、在籍出向させて、じゃ、その方が、そっちで働きますという話になると、これはもう戻ってこないかもしれないという不安が非常にあるわけですね。一方で、大型二種などは特殊な免許ですから、やはりこういったような免許を持っている人がいないと、いざ景気が回復しましたといっても、もう運転手がいません、事業ができませんといったようなことにもなるわけであります。

 ですから、踏み込みたいと思うんだけれどもなかなかできないといったような方も、やはりたくさんいらっしゃるわけですね。

 そういう意味で、一つは、是非、今の仕組み、今の雇調金の在り方でも引き続き継続をしていただきたいということはもう言うに及ばずでありますけれども、こういったなかなか在籍出向などもできづらい業種、業界があるということ。

 また、今はグループ内というのは駄目だということになっているわけですが、ただ、大手であれば、バスとかトラックとかいろんなものを持っているとか、そういったようなところもあるわけで、できるだけこの在籍出向というもの、そういう意味でも柔軟に在り方を考えていただくということも重要であると考えますが、この辺りの取組について、併せてお伺いをしたいと思います。

田村国務大臣 今委員おっしゃられたとおり、雇調金、今特例中の特例ということで、もうリーマン・ショックをはるかに上回る支援といいますか、助成率十分の十で、日額一万五千円上限という形であります。

 特に、今、緊急事態宣言、蔓延防止等々で知事が要請している業種のみならず、他の地域でも、前年、前々年と比べて、三か月で三割平均売上高が下がっておれば、これはこの対象にしております。ですから、多くの企業がこの特例中の特例の対応を受けていただいているんだというふうに思います。

 これは五月、六月ということで今やっておりまして、七月以降は、雇用がやはり急激に悪化をしない限りは徐々にこれを緩めていこう。もちろん、リーマン・ショック等々の対応以上は、ある程度段階的に踏みながら。元へ戻していくという話じゃございません、いきなり元へ戻すということはしないんですが。

 今委員がおっしゃられたのは、今の対応を維持してもらいたいという多分御意見だったのかなというふうに思うんですけれども、正直に申し上げますと、雇用保険二事業はもう非常に厳しい財政状況になっておりまして、何とか今年度これを維持できるか、今の状況でですよ、こういう状況であります。

 非常に財政的に厳しいという中での対応をしておるということでございますので、難しいというのが今の現状ではありますけれども、それぞれのいろんなお声もお聞かせをいただき、与党からもいろんな御議論もあるのであろうと思います。

 厳しい中でどういう対応があるのかというのは、そのときの経済状況等も踏まえながら、しっかりと検討してまいりたいというふうに思います。

武井委員 ありがとうございます。

 様々な考え、まさにこのKの下のところでございまして、これから、もちろん財政の在り方、福祉的給付みたいないろんな考え方もまたあると思います。この辺りは与党としてもしっかり応援をしてまいりますが、何とかこういった声をしっかりと酌み取っていきたいと思っているところでございます。

 続きまして、旅館業法についてお伺いをします。

 皆様のお手元にも、これは沖縄県の那覇市が出したものですけれども、大体、おおむね自治体で似たような通知、またホームページに出ているものをお配りをしたところでございます。

 今、私ども自民党の中で、観光業に係る法制度のプロジェクトというのをやっておりまして、私は事務局長でいろいろやっているんですが、その中でも、最も課題であり、注力して、また感染症に追いついていないのがこの旅館業法、なかんずくこの五条の問題であります。

 この旅館業法五条のことがこの那覇市のページにもあるわけですが、とにかくこの一番の肝は、五条一項の、「宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められるとき。」以外は拒んではならない、つまり、認められなければ拒めないということであります。

 これは、実際、ページではちょっと色が薄いかと思いますが、この明らかに認められるときというのは赤字になっています。つまり、それぐらい強調されています。

 つまり、ここに書いてあるとおり、感染症疑いの段階で宿泊の拒否を行うことがないように適正な運用をしてほしいと。これはもう法律がこうなっている以上、自治体はこうするしかないわけであります。

 これは確かに大事な法律でして、かつて様々な、熊本県の黒川温泉でハンセン病の元患者の方を拒否するなどの事件もありましたので、もちろん安易に拒否をするということは当然あってはならないわけでありますが、やはり、非常にこれに今業界は苦労しているわけであります。

 今は、様々な通知で、この三項を見ていただくと、宿泊施設に余裕がないときということで、つまり、熱を測ってくださいといったような方を、そんな、言うことを聞いてもらえなかったら、余裕がないみたいなようなことで見るということになっているわけですが、実際は、もうこれは基本的には満室のときにお断りをするということであって、かなり無理をして対応しているわけでして。

 ですから、現状では、うるさい、俺は法律に違反していないんだから泊めろと言われたら、正直言って、法律的には拒否ができないということになっているわけであります。

 そういう意味で、この業法五条というものは、感染症の昨今の状況を考えますときに、非常にやはり問題があると考えますけれども、この感染症、五条の在り方についてどういうふうな認識を持っているか、お伺いしたいと思います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 旅館業法第五条第一号では、「宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められるとき。」に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならないと規定されており、例えば新型コロナウイルス感染症につきましても、単に熱があるなどはこれには該当しないと解しているところでございます。

 そのような中で、厚生労働省といたしましては、これまでも、発熱等がある宿泊者への対応につきましては、保健所や受診・相談センター等との連携を始め、具体的な対応をお示ししてきているところでございます。

 本規定につきましては、国内どの地域でも、宿泊が必要な方が原則といたしまして宿泊施設を利用できるという、旅館業の有する公共性やその位置づけについて考慮する必要があるほか、議員御指摘のように、黒川温泉の事例、すなわち、過去、ハンセン病元患者さんの方の宿泊を拒否した事業者に対しまして本規定に基づいて行政処分が行われているなど、不当な差別的取扱いを防止するために重要な規定と位置づけられてきたことなどを踏まえますと、丁寧な検討を要するものと認識しております。

 なお、本件につきましては、現在、自民党観光立国調査会の観光業に係る法制度のあり方に関するワーキングチームでも御議論いただいておりますので、厚生労働省といたしましても、その議論なども受け止めながら、対応を検討してまいりたいと考えております。

武井委員 ありがとうございます。

 非常に問題があるんですが、やはり非常に、旅館の人たちから話が、率直な疑問として言われるのは、例えば今我々が飲食店とか、例えばスーパー銭湯でもいいんですけれども、熱があったらお断りしますということを普通に書いてありますよね、どういった施設でも。

 つまり、そうやって、施設管理者として、私は、今熱がある方は受けられませんということ、拒否できるというのは世間一般で許されているにもかかわらず、なぜ旅館だけこういったようなことが許されない、こういった法があるのかということ、これは矛盾じゃないか、おかしいんじゃないかという声が非常にあるんですけれども、そういった意見についての見解を求めたいと思います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 議員の御意見、旅館業法第五条に基づく宿泊の拒否に関しまして、宿泊施設の側でもより柔軟に判断できるよう、旅館業法の在り方を含め、検討すべきではないかという御趣旨と捉えております。

 仮に旅館業法の見直しを行おうとした場合に、この旅館業法第五条を改正するかどうか、改正する場合には具体的にどのような内容にするかなど、議員の御提案を含めまして、様々な選択肢が考えられますが、様々な視点から丁寧な検討が必要と考えており、御議論を受け止めながら対応を検討してまいりたいと考えています。

武井委員 是非お願いしたいと思います。

 加えて、宿泊時の本人確認について伺います。

 五条の次に六条というのもあるわけですが、この六条では、営業者、旅館、ホテルですが、旅館、ホテルは、厚労省令に定めるところにより、宿泊者名簿を備えなければならないとあるんですが、ただ、これは、宿泊者名簿が、名簿を書けとは書いてあるんですが、本名を名のる義務が平たく言えばないんですね。ですから、偽名で泊まってはいけないということではないというのが非常に問題でありまして。

 例えば外国人はパスポートを確認するんですね。ただ、日本人が現金を使って泊まれば、本名を名のって泊まる義務というのは実はないんです。旅館ですから、いろんな事情で泊まる方もあるので、全員が本名を名のる義務がというところまではいろいろちょっとつらいかもしれませんが、少なくとも代表者なりは本名を名のれないと、やはりこれは、感染症のときに、電話番号は偽名です、名前は分かりませんということではやはり非常に困るわけでありまして、少なくとも、この政令を改正して、代表者の本人確認は必須とすべきではないかと考えますが、見解を求めます。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 宿泊者の確認につきましては、旅館業法第六条におきまして、営業者は、宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名等を記載することが義務づけられており、さらに、施行規則におきまして、宿泊者名簿は正確な記載を確保するための措置を講じた上で作成することとされております。

 また、通知によりまして、宿泊者名簿の正確な記載を確保するための措置といたしまして、宿泊者と対面又はそれと同等の手段によりまして本人確認を行うことを求めているところでございます。

 現在、日本国内に住所を有しない外国人を除きまして、身分証の提示は必須とはされておりませんが、本人の確認の真正性担保等の観点から、より適切な規定や運用があり得るか、それを実施することとなる旅館、ホテル事業者等、関係者の御意見もいただきながら、引き続き対応については検討してまいりたいと考えています。

武井委員 是非お願いしたいと思います。

 今、ちょっといろいろ業法に関わる課題を申し上げてまいりましたが、大臣、今の、こういった、なかなか感染症に対応していないのではないかと思われるこの旅館業法の課題について、御見解をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 旅館業法というものが、歴史的なものがあるんだと思います。なぜ断れないか。断られちゃうと、そもそも一泊そこにいられないわけでございますので、野宿をしなきゃならない。そういうようなことがある中で、非常に旅館側に対して厳しいというか、宿泊を担保する、そういうような法律になっているということなんだと思いますが、ただ一方で、時代はもう大分変わってきているというのも事実であろうと思います。

 これは旅館業者の方々のお話もお聞きしなきゃなりませんし、もちろん利用者の方々のもお聞きをしなければならないと思います。様々な方々の御意見を聞きながら、また、自民党の中ではワーキングチームをおつくりになられたということで、立国調査会の中でそういうものをつくって、委員が事務局長さんですか、されておられるということでございますので、そういう国会の皆様方のいろんな御意見もお聞かせをいただきたいというふうに思いますが。

 いずれにいたしましても、法制度、法改正となると、非常に重いこれは仕事になってまいりますので、丁寧にいろんな方々の御意見を聞いた上で、これは検討をさせていただきたいというふうに思います。

武井委員 やはり非常に古い法律で、特に感染症に追いついていない部分がありますので、是非お願いしたいと思います。

 最後の質問ですけれども、実は、これは四月に大阪で大変問題になったんですが、民泊の問題が非常に大きく議論になりまして、実はこの旅館業の業界でもいろいろと取り組んできたところですが、実は、これは大阪でこの四月に、民泊がお客さんが少なくなって、民泊の施設が空きましたら、民泊の施設がいつの間にか遺体置場になっていたと。

 つまり、要するに、遺体が置いてあると。臭いがする、何だろうかということで行くと、今、要するに、火葬がなかなか時間がかかるというところで、それを待っている間に置くところがないから、空いた民泊施設を借りて置いてある、それもたくさん置いてあるみたいな話がありまして、普通に考えて、自分の家の隣が勝手に民泊になっているだけでも大変なんですけれども、勝手に遺体置場になっているなんということになれば、これはまともな感性の人であればとても耐えられないわけでありますが。

 ところが、これは問題は、墓地埋葬法という法律があるんですけれども、この墓地埋葬法によると、定められているのは、二十四時間以内に火葬をしてはならないということは、これは変死、橋本岳先生も取り組んでおられますが、そういった問題とか事件性の問題があって、それは定められているんですが、火葬まで例えばどこに置くとか、こういったようなことが規定がないので、これは違法性がない、対応ができないということになっておりまして、これはさすがに法的に瑕疵ではないかと考えるわけですけれども。

 この墓地埋葬法の問題、この問題を厚労省としてどのように認識し、どのような解決策が現在あると考えておられるか、お伺いしたいと思います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 まず、御指摘の事例の背景といたしまして指摘されている火葬場の火葬待ちの現状につきまして、厚生労働省で平成三十年七月に自治体に対して実施した調査によりますと、回答のあった自治体のうち、二日以上の火葬待ちが頻繁に生じていると回答した自治体は約五%にとどまっておりました。

 この結果から、厚生労働省といたしましては、全国的に深刻な火葬場の逼迫は生じていないと承知しておりますが、高齢化の更なる進展を踏まえますと、自治体におきましては、地域の需要に応じた火葬体制の確保、これはすごい重大な課題だというふうに、私ども考えておるところでございます。

 自治体におきましては、しっかり取り組んではいただきたいところでございますが、現在、死亡から火葬までの御遺体の取扱いにつきましては、関係者におきまして、礼節、尊厳を持って衛生的に取り扱っている実態に加えまして、刑法第百九十条により死体損壊等の罪が設けられていること、遺体の取扱いにつきましても、遺体の血液等に触れないといった基本的な衛生概念に基づく対策を行えば感染症のリスクは極めて低いと考えられることから、公衆衛生の観点から更なる規制を一律に設けるのは慎重に検討していく必要があると考えております。

 しかしながら、御指摘のような御遺体の保管につきましての課題につきましては、今後、しっかり調査研究などをしていきたいというふうに考えております。

とかしき委員長 武井俊輔君、申合せの時間が来ております。

武井委員 はい。

 時間も参りましたので終わりますが、こういったようなことが法的に何も対応できないというのは、これはどう考えても、社会通念上、やはり国民の理解を得られないということであると思いますので、引き続き対応をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

とかしき委員長 次回は、来る二十一日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十分散会


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