衆議院

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第13号 令和4年4月13日(水曜日)

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令和四年四月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 牧原 秀樹君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    石井  拓君

      上田 英俊君    加藤 勝信君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      後藤田正純君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    鈴木 英敬君

      田村 憲久君    高木 宏壽君

      土田  慎君    西野 太亮君

      長谷川淳二君    深澤 陽一君

      堀内 詔子君    松本  尚君

      三谷 英弘君    三ッ林裕巳君

      柳本  顕君    山口  晋君

      山本 左近君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    中島 克仁君

      長妻  昭君    野間  健君

      山田 勝彦君    吉田 統彦君

      一谷勇一郎君    金村 龍那君

      吉田とも代君    山崎 正恭君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    仁木 博文君

    …………………………………

   議員           中島 克仁君

   議員           山井 和則君

   議員           吉田 統彦君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   国土交通大臣政務官    泉田 裕彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  柳樂 晃洋君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (国立感染症研究所長)  脇田 隆字君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           澤井  俊君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         田中 一成君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     西野 太亮君

  塩崎 彰久君     石井  拓君

  鈴木 英敬君     山口  晋君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     塩崎 彰久君

  西野 太亮君     川崎ひでと君

  山口  晋君     鈴木 英敬君

    ―――――――――――――

四月十三日

 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案(参議院提出、参法第七号)

 障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案(参議院提出、参法第八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案(中島克仁君外十六名提出、衆法第五号)

 新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案(中島克仁君外十六名提出、衆法第二〇号)

 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案(中島克仁君外十六名提出、衆法第二一号)


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案並びに中島克仁君外十六名提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案、新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案及び新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官柳樂晃洋君、内閣府男女共同参画局長林伴子君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官浅沼一成君、医政局長伊原和人君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、子ども家庭局長橋本泰宏君、保険局長浜谷浩樹君、国立感染症研究所長脇田隆字君、経済産業省大臣官房審議官澤井俊君、商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官田中一成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中島克仁君。

中島委員 おはようございます。立憲民主党の中島克仁でございます。

 先週に引き続き、質問をさせていただきます。

 政府提出、薬機法改正案と我々が提出をさせていただいて審議もされておりますコロナ対策三法案につきまして、昨日参考人質疑が行われまして、それぞれの立場で大変貴重なお話を聞くことができました。昨日の参考人質疑の内容を踏まえて、また、我々が提出をしているコロナ三法案、特にコロナかかりつけ医法案について、先週の大臣の質疑内での答弁の内容も踏まえてお尋ねをしたいと思います。

 まず、先週末にちょっと気になる報道がございましたので確認をさせていただきたいのですが、資料の一枚目でございます。ダイヤモンド・オンラインの記事でありますが、独自、コロナ二類相当から五類指定に見直しへ、岸田首相が決断という見出しとなっております。

 まず確認したいんですが、この記事の内容、感染症法上の分類見直しを改めて政府内で議論されているのか。もしそうであれば、担当大臣は厚生労働大臣でございますので、承知しているのか。加えて、大臣自身はこの感染症分類の五類への見直しについてどのようなお考えを持っておられるのか、お尋ねをしたいと思います。

後藤国務大臣 御指摘の報道については私も見せていただきましたが、政府としては、オミクロン株の感染が続く中、今このタイミングで感染症法上の位置づけを変更することは現実的ではないというふうに考えておりまして、五類感染症に見直すことを決断したという事実はありません。

 それから、引き続き、最大限の警戒を保ちつつ必要な科学的な知見を収集し、今後の感染状況等も踏まえ、厚生労働省の審議会等において専門家の意見を十分に伺いながら議論していくという立場についても全く変わりはありません。

中島委員 大臣御自身のお考えはなかなかお立場的に話はできないんだとは思いますが、社会でも、二類か五類かという議論、ネット上でも言われているんですが。

 ちょっと整理しておきたいんですけれども、そもそも新型コロナウイルス感染症は、感染症法分類の二類相当と言われることがあります。正確には、新型コロナウイルス感染症は新型インフルエンザ等感染症という分類であって、二類でも五類でもないと言うとちょっとまたおかしいですけれども、運用上、強い類型では強い対策、弱い対策をそれぞれ柔軟に組み合わせることが可能で、この分類、今コロナが置かれている分類は硬直的なものではないと私は理解しておりますし、すなわち、このうち取り得る措置の選択肢が最も多いのが、今、コロナが分類されている新型インフルエンザ等感染症という類型という理解をしておりますが、そういう理解で間違いないですよね。

後藤国務大臣 感染症法上は、各感染症は、感染力及び罹患した場合の重篤性等を総合的に勘案して、講ずべき措置を踏まえてその位置づけが定められております。今般の新型コロナウイルス感染症については、感染症法上の新型インフルエンザ等感染症に位置づけられているわけであります。

 この新型インフルエンザ等感染症という部類に分類された場合には、もう繰り返しになるかもしれませんが、例えば、感染症法上の入院勧告、措置、健康状態の報告、把握や外出自粛の要請だとか、検疫法上の隔離だとか、特措法の適用だとか、そうしたものが対応される分類であるということであります。

中島委員 五類にすれば全て解決とかそういうことではないということを、是非、皆様にも御理解をしていただいて、その上で、宿泊療養所に入所できるとか、発熱外来で対応するとか、いわゆる五類とも言えるような対応ができるという状況だとも思います。

 ですから、私も繰り返しなんですが、この後質問していきますけれども、自宅放置死などの医療につながらない、こういうケースを、今の類型のままでも運用を変えていくことで十分対応可能になりますし、加えて、季節性のインフルエンザと同等の治療薬、これがちゃんと行き届くようになる、そういった前提があって初めて私は五類相当という状況になり得るんだということだと思いますので、これからまた質問していきますけれども、まず、今の最大の課題である、自宅療養する方、先週また増加傾向、先週末で三十二万人と言われております、この自宅療養者への対応を、是非、コロナかかりつけ医導入を改めてお願いをしたいと思います。

 それで、質問通告、ちょっと、昨日の参考人質疑、その前の日に私は通告しておりましたから、やはり、昨日の参考人質疑のテーマを先にやらせていただきたいということで、質問項目は、二、三、四を飛ばしまして五番目の質疑からに、ちょっと飛ばさせて、先にやらせていただきたいと思います。御準備していただいてよろしいので。大丈夫でしょうか。

 昨日の参考人質疑で、自宅放置死遺族会の高田共同代表、来られました。また、自宅放置死遺族会の設立の趣旨、活動等をお話しいただいたわけでありますが、二年以上続くコロナ禍での憤り、また、切実な、私は、一国民の声だったと。そして、自宅放置死された方の無念の思い、行き場のない御家族の憤りを感じながら、貴重な命を無駄にさせない、二度と自宅放置死を発生させない思いから、勇気を振り絞って、様々ネット上でも言われているということですけれども、勇気を振り絞ってこの厚生労働委員会に御出席をいただいた高田共同代表には、改めて敬意を表したいと思います。その思いをやはり政治が受け止めて、行動を起こさなければいけない。

 昨日は、資料十一ページにもお示しをしてあります、各会派、委員会の後、右側の方で「要請」とあるものでございますが、齋藤筆頭理事にも、また各理事、オブザーバーの先生方にも、お一人お一人、七会派にこの要請をお届けをさせていただいた。

 その後、午後、この左側でございますが、自宅放置死対策を求める要請ということで、後藤大臣は大変お忙しいということでございましたので、佐原健康局長が御対応いただいて、一ポツ、自宅放置死実態検証、二つ目が自宅療養中の医療アクセスの確保、そして三つ目が早期治療、治療方針の確立、継続的な医療提供体制という、改めて、各会派またそして厚生労働省に、自宅放置死遺族会からの要望ということでさせていただいたところでございます。

 そして、資料の九枚目と十枚目、昨日の高田参考人の陳述、速記を添付させていただきました。普通に読むと十分ぐらいなんですけれども、事前に、是非お読みくださいということで通告もさせていただいておるわけでございます。

 この中でも、例えば、保健所や医師、医療関係者の方々、最前線の方々を責める気持ちは毛頭ない、会に関わっていただいている医師の方には、先生みたいなクリニックの先生が近くにいたらどれだけ心強いかと言ったのに対して、そのクリニックの先生は、小雨程度であればこうやって対応できるけれども、災害級の大雨になったらこれは全体で対応せざるを得ないんだ、今そういう状況にないんだという話。

 そして、第六波、今になっても改善はまだ行われていない、適切な医療に簡単につながれない状況がある今、起こり得る状況を想定していただいて、速やかに必要な人が医療とつながれる準備はできなかったのか、医師とつながらなければ、現在、インターネット等の情報で自己判断となって、真偽不明の情報による個人の判断に頼るのはとても危険なことだと考えている、コロナだから仕方がない、そういう言葉さえ聞こえてくる昨今、これでは、早期に医療とつながれれば助かったかもしれない命が報われません、今後、全国的に感染者が増えたときに、感染したら早い段階で、そして緊急時に医師につながれ、適切な医療を受けられる状況への改善を心から願っております、そういう内容でありました。

 その後の質疑でも、端的に言うと、第五波のときも大変だったけれども、この第六波の現状も、やはり、感染者、ピーク時、自宅療養者六十万人近く、そして今も、また新たな変異株、置き換わりも含めて、自宅療養者が置かれている立場、状況がより複雑化している現状もかいま見えるということです。

 改めて、先ほどお示しした要望書、各会派にも手渡しでお渡しさせていただきましたけれども、その要望内容について、また、昨日の高田参考人の陳述の内容につきまして、大臣の受け止め、前向きな答弁を是非お願いしたいと思います。

後藤国務大臣 まずは、新型コロナにより自宅でお亡くなりになられた方々、そしてその御家族に対しまして、改めて心よりお悔やみを申し上げます。

 昨日のコロナ自宅放置死遺族会の高田代表からの様々な御要望、御意見等につきましては、例えば、自宅での死亡事例の実態調査、自宅療養中の医療アクセスの確保、標準治療の確立、医療体制の整備等について御要望をいただいたということは私も確認しておりますし、その後、担当局長からも、御要望、やり取りについて報告も受けております。

 今回の要望を受け止めつつ、厚生労働省としても、昨年十一月に取りまとめた全体像に基づきまして、保健医療提供体制を強化しながら、オミクロン株の特徴を踏まえて、自宅療養者等が確実に医療を受けることができるように、引き続きしっかり取り組んでいかねばならない、そのように肝に銘じております。

中島委員 是非、先ほども言ったように、高田共同代表、先ほどの繰り返しですが、行き場がないんです、行き場のない憤りと言いましたが、保健所の皆さん、また医療機関、必死に頑張っている。だからといって、医療につながらずなくなった命、これが本当にこういう状況でいいのかと。

 そこを、こういう状況に置かれている人は、高田さんも、インターネットを通していろいろな全国各地のそういう思いを持たれている方と交流をしたり、そして各地域の取組が随分温度差があるということで行政の方とも話をしながら、その上で、確実に医療にアクセスできる制度、仕組みをつくるのがどれだけ大変かは分からないけれども、二年以上たった今、是非これを改善してほしいという、まさに、無念の思い、それを生かしていくんだ、そういう思いで活動されておりますので、しっかり受け止めて、そして我々が、政治がこの状況を解決していくんだと、私自身も肝に銘じて取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 先週の水曜日の私との質疑で、今もちょっと触れられましたが、自宅放置死の実態調査について、厚生労働省としては、昨年夏の感染拡大時に、自宅での死亡事例について死亡に至るまでの経緯や、自治体の取組事例について調査を行いまして、その調査結果と自治体の取組事例の周知を行ったところですと答弁をされました。

 資料の二枚目から三、四枚目、これは今年の一月十三日、アドバイザリーボードに示されたものでございますが、大臣の言う昨年夏のいわゆる実態調査、検証、このことを言っているということでよろしいんでしょうか。

後藤国務大臣 昨年十二月に、自宅での死亡事例について、岸田総理から、どのような対応が可能か整理するよう指示がありました。

 その指示を受けて厚生労働省では、昨年八月一日から九月三十日までの間に自宅で死亡された新型コロナ患者について、都道府県を通じて調査を実施したところでございます。その調査結果については、今委員から御指摘のありましたとおり、本年一月十三日にアドバイザリーボードに報告するとともに、各都道府県に周知したものでございます。

中島委員 これが、昨年夏の、八月から九月にかけて、いわゆる第五波、デルタ株の感染拡大時、自宅放置死に関するいわゆる調査、検証ということ、これは、昨年十二月十五日予算委員会で、岸田総理が自宅放置死の実態検証を行うと明言された内容だということであります。

 これを見ますと、対象というかサンプルは二百二名、八月一日から九月三十日までの自宅で死亡された以下の感染者、患者に対する死亡時の年齢であったり基礎疾患、ワクチン接種歴。そして、自治体からの報告、様々な例が挙げられていて、それを踏まえて死亡事例に対する自治体での今後の取組に対して、アドバイザリーボードに示された。

 その次の資料の五枚目、六枚目、アドバイザリーボードに示された翌日、事務連絡として、都道府県に通知がされている。恐らく、いわゆるこの調査、検証を踏まえて事務連絡はされたということなんですが、この内容を見ると、保健所業務の効率化であったり、医療機関と保健所の間の情報共有、自宅療養者との連絡が取れない場合の対応と様々あるわけですが、自宅療養者に対するパルスオキシメーターの貸出しとかいろいろ出ているんですが、正直これは、今までの延長線上でしかない、当然のことができていなかったことを、再度、もう一回やりましょうねみたいな内容なわけであります。

 そして、昨日の高田参考人、昨年の第五波を踏まえて、第六波の状況をどのように考えられますかと私がお尋ねをしたところ、改善というよりはむしろ悪化しているんじゃないかと。これはオミクロンの特徴もあるかもしれませんが、例えば、ワクチンを接種しているかしていないかによって、保健所の方々に、ワクチン未接種なので、それは自分のせいですというふうに指摘をされたり、いろいろな、オミクロンは軽症で済むからという社会の変な理解の中で、逆に、自宅療養されている方の環境は悪化しているんじゃないかという、私は大変問題だなと。

 改めてですが、昨年、岸田総理も、十一月の全体像のときに、次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像の取りまとめで、必要な方が確実に入院できる体制の整備と、自宅療養をされる方が必要な診療を受けられるよう体制を整備すること、今回の全体像のポイントとして、最悪の事態を想定した医療体制の確保をするということを明言していたわけです。

 それで、実態調査、検証の結果、大臣は、第六波でこれが生かされた、岸田総理の言うとおり最悪の事態は免れた、そのように考えておられるのか、大臣、御見解をお尋ねしたいと思います。

後藤国務大臣 全体像を昨年の十一月に取りまとめましたけれども、昨年の十一月に取りまとめた全体像の中でも明確にはしておりますけれども、昨年夏の第五波の感染拡大に際して、感染の拡大に病床の確保が追いつかない事態や、陽性判明後の健康観察や治療が迅速、確実に実施されない状況が生じたこと、治療開始が遅れて重症化する事例や在宅で亡くなるような事例が見られた。そうしたことを起こさないように全体像というものをつくるということで、全体像をつくるに当たっては、医療提供体制の充実だとか自宅療養だとか、そうした体制等についても、しっかりと全体としての医療提供体制を強くしていく。そして、ありとあらゆる事態を想定した上で、できる限りの体制を整えていくというのが昨年十一月の全体像でありました。

 その中で、特に保健医療提供体制を強化するということでしたけれども、オミクロン株の感染に合わせまして、オミクロン株の特徴を踏まえるような形でより自宅療養者等が確実に医療を受けられることができる、そういうような形の、全体像全体は基本としつつも、オミクロンに対応できる体制づくり、あるいは濃厚接触者等に対する対応だとか、保健医療提供体制の接続の問題だとか、オミクロン株の症状に対応できるというような形でできる限りの対応も図ってきたというふうに認識しています。

中島委員 今るる述べられましたが、私は、だから、対応してこなかったとは言いません。対応しようとして準備はした、健康観察、診療医療機関も、二・二万か所増えていると。

 しかし、先ほどこれまでの延長線と言いましたが、やはり当初から、これは第三波のときから、自宅療養される方への医療のアクセスをどうするかがポイントになってくるとずっと私も述べ続けました。そして、こういう状況が、第三波、そして第四波、第五波は更にひどい状況になり、私は、この第六波は、先日確認をいたしましたが、警察庁の自宅で発見された取扱案件、これは一月から三月まで、途中経過で八百人を超えている。HER―SYS上では百二十六人でしたか。この乖離がどういう状況にあるのか。

 昨日の要望は、昨年の調査、検証ができて一応示されておりますが、この状況が今一体どういう内容になっているのか、早急に私は調査する必要があると思いますし、例えばパルスオキシメーターが十分に迅速に配付されているかというと、私も三月、先々週ですか、横浜の方でしたけれども、届いたのはもうある意味病状が改善してから届きましたとか、やはりあるわけですよ。

 やはり私は、これまでの延長線上では、今後、また新たな変異株もこの間空港検疫で発見された、医療に確実にアクセスできるということを、医療システムを、さっき感染症法の運用と言いましたが、確実に医療にアクセスできて、そしてタイムリーに治療が開始でき、そして病状が変化し、最初は熱がなかったかもしれないけれども翌々日に熱が出た、そしてその翌日にはせきがひどくなった、そのたびに医療にアクセスできて、そして有用な有効な薬剤がタイムリーに投与できる体制を取らなければいけないと改めて指摘をしますし、それが我々が示しているコロナかかりつけ医法案だということをどうか皆様にも御理解をいただき、深めていただきたいと思います。

 そして、このコロナかかりつけ医に関連して、先週、私、大臣に質疑をして、答弁の内容をちょっと確認したいんですが、先週の質疑で、後藤厚生労働大臣は、このコロナ感染拡大蔓延の中で、我が国の国民皆保険の最大の特徴であるフリーアクセスが十分に肝腎なときに機能しなかったと答弁をされました。

 改めて確認ですが、このコロナ禍で、我が国のフリーアクセスが十分に機能しなかったということでよろしいですね。うなずいていただいていいですよ。いや、でも、言っていますけれども。うなずいてくれればいいんですが。

後藤国務大臣 私が非常に危機的状態を共有化したのは、医療のサービスの提供が行えない事態が局面的にも起きたということについて、医療提供が行われないということは、そもそも、制度としてフリーアクセスなのかどうかということの前の状態だということを申し上げたのは事実であります。

 ただ、私、そのときのやり取りでも結構先生とはフリーアクセスについて深い議論をした記憶がありますけれども、日本の医療提供体制が現状において、かかりつけ医の話は今は抜きにして、フリーアクセスとなっているのかということについて言えば、日本の医療制度がフリーアクセスという制度に従っているということについては、私は、そういうことだというふうに申し上げたつもりではあります。

 だから、フリーアクセスの制度が破綻しているのではないかという御指摘については、そのようには考えていないと。非常にきっちりとした、理論的な議論をしたという記憶でございます。

中島委員 大臣、誰に遠慮されているのかちょっとよく分からないんですけれども、ちゃんと議事録があるんです。「フリーアクセスが十分に肝腎なときに機能しなかったということについては認めています。」と。

 ですから、その前の、それ以前の問題だという話と、あと、平時で我が国でフリーアクセスが機能しているかどうかということではなくて、このコロナ禍において、だからこそ、参考人で来られた高田共同代表、昨日も陳述の中で言っていました。まさか、病気にかかったときに医療にかかれないなどと、そして、そのままお亡くなりになるなんということが起こり得るとは想像もしていなかったというわけです。

 ですから、私だって、国民皆保険制度、フリーアクセス、これまで、五十年近くたって、いい制度だと思いますよ。ただ、このコロナ禍でそれが十分に機能したかと言われれば、これは財政審の建議でも諮問会議でも明らかに明確に言っているわけです。

 そこは、大臣、やはり、自宅放置死遺族会の方々、医療にアクセスできず、ああいう思いをした。本来機能すべきフリーアクセスが機能しなかった、これは大前提としてお認めいただかないと。していたのにこういう状況になったというのは、それはちょっとおかしな話だと思いますから、そこは明確に、コロナ禍において我が国のフリーアクセスは機能しなかったということはお認めいただきたいと思います。ここはうなずいていただければいいです。いやいや、そういうことですよ。

後藤国務大臣 私、先ほどから申し上げているのは、コロナ禍の緊急的な事態の中にあって、例えば自宅で十分に医療を受けられないとか、あるいは救急搬送中に十分な医療が受けられないとか、そういう事態が生じたということについては、これは大問題だというふうに思っております。

 医療の提供の中でのフリーアクセスの問題と、医療のサービスが緊急事態において提供できなかったということが、制度論として同じ土壌の議論ではないということだけ申し上げているので、先生のおっしゃっているお気持ちが、今の医療制度の下で必要な医療が、自宅で急に容体が変わられた方、あるいは緊急搬送中の方に十分な、必要な医療が提供できないみたいな、そういうことが起きないようにしなきゃいけないし、そのこと自体が問題だったという御指摘については、そのとおりだというふうに申し上げています。

中島委員 いや、だから、今の現状認識をしてもらわないと、この先、話が、改善だってできないわけですよ。だって、現実につながらない人がいるんですから。その無念の思いを昨日、高田参考人が言っているわけですから、それを改善するのが我々の仕事ですよ。これは、ちょっと時間、ここで時間を費やすと思わなかったんですが、うんと言っていただけたらよかったんですけれども。

 資料の十二ページ、これは日本医師会の中川会長ですね、財政審、医療の現場感覚と大きくずれ、領空侵犯と言っています。そして、最後の十三ページ、かかりつけ医機能について。これは日本医師会の発表でありますが、赤線が引っ張ってあるところ、コロナ禍において、経済財政諮問会議や財政審が求めているように、かかりつけ医機能を制度化すれば、フリーアクセスを阻害し、以前、後期高齢者医療制度導入のときに見られたように、国民の理解を得られず、大混乱を招くおそれがあると言っているわけです。

 大臣にちょっと確認をしたいんですが、今のフリーアクセス云々ではなくて、私らも、今回、コロナかかりつけ医、これは、確実に必要な方が医療につながるため、そして、医療側は手挙げ方式です。患者さんが登録する医師を事前に選んで登録する、そして、いざというときに確実に医療につながる体制を取るものであります。

 大臣にちょっと確認いたしますが、財政審に示されているかかりつけ医機能の制度化や、かかりつけ医に対して利用希望者による事前登録、医療情報登録を促す仕組み、これは我々のコロナかかりつけ医制度ですが、これはフリーアクセスを阻害するものと考えておられるのか。これらの仕組みを導入した場合、今、医師会の表明にあるように、国民の理解を得られず大混乱を招くと、このコメントと同じように大臣も考えておられるのか、ちょっと確認させてください。

後藤国務大臣 御指摘のように、日本医師会が、かかりつけ医機能を制度化すれば、フリーアクセスを阻害し、国民の理解が得られないおそれがある旨を発表していることは私も承知をいたしています。

 かかりつけ医については、現状、国において定義づけは行っておりませんし、その在り方に関しても、関係者間において様々な議論の幅というものがあります。日本医師会のコメントもそのうちの一つだというふうに認識をしております。

 こうした状況において、厚生労働省としては、先ほどからも紹介のある政府として決定した新経済・財政再生計画改革工程表の記載に従って、これは決定されているものでありますから、かかりつけ医機能について明確化を図るとともに、患者と医療者双方にとってその機能が有効に発揮されるための具体的な方策について検討を進めていくということとしておりまして、国民の理解が十分に得られるように丁寧に議論を進めてまいりたいというふうに思いますし、かかりつけ医機能の重要性については、厚生労働省は政策として推進をしているのはもちろんでありますし、そのこと自体に日本医師会が理解をしていないという認識も持ってはおりません。

中島委員 ちょっと今、意味がよく分からないんですね。

 私らが言っているのは、かかりつけ医の制度化ですね。手挙げ方式、患者さん側にとっても医療者側にも手挙げ方式で、いわゆる今かかりつけ医という言葉が氾濫していて、昨日の高田共同代表の弟さん、自宅放置死されましたが、これはかかりつけ医と呼ばれる人がいたんですよ。にもかかわらず、いざというときにそのかかりつけ医に対応していただけなかった。

 こういう状況の中で、これは制度化したら大混乱と言いますけれども、大混乱じゃなくて、逆に収束、混乱を収めるためにこれはちゃんとマッチングさせないといけない。そういう趣旨で我々は、コロナかかりつけ医、手挙げ方式、それぞれが、私が、じゃ、あなたのかかりつけ医になります、そして、いざというときには確実に医療をつなぎますよと。我々はそういうことを言っているわけです。

 ですから、今混乱しているんですから。混乱しているから、必要なときに必要な医療が受けられず、御自宅で放置されて亡くなる人が、今実態もよく分からない状況の中で、これを確実につなげるためのコロナかかりつけ医。混乱を招くどころか、定義をして制度化すれば、混乱ではない、今混乱しているものを、混乱を収めるための我々の制度ですから。しかも、改革工程表に載っている。

 これは高田参考人、今すぐでもやってほしいと強く要望しておるわけですから、是非今すぐ。我々の言っているのはフリーアクセスを侵すものでは全くありません。そのことをしっかり踏まえて、大臣、混乱を、社会で起こっているミスマッチを改善するためにも、財政審の建議、別に財政審の全部の内容を私、応援しているわけではありませんが、この部分については今すぐにでも迅速にやるべきだと思いますが、改めて大臣、見解をお願いいたします。

後藤国務大臣 財政審の建議そのものについて、厚生労働省や社会保障の分野で仕事をしている人たちが、何でもはいと言える内容ばかりが書いてあるわけではないというふうには思っております。

 しかし、私が引きましたのは、これは政府として決定をした新経済・財政再生計画改革工程表の中で、かかりつけ医機能について明確化を図るとともに、患者と医療者双方にとってその機能が有効に発揮されるための具体的な方策について検討を進めていくということにされておりまして、こういう形で、例えば制度の登録をどうするのかとか、あるいは、誰が、どのように、どうマッチングの決定をして、そこをどうつないでいくのかとか、制度の問題として議論するには国民の理解や、しっかり医療の現場の安定を図る上で、現実どのようなタイミングでどういうことを進めていくのかということも丁寧に議論をする必要があるということを申し上げています。

中島委員 私が聞いたのは、私らも言っている、財政審も言っている、このコロナ禍でかかりつけ医機能が発揮されなかった、それを、混乱している状況を、かかりつけ医を明確に定義して制度化することで混乱を収めること、それに対してどうなんですかということをお尋ねしたんですが、もう時間がないですから。次回もやりますからね。これは徹底的にやろうと思っています。

 それに、改革工程表に沿ってやるからいいじゃないかでは、昨日の高田参考人始め、多くの自宅放置死した無念の思いに応えられないということを私は申し上げているので、また質疑が続くと思いますので、この部分は徹底的にやらせていただきたいと思いますので、次回、またよろしくお願いいたします。

橋本委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日も、先週に引き続き、薬機法に関連して、薬事承認の在り方及び医薬品、医療機器行政の在り方を質問してまいります。

 前回は、現在の医薬品等の承認制度のひずみについて、そして、その結果としてのアンジェス社を始めとするそういった課題、また創薬ベンチャー等への支援の姿勢等に関してもお伺いしました。

 今回の質問を通じて、薬事法から薬機法への抜本改正、当時、与党だった民主党の責任者として担当した私も、思うところとしては、やはり非常に残念な内容になっているということであります。

 まず一点は、今回の緊急承認等の改正内容が、パンデミック時に限られているという点であります。

 薬事法を薬機法に衣替えした際に、我が国の医薬品、医療機器の開発や承認の遅れは深刻な問題でありました。今もそうなんですが。PMDAの改革及び薬事法から衣替えした薬機法によって、それらは一定程度の改善がもたらされました。しかし、世界の状況は更に進んでいます。医薬品や医療機器の開発競争は、加速度的に、熾烈を本当に極めている状況です。

 その一方で、我が国は、以前、厚生労働委員会でも私が度々指摘しましたが、まだ国産のペースメーカーが、大臣、できませんね。中国は既に開発して、もう抜かれてしまっています。橋本委員長も、脳卒中、循環器病対策基本法、こういったものを議員立法しても、その治療の主役になる医薬品、医療機器はほとんど外国産なんです。TAVIとか、いろいろ今、心不全の治療で必要なものはいっぱいあります。ただ、ほとんどの治療を、大臣、外国産で行われておりまして、じくじたる思いが、皆さんだと思います、委員長も大臣もそうだと思うんですが、ありますよね。

 例えば国内で開発した世界市場を制することができるような可能性のある医薬品、医療機器でも、残念ながら、承認において他国の後塵を拝するなどの理由によって、我が国で承認すらできないという事象がずっと起こってきていますよね。

 まず、こういったるるお話をした中で、大臣、なぜ今回パンデミック時のみを対象とした法改正としたのかを簡潔にお答えください。

後藤国務大臣 今、これはパンデミック時のみの対応というよりも、新しい緊急的な承認を行わなければならない事態が発生したときに、有効性については推定だけれども、安全性が確認されれば、そういう類型の承認を新たに設けるということで対応したものです。

吉田(統)委員 大臣のような、本当に既得権益に縛られない、すばらしい大臣がせっかくいらっしゃるんですから、もうちょっと幅広に今回法改正した方がよかったと思いますよ。ここだけの承認では、本当にこれは重要広範議案で多くの質疑時間を使う法案ではもったいないです。もう少しそこはしっかりとやっていただかなきゃいけないと私は本当に思います。

 ちょっと冒頭、この後、創薬とか医薬品の承認の話をしていきますので。そもそも、大臣、先発品メーカーはやはり結構苦しんでいるんですよね、医薬品の。こういったところが何で今苦しいかということ、どうして薬価を高くつけなきゃ逆にいけなくなってしまっているのかということに関しては、これは根本にあるのは、政府による、調剤料とかそういったものをある意味人質に取った、政府の過度なジェネリック推進なんですよ。委員長も笑っていますから、委員長はよく分かっていますよね。

 だから、まず政府はそういったところを改善して、先発品メーカーが別に過度に高額な新規の医薬品の薬価をつけなくても普通に先行き明るい見通しを持って経営できるようにしていくには、この過度の、また今回後発品を使用、更に診療報酬改定をやっていらっしゃるので、これをやられると、本当にもう開業医の先生だと九割後発品というところが、メジロ押しというか、ほとんどそんなふうになってしまっていて、これではやはり先発品メーカーは苦しいですよ。これは、私は先発品メーカーに対して何か意図があってやっている質問ではないので、冒頭そこはちょっと本当にお願いをしておきます。そこをやってあげないとかわいそうです。

 さて、次に、ちょっと大臣に質問していきますが、現在の最も深刻な問題は、こういった緊急承認等に当たって、製薬メーカーなどの意向に左右される点であります。

 例えば、中島委員のいつも一生懸命やっていらっしゃったイベルメクチンですね。これは、抗寄生虫薬として開発をされて、寄生虫が蔓延している海外では幅広く使われています。安全性も確保されています。しかし、薬の単価が安くて、製薬メーカーにとっては承認されても利益はそれほど見込まれないということもあって、新型コロナウイルス感染症の治療薬として申請を行われないという事象もありました。

 こういった状況を放置すると、結局、今回の閣法における法改正にもかかわらず、やはり国民に必要な医薬品などが承認されないんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

後藤国務大臣 今、先生の質問が、割合に大きくグラウンドを取って質問されているので……(吉田(統)委員「今のところだけで結構です、最後の」と呼ぶ)そういうことから申し上げますと、恐らく、製薬企業が責任を持って、今の日本の制度の場合は、承認申請に必要な治験の実施とデータの解析だとか、承認後の副作用情報の収集、解析、医療現場への情報提供などの安全対策を含めて、製薬企業が責任を持って対応するということが必要だということで、日本の承認制度は製薬企業からの申請に基づいて承認をするということになっております。

 もちろん、国は、承認が起こりやすいように、申請時の企業負担の軽減に、例えば、治験の手続の簡素化だとか、企業相談の実施だとか、今般創設する緊急承認制度だとか、申請に必要な臨床試験データの軽減だとか、そういうことはもちろん講じておりますけれども、基本的には製薬企業が責任を持って対応する必要があるということで、製薬企業からの申請に基づくという対応になっております。

吉田(統)委員 厚生労働省はどうしても規制官庁ですので、そういった答弁になる。

 ただ、これはやはり、リスクを負いたくないという部分でもあるんだと思います。大臣というわけではなくて、やはり行政の今までの、厚生労働省の在り方として。

 ただ、これだと、大臣、前回の質問でも、結局アクテムラの話はるる理由をおっしゃっていたので、この立法自体が本当にどういう意味を持つのかも前回の質問でやはり疑問が残ってしまいますし、やはりこれだと一緒の結果になる可能性が。それはリスクを製薬メーカーに預けた方が、国は安全な立場に、行政はありますから。ただ、そこをどういう判断をされるかということが、大臣の今回重要な御判断のポイントなんじゃないかと思います。

 それでは、これは大臣、大事なことは、次の質問は大臣の思いを答えていただきたいんですが、一昨年マスクが不足しましたね、大臣。安全保障という観点からも、医薬品、医療機器の国内生産は本当に進めないといけないと思います。特に必要不可欠な医薬品、医療機器ですね、さっきのペースメーカーもまたしかりです。そういったものに関して、やはり政府が主導して企業に開発を依頼するなど、助成も当然そうであります。我が国の自国内での開発、製造、販売をやはり進めていくべきだと考えますが、私は。大臣も同じ思いですか、そこは。簡潔にお答えください。

後藤国務大臣 国民の命そして暮らしを守っていくために、例えば世界的なパンデミックが起こったときに日本の国民を守っていくためには、医療品そしてまた治療に必要ないろいろな医療関係のものについて、それが国民に供給できる体制を安全保障としても持つという観点は重要だと思いますし、ワクチンしかり、医療品しかり。国産のものに対してしっかりと、国としても、国での開発や製造ができるように補助金を使ったり、あるいはいろいろな形での相談窓口をつくったり、そうした形のコンソーシアムづくりをしたりと、そういうことで国としても支援をしているつもりですし、ますます今後そうしたことをやっていかなきゃいけないというふうに思っています。

吉田(統)委員 大臣、しっかりお答えいただいて。

 でも、大臣、本当に率直に、ペースメーカーとか国産品がないのって悔しくないですか。日本の最も、小型化とか得意とするところだったですよね。ですから、相当ここは、財政的な問題、医療費増大の問題に伴って、本当に大きな課題になりますので、なるべく早くというか、もうずっとこれは私も言い続けていますが、十年以上。対応しないと、本当に手遅れになりますので、大臣、よろしくお願いいたします。

 それでは、我々立憲民主党は、今回の閣法の対案として三本の法律案を提出しています。

 日本版EUA法案では、これは先ほど来議論になっています、パンデミック時に限定されるものではなくて、平素でも、製薬メーカーや外国産医薬品の国内取扱企業の申請によらず医薬品の使用を認める制度について検討することを盛り込んでいます。

 また、そのような製薬メーカーや外国産医薬品の国内取扱企業の意向にかかわらず、また、アンジェス社のような恣意的な政治主導ではなく、エビデンスに基づく学会の意見をしっかりと、そして慎重に聞いた上で、国民にとって必要な医薬品を新型コロナウイルス感染症を含む新型インフルエンザ等の治療薬として遅滞なく指定できるようになります。

 これによって、例えば炎症性サイトカインの一種であるインターロイキン6の阻害剤でありますアクテムラについても、米国ではいち早く緊急使用許可をしたわけでありますが、我が国におきましても、学会の意見を聞いた上で、エビデンスに基づく判断で、いち早く新型コロナウイルス感染症の治療薬として指定することが可能であったわけであります。

 私は、二〇一一年の厚生労働委員会で、加齢黄斑変性の治療に使用される抗VEGF剤ルセンティスの高額な薬価を指摘しています。保険財政への影響を示唆して、元々日米欧のアカデミアで加齢黄斑変性の治療にそもそも使用されていた、単位量当たりの薬価が現在使用されている抗VEGF剤の約五十分の一と著しく安いアバスチンの使用を提案しています。これは後に米国等でのオフラベル使用につながっていきます。

 加えて、昨年は、厚生労働委員会での改正健康保険法の審議の際に、医療費抑制の一手段として、現在承認されている抗VEGF剤、たくさんありますが、これに代わるアバスチンの使用を再提案しております。ミリグラム当たりの薬価にすると、アバスチンは三百四十二・八九円、ルセンティスはミリグラム当たり一万六千六十九・八円となります。

 私が危惧したとおり、二〇一一年当時のルセンティスの売上げは百五十七億円だったんです、大臣、百五十七億円。二〇二〇年には、十年たつと、ルセンティスと二〇一二年に保険収載されたアイリーアを合わせると千六十億円と、約十年で使用が急激に広がっています。

 もちろん、全てアバスチンに置き換えろと言っているわけではありませんし、それは不可能だと思います。しかし、前述のように、一定程度の部分を五十分の一の薬価まで下げることが可能になります。これは実際、欧米で行われていることであります。

 今回の立憲民主党提出の法案では、例えば、製薬企業が営利性を優先し、既存薬では利益が余り見込めないという理由から薬事承認の申請を行わないような場合でも、学会の意見を含めた十分なエビデンスの収集によって、製薬企業の意向にかかわらず、科学的根拠に基づいた指定を行うことができるという方向づけを行っています。このアバスチンに関しても使用の道を開く可能性があるものともなっています。

 したがって、大臣、ちょっと長い話になってしまったんですが、この法案をそのまま政府の修正案として取り込んでいただくことを検討いただけませんか。大臣、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、今枝委員長代理着席〕

後藤国務大臣 学会等の客観的な見解に基づいて、政府が主導して適応外使用ないし承認を変更するというような御提案については、先ほどもちょっと申し上げたのでありますけれども、医薬品の製造販売について、承認申請に必要な治験の実施とデータの解析、承認後の副作用情報の収集、解析、医療現場への情報提供などの安全対策を含めて、製薬企業が責任を持って対応する必要があることから、製薬企業からの申請に基づいて対応していくというのが原則だというふうに思います。

吉田(統)委員 大臣、ちょっと、大臣が聞いたまま、率直にお答えいただければいいんですけれども。

 エビデンスという話がやはり大事になりますし、エビデンスの話をしているんですが、アメリカは日本でいう医会と学会は実は一体になっているんです。ちょっと分かりにくいかもしれない。例えば、学会というのは学者、研究者の集団。例えば眼科だと、日本眼科学会と日本眼科医会というのがあります。

 実は、厚生労働省は非常に老練でして、時として、エビデンスという点で持ち出すときに、あるときは学会の意見を採用して、あるときは医会の意見を採用します。これは自分にとって都合のいい方を採用しているんだと思いますが。

 エビデンスという意味で、学会等の意見ということになった場合というのは、大臣は、学会の意見若しくは医会の意見だと、どちらを採用すべきだと思われますか。

後藤国務大臣 私、思いますけれども、学会、医会、私はそこをどういうふうに分けて議論されているのかの前提もよくちょっと分からないところもあるんですけれども、基本的には、やはり専門家としての知見、意見というものが生かされるということになりますから、それは医療現場の御意見も、そして研究者の御意見も含めて専門家の意見になるということだろうと思います。

 それから、例えば、ちょっとそれが、医学薬学上の議論として本当に公知であって、みんなが知っているというような場合には、現在の制度においても、平時におきましても、薬事申請の際に医学薬学上公知であるというようなものについては、その資料を添付することを要しない、いわゆる公知申請といったような客観的な学術的評価に基づく迅速な承認。これも、ちょっと申し上げていて気がつきましたが、これも企業の申請が前提ですので、今の答弁は関係なかったと言われるかもしれませんが。そういうような問題意識は、現行制度でも互いに共有化しながら議論はしているということだと思います。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございます。一生懸命御丁寧な答弁を考えていただいたのは感謝申し上げます。

 ただ、大臣、公知申請、お忙しいので忘れちゃったかもしれませんけれども、前回、議論を既に少しさせていただいて、公知申請の問題点や、ちょっと変質した部分、そういったことも私も申し上げておるところです。でも、ありがとうございます。本当に、おっしゃるとおりで、一生懸命、国民にとってよりよい制度をということで考えていただいているのはよく分かりました。

 大臣、そうすると、ちょっと視点を変えさせていただきます。

 昨年の三月、四月に、厚生労働委員会や内閣委員会で、高品質で安価なアカデミアで完結する最先端医療という観点から、何度か私は質問をさせていただいています。今回、細かい部分はちょっとやめておきますが、薬機法の改正との関係で聞いていきます。

 今回の法案はこういったアカデミアの治療というものは言及がありません。今回の法案で、現状使用できない医薬品を使用できるようにするという観点もあるわけでありますから、今回の法案にも実は考えて入れていただきたかった部分なんです。

 昨年の内容の若干繰り返しになりますが、現在の仕組みだと、やはり、昨年あるいはさっきも申し上げましたが、製薬メーカーが収益を上げなければいけないから、先発品メーカーがしっかりと、やはりそうじゃないといい薬を作ろうと思いませんから、一定程度もちろん収益を上げなきゃいけないし、薬価がある程度高くなるのもしようがない。しかし、極めて高くなることがあるんですよね、大臣。

 特に原価計算方式だと、原価の開示はブラックボックスと言われていて、薬価の高騰の一因になっています。

 小児の遺伝疾患である脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療製剤、ノバルティスのゾルゲンスマ。これは二〇二〇年の五月の薬事承認、一億六千七百七万七千二百二十二円の薬価がついています。

 ゾルゲンスマはアデノ随伴ウイルスベクターを利用した遺伝子治療薬です。であるのに、同じくウイルスベクターによる遺伝子製剤、アストラゼネカのコロナワクチンは五百円にすぎません。生産数が異なるとはいえ、ここまでの価格差は理解の範疇を超えます。内閣委員会でも、昨年五月十四日に伺っていますが。

 この価格差、大臣、純粋にちょっと御意見を伺いたいんですが、いかがでしょうか。これは大臣に聞きたいです、大臣に。今、私の、同じような作り方をしても薬価がこれだけ違ってしまうことに関して、コメントをいただけますか。

後藤国務大臣 類似薬がない新薬の薬価算定については、今先生からも御指摘がある原価計算方式を基礎としまして、その上に有用性等を踏まえた加算を行って算定するということでやってまいりました。

 その際に、従来から御議論のある、例えば原価の開示が十分にされていないのではないかと。そういう開示度に応じて、きちっとした薬価がついているのかという御議論は従来から伺っておりまして、今もし、そういうことについておっしゃっての、コメントを求めるということであれば、原価計算方式により算定した品目の約半数において開示度が五〇%未満という低い水準にとどまっておりまして、必ずしも開示が進んでいない状況であると。移転価格の内訳等が必ずしも明確になっていないというようなこともありまして、今回の令和四年度の薬価制度改革では、中医協における議論に基づきまして、開示度が五〇%未満の場合には加算を認めないこととして、薬価の透明性を向上させるための見直しも行っております。

 今後もこうしたルールを適切に運用するなど、今委員がおっしゃった薬価の透明性をしっかり確保していくべきだというお考えについては、そうした方向で考えていく必要があると思います。

吉田(統)委員 本当は大臣、高いなって言ってほしかったんですけれども。純粋に高いじゃないですか。まあ、しようがないですよね、大臣。バックグラウンドがなかなか、ちょっと私の説明だけでは、大臣のお立場だとお答えになるのは難しいと思うんですが。

 それでは、小児がんに対するCAR―T療法、キムリアというのは、三千四百十一万三千六百五十五円だったんですが、調整を受けて三千二百六十四万七千七百六十一円。高価ですね。ただ、これはアカデミアでやると百万円以下で治療が可能になると言われています。同じくCAR―T製剤のイエスカルタや、セルジーン社のブレヤンジも三千二百六十四万七千七百六十一円。これはやはり高いと思うんですよね、アカデミアの製剤と比べて。

 大臣、高いと思います、思わないですか。高いと思うんだったらうなずいていただければと思うんですけれども、御答弁は要らないんですが。うなずきにくいですか。答弁は要らないです。高い、高くない。

後藤国務大臣 うなずくと、どこまでうんと言ったか分からないので。

 先生のお話、先ほどから非常にお詳しいので、個別具体の薬名とかいろいろ入っているので、高いというのは、私、残念ながら、一つ一つの薬について高い低いとかということをよく承知しておりませんし、申し上げる立場にもないという意味で、うなずいてくれればいいとただ言われてうなずくわけにもいかないという意味でございます。

吉田(統)委員 まあ、大臣の思いを忖度すると、高いのかなと思いますけれども、大丈夫です。

 そうすると、じゃ、診療報酬改定で、この原価計算方式、さっき大臣からお話がありましたが、ちょっと役所の方から追加で簡潔に、簡潔にお願いしますね、何かあります、今回診療報酬でこの原価計算方式に対して。追加ですよ、同じ答弁は絶対に繰り返さないでください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 そういう意味では、先ほど大臣からお答えしたとおりでございまして、今回の改定におきまして、原価計算方式により算定した品目の約半数では開示度五〇%未満という低い水準にとどまっていることから、開示度が五〇%未満の場合には加算を認めないということにしたわけでございます。

吉田(統)委員 早口で言わなくても大丈夫です。追加がないならないで、本当に大丈夫ですから。ありがとうございます。感謝申し上げます。

 では、ちょっと時間がなくなってきたのであれですが、アカデミアにおける、繰り返しになるんですが、例えば名古屋大学ですと、CAR―T製剤を作っていますね。タイのチュラロンコン大学なんかとも提携しながら、そういったものを使いたいという意向があります。

 さっき申し上げたように、やはり非常に安価に作ることができるんです。これは、ただ、CAR―T製剤は製品として出ていますので、上市されていますので、そういったことというわけではなくて、一般的に、今後も含めて、あるいは特殊な状況下で上市されていても、こういったアカデミアで完結する治療薬を進めていく気があるかどうかということですね、今後。

 これは大臣より役所の方がお答えしやすいと思いますので、お答えください。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば御指摘の遺伝子治療につきましては、厚生労働省としては、製品化して診療する場合も、あるいはアカデミアが大学等において製品化せずに診療を行う場合でも、いずれの場合も安全性の確保が重要だと思っております。

 そうした中で、エクスビボ遺伝子治療はもう既に規制の対象になっていますが、インビボ遺伝子治療については、現在、まだ再生医療等安全確保法の規制対象となっておりません。

 こうした中で、今、法律の見直し作業をしておりますが、昨年の四月以降ワーキンググループで議論をし、昨年の十月に中間報告として、こうしたインビボ遺伝子治療についても法の範囲に含めるという方向で意見がまとまりつつございます。今、最終的に審議会で法制化に関する取りまとめを行っているところでございます。

吉田(統)委員 十分しっかりお答えいただきまして。是非これは、本当に適切な審議の上で、安全性が一番最も重要です、そして効果も極めて重要です、是非進めていただきたいと思います。

 それでは、またちょっと大臣に聞きたいんですが、薬価の話をちょっと大臣に知っていただきたいんですよね。

 以前、急性GVHDに対するMSC製剤について、治験結果が思わしくないのに承認された理由を問うたことがあるんですが、テムセルという薬があります。成人では、一回二パックを週二回ぐらい、四週間投与するんですが、症状の程度に応じて、更に一週間一回、四週間投与することができるとなっています。総額は千四百万から二千百万ぐらいになるんです。これを、例えば名古屋大学で作っているんですが、自施設で製造、投与する場合は、製造コストが十六万、細菌、ウイルス検査費用が二十万、合計三十六万でできるそうであります。

 ここに関して、大臣、今の私の話を聞いた上でちょっとコメントをいただけますでしょうか。

後藤国務大臣 新しい薬を作って上市するという際に、イノベーションを推進しつつ、国民皆保険の持続性を維持していく、そういうことから判断することは大切だというふうに思います。

吉田(統)委員 大臣、本当にそのとおりなんです。

 ですから、これもちょっと簡潔なコメントで、そんな難しい話じゃないので答えていただきたいんですが、さっきのようなゾルゲンスマ、キムリア、様々な薬が、より広い範囲の疾患に対して使われる遺伝子治療剤ができてきています。これを実際に今、先ほど役所から答弁があったような仕組みで、保険外の形を含めて対応していかなきゃいけないと思うんです。

 ただ、以前の厚生労働省は、そういう御答弁はいただかなくて、今回初めてそういった前向きな答弁をいただいています。前は厚生労働省は、保険に対する影響は軽微であるから現行のまま保険でのみ込んでいけるというような答弁をされていたんですが、大臣、本当にそれは思われますか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 近年、市場規模が大きな医薬品、あるいは単価で見ると高額な再生医療製品等が上市されている中で、イノベーションを推進しつつ、国民皆保険の持続性を維持することが重要であると考えております。

 こうした観点から、令和四年度薬価制度改革におきましては、今後、年間千五百億円の市場規模を超えると見込まれる品目が薬事承認された場合には、通常の薬価算定の手続に先立ちまして、当該品目の承認内容や試験成績などに留意しつつ、直ちに具体的な薬価算定方法の議論を行うことを新たに中医協において決定したところでございます。

吉田(統)委員 大臣、やっとそういう動きをし始めていただいているんです。少しやはり遅いですよ、これは。もっと早く備えるべきであって、今やっとこういう答弁が出るようになったんです。以前はこんな答弁は全くない状況だったんです。ですから、ここは、それを知っていただきたかったんです、大臣に。今後、リーダーシップを取っていただいて、しっかりとやっていただきたいと思います。

 それでは、ちょっと金パラの話をさせていただきます。

 今回、ウクライナ情勢で、金、パラジウム、原材料費が上がっています。歯科医師や歯科技工士の皆さんは本当に困っています。

 ただ、厚生労働省も当然考えていただいていて、年に一回だったのを年四回変更にしてくださっているし、直近でも、現行の五%超の価格変動で実施する随時改定一と一五%超の価額変動で実施する二を整理して、三か月で毎回改定することになっていますね。素材価格の参照期間も、改定実施の三か月より前だったのを二か月前にして、より直近の金額が反映される。本当に、もちろん、よく現行の制度内ではやってくださっていると思います。

 本当に、パラジウムは、今、四割がロシアなんですかね、世界の産出量の。そんなようなデータもあったんですが。かなり金の価格も高騰してしまっているんです。今回の改正だけで対応できると大臣はお考えになられているかどうかを、まずお聞かせください。

後藤国務大臣 令和四年度の診療報酬改定におきましては、歯科用の貴金属の随時改定、これは年に四回の随時改定ということで対応するということにしました。

 しかし、パラジウムの価格の急騰を踏まえて、本日の中医協に対しまして、令和四年一月から令和四年三月までの素材価格の対象期間の価格によって緊急改定を五月に行う、そういう事務局案を今、御承認をいただくように、ちょうど本日諮るということで対応をするということで今準備しております。

吉田(統)委員 大臣、それで結構です。

 では、役所に聞きますが、本件、今大臣がおっしゃった件は、いつ決まったんですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 そういう意味では、まだ正式決定をしておりませんで、今日、まさに今、中医協で御議論いただいているということでございます。(吉田(統)委員「違う違う、それを提案されることがいつ決まったのかということ」と呼ぶ)事務局から今日提案をさせていただきました。

吉田(統)委員 では、今日決まったんですか。それを聞きたいんです、大事なことなので。いつ、その提出すること自体が、今日決まったわけないですよね、いつ決まったんですか。正確に答えてください。

    〔今枝委員長代理退席、委員長着席〕

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 係数自体は、一月から三月までの素材の平均価格ということですので、もっと前でございますけれども、事務局といたしまして提案をさせていただいたのは、まさに本日ということでございます。

吉田(統)委員 本日で間に合うものなんですね。

 実際、前回、私が厚生労働省からレクを受けたときに、大臣、少し不誠実だなと思ったことがあったんです。今日、今そういった御答弁を、そのとき本来はいただいているべきだなと思ったんですね。

 なぜかというと、だって、四月の五日に産経新聞が報道しているんですが、岸田総理は、三月三十一日に日本歯科医師連盟の高橋会長と官邸で会って、歯科治療で使う金銀パラジウム合金の価格高騰対策を要望されて、関係部署にすぐ伝達して対応すると応えていらっしゃるんです。

 私、この後に、何度も、何かやるんですかと聞いたんですよ、役所の方にね。そうしたら、いや、やりませんと。これは本当ですよ。ちょっとぐらい前向きな答えを下さいよって私は再三言ったんです、再三。でも、いや、それは難しいです。大臣にこれは勇気づけるためにちゃんと言ってくださいよと何回も言ったんですよ。それが、役所の方、いや、できません、できませんで。

 総理の指示が出ているのに、役所が、だから、伝達されていなかったということになっちゃうんですよね、それだと。すぐ伝達すると総理、力強くおっしゃっているじゃないですか。すぐというのは、総理のすぐというのは本当に一刻も早くという意味だと私は思うんです。岸田総理はそんな思いで言ってくださったと思う。

 しかし、実際現場で我々にレクをする立場の方々が、いや、何もしませんよと、先ほど随時改定をやるということ以外は、ちょっと何も答えられないんですと繰り返し繰り返しされていたんですよ。いや、でも、何かやるでしょう、幾ら何でもとしつこく聞いても、何も答えがなかった。やっと今日になってこういう御答弁いただきましたが。

 これが本当だとすると、少し不誠実な御対応だったんじゃないかと私は心配するんですが、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 検討をしている段階で、結論が出ていないわけですから、なかなか事務方がその内容についてコメントをするということはまず難しいということだと思います。

 そして、今回のことについて言えば、総理の御指示もありましたし、その旨についてはオープン情報にその段階でなっていたと思います。

 もちろん、どういう御説明をさせていただくか、信頼に足る対応を役所もすべきだというふうに一般論としては思いますけれども。

 いずれにしても、検討しているといったときに、なかなかそれだけでも会話は済まないようにも思うので、その辺のところは、検討中のことについて、なかなかそこは、コメントがないというのは、やはり、今回検討をして、そして初めて中医協に諮ることを発表して、そして何をかけるのかということを決める直前にやはりこういうことを決めて、お諮りをして、手続を取っていくということについては、御理解をいただきたいと思います。

吉田(統)委員 今の大臣の話なら理解するんですよ。検討しないとはっきり断言したんですよ。検討しないは、大臣、おかしいでしょう。私が、検討しますよねと言ったんですよ。検討するなら、するだけでもおっしゃってくださいと。それが大事じゃないですか。検討するかしないかというのは非常に大きいので。いいですよ、大臣。ちゃんとやっていただければ結構なんです。ただ、非常に、総理の御発言があるのに何もしないと繰り返していたのは不誠実だし、現場の歯科医師の方や技工士の方が大変不安に思われていたと思うんです。ですから、今日、中医協で、大臣からしっかりと御説明があったように、対応すると。

 大臣、多分、中医協ですから、診療報酬的な議論の積み重ねになりますよね、大臣。今日、御提案していただいたら。これは、大臣に御提案していただいたことは感謝を申し上げます。しかし、診療報酬上の対応だと限界があるのが見えてきているのが今なんじゃないですか、大臣。

 そうすると、もう時間がないので最後にお伺いしますが、現行の回数を頻回にしたり、様々な工夫を凝らすことだけで対応することがそもそも無理な段階になっているんじゃないかと私は思うんです。

 ですから、大臣に最後お伺いしたいのは、現行の制度を利用してやっていく方法以外に、大臣が何かお考えになったり、リーダーシップを取って、進めている方法がないかどうか。ないならないんでしょうけれども、何か考えていただいているんだったら、また、ちょっと検討しているだけでも結構ですので、教えていただけますか。

後藤国務大臣 素材価格の高騰に対応できるような制度を何か考えているかというお尋ねについては、どういう内容のことを想定して御意見を述べておられるのかもよく分かりませんけれども、いずれにしても、いい知恵があるかどうかということは、関係者の御意見もお伺いした上で、もちろん対応する必要があるということであれば何かを考えていかなきゃいけないというふうに思っております。

吉田(統)委員 もう終わりますが、大臣として対応する必要があるかどうかというのは、お考えは最後にいただけませんか。対応する必要があると大臣がお考えになっているかどうかだけ。簡単で結構です。

橋本委員長 後藤厚生労働大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

後藤国務大臣 今日は、まず、中医協に提案した案を通していただいて、今後のパラジウムの価格だとか、歯科医療の現場を見て考えていきたいと思います。

吉田(統)委員 終わります。感謝申し上げます。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、二度目の質疑のお時間を頂戴いたしましたので、今回の法改正の中で処方箋のデジタル化、電子化ということが話題に上っておりますので、私の方から是非進めていただきたい母子手帳のデジタル化について、今日は議論をさせていただこうと思います。

 この間、政府にあってはデジタル庁も新たに発足する運びとなりましたし、内閣府で審議されたときにも、私は平井当時の担当大臣に母子手帳のデジタル化についてお尋ねをいたしましたし、また今年の予算委員会でも、仁木委員が二月一日の予算委員会で母子手帳のデジタル化のことを取り上げておられます。仁木先生は産婦人科の医師でありますし、私は小児科で、この母子手帳というのと大変関わりが深い分野におりました。

 後藤大臣は御存じかどうか分かりませんが、昭和二十三年に、お母さん側の妊産婦情報と赤ちゃんの側の情報をドッキング、合体してできたのが母子手帳で、世界で初めての、そして日本の誇るべき財産でもあります。

 まず冒頭、予告外の質問ですが、大臣は、御自分の母子手帳、お持ちでしょうか。

後藤国務大臣 私の母子手帳ですね。それは、まだ両親が健在ですので、両親が大切に持っております。

阿部(知)委員 そうですね。いい御答弁ですね。大事に持っているんですよね。よく日本だと、へその緒と母子手帳は大事にみんな持っています。

 赤ちゃんを産んで、必死に育てて、本当に宝石のような、とても貴重な時間の記録が母子手帳であり、お母さんたちも一生懸命書き込みますし、同時に赤ちゃんの成長の記録もそこに記されている。

 是非、後藤先生、きっと御覧になった上でおっしゃっていると思いますが、お母様の思いもそこから酌み取っていただきまして、そして、子供に渡す親御さんもありますし、また、後藤先生御自身のお子さんの母子手帳もあろうことかと思います。

 実は、母子手帳と申しますものについて今日主に取り上げたいのはデジタル化ということですが、もう一つ、国際化。世界で母子手帳が使われるようになってございます。現在、五十か国以上がこの日本の母子手帳を起源として同様なものを作っておりまして、一九九八年からは、母子手帳の国際学会というものも基本的に二年に一度ほどの間隔で開かれております。

 元々、世界に普及するきっかけも少し御紹介させていただきます。

 私の所属しておりました大学病院の医局で私と同時期、医師をやっておられた中村安秀先生という方が、一九八六年に、スマトラ島、インドネシアのスマトラに赴任されて、乳幼児死亡率の高さとか、あるいは予防接種の記録もぺらぺらな紙ですぐなくなってしまって、果たして打ったか打たないか、どんな健康状態であるか、成長はどうかなどを確認できない。日本では母子手帳は当たり前でしたから、私たちは母子手帳で、いつ予防接種した、あるいは三か月、六か月、一年、成長を追うことができましたが、それができないということで、これを何とか現地で普及させようと思われたのがきっかけであります。後に大阪大学の国際保健の教授にもなっておられますが、そのインドネシアでの取組が、一九九七年にインドネシアが国として取り組むところとなり、先ほど申し上げた、現在では五十か国ほどがこの母子手帳を使っておられるということであります。御紹介をさせていただきました。

 さて、質問に入らせていただきますが、子供は、成長途上というか、今は大変頻回な予防接種、もう二十種以上だと思いますが、接種をいたします。小児科医として一番しっかり見なきゃいけないのは、接種ミスとかですね。間違えて打ってはいけないし、時期をたがえても種類をたがえてもいけない。これはお母さんたちも同じ思いで、シール貼りみたいに母子手帳にたくさんの、ロット番号といって、どのワクチンのものかということを残すためのシールを貼っていきます。

 お手元一枚目の資料を見ていただけますでしょうか。

 こういう状態に対して、実は神奈川県の川崎市で、harmoという、シミックという会社が提案して、約三十二の小児科の医療機関と内科の医療機関でカルテを共有しながら、同時に接種歴も共有するという取組をいたしております。カルテの共有は、正直言うと進んでいる部分は少ないのですが、予防接種歴の共有というのは、この三十二の医療機関は進んでおります。

 どういうふうにしてやっておりますかというと、お母さんたちは、母子手帳のほかにカードを持ってございます、上段に示した。このカードをぴっとやると、医療機関側にも、どんな予防接種をそのお子さんがなさったかが読み取れるようなカードでございます。

 下は、各々、ロットの有効期限というのがありまして、期限切れとかいうのがよくありますが、それがいつ期限が過ぎているかをお母さん側に、保護者側にアラームが発する仕組みになってございます。なぜそれができるかというと、バーコードでロット番号を読み取りまして、これが果たして有効期限にあるかどうかを電子的にチェックできる仕組みが下に書いてございます。

 大臣に特にお伺いしたいのは、私は、デジタル化というと、紙ベースだとなくなっちゃう、災害も大変だし、流れちゃう。ほかに、実は、安全管理に大変に役立つものなわけです。

 これによって、例えばです、この経験は、登録されたデータが一万四千二百三十五件あって、登録人数千一人ございましたが、そのうち、有効期限切れの三十八件の打ち間違いを事前に発見できたと。期限が切れたワクチンが残念ながら病院にもあることがございますので。これは期限切れですが、もっとリアルには、今回のコロナワクチンでも異物が入ったものがございまして、それのロット番号はもう決まってございます。そうすると、ここに入れておけば、逆にプッシュ型に、あなたの打ったこの予防接種は異物の混入したロットでしたということがお知らせをできるわけです。

 電子化というのが、情報を集める側だけじゃなくて、どんな情報を返せるかということが極めて重要で、今のVRSではそういう機能はありません。

 同じように山梨でこのシミックがやってございます中には、ロットを取ってきちんと連絡できる体制もモデルでやってございます。

 私は、好事例なので、それから、安全性の更なる向上につながりますので御紹介させていただきましたが、べらべらしゃべりましたが、大臣のお考えと御所見。なぜこんなことを伺うかというと、これから実際に母子手帳のデジタル化を進めようとなさっているという御答弁でしたから、こういう視点を是非持っていただきたいので、一問目、お願いいたします。

後藤国務大臣 母子健康手帳にも掲載されている妊婦健診、乳幼児健診等の健診情報や、今先生から丁寧に御紹介あった予防接種情報については、こうしたカードの例も十分聞かせていただきましたけれども、既に、例えば、マイナポータルを通じて、今御指摘があったような、本人がスマートフォン等でこうした情報を閲覧できる仕組みを国としてもつくっているところでございます。

 このような実態も踏まえつつ、今年度、母子健康手帳の情報の更なる電子化を含めまして、より使いやすくするように検討を行う予定でございます。

 また、予防接種事務のデジタル化については、デジタル庁と連携し、今回の新型コロナワクチン接種の特例臨時接種にとどまらず、定期接種も含めて、総合的に取扱いをしていくことを検討しておりまして、御指摘のような点も念頭に置きながら検討してまいりたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 みそは、マイナポータルでないものは何かというと、ロット番号等をQRコードで読み込んでいくという作業がないのですね。だから、いつ打ったかは分かるんだけれども、どのロットを打ったかが分かりません。QRコードを読み取るのは、バーコードで読み取るだけですから、今はどこでもできる作業なわけです。これを本当に真剣に検討していただきたい。

 母子手帳にもQRコードをつけて普及を図っているのが、今の世界の現状であります。

 少し御紹介をしたいと思いますが、実は、中村安秀先生と御一緒にいろいろな国での普及活動をいたしましたが、私たちにとって忘れられないのは、やはり、パレスチナでの普及活動であります。

 パレスチナは、御承知のように、イスラエルとパレスチナ間の絶えざる紛争の中で、お母さんたちも、生き別れになったり、あるいは母子手帳も紛失したりします。そのときに、バーコードがついていて、デジタル化されたデータが管理されているということがあると、その子の、何が終わっていて、あと、後藤大臣もおっしゃっていただきましたが、成長曲線も入れてございますので、どんな経過で大きくなったかということが分かります。これを、国連パレスチナ難民救済事業機関、いわゆるUNRWAと申しますが、ここが電子カルテに連動させまして、QRコードの母子手帳と電子カルテを絶えず持っている。なぜこういう知恵ができたかというと、先ほど申しましたように、紛争下で紛失してしまう、子供の大事な情報も管理できないというところから、本当に熱心にここはやってくださいました。

 今、ウクライナでの惨状を見るにつけ、果たして、この母子手帳はアジアの国々で主に、アフリカでも一部やってございますが、普及しているので、ウクライナではどうであろうなと気になるものであります。子供の被害も伝えられております。親子がばらばらなこともあるでしょう。

 是非、私の申し上げた、母子手帳もQRコードで読み取ることができる、ロットもQRコードで読み取ることができる、非常に簡単だけれども合理的で、そしてスマホで見ることができるというものでございます。もし、大臣が御興味があったら、是非、中村前教授ですが、お聞きくださいまして。

 今この時期にやることの重要性は、先ほど申しました、デジタル庁もできて、予防接種が今、コロナのワクチンで、大変大きな国の事業になっています。子供でできたことから大人にも波及いたしますので、こういう安全管理という意味でも、その子のヒストリー、歴史を知るという意味でも重要性を指摘させていただきましたが、いかがでしょう。

後藤国務大臣 先生のおっしゃっていることを大変に参考になると思って聞いておりました。

 一言ちょっと申し上げると、私は、以前インドネシアに出張に行ったときに、二つ感謝されたことがありまして、一つは、私、国交省の政務官だったので、砂防という言葉が、日本語がそのままインドネシアで使われております。もう一つ、その当時はこういう立場じゃありませんでしたけれども、母子手帳。この二つが、日本から学んで、とても国民の中に定着し、日本に対する近しい思いになっているという話を私ちょうど聞いたことがありまして、今、ああ、これだったなと思って聞いておりました。

 いずれにしても、今おっしゃったように、いろいろな予防接種の情報や、妊婦健診、乳幼児健診等いろいろな健診情報も含めて、そして将来的には、医療機関が、医療の関係からも含めて、電子カルテ等も含めて、オンライン資格確認システムを通じて、様々な情報が、個人の情報をしっかりと守りながら使えるように、そういうデジタルの利用が進んでいくことを展望しながら、まずは足下、新型コロナ禍という意味じゃなくて、平時においてこうしたワクチンの接種の情報等、まずはデジタル庁との間でも進めてまいりますので、そういうことをしっかりと取り組んでいく必要があるというふうに思っております。

阿部(知)委員 ありがとうございます。

 重ねて、二〇一五年の国際会議のときに、デジタル化の一方、紙媒体の重要性についても私どもは確認をしております。これを二刀流というのですが、デジタル化してできることと、でも、母子手帳には、お母さんが丹念に書き込まれた、本当、生の記録もございます。それを後々子供が見たときに、自分がどのように育てられ、どのように守られたかが伝わるものであります。デジタル化は、当然、利便性や先ほど申しました安全性の向上もありますが、もう一方のソフトな部分も大切にしながら、是非、この日本のまたとない宝を世界にお披露目をいただきたいと思います。

 前半は、デジタル化、特に母子手帳についてお尋ねをいたしました。

 さて、後半は、先般、さきの質疑のときにも問題にさせていただきました、特例承認あるいは今回の緊急承認などで第三相を欠く薬剤やワクチンが出てまいりましたときの安全管理ということについて、今日も御質疑をさせていただきます。

 せんだっての宮本委員と後藤大臣の議事録を拝読いたしまして、少し気になった部分があるので、まず冒頭、これも予告外で恐縮ですが、お答えをいただければと思います。

 宮本委員の御質疑に答えて、大臣は、緊急承認であっても通常の薬事承認と同等の安全性の確保があるのだと。当然なのですが、ところが、例えば今問題になっているコロナワクチンもそうですが、特例承認においてすら、本当に通常の薬事承認と同等の安全性の確保があるかどうか、どうあれば担保できるか。今までは、何度も申しますが、第三相を済んで承認をしてございました。特例承認はこのフェーズを外国で、今度、緊急承認は走りながらチェックするということでありますが、大臣にあっては、特例承認や緊急承認にあって同等の安全性を担保するものは何であるのか、担保されるであろうか、お答えいただけますか。

後藤国務大臣 緊急承認制度は、緊急であっても承認制度でありまして、そういう意味では、安全性を確認することは、これは法律上の求めというだけではなくて、我々がワクチンの行政あるいは医薬の行政を、薬事の行政をしていくときに基本であるというふうに思っています。

 緊急承認の制度の場合、三相試験については、そこを推定ということで対応するということではありますけれども、しかし、それは後に三相試験もきっちりとすぐにチェックをするということでございますし、安全性については、これは万全の確認をしていく必要があると思います。

阿部(知)委員 ワクチンは特に健康な方に打つ場合が多いので、安全性はもうマストなわけです。もちろん、今回の緊急承認、有効性については、効果については、これは確定ではないけれどもある程度推定されるというところで始まるわけですが。

 そして、既に先に走っております特例承認においては、大臣は、今年二月二十五日の厚生労働委員会の所信表明の折に、この度の薬機法改正案を念頭に置かれながら、医薬品等行政評価・監視委員会の御意見等も尊重し、医薬品等の安全性の確保や薬害の再発防止に取り組んでまいりますと所信を述べておられます。この言葉にはとても意味があると私は思いますし、果たしてそれがどこまで進んでおりますか。

 実はこれは、令和二年の改正薬機法のときにできました、医薬品等行政評価・監視委員会がつくられて、肝炎の経験からずっと来ておりますが、現状、二年ほど、まだ丸二年にはなりませんが、たってございます。さきに、二〇二一年の十二月二十一日に開かれた医薬品等行政評価・監視委員会においては、果たしてどんな指摘がなされましたでしょうか。これは、大臣、お願いしていいですか。

後藤国務大臣 昨年十二月の医薬品等行政評価・監視委員会で、新型コロナワクチンの安全性を評価するため、死亡や有害事象の発生についてワクチン接種者群と非接種者群との比較を可能とする基盤の構築について御提案をいただいております。

 厚生労働省としても、従来から、予防接種の有効性、安全性を評価するためのデータベースの構築が必要と認識しているところでございます。

 このため、予防接種の有効性、安全性に関する調査をより的確に行う観点から、予防接種の実施状況、副反応等に係る匿名データベースを整備いたしまして、レセプト情報・特定健診等情報データベース、NDBとの連結解析を可能とすることに向けて具体的な検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 今、二点にわたって御答弁いただきましたが、そもそもは、いわゆる日本版VSDと言われる、いわゆるカルテ等々との連携も含めて展望した上で、まずやれることとして接種群と非接種群の比較。私がこの前お示ししたイスラエルなどは、非常に大規模に接種群、非接種群でやってございます。また、同様に、自治体が持つレセプト等々の医療情報との、まあ自治体にも何らかの情報開示の前提が必要となりますが、これもやっていこうと。そして、予防接種によって、超過死亡といっておりますが、不測の事態が起きたときにはすぐデータが取れるようにということでございます。

 今大臣御答弁いただきましたが、私は、これはまだ指摘された段階で、検討段階というか、どうやっていこうかというところかと思います。その意味においては、これらの特例承認あるいは緊急承認における安全性というものは、今までと異なる、プラスしないと獲得できない、保証できないものと考えるべきと思いますが、今大臣がおっしゃったような点をきちんと制度化していく、その上で初めてということかと思いますが、いかがでしょう。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナワクチンの安全性につきましては、議員御指摘の医薬品等行政評価・監視委員会におきまして、これまで計五回にわたって御議論をいただいております。この議論を踏まえまして、先ほど御意見ございました新型コロナワクチンの安全性評価に関する意見が委員会で取り上げられまして、厚生労働大臣に提出されております。

 この意見書におきましては、米国のワクチンの安全性に関するデータベース、いわゆるVSDに代表されるような、死亡や有害事象の発生についてワクチン接種群と非接種群との比較を可能とする基盤を日本においても構築することが提案されております。

 こちらにつきましては、次回の委員会で、この提案に関する施策の実施状況について報告を受け、それを踏まえて議論を行うことを予定しております。

阿部(知)委員 これの意味するところは、これまで、例えば医薬品メーカーなどに課されていた安全についての対策以上に、国としてデータベースを持って安全を確認しなさいなという要請だと私は認識しております。大臣、ここはいかがでしょう。

後藤国務大臣 今委員から本当に、御指摘のあるように、安全性の確認ということはないがしろにできないことでありまして、今、新型コロナで、我々、わらにもすがるような思いで、ちょっとでも感染を抑え、また命を守るということで考えております。もちろん、それは我々にとって必要なことでございますけれども、安全性をしっかりと確保した上で、こうした専門家の安全性確認の議論をよく踏まえて進めていきたいと思います。

阿部(知)委員 是非そのようにお願いしたいと思います。

 同時に、次に、救済制度について、これを取り上げさせていただきます。

 これも先般の宮本委員と大臣との御質疑の中で、予防接種の健康被害救済制度において、新型コロナワクチンの健康被害救済の請求受理件数千百九十八、認定件数六百五十、否認件数三十六、現在保留が死亡も含めて七例、死亡はうち五例、これは宮本委員にも御答弁でありました。

 さて、大変遅いということもございますし、今後、可及的速やかに認定していただきたいですが、今日、大臣に是非取り組んでいただきたいのは、お手元の資料二枚目並びに三枚目を御覧いただけますでしょうか。これは、予防接種健康被害救済制度の絵がございます、三枚目の上。しかしここの絵には描かれておらないもう一つのルートがあるということを国民に私はきちんと伝えるべきだと思って、今日取り上げさせていただきます。

 被害を受けた方から市町村に申請があって、それが厚生労働省になって、審査分科会で判定がなされる。しかし、その判定が不服であった場合に、この方は三か月以内に不服申請ということをできますが、ここにおいては、下の図のところで、不承認、不服審査請求というものをこれは県に対して行うことができます。

 そして、二枚目の資料を御覧いただきますと、この制度はずっとあるんですけれども、実は、二〇〇六年からは、今までは県はまた更に厚労省に上げなきゃいけなかったんですが、県が独自に判断して、これは被害認定した方がよいというものは被害認定に結びついております。

 線の上段が二〇〇六年以降の認定件数、下段がそれ以下であります。

 明らかに、再審査して、いわゆる不支給の取消し、支給しないという決定が取り消されたものが増えております。再審のいわゆる不支給決定の取消し率は、二〇〇六年前が一四%くらい、それ以降は六十数%と、明らかに増加しております。

 このことについて、国民に、こういう仕組みがあるんだ、あなたのは被害じゃないと言われてももう一度再チャレできるんだということをきちんと私は通知すべきだと思うんです。

 これから、コロナのワクチンについても、因果関係なしなし、あるいは救済なしというのが続いた場合に、国民がそこで諦めないで、不当じゃないか、やはり関係あるんじゃないかとしたときに、県の判断というものが、県の行政処分判断が重要になってくるという意味で、是非この絵の中にもう一つのルートを描き入れていただきたい。

 下の絵は私の事務所で作りました。だって、何の国民へのアナウンスもないんですもの。大臣、いかがでしょう。

後藤国務大臣 今先生の御指摘があったのは、被害者救済制度ができたときからずっと、審査請求が起きたときにはあらかじめ厚生大臣に見解を求めることとされていたわけです。先生今御指摘があったように、平成十八年、二〇〇六年の段階で、原処分の根拠となった厚生大臣の認定について、審査請求を受けたときにあらかじめ厚生大臣に見解を求めることとしていたこと、これをやらなくていい、そして、審査請求に対する都道府県知事の決裁が行政庁の最終判断になることを、厚生労働省への問合せなしに、徹底をしたということでございます。

 それについて少し具体的な事実まで含めて申し上げれば、二〇〇六年前後で実施主体に変わりはないわけでありますけれども、今言ったような、平成十八年に通知が出ているという、当該通知が廃止されているということは事実でございます。

 それで、不服審査は実施主体が都道府県でありますことから、厚生労働省としては、不服申立てされた請求件数や、それに占める不支給の処分の取消しの割合、いわゆる分母を、全体としての不服申立ての数等の把握等まではしておりませんで、いわゆる認定率については把握しておりません。

 先生は、こうした資料を作られるに当たって、きっと相当にお時間をかけられて情報を収集されたんだろうというふうに思いますけれども、今は一応、認定率というものを把握している状況ではございません。

 ですから、取消しした数は分かりますけれども、今の事態について正確に把握しているわけではないということでございます。

 一方で、不服申立て制度による不支給処分の取消し件数については把握しておりまして、年間変動もあることから、期限を区切って単純に比較していくことも難しいだろうということでございます。

 いろいろ、客観的数字、率の変更等については我々少しいろいろな保留を申し上げたんですけれども、いずれにしても、適切な健康被害救済制度の運用を行う中で、迅速な救済に努める必要があるということについてはよく理解をいたしますし、先生の御指摘等も踏まえて考えるということでございますが、ちょっと、その前後の数字の評価だとか、そうしたことについてはなかなか申し上げにくいということを一言申し添えさせていただきたいと思います。

阿部(知)委員 もちろん、審査請求の母数が違ってくれば率も違ってまいります。私がお願いしたいのは、こういう制度があるんだということを周知していただきたい。

 例えばここに御参加の委員の方でも、私たちがいただく説明にはないんですね。私がこのデータを、厚労省からの説明には審査請求の話は出ておりません、元々ある制度なんですけれども。たまたま、予防接種被害の被害団体の方が熱心にこれに取り組まれて、その結果をまとめさせていただいたという、それは大臣の御指摘のとおりです。私は、でも、やはり、予防接種行政というのは本当に、受けた人の思いをどこまで酌めるかということが成功するか失敗するかを決めていきますので、是非、厚生労働省からの発出の資料にも載せていただきたい。

 最後に一問お願いいたしますが、私はこのデータを見たときに、既に一九七〇年代は多くの予防接種禍の裁判がございました。そこで打ち立てられた白木四原則というのがございまして、この白木さんとおっしゃるのは、私の学生時代の医学部の医学部長でありました。スモンとか水俣とか、様々な薬害や予防接種被害について自らも法廷に立って、患者さんサイドに立って御発言もあった方です。

 四原則、書いてございますのは、ワクチン接種と接種後の事故の起きたことが時間的、空間的に密接だ、すぐだということ、それから、疾病について、他の原因が考えられない、接種後の事故と後遺症が原則として重いものであること、そして、発生のメカニズムがいろいろな観点から妥当性があるだろうと。大ぐくりなものですが、しかし、私は、これは極めて、経験から来る一つの到達した知見だと思います。

 下につけてございますのは、今回のコミナティの死亡事案を、接種後どのくらいで亡くなられているかを集計したものでございます。当日、翌日、二日後、三日後くらいが大変多いわけでございます。

 もちろん、だからといって因果関係がすぐあるぞと言いたいわけではありません。しかし、こうした事態を見たときに、疑わしいものは広く救済していくという基本姿勢が、私は国には必要で、この前、宮本委員が韓国の事案との比較をおっしゃっていましたが、是非、日本のこの救済姿勢。各知事が頑張って救済してくださったこと、新潟の泉田知事もそうでしたが、私はすばらしいと思っています。是非、国にあってもそういう姿勢を持っていただきたいが、いかがでしょう。最後にお願いします。

後藤国務大臣 予防接種法に基づく健康被害救済制度は、接種に係る過失の有無にかかわらず、予防接種と健康被害との因果関係が認定された方を迅速に救済するものでございます。

 その認定については、審査会においても、個々の事例ごとに、症状の発生が医学的な合理性を有すること、時間的密接性があること、他の原因によるものと考える合理性がないこと等について医学的見地から検討が行われまして、その上で、請求された疾病等と予防接種の因果関係については、厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種により起こることが否定できない場合も対象とするとの方針に基づいて審査が行われております。

 このように、因果関係の判定において、白木四原則にのっとって審査を行っているというわけではないものの、これまで同様に、厳密な因果関係までは必要としないという考えの下で審査を進め、迅速な救済に努めてまいりたいというふうに思います。

阿部(知)委員 白木四原則にのっとったわけではないと言いたいところがなぜなのかなと思いますが、でも、前向きな御答弁と受け止めて、終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

橋本委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 また、厚労大臣始め、政務官、また今回もありがとうございます。また、脇田所長にもありがとうございます。

 三十分しかないので、前半はコロナ関係で、後半は法案にいきたいので、是非、端的に御答弁をお願いします。

 まず、後藤大臣、通告は全てしておりますが、アストラゼネカ製のワクチン一億二千万回分の、契約解除四千万回分、その経緯は昨日レクで聞いていますので、契約解除した部分の契約額、それから、違約金が発生したのであればその金額、途上国に四千三百万回分供与というのは聞いていますので、その分の金額というのもお答えいただけるのであれば答弁いただきたいですし、駄目であれば、その理由だけ述べていただければと思います。

後藤国務大臣 今先生から御指摘あったように、一億二千万回分のアストラゼネカの新型コロナワクチンを購入したものの、国として供給を受ける必要がない分についてはキャンセルし、供給を受けないことが可能となっているため、四千万回分は既にキャンセルをいたしております。

 キャンセルに伴い、同社に対して違約金を支払う必要はなく、既に支払い済みの金額から、四千万回分のために同社に生じた必要経費を除いた金額が返還されるということになっております。

 購入時の契約額や、海外供与に活用した四千三百万回分の購入費用に関しては、同社との間で秘密保持契約を締結していることからお答えすることは困難だということで、御理解をいただきたいと思います。

柚木委員 ちょっとここにかけている時間が今日ないので。

 例えば、海外でいえば、それこそEUで、アストラゼネカ製三百八十億円、これは公開されています。また、日本に対しても、例えばモルヌピラビルですけれども、メルク社、約百六十万人分、千三百億、これも公表されています。

 ですから、二つお願いしたい。これは、委員長、委員会に報告をいただきたいんですけれども、なぜ、そうやって海外で公開されているのに、日本だけ秘密契約で公開できないのか、その理由、それを報告いただきたいのと、本当に秘密契約ということであれば、金額のところはもう黒塗りで結構ですから、その契約書の部分で、秘密契約だということが分かる部分だけオープンにして、あとのところはもう数字は黒で結構ですから、それを委員会に報告してください。

 以上二点、委員長、お取り計らいをお願いします。

橋本委員長 ただいまの件につきましては、理事会で後刻、協議をいたします。

柚木委員 それでは、四回目接種について伺います。

 これは、脇田所長にも事前通告しておりますので、必要に応じて厚労大臣にもちょっと御見解を求めますが、資料の三ページ目におつけしておりますが、私がまさに、四回目接種について、やるのであれば早くしないと自治体、現場の対応が間に合わないので、尾身先生の方にそういう御提案もして、しかも、前倒しで、連休明けからもう準備に入っていくというような通知が出ているという状況です。

 この三ページ目に各国の状況も出ておりますが、私も、まさにこれまでどおりというようなことではなくて、例えばイギリス、ドイツなどで、対象者を高齢者あるいは介護施設の入居者、職員、しかも、医療従事者と同等若しくはそれよりも優先接種をしている国もあるんですね、やはり濃厚接触、入浴介助等ありますから。

 そういった、重症化関連リスクの高い人に重点化して接種を検討していく、こういう可能性はあるかどうか。これは、現場に向けてそろそろもうメッセージも発信していかなければいけませんので、是非、所長の見解を教えてください。

脇田政府参考人 ただいま御質問の四回目接種については、先日の予防接種・ワクチン分科会においても議論をいたしました。その時点で、科学的な知見を基にしまして議論しまして、四回目の接種実施については結論がまだ得られているわけではございません。ただ、四回目接種の実施に向けて自治体が準備を開始することについては適当であるという議論がまとまりました。

 ただ、その議論の中では、やはり、新型コロナワクチンの三回目までの意味ですね。これは一回目、二回目で基本的な免疫をつけ、そして更に三回目で良質な免疫をつけるという意味で、三回目接種までは広く進めていくということが必要ですけれども、四回目につきましては有効性、安全性の議論をしっかりと行って、その上で対象者、ただいま議論に上がっているのは、よりハイリスクの方であるとか、医療・介護従事者の方が対象になるのではないかといった意見が出ているところであります。

 したがいまして、そういった四回目接種を行うかどうか、それから行う場合については、対象者、それから適切な接種間隔、そういったものについては最新の科学的な知見を踏まえまして引き続き議論を進めていくということであります。

 以上です。

柚木委員 ありがとうございます。是非、重点化、実効性が高い形での御検討をお願いします。

 ちょっとこれは通告してないけれども、多分、所長だとお答えいただけると思うんで、その先のイメージを皆さんとも共有いただきたいんです。

 つまり、前倒しで、実は、私が想定していたよりも早く、自治体の方にも政府の通知を出して、四回目の対応を今準備していて、これは参議院選挙も多分念頭にあると思うんですね。別に私、それを悪いとは言いません。

 ただ、そうすると、本来効果がもつだろうなと思っているよりも若干早めにするということになり得ますので、そうすると、これからまさに再流行、毎年これは冬ですよね。今回も第六波で多くの方が、ワクチンのまさに高齢者の接種が、私たちは年末に提案していましたけれども、本格化したのは二月、その間に本当に多くの方が亡くなりました。

 ということは、四回目接種がある意味ちょっと前倒しで重点化された上でスタートするにしても、もう既にこの冬をイメージしておかないと、つまり、第五回目接種というものも前提として、四回目の接種のスケジューリング、議論を進めないと、まさに実効性に欠けると思うんです。その辺の五回目の接種も含めた見通しについて、答えられる範囲でお願いします。

脇田政府参考人 ただいまの御質問は、四回目以降、更に五回目、あるいは六回目ということかもしれませんが、この新型コロナワクチンの流行に対する対策の位置づけというものをどのように考えるかということでありますが、そこにつきましては、まだ予防接種・ワクチン分科会で議論をしているわけではございません。

 ただ一方で、アドバイザリーボードにおきましては、既に、そういった予防接種の効果が年齢別にどの程度持続するのか、そして、その時期においてはどのような方が感受性を持って被害が大きくなる可能性があるのか、そういった点も含めて議論をしていますので、引き続き議論を進めてまいりたいと考えています。

柚木委員 まさに最後の、この点についての質問につながる今の御答弁だと思うんですが、脇田所長はワクチン分科会の会長でもあるんですが、コロナ対策におけるワクチンの位置づけを大きな視点で考える必要があると述べていらっしゃいますよね。

 この大きな視点というのは私の中では今の御答弁も含まれると思うんですが、これは、要は、賛成論じゃなしに反対論もあるわけですね、はっきり言って。そういうことも踏まえての取りまとめの多分御所見を述べられたんだと思いますが。そうすると、大きな視点で考える必要の中に含まれるかどうかという視点で私は伺って、説明してほしいんですが、確かに私は、四回目やるなら早く、しかも重点化してと申し上げました。ただ、そうじゃない方にまでどんどん打つ、四回目を。そうでなくても三回目も遅れていますけれども。

 そういうようなことが、ある意味、ちょうど参議院選挙と重なるわけですね、時期的には、その前に。とにかく四回目をどんどん打ってくれと。今、三回目を若者の方に打ってもらうことは重要で、この後聞きますけれども、四回目をどんどん前倒しで、しかも、私が申し上げているような高齢者、有病者、職員、そういうところに重点化するんじゃなしに、どんどん皆さんに打ってもらうという、何かやっている感みたいな形で四回目をやるということになると、副反応のことも含めて、これはちょっと問題が出てくると思うんです。下手すれば選挙目当てにもなりかねませんから。この大きな視点というのはそういうことも含めてどういう意味合いなのか、御説明ください。

脇田政府参考人 お答え申し上げます。

 四回目接種につきましては、先ほど申し上げたとおり、前回の予防接種・ワクチン分科会で議論をしたところであります。

 ワクチン分科会におきましては、従前より、自治体の委員の先生もいらっしゃいますので、やはり接種を始めるには準備が早く必要だという議論もございまして、そのために、今回、四回目接種の準備を早くすべき、これが行われるとしたら早くすべきという議論がございまして、その点は、委員が皆、納得をしたというところでございます。

 その上で、それは適当だということになったわけですけれども、やはり様々な意見がありました。ワクチンの位置づけについてもしっかりと議論をするべきだということで、それで、先ほど、三回目までの接種の位置づけというお話を申し上げました。さらに、四回目以降、どのような目的あるいは位置づけでワクチン接種を行っていくのかということは、コロナ対策においての位置づけということは重要になってくるというふうに考えます。

 一方で、新型コロナワクチン、これは導入当初は、重症化予防効果、あるいは発症予防効果というものに重点が置かれていたわけです。ただ、メッセンジャーRNAワクチンの感染予防効果というものが期待以上に高かったということが次第に明らかになったというわけであります。そのため、最近は、感染予防効果が不十分であればワクチン接種の意義が乏しいのではないか、そういった意見も聞くところであります。

 ただ、四回目接種を検討するに当たっては、今、三回目までで広く基本的な免疫をつけるということで、改めてワクチン接種の四回目のそもそもの意義あるいは目的というものを考える必要がある、そういった意見が、これは委員の中からもあったという趣旨でこの審議会においても発言をしたということであります。

柚木委員 理解いたしました。ありがとうございます。

 それで、若者接種が今まさに課題で、これから連休に入っていく。もっと言うと、私の子供たちも、新学期が始まって、喜んで登校しているわけですが、十代以下の感染が三分の一ぐらいを占める状況にもなってきている中で、ちょっと五歳から十一歳接種は私も意見がありますので、そこはそことして、若者接種ですね。これを進めていく上で、イベントワクワク割ですね、この間議論もされていますが、私も昨日、担当省庁、部局からお話を聞いています。そこに聞いてもちょっとあれかなと思ったので、是非、脇田所長に専門家としての見解を伺いたいんです。

 この仕組みとして、受けた人が、二割相当分、いろいろなイベントに行くのに、ライブだ映画だスポーツイベントだ美術館だという、安くなるのはいいと思います。ただ、これは、いろいろな若者たち、いいんじゃないかという意見と、こんなのしょぼいとか、いろいろな意見もある中で、実効性を上げていくことと安心感を高めていくことの両立が必要だと思うんですね。

 なぜならば、ワクワク割になる方というのは、ワクチン接種者又は検査陰性者を支援対象とするということで、ワクチン接種の要件、あるいは、未接種者と接種している人との混在とかいうのが非常に曖昧なんですよね、現段階で。これは当然今後詰められていくものと思われますが、私は、どうせ、若者の方にとにかく接種をしていただきたいということでやるのであれば、中途半端はよくないと思うんです。

 是非、専門家としての御所見を伺いたいのは、例えば、ワクチン接種の要件も、三回目というのは、別にしていなくても、意向さえ確認していれば、打っていなくてもオーケーなんですよね、今の議論は。そうではなくて、ちゃんと打ってもらって、なおかつ、接種者と未接種者が混在する可能性、現在はそれで認められているわけですが、これについても、例えば、余り露骨だとあれですが、一応ゾーンが分かれるような形にするとか、そういうことによって安心感も高め、同時に、例えば、二割と言わずに、もうちょっと、三割とか五割相当とか、メニューももっと増やすとか、インセンティブを高めることによって若者たちにしっかり接種をしていただく。

 このままいくと、資料にもおつけしておりますが、ほぼほぼ諦めモードに自治体も入っています。四ページ目、現役接種率三割以下が六六%の自治体、終了見通し立たずが四割を超えています。若者の底上げに自治体が腐心をしておりますが、札幌、福島、前橋、東京などのイベント、上野動物園にも行けるとか、いろいろ出ています。出ていますが、これだけでは十分ではないと同時に、やはり曖昧なままだと行きたくても行けないという人、両方出てしまいますから。

 これは、専門家の御所見として、もう少し厳しくした上でインセンティブを高めた方が若者の接種率は進むんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

脇田政府参考人 お答え申し上げます。

 ワクチンの接種をいかにして進めるかということに関しては、こちらもアドバイザリーボード、あるいは専門家の中では議論をしているというところになります。

 以前、ワクチン・検査パッケージということで感染のリスクを低減するという試みをしていたわけですけれども、現状のオミクロン株、そしてワクチンの効果を鑑みると、なかなか、ワクチン・検査パッケージによって感染を防御しますというか、それが難しい状況になってきている。ただ、ワクチンの接種によって、個人のリスクですね、リスクの低減策としてはこれは有効なのではないかといった議論があります。

 ただ、それを実際に若者の接種を進めるためのインセンティブとして用いるかどうかということに関しては、どのような方法が適切なのかということは現在議論をしておりますところであります。

 今現在、接種券が届いている方については八割程度の接種が進んでいるということですので、今後、若者の接種をいかに進めていくかということがやはり課題であろうということはアドバイザリーボードで先週も議論されたところですので、専門家としても、どのような方法が適切かということに関しては検討をしてまいりたいと考えております。

柚木委員 是非検討いただいて、これは岸田総理にも是非お伝えいただきたいんですね。何か、本来は七日の夕方に会見で、これをやるんだと発表されるというようなことも聞いていましたが、どうも何か、ワクワク割というネーミングも含めて不評だということでやめておこうと。そういうところで聞く耳を発揮されているんですが。

 これはやはり、トップの総理が、今のよりもうちょっと厳しくして、インセンティブも上げて、やるならやる。そうしないと、高齢者の接種、重点化、今後四回目ワクチン接種も進みませんから、実効性が上がりません。是非総理にしっかりお伝えいただいて、私、金曜日にちょっとだけ質問する時間がありますので、これは確認させていただきたいと思いますので、是非お伝えをいただきたいのをお願いをいたします。

 それでは次に、今日、国交政務官に来ていただいておりまして、県民割の拡大、前回もお聞きしたわけですが、これは来月末まで。今どんどんどんどん感染拡大が進んで、何か地方の方が、政務官の地元もそうですよね、過去最多と。七県において過去最多ですよね。大都市圏がどちらかというと横ばい。

 しかし、このまま来月まで延長してしまうということになるのか。そうでなくて、報道がそういうふうに出ているんですが、私も昨日、ヒアリングを聞いた上で、結局、感染状況等を踏まえつつ、しかもこれは補助要件がありますから、レベル3相当以上と知事が判断したら駄目よとか、緊急事態宣言、蔓防だと駄目よとか、あるいは知事の御意向もありますね。知事もされていらっしゃったからよく分かると思います。そういったものも含めて、総合的にそれらがクリアされる場合には、やはり来月末までの延長を想定して今準備をされているという理解でよろしいでしょうか。

泉田大臣政務官 ただいま委員から御指摘ありましたとおり、過去の感染拡大期に比べて、今回はすとんと減るという状況になっていないわけでございます。一方で、感染拡大防止とそれから経済の両立、これを図っていかなければいけないということでございますので、感染状況をしっかり配慮した上で観光需要喚起に向けた取組ということは重要というふうに認識をいたしております。

 今後の支援期間の取扱いについてでありますが、地域の取組、これを後押しできるよう、そして観光に関連する地域の方々の声、これもしっかりお伺いをしつつ、大臣からも発言をしておりますけれども、期間延長ができるよう調整を進めておりますが、あわせて、感染状況や需要の回復状況等を含め検討を進めてまいりたいと思います。

柚木委員 よく理解できました。

 脇田所長、一点だけ、今の見解で。私素人なので、はっきり言って、こうやって各自治体が感染対策を徹底しながら実績を上げて感染防止と両立できれば、これはやはり、これから連休に入って、夏休みに入っての中でGoToトラベルの早期再開ということをしないと効果も限定的で、今のブロック割とかを含めて、東京の人が何か箱根の方とかは対象になっていないとか、いろいろな効果が限定されていることもありますから、やはり、自治体が感染対策を徹底しながら今のような状況で進んでいく中で、GoTo再開というのは、今の感染状況、今後の見通しを見た中で、可能なんでしょうか。それとも、ちょっとなかなか今のままだと厳しいという御認識なんでしょうか。ちょっと一言だけ見解をお述べください。

脇田政府参考人 お答え申し上げます。

 やはり基本的な感染対策を徹底して、感染拡大を防止しながら社会経済活動を維持するという観点も非常に重要であるということは我々専門家としても認識をしております。

 したがいまして、ワクチン接種を進めるとともに、旅行や行楽であったり、そういった観光の際にはやはり感染のリスクをできるだけ避けるということが重要でありますし、また、体調が悪いときにもそういった観光を控えるということをしていただくということも重要であります。

 ですから、地域の感染状況を見ることも非常に重要で、そこが違う場合もありますので、移動先での行動であったり飲食なんかにおける推奨があれば、それを基に行動していただくということが重要だと思います。

柚木委員 ここで終わるので政務官と所長は御退席いただいて結構なんですが、今の私の理解は、今後、一律延長というのはひょっとしたら難しくても、まばらであっても延長できるところはするということもあり得るのかなというふうに受け止めましたので、そこはしっかり御議論いただいて、私、委員長もそうなんですが、地元倉敷は観光地なので、そういうことも意識しながら今発言しましたので、よろしくお願いいたします。

 お二方、ありがとうございました。

橋本委員長 では、政務官、所長、どうぞ御退席ください。

柚木委員 それでは、まず、衆法提出者の中島委員の方に伺いますが、先ほども、中島委員御自身が大臣と、コロナかかりつけ医の見解、フリーアクセスの見解についてちょっと議論されていて。

 私も、私なりの理解は、これはやはり、いざというときに、つまり、コロナで感染拡大、爆発とかになって、ふだんのかかりつけ医にアクセスできなくなってしまう、さらに、その他の必要な医療も受けられなくなる、そういうことによって自宅放置死が増えて、昨日の高田かおりさんのお話も、私たち、本当に与野党を超えて神妙にお聞きしたわけですね。

 そういった中で、今回高田さんは、保健所や医療機関は頑張っていると言われていたのも印象的でしたが、やはり同じ悲しみをほかの人に味わってほしくない、繰り返してほしくないという中で、このコロナかかりつけ医法案で、まさに、保健所機能の逼迫や病床逼迫をどう回避できて、そして、まさにコロナかかりつけ医というのがフリーアクセスと両立することに加えて、いや、実はフリーアクセスをより強化するんだ、アクセス権が強化されるんだ、そういう視点も含めて多分提出されていると思いますので、その趣旨も含めて御答弁、どういう対策が進むのかも含めて御答弁お願いします。

中島議員 御質問ありがとうございます。

 長きにわたるこのコロナ禍において、本来業務でない健康観察や入院調整といった業務が保健所の過大な負担となっております。一部の地方公共団体では業務委託も進んでおりますが、感染急拡大のたびに保健所機能が逼迫をし、中等症、重症患者の急増で医療機関も逼迫、医療崩壊の危機を招くという状況が繰り返されてきております。

 特に、感染力の増したオミクロン株が流行する場面では、どんなに病床を確保したとしても、増え続ける患者全てを入院させることは困難であります。今後というよりは、今までも、いかに自宅で医療提供体制を充実させるか、病状急変に対応して、中等症、重症対応医療機関に入院させる仕組みとすることが課題となっておりましたし、今後も課題となると思います。

 この自宅での医療提供体制の充実と病状急変に対応するための仕組みとして、コロナかかりつけ医制度を提案したところでございます。

 オミクロン株においては、その感染力の高さから、完全に感染を防ぐことも難しく、社会で一定程度の感染が続くことも覚悟する必要があると思います。

 一方で、私もふだん外来をさせていただいておりますが、デルタ株以前と比べて軽症例が増えていることを感じているところでもあります。若年層など健康な方にとってはただの風邪に近い場面も多い一方で、高齢者や基礎疾患を有する方などの重症化リスクの高い方にとっては、あっという間に症状が悪化し重大な結果に至るという、二面性のある感染症となっています。

 そこで、重大な結果に至る可能性の高い方を重点的に守り、病床その他の医療資源を適切に配分する必要があると考えます。医療知識のない方が、電話で年齢や基礎疾患の有無を聞き取って入院や自宅療養と線引きするのではなく、平時から個人を診察し、その個人の薬物等に関するアレルギーや処方されている薬剤、家族構成などを知っている医師がこうした業務を担うことにより、有事においてコロナに感染した患者に最も的確なアドバイスを行うことが可能となり、適切な医療を提供できることとなります。

 今回のコロナ禍の最大の課題は、コロナに感染された患者様が、ふだんかかりつけ医として通っていた診療所に、コロナ患者は保健所へと見放されてしまう状況があちこちで発生したことです。フリーアクセスをうたいながら、いざというときに医療にアクセスできない状況は、日本の医療制度が抱える問題を根本的に見直す必要性が改めて認識されたのではないかと考えます。

 平時から個人が、医療機関、かかりつけ医を持ち、健康や生活習慣病等の予防について日常的に相談をし、感染症に限らず、病気となってしまった場合にも信頼できる医師に相談、診察してもらう仕組みが健康寿命を延ばし、国民全体の幸せにつながるとも考えられます。コロナかかりつけ医制度は、コロナ感染に備える仕組みではありますが、平時から医療機関にアクセスすることで有事にも迅速、適切に医療提供を受けられるという意味で、将来的なかかりつけ医、家庭医制度普及の先駆けとなる仕組みと考えておりますし、昨日参考人として出席をされました自宅放置死遺族会の高田代表が、共同代表でありましたが、その思いに応えるものでもあり、保健所業務の負担を軽減するものと考えております。

 以上です。

柚木委員 ありがとうございます。丁寧に、よく分かりました。

 後藤大臣にも是非、先ほどの議論もありましたが、コロナかかりつけ医制度を、是非、厚労省内でもしっかり、別にこれだけということではないです、この間、私も今日、資料の七、八、九ページ目に自宅死以降の厚労省、政府の対応についても、これも必要だと思っています。これにオンする形で、より実効性を高めるという視点から実現をお願いしたいと思います。

 質問は、資料の六ページ目に、まさに昨日、私たち立憲民主党厚労部会とそれから高田かおり代表とともに、自宅放置死遺族会との連名で、特に一番のところなんですね、自宅放置死の実態検証。今まさに、御遺族が集めた情報を基に、医師、弁護士の御協力もいただいて個別事案の検証がされています。様々な行政の問題点も分かってきておりまして、岸田首相も、昨年十二月十五日の衆議院予算委員会で、まさに自宅放置死の実態の検証をお約束いただいております。

 私、先ほど大臣と中島委員の議論、フリーアクセスの見解も含めて議論を聞いていて、やはりこういう実態検証が必要だなと思うんですね。そこから見えてくるもの、必ずあります。そしてまさに、コスト、アクセス、クオリティー、このアクセス、フリーアクセスというものをしっかり守ると同時に、強化していくという観点から、コロナかかりつけ医制度についても検討いただくことも含めて、やはり自宅放置死の実態の検証というものが非常に重要だと思いますので、御遺族の皆様の思いに報いることも含めて、是非、岸田総理もお約束いただいておりますので、この検証を進めていただきたい、早期に実施をいただきたいと思いますが、御答弁お願いします。

後藤国務大臣 先ほど、昨年の状況についての報告を一月十三日にさせていただいたことはここでもお話をいたしましたけれども、さらに、本年一月一日から三月三十一日までの間の自宅での死亡例につきましても、現在、都道府県を通じてその実態把握のための調査を行っているところでございます。引き続き、こうした調査による実態把握に努め、必要な改善を行ってまいりたいというふうに思います。

 また、先ほどから議論が出ておりますかかりつけ医の話でございますけれども、我々も本当に、昨年の夏の反省から、十一月に全体像をつくって、そしてその中で、保健医療提供体制を強化しなければならないということで、自宅の療養あるいは宿泊療養を含めた全体としての医療提供体制ということに取り組みました。特に、オミクロン株が発生してからは、先ほども中島委員から大変バランスのいい御説明もあったところでありますけれども、オミクロン株の特徴に合わせて、やはり自宅療養も含めて対応していかないと日本の医療提供体制がもたないという判断の下で、発熱外来を三・六万増やすとか、健康観察、診療、二・二万というようなことをやってきております。

 御指摘のコロナかかりつけ医については、日頃から患者のことをよく知るかかりつけ医が診療を行うこと、これも望ましいと思いますし、地域において急速に拡大する感染症に対して、診断、治療へのアクセスをどのように短期間かつ幅広く構築していくかということについても併せて考えていく必要が、重要だろうというふうに考えております。

柚木委員 もう時間が来たので、最後、お願いだけにしておきますが、まさにこの自宅放置死とある意味同じだと私が思っているのは、高齢者クラスターで、施設で多くの方が、大阪では死亡者の三割ですね、これは施設死と言ってもいいと思うんですね。

 こういったことが起こらないための通知、四月八日に出していただいて、この二十二日に、まさに高齢者施設等における医療体制の徹底、強化の報告を受けた後で結構ですので、その結果を受けて、やはり不十分、厳しいなというところについては、高齢者施設で、もしクラスターを受けたときに、これが全部行っていたら、急性期とか救急医療とか、がん、脳卒中、心筋梗塞などが受けられなくなっているんですね、一般病院も。ですから、高齢者施設専用の宿泊療養施設なども含めて、調査結果に基づいて、しっかりとした療養ができるような体制をお願いをして、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、柳本顕君。

柳本委員 自由民主党の大阪の柳本顕でございます。

 本日、質疑の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 昨日の参考人質疑も受けまして、改正薬機法の質疑も議論が煮詰まってきたなというふうに感じております。とりわけ、緊急承認制度の論点といたしましては、法改正に伴う承認の在り方、また、安全性や有効性の担保をどのように考えていくのか、また、入口の議論とでもいいましょうか、承認要件が一定緩和されることで新たな創薬のインセンティブにもなり、まさに緊急対応に資する結果を導く可能性が見出せるということも確認ができました。

 ただ、法改正はあくまでも一つのきっかけでしかなくて、創薬にしても製薬にしても、人や資金の投入ということがなければ、なかなか感染症を始めとする事象に対して抜本的な対処にならないということでもあります。

 そして、せっかく承認された医薬品なども、必要とされる方々の元に円滑にそして安定的に届いてこそ、具体的な予防や治療、あるいは感染拡大の緩和といった効果を生み出さなければ意味がないということになります。すなわち、出口、供給体制を整えることが非常に重要であるという視点に立って、限られた時間ではありますが、質問を進めさせていただきたいと思います。

 感染拡大防止を始め感染症対策については、予防する上でのワクチン、そして適正に診断するための検査、さらには病原体を排除して減少させて重症化を防ぐ治療薬と言われてきました。この間の議論の中では、治療薬やワクチンについては比較的多く議論されてきたと思いますので、検査について今日は聞いていきたいというふうに思います。

 まず、ワクチン、治療薬のほかに、PCR検査や抗原検査も今回の法改正の対象となるのかについてお伺いをいたします。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回お願いしております緊急承認制度におきましては、医薬品、いわゆる治療薬やワクチンだけではなく、PCR検査や抗原検査のキットなど、体外診断用医薬品も含まれてございます。これらにつきましても、安全性の確認を前提に、有効性が推定された段階で薬事承認を与えることができる仕組みでございます。

柳本委員 対象になるということであります。

 私は医療分野においては全くの素人なので、ちょっとイメージが湧かない部分があります。それは何かといいますと、検査ですので、安全性という意味においては、その前提は恐らくもうかなり固い状況で確保されているんだというふうに思うんですが、有効性の推定というところがどのように判断されるのかがよく分かりません。

 検査キットなどについて、緊急承認制度では有効性はどのように判断されるのでしょうか。特例承認制度など、これまでの承認制度との違いはどこにあるのか、お聞かせください。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、体外診断用医薬品ですので、安全性については比較的クリアしやすいのかなと思いますけれども、例えば、測定に用いる試薬としての人への毒性が高いかどうかなどの確認がございます。

 そして、御指摘の有効性についてでございますが、これは、申し訳ございませんが、個々の製品の品質等に応じました判断が必要なので一概には申し上げにくいのでございますけれども、例えばということでございますが、人の検体、人検体を用いた試験成績が少ない又はない場合ですとか、あるいは測定原理から見て目的とする検査結果が導かれることが科学的に明らかな場合、あるいは試験の結果などから疾病の診断につながるウイルス等を検出することができると見込まれる場合などは、推定により承認することができると考えてございます。

 御指摘の特例承認制度でございますが、これは、御案内のとおり、日本の薬事制度と同等の水準を有すると考えられる外国での通常の承認プロセスにおいて承認されていることを前提に、有効性、安全性が確認されたということで、日本の薬事承認を与える制度でございますので、安全性の確認に有効性が推定された段階で迅速に薬事承認を与える今般の緊急承認制度とは異なるというものでございます。

柳本委員 今お聞きしても、やはり分かりにくい部分があります。といいますのも、治療薬やワクチンであれば、私たちもその商品名などを知っていて、聞かされているわけでございますので、例えば副反応などについても、ファイザーがどうだ、モデルナがどうだというようなことも町中で聞かれるわけですよね。ところが、検査ということについては、承認されている状況ですら、いまいちちょっとよく分からないというか、伝わってきていないというのが実情であります。

 そこで、現在、新型コロナウイルス感染症に係る、PCR検査も含めて、薬事承認されている核酸増幅法は何品目でしょうか。また、抗原検査について、何件が薬事承認され、どのような承認のされ方をしているのか、一般的な承認がなされたと理解してよろしいのでしょうか、お聞かせください。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、PCR検査を含めた核酸増幅法でございますけれども、四月十三日の時点におきまして、薬事承認を受けましたものは全部で四十二品目ございます。そのうち、PCR検査は三十二品目でございます。

 また、抗原検査でございますが、抗原検査に関しましては、抗原定量検査につきましては七品目、抗原定性検査につきましては九品目、抗原簡易検査キットにつきましては三十一品目を承認しているところでございます。これも同じ四月十三日でございます。

 これらの抗原検査でございますが、いわゆるPCR法等の比較におきまして一定以上のウイルス量である場合の同等性を確認した上で、性能、すなわち有効性を確認して承認しているというものでございます。

柳本委員 有効性はそれぞれ、多少差異はあるかもしれませんけれども、確認をされているということであります。

 とりわけ、町中、市販もされていて、比較的手に入りやすい、またなじみのある検査キットなんですが、昨年末あたり、抗原検査キットが不足しているというような状況がありました。開発されており、承認されたとしても、やはり安価に、そして安定的に国民の皆様方に行き渡るようにする必要があると考えますが、例えば公費負担とか、あるいは価格を下げたり、安定的に国民の皆様方に行き渡るような状況にするために、どのような取組を行っているのでしょうか。

 あわせて、類似品、出ているんでしょうかね、横行しているんでしょうか。あるいは闇取引のような事象もないとも限らない、若干あるともいうふうに聞いておりますけれども、そういったところに対する注意を払う必要もあると考えますが、その点について対処をしているのでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、新型コロナウイルス感染症の検査につきましては、質の確保されたものを用いて行うことが重要でありまして、これを用いて、有症状者などに対する検査は感染症法に基づく行政検査として全額公費で行っておりますほか、感染不安のある方が無料で検査を受けられる体制を、これは関係省庁と連携して整備するなど、都道府県とも連携して、検査を受けやすい体制整備に取り組んできているところでございます。

 また、今御質問のありました簡便かつ迅速に検査結果が分かる抗原検査キットにつきまして、薬事承認された検査キットの活用を促進してきたところでございます。

 具体的には、昨年六月から、各職場において、医薬品卸売業者から直接入手して検査できるようにするとともに、昨年九月からは、家庭等において、体調が気になる場合にセルフチェック用として利用できるように、薬局における販売を可能として、本人や御家族が薬局で入手できるようにということをしているところでございます。

 また、御質問ありました類似品の横行のことでございますが、これは、診断を目的とせず、研究用等と称して販売されている抗原検査キットというのがありますが、これらは薬事承認を受けておらず、性能等が確認されたものではないと承知しております。

 このため、消費者が感染しているにもかかわらず、結果が陰性であった場合に、感染していないと誤解することで、医療機関への受診が遅れたり、本人の健康に重大な影響を及ぼすとともに周囲の方へ感染を拡大させるおそれがございます。

 厚労省としては、これまでも、消費者庁とも連携しまして、消費者の自己判断により、これらの検査キットをコロナウイルス感染症への罹患の有無を調べる目的で使用すべきではないことを周知するとともに、消費者に対して適切に選択できるようリーフレットを作成する等しております。

 また、昨年十二月には、研究用と称する抗原検査キットを販売する事業者へ、先ほどの趣旨を踏まえた適切な対応をいただくように働きかけをしているところでありまして、引き続き、質の確保された抗原定性検査キットを円滑に利用できる環境整備に努めてまいりたいと考えております。

橋本委員長 大臣、どうぞ御退席ください。

柳本委員 大臣、また後ほど、議論の経過、御報告をしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 その上で、今いろいろと御説明をいただきました。私は、この検査キット、もっともっと普及をさせていき、今千円ちょっとぐらいですかね、もう五百円ぐらいに値段が落ちるような状況にしていくべきではないかというふうに考えておりまして、もちろん、ワクチンの接種を受けて、その接種していることを証明として、社会経済活動を促進していくというのも一つの方法であるというふうには思っていますが、この検査キットでもって、少なくとも今現在は感染していない可能性が高いのではないかということをもって、社会経済活動に参画をしていただくような流れをつくっていくというのも一つの手法だというふうに考えておりますので、そういった視点から、ウィズコロナ社会の構築をしていくに当たって、抗原検査、とりわけこの検査キットを、体温を測るのと同じような感じの身近な感覚で取り組めるような方向性も含めて、対処をしていただきたいということを要望しておきます。

 少し話が変わりますけれども、検査キットから、治療薬、ワクチンの話にも展開をしていくわけでありますが、医師によって処方されるような薬ではなくて、一般に広く薬局などで販売されている既存の薬ですね、治療薬について、コロナにも効く、重症化を防げるということが確認されて、緊急承認されるようなケースも私は考えられるのではないかというふうに思います。当初はコロナの治療薬ということではなかったけれども、既存の薬店などで気軽に、手軽に購入できるものが緊急承認の対象になってくるという可能性も十分あり得るというふうに考えるわけでありますが、そういったときに、市場に既にあることから、現場に混乱が生じてしまうようなこともあり得るのではないかというふうに思います。

 ちょっと具体の話は後ほどさせていただきますが、実は、二〇二〇年に大阪では、知事が、ポビドンヨード、イソジンがコロナに効くというような趣旨の発信をされまして、マスコミがそれをちょっと大きく捉えたものですから、まさに現場での混乱状況というものがあったわけであります。

 ちょっと確認しておきたいんですが、ポビドンヨードはコロナに有効であるという治験結果は出ているんでしょうか。厚労省での把握状況をお聞かせください。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 ポビドンヨードの含嗽剤につきましては、宿泊療養患者を対象とした臨床研究の結果が令和二年八月四日に大阪府などから発表されまして、その後に規模を拡大した臨床研究が実施されていると承知してございますが、その結果につきましては、論文等で取りまとめられての公表はなされていないと承知しているところでございます。

柳本委員 確認できないということであります。できていないということであります。

 緊急承認制度が認められた場合、既存薬について、しかるべき立場の方、著名な方が、あるいはマスメディアなどが軽はずみに有効性を発信して、いよいよこれは緊急承認する予定なんですみたいなことが報じられてしまうと、もう既に市場に出回っていますから、現場が混乱することも予想されるわけであります。

 入手しやすい既存薬が緊急承認されるようなケースについて社会全体で慎重に取り扱う必要があるというふうに考えますが、安定供給の観点からどのように考えているのか、お聞かせください。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生から例として挙げられたポビドンヨードの供給が不足した事例では、当該医薬品の使用によりまして唾液からウイルスが検出されにくくなったという情報が広がったことによりまして、現場で過度な買占めが発生したと承知しております。

 医薬品がどのような疾患について承認されているのかなど、現場や国民の皆様に向け、正しい情報を発信し、共有することが大事なことだと考えております。

 今後、御指摘のような既存薬について緊急承認の対象として検討されるケースも想定されることもありますので、そうした場合に様々な情報によって現場に混乱が生じないよう、製薬企業や薬局、薬店、さらにマスコミ等の関係者も含め、連携協力いただきまして、正確な情報の発信に努めてまいりたいと考えております。

柳本委員 それでは、総括的に、大臣が参院の方に行かれましたので、佐藤副大臣にお聞かせいただきたいと思います。

 今回の薬機法改正によって緊急承認された医薬品あるいは機器の供給体制を整えることが非常に重要と考えますが、厚労省として、改正薬機法、薬機法を改正した上で、供給体制確保に向けての決意をお聞かせください。

佐藤副大臣 今般の法案における緊急承認は、緊急時において国民の皆様に迅速に医薬品や医療機器を提供するための制度であります。こうした制度の趣旨を踏まえれば、緊急承認を行う際には必要な医療現場に確実にお届けできるように対応することが必要であり、国において、医薬品、医療機器の特性や対象とする疾患を踏まえつつ、その管理や供給の方法について検討する必要があると考えております。

 例えば、今般の新型コロナ対応では、ワクチンについては、偏在や無駄が生じないように接種を進める必要があるために、国や自治体がワクチンの配分量を決定して供給してまいりました。また、治療薬については、流通量が限られている中、必要な患者さんに公平に配分するために、供給が安定するまでの間、国が買い上げて医療機関等に無償で提供する仕組みとしてきました。

 こうしたコロナ対応の経験も踏まえつつ、緊急承認を行った際に対象となった医薬品、医療機器に応じて、管理や供給の方法について適切な対応が取れるように検討してまいります。

柳本委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 最後に、ちょっと、この供給体制に絡めて、この二年間に及ぶ感染症との戦いを含めて今後どう対応していくかということを、特措法あるいは感染症法なども含めて我々は検討していかなければなりません。検証の上、検討していかなければならないというふうに思っているんですが。

 実は、昨日、四月十二日付の大阪市のホームページを見てみますと、例えば、大阪府全体の陽性者数の累計は八十三万人であるのに対して、大阪市内は三十万人、そして死亡者数については、大阪府全体では四千八百十九名であるのに対して、大阪市は千九百八十余名なんですね。

 何が言いたいかといいますと、やはり、大阪府域の中で人口規模に、人口に比してどうかということを考えたときに、大阪市内の方が感染者数、死亡者数が多いわけです。

 こういったことは、やはり、日本全体でも都市部においてその流行であるとか感染の核といいますか、その広がりの根元があるように思っておりまして、それが数字でも表れていますので、例えば供給体制を考えるとき、ワクチン、治療薬。あるいは、ちょっと話は飛躍するかもしれませんけれども、緊急事態宣言の発出であるとか蔓延防止等重点措置の要請などについても、一部そういった主要な政令市などについては、手挙げ方式といいましょうか、そういう形で、都道府県に類する形で、同等の形で対応していただくことが、よりきめ細かな対応になったり、地域の実情に応じて迅速に対処できることにもなるというふうに思うんですね。

 そこで、感染症対策について、都道府県と同等の窓口機能や、あるいは実務を政令市に担わせることが望ましいケースもあるというふうに考えておりまして、柔軟に対応できる制度変更が必要なのではないかというふうに考えておりますが、ちょっと一部、厚労省以外の管轄の部分もあるかもしれません、厚労省としてのお考えをお聞かせいただけたらと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 一般的に感染症対策は、人権保障の観点から、必要な最低限の措置を行うというものでございます。

 このため、一定の専門知識に基づいた政策判断が必要となることや、より広い地域で感染が拡大するという事態も想定しまして、市町村の間の連絡調整も含めて、都道府県による広域的な対応が求められております。その際、都道府県と政令市を含む保健所設置市などは相互に連携しまして感染症対策を行う必要がありまして、感染症法に基づく基本指針というものがございますが、こちらについてもその旨をお示ししております。

 いずれにしましても、御指摘のような、国、都道府県、そして政令市等の、それぞれの役割分担につきましては、様々な関係者から御意見も伺いつつ、政府全体として検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

柳本委員 もちろん、危機管理体制としては、国が責任を持つべきだというふうに私は思っています。その上で、都道府県が窓口になるのが一義的には望ましいであろうというふうに思うんですが、今般の様々な事象を鑑みたときに、政令市というものの枠組みももっともっと生かしていくことができるのではないかというふうに考えておりますので、検討も含めて、進めていただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。井坂信彦君。

井坂委員 午後も引き続きよろしくお願いいたします。井坂信彦です。

 まず、立憲民主党が提出した日本版EUA法案とコロナかかりつけ医法案についてお伺いをいたします。

 緊急承認制度に関する薬害オンブズパースン会議の意見書及び昨日の参考人質疑では、緊急事態に適用することを明確にすべき、期限延長は一回に限るべき、そして審査期間の上限を定めるべきといった緊急承認制度の適用場面の明確化を求める意見が示されております。

 日本版EUA、特定医薬品特措法案における厚生労働大臣による特定医薬品の指定が行われる場面や特定医薬品の指定の効果が消失する場面は明確にされているのか、伺います。

吉田(統)議員 御質問ありがとうございます。

 日本版EUA、特定医薬品特措法案における新型コロナを含む新型インフルエンザ等の治療薬の指定制度は、新型インフルエンザ等対策特措法に基づく政府対策本部が設置され、かつ、国民の生命及び健康を保護するため緊急の必要がある場合であって、ほかに薬事承認を受けた優れた利用価値を有する医薬品がない場合に限定して、厚生労働大臣が、新型インフルエンザ等の治療において有用性が認められる医薬品を、政府対策本部が廃止されるまでの間、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品として指定できるようにするものです。

 この指定の対象となる医薬品は、既に他の疾患で薬事承認を得ており、一定の安全性が確認されている既存薬であることを前提に、最新の論文等による医学的、薬学的知見により新型インフルエンザ等の治療に有用性が認められるものとしています。

 また、この指定は緊急時の一時的な措置であるため、日本版EUA、特定医薬品特措法案では、指定の失効及び取消し等についても規定を設けています。

 まず、指定が失効する場合として、政府対策本部が廃止されたとき、又は指定を受けた医薬品が薬事承認を受けたときとすることとしています。

 また、厚生労働大臣は、ほかに優れた利用価値を有する医薬品が薬事承認を受けたときは指定を取り消すことができ、既に知られている副作用以外の健康被害が発生したときは、指定を取り消し、又は一定期間、指定の効力を停止できることとしています。

 このように、我々が提案している有用な治療薬を迅速に確保するための仕組みは、薬機法上の薬事承認とは別の仕組みであり、あくまで緊急時に限定した一時的な措置として有用な医薬品の実用化を認める仕組みとするものです。これによって、薬事承認に求められる有効性、安全性の確保の要請は維持しつつ、緊急時における国民の生命及び健康の保護を図ることとしております。

井坂委員 ありがとうございます。

 午前中の質疑にもありましたけれども、後藤大臣が、コロナ禍においてフリーアクセスが必ずしも十分に機能しなかったと、あるいは、コロナかかりつけ医法案と同様の仕組みを提案する財政審の建議を肯定されたということもありました。

 一方で、二〇二一年の四月二十七日に日本医師会が示した見解には、フリーアクセスは国民皆保険を支える大きな柱であり、コロナ禍において、経済財政諮問会議や財政審が求めているようなかかりつけ医機能を制度化すれば、フリーアクセスを阻害し、以前、後期高齢者医療制度導入のときに見られたように、国民の理解を得られず、大混乱を招くおそれがありますと、医師会には、そういう見解が示されております。

 提案者に伺いますが、コロナかかりつけ医の制度化はフリーアクセスを阻害することになるのか、お伺いします。

中島議員 御質問ありがとうございます。

 まず、コロナかかりつけ医は、手挙げ方式によることを想定しております。コロナ患者に対応するために適切な設備や能力等を備えていれば、診療科を問わずにコロナかかりつけ医になり得ると考えております。コロナかかりつけ医となるためには、殊更特別な施設、能力を要求することは考えておりません。この点で、医師や医療機関にコロナかかりつけ医という仕組みへの参加の自由が確保されていると認識をしております。

 そして、高齢者や基礎疾患を有する方が自分のコロナかかりつけ医を誰にするかについても、これらの重症化リスクの高い方々の自由な選択です。もちろん、ふだんかかっている診療所等がコロナかかりつけ医ではない場合もあり得るところでありますが、その場合には、その診療所等に紹介してもらうこと等により自らのコロナかかりつけ医を登録し得ると考えております。

 重症化リスクの高い方々の自由な選択でコロナかかりつけ医が登録されることから、患者による医療機関の自由な選択を意味するフリーアクセスは確保されていると考えています。

 むしろ、先日の厚生労働大臣の答弁にもあったように、コロナ感染拡大期には医療逼迫により必要な医療を受けられない患者が急増したという事実があります。肝腎なときにフリーアクセスが阻害されたという事実は重く受け止める必要があると考えます。そうした事態を防ぐためのコロナかかりつけ医制度であります。

 御指摘の、日本医師会が示した見解にある、かかりつけ医機能を制度化すればフリーアクセスを阻害し、大混乱を招くという御指摘は、むしろ逆で、困ったらかかりつけ医と政府が度々案内する一方で、かかりつけ医が一体どこにいて何をしてくれるのか全く分からない今の現状が混乱を招いているのであって、かかりつけ医を明確に位置づけることで、必要な方が必要なとき確実に医療にアクセスできる環境をつくることにより、国民の皆様の不安を解消し、現実に起きている混乱を収束させることに資するものでございます。かかりつけ医機能の制度化が大混乱を招くという御指摘は全く当たらないと考えております。

 後藤厚生労働大臣は、必要なときに必要な医療すら受けられなかったという事態はフリーアクセス以前の問題であるとまで答弁をされております。日本医師会の見解は、フリーアクセスを阻害と指摘しておりますが、厚生労働大臣がおっしゃるように、まずそれ以前の問題を解決すべきであると考えております。

 以上です。

井坂委員 ありがとうございます。

 議員立法に関する質疑は以上となりますので、お戻りをいただければというふうに思います。

橋本委員長 じゃ、提出者はどうぞお戻りください。

井坂委員 それでは、政府、大臣についてお伺いをいたします。

 先週は法案に関してかなり詳しく質疑をさせていただきましたので、今日は感染症対策全般の議論をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、感染症法における新型コロナ感染症の位置づけについて伺います。

 午前中、中島議員の質問に対しても、大臣からも、五類への見直しは現実的ではないという答弁がありましたので、最初は飛ばさせていただきます。

 ちょっと、資料の一を御覧をいただきたいんですけれども、今、マスコミや国民の間では、二類か五類か、どちらがよいのかという、要は極端な議論になっているわけであります。実際、各メディアが、こういったメリット、デメリット、二類、五類の比較表などを出しているわけでありますが、ここには随分いろいろと誤解も含まれているようですので、順番に議論させていただきます。

 まず、大臣、新型コロナを五類感染症に指定をすると、医療費の公費負担、これは五類のデメリットとして常に掲げられるんですが、五類にすると医療費の公費負担はできなくなるということでよいのか、お伺いします。

後藤国務大臣 新型コロナウイルス感染症に係る医療費については、入院の場合は、感染症法上の入院勧告、措置により公費負担となる、それから、自宅療養、宿泊療養中にかかった医療費については、緊急的な対応として緊急包括支援交付金により公費負担としているところであります。

 仮に五類感染症に変更した場合、感染症法上の入院勧告、措置、それから自宅療養、宿泊療養の要請を行えなくなる、そういう制度上の仕組みではございます。

 しかし、その際、医療費を予算措置により賄えるか否かについては、他の疾病との均衡等も踏まえて、基本的に想定されないと考えておりますけれども、慎重に検討する必要があると思います。

井坂委員 ちょっと確認ですが、強制的な措置に対しては公費負担があると。例えば、病院でもらう治療薬などについては、現状、予算措置、補助のような形で無料化をされているんだと思うんですけれども、これも、もしコロナを五類感染症に指定をすると、治療薬に対する公費補助もできなくなるということでよいのかどうか、伺います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 現在、各都道府県で様々事業を行っておりますのは、緊急包括支援交付金に基づいて行っておりますけれども、こういった交付金は、やはり新型コロナウイルス等感染症という位置づけの下で支払われている現状にあるというふうに思います。

井坂委員 ちょっと今、余りよく分からなかったので。

 五類になると、それは支出が難しくなるという答弁だったんでしょうか。

佐原政府参考人 恐らく、ちょっと仮定なので明確にはお答えできないんですけれども、五類になるということは、緊急包括支援交付金の扱いも、同時に、継続していくのかどうかということの議論も一緒にやっていく必要があると思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 資料二を御覧いただきたいんですけれども、どうしてもメディア、マスコミとか国民の間にも、何かやや誤解というか、イメージがあるなと思うのは、やはり、現状、コロナは二類感染症でも五類感染症でもないということなんですね。新型コロナは二類相当とか言われていますけれども、こちらを御覧いただけましたら、一番左にある新型インフル等感染症という、一類から五類の外側にある新しい分類に指定されており、二類相当と言われるが、中身は、これを見ていただければ、一類よりも多くのことが可能になっている、そういう新しいカテゴリーであります。

 これも、誤解を正す必要があるのは、二類相当だから無駄で面倒なことを延々義務づけられているというわけではなくて、感染拡大をして、必要になればできるけれども、しかし、必要なければしなくてよいというのが大半であります。

 したがって、新型コロナを五類感染症に仮に指定をすると、義務が減るイメージがあるんですけれども、実際は、義務が減るわけではなくて、むしろ、できることが減るというのが正しい理解かなというふうに思います。

 参考人に伺いますが、新型コロナを五類感染症に指定すると、オミクロン対応、現状の毒性のオミクロン対応のために必要なのにできなくなるということ、主にどんなことがありますでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 仮に、新型インフルエンザ等感染症から五類感染症に変更した場合には、自治体が行うことができなくなるものとして、例えば、入院の勧告、措置、それから患者への健康状態の報告の求め、外出自粛要請、そして健康診断受診の勧告、措置などがございます。

 また、これら以外にも、検疫法上の隔離などの措置が行えなくなり、また、特措法の適用がなくなるということがございます。

井坂委員 要は、本当に必要なときにも、隔離措置とか、外出自粛の要請とか、あるいは入院の措置とか、そういったことが本当に必要な人に対しても、五類にするとできなくなってしまうということであります。

 一方で、もちろん、五類にしたら、やらなくていいことが増える、現場の保健所とか医療機関で随分無駄が減って楽になるんじゃないか、こういう議論もあります。

 参考人に伺いますが、新型コロナを五類感染症に指定すると、保健所や病院の業務で簡略化できること、やらなくてもよくなることというのは主にどんなことがありますでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、保健所の業務に関しましては、前の御質問の裏返しにもなるかと思いますけれども、入院の勧告、措置、患者への健康状態の報告等々があるかと思います。

 また、医療機関の業務としては、診断、死亡したときの医師による届出を、新型インフルエンザ等感染症の場合には直ちに行うということにしておりますが、五類感染症の場合には基本的に七日以内に行うとしている点で異なります。

 発生届の提出を七日以内にした場合には、保健所による感染者の把握が遅れることになるため、重症化リスク因子を持つ方等に関する健康観察の実施が遅れる可能性があると考えております。

井坂委員 参考人に確認ですが、要は、新型インフル等感染症にすると、たくさん、できることに丸がついているんですが、これは主に、やはり、できるという規定であって、必ずしなければいけない義務規定ではないんですね。

 ですから、やらなくていいことというふうに参考人は答弁されましたけれども、やらなくていいのは、別に新型インフル等感染症のときでも必要ないと思えばやらなくていいわけで、何か、絶対やらなきゃいけなかったことが、義務が解除されるような類いのものというのは、途中でおっしゃった、例えば直ちにの届出ということなど限られていると思うんですが、ちょっと、義務が外されるというような観点からもう一度お答えいただけますか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 例えば、入院の勧告、措置というのは、知事が勧告、措置をすることができるというのが新型インフルエンザ等感染症の場合でございますので、必ず勧告、措置しなければならないというものではございません。

井坂委員 要は、おっしゃったように、必ずしなければいけないことというのは極めて少なくて、五類にしたからといって何かが急激に楽になるということではないというふうに思います。

 加えて伺いますが、現状は、都道府県が指定した診療・検査機関、限られた診療・検査医療機関、限られた病院でしかコロナ患者の診察はできないわけであります。五類がよいという意見の中には、やはり、五類にすると、インフルエンザと同じように、町中、どこのお医者さんに行っても、ぽっと入って、すぐ診てもらえて、すぐタミフルをもらえる、そうなればいいなということで、五類がいいという意見になっているのかなというふうにも思うわけであります。

 大臣に伺います。新型コロナをインフルエンザのように全ての医療機関で受け入れるということは可能でしょうか。

後藤国務大臣 発熱等の症状がある方が確実に医療機関を受診できる体制を構築するために、症状のある方は、かかりつけ医等の身近な医療機関に直接電話相談し、地域の診療・検査医療機関を受診する仕組みを導入しておりまして、都道府県においては、四月六日時点で三・六万の医療機関を診療・検査医療機関として新型コロナの対応に当たっていただいております。

 このような診療・検査医療機関では、ゾーニングや発熱患者への対応時間を分けるなど、院内で感染拡大を防ぐための外来体制の確保を行っていただいておりますが、診療・検査医療機関でない診療所においては、新型コロナ患者を受け入れるに当たり、構造上の問題や、既存の患者への診療とは別に時間帯を分けたり等の対応が取れないという課題があると承知をいたしております。

 今後とも、地域において必要な診療、検査体制の確保がなされるように、引き続き、都道府県と緊密に連携しながら取り組んでまいりたいと思います。

井坂委員 これも確認ですけれども、要は、二類相当と言われる現状の新型インフル等感染症にコロナを位置づけている、この現状の位置づけから仮に五類相当あるいは本当の五類に指定したからといって、それで急にインフルエンザのように全ての医療機関で何かコロナの診療がしてもらえるようになるわけではないということでよろしいですか。

佐原政府参考人 そのような状況だと思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 これは内閣官房にお伺いをすることになると思いますが、これもやはり、早く五類にしてくれという御意見を私もよくいただくんです。そういう方が期待しているのは、五類感染症に新型コロナが指定されれば、緊急事態とか蔓延防止とか、そういう社会経済活動が制限されるようなことがもうなくなるんだろう、そういうことを期待されて、私のところにも、井坂君、早く五類にしてくれ、こういう御意見もいただきます。

 確認ですが、新型コロナを五類感染症に指定をすると、緊急事態とか蔓延防止の適用基準が何か変わるんでしょうか。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 緊急事態宣言などの根拠法であります新型インフルエンザ等対策特別措置法におきましては、その対象となる新型インフルエンザ等の定義につきまして、感染症法第六条第七項に規定する新型インフルエンザ等感染症、それから指定感染症、新感染症などと規定をしております。

 今申し上げた感染症法の新型インフルエンザ等感染症に含まれます新型コロナウイルス感染症の定義といたしましては、全てのコロナウイルス感染症ではなくて、そのうち、一般に国民が免疫を獲得していないことから、全国的かつ急速な蔓延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものというふうに定められております。

 仮に、今般の新型コロナウイルス感染症が今申し上げたようなものではなくなって、感染症法の新型インフルエンザ等感染症に該当しなくなり、感染症法第六条第六項に規定する五類感染症に指定された場合につきましては、冒頭に申し上げた特措法の適用対象にならず、したがいまして、現行の特措法に基づく緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置を講ずることはできなくなる、このように考えております。

井坂委員 参考人、確認ですけれども、要は、健康被害が今のコロナウイルスのように一定まだまだあるという状況では新型インフル等感染症からはなかなか法的には位置づけは外せない、逆に、答弁でおっしゃったように、新型インフル等感染症から外せるぐらい軽い病気になったときには緊急事態や蔓延防止の対象にもならなくなる、こういう理解でよろしいですか。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 やはり、今申し上げた、全国的かつ急速な蔓延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの、この要件を満たしている限りにおいては、新型インフルエンザ等感染症、そこに該当すると考えられまして、その状態で五類感染症に指定替えをするということは考えにくいものというふうに考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 これも参考人に伺いますが、新型コロナを五類感染症に指定をすると、今はオミクロンで、何か薬を飲めば大分簡単に治るんじゃないかみたいなことになっているわけでありますけれども、これがまた後に強力な変異株が仮に出現をした場合、一旦五類感染症に指定をすると、後でやはりまたいろいろ強めなければいけないというときに、新型コロナを元の、今ある新型インフル等感染症に指定をし直す手続にはどの程度時間がかかりますでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、感染症法上の新型コロナウイルス感染症というものにつきましては、変異株ごとに定義されているものではありませんで、新型コロナウイルス感染症として、今、内閣官房からも御答弁ありましたとおりに、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、感染症の全国的かつ急速な蔓延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められる状態というふうになっております。

 もし、新型コロナウイルス感染症を五類感染症に移して、その後また新型インフルエンザ等感染症に戻す場合となりますと、一度、国民の大部分が新型感染症の免疫を獲得したことにより一旦生命、健康に重大な影響を及ぼすおそれがないとしたものについて、短期間で改めて新型コロナウイルス等感染症に位置づけをするということでありまして、制度上、そういった状況はなかなか想定しにくいものかと思います。

 ただし、仮に新型インフルエンザ等感染症に位置づけるとした場合でございますが、どの程度時間がかかるかについて一概にお答えすることは困難でございますけれども、まずは、当該感染症に該当すると判断するための必要な知見などの収集に一定の時間は要するものと考えられます。

井坂委員 議論していて思いましたのは、やはり厚生労働省は、そもそも、五類感染症に指定するということは、イコール、もうみんなが免疫を獲得して、新型コロナが非常に危険性の低い感染症になったときに五類に移すという前提で全て答弁されていますので、そういう意味では、一旦免疫をみんな獲得したものをまた新型インフルに戻すということは、確かにそれは、おっしゃるように想定しづらいんだろうというふうに思います。ただ、仮に、五類に戻して、何かあればまた新型インフルに戻せばいいじゃないかというときには、そういった議論と時間がかかるということかと思います。

 大臣にお伺いをしたいんですが、やはり、いろいろと一つ一つ確認をしていくと、新型コロナをただ五類感染症に指定をし直したとしても、別に、インフルエンザのように全ての医療機関でぱっと診てもらえるようになるわけでもなく、また、何か大変な義務がごそっと外れるわけでもなく、また一方で、本当に必要なときにできないことが非常に増えるということかと思います。さらには、患者の自己負担も大幅に増えてしまうということで。

 ただ、やはり、国民が今、五類にしてくれという声がすごい多いです。その心はというと、やはり、社会経済活動をなるべく止めずに、しかし一方で国民の命と健康をしっかり守りながら、この両立をやってほしいということに尽きると思うんです。

 大臣に伺いますが、これまでの議論も踏まえて、やはり新型コロナは、二類、五類という話ではなくて、位置づけとしては現状の新型インフル等感染症に位置づけたまま、そして、医療費の公費負担も残したまま、みんなが心配をしている保健所とか病院の業務を大幅に簡略化をしないと、また感染が広まったら病院が逼迫をしてしまう、そうなると、また蔓延防止とか緊急事態を出さざるを得ない、こういうことになるわけであります。通告でいうと、十番目の問題です。

 大臣にお伺いをしたいんですが、二類、五類という話じゃなくて、新型インフルに位置づけたまま、医療費の公費負担も残したまま、保健所や病院の業務を大幅に簡略化をする、更に簡略化をするということは可能かどうか、お伺いをいたします。

後藤国務大臣 新型コロナを五類にした場合にどういう状況になるか、つぶさに今分析をしていただきまして、現時点で、国民の命を守るという観点から見ると現実的ではないというふうに考えております。

 制度のつくり方ということは、もちろん制度のつくり方でありますけれども、今言った枠組みからいえば、感染拡大の防止をしながら社会経済活動を維持するための取組を実施していくという観点から見ても、しばらくは感染防止に最大限の警戒を保ちつつ、科学的な知見を引き続き収集して、今後の感染状況等も踏まえて、厚生労働省の審議会等の専門家の意見も伺いながら、枠組みを議論していくことだと思っています。

井坂委員 ちょっと時間がないので二つ飛ばしますが、大臣、十三番目をお伺いします。

 やはり、新型インフル等に位置づけたまま今おっしゃったことをやろうとすると、もっともっと幅広く多くの病院で患者の診察を受け入れてもらわないと、なかなか、すぐにまた病院が逼迫してしまうということになると思います。現状の取組はもう既によく承知をしておりますので、しかし、それでは足りませんから、更に今後この新型コロナの検査、診療を行う病院を大幅に増やすためにどのようなことが考えられるか、伺います。

後藤国務大臣 医療機関における検査、診療体制の強化を図るために総理や私から医療関係者に協力を直接依頼してきたこと等によりまして、診療・検査医療機関については、全国で三万六千機関を確保するところまでは来ております。

 また、昨年秋以降は、診療・検査機関において、新型コロナの疑い患者に対して必要な感染予防策を講じた上で外来診療を行った場合の診療報酬上の評価を拡充いたしております。

 先月も診療・検査医療機関の拡充等について事務連絡で都道府県にお願いしたとおり、今後とも、自治体、医療関係者、専門家等と緊密に意思疎通を図りながら、診療・検査医療機関の更なる拡充に努めてまいりたいと思います。

井坂委員 我々は、今回、かかりつけ医法案だけでなくて、オミクロン対応の法案も出させていただいております。

 やはり、二類から五類へという声がこれだけ強く巻き起こるのは、病院に行きたくてもなかなか近所にない、すぐに診療してもらえない、行っても薬がもらえるかどうか分からない、ここに起因をしておりますので、これから社会経済活動を抑えないということにすれば、やはり一定、感染がずっと続く。今は事実上、蔓延状態とも、見る人によっては見えるわけです、現状が既に。こういう中で社会活動を維持、継続するためには、やはり、しっかり病院の数を増やす、そこで必ず、必要であれば薬がぱっともらえるようにする、この二点を是非徹底をしていただきたいということだけ最後に申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

橋本委員長 次に、金村龍那君。

金村委員 日本維新の会の金村です。午後も引き続き、よろしくお願いいたします。

 まず、私から、質問に入る前に、一つお伝えをさせていただきます。

 成人年齢の引下げに伴う問題です。

 今回の成人年齢引下げに伴い、十八歳そして十九歳というかつての未成年の方々がAV等に出演した場合に、未成年取消権の対象外となった問題、当然我が党も積極的に協力してまいりたいと思いますので、議論をしながら成案を見たいと考えています。

 加えて、当時、私は一期生ですから、当然議論には参加しておりませんでしたが、やはりこのような不測の事態をしっかり未然に防いでいくことが国会の役割なのかなと感じた次第ですので、今後こういったことがないように、私も頑張ってまいりたいと思います。

 それでは、創薬そして製薬について、またお伺いさせていただきたいと思います。

 今回のコロナ禍を受けて、緊急時の薬事承認制度が新たに創設されました。

 やはり、そもそも論で、緊急時にしっかり対応するためには、創薬の環境を整えていかなければならないと認識しています。その中で、前回も質問させていただいたんですが、いわゆる創薬と製薬の分離について。

 今、いわゆる世界の潮流は、創薬ベンチャー、そして医薬品の製品化に向けたところを製薬企業が担っていくというのが大きな流れとなっています。そんな中で、政府は、今の日本のこの創薬や製薬の現場を捉えて、こういった産業構造を切り分けていく方向性なのか、それとも、従来どおり製薬企業が大きな枠組みの中で役割を担っていく、この辺りをどのようにお考えか、お答えをいただきたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 医薬品の研究開発の複雑性や難易度が増し、創薬技術が高度化していく一方で、厳しい世界的な競争環境の下、求められる研究開発のスピードはますます速くなっている状況にございます。

 世界的に見ますと、特定領域に特化した技術を有するベンチャー企業の存在感が増し、大手製薬企業との水平分業が進んでいると認識しております。

 ベンチャー企業の強みは、特定の領域において高い創薬技術を有し、迅速な研究開発ができることにあると考えます。一方で、製薬企業の強みは、実用化段階で必要となる薬事や保険、こうした制度に精通していること、製造、流通を含めた品質管理体制を有していることにあると考えます。この両者のそれぞれの強みを生かしつつ連携することによって、質の高い研究開発が迅速にかつ効率的に進められることが期待されると考えております。

 こうしたベンチャー企業と製薬企業の連携が進むべく、様々な今支援策を講じておりますけれども、特に、昨年九月に策定いたしました医薬品産業ビジョン二〇二一などに基づきまして、オープンイノベーションコミュニティーづくりを中心とした産学官の協働による研究開発環境の整備、これを進めてまいりたいと考えております。

金村委員 ありがとうございます。

 いわゆる世界の潮流と、日本の創薬や製薬の現場も、産業構造は、いわゆる大きな枠組みでいくと似たものになっていくんじゃないかなと思います。

 そうすると、改めて、これまで、いわゆる大手と言われる製薬企業との連携というのは従来どおり進めてきたものだと思いますが、とりわけ創薬の現場、そして、さらには創薬ベンチャーに対してどのような取組を、また、昨年、今答弁でもおっしゃっていただきました医薬品産業ビジョン二〇二一の中にも幾つか記載はありますが、これからどのような取組を創薬ベンチャーに対して行っていくのかというのをまた一つお答えいただきたいと思います。

佐藤副大臣 まず、医療系ベンチャーにつきましては、革新的な創薬における存在感が増している世界的な状況に鑑みれば、我が国におきましても、医療系ベンチャーと製薬企業との間で研究開発や資金調達に関する協力関係を形成することが重要と考えております。

 現状では、我が国においてそうした協力関係は十分には形成されておらず、国においてベンチャー企業と製薬企業との仲立ちをすることが必要であると考えております。

 このため、厚生労働省では、医療系ベンチャー企業と大手製薬企業との交流を促進するため、二〇一七年からジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミットを開催し、イノベーションの創出に向けたマッチングの機会を提供してきているところであります。

 そのほかにも、ベンチャー企業を対象とした相談窓口、いわゆるMEDISOを設置し、研究開発から実用化に至るまで、法規制対応やマーケティングに関する相談など専門家によるきめ細かな支援を提供するとともに、経済産業省のワンストップ窓口、いわゆるイノハブとも連携して、資金調達につながるマッチング支援にも取り組んでいるところであります。

 引き続き、我が国における創薬力の向上に向け、ベンチャー企業がイノベーションを創出できるような環境整備に努めてまいります。

金村委員 ありがとうございます。

 今、幾つか事例を御紹介いただきましたけれども、MEDISOというマッチングのものがあったと思うんですが、友人の創薬ベンチャーの方にお聞きしたところ、まだ利用したことがなかったようですので、一応お勧めはさせていただきました。

 その上で、やはり、創薬ベンチャーの側も大手製薬企業の側も民間企業ですから、企業の理念そして社会的使命、さらには利益を追求していく、これが企業の役割だと私は認識しています。つまり、やはり幾つか、理念や、あるものを追求していくと、なかなか企業としてリスクが取れないというのが現状だと思います。

 そんな中、これは日本ではないんですが、スイスにあるDNDiという財団や、あとはアメリカにあるロイバントという企業は、創薬ベンチャーが研究した種をその財団だったり企業が買い取り、そして、ある種、そこから更に研究を追求して、大手の製薬企業にバイアウトしていくというようないわゆる三層構造になっているのが、今、実は世界の潮流の一つになっています。

 とりわけスイスの財団は、年間予算が大体八百億円ぐらい、これは寄附で全て賄われているんですけれども、世界の創薬ベンチャーの、なかなか大手製薬企業が手を出せないレベルの種を、そこが買い付けて、研究して、また大手製薬企業に売る。

 これは意外に、私は、日本人の価値観や文化に照らし合わせると、こういった組織をつくって、そして個別の企業を具体的に支援するわけじゃなくて、創薬ベンチャー全体を支援していくことに、リスクをコントロールすることによってつながっていくんじゃないか、そういう視点を私は持っておりまして。是非、日本においてもこういったリスクコントロール、つまり、創薬ベンチャーの側からすると、研究した成果である種をできるだけ、安くても買い取っていただけるコントロールセンターを日本に設ける。そうすることで、大手の製薬企業が直接創薬ベンチャーとつながらなくても、ある程度成果のあるものに手が届くようになる。

 日本においても、財団なのか企業なのかはおいておいて、こういった組織をつくる、こういった考え方、いかがでしょうか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 まさにベンチャー企業の種をどう育てていくかというときに、ファイナンスの問題というのは非常に大きな問題だと思います。

 そうした意味で、我々厚生労働省の方も、さっきMEDISOの話をさせていただきましたが、ややその辺、力が弱いところがございまして、同じフロアに、経産省のイノハブという、まさにヘルスケアのベンチャー組織がありますが、そこが、まさにそういう意味では、官民ファンド等の紹介とかをやってくれています。

 そういう、連携しながら何とかこのファイナンスの問題を今取り組み始めておりますので、今先生から御紹介いただきましたようなことも含めて、ちょっと勉強させていただいて、活用できるかどうか考えたいと思います。

金村委員 ありがとうございます。

 経産省が昨年いわゆる補正予算を組んだ創薬ベンチャーに対する予算、毎年五百億を十年間、五千億使うと。大体、製薬と創薬って、予算感でいうと十対一と言われているんですね。なので、これは厚労省の予算ではありませんが、予算感でいうと、五十億でもその組織に日本でつけると、十分日本の創薬ベンチャーの市場としては潤沢になる。その結果、安心してリスクを取って研究の質を高めていけるという考え方もできると思いますので、是非とも御検討いただきたいと思います。

 その上で、たてつけの話ばかりではなくて、実際にそこで働く人たちの質を高めていくことも、やはり政府としても、厚生労働省としても求めていくことが必要だと感じています。

 これまた私の友人の話で申し訳ないんですが、創薬ベンチャーの側からすると、いわゆるベンチャーキャピタルや金融機関において、自分たちはこういう研究をしているんだ、AIによってこれぐらいスピード感が速まったんだ、そういう話をすると、なかなか、ライフサイエンスの分野の専門家同士のコミュニケーションができないという課題が実は現場にはあるんですね。そうすると、創薬ベンチャー側が主張した成果とかそういったものをなかなか技術的に理解ができずに、結果として、どのぐらい投資をして、どのぐらい早くリターンが返ってくるのか、そういった話に終始してしまうようなんですね。

 これはやはり、創薬のような専門分野のベンチャー企業にとっては非常にうまくいかない原因の一つにつながっておりますので、今現状、日本において、ライフサイエンス分野の人材育成についてどのような取組をしているのか、お答えいただきたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 ライフサイエンス分野における臨床研究の推進、そういう意味で、国民の生命、健康を守る新薬の創出という分野に限ってお話をしますと、その人材育成を推進するということは喫緊の課題だというふうに考えております。

 こうした人材育成に関しましては、一つは、文部科学省さんにおいて、大学院等での研究者の養成が行われております。我々厚生労働省の方でも、質の高い臨床研究を行うという観点から今取組を進めておりまして、一つは、日本の臨床研究をリードする医療機関である臨床研究中核病院を通じまして、こうした臨床研究を担う従事者に対して直接研修制度を設けて、まさにどのように臨床研究を進めるのか、その技術も含めて研修を行っております。

 あわせまして、研究計画を策定する際に中心的な役割を担う生物統計家、これの養成が求められておりまして、産業界や大学と連携して、大学院に生物統計家を育成する講座を厚生労働省として設置する取組を進めております。

 こうした、文科省そして厚生労働省含めまして、産官学が一体となって臨床研究を担う人材育成に取り組んでまいりたいと思います。

金村委員 ありがとうございます。

 文科省の方の課題になるのかもしれませんが、やはり博士号を取得した人がきちんと社会において評価されるという市場があれば、スタートラインから、学生の段階から、それを方向性として学生が選択することができると思うんですけれども、現状、そういった専門家になっても就職口が余りいいところがない、所得にも反映されない。そうすると、社会人になってから実は必要とされることというのはあると思うんですね。つまり、専門家になれば、業域や領域が変わって、自分の所得に反映していく。社会人が大学院に行くとか博士号を取得する、まあ大学側がどれだけ協力していくかにもよるんですけれども、厚生労働省として、ライフサイエンス分野に限ってそういった応援をしていくというのは僕は選択肢としてあると思いますので、また一つ、検討というか一つの案として聞いていただければと思います。

 その上で、これまで創薬や製薬の話を二回にわたってさせていただきましたが、今日は、医療全体に少し目を向けていきたいと思います。

 私は、かねてより、これまで患者さんの病気を治すことが当然医師の役割だったと思うんですけれども、これからは、社会を治すというところにまで深くドクターがコミットしていくことがこれからの未来に必要なんじゃないかと。例えば、健康寿命を最大化していく、健康リテラシーを向上させていく、そういった観点で考えたときに、先日、厚生労働省の方と意見交換をしたときに、社会的処方という言葉が出てきたんですね。私、実はそれは初めて聞いたワードでしたので、せっかくの機会なので、この社会的処方に対する取組、御披露いただきたいと思います。

後藤国務大臣 今委員からお尋ねのありましたいわゆる社会的処方とは、かかりつけ医等と保険者が協働いたしまして、患者の社会生活面の課題を情報共有して、地域の相談、援助等の支援につなげていくことで、患者の健康面、また社会生活面の課題の解決を目指す、そういう取組でございます。

 具体的な取組は地域によって様々でありまして、今御紹介していただいたように、厚生労働省では、令和三年度から全国七つの地域でいわゆる社会的処方についてのモデル事業を実施しております。

 例えば、秋田県では、かかりつけ医が問診票を用いて患者が抱える社会的課題を抽出しまして、地域の社会資源と結びつける調整役となる専門職と連携をいたしまして、患者を相談窓口や憩いの場など社会資源につないでいく、そういうような社会的な事業が実施されております。

 令和四年度もモデル事業を継続しまして、取組の推進に向けた課題を整理した上で、地域の実情に応じていわゆる社会的処方の取組を更に推進してまいりたいと思います。

金村委員 ありがとうございます。

 医療にとって非常に、僕自身にとってはチャレンジングな取組だと思いますので、是非、その実証実験の結果も踏まえて、広く日本の国内に展開をしていっていただきたいと思います。

 その上で、医師の役割を拡大化していくという自分の考え方に基づいて、もう一回この医療の構造みたいなところを少し考えてみたんですけれども、本来、ドクターというのは、患者さんの病気を治して、それが生活の糧になっていくわけですね。つまり、病気の人が減っていけば減っていくほど実はドクターの役割が減っていってしまう、逆回転みたいな話が存在していると思っていまして、だからこそ、例えば健康寿命を最大化する、いわゆる国民の健康リテラシーを向上させていくと考えたときに、予防医療だったり、それから医師の情報発信、こういったところがドクターの生活の糧の方に入っていければ、少子高齢社会の中でも、医師がまさに社会の中でしっかり役割を担っていくことにつながるんじゃないかと私自身は考えております。

 そこで、ちょっと順番、質問が逆になっちゃいまして、四番の質問からさせていただければと思います。

 これは患者さんの側になると、一方的に例えばインターネットなんかでドクターがいわゆる情報を発信していても、その他大勢の情報になってしまうわけですね。ですが、患者さんからすれば、かかりつけ医なのか、それとも自分が信頼、安心できるクリニックやドクターなのかによって、いわゆる医師が発信した情報にやはり価値が生まれてくると思うんですね。

 そういった観点に立つと、疾病でなければ診療報酬の枠組みには入らないと理解はしておりますが、改めてお伺いさせてください。予防医療や医師の情報発信がいわゆる診療報酬の枠組みに入ることは可能なのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 公的医療保険につきましては、その発生が偶発的で予測できない疾病や負傷といったリスクに対しまして被保険者相互の支え合いによって備えることを基本的な考え方としておりますので、現に疾病や負傷が生じていない状態で、任意に受けることができる疾病予防につきましては、保険給付の対象とはしていないところでございます。

 この疾病予防を保険給付の対象とすることにつきましては、このほかに、がん検診や予防接種など、幅広い疾病予防の取組をどのように整理するのか、医療保険財政が極めて厳しい中で保険者の理解が得られるのかなどの課題があり、慎重な検討が必要と考えております。

 他方、疾病の重症化を予防する観点から必要な診療が行われた場合につきましては診療報酬上の評価を設けているところでございまして、例えば、糖尿病患者の透析移行の予防を図るために、医師と看護師、管理栄養士等がチームを設置しまして、連携して生活習慣に関する指導を行うことへの評価などを設けているところでございます。

金村委員 確かに、幾つもハードルがあることはよく理解できました。

 ですが、患者さんの側に回って、いわゆる予防とか情報発信をしっかり受け止めるという観点に立つと、実は、診療報酬の方が安心してその情報をそしゃくできるという観点もございますので、この問題は非常に根幹的な問題ですので、この中で行ったり来たりしてもなかなか解決はできないと思いますが、そういう視点を持って私自身は考えていきたいと思います。

 その上で、今、我が国において国民の健康リテラシーを向上させるためにどのような取組をなさっているか、一つお伺いさせてください。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 国民の健康リテラシーを向上させ、正しい情報を基に予防・健康づくりに取り組んでいただくことは重要であると考えております。

 厚生労働省では、国民の健康増進の推進を図るための基本方針であります健康日本21、第二次におきまして、適切な栄養、食生活、適切な運動、禁煙等の具体的な目標を掲げまして、ライフステージに応じた予防・健康づくりの取組を、例えば医師会や自治体、それから民間企業、アカデミア等と一緒になって総合的に推進をしているところでございます。

 こうした予防・健康づくりに係る取組について普及啓発を進めるために、生活習慣病予防のための健康情報サイトであるe―ヘルスネット、あるいは女性の健康に関する情報提供サイトであります女性の健康推進室ヘルスケアラボなどを通じまして、国民への情報発信を行っております。

 加えて、健康増進事業を通じまして、自治体が行う生活習慣病や喫煙に関する健康教育等につきまして国庫補助を行い、自治体の取組を支援しているところでございます。

金村委員 やはり、健康寿命の最大化、それから国民の健康リテラシーの向上、これは、私は、医療の側から見れば、予防医療や、そしてドクターのいわゆる情報発信が重要だと思っています。

 他方、日本においては、例えばヘルスケア産業が当然ございますね。医療からじゃないアプローチとして健康意識が向上したり、例えば、これまで元気のなかった方が元気になる、処方じゃないですけれども、そういったものがいろいろあると思うんですけれども、一方で、このヘルスケア産業が、無数のように商品が出て、何を選択すればいいか国民が分からない状況というのはやはり余りよくない環境だと思うんですね。そうであれば、ヘルスケア産業がエビデンスをしっかりと蓄積していくために、例えば厚生労働省とどのような連携をして、どういった取組をしているのか、この視点を教えていただければと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 予防・健康づくりを進めるためには、国民や医師が安全、安心にヘルスケアサービスを活用できる環境を整備することが重要だと考えております。

 経済産業省といたしましては、厚生労働省と密に連携いたしまして、ヘルスケアサービスの適切な提供に向け、業界による自主的なガイドラインの策定を支援するとともに、予防・健康づくりに関する非薬物的な介入手法について、医学会が主体となってエビデンスの整理を行う、こういうことを支援しております。

 これらの取組を通じまして、国民や医師が安心してヘルスケアサービスを選択できる環境を整備するとともに、質の高いヘルスケアサービスの創出を推進してまいりたいと思います。

金村委員 ありがとうございます。

 やはり、ヘルスケア産業の商品においては、厚生労働省がしっかりとコミットした形で、結果としてエビデンスが蓄積していく、それで安心、安全な商品を国民が手にするというところをしっかり担保していくことが産業としての発展にもつながると思いますし、また、国民にとっては一番豊かな選択肢につながると思いますので、どうか御尽力いただきたいと思います。

 時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

橋本委員長 次に、吉田とも代君。

吉田(と)委員 日本維新の会の吉田とも代です。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 先ほど、我が党の金村議員の方からも言及されましたが、私も、成年年齢の引下げについて、まずは一つ質問させていただきたいと思います。

 令和四年四月一日から民法の一部を改正する法律が施行され、成年年齢が二十歳から十八歳に引き下げられました。それに伴い、本年三月三十一日に、政府は、アダルトビデオ出演強要問題対策パッケージを策定し、この中で、若年層に向けた教育、広報、啓発等の強化として、大学、短大、高校に向けた周知や、十代、二十代をターゲットにしたSNS広告を行うこととし、また、四月の若年層の性暴力被害予防月間において、集中的な広報啓発活動を行うこととしています。

 そこで、質問させていただきます。政府は、これらの啓発活動が対象となる世代にどの程度浸透していると考えていらっしゃいますか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府では、成年年齢の引下げに伴い、若年層のAV出演強要などの被害の予防のため、本年四月の若年層の性暴力被害予防月間に合わせ、ポスター、リーフレット等を作成し、大学などに配布をするとともに、チラシを作成して、文部科学省に対して各教育委員会を通じて高校などについても周知を依頼したところでございます。

 また、啓発動画を作成をいたしまして、十八歳、十九歳の方々に直接届くように、若い人たちがよく見るツイッター、インスタグラム、フェイスブック、ユーチューブなどのSNSで周知を実施するということをしております。また、さらに、広く一般に向けて、首都圏の主要な路線のトレインチャンネルにおいても動画による周知を行ったところでございます。

 さらに、先般、若年層に影響力を持つインフルエンサーを登用して、十八、九歳を含む十代、二十代を対象にした若年層の性暴力被害予防に関するオンラインイベントを実施したところでございまして、動画の視聴数は三万回以上となっております。

 ただ、私ども内閣府の令和元年度の調査によりますと、若年女性の約四人に一人がモデルなどに勧誘された経験がある、二四・六%の女性がモデルなどに勧誘されたことがあったということ。それから、勧誘されたことのある女性のうち、一三・四%、約七人に一人が、聞いていない、同意していない性的な行為などの撮影要求を受けたことがあったという調査結果が出ておりまして、更にこの問題に関する周知が必要であるというふうに私ども認識しているところでございます。

吉田(と)委員 今御紹介いただきました若年層の性暴力被害予防月間イベント、この動画の視聴回数というのが、令和三年度は約一か月間で八百九十二回の視聴だったと聞いておりますけれども、本年の三月十七日実施のインフルエンサーを招いてのイベント、こちらは約半月弱で三万三千八百三十三人の方が御覧になられたということで、この企画、そのインフルエンサーの方の影響もあったかと思いますけれども、効果的だったと私も思っております。

 こういったイベント、昨年も、令和三年も強化月間で一度、そして今年もこの三月に行われたということですけれども、この先、こういったイベントの企画はございますか。

林政府参考人 現在、私どもでこれから更に取り組もうと思っておりますのは、「アダルトビデオ」出演強要問題緊急対策パッケージの中で、新たな広報啓発の取組として、AVの出演被害に関する手口について更なる情報収集を行いまして注意喚起を図るべく、今後、関係団体からのヒアリングなどを行い、来月を目途にホームページなどにより周知をしていくということを考えております。

 引き続き、AV出演被害の防止に向けまして、関係省庁と連携をしながら、SNS、また様々なチャネルを活用しながら積極的に広報啓発を行ってまいりたいと存じます。

吉田(と)委員 今、これからまた手口等について御紹介をいただけるということでしたけれども、まず未然防止に向けて、先ほどのこういったイベントも効果的だと思いますし、またポスターやリーフレット、こちらの啓発、これはやはり地道に続けていく中での成果だと思うんですね。こういった両輪の活動がまず必要であると私も思います。

 また、何も知らないということが一番怖いわけで、被害に巻き込まれる可能性を少しでも低くするためには、やはり学校現場での活動というのも必要だと思います。こちらの教育の充実においては、文部科学省さん等と連携をしながら、しっかり強化を進めていただきたいと思います。

 今、啓発広報活動については御紹介をいただきましたけれども、今後どのような対策が更に必要で、今課題はどんな点が課題なのか、お聞かせいただいてもよろしいでしょうか。

林政府参考人 私ども三月の三十一日に緊急対策パッケージを決定をいたしております。そのうちの一つの柱は、教育、広報、啓発の強化ということで、ただいま御紹介したとおりでございます。

 もう一つ重要というふうに考えておりますのは、各種の法制度についての運用強化ということで柱を立てておりまして、被害者保護に係る様々な法制度がございます。これを、関係する相談窓口、例えば性暴力、性犯罪の被害者のためのワンストップ支援センターというものが全都道府県に、五十二か所にございます。こちらや、警察、また日本司法支援センター、いわゆる法テラスなどに周知をいたしまして、もし被害に遭われた方が来たら、すぐ弁護士を紹介し、そして必要な手続を取るという体制の強化をするということで取り組んでいるところでございます。

 また、さらに、現在、各党の国会議員の先生方の間で立法措置についても御検討されているというふうに伺っております。

 行政府としては、パッケージで、行政府としてできることは全てやるということでやっておりますけれども、国会議員の先生方の間で立法府として立法措置を新たに検討されているということでございますので、そちらの方は、行政府としては引き続き見守ってまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 今御紹介いただきました、性犯罪、性暴力被害者の相談窓口、ワンストップ支援センターなんですけれども、こちらへの相談件数は、令和二年度は五万件、令和二年度の上半期、二万三千二百八十六件でしたけれども、令和三年度の上半期の件数は二万九千四百二十五件と、約一・三倍も増加をしております。

 このワンストップ支援センターは、先ほど御紹介いただきましたけれども、五十二か所、各都道府県最低一か所設置をされております。

 令和一年度の調査ですね、こちらでは、相談件数の延べ件数の中では、電話の相談が最も多く、また、被害から相談に至るまでの時間としては、七十二時間以内が最も高い二三・九%を占めておりました。被害者の年齢といたしましても、面談方法の場合は、十九歳以下の被害者の方が四〇・六%と面談全体の約四割を占めており、中学生以下に限っても被害者の約二割であったということです。

 これはやはり被害の若年化を表していると私は思っておりまして、加害者との関係においては、知らない人が一二%、そしてまた、SNS、ネットで知り合った方が一一・四%と、やはりこちらも一割以上を占めており、かなり私は危険な状態だと思います。

 このセンターでの課題としましては、やはり相談体制がまだまだ不足しているということで、五十二か所中三十か所のセンターが、支援員のなり手が少ないという声があります。また、夜間、休日体制においても、三十五か所のセンターが、確保が難しいとおっしゃっていますが、電話相談の受付時間としましては、相談窓口、十七時から二十二時の受付が約二割弱を占めており、やはり夜間の体制の強化も必要だと思いますので、こういった相談体制の強化も内閣府として是非取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 この法案の緊急承認の枠組みで今接種が進んでいる新型コロナワクチンの承認を行ったとすると、これまでの特例承認と比較して、新型コロナワクチンは約二か月程度早く使えるようになった可能性があると厚生労働省は説明をしています。

 一般的には、感染症の流行期間が二年以内に終わるケースもあるかと思われますが、仮に二年以内にワクチン接種事業そのものが終了した場合、ワクチン接種事業が終了した時点からであっても有効性の確認作業を続けなければならないのでしょうか。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急承認制度、御紹介いただきましたように、有効性について推定の段階で承認を行いますので、期限二年プラス一年ですね、一年の中で改めて有効性の確認をお願いするということでございます。

 今、ワクチン接種事業、それによって感染状況の収束というのでしょうか、感染者が少なくなった場合ということでございますが、我々としては、いずれにしても、推定の段階で承認を与えて期限内に確認をお願いするというのは方針は変わりませんので、原則としては第三相試験で、感染者が急速に減少した場合などはリアルワールドデータの活用などをお願いするということでございます。

 実際には、大抵、医薬品の開発、第二相なり第三相でもそうですけれども、試験結果が出て、まとめて申請するわけでございますが、その間に次のステージの試験を実施しておりますので、実際には、仮にワクチン接種事業をして感染者が収束するような時期があれば、それまでの間に一定程度のデータは集まるものだろうというふうには推測するわけでございます。

 ただ、いずれにしても、ワクチンなり治療薬の開発状況によって、個々の製品あるいは個々の疾患によって状況が違いますので一概に申し上げられませんが、必要なデータを求めて、それを踏まえて評価をするということでございます。

吉田(と)委員 今の御答弁から、安全性の確証が得られるまでは継続をする、また、有効性が分からないまま放置することはないということで理解ができました。

 こちらは、途中で例えば終わってしまったとしても、安全性の確証が得られるまでは続けられるという理解でよろしいんでしょうか。

鎌田政府参考人 今、安全性について御指摘をいただきましたが、この緊急承認制度は、安全性は確認された前提で、有効性について推定の段階で承認でございますので、何度かこの委員会におきましても安全性の確認の仕方等についての御指摘はいただきましたが、承認するということは安全性は確認するものでございます。

 御指摘いただきました、一定期間内に、承認後に確認というんでしょうか、データを集めて、我々の方で審査するのは有効性でございまして、有効性については推定で承認しますので、その承認後に出していただきましたデータを踏まえて確認する、それで確認できなければ、承認の場合は取り消すとか、そういった対応になるというものでございます。

吉田(と)委員 失礼いたしました。

 有効性の確証が得られるまで続けていかれるということですけれども、不測の事態に備えるためには、いつ頃までにそれを終えるのか、また、リアルワールドデータもどのくらいの規模で取り終えるのか、こういったデザインというものをしっかり決めておかないといけないと思います。また、データが出てこなかったら期間の到来とともに失効してしまうわけで、できる限り確認をしていき、常にスタンバイをした状態で待っていけることが大切だと思いますので、次に備えるように、準備を引き続きお願いしたいと思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 WHOの定義によると、セルフメディケーションとは、自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすることと定義をされています。

 後藤大臣は、御自身のセルフメディケーションとしてどのような取組をふだんからなさっていますか。また、税制としてのセルフメディケーション、自主服薬推進のためのスイッチOTC薬控除を利用されたことはございますか。

後藤国務大臣 今委員御指摘のとおり、セルフメディケーションについては、WHOにおいて、自分自身で健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすることとされているものと承知しております。

 私自身も日常生活の中で心がけているところですが、もう少しスマートにしないと余り説得力がないというふうに今思っております。しかし、自ら心がけることは大切だというふうに思っております。

 また、国としても、少子高齢化が進む中、限りある医療資源の有効利用を図るために、セルフメディケーションを推進することは医療政策としても重要だと考えております。

 また、健康の維持増進を図るために、今御指摘のあった、いわゆるスイッチOTC医薬品を購入した方が税制優遇が受けられるよう措置することで、その普及に努めているところでございます。

 大臣になる前、私、実を言うと、某党において税調のインナー幹事を七年間やっておりましたので、スイッチOTC医薬品、三年度には、三症状群に対する四薬効や、その四薬効と成分が同等ないしは類似のものについて、税制を特別に、租税特別措置をつくったことについては関わっておりますので、よく承知しておりますが、これまで税制を活用する機会がなかったために、今後、機会があれば、税制を利用しながら、セルフメディケーションに努めていきたいと思っております。

吉田(と)委員 後藤大臣、ありがとうございます。

 立ち上げから関わっていらっしゃった後藤大臣に、セルフメディケーションに積極的に取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございます。

 こちらのセルフメディケーション税制の適用人数なんですけれども、平成三十年は二・六万人、令和元年は三万人となっています。これは、医療費控除の適用人数、平成三十年の七百六十万人、令和元年の七百五十六万人と比較しますと、桁が二つ違っています。

 この数字は、厚労省としては、想定の範囲内なのでしょうか、あるいは思ったよりも低迷をしているのでしょうか。もし低迷をしているとお考えでしたら、このセルフメディケーション税制の利用者数が低迷している要因として、どのように分析をなさっているでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 セルフメディケーション税制の利用者数でございますけれども、制度創設当初、いわゆるスイッチOTC医薬品の購入実績を踏まえて当時想定した利用者数に比べますと、低い水準だったと認識しております。

 その理由としましては、一つは、セルフメディケーション税制ではなくて、さっき先生が御指摘いただきました医療費控除、こちらを利用される方が多いということが考えられます。

 それからもう一つが、そもそも確定申告をしないと税制が受けられないものですから、我々の周知不足もあると思うんですけれども、確定申告をされないために利用されていないというようなことが、そういう事情があると考えております。

吉田(と)委員 このセルフメディケーション税制の利用人数を増やすためには、対象とする医薬品数の更なる拡大、そして、減税効果を高めるために購入費用から差し引く下限額の引下げ、そして、現行の医療費控除との統合などを通じた制度の拡充などが考えられると思いますが、この点についての厚生労働省の見解をお教えください。

伊原政府参考人 少子高齢化が進む中、限りある医療資源の有効活用を図るために、このセルフメディケーションを推進する、そしてその税制を広げていくということは重要だと考えております。

 先ほど大臣からも御紹介がございましたけれども、令和三年度の税制改正大綱で見直しを行いました。

 一つは、このときが税制措置の一つの期限だったものですから、五年間延長しました。

 さらに、対象の医薬品につきましても、スイッチOTC成分の中でも医療費適正化の効果が低いものは対象外としつつも、スイッチOTC以外の成分であっても医療費適正化効果が見込まれるものは対象とするなど、対象成分を大きく増やしました。

 それから、手続面で確定申告などがしやすくなるように、申告に必要な領収書等について手元で保管していても差し支えないとするといった手続の簡素化を行ったところでございます。

 この新しく更新された制度につきましては、令和三年度の税制改正大綱におきまして、今後、効果検証、評価を行いまして、次の適用期限の到来時、令和八年十二月ですけれども、そこに、評価を踏まえて制度の見直し等を含め、必要な措置を講ずるとされております。

 こうしたことも踏まえながら、今後、この税制の利用状況、そうしたことを、更なる活用方策について検討してまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 見直しをして、改善をしていただいたと、OTC薬の更なる拡充、それから手続の簡素化を進めていただいたということですけれども、下限額の引下げを行ったり、医療費控除と併用ができるようにすれば、なお利用率というのが上がると私は思いますので、是非、五年ごとの税制改正のときにこちらも検討をいただきたいと思います。

 なかなか領収証が、所得控除で、例えば十万円ということでしたら、風邪薬を買って、年間、今、一万二千円払う人がどれだけいらっしゃるかという観点もあるかと思います。控除と併用することで医療費が抑えられるという観点もありますし、セルフメディケーションを推進することで、保険給付が下がって、トータルで医療費が下がると思いますので、是非、見直しの検討をお願いいたします。

 続きまして、最後の質問に移らせていただきます。

 四月八日の、私、厚労委員会の質疑におきまして、イベントワクワク割について質問をさせていただきました。

 このイベントワクワク割においてワクチン接種歴を要件とするには、ワクチン接種に一定の感染予防効果が期待されていることが前提となるのではないかと思っております。

 現在主流となっておりますオミクロン株BA・2に対する既存の新型コロナワクチンの感染予防効果を、厚生労働省としてはどのように評価していますか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 成人につきまして、オミクロン株に対する新型コロナワクチンの一、二回目接種による感染予防効果は、経時的に低下することは分かっておりますが、三回目の接種により回復することが確認されております。

 なお、この研究においては、オミクロン株のBA・1とBA・2については区別はされていないという状況になっております。

 また、英国の健康安全保障庁の報告によりますと、新型コロナワクチンの三回目の接種の効果につきまして、これは感染予防効果ではありませんが、発症予防効果と入院予防効果は、オミクロン株BA・1とBA・2の双方に対して同様の効果があったというふうに報告がされております。

 一般に、新しい変異株に対する感染予防効果は測定するまでに一定の時間が必要でありますけれども、オミクロン株BA・2に対する新型コロナワクチンの三回目の接種の感染予防効果についても、引き続き、専門家の意見や最新の科学的知見を収集、分析してまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 今の御答弁から、BA・2に対する知見というものはまだ出ていないのではないかなとちょっと認識をさせていただいたんですが、知見がないものに対してワクチンを打つというのはやはり危険があると思いますので、それに対してこのワクワク割、割引をするというのはいかがなものかと思いますので、こちらも併せて検討をお願いしたいと思います。

 それでは、時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

橋本委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私は、先ほどお昼休みに、実は献血にちょっと行ってまいりました。今、お話をお聞きしますと、コロナで会社に出勤されない、また学校も行かれないということで、集団で献血をしてくださるところも少なくなって結構大変だということをおっしゃっておりました。まだやっておられますので、是非皆様、行っていただけたらと思います。四十分ほどかかりますので、時間は必要だと思いますが。

 では、我々維新は、是々非々で政策を進めていくという政党でございます。そこで、今回、立憲民主党さんが出していただいたコロナかかりつけ医について御質問をさせていただきたいと思っております。

 政府が新経済・財政再生計画改革工程表の中でかかりつけ医に関する議論を進めている中で、なぜコロナかかりつけ医制度の整備を図る必要が今あるのか、お聞かせいただけたらと思います。

山井議員 一谷先生、御質問ありがとうございます。

 今回のコロナ禍では、コロナに感染された患者の方々への医療アクセスが確保されず十分な医療が届かなかったということで、自宅放置死や高齢者施設死といった事態を招いてしまった。このことは最大のコロナ対策の課題だと思います。

 そこで、高齢者等の重症化リスクの高い方々について、自らのコロナに係る健康管理や病状が急変した場合の他の医療機関等との調整を一括して行うコロナかかりつけ医を平時の段階から登録できる制度をすることにより、感染症有事の際にも確実に医療にアクセスできる体制を整える必要があると考え、コロナかかりつけ医制度を提案いたしました。

 政府は確かに改革工程表に基づいてかかりつけ医に関する議論を進めているとのことですが、かかりつけ医の普及にはまだまだ多くの時間がかかることが見込まれます。今後、リバウンドや感染拡大の第七波が来て全国に感染者が増える可能性もある中で、急いでスピーディーに対応しなければ更に自宅放置死が増えることになりかねません。改革工程表ではスピードが実現のために遅過ぎるため、今回の議員立法を提出いたしました。

一谷委員 ありがとうございます。

 ちょっと私の質問通告がうまくいっていなくて、ちょっと聞いていただけたらというふうに思うんですけれども、私は、かかりつけ医の制度が余り進んでいないのだというふうに考えたんですが、二〇一九年九月に公表されました内閣府の医療のかかり方・女性の健康に関する世論調査、これは、回答数が二千八百三名ということになっておりますが、何と五二・七%の国民の方がかかりつけ医を持っているというふうに答えておられる。同じような調査をしてみると大体同じような数字が出るということになっています。

 この中で、一つ事件も聞きました。実は、自分はドクターがかかりつけ医だと思っているのに、行ってみると、いや、かかりつけ医じゃないよと言われたと。これは実際にあったお話らしいんですが、そんなところもあって、コロナかかりつけ医というものを考えておられるんだと思います。

 私、我々が是々非々で判断していくときのためにいろいろ御質問をと思っておったんですが、まず、医師の手挙げというところ、手を挙げていただいてというところなんですが、医師は手を挙げてくださる方がどれぐらいいらっしゃるのかなというところもすごく疑問に思っております。高齢化が進む中で、地域のクリニック、診療所の先生も今非常に大変だというところで、このコロナのかかりつけ医に手をどれだけ挙げていただけるかというところもあります。

 また、私の認識では、基礎疾患を持っておられる方であれば、ドクターは訪問されたりとか注意を払われるというふうに思います。問題は、基礎疾患を持っておられずに、日頃なかなか病院にかからない方で独居の方であるのではないか。そうすると、なかなか、コロナかかりつけ医で、両方、手挙げで、手を挙げているところで本当に在宅で亡くなる方を防ぐことができるのかというところが非常に考えているところでもあります。

 また、コロナかかりつけ医になれば、多分、夜間も休日もなくなっての体制になると思いますので、更なる負担もかかるというところが私の中で非常に疑問に思っているところです。

 また、あわせて、コロナかかりつけ医をやっていく中で、これから高齢化が更に進む、ドクターも足らない、医療従事者も足らない中で、やはりICT化や、またIoT化、物とインターネットを結んでですね。今もありますね。お湯を出さなかったら通達が来るとか、センサーも非常に高度になってきておりますので、そういうのも併せてお話を進めていくことによって現実味が出てくるのではないかというふうに思いますし、こういったIoTの機器の開発は、多分、世界に役に立つものになり、日本の新たな産業が生まれていくのではないかというふうに思っております。

 また、私ごとですけれども、私は柔道整復師なんですが、実は七万人も日本にいます、従事者が。有事になれば、もう医療従事者総出になると思いますので、私のような柔道整復師や、鍼灸師もいますし、あんま、マッサージもいますけれども、そういった医療従事者も地域に非常に根づいていますので、活用を一緒に考えていただけたらどうかなというふうに考えております。

 これは生命倫理の話になってくると思うんですが、実際の話で、感染が始まった当時、患者さんが五人、ECMOも要る患者さんが五人いる、しかし一台しかない、じゃ、これをどうしたらいいんや、これをドクターが決めるんかというところで非常に悩まれたドクターの話もよく聞き、最終的には、やはり患者さんというか患者さんの家族に、話し合ってくださいというような、誰が使うかということを患者さんの方で話して決めてくださいというようなことも聞きました。ですので、こういった生命倫理の話も一緒に進めていくことが必要ではないかというふうに考えております。

 私の質問通達がうまくいかずに、これらの質問、本当は御回答いただきたかったんですが、まず最初の対案についての質疑はこれで終わらせていただきます。ありがとうございます。

橋本委員長 じゃ、衆法提出者はどうぞお戻りください。

一谷委員 では、続きまして、昨日の参考人質疑の中で、電子カルテの普及がなかなか進んでいないというお話をお伺いしました。そこで、なぜ電子カルテの普及が遅れているかというところの御回答をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 質の高い医療の提供に向けまして、業務の効率化や地域の医療機関の連携強化の観点から、医療のデジタル化を進めるために、電子カルテの普及は大事なことだと思っております。

 先生の方から、その普及が進んでいない理由は何かというお話でございますけれども、一つは、電子カルテのいろいろな、ベンダーと呼ばれる事業者さんが細かく分かれていまして、やはり、それぞれ導入するに当たりまして、やや標準化ができていないがために普及が一足飛びに進みにくい、あるいは地域間で情報が共有できないとか、そういう制約がございます。それからもう一つは、やはりコストの問題。大きな病院は比較的導入されておりますけれども、町場のクリニックなんかになりますと装備率が低いというようなことがございます。それが背景でございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 電子処方箋を生かしていくときには、最終的にはやはり電子カルテと融合させていかなければならないと考えておりますし、また、先ほどおっしゃいました、大病院ではかなりカスタマイズをしてしまって、連携がしにくくなっているというところもあります。やはり、大病院のカスタマイズであるとかいうところ、連携をしていくためには、何か、他の診療所と診療所をつなぐ、又は、多分、そんなカスタマイズをしていると、電子処方箋ともつながるということが難しい現状になってくると思うんですが、その辺り、国主導で基盤をつくるというお考えがあるかどうかをお聞かせいただけたらと思います。

伊原政府参考人 御指摘のとおり、やはり今の電子カルテの普及に当たっては課題がございますので、それを乗り越えていかなきゃいけない。

 さっき申し上げましたように、あるいは先生からもお話がありましたが、やはり、医療機関の間で使われている電子カルテのシステムが違うので、それを情報共有するに当たっていろいろ支障がある、なかなか進みにくいというのがございます。

 そうした中で、今、異なる医療機関の間でも診療情報を円滑に共有できるように、そもそも電子カルテのシステムの標準化、これを、作業を進めております。

 先月、そこで、診療情報提供書など、特に医療機関の間で相互に使われることの多い書類に関しまして、共通の標準規格を定めました。今後、この標準規格に基づきまして、各システム事業者が、これに準拠した電子カルテの開発が急ピッチで進む予定になっております。これを医療機関に普及させるために、まさにこういう電子カルテを入れるときに国として支援する基金がございます、医療情報化支援基金というのがございますが、これを使って全国の医療機関に普及させていきたい、このように考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 その基金は、やはり小さな、小さなと言ったら怒られますけれども、町の診療所やクリニックであっても電子カルテの導入は進めていかないといけない、過疎地であってもそうだと思うんですが、その辺の、大きなところ、中堅だけでなく、小さなクリニックまで電子カルテの導入についての支援があるのかどうかというところをお聞かせいただけたらと思います。

伊原政府参考人 まだ具体的な詳細は決めておりませんけれども、さっきも申し上げましたように、大きな病院はもう既にシステムを導入しているところは多うございます。我々としましては、特に中小医療機関への支援が大事だと考えておりますので、先生御指摘のような方法で考えたいと思っております。

一谷委員 ありがとうございます。

 やはり、いつまでに導入を進めるかというところも決めていっていただけた方がいいかなというふうに思っております。地域包括ケアシステムの中で、やはり病院の情報というのを共有できるような体制づくりがこれから訪れる高齢化社会では非常に重要だと思いますし、電子化することによって、ビッグデータにしたりとか、本当にこの診療が効果的なのかというところの分析もできると思いますので、なかなか導入は難しい面が多々あると思いますが、進めていただけたらなというふうに思っております。

 では、次の質問をさせていただきます。

 我が国においてコロナの医薬品開発に対してどのように対応してきたのかというところを改めてお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 我が国における新型コロナウイルス感染症の治療薬の開発についてどのように支援してきたのかということについて、お答えしたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症の治療薬の研究開発につきましては、まず、公募によりまして、AMED、日本医療研究開発機構の事業を通じまして、これは大学や研究機関等に対して基礎研究等の支援を行っているところでございます。

 具体的には、令和二年度補正予算では、新たな作用機序等による治療薬開発研究に五十億円、また、新型コロナウイルス感染症に対する治療法の確立及び疫学調査の推進に関する研究開発に五十億円を措置、また、令和三年度補正予算においても、新型コロナウイルス感染症の治療法等の研究開発の支援に七十億円を措置したほか、今後流行し得る既知の新興感染症や未知の感染症に対する治療薬の研究開発の支援にも三十億円を措置しているところでございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 今、AMEDのお話をいただいてきましたので、ビジネスインサイダーという、ネットの、二〇一八年十二月十一日の記事ではありますが、記事を書かれた方は、第一三共の奥山亮さん、薬学博士の方であります。この方の、京都大学でノーベル賞を取られた本庶佑教授の記事を書かれている中で、日本の創薬が世界に勝てない理由というのがちょっと書かれているんです。

 その中で、例えば、医療研究開発革新基盤創成事業ですか、これが約十億ぐらい出るというような話がありますが、本当に創薬ができれば全額返すとしても返せるぐらいの利益が出るという話になっていますが、もし、創薬できなかった場合に、一定返金をしなければならない。この記事によると、十億のうちの一億分ぐらいは返金をしなければならないというふうに書かれていますが、そうなると、なかなか、チャレンジしようというところ、ベンチャーでは難しいような気もするんですが、もしお答えできたら、その辺りのこと、どちらでも大丈夫なんですが、お願いします。

伊原政府参考人 手元にその具体的な補助の資料がないのであれですけれども、恐らく、製薬の、例えばワクチン開発の場合、それから治療薬の開発の場合、そして、それがベンチャーを基盤とするところの資金需要に応えるのか、それとも大手の製薬企業に対して応えるのか、それぞれ資金需要とか用途があると思います。

 また、そのところに対する支援の方法として、先ほど御質疑にもございましたけれども、ベンチャーの支援ということでいえば、いわゆるマッチングファンドみたいなのを御紹介して支援する方法もありますし、あるいは、大手企業、今回のコロナ対策でいきますと、そういうマッチングではなくて、時間もないわけですから、国主導で巨額なお金を支援して、生産まで含めて支援するという仕組みがございます。

 そういう意味でいいますと、ちょっと一般論で答えるのは難しいんですけれども、それぞれのシチュエーションに応じて、それに適切な支援の仕組みをつくっていくということが大事だ、このように考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 また、今のでベンチャーが育ちやすい環境ができてくると思うんですけれども、育ったベンチャーは、やはり国益につなげていかなければならないというふうに思います。ただ、ベンチャーが、やはり、MアンドAされてしまったりとか、投資を受けてしまって、その投資額が大きくて、海外の企業になってしまうということも十分考えられると思うんですが、その辺、ベンチャーを守るというか、国益を守るための何かお考えがもしあれば、お願いできたらと思います。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今、世界的に見ますと、やはり、ベンチャー企業がシーズを持っていて、それを種に開発が進むというのは一つの潮流になっております。これは世界的に、アメリカにおいても、ヨーロッパにおいても、あるいはアジアの中でもそうした潮流が見られまして、なかなか、特定の国だけでどうこうするというふうにはなっていません。

 ただ、もちろん、当然のことながら、開発を自国でやれることによって、自国民に早く医薬品が提供できるということはそのとおりでございますので、それはやはり、契約の仕方の問題であるとか、あるいは、平時の場合であれば余りそういう制約はないと思いますけれども、有事の場合はかなり条件を厳しくして運用するとか、多分、それも、先ほどちょっと申し上げたように、個々のシチュエーションに応じて政策の中身を工夫をしていくことじゃないかというふうに思います。

一谷委員 ベンチャーを守る方法はよく分かりました。ありがとうございます。

 ベンチャーを育てていく中で、やはり人材が非常に重要になってくると思います。その中で、これも許可を得て、今日、記事を持ってきたんですが、日本薬学会ですね、佐々木茂貴先生が書かれているんですけれども、まず、研究者の数が非常に少なくなってきているというふうに書かれております。二〇二〇年の薬学六年制の課程において大学院博士課程進学者は二百三十一人で、その中身は、国公立大が五十五名、私立が百七十六名、四年制に基礎を置く博士課程が二百六十五で、その内訳は、国公立が二百十二名、私立が五十三名ということになっております。問題は、まず、薬学大学の入学定員が約一万五千人いる中で、博士課程へ行く方が五百人ぐらいしかいないということになっております。

 まず、人材を育てるというところも必要だと思いますが、また、その育てた人材が海外へ行ってしまったりしないようにする、人材に必要な人件費とかの考えがもしあれば、お聞かせいただけたらと思います。

伊原政府参考人 御指摘のように、研究開発の中では人材が全く中核的な柱になります。そうした意味で、そうした研究開発に携わる方をしっかり確保し、育てていくということは重要な課題だと思います。

 特にライフサイエンス分野は、今特に注目を浴びていまして、そういう研究者の確保が特に求められるところだと思います。

 そうした中で、国として実施していますのは、一つは、文部科学省さんが、こうした博士課程を始めとしたプロセスの中で、そうした要員を養成するということに力を入れておられます。

 厚生労働省におきましては、特に臨床研究、応用していく部分ですね、実際に臨床現場で使っていく部分に関しての研究者の育成に努めておりまして、一つは、臨床研究中核病院というまさに日本で治験とかそういうことをやる中核的な病院を定めておりますが、そこで臨床研究を担う従事者の研修などを一生懸命行っております。

 それから、あわせまして、産業界とか、あと、大学、例えば東京大学とか京都大学、ここと連携しまして、生物統計家という、まさに研究開発で特に日本で足りないところの養成講座を設けまして、育成などを進めております。

 国だけでできることには限りがありますけれども、そうした人材の養成にしっかり取り組んでいきたい、このように思っております。

一谷委員 ありがとうございます。

 次は、新型コロナウイルスについての質問に移らせていただきたいと思います。

 新型コロナ、感染症法上の分類について改めてお尋ねをいたします。

 新型コロナウイルス感染症は、感染症法上、新型インフルエンザ等感染症に位置づけられていますが、その要件は、国民の生命及び健康に重大な影響を与えると認められることと定められています。法律の要件を見ると、新型インフルエンザ等感染症として対策を進めるためには、単に未知のコロナウイルスというだけでなく、重症化の危険度や致死率の高さなど、数値的な根拠を基に判断することが必要だと考えられます。

 そこでお尋ねいたします。

 当該感染症が新型インフルエンザ等感染症に相当すると認められる具体的な基準と、誰がそれを判断しているのかというところをお聞かせいただけたらと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症は、感染症法におきまして、今御紹介がありましたとおり、「一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。」というふうに条文上、規定をされております。

 それで、これを位置づけるに当たりましての具体的な数値基準というのはございませんが、感染力及び罹患した場合の重篤性等を総合的に勘案しまして、専門家の意見も踏まえながら、厚生労働省において、この定義に該当するかどうかを判断しているという状況でございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 具体的な数値基準が決まっていないのは、法律の文言が曖昧だというところもあると思いますが、対策の在り方について、具体的な基準と現在の数値をそれぞれ示した上で行うことが国民の理解を得るためにも重要なことだと思います。

 そこでお尋ねいたしますが、新型コロナウイルス陽性者数の致死率や重症化率のデータを厚労省として保有していますでしょうか。保有しているのであれば、データの対象期間と内容をお示しいただければと思います。また、季節性インフルエンザのデータも併せてお示しいただけたらと思います。お願いいたします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 コロナウイルスのデータにつきましては、適宜、毎週開催しております厚生労働省のアドバイザリーボードというところで報告をいただいております。

 例えばオミクロン株につきましては、二月二日の厚生労働省アドバイザリーボードにおきまして広島県から報告された暫定的なデータによりますと、これは、御質問の期間は一月一日から十四日間までの期間においてでありますが、まず、死亡又は重症化する率は、六十歳以上で一・四五%、六十歳未満で〇・〇四%、致死率は、六十歳以上で〇・九六%、六十歳未満で〇%といった報告が行われております。

 また、御質問の季節性インフルエンザにつきましては、これは、三月二日のアドバイザリーボードにおきまして報告されましたレセプト情報・特定健診等情報データベース、いわゆるNDBを用いました分析によりますと、これは、期間は二〇一七年九月から二〇二〇年八月までの期間になりますけれども、死亡又は重症化する率は〇・一四%、致死率は〇・〇九%といった報告がなされているところでございます。

 ただし、この新型コロナウイルス感染症につきましては、重症者や死亡者が感染の拡大から遅れて発生するということを踏まえますと、今述べましたコロナウイルスについてのデータは下振れしている可能性もあります。引き続き、自治体等の協力を得ながら、厚労省としても情報の収集、整理に努めてまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございました。

 本来なら私も十八歳、十九歳の件について質疑もしたかったんですが、時間になりましたので、これで今日は質問を終わらせていただきます。

 どうも皆さん、ありがとうございました。

橋本委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いします。

 まず、新型コロナウイルスのワクチンについて、今の現状、また今後の在り方というものについてお聞きをしたいと思います。

 今回、アストラゼネカ製ワクチンについて、まず伺いたいと思います。

 報道でキャンセル、廃棄という言葉がタイトルに並びまして、私もそれを見たとき、ちょっとびっくりいたしました。正確な情報をお聞きしたいと思いまして、確認も含めて質問をさせていただきます。

 海外では、我が国に承認される前から、副反応として血栓症の報告がされていたところでありますが、その中でも承認をして、購入をして、そして今回、キャンセルと。また、廃棄も今検討されているということでありますが、この一連の経過と、また副反応についての関連性、これらについて伺います。

    〔委員長退席、高階委員長代理着席〕

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、ワクチンを確実に確保することは、国民の健康や生命を守る観点から極めて重要と考えておりまして、あらゆる可能性を視野に入れてワクチンの確保に努めてきたところでございます。

 御質問のアストラゼネカ社の新型コロナワクチンにつきましては、一昨年、令和二年の八月に、ワクチンの供給に関する基本合意を締結いたしまして、その年の十二月には、正式に供給契約を締結したという経緯がございます。この当時は、どの企業のワクチンが実際に開発に成功するかが明らかではなく、また、御指摘ありました血栓症につきましても、この段階ではまだ副反応として指摘されていない中での購入という経緯になっております。

 日本におきましては、その後、令和三年、昨年の五月に薬事承認がなされております。また、薬事承認の後、予防接種法上の位置づけを審議する厚生科学審議会におきまして、以下のような議論がありました。まず、血栓症の発生が若い世代を中心に認められていることから、諸外国において、比較的高年齢層における使用を推奨しているという状況にあるということをまず考える必要がある。それから、血栓症に関して妥当と考えられる対処法、治療法について、使用に先立ち、あらかじめ周知が必要である。こういうことなども踏まえて厚生科学審議会で検討が行われまして、昨年八月に予防接種法上の接種に位置づけられたところでありまして、予防接種法上は、日本国内では原則四十歳以上の方に接種するということとされたところでございます。

 他のメッセンジャーRNAのワクチンよりも、このアストラゼネカの接種の開始は結果として遅れましたので、また、原則として四十歳以上の方の接種を対象としたこともありまして、これまで国内での配送は二十万回程度というふうになっております。

 一方で、国際的また世界的に新型コロナウイルス感染症を収束させていくための国際貢献として、日本政府として、昨年六月から同社のワクチンを海外に供与をしておりまして、これまで約四千三百万回を海外に供与してきたところでございます。

 以上のとおり、同社のワクチンにつきましては、国内での使用のほか海外供与にも活用してまいりましたが、国として供給を受ける必要がないと考えられる部分につきましてはキャンセルをしておりまして、供給を受けないことが可能となっております。具体的には、四千万回分を既にキャンセルをしているところでございます。

 また、御質問のキャンセル料、キャンセルに関しまして、同社に対して違約金を支払う必要はございませんで、既に支払い済みの金額から、キャンセルしました四千万回分のために同社に生じた必要経費、これを除いた金額が返還されるということとなります。

 一方で、具体的な返金額につきましては、同社との間で秘密保持契約を締結していることから、お答えすることを差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 なお、このような秘密保持契約は、アストラゼネカ社以外の製薬企業とも締結しているところでございまして、キャンセルに関するルールの有無も含めまして、各製薬企業との間で合意が得られた事項以外は対外的に公表できないということを御理解いただきたいと思います。

田中(健)委員 質問していないことも、局長、お答えいただいて、二番、三番の質問なんですけれども、まだ一番の関連性だけを、また経緯だけを問うたんですけれども、御説明ありがとうございます。経緯と、また数の方は分かりました。

 それでは、今の中で言いますと、四千万回がキャンセルで二十万回が自治体ということ、また、海外への供給が四千万強ということで、二千万回ほどはまだその数から余ることになるんですが、これらはどのようにされるんでしょうか。

佐原政府参考人 二千万回分についてといいますか、残りの部分についてどのようにしていくのかにつきましては、これはアストラゼネカ社との間で秘密保持契約を締結していることから、これ以上の詳細を申し上げることはできません。申し訳ありません。

田中(健)委員 この二千万回は日本として契約しているもののことを言っているんですけれども、それであっても、アストラゼネカ社と打合せをして、ないしは話合いをしないとできないという理解でよろしいんでしょうか。

後藤国務大臣 今局長が答弁したのは、アストラゼネカ社との間で、いつ、どのぐらいの量を供給しているかということが秘密保持契約の対象になっております。

田中(健)委員 はい、分かりました。

 二千万回分については、報道によりますと、使い道がなく、有効期限六か月が切れて廃棄される可能性があるということが報道されておりましたので、これについてちょっと確認をした次第であります。

 それでは、それに関連しまして、先ほどの中で、海外に多くが、四千万強、割かれていたということでありますが、これは最初から、一億二千万回、このアストラゼネカ社と契約をされていますが、多くが割かれたうち、当初からこの分を海外にするということが決まっていたのか、ないしは、今回の副作用もあり、また遅れたこともあり、二十万回しか自治体では使われなかったという中で、余ってしまったという言葉が適切か分かりませんが、使わなくなったからそのような活用をしたのか、その点についてお伺いします。

佐原政府参考人 アストラゼネカ社製のワクチンも含めまして、日本からの海外供与六千万回というのを国際公約に掲げてございます。こちらにつきましては、昨年の秋の国連総会の中で、当時の菅総理から表明をしていただいているものでございます。

 これは日本で使わなくなったからということではありませんで、日本でも薬事承認され、また、四十歳以上の方については使っていただける有効な、薬事承認もされたワクチンでございます。

 一方で、世界ではワクチンが足りないという国もあり、国際貢献の中で、また先方の国からの要望に応じて、これらのワクチンについてお配りをしているというところでございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 私は、決して今回のアストラゼネカの対応が悪かったとか批判するところはなくて、やはりあの当時、二〇二〇年、恐らく六月ぐらいから、各社まだ開発ができていない中、今よりも本当に必死になって政府がワクチンに奔走していたというのは全ての皆さんが理解をしていると思いますし、先ほど局長からあったように、メーカーが、まだどこが先に開発するかということも分からない中、まず三社と契約をした。契約したときをテレビで見ていましたが、ああ、やったという思いをしたことも覚えておりますので、そこは否定するものではありません。

 それで、さらに、使わないものをずっと契約をしているならばキャンセルということ、今回、四千万回の決断も、キャンセルした方がいいと思いますし、また、日本では利用できないというか使っていないものを、今ありましたように、他国、特にワクチンが足りない国への供与ないしは協力というのもいいと思っています。

 その中で、唯一指摘をしたいというのは、やはりこれは税金で賄われておりますので、どれだけ費用がかかっているのか、また、どのような手段でこれまで供給ないしは活用がされてきたのかということが必要だと思う観点で質問をさせていただきました。

 事前にお聞きしますと、それぞれの単価についてはお答えすることが困難ということでありまして、これまで政府がトータルでワクチンに使った予算、これは二兆四千三十六億円と、流通費も含むということでありますが、ここはお示しをいただきました。

 また、キャンセル料については、これも秘密保持契約ということ、また、詳細にはお伝えできないということであるんですが、余りに秘密保持契約が多くて、私たちも、税金での使われ方ということには、なかなかチェックがしづらいということでありますので、先ほど柚木委員からもありましたけれども、できる限り情報公開をしていただきまして、可能な限り契約の中身というものも委員会にお示しをいただければと思います。

 この秘密保持契約に関して最後にお聞きするんですけれども、今回のアストラゼネカないしは新型コロナワクチンに関するもの、ないしはほかのワクチンもあると思うんですけれども、これは全てに共通するものと理解してよろしいでしょうか。

後藤国務大臣 確かに財政的透明性という点からの御議論はあるとは思うんですけれども、実を言うと、契約書の開示の可否、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、ノババックス、みんな不可でありますし、聞きますところ、これは世界的にそういう契約になっている。ワクチンの単価についての公表も不可ということになっています。

 ただ、もちろん、事情からいえば、漏れてしまってマスコミに流れているものの保証まではできないというような回答でございまして、いずれにしても、また理事会でのお取り計らいに従いますけれども、全体として、ワクチンが国際的な需給商品で、なおかつこういう局面においては需給が大変タイトだということで、ワクチンのメーカー側が、供給先の各国との間で、単価だとか、あるいは引渡しの時期だとか、あるいは契約書の開示とかいうものを、契約によって秘密保持という形になっております。

 調達のために、我々も世界的な潮流の中で調達をしているということです。

田中(健)委員 大臣自ら御丁寧にありがとうございました。

 これをお聞きしましたのは、更に次に進みますと、一方、ノババックスのワクチンについて今回お聞きします。

 今回、ノババックス社の新型コロナワクチンが、厚労省、専門家による審議会を十八日に開くとの発表がありました。これは恐らく承認が予定されているのかと思いますが、こちらのワクチンについての承認手続の、これまでの流れというものをお聞きをいたします。

鎌田政府参考人 御指摘のノババックス社の新型コロナワクチンでございますが、まず、令和三年の十二月十六日に、国内で開発、製造するんですが、武田薬品工業より、製造販売承認の申請が行われました。その後、PMDAにおきまして審査を行いまして、今御紹介いただきましたように、四月十八日、来週月曜日でしょうか、薬事・食品衛生審議会において承認の可否等の審議をするという予定でございます。その薬食審での審議の結果、承認が可と判断された場合には、速やかに承認の手続が進められるというものでございます。

田中(健)委員 今回、薬機法の議論をしておりますけれども、このノババックスのワクチンは、特例承認での認定なのか、ないしは通常承認の認定なんでしょうか、お聞きします。

鎌田政府参考人 このノババックス社のコロナワクチンは、武田薬品工業からは、特例承認の申請ではなく、通常の承認の申請がなされているところでございます。

田中(健)委員 今ちょうど、特例承認又は緊急承認の議論をしておりますけれども、前回の委員会で、私、今の日本の現状、緊急事態宣言は解除され、しかしながら感染拡大している、緊急時に当たるのかということをお聞きしましたら、現在、緊急時だということでありまして、緊急承認制度ができたならば、今回の承認というのは、それを利用したと考えればよろしいんでしょうか。

 というのは、せっかく、通常承認、特例承認がある中で、そして一日も早く承認を、政府としては、ないしは私たち国民としては求めている中で、一般的に、通常承認を使ったということであると、どのように理解していいのか。本来、一日も早く承認を求めるのが一般的な感覚でありまして、ないしは、今回の薬機法改正で通れば緊急承認制度ができますから、そちらを使うのかなという思いがあるんですけれども、今お聞きしますと通常承認ということでありますので、どのように考えればいいか、お示しいただければと思います。

鎌田政府参考人 まず、どういった形の承認にするのかは、基本的には、まず、企業が、例えば特例承認を求めてとか、そういった企業の考えがございます。また、我々としても、そうした企業の意向を踏まえながら、それが妥当かどうかという御相談で御説明申し上げますし、また、先生御指摘のように、緊急とか急ぐ場合には、こういった方法があるよというような御相談をする中で決まっていくことになると思います。

 今回の武田薬品工業の件でございますけれども、武田薬品工業は、まず、海外の状況は、アメリカでは承認されていなくて、ヨーロッパでは承認の推奨ということをされている状況ですとか、あるいはデータの集まり具合ですとか、武田薬品工業が製造いたしますので、そのときの製造の、自分たちでどのくらい製造できるのか、その結果、どのくらい期間がかかるのか、そういったものを総合的に勘案して、特例承認と申しますのは、海外の承認でデータを一部省略というか、そういったものでございますけれども、あともう一つあるのは、GMPというか、製造における調査の減免とかいうものでございますので、自分たちがどういったビジネスを考えているか、また、制度によってはどんな恩恵を考えるかを踏まえて、武田薬品工業が判断してきたものと考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 私は、緊急承認制度をつくっておりまして、今、現時点の日本におけるものが緊急事態だという認定ないしは状況でありますと、一日でも早く作るのが目的なのかなと思いますが、やはり企業によっては違うということでありますから、全て、この緊急承認制度ができたからといって、企業がこれを使うかどうかということではないということは確認できました。

 さらに、前回の委員会の質疑では、四回目の接種についてお聞きをさせてもらいまして、大臣から、予備費を活用して、ファイザーから七千五百万回、モデルナから七千万回分を追加購入をしたということをお聞きをしました。決めたばかりであるんですけれども、一方で、ノババックスのワクチンを承認して、これからまた購入契約をしていくというんですが、どのようにノババックスワクチンを活用する、利用する考えなのか、お聞かせください。

後藤国務大臣 ノババックスワクチンは、国内で製造が行われる非メッセンジャーRNAワクチンでありまして、海外の輸出規制の可能性に備えて、ワクチン供給の安定性を確保するとともに、実績のある組み換えたんぱくワクチンであることも踏まえまして、ワクチンの種類の多様化を図るために購入したものであります。このワクチンについては、ノババックスですね、これについては、昨年の五月十四日の予備費で予算を確保し、九月六日に正式に契約を締結したということであります。

 この武田のワクチンについては、四月十八日の薬食審議会で承認の可否が審議されるということが今アナウンスされておりますので、審議がされます。審議がされましたら、予防接種法に基づく予防接種で使用するワクチンとして位置づけられた場合には、速やかに接種体制の整備をしていくということになります。

 あわせて、今お尋ねがありましたファイザーとモデルナ、これも四回目の接種ということで、これはまだ実際に四回目をやるのかやらないのか、どういう人を対象に打つのか、あるいは接種間隔をどのぐらい空けるのかとか、そうしたことは今後、薬食審と厚生科学審議会できっちりと、議論あるいは専門家の意見をきっちりと聞いて決めていくということになるわけでありますけれども、こうした、どういう選択肢になっても対応ができるように、そういう形でそれぞれのワクチン、今回決めたのはファイザーとモデルナでありますけれども、ノババックスについては、昨年の五月の予備費で、九月六日に正式に契約をしております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 今お聞きしましたのは、ワクチンの確保というのが、このままのやり方で、従前のやり方でいいのかという問題意識があるからです。

 今日の日経には、世界のワクチン需要が急減速ということで、一日当たりのワクチン接種回数は、一年ぶりの低水準という記事が載っていました。需要が減る中、新型ワクチンの生産ペースは落ちつつあるということでありまして、記事によりますと、今議論があったアストラゼネカ社製のワクチンは、一部の生産委託先などで縮小又は停止までということまで載っていて、びっくりいたしました。

 ですので、今までの、先ほど来議論がありました二〇二〇年の頃のワクチン獲得競争の世界の流れからまだ僅か二年なんですけれども、一転して状況が大きく変わっているんじゃないかという問題意識があります。

 ですので、先ほどの、ノババックスの利用がどのようなものかというのを聞きました。大臣から答弁いただいて、私も同じ認識なんですけれども、やはり今回のノババックスワクチンというのは、ノババックス社から技術提供を受けて、武田さんが国内で生産及び流通を行うということであります。

 さらに、これはワクチン生産体制の緊急整備事業を、補助を利用して行われているということでありまして、一方で、ワクチンの獲得競争が変わりつつあるという中で、先ほどありましたように、貿易が停止をしてしまって、海外から輸入ができなくなった場合などということを考えますと、枯渇するようなことがあってはならないわけでありまして、そうした場合には、やはり国産ワクチンの早期の開発、この委員会でも何度も議論されていますし、また、ワクチンの生産体制の整備というのは、これは一日も早く進めていかなきゃならないと思っています。

 そこで、もう一度大臣にお聞きしますが、今、大きくワクチンの獲得ないしは供給ないしは利用というのが変わってきているんじゃないかという認識を持っているんですが、大臣の御見解があればお聞かせください。

    〔高階委員長代理退席、委員長着席〕

後藤国務大臣 まず、委員が今最後に御指摘をされていた国産のワクチン、これがしっかりと開発できる体制になっているべきだということについては、我が国の安全保障的な観点から見ても重大なことですし、我々の、日本の産業の薬の開発力、ワクチンも含めたですね、そうしたトータルの力をつけていくために必要である、そのことについては、そのことであります。

 ワクチンの購入ということについては、これはやはり、今となって少し需要が減少してきているということは、今となって振り返って分析することはできますけれども、しかし、実際に国民の命を守るために必要な接種を行うためのワクチンを獲得するときは、そのときは必死になって、ワクチンの接種が可能になるような購入を心がけたわけです。

 そのときに、単に量の問題だけではなくて、一億二千の何倍かとかいう議論だけじゃなくて、基本的には、新しい新機軸のメッセンジャーRNAや、あるいは従来型のものだとか、あるいは輸出規制にかからないものだとか、そういう形で、本当にいろんな場合を想定したときに、ワクチンの中にも効くもの効かないもの、後になってから、最初はさん然と輝くワクチンであっても、若干その後で副反応が強いということが分かって使い残りが出ているワクチンもあるわけですから、そういうことを踏まえて、もちろん財政の問題はあるということは我々思っておりますけれども、しかし、与えられた条件の中で国民の命を守るためにしっかりとそういう意味では確保していくということで考えております。

 その後、それをどういうふうにできる限り効率よく使うかということは、例えば国際協力も含めて、いろんな形で考えていくということだと思っています。

田中(健)委員 御丁寧にありがとうございました。

 今のワクチンの安全保障との考え、また確保や購入の考え、よく分かりました。

 もう一言、意見として言わせていただきますと、これも先ほど来、委員の中からありましたけれども、ワクチンをこれからどのように使っていくかということで、これまでは応急的な措置、緊急承認で認めたものですからそうだったんですが、重症化のデルタ株の場合は、一回目、二回目、みんな打ちましたが、やはりオミクロン株になって重症化率が下がり、そもそも有効性も、年配の方以外の確率も下がり、今、三回目の接種がなかなか進んでいないのが現状であります。

 アメリカのFDAにしても、新たな発表におきますと、オミクロン株の派生型、新しくBA・2が出ていますが、既存ワクチンが十分適合していない、十分有効でない可能性もあるというような発表もあります。ですから、何のために誰がワクチンを打つのかということをもう一度政府としても、また厚労省としてもはっきりさせていくべきだと思っています。

 重症化を防ぐ予防というのはあるということは言っていただきました。先ほど感染研の脇田所長もそのようなお話がありましたから、誰かにうつさないためだったものから、やはり重症化をしない、自分の身を守るということを明確に打ち出すべきだろうと思っています。

 特に、風邪でもこじらせてしまうと重症化してしまう、やはりピンポイントにハイリスクの高齢者やまた医療従事者の方、そういうところに対策を絞り込むべきで、国民全てを巻き込んでワクチンを打っていくというやり方からは転換をすべきときに来ているんじゃないかと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 済みません、ワクチンだけで時間が過ぎてしまったんですが、参考人質疑を受けて、まだ、質問をたくさん用意しておったんですが、一問だけさせていただきます。

 これも前回の私の質問で、米国のEUAのように承認とは別の制度にした方がよいのではないかという、これは井坂委員も何度も質問をして、やり取りをさせていただきました。これについても昨日の参考人質疑で、緊急使用許可と承認制度についての関係というものが御披露されていました。

 答弁によりますと、米国のEUAは、通常よりも有効性及び裁量幅を広げた運用により使用を許可するものであると答弁がありました。つまり、裁量が広いことが使用許可としなかった理由に挙げられていたかとは思うんですけれども、私の思いは、本来の承認、それとは異なる基準で使用を認める制度ですから、それを承認と位置づけることが問題ではないかということであります。

 いま一度、これはなぜ本来の承認制度と別の制度にしなかったのかということを大臣にお聞きをいたします。

後藤国務大臣 米国のEUAは、未承認の状況にある医薬品等について、通常よりも有効性、安全性について裁量幅を広げた運用によって使用を許可するという仕組みで、先生の御指摘のとおりです。

 一方で、我が国において、安全な医薬品を市場に供給するよう努めることは、行政や製薬企業を始めとする医薬品に関わる全ての者にとって基本的な責務であり、緊急時であっても国民から信頼される形での薬事承認が行われることが重要であるというふうに我が国では考えて、こうした制度を選んでおります。

 したがって、今般の緊急承認の仕組みは、現行の薬機法の枠組みを活用し、安全性について確認を前提としつつ、有効性について推定ができる承認制度とすることが適当というふうに考えております。

 それから、先ほどちょっと先生の方から、オミクロン、三回目の接種についてのお話もあったんですけれども、当初の頃、正直言いまして、感染予防効果がどのぐらいあるのかということが割合不明で、重症化予防効果や発症予防効果は、一、二回目で経時的に低下するけれども、三回目で戻ってくるというような分析でございましたけれども、その後、各国でいろいろな研究が進む中で、三回目のワクチン接種についても感染予防効果、防止効果もあるというデータが各国からも出されてきているということでございますので、我々としては、オミクロンに対するワクチン三回目接種については、若い方たちにも、感染予防にも効果はあるということを踏まえて、お年寄りにうつさないようにということだけではなくて、いわゆる後遺症のような効果も含めて、かかった場合にはそういうこともあるという指摘も今あるわけでありますから、そういうことを総体的に考えて、是非若い方にも三回目のワクチン接種をしていただければありがたいなというふうに思っています。

田中(健)委員 時間が過ぎましたので、また質問を改めてさせていただきます。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 昨日、参考人質疑がございました。それを踏まえての質問を前半はさせていただきます。

 まず、何回か質問させていただいております、緊急承認制度での有効性の推定についてであります。

 昨日の参考人質疑では、ウイルス量が減ったが症状改善効果がない場合について、厚生科学審議会の福井会長からは、ウイルス量が減っても患者さんにとって重要なアウトカムが全然変化がなければ効果があったと臨床的には言えないと、大変明確な指摘がございました。

 大臣、どう受け止めますか。

後藤国務大臣 一般的に、これまでの臨床評価の評価項目については、患者にとって意味のある項目とすることが重要というふうに考えられています。

 したがって、緊急承認制度においても、臨床試験においては適切な主要評価項目が設定されて、その臨床試験結果を適切に評価すべきというふうに考えています。

 いずれにしても、医薬品の承認に当たっては、効能、効果を有するかどうか、効能、効果に比して著しく有害な副作用を有しないかどうかなど、ベネフィットとリスクのバランスを考慮しつつ、総合的に医薬品の有用性を評価していくということになります。

宮本(徹)委員 もうちょっと明確に言っていただきたいんですけれども、福井会長と厚労省は同じ認識だということでよろしいですか。

鎌田政府参考人 お答え申し上げます。

 福井参考人からは、先生御紹介がございましたように、ウイルス量が減っても患者さんにとって重要なアウトカムが全然変化がなければ効果があったとは臨床的には言えないという臨床家としての御意見があったわけでございますけれども、今大臣から御答弁申し上げましたように、一般論として、臨床試験の評価項目については患者にとって意味のある項目であることが必要で、そうした項目で臨床試験を行うわけでございますから、緊急承認制度においても、臨床試験においては適切な主要評価項目を設定され、その臨床試験を適切に評価するというふうに今お答え申したところでございます。

 他方、昨日の、私も拝聴しておりましたが、同じ質問に対しまして、やはり、荒井参考人からは、まさにそうした観点から、臨床試験において何を見ていくのかが重要であり、実際のプロトコルを見てみないと、一般的なことは言えないという御発言があったところでございまして、大臣が申し上げたような、リスク・アンド・ベネフィットを考慮しながら、個々のケースについて、有効性の推定の可否については予断を持ってお答えすることは困難というところでございます。

宮本(徹)委員 それは、荒井参考人だとかはメーカー側の、メーカー側の思いはそういうところに反映されてお話があったのかも分からないですけれども、患者の側からしたら、薬というのは、どれだけいろいろ試験をやったとしても必ず副作用があるわけですよね。副作用があるんですよ。全く副作用がない薬というのは基本的にないわけですよね。

 副作用がある以上は、やはり、患者さんにとってのメリットがなければ、私は、緊急承認といえども承認すべきでないと思いますよ。そこを、私は、福井会長はおっしゃったんだと思うんですね。そこを重く受け止めていただきたいと思うんですよ。しっかり受け止めると、そこは御答弁いただけますか。

鎌田政府参考人 まず、今先生、薬というものは、一定の効能、効果を持つ以上、副作用、副反応が避けられない、そういったことで、そういった一定の副反応、副作用を前提としながらも、患者さんにとってのメリット、使用価値、医療上の有用性があって承認するものだという御指摘がございました。

 まさに、緊急承認制度におきましても、安全性の確認を前提に有効性を推定して承認するものでございますが、その過程におきましては、当然に、条文にもございますけれども、有用性とリスクを、ベネフィット、バランスを考慮して、安全性を確認して、使用価値がある、医療上の有用性があると認めたものを承認するものですから、同じ考えであると考えております。

宮本(徹)委員 なかなか、私の思っているように明示的に言っていただきたいというのが強い思いではあるんですけれども、私と言っていることは同じだということですね。そこが大変、もうちょっと分かりやすく言っていただきたいなという思いはありますけれども、これだけで時間を費やすわけにいかないので次に行きますが、とにかく、やはり、患者さんの症状改善の効果があるというのが確認されるというのが一番大事だということを申し上げておきたいと思います。

 それから、福井会長からは、期限内に改めて行う承認について、こういうお話がございました。緊急承認した後は、薬が使えるようになるのと並行して、やはり第三相試験は行うべきで、それで、できるだけ早く平時に行う第三相試験に相当する検証的臨床試験のデータを出して、それで正式の承認に持っていくべきであって、そのまま漫然と使うというのは好ましくないと。当然の発言だというふうに思います。

 政府は、例外的に、使用成績、リアルワールドデータで代替し得るということをおっしゃいますけれども、この点、薬害オンブズパースン会議の水口弁護士からは、第三相試験はプラセボ群と対比して有効性を確認する、一方、承認後のリアルワールドデータでは、患者に承認薬を投与しないというのは倫理的に難しい面もあり、第三相試験には代わり得ない、こういう指摘がございました。

 伺いますけれども、厚労省は、第三相試験と比べてリアルワールドデータの限界というのはどこにあるとお考えですか。

後藤国務大臣 緊急承認における有効性については、治療薬については、後期第二相試験の結果で判断を行うこともあり、第三相試験と比べて被験者の数が少なく、データのばらつきから偶然よい結果が出ている可能性も排除し切れないために、有効性の証明の程度が相対的に低いことから、推定となっているものであります。

 このことから、緊急承認後の期限内に改めて行う承認申請にあっては、有効性を確認するため、原則として、通常の承認申請と同様に、第三相試験の成績の提出を求めることを想定しております。

 なお、感染者が急速に減少した場合など、試験の実施が困難な場合等には、市販後の使用成績等を含むリアルワールドデータにより有効性等の確認を行うことも考えられますけれども、評価項目の妥当性と、有効性のエビデンス構築にどのように活用可能かについては十分な検討が必要であると考えております。

宮本(徹)委員 もうちょっと分かりやすく。リアルワールドデータでは、やはり不十分な面があるという認識だということでよろしいわけですね。

鎌田政府参考人 御指摘のとおり、また、大臣から御説明申し上げたとおり、本来原則として第三相と言っておりますのは、ちゃんと丁寧な試験設計の上でやったものが統計的な証明に役立つというものでございまして、それに代わるリアルワールドデータがどういったものかというものについては、まさに、場合によってはきちんと制度設計がされたものもあるでしょうし、場合によってはそうでないものもございます。また、対象患者ですとかその背景等も、それぞれそろっているか、そろっていないかという点がございます。

 そういったリアルワールドデータの特性、限界というものを考慮しながら、我々の方で審査に活用するというものでございます。

宮本(徹)委員 限界があるわけでございます、リアルワールドデータには。

 その上で、その期限内に改めて行う正式の承認について、これは前回お伺いしたんですけれども、感染症が収束した場合にはリアルワールドデータでいいというお話があったわけですよね。例外規定ですね、感染症が急速に収束した場合。

 この点についてお伺いしたいんですけれども、感染症が急速に収束した場合は緊急性に既に欠けているわけですから、もうその薬を使う必要もない状態になっているわけですよね。そうすると、緊急承認のプロセスから通常承認のプロセスに変えるというのが筋なのではないかと思いますが、そこはいかがですか。

後藤国務大臣 例えば、感染症が収束した場合というのが、例えば本当に感染症が収束して、患者さんもいないような状況になり、リアルデータも取れないほど収束しているというような場合には、有効性を確認するための第三相試験の成績等は提出ができないわけで、結果として承認を取り消すことになる場合もあろうかと思います。

 ただし、先ほどもお答えしたとおり、感染者が急速に減少した場合など、試験の実施が困難な場合等には、市販後の使用成績等を含むリアルワールドデータがある場合に、その有効性の確認を行うこともあるというふうに申し上げているわけであります。

 あくまで原則は、第三相試験、検証的臨床試験の成績の提出を求めて、有効性を確認することが必要だというのが原則です。

宮本(徹)委員 感染症、今回のコロナなんかは波がありますよね、波がある。減ったかに思ったけれども、また増えていく、こういう状況だったら、第三相試験はできると思うんですよね。ですけれども、本当にぐんと減っていってしまったら、本当に収束していくということになったら、これは薬自体の必要性がなくなるから、感染症が収束した場合が例外なんだというのがなかなかイメージがつかないということだけ申し上げておきたいというふうに思います。

 それから、参考人質疑で、福井参考人からはこういうお話もございました。緊急承認した薬については、データを悉皆性をもって収集する、それで分析するということも進めるべきと。

 これは、使用成績について、安全性をしっかり見ていく、有効性もしっかり見ていく上で、リアルワールドデータのお話がございました。ちょっと通告していないんですけれども、確認だけですが、基本は、リアルワールドデータ、使用成績というのは、悉皆性をもって収集していくという考え方でよろしいんですか。

鎌田政府参考人 どのようなデータを集めるか、またそれは悉皆性を持つかどうかというのは、緊急承認を行うときの条件のつけ方によるものと考えます。

 現在の通常の承認におきましても、希少な疾患ですとか、あるいは抗がん剤のような場合には、悉皆性を、全例調査ということを条件として付している場合がございます。

 今回想定しているようなパンデミック時に有効性の推定で承認するわけでございますけれども、やはり、そのときのその薬の特性ですとか、あるいは対象患者の数なども踏まえながら、どの程度の調査を行うかということは個別に判断するということになります。

宮本(徹)委員 個別に判断するということですけれども、安全性、有効性をしっかり見ていこうと思ったら、この福井会長がおっしゃった悉皆性をもってデータを収集するというのは本当に私は大事な指摘だと思いますので、そこは今後の制度設計を考える上でもしっかり受け止めていただけたらなというふうに思います。

 あわせて、データを悉皆性をもって収集すると同時に、追跡調査をしっかり行っていくというのが私は大事なことだというふうに思っております。

 資料を今日は一枚だけ配付をしております。これは、過去のHPVのワクチンの副反応に関わる資料でございます。薬害訴訟弁護団のホームページから取ったものです。

 実は、HPVワクチンでいえば、審議会で、重い副反応症状に苦しむ原告らが適切に検討されていないのではないか、こういう指摘がされております。

 全国の原告百二十九人中、重症症例扱いとして具体的な症例検討が行われたのは十九人のみだそうでございます。しかし、重症症例扱いされなかった百十人も、同様に重い副反応症状で苦しんでいる。実は、そのうち、少なくとも三十八人は障害認定されている。

 このグラフを見て、その一部だけ、ホームページにはもっと全体出ておりますけれども、この一部だけの抜粋の要約版を今日お持ちしましたけれども、重症症例扱いされていない方々も、障害二級、障害一級、障害年金二級などなど、こういうふうに認定されているわけです。

 なぜこういう身体障害一級、二級と認定されるような方々が重症症例扱いされていないのか。一つの原因は、私は、やはり、その後の追跡をちゃんとやっていないからだと思うんですね。副反応報告が国に上がった、それに基づいて、そのときの情報を中心に検討を続けているというのがこういうことなんじゃないかと思うんですね。その後、しっかり、どうだったのか、どうなっているのかというのを追跡すれば、こんな障害一級、二級に認定されるような方が重症症例扱いされないということはなかったというふうに思います。

 そういう点でいえば、緊急承認した医薬品についてのその後の安全調査というのは、しっかりした追跡調査もやっていくのが大事だと思うんですよね。その点、大臣、ちょっとお考えをお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 国民の利便性、健康を守るという観点からも、自治体や医療機関の事務をきちんとこなせるように軽減していくという観点からも、予防接種の有効性、安全性に関する調査の充実を図るためにも、予防接種全体のデジタル化に取り組むことが必要であると考えています。デジタル庁と連携しまして、今回の新型コロナワクチン接種の特例臨時接種にとどまらず、定期接種も含めて、総合的に今検討しているところです。

 今後、予防接種の有効性、安全性に関する調査をより的確に行う観点から、予防接種の実施状況、副反応等に係る匿名データベースを整備して、レセプト情報や特定健診等の情報データベース、NDBとの連結分析も可能とするなど、予防接種のデジタル化に向けて、具体的な検討を進めてまいりたいというふうに思います。

 そうしたことで、しっかりとワクチン接種の追跡調査を図っていく必要があると思います。

宮本(徹)委員 デジタル化を進めて追跡調査していくというのは、本当に極めて大事なことだというふうに思います。

 あわせて、一つ一つの、今ある、副反応報告で上がってきている症例についても、もう少し踏み込んだ追跡調査を是非やっていただきたいなという思いがあるんですが、局長、その点はいかがですか。

鎌田政府参考人 まず、追跡調査と申しますか、我々、副反応報告におきましては、医療機関、そして企業という形、必要な情報を集めますし、また、経過が長引くものについてはその都度情報が来るという意味においては、追跡というか、一定程度の情報は集まるものと考えております。

 また、先ほど、資料の中で、原告の方の数、それから重症症例の数ということの御紹介がございました。その点についてでございますけれども、個別の症例については係争中でございますけれども、一つは、この重症症例と申しますのは、アナフィラキシー、それから急性散在性脳脊髄炎、いわゆるADEM、それからギラン・バレーという三つの症状と、それから、副反応疑い報告の転帰に後遺症と書かれたものを集めたものでございます。そういったものがあるかどうかに該当した数でございます。

 一方、資料にございましたPMDAの障害何級ですとか障害の方は、あれは救済の結果でございます。また、右側の欄に、PMDAの身体障害がない普通の身体障害であれば、それは障害福祉の観点のものでございますので、まさにその辺の基準の違いというものもあろうかと思っています。

 ただ、いずれにしましても、我々としては、丁寧に情報を集めて検討しているところでございます。

宮本(徹)委員 副反応報告で後遺症等、アナフィラキシーだとか書いてあったものがこの重症症例扱いだというお話がございましたけれども、まさに後遺症があるからこういう障害認定ということを受けているわけですから。ただ、その時点の副反応報告には記載がなかったけれども、記載が不十分だったかも分からない、そういうことがこういうことに表れているのではないのかなと思いますので、更にどういうことができるのかというのを是非御検討いただきたい。局長、うなずいていらっしゃいますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 その上で、次の質問に行きます。

 先日の質問の中で、阿部知子議員から、ワクチンの問題について、イスラエルのデータの提示がありました。ワクチン接種者の中では帯状疱疹が一・四三倍になっているというお話でした。日本ではワクチン接種後の副反応の一部しか報告されていない仕組みですから、帯状疱疹が増えているかどうか、これ自体も分からないわけですね。

 実は、私、先日の阿部議員の質問を聞いていて思い出したことがございます。というのは、私も去年、帯状疱疹になったんですね。解散の頃でしたから、選挙の準備のストレスじゃないかというふうに当時は思っていたんですけれども、阿部議員の指摘で、そういえばワクチン接種の一か月後だったなというのを思い出しました。

 もちろん、ストレスなのか、副反応なのか、これは判断がつかないわけでございますが、もちろんお医者さんが、皮膚科に行っているわけですから、ワクチンのお話はしていないので、副反応報告は上がらないわけですよね。

 ですから、今の副反応報告の仕組みだけではワクチンの安全性を検証する上では極めて不十分だというのを、改めて、自分自身のことを考えても、報告が上がらないんだなというのがよく分かりました。

 そういう点で、先ほど大臣から答弁があったように、しっかりとワクチン接種の記録、診療データ、こうしたものを組み合わせて追跡調査できる仕組みをつくっていくのは非常に大事だと思いますが、ただ、現状は、それがない。

 それがない下で、どうやってこのシグナルを検出できるのかなということを考えた場合に、NDBをもっと現状でも活用できないかというふうに思います。

 例えば、二〇一九年、二〇二〇年、二〇二一年のNDBに入っているレセプト、これの比較をする。増えている疾患があった場合、コロナ感染拡大の影響なのか、ワクチン接種の影響なのか、それは簡単には分からないとは思いますけれども、見えてくるものがあるんではないのかなと。さらに、その見えてきたものを、副反応報告と突合することで見えてくることもあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、このNDBをもっと活用すべきではないかということについてはいかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 NDBの活用事例としては、御指摘のような経年変化の解析ではないんですけれども、例えば新型コロナワクチン接種後の心筋炎、心膜炎につきまして、NDBを活用した結果から、昨年末に、心筋炎、心膜炎については重大な副反応として位置づけて、添付文書に記載するとした事例がございます。

 これは具体的には、心筋炎等につきまして、副反応疑い報告に基づくワクチン接種後の発現率と、それから、NDBを活用して算出しました日本におけるコロナワクチン接種開始前の、ワクチンとは無関係に心筋炎の発生が期待される発現率との比を算出しまして、ファイザー社のワクチンとモデルナ社のワクチンについて、二回接種後の若年の男性で心筋炎等の発現頻度が高いことが示唆されたことから、審議会の議論を経まして、添付文書への記載等の必要な修正、対応を行ったところでございます。

 御指摘のように、NDBを活用して様々な疾患について効率的に解析を行うこと、これはレセプトの特性も踏まえた十分な検討が必要ではあると思いますけれども、新型コロナワクチンの接種後の副反応が疑われる症状について、NDBの活用を含めて、審議会における議論も踏まえつつ、国民の皆様が安心してワクチン接種を受けられるよう、これは引き続き必要な分析を我々としても行ってまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 既に活用している例は私も存じているんですけれども。

 ただ、問題は、先ほど申し上げましたように、副反応報告というのは、現実には一部しか上がっていないんですよね、一部しか。副反応だと思ったものしか上がっていないわけですよ。

 それでも、心筋炎のように大きな差があるものは比較すれば出てきますけれども、現実には上がっていない報告が、副反応かも分からないけれども、それは分からないから上がっていないものがたくさんあると考えると、やはり、経年変化というのは一つ、人が入れ替わっているわけじゃないですから、基本的には同じ人たちが暮らしているわけですから、二〇一九年、二〇二〇年、二〇二一年と経年変化で見たら、何かの疾患が増えているかも分からない。それは、イスラエルなんかのデータとも符合して、調べるというのもあると思いますけれども、そうしたことをやれば本当に見えてくるものがあると思うんですよね。

 ですから、本当に、せっかくこういうデータを集積したものがあるわけですから、大いに活用して、安全性を更に高めていくためのものに利用していただきたいと思いますので、そこはよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 それと、あともう一点、お伺いしたいんですけれども、予防接種健康被害救済制度について、亡くなられた方五人がいずれも保留となっておりますが、この保留というのは、何で保留になるのかということなんですよね。

 というのは、予防接種に起因することが否定できないものは対象になると。予防接種に起因することが否定のできないものは救済制度の対象になるというのがこの間の答弁なんですよね。そうすると、否認ではない、保留になる。なかなか私はその理屈が理解できないんですよね。

 否認ではないんだったら、当然、保留せずに、救済制度でしっかりと救済するというのが筋ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 救済の認定につきましては、審議会において、個々の事例ごとに、症状の発生が医学的な合理性を有すること、時間的密接性があること、他の原因によるものと考える合理性がないこと等について、医学的見地から検討が行われ、その上で、請求された疾病等と予防接種の因果関係については、厳密な医学的な因果関係は必要とせず、接種後の症状が予防接種により起こることが否定できない場合も対象とするとの方針に基づいて審査を行っております。

 御指摘の五件の死亡事例についても、同様の考え方に基づきまして丁寧に審査が行われて、その結果、保留となっているものでございます。

宮本(徹)委員 丁寧な審査を行って保留になるというのは、よく分からないんですよね、本当に。否認できなかったわけですよね。否定できなかったわけですよね、集まってきているデータでは。否定できないんだったら救済するというのが、この間の政府の説明なんじゃないでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 審査におきましては、予防接種と有害事象の、例えば時系列の確認でありますとか、生物的な妥当性を踏まえまして、様々な専門家により、深い議論を今していただいているというところでございます。

宮本(徹)委員 今まだ議論中だから、これはやがてちゃんと救済されますよということだったらいいんですけれども。

 先日、韓国の制度の話もしましたけれども、やはり迅速な救済というのも、本当に被害者の方あるいは遺族との関係でも非常に大事なことだと思いますので、これはしっかりと、否認はできないな、可能性があるんだということだったら、しっかり迅速に救済をしていただきたい。

 このことを申し上げまして、時間になりましたので、残りの質問はまた次回とさせていただきたいと思います。終わります。

橋本委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 本日も、最後の質問者として質疑を行いたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 先ほどの質問にも一部重なりますが、今回の緊急承認、やはり、そういう承認された薬を服用してあるいは使って被害に遭われた方、これに対する救済制度、もちろんPMDAの中に健康に関する被害救済部、そういうセクションがありますけれども、この機能強化を私も改めて訴えたいと思います。

 私も実際ワクチン接種をしていまして、副反応、熱や全身倦怠感あるいはその部位の疼痛、ありますけれども、ずっと一か月たっても、場合によっては二か月たっても残っていく、後遺症に至るようなものもありまして、患者さん、打った側にしてみれば、やはりワクチンとの因果関係があるんじゃないかということで、そういった審査を求めることが結構あります。そういう中で、やはり、この部門をより充足させることによって、そういった国民の声、特に今回はいわゆる緊急承認というカテゴリーでございますので、それをよろしくお願いしたいと思います。

 具体的には、この間の質問でも私、述べてきましたけれども、やはり、原則、現場の医師がPMDAに上げる、結構ハードルが高いわけですね。いろいろな書類を記載したりとか、患者さんから時間を取って聞くわけですよね。中には、なかなか正確な問診の取れないような、PMDAに提出する書類に結びつけていく上では難しい場面もあります。そういう中で臨床の場でやっている、その現場の医師としてのプロフェッショナルオートノミーというか、そういうことも考慮していただいた上での審査体制、特にICTあるいはAIを用いてのことを駆使されて。

 時間がかかり過ぎます。本当に時間がかかります。やっと返ってきても、先ほどの例じゃないですけれども、因果関係は証明されないとか、そういう、患者さんにしてみれば、被害を訴えられている方にしてみれば全く期待外れの結果になることもありますので、そのことを、大臣、どう思われますでしょうか。

後藤国務大臣 医薬品の副作用の被害救済制度による給付請求では、請求書のほかに、給付の種類に応じて、医師の診断書や投薬証明書等といった資料の提出が求められております。

 これらの資料は因果関係の判断のために必要不可欠ではありますけれども、特に初めて請求を行う方々にとっては負担に感じられる場合もあることから、PMDAのウェブサイトに制度に関するリーフレット等を掲載したり、PMDAに救済制度相談窓口を設けまして、電話やメールで問合せに対応するなどといった取組を実施しております。

 また、診断書等の作成を行う医療機関における制度の理解を更に促すために、医療機関等からの要請に応じて、救済制度に関する資料を送付したり、医療関係者向けのEラーニング講座の提供などの取組も行っております。

 PMDAにおいては、令和四年度中に、請求書作成のアシスタントツールの開発、導入、受給者の意見も踏まえた請求書の記載要領の改善、検討などを行うこととしておりまして、引き続き、請求者の利便性の向上に努めてまいりたいと思います。

仁木委員 大臣、ありがとうございます。

 そして、その上で、今回、特に緊急承認で承認を得て臨床の場で使われることになりますお薬なり医療機器を享受する国民に対しての診療において、やはりそういった詳しいガイドライン、そういったものも説明、先ほどおっしゃったようなことを徹底して、特に気をつけてやっていただけたらというふうに思っております。

 その上で、私は、現場で使う薬が、例えば様々なリアルワールドデータとかあるいはいろいろな副反応報告等が上がってきて、その上で、例えば今まで気づかなかった、先ほどワクチンを打った後の帯状疱疹の話もありますが、そういった情報がいわゆる専門的な機関から現場の臨床に届かない限り、やはり現場の医師としては、患者さんが特にそういう症状を訴えたり、あるいは、帯状疱疹でしたら、服を片側脱いでもらったりして見ないと分からない、痛みがない段階もありますので。そういう症状、こういうことが表れるということをもってして、その部分に注意して診察ということもありますので、やはりそういった、いわゆる副反応情報が新たに入ってきたときに現場に伝えていくような仕組み、そういうのも特にお願いしたいというふうに思います。

 一般に、今回、緊急承認におきまして上市されたお薬等々、これは二年間、そして二年たって延長ということも言われておりますけれども、もし、例えば、過去の様々な薬害というものが起こりましたけれども、何か、二年以内でも、上市されていて、その承認を止める、そういうクライテリアというか基準がありましたら教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鎌田政府参考人 クライテリアというか考え方、基準でございますけれども、医薬品の承認審査については、治験を通じて有効性、安全性を確認して、また、その安全性については、その治験などを通じて確認された毒性、副作用などが効能、効果に比して著しく有害なものではないかどうかを評価して確認し、承認するものでございます。

 そうしますと、二年以内に取り消すというのは、様々な要件、緊急性に該当しなければ取り消すことができますし、また、有効性が認められなくなった場合もありますし、また、その安全性についても、許容の限度を超えたような場合、そういった場合については承認を取り消すということが考えられます。

仁木委員 ありがとうございます。

 そして、その上でちょっと二点目の質問に移りたいと思いますが、私の配付資料の中での一番目の資料で、これも前回のときに用いた資料でございますけれども、こういったリアルタイムで医療機関、薬局、あるいは場合によっては患者さんがつながる、こういったICTというのは、これからデジタル行政、特に医療の分野でこういった全医療機関をカバーし得るという形では画期的なことだと思いますし、これからデジタル行政を進めていく上で、本当に医療の分野では重要だと思っております。

 そういう意味で、これは私も昨日の参考人の質疑の中で申し上げましたけれども、例えば、Aという病院のBという先生にMRIとかあるいは造影検査、そういった画像検査で、コストも高い、そしてまた患者さんも痛みとか負担を伴うような検査を行って、またCという病院のDという先生に診てもらうときに、さきの情報があれば非常に誤診も防げたり、患者さんとしても医療的に負担も減る。もちろん、医療全体のコストとしても寄与するというふうに思うわけでございます。

 こういうことを、局長、先般も、将来的にはこういったことをきっかけとして、今回の処方箋に関する電子システムではありますけれども、これをきっかけにして展開するということもおっしゃっておられました。これは私は大いに進めていってほしいと思いますし、大臣も今日、さきの委員からの質問におきまして、ワクチンのいわゆる接種、予防接種のデジタル化ということを言われていまして、これを、副反応、場合によっては効果、こういったことに結びつける。私はこれも、診療とリンクさせる、診療で使っていく、重要だと思います。

 午前中も阿部知子議員が母子健康手帳のデジタル化、私も大臣に違う場で質問させていただきましたが、これもやはり、自分の目の前の子供を診る小児科医にとってみて、患者さん、つまり子供さんがいつどのようなワクチンを打っているかということで、様々な病気が否定できたり可能性が出てきたり、そういうふうにするわけですね。これはすごく母と子供の結びつきを深めると同時に、やはり小児医療においても非常に重要な役割を果たします。

 こういうふうに、様々な患者さんの情報を医療、診療に使っていく。もっと言うと、ヘルス的な、セルフメディケーションという言葉がありますけれども、自分で自己管理をしていく、例えば生活習慣病のような形でも対応できると思いますので、私は、このことに併せて、特に情報セキュリティーもありますが、ここの部分で前に申し上げたのは、患者さんに、こういった情報網から自分のところに、自分の情報を見ることができるのみならず、さきの例えばワクチンの予防接種のデジタル化ということに関しましては、例えば、頻発している、頻度の高い副反応に関するものがあったかどうか、接種後何日ぐらいで出てくるかどうか、そういうのをプッシュ通知とか、セキュリティーに余り影響を及ぼさないプッシュ通知等々で、それが記録としてシステム上に残っていって、それがいろいろな形で研究とかにも使えるということがあればいいと思います。

 大臣、いろいろ私、述べましたけれども、そういう展開、これから厚労省として、今まで比較的デジタル化が遅れていて、特に、私、何でこういうことを申し上げるかというと、今回、さきも申し上げたように、このシステムによって、使う患者さんは、若干ですが負担が増えるんですね。負担が増えるんですよ、窓口負担。そうしたら、やはりそれ以上のメリットがないと、なかなか広がらないと思います。

 マイナンバー制度の加盟率も、いわゆる国民の。それも低いですよね。やはり、私たち国民にしてみたら、メリットがないんですよね、余り。メリットを感じないものに対して、むしろ、そういうことに対して協力できないというのは普通の流れだと思いますので、そのことも併せて御答弁いただけたらと思います。

後藤国務大臣 今、仁木委員から御指摘がありましたように、今日はいろいろな観点からこの点についての御質問がありました。

 質の高い医療の提供に向けて地域の医療機関の連携も進めていく、そして患者の利便性の向上を図っていくためには、各医療機関が管理する電子カルテ情報を医療機関を超えて円滑に共有できるような体制、それをつくっていくことで診療の利便性、質が高まるというふうに考えています。重要だと思います。

 異なる電子カルテを使用する医療機関の間で情報を共有するためには、具体的な項目についての電子的な仕様を定める必要があるわけでありますけれども、先月、検査結果を含む診療情報提供書や画像を含む退院時サマリーなどについて厚生労働省において共通の標準規格を定めたところです。

 今後、標準規格化された電子カルテ情報を全国で閲覧可能とするシステムの在り方について検討してまいります。

仁木委員 ありがとうございます。

 医療の分野におけるデジタル化、まだまだ質問とか要望はあるわけでございますが、少しちょっと話題を変えたいと思います。ワクチンの接種の現場のことでございます。

 今、各種報道されていますが、三回目のブースター接種、これが低調である、特に六十四歳以下の方においては低調でありますし、私の地元徳島においてもやはり接種率が低いという実態がございます。

 私は、ここに来て、こういう声を聞きます。オミクロン株は感染しているのは分かる、徳島でも、人口が少ない中でも今日も百六十人を超えていますけれども、そういう中でも、病原性が低い、つまり仮に感染したとしても命を落とすようなことには至らないんじゃないかとか、あるいはワクチン接種をした人が周りにいるけれども、それでも感染者が出ているではないか。まあ、これは様々なことがありますし。あと、前と違ってワクチンが今、供給がほぼなされていますので、どこでもいつでも打てる、そういうふうな状況。そして、私が極めつけだと思ったのは、五月から四回目の接種がというふうな報道がなされました、今日も午前中の委員の質問にあったと思うんですけれども。

 特に最後の部分というのは、ワクチンに対して積極的に受けたいとか受けようと意気込んでいらっしゃらない方においては、何かすごい暗い感じがしたり、これから最低でも年二回とかワクチンを打ち続けなきゃいけないんじゃないかという、何か暗い、まさに行動科学的に言うとちょっとネガティブなイメージを与えてしまうんですね。

 私も、HPVワクチンとか、公費助成化に向けて動いた、一期目のときはございましたけれども、やはりワクチンというのはなかなか、接種してもらうためには、強制でするわけにいきませんので、適当な情報をちゃんとリスクコミュニケーションして接種していただく形に持っていく。もっと言うと、打つか打たないか、打つメリット、デメリット、打たないメリット、そしてデメリットもあるんですね、打たないデメリットも。そういうこともしっかりと、トップであられる大臣、厚生労働行政の中でしっかりと行っていただきたいと思うわけでございます。

 そういう中で、私は一つ、先ほど述べたワクチンが今余っているという現状で、昔を思い出していただきたいんですけれども、ファイザーとかは自治体任せ、例えばモデルナのスパイクバックスは職域接種等でしていました。今は両方、地元、自治体の方に配給されていると思うんですけれども、その配給されて以降の国の管理がなされていないと思うんですね。幾ら余っているんだか、どういう状態なのか。

 私が先般こちらの方で質問しました、これは二枚目の資料ですけれども、これは国から各都道府県の医師会に送られている資料をちょっと私の事務所の方でより分かりやすくしたわけでございますけれども、ファイザー社は、今、コミナティは一バイアルで六回から七回というのは六人から七人分、モデルナのスパイクバックスは十五人から二十人分という形に取られます。

 これは、一旦、ファーストショット、針を刺してから六時間以内に打ち終えないとちょっと駄目なんですね、ワクチンの有効性ということでいいますと。モデルナのスパイクバックスは十二時間ですけれども、これはなかなか例えばちっちゃい医療機関、大規模接種会場ではこういうことを全部無駄なく使われていくと思われますけれども、これがちっちゃい医療機関とか、予約がなかなか入らない、されど、これはディープフリーザーから出したら、一番下に保存期間を書いていますが、三十日間、約一か月ぐらいでそのワクチンの使用期限を迎えてしまうわけでございます。

 そういう実態を踏まえて、今もしかしたら国が思っている以上にワクチンが破棄されていたり、あるいは、全く使われないで破棄されていなくても、私が指摘したように、モデルナでしたら、例えば二人分打って、残り十八人打てるのに破棄されていたり、ファイザーのコミナティだったら、一人、二人打って、五人分、六人分打てるかもしれないものが破棄されている可能性が、捨てられている可能性があるんじゃないかというふうに思うわけですね。

 これは、過去のVRSの一回、二回の実績を基に医療機関に、一回目、二回目これくらい打っているからこれくらい要るんじゃないですかという案内が来るんですけれども、結構早めに来ちゃうんですね。ただ、実際の予約状況というのは低調であるということを、今、そのミスマッチというか、それにちょっと悩んでいるというか、もったいないなというか、そういうふうに思っております。

 そういうことに関して、ちょっと私の、配給後の国の調査であるとか、その辺を踏まえて、大臣、御答弁いただけたらと思います。

後藤国務大臣 今、委員から幾つか御指摘ありました。

 まず、リスクコミュニケーションが大事だという最初の御指摘については、そのとおりだというふうに思っています。

 ワクチンの三回目接種について、本当に自治体や医療関係者の皆さんの御協力もいただいて、二月中旬に一日百万回の接種を実現しましたけれども、今、三回目の接種が少し伸びが滞ってきているという傾向もございます。

 高齢者人口に対する接種率は、これは、全国の高齢者施設に一件一件当たるという手法で、人海戦術で八五%にまで達することができましたけれども、しかし、もっともっと打っていただきたいと思うわけですが、これはあくまで安全性、有効性を始め、必要な情報をお示しした上で、御理解をいただいて打っていただくということでありますから、しっかりと、三回目接種の必要性、効果、交互接種の安全性等、それから効果が増えていくこと等、もっともっと積極的なメッセージを伝えていくということが大切だというふうに思っています。

 特に、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、最初の頃、いわゆる感染防止効果がないのではないかという議論もありましたけれども、昨今は感染防止効果もあるという情報でございますので、そうしたことも伝えていく必要があると思っています。

 それから、対応を自治体任せにせずに国もある程度いろいろな対応をしていくということの御指摘もありましたけれども、その点については、今それぞれの地域において、タイミング、管理、いろいろなことを地域の事情に応じてやっていただいているということなので、そういう体制で、接種現場の業務負担のことも考えながら、国が直接乗り出していくことについては慎重であるべきかなと思っています。

 それから、ワンプレフィルドワクチンについては、先生からの御指摘もあり、製薬企業にもそのような要望があることはお伝えもいたしました。それで、ワクチンメーカーがより多くのワクチンを効率的に生産するために、一バイアルから複数回接種するという方式を採用しているものと考えられまして、効率的な接種の実施のやり方については今後とも話をしていきたいと思っています。

仁木委員 私が配付した資料にも、これからプレフィルドシリンジの市場は伸びていきますし、大臣、私の質問の前にお答えいただきましたけれども、やはり先ほど申し上げたような、無駄をなくす。緊急時は、一回目、二回目に我が国で打った段階では、確かに一バイアルで複数人のものがあってもいいと思うんですね。その方が早いですしね、ある意味で。コストも安いと思います。ただ、これから、四回目、五回目とか、そういう接種をする際に、やはり一プレフィルドシリンジを一人に対して用意するような、そういうGMPを考慮した上でのワクチン供給体制というのを構築していただけたらと思います。

 時間をオーバーしました。委員長ありがとうございます。これで質問を終わります。

橋本委員長 次回は、来る十五日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十五分散会


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