衆議院

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第3号 令和4年3月4日(金曜日)

会議録本文へ
令和四年三月四日(金曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 牧原 秀樹君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    上田 英俊君

      加藤 勝信君    勝目  康君

      川崎ひでと君    後藤田正純君

      佐々木 紀君    塩崎 彰久君

      新谷 正義君    鈴木 英敬君

      田村 憲久君    高木 宏壽君

      土田  慎君    西田 昭二君

      長谷川淳二君    深澤 陽一君

      古川 直季君    松本  尚君

      三谷 英弘君    三ッ林裕巳君

      柳本  顕君    山口  晋君

      山本 左近君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    中島 克仁君

      長妻  昭君    野間  健君

      山田 勝彦君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      金村 龍那君    吉田とも代君

      山崎 正恭君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   厚生労働副大臣      古賀  篤君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   厚生労働大臣政務官    島村  大君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  柳樂 晃洋君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鈴木英二郎君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月四日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     山口  晋君

  山本 左近君     古川 直季君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     山本 左近君

  山口  晋君     新谷 正義君

同日

 辞任         補欠選任

  新谷 正義君     加藤 勝信君

    ―――――――――――――

三月三日

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人地域医療機能推進機構理事長尾身茂君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官柳樂晃洋君、内閣府男女共同参画局長林伴子君、文部科学省大臣官房審議官淵上孝君、厚生労働省医政局長伊原和人君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、労働基準局長吉永和生君、子ども家庭局長橋本泰宏君、老健局長土生栄二君、保険局長浜谷浩樹君、政策統括官鈴木英二郎君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 今日も分科会の前に、お忙しいところ、尾身会長に来ていただきまして、ありがとうございます。

 尾身会長に、まず二点お伺いいたします。

 アドバイザリーボードで資料が出ておりました。東京でいえば、四月一日にはBA・2株に七四%が置き換わる、こういう予測が示されておりました。一方、東京でいえば、感染者数は高い人数で下げ止まり、リバウンドの懸念もある状況で、しかも、これから年度の替わり目で、歓送迎会の時期も迎えるわけです。こういう中でのBA・2への置き換わりというのはどのような影響が出るのか、この点、お伺いしたいと思います。

 もう一点は、アドバイザリーボードの西浦先生の資料では、週を追うごとに、第六波で亡くなる方の予測が増え続けております。この原因はどこにあるとお考えなのか、お伺いしたいと思います。

尾身参考人 BA・2の置き換わりの意味ですけれども、これは既に、まだ割合は非常に少ないですけれども、少しずつBA・2の割合が増えているということもございます。それから、この前も申し上げたように、これから入学式や卒業式、いわゆる恒例行事等が始まりますので、私は、感染が、高止まりだけでなくて、少し上昇するということも十分考えておく必要があると思います。

 それから、委員の二つ目の御質問は西浦さんの。これは西浦さんに聞いていただければと思いますが、私の理解は二つの要素があって、一つは、そもそも今回の場合は、高齢者施設で特に持病のある方が感染を契機に状態が悪くなる、そういう方が多かったということと同時に、それは一回目の調査でも分かっていましたけれども、最近になって、西浦さんのは、それに加えて、感染が当然かなり高いことがあって、それが続いて、それから重症者等々が遅れて来る、その遅れて来たものが実は遷延しているということです。高くなって、すぐにまた波が来て、そのまま、下がるんじゃなくて高止まりしているところがあることが今回分かったので、その分が、前回のデータに比べて少し高くなっているというふうに私は理解しております。

宮本(徹)委員 ということは、いよいよ高齢者施設での対策というのはますます大事になっているということだと思います。

 その上で、高齢者施設での対策ではワクチンの三回目の接種が当然重要なわけですけれども、あわせて、施設にウイルスを持ち込まないという点での職員の皆さんへの頻回検査、これもいよいよ大事になっていると思います。これは、もう一年以上前から、先生とは議論してきましたけれども。

 世代時間がオミクロン株は短くなっている。これを踏まえると、現状のできるだけ週一回という今の求めている頻度では不十分ではないかと私は思うんですね。週二回以上、まあ確かに、職員や施設の皆さんに御協力をお願いするのは負担も大きいとは思いますけれども、高齢者施設等でのクラスターを防ぐ上では、やはりもっと検査の頻度を引き上げる必要があるんじゃないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

尾身参考人 これは、頻度については、委員おっしゃるように、現場がその余裕があればなるべく頻回に、週一回より週二回ということをやることが理想的で、求められると思います。

 その上で申し上げるのは、高齢者施設は、検査で従業員の人を頻回に検査するということも重要ですけれども、実は、それ以外に三つ、私は必要だと思っています。

 一つは、早期の介入。何か感染者が疑われたら二十四時間以内に介入した地域はかなりよく収まっているということ。それから、クラスターの予防という意味で、今度は予防の方ですけれども、発熱なんかした職員がいたら必ず休んでもらう。ただし、休むことを可能にする事業者あるいは自治体の支援というようなことが重要だと思います。それから、もう当然のことながら、ワクチン接種の促進。この三つも、検査と同時に一緒にやる必要があると思っております。

宮本(徹)委員 尾身会長から、現場の余裕があればという話がありましたけれども、週二回できれば理想だというお話でありました。

 大臣、今、尾身会長からも、やはり週二回できれば理想だというお話がありました。ニューヨーク州なんかは、それこそ一番初めの、日本でいえば第一波の段階から、介護施設、高齢者施設は週二回検査をやっていたんですよね。やはり、ここは本当に重症化リスクが高いところですから、本当に検査能力を投入してしっかりやっていく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 PCR検査を行う場合には、検査分析機関からの容器の受取や検体の回収、検査分析機関での分析等を毎週行うことについて、それぞれの施設が検査分析機関等と調整することなどを考えますと、週一回程度の実施が、現状の体制や状況から考えると現実的かつ合理的なのではないかというふうに、現状については認識をいたしております。

宮本(徹)委員 尾身会長は、週二回が理想だというふうにおっしゃいました。私は、本当にこれだけの事態が起きているにもかかわらず、なぜそういうところに踏み込まないのかなと。是非相談していただきたいと思うんですよ、事業者の団体の皆さんとも。クラスターが起きた、その対策の方が、本当に大変な事態になるわけですから、命の問題になっているわけですから、そこは是非相談していただきたいと思いますが、いかがですか。

後藤国務大臣 高齢者施設等でしっかりと感染防止をしていく必要があることについては、これはもう委員の御指摘と全く同感であります。

 そういう意味では、今、全体像のいろいろな、全体、パッケージの中でも、高齢者施設に対する療養、医療の提供体制を集中させるとか、人的に人を集めるだとか、また、ワクチンも、これもしゃにむに一件一件当たりながら早くに三回目の接種をするということもやっておりまして、いろいろなこと、やれるだけのことをやらなければならない、そういう認識を共感しつつ、今お尋ねの、具体的なお尋ねでありますので、検査等については週一回程度の実施が、今は、高齢者施設等の現実等も考えながら、現実的かつ合理的なことなのではないかというふうに申し上げさせていただいております。

宮本(徹)委員 合理的ではないですよ。オミクロン株は世代時間が短いわけですから、そういう点での合理性はないということははっきり申し上げておきたいと思います。今はということをおっしゃいましたけれども、是非更に検討していただきたいと思います。

 その上で、尾身会長からは早期の介入が大事だというお話がありましたけれども、どういう観点の感染対策で介入するのかということがもう一つあります。

 資料をお配りしております。三ページ目に、これは、宮城県の清山会のいずみの杜診療所の山崎先生の、厚労省のウェブセミナーでやったときに使った資料なんですけれども、応援派遣に際しては、介護施設がエアロゾル感染のリスクが高いことへの十分な配慮が求められるということで、口腔ケア、むせ込みなどエアロゾル発生の場面が多い、マスクができないなどなど書いてあります。

 山崎先生の法人では、当初からエアロゾル感染対策を重視していて、先生の関わっている法人というのは五十、施設があるそうですけれども、この間、職員などの感染は十二回確認されておりますが、多くは一次感染で済んでいるわけです。他施設に応援を出すという際も、N95を着けてレッドゾーンに入っていくので、レッドゾーンに入った職員百九十人、一人も感染していないということです。

 一方で、他の法人の施設にクラスターで応援に行くと、そこで飛沫、接触感染対策が重視で指導されるということなんですね。

 資料の一番下にぺら一枚でつけたやつ、これも同じ厚労省の学習会で配られた資料ですけれども、十四施設で、ゾーニング前の陽性が七十人、ゾーニング後も感染拡大が続いて、八日目以降でも二十六人の感染者が、職員、利用者で出ていると。

 ゾーニング、分けても出続ける、これは飛沫、接触感染対策重視だからじゃないかというのが山崎先生の問題提起だったわけです。エアロゾル感染対策を本当に重視するか、接触、飛沫重視かは、高齢者施設にとっては死活問題だ、命と人権の問題だと先生はおっしゃっておられます。

 私の知り合いの方の施設でも、やはり、レッドゾーンに普通のサージカルマスクで入って職員や看護師さんが感染する例というのは起きているわけです。皆さんの周りでも起きていると思います。

 やはり、エアロゾル感染重視か、飛沫、接触感染重視かというのは、一つはマスクの質と、あともう一つは換気の対策と、ここに大きく影響するわけです。

 聞きましたら、今、宮城県の新型コロナウイルス感染症対策介護ワーキンググループで、高齢者施設の現場から関係機関へのメッセージというのを出そうという議論がされているそうです。その中身は、施設クラスターの発生を防ぐために有効な感染対策について、最新の知見に基づいた指針の策定や現場への支援を強く求めますというものでございます。

 資料の冒頭に、WHOの示している感染経路も、改めて、訳もつけて載せておきました。

 しっかりとエアロゾル感染対策を位置づけた有効な感染対策のガイドラインを作って支援をする、そのために、換気については、この間、様々実践されている研究者の皆さんもいますので、そういう知見もしっかり集める、こういう対策が必要じゃないかと思いますが、尾身会長の御見解をお伺いしたいと思います。

尾身参考人 もうこれは、我々専門家の方は、二〇二〇年のたしか七月三十日のADBの頃から、このマイクロ飛沫ということが重要で、これからは、いわゆる接触感染というようなものよりも、マイクロ飛沫、今で言えばエアゾールと近いと思いますけれども、そういうことが重要性があるので、手指消毒ということはもちろん大事ですけれども、換気ということに随分注意を我々は促してきたと思います。

 それで、オミクロン株等々になって、換気の大事さ、単に手を洗うというようなことだけじゃなくて、この部分がますます重要だということは何度も申し上げたとおりで、そういう意味では、高齢者施設でもそうですし、あるいは飲食店、そういう場所で換気の対策を今まで以上に私はしっかりとやる必要があって、自治体等々にはそういう支援というものも、既にやっていると思いますけれども、そういうことの強化が必要だと思います。

宮本(徹)委員 それで、大臣に提案なんですけれども、現場ではかなり、しかし、まだエアロゾル感染対策でも飛沫、接触重視のそういうこともやられている面があるわけです。それで本当に現場は困っているという話を私、先月聞いて、こういう質問をさせていただいているんですね。改めて、やはり、エアロゾル感染対策を重視する。そして、介護の現場も、レッドゾーンに入るときはやはりN95。マスクの質ですよ、職員を守る上でも、感染を広げない上でも。やはり、こういうものを配付する、こうしたことも含めてしっかり対策を取っていただきたいと思いますが、いかがですか。

後藤国務大臣 新型コロナウイルスの対策、感染経路に対する対策として、飛沫、エアロゾルの吸入、接触感染等を防いでいくということで、マスクの着用、手洗い、三密の回避や換気など、基本的な感染防止策の徹底が重要であるというふうに、エアロゾルや換気も含めて、基本的な感染防止対策として非常に重要だというふうに申し上げてきていると思います。

 また、医療機関における感染拡大防止策としてのフィルターつき空気清浄機や入院医療機関の簡易陰圧装置に加えて、高齢者施設においても、立地により窓があっても十分な換気が行えない場合等に換気設備の設置の支援なども行ってきているところであります。

 それから、今、介護施設、障害者福祉施設にもN95マスクの配付が必要ではないかというお尋ねもあったと思いますけれども、サージカルマスクなどの衛生、防護用品については、新型コロナウイルス感染症の発生当初、需要が逼迫していたことを踏まえまして、高齢者施設で感染者が発生した場合に速やかに供給されるように、厚生労働省において、令和二年度の第一次補正予算を活用して、必要な量を購入し、各都道府県に配付を行ってきております。

 これは、新型コロナウイルス感染症対応に当たっての標準予防策としてサージカルマスクを着用することとしていること等を踏まえたものでございまして、そういう意味で、マスク等についても十分に目配りをしていきたいというふうに考えております。

宮本(徹)委員 ですから、普通のサージカルで入ると感染が起きているという話を私は申し上げているわけですよ。N95じゃないと駄目ではないかと。ここをちゃんと考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 尾身会長、次の質問に移りますので、ありがとうございました。

橋本委員長 では、尾身会長、ここで御退席いただいて。

宮本(徹)委員 続きまして、ケア労働者の処遇改善についてお伺いいたします。

 桁が一つ足りないという批判が出ております。さらに、チームで仕事をしているのに対象者が限定されていて職場の分断が生まれる、こういう批判の声も出ております。しっかり受け止めていただきたいと思います。

 その上で、院内保育所の保育士が、保育士であるにもかかわらず九千円の処遇改善の対象になっておりません。院内保育所は三千数百あります。これは大臣の責任で九千円の処遇改善の対象にすべきじゃありませんか。

後藤国務大臣 今般の保育士等の処遇改善は、公的価格の在り方を見直すとの閣議決定に基づき実施しているわけでございます。

 御指摘の院内保育所については、認可を受けた保育所として運営されていることもあると承知しておりまして、その場合には今般の処遇改善の対象となります。

 しかし、一方で、多くの院内保育所が認可外保育施設として運営されている場合が多いと認識しております。認可外保育施設については、原則、各施設の判断で利用料を設定する、公的価格の仕組みが適用されていないということから、今般の処遇改善の対象とはしていないところであります。

 認可外保育施設に対しては、認可施設への移行に対する支援のほか、地方公共団体の判断によりまして、新型コロナ対応の一環として、認可外保育施設職員に対して一時的な金銭給付を行った場合には、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を充てて対応することが可能でありまして、こうした支援も御活用をいただきたいと思っております。

宮本(徹)委員 九千円の処遇改善を保育士に行いますと。医労連の皆さんが院内保育所の賃金を調べたら、普通の認可保育園の賃金よりも低いわけですよね。そういう皆さんをなぜ外すのか。

 今回だって、地域の保育園に預けている方が、保育園は閉まった、医療従事者は院内保育園で預かってくださいという通知まで出しているわけじゃないですか、厚労省は。それだけ院内保育所にお世話になっておきながら、なぜそこは九千円の対象にしないのか。これは、本当、私、はっきり言って、縦割りの問題点だと思っていますよ。何か委員長もこうやっていますけれどもね。委員長も一言言ってくださいよ。

 やはり院内保育所は、ほかの認可外保育施設と違って、厚労省のそれこそ医政局がちゃんと措置を取ってやろうと判断したらできるはずなわけですよね。大臣の判断で、私は、これは特別な仕組みはできると思いますよ。そういう検討を是非していただけませんか。

後藤国務大臣 委員長のアクションがどういう意味かよく分かりませんが、少なくとも私、制度的なたてつけのことについて申し上げさせていただきました。

 認可外保育所にしてあるということは、要件等についても、また地域枠を持たなくてもいいとか、いろいろな事情で院内の保育所が事業所内保育所になっているんだろうと思います。

 そういうことも含めて、今回が、どういう枠組みの中で、公定価格、公的な価格の仕組みの中で処遇改善をしていくという枠組みでやらせていただいたことだということで、先生のおっしゃっているお気持ちは理解するところでありますけれども、制度的な運用として御理解をいただきたいというふうに思っておりますし、少しでも、先ほど申し上げたように、御存じない方もいると思うので、支援を御活用いただくような、そういうことについては我々も努力して取り組んでいきたいというふうに思っております。

宮本(徹)委員 委員長も私の考えに共感しているみたいですから、是非与党の皆さんからも、三千数百ある院内保育所が、同じ保育士であるにもかかわらず九千円の処遇改善の対象じゃないというのは余りにも理不尽だと思いますので、与党からも声を上げていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 もう一点、月四千円の看護師らの処遇改善についてお伺いしますが、民間病院、公的病院、公立病院それぞれ、申請をしない予定、あるいはちゅうちょしている病院があります。その理由について把握しているか、どう対応されるのか、お伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 看護職員等の処遇改善の補助金、二月から九月に関しましては四月から申請受付が始まることから、現時点で申請に関する状況を把握はしておりませんけれども、医療機関等からの問合せに対応するため設置したコールセンターでは、申請に当たって課題となる事項に関する御相談もいただいているということは情報としてしっかり捕捉しております。

 具体的には、民間、公的、公立いずれの医療機関からも、補助金終了後の十月以降における処遇改善の財源が課題との御相談をいただいておりまして、厚生労働省からは、十月以降、診療報酬において収入を三%、月額平均一万二千円相当引き上げるための仕組みを創設するということについて御説明をいたしております。

 また、今般の補助金が今年度中に賃上げを開始することを要件としている中で、公立病院からは、条例改正など議会での議決を要するため間に合わない可能性がある旨の御相談も多数いただいております。厚生労働省からは、年度内に条例改正案等を議会に提出した場合には要件を満たしたものと扱うということで、柔軟な運用を行っている旨も説明しているところでございます。

 そして、こうした現場から寄せられている御質問、問題点等につきましては、ホームページを通じて、QアンドAの形で周知を図っていくということで取組をさせております。

 また、今般の補助金については、二月、三月分については、支給が間に合わない可能性も考慮しまして、これは一時金等による支給も可能であるということも御通知させていただいております。四月以降については、賃上げ効果の継続に資するように補助額の三分の二以上をベースアップに充てることを支給要件とすることは、これは是非御協力をいただきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、ちょっとでも、収入の引上げに向けてちゅうちょや、理解が進まないことで早期の引上げ等ができないということにならないように、今般の補助金の円滑な執行に努めてまいりたいと思っております。

宮本(徹)委員 理由はちゃんと把握されているとは思うんですけれども、十月以降が分からないという問題もあって、やらないというふうに言っているような公的病院も既に出ているんですよね。間に合わないという問題もあります。だから、一つは、申請期限、私は是非延ばしていただきたいと思います。三月末までとなっていますけれども、これは要望ですから、是非延ばしていただきたい。

 それからもう一つ、労働者の皆さんが使ってくれと言っても使ってくれない病院があるというのは本当に困っていますので、こういうのは是非厚労省から個別に、相談があったら働きかけてほしい、使ってくれと。そのことも求めておきたいと思います。

 その上で、最後の項目に行きますが、資料も配付しておりますが、今、労政審で議論がされております自動車運転者の改善基準告示の見直しについて伺います。

 昨年十月八日、厚労省が事務局として、一日の休息時間について、原則十一時間、こういう当初案を出しましたが、その後、使用者側の反発を受けて、これを緩めるものを追加案、修正案として出しているわけでございます。原則十一時間とした当初の根拠は何なのか。そして、追加案、修正案には当初の案を上回る根拠があるのか。この点をお伺いしたいと思います。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車運転者につきましては、令和六年四月から時間外労働の上限規制が適用になります。その意味で、現在、労働政策審議会におきまして、具体的には三つの作業部会を設けまして、御指摘の改善基準告示の見直しの議論を行っていただいているところでございます。

 このうち、一日の休息時間につきましては、私どもといたしましても、昨年九月に脳・心臓疾患の労災認定基準を改定してございますけれども、長時間の過重業務の判断に当たって、睡眠時間の確保の観点から、勤務間インターバルがおおむね十一時間未満の勤務の有無、時間数、頻度、連続性等について検討して、評価することとされたことも念頭に置いて議論をしているところでございます。また、諸外国の動向、EUの状況なども見ながらやってございます。

 そういう中で、御指摘のように、昨年十月に開催されました労働政策審議会のタクシーとバスの作業部会におきましては、現行では八時間以上とされてございます一日の休息時間につきまして、一定の例外を設けた上で、原則十一時間以上とする案を議論のたたき台としてお示しさせていただいてございます。

 先生から私どもの資料を配付資料としてお配りいただいてございますが、この中におきましても、五ページになりますけれども、勤務終了後、原則十一時間としつつ、これによらない場合の下限時間、回数等について別途設けるというふうに定められているところでございます。

 お配りいただいた資料、バスのものをお配りいただいてございますけれども、タクシーのものにつきましてはもう少し具体的に書いてございまして、EU指令と並ぶものではございますけれども、週三日は九時間以上ということ、原則十一時間という形のものをお示ししているという状況でございます。

 こうした案をお示ししたところでございますけれども、作業部会におきまして様々な意見を委員からもいただいたという状況でございます。

 そうした中で、私どもとして、二月の作業部会におきましては、休息時間を十一時間以上与えるように努め、九時間を下回らないということとしているものでございまして、これによりまして、十一時間以上の休息時間の確保を目指すことが期待される内容になっているというふうに理解しているものでございます。

宮本(徹)委員 当初の十一時間というのには医学上の根拠があったわけですね。命を守り、安全を守る根拠があったわけですが、その後、九時間に後退したものについては、言われたからそうなったんだという以上のものがないわけでございます。

 本当に、これでは命を守れないですよ。公益委員の方からは、運転手を守るのは国民の安全を守るということ、こういう指摘もありました。

 大臣、この改善基準告示の見直しでやはり一番大事なのは、命を守ること、運転手の命を守ることが国民の安全を守ることなんだ、こういう認識を持って臨まなきゃいけないんじゃないですか。

橋本委員長 後藤厚生労働大臣、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

後藤国務大臣 御指摘のように、自動車運転手の過重労働を未然に防ぐことは、労働者自身の健康の確保のみならず、国民の安全確保の観点からも非常に重要であるというように私も認識しております。

宮本(徹)委員 そういう認識があるのでしたら、使用者側に言われて後退したような方向で決めるのではなくて、ここで大臣も含めて、衆議院の附帯決議にあるように、過労死は許さないんだという方向でしっかりと改善基準告示の見直しを行うことを求めて、質問を終わります。

橋本委員長 次に、池下卓君。

池下委員 おはようございます。日本維新の会の池下です。昨日に続きまして、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速なんですけれども、まず、難病の問題についてお伺いをしていきたいなと思います。

 難病法は、二〇一五年の一月に施行されまして、施行後五年以内を目途に、その施行の状況を勘案しつつ、特定医療費の支給に係る事務の実施主体の在り方その他事項について検討を加える、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものという具合にあります。

 そもそも難病法は、難病患者の良質かつ適切な医療の確保、療養生活の質の向上を図ることを目的としておりますけれども、また、安定的な医療費助成の制度の確立、調査研究の推進、療養生活環境整備事業の実施等の措置について規定しているものであります。

 現在、三百三十八疾病がこちらの方に対象となっているわけなんですが、近年、コロナの状況の中で、なかなか改正に向けてというのが大変だというのは重々理解はしているんですけれども、二〇一五年からもう既に五年以上というのはとうに経過しているわけです。速やかな改正を行うとともに、法改正が今どうしても遅れているという状況の中でありましたら、やはり、柔軟に、運用の面からでもしっかりと難病患者を救っていくような措置をしていくべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 難病法、児童福祉法の附則で、法施行五年後をめどとした検討規定を置いていただいております。この附則に基づき、令和元年五月に関係審議会で検討を開始し、昨年七月に、難病・小慢対策の見直しに関する意見書が取りまとめられております。

 この意見書におきましては、医療費助成の開始時期の申請時から診断時への前倒しだとか、難病患者のデータベースの法定化、他の公的データベースとの連結解析を用いた利活用の促進、地域における福祉、就労支援に関する体制強化、小児慢性特定疾病児童のための移行期医療支援の実態や課題の把握、対応方針の検討等、取り組むことが適当であるという御意見をいただいております。

 法改正につきましては、今もちょっと言及していただいたんですが、オミクロン株を含めた新型コロナへの対応が喫緊の課題であることを踏まえまして、厚生労働省としては、こうした対応に当面注力する必要があるというふうに考えております。また、こうした新型コロナの影響は、現場で実際に難病、小慢対策を担っていただく地方自治体においても同様でありまして、具体的な改正内容についての調整を十分に行うこともなかなか難しい状況であることは御理解をいただきたいと思います。

 厚生労働省としては、難病、小慢の患者やその御家族の皆様のためにも、少しでも早く法案を国会に提出できるよう努力を続けてまいりたいと思っております。

 また、先生から今御指摘のありました、運用面での対応についてでございます。

 意見書で指摘された項目のうち、難病患者のデータベースの整備や療養生活環境の整備など、予算措置において対応のできる項目につきましては、来年度予算においても、例えば、データベースの構築、準備等に必要な経費として十五億円、難病相談支援センターの相談支援員の配置の充実、主に人件費でございますが、それに対する補助としての六・七億円、移行期医療支援体制等に関する調査を行うための経費などを盛り込んでおりまして、まずはこうした取組を着実に進めていくことによりまして、難病、小慢施策の充実を図っていきたいというふうに考えております。

池下委員 是非、柔軟な運用の対策というのをやっていただきたいんですが、今、大臣の方からデータベースについての、ちょっと御発言がありました。

 難病というのは、まだまだ完治ができないような病気というものがたくさんあります。だからこそ、患者さんのためにも、データというのをしっかりと集めて、研究というのを進めていかなければならないと思っておるんですけれども、難病法施行後、データベースが構築される研究というのが、今言われましたように行われていると聞きました。しかし、難病患者の認定基準といいますのは、日常生活又は社会生活に支障がある者とするとなっておりまして、認定されなければ、医療費助成も受けることはできません。こういう背景もあって、難病であっても軽症者等の患者さんというのはデータベースから漏れるということはないんでしょうか。お伺いいたします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、現行のデータベースでは、医療費助成の申請の際に提出される臨床情報を登録しているため、申請を行った患者のデータのみ登録されておりまして、軽症のため申請に至らない患者のデータは登録が行われていないという現状にございます。

池下委員 御答弁ありがとうございます。

 今御答弁ありましたように、軽症の方々は入っていないということでありました。研究をしっかりと進めていくためには、軽症の段階からどういう具合に重症化していくのかというところの過程というものをしっかりとデータ化していくことによって、調査研究というものを進めていかなければならないのかなという具合に私は思っております。

 実は、私も、網膜色素変性症という目の難病になっておるんですけれども、幸い軽症になっているんですが、当然、このデータベースには入らないという状況になるわけです。医療費助成を申請しない、また申請できない患者さん、この登録を進めるべきだと私は考えております。

 そこで、軽症でもデータを登録した患者さんへ登録証の発行を進めるべきだと考えておりますけれども、これはいかがでしようか。

 そして、ただ発行をやるだけじゃなくて、軽症の患者さんが登録することで何かしらのインセンティブというものを持っていただかないと、やはり登録というものは進まないと思っております。だからこそ、データベースに今登録をしてもらったら、その病気の研究が今どういう具合に進んでいるのかということを知れたりとか、例えば地方自治体でこういう具合のサービスをやっているんですよという情報提供をしてもらったり、そういう具合なインセンティブをつけることで、この登録証、そして医師の診断書に代わるものとして取り扱えるとか、そういうインセンティブを是非つけながら登録証というものの検討をやっていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 昨年七月に関係審議会で取りまとめられました難病・小慢対策の見直しに関する意見書におきましては、医療費助成の申請に至らない軽症の指定難病患者について、研究を促進する観点からデータを登録できる仕組みを設けるとともに、データを登録した者が地域における各種の支援を受けやすくするように、登録者証、仮称でございますが、を発行することが適当というふうにされております。

 データ登録を推進していくためには、議員今御指摘のとおり、データ登録のインセンティブを付与することが重要であるというふうに認識しております。意見書においても、地域で利用できる福祉政策や就労支援等のサービスに関する情報を記載できるようにすること、各種福祉サービスの利用に当たって必要となる医師の診断書に代わるものとして取り扱うことができるよう関係者に働きかけていくことが適当であるというようにされているところでございます。

 一方、こうした仕組みを制度化するに当たっては、地方自治体等の関係者の負担にも配慮しつつ、現場が混乱しないような仕組みとしていく必要があるということから、関係者の意見も丁寧に伺いながら、具体的な見直し内容を検討していきたいというふうに考えております。

池下委員 ありがとうございます。

 是非、自治体とか医療機関とか様々な関係者の方々がいらっしゃるかと思いますけれども、やはりこれは国が率先してリーダーシップを取って進めていただきたいなという具合に思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 次に、新生児のマススクリーニング、いわゆる先天性代謝異常等検査についてお伺いをしたいと思います。

 これは、生後四日から六日の間に全ての赤ちゃんに対して検査をしていきますよというものでありまして、赤ちゃんが生まれつき病気を持っていることを知らないで放置してしまいますと、後で障害が出てくるような病気というのが幾つかあります。このような病気を生まれてすぐ検査して見つけて治療することによって、知的障害や発達障害、難病などを予防したり、また、重たい症状が出ないように注意して日常生活を送るということもできるという具合に聞いております。

 資料の一番目、これを御覧いただければなと思うんですけれども、これは新生児マススクリーニングの実施状況であります。これを見ていただきますと、全国で実施しているものであったりとか、一部自治体でやっているもの、そして、無料でやっているものであったりとか、自治体によって無料であったりとか有料であったりとか、様々、ちょっと違いがあるわけなんですよね。

 次の二枚目の、これは新聞記事、熊本新聞の記事になるかと思うんですけれども、こちらの方は、このマススクリーニングによって難病が早めにチェックされて、そして、この病気でいうと、大体何もなかったら二歳までに亡くなるという病気らしいんですけれども、これが早期治療ができたよ、無事に済んだよという、いい例の資料になってきています。

 そこで、マススクリーニング検査とは、どういう具合の定義であったりとか、どういう根拠の下に行われているのか伺うとともに、この検査事業の実施主体は現在、都道府県と、あと政令市でありまして、国からは地方交付税措置となっております。一九七七年、昭和五十二年スタート現在は当時の課長通知によって始まった本事業ですけれども、現在の制度に至るまでの経緯と、交付税措置をされた以降、地域によって、今資料を見ていただいたように検査の格差というのが生まれているかと思うんですけれども、その点についてお伺いをしたいと思います。

橋本政府参考人 まず、経緯でございますけれども、この新生児の先天性代謝異常検査というのは、疾患の早期発見、早期治療を行うことで知的障害等の心身障害を予防するということを目的としておりまして、委員御指摘いただきましたように昭和五十二年度に、五つの疾患を対象に国庫補助事業としてスタートいたしました。そして、平成十三年度に一般財源化されまして、今は地方交付税というふうな形で財源措置されているわけでございます。

 対象疾患でございますけれども、厚生労働科学研究等で治療効果や検査精度等が確認されたものから随時追加いたしまして、現在、二十の疾患を対象といたしております。

 この検査につきましては、適正な実施を確保するために、実施主体となる都道府県等に対しまして、対象疾患や検査手法、あるいは、異常ないしは異常の疑いのある事例への対処方法等につきまして通知をさせていただいておりまして、現時点で非常に高い受検率を維持しておるところでございます。

 今、委員御指摘いただきましたように、幾つかの自治体で独自に臨床研究として検査している疾患というものもございますが、これまで治療効果や検査精度等が確認された疾患は対象に順次加えてきておりまして、現在、日本医療研究開発機構、AMEDというふうに呼ばれております、このAMEDにおきまして対象疾患の選定基準等についての研究をいたしております。この研究結果を踏まえて、地方で独自に臨床研究として検査している疾患も含めて、今後の対象拡大ということにつきまして適切に検討させていただきたいと考えております。

池下委員 今も御答弁ありましたように、今、新生児マススクリーニングが二十疾病ですかね、これが全国で提供されているということです。

 私、やはり早期発見できれば、小さいお子さんが将来、日常生活を無事に進んでいけるような形で、しっかりと検査をして早期発見することで守ってあげるというのも本当に大事なんじゃないかなという具合に思っております。そこで、先ほどちょっと新聞で御紹介させていただいたんですけれども、発見が遅れて治療ができなければ二歳までに死亡する脊髄性筋萎縮症、いわゆるSMAについても、是非マススクリーニング検査の対象とすべきであるという具合に考えております。

 今御答弁ありましたように、しっかりと知見を取っていただいて拡大していくというちょっとお言葉もいただいたところなんですけれども、以前に衆議院の予算委員会で御質問があったという具合に聞いております。当時の後藤厚労大臣の御答弁では、研究成果等を踏まえてしっかりとした対応を検討してまいるということでありました。

 救える命を救うことが国の責務であるという具合に考えているんですが、残念ながら、この脊髄性筋萎縮症のマススクリーニング検査を試験的に行っているのは、さっきもちょっとあるんですが、大阪府と大阪市を含めた幾つかの自治体だけです。

 そこで、どのような研究成果が出れば、マススクリーニング検査を行うよう国として対処していくんでしょうか。また、仮にすぐに国として検査できないとしても、このような病気があるので生後すぐに検査を受けるように促すような周知啓発をすることで、保護者の方にですね、早期検査につなげるようなことも私は必要だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 新生児の先天性代謝異常等検査における対象疾患、医学的なエビデンスが確認できたものから随時拡充してきたことは、今答弁もさせていただきましたし、先生から御指摘ありましたけれども、その際の選定基準、確かに明確化が必要であるというふうに考えております。

 繰り返しになりますけれども、現在、AMEDにおいて、脊髄性筋萎縮症も含めて、先天性代謝異常等検査の対象疾患を選定する基準等を今研究中でございます。

 選定の基準としては、例えば、現時点では、検査技術や治療法が確立していること、あるいは診療体制が整備されていること等が検討されているものと承知しております。

 厚生労働省としては、こうした研究成果も踏まえて対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

 また、新生児マススクリーニング検査につきましては、母子健康手帳において、その必要性や対象疾患の例、治療の例などについて記載するとともに、検査結果を記入する欄も設けております。また、自治体に対して、母子健康手帳交付や両親学級等の機会を活用しまして新生児先天代謝異常等検査の周知徹底を図るよう依頼しておりまして、現在は、この検査自体は非常に高い受検率を維持しているというふうに認識をいたしております。

 引き続き、しかし、こうした点についても十分に国民の皆さんに周知、御理解がいただけていないという御指摘だというふうに思いますので、適正に事業がしっかりと実施されるように、周知徹底にしっかりと努めてまいりたいと思います。

池下委員 ありがとうございます。

 研究成果の部分にあるかと思うんですが、やはり、こういう希少な病気といいますのは、ある程度この検査を試験的に大阪府市でやっているという具合に聞いておりますけれども、いろいろな自治体の方に協力していただいて、研究が早く進むような形で国として協力していただければなと思います。

 あと、周知啓発の件に関してもそうなんですが、私、ちょっと母子手帳を見させていただいたんですけれども、すごい小さい字で書いているんですよ。すごい小さい字で書いているので、ほんま、字が小さくて読めないんじゃないかなと思うくらいなので、そこら辺もしっかりと対応していただけると聞きましたので、期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 私としたら、できるだけ、こういう病気、薬もあると聞いておりますので、検査してチェックできれば治るという病気がありますので、子供たちに平等に標準的に受けられるような形で取組を進めていただければ大変ありがたいなと思いますし、財源を、今の地方に頼るのではなくて、しっかりとした根拠、例えば、基本法を新たに作るとか、成育基本法に書き込むなど、国の責務などを明らかに私はしていくべきだと考えますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

後藤国務大臣 いろいろ検討が進んでいった場合にやらなきゃならないこと、これはまた順次検討を進めていきたいと思っておりますけれども、今の状況から考えると、対象疾患の拡大に必要となるのは、まずは医学的なエビデンスであるというふうに考えておりまして、その進捗をまず取り組んで、そしてその上に制度的な議論も積み上げていきたいというふうに思います。

池下委員 まずは研究成果というのは十二分に理解はさせていただきましたけれども、是非前向きに御検討していただければ大変ありがたいなという具合に思います。

 あと一つだけ、この難病で、確認だけなんですけれども、難病のために入院されている患者さんの新薬、お薬へのアクセスについて伺いたいと思います。

 DPC方式、いわゆる包括支払い方式の医療機関に入院されている難病患者さんが、診療報酬の算定方法によって薬価の高い新薬を処方してもらえないといった状況というのは考えられるんでしょうか。

 政府からは、個別に算定を可能にしている、積み上げで、医療のね、算定していくというのを可能にしているという具合に説明を受けているんですけれども、私の耳の方に相談が来るということは、実は医療機関に対して周知啓発がちょっと不足しているんじゃないかなという具合の懸念がありますけれども、今後の取組についてお伺いをしたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のDPC制度は、急性期入院医療を対象といたしました包括評価制度でございまして、傷病名及び実施した手術、処置等に基づき、きめ細かく分類した上で、一日当たりの点数を設定しております。

 御指摘のとおりで、DPC制度では、過去の実績データに基づき包括点数を設定しておりますけれども、難病等の薬を含め、新たに保険収載された薬剤等につきましては、一定の基準に該当する場合、十分な使用実績が収集されるまでの間は包括評価の対象外として、出来高算定を可能としております。

 この点、医療機関に改めてしっかり周知してまいりたいと思います。

池下委員 やってはることは説明を聞いて分かったので、是非この周知啓発というものを更に進めていただいて、患者さんが安心して新薬にアクセスできるような仕組みづくりを更につくっていただきたいなという具合に思っております。

 それではちょっと視点を変えまして、腎臓病対策について少しお伺いをしていきたいと思います。

 こちらの透析患者さんの資料をちょっと御覧いただきたいんですが、右側のポツ二つ目、これはちょっと数字を変えていただきたいんですが、二〇二〇年現在約三十四万人が透析治療と書いてあるんですが、これを三十五万人にちょっと御訂正いただければなという形で思います。

 これを見ていただいたら分かるかと思うんですけれども、透析患者の伸び率というものは鈍化してきているというところです。伸びは減少してきているというところなんですが、これは既に政府の方が、生活習慣病の予防対策として、糖尿病性の腎症、これを対象として、新規透析導入率の減少に成功しつつあるのではないかなという具合に思っております。しかしながら、依然、透析患者の数が減少するというところまでは至っていないんですね。この点は、透析を必要とする腎臓病の最終ステージである腎不全に至る疾病全体に対して、幅広く重症化予防が仕掛けられていないのじゃないかなという具合にちょっと懸念をしているところです。

 御紹介しますと、厚生労働省の腎疾患対策検討会が平成三十年七月にまとめた報告書でも指摘されていますが、透析治療の一歩手前の慢性腎臓病というのは自覚症状が乏しいので、御本人も自分が慢性腎臓病の状態になっていることに気がつかない。これは国民全体に啓発が行き渡っている糖尿病とは大きな違いです。だからこそ、慢性腎臓病においては、まずは国民への啓発も重要ですし、また同様に早期発見、治療、重症化しないように継続的に観察を続けていくことが求められると考えております。

 実際に、大阪府が国と連携して行っております慢性腎臓病診療連携構築モデル事業の報告によれば、新規人工透析導入者の約六割が糖尿病以外の原因、例えば高脂血症であったりとか高血圧が原因で慢性腎臓病になられている、そこを素通りしてしまって、結局、透析治療に行ってしまっているということが分かっていると聞いております。

 これらは、これまで対象となっていなかった慢性腎臓病を疑われる方々に対する重症化予防プログラムを考える時期に来ているんじゃないかな、高脂血症とか高血圧とかそういう方々にもしっかりとそういうプログラムをやっていくべきじゃないかなと考えております。

 早期発見、診断、治療、これをやっていく場合の有効な方法の一つとして、やはり健康診断であったりとか保健指導というものがあると思うんですけれども、年一回の健康診断に、糖尿病のリスクがあるかどうか、これを測る指標というのが当然あるわけなんですが、それと同じように、慢性腎臓病の評価指標として、血清クレアチニンや微量アルブミンの検査をしてもらって、この結果を用いて重症化予防の働きかけをすれば、随分と透析患者を減らしていく方にも効果が出るのかなという具合に考えています。

 そのためにも、各自治体が取り組めるような補助制度、慢性腎臓病対策を保険者努力支援制度評価の対象に加えるなど、慢性腎臓病対策と糖尿病性腎症対策の取組の連携の在り方を国が率先して示すなど、足並みをそろえるよう、国レベルで整理、インセンティブがつくられるべきじゃないかなと思っていますけれども、大臣の御見解を教えてください。

後藤国務大臣 新規の人工透析導入患者の約四割が糖尿病性腎炎によるもので、透析導入の原疾患としては最も多いものというふうになっております。

 一方、主に高血圧や加齢に由来する腎硬化症の割合が増加傾向にあるなど、総合的な慢性腎臓病、CKD対策が重要だという先生の御指摘、そのとおりだというふうに思っております。

 このため、先ほども御指摘ありましたけれども、三十年七月に腎疾患対策検討会において報告書を取りまとめまして、糖尿病性腎症のみならず腎硬化症も対象に、生活習慣病対策等も含めた総合的な慢性腎臓病、CKD対策を一体的に推進しているところでございます。

 報告書では、例えば、透析導入の原因となり得る原疾患の種類にかかわらず、重症化の兆候がある際に速やかに専門医に紹介し、早期に適切な介入を行うことで重症化を予防できるように、かかりつけ医から腎臓専門医療機関、糖尿病専門医療機関等への紹介基準とか、そうした連携の好事例も把握する等しながら、紹介基準の関係者への普及に努めているところでございます。

 さらに、先生から今御指摘があった自治体への補助事業でございますが、自治体が関係機関と連携するための経費、また、医療関係者に対する研修等の経費を支援する事業を今しております。

 また、特定健診の健診項目についてでございますが、生活習慣病に起因する慢性腎臓病、CKDの早期発見の観点も踏まえまして、血圧や血糖の値が一定の基準に該当し、医師が必要と認めた場合は、医療保険加入者の特定健診として血清クレアチニン検査を実施可能といたしております。

 引き続き、腎疾患対策検討会の報告書に基づきまして、糖尿病性腎炎以外の原因も含めた総合的な慢性腎臓病、CKD対策にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

池下委員 ありがとうございます。

 最後、しっかりと取り組んでいくというお言葉をいただきましたので、よろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってきましたので、次の質問に行かせていただきたいんですが、今般、大臣の所信表明演説の際に、子宮頸がんワクチン、いわゆるHPVワクチンについては、基本的に本年四月より積極的勧奨をさせるという具合に発言されておりますけれども、まず、積極的勧奨と通常の勧奨の違いというのを教えていただきたいと思います。

 ちょっと時間がないのでそのまま次に行かせていただきたいと思うんですが、資料の四の一と二なんですが、これは今回出されたパンフレットですかね、これも改定をされました。このパンフレット、積極的勧奨されるということなんですが、これは何のために作られているのかというのも併せてお伺いをしたいなという具合に思います。

 そして、大臣、積極的勧奨を再開すると明言されたこの勧奨の意味は、私、実際ちょっとこのリーフレットを見て、これは単なる、積極的勧奨というより情報提供ちゃうかなというくらい、お勧めするというレベルまではちょっと行っていないんじゃないかなと個人的に思うわけなんですが、単に、相手に、資料を見て、打たな駄目なんだよねと推し量ってもらうような、そういうポーズをするだけじゃなくて、しっかりと、せっかくパンフレットを作ったわけですから、積極的勧奨を私はやっていくべきじゃないかなという具合に思っております。

 そこで、ちょっと私の事務所の方で作らせていただいた資料で、定期的予防接種A類の接種率というのをちょっと作成をさせていただいております。

 こちらの方は、資料四の三になるんですが、定期予防接種の率が書かれております。大体九〇%以上、計算したものが載ってあるわけなんですが、HPVの感染症、子宮頸がんの部分になるわけなんですけれども、こちらの方、二・六%、非常に低いわけですね。ほかは非常に高い数値を出しておりますけれども、非常に低いというものになっています。

 実は、この低い数字の原因というのは、やはり九年前に、差し控えるというのがあったからなのかなという具合に思っているんですけれども、それも含めて、ちょっと今までのところについて、考え方を聞かせていただきたいと思います。

橋本委員長 後藤厚生労働大臣、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

後藤国務大臣 はい。

 それでは、積極的勧奨は、接種勧奨の予防接種法第八条の規定、まさにそれに含まれるわけでございますけれども、個別に接種券をお送りするというようなことをすることが積極的勧奨だというふうに思っております。

 HPVワクチンの定期接種につきましては、積極的勧奨を差し控えることとしていたものの、昨年十一月の審議会におきまして、積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当であるとの結論を得たことから、厚生労働省から自治体に対しまして、先生から御指摘のあったとおり、基本的に本年四月から個別の勧奨を順次実施する旨の通知を発出いたしております。

 先月、自治体における情報提供資材として活用していただくため、ワクチンの有効性、安全性に関する情報や、接種を希望した場合に円滑に接種を受けるために必要となる情報を含むリーフレットを公表したところでございます。

 積極的勧奨の差し控えの終了後、自治体においては予診票の個別送付による勧奨が行われ、接種対象者の利便性が確保されているというふうに考えております。

 接種率の目標ありきではないということでございますけれども、接種対象者の方が接種しやすい環境を整えるため、必要な情報提供や相談支援体制、医療体制の確保に努めてまいりたいと思います。

池下委員 ありがとうございます。

 もうこれで質問を終わりますけれども、ワクチンの後遺症の受皿であったり支援対策であったりとか、また、このワクチンの、九年間やっていなかったわけですから、信頼というのがどうしても減ってきていると思いますので、是非この積極的勧奨につきまして更なる推進というものをやっていただきまして、また次やるかもしれませんけれども、どうぞよろしくお願いします。

 以上です。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、吉田とも代君。

吉田(と)委員 おはようございます。

 日本維新の会の吉田とも代と申します。よろしくお願いいたします。

 本日は、後藤厚生労働大臣の所信に対する質問ということで、先日の予算委員会での質疑に関連することをお伺いしたいと思います。

 新型コロナワクチン接種後の長期にわたって続く副反応、いわゆる後遺症のような症状に困っている方々への対応についてです。

 そのような方へのフォローをどのように厚労省が行っているのかという私の質問に対して、後藤大臣は、新型コロナワクチン接種後の副反応を疑う症状に対応するように、昨年二月に都道府県に対して通知を発出しておりまして、医療体制の確保を求めております、これを受けまして、現在、全ての都道府県におきまして、副反応であることが疑われる症状がある場合に専門的な医療機関を円滑に受診できる体制が確保され、また、接種を受けた方が相談できる窓口も各県一か所については整備されておりますとお答えになりました。

 しかし、私がお聞きする後遺症のような症状に悩んでいる方の声は、自治体の相談窓口に連絡をしても、その窓口では、かかりつけ医あるいは接種した医師を受診してくださいと言われ、かかりつけ医や接種した医師を受診したとき、診察を受けても、異常な結果がなければ診察は終わりになり、専門的医療機関につないでもらうこともできなかったり、お医者さんから対応してもらえなくなるなどの声や、お医者さんから、そもそも始まったばかりのワクチンなので我々も対応の仕方が分からないと言われる、また、いろいろな医療機関をたらい回しにされるなど、結局はどうしたらいいのか分からないという声でした。

 厚労省として、コロナワクチン接種後の後遺症に対する診療の手引のようなものや、コロナワクチン後遺症の専用外来のようなものを整備するおつもりはないのでしょうか。

後藤国務大臣 今委員の方から、ワクチン接種後の副反応を疑う症状に対応する体制について、私の前回の答弁を引いていただいて、御丁寧に御説明いただきました。ありがとうございます。

 そういうことで、専門的な医療機関を円滑に受診できる体制確保、接種を受けた方が相談できる窓口等も整備されておりまして、副反応疑い報告制度によりまして、定期的に開催している審議会においても評価を行っているところでございます。

 それで、今日、改めて明確に御指摘あったのは、副反応というよりも後遺症、いわゆる後遺症というものに対する対応の御指摘であるというふうに受け止めました。

 後遺症のような症状についても、副反応疑い報告制度により報告は受けております。しかし、認識としては、現状においてこれまでワクチン接種が原因と判断されたものはないというふうに、その報告では承知をいたしております。

 ただし、今後、ワクチン接種が原因と判断されたような後遺症が出てくる場合には、専門家の意見を聞きながら、必要に応じて診療の手引等の作成等、また必要な手段を検討してまいりたいというふうに思っております。

吉田(と)委員 私がお伺いしておりますのは、後遺症のような症状に悩んでいる、そして、かかりつけ医に相談しても、結局これ以上は分からないということで大きな病院を紹介してもらって受診をしても、結局、気のせいではないですかと言われたり、又は精神的な病気ですよということで精神科病院や精神科クリニックを紹介されて、結局は精神疾患として扱われるというお話なんですね。それで、大学病院や専門の病院では既存の病気で該当するような症状を探しているのであって、初めてのコロナワクチンに対する知見が必要なんだと思います。

 誰からも相手にされずに今苦しい思いをなさっている新型コロナワクチン接種後の後遺症患者というのは、確実にいらっしゃいます。厚労省に是非お願いしたいことは、この後遺症のような症状の情報収集や調査研究を進めていただきまして、診療の手引の作成、そして新型コロナワクチン後遺症専用外来、この設置を是非急いでいただきますようにお願い申し上げます。

 続きまして、ヤングケアラーの実態把握のため、令和二年度に初の全国調査が行われました。しかし、調査方法がオンライン方式であったことから、対象となった中学生と、そして全日制高校の生徒本人に対する調査は回収率が低迷し、正確な実態を反映していないのではないかとの指摘がなされています。

 令和三年五月二十日の参議院内閣委員会で、我が党の柴田巧議員からも同様の指摘があったかと思います。その指摘に対し政府からは、調査の実施については今後検討してまいりたいと思いますとの答弁がありましたが、その後、国としての検討状況はどうなっているのでしょうか。

 また、前回の調査で対象外であった小学生及び大学生に対するヤングケアラーの実態調査を国が行うとのことですが、小学生及び大学生に対する実態調査の進捗状況、調査内容等について、後藤厚労大臣より詳細をお聞かせください。

後藤国務大臣 今、吉田委員から御指摘がありました昨年度実施したヤングケアラーの調査は、中学二年生と高校二年生の子供本人を対象に、全国調査として初めて実施したものでございます。

 委員御指摘のとおり、ウェブ上で回答を回収する方法でありました。それぞれ五千を超える回答を得ており、初めての調査として意義のある調査だったとは思いますけれども、確かに、対象校に在籍する中学二年生約十万人、そして高校二年生六・八万人について、それぞれ五千程度の回答であったのが事実でございます。

 本年度は、小学校六年生、大学三年生を対象として、昨年とほぼ同様の項目を調査しておりますが、それぞれ有効な回答数を得るために、大学三年生につきましては、調査対象数を増やした上で、ウェブによる調査を実施する、小学六年生に対しては、インターネットへのアクセス環境などに鑑みまして、紙のアンケートにより調査を実施するなど、有効回数を増やすように工夫をしながら調査を実施しています。

 来年度前半の公表に向けて、現在、調査を実施する事業者において……。失礼しました。今、一瞬私は新年度と。新年度になっていたら、予算が通っていないといけないので、大変なことでした。

 来年度前半の公表に向けて、現在、調査を実施する事業者において集計作業や確認作業を行っているところでありまして、今後、調査結果等を踏まえて必要な取組を推進してまいりたいと思います。

 どうも、勘違いで失礼な答弁をいたしました。

吉田(と)委員 後藤大臣、ありがとうございます。

 今、国の実態調査の状況をお伺いいたしましたけれども、自治体による実態調査というのも今後求めていかれるようにお伺いしておりますけれども、自治体によって、既に調査を実施済みのところもあれば、いまだに調査予定のない自治体もあり、対応にばらつきが出ています。この状態を放置すれば、住んでいる自治体の方針によって支援を受けられたり、又は受けられなかったりする事態が生じかねません。

 ヤングケアラーへの支援を確実に進めるためには、自治体に実態把握や支援を義務づけるなどの対応が必要ではないでしょうか。国としての見解を伺います。

橋本政府参考人 ヤングケアラーの実情、これは本当に地域によって様々でございまして、それぞれの地域の実情に応じた効果的な支援を行うためには、自治体単位での実態調査を行うということが有効でございます。

 令和四年度予算案には、自治体の実態調査に要する経費というものを計上しておりますので、私どもとしては、この予算を十分活用いただいて、それぞれの自治体で積極的にこの実態調査に取り組んでいただくようお願いしてまいりたいというふうに考えております。

 国としてリーダーシップというふうなことでございますけれども、実態調査の調査項目の中身、そこのところにつきましても、それぞれの自治体の実情や問題意識を通じて効果的な項目にしていただくということにはなってまいりますけれども、地域差を見るということも大事でございますので、そういう意味では、一定程度調査項目をそろえるということも必要なんだろうというふうに思います。

 したがいまして、今後、自治体に対しまして事業の詳細をお示しする際には、最低限盛り込んでいただきたい項目を示すなど、いろいろな工夫をしてまいりたいというふうに考えております。

吉田(と)委員 今御答弁いただきまして、是非国の方がリーダーシップを取っていただき、また、地域差を鑑みながら項目をある程度まとめていくということですけれども、そのメニューに関しても、比較対象がばらばらであるとその対象がまとまっていかないと思いますので、是非その方向性で進めていただければと思います。

 そうしましたら、続けまして、ヤングケアラーの中には、家族のことを話すのが恥ずかしい、誰に相談したらいいか分からないといった子供も多く、幼い頃から家族のケアをすることが当然である環境にいるため、自分がヤングケアラーであるという自覚すらない子供もいます。こうしたヤングケアラーの子供をどうやって見つけ出すのか、そして支援につなげていくのか、これがヤングケアラー施策の重要なポイントになると思います。

 昨年五月に出されましたヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム報告におきましては、支援を行うに当たっては、まず、福祉、介護、医療、教育といった様々な分野が連携をし、アウトリーチにより、潜在化しがちなヤングケアラーを早期に発見することが重要であるとされています。関係機関の連携は、ヤングケアラーへの支援を進める上で欠かせないものだと思います。

 ただ、担当の分野の違いからくる考え方の違いであったり、また、民間、そして公的な機関などの違いもあって、すぐに連携できるものでもないと思います。自治体として戸惑いの大きい部分でもあるかと思いますが、国として関係機関の連携をどのように支援していかれるのか、見解をお聞かせください。

橋本政府参考人 今委員から御指摘ございましたように、ヤングケアラーというのは、本当に潜在化しやすい、なかなか誰に相談していいのか分からない、逆に言いますと、いろいろな形で御相談を受けたところが、この方はヤングケアラーというふうな立場に置かれているということをキャッチして、必要な形で連携をしてつないでいくということが大事なわけでございます。したがいまして、このヤングケアラーを早期に発見して支援につなげるためには、福祉とか介護、医療、教育といった様々な分野の関係者が連携するということが大変重要でございます。

 今年度、多機関連携によるヤングケアラーへの支援の在り方に関する調査研究というものを実施いたしておりまして、地方自治体における発見の着眼点や支援のつなぎ方など、その成果をマニュアルにまとめまして、来年度前半にはこれを周知したいというふうに考えております。

 こういった取組を通じまして、地方自治体をしっかり支援し、関係機関同士がしっかり連携しながらヤングケアラーへの必要な支援が行われるように、私どもとしても努力してまいりたいと思います。

吉田(と)委員 是非、現場で活用しやすく、また実態に沿ったマニュアルを作成していただきまして、具体な支援につなげていただきたいと思います。

 更に掘り下げてお伺いいたしますが、国は、令和四年度予算に、新規事業としてヤングケアラー支援体制強化事業の経費を計上しております。その中で、モデル事業として、地方自治体に関係機関や民間支援団体とのパイプ役となるヤングケアラーコーディネーターの配置や、ヤングケアラー同士が悩みや経験を共有し合うオンラインサロンの設置、運営を行っていくとのことです。

 そこでお伺いいたしますが、このコーディネーターにはどのような方を置くことを想定しているのでしょうか。単なる飾りではなく、真の関係機関の連携を進められるような仕組みとなるよう工夫を凝らしていただきたいと思います。

 また、本当に助けを必要としているヤングケアラーは、こうした様々な取組を知るすべすらもない状況に置かれていることも考えられます。オンラインを通じた取組は重要で欠かせないものだと思いますが、そうしたツールを持たない子供たちのことも念頭に入れた取組をお願いしたいと思います。

 御見解をお願いいたします。

橋本政府参考人 ヤングケアラーへの支援体制を構築するためには、地方自治体による様々な取組を国が支援することが大事でございますので、令和四年度の予算案におきましては、関係機関と支援者団体等とのパイプ役となるコーディネーターの配置、それから、支援者団体によるピアサポート等の悩み相談、こういったものを実施するモデル事業を計上させていただいております。

 それで、コーディネーターというのはどんな人なのかというふうなお尋ねをいただきました。コーディネーターは、関係機関や団体からの相談に対して助言を行いまして、ヤングケアラーやその家庭を適切な福祉サービスにつなげるなどの役割ということを想定いたしております。

 そういった役割を踏まえますと、例えば、社会福祉士ですとか精神保健福祉士ですとか、そういったヤングケアラーの支援を行う上で効果的な資格を持っている方々が望ましいというふうに考えてございます。

 実際にこういった方がどういった働きをするのかというイメージで申し上げますと、例えば、自治体等で把握したヤングケアラーを、コーディネーターの方が、ピアサポートとかオンラインサロンとか、そういった相談や集いの場につないだりとか、あるいは逆に、ピアサポートやオンラインサロンの場で把握されたヤングケアラーが福祉サービスにうまくつながっていないような場合に、自治体の関係部局の方につないだりするとか、そういった、三者を一体的に機能させていくといったことをコーディネーターの役割として想定しているわけでございます。

 ただ、御指摘のとおり、せっかく相談窓口があっても、その存在を子供が知らないということであれば支援につながりませんので、私どもとしては、文部科学省とも連携の上で学校現場において周知を行うほか、自治体での広報活動の支援などにも努力してまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 子供に関わる周りの大人たちがヤングケアラーの存在に気づき、つなげていくことが大変重要な中で、ヤングケアラーへの支援を進めるためには、社会全体での認知度を高めることも大変重要となってきます。

 国は、二〇二二年度から二〇二四年度までの三年間をヤングケアラー認知度向上の集中取組期間として、広報啓発活動などを行うとのことですが、この広報啓発活動の具体的な内容についてお聞かせください。

後藤国務大臣 ヤングケアラーへの支援を進めていくためには、社会的認知度を向上させることが極めて重要であると私も考えております。

 令和四年度から三年間をヤングケアラー認知度向上の集中取組期間として、文部科学省ともこれは連携の上で、ヤングケアラーについて、子供を含め、広く国民に周知することとしております。

 そのため、ヤングケアラーの広報啓発に要する費用について令和四年度予算案に計上しておりますけれども、それに先駆けて、今年度、既に、ヤングケアラーの理解を深めるシンポジウム、ポスター、リーフレットの製作、普及啓発用動画の製作、展開、特設ホームページの製作などを行っておりまして、自治体に対しましても広報啓発等の積極的な実施について協力を依頼するなど、様々な広報活動を展開をいたしております。

 ヤングケアラーについて、できる限り多くの国民に正しい理解を深めていただくために、どのような取組が効果的か、今日御指摘いただいた点も含めて今後検討してまいりたいと思います。

吉田(と)委員 今、後藤大臣から、ポスターの配布であったり、シンポジウム、またインターネット動画配信等での積極的な広報活動を行っていくという御答弁をいただきました。

 この効果的な広報活動においては、期間を区切ってその効果を検証したり、又は、結果によっては、ターゲットを絞る、ほかの媒体に転換するなどの改善を行い、どうしたらより高い効果を得られるのかという視点に気づき、内容を改善していくことが重要かと思います。

 例えば、肝炎の正しい知識の普及と肝炎ウイルス検査受検率向上を目的とした活動である「知って、肝炎プロジェクト」であるとか、乳がんの早期発見、早期診断、そして早期治療の重要性を伝えるピンクリボン運動といったものがございます。

 ヤングケアラーについてもこうした広報活動を行って、周りの大人が、助けを求めている子供がいた場合、気づいてあげられるために、早期に認知度の向上を図ることはできないでしょうか。この点について御見解をお聞かせください。

橋本政府参考人 今、様々な取組の事例を委員から御指摘いただきました。

 今ここにつけております虐待の関係でのリボンなど、いろいろなやり方がございます。今委員から御指摘いただきましたようなことも含めまして、どんなやり方が効果的なのかということを、今後、私どもとしても十分検討させていただきたいと思います。

吉田(と)委員 子供たちにとっての一年というのは、大人にとっての一年とは比べ物にならないほど重みがあります。一年の遅れがヤングケアラーの子供たちの将来に大きな影を落とすことのないよう、三年の集中期間と言わず、是非、一日でも早く目的を達成できるような、早急な取組をお願いしたいと思います。

 さて、子供の頃にヤングケアラーであった方たちのインタビューを見ていますと、学校の先生や身近な大人に相談したときに、相談される側としてはもちろん悪意はないのでしょうけれども、家族を言い訳にしないでとか、同じ状況でももっと頑張っている人がいるといった言葉をかけられ、それをきっかけに大人への相談をやめてしまったというような経験談が語られています。

 最初の相談の段階で支援につながる芽を潰してしまわないように、日常的に子供に接する機会のある大人たちのヤングケアラーへの理解を深めていくことが重要であると考えます。例えば、先生たちの通常の研修の中でヤングケアラーの項目を追加で設けるなど、あらゆる機会を捉えて知識の普及を推進していくべきではないかと思いますが、見解をお聞かせください。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 全ての児童生徒が、家庭環境に左右されることなく豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられる環境を整備することが不可欠でございます。

 御指摘のヤングケアラーにつきましては、学校を含む関係機関が連携して、適切に把握し、必要な支援につなげていくということが重要だと考えております。

 このため、文部科学省といたしましては、昨年五月の厚生労働省との連携プロジェクトチームの報告書におきまして、教育委員会と福祉、介護、医療の部局とが合同で研修を行うなどして、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー含む教職員へのヤングケアラーの概念等についての理解促進を図る必要があるということを明記をいたしまして、教育委員会に対し、福祉部局と連携した研修の実施について依頼をしているところでございます。

 加えまして、文部科学省におきましても、教育委員会の生徒指導や教育相談の担当者を対象に、ヤングケアラーの対応に関して周知を図るとともに、独立行政法人教職員支援機構と連携して行います教職員等への研修におきましても、ヤングケアラーの内容も扱っているところでございます。

 文部科学省としては、今後とも、こうした様々な機会を捉えまして、教育委員会において定期的に行う教職員への研修にヤングケアラーの内容を盛り込むことも含めまして、理解促進がなされるように努めてまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 学校というのは、子供たちが一日の大半を過ごす場所であります。先生が虐待に気づく、気づかないというのでは大きく育ちに影響してまいります。研修内容や研修時間など規定のものはないようにお伺いしておりますので、各自治体によって受け止め方が異なると推測いたします。

 国としても、ある程度の枠組み、一定の規定をつくって自治体への働きかけが必要ではないのかなと感じております。学校の先生方にひとしくヤングケアラーについて知識を深めていただく機会が設けられることを要望したいと思います。

 さて、令和三年度補正予算には、子育て世帯訪問支援臨時特例事業に関する費用が盛り込まれ、子育てに悩みや不安を抱える家庭が対象となり、幅広い家庭を対象に実施していくとの答弁がなされております。ヤングケアラーの家庭を始め困っている御家庭がこの事業を活用できるように、積極的に推進していくべきと考えますが、見解をお聞かせください。

後藤国務大臣 お尋ねの子育て世帯訪問支援臨時特例事業は、御指摘のとおり、令和三年度補正予算によりまして、訪問支援員が、ヤングケアラーのいる家庭も含めまして、家事、育児に不安を抱えた家庭等を訪問しまして、不安や悩みを傾聴させていただくとともに、家事、育児等の支援を実施するものでございます。

 令和五年度までの事業として、安心こども基金に計上しており、より多くの自治体に取り組んでいただけるよう、自治体向けの会議の場などにおいて本事業の取組を促してまいりたいというふうに思っております。

 その上で、児童福祉法等の改正案において、令和六年度から、子育てに関する情報の提供、家事、養育に関する援助等を行う子育て世帯への訪問支援事業を市区町村の事業として制度上位置づけるという改正を準備しておりまして、事業の計画的な整備を進めてまいりたいと思っております。

吉田(と)委員 ヤングケアラー問題を始めとして、多様な社会の変化に息苦しさを抱えている方、また、孤立している方、子育てに悩む方への支援がこれまで以上に必要不可欠になってきていると実感いたしますので、引き続き推し進めていただきたいと思います。

 そういたしましたら、申し訳ございません、通告の順番を少し変えさせていただきたいと思います。

 コロナ禍におけるDV被害の深刻さが指摘されておりますが、配偶者暴力相談支援センターへの相談件数は、令和元年度は十一万九千件、新型コロナウイルス感染症が蔓延した令和二年度にはDV相談プラスを含めると十九万件に達し、増加の一途をたどっております。

 このコロナ禍の深刻さを踏まえ、内閣府は二〇二〇年四月に、新たな相談窓口としてDV相談プラスを開設されました。開設してから二〇二一年二月までに全国の配偶者暴力相談支援センターとDV相談プラスに寄せられた相談件数を合わせると前年の同時期と比べて約一・五倍となっており、相談しやすい体制が確立されていると考えられます。

 このDV相談プラスは、コロナ禍における一時的なものと考えていらっしゃるのか、それとも、コロナが収束した後においても恒常的に設置しようと考えているのか、見解をお聞かせください。

林政府参考人 委員御指摘のとおり、内閣府では令和二年四月に、新たなDVの相談窓口としてDV相談プラスを開設をいたしました。DV相談プラスは、被害者の多様なニーズに対応できるよう、二十四時間対応の電話相談に加え、SNS相談、メール相談などを実施しております。

 内閣府といたしましては、DV相談プラスは継続する必要があると考えておりまして、来年度、令和四年度も引き続き実施することといたしております。

吉田(と)委員 令和四年度は引き続き実施予定ということですけれども、その後の予定というのはいかがなんでしょうか。

林政府参考人 現在このDV相談プラスは補正予算で措置をしているものでございますが、私どもとしては、このDV相談プラスに寄せられた相談件数が大変多く、また多くの方々から是非続けてほしいというお話もいただいておりますので、コロナが終わった後においてもこれは大変有用と考えておりますので、引き続きDV相談プラスを続けられないか、その検討を進めてまいりたいと思います。

吉田(と)委員 これだけ利用されている方が多いというのは、やはり助けを求めている声が多いという表れだと思います。コロナ禍ということだけでなくこの増加しているDVに対して、女性の活躍を推進していくという意味でも切れ目ない支援が大切だと考えますので、引き続き前向きに御検討をよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 おはようございます。

 コロナ対策から、まず伺います。

 蔓延防止措置の延長、解除についてです。

 本日、十八の都道府県で延長が決定されるということが言われています。何度目か分からないほどのこの延長ではあるんですが、これはどうやったら解除につながるのかということが問われています。昨日、東京都知事の定例会でも、解除できる国の基準を示してほしいといった声がありました。一方、和歌山県等は解除となる見込みでありますが、まず、今回は何をもって解除の方針を示したのか、伺います。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 蔓延防止等重点措置の終了につきましては、新規感染者数の動向や病床使用率、重症病床使用率、自宅療養者や療養等調整中の方の数など、医療への負荷の状況を見て、専門家の意見も聞きながら総合的に判断することとしております。

田中(健)委員 総合的ということでまとめられるんですけれども、基準とはなかなかなっていないのが現状であります。要請は県からの、知事からの要請ということで、これは仕方ない面があるんですけれども、解除となりますと国の判断というのが大きなきっかけとなりますので、是非これは国民に納得感のあるものにつなげていってほしいと思っています。

 といいますのも、蔓延防止対策は、相変わらずの飲食店の時短と行動制限、それに伴う協力金の対策ということとなっています。厚生労働省としては、高齢者施設での医療提供を充実するための対策を盛り込まれたことは重々理解しておりますし、また、前回の委員会で山井先生が取り上げていただいた訪問介護の加算など、様々な対応を進めているとも理解していますが、延長となりますと、またかという声、いつまで続くんだという一種の諦めと、また、不平等感というものの声が強くなっているのを感じています。

 前回、延長を決めたのが二月十八日でありますが、この際、基本的対処方針の分科会では二人の専門家のメンバーの方が延長反対を表明しました。この専門委員の発言をどう受け止めたのか、また、それを今どう生かしているのか、伺います。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 先日、二月十八日に開催されました基本的対処方針分科会におきまして、蔓延防止等重点措置の延長及び解除に関する諮問案について審議されました際、重点措置の延長につきまして、二名の委員から、肺炎の発生頻度が季節性インフルエンザと比較して相当程度高いという重点措置の要件を満たしているか明確でない等の理由で反対する御意見がございました。その一方で、感染拡大の途中では正確なデータの集積が限られるものの、季節性インフルエンザとオミクロン株は明らかに異なるものであるとの御意見もあり、御議論の結果、最終的に分科会として了承されたと承知をいたしております。

 この重点措置の要件を満たすかどうかということにつきましては、個別の変異株ごとではなくて、新型コロナウイルス感染症全体として判断を行っているところでございますが、オミクロン株につきましては、先般三月二日の厚生労働省アドバイザリーボードにおきまして、暫定的な見解でございますが、オミクロン株による感染の致死率は季節性インフルエンザよりも高く、肺炎の発症率についても限られたデータではございますが季節性インフルエンザより高いことが示唆されているところでございます。

 政府といたしましては、オミクロン株を含む新型コロナウイルスの感染が拡大することは国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあり、特措法に基づき蔓延防止等重点措置を集中的に実施すべき事態であるという認識をいたしており、引き続き、オミクロン株に関する科学的知見の集積を図りつつ、感染状況など事態の変化に適切に対応してまいりたい、このように考えてございます。

田中(健)委員 二日の専門家の提言、後ほどそれも質問をさせていただきたいと思いますが、今質問しました二人のメンバーの反対意見、確かにそのような発言が確認できました。

 その中で、今取り上げていただきました、オミクロン株の感染拡大から一か月以上が経過していますので、その肺炎の発生頻度のデータ、これの比較をすぐすべきだということが述べられていました。これは、当時の時点で一か月以上ですから、もう二か月になるわけでありますが、このデータ分析というのはしっかりとされているんでしょうか、伺います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 オミクロン株の感染状況、またあるいは重症化率といったものにつきましては、毎週厚生労働省の方で開催しておりますアドバイザリーボードの方に各自治体あるいは感染症研究所の方から報告をされているところでございます。

田中(健)委員 済みません、私の質問が足らなかったんですけれども、新型コロナと季節性のインフルエンザですね、これとの比較という意味で、今のオミクロン株の肺炎の発生頻度のデータの分析がされているかということです。お願いします。

佐原政府参考人 御指摘の季節性インフルエンザとそれから今回のコロナウイルスにつきましての比較ということにつきましても、今週行われましたアドバイザリーボードの方に専門家の方々からその比較についての資料が出されておるところでございます。

田中(健)委員 致死率の数字の値というのは出ていましたけれども、この発生頻度というのは比較ということでは私は出ていなかったかと思うので、エビデンスに基づいた判断をすると質問ごとに発言が各大臣からもありますので、是非エビデンスに基づいた対策をこれからも引き続きしていただきたいと思っています。

 と申しますのも、やはり、第六波のクラスター発生が少ない飲食店への営業時間規制というのはオミクロン株対策として有効なのかという意見が度々出ています。一昨日の予算委員会でも、この現状を聞かれた尾身理事長は、感染が思うように下火にならないのは、高齢者と子供に感染が広がっていることに加え、ワクチンの三回目の接種が遅れているという発言がありました。これは当然でありまして、そのとおりかと思うんですけれども、逆に言えば、飲食店についての発言というのはありませんでした。

 そうしますと、やはり、現在の蔓延防止対策、このままでいいのかという思いに駆られるわけですけれども、もう一度、この蔓延防止対策、このままの状況でいいのかということを再度お聞かせください。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 蔓延防止等重点措置は、地域の感染状況に応じまして、期間、区域を絞った上で実効性のある措置を機動的に実施できるというものでございます。

 お尋ねの飲食に関しましては、マスクを外す飲食の場面は感染リスクが高いということがコロナ分科会などの提言でも示されております。特に、大人数や長時間に及ぶ飲食、あるいは飲酒を伴う懇親会等についてはリスクが高まるというふうに専門家により分析がされております。また、感染状況の分析から、クラスターの発生は飲食店で先行するという専門家からの指摘もございます。こういうようなことを踏まえて、飲食店への時短要請や酒類提供の停止といった措置を講じているものでございます。

 また、飲食に限らず、そのほかにも、イベントにおける人数上限、あるいは、テレワークの活用、時差出勤の推進等、感染拡大防止の施策にそれぞれ取り組んでいるところでございます。

 その結果、飲食店におけるクラスターの減少が見られますし、また、足下での全国的な新規感染者や医療への負荷の軽減傾向が確認されておりまして、一定の効果が出ているものというふうに考えてございます。

 こうした対策に加えまして、さらに、二月二十日、専門家からの提言を踏まえまして、感染が広がっている学校、保育所、高齢者施設等におけるオミクロン株の特性を踏まえた感染対策を強化することといたしました。

 引き続き、今後の感染状況あるいは医療の逼迫度を高い警戒感を持って注視しつつ、都道府県と緊密に連携をして、地域の実情に応じた効果的な感染対策を講じてまいりたい、このように考えてございます。

田中(健)委員 飲食店の利用を減らしてクラスターを抑えるというのが、協力金というよりももはや補助金のような形になってしまっておりまして、不平等感というのがかなり皆さんの思いに湧き上がっているところがありますので、是非、いろいろな取組を今しているのは重々お聞きをさせてもらいましたし、理解をしていますが、エビデンスに基づいた対応というのをしっかりとしていただきたいことを要望したいと思います。

 その続きで、まさに先ほど出ましたアドバイザリーボードなんですが、二十四日、専門家有志が作戦転換というものを提言しまして、濃厚接触者を特定した封じ込めは不可能だ、また、濃厚接触者の特定と行動制限が社会活動の弊害の要因になっているということで、かなり踏み込んだ提言をされていました。

 現在、濃厚接触者というのをどのように考えればいいのかと、この提言を見ると思うんですが、政府の見解を伺います。

後藤国務大臣 今委員から御指摘いただいたように、アドバイザリーボードにおいて、有識者の提言として、オミクロン株の感染が拡大している状況において積極的疫学調査には一定の時間がかかるわけで、オミクロン株は潜伏期間や世代期間が短いことから、積極的疫学調査により濃厚接触者を特定し、待機命令をかけることによる効果は限定的となっている、すなわち、その間に三次、四次の感染も起きてしまっているような事態も発生しているのではないかという提言、報告がなされまして、議論を行うべきだということでございました。

 今先生からも指摘があったように、濃厚接触者の待機の在り方については、濃厚接触者を待機させることによる感染拡大防止効果がどれぐらいあるのか、それから、濃厚接触者が働けない、動けないことなどによって社会経済活動への効果、影響がどのように出るのか、そういう点も両面から検討することも必要です。

 それから、今、濃厚接触者は積極的疫学調査により特定されるというふうに申し上げましたけれども、その積極的疫学調査にも、感染した可能性のある者を特定して感染拡大を防止を図るという機能と、それから、感染経路などを確認しまして効果的な感染拡大防止対策につなげるという、そういう二つの機能があるわけでありまして、そうした積極的疫学調査の機能も含めて濃厚接触者をどういうふうに考えていくか十分な検討が必要だ、そういう、アドバイザリーボードでもいろいろな御意見が出た中で、そういう議論が今進んでいるところでございます。

 いずれにせよ、オミクロン株がまだ十分に分からない中で、大分オミクロン株の性格も分かってきたわけでございますから、新たな科学的知見を踏まえながら、従来からのいろいろな制度にとらわれることなく、必要な改善を絶え間なく行っていく、そういう姿勢で臨んでいきたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

田中(健)委員 まさに今、濃厚接触者は疫学的調査の下に、その追跡調査もするというようなことを言っていましたが、これは保健所の役割です。保健所は、濃厚接触者の特定とともに、感染者の全数把握もしています。大変業務は圧迫されていまして、一日ピークでは十万人、昨日でも七万人ということで、ほぼこれは追い切れていないのが現実です。さらに、感染拡大抑止ということには至っていないんじゃないかと思います。

 更に言えば、今、陽性者の範囲というのはすごく広くなっていまして、今までは、検査に行って陽性であれば確定陽性者ということでありましたが、しかし、病院に行ってもみなし陽性もいますし、セルフチェックで陽性という方もいますし、陽性がすごく、多様していると言うと言い方はおかしいんですけれども、様々となっています。

 この陽性者というものをもう一度捉え直した上で保健所等の在り方というのを議論していかなきゃならないと思いますが、この陽性者をどのように捉えているのか、これは陽性率とも関わることなんですが、検査数と併せて、その対応を伺います。

佐原政府参考人 厚生労働省における陽性者等の把握の現状について、御説明をさせていただきます。

 まず、新規陽性者数につきましては、都道府県がウェブサイトで公表している数等を集計していますほか、発生届のHER―SYSへの入力により、把握をしているところでございます。

 この中には、医師が検査を行わず、臨床症状で診断する、今御指摘ありました疑似症患者さんについても含まれているというところでございます。

 現状、把握できていないのではないかという御指摘につきましては、新規陽性者の数の絶対数が非常に多かったということで、医療機関や保健所でのHER―SYSへの入力が遅れたということもあるというふうに承知をしております。

 厚労省の方のアドバイザリーボードでも、この新規陽性者数については、このような報告の遅れが見られた点に留意しつつ、評価を今しているところでありますし、また、厚労省としても、発生届の入力項目の絞り込み等が可能であるということをお示しすることで、現場の負担がなるべく軽減できるように今努めているところでございます。

田中(健)委員 HER―SYSに入れているのはもちろん分かっておりますけれども、先ほど言ったのは、HER―SYSにほとんど入れていない、PCRの無料検査場なんというのは入っていませんし、もちろんみなし陽性も入っていませんし、セルフチェックも入っていませんので、是非もう一度、この陽性者というものをどのように捉えるかというのを整理していただきたいと思います。

 といいますのも、前回の議論でピークアウトという議論がされていましたけれども、ピークアウトという議論に対して、いやはや、陽性率は世界が五%なのに、東京、大阪は四〇%だというような声が出ていました。そういった声もあります。

 しかし、その陽性率が、今言ったように把握ができていないと、前と比較がなかなか難しいですし、これが私自身も本当に高いのか低いのか分かりません。

 ですので、この検査体制、判断が入り乱れている、いろいろな形で検査数を増やしていただいたというのは皆さんの要望であったし、現実であると思いますが、是非、この政策判断に必要な陽性率というものをしっかり把握してほしいと思います。

 といいますのも、それぞれ意味がある数字ですから、それが指標となって政策判断になると思っています。ですから、指標の目的を明確化すべき、そしてそれを正確に把握すべきということについて、大臣の意見を伺います。

後藤国務大臣 今、委員からおっしゃられたように、HER―SYSの入力の遅れが生じていること、あるいは、例えば、疑似症患者と同じような扱いをされている、みなしの取扱いの問題だとか、データについてはできる限り正確なものとしていかなければならないという委員の御指摘については十分理解をいたしますし、保健所あるいは関係者が今の現状の下でどのぐらいのことが可能であるかということ、また、実際に制度上どのぐらいのところまでが可能であるかということもよく点検しながら、しっかり検討しながら進めていかなければいけないというふうに思っています。

田中(健)委員 これを質問したのは、なし崩し的に今いろいろなことが行われているということで、そもそも、無症状者や軽症状者が多く占める中で、検査陽性者数の全体把握がどれだけ意味があるのかということも疑問を持っているからです。

 といいますのも、神奈川県、神奈川方式というのを取り入れています。これは、医療機関を受診せずに、抗原検査キット等で、セルフテストで陽性であれば、そのまま自分の判断で療養することを選択する、自主療養制度と言っているそうですが、これに伴いますと、神奈川県が発行する自主療養専用の療養証明書を使っている、これは感染症法に基づかないということでありまして、これは実際数の把握、神奈川県はしていますけれども、HER―SYSにこれは入れていません。

 さらに、自主療養者への民間保険支払いまで先週始まったということであります。

 これも、聞きますと、これが最善だと思っていない、保健所が手いっぱいで、もう病院も手いっぱいで、致し方なくやっているという神奈川県の声なんですけれども、これが進んでしまいますと、そもそもの政府が進めているものからずれてしまうのかという思いがあります。

 つまり、一方では、保健所の発生届の処理や健康観察というものから負担が減ります、軽症者の皆さんは。同時に、政府がやっています外出制限というようなことなどの権限を、ある意味放棄をするということになってしまっています。

 この取組をどのように理解すればいいのか。また、これによりますと、先ほど言った感染者の全数把握というのはもう実際にできていないということになるんじゃないかと思いますが、それでもいいのかということで、質問をお願いします。

後藤国務大臣 今の田中委員から御指摘の神奈川県における取組は、重症化リスクの低い方で抗原検査キットや無料検査で陽性が判明した場合には、医療機関の診断を待たずに自ら療養を始められるように、今御披露いただいたように自主療養を選択できるようにする取組であるというふうに承知いたしております。

 このいわゆる自主療養につきましては、感染症法の例外として、医師による発生届はなされていませんが、神奈川県が独自に自主療養者を集計して公表しているものと承知をいたしております。また、本人の届出に基づきまして自主的に感染防止対策が行われる取組でございまして、今御指摘もいただいたように、緊急避難的なものと考えております。

 現時点においては、厚生労働省として、こうした地方の事情に応じた取組を認めておりますけれども、現行の感染法上問題があるというふうに考えているわけではありませんが、こうしたことの法的位置づけについては、今後の感染症法の在り方の検討の中で制度として検討していく必要があるという認識は持っております。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

田中(健)委員 ありがとうございます。

 全数把握は必要だと思いますし、また、追跡調査ということも、先ほど必要性を言ってもらいましたが、このように今、やむにやまれずということで、保健所の逼迫やないしは病院の逼迫ということがここまで来ているということの一つの表れかと思いますので、是非、対策の方を更に進めていただきたいと思います。

 次に移ります。

 五歳から十一歳の子供ワクチン接種です。

 こちらの話は、水曜日の議論でも、接種はあくまで任意ということを大臣から確認できましたが、全国で接種が進む中、全ての対象児童に接種券を配る自治体もあれば、また、泉大津市ですね、紹介いただきましたけれども、希望者に接種券の配付をする自治体もあるということも理解しました。しかしながら、これは一方で逆に不安を募らせます。

 どんな自治体がどういう対応をしているかということを、政府としてはこの取組を把握をしていらっしゃるんでしょうか。伺います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 接種の勧奨に関する取組につきまして、各自治体の取組を国としてつぶさに把握しているわけではございませんが、接種勧奨の方法として、接種対象者に接種券を送付しない自治体があるということは承知をしております。

田中(健)委員 是非把握していただきたいと思います。それで何か管理をするというわけではないんですが、全国でどういう取組をしているかというのはやはり知っておくべきだと思っています。といいますのは、各自治体によってかなり違うからです。

 例えば、山梨県は、知事自ら会見でも、子供たちへの積極的な接種を呼びかけています。ホームページにも載っていました。さらに、これはワクチンじゃないんですけれども、新山梨方式と題して、陽性が判明した児童と同じクラスの児童に全員PCR検査を実施する。同じクラスでなくても学校行事で長時間接した児童も対象にする。さらに、PCRを受けられなければ濃厚接触者と同じ七日間の自宅待機ということ。さらに、保護者からも同意書まで一人一人取るというようなことをやっています。ちょっとこれは、私も子供を持つ親として、どうなんだろうというか、やり過ぎなんじゃないかという思いがあります。

 こういうように各自治体でいろいろなことが今、自治体の独自性とかそれぞれの特殊性というのは判断でいいとは思うんですけれども、こういうことをやはり把握しておかないと、実際何が日本で起きているのか分からないということになりはしないかという懸念がありますが、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 今御指摘ありました接種券につきましては、接種を実施する医療機関が接種対象者であることを確認する上でも必要なものというふうに考えております。このため、接種券の個別送付は、接種勧奨の方法としてのみならず、接種対象者の利便性を確保する方法としても重要でありまして、国としては、市町村に対して、対象者に接種券を送るようにということを求めているところでございます。

 なお、接種券を一斉送付したとしても、新型コロナウイルスワクチン接種はあくまで任意でありますので、接種するかどうかは御本人や保護者が判断するものであるということは併せて丁寧に情報発信していきたいと考えております。

田中(健)委員 任意なのは冒頭お話ししましたし、接種券を送ってくれと言っているのも政府としては分かりますけれども、現状がどうなのかということを、別にこれ、調べるだけですから、何かそれに対して指示や何か判断をするということではないので、是非把握を、今まさに三月から始まっておりますので、お願いしたいと思います。

 次は、人口減少です。

 先日、令和三年の人口動態統計が発表されました。これは、死亡者数は百四十五万人、出生数八十四万人、婚姻数五十一万人ということで、コロナ死亡を五万人上回る死者、また、子供が三万人減り、また出生の原動力となります婚姻も二万人減るということです。

 まず、この死亡者が増えた理由について、政府の見解を伺います。

鈴木政府参考人 お尋ねの人口動態統計におきまして、死因別の死亡者数につきましては、これは九月までの統計が出ておりますけれども、一月から九月までの累計で対前年比を見ますと、老衰での死亡者数の増加が一番多くなっておりますが、次いで新型コロナウイルス感染症、循環器系の疾患の順となっております。

田中(健)委員 端的にありがとうございます。

 昨年が減ったということで反動でかなり増えたというのをお聞きしましたけれども、しかし、ここまで減るのはちょっと異常ではないかという思いで質問をさせていただいております。

 今ありました老衰というお話なんですけれども、コロナ死の一・五万人以外で増加しているのは老衰や循環器系の疾患です。大災害もなくて、ほかに特殊な病気が流行したのではないのに、やはりこれだけの人数の方が亡くなるといいますと、これは新型コロナの影響があったんじゃないかと思うことも考え得ると思います。

 やはり、コロナは怖いという空気をつくり出してしまうと、結果的に、高齢者の方、特に独り暮らしの方も含めて、自粛を長期間強いてしまいます。外出しなくなって筋力が衰えて転んで骨折して、また、人とも話さなくて認知症になってしまうということが全国に百万人近くいるんじゃないかと言う専門家もいらっしゃいます。

 行動制限とワクチン接種で高齢者を守れ、これはみんなの同じ思いでありますし、高齢者にワクチンは大事だということも分かりますが、やはり新型コロナにかからないことだけをもって高齢者を守るということではないと思っています。

 施設や病院で、面会禁止で家族に会えないということを何度もテレビでも見ました。高齢者だけでなくて私たちも必ず亡くなるという事実に向き合って、やはり、残された時間を有意義に過ごせるような、高齢者を大切にするとか、高齢者を守るといった意味も、今こそ冷静に、また真剣に考えるときだと思っています。是非、単に人口が減った今の分析だけでなく、もう少し具体的な分析というものにつなげていただきたいと思います。

 じゃ、出生率と婚姻が大幅に減った理由を引き続きお伺いします。

鈴木政府参考人 まず、出生数でございますけれども、これは令和二年十二月から令和三年二月にかけまして対前年同月比で大きく減少してございます。これは、妊娠から出産までが約十か月であることを踏まえますと、国内で新型コロナウイルス感染症の影響が出始めた令和二年二月以降の影響が出ているのではないかと考えてございます。

 それから、婚姻数につきましても、近年元々減少傾向ではございましたけれども、特に令和二年が対前年比一二・七%の減、令和三年も対前年比四・三%の減と、例年に比して大きく減少しておりまして、これらのことから、令和三年の数字につきましては、新型コロナウイルス感染症もその要因の一つであるということは否定できないものと考えてございます。

田中(健)委員 これについては、コロナの影響があったという話がありました。結婚式を遅らせたとか、コロナが終わったら式を挙げるという多くの人がいたと思いますので、その影響もあったかと思います。

 しかし、ここで問題だと思うのは、この二〇一六年から二〇二一年、六年連続して減少しているんですね。平均三・三%減っています。これを単純に当てはめると、二〇四〇年、七十四万人という指標を出している厚労省の数からすると、七十四万人は二〇二五年には到達してしまって、二〇四〇年は四十八万人になってしまいます。これは、合計特殊出生率を加味していませんので単純計算ですけれども、これは大問題だという認識です。

 人口は、社会保険始め、まさに私たちが所管する厚生労働省にとって一番の基本かと思います。注意していかなければならないと考えておりますので、是非、こちらの取組を進めていただきたいと思います。

 最後です、済みません。

 臓器移植、これは、いろんなところに波及するという意味では、新型コロナの感染拡大で臓器移植が難しくなって、減っているということです。これは現状、どんな対策が取られているのか。そして、他方、アメリカでは豚の心臓移植というのが成功して、ちょっと私もびっくりしました。これは日本では可能なのか、現状と課題についてお伺いをします。

橋本委員長 佐原健康局長、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

佐原政府参考人 まず、現状について報告させていただきます。

 臓器移植の件数は、令和元年度百二十件と比較しますと、令和二年度は六十九件と低下しております。ただ、様々な取組を行いまして、令和三年度は八十二件まで回復傾向というところでございます。

 また、この回復をするに当たりましては、拠点施設の整備、あるいは、移植施設相互間の支援制度の周知等に取り組んでいるところでございます。

伊原政府参考人 米国で豚から人への心臓移植が行われた件に関しまして、日本でどうなのかという御質問だったと思います。

 日本の場合は、今までのところ、豚の心臓を人に移植した例は承知しておりませんけれども、仮に実施する場合、一般論として申し上げますと、倫理的な観点、安全性を確保し得るかどうかといったことについて、関係者も含めた議論や検討が必要になると考えておりまして、今後、国際的な動向等も注視しつつ対処したいと考えております。

田中(健)委員 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 大臣所信に対する質疑、機会をいただきましたので質問いたします。大臣も参議院予算委員会との並行で大変だと思いますが、是非よろしくお願いいたします。

 私からは、まず、資料、ページでいうと十ページ、十一ページ、ページ表記では七、八ページです。埼玉県ふじみ野市で起きた在宅医銃殺事件の内容について大臣にお尋ねをしたいと思うんですが、殺害された鈴木純一医師、私は面識はございませんが、加害者の母親の診療を担当する在宅医、診療方針などをめぐり食い違っていたことなどから、トラブルが原因とされております。

 これは新型コロナ、オミクロンの感染拡大のさなかであったわけですが、社会的にも大変衝撃的である以上に、多くの在宅患者さん、訪問診療に携わり、信頼も厚かったと新聞報道でもされておりますし、私も埼玉の仲間の医師にもお尋ねをしたところ、やはり大変信頼厚い先生だったと。御本人はさぞかし無念であったと思いますし、御家族、またクリニックの職員、さらには鈴木医師に診ていただいていた患者さんの悲しみ、衝撃は計り知れないと思います。在宅医が患者さんの家で家族に殺害されるという、衝撃的な私は事件と。

 改めて、大臣、所信の中でも地域包括ケアシステムの推進と述べられておりました。在宅医療を推進する立場である厚生労働大臣として、受け止めをまずお尋ねしたいと思います。

後藤国務大臣 まずは、今回の事件でお亡くなりになられた方に対して本当に心よりお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われた方々に対してもお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 今、中島先生がお気持ちを吐露されましたけれども、私もその気持ちを共有をいたしております。

 報道で概要は承知しておりまして、経緯など詳細についてはまだ存じ上げない点もございますので、個別のことについてのコメントは差し控えたいとは思いますけれども。

 医療は、患者御家族と医師、そしてまた医療従事者との間の信頼関係の構築が最も重要であるというふうに思っております。特に在宅医療の現場では、治療のみならず、家族の日常生活をサポートする観点から、日々患者御家族との関係構築に御尽力されていること、また、そうした中でトラブルが発生した場合に備え、医療従事者の安全が確保されるような取組も不可欠であること、そうした点について改めて強く認識したところでございます。

中島委員 大臣も強く認識されたということですが、今、御家族やクリニックの患者さん、衝撃を受けた、社会的にもと言いましたが、在宅医療に関わる医療従事者の衝撃はまた違ったものがあるんだと思います。私のところにも是非国会で取り上げていただきたいということで、本当はコロナのことも重要なんですが、まず冒頭、確認をさせていただくわけですが、なぜ在宅医療従事者が衝撃かというと、このようなことがいつか起こるんじゃないかといったことが現実に起こってしまったと。

 私も十年間、在宅医療、大臣、私、選挙区が隣ですけれども、大臣の選挙区にも往診に行ったことが何度もあります。そんな中で、今も大臣るる話されましたが、密室の空間、これが、病院は医療の場であって、そして在宅は患者さんのホームグラウンドと言ったら変ですが、対人関係の仕事においては人間関係というのは非常に重要なのは分かりますが、さらに、在宅医療の最後の場面は、家族の死というもの、これを家族のホームグラウンドで迎えるということで。私自身も、人間関係ができていたなと思いながら、最後の場面で、これは家族を責められません、やはり、感情が表に出て、私も胸ぐらをつかまれたこともありますし、私が駆けつけたときに泣きながら出てくる看護師さん、そういったケースもたくさん経験しているからこそ、現実に起きてしまったと。

 こういう状況を、個別の事案というよりは、今回の事件の背景や経緯ですね、医療者側、また家族側。厚生労働省として、今後、資料の最後のページにもありますけれども、当然ながら地域包括ケアシステムを進めている以上、在宅医療、その件数は増えているわけです。訪問看護師さん、訪問介護も含めて、これは調査に、訪問看護の方ですが、やはり、暴力を受けたりセクハラを受けたりする割合が非常に大きくて、そして対策が必要と考えているのが六割いる一方で、どうしたらいいか分からないと。こういう現状があるわけであります。

 具体的には、先ほど言った医療者においては、地域包括支援センター、これは行政、医療者だけではなくて、警察も、また弁護士さん始めそういった方、さらには、ネットワークを再構築していくより具体的な対策が仕組みづくりとして必要だ。

 そして、医療者個人とすれば、危険を感じたら関係を拒否する勇気も必要かもしれません。そういう状況になると、医師には応招義務というのがありますが、この在宅医療においての応招義務の在り方というものは、また議論が必要になってくるかもしれない。

 そして、患者さん側の、また家族のケースからいくと、今回の事件、絶対に許されない事件でありますが、男性介護者。これは、介護保険創設当時は一割程度だったのが、今は三割ぐらい、三倍に増えている。

 そしてこれも、私も経験ですが、男性介護者、特に息子さん、真面目で一生懸命介護すればするほどその思いが強くなり、私が経験した例は、非常に熱心に介護されていた、最終的にはその私が診ていた息子さんはお母様の首を絞めて殺してしまった。

 私、そのこと自体を容認することは絶対できませんけれども、残念ながら、この介護保険サービスが、より真面目な方々を救える制度設計になっていない部分もある。例えば男性介護者、必要な介護サービスはまた女性とはちょっと違ったりするし、そういった柔軟性を持った対応ですね。

 私のところに問合せに来た在宅医療の医師たちは、これは前から課題だと言われていたことなので、具体的に、審議会を開いてもいいですし、様々な議論をしているんだと。そして、今回のことを二度と起こさせないとともに、また、それ以上に心配しているのが、このことをきっかけに在宅医療そのものが萎縮しないか。こういうことを、全国各地の医療従事者、またそれに関わる方々が心配している。

 改めてですが、こういった事件によって在宅医療が萎縮しないように、また、よりよい在宅医療環境が構築できるために、在宅医療従事者の安全を確保するための具体的な施策、私は早急に議論していき、少しでもいいので進捗できるように、改めて大臣に、今取り組んでいることがあればお伝えしていただきたいと思いますし、その決意をお願いしたいと思います。

後藤国務大臣 今、本当に、先生から、御自身の経験やら、現場の本当に大変な状況、大切な人を日々一緒に自らが介護をしたり、あるいは診療を支えたりとかいうような活動をされている皆さんの大変な苦しみや難しい問題、改めてよく分かります。

 厚生労働省では、御指摘の訪問診療等を含めて、医療、介護現場において、患者、家族の暴力、ハラスメントへの対策が適切に講じられることが必要だというふうに考えております。

 医療機関を対象としまして、Eラーニングの教材で、介護現場を対象としたマニュアルを作成して、厚生労働省のホームページや都道府県、関係団体を通じた周知を行っているところでもあります。それから、トラブル発生時の対応として、複数名による対応をすべきだとか、警察への相談など、具体例を示しつつ、管理者によるマニュアルの整備や職員向け研修も実施しているところでございます。

 また、診療報酬や介護報酬では、暴力行為、器物破損行為等が認められるような現場において、複数名で訪問看護や訪問介護の提供を行った場合の加算等も制度として設けているところであります。

 在宅医療、介護の体制を確保する上で、医療、介護従事者の安全確保は何よりも必要不可欠な課題であるというふうに考えております。引き続き、日本医師会など関係団体とも連携しつつ、現場の皆さんの声も聞きながら、必要な対応を取っていきたいと思います。

 本当に、訪問介護、訪問看護に従事されている皆さんの御苦労を思い、しっかりと対応していかなければと思っております。

中島委員 ありがとうございます。

 事件の背景、経緯をしっかりまず検証すること、そして、今の大臣の言葉を、できれば機会を見つけて全国に、萎縮しないように、厚生労働省も問題意識を持って取り組んでおるんだということを記者会見等でも発言をしていただければと思いますので、お願いいたしたいと思います。

 それでは、コロナ感染状況について、引き続き質問させていただきたいと思います。

 一昨日のアドバイザリーボードにおいて、現在の感染状況について、全国の新規感染者の数、療養者の数は減少傾向も、重症者数、死亡者数は高止まりの状況、一部の地域では増加も見られ、先ほど宮本議員との質疑で尾身先生もいらっしゃっておりましたが、これからイベントも増える年度末の再拡大への懸念、これは非常に懸念されるという発言もございました。

 また、一昨日のアドバイザリーボードでは、オミクロン株の致死率について、季節性インフルエンザに比べて最大で二十一倍、肺炎のリスクも高いという内容も示されました。

 また、西浦教授の推計によれば、これも先ほど出ておりましたが、感染力がより強いとされるステルスオミクロンの置き換わりが、東京都では四月の初旬には七割となる。衝撃的な、これまでの前提とは違う、新たな内容が示されたと思います。

 一昨日のアドバイザリーボードで示されたオミクロン株のインフルエンザとの致死率の違い、また、年度末に向けての再拡大の懸念、ステルスオミクロンへの置き換わりの割合の高さなど、新たに示された内容を受けて、私は、昨年の十一月の末に取りまとめられた全体像、この延長線では対応不可な部分があるんじゃないかと思いますが、改めて、アドバイザリーボードの内容を踏まえて、大臣の見解を求めたいと思います。

後藤国務大臣 アドバイザリーボードにおきましては、オミクロン株については、専門家から、感染力が高い一方、感染者の多くは軽症、無症状であり、重症化率は低い可能性が高いといった分析が報告されておりますけれども、現時点で分析されたオミクロン株による感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられるとの指摘が出ております。

 また、年度末の新規感染への懸念等も表明をされているところでございます。

 BA・2への置き換わりにつきましては、海外の一部地域でBA・2による感染が拡大していること、現状、国内のオミクロン株の主流はBA・1系統でありますけれども、BA・2系統も検疫や国内で検出されており、その割合は増加する可能性があり、感染者数の増加速度に影響を与える可能性がある等が報告をされております。

 こうした事態、オミクロンの特徴等も踏まえて、従来から申し上げているんですけれども、昨年十一月にお示しをした全体像というのは、これは、ありとあらゆる場合を想定して、全てのメニューを書いてある、そういうものだというふうに思っています。

 その後、例えば、今御説明したようなオミクロン株の特徴を踏まえたところで、より医療を必要とする方へのアクセスを重点的に確保する意味で、軽症、無症状患者の皆さんに対する対応、例えば外来医療を守るだとか、自宅療養体制を守っていくだとか、そういうことに重点を置いて全体像の中でも進めてきたと思いますし、また、社会経済活動の維持ということで、濃厚接触者対応、これは、待機期間を短くしたり、今もう、そもそも濃厚接触者とは何であるのかという議論等も始まっておりますけれども、そうしたことにも取り組み、また、ハイリスク者への備えが大事だということで、高齢者対応、全体像の中でも、医療提供体制の施設や療養施設への重点化、そこへの推進というようなことに取り組んできております。

 年度末への懸念ということからいいますと、今、医療提供体制、療養体制について、改めて地域の状況について点検をしていく、また必要な強化を図る、そういう意味での対応を取っております。また、年度末の感染防止、是非国民の皆さんに御協力をいただくように、周知を図っていくように考えております。

 また、BA・2への置き換わりに対しては、ゲノム解析によるモニタリング、また海外の情報等をしっかりとフォローしていく、そういうことにも努めていきたいと思っております。

 いずれにせよ、オミクロン株はまだ分からないことも多いわけですけれども、しかし、分かってきていることも増えてきているわけで、全てを見通した上で判断を行えるわけではありませんけれども、新たな科学的知見を踏まえながら、必要な改善を、これまでの制度にとらわれることなく、しっかりと行っていきたい、そのように考えております。

中島委員 大臣、今述べていただいたように、昨年十一月末の全体像、様々なケースに対応するべくということで今るるずっと述べられたんですが、問題はそれが本当に実行できているか、そういうことなんです。

 何となくですけれども、オミクロン株は風邪なんじゃないか、風邪程度なんじゃないかという前提と、一方では、オミクロン株、分かってきたこと分からないこと、我が国のゲノム解析は残念ですが後手後手に回っている。

 こういう状況の中で、致死率が季節性のインフルエンザよりも最大で二十一倍って。改めて、今まで風邪だという認識が何となく社会に広がっていたように思いますし、残念ですが、私、政府も何となくそういう意識が働いていた結果、この後質問いたしますが、こういう状況を招いているのだと。そして、全体像を示して、今述べられたこと、改めてですが、これが実行できているのかどうかということが問われているわけですから、改めて大事な局面だと。

 一昨日示されたアドバイザリーボードの結果が本当に現実的にこの後続いていくとなると、第六波が収束とかではなくて、第七波というより、オミクロン、BA・1とBA・2が区切りがあるんじゃなくて、そこにのっかる、こういう状況になるわけですから、改めて、様々な、専門家の意見を聞くのもいいのですが、これまで今言われたことが実際できているのかどうか、改めてしっかりと徹底していただきたい。できているかいないかは、この後質問してまいります。

 この第六波に関しては、オミクロンの特徴の一つ、当初から言われていたのは、伝播力が高いという以上に、一方で、気道、気管の方に侵入率が低いということで、軽症で終わる率が多いんじゃないかということは海外のことから言われていたわけですが。この特徴から、今までと違い、自宅療養者の数、これは桁違いに増えてしまった。先週末の時点でも、ようやく自宅療養者の数、減ったとはいってもいまだに五十万人以上、今日の時点で何人になっているか分かりませんが。

 これはもう大分以前から、私、先ほどの全体像の中での対策、医療にアクセスできるようにというふうにおっしゃっておりましたが、本当に、現在、医療に必要な方がアクセスできているのかどうか、大変気になるところです。

 昨年の第五波、八月のときには、自宅療養中にお亡くなりになった方、少なくとも二百人、警察庁の調査では三百十四人となっておりますが、検証はまだまだ十分にできていない。

 今の段階で、今年一月以降、コロナ感染が確認され、自宅療養中にお亡くなりになった方の数、また加えて介護施設でお亡くなりになった方、加えて障害福祉施設でお亡くなりになった方、自宅療養も大事なんですが、その実数、数について確認をさせてください。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 令和四年一月一日から二月二十八日までの間に、新型コロナ患者の死亡者のうち、これはHER―SYS上でございますが、HER―SYS上で検案場所が自宅と入力された件数は七十二件となっております。

 また、同期間に、HER―SYS上で検案場所が、御指摘ありました介護施設、障害福祉施設を含みます社会福祉施設などと入力された件数は百六十二件となっております。

 なお、同期間のHER―SYS上で死亡と入力された件数、三千六百五十二件に占めます割合は四・四%というふうになっております。

中島委員 一月から今までに、HER―SYS上で、御自宅でコロナでお亡くなりになった方は七十二件ということで間違いないということですね。

 加えて、社会福祉施設百六十二件。件とおっしゃいますが、これは人数ですね。人数とすれば何人なんですか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 これは百六十二人ということだと思います。

中島委員 先ほど尾身先生もおっしゃっておりましたが、まず一点目、介護施設ですね。これはもう、オミクロン株、今、一日の感染者数は減少傾向といい、高止まりの状況ですけれども、お亡くなりになる方、重症化する方は圧倒的に高齢者が多い。そして、連日のように日本全国でクラスターが公表される。尾身先生も、介護施設への早期の介入、クラスターの予防、ワクチンの三回目のブースター接種の促進ということがポイントというふうにおっしゃっておりました。

 こういう状況、これも第一波、第二波のときから、海外、スペインなんかは亡くなる方の半分が介護施設でお亡くなりになっているということも分かっております。こういう百六十二人というのは、私は本当にそうなのかなと。

 先日、愛知県のある方から御連絡をいただいて、二月の中旬に施設から連絡をいただいたと。そして、お母様、コロナ感染が確認されました、しかしながら、嘱託医に連絡がつかず、いまだ診察を受けていないと。その二日後にお亡くなりになったことが報告されたと。

 こういう状況で、これは背景とすると、介護施設、元々、要介護三以上の、重点化されていて、基礎疾患を持っておられる方、たくさんおられると思います。そして、いつ急変してもおかしくないということで、急変時、医療に搬送しないという意思表示をしている方もおられる中で、こういったコロナ感染で、その延長線上で、施設で本当にどういう医療が、対応が行われているのか。

 これは、各都道府県それぞれやっておられることだと思いますが、この実数は私が各都道府県に確認すると、もっと多い可能性があると、HER―SYS上かもしれませんが。

 是非ここを、先ほど尾身先生もおっしゃっていましたが、この介護施設、今までもそうですが、これからより介護施設に早期に、タイムリーに治療薬を重点的に配付していくとか、とにかくモニタリングを徹底していただきたいというふうに思います。

 加えて、御自宅での療養者、今、お亡くなりになった方々の数もお示ししていただきましたが、昨年の第五波、私も様々な患者さんに対応しましたが、我が国で起こっていることとは思えませんでした。国民皆保険、そして医療先進国と言われている我が国で、いざというときに医療につながらない。そして、薬も出されず、診療どころか相談もできない状況で、自宅でお亡くなりになる方。今、七十二人とおっしゃいましたが、様々、全体像の中で、自宅療養、先ほども答弁されました医療へのアクセスをということですが、そういった取組の結果、御自宅で亡くなった方が七十二人。

 改めて大臣に確認しますが、現在、自宅療養されている方々、様々取り組んだ結果、今現在、必要な方が必要なときに確実に医療にアクセスできる状況にあると言えるんでしょうか、大臣。

後藤国務大臣 昨年の十一月の全体像に基づきまして、陽性判明当日ないし翌日に連絡を取って、健康観察や診療を実施できる体制を確保する必要がある、あるいは、病症の変化に迅速に対応して必要な医療につなげる体制を確保するということを目指しました。

 これは、今委員からも御指摘があったように、昨年の夏、確かに、健康観察にすぐ取りかかれない、保健所の目詰まりと言われましたけれども、そういうことが起きたり、あるいは、医療の開始が遅れる、十分な医療の提供ができないということで自宅で亡くなられる、療養施設で亡くなられる方を看過できないということで取り組んできたものでございます。

 こうした中で取組をしておりまして、例えば健康観察、診療実施医療機関。これは、短い間に、全体像に基づく計画を更に三割上回る医療機関に、全国で一万六千増やしていただいて体制の充実を図ったり、あるいは健康観察を、地域のお医者さんに委託して健康観察をやっていただくようにしたりとか、そういう体制の整備も行っております。

 また、近々では、電話等で初再診を行う場合の診療報酬の特例加算を二倍にしていくだとか、あるいは、様々な高齢者施設での医療提供体制も含めて、派遣単価の引上げ、また、もう細かいことは申し上げませんが、最大十五万円から最大三十万円に、施設内療養者一人当たりのかかり増し経費、防護対策費を支援するとか、いろいろな形で支援をいたしております。

 そして、オミクロン株の特性を踏まえて、これは非常に感染が多いということで、感染が増えるだけで高齢者の場合は元々のリスクで重症化するということもあるので、こうした対策を引き続き徹底していって、どういう体制になっているのか、今、各都道府県に事務連絡も発出して、実態を捕捉はしているところです。

中島委員 いろいろ述べられたんですが、一言で言うと、現在、医療が必要な方が確実に医療につながるとは言えない状況だと、私はそう思いますよ。

 だから、私は何でこだわるかというと、田村前厚労大臣もおられますが、去年の一月も、第三波のときから、医療につながらず自宅で亡くなる方はもう出ていたわけです。そのとき、田村前厚労大臣も二度とこういうことはないようにすると言いながら、言いながらですよ、第四波のときには大阪、兵庫を中心によりひどい状況になってしまい、そのとき、ここに答弁書がありますが、田村前大臣、じくじたる思いだということも二回も述べられているんです。にもかかわらず、昨年の八月、更にひどい状況になってしまった。そして、今大臣述べられましたが、残念ですが、いまだに必要な方が必要なとき医療につながるようにはなっていないんです。

 もう時間がないのであれですけれども、改めて資料の一枚目、二枚目。一枚目が、要するに、医療システムの話かもしれませんが、保健所と、そして専門医療、かかりつけ医と呼ばれている方々の間で、医療につながらない方がおられる。これをCOVID―19に当てはめてみたときに、やはり、専門医療と保健所、またこの間にかかりつけ医を置くんだ、そして確実に必要な方が医療にアクセスできる状況をつくるというのが、我々、三枚目に示してありますが、昨年の六月に、コロナかかりつけ医とも言える、事前に、基礎疾患があって、また高齢者で重症化リスクが高い方は、かかりつけ医に登録をして、そして万が一のときには確実に医療につながる、こういった体制を取るべきだという目的で法案提出をさせていただきました。

 改めて、先ほど言った、今も第六波、シームレスで第七波になるかもしれない、またその後第八波も懸念される中で、確実に必要な方が医療につながるように、コロナかかりつけ医制度、これは我々が提出した法案ですけれども、是非導入していただけませんか。いかがでしょう。

後藤国務大臣 オミクロン株の特徴も踏まえまして、全体像で整備している保健医療提供体制をしっかり稼働させる上で、地域の医療機関の積極的な参画、これは非常に重要だというふうに思っております。

 そうした参画を更に促す観点から、健康観察やオンライン診療を行う医療機関に対する委託費について、緊急包括支援交付金により支援をすることを決めましたし、在宅療養者の往診等については診療報酬等の特例措置も講じておりますし、また、健康観察やオンライン診療、往診の実施拡大等について、医療機関あるいは日本医師会等にも直接何度も協力を依頼しておりまして、こうした地域の医療の関係者との連携をしっかりと深めていく、その方向は非常に重要だと思っております。

中島委員 是非、今度ゆっくりやりますけれども、昨年末の来年度予算の編成に関する財務省、財政審の建議で全く同じ内容が示されています。そもそも、かかりつけ医、定義もされていませんし、まずは定義するところ、そして制度化する。そして、コロナで二度と、今るる述べられましたが、結果的にHER―SYS上でもそれぐらいの方が亡くなり、医療につながっているのかつながっていないのか全く分からない、こういう状況も二度と繰り返さないために、是非お願いしたいと思います。これはまたゆっくりやりたいと思います。

 続いて、コロナワクチン、特に五歳から十一歳の小児ワクチンの接種についてですが、これは資料の九枚目、ページ表記では六ページでありますが、これは私が地元の皆さんに尋ねられたときにお渡しするようにということで、私が作りました。

 この中に書いてあることは全て厚生労働省ホームページ、公式に出ている内容で、最後の米ポツのところから私の意見でありますが。改めて、重症化リスクの低いお子さんに対するワクチンに関しては、ちょっと数字を聞こうと思ったんですが、現段階で重症化している五歳から十一歳、十二歳未満のお子さんはほぼいない。基礎疾患を持っていれば話は別です。お亡くなりになった方もおられない。こういう現実の中で、ここに書いてあることは、厚労省にも確認してもらいましたが、間違いないということ。

 多くのお母さん方が心配しているのは、いわゆるメッセンジャーRNAが中長期的にどういう影響があるのか。これに対しては誰も答えられない状況の中で、私は、先ほど介護施設、また高齢者を重点化するべきだという話を尾身先生もされておりましたけれども、その介護施設の高齢者、また基礎疾患がある人へのワクチン接種がまだまだ行き届かない中で、いわゆるリスクとベネフィットのてんびんが随分傾いている。高齢者と比べれば、もしかしたらちょっとベネフィットが上回るんじゃないのぐらいの状況の中で、中長期的な影響がはっきりしない、不明となっているワクチン。

 私は、ドイツやイギリスのように、基礎疾患のあるお子さんに限定する勧奨にとどめるべきだと改めて思いますが、大臣、いかがでしょう。

後藤国務大臣 五歳から十一歳までの子供への新型コロナワクチンの接種につきましては、厚生科学審議会において、緊急の蔓延予防のために実施する必要があり、今後流行する変異株の状況やワクチンの有効性、安全性に関する一定程度の知見、諸外国における子供への接種の対応状況等も勘案して、特例臨時接種として実施することが適当とされております。

 全ての五歳から十一歳までの子供を接種対象といたしておりますのは、今後、オミクロン株以外の重症化リスクの高い変異株の流行やデルタ株の再流行といった可能性もあり得ること、また、ワクチンの有効性については、オミクロン株に対する大人の新型コロナワクチンの効果を踏まえると、子供においても発症予防効果と重症予防効果が期待できること、米国、カナダ、フランス、イスラエルにおいても全ての五歳から十一歳までの子供を接種対象としていること等々を踏まえて、こうした形で接種をお願いを、接種をお勧めをしているということであります。

 その上で、重症化リスクの高い、基礎疾患を有するお子さんについては、リーフレットにおいてもワクチン接種を特にお勧めしているということです。

中島委員 時間ですから終わりますけれども、私は決してワクチンを否定しているわけではなくて、予防接種法のときにも言いましたが、ファイザーのワクチン、私は思っていたよりいいワクチンだと思います。

 ただ、オミクロン株になって発症予防効果、重症予防効果、いわゆる感染予防効果は著しく低下しているということ、また、オミクロン株以上に、お子さんは重症化しないということを鑑みると、私は、やはり必要な方をまず重点的にワクチンを接種して、そして、やはりお子さんは重症化しない中で、今、社会でかなり意見が分かれて、分断の原因になりやすい。

 私は、もう少し安全性が確立された上で、その前に基礎疾患があって重症化リスクが高いお子さんをまず勧奨する。一斉に接種券を配って勧奨する、案内という言い方もあるかもしれませんが、まず必要な方にワクチンを行き届かせることが必要だということを改めて申し述べて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文と申します。

 今日は最後のバッターということで、コロナ対策について質問したいと思います。

 まず冒頭に、いろいろなコロナの影響で、私たちの生活、そして社会、経済も変わりました。行動変容という言葉が生まれましたが、そこの母体となるのがやはり情報、そして、そういう情報に基づいたコミュニケーション、リスクコミュニケーションといいますが、それが非常に重要だと思いまして、今日は、コロナ対策の一環の中で、先ほど来議論になっておりますワクチンのことについて重点的に議論していきたいと思います。

 まず、今、現場でワクチン接種をしていますと、仁木さん、四回目もあるのとか、まだ続くのという質問があります。

 大臣、一部の、私も先般モデルナの担当者と意見交換した際に、今秋、いわゆる今年の秋ぐらいに四回目のブースター、いわゆる接種が必要じゃないかみたいな、そういう話が出ていたんですけれども、実際、どうでしょうか。

後藤国務大臣 新型コロナワクチンの四回目接種を考えるに当たっては、科学的知見、また諸外国の検討の状況等も注視をしてまいりたいというふうに思っております。

 現時点においては、三回目のワクチン接種を希望する方が一日も早く、できるだけ多く接種いただけるように、政府として全力で取り組んでいるところでございます。

仁木委員 このワクチンなんですけれども、今、科学的根拠ということも大臣おっしゃいましたが、例えばこのワクチン、今回三回目ということですけれども、お手元の資料がありますけれども、実は、左がファイザーワクチン、紫と書いています。右がモデルナですけれども。

 三回目は一般の医療機関にも、両方のワクチンが容易に手に入るようになっています。容易というのは語弊があります。というのは、ファイザーが、当初の、一回目、二回目、VRSで把握して、打った方の、今、徳島というか地元の話ですけれども、四割程度しか入ってこなかった。今いろいろメディアでも、三回目接種が進まないということで、総理も問題にされていましたし、議論になっていました。

 この一つは、やはりそういったリスクコミュニケーション、情報がしっかりと伝わっていなくて、何かモデルナを打つと熱がよく出たり副反応が多いから私は、僕はファイザーがいいという方が多くて、ファイザーが来るまで待つわという方もいらっしゃいました。ところが、オミクロン株がこれだけ感染拡大を広げてきて、それで、やはりモデルナでもいい、そういう交互接種でもいいという形になってきたんですけれども。

 現場で、間違った打ち方につながらないようなことがあっているんですけれども、私が、リスクコミュニケーションで最大担うことができるのは、実際にワクチンを打つ医療従事者、ドクターであったりナースであると思います。そういうときに、やはり国からしっかりそういった医療の現場に情報を丁寧にお伝えすることが大切だと思います。

 例えば、皆さん、これは保存期間のところが三十一日とファイザーのところはなっていますけれども、当初は五日だったんですね。私は、まだ現職じゃなくて、国からそういう通達があったときに、現場にあるワクチンが一斉に回収されて新しいロットが入ってくると思っていたんですけれども、同じワクチン、いわゆる診療所等に置いているワクチンがそのまま三十一日使えるようになったというような通達でしたし、今回、二枚目の資料にあります、ワクチンを打って接種券を見たら、あれっ、これ手で書いているものがある、しかも一月三十一日までが四月の三十日までになっている、あれっ、これ期限切れのワクチンを打たされたのではないのかという形の報道がなされていまして、実際こういうのも地元でもあります。

 こういうふうに、QアンドA問答もこの前レクのときに見せていただきましたが、二百字を超えるような回答なんですね。これを実際、さっき申し上げた医療の現場、ワクチン接種を実際やっているドクターやナースに、短い言葉で、受けた人の疑問にしっかりと答えられるような、そういうメッセージ、リスクコミュニケーションをつくっていただきたいと思うんですけれども、その辺に関して、ちょっとお考えを聞かせていただきたいと思います。

後藤国務大臣 ファイザー社、モデルナ社のいずれの新型コロナワクチンについても、当初、有効期間は六か月でありました。その後、データの蓄積を踏まえまして、製薬企業からの申請に基づく薬事上の手続を経て九か月に延長されております。

 有効期間の延長前に製造されまして、延長前の有効期限が印字されたワクチンが流通しているケースはもちろんあります。こうしたワクチンについては有効期間が九か月のものとして取り扱って差し支えないという取扱いになっておりまして、この取扱い自身は、製薬企業に確認しているところからいえば、全世界共通の取扱いだというふうに認識をいたしております。

 一方で、先生今御指摘のように、有効期間の延長について不安を感じておられる国民の皆さんがおられるということも承知をいたしております。

 厚生労働省として、国民に不安や誤解を生じさせないように、事務連絡、自治体説明会によりまして、自治体や医師会等の関係者に、接種会場における適切な情報提供を依頼をしてきたわけでございますが、これに加えまして、厚生労働省のホームページにおけるQアンドAの掲載等、広く情報発信も行っておりまして、引き続き必要な周知を行ってまいりたいと思います。

 先ほどから、先生から度々御指摘をいただいているリスクコミュニケーション、これは非常に重要だと思っておりまして、国民の皆様が新型コロナワクチンの接種を判断するに当たりまして、有効性や安全性を始め必要な情報を分かりやすくお示しして、その上でしっかりとお一人お一人に御判断もいただけるように、丁寧にお知らせをしていきたいと考えております。

仁木委員 ありがとうございます。

 ちょっと、私は細かい点を指摘して、問題点を、感じたことを申し上げていますが、決してワクチン行政を止めるわけではないですし、ワクチンが重症化を予防して、死ぬ可能性のあった方を死なないようにしているということは十分認識した上で質問させていただいています。

 その上で、ちょっと資料の六番を見ていただきたいんですけれども、実は、これは今持ち込みましたモデルナの実際使用済み容器ですけれども、この限られた面に、このモデルナ、これは従来使っていた、一回目、二回目と同じ仕様というか、ものですね、同じロットです。

 それで、従来はここに五ミリリットル入っていました。一人が〇・五なので、十回針を刺すわけですね。私、今日はシリンジとか針を持っていませんが、刺していくわけです。

 これが、同じバイアルで、一回の量が〇・二五ミリリットルになったので、マックスで理論上は二十人取れます。ただ、二十人は、実際私も何回もやりましたが、引けません。

 実は、皆さん、実際に今、医療の現場で、こういう一つのバイアル、こういう薬剤に針を二十回も刺す、少なくともこれは国の形ではこれで十五人分取れるということですから、最低でも十五回針を刺すことは、ありません。こんな一つの薬剤に十五回針を刺すということはないんですね。

 これは、例えば、これを分注といいますが、ファイザー社は生食で希釈する必要がありますが、これはそのまま引けます。そして、ここを引く際に、看護師とか薬剤師が主に引くわけで、ドクターも引くときもありますけれども。そういった引く際のヒューマンエラーの中で、例えば針刺し事故であるとか、もっと言うと、これは引き過ぎたらまた戻して、つまり、ワクチンは希少ですから、あるわけですね。

 ここの資料六であるように、こういうコアリングという、もしかしたら、斜めに刺したりすること、頻回に刺すことによって、マイクロチップが、いわゆる、ワクチン接種する際に、薬剤であるワクチンそのものとともに体の中に入ってしまう可能性もある。このこともレクも何回もさせていただいて、健康被害はないということですけれども、それはまだ分かりません。

 私は、こういう問題点を指摘して、繰り返しですけれども、止めて、いちゃもんをつけているわけではないんですけれども、ただ、こういう問題もあると。

 ですから、私は、予算委員会では一貫して、プレフィルドシリンジという、こういった、あらかじめ、プレ、前もって、フィルド、つまり充填したワクチンを製造されてはどうかということを訴えてきました。

 このことによって、実は、予約も本当に変わってきます。そして、皆さん、ファイザー、これは十五から二十人打てますから、結局、一回に、十五で割ると、五人打てるかもしれない、国の指標では、最低でも四人、十九人分はこれは一バイアルで打てますから、それ分を破棄しているかもしれない。

 もっと言うと、さっきファイザー社が、今までは現場に供給不足でした。ですから、これも六人、当初五人と言っていたのが六人になって、今七人まで打てるとなっていますけれども、こういった希少なワクチンなんですけれども、一人でも多く打ちたいじゃないですか。打ちたいと言っている方には打ちたいじゃないですか。それが打てない。

 この予約が、例えば八人しかその日に集まらなかったら、皆さん、冒頭の、一枚目の資料を見ていただきたいんですが、実は、ファイザーも希釈を始めてから六時間以内に打たないと有効じゃないんです。モデルナも、一旦針を、ファーストショット、いわゆる刺したら、十二時間以内に打たないと、これはもう無効というか、一応国のガイドラインでは駄目になっているんですね。そうすると、もったいないけれども捨てなければいけない。

 そういうことを把握しているんですかと言ったら、把握していないんですよね。これはどうですか、そういった残薬というか。私の認識では、一旦、地元というか、地方自治体、ファイザーでしたら当初、今はモデルナもそうですけれども、配給したら、管理とかその辺がフィードバックされていないんですよ。もう現場任せになっていると思うんですけれども、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 廃棄したワクチンの量につきまして御質問がありました。

 新型コロナワクチンの接種を希望する人数が集まらないことによりまして廃棄したワクチンの量については、これは現場の負担になることもありますので、今、報告は求めておらず、厚労省としては把握しておりません。

仁木委員 ですから、私は繰り返し、いろいろ、様々なことを勘案しても、一人に対して一バイアルのワクチン、一人に対して一プレフィルドワクチンの製造を、国がこの際進めていっていただきたいと思うんです。

 一番最後の配付した資料の方に、お隣韓国では、ノババックス社と提携して、コロナワクチン、プレフィルドワクチンを製造すると発表しました。

 今、皆さん、季節性のインフルエンザワクチンもプレフィルドワクチンはあります。様々な、ホルモン製剤とかいろいろな薬剤がプレフィルドになっていまして、医療の効率化とヒューマンエラーを減らすために大切ですし、まさに岸田政権もバイオヘルスという面でも日本のプレゼンスを世界の中で高めていくということを言われていますので、是非ともこの際、例えば、短期的に今五社がワクチン製造に関していろいろな、製造拠点の二千三百億円も合わせると、約一兆円近いお金をかけて、五つのグループでこのコロナワクチンの製造を予算立てしています。

 ところが、そういったことも踏まえて、今後、そういうワクチン、今はいわゆる世界的な配分がWHOを中心に決まって、発展途上国とかに回されているわけですけれども、メイド・イン・ジャパンのワクチンを作り、かつ、その配給のされ方も、こういうプレフィルドワクチンのような、いわゆるテクノロジー、いわゆる製造の方もバージョンアップした形でやれば、また接種の現場は変わるし、よりスムーズに短期間で接種できるようになるということを指摘しておきたいと思います。

 ちょっと時間がないので、もう二点ですけれども、一点目を申し上げますが、これは全く話が変わるんですけれども、実は、先般、山井委員も質問されていましたが、今、コロナで非常に大きく医療、介護の現場が疲弊しておりますし、影響を受けていますが、例えば緊急時介護人材確保、職場の環境復旧支援事業等々で該当しないような無資格者というか、介護保険とか、あるいは医療保険もそうですけれども、そういうのに、処遇が改善される対象じゃない方々が実は非常に影響を受けていまして、クラスターになっていない施設においても、濃厚接触者の方々のPCR検査のために送迎したり、休んだり、そうしたしわ寄せが様々な方々に出ていますが、こういった方々に対する支援。

 そしてまた、例えば、今、コロナの自宅療養者の方々に、医師の処方の下で、例えばラゲブリオとかそういったコロナ経口治療薬を、明らかに陽性の方々に薬剤を配付する場合に、薬局の薬剤師が直接行く場合もあるんですが、宅配業者に依頼していることがあります。地元で調べたんですけれども、その宅配業者は通常の価格で行っています。

 そういったことに対する御支援、私は厚くするべきであると思いますが、大臣、その辺はどうお考えでしょうか。

後藤国務大臣 今、御指摘だったのは、医療機関や介護現場で働くいろいろな幅広い方々に対して、有資格者と同様に処遇改善を行うべきという御指摘だというふうに承りましたけれども、私自身もそうした皆様に対して御尽力いただいていることに心より感謝を申し上げております。

 医療機関に対しては、六・八兆円の予算を確保するとともに、診療報酬を大幅に引き上げる支援を行ってきましたし、病床確保料、病床確保の緊急支援について、その一部をコロナ対応を行う事務職も含めた医療従事者の処遇改善に充てることを支給要件としておりまして、医療機関において資格の有無にかかわらず処遇改善を図ることができるよう支援をいたしております。

 また、感染者や濃厚接触者に対応した介護事業所施設等についても、資格の有無にかかわらず職員に支払われる割増し賃金、手当等のかかり増し経費について、地域医療介護総合確保基金の枠組みを活用して、全額公費で支援をしております。

 引き続き、医療、介護の現場でコロナ対応に当たる方々に支援が行き渡るように取り組んでまいりたいと思います。

仁木委員 ありがとうございました。これで私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

橋本委員長 次に、内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。後藤厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 雇用保険法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤国務大臣 ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が雇用に大きな影響を与える中、雇用の安定と就業の促進を図ることが重要な課題となっています。また、雇用保険財政の安定運営を図るため、その費用負担について所要の措置を講ずるなどの必要があります。

 こうした状況を踏まえ、失業等給付の特例の継続、求人メディア等のマッチング機能の質の向上、地域のニーズに対応した職業訓練の推進等の措置を講ずるとともに、雇用保険について、保険料率の暫定的な引下げ、機動的な国庫負担の仕組みの導入等を行うため、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、雇用保険制度における失業等給付について、雇い止めによる離職者等に係る基本手当の給付日数の特例及び教育訓練支援給付金制度等を継続するほか、離職後に事業を開始した者に係る基本手当の受給期間の特例を創設するとともに、公共職業安定所長が受講を指示する公共職業訓練等の対象に求職者支援制度に基づく訓練を追加することとしています。

 第二に、職業安定法における募集情報等提供事業について、その機能強化と事業運営の適正化を図るため、労働者になろうとする者に関する情報を収集して行う募集情報等提供事業に係る届出制の創設や、募集情報等提供事業を行う者に対する求人等に関する情報の的確な表示等の義務づけを行うとともに、必要な指導監督規定の整備等を行うこととしています。

 第三に、職業能力の開発及び向上の促進のため、地域の実情に応じた取組が適切かつ効果的に実施されるよう、都道府県の区域ごとに関係者による協議会を組織する仕組みの創設等を行うこととしています。

 第四に、雇用保険財政について、令和四年度の保険料率を激変緩和のため引き下げるとともに、雇用情勢や雇用保険財政に応じ、失業等給付に係る国庫負担を機動的に行える仕組みを導入するなどの措置を講ずることとしています。

 加えて、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国庫負担の特例措置を継続するとともに、積立金から雇用安定事業費に充てるために借り入れた金額について、一定の範囲内で返済の猶予を可能とするなどの措置を講ずることとしています。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和四年四月一日としています。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

橋本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る九日水曜日午前八時十五分理事会、午前八時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十二分散会


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