衆議院

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第20号 令和4年5月18日(水曜日)

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令和四年五月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 牧原 秀樹君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    上田 英俊君

      加藤 勝信君    勝目  康君

      川崎ひでと君    後藤田正純君

      佐々木 紀君    塩崎 彰久君

      鈴木 英敬君    田村 憲久君

      高木 宏壽君    谷川 とむ君

      土田  慎君    中川 貴元君

      長谷川淳二君    深澤 陽一君

      堀内 詔子君    松本  尚君

      三谷 英弘君    三ッ林裕巳君

      柳本  顕君    山口  晋君

      山本 左近君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    中島 克仁君

      長妻  昭君    野間  健君

      山田 勝彦君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      金村 龍那君    吉田とも代君

      山崎 正恭君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   参議院議員        山本 香苗君

   参議院議員        川田 龍平君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   内閣府副大臣       大野敬太郎君

   法務副大臣        津島  淳君

   財務副大臣        岡本 三成君

   厚生労働副大臣      古賀  篤君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   厚生労働大臣政務官    島村  大君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官)  長田 浩志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 五味 裕一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 難波 健太君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         鋤柄 卓夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 渡邊  輝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     齋藤 秀生君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           笠原  隆君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  武井 貞治君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局雇用環境総合整備室長)            岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    田原 克志君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           沖  和尚君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         田中 一成君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           望月 一範君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    山本 修一君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     山口  晋君

  佐々木 紀君     谷川 とむ君

  三谷 英弘君     中川 貴元君

同日

 辞任         補欠選任

  谷川 とむ君     佐々木 紀君

  中川 貴元君     三谷 英弘君

  山口  晋君     畦元 将吾君

    ―――――――――――――

五月十六日

 保険でよりよい歯科医療を求めることに関する請願(野間健君紹介)(第九六五号)

 同(本庄知史君紹介)(第一〇〇五号)

 同(大串博志君紹介)(第一〇五七号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一五二号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一一七一号)

 パーキンソン病患者への難病対策の推進に関する請願(中川正春君紹介)(第九六六号)

 同(小森卓郎君紹介)(第九八五号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一〇〇七号)

 同(長友慎治君紹介)(第一〇二五号)

 同(高鳥修一君紹介)(第一〇三九号)

 同(金子恵美君紹介)(第一〇四七号)

 同(東国幹君紹介)(第一〇五三号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第一〇五四号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一一〇七号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第一一三三号)

 同(棚橋泰文君紹介)(第一一三四号)

 同(上田英俊君紹介)(第一一五六号)

 同(柚木道義君紹介)(第一二二〇号)

 命を守り社会を支える福祉職員を増やし、賃金を引き上げることに関する請願(中川正春君紹介)(第九六七号)

 同(国光あやの君紹介)(第九九六号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一五七号)

 同(吉田統彦君紹介)(第一二〇八号)

 国立病院の機能強化に関する請願(中川正春君紹介)(第九六八号)

 同(野間健君紹介)(第九六九号)

 同(吉川元君紹介)(第九九七号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第一〇〇八号)

 同(白石洋一君紹介)(第一〇一九号)

 同(大西健介君紹介)(第一〇二六号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一一一〇号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第一一一一号)

 同(浅野哲君紹介)(第一一三五号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一五九号)

 同(佐藤公治君紹介)(第一一六〇号)

 同(吉田統彦君紹介)(第一二一〇号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(加藤勝信君紹介)(第九七〇号)

 同(小林茂樹君紹介)(第九七一号)

 同(中川正春君紹介)(第九七二号)

 同(野間健君紹介)(第九七三号)

 同(三ッ林裕巳君紹介)(第九八六号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第九九一号)

 同(国定勇人君紹介)(第九九八号)

 同(工藤彰三君紹介)(第一〇〇九号)

 同(小島敏文君紹介)(第一〇一〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇一一号)

 同(古川康君紹介)(第一〇一二号)

 同(松本剛明君紹介)(第一〇一三号)

 同(木原稔君紹介)(第一〇二〇号)

 同(中川貴元君紹介)(第一〇三五号)

 同(神田憲次君紹介)(第一〇四〇号)

 同(泉健太君紹介)(第一〇四八号)

 同(盛山正仁君紹介)(第一〇四九号)

 同(前川清成君紹介)(第一〇五五号)

 同(北村誠吾君紹介)(第一〇六八号)

 同(下条みつ君紹介)(第一一一二号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第一一一三号)

 同(浅野哲君紹介)(第一一三六号)

 同(美延映夫君紹介)(第一一三七号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一六一号)

 同(佐藤公治君紹介)(第一一六二号)

 同(江藤拓君紹介)(第一一七五号)

 同(鈴木憲和君紹介)(第一一八八号)

 同(田所嘉徳君紹介)(第一二一一号)

 同(吉田統彦君紹介)(第一二一二号)

 安全・安心の医療・介護・福祉を実現し、国民の命と健康を守ることに関する請願(仁木博文君紹介)(第九八九号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一一〇六号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一五五号)

 同(米山隆一君紹介)(第一一七四号)

 同(吉田統彦君紹介)(第一二〇七号)

 全国一律最低賃金制度の実現を求めることに関する請願(小宮山泰子君紹介)(第九九〇号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一一〇八号)

 同(下条みつ君紹介)(第一一〇九号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一五八号)

 同(吉田統彦君紹介)(第一二〇九号)

 高齢者の命・健康・人権を脅かす七十五歳以上医療費窓口負担二割化中止に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第九九四号)

 同(坂本祐之輔君紹介)(第一〇二一号)

 同(坂本祐之輔君紹介)(第一〇三八号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第一〇八七号)

 同(青山大人君紹介)(第一〇八八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一〇八九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇九〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇九一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇九二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇九三号)

 同(篠原豪君紹介)(第一〇九四号)

 同(下条みつ君紹介)(第一〇九五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇九六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇九七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇九八号)

 同(宮本徹君紹介)(第一〇九九号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一〇〇号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第一一〇一号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第一一三〇号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一五三号)

 同(山崎誠君紹介)(第一一五四号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一一七二号)

 同(中谷一馬君紹介)(第一一八三号)

 同(牧義夫君紹介)(第一一八四号)

 同(吉田統彦君紹介)(第一二〇四号)

 学童保育(放課後児童健全育成事業)の拡充に関する請願(古川元久君紹介)(第九九五号)

 同(福田達夫君紹介)(第一〇〇六号)

 同(中野英幸君紹介)(第一〇二二号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第一〇二三号)

 同(三ッ林裕巳君紹介)(第一〇二四号)

 同(中川貴元君紹介)(第一〇三三号)

 同(宮下一郎君紹介)(第一〇三四号)

 同(泉健太君紹介)(第一〇四五号)

 同(山口晋君紹介)(第一〇四六号)

 同(山田賢司君紹介)(第一〇五八号)

 同(北村誠吾君紹介)(第一〇六五号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一〇六六号)

 同(道下大樹君紹介)(第一〇六七号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第一一〇二号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一一〇三号)

 同(中村裕之君紹介)(第一一〇四号)

 同(山田勝彦君紹介)(第一一〇五号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一一三一号)

 同(神田憲次君紹介)(第一一三二号)

 同(江藤拓君紹介)(第一一七三号)

 同(尾崎正直君紹介)(第一一八五号)

 同(牧原秀樹君紹介)(第一一八六号)

 同(笠浩史君紹介)(第一一八七号)

 同(坂本祐之輔君紹介)(第一二〇五号)

 同(吉田統彦君紹介)(第一二〇六号)

 同(田村憲久君紹介)(第一二一九号)

 現行のmRNAワクチン接種の即時中止と人権侵害を来す感染症対策の是正に関する請願(たがや亮君紹介)(第一〇一八号)

 建設アスベスト被害給付金法を改正し、建材企業が参加する補償基金制度の創設を求めることに関する請願(大石あきこ君紹介)(第一〇二九号)

 同(西岡秀子君紹介)(第一〇三〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第一〇三一号)

 同(笠浩史君紹介)(第一〇三二号)

 同(篠原豪君紹介)(第一〇五〇号)

 同(堤かなめ君紹介)(第一〇五六号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第一一一五号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第一一一六号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一一一七号)

 同(下条みつ君紹介)(第一一一八号)

 同(山岡達丸君紹介)(第一一一九号)

 同(山田勝彦君紹介)(第一一二〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一一三八号)

 同(浅野哲君紹介)(第一一三九号)

 同(齋藤健君紹介)(第一一四〇号)

 同(末次精一君紹介)(第一一四一号)

 同(田中健君紹介)(第一一四二号)

 同(長友慎治君紹介)(第一一四三号)

 同(米山隆一君紹介)(第一一四四号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一六三号)

 同(山崎誠君紹介)(第一一六四号)

 同(新垣邦男君紹介)(第一一八九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一九〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一二一三号)

 同(吉田はるみ君紹介)(第一二一四号)

 中国残留孤児・婦人二世の生活支援等に関する請願(早稲田ゆき君紹介)(第一〇八六号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一六五号)

 同(稲富修二君紹介)(第一一七六号)

 若者も高齢者も安心できる年金と雇用に関する請願(早稲田ゆき君紹介)(第一一一四号)

 保育・学童保育制度の抜本的改善に関する請願(阿部知子君紹介)(第一一五一号)

 同(笠井亮君紹介)(第一二〇二号)

 同(吉田統彦君紹介)(第一二〇三号)

 障害福祉についての法制度拡充に関する請願(西岡秀子君紹介)(第一二一八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案(参議院提出、参法第七号)

 障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案(参議院提出、参法第八号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人地域医療機能推進機構理事長山本修一君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官長田浩志君、内閣府大臣官房審議官五味裕一君、大臣官房審議官難波健太君、食品安全委員会事務局長鋤柄卓夫君、総務省大臣官房審議官渡邊輝君、自治行政局公務員部長山越伸子君、消防庁審議官齋藤秀生君、法務省大臣官房審議官堂薗幹一郎君、大臣官房審議官保坂和人君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官笠原隆君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官武井貞治君、大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官奈尾基弘君、医政局長伊原和人君、健康局長佐原康之君、職業安定局長田中誠二君、雇用環境・均等局雇用環境総合整備室長岸本武史君、子ども家庭局長橋本泰宏君、社会・援護局障害保健福祉部長田原克志君、老健局長土生栄二君、保険局長浜谷浩樹君、農林水産省大臣官房参事官沖和尚君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官田中一成君、国土交通省大臣官房審議官望月一範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。長妻昭でございます。

 新型コロナの対策の検証というのも政府は始めるようでございますが、是非、お亡くなりになった方の中で医療的ケアが受けられずに亡くなった方、この検証をきちっと、教訓として調査をしていただきたいということでございます。

 第六波、今ですけれども、の亡くなった方は一万人を超えて、第五波の三倍以上でございますし、この三か月で、二万人から三万人、亡くなった方、累積、増えました。先週の金曜日、初めて日本国で死者が三万人を超えるということになりました。三か月で一万人、累積でお亡くなりになった方が出たわけですが、その前、昨年は、一万人から二万人に累積死者数が増えたのは十か月かかったわけで、非常に速いスピードでお亡くなりになる方が相当発生してしまったということで、私は、繰り返し申し上げておりますが、政府の司令塔の不備で、人災の側面でお亡くなりになった方も多いのではないかというふうに強く思っております。

 後藤大臣にお伺いするんですが、有識者会議でも検証が始まり、来月すぐ取りまとめをするということで、後藤大臣の方からも、医療や検査からこぼれてお亡くなりになった方の実態や人数をきちっと調査するというようなことをここで明言いただきたいんですが、いかがですか。

後藤国務大臣 今委員から御指摘を受けましたように、一月から三月の感染拡大に際しまして一万人近い方がお亡くなりになったということについては重く受け止めておりまして、改めて、新型コロナにより亡くなられた方々に、そしてその御家族に心よりお悔やみを申し上げる次第です。

 本年一月から三月に警察が取り扱った新型コロナ陽性死体のうちに発見場所が自宅等であった方は八百七十九人であったと承知していますけれども、このうち何人の方が医療的ケアを受けられずに亡くなられたかということは、具体的には承知できません。

 それぞれ、一件一件、一月から三月の死亡発見時の様子を地方公共団体からヒアリングをいたしておりますけれども、例えば、本人の意思により医療機関での受診や検査を希望しなかった事例や、デイサービスで陽性者が発生したことから検査を受け、陽性が判明した直後に死亡した事例とか、コロナの症状を既存の持病の病状と思い、医療機関を受診せず、数日後に死亡した事例など、医療機関を受診されなかった事例があるということは承知をしております。

 ただし、具体の八百七十九人につきまして、御指摘の医療的ケアが受けられたか受けられなかったかということの細かいところの判断はなかなか難しい点もあると思いますが、いずれにしても、こうしたことをしっかり踏まえた上での対策が必要であるという御指摘はそのとおりだというふうに思います。

長妻委員 いやいや、調査、検証でですね、びっくりするんですが、政府のコロナ対策を検証する有識者会議では、医療的ケアを受けられずに亡くなった方の調査はしないというふうに聞いているんですが、厚労大臣、それじゃ駄目だというふうにちゃんと言っていただけないでしょうか。自宅放置死遺族の会というのも結成をされまして、ほとんど情報が出てこないと。

 今年に入って新型コロナでお亡くなりになった方が約一万人ほどおられる。その中で、今御紹介いただいた警察の検証を受けた方、医療的ケアを受けていない方が多いと思うんですが、その方が千人程度おられるんですよ、今年に入って。ということは、これは私も分かりませんけれども、例えば十人に一人ぐらいの方が、医療的ケア、検査も不十分というような確率で起こったんじゃないかというようなことも疑念としてあるわけですので、検証のときにきちっとその調査をすると、それをちょっと明言してほしいんですよ、厚労大臣から。一言お願いします。

後藤国務大臣 そういう意味では、委員からの御指摘も強くありまして、本年一月から三月の新型コロナ患者の自宅での死亡事例につきまして、各都道府県を通じて、亡くなられた方のお一人お一人の事情について調査をしたところであります。

 それに従いまして検討をしているということでございますので、そうした一月から三月までの調査等も使いながら、今後の、そういう自宅で医療的ケアが受けられずに亡くなられるような方に対する対応をどのように考えていくかということは、しっかりと考えていきたいというふうに思います。

 ただ、医療的……(長妻委員「対応じゃなくて調査」と呼ぶ)ですから、医療的ケアの調査というのがどこまでできるのかということについては、なかなか難しいところがあるという保留をちょっとつけさせていただきましたが、一月から三月についても各都道府県において調査を新たにいたしておりまして、第六波の分について。そうしたことを踏まえて取り組んでいきたいと思っておりますし、そういう意味での調査を御報告をしたところであります。

長妻委員 何だか、これだけ重大な、戦後最悪のパンデミックが起こって、これだけお亡くなりになったのに、はっきりおっしゃらない。一月から三月、新たに調査をして、これを有識者会議の、教訓、コロナ対策を検証するところに反映をさせるというようなことを、今うなずいていただいていますが、是非お願いをしたいというふうに思います。

 そして、前回も取り上げました農薬の件でございますが、資料の二枚目でございます。

 今日、農水省の沖さんも来ていただいておりますけれども、これは、私、その後、相当専門家の方からも御意見があり、相当大きな反響があったと思っているんですね。

 というのは、私は、例えばということで二つの農薬の事例を挙げました。

 ネオニコチノイド系の農薬であるチアクロプリド、これは殺虫剤、果物とか野菜などにも使われております。これがEUでは二〇二〇年一月禁止。なぜかというと、生殖毒性があると推定されるものとした欧州化学品庁の分類結果等に基づいて、欧州食品安全機関が人への健康に及ぼす影響への懸念等も示した評価結果を提出したことを考慮して禁止にしたと。健康に懸念があるということで禁止されているんですね。

 もう一つ、これもすごいのが、有機リン系の殺虫剤クロルピリホスでございますが、これも野菜とか果物等に使われるものです。これは二〇二二年二月に米国で、今年ですね、禁止されました、食用作物への使用。理由としては、これは農水省が前回答弁したものをなぞっているんですけれども、食品、飲料水等からの暴露量が神経毒性及び発達神経毒性の懸念されるレベルを超える、超えるということでアメリカは禁止。EUでも二〇二〇年一月に禁止されました、クロルピリホス。これも農水省の沖さんが前回のこの委員会で答弁をされた理由としては、遺伝毒性に懸念があること、発達神経毒性に影響が認められ、生殖毒性が懸念されること。

 これは相当危ないというふうに私は印象を受けるんですが、欧米で禁止された以降、日本ではいつチェックしていただけるんですか。

沖政府参考人 農薬につきましては、安全が確保されていることが最も大事なことだというふうに考えております。このため、我が国においても、EUや米国においても、OECDが作成をしました試験方法に関するガイドライン及び試験を行う施設が満たすべき要件に関する基準に従って行われた試験成績を農薬メーカー等から提出をさせております。これらの試験成績等を基に、専門家が科学的かつ客観的に安全性評価を実施する仕組みとしております。

 その評価は、あくまでも各国のリスク評価におけるエキスパートジャッジの結果によります。このエキスパートジャッジの結果に応じ、それぞれの国や地域のリスク管理機関が、農薬登録制度において、それぞれの国や地域の状況に応じて……(長妻委員「質問に答えていない。チェックいつやるの」と呼ぶ)

橋本委員長 答弁中ですから。

 どうぞ答弁をお願いします。

沖政府参考人 はい。

 それぞれの農薬について、では、考え方を説明させていただいた後で、それを……(発言する者あり)はい。

 それぞれの農薬の成分ごとに理由がございまして、それに基づきまして、現時点においては、これらの農薬の再評価を待たずに食品健康影響評価等の対応を行う必要はないというふうに考えております。

橋本委員長 御発言は指名を待ってからしてください。

長妻委員 はい。

 必要がないということ。自民党の皆さんもいいんですかね。どう思います。お子さんたちというのは、こういう影響にすごく敏感じゃないんでしょうか。欧米で最近禁止されたんですよ、毒性、懸念。あるいは、農水省の答弁ですよ、発達神経毒性に影響が認められたというようなことでEUでは禁止されたというふうに政府がおっしゃっている。それで、調査しないと。これはいいんですかね。このぐらいやっていいでしょう、別に、自民党だって。おかしいよね。いつするのか。

 ちょっと、厚労大臣も人ごとじゃないですよ、健康の話ですから。(発言する者あり)ああ、そうだ、元農水大臣。

 どうですか。

沖政府参考人 それぞれの農薬について御説明をさせてください。

 クロルピリホスにつきましては、EUの安全性審査においては、遺伝毒性について懸念を払拭できなかったこと等について、理由とされ、登録の更新が認可をされなかったと承知をしております。

 それに対して、我が国や米国、あるいはWTO・SPS協定に基づく国際基準を策定するコーデックス委員会、リスク評価機関でありますFAO・WHO合同残留農薬専門家会合においては遺伝毒性を認めなかったというふうに承知をしております。(長妻委員「委員長」と呼ぶ)

橋本委員長 どうぞ答弁を続けてください。

沖政府参考人 はい。

 また、アメリカの安全性審査においては、許容一日摂取量に相当する数値は設定されております。その上で、日本で使用が認められていない穀類や飼料用作物など幅広い作物について使用が認められていた中で、暴露量が許容一日摂取量に相当する数値を超えることを踏まえて、全ての食用作物への使用が禁止となっております。

 一方、我が国におきましては、食品安全委員会による食品健康影響評価の結果を踏まえまして、適用農作物の削減、使用回数の削減、農作物への残留を減らすための使用時期の前倒し、このような使用方法の制限によって、暴露量を人の健康に対する悪影響がない量まで減らして安全を確保しております。

 また、チアクロプリドについても申し上げさせていただきたいのですが……(長妻委員「ちょっと委員長。いいです。ちょっと時間がないので。あと十分しかないので」と呼ぶ)

橋本委員長 まだ答弁中です。どうぞお聞きください。座って。(長妻委員「委員長、じゃ、注意してください。質疑妨害だよ」と呼ぶ)

 では、答弁は簡潔にお願いをします。その上で、答弁を続けてください。

 御着席ください。

 答弁を続けてください。簡潔に。

沖政府参考人 はい。

 チアクロプリドでございますが、EUでは、許容一日摂取量を定めた上で、生殖毒性の懸念が払拭できないため登録更新を認めなかったのですが、各国が必要に応じて農薬を使用できる緊急使用の仕組みにおいて、昨年、三か国が緊急使用を行っております。

 このような事情を踏まえますと、これらの農薬について、再評価を待たずに現時点で食品健康影響評価等の対応を行う必要はないというふうに考えているところでございます。

長妻委員 これはちょっと質疑妨害ですよ。

 結局、評価する必要がないと。でも、欧米で最近禁止されているわけですから、毒性の懸念とか毒性ということで。日本で何にもやらないでいいのか。いいということですよね。

 ちょっと、もうこの厚い壁は破れそうにないので、後藤大臣、健康所管ですから、何とか、これはおかしいんじゃないのかというような御答弁をいただけないですか。やってくれと。チェックしてくれと。

後藤国務大臣 今、それぞれ役所には権限がありますけれども、厚生労働省は、農薬の食品健康影響評価を踏まえた上で、農薬を適正に使用した場合の食品への残留試験の結果等に基づきまして、人の健康を損なうおそれがないよう、食品中の農薬の残留基準を設定しているということであります。

 ですから、仕事としては、食品安全委員会において、人に対する影響に関する最新の科学的知見に基づいて農薬の食品健康影響評価が行われ次第、厚生労働省としては、その知見に基づいて、適正に残留基準の設定を速やかに行っていくということでございます。

 農林水産省は、安全ということから、農薬の安全性評価については、食品安全委員会における農薬の食品健康影響評価も含めて、これ自身は内閣府の仕事でありますけれども、そうしたことについて、諸外国の実態や各国の取扱い、そして科学的エビデンスに基づいて、国民の健康を守る判断をするものと思います。

長妻委員 後藤大臣、政治家なんですよね、厚労大臣と同時に。自分の所管は、農薬を禁止するしないの権限はなくて、量を決めるだけだみたいな趣旨の答弁ですよね。先ほど農水省の答弁も、日本は量を制限しているから大丈夫なんだと。ただ、最近、欧米で禁止になったわけですよ、こういう毒性についての見解が出て。日本はその後何にもしないということで本当にいいのか。これは自民党の方からも、我々の方も働きかけていますが、是非。おかしいと思いませんか。調査ぐらいしてもいいでしょう。

 一ページ目。いろいろな方と私もディスカッションをしましたが、ちょっと食品安全委員会が問題があるんじゃないかということなんですよ。

 鳴り物入りで食品安全委員会ができました、農薬のチェックとか食品添加物のチェック。ところが、事務局長さんは、リストがありますが、今、七代目の方ですけれども、全てが農水省からの出向者。それで、ほとんどが農水省に戻るわけですよ。農水省は農薬の所管ですから、農薬に厳しくできないということなんですね。分かっただけでもお一人が食品メーカーに天下っちゃっているわけですよ。やはり、将来食品メーカーに天下ろうとしたら厳しくできないですよね、いろいろなことが。

 こういう農水省からの出向者、そしてまた元に戻っていく。私は、ノーリターンルールにした方がいいと思うんですね、金融庁みたいに。これじゃ、結局、農薬を守る立場で食品安全委員会が動いてしまう。事実、私が感じるのは、農薬に非常に甘いという感じが強くします。相当大きい何か、ものがあるんでしょう、農薬は。非常に実力のある企業が作っていますから、そういうこともあるのかもしれませんけれども。

 是非、こういう曖昧なことではなくて、調査するぐらい、いいと思うんですよ。国だって、国立の研究所とか大学の研究所、いっぱいあるわけですから。専門家の方も本当に憤っている方は多いわけですから、是非、縦割りの弊害というふうに言った総理大臣がいますけれども、やはり政治家が、大臣は政治家ですから、役所じゃないですから、おかしいということで、所管を超えてやはり言っていただかないと困るわけでございます。

 これ以上、時間もないので、言ってもなかなからちが明かないでしょうけれども、これは引き続き取り組んでまいりますので。やはり、政治家も議会も動いていただいて、これだけ毒性を、農水省の沖さんの口から、この二ページ目の、これは私がまとめた、これははっきり一字一句そのまま議事録から写しているわけですから。これだけの毒性があり、欧米で禁止されているわけですから、何にもしないでいいというわけでは絶対ないというふうに思いますので、よろしくお願いします。強く申し上げておきます。

 きちっとした調査をするのかしないのか、是非政府の見解を、委員長、この委員会に出していただきたいと思うんですが、いかがですか。

橋本委員長 ただいまの件につきましては、後刻、理事会で協議をいたします。

長妻委員 そして、もう一つは、扶養照会の件なんですが、生活保護の。

 足立区がいい取組をしておられます。三ページ、四ページですけれども、これは足立区役所からの申請書類ですね、これは申請者が、生活保護を受けようとする方が書く書類ですけれども。

 一応、国会の審議を受けて、親族中に自分が生活保護を申請したことが知られてしまうというようなことを懸念して生活保護を受けないという方が非常に多いというような市民団体の調査に基づいて、厚労省が通知を出していただいたわけであります。

 私も、ホームレスの方とお話しすると、非常に印象に残っているのは、私よりちょっと年下の男性の方ですけれども、生活保護を申請して、そうしたらば、国の兄貴から呼出しを食らって、兄貴のところに行ったらこっぴどく怒られて、何やっているんだ生活保護なんてということで、その方は一回、生活保護に入ったんだけれども、途中で抜けて、今もあるところのホームレスを、屋外でホームレスされておられる方がいらっしゃるんですね。その方もしみじみおっしゃっていたのは、親族照会、親族に知られることがなければすぐにでも受けたい、精神的に非常にきついということをおっしゃっておられました。

 これを一応、限定的に、親族照会をやみくもにやるんじゃないよというような通知を厚労省は出していただいたんですが、なかなか自治体でそれが徹底されていない。

 足立区は、こういうふうに一、二、三、四ということで、申請者に状況、例えば自分の祖父はこういう状況ですよと、一、二、三に当てはまる場合は基本的には、厚労省の通知によると親族照会しないでいいということなので、非常に職員にも申請者にも分かりやすく、こういう書類を作っているわけですね。

 日本は、海外を私、調べてみますと、親族照会の範囲が、私はこれほど広い国は余り聞いたことがないんですね、ほかの国と比べると。

 皆さん御存じでしょうか。日本は、生活保護を申請すると、祖父まで行くんですよ、祖母まで、可能性として。孫じゃなくて、ひ孫まで行く可能性があるんですよ、三親等。孫は行きますし、ひ孫まで、孫とか祖父まで通知が、照会が行く可能性がある。

 是非、皆さんもホームレスになっておられる方に聞いていただきたいんですよ、なぜ生活保護を受けないのかと。相当多いですよ、これが。

 是非、後藤大臣、足立区でやられているような、こういう明確に分かるような申請書類、これを推奨するような通知を出していただけませんか。

後藤国務大臣 今、長妻先生から御指摘があったように、足立区では、扶養義務者による扶養の可能性を調査するに当たりまして、扶養義務者の状況を申請者本人に申告させる書類の様式を独自に定めた上で、扶養義務履行が期待できない者の類型を様式上で示して、申請者に、本人に選択させるように、チェックマークでできるという形式を作っているということは承知をしております。

 様式を含む扶養照会の具体的な事務手続について、通知等で示された範囲内で自治体ごとに定めることとされておりますので、それぞれの対応について一概に申し上げるということではありませんけれども、例えば、様式において例示の内容を選択肢として選ばせるというやり方を取った場合には、扶養義務履行が期待できない者の範囲が例示の場合に限定されると受け止められるおそれが逆に運用上出てくる。それから、扶養義務履行が期待できない者の判断に当たって要保護者からの丁寧な聞き取りを一応原則として求めているわけですけれども、こうした丁寧な聞き取りや慎重な検討が不十分とならないかといったような点についても、やはり、扶養優先というようなことから考えると、その辺の対応。そしてまた、限定されてしまうような運用にかえってならないかというような心配。両面のことがあるので、その辺のところも考えながら、それぞれ、通知等で示された範囲内で自治体ごとに考えていったらいいと思いますが、お尋ねが、もし、御指摘のような様式を厚生労働省として定めて通知せよという御趣旨であるとすると、そのことについては少し、今言ったような点を慎重に検討する必要はあるだろうというふうに思っています。

長妻委員 これは当たり前の話ですけれども、記入したら一切聞き取りしないということではないですよ。聞き取りは進みますからね。そして、四番というのも選択肢はあるわけですよ、その他。

 本当に深刻なんですよね、憲法二十五条の理念がちゃんと守られているのかどうかというようなことが今問われているというふうに思いますし。

 繰り返しですけれども、本当に、ひいおじいちゃんまで、ひいおばあさんまで、あるいはお孫さんまで親族照会ということで通知が行く可能性があるというようなことが、生活保護を受けようとする方の国の究極的な水際対策に結果としてなってしまっているというような現状を是非深く認識をしていただいて、再度の通知を、かなりの自治体ではなかなかまだその通知が徹底されていないので、様式をきちっと決めていけば済むと思いますので、生活保障と安全保障、国の二つの礎、両輪ですので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、当委員会で午後にも採決、採択が予定されております困難な問題を抱える女性支援法のこの間の与野党の取組、そして、本日の法案の審議に先立ちまして、私の方から、婦人保護事業と呼ばれてまいりましたものの現状と課題について、少し大臣の御認識を伺いたいと思います。

 昭和三十一年、一九五六年に売春防止法を根拠に始まりました、婦人相談員、婦人相談所、婦人保護施設等々を基本とする婦人保護事業というものは、今後、新法によって、女性相談支援センター、女性相談支援員、女性自立支援施設に名前が変わろうといたしております。

 これは名前だけでなく中身も充実していかないといけないので御質問をするものですが、そもそも、婦人保護施設の入所者、定員数、定員充足率が年々減少をいたしております。

 大臣のお手元にもグラフをお示しをいたしましたが、今、充足率と申しますと令和元年度で二一・七%、定員が千二百三十五人のところ、二割程度しか利用をされておらないというのが上の図でございます。それから、どんな方々が利用しておられるかが下の円グラフですが、これを見ていただくと分かりますように、夫からの暴力、あるいは子や親、親族からの暴力、交際相手からの暴力、暴力というものが大変大きな比率を占めておる。

 この理由は、いわゆるDV法によってこの婦人保護施設がDV被害者を受け入れるというミッションが新たに加わったということもございますが、当初の売春防止の観点からの法律のそのままに、DV防止法を重ねて現在の利用があります。DV防止法は皆さんもよく御承知の平成十三年の成立でありますから、その後、大半がこのような形で利用されているという現状でありますが、まず大臣に、このような実態についてどのようにお考えであるのか。

 簡単に御紹介しますと、ここに保護されるべき方は、売春防止法にのっとるか、あるいはDV被害者であるか。ストーカー行為等の規制に関する法律、これは平成二十五年からここを利用するところとなっております。そのほかに、人身取引対策行動計画というのも既に平成十六年から対象になっておる。あるいは、性暴力や虐待等の被害に遭った又は遭うおそれのある主には十代から二十代の女性についても、あるいは経済的に困窮した女性というのが対象として挙げられておりますが、いかんせん低い利用率ではないかと思いますが、大臣の御認識を伺います。

後藤国務大臣 婦人保護事業等における支援内容の実態を把握するために、平成二十九年度になりますけれども、婦人保護事業等における支援実態等に関する調査研究というのを行いまして、その調査研究によれば、本人の同意が得られずに婦人保護施設への入所につながらないケースが確認されているということで、まさに先生の御指摘のような実態になっているというふうに思います。

 その実態について、DV被害者の方、経済的支援を要する方、当初の婦人保護事業の対象だった売春防止法に関わるもの以外のいろいろな方たちがいる中で、婦人保護施設入所の同意が得られないという理由について分析したところは、集団生活に不安がある方四五%、それから、携帯電話やスマホが使えないということで三六・七%、これは特にDV被害者等の問題があることによりましてスマホ、携帯電話が使えないというようなこと等がまた問題になってきているわけで、外出が自由にできない、仕事や学校を続けたい、それぞれ三〇%以上の理由になっております。

 そういう意味では、今おっしゃったような婦人保護施設への入所につながらないケースが多いことに対して対応をしていかなければいけないということで、例えば、今お尋ねではないわけですけれども、携帯電話やスマホが使えるようにとか、やはり、今現状に合って、そして入っていただく方の必要性にそぐうような解決を考えていくということが必要な現状だというふうに思っております。

阿部(知)委員 私どもが超党派で新たな法律を作ろうと思った大きな要因でもありますが、現実に、この婦人保護事業がというか、保護所が、主にはDVの被害者の皆さんをそこに守らなきゃいけないために、先ほど大臣がおっしゃった、携帯電話、居場所が分かってしまいますから等々の制約がかかってきて、なかなか、実は、その他のニーズのある女性たちに応えられていない。

 今大臣が御答弁くださいました婦人保護施設の入所の同意が得られないケースの、どのような理由であるかをお示ししたのが二ページの上段であります。スマホが使えない、集団生活に不安等々、これは大臣の御指摘のとおりでありますし、これらの改善は急務であります。

 同時に、私が本日お伺いしたいのは、やはり、ニーズと今提供している様々なサービスのミスマッチが大きいのではないかという観点であります。

 お開きいただきました資料の二ページ目の下、実は、婦人保護施設に支援実績がない、すなわち、支援を求めてもはいれていないケースがどんなものかということで、支援実績がないと回答した婦人保護施設の内訳、内容を見ていただきますと、性的少数者、あるいは若年女性、外国籍女性、同伴の子供がいる、高齢者、妊産婦、若年女性、十八歳から二十歳、障害者、若年女性で分けてありますが二十歳以上三十歳未満など、実際に調査をいたしますと、その施設が支援実績がないという回答が多く見られるのがここの一群の方たちであります。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、この支援実績がないとされた方々については、今後、明らかにニーズは正直言ってあると思うんです、どのような対策をお考えであるかを御答弁お願いいたします。

後藤国務大臣 今先生御指摘のように、例えば、性的少数者、十八歳未満の若年者、外国籍女性の受入れ実績がない施設が確認されているわけです。

 先ほどの調査は、直近三か年の受入れ実態を調査したものでありまして、必ずしも受入れ体制が整備されていないことを意味するものではないわけですけれども、様々な事情により困難な問題を抱えている女性に対応できるような、しっかりとした体制を整備していくことが重要だというふうに思っております。

 そのため、指導員のほか、配偶者からの暴力等に加えて、何らかの障害あるいは疾病を複合的に抱えているケースなど、特に個別の対応が必要とされる入所者への対応を強化するための個別対応職員の配置ですとか、心理的ケアの充実を図るための心理療法担当職員の配置等で支援をしているところであります。

 特に、若年者や性的少数者や外国籍の女性等については、こうした方々への支援をやはり得意として取り組んでいただいている民間団体等がありますから、そうした民間団体との連携などを通じた支援づくりをしていくということが大切だというふうに考えておりまして、令和四年度予算においては、民間団体支援強化・推進事業というのを創設しまして、それぞれの地域におけるNPO等の民間団体の掘り起こしや立ち上げを支援して、そうした皆さんと一緒に連携して、体制を取っていくということに今努めております。

 今後とも、こうした取組を通じまして、婦人保護施設、婦人保護事業において地域における人材確保等に取り組みまして、支援が必要な方に支援が届けられるという体制の確保に努めていきたいと思っております。

阿部(知)委員 今大臣からの御答弁にありましたように、多く、現状の婦人保護施設がカバーできていない部分は民間団体がやってくださっているというのが現状でもあります。もちろん、その民間団体との協働、協同労働、一緒に支えていくことは重要と思うのですが、一方、行政の側にもそうしたノウハウを蓄えていかないと、やはり、トータルに見て、よい支援にはならないと思うんです。

 特に、若年女性への支援について今日はお伺いしたいと思いますが、こうした若年者への支援をやっている民間団体からのこれは指摘と御要望でありますが、例えば、十八歳未満でも性暴力や性犯罪の被害児童が婦人保護施設を利用できるようにしてほしいと。何を言っているかというと、十八歳未満だと児童相談所等々が主な受入先になるわけですが、児童相談所では、性売買や性的搾取に関わった少女が、いわゆるケアが必要な被害児童、要保護児童として捉えられるのではなく、非行の少女という形に捉えられたり、あるいは、性売買に関わることなどをした少女に対して、児童福祉の範囲ではなかなか支援が及ばないということがあります。

 こうした少女たちを婦人保護施設でも受け入れるということは、検討会の二〇一八年の段階でも指摘をされておりまして、これについて、現状、どうであるか。四年前の指摘ですが、これについて、大臣、御答弁をお願いします。

後藤国務大臣 検討会の指摘についてでありますけれども、若干の先生の御指摘との重なりも出るかもしれませんが、十八歳未満の入所については、現行制度下においても制度的には可能となっておりますけれども、入所に当たって携帯電話の使用についてなどのルールがあって、なかなか入られないということでございまして、ルールの見直しが必要であること。また、今まさに御指摘があったように、児童福祉の枠組みでは加害者や非行扱いされるなどの対応の難しいケースでも、性的搾取等に理解のある婦人保護施設であれば、支援が必要な者として充実した対応が可能なケースもあるので、そうした点をきちんとやるようにというような御指摘もいただいているところであります。

 そのため、令和二年度には、婦人相談所一時保護所及び婦人保護施設における携帯電話等通信機器の使用に関する基本的対応方針を策定しまして、加害者からの追跡の回避など、入所者の安全、安心を最優先としつつ、携帯電話の使用を可能とすることに見直したほか、令和三年度からは、困難な問題を抱える女性支援連携強化モデル事業を実施をいたしまして、婦人相談所、児童相談所や民間団体などの関係機関から構成される協議会によりまして、個々のニーズに応じた適切な支援につなぐ体制整備を図っております。

 こうしたことも進めておりますけれども、今後とも、自治体や民間団体を始めとした現場の意見を丁寧に聞きながら、十八歳未満の性的搾取等に遭った子供が必要な支援につながるように特に取り組んでいかなければならないというふうに思っています。

阿部(知)委員 この年齢がエアポケットのようになって、行き場がなくなっているのが現状だと思いますし、確かに、携帯電話はその年齢にとっては命より大事というか日々の生活でありますので、その点の改善はもちろんのことなのですが、今大臣がおっしゃった令和三年のモデル事業について、私が昨日、担当省庁に伺いましたところ、どこも手挙げがないと。いろいろな関係機関と連携しながら、児相や医療機関やいろいろなところと連携しながらやるこのモデル事業で、手を挙げたところがないというふうに伺っておりますが、これは大臣もし御存じなければ事務方でも結構です、私はモデル事業に手が挙がらない理由があるように思いますので、今、大臣、せっかくモデル事業とおっしゃっていただいたので、どこか手を挙げたところはあるのでしょうか。お願いします。

橋本政府参考人 今委員御指摘になりました困難な問題を抱える女性支援連携強化モデル事業、令和四年度の予算にも計上してございますけれども、現時点において、これの事業を活用したいというふうな形で手を挙げられた自治体はございません。

阿部(知)委員 とても重要なモデル事業なんですけれども、なぜ受け手の側ができないかというと、大臣は要保護対策児童協議会、要対協を御存じだと思いますが、要対協の場合は、市町村に配置された児童福祉司等々がキーパーソンになってコーディネートしていく仕組みでありまして、要対協も最初はなかなかでしたけれども、最近充実が図られてきた。ところが、女性相談の場合は、市町村にそうした、今まででいう婦人相談員が、必置ではありませんし、いないのであります。そうすると、コーディネートしようにも、キーになる人がいないとできないということなんだと思います。

 厚生労働省は、せっかくモデル事業を立ち上げられたのに、何で、どこも、誰も言ってこないのかということについて真剣に受け止めていただいて。今回、長年、婦人相談員、売春防止法で規定された身分の方々を、新たに、困難な問題を抱える女性への支援のキーパーソンであると位置づける法律、新法を予定しておるところでありますが、やはり、そこには、身近な市町村の窓口に必置されておらない、児童福祉司であれば、度重なる児童福祉法の改正で、四万人に対して児童福祉司一人を努力義務ですが市町村に置いていただく、これは長年かけてやってきたことですが、婦人相談員にはそういう任用資格もないし、何の取決めもない。ここが大きなネックになっていると思いますので、大臣については、ここをもう少し掘り下げて検討していただきたいが、いかがでしょう。

後藤国務大臣 先ほどの事業は、実を言うと十分の十の補助事業でありまして、そういう意味でいえば、我々も何らかそういう新しいプロジェクトをやはり推進していくように考える、そのことは必要だろうというふうに思っています。

 相談員等につきましては、今御指摘のあったように、任用資格でもなく、地方公務員か、あるいは地方自治体のいわゆる非常勤の職員等、しかし、それでも、専門的な知識や専門的な経験を生かした方たちが一生懸命現場ではやっていただいているわけですけれども、そうした方たちを、しっかりと意見が反映できるような実態的な動きにしていくという考え方は大切だというふうに思います。

阿部(知)委員 前回の質問でも指摘させていただきましたが、この婦人相談員は、会計年度の任用職員で、雇用の継続も一年先はどうなるか分からない等々で、非常に人材的に、本来は頑張ってきてくださった方々ですが、安定性がなく、結局キーパーソンが育たなければ、どんな事業も立ち行かないので、是非、この新法の成立を機に、大臣には格段の御尽力をいただければと思います。

 もう一つ、様々な検討会の中で指摘されておりますのは、やはり、小さい頃に性被害に遭ったり、あるいは、性被害そのものをいわゆる他人に言えないことによって、その方が心身に非常にある意味トラウマを持ち続ける。精神的な支援も必要で、ここが全く手つかずの状態になっているのかと思います。

 この間、性暴力被害者に対する支援強化ということでも調査研究が行われた中を見てみましても、大臣のお手元の三枚目の資料を見ていただけると、婦人相談所やあるいは婦人保護施設、実は婦人保護施設の七割にこういう性的被害の方が入所しておられますが、その方たちへの支援といたしまして、赤線を引いたところにありますように、性暴力被害を受けた可能性について検討するための医師の問診も四割弱、それから、トラウマに関する心理的なサポートも、相談所では三五%以下、下の婦人保護施設を見ていただきましても同様であります、三割。医師に相談、これは精神科の医師もおられます、これも三割以下。個人を対象としたトラウマに焦点を当てた心理療法も三割以下。すなわち、精神的、心身とも圧倒的に立ち遅れていると思います。

 性暴力は、直後の介入も必要ですし、そこからトラウマとして長引く自己否定感情や、いわゆる自分に対しての嫌悪感等々を持ってしまいがちな事態ですから、精神的なフォローは必要と思います。

 大臣は、この点についてはお考えがおありでしょうか。

後藤国務大臣 婦人保護施設で性暴力被害者に対しまして時間をかけた支援が可能であるという、逆に施設としての強みを生かして、施設において医療的な支援を提供するために、嘱託医として精神科医を確保したり、あるいはトラウマケアなどを行う心理療法担当職員を施設内に配置するなどしまして、これまでも、性暴力を受けた被害者を始め様々な困難を有する入所者の個別の問題、医療的なケアの問題も含めて対応をしてきたところでございます。

 こうした施設の体制強化を今後とも進めていく必要があると思いますし、それに加えまして、婦人相談所の心理療法担当職員や内閣府の性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター、そういったものと、専門的な支援が行える機関と連携することも重要であるというふうに認識をいたしております。それから、外部の支援機関との連携も図りながら、婦人保護施設における医療的な支援というのを進めていかなければならないというふうに思っています。

 それから、先ほど、ちょっと相談員のところで、私、申し上げた方がよかったと思うことがあって補足させていただきたいと思うのは、婦人相談員の、先ほど、身分に関わることだけちょっと申し上げたんですけれども、専門性に見合った処遇改善も非常に重要だと思っておりまして、令和四年度予算においては、経験年数に応じた加算の設定だとか、期末手当の支給に必要な経費を盛り込むなど、処遇の確保に向けた措置も講じているところですけれども、自治体と連携して、今後とも、婦人相談員の処遇改善にも努めて、専門的な経験を持つ方が安定的に働いていただいて、こうした活動の中核として御活躍いただけるようにということも併せて考えていきたい。医療的な対応に加えて、ちょっと補足をさせていただきます。

阿部(知)委員 補足をありがとうございます。

 やはり、婦人相談員の雇用の安定ということがないと、なかなか、この前もお示ししましたが、三年、五年と続けられない今の仕組みでありますので、そこは大臣の知恵を拝借して是非安定的にしていただきたい。

 それから、医療との連携ということは喫緊でありまして、実は、そもそも性暴力支援のワンストップ支援センターも医療連携型がとても少ないんです、内閣府がやっておられるということもあろうかと思いますが。是非、厚労省も、ワンストップ支援センター、クライシス型、国連では二十万人に一か所、医療的ケアが直後に介入できる医療施設と。そして、そこから、やはり直後をちゃんと受けて、その後トラウマ化させないという一連の流れなので、この度、是非、大臣が御認識があるように、医療との連携、保護施設における中長期的あるいは当初の介入という非常に大事なポイント、ここでもやはり立ち遅れてございますので、双方、内閣府ともよく御相談の上、取り組んでいただきたいと思います。

 以上で終わらせていただきます。

橋本委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、私の今年初めての一般質疑でございます。

 まず最初に、今年の三月二十九日に総務省で策定され、各地方公共団体に通知されました、持続可能な地域医療提供体制を確保するための公的病院経営強化ガイドラインについてお伺いします。

 まず、その中の、公的病院経営強化プランの中での、役割、機能の最適化と連携の強化についてお伺いをします。

 今回のガイドラインによると、地方公共団体は令和四年度又は五年度中に公立病院経営強化プランを策定し、その中に、持続可能な地域医療提供体制を確保するため、地域の実情を踏まえつつ、必要な経営強化の取組を記載することとされています。

 そして、役割、機能の最適化と連携の強化の中で、機能分化、連携強化として、各公立病院の役割、機能を明確化、最適化し、連携を強化、特に、地域において中核的医療を行う基幹病院に急性期機能を集約して医師、看護師等を確保し、基幹病院以外の病院等は回復期機能、初期救急等を担うなど、双方の間の役割分担を明確化するとともに、連携を強化することが重要と、概要には記載されています。

 その中で、総務省からの説明では、基幹病院以外の不採算及び過疎地域などの病院に中核病院から医師や看護師を派遣する、そういった連携をすると説明をされていました。概要資料にも明確にそう書かれていました。

 しかし、私は、自身も中核病院に勤務する医師として考えた場合に、これは絵に描いた餅ではないかという思いが強く、大臣、あります。

 医師の働き方改革が進められる中で、二〇二四年からは医師の時間外労働規制が始まりますね、大臣。そうすると、一番甚大な被害を受けて医療崩壊の危機に陥るのは、二次医療圏で三次救急を担う五百床から七百床を有するような中核病院なんです。特に不採算地域の医師の派遣の強化は不可能であると考えます。むしろ中核病院に対して派遣が必要な状況になると考えます。委員長、そうですよね。

 今回のガイドラインでこのようなことを持ち出すのは、時代錯誤というか、現状を全く見ていないのではないかとしか思えないのですが、大臣、どうお考えになりますか。

後藤国務大臣 医師を始めとする医療人材に限りがある中で、今後、地域の医療提供体制を維持していくためには、各地域において、今先生からも御指摘いただきましたけれども、医療機関相互の機能分化と連携を促して、例えば急性期機能を担う病院と回復期機能や初期救急を担う病院等に役割分担をしていくとの方向性は、これは地域医療資源を有効に使うということのための方策として必要だというふうに考えています。総務省のガイドラインもこうした考え方で作成されているというふうに認識をしています。

 一方で、今御指摘のあった二〇二四年の施行に向けて医師の働き方改革が進められるわけですけれども、大学病院や地域の中核医療機関から行われている医師派遣が継続され、地域医療が引き続き確保されるということは非常に重要な課題であると考えております。

 都道府県や病院を対象に、施行に向けた準備状況や医師派遣の動向など地域医療への影響に関する実態把握を行いまして、その結果を踏まえて医師派遣の支援など必要な対応を進めていくことが必要だというふうに思います。

 医師の働き方改革への対応に限らないことでありますけれども、医師の確保というのは地域医療の確保にとって必要不可欠な課題でありまして、各都道府県におきましては、各地域で必要な医師を確保するための医師確保計画を策定し、取組を進めています。

 例えば、医師数が比較的少数の地域で勤務することを条件としました地域枠の医師の養成とか、あるいは、医師派遣ニーズなど地域の実情や、専門医資格の取得など医師本人のキャリアパスの両面を踏まえながら、地域枠、医師の派遣先を県において協議をしていく、そういうような仕組み、ここも医療法の改正を行いました。そうした取組を進めておりまして、こうした取組に対し、地域医療介護総合確保基金による財政支援も行っております。

 いろいろ厳しい条件が重なるという御指摘は、よく現場の気持ちは分かりますけれども、医師の働き方改革、これとて、いつまでも医師が今のような条件で働き続けられないので、着実に進めつつ、地域医療を確保するために、丁寧に都道府県、医療機関等の御意見を伺った上で必要な支援を行いつつ、こうしたことを何とか地域において実現していくということに尽きると思います。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございます。細かくレクしていたので、答弁長くいただきましたが。

 大臣、ただ、地域枠といっても、医者一人育てるのに十年以上かかるんですよ。六年、大学へ行った後、十年ぐらいかかります、一人前の医者になるには。現有の医師がいないんですよ。さらに働き方改革があるので、大臣の今の御答弁、確かに理念的には正しいんですが、もうそんなことを言っている場合じゃないんですよね。

 そもそも、今も医者が足りないのに、中核病院が、大臣、一番きついですよ。今でも三次救急をやっている病院は疲弊しながらやっています。その中で医師の働き方改革が起こっちゃって、マンパワーが圧倒的に足りなくなるんです。その中でも地域の医療を守るって非常に難しい。

 だから、もっと長期的な視野で抜本的にやるんだったら、私が前から言っているように、自治医大の定員を五倍ぐらいにして、徹底的に地域医療を守るような形とかにすれば守れますよ、長い目で見ればですよ。現実的にそれぐらいやらないと非常に難しいということは御理解をください。

 ちょっと、じゃ、先に進めていきます。

 大臣、なるべく簡潔な御答弁をお願いします。

 この件、総務省の話であって、都道府県知事が責任を持つということになりますよね、基本的には。そうすると、さっきの答弁の中でもありましたけれども、実は厚生労働省の中で、最初、レクの中で、都道府県に丸投げするような表現のレクがあったものですから、それは大臣、違いますよね。ちゃんと厚生労働省、しっかりとコミットするんですよね。そこだけ簡潔にお答えください。

後藤国務大臣 地域医療構想、これは、地域における医療資源を前提に、人口の減少だとか地域の医療ニーズに沿って地域で主体的につくっていくということで、地域医療構想は地域の独自性を尊重して独自にやはりつくってもらう。あるいは、それぞれの医師不足の対策も、県に応じて、関係者が集まり、大学関係者等も集まったりしながら、どういう体制で医師の派遣ができるかということを県が調整を地域枠について図っていくというようなことですから、やはり地域における独自的な検討ということは重要だというふうに思っておりますけれども、全体としての政策判断をしていくことということについて言えば、あるいはそれを、日本の医療をきっちりと守っていくという責任は、厚生労働省はもちろん負っているという覚悟でおります。

吉田(統)委員 大臣、頑張ってくださいね。

 ただ、大臣、私、すごく心配になったんですが、さっき申し上げたように、三次救急に対応する中核病院の勤務医、もう今限界なんですよ。医師の働き方改革で医療崩壊あるいは医療提供のクオリティーの低下が起こる可能性が高いことも医療の現場は分かっています。

 そこで、大臣、総務省は補助金など予算をつけることで医師を集めるようなことを言っていたんですが、ここは大きな考え違いで、大臣、存在しない医師を集めることはできないんですよ。

 そもそも、大臣、医師のバイトの時給がなぜ極めて高額なのか、考えれば分かるんです。需給のバランスなんですよ。つまり、どの医療機関でも医師はそもそも集めにくいから、医師のバイトはむちゃくちゃ高額なんです。時給にして一万円、一万五千円、二万円、もっと高い場合もあります。

 こういった、根本的に総務省は考え違いをつまりしているんです。金銭で医師を集めることが本当にできると考えていたら、これは大きな間違いです。

 大臣にもう一回お伺いしますが、こういった総務省の描いたような連携強化が大臣は本当にできると思っていらっしゃいますか。

後藤国務大臣 そこは、地域医療を守っていくためには、そこで知恵を出していかないと地域医療は守れないということだというふうに思います。

 本当に医師の全体としての人数が少ないということであれば、それは医師の数を増やすということもありますけれども、しかし、いろいろ将来的に見てみたときに、本当に医師の数が足りないのかどうかということは、これは御意見もありますから、きちんと議論しなきゃいけない。

 足下をどうするかということについても、そこは、例えば、地域枠の取り方にしても、随分と実態に合って、いわゆる臨床研修と専門医研修のときを除いてうまく割り振っていくだとか、それから、ローテーションみたいなものを可能にすることだとか、研修の機会だとか、お医者さんたちにとっても、医師にとっても選択可能なそういう条件の整備をする中で、それはインセンティブがあることも必要だというふうに思いますし、そうしたことを踏まえて医療を守っていかないといけないということだと思います。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございました。

 大臣から総務省にもお金だけで集まることは無理だよと教えてあげてくださいね、では。

 大臣おっしゃるとおり、医師の需給で、医師が余るんじゃないかという、将来の、ありますよね。ただ、それは今の働き方を前提にすればそうなりますが、医師の働き方改革が入り、そして女性医師が増えると、女性医師はライフイベントがかなりあるわけです、結婚、出産。そういったことで専門医の維持や、取ることも難しくなりますし、そういうことも考え合わせた場合に、果たして本当に医師が余るのかということは慎重に考えられた方が、大臣、いいと思います。是非、大臣、そこは御検討ください。

 大臣、だから、いろいろなお考えを更にしていかなきゃいけないと思うんです。私がこの解決、一方法として、私もそんな知恵があるわけではないですが、一つは、医療と病床あるいは医療機関を切り離すというパラダイムシフトも重要なんじゃないかと思います。

 私は、先日、総務省からレクを受けたときにそのような提案をしたんですが、総務省も医療コンテナというような発想は知っていました。

 私も東日本大震災のときに、マイアミ大学から、ハリケーン・カトリーナのときにあちらで活躍した、マイアミ大学のバスコンパルマーにあるビジョンバンという医療用のバンをこちらに取り寄せまして、東北地方で私自身もボランティア活動をしたんですが。

 例えば、MRIとかCTを積んだような医療用バンを活用してアウトリーチをしていく、そういったバンに放射線技師を乗せて撮影して、読影は中核病院で行うなど、これはただ一例です。こういったことも必要です。

 ただ、こういうことをやる場合に、県境をまたいだりするし、厚生労働省、総務省と各都道府県が連携をして、医療機関としての認可や保険診療上の問題などクリアすることも必要になってくるわけです。大臣、こういったこともフレキシブルにやってほしいんです。大臣、そこはいかがですか。

後藤国務大臣 限られた医療人材を有効に活用していくという観点からは、今委員から御指摘をいただいたような、地域の中核医療機関に配置された医療人材を活用して、医師が不足する地域への派遣だとか、ICTを利用した遠隔医療という形で医療を提供していくというアプローチは有効な方法だというふうに私も考えます。

 例えば、厚生労働省においても、僻地の診療所から中核医療機関へ画像を伝送しまして適切な助言や指導等を行う体制の構築だとか、中核医療機関に配置された集中治療を専門とする医師が各地のICUの患者を遠隔でモニタリングする体制の整備だとか、周産期の専門医が妊婦や胎児の状態を遠隔でモニタリングする体制の構築といった取組が行われておりまして、そうした先進的な取組に対しても支援を行っています。

 医療の質を維持しながら限られた医療資源を最大限活用して効率的に医療を提供する取組について、今のICTを活用する等も含めて、地域の実情や課題をよくよく伺いながら対応していく必要があるというふうに思います。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございました。

 さっき私も、もう少し、一歩進めたアウトリーチという形で、もっと入り込んでいく形、それとICTを併用する、そういったことですので。ただ、それをやるときは、本当に大臣、仕組みの問題、ルールの問題がありますので、保険診療とか医療機関としての認可。ここは大臣がリーダーシップを取ってしっかりやっていかなきゃいけないと思います。

 ちょっと時間がなくなってしまったので、法務省から津島副大臣、この前の質問の後、もっと議論しましょうとおっしゃっていただいたので、今日は来ていただきました。大臣、少しお休みいただいて。

 それでは、共同親権に関して、副大臣と少し議論していきたいと思います。

 共同親権に関連して、現在、連れ去られた側から、誘拐罪などの主張があるとも聞いています。

 そこで、まず確認ですが、誘拐罪、特に未成年者誘拐罪の保護法益は何で、その構成要件はどのようになっているでしょうか。

津島副大臣 吉田統彦委員より、先回の議論の続きということで御指名いただいて、ありがとうございます。

 刑法第二百二十四条についてのお尋ねでございます。

 二百二十四条、未成年者の略取誘拐罪は、未成年者を略取し、又は誘拐した場合に成立するものとされております。

 未成年者略取誘拐罪の保護法益については、学説において様々見解はあるのでございますが、判例の立場は、一般に、基本的に被拐取者、これは略取誘拐された者をいいますが、その自由というものが保護法益とされております。また、もう一つ、監護権も保護法益とされているところであると承知しています。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 婚姻中、父母は、ある意味で、定義がないとこの前おっしゃっていましたが、共同親権というか、そんな表現の親権状態になっています。同居している場合は共同で監護していることになりますよね、副大臣。この場合に、DVや虐待があったり夫婦間でけんかが生じていて、子供を面前暴力、面前DVから引き離さなければいけないようなときに、父母のそれぞれが子供を連れ出しても誘拐罪にはならないのではないでしょうか、副大臣。

 確認ですが、父母の一方が子供を連れ出すことは未成年者誘拐罪にはならないということで、副大臣、よろしいんでしょうか。

津島副大臣 父母の一方が、離婚の協議中、その子を連れ出すことが該当するのかというお尋ねと理解しておりますが、まず、犯罪の成否について、これは捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄であり、一概にこうだということでお答えするのは難しいということは御理解をいただきたいと思います。

 その上で、一般論として申し上げますけれども、刑法二百二十四条の罪は、未成年者を略取し、又は誘拐した場合に成立するものとされています。そして、最高裁判例において、親権者による行為であっても刑法二百二十四条の構成要件に該当し得るとされており、行為者が親権者であることなどは、行為の違法性が阻却されるか否かの判断において考慮されるべき事項とされているものと承知しています。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 副大臣おっしゃるように、様々な考えがありますよね。

 その中で、DVや虐待がある場合、夫婦間で、繰り返しますが、けんかが生じているなどの問題がある場合に、父母の一方が子供を連れ出すことはむしろ子供の安全を守ることとなることも、副大臣、ありますね。先ほどの保護法益を考えても、その行為態様がよっぽど悪質であるなどでなければ、構成要件に該当しない、若しくは違法性に欠け、少なくとも未成年者誘拐罪に当たらないということだとも思います。

 しかし、未成年者誘拐罪については、離婚の際の子供の連れ出しが誘拐罪に当たるという主張をされている方がいるということもお聞きしています。そして、このような実態から、共同親権を早急に認めるべきだという主張があるということも伺っております。

 しかし、子供の安全を守るために別居するという場合もあろうかと思われるところでありますので、他方、誘拐罪という犯罪に問うことは、逃げることを抑制してしまう危険性がありますし、犯罪の成否を争うことで夫婦間の対立を深め、共同親権や共同養育を実施することは、むしろ真逆の効果を生むこともあるのではないかとも心配をします。

 この問題は、先日から聞いてきました子供の面会交流における様々な問題などと併せまして、まだまだ法的にも、また子供の利益の観点からも検討しなければならない課題が山積していると思います。

 そこでお聞きしますが、速やかに、まあ、拙速という言い方を、表現をされる方もいますが、共同親権を導入することが本当に子供の利益になるのかということに関して、法務省の見解と、もし共同親権について何か検討されている状況があるのであれば、その状況を教えていただきたいと思います。

津島副大臣 お答え申し上げます。

 父母の離婚後の子の養育の在り方は、子供の生活の安定や心身の成長に直結する問題でございまして、子供の利益の観点から大変重要な課題であると認識しております。

 父母の離婚後の親権制度については、離婚後も父母の双方が子供の養育の責任を負うべきであるとして、いわゆる共同親権制度を導入すべきであるとの意見がある一方で、共同親権制度を導入することに対しては、父母の離婚後に子供の養育に関する様々な事項の決定を適時に行うことが困難になる、そういった慎重な御意見もあるわけでございます。まあ、様々な意見があるということでございます。

 そこで、法制審議会においては、父母の離婚後の子の養育の在り方やそれに関する諸課題について今議論されておりますが、そこでは、共同親権を導入するかどうかについても、法制審議会内においても積極的な意見と消極的な意見の双方の意見が出されております。それらの双方の意見を踏まえた議論が今進められているものと私は承知しております。

 今後は、本年夏頃に中間試案を取りまとめることを目指していると聞いておりますが、その中間試案の内容は、現時点では未確定でございます。今後の法制審議会家族法制部会での議論を踏まえて検討が進められ、家族法制部会において取りまとめられるものと理解しておりますが、私としては引き続き様々な角度から充実した調査審議が行われることを期待しております。

吉田(統)委員 よく状況が、副大臣、分かりました。ありがとうございます。

 副大臣、もうこれで結構でございますので、御退室いただいても結構です。

橋本委員長 御退室いただいて結構です。

吉田(統)委員 それでは、大臣はまだ、もう少し別の質問をさせていただきたいと思います。

 それでは、宮路政務官もせっかく来ていただきましたので、子供食堂も、前回も少し野田大臣と議論させていただきましたが、宮路政務官にお伺いしますが、子供たち、孤食とよく言われますが、孤食の定義と、比率や、そういった実態に関して、政府が把握している状況を御開陳いただけますでしょうか。

宮路大臣政務官 お答えいたします。

 孤食につきましては、平成三十年五月に国会提出された食育白書において、週の半分以上一日の全ての食事を一人で食べていることを孤食と位置づけ、そうした孤食の方が約一五%いると分析されていると承知しております。

 ただし、この分析の基となった農林水産省の調査は、二十歳以上の方が対象となっていると承知しております。

吉田(統)委員 政務官、孤食というのは、経済的な困窮だけじゃなくて、シングルマザーの方の御家庭、夜遅く、共働きの家庭でも、そういった孤食される方がいらっしゃいます。子供食堂は、そういう中で、孤食の方たちを、いろいろコミュニケーションを取ったりしていったり、また、食事を作る上での体験をしていただいたりする場でもあるんだと思います。

 こういった孤食対策として、子供食堂の役割というのを、政府としてどのような御評価をされているのか、教えてください。

宮路大臣政務官 お答えいたします。

 子供食堂は、子供にとって、食事の提供はもとより、様々な世代の方々と交流ができ、そうした中でいろいろな学びや体験ができるといった大切な居場所であるというふうに認識しております。

 また、そうした中で、虐待や貧困など困難な状況にある子供に気づいた場合は声かけを行い、必要に応じて支援につないでいる子供食堂もあると承知しておりまして、大変重要な役割を果たしていただいていると考えております。

吉田(統)委員 ネグレクトが子供食堂で見つかったりとか、そういうことも本当にありますので、政府として、過度な介入は必要ないと思うんですが、フードドライブ、フードバンク、そういったところからの食料の提供なども含めて、しっかりと応援をいただきたいと思います。

 次は、最後の質問になりますが、政府は、宮路政務官、こどもまんなか社会をうたいますね。親御さん、特に様々な面で困難を抱えるお母様への支援なしには真に子供たちへの支援にはならないという指摘、こういった指摘を子供食堂の当事者の皆さんから、重要な指摘だと思います、受けています。つまり、困難を抱える御両親、シングルマザー、シングルファーザーもいらっしゃいますが、そういった方への支援なしには真の子供への支援にはならないという、これは重要な指摘です。

 行政として本質的に考えるべきは、お母さんたち、お父さんたち、そういった方たちが子供食堂に頼らざるを得ないような現状を取り巻く社会的背景にフォーカスして、お母様やお父様も安心して働ける社会、正当な賃金をしっかりともらえる社会をつくることが重要だと思いますし、こういった指摘が子供食堂の当事者の皆さんから出てきているということは極めて重要な意味があると思います。

 こういった御指摘に対して、最後に、宮路政務官から政府の見解を伺いたいと思います。

宮路大臣政務官 こども家庭庁については、まさに先般、衆議院、可決いただきまして、参議院でこれから審議が始まるところではございますが、こども家庭庁、こどもまんなか社会を目指すための新たな司令塔として創設することにしておりまして、こども家庭庁におきましては、子供の視点、子育て当事者の視点に立った政策立案を進めることとしております。

 したがいまして、今御指摘のありました子供食堂も含めまして、じかに子供に接しておられる子供支援の当事者の方々の声もお伺いしながら、子供にとって必要なことが何であるか、そしてまた、子供を取り巻くそうした環境、親御さん、保護者の問題も含めまして、どういった支援が必要か、こどもまんなか社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

吉田(統)委員 もう終わりますが、宮路政務官、ちょっと、もう少し具体例をお伺いしたかったんですけれども、また次、議論させていただきたいので、しっかり今おっしゃった理念を実現できる具体的な施策を心から切望しますし、後藤大臣には、今日議論した内容、医師の働き方改革、本当に大きなひずみを起こす可能性があります。大臣がリーダーシップを取ってしっかりと対応していただくことを願いまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 質問の機会、ありがとうございます。

 本日は、通称、障害者情報アクセシビリティー、コミュニケーション施策推進法案、この採決に先立ちまして、関連して後藤大臣に伺ってまいります。

 私たち立憲民主党は、他の野党とともに、二〇一九年六月十四日、手話言語法案と、視聴覚障害者等の意思疎通等のための手段の確保の促進に関する法律案、いわゆる情報コミュニケーション法案を衆議院に提出をいたしました。

 今回、参議院を中心に超党派でまとめられた障害者情報アクセシビリティー、コミュニケーション施策推進法案は、私たちの二〇一九年の野党案と比べますと、障害者政策委員会や選挙についての言及がない、情報通信機器や技術にやや偏った内容であるという点では難がありますが、地域格差の解消や同一時点での情報入手を明記するなど、内容も新たに含まれておりまして、基本的に私たちの案と趣旨や理念を共有するものと考えております。また、当事者団体からも、早期成立を目指す声も届いておりまして、私ももちろん賛成の立場でこの質疑をさせていただきたいと思います。

 それでは、まず初めに、失語症者向け意思疎通支援者派遣事業について伺います。

 聴覚障害の方、約三十四万人と言われておりますが、この聴覚障害者向けの意思疎通支援者の派遣は、手話通訳者が九四%、それから要約筆記者が七八%の自治体で行われております。一方で、日本失語症協議会によれば、全国に五十万人いると言われる失語症の方に対して、また、二十七万人と言われる高次脳機能障害者向けの意思疎通支援者の派遣事業、これがもう既に四年目になります。しかしながら、お手元の資料を御覧ください、一枚目。僅か六府県、それから市区町村では三十四、約三%のみしか行われておりません。

 東京都を例に取りますと、養成研修は始まっているものの、派遣は僅かに豊島区それから多摩市のほか、世田谷区では失語症サロンへの派遣、武蔵野市ではデイサービスへの派遣のみであります。

 失語症や高次脳機能障害の方は、視覚や精神障害と違って、個別給付としての同行援護や行動援護もありません。その中で、日々の生活に公的なコミュニケーション支援が全くなく、NPOや友人、家族などのボランティアに頼らざるを得ない状況になっております。

 失語症も高次脳機能障害も、私たち誰しもがなる可能性のあることであります。このようなコミュニケーション支援の乏しい実態について、大臣は、どのようにお感じになり、そして、どのように改善をしなければならないとお考えか、お聞かせください。

後藤国務大臣 失語症者向けの意思疎通支援者による支援は、失語症者の方が日常生活や社会生活を送っていくために大変重要であるというふうに認識をいたしております。

 失語症者向けの意思疎通支援者の派遣事業、ありますけれども、各都道府県による支援者の養成事業、県が行っております養成事業、国によるその指導者の養成事業、そうしたものが平成三十年度から開始されたところでありまして、支援者が十分養成されていないこと等の理由によりまして実施が進んでいないものというふうに認識をしています。

 厚生労働省としては、都道府県において支援者が養成され、派遣事業が十分に行われる前提条件が整うように、引き続き指導者養成にしっかりと取り組んでいく必要がある。今の意思疎通支援事業の実施体制、市町村、全国での割合を見ると非常に少ないという認識を持っておりまして、そうしたことに取り組んでいかなければならないと思います。

早稲田委員 大臣にも、大変取り組んでいるところがまだまだ少ない、そして、養成をきちんとしていきたいという御答弁をいただきましたが、四年もたっているのにこれだけの、三%という数字では、本当に日常生活に支障を来します。

 そして、神奈川県では、失語症サロンだけではなく、日常的な買物や医療機関などの個人の日常生活にも既に派遣が始まっております。是非、自治体任せだけにせず、地域格差が生まれないように、当事者の団体あるいは当事者の方々の声に大臣が耳を傾けていただきまして、リーダーシップを発揮していただき、養成も進むように、そして派遣がどんどんできるように是非お願いしたいということを要望させていただきます。

 これに続きまして、コミュニケーション能力を理由に障害者の受診を拒否する医療機関があることについて伺いたいと思います。

 先日、私は、コミュニケーション能力を理由に婦人科のクリニックで受診を拒否された五十代の女性の方から、実際にお話を伺いました。

 ばりばりのキャリアウーマンでありましたけれども、昨年、くも膜下出血で倒れ、後遺症でウェルニッケ失語症と高次脳機能障害になった方です。そのクリニックで受診歴があり、そして診察券もあるのに、障害を持った途端に受診拒否というのは、余りにも障害差別、あってはならないことだと私は強く思いました。

 そして、その中で、厚生労働省は、障害者差別解消法の医療関係事業者向けガイドラインの改定をこの夏に予定していると聞いております。せっかくよいものを作ろうとしていただいていると思いますが、誰も御存じないんです、このガイドラインの中身を。ここが問題だと私は思っています。

 是非、このガイドラインを改定するきっかけにおいて、医師会や病院協会の協力を得るなどして、全ての医療機関、そして医療機関だけではなく、患者さん御本人、それから国民の皆さんへの周知徹底に努めていただきたい。これが一番ネックになっているということが分かりましたので、是非、大臣の御見解を伺います。

後藤国務大臣 厚生労働省としては、障害者差別解消法の趣旨を踏まえまして、医療現場においても障害を理由とした差別の解消に向けて取組を進めることが重要であると認識をいたしております。

 障害者差別解消法の施行に当たりまして、平成二十八年一月に医療関係事業者を対象としたガイドラインを策定しておりまして、例えば、正当な理由なく、障害があることを理由として、診療拒否など不当な差別的扱いをしてはならないこと、施設のバリアフリー化や、障害特性に応じたコミュニケーションの配慮を行うことなど、医療分野における対応指針を示しております。

 このガイドラインについては、これまで、策定時に都道府県や関係団体を通じて医療機関に周知するとともに、毎年開催している都道府県を対象とした会議等においてもその都度改めて周知をお願いしているところでございますけれども、今後、先生からもちょうど御指摘ありましたとおり、障害者差別解消法に基づく基本方針の改定も予定されているところでございまして、こうした機会をつかまえて、自治体と連携しまして、そのものの周知、そして内容のブラッシュアップ、しっかりと努めていきたいと思います。

早稲田委員 しっかりと周知に努めていくと大臣から力強い御答弁をいただきましたが、それにしても、本当にこうしたことが多々起こっているということなんですね。

 それで、我が国が誇る国民皆保険、そしてフリーアクセス、これが障害者に対して保障されていないことを見て見ぬふりをしないように、それを、国としてもしっかりと姿勢を示していただき、都道府県と連携をしていただきたいと思います。

 私が別の方から聞いたお話、横浜市ですけれども、知的障害のある息子さん、この方がなかなかやはり受診機会が保障されないということで、受診機会が奪われたために健康を損ない、そして知的障害者の方が平均寿命が短いということになっているのではないかと、非常に懸念の声をいただきました。悲しいことだと思います。だからこそ、今大臣にお話をしたとおり、周知をしていただきたいと思います。

 その一方で、横浜市は、アンケート調査を、障害者の外来受診に関する調査を医療機関に対して今行っているところです。これを行わなければならないぐらいやはり問題が多いということを横浜市も、それから都道府県も自覚をしているんだとは思いますけれども、そうしたことの結果も是非、大臣にはよく読んでいただきまして、親族以外の付添いを認める、そうした合理的配慮なしに、障害やコミュニケーション能力のみを理由にして外来診療を拒否することがないように、そして、これは医師法所管の部署も一緒に、省を挙げて、是非全力で、大臣のリーダーシップの下、取り組んでいただきますよう強く要望をしたいと思いますので、お願いいたします。

 続きまして、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に資する情報通信機器の普及について伺います。

 これは、参議院委員長提案の法案第十一条におきまして、国及び地方公共団体はその開発及び普及に取り組むこととされております。しかし、そのためには、米国リハビリテーション法五百八条のように、国や自治体が率先をしてそれらを活用した役務の優先調達に取り組むべきと考えますが、大臣の御見解を伺います。

後藤国務大臣 障害者による情報取得等に資する機器等の開発及び普及の促進並びに質の向上は重要でございまして、これらに資するように、内閣府、デジタル庁、総務省等の関係府省庁と連携して取り組んでいく必要があるものと認識しております。

 委員御指摘の障害者による情報取得等に資する機器等を活用した役務の優先調達については、関係府省庁による検討結果を踏まえて、厚生労働省としても適切に対応していきたいと思っております。

早稲田委員 米国のリハビリテーション法というのを申しましたけれども、国や自治体でその優先調達が広がれば、技術開発それから普及が、もちろん民間にも広がっていくということで、非常に大きな影響を与えると思います。環境省ではグリーン購入法などありますので、こうした先例も参考に、是非、国、自治体の優先調達について、立法についても御検討をいただきたいと思いますので、大臣、よろしくお願いいたします。

 次の質問に参ります。

 ちょっと順番を変えまして、手話言語法の制定、立法について全自治体から意見書が出ておりますことについて伺います。

 全日本ろうあ連盟によりますと、資料二の方を御覧ください、二〇一六年三月までに全ての都道府県議会及び市区町村議会において、国に手話言語法の制定を求める意見書が採択をされております。そして、その後も国の取組が進まないことに対して、自治体独自の取組として、資料のとおり、手話言語条例を制定した自治体は四百五十を超えております。

 そのような状況の中で、大臣、今回、障害者情報アクセシビリティー、コミュニケーション施策推進法案が制定された暁には、このような自治体の取組を真摯に受け止めていただきまして、手話を言語として位置づけ、手話の獲得、それから学ぶ、守ることを法制化する手話言語法の制定に向けて国としても是非進めていただきたい、取り組むべきではないかと思いますが、御見解を伺います。

後藤国務大臣 聴覚に障害のある方に限らず、全ての障害のある方々が、社会の様々な分野において、必要な情報の取得や利用、円滑な意思疎通を行うことができるようにすることは重要であるというふうに認識いたしております。

 このため、法案において、基本理念や関係者の責務、基本的施策等を定めて、関係者の取組を進めていくこととしているものと承知をいたしております。

 厚生労働省としては、まず本法案について円滑な施行に向けた取組を進めることによりまして、聴覚に障害のある方々も含めた、障害のある方々に対する支援の充実に努めてまいりたいと思います。

早稲田委員 支援に努めたいということでございますが、手話言語法、この制定についてしっかりと前向きに取り組んでいただきたいと思います。これだけ条例が地方にできているということは、やはり必要であり、そして、そのことを待ち望んでいる方々がたくさんいらっしゃるということです。手話を言語として位置づけ、手話の獲得、学ぶ、守ることを法制化する手話言語法は絶対に必要だと私は思いますので、是非、大臣も思いは御一緒だと思いますので、この制定に向けて取り組んでいただくことを強く要望をさせていただきます。

 それでは、最後の質問になりますが、情報コミュニケーション、アクセシビリティーに関するワンストップの相談窓口の必要性についてであります。

 例えば、視覚障害者が銀行のATMで不便を感じたとき、また聴覚障害者が映画館で字幕を読むとき、なくて望むとき、どこに相談すればいいんでしょうか。金融庁でしょうか。経産省でしょうか。文化庁でしょうか。分からないわけなんです。もちろん自治体にはそれなりに相談窓口がございますが、じゃ、都道府県をまたがる場合はどうなのか。やはり国に相談する窓口が必要だと私は考えます。

 自治体には既に障害者差別解消法の相談窓口がありまして、先般、私も、その大変な業務に本当に真摯に取り組んでいらっしゃる方の現場を見せていただきました。

 そこで、自治体においては障害者差別解消の相談窓口がこの分野に関しても併任をして、どこの省庁に関わるか分からない、不明な相談においては、やはり国として、まず内閣府で受けるワンストップの窓口を設置すべきではないかと考えますが、内閣府に伺います。

難波政府参考人 お答えいたします。

 共生社会の実現に向けまして、障害のある方が、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加するために必要とする情報を取得、利用することであるとか、あるいは円滑に意思疎通を図ることができるよう、障害のある方による情報の取得、利用、意思疎通に係る施策を総合的に推進することは大変重要であると考えているところでございます。

 今般の障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案、こちらの第十四条におきまして、国及び地方公共団体は、障害者からの各種の相談に応ずるに当たっては、障害者がその必要とする情報を十分に取得し及び利用し並びに円滑に意思疎通を図ることができるよう配慮するものとされていると承知をしております。

 この法案が成立した場合には、国や地方公共団体におけるそれぞれの相談窓口において適切に相談対応されるものと認識をしているところでございます。

早稲田委員 私が伺っているのは、適切に対応されると思いますということではなくて、これは、内閣府の障害者政策委員会でも、これまでも、障害者差別解消法のワンストップ相談窓口を内閣府に設置すべしとの意見も出ておりますね。ですから、まずは内閣府でこれを検討していただけないか、この新法についても、ワンストップの相談窓口、検討していただけないかということでありますので、是非その点についてお答えいただきたいと思います。

難波政府参考人 お答えいたします。

 大切なことは、相談をされた内容の解決に向けまして、適切な行政機関において適切に相談対応することが望ましいというふうに認識をしております。

 仮に所掌外の相談事案については、これは速やかに関係する相談窓口に伝えるといった形で、関係機関における連携というものがまず極めて重要ではないかと考えているところでございます。

早稲田委員 適切にとおっしゃいますけれども、それができない事例があるからお聞きをしているんです。都道府県をまたがる事例、では、先ほどの、銀行のATMで不便を感じたときどうするのかということは、民間の銀行さんのお話ですけれども、それだけでは前に進んでいかないからこういう要望が来ているわけです。

 是非、内閣府におかれましても、これは障害者差別解消法のワンストップ相談窓口においても言われていることですよね。ですから、今回のこのアクセシビリティー法案についても、やはり相談窓口というものは内閣府の方で受けていただくのが自然な形だと私は思うんです。ですから、是非前向きな検討をしていただきたいと思いますが、もう一度、検討についていかがか、お答えください。

難波政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、適切な行政機関が適切に相談対応するということが大変望ましい、そのためには、まずもって関係機関の連携というものが極めて重要であると考えているところでありまして、そのために、内閣府としても、関係機関と連携をしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

早稲田委員 大変残念な答弁でありますけれども、関係機関との連携、適切な対応、それは皆さんが当然同じように思っておられます。それでもできないから、このように伺っております。是非、これは厚労省とも、それから関係機関とも相談をしながら、内閣府で前向きに、ワンストップの相談窓口、適切に考えていただくことを強く要望いたします。

 今日は、このアクセシビリティー、コミュニケーション施策推進法案、これを私も是非進めたい、そして制定をして、今までの大変長年の願いであった皆様の御要望を一歩でも前に進められるように私たちも協力をしていきたいという思いで質問をさせていただきました。一つの失語症の方の案件も含めて、私は大変重要な法案だと思いますので、是非、大臣におかれましては、これは超党派でやります議員立法でありますから、是非、その中身を具体的に一歩でも二歩でも前進をさせるように御尽力をいただきますことを要望いたしまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 これまで二回通告させていただいて、二回とも実は空振りをさせてしまった件がありますので、それを先に質問させていただきたいと思います。

 新生児マススクリーニングの話です。

 赤ちゃんが生まれたときに、新生児の赤ちゃんに対して公費助成の下で遺伝子検査をする、その中で先天性とかあるいは遺伝性の病気がある場合に、あるかどうかをチェックをして、それを発見して早期治療につなげるというマススクリーニングというのを今、公費助成でやっておりますが、現在、二十疾患が対象になっている、二十疾病が対象になっているということです。これは、早期に発見して早期に治療ができれば、重症化して亡くなるような幼い命であったりとか、あるいは、ずっとかなり重い治療が必要になるような子供を救うことができるというものです。

 このマススクリーニングの対象になっている疾患の要件というのがありまして、それは、まず、検査法が確立しているかどうかというのが一つ。もう一つは、治療法があるかどうか。当然、発見しても治療法がないとどうにもならないので、治療法があるかどうかということです。

 どんどん医療が発達するにつれて、どんどん治療薬が出てくるとか治療法が確立していくという中で、この対象疾患というのはどんどん拡大していくものだというふうに理解していますが、現在の取組について伺いたいと思います。

橋本政府参考人 新生児の先天性代謝異常等検査につきましては、これまで、検査技術や治療法等の進展を踏まえまして、検査方法や対象疾患を拡充し、現在は、早期発見、早期治療により知的障害等を予防することが可能な二十疾患を対象といたしております。

 近年、関係学会等から対象疾患追加ということの必要性も指摘されておりますので、日本医療研究開発機構、いわゆるAMEDでございますが、こちらにおきまして、先天性代謝異常等検査の対象疾患を選定する基準等に関する研究を実施しているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、これらの研究成果等を踏まえて対応を検討してまいりたいと考えております。

伊佐委員 今日私が申し上げたいのは、この検討をちょっと加速化していただきたいという話なんです。

 今局長から話があったのは、AMEDでまず、どの疾患を対象にするかという選定基準の確立のための研究を今している。これは三年間のAMEDのプロジェクトで、今年度が最終年度です。

 ただ、私が聞いているのは、じゃ、ここから新しい疾患が追加されていくかと。そうじゃなくて、今度、この基準をどうやって使うかという検討を次にするということなんだそうです。どういうふうに決めていくか、この基準をどう使うか、例えば審議会をどうつくっていって、どういうメンバーにするか、あるいは、どれぐらいの期間をかけて審査するかとか、そもそも、候補となっている疾患をどういう順番で審査するかとか、まだこういうのを、その後、来年以降、検討して、そこから具体的な一つ一つの疾患の審査が始まるということなんだそうです。

 例えば、私が聞いたのは、SMAという疾患があります。これは脊髄性筋萎縮症というものです。九割以上の赤ちゃんが二歳までに亡くなります。あるいは、永続的な呼吸補助が必要になるというような疾患なんですが、このSMAに対して最近新しい薬が承認されました。保険収載もされました。遺伝性の疾患なので、マススクリーニングで分かります。薬があるので、早期に投薬できれば、SMAじゃない子供と同じように育つことができる。だから、検査法もあるし、また治療法もあるんです。ただ、このプロセスが遅いから、あと何年待たなきゃいけないのかという状況になっています。日本では毎年五十人が発症する。

 海外の状況を見ると、例えばアメリカだと、SMAがマススクリーニングの対象に四十四州でなっています。日本の周辺だと、台湾でもなっています。日本はどうかというと、当然、今、政府はしてくれていないわけですが、自治体独自にもうやっているところもあります、九府県。私の地元の大阪もやっています、大阪府も、大阪市もやっていますが。

 だから、このSMAも含めて、マススクリーニングの対象拡充の議論、何年も待つんじゃなくて、もうちょっと加速化させていただきたいと思いますが、いかがですか。

古賀副大臣 今、伊佐進一議員から、新生児マススクリーニングの対象疾患拡大の議論、プロセスについて丁寧に御説明いただきましたし、脊髄性筋萎縮症、SMAについても解説いただきました。

 先ほど局長から答弁させていただきましたように、現在、日本医療研究開発機構、AMEDにおいて、御指摘のSMAも含めて、新生児マススクリーニング検査の対象疾患を選定する基準等を研究中というのが現状でございます。

 こうした中で、先ほど御紹介いただきました選定の基準のほかに、例えば、検査や診療体制の整備、こういうことがきちんと整っているのかどうか、あるいは、倫理的、社会的な課題、遺伝のいろいろな扱いもありますので、こういったことについてもトータルで検討が必要だというふうに考えております。

 そして、今、諸外国の事例も、あるいは自治体の状況も御説明いただきました。こういった研究結果等を踏まえた上で、海外の状況もしっかり踏まえた上で、できることをしっかり取り組めるように、迅速に対応できるように、検討を進めてまいりたいと考えております。

伊佐委員 迅速に対応を進めてまいりたいというお言葉がありました。

 今の、答弁では確かにここまでなのかもしれないんですが、ちょっと、是非、古賀副大臣、また指示していただきたいと思うんです。この病気だけでも年間五十人なっていますので、遅れるごとに当然亡くなる子供もどんどんいらっしゃるわけで、本当は救うことのできる命なはずだと思いますので、是非ここは、副大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、ちょっと、コロナの後遺症について質問させていただきます。

 コロナの後遺症、私、この厚労委員会でも、予算委員会でも取り上げました。また、党の厚労部会でも取り上げて、いろいろな方にも来ていただいて、ヒアリングも重ねてまいりました。公明党の山口代表も、コロナの後遺症の対策はしっかり党として取り組むというふうなことも表明をしていただいております。その中で、ちょっと何点か質問したいと思います。

 まず、政府は、コロナの後遺症の患者、今何人ぐらいいるというふうに認識をしているのか、あるいは、この後遺症に対応してくれる医療機関がどれぐらいあるというふうに認識しているかについて伺います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルスの罹患後症状、いわゆる後遺症につきましては、いまだ明らかになっていないことも多く、厚生労働省においては実態や病態を明らかにするための研究を行っております。

 罹患後症状を有する方の人数につきましては、国内における罹患後症状の定義が現在定まっていないため、その把握は困難でありますけれども、令和三年度の調査研究によりますと、多くの罹患者はその症状が改善しているものの、診断の六か月後の時点で一〇%以上認められる症状として、疲労感、倦怠感、息苦しさ、睡眠障害、集中力、思考力の低下が挙げられております。

 また、罹患後症状の診療に当たっては、特定の医療機関のみが診療を行うのではなくて、かかりつけ医などが通常の医療の中で診療し、必要に応じて専門医の受診を勧める体制を構築することが重要と考えており、例えば、厚労省では、罹患後症状のマネジメントに関する診療の手引を作成するなど、行っているところでございます。

伊佐委員 今のは、一〇%と数字をおっしゃっていただきました。大体、現場で後遺症を診ていらっしゃる、外来で診ていらっしゃる先生の感覚でも、一〇%ぐらいだなという感覚です。そうすると、今、感染者数、これまで累積八百四十万人です。八十万人が、実は、後遺症、何らかの形で何かが残っているという状況だと。私自身も、コロナに罹患して、倦怠感もありましたし、味覚障害もありました、今はよくなりましたけれども。だから、やはり、一〇%ぐらいという方々がいると、八十万人という状況です。

 医療機関、どれぐらい診られるかというのも、かかりつけ医というふうにもおっしゃっていただきましたが、本当に、じゃ、今、現場で、かかりつけ医の先生にコロナの後遺症ですと言って診てくれるかというと、いやあ、ちょっと分かりませんというのが現状じゃないかと思っています。だから、これも、いかに診てくれる医療機関を増やしていくかというのが大事で。

 埼玉県の医師会の先生方と意見交換をしたときに、埼玉県並びに医師会の皆さんがやっている取組は、とにかく、後遺症を診療された方がその経験をどんどん蓄積していく、これを横展開で共有していっています。そうすると何が起こるかというと、例えば、これはまだエビデンスは確立していないけれどもこれが効いたとか、これが使えるんじゃないかという情報がどんどんどんどん広がっていくわけですよ。そうすると、ああ、じゃ、うちでもちょっと診ようかというふうに、診てくれる医療機関が広がっていきます。

 だから、こういう地域の取組、経験を蓄積して共有する、こういうところを是非政府として後押しをしていただきたい。これができれば、診てくれる医療機関がどんどん増えていくと思いますので、是非この取組をお願いしたいと思いますが、いかがですか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、臨床現場の経験の蓄積、共有は非常に重要なことだと思っております。

 厚生労働省におきましては、実態や病態を明らかにするための研究を行っておりまして、これまでに得られた国内外の科学的知見に基づき、かかりつけ医などを対象とした診療の手引を研究班において作成して公表しております。

 この診療の手引の作成に当たりましては、実際に罹患後症状を有する方を診察されている臨床の医師も参画されまして、また、最新の科学的知見に加えまして、医療現場での経験や知識を盛り込み、臨床現場や行政において活用いただけるようにしております。

 作成した手引につきましては、各都道府県や医師会を通じて全国の医療機関に周知をしているところであり、これも幅広く御活用いただきたいというふうに考えております。

伊佐委員 手引も分かるんですが、後でもし時間があれば手引の質問もしようと思いますけれども、政府の示していただいている手引、私もお願いしてやっていただいて、改定も今回していただきました。これは非常にありがたいんですが、やはり政府がまとめると、確実に、なかなか、安心して情報提供できる、ある意味、エビデンスがある程度はっきりしているものしか書けないじゃないですか。でも、私が言っているのは、そこを待っているとなかなか進まないので、地域が独自にそうやって情報共有していくような、こういう取組を応援してほしいということなんです。これは是非、また引き続きお願いしたいと思いますが。

 あと、さっきちょっと医療提供体制の答弁の中でおっしゃっていただいた、かかりつけ医と専門医の連携、これは非常に大事です。

 もう皆さん御案内のとおり、今、後遺症といっても本当に人によって症状が全然違いますので。倦怠感の方もいれば、味覚障害とか、ブレーンフォグというような本当に思考力が低下するとか、あと、呼吸器系の後遺症が残っている方、脱毛とか、うつとか、いろいろなものがあります。だから、それぞれ、増悪していったときに、診てくれる科が違うわけですよね。だから、まず裾野を広げて、かかりつけ医でしっかり診られるようにしていただいて、その上で、増悪したときにちゃんとそれぞれの専門科につなげられるような、こういうかかりつけ医と専門医の連携できる体制というのをそれぞれの地域でつくっていく必要があると思います。

 ここをまた、是非、厚労省、政府としても後押しをしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 かかりつけ医や専門医の方々には、先般作成されました診療の手引を活用して、患者の症状に合った対応をお願いしているところでありますけれども、この手引の中では、かかりつけ医がどの範囲まで対応して、また経過観察をするのか、そしてどのタイミングで専門医等の受診を勧めるのか等について、それぞれの症状毎に共通の項目を設けて記載をしているようなところでございます。

 厚生労働省としては、こうした取組を通じて、かかりつけ医と各分野の専門医の方が連携して必要な医療を提供できるよう努めていきたいというふうに考えております。

伊佐委員 是非、連携してという形をつくるのは地域なんですけれども、そこをしっかり政府として後押しをしてほしいという趣旨でございます。

 副大臣、質問させていただきますが、そもそも、後遺症の発症のメカニズム、コロナ自体も分からないことはたくさんあるし、後遺症も分からないことだらけという状況で、メカニズムも分からないし、当然、根本的な治療法というのも分かっていないという状況の中で、例えば、アメリカは、千四百億円、十一・五億ドルを使って後遺症についての調査研究を今やっています。イギリスでも、三十億円かけて調査研究をしています。日本はどうかというと、三つの調査プロジェクトを数億円でやってきた。しかも、今やってきたのは聞き取りの調査なんですよ。今こういうので大変ですか、どうですか、何か月後どうなりましたかと。それももちろん大事なんですが、もうちょっと、メカニズムとかこういうものも含めた、サイエンスとしての調査研究をしっかり進めていくべきじゃないかというふうに思います。

 さっき埼玉県の例も申し上げましたけれども、やはり、現場のリアルワールドデータというか、臨床の経験みたいな、これも、データもちゃんと収集をして、蓄積をして、そこから調査研究をしっかり政府としても取り組むべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

古賀副大臣 今御指摘いただきました研究、しっかりやっていくということにつきまして、まずやはり、研究開発において実態を明らかにするということがまず第一歩目として大事だというふうに考えております。

 そして、まさに伊佐議員から御指摘あったように、その実態や病態を明らかにするために、令和二年度から、厚生労働科学研究におきまして、実態把握、原因究明の調査研究を実施しております。一つの研究は既に最終報告、そして、残り二つも現在、中間報告の段階で、今月末には最終報告が出るというような状況にあります。

 そして、今年度、令和四年度も、新型コロナウイルス感染症で入院した患者を対象に、退院後の追跡調査を行うことで、罹患後の症状の実態の把握を行い、中長期的な予後に関連する要因等について検討する調査研究を行うこととしております。

 研究だけでなく、しっかり、その解明という意味におきまして、後遺症の発症メカニズムにつきまして、日本医療研究開発機構、AMEDにおきまして、令和三年度から、病態解明に係る研究も実施しているところであります。

 予算面の、先ほどアメリカの事例も出していただきましたが、今後とも、臨床現場で得られた知見から、発症メカニズムの解明、さらには治療法の開発につなげられるように、研究に対する支援、予算面も含めて検討してまいりたい、支援してまいりたいと考えているところです。

伊佐委員 副大臣がおっしゃった、まず実態把握するというのはそのとおりで、そこまで、今まで一生懸命やっていただいていたというふうに思います。

 今おっしゃっていただいた調査研究というのは、私が知る限りでは、決してサイエンス、サイエンスというか、どっちかというと、アンケートで、どれぐらい症状が続いていますか、あるいは、罹患されて後遺症がある方のフォローアップ、どうなりましたかというのが中心だと思います。しかも、額もたしか、今年度から始まったのも一億か二億ぐらいだったと思います。そうじゃなくて、私が申し上げているのは、もうちょっと医療科学としての、本当にデータもこれだけ臨床現場はいろいろな、日々、後遺症とも接しているわけで、データも蓄積しながら、このデータを活用して、ちゃんと調査研究を進めていく。いろいろな切り口があると思います、いろいろな研究ができると思うので、ここを進めていただきたいということです。

 最後にもう一問、副大臣。

 この後遺症の大変なところは何かというと、いろいろなお医者さんや現場の話を皆さんにお伺いすると、身体的症状ももちろんよく分かっていない、何が起こるか、でも、それだけじゃなくて、精神的な症状もいろいろな課題があるんですと。

 直接、コロナから精神的な症状に、うつになったりとかというのもあるし、あるいは、社会的な問題、家族とか仕事とか社会的な認知が足らないから、例えば、職場の理解で、気のせいだ、サボっていると言われたりとか、あるいは就学とか就労の面で困難に直面していたり、不当な差別があったり、こういうのがあって、今度は逆に精神的に追い詰められて自死に至ったケースも伺っております。

 そういう中で、本当に複雑に絡み合っていまして、身体症状が分からないからコロナ後遺症という診断がつかない。当然つかないと思いますけれども。コロナ後遺症という診断がつかないと、労災保険とか傷病手当金が受けられませんでした、本来受けられるはずなんですけれども、というような例も聞いています。

 そういう意味では、病院とかクリニックだけじゃなくて、例えば、労災保険とか傷病手当金であれば医療ソーシャルワーカーの支援も必要だと思いますし、あるいは生活困窮者の支援の相談窓口との連携とか、職業安定所とか、いろいろな課題があるので、いろいろなこういう人たちが一体となって取り組むような体制をつくっていかないといけないというふうに思いますが、最後、お願いします。

古賀副大臣 コロナ後遺症の方へのサポート、大変大事な御指摘をいただいたと思っております。

 先ほど来答弁させていただいている中で出ている診療の手引について、その病状、身体的病状だけでなくて、精神病状につきましても、具体的なアプローチの方針、方法だったり、こういったものを医療事業者の方々に活用いただく、病状に合った対応をお願いしているということも手引に触れているところであります。さらに、罹患後の職業復帰支援、産業医や人事労務管理担当者との連携だったり、様々な留意点についても記載しているところです。

 こういった、厚生労働省としまして、手引をしっかり周知していくとともに、都道府県労働局あるいは労働基準監督署に対して、新型コロナの感染罹患後の症状につき、労災保険給付の対象となる旨を通知しているところです。

 ただ、通知だけでは駄目だということだと思いますので、しっかりこういった手引を基に連携が図られるように、厚生労働省として必要な支援をしっかりやっていきたいと思っております。

伊佐委員 各地域ともしっかり連携を取りながら、お願いしたいと思います。

 以上、終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 本日は、まず、地域医療構想について御質問したいと思います。

 このコロナ以降の、コロナが起きてから、地域医療構想が一体どうなっていくのかということで、先日、三月四日に、厚労省の第八次医療計画等に関する検討会で、今回のコロナウイルスの感染拡大により、様々なことはあるんですけれども、やはり、面として医療をきちっと提供する、その重要性が改めて認識されたということを言われております。とはいえ、地域医療構想は引き続き人口減少、高齢化の中でやはり進めていかなきゃいけないんだ、こういうことをおっしゃっているわけですけれども。

 例えば、全国知事会が、四月の十二日に、日本医師会との協議の中で、知事会の社会保障の常任委員会の中で、今、第八次の、地域医療構想の方針を策定するのを二三年度にやるということですけれども、これをもう少し延ばしてくれないかと。やはり、コロナの対応の検証、それから、そういったことをきちっともう一回協議する時間が必要だ、これをすぐやらないでほしいということを言っております。

 また、去年十一月の日経新聞に出ていましたけれども、厚労省が、地域医療介護総合確保基金ということで一千億以上のお金を投入して、こういう言い方はあれですけれども、いわゆる不採算な病院等を統廃合するんだ、この基金を使ってこれをやっていきなさいということを推進されていたわけですけれども、実際は、この基金が一千億円以上使われずに、塩漬けで残っている。ほとんど、自治体で計画を作って病床を再編するんだということが進んでいない、七割ぐらいお金が使われないで残っているということが出ております。

 そしてまた、今年の一月、日本世論調査会でも、これはごく普通の方に、病床の削減をずっと地域医療構想で進めようとしているけれども、これをどう思うかということで、いや、それは困る、やはりコロナがあって、どんどんどんどん病床を削減していくという地域医療構想は考え直してほしい、懸念があるという方が八四%と出ております。

 さらに、これはちょっと総務省の方の管轄になりますけれども、公立病院の統廃合を撤回する、総務省は方針を転換したんだ、こういう報道がなされました。コロナの対応でやはり地域の病院は非常に貢献しているんだから、一概に統廃合を進めるのはよくないんじゃないかということで、幾つかの新聞が、公立病院の統廃合は撤回するという総務省の方針を出したということが出ておりました。

 このように、コロナ以降、地域医療構想の見直しを求める声というのが、私たちの中からも、国民の中からも高まっていると思いますけれども、厚労省としては、先ほど申し上げましたように、そういった事実、そういったことも認めながらも、しかし、でもこの構想を進めていくんだという立場のようですけれども、私たちの思いや、また地域の実情、実態、こういったものと少し乖離しているんじゃないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 厚生労働省では、コロナ対応が続く中でも、人口構造の変化を見据えつつ、地域の医療ニーズに応じて、医療体制の確保に向けて地域の医療体制を取り組んでいくことは重要だというふうに考えています。

 そのために、地域医療構想は、病床の削減とか統廃合ありきではなくて、各地域において各々の実情を踏まえて十分に御議論いただいた上で、不足する機能の確保と医療機関の間の役割分担や連携といった取組を進めるものでありまして、この方針で進めてきたことについて、やはり作業を続けていく必要がある、変更はないというふうに考えています。

 また、昨年十二月に、地方自治体の参加を得て開催いたしました地域医療確保に関する国と地方の協議の場では、第八次医療計画の策定作業と併せて、二〇二二年度と二三年度に、地域医療構想に関する各医療機関の対応方針の策定等を進める方針については、確認をしているところです。

 ちなみに、第八次医療計画については、感染症の対応等についても医療計画を策定していく。病床上限だとか、そういうことについて議論するときには、そこを勘案することになっておりますけれども、いずれにしても、根っこにおける地域医療構想の、人口の減と地域医療のニーズに即した地域医療体制を進めるという作業については、これは変更なく進めていく。

 時期が少しずれていることによって配慮せざるを得ないところはもちろんあろうかとも思いますけれども、そうしたことも踏まえて、地方自治体とは今後とも十分に連携をしながら、地域医療構想、またその後の医療計画との連携等も含めて、丁寧に取組を進めてまいりたいと思います。

野間委員 二〇一九年に、全国四百三十六もの病院名を挙げて、統廃合をやるんだということで、非常に私どもの地方でも、高齢化が進んで病院がなくなるのかということで、大変衝撃、ショックを受けております。そういったことからも、やはり、地方自治体も、また地域住民も、正直、抵抗しているわけですね。ですから、おっしゃる意味も分かるんですけれども、余り、進めて、田舎を壊すようなことをしないでいただきたいと思います。

 同時に、三月四日の資料でも、第八次の医療計画は、やはり、かかりつけ医の機能も、充実に努めてきたということなんですけれども、私ども、かかりつけ医の制度をきちっと法制度としてやるべきだということも言っておりますので、併せてそこもきちんとこの計画、構想の中に入れていっていただきたいと思います。

 そして、総務省にお聞きしたいんですが、この公立病院の統廃合、こういった先ほど申し上げた報道がされていますけれども、どうも事務方にお聞きしたら、いや、そうじゃないんだ、そのままやるんだというような話もありまして、どうも世の中で理解されていることと違うんですけれども、この辺はどうなんでしょうか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 公立病院は、今般の新型コロナ対応におきまして大きな役割を果たしておりまして、その重要性が改めて認識された一方で、医師不足等によりまして、依然として厳しい経営状況に直面してございます。

 その中で、持続可能な地域医療提供体制を確保するには、病院や経営主体の統合よりも、病院間の役割分担と医師派遣等による連携強化に主眼を置いた機能分化、連携強化を推進する必要があるということから、今回のガイドラインに盛り込んだところでございます。

 片やその一方で、前のガイドラインは再編、ネットワークという言葉を使用しておりましたが、これにつきましても、もとより病院の統合のみを前提とするものではございません。

 また、総務省といたしましては、従来から一貫して、公立病院の在り方につきましては、各自治体において、地域の実情を踏まえつつ主体的に決定すべきものと考えてございまして、議員御指摘のように、方針転換をしたというわけではございません。

野間委員 このコロナの状況の中で、公立病院が全国に占める病床の割合は一三%ですけれども、各都道府県が感染第五波前の昨年六月に確保したコロナ病床の三二%が公立病院だったということで、やはり感染症の拡大については、公立病院の果たす役割というのが非常に大きい、非常に貢献をしたということが私どももよく分かっていることでありますので、今、方針転換ではないということですけれども、そういった声も十分お分かりだと思いますので、統廃合を急速に進めて、地域の医療を壊すようなことがないようにお願いしたいと思います。

 続いて、水俣病のことについて御質問をさせていただきたいと思います。

 恐らく委員の皆さんも、水俣病は、今年、最初の発症をしてから六十六年目になりますので、もう終わった話だ、もう全部済んだんじゃないか、患者さんも救済されたんじゃないかと思っている方も多いんじゃないかと思いますけれども、残念ながら、水俣病は、いまだに大きな問題として、私たちの目の前に残っている課題であります。

 私も、自分の地元鹿児島県、お隣、熊本県、そして新潟の水俣病、こういった皆さんは、いまだに水俣病として認定されずに困って、苦しんでいる方がいるわけであります。

 今、まだ水俣病の症状が確かにあるんだけれども、また、その地域に住んで水銀に汚染された魚を確かに食べていたんだけれども認定されないという人たちが、未処分の方が二月時点で千六百三名、そして今、熊本、東京、新潟、大阪で、認定を求めて、国を相手取って訴訟している方が千七百三十八名、合計で三千三百名を超える方が救済されずに争っているところであります。恐らく、声を上げていない方も考えますと、この数倍の方がまだまだ救済を受けずに苦しんでいるのが現状であると思います。

 本来は、水俣病は環境省の所管であります。環境省、環境庁がなぜできたかといえば、水俣病が発生した、この日本で初めての公害に対応するための官庁として環境庁ができたわけですけれども、当然、水俣病は環境省が所管するものでありますけれども、なぜ、今日、厚労省にお聞きするかということなんですが、環境省は、水俣病であるという蓋然性が五〇%以下の場合、この人たちは水俣病じゃないんだというふうに認定しております。ですから、政府によれば水俣病じゃないんだという方がやはり多くいるわけですね。

 これは、二〇〇九年、平成二十一年に、水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法、特措法において、過去に通常起こり得る程度を超えるメチル水銀の暴露を受けた可能性があり、かつ、四肢末梢優位の感覚障害を有する者及び全身性の感覚障害を有する者その他の四肢末梢優位の感覚障害を有する者に準ずる者は、水俣病とは認定されないけれども、被害者手帳、これは医療費が無料になったりします、それと一時金が支給されたんですね。ですから、水俣病患者じゃないんだけれども、水俣病被害者というグレーゾーンのカテゴリーをつくって、そういった人も救済しようかということをされたんです。

 その頃、二〇一〇年、この法律ができた頃、水俣市で、若いときから汚染された魚を食べていった人たち、四十歳以上の住民、一万八千九十二人いたんですけれども、そのうちの六千四十六人、つまり三三・四%の人がこの被害者手帳と一時金をもらっているんですね。つまり、その人たちは、準ずる、水俣病の患者ではないけれども、水俣病の被害者というカテゴリーに入れられて、そういった措置が取られたんですけれども、こういうグレーゾーンをつくったことによって、本当に水俣病なんだけれども救済されない人たち、このカテゴリーに入れられてしまう、非常にこれで困っているんです。

 この水俣病のことをずっと追っている日本精神神経学会、これは一九九八年に患者さんたちをみんな調査しました。それによりますと、四肢末端優位の感覚障害のみがあり、熊本において有機水銀に暴露した患者さんは、有機水銀暴露のない同様の患者さんの百十二・四倍、したがって、その暴露してその症候を持つ患者さんの九九・一%が水俣病と認定し得るということを言っているんですね。ですから、そういうグレーゾーンをつくってしまったということが大きな間違いではなかったのかと思います。

 そこで質問なんですけれども、チッソによってメチル水銀の海中廃棄が行われた水俣市、四十歳以上の住民の三三・四%に神経疾患が認められているにもかかわらず、これは水俣病でないとされています。

 それでは、水俣病でないとすると、これは何の病気なんでしょうか。また、どんな疾患によって神経障害や四肢感覚障害、そういったものが起きるのか。その原因究明や対策を講ずるのは厚労省の役割ではないかと思います。一種の食中毒ですね、水銀の入った魚を食べたということで、食中毒でもあります。ですから、それは食品衛生上の調査や報告義務もあると思います。

 そしてまた、昔の資料を調べますと、水俣病が公式確認された昭和三十一年から、国の食中毒統計というのがあるんですが、そこにこの水俣病も入っているんですね。食中毒として入っています。ですから、厚労省は、当然、水俣病でないというのであれば、では、それ以外のほかの病気だということをきちっと特定していただいて、どう対処したらいいのか、そういうことを明らかにするのが役割だと思います。

 釈迦に説法で恐縮ですけれども、厚労省の設置法の第四条、所掌事務で、「原因の明らかでない公衆衛生上重大な危害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態への対処に関すること。」これは所掌事務である、また、「飲食に起因する衛生上の危害の発生の防止に関すること」、これも所掌事務であるということでありますので、環境省が水俣病でないと言っている皆さんたちの症状、その疾患、これは一体何なのかということをお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。

武井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の食品衛生法の規定については、食品に起因して中毒し又はその疑いがある者を診断した医師に対し、直ちにその旨を届け出るよう義務づける規定であります。

 食品衛生調査会の答申があった昭和三十四年十一月十二日から、新たな水俣病の発症者を見なくなった昭和三十五年までの時期においても、当該届出は行われなかったと認識しておりますが、既に水俣病に関する全体的な情報を把握できていたことから、同条に基づく報告を受ける実際上の必要はなかったものと考えているところです。

 また、現在のところ、熊本県からは、国に対して、原因不明の水俣病に類する食中毒が発生している旨の報告はなされておりません。

 さて、公害による健康被害である水俣病の認定については、公害健康被害の補償等に関する法律により判断されているものと承知しております。また、判断条件を満たさないものの救済を必要とする方々については、水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法等により救済が図られたものと承知しております。

 御指摘の方々については、こうした制度の下で被害を訴えられているものであり、制度を所管する環境省において対応されているものと承知しております。

野間委員 そうしますと、法律上の救済措置でいわゆるグレーゾーンの方々を救済したということなんですが、その人たちは、でも、水俣病ではないということですね、環境省の認定としては。そうすると、その方々は何という病気になるんでしょうか。いかがでしょうか。

武井政府参考人 お答えいたします。

 現在のところ、そうした疾患名について報告されたり、それから保健所等を通じて報告がなされておりませんので、当方として承知している、そういう疾患ではございません。

野間委員 そういう御答弁しかできないのかと思いますが、結局、環境省が切り捨ててしまった人たち、これをきちっと認定して、また原因を究明するのは、私は厚労省の役割だと思います。

 いかがでしょうか、大臣。こういったことが、現実が起きているということです。いかがでしょうか。

後藤国務大臣 御指摘の方々、点については、こうした制度の下で被害を訴えられているものでありまして、制度を所管する環境省において対応されているものと承知をいたしております。

野間委員 それ以上はなかなか言えないのかと思いますけれども、いずれにしても、こうやって、環境省の方でも、まさに水俣病に対処するためにできた役所自体が切り捨ててしまった人たちの救済がなされていないというのが今の現状でありますので、厚労省としても、本来であれば責任を持って対応していただきたいと思います。

 続きましての質問に移ります。

 これはILOということで厚労省とも関係のあることではありますけれども、総務省の課題になると思います。消防職員の団結権についてお聞きしたいと思います。

 我が国では、ILOから、二〇一八年までに何と十一回にわたって、消防職員にも労働者として団結権を認めるべきであると十一回にわたって勧告されています。昨年は韓国の消防職員に団結権が与えられて、OECDに加盟している二十一か国中、日本以外の全ての国の消防職員には団結権が与えられています。また、ILOの八十七条批准国、全世界百五十五か国でありますけれども、これで団結権を消防職員に与えていないのは日本だけであります。

 その理由、よくこれは総務省がおっしゃることは、いや、我が国の消防職員というのは先進国の中でも非常に特異なんだ、特別な存在理由があって外国と同じようにできないんだ、こう言われるんですけれども、その理由、その特異性というのは一体何なんでしょうか。

鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。

 消防職員については、地方公務員法第五十二条第五項において警察職員とともに団結権が制約されていますが、これは、公共の安全等を維持するために厳格な指揮命令系統の下に活動することが必要など、警察との類似性があるからであります。

 消防職員の団結権を含む地方公務員の労働基本権の在り方については、国家公務員制度改革基本法附則第二条において、「国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって、検討する。」と規定されております。

 国家公務員の労働基本権の在り方については、政府として、多岐にわたる課題があることから、これまでの経緯などを踏まえ、引き続き慎重に検討する必要があるとの認識が示されております。

 今後とも、消防職員の団結権を含む地方公務員の労働基本権の在り方については、国家公務員についての動向を踏まえ、関係者の御意見をよく伺いながら対応していきたいと考えております。

野間委員 そういうことで、よく消防は警察と同視されるものだ、警察と同じようなものなんだから団結権を与えられないんだというのが大きな総務省の根拠になっているんですけれども、本当にそうでしょうか。

 いろんな歴史的な経緯、任務とか階級制度、警察と消防は、相当これは違う存在です。何といっても、警察は、最終的には国家権力の最大の実力である武器を持って、犯人を殺したりすることもできる実力を持った部隊であります。消防は、そういった意味では、消防それから秩序の維持等もありますけれども、国民にサービス、業務を提供しているという存在であって、これは全く、国家権力の、最大限のところで行使する警察とは、消防の存在の形が全く違うと思います。

 それと、やはり消防職員、全国十六万と言われていますが、その下に八十五万人の消防団員の皆さんがいます。こういったボランティア組織に支えられて、助けられて、消防というのは行われていますけれども、これも全く警察とは違う組織の形態になっておりまして、これを、警察と同じだから団結権を与えないというのはちょっとおかしいんじゃないかと思います。

 先日も、消防署の職員の方から聞きました。消防長からは、消防というのは上命下服、上の命令に下が従うんだ、その指揮命令系統を確保した部隊運用が大前提で、なので団結権を与えると現場が混乱するんだと言って反対しているということなんですけれども。団結権を与えれば、消防本部の方針に不満がある場合、火災や救助などの現場に行かない、また、現場に行っても隊長の言うことを聞かなくなる可能性があるんだ、そういうことを消防長が言っているんだと思いますけれども。

 この職員の方は、非常にこれは違和感があると。自分たちは現場の危ないところに行くのは当たり前なんです、そして何よりも災害に対応するのが仕事であって、チームとして行動する我々にとって、好きとか嫌いとか、命令を聞くとか聞かないということじゃないんです、仕事として使命感を持ってやっているんです、そうやって自分たちを不信の目で見るのは甚だ心外である、こういうふうに誇りを持って言っていました。

 ですから、警察と消防というのは違う組織であると思いますが、どうでしょうか。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の警察と消防は、公共の安寧秩序の保持という同一の使命、目的を有しておりまして、両者は、個人の生命、身体、財産の保護、公共の安全と秩序の維持に係る任務を行っているという点で共通しております。

 歴史的に見ても、明治以降、昭和二十三年の消防組織法の施行により分離されるまで、警察と消防は同じ組織でありました。また、実際の消防活動におきましても、明確な指揮命令系統の下、厳正な規律と統制の取れた部隊活動が要求されることなどから、警察と同様に階級制度も存在をしております。さらに、大規模な災害が頻発する日本においては、大規模災害時に警察、自衛隊と極めて密接に連携して人命救助活動を担っているところでもございます。

 以上のことなどから、我が国の消防は、我が国の歴史的背景、自然、社会環境などを背景としまして、警察と同視されるものと考えているところでございます。

野間委員 それが世界百五十五か国でたった一国だけ、そういったものを貫く本当の理由になっているかどうか、疑問であります。

 最後の質問です。

 よく団結権の代償手段と言われている消防職員委員会というのがあるわけですが、ここで職員が言った様々な処遇の改善の問題、パワハラの問題、こういったことについて意見を聞くということになっているんですけれども、これは実際、本当に機能しているんでしょうか。

 職員の皆さんに聞きますと、意見を出しても門前払いされている。事前の審議対象外の判断を、意見取りまとめ者という、消防長がやっているようなところもある。消防長が簡単に委員会から出た意見を覆したり、消防長の判断で、そういった結果を放置して何にも対処しない、こういうこともよく起こっているようであります。また、匿名で意見を出しても、最後、名前を特定されてしまって、おまえ、何を言っているんだと怒られたりすると。

 この委員会は本当に、これは代償措置といいながら機能していないんじゃないかと思われますけれども、いかがでしょうか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 消防職員委員会は、消防職員の勤務条件等に関して職員から提案された意見を審議し、その結果に基づき、消防本部の消防長に対して意見を述べることを役割として、平成八年に導入され、平成九年四月一日までに国内全ての消防本部において設置されております。その後におきましても、より意見を提出しやすい環境づくりなどを目的として、平成十七年及び平成三十年に制度改正を行ってまいりました。

 この制度はスタートから二十五年以上が経過しておりますが、近年では、毎年五千件程度、累計で十三万件以上の意見が審議をされ、このうち約四割の意見について実施が適当との判断がされております。

 その中で、例えば、ハラスメント対策の実施や、安全管理についての職員研修の実施など、勤務条件に関するものや、女性用施設の整備、また、消防車両への携帯電話の配備など、消防の用に供する設備に関するものなどについての意見が実現されてまいりました。

 このように、消防職員委員会制度は、職員の声を勤務条件や職場環境等の改善に生かす上で一定の成果を上げていると認識しておりますが、今後も、引き続き関係者の意見をよくお伺いをしながら運用改善に努めてまいります。

野間委員 時間が来ましたので終わりますけれども、団結権の付与に向け、真摯に取り組んでいただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 四月二十日の本委員会でも取り上げました黒い雨訴訟についてです。

 長崎の被爆者は、広島と同じ戦争被害者であり、国からの救済内容が被爆地で差別されるようなことはあってはなりません。

 広島高裁の判決では、黒い雨に放射性降下物が含まれていた可能性があったことから、雨に直接打たれた者は無論、たとえ打たれていなくても、空気中に滞留する放射性微粒子を吸引したり、水を飲んだり、野菜を摂取したりすることで内部被曝による健康被害を受ける可能性があったことから、被爆者に該当するとされました。

 そこで、前回の質疑で後藤大臣に、長崎においても、雨に打たれた方はもちろん、たとえ打たれていなくても内部被曝の可能性があったことから、被爆者として認めるべきではないかとお尋ねしました。すると、後藤大臣は、政府はあくまで全面的には受け入れていない、内部被曝も含め広く認めるべきとした点については容認できないとお答えされました。

 つまり、判決内容と違い、黒い雨に遭ったかどうかによる被爆者認定にこだわり続けています。

 本来、司法の判決に不服であるならば上告すべきであり、上告を断念し、判決を受け入れたならば、判決内容に対し、正確に運用すべきではないでしょうか。司法制度への不満を露骨に口にし、三権分立を明らかに軽視しています。

 我が国は、国家権力を三つに分ける三権分立によって、権力の濫用を防止し、国民の権利と自由を保障する仕組みになっています。現行の被爆者救済制度は、裁判所の判決内容を無視した、政府による恣意的運用がなされており、憲法で保障されている三権分立に違反しているのではないでしょうか。

 大臣、このような運用をなぜ行うのでしょうか。理由を教えてください。

後藤国務大臣 いわゆる黒い雨訴訟に関する広島高裁の判決については、総理談話において、判決の問題点についての立場を明らかにした上で、上告は行わないこととして、八十四名の原告の皆様に被爆者健康手帳を速やかに発行することとしております。

 その上で、原告八十四名と同じような事情にあった方々については、訴訟外においても救済するとしたところでございます。原告八十四名と同じような事情にある方々の救済は、総理談話を踏まえて、判決の内容を分析し、原告の方々の状況を確認した上で、救済の基準を策定したものでございます。

 行政の判断としては、一部、判示の解釈について、従来の政府と異なるところはあったとしても、八十四名の原告の皆さんに速やかに被爆者健康手帳を発行すること、それと同じ条件にあるような皆様方に対して、救済の基準を共通項として探り出して、お話をした上で救済をするという形の対応を取らせていただいたものです。

山田(勝)委員 裁判所の判決は、あくまで、繰り返しますが、内部被曝も含め広く認めるべきだと。そのような判断をしたからこそ、広島の新たな八十四名に手帳を交付するように命じられました。政府は、どうしても内部被曝、これを認めたくないようです。

 次の質問に移ります。

 広島で新たに救済されている方々についてです。

 四月二十日、本委員会で後藤大臣は、原告八十四名について、一審、二審を通じた事実認定を踏まえれば、一定の合理的根拠に基づいて被爆者と認定することは可能であると判断し、また、原告と同じような事情にあった方々について、訴訟外においても救済すると答弁されました。

 ここで言う被爆者認定とは、外部被曝なのでしょうか、それとも内部被曝なのでしょうか。お答えください。

後藤国務大臣 今回の広島高裁の判決については、今委員からも御指摘ありましたけれども、黒い雨や飲食物の摂取による内部被曝の健康影響を科学的な線量推計によらずに広く認めるべきとした点については、これまでの被爆者援護制度の基本的考え方と相入れないものであって、政府として容認できるものではないということは意見として申し上げております。

 他方、黒い雨訴訟の原告と同じような事情にあった方の救済については、一審、二審の事実認定の結果を踏まえて対応することとしまして、広島地裁、広島高裁の事実認定において、原告八十四名全員が、広島への原爆投下後の黒い雨に遭ったこと、十一類型の疾病を抱えていたことが確認をされました。

 このため、被爆者健康手帳を交付する要件として、黒い雨に遭った方で十一種類の障害を伴う一定の疾病にかかっている方ということにしたものでありまして、外部被曝や内部被曝といった被曝の形態を要件として設定しているものではありません。

山田(勝)委員 外部被曝でも内部被曝でもないというお答えでした。

 それでは、この黒い雨に遭ったことで新たに認定された被爆とは、放射性微粒子による被曝と考えていらっしゃるのでしょうか。お答えください。

後藤国務大臣 一般論として申し上げると、御指摘の放射性微粒子による被曝には、外部被曝と内部被曝、いずれも含み得るものだというふうに考えています。外部被曝、内部被曝というのは、被曝の形の問題なので。

 いずれにせよ、黒い雨訴訟の原告と同じような事情にあった方の救済については、昨年七月の総理談話、一審、二審の事実認定の結果を踏まえたものとして、外部被曝や内部被曝といった被曝の形態を要件に設定して議論しているものではありません。

山田(勝)委員 今、放射性微粒子による被曝はお認めになられたということでよろしかったですかね、御答弁の中で。済みません、もう一度お願いします。

後藤国務大臣 それは一般論としてと申し上げたので、放射性微粒子の被曝であっても、内部被曝も外部被曝もそれはあり得るということを申し上げたわけで。今回の話は、そうした議論をするのではなくて、基本的には、先ほど言ったような認定の要件というものを、判示の、手帳をお渡しするという要件と合わせて、実を言うと、同じ立場にある方たちを合理的に認定をしているというのが今回の考え方です。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 それでは、ここで、公益社団法人放射線研究所による残留放射線に関する見解を御紹介します。

 核爆発で二次的に発生した放射性微粒子は、上空に広く拡散する。大気中に浮遊した放射性微粒子は、次第に地上へと降下していくが、これは雨に伴い更に促進される。いわゆる黒い雨の中には、この放射性微粒子が含まれていたと考えられる。ただし、黒い色の本体は二次火災によるすすであり、色と放射性の強弱には直接的な関係はない。つまり、黒くない雨でも放射性微粒子が含まれていた可能性もあり、反対に、黒い雨でも放射性微粒子を含まない場合もあり得ます。

 先ほど、内部被曝か外部被曝にこだわってはいないというお話でした。しかし、放射性微粒子が大気中から地上に落ちてきた場合、どうやっても、それが外部被曝なのか内部被曝なのか、物理的に選別することはもはや不可能です。つまり、だからこそ、広島高裁は内部被曝を広く認めていくべきだと判決をされたと考えられます。

 ここまでの放射線影響研究所のこの見解で、はっきりといたしました。黒い雨の中には、実は放射性微粒子を含まない場合もあり得るのです。黒い雨に遭ったことだけで被爆認定を行っている今の政府にとって、その雨に放射性微粒子が含まれていると断言できないのではないでしょうか。

 マンハッタンの調査団の資料を提示し、前回、大臣に、科学的根拠に基づき救済を拡大するようお尋ねしました。そのとき大臣は、被害を及ぼした科学的、合理的根拠は長崎において得られていないとお答えになられました。

 その上で、気になる表現の違いに気づきました。大臣は、長崎でそう言っている一方、広島の原告には、一定の合理的根拠があると発言されています。広島において科学的という文言を外した理由は何でしょうか。

後藤国務大臣 厚生労働省としては、被爆地域の指定は、原爆放射能が健康影響を及ぼしたという科学的、合理的な根拠がある場合に限定して行うべきというふうに考えておりまして、そのこと自体は考え方に変わりはありません。

 今回の被爆者認定指針については、広島高裁判決において、黒い雨による健康影響について、科学的な線量推計を示していません。一方、総理談話において、広島地裁と広島高裁における原告八十四名の事実認定を踏まえると、手帳を交付すべき一定の合理的根拠はあるものとされたのを踏まえて、原告に共通する事情を基に要件を設定することで、一定の合理的根拠があるということを認めたわけでございます。

 そのこと自体は、これまで、原告の方々が黒い雨に遭ったとする地域よりも爆心地に近く、黒い雨が多く降雨したとされている地域として第一種健康診断特例区域を設定し、この区域内にいた方が、健康診断の結果、十一類型の疾病にかかっている場合は被爆者健康手帳を交付してきたというこれまでの被爆者援護行政の考え方やこれまでの取扱いとは整合性を持っているものと考えております。

山田(勝)委員 今の大臣の御答弁ではっきりしたのが、科学的線量推計も示されていない、つまり、科学的、合理的根拠が、今回の被爆者認定に、広島で新たに導入されている被爆者においては科学的根拠がない、そう言えるかとも思います。

 そして、後藤大臣は、前回の質疑の中で、広島のこの救済制度について、一定の合理的根拠に基づいて被爆者と認定することは可能であると判断されました。先ほど来るるお答えになっていることかと思いますので、簡潔にお願いいたします。この一定の合理的根拠とは一体何でしょうか。

後藤国務大臣 広島地裁や広島高裁では、原告八十四名について、黒い雨に遭った場所や状況、その後の健康状況について事実認定が行われています。広島高裁判決には、内部被曝の健康影響を科学的な線量推計によらずに広く認めるべきとしている点など、これまでの被爆者援護制度の考え方と相入れないところはあるものの、原告八十四名の事実認定を踏まえると被爆者健康手帳を交付する合理性はあると判断しまして、判決の問題点を明らかにした上で、上告を行わないこととしたものであります。

 その上で、黒い雨訴訟の原告と同じような事情にあった方の救済に当たっても、広島地裁、広島高裁の事実認定において、原告八十四名に共通する事実として、広島への原爆投下後の黒い雨に遭ったことと一定の疾病を抱えていたことが確認できたことから、これらを要件とする個別認定指針を策定したものであり、このことをもって、合理的な根拠、一定の合理的根拠というふうに申し上げております。

山田(勝)委員 つまり、黒い雨に遭った、かつ、十一種類の疾病に見舞われた方を対象にする、従来どおりこういう答弁がされています。

 政府は、これまで黒い雨による被爆をさんざん、実は否定してこられました。例えば、この度の黒い雨訴訟においても、裁判で、健康被害のリスクが生じるのは線量が百ミリシーベルトを超えた場合とした上で、黒い雨の線量は極めて低く、そもそも健康に影響を及ぼさないと主張をされてこられました。

 広島高裁の判決を受け入れたということは、従来のこのような政府の考え方を変更されたということでよろしいでしょうか。時間がないので、どうか簡潔にお答えください。

後藤国務大臣 今回の広島高裁の判決については、黒い雨や飲食物、ここは科学的な線量推計によらない部分は認められないといったことはもう繰り返しませんが、訴訟の原告と同じような事情にあった方の救済について、昨年七月の総理談話と一審、二審の事実認定の結果を踏まえて対応することとしまして、広島地裁、広島高裁の事実認定において、原告八十四名全員が黒い雨に遭ったこと、十一類型の疾病を抱えていたことが確認されたため、被爆者健康手帳を交付する要件として、黒い雨に遭った方で、十一種類の障害を伴う一定の疾病にかかっている方としたものでありまして、このこと自体は、従来の黒い雨の評価、考え方を変更するものではありません。

山田(勝)委員 黒い雨に遭ったかどうかということで、必要以上に繰り返され、答えてもらっているんですけれども、必要以上に黒い雨に打たれたことにこだわっている。実際の判決は、何回も繰り返しますが、雨に直接打たれたかどうかではなく、内部被曝の可能性を否定できない方を広く救済すべきです。本来、政府は、広島高裁の判決内容を真摯に受け止め、この救済内容を改めるべきだと強く御指摘させていただきます。

 その上で、ここまでの議論で大きな疑問が残ります。なぜ長崎の黒い雨は救済の対象ではないのでしょうか。長崎でも、前回も御指摘のとおり、広島同様に一定の合理的根拠、つまり、黒い雨に遭っていれば当然に救済対象となるはずです。

 資料一を御覧ください。

 平成十一年に長崎県と長崎市が行った証言調査です。前回もお伝えしたとおり、被爆時は西から東へ風が吹いており、その事実を示すかのように、被爆地認定されたピンクのエリア以外の地域で、複数の地域で黒い雨が確認されています。

 資料二を御覧ください。

 毎日新聞の記事で紹介されている、当時十歳だった矢野ユミ子さんから私は直接お話を伺いました。

 青空だった空が急に暗くなり、黒い灰がぼとぼとっと雨のようにたくさん降ってきた。そして、その黒い灰は庭先の梅干しや井戸水にも降り注がれた。それが原爆による灰と知らず、家族全員で一年分の梅干しを食べ続け、井戸水を飲み続けていた。すぐに熱や下痢の症状が表れ、歯茎からの出血に悩まされた。姉は髪の毛が全て抜け落ちた。その後、私は結婚し長男を出産したが、生まれつき心臓の中心部に穴が空いており、生後五か月で亡くなった。今でも長男の死を思うと涙が出てくる。

 続いて、医師として長崎の被爆者の方々を長年診察されてこられた長崎県保険医協会の本田会長にもお話を伺いました。

 旧矢上村の間の瀬地区に黒い雨が降ったことは、当時を知る住民にとっては公知の事実だ。黒い雨が降った後、村の子供たちが次々と不審な死に方をしていった。髪の毛が抜けた住民もたくさんいる。それを裏づける客観的資料もたくさんある。それでも手帳が配付されていない。後藤茂之厚生労働大臣におかれては、被爆指定地域外で原爆に遭った住民の切なる声に公正な判断をいただきたい。

 お示しの資料三、四、五が、この本田会長より御提供いただいた、黒い雨が確実に降ったことを証明する資料です。資料三は、昭和六十二年に実施された住民アンケートの一部です。百十二人のうち、雨、灰共に九割の人が降ったと答えています。

 広島では、黒い雨に遭ったことで手帳がもらえるようになりました。同じく黒い雨に遭っている長崎の例えばここで紹介した間の瀬地区の住民の皆様は、なぜ、いまだに手帳をもらえないのでしょうか。大臣、お答えください。

後藤国務大臣 原爆で被害を受けておられる皆様に対する思いについては、本当に熱心に御質問いただいている委員のお気持ちは私も共有をいたします。しかし、あくまで制度的な議論として、やはり公平な、あるいはバランスのいい制度的な解決をしていくこともまた必要であるという気持ちで申し上げているわけであります。

 それで、今回の被爆者認定指針、広島で黒い雨に遭った方が原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあったとして、被爆者健康手帳の交付を認める判決が出たことを踏まえて行われたものです。広島地裁、広島高裁での事実認定と、その判決を受けた総理談話に基づきまして、原告八十四人と同じような事情の者として、被爆者認定をする要件を設定することとしたというのがこれまでの広島の事態です。

 一方、長崎につきましては、大分その前提が変わっているところがあることを説明をさせていただきたいと思います。

 広島と同様の争点について、長崎については、最高裁に上告がなされました。そして、被爆地域として指定されていない地域にいる方は、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあったとは言えないという判決が平成二十九年及び令和元年に確定をいたしております。

 また、判決では、御指摘の間の瀬地区も含め、被爆地域として指定されていない地域では、原爆投下後間もなく雨が降ったとする客観的な記録はないとされているわけです。これは最高裁の確定判決の事実認定であります。

 このため、長崎につきましては、まずは過去の裁判例との整合性や黒い雨が降った地域の存在を示す客観的な資料の有無等をやはり整理して議論していく必要があるというふうに考えているわけで、そこのところに、広島も長崎も原爆のために大変な被害を被ったということだけで共通して取り扱うということではなく、そうした事実認定の差やそうしたこともきちっと整理した上で、訴訟外の早期の原爆手帳の交付という議論を取り組んでいかなければいけないというふうに思っているわけです。

山田(勝)委員 大臣から長崎の被爆者の皆さんへ寄り添うお言葉を頂戴し、本当にありがとうございます。今、インターネット中継で多くの長崎の方々が勇気づけられたと思います。

 その上で、この間の瀬地区で黒い雨に実際に遭った鶴武さんからも、私、お話を伺いました。

 当時九歳だった。父親は原爆後、二週間、毎日たくさんの遺体の片づけを行っていた。その五年後、父は亡くなった。きょうだいも早死にした。姉が二十七歳、弟が四十二歳の若さで亡くなった。私自身、三十代の頃、脳梗塞になり、心臓の病気を患い、何度も入院した。しかし、一切医療費をもらっていない。何で同じ被爆者で認められないのだろうか。私たちは八十歳を超えていて、もう長くはない。何とか生きているうちにピンクの手帳をもらえないだろうか。これが私たちの唯一の願いだ。

 大臣、どうかこの現場の皆さんの声に耳を傾けていただきたいと思っております。

 時間が参ったので、最後の問いです。平等権についてです。

 日本国憲法第十四条は、前段で、法の下の平等を原則として定めています。さらに、後段において、人種や信条などによる差別を禁じ、一定の事由により不合理な差別をされない権利という意味での平等権が保障されています。

 原爆が上空で炸裂し、放射性物質が降り注ぎ、多くの地域住民が内部被曝した事実は広島も長崎も同じです。長崎の被爆者だけを救済しない国は平等権に反するのではないでしょうか。お答えください。

後藤国務大臣 先ほど申し上げた答弁の繰り返しになってしまうところではありますけれども、広島については、これは重要なことなのでもう一度申し上げますけれども、広島地裁と広島高裁では、原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあったかが争点でありまして、原告八十四名について、雨に遭った場所やその状況、その後の健康状況等について事実確認が行われました。

 総理談話は、こうした広島地裁や広島高裁を通じた事実認定を踏まえると一定の被爆者健康手帳を交付することに合理的根拠があり、その根拠に基づいて交付することは可能であると判断をしたものでございます。

 そして、この談話を踏まえまして、原告と同じような事情にあった方々を認定審査する上でも、広島地裁と広島高裁による広島の黒い雨に関する事実認定を踏まえて判定のための要件を設定することにしたわけです。

 一方、長崎については、広島と同様の争点について最高裁に上告がなされまして、被爆地域として指定されていない地域にいた方は、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあったとは言えないという最高裁判決が平成二十九年及び令和元年に確定をいたしております。

 また、判決では、被爆地域として指定されていない地域では原爆投下後間もなく雨が降ったとする客観的な記録もないというふうに事実認定でされているわけです。

 このため、長崎については、まず、過去の裁判例との整合性や黒い雨が降った地域の存在を示す客観的な資料の有無等を整理する必要があるというふうに考えておりまして、現在、厚生労働省と長崎県、長崎市との間で、過去の裁判資料の整理、また課題の洗い出しやそうした客観的な記録の整理等を行っているわけであります。

 長崎については、このような難しい課題もありまして、引き続き、長崎県、長崎市の意見をよく聞きながら、打合せを続けてまいりたいと思います。

 被爆をされた皆さんがお年を取られて、少しでも手帳の交付に早くにつなげてほしいという痛切なお言葉については私もしっかりと受け止めておりますけれども、こうした客観的な事情の相違の中で、今は少し長崎について、国、県、市との間で整理すべき課題があるということを申し上げております。

山田(勝)委員 ありがとうございました。

 どうか、国の責任で、後藤大臣のリーダーシップで、広島や長崎の被爆者の皆さんに一日でも早く救済を広げていただきたい。心からお願い申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、吉田とも代君。

吉田(と)委員 日本維新の会の吉田とも代と申します。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 不妊治療、生殖補助医療についてお伺いいたします。

 厚生労働省が本年二月二十五日に公表した人口動態統計によりますと、二〇二一年に生まれた子供は前年比三・四%減の八十四万二千八百九十七人となり、六年連続で出生数は過去最少を更新したとされています。

 福井大学医学部附属病院によりますと、全国で約三組に一組の夫婦が不妊を心配した経験があり、約五・五組に一組は実際に治療や検査を受けたと推定されております。これだけ不妊に悩み、不妊治療を受ける方が増加していると言えます。

 このような状況下において、この四月から不妊治療の保険適用が始まりました。一般不妊治療に加え、体外受精、顕微授精などの生殖補助医療も保険適用となり、患者負担が三割で済む意義は大きく、若い方々の平均的年収、雇用情勢や、コロナ禍で出産、育児をちゅうちょしていた方々への経済的、精神的な後押しとなると効果が期待されます。

 しかし一方で、妊娠が特に難しい方の治療効果を上げるには保険の適用範囲を超えた治療が必要という声は根強く、保険との併用が可能な先進医療になっていなければ、保険が適用される部分も含めて全額自己負担となり、全体的には負担増になってしまう方もいるのではないかとの報道がございます。また、先進医療に位置づけられていた場合も、併用は可能だが先進医療部分は全額自己負担になりますので、全体としてはやはり負担増になってしまう方もいるのではないかと考えます。

 そこで、質問いたします。

 この保険適用外の部分について独自の助成を行っている自治体もあるようですが、どの程度の自治体で、どのような助成をしているのでしょうか。また、国として、改めて保険適用外の部分への助成制度を設けるべきではないかと考えますが、見解をお聞かせください。

橋本政府参考人 不妊治療についての御質問をいただきました。

 現時点で、自治体の助成事業の実施状況につきましては、把握はいたしておりません。

 それで、今後の対応についてのお尋ねでございましたけれども、不妊治療につきましては、これまで自由診療で実施され、具体的な診療内容が様々でございましたけれども、今般の保険適用に当たりましては、関係学会が作成した診療ガイドラインにおきまして治療ごとの有効性や安全性が示されたことから、その内容を踏まえて中医協で議論が行われ、本年四月から保険適用が実施されることになったわけでございます。

 また、現時点でエビデンスが不十分とされたものにつきましても、専門家による会議、先進医療会議と申しますけれども、こちらの会議におきまして有効性、安全性のエビデンスを集積することで、将来的な保険適用の可能性があるというふうに評価されたものは、先進医療として実施することで保険適用との併用が可能となります。

 先進医療につきましては、今年の四月以降も随時追加することは可能でございますので、将来的な保険適用の可能性があるというふうに見込まれる医療技術につきましては、助成を行うということではなくて、先進医療として実施して、将来的な保険適用による負担軽減を目指すことが適当であるというふうに考えております。

吉田(と)委員 不妊治療は身体的、精神的な負担が大きい上に、従来は費用が高額であることも多かったわけですけれども、この不妊治療、検査が始まりましてからも、幾つかの治療法を試しながら段階的に行うのが一般的で、平均二年から三年、治療にかかると言われております。不妊治療は、それぞれオーダーメイドな治療が必要で、患者さんごとに治療期間、治療費も変わり、二十代、三十代の平均的年収を鑑みると、やはり負担は大きいと言わざるを得ません。

 今回の保険適用の趣旨は経済的負担の軽減だったわけですが、不妊治療をする方々からすると、患者負担は減ると期待していたのに、結局、先進医療部分のコストが高いので、自己負担はやはり大きいままで、菅政権の看板政策と言われただけの効果は出づらいのではないかと考えます。この都度、例外的に混合診療として認められている保険診療以外の先進医療部分だけでも費用助成を検討し、是非、少子化対策を一層促進していただきたいと思います。

 また、先ほど、独自の自治体の助成の実態は把握していないという御答弁をいただきましたけれども、今後、自治体の独自助成の実態をしっかり把握していただいて、国としての支援の在り方を是非検討していただきたいと思います。

 続きまして、不妊治療に保険適用が開始されるに当たって、どの患者さんにも最先端の医療を提供していくことができるよう、保険診療は行わないこととした医療機関もあると聞いています。

 そこで、現状をお伺いしたいのですが、助成事業のときの指定医療機関数と比べて、保険適用の施設基準の届出をした医療機関数が減っているような状況ではないのか、減っていた場合は厚生労働省としてどのように対応していくおつもりなのでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、不妊治療に関する保険適用前の助成事業でございます、不妊に悩む方への特定治療支援事業につきましては、各都道府県が指定、公表した指定医療機関の数は、令和三年七月一日時点で六百三十六か所でございました。

 保険適用後の施設基準届出の医療機関数につきましては現在集計中でございますけれども、不妊治療の保険適用に関しましては、医療機関に対しましても学会などを通じましてその具体的な内容を広く周知を進めておりまして、施設基準の届出につきましても、こうした内容を踏まえまして各医療機関におきまして適切に判断が行われているものと考えております。

吉田(と)委員 今後、このままでは、保険適用の不妊治療を行う医療機関と自由診療だけを行う医療機関とのすみ分けが進んでいくのかもしれませんけれども、高所得者しか医療機関を選択する余地がなくなってしまうような事態、これは避けなければならないと思います。しっかりと、保険適用後も、医療機関が新しい技術をどんどん積極的に取り入れて、先進医療に助成が入る又は保険適用となり、患者さんだけではなく、医療機関や医師も安心して経営し、高度な治療ができる環境を整えてもらいたいと思います。

 では、続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 先進医療となっている医療技術については将来的な保険適用を目指していくとのことですが、先進医療として認められていない医療技術については、まず先進医療となり、その後、保険適用を目指すこととなります。子供を持ちたいと思い不妊治療を希望する方のためには、スピード感を持って保険適用となる医療技術を増やしていく必要があると思います。

 厚生労働省としても、ただ待っているだけではなく、早期の先進医療化、保険適用に向け、積極的に後押しをしていく取組が必要ではないかと思いますが、今後の取組方針や考え方をお聞かせください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 問題意識を共有いたします。専門家による先進医療会議で有効性、安全性のエビデンスを集積いたしまして、将来的な保険適用の可能性が評価されたものにつきましては、先進医療として保険診療と併用することが可能でございます。

 先進医療につきましては、これまでに十一件の申請がございまして、うち八件が先進医療の適用となっており、三件が審議中でございます。また、直近に申請された事案につきましては、審議に要する期間、約二、三か月でございまして、迅速な審査に努めているところでもございます。

 加えまして、医療機関に対しまして、広く先進医療として申請していただけるように、関係学会等に協力をいただいております。具体的には、関係学会等による医療機関に対する先進医療の周知や、先進医療としての有効性等を検証するための共同研究への参加の呼びかけなどの協力をいただいているところでございます。

 引き続き、関係学会等の協力もいただきながら、医療機関に対して先進医療への申請に関する周知や支援に努めてまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 患者さんの年齢的なこと、そして不妊治療の期間を考えますと、新しい分野ですので、一連の流れにスピードアップが必要だと思います。先進医療に入れていくという積極性と、そして、学会に早くその証拠を出してくださいというアピール、これが必要だと考えます。適用されるまでのスピードアップと、そして、厚労省さんの方で積極的に働きかけていただき、認めていただくということが重要だと思いますので、是非後押しをお願いいたします。

 続きまして、平成二十九年度の厚生労働省の調査では、不妊治療と仕事の両立ができなかった、また両立できない人が約三五%となっています。不妊治療を受けていることを職場に一切伝えていないとする人も約五八%となっており、職場でオープンにしていない理由は、不妊治療をしていることを知られたくないからが最も多くなっています。

 四月からの保険適用により不妊治療を希望する人も増加してくると思われますが、仕事との両立は、引き続き大きな課題になるのではないかと思います。

 厚生労働省においては、仕事との両立に向けた支援策を講じていると承知をしておりますが、その内容を改めて御説明いただきたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 子供を持ちたいと願う夫婦の方々の希望に応えるため、職場の実情に応じて、不妊治療と仕事との両立ができる職場環境の整備を推進していくことは重要と考えております。

 不妊治療と仕事の両立に当たりましては、通院と仕事の日程調整の難しさですとか、御指摘の、不妊治療を受けていることを周囲に知られたくないというふうにお考えになる方もおられることなど、多様な実情を考慮いたしまして、多目的で利用できる休暇制度、年次有給休暇の半日単位の付与制度、時間外労働の制限やフレックスタイム制度など、労働者のニーズに応じたきめ細やかな対応が企業においてなされることが重要でございます。

 こうしたことから、厚労省といたしましては、次世代育成支援法の指針を改正いたしまして、事業主が策定する行動計画に盛り込むことが望ましい事項として、不妊治療を受ける労働者に配慮した措置の実施を追加いたしましたほか、事業主への支援といたしまして、企業内制度の導入に向けたマニュアルの作成、セミナーの実施、また、中小企業向けに、職場環境整備に取り組む企業に対する両立支援等助成金の創設、こういったことに取り組んでいるところでございます。

 また、本年四月からは、不妊治療と仕事の両立に積極的に取り組む事業主に対しますインセンティブとしまして、従来、次世代育成支援法に基づいて、子育て支援に熱心に取り組んでいる、そういう事業主のマークとして、くるみん認定というのを運用してございますが、ここに、不妊治療と仕事の両立にも併せて取り組んでいるという場合に、プラスを付すことができるという認定制度も新たにスタートしたところでございます。

 厚労省といたしましては、引き続き、こうした取組を通じまして不妊治療と仕事が両立できる職場環境の整備を進めてまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 様々な世代の方が働く職場であれば、やはり、性別そして年齢によっても不妊症に対する理解というのは異なってくると思います。何をおいても仕事を優先した世代であれば、仕事を休んでまでとか、妊娠は病気でないといった概念から、不妊治療も同様に捉えがちであります。職場での研修機会を増やしていくなど、積極的に不妊症に対する理解を深めるためにも、厚労省として積極的に助成制度の周知に取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、今回の保険適用では、患者とパートナーに説明をし、同意を得ることが要件となっております。不妊の原因は女性側のみにあるとは限らず、男性側に原因があることも多く、不妊治療というのはまさに二人で取り組むものだと思います。そういった観点からは、パートナーと二人で受診をするということの意義は大きいものと考えます。

 一方で、二人に説明をするとなると、その日程調整などが難しくなり、結果として不妊治療の開始が遅れてしまうなど、不妊治療と仕事との両立を図る方向性に逆行するのではないかとの指摘もあります。

 この点に関しまして、厚生労働省はどのように認識をしているのでしょうか。患者とパートナーの二人への説明を着実に行っていくことを前提に、仕事との両立が図れるような支援策においても配慮が必要になるのではないかと思いますが、どのように対応されるのか、お伺いいたします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 関係学会が作成した診療ガイドラインにおきましては、不妊治療を始めるに際しまして、患者及びそのパートナーに対して治療内容に関する理解を得ることが今後の治療の継続のために有用であるとされております。

 このため、診療報酬の算定要件といたしまして、患者及びそのパートナーに対して文書による同意を求めておりまして、初回の治療計画の説明に当たりましては、原則として当該患者及びパートナーの同席の下で実施することとしております。

 ただし、例外を設けておりまして、同席が困難な場合も想定されることから、その場合には、以後の診療機会に説明を行い同意書を取得すること、あるいはビデオ通話を活用して説明を行い、後日、同意書を取得することも可能としております。

 厚生労働省といたしましては、引き続き、関係学会等の協力をいただき、このような運用の周知を図り、患者及びそのパートナーに対しまして不妊治療に関する理解を得た上で不妊治療が実施されるよう、制度の運用に努めてまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 二人で治療していくという流れの中で、先ほど企業の不妊治療に対する体制も含めて整えていくというお話でしたけれども、なかなかやはり双方が合わせて休暇を取るということが難しい場合もあるかと思います。治療の過程で幾つかあるハードルの一つだと思っている場合もあるかと思いますので、先ほど積極的に周知をというお話でしたけれども、この辺りが臨機応変に対応できるということを改めてお知らせいただきたいと思います。

 続きまして、不妊治療に関しまして、患者の心のケアも課題とされています。不妊治療はなかなか結果が出ないことも多い治療です。その中で、周囲の人の不妊治療への理解不足や仕事との両立などに苦しむ方が多いと聞きます。不妊治療の保険適用により治療する人が増えれば、こうした精神的に苦しい思いをする方への心のケアというのはより一層重要となってきます。

 厚生労働省は、不妊治療を受ける方に、治療以外の選択肢として特別養子縁組制度や里親制度に関する情報を適切に提供されるよう、医療機関向けの手引を作成しています。患者の心のケアに関する厚生労働省の取組状況や、手引を作成した趣旨についてお伺いいたします。

橋本政府参考人 子供を持ちたいと願う家庭の選択肢の一つといたしまして、早い段階から里親制度や特別養子縁組制度に興味、関心を持っていただけますように、昨年度、厚生労働省の調査研究事業におきまして、不妊治療に携わる医療関係者向けに里親や特別養子縁組制度の適切な情報提供のための手引、リーフレット等を作成いたしまして、情報提供等に御協力をいただいているところであります。

 また、厚生労働省におきましては、令和三年度から、都道府県等が医療機関や当事者団体等と連携して不妊症、不育症患者への里親、特別養子縁組制度の紹介などを実施する際の費用の補助ということを実施しておりますので、これらの事業も活用しつつ、不妊症患者等への情報提供の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 国立成育医療研究センターが二〇二一年に、体外受精などの高度不妊治療を受ける女性五百名を対象とした疫学調査のデータを用いて、治療開始初期、主にこれはこれから治療を開始する方、また採卵二回までの方が対象ですが、調査参加者のメンタルヘルスやクオリティー・オブ・ライフの状況を分析したところ、軽度以上の抑うつ症状がありと判定された調査参加者の割合は五四%、また、不安が高まっている状態と判定された割合も三九%と高い割合となっておりました。クオリティー・オブ・ライフの状況を評価する尺度でも、社会生活機能や日常役割機能、心の健康の低下の傾向が見られ、心の健康状態が悪化している可能性が明らかになっています。

 治療にも先ほどステージがあると申し上げましたけれども、初期段階でこの調査結果ということは、相当な精神的な負担を抱えていくと容易に推測ができます。

 二〇一八年度のNHK調査では、現在、里親制度を利用している方の三〇・七%が、不妊治療を断念したからと答えています。

 先ほど御紹介の説明の手引、また、制度周知に向けた御夫婦へのチラシなど、治療に行き詰まったときの選択肢の一つとして御提案をするということはとても意義があることだと思います。タイミング、時機も計りながらお伝えしていき、厚生労働省としても、医療機関に向けた働きかけ、また、不妊に悩む方々にも広く周知徹底を積極的に行っていただきたいと要望いたします。

 続きまして、不妊治療を希望する方が安心して治療を受けられるようになるためには周囲の理解が必要不可欠です。仕事との両立についても、企業を始め、社会全体として不妊治療に対する意識が変わることが必要ではないでしょうか。当然のことながら、望まない方にまで不妊治療を強いるということはあってはなりませんが、不妊治療へのマイナスイメージ、これは払拭していかなければなりません。

 希望する方が不妊治療を受けるのは当然のことであり、何の問題もないんだという機運、理解、こういったものが社会で高まっていくよう、大臣からも不妊治療の意義、そして重要性について、前向きな一言をいただけませんでしょうか。

後藤国務大臣 今、委員から御指摘がありました、国立社会保障・人口問題研究所が行いました出生動向基本調査においては、約五・五組に一組の夫婦が不妊症検査あるいは治療を受けたことがあるという結果でありまして、不妊や不妊治療は多くの方が直面する社会の一般的な課題となっているというふうに認識をいたしております。

 令和四年度から不妊治療のうち有効性、安全性が確認されたものを保険適用としたことで、治療の質の標準化につながり、国民が安心して不妊治療を受けられるようになるというふうに考えられますし、そういう社会の認容も増してくるというふうに思います。

 また、社会全体として不妊症等への理解を深めるために、令和三年度に引き続きまして四年度においても、不妊症、不妊治療等に関する正しい知識の普及啓発に向けた広報等を実施することといたしております。

 引き続き、子供を持ちたいと願う方々の気持ちに寄り添い、不妊症、不妊治療に関する社会の理解や機運の醸成に努めてまいります。

吉田(と)委員 後藤大臣、ありがとうございます。

 今、後藤大臣から御答弁いただきましたけれども、今や不妊症は国民病と言えると思います。にもかかわらず、不妊治療に取り組んでいるという声を大っぴらに耳にする機会というのはやはり少ないように思います。不妊治療に対する社会全体の理解がまだまだ進んでいない、だからこそオープンにできないんだと思うんですが、厚労省として、この保険適用を機に積極的に情報発信していただき、治療に取り組んでこられた方、また、なかなかそういった不安から治療に踏み出せなかった方々を社会全体で応援する機運の醸成に取り組んでいただきたいとお願いいたします。

 次に、卵子の凍結保存についてお伺いいたします。

 治療によって卵巣等の機能が低下するおそれのあるがん患者さんだけでなく、健康であっても将来の妊娠、出産に備えて卵子を凍結保存する人が増えていると聞きます。

 我が国では卵子の凍結保存は何件くらい行われているのでしょうか。また、卵子凍結保存について、対象年齢や凍結期間などに関して、何か規制やルール、こういったものがあるのでしょうか。お願いいたします。

橋本政府参考人 不妊症とは診断されてはいませんが、将来的な妊孕性の低下に備えた卵子凍結をしている、いわゆる医学的適応のない卵子凍結の実施件数につきましては、国では把握はしておりません。

 また、このような場合の卵子凍結に関しまして、国として指針等は定めておりませんが、日本生殖医学会の未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関するガイドライン等が示されているものというふうに承知いたしております。

吉田(と)委員 今、自由診療、自費診療である卵子凍結については把握をしていないという御答弁をいただき、理解をいたしましたけれども、我が国では、晩婚化、晩産化が進んでおり、女性は三十五歳以上になると妊娠率がぐっと低下をしてきます。妊娠するには医学的な観点からすると若い方がいいと言えるのかもしれませんが、実際には、出産、子育てと仕事を両立させにくい職場環境があったり、ちょうど仕事のキャリアを積んでいきたい時期だったりして仕事を優先していると、妊娠したいと思ったときに妊娠自体が難しくなってしまいます。年齢を重ねていけば不妊治療も成功しにくくなってくるのだと思います。

 こういった状況下で、若くて健康なうちに若くて健康な卵子を凍結保存しようと考えるのはおかしなことではないと思います。当然のことながら、卵子を凍結保存したからといって将来確実に妊娠できるわけではなく、出産時に高齢になっていれば高齢出産のリスクも高まりますが、本人が望む時期に安心して子供を産み育てられる環境を整える一環として、卵子の凍結保存をもっと肯定的に捉えていってもよいのではないでしょうか。厚生労働省の考え方をお聞かせください。

橋本政府参考人 今御指摘いただきました、いわゆる医学的適応のない女性の卵子凍結ということにつきましては、日本産科婦人科学会の下に置かれております二〇一五年六月の生殖・内分泌委員会の報告におきまして、医学的、社会的、倫理的な諸問題が含まれており、本法の実施を基本的に推奨しないというふうにされております。

 また、日本生殖医学会が未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関するガイドラインを二〇一三年十一月に公表しているものというふうに承知しておりますが、このガイドラインにおきましては、妊娠、分娩をするかしないか、その時期をいつにするかはあくまでも当事者の選択に委ねられる事項であり、未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結保存の実施を推奨するものではないこと、それから、母児の合併症や様々なリスクを考慮すると、妊娠、分娩には適切な年齢が存在するのであり、未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結保存とそれによる妊娠、分娩時期の先送りを推奨するものでもない、このようにされております。

 このように、学会等におきましては、若いうちに卵子凍結をするということを推奨しておりませんで、私ども厚労省としても同様に考えているところでございます。

吉田(と)委員 先日、産婦人科のお医者様とのお話の中で、卵子の老化というのはやはり三十代後半から加速をしていくと。卵子凍結は若い健康な卵子の状態で凍結できるので、妊娠の可能性を高める一つの方法であるとお伺いをいたしました。少子化対策の一つの選択肢として、また、女性活躍の後押しとしても、子供を持つ可能性の一つの選択肢のテーブルに上げてみてもよいのではないかと考えます。

 また、その第一歩として、まずは国として早急に、健康な人も含めた卵子の凍結保存の状態をしっかりと把握すべきだと思います。その上で、卵子の凍結保存のルールを作るとともに、費用負担の軽減についても検討していくべきだと思います。

 続きまして、残り時間が短くなりましたが、里親制度について質問をさせていただきます。

 平成二十八年度の児童福祉法改正において、要保護児童は家庭と同様の環境における養育を推進することが法に明記されました。

 そこで、お尋ねします。現在、社会的養護を必要とする児童の数は何名でしょうか。また、その社会的養護を必要とする児童の中で、児童養護施設や乳児院へ措置された児童と、里親やファミリーホームへ委託された児童の割合を教えてください。

橋本政府参考人 令和二年度末の時点におきまして、児童養護施設等に入所等をしております要保護児童の人数でございますが、児童養護施設が二万三千六百三十一人、乳児院が二千四百七十二人、児童心理治療施設が千三百二十一人、母子生活支援施設が五千四百四十人、自立援助ホームが七百十八人、里親に委託されている人数が六千十九人、ファミリーホームに委託されている人数が千六百八十八人となっております。また、令和二年十月一日現在で、児童自立支援施設に入所している要保護児童の人数が千百四十五人となっております。

 それで、里親委託率でございますけれども、今申し上げたような方々の中で、特に、乳児院、児童養護施設に入所し、又は里親、ファミリーホームへ委託されている要保護児童の人数を分母として割合を算出いたしますと、施設に入所している児童の割合が七七・二%、里親、ファミリーホームに委託されている児童の割合が二二・八%となっております。

吉田(と)委員 里親への委託率は十年ほど前に比べましたら倍増しておりますが、依然として多くの児童が施設で暮らしています。

 この里親委託率ですけれども、最大は新潟市の五八%、最小は宮崎県の一一%と、自治体によって隔たりがあります。

 この里親委託を積極的に進めて成果を出している自治体がある一方、なかなか進まない自治体がございます。これは、家族と同様の環境での養育を優先する方針を掲げ、里親推進を進めてきた中で、現状の日本では、先ほど御紹介いただいたとおり、要保護児童の二割が里親家庭で養育されているということですけれども、豪州では要保護児童九割、米国では八割が里親に委託されており、生まれた場所で子供たちが受けられるはずの社会的養育の機会が減ってしまうのは問題であると思いますので、更なる自治体への働きかけ、首長の意識改革をお願いしたいと思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 本日は、国民の健康を守る、健康をつくるという視点から質疑をさせていただきたいと思います。

 まずは、厚生労働省の政府参考人の方にお伺いをさせていただきます。

 国民の健康をつくるという意味で、適切な内容の施設を認定し、その普及を図る、生活習慣病を予防、改善をする、有酸素運動を使ってするような施設が、国から決められたところがありますが、一つは医療法四十二条施設、これとよく似た施設に健康増進施設というのがありますが、まずはこの違いをお伺いできたらと思います。

    〔委員長退席、高階委員長代理着席〕

伊原政府参考人 お答えいたします。

 健康増進を図ることを目的として運営されている施設のうち、御指摘の健康増進施設は、健康増進施設規程に基づいて認定される施設でございまして、健康増進のための運動などを安全かつ適切に行うことのできる施設として、運動型、温泉利用型、温泉利用プログラム型の三類型がございます。

 これとは別に、先生、もう一つ、医療法の医療法人がやるものとして引用されておられましたけれども、疾病予防運動施設がございまして、これは、こうした認定を受けた健康増進施設を含む健康増進を図ることを目的とした施設全体の中で、その一部として、医療法におきまして医療法人が本来業務である医療機関の運営に加えて附帯業務として運営する施設として位置づけられておりまして、生活習慣病患者や高齢者など疾病予防の特に必要性の高い人に対して適切な保健指導や運動指導を行うこと、それから、医療機関が附置されることとなっておりますので、その利用者に対して適切な医学的な管理を行う、こういう要件が課されております。

一谷委員 ありがとうございます。

 今のお話を聞きまして、簡単に説明をさせていただくと、医療法四十二条施設は医療機関が行うフィットネスクラブのようなイメージだと思います。健康増進施設は、先ほどおっしゃっていただいたとおり、温泉を利用するところと、本当に運動をしていくという施設に分かれると。

 この運動をしていく施設というのが全国に今三百二十三か所ありまして、私の兵庫でも十七施設あります。

 今年、この運動型の施設の指定の緩和が行われるということで、大変参入しやすい状況になっております。百五十平米から二十平米に減るということは、かなりの狭いスペースでもこの指定運動療法施設ができるということになり、また、この施設は医療費の控除の対象になるということをお伺いをしております。

 そうなりますと、民間の、医療法四十二条施設はやはり医療法人がやらなければならないですから、ある一定参入が難しいと思いますが、こちらの健康増進施設の方は法人を問わないということになっていますので、指定の緩和をしてしまうと、たくさんの民間の企業が入ってくるのではないかというふうに思います。

 それが悪いと言っているわけではなくて、ある一定、医療ケアが必要な方がこの施設を利用されると思いますので、その医療的サポートをどのように担保していくかという視点と、今年、三十四年ぶりに指定運動療法施設の指定緩和がありましたが、どういったいきさつで指定の緩和が行われたのかというところをお聞かせいただけたらと思います。これは厚労省の政府参考人の方にお願いします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 御質問の指定運動療法施設とは、国民の健康づくりを推進するために厚生労働大臣が認定する健康増進施設のうち、運動療法に関する知見を有する医師と連携するなどの要件を満たす、運動療法に適した施設でございます。ここは、医師の指示に基づき指定運動療法施設を利用して行った運動療法ということになりまして、その費用は医療費控除の対象となるというものでございます。

 今御質問ありました、本年四月から要件の緩和というのを行ったわけですが、この趣旨としましては、健康増進施設や指定運動療法施設の利用を一層促進するためということでございまして、健康増進施設の面積要件を緩和するとともに、指定運動療法施設の指定要件のうち、医師の処方に基づく運動療法を実施する際の一回当たり施設利用料金の上限を引き上げたというところでございます。

 医療的サポートの質の担保ができるのかという御質問でありますけれども、健康増進施設の認定におきましては、面積要件以外の設備要件や、あるいは運動療法に関する知見を有する医師と連携するといった人的要件などは、これは従来どおりの基準に基づいて運用しております。

 これらを通じまして、利用者が安全かつ効果的に運動を実践できる環境の提供に係る要件を確認し、施設の質の確保に引き続き取り組んでいきたいと考えております。

 厚労省としては、引き続き、健康増進施設の普及を図り、国民の健康づくりを推進してまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 指定の緩和は、国民の健康を増進していく、健康寿命を延ばすという目的だと思いますので、私は非常にありがたい話であるなというふうに思っております。

 ただ、指定要件の中の、ドクターが処方箋を出すというか、ドクターが、配置基準のような形になっておりますが、専従じゃなくてもいい、非専従でいいというところと、また、専従時間も決まっていないということになると、少しの時間というか、本当に、いろんなところをぐるぐる回るということもできますので、なかなか、医療の担保というのは少し難しいのではないかなというふうに思います。

 規制を緩和していただいて、これから国民の健康の増進をしていくというところで、やはり、いいものをつくっていきたいなという思いがあって、この質問をさせていただいております。

 そうなると、やはり、フィットネス業界、このコロナ禍の中で大変苦労されていて、再編が進んでいっているというふうに聞いております。多分、私の予想では、こういったところにたくさんのフィットネス業界の方が入ってこられると思うんですが、フィットネス業界だけではなく、私の整骨院のようなところも、少しの幅があれば参入できるということで、多分参入されてくると思うんですが。

 そうなると、業界に自主的に質を高めていくということをしていかなければならないと思うんですが、こういったところを、ビジネスの側面というか、サービスの側面で、どのようにして業界の自主的なクオリティーを上げるということに取り組んでいかれるかということを、これは経産省の政府参考人の方にお伺いをさせていただきます。

田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、運動療法を始めとするヘルスケアサービス、これにつきましては、品質の確保、これが重要でございます。経済産業省としては、業界などによる自主的な品質の確保を行う取組を推進しているところでございます。

 具体的には、「ヘルスケアサービスガイドライン等のあり方」、これは指針でございますけれども、これをお示しし、ヘルスケアサービスの品質確保と適切な提供に向けて、業界団体などによる自主ガイドラインの策定を推進しております。

 例えば、適切な運動療法の普及に当たっては、質の高い運動指導者が必要でございます。EIMジャパンが中心となり、指導者が習得すべき医学的知識や指導技術などを定めたガイドラインの策定に取り組んでいると認識しております。

 これらの取組を通じて、質の高いヘルスケアサービスの創出を推進していくとともに、国民が安心してヘルスケアサービスを選択できる環境を整備してまいります。

一谷委員 ありがとうございます。

 今、EIMジャパンというお話があったんですが、これはNPOの日本臨床運動療法学会ですかね、そこの帝京大学の佐藤真治教授ともこの前お話をさせていただいたんですが、おっしゃるとおり、健康運動指導士の方が日本には約一万八千人ですか、いらっしゃるということで、ここの質を上げていくというようなこともおっしゃっていましたので、是非、指定運動療法施設に働かれる健康運動指導士の方ですね、質を向上させていただく。そのためには、もちろん社会的地位も上げていかないといけないと思いますし、うまくドクターとの橋渡し役ということをしていっていただけたらありがたいんじゃないかなというふうに思っております。

 そうしたら、次の質問を、これは大臣にさせていただきたいんですが、先ほど、指定緩和は、健康を促進して、健康寿命を延ばすという意味に私は取ったんですけれども。運動療法を行うことにより、健康寿命は延伸が可能だと考えます。ただ、健康寿命が延びるということで、今、日本の中でやはり社会保障費の医療、介護費をどのように抑えていくかということは重大な課題だと思うんですが、健康寿命が延びるということで医療費、介護費の抑制につながるというふうに考えておられるかという点をお伺いさせてください。

後藤国務大臣 一般に、予防・健康づくりの取組は、個人のQOLが向上して、将来の健康に係る不安が解消されるだけではなくて、健康寿命が延びて社会保障の担い手が増える、地域社会の中で高齢者の活躍促進が図られるといった、多面的な意義があると考えています。

 お尋ねの運動療法は、障害や疾患の治療や予防のために運動を活用することでありまして、こうした運動を行うことによりまして、生活習慣病の発症などのリスクを低減できることが示されています。

 一方で、健康寿命の延伸が医療費や介護費にもたらす影響ですけれども、専門家による研究班の議論の整理の中で、定量的な評価、推計を行うことは容易ではないという議論になっておりまして、当面、個々の取組の効果等について介入にかかった費用も含めて丁寧に検証すること、健康寿命と個々の疾病、生活習慣、社会的要因等との関係について丁寧に分析する必要があることなどが重要であるとの指摘をされています。

 引き続き、専門家の皆様にも御議論をいただきながら、予防・健康づくりの取組について、医療費や介護費への影響も含めて、その効果を検証していきたいと思っています。

一谷委員 ありがとうございます。

 答えとしては、どちらか分からないというところだと思うんです。私もそう思います。

 ただ、今回のこの四十二条施設は、全国に二百二十か所あります。これが数が多いのか少ないのかということを判断する材料として、健康寿命を延ばすことが必要かどうかという、何か判断が非常にしにくいなというふうに私は考えています。ですから、できましたら、その研究をしっかり進めていただいて、厚生労働省の方からメッセージを出していただきたいなというふうに思うんですね。

 私は、運動療法であるとか、健康寿命が延びることによって医療費、介護費が削減できるというのがあればこの施設を増やしていけばいいと思いますし、又は、結局、健康寿命が延びても人生最後のところでやはり医療費をたくさん使ってしまうので平均したら同じやということであれば、何というんですか、そのほかで社会保障費をやはり満たしていくような、なるべく社会参加を促すような、病気になった方とかですね。そういう政策をしていかなければならないんじゃないかなと思いますし、サービスを提供する側もそういった視点に立たなければならないというふうに思うんですね。

 ですから、ここは研究を進めていただいて、やはりメッセージを出していただいた方が、民間事業所としては、どちらに軸足を置いて事業を進めていけばいいかということが判断しやすいのではないかなというふうに思います。ここを、一つ、QALYという実は指標がありまして、QOLを数値化するというような指標もありますので、こういったものも用いていただいて、是非メッセージを出していただけたらなというふうに思います。

 続きまして、少し質問を変えさせていただきまして、これは老健局長に御質問をさせていただきたいと思うんですが、現在、要支援一、二の方の訪問での介護、そして通所での介護、これは地域支援事業に移行しています。現在行われている、私も昨日聞いたんですが、五月十六日に、社会保障審議会介護保険部会では、要介護一、二も地域支援事業に移行しようかという議論、これもずっと続いています、ここ何年も。私もずっとそれを注意して見ておりますが。

 地域支援事業に移行すると、これは自治体の財源の上限がありますので、今後、高齢者の方、シニアの方は自然に増えていかれます。そうなってくると、この方々が通所や訪問のサービス、介護予防事業を必要とする方々が増えるんですが、この増えた事業費に限界が来るのではないかなというふうに考えております。

 この限界を迎えた際に、この方々もやはりリハビリを受けたり、運動を受けたりしなければならないんですが、どのようにこれを継続していくか。これは地方でしたら、上限が来ると、それ以上、財源を払わなくていいということになっておるんですが、この辺りの局長の考えをお伺いできたらと思います。

土生政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のございました介護予防・日常生活支援総合事業でございますけれども、高齢者の介護予防や地域における自立した日常生活の支援のため、地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取組を可能とすることにより、多様な主体による多様なサービスを充実させる、こういった趣旨で行われているものでございます。

 事業費の上限額でございますけれども、介護保険関係法令の規定によりまして、市町村ごとに、原則として平成二十七年度から二十九年度の間に移行したその前年度の実績を基礎といたしまして、その後の七十五歳以上の高齢者の伸びを勘案して設定するということでございますので、基本的なニーズの増大には対応しているものというふうに考えております。

 また、リハビリテーションという御指摘もございましたけれども、要支援者に対しましては、必要に応じて予防給付による訪問又は通所のリハビリテーション、これもサービスを受けるということができることとなっておりますので、今申し上げましたように、介護予防・日常生活支援総合事業、併せまして予防給付、これらを通じて介護予防等を推進してまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 そうしますと、現場にいらっしゃる方からお話を聞いていると、やはり介護点数がこれからまた更に厳しくなるのではないかというふうなお話も伺っていまして、実は、地域支援事業の訪問、通所というのは、非常に点数が、自治体がカットしてきて、成り立たなくなっているところもたくさんあるとお伺いをしておりますし、私もその現実を見てきております。

 また、介護点数のカットだけではなくて、実情、私も現場にいながら思うんですが、認定が非常に厳しくなっているんじゃないかなというふうなことは非常に感じるんですね。

 今まででしたら要介護一、要介護二やった方が、いきなり要支援で来られる。そうすると、この総合事業の中でサービスを受けなければならなくなるということもありますし、どちらかというと認知症を持っておられる方の認定率が非常に低くなっているなというような現実もあるんですが。

 今、前年度のを勘案して点数をつけていく、上限額を上げていくということですが、実際、この認定が厳しくなるとか、介護点数が減額されていくということはありませんでしょうか。よろしくお願いします。

土生政府参考人 お答えいたします。

 先生から今、地方における様々な実情をお聞かせいただいたところでございます。先ほど申し上げましたとおり、この事業自体、自治体のそれぞれの工夫の中で多様な主体、多様なサービスを充実させるという制度でございますので、その運用については、それぞれの自治体で御苦労されている面があろうかと思います。

 他方で、要介護認定につきましては、最近、国として何か制度改正をしたということはございませんし、全国的な平均のデータを見ますと、それほど大きな変動、健康寿命の延伸に従って若干認定率が年齢階級別に下がってきているという面はございますが、そういう意味では大きな変動はないものと思います。

 今後とも、実情を踏まえながら現場で柔軟に対応できるよう、制度の推進に努めてまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。是非実情を見ていただけたらなというふうに思います。社会保障費も介護費も大変厳しい状況というのはみんな分かっておりますので、実情を見ていただけたらと思います。

 そこで、一つ提案を私はここでさせていただきたいと思います。先ほどの運動施設、あれは医療費の控除も受けられます。また、その施設には健康運動指導士もいますし、スポーツドクターの配置もあります。先ほどの健康運動施設ですね。その施設に、私は、介護保険で受けられているようなリハビリ、それを受けられるようにしたらどうかなというふうに考えています。

 なぜかといいますと、実は介護保険というのは四十歳からサービスが受けられます。四十歳で脳梗塞になられて、介護保険施設に来てリハビリをされているという方も結構いらっしゃるんですね。十二万八千人の方が介護保険のサービスを、四十歳から上で、四十歳から六十四歳までで受けておられます。そういった方が、なかなか介護施設で、シニアの方が多いところでリハビリを受けるというのも、やはりつらい部分もあると思うんですね。

 そういったところを、この健康増進施設でリハビリを受ける、介護予防のリハビリを受けるということをすれば、地域のいろいろな方々と、年齢層の方とリハビリを受けることもできますし、また、そこに行ってもらおうと思ったらケアマネジャーさんの目も入ってきますから、地域の福祉の目も入ってきて、そこでリハビリを受けた方が地域に帰っていきやすいというようなことができるのではないかなと思うんですが、こういった今の私の提案について、老健局長の御意見をお伺いできたらなと思います。

土生政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御議論ございました、例えば指定運動療法施設、こうしたものを含めまして、健康増進施設、これは高齢者の健康づくり、あるいは介護予防にも資するものというふうに認識をしております。

 現在、介護保険制度の現行の枠組みの中でも、例えば、生活機能が低下した高齢者に対する専門職による短期集中予防サービス、これは先ほどの総合事業の一環として行われているものでございますけれども、これを指定運動療法施設等に委託するということは十分可能な仕組みとなっているところでございます。

 また、介護予防の仕組みの中でも、一般の高齢者を対象として、例えば、指定運動療法施設も含めますフィットネスクラブの利用料などを補助されている、こういった取組をされている自治体もあるものというふうに承知をいたしております。

 そういったことで、現行法の中でも先生が御指摘いただきましたような活用は十分できる余地があるというふうに思っておりますので、私どもも、省内連携いたしまして、指定運動療法施設を始めとした地域の様々な資源を活用して、各地域で介護予防の推進が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。

    〔高階委員長代理退席、委員長着席〕

一谷委員 ありがとうございます。

 私も実は調べましたら、一つだけ、一件だけ、これは葛飾区が、この健康運動施設に地域支援事業の介護予防の部分を一緒にやっているという例がありました。私、これは非常にいい例だなと思っていまして、できたらこれを国全体に広げてくださったらありがたいなというふうに思っておるんですが、そもそもこの指定運動療法施設自体が余り知られていないというところもありますので、併せて広げていただけたらなと思います。

 これの私が最大にいいなと思っているところは、今、我々、我々というか介護施設は、自立支援だと言われながらリハビリをやる。ただ、やはりレスパイト、入浴をやりながら、衛生管理や服薬管理ということもします。そうすると、リハビリをしたらいいのか生活援助をしたらいいのか、ぐじゃぐじゃになってくるわけなんですね。

 その中で、一号被保険者の若い方も来られる、そして、最近やはり病院のリハビリ日数も減っていますので医療依存度の高い方も来られるとなってくる、そして軽度の方も来られる。ぐじゃぐじゃになっていて、対象者を決めることが非常に難しいんですね。

 ですから、この健康運動施設で、介護予防で行かれる、少し筋力を鍛えたらいいような、それで転倒が防止される、少し筋力を鍛えることによって尿失禁が止まる、そういった方がこの介護予防の対象者の方だと思うんですね。細かく言いますと、地域の総合事業のC型と言われるやつです。それは、この健康増進施設でやっていただくことによって、介護事業所の仕事が、重度の方向き、又は生活の、レスパイト向きということで、少し整理されていくのではないかなというふうに思っているんですね。介護事業にいろいろなことを任せていただけるのはありがたいんですが、運動やリハビリという部分は少し整理していただいた方がいいのではないかなと。

 そして、この健康運動施設、指定の緩和もありますし、医療費の控除もあります。もし、いきなり変えるとなって負担が増えるのであれば、介護の財源から少しこの運動施設の方に振っていただいて、補助を出すとかいうようなことをしながら移行していっていただけたらいいのではないかなというふうに思います。

 これは、私の提案というか、現場を見ながら、せっかくある制度ですから、ゼロからつくるのではなくて、今の制度を少し活用しながらニーズに合わせていけばいいのではないかなというふうに考えております。どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、最後の質問に行かせていただきます。

 やはり、こうやって運動療法をするというところで、有酸素運動をしなければならないので、エアロバイクですね、ああいうものも健康運動施設には入っておられると思うんです。

 今はこういう健康運動グッズ、マシンがIoT化されて、例えば、エアロバイクの持ち手のところにインピーダンスというようなシステムがついていて、体組計ですね、筋肉量であったり、あと、ペダルをこぐだけでどれだけの運動量を使っているか、そんなこともデジタルで全て収集できるようになってきます。そういったことが、私は、これは国も進めておられると思うんですが、パーソナル・ヘルス・レコード、それにつながってくるのではないかなというふうに考えております。

 やはり、我々介護も、科学的介護をというふうに言われるんですが、なかなか日々の運動やリハビリを記入して、書いていくというのが業務の負担にかなりなっていますので、こういったところにIoT化されたこういう運動のリハビリ施設、そういうのを導入していって、パーソナル・ヘルス・レコード、どういうリハビリが効果が本当にあるのかというところを判断していくというのが重要だと思うんですが、これについて厚生労働省の参考人の方にお伺いをさせていただきます。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 国民がニーズに応じて自身の健診等の情報を閲覧し、利活用できる環境を整備することは重要であるというふうに考えております。

 このため、今の取組でございますけれども、厚生労働省では、昨年六月に策定したデータヘルス改革に関する工程表に基づきまして、自身の保健医療情報を閲覧、活用できる仕組みとして、パーソナル・ヘルス・レコードの利活用を推進しているところでございます。

 具体的には、特定健診や予防接種あるいはがん検診等の公的に集めた情報につきまして、マイナポータルにおいてワンストップで閲覧できるような環境の整備や、PHRサービスを行う民間事業者による個人の健診等情報の取扱いを整理した指針の策定などに取り組んでいるところでございます。

 御提案いただきました運動療法のデータを含めまして、公的に管理しているデータではなく、民間事業者の扱う個人情報を収集した上で、マイナポータル等の公的なインフラを活用したPHRとして利用者が閲覧、利用できる環境を整備することにつきましては、引き続き、関係者の方々の御意見も伺いつつ、検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 このパーソナル・ヘルス・レコード、これはウェルネスですね、健康産業、これは今、世界では五百兆円産業になっていると言われております。私も何とか、健康増進するフィットネス、又は我々が行っている、介護事業が行っているような介護予防の施設に、余り手間がかからずこういったデータが取れるようなことができないかと思って、先ほど紹介させていただいたエアロバイクのIoT化されたものを探したんですが、ほとんどがやはり韓国のものが多かったんです。なかなか日本製がやはりなかったんですね。この分野、調べてみると、やはり韓国が世界をリードしているということが分かりました。

 これは本当にこれから成長する産業ですので、こういったところにも是非目を向けていただいて、できれば、先ほどの健康増進施設、これから増えていくと思いますから、健康運動指導士の方にも、データをちゃんと収集する。ただ、そのための手間がかからないように、こういったIoT化されたようなエアロバイクであるとかマシンを入れていく。それをビッグデータにして分析をして、本当にその運動が効果があって健康寿命が延びているのか、そういったところを見ていくということが非常に大事じゃないかなというふうに考えております。

 介護の分野でも、今、LIFEというのがずっとやられていまして、運動のリハビリのデータを取りなさいということなんですが、非常に現場ではそれをすることの作業が大変だということになって、なかなか普及も進んでいないというところもありますので、こういったところはできるだけデジタル化をしていただけるようにお願いをしまして、今日の私の御提案もできれば検討していただきたいなと思いながら、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

橋本委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 今日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 今日は、JCHOが運営する静岡市清水区の桜ケ丘病院についてと、また、津波リスクのある介護施設、老人ホームについてお伺いしたいと思います。

 JCHOの山本理事長にもお越しをいただきまして、ありがとうございます。

 令和二年六月に、委員でもあります阿部知子委員から出されました桜ケ丘病院の津波浸水域への移転計画に対する質問主意書の中で、災害拠点病院への立地基準の必要性について尋ねたところ、厚生労働省においては、災害発生時においても、医療機関がその機能を維持し、地域において必要な医療を提供することが重要であると考えており、災害拠点病院等の建設場所に関して留意すべき事項を含め、今後の災害医療体制に対する検討を進めているところであるという答弁書が出されました。

 あれから二年がたちますが、その後の検討状況、また進捗状況について、まず伺います。

後藤国務大臣 御指摘の質問主意書は、災害発生を念頭に、医療機関の建設に際しての立地基準を定める必要性について質問されたものでありまして、これに対して、医療機関がその機能を維持し、地域において必要な医療を提供することが重要であり、災害拠点病院等の医療機関の建設場所に関して留意すべき事項を含め、今後の災害医療体制に関する検討を進めていること、医療機関の建設場所を制限することについては、周辺の地域において必要な医療が適切に提供されることの重要性等を考慮すれば、慎重な検討を要することを答弁したところでございます。

 その上で、質問主意書の答弁後の取組としては、令和二年度三次補正予算において、現に洪水や津波の浸水想定区域に所在し、その地域から移転することができない医療機関を対象に、電源設備の高階層への移設や止水板の設置といった浸水対策を実施する場合の財政支援を開始したところであります。

 医療機関が災害時に担う役割や被災リスクを踏まえて、今後とも、災害時に必要な医療提供体制が確保できるように支援をしてまいりたいと思っています。

田中(健)委員 説明をいただきましたけれども、移転できない場合の補助また支援はあると言ったんですが、ここでお示しいただいたのは、災害医療体制に関する検討を進めていると。ですから、これを聞きますと期待してしまって、何か指針やガイドラインというのを示していただけるんじゃないかという中で、今回、検討状況、進捗状況を伺いました。

 やはり、津波浸水地域に医療体制をつくるということに対しては、普通に考えれば心配になりますし、それが本当にいいのだろうかというような市民の声がありまして、是非、今回、この間様々な対応はしてくれたと言うんですが、私としては、何かしらの形を示していただけるようにこれからも要望をしてまいりたいと思います。

 それを受けまして、具体的に質問に入りたいと思います。

 この津波浸水想定区域への病院移転というのは、近い将来にはその責任が問われることも考えられるため、経緯というものをこの場で明確にしておきたいと思っています。

 四月二十五日の参議院の決算委員会で、移転経緯の質疑に対しまして、移転先の決定に際して、山本理事長から、静岡市から東口公園を優先候補として検討してほしい旨の意見があり、総合的に検討したとの答弁がありました。これに対して、静岡市長からは、五月十三日、記者会見におきまして、優先候補地という言葉には違和感があると、ある意味、不快感を示していました。

 市は、優劣なく候補地四か所を提示したと主張しておりますが、JCHO側には市は水面下で、清水の東口公園以外はダミーだというような説明をしていたという声も聞きます。

 静岡市から東口の公園を優先候補地として検討してほしいという旨の意見があったのは、まず、事実でしょうか。静岡市との見解の食い違いというのがどうしてここで生じてしまったのか、伺いたいと思います。

山本参考人 お答え申し上げます。

 桜ケ丘病院の移転につきましては、平成二十八年十二月二十二日の静岡市長の定例記者会見におきまして、清水庁舎跡地、これが桜ケ丘病院移転の優先候補地であるという説明がなされてございます。その優位とした理由については、一つ目として、市民の利便性が高い、それから、津波浸水想定区域内でも対応できる、三つ目として、清水中心市街地のにぎわいや活性化に寄与できるということがございました。

 ただ、その後、静岡市が令和二年五月二十九日に清水庁舎の移転事業の凍結を決定いたしまして、また、同年十一月二十六日に、静岡市から当機構へ、清水庁舎の元々の移転予定地であった清水駅東口公園を含めた隣接した候補地四か所が提示されたところでございます。

 このうちの清水駅東口公園につきましては、当初、静岡市が優位とした理由の、市民の利便性が高いであるとか、津波浸水想定区域内でも対応できる、あるいは清水中心市街地のにぎわいや活性化に寄与できる、寄与する、このような趣旨に合致すると思われたところから、当機構としては優先候補地と考えたところでございます。

 当機構といたしましては、清水市から提示された四か所のうち、二か所は民有地でございました。また、そのほかの二か所は市有地でございましたが、一か所は狭い。それから、災害に対する安全性を考慮した上で、患者の利便性、地域の医療ニーズ等の地域の実情も総合的に勘案して、清水駅東口公園に決定したという次第でございます。

 いずれにしましても、今後も、桜ケ丘病院の移転につきましては、静岡市としっかり相談しながら対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 御丁寧にこれまでの経緯、ありがとうございます。

 経緯については今のおっしゃっていただいたとおりなんですけれども、質問は、理事長が四月二十五日の答弁で、東口公園を優先候補地として検討してほしいという旨の説明があったかどうかということでありまして、市としては、そんなことは言っていないということです。つまり、四か所をフラットに提示した上でJCHOが選んだんだということでありまして、その一点、もう一度お願いいたします。

山本参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、当初、平成二十八年に静岡市長の定例記者会見において、清水庁舎跡地が桜ケ丘病院移転の優先候補地であるということはお示しいただいております。

 その後、四か所を御提示いただいた中で、清水駅東口公園が、静岡市が当初の清水庁舎移転跡地が優位であると示された理由に合致するということで、当機構としては優先候補地と考えたというところでございます。

田中(健)委員 それでは、優先候補地と捉えたのはあくまでJCHO側であって、静岡市から優先候補地ということを言っていないということでよろしいということで、もう一度、最後、確認させていただいて、よろしいでしょうか。はい、分かりました。

 ここをはっきりしておかないと、静岡新聞さんでも、この移転の結果というのを、責任を押しつけ合っているんじゃないかというようなことが指摘をされて、市民の人も大変心配をしています。移転はもう決定していますし、是非とも、一日も早く進めていただかなきゃならないんですけれども、やはり不安というものが残っていますと、前に進めませんし、また市民に親しまれる病院になりませんので、まずここを質問させていただきました。

 また、候補地選定の中で、静岡市がコンパクトシティーを目指す中での提示がされました。

 さきの委員会の中では、コンパクトシティーに関しても、近年における災害の頻発化、激甚化を踏まえ、安全な町づくりを推進するために、令和二年に都市再生特別法が改正、立地適正化計画において居住エリアの防災・減災対策を定める防災指針を位置づけたという答弁がありました。

 静岡市は都市再生特別措置法の改正前に立地適正化計画を策定しておりまして、その法改正後に病院の移転が決定したという経緯があります。

 法改正前に立地適正化計画が定められていた場合に、病院移転という大きな計画変更があった際、自治体として求められる対応にはどのようなものがあるのか、伺います。

望月政府参考人 お答えをいたします。

 防災指針は、コンパクトシティーの取組と併せまして、防災を主流化した町づくりを推進するために、令和二年に都市再生特別措置法を改正いたしまして、立地適正化計画に定める事項として新たに制度化をしたものでございます。

 この防災指針の制度化以前から立地適正化計画を作成した都市につきましては、そのエリアの災害リスク等を勘案いたしまして、できる限り速やかに立地適正化計画を変更して防災指針を位置づけていただくことを国からお願いしているところでございます。

 また、立地適正化計画を作成した都市におきましては、法律上、おおむね五年ごとに取組の状況を評価し、必要があれば計画の変更を行うこととされておるところでございます。

 このような制度の考え方も踏まえまして、御指摘のような病院等の施設につきましては、個別の状況も勘案して、必要な対策を防災指針に位置づけることを検討することが重要と考えております。

田中(健)委員 今、一般論のお話をしてもらいましたが、つまり、これを静岡市に当てはめますと、立地適正化計画は平成三十一年に策定がされていますから、五年をめどにということを話しましたが、一度、この基準に従えば、来年には事業評価をして立地適正化計画の修正をすることが求められるという理解でよろしいでしょうか。お願いします。

望月政府参考人 これにつきましては静岡市さんの御判断によるところがあろうかと思いますけれども、先ほど申しましたとおり、国からは、災害リスク等を勘案して、できる限り速やかに立地適正化計画を変更して防災指針を位置づけていただくことを求めておるということと、遅くともおおむね五年ごとの見直しの段階では見直しを行っていただきたいという趣旨でございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 病院が津波浸水想定区域へ移転することで、津波の実際の災害時の医療継続というのをどのように考えているのかを伺っていきたいと思います。

 桜ケ丘病院というのは、二次救急医療機関として地域の救急医療を担っている病院であります。二次救急医療は、皆さん御案内のとおり、二十四時間三百六十五日、救急搬送の受入れに応じ、傷病者の状況に応じた適切な情報や救急医療を提供する役割を求められている病院でありますが、津波の災害時に実際それを果たすことができるのか、まず厚労省の見解を伺います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 一般論でございますけれども、医療機関の移転先につきましては、医療機関におきまして、防災上のリスクも含めまして、患者のアクセスあるいは必要な土地の確保など様々な事情を踏まえつつ、また、必要に応じて地域の関係者との協議等を踏まえて決定されていると考えておりまして、厚生労働省におきまして、個々の移転先について適切かどうかという評価は難しいと考えております。

 いずれにしましても、今回の桜ケ丘病院の移転先につきましては津波浸水想定区域となっておりますけれども、移転に関しまして静岡市とJCHOの間で地域住民の利便性や地域の医療ニーズ等の地域の実情を総合的に勘案して決定されたと聞いております。

田中(健)委員 もちろん個々の病院についての判断を厚労省に尋ねるわけにはいかないんですが、いろいろな対策をするから大丈夫と言われても、やはり、あの東日本の現状を突きつけられると、想定した以上の瓦れきや漂流物というのを私たちは目にしていますので、大変困難な状況になるということは予想がされるわけです。

 そうしますと、JCHO側さんに伺いたいんですけれども、そんな中で、二〇一九年の四月に静岡県の医療救護計画が改定をされています。従来の救護病院の指定運営指針に、新たに、想定津波浸水地域に開設、移転する病院を除くという一文が加えられました。

 この点について、静岡市は、救護病院については本市が病院の管理者と協議の上指定するものと。先ほどお話があったとおりかと思います。本市は、桜ケ丘病院は清水区の基幹病院であると認識しており、引き続き救護病院としての役割を担っていただけるよう、JCHOや桜ケ丘病院との協議を進めていきたいというふうにしています。

 この救護病院というのは、国としては正式な名称ではないんですけれども、静岡県として救護病院というのを位置づけて、四つの大きな役割があると定めています。一つは、医療救護対象者の重症度や緊急度の判定や、まず選別をすること。そして、中等症の患者及び重症患者の受入れ、処置をすること。また、重症患者の災害拠点病院や広域搬送拠点への搬送手配をすること。また、最後は、死亡確認や遺体搬送の手配をする。この四つを担うものが救護病院と位置づけられています。

 津波の浸水想定区域への移転がもう決まっている桜ケ丘病院が、津波の災害時に、今挙げた中の特に、中等症の患者及び重症患者の受入れ及び処置をして、救護病院としての機能が果たせるんだろうかという心配の声もありますが、それについての考えをJCHOさんに伺います。

山本参考人 現在、桜ケ丘病院は地域の災害医療提供体制に貢献しておりまして、移転後もその役割を担うことは大変重要であると考えております。

 そこで、新しい桜ケ丘病院につきましては、津波災害にも医療機関として機能を果たせるよう、病院機能を二階以上に設置するとともに、エネルギー部門を上層階に設置するなど、建築手法上の工夫を行うこととしております。

 このエリアの最大浸水想定高は二・六六メーターでございますが、それをずっと上回る五・九メートルまで構造体をかさ上げすることで津波による被害を回避するということとしております。

 また、陸上交通が途絶した際に医薬品あるいは飲料水等の支援物資の搬入を可能とするために、ヘリコプターのホバリングスペースも設置することとしております。

 避難住民あるいは帰宅困難者の中でも医療を要する中等症以上の患者さんを中心に受入れを行うために、リハビリセンターであるとか多目的室に患者さんの受入れが可能な機能を持たせる計画でございます。

 津波等の災害時では、新しい桜ケ丘病院のみで対応するわけではございませんけれども、静岡県及び静岡市において策定されている医療救護計画等に基づいて、災害拠点病院と連携して、被災者対応、被災者、患者の対応を行っていきたいと考えているところでございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 実際、今、病院の開設に向けての準備が進んでいます。新病院の開設許可は、静岡市との事前協議の概要では、病床数が百五十九床、また、着工は二〇二二年、本年の三月三十一日、竣工は二〇二三年の八月三十一日、開設は同年の十一月一日となっています。つまり、来年度中の開院を目指しているということでありますが、三月末、この工事を担当する業者を決める一般競争入札が不調に終わったと聞いています。円安や資材の高騰等、この入札だけでなくて、恐らく全国で今いろいろな不調が続いているかとは思うんですけれども、まず、この原因は何か、伺いたいと思います。

 同時に、今後、条件等がどのように変化をしていくのか、対応をしていくのか。また、建設スケジュールにこの影響というものがあるのかということについて伺います。

山本参考人 御指摘のとおりでございまして、新病院の建設に係る一般競争入札は今年の三月二十八日に実施いたしましたが、不落札となったところでございます。

 この原因につきまして、私どもが積算した資材等の価格と、それから入札参加者の価格を比較したところ、ここに相当程度の開きがあったということから、やはり資材等の高騰が原因であるというふうに考えているところでございます。

 現在、情報収集を行っておりまして、入札条件を含め、今後の対応を検討しているところでございます。

 なお、建設入札が不落札となりましたので再度の入札を検討しておりますが、建設スケジュールにつきましては、静岡市ともよく調整をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 スケジュール、まだこれからということでありますが、やはりこれで延びてしまったり遅くなってしまうと、またさらに、実際の今の桜ケ丘病院も本当に老朽化していますので、是非一日も早く前に進めていただけるようにしていただければと思っています。

 また、やはり、資材高騰の理由も、先ほど二階構造にすると言ったんですが、一階をピロティー構造にするということで、恐らくこれで大きなコストがかかると。最初から、ピロティー構造はコストがかかるんじゃないかと指摘されていたと思うんですけれども、少し心配もしています。また情報提供をいただきながら、私も進めてまいりたいと思っています。

 また、津波をめぐる防災対策、今お話をさせてもらいますが、もう一つの課題はやはり医師の確保です。

 現在、この桜ケ丘病院は、常勤の医師は九人ということで、多くの非常勤医師で何とか補っているという状態と聞いています。特に内科は、清水区の夜間や休日の救急の七割を受け持っておりますが、常勤の医師は五人しか今いないということです。今年四月に新しく就任したばかりの森院長からは、新病院では二倍の常勤医師が必要と話しますが、確保できるめども立っていないということであります。やはり医者がいなければ、病院を建設しても機能しません。

 まず厚労省に、地域の医師の確保と地方の医師の偏在対策というものについても伺いたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 地域におきまして必要な医師を確保するために、各都道府県で医師確保計画というものを定めていただいて、取組を進めているところでございます。

 具体的には、医学部の入学定員に地域枠というものを設定しまして、こうした学生に修学資金の貸与をしたり、あるいは、専門医資格の取得など本人のキャリアパスに配慮しつつ、医師の不足している地域あるいは病院で診療に従事することができるようなキャリア形成プログラムの策定等の取組を進めております。

 厚生労働省としましては、こうした取組に対して、地域医療介護総合確保基金によって支援を行っております。

 また、医師養成課程でもこうした医師偏在の是正を進めるということにしておりまして、臨床研修における都道府県ごとの定員設定、専門研修における都道府県、診療科ごとの採用数の上限の設定、こうした取組を進めているところでございます。

田中(健)委員 国としてはできることをやっていますが、どうしても県に任せるというか、県が主導でやっていかなきゃならないということであります。

 その中で、桜ケ丘病院、スケジュールどおりに進めば、先ほど、スケジュール、ちょっとまだ不確定だったんですけれども、一年半でもう開設となります。桜ケ丘病院自体から、外来や入院者数、また収支面の具体的な経営計画というのがどのようにJCHOに示されているのか、伺いたいと思います。そして、今、話にあった医師の確保にめどが立っていないという状況をどのように認識し、残された時間でこの解消を図っていくおつもりなのか、伺います。

山本参考人 新桜ケ丘病院の病床は百五十九床としておりまして、想定される外来患者数及び入院患者数に基づいて、現在、適切な経営計画を策定しており、確実に償還を行う予定が立っております。

 それから、お尋ねの医師確保につきましては、これは、静岡県立総合病院も参加するところの地域医療連携法人ふじのくに社会健康医療連合組合、こういう地域医療連携推進法人をつくっておりまして、その枠組みの中で、もう既に令和三年度に医師を二名増員するなど、今後も積極的に取組を進めてまいる所存でございます。

 地域の医療提供体制を維持するために医師確保は極めて重要でございますので、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。

田中(健)委員 先ほども地域医療構想や地域枠、医師の働き方改革という話が出ておりましたが、全国でもやはり医師の数というのは大変大きな課題となっています。医師がいないことで診療が減ってしまうとか、受け入れられないというようなことがないように、是非、医師の安定確保というものに努めていただきたいと思いますし、先ほど理事長からもお話がありましたが、清水区内のほかの病院とも連携をして、何よりも地域の安定した医療体制の構築というものを、一日も早く寄与してもらえるように努めてもらいたいと思っています。

 また、桜ケ丘病院の跡地についてどのような方針でいるか、伺いたいと思います。

 JR清水駅の東口公園は、新しい庁舎の、元々建設予定地として議決をされていた。これは先ほど理事長から経緯の説明がありました。この場所に桜ケ丘病院が移転することによって、現計画どおりに庁舎を移転することは難しくなっています。

 計画の再検討をするに当たり、静岡市より跡地の売却の要望が仮にあった場合というのは、これにJCHOとして応じることというのは、まず、可能かどうかというのを伺います。

山本参考人 現状、新病院の建設に向けて準備を進めている段階でございますので、この桜ケ丘病院の跡地については、今後検討すべき課題というふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 一般論として伺いますが、一般論として、JCHOさんの土地が、移転した場合、そこが空いた場合に、その土地を売却ないしは国に戻すいろいろな手順があるかと思うんですけれども、その手順について教えてもらえればと思います。

山本参考人 JCHOの土地を売却する場合には、独立行政法人通則法第四十八条の規定によって、厚生労働大臣の許可を受けなければならないとされております。

 厚生労働大臣の許可があった場合には、公共団体あるいは事業者に売却することは可能というふうになっております。

田中(健)委員 桜ケ丘病院、先ほど来の話、津波の災害時の医療継続というのはまだまだ不安が残る中でありまして、この跡地を災害拠点に活用できないかというような地域の声もあると聞いています。もちろん、今言ったように、JCHOさんの考えや、もちろん、大臣の認定がなければならないということもありますし、そもそも、静岡市の考えもこれからだと思うんですけれども、あらゆる可能性を考えて、災害に強い地域の形成のために資源を最大限活用できるような状況をつくっていきたいと思っています。

 また、さきの委員会で、今度は後藤大臣から、移転の際は、地域住民に丁寧に説明した上で、地域としての合意は必要と発言がありました。

 これについても、静岡市長、話があったんですが、タウンミーティング実施や質問状への回答文書で丁寧に対応してきたと述べていますが、この間、住民からの直接説明の要望に対して、実は、二〇一七年の三月以降、直接の説明はされていないという状況も続いてきています。長年にわたる交渉と決定に至る経緯が不透明だというか、最後、どたどたっというふうに決まってしまったということもあって、やはり、直接関わって移転を進めてきた静岡市、市長からの説明を求める声というのが上がっているのも事実であります。

 冒頭の大臣の発言と併せて、そして今のこの現状と併せて、大臣の見解というのを伺えればと思います。

後藤国務大臣 本件、桜ケ丘病院の移転に関しては、静岡市によるタウンミーティングや、地域医療機能推進機構、JCHO桜ケ丘病院による住民説明会が複数回実施されていると承知しておりますけれども、厚生労働省としては、個別の医療機関の移転に向けた調整状況に関して評価する立場になく、コメントは差し控えたいと思っております。

 なお、医療機関は、地域住民の健康、生命を守る重要なインフラでありまして、移転する際には、一般論として、移転の影響を受ける患者に対する説明はもちろんのこと、地域住民に対しても、理解が得られるように丁寧に状況を説明することが重要であると考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 求めている人も、全て反対、反対と言っているようなことではないと思います。やはり市長からの直接の声が聞きたいというのが本音だと思いますし、そもそも、せっかく新しい病院を造るのであれば、皆が移転の経緯も含め理解をして、また安心して、地域の皆さんに親しまれて頼りにされる病院であってほしいと思います。説明責任を果たし、コミュニケーションを取る、地域の人の理解を求めるということ、今大臣からも言っていただきましたが、是非、その努力は市長側にあると思っていますので、今後もこの推移を私も見守り、また、是非、大臣にも注目をしていただきたいと思います。

 以上、時間となりました。質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 大臣、先日、地元のシルバー人材センターから、インボイスのことで相談がございました。三千万円ぐらい新たな負担が増える、もうとてもじゃないけれども運営ができない、特例をつくってほしいという話だったんですね。

 このインボイス制度がスタートすれば、消費税の仕入れ税額控除にインボイスが必要になります。しかし、センターの会員は、平均年四十万円程度の収入で、消費税の免税事業者であり、インボイスは発行できない。そうすると、センターは、消費税の仕入れ税額控除ができなくなり、納税すべき消費税が大きく増えるということになります。

 厚労省は、対策として、自治体に対しては発注価格を引き上げるように通知を出しておりますが、七割は民間からの仕事なんですね。民間の発注者が発注額を引き上げてくれる保証というのは全くないわけでございます。なおかつ、シルバー人材センターは収支相償が原則ですから、消費税を支払う財源というのは、どこかにたまっているわけでもないという状況でございます。

 昨日も財金でうちの同僚議員がやった議事録を資料二枚目からつけておりますけれども、全国のシルバー人材センターに新たに発生する消費税の額は、昨日の厚労省の答弁では二百億円、物すごい額です。二百億円といったら、一センター当たりの消費税の新たな負担というのは幾らになりますか。

後藤国務大臣 令和二年度のシルバー人材センター事業の統計年報によれば、請負、委託の契約金額のうち配分金の額が二千二百十億円となっております。

 したがって、当該配分金について一定の仮定であらあらの計算をした場合は、今先生からも指摘があったように、消費税相当額はシルバー人材センター全体で二百億円前後、これは、千三百センターありますけれども、一センター当たり千五百万円前後の数字となるということでございます。

 ただし、これは、インボイス制度の導入に伴いまして、各センターがどのような価格設定をするかなどの影響を受けることや、また、経過措置の六年間において、各センターがどのような対応や対策を行っていくかによりまして消費税額は左右されることになりますから、具体的な数字をお示しすることは困難であるという前提のものでございます。

宮本(徹)委員 一千五百万円なんですね、一センター、大きいところも小さいところも。大きなところはかなりの額になるんじゃないかと思います。

 そこで、全国シルバー人材センター事業協会が政府への要望書を準備していると聞いております。聞きましたら、要望書の案は自民党の議連で既に配られております。

 拝見させていただきましたが、シルバー人材センターに対するインボイス制度の適用を除外すること、所得税非課税範囲程度の少額所得事業者については、インボイスの発行を免除し、仕入れ税額控除についても帳簿等で行うことができるようにすること、こうした特例がなければ、シルバーは追加的な財政支援を継続的に受けなければ、事業運営は困難になる、こう書いてあるわけでございます。

 大臣、大臣は、シルバーについてはインボイスの特例をお求めになるということなんでしょうか。あるいは、毎年シルバー人材センターに新たに発生する消費税を肩代わりするだけの財政的な支援を、シルバー人材センターに行うということでしょうか。どちらでしょう。

後藤国務大臣 インボイス制度の導入目的は、複数税率制度の下で適正な課税を確保するためと承知をしています。

 シルバー人材センター事業における取引は、ほとんどが消費税の課税対象である、課税取引であると想定されまして、発注者及び受注者が明確であるという点も含めて、他の取引と比べて特に特別な措置を講ずるような特殊性があるともなかなか言い難いというふうに考えます。

 シルバー人材センターから、インボイス制度の導入に当たり、安定的な事業運営が可能となる措置について要望があるということは私も承知しております。一方で、シルバー人材センターにおける取引の態様が特殊とは言えない中でシルバー人材センターに限って税制上の特例を設けることは、消費税制度やインボイス制度における公平性の観点から多くの課題があると認識をしています。

 厚生労働省としては、シルバー人材センターがインボイス制度の段階的施行を含む様々な環境変化に柔軟に対応しながら、受注量の増加や運営の効率化などを通じて、安定的な事業経営を継続し、地域における役割を一層発揮していただけるように、経営基盤の強化を図るための必要な支援を引き続き講じていきたいと考えています。

 インボイス制度の円滑な移行を図る観点から、合計で十年の経過措置が設けられていることを踏まえまして、今後も、シルバー人材センター事業への影響や実務的な対応等の実情を把握しまして、どのような支援が可能か、関係省庁とも連携しながら検討してまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 今の大臣の答弁は、特例は難しいと。何か所管大臣としては大変冷たい答弁だなというふうに感じますけれども。

 特例を設けないとなると、先ほどのシルバー人材センターの要望書からいえば、毎年シルバーに発生する消費税を肩代わりするだけの継続的な財政支援がないと運営は困難になると言っているんですよね。なぜなら、先ほど大臣は仕事の受注量を増やすということをおっしゃいましたけれども、仕事の受注量を増やしても増やしても、全部消費税がかかるんですよ。仕事を幾ら増やしたって、これは解決策には余りならないと思いますよ、はっきり言って。委員長は何かくすくす笑っていらっしゃいますけれども。

 これは本当にインボイス制度の根本的な矛盾なんですよね。今まで免税事業者だった皆さんがインボイスを発行できなければ取引には参加できなくなるということですから。じゃ、課税事業者に、シルバーの会員の皆さんになってもらうわけにも、一人一人に対してはいかない。これは大変なことだと思うんですよね。ですから、本当にこのままだと、今の大臣が考えていることでは、はっきり言ってシルバーの事業運営は困難になってしまう、こういう認識はお持ちですか、大臣。

後藤国務大臣 私は、税制の制度がなかなか難しいだろうというふうに申し上げましたけれども、だから何もしなくていいと言ったわけでは決してないので。

 インボイス制度の段階的施行を含む様々な環境変化に柔軟に対応しながら、これは受注量の増加自身が経営の構造の変化につながりますし、運営の効率化を図る、あるいは、委託の費用の問題とかもありますし、安定的な事業運営を継続しまして、地域における役割を一層発揮していただけるように、経営基盤の強化を図るための必要な支援をしっかりしていきたいと申し上げているわけでありまして、シルバーセンターの地域における活動、非常に意味のある活動をしていただいていると思いますので、そうした活動が滞ることは、当然、選択肢の外であるというふうに考えております。

 どのような支援が可能か、関係省庁とも連携しながら検討していきたいと思います。

宮本(徹)委員 シルバーの活動が滞るようなことはあってはならないというのは、そのとおりだと思うんですけれども、それをインボイス制度の下でやろうと思ったら、事実上、厚労省が消費税分を肩代わりするぐらいの財政支援をしない限りはなかなか厳しい。これは仕組み上そうなってしまうわけですよね。だけれども、そこまでの財政的な支援をやるという話がなかなか聞こえてこないわけですよ、大臣からは。

 財務省、今日、岡本さんにも来ていただきましたけれども、シルバー人材センターについて、ちょっとこの間どういう調査をしたのかとお伺いしたいんですよね。

 というのは、所得税法改正の際に、百七十一条の二という附則がございます。ここでは、消費税の軽減税率制度導入三年以内をめどに、適格請求書等保存方式の導入に係る事業者の準備状況及び事業者取引への影響の可能性などを検証し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとするとあるわけですよね。

 ですから、シルバー人材センターについて、事業者取引にインボイスがどう影響するのか、これをどう検証されたんですか。

岡本副大臣 お答えいたします。

 現在、宮本委員御指摘をいただきました平成二十八年の法改正の附則に従いまして、御指摘の検証の過程におきまして、厚労省を通じて、シルバー人材センターがインボイス制度への移行に当たって、センターの皆様が安定的な事業運営について懸念をされている旨を把握をいたしました。

 こうしたことも踏まえまして、インボイス制度への移行に当たっては、免税事業者を始めとした事業者の取引環境の整備を図ることとしておりまして、こうした取組の中で、厚労省から、シルバー人材センターの受注額の約三割を占める地方自治体の皆様に対して、適正な価格設定の要請が行われたところであります。

 先ほど委員御指摘をいただきましたように、七割弱は民間が発注元となっておりますので、この民間の皆様に対しましても適正な価格設定をしていただけることを期待をしております。

 こうしたことに加えまして、インボイス制度への移行後も、厚労省において、シルバー人材センターが安定的な事業運営が継続できるよう、令和四年度予算における補助金等の増額など必要な支援も行っております。

 今後に関しましても、厚労省において、シルバー人材センターの全国団体とも協議を行いながら、対応を検討していくというふうに承知をしておりまして、シルバー人材センターが安定的な事業運営を継続できるように、引き続き厚労省と連携をしながら取り組んでいきたいと考えております。

宮本(徹)委員 民間の発注も引き上げてもらうことを期待しているという答弁ですけれども、願望じゃないですか、それは。

 残念ながら、なかなかこれは説明がつかないんですよね。今まで消費税分ももらっているというたてつけになっているわけですね、発注のときに、シルバー人材センターが仕事を請け負うときに。ですから、インボイス制度が導入されるので、消費税を納入するために消費税分を乗せてくださいという説明ができないんですよ。だから困っているんですよ。なのに、何か民間に発注額を引き上げてもらえることを期待しますと。これじゃ本当に私は無責任だと思いますよ、正直。このままだと本当に運営が困難になる、はっきりしていると思いますよ、私は。

 私は本当に、厚労大臣が、シルバー人材センターに発生する消費税額は肩代わりするだけの財政支援をやりますと言うんだったら別ですけれども、そうじゃないんだったら、インボイス制度は中止するしかないんじゃないですか。そういう立場に立って大臣は、私は財務省に働きかけるべきだと思いますよ。いかがですか、大臣。

後藤国務大臣 国民や法人、国内における法人、やはり国の税制を守る中で活動をするということも、それも重要なことであります。

 インボイス制度の導入自身は、税の公平性確保のために、賛成でない方もおられるかもしれませんが、税制の執行の公平を図るために、国全体として必要である、それを導入するのに準備が必要だということで、経過期間を取っているわけであります。

 ですから、そういう全体の枠の中で、実際に今行われているシルバー人材センターの活動がどのようにしっかりと成り立っていけるか。その体制づくりの支援は、先ほども、幾つか出口はあるわけでありますけれども、消費税分を丸ごと厚生労働省が出すと言わないとシルバー人材センターの事業が成り立たないというのは少し極論なのではないかというふうに思います。知恵を出しながら、シルバー人材センターがどうやったら活動をしっかりと続けていけるかということをしっかりと検討していくということだと思います。

宮本(徹)委員 私、極論を言っているわけじゃないんですよ。自民党の議連で配られた要望書、これは予定では自民党の議連の会長さんの名前も連ねて出される予定ですけれども、そこでも、追加的な財政支援を継続的に受けなければ事業運営は困難になると書いているわけですよね。今出しているような金額では全く足りない。べらぼうな、この二百億円という消費税が発生するわけですよ。もちろん、公的なところは、もうちょっと減るのかも分からないですけれども、ということなんですよね。

 それから、先ほど大臣、インボイスは税の公平な執行に不可欠だということをおっしゃいましたけれども、もう複数税率が導入されて何年もたっています。インボイスがなくても世の中は回っているんですよね。インボイスがなくても税務行政もちゃんとできています。私、予算の分科会で、どんな不公平がどれだけ起きているのかと聞きましたら、どれだけ起きているのかというのは把握していないというのが財務省の答弁でしたよ。

 これは全然、今本当にインボイスをやらなきゃいけない理由というのは、現瞬間の日本社会に私はないと思いますよ。そこを本当に真剣に政府内で考えていただきたいと思います。

 シルバー人材センターの話、厚労省だからやっていますけれども、個人タクシーの業界は個人タクシーの業界で、どうしようかというのを、免税事業者と課税事業者、乗るときに人が分かるように車の上に何かつけようかみたいな、ばかげた話まで起きているわけですよ。本当に社会にいろいろな面でこのインボイス制度は混乱をもたらすと思いますので、ここは政府内で本当に真剣に、このまま突入するわけにいかないんじゃないかということで、再検討していただきたい、こういうことを強く申し上げておきたいと思います。

 そのことができる規定が法律の附則にはあります。それは、岡本さんよく御存じの、うなずいていらっしゃいます、よく御存じのことだと思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。

 岡本さん、ここで退席して結構でございます。

橋本委員長 財務副大臣、退席して結構です。

宮本(徹)委員 続きまして、この後採決いたします障害者アクセシビリティー、コミュニケーション推進法に関わって質問をさせていただきたいと思います。

 まず、日常生活用具給付等事業についてお伺いをいたします。

 ある視覚障害者の方が、DAISY再生機の修理に二万円もかかった、だけれども、この修理費はこの事業の対象外と言われたということでございます。

 この事業は、基本は給付及び貸与となっていますけれども、私は、修理費も可能にすべきだというふうに思いますが、是非検討していただきたいと思います。

田原政府参考人 お答えいたします。

 障害者総合支援法に基づく日常生活用具給付等事業は、障害者等の日常生活上の便宜を図るため、障害者等の自立生活や意思疎通支援等を支援するための用具を給付又は貸与するものでございます。

 実施主体である市町村は、必要な者に適正な用具をより低廉な価格で購入し、給付することとされておりまして、給付された用具は、給付を受けた方において管理をしていただくことになります。

 このため、御指摘の修理費は対象としておりませんで、用具の修理が必要になった場合は、メーカーの保証制度の活用等を検討していただくことになりますが、修理不能により用具の使用が困難となった場合は、実施主体の判断で再給付することも可能でございます。

 こうした取扱いについては、都道府県等の障害保健福祉関係主管課長会議の場においても周知をしておりまして、引き続き適正な運用が図られるよう周知してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 今の答弁は、今回、これから採決する法律の趣旨に反している答弁じゃないですかね。

 それは今まではそうだったでしょう、しかし、それで困っている方が生まれているわけですよ。メーカーに直してもらえと、でもメーカーの無料の保証期間なんて極めて限られていますよ。その期間を過ぎたらどうするんですか。修理不能になったら再給付だと言うけれども、修理可能だけれどもメーカーの無料保証期間が切れている場合はどうするんですか。障害者が自己負担できなかったらどうするんですか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、給付された用具は、給付を受けた方において管理をしていただくことになりますので、壊れないように使っていただくというのが基本だと思います。

 修理ができなくて用具の使用が困難というふうになった場合には、実施主体の判断で再給付することが可能になるというものでございます。

宮本(徹)委員 壊れなくなるように使っていただくというのも、ちょっと答弁としてひど過ぎるんじゃないですか。

 壊れないように皆さん使っていますよ、大事に。それでも壊れちゃうことはあるわけじゃないですか。それが壊れて情報を得るのに困っているのに対して、壊れないように使ってくださいという答弁はないんじゃないですか。

橋本委員長 田原障害保健福祉部長、後半のところをしっかり答弁してください。

田原政府参考人 お答えいたします。

 壊れないようにというお話も申し上げましたけれども、実際の耐用年数は五年というふうに理解しておりますので、十年も二十年も使うということではなくて、その期間しっかりと管理して使っていただくというふうに考えております。

宮本(徹)委員 ですから、その耐用年数の間に壊れて困っている方がいるから私は質問しているわけですよ。

 せっかく今回法律を作るのに、こんな修理費すら出せない、壊れた人は少ない障害年金からどうにかこうにか出して自分でやってくださいというのが、障害者の情報のアクセシビリティーを高めよう、こういう話なんですか。私は本当に、これでは法律を作っても魂が全く入らないということになってしまいますよ。本当に再検討していただきたいと思いますね。

 それから、この法案では地域差をなくしていくことも掲げられております。日常生活用具給付等事業の対象品目についても、大変自治体格差が大きくあります。障害者のコミュニケーションや、情報を得るために新しく開発されたものも積極的に対象品目にしている自治体もあれば、対象品目そのものを余り見直していないという自治体もあります。

 是非、積極的に取り組んでいる自治体の例が全国的に広がるような手だてを取っていただきたいと思いますが、いかがですか。

後藤国務大臣 日常生活用具給付等事業は、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業の一つとして、実施主体である各市町村が、その地域の特性や利用者の状況を踏まえて、柔軟な形態で効果的な事業が実施できる仕組みとしています。

 このため、国が告示にて用具の要件、用途のみを定めまして、市町村が具体的な品目や対象者等の制度の運用に必要な事項を定めております。

 したがって、御指摘の点字ディスプレーなどについて対象品目とするかどうかは、各市町村において実態を踏まえて対応されているものと認識をいたしております。

 なお、厚生労働省では、令和二年度の調査研究事業において、日常生活用具給付等事業の対象品目ごとに対象としている市町村の割合を調査したところでございます。

 障害者のニーズに応じた適切な給付が行われるよう、各市町村の状況について全国会議で周知すること等について検討してまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 それでは、是非、積極的な周知をお願いしたいと思います。

 例えば、点字ディスプレーなんかで、上限額が、給付額が自治体によって随分違うんですよね。三十八万円ぐらいまで出しているところもあれば、二十八万円止まりの自治体もありますので、そうした給付額なんかも是非、先進的なところが広がるような手だてをその際取っていただきたいと思います。

 それから、配付資料の四ページ目にあります意思疎通支援事業ですが、例えば、代筆、代読事業の実施率は五%台ということで、これも自治体ごとに大変大きな格差がございます。

 視覚障害者の皆さんが暮らしていく上で、ポストにはいろいろなものが入るわけですけれども、こうしたものを読んでいただくとかいうことも含めてニーズは様々あるわけですけれども、こうした事業をやっていないところでは、同行援護で代わりにやってくれと言われた人もいるそうですが、同行援護の場合は自宅での代読、代筆というのは受けられません。あと、訪問介護でというのもありますけれども、ただ、訪問介護は、家事サービスで時間が取られるために代筆、代読の時間が取れないというお話もございます。

 是非、この意思疎通支援事業の自治体格差を改善していく、財政支援も含めて、今回の法案を機に考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 意思疎通支援事業につきましては、手話通訳者、要約筆記者の派遣、点訳、代筆、代読等の実施などの様々な事業が含まれますが、事業によっては支援従事者の不足等によりまして実施率に自治体間の格差が生じているということは承知をいたしております。

 このため、意思疎通支援従事者の確保等に向けまして、今年度より、意思疎通支援従事者への関心を高める広報啓発等の事業や、事業の推進に資する調査研究を行うこととしております。

 また、意思疎通支援事業などの地域生活支援事業については、実施主体である各自治体が地域の特性や利用者の状況に応じた柔軟な事業実施が可能である一方で、自治体の財政状況など様々な要因により格差が生じているとの指摘があるところであります。

 引き続き、地域において必要な支援が進められるよう、予算の確保に努めてまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 この地域生活支援事業、御存じのとおり、法律上は国は二分の一以内の負担ですけれども、実際は三五%しか負担しておりませんので、思い切った引上げを求めたいと思います。

 また、手話言語法について質問しようと思っていましたが、今日、立憲民主党の早稲田議員からございましたので、是非これも進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 続きまして、この法案作成過程で、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会から、障害者に限らず、高齢難聴なども含めてほしいという要望が出ました。

 これに対して議連の中での議論は、第四条三項の「障害者でない者による情報の十分な取得」に高齢難聴も含むと理解していただきたいという説明がありました。是非、政府が障害者の情報の取得や意思疎通についての施策を策定する際には、障害認定には至らないけれども聞こえに困難がある方々の情報の十分な取得等にも資する施策としてつくっていくことが期待されると思います。

 この法成立を機に、加齢性難聴などの対策も是非一層進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

土生政府参考人 御指摘の加齢性の難聴者を含む難聴者の方への一般的な施策ということでございますけれども、厚労省といたしましては、まず、身体障害者手帳の交付を受けた高度難聴、重度難聴である方に対して、障害者総合支援法に基づく補装具費支給制度におきまして、補聴器の購入等に係る費用を支給しているところでございます。また、補聴器の安全で効果的な使用を推進するため、補聴器販売店が適切な補聴器の選定や使用の指導等を的確に行えるよう、技能向上研修等事業を実施しているほか、認知機能が低下した高齢者の方に対しまして適切に補聴器をつけていただくため、販売店従業員向けの手引も作成して、配付に努めているところでございます。

 引き続き、省内連携を図りながら、難聴対策に資するための取組を推進してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 資料の八ページを見ていただきたいんですけれども、補聴器は、生活の支援としても孤立対策としても大変重要ですけれども、日本は補聴器の使用率が極めて低いんですね。イギリスが四二・四%、日本は一三・五%。

 厚労省は、日本の補聴器の使用率が低い原因はどこにあるとお考えですか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 今、補聴器の使用率についてお尋ねがございましたけれども、我が国のその使用率につきまして、厚生労働省において正確に把握した調査はございません。

 それに類似した数字として、一定の仮定の下で、身体障害者手帳の交付対象となる聴覚障害がある方で補聴器の購入費が支給された割合を見ますと、おおむね五割程度になると考えております。

 厚生労働省としては、聴覚障害のために補聴器の利用が必要な方に対する補聴器の購入等に係る費用の支給を引き続き継続するとともに、補聴器を使用する場合には、補聴器の効果がきちんと得られるように、事前に専門医に相談し、認定補聴器技能者などの専門知識、技術を持った者に調整してもらう等の啓発に努めてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 今の五割程度というのは、聴覚障害者に限ってのお話なわけですね。私が配っている資料は、高齢難聴の方々も含めてという、障害に至らない方も含めてということになるんですね。

 これが低い大きな原因の一つは、やはり公的な補助、助成が余りにも日本は自治体任せになっているということです。一部の自治体では先進的にやっていますけれども、国の制度として、ない。私は、やはり本当に、こうした補聴器の購入への助成も公的にしっかり考えていく必要がある、そのことを大臣に強く求めまして、時間になりましたので、本日の質疑は終わらせていただきます。

橋本委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文でございます。

 今日は、災害対策基本法に関連して質疑を行いたいと思います。

 政治の大きな役割、やはり、国民の命と財産を守る、そして、今、自然災害ということが頻発している状況でございまして、私の定義でいうと、コロナということも、コロナ禍、これも自然災害に広い定義では入るかもしれません。そういう中で、このコロナが広く蔓延している中で震災が起こったらどうなるのかという議論もありましたが、最近では福島でも地震も起きました。

 それで、過去の災害対策基本法、特に喫緊のこういった自然災害で、高齢者、いわゆる災害弱者と言われる方々が多く統計上も命を落とされたということを鑑みまして、昨年の五月に災害対策基本法の改正がなされました。ここで、今、お手元の資料で、二番でございますが、この改正された法に基づいて、個別の避難計画が避難行動要支援者名簿に基づいて作られるようなスキームになっております。

 このことで、実は私、地元で、ある認知症の方々のワークショップ、話合いの場に出たときに、認知症あるいは障害を持った方々が、その地域で、自分たちがそういった病気であるということを言いにくい環境がある。

 私が申し上げたいのは、いわゆる災害は、基本は、自助、共助、公助というのがあります。この災害対策基本法の肝というのは、やはり、公助に頼らざるを得ない人の命を守る、そういうこともつながっていると思います。そういう中で、いわゆるセンシティブな情報をどのように扱って、名簿から抽出し、そして災害弱者の命を守っていくという、この一連の流れ、いわゆる個別の避難計画へとつなげていく、そういうことが大切だということが今回の災害対策基本法の肝にもなると私は位置づけております。

 そういうことで、一問目でございますけれども、この名簿、様々な情報があるべきだと思うんですが、ある限られた情報でございまして、この二枚目のスキームにおきましても、名簿を基に、三枚目の資料で、右に行く優先度の高い方々から抽出して、計画を策定していく。

 実は、私の選挙区で、大野副大臣の方にこれから質問しますけれども、四国も南海トラフ大震災、震源域が全域になっていまして、かなりこれからそういうことも想定される中で、ある自治体が、この計画を策定するときに、おおよそ千六百ぐらいの方の対象があるにもかかわらず、一年間で十例程度の策定にしか至らなかったということがあります。

 こういう事例からしまして、まず、この情報のありよう、私は、かなりデジタル行政というのを駆使しまして、これは個人情報保護法を基にしてやっていくわけであると思われますけれども、副大臣、この情報の扱いですね。例えば、そういった個人情報に慣れていない方、この名簿作成に主体的に取り組む人というのは、自治体の福祉関係の職員もいらっしゃいます。あるいは、地域包括ケアシステムの中でのケアマネもいらっしゃいます。あるいは、自主防災組織の方もいらっしゃいます。民生委員の方もいらっしゃいます。

 特に民生委員、あるいはそういった自主防災組織の方々、そういった方々が、私は、本当の意味でいうと、災害弱者のところの御自宅に、現地に行って、その地域の状況を見ていく。これは、例えばその地域が浸水区域であるかどうかとか、あるいは避難路までの経路ですね。あと、もちろん大切な家族構成であるとか、いわゆる住基ネット、家族の住民票の中では、若い方、そういった災害弱者を例えば抱いて運んで、移動することができる方もいらっしゃるかもしれないけれども、ほとんど家にいらっしゃらない実態もあるかもしれない。現地に行って、現場に行って初めて分かる情報もあると思います。

 そういうことを鑑みて、そういった情報のシステムというのを、より、現実と、現場とのマッチングというかアップデートというか、それが大切だと思いますけれども、副大臣、そのことに関しましてどういった御意見。あと、その遅れている事情があるんですね。実は一年間、去年の五月に法改正ですから、おおよそこの五月、まだ五月途中ですので、一年間で一応区切って、その策定状況を見てまた考えてみるというようなことを、レクを受けたときに担当の方から伺いましたけれども、そのことを踏まえて、どのようにお考えでしょうか。

大野副大臣 ありがとうございます。

 今、御指摘をいただきましたように、基本的には、デジタル化というところが非常に重要なポイントになってくると思います。それは何よりも最新の情報を関係者の間で共有をして、効率的に共有をしていくということからの観点でありますが。

 御存じのように、政府におきましての災害時の被災者支援に必要な情報を一元的に統合し、クラウド化した被災者支援システムの開発を現在進めておるところでありまして、今年度から運用を開始する予定になってございます。

 このシステムでは、セキュリティーが確保されて、一定のネットワークに接続されている場合には、自治体庁舎だけではなくて、避難所等において避難行動要支援者に関する情報の共有が可能となっておりますが、引き続き、各自治体とも連携をしながら、しっかりとデジタル環境の整備を進めてまいりたいと思いますけれども、じゃ、どうやってデジタル情報に載せていくのかという、先ほど現場の状況というのがよく分からないといけないじゃないかという御指摘も賜りました。

 その中で、基本的に優先順位というのはやはり要支援者ということになるんですが、自治体が作成の優先度を判断する際には、これはガイドラインを既に定めておりますけれども、ハザードマップ上で危険な地域に住んでいるかどうか、あるいは、避難行動要支援者の本人の心身の状況、そして独居等の住居実態や社会的孤立の状況なども踏まえて判断していくということが望ましいとされておりまして、こういった優先度を踏まえて、効果的、効率的に進むように、モデル自治体というのがございまして、そこにおける優先度の設定事例を共有するような横展開をしながら、取組を支援してまいりたいと思ってございます。

 その上で、今申し上げたような、現場の状況というのはよく分からないといけないという観点から、したがいまして、現場に近い方々、すなわち、例えば福祉専門職であるとか医療関係者でありますとか、そういった方の情報を共有しながら、しっかりとやっていきたいと思っているところでございます。

 また、内閣府といたしましては、ケアマネジャーや相談支援専門員が参画することによりまして、本人が安心できる移動手段、移動方法など、実効性のある計画を作成できた事例などの優良事例の共有を通じて、福祉関係者や医療関係者と適切に連携をした個別避難計画作りを支援してまいりたい、このように存じます。

仁木委員 今副大臣おっしゃっていただいたように、私も地域包括ケアという言葉を用いて、ケアマネという特別なワードを出しましたけれども。やはり、今副大臣おっしゃったような優先度の順位を、例えばAIとかで名簿を基に読み取らせて、プライオリティーを決めていく。ハザードとか、あるいは医学的、介護的な要支援者の情報、あるいは社会的な背景、家族のこと、そういうことも申し上げました。そういうのでプライオリティーを見ていって、それで、今おっしゃったケアマネさんの方にまずはフィルターをかけた人の情報が行って、そこで、ケアマネさんは定期的にその方々のおうち、御自宅に行っていますので、そういった方々の情報を基に避難計画を立てて、そして、地域での調整会議に至っていくというふうな、この一連のプロセスが望ましいと私も思っております。

 やはり、こちらの場でも私は毎回デジタル行政の重要さというのを申し上げております。この要支援者も、もしかしたら、高齢になられてお亡くなりになるかもしれない。あるいは、元気だった要支援の方が突然脳梗塞になったりして要介護者になってしまうかもしれないし、そういった、ADLが低下して、いざというときに逃げられないような状況も出てくると思いますね。

 ですから、そういう意味で、特別なモデル地域を設定してということをおっしゃっていました。ですから、ソフト、いわゆるシステムの選定も含めて、あと、アップデートするためのデータの入力というか、入力する方々のありようとかも含めて、これはデジタル行政を駆使してまさにやっていっていただきたいというふうに思います。

 そういう中で、こういったことも踏まえて、一年後の、たった状態での、上がってくる計画の状況を鑑みられて、自治体の方に改めて指導というか、そういう形を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

大野副大臣 ありがとうございます。

 避難計画を策定するということは非常に重要な観点でありまして、様々な取組、これは人材の育成とか講習会とかそういうのも含めましてやっていきたいと存じますが、その上で、デジタルシステムというのが非常に有用だという御指摘はまさに我々も共有をしているところでございまして、それがなお進むようにしていきたい。

 デジタルシステムは、クラウドシステムの話を先ほど申し上げましたけれども、これは既に各自治体で実際にもう構築している場合もありますので、そういった既につくられている自治体におかれましては、そのクラウドシステムとAPI等々しっかりと提供して連携できるようにして、しかも、その入力、情報の収集ということにつきましてもしっかりと自治体が取り組めるような環境を我々として全力で支援をさせていただきたい、このように存じます。

仁木委員 この個別計画書の記入例がアップされておりますけれども、例えば、従来の、関係者のお名前、家族の構成、実際に救援する方々、こういった方々のお名前のみならず、先ほど申し上げたように、現場でそういった方々の顔合わせをしておくということがまず重要ですし、それに加えて、二枚目にあるような感じでいいますと、医療情報に加えて、地域の浸水想定区域内であるとか、そのときの想定される最大浸水の深さとかいうのが数値で表れております。それに加えて、避難支援時の留意事項で、例えば、本人は弱視、目が余り見えなくて、耳も聞こえにくい状況であるとかいうような記載もあるわけでございます。

 例えば、こういう情報に加えて、私、よく、避難所との状況を、三・一一、東日本大震災のことも想定しますと、例えば、トイレの状況とか、妊婦さん、褥婦さんがいらっしゃる、ちっちゃい子供さんがいらっしゃる、あるいはペットを飼われている方がいらっしゃる。そういう方々が発災して避難所に行ったとき、こういった情報が事前にあれば、各自治体において避難所の設計にかなりいい影響が事前にできると思うわけですね。

 だから、そういうことも踏まえてデジタル行政を生かしていただきたいと思うわけでございますが、後藤大臣、私、かねてより、このデジタル行政、例えば、今回の児童福祉法の改正においても医療機関との連携のことも申し上げてまいりました。将来、例えば母子健康手帳のデジタル化ということもあります。

 そういったことで、例えば、こども家庭センターが握っている情報も、今回の児童福祉法にはこういったルーティン的な子育て困難者に対する支援は新たに改正されてよかったわけでございますけれども、こういった有事の状態での、本当に子供とか、大臣、こういう子育て困難者というのは、結構、やはり自然災害がばっと起こったときに、もしかしたら、私の主観かもしれませんが、そういった命とかを自助で守りにくい方々かもしれないです。そう思うんですね。

 ですから、そういう方々に対しても、このこども家庭センターが得た情報、住民票では普通に生活されているけれども、虐待があったりすると、家族の連携がうまくいっていないとか、様々な子育て困難な状況が、これはもしかしたら、そういう形で発災が起こってくると、本当にそういう致命的になるかもしれない。そういうことを予防する意味では情報を連携していくことも重要だと思いますが、その点に関してはいかがでしょうか。

後藤国務大臣 今般の児童福祉法改正案において、市町村において設置するこども家庭センターにおきましては、子育て世帯等に対する相談支援を行うとともに、要保護児童対策地域協議会、要対協の事務局を担うことを想定しておりまして、児童福祉等の観点で、支援を要する子供や子育て世帯の情報を把握するものと認識しています。

 このため、こども家庭センターで把握する子育て世帯等の情報について、直接的に個別避難計画の対象となるような、災害時の避難支援等が必要な家庭の情報とは異なるものと承知はしておりますけれども、個人情報の観点に留意しつつも、個別避難計画に資する情報がある場合には、同じ市町村の中で、こども家庭センターやその担当部署から防災担当部署に必要な協力を行うことも、場合によっては考えられるとは思います。

 また、災害が長期化した場合等において、こども家庭センターで災害発生前から支援していた家庭に対して、防災担当部署等から情報を入手し、避難後も引き続き支援を行っていくことも必要であると考えております。

 このように、市町村において、こども家庭センターと防災担当部署がどのような連携ができるかについては、今後、内閣府の防災担当部局とも相談してまいりたいと思います。

仁木委員 是非、今大臣がおっしゃったことを前向きに進めていっていただきたいと思います。まだこども家庭センターができ上がっておりませんので、いろいろな形の変更というかバージョンアップができるというふうに思います。

 そういう中で、私がこの間申し上げているのは、デジタル行政に行くにはやはり情報が非常に大切だということで、例えば今回のことも、VRSという、コロナ禍での災害ということも冒頭申し上げました。そのVRSに入っている情報がHER―SYSにすら移行を容易にできにくい状況がありますし、例えばHER―SYSの情報で、今回の計画にも、ワクチンを打っているかどうか、そういったこともこのVRS、HER―SYSというのが医療と連携していって、またそこで、いわゆる一次災害は逃れても、二次災害、そういった避難所で命を落とさない、感染症にならない、あるいは周りの方々、避難してきた方々の命と健康を守れるような避難体制がつくれるということは、災害対策基本法においても大切なことだと思います。

 そういうことを含めて、デジタル行政のことを皆様方にまた推進していくということを改めてお願い申し上げると同時に、今日のこの質問の方を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

橋本委員長 次に、参議院提出、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。参議院厚生労働委員長代理者理事山本香苗君。

    ―――――――――――――

 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本(香)参議院議員 ただいま議題となりました困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 現在、居場所がなく家出した若年女性、性虐待、性的搾取の被害者、家庭関係の破綻、生活困窮等の困難な問題を抱える女性に対しては、昭和三十一年に制定された売春防止法に基づく婦人保護事業による支援が行われています。

 しかし、近年、女性が抱える問題が多様化、複合化、複雑化し、現在既に婦人保護事業として行われている支援の実態と乖離が生じています。その上、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、支援を必要とする女性が増えているにもかかわらず、支援になかなかつながらないといった実態も浮き彫りになりました。

 このため、現場の支援者等からも、売春を行うおそれのある女子の保護更生について定める売春防止法を根拠とする従来の枠組みから脱却し、ニーズに応じた新たな女性支援の枠組みを構築することが強く求められています。

 こうした状況の下、本法律案は、女性が日常生活又は社会生活を営むに当たり女性であることにより様々な困難な問題に直面することが多いことに鑑み、性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他の様々な事情により困難な問題を抱える女性や、そのおそれのある女性の福祉の増進を図るため、支援のための施策を推進し、もって人権が尊重され、及び女性が安心して、かつ、自立して暮らせる社会の実現に寄与することを目的として、婦人保護事業で行われている支援の実態を踏まえ、困難な問題を抱える女性への支援に関する必要な事項を定めようとするものであります。

 次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、基本理念として、困難な問題を抱える女性が、それぞれの意思が尊重されながら、最適な支援を受けられるようにすることにより、その福祉が増進されるよう、多様な支援を包括的に提供する体制を整備すること、関係機関及び民間の団体の協働により、早期から切れ目なく支援が実施されるようにすること、人権の擁護を図るとともに、男女平等の実現に資することを旨とすることを定めております。

 第二に、国及び地方公共団体は、基本理念にのっとり、困難な問題を抱える女性への支援のために必要な施策を講ずる責務を有し、施策を講ずるに当たっては、関係地方公共団体相互間や、支援機関と関係機関との緊密な連携が図られるよう配慮しなければならないこと、厚生労働大臣は、困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本方針を定め、地方公共団体は、基本方針に即して、施策の実施に関する基本的な計画を定めることとしております。なお、基本方針等においては、現在の婦人保護事業及び他施策との連携等について定めることを想定しています。

 第三に、売春防止法における婦人相談所、婦人相談員、婦人保護施設の名称を改めた上で、女性相談支援センターの設置、女性相談支援員の配置、女性自立支援施設の設置について規定し、女性相談支援センターは困難な問題を抱える女性の立場に立った相談、一時保護等を行うこと、女性相談支援員は困難な問題を抱える女性の発見に努め、その立場に立って相談に応じ、専門的技術に基づいて必要な援助を行うこと、都道府県は、困難な問題を抱える女性の意向を踏まえながら、女性自立支援施設に入所させて、保護を行うとともに、自立の促進のために生活を支援し、あわせて退所した者について援助を行うこと等を定めております。

 第四に、現在の若年被害女性等支援事業を念頭に、地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体と協働して、その自主性を尊重しつつ、困難な問題を抱える女性の意向に留意しながら、発見、相談その他の支援に関する業務を行うこととしております。

 第五に、地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援を適切かつ円滑に行うため、関係機関等により構成される支援調整会議を組織するよう努めるものとし、支援調整会議は、必要な情報の交換や支援の内容に関する協議を行うものとしております。

 第六に、国及び地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援に関し国民の関心と理解を深めるための教育及び啓発や、自己がかけがえのない個人であることについての意識の涵養に資する教育及び啓発を含め、女性が困難な問題を抱えた場合に支援を適切に受けることができるようにするための教育及び啓発に努めるとともに、調査研究の推進、人材の確保等及び民間の団体に対する援助に努めることとしております。

 第七に、費用の支弁等について、地方公共団体が民間の団体との協働による支援を行う場合における民間の団体の活動に要する費用への補助を含めて規定しております。

 なお、この法律は、一部を除き、令和六年四月一日から施行することとしております。また、政府は、公布後三年を目途として、この法律に基づく支援を受ける者の権利を擁護する仕組みの構築及び当該支援の質を公正かつ適切に評価する仕組みの構築について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるほか、施行後三年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしております。

 あわせて、この法律の施行に伴い、売春防止法のうち、補導処分について定める第三章及び保護更生について定める第四章を削り、婦人補導院は廃止することとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

橋本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 本案につきましては、質疑、討論共に申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

橋本委員長 次に、参議院提出、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。参議院厚生労働委員長代理者理事川田龍平君。

    ―――――――――――――

 障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

川田参議院議員 ただいま議題となりました障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 全ての障害者が、社会を構成する一員として、社会、経済、文化等あらゆる分野の活動に参加するためには、障害者が必要とする情報へのアクセシビリティーを向上させることやコミュニケーションの手段を充実させることが極めて重要であります。

 これまでも、障害者基本法や同法に基づく障害者基本計画において、情報の利用におけるバリアフリー化、情報アクセシビリティーの向上、意思疎通支援の充実といった方向性が示され、これらに基づいて各種の施策が講じられてきておりますが、より一層の推進が求められていることから、その根拠となる、障害者の情報アクセシビリティーやコミュニケーションに焦点を当てた新たな法律の制定が必要とされております。

 こうした状況を踏まえ、本法律案は、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資するため、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、当該施策の基本となる事項を定めること等により、当該施策を総合的に推進しようとするものであります。

 次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、基本理念として、障害者による情報の取得等に係る施策の推進に当たっては、障害者による情報の取得等に係る手段について、その障害の種類及び程度に応じた手段を選択することができるようにすることや、障害者が取得する情報について、障害者でない者が取得する情報と同一の内容の情報を障害者でない者と同一の時点において取得することができるようにすること等を旨として行わなければならないこととしております。

 第二に、国及び地方公共団体は、これらの基本理念にのっとり、障害者による情報の取得等に係る施策を策定し、及び実施する責務を有することとしております。あわせて、国及び地方公共団体は、当該施策が障害者でない者による情報の十分な取得等にも資するものであることを認識しつつ、当該施策を策定し、及び実施するものとし、当該施策を講ずるに当たっては、障害者等の意見を聞き、その意見を尊重するよう努めなければならないこととしております。

 第三に、国及び地方公共団体は、障害者による情報取得等に資する機器等の開発及び普及の促進を図るため、当該機器等に関し、開発及び提供に対する助成その他の支援、規格の標準化、障害者等に対する情報提供及び入手の支援その他の必要な施策を講ずるものとすることとしております。あわせて、国は、当該機器等の開発及び普及の促進並びに質の向上に資するよう、協議の場の設置その他関係者の連携協力に関し必要な措置を講ずるものとすることとしております。

 第四に、国及び地方公共団体は、障害の種類及び程度に応じて障害者が防災及び防犯に関する情報を迅速かつ確実に取得することができるようにするため、体制の整備充実、設備又は機器の設置の推進その他の必要な施策を講ずるものとすることとしております。

 第五に、国及び地方公共団体は、障害者が自立した日常生活及び社会生活を営むために必要な分野において、障害者がその必要とする情報を十分に取得すること等ができるようにするため、障害者とその他の者の意思疎通の支援を行う者の確保、養成及び資質の向上その他の必要な施策を講ずるものとすることとしております。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御協議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

橋本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 本案につきましては、質疑、討論共に申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 この際、本案に対し、牧原秀樹君外六名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党及び有志の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。早稲田ゆき君。

早稲田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 障害者による情報の十分な取得及び利用並びに円滑な意思疎通への配慮に努めて開発した情報通信機器その他の機器及び情報通信技術を活用した役務を優先的に調達する制度について、検討を行うこと。

 二 情報コミュニケーション・アクセシビリティの推進のため、障害者基本計画の達成状況を踏まえ、法の見直しなど必要な措置を講ずること。

 三 情報コミュニケーション・アクセシビリティに関する相談窓口の設置を検討すること。

 四 行政機関に提出する書類のバリアフリー化、災害時の情報保障、選挙における情報アクセシビリティの改善、資格試験など各種試験のバリアフリー化など、情報コミュニケーション・アクセシビリティのさらなる促進について財政的な措置を含め必要な検討を行うこと。

 五 本法同様に四十七全都道府県と千七百四十一全市区町村の議会から制定を求める意見書が国に提出されていることを踏まえ、手話言語法の立法を含め、手話に関する施策の一層の充実の検討を進めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

橋本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、後藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。後藤厚生労働大臣。

後藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。

    ―――――――――――――

橋本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

橋本委員長 次回は、来る二十日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十二分散会


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