衆議院

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第31号 令和3年8月25日(水曜日)

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令和三年八月二十五日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 とかしきなおみ君

   理事 大岡 敏孝君 理事 門  博文君

   理事 田畑 裕明君 理事 長尾  敬君

   理事 橋本  岳君 理事 中島 克仁君

   理事 長妻  昭君 理事 伊佐 進一君

      青山 周平君    安藤 高夫君

      上野 宏史君    大串 正樹君

      大隈 和英君    神山 佐市君

      神田  裕君    木村 哲也君

      国光あやの君    小島 敏文君

      後藤 茂之君    後藤田正純君

      高村 正大君    杉田 水脈君

      高木  啓君    武井 俊輔君

      出畑  実君    百武 公親君

      村井 英樹君    山田 美樹君

      渡辺 孝一君    稲富 修二君

      尾辻かな子君    大島  敦君

      川内 博史君    白石 洋一君

      津村 啓介君    西村智奈美君

      山井 和則君    早稲田夕季君

      高木美智代君    桝屋 敬悟君

      宮本  徹君    青山 雅幸君

      山崎 摩耶君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣     三原じゅん子君

   厚生労働副大臣      山本 博司君

   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  十時 憲司君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 青木 孝徳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  正林 督章君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    赤澤 公省君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鈴木英二郎君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二十五日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     出畑  実君

  木村 弥生君     杉田 水脈君

  佐藤 明男君     神田  裕君

  塩崎 恭久君     神山 佐市君

  繁本  護君     高木  啓君

  高井 崇志君     山崎 摩耶君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     塩崎 恭久君

  神田  裕君     佐藤 明男君

  杉田 水脈君     木村 弥生君

  高木  啓君     繁本  護君

  出畑  実君     木村 次郎君

  山崎 摩耶君     高井 崇志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

とかしき委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官内山博之君、内閣審議官十時憲司君、財務省大臣官房審議官青木孝徳君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官日原知己君、健康局長正林督章君、社会・援護局障害保健福祉部長赤澤公省君、政策統括官鈴木英二郎君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

とかしき委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

とかしき委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。木村哲也君。

木村(哲)委員 自民党の木村哲也でございます。

 もう僅か、時間が八分しかございません。順次質問に入らせていただきたいと思います。

 千葉県で痛ましい事案が生じました。コロナに感染された妊婦さんが、入院先に断られて、自宅で出産をして、乳児が亡くなってしまうという、本当に痛ましい事案が生じてしまいました。以前から、周産期母子センター、MFICU、これはもう、高リスクであり、そしてまた出産、そして出産後も厳しい状態であったのが理解できていた。こういう陳情も、何とか病床を整備してくれという陳情も上がっていたにもかかわらず、こういう事案が生じてしまった。二度と起こらないように、厚生労働省、しっかりと対応していただきたいと思います。

 全国各地で、この専用病床、これは数値確認しているということでございますけれども、確認ができていても、緊急時に運用できなければ、入院できなければ全く意味がない。そして、総務省が、受入れ病床、これを確認して、そしてリスト化をして、消防と連携を図って緊急対応するということでありますから、これはしっかりと綿密に連携を取って、タッグを組んで取り組んでいただきたい。二度とこのようなことがないように取り組んでいただきたいと思います。これは要望とさせていただきます。

 そして、今、この自宅療養、私は、予算委員会、決算委員会、厚生労働委員会で、この自宅療養から、自宅待機からコロナが拡大してしまっているというようなお話をさせていただきました。やはり、重症者は入院、軽症者はホテル療養、施設療養、そしてやむを得ない場合は在宅というような形ですみ分けができていたんですけれども、これがもう大きく崩れてまいりました。今、全国で自宅療養者が十万人近くいらっしゃいます。このような状況で、急変してお亡くなりになるケースもあるわけでございます。

 そこで、東京都は、酸素センター、これは、旧こどもの城に百三十床、荏原病院に設置をまたいたしました。そして、大阪では、関西経済連合会が、野戦病院を、体育館等々を利用して、これは行いますじゃなくて提言をしたわけでございます、まだこれは決まっていないと思いますけれども。そして、我が船橋市では、今、ホテル療養、軽症者ではございません。今、看護師が常駐して、酸素も入れている状態、つまり、もう病院化しているんです。

 ですから、これは、どのように厚生労働省がイニシアチブを取って、野戦病院なのか、それとも酸素センターを築いていくのか、それとも、これは、ホテルを病院化するというのは野戦病院と一緒ですから、そのように施設を拡大していくのか。命を守る、重症者を減らしていく、そのための施設をどのように増やしていくのか。

 これは、あくまでも地方だ、地方の権限でできることだということでありますけれども、この緊急時には厚生労働省がしっかりとイニシアチブを取って、結局地方でできなくて責任が回ってくるのは厚生労働省になるわけですよ、これを率先してリーダーシップを発揮するべきではないですか。お伺いします。

正林政府参考人 お答えします。

 まず、必要な方が必要な医療が受けられるよう、厚生労働省として、新型コロナ患者を実際に受け入れることができる病床を最大限確実に確保するため、各都道府県に対し、病床・宿泊療養施設確保計画の見直しを求めていたところであり、見直し後の計画に基づいて、七月以降全国で約千九百床の病床を新たに確保しており、自治体と協力し、国からも働きかけを行い、更に病床の確保を進めていくほか、軽症者のための宿泊療養についても、七月以降全国で二千九百室を追加しており、今後も最大限の上積みを行っていくことにしています。

 また、複数の自治体において、病床の更なる確保に加え、緊急包括支援交付金を活用して、体育館やプレハブの建物などを利用した、特措法に基づく臨時の医療施設の整備や、自宅、宿泊療養者が症状が悪化した場合に対応するため、臨時の医療施設又は医療機能を強化した宿泊療養施設等として、一時的な酸素投与、投薬、治療等が可能な施設、いわゆる入院待機ステーション、あるいは酸素ステーションなどの整備が進められているところ、国としても、各都道府県に対し、これらの施設について積極的な設置の検討をお願いしていきたいと考えています。

 さらに、ホテルや自宅等で療養される患者の方々について、症状に変化があった場合に速やかに把握し、必要な医療につなぐことが可能となるよう、保健所等で定期的に健康観察を行い、症状が変化した場合等に備え、患者からの連絡や相談に対する体制を構築しているほか、自宅療養者に対する往診等の取組として、往診や訪問看護等の診療報酬を拡充するとともに、症状が悪化した自宅療養者等への往診を医師会や民間事業者に委託することも可能にしています。

 引き続き、国と自治体と連携して、地域の医療資源を総動員し、医療提供体制の確保に取り組んでまいります。

木村(哲)委員 済みません、もう残り三分の札が来ました。

 今、イベルメクチン、問題になっておりますけれども、これだけ在宅、自宅療養が増えたら、これは検討しなければいけませんよ。北里大学でも研究しておりますから。

 今、これだけ在宅が増えたら、施設療養だったら抗体カクテル、分かりますよ。でも、これだけ在宅が増えている状況だったら、野戦病院をつくってしっかり抗体カクテルで対応するんだというような、そしてまた、このまま在宅が増える、自宅療養が増えるんだったらイベルメクチンも検討すべきであります。

 そして、済みません、もう一問できますね。

 十歳以下の子供たちの感染、子供・子供感染、子供・大人感染。これは、四月の厚生労働委員会でも指摘をさせていただきました。あのときはまだイギリス株で、そしてインド株が出始めていた頃でありました。

 安定的に十歳以下の子供たちが出ていたんだから、これは拡大傾向かどうかという問題で、アドバイザリーボードでもこれは二つの案が出ている、両方に意見が割れているということでもございましたけれども、これから、子供たちの感染、学校が始まったらどうするのかというところも含めて、文部科学省は、各学校、各自治体の判断。その後の感染拡大した後の対応、全責任は厚生労働省になるんですよ。文部科学省と厚生労働省はしっかりと議論を深めたのか。そして、休校にした場合は補償の問題、これは経済産業省ですよ。

 だから、しっかりと横断的な議論を深めて子供たちの問題を考えるべきでありますし、家庭内感染をしっかりと防ぐんだ、子供から大人への感染、子供から子供への感染を防ぐんだというところをオール省庁で議論すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 御指摘のとおり、子供の感染状況について、HER―SYSから抽出したデータによれば、主要都道府県において、十代、十歳未満の感染者数に増加傾向が見られます。また、感染経路については、四月から七月は、児童生徒の自宅での感染が約六割から七割強、十六歳から十八歳では学校等での感染が約五割弱となっています。

 家庭内感染対策は重要であると認識しており、御家庭で御注意いただきたいことということを八つのポイントについてパンフレットでお示しし、感染予防を徹底していただきたい、そういう呼びかけを行っています。

 また、文科省との関係ですけれども、学校内の感染対策に関して、新学期となり学校で感染が広がることがないよう、八月二十日には文部科学省から各都道府県の教育委員会等に事務連絡を発出し、特に感染防止のための重要なポイントをチェックリストとして配付し、発熱等の症状がある子供が登校しないことや教室の常時換気等の徹底を依頼していると承知しています。これを発出するに当たっては、厚生労働省も文部科学省と協力しながら対応いたしました。

とかしき委員長 木村哲也君、申合せの時間が来ております。

木村(哲)委員 はい。

 最後、済みません。まとめでございますけれども、ワクチンも国民の四割が完了した。これも計画どおりかもしれない。そして九月には六割ということで、これはしっかりと、バイデンが七月四日に、これは独立宣言だ、経済活動もスタートすると言ったように、出口戦略を明確に今度していただきたいと思います。今、国民は不安が募っている。だからこそ不満も募っている。そのようなことで、しっかりとこれは出口戦略を明確にして、明るい報告、強い報告をしていただきたいと思います。

 田村大臣、今の件もまとめて御意見を一言お願いします。

とかしき委員長 申合せの時間が来ておりますので。

木村(哲)委員 じゃ、済みません、以上で終わります。

とかしき委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 私は、前回に引き続いて、まず、コロナ感染症の治療について二点、一括して簡潔に伺いたいと思います。

 まず、酸素ステーションで酸素吸入だけでなく治療に着手できなければ、重症化防止はできないと考えます。レムデシビルを使えるようにすべきと考えます。大臣の見解を伺います。

 また、ロナプリーブにつきまして、前回、私の、入院だけではなく外来などにも使えるようにすべきであるとの質問に対して、大臣は、まずは日帰り入院で、打った後自宅にお帰りいただくよう検討していると答弁されました。重症化予防のためには、重症化リスク因子を持つ妊婦を始め、透析、肥満、喫煙などの基礎疾患のある方に対して、ロナプリーブを早く投与する体制整備をしていただきたいと思います。検査結果が出たらすぐに投与するというような勝負勘を持つべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 ロナプリーブですけれども、もう御承知のとおり、二十四時間以内は、インフュージョンリアクションというような形で緊急の症状が出る可能性があるということでございますので、それに関してしっかり対応をしていただけるような医療機関において、外来ということもいよいよ始めていかなければならないというふうに我々は思っております。その方向で今進めておりますので、外来でもしっかりと、もちろんちゃんと対応いただけるという医療機関でありますけれども、外来で使っていただけるということも早急に進めてまいります。

 それから、もう一点の部分に関して、酸素ステーション等々いろんなお話がございました。そこでレムデシビルを使うということは非常に重要なことでありまして、酸素吸入だけでは、症状、つまり重症化をある程度防いでいくためには、中等症で、ある程度酸素吸入している方々に、そういうような医薬品を使って治療薬で対応するということも重要であります。

 これは臨時の医療施設では使えますので、そういうところで。ただし一方で、医師、看護師がしっかり対応いただかなければならないということがございますので、その体制があるということが前提でありますけれども、もうやられておられるところもございます、臨時の医療施設で。そういうところのしっかりと我々も事例を見習いながら、今やっていないところに関しても、こういうやり方があるということはしっかりと周知してまいりたいというふうに思っております。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 ロナプリーブにつきましても一歩前進でございますが、いずれにしても、これが早急に、体制として、検査で結果が分かった、その先速やかに投与できるという、ここをお願いしたいと思います。

 また、レムデシビルにつきましては、もう明確にこれは使えるという御答弁と受け止めさせていただきます。実施体制の整備、よろしくお願いいたします。

 そして、一問飛ばさせていただきまして、私は、今、我が党の地方議員から多く声を寄せられております市区町村の役割の明確化について伺います。

 東京の自宅療養者は二万五千人を超えるなど、災害級の感染拡大の中で、自宅療養者を支える仕組みの構築が急務となっております。自宅療養者の方たちからは、なぜ誰にも支えてもらえないのか、そしてまた、生活物資を頼んだら、届いたのは療養生活が終わった後だったとか、また、九日後に届いてそのときには亡くなっていたとか、いろんなそうしたお声があります。

 この自宅療養者をどのように支えるかという点につきましては、お子さんや介護が必要な方などへの利用調整また生活支援が必要となるわけですが、これら全てを都道府県、保健所が担うことは不可能です。自宅療養者の生活を支えるために市区町村が積極的に役割を担うことができるように、国として私は示すべきと考えます。明確にするのが厳しいというのであれば、協力要請、何らかの形で明らかにしていただきたいと思います。

 また、その際、自宅療養者を支えるため、見守り支援等を行う意欲的な自治体もあります。ただ、その一方で、住所、氏名などの情報が分からないため、支援したくてもできないという自治体のお声があるのも、多く聞いております。今更、都道府県と自治体と協議をするという時間も、また手間もありません。この都道府県と市区町村との連携につきまして、内閣官房コロナ室等から昨年四月二日、事務連絡が出ていますが、現場ではいまだにルール化されておりません。こうした目詰まりの原因も併せて正すべきと考えます。

 市区町村の役割の明確化、そして情報連携の強化について、大臣、是非明確に事務連絡を出していただきたいということをお願いを申し上げます。いかがでしょうか。

田村国務大臣 デルタ株で感染の状況が全く変わってきているわけで、これは、世界の有識者がそうおっしゃっておられます。

 世界中、ワクチンで一定程度感染が抑えられる。これは、アルファ株までは確かに、英国、米国、極端に感染者が減っていったという事例がありますが、デルタ株に置き換わる中で元の感染状況に戻ってしまった。結果的に、イギリスは今、八月半ばは、ちょっと調べてみたんですが、入院率二%ぐらい。フランスが五%、アメリカも六%ぐらいでありました。日本は一〇%ですが、しかし、まだまだ感染者が増えていく可能性がある中において、やはり、在宅、自宅での療養、これは我々としてもしっかり対応していかなければ、本当に国民の皆様方の健康が守れないという話でございます。

 いろんな、生活の身の回りの対応ということを考えると、言われるとおり、これは保健所が対応というものでは限界が来るわけでありまして、それぞれ基礎的自治体のお力をおかしをいただく、重要なことだというふうに思っています。

 二月の改正感染症法、これにおいても、都道府県等が自宅療養等に対して食事の提供や生活支援をする場合に、必要に応じて市町村と連携するようにということで、努めなければならないというような形になっております。

 そういう意味では、今、好事例が幾つもございますので、そういうものをしっかりと他の自治体にも周知をして対応いただけるように、我々としてもしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 現場では好事例を読んでいる暇なんかありません。したがいまして、大臣から明確に、このようにしていただきたい、ストレートな話しか現場には届かないということを強く申し上げたいと思います。そうしないと、やはり、自宅療養者は置き去りにされてしまっている、網の目からこぼれ落ちている、ここをどう支えていくか、これこそ私は政治の責任と思います。

 大臣、事務連絡、いかがでしょうか。

田村国務大臣 今、そういう意味で申し上げたということでございますので、しっかりと事務連絡を出させていただいて徹底をしてまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 お疲れさまです。長妻昭です。よろしくお願いをいたします。

 尾身先生も、朝から分科会の会議の後お越しいただいて、ありがとうございます。

 昨日は、コロナ陽性者で四十名以上の方がお亡くなりになったことが確認をされました。入院できずに無念の死を遂げられた方も多くおられます。心より御冥福をお祈り申し上げます。

 助かる命が助からない、このあってはならない事態が続発をしております。この大きな危機感を政府・与党とも共有していただき、質疑をいたします。

 まず、尾身先生にお伺いしますけれども、今回の非常に大変な医療逼迫、この事態というのは、あらかじめ想定していたことでございましょうか。

尾身参考人 私ども専門家は、これは、六月の多分中頃、比較的感染が落ち着いているときだったと思いますけれども、これから夏休みがあり、四連休があり、お盆がありということで、しかもデルタ株が出てきていますから、感染拡大し、医療の逼迫が起こる可能性があるということを申し上げてきましたが、ただ、デルタ株の感染拡大のスピードが想定を上回ったということも事実だと思います。

長妻委員 想定を上回った事態ということですね。

 今の医療逼迫の現状をどういうふうに見ておられますか。

尾身参考人 これは、医療のキャパシティーという、ベッドというのは、去年から随分、ほぼ二倍ぐらいベッド数が増えているわけですけれども、感染拡大のスピードが極めて速くて、今の医療のキャパシティーの強化が今の感染拡大のスピードに追いついていないために、今こういう残念な状況が、自宅待機をしている人の中で亡くなる方も出てきているというような状況が今出ているんだと私は思っております。

長妻委員 今、重症者の増加というのが続いているところでございますけれども、尾身先生にお尋ねしますが、これは来月、九月も重症者の増加というこのトレンドというのは引き続きそれが続いていくのか、あるいは、そのピーク、山ですね、山というのは大体いつ頃来るのか、重症者の増加について、どういうふうに予測、想定をされておられますか。

尾身参考人 新規感染者の数と医療の逼迫は少し分けて考えた方がいいと思いますけれども、今、東京は、これは、お盆だとか四連休等々が終わったということもあって、感染拡大のスピードは鈍化しています。ただし、下がるという傾向はまだ全く見えていないので、いつピークアウトするかと言うことは、まだ時期尚早だと思います。

 その上で、医療の逼迫、重症者の数というものは、私はしばらくこの大変な状況は続くと思います。

 その上で、また感染者の方ですけれども、今、感染拡大のスピードというのが鈍化をしていると思いますが、新たに学校がまた始まってきますよね、夏休み明け。このことで、一度感染スピードが鈍化しても、またぞろ感染の拡大があって、更に医療の逼迫ということもあり得るので、十分注意して、これから、効果的で納得のある対策を打っていく必要があると思います。

長妻委員 更に医療の逼迫が考えられる、いろいろなことがこれから始まるのでというお話がありましたけれども、であれば、それは、ただ見ているだけではなくて、そういうことが予想される、可能性としてあれば、それをできる限り起こらないようにしていくということが重要だというふうに思っております。

 私も、医療関係者の、現場で本当に不眠不休で治療されておられる方、何人ともお話ししましたが、多くの方がおっしゃっていたのは、せめて二週間、せめて一週間でも人の流れを止めるような、そういうことを具体的にやってほしいと。これは多くの方がおっしゃっておられました。それによって、医療現場は今パンク状態ですから、それを一定程度抜け出させてほしいと言ったんですね。

 いろんな専門家の方から、分科会からも声が出ていますけれども、やはり十九時以降の滞留人口を減らすということが一つはポイントだというふうにもお伺いしております。

 そういう意味では、十九時以降の滞留人口を減らすということで、相当今まで以上の踏み込んだ対応というのが必要じゃないかと思うんですが、尾身先生、いかがでございますか。

尾身参考人 ほぼ二週間前に、七月前の段階でのレベルから、約半分ぐらいにです、五〇%ぐらいに人流を下げないとなかなか難しいのではないかということを国の方からも提案して、私どもも提案させていただいたわけですけれども、その結果、三五%ぐらいまでは下がったんですよね、一時期。しかし、またぞろここに来てもう二十何%まで上がってきています。

 したがって、私は、今、この五割さえもまだできていないんです、五割さえもできていないので、この五割のことを徹底してもらうために、ひとつ、ただ頼むだけじゃなくて、要請するだけじゃなくて、今回、学校の問題が今非常に社会的な関心が高まっていますので、私どもは今日も、今終わったばかりの諮問委員会の分科会でも申し上げましたけれども、学校の方の対策も、単に学校休校するなんという単純なことじゃなくて、きめの細かい対策というのを、しかも、学校といってもいろいろあって、小学校から中学、大学、みんな違うので、それぞれを、五つぐらいの私は項目に分けて合理的で徹底した対策を打っていただくことが重要だと思います。

 それは一つは、オンライン授業といって。これは、大学生はやはり別です。大学生は社会人に近い。小学生に、私は、オンラインとか休校する必要はないと思います。それが一つ。

 それから、ワクチン接種については、細かく学生をどうするかというのは年齢で違いますけれども、教職員については、これは保育所の先生も含めて、大学も含めて、みんなこれはやってもらうようにワクチンの供給をお願いしたいと思います。

 それから、二つ目は今度は検査のことですけれども、検査もいろいろなことを国はやっていただき、ここに来ると更に徹底することが必要で、例えば、ふだんからこれは教職員を中心に、大学生なんかは、学生も含めてですけれども、いわゆる健康アプリなんという、いい道具があるわけですよね。それをつけて、ふだんから健康の状況を把握して、少しでも具合の悪い人がいればすぐに抗原検査をやって、すぐに結果が分かりますから。それで、すぐに結果がポジティブが出たら周辺をみんなPCRで確認したりやるということを徹底してやるということ。

 それから、大学生、高校生は部活動をやりたいですよね。やるときには開始直前に検査を、抗原検査なんかをしてもらうということを大学でしっかりやってもらうということ。

 それと、今この非常に大事な時期だけに限っては、やはり大学生、高校のいわゆる肉体的接触、距離が近くなるような部活動は。

 今、学校のことを申し上げましたけれども、そうしたことを職場でも、いわゆる、単に人流を止めるということだけで、それもやるんですね、それがオンラインで。

 そういう中では、実は私は今日、国会の先生方にも二つお願いがございまして、一つは、前からも申し上げましたように、日本の最大のジレンマの一つは、多くの人が協力をしていただいているんですけれども、要請ベースですから、協力を得られない。まだ全ての人の協力が得られているわけではないということがありますね。そういうことで、私は、国会の皆様が、これは与野党にかかわらず、一般の人々の事業者やそれから一般の人々が参画して、一つの例としてはタウンミーティングみたいなものを開いて、個人の感染予防の実行と医療関係者のコロナ診療の協力、この二つを担保するような新たな仕組みの構築のための議論を、検討を始めていただきたいというものが一つのお願いです。

 それから、国会のいろんな審議についてもできる範囲で、そこは、どこまでできるか私は承知しておりませんが、テレワークとかオンラインということも国会の方で示していただいて、そのことが一般の人、テレワークをする人たちへのメッセージになるので、その二つは是非よろしくお願いいたします。

長妻委員 尾身先生がおっしゃっていただいたこと、ほぼ同意いたします。

 いずれにしても、これは国会で論議が必要だということで、与党の皆さん、何でこれは国会を開かないんですか。開きましょうよ。こういう緊急の、国民が生きるか死ぬかの状況のときに、国会を休んでいる場合じゃないですよ。いろんな議論が必要ですよ。法律的な措置だって必要ですよ。与党も本当に考えていただきたいということもお願い申し上げます。

 そして、尾身先生にもう一点お伺いしたいんですが、今、本当に助かる命が助からないということが東京を中心にどんどん広がって起こっておりますけれども、こういう医療崩壊とでもいうべき事態を招いてしまったということで、これは、これまでの対策で政府の反省点としてはどういうことをお考えですか。

尾身参考人 私は、政府の方々、大臣も含めて、官僚の方々とほぼ毎日、議論、お会いしていますので、政府の関係者の方々が土日もなしに、夜に日を継いで努力していることに、私は心より敬意を表したいと思います。

 その上で、どんな組織でも完璧なことはないですよね。それは私ども専門家の方も完璧ではなくて、いろいろ改善すべきところはあると思いますけれども、今お尋ねですので、政府の方で更に改善していただければいいと思うのは二つあったと思います。

 それは、一つは、感染対策と経済活動と非常に両立が難しいですけれども、時々、この場合には一定方向にメッセージが集中すればいいんですけれども、それが矛盾したメッセージになったということがあったのではないのかというのが一つあります。

 それからもう一つは、これは状況の分析ですよね。これについて、私ども専門家の分析よりは、時々、やや楽観的な状況分析をされたのではないのかというのが、これは危機感というのは私は政府は非常に共有していたと思いますけれども、少しそういうところが多少あった。一生懸命頑張っておられるのは私は本当にそう思いますが、どこでも改善すべきところがある。

 その二点があったんじゃないかと私は感じております。

長妻委員 多少というよりも相当あったと私も感じておりますけれども、この矛盾したメッセージというのは具体的にはどんなようなことでございましょうか。

尾身参考人 これはいろんなことがあったと思いますけれども、オリンピックはもう国と組織委員会が決定したわけですよね。決定して、協力をしてもらうときのメッセージの出し方とか、そういうことは、確かに私は、一般の人が、オリンピックのバブル内での感染は多少ありましたけれども、そのことは私どもは最初から余り問題視はしていなかったです、競技場で感染というのは多分そんなに起こらないと思っていましたけれども、このことが国民の意識に与える影響は当然想定したし、そうなったと思うので、やる以上、どういうメッセージを、なぜやるのかというようなことは、確かに少し改善する余地があったというふうに私は思っています。

長妻委員 田村大臣にお伺いしますけれども、臨時の医療施設を地方自治体と協力して早急にやるということなんですが、こういうオペレーションをやるときに、もう緊急ですけれども、やはり最終的に最悪の事態を考えて、例えば首都圏で、あと追加の臨時の医療施設のベッド数、大体このぐらいを、実際にそれがいつできるのかも含めて、医療関係者の動員も必要ですから、ただ箱を造ればいいというものじゃないので、そういう意味では、目標のベッド数というのを是非策定していただきたい。

 今、緊急時に鑑みてということをずっと役所の方にも申し上げているんですが、なかなかできないんですが、これを是非、目標数というのは今ないんですか。

田村国務大臣 今、尾身先生もおっしゃられましたけれども、どういう状況で感染がこれから広がっていくのか、収まっていくのか、これはなかなかまだ分からない状況で、これは世界中ですよね。御承知のとおり、七月にソウル、そしてシドニー、ロックダウンを出して、また、シドニーは軍を増強しているという話でありますが、そこまでやっても収まらない、こういう状況です。

 ちょっとやはり、デルタ株、全く状況が変わっているということを、我々も認識を更に強めなきゃいけない。

 言われるとおり、そうはいいながら、東京に一定の目標は作っていただかなきゃならないと思いますので、そこは今協力をさせていただいて、どれぐらいなのかというのを、当面の目標値の下で整備をお願いいたしたいと思っております。

 これは東京だけではなくて、全国に向かっても、やはり今、緊急事態措置、蔓延防止措置、多くのところがこれをやっておられますが、やがて解除ということになったときに、解除の水準をクリアしていただかなければならぬわけでありまして、その意味では、病床というのは非常に大きなファクターであることは間違いないわけで、十分に皆様方に治療を受けていただける体制という意味からすると、それをしっかりとやっていただかなきゃならないということでございますので。

 基本的対処方針にも、臨時の医療施設という形であります。もちろんそれは、病床には限りがありますし、より効率的にやらないと、医療人材、資源は限られておりますから、その中で、より効率的に国民の皆様方の健康、命をしっかりと守れる体制を組んでいただくべく、我々としては各自治体にお願いしてまいりたいというふうに思っております。

長妻委員 これは、臨時の医療施設にしても宿泊療養施設にしても、初動が遅かったんじゃないですか。

田村国務大臣 今ほど来もお話がございました。確かに、専門家の先生方もいろんな予想をされる中で、それよりも速いペースでデルタ株というものは広がっている、それはそのとおりでありまして、我々も各自治体にいろんな形でお願いしてまいりました。

 しかし、その想定を上回る形で感染が広がって、ベッドも、御承知のとおり、今二倍という話がございましたけれども、一月からでもかなりのベッドを用意いただいておりますが、それでは間に合わない。つまり、もっと言うと、普通のベッドでは間に合わないわけですから、そこで臨時の医療施設という形で対応をしていかなければならないということでございます。

 なるべく早くその体制を組んでいけるように、我々も協力をしてまいりたいというふうに思っております。

長妻委員 初動という意味では、これは大阪で今年、つい最近起こったわけですよね、同じようなことが。そのときに何で準備できなかったのか。我々もかねてより提言をしておりましたけれども、なかなか聞く耳を持っていただけなかったというのは残念でございます。

 先ほど大臣の話でも、これから感染が広がるのか収まるのかも分からないとか、あるいはほかの国でロックダウンしてもなかなか収まらないと。これはもうお手上げ宣言みたいな話じゃないですか。

 もうちょっと専門家が、いろいろなシミュレーションを出していますよね、分科会の方も。重症者はこのぐらいがピークだとか、これからこういう状況であればピークアウトする、こういう状況であればまだまだ伸びるとか、そこら辺、政府としてさっぱり、これから収まるか伸びるか分からない、広がるか分からないというのはちょっと相当不安なので、是非そこもきちっと手当てをして策定を、大きい緊急事態ですので、全体の目標数や将来見込みをこの数か月、立てていただきたい。

 最後に、これは申し上げるだけにしておきますが、四ページ目でございますが、ちょっと首をかしげる通知、指示が国病機構、国立病院機構から出ております、四ページですけれども。

 各百四十病院があるんですね、国病機構は。そこが新型コロナウイルスを診た場合、補助金が出ます。新型コロナの関係の補助金が出たらば、それを借金返しに回してくれ、こういうような、本部が各病院にお金を貸しているらしいんですが、回してくれ、こういう指示が出て、ちょっと現場は、相当問題だということで声が聞こえておりまして、これを指示いたしましたら、国病の本部は、訂正の通知を出す、こういうふうに言っていただいたので、これはこれで、通知を出していただくということでいいんですけれども。

 ちょっと、大臣、こういうことがあると、百四十も病院を抱えているところに対して、ちょっとコロナの対策と逆行するようなことがあるといけないので、是非目を光らせて、国病機構、JCHOを含めてコロナ対策、もう一生懸命やっていただいていると思いますけれども、更に全病院について御努力をいただくということもお願いをして、特に財政保障、赤字補填というのも重要だと思いますので、よろしくお願いします。

 以上です。ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 稲富でございます。今日もどうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど来ありましたが、学校がいよいよ始まります。私の地元福岡では、あさって金曜日から二学期が始まります。地元の保護者の皆様からは、この感染拡大の中で大丈夫なのかという声をいただいております。

 そこで、尾身会長に伺います。

 まず、昨年、一斉休校を約三か月、長い期間やりました。振り返ってみて、その政策判断、どう評価をされているのか、伺います。

尾身参考人 昨年の一斉休校については、私ども専門家の方は、あの時点でやる必要はなかったと思いますが、政府の、何とか感染を止めたいという決意の表れであのような決断がなされたというふうに私は理解しました、当時は。

稲富委員 分科会では、必要はなかったのではないかということをおっしゃいました。

 今、保護者からは、ワクチン接種二回終わった方は、五〇%、まだいっていないということで、特に小学生の保護者さん、三十代、四十代、まだ終えられていない方もいらっしゃる。部活動、学習塾でもクラスターが発生している事案がある、あるいは、仮に感染した場合の十分な医療体制ができているのか、それらの不安があるわけです。

 一方で、やはり親としては学習の機会は十分に提供したい、オンラインもできるという中で、改めて尾身会長に伺いますが、学校が開始するということは、人流をもちろん変える、動かすということですので、現時点で新学期開始という政策判断については妥当というふうにお考えなのかを伺います。

尾身参考人 今、学校だけじゃなくて、今の日本の人々が、一つはコロナ疲れであるし、当然のことながら少しずつ社会経済は回したいという思いがあるし、特に教育の場合には、特に小学生とかの若い、児童なんかは一番大事な時期で学習の機会を奪うというのは、本人たちのためにも気の毒なことですよね。

 したがって、私は、これからやることは、何か一つ、学校休校とかそういう一点で今のコロナのウイルスに立ち向かうことはできないので、あるリソースですよね。これは、人的リソースもそうです、医療機関のキャパシティーを増やす、それから、ワクチンなんというのは今できている。それから、検査というものを、私は、もうここまで来たらもっと徹底的に使うという。ツールがあるわけですから、そういうものを加味しながら、しかし、人流を抑える、肝があるわけですから。しかし、その肝は、今、小学生の間で感染が広がっていることは確かですけれども、小学生を守るためには、環境としての教職員から感染することも結構多いんですよね。

 感染をゼロにすることを求めることは現実的ではないので、大きな感染を減らすということが今の医療の負荷を取るということであるので、できることで合理的なこと、先ほども私、長妻委員のときに申し上げましたから繰り返しませんけれども、五つのコンポーネントというのは分かっている。もちろん、各塾とか何かで距離を取る、もうこのことは何度も言っているので。

 ちゃんとした、マスクをしたり距離を取るという中で、ただ、それだけでは難しいので、環境づくりとして教職員へのワクチン接種というのは、これはなるべく優先してやっていただきたいと思いますし、学校なんかにおけるアプリや抗原検査キット、ちょっとでも具合が悪ければすぐに検査ができる、こういうことをやることによって、感染をゼロにすることはできないと思いますけれども、大きなクラスターが発生したりすることはかなり防げると思うので、そういう総合的な総力戦ということを是非ここで、みんなが強い覚悟をすることが私は重要だと思います。

稲富委員 ありがとうございます。

 ただ、例えば教職員へのワクチン接種のことを会長今おっしゃいましたけれども、先ほども申し上げましたように、学校はもう始まります。それはもうそうなんですけれども、時間がない中でございまして、教職員へのワクチン接種、そして検査体制をもっと強くしなければいけない、全くそのとおりだと思います。

 でも、もうあさってから始まるんですよね。それができていない中で、学校を始めることが判断として妥当なのかということを伺いたいんです。

尾身参考人 学校の開始の時期は、今の時期、これは、私、専門家会議でそのことだけを議論したことはありませんけれども、可能であれば、夏休みの延長ということは、その場その場で、自治体でも違うし、そういうことは考慮、当然。今日できなくても、勉強は二週間後でもできるわけですよね。そういう意味では、休校ということは別で、始まる時期をある程度延ばすというのは、各自治体の判断でそれはやってもらった方が、検討する方が私はよろしいんじゃないかとは思います。

稲富委員 ありがとうございます。

 文科大臣が八月二十日に、休校要請はしないということで、記者会見で発表されました。この休校要請をしないという政府方針、あるいは学校の二学期が始まるに当たって、分科会に対する意見ということを求められることはありましたか。

尾身参考人 分科会に、議論してくれという要請はございませんでした。

稲富委員 専門家の意見聴取がなかったということかと思います。

 ちょっと大臣に事実関係を伺います。

 コロナ感染による、子供というのは感染しにくいというふうに従来株のときは思っておりました。しかし、今回、デルタ株によって、二十歳未満の重症者、重症化した方、死亡者、これまで何名かということをお伺いいたします。

正林政府参考人 事実関係ですので、私からお答えしたいと思います。

 厚生労働省としては、全国における重症者、死亡者の年齢階級別の人数について、厚生労働省から自治体に確認を行い、個々人の感染状況を追跡、把握できた数を集計しています。

 直近のものとしては、八月二十四日時点において、お尋ねの二十歳未満の重症者は一名、それから死亡者の人数はゼロ名となっております。

稲富委員 続きまして、二十歳未満の子供、二十歳未満の方の新規感染割合というのは増えているということは統計上言えるのかということをお伺いします。

正林政府参考人 お答えします。

 年齢階級別の新規の陽性者の構成割合の推移を見てみますと、このところ、二十歳未満においてその割合が上昇傾向にあると承知しております。

稲富委員 大臣に伺います。

 政府は、未成年の方はデルタ株で重症化はしづらい、あるいは軽症で済むというふうにお考えなのか、いや、それは現時点では何とも言えないということなのか、お伺いをいたします。

田村国務大臣 先ほどの割合の話もなんですけれども、これも、そもそも新規陽性者の中に占める高齢者が全体の中で減ってきておりますので、そういうことも勘案しなければならない。これはワクチンの効果だというふうに思います。以前、二〇%ぐらいあったものが、今、四%ぐらいになっております、高齢者が。それを踏まえた上で、全体の中で高齢者が減りますから、全体の他の年齢層が比率が上がるというのもあります。

 一方で、アドバイザリーボードの中で、専門家の方々から、そういうことも言えるけれども、しかし一方で、ウイルス量、これが増えている、そういうような研究もあるので、やはりその分だけ子供たちにうつしやすくなっていることも否めないのではないか、実はこういうような御評価、御議論をいただいておりました。

 そういう意味では、ウイルス量が増えているという話になれば、重症化等々、今までよりかは症状が出やすい、重症化と言っていいのかどうか分かりませんが、症状が出やすいということは、これは一定の推定がされるのかも分かりませんが、いずれにいたしましても、そこのところが詳しくまだ答えが出てきていない。

 特に、今ちょうど学校は休んでおりますので、学校内での感染というものが、このデルタ株に置き換わってからは、まだ七月、学校を休む前までのデータしかありません。その後、本格的に入れ替わっておりますので、これからそういうデータというものは正確には整備されてくるというふうに考えております。

稲富委員 これからということでございまして、学校が再開をしたら、当然子供たちが集まって、その中で、子供は、さっきのデータでもあるように無症状、軽症の方が多いということは事実だと思います。先ほど来、尾身会長もおっしゃっていましたけれども、家庭内の感染は、親から子じゃなくて子供から親という逆流も起こり得るということでございます。

 そんな中で、やはり、先ほど会長おっしゃったように、検査の重要性をおっしゃいました。私もそのとおりだと思いますし、政府ができることといえば検査の充実だと思います。

 今回、抗原検査キットを学校に配付するということなんですよね。これは発熱やあるいはちょっと体調が悪いときにキットを使ってすぐ調べるということなんですけれども、そういった症状があるときだけ検査キットを使うということで検査体制が十分なのかということなんです。私は、定期的な何らかのPCR検査なりをしていかないといけないのではないか。

 検査体制、今のままで、先ほど申し上げましたように学校を再開して本当にいいのか、大丈夫なのかということを尾身会長に伺いたいと思います。

尾身参考人 前に、高齢者施設の従業員に定期的な検査というのをあれしましたよね。そういう意味で、そこはなぜかというと、やはり感染リスクが高いし、あとは、感染が起きたときのインパクトが非常に強いですよね。

 そういうことで申し上げて、それで、無症状者の話はもう随分前から出てきて、私は、理想的には、小学生であろうが大人であろうが、無症状者、一般のコミュニティーの人にPCR検査をやるということは基本的には反対ではありません。

 ただし、無症状者に、一般のコミュニティーにやるのには、これは定期的に繰り返さないと意味がないです。一回やって、あと半年というのは、ほとんどこれは、そのときの感染状況を把握するという意味では意味がありますけれども、感染対策上は、いわゆる一般コミュニティー、無症状者にすべからくやるというのは、意味があるのは定期的に頻回に繰り返すという条件です。

 このことが、今、日本は、一般の、症状が少しでもある人にもまだいっていないわけですよね。キャパシティーの問題があるので、キャパシティーが十分であれば、私はそれを定期的にやるということは賛成です。

 これはもう現実の問題で、キャパシティーの問題で決めることですから、理論的には、一般の人、無症状者にやるのであれば、定期的に週一回とか、極端に言うと全国民にやることがいいですよね。それがなかなか難しいので、ある程度効率的で効果があってインパクトがある検査の方法ということで、今は症状の軽い人をやると、必ずこれは事前確率が高いですから。しかし、委員おっしゃるように、可能であれば、定期的に全ての人に、小学生なんかにもやるということは理想的なことだと私は思います。

稲富委員 ありがとうございます。

 やはり冒頭申し上げましたように、保護者、父兄の不安というのは非常に大きいものがありまして、それに対して何らかの手を打たない中で始まるというのが非常に今問題があるというふうに私も思います。ありがとうございます。

 最後に尾身会長、もう一問最後にお伺いします。

 アメリカではもう小児科の病床が逼迫しているという報道もありまして、状況があります。今後どうなるかまだ見通せない中、やはり、ワクチン接種は十二歳以上、それで新学期を迎える、家庭内感染が増えているという状況を考えれば、子供に対する感染対策が特に必要になるというふうに思われます。小児科病床を十分に確保されているのかということも含めて、今後の対策について是非お伺いをしたいと思います。

尾身参考人 今のデルタ株の現状を考えますと、小児に感染が少しずつ広がっているし、これからも広がるし、その中で、アメリカなんかの報告にもありますように、重症化も出てくる可能性があります。今のところ日本では、重症化してという、死亡するなんという例は報告されていないと思いますけれども、これからはそういうことも当然可能性はあるので、一部の、全部の病院で小児を診るという具合にいきませんから、基幹病院の中でそういうことに備えて、病床を準備しておくということが必要で、実際に幾つかの病院ではそういう取組が今始まっているというふうに私は理解しております。

稲富委員 どうもありがとうございました。

とかしき委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 まず、尾身先生にお尋ねをさせていただきたいと思います。全国的な新型コロナウイルス感染症拡大に歯止めがかからない現状だとは思いますが、特に東京都の感染状況について、尾身先生に確認をさせていただきたいと思います。

 数週間ぐらい前から、一日の感染、陽性者確認、一万人に達するんじゃないか、そのような懸念を示されていた有識者の方もおられました。また、先週は新規陽性者の数は五千人前後で推移をいたしまして、一昨日は二千四百四十七人、そして昨日は四千二百二十人の確認ということ。また、二十四日までの一週間の平均感染者数は前週の一〇二・四%、その前々週は一八%の増に対して、二・四%の上昇率と。東京においてはピークアウトしたのではないかと一部ではささやかれてもおります。

 先ほど長妻委員との質疑でも触れられておりましたが、尾身先生に確認をしたいのですが、東京都ではピークアウトが見えてきた状況と言えるのか。それとも、引き続き感染拡大の傾向、東京都のモニタリング会議の言葉では制御不能の状況が引き続いておるのか、尾身先生の御見解、確認をさせていただきたいと思います。

尾身参考人 これはもう委員御承知のように、報告されていますね、毎日の数。あれは、いわゆる報告者数ということで、実態の感染者数を表すものではありません。今は実は、御承知だと思いますけれども、いわゆる濃厚接触者の調査というものは、かなりもう保健所が一生懸命頑張っていて疲弊していますから、かなり限定的になっております。それから、PCRを受けたくないという人もだんだん、様々な理由で出てきているというようなことで、報告されている数が実態を表すかというと、私は実態はもう少し多いというふうに思っています。

 そのことを踏まえた上で、ただ、その傾向というのはこの三週間ぐらい同じですから、傾向としては、今言えるのは、感染拡大のスピードが鈍化をしている。鈍化をしているということで、これが下火になっていることでは決してありませんし、ピークアウトということを議論するのはまだ。しかも、お盆の効果はもう少し見ないと出ませんから。こういうことで、まだまだ厳しい状況が続くと思います。

 そういう中で、いつピークアウトをするかというのは、ウイルスの、このデルタ株の勢いもそうですけれども、これは本当に社会の人々が、このウイルスというのは難しいけれども単純なところがあるんですね。今、日本の国内でも多くの都道府県が、今日もまた会議があって、重点措置か緊急事態宣言が出されるということになりますけれども、そうでないところもあって、ここは明らかに大きな傾向として言えるのは、人流が六〇%、七〇%下がったところはおおむね感染が下火になっている傾向があるんですよね。

 したがって、検査とかワクチンということもあるんですけれども、やはり、人々がどう行動するかということでピークアウトがいつ来るのかどうかということも決まるので。これは本当にみんなが今、自分の命とほかの大切な人の命を守るというところに心を一つにしないと、今はもう医療の現場は本当に、一般医療に今障害が来ている。このことを国民みんなが、大変なんですよね、みんな大変だと思いますけれども、そのことを十分認識して、自分ができることがあるんですよね。どこで感染しやすいとか、もう分かっている。そのことを、なるべくこの期間だけはしっかり避けていただければと思います。

中島委員 ピークアウトの見通しではない、そして、引き続き予断を許さない、鈍化はしているもののということでありますが、尾身先生、これは、報告されている数、やはり一般の国民の皆さんは、重く、そして大きく受け止めるんですね。

 今後の病床数の確保、また宿泊療養施設、在宅環境を整備する上で、尾身先生は、報告されている、例えば昨日は四千二百二十人、おおよそですが、今後の体制を整えていく上で大変重要なんですが、報告されていない、必要な検査がされていない方、実数とすると、大体やはり倍ぐらいの、実態は感染者が一日にいるのかどうか。その辺に関して、大体倍ぐらいですか、三倍ぐらいですか。

尾身参考人 これは全ての感染者を把握しているわけでないので類推する必要がありますが、今の実態より多いということで、ここまで来ると、実は、今、我々何を目標に頑張っているか、一般の市民、自治体、国、医療関係者。これは、今は必ずしも新規の感染者だけに注目してやるということじゃなくて、今、なぜこれだけ緊急事態宣言を何度も出して、重点措置を何度も投げて、そして飲食店の皆様には大変な思いをしていただいているかというと、一番の最終的な目標は医療の逼迫を抑えるということですよね。しかも、今の状況は、医療の逼迫というのはコロナ医療だけじゃなくて、実際の一般医療の方も、がんの治療を遅らせたとか、こういう状況になっているわけですよね。

 私は、今一番大事なのが、五千だったのが五千六百だとかというよりは、感染が下火になっていないということが極めて重要で、仮に報告者数が平衡状態をしても、医療の負荷はどんどんどんどん蓄積していきますから。それで、今はもう本当に悲鳴を上げている医療現場があるので、それについて我々はもっと、そういう中で、今、臨時の医療施設をつくってくれる、あるいは、今厚生省、昨日は都知事と一緒に、医療機関で今まで診ていなかった、その人たちは一般の医療は診ているわけですよね、その人たちにできる範囲でやっていただきたい。

 そういう意味で、今、ここは総力戦だということをみんなが認識してもらう必要があると思います。

中島委員 陽性率が二〇%というとてつもない数字になっていて、また、陽性患者さんのうち、現状では一・六%が重症化すると言われておりますから、やはり、臨時の医療施設や病床の確保も、実数がどのくらいなのかということを見込んだ上でないと、やみくもに増やせばいいとかという問題ではないと思いますので、やはりその辺は今後の体制整備に当たって重要なところですので、是非、また尾身先生にもいろいろお知恵を政府の方に言っていただきたいと思います。

 先ほど来話がございますように、一昨日ですか、田村大臣と小池都知事連名で、都内全医療機関、病床確保要請と、いわゆる最後通告とも言える、応じない場合には公表するということでありますが、この対応に対しましては、尾身先生はどのような相談を受けられたのか、そして尾身先生はどのような御意見を申し上げたのか、確認をさせてください。

尾身参考人 この件に関しては、実は、先日、前だったのか、その前だったかはちょっと、後で記録を見ますけれども、私ども、私自身も含めて、大臣が出席されていますから、アドバイザリーボードでは、そのときに、都道府県で、改正された感染症法を使用して、医療機関に法の根拠を持ってお願いしている県のリストがあるわけですよね。そういう中で、実は東京都はそのリストに入っていなかったので、私自身もお尋ねしました。というか、やってもらった方がいいんじゃないのかということを申し上げて、そういうことの中で、大臣は多分その前から、私たちの発言の前からそういう御意向があったと思いますけれども、私は、せっかく感染症法を改正したわけですから、今は、あるリソース、リソースという意味は法律も含めて、総力戦ということで今回のことは、私はよかったと思います。

中島委員 時間がありませんので、ちょっと大臣に確認をさせていただきたいんですが。

 先ほど来、尾身先生、予断を許さない、鈍化はしたものの感染拡大と。病床の確保要請も出しておられますが、やはり、この感染を完全に防いでいくというのはなかなか難しい、デルタ株という特徴も考えても。私はやはり、現時点で、今後も重症化をいかに抑制していくか、ここに体制を大きくシフトしていくことが求められるというふうに思います。

 そこで、期待される抗体カクテル、ロナプリーブ、この件について確認をいたしますが、総理は十七日の会見でも、政府として十分な量を確保していると強調される一方で、七月二十八日ですか、加藤官房長官は、二一年分を確保していると発言をされました。

 この確保量は、総理は、昨日も自民党の役員会で、思い切って現場に投入していくと。そして、広くこれは軽症、中等症に使われ、初の承認された薬ですから、十分な量の根拠。そして、日経新聞によると、二十万回分は調達をされておる、そして七万回分が我が国に確保されている状況というふうに報道されましたが、事実として、この数字は本当なのか、それとも違うのか。十分な量の根拠とともにお答えいただきたいと思います。

田村国務大臣 このロナプリーブですけれども、基本的には、今言われた軽症の方々、中等症で呼吸管理、酸素吸入はしない方々です、その必要のない方々に早めに投与していただくということが重要です。その中で、重症化リスクのある方々というのをその適用の対象にしておりますので。重症化リスクがあって、今は軽症若しくは中等症の軽いところであって酸素吸入が必要じゃないけれども、なるべく早くという方々に対しては、当面は十分に確保していると。総理のお話のとおりであります。

 どれぐらいかというのは、これはちょっと、秘密保持契約がございますので、ここでどれぐらいとは申し上げられませんが、今回確保しているものプラス、更にこれからも確保すべく今努力をしておる最中でございますので、そういう意味では、感染者の方全員ということ、それはもうとてもじゃないですけれども足りませんが、今言った適用の必要のある方々ですね、こういう方々に対しては確保しているということで総理がおっしゃったということでございますので、これからもしっかりと、更に確保してまいりたいというふうに考えております。

中島委員 加藤官房長官が二一年分確保と言う根拠、これはちょっと改めてお答えいただきたいんですが。

 加えて、やはり、私も聞いています、私の知り合いの先生も、抗体カクテルを使って、早期に使えば使うほどこれは効果がよろしいと。そういうことから考えると、政府は、先ほど、外来での投与は検討ということでありますが、地域によって実情は様々だと思うんです。

 例えば、在宅でフォローアップできる、モニタリングできる体制を整えて、できれば早くこの抗体カクテルを使いたいと言っている方、地域もあります。これは外来だけではなくて自宅でも、これはアメリカではもうやられているという報告です。厚生労働省は、アメリカがやれば、すぐそれは飛びつく傾向がありますから、これは是非、自宅でも使えるような体制、できるところから始めていくということを是非検討して、いつまでに検討するのかも含めてお答えいただきたい。

田村国務大臣 特例承認でございますので、そういう意味では安全性を確保しなきゃいけないんです。

 先ほど申し上げましたけれども、やはりインフュージョンリアクションのおそれもありますので、そういう意味からいたしますと、二十四時間体制がしっかり整えられている医療機関で、外来でということで今検討しておりますが、早急に答えを出さなければならないと思っておりますので、それほど長い時間をかけるつもりはございません。もう早急に結論を出した上で対応していきたいというふうに……(中島委員「自宅です」と呼ぶ)自宅で使うというのは、自宅で投与するという……(中島委員「在宅で」と呼ぶ)在宅、ですから、外来で投与いただいて自宅に帰っていただくというような形であります。

中島委員 いや、もう我が国、東京は特に、調整中の方も含めると三万六千人ぐらいの方が自宅で療養されているんです。外来に来れない方に対して、ちゃんと整備できているところから、御自宅でも投与できるようにしていく必要があるということを言っていますが、それは検討する、早急に検討して答えを出すということでよろしいですか。

とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

田村国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、これは比較的軽症であられて重症化のおそれのある方でありますので、全ての方にお使いをするという話ではないということは御理解いただく中で、そういう方々に適切に御利用いただけるような体制というものを整えていただき、そして、自宅に帰っていただいて療養いただけるような形で対応いただくということであります。

中島委員 私も、大臣、ワクチンも、先週もそして今週末も接種に入っています。そして、今現在、東京また神奈川、埼玉の方、オンラインで対応しています。そして、抗体カクテル、在宅で使いたいという医療機関からも問合せがたくさんあります。それがもしままならないんだったら、私はどうやって対応しているかといえば、オンラインで……(発言する者あり)緊急使用許可が認められているイベルメクチンを使ったり、内服薬で重症化を防ぐ努力は私も精いっぱいやっています。その選択肢を広げるのが政治の役割だということを明確に申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、尾辻かな子さん。

尾辻委員 立憲民主党の尾辻かな子です。

 時間がないので早速質問に入りたいんですけれども、今回、厚労委員会、八月四日以来三週間ぶりとなります。そして、この閉会中審査、僅か二時間余りであります。この感染爆発とも言える状況の中で、こんなに短くていいのかと。

 今、通常医療が提供できない地域が広がって、今日、八道県に新たに緊急事態宣言を広げる予定、合計二十一都道府県が緊急事態宣言になります。第五波は感染者数も過去最大、重症者数も過去最大。こんな危機に、やはり私、議論がありました、国会を閉じていていいのかということです。

 憲法五十三条に基づいて、私たちは国会の開会要求をしています。このまま国会の開会要求に応じないということは、政府や政治に対する信頼が失われてしまう。臨時国会の開会をまず強く求めておきたいと思います。

 それでは、感染拡大、現状をお伺いしたいと思います。

 現在の、まず、コロナ感染陽性者の自宅療養者数、そして療養先調整中の人数は一体何人に今なっているんでしょうか。数字だけお答えください。

 止めてください。委員長、止めてください。これは通告していますから。委員長、止めてください。

とかしき委員長 筆記を止めてください。

    〔速記中止〕

とかしき委員長 筆記を起こしてください。

 正林健康局長。

正林政府参考人 お答えします。

 時点は八月十八日ですが、自宅療養者数が九万六千八百五十七人、療養先を調整中の方が三万一千百十一人です。

尾辻委員 私、これは昨日、質問通告させていただいているんですが、ちょっとそれぐらい、数字がぱっと出てこないほど今厚労省の中が大変なのか、逆にちょっと心配になりましたけれども、十三万人です。

 そして、これもちょっとお聞きしたいんですけれども、じゃ、その十三万人の中で、無症状の方、無症状だから自宅にいるという方はどれぐらいいらっしゃるのか、つかんでおられるでしょうか。

正林政府参考人 症状のある、なしは把握できておりません。

尾辻委員 今、皆さんも御承知のとおり、保健所がパンクをしております。なので、濃厚接触を追えないという状況がありますから、今までの自宅療養の方々に比べて今の自宅療養の方々というのは、明らかに症状がある方が自宅療養をされている、それも十三万人の方々であります。

 さらに、今、自宅療養で亡くなった、救急搬送されたけれども時既に遅かったというニュースが流れており、東京都内だけで八月に入って十二人の自宅療養死のニュースが報道をされております。

 なのに、昨日からパラリンピック大会が始まりました。

 この療養をされている皆さん、本当に不安で、息も苦しくて、そして、もう自宅療養というよりは自宅放置。こんな状況の中、皆さんが思っているのは、パラリンピックをやる余裕があるのなら命を救ってほしい。皆さん、今そう思われているはずです。ですので、そのことについてお伺いをしていきたいと思います。

 まず、感染拡大が止まらない状況。何せ、オリンピック開催のときは東京都内の感染者は千三百人ぐらいです。今、四千人から五千人。状況が完全に変わっております。

 さらに、じゃ、人々の意識が変わっているのか。私は正直、東京オリンピックの開催によって、人々の気持ちが、感染拡大を自分たちで止めなきゃという気持ちがやはり離れていると思うんですね。それはなぜか。

 例えば、IOCのバッハ会長が銀ブラされるわけですよね。銀座を何か散歩されている、何か記念撮影にも応じている。それを、丸川担当大臣は、不要不急の外出かは御本人が判断することと、かばうような発言をされている。これで誰が、一緒になって、今本当に大変だからやはり一人一人外出を止めなきゃいけないという気になるんでしょうか。この辺、物すごく、ちぐはぐで矛盾している。

 昨日でしたっけ、おとついですか、四十人でレセプションされていますよね、パラリンピック。これだってどういうメッセージになるのか。私は本当に矛盾だらけじゃないかと思うわけです。

 尾身会長は、この辺りの、矛盾したメッセージになっているのではないかという私の思いについて、どうお考えになられるでしょうか。

尾身参考人 私は、現在の状況が、去年の四月、第一回の緊急事態宣言のときとの最も大きな違いは、ここに来て、やはり人々の意識、自分らで判断したい。当時は、何も分からなかったので、極力八割、最低七割というのを多くの人が不安という糸口でやってくれたけれども、今はもういろいろな人がいろいろな思いでやっている。

 そういう中で、実は、私どもが再三申し上げたのは、オリンピックということでメッセージがどうなるか、バブルの中のことよりは、このことがどういうメッセージを出して人々の意識に影響するかというのが大事だということは再三申し上げてきました。

 それで、今委員のおっしゃっている、バッハ、私はお会いしたことはありませんけれども、例えば、今、人々にテレワークを要請しているわけですよね、そのときに、今回また来るので、バッハ会長の挨拶が必要なら、なぜオンラインでできないのかというような、こういうことですよね。

 それから、小学校の方に、いわゆる小学校観戦ですか。これは、私は、恐らく小学校の子が行っても感染はしないという確率の方が高い、熱中症のことはあるけれども、実はそこが問題じゃないんですね。これだけの、みんながあれしているときに、子供の教育といっても、子供の教育は幾らでもできる、何でこの時期に、このことが、問題の本質はそこで感染が起きるか起きないかじゃないんです、今は。そのことがどういうメッセージを一般の人に、ああ、ということが実際に起きていると私は確信しています。

 したがって、先ほど、国会議員の先生もテレワークができれば一部の会議はやっていただきたいという、こんなことを、ずうずうしくて申し訳ありませんけれども、そういうことも含めて、やはり、国民にお願いしているんだったら、オリンピックのリーダーはバッハ会長、何でわざわざ来るのかと。そういうことをなぜ、普通のコモンセンスならできるはずなんですね。もう、一回来たから、銀座も一回行ったんでしょう、こういうことをほとんど、これは私は、専門家の会議のというよりも、一般庶民としてそう思います。

 実は、パラリンピックは一生懸命やった人にやってもらいたいという気持ちは多くの人があるんですけれども、なぜわざわざバッハ会長がもう一回、そんなのオンラインでできるじゃないですかというような気分が多分、一つの例ですけれども、そういうふうに私は強く思います。

尾辻委員 今非常に踏み込んで発言いただいたと思います。なぜ感染拡大が止まらないのか、それは政府がばらばらなメッセージを出しているからです。だから誰もできない状況になるわけです。

 もう少しパラリンピックのことをお聞きしたいと思いますけれども、今現場の方々から聞こえてくるのは、今、高齢者の方は確かにワクチンを打ち始めて、高齢者施設でのクラスターは、やはり減ってきました。ところが、優先接種の順番である障害のある方々や障害の施設、ここはまだワクチンが届いていないところが多いんですね。だから、今クラスターが起こっているところは、実はワクチンがまだというところなんです。

 じゃ、パラリンピック、八八%の選手の方がワクチンを打ってやっている。日本の今ここに住んでいる障害のある方々に早くワクチンを届けてくれ、そっちの方が先じゃないか、そう思うわけです。

 そして、じゃ、このパラリンピック開催によって更に医療関係者が取られるんじゃないかということをちょっとお聞きしたいと思います。

 パラリンピックの医師と看護師の体制、一日何人ぐらい、大会期間中で何人ぐらいこのパラリンピックで医師、看護師は体制を取るんでしょうか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 競技数がピークとなる八月二十八日におきまして、医師は百二十人程度、看護師は百五十人程度を想定しているところでございます。

尾辻委員 百二十人ですよ、医師が。看護師百五十人です。じゃ、全体ではどれぐらいですか、十三日間全体で。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 オリパラ大会全体で、医師、看護師等を含む医療スタッフ、約七千人を想定しておりますけれども、このうち三分の一程度がパラリンピックに従事すると組織委員会から伺っているところでございます。

 いずれにいたしましても、現下の感染状況を考慮しながら、組織委員会において随時丁寧な調整がなされていくものと承知しております。

尾辻委員 オリパラで、全体で七千人。パラリンピックでは何人ですか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 七千人のうちの三分の一程度がパラリンピックに従事するということでございまして、これは、それぞれの方が大体五日程度従事するという想定ではじいた数字でございます。

尾辻委員 こんな矛盾したことがありますか。いや、私だってそれはパラリンピックの選手に頑張っていただきたいですよ。でも、優先順位が今全く違うと思います。今ここで、本当に苦しい、息もできない、救急車を呼んでも運べない、三次救急はもうほとんど応需率が一割切っているような状況。

 私は、パラリンピックは始まっていますけれども、やはり感染拡大が止まらないのであれば、これは止めなければいけない、中断しなければいけない、そういうことも今視野に入れるべきときに来ていると思います。いかがですか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 パラリンピックに従事する医療スタッフにつきまして、コロナ対応に従事していないスポーツドクターですとか潜在看護師を中心に、組織委員会において確保をしてきているということでございまして、今、中止をしてはという話もございましたけれども、東京都を含む多くの地域において……(発言する者あり)

とかしき委員長 静粛にお願いします。

十時政府参考人 新規感染者数の増加が続いていることから、パラリンピックにおいても、感染拡大の防止を通じて医療体制の逼迫を防ぐということに取り組んでいるところでございまして、パラアスリートの特性に配慮しながら、選手や大会関係者について、定期的な検査、厳格な行動管理、健康管理などの防疫上の措置を徹底するとともに、国内にお住まいの方々との接触を厳に回避することにより、大会参加者の感染を防止し、安全、安心な大会運営を確保することとしております。

 特に、これらに加えまして、パラリンピック期間中の更なる感染防止対策として、組織委員会におきまして、選手村に出入りするスタッフ、国内関係者ですけれども、検査の頻度を上げるとともに、海外からの入国者につきましても、アスリート等以外の大会関係者について……(発言する者あり)

とかしき委員長 御静粛にお願いします。

 答弁は簡潔にお願いします。

十時政府参考人 入国後十五日以降もプレーブック上のルールに従った行動を維持するよう要請し、取り組んでいるところでございます。

尾辻委員 安全、安心って、呪文のように唱えたらできるわけでもありませんし、例えば、今、八月二十三日付で、田村大臣と小池知事は、東京都内の医療機関の長や医学部を置く国公私立大学長、看護師学校養成所長宛てに、とにかく病床を広げてくれということとともに、病院や臨時の医療施設、宿泊療養施設、入院待機ステーション、酸素ステーションその他に、医師、看護師を一人以上派遣してくれと言っているんですよ。この状況の中で、先ほど言ったような、医師、看護師を動員してパラリンピックをやるって、もう矛盾の塊だと思います。

 じゃ、実際に、パラリンピック、障害のある方、基礎疾患のある方がやるわけです。スポーツをするわけですから、けがをされることだってもちろんあるわけですよ。もしこれが重傷だった場合、三次救急とかに運ばれた場合に、本当に指定病院、できるんですか、この方々、本当に入院できるんですか。今、コロナの方、重症者の方も入院できないのに、この方々をどういうふうにして入院させるんですか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 組織委員会におきましては、東京大会における大会指定病院といたしまして、都内九か所、都外二十か所の病院に御協力をいただいていると伺っているところでございます。

 こうした大会指定病院からは、パラリンピックにおいても引き続き協力を行う旨の意思表示をいただいておりまして、現在の状況、医療機関の意向も伺いながら、丁寧に調整を進めていくものと承知をしているところでございます。

とかしき委員長 尾辻かな子さん、申合せの時間が来ておりますので、御協力をお願いいたします。

尾辻委員 田村大臣、今、東京都内の医療機関の逼迫というか切実な状況、もう御存じですよね。テレビでもやっていましたよね、五十五歳の一型糖尿病の男性が、結局、病院は見つかったけれども断られて、おうちに帰って、そして最後、亡くなられた。こういう状況なんですよ。

 だから、本当に、やはり国民の命を守る大臣としても、今パラリンピックをやるべきときなのか。そして、今始まっていますけれども、中止も含めて政府の中でしっかり検討いただくように。もう命が懸かっていますから。そして、政府、私たちが何を優先するのか問われていますから。強くお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 自宅で亡くなる方が相次いでおります。症状に応じた必要な医療を全患者に提供していく、早期治療で重症化を止める、これを大原則にして、救える命を救わなければなりません。

 抗体カクテル、朝から議論されておりますが、外来、往診と、やはり地域ごとの抗体カクテルの拠点をつくっていく。同時に、今、保健所は大変逼迫しておりますから、診断した医師がすぐに抗体カクテルの治療につなげられる、こういう体制をつくることも必要だと思います。

 さらに、抗体カクテルの対象とならない人には、この間、ランセットで査読済みの論文で、吸入ブデソニド、これが効くという論文も出ておりますので、この使用も進めるべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 七月十九日に特例承認がなされたいわゆる抗体カクテル療法で投与される中和抗体薬、ロナプリーブについては、原則として、重症化リスクがあり、酸素投与を要しない入院患者を投与対象者として配付することにしています。

 その上で、モデル的な取組として、緊急事態宣言及び蔓延防止等重点措置の対象地域を中心に、医療機関にあらかじめ配付することや、宿泊療養施設等を臨時の医療施設とすることで、その施設でも患者の使用を可能とすることを進めるとともに、投与後の観察体制の確保など一定の要件を満たした医療機関において、外来で投与することについても進めていくことにしています。

 御指摘のブデソニドについては、学術雑誌ランセットにおいて、早期の自覚症状の改善に資する見解は得られておりますが、入院や死亡リスクの低下を示した結果は示されていないと承知しております。

 ほかの吸入ステロイド薬であるシクレソニドについては、国内の特定臨床研究において未使用者と比べて肺炎の増悪が有意に多いことが示されたことから注意喚起を行っているところであり、新型コロナウイルス感染症患者への吸入ステロイド薬の使用は慎重に判断すべきであり、引き続き知見の収集が必要と考えております。

 いずれにしても、有効性、安全性が確認された治療薬をできるだけ早期に実用化し、国民に供給されることを目指して取り組んでまいりたいと考えております。

宮本委員 とにかく、抗体カクテル、量があるんだということを言っているわけですから、しかも早ければ早いほど効くということが分かっているわけですから、今、本当に保健所は逼迫していますから、そこが詰まって治療ができないということがあってはならないわけですから、ここは本当にしっかり考えていただきたいと思いますし、吸入ブデソニドの問題も、査読済み論文ですからね、これは。査読済みではない研究結果との比較ということにはならないと思いますので、そこもしっかり考えていただきたいと思います。

 それから、不安と苦しみの中にいる自宅療養者への診療体制の構築が急がれます。保健所のファーストコンタクトもどんどん遅くなって、健康観察もままならない中であります。

 そうした中で、診断した医療機関が自宅療養者への対応をしようと、例えば、ある病院ですけれども、サチュレーション測定器を七十台購入して、毎日電話をかけて、訪問診療を始めた病院もあります。こうしたところには思い切った財政支援もしっかりしていただきたい、これは要望です。

 一方で、コロナ患者の入院と発熱外来の両方を行っている病院からは、自分で診断した患者といえども数十人の健康観察はとてもできない、こういう声も聞きます。

 行政、医師会、医療機関がよく話し合って、一体になっての健康観察の体制をつくる必要がありますし、必要だったら、私は、自衛隊、准看護師、三千人いるということを聞きましたので、こうした方々の協力も得る必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 自衛隊に関しては、もう御承知のとおり、各自治体の御要請があるかどうかということが一番肝要になってくるわけでございます。

 診療・検査医療機関に関しまして、これは徐々にもう昨年から増えてきておるわけでありまして、増えてくる中において、診療・検査医療機関でしっかりと検査いただき、初期の症状等々に対していろいろな対応という形にはなろうかというふうに思いますが。

 いずれにいたしましても、自宅等々にお戻りになられた後に、そのままその機関が診られるのか、それとも他のオンライン診療等々で診ていただくのかというのは、それぞれ今自治体によって違っております。

 今、例えば品川のように、オンラインで多数の医師と多数の患者の方々をマッチングさせるというような、そういう仕組みもでき上がってきております。

 好事例を横展開しながら、これも先ほど来申し上げておりますとおり、本当に自宅での対応の方々が増えてきておりますので、より効率的に質の高い対応ができるように、我々もそれぞれの都道府県と協力してまいりたいというふうに思っております。

宮本委員 自治体ごとによって取組が違うんですよね。なかなか苦労しているところもたくさんあるというのは御存じだと思いますので、そこで政府がどういうふうにマンパワーを出すのか、ここを是非検討していただきたいということであります。

 それから、八月頭の本委員会で、臨時の医療施設、また宿泊療養ホテルでの抗体カクテル等を提案いたしました。その方向に政府がこの間踏み出したのは評価したいと思いますが、問題はスピードであります。オリパラ会場を閉幕後に臨時医療施設、こういう検討をしているという報道もありましたけれども、それじゃ遅いわけですよね。酸素の配管など二、三週間はかかる。臨時医療施設は直ちに決断して取りかからなければならないということを申し上げておきたいと思います。

 それと併せて、今、コロナ患者を受け入れている病院は、コロナ病床に人を集中しております。その一方で、かなりの空床が多くの病院にあります。ここの空いている部分には、病院ですから、当然、酸素の配管などもう既にあるわけですよね。これを活用できるようにする手だてというのは思い切って私は取る必要があると思うんですよね。

 ですから、自治体や医療機関と相談して、臨時的に人を採用する大胆な財政支援や、ここへの応援の派遣、この相談と支援を急ぐ必要があると思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 先ほど来お話がありました臨時の医療施設というのが、多分最も、効率的にはマンパワーを集約しながら、多くの患者の方々に対応できるんだと思いますが、言われるとおり時間もかかります。

 今、それぞれ、コロナのために空床といいますか休床をしていただいている病床、これは言われるとおりそのまま使えるわけでありますが、言うなれば、マンパワーがそこに集約できなければそれは対応できないということでありますので、そういう意味も含めて、小池都知事と、先般、私、医療機関の方に要請をさせていただいて、それは、コロナの病床をつくっていただきたいだけではなくて、マンパワー、これに関してもお力をおかしをいただきたいというお願いをさせていただきました。

 ただ単にお願いするだけじゃ駄目でございますので、それに関しては、看護師の皆様方も、更に人材を派遣いただく場合には派遣元の方に、今までもいろいろな形で補助を出しておったわけでありますが、これを大幅に増加しながら、それぞれの医療機関にも対応いただけるような、そういう我々としての対応もさせていただいているわけでありまして、そういうマンパワーをしっかり確保しながら、休床されておる病床をしっかり利用しながら、コロナ対応に我々も進めてまいりたいというふうに思っております。

宮本委員 しっかり、すぐできる手だてを取っていただきたいというふうに思います。

 そして、今、感染症法に基づいた要請の話がございましたけれども、実際はどこの医療機関も必要な診療というのはやっているわけで、強権で脅したからといってうまくいくというものでは私はないと思うんですね。やはり、この間、人材を派遣する医療機関への補助金額は引き上げられましたけれども、財政的なインセンティブをどんどん積み増していく、これを惜しまないというのが本当に大事だと思います。

 加えて、今、医療従事者はかなりワクチン接種に取られております。これは歯科医師が打てるように今回しているわけですから、ワクチン接種に更に歯科医師の協力をお願いする。そのことによって、今ワクチン接種をやっている医師、看護師がコロナの臨時の医療施設だとかあるいはホテル宿泊療養だとかそういう方向に回っていただく、こういうことも是非考えていただきたいと思いますし、国立病院機構や尾身さんのところのJCHOだとか、こうしたところにも踏み込んだ要請もお願いしたいと思いますし、さらには、自衛隊、医官も含めて協力要請を、やはり、自治体任せじゃなくて、政府としてしっかり、厚労省として、これは必要なんだということでやっていく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 今も歯科医の皆様方には御協力を御承知のとおりいただいておる、一定の研修等々をやっていただいてでありますけれども、対応いただいております。

 それから、今ほど来言われましたワクチン接種に携わっておられる方々、コロナ対応という形もあるんですが、一方で、ワクチンに携わっている方々の中には、コロナ対応でなくてワクチンという形の中で対応いただいている方々もおられるので、全ての方々を強制的にコロナにというわけにはいかないということは、これは御理解をいただきたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、ワクチンの方はワクチンの方で進めておりますが、これはマンパワーというよりかは、今はワクチンの供給の方を安定的に、しっかりと全国に供給をさせていただいて、ワクチンを計画どおり進めていくということでございますので、これは河野大臣と協力しながらしっかりと進めてまいりたいと思います。

 いずれにいたしましても、マンパワーが非常に重要だということは我々も同じ認識でございますので、そこはしっかりと確保ができるように、もちろん、はっきり言いまして、医療関係者の方々、手が空いているわけではないわけでありまして、他の医療を、一般医療を実は担っていただいております。その中において、急ぎでない、そういうようなものに関して、何とか、若干待っていただきながら、そのマンパワーを今コロナにおかしをいただいておるということでございますので、我々はそこもしっかりと十分に認識をしながらこの間の要請をさせていただいておるということで、御理解をいただきたいというふうに思います。

宮本委員 病床はどこも大変で、中等症の病床で人工呼吸器を着けた患者さんをたくさん診ているという事態も生まれているわけですから、本当に、やれることは全てやるということでお願いしたいと思います。

 あと、検査について伺いますが、地元でも、一日の検査のキャパ能力が六件の診療所に、午前中だけで四十人ぐらい、熱があるので検査を受けたいという電話が来ると。あちこちで検査が翌日回しになったり、あるいは同居家族の検査はそこまで手が回らないということで断るということが起きております。これはやはり発熱外来を増やす必要がありますし、そのためには検査体制確保の補助金も復活する必要があるんじゃないでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 検査についてですけれども、昨年秋以降、発熱等の症状がある方については、かかりつけ医等の身近な医療機関に直接電話相談して、地域の診療・検査医療機関を受診し、検査を行っていただく仕組みを導入しています。

 この数についても、今年の四月七日では三万一千三百六十二か所ですが、直近で八月十八日には三万二千四百十二と増えております。

 また、昨年四月から医療機関に対して合計四・六兆円の予算を計上して支援を講じてきている中で、診療・検査医療機関については、発熱患者等の適切な医療アクセスを確保する観点から、感染拡大防止対策や診療体制確保に要する費用として百万円を上限に補助を行うほか、発熱等の新型コロナが疑われる患者など、外来診療における診療報酬上の特例的な対応など、財政支援を行ってきたところであります。

 引き続き、必要な方が必要な診療、検査を受けられるよう、自治体と緊密に連携しながら、医療提供体制の確保に取り組んでまいります。

宮本委員 現状はそれができていないわけですよ。発熱外来がパンクしている地域というのは幾つも生まれているわけでありますから、それをどう改善するのかという新たな手だて、これはお金を出すしか私はないと思いますので、是非、旗を振ってやっていただきたいと思います。

 最後に、尾身会長にお伺いしたいと思います。

 資料をお配りしておりますけれども、神奈川県が、希望する家庭に抗原検査のキットを配付して、セルフチェックする、陽性なら医療機関で検査する取組というのをやっております。これは陽性率を見たら九・四%ということでかなり高いわけですけれども、陽性になった方は外出をみんな控えているということです。ただ、これは希望する方だけなんですよね。

 私は、やはり、これだけ感染爆発している地域があるわけですから、全家庭に抗原検査キットを配付して、体調が悪ければ出かける前にセルフチェックする、こうした取組が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

尾身参考人 今、政府の方が一生懸命、学校とか職場にPCRだけじゃなくて抗原検査を配って、ちょっとでも具合の悪い人をやってもらうというのは少しずつ進んでいて、私はこれはもう徹底的にやっていただきたいというのは先ほどから申し上げるとおりです。

 それで、今委員のおっしゃる家庭の話は、実は、今おっしゃるように、神奈川県でもう既に試行的にやっているんですよね。私は、この結果を、神奈川がやってきたもので、いろいろな課題もあると思うんですね、誰が。しかし、神奈川県のアンケートを取ったときに、具合が悪いときに自分で家で抗原検査をして、ポジティブに出たら、ほとんどの人が医療機関に行ってしっかりという、非常にインセンティブが高いというアンケートがあるので、私は、この神奈川県の今回のプロジェクトといいますか、これに大変関心を持っていまして、これがうまく成功すれば、問題が幾つかあると思いますけれども、課題を克服すれば、これは国においても検討をする値があると思います。

とかしき委員長 宮本徹君、申合せの時間が来ております。

宮本委員 時間になりましたから終わりますけれども、検討に値するということですから、是非大臣、予備費を使ってでも緊急に抗原検査キットを買って感染拡大地域には配る、本当にそういう大規模な取組というのをやるというのは非常に大事だということ、これは感染拡大の今の状況をコントロールする上でも一つの大きなツールになるということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

とかしき委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 早速です。まず最初に申し上げたいのは、感染拡大しているのは日本だけではない。この状況をきちんと捉まえないと、アメリカもイスラエルもフランスもドイツもみんな拡大している。これが人為的なものによるものなのか、あるいは政府の対策の欠如によるものなのかというふうに捉えると、私は対策を誤ると思うんですね。だから、その事実をきちんと踏まえた上でどうしていったらいいのか、今日はそういう質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、イスラエルや英国のデータを見ると、感染者数自体はワクチン等によっても抑え込むのは困難だと、これはもうはっきりしてきています。

 資料1、2を御覧ください。これはもうワクチン完全接種率が六割にも及ぶ、世界で最もワクチン接種が進んでいるイスラエルとイギリスのデータです。点線が完全接種率。両国ともよく知られているように、一時はワクチンで完全に抑え込んだと思われていましたけれども、感染が拡大しています。そして、実線が今の感染者数ですけれども、これは百万人当たりでイスラエルが六千人、イギリスが三千人です。今、日本が千二百人くらいですから、六割接種しても日本の五倍から三倍、これだけ出ちゃうということです。これもちゃんと頭に入れなきゃ駄目だと思います。

 資料3、4を御覧いただきたいんですけれども、これは如実に出ていまして、別にワクチンを接種していない人に感染が拡大しているんじゃなくて、時がたつとともに少なくとも感染防止効果は薄れて、今イギリスもイスラエルも陽性者の主体はワクチン完全接種者です。ここを踏まえないと私は駄目だと思います。

 だから、今日も感染者数のことばかり強く言われているような気がしますけれども、感染者数はもう抑え込めないんだ、その代わり致死率が下がっているんだという事実は、私は誰しもが踏まえる必要があると思います。

 付言すると、今朝ロイターが報じていましたけれども、CDCも、ロサンゼルスで五から七月の感染者のうち、既に二五%がブレークスルー感染だったと報じています。アメリカもそういうふうになってきています。

 日本の今状況が、5、これも御覧いただけば分かるように、ワクチン接種が進んでも感染が拡大しているのは皆さん御承知のとおりです。

 一方で、これはなかなか報じないし、今日もちょっと出たんですけれども、致死率は明確に下がっています。

 資料6、これを御覧ください。これは東京都の感染の様子と死亡者。死亡者は日別で報告されているんですけれども、東京都はそれも出しているんですけれども、連日一人とか二人とか、そういうのが多いわけですよね。

 実際にも、大阪府が、これは後でつけ足したものですからあれなんですけれども、出している資料で、資料12、最後のやつを御覧ください。これを見ると、大阪府で、第五波は〇・一%です。第三波、第四波が二、三%あったことからすると、これはすごいんです、三十分の一まで下がっているんですね。全国でも〇・三%。

 これは、うちが、私の事務所で、資料7、これは厚労省が出している、大体、お亡くなりになるようなところまでいくのには三週間ほどかかるのが普通ですから、三週間後のお亡くなりになった方との対比でやっているんですけれども、今、〇・三%くらい。この大阪府の数字とほぼ符合します。今日、理事会で開示された厚労省のデータでは、七月分の暫定値で〇・一%。大阪府と大体同じ数字。

 これを踏まえなきゃいけないんですね。間違いなく、軽症化しているのは間違いないんです。そうなるとどうなってくるかというと、当然自宅療養中心になる、これは当たり前の話なんです。軽症化すれば感染者数も増える、インフルエンザでも同じです。必要な医療が行き届かないことが問題。

 イギリスやアメリカも実は自宅療養です、原則は。それが、ちょっと資料が飛びますけれども、資料の10につけておきました。これはイギリスのNHSのホームページ、詳しく説明してあります。自宅療養するとどうなるのかとか、困ったときはどうしたらいいのかということが、かなり、何ページも使って書かれています。

 元に戻しますと、こういう状況に鑑みると、私は戦略を根本的に改めるときがもう来ているんだと思っているんです。どういうことかというと、さっきも言ったように、軽症化が伴えば感染拡大、そして自宅療養が中心になる。それは当たり前です。療養者が絶対数として増えるし、報道はされません、報道は、療養している中で、別にそんなに大したことにならなかった人の方が絶対数は多いのに、そこは無視して、大変なことになった人ばかり報じる。ただ、その大変なことになった人をほっておけと言っているわけではなくて、私は、なぜ大変になるのか、そここそ突き詰めるべきだと思うんですね。

 なぜなるかというと、療養というのが今までは名ばかりで医療からの隔離だったからです、それは施設でも自宅でも。そこを何とかしなきゃいけない。この間の当委員会で、大臣御記憶だと思いますけれども、私、療養者にも外来診療を認めてくださいと言ったら、時期尚早というようなお答えだった。

 そこから事態は動いて、これはすごくいい取組だと思うものですから紹介しますと、資料8と9を御覧ください。

 大阪府と愛媛県では既に外来診療が始まっています、自宅療養者に。資料8のうちの二番、これが外来診療です。これは私、外来診療がすごくいいなと思うのは、CTが撮れるからです。CTが撮れれば、パルスオキシメーターなんかよりもよっぽど重症化の早期発見ができる。資料9を見ると、愛媛県では何と三十ものコロナ専用外来医療機関があって、自宅療養者は診てもらうことができる。この取組を全国に広げないというのがおかしいわけですね。

 これを是非広めていただきたいんですけれども、その点について大臣にお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 全体の認識が、私、青山議員と非常に近いところがあります。

 フランス、イギリス、アメリカ、ドイツはある程度抑え込んでいたので、ここに来てやはり伸びてきました、感染者が。ワクチンが我が国よりも一か月以上進んでいる国でも、確かに、イギリスは五月の中頃ですか、フランスは六月中頃だったと思いますが、一旦収まったんですね。これはアルファ株の頃だと思います。デルタ株に置き換わると同時にまた立ち上がって、以前と同じような感染状況になっている。

 ちょっと違うのは、日本は今まで、アルファ株までは、日本人のこれはファクターXと言われていますけれども、生活習慣なのか衛生観念なのか分かりませんが、一桁、欧米とは違う感染者でありました、新規感染者が。ところが、デルタ株ではほぼ同じ桁になってしまった。

 つまり、何が言いたいかといいますと、死亡者、今、英国でも一日百人以上、フランスももう百人になってまいりました。以前と比べると両国は少ないんですが、日本と比べると多いんです。

 何を言いたいかというと、一桁違っていた日本の死亡者数、仮に十分の一に死亡者数が減ったとする、仮に十分の一に中等症2の方が減ったとします。でも、十倍、二十倍感染者が出ると、やはり実数としてはそれなりに出てくるんですね。

 そうなると、日本は感染者が少なかっただけに、今まで、一桁、やはり多くなるわけです、今までよりも。逆に欧米はそうではありませんから、今までの、言うなれば入院体制それから在宅体制で十分に対応できるというところでありますので、そこは我々、言われるとおり、在宅をどうしていくか。今委員が言われた、多分、保健所から何か経由して、外来する医療機関に行って、多分心配な方がしっかりと感染管理していただいて対応いただいているんだというふうに思います。

 ちょっとこれは我々も参考にさせていただきながら、こういうことができるのであるならば、これは非常にいいことだと私も思っておりますので、検討させていただきたいと思います。

青山(雅)委員 幾つか飛ばして、最後にもう一つだけ質問させてください。

 オーストラリアも、実は、ハードロックダウン、そしてゼロコロナ政策を放棄しています。これを報じたものを資料としてつけてあります、資料11です。

 私は、もう日本も、これはできないことはやめる、感染者を抑制するというものはできないんだということは、やはりもう切り替えていくべきだと思うんです。

 その点について、もうそういう方向で、逆に、今オーストラリア式のハードロックダウンの方向に、尾身会長の発言を見ていると、どうもそっちの方向に行っているようなことをマスコミにおっしゃっているんですけれども、ちょっと時代と逆行しているんじゃないか。私はできることをやっていくべきだと思うんですけれども、その点について、尾身会長と、そして、もし大臣短くお答えいただければ、お願いしたいと思います。

とかしき委員長 尾身独立行政法人地域医療機能推進機構理事長、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

尾身参考人 私は、もうこれは、今は感染者の数を減らすというよりは、やはり医療の逼迫を取る。結局は、おっしゃるように、入院治療が必要な人が入らないということが問題で、軽症者が何人いる、あるいは無症状が何人というよりもそっちですよね。

 私は、ロックダウンすべきということは言ったことはございません。むしろ、今、我々の最大の目的は、医療の逼迫、一般医療への影響、これが一番、何とか軽減する。そのために、医療のキャパシティーを増やすと同時に、今は何とか感染を抑えることも必要なんですよね。抑えることが目的じゃなくて、医療の逼迫をやるために。そういう意味では、私は、日本にふさわしい、効果的で納得ができてエビデンスのある強い対策、効果的な対策を打つべきだと思います。

田村国務大臣 どういう意味でロックダウンと言われているのかちょっと分からないんですが、欧米並みのロックダウンというのは、実効性たらしめるために警察官や軍が出ます。日本でそういうことが本当に国民的理解が得られるかということは、これは国会で話していただくのは、私は問題だというふうに思います。非常に難しい話だというふうに思います。

青山(雅)委員 終わりますけれども、大臣が勘違いされたとおり、私は、ロックダウンはできないから、そういうんじゃなくて、医療体制拡充というできる政策をやってくださいということの御意見を求めたので、またそれは次の機会にお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

とかしき委員長 次に、山崎摩耶さん。

山崎(摩)委員 国民民主党の山崎摩耶でございます。

 本日は、本委員会での質問の機会を頂戴いたしまして、委員長始め理事の皆様、委員の皆様に厚く御礼申し上げたいと思います。

 期せずして復帰させていただきましたが、医療、看護の議員としまして、このコロナ対策、現場の声をしっかり政策に反映してまいりたい、そう思っているところでございます。

 現在、大変感染爆発ということで、るる御議論がございましたが、先日、ある看護師から、受け持っていた患者さんが元々の病気ではなくコロナ感染で亡くなられた、助かる命を助けられなかったという自責の念に駆られながら業務を継続しているんですよ、こんなお話を聞きました。涙が本当に止まりませんでした。逼迫しているというのはつまりこういうことだというふうに皆様にも御認識をしていただきたいというふうに思います。

 また、首都圏では、もう保健所がほとんど機能を果たしていない、オーバーフローの中で、いろいろ御議論ありましたけれども、感染者数のやはりきちんと捕捉ができていない、それから濃厚接触者のフォローをやはりやめている、この状態をどうするのか。

 ロックダウン等々について今も御意見ありましたけれども、私は、尾身先生がおっしゃるように、やはり人流を六割、七割減らすためには、一時的に何らかの強制的な仕組みがやはり必要なのではないかというふうに考えるわけですが、厚労大臣、いかがでございましょうか。

田村国務大臣 これは知事会の皆様方でありますとかいろいろなところからお話をいただいて、専門家からもそういうような法整備も含めて検討したらどうだというような御意見もいただいておりますが、ちょっとロックダウンがどういう意味合いなのかというのがなかなか共通認識がない。我々もどういう意味合いでおっしゃっているのかまだ理解できていませんわけでありまして、本当に家から出るなというものを法的に強い権限を持ってやろうと思いますと、もうこれは一年半やってきていて、国民の皆様方はかなりそれに対しては非常にストレスを感じておられる中で、本当に守っていただこうとした場合に、どういう実効性を担保する、法律だけじゃなくてですよ、実態として対応が必要なんだということを考えると、かなり厳しい私権の制限になる可能性があると思います。

 そんなことを考えた上で、短期間でそういうことを決めること自体、なかなか政府からは、そういうことを申し上げるのは非常に厳しいというのが本当のところでございます。

山崎(摩)委員 しかし、どんな形にしろ、人流をとどめる、そのことの国民との危機感の共有は大変今急がれているのではないかなということだけ申し上げておきたいと思います。

 次に、今も御議論にありました自宅療養者の訪問診療、訪問看護についてちょっと申し述べたいと思います。

 約十万人ということで、東京都はもう四万人、酸素が必要でも入院ができないということで、在宅医たちの危機感は募っておりますけれども、やはり、往診のドクターだけではなく、主戦力になっているのは、今、各地で訪問看護師でございます。

 その意味では、平時の医療保険や介護保険で、様々な訪問看護を導入するのに、医師の指示書ですとか、契約書ですとか同意書ですとか、様々な書類その他が入口には必要である。これはなかなかPPEを装着しながら訪問する中では難しいということで、これらのことを、一旦、様々な書類の手続等を留保又は規制緩和をしてほしいという現場の声がありますが、このことを一点。

 それからもう一点は、各自治体によって連携のスキームがまた違っておられます。好事例もありますけれども、今後、変化に応じまして、柔軟に、いろんな保健所と地域の連携スキーム等を見直して、工夫していっていただきたいというふうに思いますが、この二点、大臣、いかがでございましょうか。

田村国務大臣 やはり、在宅でのいろんな対応となると、訪問看護というのは非常に重要になってくるわけであります。

 実は、総理が医療関係者をお招きしたときに、日看協の会長もお越しをいただいて、そのとき、やはり、しっかりと訪問看護ができるような体制を整備してもらわなきゃ困るというようなお話をいただきました。それで、訪問看護の場合の加算なんかもしっかりとさせていただいたわけでありますが。

 今委員がおっしゃられたとおり、訪問看護するためのいろんな手続等々の部分が非常に煩雑であるというようなお話がありました。訪問予定日等の重要事項の説明、これは文書、書面という話なんですが、これに関しては、同意について電話等で説明をしていただいて、必要に応じて事後的に郵送で送っていただくというような、そういうことも含めて柔軟に対応させていただいて、そういう煩雑さというものをしっかりと緩和していかなければならぬということで対応させていただいております。

 また、いろんな形での連携というお話もございましたけれども、おっしゃられるとおりでございますので、そういうことも我々としてはしっかりと対応できるように努力してまいりたいというふうに思っております。

山崎(摩)委員 在宅療養者というと、ちょっと我々、軽いかなという感じがするんですが、実は、もう在宅入院といったレベルに来ているのではないか。

 その意味では、今日はフランスの在宅入院をちょっと御紹介しながら、日本の在宅ケア、訪問看護ももっと機能強化をしていかなければならぬ。訪問看護制度はできてから三十年たっていますけれども、ある種、漫然としたスキームでやってまいりましたので。

 フランスの在宅入院は、地域医療の病床計画の一環として、ある事業所が千六百人の患者を抱えているとなると、それは地域に千六百のベッドがあるというふうにカウントをしながら、二十四時間三百六十五日、病院でできる医療処置、看護が在宅で全部できる、その在宅の事業所から薬や医療材料のデリバリーもする、こういう仕組みですよね。

 ですので、やはり、コロナ対応を契機に、在宅入院といった考え方、それから将来的な在宅医療の在り方、訪問看護の在り方を一歩進めていただきたいというふうに今日は問題提起をしておきたいと思いますが、大臣、御所見いかがでしょうか。

田村国務大臣 多分、今フランスも、コロナという下では、そこまでの、平時のような対応はなかなか難しくなっておられるんだろうというふうに思いますが。

 ただ、言われるとおり、我々も地域包括ケアの中において、やはり多職種連携でありますとか、医療、介護の連携、こういうものの中で、医療というものが非常に重要であるというような認識の下で、いろんな対応ができるようにということで今進めております。

 なかなか、フランスは化学療法までやられているということでありますが、ここまではちょっとまだ日本は進んでいませんけれども、フランス等々を見習いながら、できる限りやはり在宅でいろんな対応ができるように、これから我々も更に制度整備を進めてまいりたいというふうに思っております。

山崎(摩)委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど来出ていましたけれども、例の体育館等を使った臨時コロナ病床、病院でございます。これも札幌あたりでは、入院待機ステーション、そろそろ治療ということで、切り替わって始めておりますけれども。特措法三十一条の二に定める、都道府県がこれを設置できるということだけではなく、これはやはり大臣のリーダーシップで、各地でいろいろ進めていただきたいなと、それが大変急がれているのではないかなということを申し上げておきたいと思います。

 大阪で前回のときにつくりましたけれども、パーティションでくくっていくというと観察がなかなかできないということがあるので、感染予防とプライバシーと様々課題はございますが、やはりコロナ臨時病棟のセッティングの在り方、これも一考を要するかな。でも、私的には、ナイチンゲール病棟とでもいうような仕組みにすると大変これは目的を達するんじゃないかと、効率的なイメージだということで、ちょっとこれは申し上げておきたいと思います。

 質問時間が大変残り少なくなってまいりましたので、最後の一問にいたしますが、コロナ禍で浮き彫りになりましたもう一つの課題は、やはり保健、医療、福祉分野におけるデジタル化、この遅れでございます。

 例の千葉県の妊婦さんが自宅分娩なすってベビーが亡くなった事件、あれなんかも、多分、マイナンバーで御自分の健診歴ですとか分かっておりましたら、もっとこれは対応があったんじゃないか。ある種、私はそんな観点からこの事例を見ておりました。

 その意味では、我が国においても社会保障分野のデジタル化を進めてまいりましたけれども、やはり遅々として進んでいない。私も視察しましたスウェーデン、デンマーク、リトアニア、フィンランド等は、もうIDカード一つで全てのものが、自分の情報も分かるし、情報の連携もできる。ですので、これはやはりマイナンバーをしっかり使って、コロナの教訓を踏まえつつ、個人情報を保護しつつ、医療情報へのアクセスですとか情報のひもづけなどを進めるべきではないかな。

 その意味で、個人情報保護法、マイナンバー法、それから医療法と、様々関連する法律でございますが、これはやはり、医療分野におけるマイナンバー活用ということで、ある種限った特別法が必要ではないかな。これを作りながら、我が国においても、コロナの教訓を生かして、デジタル化を前に進めていただきたいと思いますが、大臣、一言いただければと思います。

田村国務大臣 もう委員お詳しいので私から説明する必要もないんですけれども、マイナンバーを使うといろんな、使う使わないでいろんな議論が医療界も含めてございました。

 今、健康保険の被保険者番号、これは個人単位になりましたので、これで基本的に情報を集約していこうという形の中において、レセプト情報、まずは使っている薬剤の情報からになると思いますが、あと、健診情報でありますとか、将来的にはいろんな情報を、本人若しくは医療機関が本人の同意の下でそういうものが見れるようにしていこうということで、自らの治療や健康管理等々に使っていただこうという方向であります。

 全体、なかなかこれは、研究だとかビッグデータだとかいろんなものに使うということも含めて、要するにセキュリティーといいますか、そういう問題も含めて、非常に難しいところがございます。

 今、超党派は超党派で、いろんな国会議員の先生方がいろんな議論をされておられると思います。医療情報基本法に近いような、そういうお考えなんだというふうに思いますが、やはりそういうものが将来的には必要になってくる。将来的にというか、近い将来と言った方がいいのかも分かりませんが。国民の皆様方の健康に資するように、医療データ、健康データというものをしっかり活用できるように、我々もその準備には入っていかなければならないというふうに考えております。

山崎(摩)委員 もう時間が参りましたので、実は質問を残しておるのでございますが、参考人の皆様、大変失礼を申し上げましたが、よろしくお願いいたします。

 最後になりましたが、いずれにしろ、閉会中審査ではなく、国会をきちんと開いて、この未曽有のコロナ危機に立ち向かっていくべきではないかということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

とかしき委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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