衆議院

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第3号 令和4年10月28日(金曜日)

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令和四年十月二十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      畦元 将吾君    五十嵐 清君

      上田 英俊君    勝目  康君

      川崎ひでと君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    後藤田正純君

      高村 正大君    佐々木 紀君

      齋藤  健君    塩崎 彰久君

      新谷 正義君    田村 憲久君

      高階恵美子君    土田  慎君

      中川 郁子君    西野 太亮君

      橋本  岳君    長谷川淳二君

      平沼正二郎君    堀内 詔子君

      牧原 秀樹君    松本  尚君

      三谷 英弘君    八木 哲也君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      大西 健介君    西村智奈美君

      野間  健君    山井 和則君

      吉田 統彦君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    遠藤 良太君

      小野 泰輔君    沢田  良君

      吉田とも代君    古屋 範子君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    仁木 博文君

    …………………………………

   議員           早稲田ゆき君

   議員           野間  健君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   デジタル副大臣

   兼内閣府副大臣      大串 正樹君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 親家 和仁君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     佐々木 紀君

  橋本  岳君     平沼正二郎君

  長谷川淳二君     西野 太亮君

  堀内 詔子君     八木 哲也君

  牧原 秀樹君     五十嵐 清君

  遠藤 良太君     沢田  良君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     中川 郁子君

  佐々木 紀君     高村 正大君

  西野 太亮君     長谷川淳二君

  平沼正二郎君     橋本  岳君

  八木 哲也君     堀内 詔子君

  沢田  良君     小野 泰輔君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 郁子君     牧原 秀樹君

  小野 泰輔君     遠藤 良太君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 国民本位の新たな感染症対策を樹立するための感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び予防接種法の一部を改正する法律案(早稲田ゆき君外八名提出、衆法第五号)

 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案(早稲田ゆき君外八名提出、衆法第六号)


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案並びに早稲田ゆき君外八名提出、国民本位の新たな感染症対策を樹立するための感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び予防接種法の一部を改正する法律案及び新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官親家和仁君、デジタル庁審議官内山博之君、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官城克文君、大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、医政局長榎本健太郎君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長八神敦雄君、労働基準局長鈴木英二郎君、老健局長大西証史君、保険局長伊原和人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大岡敏孝君。

大岡委員 よろしくお願いいたします。自民党の滋賀県の大岡でございます。

 それでは、早速、感染症法等の一部を改正する法律案の審議に入らせていただきたいと思います。

 まず、新型コロナの感染拡大から三度目の秋を迎えています。この間、度重なる感染拡大と戦った医療従事者の皆様、そして政府、各自治体、保健所関係の皆様の熱心な対応にまずは感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、今回、感染症法等の改正案が出されていますので、これが過去の課題にどのように対応してきたか、また今後、取り漏らした、あるいは今後しっかりと対応すべき課題は何かということを明らかにしつつ、議論を進めていきたいと考えております。

 まずは外来からです。

 コロナ禍での外来の対応状況はどうだったでしょうか。まず、感染拡大当初は、発熱患者の診療を断る医療機関が多く生じました。また、二〇二〇年の秋からは医療機関に補助金を入れましたね。発熱外来をやると言ったんですけれども、問題は、発熱外来の実施医療機関が公表されていなかった。そのせいで、国民から見ると一体何のためにお金を入れたのか分からなかったということがあります。そして、今年の夏の感染拡大のときには、これは記憶に新しいのですけれども、発熱患者が続出して診療所に受診しづらいという状況がありました。

 それぞれの状況にボトルネックが生じているんですけれども、この重要な解決策の一つが、私はオンライン診療とリフィル処方だと考えています。

 リフィル処方というのは聞き慣れない言葉だと思いますので、資料の一番目につけさせていただきました。これはラーメンに例えると替え玉ということなんですけれども。

 このリフィル処方とオンライン診療につきましては、昨年の衆議院選挙のときにも、私も地元のある団体からは、コロナが終わったらオンライン診療をやめるという政策協定に署名をしてくれということも言われましたけれども、これから申し上げる理由を丁寧に御説明をして、これは十分に国民の医療増進に効果があるというふうに考えておりますので、その署名には丁重にお断りをしたわけなんです。

 今回のような感染症、これは、医師を守る意味でも、また患者のアクセスの点でも、共に非常に有効だと考えています。あわせて、緊急時だけやればいいじゃないかという意見はあるんですけれども、ふだんやっていないことを緊急時にはやれないんですね。ふだんからちゃんとやっておくということが緊急時の備えにもつながるということを申し上げておきたいと思います。

 その上で、現状、このオンライン診療そしてリフィル処方がどのように活用されているのか、どの程度活用されているのか、また、この仕組みを更に伸ばすためにはどういうことを考えているのか、政府のビジョンについて教えていただきたいと思います。

伊佐副大臣 まず、オンライン診療につきましては、当然、ニーズがあるから、様々議論を進めてここまでやってきた。元々、例えば離島でありますとか医師の少ない地域、こういうような地域でどうやって医療提供体制をするかという議論があって、平成三十年の四月の診療報酬改定から、再診に限ってオンライン診療を行わせていただいております。

 今般、令和四年一月に、オンライン診療の適切な実施に関する指針というものを改定いたしまして、初診からのオンライン診療を可能とさせていただきました。これはコロナ禍の特例ではありません。恒久的な措置として整理をさせていただいているということをまず申し上げたいというふうに思います。

 現在、オンライン診療については、令和四年七月一日の時点において、約五千五百の医療機関が算定のための施設基準の届出を行っているという状況でございます。

 そしてまた、リフィル処方箋につきましては、これは、症状が安定している患者の皆さんに対して、医師の処方によって、医師及び薬剤師の適切な連携の下で、一定期間内に処方箋を反復利用できるという仕組みで、これは令和四年の四月から診療報酬改定によって新たに導入をさせていただきました。

 この診療報酬改定に当たって、この答申書の附帯決議では、今回の改定による影響について調査、検証を行うということとさせていただいております。

 今後、様々なニーズも考えられると思っておりますので、この活用状況でありますとか、あるいは運用上の課題をしっかり把握させていただいて、適切な医療が提供されるように、今後も検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

大岡委員 ありがとうございます。これはしっかりと進めていただきたいと思います。

 次に、今回の法案の中にも入っておりますが、県をまたぐ協力、それから患者の広域搬送についてお尋ねをしたいと思います。

 資料の二枚目を御覧いただきたいと思います。

 大阪でコロナ患者が急増したときに、大阪府、滋賀県の両知事が協力をしまして、広域で救急搬送に対応するという覚書が結ばれました。残念ながら、他の県ではこうしたことが行われなくて、今回、コロナでの唯一の事例でした。このときに国にも支援を求めていたんですけれども、国からの支援は残念ながらなかった。また、一部、当初予定していた方針に、現場レベルでの協議の中でずれが発生したり、場合によっては慣れなかったということもあって、実績そのものは一件にとどまってしまいました。

 今回の法改正では国が調整に乗り出せるとなっていますが、乗り出すだけでは効果が出ないのはもう明らかですね。効果を上げるためにはどういうことを考えているのか、教えていただきたいと思います。大阪の伊佐副大臣、私は滋賀県でございますが、この事例をしっかりと生かしていくべきではないかと考えておりますので、御答弁をお願いいたします。

伊佐副大臣 私の地元大阪で、本当に今回、滋賀で協定を結んでいただいて、大阪府民にとって本当に多くの安心感を与えていただいたということにまず感謝申し上げたいというふうに思っております。

 先生の今御指摘いただいた大阪府、滋賀県のみならず、例えばダイヤモンド・プリンセス号、あのときも、本当に入院を要する患者さんが一気に多数生じたという事例もあります。ほかの都道府県でも病床の確保が追いつかなかったということもありまして、都道府県の区域を越えた患者の入院調整が困難になった事例が確かにございました。

 今般、この法改正においては、広域的な患者の搬送については、国から都道府県あるいは保健所設置市、医療機関に対しての総合調整権限というのを創設をさせていただきました。これのみならず、この法律に基づいて、基本指針を国は作らせていただきます。その中で、例えば患者の移送のための体制の確保、具体的には九条二項の七号でありますが、さらにあわせて、総合調整の方針についても、国でまずしっかり定めさせていただく。これに基づいて各都道府県が予防計画を作っていくということになりますので、こうした取組を通じながら、都道府県の区域を越えた患者搬送が迅速に行えるようにしてまいりたいというふうに思っております。

大岡委員 ありがとうございます。これは本当に、よく知事会とも協議をしていただいて、この法律の中身が有効に機能するように取り組んでいただきたいと思います。

 次に、かかりつけ医についてお尋ねをしたいと思います。

 先日の本会議で、中島理事からも御質問がございました。コロナの最中に、一体、かかりつけ医とは何なんだという国民の疑問が提起をされました。

 例えば、コロナの前には、診療報酬の中で地域包括診療加算というのがあります。これは、いわゆるかかりつけ医加算。このかかりつけ医加算という形でお金をもらっていながら、コロナが蔓延した途端に、かかりつけ医ではありませんとか、診療をお断りします、こういった事例が散見されたんですね。これは通らない。それだったら、遡って加算を返してもらわないといけないんじゃないかとまで私は考えています。

 国民や患者にとっては、現在どの診療所が一体かかりつけ医機能を有しているのか、自分が受診している医療機関は自分にとってのかかりつけ医なのかどうか、これが分からないんです。今、診療報酬で対応しているだけですから、国民には見えない。診療報酬という形で国民に負担をお願いする以上は、当然、見える形での制度整備が求められると考えています。

 あわせて、かかりつけ医の加算というのは、これまで何度も要件緩和をしている、いわゆる通りやすくなっているんです。しかし、今回のコロナの急拡大を受けたときのこのかかりつけ医の対応を見て、これまでやってきた政策の効果が一体どうだったのか、有効だったのかどうか、皆さんの分析を教えていただきたいと思います。

 あわせて、今後速やかに、本当の意味で国民のためのかかりつけ医を増やしていくためには、法改正により、まず、かかりつけ医機能をしっかりと定義をした上で制度化をし、そして、現行のかかりつけ医機能に対する診療報酬の在り方も、ただ単に緩く出すだけではなくて、本来の形に抜本的に見直すべきだと考えておりますが、政府としての意見を教えていただきたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、未知の感染症への対応につきまして、全ての医療機関に感染症医療を行うことを一律に求めるということはなかなか難しいというふうに考えておりまして、感染症医療を担う医療機関をあらかじめ明確にすることを通じまして、必要な医療を受診できる体制を構築していくということとしているところでございます。

 一方で、高齢化が進展する中で、先生御指摘いただきましたように、身近で頼りになるかかりつけ医を持つということは大変重要な課題であるというふうに認識しているところでございます。

 厚生労働省におきましては、今先生からもちょっと御批判がございましたけれども、これまで、地域包括診療料等の診療報酬によるかかりつけ医機能の評価の充実、それからまた、医療機能情報提供制度による地域の医療機関のかかりつけ医機能に関する国民、患者への情報提供などの取組を行ってきたところではございます。

 ただ、やはり、これらの取組を通じて、かかりつけ医機能をやっていただける医療機関の数自体はだんだん増えてはきているというところであるかと思いますけれども、一方で、やはり少子高齢化が進む中で人口構造も大きく変わってきております。そういった中で、地域でしっかりとかかりつけ医機能の更なる充実を図るということも課題になってきているというのが現状であるかと思っております。

 また、いろいろと、患者さんとか国民の皆さんに対して情報提供をきちんとできているかどうか、周知ができているかどうかといったところもやはり大きな課題になってきているというふうに考えておりまして、私ども厚生労働省といたしましては、今後の医療ニーズとか人口動態の変化、あるいは今回のコロナ禍で顕在化したような課題を踏まえまして、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うということとしているところでございます。

 その際、質の高い医療が効率的に提供されるように、かかりつけ医機能を明確化しつつ、診療報酬の評価の在り方も含めて、患者と医療者双方にとってその機能が有効に発揮されるための具体的な方策を国民目線に立って検討して、取りまとめてまいりたいというふうに考えているところでございます。

大岡委員 いろいろな意見があるし、いろいろな人がいろいろなことを言ってこられるんだろうから苦しい立場ではないかと思いますが、それでも、国民に負担をさせる以上は、当然、制度としてしっかりとしたものをつくっていただきたいと思います。

 一時期、この加算を増やすときに、かかりつけ医、かかりつけ医と、積極的なキャンペーンをやりました。でも、何だか、結局、コロナになって国民が気づいたのは、一体何だったのかよく分からなかったということなんです。だから、もうこれは見える化しないと。最初に申し上げましたけれども、補助金は出したけれども国民に知らせない、かかりつけ医かどうかも分からないけれども加算は取っている、やはりそれではさすがに通らないと思いますので、積極的に私も意見をしていきますが、今後の見直しに期待をしたいと思います。

 次に、病床確保料についてお尋ねをいたします。

 三ページ目の資料を御覧いただきたいと思います。

 入院の医療提供体制についてでございますけれども、御覧のとおり、これまで病床の確保のために支払ってきた国費、一年間で、これは三年度の資料ですけれども、約二兆円ということになっています。

 例えば、これで、国立病院機構や地域医療機能推進機構、いわゆるJCHOでは、補助金による多額の利益が生じて、流動資産は積み上がっている。一方で、補助金を受け取りながら、患者をやんわり断るような事例も取り沙汰されています。これらのことから、この補助金の効果についてどう考えているのか、また、見直す考えがあるのか、教えていただきたいと思います。

 あわせて、今回の法改正の中に、平時からの備えや計画が盛り込まれています。これまでの前例や実績を見ながら、医療機関ごとに、当然、厳しく、特に実績を見ながら、厳しく対応すべきところは厳しく対応する、しっかりと支援するところはしっかりと支援をする。出すばかりの補助金ではなくてめり張りの利いた政策をやれるようにしないと、県だとか保健所だとか、政策ツールがなくて困っているんですね。

 あわせて、今回の、エアロゾル系の感染症だけではなくて、今回のにはノロだとかそういったものも入っているわけですよね。だとすれば、当然、頑張ったところにはしっかりと設備を充実させる、結果としてそうじゃなかったところには一定程度厳しく対応するという対応が必要だと考えておりますが、今後の進め方について、あるいは制度について、どのように考えているのか教えていただきたいと思います。

本田大臣政務官 まず、医療機関への補助の在り方の見直しについて御質問でございましたが、病床確保料は、コロナ患者を即座に受け入れるための病床を継続的に確保していくための費用の補助として、医療機関に対して交付しているものでございます。

 御指摘につきましては、コロナ患者の確実な受入れを図る観点から、入院受入れ要請があった場合は正当な理由なく断らない旨を明確化するとともに、小児など特定の患者のための病床であるなど、患者を受け入れられない正当な理由等を明確化して書面で締結することを昨年の十月から更に医療機関に求めるなど、厳格な運用に努めてきているところでございます。さらに、病床の効率的な活用を促す観点から、病床使用率が高いか低いかにより補助単価に差を設けるなどの措置を講じております。

 そしてまた、協定の実効性の担保についての御質問でございましたけれども、今般の改正案におきましては、これまでの経験を踏まえて、都道府県と医療機関において、計画に基づき丁寧に協議を行って病床確保に関する協定を締結する仕組みを導入し、平時から次の感染症危機に備える体制を構築することとしております。

 そして、締結した協定を確実に履行していくため、正当な理由なく締結した協定を履行しない場合、都道府県知事が指示、公表等を行えることとしております。そして、特定機能病院及び地域医療支援病院は、指示に従わない場合には都道府県知事が承認を取り消すことをできるということをしております。また、感染症の流行初期から中心的な役割を担う特定な協定を締結する医療機関に対して、経営上の懸念を払拭するため、流行初期医療確保措置を講ずることとしております。

 こうした仕組みを通じまして、あらかじめ地域における役割分担を平時から明確化し、次の感染症危機に速やかに立ち上がる医療提供体制を構築してまいりたいと思っております。

大岡委員 本田政務官からは、準備だけではなくて、実際に、感染症発生時の契約、それに基づく行動あるいは規制についてもお話をいただきました。

 そこで、重ねてお尋ねをしたいんですけれども、例えばその契約に従わなかった医療機関は公表するとか、指導するとか、勧告するとか、いろいろあると思うんですけれども、残念ながらそれがどこまで有効に機能すると考えているのか。

 さらに、実際にこのコロナの間に起こった事例というのは、十契約して十聞かない医療機関というのはないんです。十契約したけれども三しか聞かないとか、四しか聞かないとか、五しか聞かないとか、結局こういうのばかりなんですよ。ここを厳しく、一定程度ちゃんと正しく契約したとおりに促すための、中間的に、まあ、一部の履行違反ですか、これの対応が私は不十分ではないかと考えているんですけれども、その点についてはどのように考えておられるんでしょうか。

 さらには、今回、開業医の皆さんにどう対応してもらうのかということも大きな課題となりました。

 医は仁術と言われたのは昔の話で、今は、医は算術ではないかとまでやゆされています。しかし、皆さん、医師になった、国家資格としての医師免を取ったというのは、国のために、国民のために医療を提供したいという思いが必ず原点には、若い頃にはあったはずでございまして、この原点の思いをしっかりと思い出してもらう、もらわないといけない。そのために、思い出してもらいつつ、保健所あるいは自治体が開業医の皆様にも協力やあるいは一定程度強い指示を与えられる仕組みというのも必要ではないかと考えておりますが、どのように考えておられるか、教えていただきたいと思います。

榎本政府参考人 大きく二つお尋ねがあったかと思います。

 まず最初に、履行に当たって、全て履行しないというわけではなくて中途半端に履行するようなケースがあるということで御指摘をいただきました。

 これでございますけれども、今般の改正案、先生御承知のとおり、協定を締結した上で、今先生御指摘いただいたような一部のみ協定の内容を履行しているようなケースも含めて、協定に沿った対応をしていただけないような場合には、その状況をきちんと確認をし、正当な理由がないのに必要な対応を行わないといったことが明らかになりましたときには、医療機関に対して指示、公表等を行えるということとしているところでございます。こういった形で対応していきたいというふうに考えております。

 それから、その上で、協定締結医療機関が正当な理由なく協定に沿った対応が行われないといった場合には、例えば補助金とかあるいは流行初期医療確保措置が支給されているようであれば、そういったものにつきましても全部又は一部を返還させることを想定しているというところでございます。

 こうした仕組みを通じて、感染症対応の実効性を高めるとともに、実際の感染症発生、蔓延時における、より確実な履行を確保してまいりたいというふうに考えております。

 それから二点目、開業医の協力を得られるかどうかというところが論点としてあるという御指摘をいただきました。

 今回の改正法案におきましては、いわゆる開業医の皆様を含めた全ての医療機関に対しまして、予防計画や医療計画の達成のために必要な協力をする努力義務、また、都道府県との協定の協議に応じる義務、そして、協議が調わなかった場合に都道府県医療審議会の意見を尊重する義務を課すということとしておりまして、協定締結のプロセスを通じて、それぞれの医療機関に、その機能や役割を踏まえてできる限りの御協力をいただくということとしております。

 また、協定を締結した医療機関が、感染症発生、蔓延時に協定に沿った対応をしない場合には、先ほどのような履行確保措置として対応させていただくということでございます。

 さらに、現行の感染症におきましても、感染症の発生予防とか蔓延防止のために緊急の必要があると認めるときには、都道府県知事等が必要な協力を要請することができるというふうにもされているところでございます。

 引き続き、開業医の皆様を含めた多くの医療機関の皆様に感染症対策に御協力をいただいて、必要な体制を確保していくようにしていきたいと考えております。

大岡委員 時間が来たようですので終わります。最後の質問は飛ばさせていただきます。

 今回見つかった課題につきましては、今後も継続的に対応していただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。

 本法律案についての質問をさせていただきます。

 まず、今回の感染症法等改正案は、二〇二〇年、年頭より我が国を襲ったCOVID―19、新型コロナウイルス感染症の対応を踏まえて、次の新たなる感染症危機に備えるためのものだと承知しております。平時からの備えは大切です。本法案の施行期日は令和六年四月一日を目指しつつも、一部は公布日に施行となっております。その中の一つに臨時接種類型の見直しがあり、改正後の臨時接種は、政令で定めるものを除いて、予防接種の勧奨及び予防接種を受ける努力義務が適用されるとしています。

 現行のコロナ特例としての、臨時接種の特例としての位置づけで行われている予防接種とどう違うのか、変更点や変わらない点、改正理由があれば教えていただければと思います。

伊佐副大臣 まず、この特例臨時接種の位置づけについてですが、現在は、厚生労働大臣が市町村に接種を行うように指示して、また費用の全額を国が負担するというのは、コロナのワクチン接種だけを今対象にしておりまして、特例的に附則で規定をされております。

 今般の法改正におきましては、この特例臨時接種の類型を廃止をさせていただきまして、全国的かつ急速な蔓延により国民の生命や健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められる場合と、どの疾病に対しても、こういう場合になれば厚労大臣が都道府県知事又は市町村に接種を行うように指示ができる、そしてまた、費用の全額を国が負担するということを今度は本則で規定をさせていただきたいというふうに思っております。

 これによって、今後、様々なこういう疾病が出てきた際には、予防接種法をその都度改正することなく国がワクチン接種を強力に主導することが可能となるというふうに認識をしております。

吉田(久)委員 次なる感染症も新型コロナウイルスと同様に公費で受けられるという制度を恒久的に整えること、すぐ施行されることは歓迎したいと思います。

 次に、予防接種事務のデジタル化についてお伺いいたします。

 予防接種をより機動的に行う必要から改正が必要な部分として、予防接種事務のデジタル化が必須だと思います。個人番号カードにより接種対象者を確認する仕組み等を導入することとしておりますが、匿名化した上でそのデータを予防接種の有効性や安全性、副反応の疑い報告に関する情報や調査に活用ができることも、大きなデジタル化の利点だと思います。

 これに関して、法案では、公布日から起算して三年六か月を超えない範囲において政令で定める日を施行日にするとしておりますが、これは是非とも急いだ方がいいのではと思います。

 マイナンバーカードの普及が進まないのは、自らに返ってくる利点がイメージできないというお声もあります。次なる感染症が発生し、一刻も早くワクチンを打った方がいい、そういう場合を想定すると、膨大な紙の印刷、発送に関わる費用の削減、事務負担の軽減でかなりの時間の節約にもなります。国民にとって有意義なデータも残ります。いち早く打つべき年齢層の方にその情報もお届けできますし、マイナンバーカードだけ持っていけば全国どこでも接種が受けられる。

 もっともっと、政府もマイナンバーカードの普及によって次なる感染症の対応が格段に向上することをしっかりとアピールすることが重要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

伊佐副大臣 オンラインで接種対象者を確認する仕組みの導入というのが、今般の法改正に盛り込まれております。

 これは予防接種事務の効率化という観点でやらせていただきたいというふうに思っておりますが、これは、委員御指摘された紙の接種券がなくても接種が受けられるということのみならず、例えば、接種の勧奨自体もオンラインで自治体が行うことができるようになるということでありますとか、あるいは、医療機関から自治体への費用請求、これについても紙で行うことなくオンラインで可能になるというような様々な利点があるというふうに認識をしております。

 こうした点をしっかりと周知をしてまいりたいということとともに、三年六か月を超えない日でという法律のたてつけになっておりますので、この利点もしっかりと周知徹底しながら、できるだけ急いで取り組んでいきたいというふうに思っております。

吉田(久)委員 これを機に、医療DXがしっかりと進むことを期待したいと思います。

 都道府県連携協議会についてお伺いいたします。

 保健所の体制機能や地域の関係者間の連携強化を図るため、都道府県と保健所設置市、特別区、その他関係者で連携協議会を設置し、入院調整や医療人材の確保や情報共有を進めることを担うことにする。これについては、今回のコロナ蔓延時の対応の反省も踏まえた大変重要な取組であり、施行は明年、令和五年四月としておりますが、これも早急に取り組むことを期待をしております。

 死亡場所が自宅とされている事例は、十月十九日、九月、HER―SYS入力時点のデータではありますが、令和三年十月一日から令和四年の十月十九日で三百五十三件、うち八十代が最も多く二百十六人で、感染拡大のピークだった八月には百二十七件という数字もあります。

 自宅死の中には、自ら入院を拒んだ方や退院後病状が急変した方、また、入院先が決まったのに間に合わずに残念ながら自宅でお亡くなりになった方等も含まれるということですので、全てが入院先がなく適切な医療を受けられずに亡くなった方の数ではないにしても、連携がうまくいかず、医療が届かずに亡くなる、こういった事例はあってはならないと思います。

 この冬の季節性インフルエンザとの同時流行を想定される上でも、いち早くこの連携協議会が都道府県ごとに設置され機能することが重要になってくると思われますが、連携協議会の重要性について、そして具体的に、国としていつ頃までにこの連携協議会の設置を進めていくべきとお考えか、また、現に協議会に似た体制を取っている自治体があるのか、進めていく上での国のサポートも必要ではと考えますが、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の連携協議会につきましては、次の感染症危機に備える観点から、平時から地域の関係者から構成されるものでありまして、相互の連携を強化していくものとして非常に重要なものと考えております。

 この連携協議会では、今般の改正案で充実化する予防計画を協議することになっております。都道府県、保健所設置市、特別区に加えまして医療関係者など、非常に多くの地域の関係者が参加することを踏まえまして、地方自治体における準備期間も確保するために、施行は来年四月からというふうにしております。

 こうした地域の関係者が集う協議会は、現行でも既に幾つかの自治体で設置されていると承知しております。例えば、神奈川県でありますとか、茨城県、群馬県、富山県等がございます。今後、連携協議会の立ち上げに際しましては、こうした各先進地域におけるこれまでの経験やノウハウを生かすことができるものと考えておりまして、厚労省としては、こういった先進地域の取組事例を周知するなど、各都道府県で連携協議会が円滑に設置されますようしっかり取り組み、また支援してまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 早期に協議会が立ち上がることを望みたいと思います。

 次に、緊急時における医療提供体制の平時からの備えを進める上で鍵となる、協定締結医療機関に関する履行確保措置についてお伺いいたします。

 今法案では、都道府県の策定する予防計画の記載事項を追加し、平時からの備えを明確にしておくことを定め、都道府県に加えて、保健所設置市、特別区にも予防計画の策定を義務づけることとしております。都道府県と医療機関とが医療措置協定を結ぶことを法定化し、協定締結医療機関には知事との協議に応じる義務が課され、感染症危機のときには国民の命と健康を守ることが法的に義務化されることになるわけです。

 この医療措置協定ということをあらかじめ結んでおくことで、次なる感染症に備えるというのがこの法案のまさに肝ではないかと思います。

 その上で、新たな感染症の危機発生時、知事は協定どおりの医療提供を医療機関に勧告、指示でき、指示違反した場合には病院名を公表する、また、認定を取り消すという罰則を伴った履行確保措置が創設されるわけでありますけれども、ここで整理しておきたいのは、民間医療機関を含めた全ての保険医療機関が協定締結医療機関となる義務を負うのか、保険医療機関であっても医療措置協定を結ばないという選択もあり得るのか。そうであるならば、協定締結医療機関となって感染危機のときの対応を求められ、その役割が様々な理由で果たせない場合、履行確保措置を受けることを承知で医療措置協定を都道府県と結んでくれる民間医療機関が、果たして多くあるのか。今まで献身的に医療提供してくれていたところもかえって尻込みをしてしまうのではないかと、少々不安に思う部分があります。

 この協定締結医療機関に及ぶ履行確保措置が適用される要件等について、もう一度整理して御説明いただきたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきましたように、今般の改正案におきましては、都道府県と医療機関の協定によって、感染症発生、蔓延時に必要な医療提供体制を確保するということにしてございます。

 協定の締結に関しましては、今先生御質問いただきましたが、民間医療機関を含めた全ての医療機関に対しまして、予防計画や医療計画の達成のために必要な協力をする努力義務がかかる形になってございます。そしてまた、協定の協議ということが進んでいくわけですけれども、都道府県との協定の協議に応じる義務、これも全ての医療機関に対してかかる。そしてまた、協議が仮に調わなかった場合に都道府県医療審議会の方で御意見を拝聴することになるわけですが、その意見を尊重する義務というのもかかってくるということになってまいりまして、協定締結のプロセスを通じて、それぞれの医療機関に、その機能や役割を踏まえて、できる限りの御協力をいただくということにしているところでございます。

 また、医療提供の義務のお話もございましたけれども、これにつきましては公立・公的医療機関、また、地域医療支援病院、特定機能病院についてお願いをしているところでございますが、これらにつきましては、地域における医療の確保に関して、通常の民間医療機関とは異なる能力や位置づけなどを有しているということを踏まえて、その機能や地域における役割に鑑みた感染症対応を担っていただくために、医療の提供を義務づけるということにしているところでございます。

 その上で、これらの仕組みによって協定を締結していただいた医療機関又は医療提供義務の対象となった医療機関に対しましては、履行を確保するための措置ということで、義務や協定に沿った対応をしていただけるように、都道府県知事が指示、公表等を行えるということとしておりますし、また、特に、特定機能病院と、それから地域医療支援病院につきましては、罰則ではございませんけれども、指示に従わない場合に承認を取消しすることができるという形にしているところでございます。

 ただ、これは、正当な理由がなく協定や医療の提供義務にのっとった対応をしない、いわば例外的な場合にのみ行使されるものでございまして、医療提供義務や協定にのっとった対応ができない正当な理由がある場合には、このような措置の対象とはならないというものでございます。

 いずれにしましても、こうした協定等の仕組みを通じて関係者間でしっかりと議論を行って、あらかじめ地域における役割分担を明確化することで、次の感染症危機に備えた医療提供体制を構築することが重要というふうに考えているところでございます。

 医療機関に対しましても、丁寧にこういったことをしっかりと説明していきたいと考えております。

吉田(久)委員 次の質問に行かせていただきます。

 適切な医療提供配分の確保についてお伺いいたします。

 一昨年の新型コロナ感染初期の頃、身近な身内の人に肺がんが見つかりました。万が一感染したら、そちらの方が命の危機に直結するという病院の判断もあって、入院、手術の予定日がずるずると引き延ばされ、見通しが立たない期間があり、大変心配をいたしました。幸いにも、その後、無事に治療を受け、今も元気にはしておりますが、コロナであっても、また、今後の感染症危機が起こっても、緊急の処置を要する病気やけがにも対応する医療機関の確保は重要だと思います。

 この通常医療の提供についても、どのように取り組む考えであるのかをお聞きしたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、感染症が発生、蔓延したときにおけます医療提供体制の確保に当たりましては、地域全体として、通常医療の提供を継続しながら、急速に増加する感染症医療のニーズに対応していくことが必要だというふうに考えているところでございます。

 特に、各医療機関の機能、役割を踏まえて、感染症蔓延時におきましても、地域における通常医療との両立を考慮した医療提供体制を構築いただくということが重要だというふうに思っております。

 このため、今般の改正案におきましては、都道府県が策定する予防計画や医療計画におきまして、感染症の患者さんを受け入れる病床確保を担う医療機関だけではなく、感染症患者以外を必ず受け入れる後方支援を担う医療機関数を含めて数値目標を盛り込んで、この計画に基づいて都道府県と医療機関が協定を締結するという形にしてございます。

 こうした取組などを通じまして、それぞれの医療機関の地域における役割分担と連携を明確化することによって、通常医療の提供を継続しつつ、迅速かつ的確な感染症対応を行うことが可能となってくるものというふうに考えているところでございます。

吉田(久)委員 感染症以外の方が置き去りにされることがないような体制構築もしっかりとお願いしたいと思います。

 自宅、宿泊施設、高齢者施設での療養者への対応強化についてお伺いします。

 新型コロナの蔓延拡大時には、病床逼迫のため、入院ではなく、自宅や宿泊施設、お住まいの高齢者施設で療養していた方が多くいらっしゃいました。重症以外の中等症以下の方が対象となり、病状悪化をいち早く見つける必要性から、健康観察やオンライン診療体制の充実の必要性が認識されたわけですが、この冬のコロナと季節性インフルエンザの同時流行が大規模になれば、自宅療養も増え、需要が激増すると思われるオンライン診療ですが、現状と、今後の拡充についての国の方針をお聞きいたします。

 現時点において、オンライン診療のできる医療機関がどれくらいあるのか。どれくらいの方が利用されたのか。あわせて、国として、この秋想定される同時感染拡大、そして、次なる新たな感染症対策としてのオンライン診療医療機関を増やす目標等があれば、教えていただきたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 この冬におきましては、今、先生御指摘いただきましたように、この夏を上回る新型コロナの感染拡大やインフルエンザとの同時流行が生じる可能性があるところ、多数の発熱患者さんが生じる場合におきましても、高齢者など重症化リスクの高い方に適切な医療を提供できるように、保健医療体制の強化、重点化を進めていくということが重要でございまして、各地域の実情に応じて発熱外来や電話診療、オンライン診療の強化に取り組むこととしているところでございます。

 発熱外来につきましては、これまでも、国として、都道府県や日本医師会とも連携をいたしまして、累次にわたる拡充の要請や必要な財政支援を行ってまいりました。こうした取組によって、昨年十二月時点の約三・五万から、現在は約四・一万まで増えてきたところでございます。

 しかし、新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行が生じて発熱外来が逼迫する場合に備えて、対面診療を補完する電話診療やオンライン診療の体制強化が必要であるということから、例えば、地域の医師会等と相談をして夜間や休日の電話診療等の輪番体制をつくる、あるいは、多数の医師を配置をして多回線のオンライン診療を持つ医療機関と連携をする、あるいは、システム事業者等と相談をして対面診療と適切に組み合わせ得るオンライン診療の体制を構築するといったことについて、地域の実情に応じた取組をお願いをしているところでございます。

 なお、自宅療養中のコロナ患者さんに対する電話・オンライン診療の件数でございますが、各地域の感染状況や医療提供体制にも左右されるものでございますが、直近の件数を申し上げますと、本年六月の約十九万件から、七月には約百二十万件というふうになっているところでございます。

 こうした発熱外来や電話診療、オンライン診療の強化につきましては、引き続き、国と都道府県とで緊密に連携をして、地域の保健医療体制の強化に万全を尽くしていきたいというふうに考えております。

 また、次なる感染症への備えにつきましては、今回の法案におきまして、予防計画、医療計画に基づいて各都道府県と医療機関とが締結する協定の項目の一つとして自宅療養者への医療の提供を盛り込んでおります。自宅療養者への医療の提供の一環として、やはり、この電話診療、オンライン診療の体制の構築ということにもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 済みません、最後の質問をさせていただきたいと思います、ちょっと飛ばしまして。

 医療提供体制の整備はもちろん重要でありますが、その医療にたどり着けなかった案件がなかったかどうかの検証も必要だと思います。

 例えば、母子家庭において、重症化リスクの高い母親がコロナに感染してしまった、入院治療が必要だが、幼い子供を預けるところがない。一人にしておけない介護が必要な家族が引きこもりも含めて、いるなど、こういった方々が安心して入院治療を受けられるよう、相談窓口や支援体制の強化も重要だと思います。

 これは市町村レベルでの対応が強化されるべき内容だと思いますが、個々のニーズに応える体制づくりも是非自治体の予防計画の中に策定しておくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

伊佐副大臣 委員がおっしゃった、母子家庭で親が感染した場合、子供の世話をどうするのかというようなこと、これは、母子家庭に限らずに、例えば両親が感染した場合も考えられるし、介護の場合も同様だし、実際にそういうことも多々あったというふうに認識をしております。こうした場合に、当然、まずは親族が代わりに、例えば子供の場合では養育を行うということが考えられますが、それも難しい場合という質問だというふうに思っております。

 今、都道府県等にお願いしておりますのは、都道府県と市町村の児童福祉部門、そして衛生部門が連携をして、対応をあらかじめ決めておく。そして一義的に保健所が相談の窓口となる。実は、各市町村においては、こうした場合に、子供あるいは高齢者が利用できる施設を用意しているところもございます。

 この保健所での対応が難しいとなった場合には、今度は市町村において相談に応じることが想定されておりますが、例えば、市町村においては、子供を短期的に預かる事業、子育て短期支援事業であったりとか、こういうものを活用することが想定をされております。

 それでも難しい場合というときは、都道府県の児童相談所と連携をしていただいて一時保護、一時保護というのは、一時保護施設のみならず、例えば、病院に委託をして医療機関を指定して、そこで一時保護していただくというような考えもあります。こうしたもので様々対応をお願いしたい。

 また、介護については、元々これはケアマネが高齢者お一人お一人の状況を把握しているわけですので、都道府県とケアマネと居宅介護支援事業者というものが調整、連携をして、必要な介護サービスを確保するということでお願いをしておりますが、国としても必要な支援に努めてまいりたいというふうに思っております。

吉田(久)委員 より置き去りにされない体制構築をお願いしたいと思います。

 時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。大変にありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 政府提出、感染症法改正案、立憲民主党、日本維新の会共同で提出されております、国民本位の新たな感染対策樹立法案、特定医薬品の特別措置法案、通称日本版EUA、緊急使用許可整備法案、火曜日の本会議の質疑に引き続いて御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、政府がこの時期に、臨時国会でありますけれども、感染症法を改正、提出されたこと、ちょっと一言だけ申し上げたいと思います。

 コロナ発生からもう約三年がたとうとしております。昨年末、デルタ株の夏の感染を踏まえて、その課題を取りまとめたものの、感染症対策の抜本強化、司令塔機能の強化は先送りをされた。そして、結果、第六波、第七波で、私は、過去最大の犠牲、そして現場の混乱を招いた。過去の教訓を生かせなかった。

 この夏の第七波は、私は、オミクロン株の特性を考えると大分分かってきたこともある中で、私自身もオンライン診療やクラスターが発生した施設で対応しておりましたが、大変な現場の混乱だった。また、自宅療養者の数も、ピーク時に百五十万人を超えた。結果、効果的な対策を打つこともなく、この第七波を迎えてしまった。

 我々は、さきの通常国会、四月に、必要な方が必要なときに確実に医療にアクセスできるための、オミクロン・感染対策支援法、コロナかかりつけ医、そして日本版EUA、こういう法案を出していたにもかかわらず、このような事態を招いてしまった。

 政府には、この時期に感染症法、そして内容、提出時期だけじゃなくて、施行期日も遅過ぎる、内容ですね。これでは、先ほど来話がありますが、これから迎える冬、コロナ、季節性インフルエンザ、またRSウイルスなど、こういった重複感染症、本当に対応できるのか。

 この件に関しては後ほどまた質問をいたしますが、こういった観点から、このコロナ対策は与党も野党もない。四月に我々もコロナ対策三法案、それはいろいろな見方があると思いますけれども、我々も一生懸命、国民の皆様の命、健康を守るために提言を申し上げますし、是非、加藤大臣には、我々の対案、関連法案、また提案に対して耳を傾けていただいて、国民本位のコロナ感染対策、一緒に取り組んでいただきたいと改めてお願いをいたしたいと思います。

 加藤大臣、何かコメントがありましたら、お願いいたします。

加藤国務大臣 まず、中島委員においては、医師として、今お話を聞かせていただいて、コロナ対応に当たっていただいておりますことに改めて敬意を表させていただきたいと思いますし、また、この間、いろいろと御党からも御提案をいただいてきたということであります。

 まさに、これまでの評価についてはいろいろな見方があると思いますが、しかし、様々な課題があることは事実であります。それも指摘をされてきたわけでありますから、そうした課題を一つ一つどう解消していくのか、それについて、我々も、今回、感染症の改正案も出させていただきました。しかし、これだけで全部いけるというものではありませんので、更に御党を始めこの国会等でも御議論いただきながら、まさに国民的な課題というか、喫緊の課題であります。これをどう乗り越えていくのか、いろいろな方のお知恵をかしていただきながら取組をさせていただきたいというふうに思います。

中島委員 是非、よろしくお願いいたします。

 また、政府案、また今後のコロナ対策、夏のコロナ状況がどうだったかについては後ほど御質問させていただきたいと思いますが、先ほど申し上げたとおり、今回、政府案に対して、立憲民主党、日本維新の会共同で二法案が提出されております。この二法案、これまでの教訓を踏まえ、改善するための二法案と私も承知しておりますが、まず、この二法案について御質問させていただきたいと思います。

 まず、国民本位感染対策樹立法案について提出者にお尋ねをしたいと思います。

 この法案、コロナ後遺症、コロナワクチン反応に関する情報の公表や医療機関への支援などが示されておりますが、コロナ感染後の後遺症に関する科学的知見、これに基づく適切な医療を受けることができるようにするために必要な措置を講ずることとされております。

 提出者にお尋ねいたしますが、ここで言う、科学的知見に基づく適切な医療とはどのような医療が望ましいと考えられておられるのか、お尋ねしたいと思います。

早稲田議員 中島克仁委員の質問にお答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、いわゆる後遺症につきましては、研究が進められ、代表的な症状が挙げられるようにはなってきましたが、病態機序、つまり、病気ができ上がっていく仕組みについては不明な点が多いとされていると承知をしております。

 そうした現状において、提出者といたしましては、後遺症の病態や治療法などを明らかにすべく、情報収集や整理、分析を行うことが必要と考えています。

 その上で、後遺症を有する方への医療の提供に当たっては、まず身近で信頼の置けるかかりつけ医において適切な診断と治療を受けていただき、必要に応じて専門家につないでいただくことが必要であると考えております。

 岸田首相も二十五日の本会議で、後遺症については、まずはかかりつけ医等につなぐことが重要と答弁されておりましたが、まさにそのとおりであります。

 国民本位の感染症対策樹立法案においては、後遺症について情報収集や整理、分析をすべきことと、その結果を公表することを規定しておりまして、これにより、後遺症について広く国民に知らせ、罹患後に生じた症状を後遺症と疑っていただくきっかけにするとともに、医療関係者の方々においても、その時点での科学的知見に照らして適切な医療を提供していただけるものになると考えております。

中島委員 後遺症に関しては、各指定された医療機関で相談窓口みたいなものがあるんですけれども、やはり、まだよく分かっていない部分もあったり、なかなかそこで解決できない。今、早稲田提出者がおっしゃったように、まず身近なかかりつけ医、これは岸田総理も答弁されておりますけれども、やはりこれまでの病歴や、そして生活環境等分かっている中で、これは本当に重篤な後遺症に当たる、そこをしっかり専門機関につないでいく、そのためのありよう、また情報公開も含めて、大変大事な観点だというふうに思います。

 もう一点、提出者にお尋ねいたしますが、今回の法案の中で、新型コロナウイルス感染症の新型インフルエンザ等感染症への位置づけの在り方について、他の感染症の類型との比較等の観点から検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うこととされております。この規定を設けられた趣旨についてお尋ねをしたいと思います。

早稲田議員 お答えいたします。

 一般に、感染症対策は、入院措置のように、事実上、隔離としての性質を持つものや、緊急事態宣言のように社会経済活動を制限するものなど、一定の人権制約を伴います。そのため、感染症対策の対象となる感染症について、人権制約を伴う措置が必要でなくなった場合には、速やかに感染症法上の位置づけを見直し、国民の権利や自由が制約されるリスクを縮減すべきですし、逆に、大きな変異によって病原性が危険なものとなった場合については、速やかに強力な措置を講ずることができる類型に動かすべきであるものと考えます。

 このように、感染症法上の位置づけを柔軟に改めるべきとの考え方の下、国民本位の感染症対策樹立法案においては、新型コロナウイルス感染症について、これに関する状況の変化を勘案し、新型インフルエンザ等感染症への位置づけの在り方について検討をし、必要な見直しを行うべきことを規定しております。

中島委員 ありがとうございます。

 今、衆法の国民本位感染対策樹立法案の中で、柔軟に感染症の位置づけを変更する必要性について検討するという旨、示されました。

 柔軟に感染症の位置づけを変更する必要性について、今の衆法を受けて加藤大臣の、その必要性に関する認識をお聞かせ願いたいと思います。

加藤国務大臣 まさに、それぞれ、例えば二類、五類とか、新型インフルエンザ感染症とか、それぞれにどういうものが当たるのかというのは今でも定義をされ、そしてそれに該当しないということになれば、今、別に法律を変えなくても省令等でそれを変えていくということが可能になっている、制度的にはまずそうだというふうに思います。

 その上で、じゃ、今の感染症の位置づけに関しては、これはウィズコロナに向けた新たな段階への移行をお示しをし議論をしていく中で、専門家にも、この新型インフルエンザ等感染症という、今こういう分類になっていますが、これをどうするかということについては、これを維持し、今後も変異していくウイルスに対して対策を柔軟に対応できるようにしていくべきだ、こういう御指摘をいただき、現時点では位置づけは変えていませんけれども、しかし、その中でやれる対応の中身については柔軟な対応を取らせていただいているということであります。

 それから、感染症法上の位置づけをどうするかということについての議論は、厚生科学審議会の感染症部会で御議論いただく、こういう仕組みになっているところでございます。

中島委員 衆法の方、趣旨ですね、第七波の現状も踏まえて、今、オミクロン、感染流行が拡大して、BA・5ということだと思うんですけれども、この秋冬に向けて、二類相当の新型コロナ、そして五類相当の季節性インフルエンザ、そして風邪症候群ですね、様々あるウイルス、それも症状では区別がつかない状況の中で、秋冬の、タスクフォースの概要についてはまた後ほど御質問いたしますが、できれば、やはりその特性が分かった時点で臨機応変に、コロナが強毒性になった場合には即座にまた制限をかける、こういう柔軟性、弾力性を持つ対応がなかなか難しいかもしれないけれども、やはり検討を、るる慎重にやっていくということが求められるというふうに思います。

 次に、特定医薬品特措法案関係についてお尋ねをしたいと思います。

 この法案、新型インフルエンザ等の治療に有用な医薬品について、厚生労働大臣による指定制度を導入し、当該医薬品の買取り、増産要請等の措置を講ずる内容となっております。

 この法案の中で、提出者にお尋ねをいたしますが、製薬メーカーによる薬事申請を待たずに、厚生労働大臣による指定が可能とされております。本来、利益を得る製薬メーカーによる申請を待つべきでもあるようにも思えますが、なぜ厚生労働大臣による指定という仕組みが設けられたのか。提出者にお尋ねをしたいと思います。

野間議員 今御指摘をいただきましたように、平時におきましては、医薬品を製造、販売する製薬メーカーが申請を行い、薬事承認によりその安全性、有効性を審査するという手続が適切であると考えております。

 しかし、強力な感染症が発生し、当該感染症に対する有効な医薬品がないといった有事の際には、製薬メーカーによる申請を待つだけの時間的猶予が見込めない場合も想定されます。あるいは、製薬メーカーの経営上の判断により、必要とされる医薬品の申請が行われない場合も考えられるところであります。

 先般、政府により緊急承認制度が設けられましたけれども、緊急承認制度もまたあくまで製薬メーカー側の申請を前提とするものであり、先ほど述べたような場合が存在することを踏まえると、これだけでは有事における対応としては十分とは言えないと思います。

 特定医薬品特措法案は、既に安全性が確認された医薬品について、製薬メーカーの申請によらない、職権による指定を認めることにより、有事の際、国民の皆様に必要な医薬品を迅速に届けることが可能となります。

 現在、新型コロナウイルスの治療薬として活用されているアクテムラも、元々は日本で開発された関節リウマチなどの治療薬であり、かねてから新型コロナウイルス感染症への有効性が指摘されていたにもかかわらず、日本での承認は、米国が緊急使用許可をした後になりました。

 このような経験を踏まえれば、緊急承認制度だけでなく、製薬メーカーによる申請を待たずとも、安全性が確認された医薬品を迅速に使用可能とする仕組みを整備すべきは当然であると考えます。

中島委員 提出者に今お話をいただきましたが、もう一点だけ確認をさせていただきたいと思います。

 今回の、通称ですが、日本版EUA、緊急使用許可整備法案では、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定に当たって、第二条第三項で、学会の意見を聞くことができるとされてもおります。学会からの意見聴取に関する規定を設けた趣旨、どのようなものなのか、お尋ねをしたいと思います。

野間議員 学会からの意見聴取の規定は、厚生労働大臣が行う最新の論文などによる医薬品の有効性及び安全性に関する情報収集に加え、学会の意見をも聞くことができるとすることで、学会の意見を含めた十分なエビデンスを収集し、科学的根拠に基づいた指定を行うことができるようにするために設けられたものであり、これにより、有事の際、迅速に有用な医薬品を国民の皆様にお届けできるようになることが見込まれます。

 例えば、現在、新型コロナウイルスの治療薬として活用されているアクテムラについても、二〇二〇年六月の内閣委員会での質疑で吉田統彦委員から既に指摘があったように、重症化の要因として、サイトカインストーム、いわゆる免疫の暴走があるのではないかという議論が研究者間で早くから行われていたところであります。それにもかかわらず、米国では二〇二一年六月にいち早く緊急使用許可が出され、我が国では今年の一月二十一日に至るまで承認がなされなかったわけであります。

 本制度の導入により、このような後れを取ることなく、学会の意見を含めたエビデンスに基づく判断で、有用な医薬品をいち早く感染症の治療薬として指定することが可能となり、国民の健康や生命を保護することにつながると考えております。

中島委員 よく分かりました。

 その緊急使用許可整備法案を受けて、資料の二枚目、三枚目、現行の薬事承認手続とその課題ということでお示しをさせていただいております。緑の点線の中にあります通常承認、これは、有効性は確認、安全性は確認。そして、四月、薬機法改正でできた緊急承認制度、これは、有効性は推定、そして安全性は確認ということでございます。当初、治療薬であれば塩野義製薬の薬、またワクチンであれば不活化ワクチンなど、念頭に置いた緊急承認制度だったと。しかし、その後の薬食審の議論を私も議事録で見ていると、これは誤解されたくないんですが、やはり我が国にとって薬事承認というものは非常に重い、薬食審の議論はやはりそこを求める。

 こういう状況から、問題意識、今提出者からも御発言がありましたが、特に我々は、安全性は十分に担保された既存薬ですね、例としてアクテムラという薬を出されましたけれども。やはりこういうものに対して、これは製薬企業の優位性からいくと、アメリカに先に緊急使用許可を取った方が早くなってしまう。こういう場合、やはり安全性は担保、担保というよりは、既知のものでありますから、これがサイトカインストーム等効果があるというエビデンスが一定程度見つかった場合には、厚生労働大臣がいわゆる指定、緊急使用許可ですね、発動する、そしてそのまま薬事承認は承認として進めていく、こういうスキーム。

 そして、新薬に関しても、何物もないわけではなくて、緊急承認制度でも、二相試験の途中で薬事申請できる。いわゆる薬事申請されたものに関しては、厚生労働大臣が指定をして、同時に薬事承認のスキームは進めていく。

 今は、新型コロナウイルス感染症、世界各国、拡大、蔓延している状況の中で、特例承認という方法でワクチンや治療薬が我が国国民の皆さんに配布されているわけでありますが、万が一、我が国国内で変異した強毒性のウイルス若しくはバイオテロなどを想定した場合、やはり、薬事承認は非常に我が国にとって重い。一方で、国民の命、健康を守るために、緊急使用許可の整備、検討は、この教訓に基づいて進めていくべき。

 薬事承認ではなく緊急使用許可制度を新たにつくるべく検討するべきだと我々は思いますが、加藤大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 やはり、こうした薬事承認ないし薬とかワクチンを使うに当たって最大の問題は、有効性と安全性をどう確保するかということ、まさに委員の、それは最初のこの点々々で、後半は、市販された薬品あるいはワクチン等の安全対策が十分担保されるか、ここがポイントになるんだろうというふうに思います。

 それに向けて、緊急承認制度をおつくりいただいたときも、かなりここでいろいろな議論があったというように承知をし、そして現在の緊急承認制度に至っているというふうに私は理解をしているところでございます。

 いろいろと、今法案の中でお出しいただきました。ただ、それが、有効性、安全性、また市販後の安全対策、そういった観点からどうなのかという、そういった疑問を持ちながら少し聞かせていただいたところであります。

 ただ、今委員おっしゃっているように、これからいろいろなことが起き得るわけでありますから、そのときにどう対応していくのか。それから、今回の緊急承認制度に当たって、一つの一例が今議論されているわけでありますけれども、その議論の結果において、その事案をどう捉えるのか等、不断な見直しをしていくことは大変大事だろうというふうに思います。

中島委員 大臣、問題意識は共有できていると思うんですけれども。

 要するに、感染症の毒性、強毒性によって、例えば致死率八割の感染が蔓延してしまった、この場合の線引きと、そして今のオミクロン、特効薬、種々ありますけれども、強毒性とは言えない、この場合のバランスというのは間違いなくある。それが感染の状況であったり環境だと思います。

 しかし、地下鉄サリン事件が勃発、テロですね、あのときに、やはり、解毒剤というか抗コリン剤をどうやって調達するのか、もしピンポイントでなくても、それに類似するものをどうやって使用していくか、こういう、感染の、ウイルスの状況、また内容にもよるかとは思いますが、私たちが危惧しているのは、あくまでも薬事承認というものは重いものですから、一方で、いざというときにそういったことが発令できなければ、国民の命、健康を守れない。

 この制度、我々のたたき台というか、前回も示しているものですが、是非、緊急承認制度が第七波のときに間に合わなかった、制度はできたものの、第七波で国民の皆様の自宅療養する方々に行き届かないような状況だったことが一つ私は残念だということの問題意識から、我々、このような対案、関連法案を出させていただいたと御理解をいただきたいと思います。

 衆法提出者にはこれで質問は終わりでございますので、御退席いただいて結構でございます。

 それでは、立憲民主党、日本維新の会共同提出法案についてはこれで質問を終わりたいと思いますが、続いて、政府提出法案、またコロナ対策について御質問したいと思いますが、まず、先ほども言いましたように、私は、この夏の第七波、オミクロンの毒性というかその特性を分かった上で、当然政府は行動制限をかけない、これは一定の賛同をいたします。しかしながら、行動制限を取らないのであれば、やはり感染が拡大していく、これはもう分かっていたはずだと思います。

 そんな中で、我々、冒頭にも言いましたが、四月、第七波を想定して、必要な方が必要なときに確実に医療がアクセスできて、そして、治療の選択肢を広げ、迅速に検査、治療へと、そして、二度と自宅放置死、自宅放置死するような方は絶対に生まない、こういうことで対案を出していた。

 改めて、この秋冬、対策を取るに当たって、第七波がどうだったのか、これはやはりしっかり現状を見定めておく必要があるということで確認をしたいと思います。第七波において、お亡くなりになった方の人数、改めてお尋ねをするのと、自宅でお亡くなりになった方、介護、障害福祉施設等でお亡くなりになった方の数を参考人に確認させていただきたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、新型コロナ感染症の死亡者について、都道府県の公表情報を集計しております。それによりますと、オミクロン株BA・5が主流となった本年七月から九月までの死亡者数は、一万三千五百二十二人であります。また、同期間において、HER―SYSで死亡場所が入力されている方につきまして、自宅と入力された方は二百十名、介護福祉施設を含む社会福祉施設等と入力された方は四百三名となっております。

中島委員 今日は警察庁からも来ていただいておりますけれども、ずっといつも教えていただいておりますが、第七波における警察庁のコロナ陽性取扱い御遺体の数、確認をさせていただきたいと思います。

親家政府参考人 本年七月から九月までの数字を申し上げますと、警察で取り扱った新型コロナウイルス陽性の御遺体は千四百十五人でありまして、そのうち自宅で発見された方は九百六十八人となっております。

中島委員 この第七波トータルでということですね。

親家政府参考人 先ほど申し上げました数字は、本年七月から九月までの三か月間の合計の数字でございます。

中島委員 資料の四枚目にもお示ししてあります。

 先ほどHER―SYS上で、自宅でお亡くなりになった方、今年の八月、百二十七件、九月は十六件、七月は六十一件ということだったと思います。そして、警察庁の調べは、資料の四枚目でありますが、七月から九月までは先ほどの数字、そして、これを見ていただけると分かるように、ピーク時、八月の時点で発見場所が御自宅、コロナ陽性御遺体取扱いは八百七件、そして九月は二百六十五件。これまでのピーク、今年の二月でありますが、五百十二件を大きく上回っていると。

 もちろん、全ての方が自宅でコロナ感染、陽性が確認され、その後、医療につながらず、いわゆる放置死したというわけではないとは思います。しかしながら、この数字だけ見ていくと、確実に第七波において、当然全体の感染者数も大きく増えておりますから、こういう数字も伸びる、致し方ないのかどうかは分かりませんが。

 資料の五枚目、これは、今年の四月、自宅放置死遺族会、高田かおり代表、この厚生労働委員会に御出席をいただいて、そして参考人として陳述をいただきました。その際に、当時の後藤厚生労働大臣に要請書、この要請書の内容であります。

 自宅放置死の実態検証、そして二番目が、自宅療養中の医療アクセスの確保、そして三つ目が、早期治療、治療方針の確立、継続的な医療提供体制、こういう要請をですね。

 高田かおり代表、弟様が昨年の八月デルタ株で、かかりつけ医がいながら、かかりつけ医がいながら、コロナ陽性と、そして、御自宅で待機中に急変されてお亡くなりになった。昨年の八月デルタ株のときには、本当にラッシュに病状が急変をして、そして医療につながらずお亡くなりになる。この状況が第六波そして第七波で、先ほどの警察庁、HER―SYS上よりも多いわけです。

 こういう状況の中から、これは改めてですが、この秋冬、今のオミクロン、加えて季節性のインフルエンザ、RSウイルスなど冬の風邪症候群、本当に、この第七波で必要な方が医療につながらずお亡くなりになった方、どういう経緯の方がこれだけたくさんおられるのかどうか、実態調査を早急にやっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、新型コロナによってお亡くなりになられた方、特に自宅等でお亡くなりになられた方に対して、改めて御家族に対しお悔やみを申し上げたいと思います。

 本年七月、八月の自宅での死亡事例の調査について、現在、都道府県を通じてその実態把握を行っているところでございます。コロナ対応というのがあって、スケジュールどおりにはなかなかいっていないところもありますけれども、できるだけ早くに取りまとめをさせて、もちろん公表もさせていただきたいと思いますし、また、そうした内容について専門家等にもお見せをし、今後の対策につなげていきたいというふうに考えております。

中島委員 我々、これは資料の一枚目、家庭医がコロナ、インフルエンザ等の感染症から地域住民を守る。この左は恒久的な医療基盤としての家庭医の仕組み、効果を示してあります。

 そして、四月の時点で、もちろん恒久的な家庭医、かかりつけ医の制度化は、先ほど大岡委員、いなくなっちゃいましたが、言っておりましたが、私は、このコロナ禍で浮き彫りとなった課題が、やはり、いざというときに、かかりつけ医だと思っていたら、いや、私はあなたのかかりつけ医じゃありません。そして、そもそもかかりつけ医とは何たるものなのか、定義もなければ制度化は当然されていない。

 こういう状況の中で、我々は、必要な方が確実に医療につながるように、事前登録できるかかりつけ医。この時点では、四月の時点では、コロナ重症化リスクの高い方が手挙げ方式で、医師にも、手を挙げたい人、そして、手を挙げた不安な方はまず事前登録しておきましょうと。そして日頃の健康管理。いざ濃厚接触、感染が確認された場合には確実に医療につながる。こういうスキームのものを法案として出しておりました。これを第七波対策として取り入れてほしいということを再三提言もさせていただきましたし、議員立法にもして示したわけです。残念ながらそこには至っていないわけですが。

 これは切り分けなきゃいけないとは思います。コロナ対策としてのかかりつけ医のあるべき姿、一方で恒久的な制度。

 これもいろいろ考え方はあると思います。恐らく、私は、大臣は、やはりこのかかりつけ医が平時の我が国の医療基盤として、少子高齢化、人生百年、ここに対応していく、こういう医療ビジョンというものは十分御理解されていると思います。しかしながら、私どもは、このコロナの有事の状況、これを切り口に導入を、恐らく、私も若い先生、医学部の学生と話をしていると、将来どういう医療提供体制が望ましいかといえば、多くの若い先生方、この基盤は家庭医制度だと望みます。恐らく、二十年、三十年していけば、もしかしたら自然にそうなっていくかもしれない。しかしながら、このコロナという状況を踏まえた我が国は、これをきっかけに、三十年かかるところを半分の十五年、いや十年で医療基盤を再構築するんだと。私は、それは政治の責任、役割なのではないかと思います。

 改めて、大臣、かかりつけ医の制度化、まずは定義づけ、様々な御意見があるとは思います。このコロナを契機に、我が国は医療基盤の再構築、医療制度改革の本丸を是非、今、政府の改革工程表、骨太にも入っておりますが、生煮えでは駄目です。しっかりこれをコロナ対策として、さらには平時の医療体制の基盤にしていくんだと、私は強い思いを持っておりますが、改めて、大臣、その認識と御決意をお聞かせ願いたいと思います。

加藤国務大臣 まさに、かかりつけ医に関して様々な、ミスコミュニケーションというんでしょうか、かかっている方からいえば、ここはかかりつけで、何かあれば常に対応していただけると思ったのが、あに図らんや、そうではなかった、こうした事例は承知をしているところであります。

 今般の改正案の中でも、御承知のように、都道府県と医療機関が協定を締結をされるわけでありますので、感染蔓延時に外来機能を担う医療機関をあらかじめ確保する、また、その協定の中身や医療機関名を公表するということでありますから、そういった意味で、国民からどこが受けてくれるのかということを認識をしていただきながら、通常の医療等も進めていただけるということはあるんじゃないかなというふうには思っております。

 その上で、かかりつけ医あるいはかかりつけ機能をどうするか。まさに今委員おっしゃった、私が思っているのとそんなに変わっていないなと思いながら聞かせていただきました。

 今、かかりつけ医あるいはかかりつけ機能といっても、何に期待するかといっても、若い方々と高齢者によってまた違うわけでありますけれども、そうしたニーズをしっかりわきまえるということ。それから、供給側が今どこまで対応できるか、できないかというのは、当然あるわけでありますから、その辺もよく見定めながら一つ一つやっていかなきゃいけないと思いますけれども、しかし、同時に、今十年先か三十年先かとおっしゃったあるべき姿、そこをやはり意識しながら、そこに向けて、どう現状の医療資源、あるいは現状の制度の中からどうそこにつなげていくのか、こういった議論をしっかりしていく必要がある、そのことについては多分委員と違いがないのではないかなと思います。

中島委員 この議論はまたしたいと思います。

 ちょっと時間がなくなっちゃったので飛ばしますが、この秋冬のコロナ対策、コロナ対策というよりは、新型コロナとインフル同時感染流行に備えたタスクフォースが設置をされ、私、正直、あの発表された内容を見て大変驚きました。

 まず確認したいんですが、これは決定なんでしょうか。要するに、四要件、高齢者、そして小学生以下のお子さん、妊婦さん、基礎疾患のある人以外は、この冬は、まず熱が出たら自己検査、そしてコロナ以外の方は、例えばインフルの可能性があればオンライン診療。要するに、こういう状況がもう既に始まっているということなのか。それとも、どういう状況になったら資料の六枚目にあるような全体像、これが始まっていくのか。これはどういう状況なのか御説明をお願いしたいと思います。

加藤国務大臣 まさに四類型、この方にはまずは発熱外来等にしっかりつなげていただきたい。それ以外の方に関しても、それは症状によっていろいろあると思います。もうすぐにやはりかかりたいというのであれば、それは発熱外来にかかっていただく。そうでない場合に関しては、そこに申し上げたように、今でもコロナの場合はお願いしているわけでありますけれども、御自身でチェックをしていただいて、そして陽性の場合にはいわゆるコロナ対応、そうでない場合はインフルエンザの可能性も念頭に置きながら対応していただく、この姿をお示しをさせていただいたわけであります。

 ただ、地方自治体からも、それぞれ地域によっていろいろ事情があるので、そこはいろいろな弾力的な対応を取らせてほしいということでありますから、それはもう地域の中で、まさに対応していただけるということが第一だと思っております。

 それからもう一つ、時系列的に、どこで切り替わる、これはなかなか難しいわけでありますが、かなり感染が高まってくればそうした事態もあるということでイメージを出させていただいて、今お示しをさせていただきました。

 あとは逐次、その感染状況を、特に都道府県ともよく連携をしながら、それに基づいて地域の皆さん方に発信をして、また、そうした対応を求めていく、こういったことになると考えています。

中島委員 大臣、これは誤解を招きますよ。もう既にこれが発表され、そして、例えばですが、もう十一月に入ります。季節性のインフルエンザはどういう状況になるか分かりませんが、コロナは地域によっては感染が増してきている。例えば、今、四十歳の男性が熱が出ました、そして一般の診療所に行ったら、コロナの検査をしていますか、していないなら、うちは診れません、こういう状況はもう始まっていますよ。

 受診の目安のとき、加藤大臣、受診の目安、三十七度五分以上、四日間、それが実質上、検査の目安、受診の目安になっていたのなら誤解だとおっしゃいましたが、現場は、もうこれから先、そういう対応をいたします。その可能性が否定できません。

 加えて、コロナで、昨日報道でもありましたが、コロナとインフルエンザ、両方陽性という人も出てきます。どういう状況になるか分からない中で、このメッセージだけが伝わってしまっていると、これはまさか、必要な方が本当にまた、より医療につながらない可能性がある。私は一回撤回するべきだと思いますが、大臣、お願いします。

加藤国務大臣 最初に言われた、前のとき、これは誤解だと申し上げたことに関しては、撤回をさせていただいていることは承知をされているというふうに思います。

 その上で、そのときの経験も踏まえながら、やはり今回は、そうした症状が重たい方々に対してはしっかりと発熱外来に向かっていただきたいということを申し上げたところであります。

 それから、今、事例で出された、陰性かどうか分からないというのは、まさにそれは、多分、発熱外来ではないんだろうと思うんですね、そのお医者さんは。ですから、発熱外来においては、もうまさに熱がある、こういった症状の人はしっかり受けていただく、これが発熱外来でありますから、そうやって受けていただく方を、まず我々は数を増やし、そして診療時間をできるだけ確保し、また、かかりつけしている患者さんだけじゃなくて、それ以外の方も含めて広範に対応していただく、そのこともお願いをしながら進めていきたいというふうに考えております。

 ただ、委員お話があったように、いろいろと私どもの思っていることと受け止められる方、そこについては、やはりコミュニケーションをしっかりしろというのは日頃から言われておりますから、そこはしっかり念頭に置きながら対応させていただきたいと思います。

中島委員 もう今日は終わりますけれども、この方針、都道府県任せとかじゃなくて、ちゃんと厚生労働省、そもそも、この方針、どこがクレジットしているのか、誰が責任を持つのかも不明瞭です。そういったことも含めて、私は、一回撤回するべきだということを申し述べ、残余の質問は来週またさせていただきます。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 私からは、冒頭、まず加藤大臣にお伺いいたしますが、今般の感染症法改正に先立ちまして、いわゆるコロナ感染症の、今までであれば基本、全数登録そして把握を旨として、しかし、九月二十六日をもって、主に重症化のリスクのある四類型が登録され、その他の者については任意の努力に委ねられております。このことは実はいろいろな意味で私はまだまだ不安と問題をはらんでいると思いますが、大臣は、こうした見直しに際して、まず国民に何をお訴えになりますか。冒頭、お願いいたします。

加藤国務大臣 まさに全数届出、要するに、きちんと把握をし、そしてフォローをしていく、この二つが目的とされていたわけでありますけれども、ただ、この全数届出が大変な負担になってきている。そして、特に医療現場においてこれでかなり疲弊をしている。これはいろいろな方からお話をいただいたわけであります。

 そうした中で、一方で、数も把握をしていかなきゃいけない、それから、フォローアップとして、それもしっかりしていかなきゃいけない、そうしたところをどう両立をさせていくのかということで御議論させていただく中で、高齢者、重症化リスクのある方に対する医療をしっかりと重点化をしていく、こういった方針の下で、全数届出の範囲を限定をさせていただいた。

 しかし一方で、対象外になる方に対しても、安心して自宅療養できるように、抗原定性キットのOTC化、あるいは健康フォローアップセンター、これを全都道府県で整備をしていく、また、必要に応じて宿泊療養や宅食等の支援が可能になるような環境整備、これも必要だということで方針を出させていただいて、また、各自治体にも御連絡をさせていただき、各自治体も大変な御努力をいただいたと思いますが、結果的においては、全ての自治体で今そういった形で対応がなされているものと承知をしています。

阿部(知)委員 全数登録の見直しが、先ほど中島委員も御指摘になりましたが、逆に、診療体制も、重症化と言われるハイリスク群に偏っていっている。その中で、今回出された方針はそうですから、逆に、大臣に何例か症例をお示ししたいと思います。

 埼玉県で、今年二月、十代の男子学生がコロナで亡くなっておりますが、この方の場合は、たまたま医療機関がこの登録を忘れました。今度だともう登録しなくていいケースですが、この方は、高熱が続き、震えなどの症状が出たことから、家族が六日に救急要請いたしましたが、この救急隊は、いろいろチェックして、そして救急病院にも当たりましたが、なかなか受け入れられず、そのまま自宅で見て、七日目に再度家族から救急要請があって、しかし、これもまたいずれも断られたため、結局は九日目に死亡をされております。決してハイリスク群ではありません。若い十代の男性です。

 もう一つあります。同じく埼玉の事例ばかりで恐縮ですが、十歳代の、今度は女子学生であります。この女子学生は、九月の十二日に発症し、十三日、翌日は医療機関を受けましたが、この例もハイリスク群ではないので、自宅でその後過ごすことになって、HER―SYSの入力で対応しました。まあ、オンライン診療に近いと思います。十七日の日にショートメールで、胸が痛いと訴えましたが、この女性は、医師は胸部の表面の痛みと説明して、診ることなく、十八日からは連絡が途絶え、亡くなって発見をされました。

 やはり医療の原則は、患者さんをじかに診ないと、重症度を含めて、急変の具合も分かりません。

 そして、政府にいただきました資料で、HER―SYSで死亡場所が自宅とされている事例、これは約一年間、この一年で三百五十三件あるそうですが、そのうち、重症化リスク因子がありとされた件数は二百三十一件。六割程度は重症化リスクのあるもの。でも、残りは、今後の、今の政府の見直しでは重症化リスクなしとなっております。

 そういたしますと、大臣、本当に重症化リスクのある人だけにフォーカスして大丈夫なのか。

 果たして、十代の男子学生も女子学生もそうでした。あるいは、相次ぐ自宅死の中にはこの四要件に当てはまらない方もたくさんおられます。何が問題でこういう事態が起きていて、何をしなくてはならないのか、大臣が明確に国民にメッセージされないと、外来からして、これからは、先ほど中島委員が御質問なさいましたが、発熱外来だって、何が起こるかというと、高齢者と小学生以下の子供は診ましょうとなります。でも、それ以外は、あなたはハイリスク群じゃないから自己処理してくださいと。大体、最初はそんなに重症じゃないんです。発熱程度で行かれます。でも、多分、このケースは心筋炎とか、最初の男性は血管内播種症候群と言われていますが、急変するんです。そういう方々がますます医療から遠ざかって亡くなっていく事態は避けられないと思います。

 登録の見直しに相次ぐ、受診体制がそのような方向に見直されていることに強く懸念を覚えますし、亡くならなくてよい人が亡くなると思いますので、大臣は今、国民にどんなメッセージを送られますか。

加藤国務大臣 まさに、医療の逼迫がない状況であれば、全ての方が外来を受けていただいたり、入院をしていただいたり、そういった対応をされる、まさに平常時の対応をいただくということは当然なんだろうと思います。

 課題は、やはり、医療資源をできるだけ効率化して、受け入れる能力を高めていくというのは、我々も医療機関の皆さんの御協力をいただきながら高めていかなきゃいけませんけれども、これだけ感染が一気に爆発をして患者さんが増えるということになれば、当然、全ての方に対応できない。そうしたときに、どう、どこに重点を置くのかという意味において、リスクのないという言い方はしていますが、リスクが高いか少ないか、小さいかということを申し上げていますが、より高い方に関して重点化をしていく。そして、低い方でももちろん重症化することはあるわけでありますから、その場合に対する対応はしっかりと取っていく。

 それから、先ほどのケースでいえば、救急のお話がありました。まさに、そうした救急体制をどうしていくのか。そして、実際、救急車が運んでも、そのまま入院につながらない例数も結構あるという指摘もありますから、やはりそこに、本当に救急が必要な人に集約をしていく。そういったことを進めていかなきゃいけませんので、そういった意味において、国民の皆さんのまさに御協力と御理解をいただきながら進めていかなきゃいけない。

 ただ、医療現場における様々な対応ぶりというのは先ほど中島委員からもございましたので、そういったことはしっかり念頭に置きながら進めていかなきゃならないと思います。

阿部(知)委員 恐縮ですが、今の大臣の御答弁だと、これからも自宅死は続くと、私はすごく懸念します。

 そこで、立憲民主党で中島議員を中心に、かかりつけ医、もっと強いて言えば家庭医という概念を持ち出しているのは、こうやって年齢とかリスクのそのときの判断をしないで、しっかりどの人も医療にアクセスできるための仕組みは何だろうということであります。家庭医は、その家庭全体をカバーしていく仕組みであります。

 かかりつけ医を契約していたって、うちのかかりつけ医じゃないと言われる状態の中、今度は、発熱外来とか、ハイリスク群というのが決められて、あなたはハイリスク群じゃないよと言われたら、そこでもう途絶えちゃうんです。そういうことも勘案しながら、不幸な死が起こらないように。だって、若い人だって保険料を納めているんですよ、国民皆保険なんですから。なぜこの人たちは死なねばならなかったのか。医療にもつながらずです。

 私は、大臣に是非そこを理解していただきたい。立憲民主党としても一生懸命考えて、どうすれば不要な、死ななくていい人を救えるんだろうという結果が、一つのアクセスの方法を家庭医として、そこで受け止めてあげる仕組みを今早急に、真剣にお考えいただきたいですが、大臣、いかがでしょう。

加藤国務大臣 まさにベースは一緒でありまして、コロナで重症化し、あるいは亡くなる方をしっかりと抑えていきたい、その思いは一緒で、そのためにどうすればいいのかということで我々も議論をし、お示しをさせていただいているところであります。

 委員がおっしゃっている、多分、さっきの議論で二類、五類の議論とも絡むのかもしれませんけれども、今の現状で、例えば、かかりつけ医と言われている方の中においても発熱外来をやっていただいている方も多くいらっしゃると思いますが、一方で、そこまで、いろいろな事情があって踏み込めないという方もいらっしゃる。そうすると、やはりそこはベースにしながら我々は考えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っているところであります。

阿部(知)委員 私は、類型が見直されても、やはり、感染するということにおいて、遠ざけられる患者は変わらないと思います。なぜ、これまで三年余りやってきて、発熱外来がこれだけ少ないのか。このことも、私自身はもう二〇二〇年の四月から発熱外来を自分で、小児科ですのでやっておりますが、私の上と下はやっていません。内科系ですから。なぜ少ないのかということを考えたときに、本当にしっかり受け止められる体制、それから、これからの予防医学のためにも重要と思います。長い展望に立ち、なおかつ今をどうするかということで、是非、また中島委員も御質疑なさると思いますので、大臣にも深くお考えいただきたい。

 そして、質問の二点目というか三点目になります。大臣のお手元に、これも先ほど中島委員がお取上げになりました警察庁の刑事局捜査第一課のお調べの、在宅で、施設の死もありますので不審死と言っていいでしょうか、亡くなられて、警察の調べでPCRで陽性と分かった方の数が、令和二年一月から今年の九月までずっと丹念に追われております。私は、警察庁のお仕事で、ある意味当然とはいえ、このデータはとても貴重だと思っております。その貴重なデータを見ておりますと、相変わらず、第七波の在宅死も多いわけでありますが、決して少なくない。

 そして、もう一つここから読み取るべき重要なデータは、PCR検査が生前になされていたか、死後、発見されてからなされるか。これは公衆衛生的観点からはとても重要です。死後初めて分かるということは、それだけ蔓延をさせやすい、また、蔓延しているということであります。

 ところが、今回、全数見直しを、登録をやめたことによって、この死後か生前かが区分されなくなりました。このことの公衆衛生に与える影響、厚生労働省は公衆衛生をつかさどる省庁であります、大臣にはどのようにお考えか御答弁をお願いします。

加藤国務大臣 まさに、発生届の対象外となる若い軽症者の方等が自宅で亡くなった場合、生前に新型コロナ陽性であったかどうか、これは必ずしも明らかにならないケースも生じ得るということは、そのとおりだというふうに思います。

 そういった意味で、そこをどう補完をしていくのか、どういう対応があり得るのか、本年七月及び八月、自宅での死亡事例の調査、現在、都道府県を通じて実態把握をし、取りまとめをさせていただくこととしておりますが、そうした結果なども踏まえながら検討させていただきたいというふうに思います。

阿部(知)委員 繰り返し申し上げますが、このデータは感染を非常によく把握して、そして、それが蔓延している状態かどうかも把握している。もっと言えば、検査が足りているかどうかもここから分かってくるわけです。専門家に委ねて御意見を聞くということですが、コロナ対策における公衆衛生的視点がこれによって後退することのないように、是非、大臣にもまた御答弁を賜りたいと思います。

 引き続いて、これも私がずっと公衆衛生的観点から求めておることでありますが、下水のコロナ検査についてであります。

 大臣も既に御存じと思いますが、ポリオについては、下水の検査において、日本では根絶しているといいますが、時々持ち込まれるので、それを早期に察知する仕組みができ上がっております。日本はこの点において優れた国であります。

 私は、その先例から、二年ほど前から、下水のコロナ検査というものも何とか定着させられないかと思って何回か御質問をしてまいりましたが、この現状と今後について、大臣の御決意を伺います。

加藤国務大臣 下水中のウイルスのサーベイランスを新型コロナ対策に活用する、そしてその検証を進めていくということは非常に重要で、関係省庁で下水サーベイランスに関する推進計画に基づいて取り組んでいるところでございます。

 これまで、推進計画に基づき、国立感染症研究所において、下水検体から新型コロナの検出方法等の検討も行ってまいりました。また、内閣官房では、下水処理場や福祉施設における下水サーベイランスの継続的、実用的な活用に関する調査研究も行っていると承知をしております。

 厚労省としては、内閣官房の調査研究の結果も踏まえて、新型コロナの監視体制の強化にこの下水サーベイランスをどう活用できるのか、関係省庁等もありますけれども、しっかり検討していきたいと思っております。

阿部(知)委員 今の大臣の御答弁は、内閣府、厚労省、そしてもう一つ国土交通省も関わっておりますが、縦省庁の間の連携で進めていく、これもとても大事です。

 一方、私が次にお尋ねしたい地方の衛生研究所の充実というものも、コロナの対策を面で考える場合に非常に重要になってまいります。何でもかんでも国立感染症センターに持っていかなければ結果が出ないような体制では、やはり早くに察知するということに立ち遅れてしまいます。

 そこで、次の質問ですけれども、地方衛生研究所の在り方、これについても、今般の改正においてどのように見直されたか、私は大変疑問のあるところでございます。

 地方衛生研究所の体制と申しますものは、この二十年余り、どんどん人員も減らされてまいりました。コロナ禍でも減っております。にもかかわらず、今般の改正では、様々な業務が期待をされております。そうであるならば、地方衛生研究所にきちんと法的な位置づけ、組織としての法的な位置づけをすべきだと思います。

 今般の改正は、機能としては、あれやりなさい、これやりなさいは法令化されているんです。でも、例えば、保健所というのは、組織としてそこにあるものです。地衛研には、そういう組織としてのステータスがこれまで与えられてまいりませんでした。このことについて、今後の公衆衛生のいわばセンターとなるところで、きちんと法律的に組織を位置づけるべきではないか。これについて大臣の御所見を伺います。

加藤国務大臣 今般の改正案では、地方衛生研究所について、その果たすべき機能などについては規定をさせていただいていますが、なぜこういう規定ぶりになるのかというのが委員の御質問だと思いますが、平成九年の地方分権推進委員会の勧告で、地方自治体が設置する施設の設置に関して法令で規定することについては、地方公共団体の自主組織権を尊重し、行政の総合化、効率化を進めるため、これを最小限のものにとどめることが必要とされたところでありますので、これを踏まえたものであります。

 一方で、次の感染症危機に備え、感染症初期の検査、変異株のサーベイランスなど重要な役割を担う地方衛生研究所の体制強化、これをしっかり図っていかなきゃならない、そういうふうに認識をしているところでございます。

 このため、今般の改正案では、保健所設置自治体に対し、試験検査や調査研究など地方衛生研究所が感染症対策で担う機能を確保するために必要な体制整備や、他自治体との連携等の責務を課す規定を設けるとともに、自治体同士が連携しながら、必要な検査体制を平時のうちから計画的に整備することを目的として、連携協議会や予防計画を策定する仕組みも盛り込むこととしたところであります。

 地域の実情に応じて、地方衛生研究所を含むこうした体制を計画的に整備をするよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

阿部(知)委員 先ほど地方分権の観点からとおっしゃいましたが、命に関わるような、あるいは公衆衛生、これは、この県はやってこの県はやらないというわけにいかないんですね。ユニバーサルというか、国全体のミニマムのことをやはり考えなければいけない。

 そして、地方分権との兼ね合いでいえば、もちろん地方の声を聞いて、地方の状況を見て、一概に押しつけることはできない。ただ、この地方衛生研究所の人員、先ほど私はコロナ禍でも少し減ったと申し上げましたが、それは訂正で、三千五十七人から三千百人になった。一方、非常勤の方は増えていっています。業務に追われて非常勤をどんどんつけなければならなくなっているというふうにも思います。財政的支援も必要なんだと思います。

 ナショナルミニマムと思えば、そして、命に関わる、あるいは今後の日本の、我が国の公衆衛生に関わると思えば、私は今の大臣の御答弁は到底納得できません。余りにまったりとしています。

 本当に大事なことなので、まあ大臣、これ以上御答弁でも踏み込めないでしょうから、是非、これは組織としての位置づけと人員の強化、保健所はそのようになさるわけですから、是非、衛生研究所もそこまで国が責任を持っていただきたい。保健所についても同様の問題はあります。ただ、少なくともここで強化はされるということでありますから、大臣、もしもう一言あればお願いします。

加藤国務大臣 私どもとして、この地方分権推進委員会の、これは勧告ですから、これはしっかり踏まえていくという立場でありますし、その中においても、例えば、法令における組織、名称は、に関する、ための施設等と規定することを原則とすると具体的に記述もされているところでありますが、ただ、今、さっきから申し上げておりますように、地方衛生研究所の必要性については、別に、重要性は我々全く認識しているところでありますので、その担うべき機能がしっかり果たしていけるように、我々も当然その責を持っておるというふうに考えております。

阿部(知)委員 よろしくお願いしたいと思います。実は、平成二十八年の児童福祉法の改正の折に、中核市以上のところに児童相談所をと私どもは希望しましたが、これも地方分権法に基づくということで、努力義務しか課すことができませんでした。財政的な困難の中、なかなか進んでおりませんが、こうしたものはいずれも命を守る本当に大事なものですので、より地方自治体とお話合いの上、進めていただければと思います。

 次に、コロナ禍における医療提供体制についてお伺いいたしますが、今般の改正では、医療機関と協約を結んで、簡単に言えば、それが履行されているかどうかで、履行されていない場合は公表、最終的には資格を取り消しなどのお話も出ていて、私は、本当にそれは現場を理解されているんだろうかと強く不安を覚えます。

 大臣、今回コロナがすごく拡大したときに、他の医療、例えば小児科もそうです、産科もそうです、あるいは療養型病床もそうです、みんなコロナ病床に供出したわけです。他の診療科は、いろいろな大きな犠牲を払ってこの感染症を支えました。そうした実態は、政府としては把握しておられますでしょうか。

加藤国務大臣 一つ一つ、個々の医院がどうなっていたかということを承知しているわけでは必ずしもありませんけれども、まさに、コロナ用の例えば病床を確保していただくためには、他の病床を潰さなければ、当然、通常空いているわけじゃありませんから、それを潰して、そしてそこにある人員をそちらの方へ回していただく等の対応をしていただいたということは十分認識をしているところであります。

阿部(知)委員 もう一度、個々の状況も把握し直してみていただいた上で、政府がこれから進めようとしているというか、コロナの前に進めておられた公立・公的病院の計画ですね、削減。特に、これは急性期のベッドを削減する計画でした。でも、急性期を削減したところにコロナが来ると、他の病床が影響を受けるわけです。果たして、今後の五疾病六事業、感染症は六事業目です、そういうものを踏まえた本当の医療の提供体制のために、私は一旦、公立病院、公的病院の削減計画は中止すべきと思いますが、現状どうなっているんでしょう。大臣に伺います。

加藤国務大臣 そこも含めて、今、地域医療構想、それぞれ、コロナ禍でなかなか作業が進んでこなかったということもありますけれども、逆に、今回のコロナを踏まえて、しっかり、地域におけるコロナ、そしてこれからの地域における医療ニーズ等を踏まえた体制をつくっていくか、むしろそれは重要になってきたというふうに私は考えているところであります。

 それから、先ほどおっしゃった削減というんじゃなくて、こういう数字を出させていただいた上でどう地域で御検討いただくかという、あくまでも参考として出させていただいたのがあの資料でございますので、それに加えて今回、コロナの問題が出てきたわけでありまして、その点も加味しながら、地域医療構想、これをしっかり進めていくということが地域に必要な、コロナの対応も含めて、医療を提供できる体制をつくっていくためには大事だというふうに思っています。

阿部(知)委員 大臣がおっしゃったようにコロナの前に出した数字なんだから、一回取り消されたらどうですか。今の、論理破綻ですよ、だって、大臣。そして、違ってきているじゃないですか、現実には。そんなものにしがみついて、それをどうこうしようとすることが、現場を御存じないと私は不安に思うものです。間違いがあればそこで訂正したらいいし、状況が変わったらそれに合わせて、既製服に体を合わせるんじゃなくて、現状に合わせて器をつくっていただきたい。

 もうこれは、私は、計画、公的病院、公立病院の、大臣は削減じゃないと言ったけれども、簡単に言えば、急性期病床を減らす計画ですよ。コロナが来たら急性期病床が忙しくなっちゃうんです。そうすると、療養型に本当は入れたい人も、こっちを潰しているから入れられない。急性期の逼迫が他に影響するわけです。くれぐれも、日本は急性期に立ち遅れているんです。アメリカなどの医療の体制を考えると、非常に急性期に手厚いです。急性期は人もたくさん要ります。でも、そこを手薄くして、更に削減しようとする計画は間違っていますし、他科への影響も考えられておりませんので、是非指摘させていただきますので、大臣は、中止は中止、見直し、はっきりしていただきたいが、いかがでしょう。

加藤国務大臣 コロナの始まる前から地域医療構想についていろいろな御議論をいただいたところでありますけれども、ただ、これからの地域における人口構造も大きく変わっていく中で、それに対応した医療提供体制をつくる、これは全く私は必要だというふうに思っておりますし、そういった議論の参考として、先般も公立・公的医療機関等の状況を、急に出したとかいろいろな御批判をいただいて、それに対してはしっかり反省をしなきゃなりませんけれども、これをしっかり今後の議論の参考に使っていただきたいということを申し上げたわけであります。

 さらに、今回、新型コロナ禍で顕在化した課題、これも含めて、短期的な課題、中長期的な課題、これを整理していただいて、今後、特に高齢者が人口ピークを迎えて減少に転じる二〇四〇年頃、こういったものも視野に入れながら、地域医療構想をそれぞれの地域においてしっかりつくり上げていただきたいというふうに考えています。

阿部(知)委員 私の申し上げたのは、高齢社会が進む、だから、高齢期に見合った療養型とかそういうものにシフトしていいと考えてきたことが、コロナになって分かったことは、御高齢者がコロナになれば急性期病棟で手当てしなきゃいけないほど重症化するんです。だから、片っ方を削減して、これでよしじゃないんです。このことは従来から分かっていたけれども、コロナが顕在化することによって、より明らかになったと思います。救急搬送でも、コロナの患者さんで搬送拒否に遭った人とそうでない人と比べると、後者の方が感染拡大期には多かったわけです。骨折しても入院できない。脱水でも入院できない。多くは高齢者ですよ。そういう事態が、急性期を減らせば必ず更にひどくなります。是非見直しが必要と思いますので、指摘をさせていただきます。

 もう一つ、こういう病院と協約を結ぶに当たって私が大変気になる点は、例えば、第七波のときに確保病棟の稼働率というのが出ておりましたね。稼働パーセンテージが低い、じゃ受け入れる意思がないのかというと、そうではないんですね。実は、多くスタッフが感染してしまうわけです。今回のコロナでは、特に七波の頃には、大体どの病院も、聞いてみられるといいと思いますが、スタッフの一割が感染をしてしまいます。そうすると、病床はあっても、スタッフがいないんです。ない袖は振れない。入れたくたって入れられない。放置しておくわけには、患者さん、いきませんから。それが、多く表に出た病床の使用率と現状で入れられないという体制になったところの差だと思うんですね。

 大臣、では、医療従事者の状況がどうなっておるかということで、G―MISという仕組みがあるのは御存じだと思います。これは、資料の四枚目につけさせていただきましたが、医療器材があるかとか病床や医療スタッフの情報を医療機関が先んじて入れておくもので、一定の役割は果たしているんですけれども、これとベッドコントロールのための情報管理は全く別の仕組みで走っているんですね。だから、病床何%空床とか言われても、こっちがたくさん休んでいたら、もう動けないんです。

 こういう実態が日本全国でどのくらい、逆に言えば、G―MIS情報、これはG―MISじゃなくたっていいです。そこでの実際に働いている人の感染状況も繰り入れないと、これは感染症はみんなそうだと思います、本当にワークする仕組みにならないと思いますが、大臣の御所見を伺います。

加藤国務大臣 まさに今おっしゃったことというのは、広い意味で、我が国で医療DXがなかなか進んでいないということの一つの表れだと思います。

 実際、今回も、リアルタイムで受入れ可能病床の情報、これはウェブシステムというものを各都道府県ごとに設置をしていただいて、いろいろそれを進めていただいている。一方で、今お話がありました新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム、G―MISというのを二〇二〇年の五月から運用しておりまして、そこでは、入院者数等、あるいは今言った医療従事者の状況なんかも把握できるようになっていますが、これはばらばらになっているわけですよね。

 だから、今お願いするのは、そういった資料も見ながら、特に全ての医療機関がリアルタイムで入っているわけではありませんけれども、特に新型コロナ重点医療機関等においては、いろいろ入力をしていたり努力をかなりしていただいていますから、そういった情報もうまく活用していただきながら、実際の病床の運用、これをしていただくということ、これまでもお願いをしているわけでありますが、これからもそうした対応をお願いをしていきたいなと。しっかり活用できるように、また、更にどういう工夫ができるかどうか、我々、うまくやっている都道府県等もありますから、そういったところの知恵もかしていただきながら進めていきたいなというふうに思っています。

 それから、今委員おっしゃったように、確かに、確保病床があっても、それは物理的にベッドがあるということで、どこまでが稼働だったかというところに差異があったということは十分認識しているところでございます。

阿部(知)委員 医療現場はベッドだけがあればやれるわけではなく、人材、人ですね。この間のこの三十年間、医療費削減の中で、みんなぎりぎりで病棟を回しています。だから、一旦事があれば本当に身動きが取れない状態になるというのが、私は大まかに見た今回のコロナの出来事なんだと思います。

 ですから、医療という、国民の命を守る、もう誰にとっても一番守ってほしいのは命ですから、そこの原点に立ち返って、しっかりとした診療科への人の配置、もちろん診療報酬。そして、こうした緊急時に、今度、国が人材を派遣するとおっしゃいますが、果たしてそんなプールはどこにあるのか。JCHOを始めとして、この間、お願いをしましたけれども、どこだって送ってほしかったけれども、沖縄に辛うじて数名単位で行った程度だったと思うんです。ですから、今回の改正が人員を確保するというのであれば、日頃の医療の人員を確保していただきたい。そうでないと、ない袖は振れないと思いますが、医療における人材確保の更なる充実について、というか、今貧困ですけれども、お願いします。

加藤国務大臣 まさに今回も、例えば今お話があった沖縄が大変感染が拡大をして、医療も逼迫し、人材も不足しているということでいろいろ送らせていただいたり、あるいは、地域によっては、ほかの地域の間でいろいろと御協力もいただいたというふうに思っております。そういった緊急時だけではなくて、平時からそんな体制をつくっていくということも今回の感染症法の目的であります。

 それから、今委員がおっしゃった日頃の体制ということでありますけれども、まさに今、この感染症だけではなくて、医療従事者の皆さん方の働き方改革等々も進めさせていただいているわけであります。他方で、いろいろと偏在もあります。そういったことを踏まえながら、しっかりとした医療提供体制が確保できるように、これは我々も努力をしていかなきゃいけないと思っています。

阿部(知)委員 働き方改革も来るし、本当に大臣のおっしゃるとおりです。医療現場は今、不安におののいています。だって、労働時間を短縮して人がいなかったらどうなるのか。何かを断っていかなければならない。そしてまた、人材派遣と言われて、どこから人が出るのか。大きな見直しのときですので、よろしくお願いしたいと思います。

 最後の一問の御質問をさせていただきますが、先ほど私は在宅死の問題も取り上げさせていただきましたが、昨今、コロナの第七波で、特に小児、子供たちの死亡も増えている、感染が増えて死亡が増える、あるいは二十歳以下の方々の死亡例も報告されるようになっているということで、国立感染症研究所の方で積極的疫学調査というものを、二十歳以下の年齢層についての死亡例、四十一例ありますが、それについて調査をなさいました。四十一例あったといっても、実は聞き取り調査をできたのは三十二例でありまして、HER―SYS等で入力されていて把握しても全例の聞き取りはできなかったところでありますが、取りあえず、お手元の資料の五枚目に国立感染症研究所が出した報告がございます。

 一言で縮めて言うと、大人だと肺炎が多いけれども、子供の場合は意識障害とか中枢神経系に多く負荷が加わってお亡くなりのケースが多いであろうというプロフィールはここに示されておりますし、例えば、新型コロナ感染後の二十歳未満の死亡事例で、基礎疾患のある者とない者は半々であった。基礎疾患がなくても亡くなっておられるケースもあります。また、予防接種の有無も比較して、予防接種していない方がケースは多かったけれども、でも、予防接種を二回しても亡くなっている方もあります。

 私は、一部だけを取り上げて安易に、例えば、今進んでいることは予防接種に全てを流し込んでいこうという方向ですが、私から見れば、その前にもう少しきちんと、なぜ子供たちは死なねばならなかったのかの調査をしていただきたい。

 これは、成育基本法の中で、CDR、チャイルド・デス・レビューという仕組みを取り入れました。虐待による死亡、交通事故による死亡、あるいは通常の事故による死亡、いろいろあって、死ななくてもよい子供たちの死を一つでも少なくするということであります。

 この国立感染症研究所の分析は、一面を把握していますし、有益ですが、例えば、ここに出てこない事例とかは、十一か月の男の子で、この子はクループになったんだと思いますが、喉が詰まったような状態で、親御さんが医療機関に受診をしようと思いましたが、診てもらえなくて、翌日、搬送途中で亡くなっています。ここには出てこない例であります。

 そうなると、子供の死亡の全体を把握するためにCDRという仕組みがあるので、私は、是非この際、先ほどの自宅死もCDRに入ると、チャイルドじゃないので違いますが、なぜ死なねばいけなかったのか。医療体制の問題もあるでしょう。それから、もしかして基礎疾患もあるかもしれない。ワクチンの状況もあるかもしれない。多因子なんですね。一つだけに絞り込んで結果を導くと間違った判断にもなります。

 是非、子供の死の全体を見るCDRに、コロナ禍における二十歳以下の子供たちの死亡の検証をやっていただきたいが、いかがでしょう。

加藤国務大臣 今、CDR、それぞれ自治体等で取り組んでいただいているというふうに承知をしているところでございます。

 今回の調査でも、いろいろ分析をすると、どういうことにもう少し気をつけておけばよかったかとか様々な知見が出てきているわけでありますので、まさにそうした知見を得るべく、今お話があったようなケースから出てくることもあると思いますし、さらには、我々も引き続き、こうした小児等の死亡例、知見をしっかり集積をさせていただいて、そこから出てきたアウトプットを実際、医療現場に、あるいは我々の政策にしっかり取り入れるべく努力をしたいというふうに思います。

阿部(知)委員 コロナ対策をエビデンスベースドにしよう、きちんと分析して対策していこうということは誰にとっても同意できることなので、是非よろしくお願い申し上げます。

 終わらせていただきます。

三ッ林委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 感染症法等改正案について質問をさせていただきます。

 まず、先ほどの阿部委員の質疑にもありましたとおり、私も、地方衛生研究所の在り方について今回の法改正できっちりとやるべきだったというふうに思うんですね。これほど、パンデミック、新型コロナウイルス感染禍で、いろいろな地域のリソースにばらつきがあるということが明らかになりました。医療機関しかり、保健所の機能しかり、そして、地方衛生研究所の機能しかりであります。

 大臣にまず一点伺いたいんですけれども、今回、新型コロナウイルス感染、パンデミックの中で、地方衛生研究所が果たしてきた、果たすべき役割については、どういうふうに認識しておられますか。

加藤国務大臣 これまでの経験を踏まえて、地方衛生研究所、特に、今回もそうでしたが、民間検査機関が検査体制を整え、軌道に乗るまでの感染症初期における検査需要にしっかり応えていただけたということ、また、あるいは、ゲノム解析等により地域における変異株の状況を分析し、自治体や国立感染研究所などと情報を共有すること、こうしたことが求められているというふうに考えております。

西村(智)委員 やはり、非常に重要な役割を果たしているというふうに思うんですね。

 それで、ちょっと資料にお配りしておりますのは、平成三十年度の決算審査措置要求決議、これは令和二年の参議院の決算委員会で決議をされたものですけれども、ここにおいて、地方公共団体における、途中、略しますけれども、地方衛生研究所の体制強化に早急に取り組むとともに、法的位置づけの明確化を検討すべきであるというふうに書かれております。

 これは国会の方からの決議でありますし、そして、ちょっとめくっていただきますと、実際に地方衛生研究所における予算、ばらつきがある。それから人員、ばらつきがある。こういったことが背景にあってだと思うんですけれども、少々古くはなるんですが、二〇一〇年の厚生労働省地域保健対策検討会、ここで配付された資料に、現場からの意見として、地方衛生研究所に関するもの1、2とあるんですけれども、やはり、衛生研究所を法律に明文化してほしいということが、もう十二年前から挙げられていたんです。

 今回、まさにそのタイミングがやってきた、時期が来たということだと思うんですけれども、実際に法定化された条文というのはどれですかというふうに政府の方に聞きましたら、地域保健法の第二十六条であると。地域保健法の第二十六条を見ると、地方衛生研究所という単語が一つも出てこないんですよ。さっき大臣がおっしゃったとおりです、機能のことについてはいろいろ書かれている。だけれども、組織とか体制とかということについては、一言も法定化はされてこないということなんです。

 先ほども質疑の中でありましたけれども、地方分権一括法ですか、勧告の関係でできないということだったんだと思うんですけれども、今までは。この新型コロナウイルス感染禍がこれほどまでに拡大するときまでだったら、それでもいいかもしれません。しかし、私たちは、もう三年間もこの言ってみれば感染拡大の中にいて、そして、地方衛生研究所の体制も、こんなに違うんですよ。もう本当にびっくりするぐらい、一人当たりの、人員とか、予算で割り返しをすると、見えますかね、もうすごい大カーブ。人口当たりの予算もそうだし、それから人口当たりの人員もそうなんです。

 こういったことからすると、やはりこのタイミングでしっかりと、私は、書き込むべきだったんじゃないか、総務省と協議した上で、やはりこの時期に感染症法の改正があるということであれば、大臣、これはやるべきだったんじゃないかと思うんですけれども、なぜやらなかったんですか。

加藤国務大臣 地方衛生研究所の重要性は我々も、先ほど申し上げたように、その機能を含めて重要であると考えています。ただ、それをどういう形で法律に盛り込むのか。それは、先ほど申し上げました地方分権推進委員会の第二次勧告、これは勧告ですから、大変重たいものがございます。そうした勧告と、そしてその重要性を鑑みて、ぎりぎりどういう書き方ができるかということを追求し、それが、さっき委員御指摘いただいた地域保健法の第二十六条を新設して、そうした形に書かせていただいた。また、さらには、これから感染症の予防計画等を作るときには、そういった検査体制についても盛り込むということ、そうしたことも考えているところであります。

西村(智)委員 残念ですね。先ほどの阿部委員の言葉をかりれば、大変まったりとした答弁だと思います。

 大臣、これほどまでに格差がある状況を、大臣はどういうふうに御覧になっていますか。やはり、厚生労働省としては、例えば検査体制、ゲノムの解析をやって変異株が出ているとか、そういったことを、これまでの報道でも、どこかの地方衛生研究所では、そういう分析ができて早めに分かった、あるいは、どこかの自治体では、感染研に送ってその結果を待つしかなかったというようなこともあります。こういった状況をこのまま放置していいというふうに、大臣、思っていられるんでしょうか。この格差、本当に、どう思いますか。

加藤国務大臣 地方衛生研究所が果たすべき機能を規定する地域保健法第二十六条を新設しと先ほど申し上げましたが、それによって、自治体に対し、調査研究や試験検査等の業務を行うために、地方衛生研究所の必要な体制整備、また、他の自治体との連携確保等の必要な措置、これを講ずる責務をここで明記しているわけでありますから、あるいは、それにのっとって、各地方自治体がそうした責務を果たしていただけるように、厚労省としてはできる支援はしっかりしていきたいと思っております。

西村(智)委員 例えばPCR検査一つ取ってみても、以前、検査といえば、保健所が担っていたんです。その後、いろいろな保健所に関する法律の改正があって、その機能は徐々に地方衛生研究所に移ってきました。だから、現時点で、日本全国にある保健所の中で、PCR検査ができるところはほとんどありません。厚生労働省に調べてもらいましたけれども、二か所ぐらいはもしかしたらやっているかもしれないというような状況でした。

 だから、今PCR検査をやろうとすれば、もちろん民間にお手伝いいただいていくということもこれまでもあった、大学にお手伝いいただくということもあったわけですけれども、やはり地方衛生研究所にお願いをしてやっていただかなければいけないというふうに思うんです。

 他方で、地方衛生研究所の人員と予算規模、これは本当に減ってきていまして、今日資料でおつけしています、アンケート結果、ほかの部分なんですけれども、平成十五年から二十年、ちょっと古いデータなんですけれども、それしかないのでそこで比較しておりますが、その五年間で、職員数が一三%減っている、予算が三〇%減っている、研究費が四七%減っている。その後行われた検討会では、具体的な数値は明らかにはならないものの、人員と予算と研究費の減少傾向はまだ続いているだろうということが言われているんですね。

 今、今年の四月から、厚生労働省の委託事業で、地方衛生研究所の在り方に関する調査というのが行われているというふうに聞いております。ここではどういう状況になっていますか。

 通告しているんですけれども。

三ッ林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

三ッ林委員長 速記を起こしてください。

 加藤大臣。

加藤国務大臣 済みません。

 平成四年度の数字については精査中であります。ごめんなさい。今御質問の趣旨は、令和四年度の委託事業において、地方衛生研究所の在り方に関する調査を行っているという、その中身ということでありますか。(西村(智)委員「はい。そのように質問しました」と呼ぶ)済みません、ちょっとそういうふうに受け止めていなかったものですから、手元にその資料がないので、それはまた後ほど御報告させていただきたいと思います。

西村(智)委員 紙でちゃんと通告していたんですけれどもね。

 精査中ということですけれども、私が聞いている限りでは、なかなかこの減少傾向は止まっていないということなんです。そうしますと、また次の何か感染症が出てきたときに、本当にこれは検査体制、大丈夫なのかと。

 もちろん調査研究もやっていただかないといけないです。地方衛生研究所の機能をきちんと維持するためには、検査の体制を維持するというだけではなくて、やはりそこで働いていらっしゃる方々の調査研究、これをしっかりと保障しないと、能力ってついていかないんだそうなんですね。

 今回の法改正によって、やはりこうやってばらつきのある地方衛生研究所の能力について、本当にこれは均てん化が図られるのかどうか、すごく疑問に思っています。

 答弁では、基本方針に書き込む、あるいは予防計画で書き込むというふうにおっしゃっていますけれども、何か最低基準のようなものを具体的に書き込むということが本当に行われるんでしょうか。

 そのときに、例えばですけれども、この山形になっているところの、低いところに合わせられちゃ困るんですよ。低いところに合わせられちゃ困って、もちろん高いところはそのまま維持をしていただかないといけない、だけれども、低いところはどんどん上げていって、均てん化を図っていく、そういうふうにきちんと基準について書き込むべきじゃないかと。

 調査研究、しっかりできるように、あるいは感染研、今度合併するそうですけれども、そこでの研修などについてもしっかりとできるように、書き込むということをやっていただけるんでしょうか。

加藤国務大臣 済みません、その前に、聞かれた数字でありますが、精査中ではありますが、全国の地方衛生研究所の職員数については、平成十六年度が約三千九百人に対して、令和四年度が約三千六百人。一か所当たりの地方衛生研究所の予算額の平均は、平成十五年度が五・八億円に対し、令和四年度が約五億円ということで、委員御指摘のように、少し減少しているということでございます。

 その上で、次の感染症危機に備えて、自治体が地域の実情に応じて自治体間における連携も活用しながら、地方衛生研究所も含めた検査体制を計画的に整備することは、御指摘のように重要だと考えております。

 改正案でも、感染症対応に必要な機能の確保に向けた自治体の責務規定を創設するというのは先ほど申し上げたところでございます。さらに、今回の改正案では、個々の地方衛生研究所について、人員体制、予算の基準を設けるものではありませんが、この体制整備の在り方については、先ほどの委託事業の調査や有識者の御議論を生かしつつ、他方で、平成九年の地方分権推進委員会の勧告の趣旨も踏まえて、地域保健法に基づく基本指針、また関係通知等の中で技術的な助言を示していきたいというふうに思っているところでございます。

 また、必要な人材を育成していかなきゃいけない、御指摘のとおりであります。国立感染研究所において、試験検査等に必要な専門人材の育成を支援するための研修等の提供をしているところでありますが、今後とも、地方衛生研究所のレベルアップに対して国としても後押しをさせていただきたいと考えているところでございます。

西村(智)委員 大臣、地方衛生研究所の存在意義がこのパンデミックの中で再認識をされたというふうに本当に思っておられるのであれば、やはりこの法改正の機会に総務省とやり合わなきゃいけなかったんじゃないですか。保健所のこともそうですけれども、このパンデミックの中で、みんな本当に命、健康、こういったものを脅かされる状況になっちゃったわけですよ。

 この機会に、今までとにかく削減、削減、分権という名の下での行革、それで一番最初に削られるのが人、予算、こういったところに、やはりこのパンデミックの中で、厚生労働省として、国民の命と暮らしを日本全国どこにいても同じように、医療や検査や、そういったものが受けられるという体制をつくるのが自分だという責任で、そこは総務省とやはりやり合わなきゃいけなかったんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。

加藤国務大臣 もちろん厚生省としてそういう責務があることは十分認識をし、そして、体制的にそれぞれの自治体において、保健所があり地方衛生研究所を設置をし、それぞれ運営をしていただいている、その仕組みがあるわけでありますから、その仕組みの中で、それぞれがその機能を十分、今回の特にコロナ禍の経験を踏まえて対応していただけるよう、今回、感染法のこうした改正の中で、これは他方で地方分権推進委員会の勧告がある中で、ぎりぎり何ができるのか、それに対して今回の改正案をお出しをし、また、それを具体的に進める中においても、先ほど御説明させていただいたように、地方衛生研究所の能力をしっかりとアップしていく、それに向けて国としてできる支援はしていきたいというふうに考えております。

西村(智)委員 一言で言うと、はなからやるつもりがなかったという答弁かなと思います。実際に折衝したというお言葉も今答弁にはありませんでしたし、ここは、やはり政治、政府、変わらないといけないと思います。

 この法改正がなされた後で、例えば予防計画、基本指針、基本方針、それから、いろいろそれに基づいた通知などが自治体に発出されるというふうに聞いておりますけれども、そこから先、全ての地方衛生研究所に対して、言ってみれば、通知に基づく行政的な作用というのは及んでいくことになるんだというふうに思います。

 ちょっと具体的に何が書かれるのか分からないので抽象的に行政上の作用というふうに言わせていただいていますけれども、確認なんですが、独立行政法人化された保健所、あるいは独立行政法人化された地方衛生研究所、こういったものに対しても同じように、通知、予防計画あるいは基本指針、こういったものの行政上の作用は及ぶということで確認させていただいてよろしいでしょうか。加えて、公務員型であっても非公務員型であっても同じだということで確認できますか。

加藤国務大臣 通知を含めて、国から自治体に連絡される必要な情報については、各自治体において、独法化の有無、いわゆる公務員型かどうかにかかわらず、管内の組織や団体に適宜共有され、同様に取り扱われるものと承知をしているところでございますし、委員御指摘のように、独立行政法人の形を取っているところはそんなにあるわけではありませんが、当該自治体にも確認し、発出した通知等はそうした組織に対してもしっかりと連絡されていくということ、通知がそのまま回付される、行政用語では回付されると言っていますが、回付されるということは確認をしているところでございます。

西村(智)委員 回付されるのは当然だと思うんですけれども、回付された後に作用というか機能というか、行政上の作用というのも当然回付された先に、全ての先に及ぶということで確認したいんですが。

加藤国務大臣 おっしゃっている意味で、中身の機能といったときに、直接自治体の傘下にあるものと独立行政法人とは位置づけが当然違ってきていますので、おっしゃっている中身によって、そこは必ずしも、全部どうかということは申し上げられませんけれども、基本的に、先ほど申し上げた、こちらから、こういうことにしてほしい、そうしたことについては、独法であろうとなかろうと、公務員型であろうとなかろうと、それぞれの自治体から当該組織に対してしっかりとその中身については徹底していただく、こういうことになっているわけであります。

西村(智)委員 しっかりと、何ですか。

加藤国務大臣 内容をしっかりと理解していただくべく徹底はしていくということであります。

西村(智)委員 ちょっと、何か心配ですけれども、ほかの、独法じゃない保健所あるいは地方衛生研究所についても同じようになされるということなので、そこは理解いたしました。

 それで、感染症法の予防計画、これの記載事項として、義務規定それから任意規定、いろいろ分かれておりました。ちょっと気になったのが先ほどの調査研究機能なんですけれども、申し上げましたように、やはり地方衛生研究所の機能をきちんと維持していくためには、調査とか情報収集、これがふだんからできていなければなりません。今回これが任意規定となっているんですけれども、これは義務規定にするべきじゃないでしょうか。いかがですか。

加藤国務大臣 おっしゃっている趣旨は、都道府県においては義務規定になっているわけでありますが、新たに予防計画を策定することになる保健所設置市、特別区においては、その能力、役割というのがいろいろありますので、そこを鑑みて、情報収集、調査研究は都道府県が一元的に行うことが適当な場合もあることから、任意的な記載事項とされているところであります。

西村(智)委員 やはり、地方衛生研究所の先ほどの人員、予算それから研究費の減らされ方、すごいという話を紹介しました。大臣からは、この調査の後もやはり減り続けているという話がありました。今回、新型コロナの中でいろいろ予算がついたりして、例えばシークエンサー、全自動でやれるような機械とかが買えるというふうに予算はついたものの、実際には、買えるだけのお金、仮に十分の十ついたとしましても、その後、メンテナンスのお金が必要になっちゃうというので、やはり本庁の方は二の足を踏むということがあると聞いているんですよ、地方衛生研究所から予算要求しても、メンテナンスのお金がまた毎年毎年かかっていくということになると。

 ですから、そういったこともしっかりと頭に置きながら、地方衛生研究所の人員、予算それから調査研究費、ここは今回は法定化はなかなかちょっと十分ではなかったかもしれないけれども、厚生労働大臣の責任としてしっかりと取り組むというふうに言っていただけませんでしょうか。

加藤国務大臣 済みません、具体的に何をどう取り組むかというところが、ちょっと私は今把握できなかったのでありますが、ただ、今議論させていただいている問題認識、これはしっかり共有しながら、それをいかに、これからの感染症対応について地方衛生研究所がその役割をしっかり果たしていただく、それは今回いろいろ書かせていただきました。それを果たしていただけるように我々としても努力をしていきたいというふうに思っています。

西村(智)委員 次に、大串副大臣、お越しいただきました。実はマイナンバーのことを質問しようと思ったんですけれども、ちょっと時間もないということですので。

 大串副大臣、おとといのこの場でのやり取りを聞きながら、私は九月二日のことを思い出していました。

 九月二日に、私たち立憲民主党、眉をひそめていらっしゃいますけれども、緊急要請に伺ったんですよ。思い出されましたか。旧統一教会の被害状況が明らかになるにつれて、私たちは、そのときは既に新規立法をずっと検討していたときでしたけれども、消費者庁にも今の時点で取り組んでいただけることがあるはずだということで要請に行った。河野大臣が、一週間前から実はアポ取りしていたんですけれども、いらっしゃらなくなって、対応してくださったのが副大臣でした。

 しかし、その副大臣が、いわゆる政策協定、推薦確認書、これにサインをしていたということが分かったときに、本当に私、がっかりしました。この申入れを受けてくださった大臣が、実は旧統一教会との関わりを公にせずに、消費者庁の副大臣として仕事をしておられるということは、やはり私、ちょっと、副大臣、よく考えていただきたいというふうに思うんです。

 今日は内閣委員会も開かれているということなので、そちらでも、この後、我が党の山岸委員も質問するというふうには伺っているんですけれども、先日、早稲田委員それから小川委員とのやり取りの中で幾つか気になることがありますので、本当に短い時間、もう四十五分には多分ここを出なきゃいけないというふうに思いますので、幾つかだけ伺いたいと思っております。

 最後の方で、大串副大臣は、今回、政策協定、推薦確認書を交わしたことの質問がざあっと続いてきたその最後の方で、ただ、もう、これは総理ともお約束をさせていただきましたが、今後一切の関係を絶つことで、この点については、ぶれなく、しっかり対応したいと思いますというふうに言っておられるんですけれども、総理には、この政策協定の話は報告しておられるんでしょうか。報告したとすれば、それはいつ報告されたんでしょうか。

大串副大臣 官邸の方には、その厚労委員会の答弁の後にしっかりと報告をさせていただいたところでございます。

西村(智)委員 厚労委員会の後ということは、水曜日のこの委員会の後ということですね。うなずいていらっしゃいます。

 じゃ、総理ともお約束をさせていただきましたというのは、いつ、何を約束したんでしょうか。

大串副大臣 この問題は、既に私が組閣で副大臣に就任する際にも問題になっていた案件でしたので、当該団体とは一切関わりを持たないということを約束をさせていただいたところでもございます。

西村(智)委員 じゃ、政策協定にサインをしていたということは、総理には報告はしていらっしゃらないわけですね。

大串副大臣 組閣のときにはしていなかったということになります。

西村(智)委員 それは、やはりきちんと報告されるべきじゃないですか、総理にもあらかじめ。

 この問題、ずっと、何というんでしょう、後出し後出しなんですよ。事態が分かる、明らかになる、追って説明をする、謝る、そしてまた次に明らかになる、そして説明をする、おわびをする。こういったことが繰り返されていくと、肝腎要の消費者庁の担当副大臣でいらっしゃいますから、私たちは本当に、消費者庁がこの先何をしようということになるのか、ずっと実は注目しています。

 私たちは、いわゆるマインドコントロール下における献金の強要、要請、これをまずは禁止をし、そこからいろいろな防止策、救済策を取っていけるというふうに考えて、今、与野党の協議も行っているところなんですけれども、消費者庁の方は、どうも消費者契約法の改正ということを当初おっしゃっていたわけですよね。それだと、やはり救えないところが出てくるからということで、私たち、ずっとこのことは言っていたわけなんです。

 そこの要請する先の副大臣が、何か政策協定のことを明らかにしないまま、今、職に就いていらっしゃるというのは、これはなかなか私としては理解できないですね。

 大串副大臣は、先日の答弁の中でもこんなふうにおっしゃっています。イベントのお誘い、これは来られる方が何か担当の方なんだそうですけれども、イベントのお誘いも当然あったんですけれども、それには一切行きませんよということははっきりと申し上げておりました、平和大使の就任のお願いも一切お断りをしておりましたということなんですけれども、その理由は何でしょうか。なぜそこまで距離を取ろうとしておられたんですか。いつからそういうふうになったんでしょうか。

大串副大臣 先日もお答えしましたとおり、当初は、平和連合というのが旧統一教会という認識がなかったんですけれども、すぐに関係であるということに気づいたわけでありまして、昔からのイメージで、余り深く関わりたいと思わなかったというのが正直なところでございます。

西村(智)委員 いつからそういうふうに気づかれたんでしょうか。

 今回報道があるまで、ああいう多額の献金がされているということは私も存じ上げておりませんでしたと、おととい答弁されているんですけれども、ああいう多額の献金がされているということを今回報道が出て知ったということですね。それが分かっていた上で、消費者担当の副大臣をお受けになられたんですか。

 政策協定も結んでいる、パーティー券も買っていただいている。これはやはり本当に、規制庁ですから、消費者庁は。今の消費者契約法では規制できないものなんだけれども、今後、問題に必ずなってくるということは誰が見ても明らかだったわけですよね。その消費者副大臣を、こういったことが分かった上で、副大臣は自分はそうだということは分かった上でお受けになったんでしょうか。

大串副大臣 少し順番が前後するのかもしれないんですけれども、元々、いろいろな関わりがあったという点については、今回の報道があるまで、そういった行為が今まで続いているという認識がなかったという意味でございまして、消費者行政を担当することになりましたことについては、これはしっかりと対応してまいりたいというふうに思います。

 これまでその点について感度が鈍くて御迷惑をおかけしたことはしっかりと反省をするとして、しっかりと、そういうことで影響することなく、消費者の保護とかあるいは新しい被害者が出ないようなしっかりとした対応をしてまいりたいというふうに考えております。

西村(智)委員 影響することなくというふうに言われましても、こうやって、聞かれたら出てくる、聞かれたら新しい情報が出てくるというのがこれまでにもずっと繰り返されていたんですよ。先日も、山際大臣はそれで辞任を、まあ辞任なのか更迭なのか分かりませんけれども、はっきりしませんけれども、それで山際大臣はお辞めになられたんです。

 そういったことをよくお考えになられて、大串副大臣も、御自身のことですから、御自身でここは判断をしていただくべきではないかと私は思うんです。

 やはり、今、消費者庁の行政、すごく注目されていますから。検討会でも報告が出されて、ああ、あの報告に基づいて今後は何をするのか、みんな国民は見ていますよ。今、与野党の修正協議、これもどういうふうに進んでいくのか、みんな見ています。そういうときに、本当に、規制庁として、正しいのかどうか、そこはお考えいただきたいと思うんですけれども、一言いただいて、時間ですので、どうぞ。

大串副大臣 いろいろな御意見があるのは承知の上で、引き続き、内閣の一員としてしっかりと職務に邁進してまいる所存でございます。

 この消費者政策についても、担当の副大臣としてしっかりと取り組んでまいりたいと思いますので、御指導をよろしくお願いいたします。

西村(智)委員 大変、これからもいろいろなことを言われていくと思います。どうぞ、内閣委員会がありましょうから、退席してくださって結構でございます。

 それで、時間があと十分ほどありますので、大臣、感染症法の外の話にはなるんですが、今まさにこのタイミングで生活保護のことについて審議会で議論がされているというふうに承知しておりますので、私の方からは、大学進学に係る世帯分離、このこと等について、本当に幾つかだけ質問をしたいと思います。

 まず内閣府の方に伺いますけれども、子どもの貧困対策推進法、これが成立しました。議員立法です。これに基づく大綱で、生活保護世帯における大学進学率というのが指標として挙げられておりますね。この指標を見ますと、一般世帯の大学進学率は今八割くらいでしょうか、なんだけれども、生活保護世帯の大学進学率はまだ三割ぐらいと、著しい開きがあります。

 この改善をどういうふうに図っていこうとしているのか、また、実際に生活保護世帯の進学率というのがどういうふうに推移をしているのか、まずこの点について伺います。

自見大臣政務官 お答えいたします。

 子供の貧困対策に関する大綱では、生活保護世帯に属する子供の大学等進学率が指標として設置されているところですが、その数値でございますが、厚生労働省の調査によりますと、三割というお言葉をいただきましたが、令和三年は三九・九%となっていると承知をしております。

 一方で、生活保護世帯を含みます全ての世帯につきましては、文部科学省の学校基本調査におきまして、高等教育機関進学率という値がございます。こちらにつきましては、令和三年度は御指摘のように八三・八%となっているものと承知をしております。

 なお、両調査の算出方法が異なるため、留意が必要だとも考えております。

 また、御質問いただきましたが、取組についてでございます。

 内閣府では、現在、子供の貧困対策に関する大綱に基づきまして、子供の教育の支援や生活の支援などを総合的に推進しているところでございます。

 生活保護世帯の大学等の進学につきましては厚生労働省の方で行っていただいておりますが、厚生労働省の進学準備給付金がございます。また、文部科学省の方の授業料の減免や給付型の奨学金、これは生活保護世帯を含む低所得世帯でございますが、こういったものを通じ、関係省庁と連携して支援を行っているところでございます。

 また、生活保護についての大学進学率も御指摘のとおりでありまして、平成二十五年は三二・九%、平成三十年は三六%、令和三年は三九・九%となっており、これも上昇傾向にあると承知してございます。

 今後でございますが、貧困状態にある子供を含めまして、全ての子供たちが夢や希望を持つことができる社会の構築をすることが極めて重要であると思ってございます。

 我々内閣府といたしましては、現在、有識者の会議を行っております。子供の貧困対策に関する有識者会議でございます。それらを踏まえながら、引き続き、関係省庁と連携し、大学等への進学のために必要な支援が抜け落ちてしまうことのないように、多面的な取組を行ってまいります。

西村(智)委員 多面的な取組を行っていただくのは、それはそれで、効果が出てくるということであれば、本当にそれは進めていただきたいというふうに思うんですけれども、やはり、今聞いても、八三%と三九%ですよね。八三%というのは生活保護世帯も含んでの数字ですから、正確には表していないというふうに思います。もっと高いというふうに思います。

 加藤大臣、今、生活保護の審議会が行われていますね。生活保護世帯の大学進学について、世帯内就学を認めるための議論を行っていただきたいというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。何か、世帯内就学ができないのは、よく一般世帯とのバランスというふうに言われるんですけれども、私、これはよく聞いても理解できないですよ。バランスじゃないと思うんです。ほかの一般世帯で、もちろん低所得の方でも生活保護を受給せずに、アルバイトであるいは奨学金で頑張っておられる方がいらっしゃるというのは、それは私もそのとおりだと思います。でも、そういったことを底上げしていくのはある種当然のことであって、そことのバランスというふうに言っていたら、いつまでたっても底上げができていかないじゃないですか。

 これはやはり、ちょっと今回の審議会の中で議論しようというふうに大臣の方から言っていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

加藤国務大臣 まず、今、バランスの話でありますけれども、一般世帯で高等学校卒業後に大学等に進学せず就職する方、また、奨学金、アルバイトなどで自ら学費や生活費を賄いながら大学等に通う方、こうしたバランスを考えてということで、これまで慎重に検討するということを申し上げてきた。

 しかし、生活保護世帯の方々の大学進学をいろいろな形で支援をしていくということでは、一つ一つ申し上げませんけれども、様々な施策を講じさせていただいているところでありますので、まず、生活保護制度においては、そうしたことを考えながら対応していくとしても、他の施策とも併せ講じることで、生活保護世帯の子供さん方の大学進学を支援をしていく、こうしたことでこれまでも取り組んできているところでございます。

 その上で、社会保障審議会でありますが、現在、平成三十年改正法の施行状況を踏まえ、社会経済状況等の変化に適切に対応すべく、制度見直しに向けた検討を行っており、生活保護世帯の子供の大学等への進学についても御議論いただいているところでございます。

 具体的には、被保護者世帯及び一般世帯の共通の課題として、生活保護の枠組みにとらわれず修学支援新制度等による教育政策の中で幅広く検討すべき、大学進学しなくても活躍できる機会は多くあり高校卒業後に就職する場合の支援を強化すべき、コロナ禍で困窮した大学生について一時的に生活保護を利用可能とすべきではないか、様々な意見を頂戴をしているところでございます。

 これから部会において検討を進める中で、生活保護世帯の子供の大学等への進学の問題も含めて議論をいただきたいというふうに考えているところでございます。

西村(智)委員 実際に世帯分離して大学進学している若者たち、この現状を厚生労働省は把握しておられるんでしょうか。

 例えば、退学率がどうか、あるいは生活の状況がどうか、そこは分析をしていますか。

加藤国務大臣 生活保護世帯出身の大学生の退学率は把握しておりませんが、大学進学後の生活実態については、平成二十九年度に委託調査を実施をしているところでございまして、その調査結果でいえば、例えば、生活保護世帯出身で大学等に在籍している者の経済的状況では、奨学金を利用している方が八六・五%、過去一年にアルバイトをしている方は八三・三%。これはちょっと資料は違いますけれども、一般学生の場合には、奨学金を利用されている方は四九・六%、アルバイトをしている方は八〇・七%、そうした数字になっているところでございます。

 今後、今申し上げたのは平成二十九年四月の調査でございますので、更にその後の生活実態ということもしっかり把握していかなければならないというふうに考えております。

西村(智)委員 是非、議論、私はしなきゃいけないと思います。もちろん生活保護全体の問題は十分私も承知しておりまして、だけれども、今やるべきこと、今まさに格差とか貧困とかが問題になっている今やるべきことは、バランスと言って生活保護世帯の人たちの大学進学を妨げることじゃなくて、みんなで教育の底上げをしていくということ、これじゃないですか。

 この前、日経新聞にも出ていました。OECD諸国の中で日本の大学教育にかける公費の負担、すごい低いですよ。こんな状況をいつまでも続けていたら、本当にこの国の力、まさにイノベーションの力というのはなくなってくるというふうに思います。是非そこのところ、よくよく、リカレントとかリスキリングとかやられるということであるので、是非、大臣として審議会の方にも論点を提示していただきたいと強く申し上げて、質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 大臣、よろしくお願いをいたします。

 本日は、感染症法の改正案、政府から出されたということで、まず、感染症に対する一つ大きな武器として期待をされてきたワクチンについて、前半お伺いをしたいと思います。

 通告どおり順番に伺いますが、ワクチンの接種間隔についてです。

 先週の十九日水曜日、厚生労働省の専門部会は、新型コロナワクチンの接種間隔を従来の五か月から三か月に短縮をするということを決めました。接種間隔を短縮しても問題がないと判断したからだということでありますが、大臣、これは問題がないのは当たり前の十分条件でありまして、なぜ三か月に短縮する必要があるのかはまた別の理由があるはずであります。

 そこで大臣に伺いますが、ワクチンの接種間隔を三か月に短縮した理由は何か。なぜ今ワクチンの接種間隔を三か月に短縮する必要があるのか。お伺いをいたします。

加藤国務大臣 オミクロン株対応ワクチンの接種間隔については、九月十二日の審議会で、承認審査の際は、前回の接種から少なくとも五か月以上の間隔を空けることとされたわけでありますが、同時に、今後の海外動向、有効性、安全性等の情報を踏まえ、接種間隔を短縮する方向で検討すべきとの指摘がなされたところであります。

 これを受けて、十月十九日の審議会においては、欧米での使用実績や三か月以上の接種間隔による治験データに基づき議論した結果、三か月以上での安全性が確認されたところから接種間隔の短縮を行ったということで。なぜかというと、元々その議論の中で、現状では五か月であるけれども、海外の動向から見ればまだ短いというようなケースもあるので、その段階、その段階というのは九月の段階では結論を得らなかったけれども、これから海外で様々なワクチン接種も進む等々の状況を見てそれは議論しましょうとなっていた、いわば宿題になっていた、それを十月十九日に、いわば宿題に対する答えが出てきた、こういうことであります。

井坂委員 いや、大臣がおっしゃったのは、議論の経緯、宿題になっていたのでこのタイミングになりましたという、それは分かるんです。加えて、安全性が問題ないだろうということになったから三か月にしたんだということでありますが、それは十分条件であって、別に短縮しなくたっていいわけだと思うんですが、なぜ三か月に短縮をしようとなったのか、そして今回したのかということについて伺いたいと思います。

加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げた、接種間隔を短縮する方向で検討すべきという指摘があって、そして検討し、そしてその結果として、三か月以上なら大丈夫というか安全性が確認されたということでありまして。ちょっと、ごめんなさい、委員の御疑問に答えていないかもしれませんけれども。

井坂委員 ちょっと、事前に通告のときに、わざわざ分けて問い一と問い二を通告をしていて、問い二はまさに安全性、今のような御答弁だと思うんですが、問い一の方は、安全だとしても、まさに九月の分科会で、なぜ短縮すべきだというそもそも意見が出たのか、そこなんですよ。何で短縮をする必要があるんですかということを伺っています。

加藤国務大臣 逆に言えば、どのぐらいの間隔を空けるかということも含めて議論がなされたわけですよね、当然。これまでもそうであります。そうした中で、取りあえず今は五か月にするけれども、これについては、短縮する、海外の動向を見ても短縮しているということもあるから、そこはもう少し様子を見て議論すべきだ、こういう指摘がなされた。そして、それに基づいて十月十九日に再び審議会をやっていただいて、先ほど申し上げたような結論になった。まさにこれが経緯なんですけれども。

井坂委員 そうすると、最短の期間が三か月というだけで、前回の接種から三か月たったらもうすぐ次を打たなければいけないということでは全くなくて、さすがに三か月置きに接種するのは心配だから間が一年ぐらい空くまで接種しないというふうに、国民がそれぞれ判断をすればよい、そういうふうに決めたということでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 今回の三か月に短縮したということは、国民の方としては選択肢がより広まったという形になると思います。

 また、この冬に向けて同時流行ということもまた懸念をされておりますので、なるべく早く打っていただくということの選択肢を提示するという意味でも重要なことではないかと考えております。

井坂委員 そうすると、選択肢を広げただけで、みんながみんな三か月、四か月で打つことを政府として期待をしているわけではないということですかね。

 一方で、ちょっと気になるのは、政府は一億人分のワクチンを十一月下旬までに自治体にもう配送すると。努力義務も国民にかけているわけでありますけれども、これは、やはり政府としては、とにかく十一月下旬までに自治体にはワクチンを一億人分配送するから、この追加のワクチンをですね。あとはもう、努力義務をかけているので、年内に可能な限り全員追加接種をしてくれと、何かそういうふうに私は感じ取っていたわけですけれども、そんなことは全くないということなんですかね。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 これは、また感染の拡大ということが非常に懸念されておりますし、同時流行に対する備えの中でも、なるべく早くそれに備えて、国民の皆さん、ワクチンを打ってくださいということは呼びかけているところでございます。

 また、そうした多くの方にワクチンを打っていただく体制をしっかり整えていくためにはワクチンの供給というものがしっかりできていなければいけませんので、国としてはその体制をしっかり整えているというところでございます。

井坂委員 やはり努力義務をかけて、しかも、なるべく早く打っていただきたいといって最短接種間隔を三か月に縮めたら、これはやはり、もう三か月、四か月たったら打ってくれというメッセージしか感じないわけであります。

 やはり、接種間隔を三か月に短縮するということについては、本当に大丈夫かと不安の声は確かに上がっております。この接種間隔を三か月に短縮することの安全性について政府はどのように確認をしたのか、参考人に伺います。

八神政府参考人 接種間隔の関係で、安全性の確認についてお尋ねをいただきました。

 御指摘の接種間隔三か月における安全性につきましては、先ほど来出ております薬事・食品衛生審議会、ここにおきまして、企業から提出をされた治験データにおきまして、オミクロン株対応ワクチンを三か月以上ということで、接種間隔で接種をした結果、安全性について特段の懸念は認められていなかったということ。それから、外国におきまして、先行して二か月から三か月以上という接種間隔でオミクロン株対応二価ワクチンの接種、これが行われており、それらの国における副反応報告におきましても、新たな副反応や報告数の上昇等は認められておらず、安全性についての特段の懸念は報告されていないということで、安全性に懸念は認められず、接種間隔を少なくとも三か月経過した後ということに短縮をして差し支えないということが確認されたということでございます。

井坂委員 まず、海外でというお話があったので、今日、資料を持ってきたんですけれども、配付資料の一ページ、二ページを御覧をいただきたいと思います。

 これは厚生科学審議会の資料でありますけれども、確かに海外では接種間隔を三か月に短縮している国がたくさんあります。アメリカは二か月ということですし、イギリスは三か月、イスラエルも三か月ということであります。これは政府の出した資料ですけれども、一方で、カナダとかフランスとかドイツなどは、特例として三か月というケースもあるけれども、原則は六か月ということをこの資料においても維持をしているわけであります。

 これらの国は何らかの理由があって接種間隔を原則六か月にしていると思われるわけでありますが、それぞれどのような理由で、こういう国は、カナダ、フランス、ドイツなどは六か月にしているのか、把握、分析などはされていますでしょうか。

八神政府参考人 各国の接種の間隔ということで、薬事で申しますと、ヨーロッパの、例えばフランスにしろドイツにいたしましても、提出をいただいておる資料の二枚目の一番下にEUのEMAというのがございます。こちらが最短三か月ということになっております。薬事としては、少なくとも三か月空けるということで、あと、個別の国でそれぞれがどういう事情なのか、接種の体制の問題なのか、確保の問題なのか、そこはちょっと私どもも分かりませんが、何らか、それぞれの事情で少し間隔を、それぞれに決めているということかというふうに承知をしております。

井坂委員 まさにそれぞれの事情で、これは別に、みんなが三か月にしていれば三か月でいいんだなという話も成り立つと思うんですけれども、EUは、薬事上は最低三か月と言っていますけれども、それでも各国は原則六か月というふうに運用を、実態としてはやっているわけで、そこにはやはり何らかの安全上の理由が私はあるんじゃないかというふうに思うんです。

 我が国政府の、さっきおっしゃっていた薬事・食品衛生審議会の十月十九日の議事録、私も隅々まで拝見をいたしました。そして、その議事録に何て書いてあるかというと、大臣おっしゃったように、九月十二日の部会では、ファイザーの二価、オミクロンBA・1の二価ワクチンは接種間隔五か月以上の臨床データが出されているので、接種間隔としては五か月以上が適当と判断をしましたと、九月の段階では。

 ただ、ただし書的に、海外ではより短い期間の接種間隔が設定されていること等を踏まえ、接種間隔はより短い期間で設定するべきではないかという意見がその九月にはあったということで、十月の十九日の議論の、ちょっと結論のところだけ読みますけれども、ファイザー社は二価のオミクロンBA・1のワクチンのデータではないものの、一価のオミクロンBA・1のワクチンは三か月から六か月のデータが存在をすると。一価の古いワクチンと二価のオミクロンBA・1のワクチンは、承認事項一部変更の審査の過程において、安全性について大きな差はないと評価をされていると。

 一方、二価のオミクロンBA・5のワクチンについては、安全性について、既に承認されている二価のBA・1のワクチンと同じオミクロン株系統なので安全性に影響を及ぼす可能性は低いと考えられると書いてあって、以上を踏まえると、オミクロンBA・5の二価ワクチンも含めて三か月以上の間隔での接種として差し支えないのではないか、こういうことが書かれているわけであります。

 私、読んでいて少しやはり心配になったのは、例えば、薬事の承認で、これとこれは大体同じだろうみたいな、いわば類推適用的な考え方で、しかも、今回、それを、類推適用を二回も三回も重ねて、可能性は低いと考えられるとか差し支えないのではないかという曖昧で頼りない結論が書かれているわけでありますが、こんな類推適用を重ねるとか、低いと考えられるとか差し支えないのではないかとか、こういうことはよくあることなのか、特例中の特例なのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。

八神政府参考人 安全性についてのお尋ねでございます。

 この審議会におきまして、今御指摘がございました、例えばファイザー社のBA・4、5対応二価ワクチンなども、既に欧米において接種がなされており、副反応について特段の懸念は見られていないということでありましたり、BA・1のワクチンとBA・4、5の抗原性の違いというものは比較的小さいといったことから、両社の安全性も大きな差がないものというふうに審議会でも御判断をされているということでございますので、安全性は確認されたものというふうに理解をしております。

井坂委員 普通に考えたら、こういう類推適用に更に類推適用を重ねて、大丈夫だろうみたいな話ではなくて、モデルナのオミクロンBA・1の二価ワクチンは、もうこれは既に接種間隔三か月で臨床データが提出をされているわけでありますから、普通に考えるならば、モデルナだけ接種間隔を三か月に短縮をして、ファイザーはルールどおり五か月間隔にするのが私は当たり前の対応ではないかなと思うわけでありますが、なぜそうしないのか、お伺いしたいと思います。

八神政府参考人 繰り返しになって恐縮ではございますが、審議会、そういったことを検討するために審議会がございますので、この審議会におきまして、企業から提出された治験データ、これで、オミクロン株対応ワクチン、これが三か月以上の接種間隔で接種をした結果、安全性について特段の懸念は認められていない、それから、実際に先行して打っている外国におきまして、オミクロン株対応二価ワクチンの接種が行われてからの副反応報告で目立った懸念あるいは副反応の報告数の上昇等、認められていないということでございますので、安全性について特段の懸念は報告されていないということで、審議会において確認をされたという話でございます。

井坂委員 是非、議場の皆さんもこの議事録を見ていただきたいと思うんですけれども、ちょっと心配な議事録だというふうに私は思います。

 通告どおり進めますが、今後のワクチン接種について、再び大臣に伺います。

 今回、コロナ、最初の頃は、私も含めて、恐らく国民の皆さんもそうだと思いますが、ワクチンを打てば感染が予防されて、もうコロナにかかることはほとんどなくなるんじゃないか、こういうふうに私は思っていました。しかも、一回打てば効果は数年続いて、その間にコロナは収束するんじゃないかというような期待もありました。

 しかし、実際は、我々が今経験しているように、ワクチンは思ったほど感染予防の効果もないですし、また、二、三か月で効果が激減をする、こういう状況であります。しかも、ウイルスが次々と変異をして、今打っているワクチンが次のウイルスにどれほど効くかも正直分からない、こういうことであります。

 その中で、大臣に通告どおり伺いますけれども、今後、三か月に短縮をして、しかも、なるべく早く打ってくださいと国民に呼びかけ、しかも、大半の国民に接種の努力義務を日本はかけているわけであります。これに素直に国民が従うと、今後、年三、四回ワクチンを接種するのか、こういうことになってくるわけでありますが、今後、実際に年三、四回のワクチン接種を推奨していくことになるという可能性は、大臣、実際あるんでしょうか。

加藤国務大臣 今の、前の井坂議員の中で、効果も、発症予防効果、感染予防効果、重症予防効果もあります、それぞれにおいて、期間も、発症等は余り長くないし、重症効果は一定程度もつのではないかと指摘をされ、もちろん、ウイルスによってその状況も違うわけですから、一概に効果がないというものではなくて、それなりに私は効果があった、ただ、全てにおいて、全部が効くわけではないというのは、様々なデータが示しているとおりだと思っております。

 その上で、オミクロン株ワクチンについては、今回は一回ということで示されているところでございますので、それ以降のワクチン接種をどうするかに関しては、今後の感染状況や新型コロナの感染症法上の取扱いにもよるところであり、感染状況等を注視して適時適切に検討していく、検討し判断していかなければならないというふうに考えております。

 実際、現在の新型コロナワクチンの臨時接種は、現時点で、実施期間、これは令和四年度末と決められているところでもあります。

井坂委員 今回の追加接種、オミクロン対応ワクチンは、要は、来年三月までの間に、まずなるべく多くの国民の皆さんに打っていただきたいというのが政府の立場だということでありますが、もちろん、先のことは誰も分かりません、次にどういう変異が起こるのかというのは分かりません。しかし、さすがに、三か月間隔に短縮して、本当に年に三回も四回も打たなきゃならないのかというのは、これは私も心配ですし、また、国民の皆様も今それを心配しておられる方は多いと思います。

 大臣に、ちょっとこれぐらいのラインで答弁していただけないかなと思うのは、よほど毒性と感染力の強い変異株が表れない限り、年に三回も四回もワクチン接種を国民に求めるような極端なことは考えていないと、これぐらい御答弁いただけないでしょうか。

加藤国務大臣 まさにそれは、先ほど申し上げましたけれども、新型コロナワクチンを接種をどうするか、これから議論するところでありますから、その議論のないときに今申し上げたところに言及するというのは、ちょっと私の立場としてはこれは避けなきゃいけないと思います。

井坂委員 配付資料の三番を御覧いただきたいんです。配付資料の三番の上のグラフですね。緑色のグラフです。これはNHKのコロナ特設サイトといって、誰でも見られるページの一番下に、ワクチンの追加接種をした人が各国どれぐらいいるか、最新のデータが日々公開をされております。

 これを見ると、日本は、追加接種をした人の割合が世界二位。一位のチリは何でこんなに接種しているのか私もよく分かりませんが、先進国では日本がもう断トツの追加接種の割合では一位なわけであります。

 先ほど、アメリカは接種間隔二か月ということで、日本が接種間隔を三か月にする理由の一つになっておりましたけれども、しかし、アメリカは、接種間隔二か月とルールは勇ましいわけでありますが、実際に追加接種をしている割合は僅か四一%であります。日本は九八%。これは、三回目接種、四回目接種と重ねてやった場合は二回とカウントされる仕組みなので、チリは一四〇%ということで、ちょっとこれは何がどうしてこうなっているのか分かりませんが、日本は追加接種の率がもう断トツである、アメリカの倍以上である、こういうことであります。

 大臣、率直に、この緑のグラフを御覧になって何か思うことはありませんでしょうか。

加藤国務大臣 これは多分、かなり高い数字なので、九八とか、この数字をどこから拾ってきたのかよく分からないんですけれども。

井坂委員 先ほど御説明しましたように、これは一、二回目接種はカウントしていないんです。各国の追加接種ですから、三回目接種、国によっては四回目接種をしたら、日本では特に高齢の方中心に三回目も四回目もしている方が多いですから、その場合は二回、二人したというカウントをしているので、例えば全員が三回目、四回目接種をしていたら二〇〇%になる、こういう数え方のグラフであります。

加藤国務大臣 失礼いたしました。

 いずれにしても、そうした意味で、三回目接種、四回目接種の人口に対する割合が日本が高いということであります。その理由というのは、それぞれワクチンに対する考え方とか、それから、それぞれの地域で既にどのぐらい感染が、いわゆる自然感染、あるいは累積した感染者が増えているのかとか、あるいはワクチン接種の機会がどう提供されているのかとか、もっと言えば、ワクチンは無料なのか有料なのかとか、いろいろな条件によって変わってくるのではないのかなというふうに思います。

井坂委員 確かに、大臣のおっしゃるようないろいろな要素は各国の違いとしてあると思います。ただ、やはり普通にこれを見ると、なぜ日本だけがこれだけ追加接種率が高いんだろうか、ほかの国の政府はどのような判断をして追加接種率が低いままにとどまっているんだろうかという、ある種健全な疑問を持つのが普通じゃないかなというふうにも思います。

 今年の一月に日経新聞でこんな記事が出ていました。EUが頻繁な追加接種に懸念、免疫低下のおそれも、こういう題の記事であります。記事はあっさりしていたので、ジェトロの詳しい記事を見ましたところ、欧州医薬品庁、先ほど答弁で根拠にしていたEMA、欧州医薬品庁のワクチン戦略責任者がこう言っていた。三、四か月ごとにブースター接種を実施した場合、過剰な負荷を免疫システムに加えることになり、十分な免疫反応が得られなくなる可能性が懸念されると述べたそうであります。

 資料の三の下の方のグラフを次に御覧をいただきたいのですが、これは各国が実際どのタイミングでどれだけワクチンの追加接種を増やしたかというのを折れ線グラフで示しているわけであります。グラフが上に上がれば上がるほど、その時期に急速に追加接種をしたんだなということが分かるグラフであります。

 これを見ると、実際に、日本以外は、昨年末に三回目接種をやった後は追加接種がほとんど増えておりません。日本は、昨年末の第六波には三回目接種が間に合わなくて、今年の二月から四月に三回目接種がせっせと行われて、ちょっとほかの国より大分遅れてグラフが上に上がっているわけでありますが、また八月以降にも、今度は四回目接種がどんどんどんどん進んで、一気に世界二位に躍り出ているわけであります。

 このグラフを見る限り、今年に入って二回も熱心に追加接種をしている国は日本だけというようにも読み取れる。チリはちょっとどういうことか分からないです。ひたすら右肩上がりで追加接種を増やしていますのでちょっとチリの判断は分かりませんが、先進国の中では、もう昨年末に、大体みんなオミクロン前に三回目接種を一気に終わらせて、今年はほとんど追加接種をしていない。日本だけが、今年の二月、三月、四月、それから八月以降と、二度にわたって、三回目、四回目接種をせっせとしている、このように見えるわけであります。

 ちょっと参考人にお伺いをしたいんですけれども、ワクチン接種をこのように繰り返して、しかも努力義務を大半の国民に課しているという日本は、そろそろ、今回のコロナのワクチンを頻繁に接種をするということのマイナス面を少し冷静に考える時期に来ているのではないかなというふうにも思うわけです。

 この頻繁に接種することのマイナス面とか中長期的なリスクについて、厚生労働省として情報を集めているのか、議論しているのかということについて、参考人に伺いたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、このNHKの集計がちょっとどういうふうに行われているか分からないんですが、政府の方で発表しております接種率につきましては、三回目の数字ですけれども、日本は全人口で六六%の方で接種をしていただいております。各国の政府のホームページ等で確認します限り、例えばイタリアは六六%、ドイツは六二%、フランス六〇%ということで、日本だけが突出して高いというわけではないかというふうに考えております。

 その上で、先生が御指摘のような、ワクチンを頻回に打っていくということによる逆のマイナスの効果があるのではないかという御指摘、これは確かに科学的にそういった御指摘があることは我々としても承知をしております。また、こういったことについては、厚生科学審議会の方でも常に留意をしながら御議論いただいているというところでございます。

井坂委員 続いて、ワクチンの追加接種の対象について伺います。これも大臣に伺います。

 これまでの議論で誤解をされていたら困るんですけれども、私は、一般論としては、ワクチンは感染症に対する非常に有効な武器だと考えております。これはこれまでもこの議場で表明をしてきました。どんなワクチンも薬も、副反応や副作用、後遺症は完璧なゼロにはなりません。しかし、副反応や後遺症は極めて少なく、また、そのデータがきちんと公開をされているという大前提の上で、ワクチンの効果が十分に高ければ、私はワクチンを打つべきだという立場、これは今も変わりません。

 しかし、今回のコロナワクチンは、重症化予防の効果はあると思いますが、感染予防の効果は期待されたほどなく、また、二か月もたつと効果が減ってしまい、そして結果的に頻繁に打つことになってしまいました。

 先ほど参考人の答弁でイタリアも六十何%だと言いましたけれども、それは、どの国ももう昨年末の第六波の前に大体六割とか打っているんですよ。ただ、日本だけが更に重ねて四回目接種というものをこの夏せっせとやって、しかも、この年末、五回目接種というのも、多くの人にこれを推奨して、しようとしているわけであります。

 私も、今のこのコロナ、そして今のワクチンを、メリットとそれからリスクを見比べる限りは、高齢者とか基礎疾患のある方とか、こういう重症化リスクの高い方はワクチンを接種した方がよいと現時点で考えております。また、医療・介護施設で働く方も接種をした方がよいというふうに考えています。

 ただ、高齢者でない、しかもハイリスクでない現役世代や、あるいは五歳から十一歳の子供に、またワクチンの追加接種を努力義務を課してまで推奨する必要が果たしてあるのか、大臣にお伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 このオミクロン株対応ワクチンは、現在流行しているオミクロン株に対応した成分が含まれるため、従来ワクチンを上回る重症化予防効果などが期待されること、また、オミクロン株と従来株の両方の成分を含むことで、今後の変異株に対しても有効である可能性がより高いと期待されること等の専門家の検討結果を受けて、審議会において、重症化予防はもとより、感染予防、発症予防を目的に接種するということにされたところでございます。

 こうした接種の目的、また、現在、年齢を問わず各世代において新型コロナウイルス感染症が流行していることを鑑みますと、初回接種を完了した、初回接種というのは一回、二回接種ですが、を完了した、薬事承認上、接種可能な年齢の全ての者を接種対象とする、こういうふうにされたわけでございますので、我々はそれにのっとって対応させていただいているということでございます。

井坂委員 大臣、日本の専門家がそのように議論してそのような結果を出したからという御答弁でありますが、もう一度、資料の一と二を御覧いただきたいんです。これは政府が出してきた厚生科学審議会の資料であります。

 先ほど、三か月に期間を短縮することについては、まさに各国がやっているからという理由で日本政府もそれを受け入れたわけでありますが、一方で、それらの国も、この秋以降の追加接種の対象者は非常に狭く絞っております。アメリカだけは、これはまた勇ましく、五歳以上の者に追加接種を推奨と書いてあるわけでありますが、実際は、先ほどのNHKのデータで見たように、アメリカはまだ現時点でも四一%しか追加接種をしておりません。

 あとは、イギリス、カナダ、フランス、イスラエル、そしてEUも含めて、この秋以降の追加接種の対象者は、高齢者、ハイリスク者、そして医療・介護関係者に限定をしております。

 大臣に改めて伺いますが、接種間隔を三か月に短縮をして頻繁に打つのであればなおさら、せめて諸外国と同じように、対象は、高齢者、ハイリスク者、医療、介護関係者に限定をするべきではないでしょうか。

加藤国務大臣 今後どうするかは、先ほど申し上げたように、まだ今回のオミクロン株は一回ということで、それ以降についてはまだ答えが出ていないということでありますが。

 それからもう一つ、審議会、まさに出していただいた資料も含めて、こうした資料も提示しながら専門家の皆さん方には御議論いただいて、先ほどの結論に至ったものというふうに承知をしております。

井坂委員 この資料を素直に見たら、これを見て、三か月、大丈夫なんだと思う気持ちは分からないでもないですよ、ほかの国もやっているしと。ただ、同じこれを見て、ほかの国はみんな、要は、現役世代とか子供は、推奨とか努力義務の対象にはしていないわけですよ。日本だけが何で、三か月の方は海外でやっているからといって短縮をして、一方で、対象者の限定については、海外、ほかはどこもやっていないのに、日本だけ、現役世代また子供まで、努力義務まで課して、速やかに打ってくださいと。もう一億人分、十一月下旬までに各自治体に配送していますから、年度内に打ってくださいと。

 これはちょっと何かおかしいんじゃないかと思うんですけれども、もう一度お願いします。

加藤国務大臣 その審議会のやり取りを、ちょっと私もそこに参加しておりませんので、もし必要だったら事務局から御説明をさせていただきますが。

 ただ、今申し上げた内容も全て開示をさせていただきながら専門家に御議論をいただいて、こうした結論に至っている。したがって、我々としては、その結論を踏まえてこうした対応を取らせていただいているということであります。

井坂委員 なぜ日本だけがこうして、三回、四回、五回と、せっせと幅広くほぼ全国民に追加接種を勧め、また、なぜ日本だけが若者や子供にも努力義務まで課すのかというのは、ちょっと、今日の議論のやり取りの範囲ではそろそろ説明のつかないレベルになっているんじゃないかなというふうに私は思います。

 最後、ちょっとワクチンについてもう一点、細かい話なんですが。

 これは、既存のワクチン、要はオミクロン対応じゃない、一回目、二回目の去年打ったようなワクチンを二回接種しないと、オミクロン対応ワクチンは接種をできないというルールなのか、参考人に伺います。

八神政府参考人 既存ワクチンを二回接種しないとオミクロンの対応のワクチンは接種できないのかという御質問でございます。逆に、オミクロン対応ワクチンを初回接種できないのかという御質問だというふうに理解をいたしました。

 お答え申し上げます。

 現在のオミクロン株対応ワクチンにつきましては、追加接種に使用するという目的で開発をされ、承認申請をされたものでございます。追加接種での有効性、安全性といったことを確認する臨床試験結果等を踏まえて薬事承認を行ったというものでございます。

 なお、国際的にも、現在、オミクロン株対応ワクチンは、追加接種でのみ用いられているものというふうに承知をしております。

井坂委員 これは、実は立憲民主党の区議会議員が委員会で保健所長に質問したら、国の指示でそうなっているので、私どもも納得していませんという答弁をしたそうなので、私も何で三回打たなきゃいけないのかなという気はしますから、説明は分かりましたので、是非、各地の保健所長さんに情報、データ、コミュニケーションを取っていただきたいというふうに申し上げて、大分質問を残してしまいましたので、また次回、よろしくお願いをいたします。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十分開議

三ッ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉田とも代君。

吉田(と)委員 失礼いたします。午後一番、トップバッターを務めさせていただきます日本維新の会の吉田とも代と申します。

 引き続き厚生労働委員会でお世話になることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 それではまず、マイナンバーカードについて質問させていただきます。

 河野デジタル担当大臣は、マイナンバーカードと保険証を一体化させて、二〇二四年秋までに現行の保険証の廃止を表明しました。一方、十月二十四日の衆議院予算委員会では、岸田総理は、マイナンバーカードを持たない人に対しては、現行制度にある資格証明書の発行で対応するのではなく、保険診療を受けられる別の制度を用意すると発言されています。

 今回、確認したいことは、厚生労働省として、国民が医療機関で保険診療を受ける場合、二〇二四年秋の時点で、マイナンバーカード、そして現行の今の紙やプラスチックの保険証、そして、岸田総理がおっしゃっている新しい制度、つまり、マイナンバーカードを持たない方に対しての新しい制度の導入、この三つの制度が同時に走っていることを想定されているのでしょうか。あるいは、岸田総理がおっしゃっている新しい制度がスタートした時点で、紙やプラスチックの現行の保険証は廃止されることを想定されているのでしょうか。

加藤国務大臣 その大前提として、これまでも申し上げていますが、保険料を納めている方が医療費を一旦全額負担することなく保険診療を受けられること、これは大前提であります。

 その上で、国民の皆さんにマイナンバーカードで受診していただくことで、健康医療に関する多くのデータに基づいたよりよい医療を受けていただくことが可能になるといった、カードと健康保険証の一体化に対するメリット、これをしっかり御理解いただいて、マイナンバーカードを取得していただき、また一体化を進めていただきたい。

 こうした努力をすることで令和六年秋に保険証の廃止を目指すということでありますので、当然、廃止をすれば保険証の新規の発行は行わないということになりますが、他方で、何らかの事情により手元にマイナンバーカードがない方がおられるわけでありまので、それにはいろいろなケースが考えられると思います。そうしたケースに対してどう具体的に対応していくのか、その制度設計あるいは実務上の運用、これについて今関係省庁間で議論を重ねているところでございますので、できるだけ早くにそうした姿もお示しをさせていただきたいと思います。

吉田(と)委員 開始時期が決まっている以上、その精査をいつまでに終わらせるのかも含め、しっかりと見通しを立てることが重要かと思います。見通しが固まらずに様々な方がそれぞれ異なる発言をすると、聞いた国民は困惑してしまいます。

 制度設計はまだまだこれからのようですが、その際に私が必要だと思っていることについて、次に質問させていただきます。

 私を含めて、いざというときのために、健康保険証を財布の中に入れて常時持ち歩いているという国民の皆さんは多いかと思います。一方、マイナンバーカードについては、持ち歩くことに抵抗感がある方も多いように感じています。そうすると、二〇二四年秋にマイナンバーカードと保険証が一体化するということは、国民の皆さんの多くはマイナンバーカードを財布の中に入れて常時持ち歩くという社会になると考えてよろしいのでしょうか。また、マイナンバーカードは持ち歩くのが一般的だし、自宅のたんすの奥深くに保管しなくてもいいものだという安心感、これをどうやって醸成していくのか、加藤厚生労働大臣の見解を求めます。

加藤国務大臣 マイナンバーの安全性について、カードの紛失、盗難等により個人情報が流出しないよう、セキュリティー面においてはしっかり講じているところでありますので、そういったことを引き続きしっかりと政府全体としては広報し、国民の理解を求めていきたいと思っております。

 マイナンバーカードと保険証を一体化することの関連で申し上げれば、医療保険の資格情報や本人の健康医療に関する情報は、もちろんマイナンバーカードの中に保存するわけでもありません。また、オンライン資格確認では、マイナンバーカードのICチップに格納された電子証明書を利用して本人確認を行うわけで、ナンバーそのものを使うわけではありません。資格情報を格納しているデータベースに照会を行い、資格情報の提供を受ける仕組みとしているわけであります。さらに、オンライン資格確認の利用に当たっては、マイナンバーカードの顔写真とカードリーダーで撮影した本人の顔写真を電子的に照合する方法、あるいは四桁の暗証番号を入力する方法など、成り済ましを防ぎ、確実な本人確認を行うこととしているところであります。

 マイナンバーカードの利活用について、あるいは医療面においての活用について、国民の皆さんに先ほど申し上げたメリットも含めてしっかりと御理解をいただき、また、個人情報の漏えいなどに関する御心配に対してもしっかり御説明をし、安心していただけるよう、関係省庁とも、特にデジタル庁が中心になりますが、連携して対応させていただきたいと思います。

吉田(と)委員 マイナンバーの交付率なんですが、今は五〇%を超えたそうですけれども、少し前の十月十二日現在では四九・七%に対して、十月十六日現在の値で計算すれば、保険証利用登録数は交付者の四二・六%ということですので、まだまだマイナンバーを持つメリットというのを周知していかなければならないと思います。

 今、医療機関側のメリットというのは見えても、なかなか国民の皆さんからすると、発行に写真が必要であったり、いろいろと手続が面倒くさいと、後回しにされがちであると考えます。

 また、今、加藤大臣から安全、安心なものだという御答弁をいただきましたけれども、現状、マイナンバーカードを持ち歩かないというのは、どこか抵抗感があるからだと思います。例えば、銀行口座とひもづいているはずだとか、保険証機能もついている、そんな大事なものを紛失したらどうなるんだろうと考えてしまうわけです。

 紛失した場合、私もちょっと問合せをしてみたんですけれども、保険者と、そしてマイナンバーについて、二か所に例えば連絡しなければいけないのかなと、面倒に感じたりするわけですけれども、実際は、マイナンバーセンター、コールセンターに連絡をして、一旦利用停止をお願いする、そして再発行する。また、先ほど加藤大臣からございました、チップの機能を停止するから問題はないということでした。

 しかしながら、今の実印並みの意識から、保険証並みの意識に変わるための安心感の醸成、これが必要だと思います。また、加藤大臣も大変経験豊かで、そして安定感のある加藤大臣ですから、保険証制度、これを所管する厚労大臣として、より皆さんの不安を払拭する発信を是非よろしくお願いいたします。

 では、続きまして、この冬の発熱患者への対応における検査キットの取扱いについて質問させていただきます。

 今年の冬、大規模流行時のイメージという、発熱患者さんがどのように行動をするのかのフローチャートを拝見しますと、中学生から六十四歳までの基礎疾患がない発熱患者さんは、新型コロナ検査キットでセルフチェックを行うこととなっています。このセルフチェックをする検査キットは、新型コロナ抗原検査キットを指すのだと思います。一方、経済社会を安心に回すために、無症状の方に無料で検査が行われております。

 各都道府県で無症状の方に無料検査を実施していながら、この冬の同時流行に対応する有症状の方の検査は、補助ではなく自費で行うのでしょうか。

加藤国務大臣 まず、新型コロナの検査キットについては、自宅等で自己検査を簡便に行えるよう、昨年の九月から薬局で、今年の八月からは国が薬事承認した検査キットのインターネット等での販売を可能としたところであります。

 今般、コロナとインフルエンザの同時流行を想定し、多数の発熱患者が生じる場合には、重症化リスクの高い方に適切な医療を提供できるよう、重症化リスクの低い方にはまずは新型コロナの検査キットで自己検査を行っていただきたいというイメージを示させていただきましたが、その場合には、国民の皆さんにあらかじめ御自身で購入をしていただくということになるわけであります。

 また、コロナに関する検査キットに対する補助を考えているわけではありませんが、自ら新型コロナの検査キットを購入するのが困難である方も考慮し、有症状者等に新型コロナの検査キットを配布する取組を実施する準備を行うよう、国から都道府県等に対し依頼をしているところでありますし、都道府県等に対しては国が購入した検査キットを提供するという仕組みにさせていただいているところであります。

 こうした取組で自己検査が円滑に行われるよう、特に都道府県ともよく協調して取り組んでいきたいと考えています。

吉田(と)委員 社会経済活動のための検査、これは無料であって、一方で、発熱等の症状での検査は有料というのはおかしいのではないかなと私は思います。本来やりたいのはどちらなんでしょうか。違和感を感じるのは私だけではないと思います。

 その検査キットも、二千円とも、地域によってはもっと高値で仕入れなければならないかも分からない中で、例えばその二千円の検査キットを、家族が四人いれば八千円。子供さんの多い家庭では負担感というものが大きいと感じます。この冬の間に発熱があったとして、キットが少ないから、もうキットを買わずに、使わずに様子を見ようということもあり得ますし、また、無料でもらえるのが分かっていたら、本当に予備のためだけに買って保管する人がどれだけいるのでしょうか。そのモチベーションは低く、買い控えが発生すると思います。

 政策の司令塔というのが威力を発揮していないのではないかと思います。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 済みません。いかがでしょうかのちょっと問いが、適当かどうか、足りなかったらちょっと言っていただければと思うんですけれども。

 まず、今申し上げたような仕組みと、一方で、感染拡大時に都道府県知事の判断に基づき、感染不安を抱える無症状の住民の方を対象に無料検査事業を実施をされているわけでありますが、これは、先ほど申し上げた、自己検査をしっかりやろうというものとは趣旨が違う形で実施されているものと承知をしているところでございます。

 それから、なかなか購入できない方については、先ほど、都道府県を通じて配布をする、できれば無料で配布をしていただくというスキーム、これは既に実施をしてきているところでありますけれども、それを引き続き実施をしていきたいと考えております。

 加えて、事前に購入してというお話、まだまだ徹底されていないというお話もございました。それに関しては、医療団体、経済団体、地方自治体等に入っていただいたタスクフォースで、どうやってPRをしていくのかということで、今日も、パンフレットを作らせていただいて、ワクチンの接種と併せて、事前にこうした検査キットあるいは解熱剤等も購入していただけないかということもしっかりと広報していきたいなというふうに考えています。

吉田(と)委員 例えば東京都の例を出しますと、セルフチェック検査キットを無料で配布をしておりますが、有症状の場合は、一人二回までと回数制限があります。一方で、新型インフルエンザ対策、この特別措置法第二十四条第九項に基づく、感染不安を抱く無症状者への検査というのは、東京都でも回数の制限がありません。つまり、発熱症状があると回数制限がありますが、発熱に至っていなければ回数制限がないということになります。

 キットが大量に用意できるのであればよいのですが、国民の健康を守るという観点からいえば、例えば、非課税世帯に限定をするとか、若しくは一人一箱と限定をして無料配布、クーポンを渡すなど、国民の費用負担を軽減すべきではないでしょうか。また、流行時には、社会経済活動のための無症状者の無料検査、これを停止して、有症状者のみに回数制限なしにすることも考えられるのではないでしょうか。

加藤国務大臣 まず一つは、先ほど申し上げましたように、感染不安を抱える無症状者に対する検査、これは都道府県知事がそれぞれ御判断をされて実施をしているということでございます。

 それから、先ほど、都道府県を通じて無料で配布をさせていただくということを申し上げたところでございます。それに対しては、我々の方も必要な量を購入させていただいて、それをそれぞれ都道府県において必要な方にお配りをさせていただく。

 ただ、余り、配ることに対して、今おっしゃるようなことも一つの考え方だとは思いますけれども、できるだけ簡易にお配りをさせていただくということが大事だろうということで、その辺、別にどなたにということでなくて、求められた方に対してお配りをするということで実施をしていただいているものと思います。

吉田(と)委員 この問題の本質というのは、政策の分かりにくさにあるのではないかなと思っております。無症状の方に配る検査キットに関しましては内閣官房が所管をされているかと思うんですけれども、国民の皆さんにとってはそれはどこの所管であろうと関係ありませんので、元来目指すべき感染拡大防止に向けて、政策の分かりやすさ、これも共に発信をしていただきたいとお願い申し上げます。

 それでは、続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 日本維新の会が十月二十四日に加藤厚生労働大臣に手渡した、日本維新の会、新型コロナウイルス対策に関する提言第十一弾について幾つか答弁を求めたいと思います。

 五類感染症に位置づける必要性について、我々は以前から申し上げておりますが、この提言書第十一弾の中では、「新型コロナウイルス感染症を新型インフルエンザ等感染症から外し、五類感染症に位置づける等、感染症法上の扱いをどうするのかを議論・検討する場を公式に設定すべきである。」と書かせていただいております。

 日本維新の会共同代表の吉村大阪府知事も同じ旨の発言をされていますが、そのような場は既に設置されているのでしょうか。あるいは、そのような場の設置を現在検討されているのでしょうか。加藤大臣、よろしくお願いいたします。

加藤国務大臣 新型コロナ、感染法上の位置づけについては、厚生科学審議会感染症部会で御議論いただくということになっておりますので、今後の感染動向や予防接種の進展等による病原性、感染性の変化などを踏まえ、また専門家の意見もお聞きしながら、内外の科学的知見に基づいて御議論を進めていただきたいというふうに思っております。

吉田(と)委員 国民の不安感であったり政治への不信感というのは、どこで決まっているのかというのがはっきり決まっていないという部分にあるんだと思います。政策決定の仕組みというものを国民の皆様にしっかり明示していくべきであると私は考えます。

 先日、予算委員会で私が質問させていただいた際に、岸田総理からは、御自身が最終的にお決めになると御答弁をいただきましたけれども、その基になる議論が公式ではどこでなされているのかなと、それを改めてお伺いしたくて本日は質問をさせていただきました。最終的には、感染症部会で決めて、そして岸田総理が最終的政治判断をなさるということで理解をさせていただきました。

 では、続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 今回の感染症法改正案の趣旨として、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症の発生及び蔓延に備えるためとありますが、ここで言う国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症とは、今回の新型コロナウイルス感染症に準ずる程度の感染症を念頭に置いておられるのか、あるいは、エボラ出血熱のような、致死率が五〇%以上にもなる相当毒性の強い感染症まで含めて想定をされているのか、厚生労働省のお考えをお聞きいたします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正では、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえまして、次の感染症危機に備えるために必要な措置を講ずるものでございまして、基本的には、現在の新型コロナウイルス感染症が位置づけられております新型インフルエンザ等感染症、また指定感染症及び新感染症を対象とするというふうなことを想定しております。

吉田(と)委員 令和六年からの実施の法改正ということで、法律そのものは、今御紹介いただきましたように、いろいろな感染症というのを想定しているということですけれども、問題意識としましては、実際にいろいろなフェーズに応じて対応できる病院が限られてくるのではないかなと思います。フェーズごとの病院対応になってきたときに、心構えとしては全ての感染症に対応するという建前でも、実際に対応できる病院が限られてくる。そういったときに柔軟に見直しをしながら義務づけができる土台をつくっていくべきだと思います。この法案が成立したとしても、それで終わりではなくて、現実に即した対応が求められると考えております。

 では、続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 新型コロナの流行前に厚生労働省は、公立・公的病院について、再編の議論の対象として四百二十四病院の一覧を公表しました。本年三月二十四日に、地域医療構想の進め方との医政局長通知が発せられており、地域医療構想の推進の取組は病院の削減や統廃合ありきではなくと記載されていますが、特に地方にとっては、あの公立・公的病院再編検討一覧の公表というのは大変大きな衝撃だったと思います。

 一方、今回の改正案では、公立・公的病院は、新型インフルエンザ等感染症等発生等の公表期間において、新型インフルエンザ等感染症等に係る医療を提供する義務を負うこととなります。

 つまり、新型コロナの国内感染拡大前に議論をしていた地域医療構想の中でのあるべき医療提供体制は、公立・公的病院の役割を含め、相当大きく変わることが想定されます。

 ウィズコロナの時代における地域医療構想については、見直し又は仕切り直しというものが必要だと考えますが、加藤大臣の見解をお伺いします。

加藤国務大臣 まず、地域医療構想は、中長期的な人口構造の変化、また地域の医療ニーズに応じて、病床機能の分化、連携により質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指そうというものであります。

 他方で、今般の新型コロナウイルス感染症を通じて、またいろいろなことが明らかになってきたところであります。

 また、御指摘の再検証対象医療機関に関しては、今委員もお話しいただいたように、各医療機関の役割や病床数、再編統合の方向性を機械的に決めるものではなく、地域における議論の活性化に資するよう、各医療機関のそれまでの診療実績を分析した結果をお示しをしたものでございます。

 令和六年度から開始する第八次医療計画に新興感染症等の対応を適切に反映させるということがまず一つ必要でありますし、地域医療構想についても、先ほど申し上げたような趣旨を考え、特に高齢化人口がピークを迎えて減少に転ずる二〇四〇年、この辺を視野に入れながら、先ほど申し上げたように、新型コロナ禍で顕在化した課題、これも含めて中期的、長期的に課題を整理して取組を進めてまいりたいというふうに思っております。

吉田(と)委員 今回の感染症法改正における医療提供の義務づけなど、昨今のコロナ対応は、地域医療構想の中で議論してきたあるべき医療体制、医療提供体制にも大きな影響があると感じておりましたが、その一方で、四百二十四病院には今までの役割に追加して感染症対応の役割が増える、基準以外の役割が増えて、そこを精査すると、結果としてこの四百二十四病院の評価見直しにつながるのかなと理解をしております。

 かかりつけ医機能の推進など、地域医療構想というのは人口構造の変化に直面する我が国の大政策ですけれども、しっかり検討会の中で、予防計画そして医療計画の中にどのような項目を入れていくのが適切なのか精査していくことで、骨太の議論につながることを望みます。

 では、続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 今回の感染症法改正案では、公立・公的医療機関等、特定機能病院、地域医療支援病院に感染症発生、蔓延時に担うべき医療提供を義務づけるとありますが、これらの医療機関が義務を果たせなかった場合はどういったペナルティーが科せられるのか。あるいは、ペナルティーが科せられない場合には、義務を果たせた医療機関と義務を果たせなかった医療機関、これをそれぞれどう評価するのでしょうか。厚生労働省のお考えをお聞かせください。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正案におきましては、民間医療機関を含めた全ての医療機関に対しまして、予防計画や医療計画の達成のために必要な協力をする努力義務、そしてまた、都道府県との協定の協議に応じる義務、そして、協議が調わなかった場合に都道府県医療審議会の意見を尊重する義務を課すこととしておりまして、協定締結のプロセスを通じて、それぞれの医療機関に、その機能や役割を踏まえてできる限りの御協力をいただくということとしてございます。

 その上で、公立・公的医療機関等につきましては、地域における医療の確保に関しまして通常の民間医療機関とは異なる能力や位置づけなどを有しているといった事実を踏まえまして、その機能や地域における役割に鑑みた感染症対応を担っていただくために、医療の提供を義務づけるということとしてございます。

 また、協定を締結した医療機関が感染症発生、蔓延時に協定に沿った対応をされない、いただけないようなそういった場合には、その状況を確認し、正当な理由がなく必要な対応を行わないときは指示、公表などをできることとする履行確保措置を設けることとしてございます。

 こうした仕組みを踏まえまして、協定の締結に当たっては、各都道府県知事と医療機関の間で地域の医療の確保についてはよく御議論をいただきまして、必要な体制を確保していただきたいというふうに考えているところでございます。

吉田(と)委員 一方的な、いわゆる不合理な措置とならないように、適切な措置となるように、様々な関係者の方々からのお話を聞いて、地域事情などを鑑みて、透明性のある措置をお願いしたいと思います。

 続きまして、今回の改正案の中には、都道府県と医療機関等の間で、病床、発熱外来、自宅療養者等への医療の確保等に関する協定を締結する仕組みを法定化するという内容、あるいは、先ほど指摘した公立・公的医療機関等、特定機能病院、地域医療支援病院に感染症発生、蔓延時に担うべき医療提供を義務づけるといった内容がありますが、この協定を締結するや、医療提供を義務づけるの対象主体はあくまで医療機関であると承知しております。

 つまり、例えば、病毒性の高い感染症が発生、蔓延をして、医療機関で働く医師、看護師あるいは事務職員といった従業員の方が、自分はそのような義務は果たせないし、それなら退職するといって退職してしまえば、どうやってその協定や義務を医療機関等が果たせるのかという疑問や問題意識を持っております。

 そこで、まず医政局にお伺いをいたしますが、この法案が成立した場合、協定を締結した医療機関あるいは医療提供を義務づけられた医療機関は、従業員との間で、感染症法上に基づく義務を果たすことを前提に働くことといった内容の労働契約を結ぶことになるのでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 労働契約につきましては、労使の合意によって締結されるものと承知してございまして、国として個別の内容について労働契約に盛り込むことを求めるものではないというふうに承知をしております。

 御指摘の今ありました、感染症法対応を業務内容として労働契約の中に盛り込むかどうかにつきましては、各医療機関と医療従事者との間で御協議をいただいて適切に御対応いただくものだというふうに考えてございますが、いずれにいたしましても、御対応いただきます医療従事者の方々に対しましては、何らかの形で御説明をいただいて、御理解を得ていただくことが望ましいのではないかというふうに考えているところでございます。

吉田(と)委員 次に、労働基準局にお伺いいたします。

 協定を締結した、あるいは医療提供を義務づけられた医療機関で働く従業員が、実際の感染症発生時に、感染症への対応はしたくないという理由で退職を申し出たときに、いや、労働契約の中であなたは感染症の対応を了承していましたねといって働かせることというのは可能なのでしょうか。

鈴木政府参考人 労働契約についての御質問でございますけれども、労働契約は労使の合意で結ばれるものでございますので、これを解約する、すなわち労働者の退職を制限することにつきましては、これはできないという形になります。

 したがいまして、労働契約に感染症対応の業務が規定されていたとしても、労働者が退職を申し入れた場合には、これは労働契約が終了するという形になりますので、この労働契約に基づきます業務の継続を求めることはできないということになります。

吉田(と)委員 医療機関側からしますと、その協定を結ぶ際というのは、いろいろな場面、シチュエーションを想定すると思います。そこの中でやはり、労働契約を結ぶ又はそういった明示などの努力をするということが想定されますけれども、こういった努力をしていても、想定外のこと、例えば更なる驚異的な感染症が発生したときなどはペナルティーがかかるかもしれないと想定しますと、協定を結ぶことに慎重にならざるを得ないと考えます。

 二〇二〇年、沖縄県内のある医療機関では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、コロナ患者二百人超を受け入れた一方、その一年間で辞職をした看護師さんが七十七人にも上った例がありました。ウィズコロナの暮らしが日常化している中で、治療の最前線に立ち続けている医療従事者というのは、疲労やストレスに苦しみ、また、人手不足にも追い打ちをかけています。幾ら待遇面などをそろえたとしても、過酷な状況に陥ったときの心のケアの重要性は高いと考えます。

 医療、介護、福祉業界で働く人々の労働組合、日本医療労働組合連合会、日本医労連は、今年四月、全国の百七十六病院を対象にしたアンケートでは、三割近くの病院が、離職者が増えたとしています。また、四割が、メンタル不全を理由に辞めた職員がいると答えております。

 今後また未知のウイルスや感染症が発生したときの想定をして、協定に向けて現在から入念なシミュレーションというものが必要でありますし、また、実際に起きてしまった場合は協定を見直して柔軟に対応すること、また、心のケアに対しても厚労省として様々なサポート、バックアップ体制を強化していただきたいと思います。加藤大臣、感想いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今回の法律に基づいて地方自治体と医療機関が協定を結び、それぞれ、そこで働いている方からすれば、感染症禍においてどういう機能を自分の働いている病院が果たすのかということを理解をしていただく上でも大変プラスになるのではないかなというふうに思っております。

 その上で、今言ったメンタル面、これは感染症だけではないと思いますけれども、そうしたメンタルヘルスを含めた支援は、これまたコロナだけに限らず、医療業界で働く方々あるいは福祉分野で働く方々含めて、そうした働く方々のサポート、これはそれとして、しっかりやっていかなきゃいけないと思います。

吉田(と)委員 まだもう少し質問を残してしまいましたけれども、また次回に質問させていただきたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。

 加藤大臣、またよろしくお願いいたします。

 まず最初に、感染拡大期におきまして初動対応を行います協定締結医療機関に対しましての減収補償についてお伺いをしていきたいと思います。

 先般、立憲民主党さんと我々日本維新の会が共同で提案をさせていただきました国民本位の新たな感染症対策樹立法案と閣法との差、これは、減収補填の一部を、国民の皆さんが掛けられている保険料、これを原資とした、保険者に対して負担をさせるか否かというところにあるという具合に我々は考えております。

 そういう中で、当然、感染症の初動対応をした医療機関の皆様に対してはしっかりと財政支援をやっていかないといけないよねということについては、我々も思いは当然一致しているところです。

 ただ、やはり、保険料は診療行為の対価として診療報酬にしっかりと充当していく、これが原則であります。今回の改正といいますのはその原則から逸脱するものであると考えておりまして、やはりここは、国民の理解というのはなかなか得るのは難しいんじゃないかなという具合に考えているところであります。感染症のパンデミックといいますのは災害と一緒でありまして、まさに国家全体の一大事であります。公衆衛生の問題でもありまして、この点につきましては、やはり審議会の委員の皆様からも多数指摘があるところであります。

 本来であれば、全額公費負担が当然であります。仮に、国民皆保険制度だから保険でやっても同じではないかという議論もあるかもしれませんけれども、この点については大きな間違いでありまして、いざというとき、国は国債も発行できるし、通貨発行もできるわけであります。もし保険財政が逼迫してしまえば、やはり将来的な保険料を上げていかなければならないというところにもつながってしまいますし、言ってみれば、ある意味、国民からすれば増税と変わらないのではないか、そういう受け止め方もされることもあるかもしれません。

 そこで、改めて伺いますけれども、全額公費負担ではなぜいけないのか。保険であっても税金であっても国民の負担に違いがないというのであれば、保険財政になぜ負担を求めるのかにつきましてお伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 公費だから国債だといっても、結果的に税金で国民が負担するわけでありますし、保険料であったら、それぞれ、その属している方が保険料を負担するということなので、いずれにしても国民の負担になることは一緒ではありますが、ただ、そこはどう切り分けていくか。実際我々も、税金でやっている仕事と様々に保険料をいただいてやっている仕事がありますから、それはそれできちっと整理しなきゃいけない。そういった意味においては、委員の着眼というのはそういうことなんだろうと思います。

 もう一つ、委員がそうだとおっしゃったように、初期において対応、要するに、初期、感染があって収入が下がったことを補填しようとしているわけではなくて、そのときに感染に積極的に対応していただいた、そういった医療機関が結果において収入が下がるということがありました。それに対して対応していこうというのが今回の措置であります。

 そうすると、本来であれば、その後見直されて、感染に対する対策で打った、その報酬をどうするかというのは、本当は瞬時に特例的に上げていけばそういったことはないんですけれども、それがたまさか追いつかないので、そういった意味において、その間を支えるということになれば、それはいわば診療において発生した費用ということで考えられますから、これは保険で対応していくということが言えるのではないかということ。

 それからもう一つは、流行初期に必要な医療提供体制を確保することは、通常医療の確保にも直結することから、社会経済活動の維持にもつながっていくということで、私どもとしては、保険料といわゆる国費ですね、それぞれで負担をする、そういうことを想定しているわけであります。

池下委員 御答弁をいただきました。やはり、まあまあ受診控え等々がありまして、その間の部分の前年と比べて減収の部分を補填するという意味は分かるわけなんですけれども、やはり実際の行為の中で診療を受けていないというところも実際ありますので、そこら辺はちょっと考え方を異にするところかなと思っております。ただ、大臣、若干言われたんですけれども、もし補助を瞬時に上げることができればという発言も今ちょっとあったのかなという形で思うんですけれども。

 次にお伺いをしたいんですが、減収補填は、流行初期以降に補助金と診療報酬の上乗せができるまでという形であるんですけれども、一定期間かかる、ちょっと時間、タイムラグがあると思うんですけれども、時間がかかる理由というのも教えていただきたいと思います。

 例えば、毎年基金などを準備しておいて、いざというときそれをぱっと使えるような方法にすることができないのかなということも考えたりとか、また、出すまでに期間が必要であるならば、補助金の枠組みが決まった後、補助金支給まで、そこは当然、決まってからの話ですから遡及して支払われるかと思うんですけれども、流行が始まったときまで遡及することができないのか、お伺いをしたいと思います。

 あと、これまでそのような事例があったのかなかったのか、さらに、補助金を即座に発動できる仕組みを整えることができないのかについてちょっと、幾つかありますけれども、お伺いをしたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生の方から、今回のコロナの医療の確保に要する費用を取り上げて御質問いただきました。

 これまで医療機関の財政支援につきましては、御指摘のとおり、補助金あるいは診療報酬の特例措置によって対応してきたところでございますが、その対応に当たりましては、実費に応じて補助をするという補助金、あるいは診療に対して適切な評価を行うという診療報酬、それぞれの基本的な考え方にのっとりながら制度設計をしているところでございます。

 具体的には、新型コロナ感染症の特性が一定程度明らかになってどの程度の医療資源を要するかを把握をした上で補助水準などを設定することが必要でございましたことから、制度の創設までにどうしても一定の時間を要する結果となりまして、その後もまた明らかになった感染症の特性に応じて補助水準などの引上げを行ってきていたところでございます。

 また、緊急包括支援交付金におきましては、コロナの影響の甚大さに鑑みまして、補助単価を引き上げた際にはこれを遡及させて適用するという特例的な対応を行ったのは事実でございますけれども、補助金は補助する目的に要しました実費に応じて補助をするというものでございまして、原則として遡及させるものではないというところでございます。

 今回の新型コロナウイルス対応におきまして、この診療報酬の特例措置や補助金などの財政支援が整備されるまでに実際には一定の時間を要したということで、特にコロナの流行初期の医療提供体制に混乱が生じたことがあったといったことを踏まえますと、やはり新たな感染症の流行初期の対応につきましては、医療機関にとっては、仮に適切な水準の補助が遡及して支払われる場合があったとしても、ウイルスの特性が明らかでない新たな感染症に対しまして様々なコストがかかる可能性がある。

 一方で、支払いまでの間はどうしても収入が減少して、具体的な補助水準に関する情報もまだ見えてこない中で感染症対応を行うということを求められることになりますので、そういう意味で、医療機関にとっては資金繰りを含めて経営上の大きなリスクがあるということがございます。

 また、感染症の患者さんを受け入れていただく以外にも、院内感染の拡大とかあるいは風評被害といったことも含めて、様々な経営上のリスクがあるというふうに考えられるところでございます。

 こういったことから、今回の法案におきましては、大きな経営上のリスクがある流行初期の感染症医療が確保できますように、感染症流行前と同レベルの収益を保障する措置を導入するということとしたところでございます。

池下委員 答弁ありがとうございます。

 いろいろありました。ちょっとほかの質問があるので返しをちょっと少なめにしておきたいと思うんですけれども、やはり、今回の新型コロナの経験、これを生かしながら、まさに次は未知の感染症ということでありますので、ただ一方、そういう中で医療機関の方々、頑張っていただくということでありますから、しっかりサポートを、これからも議論を続けていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ちょっと時間がありません。次に行かせていただきますけれども、次に、感染症に関して協定を結んでいただいた医療機関に対しての履行確保措置についてお伺いをしていきたいと思います。

 公立・公的医療機関、特定医療機関、地域医療支援病院など、協定を結んでいただいて医療提供を義務づけることとし、協定内容に従わないと指示や公表の対象となりまして、承認などの取消しがあるという場合も想定されています。

 今回の感染症法改正では、新型コロナを経験に今回改定されると思いますけれども、まさに今後の未知の感染症に対しまして協力締結医療機関が即応できるか、医療を即座に提供できるかどうかというのは、ぶっちゃけ分からない点もあるかと思います。なぜなら、例えば今回の新型コロナであればメインになるところが呼吸器系統になるかと思いますけれども、これが消化器なのか、またそのほかなのか、これはまさに未知の、これからの感染症でありますので、そこら辺というのは今の段階では分からないはずなんですよね。

 そこで、医療行為が実施できない場合に勧告、指示、指示違反による公表という履行確保措置、いわゆるペナルティーをかちっと固めてしまいますと、逆に協力を締結してくれる医療機関というのが少なくなってくるんじゃないかなという具合にちょっと懸念をするところでありますので、その点につきまして方針をお聞かせいただきたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございましたように、いろいろな感染症が今後想定されるのではないかという御指摘でございます。

 今般のこの改正案において導入いたします協定の具体的な中身につきましては、感染症に関する国内外の最新の知見を踏まえながら、一定の想定に基づいて協議を締結するということになってございますが、まずは、現に対応しておりまして、またこれまでの対応の教訓を生かすこともできます新型コロナウイルスへの対応、これを念頭に取り組むということとしてございます。

 これにつきまして都道府県と医療機関との間で協定締結を進めていただくということで、先般来御説明申し上げておりますような、全ての医療機関に対する各種努力義務などによって、協定の締結のプロセスを通じて、それぞれの医療機関に、その機能や役割を踏まえてできる限り御協力をいただくということにしてございます。

 その際、今御指摘ございましたが、その協定を締結した医療機関が正当な理由なく協定にのっとった対応をしない場合、そういった場合には都道府県知事が指示、公表等を行えるということとしてございますが、この正当な理由につきましては、感染状況や医療機関の実情に即した判断が必要でございます。例えば、その病院内での感染拡大等によって医療機関内の人員が縮小しているといったような場合のほか、ちょっと御指摘あったような、ウイルスの性状等が協定締結時に想定しておりましたものと大きく異なって、患者一人当たりに必要となる人員が異なってくる、そういったような場合も該当し得るのではないかと考えてございます。

 その上で、実際に生じた新たな感染症の発生、蔓延時におきまして事前の想定とは大きく異なる事態となりました場合には、その感染性の特性に合わせて協定の内容を見直すなど、実際の状況に応じた機動的な対応を行っていくというふうに考えてございます。

 今般の改正案の施行に当たりましては、こうした考え方を都道府県や医療機関などに十分に周知するなどして、各地域において医療機関の機能、役割に鑑みた協定の締結が円滑に進みますように、丁寧に対応してまいりたいと考えてございます。

池下委員 ありがとうございます。

 まさに今の正当な理由がなければ、公表とか、そういうペナルティーというか履行確保措置があるのかなということは分かりましたけれども、やはり、これからの病気ですので、今現在その正当な理由というのがどこまでかというのははっきり言えないというのは、逆の立場になれば分かるような気はするんですけれども、一方、やはり、協力しますよと言っていただいている医療機関からすれば、そこがどうなのかというところがグレーというか分かりにくかったら、ちょっと二の足を踏んでしまうのかなというところも否めないのかなと考えております。

 そこで、是非、これから基本指針等々を国の方が書かれていって都道府県の予防計画に落とし込んでいくというところになってくるかと思うんですが、その正当な理由の例えばモデルケースというんですかね、例示なんかというのを含めながら、できるだけ分かりやすく医療機関の皆さんが理解できるような仕組みであったりとか、都道府県が協力を求めやすいような仕組みづくりなんかというのをこれからつくっていただくようにお願いをしたいなという具合に思います。

 もう一つ、先ほどちょっと人材のことも触れていただきましたけれども、今回のコロナの流行時に、やはりこの人材不足といいますのが医療現場から叫ばれました。これからのIHEATであったりとかDMATによる人材派遣の仕組みというのも構築されているということは伺っております。

 ただ、感染拡大時といいますのは、それぞれの医療機関でやはり通常よりもちょっと多めの人材が必要だ、お医者さんでもそうですし、看護師さんでもそうですし、そういうのが必要になってまいります。緊急事態になってから慌てて医療人材を増員しているようでは、まさにこの協定に応えることができないと考えております。方法としては、やはりこれは平時から余剰人員を確保しておく、そういう方法に頼らなければならないのかなという形で思っております。

 また現在、感染指定医療機関へは運営費なども含めた支援策というものがあります。今後、協定を結ぶ医療機関への支援というものはどのようにされていくのでしょうか。また、リスクを背負ってまで感染症対策をしていただくわけですから、平時からの医療提供体制の整備は不可欠であると考えております。特に、民間の病院の皆さんが御協力していただいたりとか、あとは、自治体病院に対しては、その経営観点であったり自治体の財政面からもやはりこれは丁寧な対応というのが求められてくるかと思いますけれども、この点につきまして政府のお考えをお伺いいたします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今、医療機関の整備について御質問を頂戴しました。

 今後、都道府県と各医療機関の間で締結をしていただきます協定におきましては、協定の履行に要する費用の負担の方法につきましても盛り込むこととしておりまして、具体的な内容は都道府県知事と各医療機関の協議の中で決定していくこととしております。

 その上で、民間医療機関も含めて協定を締結した医療機関につきましては、有事における対応のみならず、今御指摘のように平時からの設備整備に要する費用についてもその一部を国が補助することができる旨の規定を設けておりまして、これも含めまして、この法律の施行に向けて、予防計画の策定の状況も踏まえながら具体的内容等をよく精査をしまして検討してまいりたいというふうに考えてございます。

池下委員 御答弁いただきましたけれども、これから検討していって都道府県の方に落とし込んでいくということになるかと思います。

 今回の新型コロナ禍におきましては、公の病院であったり民間の病院であったり問わず、各医療機関の皆さん、本当に死力を尽くして頑張っていただきました。まさに日本の医療を守るためにやっていかなければならないという使命感を持って今回のコロナ禍に当たっていただいたのではないかなと、改めて感謝と敬意をこの医療機関の皆様にはしていきたいなと思いますけれども、ただ、今回の改正法といいますのは、先ほど吉田委員からもありましたが、令和六年の四月に予定されております。

 平時の財政支援については、これから、平時の財政も長いこと続いていくわけですけれども、やはり予算の関係が当然出てくるかと思うんですけれども、この支援額が毎年直前にならないとちょっと分からないんですよとかとなっちゃいますと、例えば人員を医療機関が増やすとなるとやはりある程度のお金が必要になってきます。そういう中で、一度雇ってしまいますと、やはり人件費なんかというのは固定費になってしまいますのですぐに人を切るわけにはいきませんので、そこら辺も考えて、しっかりと財政や診療報酬の支援の在り方も含めて是非御検討いただければありがたいなという具合に思います。

 そして、次なんですが、現在、診療所も含めた全国の医療機関のうち、国、公的社会保険関係の医療機関を除いたいわゆる民間の医療機関は十万を超えまして、全体の九四%を占めております。先日、新聞にあったんですけれども、都道府県や政府などが要請したにもかかわらず、発熱外来は十月時点で全医療機関の約三六%にとどまるという話もありました。

 私は、このコロナ禍の経験を通じまして、政府がこれから始める通常の、特別ではなくて通常の方の協定締結医療機関については、第一義的には都道府県がしっかりと広めていくということが大事だと思っているんですけれども、国としても、やはり民間医療機関が協定に前向きに協力していただけるなど、財政支援であったりとか条件、こういうのをできるだけ早く提示してあげることによりまして、都道府県と民間医療機関のバックアップ、協定を広げていくためのバックアップを是非やっていただきたいと思うんですけれども、これについてお伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 協定に基づく措置の費用の負担方法、これは、一義的には、先ほど局長からも答弁いたしましたが、都道府県と各医療機関の間で協議をし、決定をしていただくということでありますが、協定を締結した医療機関については、平時から施設整備に要する費用についてもその一部を補助することができるということ、これは今回の改正法の中に書かせていただいているところでございます。

 これらも踏まえて、必要な支援内容についての精査、検討をこれから具体的にしていく必要がありますけれども、都道府県において、今御指摘のあるように、平時における備えが着実に進んでいけるように国としても必要な支援、これをしっかりと行っていきたいと考えています。

池下委員 大臣、ありがとうございます。平時からの支援をしっかりとやっていくということで、力強いお言葉をいただいたと思っていいですよね。ありがとうございます。

 これから計画、指針であったりとか、都道府県では計画策定していくということですので、まさにこれからというところになってきますけれども、感染症、今回の新型コロナでも分かったように、災害と同じようにいつやってくるか分からないというものがやはり感染症と思いますので、まさに、これからの平時の備えというものを、しっかりとバックアップをしていただきたいなという形で思います。

 それでは、次に質問を移らせていただきたいと思います。

 今後国が示す基本指針に従いまして、先ほどありましたように、都道府県や保健所設置市が作成する予防計画は、現場で具現化するために、第八次医療計画の六事業に新興感染症時の医療提供体制を落とし込んでいくという具合に理解をさせていただいております。

 政府が示す指針には、入院、外来、宿泊施設のオンライン診療や訪問看護、後方支援など、医療や検査体制づくりに向けた取組が書き込まれていくと考えられますが、一方、今回のコロナ禍において、ワクチン接種に関わる課題というのも多く見受けられました。ワクチン接種に実施主体である市町村が直面した事態は、まさに次の新興感染症対策にも同じことが言えるという具合に考えております。

 そこで、今回、政府が示す、未知なる感染症と戦うための具体的な将来像についてお伺いをしていきます。

 今回の指針には、医療、検査体制の充実のほかに、自治体が主体となるワクチン接種の副反応や後遺症対策、薬剤師や医薬品卸が管轄する医薬品、ワクチン、検査キットの安定供給など、地域が一丸となって感染症に対するための作戦を都道府県で作成してもらうように、内容にすべきだと考えますけれども、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

 また、あわせて、平時からの整備についての国の支援、これもしっかりとやっていただきたいと思いますけれども、お考えを聞かせていただきたいと思います。

加藤国務大臣 今回の改正で、国の基本指針については、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえて、個人用防具の備蓄数量を含めた医療提供体制の確保に係る目標や、これまで記載がなかった事項を新たに加えて内容を充実させているところであります。

 また、基本方針とは別に、医薬品等の安定供給については、緊急時に事業者に生産、輸入の要請を行うこと、物資が不足している地域の供給のために売り渡すために指示をすることなど、新たに法律上位置づけることにもしております。

 御指摘の事項のうち、予防接種については、現行の基本方針において、既に、予防接種の積極的な推進や実施体制の整備、対象者がより安心して受けられるような環境の整備を地域の実情に応じて行うことが重要であるということの記載が行われているところであります。

 また、予防接種の副反応等については、予防接種基本計画において、予防接種の有効性、安全性の向上に関する施策としてこれも既に記載をさせていただいているところであります。

 さらに、ワクチン接種後の健康被害のことに関しては、予防接種法に基づく基本的な計画において、健康被害救済制度についても既に記載をさせていただいているところでございます。

 また、薬局の薬剤師による自宅療養者への医薬品等の提供については、今般の改正案において、薬局についても病院や診療所と同様、協定締結の主体として位置づけることとしており、基本方針にも、感染症対策における薬局や薬剤師の役割等、具体的な記載を盛り込むことを考えております。

 これらの事項を含めて、改正後の基本方針の具体的な内容については、今後、都道府県や医療関係者等の皆さんの御意見も伺いながら、厚生科学審議会感染症部会において御議論をいただきたいと考えております。

 また、基本方針や、これを受け策定される予防計画に基づき、都道府県等によって平時から行われる準備に対しては、法施行後、実際に予防計画の策定作業等を進める中で、国として求められる対応を検討し、必要な記載も行っていきたいと考えております。

池下委員 ありがとうございます。

 まさにこれから方針をつくって計画に落とし込んでいくんですけれども、今日、今言っていただいた点ですね、できるだけ具体的にと言っていただきましたので、そのような旨を是非書き込んでいただければ大変ありがたいなと思いますし、私は、地方議員出身でございますので、やはり、地方というのは、都道府県があってその下に基礎自治体がもちろんあるわけなんですけれども、その間で結構そごがあったりとかして、あれっ、上級官庁が言っていることと地元が言っていることがちょっとそぐっていないよねということも結構見られることになりますので、そういう中で、やはりこの基本方針というのをしっかりと書き込んでいただきますよう、よろしくお願いをしたいなという具合に思います。

 それでは次に、今度は市町村の役割分担についてお伺いをしていきたいなと思います。

 今回の新型コロナウイルスの蔓延時に、保健師の業務逼迫というものは大きな問題として全国に広まったかと思います。一方、感染症法においては、市町村長の役割分担が明確になっていないという点も指摘されておりまして、もっと市町村や基礎自治体の権限を強化してもよかったのではないかという声が、社会保障審議会の方の委員さんからも声が上がっているという具合に承知をしております。

 例えば、自宅療養中の健康観察や生活支援など、都道府県ではどうしても現場の状況が把握し得ない点というのもあります。先ほど指摘させていただきましたワクチン接種体制などの整備は、市町村がまさに実施主体であるというのも、まさにその役割分担なのかなという具合に思っております。

 また、今回のコロナ対応におきまして、都道府県と保健所設置市や特別区との間で、入院調整が円滑に進まないであったりとか、応援職員の派遣ニーズ、これがなかなかちょっと共有ができないという話であったりとか、又は迅速な情報共有が進まないという問題も発生したという具合に聞いております。そこのために、今回、都道府県と管内の保健所設置市や特別区を構成員とする連絡協議会、これを創設するという具合に聞いております。

 今般のコロナ禍においても、例えば私の地元、島本町におきましては、実際に保健所からの情報共有ができていなくて町内に自宅療養者がいるのかいないのかということが、後でちょっと分かって問題になったというケースもありました。

 これは、当然、その当時は、個人情報の問題であったりとかということがあったということを後から聞いたので分かったんですけれども、やはり、政府の改正法案、今回の改正法では、市町村に協力を求めるという記載があるんです。

 ただ、協力という言葉だけではなくて、市町村との役割分担をもうちょっと明確にすべきだと思っておりまして、特に、数ある小さな自治体の意見、これも是非吸い上げていただきたいな、その中で、取り残さない連携協議会の仕組みづくりにしていただきたいなと思います。

 小さい町村なんかといいますと、何か連携協議会には入れない、意見を聞くということですけれども、連携協議会に入れないということになっているそうですので、やはりこういう小さいところを取り残さない仕組みも併せてやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、特に一般の市町村との連携というのは非常に重要なことだと考えております。

 今般の法改正でお願いしています内容としては、この連携協議会においては、都道府県、保健所設置市、特別区に加えて、医療関係者など多くの地域の関係者が参加することとしておりまして、地域の実情に応じて構成員に一般市町村を加えることや、あるいは議論の内容に応じまして一般市町村の出席を求めることも可能となっております。

 また、予防計画の策定におきましては、一般市町村の意見を聞かなければならないということとしておりまして、計画の策定の段階から必ず一般市町村の意見を聞く仕組みとなっているというところでございます。

池下委員 ありがとうございます。

 是非、この連携協定なんですけれども、基本指針の中で例示などを示しながらやっていただきたいと思うんですが、やはり、これは地域地域で、都道府県ごとでつくっていくものだと思いますので、その中で、やはり、先進的な事例であったりとか好事例というのが出てくるかと思うんです。その中のものを是非これは全国展開できるように、ばさっと横串で刺せるような形で進めていただければ非常にありがたいなと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、ちょっと時間もありますので、最後、質問させていただきたいと思います。

 次に、コロナ禍での保健所の体制についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 実は、私の地元の保健所におきましても、本来これは保健所の仕事かなと思うようなことが保健所さんに任されてしまっておりまして、非常に保健所業務が逼迫したという事例がありました。これは以前、厚生労働委員会でさせていただいたんですけれども、私は、保健所にしかできない仕事と、保健所以外に権限を譲渡できる仕事を、今回の経験を生かした、コロナの経験を生かした制度設計を構築して、例えば、積極的疫学調査の実務については市町村に移譲したりとか、その中で保健所の負担軽減を図る。また、感染爆発の大混乱時に自宅療養者に対する保健所職員さんの本来担わなければならなかった事案、これもこれから総括をしていただいて、今後の新興感染症に備えた役割分担をあらかじめ設定すべきだ、それが保健所の業務の負担軽減にもつながるかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

 また、保健所につきましては人材不足ということも非常に言われました。その中で、IHEATによる人材派遣というのも検討されております。ただ、IHEATは現在三千五百名を確保されているという具合に聞いておるんですけれども、それだけではなく、審議会の方でも言われていたんですけれども、現在の市町村の方には約三万人以上の常勤の保健師さんがいらっしゃると聞いております。そちらの方ともしっかりと連携をしながら、この保健所の体制整備、人材不足というのを解消していくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

三ッ林委員長 佐原健康局長、時間が経過しているので手短にお願いします。

佐原政府参考人 御指摘のとおり、保健所設置市と、それから市町村の連携は非常に重要と考えております。

 このため、例えば、御指摘のように、健康観察や生活支援など、住民に身近なところできめ細かなサービスを提供することが望ましい業務については、市町村が保健所設置自治体からの委託を受けて実施する、あるいは積極的疫学調査で協力を仰ぐというようなことが考えられると思います。

 こうしたことを含めまして、保健所設置自治体が市町村と平時から協議を行いまして計画を策定することが必要と考えておりまして、法案に盛り込んだ連携協議会や予防計画を十分活用しまして、保健所設置自治体と市町村が連携して対応できる体制の整備を進めてまいりたいと考えております。

池下委員 以上です。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いします。

 今回の感染症法の改正においては、感染症対応の医療機関による確実な医療提供を行えるように様々な内容が盛り込まれています。しかしながら、なかなか、どういうふうに変わるのかとイメージしづらいことが私は課題だと思っています。次に起きるパンデミック、どのように起きるか分かりませんし、いつ起きるか分かりませんので、是非、短い質疑ではありますが、その中で少しでも明確にして、次に備えるようにしていきたいと思っています。

 まず、医療措置協定について伺います。

 都道府県と医療機関との間で協定締結の仕組みが法定化をされまして、医療提供の義務づけ、また勧告、指示、公表ということができるようになり、ペナルティーを科すことも可能となりました。

 まず、そもそもなんですけれども、この医療措置協定、締結をどのくらいの数、規模ですることを想定し、考えているのか。また、役割分担、役割分担という言葉が今日の委員会でも出てきていますが、どういうような医療機関で役割分担をしていくのか、まずそのことから伺わせてください。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございました協定の関係の医療機関の数ということでございますが、協定を締結いただく医療機関のうち病床の確保を担当する医療機関数につきましては、地域における医療の確保に関しまして、重点医療機関として今般の新型コロナウイルス対応で実際に御対応いただいております医療機関数等を踏まえて、一つの目安として全国で約一千五百医療機関程度という数字をお示しをしているところでございます。

 また、その役割分担というお尋ねでございますが、具体的な協定の締結の中身としては、病床の確保、それから発熱外来、また自宅療養者等に対する医療の提供、そして後方支援、また人材派遣などにつきまして、各医療機関の機能や役割に応じて協定を締結するということとしてございまして、この協定締結を通じて、地域における感染症対応についての役割分担を明確にしていくということになってまいるということでございます。

田中(健)委員 千五百という数字を出していただきましたけれども、千五百の中には公的な医療機関とまた民間の医療機関、これを含めた数だと思うんですけれども、この千五百の内訳としてどのように想定をされているか、伺います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど申し上げました協定締結医療機関のうち病床確保を担当するものは約千五百医療機関という数字でございますが、これは、昨年の十一月に、次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像をお示ししました際の重点医療機関数等を踏まえて、一つの目安ということでお示しをしてきたものでございます。

 そのため、公立・公的医療機関等と民間医療機関の内訳につきましては一概にはなかなか言えないところでございますが、直近で重点医療機関として御対応いただいている医療機関については、約半数が公立・公的医療機関等、残りの半数が民間医療機関というふうになっているところでございます。

 いずれにいたしましても、この数値、目安でございますことから、実際の予防計画における数値目標の設定に当たりましては、都道府県において、各医療機関に対して御意向やあるいは対応能力をよく調査をしていただくことなどによりまして、より現状に即した医療提供体制を踏まえた内容としていただくことが必要というふうに考えております。

 また、協定の締結に当たりましては、こうした調査も踏まえて、関係者の間で議論を行っていただいて、地域における各医療機関の機能、役割に応じた役割分担を明確化するということを想定してございます。

 今般の改正案の施行に当たりましては、こうした考え方を医療機関等に十分に周知するなどして、協定の締結が円滑に進みますように丁寧に対応してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 千五百ということと、半数、半数ということが出たんですけれども、これは単純に、四十七都道府県でやると一つの県で三十病院ぐらい、更にそれを、民間と公的を半分ずつにすると各県で十五ぐらいですかね。これは平均ですから、東京や大阪、大都市はもっと大きいでしょうから、地方に行けば十とか十五が協定を結ぶとなると、ちょっと、皆さん、委員の方は分からないですけれども、私のイメージでは、少ないんじゃないかなというようなイメージを受けました。それで、医療の協定を結び、病院連携をし、また病床を確保する、これで本当にできるのかなというような、ちょっとイメージも湧きました。

 この数というのは、今は千五百ですけれども、これは増やしていくようなものなのか、それとも、どのようなイメージとして取ればいいのか。何せこの千五百で、前の、数字を例示してもらいましたけれども、カバーを日本中できるというふうに考えているのか、伺います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げました千五百という数字でございますが、地域においてコロナに対する対応を確保するに当たって、重点医療機関ということで中心的に御対応、病床の確保に向けて御対応いただいているところの数を申し上げさせていただきました。

 先ほど、昨年の十一月現在で千五百、これが直近では千八百ぐらいになってきているところでございますので、やはりコロナの状況に応じて、各地域においても医療機関と御相談をいただきながら拡大をしてきているというところでございます。そういった実態もよく踏まえていただきながら、今後、各都道府県の方と医療機関との間で御相談をいただくという形になってくるかと考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 まさに協定の内容もおっしゃってもらいましたけれども、あくまで今回のコロナに沿ったような内容でありまして、協定の内容もこれから決めていくし、先ほどの質疑の中でも随時変わっていくというのがありましたけれども、役割分担というのも変わってくるかと思いますし、もっと言えば、この委員会の中でも何度も議論に出ているかかりつけ医といった役割はその中には明示をされていません。是非、今回の医療協定、初めての試みで、スタートするわけですけれども、随時、位置づけというものをしっかりとしてもらい、また実効性のあるものにするために、かかりつけ医の体制や整備の強化と併せて進めていってほしいと思っています。

 引き続き、病院連携について伺いたいと思います。

 病院確保ないしは病床確保の中では病院連携というのが大変重要だということで、課題としても挙げられました。今回は都道府県が医療機関とまさに協定を結び、中心となって連携も進めていくということでありますが、もう既に、様々な自治体では、病院連携というのが民間やほかの団体によってうまく回っているところもあります。大阪府ですとか、私の静岡なども病院連携というのが民間中心に回っています。

 静岡の例を挙げさせていただきますと、最初、当初はお互いのベッドの空き状態も知るわけもないですから、また受入れ状況も、どこがどう受け入れているか分からなかった。さらには消極的な病院も出てきたんですが、病院協会の会長自体が、これでは皆が疑心暗鬼になってしまう、例えば保健所が先生のところで重症を受け入れてくださいと言ったら、うちばかり来ているんじゃないかというように自分自身も最初思ったと。これは本当の発言ですので言わせてもらいますが。

 そこで、県の病院協会さん自らが主導して、それぞれ病院が持っていた情報、今の入院患者数、ないしはベッド数、空き数ですね、これを提供して、そして一覧表にして、随時リアルタイムでそれを表示したということであります。つまり、見える化をしたということです。お互いのベッドの空き状況が共有できた結果、病院同士が患者の受入れなどについても素直にやり取りができるようになって、現在もこの制度は大変に機能しているということをお聞きをしました。

 今回の協定によって都道府県が中心となってやるというのもいいんですけれども、そして静岡県は決して県と病院がうまくいっていないわけではないんですけれども、都道府県によっては余り、県が主導すると厄介という声もあったり、また、なかなか、先ほどの議論にもありました難しいといったこともあります。

 こういった病院連携や情報共有というのは、必要性というのは誰もが理解するんですけれども、どのように実効性を担保して、また進めていこうと思っているのか、これについても御意見いただければと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 医療提供体制の確保につきましては、先生も御指摘ございましたように、これまでも都道府県において中心となって取り組んできていただいているところでございます。今般の改正案におきましても、同様に、都道府県が平時に各医療機関と協議を行って、感染症発生、蔓延時における役割、対応に関する協定を締結することによって病床の確保に取り組むということを基本的な形としてございます。

 今、先生の方から、静岡県の具体的な病院協会の取組事例も御紹介をいただきました。大変、自主的にそういった情報を共有をし合って取り組んでいただいているというのは非常にありがたいことだというふうに思いますし、医療関係者の間でそのような連携を取るような機運ができている、非常にいい土壌になっているんじゃないかというふうに思います。そういった中で、やはり行政も、そういった取組とよく連携を取らせていただくということが非常に重要なことになってくるのではないかなというふうに思っております。

 こういった地域の医療提供体制の構築に当たりましては、確かに、地域の実情については、よく分かっているのは国ではなくてやはり都道府県ということでございますが、感染症法に基づく入院の権限とかあるいは財政措置を講じる主体というのは都道府県ということがどうしても必要になってまいりますけれども、今御指摘いただいたような地域の医療関係者のいろいろな取組ともよく連携をしながら対応していくということが大変大事なポイントになってくるのではないかなというふうに考えたところでございます。

 ありがとうございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 制度をつくって、屋上屋を重ねて、そして今までせっかくうまく回っていたのが回らなくなってしまうようなことがないように、是非連携をしっかり深めていただければと思います。

 引き続きまして、流行初期の医療確保の措置について伺います。

 初動対応を行う協定締結を医療機関について結ぶことで、新たな感染症が発生したときに、減収補填の仕組みをつくったということでありまして、その必要性というものは私も理解しています。しかし、先ほど来も議論がありましたけれども、財源に保険財源を充てることには疑問がありますし、現時点では反対の立場です。

 その意味で、中身について伺っていきたいと思っています。

 ここでも先ほどと同じように協定を締結した医療機関が対象になるということでありますが、そもそもこの医療機関をどのように選定をしていくのか、また、この医療機関も、先ほどと別の協定ですから、どのくらいの数を想定しているのか、そういった基準があれば伺います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、この改正法案の中におきましては、今委員御指摘いただきましたように、協定締結のスキームを設けてございますが、このスキームの中で、特に流行初期の段階から基幹的な役割を担っていただく医療機関を設定をいたしまして、特別な協定を締結をして、保健医療提供体制を流行の初期から速やかに立ち上げて機能させるということとしてございます。

 この特別な協定につきましては、感染症の流行初期から一定以上の病床等を確保できる医療機関が対象となるというふうに考えておりまして、この具体的な基準につきましては、今後、施行に向けて詳細を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 これらの医療機関につきましては、一方で、平時から人員や施設設備などについて備えておくということも必要というふうに考えておりまして、例えば、感染症患者に適切に対応するための人員の確保あるいは研修、訓練の実施といったこと、また、感染拡大時にゾーニングなどの観点から活用しやすい病床を確保する、それから、PCR検査など病原体検査の体制を整える、また、感染防護具の備蓄といったことなどが考えられるところでございますが、今後、施行に向けまして詳細を検討してまいりたいというふうに考えております。

 なお、今御質問いただきましたこの特別な協定の締結の対象となる医療機関数でございますけれども、現在、四百床以上の医療機関であって重点医療機関に指定されているものが約五百ございますことから、約五百医療機関程度になるといったことを想定してございます。

 以上でございます。

田中(健)委員 五百という数でありまして、それを基に後ほど質問させてもらえればと思いますが、保険適用の話に移ります。

 この措置費用の保険財源、一対一で支払うということでありますが、この保険財源の中身も、被用者保険者と国保保険者、さらには後期高齢広域連合と、その三つが支払うということに今回の制度はなっているかと思いますが、そのそれぞれの費用の割合というのは、どのように決まるんでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 流行初期医療確保措置に要する費用につきましては、その二分の一を保険者が負担することと考えております。

 各保険者の負担割合につきましては、その対象医療機関に対して各保険者が感染症流行前に支払った、その直近の診療報酬支払い実績に応じて按分する、このように考えております。

田中(健)委員 そうしますと、今回、新型コロナウイルスの初期の状況で、受診控え等で大きく病院の経営が悪化をしたということがございますが、これに当てはめて、今回のその期間、どのくらいの期間だったのか、また減収額、それに伴う、今言っていただきました負担の額というのはどのくらいになるんでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症につきましては、今回御提案させていただいています流行初期医療確保措置という制度がない中で発生したものでございまして、現時点では、先ほど話がありました初動対応等を行う特別な協定を締結した医療機関が決まっておりませんので、具体的な推計を行うことは難しいんですけれども、例えば、新型コロナウイルス感染症への対応が本格的に始まった令和二年の四月から六月の三か月におきまして、全国の病床数上位五百病院、これの概算医療費の対前年からの減収額の総額を機械的に合計しますと、千七百六十億円となっておりました。

 一方で、この流行初期医療確保措置につきましては、こうした減収額から補助金の額を差し引くということになっております。令和二年四月から六月に係る補助金としてこれらの五百病院に支払われた金額は把握できておりませんので、具体的な財政支援額を推計することはちょっとできかねます。

 したがって、それに基づく公費や保険者の負担額、これも算出することは難しいと考えております。

田中(健)委員 済みません、単純に計算できなかったのですが、三か月で千七百六十億円ですか、今、減収額があったと。それを、単純に言うと半分で八百億ずつ、九百億弱でそれぞれが負担する。その額の上限や、またその詳細は分からないけれども、そういった計算になるということですね。三か月で一千億近いお金になると、大変に大きなお金でありまして、初期の令和二年の四月からは、今、四、五、六でおっしゃっていただきましたけれども、八月まで五百病院は赤字となり、九月になってやっと少し黒字になったんですが、これも補助金や補填が入っての黒字ですから、かなりの長い期間経営状況が悪化したということが分かっています。

 ですから、なかなか、保険の額を充てるといっても、今言いました一千億という規模になりますので、大変慎重に議論をしていかなきゃならないというふうに思っています。

 さらに、その中で、この措置においては、いろいろなものが暫定的であったり特別であったりします。期間においては、暫定措置であるというふうに位置づけられておりますし、また保険者負担も、説明の中では、例外的かつ限定的な措置であるというふうに説明をされています。しかし、一方、法案の中にはその文言は出てきません。暫定措置であるとか、これはあくまで限定的であって、更に例外的であるというのは出てきません。なぜ法律上の明記がないのか、伺います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御提案申し上げています流行初期医療確保措置につきましては、中身的には、対象医療機関に対し、政令で定める期間、それからまた、当該感染症の流行初期における医療の確保に要する費用、これを支給する措置として法律上明記しております。そういう意味では、まさに流行初期のみを対象とした暫定的な措置であることは条文上明らかにしていると考えております。

 また、例外的かつ限定的な措置というところにつきましては、現在、医療保険のいろいろな法律では、保険料を充当できる事業を法律上明確に規定しておりまして、まさに今回の流行初期医療確保措置についても、今回提案させていただく法律で、これが成立することによって初めて保険料からの拠出が可能となります。そういう意味においては、まさに例外的かつ限定的な措置であるというふうに考えております。

田中(健)委員 実質的に例外的かつ限定的になるということなんですが、逆に、初めてだからこそ、やはり心配されているのは、これがほかのことにも適用が拡大していかないか、大丈夫なんだろうか、これが一つのきっかけになるんじゃないかというような懸念もあるわけであります。是非そこにおいては、しっかりとした説明と、また、皆さんに理解をしてもらうように求めなければならないと思っていますし、また、更に委員会の中でも議論をしていきたいと思っています。

 措置の期間においては、一定の期間を法律内で設定するというふうに書かれていると言いました。この実施期間というのもやはり大切な問題になると思っています。

 先ほどの、経営状況の中の減収期間がありました。令和二年の四月から九月までということでお話がありましたけれども、ここをもう少し見てみますと、この期間は、四月から九月までは、補助金が各病院に出ていました。一方、診療報酬の上乗せは十二月まで出ていました。差があります。補助金が九月まで、診療報酬が十二月まで。それぞれ、期間ですと六か月と九か月というふうになるんですが、例えば、これが今回の措置によって当てはまるとするならば、どちらの期間が当てはまるんでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 流行初期医療確保措置の実施期間につきましては、感染症の対応がある程度判明して、そうなりますと、この感染症に対する診療報酬の特例措置とか補助金の額がきちっと明確になってまいります。これが整備されるまでの限られた期間について、この流行初期医療確保措置の実施期間、このように考えております。

 それで、先ほど先生のお話がございました、今回のコロナの場合どうかということで、先ほど三か月分の数字をお示ししましたし、それから、多分、先生が引用されておりますのは医療保険部会にお示しした資料ですが、あれはあくまでも診療報酬の減収額でございまして、実際の減収額は、それ以外にも補助金等が入っておりますので、あの数字よりもっとずっと小さな数字になっているはずでございます。

 それを前提に、今回我々が提案させていただこうとしている実施期間でございますけれども、この実施期間につきましては、こうした診療報酬の特例措置とか補助金が出るまでの間の期間として、できるだけ短い期間で設定したいと考えております。

 ただ、これはそれぞれの感染症ごとにやはり対応が違いますので、一律に決められるものではないと思っておりますが、一つのイメージとしまして、新型コロナ感染症の流行の波、今回の波などを考えますと、最初は三か月といった短い期間を基本にしまして、必要に応じて延長したり、あるいは前倒しで終了する、こうしたイメージを考えております。

 いずれにしましても、診療報酬の特例措置や補助金等の財政支援が整備されるまでの限られた期間だということ、そういう趣旨を踏まえて、具体的な設定について考えてまいりたいと思っております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 さらに、この措置の期間というのは、今言いました三か月を目安にしてそれぞれの対応をするということでありますが、協定を締結した医療機関が正当でなく都道府県の指示に従わなかった場合は、既に公表されている、つまり、その前に初期医療確保措置で要した費用を返還を命ずるということはできるんでしょうか、遡及して。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正案におきましては、今委員御指摘の流行初期医療確保措置による支援金につきましては、流行初期医療確保措置の対象となる協定締結医療機関が正当な理由なく都道府県知事の指示に従わなかったような場合に、既に交付した当該費用の全部又は一部の返還を命じることができる旨を規定しているところでございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。そこは確認ができました。まだちょっと不明瞭なところはあるんですが、また是非委員会で質疑を続けていきたいと思っています。

 次に進みます。

 医療機関の支援について伺います。

 コロナ対応で独自の対応で注目されました東京都墨田区なんですけれども、今回の初期対応とは違うんですけれども、病床逼迫の際に、病床確保のために独自で、墨田区補助ということで、一千万円を協力してくれた病院に支払いました。これは、病床の設備や人の確保、準備のためということでありました。

 今回も、協定締結医療機関に対して、初動対応に備えるための施設改修や人員強化などが必要になるということが想定されます。東京のような自治体であれば、今言いましたように、独自で各病院に一千万円を出したり補助金というのもできるんですけれども、やはりこれは全国の話でありまして、地方自治体においては、こういった補助というのはなかなか難しいのが現実でありますが、今回の締結医療機関に対してどのような補助ができるのか、また、財源の確保をしていくのか、大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 都道府県と各医療機関の間で締結する協定において、協定の履行に要する費用の負担方法について盛り込むこととしております。

 具体的な内容は、まさに都道府県知事と各医療機関の協議の中で決定していただくことになりますが、有事における対応のみならず、初動対応に備えるための平時からの設備整備に要する費用についても、その一部を国が補助することができる旨の規定も設けております。

 これも含めて、法施行に向けて、予防計画の策定の状況を踏まえながら、具体的な内容等を精査していきたいと考えております。

田中(健)委員 是非お願いをしたいと思います。協力を依頼しても、やはり先立つものがなければできませんし、協力したいと思っていてもできないというようなことがないようにお願いをします。

 それでは、自宅療養者への医療支援の確保等についてお聞かせをいただきたいと思います。

 自宅療養者の医療提供に関しては、本来、オンラインの診療の積極的な活用が今回掲げられています。オンライン診療については、この委員会でも、今日も、何人もの先生がお話をされていました。しかし、これはなかなか厳しい現状があります。

 例えば、これまでは、民間の検査で陽性が判明した場合は、四十歳未満で基礎疾患がないなどの条件であれば、初めから自宅療養に入ってくれというように指示がされていまして、この方針は、症状の変化に対して適切に医療が受けられるのが前提とされてきましたけれども、実際は、なかなか医療提供を受けられずに自宅で亡くなる方や、また苦しむ方が多かったということは、何度もほかの委員が述べられています。

 今回、このオンライン診療を掲げたのは、そういったものにも対応できるようにということもありますが、しかし、実際には、保健所を介して医療機関にオンライン診療を依頼しても、直接診たことがないということで断られたケースも聞きましたし、また、そもそも、自宅療養の場合は、定期的な健康観察というのは自治体設置のフォローアップセンターが担いますけれども、医療機関の受診がなければ治療薬の処方もできないということです。つまり、自宅で自分で検査をして、自宅で自分で療養していますと、薬ももらえませんし、そして、自分で家で一人でいなければならない。しかし、今回は、このオンライン診療をどんどん積極的に活用しろというふうにしています。これは本当に現実的なのかということが私は少し疑問です。

 これまでの新型コロナ禍におけるオンライン診療、実績は先ほど上がっているという答弁もありましたけれども、実際、自宅療養者についてオンライン診療で対応しようと考えていることの課題というものをどのように認識されているのか、伺います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございましたように、オンライン診療の活用につきましては、自宅で療養されておられる方々が安心して自宅で療養できますように、これまで、オンライン診療等を行う健康観察、診療医療機関を二・三万機関まで増やしてきたところでございます。

 今回の感染拡大に際しましては、都道府県に対して、健康観察、そして診療医療機関の体制の整備の要請、また、オンライン診療を活用している自治体の取組事例の周知、また、診療報酬上の特例措置などを通じて、その拡充や取組の推進を図ってまいりました。

 自宅療養中のコロナ患者さんに対する電話・オンライン診療の件数、これはもう先ほど御説明申し上げましたとおり、本年六月は十九万件でございましたが、七月に百二十万件となったところでございます。

 そういった中で、一方で、この年末に向けて、新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行が生じて発熱外来が逼迫する場合に備えなければならないということになってまいりまして、まさに、対面診療を補完する電話診療やオンライン診療の体制強化が必要という状況になってきてございます。

 このため、私どもとしても、例えば、地域の医師会等と相談して夜間や休日の電話診療等の輪番体制をつくる、あるいは、多数の医師を配置をして多回線のオンライン診療を持つ医療機関と連携をする、あるいは、システム事業者等と相談をして対面診療と適切に組み合わせ得るオンライン診療の体制を構築するといったようなことをお示ししながら、地域の実情に応じた取組をお願いさせていただいているところでございます。

 その上で、今回の法案におきましては、予防計画に基づいて各都道府県と医療機関とが締結する協定の項目の一つとして自宅療養者への医療の提供を盛り込んでいるところでございます。

 また、医療計画におきましては、既に令和六年四月から始まる八次計画に向けて、六事業目として新興感染症対応を規定することとしておりまして、今回の法案におきまして予防計画との整合性の確保を図ることとする旨の規定も設けているところでございます。

 これらも踏まえて、自宅療養者への医療の提供の一環として、往診等に加えて電話診療、オンライン診療の体制の構築にも取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

田中(健)委員 最後に大臣に伺いますけれども、まさにこの自宅、宿泊療養者、今回、自己負担も公費で負担できるようになりました。今言ったオンライン診療がうまくいけばいいですけれども、なかなか私もまだやったことありませんし、そんな簡単にできると思いません。

 一方で、先ほど中島さんからもありましたけれども、六十五歳以上、小学生以下、重症リスクがある人は発熱外来を受診、控えるということで、大変に発信していることが矛盾をしているんじゃないかというふうに思います。

 自分でチェックをして何かあれば自宅にいて、あとはオンラインで受けてくれというのでは、余りに私は患者を、ひど過ぎですね、人として見ていないんじゃないかと思っています。

 そして、これも先ほどありましたけれども、各自治体で判断というのもありましたけれども、実際調べますと、新型コロナウイルスかなと思ったら、もう慌てて医療、診療機関を受診することを避けてください、今言った四類型の人、というような、ホームページで、ある東京の自治体も出ているぐらい、発信がもう出ています。

 こういった現状について、私は公費負担の仕組みでしっかりとした、安心した医療を受けてくださいということが大臣の役目ではないかと思うんですが、最後に御意見を伺います。

加藤国務大臣 まさに今回の対応は、限られた医療資源の中で、リスクの高い、重症化リスクの高い方々にどう重点化を図っていくのか、そして同時に、それに向けて発熱外来等を拡充し、また、対象者じゃなくても、先ほどから申し上げているように、症状が非常に重たい等々の方に対してはまさに発熱外来等を受けていただく、こういう全体としての体制をつくっていきたいということであります。

 今お話がありました医療費負担でありますけれども、実際、もちろん、自主的に対応する方についてはそのキットを御自身で買っていただく。ただ、そうでない方も、先ほど申し上げた都道府県等を通じて無料で配布をするというような仕組みも設けさせていただいているところでございますので、そうした全体の体制、それから、今お話があるように、今この状況は別に逼迫しているわけでもありませんから、そうした状況の中においてというのと、それからだんだん逼迫していくような状況の中においてというところ、ここをどうしっかりと発信をしていくべきだと、先ほどから御指摘もいただいておりますので、その点はしっかりと我々も認識をしながら、また、それぞれ医療機関に対してもその辺の理解を求めながら対応していかなきゃいけないなというふうに思っております。

田中(健)委員 時間になりました。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、コロナの後遺症についてお伺いをいたします。

 日本でコロナの後遺症の患者を最もたくさん診ているのはヒラハタクリニックの平畑光一先生だと思いますけれども、平畑先生のデータもお持ちしました。

 一番初めに、どれぐらいの症状の重さなのかという症状の区分けを、ME、CFSですね、筋痛性脳脊髄炎で使われているものを一ページ目に載せております。疲労、倦怠の程度ということで、パフォーマンスステータスでPS0からPS9まで分かれておりますが、PS2までならば働けますけれども、3からはもうフルタイムはできない、PS5からはそもそも労働自体が困難ということになっているわけでございます。

 資料をめくっていただいて、二ページ目に、ではどういう分布になっているのかということで、山が二つございます。PS1、PS2のところに一つの山があり、もう一つはPS6、PS7というところに山があります。つまり、PS6、7の山の方々は働くことも困難なわけですけれども、ここにも大きな山があるというのが実態です。

 三枚目を見ていただきたいと思いますけれども、労働への影響ということで、これは二千七百八十一人について調べたデータですけれども、労働に影響した方が一千九百四人いる。休職の状態が千二百九人。解雇、退職あるいは廃業という方が二百十四人。それ以外にも、働いている時間を短くしたり、日数を減らしたり、在宅勤務ということになっているわけでございます。

 まず、大臣の基本的な認識を初めにお伺いしたいと思いますが、新型コロナの後遺症の問題というのは日本社会にとっても大問題だ、こういう認識はございますでしょうか。

加藤国務大臣 新型コロナの罹患後の症状、いわゆる後遺症でありますが、多くの症状は経時的に頻度が低下する一方で、罹患後症状に悩む患者の方が一定程度おられることは承知をしており、新型コロナの影響によって生じている問題の一つというふうに認識をしております。

宮本(徹)委員 問題は、長期にわたってコロナの後遺症、ロングCOVIDで困っておられる、苦しんでおられる皆さんが医療につながることも困難な状況というのはございます。

 東京では、コロナ後遺症対応の医療機関というのは症状ごとにホームページで公表されております。ですけれども、全国的に見たら、公表されていないところも多いんですよね。是非、国が旗を振って、全都道府県でコロナ後遺症を診る医療機関、できれば症状ごとに、東京のような形で公表すべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、いわゆる後遺症については、一般の医療の中でも対応できるものが少なくないと承知をしておりますので、まずはかかりつけ医等や地域の医療機関につなぐことが重要であると考えています。

 厚労省では、かかりつけ医等が罹患後症状に悩む方に適切に対応できるよう、厚生労働科学研究費による研究等によって得られた国内外の科学的知見を盛り込んだ診療の手引を策定し、都道府県や医師会を通じ、幅広く医療機関に情報提供を行っているところであります。

 また、各自治体においても、地域の実情に応じて、罹患後症状の患者が適切な医療につながるよう工夫されております。今委員お話があったように、罹患後症状に悩む方の対応が可能な医療機関リストを作成し、ホームページ又は自治体の窓口で周知しているという自治体もあります。他方で、かかりつけ医等の地域の医療機関に相談することを勧めているという自治体もあるところでございます。

 地域の実情に応じて対応いただくことが重要でありますので、一律に、罹患後症状に対応する医療機関を指定することや、そのリストの公表を求めているわけではありませんが、各自治体においてそこにある医療資源をうまく活用していくという中で、適切な医療につながるよう、それぞれ取組を把握し、その情報を各自治体と共有もさせていただいているところでございます。

 引き続き、幅広い医療機関で罹患後症状に悩む方が適切な医療を受けられるよう、診療の手引の周知に努めていくとともに、各自治体の取組をそれぞれの状況に応じて活用できるように横展開をしたり等、自治体とも連携をしっかり図っていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 残念ながら、少なくない医療機関が新型コロナの長期の後遺症についてなかなか理解がされていない例もあって、いや、それは気のせいですよということで精神科を紹介するとか、そういうことになっている例も少なくないわけですよね、残念ながらいまだに。だから、ちゃんと、コロナの後遺症を診る医療機関はそれぞれ都道府県で公表するというのは、最低限、各自治体でやるべきことだと思いますよ。是非これは大臣から指示を出していただきたいと思います。

 それから、先ほど診療の手引のお話がございましたが、問題は、この診療の手引を見ても、治療法が載っているわけじゃないんですよね、診療の手引には。こういう症状があるよということと、こういう検査という話はありますけれども、治療法というのは一切何も紹介されていないというのが今の現状です。

 このヒラハタクリニックの平畑先生がこの間、一貫して紹介しているのがEATという上咽頭擦過療法です。これで症状が改善する人もいるというふうにおっしゃっているというので、私が、去年の春ですかね、一番初め、ここで取り上げたことがございました。

 このEATについては、今日資料もつけておりますけれども、その後、論文も出ております。ジャーナル・ウイルスに、このEAT、上咽頭擦過療法の効果を示す論文が掲載もされております。

 国内でもこのEATに取り組むところは少しずつ広がっておりますけれども、まだ耳鼻科全体の中の五%程度だというお話も伺っております。平畑先生も、これを普及するために、来月はEATの講習会も行うということもおっしゃっておられました。

 このロングCOVIDで本当に苦しんでいる方々を見ると、本当に漏れなく慢性上咽頭炎が見られるというのが平畑先生がおっしゃっていることなんですよね。ですから、それを改善していく治療法が、疲労感といいますか倦怠感とか、これを改善していくことにも実際つながっているというのがこの論文の中でも書かれていることなんですけれども、これが広がっていくというのが、私は患者にとっての一つの光ではないかというふうに思っております。

 この診療の手引、十月にバージョン二・〇が出ましたけれども、ここにはまだ出ておりませんが、このEATの普及のために、治療法の事例として、推奨とかそこまでまだ国としてできないのかも分からないんですけれども、こういう治療をやっているところがありますよという事例として是非紹介していただきたいというふうに思いますし、あと、診療報酬が本当に低いんですよね。患者からすれば助かるんですね、一回やっても三百円ぐらいですから。ですけれども、診療報酬がやることに比べて低いのでなかなか広がらないということもありますので、この診療報酬の引上げだとかそういうことも含めて、是非御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 一部の医療機関におきまして、新型コロナの罹患後、後遺症を呈する患者さんに対しまして、上咽頭を擦過し、塩化亜鉛等の薬剤を塗布する治療が行われていることは承知をしております。

 しかしながら、現時点では、同療法の安全性、有効性についての科学的なエビデンスは確立していないものと認識をしております。

 新型コロナの罹患後症状に対する治療法については大変重要なものと認識しておりまして、厚生労働科学研究費やAMED研究費によりまして、疫学研究や臨床研究等の支援を行っているところでございます。

 また、罹患後症状に対する治療法の科学的な知見につきましては、診療の手引を作成している研究班において情報収集を行っております。有効性、安全性の科学的エビデンスが確認された治療法については、速やかに診療の手引に盛り込み、周知に取り組んでいきたいと考えております。

宮本(徹)委員 先ほど言いましたように、もう既に論文も出ております。ちなみに、コロナそのものについては、エビデンスが確立していないアビガンだって、あんなに診療の手引に載せ、推奨するようなことを政府はやっていたわけですよ。こっちは論文もあるわけですから、私は、事例として、こういう治療法もあるよと載せるぐらい、やれないことは、今までの政府の姿勢からいっても、ないということは申し上げておきたいと思います。

 それから、経済的な支援も必要だと思うんですよね。

 本当に経済的な困窮が生じております。仕事でコロナに罹患して、その後、後遺症になった場合は、労災があります。仕事での罹患でなくても、傷病手当もあります。しかし、自営業者などは、国民健康保険で、傷病手当はありません。さらに、初めの資料のところに戻っていただけたらと思いますけれども、PS8、9というところまでいけば、障害年金に該当します。ところが、その手前ですね、PS5、6、7というのは、在宅勤務を含めて全く働けないぐらいの状態なんですけれども、障害年金には該当しないんですね。使い得るとしたら、全部資産を使った後の生活保護ということしかないわけですけれども、御存じのとおり、生活保護は利用するのにいろいろなハードルがあるわけでございます。

 ロングCOVIDの患者の皆さんに対しての支援策というのは、私は今、穴が空いている、大穴が空いている状況だと思いますので、是非、これをどうするのかというのを政府部内で検討を始めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 新型コロナの罹患後症状、後遺症について、罹患後症状によっては社会生活に大きな制限が生じていることもあると認識をしております。

 今委員からお話がありましたように、業務により新型コロナに感染し、罹患後症状があり、療養等が必要と認められる場合には労災保険の給付対象に。また、業務外の事由による療養のため労務に服することができない場合は、これは健康保険の被保険者ということになりますが、要件を満たせば各保険者から傷病手当が支給。さらに、罹患後症状により日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害が残る場合等には、一定の保険料納付等の要件を満たせば障害年金の対象ともなるところであります。

 一方で、国内外の研究によると、罹患後症状については、一般的に、時間の経過とともにその大半は改善されるとも考えられているところであります。罹患後症状がどのくらい期間が続くのか、どのような方に長期間症状が残存するのか、更に言えば、罹患後症状のメカニズムそのもの等について、現在、厚生労働科学研究やAMEDにおいて研究を進めているところでございますので、こうした取組も通じて、罹患後症状で悩む方への支援に対して今後どのような支援を行っていくことができるのか、引き続き、そうした観点も踏まえて検討していきたいと考えております。

宮本(徹)委員 後遺症もいろいろな種類がありますから、割と早く治る方もいらっしゃいますけれども、重い、それこそ、PS5とか6とか7とかこういう段階になった方々というのは、元に治っていった方というのは極めて少数なんですよね。一五%ぐらいだという話も聞いております。ですから、重い症状にまでなってしまった方というのは、なかなかそこから抜け出せない、本当に倦怠感で苦しみ、生活の先を見通せない苦しみもあって、本当に苦しい状況がありますので、そこはしっかり生活支援策、補正予算を考えるんだったら、こういうところもしっかり私は考えてほしいと思うんですよね。

 あわせて、あと、資料の四ページ目を見ていただきたいと思うんですけれども、PS6以上になる方というのは、六十日以内にPS6になっているんですね。PS6というのは、先ほど言いましたように、働けないような状況なわけですね、一日の半分以上は自宅で休息している状態、準寝たきり状態ですけれども。六十日以内にこうなるということは、コロナ感染後二か月の間に無理をするとこういうことになりやすいということを示しているというふうに思います。

 あと、コロナで、EAT、治療してだんだんよくなってきた方でも、また働き始めて無理をすると、またぶり返して悪化するケースも少なくないわけです。

 ただ、こうしたことが余り知られていなくて、職場でコロナ後の後遺症の皆さんに十分な配慮がなされていないケースというのが少なくありません。

 是非、大臣が先頭に立って、このロングCOVIDの患者の皆さんに配慮した就労というのが保障されるように、周知啓発、取り組んでいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 後遺症においては、症状によって社会生活に大きな制限が生じることもあります。罹患後症状を抱えていても罹患前の社会生活に戻ることができるよう、支援が必要な場合には、患者の治療者が事業者や産業医に対して情報提供を行うことも重要であることから、診療の手引においては、罹患後の職場復帰支援の意義に加えて、産業医や人事労務管理担当者などとの連携等についてもお示しをし、治療と就労の両立を後押しをしているところであります。

 加えて、企業には、勤務時間の短縮やテレワークの活用など、症状が持続している労働者の負担軽減に配慮した、無理のないものになるよう、経済団体を通じて企業への周知も図っているところであります。

 また、職場において事業者から必要な支援が行われるよう、就業上の措置や治療に対する配慮等についてまとめた企業向けガイドラインの作成及び周知などの取組も進めているところであります。

 罹患後症状に悩む方々がスムーズに医療や職場復帰に、支援につながるよう、更に取組を進めていきたいと考えているところでございます。

宮本(徹)委員 まだまだ全然、周知は不十分だと思いますので、更なる取組を求めたいと思います。

 法案について質問します。

 まず、検疫法の罰則についてお伺いしたいと思います。

 今回の法案は、居宅等での待機の指示を受けた者が待機状況の報告の求めに応じない場合は六か月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するとしてあります。有識者会議の取りまとめで問題点の指摘があったといいますけれども、この有識者会議で刑事罰を求める意見というのはあったんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の内閣官房に設置された新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議の取りまとめが本年六月の十五日に行われました。その中では、待機の協力要請に従わずに不要不急の外出を行う入国者等が見られたことを指摘した上で、水際対策の実効性を高めるための仕組みづくりが必要である、こういう形で最終的には取りまとめがなされたところでございます。

 その背景には、取りまとめで指摘された新型コロナウイルス感染症での事例がありまして、例えば、居宅等での待機状況の報告を求めてもこれに応じない入国者が一定数存在して、第一線の検疫所では対応に苦慮する実態があった、こういうことも書かれております。

 一方で、委員御指摘の、では、その審議の過程の中で直接的に刑事罰に言及された意見があったのかという点で申しますと、そこはございませんでした。

宮本(徹)委員 実効ある措置を求めるということであっても、刑事罰を科せという意見なんて、どこからも出てきていないわけですよね。それが、今回、刑事罰が設けられたというのは、私は経過からしても大変問題じゃないかと思っています。

 ただ、現在、検疫法には、隔離、停留に従わなかった場合の罰則というのがあります。コロナパンデミックでこうしたケースで罰則が科せられた例というのは何例あるんでしょう。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の検疫の対応において、検疫法に基づく隔離ですとか停留ですとか、こういった処分に従わなかったとして罰則が科せられた事例はございません。

宮本(徹)委員 罰則はあるけれども、発動しないんですよね。抑制的にやっているわけですよ。

 それはそうですよね。大体、元々の考え方からいっても、時代遅れなんですよね、隔離だとか停留に従わなかったら刑事罰を科すというのは。感染症法の考え方ががらりと、ハンセン病の患者の皆さんへの不当な隔離だとかあるいはHIV患者の皆さんへの不当な差別から考え方を改めて、隔離、社会防衛という考え方から、よりよい治療を提供していこうという方向に変わっていったわけですね。ところが、検疫法の側は相変わらず古い発想で、罰則でこれを何かやらせようということになっているわけですけれども、実際は、隔離や停留に従わなかった例があっても、罰則は、これは発動していないわけですよ。

 だったら、検疫法に、自宅待機者に新たな刑事罰を設けるのではなくて、今ある停留だとかの刑事罰の方を私は見直していくべきだ。それが時代の要請だと思いますよ。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 検疫法の目的につきましては、国内に常在しない感染症の国内への発生を防ぐという目的でございます。それに照らし合わせますと、先ほど、刑事罰の適用に至った事例はないとお答えいたしました。

 ただ、将来的に、新たな感染症が発生した場合において、繰り返しになりますが、国内に常在しない感染症が国内に流入するかもしれない。それによって国民の生命や健康が危険にさらされるような事態を確実に防止する必要があると考えております。そのためには、水際対策において厳格な対応が必要になることも想定されることから、刑事罰による担保を維持する必要があると考えております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の対応の初期において、検疫官からの指示に従おうとしない入国者がいらっしゃいました。その方に対して、刑事罰の適用もあり得ることを告知したことで指示に従ったという事例もございました。このように、刑事罰には法違反に対する一定の抑止力もあるものと考えております。

宮本(徹)委員 私は、そういう脅しでやるやり方というのは考え方が違うんじゃないかと思います。

 あわせて、前回の感染症法の改悪の際に、入院拒否と積極的疫学調査の協力拒否に行政罰が設けられましたけれども、それぞれ、この間、何件適用されたんでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 本年九月に厚生労働省が実施した各自治体への調査、これは、対象は都道府県と保健所設置市百五十七自治体でありますけれども、これによりますと、百三十七の自治体から回答がありまして、罰則が適用された事例はなかったと承知しております。

宮本(徹)委員 保健所長の皆さんは猛反対したわけですよね、これを導入するときに。感染症法の考え方と違うということで。実際、現場の皆さん、こんなの使いたくないということで使っていないというのが実態なんじゃないですか。私は、感染症の対応であっても、やはり、人権の尊重、患者のよりよき治療、こういう考え方に立った法体系にすべきだということを、この法の運用の実態に照らしても、考え直す必要があると思います。

 次に、病院に対するペナルティーの問題についてお伺いをいたします。

 特定機能病院や地域医療支援病院の承認を仮に取り消したら、病院と地域医療にどういう影響が出ると大臣はお考えですか。

加藤国務大臣 まず、今回の改正案は、各医療機関との協議や調整を経て合意した内容に基づく協定により、感染症発生又は蔓延時に必要な医療提供体制を確保するということにあります。

 公立・公的医療機関や特定機能病院、地域医療支援病院は、その機能や地域での役割を踏まえ、感染症発生、蔓延時にも一定の役割を果たすことが期待され、また、その機能に応じた様々な支援策も講じていることから、医療の提供を義務づけることとしております。また、承認取消し等の履行確保措置についても、この医療提供義務や協定を実効性のあるものにするために設けられているところであります。

 ただ、今申し上げた承認取消し等云々、これは、正当な理由なく医療の提供義務や協定にのっとった対応をせず、さらに都道府県知事からの勧告、指示にも応じない場合に行使されるものであり、医療提供義務や協定にのっとった対応ができない正当な理由がある場合には、これはもちろん対象とならないわけであります。

 こうしたことを含めて、あらかじめ地域の役割分担を明確化することで、感染症発生、蔓延時における迅速かつ的確な感染症対応が可能になる、こうした体制をつくるとともに、今申し上げたこの仕組みについて、医療機関等に対してもしっかりと丁寧に説明を行っていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 答えていないですよ。

 私は、特定機能病院や地域医療支援病院の承認を取り消したら、病院と地域医療にどういう影響が出ますかと聞いたんです。

加藤国務大臣 ですから、そうしたそれぞれの病院等々、各医療機関がその役割をしっかり果たしていただくため、そして、そもそもそれらがどういう役割を持っているか事前に、この感染症対応についてですね、それを明らかにすることで、また、そこで、先ほど申し上げた、働いている方にとっても、ある意味では安心も提供していく、そうした全体の仕組みをしっかり回していくという意味においてつくっている機能ということでありますから、実際にこれが適用されるということのないように、まず、しっかりとそれぞれの皆さんの理解を得て、そして、いざそうした対応のときにその役割をしっかり果たしていただくということが大事だということであります。

宮本(徹)委員 いや、ですから、取り消したら病院と地域医療にどういう影響が出ますかということを聞いているんです。

加藤国務大臣 ですから、そういう状況にならないようにしっかり御理解を求め、そして体制をしていく。

 逆に言えば、取り消さなきゃいけない事情が起きているというときには、まさにその病院がその機能を十分果たしていただいていないということになっているわけでありますから、逆に、その機能を果たしていただけるようにする、それが我々の目的であります。

三ッ林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

三ッ林委員長 速記を起こしてください。

 加藤大臣。

加藤国務大臣 今申し上げたのは、委員からは取り消した後のことをおっしゃっていますが、取り消す状況に至っているというところがポイントでありまして、取り消す状況に至っているということは、まさにその機能がその地域において機能を果たしていない、こういうことであります。

宮本(徹)委員 全く私の質問に答えていないんですけれども。

 当然、特定機能病院にしろ、地域医療支援病院についても、診療報酬の加算をして、それぞれそれにふさわしい役割を担ってもらっているわけですね。そのための器材だとかマンパワーだとかというのが配置されているわけですよ。承認を取り消したら、そうした国民の医療の中で果たしているとても大事な役割が果たせなくなるということなんですよ。とんでもないペナルティーなわけですよね。こんなことを盛り込んでおきながら、何が起きるのかということ一つ答えないというのは、あり得ない話だと思いますよ。

 あわせて、立法事実があるのかお伺いしますけれども、コロナの感染拡大の第五波から第七波の中で、特定機能病院や地域医療支援病院が正当な理由なく都道府県や国の要請に応えない具体的な事実というのはあったんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの新型コロナ対応におきましては、病床確保などに関する都道府県や国からの要請に対しまして、各医療機関におかれては可能な限り受け止めて対応いただいたと承知しているところでございます。

 一方で、六月に取りまとめられました有識者会議の報告でも御指摘がありましたとおり、地域で個々の医療機関が果たす役割が具体化されていなかったことから、感染の拡大に病床の確保が追いつかない事態が生じたなどの課題があったところでございます。

 こうした課題を踏まえ、今般の改正案では、病床確保を始め数値目標を盛り込んだ予防計画、医療計画を各都道府県において策定することとしておりまして、その上で、計画を踏まえ、各医療機関の機能や役割に応じた病床確保や医療人材の派遣などの措置を実施することを内容とした協定を締結して、平時からの体制整備を行っていくということとしているところでございます。

宮本(徹)委員 つまり、可能な限りみんな協力してもらったという答弁でしょう。正当な理由なく応えなかったという事実はないということですね。

 立法事実自体がないじゃないですか、こんな条項を設ける。あったんですか。正当な理由なく病床確保の要請に応えなかったことがあったんだったら答えてください。今、あったとはお答えにならなかったですよね。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 公立・公的医療機関などや、あるいは特定機能病院、地域医療支援病院は、その機能や地域での役割を踏まえて感染症発生、蔓延時にも一定の役割を果たすことが期待されて、その機能に応じた様々な支援策を講じていることから、医療の提供を義務づけることとしているところでございまして、承認取消しなどの履行確保措置につきましても、この医療提供義務や協定を実効性のあるものとするというために設けさせていただいたところでございます。

宮本(徹)委員 全く答えていないですけれども、時間になりましたからこれで終わりますけれども、はっきり言って、正当な理由がなく指示に従わない場合はペナルティーを科すと言いながら、これまでのコロナの感染拡大の中で、正当な理由なく国や都道府県の要請に応えなかったという事例はないということじゃないですか。立法事実は全くないんですよ。立法事実もないのに、ペナルティーで病院を脅すというやり方自体、私は間違いだと思いますよ。

 私は本会議でも言いましたけれども、やはり医療機関の皆さん、医療従事者の皆さんは一生懸命コロナの中で頑張っていただいているんですよ。今、社会活動を回す中でも、医療機関の皆さんはいろいろなことを我慢しながら頑張っていますよ。そういう皆さんに対して必要なのは敬意とリスペクトですよ。ペナルティーじゃないですよ。

 そのことを申し上げて、続きはまた次回やります。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文と申します。

 冒頭に、一昨日、私がこの委員会で積み残した論点整理ということで、子宮頸がんワクチンのことについて再度触れたいと思います。

 私が論点にしたかったのは、旧統一教会、これは教義の中に純血思想というのがございまして、いわば婚前交渉とかいうのを禁ずるようなものがあるわけでございますけれども、そういったことが色濃く、子宮頸がんワクチンが定期接種化されて、そして接種が始まった。もちろん大臣も一昨日答弁していただいたように、副反応の報告、そして、その状態が余りにもショッキング、社会的にもインパクトを与えたということもおっしゃっていましたが、その辺をやはり科学的根拠に基づいてやっていただかないと困るということを冒頭に大臣に確認したいと思うんです。

 この子宮頸がんワクチン、今ではHPVワクチンというふうに名前が変わっています。定期接種されて、ワクチンそのもののネーミングが変わったというのは余りないわけですね。ですから、子宮頸がんというと、HPVというものがいわゆるSTD、いわゆる性病ということで、そういった性交等の連想をしちゃう。それで、そういったいわゆる純血思想というようなものにリンクしてしまうということもあって、そういう流れが、こういった、あってはならない厚生労働行政に反映されたかもしれないということを私は強調したいわけでございまして。

 改めて大臣、このことは、今後とも、重要な命の教育であり、ジェンダー教育であり、あるいは性教育という大きな問題でもありますので、今、改めて、このことに関して、科学的根拠でこういったワクチン行政を進めていくということをおっしゃっていただきたいと思います。

加藤国務大臣 HPVワクチンの積極的勧奨、また、その後、差し控え、そして、それを終了した一連の流れというのは、厚生科学審議会における議論、まさにそうしたいろいろなエビデンス等に基づいて実施をされてきて、今日に至っているものだというふうに認識をしております。

 また、ワクチンの名称に関しては、前回もちょっと説明をさせていただいたような記憶もあるんですが、WHOを始め海外ではHPVワクチンという呼称が広く使用されていること、HPVワクチンはHPV感染症に関連する複数の疾患に対しても適応があることを考慮して、確かに、最初の頃は子宮頸がん予防ワクチンと私どものリーフレットでも言っておりましたが、ただ、必ずしもそういう定義がきちっとあったわけじゃなくて、その頃にもHPVワクチンという使い方をした事例もありますが、今日においては、HPVワクチンの名称を使用しているということであります。

 それから今、当然、予防接種行政を含めて、医療行政といわず政策全般そうでありますけれども、エビデンスに基づいてしっかりやっていくということは、委員御指摘のとおりであります。

仁木委員 今、御答弁いただいたことに関していろいろまたありますが、今日、時間の都合で、感染症法の改正について議論を進めたいと思います。

 この間も議論が出ておりますけれども、医療体制の構築で、いわゆる予防的に計画を立てて協定していくという形でございますけれども、ある程度、こういった、今まで手挙げ方式、そして、こういった国家的危機だから何とかしなきゃいけないという、医療現場の善意とも言える、あるいはモラール、士気とも言える形でやってきましたが、やはり限界があるということで、今、比較的オミクロン株が落ち着いている中で有事に備えていくということだと思うんです。

 まず冒頭に、私は日本版CDCの創設を、岸田総理も言われていますので、やはりセットでやるべきではないかということを、また後の議論で進めたいと思いますが、まず、予防的な計画。

 これに関して、ある程度、量的には、何かイメージ的には、今よりはより備えができるように思うんですけれども、同時に必要なのは、やはりクオリティーというか質の面だと思います、ソフト面ですね。

 具体的に言いますと、例えば私も医師ですけれども、医師の肩書があるからといって、例えば未曽有の感染症、これを全てベテランのように治療できるかというと、そうではないわけですね。大臣も思い出していただきたいんですが、アルファ株、これが蔓延していた頃、例えば医療の現場が放映されてテレビで流れましたけれども、例えばエボラ出血熱を治療するごとく、防護服を着て陰圧のいわゆる治療室に入って聴診器を当てたりということをしていました。今、恐らく、オミクロン株の感染者に対してそこまでやっている医療機関はないかもしれませんが、ただ、私は、そういった蓄積は、やはり例えばふだんやっている診療とスタイルが違うんですね。防護服を着たあの状態で、普通に自分がスキルを持っていても、目の前の患者さんに対して同じような処置をスキル的に、技術的にできるかというと、やはり訓練、これはシミュレーション研修とか言いますけれども、私はこの場でも、以前、最近千葉にできた医療大学でシミュレーションで医学部の教育をやっていたり、あるいは研修をやっているような病院の見学も、視察に行きましたけれども、すばらしいなと思ったんです。やはり、アメリカではそういった医師の研修、これは命を扱いますから、やはり日々研さんしているということは非常に重要なわけでございまして、そういう意味で、ソフトの担保。

 この予防計画というのは、お聞きしまして、やはり都道府県の方々が司令塔になって作成していくわけですけれども、病院のトップの方だけではなくて、実際どういうドクター、どういうナースがそういった現場に出ていって、現場で重症した患者さんを診るのか、あるいは、場合によったら自宅に行くわけですから、全く違う環境なわけですよね。病院だと、スタッフも医療機器も、注射針も、用意してと言ったらすぐ届けられます。しかし、例えば患者さんの御自宅に行ったら何もないんですよ。例えば患者さんの服をつっているハンガーに点滴液をつった状態で点滴するような、今まで経験していない方がいっぱいいるわけですね。日本の医療は、原則、自分が勤務しているところに患者さんが来るという状態でございますけれども、このコロナに関しては、患者さんを受入れできなかったら医療スタッフがその患者さんの側に行く、そういう今までのスタイルとは違う状態であるということを、大臣、よく理解していただきたいと思います。

 その中で、ソフト面のシミュレーション研修ということで、私、一つ提言したいのは、去年、病院船の話もありました。病院船の法案を見てみますと、第四条に、災害時における船舶を活用した医療の提供のための教育訓練等を実施することによる人材の養成と書いているんですけれども、例えば予防計画に、締結した医療機関のスタッフで、しかも病院船が停泊しているような地域で例えば海外の水際対策とかそういうことを担ったり、あるいは災害が同時に発生してしまったときにそういった病院船で治療することになるわけですけれども、そういったところに定期的に、あるいはルーティンで何かシミュレーション研修できるようなことも提案しますが、大臣、そのことに対してどう思われますか。

加藤国務大臣 病院船のやつは、まず病院船そのものをどうするかという議論があって、日本の場合は。ただ、今委員おっしゃったように、いろいろなシチュエーション、特に感染症対応という中で、スキルを磨くということもあるだろうし、それから、だんだんだんだん分かってくる中で、当初はここまでやらなきゃいけないけれども、現在ではこれはやらなくていいとか、やはりそういった意味で、これは負荷を減らすことにもつながりますから、そういった様々な知識を習得していただいたり、実際に技能を向上していただいたり、それらを通じて感染症対応に当たる人材の資質を向上したり、それだけの資質の高い人を確保していく、これは非常に大事なことだと思っております。

 今回の都道府県が策定する予防計画の記載事項にも、感染症の予防に関する人材の養成と資質の向上ということを盛り込んでおりますので、あとそれをどう具体的に進めていくのかということが今の委員の御指摘だと思っておりますので、今言ったことも一つ参考にさせていただきながら、より資質の高い人材が感染症対応に当たっていただけるように、我々も努力したいと思います。

仁木委員 大臣、前向きな御答弁ありがとうございます。

 それで、さっき申しましたが、やはり、私もそうですけれども、勤務医時代、同じ科であった場合は、学会とか勉強会で、ほかの医療機関のドクターと顔見知りになったり、いろいろ話をしたり、その先生のことをよく分かるわけですから、自分の患者さんの紹介がしやすいんですね。

 今回の予防計画において、所属するドクター同士とかナース同士の交流というか、そういった勉強会あるいは集まりというのも、これはリアルでなくてもいいので、例えば、ネット上、ウェブ上でもできることを平時よりやっておいて、さっき司令塔みたいなことを言いましたが、それをコーディネートするのが都道府県の職員であるというふうな感じに思っていまして。やはり、科を超えるとなかなか学会とか勉強会が同じになることがないですし、名前だけ知っているより、フェース・トゥー・フェースで会っていろいろなことを日頃から人的交流している方が、有事になって、そういった患者さんの受入れ体制、診たときには、この病院だったら、うちで無理だ、でももっと高度な医療を提供できるところだったら助かるかもしれない、そういうふうなリエゾンが、連携がしやすいと思いますので。

 せっかくこういう仕組みをつくるわけですから、まさにこの分野にICTも使ってもらいたいんですね、医療DX。例えば、リアルタイムで、今の病床、空き状況ですね、個々の病院の、それがここの司令塔に集まってくる。例えば、今、救急車を搬送する場合があると思います。そうすると、これは保健所にでもいいんですけれども、救急車のスタッフの要請を病院が受ける場合があるんですけれども、場合によっては、コロナ患者さんに関してはこの新しい司令塔が受けてもいいかなと思うんですね。そういう意味で、リアルタイムで得ている各医療機関の受入れ体制を把握してそこに迅速につなげる、こういったこともやはり大切だと思っております。

 ちょっと先の方で質問しようと思っていたことを先に言ってしまうわけでございますけれども、IHEATのことですけれども。

 これは、いろいろな身分、非常勤とか、先ほど委員の方でも保健師さんの活用のことをおっしゃっていましたが、私も、実は夜中でも結構電話が多いんですね、深夜に。ですから、かなり処遇、元の仕事があってパート的にというようなことをレクでイメージしているわけですけれども、やはり二十四時間体制、夜に結構かかってくることも多いんですね。不安だからかけてくる、あるいは子供のことで心配でかけてくるという事案もありましたので、そういうときに、やはりIHEATと司令塔との連携、あるいは、総務省的になりますけれども、救急体制、救急隊員との連携もできるようなことも非常に重要だと思っておりますので、そのことも、大臣、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 IHEATについて御質問がありましたけれども、IHEAT、民間の保健師等が保健所に入っていろいろなサポートをしていただくという形で考えております。

 また、この役割の中には、当然、入院調整といったようなことも含めて、幅広く、保健所の業務あるいは本庁の業務、支援していただくものと考えております。

仁木委員 昔の疾病分類二類の結核等々の感染症の場合でしたら、症例数は少ないですから、例えば保健所でそういった今おっしゃった任務というか仕事をしていたかもしれませんが、余りにも数が多いということで、今、県の方、例えば徳島県でしたら入院調整課というのがありまして、そこにみんな情報が行って、そこで患者さんの氏名とか電話番号があったら、要請だ、あるいは、HER―SYSで上がった情報を、電話して、それで患者さんの情報を、県の職員には医師もいますので、状態を聞いて、この人だったら入院、この人だったら自宅待機、この人だったらホテル療養とか、そういう形になっているのが現状なんですね。

 でも、それが必ず、昼間に、日勤帯に起こるわけではないので、そういうことでいうと、やはり、この二十四時間体制というのは、有事に近い、パンデミックになってきたときには必要だということを改めて申し上げたいと思います。

 それと、先ほど私は、日本版CDCとこの感染症法の改正をパッケージでやるべきだと言ったことは、この間、今の新型コロナウイルス感染症が疾病分類二類に相当する、これを五類に下げるべきだというような議論がありまして、そういった調整、これを私は、新しくできる予定のCDCの中にアドバイザリーボード、今の厚生労働省の感染症部会のメンバーをそのまま持ち込む。しかし、そこの人は常勤にして、そこでしっかりと司令塔の役割を担う。そのCDCに、科学的知見を、いろいろな海外の情報等を収集しながら上げていく。そういうふうなアドバイザリーボードとして機能すべきであると思っております。

 でなければ、いつまでマスクをつけるとか、これだけオミクロン株の病原性も下がっていますし、ちょっと議論が膨らみますけれども、ワクチンの話をしましても、先ほども井坂委員もおっしゃっていましたけれども、これは、国民からすると、三回目、四回目、五回目、どのワクチンも打っていいんですよ。二価といっても、今年の春に第六波があったわけですけれども、このオミクロンのBA・1と従来株に対応するワクチン。そしてまた、今回もBA・4、5、今はやっているのはBA・5が多いわけですけれども、それと従来株に対する、一と一足して二価ワクチンというのを打ってもいいですよということなんですけれども。

 前者二つは特に、これはもう余りはやっていないわけですよ。ワクチンの目的でいうと、感染するのを予防する感染予防と、そして有効性では重症化予防とありますけれども、前者に関しては、何か、余り意味ない。国民は、打つベネフィット、それと、打つことによるリスク、これを勘案して、やはり打とうかな、やめようかなという選択肢があるわけですから。特に、前者、二価を、余りリスクコミュニケーションを実践しないで言い過ぎると、何か在庫一掃セールみたいな、ワクチンが、二兆四千億円も使って、何かもったいないから打ってくださいのように聞こえてしまうんですよね。

 ですから、これは本当に、厚生労働大臣、加藤大臣、官房長官もなされて、すごく発信力がありますし、私はこの委員会でも再三再度、リスクコミュニケーションが大切だと言ってきました。ですから、打つメリット、デメリット、打たないメリット、デメリットも含めて、これをしっかり、医療DXと言われておりますので、副反応の情報もそう、後遺症の情報もそう、患者さんの情報を、VRSとHER―SYSとそして一般の電子カルテを連結してNDBにまとめていくというのもありますので、そういった情報を、厚労省がリアルタイムに、より早くやって、科学的根拠に基づいて国民に発信して、ワクチン行政を進めていくということをしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 多岐にお触れになられたので、全部にはお答えできないんですけれども。

 ただ、お話があるように、エビデンスに基づこうとすれば、エビデンスが集まってこなきゃできない。そして、今の実態をリアルタイムで見なきゃいけない。そういった意味においては、医療DXの基盤をしっかりつくり上げて、そして、そこに必要な情報、必要なところに必要な情報が集まっていく、この仕組みをつくっていく、まさにそのとおりだというふうに思います。

 そして、まだそこまで至っていませんから、その至るプロセスの中において、その時々において我々が知り得たところ、これを、まずそういった基本的な様々な情報を、専門家においてまずしっかり分析をしていただいて、そして、それぞれの判断をしていただく、そしてその内容についてかみ砕きながら、分かりやすく国民の皆さんに伝えていく、こういった努力を引き続きしていきたいというふうに思います。

仁木委員 この疾病の分類というのは非常に大きくて、いまだに例えば一般の診療にも影響を与えていますし、そもそも、病院に一旦大切な家族が入院したら面会できない。介護施設もそういう面会制限になっていますし、また、さっき言った例えば帝王切開のリスクが増えてしまっているとかいう、社会的なそういった理由によって、本当の医学的な理由でそういうふうになっていない。今までのルーティン的な一般診療と違うような状態が起こっているのが今のコロナ感染症でございますので、そこにおいて、やはりこの疾病分類というのは非常に大切なんですね。

 だから、それを厚労大臣あるいは総理大臣に上げていく大切なアドバイザリーボードのメンバーは、私は、常勤であり、そして、日本版CDCですけれども、例えば、本場のアメリカは、スタッフが一万五千人いて、そして年間の予算が一兆二千億円。これはもちろん国の規模とか違いますけれども、そういった意気込みの組織なわけでございまして、そこを、日本版CDCという以上、やはり、疾病分類のことを申し上げましたけれども、そこが科学的根拠に基づいた司令塔となって、そういった国民を疾病から守っていく、いろいろなリスクから守っていく、そういうふうな体制づくりを改めてお願いしたいと思います。

 大臣、もしもありましたら、一言お願いします。

加藤国務大臣 まさにその専門的組織というものを機能するような形でしっかりつくり上げるべく、今、中で検討をさせていただき、次の国会に提出をさせていただき、御議論いただければというふうに思っております。

仁木委員 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る十一月一日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十一月一日火曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十七分散会


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