衆議院

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第9号 令和4年4月1日(金曜日)

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令和四年四月一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 牧原 秀樹君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    石井  拓君

      上田 英俊君    加藤 勝信君

      川崎ひでと君    後藤田正純君

      佐々木 紀君    塩崎 彰久君

      鈴木 英敬君    田村 憲久君

      高木 宏壽君    高見 康裕君

      土田  慎君    西田 昭二君

      長谷川淳二君    深澤 陽一君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      三ッ林裕巳君    柳本  顕君

      山本 左近君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    中島 克仁君

      長妻  昭君    野間  健君

      山田 勝彦君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      金村 龍那君    吉田とも代君

      山崎 正恭君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   議員           中島 克仁君

   議員           吉田 統彦君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   厚生労働副大臣      古賀  篤君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 内田 欽也君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        相川 哲也君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  武井 貞治君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           山本 麻里君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (国立感染症研究所長)  脇田 隆字君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十一日

 辞任         補欠選任

  西田 昭二君     堀内 詔子君

四月一日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     石井  拓君

  鈴木 英敬君     高見 康裕君

  堀内 詔子君     西田 昭二君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     勝目  康君

  高見 康裕君     鈴木 英敬君

  西田 昭二君     堀内 詔子君

    ―――――――――――――

三月三十一日

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案(中島克仁君外十六名提出、衆法第五号)

 新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案(中島克仁君外十六名提出、衆法第二〇号)

 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案(中島克仁君外十六名提出、衆法第二一号)

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案(中島克仁君外十六名提出、衆法第五号)

 新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案(中島克仁君外十六名提出、衆法第二〇号)

 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案(中島克仁君外十六名提出、衆法第二一号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官内田欽也君、子ども・子育て本部審議官相川哲也君、文部科学省大臣官房審議官淵上孝君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官武井貞治君、大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官奈尾基弘君、医政局長伊原和人君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、労働基準局長吉永和生君、子ども家庭局長橋本泰宏君、社会・援護局長山本麻里君、老健局長土生栄二君、保険局長浜谷浩樹君、国立感染症研究所長脇田隆字君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田とも代君。

吉田(と)委員 おはようございます。日本維新の会の吉田とも代です。

 昨日に引き続き、本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速、新型コロナワクチン接種について質問をいたします。

 厚生労働省は、先月二十九日付で、米ファイザー製の新型コロナワクチンを、十二歳から十七歳を対象に三回目の無料接種に踏み切ることを発表しました。

 一方で、WHOの主任科学者ソミヤ・スワミナサン氏は記者会見の中で、健康な子供や青少年に新型コロナウイルスワクチンのブースター接種が必要であるという証拠は現時点でないと述べておられます。

 もちろん、この記者会見は本年一月十八日の記者会見ですので、この二か月半の間に新たな知見、すなわち、十二歳から十七歳の三回目接種が必要である証拠が見つかったのかもしれませんが、厚生労働省として、どのような新しい知見や証拠を認識してこのような判断に至ったのか、国民の皆様に分かりやすく説明していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 十二歳から十七歳までの方への新型コロナワクチンの三回目の接種につきましては、厚生科学審議会におきまして、緊急の蔓延防止の観点から、まず、今後、オミクロン株以外の重症化リスクの高い変異株の流行もあり得ること、また、ワクチンの有効性に関しましては、十二歳から十七歳に接種するワクチンは十八歳以上の方に用いるワクチンと同じでありまして、十八歳以上の方においてオミクロン株に対する発症予防効果や重症予防効果の回復が確認されていること、また、ワクチンの安全性につきましては薬事審査の過程で確認できていること、また、諸外国の状況でありますけれども、米国、フランス、ドイツ、イスラエルにおいては、全ての十二歳以上の方々に対して三回目接種を開始し、推奨していること、さらに、十二歳から十七歳までの方における重症例、これはオミクロン株流行以降増加をしているということ等を総合的に勘案して、特例臨時接種として実施することが適当というふうにされたものでございます。

 その上で、重症化リスクの高い基礎疾患を有する十二歳から十七歳までの方につきましては、三回目接種を特にお勧めするということとしております。

 十二歳から十七歳までの方が安心して三回目接種を受けられるよう、丁寧にワクチンの有効性、安全性等を説明してまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 海外の知見をベースにされているということですけれども、やはり、昨日も御意見が様々出ていたかと思うんですが、日本の環境であったり、また日本人の体質、こういったものも鑑みますと、日本の知見というものが必要であると私は思います。

 また、十六歳から十七歳に対する三回目接種の有効性、重症化を予防する効果がデータとして示されたということですが、十二歳から十五歳が接種した際の有効性については、今のところ、データ、症例が少なく、減少率が算出できないということですが、まだ成長過程のお子さんで、六か月単位で三回目のワクチンを打つということですので、これは、安全性だけでなく有効性についてもしっかりデータ収集に努めていただきたいと思います。

 それでは、続きまして、私が以前市議をしておりました兵庫県丹波篠山市の市長日記の中から、酒井隆明市長の令和四年三月七日のブログですが、五歳から十一歳の新型コロナワクチン接種には、以下のような記述があります。

 本日から、五歳から十一歳のお子様へのワクチン接種について、メリットとデメリットを御理解いただき、希望者には接種券を申請していただくようお知らせします。この五歳から十一歳のお子様へのワクチン接種については、努力義務はありません。基礎疾患を有する小児には重症化を予防する必要はありますが、オミクロン株は基礎疾患のない小児には軽症、無症状が多く、ワクチンの感染予防効果は確定していません。また、副反応もほとんどが軽度又は中等度で、現時点で安全性に重大な懸念は認められていませんが、ごくまれにアナフィラキシー、心筋炎、心膜炎などの重い症状があるとされています。かかりつけ医や御家族とよく相談していただいて御検討いただきたいと思います、とあります。

 このように新型コロナワクチン接種券を対象年齢の方に一斉送付を行わずに、接種希望者のみに発送するという方法を取っている自治体もありますが、今回の十二歳から十七歳の三回目のワクチン接種についても同じようなやり方をして問題がないと考えておられるのか、厚生労働大臣の見解を求めます。

後藤国務大臣 自治体には、予防接種法第八条に基づきまして、全ての対象者に対して接種を勧奨する義務が課されておりまして、この接種勧奨と併せて、国としては、併せて、接種を受けるかどうかの判断に資するような情報も提供するよう求めています。

 接種券を一斉送付するかどうかについては、最終的には接種勧奨の義務を持っている自治体の判断によるということになりますけれども、国としては、原則として、個別通知による確実な周知を自治体に対しては求めさせていただいております。

 接種券は、接種を実施する医療機関等が接種対象者であることを確認する上で必要なものでありまして、接種対象者に接種券を送付していただくことが接種対象者の利便を確保する方法としても重要だろうというふうに考えております。

 しかし、接種券が届いたとしても、新型コロナワクチン接種は強制ではありません。接種するかどうかは本人や保護者が判断するものであることには変わりはなく、丁寧な情報発信を行ってまいりたいというふうに思います。

吉田(と)委員 後藤大臣の御答弁から、各自治体の判断によるということですけれども、十二歳からの多感な年齢の子供たちにとって、一斉に接種券が送られてきたら、ワクチンを打った打たない、こういった会話が自然に出てくると思います。これが同調圧力にもなりかねませんので、このような議論が各自治体の指標になればいいなと私は思っております。

 続きまして、従来より予算委員会や厚生労働委員会で、ワクチン接種後の副反応が一定期間続く、いわゆる後遺症のような症状に悩まされている方々への対応について、各自治体の窓口でこれらの方々がたらい回しになっている実態を踏まえて、必要な診療を受けられる体制づくりの必要性というのを私は訴えてまいりました。

 そのような中、令和四年三月二十四日、厚生労働省健康局健康課長名で、遷延する症状を訴える方に対する診療体制の構築についてという事務連絡が自治体に出されました。これは、新型コロナワクチン接種と症状との因果関係の有無に関係なく必要な医療機関を円滑に受診できるよう促すもので、症状に悩む方々の声、また、これまでの議論を重く受け止めていただいたと改めてお礼を申し上げたいと思います。

 そのような中で、さらに、本日は、この先予想される展開について質問をさせていただきたいと思います。

 先般、テレビで報道されていた事例ですけれども、十四歳の女子中学生、去年十月に一回目の新型コロナワクチンを接種して、約六時間後に体が硬直、一時は歩行困難になって、小さな頃から続けていた水泳もできなくなったとおっしゃっていました。そして、ワクチンを打ってからは、泳ぐことはもちろん、バランスが悪いということで、すり足歩行になっています。

 この少女の父親いわく、会話のやり取りも遅くなった、投薬治療やリハビリを行い、短い距離は歩けるようになったが、学校まで登校距離があり、左足がまだ麻痺しているため学校は休んでいる、総合病院や大学病院でも原因は分からない、市に問合せをしても、因果関係が分からないからどうしようもないと言われた、怒り以上で、家族の生活もむちゃくちゃだという内容でした。

 テレビ報道の中では、彼女の担当医の先生の話では、昨年十一月頃からワクチン後遺症のような症状の相談が舞い込んで、これまで八十名程度の方々が日常生活に支障を来しているとのことでした。

 厚生労働省に、接種後、死亡、重い障害、入院など医療機関から報告された重篤な副反応疑い報告書の三月十八日の発表分では、六千六百三十一件となっており、発生割合は約三万回に一回、インフルエンザワクチンのおよそ約二倍となっています。

 元来、ワクチン後遺症という定義がない中で、このような症状の方、悩む方々に対して、今後どのように政府は対応していかれるのでしょうか。

 ワクチン接種を殊更に反対するというつもりはないわけで、感染予防や重症化リスクの軽減には一定、接種が必要だと認識をしております。ただ、一方、少なからずこのような症状の方が出ていらっしゃるということを鑑みたときに、その因果関係が不明だと言い続けるのではなくて、ワクチンとの因果関係を確認する必要があると思います。早急に症例を集め、解析をしていくことが何より大切だと考えますが、現在どのような取組が行われているのでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 先生から御紹介ございましたように、長期にわたり遷延する症状ということも含めまして、審議会において情報を収集して、まだ因果関係の判断が難しいという評価をいただいているところでございますが、これも先生から御紹介いただきましたが、そうした現にこのような症状に悩まれていらっしゃる方に寄り添うという観点から、希望する方が医療機関を受診できるよう、体制の確保や相談窓口の周知ということをしているところでございます。

 そうした新型コロナワクチンの接種後に生じる遷延する症状に関する知見につきましては、こうした取組の中で、専門的な医療機関における診療の蓄積ということも期待されるところでございます。したがいまして、そのような中で得られた知見などにつきまして、専門家の御意見も伺いながら、今後のことについて検討してまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 寄り添っていただく、そして症例を蓄積していくという御答弁をいただきましたけれども、病院を例えばこういった方々が受診しても、新しい病態ですので既存の病気に該当しないわけなんですね。そうなりますと、結果、診察を受けても、検査を受けても、ワクチンとの因果関係は不明ということで、証明をしてくれないということになります。そうなると、この悩んでいる方々というのは、この症状が何なのかということが不安になり、またそれが増長してうつ状態にもなったり、様々な、非常に複雑な病態を呈している状態でございます。

 大阪府の重症者、十九歳以下は〇・〇〇%、十万人に五人の割合です。重症者の割合が十万人に五人です。そうなりますと、基礎疾患のないお子様に対しては、慎重に保護者の方が判断できるような情報提供が必要であると思います。もちろん、ワクチンを打ちたいという親御さんもいらっしゃいますので、その接種の権利を奪うということではなく、打ちたい、また、考えたいという方に対しての配慮、それぞれの配慮が必要だと私は思っております。

 昨日の本会議場の中でも申し上げましたけれども、因果関係を調べるための知見、データ収集に早急に国民の皆様にも協力していただけるように、改めて積極的な広報活動に努めていただきたいと思います。

 ワクチンによる後遺症であると認定をされるまでは、これまでのほかの後遺症認定を鑑みましても、何年、何十年とかかるやもしれません。そういった中で、このような症状に悩む方々にとって、一定の回復がなければ学校にも行けなかったり仕事にも行けないという状態、これが続くわけですので、このまま政府が手を差し伸べないというわけにはいかないのではないでしょうか。

 企業では、例えばワクチン休暇を導入していたりもしますけれども、これは接種後の副反応に対してでありまして、いわゆる遷延する症状を抱える方々にとっては、長期間学校を休んだり、また長期間休職をするということも考えられます。そういった場合、コロナワクチンとの因果関係が証明されなければ、ワクチンとは関係ない症状だと言い切れないこの症状に対して、厚生労働省としては、例えば私、証明書は出せないということですけれども、パスポートを発行して、このような方々に対して学校や企業側などに配慮をするようなサポート体制、こういったものを整えるべきではないかと思いますが、見解をお伺いいたします。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど医薬・生活衛生局長の方からもございましたけれども、医療現場におきまして、新型コロナワクチン接種後に生じた長引く症状とワクチン接種の因果関係を判断することは必ずしも容易でないという状況におきまして、先生御指摘のような証明書でございますとかパスポートという形を活用していくことにつきましては、実行上の課題が大きいものだというふうに考えているところでございます。

 ただ一方、健康状態について配慮が必要な労働者が職場にいる場合におきましては、適切な就業上の措置を行いつつ、治療に対する配慮が行われることが望ましいと考えているところでございます。

 厚生労働省におきましては、治療と仕事の両立支援のために、例えば、事業場における治療と仕事の両立支援の具体的な取組を取りまとめたガイドラインを公表してございますけれども、企業におきましても、こうしたガイドラインを参考に取り組んでいただきたいと考えてございます。

 ガイドラインを始めとして、助成の制度などございますので、こういった支援策の周知に取り組んでまいりたいと考えてございます。

吉田(と)委員 私も、今御紹介いただきました両立支援ガイドライン、こちら、拝見いたしました。事業所に配慮を求めること、普及促進されているということは十分理解はできたんですけれども、これは疾患別、事例別と記載があるように、一般的に一定の病名がついている方々に対する両立支援ガイドと私は捉えました。労働者本人の取組として、主治医の指示に従い、治療を受ける、服薬する、増悪防止に適切に取り組むとありますが、病名がつかなければこれらが難しい方々もいらっしゃいますし、また、就業上の措置、就業の可否など、主治医からの情報が必要なわけですけれども、それもハードルが高いと思います。

 やはり、新型コロナウイルス感染症やワクチンによる遷延する症状についても配慮がなされるように、引き続き働きかけていただきたいと思います。

橋本委員長 済みません、どなたに対しての質問ですか。ガイドラインの話ですよね。

吉田(と)委員 学校関係の御答弁。

淵上政府参考人 ワクチン接種後の体調と学業との関係についてお答え申し上げます。

 児童生徒が、新型コロナワクチン接種後の副反応が長引くなどによりまして学校の教育活動への参加に支障が生じる場合につきましては、その治療に専念していただきつつ、学習に著しい遅れが生じることのないようにすることが重要だと考えております。

 文部科学省では、新型コロナウイルス感染症の影響によりやむを得ず学校に登校できない児童生徒に対して、個々の児童生徒の実情等も踏まえ、ICTなども活用しながらしっかりと学びの保障を行うように求めてきておりますけれども、この考え方は、ワクチンの影響により学校に登校できない児童生徒にも当てはまるというふうに考えております。

 また、登校再開後には、子供の学習の状況を把握して、必要に応じて補習などの措置を講じたり、児童生徒の心身の状況に応じた学習面、生活面での配慮を行ったりするなど、継続的な学びの保障に取り組んでいただきたいと考えております。

 こうした基本的な考え方にのっとりながら、今後、厚生労働省における今後の知見の蓄積などを踏まえつつ、必要な取組を進めていく必要があると考えておりますけれども、いずれにしても、学校において、その子供、子供の状況に応じて丁寧な対応を取り組んでいただく必要があるものというふうに考えております。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 副反応が長期にわたる事例があるということをまず学校現場に周知していただくことも大切かなと私は思っておりますし、昨年から始まりましたGIGAスクール構想、オンラインを使って授業に遅れが来さないような配慮、こういった積極的な発信をお願いしたいと思います。

 十二歳以上のお子さんに関しては、努力義務を課して、そして接種勧奨をしているという以上、少なからず後遺症らしき症状を抱える方々に寄り添うだけでなくて、やはり国として責任があると思います。因果関係を解明する、後遺症だと認められるには相当な時間を要しますので、暫定的なサポート、こういったものが必要だと思います。因果関係が分からない中ですので、先ほど私が申し上げました見守りカードみたいなものを、例えば、お子さんというのは御自身が自分の状況、症状を説明できない場合もあるかと思いますので、それを携帯できるような、そういったものを発行して周囲に配慮していただけるようなものがあればいいなと思っておりますので、御検討をいただきたいと思います。

 それでは、残り時間が少し少なくなりましたが、続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 少子化が進みまして、子供の数が減少している中、児童虐待相談対応件数はここ十数年で著しく増加しております。主な増加要因として、心理的虐待に関わるものや警察等からの通告の増加が挙げられています。

 こうした要因のほかにも、虐待に対する社会の意識の変化や社会経済状況の変化なども背景にあると考えられます。核家族化により親世代からの育児、家事支援を受けられない家庭、地縁のない場所で育児を行わざるを得ない家庭など、育児を親だけで背負わなければならず、余裕のない状況に置かれている家庭が増えています。

 相談相手もおらず、心身の休まる暇もなく子供の世話をし続けるということは本当に大変なことです。育児を担う世代への支援を手厚くすることが、ひいては児童虐待の予防につながるものと思いますが、この点について後藤大臣の見解を求めます。

後藤国務大臣 今の吉田委員から御指摘がありましたとおりでございまして、子育て世帯を取り囲む環境というのは、地域関係の希薄化やあるいは核家族化などによりまして、負担や悩みを抱えて子育てに取り組んでいる子育て世帯が非常に多くなっております。一方で、児童相談所への虐待相談対応件数は、令和二年度では二十万件を超える事態になっております。

 このような中で、虐待が起こってからの対応の強化のみならず、家庭への支援を強化して虐待の発生を未然に予防することが非常に重要だと私も思います。

 このため、全ての妊産婦、子育て家庭、子供へ一体的に相談支援を行うこども家庭センターの設置や、あるいは、訪問による家事支援や親子関係の形成支援など、家庭を支援する事業を新設すること等の内容も盛り込んだ児童福祉法等の改正法案も閣議決定して、国会に提出したところでございます。

 児童虐待の防止に向けて、家庭支援にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 親だからこうあるべきと気負うことなく、子供とともに親も成長していけばいいんだというその機運を高めていくことも重要であろうと考えます。

 もう少しほかにも質問を準備していたんですけれども、本日はちょっと時間の関係で、また次回質問させていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、池下卓君。

池下委員 おはようございます。日本維新の会の池下卓です。

 本日もよろしくお願いしたいと思います。

 まず、先ほど吉田議員も質疑を少しされておりましたけれども、遷延する症状を訴える方に対する診療体制の構築、いわゆるコロナに関しましての後遺症等々の治療体制についてお伺いをしていきたいなという具合に思います。

 まず、資料の一枚目と二枚目の方を御覧いただきたいという具合に思います。

 これは、先日、三月二十四日、新型コロナワクチンについて、遷延、いわゆる後遺症の症状を訴える方に対応する診療体制の構築についてという通知が健康課長の方から発出をされました。これまでにも、令和三年の二月に同様の通知というものが各都道府県の方に発出をされているわけですけれども、改めて診療体制の構築をするように通知をされたということなんですが、実は、私のところにも、この後遺症につきまして、医療機関をたらい回しにされているような御相談というものが来ております。

 先ほどもお話がありましたけれども、ちょっと体調が悪くなったのでかかりつけ医の方に行かれました、ただ、なかなか原因が分からないものですから総合病院に行きました、けれども紹介されて大学病院の方に行った、けれども検査した結果、原因が分からないということで、またまたかかりつけ医の方に戻されて、最終的には心療内科の方にまで行って、心の病じゃないですかというところで、長引く症状に苦しまれているという方々の声が私の方にも届けられているところであります。

 そういう中で、今回改めて通知を発出されたという理由について、改めて、ちょっとお伺い、確認させていただきたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、昨年、令和三年ですが、二月一日付で発出しました通知におきましては、新型コロナワクチン接種後に副反応を疑う症状を認めた場合に対応する診療体制を構築するよう、都道府県に依頼をしております。

 一方、今般、本年三月二十四日付で発出しました通知は、副反応を疑う症状に含まれます遷延する症状を訴える方が存在する、また、そのような症状についての相談先や受診先について悩んでいる方が存在するということの御指摘を踏まえて出したものでございます。

 ワクチン接種後の副反応に対する診療体制は自治体ごとに異なるため、今回の通知は、遷延する症状にも適切に対応できるかをそれぞれの自治体で確認していただく、そして必要に応じて各地域における体制を見直していただくように依頼をしたところでございます。

池下委員 御答弁をいただきました。

 私の友人の大阪の泉大津の南出市長という方が、こういうワクチンの後遺症であったりとかというものに非常に熱心に取組をされていまして、医療機関の方々もそれに声をそろえているというところもあります。

 私は、別にワクチンに対して反対な立場でもないですし、安全に、そして安心してコロナ対策をできるようにしていただきたいという気持ちでいっぱいなんですけれども。そういう中で、今回改めて発出されたという内容を今御答弁いただきましたけれども、去年はアナフィラキシーであったりとか短期的なものであって、今回は、中長期の、遷延、長引く症状に対しての対策を是非都道府県に対してもやっていただきたい、医療機関に対してもやっていただきたいという御答弁だったかということは理解をさせていただきました。

 そこで、通知には、各都道府県が構築した診療体制について状況の確認を行っていくよう要請をしております。また、相談の窓口体制であったり関係機関の連携体制についても言及をされているというところであります。

 是非、たらい回しをされないようにするためにも、ワクチン接種後、原因不明の様々な症状があるかと思います、そういう原因不明の患者さんにもしっかりと治療体制が組めるのかどうか、そういうところにもしっかりと手が届くのかどうかというところにつきまして、お伺いをしたいと思います。

佐原政府参考人 今回出しました通知につきましては、まずは相談窓口をつくっていただくということに加えまして、かかりつけ医との連携体制の下で専門的な医療機関を受診するような体制を整えていただくということをお願いしているところでございます。

 この考え方としましては、様々な症状がございますけれども、まずは、かかりつけ医等でしっかり診ていただいた上で、例えば既にお持ちになっている病気が悪くなっているというようなことがないかどうかもしっかり除外をしていただいて、それでもより専門的な診療が必要であるということであれば専門的な医療機関にきちっと紹介できる、そういった体制をつくっていただきたいという趣旨でございます。

池下委員 この症状で困られている方が取り残されないような仕組みづくり、体制づくりというのを、是非お願いをしておきたいなという具合に思います。

 このコロナ関係なんですけれども、ワクチンについてなんですが、ちょっと視点を変えまして、次の質問をさせていただきたいなと思います。

 資料の三枚目になります。こちらの方は、予防接種健康被害救済制度というものでありまして、できるだけ直近のデータも含めてこちらの資料の方に書かせていただいております。

 この図は、予防接種を受けた方に健康被害が生じた場合、その健康被害が接種を受けたことによるものであると厚労大臣が認定したときは、市町村より給付が行われるというものをスキームにして絵に描いたものであります。

 この制度は、副反応を疑った医療機関が報告書を提出いたします、いわゆる副反応疑い報告制度、これとは全く別の仕組みになってきているわけなんですが、この仕組み、予防接種健康被害救済制度は、健康被害を受けた個人、一個人が申請を行うものであります。

 そういう中で、これまで、新型コロナワクチン接種後、国民の接種回数は、令和四年三月三十日時点で約二億五千万回であります。また、全国市町村への個人からの申請については、この一年弱では、分かりません、不明です。これは、一々保健所にまた報告せいとか言うと逼迫してしまう可能性もあるということも聞いておりますので、一応不明ということで聞いております。あと、市町村が都道府県を通じて厚労省へ、これは進達というそうなんですが、厚労省へ進達された件数は千百九十八件、これは一昨日も話題が出ていたかと思います。そして、審議会における認定数は六百五十件、否認が三十六件、保留が七件という具合に書かれているところであります。

 ワクチン接種により健康被害を受けた人が自治体に申請した件数は不明ですけれども、三月十八日時点で、この副反応疑い制度、ちょうど図の左下に副反応疑い報告の件数が書いてありますけれども、医療機関からは三万一千八百七十四件、そして製薬会社からは二万二百四十八件の件数が上がってきております。これは、人数ではありません、あくまで件数です。お一人当たり複数の症状を持っておられる、二つとか三つの症状がある方もいらっしゃいますから、あくまで人数ではないということを御承知おきしたいなという具合に思うんですが。

 また、この副反応疑いのうち、全てが申請しているという具合にも私は思いませんけれども、それにしても、この健康被害救済制度の進達数と副反応疑いの件数が余りにも乖離しているんじゃないかなと思うわけなんです。

 そこで、厚労省に、今、進達千百九十八件ということですが、新型コロナワクチンで副反応による健康被害と判断、どうなればこのワクチンでの健康被害と認定されるのか、この認定要件についてお伺いをしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、予防接種法に基づく健康被害救済制度でありますけれども、これは、健康被害が通常起こり得る副反応である場合を除きまして、接種に係る過失の有無にかかわらず、予防接種と健康被害との因果関係が認定された方を迅速に救済するものでございます。

 健康被害が通常起こり得る副反応である場合を除きというのは、例えば、ワクチン接種後の発熱で外来を受診して、解熱剤の服用のみで改善したような場合、こういった場合は対象外になっております。

 その上で、予防接種と健康被害との因果関係の判断は、被害救済制度におきましては厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とするとの考え方に基づいて行われております。

 このため、通常起こり得る副反応を除きまして、遷延する症状も含めまして、接種後に生じたいかなる症状についても、一定程度の因果関係が認められた場合には救済の対象となると考えております。

池下委員 御答弁いただきました。

 今の御答弁で、厳密な因果関係までは必要とせずというお言葉をいただきましたけれども、この制度にまだまだ乗っかっていないで、なおかつ苦しまれている方というのは、私は潜在的にたくさんいらっしゃるんじゃないかなという具合に思っております。やはり、ワクチン接種後、先ほどの遷延の話もそうですけれども、長引いて、健康被害が続いているということになりますと、社会生活上という中でも非常に問題がある。仕事ができないとか生活の質が落ちるとか、様々なことがあるかと思いますけれども、私は、遷延する症状を訴える方に対する診療体制の構築についてという通知が今回また改めて出されているということなので、この救済制度が是非使われるようにしていただきたいと思います。

 この制度は患者本人が市町村へ申請するものですけれども、個人だけでは、私、ちょっと見たんですけれども、申請用紙も結構書類がたくさんあって、お医者さんに書いてもらわなきゃいけないものもたくさんあるわけなんです。そういう中で、自治体であったり、かかりつけ医さん、そして専門医療機関にも、この制度、予防接種健康被害救済制度と先ほどの遷延の通知をしっかりと周知させることで、患者本人さんに制度が届きやすい環境というのを是非つくっていただきたいと思うんですけれども、御見解の方、お願いいたします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、この制度の周知に当たりましては、予防接種を受ける方に、接種の際にお渡しするリーフレットに、制度の内容を記載してお知らせをしているところであります。

 また、このリーフレットに加えまして、かかりつけ医や専門的な医療機関からも、ワクチン接種後に健康被害が生じた方に情報提供を行うことにより、この被害救済制度が認識され、適切な申請につながることが考えられます。このため、自治体と連携しながら、救済制度について一層周知が図られるよう対応してまいりたいというふうに考えております。

 また、先般、三月二十四日に自治体宛てに出しました通知におきましても、希望する方が必要な医療機関を受診できるように、各都道府県内の関係者にとどまらず、住民に対しても、相談窓口の連絡先あるいは受診の方法を適切に周知するよう依頼をしておりまして、引き続き、自治体と連携しながら、こういった周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

池下委員 是非、しっかりと体制をせっかくつくっていただいているものですから、知らないとかでこれに乗り遅れないような形で進めていただきたいなという具合に思います。

 そして、今回、ワクチンの副反応であったりとか後遺症であったり、いろいろなことをちょっとお話をさせていただいているんですけれども、今、こういう課題が、伊佐先生のところもたしか去年とかされていたと見させていただきましたけれども、やはりこういうことで悩まれている方が非常に多いかと思っているんです。

 私は、ここで、やはり政治の役目として、原因究明をしっかりと行えるように予算措置というのもやっていかなきゃいけないんじゃないかなと考えておりまして、今後のワクチン接種後の後遺症への研究体制については、どのような方向性を持って進められていくのか、大臣の方に御見解をお伺いいたします。

後藤国務大臣 新型コロナワクチン接種後の遷延する症状について、受け止め方が人それぞれでありますし、現時点では、どのような症状を指すのか、一律に定めることが難しいという状況でございますけれども、今後の科学的知見を踏まえながら検討すべきものと考えております。

 現にこのような症状に悩まれている方に寄り添うことは重要でありまして、ワクチンとの因果関係の有無にかかわらず、希望する方が必要な医療機関を受診できるよう、体制の確保や相談窓口の周知等にも取り組んでいるところでございます。

 そして、新型コロナワクチン接種後に生ずる遷延する症状に関する知見について、今後このような取組を行っていく中で、専門的な医療機関における診療の蓄積により新たに得られる、そうしたものもあるだろうと期待できます。

 こうした知見を踏まえ、専門家の意見も聞きながら、治療法を含む必要な研究や研究体制について検討し、実行してまいりたいと思っております。

池下委員 やっていただくというお答えだったと思うんですけれども。

 やはり、医療機関の皆さんの御協力をいただかなきゃいけないと思うんですけれども、医療機関だけにやりなさい、やりなさいと言うだけでは当然進まないと思うんです。やはり、国として、政府として、予算措置って今のタイミングでお話しすることじゃないかもしれないんですが、将来的に、補正予算を組んだりとか、予算措置を組むことによって原因究明であったりとかというのを進めていっていただきたいなと思うんですけれども、もう一度、大臣の方、お願いできますでしょうか。

後藤国務大臣 今委員から改めて御指摘がありましたように、専門家の意見を聞きながら、治療法を含む必要な研究や研究体制そのものをしっかりと整えるように、検討して進めていきたいと思います。

池下委員 ちょっと更問いさせていただきましたけれども、今、ちょっとこの場ではお答え、やりにくいかなと思うんですが、私は期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、続きまして、アレルギー疾患対策についても、次に、ちょっと話題を変えまして、話をしていきたいなと思います。

 実は、私も、前の大阪府議会議員の時代に、アレルギー対策というのを取り組んでおりました。かつて、私、地元高槻の駅前で街頭演説をしていたときに、あるお子さんが血だらけになって、かゆい、かゆいと言って、血だらけになって、かきむしってTシャツが血で真っ赤になって、そばにいるお父さんもどうしたらいいのか分からないということで、泣きじゃくっているお子さんを見かけたんです。

 私はお医者さんでもありませんから、その子一人を助けることはできないかもしれないんですけれども、ただ、やはり、政治というものの力を使って、一人の子は助けられないかもしれないけれども、多くのアレルギーに悩まれている方々を広く救いたいなという思いで、府議会の時代も、そして今回も質問をさせていただきたいなという具合に思っております。

 アレルギーといいますと、どうしてもちょっとお子さんが目につくということもありますし、既にやっていただいていることもあるかと思うんですけれども、ここはあえて、成人のアレルギー対策についてお伺いをしていきたいなという具合に思います。

 従来、年齢を経るごとに患者数が減少していくとアレルギー疾患は思われていたんですけれども、最近の調査からは、成人層においても患者数が増加している傾向があると聞き及んでおります。

 また、重症度を見ましても、成人アレルギーの一定層は中等症から重症、最重症にありまして、増悪と寛解、よくなったり悪くなったりということを繰り返しながら、長期にわたって疾患に悩まされているという方が多いという具合に聞き及んでおります。

 特に、成人層というのは、本当に働かれる世代でもありまして、社会経済活動の中心であります。患者数の多いアレルギー疾患による経済的損失は無視できないというものもありますし、患者の中には、やはりもう治らないんだろうなと思いながら、生活の質が低下している中でも我慢しながらずっと長年暮らしている方もいらっしゃるかと思います。

 ちょっと資料の四枚目、こちらの方を御覧いただきたいなという具合に思うんですけれども、こちらの方は、近年、難治重症アレルギー疾患におけるメカニズム、これもちょっと解明しつつあると言われておりまして、それに対する治療薬というのも開発されてきています。

 例えば、資料の真ん中の二型という具合に書かれているところなんですが、症状としたら、ぜんそくであったりとかアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などがあるんですけれども、それに対して、症状に中心的に作用している分子がサイトカインという具合に言われております。ちょうど左下にサイトカインと書かれているところなんですが、そのサイトカインのうち、二型ではIL4、IL5、IL13などが働いていると一部の研究で分かってきているところです。

 国として、増加している成人層のアレルギー患者の皆さんへの対策というものを進めていきたいと思っているわけなんですけれども、これまでアレルギー疾患については、先ほど紹介したアトピー性皮膚炎やぜんそく、アレルギー性鼻炎などの多くの種類がありますけれども、国としても、成人層のアレルギー患者が増加しているのかどうか、まずちょっとそこの認識を御確認したいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 国が実施する患者調査によりますと、今御指摘ありましたアレルギー性鼻炎、ぜんそく、それからアトピー性皮膚炎の二十歳以上の推計患者数の合計は、例えばですが、平成二十年は百三・七万人でありましたが、平成二十九年は百四十・一万人に増加しておりまして、成人のアレルギー患者の総数は増加傾向にあると認識をしております。

池下委員 昔と違って、やはり今、成人層でも悩まれている方が多いんじゃないかなと思っております。

 近年、難治重症アレルギー疾患の治療法に関する研究も多く発表されていまして、これまでの、せきを止めるとか、かゆみを止めるとか、いわゆる対症療法よりも効果があるとされます、サイトカインを狙い撃ちする生物学的医薬、お薬ですね、これを用いた治療も開発されたという具合に聞いております。

 アレルギー患者会からも、アレルギー疾患に関する最新の知見は、診療科間を横断し、積極的に共有が求められるように、また、地域の診療所や病院においてもこの情報というものを共有されるべきだという提言があります。最新の知見に基づく治療というのはやはり患者さんからも求められているところだと思っております。

 現在、政府は、アレルギー疾患対策として、各都道府県においてアレルギー拠点病院というものを設置されているということは私も重々、大阪でやっていたので存じ上げておるんですが、しかし、都道府県によってやはり取組の強弱というものがありまして、私はやはり、アレルギー患者さんに対しまして、日本全国のどこに住んでいても同じようなレベルの治療を受けられるべきだという具合に考えております。

 そこで、是非、アレルギー治療の国内標準化をする取組につきまして、お考えをお伺いをしたいと思います。

後藤国務大臣 国民が、その居住する地域や年代にかかわらず適切なアレルギー疾患医療を受けることができるように、今委員からも御指摘があったように、アレルギー疾患に関する医療全体の新しい知見に基づく質の向上を図っていくとともに、均てん化を各地域において推進することは非常に重要だというふうに認識いたしております。

 このため、重症や難治性のアレルギー疾患の医療を担う、今御指摘のあった都道府県アレルギー疾患医療拠点病院を全都道府県に設け、今全国で七十八でございますけれども、地域の医療機関との連携体制を構築するとともに、医療従事者向けの研修の実施を通じた、かかりつけ医等のアレルギー疾患に関する知識や技能の向上等に取り組んでおります。

 引き続き、アレルギー疾患を有する方が安心して生活できる社会の構築を目指しまして、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針に基づいて、総合的な対策にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

池下委員 是非、これはやはり目標を持って、そしてPDCAを回していただきながら、しっかりと全体的なレベルというものを上げていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってきましたので、最後の質問の方をさせていただきたいと思います。

 実は先日も同じ質問をさせていただいたんですが、当委員会におきまして、慢性腎臓病、いわゆるCKDについて改めてちょっと御質問させていただきたいなと思います。

 改めてこの慢性腎臓病を御紹介しておきますが、慢性腎臓病は、腎臓機能が悪化をすれば腎不全、ひいては透析治療が必要になりまして、脳卒中や心筋梗塞の要因にもなります。慢性腎臓病の要因としては、四〇%程度が糖尿病に起因するものでありまして、残りの約六〇%は高血圧や高脂血症など、自覚症状の乏しいものを要因としているという具合に聞いております。

 私は、この残りの六〇%に対しましてもしっかりとてこ入れというものをしていただきたいなと思いまして、今回質問に取り上げさせていただいているわけなんですけれども、先日の大臣の答弁で、慢性腎臓病に関する問題意識が、その最大要因が糖尿病であると言われておりました。それは理解しております。糖尿病以外のリスクのある国民への対策として、具体的な策は何か腹案としてお持ちなのかと思います。

 例えば、本年は、健康日本21の改定作業を行っていると聞いております。健康日本21は、生活習慣病を改善し、健康寿命を延伸させることを趣旨としておりますけれども、CKDにならないために、疾病対策とは別に、糖尿病性腎症由来にこだわらず、高血圧や高脂血症など、予防、健康の観点からも、このCKD対策をするよう改定すべきだと思いますけれども、御見解を伺います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 慢性腎臓病の原因としては、高血圧や脂質異常症を含む糖尿病以外の要因の割合も大きく、慢性腎臓病の対策として高血圧症や脂質異常症の予防も重要であると認識しております。

 平成二十五年から令和五年までの計画期間としまして推進しております健康づくり運動である健康日本21におきましては、生活習慣病対策の一環として、高血圧の改善や脂質異常症の減少を目標項目としまして定めまして、食生活の改善や身体活動量の増加等、各種取組を国、自治体、企業等が一体となって推進しているところでございます。

 引き続き、これらの取組を通じて慢性腎臓病の予防にもつながる予防・健康づくりを推進してまいりたいと考えております。

池下委員 ありがとうございます。

 ちょっと私、時間の配分というか時間の割りを間違っておりまして、通告の時間が終わりということを聞きました。改めてまたこちらについても、しつこくでありますが、質問させていただきたいと思いますので、申し訳ございませんけれどもこれで終了させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 先日も夜に地震がありました。大変私も心配になったんですが、朝のニュースを見ていますと、コロナの第七波がまた来るのではないかということもあります。

 三月十六日には福島沖でやはり地震があり、死者の方が四名、負傷者の方が九十七人と。亡くなられた方には、本当に我が身のことと思って、哀悼の誠をささげたいと思います。

 現在、災害復興の同志が現場に入って、現場の状況を私に知らせていただくんですが、やはり市場もインフラも壊れているという中です。

 こういったことが大変社会に大きなインパクトを与えて、今多くの事業所が、業務継続計画、俗に言うBCP、ビジネス・コンティニュー・プラン、これを策定していると思います。

 そこで、私は、今回、令和六年までが期限と決められた介護事業所におけるこのBCPの策定についての質問をさせていただきたいと思います。

 まず、令和三年度の介護保険料の改定で、介護保険の点数は〇・七%アップしました。この〇・七%アップした中には、このBCP、業務継続計画を作るという経費も含まれていると聞きます。

 しかし、今燃料の高騰でいろいろな物価が向上する中、そしてまた、策定のガイドラインには三日分の食料の備蓄ということも書かれています。介護事業所は、この食料の備蓄に対して大変コストがかかります。ペースト状のものであったり刻んであったりと、品数が大変多い。この備蓄もしなければならない。そして、やはり、コンティニュー、事業を再開していくときには余剰人員もいなければなりません。

 そういったことを踏まえて、今回の介護報酬のアップで、まず、負担が賄えるのかという視点。我々は三年に一度の介護事業所は改定になりますので、途中でもしこの介護報酬〇・七%では足らないということであれば、見直しをしていただく可能性があるのか。

 また、これは義務になりましたので、実地指導の対象になります。実地指導の対象になるということは、やはり訓練もしなければならない。その訓練が一年に一回以上と決められていますが、本当にこの災害や感染の中で、一回以上、多分ほとんどの事業所が一回しかしないと思います、一回の避難訓練で対応が可能なのか。

 実際を想定すれば、他の事業所との連携も必要になります。もちろん自治体との連携も必要です。地域力の格差、そして、小規模の事業所にとってはこのBCPの策定は大変重いものになるのではないか。

 まず、第一の質問として、この三つの視点でお答えをいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

土生政府参考人 お答えいたします。

 介護サービスは、感染症や災害が発生した場合でありましても、御利用者に対しまして必要なサービスが安定的、継続的に提供されることが重要でございます。

 このため、社会保障審議会介護給付費分科会におきまして、昨今の新型コロナウイルス感染症を始めとする感染症への対応力強化、災害発生時に避難を含めた適切な対応を行うなど災害への対応力強化といった観点から議論を行いまして、令和三年度介護報酬改定におきまして、全ての介護サービス事業所に対しまして、三年の経過措置を設けつつ、業務継続計画の策定を義務づけたということでございます。

 厚労省といたしましては、介護サービス事業所が円滑にBCPを策定できるよう、サービス類型に応じたBCP策定ガイドラインの作成や研修会の実施等の取組を行っているということでございます。さらに、非常用自家発電、給水設備の整備等に対する補助など、策定した業務継続計画、BCPを円滑に実施できる体制整備の構築に係る支援も行っているということでございます。

 三年間は経過措置として努力義務ということでございますので、できる限りの策定を行っていただくとともに、訓練も含めたできる限りの対応をお願いしたいと考えております。

 今申し上げましたようなことで、引き続き、介護サービス事業所における業務継続計画の策定のため、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 今、発電機の設置も必要になってくると思うんですが、そのときの補助というお話が出ましたけれども、これは具体的にどのような補助を想定されているのかというところをお答えいただけたらと思います。

土生政府参考人 お答えいたします。

 非常用自家発電の補助等につきましては、例えば、施設におきまして福祉避難所になられているような場合について、ハード交付金の予算の中で優先的に補助をさせていただいているところでございまして、今後とも御要望に応じまして対応してまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 御要望に応じてということですので、ここは我々介護事業所の方がしっかりと必要なものを訴えていかなければならないというふうに認識しました。

 今おっしゃっていただいたとおり、確かに、コロナの第一波、第二波では、感染を広げない、感染した方の対応が難しくて、多くの事業所が一旦事業所を閉めてしまった。そうすると、やはり、利用されているシニアの方の足腰が弱って転倒が増えたり、もう一つ大きな問題は、認知症が進むという問題がありました。ですので、多くの介護事業所が、何とか、感染拡大、また、震災が起こった後でも事業を復興させていきたいという思いは持っていると思いますし、介護事業所というのは社会的なインフラとしての役割もあると思いますので、そこは、更に期待が高まっているという介護事業に対して御配慮いただけたらと思います。

 次の質問ですが、BCPの策定に当たり、令和六年末までという期限がありますが、自然災害と感染症に分けた場合、実際、訓練の計画を立てているか、また、訓練を実施をしているか、実施する予定はあるかというところのヒアリングというか実態調査みたいなものはもうされておられるのでしょうか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 介護事業所における業務継続計画でございますけれども、経過措置といたしまして、令和六年三月までは努力義務ということにさせていただいているということでございます。

 御指摘のとおり、現状把握していくということは重要と考えておりまして、令和三年度の老人保健健康増進等事業といたしまして調査を実施しておりまして、現在、報告書の取りまとめを行っているということでございます。

 その上で、改めまして、令和五年度には、介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査の中でBCP策定等状況について更に調査することを予定しているところでございます。

一谷委員 私は、民間の研究所ですけれども、調べてみたところ、これは分母が非常に五十件、四十件と少ないところなんですけれども、災害については研修を行ったりとか計画も立てているということが多いですが、やはり感染については、なかなか、計画は立てていない、また実施もしていないというふうなところの結果が多かったです。

 調査をそうやってしていただくときに気をつけていただきたいのは、もしできていなかった場合に、できていないということを言いづらいと思いますので、やはり、できているところだけを見るのではなく、できていない場合のところをどう調査するかというところの視点も必要ではないかなと思いますし、やはり、介護事業所というのは規模がかなりまちまちです。少ないところでしたら十人未満、ケアマネジャーさんのところでしたら三人とか、大きいところでしたら三百人というふうな規模がありますが、その規模によっても作成、実施の具合は変わってくると思いますし、また、災害に対しては、そこの自治体との協力、それがキーになってくるのではないかと思いますので、なるべく実態に即した調査をしていただき、また、先ほども申しましたが、やはり、介護事業所も点数のアップだけでは賄い切れなければ後回しになってしまって、災害が起こり、感染が起こり、手遅れになることもありますので、実態調査の方を是非よろしくお願いをいたします。

 では、次の質問をさせていただきます。

 今、感染が起こった、クラスターが起こった、陽性者が出た場合に、介護事業所というのは、できるだけその対策をして、すぐ事業を再開したい。しかし、再開するために一番壁になるのは風評被害だと思います。この風評被害を起こさないために基準を設けていただけないかなというのが介護事業所の多くの願いであります。

 国としまして、感染が起こった場合、これはコロナに対してですけれども、こういった対策を取れば再開をしてもいいというようなガイドラインであったり指標であったり、そういったものを示していただけるような考えはございますでしょうか。お願いいたします。

土生政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘いただきましたとおり、新型コロナ患者の発生によりまして事業所を休業した場合でありましても、感染対策を行っていただいた上で、事業所が円滑に再開できるよう必要な支援をすることは重要であると考えております。

 こうしたことから、感染対策のポイントをまとめた手引、動画、あるいはEラーニング等の作成、あるいは、感染症の専門家が実際に施設、事業所等を訪問し、実地での研修をする事業等の取組を行っているところでございます。

 また、休業時に取るべき対応といたしましては、先ほど来御議論いただいております業務継続計画の策定ガイドラインの中で、業務停止中の消毒等の情報につきまして御利用者、御家族に説明を行っていただくようなこともお示ししているところでございまして、こうした対応も利用者や家族が安心してサービスの利用を再開することにつながるものと考えております。

 さらに、感染者の発生や濃厚接触者に対応した事業所等につきましては、職場環境の復旧、環境整備に資するよう、事業所等の消毒、清掃費用などのかかり増し費用に対する財政支援も行っているところでございます。

 こうした取組を通じまして、引き続き介護サービス事業所における業務の継続を支援してまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 今、感染が起こった場合の消毒である、財政支援というところをお話しいただきました。

 実際、これは私のちょっと認識ですけれども、医療の現場では財政支援は比較的豊かであると思いますが、介護事業所の場合、一回消毒を行い、また感染が起こって二回目、三回目となったときは財政支援が行き渡っていないように思うんですが、いかがでしょうか。お願いします。

土生政府参考人 御説明いたします。

 ただいま申し上げました消毒費用等のかかり増し費用に対する支援でございますけれども、各都道府県に設置されております地域医療介護総合確保基金の枠組みを用いて補助をさせていただいているところでございます。一定の上限額はございますけれども、事情がある場合には、国への協議を経て、その上限を超えて補助できる仕組みとしているところでございまして、そうしたことも周知をさせていただいているところでございまして、引き続き適切な支援ができるよう努めてまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 やはり、検査キットも足らない、その費用も負担しているということも介護事業所から多く聞きますので、また実態を調査するのを一緒にやっていただけたらと思いますし、先ほどのガイドライン、これは業務継続ガイドライン、新型コロナウイルス感染症発生時というものが令和二年の十二月に発行されておりますが、そのことだと思います。

 これは大阪になりますが、介護事業者連盟、これは一般社団になっている非常に珍しい、地域の連携の中では、私は、この事業所の一般社団が国のモデルケースになるのではないかなというぐらいうまくできているところであり、また御紹介できたらと思うんですが。この事業所にお伺いしたところ、一般社団ですね、なかなかやはりこのガイドラインがもう即さなくなってきていると。コロナもやはり一波から六波までで対応も大分変わってきております。また、事業の再開をしていいか、これを判断するのは今のところ保健所になると思いますが、その保健所の対応が毎回少しずつ違う、ばらつきがあるということも言われております。

 ですから、ある一定、先ほどの消毒でありますとか、こういったことをすれば、コンティニューですね、事業を再開していいというところは国が示していただくのが一番いいんじゃないかなというふうに思っておりますが、ここは、お願いばかりもあれですので、私もしっかり事情を調べながら、また一緒にやっていっていただけたらなと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 では、次の質問に行かせていただきます。

 個別避難計画、これを作らなければならないというふうになっております。これは令和三年ですかね、始まり、今後五年をめどに対象者への政策を市区町村がしなければならないということになっております。

 これは、やはり、東日本大震災の中で亡くなられた方の六十五歳以上の方が六割、令和元年の台風十九号では六五%の方、そして令和二年の七月豪雨では何と七九%の方が六十五歳以上のシニアの方であるというところを踏まえて、個別避難計画を作るということは大切だというふうに考えております。

 この取組の指針について、個別避難計画のポイントとして、ハザード、危険な地域に住んでおられる方、また、心身の状況に応じて優先順位をつけて、地域の共助、共に助けることで計画を立てる。優先順位の高い方は市区町村が中心になって、その他は本人、地域で作成をする。できれば福祉専門職などの参画が重要と位置づけておられます。そして、今後五年をめどにこの計画を作らなければならないということです。

 これは兵庫維新の市議から私の方に問合せがあり、今この質疑をさせていただいておりますが、多くの福祉事業所又は民生委員をやっておられる方々が、この個別避難計画について我々が担っていかなければならないんじゃないか、我々に、ちょっと言葉が悪いですが、ケアマネジャーさんなんかは何か丸投げされるのではないかという危機感を覚えて、不安の声が大変あるというふうに我々兵庫維新の市議から話を伺っております。

 また、先ほどの一般社団法人化されている介護事業者連盟の方に聞いても、やはり多くのケアマネジャーさんが実際にもう担っていっているという現状がありますが、これについて、実際は市区町村がする、外部委託も可能ということになっておるんですが、この個別避難計画について国の考えをお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いします。

内田政府参考人 お答えいたします。

 近年の災害において、多くの高齢者等が被害に遭われていることを踏まえまして、昨年五月の災害対策基本法の改正により、自ら避難することが困難な高齢者や障害者等の個別避難計画の作成が市町村の努力義務とされました。

 内閣府におきましては、ハザードマップ上で危険な地域にお住まいの自ら避難することが困難な介護を要する方などについて、できるだけ早期に計画を作成するように市町村に依頼をしているところでございます。

 各市町村が個別避難計画を作成するに当たっては、地域防災の担い手だけでなく、本人の心身の状況や生活実態を把握しているケアマネジャーや相談支援専門員などの福祉専門職等と連携して取り組むことが極めて重要です。各市町村においては、防災部局と福祉部局が連携するとともに、医療、介護、福祉などの関係団体と連携を図りながら、福祉専門職の方の置かれている状況も踏まえつつ、地域の実情に応じて取り組んでいただく必要があると考えております。

 内閣府としては、厚生労働省と連携し、以上のような考え方を市町村に周知するとともに、自主防災組織と福祉専門職が一緒に本人を訪問する事例ですとか、福祉専門職が既存の訪問活動に併せて情報収集する事例などの優良事例の横展開を通じて、福祉関係者と適切に連携し、高齢者や障害者等の要支援者の方々が災害時に円滑かつ迅速な避難ができるよう取り組んでまいります。

一谷委員 ありがとうございます。

 これは、できない理由を探せばたくさん出てくるので、どうやったらできるようにするのかということを考えていくのが大変必要だと思いますし、やはり共助、共に助けるということが大前提でやっていかなければならないと考えております。

 そこで、これは一つ提案なんですが、我々兵庫、阪神・淡路大震災で、六十五歳以上の方がその当時に比べたらもう二倍になっている市もあります。シニアの方も多いということで、やはり、元気なシニアの方に助けていただくという視点も大事だと思いますので、今多くの市で進んでいる健康ポイント事業などを、参画をしていただくための一つの企画というか、使っていただくのも一つの手じゃないかなというふうに考えております。

 また、先ほど質疑をさせていただきましたBCP、我々介護事業所のBCPですね、これと個別避難計画は制度が別だということは理解をしていますが、ここはやはりひもづけていくというか、一緒にしていった方が実際には運用がいいのではないかなと思います。

 実際、私は、平成三十年ですか、九月に近畿に来た、台風三十号でしたか、その台風のときに、私が行っていた事業所もやはり被害を受けました。そのときに、利用されているシニアの方への連絡、それが非常に困って、我々も連絡する、ケアマネジャーさんも連絡する、地域の方も連絡すると非常に重複して無駄があり、またその方がどこに避難されたかも分からなかったという事情もありますので、ここは、制度は別だとは思いますが、BCPと個別避難計画は結びつけていくことは重要ではないかなというふうに思いますので、少し検討いただけたらと思います。

 また、この議論を国の役人の方々とさせていただいているときに、では、地域に行きますよ、地域に行って実情を一緒に話し合いましょうということを言っていただきましたので、そういったこともさせていただき、できるだけ実のあるしっかりとした個別避難計画を作ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に行かせていただきます。介護事業所のICT導入事業についての質問です。

 政府の全世代型社会保障構築会議の議論の整理の中に、サービスの質の向上、人材配置の効率化を進めることが明記されています。実際、我々介護事業所は、やはり人材不足であったり、これから多くのシニアの方が増える中でデジタル化は非常に必要だと考えておりますし、これは最重要の手段だと思っています。

 その中で、ICT導入支援事業、これは国が地域医療介護総合確保基金として令和三年ですが約百三十七・四億円を用意してくださっております。実際に、令和元年では、この基金を使ってICTを導入した事業所は十五県の中の百九十五事業所でしたが、令和三年には、四十七都道府県、二千二百九十一事業所に増えております。

 この中で、ICT化を進める中で、私はキーになるのはケアマネジャーさんの事業所だと思います。国策定の要綱にも、全ての介護事業所のサービスにこの基金を使ってくださいとなっていますけれども、実際、都道府県別に見てみますと、このケアマネジャーさんの事業が入っていないこともあります。

 これについて国はどのようにお考えになっておられるのかというところをお聞きできたらと思います。

土生政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございましたとおり、介護人材の確保が喫緊の課題とされる中で、介護現場の負担軽減、職場環境の改善は重要でございまして、ICT等のテクノロジーを活用した生産性向上を推進することが重要でございます。

 このため、令和元年度から、地域医療介護総合確保基金を活用し、居宅介護支援事業所を含む介護サービス事業所、施設における介護ソフトやタブレットの導入等に対する費用を補助し、ICTの導入を支援しているところでございます。

 令和三年度には全都道府県においてこの事業を実施していただいているというところでございますけれども、御指摘ございましたとおり、一部の自治体では居宅介護支援事業所が補助の対象となっていないなど、まだばらつきがあるものと承知をいたしております。

 居宅介護支援事業所とサービス提供事業所との間での情報共有ということを考えますと、居宅介護支援事業所が扱う事務をICT化することは重要でございます。

 本年三月の全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議におきまして、ICT導入支援事業の規模の拡充を含めて、更に積極的な取組を各都道府県にお願いしたところでございまして、引き続き、居宅介護支援事業所を含めて必要な事業所に支援が行き届くよう、御指摘の内容を踏まえまして、都道府県と連携してまいりたいと考えております。

一谷委員 今、規模の拡大というふうな御答弁もいただきました。このICT化、非常に生産性向上に重要ですので、よろしくお願いいたします。

 では、このICT化に関連して、次の質問なんですが、BYOD、俗に言う個人の携帯電話を業務で使うということですが、これは、平成二十九年五月三十日の改正個人情報保護法の施行に合わせて、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第五版の中で、医療、介護の分野に対してはこのBYODは原則禁止ということになりました。これで、私は、この業界のICT化はかなり遅れるなと現場にいながら感じたんですが。

 今、多くの事業所で、やはりこのBYODを解禁してほしいと。MDMという、モバイル・デバイス・マネジメント、これを入れることによって個人の携帯は使えるということなんですが、なかなか、ITリテラシーが高くなければ、このMDMを入れて使うことはできないです、実際。

 NPO法人のタダカヨという、非常にしっかりICT化を進めておられるNPO法人に、ヒアリングをその関連事業所にしていただいたところ、これは五十二件と分母は少ないですが、MDMをやっているところはゼロ、そして、会社が携帯を、またタブレットを貸与、貸しているところは、八一・三%がなしという状況です。

 この実情を踏まえて、このBYODについて解禁できないかどうかということについて、お聞きをしたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のBYOD、ブリング・ユア・オウン・デバイスでございますけれども、個人が所有する、あるいは個人が管理する端末の業務利用につきましては、これまで、先ほど先生御指摘ありました、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインにおきましては、セキュリティーの観点から原則として行うべきではないとしてきたところでございます。

 ただ、昨日、昨今の情報セキュリティーに関する課題を踏まえまして、ガイドラインの改定を行いました。その中で、このBYODにつきましては、近年、個人端末に関するセキュリティー技術が進歩していること、介護現場などを中心にニーズが寄せられているということを踏まえまして、仮想化技術などの利用によりまして安全性が確保された状況であれば実施を可能とするという見直しを行いました。

 現場の皆様におかれては、この改定されたガイドラインに基づいて、適切な運用管理の下で活用いただければと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 今大変重要な御答弁をいただきました、解禁になったということで。しかし、まだまだ、我々介護事業所、ITリテラシーが高い方々ではないので、こういうサービスは安全だというような、Pマークであるとか、そんなマークを作るのも考えていただけたらと思うんですが。

 最後に、これは後藤大臣に御質問させていただきたいんですが、このBYODやICT、また個別避難計画、今日もろもろの質疑をさせていただいたんですが、こういったところをやはりしっかり進めていくためには、介護事業所に中間管理職が必要だと思います。これは、現場のスタッフがたたき上げで上がってくるというわけではなく、処遇もしっかりして、魅力のある中間管理職にする。そうすることによって、他産業から参入してきていただいたり、大学や大学院から入社してくださったりするようになって、生産性の向上や、人口不足の、ICT化も進む、国が今いろいろやっていただいている施策が生きてくると考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

橋本委員長 申合せ時間が経過しておりますので、答弁を簡潔にお願いします。

後藤国務大臣 マネジメント能力の高い人材を介護事業所に配置することは、まさに議員御指摘のとおりでありまして、BCP策定、またICT導入等の推進に必要な、有用なことだというふうに考えております。

 厚生労働省で作成している介護現場の生産性向上のための手引等におきましても、マネジメント層を中心とした事業所内でのプロジェクトチームの立ち上げに当たっての工夫、当該チームのチームリーダーに求められるスキルや役割等についてお示しをするとともに、こうした取組を通じて介護現場におけるマネジメント力の向上も図っております。

 引き続き、地域において適切な介護サービスが安定的に提供されるように、しっかりとしたマネジメントができる体制を支援していきたいと思います。

一谷委員 ありがとうございました。

 今日は、とても重要な御答弁をたくさんいただきました。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

 これで私の質疑を終わります。誠にありがとうございました。

橋本委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 今日は、新型コロナ感染症対策について伺いたいと思います。

 これからもコロナの感染症の波は何度か繰り返すと言われています。今回も、このコロナ、第六波は落ち着いたと思って蔓防の全国解除をいたしましたけれども、また多くの地域で感染者が増えて、前回の委員会でも、リバウンドがどうかという議論がありましたけれども、今そのような状況であり、気を抜くことはできません。

 一方で、社会経済活動の制限をかなりしてきたコロナ対策からの、向けての出口戦略、これについての議論も併せて私たちはしていかなきゃならないと思っています。

 今日は、次なる波に備えて、これまでの教訓やこれまでの課題を掲げまして、今どれだけそれが進んでいるのかということを、質疑をする中で明らかにさせていただきたいと思っています。

 まず、先んじまして、ワクチンの接種率についてお伺いさせていただきます。

 高齢者の三回目のワクチン接種が八〇%を超えたと、二十八日発表されたところです。一方、全体の接種率というのはまだ三九%と低い値となっています。まず、この現状をどのように認識しているのか、伺います。

後藤国務大臣 新型コロナワクチンの三回目接種につきましては、本当に、自治体や医療関係者、国民の皆様の御協力をいただいていることに対し、感謝申し上げるとともに、更なる御協力をお願いしたいというふうに思っております。

 二月十八日には一日百万回の接種を実現しまして、三月下旬には高齢者の約八割が接種を完了したというのは、今御指摘もいただいたとおりであります。

 三月以降は一般の方への接種が本格化している中で、VRSによりますと、三月三十日までの累計の三回目接種の実績は五千百九十三万回でありまして、三月末までに、三回目接種の対象となる方の八割、今後、VRSの入力によりまして回数は更に増えるものと考えられます。

 二十代や三十代の方においては、八割程度の方に二回目接種を完了していただいておりまして、希望する方には三回目接種も是非受けていただきたいというふうに考えております。

 若年層に向けて接種を進めるために、三回目接種の必要性、交互接種の有効性に関する最新の情報を、よりアクセスしやすい媒体を活用して分かりやすく情報発信するとともに、関係省庁とも連携をしながら、接種を促すCMの情報発信、関係団体を利用したお願い、ワクチン接種を働きかけていきたいと考えております。

田中(健)委員 様々な対策をしているということではあるんですけれども、低い理由、幾つかあるかとは思うんですけれども、一つは、職域接種が前回に比べて進んでいないのではないかとも言われています。二月十二日に始まっておりまして、今、順次進んでいるということなんですが、費用負担がかかることがネックとも言われています。

 実施に当たり、国からの補助は二回目と同じように今回も、三回目もしていただいてはおるんですけれども、既に自治体での接種環境が前回に比べては整っているという、いいことではあるんですけれども、しかしながら、それによって、手間をかけてまで、それぞれの会社様が自分で医師を確保して、場所も確保してということ、かなり御苦労されてやっていただきましたけれども、そのメリットに乏しいという声も上がっています。

 やはり現場の声を聞いて、是非、特に先ほど若い人がありましたけれども、どうしても土曜日、日曜日は予約がいっぱいであったり、また、出かけるということで後回しになってしまうという中で、やはり会社で受けられるということは接種の推進にもつながるかとは思いますので、取り組みやすい環境を整える必要が更にあるのではないかと思いますが、見解を伺います。

後藤国務大臣 新型コロナワクチンの三回目の職域接種につきましては、申込会場数は、三月二十八日時点で二千九百四十七会場、接種回数は、三月二十七日時点で百九十九万二千四百七回でございます。

 委員から御指摘もあったように、今現在、市町村での接種に余裕があることもありまして、昨年行ったときには職域接種が先行するような形でありましたので、位置づけについては変わっているという御指摘もありますけれども、それでも、若い方への影響等も考えて是非進めるべく、お願いをいたしているところでございます。

 職域接種は予防接種法に基づく予防接種として行われるものであるために、医師、看護師への謝金など、接種のために基本的に必要となる費用、接種一回当たり二千七十円は全額国が負担しておりまして、複数の中小企業が共同で実施する場合等には、これに加えて、会場の設備、運営等に必要な経費を補助いたしております。

 さらに、一、二回目接種を実施した企業等から御意見をいろいろ賜りましたけれども、そうした御意見を踏まえまして、当分の間、一定の要件を満たした会場における接種一回当たりの補助上限額を千円から千五百円に引き上げるとともに、接種予定人員に係る要件、昨年は千人以上を要するということでございましたが、五百人以上でいいということで、緩和をいたしております。

 厚生労働省としては、できるだけ多くの方に、できるだけ早く三回目接種を受けていただくことが重要と考えておりまして、自治体による接種に加えまして、こうした取組による職域接種、更に促進して、官民、関係者一体となって取り組んでまいりたいと思います。

田中(健)委員 様々な取組をしていただいておるということなんですが、実際接種が進んでいないのは、これはアメリカも同じようでありまして、先日、アメリカでも同じような発表があり、六十五歳以上は九割に当たる人が接種を終えたということなんですけれども、やはり全体では四五%ということで、伸び悩んでいるということであります。

 これは先進国に共通かもしれません。もちろんワクチンは任意ですから、打つ打たないは自分の判断ではあるんですけれども、一方、もういいのではという声や、効果がどうなんだろうという声があるのも事実だと思っています。

 今回、長崎大学の研究によりますと、二回目の接種では発症予防効果四二・八%から、三回目接種を完了しますと六八・七という直近の研究結果が出ました。今まではアメリカや海外の効果のデータはありましたけれども、今回、日本のデータということで、大変心強く思っておりますが、こういった結果を更に周知して、そして効果をアピールをして、そして、この有効性とともにワクチン接種の拡大を進めていくということが必要であるかと思いますが、これらを踏まえて、もう一度、ワクチン接種、これからの取組について伺います。

後藤国務大臣 御指摘の調査は、国の研究費を用いまして、国立感染症研究所や長崎大学を中心としまして新型コロナワクチンの有効性の研究が行われたものであると承知をいたしております。

 先日、三月二十九日、オミクロン株流行下における新型コロナワクチンの発症予防効果、ファイザー社又はモデルナ社のワクチンを二回接種した場合には四二・八、三回目接種をした場合には六八・七%であるという調査結果が、今御披露していただいたとおり公表されたわけであります。

 これは、オミクロン株に対する新型コロナワクチンの三回目接種の発症予防効果について、これまでは外国の、国外の研究で確認されていたものを御紹介していたわけでありますけれども、国内で国外の研究で確認されているものと同等の結果が得られたということで、大変貴重な知見であるというふうに考えております。

 今後、こうした知見についても情報を発信しまして、引き続き、三回目接種の意義や有効性、安全性に関する理解の促進に努めていかねばならないと思っております。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

田中(健)委員 ありがとうございます。

 ちょっと三回目に時間がかかってしまったんですけれども、本題は次でありまして、資料の二枚目なんですけれども、四回目の接種の件であります。

 二十四日に開かれた分科会で、四回目接種の実施に向けての準備の開始をしたらどうかと。そこにも、論点の中に述べられています。

 三回目の接種の今議論をして、まだこれから三回目を何とか接種を上げていこうという中なんですけれども、四回目の接種は行うんでしょうか。まずお願いします。

後藤国務大臣 四回目の接種につきましては、専門家の御意見も踏まえつつ、最近の科学的知見や諸外国の対応状況も注視しながら、四回目接種を行うか否か、そのことを今後検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

田中(健)委員 今大臣からもありました、専門家からもいろいろな意見があったということで、報道によりますと、かなり慎重な声が上がったということも述べられていますが、どのような慎重な声が専門家から上がったのか、お示しいただければと思います。

後藤国務大臣 三月二十四日の審議会におきましては、委員からは、有効性、安全性の議論を十分に行うべきであること、四回目はよりハイリスクな方とか医療・介護従事者等が対象になるのではないかといったような御意見もいただきました。

 そういういろいろな御意見がある中で、四回接種の特例臨時接種としての実施に向けて、これはあくまで、やるかやらないかということもまだ未定でございますけれども、三回目接種を受けた全ての住民に接種機会を提供することを想定して、自治体が、これは準備に二か月ぐらいはかかるというのが通常の工程でございますので、自治体が準備を開始することについては、国の全額費用持ちでございますので、依頼をするということについては適当とする御意見をいただきましたけれども、四回目接種を行うのかどうか、それから、四回目接種を行う場合の接種対象者や、三回目接種からどのぐらいの接種期間を取っていくのか、そうしたことについては、これは今後引き続き検討することが必要であるというような議論となったと聞いております。

田中(健)委員 まさにそうです。やっと三回目の効果が先ほど長崎大学から出た中で、まだ四回目の接種に関する研究はほとんどありません。

 そして、今お示しいただきましたけれども、二十五日には厚労省から全国の自治体へ向けて、五月下旬をめどに、接種券の印刷、発送準備、会場の手配などを、準備というよりも、この通知には、終えるようにという通知になっていました。これだけ見ますと、もうやるのかなと、また、自治体も、来たなというような、身構えていたんですけれども、大変に、少し困惑をしているところでございます。

 一方、二十五日には、政府が新型コロナウイルスの感染症対策の予備費の支出の中で、閣議決定をしまして、四回目のワクチン、治療薬、抗原検査キットの確保に一兆三千四百七十五億円を支出しました。これでありますと、もう四回目のワクチンを確保したということで、決まっていると思われても仕方がないように感じてしまうんですけれども。

 先ほどの自治体への手配を終えるようにの通知と、またこの購入ですね、確保という表現ですけれども、これを見ると、やると思わざるを得ないんですが、改めて見解を伺います。

後藤国務大臣 二つの点について改めて明確にさせていただきたいと思います。

 まず、自治体に接種券を送付するような準備を始めてほしいということにつきましては、先ほども申し上げたとおりで一定の準備期間を要することなので、やるかやらないかということが不明な中ではございますけれども、あるいは、どういうやり方でやるのか、やる場合でもどういうやり方でやるのかはまだ定かではない状況でありますけれども、可能な限り、やるとなった場合に、あるいは急ぐ必要があるということになった場合にまた準備が整わないということにならないように、先月、審議会で御審議をいただきまして、自治体に対する体制確保に関する事務連絡のみを発出しておりまして、このことは、四回目の接種の有無、あるいはどういう形で行われるのか、時期の問題等も含めて、いろいろな意味を含めて今後決定をしていくということでございます。

 それから、新型コロナワクチンの四回目のためのワクチンの確保につきましても、四回目接種の実施がいかなる結論になったとしても対応できるように、現在、順次輸入されているワクチンに加えて、今般の予備費を活用して、本年下半期に輸入されるワクチンとして、ファイザー社から七千五百万回分、モデルナ社から七千万回分を追加購入をいたしました。その予備費の手当てをさせていただいております。

田中(健)委員 ワクチンには期限があるということなんで抗原検査キットを確保するのとは訳が違うわけでありまして、まだその四回目が決まっていない中で、今、確保というよりも七千五百万回分と七千万回分を購入ということになりましたけれども、これが無駄になることはないのかなと思っています。ないしは、これは予備費でなくて、やはりしっかりと判断が求められますし、議論も必要ですから、補正予算でしっかり議論もすべきではという声も上がっています。

 それらを踏まえ、無駄になることはないのかという確認と、また、これを予備費で購入したことに対する考えというのを再度お伺いします。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

後藤国務大臣 ワクチンを確実に確保することは、国民の生命や健康を守る観点から極めて重要でございます。

 昨年の十二月から今年の初めにかけて三回目の接種を進めたいというふうに思いましたけれども、ワクチンが手元になくてそれができなかったということで、痛恨の思いでございました。そういうことから、世界各国で獲得競争が継続する中で、国民の皆様に必要になった場合に確実にワクチンをお届けできるように、あらゆる可能性を視野に取り組むべきだということでワクチン確保に取り組んでおります。

 四回目接種を行わないというような事態の場合にこれがどうなるかという仮定の御質問については、ちょっと今の段階でお答えすることは控えさせていただきたいというふうに思いますけれども、引き続き、国内での活用とかあるいは海外への供与だとか、そのときにできる限りの有効活用に努めてまいりたいというふうに思っております。

田中(健)委員 ワクチンの確保は確かに本当に御苦労されていたことかと思いますし、また、遅ければ遅いと言われて、また、済みません、早ければ早いんじゃないかということで、大変に申し訳ないんですけれども。しかしながら、四回目でありますから、今までの一回目、二回目、三回目とはやはり大きく様相は変わっているかと思います。ですから、しっかりと議論をし、それを公開して、そして国民の理解を得ながら、やると決めたならば、是非、一気にできるような体制でお願いしたいと思っています。

 済みません、時間があれなんですけれども、次に行きます。

 これまでの対策の中で、抗原定性検査キット、これについてお伺いしたいと思います。

 薬機法の承認を得た抗原検査キット、薬局で購入可能になりました。自治体での無料配付や企業がイベントなどで配ったりすることで大変身近なものになりましたが、一方、感染症時のピークには、PCR検査とともに、資材が不足して品切れが起きたということがありました。医療現場では検査ができないということもありましたし、検査なしで、みなし陽性などといった診断をせざるを得ないこともありました。

 今後の抗原検査キットの在り方やPCR検査の在り方について、どのように考えていらっしゃるか、伺います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 本年一月二十四日に、オミクロン株による感染急拡大を踏まえまして、外来医療等の逼迫を防ぎ、適切な医療の提供を確保するため、同居家族などの感染者の濃厚接触者が有症状となった場合には、医師の診断により、検査を行わなくても臨床診断で判断することもできる旨、いわゆるみなし陽性というものについてお示しをしたところでございます。

 この取扱いは、検査キットの供給状況を踏まえたものではなくて、当時、感染者の増加によりまして受診等に一定の時間を要する状況の場合に、自治体の判断で実施できる対応としてお示ししたものでございます。

 この際には、同時に、例えば、重症化リスクが低い方について、抗原定性検査キットで自ら検査した上で医療機関の受診を呼びかける、あるいは、地域の医療機関の協力を得て、オンライン診療等を積極的に活用することなども併せてお示しをしたところでございます。

 今後ですが、引き続き最大限の警戒を保ち、感染者が再び増加に転じた場合にも、全体像で準備してきました保健医療体制をしっかりと稼働させていくことを基本として対応を進めておりまして、今後の外来医療の逼迫を防ぐため等、引き続き、検査の確保も含めまして、これらの取組を進めていきたいと考えております。

田中(健)委員 不足に対しては、準備ができつつあるということでありますので安心をいたしましたが、一方、これは答弁にもありましたけれども、自分で検査をするということも増えております。現在、まだこの検査キットは体外診断用医薬品ということで、あくまで薬局での販売になりまして、一般的なドラッグストアで、まあ最近、ドラッグストアは薬局もついているところがありますのでどこでも買えるように思ってしまうんですけれども、あくまでまだ体外診断用医薬品という扱いですが、これを一般用の検査薬とできないかといった声が上がっています。

 そうしますと、ふだんから、国民が買いたいときにドラッグストアで買って、必要に応じて自分で自己チェック、セルフチェックができるようになり、ますます身近なものになり、また感染症予防にもつながるかとは思うんですけれども、それについてはいかがでしょうか。

後藤国務大臣 薬事承認を受けた抗原定性検査キットについては、昨年九月から、セルフチェック用として、薬局における販売を可能としたところでありました。昨年十一月には、薬局で販売されていることを入手希望者が容易に認識できるような陳列や広告を認めるとともに、先月、三月十七日には、購入に当たって署名を求める取扱いを廃止するなど、抗原定性検査キットを円滑に購入できる環境を整備してきたところでございます。

 抗原定性検査キットのOTC化につきましては、規制改革推進会議におきまして昨年十二月に取りまとめられた当面の規制改革の実施事項においても指摘を受けており、厚生労働省のアドバイザリーボードでも御議論いただいたところでございます。

 その中で、OTC化により一般の人が使いやすくすることは健康管理にも感染対策にも役立つので賛成といった御意見がある一方で、感染防護と経済の両立につなげるためには、販売場所を増やせばよいのではなく、適切な情報提供の下で利用することが重要といった慎重な御意見もありまして、引き続き、専門家や関係者等の御意見も伺いながら、OTC化については検討してまいりたいと思います。

田中(健)委員 確かに、利用方法やまたその結果をどのように扱うかというのは大事なものですから、そのことは必要だと思います。ですから、私も、適正な使用方法や検査結果に対する理解やまた対処の方法などという、自分の健康を自分で守る、また感染から守る、そういう意識を高めていくことは必要だと思うんですけれども、やはり同時に、今大臣が言っていただいたように、規制改革の中で、是非これは一般用検査薬として流通できるようにしていただければと思いますので、お願いをしたいと思います。

 資料の一枚目になります。保育所の休園基準について伺いたいと思います。

 大変に保育所の休園が相次ぎまして、大変な思いをした方、たくさんいらっしゃるかと思います。資料を見ますと、新型コロナの影響での全面休園、ピーク七百七十七か所でありましたけれども、三月二十四日の直近の調査では、減ってはいます、グラフががくっと減ってはいるんですけれども、それでもまだ二百七十の園が閉まっているという現状です。

 そもそも、感染症が出た場合、保育所は原則は開所という大前提がずっと続いてきたんですけれども、どういう考えの下、開所を続けるべきと言い続けてきたのか、伺います。

橋本政府参考人 御質問いただきました保育所は、社会機能を維持するために事業の継続が求められておりますので、私どもとしては、従来より、保育の実施主体である市区町村に対しまして、こういった社会機能を維持するためというふうな考え方の下に原則開所のお願いをしてきたところでございます。

田中(健)委員 確かに、働く人たちを守るため、また仕事の継続のためには保育所が開いていませんといけないという考えは分かるんですけれども、大変に、園を開けるのか閉めるのか、ないしはその対応において、まあこの議論もいろいろな委員会でもされているかと思うんですけれども、かなり混乱をいたしました。

 原則として、感染症が出た場合は、現在は市区町村とまた保健所と連絡をして最終判断をするようにということが通達またQアンドAの中に述べられておりますが、何があっても開園してほしいという自治体があったり、また、一人でも出たら休園してくれという自治体があったり、かなり自治体によっても違うというところもあり、更に言えば、判断自体任せますよというようなケースもあったと聞いています。

 実際、私の子供もちょうどその年齢なんですけれども、子供が濃厚接触者かどうか分からず、発表会に一緒に出たということで、それが当たるのか、また、不特定多数の園児と接触はあったのか、保健所の判断に相当時間がかかりまして、結局三日かかり、その間は休まざるを得ず、さらには、その三日は、もしも自分の子供が濃厚接触者だったらということで私も距離を置き、また外に遊びにも行けないといったことがありました。

 保育園の先生たちからは、また、利用する保護者からも、やはり一貫性のある基準を作ってほしい、作れないかという声が上がっています。

 もちろん、地域によっても、現場によっても違うということは理解はしているんですけれども、一般のときであればそれでもいいんですけれども、今回のようなピーク時は、本当に保健所にも電話がつながらないし、自治体にも電話がつながらないし、先ほど言ったように、もう自分たちで判断してくれというようなケースも、いいケースじゃないんですけれども、あったと聞きます。

 この一律基準や国のある程度のガイドラインというのは作るという考えはないでしょうか。伺います。

橋本政府参考人 先ほど、原則開所というふうな考え方を申し上げたわけでございますけれども、私どもとしては、休園の基本的な考え方としまして、休園の判断は、保育の実施主体である市区町村が、地域の感染状況や保育の提供状況等を踏まえて、都道府県の保健衛生部局と連携して行うということ、それから、休園する場合でもできる限りその範囲と期間を限定するようにするということ、そして、休園する場合も代替保育を実施するなど地域の保育機能を維持できるようにすることなどをお示ししております。

 具体的な休園の基準や運用につきましては、こういった国としての考え方を踏まえて、保育の実施主体というのはあくまでも児童福祉法の中で市区町村にございますので、その市区町村におきまして地域の実情を踏まえて御判断いただくことが適切と考えております。

田中(健)委員 それはもう大前提として分かっています。実施主体は自治体でありまして、市区町村ではあるんですけれども、今回は、その今までの基準では図れないというか、対処ができなかったからこそこういった声が出ているんじゃないかと思っていますし、私自身もそう感じました。

 急遽、休んでくれと言っても、保育所に預けているのは働いている御家族ですから、休むことができませんで、大変に、皆さん、何とかやりくりをしてこの場を乗り越えてきました。

 ピーク時は、本当に、七百七十七か所、全国、大変で、今でも、冒頭話しましたように二百七十の園が閉まっていて大変なことかと思いますが、ではこれに対して政府としては、そのような働くお父さん、お母さんに対してどのような対策やまた対処をこれまで進めてきたのか。例がありましたらお示しいただければと思います。

橋本政府参考人 こういった休園につきましての様々な御判断、市区町村としての判断につきまして、保護者に対する様々な形での連絡、周知といったこともございましょうし、また、休園する場合におきましても、代替保育を実施するということに関しまして、代替保育について、単に、代替保育をお願いしますと言うだけではなくて、国としての財政措置を強化する、こういった対策をこれまで講じさせていただいているところでございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 最後に、二〇一八年に、ガイドラインがあるんですけれども、是非、ガイドラインにコロナの対策というのを、今、QアンドAでどんどん積み重ねてきているんですけれども、改定の際にはしっかりと明記して、また基準というものもその中に盛り込んでいただければと思います。

 以上、質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 濃厚接触者の特定について、一般事業所等では不要とされる一方、小学校や保育園などは都道府県が決めるということになりました。

 資料をお配りしておりますが、アドバイザリーボードに出ていた資料です。

 沖縄では、小学校、幼稚園、保育園について濃厚接触者は特定しないということです。なぜそういう判断をしたのか。過剰な人権制限はやめようということであります。

 資料の二枚目にありますように、学校等では濃厚接触者でも九十数%が陰性ということになっております。一、二月で濃厚接触者一万四百十四人を特定して、後に陽性になったのは三百四十人。残り一万七十四人は、結果からすれば、本来、出席停止は必要なかったということになります。一方で、濃厚接触者と特定された方以外からも陽性者はそれなりに出ている。

 こういう結果を踏まえて、沖縄では、陽性者がいた場合は、同一空間を共有した全員にPCR検査を行う事業を、学校だけでなく、これからスポーツクラブなどにも拡大する、その一方で、待機を求めるのは基本は検査陽性者のみということにしていこうということだそうです。大変、私は合理的な判断だと思います。

 大臣、感染症対策における行動制限というのは必要最小限にするというのが原則だと思いますが、全国もこの沖縄の例にしっかり学んでいく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 濃厚接触者の特定には一定の時間を要します。オミクロン株は、潜伏期間や世代時間が短いことから、これによる感染拡大防止効果は従来よりも限定的になったというふうに考えられます。

 このため、濃厚接触者の特定と自宅待機等の求めについては、感染の場所によって、感染リスクや更なる感染拡大の防止効果、重症化リスクのある者への波及の可能性、社会経済活動への影響が異なることを踏まえた取扱いを示しております。

 具体的には、感染リスクが高い家庭や、限られた空間で重症化リスクの高い者が多い高齢者施設については濃厚接触者の特定等を求める一方で、一般の事業所については基本的には濃厚接触者の特定等を求めないこととしております。その上で、保育所、小学校等につきましては、自治体の関係部局が連携し、自治体ごとに方針を決定することといたしております。

 こうした自治体ごとに方針を決定する取扱いは、保育所、小学校等も事業所の一種であるとともに、子供が感染した場合の重症化リスクは高くなく、通所する子供を濃厚接触者に特定して自宅待機を求めた場合には保護者が働けなくなることで社会経済的な影響が大きい、しかし一方で、保育所、小学校等は、大人を対象とするような一般の事業所と同様の感染拡大防止対策が取りにくい面もあること、比較的限られた空間であり速やかな濃厚接触者の特定ができれば感染拡大防止効果が一定程度期待されること、そうした両面がありまして、地域の実情に応じた対応が可能となるようにしたものでございます。

 沖縄県については、保育所、小学校等については、先生御指摘のように、特定、待機を実施しないことと承知しております。また、厚労省から各都道府県に対し聞き取りを行いましたところ、沖縄県と同様に保育所、小学校等において濃厚接触者の特定を行わないとした都道府県は、沖縄を含め、十であったというふうに承知しております。

宮本(徹)委員 十は沖縄同様ということなんですけれども、地域の実情に応じてと言いますけれども、基本的にはエビデンスに基づいてやるべきだと思うんですね、こういうことは。地域によって、学校内での感染がわあっと広がるということは余り考えられないんですよ。だから沖縄県はこういう判断をしたんだと思いますので、やはり、改めて、エビデンスに基づいて、感染症法は人権の尊重というのをうたっているわけですから、行動制限は必要最小限度という考え方で、自治体任せじゃなくて、国としてエビデンスに基づいた対応をお願いしたいと思います。

 その上で、二問目ですけれども、これは一か月前もやりましたけれども、高齢者施設等の対策でございます。

 ワクチン、頻回検査、エアロゾル感染対策、換気、それに加えて職員がレッドゾーンに入るときはN95、これが大事ではないかということで取り上げました。前回紹介した宮城県の取組については、宮城県の感染対策介護ワーキンググループがメッセージというものをその後出しておりますので、資料としてつけておきました。エアロゾル感染対策重視か、飛沫、接触重視かで、感染連鎖が続いていくかどうかが影響するんだという話でございます。

 資料の五ページ目に、先日、感染研が発表いたしました感染経路についてを載せておきました。エアロゾル感染が一番上に書かれるということになりました。

 今日は、お忙しい中、脇田所長に来ていただきました。是非、感染研から、いろいろなところに指導や助言をやられていると思うんですけれども、エアロゾル感染対策を一層重視して指導していただきたい。とりわけ、陽性者と接触するコロナ病棟や高齢者施設等のレッドゾーンですね。これは今、国の手引では、あるいは診療の手引なんかでも、実はサージカルでいいことになっているんですよね。でも、普通、病院、コロナ病棟はどこだってN95ですけれども、実は診療の手引はサージカルでいいとなっている、介護現場もサージカルでいいということになっています。

 ですけれども、やはり、そこはもう、エアロゾル感染を主な感染経路の一番に据えたということも踏まえて、職員には、そういう際にはマスクはN95をやりましょう、これを是非推奨していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

脇田政府参考人 新型コロナウイルス感染症の感染経路につきましては、これまでも厚生労働省等から示しているとおり、飛沫あるいはエアロゾルの吸入、そして、接触感染等であると認識をしております。引き続き、三密の回避、それから人と人の距離の確保、マスクの着用、手洗い等の手指衛生、換気が重要でございます。

 今般、国立感染症研究所におきまして、三月二十八日付で「新型コロナウイルスの感染経路について」という文書を公表させていただきました。その中で、新型コロナウイルス感染症の感染経路としましては、今御紹介ありましたとおり、エアロゾル感染、飛沫感染、接触感染を挙げております。これは、関係機関等から国立感染症研究所に対しまして、感染経路に対する照会を受けることが非常に多くなっているということでありまして、我々感染研としましても、これまで様々な管理文書等の中でも、エアロゾル感染の重要性というものについては述べておりまして、改めて従来の見解をまとめて発表したということでありまして、考え方を変更したものではございません。

 その上で、医療機関あるいは高齢者施設等でのレッドゾーンにおいて、エアロゾルが発生するような処置を実施する際には、N95マスクの着用が推奨されています。

 ただ、N95マスクというのは、適切な着用をしなければ十分な効果が得られないということであります。したがって、これは各施設で徹底しなければいけないということで、レッドゾーンにおいて一律にN95マスクの着用を推奨するということはしていないというところであります。

 ただ、各施設において適切な着用を徹底できるのであれば、N95マスクの使用を妨げるというものではないということと考えております。

宮本(徹)委員 妨げるものではないということじゃないと思うんですね。

 エアロゾル感染なんですから、短距離、長距離のエアロゾル感染だということを今回の感染研の経路でもはっきり言われているわけですから、そこを本当ははっきりさせないと、本当にクラスターがどんどんどんどん連鎖して、長引くという事例がこの間、幾つもの施設で起きているわけですけれども、それは止まらないんじゃないかと私は思いますので、そこは是非、しっかりと、科学的知見に基づいて、更に踏み込んだ指導を私はお願いしたいというふうに思うんですよね。

 そこは変えられないんですか。

脇田政府参考人 今、委員が御指摘になったとおり、科学的なエビデンス等をしっかりと検討しまして、そこのところは我々としても検討を続けたいと思っております。

宮本(徹)委員 エアロゾル感染ということですから、サージカルでは防ぎ切れないことが多々あるということだと思うんですよね。ですから、コロナ病棟ではN95をやっているわけですから。

 そこは、私、昨日、鈴木センター長ともお話ししましたけれども、環境感染学会とのすり合わせとか、こういうこともいろいろ必要なんだというお話とかも伺っていますけれども、そこは本当に、命を守るために、もう一歩、是非踏み込んで様々やっていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 あわせて、換気対策が極めて大事でして、配付資料の七ページ目にお配りしておりますけれども、アメリカのバイデン政権が三月に定めた新型コロナウイルス対応計画に基づいて、十七日に室内空気清浄チャレンジというものをアメリカのEPAが発表をしております。これは換気、空気清浄を含む新型コロナ対策予算として、州地方政府に向けて三千五百億ドル、教育機関に向けて千三百億ドルの基金があるんですけれども、そこから拠出されるということでございます。

 是非、日本でも、もっと換気対策への支援を抜本的にこれから強めていく。やはり感染しにくい社会にどんどんしていくという点で、こうしたアメリカの取組にもしっかり学んで、政府挙げて換気対策、これを更に前に進めていく必要があると思うんですよね。その点はいかがでしょうか。これも脇田所長にまずお伺いしていいですか。

脇田政府参考人 委員の御指摘のとおりで、エアロゾル対策におきましては換気が最も重要だと我々としても考えておるところでございます。

宮本(徹)委員 大臣、予算ももっと確保して、このアメリカの対策にも是非学んで、更に是非政府で検討していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

後藤国務大臣 換気設備の設置への支援などにつきましては、緊急包括支援交付金による財政支援が可能でございます。そういうことでありますし、気道吸引や気道挿管など、エアロゾルが発生しやすい場面のN95マスクの、先ほど御指摘のあった利用等も含め、また、エアロゾル感染に大変効果がある換気、そうしたこと、併せて適切な感染防止策を実施する必要があるというふうに考えております。

 また、規制、あるいはどういう対応をしていくかということについては、今先生の方から御指摘ありましたように、新しい科学的知見も積み上げつつ、適切に対応を講じてまいりたいと思っております。

宮本(徹)委員 是非、まとまった換気政策みたいなものをまとめていただけたらと思いますので、お願い申し上げます。

 脇田所長、ありがとうございました。退席いただいて結構でございます。

 その上で、次に、旧優生保護法に基づく強制不妊手術の問題について質問させていただきます。

 東京高裁判決について、国は非情にも上告をいたしましたが、非人道的な人権侵害を断罪された国が解決を先延ばしすることは許されないと思います。被害者は高齢であり、速やかな全面解決を図る必要があります。

 東京高裁判決では、厚労大臣は違憲、違法な優生手術を積極的に実施したとして、国家賠償責任を判断をいたしました。そういう点でいえば、全面解決に向けての厚労大臣の責任は重いと言わなければならないと思います。

 先日、官房長官が記者会見で、一時金支給法について、判決を重く受け止め、一時金の水準を含め、国会と相談し、対応を検討したいと述べました。

 大臣、被害を償うに足る賠償、対象者の拡大、財源の確保を始め、積極的に責任を果たすべきではありませんか。

後藤国務大臣 旧優生保護法につきましては、この法律に基づき、あるいはこの法律の存在を背景といたしまして、多くの方が特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてこられたことについて、厚生労働省としても真摯に反省して、心から深くおわび申し上げる次第です。

 平成三十一年には、超党派の議員連盟において法律案が取りまとめられ、国会において、全会一致により、こうした方々に一時金を支給するための法律が定められております。政府としては、このような事態を二度と繰り返さないよう最大限の努力を尽くしていくとともに、立法府の総意による法律に基づきまして、一時金を円滑かつ確実に支給することでその責任を果たしてまいりたいというふうに思っております。

 その上で、一時金の水準等を含む今後の対応の在り方については、今御指摘のあった三月二十四日の官房長官の発言のとおり、国会と御相談し、御議論の結果も踏まえて対応を進めてまいりたいと思っております。

宮本(徹)委員 何か受け身な感じで、もちろん国会と相談してとなるんですけれども、やはり、財源を出すのは政府の側なわけですから、そこは財務省からしっかり財源を確保することも含めて、政府を挙げてこれはやらなきゃいけないことだと思います。

 あわせて、この旧優生保護法は、議員立法で、全会一致でできた法律であります。差別的な思想の立法を行い、取り返しのつかない人権侵害を引き起こした私たち国会の責任は本当に極めて重大だと思います。田村前大臣も、この問題は、恐らくいろいろ、もう官房長官の発言を受けて動かれ始めていると思いますけれども、是非、しっかりとした救済に向けて、与党の皆さんにも、そして私たち野党も頑張っていくということで取り組んでいきたいと思います。

 続きまして、無保険の外国籍の方の医療についてでございます。

 資料の九ページ目を御覧いただきたいというふうに思います。これは港町診療所の沢田先生の記事でございますが、コロナ禍で、医療を受けられない無保険の外国籍の方が急増しているという話です。それから、資料の十ページ目、十一ページ目には、北関東医療相談会の皆さんの調査をつけておきました。こちらは、仮放免の方々が医療を受けられない状況が出ております。

 無保険の外国籍の方の場合は、基本は窓口負担は十割負担、病院によってはその二倍、三倍というケースもあるわけですが、本人が支払えなければ医療機関が負担するしかないということです。そのことで、診療拒否やたらい回しも起きている。そうした中、無料低額診療を行っている少数の医療機関に無保険の外国人が集中して、経営的にも限界に来ているというお話を伺います。例えば、透析患者だったら週三回やるわけですよね。あるいは、大きな手術だったら巨大な金額ということになります。

 お医者さんの場合は、経済的な理由で診療拒否するということは当然できないわけですから、受けるということで頑張っているわけですけれども、なかなか経営も大変だという話を伺います。

 大臣にお伺いしたいのは、こうした状況について厚労省はどう把握しているのかということです。是非、無保険の外国籍の方の医療に取り組んでいる病院に、経営状況を始め課題について実態調査をしてほしい、それに基づいて様々な対策を考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 無料低額診療事業の実施状況につきましては、自治体への調査等を通じまして把握に努めておりまして、直近で把握できている令和元年度の実績としては、実施施設は七百二十三施設、延べ利用者数は約七百五十四万人、減免総額は約三十七億円となっております。また、このうち、外国人の利用者数については延べ約六千人となっております。

 外国人の方に限らず、無料低額診療事業の実施状況については、今後とも、自治体への調査や様々な機会を通じた現場とのやり取りを通じまして、適切に把握していきたいと思っております。

宮本(徹)委員 外国人のことに限らずということなんですけれども、是非この問題について調べていただきたいというふうに思うんですよ。この問題で、実際に患者がたらい回しにされる、その背景には医療機関の経営状況の限界というのもあるわけですから、是非そこの問題についてしっかり調べていただきたいと思うんですけれども。

後藤国務大臣 外国人の方に特化した追加の調査を行ってはという御提言だと思いますけれども、医療機関の現在の状況、自治体の負担の観点などから慎重な検討を要すると思います。

 引き続き、現場の実情等については、様々な機会を捉えて適切な把握に努めてまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 これは本当に、命を守る話なんですよね、人の命を守る話なんですよね。

 SDGsの目標というのは、全ての人にアクセス可能な医療を保障していく。海外では、こうした方々にもしっかり医療を保障している国はたくさんあるわけですよね。ただ、日本の場合は保険に入れない。

 支援団体の皆さんは、医療保険の加入を認めることだとか、あるいは未払い医療費を補填する制度を国として設けるべきだとか、いろんなことを提案していますよ。様々なことを是非具体化していただきたいと思うんですけれども、その上でも、やはり調査しないことには、それをやろうということにならないじゃないですか。

 今、ウクライナ難民の方、受けていますよね。来てすぐに医療が必要な方だっているわけですよ。特定活動、一年の資格をもらったらまた別のことなのかも分からないですけれども、入ってきてすぐの場合は、じゃ、誰がどう担うんですかという問題だってあるわけですよね。そういうことを考えても、ちゃんとした制度を私はつくらなきゃいけないと思います。そのためにも、まず調査を是非していただきたい、重ねて申し上げておきたいと思います。

 次の質問に行きます。

 今日からHPVワクチンの積極勧奨が再開をされます。

 HPVワクチンは、接種後様々な重い副反応、様々な症状が出て、積極勧奨が中止されている状況が長く続きました。この間、苦しんでいる皆さんのお話を私は伺いましたけれども、最大の願いは治りたいということです。そのための治療法の開発をしてほしい、そのために国が研究班を設置してほしいということでございました。

 それで、資料をつけておりますが、資料の十二ページ目です。積極勧奨再開に当たっての政府の説明資料には調査研究の推進とありますが、この中身を見ますと、現状は、疫学的観点ということがあるだけで、治療法の話はないわけですね。

 厚労省は、接種後の重い副反応について、二〇一四年に、神経学的疾患、中毒、免疫反応ではなく、機能性身体症状といたしました。

 厚労省のペーパーを見ますと、臨床現場では様々な疾病の名前がつけられているが、例えば、その一つが慢性疲労症候群となっています。慢性疲労症候群は、筋痛性脳脊髄炎とも言われています。ME、CFSですね。このME、CFSは、御存じのとおり、今、新型コロナの後遺症としても注目されております。ME、CFSについては、AMEDも予算をつけて、神経免疫疾患ではないかということで診断、治療法の確立に向けて研究が行われております。AMEDのホームページを見ますと、ME、CFSは、ウイルス感染、ワクチン接種などを契機に起きるということがあるわけですね。

 今日、私の前の議論にもありましたけれども、新型コロナワクチンでも、HPVワクチン接種後に報告された症状と同じような副反応疑いが出ております。

 こういうことを踏まえて、この間の様々な研究の進展を踏まえて、HPVワクチンの重篤な副反応についても、私は、二〇一四年の結論にとらわれることなく、副反応が起きるメカニズムと治療法を研究する必要があると思いますよ。本当に、新型コロナの後遺症も、新型コロナワクチンの副反応の症状も、そしてHPVワクチンの副反応の症状も、重なり合うところが実はあるわけですよね。それは、心の問題ではなくて、やはり何らかのことで起きているのではないか、その中でも神経免疫疾患ではないのかというのは、ME、CFSについては研究も進んでいるわけです。

 ですから、是非ここは、改めて、二〇一四年の結論にとらわれることなく治療法を研究していく、そのための研究班を設けていただきたいと思いますが、いかがですか。

後藤国務大臣 HPVワクチン接種後に生じる広範な疼痛や運動障害等の症状について、先生御指摘のあったように、平成二十六年の審議会で、免疫反応、中毒、神経学的疾患等の可能性を含めて検討が行われました結果、発症時期や症状の持続期間、付随症状、経過の多様性に関する知見等を踏まえまして、機能性身体症状の可能性が高いとの結論が得られたのは、そのとおりでございます。

 それ以降も、審議会では、国内外の科学的知見を基にHPVワクチンの安全性に関する評価が続けられまして、昨年十一月には、ワクチン接種と慢性疲労症候群や自己免疫性症候群との間にこれまで明らかな関連性は証明されていないと結論が出ております。

 これまでに報告されている症状は個々の症状によって発症時期、症状や経過が多様であるために、画一的な治療法ではなく、個々の病状に応じた対応を行うことが重要でありまして、協力医療機関を中心とした医療体制の充実により一層取り組んでまいりたいと思います。

 また、平成二十五年の積極的勧奨の差し控え以降、厚生労働科学研究を通じて様々な研究を行ってきており、今後も引き続き協力医療機関における診療実態の把握や臨床症状の解析を行い、多様な症状を呈する方への効果的な対応の在り方を検討するとともに、医師等への研修会を実施し、知見や経験の共有を図ってまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 患者さんは皆さん治りたいわけですよね。この願いに応える研究班をつくってほしいということなんです。

 私、先ほど申し上げましたけれども、様々なものを契機にME、CFSのような症状が起き得る、起きているわけですよね。今、コロナのワクチンでも起きている、あるいはコロナそのものでも起きている。そういうことが何か起きる機序というのはやはりしっかり研究していかないといけないと思うんですよ。重なり合うところが私はあるのではないのかと素人ながら思いますよ。

 現に、ME、CFSについては、神経免疫疾患ではないのかということで様々な研究も今進められて、論文も発表されてきているわけですから、そこはやはり踏まえて、これはほかの、HPVのことも本当にしっかりやらなきゃいけないですけれども、今起きている問題に対しても治っていく道を発見していく道に私はつながるのではないのかというふうに思うんですね。

 だから、ここは、HPVのところだけ見てじゃなくて、俯瞰して見ていただきたいと私は思うんですよ、今起きていることを。その点いかがですか、大臣。

後藤国務大臣 従来からも様々な研究も行ってきておりまして、今後、引き続き、協力医療機関における診療実態の把握や臨床像の解析などを行いまして、多様な症状を呈する方への効果的な対応の在り方を検討してまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 是非、幅広く研究をしていただきたいというふうに重ねて申し上げておきたいと思います。とにかく治療法を求めているというのが多くの皆さんの願いだということでございます。

 時間になりましたというのが来ましたので、あともう少しあったんですけれども、また次回質問させていただきます。終わります。

橋本委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 今日は、質問時間をいただきましてありがとうございます。

 まず、障害者雇用についてお聞きしたいと思います。

 障害者雇用促進法、これに基づいて様々な障害者雇用が展開され、だんだんいい状況になっていますし、喫緊の厚労省のデータ、二〇二一年におきましては六十万人近い方が雇用をされているという実態がございますが、このことを更に充実させるために、私、いろいろなヒアリングを地元でも行いました。

 特に、障害者向けの情報、いわゆるリクルートに向けての雑誌とかを作っている方々が、やはり障害者の方々と日々対峙しておりますので聞いたところ、例えば、精神疾患の方々、これは暫定的に障害者雇用給付金に関して、二十時間から三十時間の週の雇用であったとしても〇・五人が一になるとかいう令和五年度までの暫定措置もあったりしまして、急激に精神疾患の、精神障害者の方々の雇用も膨らんだわけでございますが、片や、やはり、そのことが、雇用が落ち着いてきた段階で一つ要望というか問題があるのは、実際の所得が少ないとか、そういう問題がございます。

 そういった中においても、国の御尽力によりまして、例えば雇用者の障害者に対する見方も変わってきて、かなり雇用者も重要なワークフォース、労働力という形で雇用も進んでいくわけでございますけれども、さらに、このマッチングがうまくいったり、あるいは障害者の雇用を拡大していくための具体的な施策というのを、また大臣、お考えでございましたらお披露目いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 障害のある方が、その能力や適性を十分に発揮されて、企業において戦力として活躍していただくことは重要であります。そういう、本当に成功している企業があることもよく承知をいたしております。

 そのため、まず、障害者の雇入れに当たっては、ハローワークにおいて、個々の障害者の特性を踏まえて、能力を十分に発揮できる職業を選択できるように、きめ細かなマッチング支援を実施をさせていただいております。

 また、障害者雇用促進法においては、事業主は、短時間労働者である障害者が希望する場合は、その有する能力に応じた適切な待遇を行うよう努めなければならないとされております。

 これを踏まえて、雇入れ後においても企業における障害者の待遇改善を支援するために、ハローワークにおきましては、障害者を雇用する事業主に対しまして、短時間勤務から段階的に勤務時間を増やすことも含め、障害者本人の希望や状況を踏まえた職場定着支援を実施するとともに、有期雇用労働者等の労働時間の延長や正規雇用労働者等への転換を行った事業主に対する助成金、キャリアアップ助成金を支給しております。

 引き続き障害者一人一人が希望や能力に応じて生き生きと活躍できる社会を実現してまいりたいと思います。

仁木委員 ありがとうございます。

 そういう中でも、ジョブコーチという制度もございまして、障害者を実際に会社に雇用して、この二枚目の資料の方にもありますけれども、その後で、いろんな形で、就職した職場での状況とか仕事の状況とかを把握しながら、スムーズに就労の安定化というか、それにつなげるわけでございますけれども。私がここに書いていますように、それぞれ、例えば今一般の企業でもありますけれども、CSという、カスタマーズサティスファクション、いわゆる満足度調査ですね。そういったのも、雇用者あるいは実際に雇用につながった障害者の労働者に、こういった調査をしていくのもいいのかなと思っております。そこにおいて、現場でどのような問題点とかあるいは御要望があるのかというのがより深まってやっていけばいいんですが。

 このジョブコーチに対しても、予算なり、あるいはそういった人員増強のための施策を講じていただきたいと思うんですね。実際、ジョブコーチは統計的には千人ぐらいが実働されているわけでございますが、六十万人の雇用が障害者全体である中で、やはり、その特に初期ですね、大切だと思うんです。思っていたのと違うような会社であった、あるいは仕事の内容であって辞めちゃう人とか、その辺を感じてみるというのは実際やってみなきゃ分かりませんので、そういうことをまず一点お願いしたいと思います。

 また、障害者雇用で大切なのは、先ほど述べたことにもつながりますけれども、マッチングだと思います。いわゆる求職者側と雇用者側のマッチングが重要でして、私が特に問題にしたいのは、ハローワーク機能を強化しまして、例えば、特別支援学校の、知的障害をお持ちの方が多いわけでございますけれども、卒業した後の就労、これは非常に重要だと思っていまして、このことでいいますと、担当の特別支援学校の教師とハローワークのスタッフがコラボしまして、それで、願わくば、そういった地域の実情に合ったニーズ、そういったニーズをクリアするためのスキルを例えば特別支援学校の中で養成していって、卒業したときにそういった事業所に就職できるような状態へつなげていくということも重要でございますが、また、そういったことを、よりうまく地域の実情もあぶり出して、こういった求人開拓、それにも尽力するような、そういうハローワークの強化というのもお願いしたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 障害者の方一人一人がその障害特性や個性に応じて能力を有効に発揮し、活躍するためには、本人と企業のニーズ、職場環境との適切なマッチングが重要であるという、委員の指摘のとおりだというふうに思います。

 そのため、ハローワークにおいては、今も御指摘のありました特別支援学校等と連携して、職場実習の実施も含めて在校時から支援を行っているほか、例えば、精神保健福祉士の資格を持つ専門人材を配置しまして、担当者制によりまして、障害特性に合わせたオーダーメイドの就職支援を実施しているところでございます。

 さらに、業務遂行の可能性等を見極めるために障害者を一定期間試行雇用する事業主に対して、助成金を支給するなどの取組を行ってもおります。

 また、就職後においてもハローワークで定着支援を実施するとともに、専門的な対応が必要と考えられる場合には、地域障害者職業センターと連携しまして、ジョブコーチ等による専門的な支援を行っております。

 引き続き、必要な支援を積極的に実施しまして、障害者一人一人が生き生きと活躍できる、全ての人に開かれた社会を実現してまいりたいと思います。

仁木委員 大臣、ありがとうございました。また、この辺、障害者雇用をよろしくお願いしたいと思います。

 二番目に、ワクチン関連について質問します。

 私は、かねてより、ワクチンも含めた日本のバイオヘルス分野のプレゼンスというのは、世界に貢献する日本ということで非常に大切だと思っています。特に、ワクチンを作っていく創薬でございますけれども、そこにはやはり、治験を含めた臨床研究、いわゆる人を対象としたスタディーというのが欠かせません。

 こういったことに、やはり、国が必要なことを判断した場合に、模範的な事業としてお金も人も出していくような体制というのは大切だと思いますし、今後、この委員会でも議論となります薬機法、この改正に伴ってもそれは欠かせない事実だというふうに私は認識しております。

 そういう上で、具体的な事案でございますけれども、今、五歳から十一歳の方に向けてのコロナワクチン接種が始まっておりますが、これに関しましては賛否両論もあるのは大臣も御存じだと思います。そういう中で、よくその反対論者あるいはいろいろな方々にお話を聞くと、リスクコミュニケーション、やはりエビデンスをしっかりと国が示してほしいという方が非常に多いわけでございます。

 エビデンスを示すためには、やはり先ほど申し上げた臨床研究、スタディーが必要でございまして、今お手元の資料三枚目にありますのは、実際に、五歳から十一歳、厚労省が伊藤先生の研究班に十四億六千万円を、これは三回目接種以降の交互接種も含めた方の副反応報告、及び抗Sたんぱく抗体という、いわゆる有効性を見ていく経時的な採血を伴ったスタディー、これを合わせた額面でございますけれども、それをお調べになっていただいている、そういうスキームでございます。

 特に、この五歳から十一歳の小児に対するスタディーでございますけれども、皆さん見ていただきたいんですけれども、これは、副反応報告に向けては、接種して八日まで毎日記入していくということがあります。電子的に日誌を作って、そこに、例えば、どんな症状が起こった、お熱があるとか、あるいは副反応で多い全身倦怠感、あるいは打った部位の腫脹とか疼痛、そういったものでございます。

 それ以降に、やはり有効性も見ているんですけれども、ここで、赤の三角があるところに、採血を伴います。

 皆さん、子供の採血、特にこの五歳から十一歳までの採血というのは、ただでさえワクチン接種、これは注射を打つだけでも嫌な方がいるんですけれども、ちゃんと血管、結構ちっちゃい子って難しいんですけれども、そういう血管に一発で失敗せず針を入れて採血して、それを検体として抗S抗体を測定にもたらすという、この一連の作業が本当に大変なんです。

 そして、皆さん、治験というか、こういう研究には、必ず保護者、あるいは被験者といいますけれども、採血を受ける側、まあ、子供さんの場合は保護者ですけれども、しっかりと説明をして、それで納得していただいて、しかもこれは、恐らくこの伊藤研究班のスキームでは、医療機関、病院なりクリニックに、また、決められた、例えば、初日はもちろん行くわけですけれども、一か月後、そして三か月後、半年後に来ていただいているわけです、来ていただくわけですね。

 こういうのを経て有効性、つまり、抗Sたんぱく抗体、それがいつまで持続するかとか、そういうことで、例えばこの五歳から十一歳の子供たちの、どこまでエビデンス、いわゆる効果があるから三回目接種をいつするかとか、そういうふうになっていくわけでございます。

 この辺、私は、さっきの繰り返しですけれども、大臣、まず、この一連のことに対して、やはり、通常の小児とか、こういうちっちゃい子に対するこういった治験あるいは臨床研究、これは本当に大変だとお思いになるでしょうか。そして、そういうことでしたら、やはり、この辺のところにも、伊藤先生のいろいろ研究班からまたレポート、事後報告をいただきながら、どういったところが問題点、そして、私が思うに、やはり人とお金をかけるべきだと思っておりますので、その辺はお願いしたいと思います。

 実は、先般、島村政務官の方に、小児科医会の先生方と一緒に、小児、五歳から十一歳に向けてのワクチン接種は通常の大人よりも大変だから、いろいろその辺の御配慮をいただきたいという要望を行ったところなんです。そういうことを踏まえて御回答いただければと思います。

後藤国務大臣 厚生労働科学研究班におきまして、五歳から十一歳までの子供を対象に、新型コロナワクチン接種後の副反応の状況や血中の抗体価を経時的に調査しておりまして、まさに先ほど先生が指摘された事業でございます。

 御指摘のとおり、このような臨床研究を継続的に実施するには、先生御指摘のような人件費や、研究に御協力をいただける被験者への謝金や、相当程度の研究予算が必要であるというふうに考えております。

 研究班に関しましては、十分な研究予算を確保した上で研究を実施していただいているものと考えておりますけれども、新型コロナワクチンに関する国内知見の蓄積は今後のワクチン接種を適切に実施する上で非常に重要でありまして、引き続き必要な研究予算を確保するように努めてまいりたいと思います。

仁木委員 先ほど委員の質問からあった事案で、例えば、今回、交互接種をした後のいわゆる抗体測定も入っていると思います、この伊藤先生の研究班の内容に。そうすると、いわゆる入院予防効果あるいは感染予防効果があったと先ほども大臣は御答弁されたと思うんですけれども、要は、抗スパイクたんぱくの抗体、抗S抗体が幾らあれば入院しない、つまりこれは重症化しないということです、あるいは、感染予防効果、いわゆる感染に至らないような形になったかというのを、やはりそろそろ国として定めることによって、今後、抗体検査の簡易キットができて、そういう抗体があれば例えばワクチンを打たなくても感染しない、あるいは重症化しない、そういうことも分かるわけです。

 先ほど来、委員の方からセルフメディケーションの話が出ていると思いますけれども、そういった、これは今、パーソナル・ヘルス・レコードというサービスをこれから展開するということも薬機法の方で出てきます。そういう意味では、これから日本の医療を、やはり国民も自分の、セルフでメディケーションですね、いわゆる自分で自分のことを管理していくということもある程度大切な理念だと思いますので、そういったことも含めて、大臣、国として、まずは、例えばワクチンに関しましては、抗S抗体がどれくらいの数値であるならばというカットオフ値、それを出すための予算ですね、お願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

橋本委員長 皆さんに申し上げますが、私語は控えめにお願いします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルスに対する抗体につきましては、大きく分けて二種類あるかと思います。ウイルスが細胞に感染することを阻害する中和抗体と、それから感染したことやワクチンを接種済みであることを示す抗体、S抗体等々でございます。

 この中和抗体につきましては、感染防止効果等との関係が一定程度明らかになっているわけでありますけれども、抗体価の測定については、中和抗体の場合は高度な安全基準の実験室が必要でございまして、測定にもまだ時間を要するという課題があります。

 また、感染したことを示す、あるいはワクチンを接種済みであることを示す抗体につきましては、比較的簡単に行えるわけなんですけれども、どの程度の値であれば感染防止や重症化防止等の効果があるかがまだ明らかではないという課題がございまして、現時点で重症化予防の抗体価に関する基準を設けるということはなかなか難しいのではないかと考えています。

 ただ、抗体検査というのは新型コロナウイルス感染症対策において非常に重要であると考えておりまして、抗体検査の研究開発についてはAMEDの事業も通じまして支援を行っているところであり、今後、またその活用の在り方については、引き続き、科学的知見を収集して検討してまいりたいと考えております。

仁木委員 ありがとうございます。

 私、予算委員会でも質問していますが、そういったAMEDの研究等々をもっと増額されて、例えば今、全国のICUとかで、重症化された、重症化になったコロナ感染症患者さんが治療を受けています。そういうときに得た採血の、血液の抗体等々を、例えばアメリカにおいてはVSD、ワクチン・セーフティー・データリンクというような、そういうデータベースをまとめていくようなシステムがございますので、患者さんのなかなか同意を得るのは難しいにしましても、そういうのを国の事業としてやっていくというのが、私が今回ワクチン関連に関しまして質問していることでもあります。

 ですから、やはり、DXということも岸田総理が進めておられますので、DXをつくっていくためのそのデータ的な扱い、これを高めていっていただきたいと思います。

 ちょっと時間がないので、最後の資料でございますけれども、四枚目と五枚目の資料でございますけれども、水際対策の中で、これは日本エマージェンシーアシスタンスで、これは随契になるんですけれども、四十五億円のお金を出して、MySOS、そして、最近、二月七日から始まりました、二・二億円更に追加してのファストトラックという、いわゆる、日本人も海外に行ってまた帰ってきたり、あるいは外国人が入国する際の検疫で、よりスムーズに、迅速にするということで導入していることでございますけれども。

 これも、実は私、疑問に感じましたのは、先般、ウクライナの支援ということでハンガリーに行った徳島出身のドクターがいまして、入国する際に、帰ってきて、いろいろ待たされたり、自分がワクチンも接種していて、VRSというワクチン接種記録システムでこれを入力した形なのに、またここで改めて入力せざるを得なかった。つまり、パスポートIDとか、あるいは保険証とか、いわゆる自分のIDを入れたら、これに出てくると思っていたんですけれども、それが出てきていない。

 これは分かるんですね。つまり、VRSというワクチン接種記録システムと、そして、このデータが、MySOS、あるいはファストトラックということがリンクされていないから、タグづけされていないからなんですけれども。

 この辺、何か、DXということを進めるのでございましたら、大臣、いろんな、縦割り行政もあると思うんですけれども、こういった、VRSは例えばワクチンパスポートで経済を回すためにも使われることもありますけれども、これも一つ、海外に行ったり、帰ってきたり、これの、検疫の場でも、非常に広く目的を捉えると同じような感じだと思うんですけれども。こういう縦割りを打破していく。

 このDX行政、例えば、先ほど私、パーソナル・ヘルス・レコード・サービスということを出しましたが、薬機法でも今度処方箋がデジタルになっていきます。そういう意味で、この水際対策は非常に大切なんですけれども、かえってこれで、マンパワーで、アナログで入力していくということは、フェース・トゥー・フェースで、そこでまた感染のリスクも高まったり、限られた空港の検疫のエリアが人でいっぱいになったりするというのはちょっとおかしいかなというふうに思いますので、これは、大臣、また、検疫のスムーズ化ということもこのケースは申し上げていますけれども。

 デジタル化に向けて、例えば、VRSとこのファストトラック、具体的にはこのリンクをお願いしたいと思いますし、私が何を申し上げたいかというと、デジタル行政を進めるときに、例えば、今後、電子カルテとかいうことになると思うんです。最初は、この日本エマージェンシーアシスタンスという会社に業務を委託していますけれども、こういったことを最初にどこの会社にするかというのが非常に重要でして、この選定も、一度決めちゃって現場が慣れちゃうと、違うソフトに変えるのに、なかなか慣れるのに時間がかかったり、不都合があると思うんですね。

 ですから、こういったことも踏まえて、取りあえずは、今私の質問というのは、具体的にはVRSをファストトラックに乗せられないかということをお聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

橋本委員長 後藤厚生労働大臣、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

後藤国務大臣 はい。

 検疫手続のデジタル化の推進については入国時の空港での混雑や滞留が生じないようにするためにも重要な課題と認識しておりまして、空港検疫では入国者を対象にMySOSのアプリを活用しまして、ウェブ上で質問票の回答や誓約書の記入、検査証明やワクチン等証明書の登録、審査が一元的に行えるファストトラックを運用しているところでございます。

 そこで、ファストトラックとVRS、ワクチン接種記録システムの連携についての御指摘でございますけれども、個人情報の取扱いやシステム構築の在り方等の課題があるとは考えてはおりますけれども、利便性の向上を図る観点から、更なるデジタル化に向けてどのような方策が取れるか、デジタル庁等の関係省庁とともに検討を進めてまいりたいと考えております。

仁木委員 ありがとうございました。質問を終わります。

     ――――◇―――――

橋本委員長 次に、内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案並びに中島克仁君外十六名提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案、新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案及び新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案の各案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。後藤厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤国務大臣 ただいま議題となりました医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 感染症に対する我が国の危機管理強化の観点から、緊急時において、治療薬やワクチンを始めとする医薬品等を速やかに国民に届けるとともに、非接触型の医療提供を行うに当たり必要となる処方箋の電子化を図ることにより、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延等による健康被害の拡大を防止することが必要です。

 こうした状況を踏まえ、緊急時に新たな医薬品等を速やかに薬事承認する仕組みを整備するとともに、処方情報及び調剤情報の即時的な一元管理を可能とする電子処方箋の仕組みを整備するため、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、緊急時において、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延等による健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品等について、当該医薬品等の使用以外に適当な方法がない場合に、安全性の確認を前提に、有効性が推定されたとき、その適正な使用の確保のために必要な条件や期限を付した上で迅速に薬事承認を与える仕組みを創設することとしています。

 第二に、薬局に対して迅速に処方箋を伝達するとともに、重複投薬や併用禁忌の回避等による質の高い医療サービスの提供、医療機関や薬局、患者といった関係者間でのコミュニケーションの促進等を実現するため、医師等が電子処方箋を提供できる仕組みの創設及び社会保険診療報酬支払基金等が行う電子処方箋関連業務に関する業務規定の整備等を行うこととしています。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日としています。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

橋本委員長 次に、中島克仁君。

    ―――――――――――――

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案

 新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案

 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中島議員 ただいま議題となりましたオミクロン・感染症対策支援法案、コロナかかりつけ医法案及び日本版EUA、特定医薬品特措法案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明をいたします。

 昨年十一月、岸田総理は、感染拡大が生じても、国民の命と健康を損なう事態を回避すると発言をされました。しかし、第六波では、再び保健所や病床が逼迫し、自宅や高齢者施設での療養者が医療にアクセスできずにお亡くなりになる自宅放置死や高齢者施設死が繰り返されてしまいました。

 コロナ自宅放置死について、私は、昨年一月から、本会議や委員会で、こういう状況を二度と招いてはいけないと繰り返し訴え、第四波後には当時の田村厚生労働大臣は、厚生労働省として十分にそこは対応できなかった、本当にじくじたる思いだと答弁をされましたが、その後の第五波では更にひどい状況となり、現在も自宅放置死発生の検証すら十分にできておりません。

 我が国の国民皆保険制度は、医療を必要とする患者さんが医療にアクセスできることを保障したものであったはずであります。

 このような状況が二年以上続いていることが異常であることを政府は強く認識するべきです。

 医療にアクセスできず不安を抱える国民に、かかりつけ医に相談してくださいと政府は度々案内をいたしますが、かかりつけ医の定義や法的な位置づけも明確でないままに、かかりつけ医に相談しろとは無責任です。

 この無責任状態解消のため、昨年、我々は家庭医法案を提出いたしましたが、審議もされず廃案となりました。

 我が国に家庭医制度が存在をしていたら、第五、第六波のみならず、コロナ禍での自宅放置死は防げたのではないでしょうか。

 二度と自宅放置死を発生させないために、コロナかかりつけ医により、必要な方が必要なときに確実に医療にアクセスでき、早期治療を実現する仕組みを改めて提案をいたします。

 コロナかかりつけ医との相談は、生活習慣改善や健康寿命延長にもつながることが期待をされ、将来の我が国の医療基盤再構築、医療制度改革の本丸である日本版家庭医制度創設への第一歩として、コロナかかりつけ医を導入するべきであります。

 二月の予算委員会で、鈴木財務大臣が、かかりつけ医機能の明確化の方針を示し、岸田総理も、かかりつけ医が広く普及するよう進めていきたいと答弁をされました。コロナかかりつけ医導入は、政府の方針にも重なるはずであります。

 また、コロナかかりつけ医による早期治療には、有用な医薬品の迅速な供給が必要です。

 政府案では緊急承認制度が創設されますが、スーパーコンピューター富岳での治療薬研究結果の放置や、我が国発の医薬品アクテムラが、米国EUA取得後、我が国での承認申請まで約半年間の放置などの事例から、緊急承認だけでは有用な医薬品の迅速な実用化には不十分であり、基礎研究から生産までの医薬品開発全体を加速しなければなりません。

 以下、三法案の概要を御説明いたします。

 まず、オミクロン・感染症対策支援法案について申し上げます。

 本法律案では、緊急時の医療提供体制の確保のための都道府県等と医療機関の協定の締結、医療機関の管理者に対する要請又は指示、都道府県知事に対する医療の提供に係る要請等について定めることとしております。

 次に、コロナかかりつけ医法案について申し上げます。

 本法律案では、重症化リスクの高い者等の生命及び健康を保護するため、新型コロナウイルス感染症に係るハイリスク者等が必要な医療を確実に受けることができるよう、新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等を一貫して担う新型コロナウイルス感染症登録かかりつけ医制度を導入するために必要な措置等を講ずることとしております。

 最後に、日本版EUA、特定医薬品特措法案について申し上げます。

 本法律案では、新型インフルエンザ等の治療に有用な医薬品について厚生労働大臣による指定制度を導入し、当該医薬品の買取り、増産要請等の確保の措置等を講ずることとしております。

 以上が、三法案の提案理由及び内容の概要であります。

 これらの法案の内容は、コロナ自宅放置死された方々の無念の思い、なくなった命を無駄にさせないという自宅放置死遺族会の思いを反映した内容であり、二年以上続くコロナの混乱、国民の皆様の不安を解消するものであります。

 何とぞ御賛同をいただきますようお願いを申し上げます。

 以上です。

橋本委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る六日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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