衆議院

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第6号 令和4年11月4日(金曜日)

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令和四年十一月四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      畦元 将吾君    石原 正敬君

      上田 英俊君    勝目  康君

      川崎ひでと君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    後藤田正純君

      高村 正大君    齋藤  健君

      塩崎 彰久君    新谷 正義君

      田村 憲久君    高階恵美子君

      土田  慎君    橋本  岳君

      長谷川淳二君    深澤 陽一君

      古川 直季君    堀内 詔子君

      牧原 秀樹君    松本  尚君

      三谷 英弘君    山口  晋君

      渡辺 孝一君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    梅谷  守君

      大西 健介君    西村智奈美君

      野間  健君    山井 和則君

      吉田 統彦君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    遠藤 良太君

      吉田とも代君    古屋 範子君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    仁木 博文君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大西 友弘君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     鈴木 建一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           西條 正明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           五十嵐徹人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           住友 一仁君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大沼 俊之君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月四日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     石原 正敬君

  小泉進次郎君     古川 直季君

  高村 正大君     深澤 陽一君

  堀内 詔子君     渡辺 孝一君

  大西 健介君     梅谷  守君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     川崎ひでと君

  深澤 陽一君     山口  晋君

  古川 直季君     小泉進次郎君

  渡辺 孝一君     堀内 詔子君

  梅谷  守君     大西 健介君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     高村 正大君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 国民本位の新たな感染症対策を樹立するための感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び予防接種法の一部を改正する法律案(早稲田ゆき君外八名提出、衆法第五号)

 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案(早稲田ゆき君外八名提出、衆法第六号)


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案並びに早稲田ゆき君外八名提出、国民本位の新たな感染症対策を樹立するための感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び予防接種法の一部を改正する法律案及び新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大西友弘君、デジタル庁審議官内山博之君、消防庁審議官鈴木建一君、文部科学省大臣官房審議官西條正明君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官浅沼一成君、大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官城克文君、大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、医政局長榎本健太郎君、健康局長佐原康之君、老健局長大西証史君、保険局長伊原和人君、国土交通省大臣官房審議官五十嵐徹人君、大臣官房審議官住友一仁君、大臣官房審議官大沼俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道です。

 政府は、この秋冬の新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行に備えまして、重症化リスクの低い方が発熱した場合には自宅等で自ら検査キットを活用して新型コロナの検査をしていただくというフローチャートを示されております。コロナが陰性であった場合、次にインフルエンザが疑われることになりますが、インフルエンザの治療薬、タミフルなどは発症後四十八時間以内に投与することが望ましいため、インフルエンザの検査も迅速さが求められます。

 そこで、初めに、この新型コロナとインフルエンザの自己検査に関して、三点まとめてお伺いをさせていただきたいと思います。

 初めに、十月二十四日の予算委員会で私は、早期検査、早期治療を実現するために、新型コロナと季節性インフルエンザの両方を同時に調べることができる検査キットのOTC化が必要だとお訴えさせていただきました。その際、大臣より御指摘のあった、同時検査キットのOTC化に当たっての第一の課題である供給量の確保について、改めて現状と今後の見通しについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 二番目に、新型コロナとインフルエンザの同時流行の可能性は、来年以降も続く可能性があります。来年、再来年に向けて同時検査キットの供給体制を確保しておくことは、同時流行対策として一定の有効性があると考えます。何らかの対策を講じるお考えがあるのか、是非お伺いさせていただきたいと思います。

 三点目に、発熱等の症状が出てから検査キットを調達するのは、体調も悪く、また、感染者数が増加していれば検査キットの需要が逼迫する可能性もあり、なかなかキットを確保することも大変ではないかと不安に思います。例えば、医療機関にかかれば保険適用とされ自己負担は三割、さらに、無症状でも感染の疑いがあり、不安解消のための新型コロナの検査は無料で行われております。OTCだけが全額自己負担となると、なかなか準備を進めていただけないのではないかという懸念も残るわけであります。国から示された秋冬への備えとして、事前に各家庭で備えをしていただくわけでありますので、購入等に対して何らかの支援を検討されるべきではないかと考えますが、御見解を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 三問御質問いただきましたので、順次お答えさせていただきたいと思います。

 まず、同時検査キットの供給量の確保、これは、OTC化以前の問題として大変大事であります。現在の同時検査キットの在庫は約三千九百万回分であります。ちなみに、OTC化に係る要件、例えば、一般の方でも容易に採取できる等の要件がありますが、それに係るものは、今、約百万回分であります。その後の製造予定量を含め、年末の時点でも合計約六百万回分の見込みと承知をしておりますが、ただ、このキットは割と医療現場でも非常に使われているということを聞いているところでございます。また、同時検査キットのOTC化については、前回申し上げたように、様々な御意見がありますので、関係者の意見を丁寧に聞きながら検討していかなければならないと考えているところでございます。

 それから、同時検査キットの確保でございますが、先ほど申し上げた、現時点では約三千九百万回分確保しておりますので、これにより、同時流行が起こった場合でも医療機関での検査に必要な量は確保できていると考えておりますが、製造販売業者の出荷量、在庫量等をモニタリングしながら、今後も必要に応じ増産要請を行っていきたい。今でも増産要請をお願いしているところでございますけれども。

 また、こうした取組の実効性を高めるということで、改正案では、検査キットを含む感染症対策物資について、事業者に対して生産要請、指示等を行えるようにする枠組みを整備するとしておるところでございます。施行そのものは令和六年四月でありますが、この条文を踏まえて、適正な医療の提供や感染症に必要なキットの確保に取り組む、そうした体制を組み上げていきたいというふうに考えております。

 それからさらに、コロナ検査キットへの購入費用の補助でありますが、補助そのものは考えておりませんが、新型コロナとインフルエンザの同時流行に備え、自ら新型コロナの検査キットを購入することが困難である方を考慮して、有症状者等に新型コロナの検査キットを配布する取組、これは各都道府県でいろいろなやり方をしていただいているようであります。キット配送センターからの郵送、公共施設での配布などなどでありますが、こうした取組を実施していただけるよう、その準備を各都道府県にお願いをしたところでございます。

 また、実際、この夏に各都道府県に約二千四百万回分をお配りをしておりますが、それがまだ残っているということですから、是非それを活用していただく。また、それでも足らないという場合には、各都道府県で事前に確保していただければ、その費用は行政検査として感染症予防事業費負担金の対象とすることが可能だということ、このこともお知らせをさせていただいているところでございますが、こうした取組によって自己検査が円滑に進んでいくよう、都道府県とも連携して取組をさせていただきたいと考えております。

佐藤(英)委員 よろしくお願いしたいと思います。

 先日、人工知能アバターを利用した感染症相談補助システムについて、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の中村理事長からお話を聞く機会をいただきました。

 通常、帰国者・接触者相談センターやかかりつけ医等への電話で対応している発熱相談などを、患者さん自らが携帯アプリなどからシステムにアクセスすることによって担うことができるものであります。さらに、保健所等が直接電話で行っている自宅療養者の健康管理も担うことができ、症状や状態に応じて受診の目安を示したり、必要に応じて医療機関等の受診まで設定することができます。非接触のため感染リスクがなく、また、患者自身が把握している基礎疾患や妊娠の有無も医療機関等で把握でき、さらに、情報のデータベース化も自動的に行えるなど、第八波に備え、早急にこの技術についても情報収集を行い、利活用を検討すべきと感じました。

 また、東大病院では、AIによる、いわゆる人工知能による新型コロナの重症度予測サービスの実用化、いわゆる新型コロナ感染症の患者さんに対する支援システムの研究開発の後押しなど、AIを活用した感染症対策の充実について更に積極的に取り組むべきと考えております。

 伊佐副大臣の御見解を伺いたいと思います。

伊佐副大臣 まずAIの戦略について、これは、政府全体の話では、AI戦略二〇二二というのに基づいて今推進をしております。元々、二〇一九というのがございましたが、今回は、パンデミックも踏まえて、この対処も踏まえて書き直させていただいて、これに基づいて進めさせていただいております。

 今、佐藤委員も触れていただきました、アバターを使ったいわゆるAIホスピタルというものですが、これは、内閣府の事業、戦略的イノベーション創造プログラム、SIPの第二期でやらせていただいておりまして、これが今年度、二〇二二年で終了いたします。今後、この成果をどう活用していくかということが非常に重要だというふうに思っておりまして、ここは内閣府と連携して進めてまいりたいというふうに思っております。

 また、もう一つ触れていただいた東大病院での取組ですが、これは、厚労省のAMEDの研究事業の一環として二〇二〇年から進めさせていただいておりますAIコロナ予後予測システムというものでございます。これは、コロナの肺炎の重症度あるいは予後を予測するシステムとして、全国の施設で使用されるなどの成果が今出ているというふうに承知をしております。

 この実用化に当たりましては、AIを活用した場合の責任の在り方などを含め、倫理的、法的、社会的課題について更に検討を進めていくところが必要な場合もあるというふうに承知をしておりまして、引き続き、社会実装を目指して、感染症対策の分野を含めた、AIを用いた研究開発を更に積極的に推進してまいりたいというふうに思っております。

佐藤(英)委員 是非、積極的に進めていただきたいと思います。

 さて、去る十月十九日、東京都医師会は、米国で割合が増加しているBA・4・6系統やBF・7系統の変異株PCR検査を開始したと会見で発表されました。先月から水際対策も緩和され、海外から新たな変異株が流入する可能性も高くなってきております。新たな変異株の登場に備えたゲノム検査や変異株PCR検査については更に拡充すべきと考えますが、御見解を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 変異株の監視については、水際において、入国者のうち新型コロナ陽性例についてゲノム解析を継続しているほか、厚生労働省と国立感染症研究所において、全国の変異株の発生動向を監視するため、自治体が実施するゲノム解析、国立感染症研究所が民間検査機関と連携して実施するゲノム解析の二つのゲノムサーベイランスを実施をしているところでございます。

 また、ゲノムサーベイランスで得られた国内の変異株の発生動向、国際的な変異株の発生動向、各変異株に関する科学的な知見について、定期的に国立感染症において分析とリスク評価を実施し、これらの結果を厚生労働省アドバイザリーボード、また国立感染症研究所のホームページで公表させていただいております。

 変異株PCR、まさに特定の変異株を封じ込めるということを目的として活用しているというふうに承知をしておりますが、新たな懸念される変異株が発生した初期に、迅速に疑い例を把握し、感染拡大を防ぐこと、流行株からの置き換えの動向を監視するため、自治体でお願いしてきたところでありますが、現時点では患者の取扱いを変更する必要があるような新たな懸念される変異株が発生していないこと、また、ゲノムサーベイランスから変異株の今後の置き換わりを推定する取組が行われていることから、各自治体における実施を現時点では必須としておりませんが、今後、新たな懸念する変異株が発生をし、変異株PCR検査を実施するようになった場合には、迅速に実施できるよう、人材、検査機器の確保、民間検査機関との契約等の体制を維持していただくよう自治体にお願いしているところでございます。

 国内のゲノムサーベイランス体制については、これまでも国立感染症研究所の技術的支援の下で、各自治体で充実を図ってきていただいております。引き続き、ゲノムサーベイランスによる変異株の発生動向の監視に努めてまいります。

佐藤(英)委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 今回の法改正におきまして、保健所や地方衛生研究所の体制、機能の強化、整備が進められます。同時に、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターの統合により、日本版CDCが誕生することになります。

 こうした組織は、パンデミックなど有事の際には司令塔とともに非常に重要な機関となる一方、平時においては合理化の対象になりやすいという側面も否定できません。先日、我が党の古屋委員の質問や参考人の方々の陳述にもありましたが、やはり、二〇〇九年の新型インフルエンザ以来、今回の新型コロナまでの間に縮小されてきてしまったという事実の反省に立って、今後は、平時においても人員や予算などをしっかりと確保することが重要と考えます。大臣の御見解と御決意を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 今回のコロナへの対応の経験も踏まえると、次の感染症危機に備えて平時から計画的に保健所や検査の体制強化、これを図ることが重要だと考えております。

 今般の改正法においても、感染症法に基づく予防計画、これを新たに保健所設置市、特別区に策定を義務づける、対象を拡大いたしました。また、各都道府県に設置する協議会等において検討、議論した上で、保健所や検査の体制整備については予防計画に盛り込んでいくこと、また、保健師等の専門人材が保健所等の業務を支え、支援する仕組みであるIHEATを整備することなど、盛り込ませていただいたところでございます。

 こうした取組で、都道府県の下で、感染拡大時に保健所及び地方衛生研究所が健康危機管理の拠点として十分に対応できる体制を平時から整えていきたいと考えております。人員、予算等について、自治体、関係省庁とも相談しながら、その確保策を検討してまいります。

 また、新たに創設する感染症に関する専門家組織については、人員、予算の本格的要求は令和七年度以降のものになるわけでありますが、感染症危機に対してその役割を十分に果たせる組織として、今から検討していきたいと考えているところでございます。

佐藤(英)委員 大いに期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、今回の法改正におきましては、広域での医療人材派遣の仕組みを創設することとなっております。

 先日の参考人質疑でも、感染症の専門医が不足しているという御意見もございました。日本感染症学会は、病院勤務で三、四千人程度が必要ではないかと示されました。一方、現在認定されている感染症の専門医は、二〇二二年十月一日現在で約一千七百名。さらに、広域派遣を担うDMAT等に関わるコメディカルを含め、医療人材の育成が極めて重要であると考えます。大臣の御見解を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、今般の改正案で広域的な医療従事者の派遣の仕組みを法定化しているわけでありますが、この仕組みを有効なものにしていく、実効的なものにしていくためには、感染症対応に当たる人材の確保が必要でありますし、また、それに向けての育成が必要になってくるわけであります。

 感染症対応の専門人材としては、医療現場で患者の治療に当たる感染症専門医のほか、介護施設等でクラスターが発生した場合に適切な感染拡大防止対策を行うための感染管理の専門家、感染症の疫学情報を分析する専門家、さらには、行政の中において感染症対策を担う人材など、幅広い人材が求められているところでございます。

 感染症対策の専門人材の養成については、関係学会において、感染症専門医の養成などに取り組まれているものと承知をしております。

 一方で、今般の新型コロナ対策においてはまさに人材の確保に課題があったわけでありますので、将来の感染症危機への備えとして、関係学会などの協力も得ながら、専門人材の確保をどうしていくのか、また、その養成をどう行っていくのかについてしっかり検討を進めていきたいと考えております。

 また、今般の改正案では、厚生労働省が実施するDMAT研修などを受けた医師、コメディカル、事務職員などについて、災害・感染症医療業務従事者として医療法に位置づけるとともに、国による研修及び訓練の支援の規定を設けたところでございます。

 令和四年度からは、従来のDMAT研修において、感染症専門医等が監修した内容を盛り込むなど、研修の充実も進めているところであります。

 引き続き、感染症専門医などの専門人材とも連携をしながら、感染症対策を担う人材の育成に努め、そうした人材の確保を図っていきたいと考えております。

佐藤(英)委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は、足下では横ばいから増加傾向となっております。しかも、この先、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行も懸念されております。このような予断を許さない状況の下、今後も感染症によるリスクはなくならないことに鑑みれば、感染症のパンデミックから国民の命と暮らしを守るために、これまでの知見や経験を生かしながら、感染症に備えた万全の体制構築が重要であることは言うまでもありません。

 本法律案は、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、国民の命及び健康に重大な影響を与えるおそれのある感染症の発生及び蔓延に備え、発生の初期段階から効果的に対策を講ずることができるよう、保健医療提供体制を構築するために必要な見直しを行うものであります。早期に成立させるべきであるとお訴えをさせていただきまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 立憲民主党、小川淳也です。

 大臣におかれましては、今日まで四日間のこの感染症法の審議、敬意を表したいと思います。また、夕方、ダブル感染に備えた要請活動を行わせていただき、大変お忙しい中、またお疲れのところ、お時間をいただきます。この場をおかりして感謝を申し上げます。

 ちょっと、そのことと、この質疑で厳しい点も含めて御指摘しなきゃいけないことは別でありますので、それはそれで御対応をお願いしたいわけですが、ちょっと本題に入る前に、耳を疑うような報道に接しました。

 お辞めになった山際大臣が、御党のコロナ対策本部長に、その舌の根も乾かぬうちに就任されたという信じ難い一報に触れております。政府の側におけるコロナ対策の責任者として、厚生労働大臣として、この与党の人事をどう受け止めておられるか。ちょっと、まず、その所感、聞かせてください。

加藤国務大臣 本件のみならず、各政党、特に与党、今、与党というお話がありました、あるいは自民党と言ってもいいかもしれませんが、党は党として御判断されているということでございますから、政府からそれに対してコメントを申し上げることは差し控えたいというふうに思います。

小川委員 気持ちは分かりますが、まさに政府と与党との連携が問われ続けた一年だったんじゃないですか。山際大臣の後任に選出された後藤大臣は、ほぼ同じ日だったと思いますが、国会で裁判官訴追委員に任命され、翌日、辞任されました。それもこれも含めて、政府と与党との連携なり責任体制が極めてずさん、曖昧化していると受け止めていますが、ちょっと、二、三、重ねてお聞きさせてください。

 政府のコロナ対策を担っておられる厚生労働大臣に、この辞任した山際大臣をコロナ本部長に置くという相談は、加藤大臣にあったんですか、なかったんですか。

加藤国務大臣 党における人事については、本件のみならず、一切ございません。

小川委員 最後に。私も、実は、立憲の党内におけるコロナ対策本部長なんです。それは長妻政調会長から依頼を受けて受諾をしたものであります。このちょっと国民一般からすると信じ難い人事は、誰の人事ですか、一般論として。内閣官房長官、また党総務会長もお務めになったお立場だからお聞きしますが、これは萩生田政調会長ですか、茂木幹事長ですか、岸田総裁ですか、一般的に、この手の人事は。

加藤国務大臣 一般的にと言われても、党はいろいろな流れの中で人事を決めておられますので、それぞれの役職をそれぞれの立場にある方がお決めになっているんだろうと思いますけれども、本件について誰がどういうふうにお決めになられたかは承知をしておりません。

小川委員 少々、厚生労働大臣として、党側の責任者が誰になるかは関心の内側であり、責任を共有しているということを感じながら御答弁いただきたい、それは国民のために。

 委員長、今般就任された山際コロナ対策本部長、それから、恐らくこの人事に関わったと思われる萩生田政調会長、両者共に統一教会の関連についても説明は不十分だと私は感じますが、だからこそ、こんなに甘い人事が行われているんじゃないですか。両名、新型コロナ対策におけるその所見、所信、そして党の政策全般について、私、ちょっと直接聞きたいと思いますので、萩生田政調会長と山際コロナ対策本部長の当委員会への参考人としての出席を求めます。

三ッ林委員長 ただいまの件につきましては、理事会にて協議させていただきます。

小川委員 本題に入りますが、今般、様々、与党側と実務的な調整を行わせていただき、最終的に法案に賛成させていただくことといたしました。それには、後ほど議論しますが、所要の修正案また決議案等で、足らざると思う点については是非御理解をいただいた上で、修正可決させていただきたいと思っています。

 ただ、それにしても、少々、この間振り返っていただいて、議論をいただく必要があると思いますので、お尋ねを申し上げます。

 まず、この医療機関との協定の締結や協力金の支給、医療提供体制の充実は、いわばかねてからの課題でした。最初の国内での患者の発生が確認されたのは二年半前、二〇二〇年の春のことでございました。それから二年半たって、ようやく協定だの協力金だのが法制化される。二年半たってです。岸田政権が発足してから一年以上たっている。余りに遅きに失すると私は思いますが、その点、加藤大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 様々な御意見は真摯に受け止めなければならないと思いますが、ただ、この間、私もいっとき厚労大臣とか官房長官等でこれに関わらせていただきながら、やはりその場その場の中で逐次対応してきた。また、状況も転々と変わってきた。そうした積み重ねの中で、じゃ、全体をどう整理していくのかということを含めて、この間の、どういう課題があったかということを有識者からも御指摘をいただき、そしてそれに対して対策を決め、そして具体的に法案として提出させていただいた、こういう経緯であります。

小川委員 随分、二年半たっていること自体は、やはり遅きに失している、政権のスピード感を欠いていると私は思いますし、多くの国民もそう思っていると思います。

 もう一つ、関連して。

 仮に、この法律がこの国会で成立しても、まさに協定の締結や協力金の支給、この骨格に関わる部分の施行日は再来年の春なんですね。一年半後です。ということは、実に、最初の患者確認から法案作成、審議までが二年半、そしてその内容の施行までが一年半、実に四年もかかると。このことも含めて、いま一度御答弁いただきたいと思いますが。

加藤国務大臣 施行日は、多くのものは令和六年四月一日となっております。

 特に、今お話があった予防計画の関係でありますけれども、これに関しては、新たに新興感染症への対応に関する事項を追加して令和六年四月に改定される医療計画、これと密接に関わることから、医療計画の議論として並行的に進める必要があるということ、また、予防計画の策定等に関して、地方団体からは、やはり相当な時間がかかるから、しっかり準備期間を余裕を持って設定してほしい、こんな意見も頂戴させていただいて、今の施行時期とさせていただいているところであります。

 なお、国による広域の感染症の専門家や保健師の派遣、患者の搬送に係る総合調整権限の創設、緊急時の入院勧告に係る都道府県知事の指示権限の創設、自宅療養者等への生活支援における都道府県と市町村の連携強化等については、公布日又は公布後十日施行としているところでございますので、こうした規定も活用して対応していきたいと思っております。

小川委員 例えば、あめとむちのむちの部分が入っていますから、今回。指定医療機関を取り消すとか。例えば、その部分が少々先送られることには理解するんです。しかし、協定締結に向けた協議は、速やかに開始することもできるでしょうし、一定の合意に至らなければ協定締結に至らないのは当然のことでしょうし、法の規定そのものの施行を一年半も遅らせるということは、かえって、事態の深刻さや、またスピードを要するということへのメッセージを誤ることになりかねない。

 そのことは私どもとしては大変危惧する点でございまして、だからこそ、後に議論いただきますが、決議案にそこを是非盛り込ませていただきたい、その論点を盛り込ませていただきたい、そう思っております。

 加えて、今般、実務的に修正合意をさせていただいた諸点について、二、三指摘をしながら、伺いたいと思います。

 コロナウイルスそのものの弱毒化や、あるいは、非常に厳戒態勢だった世の中から、ある意味ウィズコロナに移行しつつある状況の中で、やはり、よく言われるのは、後遺障害への取組、それからワクチンの副反応に対する様々な情報公開や取組、この二点は今でも様々な指摘を私どもも受けます。この二つ、精力的に取り組むという修正条項を、今般、与党側との合意の上で入れさせていただく予定です。

 そこでお聞きするんですが、まず、後遺障害への調査研究や把握、さらに、対策の強化については、ほとんど手つかずだと、今現状、そう受け止めています。

 それから、ワクチンの副反応ですが、かなりの割合で発生をしているように受け止めていますし、同時に、今、重篤な副反応については被害の救済申請が上がってきている。それは約五千件に及ぶ一方、認められたのは一千件前後。つまり、四千件が放置された状態にある。この辺りは、国策によるワクチン接種ですから、極めて迅速に、体制を強化してでも、この被害に対しては精力的に救済に当たる責任があると思います。

 この二点、後遺障害への調査研究、把握並びに対策の強化、そして、ワクチンの副反応、多くの方が苦しんでいますから、これに対する取組の強化、修正条項には入れますが、実施していただくのは政府になりますので、改めて、その点、加藤大臣の御認識なり、決意をお聞きしておきたいと思います。

加藤国務大臣 その前に、協定の話がありましたが、協定自体が有効になるのは施行日ということですから、事前に準備し、締結まで行くことは、この法律では可能となっていることをつけ加えさせていただきたいと思います。

 その上で、後遺症の研究でありますが、これまでも、るる、令和二年度から、厚生労働科学研究やAMEDにおける調査研究も行い、本年度も、厚生労働科学研究費補助金によって、罹患後症状に関する研究を実施しております。

 また、その中では、罹患後症状が社会生活などに与える影響についても調査をすることにしているところでございます。また、そうした内容を診療の手引等に盛り込ませていただいて、自治体、日本医師会、病院団体協議会、関係学会等を通じて周知も図っているところであります。また、罹患後症状に悩む方々に対しては、かかりつけ医や地域の医療機関につながっていただけるように、リーフレットの作成、周知、また、罹患後症状に関するQアンドA特設ホームページの作成、公開、ツイッター、SNSなどを通じた国民の皆さんへの情報発信など、積極的な情報発信に努めているところでございます。

 引き続き、今委員からも御指摘がありましたように、新規コロナ罹患後の調査研究、これをしっかりと進めさせていただくとともに、そこで見えてきた新たな科学的な知見等について、医療現場に周知をし、そして、罹患後症状に悩む方々に、必要な医療につながるように努めていきたいと考えております。

 また、副反応のお話もございました。副反応自体は、報告制度がございまして、医療機関、製造販売業者から常に情報を収集するとともに、定期的に開催している公開の審議会において、ワクチンの接種体制に影響を与えるほどの重大な懸念が認められるか等の評価が行われ、その資料も公表しているところでございます。

 また、接種後の一定期間の健康状況を観察して、接種後に生じた発熱や接種部位の痛みなどの発生状況を明らかにする調査研究、これも行い、定期的に審議会にも報告をさせていただいているところであります。

 さらに、今後、新型コロナワクチンの接種後に、いわゆる後遺症に関する実態把握、病態の解明、治療法に関する知見の収集を行う研究を実施する予定でありますので、ここで具体的な内容を更に詰めさせていただきたいと考えております。

 また、救済のお話がありまして、実際、ちょっと、救済に関していろいろ手当てはしてきておりますが、実態を見ていてもちょっと迅速性に欠けているというのは私も強く認識をしておりますので、そこは、先般、他の委員からも御指摘もいただきました。それをしっかり取り組みさせていただきたいと思います。

小川委員 重要な御答弁と受け止めました。是非、精力的な取組にリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 それから、修正条項の三つ目は、今直ちにではありませんが、やがて類型見直しが必要だという点についてでございます。

 大臣がお聞きになったかどうか分かりませんが、火曜日に参考人質疑を行いました。そこで、沖縄の医療現場の責任者として立ち回っておられる参考人からもお聞きしたんですが、私、これは重要な指摘だと思ったんです。つまり、世の中全体は徐々にウィズコロナに向かいつつある。ところが、一方、医療・介護現場に限ってはいまだに厳格なゼロコロナが強いられている。そのことがもたらす医療・介護現場従事者の過剰なストレス、プレッシャー、これはもはや限界に来ている。

 加えて、医療・介護現場に厳格なゼロコロナを求めるがゆえに、医療、介護の提供体制が逆に制約されてしまっている。それは、接触者の待機や隔離、あるいは病院における動線の区別等々含めて、この二重の意味合いで、今の取組はまさに過渡期であり、片や限界を迎えているということを強く感じています。

 したがって、修正条項の三つ目は、今直ちにではありませんが、やがて諸般の状況を冷静に見極めながら、類型の見直しについても議論していくということであります。

 そこで、一つお尋ねをしておきたいことがあります。

 実は、私は、この全数把握を見直した時点で、今年の夏でしたかね、第七波のピークが、感染に至る中で、全数把握、全数把握と言うとちょっと言葉が誤解を招きかねないんですが、つまり全員把握ということです。いつ、どこで、誰が発症したか全員を把握するというポリシー、感染症法の二類相当であれば当然求められるこの全員把握というポリシーを放棄した。全数把握を見直したとよく言われますが、全員把握をやめたわけです。特に六十四歳以下、六十五歳未満についてそれをはっきりと明記されたわけでありますが、私、これは、事実上、類型見直しに一歩踏み込んだ、感染症法の趣旨からいって一歩踏み込んだと受け止めています。

 つまり、感染症法には、患者本人を保護しなければならない、治療しなければならないという精神と、そして、社会を防衛しなきゃいけない、社会を守らなきゃいけないという精神と、二本立てで生きているのが感染症法の骨子、骨格であります。全員把握をやめたということは、それは、もちろん治療の必要性、度合いの議論もあるでしょうが、その方を把握することによって、隔離に御協力をいただくことによって、社会を守るということを事実上放棄しかねないという意味で、私、何が言いたいかというと、この類型見直しに事実上一歩踏み込んでいるということプラス、これを単に厚生労働省令でやってしまっていること、法的基盤が整っていないこと、これは安倍政権から私は悪い癖だと思うんですが、法秩序を軽視しているんですよね、法秩序を軽視しているんですよ。

 それで、具体的に指摘します。

 感染症法の十二条には、省令で定める場合を除き全員を報告しなさいと書いてある。厚生労働省令には何と書いてあるか。規則の三条、厚生労働省令の三条に、既に、まあ、ほかの医療機関だと思いますが、既に届出がなされている場合はしなくていいですよと書いてある、一つ目はね。もう一つは、病原菌を持っているけれども、医療を必要としない、結核に関してです。つまり、感染力がない場合は届出しなくていいですよと書いてある。三つ目は、コロナに関連した疑似症。だから、うそですよ、疑似症。疑似症については報告を要しないと書いてある。

 いいですか。既に届出がある場合、そして保菌者であっても感染力がない場合、そして疑似症の場合、この三つについては報告しなくていいと書いてあるわけです。分かりますよね。その方々を厳格に管理しなくても、社会を脅かすことはないからです。

 ところが、今回新設された省令の四号には、六十五歳未満の者で、入院や薬剤や酸素の投与を必要としない者は報告しなくていいとなった。これは、本人のことしか言っていないじゃないですか。本人の治療の度合い、本人に必要とされる医療の程度のことしか言っていない。無症状の方を含めて、こういう方々が高齢者、持病を持っておられる方に感染させることで重症化や死亡を招くわけですから、感染症法のもう一つの基盤である社会防衛の思想を全く欠落させている、この新設の四号は。

 つまり、何が言いたいかというと、ちょっとくどくなっていますが、類型の見直しは、いずれ必要なんですよ。しかし、あなた方は、省令改正という、いわば脱法的な方法でそこに一歩踏み出している。これは、厳格に法基盤をむしろ本当にやるのであれば整えるべきだし、感染症法全体の趣旨を揺るがせる結果に、細かいようですが、この点、なっていますからね。

 今後、類型の見直しに当たっては、これは事実上脱法行為であり、そして、本格的な議論をした暁にはちゃんと法改正をやるということをちょっとここで宣言していただきたい。

加藤国務大臣 まず、ちょっとよく私は理解できなくて申し訳ないんですが、類型見直しは法律に基づくもの、法律に基づきますが、法律の改正が求められているわけではなくて、対応できるという仕組みになっていますよね。要するに、どこに類型が当たるか当たらないか、その感染症をどこに位置づけるか。最初に出てきた場合には、新感染症あるいは指定感染症というのがあると思いますし、そういった仕組みをつくらせていただいた。新たに何か決まってくれば、それはそれとして位置づけていくというのはあるんだと思いますけれども。

 その上に加えて、今申し上げた、今回の法律は、法律上抜けることができる。今おっしゃったけれども、全数把握ではなくて、全数届出の見直しという規定でありますけれども、この届出については、まさに、そこのところは、類型の中での緩和という見方もあると同時に、あのとき一体どういう議論があったか。各都道府県から、もう医療現場がパンクして、これをやっていたらできません、だから、全体のシステムを守るためにどうすればいいかという中での判断。したがって、個々だけじゃなくて、全体の仕組みをどう守るか、こうした判断を含めて、この四番目の項目を入れさせていただいたということでございます。

 それから、過去に遡ると、新型インフルエンザのときには丸ごとそれが落とされている、そうした経緯もあるということは申し上げておきたいと思います。

小川委員 いずれインフル特措法も改正しなきゃいけないでしょうし、この類型見直しするときはですね。ただ、大臣がおっしゃったように、今回、全数把握、全員把握を見直したのは、届出を見直したのは、確かに保健所の逼迫を含めた実務上の困難からくる緊急避難なんですよ、緊急避難。感染症法の十二条はそういうことを予定していないということなんです、私が言いたいのは。だから、抜けている省令の穴に何でもいいから突っ込めばいいというものじゃないということなんですよ。もう少し法規範をちゃんとその趣旨まで含めて理解をし、その規範の全体の体系を崩さないように法律を整えなきゃいけないということを申し上げているわけですから、頭の片隅に置いていただきたいと思います。

 それから、諸点、修正案には盛り込みませんけれども、今回、いろいろと議論されて決議案に是非盛り込みたいと思っていますのは、今回、病院がコロナ対策に備えた場合に、例えば患者が減った、減収した、それを保険料で穴埋めするということになっていますけれども、本来保険料は、各加入者が、自分が病気になったとき、その診療行為の対価として支払う自己負担を軽減するための保険ですから、一般的に、医療体制を整備し、そこに表れてきた減収を保険料で補填するというのは、精神からして少しずれているという点が様々指摘されています。これは早期に見直す必要があるでしょう。

 そして、あわせて、さんざんこの委員会でもこの間議論になってきていますが、一体、屋内、屋外におけるマスクの着用をどこまで厳格にこれからも行っていくのか。同時に、子育て中のお父さん、お母さん方からは、特に子供へのマスクの着用については、様々な影響を懸念する声を複数いただいています。これにもやはり政府としてしっかり応えていかなきゃいけない。

 関連して、これには、私もちょっと理不尽だなと思うんですが、どうでしょう、もうここ一年、二年、大人は飲み会をやっていますよね。加藤大臣もやっていると思う、会食。しかし、子供たちは、依然として給食は黙食。大人は飲み会、子供たちは黙食という理不尽も片や発生しています。

 それこれ含めて、どういう形で日常を徐々に取り戻していくのか、これが多分、今の過渡期においては最大の課題の一つなんだろうと思います。

 それで、最後に、最後にというのはこの点に関して最後に、ちょっと私も素人ですから発言には慎重を期すべきなんですが、あえてこの点を想起させていただきたい。

 既に委員会でも議論になっていますが、本当にこの疾病は、接触感染なのか、飛沫感染なのか、あるいはエアロゾル、空気感染の要素が強いのではないかという点についてであります。

 つまり、これも含めて、マスクや黙食やあるいは消毒や、いろんなことの対策が変わってくるから申し上げているんですが、今、第八波ともいうべき感染再拡大の局面にあると思います。そしてそれは、北から来ていますよね、割と。北海道や東北。

 大体、この間を振り返ると、七回の波があって、もちろん季節外れもあるんですが、大抵、窓を閉め切った夏か、窓を閉め切った真冬か、どっちかに非常に大きな波が来ているんです。経験的にですよ。私も素人であることをあえてよく自覚した上で申し上げるんですが、窓を閉め切るときに割と感染の拡大は来ている。そして、夏の感染拡大は、比較的沖縄を含めた南から来ていませんか。そして、冬の感染拡大は、比較的北海道を含めた北から来ていませんか。

 ちょっと改めてこれはよく検証する必要もあるんですが、つまり、早く暑くなり、窓を閉め切り、クーラーを入れる時期が早いところから夏の感染拡大は起き、そして、早く寒くなり、窓を閉め切り、暖房を利かせる場所から冬の感染拡大は起きる傾向にあるんじゃないかと素人ながら想像しています。だとすると、空気感染、エアロゾル感染の可能性は極めて高く、では、どうすればいいのか。それはマスクなのか、こういうボードなのか、消毒なのか、それで本当にいいのかという議論になってくる。

 それもこれも含めて、そうした諸点について、冷静に、しかし慎重に、しかし果敢に議論をしていただく必要がある。無理なことを言っていますよ。でも、それが政府じゃないですか。それが政府じゃないですか。だから申し上げている。ということを、まあ、ちょっと議論してください、是非これは省内で。

 それで、既に佐藤議員が先ほどお尋ねになられていましたが、今日夕方の要請活動はこの点に大きく関わっていますので、改めて申し上げます。佐藤議員も既に御指摘になられていましたけれども、いよいよダブル感染、本格的な対策が必要でしょう。しかし、本法の施行は申し上げたように一年半後ですから、直ちに即効性はない。

 そういう中で、この間示された指針、つまり、六十四歳未満は基本的に自己検査、六十五歳以上並びに持病のある方については医療機関でというこの大方針の適用関係、これはまず明確にする必要があると思います。

 その上で、再三申し上げましたが、病院に行けば、三割の自己負担で、それは抗原検査であろうとなかろうと受けられる。あるいは、無償で、設置されたPCR検査の検査場もある。が、薬局で自分で検査キットを買って検査しろということになれば、この間申し上げたとおり、まずその流通をしっかり確保しなければなりません。

 先週、私が質疑に立った時点で、都内、永田町近辺の薬局七軒、あったのは三軒、四軒。半分近くはありませんでした。そして、大体、単価でいうと二千円。私の選挙区、小豆島は四千円でした。しかも、半分の薬局にはない。この状況を放置して、自己検査してくださいも何もありませんからね。まずは、流通に万全を期し、それを確認すること。

 あわせて、自己検査してくださいと政府が言っているわけですから、可能なら無償、でなくとも、せめて保険適用、難しければ保険適用相当額の値引き、低価で廉価で提供する責任が政府にあると思います。

 この点、大臣、御答弁、是非明確にお願いしたい。

加藤国務大臣 その前に、マスクの着用等、当然、何が要因なのか、そうしたものをよくしっかり調べながら対応していくことが必要だと思います。感染拡大に当たって、気候要因もあります、それ以外の要因もあります。それから、実際、感染に当たっては、エアゾール感染だけじゃなくて接触感染等、ほかのルートもありますので、そこはよく見ながら、それからまた、いろいろな意味で機器等の開発もあるんだろうと思いますから、そういったところもよく入手しながら対応させていただきたいと思っております。

 それから、今のコロナ対応、あるいは同時期における対応のお話がありました。

 先ほど佐藤委員にも御説明したように、今回、補助、金額そのものを低くするという措置は考えておりませんけれども、今、無償で配布するというルート、先ほども説明させていただきました。そういったものも活用しながら、皆さんのところにしっかりそうしたものが行くということ。

 それから、無償の提供と、もう一つは、それからあと、量の確保のお話がありました。

 あの後、また私ども確認したんですけれども、これは、卸では、言っていただければいつでも卸せるものは持っていますということであります。それから、ネット上を見ますと、ネット上では一応販売がされているというふうには承知をしておりますが、もし、お地元でそういう事情があれば、是非、お伝えいただければ対応させていただきたいというふうに思っておるところでございます。

小川委員 だとすれば、是非、個々の薬局に通知する必要があるんじゃないですか。十分、患者の発生に備えて在庫を用意してくださいという。流通なんですよ、結局、最後は。総量の確保も大事だけれども、流通なんです。それは過去の感染拡大で何度も問題点として浮かび上がったところであります。

 加えて、もう一点、これも前回も指摘にとどまったんですが、結局、コロナは検査キットが薬局で手に入るようになりました。インフルエンザは病院に行かないと検査できないんです、まだね。通常、疾病の扱いとしては、今のところコロナの方が重い、インフルエンザの方が軽い。この重いコロナは自宅で検査できて、軽いとされているインフルエンザは病院に行かないと検査できない、これも矛盾じゃないですか。速やかに、できれば同時検査キット、まだ三千万強しかないと聞いていますが、できれば同時検査キット。できなければインフルエンザの検査キット、これも薬局で手に入るようにし、そして、できれば無償、ならずとも保険適用、あるいは相当額の値引きで患者が手に入る環境を整える責任が、これも政府にあると思いますが、加藤大臣、御答弁を求めたいと思います。

加藤国務大臣 先ほどの答弁と重複してしまうところはちょっとお許しいただきたいんですけれども、委員の御指摘は、それは一理あると私も思います。

 ただ、他方で、量の問題としては、さっき、三千九百万だったかな、あると申し上げました。ただ、この中で、やや技術的なことを申し上げますと、かなり奥まで入れなきゃできないやつと、手前でいけるやつというのがあるみたいで、OTC化するためには手前でないとなかなか実効性がないという指摘もあって。じゃ、それに適応するのがどれかというと、先ほど申し上げた、まだ数百万というオーダーであります。もっと増産を頼めばいいじゃないかと。我々も頼んでいるんです。一方で、コロナも使っていただかなきゃいけない。何といっても、まず最初、医療現場にちゃんと整えておいてもらわないと、これは最前線でありますから。ですから、そこのところのまず供給確保をしっかりやりたいと思います。

 他方で、制度としてどうするのかという御質問、これに対しては、いろんな御意見があることは御承知だと思いますが、それも踏まえながらしっかり議論を進めていきたいと思っています。

小川委員 簡易にやはり唾液で検査できるからコロナの検査キットは普及しているわけで、インフルについてもそれを目指すべきでしょうね、恐らく。

 残り三分。ちょっと私、持論を申し述べて、今後の物事を考える一つの材料にしていただきたいと思っているんです。

 つまり、今回、医療機関との協定締結や協力金の支給などが法案の中身に入っています。それから、過去を振り返ると、民間医療機関にいかにコロナ対策に協力をしていただくかということが大きな争点の一つでした。

 私、今まで余りそんなことは思わなかったんですが、この国家的危機に当たって、いかに日本の医療提供体制が矛盾に満ちたものかということをすごく感じたので、そのことを申し述べて、質問を終わりたいと思います。

 つまり、日本の医療費は四十兆円の市場経済規模を持ち、そして、窓口は三割負担ですが、高額療養費などを含めると、約九割、三十六兆円は税金と保険料によって賄われています。つまり、はっきり申し上げれば、現場のお医者様には心より敬意を表しつつですが、あなた方は九割方公務員だと言ってもおかしくない。ところが、日本の医療制度では開業が自由化されている。どこに行って何を診るかが基本的に医師の自由となっている。提供体制が市場原理で動いているということです。

 これは、基本的に医療が公共サービスとして提供されているヨーロッパの国々に比べますと、拠点病院の先生方が年収は二千万を超え、開業すると一千万少々になると言われている。日本は逆です。拠点病院の勤務医は極めて過酷な高度医療、救急医療に従事し、年収は一千万円ちょっと。ところが、開業すると二千万円を超える。そこには、少なからず、過剰検査、過剰診療、過剰投薬の問題もはらんでいるでしょう、恐らく。

 そして、例えば、ちょっとこれも極端なことを申し上げますよ、極端なことを申し上げますが、例えばです。警察官や消防士が、例えば、俺は離島に行きたくない、俺は過疎は嫌だ、都会がいい、深刻な殺人現場には行きたくない、身の危険を感じるような放火現場には行きたくないというような警察官や消防士が増えたらどうなるかということです。

 これから、開業が自由化され、そして医療提供体制が市場原理にさらされ、片や財源は九割方税金と保険料であるという医療提供体制の矛盾そのものを根本から議論しないと、今回のこのコロナ対策のようなことについては、いざという国家的危機に、とてもではありませんが、対応できない。そして、これは普遍的に、過疎や離島に住む方々も税金と保険料を払っていますからね、なのに医者が来ない、病院にかかれないというのは、公共サービスとしての体を成していない。

 そのことを改めて指摘をし、質問にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 先日は、ちょっとたくさん質問準備をしていたんですが、ワクチンのことで終わってしまいましたので、本日は、法案のことを中心に議論をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、流行初期医療確保措置について伺います。

 お配りをしております資料の一枚目を御覧いただきたいと思います。厚生労働省の配付資料です。

 感染症の流行初期に初動対応を含む特別な協定を締結した医療機関は、一般の医療提供を減らして感染症対応を行います。その分、医療機関の収入が減ってしまうので、補助金や診療報酬の上乗せが充実するまでの間は、感染症の流行前とせめて同じ収入が得られるよう、足りない差額を補填するのが流行初期医療確保措置であります。

 問題は、その財源です。公費とそれから保険財政から一対一の割合で負担をするということになっています。

 大臣に伺いますが、私は、やはり感染症有事の対応は公費で行うべきだと考えます。この流行初期医療確保措置の費用負担を国と保険者で、特に、一対一にした数字的な根拠をお答えください。

加藤国務大臣 まず、なぜこうした保険料にも負担を設けるかというのは、前、他の委員にもお話をしたように、一つは、本来だったら診療報酬が直ちに調整される、ただ、それには相当時間がかかるということでありますから、そういった問題。また、こうした感染症への対応をしっかり進めることが他の通常医療にも裨益し、そして、さらにはそれが保険者、被保険者の方々にもプラスにつながっていく。そういった観点から、保険者の負担の割合を求めたところであります。

 今委員の御指摘は、何でこういう割合にしたのかということでありますけれども、新型コロナに対応した、まず、現状の補助金や診療報酬の特例措置は必ずしも流行初期医療確保措置の対象になるよう、医療機関のみ対象としているものではないので、今いろいろ積み上げているものだけ見てそれをどう、なかなか判断するのは難しいわけであります。

 実際、また、こうした措置は通常医療の維持確保に資するものであり、保険者の負担割合の設定に当たっては、感染症の治療に係る診療報酬の特例措置のみならず、それ以外の保険診療部分も一定程度考慮することが適切と考えたところであります。

 そうした上で、新型コロナに対応した重点医療機関の令和二年度における収益構造では、感染症流行初期には影響を受けにくいと思われる中長期の入院医療費を除くと、保険医療分の割合が約五割、保険外の医業収益、患者の自己負担相当分、病床確保料の補助金等の割合が約五割となっていたことから、一対一とさせていただいたところでございます。

井坂委員 病院の収入全体の約半分が保険だったから差額補填の穴埋め分も半分は保険という御説明だと思うんですが、私は、それはやはりおかしいというふうに考えています。

 配付資料の左下の図を御覧いただきたいんですけれども、私も最初はこの図を見て、なるほどな、一対一かというふうに思ったんですよ。三つの棒グラフが出ていますけれども、収入不足を後ほど補う補助金と、それから診療報酬の上乗せが半々ぐらいあるから、そうなるまでの差額補填の穴埋め分も補助金と保険財政が半々なんですよというような、そういう図を、厚生労働省が我々議員の説明向けに出してきているわけであります。

 しかし、実際はどうかというと、令和二年度に、医療機関に合計三・九兆円もの緊急包括支援交付金、つまり補助金が支給をされています。一方で、コロナ流行初期の令和二年度に予算措置をされた診療報酬上乗せは、四月に予備費で三百億円、五月に予備費で二百億円、九月に予備費で十億円、一月に三次補正で七十億円と、合計、診療報酬上乗せは六百億円程度であります。実際の診療報酬上乗せは予算措置の約四倍ぐらいあるとしても二千四百億円ぐらいということで、三・九兆円の補助金に比べて、診療報酬の上乗せというのは一桁少ないように見えるわけであります。

 配付資料のこの左下の図は、何かあたかも補助金と診療報酬上乗せが一対一みたいに書いてありますけれども、実際は、もしかしたら十対一で、診療報酬上乗せより補助金の方が圧倒的に多かったのではないか。そうであれば、流行初期医療確保措置の財源も公費十対保険財源一にするのが普通ではないかなというふうに思うんですけれども、大臣に伺いたいと思います。

加藤国務大臣 御指摘になられた、今、三・何兆円とおっしゃったものには様々な目的で出された補助金が入っているわけでありますから、まさにこうした運営面のみならず、例えば施設を整備することを補助する等々も多分入っておられる数字なんじゃないかと思いますので。

 ただ、それを今、実際に抜いてどうのと比較するというのはなかなか難しいということで、先ほど申し上げた、実際の医療現場における経営における数字、これをベースに一対一にさせていただいたということであります。

井坂委員 余りにも大ざっぱで、まさに国が出した補助金が実際どこに使われたのかというのをもう全く調べることもなく一対一ということでは、全く納得ができないわけであります。

 本当に、三・九兆円と二千四百億円という、もう十倍ぐらい差があるお金の出し方をしているわけですから、じゃ、その三・九兆円が実際病院でどのように使われているのかというぐらいは調べて、今回、一対一で御提案されていますけれども、今後、本当にこういう公費負担とそれから保険料負担の割合、一対一のようないいかげんな話でいいのか。もう少し、実際、感染症が起こったら、その後にはやはり補助金で穴埋めすることが私は大半になるというふうに思いますから、それに合わせてこの流行初期医療確保措置の財源も分担をするべきだというふうに考えますが、今、ちょっと後ろの方に聞いておられたと思いますので、追加の答弁ありましたらお願いします。

加藤国務大臣 いや、聞いたのは、予算の確認をさせていただいただけでありますので。

 実際、予算、かなり、いろいろ使い勝手がいいようにして出したわけですから、それが最終的にどう使われていくかというのは、それはこれからしっかりフォローしなきゃいけないというふうに思います。

 それから、もう一つ、そのときの話と、これからどうあるべきかという話も議論しなきゃいけないので、前回こうだったから次こうだというふうには必ずしもならないんだろうと。その辺を、まず、これまでの実質の経済の実態を見ながら、じゃ、その辺をどう割合を振っていくかということで判断したのが今回の一対一ということでございます。

井坂委員 御説明がおかしいわけで、大臣の最初の答弁は、今回の実際の病院の収入割合が公費と保険財政半々だったからと、まさに今回からひもづいて一対一にしたということで。それは、あるべき論はあるべき論で私も議論すべきだと思いますよ。ただ、実態としては、恐らく相当補助金による穴埋めが今回多かったわけで、しかも、また今後もそうなることが容易に予測できるわけですから、そのときにこの初期医療確保措置の財源が一対一というのは、これは大変適当な議論だ、今後しっかり実態を見定めて、実際に見定めてきちんと負担割合を考え直すべきだというふうに申し上げたいと思います。

 それから、二問目なんですけれども、同じく補助金の官民格差についてお伺いをしたいと思います。

 先日の参考人質疑で、日本医療法人協会の会長さんがおっしゃっていました。民間病院も都市部を中心に公立病院に負けない多くのコロナ患者を受け入れた、しかし、国が病院に給付した補助金が少ないのではないか、こういうことをおっしゃっていたわけであります。

 配付資料の二を御覧いただきたいと思います。

 これは参考人の資料ではなくて、政府の医療経済実態調査報告そのものであります。私がペンで丸をしておりますけれども、左下の医療法人、民間の病院は、前年度の損益、プラス一・八%の黒字。前年度というのはコロナの前年度ですね。コロナの初年度は損益がプラス〇・一%に減りました、ただ、補助金で何とか回復をしてプラス二・三%になりました、こういう表であります。

 同じように、国立病院は、コロナ前はマイナス一・七%の損益、コロナの初年度はマイナス九・二%に落ち込んだのが、補助金で大きく回復をして、プラスの六・八%。

 それから、公立病院は、コロナ前はマイナス一四・二%、コロナの初年度はマイナス二一・四%に減ったのが、補助金で大きく回復してマイナス七・三%。自治体からの繰入れ等で毎年やっているんだと思います。

 そして公的病院は、コロナ前はマイナス〇・二%、コロナ初年度はマイナス三・〇%が、補助金で大きく回復をして五・四%となっているわけであります。

 参考人にお伺いをいたしますが、コロナ初年度の令和二年度の医療機関の損益差額について、国立、公立、公的病院は補助金によりコロナ前に比べても損益が大幅に改善をしていますが、民間病院はほとんど改善をしていません。補助金の利き目具合がもう全然違うというふうに思うわけでありますが、補助金の官民格差についてどう考えるか、お伺いをいたします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘いただいたところでございますが、新型コロナウイルス対策に取り組みます医療機関に対しては、これまで新型コロナ関連補助金によって支援を行ってきたところでございますが、その際、開設主体の種類によって金額を区別するといったこと等はしておりませんで、それぞれの補助目的に応じた実費に応じて補助をするという補助金の基本的な考え方にのっとって設計しているところでございます。

 今委員にお示しいただいた資料、令和三年度の医療経済実態調査でございますけれども、これを拝見いたしますと、確かに開設主体によって損益差額に差があって、医療法人については補助金を含めた損益差額の伸びがほかの主体よりも鈍くなっているというふうに見受けられるところでございますけれども、この要因につきましては、やはりコロナ診療の主体別の実施状況とかあるいは通常診療の患者数の動向なども含めて、ちょっと幅広い観点で分析することが必要ではないかと考えるところでございまして、必ずしも新型コロナ関連補助金によって生じていると結論づけることはできないのではないかというふうに考えているところでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、新型コロナ対策を進めます上では民間病院の御理解、御協力も当然不可欠でございますことから、引き続き必要な支援に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

井坂委員 補助金はもちろん同じルールで官民やっていると思うんですが、しかし、結果として民間病院はなかなかその補助金の効果が出ていない。もちろん、民間の方がコロナ受入れ病院の割合が少ないということはあると思いますが、私が計算して、それを差し引いても、大体、民間病院は三割ぐらいコロナを受け入れて、公立・公的病院は八、九割受け入れていたとしても、じゃ、民間病院が今の三倍コロナを受け入れたからといって、この補助金の使用率が大きく伸びるかというと、やはり全然そういうことにはならない数字に見えますので、補助金のルールは官民一緒だけれども、実際に使われ方、使いやすさで官民に相当差があったのではないかなということが数字の結果からは推測がされますから、是非、そこは次回以降、こうした使われ方の官民格差というものがなかったのか、あれば、よりないようにということでお願いをしたいというふうに思います。

 三つ目に、保健師の確保について伺います。

 先日、自治体職員の方と話しておりましたが、やはりおっしゃるのは、保健師を感染症のない平時からたくさん配置をしてほしい、増やしてほしいということであります。もちろんこれが理想でありますが、しかし、感染症に対応できるぐらいの人数を平時からというのもなかなか難しいかなというふうに私は思っております。

 政府は、感染症対応の保健師を今後二年間で九百人増やすという計画でありますが、この人数では残念ながら焼け石に水かと思います。

 また、IHEATという感染症有事の保健師緊急応援チームの仕組みもできておりまして、現在、三千五百人の保健師、医師、看護師が登録をしている。また、実際、派遣も始まっているということであります。

 しかし、今回のコロナで我々は目の当たりにしましたが、実際パンデミックが起きれば、これはもう全国のことでありますから、大学等も含めて全国どこでも保健師は足りなくなって、登録している三千五百人がみんな派遣要請に応じられるかというのは疑問であります。

 また、実際に応援に来ていただいても、大体その応援の期間が一、二週間というのが普通だそうでありますから、そうすると、現場の自治体職員さんに聞けば、この短期間来ていただいても、そもそも、我が自治体の仕組みとか、そういったものを一通り説明するだけでも大変だと。それは確かにそうだろうというふうに思います。

 そこで、大臣に伺います。

 自治体が、その自治体自身が保健師資格を持つ職員を多めに採用して、ふだんは、その保健師資格を持つ職員さんはほかの分野の一般事務をしてもらう、パンデミックのときだけ、まさにプロの、しかもその自治体に精通をした保健師として保健所業務を有事には担ってもらう、こういう前提で自治体の保健所とふだんから連携の訓練をしておく、そういう有事に即戦力となる保健師を自治体が一般職員として多めに確保できないかということについて、お伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 どういう形で職員を採用するか、これはそれぞれの自治体がそもそもお考えになって今もやっておられるんだろうと思いますし、今御指摘の方法も、それは一つのアイデアではあろうかというふうには思いますが、そうした対応も含めて、各自治体において、それぞれの実情、地域のいろいろな環境なんかもあると思います、含めて対応策を検討し、まさに予防計画に盛り込むなど、有事に向けた備えを進めていただければというふうに思っています。

井坂委員 一つのアイデアということで、ありがとうございます。

 ただ、ちょっと大臣に重ねてお伺いしたいんですが、自治体の自由です、それがいいと思うなら勝手に予防計画に定めてくださいというレベルではなくて、国として積極的に、保健師資格を持った一般職員の採用というものを推奨、推進できないか。逆に、こういうやり方以外で、平時と有事でこれだけ必要な保健師の数が違う感染症、パンデミックということは私は乗り越えられないというふうに思うわけでありますが、自治体の自由ですよというところからもう一歩、大臣、踏み込んでいただいて、こういったやり方もあるよと推奨、推進していただけないか、お伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 多分、各自治体というのは、採用できる人数が限定されているわけですから、そうすると、今、要件を足せば、それ以外の方が応募できる枠が小さくなるということにも当然つながるんだろうと思うので、まさにその辺は、それぞれの自治体の状況というのがいろいろあると思いますから、それぞれいろいろなことをお考えになって採用されていく。

 その中で感染症対応というのをどう考えるかというのは、今回、大きな課題としてあるわけですから、それについて、今御指摘のように、保健師資格を持っている方というのはあるかもしれません。あるいは、採用した方に対して、感染症対策に対していろいろな知識を持ってもらうというやり方もあるかもしれません。

 その辺はそれぞれの自治体でよくお考えいただきたいと思いますが、ただ、そうしたこともどうしていくのかということを平時から考えて、そして対応していくことの必要性、そのことは非常に大事だというふうに思います。

井坂委員 是非、やはり実際に足りなかったというのが今回の反省でありますから、そこは国としても、自治体の自由というところを超えて、真剣にやっていただきたいというふうに思います。

 同じく、足りなくて困ったことで、感染症対策物資の確保について伺います。

 私は、一月、当時議運でしたので、議院運営委員会で、検査キット不足にならないよう、感染者数を予測して、必要な物資を前倒しで準備できないかということを質疑、御提案いたしました。その後、二月には立憲民主党から感染症法の改正案を提出をしまして、需要予測による物資の確保ということを盛り込みました。

 今回、半年以上遅れましたが、政府案にも物資確保の新しい仕組みが入っていることについては評価をしたいというふうに思います。しかし、一点残念なのは、相変わらず感染者数の予測は行わないというふうに聞いております。

 参考人に伺いますが、感染症対策物資が不足をしないように、大体二週間から四週間後の感染者数をちゃんと予測をして、必要な数量を事業者に前倒しで増産してもらう仕組みが必要ではないでしょうか。お答えください。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 感染症対策物資の確保に当たって、国として事業者に増産等を求めるに当たりましては、物資の必要量の見通しを把握することが必要でございます。物資の必要量の具体的な把握方法といたしましては、過去に類似の感染症が蔓延したときの状況でありますとか、その時点の足下の感染者数の動向、それから物資の需要の動向等から推計した需要増の見通しなどから把握をすることを想定をいたしております。

 また、今回提案しております改正案におきまして、感染症有事において物資が不足する事態に対応するために、事業者に対し、生産要請、指示等を行えるようにする枠組みを整備をいたしておるところでございます。これは蓋然性が高い場合というのも含むものでございます。こうした規定も活用いたしまして、感染症有事における感染症対策物資の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

井坂委員 今お答えいただいた増産とか、供給面に対しては、今回法案に盛り込んでいただいてよかったと思うんです。私が一点、弱いなと思うのが、需要面、需要の予測。お答えいただいた、前に同じような感染症のときにどれぐらい物が要ったのか、物が足りなくなったのか。

 そして、プラス足下の感染状況とおっしゃるんですが、これは一月の議運の答弁でも大体そういうラインでありました。当時何をおっしゃっていたかというと、前回の第五波の倍ぐらい量を確保しているから大丈夫だと言っていたんですけれども、結局全然足りなくなったわけであります。

 だから、当時も、二週間後の、相当増えるんじゃないかということはもう既に我々でも分かっていたような状況でありますから、大体二から四週間後ぐらいまでの感染者が平均これぐらい増えそうだとか、多かったらこれぐらい増えそうだぐらいは予測がつくと思いますので、そこを需要の必要数と見定めて供給の手はずをやっていかないと、前回と比べて需要を見積もると、私は今年の第六波と同じ過ちを繰り返すと思いますが、ちょっとそこの需要の見積り、前回と比べるんじゃなくて、しかも、単なる足下が増えているか減っているかみたいな話ではなくて、二週間ないし四週間後の感染者数をちゃんと予測をするかどうかということについてお答えください。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 感染症対策物資の種類にもよりまして、感染者数に連動するもの、それから施設数、提供側に連動するもの、いろいろございますが、物によっての必要量見通しの把握方法というのがそれぞれ必要となると考えておりますが、御指摘いただきましたように、足下の感染者数の動向をどこまで見るかということかと思います。必要量をきちんと見通していくということが重要かと考えておりますので、こういったものから需要増をきちんと見通して、把握をしていきたいというふうに考えております。

井坂委員 何かうまいことごまかされたのかなという気もしますけれども、足下とおっしゃるのが、二週間先ぐらいまでを足下と見てくださるなら私はそれでいいわけですけれども、是非、第六波、失敗をしたわけでありますから、過去と足下だけではなくきちんと未来を見て、未来というか近い将来ですよね、二週間後を見て需要を見通してほしいということをお願いをしたいと思います。

 あわせて、今回、これも参考人にお伺いしますが、物資の確保について、現在、ジェネリック、後発医薬品の出荷調整業務というのが非常に現場では忙し過ぎて、医薬品卸の方々が忙殺をされております。こうしたまさに流通の部分が、検査キットが何か、生産はちゃんとしているはずなのに薬局には全然並んでいないということに影響を与えているおそれがあります。

 参考人に伺いますが、今回の法改正は大分先ですので、法改正を待たずに、今現在、医薬品卸など、流通への支援や財政措置を検討できないかどうか、伺います。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 医薬品流通、卸売業者におきましては、後発医薬品の今般の供給問題への対応に加えまして、ワクチン、抗原検査キットの配送といった新型コロナウイルス感染症への対応によりまして、業務負担が大幅に増加しているというふうに卸売業界からも伺っているところでございます。

 こうした厳しい状況の中でございますが、医薬品卸売業界からは、やはり、総価交渉になる、それから、様々ございますが、そういった医薬品卸売業者が直面する流通環境の改善でありますとか、持続的に医薬品の安定供給を可能とする薬価制度への見直しといいました構造的な課題への対応を求められているところでございます。

 厚生労働省におきましても、こうしたことを踏まえまして、医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会を開催いたしまして、医薬品産業の現状と課題を踏まえて、流通や薬価制度のほか、産業構造の検証等も含めた幅広い議論を行って、必要な対策について検討をしているところでございます。

 あわせて、今国会に提出をいたしております改正案におきましても、国が製薬企業等から報告を受けた情報を整理して公表するという仕組みを盛り込んでおりまして、医療現場等への情報提供を円滑に行うことで、医薬品等に供給不安が生じた場合の医薬品卸売業者の業務負担の軽減を図ることといたしております。

 医薬品流通、医薬品卸業者は、医療システムを支える、欠かすことのできない重要インフラでございますので、厚生労働省といたしましても、このインフラを守るために、引き続き、業界の状況も踏まえつつ、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

井坂委員 まさに御答弁いただいたとおり、医薬品卸のところも重要インフラでありますから、先ほど質疑した需要と供給の見通しだけでなく、作ったのがちゃんと末端まで届くか、国民の手まで届くかという観点で、是非、ここはもう今大変なので、今から支援をお願いをしたいというふうに思います。

 続きまして、ちょっと前回の続きで、ワクチンについて伺います。ワクチン供給の全体像ということであります。

 お配りをしております資料の三枚目を御覧ください。これまで政府が契約してきたワクチンの数量を、会社別に時系列で並べたものであります。基は政府が作ってくださった資料に、私が右側を加筆しております。

 この右下の部分を御覧いただきたいんですけれども、この間、合計で八億八千二百万回分のワクチンを日本政府は契約、購入をしています。うち、六億八千七百万回分が、オミクロン用ではない、これまでの従来株用のワクチンであります。しかし、実際に接種されたのは三億二千五百万回で、契約、購入したワクチンが半分以上、三億五千二百万回分も使われずに余っている形であります。

 これはどこに行ったのかということでいろいろお聞きをしておりましたら、うち、アストラゼネカの一億二千万回分というのは、これは、実際に国民に接種されたのは二十万回分ぐらいで、あとは、半分ぐらいが海外に送られて、そして半分ぐらいが廃棄をされたと。しかも、使われなかった分については、今お金を一部返金をしてもらう話がついている、こういうことであります。

 それから、ノババックスもまだ数十万回しか接種をされていないわけですが、こちらは、納入をされないうちは代金を支払わなくてもよい契約だというふうに伺いました。

 一方で、ファイザー、これは、従来株の契約数二億七千四百万回から接種数二億四千六百万回を除いた千九百万回分がどうなったのか。従来株のうち約九百万回分はこれから子供用に打つということで、ちょっとそれは除いております。

 それから、同じくモデルナは、契約数一億四千三百万回から接種数が七千九百万回を除いた六千四百万回分と。

 ファイザー、モデルナ合わせて八千三百万回分のワクチンがどこに行ったのか、今どこにあるのかということであります。

 そこで、参考人に伺いますが、ファイザーとモデルナの従来株のワクチンについて、国内に入荷をしたワクチン、自治体等に配送したワクチン、国に在庫として残ったり廃棄をしたワクチンというのはそれぞれ何万回分あるのか伺います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、ファイザー社の従来株ワクチンにつきましては、御指摘のとおり、二億七千四百万回分を契約しておりまして、今年の九月三十日までに、これは概数ですが、約二億六千五百万回分が企業から国に納入されておりまして、そのうち二億六千百万回分を国から自治体に配送しております。

 この納入量から配送量を差し引くと、約四百万回分となります。このうちの一部は、五歳から十一歳に使用する小児用のワクチン、これは従来株でありますけれども、そして、これは十一月七日と十一月十四日の週に配送することとしております。

 また、モデルナ社の従来型ワクチンにつきましては、初回接種用、当初、これは一バイアル当たり十回、そして、追加接種用は一バイアル当たり十五回で計算しますと、今年の九月三十日までに概数で一億四千三百万回分が企業から国に納入されております。このうち、九千六百万回分を国から自治体に配送しているところでございます。

 納入量から配送量を差し引きますと、四千七百万回分となります。これらの一部は、初回接種に活用するため、引き続き、年内は自治体からの希望に応じて配送することとしております。

井坂委員 ありがとうございます。

 納入をされているが自治体等に配送していないワクチン、ファイザー四百万回分、それからモデルナが四千七百万回分で、合計五千百万回分がまだ自治体に配送されていないということでありますが、ちょっとこの内訳、既に有効期限が切れて廃棄をしているのか、それとも、さっきおっしゃっていた、これからまた自治体に配送できるように国のどこかに在庫として積んであるのか、その内訳が分かればお願いします。

佐原政府参考人 まず、主として初回接種に使用している従来型ワクチンにつきましては、年内の初回接種完了を検討いただくよう国民に呼びかけをしております。現在、こうした接種も継続しているところでありまして、その在庫状況も日々、今変動しておりますので数字は確定しておりませんので、現在の廃棄の見通しを示すことは差し控えたいと思いますが、アストラゼネカ社のワクチンの場合と同様に、最終的な廃棄数が確定した段階では、その活用状況等を公表することについて、各社とも調整の上検討してまいりたいと考えております。

井坂委員 是非、年内終わりましたら、公表していただきたいというふうに思います。

 同じように、自治体に配送したけれども接種はされていないワクチンも多数あるわけで、ファイザー一千五百万回分、それからモデルナが一千七百万回分、合計三千二百万回分は、これも、自治体の側で既に有効期限が切れて廃棄をしてしまっているのか、自治体のどこかで接種のために在庫として積んであるのか、この辺りも内訳が分かればお願いします。

佐原政府参考人 自治体におきましては、配送したワクチンが例えば有効期限を迎えた等、使用残量やそれから破損等があった場合には破棄されるというような状況がございますけれども、こういった現場それぞれでの状況につきましては、各自治体あるいは医療機関の負担にもなることから、現時点では調査等を行っておりません。

井坂委員 あともう一つ、ちょっとワクチンについてお聞きをしたいんですが、契約したオミクロン用ワクチン、これは配付資料の右から三列目にまとめております。ファイザー、モデルナ合わせて一億九千五百万回分のオミクロン用ワクチンを政府は契約しているわけでありますが、一方で、大臣は先週の答弁で、ワクチンの接種間隔は三か月に短縮をしたが、オミクロンワクチンは一回しか接種を予定をしていないというふうに強調しておられました。

 ちょっと、これも参考人で結構ですが、契約したオミクロン用ワクチンは一億九千五百万回ということで、国民の大半が二回ずつ接種できる回数分ですが、これはオミクロン用ワクチンを国民みんなが二回ずつ接種することも想定をして契約をしたのかどうか、伺います。

佐原政府参考人 まず、オミクロン株対応ワクチンにつきましては三月に契約をしておりますけれども、どの企業が、これはファイザーあるいはモデルナ、オミクロン株対応ワクチンの開発に成功するか分からない中で確実に確保するために両社と契約したものでございまして、結果として、両社とも今薬事承認に至っているというところでございます。その契約数、総計しますと、御指摘のとおり、一億九千五百万回分を確保している状況になります。

 このワクチンにつきましては、初回接種を完了した十二歳以上の全ての方を対象に、これが約一億人の方いらっしゃいますが、本年九月二十日から接種を開始しており、自治体に対しましては、十二月末までに合計で一億二百万回を配送する計画をお示しをしているところでございます。

 それ以外の残りのワクチンの活用方法につきましては、今後の新型コロナワクチンの接種、どうあるべきかといった検討を踏まえて判断することとしたいと考えております。

 まずは、年内にオミクロン株対応ワクチンの接種、希望する全ての方が接種を受けられるよう取り組んでまいりたいと考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 ワクチン行政については、これは国民の健康と、それから莫大な税金がかかっておりますので、引き続き、この場の質疑で全体像を明らかにしてまいりたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。本日もよろしくお願いいたします。

 まず、私の方からは、新型コロナウイルス感染症の致死率についてお伺いをしていきたいと思います。

 この致死率の問題につきましては、我が党の方からも何度か質疑の方をさせていただいたんですけれども、まず、資料の一枚目を御覧いただきたいと思います。こちらの方、十月の五日に開催されました第百一回のアドバイザリーボードでの資料であります。

 死因調査したうち、新型コロナ陽性者の方で死亡された数が二千二百二十六例あります。そのうち死因の入力があったものが七百三十二例、その中で新型コロナウイルスを直接の原因とする死亡例は三百四十五例にとどまっておりまして、残り、その他の死因、原因が不明、入力なし分は千八百八十一例あります。これらの方々は、陽性者ではあるものの、新型コロナウイルスによる直接死因以外は、死因が新型コロナウイルスに直接的にあるのかないのか分からないというものであります。

 入力がないということ自体もそもそも課題であるとは思っているんですけれども、この直接的に新型コロナウイルス感染症による死亡者数の三百四十五名以外も新型コロナウイルスによる致死率の計算に入っているということでありましたならば、明らかに新型コロナの致死率の分析をするときの弊害になっているんじゃないかなという具合に考えております。

 感染症の重症化や致死率の分析によるエビデンスといいますのは、やはり国の感染症対策の根幹になってくる、根底になってくると考えています。そこで、なぜ新型コロナウイルスを直接の原因とする死亡とそれ以外の死亡を区別することができないのか。また、なぜ死因の入力なしがこれほどあるのか。アドバイザリーボードの方でもるる御意見があったとは聞いておりますけれども、正確に評価するためのデータ収集を行うための指標、これを確立するべきだと思いますけれども、参考人の方にお伺いをいたします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきましたデータは、オミクロン株による死亡事例を含む重症化事例の把握を行うために、本年一月から全国の医療機関から情報収集したものでありまして、その分析結果については、感染症研究所が定期的にアドバイザリーボードに報告しているものでございます。

 十月五日に報告された最新の分析結果七百三十二例のうち、御指摘のように、三百四十五例がコロナが死因とされたものと、それ以外というふうになっております。

 これは課題ではありますが、一方で、千四百九十四例は死因が記載されていないという状況になっておりまして、これは、死者が増加するタイミングでは、多くの患者さんが発生しておりまして、自治体や医療機関の業務が逼迫したためであるというふうに考えております。

 御指摘のとおり、新しい感染症が発生した場合にその致死率等について正確に把握していくことは非常に重要でありまして、そのための仕組みを整備を進めているところではございます。

 ただ、死因の把握には幾つかの課題があると考えております。例えば、コロナにより直接死亡した方とコロナに感染した後に基礎疾患が悪化して死亡した方、これは必ずしも明確に区別できないという課題がまずございます。それから、コロナに感染した後に基礎疾患が悪化して死亡した方という中でも、コロナに感染していなければ死亡しなかったというケースもございます。そうしたケースはコロナに関連した死亡として考えることが妥当なのかどうか。今のところはこれは妥当と考えられるということで集計をしております。

 このような様々な論点もございますが、御指摘のとおり、これは重要な点だと思いますので、今後とも、専門家の意見を聞きながら、どのような形が適切なのか、検討を進めてまいりたいと考えております。

池下委員 ありがとうございます。

 今、進めていくと。様々な課題というのもあるというのもちょっと理解はさせていただきました。もちろん、自治体の方でも医療逼迫というのもあるというのも聞きました。

 そこで、先日の参考人質疑で脇田参考人より、感染症流行の初期段階で、人員を増やしてでも研究調査、これの必要があるという発言もありました。改めて言いますが、データによる根拠が国の感染症対策のバックボーンになると考えておりますけれども、今回のコロナ対策というのももちろん大事であります、しっかりとやらなきゃいけないんですけれども、それも含めて、次の新たな感染症を見据えたとき、死因も含めたデータ収集の在り方につきまして改善していく要素は何なのかにつきましてお伺いをしたいと思います。

佐原政府参考人 新たな感染症が発生した場合に、その感染症に罹患した後の重症化率あるいは致死率の把握というのは非常に重要なものでありまして、今回のコロナ対策でもその把握に努めてきたところであります。

 この際、重症化率とか致死率について、感染してから亡くなるまでに一定の期間がかかりますので、ある期間に発生した患者数と死亡者数から計算する、例えば七月から八月だけで見るといいますと、お亡くなりになるケースが十月とか十一月になるというようなこともありますので、感染症に罹患した者のその後の経過をしっかりと追っていく必要があるというふうに考えております。

 今般の新型コロナにおきましては、自治体等の協力を得ながら致死率等の把握を行っておりますが、新たな感染症の発生に備えまして、よりシステマチックに情報を収集する仕組みを整備したいと考えておりまして、今般の改正案におきましては、新型インフルエンザ等感染症等の入院患者につきまして、退院時等の届出を行えるように規定を設けることとさせていただきたいと考えております。これによりまして、入院中に患者さんが重症化したのか、あるいは死亡したのかなどの予後に関するデータを収集し、また分析し、新たな感染症への対応に生かすことができる体制を構築したいと考えております。

池下委員 システマチックにということと、あと、退院また予後の状況ということも言っていただきました。しっかりと対策を打って事前からつくっていかないと、やはり土壇場になったときに、いざどうだということもなかなかやりにくいと思いますので、改めて、しっかりとしていただきますよう指摘をしておきたいなと思います。

 それでは、次に、新型コロナウイルス感染症と新型インフルエンザ感染症等の在り方についてお伺いをしていきたいと思うんですが、ちょっとまず確認なんですけれども、二〇〇九年に流行した新型インフルエンザ、H1N1の収束時においても、参考にできるものであれば、今後の展望にも見えてくるかな、使えるのかなと思っております。当時は感染症の収束に向けてどのような検討がされてきたのか、お伺いをしたいと思います。

佐原政府参考人 二〇〇九年の四月に発生しました新型インフルエンザ、A型、H1N1型につきましては、パンデミック発生の一年後の二〇一〇年の八月十日にWHOが、世界的な流行状況がパンデミック後の状況に移行しているとして、ポストパンデミックとする旨を、まず声明を発表しております。

 これを受けまして、二〇一〇年の八月二十七日に、政府新型インフルエンザ対策本部において、次のような方針が了承されております。それは、読みますと、新型インフルエンザについて、季節性と異なる大きな流行等の特別の事情が生じない場合は、平成二十二年度末を、これは二〇一〇年度末になりますけれども、二十二年度末を目途に、感染症における新型インフルエンザ等感染症と認められなくなった旨の公表をし、通常の季節性インフルエンザ対策に移行するものとするという方針が対策本部で、八月の段階で了承されております。

 その上で、平成二十三年、二〇一一年の三月十八日の厚生科学審議会感染症分科会感染症部会の了承を踏まえまして、同年三月三十一日に新型インフルエンザ等感染症と認められなくなり、通常の季節性インフルエンザとして扱うという旨を感染症法に基づき厚生労働大臣から発表をしております。

池下委員 当初、鳥インフルエンザだと思われていたものが豚だったとか、いろいろな要素はあるかなとは思うんですけれども、しっかりと、やはり、変わってきた過程があると思いますので、それを今度の新型コロナウイルスのときにも生かしていかれるような形をやっていただければありがたいなと思うんですが。

 次に、感染症の二類、五類の問題につきましては、我が党の方からも幾度となく質問の方をさせていただきました。そのたびに、岸田総理や厚生省の方からは、新型コロナウイルスは致死率や重症化率も高く、現時点では五類相当に見直すことは現実的ではないという答弁が返ってきております。今のタイミングで、ないと言うならば、いざそのときになって、どのような基準変更をするのかどうか焦るのではなく、二〇〇九年の場合とは当然異なるとは思いますが、現段階から、新型コロナ感染症の分類等の位置づけについて、どこの部分で、アドバイザリーボードでやるのかどうか、また、その方向性を示していくべきだと思っております。

 また、季節性インフルエンザより致死率や重症化率が高いから分類の位置づけの変更が難しいと言われておりますが、総合的な判断をするというのはよく理解するんです、経済的な問題とかというのもありますので総合的な判断をするというのは分かるんですけれども、もう少し、やはり国民にも分かりやすく、詳細に基準をあらかじめ示していただくということも非常に大事だと思うんですけれども、今後の検討状況についてお伺いをしたいと思います。

佐原政府参考人 新型コロナの感染症法上の位置づけにつきましては、専門家の意見も聞きながら、例えば致死率や重症化といった重篤性のみならず、感染力等にも基づき、総合的に考える必要があると考えております。

 御指摘の基準等については、なかなか、現時点では具体的なことを申し上げることは難しいかなと思っております。

 この新型コロナの感染症法上の位置づけについては、今後の感染動向や、あるいは予防接種の進展等による病原性や感染性の変化等を踏まえて、専門家の意見も聞きながら、また、内外の科学的知見に基づき、議論を進めてまいりたいと考えております。

 なお、分類変更を行う場合には、厚生科学審議会の感染症部会での御議論を踏まえて決めることになると考えております。

池下委員 余り変わっていないのかなと思うんですけれども。

 実際に、やはり国民の皆さんというのは非常に不安になっていらっしゃると思いますし、経済的に見ても、いつなんだ、いつなんだと言われているのは、うちの地元の方々でもたくさんいらっしゃいます。総合的という話も今回ももちろん出ましたけれども、専門家の意見ということも言っていただきましたけれども、ある一定、ちょっと、例でも。致死率とかというのは皆知ってはるわけですけれども、それ以外の部分もしっかりとちょっと例示をしながら、国民の皆さんが分かりやすいようにしていくということも、やはり今後の国を支えていただく国民の皆さんに理解していただく一つの要素じゃないかなと思っておりますので、しっかりと進めて公表まで持っていっていただくようお願いしたいと思います。

 それでは次に、医療DXについてお伺いをしていきたいと思います。

 先日の参考人の質疑の中で、加納参考人より、電子カルテの在り方について問題があるという御指摘がありました。電子カルテの購入の際に、一床当たり百万円、ランニングコストで年十万。そして、数年に一度は更新をしていかなければならない。さらに、民間の病院での利益率が二%にもかかわらず、電子カルテの方では大体三%の、維持費用としてかかってくるということもありますと。加えて、メーカーごとの互換性もないということもちょっと別途聞かせていただきました。

 電子カルテの導入というのは進んできているわけなんですけれども、電子カルテの維持、更新費用が適切なのか、適正なのかどうかというのは、私、メーカーの人間でもありませんので判断はしかねるところではあるんですけれども、ただ、やはり余りに高額だと、経営を圧迫していくということにもつながってくると考えております。また、韓国の方では、国内での電子カルテの互換性は確立されているそうです。

 そういう点も踏まえて、医療DXの支援、推進をどのようにしていくのかにつきまして、お伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、医療DXそのものについては、医療分野でのサービスの効率化、また、質の向上を図って国民の保健医療の向上を図っていくという、これは我が国の医療の将来を大きく切り開くためにも大変重要な取組だと考えております。

 電子カルテの導入でありますけれども、医療機関間で診療情報、まあ今、医療機関の中には入っているのが全体では半分ぐらい、大手はもっと高いんですが、つながっていないという課題があるわけですね。これは、医療機関間での診療情報を円滑に共有するための規格の標準化に取り組むということ、また、当該規格に準拠した電子カルテというものを、システムをつくることによって、まだ導入していないところにおいても導入をしていただくという意味で普及を促進をしていく、また、その際、クラウドサービスの利用を進めることで、システムコストについても削減をしたいと考えております。

 また、本年三月には、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを改定し、医療機関に対し、バックアップデータの保存や、サイバー攻撃を想定した訓練の実施など、セキュリティー対策の強化も求めております。さらに、本年九月には、更なる強化策を取りまとめて、医療機関の初動対応を支援する体制も構築したところでございます。

 こうしたセキュリティー面等に対してしっかり配慮しながら、また、クラウドサービスの活用等を通じて、先ほどおっしゃったように、ベンダーロックイン等、そういったことにも対応していければなというふうに考えているところでございます。

池下委員 大臣、ありがとうございます。

 規格の標準化ということで言っていただきましたので、非常に私、それは大事な点だと思っておりますので、しっかりと進めていただくようお願いしたいと思います。

 また、今、大臣からもありましたけれども、サイバー攻撃に対しての御発言もありました。

 ちょっと重なるかもしれないんですけれども、実は、先日、私の地元の大阪の方でも、医療機関の電子カルテにランサムウェアが侵入しまして、英語で、全てのファイルが暗号化されまして、これを復元したければ仮想通貨で身の代金を払うよう要求がありました。今現在でも通常医療に対して影響が与えられているという具合に聞いております。こういう事例は徳島県でもあったと聞いておりますし、海外でもあったように聞いております。

 高度なサイバー攻撃を防ぐには、医療機関だけに任せていくというのは当然非常に難しい話ですので、委託先の事業者であったりとかメーカーさんであったりとか、そういうところとコミュニケーション、連携を取りながら取り組んでいく、そしてセキュリティーを上げていくということが非常に大事であると考えております。

 オーストラリアの方では、同様に、情報共有のシステム、仕組み、これをつくっていかれているということです。日本国内の方でも、二〇二二年度内に検討チームを設置するということでありますが、医療機関や委託先へのセキュリティーの面から具体的にどういう具合な支援体制を検討されているのか、また方向性を持っていかれているのかにつきまして、お伺いをしたいと思います。

城政府参考人 御指摘いただきましたように、十月三十一日に大阪急性期・総合医療センターから厚生労働省に対しまして、ランサムウェアと見られるサイバー攻撃によりまして電子カルテシステムが使用不能になったという報告がございました。これは、ガイドラインに基づき、速やかな御報告を受けたところでございます。それに対しまして、厚生労働省も、速やかに専門家の派遣を行いまして、感染源の特定、対応の指示といった初動対応の支援を行ったところでございます。

 現在、感染原因を調査中ということでございまして、復旧時期の見通しは立っていないということでありますが、現在、復旧に向けての調査作業を行っているというふうに承知をいたしております。

 こういった支援の在り方につきまして、引き続きしっかりと対応していきたいと考えております。ガイドラインの改定でありますとか支援体制の構築、こういったものを考えたいと考えています。

 当該医療機関におきましては、情報収集、早期診療再開に向けた取組が行われておりますので、しっかりと私どもも支援してまいりたいと考えております。また、今般の事案の詳細を把握した上で、感染原因等を踏まえて、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。よろしくお願いします。

池下委員 今るる御答弁いただきまして、今現在起こっている状況につきましては調査中というところもあるかと思いますけれども、やはり、実際に起こってからの対応というものと予防というところの両面が当然必要なわけであります。

 そして、この間の加納参考人の方も言われていましたけれども、セキュリティーのものに対して、やはり国の財政的支援というのが余りにちょっと少ないんじゃないかなという御意見も頂戴しているところでありますので、今、支援というお言葉をいただきましたけれども、そちらの方も含めてしっかりとやっていただく。そして、やはり大型の病院でこういう問題が発生しますと、通常医療はもちろんそうですけれども、コロナの感染のときにもストップしてしまう、紙のカルテでやっていくということになるかと思うんですが、そこら辺にもやはり大きな影響が出てくるかと思いますので、そこら辺も含めて、しっかりと体制構築の方をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次、救急現場の充実と医療DXについてお伺いをしたいと思います。

 これも、先日の参考人質疑の際にも少しやり取りがありました。今回のコロナ感染拡大時には、なかなか受入れ医療機関が見つからず、救急隊員の方が何時間も電話をかけられて受入先を見つけようとされていたりとか、医療が受けられない患者さんがどうしても発生してしまうという状況がありました。

 救急搬送は消防庁の管轄、医療機関は厚労省などの管轄です。横連携をしながら入院調整をすることはできないのかなというのは、皆さん同様に思われているかと思うんですけれども、全国共通のプラットフォーム、是非これをつくっていただいて、救急車の中からアプリなどを使って、電話によらずとも迅速な入院調整ができる仕組み。例えば、宿泊先の予約にしてもアプリで今できるようになっています。そんなに簡単なことではないともちろん思ってはいるんですけれども、新たな感染症を見据えたときにも、新しいシステムづくり、これを、各都道府県だけじゃなくて国全体で、横連携できるような形で是非やっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 救急搬送に係るデジタル技術の活用につきまして、今御指摘いただきました救急搬送困難事案の発生の防止も含めまして、傷病者を医療機関に円滑に搬送するために、地方公共団体におきましては、システムを活用いたしまして、医療機関の受入れ可否情報の確認、あるいは傷病者についての医療機関との情報共有などが行われているというふうに承知しております。

 ただし、医療機関の受入れ可否情報につきましては、直近の状況がどうなっているかということの確認もございますので、最終的な受入れ可否の確認のために救急隊から医療機関に電話がなされているというのが実情であると認識しております。

 また、管内に医療機関が限られているような地方公共団体におきましては、地域の実情から、医療機関との連携に係るシステムを導入していない地方公共団体もあるというふうに承知しております。

 消防庁におきましては、これまで、各消防本部に対しまして、タブレット端末などを用いた医療機関との情報連携の取組例、こういったものの情報提供を行うなど、救急業務におけるデジタル技術の活用促進に取り組んできたところでございます。引き続きまして、厚生労働省ともよく連携いたしまして、救急搬送の円滑化に取り組んでいきたいと考えております。

池下委員 今の現状を聞かせていただきました。一部の都道府県であったりとか政令市であったりというところが導入していただいているというところです。

 電話のところは、やはり、微妙なタイミングがありますので、今の段階では電話も致し方ないのかなと思うんですけれども、やはりこれからの、かつて、数十年前はスマートフォンもなかったわけでありますけれども、今は国民の多くの方々がスマートフォンを持たれていて、情報にアクセスできるという状況になっていますので、できるだけ、今後のシステムの改修として、電話にもよらないような形、是非進めていただきたいと思います。

 もう一つ、今、全国の都道府県でシステムが導入されているわけではありません。

 うち、地元が大阪の高槻市というところなんですけれども、京都との府境、県境にあるわけです。言うてみれば、県と県、府と府を越えて救急搬送されてくるという場合もありますし、かつては、もう大分前なんですけれども、妊婦さんが、奈良県の方で救急搬送されて、回り回ってうちの地元の高槻市に来たという例が、もう大分前ですけれども、あります。そういうときにも、都道府県を越えてやってくる場合もありますから、是非、先ほど大臣も標準化ということも言っていただきましたけれども、そこも含めてしっかりと対策の方、消防庁さんと厚労省さん、ほか、省庁あるかと思いますけれども、連携の方を進めていただければ非常にありがたいかなという具合に思います。

 それでは、次に、第八波対策、ちょっと一括して御質問したいかなと思うんですが、この秋冬を迎える中で、海外では、BQ・1、BQ・1・1、XBB系統など新たな変異株、これが勢いが出てきているという具合に思います。一方で、季節性インフルエンザの同時流行を見据えまして、国内、インフルエンザワクチンと抗ウイルス薬の確保状況の確認と、必要数の見込み、これをお伺いします。これが一点目です。

 二点目が、このダブル流行に伴う病床確保について、二つ目お伺いしたいと思うんですが、沖縄県では、新型コロナ、インフルの県内新規入院患者が一日五十名を超すと入院ができなくなる、医療逼迫の目安となるという報道もありました。医療逼迫の指標として、これまではコロナの病床使用率が全国で使われてきたわけでありますけれども、新たな指標というものも必要ではないかなと思うんですけれども、御見解、お伺いをいたします。

佐原政府参考人 まず、インフルエンザワクチンと抗ウイルス薬の確保状況についてお答えいたします。

 今季のインフルエンザワクチンにつきましては、国内四社の製造企業に対しまして、できるだけ多くの供給量を確保できるよう厚労省から働きかけを行ったところ、製薬企業により増産の努力が図られた結果、過去最多となる約三千五百二十一万本の供給が見込まれております。これは、一本当たり成人で二回分になりますので、成人相当では約七千四十二万回分になります。

 また、インフルエンザにつきましては、一日当たり最大三十万人の想定をしておりますけれども、今季のインフルエンザの抗ウイルス薬につきましては、国内の五社の製造企業に対して聞き取りを行ったところ、製薬企業より増産の努力が図られた結果、約二千二百四十万人分の供給が見込まれております。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 同時流行の際の病床の確保ということでお尋ねをいただきました。

 まず、新型コロナの、今度、病床確保でございますけれども、政府としましては、昨年秋に取りまとめております、次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像に基づいて確保を進めてきておりまして、今後も引き続き全体の確保病床数を維持していくということとしてございます。

 また、感染拡大時におきましては、医療従事者の欠勤などによって新型コロナ病床の一部が稼働しなくなる事態も想定して、都道府県等による入院調整や、あるいは転院、退院支援などの取組の好事例を横展開をして、都道府県における病床の逼迫回避に対する対応能力の向上を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 その上で、インフルエンザにより入院治療が必要な患者さんへの対応につきましては、病診連携による一般病床における入院調整等によって対応するということを基本というふうに考えてございますが、地域や医療機関の状況に応じて、一般病床が不足するといったような事態になれば、新型コロナ病床における病室単位での柔軟な取扱いなどによって対応するといったこととしているところでございます。

 先ほど沖縄の事例で御紹介いただきまして、新たな、両方をにらんだ指標というのが必要ではないかという御指摘も頂戴したところでございますが、まさに医療提供体制自体、各県それぞれ、地域の実情に応じて様々なところが正直言ってございます。そういった中で、沖縄のようなやり方を全国展開できるかというと、ちょっとこれはなかなか難しい面があるのではないかと思っておりますが、それぞれの地域の状況を踏まえながら対応していただくということになってまいるかと思います。

 いずれにしましても、都道府県とよく緊密に連携させていただきながら、保健医療提供体制の確保に万全を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

池下委員 確保の方、ワクチンであったりとか抗ウイルス薬の確保はできていますよということなので、先ほどもありましたけれども、やはりこれは流通させていくということが非常に重要であると思いますので、そちらの方もしっかりと進めていただければと思います。

 また、病床の方につきましても、やはり、沖縄の状況と、東京、大阪と一緒なんですか。当然違うと思いますし、数も違うと思いますけれども、これからオンライン診療であったりとか電話の診療というのももう今でもやっているかと思いますけれども、そこだけでなくて、やはり、実際に入院しなきゃいけないという状況、そんなときに病床が足りないという状況でありますと非常に困るわけですから、都道府県もしっかりと連携をしながら、この秋冬、余り時間がないわけですから、しっかりと対策の方を進めていただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。

 では、次なんですけれども、新型コロナの陰性者の受診体制の確保、ちょっと違う観点からお伺いをしたいと思います。

 抗原検査キットを用いた自宅でのオンライン、又は先ほど言いました電話診療を受けた場合、コロナは陰性であってインフルエンザの特徴的な症状を発症している患者さんは、インフルエンザの抗ウイルス薬が処方されるケース、薬局さんから届けていただいて処方されるケースがあると聞きます。ただ、心配していますのが、発熱があった方で、自宅でのコロナ検査キットで陰性、オンライン診療ではインフルエンザも診断されない、抗ウイルス薬も処方されなかった方々の受診体制、コロナでもインフルでもなかったけれども発熱はしていますよね、そういう場合の受診体制についてお伺いをしたいと思います。

 やはり、診療側、診療を受け入れる側とすれば、コロナの偽陰性も疑われることから、実際に患者さんが対面で、診察で、インフルエンザなりその他の病気なりでしっかりと受診できるのか、そこが心配している点であります。

 インフルエンザも、通常なら、抗原検査等で、はっきりとした症状がなくても検査して陽性かどうか判定して治療が受けられるわけなんですが、コロナの第八波の大きさが分からない中ではありますが、インフルエンザに感染してしまった方がしっかりと受診できる医療提供体制が構築できるよう、あらゆるケースを想定した体制づくり、これを政府としてもしっかりと指導していただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたように、新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行下におきまして、新型コロナの自己検査で陰性となった方というのも当然出てまいります。そういった方々につきましても、希望に応じて地域の医療機関を受診できるような体制の整備というのが必要であろうかと考えております。

 先般、厚生労働省から都道府県などにお示しをいたしました、新型コロナウイルス、季節性インフルエンザの同時流行下の外来受診、療養の流れのイメージにおきましても、そうした方々につきまして、受診の希望があれば、地域のかかりつけ医や発熱外来、電話診療やオンライン診療を受診いただくという流れとしているところでございます。

 こうした外来医療体制のうち、発熱外来につきましては、これまでも都道府県や日本医師会とも連携をいたしまして累次の拡充に取り組んできております。昨年十二月時点で約三・五万というところでございましたが、現在、約四・一万まで増やしてきたというところでございます。さらに、十月十七日には、都道府県に対して、発熱外来の箇所数の増加に加えて、地域の感染状況に応じた診療時間などの拡大でありますとか、かかりつけ以外の患者への対応など、地域の状況に応じた対応能力の強化を求めているところでございまして、引き続き発熱外来の強化に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、加えて、発熱外来が逼迫する場合に備えて、対面診療を補完するという意味で、電話診療やオンライン診療の体制の強化などの取組を進めることとしております。

 引き続き、国と都道府県とで緊密に連携をして、地域の保健医療体制の強化に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

池下委員 御答弁ありがとうございます。

 るるちょっと御説明していただきましたけれども、本当はもう少し質問の方を用意させていただいておりました。次、マスクのことについて、今日も小川委員や、先般も田中委員、様々な委員から質問がありまして、私もちょっとマスクのことを伊佐副大臣にお聞きしたかったところなんですけれども、大変申し訳ございませんが、ちょっと時間となりましたので、これで終了させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 今日は、火曜日の質疑で行えなかった公共交通機関のマスク着用について伺いたいと思います。

 九月一日、伊豆箱根バスは、バスの中でマスクの着用を拒否したという客を途中で降ろしたとして、国土交通省中部運輸局から全国初の行政処分を受けました。中部運輸局は、正当な事由がなく運送の継続を拒否した、道路運送法第十三条違反ということ等三項目の違法行為を認定し、バス二両について各二十五日間の運送を禁止、使用禁止の車両停止処分ということとなりました。

 これら事実関係から、バスの運転手はマスク不着用の乗客を降ろしてはいけなかったという見解を国交省が示したということでよろしいでしょうか。

住友政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員お話をされた、九月の一日に、伊豆箱根バスに対しまして、道路運送法に基づいて、車両使用停止の行政処分を行ったところでございます。

 公共交通機関である乗り合いバスにつきましては、不特定多数の利用者に対して公平公正に運送サービスを提供する必要がございます。このため、道路運送法に基づき、運送約款に定められている場合などの正当な事由があるときを除いては、乗車拒否や運送の継続の拒絶を行うことはできないということとされております。

 この伊豆箱根バスの事案に関しましては、マスク着用の協力要請に応じない利用者の方について、個別の事情を確認することなく、停留所でない場所で運転者の判断によって降車をさせたこと等から処分を行ったということでございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 確かに、今回は、バス停以外の場所で降ろしたということが一つの理由としてあったんですが、また同時に、伊豆箱根バスさんからも、当時、バスに二十五人乗っていた、そして感染症対策を呼びかけたが、結果適切ではなかったというふうにコメントもしているんですが、何か腑に落ちないというか、本当にこの対応はどうだったんだろうか、バス会社ないしは運転手さんに、このような対応で、また処分だけで済ませていいんだろうかという問題意識があります。

 一方で、なぜかといいますと、今年二月、今度は、釧路から羽田に向かう飛行機で、男性二人がマスク不着用という理由で航空会社から搭乗を断られて、フライト時刻が一時間十分遅れたという事例がありました。このときは、斉藤国交大臣はすぐに、四日後、記者会見をしまして、航空会社は適切に対応したと考えていると述べて、引き続きマスク着用を理解してもらうため周知徹底を図ると見解を述べています。

 このことからは、国交省は、飛行機の機内でのマスク着用というのは支持しているという見解でよろしいんでしょうか。

大沼政府参考人 お答え申し上げます。

 各航空会社は、政府の基本的な対処方針を受けまして、業界が定めたガイドラインに基づいて、乗客に対して航空機内でのマスクの着用を要請しております。マスクの着用を拒否した乗客に対しては、必要に応じて、運送約款に基づき搭乗をお断りするなどの対応が取られていると私ども承知しております。

 御指摘の事案につきまして申し上げます。

 これにつきましては、航空会社の方から、出発前の機内におきまして、旅客が客室乗務員からのマスク着用の要請を拒否するとともに、大声を上げる行為などによりその業務を妨害する事案が発生し、機長は、航空法に基づき、これを安全阻害行為としてやめるよう命令を行うとともに、運送約款に基づきましてこの旅客を降機させる対応を行い、結果として約一時間十分の遅延が生じたという報告を受けておりまして、これにつきまして、私どもは、ガイドラインを踏まえて、該当する旅客に対して確認や要請を行うなど、手順を踏んで航空会社は適切に対応されたものと考えております。

 現在の政府の方針は、屋内において、目安として二メーターの距離が確保でき、かつ、会話をほとんど行わない場合を除いてマスクの着用が推奨されております。各航空会社では、政府方針やガイドラインを踏まえつつマスク着用のお願いを実施しておりまして、実運用上も、状況に応じ、これらを踏まえて適切に対処されているものと承知しております。

 国土交通省としては、混乱を招かず、マスクの着用に関する政府全体の方針が正確に周知されるよう、引き続き関係省庁と連携して対応してまいります。

 以上でございます。

田中(健)委員 もちろん、マスクの着用をしてくれなくて大声を出した、また、安全性が確保できなかったということは、当然のこと、それに対する対処をしたということなんですけれども、そうであるならば、バスの場合も、マスク着用をお願いしましたら、しなかった、大声を出した、また、運行を損ねるような対応を取ったというならば、じゃ、今回の対応はどうだったのかということにもつながりまして。

 つまり、国交省は、マスクをしていない人というのは、飛行機には乗れないけれどもバスには乗れるというふうに聞こえてしまいます。更に言うと、飛行機はNGでバスはオーケーというふうに利用者を混乱させてしまうんじゃないかという懸念もあります。

 このことをどのように整理されているのかを伺いたいと思いますし、あわせて、電車やタクシーという同じような公共交通機関においてはどのような規定や決まりになっているのか、位置づけをお伺いします。

五十嵐政府参考人 お答えします。

 公共交通機関におけるマスク着用の考え方について、政府の基本的対処方針では、交通網ごとの区別なく、屋内である公共交通機関においては、目安として二メートルの距離が確保でき、かつ、会話をほとんど行わない場合を除きマスクの着用が推奨されています。国土交通省としては、この政府全体の方針が正確に周知されるよう、関係省庁と連携して対応しているところです。

 なお、電車やタクシーにおいても、政府の基本的対処方針を受けて、業界が定めたガイドラインに基づき、利用者に対しマスク着用の協力を呼びかけるなどの対応が取られているものと承知をしております。

 以上でございます。

田中(健)委員 先ほど政府の基本的方針というのがありましたけれども、この問題が出たとき、やはり、公共交通機関のマスク着用を国民に呼びかけているのは厚労省が今年五月にまとめた見解に基づいているというような報道もありました。

 改めて、厚労省からするとどのような見解を示しているのか、説明をいただけたらと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、本年五月二十日に、専門家の意見も踏まえまして、屋内、屋外におけるマスク着用推奨の有無をお示しをしました。

 その内容を端的に申し上げますと、屋外では基本的にマスクは必要ないが、人との距離、目安が二メートルが確保できず会話を行う場合はマスクの着用を推奨する、それから、屋内では基本的にマスクの着用を推奨するが、人との距離、目安二メートルが確保できて会話をほとんど行わない場合はマスクの着用は必要ないこととしております。

田中(健)委員 政府の見解と同じなんですけれども、この見解に基づきますと、バスの場合に戻りますけれども、やはり車両内で二メートルの間隔を空けるのは難しい。今回の場合では二十五人乗っていまして、満席ではない、ぎゅうぎゅうではないんですけれども、かなり多くの乗客が乗っていました。

 さらに、バスにおきましては、中国では、乗客六十八人乗ったバスから二十四人の新型コロナウイルス感染者が出たという例もあります。マスクをしていない乗客がバスに乗って、さらに新型コロナウイルスに感染していれば、バス内で大勢の乗客に感染させる可能性というのもあります。

 さらに、バスは高齢者も乗りますけれども、若い人も、若年層も乗ります。若年層の方、感染リスクまた重症化リスクは低いとも言われていますけれども、自己免疫疾患を抱えている場合は見た目的には分かりません。今回の場合、このバス路線は大学病院の路線でありまして、多くの患者さんが乗るバスの路線でもありました。そうでありますと、乗った中に重症化リスクがあった人がいるやもしれなかったことも容易に想像がつきます。

 このような集団感染の可能性や乗客のことを考えますと、大きな基準、政府と厚労省の基本的な感染基準というのももちろん分かるんですけれども、もう少し具体的な対策というのも考える余地、必要があるんじゃないかと思いますが、見解を伺います。

住友政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症対策、この必要性につきましてはバス事業者も十分認識をしているところでございます。

 それで、バス事業におきましては、政府の基本的対処方針を踏まえ、日本バス協会が、感染防止のために講じるべき具体的な対策等を示すガイドラインを令和二年五月に策定をしております。

 各バス事業者におきましては、当該ガイドラインを踏まえまして、利用者に対しマスクの着用等の感染防止対策を徹底するよう協力を呼びかける等、適切に対策を講じているものという認識をしております。

田中(健)委員 令和二年ということで、最初のコロナが出始めたときのガイドラインであります。そこから二年半たって、いろいろな科学的知見もまた様々な事例も、今私たちの手元には経験としてあります。

 ですから、今回のバス対応にしても、国交省からの、飛行機はありましたけれども、バスに対する見解というのはありません。是非、感染症予防ガイドライン、各業界ごとに示していると言いましたけれども、現場からは、マスク着用に関するガイドラインも具体的に示していただければという声も上がっています。

 国交省と、今回でいえばこのバス業界との間で、どのような話合いが今進み、また進めていく予定なのか、伺います。

住友政府参考人 お答え申し上げます。

 我々国土交通省とバス業界でのどのような話合いがというお尋ねでありましたけれども、本年十月に政府方針として、業種別ガイドラインの見直しを促進することが示されたことを受けまして、国土交通省から日本バス協会に対し、当該方針をお伝えしているところでございます。これを踏まえて、現在、日本バス協会におきましてガイドラインの見直しを行っているものと承知をしております。

 国土交通省としては、バス車内におけるマスクの着用の取扱いが政府の最新の基本的対処方針を踏まえ適切に規定されるよう、このガイドラインの見直しについて助言等の協力を進めているところでございまして、ガイドラインの改正後には、日本バス協会と連携をして、バス事業者等にしっかり周知をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 水曜日の委員会においては、感染においての感染経路、エアロゾルや空気感染のお話もさせていただきました。また、それを防ぐためには、現在ではマスクの着用というのが大変に効果的であるということも、感染研の脇田所長からもしっかりと御説明を受けました。

 海外では今マスクをしていない人がいるんじゃないかという声も一部ではありますが、それは外でのことでありまして、日本では、屋外ではマスクをしないようにということもはっきり明示をしていますから、そう考えますと、日本の屋内でのマスク着用というものの考え方等を改めて徹底して考えるべきときにあるんじゃないかと思っています。

 例えば、ドイツでは、直近の秋冬の新型コロナウイルス感染症拡大のための感染予防法、九月に施行されたばかりですが、中身は、長距離鉄道やバスでのマスク着用義務が示されました、決まりました。義務というのは、私もちょっとやり過ぎというか、日本においてどうなのかというもちろん議論はありますけれども、ドイツでは義務となりました。十四歳以上はFFP2というかなり強固な対応マスク、さらに、六歳から十三歳も医療マスク、五歳以下は着用義務はなしというふうに、具体的に着用の方法というのを明記しています。

 現在、厚労省においては、通勤ラッシュでは、また人混みの中ではマスクを着用しましょうという感染症対策、チラシも作り、ホームページにも載っているのは分かっていますけれども、是非、こういった海外の例や最近の新しい見地を入れて、ウイルス対応のマスクの重要性というものを伝え、また、混雑した屋内公共機関や、今回のこういった公共交通機関でのマスクの徹底の実効性を持たせていくのかの議論というのを是非進めていただきたいと思っていますが、大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 今、いろいろ質疑で委員からも取り上げていただきました。

 マスクの着用、やはりこれは、国民の皆さんの理解を得た上で進めていくことが大変大事だと思っておりますので、そうした観点に立って、しっかりと周知を図っていきたいと思っております。

 屋内のマスク着用について、今お話があったように、距離を確保できない場合で会話を行うとき、通勤電車の中で距離を確保できないときに着用をこれは推奨しているということでありますので、屋外においては基本的にマスクを外していただいて構わないということを申し上げておりますが、是非、めり張りをつけて、場面場面に応じた適切な着用をお願いしたいと思いますし、また、先月の十四日にも、より分かりやすいリーフレットを作ったところでありますが、こうしたものをしっかり活用させていただきたいと思います。

 なお、海外においては、今御指摘のあったドイツでは義務化されたり、また他の機関においては、推奨している国、それぞれ、いろいろ、国々の事情によっても異なるというふうに承知をしておりますが、そうした海外の事例なども参考にしながら今後とも当たっていきたいと思っております。

田中(健)委員 是非、新しい科学的見地や様々な国の対応も参考にしてもらって、感染症対策、これから秋冬を迎えますので、徹底して取り組んでいただければと思います。

 以上です。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 今日は、まず、先日の参考人質疑で、感染研の脇田所長が地方衛生研究所について様々指摘しておりましたので、その点についてお伺いをしたいと思います。

 脇田所長は、感染研で研修等を行うと、毎回違った方が研修に来るとか、いつも経験がそれほど深くない方がいらっしゃるところもある、業務ローテーションがかかっているところで、感染症に専従している職員が少ない、こういう指摘をされておりました。

 専門的な人材が安定的に確保されて、専門性や技術がしっかり蓄積されていく仕組みを国と地方自治体が一緒になって考えていく必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 次の感染症に対して地方衛生研究所の体制をしっかりしていくということ、これは非常に大事であります。特に、地衛研においては、民間検査機関が体制を整えるまでの検査需要に応えるなど、様々な機能が期待をされているわけであります。

 これまでも、国としては、検査能力の増強を図るために、必要なPCR検査等の設備投資の財政支援、また、国立感染症研究所の試験検査の検査法の普及、検査手技の習得のための研修も実施をしているところであります。

 それについては、脇田参考人から、先ほど何か、人がころころ替わるというお話があったというのは、今御指摘をされたところかもしれません。

 現時点で具体的な支援措置は予定をしておりませんけれども、感染症対応に必要な機能の確保に向けた自治体の責務規定を今回の改正法で創設をさせていただき、また、連携協議会の設置や予防計画の策定によって、地方衛生研究所を含む検査体制について、自治体が地域の実情に応じて自らの責任において計画的に整備するための仕組みを盛り込んだところでありますので、こうした仕組みを活用して、自治体においてまさに計画的な整備を平時からも行っていただけるように、我々も努力をしていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 自治体に責務を課すわけですけれども、自治体の財政力という問題がありますから、そこに国がどう支援していくのかということが求められると思います。

 あわせて、脇田所長は、地衛研の体制について、設置基準がまだ明確ではないという問題もある、引き続き議論していただいて、しっかりとした設置基準で、こういった機能を持つべきだということを明確にしていただくことが必要だと指摘されました。

 ミニマムの設置基準や人員の配置基準、こういうものもしっかりと検討していくべきなんじゃないでしょうか。

加藤国務大臣 ここは前回も御議論させていただきましたけれども、平成九年の地方分権推進委員会の勧告というものがございますので、それを踏まえて、具体的な基準、地方衛生研究所の設置基準や人員配置基準などのような基準を設けることは予定をしておりませんが、地方衛生研究所の体制整備の在り方については、実態調査や有識者の議論などを踏まえ、地域保健法に基づく基本指針あるいは関係通知等の中で技術的な助言として示してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 技術的指針じゃなくて、やはりちゃんとした法的な裏づけを持って、配置基準、設置基準を設けてほしいというのが感染研の所長の側からの要望ですから、そこはやはりしっかり踏まえていただきたいと思うんですよね。

 この委員会でも何度か議論がありましたけれども、法的な組織としての地衛研の位置づけについても、脇田所長からは、今回は入っていないわけですけれども、引き続きやはりこれは議論してほしいんだという強い要望が示されておりました。今回の法改正では不十分だというのが感染研の脇田所長の思いだと思うんですよね。

 そこは改めてしっかり政府内で、この脇田所長の御発言も踏まえて、御検討いただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今回の改正法案で、地衛研について、その果たすべき機能等を規定するという形を取らせていただいたのは、先ほど申し上げた平成九年の地方分権推進委員会の勧告に基づいているところでございます。

 しかし、他方で、次の感染症危機に備え、感染初期の検査、変異株のサーベイランスなどの重要な役割を担う地方衛生研究所の体制強化を図ること、これは重要だというのは私どもも認識をしておりますので、引き続き、そうした体制強化に向けて努力をさせていただきたいと思いますし、また、地方衛生研究所を含む地方自治体の検査体制の計画的な整備、これについても、先ほど申し上げたように、後押しをさせていただきたいと思っております。

宮本(徹)委員 ですから、私が聞いているのは、脇田所長は、今回の法改正にとどめずに、さらに、今後も、地方衛生研究所を組織として法的に位置づける、この議論も続けてほしいということをおっしゃっているんですね。これでおしまいなんですか、地衛研の位置づけというのは、今回の法改正で。

 脇田所長が言っていることというのは、私は、もう一回政府として再検討するに値することだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今回の改正を出すときには、まさにその勧告との関係で、ぎりぎりの調整をして出させていただいたというのが今回の対応でございます。

 ただ、脇田所長は、まさに現場としてのそうしたニーズがあるということでありますから、今後とも、現場のニーズ、これをしっかりと受け止めながら、先ほど申し上げた、様々な、勧告とか、いろいろな要件はありますけれども、最大限その実現に努力をさせていただきたいと思います。

宮本(徹)委員 勧告そのものには、地衛研を法的に位置づけちゃいけないという文言が入っているわけじゃないですからね。自治体に求めるものは必要最小限ということになっていますけれども、その必要最小限の中に地衛研は入っていくべきなんじゃないかというのが、今回の感染症対策を踏まえての現場の強い思いだと思いますので、そこは更に検討をお願いしたいと思います。

 保健所についてもお伺いをしたいと思います。

 今回、IHEATだとか支援の体制が盛り込まれました。保健所では、御存じのとおり、公衆衛生医師が足りない、全国で一割を超える保健所長が複数の保健所長を兼任、兼務しているという状況がございます。

 また、保健所の人員体制もこの間、強化するという措置が図られておりますが、なお保健所長会からは、絶対的な人員不足でメンタルヘルスの悪化につながっており、専門職、事務職の職員が増員できるよう財政支援を求める声が上がっております。

 また、私どもがおります東京では、例えば多摩府中保健所の担当エリアは六市で百万人、多摩小平保健所では五市で七十三万人ということで、東京市長会からも保健所の新設を求める声が上がっているわけでございます。

 大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、この公衆衛生医師の確保、保健所職員の増員、保健所の新設、こうした現場の声にしっかり応えていく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今般の新型コロナ対応においても、感染拡大の中で保健所機能を維持していくために、保健所で感染症対応業務に従事する保健師の恒常的な人員体制の強化、業務逼迫時に備え、保健師等の専門人材が保健所等業務を支援する仕組み、いわゆるIHEATの構築、さらには、今般の改正案では、保健所設置自治体に、感染症有事に備えた人員確保や育成など体制整備を含む予防計画の策定を義務づけるなどを盛り込んだところであります。

 保健所設置自治体が、健康危機管理の拠点として、今言った人員確保等々を含め保健所の体制整備を計画的に実施できるよう、地方自治体の声も頂戴しながら、我々としても必要な支援を検討していきたいと考えております。

宮本(徹)委員 財政支援を含めてしっかりと取組をお願いしたいと思います。

 検疫法についてお伺いしたいと思います。

 コロナパンデミックで、隔離、停留に応じていただけなかった例というのは何例あったんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 コロナパンデミックで検疫措置はどういう運用をしていたかということですけれども、まず、陽性になって患者となったという方は、症状に応じて、例えば、宿泊施設での療養を要請するというケースもありますし、一定の症状がございましたらとなると宿泊施設での療養が困難になりますので、医療機関での療養が必要になる、そう検疫所長が判断した場合、措置としては隔離措置となります。

 停留措置につきましては、感染のおそれのある者に対して居宅等での待機を要請し、待機要請に協力が得られない場合等に、同じく検疫所長が停留措置という形での運用でした。

 こうした運用をしている中で、委員御指摘の隔離や停留に応じなかった事例について、網羅的には把握しておりませんが、実例として、例えばほかの病気をお持ちで、その方の療養の確保の観点から結果的に居宅等での待機に切り替えたですとか、また、一旦停留等を拒否して宿泊施設等から出られた、だけれども、丁寧に説明を行った結果、最終的には停留等の措置に応じたケースといったケースは実際にはございました。

宮本(徹)委員 何例あったのかというのは把握していないわけですけれども、そういう例もあるということでございます。実際、応じなかった場合でも罰則はかけてこなかったというのが前回の答弁だったというふうに思います。

 ですから、応じなくても罰則はかけないという運用でやっている以上は、罰則をかける人がいたら逆に、法の運用として大変恣意的な、不公平な面も生まれかねないということだと思うんですね。ですから、私、前も言いましたけれども、やはり刑事罰そのものを外していくということも考える必要があると思うんですよね。

 とりわけ、水際対策ということを考えた場合に、これは極めて大事ですけれども、水際対策そのものというのは、いつかは突破される、時間稼ぎだということで、この間のコロナについても対応してきたと思うんですよね。いつかは突破されるものについて刑事罰を科すというのは、私は大変バランスを欠いている対応だというふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。

佐々木政府参考人 お答えします。

 国内の感染症対策における水際対策の役割は、先ほど委員も御指摘いただきました、感染症危機の発生に際して、国内に常在しない感染症が流入することを防ぎつつ、国内における感染症対策の体制を整備するまでの時間を確保ということになります。

 このような国内の感染症対策における水際対策の重要な役割、これも委員御指摘いただきました、この重要な役割を踏まえますと、その実効性を可能な限り確保する必要があると考えております。刑事罰による担保がその結果として必要になると考えております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の対応の初期において、検疫官からの指示に従おうとしない入国者に対して、刑事罰の適用もあり得ると告知したことで指示に従った事例もある、これは先週の委員の御質問に対しても御紹介した事例でございますけれども、こうしたことを考えますと、刑事罰には法違反に対する一定の抑止力があるものと考えております。

宮本(徹)委員 抑止力が働くのはそのとおりだと思いますけれども、ただ、水際というのは、やはりどういうルートからか分からないですけれども、どこかからは突破されるわけですよね。それが刑事罰が科されるということになったら、やはりその人が責められる立場になってしまうわけですよね。私は、そういう考え方でいいのかなというのは大変疑問だということを申し上げておきたいと思います。

 あと最後ですけれども、今回、履行確保措置にペナルティーというものが入りましたけれども、病院名の公表だとか、特定機能病院あるいは地域医療支援病院の承認取消しというのは誰の提案で入ったんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 感染症に対応する医療機関の在り方につきましては、本年六月の有識者会議取りまとめにおきまして、危機時に実際に病床を確保するための対応や地域で個々の医療機関が果たす役割が具体化されていなかったことや、医療機関の協力を担保するための措置もなかったことなどが指摘をされているところでございます。

 これも踏まえまして、本年六月十七日と九月二日の政府の新型コロナウイルス感染症対策本部において、協定の仕組みを創設することや、今御指摘いただきました都道府県知事の勧告、指示、公表、そして特定機能病院などの承認取消しなどの履行確保措置を設けることが決定されたところでございます。

 さらに、関係審議会におきまして、これらの内容を含む感染症法等の見直しについて御議論いただいて、御了承いただいた上で、今般の改正案を提出したというところでございます。

宮本(徹)委員 経過を述べていただいたわけですけれども、その経過の中で、病院名公表だとか特定機能病院の承認の取消しだとかというのを一体誰が提案してこういうものが出てきたのかということをお伺いしたいんです。最終的にそうやって確認されたのは分かりますけれども、どこから出てきた提案なのかなと思いまして。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策本部において先ほど御紹介したようなことが決定されたわけでありますけれども、こういった決定をするに当たりましては、当然、関係省庁、また私ども厚労省の方でもいろいろな中身を検討した上で決定したということでございますので、そういった検討の中で入ったということで御理解いただければありがたいと思っております。

宮本(徹)委員 ということは、厚労省の事務方からの提案で入ったという話なんですかね、これは。ちょっとその辺は後でまた、時間になりましたから、後でお伺いしたいと思いますけれども。

 以上で質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文と申します。

 今日は、感染症法の改正に関しまして、前の議論の続きも含めて質問したいと思います。

 私は、感染症法の改正に伴いまして、協定を締結した医療機関で予防計画を立てていて、有事に備えて準備、そして有事に実践していくということがあるわけでございますが、その中で、量と質のことを訴えていまして、質に関して、特に医療を担う医師やナースのシミュレーション研修等々、そういったことを言ってまいりました。

 大臣、私のこの答弁に対して、お答えいただいた案件があるんですけれども、それは、昨年、議員立法で通りました病院船の活用についてでございますけれども、そのことについて改めて聞きたいと思います。どうでしょうか。

加藤国務大臣 ごめんなさい、何を病院船で活用するのか、ちょっとよく分からなかったんですが。

仁木委員 病院船を、そういった感染時の治療等、あるいは診察含めた、医師あるいは看護師、いわゆる平時の診療スタイルとは全く違う環境、そして患者さんに対して、そういったシミュレーション研修あるいはシミュレーションでのそういうありようというのは非常に重要だと思うわけですね。

 大臣が答えていただいた後の質問も今してしまいますが、そういう中で、どういう備品がそこで欠落しているのか、どういうことがあったらいいのか、そういうハード面でのことも、専門家がそこに入って、あるいは、日々、場合によったら、そういった治療を、今、有事でなくても近い診療を行っているスタッフが入れば、何が不足しているのかという、より、他の科、今まで経験していない方が、そういった病院船なる、平時の自分がいない医療機関でそういった有事の治療、診療を行うときに非常に有益になると考えるわけでございまして、そういう中で、病院船を造るかどうかという議論があるわけでございまして、そういうのをもし造った後のことを大臣に答弁いただきたいということでございます。

加藤国務大臣 まさに、病院船をどうするか、どういう形で造っていくのか、またどう活用するのか、これは今、内閣官房を中心に議論されていると承知をしておりますが、そうした中で、仮に、病院船が、持つのか、使えるようになったのか、そのときにどう活用するかという中で、今委員御指摘のように、感染症に関する人材育成の研修の場として活用できないかということなんだろうと思います。

 それも当然一つのアイデアだというふうに思っておりますので、今申し上げた船舶活用医療推進本部設立準備室がございますので、そこともよく連携をしていきたいと考えております。

仁木委員 ありがとうございます。

 医療というのは、前もこの場でも申し上げましたが、ふだんルーティン的にやっている環境とは違う状況でする際というのは非常に、ルーティンでやっていることが当たり前にできても、その場ではできなくて、結果的に患者さんを不幸な結果におとしめることもあるわけでございまして、逆にそういった有事の対応という意味で、いかにシミュレーションの実践、研修が大切かということを強調しているわけでございます。

 例えば、これは一例で、私の地元で、徳島大学の整形外科の教授が、国立競技場に、ラグビーの国際親善試合があって、メディカルサポートということでいて、実はこの時期でございますから感染症を見据えて待機していたわけですけれども、競技場のメディカルルームを、中を見て唖然としたそうです。もう何もないと。何もないというのは、例えば、酸素も窒素の配管もない、あるいは救急カートすらない、そういう状況ですね。

 今、皆さん、私はここでもAEDの普及の話をしましたが、やはりいろいろな、世の中が変わって、今までなかった医療機器、従来は病院の中でしかなかったような、例えばパルスオキシメーターみたいなものが今、市民権を得ています。

 ですから、この感染症法の意味というのは、あくまでも有事を想定して、そのときにより多くの方が限られた資源をどのように使っていくかということを推進する、そういうメッセージもこの法案には含まれていると思うわけでございまして、ですから、私は、そういったシミュレーションというのは非常に重要でございまして、特に、有事の際に、予防計画にのっとって、そういった実際に治療なり、診療なり、検査なり、感染症対策を最前線で行う方々の、そういったいわゆる登用ですね、そういったシミュレーションの場に行く。

 これは、地域のそれぞれ二次医療圏でもあると思うんですね。自分の病院にあるものが、ほかの病院に。これは、応援する体制もこの法案に盛り込まれていますよね、違う医療機関に応援に行くとか。そういうことでいうと、やはり、いかにそういった体制を、専門家が、あるいはふだん感じている人が、新しいハード面での整備とかいうことにもアドバイスしていく、そして、結果として、国がそういったことを設置するのにサポートする。これは医療備品もそうだと思いますので、そのことも、大臣、重要だということを御理解いただきたいと思います。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさに、いかに有効に研修をしていくのかということなんだろうと思いますので、そういった意味において、おっしゃったシミュレーション研修というやり方もあろうかと思います。また、先ほどあった病院船とか様々なものを活用して研修をしていく。

 今般の改正案においても、都道府県が策定する予防計画の記載事項として、感染症の予防に関する人材の養成と資質の向上を盛り込んだことであり、研修などを通じて医療人材の育成に取り組んでいくこととしておりますので、そういった意味において、どういう形で進めていくのか、都道府県において質の高い人材育成が行われるよう、我々としても働きかけをしていきたい、また取組を進めていきたいと思います。

仁木委員 今回の感染法の改正は、例えば、感染症に特化した、例えば今までなかった医療技術あるいはテクノロジーの進歩で、例えばセルフメディケーションという形で、簡易な形で国民が自分の状態とかを、例えばアナログからデジタル上に報告できるようなシステムもあります。

 ちょっと回りくどいですけれども、例えば、今、時計を着けるだけで自分の心電図がネット上に上げられたり、あるいは、ちょっとそういった器具を装着するだけで、ウェアラブル端末というふうな表現が今あるわけでございますけれども、血糖値が、あるいは将来的に尿酸値が分かったりとか、あるいは、心電図的なことを言いましたので、心拍数とか分かったりするわけでございまして、そういったことのいわゆる分野の、経済的にいっても、国がそういうことを推進していったら、日本が世界に先駆けてそういったものを製造して、また販売して、あるいはそういうことを活用した医療を展開している、ハイブリッドな医療を展開できる国になっていくとも思うんですね。

 ですから、今厳しい状況ですけれども、例えば、初期はマスクが足りなかったりしました、あるいは防護服も、いろいろな、仰々しいものもありましたけれども、日本人特有の、そういった現場からの経験を得て、新たな工夫を凝らして新しいPPEを作るとか、そういったことで、日本がまた、特に、そういったいわゆるハイクオリティーでなくて、ロークオリティー的なと言うのは問題ですけれども、ちょっと簡易な医療機器とかいうものでございましたら、サプライチェーンなるものを、製造拠点を国内にまた戻すことも可能だとも思っておりますので、大臣、今回の改正法の中にもこういった医療機器の確保、安定確保という文言もありますので、そういうことも併せてお願いしたいと思います。

 もう一点、予防計画の中で申し上げたいのは、これは医師の働き方改革にも関係するんですが、例えば、クラスターが出てしまったとかいう医療機関、あるいは、クラスターが出る前に、ドクター一人が感染したけれども、その人が主に重症感染者を診ていた医療機関等が出たとします。そういうところに別の医療機関から応援に行くときの場合、いろいろな、感染したドクターの健康状態もありますけれども、なかなか元の現場に復帰されないと、派遣されていった先に滞在して仕事をする時間が厳しく、長くなってくると思うんですね。そういうときの働き方改革との兼ね合いでいいますと、今、医師の働き方改革は、日直とか当直とかそういったことがいろいろ問題にもなっていますけれども、大臣はそのことに対してはどういうふうな、経済的以外で、労働基準法等々にのっとって、どういうふうにお考えでいらっしゃいますか。

加藤国務大臣 他の医療機関からの応援が必要になった場合には、各都道府県において医療人材の派遣調整等を一元的に行う体制を構築したほか、感染が拡大している地域の医療機関等に対して、公立・公的病院の協力を得て広範、広域的な応援体制を行うとともに、都道府県、看護協会等と連携し看護師の応援派遣の調整を図ることなど、これまで対応してきたわけであります。

 これらを踏まえて、今回の改正案においては、あらかじめ人材派遣に関して協定を締結し、まずは県内で人材の融通を行う。その上で、都道府県内で人材の確保が難しい場合には、他の都道府県の応援をしていく等の規定を設ける中で、迅速かつ広域にわたって医療人材の派遣について調整を行うこととしているわけでありますが、都道府県と各医療機関との間で締結する協定においては、御指摘の応援に行く人材の費用も含め、協定の履行に要する費用の負担について盛り込むこととしており、具体的な都道府県知事と各医療機関との協議の中で決定していくことになるというふうに思います。

 また、広域的な医療人材派遣の仕組みに関し、医療現場で混乱が生じることがないように、協定の協議の中で、身分や処遇なども含めた派遣に当たっての諸条件を明確に確認をしていただくということ、そして、国、都道府県と医療機関、地域の医療関係者で平時から準備を行い、派遣される医療人材の労働環境を含め、受入れ体制が適切に確保されるよう取り組んでいきたいと考えております。

仁木委員 ありがとうございます。

 それで、あと、DX、医療DXの話をしていきたいと思いますけれども、私も先般は沖縄のOCASの話をさせていただきましたが、今日もこの議論がありました。リアルタイムでベッド状況、そして空き状況だけではなくて、実際に重症化した患者さんを診ることのできるマンパワー、体制がリアルタイム、その時々で整っているかどうかを把握した上で、先ほどは、消防庁の方ともコラボして、いわゆる救急車の受入れを含めた搬送体制にも活用していくという話が議論の中でありました。

 それも含めてなんですけれども、実は、デジタルを推進する上で一番大切な、一番というか、すごく大切なファクターが、要素があります。それは何かというと、入力なんですね。アナログという、あるいは起こっている事象を誰がネット上あるいはデジタル上に入力していくかということは非常に重要でして、過去には、電子カルテの導入で実際の診療スタイルが変わりました。最初は端末ばかり見て患者さんの話をよく見ないとかいうドクターもいましたけれども、慣れてきて変わったんですけれども、それでも、やはりメディカルクラークとか、そういう方々が重要です。

 例えば、感染症が本当にひどい、ひどいというか、重症なもので、疾病分類一、今の二類もそうでございますけれども、そういうふうな現場に行って、例えばドクターの入力も、場合によったらメディカルクラークが担うべきだと私は考えます。実際、PPEですね、防護服を脱いで、一々、今の状態では端末に手入力する。口頭で入力できるような、そういうソフトも最近ありますが、手入力で入力して、それが電子カルテに残っていくということになると思うんですね、実際。

 さっき言った受入れ体制の状況も、今のベッドの状況、マンパワーを把握して、そういうところでネット上にリアルタイムでそういった情報を入力していくスタッフが要ると思います。ただ、そのスタッフも、やはり感染症とかに対する知識と経験がなければ、あるいは病院の中、いろいろな動きがあるんですね。看護師、ナースの動線上に、そういう邪魔するような形で立っているようなスタッフでは、幾ら入力がうまくても、それは診療に影響が出てきます。

 だから、そういう経験ということ、そしてまた知識ということ、そういうことを踏まえると、今、メディカルクラークに対する診療報酬の方もある程度見ていただくようになりましたが、まだまだ足りないと思いますし、そういった分野にもこれから人を育成していくということは大切だと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさに、医療というのは様々な、もちろんお医者さんは中核になりながらも、様々な皆さんによって提供されていくわけであって、それは感染症においても同様なんだろうと思います。そんな中で、今言った事務的なスタッフの方々が貢献する度合いというのも、今委員御指摘のとおりだろうというふうに思っております。

 ですから、全体として、この人員を、今回は感染症ということでありますけれども、それに対する人員を確保し、また養成をしていくに当たっては、先ほど申し上げたように、当該担当医師、感染症対応の医師だけではなくて、いろいろな役割を持っている方々がおられるわけですから、そうした方々がそれぞれ、その資質が上がっていけるように、能力を向上していただけるように、研修等をしっかりしていくということが必要であろうと思います。

仁木委員 いい御回答、ありがとうございます。

 そういう意味で、これからやはりそういった医療の分野のDXを推進されるということでございますので、そういった人材のことも常に見据えた上での、例えば診療報酬とか、いろいろな形をこれから、あるいは育成を踏まえて、取り組んでいただきたいと思います。

 ちょっとこれは、現場の話からちょっと離れまして、先ほど来出ておりますベンダーロックイン現象に象徴されるベンダーの話でございますけれども。

 先ほども私の地元で、私も勤務したことのある病院、徳島県の病院のランサムウェアソフトの被害というかハッキング、あるいはそういったサイバー攻撃等々の事案がありまして、大阪でも救急の医療機関で発生したというふうなことも出ていました。

 こういったセキュリティーというのは、本当にデジタル社会をつくる上では国民が一番危惧することですし、実際、それに頼り過ぎると、医療が回らなくなったりとか、国家的危機にもなるというふうに思っています。

 そういうことで、そういった人材の育成は、特にベンダーとも日々、例えば情報交換をしながら、国としては、こういった電子カルテの利活用を進めていくんだとか、そのためにはこういったセキュリティー、あるいはこういった被害が海外的にもあるから、対応をそのベンダーの方にお願いしますとかいうことをですね。先ほど来、価格の適正化ということが出ていますけれども、そのことはもちろんです。価格の適正化というのは、初期導入だけでなくて、そういう意味で見るとメンテナンスもで、非常に医療機関における大きなウェートになってくると思いますので、ベンダーロックイン現象も踏まえながら、医療の現場でのDXを、特に厚労省においても、そういった人材をですね。

 やはり特殊な分野のソフトというかシステムだと思います。医療とつくだけで、電子カルテとつくだけで非常に高いことがありますし、そういう意味で、今回も、例えば医療機関で、薬機法の改正で、来年四月から紙から電子処方箋に変わりますが、それに伴う、いわゆる本人確認、顔認証システムの導入。

 ただ、大臣、例えば訪問診療とか重要だと思うんですね。そういうところのものは、私が前、レクを受けたときは、抜け落ちていたと思いますし、あんな大きい端末を、カードリーダーはちっちゃいんですけれども、端末を持って一緒にその現場に行くのかということもありますし。

 それで、今回の感染法においても、サポート医がいますけれども、対面診療という原則の医師法も、場合によったら、医療DXの推進において、医師法の改正もしていかなきゃいけないような気もしますけれども。

 ちょっと、いろいろ、多岐に質問しましたけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさに、ちょっと多岐にわたっているので、どういうふうにお答えしていいか。

 ただ、おっしゃっている方向性、また、進むべき道というのは、そんなに私と変わっているわけではないなと思って一つ一つ聞かせていただきました。

 ただ、一方で、これを進めるときに大事なのはセキュリティーでありますから、先般も、先ほど、病院において乗っ取られるというような話もございました。そういったものに対する対応をしっかり行っていく。

 厚労省においても、全部厚労省でできませんので、これに対しては、民間の力もかりるという仕組みもつくって、今回、そちらに委託をして、出ていただくとか、こういったやり方。あるいは、全体として医療DXを進めるに当たっては、やはりデジタル庁というのをつくったわけでありますから、そこともよく連携をしていく等々、我々は、進むに当たっても、いろいろな方々の御意見をいただきながら医療DXを進める中で、そして、最終的には、それによってよりよい医療が国民の皆さんに提供できるように取り組んでいきたいと考えております。

仁木委員 最後に、感染症も含めた疾病分類の位置づけのことについて言及したいと思います。

 今のこのオミクロン株の広がり、確かにまだ継続はしておりますし、一部では第八波の危惧もありますが、先ほど来、マスクの着脱のこともありました。ただ、私は、その位置づけを行う組織というか、これを新しい、例えば総理も言われております日本版CDCの中に組み入れて、そこで、あくまでも科学的根拠に基づいてやる。

 そして、私は、これは午後からの総理に対しても質問しようと思いますけれども、そこで決まったことは、かなりの権限を持って、政策という形で反映されるような組織にしていっていただきたいと思いますし、その上では、そこを構成する人は、例えば今の厚生労働省感染症部会のアドバイザリーボードのような形の非常勤という形ではなくて、常勤である。そこで、例えば医師免許を取ったり、薬剤師になったり、あるいは、いろいろな研究者がそこでずっと、私は、僕は、研究者として、あるいはそういったミッションを背負いながらその機関で働きたいというふうな、そういった、アメリカのCDCの話は前回しましたけれども、本当にそういうふうなすばらしい組織になって、感染症の分類も含めて、これは国民生活が変わりますので、本当にそのことを最後にお願いして、私の質問としたいと思います。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

三ッ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより内閣総理大臣出席の下、質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。堀内詔子君。

堀内委員 自由民主党の堀内詔子です。

 本日は、貴重な機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。

 新型コロナウイルス感染症による未曽有のパンデミックに際し、我が国は、医療人材、病床、医薬品、医療物資などの確保、そしてまた保健所の逼迫など、多くの分野で全力を尽くしてまいりました。

 そして、この度の法改正はコロナ禍で得た教訓を生かして形にしたものでございますが、平時から有事に備えるための医療体制について協定の仕組みを法定化しているその狙い、そして、法改正後に国民の命と健康を守るための万全な危機管理体制をどのように描いていくか、総理の御決意を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今般の新型コロナ対応に際しまして、特に初動対応において、医療機関の迅速な医療確保、そして入院調整、病床確保の困難さ、また保健所業務の逼迫、医療物資の不足、こうした課題があり、やはり平時から、感染症危機管理の重要性、これが浮き彫りとなりました。

 これを踏まえて、平時から、予防計画に沿った医療機関との協定の締結、保健所機能や検査体制の強化、また機動的なワクチン接種の実施等について政府としてその枠組みを法定化し、そして、流行の初期段階から速やかに機能する保健医療提供体制の構築を図ることを目的とし、今回の法改正を行うこととしたものであります。

 こうした仕組みを通じて、国民の命やそして健康を守るため、次期感染症危機に万全を期していきたいと考えております。

堀内委員 この度の法改正には、情報基盤の整備や機動的なワクチン接種に関する体制の整備も含まれています。接種券の仕組みを始めとするデジタル化の取組も盛り込まれているところでございます。

 私自身、ワクチンの接種担当大臣として三回目のワクチン接種を推進する上で大きな課題の一つであったのは、接種券だと思っております。このいわゆる接種券、ワクチンを接種する上で、しっかりと首長様とオンラインで会議をする中で、接種券の配付が順調なところはワクチン接種も順調に進んでいたということを実感しております。この経験から、接種券のデジタル化の必要性を痛感しているところでもございます。

 将来の感染症有事に備えて予防接種事務のデジタル化は急務ですけれども、一方で、住民記録などの関連する事務が総合的にデジタル化されなければ、自治体において有益に使えるものとはなりません。予防接種事務のデジタル化については、厚生労働省でなく、デジタル庁そして総務省などが連携して進めていく必要があると思いますが、省庁横断的な取組の実効性をどのように確保するのか、お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 予防接種を受ける国民の利便性、さらには自治体、医療機関等の事務負担の軽減、こうしたことを目的として予防接種事務のデジタル化を進めること、これは重要であると認識をいたします。

 このため、本年六月に閣議決定いたしました令和四年デジタル社会の実現に向けた重点計画に、政府として、マイナンバーカードを活用し、予防接種事務全体のデジタル化を進める方針、こうした方針を盛り込んだところです。

 その際に、実際の事務の実施主体であります自治体のシステムとの連携、これが必要であり、デジタル庁を中心に、自治体の基幹業務等のシステムの統一、標準化、これを進めているところです。

 政府としては、こうした方針の下、厚生労働省のみならず、おっしゃるように、デジタル庁あるいは総務省、こうした関係省庁が連携して、予防接種事務全体のデジタル化の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

堀内委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道です。

 新型コロナウイルスを含め、感染症に強い国をつくることは、政治の責任であります。特に、感染症との戦いにおきまして、公衆衛生の向上と並び、最も重要なのがワクチンと治療薬であります。我が国を真に感染症に強い国とする上で、ワクチンや治療薬を国内で開発し、生産できる体制を構築することは、極めて重要であると考えております。こうした中、国内メーカーの治療薬が緊急承認に向けて今月中に再審査に入ると報道され、大いに期待をしているところでもございます。

 さて、日本経済新聞の報道によりますと、二〇二一年の日本の医薬品の貿易赤字は初めて三兆円を超えるとありました。また、世界の製薬企業と日本の製薬企業の研究開発費を比較しますと、国内で一位の製薬メーカーは世界では十五位、トップテンには一社も入っていないという状況であります。世界トップの会社は、日本の一位の会社の三・四倍、世界十位の会社でも、日本の一位の会社の一・五倍の研究開発費を投じております。私どもは、この現実を正面から受け止め、あらゆる観点から官民一丸となって取り組まなければならないと考えております。

 総理、日本は感染症対策で世界をリードすることを目指すべきではないでしょうか。新たな感染症が蔓延した際に、迅速にワクチンや治療薬を確保することができれば、国内はもとより、他の国々の感染症対策にも大きく貢献することが可能となります。

 国内での治療薬やワクチンの開発、生産体制の構築に向けた総理の御決意をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 国産のワクチン、治療薬の開発については、公明党からも度々御提案をいただいておりますが、政府としても、国内で開発、生産できる体制を確立しておくこと、これは極めて重要であると考えており、医療に関わる経済安全保障にもつながるものであると考えております。

 新型コロナワクチンに関しては、これまでに、AMEDによる研究開発に関する支援や、厚生労働省による生産体制整備に関する財政支援、こうしたものを行っております。

 次の感染症危機を見据えたワクチンの開発、生産については、ワクチン開発・生産体制強化戦略に基づいて、AMEDに先進的研究開発戦略センターを設置する、また、九月には、デュアルユースのワクチン製造拠点などを決定する、また、十月には、世界トップレベル研究開発拠点を開始する、こうした体制を通じて、体制の強化を進めていきたいと考えております。

 そして、治療薬についても、有力な治療薬の我が国での実用化に向けて重点的にこれまでも支援をしてきたわけでありますが、次の感染症危機に対する治療薬についても、引き続き、厚生労働省、AMEDによる研究開発支援、これは続けてまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 この度の法律案は、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、国民の命及び健康に重大な影響を与えるおそれのある感染症の発生及び蔓延に備え、発生の初期段階から効果的な対策を講ずることができるよう、保健医療提供体制を構築するために必要な見直しを行うものであり、早急に成立させなければならないということを私からも強調させていただき、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 総理、よろしくお願いいたします。

 それでは、感染症法、それからまたコロナ対策について総理に御質問をいたしますが、その前に、この国会の喫緊の課題であります旧統一教会の被害者救済、これについても御質問させていただきます。

 まず、その要であります与野党協議会、その与野党協議会での議論、被害者救済法案に対するその議論が、残念ながら難航しております。そして、与党は、被害者救済の新法を先送りすると発言をされています。しかし、総理もよく御理解のとおり、消費者契約法改正だけではほとんどの被害者の方は救済をされません。そして、被害者の方たちは待ち望んでおられます、この新法を。

 是非、この被害者救済の新法を先送りすることなく、今国会で成立させるべきと考えますが、岸田総理のリーダーシップの下、これをやっていただきたいと思いますが、是非お答えください。

岸田内閣総理大臣 まず、与野党協議会につきましては、政党間の議論でありますので、政府としてコメントは控えなければならないのかもしれませんが、本協議は重要であると考えています。また、議論が進むこと、政府としても大いに期待をしております。

 先延ばしするという正式な発言があったというふうには承知はしておりませんが、是非、議論、これは行っていただきたいと思っております。そして、政府としましても、その与野党協議での議論、これを参考にしながら、将来に向けての被害発生を防止し、救済を容易にするための必要な法制度の見直し、これを進めていかなければなりませんし、今、進めているところであります。

 いずれにせよ、速やかに検討を行い、準備ができたものから臨時国会に提出をしていきたいと考えております。

 また、被害の救済に向けて、関係者の皆さんからもお話を聞かせていただく、こういった場も是非持たせていただきたい、このように思っております。

早稲田委員 総理、できることからということですと、消費者契約法の改正だけにとどまってしまう可能性もございます。そうではなくて、ほとんど救済されないこの改正だけでなく、新法で、是非、マインドコントロール、これが課題となっているわけですけれども、マインドコントロールによる悪質献金、これを規制しなければ何の意味もないんです。お分かりのとおりだと思います。だからこそ、この新法を臨時国会で成立をさせられるのは、やはり、総理の御決断次第だと私は思っております。

 是非、聞く耳を持つ、そして被害者の方に寄り添う総理ですから、その決断をしていただきたい。もう一度お答えください。この新法についてお答えください。

岸田内閣総理大臣 先ほどもお答えいたしましたが、政党間の協議が続いている中で、政府としてコメントすることは控えますが、この議論は重要であると認識をしており、そして、議論の行方を見ながら、政府として、できる法制上の対応、これを準備し、この国会にできたものから提出をしていきたい、このように思っています。

 そういった姿勢で、与野党の協議、しっかり注視していきたいと、政府でも思っております。

早稲田委員 それでは新法についてのお答えにはなっておりません。是非、新法、これをやっていただかなければ、被害者の方たち、待ち望んでおられます。総理に期待をされています。ですから、私はそれを代弁して申し上げているんです。総理もお分かりだと思います。

 そして、今おっしゃったとおりに、被害者の方にもお会いしたいとおっしゃっておられました。そのことについてですが、いつお会いになりますか。もう二週間ぐらい検討されています。

 私、実は、今朝、被害者のお嬢さんという方にお会いをいたしました。一億円以上、悪質献金をお母様がなさってしまって、そして、そのお嬢さんでありました。大変ショックを受けました。こんな巧妙なやり方で、マインドコントロールで人をそうやって詐欺的な行為でやっていく、そうしたことに私は憤りを覚えています。

 是非、総理も一日も早く会っていただけたら、その思いに寄り添える。十一月十一日からは東南アジアへの外遊が入っています。是非来週にもお会いになっていただきたい、そのことを切にお願いをしたいのですが、総理、来週にも会っていただけますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、与野党協議の中身については、今具体的に私の方から申し上げるのは控えると申し上げております。是非、その協議に期待をしております。その中身を政府として注視をし、政府としてできることをできるだけ早く行っていきたいと思っています。

 そして、被害者の方に会うということでありますが、これは従来から申し上げているように、お会いいたします。そして、具体的にどの方にどういった形でお会いするのか、これを今調整をしております。来週までにということでありますが、来週までに、できるだけ早い時期にそういった場を調整したいと考えております。

早稲田委員 今、来週までに調整をしたいとおっしゃっていただけました。是非、仮名でございますが、小川さゆりさん、そして橋田達夫さんなどの被害者の方にお会いをいただきますよう、そして、じかにその壮絶な実体験を聞いていただけましたなら、きっと、この臨時国会で新法をやるべきと、そういう総理のリーダーシップをやっていただける、そして決断をしていただけると私は信じておりますし、全被害者の方がそういうふうに期待をされていますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 それでは次に、主題でありますコロナの対策であります。

 これは、午前中も様々議論がなされましたが、残念ながら、第七波では効果的な対策がされておりません。そして、その挙げ句に、助かる命が助からなかった。新規感染者数も、死亡者数も、それから医療難民数も過去最多ではないですか。そこを是非変えていただくために、教訓にしていただきたい。

 自宅等でコロナ陽性で亡くなった、警察庁の調べによりますと、三年間で三千二百三人です。そして、最多が令和四年、今年の八月の八百七人であります。これが最多なんです。それを思えば、やはりこれは対策が、そしてまた、私は一番その根幹は、医療につながらなかった、国民皆保険でありながら、そのかかりつけ医という定義さえもしっかりとしていない。これから中島議員がおやりになると思いますが、そうしたことも含めて、私は医療につながらないようなことがあってはならないと思いますので、総理におかれましては、今回、第八波、これは間違いなく、もうひたひたと寄せております。もう始まっているとも言えるかもしれません。

 昨日は、東京都でも六千六百八十六人の感染者、そして、三日間連続で全国では六万人以上の新規感染者であります。それを見ても待ったなしの課題でありますから、感染症法の改正はなさいますけれども、それも施行時期も遅いし、今回のインフルエンザにはとても間に合わない。そして、その中では対策は出していただいていますが、六十五歳未満の方は、基本、医療にかからずに御自身で検査をし、そしてやってくださいという運用になっておりますが、本当にそんなことがかなうのか、私は大変心配です。

 ですから、もっとオンライン、それから、かかりつけ医の方にも、それから医師会にも御協力をいただく、そういうスキームを政府が司令塔となってやっていただきたいと私は強く望んでおりますが、総理のお考え、お聞かせください。

岸田内閣総理大臣 幾つかまとめて御質問いただいたと受け止めておりますので。

 まず、今年の夏の状況については、多くの方が感染し、そしてお亡くなりになられた、このことを重く受け止めて、改めてお悔やみを申し上げる次第であります。

 その上で、今年の夏については、三年ぶりの、行動制限を行わない、こうした夏を過ごし、多くの国民の皆さんの協力によって生活となりわいを支えることができた、こうした面もあったと受け止めております。

 こうした、この夏に向けて、政府としても昨年の十一月に示した全体像に基づいて体制をつくってきたところでありますが、これから先に向けて、政府としても、引き続き、国、自治体とも連携しながら対応しなければならない。その際に、インフルエンザとの同時流行に備えた対策、これをしっかり示して、重点的な医療体制の確保を進めるわけですが、その際に、御指摘のように、重症化リスクの高い方だけではなくして、そうでない方も必要なときに必要な医療につながることができる、こうした発熱外来等の拡充、健康フォローアップセンターの拡充、こうした取組もしっかり進めることで国民の安心につなげなければならない。十一月中にはこの体制の整備、自治体に完備するようお願いをしている、こうしたことであります。

 是非、これまでの経験もしっかり踏まえながら、これからの感染にも政府として責任を持って体制を用意していきたいと考えております。

早稲田委員 これから発熱を診ていただける先生たちを増やしたいということをおっしゃっていただきました。そして、それはいろいろな計画にも載っていますけれども、実際のところどうなのかということなんです。

 これは、私どもの鎌倉それからまた逗子などでは、医師会の先生方の御協力によってオンライン診療も、それから医師会の御協力でどんどん増えておりますけれども、やはりこれは地域偏在があります。そして、オンライン診療についてもまだまだ進んでおりません。そうしたことも踏まえて、これは、自宅療養と、それから第七波では非常に、高齢者施設、こちらでも亡くなる方が最大になりました。そこを踏まえていただくと、やはり、もっと高齢者施設にも町の先生方が行っていただけるような、そういう支援も含めてやっていただかないと、こうしたことがまた、インフルエンザで更に、二重の感染でもっと重症化するかもしれない。大変心配なことです。ですから、ただただ数を、これだけ増えましたということではなく、その中身を見ていただくように、国としては、厚生労働省としてもチェックをしていただきたいと私は思います。

 例えば、発熱外来をやっていますという先生方、増えました、確かに。でもそれは、午前中の一時間であったりそういうこともあるし、一週間に一度だけという外来もあるわけです。そういうことがないように、是非、総理の方でも、司令塔として、国がそのスキームをつくっていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。

 それから、参考人質疑の中で、沖縄県の保健医療部長糸数氏に御説明をいただきました沖縄県のOCASというシステムによる入院調整の仕組み、これが大変有効であります。それぞれ各県でもいろいろな仕組みを持って運用はしておりますけれども、この仕組みは、いわゆる入院の病床だけでなく、そこで働く方たち、働く方たちが今回はたくさん感染をされた、そういうときに、人員が少ないわけですね、そういうことも全て入力をして、でも、その入力方法は簡単なんです。申し訳ないけれども、HER―SYSのような複雑なものではないんですね。だからこそ、これを全国に広めていただきたいと思います。

 それも、全国でできるようなことによって、もっと、病院の調整、それからまた、救急搬送で百件もたらい回しになるようなことがないと私は思いますので、是非、救急搬送にもこれをつなげていただける、非常に単純な入力の運用だと聞いておりますので、そこも、政府として全国展開をしていただけますよう私からはお願いしたいので、総理の御見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の沖縄のOCASですが、これについては、県内の重点医療機関の受入れ状況や体制についての情報を一元的に管理、把握し、入院調整につなげる仕組みであると承知をしております。

 ただ、医療提供体制、これは地域の実情に応じて様々であることからして、沖縄県の仕組みをそのまま全国に展開するということは考えておりませんが、入院対象者の適切な調整は、重症者を始めとする入院治療が必要な患者が優先的に入院できるために重要であり、各地域における先進的な取組事例について都道府県へ周知を図っていく、こうしたことは政府として行っていきたいと考えております。

早稲田委員 以上です。第七波の教訓をしっかり生かしていただけますように、お願いを申し上げます。

三ッ林委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 中島克仁です。

 全て岸田総理にお尋ねいたしますので、明確にお答えいただきたいと思います。

 今、早稲田委員からも第七波の状況について過去最悪の状況だった、に対して、お悔やみを申し上げるとともに、なりわい、生活は維持できたと。私、総理、認識が、危機感が、やはり国民の皆様との間でずれているんじゃないか。

 改めてですが、資料、今日短い時間ですからお示ししましたけれども、資料の五枚目、警察庁の調べ、先ほど早稲田委員も言いました、いわゆる自宅で放置された可能性のある方、八月、八百七人、過去最高。HER―SYS上でも自宅と入力されている方百二十七件、過去最高、資料の六枚目ですね。

 そして、私も、現場、コロナ対応する医療現場、介護現場、もう大混乱ですよ。

 私は、これまでの教訓を生かせず、後手に回った結果、そして感染症法の改正も、昨年、総理、十月に所信の中で、医療資源の確保のための法改正を明言したにもかかわらず、司令塔機能の強化、感染症抜本強化も先送りした結果がこの第七波、非常に厳しい状況だったと。

 四月に、私との質疑で、また自宅放置死が発生したら、総理、責任取られますねというのに対して、総理は、今の法律の中、今の体制の中で、できることをして、そうした取組を進めることが政治としての責任とおっしゃいました。

 いや、私は、政治は結果責任だと思いますよ。そういう意味から、過去、教訓を生かせず、第七波で過去最大の犠牲者、自宅放置死、現場の混乱を招いた政治的責任、どのように認識されているのか改めて確認したいのと、この第八波、また季節性インフルとの同時流行の懸念、二度と自宅放置死を招かない具体的な取組内容をお示ししていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、オミクロン株が主流となった本年七月から九月までの感染拡大に際して、約一千百万人の方が感染し、一万人以上の方がお亡くなりになられた、このことについては、先ほども申し上げましたが、私自身重く受け止めておりますし、心からお悔やみを申し上げる次第であります。

 政府としては、この一年間、感染症対策と経済社会を動かしていく、この両立を図ることによって、国民の命とそしてなりわい、生活を守っていく、こうした方針で取り組んできました。そして、いわゆる第八波対策については、季節性インフルエンザとの同時流行も念頭に、これまで拡充強化していた医療体制、これに加えて、先月、発熱外来や電話診療、オンライン診療体制の強化による保健医療体制の強化、重点化策を取りまとめたところであり、都道府県とともに協力をし、万全を期していきたいと思います。

 オミクロン株の特性を踏まえ、地域における体制をしっかり稼働させるとともに、自宅でも安心して療養できる環境整備に努めていかなければいけないということで、検査キットのインターネット等での販売、あるいは健康フォローアップセンターの整備、体制強化、また、発生届の対象外の方々にも必要に応じて宿泊療養や配食等の支援が可能になるようにすること、こうした環境整備を進めているところであります。

 是非、こうした体制、国民の皆さんにしっかり周知をし、政府としてもこの体制を充実させていきたいと思っております。

中島委員 今述べられましたが、一番懸念するのは今の秋冬対策ですね。いわゆる同時流行タスクフォース、概要、いわゆる四類型。資料にもお示ししてありますが、八枚目ですね。四類型、小児、また妊婦さん、さらには高齢者、基礎疾患を持つ人以外の方は、感染流行時、この発動要件も明確でない。そして、発動範囲、発動権限自体も明確になっていない。

 総理、ちょっと真剣に聞いてもらいたいんです。

 第七波のとき、第五波、デルタ株とちょっと状況は違ったんですよ。すなわち、コロナにかかって受診ができない、そういう方が第五波ではたくさん出ましたが、逆に、第七波では、もちろん感染者が増えたせいもありますが、そうじゃない、コロナじゃない方が受診ができずに、そして病状が悪化して、例えば介護施設なんかでもそうですよ。延命措置はしないという意思表示があった、でも、発熱があって、家族にも、また嘱託医にも診られずお亡くなりになる方が出たんです。たくさん出たんです。そういう方も含めた自宅放置死を何とか防がなきゃいけない、そういう認識を、もっと、この秋冬対策、危機感を持ってもらいたいんです。

 本当に緊張感を持って取り組んでいただかなければならない中、一昨日、先ほど、午前中、小川委員からも御質問がありましたが、私驚きました、二十四日に辞任された山際大臣が、四日後の二十八日ですか、報道によると、自民党の新型コロナ対策本部長に就任をされたと。旧統一教会問題で覚えていないを連発して説明責任を果たせなかった山際前大臣ですね。政府対策本部の本部長は総理です。そして、与党・自民党の新型コロナ対策本部長が山際前大臣。密接な連携を取らなきゃいけない、こういう状況のときに、国民の皆さん納得できないですよ。

 改めて事実確認いたしますが、山際前大臣、自民党の新型コロナ対策本部長に就任することを総理が指示されたのか、そうでなければ、いつ、誰から知らされたのか、その際、総理は二つ返事でそれでよしとおっしゃったのか。事実確認させていただきます。

岸田内閣総理大臣 自民党の中の人事について、誰が決めたのか、いつ報告を受けたか、そうした御質問でありますが、そうした人事において、この理由ですとか、内容ですとか、それについて私の立場から今この場で申し上げることは適切ではないと思っております。

 いずれにせよ、党の人事においては、その人物のこれまでの経歴ですとか経験ですとか、そういったものを踏まえて総合的に判断したものであると承知をしております。

中島委員 それが危機感も緊張感もないと言っているんですよ。

 ここの委員会だけ見たって、田村元厚生労働大臣や橋本元副大臣、適任者たくさんいますよ。誰が見たってそうじゃないですか。なぜ、ああいう問題を起こして、覚えていないと連発をした、そして、この秋冬、本当に緊張感を持って取り組まなければ、また過去最悪の事態を招くかもしれない。政府・与党、政府・自民党、連携して、国民の皆さんにこの感染対策、緊張感を持たなきゃいけない中、こういう人事。そもそもコロナ対策も軽んじている、私はそのように見受けられますが、撤回して、替えるべきだと思います。田村元厚生労働大臣でいいじゃないですか。替えるべきです。替えてください。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げましたが、党の人事の判断について、私として申し上げることは控えます。

 しかし、党として体制を考える際に、その本人の経歴、経験、そうしたものを踏まえて判断したものであると考えております。

 そして、緊張感を持って対応するべきである、それはそのとおりであります。是非、政府・与党、組織として対応いたします。組織としてしっかり政府・与党、一体感を持って対応していきたいと考えております。

中島委員 言っていることとやっていることが全然違うと思いますし、こういう人事に対して自民党内からも異論が出ないのが緊張感が足りない、危機感が足りないということを申し述べて、質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、吉田とも代君。

吉田(と)委員 日本維新の会の吉田とも代と申します。

 本日は、岸田総理に質問機会をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回の感染症法改正案は、今回流行した新型コロナウイルス感染症を念頭に、新型コロナと同じような感染様式や同じ程度の病毒性の強さの感染症を想定して作られていると承知しています。

 しかし、もし仮に、致死率が三〇%とか五〇%以上にもなる感染症が表れ、指定感染症等に指定された場合も、当然、今回の感染症法改正案に従って、医療機関には医療の提供が義務づけられることが想定されています。これは、前回の私の質疑の際に厚労省の方から御答弁をいただいております。

 しかし、そのようなことが起こった場合には、その医療機関で働く医療従事者や職員の方に万が一のことがあった場合の補償は、都道府県だけでなく、政府として行うのでしょうか。

 都道府県と医療機関との間の協定の有無や医療提供の義務づけの有無だけではなく、そこで働く人を確保できるかどうかが重要なのだと思います。医療従事者や職員の方々は命を懸けて働くことになるわけですから、そういった場合の補償は、政府として、国として行うおつもりがあるのか、総理に御答弁を求めます。

岸田内閣総理大臣 仮に、お尋ねのような致死率の高い感染症が新たに発生した場合、まずは感染症の発生機序、すなわち、どのように感染するかのメカニズム、これを把握するとともに、感染防止策を周知することが基本になると考えます。

 その上で、必要な個人防護具が確実に確保されるよう、国において計画的な個人防護具の備蓄を推進するとともに、今般の改正案において、緊急時における必要な物資の確保について法的枠組みを整備することとしており、感染防止に最大限取り組んでいくことになります。

 そして、その上で、万が一、業務により感染症に罹患した労働者に補償が必要と認められる場合には、これは労災保険給付の対象になると考えます。

 いずれにせよ、対応に当たる医療従事者の方々が不安を感じることのないように、不安を少しでも和らげさせていただけるよう環境を整備する、こうしたことは重要であると考えており、政府として様々な支援は考えていきたい、こう思います。

吉田(と)委員 いろいろな状況が想定され得るわけです。それに対して、単に今回、新型コロナが起きたから、次はこう対応しようというだけではないでしょうか。今回のコロナ禍は、これまでの想定を超えたものですので、そういった程度の感染症についてあらかじめ定めておくことはもちろん重要です。しかし、この機会に、それ以外の本当の非常時というケースについても、頭の体操をしていくことはスムーズな対応につながると考えます。

 医療従事者の場合、コロナに苦しむ患者さんたちを救いたいという使命感、そして倫理観と、一方、家族の思いや社会からの目といったものの板挟みに遭うジレンマがあります。家族としては、使命感より、医療従事者自身の命、健康を守ってもらいたいという思いが先行するのは当然ではないでしょうか。そういった葛藤を乗り越えて、なお倫理観で働く方々への補償は、御本人の家族に対する責任感や少しばかりの安心感を与えるために必要なものと捉えます。有事に政令において定めるということですけれども、都道府県が行うだけでなく、国として、今から公務災害や労災などだけではなく十分な補償をつけるべきであり、今から議論を始めるべきと考えます。

 また、先日、私の質疑のおしまいに、このコロナ禍における医療従事者のメンタルヘルスの問題を取り上げさせていただきました。こちらで調べてみても、厚労省ではコロナ禍での心のケアというのはされていますが、これは全労働者が対象のものなのですよね。つまり、医療機関で働く方々向けというものは見つかりませんでした。どのような労働者もそれぞれ悩みを抱え、また、そこに上下の差はございませんが、この問題はコロナが発生してからずっと存在し続けています。金銭的な補償もありますが、精神的な負担軽減も大きな要素です。是非こちらも御配慮をお願いしたいと思います。

 では、続きまして、次に、感染症対策に関わる政府の組織体制についてお伺いします。

 マスコミ報道によりますと、本年九月二日に開催された新型コロナウイルス感染症対策本部で、新型コロナや次のパンデミックに備えた方針がまとめられたとのことでした。

 その方針の中には、感染症に対応する組織の体制強化策も盛り込まれています。まず二〇二三年度には、仮称ですが、内閣感染症危機管理統括庁と呼ばれるものが内閣官房に設置され、二〇二四年には厚生労働省健康局にも、これも仮称ですが、感染症対策部が設けられるということです。二〇二五年度以降には、現在の国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合する新しい専門家組織、これを恐らく日本版CDCというんだろうと思いますが、こちらをつくるということです。

 そもそも、これだけたくさんの新組織をつくるというのは、現在の体制では何ができないと判断されてつくられるのでしょうか。逆に言えば、新しい組織をたくさんつくれば、今までと違って何が新たにできるようになると想定されているのでしょうか。岸田総理の御答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘の本年九月の政府対策本部の決定に先立って、本年六月に、新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議が報告書を取りまとめております。この中で、感染症危機に迅速的確に対応する上で、行政の縦割りを排し、各省庁が一体的に取り組むための司令塔機能を整備することなどが課題である、こういった指摘が行われています。

 この指摘を受けて、委員御指摘の九月の政府対策本部の決定につながっているものであり、その中で、御指摘のように、内閣感染症危機管理統括庁、そして、厚生労働省においては感染症対策部を設置する、そして、専門家組織を一元化して日本版CDCを設置する、こうした見直しを行う方針を決定した、こうしたことであります。

 こうした有識者会議の指摘を受けて、政府として一体的に、そして縦割りを排して司令塔機能を発する体制をつくる、こういった問題意識でこうした取組を進めているところであります。こうした取組を進めることによって、総合的な視点で迅速的確に感染症危機に対応することが可能になると考えている次第です。

吉田(と)委員 結局、組織を新たにつくったり改編したりすることにどのくらいの意味があるのかということだと思います。例えば、がんの分野や循環器病の分野で司令塔をつくりましょうとか、組織を再編しましょうとか、そんな話は聞いたことがないかと思います。結局のところ、医師を含めて、感染症に関する専門家が少な過ぎることが問題なのではないでしょうか。司令塔の不足ではなく専門人材の不足だと考えますが、そのような認識は持っておられるでしょうか。

 今申し上げた認識の有無と、今後、大学医学部等で感染症を研究し、教育を行い、実践する体制整備が必要だと思うんですが、そのような計画があるのかどうか、岸田総理の御答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、専門人材の必要性につきましては、委員御指摘のとおりだと思っております。

 感染症対応の専門人材としては、患者の治療に当たる感染症専門医等のほか、感染拡大防止対策を行うための感染管理の専門家、感染症の疫学情報を分析する専門家、また、行政の中においても、感染症対策を行う人材など、幅広い人材が求められると認識をしております。

 今後、先ほども質疑の中で出ておりましたが、新たな専門家組織として日本版CDC創立に取り組むことになるわけですが、専門家人材の育成、確保も重要であり、大学における感染症の診察や感染制御に関する教育実習環境の整備、また教育プログラムの充実を進めるとともに、関係学会などの協力も得ながら、更なる専門人材の確保そして育成、政府としてもこの在り方について考え、そして取組を進めていきたいと考えています。

吉田(と)委員 これまで、コロナ対策では、医療体制やワクチンなどの政策は厚労省が担い、また経済に関連する政策というのを内閣官房が担当してきましたけれども、ワクチンの三回目接種をめぐっても、開始を早めたい官邸と、そして供給量不足や接種期間を短くする根拠が薄いことを懸念する厚労省で足並みが乱れることがあったかと思います。たとえ内閣感染症危機管理庁が発足しても、指揮命令系統、政策決定の場として明確な司令塔とならなければ、縦割り行政のままです。また、厚生労働省とただの連携になってしまえば、責任の所在も明確でなくなり、意思決定が遅れることにならないかと危惧をいたします。

 現在、感染情報というのは自治体の保健所に集約されています。コロナ緊急事態宣言、休業要請などの発令もめぐって、政府と自治体の意見の食い違いから不協和音が生じました。自治体との連携も重要である中、その点においても、今回の施策には課題があるのではないでしょうか。

 政府が中心となって、今後を担う感染症の知識を持つ研究者の育成、つまりは大学との連携や、また研修などに取り組み、感染症と社会政策と両方の知識を兼ね備えた人材、またその方向性を共有できる環境をつくっていくべきだと考えます。組織の肥大化、屋上屋とならないようにお願いをしたいと思います。

 私からの質問は以上でございます。ありがとうございます。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いいたします。

 十月二十八日に新型コロナウイルスの感染症対策も入った総合経済対策、閣議決定したばかりであります。総理は、物価の見通しに関して、電気・ガス料金の負担軽減策などで消費者物価上昇率を一・二%ほど押し下げるという効果があると試算に言及しました。一方、鈴木財務大臣は、財政出動による需要が喚起されて物価を押し上げるのではないかといった心配をする向きもあるというふうに述べています。第二次補正予算案が何を目指して、何を目的として、どういう向きに向かうのかといった認識が政府内で違うんじゃないかというふうに言われています。

 今、生活が大変苦しいです。第二次補正予算、これから審議が始まるかと思いますけれども、まず総理の考え方を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の総合経済対策ですが、世界的な物価高騰、また景気減速、こうした経済の下振れリスクに万全の備えをするとともに、物価高、円安への対応、そして構造的な賃上げ、成長のための投資と改革、これを重点分野として、日本の経済を再生する、こうしたことを目的としております。その中で、特に、物価高への対応、その主要な要因であるエネルギーと食料品に絞って政策を盛り込んでいる、こうした対策であります。

 そして、委員の方から、財務大臣の発言、考えと矛盾しているのではないか、政府の方針が統一されていないのではないか、こういった御指摘がありました。

 財務大臣の発言は、財政出動の規模が大きくなればなるほど、マクロ的な需要と供給の関係の観点からは物価の押し上げ効果がある、こうした一般論を認識として明らかにしたものであると認識をしています。これはもう一般論として、そういった考え方はあります。

 しかし、その上で、政府としては、この経済対策の規模については、経済の下振れリスク、世界的な様々な要因があります、こうした下振れリスクにもしっかり対応しつつ、需給ギャップを解消し、そして賃上げを伴う形での成長を目指す、こういったことを考えますと、内容はもちろん大事でありますが、この対策の規模についても考えなければいけない、こうした観点から内容と規模を決定した、こうしたことであります。

 よって、財務大臣と政府の方針が矛盾しているということではないと認識をしております。

 御指摘の点も踏まえて、政府としましては、この経済対策の狙いを国民の皆さんに丁寧に説明しながら、この対策の成果を国民の皆さんに届けるよう努力をしていきたいと考えております。

田中(健)委員 また規模、中身については予算委員会でしっかりと議論をしていきたいと思っています。

 次は、マイナンバーカードについてです。

 マイナンバーカード、乳幼児の話が出てきました。五歳まで顔写真が不要だと。出生届の提出と同時にマイナンバーカードの手続を完了させるという方向を示したと仄聞しています。これは事実上の義務づけじゃないかというような声が上がっています。そういう認識でよろしいんでしょうか。

 法律上は取得は任意だと言いながら、他方では、保険証を廃止するから取得が必要だと今迫っていますし、カードがない場合はどうするんだという委員会の質疑の中では、カードを持っていない人でも保険診療を受けられる制度を用意すると、総理発言がありました。マイナ保険証に例外なしと河野大臣がおっしゃったこと、もう次々と崩れてしまっています。

 このような、はっきりしない、場当たり的とも思えるような対応が、マイナンバーカードや政府の信頼を損ねているんじゃないかと心配をしています。このマイナンバーカードと保険証の一体化、このままでいいのかということで、総理の考えを伺います。

岸田内閣総理大臣 まず、マイナンバーカードの取得、これを義務づけるものではありません。

 国民の皆さんにマイナンバーカードで受診していただくことで、健康医療に関する多くのデータに基づいたよりよい医療を受けていただくことが可能となるなど、カードと健康保険証の一体化には様々なメリットがあると考えます。そのメリットをより多くの国民、関係者の皆さんに早く届けるように、カードと健康保険証の一体化を進めるため、令和六年秋の健康保険証の廃止、これを目指しているということであります。

 その際に、マイナンバーカードは国民の申請に基づき交付されるものであり、この点は変更する予定はありません。したがって、義務づけるものではないと考えておりますし、また、健康保険証の廃止に向けては、カードの取得の促進を徹底することが重要であり、全ての方がカードを持ち得るよう、取得率が低い乳幼児に対するカードを含め、カードの交付手続や様式の見直し、これが必要であると考えています。

 広く国民の声を踏まえた丁寧な検討を行うために、関係省庁による検討会、これを設置し、令和六年秋に向けて円滑に移行が進むよう、環境整備を進めていきたいと思っています。

 そして、紛失等、何らかの事情により手元にカードがない方についても保険診療が受けられるよう制度を用意する必要がある、こうしたことは申し上げました。様々な例外的ケースについても、検討会で環境整備を行うこととしております。

 丁寧に、きめ細かく政府としては対応し、説明することによって、国民の理解を得ていきたいと思っています。場当たり的な対応という御指摘は当たらないと考えております。

田中(健)委員 時間でございますが、出生時にマイナンバーを作るということは事実上の義務づけだと捉えられても仕方ないと思いますが、これから検討会をつくるということで、私たちもしっかりとその中身をチェックし、また提言していきたいと思います。

 以上です。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 総理に伺います。

 統一協会系の機関紙世界日報、十月三十一日付の一面に、統一協会問題をめぐる地方議会の記事が出ております。

 大見出しは、共産主導の徹底調査意見書、相次ぎ否決、自民本部の指針、地方と乖離と書いてあるんですね。

 リード文、聞いてください。

 全国の多くの地方議会で、旧統一協会と地方議員らとの関係断絶や更なる調査、追及などを求める意見書が日本共産党の主導により提出されたが、自民党議員らの反対多数で相次いで否決されている。一方、自民党本部は同教団や関係団体との関係を厳に慎むよう地方組織にも周知し遵守を徹底する方針だが、地方の事情との乖離もある。

 この記事の最後も読み上げます。

 同教団への対応をめぐって、来年四月に統一地方選を控える所属議員らの間でも濃淡があり、党本部の指針、ガバナンスコードに新たに盛り込んだ、組織、団体との責任ある関係を地方に徹底することは容易でなさそうだ。

 これは、統一協会系の機関紙の一面に書いてあるわけですね。

 総理、この間、私たちは何度も総理に、自民党の地方議員について調査すべきだということを求めてきましたが、総理は応じてこなかった。その総理の甘い姿勢が統一協会から見透かされているということじゃないんですか。

岸田内閣総理大臣 まず、ここでは内閣総理大臣としてお答えしておりますので、自民党の方針について申し上げることは控えなければならないのかもしれませんが、御質問いただきました、御指摘の点を申し上げるならば、自民党において、既に各議員それぞれが旧統一教会との過去の関係を八項目に分けて詳細に点検、報告をし、新たな接点が判明した場合は、その都度、追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たない、これを徹底する、この方針を明らかにしています。

 大切なことは、未来に向かって関係を絶つことです。そのために、今御指摘がありました、党としまして、ガバナンスコード、この改定をし、そうした方針を徹底するとともに、党所属の国会議員がこれを遵守することを担保するための、照会に対応する体制など制度を整備する、こうしたことを明らかにした次第です。

 そして、その対応、そして方針について、十月二十六日、党所属全国会議員及び全都道府県連に通知をした。これを地方議員に対して徹底をしていくということを申し上げています。

 無理だろうというお話もありましたが、党としては、今申した方針を地方に向けて徹底するべく、組織としてしっかりと地方との対話を行っていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 その方針を見て、統一協会の側は、いやいや、自分たちが選挙支援を通じて自民党の地方議員と築いてきた関係はそんな簡単には切れっこないよとたかをくくっているんですよ。だから、機関紙にこんなことを平気で書いているわけですね。

 私の地元でも、脱会者に聞きましたら、統一協会の礼拝堂の中で選挙はがきを書いているんですよね。そういう証言も得ております。選挙はがきが礼拝堂にどんと積まれていた、こういう話も聞いているわけですよね。

 ですから、岸田総理が本気で統一協会との関係を絶つというんだったら、ガバナンスコードを周知するというだけじゃなくて、ちゃんと地方議員も含めて調査して公表する、これが必要なんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 自民党の基本的な方針については、先ほど申し上げたとおりであります。しっかり点検を行った上で、その接点が明らかになった場合は、説明責任を果たし、未来に向けて関係を絶つということであります。これをどう徹底するのか、党として様々な具体的な制度を用意している、これを地方にどこまで徹底させるか、これが問われているんだと思います。どうせ無理だろうなどという声にしっかりと応えられるように、自民党としても体制、徹底していきたいと思っています。

宮本(徹)委員 ですから、党としての責任ある調査を地方議員までしっかりやっていく、その姿勢がないから、統一協会の側に、ある意味なめられるような記事を書かれるということに私はなっているんだと思います。(発言する者あり)感染症法の問題をやれと言っていますけれども、もう一問だけ用意しておりましたけれども、時間が来てしまいました。

 前回申し上げましたけれども、主要な感染経路はエアロゾル感染ですから、徹底的に換気対策をやるのが大事ですから、そこにしっかり予算もつけて、取組をお願い申し上げまして、質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 岸田政権の推進するDX、私も、特に医療の現場でのDX推進論者でございますが、この行政的なデジタル化、デジタルというのはあくまでも手段でございまして、目的が大切です。このことは総理とも予算委員会の中で、デジタル化が進んだ日本、どういう世界が待っているのかということを話合いしたことがあると思うんですが、今回、医療DX、この感染症法にも大きく関係します。

 その中で、先ほども議論がありましたが、二〇二四年の秋以降、紙ベースの従来の保険証が原則廃止という中で、例外的な対象者のことも考えた上での対応をお願いしたいと思うんですね。例えば、海外にいらっしゃる日本人、あるいは病院に長期入院されている方や、介護施設にいて、例えば写真を撮って行政の窓口に行けない方とか、あるいは認知症の重い方とか、そういった方々を含めた対応、これに対して、私はしっかりとした広報、そして工程表を国民に広く示していただきたいというふうに思っております。

 総理、具体的にこれは私は提案なんですけれども、総務省にお願いすることになると思うんですけれども、これから本当に岸田政権がDX、特に、例えばマイナンバー登録を推進するときに、アウトソーシングの人材ではなくて、各自治体の役場とかにDXコンシェルジュみたいな、そういう専門的な人材を育成して、それで住民、国民に対峙して、どういう世界が、マイナンバーに登録すれば、利便性、先ほど総理も答弁されていましたが、どういうメリットがあるのか、そういうことをしっかりと手取り足取り説明して、また、登録、そして有効利活用できるようなことを進める人材を育成したいと思っております。

 そのことが一点と、もう一点は、これも改めて確認ですけれども、今後の利活用ですね。今政府が発信しているメリットというのは、余り国民に響きません。何か行政的に迅速になったり、行政的に効率よくなるということばかりなんですね。ですから、もっと、マイナンバーに登録することによって国民がメリットを感じるような政策、利活用を今後展開し、その情報を、私が先ほど申し上げたようなスキームで国民に伝えていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 マイナンバーカードと健康保険証の一体化については、関係大臣に、細部にわたり遺漏のないよう、また、国民の皆さんの理解が得られるよう、今後の工程を含め、詰めの作業を指示しているところですが、その中で、御指摘の例外的なケースについてもしっかりと対応を考える、こうしたことを指示しているところであります。

 そして、その周知につきまして、委員の方からDXコンシェルジュという御指摘がありました。この周知に当たっては、自治体におけるデジタル人材を確保しつつ、誰もがデジタル化の恩恵を享受できるために、今全国に展開するデジタル推進委員、デジタル田園都市構想を進める上でデジタル推進委員というのを今拡大しておりますが、今二万一千人まで人数が増えてきました。こうした方々を活用しながら、周知を徹底していくことをまず考えていきたいと思います。

 その上で、利便性の向上ということにつきましては、健康保険証の利用に加えまして、ワクチン接種の証明アプリ、各種行政手続の本人確認など、利活用シーンを拡大してきたところですが、今後とも、運転免許証との一体化やカード機能のスマートフォンへの搭載など、様々な利便性の向上を図ることによって、多くの国民の皆さんへの普及を加速化する、こうした取組は進めていきたいと考えております。

仁木委員 ありがとうございました。終わります。

三ッ林委員長 これにて内閣総理大臣出席の下の質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 ただいま議題となっております各案中、内閣提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 この際、本案に対し、田畑裕明君外三名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会及び公明党の四派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。池下卓君。

    ―――――――――――――

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

池下委員 ただいま議題となりました感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、第一に、政府は、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に係る医療の在り方について、科学的知見に基づく適切な医療の確保を図る観点から速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする規定を追加すること。

 第二に、政府は、新型コロナウイルス感染症に関する状況の変化を勘案し、当該感染症の新型インフルエンザ等感染症への位置づけの在り方について、他の感染症の類型との比較等の観点から速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする規定を追加すること。

 第三に、政府は、副反応に関する情報を含め、予防接種の有効性及び安全性に関する情報の公表の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする規定を追加すること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

三ッ林委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 感染症法等改正案に反対の討論を申し上げます。

 本改正案には、今後のパンデミックへの対応で必要な改善も多々含まれておりますが、幾つか看過し得ない問題がございます。

 第一に、病床や発熱外来などの確保のために都道府県と医療機関が結ぶ協定等の履行確保措置として、指示に従わない場合には、病院名の公表、承認取消しなど、重いペナルティーが設けられている点です。

 質疑の中で、このコロナ禍で、病床確保の要請に正当な理由なく応じない医療機関があったのか伺いましたが、政府の答弁は、でき得る限りの協力を医療機関はしていたとのことでありました。ペナルティーを設ける立法事実がないことは明らかです。

 また、与党議員からも、正当な理由の内容が不明確であれば、どのような協定不履行が許されないのか分からず、医療機関が協定締結に二の足を踏むことになりかねませんとの指摘がありました。しかし、政府は、正当な理由の例は三つしか示しておりません。これでは、ペナルティーの存在が協定締結や病床確保に逆に困難をもたらす懸念があります。病床確保等に必要なのはペナルティーではなく、財政支援、人員増であります。

 第二に、多くの野党議員から指摘がありましたが、本改正案では、流行初期医療確保措置に保険者の負担を求めており、感染症対策は公費で賄うという原則にもとります。

 第三に、本法案は、検疫措置について、居宅等での待機の指示を受けた者が待機状況の報告の求めに応じない場合には懲役又は罰金に処する刑罰を設けますが、重過ぎます。現にある隔離、停留に従わなかった場合の罰則も抑制的に運用して発動しておりません。国内の濃厚接触者への対応と比較しても、刑事罰を設けることは著しくバランスを欠きます。

 修正案については、記されている項目は当然の内容と考えますが、問題は、流行初期医療確保措置での保険者負担など、先ほど述べた本法案の基本的な問題点を修正する内容が何ら含まれていないことであります。この修正で本法案の成立を認めるわけにはまいりません。

 なお、状況が急速に変化している新型コロナ感染症の位置づけを不断に検討するのは当然のことですが、その際、専門家の意見をしっかり踏まえることが重要であることを指摘し、討論といたします。

三ッ林委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、田畑裕明君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ林委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ林委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 この際、本案に対し、田畑裕明君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。中島克仁君。

中島委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 本法施行までに相当の期間があることに鑑み、本法成立後、施行までの期間においても本法の趣旨を踏まえた感染症対策の全体的な取組の強化に努力し、当面する感染拡大に十二分に備えること。

 二 保健所設置自治体が予防計画を作成するに当たり、市町村の意見を十分に聴き、市町村の役割を明確にし、保健所の負担軽減につながる方針を示すこと。

 三 感染症危機時に確実に稼働する体制を構築するため、新型インフルエンザ等感染症等に係る医療提供体制確保等の協定が多くの医療機関との間で締結され、医療を必要とする者に確実に医療が提供されることとなるよう、地域における感染症医療提供体制整備に必要な支援を行うこと。

 四 新型インフルエンザ等感染症等に係る医療提供体制確保等の協定の履行確保措置を講ずるに当たっては、地域の実情に応じた適切な運用となるようにするとともに、協定に基づき履行すべき内容と履行確保措置のバランス、地域医療への影響等に十分配慮すること。

 五 流行初期医療確保措置が実施される期間について、保険者等の負担に鑑み、速やかな補助金、診療報酬の上乗せにより数か月程度の必要最小限の期間とすること。

 六 新興感染症から国民の命を守るため、医療機関の協力が不可欠な状況に鑑み、平時からの備えに対する必要な支援を医療機関の経営面にも配慮し講ずること。

 七 感染症危機に際しかかりつけ医等の地域の医療機関が可能な限り感染症医療を行うことができるよう、医薬品、個人防護具等の配布、治療方法の普及その他の必要な支援を行うこと。

 八 感染症医療に対応する医療機関が、感染症患者と当該患者のかかりつけ医との関係を把握し、当該かかりつけ医等の地域の医療機関との連携を確保することができるような方策を検討し、速やかに必要な措置を講ずること。

 九 地方衛生研究所について、本法の趣旨を踏まえ、法律上の位置付けを明確にしつつ、その体制整備等についての基本的な指針を地方公共団体に示すとともに、保健所及び地方衛生研究所の人員及び予算を確保し、試験及び検査、調査及び研究等のより一層の体制強化を図ること。

 十 感染症対策及び予防接種事務に関するデジタル化及び情報基盤整備に当たっては、情報の流出の防止その他の国民のプライバシー情報の厳重管理を徹底すること。

 十一 新型コロナウイルスの特性を考慮し、新型コロナワクチンの予防接種法上の扱いについて検討を行うこと。

 十二 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に苦しむ患者について、治療と就労を両立するための支援を検討し、速やかに必要な措置を講ずること。

 十三 新型コロナウイルスワクチン接種後の遷延する症状について、速やかに実態を把握し、病態の解明に必要な調査研究を行うこと。

 十四 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状及び新型コロナウイルスワクチン接種後の遷延する症状について、患者がかかりつけ医等の地域の医療機関での治療を受けられるよう必要な措置を講ずるとともに、その症状並びにその診断及び治療の方法に関する情報を収集し、整理し、及び分析し、その結果に基づき必要な情報を適切な方法により積極的に公表すること。

 十五 薬事承認制度が製薬企業からの申請に基づくものであることを踏まえ、製薬企業の研究開発支援、申請時の企業負担の軽減、治験等の手続の簡素化、企業相談の実施その他の製薬企業の薬事承認申請を促進する措置を講ずるとともに、緊急時における国主導による医薬品等の確保の仕組みを検討し、必要な措置を講ずること。

 十六 今回の新型コロナウイルス感染症対応を踏まえ、かかりつけ医の役割、新型コロナ患者の健康観察を行う主体の在り方も含め、「ウィズコロナ」下におけるあるべき地域保健医療提供体制について引き続き議論を進めること。

 十七 「ウィズコロナ」への移行を更に進める観点や教育的観点から、今一度、関係省庁とも連携して、国民がマスク着用の必要のない場面で、マスクを外す判断ができる環境づくりを進めること。

 十八 現下の新型コロナウイルスの特性を踏まえ、科学的知見等に基づき適切なマスク着用の基準の見直しを検討するとともに、その結果をわかりやすく国民に伝えること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

三ッ林委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ林委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、加藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力をしてまいります。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 次回は、来る九日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十九分散会


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