衆議院

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第5号 令和4年11月2日(水曜日)

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令和四年十一月二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      畦元 将吾君    今枝宗一郎君

      上杉謙太郎君    上田 英俊君

      加藤 竜祥君    勝目  康君

      川崎ひでと君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    小森 卓郎君

      後藤田正純君    高村 正大君

      齋藤  健君    塩崎 彰久君

      新谷 正義君    田村 憲久君

      高階恵美子君    土田  慎君

      中曽根康隆君    西野 太亮君

      橋本  岳君    長谷川淳二君

      古川 直季君    穂坂  泰君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      牧原 秀樹君    松本  尚君

      三谷 英弘君    山口  晋君

      阿部 知子君    荒井  優君

      井坂 信彦君    大西 健介君

      野間  健君    森山 浩行君

      山井 和則君    吉田 統彦君

      吉田はるみ君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    遠藤 良太君

      吉田とも代君    古屋 範子君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    吉良 州司君

    …………………………………

   議員           池下  卓君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   文部科学大臣政務官    伊藤 孝江君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設立準備室審議官)     野村 知司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 馬場  健君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (国立感染症研究所長)  脇田 隆字君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           五十嵐徹人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           住友 一仁君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 新垣 慶太君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     小森 卓郎君

  小泉進次郎君     穂坂  泰君

  高村 正大君     中曽根康隆君

  塩崎 彰久君     西野 太亮君

  長谷川淳二君     山口  晋君

  三谷 英弘君     古川 直季君

  大西 健介君     森山 浩行君

  西村智奈美君     荒井  優君

  吉田 統彦君     吉田はるみ君

  仁木 博文君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     加藤 竜祥君

  中曽根康隆君     今枝宗一郎君

  西野 太亮君     塩崎 彰久君

  古川 直季君     三谷 英弘君

  穂坂  泰君     本田 太郎君

  山口  晋君     長谷川淳二君

  荒井  優君     西村智奈美君

  森山 浩行君     大西 健介君

  吉田はるみ君     吉田 統彦君

  吉良 州司君     仁木 博文君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     上杉謙太郎君

  加藤 竜祥君     勝目  康君

  本田 太郎君     小泉進次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     高村 正大君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 国民本位の新たな感染症対策を樹立するための感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び予防接種法の一部を改正する法律案(早稲田ゆき君外八名提出、衆法第五号)

 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案(早稲田ゆき君外八名提出、衆法第六号)


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案並びに早稲田ゆき君外八名提出、国民本位の新たな感染症対策を樹立するための感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び予防接種法の一部を改正する法律案及び新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房こども家庭庁設立準備室審議官野村知司君、総務省大臣官房審議官馬場健君、文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官浅沼一成君、大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官城克文君、大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、医政局長榎本健太郎君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長八神敦雄君、労働基準局長鈴木英二郎君、老健局長大西証史君、保険局長伊原和人君、国立感染症研究所長脇田隆字君、国土交通省大臣官房審議官五十嵐徹人君、大臣官房審議官住友一仁君、航空局次長新垣慶太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松本尚君。

松本(尚)委員 おはようございます。自由民主党の松本尚でございます。

 質問の機会を与えていただき、委員の皆様には感謝を申し上げたいと思います。

 本日は、感染症法の改正及び医療法の改正について質問をしたいというふうに思います。

 コロナの感染症は足かけもう三年にもわたります。必要なときに必要な病床やあるいは医師、看護師、これがなかなか、医療従事者というか、国民全体に十分に確保できなかったという状況に見舞われたわけであります。

 私も、千葉県の災害医療コーディネーターとして二〇二〇年の三月から千葉県庁でこの対策に当たっておりました。当初は、災害医療コーディネーターが一言かければ病床はすぐに集まるし、医師、看護師もすぐに集まってくれるんだろうというふうに思っておりましたけれども、これがまたなかなか前に進まないということで、随分と悔しい思いをしました。原因はたくさんあったと思いますけれども、そもそも、そういったルールを、我々は十分なものを持っていなかったということが一番大きな原因だったんだろうと思います。

 今般の感染症法の改正というのは、こういった反省を踏まえて、この事態に対応するために改正が行われたものだろうというふうに理解をしておりますし、その内容については、私も基本的に賛成をするところであります。

 医療の世界に身を置いていた者としては、その立場からこの感染症法の改正を眺めますと、一つだけちょっと懸念の生じる部分があるということで、まず、それについての確認をしておきたいなと思うわけであります。

 条文には、公立・公的医療機関、特定機能病院及び地域医療支援病院については、その機能を踏まえ、感染症発生、蔓延時に担うべき医療の提供を義務づけとあります。この際、義務づけられることを忌避して、嫌がって、医療従事者の皆さんがそういった当該医療機関での勤務から離れてしまう、例えば、義務づけのない民間の病院やあるいは都道府県との協定を締結していない医療機関での勤務に、平時のときから人材が移ってしまうという可能性が出てくるんじゃないかということを非常に私、心配をしているわけであります。

 このことについて、どのように認識しているか、あるいはどういう対策を考えているかということを、まず加藤厚生労働大臣に伺いたいと思います。

加藤国務大臣 今お話ありました、松本委員におかれても千葉においてそうした災害医療コーディネーターとして御活躍をいただいて、今回の、やはりそれぞれの病院にとってみても、まさに急にものが降ってきて、えっというものの連続だったんだろうというふうに思います。

 そういった意味で、きちんとした備えをしておく、備えというのは、まさに物資、体制、そして心といいますか、自分たちにはどういうものが、パンデミックになったときには役割が、担うことになるのか、そこをしっかり認識していただくということが非常に大事だと思っております。

 そういった意味で、協定をする、あるいは、それぞれの病院にこういったことがお願いされることがあるということをむしろはっきりさせておくこと自体が、いざとなったときに、そうした病院そしてそこで働く方の協力を得る、こういうことに私はつながっていくんじゃないかと。

 今回、そういった意味で、個々については申し上げませんが、それに必要な措置を、事前にどういうことが求められるのか、その病院に対してどういう経済的な支援、あるいは、様々な防護服等の供給もいたします、そういったことも含めて、あらかじめ決め、また、平時にそういう準備をしていく、そういった体制をつくる、それが結果的に有事における人材確保にもつながっていくんじゃないかなというふうに思っております。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 昨日の本委員会の参考人質疑において、日本医療法人協会の加納繁照会長は、二〇二〇年度の税引き後総損益が、医療法人では六・二%であったのに対して、公立病院では二倍の一二・五%であったというふうにこの場で発表されておりました。私、これを聞いておりまして、このことは、公立・公的医療機関、特定機能病院及び地域医療支援病院が感染症発生、蔓延時に医療の提供を義務づけられることに対しての対価というものが十分に支払われていたというふうにも解釈できるのかなというふうに思いました。

 こういった医療機関に勤務する医療スタッフの皆さんにとっては、事前に十分な手当が支払われている方が働きがいがあるのか、あるいは、このように後になってしっかりとその対価が医療機関の方に落ちてくるということがあるのが、どちらがいいかというような議論にもなろうかというふうに思います。

 今、加藤大臣のお話だと、事前にはっきりさせておくことで、しっかりとそれに対応していただこうというふうなお答えだったと思いますけれども、先に対価を払っておいて、だからしっかりと、いざというときには仕事をしてくださいねというふうにするのか、あるいは、事前にはっきりとさせておいて、後でしっかり払いますからねというふうにやるのがいいかということの問題だと思いますけれども、今般の改正によると、それは後で払うというような格好になると思いますけれども、これについての認識というか見解はいかがでしょうか。大臣、ちょっとお願いします。

加藤国務大臣 どの段階でというか、今回でも、感染がスタートしたときに、協力医療機関に対しては、その間、例えば診療報酬改定等はすぐに追いつきませんから、それに対してはちゃんと支援しますということ、これはあらかじめ申し上げております。それから、その段階における施設整備等に対して、平時からこれは支援をしますと。さらに、そこから先になると、これはその状況状況の中で何が必要になってくるか分かりませんから、一般論としては、もちろん、各都道府県が支援をする、そして、それに対して国も支援をする、こういう仕組みをつくらせていただいて、ただ、その具体的なメニュー等については、その段階その段階でよく御意見も聞きながら進めていくということになるんだろうというふうに思います。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 先般、看護協会のある会長さんとお話ししたときに、看護師さんたちはもう相当疲弊をしているということなので、いわゆるプロフェッショナリズムだけで対応し切れなくなっている部分もあるのかなというふうに思いました。何らかの対価というようなもの、何かそういったものをしっかりと国の方で面倒を見るからというようなところも明確にしていただければ、こういった法律の改正がより実効性を持つものではないかというふうに思って質問をさせていただきました。ありがとうございます。

 次に、医療法の改正についてちょっと質問をしたいと思います。

 私は、災害派遣医療チーム、いわゆるDMATの創設から深く関わらせていただきました。今般のコロナの対策についても、当初想定にはなかった感染症の対応をDMATがやらざるを得なかったという部分もあると思います。

 そういったことも含めて、私は、本年二月の十七日の予算委員会の第五分科会において、このDMATをちゃんと法制化をして、その上で、DMATが安心して仕事ができるような仕組みをつくってほしいということで、当時の後藤厚生労働大臣に質問をさせていただきまして、DMATを始めとする医療チームの在り方について検討していくというふうな御回答をいただいたところであります。

 この答弁を受けてのことかどうかは別にしまして、今回の医療法の改正においては、災害・感染症医療業務従事者又は医療隊、以下、医療隊と約しますが、定義され、国がこれを養成し、登録するということになっております。

 ここで改めて確認をしておきたいのですが、この医療隊というのは、現行の災害時の医療派遣チームの何を想定しているものでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘いただきましたように、この改正案におきましては、医師、看護師その他の災害、感染症業務に関する必要な知識及び技能を有する者であって厚生労働大臣が実施する研修の課程を修了した者を災害・感染症医療業務従事者として登録をし、その一隊を医療隊として定義しているところでございます。

 今お尋ねいただきましたこの医療隊でございますが、これは、厚生労働大臣が実施する研修でございますけれども、現在、厚生労働省によって行っております災害医療派遣チーム、DMATの隊員養成研修、及び災害派遣精神医療チーム、DPATの隊員養成研修を想定しておりまして、災害医療派遣チーム及び災害派遣精神医療チーム、DMAT、DPATが医療隊に相当するということとなると考えておるところでございます。

松本(尚)委員 DMATの事務局等と現場で活躍している皆さんにこういった法律の内容を聞きますと、法律の中身の部分にDMATという言葉が出てこない、非常にそれが心配だということを伺ったものですから、今確認をさせていただきました。DMATあるいはDPATを対象としているということで確認が取れたと思います。

 もう一点確認をしたいのでありますけれども、今回の感染症法の改正では、新型インフルエンザ等感染症医療担当従事者というものが規定をされているわけでありますが、これは、医療法の改正における、今の災害・感染症医療業務従事者又は医療隊とどういう関係性を持っているかということを確認させていただきたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねいただきました、この改正法案におけます新型インフルエンザ等感染症医療担当従事者でございますが、これは、感染症の発生、蔓延時におきまして広域派遣の対象となる医師、看護師その他の医療従事者を指しているものでございます。

 この中には、先ほど申し上げた医療法上の災害・感染症医療業務従事者も含まれるというふうに考えておるところでございます。

松本(尚)委員 ありがとうございます。今のお答えで、この両者の関係性が明確になったというふうに思います。

 さて、感染症法の改正案の中で、実は、厚生労働大臣は、広域的な人材の確保に係る応援の調整の緊急の必要があると認めるときは、応援の調整の求めがない場合であっても、都道府県知事に対し、応援を求めることができるというふうに書いてあります。

 これは、国、厚生労働大臣が主導して新型インフルエンザ等感染症医療担当従事者を、今の場合はDMATを含む災害・感染症医療業務従事者というものを含むということですから、その派遣を行えるものというふうに理解できます。

 このことは、国が直接に医療提供即応集団、DMATを中心としたそういった集団を動かすことになり、結果として、国の政策を迅速に実装できるということを担保できるんだというふうに私は思っています。感染症の発生や蔓延時のみならず、自然災害の対応について、むしろ自然災害に対してこそ、このように国が主体となって迅速な対応を可能にしていく必要があるというふうに思っているわけです。

 そこで、厚生労働大臣に質問したいんですが、この医療法の改正の中において、医療隊の派遣の主体というのは都道府県知事に、条文上なっております。迅速な派遣を可能にするため、厚生労働省から直接に医療隊の出動を指示できる、いわゆるプッシュ型の派遣というのは、今般の法律の改正あるいは他の法律の中において可能なのかどうかということを確認しておきたいというふうに思います。

加藤国務大臣 災害時の医療隊の派遣については、従来より、災害対策基本法の規定に基づいて、内閣総理大臣は、被災都道府県からの応援の要求を待ついとまがないときは、その要求を待たずに、被災をしていない都道府県に対し、当該被災都道府県に対する応援を求めることができるという仕組みが基本的に載っております。

 したがって、いわゆる国によるプッシュ型の調整が可能となっており、この仕組みの中での今般の医療法で位置づけることとしている、これは、この位置づけは今回の医療法でありますが、医療隊の派遣も可能だというふうに考えております。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 厚生労働大臣が医療者の応援をしっかりと指導できるというか、求めることができるという内容をしっかりつくっておくということが非常に必要なことだと私は思っていますので、今の答弁で理解ができるかと思います。

 もう一つ、同時に、被災していない都道府県に対して医療隊の派遣依頼及び派遣の調整というのを行えるか。すなわち、プッシュ型の派遣を被災していない都道府県に対して要請することは可能かどうかということです。

 意図は、要は、被災している都道府県はそういった医療隊の派遣は必要としている、だけれども、周りの被災していない都道府県がそれをぼうっと見ているというのはよくないので、その場合にはしっかりと国の指導で、被災地に派遣をしなさい、そういった要請ということも今の答弁の中で可能であるというふうに理解してよろしいでしょうか。厚生労働大臣、お願いします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 災害対策基本法の条文上は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合ということで、発生しているということが基本的には前提となった条文構成になっておりますので、発生していない場合ということはちょっと想定、今の条文上はなかなか難しいという状況でございます。

松本(尚)委員 ここはちょっと、大事なので、もう一回確認をさせていただきたいと思います。

 被災県以外のところが被災県に応援をするという意図で質問をしたので、被災していないところがこれから先被災するかもしれないという話ではなくて、隣とかもっと離れた地域の医療隊を被災地に派遣させることが国の主導でできるかどうかということを質問したいと思っています。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 被災していない都道府県が派遣することができるかというお尋ねかと思いますが、今の仕組みの、法律上の枠組みの上ではそれはできない状況になっているということでございます。

松本(尚)委員 今まで幾らでもやってきていますよね。それはどういうたてつけでやっているんでしょうか。例えば東日本のときに、全く被災をしていない県からDMATが東日本の震災に出動していますから。これは今までの何か法律のたてつけでちゃんと出動させていたはずですよね。

加藤国務大臣 多分それは災害対策基本法ということになるので、ちょっと私どもでそこまで、ちょっと今手元になく、解釈をする立場でもないんですが、ちょっと、今おっしゃる質問のところはよく理解しますので、後日、報告をさせて、説明をさせていただきたいと思います。

松本(尚)委員 ありがとうございます。僕が言いたいのは、今までやっていることをきちんとこの場において、法的にちゃんとそれは正しくやれていたんだよということを確認をしたかったので、是非そのお答えをいただきたいというふうに思います。ありがとうございます。

 私がこの一年間、DMATの法制化を主張してきた真意というのは、自然災害の発生や感染症の蔓延時において迅速に医療を提供しようとする際に、即応させることのできる医療集団がDMATであり、国が彼らを直接に派遣できることを確実にしておきたかった、そういう意図であります。この点において、今のやり取りの中で、国がプッシュ型の派遣を可能にしているということが明確になりましたので、非常に、今の大臣の答弁、貴重なものだというふうに思っております。

 さて、今回のコロナ禍では、全都道府県の七七%がDMATに対して都道府県庁の本部でのコロナ対策業務を委ねていたという、DMAT事務局の調査があります。これまでの自然災害の出動実績などを振り返っても、もう既にこのDMATの活動の主軸というのは、災害や感染症の発生、蔓延時における対策、それの企画立案とか医療調整業務にかなり移ってきているということも言えるかと思っております。事実、私も千葉県庁内でやっていたことはほとんどそういった仕事ばかりをやっていたわけですけれども。

 そこで、今回の医療法の改正において、医療隊が実施する医療提供の内容に、これまでDMATが行ってきた都道府県庁でのこういった対策の企画立案あるいは医療調整業務というのは含まれているんでしょうか、そうではないんでしょうか。これを確認させていただきたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 このDMATの、DMATといいますか、医療隊の派遣に当たりまして、今御指摘いただきましたように、本部調整業務なんかも各都道府県で行っているところでございますが、今回の改正法案の中におきましては、DMATなどの災害・感染症業務従事者が行うこととされております災害医療やあるいは感染症発生、蔓延時における医療の確保に係る業務につきまして、これまでDMATなどが行ってまいりました都道府県庁での本部調整業務も含まれるというふうに考えているところでございます。

 また、こういった業務を担当されるチームというのもあるかと思いますけれども、医師以外の者のみがそういった調整を行うというケースもあったかと思いますが、そういったものも可能だというふうに考えているところでございます。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 今、医政局長お答えになったように、いわゆる調整業務だけやるチームというのが必要というか、あるんですけれども、その医療調整業務をやっている人たちというのの能力というのは非常に高いものがありまして、彼らをこういった業務の中にしっかり入れてあげて活躍の場を担保してあげたいというふうに思っておりましたので、今の御答弁は非常にありがたいというふうに思います。

 さて、医療隊の研修とかあるいは派遣、こういったものは、派遣する側の病院にとって、いわゆるDMATのスタッフたちが勤めている医療機関にとっては、派遣したとき、あるいは研修に行ったり教えに行ったりするとき、通常業務をかなり制限しなければならなくなっているわけであります。その場合に、院内の人員配置の調整による負担、お金もかかるかもしれません、ほかの人の負担も増えるかもしれません。こういったものが起こっているというのが実は問題になっていて、十分に大手を振って派遣に行くとか、あるいは研修等々に行くとか、研修のインストラクターとして業務を休んで行くとかということが非常にやりにくくなっているということもあります。

 こういった問題というのは事前に解決しておかないと、せっかく今回の法律を改正しても、それが円滑に実施されるということが妨げられる可能性があるんだろうというふうに思います。

 少なくとも医療隊を保持する、協定している、協定の締結病院には、そういったものに対してしっかりとインセンティブを与えておくことで、そういった負担を少しでも軽減できるんじゃないかというふうに思料するところでありますが、こういった協定締結病院が医療隊を保持すること及び出動すること、あるいは医療隊の研修及び訓練の指導者、インストラクターに対して、当該資格を保持し続けることに対するインセンティブについてどういうふうにお考えになっているか、厚生労働省の見解をお伺いしたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 災害が発生するときと、それから感染症の対応を行うときと、ちょっと二つ、整理をしながらお答え申し上げたいと思います。

 まず、災害が発生したときでございますけれども、そういったときに、やはり医療提供の中心的な役割を担っていただくのは災害拠点病院や災害拠点精神科病院ということになってまいりますが、それぞれ、DMATやDPATを保有するということを要件としているところでございます。

 こういった病院に対しましては、耐震構造や非常用自家発電設備の整備をされていただくときに財政的な支援をこれまでも行ってきているというところでございます。

 また、災害時に活動されるDMAT、DPATの活動費用や、あるいは事故等が発生した際の補償につきましては、厚生労働省が定めております活動要領におきまして、都道府県と医療機関等の間であらかじめ締結する協定の中で定めるということにしているところでございます。

 それから次に、感染症が発生したり、あるいは蔓延しているといったときの対応でございます。

 今般の改正感染症法法案の中では、感染症が発生、蔓延したときにおいて、都道府県からの、協定に基づいて医療機関が医療人材を派遣した場合の活動費用についてでございますが、これは都道府県が支弁しなければならないということを条文上明確に規定をするということとしてございます。

 さらに、今般の改正法案によって、DMATなどの養成、登録の仕組みに加えて、国による研修、訓練などの対応についての規定を設けたところでございまして、今後ともそういった研修などの充実に努めていくことで対応していくようにしていきたいというふうに考えているところでございます。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 是非、こういった医療派遣の人たち、スタッフたちが安心して研修に出られたり、あるいは派遣に出動したりするという環境を、是非、今の答弁の中においても、つくっていただけるように努力をしていただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。

 当然、今のお答えの中には、医療隊が現場に行くときの身分保障とか派遣中の保険等の加入についても、それが含まれているというふうに理解してよろしいんでしょうか。これも厚生労働省からお願いします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました、DMATで活動されておられる中で事故が発生した際の補償ということでございますが、先ほど御紹介した、厚生労働省が出しております活動要領におきまして、感染症対応も位置づけたところでございます。そういう意味で、都道府県と医療機関等の間の締結する協定の中でこれを定めて運用していくという形になっているところでございます。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 今般のコロナ対応では、国の包括的な支援金で直接な財源の担保があったので、全国一律に、感染症に対応する医療スタッフを派遣するということに対しては十分な補償等々があったというふうに思います。しかしながら、過去のDMATの派遣においては、財政的に厳しい都道府県が財源を確保できなかったり、あるいは、災害救助法の適用にならないようなレベルの災害のときに、当該の都道府県が費用をなかなか支弁できなかったりしてもめたというか、問題になった事案がありました。

 こういったような事態に対して、都道府県ではなく国がその財政的支援をするということをある程度、ふだんから担保しておいてあげないと、安心して医療スタッフの皆さんはそういった場所に、感染症であれ、自然災害であれ、派遣されるということは非常に抵抗感が出てくるんだろうというふうに思うんですけれども、それについて厚生労働省はどういうふうにお考えか、お聞きしたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねいただきました、災害救助法が適用されないような災害あるいは多数、傷病者が発生する事故などにつきまして、医療隊のDMATが派遣された際に要する費用についてお尋ねでございますが、これについては国が補助金によって二分の一を負担するということとしてございます。

 一方で、新興感染症の蔓延時などにおいて、医療隊の派遣費用につきましては、今回の改正法案におきましては、法令に定めがある場合又は予算の範囲内において特別の措置を講じている場合を除くほか、都道府県が支弁するものとするというふうに規定をしているところでございます。

 今般、新型コロナへの対応の中では、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業という中で、DMAT、DPATなど医療チームの派遣事業につきましても予算措置がされているところでございまして、今後、新たに新興感染症が蔓延するような事態が生じた場合には、国としても必要な予算措置ができるようにしっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 令和五年度の概算要求でも、今お話のありましたDMAT、DPAT活動支援事業ということで、いざというときにしっかりそういったお金を支弁できるというふうな仕組みをつくられているということであります。

 実は、派遣される側の医療スタッフはそういうことは余りよく知らなくて、ちゃんとお金は出るんでしょうねみたいな話というのは、結構、現場でも頻繁に出てきたことであります。是非、厚生労働省の方は、災害拠点病院のDMAT、DPAT、こういった人たちに対して、毎年必ずこういう予算をつけているから安心して出ていってくださいということをきちんと説明をしておいていただきたいというふうに思います。

 必ず、この派遣は後でお金どうなるのというのは、本人たちもそうですし、それから、病院側もすごく気になるわけですよ。特に私も病院の副院長をやっていましたから、そういった場合にしっかりと対価が出てくるんだよね、少なくとも、御褒美じゃなくても、必要な経費はきちんと出してくれるんですよねということを、毎度毎度その話になりますので、毎年ちゃんと厚労省は予算をつけているんだということをしっかりとインフォメーションいただければというふうに思います。

 時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、長谷川淳二君。

長谷川委員 おはようございます。自由民主党の長谷川淳二でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 政府提出の感染症法等の改正案について、早速質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、今回の改正案では、医療提供体制の整備に関しまして、都道府県が予防計画であらかじめ入院確保病床数を定めまして、医療機関との協定によって、感染症発生、蔓延時における必要な病床を確保する仕組みを導入することとしています。今般のコロナ対応を踏まえまして、次の感染症有事に備え、平時から感染拡大時に対応できる病床を確保する仕組みを設けていく必要性は極めて高いと考えております。

 そこで、まず、改正法案に盛り込まれたこの病床確保の仕組みをいかに機能させるかという観点から質問させていただきたいと思います。

 まず、配付させていただいた資料の一ページを御覧いただきたいと思います。

 これは、令和三年一月に、急性期病床を有する四千三百医療機関に対して、コロナ患者の受入れ可能かどうかを調査したものでございます。受入れ可能とした急性期病床を有する公立病院が七三%、公的等が八四%、民間は三〇%ということでございます。新型コロナ対応では、公立・公的病院がコロナ患者の受入れで大きな役割を果たしているところでございます。

 私の地元の愛媛県でも、県立中央病院を中核に、市立宇和島病院や市立八幡浜総合病院などの公立病院が、コロナ医療を担っているところでございます。

 さらに、今回の改正案では、公立・公的医療機関には、感染症発生、蔓延時の医療提供体制、医療提供を義務づけることとなっております。

 私は、愛媛県の副知事在職時に、地域医療構想の策定に携わらせていただきました。人口減少を見据えた病床機能の在り方、特に急性期医療の在り方については随分議論させていただきました。また、公立・公的病院の再検証対象リストをめぐる一連の経緯もございました。

 今回の改正法案に基づいて、都道府県は、次の感染症有事に備えて公立・公的病院に、要は、一定の急性期病床を確保しつつ、中長期的には急性期病床の集約の要素のある地域医療構想を進めなければならないという、大変難しい課題に対応していかなければならないのではないかと思います。

 そこで、感染症有事に備えた病床の確保と中長期的な地域医療構想の推進、この両立を図るため、国と地方の協議の場などにおいて、都道府県とどのように協議を行い、また医療提供体制の見直しを進めていく方針なのか、大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 今回の新型コロナのような新興感染症の感染拡大のときには、機動的に対応できるよう、地域の医療機関における役割分担、連携の強化、弾力的な対応を可能とする医療従事者等の配置などが必要であり、このため、今般の改正で、今委員からもお話がありましたけれども、各都道府県知事が各医療機関と協議を行って全体としての計画を立て、それをブレークダウンして各医療機関との間の協定に結びつける、こういった仕組みを法制化するということであります。そういうことによって、それぞれの地域において感染症が拡大したときに、どの病院がどういうことを役割をするのかということがより明確になっていくということがまずあると思います。

 他方で、地域医療構想は、中長期的な人口構造の変化、またそれに伴う地域の医療ニーズの変化に応じて、病床機能の分化、連携により質の高い効率的な医療体制の確保を目指すというところがメインでありますので、もちろん、その中においては病床を削減したり統合するのもあるでしょうし。ただ、それが目的ではなくて、それは手段であって、地域の中でどう地域の人口構造の変化等に対応できる体制をつくるかということであります。

 そのときに、余りこの感染症の話がそれまで念頭になかったわけですが、今回、逆に言うと、新型コロナの感染症もしっかり念頭に置く。そしてさらに、具体的に、今申し上げた地域における計画とか各病院ごとに協定をつくるわけですから、それによって各病院の役割もはっきりするわけなんです。それらも踏まえて、更にこの地域医療構想を進めていただきたいというふうに思っております。

 また、私どもとしても、地域医療構想を地方自治体と連携しながら進めてきたわけでありますが、今後、高齢者人口がピークを迎えて減少に転ずる二〇四〇年頃を視野に入れつつ、今申し上げた新型コロナ禍で顕在化した課題、あるいは今回の感染症法等の改正案で求められているこうした中身も入れて、これをどう整理していくのか、またそれに向けてどう取組を進めていくのか、一緒になって議論を深めていきたいと考えております。

長谷川委員 ありがとうございます。

 そして、感染症有事の際に対応可能な病床を確保するためには、公立・公的病院だけでなく、やはり多くの病床を担う民間の医療機関の協力が不可欠であると思います。

 資料の二ページを御覧いただきたいと思いますが、現状、急性期病床を有していますが新型コロナ患者を受け入れない、できないとしたのが、やはり病床数の少ない民間病院に偏っているところでございます。

 民間医療機関に対して、感染症発生、蔓延時における病床の確保を求める、要請するとともに、中長期的には地域医療構想に沿った病床機能の分化、連携を進めていく必要性、これは民間医療機関としても同等に必要だと思います。民間医療機関に対して、こうした感染症有事に備えた病床の確保や、地域医療構想の推進をどのように要請していく方針なのかをお伺いしたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、御提案しております改正法案におきましては、感染症発生、蔓延時におきます地域の医療提供体制を確保するために、民間医療機関を含めた全ての医療機関に対しまして都道府県との協定の協議に応じる義務などを課すこととしておりまして、協定締結のプロセスを通じてそれぞれの医療機関にできる限りの御協力をいただくということが重要であるというふうに考えております。

 また、御指摘ありました地域医療構想でもございますが、先ほど大臣からも御答弁申し上げたように、中長期的な人口構造の変化、あるいは地域の医療ニーズに応じた医療提供体制の確保を目指しまして、ちょうど本年三月に、各都道府県に対して、第八次医療計画、これは二〇二四年から二〇二九年度になりますけれども、その策定作業が二〇二三年度にかけて進められる際に、これと併せて、民間医療機関も含めた各医療機関の対応方針の策定や検証、見直しを行うということを求めたところでございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、今後とも、地域の実情を十分に踏まえて、地方自治体ともよく連携しながら、地域医療構想を着実に進めてまいりたいと考えているところでございます。

長谷川委員 ありがとうございます。

 感染症有事に備えた病床確保と中長期的な地域医療構想、やはり時間軸の違いをしっかり理解、認識をして各現場で取り組んでいただく必要があると思いますので、特段の取組をお願いしたいと思います。

 次に、財政支援措置についてお伺いをしたいと思います。

 今回の改正案では、都道府県と医療機関の協定の実効性を確保するための様々な履行確保措置が盛り込まれていますが、同時に、やはり病床を確保することによる減収に対して財政的な手当てを行う仕組みも重要であろうかと思います。

 現在、コロナ患者を受け入れるための病床を継続的に確保していくための財政支援措置として、緊急包括支援交付金において、即応病床に対する病床確保料が交付をされております。

 この確保料については、コロナ患者の受入れに大きな効果を発揮したと指摘されている一方、即応病床と申告されながら、感染ピーク時にも使用されなかった病床、いわゆる幽霊病床の問題も指摘されているところでございます。病床確保料は、令和二年度に約一・一兆円、令和三年度に約一・九兆円の公費が投入をされております。

 そこで、病床確保料の実績に対する評価はどうか、また、現在、病床確保料の見直しを進めておられると伺っていますが、病床確保料の見直しはどのようなものか、さらに、今回の見直しに対して都道府県や医療機関からの意見にどのように対応されているかをお伺いします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました、コロナ患者さんの病床を継続的に確保していくための支援でございます、いわゆる病床確保料についてでございますが、令和二年度から令和四年度の累計では、新型コロナ緊急包括支援交付金を約六・八兆円確保して支援を行ってきたところでございます。

 こうした取組によりまして、例えばこの夏の感染拡大時には最大で全国約四・八万床の病床確保を実現したというところでございまして、この病床確保料によります支援は、コロナ対応に必要な医療提供体制を構築する上で必要な取組であったというふうに考えているところでございます。

 その上で、制度見直しの話、御指摘がございましたけれども、コロナ禍が長期化する中で、今回、救急搬送の受入れ困難事例が増加したりしたといったようなことなどで通常診療の逼迫が顕在化した、また、オミクロン株によって重症者が減少したということも明らかになってきたということでございますので、そういった状況を踏まえまして、本年一月以降、コロナ病床にコロナ患者以外の患者の受入れも可能であるということを明確化いたしまして、通常診療とコロナ診療の両立を推進してきているところでございます。

 こうした中で、病床確保料については、本年九月末を補助期限としていたところ、補助単価などの基本的枠組みは維持をして病床確保料の効率化を図りつつ、通常医療とコロナ医療の両立を促進するというために、医療機関の診療収入額と病床確保料の合計がコロナ流行前の診療収入額の一定水準以上であって、かつ、即応病床使用率が五〇%未満の場合に限り、病床確保料を調整するという仕組みを導入することとしたところでございます。

 その際は、やはり地域の実情に応じた対応が可能となるよう、これまで自治体、現場からもいろいろな御意見を頂戴しておりますので、具体的には、例えば、感染拡大期に都道府県がフェーズを引き上げた際に新たに即応化した病床について最大二週間は即応病床使用率の算定対象から除外できるようにするということ、また、小児などの特定の疾患用の即応病床は即応病床使用率の算定対象から除外できるという形にするということで、現場の状況に応じた対応ができるような形にしていくということを先週金曜日、十月二十八日にお示しをしたところでございます。

 この冬の感染拡大を想定いたしますと、やはり引き続き全体の確保病床数、これは維持をしていきたいというふうに考えておりまして、そのためには、やはり医療機関の御理解、御協力が不可欠でありますことから、現場の様々な事情を踏まえて、御意見を伺いながら、必要に応じて柔軟な対応ができるように引き続き調整してまいりたいというふうに考えております。

長谷川委員 ありがとうございます。

 病床確保料が国民の税負担によって賄われている以上、適正な執行を確保することが重要ですが、第八波の感染拡大も懸念されておりますので、現場と十分協議しながら見直しを進めていただきたいと思います。

 次に、資料の三ページを御覧いただきたいと思います。

 先ほど来お伺いしている病床確保料に関してなんですが、現在、このコロナウイルスの感染症対応においては、予算上の措置として、全額国費で病床確保料は対応されています。一方、今回の改正案では、感染症対応の病床確保に要する費用について、都道府県がその一定割合を負担する規定が新設をされております。

 そこで、今回の改正案において、コロナ対応と異なり、都道府県の財政負担を求める制度とした理由、また、都道府県の財政負担が入ることになれば、やはり財政力の弱い団体では対応が十分に実施できなくなるという懸念もございます。感染症有事に備えて国が責任を持って財政支援措置を講じるべきと考えますが、大臣の御所見をお伺いします。

加藤国務大臣 まず、既存の感染症法では、感染症の蔓延防止等に係る措置の実施主体を、感染症に関し専門性を有する保健所がある都道府県等を基本とし、その上で、費用負担については、当該措置を実施した者が支弁し、その一部を国が補助又は負担する、こういう構造になっております。

 今回の改正案では、都道府県による病床確保等のための協定の仕組みを想定し、法に基づく措置として、協定締結医療機関等が病床確保等の必要な措置を実施することとなります。これにより、協定締結医療機関等が実施する措置に関する費用について新たに都道府県の負担が生じることになるわけであります。

 現行の感染症法の財政支援規定の多くは、国の補助負担割合は二分一、大体ほかも含めてこれが基本パターンでありますが、今回の協定締結医療機関等が実施する措置に関する費用については、その内容の重要さ等を鑑みて、国の補助割合は四分の三ということで、通常よりも高い補助率を適用させていただいております。

 さらに、地方公共団体等からも様々な御意見もいただいておりまして、九月二日の政府対策本部決定では、次期通常国会の提出を目指す新型インフルエンザ等対策特別法の改正法案において、地方公共団体が感染症拡大防止措置に係る財源を確保しやすくなるよう、地方債の特例規定の創設を含め必要な措置を検討するとされているところでございます。

 これらも踏まえ、地方公共団体において感染症の蔓延防止に全力で取り組んでいけるように、財政負担の今申し上げたような様々な軽減措置等、必要な措置についても具体的な検討をしていきたいと考えております。

長谷川委員 ありがとうございます。

 法制度に位置づける以上、都道府県に応分の負担を求めることは理解いたしますが、やはり感染症有事ですので、大規模災害と同等の財政支援措置が講じられるように、また御検討をお願いしたいと思います。

 続きまして、ワクチン接種の担い手に係る特例についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 資料の四ページを御覧いただきたいと思います。

 今回のコロナ対応におきましては、ワクチン接種の打ち手である医師、看護師の不足の懸念が生じたため、違法性阻却という法解釈によって、歯科医師等が一定の条件の下にワクチン接種の担い手になり得るといたしました。これまで歯科医師等のワクチン接種の実績は、ここにありますとおり、歯科医師が約百八十七万回、臨床検査技師が約十六万回となっています。コロナワクチンの総接種回数は昨日時点で約三億三千万回でございますので、割合としてはごく僅かでございますが、現場の医師や看護師の負担軽減に資するなどの効果があったのではないかと思います。

 そして、今回の改正案では、歯科医師、臨床検査技師等について特例的にワクチン接種の担い手となり得る改正が行われています。この特例措置の検討過程では、薬剤師のワクチン接種も検討課題となったと聞いております。

 そこで、今回の歯科医師等によるワクチン接種への評価と、アメリカ等の一部の国、地域では薬剤師にワクチン接種が認められているとお伺いしていますが、今回の改正案では薬剤師が特例職種の対象とされなかった理由をお伺いします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の違法性阻却の中で、歯科医師などの接種実績につきましては、先ほど先生がお示しいただいた資料のとおりでございます。こういった対応の中で、歯科医師や臨床検査技師、救急救命士の皆様には、令和三年四月当時で約二割の自治体が特設会場において医師、看護師いずれも不足しているといったような回答があった中でワクチン接種に御協力、御尽力をいただいたということでございますので、大変、私どもとしても、心から感謝を申し上げたいというふうに思っているところでございます。

 その上で、感染症が発生、蔓延したときに、ワクチン接種のための注射行為を、これは本来、医師、看護師が行うものではありますが、それ以外の他の職種、医療職種のどこまで拡大するかという点については、これは慎重な検討が必要なところでございます。

 このため、厚生労働省に設置された検討会において議論を行いましたけれども、医療安全を確保するという観点から、注射行為等に関しては、一つは、その基本的な教育を受けているということ、かつ、二つ目として、実際に業務を行う上での技術的基盤を有していること、この二つが重要だということで整理をされたところでございます。

 その結果を踏まえまして、歯科医師、それから診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士及び救急救命士をその対象とすることが適当というふうに結論づけられたところでございます。

 一方、お尋ねいただきました薬剤師でございますが、薬剤師につきましては、注射に関する知識は有しておられるんですけれども、通常の業務、実際の業務においては人体への注射、採血が行われていないということから、今回は対象とはされなかったということでございます。

長谷川委員 ありがとうございます。

 医療安全の観点から、当然、こうした特例的なものが認められるためには、やはり発動基準を厳格にし、また留意事項をしっかりと定め、医師等の監督の下にということで認められるのは当然のことだと思います。

 その上で、今回の改正案では、ワクチン接種や検体採取の担い手を確保するための特例が設けられていますが、国民の生命や健康に重大な影響を与えるおそれのある新興感染症の発生、蔓延時において、やはり、医師の負担を軽減し、診療に専念することができるように、その他の業務についても、担い手たる医師の確保が極めて困難となる場合を想定して、特例的な対応を平時において検討していくことも必要ではないかと思いますが、御所見をお伺いします。

本田大臣政務官 長谷川委員にお答え申し上げます。

 御指摘の、医師からほかの医療機関職種へのタスクシフト・シェア、これの推進につきましては、医師の負担を軽減しつつ、医療関係職種がより専門性を生かせるようにする観点から大変重要であると考えております。

 このため、昨年の医療法等の改正におきまして、例えば、診療放射線技師や臨床工学技士については、静脈路の確保等の業務に係るタスクシフト・シェアを行いました。これを踏まえ、注射行為について両職種は一定の技術的基盤を有していると考えられることから、今般の感染症発生、蔓延時におけるワクチン接種の担い手の対象に加えたところでございます。

 引き続き、感染症発生、蔓延時の対応を見据え、医療現場におけるタスクシフト・シェアを推進してまいりたいと思っております。

長谷川委員 本田政務官、ありがとうございます。

 タスクシフト・シェアは、医師の働き方改革の中で、いわゆる平時ベースでの議論があると思いますが、やはり、こうした感染症有事を想定した特例的なタスクシフト・シェアも重要な課題であると思います。

 続きまして、保健所の体制強化についてお伺いをいたします。

 今回のコロナ禍では、保健所において業務が逼迫し、一番中心的な積極的疫学調査が十分できないという事態が生じました。

 保健所は、昭和十二年の保健所法の制定によって設置をされまして、当時の課題であります結核対策や感染症、伝染病対策など公衆衛生の向上に大きな役割を果たしてきたわけでございますが、住民生活に根差した健康づくりが重視されるようになりました。平成六年に地域保健法に抜本改正され、住民に身近な市町村に権限を移譲する流れが定着をしてきました。

 今回、そうした市町村の区域を越える広域的な対応が求められたコロナ禍において、都道府県、保健所設置市、市町村のいわば分権的な構造、体制が、連携協力が十分できなかったという要因の一つではないかと思います。

 そこで、今回の改正案では、保健所業務が逼迫した場合の応援体制として、保健師等の専門家が保健所業務を支援する仕組み、IHEATの整備が盛り込まれております。このIHEATの仕組みも大変重要だと思います。

 さらに、資料の五ページを御覧いただきたいと思います。

 IHEATの登録人員、約三千五百人ですが、これに対して、市町村保健師、市町村で身近な保健指導や健康管理などを担っていますが、市町村保健師は二万人のマンパワーがございます。愛媛県では、実際に、保健所の業務逼迫を受けて、市町村保健師が派遣されて、コロナ対応に当たっていただきました。

 感染症有事の際に、こうした市町村保健師を保健所に派遣する仕組み、災害派遣と同等の仕組みを制度化することも今後の検討課題ではないかと考えますが、御所見をお伺いしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、保健所設置自治体と市町村の保健師が平時から連携して感染拡大時の役割分担を整理しておくこと、これは、保健所業務の逼迫に備えること及び市町村が平時から適切な保健医療サービスを提供できる体制を整備する観点から、非常に重要と考えております。

 具体的な業務分担としては、例えば、健康観察や生活支援など、住民に身近なところできめ細かなサービスを提供することが望ましい業務について、市町村が保健所設置自治体からの委託を受けて実施すること、また、積極的疫学調査などの技術的、専門的な業務につきまして、保健所が市町村から保健師等の応援派遣を受けながら実施することなどが考えられます。

 こうしたことを含めまして、保健所設置自治体が市町村と平時から協議を行い、明確な役割分担を計画に盛り込むことが必要と考えておりまして、改正案に盛り込みました連携協議会、あるいは予防計画を十分活用して、保健所設置自治体と市町村が連携して対応できる体制の整備を進めてまいりたいと考えております。

長谷川委員 ありがとうございます。

 昨日の参考人質疑でも議論になりました、やはり、保健所のサージキャパシティーの確保には、外部のマンパワーとして市町村保健師の役割というのは非常に大きいと思います。そうした市町村保健師の活用については、また引き続き御検討いただきたいと思います。

 次に、地衛研、地方衛生研究所の機能強化についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 地方衛生研究所は、地域保健法に基づく告示に規定された機関でございます。実際の設置根拠は条例に委ねられまして、人員、予算にばらつきがあるとこれまで指摘されているところでございます。

 資料の六ページを御覧いただきたいと思います。

 地衛研の協議会の感染対策部会長で、私の地元の愛媛県衛生環境研究所の四宮所長さんの作成資料でございます。私も一緒に仕事をさせていただきました。

 コロナ対応においては地衛研が検査体制の強化に取り組みまして、こうした検査体制の増強を図り、資料の七ページにございますとおり、各自治体における第一例目のコロナ症例の大部分は、地衛研で検査、報告をされております。

 さらに、資料の八ページにありますとおり、地衛研は、昨日の脇田所長の陳述にもございますとおり、国立感染研究所とともに、未知の新興感染症に対応するために、ウイルス検査やゲノム解析など極めて重要な役割を担う機関でございます。

 今回の改正案では、地衛研の法的な位置づけについては、地域保健法のいわば分権的な法体系を踏まえまして地衛研の機能を規定したものと理解をしておりますが、感染症有事に備えて、地衛研の機能のより一層の強化を図ることが何より重要であると思います。

 この点、先行しているアメリカでは、資料の九ページでございますが、CDCが中心となって、一九九九年に大統領令によって、検査機関対応ネットワーク、ラボラトリーレスポンスネットワークを構築をしています。この中に、アメリカの地衛研、地方衛生研究所に相当する組織も組み込まれているところでございます。アメリカでは、この検査機関対応ネットワークを構築することによって、新興感染症、さらには生物化学テロなどの健康危機や非常事態への対応が強化されたと評価をされていると聞いています。

 我が国においても、こうした米国のネットワークを参考に、感染研などと地衛研のネットワークを更に強化するなど、地衛研の検査、研究機能をより強化することが必要だと考えますが、大臣の御所見をお伺いします。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、次の感染症危機に備えるということも含めて、また、今回の、コロナの特に初期対応、今御説明いただきました、そのことを踏まえて、地方衛生研究所には、民間検査機関が検査体制を整え、軌道に乗るまでの感染症初期における検査需要、これに対応していただける、そうした機能、また、ゲノム解析等により地域における変異株の状況を分析し、自治体、また国立感染症研究所などと情報共有をし、地域において的確な対応が取られる、その基盤をつくっていく、大変重要な役割が求められています。

 今般の改正案でも、保健所設置自治体に対し、試験検査や調査研究など、地方衛生研究所が感染症対策で担う機能を確保するために必要な体制の整備、他自治体との連携等の責務を課す規定を設けるとともに、自治体同士が連携しながら必要な検査体制を平時のうちから計画的に整備することを目的として、連携協議会の設置や予防計画の策定を行う仕組みも盛り込ませていただきました。

 また、地衛研全体の底上げを図るため、地域保健法に基づく基本指針や通知の中で、人材育成、また、国立感染症研究所との、今ネットワークの強化とおっしゃっていますが、その在り方などについてお示しをさせていただきたいと考えております。

 こうした取組を通じて、地方衛生研究所を含む検査体制について、自治体が地域の実情に応じて自らの責任において計画的な整備を図ることができるよう、国としても支援をし、また、よく連携を図っていきたいと考えております。

長谷川委員 大臣、ありがとうございます。

 日本版CDCの創設検討に当たっては、是非、地衛研とのネットワーク構築にも検討を加えていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 私は、本日、主に、六か月から接種勧奨という形で始まりました子供のワクチン接種について、果たして親御さんたちに判断するに足る十分な情報が伝わっておるのか、あるいは、これを積極的に推し進めている側はそのことに至る根拠を持っているのかなどについて御質疑をさせていただきます。

 まず冒頭、確認をさせていただきますが、先立って、五歳から十一歳の子供へのファイザー社のコミナティの接種が、九月からは接種の勧奨プラス努力義務ということになりましたが、そもそも、承認時点、一月の承認と思いますが、このときに日本人の同年齢を対象にした治験データはあったでしょうか。一問目、お願いします。

八神政府参考人 子供のワクチンの承認時のデータについてお尋ねがございました。

 五歳から十一歳用及び六か月から四歳用のファイザー社の新型コロナワクチンの承認申請の際には、いずれも約三千例の小児又は乳幼児にワクチンを接種した海外の臨床試験のデータが提出されてございます。日本人の小児又は乳幼児での臨床試験データは提出はされてございません。

阿部(知)委員 提出されていないというよりは、ないんですよね。あれば提出いたしますから。

 そして、五歳から十一歳の場合は、今御説明にありましたが、五歳から十一歳の子供で治験をしたと。恐縮ですが、事務方がおられるので、何人くらいやったんでしょう。お分かりですか。海外の五歳から十一歳。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 海外で三千例のデータというふうに承知をしております。

阿部(知)委員 海外の事例というのは、当然、人種差もございますし、社会的要因の差もございます。基本はやはり日本の子供たちについてどのような実績が出ているかということであると思いますが、引き続いてお伺いいたしますが、これについては、二月から接種が始まりまして、九月の努力義務規定が課されるまで、果たして政府としては何人の日本の子供たちのデータをお持ちでありましょうか。

三ッ林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

三ッ林委員長 速記を起こしてください。

 佐原健康局長。

佐原政府参考人 失礼いたしました。

 これは七月十日までのデータでございますけれども、二回接種をした五歳から十一歳の方につきましては、合計で百二十九万回接種をされております。

阿部(知)委員 それは接種回数で、接種したことによって抗体価の上がりを見るというのが効果を見るということなんです。効果を見たものは何例ありますかと聞いています。

佐原政府参考人 失礼いたしました。

 五歳から十一歳の小児につきましては、新型コロナワクチンを接種した前後で、スパイクたんぱくに対する抗体価がどのように変化するかについて調査を行っております。

 これにつきましては、本年九月二日に開催されました審議会におきまして中間報告をなされております。八月十七日の時点でありますけれども、ワクチン接種前及び接種後の抗体価が得られているものは五十九例、それから、ワクチン接種前並びにワクチン接種後三か月の抗体価が得られているものは十九例と承知しております。

阿部(知)委員 いわゆるスタンダードの二回接種のデータは十九例しか現状ないわけです。これを資料としておつけしてございますけれども、私も一生懸命探しましたが、これしかなかったです。

 やはり、この接種を受ける親御さんにとっては、果たしてどのくらいの症例が集積されたろうということは、大きな判断の根拠になります。

 大臣、今後、どのようにして、日本の子供たちの接種の有効性、とりわけ抗体価というものをチェックして、それが下がってくれば有効性はないわけです。二、三か月でまた打たなきゃいけないというようなことが繰り返されることも十分に考えられます。かといって、子供をつかまえて採血して抗体価を取るということも本当に負担だと思います。

 はてさて、我が国は、予防接種行政を進めるに当たって、どのような手法で、この子供たちの接種の効果、有効性を、五歳から十一歳でまず結構です、見ていかれるおつもりか、大臣に伺います。

加藤国務大臣 今回承認に当たった経緯というよりは、今後の対応についてということでよろしいんでしょうか。

 今後の対応については、まさに、今回、これまでのデータ、先ほど説明があった海外のデータ、そして、特に成人における日本人と外国人の間で差がない、そして、海外の子供に有効性がある、そして、それを全体として外挿評価して決めた、これは別に日本だけに限ったやり方ではないと承知をしております。その上で、今委員から御質問のあったことに対してお答えさせていただいたように、厚労省においても抗体価がどのように変化していくかについては調査研究を行っているところであります。

 さらに、それらを踏まえて、今回、予防接種の努力義務もさせていただいたわけでありますが、これは、本来、努力義務を課さないということも法定上できないわけではありませんでしたけれども、現在のオミクロン株流行下における、乳幼児を含む小児であって、感染者数や重症数の増加傾向、また、薬事審査においても、オミクロン株流行下での発症予防効果も含めた有効性が確認され、安全性に懸念が認められない、これは先ほど申し上げましたが、そういったことから、幼児を例外とせず、努力義務の規定が適用されるということでありますので、今後、まさにこの判断でこれから接種を進めさせていただきたいというふうに考えているところでありますが、同時に、今あったように、必要なデータはおいおい取らせていただきながら、また、それにのっとった広報等をしっかりすることで、親御さんが安心して打っていただく、あるいは子供に打たせるかどうかの判断に資するデータ、これはしっかり提供していきたいと思います。

阿部(知)委員 おいおい取らせていただくとおっしゃいますが、おいおい取る前に努力義務を課したのが今回の判断でございます。

 私は、使う子供があってもいいと思います。ただ、努力義務ということが持つ意味は、いわゆる感染の蔓延防止のために努力義務を課すわけです。果たして、大臣、この年齢の子供に接種すると、世の中の蔓延が防止されたというデータはおありでしょうか。

 それから、前段の御答弁については、私は本当に厚労省は計画がないんだと思います。どうやって子供たちの抗体価の推移を見ていくのか。承認したときは日本人はゼロ、努力義務を課したときは十九しか発表していない。その後どうするのかくらいは真剣に考えて、親御さんにも納得してもらわないと、本当に不安でなりません。

 冒頭の計画は、今大臣がおいおいとおっしゃったので、まだないんだなと理解をします、恐縮ですが。

 そして、蔓延防止のために努力義務を課すというのが、そもそもの法のたてつけであります。単に蔓延したからといって努力義務が課されるわけではありません。それは、お示しした資料の二枚目と三枚目を見ていただきますと、これは五歳から十一歳の子供たちに努力義務が課されたときの政府がお出しになっている文書で、二枚目の上段は、米国の報告の例を挙げて努力義務にして、そして下には、コロナウイルス感染症の蔓延の状況ということで努力義務を課しておりますが、しかし、一方で、厚生労働省が、新型コロナワクチンQアンドA、並びに予防接種法という法にのっとれば、この努力義務が課されるというときは、感染の蔓延予防のためでなくてはなりません。

 ということは、そこの集団に接種をしたら蔓延が予防されたというふうな何らかのエビデンスを持たなければなりません。極論すれば、子供たちに接種することで社会防衛をするのかということなんです。そういうこともあるかもしれません。でも、データが要ると思います。確かに、子供に、からうつったということはよく聞きます。しかし、そこに、ワクチン接種して蔓延が防止されるという判断の根拠が科学的に必要であります。大臣、どうでしょう。

加藤国務大臣 まさに、蔓延予防というのはどういうことなのか。発症した患者から他に感染し、感染の地理的な拡大をも伴いつつ比較的多数の患者に拡大する状況を防止をするということでありますから、感染予防効果、いわゆるワクチンのある感染予防効果、これとはちょっと違うことはもう十分御承知だと思います。

 したがって、感染予防効果が期待できなくても、ある程度の発症予防効果や重症化予防効果があって、集団での発症、負荷の軽減が期待できる、例えば、それによって医療における負荷が軽減をされる、そういうことになれば、そのことは蔓延予防の効果ということにもつながっていくということから、臨時接種の目的である疾病の蔓延予防に資する、こういうことで、今回、努力義務を課させていただいた、こういう流れであります。

阿部(知)委員 加藤大臣はどんどん論点をずらされますが、どこにも蔓延予防効果があったというデータはないのです。医療の負荷が取れる、それは期待されることです。でも、努力義務を課すときには、法律にのっとれば、蔓延予防効果のある場合のみなんです。それくらい、公的関与を強めるということは慎重でなくてはいけないという理解がされないといけません。それに足る疫学データを出さなくてはいけません。ある接種率を見て、地域差を見て、接種率が高いところが子供のですよ、本当に全体の感染が少ないかとか、これだってまだ出されていません。そうなると、一体果たして、十九例の症例しかない、急に努力義務規定がかかる。

 のみならず、その後、六か月から四歳にも努力義務がついて接種が勧奨をされております。しかし、六か月から四歳までの承認の折には、もちろん日本人データがないばかりか、実は、その年齢の上の五歳からの接種経験と十六歳から二十五歳の接種経験を比べて、余り差がなかったから四歳以下もオーケーとなっているんです、詳しく言うとちょっと複雑なので。とにかく、六か月から四歳というところは根拠薄弱、有効性について。まして、蔓延予防効果はない。ないというのはデータがないという意味です。私は、この進め方は極めて乱暴だと思います。

 そして、お手元四ページ目に、接種をこの年齢でいたしました場合の副反応を拾ってあります。これは薬事承認されたものから拾っておるわけですが、二歳から四歳においても、倦怠感、嘔吐、下痢。それから、六か月から一歳のところは、接種後、いらいら、中枢神経に刺激があるのかもしれません、食欲減退、発熱頻度はそう高くありません。

 しかし、こういう現象をもし親御さんが我が子に経験すれば、予防接種、子供はみんな嫌ですから、打てば、後、いらいらもあるかもしれない。ただ、不安です。子供が過敏になって、接種後、不安であるということはよく経験をします。私は、やはり事を進めるには十分に説明、根拠が要るものと思います。こうした事態を含めてですね、佐原さんが答弁したいのかな、そこで情報が来たのかもしれません、これは聞きませんから大丈夫です。

 続いて、国立国会図書館のデータを示させていただきますが、果たして四歳以下の子供に、コロナワクチン接種、どこでやっているんだということであります。

 国会図書館のクレジットですから確実だと思いますので、御紹介させていただきますが、アメリカでは、確かに、生後六か月以上の小児に対して接種推奨。

 でも、実は、ジェトロの調査によると、親御さんの半数以上は、四歳以下はやらないというお考えだそうです、日本みたいに努力義務じゃないから。それくらい不安なんです。

 そして、イギリスは四歳以下の小児に対する接種は行われていない。おまけに、五歳から十一歳の小児については、接種は可能であるが、これは推奨もやめています。ドイツ、同じです、四歳以下の小児に対する接種は行われていない。フランス、行われていない。イスラエルはありますが、基礎疾患を有する小児に対して接種の推奨。オーストラリアも同じですが、接種の可能性はあるけれども、勧めていないということですね。カナダ、同様です。韓国、四歳以下の小児に対する接種は行われていない。

 こういう国際的な動向を見たときに、なぜ日本だけ子供の六か月からのコロナワクチンに前のめるのか。私は、もちろん、小児科学会に所属していますから、学会が推奨しているのも知っています。ただ、一人の医者として見た場合、こんなにデータのないこと、特に、長期予後が、長期のフォローができないことにここまで前のめることは、私は間違っていると思います。

 大臣にお伺いいたしますが、かといって、私も、間違っている、間違っていると言っているだけで済むとは思っていないので、大臣にお尋ねしますが、私は以前から子供の母子手帳を予防接種管理のために使っておりますが、これをカード化して、そこに予防接種データを全部入れていく。シミックという民間会社が慶応大学と連携しながら川崎市でやっている事業ですが、非常に接種の間違いも少ないし、それから、一週間ほどたったら、親御さんの方から質問があれば、そこにLINEで寄せていくことができる。予防接種のデジタル化と同時に、親御さんの不安を拾い上げる、誤った接種を防ぐ、そして、もっと言えば、長期の影響が見えます。

 私は、子宮頸がんワクチンのときに、六か月や一年以上たって訴えがあったケースが、そこに確かなデータがないというときには本当に判断が難しいということを経験しました。今、コロナのワクチンで、非常に、子供たちへの接種、ただでも多いんですけれども、多くの接種がなされるようになって、当然、そのことをきっちりフォローできる体制が必要です。

 大臣には以前にこうした母子手帳のデジタル化のことをお話ししましたが、私は、マイナンバーカードを義務づけて健康保険証を取り上げる前に、まず確実にやれる、子供たちのための、親御さんが利用できる情報の在り方、間違いのない接種の在り方を考えるべきと思いますが、大臣のお考えを伺います。

加藤国務大臣 たしか、母子手帳も今電子化を進め、我々も、そうした方向、全体として医療DXを進めていくということで、それも進めていきたい。また、予防接種データについては、今回もそれをしっかりとデータ化して、それぞれの診療というんでしょうか、それぞれの方がどういう予防接種を受けているか分かる、そういったことに対して、データの整備、デジタル化を進めていきたいというふうに考えているところでございますので、今おっしゃられた事例も、我々、いろいろと勉強もさせていただきたいと思います。

 それから、先ほどの議論の中でちょっと申し上げたように、感染予防効果とそれから蔓延の予防効果、これは、先ほど申し上げたように、ちょっと異なるわけでありますから、感染予防効果、これは科学的なエビデンスに基づく。蔓延予防効果については、先ほど申し上げたように、医療等の現場の軽減等も含めて、全体として判断をしていくということになるんだろうと考えております。

阿部(知)委員 実は、感染予防効果のデータも出しづらいです。かなりの大きな母集団を持たないと、感染予防効果は推し量れない。

 ちなみに、大臣、御存じですか。長年私たちはインフルエンザの予防接種をやってきましたが、これには感染予防効果は効能にも書かれておりません。ないんですよ、感染予防効果は。証明できないんですよ。果たして、コロナワクチンで感染予防効果が、大人にしろ何にしろ、データで出されているでしょうか。

 そして、以前、厚労大臣のある方は、感染予防効果については、コロナワクチンであっても明確にできないとおっしゃいました。私もそうだと思うんです。分からないものは分からないと言わないと、あるかの幻想を与えて事が進むのは、感染症のリテラシー、よろしくないです。インフルエンザの予防効果は言明しない。コロナワクチンだって同じじゃないですか。

 果たして厚労省は感染予防効果ならデータを持っていますとおっしゃるんでしょうか。蔓延予防についてはデータがないんだと思いますが、佐原さん、どうぞ。

佐原政府参考人 厚労省では、今まで、様々な効果につきましては、いわゆる重症化予防効果、それから発症予防効果、そして感染予防効果という形で評価をしてきております。

 その中で、新型コロナのワクチンにつきましても、感染予防効果は、これは、いろいろなデータで、調査から既に示されておりまして、乳児のところはないんですけれども、五から十一歳の小児に対する感染予防効果というものにつきましては、例えばランセットでありますとかニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンとか様々なところで示されているところでございますし、大人につきましては、より多くのデータが出ているところでございます。

阿部(知)委員 感染予防効果には社会要因が大きく関わるんですね。だから、米国におけるそれと、日本と違うんですよ。ちゃんと日本のデータを出して、それで初めて、感染予防効果があるから努力義務を課すなら分かります。それもないんですよ。今、佐原さんが言ったように、海外での少しの報告しかありません。感染予防効果は本当に見づらいんです。だから、簡単に感染予防効果を言うべきではない。

 インフルエンザのときにはそうしたわきまえがありました。今は、コロナになって、それすら吹っ飛んで、自国のデータすら持たないでそういうことを言っている。私は厚労省行政の後退だと思っています。

 インフルエンザのときの取組、民主党政権でした。新型インフルのとき、その後の特措法の見直しも。しかし、少なくともきちんとデータを持って臨もうとしてまいりました。この間、すごく乱暴な事の運びが、私は大変この国にとってマイナスだと思います。まして、子供たちにこういう状況で努力義務を課していくということは。

 さて、次のページ、資料六ページですが、新型コロナワクチン接種と公的関与について、すなわち、努力義務ということについてであります。

 今年の九月で全ての新型コロナワクチン接種に努力義務が適用されることとなりました。大臣、御存じですか。九月までは医療従事者には接種の努力義務はなかったんです。果たして本当にこの方たちも努力義務でやるんでしょうか。

 これは前の国会だったかで論議されたかと思いますが、果たして任意なのか努力義務なのか。もし医療現場にも努力義務とするなら、それなりの説明が必要ですが、ちょろっと変わって、努力義務になっておりました。

 私は子供の方に目が行くので、五歳から十一歳、それから四歳以下、急に努力義務になったことにびっくりしましたが、果たして、ここで医療従事者が努力義務になったということは、その皆さんにはお伝えしておるのでしょうか。お願いします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 医療従事者の方につきましては、四回目接種に当たりましてそもそも努力義務をかけましたのが、六十歳以上の方ということになっております。その後、今回も見直しをしまして、全ての方に努力義務をかけるという形になっております。そうした皆様に努力義務があるということにつきましては、今、様々なチャンネルで広報しているところでございます。

阿部(知)委員 様々なチャンネルとおっしゃいましたが、文書一枚出ていますか。私、昨日、この表を作るに際して、二日かけて厚労省とやり取りしました。私が最終確認して、ここ、間違って申し訳ないが、九月ですけれども、そこまで厚労省も、しかとは御存じなかったですよ。だから、文書なんか出ているとも思えません、佐原さん。

 本当に、医療現場に、そうした努力義務でお願いしたいということを改めてお伝えになったのですか。私は、そういうこと一つ一つがリテラシーなんだと思うんです。本当に乱暴。決めて、強制してやればよいのだったら、予防接種行政は単なる私は権力による統制になってしまうと思います。そうではないはずです、我が国の予防接種行政の長い歴史を見れば。

 大臣、いかがですか。もし努力義務になさったのなら、きちんと医療現場の皆さんにもお話をお伝えすべきと思いますが、どうですか。

佐原政府参考人 繰り返しになりますけれども、我々としては、様々なチャンネル、特に、例えば、自治体説明会あるいはリーフレット等を通じまして、多くの皆さんになるべく早く打っていただきたいということについてはお知らせをしているところでございます。

阿部(知)委員 でも、昨日まで知らないことをお知らせもできないでしょう。本当に、私が確認するまで混乱していましたよ、どうしたの、どうなったんですかと聞くまで。そんな空答弁しちゃ駄目ですよ。本当に誠意を持って予防接種行政に臨んでいただきたい。

 大臣に、次のページ、七ページをお示ししていますが、私がこのように申しますのは、インフルエンザワクチンとコロナワクチンでは、副反応の頻度が、これまで予防接種副反応部会に上げられたものを集計しただけでも、かなり違っております。これはよそからデータを取ってきたのではなくて、部会に出たものを名古屋大学の小島先生が集計をして発表されているものを私が拝借をしていますが、明らかにインフルエンザワクチンに比べて副反応の桁も違いますし、重篤例も違いますし、死亡例も違いますし、心筋炎も違いますし、ギラン・バレーも違います。

 努力義務を課すということは、これがある頻度で起こり得るということなのであります。そのある頻度で起こり得ることに、果たして様々な体制が伴っているかどうかを、私は大変強く懸念をいたします。

 努力義務を課したら、では、そこで起きた死亡も含む様々な副反応、そのことに十分な救済の仕組みがあるのかどうか。私は、まず、根拠なく、感染予防効果あるいは蔓延予防効果については特にデータなく努力義務にしたということは、法律に反しています。それから、これだけ差があるということも政府のデータを逆に集積すれば出てくるので、それに見合う政府の覚悟と対応がないと思いますが、大臣、どうですか。

加藤国務大臣 さっき申し上げたのは、感染予防と蔓延予防というのはちょっと概念が違いますよということを申し上げたかったところでございますので、そこは是非御理解いただきたいと思います。

 それから、予防接種を努力義務にする中で、健康被害救済制度というのが当然ありまして、接種に係る過失の有無にかかわらず、予防接種と健康被害との因果関係が認定された方を迅速に救済するということであります。

 それは、国の審査会において、健康被害を受けられた方々から請求された疾病や死亡等と予防接種の因果関係について、厳密な医学的な因果関係まで必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とするということで、順次審査をさせていただいているところであります。

 これまでも、ギラン・バレー症候群の疑いがあるケースも含めて、これまで千九十六件について予防接種と因果関係が審査会においても認定されているところであります。

 ただ、ちょっと、元々、審査する前から、一定の場合には診療録等の提出を不要とするとか、新たに部会を設置する等の対応をさせていただきましたが、件数が非常に増えてきておりますので、現在は、審査会の開催頻度を、三か月に一回を毎月にする、あるいは、事務的な能力を拡充する、審査を効率化する、こういった対応を取らせていただいておりますが、それでもなおかつ、現在、進達受理件数が約五千件に対して処理ができたのが一千件ということでありますから、更に迅速な審査ができるように努力をしていきたいと考えております。

阿部(知)委員 それは頑張っていただきたいと思いますが、大臣がおっしゃった、恐らく、千九十六件の処理をしたとおっしゃるのは、アレルギー関係が多いんだと思いますね。重篤例からは百例ほどだと思います。それから、死亡例は四例ですね。

 本当に何度も見ていただきたいですが、これだけのことが、資料七、これは本当、厚労省のデータですから、どこかから取ってきたのではないです。集計方法は、確かに小島先生がなさいましたけれども、発表されたものをまとめただけですから。しかし、これだけのことが起こる。大臣も今おっしゃいましたが、処理も間に合わない。あるいは、ワクチン接種後の後遺症の問題も今大きく問題になっております、御承知のように。それらについてもフォローも十分ではありません。

 さて、そんな中で、あっちもこっちも努力義務だけ課して、それの救済が間に合っていないというのが現状だと思います。私は、資料九枚目、めくっていただきますと、ごめんなさい、その前に八枚のところで一言申し上げたいです。

 これは国民向けに示されたリーフレットの中ですが、新型コロナの感染症になった場合の心筋炎の頻度とワクチンを受けた場合の頻度が書いてございますが、真ん中ほどに。これは、実は統計上のミスが、というか、意図的かもしれませんが、問題があると思います。

 新型コロナウイルス感染症にかかった場合の八百三十四という数値、百万人当たりですね。これはあくまでも入院患者さんを母数にして、そのうちの心筋炎の数を数えたものであります。感染者全体を見て心筋炎を数えたものではありません。ちなみに、感染者全体を見ると十三くらいの値になるのではないかと推計されております。

 これは厚労省にお願いがありますが、こういうことで示すときに、何を母数に取ったかということで大きなごまかし、バイアスがかかってまいります。これはある開業の先生が指摘をしていただいたことなので、私もそのとおりだと思います。感染全体の中で心筋炎がどのくらい起こるか。当然、入院を母数にすれば多いに決まっているんです。入院するとき、苦しくてするんだから。でも、これは実像ではないわけです。

 このリーフレットについて、大臣、検証して正しく書き直していただきたいが、どうでしょう。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、御指摘のデータは、先生御指摘のとおり、入院した患者さんについて算出したものでございます。

 一方で、コロナの感染後に、入院した方のみならずコロナに感染した全ての方について、感染後の心筋炎、心膜炎の発症頻度を比較するということにつきましては、感染後に心筋炎、心膜炎を発症した人を把握することがなかなか困難なため、算出することができなかったということでございます。

 ただ、このパンフレットにつきましては、リーフレットにつきましては、いろいろ御指摘をいただきましたので、既に今は、ホームページ等からは削除しているところでございます。

阿部(知)委員 削除は当然なんですけれども、これを見て、皆さん、ああ、ワクチンを打った方が心筋炎が少ないかもしれないと思うこともあるわけです。でも、そこが正しい情報の私は伝達だと思います。よろしく是正してください。

 それからさらに、今回、感染症法の改正とともに、予防接種法の改正で、いわゆる臨時接種類型の見直しで、全て、これからの新型の感染症等々の予防接種、行う場合は、第六条第三項、資料九を御覧ください、でやるということになりました。

 今と何が違うかというと、今は、コロナは特例で、ここで、例えば新型インフルは新臨時接種で、努力義務規定はなかったんです。あの二〇〇九年の大騒ぎのとき、努力義務規定はない。今度は努力義務規定が全てにかけられます。果たして、大臣、特例承認という、あの新型インフルのときも同じでした。豚インフルだったからよかったけれども、鳥インフルじゃないかと大騒ぎして、ワクチンも開発して、しかし、それを打つ、打たないは努力義務ではなかったんですね。果たして、あのときも特例承認ですけれども、特例承認で努力義務が課せられるような構造になりますが、これで十分に患者さんの人権とか、あるいは感染症法の趣旨にのっとって、正しい選択でしょうか、この改正は。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 次なる感染症への備えとしまして、今般の改正案では、予防接種法の本則に設ける新たな臨時接種におきまして、新型コロナの努力義務の適用除外の考え方と同様に、蔓延予防上、緊急の必要があるものとして実施するとの趣旨に鑑みて、対象者には努力義務が課されることをまず原則としております。

 一方で、感染症の蔓延状況や有効性、安全性に関する情報等を踏まえまして、例外として、対象者を指定して、努力義務を適用しないとすることができる規定も設ける予定としております。

阿部(知)委員 何度も申しますが、蔓延予防効果についてはデータがない。順次、例外にしていくことは可能とおっしゃいますが、そもそもの構えが、これは特例承認でも努力義務が基本というのが法のたてつけであります。法律を甘く見ちゃいけないです。そういう法律ができたということは、集団防衛と個人防衛のせめぎ合いだった予防接種の考え方を大きく集団防衛の方に振り、根拠もなくそれが強制されかねないということだと思います。この予防接種法の改正は、私は、本当、根拠が極めてない、乱暴なものだと思います。

 最後に一問、お願いいたします。

 先ほど来、医療現場も努力義務が課されております。はてさて、労働災害が感染に、受けることで多い現場であります。この方たちが果たしてどのくらい、労災保険で療養給付並びに休業給付というものを受けていると思いますが、それが長期にわたった例がどのくらいあるのか。現場で打ちなさいと言われて打って、そして、副反応が長期化して、そうして、一年半以上そういう状態にある長期の療養ケース、どのくらいあるでしょうか。

鈴木政府参考人 新型コロナウイルス感染症に係ります労災給付の請求件数等でございますけれども、これは今年の九月三十日までの数字でございまして、この中では、医療業については労災の決定件数は二万八千七百三十五件でございますが、その中での、済みません、長期の療養のケースについては把握してございません。

阿部(知)委員 把握してくださいね。だって、職場でもうつるんです。予防接種、義務づけられても、それの後遺症も出るんです。把握していないじゃ到底報われません。よろしくお願いします。

 次回、また、お願いいたします。終わります。

三ッ林委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 新型コロナ感染症、このところまた少し増加の傾向があるようにも思われます。十月三十日日曜日の新規の感染者が四万四百七、前の週の日曜日から八百八十二人増えて、直近一週間の新規感染者は前週から一七%増加しました。この間、しかし政府は、感染の抑え込みから景気回復にかじを取ったことは明白であると考えられます。十月からは全国旅行支援が開始されて、外国人観光客の入国について手続が緩和されるなど、人の往来が今後頻繁になり、新型コロナウイルス感染症の拡大も懸念される事態となっています。

 そこで、本日は、感染症法改正案の審議ということで、今回の法改正が何を目的としてどのようなことを行おうとしているのか、そして、それに対応する形で医療提供体制の整備などについてもお伺いしたいと思います。

 まず、大臣にお伺いします。

 今般の感染症法改正案を見てみると、新型コロナ感染症における諸課題に対応しようとしていることはよく分かります。しかし同時に、根本的な問題に関しては先送りしているのではないかということもあります。

 そこで、改めてお答えいただきたいのですが、今回の法改正はコロナ対応におけるどのような課題や経緯を踏まえて提出に至ったのか、そして、それに対してどのように対処しようとしているのかを端的に教えてください。

加藤国務大臣 これまでの新型コロナ対応において、昨年十一月、全体像の取組、その後のオミクロン株の特性を踏まえた保健医療提供体制の確保、現在まで取り組んできているところであります。

 そうした中で、本年六月、有識者会議において、次の感染症危機への備えとして、政府の対応に関する客観的な評価や中長期的な課題の整理が行われ、感染拡大に病床確保が追いつかない事態が生じた、陽性判明後、治療開始が遅れ、重症化する事例や在宅で亡くなる事例が生じた、医療用マスクや抗原定性検査キットの需給の逼迫により医療機関や国民が入手しにくい状況が生じたなどの課題が指摘をされたところでございます。

 これに対応するということで、新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症に備えるための対応の具体策、これを取りまとめたところでございます。

 結果的に、その取りまとめの中身が今回の法案に反映していますので、一つ一つは説明を省かせていただきますが、その後、関係審議会で御検討いただいて、今般の法案を確定し、提出をさせていただいた、こういう経緯でございます。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 そこで、岸田総理は、先月十八日の衆議院予算委員会で、コロナの感染症法上の分類見直しについて、これから新型コロナとインフルエンザが共に感染拡大するリスクもある、それに備えなければならないと、重ねて否定的な見解を示されています。RSウイルスなんかも、これからリスクが上がっていきますね。

 二類相当だと、本当に厳格な患者、接触者管理、限定医療機関での対応が求められて、感染管理が極めて厳格に行われます。しかし、実際、新型コロナ感染症に関しては、現実の運用、当初の二類相当から骨抜きが進んでいるのはもう明確であります。入院勧告が緩和されています。自己検査と陽性登録を容認していますし、体調が悪くなった場合に相談するなど、厳しい二類とはかなりかけ離れた対応となっていまして、もはや事実上、二類相当とは言えない部分が多いのではないか。これはほとんど多くの人が感じているんだと思います。また、この九月からは全数把握が見直され、通常の医療に近く、一般病床や一般外来での新型コロナの診療が日常化すれば、事実上、五類相当となってしまうわけであります。

 一方で、世間では、五類相当にして、どの医療機関でも診られるようにすべきだという声も根強くあるわけでありますが、報道によると、大臣、二〇二〇年に、早くも厚生労働省は五類相当への変更を検討していたという話も仄聞しております。

 そこで聞きたいのですが、今回、二類相当から五類相当へ変更を行わないこととした理由についてどのように考えているのかということと、今後どうされていくおつもりなのかということを教えていただけませんでしょうか、大臣。

加藤国務大臣 まず、新型コロナの感染法上の位置づけについては、もう委員御承知の、感染力、重篤等、見て考える必要があります。

 現在は、感染法上、よく二類相当と言っていますが、実際は、新型インフルエンザ等感染症ということに位置づけられているわけでありまして、新型コロナ、オミクロン株であっても致死率や重症化率がインフルエンザより高いと評価されておること、また、更なる変異株が出現する可能性があることなどから、そうした位置づけをさせていただいております。

 さらに、九月に様々な見直しを行った際に、専門家等々も御意見を聞かせていただきましたが、この新型コロナについては、新型インフルエンザ等感染症という分類は維持し、今後も変異していくウイルスに対応した対策を柔軟に対応していく必要があるとされたところから、現在、その位置づけについて変えていないところであります。

 五類感染症に見直すということを考える際に、まず、現在の新型コロナが、感染法上、当該感染症の全国的かつ急速な蔓延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症として定義をされているわけでありますから、そういったものなのかどうかということに対して判断をする必要があると思いますし、次に、五類ということであれば、それが五類に当たるかどうかという判断が次に出てくるんだろうというふうに思っているところでありますが、いずれにしても、現状においては、今申し上げた現状の位置づけを維持をしていく。

 ただ、今後の感染動向や予防接種の進捗動向等により、病原性や感染症の変化等を踏まえて、さらに、専門家の意見を聞きながら議論は進めていきたいと考えております。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございました。

 大臣、大事なことをおっしゃったと思うんですが、二類相当ではもうないと。つまり、独自の位置づけであってということは、それは正しいと思うんですが、二類相当という考えはないということなんですよね。さっき大臣はそうおっしゃったように私は感じたんですが。つまり、もう二類相当だと思う必要も我々はないという理解で、だから、二類とか五類とか、そういう議論をするのが大臣は、ナンセンスなことであって、これはこの感染症の特有の類型として随時対応していく。

 つまり、確認ですが、もう二類相当の対応は全く必要ないということでいいんですね。

加藤国務大臣 いやいや、そもそも二類相当ということを申し上げたのは、最初にどこに当たるかとかが判明しないときに、指定感染症に指定をするという仕組みを使い、そのときに二類相当の措置が可能になるように決めたということから二類相当という言葉が使われているわけでありますが、その後、指定感染症としての措置も見直されて、たしかこれは一年間だったと思いましたけれども、新型インフルエンザ感染症に指定されたことから、今申し上げたのが、まさに新型インフルエンザ等感染症というのはこういうものなんだという位置づけをしているということであります。

 したがって、正確に言えば、そこを維持するのか五類にするのかという議論なんだと思いますが、ただ、これまでの流れからいえば、それは、二類相当ということから五類、そういった議論の言い方もあり得るんだろうというふうに思っておりますので、今の新型コロナというのはこういうものなんだという定義を明確にしたということだけであって、今委員がお話しになられた、分類をどう変えるのかということに関して直接影響するものではないというふうに思います。

吉田(統)委員 何か大臣らしくない、ちょっとよく分かりにくい御答弁。いつも明快な、もっと分かりやすい御答弁なんですが、非常に、ちょっと分かりにくい御答弁だったなと思います。

 これから、これは今回のCOVID―19に限らず、例えば、鳥インフルエンザが人間に病原性を持ったときというのは、これはもう本当に大変なことになってくる可能性があるわけですから、様々なアウトブレークやパンデミックに備えて、感染症法上の分類に関してもやはりもう少し考えるべきですよね、今回のことを、多分、頭に入れて。

 特に、これは今回のCOVID―19だけではないですけれども、ウイルス感染症というのは、特に一本鎖のRNAウイルスで起こる感染症というのは、随時、その毒性や親和性、様々なものが変わってくるわけですので、そうすると、大臣の、今回、今のお話をずっと私が聞いて感じたことは、今の類型では、これから様々な新型の、新たな病原体、様々な感染症に対してなかなか対応しづらいんじゃないかなというのは感じましたよね。これからも、だから、何とか相当、何とか相当でやっていくということになるわけですかね、そうすると。

 でも、大臣、そういうことですよ。だって、今回、結局、相当、相当でやって、明確な分類に当てはめていけないということは、やはり今の感染症法上の分類がかなり無理があるということにどうしてもなってしまいますよね。それは柔軟な対応とは違いますよ。だって、類型を変えればいいわけですから、本来は。だって、そういうルールが、一定程度それで運用してきたわけですから。

 では、今日、佐原局長いらっしゃいますよね。ちょっと、そこをどう考えますか。

佐原政府参考人 もう一度概念の説明をさせていただきたいと思いますけれども、まず、いわゆる二類相当と言われていますのは、いわゆるということでありまして、現状は、大臣の方から御説明がありましたとおり、法律上は新型インフルエンザ等感染症というふうになっております。

 二類感染症と特に違いますのは、新型インフルエンザ等感染症の場合は、健康状態の報告とか外出自粛の要請もできる、これは今やっているところでございますけれども、こういったものについて新型インフルエンザ等感染症ではできるというふうになっています。今、誤解ないと思いますが、位置づけは新型インフルエンザ等感染症という形になっております。

 感染症法上は、新型インフルエンザ等感染症から五類感染症まで、できる措置がそれぞれ決まっていますので、感染症の状況に応じて適切に類型を決めていくべきものと思いますし、また、新型インフルエンザ等感染症から例えば五類にするときには、法律改正等なく、大臣の判断で行うことができるということになっております。

吉田(統)委員 そうすると、確認ですけれども、今後、未知のウイルスや病原体ないしは様々なウイルスや現状の病原体の変異が起こったりして、予期せぬ感染症が起こった場合というのは、この類型に当てはまらない可能性が極めて高くなるから、これからもこういう今回みたいな運用をしていく可能性が高いという理解でよろしいですか、局長。

佐原政府参考人 もし未知の感染症ということでありましたら、これは感染症法に基づく新感染症という形になりまして、これまた、どういう措置が行政としてできるのかというのが決まっているところであります。

 また、全く未知ではないけれども今回の新型コロナのような場合であれば、指定感染症という形で時限的に措置を取っていくという形になりますので、仮に新しい、パンデミックを起こすようなものが発生した場合には、新感染症か、指定感染症か、あるいは新型インフルエンザ等感染症、この類型の中で対応していくことになると思います。

吉田(統)委員 ちょっと時間がなくなるのでほかに行きますが、今回の政府の法案は、九月二日の新型コロナウイルス感染症対策本部決定を受けてのものとお伺いしています。今回提出した法案の中には、さきの通常国会で立憲民主党が提出した法案が成立していれば足りた内容が極めて多いと思います。そして、率直に申し上げると、我々立憲民主党と日本維新の会が提出した法案は、今回の政府提出法案と比べても何ら遜色のないものと自負しております。

 そこで、大臣にお尋ねしますが、我々の法案のよい点や至らない点について、忌憚のない御意見を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 まず、基本は、今回の新型コロナ感染症へ対応する中で、やはり様々な課題があり、現行の法体制では対応し切れない、それをどうしていくのか、そこの原点は同じなんだと思います。その上で、それに対してどういう対応が必要かというのは、私どもの検討結果は、先ほど申させていただいたところでございます。

 御党等がお出しになった法案がどうのこうのとか、なかなか、政府から申し上げるのは控えさせていただきたいと思いますが、中には、それぞれ項目ごとに比較をすれば重複する部分とそうでない部分があるんだろうというふうには認識をしております。

吉田(統)委員 分かりました。

 今年の四月十三日の薬機法の審議、改正薬機法ですね、緊急承認等の改正内容について、様々な問題点を挙げて私は質問をしております。立憲民主党が提出した日本版EUA法案について、そのまま政府の修正案として取り込むことを検討いただきたいと後藤大臣に申し上げましたが、今回も同様の法案を立憲民主党、日本維新の会が共同提出しているので、あえて再度お伺いします。

 さきの改正薬機法の緊急承認制度の大きな問題は、その際も私が指摘したように、二点あります。

 一つは、パンデミック時のみを対象とした法改正であった点です。

 世界の医薬品や医療機器の開発競争は本当に加速度的に熾烈を極めていますが、我が国では、再三指摘したように、いまだ国産のペースメーカーの開発が進んでいません。国内で開発した、世界市場を制することができる、そういった可能性の大きい医療機器に関しては承認されない。全然、本当に他国の後塵を拝しているわけであります。結局、TAVIとか、そういう心臓の僧帽弁の処置なんかに関しても、日本産のものは全然なくて、海外のものばかりで、本当にどうかなっちゃうんじゃないかと思います。これは、私もこういった問題、五年以上、この委員会の場でも再三再四申し上げております。

 第二に、こちらは更に深刻な問題ですが、製薬メーカーなどの意向に左右される点です。

 詳しくは重複になるので省略しますが、今回のコロナ時に、コロナの治療などに効果があると可能性が指摘された医薬品が、海外などで幅広く使用されて、また安全性も確認された医薬品であるにもかかわらず、我が国では、例えば薬の単価が低いとか、製薬メーカーにとって承認されてもメリットがない、利益が見込めないということで、新型コロナウイルス感染症の治療薬として申請を行わないという事象がありました。

 このときの答弁で後藤大臣は、医薬品の製造販売について、承認申請に必要な治験の実施とデータの解析、承認後の副作用情報の収集、解析、医療現場への情報提供などの安全対策を含めて、製薬企業が責任を持って対応する必要があることから、製薬企業からの申請に基づいて対応していくのが原則と述べられていましたが、これが我が国の医薬品、医療機器の承認の最大の問題点であることは本当に変わらないです。公知申請とかそういうものでも、ここが本当にボトルネックになっちゃって通らないんですよね。

 アメリカにおいて、例えば、学会主導で実現していて、医療側、患者側、そして、アメリカは民間保険ですから保険会社にとって三方よしになっている抗VEGF剤アバスチンの例を、これも、大臣、何度か伺っていますので、思い描いていただきながらお答えいただきたいんですが、こういった点について、加藤大臣のお考えは後藤大臣と相違がないのかどうかということをお伺いしたいのと、あえてもう一度申し上げますが、今回、立憲民主党、日本維新の会が共同提出した法案をそのまま政府案として取り込んでいただくことを御検討いただけないでしょうか。

加藤国務大臣 まず、パンデミックのときを対象云々というお話がありました。

 緊急承認制度については、パンデミック時のみの対応ではなくて、原子力事故やバイオテロなど、新たな緊急的に承認する必要が生じた際に、安全性の確認を前提に、有効性が推定された段階で迅速に薬事承認を与える仕組みとして創設をしたところでありまして、委員御指摘のとおり、今般の新型コロナ対応も踏まえて、平時から医薬品等を国内で研究開発できる体制を確立することは、これはむしろ危機管理の観点からも極めて重要であります。

 国内における開発力の向上に向けて、治験環境の整備、またベンチャー企業への支援などの取組を既に進めておりますが、引き続き、迅速な開発そして承認が実施されるよう、必要な支援であり、制度の改善等に努力をしていきたいと考えております。

 それから、国がリーダーシップを取るべしというお話であります。

 基本的考え方は後藤大臣と変わっておりませんので、もうそこは省略をさせていただきたいと思いますが、その上において、製薬企業から申請がより出やすくなる環境、あるいは開発しやすくなる環境、これに向けて現在でも様々な助成制度を行ってきている、特に今回の新型コロナワクチンでは相当な努力をさせていただきましたけれども、今後とも、そうした努力も含めて、企業における開発支援、これをしっかりと進めさせていただきたいというふうに思っております。

 また、先般創設された緊急承認制度についても、その制度の趣旨に沿って制度が運営されていくように、更に努力をしていきたいというふうに考えております。

吉田(統)委員 大変残念な御答弁ですが。

 さっき言ったアバスチンも、一千億円ぐらい医療費を、抗VEGF剤、使っちゃっているんですね、眼科領域だけでも。アメリカは、もうこれはまずいということで、学会主導でアバスチンを使えるようにしたんですよ。医療費、百分の一ぐらいに下がりますね。だから、これは本当に、元々アバスチンを使っていたんですから。新しい薬が出たからそっちを、保険承認された、保険適用されたお薬を使っていたんですが、その前はみんな日本全国でアバスチンを使っていたわけです。逆に、アメリカは、このままだと本当に医療財政が破綻する、そういうことでアバスチンを学会主導でさせた。

 ただ、本当に、学会主導とかで公知申請とかしようと思っても、日本の公知申請はもう形骸化してしまって、十年前、もうちょっとあれだったんですけれども、だんだん厳しくなっちゃって、要件が。なかなか公知申請、大臣、もう難しいなというのが、私は見ていて、印象ですね。

 スタートアップやベンチャーを応援するといっても、今のやり方では人材もいないということを私は再三指摘しましたし、今回、東大なんかでも、九年の、先ほど来議論になった雇い止めですよね、十年に至る前に雇い止めする。そうすると、もう寄附講座が成り立たなくなるし、もうスタートアップ、ベンチャー、そしてアカデミア発のそういうスタートアップ、ベンチャーというのはなかなか難しくなる。特任教授とか寄附講座の意義というものも、ほとんどなくなっていっちゃうんじゃないかなと本当に危惧をします。

 今の大臣の御答弁を聞いて、聡明な加藤大臣が本当に理解されていると信じたいんですが、少し疑義が生じてきたというのが正直な印象であります。

 次に行きます。ちょっと順番があれですが、もう少し順番どおり行きます。地方衛生研究所について伺います。

 地方衛生研究所は、地域保健対策を効果的に推進し、公衆衛生の向上及び増進を図るため、都道府県等における科学的かつ技術的中核として、調査研究や試験検査等を行う機関ですね。

 新型コロナウイルス感染症への対応において、その設置が都道府県等に委ねられている地方衛生研究所に対しては、法令上の位置づけが不明確であって、新型コロナウイルス感染症の発生初期の段階において、この地方衛生研究所における検査体制は十分でなく、また、能力の拡充も遅々として進まなかったという指摘がありますね。厚生労働省の新型インフルエンザ対策総括会議が平成二十二年六月十日に取りまとめた報告書において、地方衛生研究所の法的位置づけについて検討が必要であるとされています。平成二十二年の話です。各地方衛生研究所によって、検査や調査研究の能力に差があることの指摘もずっとされています。

 今回の感染症法改正案では、この地方衛生研究所機能を地域保健法に位置づけることとしていますね。危機管理上極めて重要とされる感染初期の検査や、地域の状況を把握、分析するための調査研究が迅速かつ適切に行われる体制が整備されることが期待されます。

 その中で、先日も質問しました日本版CDCについては、現在詳細は検討中ということですが、日本版CDCが設置されると、今回の法改正から更に一歩、日本の感染症対策、大きく転換するんだと思います。いい方向に転換してほしいと思います。その中で、この地方衛生研究所の機能をどのように活用していくのか、今回の法改正ではその詳細は定められていません。今回の機能の法定化の後の調査研究や試験検査の体制整備の状況を検証しつつ、地方衛生研究所を組織として法律に位置づけることも含め、今後の地方衛生研究所の在り方をどのように捉えていらっしゃるのか、どのように考えていらっしゃるのかを御答弁ください。

加藤国務大臣 まず、地衛研の役割、今委員からもお話がありましたけれども、まず、感染初期の段階で、民間検査機関の体制が軌道に乗るまでの間、検査等を実施していくということ、また、変異株のゲノム解析等のサーベイランス、情報発信に必要な基礎的データ、これを提供するという役割。

 また、今回の地方衛生研究所、それぞれ御対応いただきましたが、検査できる項目数の違いや、一日で検査できる件数などにも差があって、次の感染症危機を考えれば、各保健所設置自治体が、地方衛生研究所の体制を再確認しながら計画的な体制整備を進めていただくことが重要である。

 そうした認識の下で、今般の改正では、保健所設置自治体に予防計画の策定の義務づけ、自治体間で適切に連携するための連絡協議会の仕組みを盛り込んだところでありますので、こうした取組によって、地方衛生研究所の体制整備を図っていきたいと考えております。

 また、日本版CDC等の御関係がありました。

 これまでも、国立感染症研究所は、地方衛生研究所の検査能力のために技術提供等を行ってきたところでありますが、感染症等に関する新たな専門家組織、いわゆる日本版CDCは、こうした機能を引き継いだ上で、地方衛生研究所とのネットワークを強化して、各地域の検査結果等の情報をより迅速に把握をしていくこと、地方衛生研究所に対する検査等の技術提供、研修等を一層強化する、こうした機能を果たして、またさらに、検査の均てん化も含めて、地方衛生研究所の能力を図っていくこと、そうしたことに資するような組織にしていきたいと考えております。

 ただ、この部分については、今回ではなくて、次回、次の通常国会に提出をさせていただきたいと考えております。

吉田(統)委員 では、また続きは次の通常国会でも議論をさせていただきたいと思います。

 今、CDCのお話が出ましたので、お伺いします。

 先週の大臣所信に対する質疑で、アンジェス社のワクチン開発中止についてお伺いしました。ワクチン開発の支援に至った経緯について議論させていただいたんですが、その上で、アンジェスのことも念頭にお答えいただきたいんですが、日本版CDCが設置された場合は、当然、AMEDではなくて、日本版CDCが我が国の感染症研究の研究費やワクチン開発費を差配することが適切ではないかと考えますが、厚生労働大臣、加藤大臣のお考えを教えてください。

加藤国務大臣 現在の枠組みでありますけれども、健康・医療分野に係る科学技術に関する研究助成については、健康・医療戦略推進本部の決定等に基づいて、政府としての研究開発に関する方針を定め、推進を図っているところでありますが、AMEDにおいて、その方針の下、公正に評価する体制を整備した上で、ワクチン開発等に対する研究費の配分を行っているという仕組みでやらせていただいております。

 日本版CDC、いわゆる感染症に関する新たな専門家でありますけれども、その機能としては、次の感染症危機に備える科学的な知見の基盤強化として、今回の感染症法改正により強化する情報基盤等を生かして、質の高い科学的知見を獲得し、内閣感染症危機管理統括庁等に迅速にそれを提供するということ、また、平時から感染症専門家チームの自治体等への派遣や感染症に対する研修を行うこと、国際的な人材育成、臨床試験ネットワークを形成する機能が求められ、それにふさわしい組織になるよう検討しているところでございます。

 したがって、今AMEDが担っている医療分野の研究費の配分機能について、ある部分だけ切り離して研究機関でもある新たな組織に持たせるということについては、公正性あるいは効率性の観点からいかがなものなのかというふうに考えているところでございます。

吉田(統)委員 予想どおりの答弁なんですが、それをやると、また並立してしまって、強力な司令塔にならないと思いますね。全く横並びで、縦割りで、おかしなことになっちゃって、強力な司令塔機能は持てないですよ。

 本当に何か、日本版NIHと言われていたAMEDが失敗をしているわけですけれども、明確に。今、日本版NIHという言葉すら、もう使わないですからね。強力な司令塔たり得るためには、やはりそこは一貫性を持たせなきゃ駄目だと思いますよ。やはり、現在のAMEDが持っている機能も、関連の部分はそこに持たせないと難しいと思います。

 だから、AMEDのこれは弱点も若干補充できるわけですよ。病院を持つわけですから、日本版CDCは。ちょうど昨日の参考人質疑で、脇田参考人がNIHのことを言及されていましたよね。私は、AMEDの弱点というより致命的な欠陥ですが、これは、自前の研究室もない、自前の病院もないということなんです。これは何回も委員会で再三再四指摘しています。

 ベセスダのNIHは、自前の病院を持っている、自前の研究室を持っている。だから、有能な人材を一本釣りしてくるんです。NIHというのは、その下にNEIだとかNCIだとかいろいろな組織がくっついていて、そういうところのチェアマンを選ぶときも、これぞという人物だと一本釣りして連れてくるんですよ。地方大学の、地方というか、いろいろなところの教授を、これぞと見込んだ若い教授を抜てきすることがNIHはできるんです。

 AMEDはそれができないから、ブレーンサーキュレーションで海外の優秀な人材も引っ張ってこれないし。だって、今、この前、先週の議論みたいに、雇い止め、国内、自分の大学の特任教授とかも雇い止めしているような現状じゃないですか、日本のアカデミアは。政府がブレーンサーキュレーションとか掲げていても、これは無理ですよ、全く。

 私は、本当にAMEDがもうちょっとまともに機能して、もし、世界と戦って、もう一度、医学・生理学賞とかを日本で取ってきたいのであれば、大胆な改編をして、NIHのように本当にした方がいいと思いますよ。一本釣りして学者を連れてこれるようにしないと、海外とかの学者も。

 だって、繰り返し、前も言いましたけれども、これは日本人ですけれども、アメリカのある有名な、がん専門の組織の教授をしている非常に優秀な学者、五千万なら日本に母国だから行きたいと。もちろん、アメリカでは更に何倍もの給料をもらっているわけです。だけれども、母国だから、五千万もらえるんだったら行くと。今の二億、三億というサラリーは要らないけれども、行くと。言っていても、それをかなえることは日本はできないじゃないですか。

 これで、今、本当に、インドとかもすごく論文をどんどんどんどん出してきているし、医学、生理学だけじゃなくて、工業分野もそうです。そういったところで世界と戦っていくのは、大臣、無理ですよ。だから、せっかく再編するんだったら、大臣、本当に優秀な大臣で、私も尊敬していますので、もう一度よくよく考え直して、パラダイムシフト的な組織の改編をしないと駄目だと思います。

 ちょっとこれぐらいでやめておきますが。答弁はまた今度で結構です。

 アンジェスのワクチンに関して、ちょっと時間がなくなってきたので、ちょっと順番を変えまして。

 政府のコロナ本部の決定には、六本目の柱として、医薬品等の研究開発促進があります。七本目の柱としては、感染症対策物資等の確保の強化が位置づけられています。それを受けての政府の法案には、第九章の二を新設して、感染症対策物資等の規定を設け、第十二章を改題し、わざわざ、医薬品の研究開発を書き込んでいます。この対象となる物資等には医薬品が含まれていて、医薬品にはワクチンも含まれています。

 先週の本委員会の場で、アンジェス社への研究開発投資の目利きの悪さを指摘したところですが、残念ながら、失敗はつきものだから仕方がないというニュアンスの答弁しかいただけませんでした。

 そこでお尋ねですが、ワクチンを例に取ったときに、これら第九章の二の条文、第五十六条の三十九の条文は、具体的にどのような運用をしようとしているのですか。誰が目利きをし、かつ恣意的な予算配分とならない仕掛けをどう講じようとしているのかをお答えください。これは専門的な内容になりますので、政府参考人の方で御答弁をお願いします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 本改正案では、国が、五十六条の三十九のところなんですが、医薬品の臨床試験の実施等の協力を求めることその他関係医療機関との緊密な連携を確保することにより、感染症患者に対する医療提供の基盤となる医薬品の開発を推進するものとするというふうになっております。

 具体的には、国は、平時から、感染症に関する医薬品の研究開発に必要な医療機関のネットワークを構築する。例えば、新興感染症が発生しましたときに、ワクチンなどの医薬品の臨床試験を行う際、こうしたネットワークを活用しまして、迅速な開発が可能となるようにということを狙った条文でございます。

 なお、御質問の、医薬品の研究開発に当たっての研究費等の補助につきましては、これは引き続き、公正かつ中立的な手続を経て決定されるべきものというふうに考えております。

 また、感染症対策物資に関する規定でございますけれども、これも、平時において、事業の所管大臣が事業者に対して物資の国内の需給状況の報告を求めることができることとしておりまして、また、感染症有事におきましては、物資の確保のため、厚労大臣が事業者に対して物資の生産要請をできることとするといったような内容になっておりまして、御指摘のとおり、ここの医薬品の中にはワクチンも含まれるというものでございます。

吉田(統)委員 ありがとうございます。しっかりやっていただきたいというのが願い、趣旨の質問でございますので、よろしくお願いいたします。

 もう一問、先に、水際対策に関してお伺いさせていただきましょうかね。

 検疫法の改正法案で、政府は、検疫措置のために、医療機関、宿泊施設の確保を推進しようとしています。

 大臣は、官房長官の頃、東京オリンピック・パラリンピックで水際対策の扇の要だったと思いますが、以前、質問でもさせていただきましたが、選手や関係者であると、当時の水際対策の原則から大きく外れた扱いが認められるなど、入国後の感染管理などが必ずしも十分ではなかったと私は考えています。

 政府は、その後も、国内外の感染状況や変異株の発生状況に応じて、水際対策の手綱を引き締めたり緩めたりしていますが、その鍵を握るのは、入国者の居場所の確保だと思っています。

 そこでお尋ねしますが、検疫法案二十三条の三の宿泊施設、二十三条の四の医療機関の確保は、具体的にどのように進めようとしているのですか。現在進んでいると思われる地方空港や海港の水際対策緩和における宿泊施設や医療機関の確保を例に取って、地方自治体との調整の視点も絡め、ここもちょっと専門的な内容になりますので、政府参考人からお伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 二点、お答えいたします。

 まず、法改正の狙いについてですけれども、入国者の待機等に使用する宿泊施設の借り上げについては、これまで法律上の根拠がなかったので、事実行為として行ってまいりました。その結果、関係者への説明や調整に困難が生じたこともありましたし、また、それによって時間をかなり要したということもございました。

 これを踏まえて、今般の法改正では、宿泊施設への協力要請の根拠規定を設けて、関係者との調整等を円滑に行うための環境整備を行うとともに、医療機関についても、確実に確保する観点から、平時から検疫所長が医療機関と協議し、協定を締結するとともに、その協定を締結する際には、医療機関の所在地の都道府県知事に対して事前の意見聴取をしますし、協定の内容が決まりましたらその通知を行うといった規定を設けることとしております。

 もう一点の自治体との調整はどういうふうにという点についてお答えします。

 現在、地方空港や海港における国際線の受入れ再開を十月十一日以降、順次進めております。この空港、海港ごとの今後の就航予定に応じて、宿泊施設や入院先の確保については各検疫所が地方自治体、地元自治体と調整を行っております。その際には、検疫官、一頃、主要空港に散っておりましたけれども、今、もう地元の検疫所に戻って、こうした地元調整を行っております。

 検疫所による宿泊施設の確保に当たっては、例えば、自治体が既に準備している宿泊施設の一部を紹介していただいて、検疫所が費用負担した上で活用するといった形で、それぞれの地域の実情に応じた検疫体制の整備が可能になるものと思っております。

 同様に、医療機関についても、こうした調整をすることによって、協力を得ながら、丁寧に調整を進めていく、こういった運用の仕方を考えております。

吉田(統)委員 大変よく分かりました。しっかりと進めていただきたいと思います。

 それでは、また大臣と、もうあと五分弱でございますので、時間を超過しないようにさせていただきたいと思います。アンジェス社の話を少し、また大臣とさせていただきたいんですが、アンジェス社のワクチンの開発、インサイダーの可能性があるという指摘があります。

 月刊タイムス等の記事によると、アンジェス社が二〇二〇年三月五日にコロナ治療薬開発に乗り出すとIRで発表した直前の二月十七日、約九十三億七千万円相当の新株予約権発行を表明し、全株、証券会社で引き受けられて、その大量希薄化のため、アンジェス社の株価は翌日、ストップ安となり、二月二十五日には三百七十五円まで下落しています。

 ところが、吉村知事がアンジェス社のDNAプラスミドワクチンについて四月に、九月までに実用化と発言して、株価は九百八円まで上昇しています。六月に、二〇二一年の実用化を目指すと発言すると、六月二十六日には底値の約六倍に当たる二千四百九十二円に急騰するなど、吉村知事の発言と株価が連動しています。

 しかし、その後、二〇二〇年下半期は、千二百円、千三百円をはい回るような株価となり、更に下がり続けて、ワクチン開発中止が発表された後、もっと下がり続けて、今年の十月三十一日には百六十三円を記録しています。

 この経緯に関しても第三者機関などの検証をやはりすべき、補助金をつけているのは厚生労働省ですから、すべきだと思うんですけれども、お答えになりづらいと思うんですけれども、このインサイダー取引のうわさについて、大臣、どのようにお考えになられますか。

加藤国務大臣 アンジェス社のDNAワクチンを含めて、こうした支援をしようとしたときは、新型コロナに対応するため、バイオ医薬品の生産技術を応用した新しいタイプのワクチンの開発が世界中で進められており、まさにあらゆる可能性を視野に入れて、国内での開発、生産体制の整備を進めていこうということで、広範な事業に対して支援措置を、まず対象として考えたところであります。

 アンジェス社のワクチンに対する支援は、補助対象となる事業を適切に実施できるかという観点で、外部専門家により構成される評価委員会の審査を経るなど、適正な手続を経て決定されたものと認識をしております。

 今、委員お話があったいわゆるインサイダー取引云々等に関する判断、これはまさに証券取引等監視委員会において適切に実施されるべきものであると考えております。

 他方で、厚労省としては、今申し上げたように、補助対象事業が適切に実施されたか、これをしっかりチェックする必要がございますので、今後、必要な事後評価を行い、その結果に基づいて公表し、また、必要な対応を取っていきたいと考えています。

吉田(統)委員 時間がないので終わりますが、大臣、そうすると、補助対象が適切に運用されたかどうかは、大臣が所管で、しっかり御覧になるという今、御答弁ですよね。それは間違いないですよね。そのとおりで結構なんですが、結果としてそういったものが残念なことにインサイダーといった事態になってしまった場合は、厚生労働省は関与しない、知ったこっちゃないという趣旨の答弁ではないんですよね。不幸なことにそうなってしまった場合も、別に積極的に厚生労働省は、疑いがあっても、そのまま、それは金融庁にお任せしようかなということでよろしいですか、大臣。もうこれで終わりますので。

加藤国務大臣 余り、具体的な、しかも仮定での議論に対して、こうだああだということを今申し上げるのは難しいというふうに思いますが、ただ、あくまでも、先ほど申し上げたように、インサイダー取引の有無があるかどうか、これは証券取引等監視委員会におやりになっていただくべきことで、我々は、先ほど申し上げた、あくまでも、補助事業としてそれが適切に実施されているかどうか、こういった観点から見ていかなければならないと考えています。

吉田(統)委員 もう終わりますけれども、今のは個別じゃなくて一般論として聞いていますので、個別の話ではありませんので、また議論を続けたいと思います。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、山井和則君。

山井委員 よろしくお願いいたします。

 四十分の質問時間をいただきました。基本的に全て質問通告しておりますので、加藤大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 前半は、感染症、そしてコロナなどに関する質問、後半は、今問題になっております統一教会の虐待と言われる問題について質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、現状認識を加藤大臣にお伺いをしたいんですが、今回の法案、残念ながら施行が二年後ということで、遅過ぎると私たちは思っております。そういう中で、今、修正協議をさせていただいておりまして、与党にも前向きに修正協議に応じていただいているということで、そのことは感謝をしたいと思います。

 ついては、今、東京でも九日間連続、全国でも感染者が前週比増になっております。これはもう第八波に入ったという認識を持たれていますでしょうか。いかがですか。

加藤国務大臣 直近の感染状況はまさに地域差がありますが、全国の新規感染者数は、先週の時点では横ばいだったものが、昨日時点では今週先週比で見て増加に転じている。また、今冬は季節性インフルエンザの同時流行が懸念されており、今後の感染動向は注視する必要があるというふうに考えているところでございます。

山井委員 感染動向を注視ということですけれども、これは見ようによってはもう第八波に入っているのではないかという危機感を持っておりますし、過去二年間、年末年始、やはり急増しているんですね。そういう意味では、私たちもしっかりとここは対策を怠ることのないようにせねばと思っております。

 それに関連して、忽那先生の資料を今日の配付資料に入れさせていただいております。配付資料の六ページ、こういうふうに見開きになっておりますけれども、ここに気になる、新型コロナとインフルエンザ、二つ同時に感染し得るのか、同時感染すれば重症化しやすいのかという忽那先生のペーパーがございます。

 この中で、イギリスの調査では、二百二十七人がインフルエンザウイルスと同時にコロナに感染していた、六千九百六十五人のうち。そして、インフルエンザと同時感染していた患者は、新型コロナ単独感染の患者よりも四・一倍人工呼吸管理となりやすく、二・四倍死亡しやすいという結果でしたという非常にショッキングなデータが、調査結果がイギリスでは発表されております。

 そこで、加藤大臣にお伺いしたいんですが、今後、日本でもインフルエンザとコロナの同時流行ということが懸念されますが、やはり同時に感染すると重症化や死亡リスクが高くなる、このような認識でしょうか。

加藤国務大臣 今後の動向については、社会全体の免疫状況とか、また接触機会がどうなるかとか、新たな変異株、こういったことを含めて考えていかなきゃいけないと思いますが、ただ、委員おっしゃったように、過去二年を見ると、年末に向けて感染が拡大している。また、ここ数年、季節性インフルエンザの流行がありませんでしたけれども、日本における夏の時期における南半球での動向を見ると、そうした可能性も念頭に置く必要があるというふうに私どもは考えております。

 今お話があった、インフルエンザと新型コロナの共感染、いわゆる二重感染について、科学的な知見が限定的であり、重症化や死亡に与える影響について十分なエビデンスがあるわけではないですが、今お示しのあった英国での調査によると、死亡するリスクが上昇する可能性があるというふうに承知をしております。

 そうしたことも踏まえて、新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念され、同時流行に備えた対応、これは先月十三日にもおまとめをさせていただいたところでございます。こうしたところ、今、各都道府県にもこれをお示しして、その場合の対応策も御検討いただいているところでございますので、こういった、どういう形で、それぞれが波が別々に押し寄せてくるのか、一遍に来るか、いろいろな可能性を念頭に置きながら、それぞれの場合において的確に、特に重症リスクの高い方を中心に命を守る、こういった観点で取組をさせていただきたいと思っております。

山井委員 確認ですが、これはもちろんイギリスの調査しかないわけですけれども、インフルエンザとコロナに同時感染した場合、重症化や死亡リスクが高くなる危険性、可能性はあるという理解でよろしいですか。

加藤国務大臣 英国の電子カルテのビッグデータに基づいた分析報告で、二〇二〇年二月六日から二〇二一年十二月八日までに英国で入院した新型コロナウイルス感染症患者の成人二十一万人を対象に、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルスによる同時感染の臨床研究を調査したところ、院内死亡リスクは一・四九から二・三五倍だったという結果ということでございますので、これだけで全て論じられるかどうかというのは、先ほど申し上げたように、そこまで言い切れるわけではありませんが、ただ、このデータを見ると、上昇する可能性があるんだろう、あるいは、あるのではないかというふうに思います。

山井委員 確かに、ここは最悪の事態を想定して、私も近々四回目接種とインフルエンザのワクチンの接種をしようと思っておりますが、備えていく必要があると思います。

 それでは次に、第八波に備えて、様々な現場の声を聞いてみると、やはり、一つは処遇改善。この三年間のコロナに対する対応で、発熱外来、医療現場のみならず、保育園、介護現場、障害福祉現場、クラスターが発生して、そういうところが大変な御苦労をされている。そしてまた、その中で、元々、介護、保育、障害福祉現場の処遇が低過ぎるということが改めて、コロナのクラスター対策などの最前線で御奮闘いただいている中で明らかになったと思うんです。

 この十月から三%、処遇が、保育、介護、障害者福祉、改善されるとはいえ、一般との月収の差は約十万円ぐらいあると言われておりますので、この三%は発射台として、更なる処遇改善、保育、介護、障害福祉について必要ではないかと考えますが、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 コロナ対応、まさに医療現場の皆さんにも大変な御苦労をいただいておりますが、保育の現場、あるいは介護、障害福祉の現場の皆さん方も大変気を遣いながら御苦労いただいていることを改めて感謝を申し上げるとともに、今委員御指摘のように、そこで働く皆さん方の処遇が全産業一般と比較をした上でどうかといえば、高くないというか、むしろ処遇が十分ではないという指摘をいただいているところでございます。

 そうした中で、この四年二月から三%上げる処遇改善を行ってまいりましたが、本年、四年十月からは公定価格において措置をするということで、いわば恒久的な対応を図らせていただいたということであります。

 まずは、今般の処遇改善措置がそれぞれの皆さんの給与にどのように反映されたかといったことの検証、これをしっかりしていく必要があり、実際、皆さんの処遇改善につなげていきたいと思っております。

 その上で、公的価格評価検討委員会の中間整理でも御指摘をいただいていますが、まさにそうした費用の使途の見える化を行いながら、現場で働く方の処遇改善、業務の効率化、負担軽減、これらを併せて、財源確保もしなきゃなりませんけれども、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

山井委員 ちょっとそれに関連してですが、加藤大臣、これは質問通告しておりませんでしたが、ニュースが出ておりましたので、一問、更にお聞きしたいんですが、今、審議会の方で、介護保険制度の見直しが、議論が始まったということを聞いております、二〇二四年度を目指して。

 その中で、報道によりますと、介護保険料の引上げ、あるいは二割負担の対象者の拡大ということが議論されていると思うんですが、御存じのように、長引くコロナ、またこの物価高で大変国民は苦しんでおりますので、そのような負担増は避けるべきだと考えますが、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 委員御承知のように、まさに高齢化がどんどん進む中で生産年齢人口も減少していく、そうした中で、介護のみならず、医療保険制度含めてどう持続可能なものにしていくのかということでは不断な見直しをしていく必要があると思いますし、同時に、負担について申し上げれば、それぞれ能力に応じて負担をしていただくということが基本になっていくんだろうと思います。

 ただ、今委員がお話があった個別の話は、まさに今課題があって、それをどうするかということで、委員の中でまさに自由に御議論いただいているという段階でございますので、今の段階で私の方から方向性を申し上げるのは差し控えたいと思います。

山井委員 私も高齢者福祉の研究者で大学で教えておりまして、それがきっかけで議員になったというのもありますので、一つの解決策は、これはハードルが高いかもしれませんが、保険料を上げていく、自己負担を上げていくということではなく、今五対五になっている保険料と公費負担の割合を、公費を六割とか五五%にするとか、そういうこともやはり議論していくべきではないかと私は思っております。

 また、それに関連しまして、先ほど保育士さんの処遇改善の要望もしましたけれども、もう一つ、やはり保育士の人員配置基準の引上げですね。

 今、御存じのように、コロナ禍で、保育現場ではマスクも十分にできないなどなどの中でクラスターが発生したりして、大変な御苦労をしておられます。そういう中で、先ほどの処遇改善のみならず、長年、二〇〇九年以降先送りになっていた保育士さんの人員配置基準の引上げ、つまり、一歳児が今の六対一から五対一に、そして四、五歳児が三十対一から二十五対一に、これは過去十二年間先送りになっている課題でございます。

 今、岸田政権は子供予算倍増ということを掲げておりまして、私たちもその考え方は応援をさせていただきたいと思いますので、この際、保育士さんの人員配置基準の引上げ、やるべきではないでしょうか、いかがですか。

加藤国務大臣 まさにこれは税と社会保障一体改革で、当時、民主党が与党で我々が野党のときに議論をさせていただいて、消費税財源では三歳児の職員配置の改善をするということで、これは既に平成二十七年度から加算という形で実施をさせていただきましたが、それ以外、消費税分以外で財源を確保するとされていた、いわゆる〇・三兆円超のいわゆる質の向上事項、ここに一歳児や四歳、五歳児に対する保育士の配置改善が入っていますが、残念ながら今まで未実施となっております。

 やはり、これはどう財源を確保していくのかということの検討が必要でありますので、引き続きそうした財源の確保と併せて議論をしたいと思います。

 ただ、この間何もしなかったのかといえば、保育士の業務負担軽減、例えば、保育士の補助を行う保育補助者の雇い上げに必要な費用等々、こうした補助も行ってこさせていただきました。

 引き続き、保育の現場の皆さん方の処遇改善、負担軽減、これに向けて努力をしたいと思います。

山井委員 やはりコロナにおいても、日本の福祉、雇用においても、少子化というのは非常に深刻な問題で、コロナ禍において少子化が残念ながら加速化しているんですね。こういう保育の質の向上プラス、これは要望にとどめますが、私たちは今までから、児童手当を所得制限なしにして、今の中三から高校三年生までに引き上げて、一万五千円、月に出すべきだということを提案しております。そういうふうなことも与野党協力して是非実現できたらと思っております。

 それでは次に、二ページ、コロナの後遺症について質問をさせていただきます。

 私の知り合いの方でも、御本人があるいはお子さんがコロナに感染して、その後、後遺症が長引いて、今学校を休んでおられる、あるいは、残念ながら、新入社員の方でしたけれども、後遺症が長引いて会社を結局は辞めることになったという、本当に学校、職場、もっと言えば人生に関わる被害が出ているわけで、しかし、さらに、これが後遺症かどうかというのも診断してもらえる医療機関が少ないんですね。

 それで、こういう中で、今も小川筆頭を中心にやっていただいております修正協議の中で、コロナに対する後遺症への取組、また、ワクチンの副反応への実態調査やそれに対する取組、分類見直しについて、そういうふうなことも是非法案の修正案に入れてほしいということで今協議をさせていただいておりますが、それについて、やはり、大人も深刻ですけれども、お子さんのことも含めて後遺症問題というのは非常に深刻だと思います。

 ついては、このコロナ後遺症の実態についての調査研究を進め、診断できる医療機関を増やし、相談体制も充実すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 新型コロナの罹患後症状、いわゆる後遺症について、一般的には、時間の経過とともに大半は改善すると考えられておりますが、症状によって、今委員御指摘のように、社会生活に大きな制限が生じている方もいらっしゃるわけであります。調査研究を進めるとともに、罹患後症状に悩む方が適切な医療につながる取組を行っていきたいと考えております。

 まず、罹患後症状について、一般医療の中で対応できるものが少なくないことから、まずはかかりつけ医等や地域の医療機関につなぐことが重要でありまして、このため、厚労省では、厚生労働科学研究費による研究等によって得られた国内外の科学的知見を盛り込んだ診療の手引を作成させていただいて、都道府県、医師会を通じて医療の現場にも情報提供させていただく。

 また、各自治体において、地域の実情に応じて適切な医療につながるよう、それぞれの取組状況を把握し、その情報を各自治体とも共有をしていただく。さらには、各都道府県が県民向けにこうした新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、いわゆる後遺症などに関する情報、どういうところで診療を受けられるか等も含めてホームページで一覧としてまとめ、また、厚労省のホームページで公開するなどの取組も行わせていただいているところでございます。

 引き続き、罹患後症状に関する調査研究、これはしっかり進めさせていただいて、それを診療の手引等にも反映をしていく、また、各自治体の取組事例、これを横展開するなど、自治体とも連携しながら、こうした後遺症への対策にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

山井委員 是非お願いしたいと思います。

 また後ほど時間があればコロナ対策の質問に戻りたいですけれども、少し話題を変えて、今月は児童虐待防止強化月間になっております、十一月は。

 そんな中で、今日の配付資料の見開きの十一ページを見ていただきたいんですが、先日、十月二十七日に、統一教会などのいわゆる宗教被害を訴えておられる当事者の方々が記者会見をされました。仮名でありますけれども、高橋みゆきさん、小川さゆりさん、団作さん。統一教会の元信者の方、そしてエホバの証人の元信者の方であります。タイトルは、「宗教二世の虐待・権利侵害救済のための法整備に関する要望書」ということで、宛先は加藤大臣も入っております。

 そこで、私、最初にちょっと私なりの立場を申し上げていきたいと思いますが、私も高校は仏教の高校で、三年間丸坊主でありまして、三年間宗教教育を受けまして、社会の雑巾になって社会をきれいにする生き方をしなさいということを三年間御指導を受けまして、私も少しでも福祉に取り組みたいという思いで、福祉の活動をやって、今政治家に至っておりますので、私は、宗教というのは人間にとってとても大切で、それは、若い、そういう頃にも重要だという認識を持っております。ですから、信教の自由を奪ったり、宗教自体を批判する気は全くありません。

 しかし、今問題になっているのは、はっきり言いまして、統一教会は宗教の名をかたったカルト。本当に、献金集めの詐欺集団みたいなものだと思います。こういうところを放置しておくと、一般のすばらしい宗教の方々にも逆に迷惑がかかるというふうに私は思うわけです。そういう意味で、私たちは、いち早く統一教会などは解散請求をして、すばらしい宗教はすばらしい宗教として私たちもこれからも信仰させていただくということが必要なのではないかと思います。

 実際、被害者の方々も、統一教会については、これは宗教じゃない、宗教のふりをして献金を集めまくっている、そういう団体だ、だから解散請求すべきだという声が強いわけですね。

 そこでお伺いしたいんですが、具体的な事例からお話しした方がいいと思いますので、加藤大臣に少し御見解をお聞きしたいと思います。

 十四ページを見ていただければ、テレビでも最近発言をされておられますが、統一教会の二世の被害者の方で、仮名の小川さゆりさんという方がおられます。

 全ては読み上げませんけれども、両親が信者、多額の献金、それで、お小遣いはなし。誕生日、クリスマスもプレゼントはなく、髪を切るお金ももらえず、父におかっぱ頭にされたりするので髪は私も兄弟も自分で切っていた。服も学校に必要なものも使い古したもらい物ばかりで、小学校全期間いじめられた。修学旅行には何とか行かせてもらえたが、決まってお小遣いは少なく、お土産は絶対買ったら駄目と言われた。卒業アルバムを買ってもらえず先生たちに心配された。そして何よりも、高校一年生から五年間アルバイトをしたけれども、二百万円を没収されたということで、その期間にまた献金をされていたということなんです。

 それで、明確な答弁は難しいかもしれませんけれども、高校時代のアルバイト料二百万円が没収される、それで、ほかにも多くの統一教会の被害者の方から、奨学金を勝手に没収されて献金されたとか、普通、奨学金というのは子供のためにもらうわけですね、当たり前の話。ところが、奨学金をもらったのを献金しちゃう、こういうふうなこともあるんですけれども、加藤大臣、こういうふうなことというのは児童虐待に当たるのではないかと思いますが、もちろん個別のことなので答えにくいのは分かりますよ、分かるという前提で、一例として話をさせていただいているんですけれども、加藤大臣、いかが思われますでしょうか。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、児童虐待という定義が児童虐待防止法第二条に大きく四つ記載をされておりますけれども、これに個々のものがどう当たるのか、当たらないのか、そういったことが、まさに逆に言えば、我々が児童虐待の対応をするときにおいても非常に大事なポイントになり、まず、先般は、宗教だということで消極的な対応をしないようにということは申し上げましたが、その上で、それに対してどう対応していくのかということで、今、実際のQアンドA、今お話しのように、どこまで、個々の一個一個ということになるとなかなか難しいにしても、一定の、こういったものにはこうだというところをお示しができるようなものを作っていきたいというふうに考えております。また、作るに当たっては、実際、そうした虐待を受けた皆さん方、当事者の方々の意見も踏まえながら進めていきたいと思っております。

 ちょっと委員のお話とはずれますけれども、我々、聞いていると、単に例えば児相が親に駄目じゃないですかと注意するということが結果的により事態を悪化させるケースもあるので、その場合はどうすればいいかといった、やり方も含めてその辺をしっかりと詰めて、そしてそれを児童相談所の方へ徹底をしていきたいというふうに思っています。

山井委員 逆に答えにくい質問をしてしまいましたけれども、先日も、自民党と公明党さんが、こういう宗教的な被害者に対する相談機能の充実の要望を総理にされたと聞いておりますので、是非ここは党派を超えて取り組んでいければと思っております。

 もう一点だけお聞きしたいんですが、実は、十三ページ、二十七日の記者会見のときにはエホバの証人の被害者の方もおられていまして、ここに書いてありますように、団作さんという仮名の方について読み上げますと、エホバの証人の団体では、むちで子供を打つことが推奨されていました、親のちょっとした機嫌を損ねてしまうと罰として電気コードで打たれました、子供の意思を確認することもなく、物心つく前から当然のように宗教活動への強制参加を求められましたと。

 これは団作さんがお子さんのときの話なんですけれども、むちで打たれたことがある、それは単に親のかんしゃくとかではなくて、そういうことが行われていた。残念ながら、昨日発表されたこういう調査でも、エホバの証人では八割の子供が教義に関して体罰を受けていたという調査結果が昨日も出てきたんですよね。

 団作さんのむちで打たれていた、これはもちろん団作さんがお子さんのときの話なんですけれども、加藤大臣、こういうのは虐待に当たるか、いかが思われますか。

加藤国務大臣 最終的には個別事案を勘案しながら判断しなきゃいけないと思いますが、少なくとも、むちを打つといった明確な体罰といいますか、そういったものや、本来的には与えるはずの食事を三日間にもわたって意図的に与えない、こういった行為は身体的虐待やネグレクトに該当し得るものというふうに考えます。

山井委員 私も、実はこういう質問をするのは非常につらいんです。私、高校は仏教の高校でしたし、大学時代も実は比叡山の延暦寺のお小僧さんの家庭教師をしておりまして、比叡山に下宿をしておりまして、朝五時からお加持に参加したりもしておりまして、私は本当に、そういう意味では、宗教というのは人間にとって最も大切なものの一つだというふうに思っております。

 繰り返し言いますけれども、だから、今取り上げているこういう虐待のケースというのは、一般の宗教ではなくて、誤解を恐れず言うならば、やはりカルト、こういうものと一般のいい宗教はきっちり切り分けて、駄目なものは駄目というふうに規制してお子さんなりを守る、そのことが一般の宗教関係者にとっても、一緒くたにされないから、いいことではないかと私は信じてこういう質問をさせていただいております。

 そこで、先ほども加藤大臣がおっしゃってくださったように、昨日、加藤大臣が宗教的虐待に関するQアンドAを作成して、マニュアルを作って対応するということに対して、インターネット上でも、被害者の方々は大変喜んでおられるんです。やはり、自分たちの要望書が厚労省に届いて、羽野室長を中心にこうやって動いてくださっている。加藤大臣が先頭にいるのを本当に喜んでおられます。

 そこで、もう一歩、欲を言いますと、結局、なかなか相談が増えないんです。

 八月十九日、忘れもしませんが、加藤大臣に、法務省の統一教会の相談窓口、厚労省が入っていないから児童虐待に対応できないから入れてくださいと言ったら、加藤大臣が入れてくださいました。

 ところが、回答が返ってきまして、ショッキングな回答で、九月二千数百件相談を、統一教会で受けた、しかし、八ページの下に、法務省から回答が来ました、九月二千数百件、統一教会の相談を受けたけれども、統一教会に関連した児童虐待に関する相談や児童相談所を紹介したものは見当たりませんでしたと。つまり、零件なんですよ。幾ら法務省が相談をやったって、こういうお子さんの虐待の相談は来ないわけなんですね。

 そういう意味では、いかに掘り起こすかということだと思うんですけれども、その中で、今回、通知も出していただきました、十月六日に。そして、今回、QアンドAも作ってくださるということは大きな前進だと思いますが、そんな中で、今は児童虐待防止推進月間なので、宗教的虐待について、被害児童本人や教師、周りの方々が相談しやすくするために、SNSで国民向けに、宗教的虐待も児童虐待に当たり、児童相談所に相談できると啓発を来週中に出すべきではないかと考えます。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 もちろん、自治体等でしっかり体制を整えてもらうという意味で通知も出させていただきましたが、同時に、今委員御指摘のように、そうした窓口等をうまく活用していただかなきゃいけない、そのためにも、児童虐待防止に向けた国民向けの周知啓発、これにしっかり取り組むことが必要であると考えております。

 自治体向けに先日発出した児童虐待に関わる通知の趣旨が、宗教二世であって児童虐待に苦しまれている方やその身の回りの方に対しても可能な限り浸透するよう、来週、十一月七日の週を目途に、SNS等を使った周知を含めて、必要な対応を今考えているところでございます。

 また、相談先となる具体的な児童相談所の名前や場所が分からない方でも気軽に相談できるよう、児童相談所虐待対応ダイヤル「いちはやく」、一八九でも相談できる旨、こういったこともしっかり周知をしていきたいと思います。

山井委員 ありがとうございます。

 やはり今インターネットが非常に重要ですので、来週中を目途に、何よりも被害児童本人、あるいは周りの大人、あるいは学校の先生が、ああ、これは宗教的虐待だなと。繰り返し言いますけれども、一般の宗教ではなくてカルトですよね。統一教会などの、いわゆる宗教といいながら人権侵害をしている、一般の宗教とは明確に違う、やはりカルト、こういうものについても、虐待に当たるんだ、相談していいですよということをSNSで来週に発信してくださるということ、ありがとうございます。

 同時に、このことについては、一八九、「いちはやく」の児童虐待防止の相談ダイヤル、これも電話してくださっていいよという発信をしてくださるということ、SNSで。ありがとうございます。

 それでは、それに関してもう一つ、この被害者の方々からは、やはり、こういう統一教会の相談などは経緯とか被害の実態を説明するのが三分とか五分で終わらないので、電話だけではなく、SNSでも相談を受け付けてほしいという要望が今までからありました。

 ついては、このような宗教的な虐待を含む児童虐待の相談に、電話だけではなく、今後SNSでも相談に乗るべきだと考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 現在の児童相談所では、電話や対面での相談対応が中心となっております。一方で、特に子供や若者にとってコミュニケーション手段として一般的となっているSNSを活用した相談体制の整備、これはこれまでも必要性が指摘をされていたところであります。

 国によるSNSを活用した相談受付を本年度からでも始めていきたいと思っております。具体的には、全国共通のアカウントを作成し、子供や家庭からの相談を受け付け、各自治体がその相談に対応するシステムをつくっていくということでございますので、各自治体の相談体制を整備をしていく、また、システムの使用方法、これについても検証を行っていかなきゃいけませんので、そうした準備を行った上で、遅くとも本年度中にはスタートできるべく準備をさせていただきたいと思っております。

山井委員 先週の記者会見の中でも、記者会見の内容、十三ページにありますが、例えば、親の言うことに従わなかったということで、最大で三日間の断食をさせられたということもありましたということも発言をされておられます。そういう意味では、やはり、行き過ぎた体罰、そういうことは決してあってはならないと思います。

 それで、もう一つ、児童相談所の職員の方々は、大変多忙な上、宗教的虐待についての知識にも乏しいと思います。

 ついては、児童相談所の職員の方々への、宗教的な虐待についての研修をすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 宗教を理由にする虐待、これはいろいろな特殊性がありますので、その対応に当たっては様々な留意点もあります。それからまた、各自治体の児童相談所でありますが、児童福祉司をかなり増員をさせていただきますので、やはりなかなか経験が浅い方も中にはいらっしゃるわけであります。

 したがって、先ほど申し上げましたQアンドA等を作成した際には特にでありますが、その内容を現場に浸透させ、相談対応に生かす取組をしていかなきゃならないと考えております。QアンドAが作成された暁には、その内容を職員の研修に活用するなど、効果的な方策を、それぞれいろいろな、今ある会議はもちろん活用しながら、必要に応じて各職員に対しても研修が行える、行っていく、そういったことを考えていきたいと思っております。

山井委員 さらに、この宗教的虐待というのは、この当事者の方々、カルトの被害の方々でありますけれども、非常に特異なので、児童相談所は、相談に乗るに当たり、統一教会などの被害の支援団体や被害者家族会、弁護団との連携を強化すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 宗教二世の方々に対して児相の現場が適切に対応していくためにも、当事者や実際に支援に当たっている方々から助言をいただくなど、連携していくことが大事だと思っております。

 厚労省としても、先ほど申し上げたQアンドAの作成に当たっては、先日の要望書の内容も含めて、当事者や支援の方々からの御意見もいただきながら、それを作成させていただきたいと思っております。

 また、現場の児童相談所等の視点に立って、宗教二世の方々に対応する際に、連携可能などういう形の団体があるのか、また、どういった形で連携を取ればいいのか、こういったことについても、当事者、また支援者の方々等の御意見も伺いながら検討をさせていただきたいと思っております。

山井委員 加藤大臣、様々な前向きな取組をしてくださっていることに、被害者の方々も大変感謝をしておられます。

 そのお礼を言いながらなんですけれども、とはいえ、なかなかハードルは高くて、さっきも申し上げましたように、法務省が一か月二千数百件、相談を受けても、児童虐待に関する相談はそもそも零件だと。いい意味で、掘り起こしていく必要があると思うんですね。一つは、お子さん本人がなかなか直接相談、児童相談所にできないだろうということや、じゃ、代わりに、最初に気づくのは学校の先生だろうか、あるいは周りの方だろうかという気がするんですけれども。

 そこは、今おっしゃってくださったような様々な取組を厚労省を先頭にやってくださっているという大前提で、本当にこの被害を受けているお子さん、あるいは周りの大人が、どうやったら児童相談所や相談支援につながるか、このことについて、御所見をお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 まさに児相で、先ほど申し上げた、それほどノウハウがあるわけでもございませんし、児相だけで全部できるわけでもありませんから、関係する方々、今教育関係のお話もされておられました、そういった方々とも連携をしながら、まさに窮しておられる子供さんが相談ができるような、あるいは環境をしっかりつくっていく、また、それに対して対応できる仕組みをつくっていく、こういった努力を重ねていきたいと思っております。

 それは、今ここで、ここまでだということをお示しすることはなかなか難しいんですが、まさに地域地域によっても事情が違うと思いますけれども、それぞれの地域で、まさにそうした取組が前に進んでいけるように、我々としても努力をしていかなきゃならないと思います。

山井委員 先ほども言いましたように、私も仏教の高校で学ばせていただいたことは本当によかったと思っていますし、そういう意味では、こういう一部の行き過ぎた虐待まがいの行為が横行している団体に関しては、きっちりと規制をして被害者を救済していかないと、一般の宗教のイメージすら一歩間違うと悪くなりかねないと思います。

 そういう中で、この十月二十七日の、当事者の方々は、「宗教二世の虐待・権利侵害救済のための法整備に関する要望書」ということを出されまして、その中に、児童虐待防止法の改正と、そして、この三つ目の段落ぐらいのところに、心理的な虐待やネグレクトは、他の虐待に比べて外形的な判断が行いづらい実態があり、児童虐待防止法に具体的な判断基準や虐待事例を追記するなどして、虐待被害を取りこぼさないような法整備、支援体制整備を求めますということを書いておられます。

 私なりに読みますと、新たに対象を拡大するのではなく、十月六日の通知に出ましたように、今の枠内に、もしその理由が、宗教が理由であっても、当然、虐待防止法の対象になるんですよということをもうちょっと法律で明確化してほしいという、繰り返し言いますが、対象を広げるということではなくて、明確化してほしい、この間通知が出たものをもうちょっと法律で明確化してほしいというような要望ではないかと理解するんですけれども、その辺りについて、加藤大臣の御所見をお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 まさに児童虐待法における児童虐待というのは、その目的が何であれ、いわゆるここに当たる児童虐待でいえば、それを防止をしていくということであります。

 今お話があったように、今回のいろいろな事案が児童虐待法上の取扱いにどうつながっていくのか、そういったことも整理をするという意味において、先ほど申し上げた、まずQアンドAを作らせていただいて、まさに宗教に係る、あるいは宗教二世に係る様々な課題も児童虐待に当たっていくんだといったこと、そして、それに対してどう対応していくんだ、そういったことをむしろ示させていただきたい。法律は大体ざくっと書いてありますから、それをどう今件について運用していくのか、それを示すものも含めてこのQアンドAを作成したいなというふうに考えているところでございます。

山井委員 このQアンドA、年内と聞いておりますが、できるだけ急いでいただければと思います。被害者の方々、困っておられますし、今多くの方が声を上げておられますが、大体、年内のいつぐらいをめどに考えておられますでしょうか。

加藤国務大臣 先般ちょっと指示をしたところであります。それから、我々だけで作っていいものではないことは先ほど申し上げて、かなりやり取りをしながら、中身のあるものにしていかなきゃいけないということで、それでもやはりスピード感が求められますから、年内にはということを、めどを立たせていただいております。

 そこから先はちょっと今申し上げた作業の手順でいろいろ変わってくるんだと思いますが、できるだけ早くに、そしてできるだけ内容のあるものを作っていく、こういったことで取り組みたいと思います。

山井委員 終わらせていただきますが、今日も、午後、自民党さんが、当事者の方を呼んで統一教会対策の立法の議論をされる、そういうヒアリングをされるというふうに聞いております。私は、宗教の大切さというものは、そして信教の自由を守る、これはもう各党全く異論はないと思いますので、このことは、ある意味で、政争の具になることなく、党派を超えて、いかにいい宗教を守り、そしてまた、こういう宗教の名をかたって子供や被害者を苦しめている、そういう団体は取り締まっていくか、このことについては、加藤大臣のお力もおかりしながら、党派を超えて、超党派で取り組んでまいりたいと思います。どうかよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

三ッ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 本日は感染症法等の一部改正案について質疑をさせていただきますが、その前に一つお聞きしたいことがあります。

 これは八月十一日に報道がされましたけれども、岸田総理とWHOのテドロス事務局長が電話会談をして、WHOの傘下の新組織を日本に設立する、五月の広島サミットのタイミングに合わせて設立をするんだという報道が出ました。これはなかなか国民に知らされていない新しい組織ではないかと思いますけれども、それはどういう目的で、内容、人員とか予算の規模なのか、教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、UHCでありますけれども、全ての人が効果的で良質な保健医療サービスを負担可能な費用で受けられることを目指すものであり、我が国も国際的な取組の主導を図ってきた、こうしたものであります。

 更なる世界的なユニバーサルカバレッジの推進や将来の健康危機への備えと対応を強化するという観点から、本年五月に岸田総理とWHOのテドロス事務局長が、日本にWHOのUHC、まさに今申し上げたユニバーサル・ヘルス・カバレッジのセンターを設立することを検討するためのタスクフォースを設置することを確認をしたところでございます。このタスクフォースにおいて、今、日本政府とWHOとの間で議論がスタートしているところでございます。

 このUHCセンター、まさにこれはユニバーサル・ヘルス・カバレッジを進めるためのセンターではありますが、具体的な事業内容、規模、これは現在タスクフォースで検討しているところでございますので、更にWHO側と議論を進めて、その実現を目指していきたいと考えております。

野間委員 この五月の岸田総理とテドロス事務局長の電話会談では、テドロス事務局長の方からでしょうけれども、WHOの財政基盤の強化についても総理と意見を交換したということでありますので、日本、もうちょっと予算を出してくれというようなお話ではないかと思うんですが。厚生労働省が主体となってこういうUHCの新組織をつくるということにもなっていくんでしょうけれども、厚生労働省もそんなに人的な余力、余裕があるわけではないでしょうし、我々もそんな、予算が余っているわけではありません。どういう組織になるか、崇高な理想の下でやるんでしょうけれども、やはり、余り、お荷物という言い方をしては失礼ですけれども、そういったものを抱え込んで、日本にさせられることがないように、しっかりと私ども国民にもよく説明もしていただければと思います。

 それでは、感染症法の一部改正についての質問をさせていただきます。

 今回、今までのコロナ対策の反省を踏まえて、医療機関とそれから都道府県が協定を結んで病床の確保、医療の確保等をやっていくということになったわけですけれども、もちろん、医療機関、民間病院と公的・公立病院、この二つのジャンルはあるわけですが、そもそも、医療機関は都道府県といろいろ協議をするということなんですけれども、これはちょっとうちではできない、やりたくないということを断るということはできるんでしょうか。この中にも、民間病院との協定が調わない場合はこうこうというような文言もあります。こういったこと、本当に、断って、できないんだと言うことはできるんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきましたように、今回、感染症発生、蔓延時における地域の医療提供体制を確保するために、民間医療機関につきましても、それぞれの機能や地域における役割を踏まえ、できる限りの御協力をいただくということが必要と考えてございます。

 このため、今回の改正法案におきましては、全ての医療機関に対して、感染症発生、蔓延時における役割、対応に関する協定の協議に応じる義務を課すということにしておりまして、条文上は、具体的には、「協議を求められた医療機関の管理者は、その求めに応じなければならない。」というふうに規定をさせていただいているところでございますので、この協議を断るということは、この義務違反になるということでございます。

 その上で、都道府県と医療機関とで協議を行って、合意に基づいて協定を締結することになってまいりますけれども、仮に協定が調わない場合としては、例えば、想定する感染症の特性に応じて、感染症発生、蔓延時に提供する医療の内容や、あるいは病床数、あるいは派遣可能な医療従事者の数などについて、都道府県と医療機関との間でなかなか折り合わず、合意に達しないといったような場合等が考えられるかというふうに思っております。

 一応そういったところでよろしゅうございますか。

野間委員 そうしますと、特に民間病院との協定締結、これは至らない場合が当然あるということですね。そうすると、締結を強制する権限はないということでよろしいんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたように、都道府県、そういった合意に達しないような場合に、医療機関に協定の締結を強制する権限、これは有していないというふうに考えております。

 ただ、やはりその上で、地域の医療を担っていただいているお医者さん、あるいは学識経験者などで構成された都道府県の医療審議会の御意見を伺うということができることになっておりまして、また、そこで出てまいりました意見を尊重する義務というのを都道府県と医療機関の双方に課すということにしておりますので、改めてその医療審議会の御意見を踏まえて御協議いただく中で、地域医療における役割分担が明確になって、必要な医療を受診できる体制が構築されていくことにつながるのではないかというふうに考えているところでございます。

野間委員 分かりました。結局、民間病院の場合は断ることもある、協定を結ばない場合もあるということかと思います。

 そうしますと、やはり、結局、感染症の発生、蔓延時のいろいろな負担は、公立・公的医療機関に集中するんじゃないかと想定されますけれども、大臣のお考えを聞きたいということ。

 もう一つ、あと、医療措置協定を締結した医療機関等が実施する措置に要する費用のうち、四分の一を都道府県が負担するんですけれども、これに対して、やはり地方の自治体の負担が増えるわけですね。これについて、どういう措置を考えておられるのでしょうか。

加藤国務大臣 現状でも、コロナ対応、公立・公的病院も、いろいろ役割を担っていただいていますが、民間病院においても、かなり役割を担っていただいているところであります。

 その辺の、これまでは個々に、実態的にお願いをしていたわけでありますが、今回は、そのやり方をきちんと整理をすることで、よりそうした協力関係を構築しやすくなるということと、それから、今の委員の御質問にもつながるわけでありますけれども、特別な協定を締結して、感染症の流行初期段階から基幹的な役割を担っていただく医療機関に対しては、流行初期医療確保措置の対象として、医療機関体制の速やかな立ち上げに向けて、その収益の悪化分を御支援するというのは、これはあらかじめお示しをさせていただく、あるいは、そうした対応をいただくところにおいては、平時においても設備等も図れるようにする、こういった仕組みを入れることによって、より民間の皆さん方も協力をしやすくなるし。

 それから、どうしても、病院のトップはよくても、働く方がなかなか理解いただかない。でも、今回は事前にこうやって示すわけですから、そういった意味においても、働く方にとっても予測可能性が高まっていく、こういうメリットがあって。

 こうしたことを含めて、公的・公立と民間も含めて、地域全体で感染症発生又は蔓延時に対応できる体制、この構築につなげていきたいというのが趣旨であります。

 それから、協定締結医療機関が実施する措置に関する費用については、新たな都道府県の負担が生じることになります。感染症法の現在の財政支援規定では多くは二分の一でありますが、今回の措置に関しては、国の補助割合は四分の三と高めさせていただいております。

 その上で、残りの四分の一のお話もありましたが、九月二日の政府対策本部決定で、次期通常国会への提出を目指す新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正法案において、地方公共団体が感染症拡大防止措置に係る財源を確保しやすくなるよう、地方債の特例規定の創設を含め必要な措置を検討するとされておるところでございますので、これを踏まえて、地方公共団体の財政負担にも配慮した措置を考えていきたいというふうに考えております。

野間委員 地方債、借りやすいような措置を取られるということなんですけれども、いずれにしても、またそれは返さなきゃいけないものですから、やはり自治体の負担が増えるということ、これは何とかしてもらわなきゃいけないということを要望したいと思います。

 次に、流行初期医療確保措置についてなんですけれども、本日もいろいろ議論がされていましたけれども、医療機関への減収補填を公費と保険者で一対一の負担とするということについてですけれども、感染症対策費用の公費負担のいわゆる原則にこれは反するんじゃないか。そして、診療行為がないのに保険者が負担するのはおかしいという声、指摘も出ておりますけれども、これについて改めてお聞きします。

加藤国務大臣 今回の流行初期医療確保措置は、新型コロナの対応において、本来であれば、診療報酬をその状況に応じて引き上げる、あるいは補助金の財政支援を整備するということですが、それに一定の時間がかかることから、結果において、医療機関の経営にも支障を与え、提供体制にも混乱を生じたという過去の経緯も踏まえて、この制度を設けさせていただきました。

 では、その財政負担をどうするかというお話でありますけれども、流行初期に、今申し上げたように診療報酬の特例を設けるまでには一定の時間を要するわけで、しかし、他方で、この間、感染症に係る医療行為は実際行われているわけでありますから、それは本来、診療報酬で支えるべきものと言えるのではないかということ。また、流行初期に必要な医療提供体制を確保することは、感染症医療のみならず通常医療の確保にも直結するほか、社会経済活動の維持にもつながるもので、被保険者、保険者共に広く受益をするということで、この期間の措置について、先ほど申し上げたことも含めて、保険者が相応の負担をするということで、今回こうした法律を作らせていただいたところであります。

野間委員 従来は、感染症については公費で見るという原則でありましたので、これが変わるということ、納得できないところですけれども。

 この保険者の負担が、補助金による支援や診療報酬の上乗せ措置が充実するまでの間の暫定的な支援だという説明をされているわけですけれども、この充実するまでの間、いわゆる流行初期医療確保措置の対象期間の終わりですよね、こうなったらこれは終わるんだと、どういう状態を想定されていますでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御質問の流行初期医療確保措置の実施期間につきましては、感染症の対応がある程度判明し、その感染症に対する診療報酬の特例措置や補助金などの財政支援が整備されるまでの限られた期間として設定したい、できるだけ短い期間で設定したいと考えております。

 一方で、感染症ごとに対応が異なってくるということも想定されますので、一律にこの実施期間をあらかじめ決められるものではないと考えておりますが、今回の新型コロナウイルス感染症の流行の波などを考えますと、最初は三か月といった短い期間を基本として、必要に応じて延長又は前倒しで終了する、こうしたイメージを持っております。

 いずれにつきましても、診療報酬の特例措置や補助金等の財政支援が整備されるまでの限られた期間であるという趣旨を踏まえて検討していきたいと考えております。

野間委員 ということは、大体三か月が一つのめどとして運用されるということになりますね。分かりました。

 あと、協定締結医療機関に対して、流行初期医療確保措置とは別途に協定を結んだときに、まず初動対応に備えるため、いろいろな施設を改修したりとか、あるいは人員を新たに雇い入れたりとか、そういったことも当然起こると思うんですが、その場合の財源は措置されるんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県と各医療機関の間で締結いたします協定におきましては、協定の履行に要する費用の負担の方法につきましても盛り込むこととしておりまして、具体的な中身につきましては、各県の知事と各医療機関の御協議いただく中で決定していくということになっております。

 その上で、今御指摘の、平時からの設備整備に要する費用につきましても、その一部を国が補助することができる旨の規定を今回設けているところでございます。

 これも含めて、国といたしましても、法施行に向けて、各県の予防計画の策定に向けた検討状況を踏まえながら、協定を締結する医療機関に必要な設備整備も含めて、必要な支援について具体的内容を精査して、検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、人員の確保の関係につきましては、平時における感染症対応人材の確保、育成も重要であるというふうに考えておりまして、現在も、院内感染対策について指導的な立場を担っていただいている方などを対象とした講習会を開催しているところでございます。加えて、現在の新型コロナ対応におきましても、新型コロナに対応する看護職員の養成研修なども行っているところでございます。

 なお、診療報酬におきましては、令和四年度の診療報酬改定で新設した感染対策向上加算一におきまして、感染症対策の経験を有する医師とか、あるいは研修を修了した看護師を含む感染制御チームを設置することを要件としたというところでございます。

 こうした取組も参考に、今後の取組を検討してまいりたいと考えているところでございます。

野間委員 そうしますと、初動対応に備えるための別途の財源が確保されるということでありました。

 それから、今回、感染症発生、蔓延時における広域的な医療人材の派遣ということで様々な整備が行われるということなんですけれども、今までのいろんなそういった医療人材の派遣の実績についてちょっと教えていただきたいと思うんです。派遣者の属性でありますとか大まかな人数、あるいは期間や、どれぐらい有効だったかということについて示していただきたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 医療機関への派遣の実績についてお尋ねでございましたが、新型コロナウイルス感染症の対応におきましては、令和二年度中は、各都道府県がDMATや全国知事会に応援を求める形で、県境を越える医療人材派遣が実施されていたという実績がございます。

 また、令和三年の四月からは、各省庁の所管する公的病院からの派遣を、厚生労働省が中心となって随時調整してまいりました。具体的には、令和三年の四月から令和四年五月にかけまして、延べ七百余人の看護師の方が、北海道、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、沖縄県などに対して派遣をされまして、重点医療機関や臨時の医療施設等で勤務をいただいたということがございます。こうした取組によりまして、例えば、今年の二月には、国と東京都と大阪府とが共同して臨時の医療施設の新増設を行いまして、新たな病床を確保することができたといったことがございます。

 こうした医療人材の広域的な派遣の取組は、感染が急速に拡大して、病床を確保するために医療人材を必要とした地域の医療提供体制の確保に貢献したものだというふうに受け止めているところでございます。

野間委員 確かに、多くの、今、七百名を超える看護師さんなどの派遣で、相当逼迫した医療機関は助かったわけなんですけれども、一つが、本当に全国的に非常な逼迫の状況になった場合に、こういった派遣が果たして本当に満遍なくできるんだろうか。まあ厳しいと思います。

 それと、派遣された医療現場で、もちろん、全てそういうことではないと思うんですが、例えば短期間、一週間とか十日間派遣された場合、最初に来ていただいて、二日、三日、そこの現場のいろんなやり方とか習慣を覚えていただく。その人をまた教える人も必要になってくる。それで一週間、十日たってまた帰ってしまったりすると、かえって負担も、もちろん、来ていただいたことに対しては感謝しているんですけれども、なかなか、そういう教える人の問題とか期間の問題で、それほど有効でなかったという現場の声もないことはないわけですね。

 ですから、やはり、何というんでしょうかね、パッチワーク的に派遣、厳しくなったら派遣すればいいんだという考え方だけでやっていると、非常に全国的な逼迫の場合には厳しくなると思いますので、そういった意味で、本来であればもっともっと、医療人材、関係者を人員を増やしていくということが最終的には必要だと思うんですが、全国的な医療逼迫の場合、派遣で大丈夫なのか。それでまた、こういった医療現場の実態について所見をいただきたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたように、派遣された医療現場においていろいろなケースがあったんではないかということでございますが、私どもの方でも、新型コロナウイルス感染症対応で応援業務に従事していただいた看護職員の方々にアンケートを行ったことがございますが、それを見ますと、事前に応援先の施設、部署やあるいは業務内容などおおむね把握はしていたが、応援先での新型コロナウイルス感染症対応の状況とか業務内容等について必ずしも十分に知らされずに応援に行ったという方も一定程度おられたということも明らかになったところでございます。

 やはり、感染が急拡大している中で対応したということで、派遣元の医療機関と派遣先の都道府県とか医療機関との調整を非常に短期間の中で行ったということにも起因する面があるんではないかというふうに考えるところでございまして、施行の際には、平時から医療人材の広域応援についても準備をすることで対応していくことが必要になってくるんじゃないかなというふうに感じているところでございます。

 そういった中で、平時からちゃんと準備をする必要があるんではないかという御指摘を頂戴したわけでありますけれども、新型コロナウイルス感染の対応については、元々、広域派遣の仕組みやルールがない中でいろんな取組を進めてきたといったことがございまして、その中で、厚生労働省関係の病院からの広域派遣に偏るといったような課題もあったところでございます。

 このため、今回の改正法案におきましては、あらかじめ人材派遣に関しての協定を締結をして、まずは県内で人材の融通を行うこととしているところでございます。その上で、都道府県内だけでは人材確保が難しい場合は、都道府県が他の都道府県に直接応援を求めることに加えまして、その都道府県が他の都道府県に比べて医療の逼迫が認められるといったような場合には、厚生労働大臣に対して他の都道府県からの医療人材の派遣を求めることができるといったような仕組みを今回規定させていただくことで、そういった感染症が発生、蔓延したときに、迅速かつ広域にわたって医療人材の派遣について調整を行うという仕組みを設けたところでございます。

 こうした仕組みを通じまして、あらかじめ、感染症発生、蔓延時の役割分担を明らかにするとともに、人材の広域派遣につきまして、国と都道府県の役割や派遣の要件を明確化することで、迅速かつ機動的な人材派遣が可能になるんではないかというふうに考えております。

 また、先ほどもちょっとお答え申し上げましたが、感染症対応人材の確保、育成もやはり重要な課題ということで、これまでも、国の方でも先ほど申し上げたようないろいろな取組を行っているところではございますが、そういったようないろいろな一連の措置を講じながら、いずれにしても、人材も含めて医療資源、これはどうしても限りがある中で対応しなければいけないということになってまいりますので、平時、有事を問わずに、医療機関の機能分化や連携、また医師の働き方改革なども進めていくことで、できるだけ効率的で医療従事者の方が健やかに働き続けられるような医療提供体制の整備を進めるということが大事かというふうに考えているところでございます。

野間委員 分かりました。派遣で全て負えるとは思いませんので、やはり平時からの人員確保に努めていただければと思います。

 今回、あと、自宅や宿泊療養者等への対応を強化するということが出てきていますけれども、新しいこととして、健康観察について市町村が協力するということになっておりますけれども、市町村も、人手も足りない、予算もなかなかない中でどうやって対応するのか。財政的な支援などはあるんでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 今般の改正案では、平時からの予防計画に沿いまして、医療機関との協定の締結や、それから保健所機能や検査体制強化等について政府としてその枠組みを法定化し、流行の初期段階から速やかに立ち上がり、機能する保健医療提供体制の構築を行うことを目的としているものであります。

 予防計画における自宅療養者につきましては、今後、感染症の特性などについて国内外の最新の知見を踏まえつつ、これから一定の想定を置いていくことになると思いますけれども、まずは、現に対応しており、これまでの対応の教訓を生かすこともできる新型コロナへの対応を念頭に策定することになると思います。

 その上で、自宅療養者への支援につきまして、今般の改正案では、生活支援及び健康観察につきまして、都道府県が市町村に必要に応じ協力を求めることとする等によりまして体制強化を図るということになっております。

 この市町村による都道府県への協力につきましては、職員の派遣や食料品の配送の代行など、地域の実情に応じた様々な方法が考えられるところでありますけれども、その費用負担の在り方も含め、あらかじめ両者で協議し、合意を得ておくことが必要と考えております。

野間委員 市町村への財政的な措置、なかなか厳しいということのようですけれども、そうやって職員の皆さんは一生懸命やっていますので、そこは今後考慮していただきたいと思います。

 次に、ちょっと時間の関係で、IHEATによる保健所の体制整備の問題ですけれども、これも、先ほどと同様、なかなか派遣先でなじむまでに時間がかかったり、有効性が疑問視されることも、現場からの声としては聞いております。

 ちょっと大臣にお伺いします。

 保健所で、保健師の人手不足はもうよく御存じのとおりですけれども、専門職、事務職も不足して、外回りとかいろいろな日常の仕事ができなくなっているということについての御認識をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、保健所の関係でありますけれども、保健師については、恒常的な人員体制を強化するため、必要な地財措置を講じて、令和三年四月で、コロナ禍前の千八百名が、配置転換等の約五百名も含め、千二百名増の三千名となっており、こうした対応で、今回の感染業務の逼迫への対応、人員増と、それから外部への委託等も入りますけれども、させていただいたということであります。

 当初、通常体制のまま業務を行って逼迫を招いたわけであります。健康観察や電話相談を始めとする保健所業務を、保健師を支援する専門職、事務職も含め、保健所職員全員で対応していただくほか、業務の外部委託、都道府県での一般的な対応等、こういったことを図ってきたところでございます。今、保健所の職員数については、申し上げた経過をしております。

 今後の感染症危機においても保健所がその機能を十分発揮できるよう、今般の改正案では、保健所設置自治体に対して、保健所の体制整備等を含めた予防計画の策定を義務づけることにしています。保健所の体制整備に必要な事項として、保健所の職員全体について平時から人材確保、育成を行うこと、ICTや外部委託等を活用し、保健所業務の効率化を図ることなどを盛り込んでいただくことを私どもの方で検討しているところでございます。

 こうしたことによって、感染拡大時に保健所が健康危機管理の拠点として十分な対応ができる体制を平時から備えていきたいと考えております。

野間委員 ちょっと時間の関係で二、三問飛ばしますが、本法案のこととは直接関係ないんですけれども、本当は関係あることなんですが、この八月十日に看護職員の処遇改善評価料というのが新設されました。その基準として、緊急搬送件数が年間二百件ある、そういった施設で働いている人には処遇改善をするけれども、しかし、実際、コロナ患者に対応している発熱外来の診療所や、精神科、がん専門病院、周産期病院、小児科、リハビリ専門病院なども対応していますので、処遇改善の対象にすべきじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御質問いただきました看護職員処遇改善評価料でございますけれども、これは、昨年閣議決定されましたコロナ克服・新時代開拓のための経済対策、それから公的価格評価検討委員会の中間整理、これに基づきまして一回補助制度を設けまして、これを踏まえて、今年の八月に診療報酬で対応するということで、先月から運用を開始したところでございます。

 その対象医療機関につきましては、看護職員の賃金水準が全産業平均に比べて高い状況のある中で、コロナ医療など、地域において一定の役割を担っていると評価できる医療機関、これを対象にするということにいたしました。そのときのメルクマールとして、平日一日救急車一台以上の搬送件数を念頭に、先ほど先生も言及いただきましたように、救急搬送件数が年間二百以上の医療機関又は三次救急を担う医療機関としているところでございます。このような形で議論させていただいて、選定したところでございます。

 他方、公的価格評価検討委員会の中間整理におきまして、こうした措置の実効性の検証を行うべきとされておりますので、まずは今般の処遇改善の措置が看護職員等の給与にどのように反映されているか、これを検証することが重要と考えております。

 こうした検証作業を進めながら、現場で働く方々の処遇改善や業務の効率化、負担軽減を進めてまいりたい、このように考えております。

野間委員 絞り込まなきゃいけないということも分かるんですけれども、こうやって対応している方にはそれなりに処遇を見ていただきたいと思います。

 ちょっと飛ばしまして、今、看護師さんの特定行為、今、カテーテルを管理したりとか、薬剤の投与、呼吸器の調整したり、心嚢ドレーンを調整するなどなど、いろんな特定行為、看護師さんがやってもいいということになっているわけですが、しかし、これは研修を受けてちゃんとやらなきゃいけないということになっています。

 今、この資料の一で出させてもらいましたけれども、厚生労働省としては、二〇二五年までに十万人以上、こういった資格といいますか、研修を終わらせるんだという目標を立てておられるんですけれども、今現在が四千八百三十二名。ちょっと目標にはかなり遠い状態になっています。

 それで、資料の二では、じゃ、その研修を受けるのにどれぐらいお金がかかるのか。受講料が十二万九千円。それから、宿泊など、教材費六十一万。まあ、七十五、六万かかるんですね。これが全額自己負担の方が二五%ぐらいいます。一部、組織が出してくれるところもありますけれども。こういった受講料の負担も非常に大きいです。

 そして、三ページ目では、なかなか仕事を休んで行くことはできない、そういう、現場でも、何でそんなところへ行くんだ、研修に行くんだという声もあります。

 また、ページの三では、この研修を受けて修了した人が、カテーテルの扱いとか、そういうものの手順書を、これは医師が作るべきものなんですが、どうも現場で聞きますと、看護師さん、あなたが作れと言われて、作らされることもあるそうなんですね。もうそんなことまでやっていられない、忙しくて、そういう声を聞くんですが、こういった研修を受けることについてのやはり公的な支援ですとか、休日も、研修に行くのであれば業務扱いにすべきだ、こういったことも現場の声が出ていますけれども、どうなんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきましたように、看護師の特定行為研修、これは大変大事な取組でございまして、医師の働き方改革において、医師から看護師へのタスクシフト・シェアを進めることが重要でございます。特に、特定行為の研修を修了された方の活躍が期待されるところでございます。

 今先生から、研修の受講が進まない幾つかの御指摘を頂戴いたしましたが、それらへの対応について申し上げますと、まず、研修の受講費でございますが、これにつきましては、一つは雇用保険の一般教育訓練給付等を利用することができるということがございます。

 また、地域医療介護総合確保基金を活用して、現在、令和三年度で四十都道府県で受講費用の補助も実施をしているという状況がございます。

 それから、手順書の作成に係る負担の御指摘がございましたが、これにつきましては、厚生労働省において標準的な手順書をお示しして御活用いただいているという状況がございます。

 また、診療報酬について、こういったことがきちんと評価されるようにということで、診療報酬については、四年度の診療報酬改定で、褥瘡ハイリスク患者ケア加算などの算定に係る適切な研修として、特定行為研修が追加されるなどの評価をされたところでございます。

 さらに、三年目以上の全看護師に特定行為研修の共通科目の受講機会を提供するといったような非常に先駆的な取組を行っておられる指定研修機関の好事例なんかもございますので、そういった事例もよく横展開を図るなどいたしまして、引き続き、より多くの方が特定行為研修を修了していただけるように取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

野間委員 是非、様々な手段を使って促進していただきたいと思います。

 今、保健所、医療現場では、コロナ対応で大変な過剰な労働がなされているわけですけれども、資料の五、保健所職員等の、これは自治労さんが昨年の十一月から今年の一月にかけて、四十の都道府県、千七百七十一名にアンケート調査した結果なんですけれども、二百時間を超えるような職員も出ている、過労死ラインを超える人も大勢出ています。

 今、こういう労働については、労基法の三十三条一項の例外規定を運用して認められているということであります。これは、災害などが起きたとき、やむを得ない、労働時間はこれだけ長期化してもやむを得ない災害対応などの際に使われる例外規定ですけれども、これが今本当に長期間にわたって、災害ですとせいぜい二、三か月で終わるものですけれども、二年半なり長期にわたって過剰な労働の例外規定が運用されている。やはりこれは運用を適正にすべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 委員御指摘のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために保健所や医療機関で働く方が従事されている業務は、人命、公益の保護の観点から、緊急性、必要性が高いことから、労働基準法第三十三条一項の規定によりまして、時間外労働の上限規制を超えて時間外労働を行わせることが認められております。

 本項は、災害その他避けることができない場合の規定であることから、その臨時の必要の限度において運用すべきであるとされておるところでございます。

 具体的に言いますと、災害その他避けることができない場合でありましても、恒常的に時間外、休日労働が行われている場合には、要員の配置や勤務体制の見直しなど、人事労務管理上の措置や業務の見直し、効率化等の措置によって対応すべきであるとされておりますが、他方で、そのような人事労務管理、業務運営上の措置を講じた上でも時間外、休日労働をせざるを得ない場合には本条の適用が認められるものと解されておりまして、こういったものに沿いまして適用、運用を図ってまいりたいと思っております。

野間委員 ありがとうございました。

 るる今回の法案について質問していきますと、やはり最終的に浮かび上がってくるのが、我が国の医療体制全般の人員が不足しているんじゃないかということから様々な方策を取らざるを得なくなっている。それも分かるんですけれども、やはり根本的に、医療体制の人員に平時から余裕のある、余力のある体制をつくるべきだと思いますけれども、大臣の御見解をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、医師の確保でありますけれども、平成二十年度から、特定の地域や診療科での勤務を条件とした地域枠を中心に医学部定員を段階的、臨時的に増加をしてまいりました。医師数は毎年約三千五百人から四千人の増加となっております。直近の需給推計では将来的に供給過剰との見込みも出されておりますが、他方、医師の地域、診療科偏在もまだ残っております。医学部定員の在り方については、関係者の御意見も伺いながら、丁寧に検討していきたいと考えております。

 一方、都道府県においては、地域において必要な医師を確保するため、医師確保の方針などを盛り込んだ医師確保計画を策定し、それにのっとった取組を進めていただいております。医学部の入学定員に地域枠を設定し、こうした学生を対象に修学資金を貸与するなどの取組が行われており、厚労省としても、こうした地域の実情に応じた取組に対し、地域医療介護総合確保基金によって支援をしております。

 また、看護職員に関しては、就業者数は、平成二十年、二〇〇八年には約百四十万が、令和二年、二〇二〇年には約百七十三万人と、十二年間で三十三万人が増加をしているところであります。

 今後も、地域医療介護総合確保基金を活用した看護師等養成所や病院内保育所の運営に対する財政支援など、新規の養成、復職支援、定着促進、これを三本柱にした取組を引き続き進めていきたいと思っております。

 今後も、各自治体の御意見も伺いながら、医療人材の幅広い確保を図るべく取組を進めてまいります。

野間委員 是非、そういった姿勢で取り組んでいただきたいと思います。

 もうこれで最後になりますが、最後に一問だけ、参考人も来ていただいているので。

 ちょっと異なりますが、学童保育について、今年六月に、私ども、全会一致で請願を出させていただきました。行政府としての、その請願に対する具体的な方策、決意を聞いて、質問を終わりたいと思います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブの人員配置等の基準でございますけれども、厚労省の方で定める基準を参酌し、実施主体である市区町村において条例で定めることとしておりまして、それに基づいて、質の確保を図りながら展開が図られているところでございます。

 御指摘のように、放課後児童クラブの質を確保していくということで、現状でも、整備費あるいは改修費の支援によって場所の確保、改善を図っていくこと、あるいは、職員の処遇改善を始めとした人員確保などに向けた支援を行っているところでございます。

 御指摘の請願の趣旨も踏まえて、待機児童の状況、あるいは地域における人材確保の状況などを注視しながら、引き続き必要な支援に取り組んでまいりたい、かように考えてございます。

野間委員 ありがとうございました。終わります。

三ッ林委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。

 本日は、法案審議の前に二つほど質問をさせていただきたいと思います。

 政府参考人の方にお伺いしたいんですが、大臣のお話の中でも、医薬品の安定供給の確保というお話をされておられました。その中で、現在、漢方薬の中国依存度が非常に高く、漢方薬の入手が困難になっているとお聞きしております。国内で生産しているのは僅か一〇%ほどということで、鹿児島の野間先生が先ほどお話をされておりましたが、非常に鹿児島なんかはこの漢方薬に力を入れておられるんですが、なかなか、やはり中国国内でも漢方薬の利用も高まり、日本に入ってくるものが少なくなってきている。

 そうなったときに、どのように安定供給ということをしていくのかということと、あと、中国と日本との価格差がほぼなくなってきているようなこともお伺いしております。そうなった場合、国内の生産というのも検討していくのは大切ではないかなと思うんですが、その辺りについて、政府参考人の方に御意見をお伺いしたいと思います。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 漢方薬の原料である生薬についてでございます。これは、約八割が特定国、中国からの輸入となっている現状でございまして、これが供給途絶した場合、安定供給に課題がある、こういうふうに認識をいたしております。

 このため、厚生労働省におきましても、漢方薬の原料であります薬用作物の国産化に向けて取り組んでいるところでございます。

 具体的には、薬用作物の栽培技術の開発に向けた研究への支援でありますとか、薬用作物の産地化を志向する地域の自治体、生産者等に対しまして、これは関係省庁とも連携しながらでありますが、漢方薬の市場動向、それから国内生産の意義等に対する説明会等を行っているところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携をしながら、漢方薬の安定供給に向けて、薬用作物の国産化に向けた生産支援をきちんと推進してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 AMEDの中にも薬用の植物担当もあるということですので、是非、土壌や気候や栽培方法も更なる研究を進めていただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 もう一問なんですが、やはり、新薬を作っていくときに、治験の前に動物実験が必要だと思うんですが、その動物実験に使う動物、細かく言いますと、カニクイザルなんですが、非常に価格が高騰しているというふうにお聞きしました。コロナ前であれば一頭三十万ほどだったのが、今、三百万ほどするというふうにお伺いしていまして、これは中国からの輸入なんですが、何かの戦略があると思うんですが、入手も困難になっているということをお聞きしております。

 この動物で、カニクイザルが入ってこないという問題もありますし、また、動物実験をするということ自体にやはり代替案も必要ではないかというふうに考えるんですが、その辺りのお考えを政府参考人の方にお伺いさせていただきます。

八神政府参考人 創薬に重要な動物が不足しているということについてお尋ねがございました。

 新型コロナウイルスの流行に伴いまして、試験研究に用いるカニクイザル、この主な輸出国は中国でございますが、中国からの輸入が途絶えて、世界的に猿の供給が不足しているということでございます。

 先生御指摘ございました動物愛護の観点から、三Rの原則、これは、国際的な実験動物の保管あるいは動物実験の適正化の原則ということで、苦痛の軽減、使用数の減少、代替法の活用という三つの原則でございますが、この原則に基づきまして代替試験法などの開発も進めているところでございます。

 ただ、現状、猿以外に代替する手法がないという試験もございます。医薬基盤・健康・栄養研究所におきましては、創薬の研究開発の推進のために、継続的にカニクイザルの繁殖また研究機関等への供給を行っているところでございます。

 我が国におきます革新的な医薬品等について、有効性、安全性を確認しつつ開発を促進するという観点から、実験動物の需給の状況や、先ほどの国際的な代替法、こういったものの開発動向も踏まえて引き続き適切に対応してまいりたい、このように考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 この動物実験が創薬のボトルネックにならないようにしていっていただければなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、先日の参考人質疑の中で非常に私が印象に残ったのは、二〇二〇年の三月から四月、施設で、検査機器はあるが、試薬が欧州に回ってしまって、結果的に検査ができなかったと。これはPCRの検査のことなんですが、やはりこういったことがないように政府としては対策を取っていただけたらなというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、議員提出法案への質疑を、質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 国民本位感染症対策樹立法案の提案意図はどうかということを池下議員にお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

池下議員 一谷委員からの御質問にお答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の治癒後の患者の中には、一定期間が経過した後も様々な後遺症に悩まされる方々がおられます。また、新型コロナワクチン接種後におきましても、長期間にわたり続く副反応に悩まれる方々もいらっしゃいます。このような方々に対して適切なフォローが行われるべく、本法案においては、新型コロナウイルス感染症の後遺症やワクチンの副反応等の有効性や安全性について国が責任を持って情報の収集、整理、分析を行い、その結果を国民に対して積極的に公表することとしております。これは、後遺症などに悩む方々に適切な医療を届けるための大前提であると考えます。

 また、今般の政府案におきます流行初期医療確保措置では、保険者にもその費用負担を求めることとされています。しかし、医療実績がないのに医療保険料を流用することは、医療保険制度の趣旨になじまないと言わざるを得ません。感染症対策は国の責任において行われることが原則であり、その費用は全額を公費負担により賄われるべきです。我々の法案では、医療機関への減収補填措置について保険者に負担を求めることがないようにしつつ、必要な法制上及び財政上の措置を講ずることとしています。

 さらに、この冬には新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行が予想されている中、両者の感染症法上の扱いが異なっていることで国民を余計に混乱させることにならないか懸念されます。そのようなことにならないよう、新型コロナ感染症につき、新型インフルエンザ等感染症から外し、五類感染症に位置づけるなど、感染症法上の扱いをどうするかについて速やかに検討、議論を行う必要があり、本法案にもその旨の規定を盛り込むこととしております。

一谷委員 ありがとうございます。

 そうですね、やはり、五類感染症相当に変えていくのが非常に重要だと思いますし、新型コロナウイルス感染症と季節インフルエンザの同時流行で混乱が起きないようにということも非常に重要だと思いますので、理解をしました。

 では、続きまして、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案の提案意図はどうかということを池下議員にお伺いします。

池下議員 強力な感染症が発生し、その感染症に対する有効な医薬品がないといった有事の際には、国民の命と健康を守るために有用な医薬品を迅速に国民の皆様の元にお届けすることが極めて重要であると考えております。

 本法案においては、薬事承認の重さを十分に踏まえつつ、既に安全性が確認されている既存の医薬品について、厚生労働大臣が学会の意見を含めた十分なエビデンスに基づいて指定を行い、その使用を認めることとしております。

 また、このような有事の際には、製薬メーカーによる申請を待つだけの時間的な猶予が見込めない場合なども想定されるところです。そこで、本法案では、迅速な医薬品の指定が可能になるよう、製薬メーカーの申請によらない職権による指定も認めることとしております。

 本制度の導入により、有事の際に国民にとって必要な医薬品を迅速に届けることが可能となり、国民の皆様の命や健康を守ることにもつながるものと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただきました医薬品を迅速に届けるということは非常に重要だと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 続きまして、日本維新の会が提出している提言書の中で、保健所を中心とした管理体制の見直しを提案されていますが、これはどういったお考えによってかということを池下議員にお伺いさせていただきます。

池下議員 御答弁申し上げます。

 今般のコロナ禍では、保健所に仕事が集中し過ぎて、保健所の本来の業務が滞ってしまうケースが見られました。このような状況に対処するための管理体制の見直しの例を挙げれば、入院調整は都道府県に、積極的疫学調査の実務については市区町村に移譲し、保健所の負担軽減を図ることが考えられます。感染爆発の大混乱時に、自宅療養者に対して保健所職員さんが本来の役割以上の仕事を担わなければならなかった事案などは総括しなければなりません。

 加えて、新型コロナ感染後の患者が自宅療養後の入院給付のための公的な療養証明書の発行を求め、そのための電話対応で現場が混乱した事案などがありました。保健所にしかできない仕事と保健所以外に権限を譲渡できる仕事を区別し、今回の経験を生かした制度設計を構築し、今後の新興感染症に備えた役割分担をあらかじめ設定することで、保健所の負担軽減をしていくべきと考えております。

 あわせて、新型コロナ患者さんの健康管理を行う主体を、近い将来には、保健所からかかりつけ医等の医療側に移していくことも重要だと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 今、池下議員から発言をいただきまして、やはり、健康管理を行う主体を保健所からかかりつけ医等の医療側に移していくということは非常に重要ではないかなと思いますので、その辺りをまたよろしくお願いをいたします。

 それでは、続きまして、日本維新の会提出の提言書の中に、マスクを外せる基準づくりについてどうお考えかということを池下議員にお伺いさせていただきます。

池下議員 お答えいたします。

 日本国内におけるマスクの着用については、どのような場面でのマスク着用に意義があったのかという科学的な検証結果がほとんど国民に知らされておりません。こういった検証を厚生労働省の責任で行い、その検証結果を国民に分かりやすく伝え、そしてマスクを外せる基準づくりを行うべきであると考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 このマスクについては、私も、SNSですか、ツイッター上で多くの質問をお母さんからいただいております。特に小さいお子さんのマスクについては、本当に、現実的にどうしていくか、現実それが実行されていくかということが非常に重要になると思っております。

 議員提出法案への質問は以上になりますので、池下議員、どうもありがとうございました。

 それでは、閣法への質問を続けてさせていただきたいと思います。

 政府参考人の方にお伺いをさせていただきます。

 宿泊療養、自宅療養体制の確保において、高齢者施設と書かれていますが、高齢者施設の定義は一体どういうものか。多分、ちょっと、ふだんというか、お泊まりデイサービスのような施設もありまして、こういったところも考慮されているのかというところをお伺いしたいのと、また、この対象は四十歳以上の方なのか、全ての世代の方なのか。そういったことについて政府参考人の方にお伺いさせていただきます。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 今般の改正案では、都道府県の予防計画の記載事項としまして、宿泊療養、自宅療養体制の確保を追加することとしております。その具体的な内容については、御指摘のとおり、高齢者施設等で療養する方にも健康観察等ができるよう、高齢者施設と自治体との連携を含むこと、そういうふうにされております。

 それで、今回の法案の中でこの高齢者施設について定義を定めるというものではないんですけれども、現下の新型コロナの対応におきましては、例えば特別養護老人ホーム、それから介護老人保健施設、介護医療院等の様々な高齢者施設で施設療養を行うことが想定されておりまして、こうした施設はこのような連携の対象になるものと考えております。

 一方で、お泊まりデイサービスというのは、イメージが人によって違うかもしれませんが、御指摘のような介護保険外のサービスとして高齢者を宿泊させる施設につきましては、これはそもそも療養できる体制のないサービスもあるかと考えられます。そうしたサービスの利用者が新型インフルエンザ等感染症に感染した場合には、こうした施設で療養するのではなくて、基本的には、入院していただくか、あるいは自宅療養等により対応することになるものと考えます。このため、当該施設を予防計画における宿泊療養あるいは自宅療養体制の確保の中に含めることは現時点では想定をしていません。

 ただ、いずれにしろ、高齢者施設の具体的な範囲につきましては、各都道府県におきまして、今般の新型コロナの対応を踏まえながら、これは地域のまさに実情に応じて設定することが重要であると考えております。今後、都道府県や医療関係者、それから高齢者施設等の関係者等の御意見も踏まえつつ検討していく必要があると考えております。

一谷委員 ありがとうございました。

 非常に丁寧に御説明をいただきまして、私自身が非常に理解をしました。まさに介護サービスというのは、いろいろなサービスに波及というか、アイデアで、地域のニーズに合って変化していっているところもありますので、その辺りも十分考慮をしていただけたらというふうに思っております。

 それでは、続きまして、自宅、宿泊療養者等への医療や支援の確保の中で、外来、在宅医療について、患者の自己負担分を公費が負担するという仕組みがありますが、この公費負担医療は一体どういった制度なのか、また、財源はどうなっているのか、財源不足が起こったときはどう対応するのかということについて、政府参考人の方に御意見を求めます。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、現行の感染症法では、患者御本人の治療と感染症の蔓延防止の観点から、都道府県が入院勧告、措置を行い、その場合には、それに要する医療費を公費負担の対象としております。

 今般、自宅、宿泊療養者等に対する外来、在宅医療につきましては、入院勧告、措置による入院医療と同様の趣旨で行われているものであるにもかかわらず、それらに要する費用は公費負担の対象となっていないという現状になっております。

 こうした中で、今般の新型コロナ対応におきましては、入院させるべき感染者が空き病床がないために入院できずにいたケースでありますとか、あるいは、病床逼迫の折、空き病床はあるんだけれども、優先順位の観点から自宅や宿泊施設での療養をお願いすべきと判断されるケースがございました。この際、自宅、宿泊療養における医療提供について法律上の規定がないことから、医療提供に係る責任の所在でありますとか、あるいは費用負担の枠組みが不明確であるという課題がございました。

 このため、今回の改正案でお願いしています内容は、入院医療費を公費負担の対象としている現行の考え方や、あるいは自宅、宿泊療養者等の早期受診や重症化防止の実効性を確保することで病床の逼迫の回避につなげるという観点から、入院医療と同様、外来、在宅医療のための新たな公費負担の仕組みを創設するという趣旨でございます。

 具体的には、自宅、宿泊療養者が医療機関において受ける外来医療やあるいは在宅医療につきまして、当該医療に要した費用の全額を公費で負担することとしております。

 この財源につきましては、感染症法に基づき、都道府県がその費用を支弁することとした上で、その費用に対して国が四分の三の負担をするということとしております。

一谷委員 ありがとうございます。

 財源が足らなくなったら、また負担をするという認識でいいですかね。大丈夫です。はい、ありがとうございます。今の答弁で大丈夫です。

 続きまして質問をさせていただきたいと思います。

 自宅、宿泊療養者、高齢者施設での療養者等への対応強化の際に、都道府県が市区町村に協力を求めることとし、両者間の情報共有の規定を整備とありますが、市町村との情報共有の規定の中で、全国統一のフォーマットになっているのかというところを政府参考人の方にお伺いさせていただきます。

佐原政府参考人 まず、御指摘のとおり、市町村との連携は非常に重要なことと考えております。このため、今般の改正案では、都道府県は自宅療養者への生活支援等の実施について必要に応じて市町村に協力を求めることとした上で、市町村は生活支援等に協力する場合には都道府県に対して情報の提供を求めることができるとしております。

 今般、都道府県から市町村への自宅、宿泊療養者の情報提供につきましては、今般の改正案では、医療機関の医師による発生届、これは電磁的方法による入力を推進することとしております。したがって、迅速かつ効率的に自宅、宿泊療養されている方の情報をまず都道府県が収集できることが期待されます。その上で、こうした電磁的に記録された患者情報、あるいは都道府県が集めます積極的疫学調査で得られた情報等を活用しまして、都道府県が市町村の協力に必要な範囲で生活支援及び健康観察に関する情報を提供することが考えられますが、地域によって、情報連携のやり方、実情は様々だと思いますので、現時点で統一のフォーマットを定めるということは考えておりません。

 ただ、いずれにしろ、都道府県と市町村の円滑な情報共有が図られるように、御指摘も踏まえまして、今後、施行に向けて具体的な方策をよく考えていきたいと思います。

一谷委員 ありがとうございます。

 私からすると、統一しておいた方が情報の利活用をするときには非常に有効ではないかなというふうに思って、質問をさせていただきました。

 次の質問は、ちょっと私の考えが間違っていれば御指摘いただきたいのが、先ほどの健康観察であるとか、高齢者の方や障害をちょっとお持ちの方の情報を市区町村から県に上げていく場合に、前回の国会でも質疑をさせていただいたんですが、災害用個別BCPというのがもう、情報収集というか、整備されていっていると思うんですが、これは活用することができないのかということについて、政府参考人の方にお伺いいたします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の災害対策基本法に基づく市町村の個別避難計画を使えないかということについては、慎重な検討が必要ではないかと考えております。

 その理由としては、まず、これは災害時に高齢者や障害者、乳幼児等のうち、自ら避難することが困難な方の避難支援等を実施するための計画ということでありますので、実際の自宅療養の対象者と若干異なるということが一つあると思います。それから、もう一つは、これは避難支援等の実施に必要な限度で利用を可能としている、そういうふうに承知をしておりますので、感染症対策においてその情報を利用できるのかどうかということ等について慎重な検討が必要かと思っております。

 ただ、自宅療養者の方の支援における各自治体の中での連携、つまり、保健医療部と例えば防災担当部局等との連携につきましては、どのような方策が可能なのか、今後、施行に向けて、地方自治体ともよく相談して考えてまいりたいと思います。

一谷委員 ありがとうございます。

 こういう情報収集というのはすごく聞き取りに時間もかかりますので、できるだけ使えるものは使っていただいた方がいいのではないかなという思いで質問をさせていただきました。

 その次は、宿泊療養について、旅行業や飲食業の方などに公共事業として担っていただくことはできないのかということについて、政府参考人の方にお伺いいたします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 今般の改正案では、都道府県が定める予防計画の記載事項として、宿泊施設の確保に関する事項を追加するとともに、その数値目標を設けることとしております。また、都道府県と宿泊施設等との間で協定を締結する仕組みを法定化しまして、感染症発生、蔓延時に円滑に稼働する体制を整備することとしております。

 御指摘の宿泊療養の運営につきまして、現下の新型コロナ対応では、自治体のみならず、医師会、薬剤師会等の医療系の各種団体や、それから多くの民間の事業者等の協力も得まして取り組むことが望ましいことというふうにされております。今後も、医療、まあ地域の実情に応じてだと思いますけれども、旅行業でありますとか、例えば飲食業等の事業者、様々な事業者に担っていただくことも可能というふうに考えております。

 予防計画の策定や協定の締結を始め、改正法の施行に当たりましては、こうした新型コロナ対応の経験を参考に、関係者の意見も踏まえて具体的な取扱いを検討していく必要があると考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 実際に、今、健康観察を旅行業のスタッフの方が担っているというような実態はないのかということについて、ちょっと追加で答弁を求めます。

佐原政府参考人 健康観察、特に、重い方ではなくて、例えば濃厚接触者の方で、発熱がありますかと、御自分で測ったものをチェックするというようなことについては、民間の事業者がやっているという実態はございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 この部分が、非常に、重症じゃないかどうかというところと、これから重症になってくるというところで、なかなか一般の旅行業のスタッフの方では判断をつけていくのは難しいのではないかなというふうに私はちょっと考えております。

 また、いろいろなこの質問に当たってヒアリングをさせていただいているときに、研修をしているというようなお話も聞いたんですが、その研修をするというのも、必ずしなければならないというようなことではないようなこともお聞きしていますので、この辺りは少しあやふやだなということもありますので、是非、もう少し具体的に考えていただけたらありがたいなというふうに思っております。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 医療人材の確保においてなんですが、DMAT等のほかに、民間のNPOでも非常に活躍されているところもありますし、民間のNPOが各都道府県と協定を結んで、災害や、今回の感染が起こったときは、医療チーム、看護師さんやドクターを派遣するというようなことも始まっているとお聞きするんですが、政府参考人の方にお伺いしたいんですが、こういったNPOを活用するというお考えはないのかというところ、よろしくお願いいたします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正法案におきましては、感染症蔓延時等におきまして人材派遣による応援を円滑に実施するために、先ほど来ちょっと御紹介しておりますが、都道府県知事と医療機関があらかじめ人材の派遣等に係る協定を締結をして、当該協定に基づいて医療従事者を派遣する仕組みですとか、あと、DMATなどの医療隊について、これまでの災害対応に加えて感染症にも対応することとして、国が養成、登録するとともに、都道府県知事と医療隊が所属する医療機関の協定に基づく派遣の仕組みについて法定化をするということとしてございます。

 今ほど委員御指摘ございましたNPO法人等の民間団体についてでございますが、今般のコロナ対応の中におきましても、都道府県によっては、災害時や感染症発生、蔓延時において、途上国や紛争地への医療提供などを実施しているNPO法人等と直接協定を結ばれて、クラスター発生施設での感染制御や看護師の人的支援などに御協力をいただいた事例があるといったことも承知しているところでございます。

 今般の改正法案におきましては、協定の枠組み、これは先ほど申し上げましたように医療機関を対象としているものでございますが、都道府県が地域の実情に応じてNPO法人などの民間団体と協定を締結することを妨げるものではございませんでして、今後、都道府県において、災害時や感染症蔓延時に必要な体制を個別によく御検討いただいて、NPO法人等の活用も含めて必要な医療人材の確保に努めていただければというふうに考えているところでございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 是非、国の後押しもいただけたらなと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問は大臣にさせていただきたいと思っております。

 感染症の対策で、物資等を確保するということになっております。その中で、輸入をするというようなことも書かれていたんですが、まず、パンデミックが起こった場合、日本国内でも物資が足らないのに国外から輸入ができるのかというところを一つ質問させていただきたいのと、あと、国内供給の確保ということなんですが、ある一定買い取るというか、そういった約束をしなければなかなか民間の企業は備蓄をするための増産というのをしにくいのではないかなというふうに考えております。また、備蓄と言われても、どれぐらいの量の備蓄が必要なのかというような参考値があるのかということも併せて、大臣にお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

加藤国務大臣 今回のコロナへの対応の中でも、実際、医薬品、防護服、検査キット等、十分に確保できなかった、こういう反省もございますし、また、実際、輸入に大きく頼ると、国内の場合は多少、日本の企業さんにいろいろお願いできますけれども、海外の場合は必ずしも、取り合いっこになってしまうとなかなか日本に輸入できない、そんな課題もありました。やはり、そういった意味から、国内で開発、生産できる体制を確保していくということが、まさに危機管理の観点から極めて重要だと考えております。

 ワクチン開発・生産体制強化戦略に基づいて、本年三月にAMEDにおいて先進的研究開発強化戦略センター、いわゆるSCARDAを設置をし、本年九月三十日には、経産省においてデュアルユースのワクチン製造拠点などを決定したと承知をしておりまして、例えば、ワクチン開発、生産体制の強化、更に強化をしていきたいというふうに考えておりますし、また、検査キットや個人防護具については、経産省において、感染症対策物資の生産に関する設備の導入等を行った事業者に対して補助金による支援を行うなど、国内での生産能力の向上にも取り組んできたところでありますし、また、物によっては政府が積極的な買上げを実施したという事例も今回ございます。

 今委員から、では、どのぐらい必要なのかというお話がありました。なかなか把握することは難しいわけでありますけれども、しかし、事業者に増産を求めるのであれば、物資の必要量の見通しを把握していく、場合によっては、私どもがどのぐらい買うのかということもお示しをしていく必要があると考えております。具体的には、過去に類似の感染症が蔓延した際の状況や、その時点の感染者数の動向、あるいは物資の需要の動向等を把握することを想定しております。

 そうしたことも含めて、感染症対策物資の確保、そして、それを強化していく、そうした観点から引き続き取り組んでいきたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 備蓄に関しては、先日の参考人質疑が私、非常に勉強になったんですが、新型コロナ対策ができた民間病院は、やはり備蓄があったから対応ができたというふうなお話も聞きました。これは民間病院だけではなくて介護施設も同じだと思いますので、是非その支援も強化していただけたらなと思いますし、もう一つ、これはお願いというか、多くの声がありますが、やはり、そういった備品を購入するための助成金の支払いをできるだけ迅速にしていただきたいということがあります。

 これは私自身も実感しておるんですが、多くの医療や介護施設が、資金を回すために、独立行政法人福祉医療機構、通称WAMに資金を借りて何とかやっていっているという現状がありますので、是非ここは多くの声をいただいておりますので、お考えいただけたらということをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうも誠にありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 本日は、感染症改正法案に関する質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず、この改正案の流行初期医療確保措置の導入を行うということから少しお尋ねしたいと思います。

 新型コロナでは、財政支援まで時間がかかって病床の確保が困難な状況が続いてきたと思いますけれども、そういう点からすると、初期段階での今回の措置については非常に意義があるものだなというふうに思っていますけれども、特別な協定を締結した約五百機関程度の医療機関との提携を想定しているというところなんですけれども、具体的にどのような医療機関を想定されているのか、その見通しをお尋ねしたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘がございましたように、今般の改正法案におきましては、都道府県知事が平時に各医療機関と協議を行いまして、感染症発生、蔓延時における役割、対応に関する協定を締結することとしてございます。

 この協定締結スキームの中で、特に流行初期段階から基幹的な役割を担っていただく医療機関を設定をいたしまして、特別な協定を締結をして、保健医療提供体制を流行初期から速やかに立ち上げて機能させるということとしてございます。

 この特別な協定につきましては、感染症の流行初期から一定以上の病床等を確保して、ピーク時にも対応できる医療機関が対象となるものというふうに考えておりまして、病床確保に関する流行初期の医療確保措置の対象医療機関としては、現在、四百床以上の医療機関であって重点医療機関に指定されているものは先ほど御指摘がありましたように五百ほどございますことから、それが一つの目安となるというふうに考えているところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 流行初期医療確保措置の費用負担割合についてお尋ねしたいと思います。

 公費と保険者で一対一とされているということなんですが、先日の本会議で、岸田総理からの答弁ですが、保険者が費用を負担する理由として、感染症医療には本来診療報酬で支えるべき部分が含まれていること、社会経済活動の維持にもつながるため、保険者が相応の負担をすることは必要な対応であるということを挙げられています。

 しかし、新型コロナの初期を思い出してみると、どういう感染症で、どのように治療すればいいかがはっきりしないケースがあったと思いますけれども、そのような場合においても、この診療報酬で支えることが果たして適当なのかというところで、社会活動の維持にもつながるのであれば、保険料の確保につながるとしても、むしろこれを公費で負担させる方がいいかというふうに考えるんですけれども、加藤厚労大臣、お尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 先ほど他の議員にもお話し申し上げ、また、今お話があったように、岸田総理からも答弁があったように、かかる費用をどういうふうに負担するのかの考え方に関しては、診療報酬の特例を設けるまで一定時間を要するが、実際、その間でも感染症医療が行われておるので、それは本来診療報酬で支えるべきではないか。

 例えば、感染症医療といっても、例えば今回の初期の段階でいえば、ICUに入ったり、そこでECMOを回したり、また、そのときにいろいろな措置を講じたわけであります。そういった、まさに感染症に係る医療というのは、当初から、治療法が分からなくとも、分からないなりに皆さんいろいろ努力をして取り組んでいただいているということがまずあろうというふうに思います。

 それから、流行初期に必要な医療体制を確保するということは、結果的に、感染症医療と通常医療を並行して、その病院なりその地域なりで維持をしていくということでありますから、そのことは広く被保険者、保険者にも受益、裨益が及ぶわけでありますから、そうしたことを含めて、この費用負担について、半分は保険、半分は国費ということで負担をするという整理をさせていただいたところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 大臣おっしゃられるように、未知な感染症については、医療機関としては手探りで治療に当たられてきたと思いますけれども、この流行初期医療確保措置においても公費で対応していく必要が、先ほど私もお話ししましたけれども、必要があるんじゃないかというふうに考えるんですけれども、公費のみで対応する余地を一方で残しておくべきではないか、この点に関して、法案について修正の可能性があるのか、今後の見通しの方向性についてお尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 今申し上げた整理で私どもは法律を出させていただいておりますので、それを前提に御議論をいただいているというふうに承知をしております。

 それから、済みません、さっき国費と申し上げましたが、公費ということでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 新型コロナの特例措置において、診療報酬の上乗せが行われてきたと思いますけれども、この流行初期医療確保措置が長引くとすれば、保険者の負担が大きくなっていくというふうに思います。できる限りこれは早期な診療報酬の上乗せといった対応が必要になるんじゃないかなというふうに思いますけれども、今までのコロナの知見を生かして、あらかじめ厚労省と財政当局が協議を進めていかれた方がいいのかなというふうに思うんですけれども、その辺り、大臣、いかがお考えでしょうか。

加藤国務大臣 令和二年当初における新型コロナウイルス感染症の経緯で申し上げますと、令和二年一月十六日に国内で最初の新型コロナの確認をし、それらを踏まえて約三か月後に診療報酬の特例を創設し、その後、逐次追加措置を取らせていただきました。

 今回、感染症に対応するための特例措置や、また補助金の創設は、やはり、さはさりながら、今申し上げた一定の期間がかかりますし、また、どの程度の医療資源が要するかは状況によっても変わってくるわけでありますので、今の段階であらかじめというのはなかなか難しいと思いますが、財政当局との協議や中央社会医療協議会における議論を含めて、厚労省としても、できるだけ速やかに必要性や措置の内容を判断して対応するよう努めていきたいと考えております。

遠藤(良)委員 大臣、ありがとうございます。是非、速やかに対応していただきたいというふうに思います。

 次に、協定締結医療機関についての質問をさせていただきたいと思います。

 都道府県と医療機関が協議の上で協定締結をするということなんですけれども、全ての医療機関に対して協議に応じる義務を課している。一方で、協定締結医療機関は全部で現状は千五百程度を想定しているということを伺っています。

 他方、公立・公的医療機関や特定機能病院、地域医療支援病院には医療の提供義務が課されます。全部で八千五百以上、この医療機関がある。協議に関しては、都道府県で行うとしても、およそ千五百程度想定しているということなんです。この根拠は、どのようなところが根拠になっているのか、お尋ねしたいと思うんです。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございました今般の改正案におきます協定の締結の関係でございますが、協定を締結する医療機関のうち病床の確保を担当していただく医療機関の数につきましては、地域における医療の確保に関して、重点医療機関として今般の新型コロナウイルス対応で実際に御対応いただいている医療機関数などを踏まえまして、先ほど御紹介いただいたように、全国で約千五百医療機関程度という数字を一つの目安として考えているところでございます。

 なお、この数値は目安でございますので、実際の予防計画における数値目標の設定に当たっては、各都道府県におきまして、各医療機関に対して意向やあるいは対応能力の調査をさせていただいたりすることで、より現状に即した医療提供体制を踏まえた内容としていただくことになるのではないかというふうに考えているところでございます。

遠藤(良)委員 公立・公的医療機関でも様々な規模があると思います。これは、病床確保の、先ほどおっしゃられましたけれども、観点からということで、国としての方向性を示していただきたいと思いますけれども、この辺り、いかがでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど重点医療機関というふうに御紹介を申し上げましたが、要は、各地域においてそれなりの病床の数を確保できて、また、必要な対応が十分可能な医療機関という意味で、重点医療機関の数というのを一つ、実際に病床の確保を担当していただく医療機関のイメージでお答え申し上げたところでございます。ですので、これを一つ踏まえながら、各地域、各都道府県において具体的に御検討いただくということになってくるかと考えているところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 続いてですけれども、自宅、宿泊療養者等への医療や支援の確保についてお尋ねしたいと思いますけれども、健康観察について、医療措置協定を締結した医療機関等に委託できるということなんですが、医療機関以外にも委託をすることを想定しているということをお伺いしています。

 具体的にどのような機関にこういう委託を想定されているのか、お尋ねしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、現下の新型コロナの対応におきましては、感染状況等の地域の実情に応じまして、重症化リスクの高い陽性者の健康観察は保健所や医療機関が重点的に行うというふうになっておりますが、重症化リスクの低い陽性者の方、あるいは濃厚接触者の方の健康観察につきましては、医療機関等のみならず、医療系の企業でありますとか旅行代理店、あるいは人材派遣会社など、様々な民間事業者の活用が可能であることとしているところでございます。

 実際、これは保健所からの委託でありますので、保健所に所属する医療関係者との連携の下で、民間事業者が、電話やスマートフォンのアプリを活用しまして、自宅療養者の体温等の健康状態の確認を行っているケースが幾つもございます。

 このため、今回の改正案における健康観察の実施の委託に当たりましては、特に重症化リスクの低い陽性者や、あるいは、症状が出ておらず医療の必要性のない濃厚接触者の健康観察につきましては、民間事業者に担っていただくことが考えられます。

 具体的な委託する範囲でありますとか委託先につきましては、こうした新型コロナの経験も参考に、今後、施行に向けて、関係者の意見も踏まえながら、適切に健康観察が実施されるよう判断してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 先ほどの、旅行代理店であったりとか、そういったところに委託するということは伺ったんですけれども、今、それ以外の、ほかにどのような機関を想定されているのか、また、医療機関以外に委託しなければならない理由がどういうところにあるのか、引き続きお尋ねしたいと思います。

佐原政府参考人 まず、健康観察は非常に対象の方が多くなってきますので、やはり重症化リスクや、あるいは病状に応じて保健所や医療機関がやる場合と、なるべく保健所等の負担を減らすために民間事業者がやっていく場合というふうに分けていく、また、そういうふうに今やっているというのが現状でございます。

 具体的な例としましては、例えば、旅行代理店もありますし、先ほど申し上げた人材派遣会社、それから医療系の企業、こういったものがございます。

遠藤(良)委員 感染者は患者であって、患者の健康診察は医療行為だというふうに認識しているんですけれども、濃厚接触者の健康観察とは違う、異なっていると思います。

 医療行為に該当する健康観察については、医療機関以外に委託をすることは必要なのかなと。医療機関以外に委託することがどういうところで必要なのか、御答弁お願いしたいと思います。

佐原政府参考人 今お願いしています改正法案上は、濃厚接触者も含めて医療機関その他の施設に実施を委託することができるというふうになっておりますので、具体的にここからここというふうに線を引くことはなかなか難しいかと思いますけれども、基本的な考え方としては、やはりリスクの高い、あるいは医学的な介入が必要な方、こういった方については医療機関で。そしてまた、単純に、熱も測るわけではありませんので、測っているものはどうなんですかとモニターしていって、必要に応じて保健所と連携をしていく、こういったものにつきましては医療機関以外のところへの委託もあり得るというふうに考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 次に、かかりつけ医の応招義務について伺っていきたいと思います。

 日本維新の会では提言をしておりまして、かかりつけ医の応招義務の強化、軽症者のケアを保健所中心からかかりつけ医が担うように転換すること、自宅療養中の患者を身近なかかりつけ医に登録する新制度の創設、往診体制の拡充等を求めています。

 全ての医療機関に感染症医療を行うことを求めるのは非常に困難だというふうに思います。積極的にかかりつけ医が関わるべきだというふうに思いますけれども、岸田総理から、かかりつけ医機能が発揮される制度設計を行うとの答弁があったと思います。いつ頃、どのような内容で行っていくのか、また、この維新の提言がどの程度反映されるのか、その見通しをお尋ねしたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、未知の感染症への対応につきまして、全ての医療機関に感染症医療を行うことを一律に求めるということは困難と考えておりまして、感染症医療を担う医療機関をあらかじめ明確にすることを通じて、必要な医療を受診できる体制を構築していきたいというふうに考えております。

 一方で、御指摘いただきましたように、高齢化が進展する中で、身近で頼りになるかかりつけ医を持つということが重要な課題というふうに認識しているところでございます。

 厚生労働省におきましては、これまで、地域包括診療料などの診療報酬によるかかりつけ医機能の評価の充実ですとか、あるいは、医療機能情報提供制度による地域の医療機関のかかりつけ医機能に関する国民、患者への情報提供などの取組を行ってまいりました。

 厚生労働省としては、今後の医療ニーズや人口動態の変化、また、コロナ禍で顕在化したような課題を踏まえまして、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うということにしてございます。

 その際、質の高い医療が効率的に提供されますように、かかりつけ医機能を明確化しつつ、患者と医療者双方にとってその機能が有効に発揮されるための具体的な方策を国民目線に立って検討して、取りまとめていきたいというふうに考えているところでございます。

遠藤(良)委員 今御答弁いただきましたけれども、実際、いつ頃、どのような内容で行われていくのかと、その反映される見通し、再度お尋ねしたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 この点、今の段階で具体的に、いつ、どのようにということを明確に申し上げるような状況にはございませんけれども、いずれにいたしましても、国民の目線に立ちまして、患者と医療者双方にとってその機能が有効に発揮されるための具体的な方策をしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 やはり、国民の方々は非常に不安になっている部分もありますし、かかりつけ医の点については後ほどまた質問させていただきたいと思いますけれども、これは具体的に政府としても取り組んでいただきたい内容でありますので、是非よろしくお願いします。

 次に、情報基盤の整備についてちょっと質問させていただきたいと思いますけれども、現在、新型コロナについてはHER―SYSで届出がされているということなんですけれども、電磁的方法による入力を努力義務ということにされています。これによって感染症の発生届はどの程度電磁的に行うことが普及していくのか、お尋ねしたいと思います。

佐原政府参考人 今般の改正案におきましては、発生届を出していただくときには、電磁的方法で出していただくということが努力義務として全ての医師の方にかかることになります。

 その上で、一部の医療機関、具体的には、各二次医療圏に一か所程度あります感染症指定医療機関、これのうち一定の要件を満たす医療機関の医師につきましては、電磁的方法による発生届を義務づけるということとしまして、繰り返しになりますが、これ以外の医療機関の医師については努力義務を課すというふうになっております。

遠藤(良)委員 ワクチン接種後の健康状態を接種者が自主的に登録するデータベースを構築して、ワクチン接種後の後遺症のような症状等のコホート調査が可能となる体制を構築すべきだというふうに考えますけれども、その辺り、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナワクチン接種後の遷延する症状、いわゆる後遺症につきましては、今後、専門家の意見も聞きながら、その症状に対する実態の把握や病態の解明に必要な研究を行うこととしておりまして、その治療法に関する知見等を収集をする予定になっております。これは研究事業でございますので、具体的なスケジュールや研究内容を現在鋭意検討を進めているところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 最後に、新型コロナの感染症法上の位置づけについて質問させていただきたいと思います。

 二類相当から五類相当への変更について、ウイルスの大きな変異が生じる等強調して、否定的な答弁がされていると思います。ウイルスからすれば、弱毒化をしていて、多くの人に感染をしている段階に今現在なっていると思いますけれども、にもかかわらず、大きな被害を生じさせるような変異があり得るかは本当に甚だ疑問ではありますけれども、やはりこれは、医師に応招義務が求められる五類へと変更すべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 応招義務は、何か単純にこうというよりは、緊急対応の必要性など、個々の事情を総合的に勘案して判断する必要があるというふうに思っております。

 その上で、新型コロナの感染症法上の位置づけについては、今委員がお話がありました、感染力、重篤性に基づき、総合的に考える必要があります。

 オミクロン株においても致死率や重症化率がインフルエンザより高い、特に高齢者等においては、と評価されており、また、更なる変異株が出現する可能性もあります。また、五類に引き下げた場合には、感染症法上の入院勧告、措置などが行えなくなることや特措法の適用もなくなるということもあります。

 第八波に向けて、現在、病床、発熱外来の確保、ワクチン接種の促進、高齢者施設における医療体制の強化などの備えを進めているわけでありますから、そうしたことも踏まえる必要があるのではないかと思っております。

 実際、ウィズコロナに向けた新たな段階に向けて、経済社会活動との両立を強化したところでありますが、その際にも専門家に意見をいただいたところ、新型コロナについては、新型インフルエンザ等感染症という分類は維持し、今後も変異していくウイルスに応じ対策を柔軟に対応していくべきという御意見もいただいたところでございます。

 なお、感染法上の位置づけについては、厚生科学審議会感染症部会において検討することとしております。今後の感染動向や予防接種の進展等による病原性や感染性の変化などを踏まえて、専門家の御意見を聞きながら、引き続き議論を進めていきたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 続きまして、国民本位感染症樹立法案の法案提出者に質問させていただきたいと思います。

 弱毒化が明らかなオミクロン株については、速やかに感染症類型を見直すべきだというふうに考えますけれども、日本維新の会は、以前から、新型コロナウイルス感染症について、五類感染症あるいは五類相当への変更をすることを提言していたと思います。十月二十四日、加藤厚生労働大臣に対して第十一弾となる提言を申し入れたというところですけれども、なぜ、日本維新の会は、新型コロナウイルス感染症を五類感染症又は五類相当へ変更することを提言したのか。これを法案提出者に伺いたいと思います。

池下議員 遠藤良太議員の御質問にお答えいたします。

 我々日本維新の会が、新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置づけを五類感染症又は五類感染症相当と変更することを提言する理由は、主に二点あります。

 一点目は、この冬に新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行が予想される中、両者の感染症法上の扱いが異なっていることが国民を余計に混乱させることになると危惧しているからであります。

 例えば、今般の新型コロナ・インフルエンザ同時流行対策タスクフォースの示した対策では、発熱等の体調不良時に医療にかかるための過程に、年齢や基礎疾患の有無によって差異が生じてしまっています。新型コロナウイルス感染症を五類感染症又は五類感染症相当とすることで、不要な混乱を防ぎ、適切かつ迅速な医療提供につなげると考えます。

 二点目は、現在の新型コロナウイルス感染症は、かかりつけ医を中心とした地域包括ケアシステムの中で扱うべき疾患であると考えているからです。現在、多くの新型コロナ患者の方が通院医療と自宅療養でフォローされています。このような状況において、地域包括ケアシステムを生かし、患者の方の管理、治療を行うことは極めて有用です。

 加えて、新型コロナウイルス感染症流行期におけるかかりつけ医の役割や医師の応招義務の在り方、保健所を中心とした管理体制の見直し、新型コロナ患者の健康観察を行う主体の在り方等、ウィズコロナ下にあるべき地域包括ケアシステムについて議論を進めるべきだと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 地域包括ケアシステムの中で扱うべきであるということを理解いたしました。

 ただ、現在は、地域の医療機関は新型コロナ患者を診なくてもいいということにされているように思いますけれども、地域の医療機関が新型コロナ患者を診なくてもいいとする医師の応招義務とは一体どういったものなのか。新型コロナウイルス感染症と医師の応招義務の関係について、法案提出者に伺いたいと思います。

池下議員 診療に従事する医師は、診療治療の求めがあった場合には、正当な理由がなければこれを拒んではならないとされており、いわゆる応招義務が課されることになっております。

 ただし、医師の応招義務には例外があり、正当な理由があれば応招義務は課されないことになっています。令和二年十月の厚労省の通知によれば、新型コロナについて、患者が発熱や上気道症状を有していることのみを理由に当該患者の診療を拒否することは、正当な理由に該当しないとされる一方、診療が困難な場合には診療可能な医療機関への受診を患者に対しお勧めするというところまでしか医師の応招義務は課されていません。

 しかし、既に治療薬やワクチンが活用され、致死率が低いとされるオミクロン株が主流となっている新型コロナウイルス感染症に関する現状に鑑みれば、コロナ患者等に対応できる医療機関を特定の医療機関に限定することに合理性があるとは言えず、かえって医療逼迫等の危険を招くことになります。一部の医療機関のみに新型コロナ患者の診療を押しつけるような状態を続けていれば、助かる命も助かりません。

 現在の新型コロナウイルス感染症は、かかりつけ医を中心とした地域包括ケアシステムの中で扱うべき疾患であると考えます。新型コロナウイルスを、単に五類感染症又は五類感染症相当に位置づけるだけでなく、あるべき日本の医療提供体制の構築についても議論を進めるべきだと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 ただ、かかりつけ医が新型コロナ患者を診るとすれば、医療逼迫の問題は解決するのかなと。多くの国民は、自分のかかりつけ医が一体誰なのか、又はどのような医師や医療機関がかかりつけ医にふさわしいのか、分からないのではないかなというふうに思います。

 このコロナ禍において、かかりつけ医と思っていた医師や医療機関に、あなたのかかりつけ医ではないとして往診やワクチン接種を断られたという国民の怒りの声が数多く聞かれていると思います。自分のかかりつけ医だと思っている医師や医療機関が本当に自分のかかりつけ医なのか、もし、多くの地域の医療機関が、あなたのかかりつけ医ではないと新型コロナ患者の診療を断ってしまったとしたら、結局、新型コロナ患者の診療に当たる一部の医療機関の負担が増すばかりではないかなというふうに思いますけれども、この辺り、一体どのようにすべきか、お尋ねいたしたいと思います。

池下議員 御指摘のように、このコロナ禍において、かかりつけ医と思っていた医師や医療機関に診療を断られたとする話が報道等でもよく取り上げられております。

 このかかりつけ医について、法律上の定義はありませんが、日本医師会と四病院団体協議会が二〇一三年にまとめた提言では、何でも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要なときには専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師と定義しています。

 こうしたかかりつけ医と患者が結びつくことで、必要な医療が国民の皆様に確実に届けられるよう、日本維新の会は、昨年九月の段階で、新型コロナウイルス対策に関する提言第九弾で、患者を身近なかかりつけ医に登録する新制度を創設することを提案しております。

 このような患者とかかりつけ医を確実に結びつける新制度の創設により、患者と医師、医療機関との間でかかりつけ医としての認識が共有されるとともに、自宅療養中の患者の容体が悪化した場合でも早期検知等にもつながること、さらには、コロナ禍で膨大な業務に追われている保健所の負担軽減にも資することが期待されております。

 かかりつけ医制度の創設により、感染症有事における保健所中心からかかりつけ医中心への対応の転換を行うことが、医療機関の逼迫を回避し、国民の皆様へ迅速に医療を提供する上で必要と考えます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 保健所中心からかかりつけ医にシフトしていくということが、実際、国民目線に合った、本当に必要なものだというふうに思います。

 これは政府としても、しっかりとこの法案に組み込んでいただきまして、我々共同提出させていただいているこの修正案も、しっかりと議論に入れていただきたいと思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。

 時間になりましたので、これで終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いいたします。

 今日も引き続き、感染症法等の一部改正法案について質問を続けていきたいと思います。

 まず、臨時接種の類型の整備についてです。

 今回の法改正により、臨時接種の類型が三種類になるということが示されましたが、それぞれがどのような場合に適用になるのかということを聞かせていただきたいと思います。今適用されている臨時接種の特例と、それで今回新しくできる新たな臨時接種、この類型の違いや、また、最終的に三つの類型になった理由と役割について伺います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 予防接種法第六条に規定します臨時接種の類型につきましては、次の感染症危機に備えて様々な感染症を想定して、疾病の蔓延予防上緊急の必要がある場合において機動的なワクチン接種を可能とすることを目的としております。

 ちなみに、今の感染症法は、附則に、新型コロナについて特例臨時接種を行うというふうになっておりますが、今度は、様々な感染症を想定したものということとなります。

 この際、これまでの臨時接種の体系も踏まえまして、接種を実施するに当たっての三類型としておりまして、その指示体系や接種主体等を改めて三つに分けてございます。

 まず一点目は、第六条の第一項でございますけれども、これは、疾病の蔓延が一市町村や一都道府県にとどまっているような場合で、都道府県知事が対象者等を指定して、自ら、又は市町村長に指示し、予防接種を行う類型というものでございます。

 それから、六条の第二項は、疾病の蔓延が単一ではなくて複数の都道府県域に及ぶような場合を想定しておりまして、これは、厚生労働大臣が対象者等を指定して、都道府県知事又は市町村長に指示し、予防接種を行う類型となります。

 そして、第六条の三項、これは、A類疾病、予防接種法上、対象となる疾病が決まっておりますけれども、A類疾病のうち全国的かつ急速な蔓延により国民の生命、健康に重大な影響を与えるおそれのある疾病が発生した場合、まさに今回のコロナのような場合ですが、こういった場合に、厚生労働大臣が対象者を指定して、都道府県知事又は市町村長に指示し、予防接種を行う類型でありまして、特にこの第三項の場合は、費用負担につきましては、国が十分の十というふうになっているところでございます。

田中(健)委員 それぞれ、地方自治体、また都道府県、そして厚労大臣ということで、三類型に分かれているということですけれども、今どうしても、話しているのは新型コロナウイルスの話でございますが、これからいろいろな疾病が出てくるかと思いますので、蔓延防止上緊急の措置が生じた場合に、円滑にこの臨時接種が進みますように、今、類型をお聞きしましたけれども、最初ちょっと類型を聞いたとき、なかなか理解できませんでしたので、役割分担を明確にしていただいて、対応を図っていただきたいと思います。

 その中で、今回、臨時接種に損失補填の契約の枠組みという整備が盛り込まれました。これは、そもそも、平成二十三年、新型インフルエンザの発生時に、接種による健康被害に対する製造販売者の損害賠償について、国が企業の損失を補償するというための契約として、予防接種法の附則の第六条に定められました。現在の新型コロナワクチンに対する損失補填契約というのは、附則の八条で定めてありましたが、これを本則にするということで、今回、整備が盛り込まれています。

 これまで、その都度その都度規定を定めて、予防接種法を変えてきたという経緯がありますので、それを考えますと、機動的なワクチン確保のためには必要な措置だと思います。

 それは理解したんですが、一方、今度は、無制限に政府が債務をずっと、例えば、今のワクチンであれば海外のワクチンを輸入していますが、その損失補填を負うということになるという懸念もあります。これに対してはどのような理解をすればいいか、またどういう対応を考えているのか、伺います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正案は、新型コロナに係る特例として予防接種法に設けました損失補償契約に関する規定について、これは一般的な、かつ恒久的な、恒久化することとしまして、今後の新たなパンデミック時においても直ちにワクチン確保の初動を起こしまして、円滑なワクチン確保を図ることを可能とするものでございます。

 その際、これは、憲法上、「国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。」とされていることも踏まえまして、この規定が適用される期間を感染症法の規定による感染症発生、蔓延時に限定するとともに、損失補償契約を締結することができる対象疾病や期間、その他補償の範囲に係る事項について国会承認を経ることとしております。このため、御懸念のように、政府が国会の関与なく無制限に債務を負うものとはなっていないと承知をしております。

 それから、一点、済みません、先ほどの答弁で、私、感染症法の附則で今コロナのワクチン接種があると申し上げてしまいましたが、正しくは予防接種法上の附則でございました。訂正させていただきます。

田中(健)委員 無制限に政府が債務を負うというわけでなく、国会の承認が必要だということを確認させてもらいましたので、しっかりと国会でもチェックをしながら進めていきたいと思っています。

 一方、先ほど言いました附則六条の際というのは、この規定の期限を最初から五年に限定をしていました。これは理由を見ますと、今後五年以内に、新型インフルエンザワクチンを開発することによって、約半年で全国民のワクチンを国内で生産できる体制を構築するまでの経過的な措置としたと、このときは明記されています。そして、実際、このときは期間内でワクチンができて、この時限措置が消滅をいたしました。

 今はどうでしょうか。国産ワクチン、かけ声はありますが、まだ実現をしていません。期限を決めて、また、目標を決めて取り組むということも必要ではないかと思います。

 それに引き続いて、このワクチンについて伺いたいと思います。

 次の感染症のパンデミックに備えて、三月に、国産ワクチンの開発を推進する国の司令塔として、SCARDAという先進的開発戦略センターが発足をしました。新型コロナワクチンの開発で欧米に後れを取った日本ですけれども、海外のメーカー頼みだけでは私たち、国の健康、安全を守るのは難しいという今現実を突きつけられています。

 その中で、私たち、厚労省も、これまで、新型コロナワクチンの生産体制事業という中で、このワクチン事業を進めてまいりました。これまでの事業額、そして、それぞれの会社への補助金、それぞれのまた成果というのを伺います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルスワクチンの生産体制整備の支援につきましては、これは、令和二年度第二次補正予算におきましてワクチン生産体制等緊急整備基金を創設しまして、令和二年度三次補正予算及び三年度予算と合わせて五千百三十九億円を計上したところでございます。

 この基金を通じまして、まず、アストラゼネカ社のワクチンの国内製造に対しまして百六十二億円、また、ノババックス社のワクチンの国内製造に対して約三百一億円を支援しまして、これは実際に海外ワクチンの国内製造を実現しているところでございます。

 また、日本の製薬企業が新型コロナワクチンを開発して、国内で製造できるようにということで支援をさせていただいておりますが、これは、塩野義社に対しまして約四百七十七億円、第一三共社に対しまして約二百九十六億円、KMバイオロジクス社に対して二百四十億円、これを支援しまして、第三相の臨床試験に係る費用を補助しているところでございます。

 厚生労働省としては、こうした企業が開発に成功し、迅速にワクチンが生産されるよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 かなりの額、これまで投じてきたわけですけれども、一日も早いこのワクチンの実現を求めるものでありますが、その中で、最後の、もう一歩の詰めというところでなかなかワクチンも治療薬も今できていないというのが現実です。

 熊本市のワクチンメーカーのKMバイオロジクス、今年九月には国に承認申請を行うとしていた開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、申請を十二月以降に延期をするという報道がありました。

 KMバイオロジクスは、これまでのデータを基に国への承認を今年九月に行うとまで発表して、申請に当たっては、この委員会でも議論しました、五月に創設された国の緊急承認の制度を活用するということにしていました。しかしながら、同じ制度で国内の製薬会社が承認を申請している新型コロナの飲み薬について、厚生労働審議会の方で、有効性が推定されるという判断はできないとして承認がされず、継続審議にしたことから、KMバイオロジクスと共同開発しているMeijiSeikaファルマによりますと、最終的な臨床試験のデータがそろわないと承認を受けるのが難しいとして、九月の申請を見送って十二月以降に延期になったということが報じられています。

 そもそもこの緊急制度、議論をしましたけれども、国産のコロナ治療薬やワクチンをいまだ一つも承認されていない中で、緊急時に、治験が終わっていなくても使用を認める、この議論はさんざんやりましたけれども、治験がなくても認める、そして通して、皆さんで後押しをしたという思いがありますけれども、それが一番の特徴なのではないかと私は理解をしているんですけれども、治験ができないことで今開発が進まないという現実があります。

 どのようにこれを理解をすればいいか、また、この緊急承認制度、なぜ活用が進まないのか、伺います。

八神政府参考人 緊急承認制度についてのお尋ねでございました。

 緊急承認制度は、緊急時におきますリスク、ベネフィット、このバランスを考慮いたしまして、必要な臨床試験成績から推定される有効性と比較しまして、安全性が許容可能であるということを確認した上で承認を可能とするという制度になってございます。

 適用対象につきましては、緊急性、代替性といった要件がございますが、承認審査の考え方につきましては、本年五月にガイドラインをお示しをしております。

 ワクチンにつきましては、特に、多数の健康な方に接種をするということでございますので、原則として大規模な検証的臨床試験が必要となるということでございますが、得られた試験成績等に応じて、検証的な臨床試験の中間の解析等の段階で有効性を推定できる場合は想定されるというものでございますので、迅速化が図られるものと考えてございます。

田中(健)委員 まさに迅速化が図られていないのが実際なので、どうしてかというのを聞きたかったんですけれども。

 今お話の中にありましたけれども、国産ワクチンの開発の大きな壁となっているのが大規模な臨床試験であります。

 日本ではここ最近、国内で開発された新たなワクチンが実用化をされていませんので、数万人という大規模な臨床試験を行うノウハウというのが十分にないということもこの委員会で議論をしてまいりました。また、その蓄積もされていない。その中で、パンデミックに直面してから急に体制を構築するというのは簡単なことではないため、リアルワールドデータとか非劣性試験の導入ということが言われていました。それらを活用して治験をスムーズに、先ほど迅速にと言いましたけれども、進めるということはできないんでしょうか。現状を伺いたいと思います。

八神政府参考人 リアルワールドデータあるいは非劣性試験の導入ということにつきましての現状また課題ということについて、お答えを申し上げます。

 リアルワールドデータにつきましては、承認申請等におけるレジストリの活用に関する基本的考え方というガイドラインを昨年の三月にお出しをしております。また、現在、AMED、日本医療研究開発機構におきまして、電子カルテ等の医療情報を薬事申請に活用する際の留意点を整理する、こういった研究を支援するなど、薬事申請への活用を進めるように取り組んでまいりました。

 こうした取組の結果でございますが、本年三月には、リアルワールドデータ、従来はあくまで参考資料という形で使ったものですけれども、リアルワールドデータを評価資料ということで活用して薬事承認に至ったという事例も出てきてございます。

 ただ、リアルワールドデータのガイドラインでもお示しをしておりますけれども、ちょっと利活用に注意が必要な点もございます。例えば、適切に設計をされました臨床試験成績と比べますと、医療機関ごと、患者ごとに取得されているデータ項目が例えば統一をされていないということであったり、医薬品を投与した患者さんと投与していない患者さんで年齢ですとか基礎疾患が異なるといった場合など様々特徴がございますので、利活用に注意が必要だというふうに考えてございます。ただ、こうしたデータの特徴を、最新の科学的知見を踏まえつつ、AMED研究なども通じて、更なる活用に引き続き取り組んでまいりたい。

 また、二点目、非劣性試験、御指摘ございました非劣性試験を含む代替指標の活用ということでございますが、これは昨年六月、ICMRAという国際的な薬事規制当局の組織がございますが、こちらで、方向性について合意が得られております。実際に、海外ワクチンの追加接種等での薬事承認、あるいは国産のワクチンの臨床試験におきまして活用しているところでございます。引き続き活用を進めてまいりたいと考えております。

田中(健)委員 今るるお話を聞きますと、やっている感は伝わってくるんですけれども、実際、この緊急承認制度で承認がされないということで、私たちが議論をしたときは、本当にパンデミックが起きて緊急のときに、まさに緊急性、代替性がないとき、そのときに有効性の推定とまた安全性の確認でいち早くワクチンの承認をするということだったんですけれども、これではふだんのワクチンと変わらないんじゃないかと私は素人ながら思ってしまうんですけれども。

 その中で、問題としては、検査当局の能力の問題、また充実が必要じゃないかという声も上がっています。この審査の能力が低下をすると、欧米各地で作られたワクチンの日本での治験が、日本で後回しにされてしまう、ジャパン・パッシングというふうに、生じかねないと言われています。

 日本で自前のワクチンの開発をスムーズに挑戦するためには、先ほどの緊急承認制度はもちろんのこと、PMDAが企業の開発というのを的確にサポートして、さらに迅速に審査を進めているかということが、しかもこの間、それができてきたのか、そういった検証も今後必要になるかと思いますが、見解を伺います。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、新型コロナワクチンの実用化に向けて、PMDAにおきましても様々支援を行ってきております。具体的に申し上げますと、例えば、新型コロナウイルスワクチン戦略相談という相談制度をつくって、必要な試験、治験計画の策定、あるいは開発計画等に関する助言といったことを無料で実施をするということを実施してございます。

 また、実際の審査のスピードということでございますが、新型コロナワクチンの審査は、事前相談の段階で申請資料といったものを評価するといったことを最優先で実施をしております。例えばファイザー社のワクチンでございますが、通常一年程度の期間を要する審査を二か月で実施するといった取組を行って、迅速に審査をできるようにやっているところでございます。

 引き続き、国産ワクチンの開発について支援を続けてまいりたい、このように考えております。

田中(健)委員 緊急承認制度をつくったときも、またこのPMDAの議論のときも、本当に何とかしなきゃとみんな委員会の中でも思って議論をしていたんですけれども、今、こう淡々と言われてしまうと、あの議論は何だったんだろうかと思ってしまうので、緊急承認制度、どうだったかというしっかり検証もしていきたいと思いますし、検査当局がどういった働きをしてきたかというのも、これからしっかり検証していきたいと思っています。

 次に移ります。

 今日は、感染研の脇田所長に、昨日に引き続きおいでをいただいております。ありがとうございます。

 新型コロナ感染症対策、そもそもの根本的な問題について伺いたいと思うんですけれども、このコロナ感染症に対する基本的感染対策というのは国立感染研が担ってまいりました。

 これまでは、WHOやアメリカのCDCが、接触であるとかまた飛沫が感染経路だということで、それに伴って、日本も、厚労省の新型コロナウイルス感染症のCOVID―19の診療の手引においても、患者の診療においては飛沫予防とまた接触予防策を適切に行うというのが第一義的に掲げられてきました。しかしながら、この七月十四日には、新型コロナウイルス感染症対策分科会の中で、近距離エアロゾル感染ということについて言及があり、具体的対策にも提示がされたところであります。

 これは、新型コロナウイルスの感染症において、空気感染、これはエアボーンというそうですけれども、これを認めたという理解でまずよろしいでしょうか。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 まず、新型コロナウイルス感染症につきましては、飛沫感染あるいは接触感染のみならず、エアロゾルの吸入により感染をするということで、その対策というのが重要であるということは認識をしております。

 これについては、今年三月二十八日に国立感染症研究所の見解を改めてまとめておりますが、それ以前からも、例えば二〇二〇年の七月三十日のアドバイザリーボードにおきましても換気の重要性ということは指摘をしてきたところということであります。

 それで、エアロゾル感染では、飛沫よりも小さな粒子であるエアロゾルが、特に換気の悪い密閉空間などにおいて粒子がしばらくの間空気中を漂って、少し離れた距離でも感染を起こすということで、これが新型コロナウイルス感染症の主な感染経路の一つとして考えられております。

 一方で、いわゆる空気感染におきましては、粒子が空気中を長時間、長距離に浮遊をして感染する経路を主に示すと考えております。

 こういったエアロゾル感染を含む感染経路の定義でありますとか分類方法につきましては、国際的に見ても、ウイルス学、工学、感染制御学を含む多分野の研究者の間でまだ議論の途上にあるということで認識をしております。

田中(健)委員 それでありますと、具体的に言いますと、感染経路をどのようにお考えになっているかというのをお聞きしますけれども、空気、飛沫、接触、この三つが今、感染経路として挙げられておりますけれども、この中で、感染の起こりやすさの順番というものを教えてもらえますでしょうか。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルスが実際にどの経路で感染するのかというのは、感染者から放出される感染性ウイルスを含む粒子の量、あるいは環境条件といったもので決まってきますので、必ずしも一つであるということは当てはまらないと考えております。

 実際に、オミクロン株BA・1の流行の初期におきまして、感染症研究所で自治体の要請による積極的疫学調査を支援しておりまして、その中で、十三件の事案についての感染経路を実際に分析をしております。

 この報告によりますと、調査によって判明した感染経路としては、飛沫感染が最も多く十一件、接触感染が二例。ただ、この合わせて十三例のうちの三例はエアロゾル感染も疑われたということになっております。

 ただ、この調査では感染経路として飛沫感染が多いということになりましたが、コロナウイルスが常に変容を繰り返していること、そして、疫学調査の実施というのも今この十三件ということで限定的でありますし、感染経路を評価できた事例というのは多くはないということ、そして、人々の行動様式も変化する中で、感染の起こりやすさの順番、これを明確に判断することは困難と考えております。

 いずれにしても、マスクの適切な着用、手洗い、換気といった基本的感染対策を行うことで感染リスクを低減していくこと、これが重要と考えております。

田中(健)委員 るるお聞きしているのは、現在の世界的なコンセンサスとしては、接触感染というのはもうまれだ、飛沫感染よりも空気感染が主たる経路となっているということを、これはWHOもCDCも、空気感染というのを記載して、明記をしています。それを認めないと、いまだ基本的感染対策というのは何も今変わっておらずに、接触感染の対策であるアルコール消毒、徹底してアルコール消毒しろということをまだ対策として掲げられていますし、また、このパーティションやアクリル板、こういったものが基本的な対策になっています。

 接触感染がもうほぼない、ないしはアクリル板も必要ないとするならば、やはり基本的対策を変えていかないと効率的な感染症の抑制というのはできないと思うんです。できること全部挙げているのでは、それは全部やれればいいんですけれども、やはり今、第八波が来ると言われている中、対策にかける人やまたお金や、また様々な有限的なものが、優先順位を示して取り組んでいかなきゃいけない時期に来ているんじゃないかという私の問題意識で質問をさせていただいております。

 そうでないと、換気の大事さというのも言っているんですけれども、そして、感染研の中でも、パーティションの配置のために空気の入口と出口を確認して、空気の流れを阻害しないように、高いパーティションと低いパーティション、更にその流れを一生懸命説明してもらっているんですけれども、そんなのなかなか町のお店やまた店舗でできないですよ、実際。

 しかしながら、皆さん朝になると、アクリル板を磨いて、消毒で、パーティションもきれいに洗って、これが本当に今の感染症対策として適切なのかと思っています。

 ですからこそ、その優先順位というものを示して、しかも科学的に、私も分かりませんので、科学的にはどういうものが優れているのか、また優先順位があるのかというのを示して、そして、それを発信する時期ではないかと思っています。そうでないと、お店だけでありません、学校でも何かあれば消毒をして、それによって大変に労力を要している先生たちもいます。

 ですから、厚労省が、まだ、接触感染を、飛沫感染が主たる経路であるというふうに見解をしているんですが、これは大きく修正をされるべきじゃないかと思っています。そのために、今日は脇田所長に今の見解というものをお聞きをさせていただきました。

 ちょっと時間が限られてしまったものですから、我が国では、感染経路の認識、世界と大きなギャップがあると思っておりますし、また、今の議論の中で、感染経路というのは、接触から、飛沫から、また、エアロゾル、空気感染と、こう変わってきたという認識を持って修正の検討をしていただけないかと。突然ですが、加藤大臣に見解があれば伺いたいと思うんですが、できますでしょうか。

加藤国務大臣 今、脇田所長から、感染経路については、飛沫とあるいは接触感染、そしてエアゾール吸入、それぞれがあるという御指摘がありました。

 飲食店におけるアクリル板やパーティションの設置等についても、感染対策として引き続き一定の効果があると考えられております。

 我が国では、二〇二〇年七月三十日の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードにおける指摘も踏まえて、飛沫感染、接触感染に加えて、エアゾール感染の対策を強化するため、改めて換気の徹底はお願いをしたところであります。

 また、七月十四日の感染症対策分科会の感染拡大防止のための効果的な換気についての提言でも、換気対策が示されたところでございます。

 この換気対策の考え方において、エアゾール対策と飛沫感染対策が必要で、エアゾール対策としての換気による空気の流れを、飛沫対策としてのアクリル板やパーティションを阻害しないような配置も望ましい、なかなかこれが難しい、今委員の方も、難しいところだと思っております。

 現在実施されている感染対策は、いずれも感染リスクを低減する観点からは重要であり、なかなかどれがということは申し上げられませんけれども、効果的な換気やパーティション等の適切な設置以外にも、マスクの適切な着用、手指衛生など、基本的な感染対策は今後もお願いしたいと考えております。

 なお、今、業界別のガイドラインというのがございまして、これに対しては、先般の感染症分科会で、全体としてこういった基本的な考え方を示したところでありますので、それを踏まえて、それぞれの業界のガイドラインを今見直しをお願いをしているところではございます。

田中(健)委員 大臣のおっしゃるところも当然で、いろいろなことをやらなきゃいけないですし、あれもこれもとなるんですけれども、今までの基礎的な対策から更に換気もやれ、更にアクリル板もやれと。もうやることがいっぱいで、国としては優先順位をやはり示してほしいと思うんです。私は、もう接触感染がないならば、過度なアルコール消毒というのは必要ないと思っています。どこかに入るごとにアルコールして、出るごとにしてというのも考えなきゃならないと思っていますので、是非、まさに科学的な根拠に基づいて、これから議論を進めていってほしいと思います。

 更にもう一つ、マスクのことです。

 大臣からもまた脇田所長からもマスクの問題が出ました。マスクにおいてもいろいろな議論が出ています。屋外においてはマスクを外すということは、もう今、発信されています。私も屋外で外そうとしています、外しています。しかしながら、屋内のマスクの意義、また役割というのが、今、少し、発信がないのではないかと思っています。

 さらに、ウレタンマスクとか布マスクというのも今当たり前になってしまっていて、少しマスクに対する意識というのが、それぞれ、皆さん、変化しています。さらに、空気感染には不織布のマスクも効かないんじゃないか、マスク不要論ということまで声が出ています。

 科学的には、隙間がない不織布のマスクというのをしていれば、エアロゾルの対策に有効であるという認識でよろしいでしょうか。脇田所長、お願いします。

脇田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから申し上げていますとおり、新型コロナウイルス感染症の感染経路、これは、飛沫、エアロゾルの吸入、そして接触感染もあるということで、もちろん、感染防止のために、三密回避とか換気に加えてマスクの着用、これは極めて重要であるということは日頃から我々も申し上げているとおりであります。会話をする際にマスクを着用していただくこと、それから、換気が悪い屋内においてもなるべくマスクをして会話をしていただくということが、日本では様々な場面で国民の皆様にお願いをしているところであります。

 我が国で一般的に販売されていますマスクについては、それぞれの性能についての研究が行われておりまして、不織布マスク、布マスク、いずれにおいてもお互いが着けるということが非常に重要でありまして、その結果、ウイルスの吸い込み量を七割以上抑えられるという結果も実験的には出ております。

 ですから、感染リスク低減のために、適切なマスクの着用は引き続き重要と考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 改めて、この冬に入るに当たって、屋内でのマスクの重要性、必要性というのも、政府また感染研等に訴えていただきたいと思います。

 本来、さらに、マスクということで、公共交通機関でのマスク着用というテーマで質問をしたかったんですけれども、済みません、時間が来てしまいましたので、次の質問にさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、介護保険についてお伺いをいたします。

 一昨日、社会保障審議会介護保険部会で、給付と負担の見直しの七つの論点が示されました。要介護一、二の訪問介護、通所介護を地域支援事業へ移行する、これも一つのテーマになっているわけでありますが、この問題については、社会保障審議会介護保険部会で委員から反対意見が相次ぐということになっております。

 今日、配付資料でもお配りしておりますけれども、要介護一、二は専門的ケアが必要なんだ、専門的ケアがあってこそ重症化防止ができるんだという意見だとか、あるいは、サービス単価の切下げにつながれば人材確保も難しくなっていくんだ、こういう意見が相次いでいるわけです。

 ちょっと確認しますけれども、これまでの介護保険部会の中で、この件について、推進すべきと意見を述べている人は何人で、懸念や慎重意見を示している方は何人いらっしゃるでしょうか。

大西政府参考人 お答えいたします。

 介護保険部会で、今おっしゃられました要介護一、二の訪問介護、通所介護を地域支援事業へ移行する件について、推進すべきとする委員は何人で、反対を示される委員は何人いるかという御下問でございます。(宮本(徹)委員「反対じゃない、懸念や慎重ね」と呼ぶ)はい。反対や、丁寧なとか、御懸念を示す委員は何人いるかという御下問でございます。

 軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方につきましては、現在、御指摘の社会保障審議会介護保険部会において、幅広い観点から御議論をいただいているところでございます。

 介護保険部会における御発言に基づきまして、各委員のお立場を、賛成又は反対、御懸念も含めまして、いずれかに集約するということは必ずしも現時点でできないことですから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であると考えております。

 いずれにいたしましても、高齢者の方々に必要なサービスが提供されますよう、様々な御意見をしっかりと伺いながら、丁寧に御議論いただき、検討を進めてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 驚きですけれども。

 今日、資料一ページ目と二ページ目に、これは三十一日に皆さんがまとめられた意見ですからね、二十五人中十九人の意見がここに掲載されているんですかね、丸の数は十九ありますが。推進というのは三つですね。それ以外は慎重、懸念、反対、時期尚早、時期尚早、慎重、慎重、慎重、こういう意見がずらっと並んでいる。圧倒的に、やるべきではないというのが介護保険部会の中での意見だと思います。これをカウントしたくないという気持ちは分かりますけれども、現実は見なきゃいけないと思うんですね。

 さらに、次の資料をつけておりますけれども、全国老人福祉施設協議会を始め介護八団体も、反対声明というものを出しております。業界ぐるみでの反対という状況になっているわけですね。

 恐らく皆さんの地元でもそうだと思いますけれども、例えばヘルパーさんというのは、本当にどこでも六十代、七十代が主力ということで、二十代、三十代はほとんどいないという状況だと思います。賃金が安くて不安定ですよね。キャンセルがあってもその補償もない。この間もお話を聞きましたら、十万円の収入を予定した月が、キャンセル、キャンセル、キャンセルで五万円になってしまった、こんな話も起きているわけですね。スーパーのパートの方が安定している、こういうことも言われていて、ヘルパーさんの確保は大変苦労しているわけですよ。

 ですから、本当は、やらなきゃいけないのは、賃上げをどう進めるのかというのを議論しなきゃいけないわけですけれども、これを、要介護一、二を、訪問介護、通所介護を、地域支援事業、こういうものに移していくということになれば、当然、総合事業は報酬が下がります。そうなれば、本当に担い手が、いよいよ確保が困難になる。在宅介護を崩壊させる事態が起きかねないと私は思います。

 大臣、これだけ懸念の声が出ているのをどう受け止めているんでしょうか。断念すべきじゃないでしょうか。

加藤国務大臣 そもそも、軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方、これは令和元年の社会保障審議会介護保険部会でも当時議論がされ、引き続き検討を行うことが適当とされたわけでありますので、それを踏まえて、今年の介護保険部会でも御議論いただいているということでございまして、それについては、今委員がお示ししたように、様々な観点の御意見をいただいているところでもあります。

 また、十月二十一日には介護関係団体からも、総合事業に移行することに関する反対の意見書もいただいたところでございます。

 こうした意見もしっかりと受け止めながら、引き続き、高齢者の方々に必要なサービスが提供できるよう、介護保険制度を持続可能なものにしていく中で、そうした必要なサービスを提供していくためにどうすべきなのか、これについて丁寧な議論を進めていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 出されている意見はしっかり受け止めながらというふうにおっしゃいましたので、しっかり受け止めれば結論ははっきりしていると思いますので、この要介護一、二を介護保険給付から外す、総合事業に移すというのはやめるというのを決断していただきたいと思います。要支援一、二に続いて要介護一、二まで外したら、本当に、保険料だけ納めて介護保険給付が受けられない、文字どおり国家的詐欺のようなことになってしまいますので、そこは早く断念を決断していただきたいと思います。

 次に、一昨日の社会保障審議会の介護保険部会で示された論点を見ていますと、利用料の負担についてこう書いてあります。資料の五ページ目ですけれども、「「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準をどのように考えるか。」「その際、本年十月に施行された、後期高齢者医療制度の患者負担二割(一定以上所得)の判断基準が、後期高齢者の所得上位三〇%とされていることとの関係をどのように考えるか。」こう書いてあるんですね。

 つまり、これを見ると、介護保険は今、一定所得以上は、単身の場合は年収二百八十万円以上、比率でいえば九%ですけれども、これも後期高齢者医療制度に合わせて、二百万円以上、三〇%に広げよう、こういうふうに読めるわけであります。

 大臣にお伺いしたいと思いますけれども、この単身、年収二百万円の方、あるいは複数世帯、後期高齢者、三百二十万で二割負担ですけれども、こういう世帯に余裕があるとお考えでしょうか。

加藤国務大臣 利用者負担割合の在り方についても、先ほどの議論と同様に、令和元年の社会保障審議会の介護保険部会で議論が行われ、慎重、積極的な、それぞれの意見があり、引き続き検討を行うことが適当とされた。それを踏まえて今御議論いただいているところでございまして、現時点において具体的な見直しの方向性が決まっているわけでもなく、まさに同部会において議論をしていただきたい。

 そして、今お話のあった点は、現在の後期高齢者医療制度においては年金収入等二百万円以上とされているわけでありますけれども、それを踏まえながら、介護保険の現状の水準等を見て、それをどう判断するのか、こういうことでありまして、まさにそこをこれから更に議論をしていただいて、高齢者の方々に必要なサービスが提供されながら、先ほど申し上げた介護保険全体の持続可能性をどう担保していくのか、それに関しても丁寧に議論を重ねていただきたいと思っております。

宮本(徹)委員 私のお伺いしたことにお答えになっていないんですけれども。年収二百万円、単身世帯の方に余裕がある、こういう認識は大臣にございますかとお伺いしております。

加藤国務大臣 後期高齢者医療制度においては、まさに、年金をもらっている方、そして今働いている方、そしてその間の負担関係をどう考えるのか、様々な観点で議論をされたところであります。介護については、医療とはまた違った形で負担が発生するわけでありますから、それらも踏まえて判断する必要は当然あると思います。

宮本(徹)委員 大臣おっしゃるとおり、医療と介護の負担の発生の仕方は違いますね。介護はずっと長期にわたって負担が発生するという点では、大変、この引上げというのは生活に大きな影響を与えるということになると思うんですね。

 私は、何で余裕があるとお考えですかと聞いているかといいますと、実は、後期高齢者の二百万円の議論をしたときに、当時、田村大臣が、年収二百万円の方には家計調査を見れば十二万円の余裕がある、こう答弁されたので、それでお伺いしているわけですよ。

 ですけれども、余裕があるといって、後期高齢者は、二百万の方に一人当たり三・四万円の負担増ということに、医療費ではなったわけですね。さらに、この間、物価高もあります。こういうことを考えたら、とてもじゃないけれども、これは、年収二百万円まで二割負担を広げるというのはやってはならないと思います。

 その辺りの生活のところの、大臣も、地元は忙しくて余り歩けないかも分からないですけれども、回っていて感じられていることはあると思うんですよね。二百万円の人にここまで求めるというのはいかがかなと。生活実感としてどうでしょう。

加藤国務大臣 まさに、保険料の負担をどう求めていくのか、また、実際のサービスの利用に当たっての負担割合をどう求めていくのか、これは介護でも医療でも同じようなことが出るわけでありますけれども、まさに縦、横、斜めといいますか、高齢者の方、若い方、それぞれの中で全体でバランスを取って、基本的には能力のある方にそれなりの負担をしていただく、こうした視点に立って議論をしていくべきものなんだろうというふうには思います。

宮本(徹)委員 その能力ある方に年収二百万円の方は入らないということを私は申し上げているわけですね。そこを本当に是非、生活実態をよく見ていただきたいと思います。大体、年収二百万円の方で、単身で施設に入っているような方でいえば、今、特養だって、ユニット型だったら月十八万円ぐらいかかりますよ。もう赤字で、貯金を取り崩しながら入っている状況ですよね。そういう方々に二割負担というのは本当に酷な話になってきます。在宅においても一緒です。これは本当にやめるべきだということを申し上げまして、次に行きます。

 次に、先ほど田中議員から大変すばらしい質問がございましたが、エアロゾル感染対策についてお伺いをしたいと思います。

 医療を逼迫させずに最大限日常を取り戻していく上で、新型コロナの主要な感染経路であるエアロゾル感染対策、そういった換気を徹底的に強化をしていく、これが本当に大事だと思います。私も二年余りこのことをずっと本委員会でも訴えてまいりましたが、この間、コロナ分科会でも、七月と十月に、換気対策等の位置づけを更に高める、こういう提言も出ているところです。

 その上で、まずは、命を守る上で、高齢者施設や医療機関でのクラスターをできるだけ減らして小さくすることが大事です。ウィズコロナが今後続いていく中で、高齢者施設等において機械式換気やHEPAフィルターつき空気清浄機が基本設備となるぐらいにまで私は財政的支援を一層強めていく必要があると思いますが、この点、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさに、先ほどの議論ではありませんが、換気等をしっかりするということの重要性はそのとおりでありますし、特に重症化リスクの高い方が入所している高齢者施設においては、なお一層確実に感染対策を行っていく必要があると思います。

 立地等によって窓があっても十分な換気が行えない場合等にも定期的に換気できるよう、高齢者施設への換気設備設置の支援を行っているところでございます。また、新型コロナウイルス感染症対策分科会における提言も踏まえ、効果的な換気対策についての高齢者施設等への周知も行っているところでございます。

 実際、現状においては、手を挙げていただいたところには皆、設置というか、それを認めているということで運用がなされておりますが、まだまだ活用していただけるところがあるのではないかと思っておりますので、更に、こうした支援措置があることも含めて、換気対策をしっかりやっていただくことについて一層周知を図っていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 手を挙げたところは予算がつくようにしているということですけれども、ついている数自体は少ないんですよね。

 資料の八ページ目と九ページ目に、この間、換気設備が導入されたところを政府に出していただきました。

 八ページ目が、これは厚労省がやっている事業ですかね、地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金における換気設備等の実績。令和三年度で八十二か所。令和四年度、まだこれは途中ですけれども二十四か所。それから、資料九ページ目が、これは環境省の方がやっております事業ですけれども、これは高機能換気設備等の導入支援事業ですけれども、老人ホーム六十二か所、福祉ホーム三十三か所等々ということになっておりまして、全体の高齢者施設の数からすれば本当に極めて限られたところにしかついておりません。

 もちろん寒冷地で必要なのは言うまでもないわけですけれども、それ以外のところでも、やはり冬は寒くて、窓を開けて換気というのはなかなか大変なんですよね。入所されている方も、やはり認知症が進んでいたら、何で開けるんだということで、職員の人とコミュニケーションをする上でもいろいろな困難があるという話も伺っていますから、やはり機械式で換気できるようにしていく、それができない段階では、HEPAフィルターつきの空気清浄機。これは大変効果があるというのも、この間、論文などでも出ておりますので、ここは本当に徹底的に支援をしていくと、大臣からも思い切ってアナウンスをする。あわせて、補助率を上げることも含めて、政府内で是非検討していただきたいと思います。

 加えて、具体的な感染対策についても是非進めてほしいと思うんですけれども、高齢者施設でのエアロゾル感染対策や換気対策について、厚労省として、専門家の知見を結集した動画配信だとか講習会、こういうものを是非やっていってはどうか、やっていただきたいと思いますし、あるいは、分科会では、今回、提言で、陽性者への対応について、N95というのを高齢者施設についても初めて言及をしていただきました。こうした点も周知徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

大西政府参考人 エアロゾルの感染対策、換気等につきまして御下問いただきました。

 重症化リスクの高い方々が入所されています高齢者施設ですので、感染対策の徹底を行うことは重要でございます。

 そのため、換気を含めた感染対策のポイントをまとめました手引ですとか関連の動画を作成いたしますとともに、感染症の専門家が実際に施設等を訪問して実地で研修を行うといったことも取り組んでおります。加えて、効果的な換気対策につきまして高齢者施設等への周知も行っているところでございます。また、N95マスクにつきましては、気道吸引ですとか気道挿管など、エアロゾルが発生しやすい場面での着用が推奨されているところでございまして、今般、N95マスクの着用について記載されております新型コロナウイルス感染症対策分科会の提言につきましても周知を行っているところでございます。

 引き続き、様々な手法を組み合わせながら、高齢者施設におきます感染対策の周知徹底を進めてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 分科会の提言は、口腔ケアだとかそういうときも含めてN95は考えた方がいいですよと書いているんですよね。今までよりも一歩踏み込んで書いてあります。本当に、高齢者施設をどう守れるかというのが、命を守る上でも、医療提供体制を守る上でも本当に大事なんですよ。何回も同じことを言っていますけれども、もっとここに力を集中していただきたいと思います。

 あわせて、今日、文部科学省に来ていただきましたけれども、ウィズコロナが続いていく中で、学校についても感染しにくい場にしていくというのは非常に大事だと思います。寒冷地を始め、高機能な機械式換気を基本設備にしていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

伊藤大臣政務官 新型コロナウイルス感染症につきましては、今後、この夏を上回る感染者が発生する可能性があること、また、季節性インフルエンザとの同時流行が発生するおそれがあることなどが懸念をされております。その中で、感染拡大を防止し、学校教育活動を継続していくためには、引き続き、三密回避や身体的距離の確保、適切なマスクの着用、手指衛生、換気等の基本的感染対策を徹底することが必要と考えております。

 特にこれからの季節におきましては、寒冷地やそれ以外の地域におきましても、気温が下がり、窓開け等による常時換気が困難となることが想定されることから、いかにして十分な換気を確保するかが重要と考えております。

 文部科学省におきましては、これまでも、CO2モニターやサーキュレーター等の換気対策機器の導入、また、全熱交換機等の高機能換気設備の設置等に係る経費の支援を行ってきたところです。特に、常時換気が困難となる冬季に向けましては、寒冷地における換気方法の工夫等について周知を行うとともに、サーキュレーターやHEPAフィルターつき空気清浄機などの導入など、換気のための補完的な措置を講ずること、学校施設の状況等に応じて高機能換気設備の導入等も積極的に検討すること、これらについて都道府県教育委員会等に依頼をしたところであります。

 文部科学省としましても、引き続き、地域の実情に応じて適切な換気対策が行われるよう取り組んでまいります。

宮本(徹)委員 文部科学省も、厚労省も含めて政府全体で是非、財政的な措置を取っていただいて、社会全体の換気対策を一層進めていただきたいと思います。本当にこれからのウィズコロナ時代の一大公共事業だと思っていますよ、私は、この換気対策というのは。それをやっていくことが、このウィズコロナ時代で感染者数を抑えながら日常生活を可能な限り取り戻していく、こういう時代になっていくと思いますので、その点もよろしくお願いしたいと思います。

 残された時間で、前回の続きについてお伺いしたいと思います。感染症法についてです。

 病院に対するペナルティー。前回の質疑では、このコロナパンデミックで病床確保の要請に正当な理由なく応じない医療機関はあったのかと伺いましたが、政府の御答弁は、でき得る限りの協力を医療機関はしていたということでございました。ペナルティーを設ける立法事実は存在しません。なら、なぜあえてペナルティーを設けるのか、こう考えますと、それは、でき得る限りの協力以上のことを病院に押しつけようとしているのではないか、こういうことを前回の答弁から勘ぐってしまうわけです。

 そのために、念のためにお伺いしますが、都道府県の予防計画の数値目標が達成できないときに、実情に合わない病床割当てが医療機関に求められることは絶対にない、こう言えますか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 医療資源には御承知のとおり限りがあるところでございますが、そういった中で、予防計画における数値目標の設定に当たりましては、まず、都道府県において各医療機関に対して意向あるいはその対応能力をよく調査をしていただくことなどによりまして、現実の医療提供体制を踏まえた内容とするということを想定しているところでございます。

 また、この計画に基づいて確保する病床数等を協議する際にも、やはり、個別の医療機関の状況などをよくお聞きをして丁寧に協議を行うことが、必要なときに速やかに病床を確保していく上で重要でございまして、実態に合った協定につながるものというふうに考えております。

 こういった考え方を、予防計画や医療計画の策定に当たりまして国から都道府県にお示しする基本指針などを通じてお示しをして、実態に合った協定が締結されるように取り組んでいくことで対応していきたいというふうに考えているところでございます。

宮本(徹)委員 もう一点、念のために聞きますけれども、予防計画の数値目標が達成できない、こういう場合はどうされるんですか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今お答え申しましたように、できるだけ実態に合った協定が締結されるように取り組んでいくところでございますが、仮に予防計画の数値目標が達成できないといった場合には、都道府県医療審議会の御意見を踏まえた再協議、また、他の医療機関に対して、協定で締結する確保病床数を積み増しできないかといった確認を行うなど行いました上で、それでも達成が難しい場合には計画を見直すなどの対応を行うことになるというふうに考えてございます。

 ただ、いずれにしましても、個別の医療機関の実情に合わない対応を強いるということではなく、関係者間でしっかりと協議を行っていくということが重要でございますので、予防計画や医療計画の策定に当たりましては、国から都道府県にお示しする基本指針などを通じて、その趣旨が正しく御理解いただけるように、丁寧に周知してまいりたいというふうに考えております。

宮本(徹)委員 その再協議の過程で事実上の強要みたいなことがなされては絶対にならないというふうに思います。

 その上で、この間のコロナの対応でも、じゃ、確保病床数というのが本当にそれぞれの病院がちゃんと受け入れられる数として積み上がったものだったのかという点で、私、疑問がある点がございます。

 確保病床数いっぱいの受入れができなかった病院というのがいろいろあったわけですけれども、例えば都立病院が、これは報道でもありました、東京なんかでは、民間の医療機関が満床いっぱいぐらいにまで受け入れているときに、例えば第七波では、一方で都立病院は受入れが平均四割ぐらいだったとか、こういうことも報道で出ていたわけでございます。

 こういうことを考えると、都立病院ですから、東京都としてはやはり、確保病床数をちゃんと確保しているんだというのを都民に示すためにかなり無理をして数字を積み上げていた面もあったんじゃないかなというふうに思うんですよね。そういう、無理して数字を積み上げてきた、だから私は、確保病床数いっぱいの受入れができなかった要因だったんじゃないかと思うんですね。

 もちろん、医療関係者が感染しちゃった、濃厚接触者になっちゃった、こういうこともあったと思います。あるいは、元気な人じゃなくて、高齢者で介護状態が、必要な方がたくさん、第七波で多かった、こういうこともあると思いますけれども、ただ、他の病院との比較ということを考えた場合に、なぜ都立病院がああいう、受入れがほかの民間病院だとか他の病院に比べて少なかったのかと考えると、元々、確保病床数として公表していたものにかなり無理があったんじゃないかと私は思わざるを得ないわけですよね。やはり、そういう点を見て、この協定の問題も考えていかなきゃいけないというふうに思います。

 加えてもう一点お伺いしたいんですけれども、ペナルティーを設ければ、ペナルティーを避けるために、協定を結ぶことへの消極さ、あるいは協定で確保する病床を小さくする方向に力が働く可能性、こういうものがないのか、お伺いしたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正案におきましては、都道府県知事があらかじめ地域の医療機関と協議を行っていただいて、地域における役割分担について十分に関係者間で認識共有を図った上で、有事に備えた医療提供体制の構築のための協定を締結することとしておりまして、それぞれの医療機関の機能や役割に応じて御協力いただくということが前提でございます。

 その上で、協定を締結した医療機関や医療提供義務の対象となりました医療機関に対しましては、履行を確保するための措置として、協定や義務に沿った対応をするよう都道府県知事が指示、公表などを行えることとしてございますが、これは、正当な理由なく、協定や医療の提供義務にのっとった対応をされない場合に対象となるというものでございます。

 この正当な理由があるかどうかにつきましては、ウイルスの性状や個別の医療機関の状況を十分に踏まえて個別具体に判断するということとしておりまして、こうした考え方を都道府県や医療機関などにしっかり周知をいたしまして、対応可能な範囲での協力を求めていくなど、協定の締結が円滑に進むように丁寧に対応してまいりたいと考えてございます。

宮本(徹)委員 ですから、医療機関は正当な理由なく協力しないということは基本的にはないわけですから、本来、ペナルティーは要らないわけですよ。実際、コロナでも、正当な理由なく協力しなかった例はないというのが皆さんの認識なんですから。ところが、このペナルティーを設けているから、私は大変、何かおかしなことがやられるんじゃないかという懸念を持っているわけですよね。

 この協定を守れない正当な理由に当たる例というのを、考えつく限り挙げていただけますか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 協定を締結した医療機関が感染症発生、蔓延時に協定に沿った対応をしない場合の正当な理由について例を挙げろという御指示でございますが、これにつきましては、感染状況や医療機関の実情に即した判断が必要なものでございます。

 例えば、病院内での感染拡大などによって医療機関内の人員が縮小している場合、あるいは、ウイルスの性状などが協定を締結したときに想定したものと大きく異なって、患者一人当たりに必要となる人員が異なる場合といったことも想定されます。また、感染症以外の自然災害などによって人員や設備が不足している場合など、協定を締結したときの想定と異なる事情が発生をして、協定に沿った対応が困難であることがやむを得ないと判断されるような場合が該当するのではないかというふうに考えているところでございます。

宮本(徹)委員 正当な理由は三例しかないわけですよね。

 ちょっと時間になっちゃいましたので今日はここまでにしますけれども、正当な理由は三例しかないわけですよね。それ以外の例で、医療現場の判断で、いや、今は感染症対策でもやらなきゃいけない、本当に命を守らなきゃいけない医療があるんだという判断をする場合だってあると思うんですよね。そのことによってやむを得ず協定が守れないということは、いろいろな形で起き得る可能性があるわけですよね。

 私はやはり、この都道府県が正当な理由があるかないか判断してペナルティーを科すという仕組みは、大変無理があると思います。医療現場をもっと信頼してやるべきだということを申し上げまして、質問を終わります。

三ッ林委員長 次回は、来る四日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十三分散会


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