衆議院

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第17号 令和4年4月27日(水曜日)

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令和四年四月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 牧原 秀樹君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      東  国幹君    畦元 将吾君

      上田 英俊君    加藤 勝信君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      小森 卓郎君    後藤田正純君

      佐々木 紀君    塩崎 彰久君

      鈴木 英敬君    田村 憲久君

      高木 宏壽君    土田  慎君

      長谷川淳二君    深澤 陽一君

      古川 直季君    堀内 詔子君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      三ッ林裕巳君    柳本  顕君

      山本 左近君    井坂 信彦君

      近藤 昭一君    中島 克仁君

      長妻  昭君    野間  健君

      山田 勝彦君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      金村 龍那君    吉田とも代君

      山崎 正恭君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   議員           山井 和則君

   議員           早稲田ゆき君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   内閣府副大臣       黄川田仁志君

   法務副大臣        津島  淳君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   厚生労働大臣政務官    島村  大君

   最高裁判所事務総局家庭局長            手嶋あさみ君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官)  蝦名 喜之君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官)

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        相川 哲也君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 吉住 啓作君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        馬場竹次郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           里見 朋香君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  安彦 広斉君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           山本 麻里君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    田原 克志君

   政府参考人

   (国立感染症研究所長)  脇田 隆字君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     小森 卓郎君

  勝目  康君     古川 直季君

  長谷川淳二君     東  国幹君

  阿部 知子君     近藤 昭一君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     長谷川淳二君

  小森 卓郎君     上田 英俊君

  古川 直季君     勝目  康君

  近藤 昭一君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)

 保育等従業者の人材確保のための処遇の改善等に関する特別措置法案(岡本あき子君外十二名提出、衆法第二八号)

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(早稲田ゆき君外十六名提出、衆法第三〇号)


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、児童福祉法等の一部を改正する法律案並びに岡本あき子君外十二名提出、保育等従業者の人材確保のための処遇の改善等に関する特別措置法案及び早稲田ゆき君外十六名提出、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官蝦名喜之君、こども家庭庁設置法案等準備室審議官、内閣府子ども・子育て本部審議官相川哲也君、大臣官房審議官吉住啓作君、総務省大臣官房地域力創造審議官馬場竹次郎君、法務省大臣官房審議官堂薗幹一郎君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官茂里毅君、大臣官房審議官里見朋香君、総合教育政策局社会教育振興総括官安彦広斉君、厚生労働省健康局長佐原康之君、労働基準局長吉永和生君、雇用環境・均等局長山田雅彦君、子ども家庭局長橋本泰宏君、社会・援護局長山本麻里君、社会・援護局障害保健福祉部長田原克志君、国立感染症研究所長脇田隆字君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局家庭局長手嶋あさみ君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。川崎ひでと君。

川崎委員 おはようございます。自由民主党の川崎ひでとです。

 私は、今回、厚生労働委員会で初めて質問をさせていただきます。機会を与えてくださいました理事の皆様、そして自民党先輩方に心から感謝申し上げます。

 先般、塩崎彰久委員が、今国会は子供国会と呼ぶにふさわしいと述べておられました。私も強く共感いたします。とりわけ、虐待により命を落としてしまう子や深く心に傷を負う子たちがこれ以上増えないようにするのは、大人としての責務であり、政治家としての使命であると考えます。

 今日は、児童福祉法に関する質問ということですが、まず初めに、法案とは少し外れますが、虐待という点においては共通であるという思いから、この質問をさせていただきます。大学生の生活保護についてです。

 私は、自民党の青年局に所属しております。この青年局において、先日、勉強会をいたしました。その内容は、虐待を受けた大学生が生活保護を受けられない課題というものでした。その勉強会では、過去に虐待というつらく悲しい経験をされた方が当時の状況をお話ししてくれました。

 資料一、NHKの記事を御覧ください。赤枠部分を読み上げさせていただきます。

 中村さんは、虐待を受けて親元を離れた後、働きながら学費をためて大学に通っていました。看護師を目指して、アルバイトをかけ持ちしながら生活費や学費を工面していましたが、二年生のときに虐待された記憶がよみがえり、体調を崩して働くことができなくなりました。役所に、療養中だけでも生活保護を受けられないか相談しましたが、大学はぜいたく品です、大学に通うか生活保護を受けるか選んでくださいと言われ、退学せざるを得ませんでした。ほかに選択肢はありませんでしたが、大学はやめたくなかったです。誰も助けてくれないのかと絶望の気持ちでした。

 確かに、現行の生活保護制度は高校生までが対象となっており、大学生は対象となっておりません。

 資料二を御覧ください。

 これは、昭和四十五年、生活保護に関する制度設計時に、当時の全国平均の高校進学率が約八〇%になった事情を考慮してこれを認める取扱いとなったと、平成三十年に当時の加藤厚生労働大臣が御回答をいただいております。

 他方、大学については、資料三に示すとおり、大学進学率は二四%と低い状態でした。このNHKのインタビューに掲載されているように、大学進学は裕福な証拠と捉えられていたために、大学に通える人は生活保護の対象から外れたのではないかと言えます。

 この資料三に示すとおり、大学進学率は年々上昇しており、令和三年度に大学進学率は八三・八%。進学率だけを考えれば、平成二十八年以降は八〇%を超えますので、生活保護の対象に入れるべきだという考察が恐らく厚生労働省の中でもあったのだろうと思います。

 そこで、改めて厚生労働省にお伺いいたします。生活保護の対象を大学まで拡大することについて、御見解をお聞かせください。その際に、対象に入れることが困難な理由があるのであれば、いま一度この場で共有をお願いしたいと思います。

深澤大臣政務官 川崎委員にお答えいたします。

 生活保護を受給しながら大学等に就学することについては、一般世帯で高等学校卒業後に大学等に進学せずに就職する方や、奨学金、アルバイトなどで自ら学費や生活費を賄いながら大学等に通う方とのバランスを考慮する必要があるため、慎重な検討を要するものと考えております。

 仮に大学生等への生活保護の適用を認めた場合、親からの仕送りや奨学金を含む大学生の生計維持の在り方自体に影響を与えることになる点にも留意が必要であると考えております。

 また、生活保護は、憲法第二十五条の生存権保障の理念に基づき、制度が保障する最低生活を下回る者に対して、誰もがひとしく保護を受ける権利が与えられるものであります。このため、虐待を受けて避難した場合など、特定のケースに限って保護を適用することについての対応は困難と考えております。

 一方、生活保護世帯の子供の大学等への進学を支援するため、平成三十年度から、進学準備給付金の創設や、自宅から大学等に進学する場合の世帯員の減少に伴う住宅扶助費の減額の取りやめなど、取組を行っております。

 また、文部科学省でありますが、令和二年四月から開始された修学支援新制度において、生活保護世帯を含む低所得世帯の子供たちを対象として、授業料及び入学金の減免や、給付型奨学金による生活費の支給といった支援が実施されていると承知をしております。

 このように、生活保護制度のみならず、ほかの施策も併せて講じることで、生活保護世帯の子供の大学等への進学支援等を充実させることが重要であると考えております。

川崎委員 御回答ありがとうございます。

 厚生労働省の中でも様々な御検討をいただいていたこと、重々理解いたしました。

 先ほど政務官からお話があったとおり、奨学金の制度、こうしたものがあることを私も調べさせていただきました。資料四を御覧ください。これが、先ほど政務官から御説明がありました、今使える奨学金制度でございます。

 現行制度上は、家庭内暴力を受けて避難した場合に、定期採用型、この表の左端の、原則と書かれている部分です、この定期採用は利用できますが、家計急変時の特例というものは、虐待、家庭内暴力を受けた方には利用できないスペックとなっております。

 虐待を受け、シェルターに逃げ込んだ子供たちは、すぐに病院に行かなければならないなど、早急にお金が必要な状況であることは皆様御理解いただいているかと思います。そこで、是非この特例制度に虐待、家庭内暴力を受けた場合というものを入れていただき、かつ、申請の簡易化など、利用しやすいものとするために制度の拡充をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 今日は、この制度の所管であります文科省より、鰐淵政務官、お越しいただいておりますので、鰐淵政務官に御回答をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

鰐淵大臣政務官 お答えいたします。

 経済的に困難な学生等が学びを諦めることのないよう、しっかりと支えることが重要でございます。

 そのため、文部科学省としましては、先ほど政務官からも御紹介いただきましたが、令和二年度より、高等教育の修学支援新制度を開始しております。虐待等を理由に避難した学生を含め、真に支援の必要な低所得世帯の学生に対しまして、給付型奨学金と授業料減免による支援を実施しております。

 このほかにも無利子奨学金、有利子奨学金も用意しておりまして、返還の際も、所得に連動した返還や返還額の減額等によりきめ細かな支援を行っております。

 しかしながら、御指摘のとおり、家計急変による随時採用は、災害、生計維持者の死亡、事故、病気による就労困難、非自発的失業に限られております。このため、虐待等を理由に避難した学生については、現在、春と秋の定期採用のみで申請対象となっております。

 文部科学省としましては、学生等が進学、修学を断念することがないよう、委員の御指摘も踏まえまして、何らかの改善を行うことができないか、しっかりと検討してまいりたいと思います。

川崎委員 鰐淵政務官、力強い御回答ありがとうございました。

 当然、この制度だけでは全ての虐待の子たちを救えるというわけではございませんので、是非、今後も、厚生労働省そして文科省、連携しながら、苦しみから救う策を講じていただきたいと思います。

 最後に、深澤厚生労働大臣政務官から、その辺りも踏まえて意気込みをよろしくお願いいたします。

深澤大臣政務官 意気込みということでお答えしたいと思います。

 まず、奨学金が速やかに支給されるような制度の見直しについては、先ほどの文部科学省からの御答弁を踏まえまして、今後も連携を取りながら対応してまいりたいと思います。

 また、ただいま、この奨学金制度だけではまだ足りないというお話もございました。虐待を受けた大学生が修学し続ける上での課題については、私としても重く受け止めまして、何ができるのか、今後、文部科学省とも連携しつつ検討してまいりたいと思います。頑張ります。

 以上です。

川崎委員 深澤政務官、ありがとうございました。

 それでは、続いて、児童福祉改正法に関する質問をさせていただきたいと思います。

 一つ目です。

 母子保健と児童福祉のそれぞれが把握していた事案の情報が適切に共有されず死亡に至ってしまった例が存在することから、子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センターを一体化した相談機関としてこども家庭センターを設置することは、従来の縦割り行政の垣根を越えて子供の命や権利を守る極めて重要な法改正です。

 しかも、こども家庭センターにおいては、従来から行われておりました子供や妊産婦等の実情把握、情報提供、相談支援に加えて、サポートプランの作成も担うこととなります。これは従来の見守り支援から一歩踏み込んだもので、虐待に至らないように子供や保護者のニーズに応じた支援を計画して提供するものであり、我が国における虐待防止施策における画期的なものになると考えております。

 それだけに、このサポートプランは、虐待の有無や程度の判断、必要な支援内容の把握、保護者への動機づけなど継続的なケースマネジメントが必要になると考えますが、いかがでしょうか。厚生労働省のお考えをお聞かせください。

橋本政府参考人 今般の児童福祉法改正案におきましては、支援を要する家庭や子供に確実に支援が実施されますよう、サポートプランの作成を市町村の業務に位置づけるということとしております。

 このサポートプランにおきましては、虐待を含めた家庭環境等に係る課題や、支援の内容、あるいは訪問など家庭支援事業に係る支援メニューや、支援期間、利用頻度、こういったことなどを記載することを想定しておりまして、委員御指摘のとおり、支援を受ける方の状況の変化に応じた継続的なマネジメントが重要と認識しております。

 サポートプランの内容等の詳細につきましては、適切な支援を継続的に行えるように、今後、施行までによく検討をさせていただきたいと思っております。

川崎委員 御回答ありがとうございます。

 継続的なサポートが必要であるということを御回答いただけましたので、その旨を念頭に、次の質問に移ります。

 支援を受ける子供たちの観点から考えると、職員と継続的にコミュニケーションを取ることによって信頼関係が構築され、安心して悩みを打ち明けられる、こうした観点からは、職員の異動頻度や担当者の変更の頻度などは下げるべきだと考えますが、一方で、同じ職場で長く働く職員のモチベーション低下、こうしたものも発生すると考えております。厚生労働省としてはこの点をどのようにお考えでしょうか。

橋本政府参考人 現場におきまして、個々の支援対象者との継続的な関係を構築するという観点からは、同じ対象者が継続して支援に携わることが望ましい、こういった意見があることはよく承知しております。

 一方におきまして、自治体における人事におきまして、職員の人材育成ですとか、適正な人員配置、あるいは組織の活性化、様々なことを目的といたしまして、子供や家庭の支援に当たる職員についても、ほかの職員と同様に、人事異動等による担当業務の変更を行うことがございます。職員の異動の頻度を下げるべきといったことを自治体に対して国から求めるというのは、それぞれの自治体の人事政策に関わることでございますので、なかなか難しゅうございますけれども、厚生労働省としては、担当者の変更があったとしても支援が切れ目なく提供されることが必要と考えておりますので、人事異動の際には、各自治体において、その引継ぎを適切に行っていただきたいというふうに考えております。

 また、現在、要保護児童対策地域協議会も活用しながら関係者間で情報共有を行って、支援が継続する中で小まめに情報を共有、記録することで、支援を担当者個人というレベルではなくて組織というレベルで行うようにしていただいているところでございます。

 こういったことを通じまして、こども家庭センターの創設後も、個別のケースについて組織的な引継ぎや関係者間の情報共有ということが行われて、適切な支援が継続的に行われるような体制を整備していきたいと考えております。

川崎委員 御回答ありがとうございます。

 今回のこの法改正によって、明らかにやはり職員がやる所掌範囲というものも広くなり、そして継続性も要します。さらには家庭の事情も千差万別でございますので、適切なサポートを行うためには職員の心のケアというのも非常に重要だと思っております。そのため、職員のケアの部分は自治体もしっかり考えるべきだと思いますので、厚生労働省の方も全力で自治体をサポートいただけるようにお願いをいたします。

 三つ目に参ります。

 サポートプランを実行するためには、高い専門性、例えば、これは知識のみではなく、経験やコミュニケーション能力、あるいは包容力といったものが必要になってくると考えます。この高い専門性を持った人員の確保について、その質の部分、そして人数、量の部分、双方からどのようにされるのか、教えていただきたいと思います。また、高い専門性を有していることを客観的に評価、担保するための仕組みについても併せて教えていただきたいと思います。

橋本政府参考人 サポートプランの作成等に当たりましては、支援を要する方の実情把握ですとか、アセスメントに基づき適切な支援を行うということは重要でございますので、そのために専門性を持った人材の確保を図っていくことが必要になります。

 まず、人材の質の確保という点でございますが、サポートプランの作成は、こども家庭センターや市町村において相談援助業務を行う職員、ないしは委託があれば委託を受けた一定の専門性のある民間機関の方で担っていくということを想定しておりますので、その専門性の向上のため、市町村向けの研修の充実を図るということのほか、今般の児童福祉法改正案において導入することとしております子供家庭福祉の認定資格の積極的な取得促進ということにも取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それから、人材の量の確保という面でございますが、サポートプランを作成するこども家庭センターや市町村の人員体制につきまして、改正法案が成立した暁には施行までに具体的に検討していくことになりますが、審議会の報告書でも、既存の相談機関を一体化した結果、安易に人員削減が行われることのないようにすべきというふうな指摘がなされていることも踏まえまして、適切な人員配置や必要な支援を検討しますとともに、今般の制度改正に伴う市町村の業務等の状況の変化も踏まえた、総合的な体制強化ということについて検討してまいりたいと考えております。

川崎委員 ありがとうございます。

 これは多分、相当、人員の確保という部分では御苦労されるかと思います。我々も精いっぱいその部分、地元と意見を交わしながら進めてまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 続いて、児童養護施設における費用についてお伺いいたします。

 今後は、里親支援制度として今次法改正にて法定化することで里親家庭への支援が充実し、今まで以上に里親が安心して子供を養育できます。これは平成二十八年の改正児童福祉法の家庭養育優先原則を一層進める大きな契機になると思われます。

 一方で、里親家庭が安心して養育するためには、虐待の影響によって様々な問題行動を示す子供たちに対して、施設で十分なケアを受ける機会を保障することも重要であると思われます。そのためには施設の高機能化が重要であると思いますが、現在のように、ケアに人手のかからないケアニーズの低い子供も、人手を多く必要とするいわゆるケアニーズの高い子供も、児童養護施設において全国一律同額の措置費の支払いによるケアでは、児童養護施設の運営は財政的に困難なケースが出てくるのではないかと考えます。この点についてお伺いをいたします。

 とりわけ、社会的養育専門委員会報告書においては、措置費の在り方について、早期に実現を図ると提言されておりますが、厚生労働省については、どういったスケジュールで、あるいはどういうふうなプロセスを踏んでこういうことを考えられているのか、その点をお伺いさせていただきたいと思います。

橋本政府参考人 児童養護施設におきましては、障害等を理由に手厚い支援が必要な児童が増加しておりまして、施設において児童の状況に応じた支援ができるよう、体制の整備を図ることが重要というふうに認識しております。

 このため、入所定員数等に応じて施設に支払われる措置費に上乗せをいたしまして、児童のケアニーズに応じて、心理療法担当職員の配置ですとか、被虐待児や医療的ケア児を受け入れた際の加算等を行っているところでございます。

 御指摘いただきました社会的養育専門委員会の報告書におきましては、措置費の在り方について、ケアニーズに応じた支援が適切になされるよう、調査研究を行うなど速やかに検討を開始し、十分な議論を経て得られたよりよいものについて早期に実現を図ることとする、こういった指摘がなされているところでございますので、今後、施設等の関係者の意見を伺いながら検討を行うこととしております。

 この措置費の在り方の検討の仕方でございますけれども、現在、児童養護施設等に入所している児童へのケアの現状ですとか、あるいは施設の課題などの施設の在り方についての調査研究事業を実施する準備を進めているところでございます。今後、こうした取組を通じまして課題や進め方を整理しつつ、できる限り早急に有識者や施設関係者との検討の場を設けたいというふうに考えているところでございます。

川崎委員 考えていただくプロセス等、重々理解いたしました。やはりあとはスピード感だと思いますので、是非こちらについてスピード感を持って対応いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 あと一問残しておりましたが、ちょっと時間の関係もございますので、これにて質問を終わらせていただこうと思います。御準備いただきました省庁の皆様、大変申し訳ございません。またの機会とさせてください。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今日は児童福祉法ということで、当然、法案一つ一つ与党で審査もさせていただいて、閣議決定というプロセスを踏んでいるわけで、法案の中身は了承ということでありますが、その中で、やはり部会の中でもいろいろ確認事項があります。それは、執行していく上でこれは大事なんじゃないかという点、幾つか、多々そういう声もありましたので、これを中心に今日は確認をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、一時保護を開始する際の司法審査というものが今回導入されるということになりました。これは、司法審査を通じてしっかり一時保護の透明性を確保していこうというものでありますが、一つ議論があったのは、司法がきちんとした判断をしてくれるかどうか、これが非常に重要だということであります。

 昨年の神奈川県大和市のケース、小学校一年生の次男が殺害をされたということで、兄も姉も十年前に亡くなっている、直近には弟も亡くなっている、三人も亡くなっている中でこの男の子は二回保護されたわけですが、長期間の保護申請を裁判所に出したけれども残念ながら却下されたということで、家に戻って、その後亡くなったという事案で、結局、四人の子供の命が奪われてしまいました。

 裁判官によっては、疑わしきは罰せず、刑事事件のように立証する方もいるんじゃないかと。一時保護というのは、そもそも、まず安全のためにはとにかく一時保護なんだ、疑わしきはまず保護しよう、そこから事実関係を調査しようということが基本的な考え方だと思います。

 まずちょっと伺いたいのは、今回審査をする、司法審査が入るのは家庭裁判所でやるのか。というのは、家裁にはいろいろ調査官もいますし、専門性が高い職員がいます。今回はそうじゃなくて、地裁とか簡易裁判所は専門性という点ではどうかという疑問の声もありますが、今回はどこで審査をするのか、伺いたいと思います。

橋本政府参考人 今回の一時保護状の手続は、相当多数の請求が見込まれ、迅速性の要請も高いということから、家庭裁判所に加えまして、地方裁判所や簡易裁判所も含めた体制とする形で考えております。

 私どもとしては、どの裁判所であれ、各々の裁判官がしっかりと一時保護の司法審査に対応できるよう、法務省や最高裁と連携して、しっかりと、施行までに十分な準備を行ってまいりたいと考えております。

伊佐委員 これは、連携が本当に大事だと思います。

 今までは、司法審査の場面というのは、二か月を超えて長期に一時保護する場合には裁判所の承認が必要で、そのときには全部家裁がやっていたわけですよね。今回は、地裁あるいは簡易裁判所が入ってくるということで、さっき申し上げたように、この一時保護というのは刑事事件とは違うんだという、疑わしきはまず保護という理念がしっかり裁判所と共有できるのかどうか、ここが非常に大事なポイントだと思いますが、ここはどう運用していくのか、伺いたいと思います。

橋本政府参考人 子供の命と安全を守るために、児童相談所がちゅうちょなく適切に一時保護を行うということが必要でございます。

 その上で、今般の児童福祉法改正案における一時保護の開始時の司法審査というのは、行政とは異なる第三者の立場である裁判所が審査をして、その適正性を判断するということでありまして、手続の透明性の確保の観点から導入するものでございます。

 各々の裁判官が、今委員おっしゃったような考え方というものをきちんと踏まえて適切に判断できるように、私ども厚労省といたしましては、一つは、一時保護開始の要件を法令上明確化するということとともに、今後、制度の運用の詳細につきまして、施行までに、実務者から構成される作業チームにおいて検討していくこととしておりますけれども、その際には、法務省や最高裁判所とともに検討を進めていくこととしたいと思っております。

 一時保護につきましては、委員御指摘いただきました理念を含めまして、この司法審査の趣旨等が一人一人の裁判官まで伝わり、制度が法の趣旨にのっとって円滑に運営できるよう、法務省や最高裁判所と連携しながら十分な準備を行いたいと考えております。

伊佐委員 局長おっしゃったように、一人一人の裁判官までしっかり伝わるようにと、これは、一つ一つ本当に命に関わる大事なケースだと思いますので。

 さっき局長おっしゃったように、一時保護の要件をしっかりまず明確化していきましょうと。あとは、運用実務、こういうものをしっかりと定めた上で通知をしていくということだと思います。だから、この要件が本当に大事だと思います。

 どういう要件になっていくかということを伺いたいと思いますが、現場でいろいろ伺うと、例えば調査保護というのがあります。調査のために保護するというような状況があって、保護することで子供からいろいろな情報を得られていって、その際の判断というのは、だから、調査の必要性があるかどうかという判断になるわけです。これを司法にやってもらわなきゃいけない。

 あるいは、保護する場合というのは、虐待事案だけじゃありません。私の地元の児相にも話を聞くと、大阪府の中央子ども家庭センターというところで伺いました。二千五百件の一時保護のうち、虐待が千八百件。七百件は虐待以外です。つまり、親との関係であったりとか、あるいは、兄弟に対して暴力を振るっていて、一時保護でとにかく兄弟を引き離さなきゃいけない場合であったりとか、子供の非行であったりとか、子供の援助の方針を決めるために保護をして、行動観察をして、アセスメントをして決めていく場合であったりとか。

 だから、いろいろな一時保護のケースがあると思いますので、こうした実情に合った要件にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 今般の児童福祉法改正案におきまして、一時保護の要件を法令上、明確化することとしております。

 それで、児童虐待のおそれがあるときというのと、少年法第六条の六第一項の規定により事件の送致を受けたとき、この二つにつきましては改正法案の中で明示をしているわけでございますが、そのほかの要件につきましては内閣府令で定めるということとしております。

 この内閣府令で定める一時保護の具体的な要件につきましては、実務者を含めた作業チームにおいて今後検討していく予定でございますが、児童相談所がちゅうちょなく適切な一時保護を開始できるよう、今委員から御指摘いただきました調査保護ということも含めまして、現行の一時保護ガイドラインや、様々なケースで行われている一時保護の実情ということをしっかりと踏まえた、適切な規定ぶりとしたいというふうに考えております。

伊佐委員 確かに、考えていくと、この要件というのはかなりのものになるんじゃないかというふうに思っています。

 運用実務の詳細も、司法も入っていただいて決めていくということで、さっき局長からもあった、一人一人の裁判官にしっかりと意識を共有してやっていくという話でありましたので、司法の側もしっかり、専門性の強化というものを是非お願いしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今般の一時保護開始時の司法審査は、一時保護の要件を明確化した上で、中立な第三者としての裁判所が客観的要件の具備を迅速に審査する制度であると承知をしております。

 そして、先ほど来厚生労働省の方からも御答弁ありますように、一時保護の要件につきましては、今後、内閣府令において客観的に明確な形で規定される方向で検討が進められるものと承知をしておりまして、そういった要件の明確性が確保されることにより、裁判官であればいずれの裁判所においても対応が可能となるものと考えております。

 一方、裁判所が行う児童虐待に関する手続の判断が重大な結果につながり得るということにつきましては十分承知をしているところでありまして、委員御指摘のとおり、児童虐待及びそれに関連する問題について必要な知見を深めることは重要であると考えておるところでございます。

 裁判所におきましては、これまでも、児童虐待などをテーマとして専門家に御講演をいただくなどの研修などを行ってきております。改正法が成立いたしましたら、一時保護開始時の司法審査の制度趣旨、内容を的確に周知するとともに、必要な研修等を実施することなどを含めまして、所要の準備をしっかりと行ってまいりたいと考えております。

伊佐委員 今、家裁の方ではいろいろな研修もしていただいていると伺っておりまして、しっかり、今回、地裁あるいは簡易裁判所も入っていきますので、是非そちらの方でも研修をお願いしたいというふうに思っております。

 次に、司法審査には例外規定がありまして、親権者等が一時保護に同意した場合には司法審査を省略することができる、省略して一時保護になるということです。こういうふうに書くと、まず、一時保護の手続を始めるためには同意の確認が必要になってくる。同意しますか、しませんかということになります。

 もちろん、一時保護した後、保護者の方と児相の皆さんがコミュニケーションを取ることは、これは当然だと思います。ただ、保護自体は突然来るわけで、子供の一時保護、突然来るわけです。さっき申し上げた大阪の中央子ども家庭センター、二千五百件の一時保護のうち職権保護が二千件を超えています。二千件は、ほとんどのケースでいきなり来るわけです。来て、保護者の方に、一時保護します、同意しますか、イエスかノーかと突きつけると、大抵、いや、やっぱりやめてくださいというふうになるんじゃないかという懸念があります。つまり、逆にハードルが上がっていくことになるんじゃないかと思うんです。

 ちょっと確認をしておきたいのは、この親権者の同意の確認というのは、保護をする瞬間にやらなきゃいけないわけじゃなくて、まず一時保護した後で同意の確認をしてもいいということで理解していいのか、確認させてください。

橋本政府参考人 今回導入を検討しております一時保護開始時点の司法審査は、親権者等の同意がある場合を除き実施するということとしておるわけでございますが、この検討の中では、一時保護の迅速性を確保するということ、あるいは、現場において一時保護というのは緊急に実施するということがほとんどでありますので、子供や親権者等、関係者からの事実関係の確認等に一定の時間を要するということ、そういったことなど実情を総合的に勘案しまして、事前ということのみならず、一時保護開始日から起算して七日以内に裁判所に一時保護状を請求する、そういった形にしているわけでございます。

 このため、委員御指摘のとおり、一時保護に係る親権者等の同意の確認につきましては、必ずしも一時保護開始と同時に行う必要というものはございませんで、一時保護開始後七日以内に行っていただくものというふうに考えております。

伊佐委員 今局長おっしゃった七日以内というのは、恐らく、書面で一時保護の申請を司法にするのが七日以内という期間ですので、その申請をするまでに確認してくださいということですよね。大丈夫です、うなずいていただいているので。

 ちょっとそこでもう一個確認したいんですが、七日以内に請求、これは、この期間、七日間でどうなのかという議論が相当、様々関係者の間であったというふうに思います。当初、三日間というのがあって。

 まず、司法に申請をするために何をしなきゃいけないかというと、当然、親に対して、保護者に対してヒアリングをする、児相の方から。それだけじゃなくて、学校の先生にヒアリングをする。関係者の皆さんからも話を聞く。あとは、親権者の戸籍を取らなきゃいけないと思うんですが、これも大変で、本籍が遠方にある場合は郵送で取り寄せるだけで数日かかってしまいます。というような状況の中で、三日間というのはほぼほぼ、本当に難しいと思って、今回、七日間になったわけですが、それでも、七日間の間で、相当ばたばたするんじゃないかというふうに思います。

 この手続を進めていく中で、とにかく申し上げたいのは、書類を簡素にしてほしい、申請を簡素にしてほしい。

 というのは、今、ケースワーカーの皆さんが、一人のケースワーカーが抱えている案件、私、聞いたら、大体平均五十件ですということを伺いました。一時保護を一つしようと思ったら、相当準備をされるということです。さらに、今回は全ての一時保護に司法手続が入っていくわけで、現場はパンクするんじゃないかという不安もあります。七日以内ですけれども、土日を挟むとより大変になりますし、この書類、どれぐらいの書類が必要か。できるだけ、手続、書類、簡便にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

橋本政府参考人 今委員から御指摘いただきましたとおり、一時保護の司法審査に係る児童相談所の事務負担というものが過剰なものとならないように、一つは、私ども、全国共通の様式を設けるということを考えております。それからまた、今委員が御指摘いただきました資料の簡素化といったことも考えております。

 今後、施行までに、設置を検討している実務者から構成される作業チームにおいて、具体的な検討をしてまいりたいと思いますが、その中で、具体的にどういった書類が必要なのかといったことも含めて、現場の実務ということをよく考えて、検討を進めていきたいというふうに考えております。

伊佐委員 是非ここはお願いします。必要な書類でも、共通、同じような書類があるのであれば共有して使えるであったりとか、この辺も是非検討していただきたいというふうに思います。

 大臣にも伺いたいと思います。

 さっき申し上げたように、ケースワーカー一人当たり五十件、さらに、今回は司法手続も入ってくるという中で、やはり児相の体制強化ということが本当に重要だというふうに思います。

 厚労省から、全国の児相の人員の基準というのを以前示していただきました。これは、子供の数とか相談件数とかで大体これぐらいの人員は必要だという基準をそれぞれ全国に示していただきました。

 私のさっき申し上げた地元でいえば、児童福祉司が今、二百六十五名いますが、基準で来たのは四百五十九名なんです。二百名足らないんです。児童心理司は八十一名、今いらっしゃるんですが、基準は二百二十七名で、厚労省から示されたので、三分の一しかありません。

 それでも、厚労省から基準を示していただいたことで自治体が意識をしてくれるようになったので、この人員の増強、体制強化というのは少しずつ今行われるように、確実に前には進んでいるということは現場からはいただいておりますが、そうはいってもまだまだ足りませんので、ここは、人材確保を含めて、体制強化への支援、しっかり国としても取り組んでいただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 今回、今御議論もいただいた一時保護開始時の司法審査の導入に当たりまして、裁判所に提出する疎明資料の作成や、裁判所との間の疎明資料のやり取りを行う事務が新たに発生することになるため、人材確保も含めまして、児童相談所の法的対応のための体制強化も必要と認識いたしております。

 厚生労働省としては、弁護士を配置した場合や弁護士事務所等に委託を行った費用の補助を行っておりまして、さらに、法的対応を伴う事務職員を配置した場合の費用の補助を令和四年度に創設する等、これまでも、児童相談所の法的対応の体制強化を図っているところでございます。

 一時保護の司法審査の具体的な運用方法については、実務者も構成員に含む作業チームにおいて、今後、施行までに検討することとしており、その上で、児童相談所の法的対応のための体制強化にも必要な支援をしっかりと行ってまいりたいと思います。

 そういう意味で、新しく増える仕事について、しっかりと体制整備、これも念頭に入れて進めてまいりますし、今委員から御指摘もありました児童相談所の体制強化全般についても、今後ともしっかりと対応していきたいというふうに考えております。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

伊佐委員 大臣、前向きな御決意の答弁、ありがとうございます。

 もう一問、最後、ちょっと一時保護から離れて、ちょっと質問、一問最後にさせていただきたいと思います。

 今回の法案を拝見しておりますと、子育て支援についていろいろな新しいメニューが並んでおります。本当に大幅に拡充されるんだなと思いますが、例えば、新規であれば、要支援児童、要保護児童に対する訪問支援事業、家事をしてくれたりとか子供の送迎をお願いできたりとかというようなものがあったりとか、あとは子供の居場所支援、子供食堂であったり、あるいは親子関係形成支援事業というのが新規であります。拡充でも、ショートステイであったりとか一時預かりであったりとかというものもしっかり拡充をしていくというのが今回の法案の中身であります。

 こういうところというのは、これまで、それぞれの地域でも、例えばNPO法人であったりとか、こういうところが大体主役になって今まで担ってやってきていただいたわけですが、今回こうやって法律に書くことで、大事なことは、市町村の事業ではありますが、NPOと市町村がしっかり連携していただくということがまず一つ、もう一つは、とにかく、支援に必要な予算、この予算をしっかり確保するということが大事だというふうに思いますが、大臣、お願いします。

後藤国務大臣 今般の児童福祉法改正案によりまして新たに創設する訪問による家事支援などの事業につきましては、子育て世帯の負担感や悩みを軽減することで児童虐待の未然防止にも資するものでありまして、普及に向けた取組が非常に重要だと思っています。

 このため、令和三年度補正予算において、安心こども基金を活用して各自治体における先行的な実施を促すなど、令和六年四月の施行時における円滑な事業実施につながる取組を現在行っております。

 さらに、改正法の施行後においては、新たに創設する事業について、子ども・子育て支援事業に位置づけることとしておりまして、市町村においては、子ども・子育て支援事業計画の作成を通じて、地域のニーズも踏まえた計画的な体制整備を進めていただき、国としても、子ども・子育て支援交付金により、予算面での支援を行うことといたしております。

 また、今特に御指摘もありました、新設するこども家庭センターの業務の一つとして、家庭支援に取り組むNPO等の発掘を位置づけるほか、要保護児童対策地域協議会へのNPO等の積極的な参画について、好事例の周知等により促すことといたしまして、地域における様々な民間主体との連携を推進していきたいと思います。

 今後とも、地域において適切に普及されるよう、必要な予算の確保も含めて取り組んでまいりたいと思います。

伊佐委員 終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義です。

 今日もありがとうございます。よろしくお願いします。

 ありがとうございます、お越しいただいている、それぞれ、大臣、副大臣、それから脇田所長もありがとうございますなんですが、私がお願いしていたお一方がお越しいただけていないんですね。

 先ほど理事会の中でも協議になりました、コロナ分科会会長の尾身先生が、長妻委員のときにも議論になりましたが、実は、先ほどの理事会の状況を少し、委員の皆さんも是非御承知おきいただきたいのは、私もちょっと驚いたのは、尾身先生、今日お越しいただけていないんですが、NHKの「日曜討論」にはお出ましになって、しっかりとコロナ対策についてお述べいただいている。もちろん、出ていただいたらいいんですが、じゃ、国会は「日曜討論」より下なのかということにもなりかねません。

 与党の理事の先生からも、この厚労委員会にとどまらず、内閣委員会、予算委員会などに関わることでもありますから、国対間の中で、まさに例外的なルール、そういったものも合意できれば御出席いただくこともあり得るんじゃないか。それはそうなんですよね。

 是非、これは、厚生労働委員長、この委員会にとどまりません、これから第七波以降のまだ懸念もありますし、実際、東日本大震災のときには、民間の東電の社長もお出ましいただいたり、まさに未曽有の事態、まさに私たち三年目、こうしてマスクしているのは未曽有の事態でございますので、そういったときには例外的に、民間の方であってもお越しをいただく。ましてや、コロナ分科会の会長というお立場ですから。是非、尾身隠しというようなことを思われないためにも、是非国会で御答弁いただけるようにお取り計らいをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

橋本委員長 ただいまの件につきましては、後刻、理事会で協議をいたします。

柚木委員 是非、本当に、今後大事なまたタイミングがあると思いますので、例えば、参考人質疑を一般質疑と並行して、テーマによってはそういったことをお尋ねできるときにはお越しいただけるとか、いろいろな工夫をお願いしたいと思います。

 それでは、脇田所長、この後ワクチン分科会もおありということなので、私の通告が終わったら御退席いただいて結構ですので、まず、そちらからお願いをいたします。その後、法案質疑に入ります。

 ワクチンの四回目の接種について、私、それこそ尾身会長に、大分前から、やるんだったら、早く自治体の準備、昨年末のようなことにならないようにということで、まさに与党からもそういう御提言もあって、今進めていただいていると思いますが、年齢や接種間隔について。二問目もちょっと細かいこと、高齢者等の等についても通告していますので、まとめて伺いますが、これは、当面、六十歳以上を中心に接種を進めるということでいいのか。当面とはいっても、いつぐらいまでが当面なのか。

 海外では、例えば、イギリスでは七十五歳以上、EUでは八十歳以上、アメリカでは五十歳以上などで、いろいろ年齢があるわけですが、六十歳以上の接種根拠というのは何なのか。

 それから、六か月以上から、今回、五か月以上ということで短縮をするということでございますが、これは実際にそうなのか。例えばイスラエルなどでは四か月以上ということもありますが、第七波の防止をするためには、ゴールデンウィークにも入るわけで、少しでも早く、接種間隔も短く高齢者接種することが重要ではないでしょうか。

 そして、高齢者等ということで、二十五日に審議会でそういった御議論をいただいておりますが、その等の中には、私も従前から提案しています高齢者施設の従事者ですね。いろいろな、入浴介助とかも含めて濃厚接触をして、海外では医療従事者以上に優先接種になっていたりもしますから、この高齢者等の中には、高齢者施設の従事者、医療、介護、エッセンシャルワーカーの方、そういった方も入るのかについての御答弁をお願いいたします。

脇田政府参考人 それでは、お答えいたします。

 まず、第七波をいかに制御するかということに関しましては、現在、いわゆる第六波が下降傾向になり、それで、これからまた少し上昇傾向のところもあるというところでありまして、そちらに関しましては、第三回目の接種、これが若い層、若者の層に広くワクチン接種が行き渡るということが重要だと考えております。

 その上で、新型コロナワクチンの四回目接種につきましては、三月二十四日に、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会が開催されまして、ワクチンの有効性、安全性、効果の持続期間等に関する最新の科学的知見を踏まえて、引き続き検討するということが適切だということとされました。

 また、一昨日、二十五日に開催されました薬事・食品衛生審議会におきまして、現在得られています有効性、安全性に関わるデータ等を踏まえて、ファイザー、モデルナの追加接種の用法、用量における添付文書の注意事項として、四回目接種は、高齢者において、三回目の接種から少なくとも五か月経過した後に接種を判断することができるということが確認され、昨日、両ワクチンの添付文書が改定されたということは承知をしているところであります。

 また、高齢者等のというところの御質問がございました。これも、一昨日の薬事・食品衛生審議会において確認された高齢者等というのは、高齢者あるいは基礎疾患を有している方など重症化リスクが高い方を指しているということと承知をしております。

 添付文書上は、具体的に、何歳までが適当かということ、あるいはどういった基礎疾患を有していれば該当するのか、そういった明確な記載はないというところなんですけれども、こういった、先ほどの接種間隔、そして対象をどうするかということに関しても、今日十時から開催します予防接種・ワクチン分科会におきまして、構成員の皆さんと、最新の知見等を踏まえながら、あるいは諸外国の状況も踏まえながら、しっかりと議論をして、結論を得たいというふうに考えております。

柚木委員 ちょっと重ねてですがお願いしたいのは、もちろん高齢者やリスクのある有病者の方に加えて、やはり施設従事者。施設従事者から感染をして、そして本当に大阪では、死亡者の三割が高齢者施設のクラスターですから。施設従事者の方が幾ら注意していても、皆さんもそうですよね、議員の方だって、国会議員、何人かに一人は感染しています、どんなに注意しても感染する。自分が感染源になりたくない。私も、家族が当事者として介護、医療の現場で働いています。

 是非、従事者の皆さん、三年目で大変なストレス、プレッシャーの中で、今日もまさに処遇改善の法案、私たちも提案をして、審議もされます。そういう方に報いていただくためにも、この後のワクチン分科会で、高齢者施設の従事者も含めて、是非、優先接種、四回目接種を御検討いただくように、もう一遍答弁をお願いできませんか。

脇田政府参考人 予防接種・ワクチン分科会、これから開催されますので、この四回目の接種の目的、それから現在の科学的な知見、そういったものも踏まえながら、しっかりと議論をしてまいりたいと思っております。

柚木委員 是非、善処いただくようにお願いします。

 それからもう一点、確認ですが、この四回目接種が連休以降始まる場合に、引き続き予防接種法上の臨時接種という位置づけで、これはこの間そういう議論だと承知しておりますが、無料で接種をできるという理解でよろしいでしょうか。

脇田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、新型コロナワクチンの四回目接種につきましては、この後の予防接種・ワクチン分科会において検討するということになっております。

 予防接種法上の特例臨時接種として実施をされる場合には、実費負担なしで接種できるということで承知しております。

柚木委員 ありがとうございます。安心して皆さん接種を受けていただけると思いますので、その方向でお願いします。

 それからもう一点、これは場合によっては厚労大臣にも伺いたいと思っていたんですが、まず脇田所長の方に伺いますが、まさにこの四回目接種、私も前倒しで、とにかく自治体の準備が遅れないようにと。遅れたのが昨年末なわけですね。まさに、それが遅れた結果、本当に第六波で高齢者の方、多くの方がお亡くなりになってしまっています。多い日は、これは感染力、あるいは重症化のリスクは五波の方が高いと言われていたにもかかわらず、六波においては重症化率は低いと言われていたにもかかわらず、例えば一日八十人ぐらいだった第五波のときに比べて、六波は二百人以上の方が亡くなられる日もあったんですね。

 脇田所長、ワクチン分科会のまさに会長というお立場でもいらっしゃるわけですが、まさに第六波のときにも、今回五か月間隔に前倒しするわけですが、与党からもそういう提案があって、我々もそういう提案をしている。六波のときに、そういう形で間隔を、五か月、あるいはそれ以内に縮めていれば、これは亡くなる方を減らせた可能性があったんじゃないですか。いかがですか。

脇田政府参考人 まず、四回目の接種につきましてですが、これも三月二十四日の予防接種・ワクチン分科会で議論をしまして、その実施をするための準備を開始するということに関して意見がまとまったところであります。そういった結論に基づきまして、厚生労働省からは、既に三月の下旬に、実施に向けて二か月程度の期間で準備を行うということが各自治体に要請がなされて、現在準備を進めていただいているということだと考えております。

 三回目接種に関しましては、昨年の九月から予防接種・ワクチン分科会におきまして議論をしてきたところであります。三回目接種の有効性、安全性、それからその時点での海外の実施状況などを基にしまして、分科会の意見を取りまとめました。実際の三回目の接種の実施に当たりましては、オミクロン株が急激に拡大する等のエビデンス、それから感染状況等を踏まえながら、接種間隔を改めるということで対応されてきたというふうに考えております。

柚木委員 大臣には所長が退席いただいた後に伺います、ちょっと時間があるみたいなので。

 脇田所長、最後にもう一つですが、これも通告しておりますが、皆さんもこうしてマスクをさせていただくようになって、もう三年目に入ったわけですね。心身共に、あるいはコミュニケーション面を含めて、特に子供たちの発育、発達、コミュニケーション上も非常に影響が出てきています。

 所長は、コロナ対策分科会の中でも、こういうことをおっしゃっています。感染予防効果はマスクはあるが、副作用もある、屋外で人がいないところでマスクをする必要は当然ないと明確におっしゃっていて、どういった場面でマスクをして、どういった場面ではしなくてよいか、考えていく必要があると、緩和の提言をできるか検討ということでありまして。

 これは私も同感でございまして、必要な場面ではしっかりマスクをする。しかし、それが例えば屋内で食事をしているとき、何人以上なのか、あるいは屋外で行動しているとき、一人のときなのか、そうでないとき、あるいは四人以上のときなのか、例えばスポーツをしている、部活をしている、いろいろな場面場面で一定の類型化をして、そして、国民の皆さんに、児童の皆さんに、現場それぞれのいろいろな、学校現場を始め、現場の皆さんに分かりやすい形で、今後、いつマスクを外してもいい場面、こういったものがあるのか、あるいはこういった場面ではしていただくのかという提言を分かりやすくお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 ただいまのお話は、コロナ分科会で発言をしたところではなくて、前回のアドバイザリーボードの後の記者ブリーフィングでお答えをしたというところが、東京新聞の記事になったところだと考えます。

 その上で、マスクに関してなんですけれども、これは新型コロナウイルス感染症のまず基本のキなんですけれども、感染経路が、飛沫あるいはエアロゾルの吸入、そして接触感染等ということでありまして、この感染防止のためには、基本的感染対策が非常に重要ということで、マスクの着用であったり、手指衛生、それから換気の徹底、そして三密を避ける、そういった重層的な対策というものが非常に重要だと考えております。

 その上で、マスクの着用というのが感染リスクを下げる方法の一つであります。自分が感染するリスクとともに、相手を感染させるリスクを低減できるといった可能性がございます。

 このため、屋内のみならず屋外でも、人との距離が十分取れない場合に会話を行う際には、不織布のマスク等を正しく着用していただく必要があると考えております。

 他方で、感染リスクが高くないと考えられるような場面、例えば屋外において人との距離が十分取れているような場合、あるいは屋外で会話がないような場合には、マスクの着用は必ずしも必要ではないということでありまして、今後、特に気温と湿度が高くなってまいりますので、熱中症のリスク、あるいは先ほど委員が言われましたとおり、コミュニケーションが取りにくくなるというようなこともありますので、屋外で人との距離が十分あるような場合、こういった場合にはマスクを外すということが推奨されると思っております。

 具体的に、本当に細かく、どのような場面でマスクを着ける、外すということまで直ちに今提言をできるという状況ではないですけれども、今後、議論もしっかりして、進めてまいりたいと思います。

柚木委員 これで脇田所長に御退席いただきたいんですが、是非これは、夏、本当にもう既に暑くなってきて、コロナの感染防止も大事ですが、熱中症等で、体調を崩すだけじゃなくて、下手したら亡くなりかねませんから、本当に早急な、ちゃんとしたお示しをいただくことをお願いをして、これで御退席いただいて結構です。ありがとうございます。

 それでは、厚生労働大臣、先ほど、私、まさにやる場合は接種が遅れないように、そういったことで申し上げたわけですが、是非、この政府方針が、今日この後ワクチン分科会もある、アドバイザリーボードもあるということで、このワクチンの四度目の接種の接種間隔、それから対象者、高齢者等の等の位置づけも含めて、本当に二転三転をしたこの間の反省を踏まえて、同じ失敗をしないように、これは是非連休前に、だって連休後からということですから、連休前に、今まだ御答弁が生煮えのような御答弁でしたから、同じ轍を踏まないために、きちっとした方針をお示しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 今、分科会の会長の方からも答弁があったとおりで、今後、厚生科学審議会の方で議論をされるということでございます。

 それで、我が国では、振り返ってみると、諸外国に比べて新型コロナワクチンの一、二回目接種の開始が遅くて、昨年の秋はまだ一、二回目の対象者に対する接種が続いておりまして、三回目接種は、昨年十一月十一日に薬事承認を得た後に、手続に遅滞なく昨年十二月から開始しております。

 また、昨年十二月中旬以降、オミクロン株に対する最新のエビデンスや感染状況等を踏まえながら接種間隔を改めるなど、必要なタイミングで柔軟な対応をしてきたと考えております。

 四回目の接種については、既に三月下旬の二十五日に、四回目接種の実施をするか否かは決まってはいない状況ではありましたけれども、準備のために、あらかじめ体制を整えるために、二か月程度の期間で準備を行うように各自治体に要請しておりまして、今まさに準備中でございます。

 本日の審議会における議論を踏まえまして四回目接種を実施することとなった場合には、円滑に接種ができるように、しっかりと自治体とも緊密に連携して進めてまいりたいと思います。

柚木委員 是非よろしくお願いします。

 それから、続けて大臣に伺いますが、今日は内閣府の副大臣にもお越しいただいていますが、昨日、岸田首相の緊急経済対策、物価高対策について、私も会見を拝見しました。やはりみんな困っていて、この後一、二伺いますが、特に、一つは、これは厚労大臣に所管ですから伺いますが、困窮世帯のお子さん五万円給付。これは資料の五ページ目に、私たち立憲民主党としての提案、総額二十一兆円のまさに暮らしと事業を守り抜くメニューにも入っているわけですが、やはり、対象者が誰なのか、それから、いつ給付いただけるのか、ここが一番ポイントなわけでありまして。

 じゃ、今回の困窮世帯のお子さん五万円は、例えば児童扶養手当は五月、奇数月ですね。じゃ、五月から始まるのか、それが間に合うのか間に合わないのか、自治体によってどうなのか。あるいは、シングルマザーの方に、この間、届かないような状況を、私たちは本当に提案をして改善をいただいたわけですが、実際にお子さんを育てられている側の一人親、例えばシングルマザーの方にちゃんと届く仕組みになるのか。それから、二人親であった場合には、住民税非課税世帯、この場合には五月になるのか六月以降になるのか、自治体によってそれが違うのか違わないのか。

 そういった、給付対象、それから支給開始時期についての御答弁をお願いいたします。

後藤国務大臣 今回の給付金につきましては、昨年と同様に、児童扶養手当の受給者などの一人親世帯、それからその他の子育て世帯で住民税均等割が非課税の世帯などの低所得の二人親世帯に対して、可能な限り速やかに支給することとしております。

 給付金の支給対象となっていた二人親世帯が離婚等した場合における具体的な制度設計なども、これもきっちりと前例を踏襲して対応をしていきたいというふうに思っております。

 今、どういうタイミングで、どのようにできるかということでありますけれども、基本的には前回と同様の制度でございますので、プッシュ型で、できる限りうまく進めることによって、早期の対応をしたいと思います。

柚木委員 時間が押していまして、一問だけで、副大臣、ごめんなさい、わざわざお越しいただいていまして。

 低所得世帯の十万円給付で私が気になっているのは、二二年度から新たに非課税となった世帯に限りということなのか、もしそうであるならば、依然として生活が苦しい人たちが今回対象から外れるのかということになりますので、どういった人が給付対象で、いつから支給されるのかについての御答弁。

 それから、もう一つ。これはお願いですが、私たちのこの五ページを見ていただくと、今回、漏れる人が出てくるんですね。例えば、ワーキングプア、年収が非課税世帯よりちょっと上の百から二百万円ぐらい、働いているのに、仕事が減って、給料が減って苦しい、こういう方はもらえないんですね。何ら給付されません。ですから、こういう方々に対しても、追加の経済対策、本来ならば今回出してほしいんですよ。六兆円規模じゃ駄目です。真水が二・何兆じゃ駄目なんです。やはり二十兆、三十兆、需給ギャップを埋める、こういった追加対策も早く打っていただきたいと思いますが、それはお願いにとどめておいて。

 今日、まずは、その十万円の給付は、どういう形で、いつ支給されるのか、お願いします。

黄川田副大臣 現在、令和三年度住民税非課税世帯にはプッシュ型で十万円を給付しているところでございます。

 令和三年一月以降の家計急変世帯については、本人の申請に基づき給付を行っているというのが今の現状でございます。

 このため、本年度の住民税の課税状況が明らかになる六月以降は、こうした家計急変世帯で、受給資格があるにもかかわらず、未申請で受給できていない令和四年度の住民税非課税世帯についてもプッシュ型で給付を行うよう運用を改善するという内容でございます。

柚木委員 ありがとうございました。しっかり、なるべく早く給付をお願いします。

 副大臣、ここまでで結構です。ありがとうございました。

橋本委員長 御退席いただいて大丈夫です。

柚木委員 そして、あと五問実は通告していたのを、ごめんなさい、法案、二問、二問まとめて聞いて、最後、一問聞けたら聞きますので、お願いします。

 資料は、二ページ目以降で、先ほど伊佐委員も少し触れていらっしゃいましたが、新設事業で、児童育成支援拠点事業あるいは親子関係形成支援事業。大変重要かつ、私も子供が小学生二人いますが、いろいろな支援をいただきながら、本当に家族で、あるいは地域で、現場の皆さんに支えていただいて、子育てをさせていただいております。

 そこで、児童育成支援拠点事業の方、二点まとめて伺いますが、要支援、要保護児童二十三万人とありますが、その中でも、市区町村において計画的整備を行い、特に、支援が必要な者に対しては市区町村が利用勧奨、措置を実施するとあるんですが、そもそもそういった利用勧奨、措置、私も、学校と相談をしたりして、親と学校側とでそういったやり取りをすることはあるんですが、どう把握をして、そして、実際に必要な、まさに供給量ですね、これは市区町村の計画的整備にどういった形で供給量を把握して反映をしていくのか、計画策定していくのか。

 実効性のある形でお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 児童育成支援拠点事業の支援を必要とする児童を把握する方法としては、例えば、市町村による要保護児童対策地域協議会の枠組みの下で、児童福祉部門や新たに創設するこども家庭センターが、教育委員会、学校等の地域の教育、子育て支援関係者から児童やその保護者の情報を得ることや、この事業の実施の中で、SNSの活用などを通して広く事業を周知して、支援を要する児童につながる機会を創出すること等が考えられます。

 こうして把握した児童については、市町村によるサポートプランの作成、必要に応じて利用勧奨や措置を行うこと等を通じて、着実に支援に結びつけたいと思います。

柚木委員 ありがとうございます。

 続いて、親子関係形成支援事業について。

 これはちょっとフェーズが若干違うんですよね。これは本当にニーズが増えていて、私の地元でもそういうことを、民間委託も含めて、民間NPOの方、やられる方が増えてきています。

 そこで、お願いしたいのは、ニーズが増えてきたときに供給に対応いただく体制の整備と同時に、質の確保が重要だと思うんですね。本当に、玉石混交ということになってはいけませんし、その後も、通告しておりました親子再統合支援事業についても、これもコロナ禍で本当に必要性が増していると思うんです。

 是非、これは同じ視点なんですが、しっかりとニーズを把握した上で質を担保してお願いをしたいということで、御答弁お願いします。

後藤国務大臣 親子関係形成支援事業については、支援が必要な家庭に対して確実にサービスを届けられるように、提供体制を着実に整備することが重要で、このためには、人材確保や担い手を確保することが非常に重要になります。国、市町村、しっかりと計画を作り、予算の支援もすることによって対応していきたいと思います。

 また、今般新設する同事業については、特段の主体制限を行わずに民間企業等が参入できるようにするという形になっておりまして、また、児童家庭支援センター等の、広域的な対応をしてきた多くのノウハウを有する既存の子育て支援の主体が参入しやすいようにするための方策についても幅広く検討しつつ、しっかりと、よりよい、質の高いサービスが提供できるように努めていきたいと思います。

柚木委員 終わりますが、実際に質も量も足りていません。当事者の方の声は切実ですので、せっかく新設をいただきますので、是非しっかりとしたお取組をお願いして、質疑を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、山井和則君。

山井委員 二十五分間、質問をさせていただきます。

 配付資料に従って質問をさせていただきますが、一ページ目の下の方に、日本労働組合総連合会、連合の、児童福祉法等の一部を改正する法律案に関する連合の考え方という配付資料をお配りをしております。

 ここに書いてありますように、上の段。子供、子育てをめぐる状況について、今般の三%の処遇改善にとどまらず一層の改善が必要ということで、今、柚木議員からもお話がありましたように、私たちは、保育士さん、幼稚園教諭の更なる一万円の月給の引上げ、また、この法案にも関係します放課後児童デイ、障害児の支援の方々の処遇改善、そういうことも議員立法で要望しておりますし、この後、井坂議員の質問に対して私も答弁をさせていただきます。

 また、民主党政権のときからこれは宿題となっております、保育の質の向上に必要な〇・三兆円を確実に確保し、一歳、四歳、五歳の職員配置基準の見直し。これはもう十数年の積み残し課題になっておりますし、地元の保育園やこども園からの強い要望が来ておりますので、何としてもこれも実現をせねばと思っております。

 そういう中で、まず最初、後藤大臣に質問したいのは、今回の政府の処遇改善の中で、放課後児童支援員、学童保育の方々、特に、私の地元でも多くの方々は会計年度任用職員になっているんですね。その方々が、対象になっているにもかかわらず、今回処遇改善がなかなか行われていないという問題があります。

 御存じのように、コロナ禍で学童保育は休まずに運営を続けられて、本当にコロナ対策の最前線で、非正規雇用の方が多い中で、懸命に頑張ってこられました。

 そんな中で、私たちも要望していましたし、政府・与党の決定の中で、今回、処遇改善に、保育士さん、幼稚園教諭さんとともに学童保育の指導員も含まれましたという正式な決定、正式な発表があったので、会計年度任用職員の方々も首を長くして、やっと処遇改善してもらえるんだと思ったわけですけれども、残念ながら、この後御答弁もいただきますが、十分な処遇改善がなされていない、最終的には会計年度任用職員ですから市町村の判断になるんですけれども、十分な改善がされていないということであります。

 そこで、お伺いします。

 今回の政府の三%の処遇改善に関して、会計年度任用職員の学童保育の指導員の処遇改善が実施された自治体は幾つか。少ない理由はなぜですか。そして、これから、後藤大臣への要望なんですが、今回申請できなかった自治体に対しても、今後、会計年度任用職員の学童保育の処遇改善が進むように、厚労省として支援を検討していただけないか、厚労省から処遇改善を促すように地方自治体に通知を出していただけないか。後藤大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 今般の放課後児童クラブの処遇改善の申請状況については、本年三月四日時点において、千九十九市町村から申請がなされまして、うち公設公営のクラブについては三百三十八市町村から申請があったと承知しております。会計年度任用職員の処遇改善の実施状況は把握できておりません。

 また、申請をしていない理由については、放課後児童クラブ以外の施設職員や他の職種の給与との均衡等の観点から、賃金改善を行うことは困難と市町村が考える場合もあるということを聞いております。

 今般の交付金による処遇改善は、本年二月分からの賃金改善を実施したクラブについて、九月分までを対象としたところでありまして、十月以降も引き続き同様の処遇改善を実施することとしておりますけれども、その具体的な処遇改善の方針については、保育士等、他制度の検討状況と足並みをそろえた対応も必要と考えております。

 いずれにしても、今委員御指摘のあった点でございますが、放課後児童クラブの職員の処遇向上は重要でありまして、これまで厚生労働省において実施してきた補助事業の活用も含め、放課後児童クラブの職員の処遇改善に努めるように自治体に促してまいりたいと思います。

山井委員 是非お願いしたいと思います。

 申し訳ないですけれども、保育士さんも幼稚園教諭さんも、そして学童の指導員の方も、皆さん上がらないんだったらまだ百歩譲って仕方ないけれども、保育士さん、幼稚園さんは上がるのに学童だけ上がらないって、これはある意味で本当にあり得ない話なわけですから、そういう意味では、是非とも、今回残念ながら様々な今おっしゃったような理由で乗り遅れた自治体に関しても様々な財政支援を厚労省なり国からしていただいて、通知も出していただいて、今回乗り遅れたけれども、一テンポ遅れて、さっきおっしゃったように、秋以降、学童保育の指導員の方々の処遇改善が進むように、是非とも御支援をお願いしたいと思います。

 続きまして、児童福祉ということで、子供の貧困、田村子どもの貧困議連会長、そして牧原さんもおられますけれども、公明党さんも熱心でありますし、野党も全力でこの問題を取り上げております。その中で、柚木議員からもお話がありましたけれども、今回五万円、また低所得の子育て家庭に給付金を出すということです。

 私たち、一昨年の五月に、議員立法で低所得の世帯への給付金というものを要望しました。それから結局四回、ワンショットで数万円ずつ出しているんですね。

 でも、ここで私たち感じたのは、これ、言っちゃ悪いけれども、ワンショットの問題じゃないなと、やはり児童扶養手当を一万円上げて、二人親家庭にも一万円支給する、対象拡大する、そういうことが必要なのではないかと。

 今審議しております、こども家庭庁法案の審議の中でも、私たち、子ども総合基本法案を提出し、その中で、児童手当月一万円を高校三年生まで延長し、昨年の法改正によって一部廃止となった特例給付を復活させ、また、児童扶養手当を月一万円加算し、二人親低所得世帯も月一万円の児童扶養手当の対象とすべきということを提案をしております。

 これは本当に与野党対立することではないと思いますので、是非とも恒久策を。もちろん財源も必要です。でも、聞くところによりますと、何か防衛費を一兆円増やすとか二兆円増やすとかおっしゃっているようであります。私は別にそれに対して防衛費を増やすなとは言いませんけれども、防衛費を増やすのであれば、まさに日本の未来を背負う子供たちの支援も是非とも充実をさせていただきたいと思います。

 後藤大臣から前向きな答弁をお願いします。

後藤国務大臣 児童扶養手当は、離婚による一人親世帯等、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与することを目的として支給しております。

 こうした支給でありますから、これまで多子加算額の倍増、全部支給の所得制限限度額の引上げ、支払い回数の年三回から年六回に見直し、一人親の障害年金受給者についての併給調整の方法の見直し等、累次の改善等を実施してきたところでございます。

 更なる拡充については、現行制度の趣旨、目的を十分に踏まえる必要があるとともに、安定財源の確保と併せて、その必要性も含めて慎重な検討が必要と考えております。

山井委員 慎重な検討と言っている場合じゃないと思うんです。

 それで、少し、後半の、アダルトビデオの高校生への実質解禁問題についても児童福祉法と関連しますので質問したいと思うんですけれども。後藤大臣、別に後藤大臣が慎重と個人的におっしゃっているんじゃないのは分かるんですよ。でも、子供の貧困の結果、どういうことが今行われているか。

 配付するのはちょっと私もはばかられたので、インターネットで調べたアダルトビデオ女優の募集の記事をちょっと読み上げさせていただきます。

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 それで、実際どのような理由で稼ぎたいか、稼ぐ必要があるのか、代表的、最も多い理由を挙げさせていただきます。私も同じと思うこともあるかもしれませんということで、その求人サイトで、こういう理由でアダルトビデオ女優に応募されているという理由ですね。一、大学、専門学校の入学金、授業料を払いたい。

 これ、どう思われますか、後藤大臣。大学、専門学校に行きたい。お金がない。アダルトビデオ一回出たら二十万円出しますよと。このお金があったら進学できます。私も具体的な事例として、大学進学したいからということでアダルトビデオに出た高校生の事例を、残念ながら私も知っております。

 これは本当に、児童福祉法の審議をやっているわけですけれども、これが日本の現実です。児童福祉法を管轄する後藤大臣にちょっと御感想をお伺いしたいんですけれども、これが日本の現状です。どう思われますか。

後藤国務大臣 そもそもアダルトビデオへの出演の強要や性暴力はあってはならない重大な人権侵害でありまして、政府一丸となって対応すべき課題、我々社会が背負ってやらなければならない課題だというふうに認識をいたしております。

 その出演の強要というのは、今言ったような形で、本人の、もう無理やりという、そういうような状況も含めて、本当に問題だというふうに思っております。

 また、こうした性暴力が十八歳未満の児童を対象としたものであるとすれば、これは児童の健全育成といった児童福祉法の理念からいっても全く許されるものではないというふうに考えております。

山井委員 先ほど川崎議員から、本当に、虐待を受けたお子さんが大学に進学したいという話がありまして、伊佐議員からも、虐待を受けたお子さんの相談の話がありました。

 今、後藤大臣からは、アダルトビデオの強要があってはならないと。そうなんですね。でも、今深刻なのは、強要じゃないんですよ。進学したいから、進んで、自分の意思で、アダルトビデオに出ないと大学進学できないというふうな決断をせざるを得ない方がおられるのが、日本のこの現状。アダルトビデオの強要は駄目ですよと言っても、結局、もっと言えば、自分の大学進学、専門学校進学だけじゃないと聞いております。弟や妹の学費、あるいは親の入院代、そういうことのために、こういう募集に応募する方もおられると聞いております。

 そういう意味では、これは児童福祉法の審議ですけれども、こういう子供の貧困、つまり、私は、これは政府、国会、福祉の敗北だと思うんです。子供の貧困対策が不十分だから、こういう仕事を泣く泣く、泣く泣くですよ、せざるを得ない。

 おまけに、この問題の深刻さは、一回で終わるんじゃないんです。これでこの女性あるいは男性の方の人生がぶち壊しになりかねないんです。そのときは自由意思かもしれませんよ、そのときは。三年、五年、十年、二十年、どうなるのか。

 今日お配りしました、ぱっぷすさんからいただいた被害者の声、少しだけ、ちょっと私も読み上げるのははばかられるんですけれども、やはりこれが今の日本の現状ということで、読み上げさせていただきたいと思います。

 十一ページ、ぱっぷすさんに届けられた被害者の声。

 私のケースですと、当時声を、アダルトビデオに声をかけられたのは二十歳になる前、契約は二十歳前後でした。メーカーや事務所は効力のあるサインを突きつけ、販売停止には応じてくれませんでした。被害に遭った身だからこそ分かりますが、被害に遭う人は洗脳に近く、事務所の話を信頼し切ってサインをします。年齢の引下げによりスカウトは恐らく判断能力が低い十八歳から二十歳を狙うでしょう。

 今回、未成年者取消権がなくなりますから、十八歳からも契約ができる、取消権がなくなるということで十八歳が狙われると。ぱっぷすさんたちがおっしゃっておられるように、十八歳が狙われるということは、十六歳、十七歳、児童福祉法の管轄である、そういう児童も狙われるということです。

 次に、被害者の方の、真ん中の、五番目の方の声も少し読み上げさせていただきます。

 私は、声をかけられて契約した当時、大学一年生で十九歳でした。撮影当時は、恥ずかしい気持ち、尊厳が踏みにじられるようなつらさ、体の痛み、いろんなつらさを感じました。今私は三十歳半ばです。今なら、彼らのうそなんてすぐ見破れると思いますし、そもそもスカウトに声をかけられた時点で警戒します。でも、学校と家しか世界を知らなかった十九歳の私に、警戒心や人を疑う心はありませんでした。でも、私はずっと自分を責めてきました。なぜあのとき毅然と断れなかったのか、友達に相談しなかったのか。今でも後悔や自責の念に苦しんでいます。そして十年以上、いつ誰に知られるのかおびえながら暮らしています。時には恐怖と体の震えで眠れない夜もあります。また、これだけデジタルタトゥーが残っている時代で、生涯隠し通せる保証はないため、私は自分の子供を持つことは諦めています。我が子が母親のアダルトビデオ出演でいじめられたらと考えたら、絶対に無理です。アダルトビデオ出演は、撮影当時だけではなく、その後の人生においてずっと私を苦しめています。当たり前に結婚して子供を持ちたかった。親に孫を見せてあげたかった。会社にもいつばれて解雇されるか、不安はずっと消えません。

 そして、最後の、被害者七番目の方の声。

 お金が欲しいと安易にプロダクション契約をしてしまいました。撮影日にやっぱりやめたいと思いましたが、大勢の年上の男の人に囲まれて断ることも怖く、結果、複数回撮影してしまいました。実際に映像が販売されてからは一日五回ぐらい自殺したいと考えたりしました。同級生にも見られて、本当に私かを確認するため皆で何回も見たと言われたとき、とてもつらかったです。今は会社員をしていますが、もしかしたら周りの誰かが知っているのではないか、ばれたら会社を辞めなければならないのではないかと不安です。私のように、発売された先の未来を考えずに、お金が欲しいと契約してしまう十代、二十代の方がほかにもいるかもしれません。私は五年以上たった今も当時のことを思い出してつらくなったりします。

 こういう切実な声が寄せられております。最後の方も、契約してから五年以上たってから、ぱっぷすさんに、やっぱり取り消してほしいということをおっしゃっておられます。

 そこで、内閣府審議官にお伺いしたいんですが、四月一日から未成年者取消権がなくなりました。それまでは、十八、十九の場合は、契約しても無条件に、全く無条件に、やっぱり嫌だと、後悔して気が変わったら取り消せた。その結果、何が起こっていたかというと、アダルトビデオメーカー、プロダクションは、大量のアダルトビデオを回収する大損害のリスクがあるから、抑止力として、十八歳、十九歳には声をかけなくて、先ほどの記事にもありましたように、二十歳以上だけを主に声をかけていた。ところが、その抑止力がなくなって、もう四月一日以降、十八歳、十九歳の方々に今声かけが始まっているわけであります。

 そこで、このままいくと、火を見るより明らかに、十八歳、十九歳出演ビデオ、高校生出演ビデオ、そしてその出演被害は確実に、一〇〇%増えると思います。

 それを抑止するためには、今読み上げましたように、未成年取消権と同様の、五年間ぐらい、無条件に取り消せますよということを、やはりこれからも、取消権と違う名称、形でいいんですけれども、続ける必要が、十八歳、十九歳を守るためにあるのではないか。そのことが、ひいては、スカウトは十八歳から出演してもらうためには十六歳、十七歳で声をかけるわけですから、児童を守ることにもなるのではないかと思います。

 このような契約解除、取消し期間、そして時効五年間、これからも必要でないかと思いますが、内閣府、お考えいかがですか。

吉住政府参考人 答弁いたします。

 議員御指摘の点につきましては、現在、各党の皆様の間での御議論の動きもあると承知しております。議員立法に関することですので、その内容、御議論の状況をよく見守りたいと考えております。

山井委員 私、余り強くは責めませんよ。確かに議員立法でも議論しています。伊佐議員、牧原議員、齋藤議員始め、超党派で今やっていますよ、やっていますよ。

 でも、私が申し上げたいのは、本来これは議員なんですか、子供を守るのは。議員も守りますよ。じゃ、政府って要らないんですかということになっては駄目だと思うんです。

 ただ、私は、これは与野党あるいは政府と対立する問題じゃないと思いますから、責めることはしませんけれども、やはり、繰り返して言います。議員、やりますよ、やるけれども、本来これは政府がこの四月までに穴を埋めておくべきものだったのかもしれないんですよ。それが間に合わなかったから、私たち今必死でやっています。でも、やはり最終的な責任は政府にあるんだ、厚生労働省、内閣府にあるんだということだけは分かっていただきたいんです。

 後藤大臣も可能な範囲のコメントで結構なんですけれども、結局、児童福祉法に関連して、こういう十八歳からどんどんビデオに出ていくと、先日も言いましたように、高校生の破廉恥なビデオを見た人たちは、また高校生にわいせつ行為を、痴漢をしよう、あるいはそういう強制わいせつをしようとする人もいる危険性もあります。そういう意味では、やはりこういう低年齢化を抑えていかないと駄目だと思うんですけれども、児童福祉法の範囲内で、やはりこの十八歳、十九歳のAV出演被害というものを食い止めることが、高校生、子供を性暴力、性犯罪から守ることにつながると思いますが、いかがですか。

後藤国務大臣 アダルトビデオへの出演の強要や性暴力はあってはならない重大な人権侵害でありまして、政府一丸となって対応すべき課題だと認識しております。

 また、こうした性暴力が十八歳未満の児童を対象としたものであれば、これは児童の健全育成といった児童福祉法の理念からいっても全く許されるものではないと考えております。

 厚生労働省としても内閣府を中心とした若年層の性暴力被害の防止に関する取組に協力しておりまして、引き続き政府を挙げて適切に対応していきたいと思います。

 また、現在御審議いただいている児童福祉法改正法案は、孤立した状態にある児童に対して健全な居場所を提供する事業の創設や、児童自立生活援助事業の一律の年齢要件の弾力化等を通じた自立支援の強化等を盛り込むことで、児童福祉法の理念である児童の健全育成を果たそうとするものでありまして、議員御指摘の趣旨とも通じる部分があるものと認識をいたしております。

 いずれにしても、政府としてやるべきことをしっかりと取り組んでいく必要がある、そのことを申し上げたいと思います。

山井委員 このことに関しては、十八歳から出演をされるということは、残念ながら、十六歳、十七歳、高校一年生、二年生から囲い込みをすることは一〇〇%始まっていくわけですよね。それで、残念ながら、グルーミング、そして囲い込みに一旦入ると、先ほど読み上げたように、十六歳や十七歳の子供が、反論して、逃げて、残念ながらそれは逃げ切れないですよ、大の大人から、おいしい話、いい話、そういうことを言われたら。

 そういう意味では、この問題は、児童ポルノという問題もありますけれども、児童福祉法と子供を性暴力、性犯罪から守るのかという問題は、非常に密接に関連をしております。

 今度、五月十一日の参考人質疑には、そういう観点から、こういう子供そして女性の性暴力被害の相談に乗っておられる、ぱっぷすの金尻理事長さんにもお越しをいただきたいと思います。

 虐待から守る、貧困から守る、同時に、今非常に増えているこういう性犯罪。かつ、最初、後藤大臣おっしゃったように、それも残念ながら強要じゃないんです。悲しいかな、お金がなくて、お金がなくて、そういうことでお金を稼がざるを得ない状況に、これは自由意思じゃないんですよ、追い込まれているんです。是非そういう方をなくすために、この児童福祉法をより充実をさせていただきたいと思います。

 そして、後藤大臣に最後に質問しますが、今、私たち超党派で、今国会で成立させようということで議論をしております。ここまで来たのも、繰り返しますが、この衆議院厚生労働委員会でこういう議論をさせていただき、後藤大臣からも答弁いただき、内閣府さんにも出張していただき、齋藤理事、伊佐理事、牧原理事、やはり厚生労働委員会が頑張ったことも、この議員立法の動きに、大きく推進力になっております。

 ただ、これは作ればいいというものではなくて、作ったけれども結果的には十八歳、十九歳、高校生のアダルトビデオが増えましたということでは、本当にこれは立法府として責任問題になります。実効性のある、本当に十八歳、十九歳の被害が減る法案にせねばと思いますし、そのためには、先ほど言いましたように、時効が、今、五年間、契約解除可能期間があるのが、やはり五年しっかりやらないと、一年ぐらいになると、アダルトビデオのメーカー、プロダクションは、それだったらどんどん撮影しようということになると思うんです。

 このような状況ですけれども、是非とも、実効性ある議員立法の成立に向けて、後藤大臣からも一言コメントいただきたいと思います。

後藤国務大臣 アダルトビデオ出演強要問題に対する議員立法については、議員立法ということなのでコメントしづらいという一般論はありますけれども、しかし、各党の皆様の間で議論が深まっているということは大変にありがたいことだというふうに思っております。

 引き続き、国会での議論の内容や状況を見守るとともに、政府としては、政府として何ができるのか、しっかりと取り組んでいくようにしたいと思います。

山井委員 議員も頑張りますが、政府も是非、子供を守るために頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

橋本委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、児童福祉法、それから議員提出法案について質問をさせていただきます。

 まず冒頭に、議員提出法案について伺います。

 提出者は、保育等従業者の人材確保のための処遇の改善等に関する特別措置法案、それからもう一つ、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案と、政府の法案に対して、今回この二本の法案を提出した趣旨や理由についてお答えください。

山井議員 ありがとうございます。

 先ほどの連合からの提言にもありましたように、もちろん、今回の政府による三%、約九千円の処遇改善は一歩前進でありますけれども、残念ながら、現場の声は、全く足りない、えっ、これで終わりなのという、本当に喜びの声が半分と怒りの声が半分ということであります。

 そういう中で、保育士さんの賃金は全産業の平均と比較して約八万円低い水準にあり、そして政府の処遇改善では不十分です。また、保育園では、マスクができないお子さんも多くて、感染リスクの中、本当に懸命に現場は頑張っておられます。また、長引くコロナ禍において、感染対策を取ることが難しい環境の中で、保育や幼稚園において、現場でお仕事をされている方々の負担は非常に大きいものとなっております。

 また、先ほども申し上げましたように、会計年度任用職員、学童保育の指導員の方々の処遇改善の事例は非常に少ないわけであります。

 今、こども家庭庁の創設の議論が行われているわけで、岸田総理も、子育て、子供関連予算倍増とおっしゃっているわけですから、是非とも、保育士、幼稚園教諭、学童保育の職員の方々、児童養護施設の方々、そういう方々の処遇改善、更に一万円つけ加えるべきだと思います。

 さらに、介護、障害福祉の処遇改善に関しては、これも同様に、全産業に比べて約八万円低い水準にありまして、こちらは更に深刻で、介護現場においては、今回、直接介護している人が主な対象であるということになっておりまして、ケアマネジャーさん、そして指導員さん、一般の職員さんは対象外になっております。これは非常に深刻な問題でありまして、私たちの議員立法では、全ての職員さんに、フルタイムで一万円賃上げが可能な内容となっております。

 その結果、ケアマネジャーさんは、今、賃金が上がらないから離職になる、あるいは人手不足ということも出ております。介護職員の賃金が上がるのに、同じように頑張っている現場のケアマネジャーさんの賃金がなぜ上がらないのかという苦情も出ております。

 また、今回の児童福祉法に関連しまして、今回の障害者の処遇改善法では、障害者や障害児のための放課後デイサービスの職員の処遇改善も入っております。

 与野党合意できる内容だと思いますので、是非とも御審議、よろしくお願い申し上げます。

井坂委員 ありがとうございます。

 議法提出者に関する質問は今日はこの一問ですので、お戻りをいただければと思います。ありがとうございます。

 続きまして、政府提出法案について伺います。

 社会的養育経験者の自立支援について伺います。

 十八歳や二十二歳になって児童養護施設などを卒業して、保護を離れた若者のことをケアリーバーと呼ぶそうです。このケアリーバーの自立支援について、私も以前から議論をしてまいりました。

 配付の、お配りしております資料の一ページ目、二ページ目、当時の議事録を持ってまいりました。

 当時、大臣は塩崎大臣でありましたけれども、私の方から、十八歳ではなく二十二歳まで児童養護施設にいられるようにという議論を重ねてきて、ちょうど二ページ目を御覧いただきたいんですけれども、私が、二十二歳じゃ駄目なんだと、大学で私も浪人を一年しましたが、大学で浪人したら二十三歳まで卒業にかかるから児童養護施設も二十三歳まで置いてもらわないと困る、こんな話をしたところ、塩崎大臣が、自分は大学で一年浪人、一年休学の二年遅れだったから二十四歳まで必要だ、イギリスでは二十五歳までやっているんだ、こういう御答弁で、さすがは一年浪人、一年休学の大臣だ、こういう結論になったわけであります。

 塩崎大臣は、このように、事児童養護に関して特別に思い入れのある大臣でありました。

 今回、児童自立生活援助事業が、これまで一律二十二歳で打ち切られていたのが、年齢要件が弾力化をされたということ、そして、必要と認められれば、まさに二十四歳でも二十五歳でも児童養護施設に身を置けるようになったことは本当によかったと思います。この年齢制限が弾力化された中身について、詳しく伺います。

 まず参考人に伺いますが、都道府県が、一度は、児童自立生活援助の継続を不要と、例えば二十二歳で、これでいいだろうというふうに判断をして、卒業してもらった、しかし、一定期間後に再びその人が、またその直後に援助が必要になった場合、そのケアリーバーは元々いた児童養護施設や元々いた里親の家庭に戻って児童自立生活援助事業を受けられるのかどうか、参考人に伺います。

橋本政府参考人 児童自立生活援助事業等はあくまで児童福祉法に基づく制度でございますので、継続した支援が必要と判断される場合に、特例的に、十八歳を超えた方に対して継続的に支援を行う、こういう趣旨でございます。

 したがいまして、今委員が御指摘いただきましたように、一度、施設等への入所を伴う自立支援が終了して退所したという方が後になって再度入所するというふうなケースは、支援対象としては想定しておりませんで、一旦入所による支援が終了した時点で、今度は訪問とか通いという別の形で引き続き自立支援を提供する拠点の方につなぎまして、当該拠点が必要に応じて支援を行うということを想定しているものでございます。

 今委員御指摘いただきましたように、一度退所した方が、そういった訪問や通いという形ではなくて、再びやはり入所を伴う支援を必要、そういうように判断される場合に、緊急避難として、限られた期間において何らかの支援が提供できるか、こういったことにつきましては今後検討させていただきたいというふうに思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 ちょっと、今日、やはりここを大臣と議論したいんです。大臣も、本当に児童養護には思いのある方であります。

 例えば、本当に二十二歳で児童養護施設を卒業して、無事就職をできました、これ以上支援は必要ないと判断されて卒業した、退所した。しかし、本当に今、二か月、三か月で、様々な理由で、一旦入った会社を辞めざるを得なくなること、これは誰にでもあることであります。こうしたときに、もう本当に天涯孤独になってしまう。その際に、もちろん継続して支援を受けられる、通い、訪問など支援を受けられるということでありますが、しかし、その際に、全く初めての自立支援拠点を紹介されて、そこに行くことになってしまうのか。それとも、まさに、ちっちゃい頃から長年育ててもらった、半ば家族同然の児童養護施設であったり里親さんのところに戻るのか。これは全然違うわけであります。

 先ほど、緊急避難的にも含めて何か検討できないかということで参考人からお答えいただきましたけれども、大臣、ちょっと一言。やはり、百八十度違う、自立支援拠点を新しく紹介されていくのか、元々いた半ば家族のようなところにもう一度、まさにピンチなので戻れるのかということは、百八十度違うと思いますから、大臣、その点、御見解をいただきたいと思います。

後藤国務大臣 児童養護施設を退所した方々、いわゆるケアリーバーについて、退所後の状況を把握することは、退所者等の自立支援に関する施策を遂行していく上で非常に重要だと思います。

 このため、令和二年度には、児童養護施設の退所者等を対象とした支援ニーズ等を把握する調査研究を実施しました。また、令和三年度補正予算を活用して、退所者等の実態把握を進めてきたところであります。

 加えて、今般の児童福祉法改正案において、退所者等を含めた措置解除者等の実情を把握し、その自立のために必要な援助を行うことを都道府県の業務に位置づけるという改正案を提示いたしております。

 こうした中で、退所者等の状況の把握は各都道府県が主体となり取り組むものでありますけれども、実態把握を一つの契機として、養護者と希望する退所者等との交流の機会を設けることは、これは可能であると考えておりまして、そうしたことを踏まえますと、このような事例も含めた実態把握の手法については、今委員がおっしゃったことも含めて、各都道府県等と共有を図って進めていきたいと思います。

井坂委員 大臣、済みません、多分二問目の答弁をしていただいたと思うんですけれども、ちょっと一問目の更問いということでお伺いをしたいと思います。ちょっと後ろから今、紙も出ていると思うんですが。

 繰り返しますが、施設を退所した、でも、すぐ会社を辞めざるを得なくなって天涯孤独になってしまった、そういうときに、新たな自立支援拠点を紹介されて、そこで支援を受けるのと、元々いた施設、元々いた里親のところに戻ってもう一度そこからやり直せるのとは、やはり百八十度違うのではないか。

 参考人も、何らか緊急避難的な形でそういうことが、元いた施設に戻ることができないかということも何か検討してみるとは御答弁をいただいたんですが、大臣、ここはやはり大事なところですので、新しい自立支援拠点を紹介されるのではなくて、元いた家族同然のところに戻ってもう一度立て直せる、そういう仕組みが必要だと思いますので、その点について大臣の御見解をいただきたいと思います。

橋本委員長 的確に御答弁願います。

後藤国務大臣 その点については、今委員の御指摘のとおり、そうした従来縁のある施設等に連絡をしたり、あるいは対応をしてもらうということは前提の話でありまして、少し私、幅広に答弁をしてしまいました。申し訳ありませんでした。

井坂委員 是非そのように御検討いただきたいと思います。

 続きまして、二問目のケアリーバーの実態把握ということで、先ほどちょっと幅広に前倒しで御答弁をいただいているわけでありますが、今回の法改正では、都道府県の業務として、児童養護施設などを卒業したケアリーバーの実情を把握して、必要な自立支援を行うことということが新たに盛り込まれております。

 この資料三番目を御覧いただきたいのですけれども、さっき御答弁あったように、令和二年に国はケアリーバーに対して大規模なアンケート調査を行っております。

 しかし、この赤く線を引いておりますが、児童養護施設や里親から卒業生にアンケートを送る形でありますが、残念ながらアンケートが案内できなかったというのが四五%もある。さらには、児童養護施設や里親と卒業したケアリーバーの交流頻度については、一年に一度もないというのが最多で、三一%もあるわけであります。

 つまりは、卒業してしまうと、どうも、思った以上にやはり疎遠になっているのではないかということであります。

 資料一の冒頭の議事録のところにちょっと戻っていただきたいんですけれども、実は当時、塩崎大臣とこのことも私、議論をしております。

 卒業後の最初の二、三年ぐらいは、退所したOB、OGの子に電話一本ぐらい、本当に三分ぐらいでいいと思うので、かけてやることができないか、何か問題があったらいつでも相談においでと、そういうようなことができないかということに対して、大臣も、電話をするべしというフォローの仕方については私は大賛成だ、今後も様々な、まさに退所者御本人の意見等も聞きながら取り組んでいこうというふうに思っている、こういうやり取りも当時ありました。

 資料の四番目、先ほどのアンケートの報告書、四番目、四ページ目を御覧いただきたいんですけれども、国が行ったアンケート調査に対して、ケアリーバー当事者からも、意見を聞いてもらえてよかったという声が上がっています。また、今後も継続して実態把握を行うことが期待をされています。

 大臣に改めて伺いますが、ケアリーバーの実態把握は、児童養護施設や里親がそこから自立したケアリーバーに直接連絡をする形で行って、実態把握と同時に、やはり養護者とケアリーバーの交流をきちんと強化をする、こういう二つ目の目的の機会にもできないかということで、前半の部分は結構ですので、できないかということについて、再度御答弁をお願いいたします。

後藤国務大臣 実態把握を一つの契機として、養護者と希望する退所者等との交流の機会を設けることは可能である、まさに御指摘のとおりだと思っておりまして、このような事例も含めた実態把握の手法について、各都道府県と共有を図って進めていきたいと思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 交流というからには、やはりその頻度が大事になってくると思います。ちょっとこれも、大臣、更問いなので、三問目ではなくて二問目のちょっと更問いで、頻度についてお伺いをしたいんですけれども。

 今回のような大規模な調査ということになると、五年に一度とかそういう発想になってくると思うんですが、しかし、卒業後の一定な頻度での交流という考え方であれば、特に児童養護施設や里親から離れたせめて最初の三年ぐらいは、大規模な調査とは別にまた毎年簡単な調査を行う名目で、年に一回ぐらいはアンケート調査、そのやり取りといった形で連絡を取って、それと併せて様子を確認する。仕事はどうだ、うまくいっているか、何かあったらいつでも相談においで、こういうやり取りが、やはり年に一回ぐらいはアンケートとひっかけてできたらいいなというふうに思うわけでありますが。

 実際、児童福祉法の四十一条、児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童など環境上養護を要する児童を入所、これを養護、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設である。法律にはっきり、退所後の、まさにケアリーバーの相談、自立援助は法律に定められているわけであります。

 是非、単なるアンケート、調査ではなくて、卒業後の三年間ぐらいは年一ぐらいでアンケート名目でしっかりと連絡を取る、安否確認をする、いつでも来やすい雰囲気をつくる、こういった考え方について、これは更問いで申し訳ありませんが、大臣に、その頻度、そしてその中身について伺いたいと思います。

後藤国務大臣 今回、退所者等を含めた措置解除者等の実情を把握し、その自立のために必要な援助を行うことは都道府県の業務に正式に位置づけられておりまして、そういう意味では、法的にちゃんと担保されている正式な対応としてそういうことをすることはよいことだというふうに思います。

 どの程度の間隔で、どの程度の連絡を取っていくのかということは、今後検討させていただきたいと思います。

井坂委員 是非、調査だけでなく、交流という観点からその頻度をお決めいただきたいというふうに思います。大臣、ありがとうございます。

 続きまして、三点目ですが、妊産婦等生活援助事業について伺います。

 お配りした資料の五枚目を御覧ください。これは、私の地元、神戸市の北区にあります小さないのちのドアという施設、完全なる民間の施設であります。

 これはどういうところかというと、助産院に併設をされた民家、普通に静かな住宅街の中にある施設であります。裏口、お勝手口にこのようなゲート、緑色のかわいらしいゲートが設けられていて、二十四時間ドアが開いている、まさに、文字どおりの駆け込み寺のような運用をしている施設であります。

 どういう方がここに来られるのかというと、まさに、親とうまくいっていない中で子供を妊娠してしまった、もう実家も誰も相談する相手がいない、どうしたらいいか分からないというような若い妊婦の方。こういった方が、最後にここにたどり着いて、そして、ここで取りあえず、まず衣食住、身を一旦落ち着けて、それからいろいろ、ここで暮らしながら相談をする。助産院も併設されておりますから、ここで出産もして、また、出産後も実家に戻るとかいうことにはいかない方々でありますから、出産後も落ち着くまではここで母子共に、衣食住、支援を受けながら生活を立て直していく、こういう民間の施設であります。

 今回の法改正で、困難を抱える妊産婦の支援事業が新たに設けられました。その中身について伺いたいんですが、こういう生活援助を行う施設、これが今回新たにできるわけでありますけれども、この生活援助を行う施設が、別途定められている相談支援やメンタルケアもその施設で提供する形になるのか、あるいは、相談支援やメンタルケアは何かセンターなど別のところが提供する形が主になるのか、お伺いをしたいと思います。

後藤国務大臣 今回の児童福祉法改正案において新設する妊産婦等生活援助事業は、妊娠していることが疑われる者や妊娠が分かった者から出産後の産婦までを対象に、自宅に安心して過ごせる環境がない、出産後子供を育てることが難しい等困難な事情を抱えて、支援の必要性が特に高い妊産婦等に対して、出産前後の居場所の提供を含む包括的な支援を提供することを想定しています。

 この事業の実施に当たっては、妊産婦がそれぞれの状況に応じて必要な支援を着実に受けられるよう、相談支援を実施することを想定しています。

 特に、心理的なサポートが必要な妊産婦については、必要に応じて、医療機関等との連携を通じた支援や、産後ケア事業等を妊産婦生活援助事業と併せて活用していただくことなどを可能としておりまして、それらを含めた包括的な支援を行っていきたいというふうに考えております。

井坂委員 お聞きしたのは、もちろんメンタルケアも専門的になればなるほど別途、専門家ということもあり得ると思うんですけれども、先ほどのケアリーバーの話と一緒で、こういう温かい、家庭的な、今日御覧いただいたような施設みたいなところで、まさに実家のお母さんみたいな感じで、食事や赤ちゃんのお世話なども手伝ってくれるわけですね。そういうところでないと、そもそも、人間関係が大変な妊産婦の方は、ようやくここにたどり着いて、初対面だけれども、ここの寮母さんみたいな方々と触れ合って、ようやく心身が落ち着いてくるという中で、やはり、直接、家族的なやり取りをしている方にしか相談ができないし、メンタルケアも事実上受けられないというのが、これは現場でやっている方の率直な実感だということであります。

 是非、別のところから別の人が来て相談を受けますよとかメンタルケアという形ではなくて、一体的に、住んでいるところで、一緒に暮らしている人から相談あるいはメンタルケアが受けられるという形を目指していただきたいというふうに思います。

 あわせてもう一点、この点に関して、質問の四問目でありますが、地域社会での妊産婦等生活援助について伺います。

 先ほどの小さないのちのドアという場所は、温かく、大変幸せな施設だというふうに思います。しかし、いつかはやはり地域社会に妊産婦の方も戻っていかなければいけないということで、社会全体で困難を抱える妊産婦を支える仕組みが必要です。

 そこで、大臣に伺いますが、こういった施設の退所後も、せめて一年ぐらいは短期の母子里親であったり母子ホームステイなどのような家庭的な受入先を地域で探して、あるいは、なければ受入先を育成して、困難を抱える母子とこうした受入先をマッチングするなど、社会全体で特定妊産婦、困難を抱える母子を支える仕組みが必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 今般の児童福祉法改正案において新設する妊産婦等生活援助事業は、困難な事情を抱えて支援の必要性が特に高い妊産婦等に対して、産前のみならず産後の一定期間、居場所の提供を含む包括的な支援を提供することを想定しております。

 妊産婦等生活援助事業の利用を終了する方については、必要に応じて、終了前から、様々な支援策について、これも準備をしておりまして、こうした取組を通じて、支援を必要とする方が状況に応じて適切かつ必要な支援を受けられるように、引き続き取り組んでいきたいというふうに思います。

井坂委員 ちょっと最後まとめておっしゃったので、よく分からなかったんですが、要は、地域でこういう母子里親とか母子サポーターみたいな受入先を用意すること、そういうところにマッチングをしていくことについての必要性についてはいかがですか。

後藤国務大臣 妊産婦等の生活援助事業の利用を終了する方について、必要に応じて、終了前から、乳児院や母子生活支援施設への入所だとか、産後ケア事業の利用だとか、特別養子縁組制度の利用だとか、子育て短期支援事業の利用等の支援政策、そうしたことを関係機関との間で進めまして、支援を必要とする方には周知、利用勧奨することによって、施設退所後も妊産婦等が必要な支援を受けられるように、各それぞれの地域の中で、居住場所の提供を含む包括的な支援、あるいは地域における支援をしっかりと支えていけるようにと考えております。

井坂委員 御答弁の意味が分かりました。

 今あるメニューで、確かにいろいろあるとは思うんです。そこを適切につないでくださるという御答弁で、それはそれでありがたいんですが、今日お聞きしたかったのは、今おっしゃらなかった、いわゆる施設ではなくて、母子施設ではなくて、家庭的な雰囲気の中で母子の更なる自立をきちんと支えていけるような、そういう場所が必要だというのが、今日御覧いただいた小さないのちのドアの方からの切実な御提言なんです。

 最後に、ずらっとおっしゃったメニューの中に、おっしゃらなかった、そういう家庭的な場所で母子をしっかり自立を支えていくという場所も、メニューの一つに必要ではないかとお伺いをしたいんですが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 そういう施設は当然入ります。私も思うに、そういったところが、やはり一番地域においては頼りになるような施設だと思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 是非、そういったところにきちんと望めばつなげられるように、そういった場所を探したり育成したりマッチングしたりということについてもやっていただきたいというふうに思います。

 続きまして、子育て世代に関する包括的な支援について伺います。

 国はこれまで、自治体に、子育て世代包括支援センターと、それから子ども家庭総合支援拠点、この二種類の施設をつくるよう、自治体に求めてきました。その結果、昨年四月時点で、子育て世代包括支援センターは九二%の自治体で設置をされ、しかし、一方の子ども家庭総合支援拠点は三六%の自治体にしか設置されず、こちらは目標どおりには進んでおりませんでした。

 今回の法改正で、この二つの施設を統合してこども家庭センターを設立することとなったわけでありますが、大臣に伺いますが、子ども家庭総合支援拠点をこれまで設置していない自治体、約六割あると思います。こういったところは、今回、両方併せたこども家庭センターの設立に伴って、これは当然、二つの施設を併せたものを今回つくるわけですから、大幅に人員が増強されるのか。はっきり言えば、二つ併せた分の人員、予算がちゃんと確保されるのかということについて伺います。

後藤国務大臣 今おっしゃったように、現行の児童福祉の子ども家庭総合支援拠点と母子保健の子育て世代包括支援センター、これを、業務を一体的に行うということでございますので、この子ども家庭総合支援拠点を設置していない自治体においては、こども家庭センターの設置に当たって、従来の母子保健のセンターに児童福祉の機能をつけ加えていただくこととなるために、両機能を統括する支援員を含めて、その分、人員としては増強することとなるものと考えております。

 厚生労働省としても、こどもセンターの円滑な設置に向けて、市町村に対し、人材確保も含め必要な支援を検討し、その設置を促進してまいりたいと思います。

井坂委員 是非、何か二つ併せて一・五施設分の人員や予算ということにならないように、これは元々、国は一〇〇%家庭の方もやると言っていた、予算も用意していたはずでありますので、きちんと二施設分の予算と人員を新しい家庭センターに投入をしていただきたい。そのことだけ申し上げまして、本日の質疑を終わります。

 どうもありがとうございました。

橋本委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日は児童福祉法改正案に対する質疑ですが、こども家庭庁法案が内閣委員会との連合審査になるということもございますし、子供に対する政府の姿勢など、しっかりと聞いてまいりたいと思います。

 まず、現在の児童虐待の現状について確認しておきます。

 厚生労働省のデータによると、近年は、児童相談所での虐待相談の件数が特徴的な増加をしていると承知しています。例えば、平成二十一年から令和二年度の十一年間で、総数は、四万四千二百十一件から二十万五千四十四件へと、五倍弱の増加となっています。

 まず、このような相談件数の増加について、なぜ増加しているのか、また、実際の虐待件数との関係はどうなのか、厚生労働省の見解をお願いいたします。大臣、お願いします。

後藤国務大臣 令和二年度の児童相談所における虐待相談対応件数は二十万五千四十四件でありまして、令和元年度から一万一千二百六十四件増加をいたしました。

 虐待相談対応件数が増加した背景には、様々な要因があると考えられますけれども、警察等との連携強化により関係機関からの通告が増加したことや、国民の皆様の児童虐待防止に対する意識が高まって、児童相談所に御連絡をいただける機会が増えたことなどが影響しているのではないかと考えております。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございました。

 同じ資料の中で、要保護児童数の推移というものも掲載されていますね。

 同じく平成二十一年度は四万六千六百七十三人だったのが、四万二千四百三十四人へと、一割程度、今度は減少しています。これは、児童虐待などが減少して要保護児童数が減少したということなのか、あるいは、何か制度的な変更などが原因となって、統計上、要保護児童数が減少しているのか、大臣の御評価をお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 虐待等の理由で施設や里親に措置されている児童の全体数が減少傾向にある理由としては、少子化等の理由で児童の全体数が減少傾向にあること等が要因として考えられると思います。

 虐待を理由として新規に入所等措置される児童の人数は横ばいであるということは、全体としての児童数が減少する中で、虐待の増は背景にあるということを示す数字だと思います。

吉田(統)委員 厚生労働省はそういう御評価をされているということを、よく承りました。

 それでは、近年の傾向を見ていると、同じ平成二十一年から令和二年度の十一年間で、相談の総件数は五倍程度なのに、心理的虐待を理由とする相談件数は、大臣、十二倍になっています。このような心理的虐待の相談の急増について、現実に心理的虐待が増加しているのか、若しくは、同じような子供への接し方として、今までは心理的虐待として捉えられなかったものが心理的虐待と捉えられるようになったのか、厚生労働省の御見解、大臣の御見解を聞きたい、お伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 令和二年度の児童相談所における虐待相談対応件数の中では、心理的虐待が十二・一万件で、全体の五九・二%を占めて最多となっております。近年大きく増加しているわけですけれども、その背景としては、面前DVに関して警察からの通告が増加していることが要因かなというふうに認識しております。

 児童心理治療施設においては、医師や心理療法担当職員も配置して、こうした心理的虐待を受けた児童も含め、特に心理に関する治療が必要である様々な背景を持つ児童に対しても、治療及び生活指導を行っているところでございます。

吉田(統)委員 ちょっと、それだけが原因なのかなと、今大臣の話を聞いて純粋に思いますが。

 そうすると、ちょっとコロナの影響も、大臣、どういうふうに認識しているか、聞きたいと思います。

 新型コロナ感染症の蔓延によって、家庭環境の変化は当然生じていますね。それに伴う心理的虐待が増加しているのではないかという懸念は、よく専門家たちが懸念事項として挙げていることであります。

 厚生労働省は、心理的虐待の増加の原因、特に新型コロナ感染症の蔓延も踏まえて、それをどのように評価しているのか、そしてどのように対応していくのかを大臣にお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 コロナの影響については、なかなか評価が難しいというふうに思っております。

吉田(統)委員 対応しないということでしょうか。

後藤国務大臣 心理的な問題について、もちろん対応はするわけですけれども、コロナの影響については、なかなか切り分けて分析したり評価することは難しいというふうに申し上げました。

吉田(統)委員 いや、それはおかしくて、大臣、これは医学的な、心療内科的な部分や児童精神科、様々な評価からすると、原因が大事なんですよね。原因を除去していくことというのは非常に大事になるわけですけれども。切り分けられない、明確に原因じゃないかと思われる事項も切り分けるという評価、判断をしないとなると、やはりこれは厚生労働省として私は不備ではないかと思うんですが、大臣、今後も、そういったことに関しては、ほかのものと一体という評価でやっていけばいいんじゃないかと思っているということでいいですね。

後藤国務大臣 心理的な対応をすることについて、別にコロナとコロナ以外を分けているというわけではありません。

 先ほどからずっと御質問が、数が増えていった背景とか理由とか、そういうことをおっしゃっていたので、私はそういう質問かと思って、新型コロナの心理的な側面に対する影響の変化について、なかなか分析できていないということでありましたけれども、新型コロナが理由として、心理的ないろいろな、虐待というのか、心理的な悪い影響について対応をしていくということについては、別に何ら否定しているつもりはありません。

吉田(統)委員 何か、大臣、大変いつも明確な御答弁が多いので、ちょっと分かりにくい答弁ですが、まあ、やるということですね。やるということを言っていただければよかったんですが、前段で。後ろからしゃべっている人が多分余計なことを言っているんだと思うんだけれども。いや、だって、そうでしょう。だって、大臣はめちゃくちゃ優秀な方だから、僕が言っている趣旨は話を聞いていれば分かるわけだから、やるかやらないかと聞いているのに、大臣はやるに決まっているわけですから、やってくださいね。さっきの答弁だと、それは間違いなく伝わっていないですよ、絶対。

 じゃ、大臣、児童心理治療施設が十分機能しているかをちょっと聞かせてください、その評価。

 児童心理治療施設は、令和三年三月末で全国に五十三か所、定員は二千十八人ですね。現在の在籍人員は千三百二十一人で約七割弱と、一見すると問題はない運用状況かなと。しかし、二〇一八年に名前が変わっていますよね、情緒障害児短期治療施設から名称変更された際には、これは施設が不足しているという指摘もあったと聞いているんですが、現在、施設、人員は、大臣としては足りているという評価でよろしいですか。

橋本政府参考人 今委員から御指摘ございましたように、児童心理治療施設への入所児童数でございますが、二〇二〇年の定員数が約二千人となっているところを、入所児童数は約千三百人、入所率は約六五%ということでございますので、児童心理治療施設が直ちに不足しているという認識ではございません。

吉田(統)委員 これは通告してあるので、やはり大臣から足りているという評価をいただきたかったので、役所からじゃなくて。足りているということですね。

 ただ、大臣、よく聞いてお答えいただきたいんですが、お子さんがこの施設に入所していたという方のホームページを見ると、自由がないとか、情報が少ないから高校進学に与える影響が大きい、また、同級生とのやはり切磋琢磨ができずに、限られた人数の中での自己評価になると。そういった形で、退所後に周りになじめないなどのデメリットが書いてありました。

 厚生労働省として、大臣として、こういった御意見に対しては、今後、こういったデメリットの極小化とメリットを最大化していくことに関してどのような方針やお考えがあるのかを御答弁いただけますか。

後藤国務大臣 深刻な児童の状況に対応して、関係者、施設、その他、十分に意見を伺いながら丁寧に対応したいと思います。

吉田(統)委員 大臣、そうすると、具体的な方針というのはまだ今の段階ではなくて、なるべく最善をその場で求めていくという考え方なんですかね。これから、そういった方針、私がさっき申し上げたよりよい形にしていくための方針を考えていくという理解でいいですか。

後藤国務大臣 いろいろな課題があると思いますから、大いにいろいろな御意見を聞かせていただいて、しっかり対応したいと思います。

吉田(統)委員 では、是非、大臣、やっていただくよう期待しています。

 それでは、子供の車内放置の問題をちょっと伺いたいと思います。

 毎年のように、パチンコ、買物で子供を車内に放置して子供さんが亡くなってしまうという痛ましい事件を耳にします。

 昨年の七月二十三日、千葉の八千代市で、集合住宅前の駐車場の軽自動車の車内で一歳の子が亡くなった。同じく七月二十九日は、保育園の送迎バスの中で五歳の園児が置き去りにされた事件、もう皆さんも御承知だと思います。

 社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会の第十七次報告書だと、令和二年三月までの一年間で、家に残したまま外出する、車中に置き去りにするなど、子供の健康、安全への配慮を怠ることに起因した虐待死が七件、その前年度が十件起きていると。やはり、車中放置だと、熱中症、脱水を容易に子供は起こしますので、これは本当に深刻です。CNNなんかを見ると、全米では平均三十七人ぐらい子供が亡くなっている。

 我が国の場合は、このような場合でも虐待死に対する処罰となりまして、基本的に保護責任者遺棄致死罪となります。三年以上二十年以下の懲役、まれに例外的に殺意に基づく殺人罪が適用されるケースも出てきていますが、少ないですね。

 欧米では、まず、車内放置に対して、厳しい基準で違法行為とされます。例えば、あるホームページからだと、ハワイ州だと九歳未満の子供は車内に五分以上放置することは違法であると。もし、こういった子供を見つけたら、どんな手段であっても、車を壊してでも保護してよいとなっています。また、カリフォルニア州、アメリカの中でも非常に法令が厳しいんですけれども、非常に暑い夏など、子供を非常に危険な状態にさらすような状況や、エンジンがかかっている若しくはエンジンキーを差したままにしている又はその両方の状況で六歳以下の子供を一人で車に残すことは違法です。十二歳以上の方の同乗が必要です。それを怠ると罰金や特別なプログラムが科されます。また、欧米諸国は、虐待を行った際に、殺意を認定し殺人罪を適用することも多くあります。

 つまり、我が国でも、車内放置などの虐待を防ぐためには、啓発だけじゃなくて刑罰による抑止力も考えて、法改正を含めた対応が必要じゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

 大臣でしょう、ここは、大臣。

後藤国務大臣 児童虐待防止法では、保護者としての監護を著しく怠ることは、ネグレクトとして児童虐待に該当いたします。車中に子供を放置することについては、個々の状況によって異なると考えられますけれども、例えば、乳幼児等の低年齢の子供を自動車の中に放置することなどはネグレクトとして児童虐待に当たり得ると考えられ、子ども虐待対応の手引きにも記載し、自治体にお示しをしているところであります。

 また、母子健康手帳について、厚生労働省の示している様式においても、短時間でも決して子供だけを残して車から離れてはならない旨を記載をいたしております。

吉田(統)委員 大臣、ですので、刑罰とかルールで厳罰化する必要があるんじゃないかと言っているんです。

 アメリカでは、例えば、私が親しくしていたサウジアラビアの国王の主治医なんかが、娘さんが女優さんだったんですけれども、ちょっと車の中に子供を置いて買物したりトイレに行ったなんということで、逮捕されたりしているんですよ。やはり、こういったことも痛ましい事故を防ぐためには必要じゃないかという提案をしております。

 大臣がおっしゃることはよく分かるんです。そして、よく存じ上げています。しかし、やはりもうちょっと、事前にこの車中放置自体を抑止、何とかすることが必要なんじゃないかということを大臣にお聞きしているんですが。

 大臣としては、じゃ、逆にいうと、今御答弁された内容でもう十分、必要十分だとお考えなのか、お答えください。

後藤国務大臣 今、政府として、そういうことで対応いたしておりますけれども、刑事罰あるいは外国のそうした状況、そうしたことについては政府委員から追加で答弁させます。

橋本政府参考人 現行の刑事法規の中でそういったことが刑罰に当たるかどうかというところについては個別の事案ごとに司法と警察当局において判断されているというふうに思いますけれども、私ども、今現在、日本におきまして車内に子供を放置してネグレクトに該当する場合には、福祉サイドの問題として一時保護の対象となり得ますので、しっかり対応したいと思います。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 ちょっと不十分ですが、また今度やります。ほかのところと話さなきゃいけないので。

 車内放置は車両側のシステムで防ぐという試みも出てきていますね、大臣。欧米では既に、このCPD、チャイルド・プレゼンス・ディテクションの搭載はメーカーの責務とする趨勢が強まっていると。CPDは、車内センサーなどで車内の置き去りを検知するわけですね、警告音などでドライバーに知らせるシステムの総称です。米国では、新型車へのCPD搭載を義務化する法案も審議中であると聞いています。

 欧州においては、新型車両の安全性評価を行うユーロNCAPの評価基準としてCPDに関する項目が二〇二三年から導入されるんです。

 これが、大臣、世の結構、趨勢なんですよね。なので、私は今日申し上げている。

 だから、大臣、本当に子供たちの虐待をなくそうという思いで頑張っていらっしゃるので、だから、るるさっきから申し上げているんです。日本はやはり遅れているという評価をせざるを得ないですよね。だから、このCPDの搭載の義務づけだとか、こういったものも、大臣、私の話を聞いて日本においても一考すべきかどうかということを、大臣の言葉として聞きたいです。

後藤国務大臣 厚生労働省の話なのかどうかという所管の問題はおいておきまして、諸外国において、ネグレクトに対してどういう対応をしていくかということは、参考にして検討させていただきたいと思います。

吉田(統)委員 大臣、十分です。ありがとうございます。是非ちょっと検討していただいて、これは、確かに国交省の所管でもある部分があるんですけれども、でもやはり一体としてやらなきゃいけないことですから、是非御検討ください。

 津島副大臣、せっかく来ていただいていますので、ちょっとだけ順番を入れ替えまして、民法上の懲戒権削除の動きに関してお伺いしたいと思います。

 民法上の懲戒権削除の動向ですが、二〇一九年の、親のしつけ名目での体罰を禁止する児童虐待防止法と児童福祉法の改正時に附帯決議になっていました民法上の懲戒権について、法施行後二年をめどに検討を加える、これは決まっていましたね。

 これを受けて、法務大臣の諮問機関である法制審が、今年の二月に、教育の範囲内で親が子供を懲らしめることを認める懲戒権の規定を民法から削除すべきだとする改正要綱案をまとめたと聞いております。

 まず、津島法務副大臣にお伺いしたいんですが、民法の懲戒権の削除に関し、今後のスケジュール感等を教えていただけますか。

津島副大臣 吉田統彦委員には御質問、御指名いただきましてありがとうございます。

 委員御指摘のとおりでございまして、本年二月、法制審議会から、民法、親子法制等の改正に関する要綱の答申を受けたところであります。

 答申では、民法の親権者の懲戒権に関する規定を削除し、親権者について、子の人格の尊重や、その年齢及び発達の程度への配慮を求めるとともに、体罰を禁止する等の規律を新設することが盛り込まれております。これは、親権者の親権行使の目的や範囲等を明確にするものでございまして、児童虐待の防止に資するものと認識してございます。

 答申の内容は、いずれも喫緊の対応が必要な課題を解決するために重要な意義を有すると考えてございますので、できる限り早期に改正法を国会に提出したいと、今鋭意検討を進めているところでございます。

吉田(統)委員 副大臣、ありがとうございます。

 できるだけ早期と言っていただきましたので、十分でございます。本当に期待をしています。本当に、津島副大臣、常に日本国の子供のことを念頭に置いて公務に当たっていただいておられますので、私は今の言葉を信じて期待をしておりますので、ありがとうございます。

 もうこれで法務副大臣は結構でございます。ありがとうございます。

 それでは、この要綱案は、体罰に加え、心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動も禁止するよう提言したと聞いています。

 体罰など凶悪的な手段によらない子育ての普及啓発は急務ですね。一方で、先ほども伺った心理的虐待が増加している懸念も一刻も早く払拭していかなければいけません。

 では、厚生労働省にお伺いしますが、この心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動の禁止について、今後の方向性を、大臣、教えていただけますでしょうか。

後藤国務大臣 これまで、厚生労働省としても、親によるしつけが児童への体罰、虐待の口実になっているという指摘も踏まえて、体罰等によらない子育ての啓発に取り組み、令和元年には児童虐待防止法を改正して、しつけにおける体罰の禁止を法律に規定しております。

 この度答申された民法改正の方向性は、これらと同じ考え方だというふうに思いますけれども、厚生労働省では、しっかりと、引き続き、体罰等によらない子育てを推進するとともに、家庭における子育ての支援に取り組んでまいりたいと思います。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 では、一時保護に関する司法審査制度についてお伺いします。

 これは、家庭裁判所の方でよろしいですよね、法務副大臣、もうお帰りになられましたので。

 それでは、司法判断を第一に考えるような制度とすると、児童相談所の判断を弱めないかという懸念があります。日常的業務として子供に接している児童相談所より司法判断の方が虐待を受けている子供の保護に優れているというエビデンスがあるのかどうか、これは厚生労働省と裁判所にお伺いしたいんですが。

橋本政府参考人 今般の児童福祉法改正案におきまして、一時保護の開始時の司法審査を導入することとしておりますが、その趣旨は、行政とは独立した機関である第三者の裁判所が審査することによって一時保護の適正性を確保しようというものでございます。

 具体的には、一時保護の開始前又は開始から七日以内に裁判所に対して一時保護状を請求しまして、裁判所が一時保護の適正性を確認するということになるわけでありますが、あくまで児童福祉に専門性を持っている児童相談所がその一時保護の要否ということを判断して決定するということにつきましては、今般の見直し後も変わるものではございませんで、引き続き、児童相談所として必要な一時保護ということを行ってまいりたいと考えております。

橋本委員長 まだ裁判所からの答弁があります。

吉田(統)委員 ごめんなさい。大丈夫です。別のテーマにします。委員長、失礼しました。私のちょっとあれが。

 ちょっと、局長、全然答弁がかみ合っていなくて、エビデンスがあるからやるんでしょうということを私は言っているんです。これは非常に大事なことで、エビデンスがあるからこういったことにルールを決めていかれたんじゃないかということを聞いているので、これはちょっと、全然かみ合っていない。それは、ちょっと、次の質問と一緒のときにちゃんと答えてください。

 児童福祉法、一時保護の司法審査において、単純な比較考量に陥り、親権者の利益を優先させ、子供の一時保護を認めないという事態は絶対にあってはなりませんね。制度設計の上で、この点は原則論としてちゃんと確認されたのかどうか。これも、じゃ、役所で結構です、局長、お答えください。さっきのもちゃんと答えてください。

橋本政府参考人 一時保護は子供の最善の利益のために行われる必要がございます。したがいまして、たとえ親権者等の意向に反するものであったとしても、児童にとって必要な一時保護というものはちゅうちょなく行われる必要がございます。

 現行の児童福祉法におきましては、一時保護は必要があると認めるときに実施するというふうにされておりまして、親権者等の同意があることが一時保護の要件とはなっておりません。子供の利益の優先ということは制度的に担保されております。この点につきましては、今般の児童福祉法改正案における一時保護の司法審査の創設後も変わるものではございません。

 なお、改正案におきまして一時保護の要件を法令上明確化することにしておりますが、審議会におきましても、子供の最善の利益を守るためのちゅうちょなき一時保護の運用を損なわないという観点にも留意する必要がある旨指摘されておりますので、しっかりと対応してまいりたいと思います。

 一時保護につきまして司法審査をするわけでございますが、裁判所におきましては、一時保護の要件、法令上定められた一時保護の要件に該当するかしないのかということ、それから、明らかに一時保護を行う必要がないと認められるかどうか、そういったことを審査いただくというものでございまして、あくまでも一時保護をする必要があるのかどうかということを一義的に判断するのは児童相談所ということでございます。

吉田(統)委員 時間なので終わりますが、ちょっと、御専門家なんですからちゃんと質問を聞いて答弁してください。全然違うことをぺらぺらぺらぺら答弁書を読んで言われても、聞きたいことを全然答えていないじゃないですか。続きをやらせていただきます。ちょっと、局長、今度、もうちょっとちゃんとした答弁を用意してきてください。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 本日は、まず、議員立法で提出されました保育士・幼稚園教諭等処遇改善法案について、提出者に御質問したいと思います。

 岸田政権の目玉政策で、保育士さん、またあるいは介護の、学童保育の支援員さんなどに処遇改善をするということで、九千円もらえる、毎月これから九千円もらえるんだということになったわけなんですけれども、私も地域で聞きますと、これは先ほど山井委員からも御質問ありましたけれども、学童保育の支援員さん、パートの方は、いや、聞いたこともない、九千円なんて、もちろんお金ももらっていませんと。それから、これは介護の方ですけれども、もらったけれども五千円だった、九千円ってどこに行っちゃったんでしょうかと。こういう話ばかり聞くんですね。九千円という話が独り歩きして、先ほどもありましたけれども、全員にもらえないならまだ話は、まあ我慢しようということになるんですけれども、ある方はもらって、こっちはもらっていない、しかも金額は少ない。これは格差等いろいろな不平不満を生んで、何かやらない方がよかったんじゃないかと言われるぐらいに、そういう声が出ているんですね。

 ですから、今回は議員立法で保育士、幼稚園教諭等と、やはりこれはおかしい、これを何とか改善しなきゃいけないということで出るということをお聞きしていますけれども、これによってきちっと皆さんに九千円が渡るのかどうか質問したいと思いますけれども、いかがでしょうか。

早稲田議員 お答えいたします。

 委員御指摘のように、今般政府が行った予算措置である保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業では、収入を三%、月額九千円引き上げる措置を講ずるとしておきながら、その実態としては、月額九千円に到底満たない程度の改善しか行われていないといった失望の声が多く寄せられています。

 このような看板倒れの政府案に対して、今般、我々が提出した保育士・幼稚園教諭等処遇改善法案は、政府が講ずる予算措置に加えて、一人当たり月額一万円の賃金を引き上げるための助成金を支給するものであります。

 政府の予算措置による処遇改善が九千円に満たない理由として、公定価格の配置基準に基づいて補助額を算定するため、施設独自の判断で職員を加配している場合には一人当たりの額が少なくなってしまうことが挙げられます。

 これに対して、立憲民主党の案では、施設独自の判断で職員を加配している場合も含めて、実際の職員数の常勤換算を基準として政令で要件や額を定めることを想定していることから、一人当たり月額一万円の賃金引上げが実現されるものと考えております。

野間委員 月々一万円、確実に渡っていくということでありますので、是非お願いしたいということと、それから、やはり、それでもなおかつ、まだいろいろな、八万円と言われています格差が、通常の給与をもらっている人に比べて格差が生じていますので、ここも是非、今後、議員立法という形でも、いろいろな形でも結構ですけれども、格差を埋めるようにお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、今回の提出されております児童福祉法等の一部改正をする法律案について御質問をしていきたいと思います。

 提出者の方は中座して結構であります。

 まず、今回の児童福祉法の改正も、大きな目標、課題の克服という意味では、やはり児童虐待を何とかなくしていかなきゃいけない。先ほども吉田委員の質問にもありましたけれども、平成の初期一万件足らずの相談が今は二十万件にも膨れ上がっているということで、確実にこの児童虐待というのが、いろいろな要因はあるんでしょうけれども、増えているのは確実かと思います。

 児童虐待はなぜ起こるのか。根本的な問いなんですけれども、今回改めて、厚労省さん、あるいは地方自治体、保健所、そして児童相談所の様々な声を聞かせていただきましたけれども、ある意味では本当にきめ細かな、様々な施策をやりながら来ているわけですけれども、なかなか減らない。やはり、原因は様々あると思いますけれども、突き詰めて解決しないと、この様々な施策もなかなか本当の解決に結びついていかないということだと思いますけれども、大臣の、大臣としても、また政治家としても、どこに一番原因があるんだ、ここを解決しなきゃいけないということをお聞かせいただきたいと思います。

後藤国務大臣 児童虐待の原因については様々でありまして、また、複合的に要因が積み重なって起き得るものと考えておりますけれども、例えば、保護者がこれまでどのような家庭環境で育ってきたか、委員御指摘のように、貧困を含めて、就労や家計の状態、居住環境の状態はどうか、友人や近隣とどのような人間関係にあるのか、心身に抱える困難があるかといった親側の背景要因に加えて、子供の育児負担の問題や予期せぬ妊娠であったのかどうかといった、子育てへの受容の問題など、様々な要因が背景にあるものと考えています。

 その上で少し申し上げれば、家庭への支援を強化し、虐待の発生を未然に防止することが重要であるというふうに考えまして、今般の児童福祉法改正法案においては、訪問による家事支援などの創設、子ども・子育て支援の種類、質、量の充実を図ること、各種の子ども・子育て支援が確実に支援を必要としている家庭や子供につながるようにサポートプランの作成を市町村の業務に位置づけること、市町村が必要と判断した場合には利用勧奨、措置により、プッシュ型で支援を提供することといたしております。

 これらの対応を通じまして、支援が必要な児童や子育て世帯に着実に支援が届くようにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。

野間委員 ありがとうございます。

 様々な原因、要因があると思いますけれども、突き詰めていくと、個人的な要因から来ているんじゃないか、社会的な要因から来ているんじゃないか、この二つになってくるかと思います。

 やはり、私は、大きな意味で、先ほどのAVの未成年者の出演の問題もありましたけれども、何といってもこれは貧困が大きな社会的な要因として、原因として一番私はあると思いますので、そういった意味で、これは私たち、もちろん議員もそうですけれども、国会を挙げて、そして政府を挙げて、やはり何といっても貧困、豊かな時代ですけれどもいろんな貧困がある、格差がある、そこに起因するんじゃないかということを強く感じているところであります。是非、そういった意味で、また大臣にも政府内での発言をしていただければと思います。

 そして、あと、ちょっと個々の問題について質問をさせていただきます。

 今回、児童発達支援センター、これを障害児の支援の中核的な役割を担わせるということで新たに位置づけをされたわけです。この傘下に児童発達支援事業所もあるわけですが、今回、中核的役割を担うということで、その機能とかあるいは報酬体系とか職員のいろんな配置ということも変わってくるんだと思いますけれども、これはどういうふうに持っていこうとされているんでしょうか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 児童発達支援センターでございますけれども、地域の障害児の発達支援における中核的役割を果たすことが期待されておりますけれども、果たすべき具体的機能や、今御指摘のあった一般の児童発達支援事業所との役割分担が明確でないというような御指摘がございました。また、地域の児童発達支援や放課後等デイサービス等の障害児通所支援事業所が増加している中で、支援の質や専門性の確保が課題となってございます。

 このため、今回の改正案では、児童発達支援センターにつきまして、地域における障害児支援の中核的役割を担う機関といたしまして、多様な専門職の配置等による幅広い高度な専門性に基づく発達支援、家族支援機能、それから、多様な主体が数多く新規参入している中で、地域の障害児通所支援事業所の支援内容等に対して助言、援助等を行う機能、それから、地域の保育所等で積極的な障害児の受入れのための専門的支援や助言等を行う機能、それから、地域の障害児の発達支援の入口としての相談機能を担っていくべきものであるということを明確とすることといたしました。

 また、報酬上の評価でございますけれども、今申し上げた法改正の趣旨が適切に果たされますように留意しつつ、次期報酬改定に向けて、関係者の御意見を伺いながら検討してまいりたいと考えております。

野間委員 このことをなぜお聞きしたかといいますと、地域にある児童発達支援事業所、これはもちろん大半のところは一生懸命されているんですが、いろいろ利用者に聞きますと、そこへ行くと、本当は療育してくれるべきところなわけですけれども、何かただテレビを見せられておしまい、ゲームだけしていなさい、そういう放置されているような事業所もあるんですね、実態は。

 ですから、そういったものに対して、きちっとこの支援センターがそういったところを指導したり、いろいろなアドバイスをしたりすることをやってもらいたいんですが、結構、支援センターとそれから事業所が、同じ法人の系列とかグループみたいになっているところも多いんですね。ですから、本当にアドバイスをしたりここを直しなさいと言えるのか、仲間内みたいになっているところもありますので。

 その辺、どういうふうに認識されて、どうしようとしているのか教えてください。

田原政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げましたように、児童発達支援センターでございますけれども、地域の障害児通所事業所の支援内容に対して助言、援助を行っていく機能を強化していくというふうに指定しております。

 その役割の一つといたしまして、児童発達支援センターが地域の中心となって、地域の児童発達支援事業所の自己評価、保護者評価の結果を集約し、各事業所とともに、それぞれの事業所の強み、弱みを分析する等の取組を進めながら、よりよい支援の提供につなげていくことが重要だと考えております。

 こうした自己評価、保護者評価の分析、検討の場には、保護者や相談支援事業所、保育所、行政等の地域の関係者等が参加するなど、第三者の視点を取り入れることで、客観性を確保しながら地域の児童発達支援事業所の質を向上していく方向で検討する必要があると考えております。

 このような児童発達支援センターを中心にした取組によりまして、地域の児童発達支援事業所の質の向上を図ってまいりたいと考えております。

野間委員 是非、客観的な評価を加えて、そういうなれ合いがないようにしていただきたいと思います。

 次に、今回、一時保護所についても基準の策定や環境の改善を行っていくということがうたわれているわけです。

 これは今年の二月に養育専門委員会の方の報告書で出ているんですけれども、大都市部では一時保護所の入所率が一〇〇%を超えて満杯、大変なところがあるということなんですが、そういったところをやはり重点的に政府としても支援しなきゃいけないということがうたわれております。まあ当然のことですけれども。

 ただ、私の地元鹿児島県なんかはそれほど、一〇〇%を超えているとか入所率が高いというわけではないんですけれども、ただ、やはり保護所ですから、個室にすべきだという意見は当然強いわけです。個室化されていないところはあります。

 やはりそういったところにも、大都市ばかりではなくて、きちっとそれなりのいろいろな地域のニーズがありますから、環境の改善という意味で、是非、そういったところについても力を入れてやるんだということを言っていただきたいんですけれども。

橋本政府参考人 都市部の一部の一時保護所におきまして、定員超過が慢性的に続いている現状がございます。子供の処遇改善の観点から、定員超過の解消ということが急務であるというふうに考えております。

 同時に、今委員御指摘いただきましたように、一時保護所の入所率ということにかかわらず、一時保護所におきまして個別ケアを図るということは大変重要なことだというふうに認識しておりまして、私どもも、一時保護所で個室対応が可能となるような、そういう環境の整備に係る整備費の加算などを行ってまいりました。

 そして、今般の児童福祉法改正案におきまして一時保護所の設備運営基準を新たに設けることといたしておりますので、今後、関係者と議論をしていく中で、個別ケアの推進などの環境改善に向けた取組についても併せて検討を進めたいというふうに思っております。

 こういった整備費の加算措置ですとか、そういった様々なツールを使いまして、一時保護所における子供の処遇改善に向けて、自治体とも相談しながらスピーディーに取り組んでいきたいというふうに考えております。

野間委員 是非、そういった算定基準も、そういった地域にも回していって、プラスになるように変えていっていただきたいと思います。

 あと、一時保護所の職員さんの配置基準なんですけれども、今、一時保護所自体の独自の基準はないということで、児童福祉施設設備運営基準を準用してやるということになっているわけですが、やはり、そういったところは幼い子供さんも乳幼児も入ってきているわけです。

 私、現場の皆さんの声を聞きますと、保育士さんもやはり必ず置くべきじゃないか。この設置基準では、児童指導員及び保育士を配置するというふうになっていますけれども、実際、配置されていないところは結構あります、あるというふうにそこで働いている方からも聞いておりますので、こういったことも、これは配置すべきじゃないか。そして、やはり、男の子に対しては男性の職員が、女の子に対しては女性の職員さんが面倒を見るということですね、この男女の比率も大事だと思います。

 その辺について、今後の基準策定に当たってどういうふうに考えているか、教えていただきたいと思います。

橋本政府参考人 今回策定することといたしております一時保護所独自の設備運営基準でございますが、開放的な子供の処遇ですとか、あるいは個別的なケアを推進するということを含めまして、人員配置やあるいは必要な設備など、一時保護所の質を担保するための事項を定めることを検討いたしたいと思っております。

 保育士の配置という御指摘をいただきました。現在の一時保護所の基準は、委員からも御指摘いただきましたように、児童養護施設の基準を準用しておりまして、その児童養護施設の配置基準において、保育士又は児童指導員の配置が必置というふうにされているわけでございますが、保育士については一時保護所に配置していない自治体もあるというふうに承知しております。

 それからあと、同性処遇ということでございますけれども、一般的に、一時保護所では、所内でのトラブル防止等の観点から、職員が異性児童との距離を保てるよう原則としていること、それから、厚生労働省としては、子供が混乱して暴れて、抑制が必要となるなど、どうしても身体接触が必要な場合には同性処遇が望ましいことというふうに示しております。

 ただ、この同性の処遇につきましては、一時保護所に入所する子供の性別、入所時期、あるいはその期間というものが日によっても変動いたしますので、あらかじめ把握するということが大変難しゅうございまして、御指摘いただいた男女比ということを基準に盛り込むことにつきましては、なかなか、実際問題として、自治体における職員確保の観点などからも慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、まずは、基準の策定に向けた検討に資するように、令和四年度に調査研究を行いまして、自治体関係者の意見を丁寧に伺った上で必要な検討を進めさせていただきたいと考えております。

野間委員 是非、現場の実態をよく調査していただいて、いい基準をつくっていただければと思います。

 続いて、今回の法改正の中でもありますけれども、困難を抱える妊産婦さんたちに一時的な住居や食事を提供するということがうたわれているわけですけれども、これも、従来から、産前産後の母子の支援事業という形でもやられていたわけですけれども、実際、現場では、非常にこれはいろいろな意味で難しい、困難が起きていることも事実であります。

 職員さんですね、妊産婦さんですと、やはり看護師さんなんかがいた方がいいわけですけれども、看護師さんも保健所と兼任でこういったところに配置されるわけですね。そうしますと、保健所が今忙しいですから、行くこともできないということも起きております。そしてまた、この住居、私の地元鹿児島県、離島なんかですと、公営住宅が非常に限られて、常に満杯です。そういった場合に、住居、じゃ、どうしていくのか、そういった予算もどうしていくのか。非常に、うたわれていることは、やるべきことということは分かるんですけれども、その辺の措置についてどうお考えなのか、どういう構想を持っていられるのか、教えてください。

橋本政府参考人 今回の改正案で新設する妊産婦等生活援助事業でございますが、生活に困難を抱える妊産婦等に一時的な住まいや食事の提供、医療機関等の関係機関との連携及び調整等を行うことを法律上位置づけますとともに、都道府県等がその体制整備やハイリスク妊産婦への利用勧奨等を通じて着実に支援を届けていくというふうに考えております。

 この事業の円滑な実施に向けましては、一つは担い手の確保ということが必要でございますので、社会福祉法人やNPOなど様々な主体が事業を実施できるというふうに、参入要件を設けないというふうな形にしております。

 また、様々、生活の場の確保など、いろいろなことが必要でございますので、財政支援につきましても、今後、予算編成過程等を通じて検討していきたいと思っております。

 どこでやるかという場所の問題もございますので、母子生活支援施設や乳児院、婦人保護施設などのほか、賃貸物件での実施なども可能にしたいというふうなことを検討しておりますが、離島のような地域などを想定いたしますと、例えば広域での事業の実施についても検討していくとか、そういった様々なことを検討することによりまして、妊婦等が安心して支援を受けられる体制の整備に努めていきたいというふうに考えております。

野間委員 是非、地域の実態に合わせてやっていただきたいと思います。

 今回、児童の意見聴取等の仕組みを整備していく、子供の意見や意向の表明、これを保障し、きちっとその思いを酌み取っていくということがうたわれております。

 これ、言うはやすし行うは難しで、なかなか子供の思いや気持ち、心を酌み取るというのは難しいですね。親ですらできない時代であります。よっぽどの経験やいろいろなことを経た人でないとこういうのはできないんじゃないかと思いますけれども、子供というのは、じゃ、大体何歳ぐらいの人を想定しているのか、そしてどういうふうにこれをやっていくのか、教えていただきたいと思います。

橋本政府参考人 何歳以上の子供だけを対象にしてというふうな形で区切ってはおりませんで、まだ言葉をしゃべれない状態にあるようなお子さんであったとしても、表情を読み取るとか、そういった形で意見の、意思の表明というものをそこのところで酌み取っていくといったことを想定しております。

 そういった技術というものはいろいろスキルが必要でございますので、そういったスキルを持った方々を養成していくということが今後の課題になるわけでございますが、そういった点につきましても、私ども国としても、しっかり、様々な都道府県に対する支援などを検討してまいりたいというふうに考えております。

野間委員 非常に困難な事業だと思いますけれども、時間をかけてやっていただきたいと思います。

 最後に、大臣に御質問したいと思います。

 今回、今申し上げた以外に、親子の統合支援事業、里親支援センターをつくる。また、そういったことを支える子供家庭福祉実務者の専門性を向上させていく。様々な専門的な知識や技量、経験を持った方々がこういったことをやるには必要だということは、もう御承知のとおりであります。

 多くのやはり専門職の職員が必要になってくると思いますけれども、例えば、私どもの地元ですと、県庁職員が児童相談所などに異動していろいろなそういったことに従事するわけですけれども、一般行政職からそういうところに行って、三年ほどたってまた帰ってくるというローテーションでありますと、なかなかこういった、今のお話のような、様々な専門的な知見を有する人材というのは育たないということもお分かりいただけると思うんですけれども、今後、児童相談所などには福祉の本当に専門的な人だけを限定して採用していった方がいいんじゃないか。これは都道府県の権限にもなりますので一概に言えないかと思いますけれども、そういった意味での課題を大臣としてどうお考えなのか。

 それと、やはり、今回の様々な改正の部分を見ても、市町村、都道府県に相当な負荷がかかる事業のオンパレードだと思います。やっていかなきゃいけないことでありましょうけれども、大きな負荷がかかる事業が並んでおりますので、これに対しても、財政的な支援を含めて大臣のお考えを、決意を聞かせていただきたいと思います。

後藤国務大臣 児童相談所における児童虐待の相談対応件数が増加し、子育て世代が抱える問題が複合的かつ困難化している中、これに対応する児童福祉司等の職員の専門性の確保やその育成が重要である、そのように思います。

 委員御指摘のように、児童福祉司は地方公務員であり異動があるため、専門性の積み上げが難しいという課題が指摘されておりますけれども、今般の児童福祉法改正案に基づき創設される認定資格の活用に加えて、研修の充実やキャリアパスモデルの作成、普及等により、児童福祉司のキャリアアップを図っていきたいというふうに思っております。

 また、こうした中で新設される事業につきましては、先駆的な地域のNPOや社会福祉法人なども取り組まれているものについて、新しい交付金や補助金の対象に位置づけるとともに、一体として、そういうノウハウも使いながら、計画的な整備を進めていくことも重要だというふうに思っています。

 予算については、令和三年度補正予算において、安心こども基金を活用して各自治体における先行的な実施を促すなど、令和六年四月施行時における円滑な事業実施につながるように、予算を安心こども基金として確保しています。

 今後とも、地域において適切にこうした事業が展開されていきますように、必要な予算の確保も含めて取り組んでまいりたいと思います。

野間委員 ありがとうございました。是非、予算確保、よろしくお願いします。

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党、山田勝彦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、子供に対するワクチンとマスクについて伺います。

 三月三十日の本委員会でもお聞きしましたが、五歳から十一歳の小さな子供たちへの最新のワクチン接種状況と接種率、そして現在までの副反応の報告件数について教えてください。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、接種状況ですが、五歳から十一歳までの子供に対する新型コロナワクチンの接種状況について、昨日公表時点では、一回目接種が九十二万九千六百八十六回で、接種率は一二・六%、二回目接種が五十六万二千三十九回で、接種率は七・六%となっております。

 また、五歳から十一歳までの子供に対するワクチン接種後に生じた副反応疑い事例につきましては、今月十三日に開催されました審議会における報告によりますと、当該審議会の集計対象期間である本年二月二十一日から三月二十日までで、二十一万五千三百六十八回の接種回数に対しまして、医療機関から六件、製造販売業者から二件の副反応疑い報告がありました。

 なお、本年二月二十一日から本年四月一日までで見ると、医療機関から十三件、製造販売業者から八件の副反応疑い報告がございました。

 以上でございます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 それでは、後藤大臣にお伺いします。

 前回もお伝えしましたが、オミクロン株からワクチンによる感染阻止効果はほぼ期待できなくなっています。重症化リスクが高いとされる高齢者の方々と違い、重症化リスクが少ない健康な子供たちへのワクチン接種の必要性は極めて低く、見直すべきと考えますが、今後の政府の方針についてお聞かせください。

後藤国務大臣 五歳から十一歳までの子供に対するワクチン接種については、審議会において、緊急の蔓延予防のために実施する必要があり、今後流行する変異株の状況、ワクチンの有効性、安全性に関する一定程度の知見、諸外国における子供への接種の対応状況等も勘案して、総合的に判断して、特例臨時接種として実施することが適当とされたことから、接種を実施しております。

 また、先ほどの、政府委員から答弁のありました、今月十三日に開催された審議会では、最新の副反応疑い事例等に基づきまして、引き続き安全性において重大な懸念は認められないと評価されておりまして、引き続き五歳から十一歳までの子供に対するワクチンの接種を実施していきたいというふうに考えております。

山田(勝)委員 いずれにしても、子供たちへのワクチン接種は、安全性がしっかり認められないという理由から、努力義務ではない、あくまで個人の選択となっております。決して強制されるものでも、ましてや、それを理由に差別されることは決してあってはなりません。

 その上で、この間、このワクチンの問題に加え、子供たちへのマスクによる懸念の声を多くの親御さんたちからお聞きしました。

 子供たちは、学校で苦しくても、言えない子がほとんど。クラスでマスクの鼻出しが駄目になった。具合が悪くなって学校にいられず、おうちに帰ってくる子たちが現実的にいる。コロナによって子供たちの学校生活が一変しました。学ぶときも遊ぶときもマスクの着用。給食時には、感染対策で、お友達と会話せずに黙って食べる、黙食という言葉も学校の現場から生まれました。子供たちの健全な育成や健康面への影響に対し、専門家の方々から数々指摘されています。

 午前中、柚木委員からも指摘があったとおり、これから暑くなり、クールビズも始まり、気温が上昇していきます。マスクをすると体温を適切に排出できなくなり、熱中症を引き起こす危険性が高いとされています。また、マスク内の空気を吸い続けることで酸欠に陥りやすくなります。

 さらに、子供の精神発達への影響も深刻です。多くの専門家から指摘されています。子供は、相手の表情を見て何を考えているのか推測し、表情の中のたくさんの情報を使い、相手の表情から感情を理解していくと言われています。

 児童福祉法二条の三、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」とあります。コロナ感染対策と児童の健全育成、この両立は大変悩ましい問題と思います。しかし、このマスクも、ワクチン同様、強制されるものではなく、あくまで個人の選択であるはずです。

 政府は、コロナ対策として、子供たちへのマスク着用に対し、各自治体や教育委員会、児童福祉施設などに対し、どのような要請を行っているのでしょうか。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 子供たちが長時間マスクを着けていることにつきまして、暑さや息苦しさを指摘する声、表情によるコミュニケーション不足を不安視する声、そういった声が上がっていることは十分承知してございます。

 文部科学省では、学校における新型コロナ対策の参考資料といたしまして、衛生管理マニュアルを作成し、各教育委員会等を通じて学校に周知いたしております。

 その中では、身体的距離が十分取られないときはマスクを着用するべきとしているところでございます。と同時に、同マニュアルにおきましては、十分な身体的距離が確保できる場合あるいは体育の授業におきましてマスクの着用は必要ないこと。また、気温、湿度や暑さ指数が高い日には、熱中症への対策を優先させ、マスクを外すこと。あるいは、子供の発達段階や特性に応じた成長を支援する観点から、表情や口の動きが見える透明マスクの着用が考えられること。こういったことを示しますとともに、幼稚園において特に留意すべき事項といたしまして、本人の調子が悪い場合などにおきまして無理して着用させる必要はないことなどを記載しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、各学校において、衛生管理マニュアルで示している視点等に留意しながら、適切なマスクの着用について取り扱っていただくよう努めてまいりたいというふうに思っています。

橋本政府参考人 児童福祉施設についてもお尋ねがございましたので、保育所についてお答えさせていただきます。

 保育所での感染が広がっている中で、一時的な取扱いといたしまして、発育状況等からマスクの着用が無理なく可能と判断される児童について、可能な範囲でマスク着用を勧めているというところでございます。

 一方で、保育所等での子供のマスクの着用につきましては、子供一人一人の発達の状況を踏まえる必要がございますので、一律にマスクを着用することは求めておらず、特に二歳未満児には着用が勧められないということ、それから、二歳以上の子供がマスクを着用する場合にあっても体調が悪い場合には外すこと、こういった留意点を市町村に対してお示しをしてまいりました。

 また、施設側の意向として一定年齢以上の子供にマスクの着用を求めるなど、子供や保護者の意図に反して実質的に無理強いするようなことがないようにお示ししております。

 先ほども申しましたが、二歳未満児には勧めず、低年齢児については特に慎重に対応することですとか、着用する場合は体調変化に十分注意するほか、屋外で保育を行う場合は子供が体を動かすことが多いことなどを踏まえ着用を勧めないこと、こういった留意点も併せて示させていただいているところでございます。

山田(勝)委員 御説明ありがとうございます。

 ただ、残念ながら、そのような政府の方針が実際の現場レベルには浸透し切れていないと言えるかと思います。

 配付資料を御覧ください。多摩市の教育長からのメッセージです。

 学校生活の中でのマスク着用につきましては、様々な事情により、マスクをしない子、できない子がおりますことも御理解いただきたいと思います。多摩市立小中学校では、マスクをすること、しないことで、いじめや差別につながらないように注意指導してまいりますので、保護者の皆様、地域の皆様の御理解、御協力をお願い申し上げます。

 大変すばらしい内容です。しかし、このようなメッセージが必要になるということ、裏を返せば、現状、学校現場においてマスクによるいじめや差別が現実的に起こっているということです。

 ワクチンやマスクによる差別やいじめをなくすために活動されている市民団体、子どもの未来を本気で考える佐世保市民の会代表の松下さんにお話を伺いました。佐世保市議会に対し、既に一度、署名と請願書を提出し、さらに、五十を超える具体的な事例を集め、再度提出する予定だそうです。

 二つほど紹介させていただきます。

 一つ目、小学校低学年の下校中の事例です。

 帰りに、集団下校中に、マスクをはめていない息子に対し、近くにいた女子から、マスクはめてと言われ、無視していた息子に対し、服をつかんで、あっち行けみたいなことをしてきた。息子は、言い返しても、こちらがマスクしていないことを悪いことみたいに言われるだけだ、言い返しても無駄だと思い、我慢したらしいです。服をつかんだ女の子は、その後、手の消毒までして、周りの子たちにも、マスクした方がいいよねと同意を求めた。

 つまり、今、何が起こっているか。学校の現場で、子供たちによるマスク警察が行われている、取締りが行われている。これはまさにいじめの始まりだと言わざるを得ません。

 二つ目、濃厚接触者の定義についてです。

 一年生の娘が、かゆくて、マスクを着けたくないと言ったので、教頭に電話をしました。一人が着けないことは、みんなが着けなくてもよい風潮になり、困りますと言われたので、強制ではないですよねと確認したところ、マスクを着けないと濃厚接触者になり、そちらが困りますよと遠回しに言われました。では、話をしない授業中ならマスクを外しますと伝えると、国の方針の濃厚接触者の定義があるので学校はそれに従うしかない、私たちも困っています、そう発言されていました。

 ここで、一つ確認をさせてください。この二つ目の事例であるように、マスクをしていれば濃厚接触者にならないという定義は、厚労省が公表されているのでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと、今、どこに公表しているか正確には思い出せませんが、一般的には、厚労省の見解として、マスクをしていれば濃厚接触者には当たらないという考え方をお示ししているところでございます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 このように、私自身も、障害を持った子供たちの福祉事業所で感染者が出たときに、マスクを着けているか着けていないかということで、保健所からの指導を受けた経験もあります。この問題も柔軟に対応していただきたいと思います。

 政府の説明は、確かに、マスクの着用は義務ではなく任意であるとされています。しかしながら、地域の教育委員会や学校長などの方針によって現実は対応が異なっています。御紹介のように、事実上強制されている実態があり、それが原因で、同調圧力や差別、いじめが現実問題として起こっています。これは、今、大変な社会問題になっています。

 気になる話をつい先日も地元で聞きました。昨年は体育の授業中はマスクを外していいとされていたのが、今年になってから体育の授業中もマスク着用を求められていると。

 昨年五月、マスクを着用したまま持久走をした小学生の男の子が死亡した悲しい事件がありました。その直後、学校でのマスク着用に対して柔軟な運用が周知されていきました。しかし、早くも風化しているのではないでしょうか。

 これから暑くなってきます。体育の授業中にはマスクを着用しない、当然ではないでしょうか。今、プロ野球も始まっていますが、選手たちはプレー中、マスクを着けていません。

 学校で体育の時間に子供たちにマスクを着けさせない、そして、登下校中はマスクを着用しなくてもよいと、改めて、先ほどの方針もありましたが、周知徹底が必要ではないでしょうか。

 児童福祉を所管する後藤大臣、ワクチンだけでなく、マスクも同様に、様々な事情から着用が困難なお子さんが多数いらっしゃいます。国民の皆様へ、大臣から明確なメッセージをお願いします。

後藤国務大臣 新型コロナウイルスの感染予防には、三密の回避や換気などに加えて、マスクの着用が重要であるということは申し上げておりますけれども、子供のマスクの着用につきましては、特に二歳未満の乳幼児はマスク着用が推奨されない。それから、二歳以上であっても就学前の子供については、本人の調子が悪かったり、持続的なマスクの着用が難しい場合は、無理にマスクを着用させる必要はない。マスクを着用する場合は、保護者や周りの大人が子供の体調に十分注意した上で着用していただきたいというふうに考えております。

 また、感染の予防は、乳幼児の場合は、保護者とともに三密を避け、人との距離の確保、手洗いなど、他の感染防止策にしっかりと取り組んでいただきたいというふうに考えております。

 また、学校等の体育の時間等は文科省の話ではありますけれども、申し上げているのは、屋外等で活動する場合にマスクの着用をする必要はないということや、あるいは、これから暑くなるときに、熱中症になるようなときにはマスクの着用を避けるとか、そういうようなことについては、これは大人についても申し上げていることでございますので、しっかりとそうしたことの御理解をいただくように説明をしていきたいというふうに思っております。

 子供の感染も今回の新型コロナ感染症の流行下において比較的多く発生していることから、多くの皆さんがいろいろな思いを持っておられるということでしょうけれども、子供の健全育成の観点からも、日常生活を継続しつつ、感染拡大防止を図るための取組を進めていくことが必要だというふうに思います。

山田(勝)委員 後藤大臣から力強いメッセージをいただきました。先ほどの、今のメッセージが多くの学校の現場や保育の現場の皆さんに浸透していくことを願います。

 子供たちへのマスクは強制でないことがはっきりとしました。マスクを着ける着けないにより、差別やいじめがあっては決してなりません。コロナが怖い方もいれば、子供たちの発達の悪影響が怖い方もいます。どちらも認めてほしい。そのためにも、もう三年目に入っております。海外の多くの国々がマスク規制を緩和している流れもあります。子供たちのマスク着用に対して、より柔軟な運用に改めていただくよう、強くお願いいたします。

 次のテーマに入ります。介護、障害福祉職員の処遇改善についてです。

 午前中も立憲民主党の各委員から指摘がありました。九千円は、現実、届いていないのではないかと。

 この処遇改善策には、同じ職場で働く栄養士さんや調理師、事務職員などは含まれず、そういう方々も含めて交付金額を人数で割ると、到底届かない数字になってきます。この制度設計自体が、そもそも、最高の福祉報酬、売上げに対して、最低限度の人員で運営して、やっと一人当たり九千円が達成できる数字となっています。

 コロナの影響もあり、社会福祉事業所の多くは、利用控えなどで売上げは下がっています。五〇%減、三〇%減に届かないので事業復活支援の対象にもなりません。その上で、コロナ対策として、アルコール消毒や検温など、福祉の現場の作業量、仕事量は増え続けております。

 私が運営している発達障害の子供たちの自立支援事業所や障害者のグループホームでも、現実的に職員がコロナに感染いたしました。現場の職員さんたちは、感染や濃厚接触者として、行政や保健所からの指示で、自宅療養を指示されています。しかし、その自宅療養中、休業中の補償もなく、職員への給与補償もありません。会社独自で特別給を与え、自宅療養をしてもらっています。こういった事業所がほとんどではないでしょうか。

 福祉の現場に対し、常に自己責任が求められています。現場で苦悩されている皆さんは、社会的使命を持って福祉サービスを提供し続けてもらっています。今回の政府による処遇改善の内容は、このような介護や障害福祉の現場で働く皆さんに対し報いることができているのでしょうか。後藤大臣、更なる処遇改善が必要ではないでしょうか。

後藤国務大臣 今般の処遇改善の措置につきましては、各サービス種類の中で平均的な職員配置の事業所であれば、常勤換算の介護、障害福祉職員一人当たり月額九千円の賃金改善が可能となるように補助金の配分を行うことといたしました。

 また、職場の要望も踏まえまして、各事業所において、他の職種にも一定の処遇改善を行うことができるように柔軟な運用を認めることといたしております。

 各職員の処遇改善にはばらつきが生じ得るわけでありますけれども、こうした点を含め、混乱なく実施できるよう丁寧に説明していくこととしたいと思います。

 今後の具体的な処遇改善の方向性については、公的価格評価検討委員会の中間整理も踏まえまして、職域ごとに仕事の内容に比して適正な水準まで賃金が引き上がり、必要な人材が確保されるかといった観点から検討していくというふうに考えております。

 さらに、新型コロナウイルス感染症による減収への対応として、介護、障害福祉サービス等について、一時的に人員や運営の基準を満たすことのできない場合にも報酬を減額しない取扱い等により、できる限り、事業所の収入が減少しない、新型コロナの影響が出ないような対策も講じてはおります。

山田(勝)委員 私たち立憲民主党は対案をお示しさせてもらっています。確実に現場で働くお一人お一人の福祉職員に政府案に上乗せして一万円を支給する内容となっております。どうか超党派で成立いただきますよう心からお願い申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、吉田とも代君。

吉田(と)委員 日本維新の会の吉田とも代です。本日もよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速質問させていただきます。

 保育士によるわいせつ行為についてお伺いいたします。

 改正案では、わいせつ行為を行った保育士について、保育士資格の登録ができない欠格期間の見直しや、再登録の制限などの見直しを行うこととされています。

 保育所において子供と接する際には、着替えや排せつの手伝いといった行為は決して珍しいものではありません。具体的にはどのような行為がわいせつ行為に当たることとなるのか、お聞かせください。

橋本政府参考人 今回の児童福祉法の改正法案におきましては、児童へのわいせつ行為を行った保育士の登録を取り消すこととしておりますが、ここで言う児童へのわいせつ行為とは、先行して教員免許の資格管理の強化を行いました教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律における児童生徒性暴力等、これと同じものとなっております。

 具体的には、児童に性交等を行うことや、児童ポルノ所持等の罪に当たる行為をすること、衣服等の上から又は直接に性的な部位その他の身体の一部に触れることなどが定義として規定されております。

 それで、今御指摘がございました、性的な部位その他の身体の一部に触れること等の定義に関しては、乳幼児の着替えですとか、おむつの交換、こういったことがあるわけでございます。こういったことを正当な業務として行う場合には該当しないとするなど、詳細な取扱いについては、既に今年の四月一日から施行されている幼稚園教諭の取扱いを参考にしまして、施行までに整理させていただきたいというふうに考えております。

吉田(と)委員 今御案内いただきましたように、具体的な行為の一つ一つは決めていないということですけれども、基準を示していただいているというふうに理解をいたしました。わいせつ行為の基準において、もめる、判断に困るということがないように、今後もお願いしたいと思います。

 それでは、続きまして、厚生労働省として、保育所における保育士が年間何件ぐらいわいせつ行為を行ったと認定をしていますか。また、この十年間で、この件数は増加傾向にあるのか、横ばい傾向にあるのか、減少傾向にあるのか、教えてください。

橋本政府参考人 現行制度におきましては、保育士に関して、わいせつ行為を行った件数などを把握して報告する仕組みというものは設けられておりませんが、わいせつ行為を含めて禁錮以上の刑に処せられた場合や、児童福祉関係法の規定により罰金の刑に処せられた場合であって刑の執行から二年以内の方は欠格事由に該当しまして、保育士の登録が取り消されることになります。それから、刑に処せられない場合であったとしても、信用失墜行為に該当すると都道府県知事が判断する場合には登録を取り消すことができる、こういうふうになってございます。

 今申し上げたような現行制度の下で、わいせつ行為を行ったことによって保育士登録が取り消された方の実態について、令和二年十二月に、厚生労働省から各都道府県に調査した結果によりますと、平成十五年の登録制度の創設以降、令和二年十月末までの間にわいせつ行為及びセクシュアルハラスメントにより保育士登録の取消処分を受けた方の人数は、合計六十四名となっております。

 わいせつ行為とセクシュアルハラスメントということでございますので、教員等の立法措置よりも以前に実施されたものでございますので、今回の法案の定義とは必ずしも一致しておりません。

 それから、あと、傾向というお話でございました。この調査におきましては平成十五年以降のトータルの数で出ておりますので、各年の件数は把握してございませんで、人員数の増減の傾向ということについては私ども承知しておりません。

吉田(と)委員 今、十年間の推移というのはデータを取っていないということでしたけれども、今後実態を更に研究していくためにも、今後はデータをしっかり毎年取っていただけたらと思います。

 それから、わいせつ行為を行った保育士の内訳として、男女比を教えてください。

橋本政府参考人 先ほど申し上げました調査によりますと、平成十五年から令和二年十月末までの間にわいせつ行為等により保育士登録の取消処分を受けた計六十四名の性別につきましては、男性が六十一名、女性が三名ということで、男性が九五%となっております。

吉田(と)委員 そもそも女性の保育士の方が比較的多い中で、報告数は圧倒的に男性の方が多いということですので、どう解釈をしたらいいか、厚生労働省にはよく分析をお願いしたいと思います。

 続きまして、わいせつ行為を行う人は、適切な教育を行えばわいせつ行為を行わないと考えているのか、それとも、わいせつ行為を行ってしまう精神疾患なのか、そのどちらかによってやるべき対策は変わってくると思います。前者であるならば、その方が将来保育士以外の仕事をするためにも徹底的な教育が必要だということになりますし、わいせつ行為をすること自体が疾患であるならば、その人自体に行う対策は治療ということになります。

 そもそも、厚生労働省として、わいせつ行為を行う人は教育によって更生できるのか、治療しなければ治癒しないのか、厚生労働省の見解をお伺いします。

橋本政府参考人 保育士に限りませんけれども、児童にわいせつ行為を行った方への個別の支援の在り方については、個々の状況などにより様々な支援や治療、あるいは更生プログラムの実施などが考えられると思います。

 一方で、今回の法改正の趣旨というのは、児童へのわいせつ行為によって保育士の登録を取り消された方について、審査を経て再登録が適当と認められた場合に限り、再登録が可能となる仕組みに改めるということによりまして、再びその保育士による児童へのわいせつ行為が起きないようにすることにございます。

 こうした観点から、再登録の審査に当たりましては、児童へのわいせつに関する医療とか、心理とか、福祉とか、そういった様々な学識経験を有する方に御活躍いただくなど、様々な観点から総合的に再登録の要否を判断できるような体制をつくり、当該者の改善更生の状況その他その後の事情により保育士の登録を行うことが適当であると認められる場合に限り、再登録を認める判断を行うこととなります。

 いずれにいたしましても、先行して実施している文科省における教育職員免許の運用内容などを参考としながら、児童へのわいせつ行為を行った保育士が再び保育の現場で同様のわいせつ行為を行うということがないように、しっかりと取組をさせていただきたいというふうに考えております。

吉田(と)委員 現在は正確な診断基準がないということですので、一定治療が必要な方がいるということで、診断基準の確立のために研究を引き続き進めていただくことをお願いしたいと思います。

 続きまして、改正案では、禁錮以上の刑に処せられた場合の保育士の欠格期間を期限なしにするとのことですが、実際には、刑法の消滅規定により、刑の終了後十年が限度となります。

 十年経過後、登録を取消しされた保育士が再登録を希望する場合には各都道府県の審議会において厳格に審査するとのことですが、都道府県によって、あるいは審議会の構成員によって判断基準がまちまちとなる可能性があるのではないでしょうか。この点についてどのようにお考えか、お聞かせください。

橋本政府参考人 児童へのわいせつ行為を行ったことにより保育士登録を取り消された保育士の再登録の審査につきましては、同様のわいせつ行為が再び保育現場で行われることがないよう厳しい審査が行われる、そういう前提の下で、再登録を希望する者にとっては公平公正性ということが確保されるということも大事でございます。

 再登録に当たっての適否を審査する都道府県児童福祉審議会における再登録審査の具体的な運用につきましては、教職員関係の法律に基づきまして文部科学省の方で策定している基本的な指針というものがございますので、その内容を踏まえつつ、都道府県とも意見交換等を行いながら、審査の基本的な考え方や審査に当たって考慮すべき要素などにつきまして、国としての考え方をきちんと地方に対しては示していきたいというふうに考えております。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 それぞれ個々のケースがあると思うんですが、やはり、一度の犯罪なのか、それとも度重なる犯罪歴があるのか、そういったデータベースみたいなものですね、一定の防波堤になるようなものはございますでしょうか。

橋本政府参考人 今回の法改正を契機といたしまして、保育士の資格管理につきましてのデータベースの整備ということも併せて進めたいというふうに考えております。

吉田(と)委員 前向きに検討をお願いいたします。

 では、続きまして、法務省の研究資料によりますと、性犯罪のうち、小児わいせつ型と呼ばれる類型においては、性犯罪再犯ありの者の割合がほかの類型に比べて高く、そのほとんどは、小児わいせつ型に当てはまる再犯とのことです。

 これは、子供を対象とした性犯罪を繰り返している者が一定数いるということを示しています。保育士資格で処分を厳格にしても、例えば学習塾の先生やスイミングクラブのコーチなどに転職をしてしまえば処分自体が意味を持たなくなり、再犯のおそれが高まります。そのため、職業横断的な取組が必要となりますが、厚生労働省として、ほかの省庁とも連携をして、性犯罪を繰り返す者を管理するというお考えはございますでしょうか。

橋本政府参考人 児童へのわいせつ行為を行った保育士が再び同様のわいせつ行為を行うということはあってはならないことでございます。

 今回の児童福祉法改正案におきましては、児童福祉法で規定する保育士資格制度について、教職員免許と同様の資格管理の厳格化を行うべく、児童をわいせつ行為から守る環境整備の一環として、日本版DBSの導入に先駆けた取組として提案させていただいているものでございます。

 それで、今御指摘いただきました保育士資格制度を超えた幅広い職業横断的な取組につきましては、今後、新たに創設されることが今法案として提案されております、こども家庭庁におきまして、児童を性被害から守るために、教育、保育施設等や児童が活動する場、例えば、放課後児童クラブとか学習塾とかスポーツクラブとか部活動など様々ございます。こういった様々な場において働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組み、いわゆる日本版DBSの導入に向けた検討が進められるものと承知しておりますし、既にその議論が始まっているというふうに承知しております。

 厚生労働省としても、その議論にしっかりと参画して、協力してまいりたいというふうに考えております。

吉田(と)委員 子供に関わるいろいろな職業があるわけで、今御紹介いただきました日本版DBS、これが一日も早く望まれていると思いますので、今の段階で網を張ることは難しいと考えますので、引き続きこの日本版DBSを進めていただきたいと思います。

 続きまして、政府におかれましては、子供に接する職業に就く場合に無犯罪証明書を必須とする日本版DBSの仕組みを設けることを検討していると今お伺いいたしましたが、イギリスでは一日に二時間以上子供と接する職業はボランティアも含めて対象になるとのことですが、日本版ではどこまでの職種を対象とするお考えでしょうか。現在の検討状況と併せてお聞かせください。

相川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月に閣議決定した、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針におきましては、教育、保育施設等や子供が活動する場等において働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組み、日本版DBSの導入に向けた検討を進めることとしております。

 今後、そのための法的論点の整理や仕組みの検討等を行っていくこととしておりまして、お尋ねの対象職種は現時点で定まっているものではありませんが、日本版DBSについては子供の安全、安心の確保のための重要な施策と考えておりまして、対象職種をどうするのかといった点を含め、必要な検討をしっかりと進めてまいります。

吉田(と)委員 今そのリストに挙がっている職種というのは様々あるのかと思いますけれども、現段階で開示するということは様々な臆測や影響が出ることと理解をいたしました。引き続き、その議論を進めていただく中で、やはり国民の皆様も日本版DBSができることを期待されていると思いますし、とても関心が高いと思います。できる限り早い段階での体制づくりをお願いしたいと思います。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 今回の法改正は、保育士の欠格期間や再登録を可能とする期間を教育職員免許法による教員と合わせようとするものだと伺っております。

 文科省は、教員に対する教員資格を取るためのカリキュラムの中で、文科省としてどのようなわいせつ行為について教えているのか、文科省の取組を教えてください。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 教員の免許を取得するための教職課程コアカリキュラムにおきまして、教職の意義及び教員の役割、職務内容に関する科目の中で、教員に課せられる服務上、身分上の義務等の理解、また、教育実習の事前指導の中で、教育実習生として遵守すべき義務等の理解を目標として示しております。これらの科目の中で取り扱うことが想定されております。

 既に一部の大学では、教職課程内外にかかわらず、教育実習の事前指導として児童生徒に対するハラスメントに関する内容を学習させる取組を実施している例もありますが、本年四月に施行されました児童生徒性暴力等の防止等に関する法律及びこれに基づく指針等も踏まえまして、教職課程を履修する学生が理解を深めることが一層重要になると考えております。

 文部科学省としましては、大学等に対しまして、学生の入学時や、あと履修ガイダンス等の機会を捉えまして、指導の充実を求めてまいります。

 また、文部科学省が現在作成しております児童生徒性暴力等防止等に関する理解を深めるための啓発動画や生命(いのち)の安全教育の教材の活用、こういったものを大学に求めていくなど、教職員による児童生徒性暴力等の防止等のため、全力で取り組んでまいります。

吉田(と)委員 今御答弁いただきました中に服務とありましたけれども、教職員の勤務についての規律で、教職員としての義務及び行為の制限を指すわけですが、教育基本法第九条には「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」とあります。使命を自覚して、日々真摯にお子さんたちと向き合っている大半の先生方に対して、残念ながら、一部のこういった先生が教育の現場でわいせつ行為を行うということ、これは今まではなかなか考えることがなかったわけで、しかし、従来の一般的な社会常識で、教える必要もないと思われてきたことが、このような方々は今すり抜けてやってこられますので、防波堤として、カリキュラムにしっかり取り入れていくことがせめてもの防波堤になる、大切になると思います。

 時代の変化とともに、先ほど御紹介いただいたコアカリキュラムですが、これも随時変更していくことが少なからず抑止になると思いますので、早急に取組を始めていただきたいと思います。

 続きまして、保育士資格を取るに当たり、専門学校や大学で様々なカリキュラムが組まれていると思います。あるいは、資格試験の中で、子供に関する事項について十分な知識があるかどうかが問われていることと思います。

 そこで、お尋ねいたします。保育士養成課程で、あるいは資格試験の中に、わいせつ行為について学んだり、問う問題はあるのでしょうか。

 また、先ほど、学校ではお子さんたちに対して生命(いのち)の安全教育をしていただいているということでしたけれども、保育所においても、こういったわいせつ行為がどういったものかというようなことを教える機会はあるのでしょうか。

橋本政府参考人 御指摘いただきましたように、再犯防止だけでなく、いかに保育現場において児童に対するわいせつ行為を未然に防止するかということが大変重要な課題でございます。

 まず、保育士の養成課程でございますが、その教授内容といたしまして、児童福祉法における保育士の欠格事由、信用失墜行為や、保育士の専門的倫理に関する科目がございます。それから、性的虐待を含む子供虐待や、子供の人権擁護に関する科目がございます。また、子供の最善の利益を考慮した保育の基本的な考え方などについて定めた保育所保育指針に関する科目がございます。

 こういった科目が設けられておりまして、また、保育士試験の出題範囲につきましても、これらは養成課程の教科目に準じて設定がなされております。

 それから、もう一点の、保育や教育の現場での安全教育ということでございますけれども、児童が性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないように、国が策定しました生命(いのち)の安全教育を推進するための教材や指導の手引を活用した指導モデル等の作成に向けまして、保育所を含め、実践校における実証を行っているところでございまして、厚労省としても、この教材等の活用について、保育所等への周知を自治体にお願いをしているところでございます。

 こういった取組を文部科学省などと連携して進めることによりまして、加害行為の認識の強化などを通じた未然防止を図りますとともに、保育所を利用する子供たちが、知らないうちにわいせつ行為の被害者にならないよう、また、仮にわいせつ行為が実施された場合でも早期に発見、対応ができるよう、被害の未然防止等に取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 子供たちにとって、これがわいせつ行為に当たるのかどうか、それは表面的なことだけではなくて、ちょっとした出来心で、例えば安易な気持ちで加害者側が行ったとして、子供たちにとっては、これは大人になってもずっと心の傷として残ることで、子供たちの発達がゆがめられ、成長過程にも大きく影響することだと思います。

 このような視野を取り入れて、子供たちの健全な心の発達についての教育課程であったり、また、子供たちにとても影響を与える職業に就いているという自覚を持っていただけるようなカリキュラムがやはり必要だと考えます。通常、常識で起こり得ないと思っていても、少なからずこのようなわいせつ事例が起きている以上、やはり、今後更に積極的にこういったカリキュラムや、また資格試験の中に取り入れていく必要があると思います。

 お子さんにとっては、無知であると、例えば何かおかしいなとか、変だなとか、嫌だなとか思っても、教えてもらっていなければ自分が被害に遭っているという判断ができない可能性があると懸念をいたしますので、できる限り、推奨のレベルではなく、しっかり保育園で取り入れていただいて、子供たちにも伝えていくことが必要だと考えます。

 この部分に関しましては、文科省さんと厚労省がしっかり連携をしながら進めていただきたいと思います。

 続きまして、諸外国では、子供に対するわいせつ行為というものは予防可能なものであるとして、行動の変化に向けた支援を提供する、ストップ・イット・ナウといった社会運動が行われています。国内の幾つかの自治体でも、教員にチェックリストを配付して意識を高めてもらうといった取組が行われています。

 保育士によるわいせつ行為についても、行為を行った者を罰するという視点は当然重要なのですが、それだけではなく、どうしたらわいせつ行為を予防できるのかという視点も重要ではないでしょうか。

 性的指向と、それに行動が伴うかは全く別の問題だと思いますが、例えば、保育士資格取得の際や、保育所等への就職の際に、自分の性的関心を客観視できるようなチェックリストを渡し、自分にチェックをしてもらった上で、結果によっては相談窓口への相談を促すといった取組が必要ではないでしょうか。

 こういった取組が、いわれのない偏見から、真面目に保育に取り組む大多数の保育士さん、特に男性の保育士を守ることにもつながると考えますが、厚生労働省の見解を伺います。

橋本政府参考人 御指摘いただきましたように、再犯防止だけでなく、いかに児童に対するわいせつ行為を予防していくのかということは大変大事な問題でございます。

 この予防に資する取組につきまして、今御指摘いただきましたような方法というのも、一つの御提案として、私ども受け止めさせていただきたいというふうに思います。

 その上ででございますが、まずは、先ほど申し上げましたように、子供に対しまして自分が知らない間に被害者になっているということがないように分かりやすい啓発活動を行うことや、保育従事者に対する研修の実施などにつきまして、先行して取り組んでいる文部科学省の方とも連携しながら、しっかりと取組をさせていただきたいというふうに思います。

吉田(と)委員 就職試験の際の性格テスト、適性テストのようなもので、今はまだなかなか網を張れない状況ですので、まずは最初の段階で一定の網を張ることも検討をしていただきたいと思います。

 自分のその被害を誰にも打ち明けられずに苦しんでいる子供たち、そしてまた、今後こういった被害が起きないように、私たち大人が責任を持って守っていくこと、これが務めだと思いますので、引き続き体制の強化をお願いいたします。

 それでは、続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 本法律案により、市町村による妊産婦、子育て世帯、子供への支援が新設ないし拡充されますが、せっかく支援メニューを設けても、支援が必要な人たちからの申請がなければ宝の持ち腐れになってしまいます。

 厚生労働省としては、こういった支援策があるということを支援が必要な方たちに知っていただくために、どのような施策を考えておられるのか伺います。

後藤国務大臣 今般の児童福祉法の改正において、子育て世帯に対する家庭養育環境の支援を強化することにしておりまして、その支援をしっかりと各家庭に届けていくためにも周知の徹底や相談機関へのアクセスのしやすさが重要であるという委員の指摘は、そのとおりだと考えております。

 このため、まずは、今回新設する訪問による家事支援の事業等が全国の市町村で着実に実施されるように、今般の制度改正の趣旨について、市町村に丁寧に周知を図ることはもとより、SNS等を用いた周知も含めまして、市町村において住民への周知が徹底されるように、効果的な周知方法について、施行までの間検討を進めて、実行してまいります。

 また、今般の制度改正では、子育て世帯が保育所等の身近な場所で気軽に相談でき、必要に応じて支援メニューの紹介等も受けることができる地域子育て相談機関の設置も進めること、自ら支援を求めることが難しい家庭に対しては、利用勧奨や措置の仕組みを活用して、プッシュ型で支援を届けていくことにも併せて取り組むことといたしております。

 これらの対応を通じ、支援が必要な児童や子育て世帯に着実に支援が届くように、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

吉田(と)委員 ただいま後藤大臣から力強い御答弁をいただきました。

 周知の徹底、そしてアクセスのしやすさ、プッシュ型の支援ということで、やはり、アクセスできなければそこにたどり着けませんから、まずは、例えばAIで、ビッグデータで、その言葉ですよね、養育費という言葉で例えば検索したらヤフーやグーグルで該当のサービスが出てくるなど、いろいろな形で克服をしていく必要があるかと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 では、続きまして、様々な媒体で広報活動をしっかり行うことも重要ですが、日々の仕事や育児に疲れ切っていると、自治体のホームページや保育所に貼られたポスターなどに目を向けようとする人はそれほど多くないと思われます。しかし、時間も気力もない、そういった人でも必ず読む媒体があるそうで、それは学校からのお知らせプリントだそうです。今後の学校行事、子供に持たせなければならないもの、見落とすと我が子が困りますから、どんなに疲れていても、お母さんたちはランドセルの奥からプリントを取り出して読むのだそうです。

 そこで、東京都の児童福祉の担当部局では、子育て支援策を紹介するプリントを学校から配付してもらうことを始めたと伺っています。

 文部科学省に伺います。現在は、こういった学校からのプリント類もアプリによる通知などに徐々に置き換わっているところかもしれませんが、肝腎なのは各自治体において教育担当と福祉担当部局の連携を進めることであると考えます。政府からの働きかけを含め、見解を伺います。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 様々なデジタルを活用した校務の効率化、そういったものを文部科学省としては今進めているところでございます。これによりまして保護者との連絡、さらには学校内での連絡、そういったことを、これからデジタルを活用しながら効率的に進めていこうというところでございます。

 様々な横の連携、厚生労働省との連携などもございますので、こういった校務のデジタル化の中で、しっかりと連携を進めてまいりたいというふうに思ってございます。

吉田(と)委員 今回いろいろな改正が行われておりまして、新しいメニュー、新設や拡充が行われておりますけれども、家庭の状況、また意識によって情報格差が生じやすいですので、スムーズに届くようにお願いしたいと思います。

 それでは、続きまして、先ほどは学校の配付プリントなどアナログな手法の重要性について触れましたが、やはり今の子育て世帯に向けて情報を発信するにはSNS等の活用は欠かせません。また、一部の自治体では、住民向けサービスの一環として、情報発信や問合せ対応など、生活の向上に関わる様々な用途での業務DX推進が始まっていると伺っています。

 スマホの画面に出てくる質問に答えていくだけで自分の条件に合った支援制度のリンクが送られてくるなど、二十四時間三百六十五日対応で住民と公共制度とのマッチングを可能にすることは、住民にとって大きなメリットです。さらに、運用する自治体にとっても、対応業務の負担軽減となり、現場における業務効率化も期待できます。

 こうした各自治体のDX推進に向けて、国としても一層の支援に取り組むべきと考えますが、総務省、デジタル庁に見解を伺います。

馬場政府参考人 お答え申し上げます。

 各自治体におきまして、デジタル技術を活用し、住民の利便性の向上や行政サービスの更なる効率化を進めていくことは重要であると考えております。

 総務省では、令和二年十二月に策定をした自治体DX推進計画に基づきまして、自治体のデジタル化の取組を支援をしております。

 デジタル化の一例といたしましては、行政手続のオンライン化やAIを活用したチャットボットによる総合案内サービスの導入などにより、住民にとっては、二十四時間、いつでもどこでも行政手続や市民生活に関する問合せを行うことができる環境が整います。

 また、予防接種のスケジュール管理機能、妊娠から出産後の発育状況をグラフ化して記録する機能、子育てに関する情報をプッシュ型で通知をする機能を有する母子手帳アプリを導入し、子育て世帯への支援を行っている自治体もございます。

 総務省といたしましては、自治体DX推進計画に基づく各自治体の取組をしっかりと支援をいたしますとともに、先行的な事例紹介を行うことなどを通じまして、自治体のデジタル化の取組を後押しをしてまいります。

吉田(と)委員 自治体が納得できるような形で紹介をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、私の質問時間が終わりましたので、これで失礼いたします。ありがとうございます。

橋本委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。

 子供は国の宝ですので、力を入れて質疑をさせていただきたいと思っております。

 まずは、子ども家庭局長にこども家庭センターの設置についてお伺いをしたいと思います。

 午前中の質疑でもありましたが、子ども家庭総合支援拠点、これは児童福祉、児童虐待の窓口、そして子育て世代包括支援センター、これは母子保健、を見直し、こども家庭センターを設立するということですが、子ども家庭総合支援センターが、六百三十五自治体と大変少ないのが現状です。この機能を残しながら融合をさせ、そして新しいこども家庭センターをつくるということですが、自治体にかなりの負担がかかると思います。このことについて、改めてお伺いをさせてください。

橋本政府参考人 平成二十八年に行われました児童福祉法改正で、市区町村におきまして、児童福祉の子ども家庭総合支援拠点と、それから母子保健の方の子育て世代包括支援センター、この整備に努めるというふうにされたところでございまして、これまで設置が進められてまいりました。

 今委員御指摘いただきましたように、まだまだ設置が進んでいないというふうな自治体もございます。

 こども家庭センターにつきましては、児童虐待の防止ですとか家庭支援等の観点から、児童福祉と母子保健の一体的な対応が重要であるということで進めていきたいというふうに考えているわけでございますが、この一体的な対応の重要性ということは、これはもうどこの自治体にも言えることでございますので、そのことを丁寧に、必要性を説明させていただきたいと思いますし、今回の改正におきまして、可能な限り早く各自治体にこども家庭センターを設置いただけるように、自治体に対してお願いをしてまいりたいというふうに考えてございます。

 いろいろ負担をかけることになるというふうな御指摘もいただきました。私どもとしましては、小規模な自治体も含めて、各自治体がこども家庭センターを円滑に設置できますように、人材確保のための充実した財政支援を行うことや、あるいは複数の自治体が共同で設置することを可能にすること、あるいは柔軟な人員配置を認めること、こういったことなど、様々検討し、設置を促してまいりたいというふうに考えてございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 子ども家庭センターが設置されていないところは、児童福祉課が対応していたということもお聞きしております。先ほど局長からのお話もありました。やはり、小規模の自治体であれば、私が思うんですが、一つの自治体ではなくて、過疎地であれば、隣の自治体二つや三つが重なって、ホールディング化したような形でこども家庭センターを運営していくのもいい考えではないかなというふうに思いますので、取りあえずスピード感が必要だと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次は、児童福祉司についてお伺いをさせていただきます。

 専門性を上げていくということで、新たな研修を積み増していくということです。そうなった場合、なかなか、児童福祉司になるのも大変だと思われますが、児童福祉司になるためのインセンティブ、これは待遇面であったりとか、又は、ならなければできないような業務独占、そういったものがなければなかなか目指す方が少ないのではないかと思うんですが、その辺りの御意見をよろしくお願いをいたします。

橋本政府参考人 児童福祉司は、複雑化するケースへの対応のため、子供と家庭の福祉に関する専門性が求められるだけでなく、児童虐待に関する介入的な対応や夜間及び休日の緊急的な対応への備えというものも必要でございますので、精神的、肉体的負担が大きいというふうに認識いたしております。

 このため、この人材を確保する観点から、令和二年度に児童福祉司の特殊勤務手当を月額二万円に増額いたしまして、処遇改善を図らせていただきました。

 また、児童福祉司になりたい人材に対して、その将来のキャリアを明確にするため、今般の児童福祉法改正案において創設される認定資格の活用に加えまして、研修の充実やキャリアパスモデルの作成、普及等によりまして、児童福祉司のキャリアアップを図ることとしております。

 こうした取組を通じて、児童福祉司になるインセンティブを高めて、人材確保を支援してまいりたいというふうに考えております。

一谷委員 かなり専門性が高くて、これから複雑化するこの福祉の分野で活躍をしていただかなければならないと思いますので、できましたら、若い方々が目指したいなと思っていただけるような職になっていけばと思います。また、そうしなければいけないのではないかと思います。

 それでは、児童福祉司についてなんですけれども、政府が出されている資料を見ますと、勤続年数が三年未満で辞めているのか又は異動しているのか分からないですが、五〇%を超えています、三年未満で辞められたり又は異動されているという方が。

 まず、離職されているのか、人事異動で場所が替わっているのかというところの御回答をいただけたらと思います。

橋本政府参考人 今御指摘いただきました勤務年数が三年未満の方が五〇%を超えるということの理由でございますが、児童相談所の体制強化のため、児童虐待防止対策体制総合強化プラン、いわゆる新プランというものを策定して以降、各自治体におきまして児童福祉司の増員を急速に進めていただいておりますので、そういった面から、経験が浅い職員が多くなっているという面もあろうと思います。

 また、自治体における定期の人事異動などもあると思いますので、そういった様々な要因が相まってのことというふうに考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 ということは、離職をされているか異動されているかというところがまだ明確ではないように思うんですけれども、私は、福祉の分野で働きながら、経験上、やはり三年目で辞められるという方は非常にどの分野でも多いです。三年目でやっと現場が、責任が担えるというところで辞めてしまうというところは非常にもったいないと思いますので、もちろん現場の方の子供たちやその両親のケアも大事ですが、児童福祉司の方のケアも必要ではないかと思いますし、やはり、窓口でいらっしゃる方が三年目で替わっていくとなると地域の福祉事業所などは対応が大変になってくると思いますので、ここはいろいろな事情があると思いますが、できるだけ長い勤務をして、地域との信頼関係やキャリアを積んでいただけるような状況になっていけばなというふうに思います。

 続きまして、また児童福祉司についてなんですけれども、児童福祉司の方が増えていくということになっております。実際、増えていっています。しかし、日本全体としては、人口が減っていく、しかし、相談対応件数は二十万件以上と、毎年増加をしていっているのが現状です。私は、マンパワーだけに頼って対応していくというのにはやはり限界があると思っていまして、先日、委員長も一緒に参加させていただきました議連の中でも、今いらっしゃいませんけれども、前厚労大臣の田村議員が質問されたんですが、やはり、AI、デジタル化していくことが必要ではないかというふうに考えております。

 実際、三重県では、AIの事業をもう進めていっているようです。令和四年度、今年、設計、開発して、来年度からテストを開始するということになっておるんですけれども、これについて国はどのように考えておられるか、御意見をお聞かせいただけたらと思います。

橋本政府参考人 平成三十一年の三月でございますが、「児童虐待防止対策の抜本的強化について」と題する閣僚会議決定をいたしております。この中で、虐待事案に関するデータを収集し、その結果をAIで解析することにより、緊急性の判断に資するツールの開発を加速化するということが盛り込まれておりまして、委員御指摘いただきましたように、虐待の未然防止を含めまして、虐待対応に当たって、こういったデータの活用、AIの活用、こういったことは重要と認識しております。

 このため、児童相談所における一時保護の判断に資するためのAIツールにつきまして、閣僚会議決定も踏まえて、令和四年度から設計、開発を行い、令和六年度に全国での運用を開始することを目標としております。

 このAIツールを活用することによりまして、児童相談所においては、一時保護時の処分の判断に当たり、専門的な考察、調査の補助ですとか、あるいは、職員の判断ミス防止や経験の差による判断のぶれの補正が期待できるとともに、訪問先と児童相談所における情報共有が可能となるなど、様々なメリットがあるというふうに考えておりまして、迅速かつ適切な一時保護判断の一助になるものというふうに考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 このAIの活用についても、この資料を見させていただきますと、やはり事後からなんです。でも、できたら、やはり事前から防ぐということで、我々は、全戸に、こんにちは赤ちゃん事業というのもやっておりますので、そういったときにアセスメントを取って、こういう家庭状況であれば、こういう両親の状況であれば虐待が起こってくるのではないかというところを予測して、予防していくということも重要ではないかなと考えておりますので、また御検討いただけたらと思います。

 それでは、次は、児童虐待相談に対する質問をさせていただきます。

 そもそも、この児童相談対応件数ですが、いつから対応件数に変更されたのか。私の認識では、以前は通告件数であったというふうに思うのですが、御回答をお願いをいたします。

橋本政府参考人 厚生労働省におきましては、福祉行政報告例におきまして、全国の児童相談所における虐待相談対応件数それから虐待通告受付件数などの実績を把握しているところでございますが、これまでも、児童相談所における虐待対応に関する実績については、虐待の相談対応件数というのを用いて評価をしてまいりました。その取扱いについて、私ども、国としては特段の変更はしておりません。

一谷委員 ありがとうございます。

 虐待通告受付件数でも虐待相談対応件数でも一緒だということだと思います。

 ある県では、令和元年から名前を変更したというふうにもホームページに載っておったんですが、私が調べさせていただいたところ、同じ県でも、一回にカウントするカウントの方法が違うと。例えば、電話がかかってきたときに一回とカウントするところ、一事案に対して一回というカウントをするところもあれば、電話で一回、面接で一回、対応して一回、そういうふうにカウントがばらばらになっているという状況があります。

 この数字というのは、基幹統計でありますので、数々のエビデンス、政府の皆さん、我々も一緒に行っていく政策についての効果を検証するのに非常に基礎になるものだと思いますが、このカウントがばらばらという状況について御認識があるかということと、なぜこうなっているのかというところの御回答をいただけたらと思います。

橋本政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、虐待相談対応件数については、福祉行政報告例で毎年調査をさせていただいております。この福祉行政報告例を記入する場合の記入要領でございますが、虐待相談対応件数は、児童相談所で養護相談として受け付けたもののうち、虐待ケースとして当該年度に対応した件数を調査いたしております。

 私どもとしては、福祉行政報告例の記入要領に従いまして、児童虐待対応件数について、各自治体より適切に報告いただいているものというふうに認識しておりますが、委員から御指摘もありましたので、ちょっと急ぎ、幾つかの自治体の方に認識を確認してみました。通告を受けて一定の対応を行ったものを一件とカウントするということで、私どもが急ぎお尋ねした自治体では皆、認識の違いはございませんでしたので、万が一そういったところでばらばらなところがございましたら、また丁寧に説明をしてまいりたいというふうに思います。

一谷委員 ありがとうございます。

 実際はばらばらだというところで、こういう小児の虐待の治療をされているドクターや関係団体にヒアリングしたところ、やはりこの基幹統計はばらばらだということですので、改めてヒアリングをしていただけたらと思いますし、平成二十四年には総務省から、適切なカウントの仕方ではないというふうなことがホームページにも載っておりましたので、是非ここは確認していただけたらと思います。本気でこの問題に取り組んでいる教授やドクターからは、非常に耳の痛いことなんですけれども、本当に気合を入れてやってくれているのかなというような声も聞きますので、どうぞ御対応をよろしくお願いをいたします。

 続きまして、虐待を受けられたお子さんについてのサポートは今回の改定でかなり手厚くなってくると思うんですが、私は、やはり両親へのケアも必要ではないかと思いますが、その辺りのお考えをお聞かせください。

橋本政府参考人 虐待を行いました親についても心理的な支援を含めたケアを行うことは、子供の家庭復帰を検討していく上でも大変重要なものというふうに認識しております。

 このため、児童相談所におきまして、一時保護や施設入所の解除の前後などにおきましては、親子関係の再構築に向けて丁寧に親に対してもアセスメントを行うとともに、児童相談所が心理学的な知見などに基づく保護者支援プログラムを実施する場合には、厚生労働省として必要な予算支援を行っているところでございます。

 保護者支援プログラムの実施状況につきましては、令和三年度の調査研究で回答があった児童相談所のうち、実施しているのは約五六%ということでございましたので、私どもとしても更なる普及が必要というふうに考えているところでございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 現場でいろいろお話を伺っていますと、やはり両親が精神的疾患を抱えているということが多いというふうにお聞きをしております。なかなか虐待が減らないというところは、やはり両親のケアが行き届いていないので、また自宅に帰ってしまったら同じことを繰り返してしまう。そして、お子さんが虐待を受ければ、そのまま大きくなり、また虐待をしてしまうというふうな負の連鎖に陥っているというふうにお聞きしていますので、ほとんどの関係されるドクターであるとか福祉の方とか、現場で話をお聞きすると、やはり両親のケアがということをよく言われますので、ここはもう少し考えていただけたらなというふうに思っております。

 それでは、続きまして、二〇二〇年の一月から複雑性PTSDというのが傷病名として発効されました。どういったものかといいますと、単純的なPTSDではなくて、それは災害が起こったときに起こる精神的症状ですけれども、この複雑性は、度重なる虐待であるとか暴力であるとかそういったもので心が病んでくる、そうなると無気力になり、他人を信じられない、また、感情のコントロールができなくなるということです。

 私は、虐待については、ケア、福祉の面でのフォローはもちろん重要ですけれども、医療面での対応が少し遅れているのではないかというふうに思っております。その辺、医療面の対応について御意見をお伺いできたらと思います。よろしくお願いいたします。

橋本政府参考人 今、医学的なケアについての御指摘をいただきました。

 厚労省といたしましては、虐待を受けた子供や、あるいは虐待をした親、どちらに対してもそうでございますが、医学的なケアというものも大事であるというふうに考えておりまして、児童相談所が精神科医の協力を得て、子供や保護者等の家族に対してカウンセリングを実施することによりまして子供の家庭復帰に向けた取組を行う場合には、必要な財政支援を行っているところでございます。

 先ほど申し上げました保護者支援プログラムなどと併せまして、こういった取組が全国の児童相談所で適切に実施されるように、既に行われている先進的事例等の収集など令和四年度に調査研究を実施いたしまして、親子関係の再構築支援につきまして、現場の御意見を伺いながら、施行までに効果的な事業の具体化を図りたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 もちろん、専門的なドクターや心理士さんというのは数が多いわけではありませんので、ここに注力していただくためには、そういった方々の支援も必要になってくると思います。これだけ子供の数が減っていく中で、虐待での子供の亡くなる数が減らないということは、私、増加しているんだと思うんですね。これは異常な状態だと思いますので、医療的なケア、それをしていただいて、やはり両親が、お父さん、お母さんが暴力を振るわないように、そして、フラッシュバックを起こしてしまってパニックになる、それは治療すれば完治すると専門のドクターはおっしゃっていますので、やはり医療的なケアにも力を入れていただきたいなと思います。

 それでは、次は、性的虐待についてなんですが、全体でいくと一%というふうな数字になっておりますが、これも専門の方々にお聞きすると、実際、一六%ぐらいはいらっしゃるんじゃないかというふうに言われます。これが一五ではなく一六と言われるところに、ほぼ同じような数字を言われます、これは何か積み上げてのその数字だと思うんですけれども、この乖離、これについてお考えをお伺いできたらと思います。

橋本政府参考人 令和二年度の全国の児童相談所における虐待相談対応件数、これが全体で二十万五千四十四件なわけでございますが、そのうち、性的虐待というものに当たるものが二千二百四十五件ということで、約一・一%ということになってございます。

 御指摘いただいたような、児童相談所の方での捉え方と医療側の方での捉え方、この乖離ということでございますが、全体二十万件ございます虐待相談対応件数の中で、医療機関から通告をいただくものの比率というものは約二%ぐらいでございます。また、一般的に、医療機関の方では、身体的虐待などの事例もあろうかと思いますけれども、性的虐待が疑われるような事例にも接する機会が比較的多いのではないかというふうに想定されます。そういったことから、パーセンテージを出すに当たっての分母のところが、少し捉えている部分が違うというふうな面もあるのかなということで、なかなか単純な比較は難しいだろうというふうに認識しております。

一谷委員 確かに、分母の条件によって数字は変わると思うんですが、実際、現場では性的虐待が非常に多いです。また、非常に根深い問題。ある小児科のドクターは、子供に、自分の体で一番安全なところはどこと聞いたら、何と目と答えたらしいんですね。目は触られないからと。ということは、あとは全て触られるという異常な状態です。先日の議連の中でも、十四歳で妊娠をしたというような、本当に、聞いていて、私がもうどこに心のやり場を持っていっていいか分からない、皆さん同じだと思うんですが。

 やはりこの問題、子供は国の宝ですし、何とか防いでいく、そして、性的虐待のお子さんもフラッシュバックを起こすのを治せるというふうにドクターはおっしゃっていますので、できればそういったところにも力を入れていっていただけたらなというふうに思います。

 それでは、次、児童の養護施設のことについて話をさせていただきます。

 施設の出身者の方の進学率が低いように思います。これは令和元年の厚生労働省の資料ですけれども、児童養護施設から退所時に大学に進学される方が一七・八%、専門学校に行かれる方が一五・三%で、三三・一%です。これが、全国的にいきますと、高校を卒業して大学に行かれる方が五二・七、専門学校等が二一・五で、七四・二%です。かなりの、やはり開きがあると思います。

 やはり、生涯獲得年収ですか、それにも四千万から六千万の開きがあると言われる、高校か大学の進学の違いというところなんですけれども、やはり貧困の連鎖を断ち切らないといけないという思いで、我々維新は、教育の無償化を政策の一丁目一番地に訴えております。

 やはり教育というのは非常に大事だと思いますので、この施設における進学についてどのようにお考えになっているのか、御意見をお教えください。

橋本政府参考人 経済的な理由などで進学を諦めず、誰もが本人の希望と能力に応じて大学等で学ぶ機会を得るということは、子供の将来のために極めて重要なことでございます。

 児童養護施設出身者などの社会的養護経験者につきましては、今御指摘いただきましたように、進学率が一般学生と比べて低く、その主な理由は経済的な理由というふうに承知しております。

 このため、児童養護施設等出身者に対しましては、退所時に、大学等に進学する場合の家賃や生活費の貸付けを行いまして、一定の要件を満たした場合は返還を免除する、そういう事業や、進学時に必要となる身元保証人の確保を支援する事業などを実施させていただいております。

 児童養護施設等出身者が大学等に進学できるように、制度の周知も含めて、必要な支援にしっかりと取り組まさせていただきたいと思っています。

一谷委員 ありがとうございます。

 昨年の民間の調査の数字を言いますと、三六・三%と増えておりますので、こういった支援が進めば更に増えていくと思いますので。また、私の地元の神戸では、これは、社会福祉法人神戸真生塾の施設長、上杉さんからお伺いしたんですが、大変日本でも有数な進学率を誇っているということですので、またよい事例を是非横展開していただけたらなと思いますので、どうぞ皆さん、よろしくお願いをいたします。

 では、進学せずに就職される方も多いと思いますが、まず、施設で就職先を探すときに、自分の合ったところで働きたいというのも大事なんですが、就職するところに住むところがあるか、住居が確保されるかというのが非常に重要な要件になるとお聞きをしております。しかし、裏返せば、離職してしまえば住居もなくなってしまうということになります。

 これは非常に古いデータしか私、見つけられなかったんですが、平成二十八年ですかね、東京都の資料によりますと、一年未満で辞めてしまう方が約五割。最初に就職した仕事を一年未満で五割の方が辞めてしまう。そうなると、半分以上の方が住むところも一緒になくなってしまうという状況なんですが、こういったことについてどうお考えになられるか。

 また、私は、少し提案として、市営住宅の上の方、なかなかシニアの方が住みにくいようなところは無償でお貸しするとか、そういった提案、いろいろ出てくると思うんですが、局長のお考えをお聞かせください。

橋本政府参考人 児童養護施設等の退所者等につきましては、住居や生活費等の安定した生活基盤の確保などに対しまして適切な支援を行うことが大切でございます。

 このため、令和三年度補正予算におきましては、施設退所者等に家賃や生活費等の貸付けを行い、一定の要件を満たした場合に返還を免除する事業、先ほど申し上げましたが。この事業につきまして、退所後五年まで申請が可能となるように事業を拡充しましたほか、令和四年度予算では、退所後の生活を継続的に支援するコーディネーターを配置する事業につきまして、複数名配置することもできるように事業を拡充させていただいたところでございます。

 また、今般の児童福祉法改正案におきまして、社会的養護自立支援拠点事業というものを創設いたしまして、退所後の支援ということを要する方に、住居も含めた様々な支援に結びつけるための拠点を通いの形で設けるということを創設させていただきたいと考えております。

 こういった様々な取組を通じまして、児童養護施設等出身者に対する必要な支援、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 次の質問にも通ずるお答えをいただいたと思うんですが、改めて、進学や就職で悩んだというときに、新しくつくっていただいた窓口に、午前中の質疑でもありましたが、なかなかやはり行きにくい、やはり自らが育った施設で相談は行きたいというふうに思っておられると思うんですが、そうなると、何か施設のやはり負担は増えてくると思います。

 先ほどの上杉さんにもお伺いしたんですが、やはり人員の配置を手厚くしていただいたりとか、何か補助を出していただきたいというふうにお話をされていたんですが、改めて、この質問について局長にお答えをいただけたらと思います。

橋本政府参考人 児童養護施設等出身者に対しましては、入所中から退所後までのきめ細かな支援ができるように体制整備が必要でございます。

 令和二年度から、児童養護施設等におきまして、施設等退所前の進学、就職等の自立支援及び退所後のアフターケアを行う、そういう職員を配置いたしまして、入所児童等の退所前後の自立に向けた支援の充実を図っているところでございます。

 また、先ほど少し申し上げたところでございますが、今般の児童福祉法改正案におきまして、児童養護施設等への入所措置等を経験した方や、児童相談所による一時保護等の経験者等に対しまして、経験者の相互交流、すなわちピアサポートということの場を提供しますとともに、通いや訪問によって、自立に向けた情報提供や相談支援の提供、あるいは必要なサービス、機関等へのつなぎ、こういったことを行う社会的養護自立支援拠点事業を新設することといたしております。

 この拠点におきまして、利用者の個別の状況や課題等に応じて、適切な就労支援や障害福祉等の各種の福祉サービス、法的な支援などにつなぐことが重要と考えておりまして、引き続き、支援を必要とする方が適切な支援を受けられるように努めてまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 大変充実した支援だと思いますので、これが形だけではなく実際に稼働するように、全員で力を合わせていきたいと思います。

 では、最後に大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

 世界では、施設で、もちろん施設の方も精いっぱいやってくださっていまして、日本はすばらしい施設が多いと思っておるんですが、やはり、お子さんの成長を考えれば、里親制度が世界では主流だということを聞いております。この里親ケアに重点を置いていくということについて、世界の流れ、また日本の状況も鑑みながら、大臣のお考えをお伺いできたらと思います。

後藤国務大臣 社会的養護が必要な子供に対して、里親家庭のような、家庭と同様の養育環境を確保することは重要です。

 平成二十八年の児童福祉法の改正において家庭養育原則が明記されたことを踏まえまして、都道府県等でも、社会的養育推進計画を策定し、計画的に里親委託等を進めております。国としても、自治体に対して、令和六年度末までに三歳未満の児童の里親等委託率を七五%以上とする目標を示しており、取組の強化を促すとともに、里親委託の推進に向けて取り組んでいる自治体の支援も行っております。

 さらに、今般の児童福祉法改正案においても、里親支援に特化した機関である里親支援センターを児童福祉施設として位置づけ、その整備を進めて里親支援の強化を図ることとしておりまして、こうした取組を通じて里親委託が推進されるように、引き続きしっかり取り組んでいきたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 里親になられる方も、やはり一年以内で四割ぐらいの方が思い苦しむということもお聞きしておりますので、その辺りもケアをしていただきながら、やはり子供は国の宝ですので、今回の法改定が、一人も取り残すことなく、お子さん方の、また両親の幸せにつながればなと思います。

 どうも、御質問させていただきまして、ありがとうございました。

橋本委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いいたします。

 活力ある持続可能な社会を実現するため、将来の担い手である次世代の育成を進めていくためには、子供や子育て世帯を全体で支えていく体制づくりを強力に推し進めることが必要であります。

 一方、二〇二一年の出生数が八十四万二千八百九十七人と、二〇二〇年と比較すると二万九千七百八十六人が減っています。六年連続で過去最少を更新しました。

 今求められているのは、妊娠期から子育て期にかけて、切れ目のない子育て支援や、仕事と育児の両立支援などを充実させて、また、希望する誰もが子供を産み育てたいと思える環境を整備すること、また、子供の視点に立って、子供のための支援を行うこと、そして、そのための人材確保や、子供支援、子育て支援の現場で働く方々の処遇改善が急務であります。

 今回の児童福祉法改正法案では、家庭、養育環境支援の強化や、児童相談所の支援機能強化、社会的養育の質の向上など、子育て世帯への支援や、子供の生育環境を改善するものがあり、私自身としても更に強く進めていただきたいと思っていますが、その中でも幾つか懸念する点がありますので、そのような観点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず、こども家庭センターです。これは、先ほど来、多くの委員からも質問がありました。保健師などの専門職の人材確保が困難なことによって、既存でありました子ども家庭総合支援拠点、これを設置できていない自治体というのが多数存在しておりまして、令和三年時点では設置率三六・五%となっております。新たにこども家庭センターを設置するには、子育て世代包括支援センターの機能を拡張する自治体が多いと考えられますが、どちらの機能を持つことによっても、業務負担の増加が予想されています。また、今回、支援計画、サポートプランの作成も、この中の業務として新たに加わることになりました。

 法改正で目指すべき姿というのは、今冒頭申し上げましたが、私も同じ思いでありますが、既に人材が不足していると言われている状況で、新たな業務が更に課され、負担になることについて、まず、どのように考えているのか、お聞きしたいと思います。

 これについては、先ほど来、財政支援や、幾つかの自治体との連携ということもお話がありましたが、更につけ加えれば、この設置が努力義務であるということも特徴かと思います。そもそも、子供部局がないような小さな自治体では、これを定めても設置が進まないということも想定をされます。

 本来なら、設置義務化のような形で国がしっかりとサポートをすべきかと思いますが、併せてこれについても伺います。

    〔委員長退席、高階委員長代理着席〕

後藤国務大臣 今回、既存の子ども家庭総合支援拠点、児童福祉の面から設置されているわけですが、それと、母子保健の観点から設置されております子育て世代包括支援センターを見直しまして、全ての妊産婦、子育て世帯、子供へ一体的に相談支援を行う機関として、こども家庭センターを創設することとしています。

 今御議論もありましたし、これまでも御議論もあったところですが、母子保健の子育て世代包括支援センターと、児童福祉の子ども家庭総合支援拠点のいずれかのみ設置している市町村の割合も結構あるわけでございます。

 そのような中で、今般、こども家庭センターについて、地方分権の観点から、法律上は努力義務といたしたところでございますけれども、児童福祉と母子保健の一体的な対応が重要であることや、新たに市町村に義務づけるサポートプランの作成を通じた対象者への支援の業務が必要であることは、どの自治体にも言えることでありまして、今般の改正において、可能な限り早く、こども家庭センターを全国に設置いただきたいと考えております。

 このため、厚生労働省として、小規模自治体を含め、こども家庭センターを円滑に設置できるよう、人材確保のための充実した財政支援を行うこと、柔軟な人員配置を認めること等によりまして、今後、十分に自治体の意見を伺いながら、その設置を促進してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 まさにどの自治体にも今必要だということが、このセンターの肝でありまして、こども家庭センターは、最も身近な自治体の市区町村に置かれるということで、全ての妊婦さんから子育て世帯、また子供まで、気軽に相談できる場所でなくてはならないと思っております。

 どこに住んでいても質の高いサービスを受けられるように、この議論の中では、スウェーデンのネウボラという施設がありますけれども、日本版ネウボラを目指そうということで議論されていたということもお聞きをしています。

 是非これはしっかり、国の政策であるということを位置づけて、地方の支援、また自治体の支援、今おっしゃっていただいておりましたが、しっかり取り組んでいただきたいと要望をいたします。

 保育士の児童相談所への配置割合、二〇二〇年で五八%であります。今年度までに一〇〇%を目標としているが、これもハードルが高い状況にあります。

 児童相談所でもこのような状況である中、更にこども家庭支援センターを整備するとなれば、より一層の人材確保策を講じる必要があると考えます。この人材確保についても、今大臣からもおっしゃってもらいました。

 そして一方、保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業による三%程度の処遇改善も行っているところでありまして、これでは、議論が先ほどからありましたが、まだまだ不十分と思っています。

 今回、立憲民主党さんと共同で、保育従業員等の人材確保のための処遇改善法案を提出をさせていただいたところであります。職務に見合った更なる処遇改善を直ちに実行して、保育士のみならず保健師などの専門職の人材確保にも具体的な施策を進めていただきたいと考えますが、見解を伺います。

後藤国務大臣 現行制度においても、自治体の規模に応じまして、母子保健の子育て世代包括支援センターにおいては保健師等の専門職、児童福祉の子ども家庭総合支援拠点においては社会福祉士等のソーシャルワークの専門職等の配置を進めております。

 このため、今般、母子保健、児童福祉双方の機能を維持した上で設置することとなるこども家庭センターにおいても、専門職人材の配置は必要となります。

 委員御指摘のとおり、特に小規模自治体において、保健師等の専門職の確保が厳しいとの声は、自治体現場からも伺っております。

 施行までに、こども家庭センターの設置に向けて、自治体等の関係者の意見も十分に伺いながら、専門職の確保に向けてどのような方策が取れるか検討してまいりたいと思います。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 保育士の、保育サービスの現場を例に挙げますと、本来、業務において、人材不足の点から、仕事の持ち帰りとか時間外というのが常態化をしています。今回の児童福祉法改正法案では、このような保育サービスの現場にも更なる負担をかけることが想定されます。保育士の試験合格者が、保育士として働くことに不安を感じると回答した理由の最も多い回答が、やはり労働条件、労働環境であり、保育士という仕事には誇りを持って、また魅力を持って、子供が大好きということで仕事をしていても、待遇を理由に諦める人が多いということが事実であります。

 まずは、先ほど来おっしゃってもらいました、保育士だけでなく、保健師始め様々な専門職の皆さんの、現場で働く皆さんの処遇改善ということに努めていただきたいと思っています。

 また、人材不足にあるからといって、じゃ、人員の配置基準を弾力化するということが言われますが、柔軟にするという言葉は大変に聞こえはいいんですけれども、そうしますとサービスの低下というおそれがあります。人員配置の基準の弾力化というのは慎重に行うべきであり、私自身としては行うべきではないと考えています。

 今般の三%の処遇改善を十月以降も継続するとともに、業務に合った三%以上の賃金を改善すること、また、ICTを活用するなど事務作業の負担軽減、また、保育士の質の向上に今回〇・三兆円充てていただきましたが、この確実な確保などを通じて、一歳、四歳、五歳の職員配置基準の見直し等を早急に行うべきと考えておりますが、大臣の決意を伺います。

後藤国務大臣 保育士の処遇改善については、本年二月から、収入を三%程度、月額九千円程度引き上げるための措置を実施しておりますが、十月以降については、賃上げ効果が継続されるように、令和四年度当初予算において、同様の措置を公定価格の見直し等により講じております。

 なお、その後の具体的な処遇改善の方向性につきましては、公的価格評価検討委員会の中間整理も踏まえまして、職種ごとに仕事の内容に比して適正な水準まで賃金が引き上がり、必要な人材が確保されるかといった観点からしっかりと検討してまいりたいと思います。

 また、保育士の業務負担の軽減を図る上で、保育所等におけるICT化を進めることは重要と考えておりまして、ICT化を行うためのシステム導入等に必要な支援を行っております。

 職員の配置基準の改善については、これまでも子ども・子育て支援の質の向上のメニューとして、平成二十七年度より、三歳児に対する保育士の配置を二十対一から十五対一とする改善を実施してまいりましたが、いわゆる〇・三兆円超の質の向上事項に含まれる一歳児や四、五歳児の配置の改善については未実施となっておりまして、これらの実施について、引き続き、内閣府と連携して、財源の確保に努めてまいりたいと思います。

    〔高階委員長代理退席、委員長着席〕

田中(健)委員 ありがとうございます。

 子育て支援、保育に関わる人材の確保は、重要な今回の法律改正に関わる課題でもあります。支援が必要な子供や保護者に対して適切な支援を提供できるよう、国がどのような解決をしていくのか、今幾つか具体的な例を挙げていただきましたし、また、今後も取り組むという決意をいただきましたので、具体的な支援を更に求めてまいりたいと思います。

 それでは、児童相談所に移りたいと思います。

 児童相談所の現場というのも大変に今疲弊をしています。これも先ほど来の様々な委員から提言がありました。

 現場の職員は多くの業務を抱え、土日また祝日、深夜にも対応に追われております。さらに、日本の児童相談所というのは国際的に見ても厳しく、イギリスでは、日本の児童福祉司に当たるソーシャルワーカー一人当たりの虐待事案の対応件数は年間十七件に対し、日本では、全国の平均、これも先ほど御指摘がありましたが、五十件近くであります。一人で百件を抱えていたというようなケースもあるようです。二十件以下が世界標準と言われ、欧米諸国並みの水準に近づけるべきだという声が多く上がっています。

 厚生労働省は、二〇一八年に新プランを示し、二〇二二年、本年度を目標に、人口三万人に一人の児童福祉司の配置、また、二〇一七年度に対して二千二十人の増員というのを発表しています。あわせて、児童心理司も二〇一七年度比七百九十人程度、保育士も七十人程度の増員ということ、様々な指標、目標を掲げてこれまで取組を進めてきましたが、この目標というのは達成できたんでしょうか。進捗状況を伺います。

橋本政府参考人 児童虐待防止対策体制総合強化プラン、いわゆる新プランでございますが、こちらにおきましては、児童福祉司を二〇二二年度、今年度までに約五千二百六十人の体制とすることを目標としておりましたところ、児童相談所における児童虐待相談対応件数の増加や自治体の増員状況等を踏まえて、この新プランの目標につきましては一年前倒しの目標とさせていただきました。そして、二〇二一年、去年の四月一日時点での児童福祉司の数が五千百六十八人となっておりまして、これは、スタートいたしました、その前の二〇一七年度三千二百三十五人と比べますと千九百三十三人増加することとなり、元々掲げておりました五千二百六十人という目標をおおむね達成したというところでございます。

 また、児童相談所における児童虐待相談対応件数が増加していること等から、二〇二二年度、今年度の児童福祉司の数につきましては、新プラン当初の目標から更に五百五人をプラスいたしまして、約五千七百六十五人の体制とすることを目標といたしております。

田中(健)委員 まず、人員確保というのは大事だと思いますので、今、最低限のマンパワー確保、更に前倒しもしていたということで、その点については大変理解をいたしましたが、一方、児童相談所のソーシャルワークには相当の経験と知識が必要とされておりまして、とかく今回の課題であります虐待対応には十年以上の経験が必要とも言われています。しかし、現状を見ますと、三年未満に満たない児童福祉司というのが約半分でありまして、一方で、十年以上の経験を有する児童福祉司というのは一五%ほどしか現在いないということであります。

 これも、対応すべきケースが多過ぎるということや、虐待対応で保護者との激しい対立や議論に神経をすり減らして、業務の多さから来る恒常的な長時間勤務、土日勤務、夜間勤務、緊急対応、そういった疲労などによって、児童福祉司の業務が厳しさを増しているということであります。

 さらに、これも先ほど指摘がありました、行政機関として、人事異動のルールのために異動周期が短く、専門性がなかなか定着しないうちに替わってしまうという問題も抱えておりまして、本来ならゆとりを持ってケースの対応をしていただきたいと思うんですけれども、それができていないということであります。

 そのためには、人員増、これについては、先ほど御報告してもらいましたように、かなり充実してきたんですけれども、それに加えて、やはり、長期にわたって勤務を継続し専門性を高めていくために、もちろん地方自治体の人事であるとは思うんですが、この人事異動の周期を長期化することを政府から求めたり、また、研修、集合研修と併せて、OJTと言われるような職場内の研修、これが十分に機能するような条件整備が必要と考えております。

 更なる人員増加の必要性と、人事異動や研修制度、この体制整備についてどのようにお考えになっているか、また、国としてどのようなサポート、支援ができるのか伺います。

後藤国務大臣 御指摘のとおり、児童福祉司は、人事異動があるため、専門性の積み上げが難しいという課題が指摘されているところでございます。今般の児童福祉法改正案に基づきまして創設される認定資格の活用に加えまして、研修の充実やキャリアパスモデルの作成、普及等によりまして、児童福祉司のキャリアアップを図っていきたいというふうに思っております。

 また、新プランについては、目標の前倒しを行う等しているところですが、令和五年度以降の児童相談所における体制強化については、虐待相談対応件数などの児童相談所の状況や、現在御審議いただいている児童福祉法改正案により新たに児童相談所が行うこととなる業務等の状況も踏まえまして、次期プランの策定も含めて検討してまいりたいと思います。

 さらに、厚生労働省においては、児童相談所等の現場で働く児童福祉司の質の向上のために、その研修に係る費用の補助を行うことによりまして、現場の人材育成も支援しているところであります。

 こういった取組を通じて、児童福祉司の専門性の向上に引き続き努めてまいりたいと思います。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 是非、キャリアパス等で、働いて自分のキャリアを少しずつ高めていく、またそれが次の仕事につながるということ、また、今、国が人と体制も整えていくということをお聞きしましたので、これからも力強く進めていただければと思います。

 次は、子育て世帯に対する包括的支援について伺います。

 現在子育てをする約千二百万世帯のうち、保護者への養育支援が必要とされる世帯で育つ子供は二十三万人、特定妊婦は〇・八万人ということが今回報告されています。

 地域子ども・子育て支援事業において、子育て世帯訪問支援事業というのが新設をされることになりますが、これは、家庭を訪れて家事や育児を支援するサービスでありますが、市区町村が担うこととなります。

 これらの対象家庭というのはどのようなものを想定されているのか、伺います。

橋本政府参考人 今般創設いたします子育て世帯訪問支援事業につきましては、家事、育児支援の担い手の存在が各地域において様々であり、また、支援の提供体制が十分な状況でない状況にございますので、まずは、要支援、要保護家庭、特定妊婦、支援を要するヤングケアラーなどに確実に支援が行き渡るようにしてまいりたいというふうに考えてございます。

 対象としましては、こういった要支援児童、要保護児童、その保護者、特定妊婦等を対象とし、また、支援を要するヤングケアラーを含むということで取り組んでまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 これは、説明を聞いたときは、現在も一部の自治体ではもう始まっているところがあって、政府は、それを法律にすることで全国的に広げていきたいという説明も受けましたが、東京都を始め各区で既に行われているのは、産前産後の育児、家事援助、支援ということでありまして、これは支援を必要としている全ての人が対象です。つまり、今、言ってもらった要支援や要保護、必要な児童だけでなく、必要としている全ての子育て家庭へと位置づけられて、東京都では、各区が独自の予算で家事、育児サポートというのをもう既に始めています。

 これらの事業は今回のサポートの対象にはならないのかということと、また、先ほど局長がヤングケアラーということをおっしゃっていただきましたが、ヤングケアラーというのは、どうこの包括支援の中に位置づけられていくのかということについて伺いたいと思います。

橋本政府参考人 東京都におきまして、今御指摘いただきましたように、支援を要する幅広い子育て世帯を対象としまして、家事、育児支援、育児援助等を実施しているというふうに承知をいたしております。

 私どもとしましても、先ほど申し上げたような、要支援、要保護児童ですとか、あるいは特定妊婦など、そういったところをまずはしっかり行き渡らせたいというところでございますけれども、その上で、支援の提供体制の整備が進んでいく中で、支援の対象につきましても、広い層に量的に広がっていくというふうに考えております。

 この事業の対象者は、具体的には、要支援児童の保護者その他の内閣府令で定める者というふうになってございますので、これを施行までの間に検討することになるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、共働き世帯で支援を要する世帯とか、あるいはヤングケアラーにつきましては、今の時点で考えましても支援対象として想定しておりますので、令和三年度補正予算で先行的に進んでおります取組などの状況を踏まえながら、検討を進めさせていただきたいと考えております。

田中(健)委員 何でも、まずはということですね。これが第一歩ということであると理解をさせていただきますので、子ども・子育て支援には、貧富の差にかかわらず、また、地域にかかわらず、子供、また、支援を必要としているという人が誰もが受けられるサービスに発展していただければと思っています。

 特に、子ども・子育て支援に対しては、所得制限の撤廃ということも様々な場面で訴えさせていただいておりますので、お願いをしたいと思っています。

 同時に、これは大臣にお聞きしたいんですけれども、今、ヤングケアラーについても含めるというふうに政府はおっしゃったんですけれども、ヤングケアラーは、そもそも、まだ定義ができていません。他の委員会でも議論が様々進んでいる中で、やっと国の実態調査がされて、十七人に一人でしょうか、確認ができたというか、いるということが分かってきました。

 是非、ヤングケアラーということがこの中に入りましたので、各自治体での全数調査も必要という声も上がっていますし、それによって、そういう人たちを支えていくというようなことも求められていますし、本日、午前中には、いらっしゃらないでしょうか、田村前大臣、また、公明党、国民民主党、両伊藤タカエ議員のヤングケアラー検討チームが設置されたということを私、先ほど知りまして、今国会中において、支援策の方向性もまとめるということであります。

 是非、恐らく支援の中で、ヤングケアラーというのがこのように位置づけられて、また、それについて取り組むということの第一歩かと思っておりますので、それについての大臣の思いや、また、決意があれば、お伺いをできればと思います。

後藤国務大臣 子育て世帯訪問支援事業の対象自身は、具体的には今後、法律が決まった後に、これは内閣府令で定める者ということになって、決まっていくわけでありますけれども、今、答弁をさせていただいたように、ヤングケアラーなど、こうした支援もやはり、家事支援の必要な層に対して、きちっとサービスが行き渡る必要があるというふうに思っております。

 先ほど委員が例示していただいた東京都などは、支援を必要とする幅広い子育てを対象として、家事、育児援助等を単独事業で、十分の十で実施をされております。

 もちろん財源の問題とかいろんなことはありますけれども、こうしたこともいろいろ考えながら、ヤングケアラー、特に確実に支援が行き渡るように、まずは要支援、要保護児童、特定妊婦、支援を要するヤングケアラーなど、確実に支援が実施できるように進めていきたいと思います。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 ヤングケアラーについて初めての、この取組の第一歩かと思いますし、また、児童福祉法の中にヤングケアラーというものが入って、そして皆で支えていけるような社会をつくっていきたいと思っています。

 子供の権利擁護について次に伺います。

 子供に関わる問題は、貧困、今取り上げましたヤングケアラー、虐待など多岐であり、子供自身が発信しにくい状況にあるため気づきにくいと言われています。家庭に問題があると判断され、一時保護所において子供を保護したとしても、刑務所のようだというような問題視する声も上がるなど、なかなか子供も大変な状況、生きづらい社会となっています。

 今回、児童の意見聴取の仕組みを法改正で取り入れるということ、また整備をするということですが、具体的にどのような方法を考えているのか伺います。

後藤国務大臣 子供の意見聴取につきましては、今般の児童福祉法改正案において、児童相談所長等が行う一時保護や施設入所等の措置等の際に子供の最善の利益を考慮するとともに、子供の意見、意向を勘案して措置等を行うよう、あらかじめ子供の年齢等の事情に応じた意見聴取その他の措置を行わなければならないこととしております。

 その上で、子供が意見、意向を示すことができる環境を整備するために、都道府県等の事業として、意見表明等支援員が児童相談所長等の意見聴取等の対象となっている子供等に対し、子供の意見、意向を聴取、把握すること等を内容とする意見表明等支援事業を創設することといたしております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 その意見表明支援員、アドボケートと横文字で言うそうなんですけれども、これが今大変に注目され、また求められています。

 子供のアドボケート、意思表明支援員というのは、日本も批准する国際条約であります子どもの権利条約の意見表明権を保障する担い手であるとも言われていまして、児童相談所や学校関係者でない第三者が担うことが必要だとされています。この間、養育ビジョンの中や、また前回の児童福祉法や児童虐待防止法改正時の、検討を早急に行うとする衆参の附帯決議の中でもこれが明記をされていました。

 具体的には、地方では、兵庫県の弁護士会では、意見表明支援員として弁護士を派遣するという取組も始めているということも聞いています。また、私の静岡県、またそれだけでなく、全国の自治体からもこれについての早期の法制化ということも求められています。

 是非、子供の意見表明の支援と権利擁護の仕組みとして、アドボケートというのを法制化をしてしっかりと位置づけていただければということを思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 今委員御指摘の兵庫県の弁護士会の例など、既に一部の自治体において、ノウハウのある弁護士やNPOなどが子供の意見表明を支援していることを承知しております。

 厚生労働省としては、このような自治体の取組について、子供の意見、意向を受け止める体制の構築を図るために、モデル事業として補助率十分の十で支援しているところでありまして、兵庫県についても令和三年度事業の中で支援をしております。

 委員御指摘のとおり、このような各自治体の取組を全国に広めるために、今般の児童福祉法改正案において、意見表明等支援員が子供の意見、意向を聴取、把握すること等を内容とする意見表明等支援事業を法定事業として規定し、意見表明等支援に向けた体制整備について、都道府県の努力義務としたところでございます。

田中(健)委員 ありがとうございました。

 残る質問はまだあるんですけれども、次の委員会でまたお願いしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 児童福祉法改正案について質問をいたします。

 児童養護施設等の支援は、現状、原則十八歳、最長でも二十二歳、これが本法案では支援の年齢制限がなくなります。年齢要件の緩和は関係者の悲願です。絵に描いた餅にしない手だてが必要だと思います。

 二〇一一年に、資料を配付しておりますが、厚労省は措置延長の積極的な活用の通知を出しております。進学したケース、就職や福祉的就労をしたケース、あるいは進学や就職が決まらない児童であっても、継続的な養育を必要とする児童は積極的に措置延長ということを通知を出したわけでございます。

 さらに、二〇一七年には、二十二歳までの社会的養護自立支援事業も始まりました。

 厚労省にお伺いします。高校の卒業後、措置延長を行った人数及び延長しなかった人数、また、措置延長終了後、社会的養護自立支援事業を利用した人数、お答えください。

橋本政府参考人 令和元年度末に高等学校等を卒業した児童養護施設の児童のうち、措置延長を行った人数は三百五十六人、それから、措置延長しなかった人数は千三百九十六人となっております。

 それから、令和二年度に社会的養護自立支援事業の居住費支援を利用した人数は三百二十五人となっております。

宮本(徹)委員 厚労省は措置延長の積極的活用の通知を出したわけですけれども、それでも、十年たった後でも、高校卒業の十八歳での退所というのが大半を占めていて、措置延長は二割にとどまっているわけでございます。この原因について、どう分析されているんでしょうか。

橋本政府参考人 児童福祉法上、児童養護施設等への入所措置等は原則十八歳までなわけでございますが、二十歳までは措置の延長ができるというふうになっております。

 しかし、児童養護施設において高等学校卒業後も措置延長されている方は、令和元年度末に高等学校等を卒業した約千七百五十人のうちで約三百五十人にとどまっているわけでございます。

 この措置延長の仕組みが活用されない背景でございますが、様々な理由があると考えておりますけれども、入所等措置は十八歳までという原則にのっとって、措置延長できるケースが厳格に捉えられている場合もあるということも一つの要因ではないかというふうに考えております。

 今般の児童福祉法改正案によりまして、自立支援について二十二歳の年度末までという一律の年齢要件を弾力化するわけでございますが、その前提といたしまして、十八歳到達時点において一律に措置解除するのではなくて、支援が必要な場合には措置延長等により支援を継続するということが前提として重要なわけでございます。

 したがいまして、厚労省としましては、これまでも全国会議等で各都道府県に対して措置延長制度の積極的な活用をお願いしたわけでございますが、今般の児童福祉法改正案におきまして、都道府県の行わなければならない業務として、措置解除者等の実情を把握し、その自立のために必要な援助を行うこと、これを位置づけることとしておりますので、この業務を都道府県が果たしていく上で、支援が必要な場合には確実に措置延長がなされるように、より一層の働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。

宮本(徹)委員 措置延長について厳格に捉えているケースもあるというお話でございました。

 児童養護施設の施設長や職員の皆さんからお話を伺うと、本人も施設も措置延長して支援をしたいというケースでも、措置延長が認められないケースがあると。そして、その背景の一つに、東京の場合でいうと、児童養護施設がほぼ満杯である、そして一時保護所もいっぱいだと。一時保護の長期化があると、次の人が児童養護施設に入所できるように措置延長に消極的になる、こういう背景があるということを聞いております。もちろん、今、東京都は児童養護施設の定員を増やしてほしいということを求めているところでもあります。

 ここでお伺いしたいんですけれども、今回、法案では自立生活援助事業の年齢の上限を取り払うわけでございますが、子供の最善の利益の立場に立って必要な支援を行うためには、東京などでは児童養護施設等の定員、キャパを増やす必要がある、こういう認識はあるんでしょうか。

後藤国務大臣 全国の児童養護施設の入所児童数については、二〇二一年の定員が約三万一千人となっている一方で、入所児童数は約二万四千人で、入所率は約八割となっていることから、一概に、直ちに児童養護施設の定員が不足し、入所すべき児童が入所できないという状況ではないとは認識しています。

 一方で、今委員御指摘のあったように、地域によっては、東京都のように、東京都の児童養護施設は予約待ちの状況であり、障害等のある児童が増えており、入所調整に時間がかかるといった状況等があるということも承知をいたしております。

 こうした中で、今般の児童福祉法の改正でございます。児童自立生活援助事業の年齢制限が一律となっているところを弾力化することとしておりますが、児童が不必要に施設等にとどまり続け、自立が阻害されることがないように、都道府県が関係者を集めたケース会議を開催するなど、自立に向けた取組を強化することも検討をいたしております。

 さらに、児童養護施設や児童自立援助ホームなど、自立に向けた支援について各都道府県等においてニーズに応じて計画的に体制整備を進めるために、今般の法改正に伴って都道府県社会的養育推進計画の策定要領についても見直しまして、自立支援の計画的な体制整備に向けた、より明確な目標等を設定することとしております。

 自立支援が必要となる者に適切に支援が行き届く体制について、各都道府県等の状況も確認しながら、しっかり整備していきたいと思います。

宮本(徹)委員 本当に、東京の状況を大臣からも答弁していただいたとおりなんですよね。ですから、しっかりと施設も増やしていく、そのための支援もお願いしたいと思います。

 その上で、施設を増やしたいけれども、職員の確保が簡単ではないという現状がございます。分園のグループホームをつくろうと思うと、その小規模施設の中で、様々な問題が起きるわけですから、それに対応できる経験ある職員というのが必ず必要になります。しかし、これは簡単ではない。あるいは、新しい職員が入ってきても、若い皆さん、若い職員の皆さんが、心が傷つくことも少なくない。その中で残念ながら離職せざるを得ないという方も出ているというのは、皆さんも御存じのことだというふうに思います。

 そこで、大臣にお伺いしますけれども、児童養護施設等の定員を増やす上で、職員の確保、定着、育成への支援が極めて重要だという認識はあるでしょうか。あと、職員のメンタルサポートに補助金を求める声もありますが、どう支援されるんでしょうか。

後藤国務大臣 児童養護施設の定員につきましては、都道府県等において、保護が必要な子供の状況等を踏まえまして、必要量を見込み、その受皿となる児童入所施設等を整備しております。そして、児童入所施設等に要する経費については、児童入所施設措置費等国庫負担金により支弁をしております。

 あわせて、児童養護施設における職員の定着やメンタルサポートを進めるために、これまで厚生労働省においては、児童指導員等、直接児童を支援する職員の負担軽減のための補助者等による支援、児童相談所OB等を活用した職員の悩み等を気軽に相談できる環境の整備、児童養護施設に従事する職員の相談支援体制の整備などを行っております。

 加えて、児童養護施設における人材育成については、職員の資質の向上や研修指導者の養成、入所児童の自立支援計画等の作成や職員の指導を行う基幹的職員などの養成などに取り組んできたところでございます。

 引き続き、予算や職員の確保、職員の継続的支援等を通じ、児童養護施設等の安定した経営に努めてまいります。

宮本(徹)委員 是非、本当に、人の確保、苦労していますので、現場の声を聞いて、更に職員の確保、定着、育成の支援策について具体化をしていただきたいと思います。

 あわせて、児童養護施設の子供たちには、当然、児童精神科医や、また臨床心理士の体制があるわけですが、職員の皆さんも実はそこにかかって診てもらっているという方も、多くの施設であるわけですね。ですけれども、やはり職員に特化したメンタルサポートが必要だ、こういうお話も聞きますので、更なる踏み込んだ支援を、是非、現場の声を更によく聞いていただいて、検討していただきたいと思います。

 その上で、措置延長の積極的な活用が現状不十分な下で、子供アドボカシーが機能するか、これは極めて大事だというふうにお話を伺っております。

 今回、意思表明等支援事業が設けられる、このことへの期待は大変大きいものがあります。しかし、先ほど答弁ありましたけれども、都道府県について、これは努力義務ということになっているわけですよね。十八歳を超えて児童養護施設で引き続き支援を受けたい、こう思った子供が受けられるようにする上でも、この意思表明等支援事業は努力義務ではなくて都道府県の義務にすべきではないかと思いますが、この点、いかがですか。

橋本政府参考人 子供が意見、意向を示すことができる環境を整備するため、都道府県等の事業としまして、意見表明等支援員が、児童相談所長等の意見聴取等の対象となっている子供に対して、意見、意向を聴取、把握すること等を内容とする意見表明等支援事業を創設をすることといたしております。

 この事業、非常に大事な役割を担うわけでございますけれども、やはり、まだまだこの意見表明等支援を行うことのできる資質のある方々を養成していくということも含めてやっていかなければならない段階でございますので、まずは努力義務ということでスタートさせていただきたいと考えております。

宮本(徹)委員 法施行までは時間があるわけですよね、法施行までは。その間に一生懸命養成すれば、これは義務にしていけるのではないかと思いますが。今の答弁でいえば、養成を速やかに進めて、できる限り早く義務にしていきたい、そういう思いが含まれている答弁だということでよろしいですか。

橋本政府参考人 先ほど申し上げましたように、事業の担い手など地域資源の状況が自治体ごとに異なるということなどもございますので、義務とはせず、都道府県による必要な措置の実施を努力義務として今回は規定しているわけでございますけれども、子供の意見表明等支援というのは重要でございますので、しっかりと国としても支援することにより、着実な実施ということを図ってまいりたいというふうに思います。

宮本(徹)委員 その後いつ義務にするのかというのが全く見えない答弁だったわけですけれども、資源ということをおっしゃいますけれども、兵庫県の場合は弁護士会が受けているわけですから、弁護士会は日本中に、どこにだってありますよ。やはりそこでしっかり研修すれば、私は、法施行前にちゃんとどこでもできるような状況をつくれると思いますし、そうしていかなきゃいけないというふうに思いますので、そこは、全ての都道府県でやってもらうんだ、こういうことで、しっかりと準備を進めていっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 その上で、この子供の意見表明等支援事業について、やはり第三者機関としての独立性が維持される、この制度設計が極めて大事だと思いますが、いかがですか。

橋本政府参考人 子供の意見、意向表明等支援につきましては、この問題を議論しました社会的養育専門委員会におきましても、都道府県等は一定の独立性を担保する必要がある、こういった指摘をいただいたところでございます。

 したがいまして、これを行う体制につきましては、措置等を実施する児童相談所等からは独立した第三者である立場の意見表明等支援員が担うことによりまして、子供の意見や意向をしっかりと酌み取ることができる、そういう制度設計にしたいと考えております。

宮本(徹)委員 あわせて、この子供の意見表明等支援事業、今回は児童福祉法の枠でつくられるわけですけれども、本来、子供の意見表明の支援というのは児童相談所等に措置された子供だけを対象にすべきものじゃないと思うんですよね。対象を限定せずに、いじめだとか、ハラスメントだとか、不登校だとか、引きこもり等で苦しんでいる子供にも、やはり意見聴取の機会、意見表明の支援の機会というのを保障しなきゃいけないと思いますが、いかがですか。

橋本政府参考人 子供の意見をしっかりと聞くということの重要性については、いろいろな御議論があるわけでございます。

 今回の児童福祉法改正案の中で盛り込んでおりますのは、一時保護ですとか施設への措置、里親への委託、そういった子供の社会的養育ということに関わる、そういう子供にとっての人生の大きな転換につながるような、そういった重大時におきまして、子供の意見をしっかりと聞き、それを十分に勘案して、子供の最善の利益のためにしっかりとした措置を行う、こういった趣旨で導入するものでございます。

 委員が御指摘のものというのは、もう少し幅広いものというふうに捉えておられるんだと思いますけれども、私どもとしては、今回の改正案の中では、そういった社会的養育、社会的養護というふうな枠組みの中で、必要な場面において意見聴取をする、そういったものとして提案させていただいております。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 児童相談所に措置された子供に限らず、全ての子供について適切に意見聴取の機会を設けるということは重要と考えております。

 加えて、御指摘いただいた、いじめとかハラスメント、不登校等で苦しむ児童生徒につきましては、適切に心のケアなどを行う観点から、例えば学校の教職員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどによる相談を行う中で、児童生徒の声も丁寧に聞き取り、必要な支援につなげていくということが重要であるというように考えております。

宮本(徹)委員 せっかく今回アドボカシーの制度をつくろうということですから、この子供アドボカシーの制度は、小さく今回生まれるわけですけれども、大きく日本社会全体で育てるということに政府全体で取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 続きまして、今回、社会的養護自立支援事業などが児童自立生活援助事業に一本化されるわけでございます。児童養護施設に入所していて支援が必要な子は、本人の希望を聞いた上で措置延長が基本だというふうに思いますが、十八歳で措置解除された場合、その子がそのまま自立生活援助事業に移行できるのか、その場合の生活の場はどのようなところを想定しているのか、お答えいただけますか。

橋本政府参考人 現行制度におきましても、十八歳で措置解除された方については、本人が児童自立生活援助事業の利用を希望する場合には、同事業を活用しまして、自立援助ホームに居住して支援を受けることができます。また、同事業におきましては、事業者がアパート等の借り上げを行った上で事業の利用者を居住させ、自立への支援を行うことも可能としているところでございます。

 今般の児童福祉法改正案におきましては、児童自立生活援助事業につきまして、実施場所の更なる弾力化を行い、児童養護施設等の施設内や里親宅等においても事業を実施することを可能にしたいというふうに考えております。

宮本(徹)委員 その上で、現場から聞いている声ですけれども、やはり本当に支援が必要な場合は、十八歳から自立支援事業ではなくて、やはり措置延長の方が手厚い支援ができるということを伺っております。現場は支援が必要だと思っているのに、現状、東京では措置延長にならないケースというのがあるわけです。そういうときにこの制度は使えるわけでございますが、逆に、この制度が拡張されることによって、都市部において措置延長がより認められづらくならないのかという懸念の声も現場からは聞いておりますので、こうした懸念される事態が起きないように徹底をお願いしたいと思います。

 さらに、この児童自立生活援助事業の対象者の要件で、六条の三で、その他政令で定めるやむを得ない事情とありますけれども、ここには本人が希望した場合というのも入るんでしょうか。

橋本政府参考人 現在、児童自立生活援助事業におきましては、大学等への進学を主な理由として、希望する措置解除者等に対して、二十二歳までの利用を認めるなどしてきたところでございます。

 今回の見直しは、就学している者という要件に該当しなくても、本人の置かれている状況等に鑑みて必要であるというふうに認められる場合には、児童自立生活援助事業の対象とすること等によりまして、措置解除者等の自立支援の強化を図るものでございます。

 それで、支援の対象の基準であります、政令で定めるやむを得ない事情ということの具体的な範囲につきましては、この見直しの趣旨を踏まえつつ、施行に向けて精査をいたしますが、現時点で、例えば、障害や疾病、過去に受けた虐待などによる心理面の課題等によりまして他の施設や自力での生活に移行するまでの期間を要するということですとか、あるいは職業訓練を受けている、あるいは求職中である等の事情を抱えていること、こういったものを基準で定めることを想定いたしております。

 今回の見直しの趣旨に照らせば、単に本人が希望しているという事実だけをもって支援対象とすることはなかなか難しいのではないかというふうに考えておりますが、支援の必要性については都道府県が自立支援に関係する者を集めた場で決定することとし、その中で本人の希望や意向も踏まえて決定をするということなど本人の希望も踏まえた運用がなされるように、施行に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 是非、本人の意向を踏まえた制度にしていっていただきたいというふうに思います。

 今、日本の全体では、大学、専門学校の進学率は八割ということになっているわけです。一方、児童養護施設等では、十八歳で自立できるようにするのが自分たちの役割なんだ、高校卒業はゴールと思って取り組んできた、こういう話も伺うわけです。

 しかし、一般家庭よりも不安定な生育状況にありながら、早期に自立を強いるというのは、その後の人生でも大きな困難を強いることになってしまいます。

 私は、社会的養護においては、ある意味、二十二歳までの支援継続は当たり前というような状況にしていく必要があるんじゃないかと思いますので、その点、更に政府でも検討していただきたいと思います。

 続きまして、一時保護開始時の判断に関しまして、今回、司法審査が導入されます。このことに関わりまして、子どもシェルター全国ネットワーク会議から意見書が出ております。

 子供シェルターを利用するのは、自ら必死の思いで家を出てきた中学生、高校生です。子供の陳述以外に虐待を立証する証拠がなく、親が虐待を認めていない場合に、裁判所はどう判断するのか。子供の話だけでは一時保護できないとすると、子供の安全は守れるのかと懸念をしております。

 そこで、伺います。

 子供シェルターを利用する子供の一時保護について、子供が家に帰りたくないと意見を表明している場合、つまり子供が一時保護を望んでいる場合は、裁判所の審査においても一時保護することを明確にすべきではありませんか。

橋本政府参考人 子供の意見というものにつきましては、しっかりと聴取した上で判断していくということになるわけでございますけれども、単に子供の表明した意見のとおりにするということを意図しているわけではございませんので、児童相談所が判断するに当たりましては、子供の意見を聞いた上で、子供にとっての最善の利益は何か、そういう観点から判断すべきものというふうに考えております。

宮本(徹)委員 自らもう家にいては危ういということで子供シェルターに助けを求めてくる方々なわけですよね。そういう方々の場合について、私はお伺いをしているわけでございます。

 子供シェルターに関わるある弁護士さんは、こうおっしゃっていました。

 なぜ子供が帰宅したくないという意見を尊重することが大事なのか。第一に、子供が帰宅したくないと意見を表明すること自体が重い出来事だ。第二に、精神的虐待、性的虐待は物的証拠が残りにくく、一時保護から七日以内で裁判所に提出できない。後に子供の心の傷として虐待が明らかになることがあります。取扱開始直後の厳密な証拠の要求は危険です。第三に、子供の意見が重視されることが常識と確認されれば、児相が過度に消極的になることが防げます。児相が司法審査を恐れて消極的になったら子供を助けられない。

 是非、こういう子供シェルターに助けを求めてきた子供たちが帰宅をしたくないと言った場合は、子供の意見を無視しないように、しっかりとした要件を定めてほしいと思いますが、もう一度お伺いします。

橋本政府参考人 今般の児童福祉法改正案におきまして、一時保護の要件を法令上、明確化することとしておりまして、児童虐待のおそれがあるとき、それから少年法第六条の六第一項の規定により事件の送致を受けたとき、これは法律の中で明示しております。その他の要件は内閣府令で定めることとしております。

 内閣府令で定める一時保護の具体的な要件につきましては、実務者を含めた作業チームにおいて今後検討していく予定でございますが、児童相談所がちゅうちょなく適切な一時保護を開始できるように、現行の一時保護ガイドラインや、様々なケースで行われている一時保護の実情を踏まえた、適切な規定ぶりとする予定でございます。

 先ほど来お尋ねいただいております、子供が帰宅を拒否して保護を求めているようなケースにつきまして、先ほども申し上げましたように、現行制度においても、そのことのみをもって機械的に一時保護を行っているわけではございませんが、虐待の有無等に関する十分な情報がなくて、引き続き調査が必要な場合も含めて、児童の安全確保の観点から、必要に応じて一時保護を行っているところでございますので、こうした一時保護の実態を踏まえながら、作業チームにおいて適切な要件を検討させていただきたいと考えております。

宮本(徹)委員 虐待の証拠が客観的なものが見えなくても、子供が帰宅したくない、家に今帰ったら危ないんだと言っていること自体は、本当に、ある意味それが客観証拠の一つだと私は思いますので、そこを踏まえた対応を重ねてお願いを申し上げておきたいというふうに思います。

 あと、残り時間が僅かになってきました。最後に、大臣に、資料の一番後ろにつけました、最低賃金の問題についてお伺いをしたいというふうに思っております。この最低賃金の問題は、児童福祉、子供の貧困対策にも関わる問題でございます。

 資料の九ページ目につけました。各国、このコロナ禍の中でも最低賃金を一生懸命上げているんですね。イギリスは、この四月から最低賃金を時給九・五ポンドに大幅に引き上げることになっております。そして、フランスも、この五月から時給を十・八五ユーロに大幅に引き上げるということになっております。それから、ドイツは、この十月から十二ユーロにこれまた大きく最低賃金を引き上げると。それから、アメリカのロサンゼルス、時給を十六・〇四ドルまで大きく引き上げるということになります。

 今、円安ですから、円に換算したら日本との差というのは大変巨額な差になるわけですが、このグラフ自体は一月一日時点でのレートで書いてありますので、今のレートでやったらもっと大きな差になるということを是非このグラフを見るときには頭に入れておいてほしいと思います。

 日本は全国加重平均で九百三十円、東京でも千四十一円ということでございます。ですから、日本も最低賃金を毎年引き上げておりますけれども、主要先進国はそれよりも速いテンポで最低賃金を引き上げておりますので、大きく差を日本は開けられる状況が生まれているわけでございます。

 私たちは、従来から、最低賃金は時給千五百円にすべきだ、その際、中小企業に対して社会保険料の事業主負担の減免やあるいは賃金助成も含めて思い切った支援を行う、その財源は内部留保に一時的に課税を行って確保すべきだということも申し上げてきましたが、今、本当に、これだけ物価が上がっている下で、貧困対策として、もちろん今度の五万円も大事ですよ、五万円も大事です。また、児童扶養手当を引き上げようという山井さんの提案も極めて大事だと思いますが、一番根本にあります賃金を底上げしていく、これは極めて重要なことだと思うんですね。

 ですから、ここは、物価高騰対策も含めて、思い切って最低賃金を引き上げる必要があるのではないかと思いますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 最低賃金の具体的な引上げ額については、最低賃金法に基づいて、物価の動向も含め、労働者の生計費、賃金、企業の賃金支払い能力を考慮し、公労使三者構成の最低賃金審議会で審議し、決定することとなります。

 政府としては、中小企業における生産性向上の支援や下請取引の適正化など、賃上げしやすい環境整備に取り組みつつ、最低賃金について、まず、できる限り早期に全国加重平均千円以上となることを目指してまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 その答弁は、いつもの答弁なんですね、いつもの答弁。

 今、これだけ物価が上がっているわけですよ。この間報道もありましたけれども、六千数百項目調べたら、食品は大体一割ぐらい上がっているわけです。電気代やガス代でいえば、一年前に比べたら二割上がっているわけですよね。ガソリン対策はやっていますけれども、それ以外のところも物すごい上がっているわけですから、ここは本当に、物価上昇を踏まえて、従来ではない考え方で最低賃金を引き上げる。それをやったら中小業者の支援をどうするのかというのは当然セットで考えなきゃいけないことになりますので、そこをよく政府部内でも検討していただきたいと。

 大臣、うなずいていない。うなずいていないと終わるわけにはいかないような気もするんですけれども、時間になりましたので終わりますが、しっかり検討を求めたいと思います。

 終わります。

橋本委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 今日も最後のバッターとして質問したいと思います。

 育児に対して困難や不安を抱える子育て世代をシームレスに応援する今回の児童福祉法の改正、これに対して質問していきたいと思います。

 まず、大臣、学童保育に、開所時間、一応二百五十日以上ということがありますけれども、この二百五十日の根拠を教えてください。

橋本政府参考人 放課後児童クラブにつきましては、設備運営基準というのがございます。この中で、年間二百五十日以上開所することを原則としておりまして、これを満たす場合に運営に係る補助を行うということとしております。

 これにつきましては、放課後児童クラブは共働き家庭等の小学校に就学する児童を対象とした事業でありまして、そのニーズに応じた適切な運営を確保するためには、学校の開校日のみならず、夏休みなどの学校休業日にも開所する必要があるということを勘案して、二百五十日ということで設定させていただいているものでございます。

仁木委員 今回、私も、地元の方の放課後児童クラブ、学童保育の現場を視察というか見に行きまして、この二百五十日を下回るような形で事業が展開されている事業所の方々からいろいろな意見を賜りました。

 特にこの二年間、コロナ禍におきまして、場合によっては親が働いていない、おうちにいる、したがって学童保育を利用しないようなこともあったりして、全く子供がいないのに開くわけにいかないというようなこともありまして、とにかく二百五十日を超えるとそこそこの、事業所に入る基金があるわけですけれども、それを下回ると極端に下がっているという現実があります。

 そのことも踏まえて、大臣、グラデーションのかけ方、これも考えていただけたらと思います。まさに、地域そして地方によって、実態、保護者の働く環境等々含めて違うことが多々あると思いますので、そのことをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか、大臣。

後藤国務大臣 放課後児童クラブについては、設備運営基準において、年間二百五十日以上開所することを原則としており、これを満たす場合に運営に係る補助を行うこととしています。

 これは、放課後児童クラブは共働き家庭等の小学校に就学する児童を対象とした事業であり、そのニーズに適した運営を確保するためには、学校の開校日のみならず、夏休みなどの学校休業日にも開所をする必要があることを勘案したものであります。

 こうした中で、一部の自治体からの要望を踏まえ、自治体における利用者へのニーズ調査の結果、二百五十日以上開所する必要がないとされる場合であっても、補助単価を減額しつつ、特例的に補助対象としております。

 このため、本来の事業趣旨に鑑みまして、補助単価の見直しを行うということは考えておりません。

仁木委員 少し残念な答弁でございますが、こういったコロナ禍において、逆に言えば保護者の労働環境も変わったということも御配慮いただきたいと思います。

 さて、次に、放課後デイサービスのことについてお聞きしたいと思いますが、その前に、大臣、医療的ケア児、これは私、感覚的に増えていると思います。

 そして、一般に、医療関係者以外がその児童を把握されているときに、管が入っているとかそういうことはより分かりやすいわけでございますが、私が指摘したいのは、この放課後デイにおいて、医療連携という制度があります。これは、医師の指導の下、看護師が入って、例えば気管切開の入っている方々の喀たん吸引を行うとかストーマのケアを行うとか、そういうのがあるわけでございますが、一方で、見た目は普通の健常なお子様に見えるんですけれども、度々てんかん発作があるとか、あるいは重度の発達障害で、どんどんばんばん動きまくって、場合によったらほかの児童に危害を加えるような可能性があって、とても、ケアをする側からすれば時間あるいは手間がかかったりするような子供さんたちもいるわけでございまして、この増えていると思われる医療的ケア児のことを勘案して、放課後デイのありようを考えていただきたいと思います。

 その中で、一つ問題が上がっています。それは、今回の法改正によって、この放課後デイ、例えば、一般に特別支援学校が今までそうでして、それ以外の学校も、十五歳以上の高校生等々に適用されるようになりますけれども、例えば、特別支援学校に入っていても、その日学校に行っていなければ放課後デイサービスを受けられないような自治体もあります。そのこと、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 医療的ケア児の受入れには、医療的ケアを行う看護師等の配置が必要となりますが、従来は、放課後デイサービス等の障害児通所支援の基本報酬等において看護師配置のための評価が必ずしも十分でなく、受入れ体制が十分広がってこなかったということはあると思います。

 このため、令和三年度障害福祉サービス等報酬改定において、医療的ケア児を受け入れた場合の基本報酬を創設する等、報酬の引上げを行い、受入れ体制の拡充のための支援も強化したところであります。

 また、昨年成立した医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の規定に基づいて、放課後等デイサービスの利用を含めて、医療的ケア児やその家族からの相談等に総合的に対応する医療的ケア児支援センターの設置の推進も進めておりまして、引き続き、医療的ケア児の支援の充実について努めてまいりたいと思います。

仁木委員 大臣、もう一点、放課後デイの活用の要件ですけれども、学校等に行っていないときに、所属はしているけれども行っていないときに放課後デイが利用できない、そういう自治体での放課後デイの現場があるということに関しましては、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 放課後デイサービスは、障害児に対し、授業の終了後又は休業日に、通所により発達支援を提供するサービスでありまして、不登校であっても、学校教育法第一条に規定する学校に就学している障害児であれば支援の対象としています。

 不登校の障害児も含め、発達支援を必要とする障害のある児童に対して適切にサービスの支給決定が行われるべきと考えておりまして、こうした考え方について市町村に対しても周知徹底を図りたいと思います。

仁木委員 ありがとうございます。

 ということは、そういった自治体によってばらつきのある放課後デイ利用の要件に関しましては、改めて、今大臣がおっしゃったとおり、自治体によって、その日、特別支援学校に行っていない、その子が利用できないような自治体はこれからないというような形に通達を出していただけたらと思います。

 さて、それに関係してでございますけれども、大臣、今、学問的に私も内分泌学が専門であるわけでございますけれども、愛情ホルモンという形で、オキシトシンということが今やられております。

 古くは、三・一一、東日本大震災の後、一般のCMがなくなったときに、AC、公共広告機構でも、抱き締める、そういう会話があるということを言われて、スキンシップを、親子同士あるいは家族同士そういうのを求めるような形で、スキンシップがあったり、あるいは食事も、家族と目を向き合って会話をして楽しくしたら、そういうオキシトシンがいっぱい出て。

 オキシトシンというのは哺乳類特有でして、射乳ホルモンとも言われています。生まれたばかりの新生児がお母さんの乳首を吸っておっぱいがぱっと出るわけですけれども、高等な私たち哺乳類は人と人との人間関係をつくっていくとも言われていまして、非常に重要なホルモンなわけでございます。そういう意味で、大臣、私は、そういうオキシトシンが出るような事業であったり、オキシトシンが出るような子育て、非常に人間形成において大切だと思っております。

 大臣、そのことを踏まえて、実は、放課後デイサービスの様々な機能を取り入れて、チューブ等、管が入っていない、医療的ケア児と思えない形の方々も発達障害等々で放課後デイを利用されていまして、例えば、コミュニケーションが、オキシトシンが足りないかどうか分からないけれども、そういう理由が多くて苦手な方々が、スポーツ等を通じて、例えばサーフィンやサッカーとかを通じてオキシトシンが出るような環境あるいはコミュニケーションができるようになってきて、例えば、放課後デイを利用できる期間、年齢が過ぎて社会人になって、またそういった福祉の現場で頑張っているような子供たちも出てきています。

 そういう事例を、大臣、私、今余り症例数は多くないわけでございますが、私、ワクチンのときでも申し上げていますけれども、そういった様々な今やってきた事業の検証という意味で、例えば疫学調査あるいは社会研究あるいは臨床研究、そういうことをできれば取り入れていただきたいと思いますが、大臣、その点に関しましてはいかがでしょうか。

後藤国務大臣 今、議員御指摘のオキシトシンについては、脳の下垂体後葉から分泌されて、母乳分泌等のほか、親子の愛着関係の形成等にも関連していると言われているホルモンでありまして、現在、国内の研究者によりまして、オキシトシン投与による、発達障害の一つである自閉スペクトラム症の症状の改善に関する研究が進められていると承知をいたしております。

 発達障害のある子供たちに、人間関係の形成に難しさを抱える場合もあることから、厚生労働省の児童発達支援ガイドラインにおいて、児童発達支援における重要な支援内容として、障害児本人に対する他者との信頼関係の形成や、保護者と障害児の間の愛着関係の形成等の支援等を示しているところでございます。

 発達障害のある子供たちに対する支援の提供に当たりましては、引き続き、国内外の新たな知見を参考にしてまいりたいと思います。

仁木委員 大臣、ありがとうございます。

 できれば、本当に、そういったスタディーも併せてお願いします。そして、それの政策への活用、反映をお願いしたいと思います。

 ちょっと話題を変えますが、こども家庭センター、今回、設立されるわけでございますけれども、私も臨床で産婦人科医として妊婦さんを診たりする際に、やはり、家庭の事情あるいは上の子の情報ですね。上の子の情報というのは、例えば、場合によっては障害をお持ちになった上のお兄ちゃん、お姉ちゃんがいるような、そういう妊婦さんも外来に来られます。あるいは、家庭の状況、例えば、初めてのお産で、パートナー、夫だけしか家庭にいない、そういう形もあります。

 今、昔でしたら、出産してから、周産期、いわゆる産褥期を経て、当たり前のようにおじいちゃん、おばあちゃんになる方とかがいらっしゃったり、あるいは上のお兄ちゃん、お姉ちゃんが家庭にいて、うまく子育てが自然にできていた状態が、なかなか難しい状態もありまして、地元の方でも、産褥後のケアを頑張ってやっているような、そういう産婦人科もあります。千葉にもそういう自治体があったと思います。

 そういうことで、こども家庭センターの設立を契機に、改めて、産婦人科医あるいは小児科医、そういった医療機関との連携を、特に私、ここで薬機法の際に、電子処方箋のことで、医療機関とそういう患者さん、各組織がつながることが、しかもリアルタイムで正確な情報でつながることが可能になってくる、そういうデジタル行政を医療の現場に反映させていくという大臣の熱い思いも伺いましたので、例えば、この間出ています母子健康手帳の電子化に伴って、家庭での状況も患者さんも分かるけれども、また、場合によったら上の子がいる妊婦さんに相当するお母さんの情報も、個人情報もしっかり守りながら、こども家庭センターのスタッフも共有して、例えば切迫早産等の疾病をお持ちの妊婦さん等が、コラボして新しい命の、家族の誕生を迎えられるような、そういった、今回の児童福祉法の趣旨にも見合ったような行政が展開されることもいいと思うわけですけれども。

 まず、こども家庭センターと産婦人科あるいは小児科、そういった医療機関との強い連携について、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 今委員から御指摘の連携、重要だと思いますから、そういうことに取り組んでいく必要があると思います。

仁木委員 大臣、ありがとうございます。

 私も、実は高校二年生の出産というのを経験しました。今でしたら内密出産みたいな制度もあるようでございますけれども、本当に現場は苦労して、その子、そして産んでお母さんになった高校二年生もそうでございますが、生まれてきた子供さんの育み、状態を、今どうなっているんだろうかということを想像しております。うまく育っていってほしいと思います。

 しかし、本当に、今回の児童福祉法の対象となる方々、現場で様々な、個々の症例、個性というか、事象に対して悩まれて、子育てに悩んでおられると思いますので、その様々な見地から、それぞれのプロの方がプロとして自分の役職を果たして、結果として、子育て世代の方々、困難を抱えたり不安を抱えている子育て世代がより安心して子育てできるように、それがひいては子供の将来につながるような、そういう状態になることを最後に祈念申し上げまして、私の質問としたいと思います。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る五月十一日水曜日午前九時、参考人として関西大学人間健康学部人間健康学科教授山縣文治君、特定非営利活動法人ぱっぷす理事長金尻カズナ君、獨協大学国際教養学部教授和田一郎君、大阪府中央子ども家庭センター所長藥師寺順子君、児童養護施設子供の家施設長早川悟司君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 この際、御報告いたします。

 内閣委員会との連合審査会は、来る五月十日火曜日午後一時から開会することとなりましたので、御了承願います。

 次回は、来る十一日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十八分散会


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