衆議院

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第1号 令和4年2月25日(金曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(令和四年一月十七日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 牧原 秀樹君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    上田 英俊君

      加藤 勝信君    勝目  康君

      川崎ひでと君    後藤田正純君

      佐々木 紀君    塩崎 彰久君

      鈴木 英敬君    田村 憲久君

      高木 宏壽君    土田  慎君

      西田 昭二君    長谷川淳二君

      深澤 陽一君    松本  尚君

      三谷 英弘君    三ッ林裕巳君

      柳本  顕君    山本 左近君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      野間  健君    山田 勝彦君

      吉田 統彦君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    金村 龍那君

      吉田とも代君    山崎 正恭君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    仁木 博文君

令和四年二月二十五日(金曜日)

    午後零時二十分開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 牧原 秀樹君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    勝目  康君

      川崎ひでと君    小森 卓郎君

      後藤田正純君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    鈴木 英敬君

      田村 憲久君    高木 宏壽君

      土田  慎君    西田 昭二君

      長谷川淳二君    深澤 陽一君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      三ッ林裕巳君    柳本  顕君

      山本 左近君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    中島 克仁君

      長妻  昭君    野間  健君

      山田 勝彦君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      金村 龍那君    吉田とも代君

      中川 宏昌君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   厚生労働副大臣      古賀  篤君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   厚生労働大臣政務官    島村  大君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     小森 卓郎君

  山崎 正恭君     中川 宏昌君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     上田 英俊君

  中川 宏昌君     山崎 正恭君

    ―――――――――――――

二月十五日

 保育・学童保育制度の抜本的改善に関する請願(緒方林太郎君紹介)(第一号)

 同(宮本徹君紹介)(第二号)

 同(荒井優君紹介)(第一七号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第一八号)

 同(谷田川元君紹介)(第一九号)

 同(稲富修二君紹介)(第二一号)

 同(おおつき紅葉君紹介)(第四五号)

 同(森田俊和君紹介)(第四六号)

 同(山岡達丸君紹介)(第四七号)

 同(湯原俊二君紹介)(第四八号)

 同(神谷裕君紹介)(第五三号)

 同(重徳和彦君紹介)(第五四号)

 同(大西健介君紹介)(第五六号)

 同(篠原豪君紹介)(第五七号)

 同(石川香織君紹介)(第七一号)

 同(大石あきこ君紹介)(第七二号)

 同(落合貴之君紹介)(第一二二号)

 同(手塚仁雄君紹介)(第一六二号)

 保険でよりよい歯科医療を求めることに関する請願(宮本徹君紹介)(第三号)

 同(谷田川元君紹介)(第二〇号)

 同(青山大人君紹介)(第二二号)

 同(下条みつ君紹介)(第二三号)

 同(田嶋要君紹介)(第二四号)

 同(大石あきこ君紹介)(第三九号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第四〇号)

 同(仁木博文君紹介)(第四一号)

 同(田中健君紹介)(第四九号)

 同(道下大樹君紹介)(第五〇号)

 同(櫻井周君紹介)(第五五号)

 同(大島敦君紹介)(第七三号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第七四号)

 同(岸本周平君紹介)(第七五号)

 同(末次精一君紹介)(第七六号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第七七号)

 同(柚木道義君紹介)(第七八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第八九号)

 同(笠井亮君紹介)(第九〇号)

 同(吉良州司君紹介)(第九一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九二号)

 同(志位和夫君紹介)(第九三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第九七号)

 同(宮本徹君紹介)(第九八号)

 同(本村伸子君紹介)(第九九号)

 同(渡辺創君紹介)(第一〇〇号)

 同(荒井優君紹介)(第一二三号)

 同(湯原俊二君紹介)(第一二四号)

 同(稲富修二君紹介)(第一六三号)

 同(岡本あき子君紹介)(第一六五号)

 社会保障制度改革に関する請願(吉良州司君紹介)(第一五号)

 全ての世代が将来にわたって信頼できる年金・医療・介護等の社会保障制度の確立等に関する請願(吉良州司君紹介)(第一六号)

 同(稲富修二君紹介)(第五一号)

 高齢者の命・健康・人権を脅かす七十五歳以上医療費窓口負担二割化中止に関する請願

 (赤嶺政賢君紹介)(第二九号)

 同(笠井亮君紹介)(第三〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三一号)

 同(志位和夫君紹介)(第三二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三六号)

 同(宮本徹君紹介)(第三七号)

 同(本村伸子君紹介)(第三八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一〇一号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇八号)

 同(宮本徹君紹介)(第一〇九号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一二五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一二六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一二七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一二八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一二九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一三〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一三二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一三三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一三四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一六六号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一七一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一七三号)

 同(宮本徹君紹介)(第一七四号)

 同(本村伸子君紹介)(第一七五号)

 学童保育(放課後児童健全育成事業)の拡充に関する請願(池田佳隆君紹介)(第五二号)

 同(工藤彰三君紹介)(第五九号)

 同(笹川博義君紹介)(第一六四号)

 同(亀岡偉民君紹介)(第一七六号)

 じん肺とアスベスト被害根絶等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六一号)

 同(笠井亮君紹介)(第六二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六三号)

 同(志位和夫君紹介)(第六四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六八号)

 同(宮本徹君紹介)(第六九号)

 同(本村伸子君紹介)(第七〇号)

 介護保険制度の抜本的転換に関する請願(牧義夫君紹介)(第一一一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一三五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一三六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一三七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一四〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一四二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一四三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一四四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一七七号)

 同(大石あきこ君紹介)(第一七八号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一八〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一八三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一八五号)

 同(宮本徹君紹介)(第一八六号)

 同(本村伸子君紹介)(第一八七号)

 若い人も高齢者も安心できる年金制度に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一一九号)

 同(宮本徹君紹介)(第一二〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第一二一号)

 安全・安心の医療・介護・福祉を実現し、国民の命と健康を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一五三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一五七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五九号)

 同(宮本徹君紹介)(第一六〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第一六一号)

 同(岡本あき子君紹介)(第一八八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 厚生労働関係の基本施策に関する事項

 社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する事項

 労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項

以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中に調査を進めたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

橋本委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、厚生労働大臣から所信を聴取いたします。後藤厚生労働大臣。

後藤国務大臣 厚生労働委員会の開催に当たり、私の所信を申し上げます。

 昨年、厚生労働大臣に就任して以来、厚生労働行政の諸課題に全力で取り組んでまいりました。引き続き、国民の皆様の安全、安心の確保に万全を期すとともに、我が国の経済社会の発展に寄与すべく、職務に邁進してまいります。

 目下の課題は新型コロナウイルス感染症の対策です。国民の皆様の命と健康を守るため、引き続き最優先で対応してまいります。

 直近の感染状況は、全国の新規感染者数は減少傾向が続いています。他方、当面は軽症、中等症の医療提供体制等が逼迫し、高齢の重症者数の増加による重症病床使用率の増加傾向が続く可能性もあります。

 オミクロン株への対応については、昨年十一月に取りまとめた全体像で準備してきた保健医療提供体制をしっかりと稼働させていくことが対応の基本であり、その中でもオミクロン株の特徴に対応した対策を強化、迅速化してまいります。また、ワクチンや検査、治療薬といった予防、発見、早期治療の流れを引き続き強化してまいります。同時に、感染者や濃厚接触者が多数に上る中、感染拡大を防止するとともに、社会的機能を維持していくことも必要です。

 こうした基本的考え方に基づき、まず、保健医療提供体制については、軽症の自宅療養者への対応強化のため保健所のみに頼らない地域の医療体制を確保してまいります。また、入院患者の受入れに更に万全を期すため転入院や救急搬送受入れを推進するための病床の新規確保の支援等の取組を進めてまいります。

 次に、ワクチンの三回目接種については、現在、接種実績の報告の増加分で一日百万回程度までペースが上がっており、引き続き自治体での接種、職域接種など全ての手段を活用し、一日も早くできるだけ多くの方に接種いただけるよう全力で取り組みます。また、これまで接種の対象でなかった五歳から十一歳までの子供についても、希望される方が接種を受けられるよう、取り組んでまいります。

 検査については、抗原定性検査キットの増産について最大限の取組を行った結果、平均一日当たり約二百万回以上の生産、輸入を確保できる見込みです。一方、地域によっては一時的に不足ぎみになることも考えられるため、国が医療機関と医薬品卸売業者をつないで、緊急的な購入希望に個別に対応する仕組みを構築しました。引き続き、検査ニーズに応えられるよう全力で取り組んでまいります。

 治療薬については、メルク社の経口治療薬モルヌピラビルについて、これまで合計百六十万人分を確保しており、二月末までに合計四十九万人分が納入されます。また、二月十日に承認されたファイザー社の経口治療薬パキロビッドパックについては、本年中に合計二百万人分を確保しており、二月末までに合計十二万五千人分が納入される予定です。重症化リスクを有する軽症から中等症の患者向けの治療薬は、四種類がそろうこととなりました。引き続き、治療薬を必要な方に確実にお届けできるよう、取り組んでまいります。

 引き続き、厚生労働省として、オミクロン株に関する知見の集積を図りつつ、感染状況など事態の変化に適時果断に対応してまいります。

 感染症対応における法的基盤の強化については、まずは緊急に対応すべき措置として、安全性の確認を前提に、迅速に薬事承認を行う仕組みを創設するため、関連法案を今国会に提出いたします。

 その上で、これまでの対応を客観的に評価し、次の感染症危機に備えて、本年六月を目途に、政府として、危機に迅速、的確に対応するための司令塔機能の強化や、感染症法の在り方、保健医療体制の確保など、中長期的観点から必要な対応を取りまとめます。

 また、感染拡大が雇用に大きな影響を与える中、雇用の安定と就業の促進が主要な課題であると同時に、雇用保険財政の安定運営を図る必要があります。失業等給付の特例の継続、求人メディア等のマッチング機能の質の向上、地域のニーズに対応した職業訓練の推進等の措置を講じるとともに、雇用保険について、保険料率の暫定的な引下げ、機動的な国庫負担の仕組みの導入等を行うため、関連法案を今国会に提出いたしました。

 また、雇用調整助成金等の適切な運用による雇用維持や、ハローワークによるきめ細やかな就職支援などを行うほか、感染症への対応として学校等の臨時休業等のために仕事を休まざるを得ない保護者への支援にも取り組んでまいります。

 生活に困窮される方に対しては、引き続き、緊急小口資金等の特例貸付け、住居確保給付金、生活困窮者自立支援金等による支援を行ってまいります。生活保護制度について、運用の弾力化による速やかな保護の決定に取り組んでまいります。

 近年、様々な災害が全国各地で発生しております。改めまして亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。被災された方々が一日も早く安全、安心な生活を取り戻せるよう、対策等を講じるとともに、相次ぐ自然災害から国民生活を守れるよう、医療、福祉、水道施設等の強靱化に取り組みます。

 また、私自身も復興大臣であるとの強い意識の下、東日本大震災による被災者の方々の心のケア、医療・介護提供体制の整備、雇用対策などに全力で取り組みます。

 政府全体で目指す、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現のためには、持続的な賃金の上昇や消費の拡大が重要です。厚生労働省としては、そのために必要な人への投資等の雇用政策、社会保障の機能強化に取り組んでまいります。

 具体的には、人への投資の抜本的強化に取り組むため、三年間で四千億円規模の施策パッケージを創設し、民間ニーズを反映しつつ、成長分野への労働移動の円滑化や、人材育成を強力に推進してまいります。

 あわせて、看護、介護、障害福祉、保育など現場で働く方々の収入を引き上げるとともに、賃上げしやすい環境整備に取り組みます。また、最低賃金については、できる限り早期に、全国加重平均が千円以上となるよう、その見直しにも取り組んでまいります。

 また、社会保障の機能強化については、子供から子育て世代、お年寄りまで、誰もが安心できる全世代型の社会保障の構築に向け、全世代型社会保障構築会議における議論を踏まえ、取組を進めてまいります。

 医療分野では、今般の感染症対応で得られた知見を踏まえつつ、地域医療構想、医療従事者の働き方改革、そして医師偏在対策を一体的に進めます。

 二〇二四年度からの第八次医療計画の策定に向けた検討を本格化させるとともに、二〇二四年四月の医師の時間外労働上限規制の施行に向けて、丁寧に準備を進めます。

 また、マイナンバーカードの健康保険証利用の推進、電子カルテ情報等の標準化など医療情報の更なる利活用に向け、環境整備に取り組みます。

 本年四月の診療報酬改定では、新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築を進めるなど、平時でも有事でも国民が必要な医療サービスを受けられるよう取り組みます。

 あわせて、健康寿命の延伸を図るため、次期国民健康づくり運動プラン策定に向けた議論を進めるとともに、予防・健康づくりの政策効果に関する実証事業を着実に実施してまいります。

 医薬品、医療機器産業については、医薬品産業ビジョン二〇二一に基づき、革新的な医薬品等の開発を促進する環境の整備や、医薬品等の品質及び安定供給の確保等に取り組みます。また、薬剤師の対人業務の推進や薬局の機能強化の方策について、更に検討を進めてまいります。加えて、医薬品等行政評価・監視委員会の御意見等も尊重し、医薬品等の安全性の確保や薬害の再発防止に一層取り組んでまいります。

 また、団塊の世代が全て七十五歳以上となる二〇二五年に向けて地域包括ケアシステムの構築を推進するため、感染症や災害への対応力を強化するとともに、介護予防、認知症施策の推進、人材確保、生産性向上等に取り組みます。

 児童虐待に関する相談対応件数が年々増加しています。家事、育児等に対して不安、負担を抱えながら子育て等を行う家庭も増加しており、子供の養育だけでなく、保護者自身が支援を必要とする家庭が増えています。

 今国会では、児童等に対する家庭及び養育環境の支援を強化し、子育て世帯に対して適切な支援を行うことができるよう、母子保健と児童福祉における相談等の支援を一体的に行うこども家庭センターの整備、子育て世帯への家庭環境の支援を行う事業の創設、一時保護の適切な実施に係る環境の整備、社会的養育の質の向上、児童へわいせつ行為を行った保育士の資格管理の厳格化等を内容とする、関連法案を提出いたします。

 待機児童の早期解消を目指し、新子育て安心プランに基づき、二〇二四年度末までに約十四万人分の保育の受皿を整備するとともに、保育の質の確保、向上を図ってまいります。放課後児童対策については、新・放課後子ども総合プランに基づき、二〇二三年度末までに約三十万人分の受皿を整備します。

 また、コロナ禍で深刻な影響を受けている一人親家庭に対して、総合的な支援を推進します。

 不妊治療への支援については、本年四月より保険適用を実現します。また、引き続き、不妊治療を受けやすい職場環境整備や、不育症患者や、小児、AYA世代のがん患者等に対する支援を推進します。

 社会、経済の変化に対応した年金制度を構築するため、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、年金受給開始時期の選択肢の拡大等を行う改正法の円滑な施行に努めます。

 年金事業運営については、引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した方や事業主等に対して丁寧に対応するとともに、サービスのオンライン化を推進するなど、適切な事業運営に努めてまいります。

 働き方改革関連法については、時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金の徹底など、その円滑な施行に努めます。あわせて、非正規雇用労働者の正社員転換や待遇改善を推進してまいります。

 また、安心して副業、兼業を行うことができる環境の整備とともに、関係省庁と連携し、フリーランスの方々が安心して働ける環境の整備にも取り組みます。

 職場における女性活躍の推進については、改正女性活躍推進法の円滑な施行等に取り組むとともに、男女間賃金格差そのものの開示を充実する制度の見直しについて、具体的に検討し、速やかに着手してまいります。

 また、改正労働施策総合推進法や改正育児・介護休業法の円滑な施行等を通じ、職場におけるハラスメント対策の推進、男性の育児休業取得促進等に取り組みます。

 あわせて、ウィズコロナ、ポストコロナを見据え、良質なテレワークの導入、定着のための各種支援策を推進します。

 新卒者等に対しては、大学等との連携の下、きめ細かな就職支援を行ってまいります。また、いわゆる就職氷河期世代の方々に対しては、都道府県プラットフォームを基盤に、社会機運を醸成し、就労や社会参加を支援します。

 高齢者雇用については、高齢者が年齢にかかわらず働くことができる社会の実現に向けて、七十歳までの就業機会の確保を推進します。

 あわせて、障害のある方が希望や能力に応じて生き生きと活躍できる社会の実現を目指し、中小企業を始めとした障害者の雇入れ、定着支援等を推進します。

 外国人労働者については、雇用の維持や就職の支援を強化するとともに、その有する能力を有効に発揮できる適正な環境での受入れを促進します。また、技能実習制度の一層の適正化に努めます。

 そして、地域における多様な需要に応じた事業の実施と、多様な就労の機会の創出につながるよう、労働者協同組合法の円滑な施行に向けた取組を進めます。

 受動喫煙対策については、引き続き国民や事業者への周知啓発、設備の整備に対する支援等に取り組みます。

 がん対策については、基本計画に基づき、がん検診の受診率向上、がんゲノム医療の体制整備、治療と仕事の両立支援等を推進します。

 HPVワクチンについては、基本的に本年四月より積極的勧奨を再開させるとともに、積極的勧奨の差し控えの間に接種の機会を逃した方への接種機会の提供も行ってまいります。

 また、循環器病対策については、基本計画に基づき、総合的な対策を進めます。

 難病対策については、制度の見直しを進めるとともに、総合的な支援策を推進します。

 国際保健の分野においては、新型コロナウイルス感染症対策のほか、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進、高齢化への対応、薬剤耐性を含む健康危機への対応等のグローバルな課題に的確に対応します。

 また、水道の基盤強化や広域的な食中毒事案への対策強化等にも引き続き取り組んでまいります。

 ハンセン病問題対策については、元患者の御家族への補償制度を着実に実施するとともに、ハンセン病に対する偏見、差別の解消に全力で取り組みます。

 また、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた方々に対しては、一時金の支払い等を適切に対応してまいります。

 原子爆弾被爆者援護施策については、広島黒い雨訴訟判決を踏まえた運用を本年四月から開始し、救済できるよう迅速に取り組むとともに、保健、医療、福祉にわたる総合的な援護施策を進めてまいります。

 地域共生化社会の実現に向け、地域住民の複雑化、複合化した支援ニーズに対応するため、地域における包括的な支援体制の構築に取り組んでまいります。

 成年後見制度の利用促進については、来年度からの第二期基本計画の策定と着実な実施に取り組みます。

 また、自殺対策については、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向け、SNSを活用した相談体制の強化を進めるとともに、自殺総合対策大綱の見直しにも取り組んでまいります。

 障害福祉施策については、障害者の地域における自立した生活の支援や、雇用と福祉の連携による就労支援の推進、地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現等について、関係審議会で議論を進めるとともに、発達障害者や医療的ケア児への支援、難聴対策の推進等に取り組みます。

 特に、障害児支援については、児童福祉法の見直しの中で、児童発達支援センターの機能強化、障害児入所施設から地域生活等への円滑な移行の推進など、地域における障害児支援の充実を図ってまいります。

 また、依存症対策や薬物乱用防止対策にも引き続き取り組むとともに、新型コロナウイルス感染症にも対応した心のケアを進めてまいります。

 援護施策については、国の責務として、可能な限り多くの御遺骨を収集し、御遺族に早期にお渡しできるよう、全力を尽くします。また、慰霊事業に取り組むとともに、戦傷病者や戦没者遺族に対する年金や特別弔慰金等の支給、中国残留邦人等に対する支援策について、引き続き、きめ細かく実施します。

 最後となりますが、国民にとって利便性の高いデジタル社会の構築等に取り組むとともに、厚生労働省に対する国民の期待に応えることができるよう、厚生労働省改革にもしっかりと取り組んでまいります。

 厚生労働行政は幅広く、更に様々な課題がございますが、一つ一つ思いを込めて取り組んでまいります。委員長、理事を始め委員の皆様、国民の皆様に一層の御理解と御協力を賜りますようお願いいたします。

橋本委員長 次に、令和四年度厚生労働省関係予算の概要について説明を聴取いたします。古賀厚生労働副大臣。

古賀副大臣 厚生労働副大臣の古賀でございます。

 佐藤副大臣、島村、深澤両政務官とともに後藤大臣を支え、橋本委員長を始め委員の皆様の御理解と御協力を得ながら、厚生労働行政の推進に邁進していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 令和四年度厚生労働省関係予算案の概要について説明いたします。

 厚生労働省所管一般会計予算案については、昨年度より一・一%増の三十三兆五千百六十億円となっており、また、厚生労働省所管特別会計予算案については、労働保険特別会計、年金特別会計及び東日本大震災復興特別会計にそれぞれ所要額を計上しています。

 以下、令和四年度予算案の重点事項について説明いたします。

 本予算案では、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期すとともに、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現に向けて、令和三年度補正予算と合わせて切れ目なく対応することとしています。

 第一に、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえた柔軟で強靱な保健、医療、介護の構築について、新型コロナウイルス感染症を克服する保健、医療等の提供体制の確保、感染拡大防止に向けたワクチン、治療薬等の研究開発を推進します。あわせて、地域包括ケアシステムの構築を図るため、地域医療構想、医師偏在対策、医療従事者の働き方改革の推進、介護人材の確保等に取り組むとともに、健康寿命の延伸に向けた予防、重症化予防、健康づくり、データヘルス改革を推進します。また、がん対策、全ゲノム解析等を推進するほか、医薬品、食品等の安全確保、国際保健への貢献、医療の国際展開に取り組みます。

 第二に、未来社会を切り開く成長と分配の好循環の実現について、雇用維持、労働移動、人材育成等に向けた支援のため、雇用の維持、在籍型出向の取組への支援、デジタル化の推進や人手不足分野への円滑な労働移動の推進、民間の知恵を活用して実施する人への投資の強化に取り組みます。あわせて、公的部門における分配機能の強化として、看護、介護、保育など現場で働く方々の収入の引上げに取り組みます。また、多様な人材の活躍を促進するため、女性や就職氷河期世代の活躍を推進するほか、高齢者、障害者、外国人等の就業支援に取り組みます。さらに、最低賃金、賃金の引上げに向けた生産性向上等の推進、同一労働同一賃金など雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等に取り組みます。

 第三に、子供を産み育てやすい社会の実現について、ヤングケアラーへの支援、児童虐待防止対策、社会的養育の迅速かつ強力な推進、不妊症、不育症に対する総合的支援の推進、新子育て安心プランに基づく保育の受皿整備等の総合的な子育て支援、一人親家庭等の自立支援の推進等に取り組みます。

 第四に、安心して暮らせる社会の構築について、地域共生社会の実現に向けて、属性を問わない相談支援を中核とする重層的支援体制の整備、生活困窮者自立支援、引きこもり支援、自殺総合対策の強化等を推進します。あわせて、障害児や障害者の支援、水道の基盤強化、戦没者遺骨収集等の推進、持続可能で安心できる年金制度の運営等に取り組みます。

 新型コロナウイルス感染症から国民の命、暮らし、雇用を守り、必要な社会保障サービスを強化するよう万全を期すとともに、我が国の経済社会の発展に寄与すべく、厚生労働行政の推進に一層努力してまいりますので、皆様の一層の御理解と御協力をお願いいたします。

橋本委員長 以上で大臣の所信表明及び令和四年度厚生労働省関係予算の概要についての説明は終わりました。

 この際、佐藤厚生労働副大臣、島村厚生労働大臣政務官及び深澤厚生労働大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。佐藤厚生労働副大臣。

佐藤副大臣 この度、厚生労働副大臣を拝命いたしました佐藤英道です。

 主として、医療、子育て支援の分野を担当いたします。

 目下の課題である新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組むとともに、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡すことができるよう、誠実かつ積極的に取り組んでまいります。

 厚生労働委員会の皆様方の御理解と御協力を得ながら、古賀副大臣、両大臣政務官とともに全力で後藤大臣を補佐してまいる所存ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

橋本委員長 次に、島村厚生労働大臣政務官。

島村大臣政務官 この度、厚生労働大臣政務官を拝命いたしました島村大です。

 両副大臣、そして深澤政務官とともに後藤大臣を補佐し、最大限努力いたしますので、どうかよろしくお願いいたします。

橋本委員長 次に、深澤厚生労働大臣政務官。

深澤大臣政務官 この度、厚生労働大臣政務官を拝命いたしました深澤陽一でございます。

 両副大臣、島村政務官とともに全力で後藤大臣をお支えいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

橋本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十六分散会


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