衆議院

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第10号 令和4年11月18日(金曜日)

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令和四年十一月十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      畦元 将吾君    石井  拓君

      上田 英俊君    柿沢 未途君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    新谷 正義君

      田村 憲久君    高階恵美子君

      土田  慎君    中曽根康隆君

      西野 太亮君    橋本  岳君

      長谷川淳二君    穂坂  泰君

      堀内 詔子君    牧原 秀樹君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      宮路 拓馬君    保岡 宏武君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      大西 健介君    西村智奈美君

      野間  健君    山井 和則君

      吉川  元君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      沢田  良君    吉田とも代君

      古屋 範子君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   文部科学副大臣      簗  和生君

   厚生労働副大臣      羽生田 俊君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     小林万里子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十八日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     中曽根康隆君

  塩崎 彰久君     石井  拓君

  土田  慎君     西野 太亮君

  三谷 英弘君     保岡 宏武君

  山井 和則君     吉川  元君

  遠藤 良太君     沢田  良君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     塩崎 彰久君

  中曽根康隆君     穂坂  泰君

  西野 太亮君     土田  慎君

  保岡 宏武君     宮路 拓馬君

  吉川  元君     山井 和則君

  沢田  良君     遠藤 良太君

同日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     高村 正大君

  宮路 拓馬君     三谷 英弘君

    ―――――――――――――

十一月十七日

 高齢者の命・健康・人権を脅かす七十五歳以上医療費窓口負担二割化中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一号)

 同(笠井亮君紹介)(第二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三号)

 同(志位和夫君紹介)(第四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八号)

 同(宮本徹君紹介)(第九号)

 同(本村伸子君紹介)(第一〇号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一一号)

 同(大島敦君紹介)(第一二号)

 同(大石あきこ君紹介)(第一九号)

 同(宮本徹君紹介)(第二〇号)

 同(森田俊和君紹介)(第二一号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第二三号)

 同(吉田統彦君紹介)(第五七号)

 てんかんのある人とその家族の生活を支える医療、福祉、労働に関する請願(白石洋一君紹介)(第一四号)

 社会保障制度改革に関する請願(吉良州司君紹介)(第三〇号)

 同(吉良州司君紹介)(第三一号)

 同(米山隆一君紹介)(第七六号)

 同(岩屋毅君紹介)(第一〇六号)

 じん肺とアスベスト被害根絶等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三二号)

 同(荒井優君紹介)(第三三号)

 同(笠井亮君紹介)(第三四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三五号)

 同(志位和夫君紹介)(第三六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第四一号)

 同(本村伸子君紹介)(第四二号)

 同(落合貴之君紹介)(第五八号)

 同(金子恵美君紹介)(第五九号)

 同(末松義規君紹介)(第六〇号)

 同(湯原俊二君紹介)(第六一号)

 同(吉田統彦君紹介)(第六二号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第六八号)

 同(堤かなめ君紹介)(第六九号)

 同(野間健君紹介)(第七〇号)

 同(道下大樹君紹介)(第七一号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(田嶋要君紹介)(第五六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部を改正する法律案(道下大樹君外十名提出、衆法第一一号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第9因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案及び道下大樹君外十名提出、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君、文化庁審議官小林万里子君、厚生労働省大臣官房総括審議官間隆一郎君、大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官堀井奈津子君、健康局長佐原康之君、子ども家庭局長藤原朋子君、社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。早稲田ゆき君。

早稲田委員 おはようございます。立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 それでは、障害者総合支援法等束ね法案についてまず質問をさせていただきます。

 大臣、そして政府参考人におかれましては、端的にお答えをいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 まず、この束ね法案の附則の第三条でありますが、国連から出された精神保健福祉法と医療観察法の廃止の勧告を踏まえて、精神医療に関する法制度の抜本的な見直しについて、精神障害者等の意見を聞きつつ検討を行い、必要な措置を講ずるという理解でよろしいでしょうか。大臣に伺います。

加藤国務大臣 本法案の附則第三条の検討規定は、社会保障審議会障害者部会の報告書の中で、本人の同意がない場合の入院の制度の在り方や患者の権利擁護に向けた方策等について、精神疾患の特性や障害者権利委員会の勧告についての障害者の意見等も踏まえ引き続き検討すべき課題とされた経緯を踏まえて、置かれているものでございます。

 九月に公表された障害者権利委員会の総括所見においては、障害者の非自発的入院は、障害を理由とする差別であり、自由の剥奪に相当するものであると認識し、自覚若しくは実際の障害又は危険性に基づく障害者に対する非自発的な入院によって自由の剥奪を容認する全ての法的規定を廃止することとされているわけでありますが、附則第三条の検討に当たっては、勧告の内容についても、精神障害者の方等の意見を聞きつつ、速やかに検討していきたいと考えております。

早稲田委員 今大臣から御答弁いただきましたが、将来的にこの強制入院の廃止も含みということで、速やかに検討していただくということで理解をいたしました。

 それでは、第八次医療計画、まさに今検討中でありますが、この非自発的入院の縮減について指標例を設けるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県が医療提供体制の確保を図るために作成をいたします医療計画につきましては、国が策定に必要な基本指針を定めることとしており、現在、第八次医療計画等に関する検討会において御議論いただいているところでございます。この中で、精神科における患者の権利擁護の指標として、隔離指示件数や身体拘束指示件数を追加することを御議論いただいているところでございます。

 一方、非自発的入院については適切に運用されることが重要であると認識をしており、今回の法改正における附則において、非自発的入院制度の在り方について必要な検討を講ずることとしているところでございます。

 一方で、非自発的入院の件数自体は、地域の医療提供体制の確保のための計画である医療計画の指標としてなじむかどうかなどについて慎重な検討が必要であると考えているところでございます。

早稲田委員 是非、非自発的入院の縮減についての指標例もしっかりと検討してやっていただきたいと要望させていただきます。

 それから、参考人質疑で、医療観察法の病床が当初予定されていた数よりも増えていると指摘がございました。その理由も、対象者が退院して社会復帰できないままになっているということでありますが、この社会復帰の仕組みが強化されるまで医療観察法の病床整備を凍結すべきではないかと考えますが、お答えください。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 医療観察法における退院許可の決定につきましては、病状等を踏まえまして、裁判所が個々の処遇事案に応じて行うものと承知しております。目標とされているおおむね十八か月の入院期間を超える場合であっても、いわゆる社会的入院との御指摘には当たらないと考えております。

 こうしたことを前提に、制度の趣旨を踏まえまして、医療観察法の運営に必要な医療提供体制を確保していくことが必要であると考えております。

 引き続き、制度を所管する法務省と連携しながら、対象者の社会復帰の促進に努めてまいります。

早稲田委員 当たらないということですが、きちんと社会復帰に向けた、その整備に向けてやっていただきたいということを要望させていただきます。

 また、附則第三条の、精神保健福祉法の規定による本人の同意がない場合の入院制度の在り方等の等の部分には、行動制限を始めとする、国連勧告で出されている様々な制度を含むと理解してよろしいか、大臣に伺います。どうぞ資料の一、二を御覧ください。

加藤国務大臣 本人の同意がない場合の入院制度の在り方等については、委員御指摘のとおり、身体的拘束等、非自発的入院に関する関連事項が含まれるものと考えております。

早稲田委員 是非、そこのところをしっかりと制度にも政策にも生かしていただきたいと思います。

 次に、続けます。資料の三でございます。

 地方財政措置による特別支援教育支援員制度で、自治体が雇用する学校介助員また補助員、こちらは人数が圧倒的に足りておりませんで、全ての時間で利用するにはほど遠い状況であります。

 医療的ケア児については、法律の制定で、看護師の配置が少しずつではありますが進んでおりますが、その他の重度障害児については、修学旅行、通学にも使えず、親の付添いが求められております。これは資料三の方も御覧ください。三、四でございます。そうしますと、親の介護負担ばかりでなく、本人の自立という意味でも大変に阻害する要因となっております。

 また、都道府県立の高等学校では、学校介助員制度がないところも少なくありません。進学の選択にも支障を来しております。

 是非、学校からの合理的配慮としての介助員が提供されない場合あるいは足りない場合に、せめて補完的にも、重度訪問介護等の障害サービスの拡充、つまりは対象年齢の引下げも必要と考えますが、大臣、御回答をお願いいたします。

加藤国務大臣 重度障害児者の教育の場における支援については、障害者差別解消法に基づく教育機関等による合理的配慮との関係なども踏まえ、障害分野による支援だけではなくて、教育機関等の役割を踏まえながら制度を運営することが必要であります。

 したがって、今おっしゃるように、不足をしているからといって直ちに重度訪問介護の対応を拡充するということではなく、各関係行政機関が連携して重度障害児者に対する支援、これをしっかりやっていく、そのことが大事だというふうに思っております。

早稲田委員 学校での合理的配慮が足りない場合、いろいろな連携とおっしゃいますけれども、それがなかなか進んでいない現状がありますので、是非、この重度訪問介護の拡充についても、年齢の引下げについても、やはり今ここで考えていくべきではないかと私は思いますので、是非御検討をよろしくお願いしたいと思います。

 それから、五番の資料を御覧ください。

 これは放課後児童クラブ支援事業でありますが、この放課後児童クラブのインクルーシブ化がなかなか進んでいない問題であります。この放課後児童クラブに通う障害児の送迎に関します福祉的支援の拡充、これが進んでおりません。是非、前に進めていただきたいと思います。

 ここに書かれておりますとおり、具体的には、実施市町村の僅か二〇%の放課後児童クラブ支援事業、これだけでは大変不十分だと思います。それについてももっと拡充をどんどん進めていただきたいと思いますので、御回答をお願いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブは、子供たちが安全、安心に過ごせる放課後の生活の場であり、障害の有無にかかわらず放課後児童クラブを利用できる環境を整えることは大変重要でございます。

 このため、障害児を受け入れるために必要な改修費、受入れ人数に応じた職員の加配に要する費用、学校とクラブ間の送迎などに対する補助を実施してございます。

 引き続き、放課後児童クラブのインクルーシブ化の推進に向け、国庫補助の活用も含め、利用者のニーズを踏まえた支援の実施を自治体に対して促してまいりたいと考えております。

早稲田委員 二〇%では本当に足りないんですね。お母さん方からも非常に強い要望をいただいておりますし、なかなか小さい児童クラブでは自前でできておりませんので、是非、支援の拡充を強く要望させていただきます。

 次は、小児慢性特定疾患患者についてでございますが、小児から成人後の継続した医療や、成人に対する各種自立支援策の連携について、強化そして確立を図っていただきたい。特に自立支援の実施に当たりましては、成人後の患者さん本人それから御家族の意見を聞き、その意向を十分に反映をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 小児期から成人期への移行期に当たります小児慢性特定疾患児童やその御家族等を支援するため、現在、就職支援や学習支援等を内容とする小児慢性特定疾患児童等自立支援事業の実施や、移行期医療支援体制の整備を行っております。

 また、今般の改正案の内容は、患者やその御家族等の代表が参画する関係審議会において御議論いただいたものでありますけれども、その中でも、自立支援事業につきまして、各地域の患者やその御家族がどのような支援を希望するかの把握を行う実態把握事業等を都道府県の努力義務として追加する見直しの御審議をお願いしております。

 患者や御家族の御意見を伺いつつ、引き続き、当事者のニーズに沿った支援の充実に取り組んでまいります。

早稲田委員 是非、小児から成人に移行するところの支援、それからまた、当事者の御意見を聞いていただくことによってもっと充実すると思いますので、自治体への努力義務になるということでありますけれども、拡充そして確立をしていただきたいということを申し上げておきます。

 次に、今回の難病法の改正案についてであります。

 厚生労働省からJPAへの八月の段階の説明では、指定難病者に交付をされております登録者証とマイナンバーの連携をすることについては一切説明がなかったと聞いております。もちろん二〇一四年の難病法成立の際にも、マイナンバー連携は行わないと説明を受けていたため、非常に当事者の皆様、関係者の皆様は驚きと不安が広がっております。

 連携により福祉や就労の支援が円滑にできるようになるメリットもある、可能性もありますが、その一方で、やはり疾患名による差別や偏見などがまだまだ社会にはたくさんあります。そういう中で、希少疾患や遺伝性疾患等への偏見、差別につながらないように十分に配慮をしていただく、当然のことであると思いますが、それと、個人情報の保護と安全管理措置、これを徹底して行っていただきたいと思いますが、御答弁をお願いします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 登録者証につきましては、患者団体等も参加する関係審議会におきまして継続的に検討いただいてきましたが、その際は、御指摘のとおり、マイナンバー情報連携による照会については御議論いただいていませんでした。

 一方、政府全体において、六月に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画に基づき、行政手続のデジタル化が進められることとなりました。このため、患者の利便性の向上や自治体における発行事務の負担軽減を図るため、登録者証をマイナンバー連携の対象としたものであります。

 この経緯につきましては、患者団体等の関係者に丁寧に説明してまいりたいと考えております。

 また、委員御指摘のとおり、登録者証のマイナンバー連携による情報流出等が要因で、疾病名による偏見や差別につながることはあってはならないことであります。登録者情報の内容には個別の疾病名の情報は含めない方向で、患者団体の皆様の御意見もよく聞きながら検討してまいりたいと考えております。

 また、あわせて、マイナンバーカードやその安全管理の仕組みについて、患者会の関係者に丁寧に説明してまいりたいと考えております。

早稲田委員 丁寧に説明してまいりたいというお気持ちがあるのであれば、六月にこういうことの方針が出たときに、なぜ八月に説明をされなかったのかということなんです。そこで不安が広がる、そういうことじゃないでしょうか。なぜそこで説明されなかったんでしょうか。

佐原政府参考人 我々として検討が十分できていませんで、大変御迷惑をおかけしたことを、御心配をおかけしましたことをおわび申し上げたいと思います。

早稲田委員 是非、疾患名はここには載せないということでございますけれども、そういう配慮をしていただくことを、これだけ今おっしゃったわけですから、実際の当事者の団体の皆様に早急にきちんと説明をしていただくということが重要ではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、難病法についてであります。

 現行の難病法は、療養生活の質の維持に必要不可欠である就労、就学環境の改善について規定がされておりません。その点、がん対策基本法におきましては、第四節で、がん患者の就労等と書かれておりまして、ここに大きな違いがあるのではないかと感じております。

 本来ならば、難病法にも、がん対策基本法のように就労、就学支援を記載すべきとは思います。けれども、次の法改正を待たずにでも、今、関連法等に基づいて、治療によって就労、就学を中断させられたりするようなことがないように、不利な扱いを受けることがないように、難病患者の特性を踏まえた総合的、一体的な就労、就学支援策を検討すべきではないかと考えておりますが、大臣に伺います。

加藤国務大臣 難病患者の皆さんが抱える課題は多岐にわたっております。地域、職場など様々な場面における生活を総合的に支援をしていくために、医療、福祉、雇用、教育等、各分野の支援を充実するとともに、相互に連携しながら難病患者の皆さんを支える仕組みを構築していくことが重要であります。

 都道府県等に設置されている難病相談支援センターに難病相談支援員を配置し、難病患者からの相談に応じるとともに、ハローワークに配置されている難病患者就職サポーターとも連携し、難病患者の特性に応じたきめ細かな就労支援等を行っているところであります。また、難病法に基づき各都道府県等が設置する難病対策地域協議会において、ハローワーク、教育委員会等の地域の関係者にも参画いただき、患者やその御家族のニーズを把握しつつ、各地域における各種支援策についての検討をいただいております。

 さらに、今般の改正案において、関係機関間の更なる連携を図るため、難病相談支援センターの連携先として、現行の医療機関に加え、福祉又は雇用その他の難病の患者に対する支援に関する業務を行う関係機関を明記をさせていただきました。今般の改正内容も含め、難病法において、がん基本法とのたてつけはもちろん異なっておりますけれども、雇用その他の関係機関との連携に関する規定は盛り込ませていただいたところであります。

 今回の改正を契機に、就労、就学支援策が、関係者の連携の下、一層取り組まれるよう、改めて、都道府県等の関係者に対し、その連携の取組が各地域で進むよう要請をしていくこと、また、国としても、難病患者の特性に応じた支援の充実を図っていくことについて、関係省庁間で連携の上、しっかり検討し、また対応をしていきたいと考えております。

早稲田委員 大臣から前向きな御答弁をいただきましたが、今おっしゃいました、難病患者就職サポーターも少ないんですね、とても。これも増員をもちろんしていただきたいし、今、自治体とも連携をして、関係機関で連携をする支援策を検討していただくということでありますので、是非これを進めていただきますよう心からお願いいたします。

 そして、一つの具体策でありますけれども、難病患者の就労環境の改善に、経済産業省の健康経営優良法人、この活用がもっと進むように、ハローワークでロゴが表示されておりますけれども、それだけでなく、厚生労働省が、求職者への周知、それから経営者への周知ということに努力をもっとしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 厚生労働省におけます求職者への周知につきましては、ハローワークにおいて、議員からも御指摘のありました、健康経営優良法人等の認定を受けた企業からの求人票にロゴマークの表示などを行っているところでありますけれども、更なる周知方法について、どのような対応が可能か、検討してまいりたいと考えております。

早稲田委員 ロゴマークの周知というよりは、こういう制度があるということをもっと、ロゴマークだけに頼らずして、厚労省が主体的に皆さんに周知をしていただくように、重ねてお願いをいたします。

 それから、国会請願で採択されておりますとおり、難病患者を障害者の法定雇用率の対象とすべきではないかという問題でございます。

 これは、難病患者の就職サポーターを増員するとともに、身分保障や処遇改善なども行って、質の向上を図るべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 難病患者の雇用率制度における取扱いにつきましては、本年六月に取りまとめられた労働政策審議会障害者雇用分科会における意見書におきまして、疾病ごとの個別性や治療の状況による個人差などを踏まえることなく一律に就労困難性があると認めることが難しいため、これに関わる調査研究等を進め、その結果等も参考に、その取扱いを引き続き検討することが適当とされております。

 これを踏まえまして、まずは、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構におきまして調査研究を進めていくこととしております。

 また、ハローワーク難病患者就職サポーターにつきましては、これまでも、配置数や勤務日数を増やすなど支援体制の強化をするとともに、必要な処遇改善に努めているところでございまして、引き続き、難病患者の個人の状況等に応じたきめ細やかな支援が行えるよう取り組んでまいります。

早稲田委員 今、調査研究をされているということですので、速やかにしていただきたいと思います。それから、サポーターについても、処遇改善していただいているけれども、まだまだ数的にも足りません。これは難病団体の皆様からもお聞きしていらっしゃると思いますけれども、前に進めていただきますよう、拡充をお願いしたいと思います。

 この項の最後でございますが、難病が障害者基本法には明記されておりませんために、障害者統計においても難病患者の数すら計算をされておらず、国の障害者雇用分科会や、それから障害者基本法に基づく障害者施策推進協議会始め様々な自治体での協議会などにおいても、難病患者の方が当事者として参画をできていない状況がございます。

 厚労省の障害者に関する各種審議会や地域、自治体における障害協議会等において難病患者の参画の促進をしていただきたいと思いますが、大臣にお願いいたします。

加藤国務大臣 難病患者等に関する施策の検討に当たっては、当事者の御意見を聞きながら議論することが重要であります。

 政府においては、厚生労働省の社会保障審議会障害者部会、内閣府の障害者政策委員会に、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会の方に参画をしていただいているところであります。また、労働政策審議会障害者雇用分科会においても、難病患者団体からヒアリングを行うなど、難病患者の方に議論の場に参画をいただいているところでございますので、こうした取組を引き続きしっかりやっていきたいと思っております。

 また、地方自治体に対して、障害者総合支援法の「障害者」に難病患者の方が含まれているという趣旨、これをしっかり御理解をいただき、引き続き、難病患者の方を含む様々な方の御意見をいただくよう促していきたいと考えております。

早稲田委員 まず国が率先してやっていただき、当事者参画を進めていただくことによりまして、自治体にもそういう理解を深めていただいて、自治体の障害者の関係の協議会などに参画が増えていくと思いますので、是非そういう発信もしていただきたいと思います。

 それでは、もう一つ、大変重要な問題であります旧統一教会の養子縁組問題について伺います。

 また、これにつきましては全質問を通告しております。是非、大臣におかれましては短く、端的にお答えいただきたいと思います。

 さきのこの厚生労働委員会の方で加藤大臣は、事実の確認、調査の実施を十五日に担当課に指示をして、東京都と連名で教団に質問書を提出して回答を求めると、宮本委員の質問にお答えになりました。非常に素早い対応をしていただいておりますこと、心から感謝を申し上げる次第であります。

 今こうしているときにも大変苦しんでいらっしゃる方たちがたくさんおられるということを踏まえて、私も質問させていただきますが、大臣がおっしゃられました質問書、これをいつやられるのか、そしてまた回答期限はいつとお考えか、お聞かせください。

加藤国務大臣 今お話がありましたように、厚労省として、養子縁組あっせん事業に当たる行為が統一教会の中で行われているかどうかについて、旧統一教会の本部が所在する東京都と連名で、事実関係の確認を行うための質問書を提示、回答を求める方向で今調整を行っているところでございます。

 質問事項について現在調整中ということでございますので、それができ次第発送させていただき、そして、期間についても、これはできるだけ速やかに回答していただく必要はありますが、他方で、相手側にも一定程度きちんと答えを作っていただかなきゃなりませんから、その辺を勘案して、適切な期間を設定していきたいと思っております。

早稲田委員 速やかにいろいろ関係と調整をするということでございますが、今週にもという報道もございました。大体、その今週も、来週早々にはということでよろしいのか。また、文科省の方では一、二週間という期限を定めて質問状を出す予定ですが、そことも大体合わせるような形でやられるのか、伺います。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、出すのは私どもと東京都でありますけれども、政府の中でいろいろな動きがございますから、そこともよく、まず質問の中身も含めて調整していく必要があるということで、今調整を行っているところでございます。

 したがって、ちょっと、余り見切りでやるわけにもいきませんし、しかし余り遅くてもいけないので、その辺を今、事務的な折衝を見ているところでありますが、できるだけ調整を早く進めて、できるだけ早くに質問書をまずは送付させていただきたいというふうに考えています。

早稲田委員 調整をして、質問状を早期に送付をするということでありますけれども、もしこの質問の後、回答が来て、回答は当然ながら今国会中にいただくというような、目指してやっていらっしゃるということでよろしいですよね。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、期限についても、これだけ関心が高い事項でありますから早くに回答はいただきたいと思いますが、ただ、一定程度、向こうがしっかり自分のところを調査して回答していただく期間は設定しなきゃいけないというふうに思っています。

早稲田委員 是非、早く、そして質問の内容も含めて、回答の期限も、早急にこれを出していただきたいと思います。

 そしてまた、質問の後、場合によっては立入調査などもお考えでしょうか。

加藤国務大臣 まず、一般論として、私どもがする対応としては、養子縁組あっせん法第六条に規定する許可を受けずに養子縁組あっせん事業を行っている具体的な事実関係が確認された場合は、許可を受けないで養子縁組あっせん事業を行ってはならない旨、行政指導を行うということ、また、同法第四十四条の罰則の適用に関しての必要な対応を行うこと、こういったことが想定されているところでありますが、まずは、先ほどから申し上げておりますように、質問書を速やかに発出し、回答も踏まえて、その上で、関係者ともよく連携を図りながら必要な対応を行っていきたいと考えています。

早稲田委員 法違反、あっせん法違反があれば立入りもお考えだということを一般論でおっしゃったんだと思います。

 それで、仮に誠実な回答がない場合、そうした場合に、警察捜査もあり得るとお考えでしょうか。

加藤国務大臣 そこは警察側の判断なので、私の方から云々ということはちょっと申し上げられないと思いますが、もちろん、回答が出てきた、そういったものは、必要に応じ、関係省庁と、またそれも踏まえて対応を検討するということは当然だと思います。

早稲田委員 回答結果が出てきたら、警察とも、関係省庁とも、これを連携して共有するということですね。その後の対応も含めてということでよろしいですか。

加藤国務大臣 そこは、済みません、先ほどあったように、回答結果にもよるところでございますので、その結果においては、先ほど一般論として申し上げたいろいろな対応が考えられますので、それに応じて関係先ともよく調整したいというふうに思っています。

早稲田委員 今、様々な報道が出ておりまして、教団の証言なども出ているわけですけれども、教団によれば、一九八一年から二〇二一年に、信者間の家庭で七百四十五人の養子を迎えたとの報告があったというふうにおっしゃっています。そしてまた一方で、かつては教団が主導してあっせんして信者同士をつなぐこともあったけれども、二十年前からは子供を養子に出そうという家庭がなくなって自然消滅したと言っています。

 それで、ここに添付をいたしました資料も御覧いただきたいのですが、二〇一四年発行の「祝福家庭のための侍義生活ハンドブック」、二〇一四年に発行されています。こちらには、養子縁組の項目に九ページも割いて、詳細に記載をされています。養子縁組申請書、養子縁組用の出産報告書を教団本部の家庭局に提出をすることと書かれております。

 まさに教団がやっているフローが書かれているわけですけれども、それの一方で、二十年前からは一切教団が関わっていないという問題、そして七百四十五人の養子縁組の問題、非常に、一連の三つのことについてだけでも矛盾が生じていると私は思います。そのことについて、実際はもっと数も多いのではないかと思われます。

 大臣は、実際はもっと多いのではないか、それから、この三つの矛盾について、また、毎年度の養子縁組の数、特別養子縁組なのか普通の養子縁組なのか、こういうこともしっかりと数を把握していただきたいと思いますが、質問書また調査においてこうしたことをやっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

加藤国務大臣 今、質問事項については、先ほど申し上げたように調整中ということでありますけれども、いろいろな、教団というか、旧統一教会系からも様々な資料も出てきていますので、それらも踏まえながら、質問内容は鋭意精査をしているものと承知をしております。

早稲田委員 旧統一教会の中で行われたと言われている養子縁組の数、そして毎年度の報告、こうしたことも質問状に是非入れていただきたいと思います。そうでないと、実態調査が、分からないとその先に進まないこともございますので、それはよろしくお願いいたします。

 そしてまたさらに、私どもの中には、宗教二世と言われる養子、そして、養子であり、複数の高校生の方から非常に痛切な、切実な声が届いております。その一方で、二十年前からは一切関与していないと教団側がおっしゃっても、でも、この高校生たちが実際にいらっしゃるということを踏まえれば、非常にこれも矛盾しています。

 例えば、教団が一切関わっていないと言えば、そういうふうに質問に答えをしてくれば、大臣はそれを信じられますか。そして、教団は関与していなかったんだということは、主張は認められるんでしょうか。大臣に伺います。

加藤国務大臣 まず、養子縁組あっせん法でありますと、養子縁組あっせんである、養親希望者と児童との間を取り持って養子縁組の成立が円滑に行われるよう第三者として世話することを反復継続的に行うことであれば、金銭の授受の有無にかかわらず、同法に違反するということでありますから、今申し上げた観点に立って実態をよく把握していきたいというふうに思います。

早稲田委員 反復継続をしていればということでありますけれども、是非、教会の一方的な回答だけでなく、いろいろなことを調べていただかないと、やはり数字も大切ですし、その実態を踏まえていただいて、きちんとした質問を出していただくということを強く要望させていただきます。

 それにおきましても、こうした一連の養子縁組の、分かっている、報告をされたというだけでも七百四十五人という、非常に常識では考えられないような報告がいろいろ出てきておりますが、大臣の受け止めです。こうした養子縁組が、あっせん法の第一条、福祉の増進に資する、第三条、児童の最善の利益を最大限考慮するというふうに書かれているにもかかわらず、こうした旧統一教会の養子縁組が児童の福祉増進につながる、資するとお考えでしょうか。

加藤国務大臣 養子縁組については、実親による養育が困難な児童に対し、家庭における養育を確保して、子供の健全な育成を図る、こうした重要な役割が期待されているわけであります。それを踏まえて、養子縁組あっせん法が、これは議員立法によって制定され、そしてその中では、そのような養子縁組の役割の重要性に鑑み、養子縁組のあっせん事業の適正な運営を確保することにより、児童の保護や児童の福祉の増進を図ることが目的とされております。

 養子縁組あっせん法に規定する許可を受けずに養子縁組あっせん事業を行うことは、こうした児童の保護や児童の福祉の増進を図ろうとした同法の趣旨、これに反するものであります。どのような組織であっても、そうした違反の事実、これが仮にあれば、これは大変遺憾なことだというふうに考えております。

早稲田委員 今大臣からしっかり答弁をいただいたのは、あっせん法に反するということであれば、当然これは児童の福祉に反するということを言っていただいたと私は理解をいたしました。

 それで、続けてでございますが、養子縁組をすることによって本当に旧統一教会がこれに関する献金をもらっていないか、あるいは、養子をもらう条件として、養親がきちんと献金を十分にしていることがその要件になっていないかということも質問状できちんと質問していただきたい、調査をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 そもそも、養子縁組あっせん法で、金銭を得てはならない、簡単に言えばそうなっているわけであります。

 統一教会における質問書の内容、先ほどから申し上げておりますが、調整中でありますが、養子縁組に際しての金銭の授受の有無も含めて、必要な調査事項を調整して、そして回答を求めていきたいというふうに思っています。

早稲田委員 金銭の授受も含めてということを今おっしゃっていただけましたので、是非、そうした詳細な調査、質問をしていただきたいと思います。

 それから、養子縁組あっせん法、これは二〇一八年施行のものでありまして、事業を許可制にしたわけですけれども、そもそも、あっせん法の七条、許可の基準の三、申請者に宗教法人は政省令で入っておりますでしょうか。

加藤国務大臣 養子縁組あっせん法の仕組みを申し上げさせていただきますと、同法第七条第三項で、養子縁組あっせん事業を行う者が社会福祉法人、医療法人その他厚生労働省令で定める者であると規定され、その上で、省令では、NPO、公益法人等と定めておりますが、宗教法人を明記しておりません。規定しておりません。

早稲田委員 なぜ宗教法人は入らなかったんでしょうか。

加藤国務大臣 あっせん法が施行される以前に厚労省から通知が出されておりまして、養子縁組あっせん事業については、社会福祉法人、医療法人、NPO、公益法人等により行われることが望ましいとされていた。そうしたことを踏まえて今申し上げたような仕組みになっていると思うんですが、そもそも、そこの段階で宗教法人が含まれていない、その理由については、大変申し訳ないんですが、様々な記録を見てもその理由が分かるような書類は見出し得なかったということでございます。

早稲田委員 理由は分からないが、NPOとそれから社会福祉法人、そういう政省令では決まりになっております。そこだけを踏まえても、この旧統一教会が、そうしたことの今申請もしていないわけですけれども、今後もしその申請をするようなことがあってもそこには含まれないということにもなりますし、大変これだけのいろいろな問題を抱えて、しかもまた、養子になった方たちが心の悩みを、本当にリストカットまでするというようなことも訴えられている方もいらっしゃいます。

 そんな中で、一日も早く、大臣におかれましては、質問書を出していただき、回答期限もしっかりと定めて、早めにやっていただきまして、そして改善に、解決につながるようにしていただくこと、これはもう、厚生労働省、厚労大臣の今、一連の素早い動きの中で、本当に被害者の方たちも切々たる思いで見ていらっしゃいます。ですからこそ、大臣におかれましては、速やかにこれをやっていただきまして、そして、調査、立入調査も含めて、しっかりとした適正な措置をしていただくことを強く私からは要望させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 終わります。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 配付資料を御覧いただきたいと思います。これは、昨日の朝日新聞です。

 医療保護入院の闇を示す判決が一昨日ありました。引きこもり支援を自称して本人の意に反して連れ出す、いわゆる引き出し屋が、精神障害がない人を精神疾患を有していると決めつけて精神科病院に送り、そして、本人の主張を無視してずさんな手続で強制入院が行われました。医療保護入院五十日間、拘束もその中で行われたということです。これについて裁判所は、指定医による診察という要件を欠く上、原告が精神障害者であったという要件を欠くことから、本件入院決定は違法であるとして、医療法人に損害賠償を命じております。

 私は、この判決は、医師一人の判断で家族同意で強制入院できるという医療保護入院制度が悪用されたということを示したものだと思います。

 この事件を見ても、やはり、本人の意に反する強制入院が安易にできてしまう医療保護入院制度の仕組みそのものも私は見直していく必要があると思いますが、大臣はこの判決をどう受け止めたでしょうか。

加藤国務大臣 本件も含めて、個別事案について、まさに係争されているところでもありますからコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、医療保護入院は、患者の権利擁護に責任を有する精神保健指定医が入院治療の必要性を判断した上で、医師から十分な説明を受けた家族等の同意に基づく入院を行うことで、権利擁護を図りながら入院治療のアクセスを保障する、こういう仕組みでありますから、これに当たっては、適正な手続また適正な運用が図られるよう、引き続き、各都道府県における実地指導の徹底等を図っていきたいというふうに思っております。

宮本(徹)委員 適正な手続といいますけれども、違法な手続があったということに今回なっていますけれども、やはり、医師一人によって判断ができてしまうというこの容易な仕組みがこうした事態にも私はつながったと思うんですよね。やはり、入院治療が不要な方がどんどんこうした形で強制入院できてしまう仕組みというのが、今の医療保護入院制度がはらんでいる問題点だということだと思いますので、ここは本当に抜本的な見直しを是非考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさにそうした点も含めて、附則の第三条において検討規定を設けさせていただいておりますので、今般の国連の人権委員会の勧告等も踏まえて、また各当事者の方からの御意見も踏まえながら、しっかり検討させていただきたいと思っております。

宮本(徹)委員 医療保護入院制度の根本的な見直しを求めていきたいと思います。

 そして、次に、障害福祉分野のデータ連結についてお伺いいたします。

 障害福祉サービスの切下げに使われるのではないかと不安の声が上がっております。障害支援区分認定データと障害福祉サービス等給付データの連結によって、障害支援区分や同じ状態のグループごとに標準的なサービス内容やサービス量が把握できるようになりますが、支給決定に当たっては、こうしたデータによるのではなく個人のニーズや環境を踏まえる、このことを明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、障害福祉データベースの情報、これは匿名化されていますので、したがって、個々の支給決定に活用することをそもそも想定はされていないということでございます。

 その上で、都道府県や市町村による障害福祉データベースの活用としては、例えば障害福祉計画の策定等を支援するための地域差分析などが想定をされております。また、個々の障害者に必要な障害福祉サービスの支給量は、障害者総合支援法の規定に基づき、今委員御指摘のように、障害支援区分等を勘案して、市町村において支給決定されるということで、こうした勘案要素については、データベース導入後の変更も予定をしておりません。

宮本(徹)委員 その地域差がつかめた場合に、いや、ここは、あなたのところの自治体は緩く障害者福祉サービスを出し過ぎている、こういうようなことになってサービスが削られていくんじゃないかという不安の声があるわけですよね。同じ障害支援区分であっても、やはり個人の状態、個々人が置かれている環境というのは様々ですから、ここは本当に、個人の状態を踏まえてというのを明確にしていただきたいと思います。

 もう一点ですけれども、障害福祉関係データベースと介護データベースと連携することで、高齢になられた障害のある方の介護保険サービスへの切替えによる提供量の変化などの分析が可能になります。こうしたデータを根拠に、介護保険優先原則の機械的な適用が行われないように明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 障害福祉データベースと介護データベースとを連結して解析をする、そのことによって、高齢障害者の介護サービスの利用実態の把握、分析等が可能になると考えております。それを通じて、障害福祉サービスの質の向上に向けた取組、これを推進していきたいと思っております。

 他方で、介護優先原則の運用に当たっては、一律に介護保険サービスが優先されるものではなく、一人一人の個別の状況を丁寧に勘案し、介護保険サービスだけではなく、障害福祉サービスの利用も含めて、その方が必要とされている支援が受けられることが重要だ、こうした考え方は、データベース導入後も変わるものではございません。

宮本(徹)委員 ただでさえ、自治体によっては、介護保険優先原則の機械的な適用というのがこの間何度も問題になってきておりますので、そこはしっかりと指導していただきたいと思います。

 続きまして、就労アセスメントについてお伺いいたします。

 就労系サービスを利用している当事者が、ここは自分には合わないということで、利用する事業所を替えるというのは私の周りでもよく聞く話です。あくまでも、本人の意向に沿った支援でなければならないと思います。そして、アセスメントする側が押しつけるようなことがあっては決してならないと思います。ただ、現状でも自治体の就労支援室のスタンスというのはばらつきがあって、本人の意向に沿った支援になるのか、地域によっては心配だという声も私のところにも寄せられております。

 この就労アセスメントについては、本人の意向の支援のためであることを明確にして運用していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 就労選択支援については、これは事業者が一方的に評価を行うということではなくて、アセスメントを行った結果を踏まえて、障害者本人が納得の上、働き方や就労先を適切に選択できるようにするということ、そして、事業者から必要な情報提供や助言等が行われるということでありますから、当然、その本人、障害者本人の利益に資するというものでなければならないのは当然のことであります。

 このため、地域の関係機関を交え、その後の適切な支援について意見交換や検討を行うケース会議の実施、地域においてサービス提供を行う就労支援機関などについて本人への情報提供などにより、事業者が本人の希望や能力に沿って適切に支援するよう具体的な方策を考えていきたいと思っておりますし、また、就労選択支援の実施に当たっては、就労支援の経験を有する人材の配置、中立性の確保、地域の協議会の参画などが必要と考えており、施行に向けて必要な基準等を定めることを通じて、事業者の質の確保も図っていきたいと思っております。

宮本(徹)委員 あなたの能力はこういうものだからということで、本人の意向と違うものが押しつけられることがないように、丁寧な運用をお願いしたいと思います。

 続きまして、障害福祉政策に関わりまして、よく聞く声を幾つか質問したいと思います。

 一つは、障害児福祉、医療の多くに所得制限があります。特別児童扶養手当、障害児福祉手当、補装具費の支給、日常生活用具給付など、一定の所得を超えれば、これは支援がなくなります。また、放課後等デイサービスなどは、一定の所得を超えれば、上限額は八倍の三万七千二百円になります。医療費の様々な支援制度もありますけれども、これも所得制限、所得によってかなり差があるものになっています。

 こうした下で、何も支援を受けられない家庭から、放課後等デイの必要日数を我慢せざるを得ないとか、あるいは必要な補装具の買換えを我慢しなければならないだとか、あるいはきょうだい児が進学を我慢したりしなければならない、こういう深刻な実態があります。

 大臣は、この障害児福祉、医療の所得制限が当事者に与える影響について、どう認識されているでしょうか。また、政府として実態調査を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 障害児の保護者の方々においては、子供さんの育ちやあるいは生活面、様々な分野において、いろいろな事情また御苦労があるものと承知はしております。

 厚労省としても、障害児やその家族を支援するため、様々なサービスの提供に取り組んでいるところでありますが、制度の持続可能性や公平性の観点から、所得に応じた一定の負担や支給の制限があること、このことは是非御理解をいただきたいと思っております。

 他方で、当事者の声に真摯に耳を傾け、制度等の改善を行っていくことは重要でありますし、これまでも逐次そうした見直しも行ってきたところであります。

 また、実態とお話がありましたが、厚生労働省としては、生活のしづらさなどに関する調査などにより、障害者の生活実態やニーズの把握に取り組んでいるところであります。

 引き続き、こうした実態把握を行い、その結果を踏まえながら、障害者施策を適宜推進していきたいと考えております。

宮本(徹)委員 この実態把握の中で、是非、所得制限がかかっていることについてのところも焦点を当てたつかみ方もしていただきたいと思いますけれども、その点、大臣、いかがでしょうかね。

加藤国務大臣 直接それを取り上げるかどうか、そこはまたよく中で議論しなきゃいけないので、今、私、ここでストレートに、全体としての調査との整合性とかいろいろなことがありますので、ここで直ちに御返事はできないところでありますけれども、先ほど申し上げましたように、障害者の方々の実態、それを踏まえた施策を進めていくに当たって、必要な情報の取得には努めていきたいと思っています。

宮本(徹)委員 公平性が大事だというお話ありましたけれども、様々な所得制限が一定のところからかかりますから、そこで所得の逆転現象的なものも起きていて、逆にサービスが使えなくなっているという実態があると思いますので、しっかりとした調査をお願いしたいと思います。そして、私は、基本は所得制限はなくすべきだということを申し上げたいと思います。

 続きまして、いわゆる十八歳の壁についてお伺いいたします。

 特別支援学校卒業までは放課後等デイサービスがありますが、特別支援学校卒業後は、福祉的就労などは十五時台に終わるわけで、その後、障害者の皆さんの平日夕方の余暇活動を支援する全国一律の給付サービスはありません。自治体ごとによって、地域活動支援センターや日中一時支援や、あるいは移動支援などで支援しておりますけれども、これも財政支援が弱くて、事業者の持ち出しになっている場合も少なくなく、ニーズに応じたサービスというのは絶対的に不足しております。そのために、親御さんが仕事を辞めたりパートに変わったりしなければならない深刻な問題が生じております。

 是非、実態把握をしていただいて、全国的な新たな障害福祉サービスをつくっていただきたい、その検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 障害のある方々の平日夕方の過ごし方について、その方の障害の状態、本人の御意向、また地域社会や家族の状況において、御自宅で過ごされる、知人と過ごされる、地域の方が集まる場所で過ごされるなど、様々な過ごし方があるというふうに認識をしております。

 こうした多様なニーズに対応するため、多くの市町村では、地域生活支援事業を実施をしております。創作的活動等の機会を提供する地域活動支援センター、また日中活動の場を確保する日中一時支援事業等を地域の実情に応じた形で実施をしているところであります。

 さらに、中重度の方を対象とした生活介護においては、通常の営業時間後もサービスを提供した場合に、障害福祉サービス等報酬として延長加算を算定可能としているところであります。地域の実情に応じた様々なやり方を活用して、必要な支援を行う体制を整備していくことが重要だと考えております。

 今後とも、地方自治体と連携しつつ、今委員からもお話がありましたように、当事者の意見を聞きながら実態を把握しつつ、検討を行い、必要な対応を図っていきたいと思っております。

宮本(徹)委員 国から自治体に出ている財政支援もこの分野では大変弱いですから、やはりかなり事業者が持ち出しをせざるを得なくて、できない、必要なニーズに応え切れないというところが全国各地で起きておりますので、是非ここは思い切った検討をお願いしたいと思います。そのことを申し上げまして、時間になりましたので、質問を終わります。

三ッ林委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時二分開議

三ッ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小川淳也君。

小川委員 立憲の小川淳也です。

 大臣、参議院本会議、お疲れさまでございました。

 本題に入る前にちょっと、昨日今日、報道の関連も含めて、二、三お尋ねします。

 まず、ゆうべも大きく報道されておりましたが、ワクチンの接種直後に死亡された方の案件、愛知県の案件ですが、県の医師会が体制に問題があったということを公表されたようでございます。

 ワクチンの接種推進並びに副反応対策に重大な責めを負う厚生労働大臣として、厚生労働省として、これは一定の責任があると思いますが、受け止めなり見解をお聞かせいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、亡くなられた女性に対し、哀悼の意を表させていただきたいと思います。また、御家族の方に心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 個別事例についてコメントを差し控えさせていただいていますが、各接種会場において、新型コロナワクチンの接種後にアナフィラキシー等が生じた場合に適切に対応できる体制の整備は不可欠ということで、そうした事例も報告されていることから、十一月十日付で自治体宛てに事務連絡を発出して、改めて体制等を確認し、医療機関に注意喚起するよう再度周知を図ったところでありますが、また、医療事故調査制度の枠組みにおいて調査することも想定されるため、自治体と連携して、こうした事情を踏まえて必要な対応を図っていきたいと考えております。

小川委員 個別の事案とはいえ、県医師会が体制に問題があったと言っています。それから、今、参議院に送付いたしましたが、感染症法の改正案、まさに与野党の協議で修正条項が入ったのはワクチンの副反応対策の強化、情報公開ですから、しっかりと推進を、改めてお願い申し上げたいと思います。

 それから、どうしても看過できないのは、養子縁組のあっせんの疑惑でございます。

 大臣、今朝の会見で一般論と断った上で、あっせん行為が認められた場合には行政指導を行うというふうに今朝の会見でお述べになったようです。

 ちょっとこれも念のためお聞きしますが、旧統一教会のハンドブックには、養子の約束を交わすのはお子様をささげる前の妊娠前が最も望ましい、天から子宝の恵みを受けた家庭はその恩恵を子女の授からない家庭に分かち合う責任がある、真の父母様は子孫のことを深く考慮しマッチングし全ての祝福家庭に子女を授けたい、そして、成立については教会内の組織に報告するということのようであります。

 これは明らかに組織的なあっせんであり、反復継続の意思を認められると思いますが、大臣の見解をお聞きしておきます。

加藤国務大臣 今の時点で、そうした情報も含めて、まずは、旧統一教会に対して質問票を、東京都と内容を調整して質問書を発出するということで準備を進めさせていただき、その回答を待って必要な対応を取っていきたい。

 その中で、今具体的なことを申し上げられないんですが、一般論として考えるとすれば、あっせん法第六条に規定する許可を受けずに養子縁組あっせん事業を行っていた具体的な事実が確認されたということにおいては、今委員がお話があったように、行政指導を行っていくということもあり得るということを申し上げたところであります。

小川委員 ちょっと私、慎重にこの際自分の立場を明らかにしておきたいんですが、過度なお布施、献金、それからつぼや印鑑の販売、これも大変悪質だと思ってきました。しかし、この段は、様相が異なる、誠にもって理解し難い、是認し難い行為である、事実だと確認されれば、と受け止めています。

 ただ一方、ちょっと相反することを申し上げるんですが、私は一連の政府の統一教会に対する対応を拝見していて、確かに安倍元総理が亡くなられた事件の衝撃は極めて大きかった、それは私もそう思っています。が、ここへ来て、直ちに地下鉄サリン事件のような事件を起こしたとか、言うにはあらずですから、何十年も言われてきたことですから、ここへ来て、いきなり拳を振り上げて、やれ解散請求を視野に入れた質問権だとか、これまでのことを説明することをせずして、これから一切関係を絶つんだとか、極めて私は、この政府・与党の対応は、情動的で、そして世論にあおられ、浮き足立っている。これは岸田政権の一つの特徴なんですよね。冷静に議論すべきところを、極めて判断が軽い。その見通しなり帰結をしっかりと腹に据えて、覚悟を持って判断しているように見えないことが多い。

 私は、相反することを申し上げるようですが、かつての魔女狩りや赤狩り、スケープゴートをつくって慰み物にするようなことも一方で感じているんです。その上で、冷静な対応もこれは場合によっては必要だという前提の下に、しかし、この子供たちのあっせんというのは異常な事態だ。ちょっと相反することを申し上げますが、そういう私は立場で、あるいは感想を持ちながら、一連の政府・与党の対応を拝見しています。

 今日、文科副大臣にお越しいただきました。

 文科副大臣も御理解いただけると思いますが、本来、文科委員会を開かなきゃいけないでしょう、今。与党側は、一切文科委員会を開かない。だから、私はこうして、法案審議中の厚生労働委員会、これも貴重な時間ですから、お呼びしてお聞きしているんですが、来週月曜日二十一日、宗教法人審議会に質問の内容を諮る、諮問するという報道に接しています。当然、この養子縁組の違法あっせんに係る疑惑については質問事項に入るという理解でよろしいですか。

簗副大臣 お答えをいたします。

 御指摘の事案につきましては、養子縁組のあっせんに関する法令を所管する厚生労働省において事実関係の確認を行っているところと承知をしております。

 御指摘の事項を旧統一教会に対する報告徴収、質問の内容に含めるか否かをお答えをすることは、報告徴収等を行う内容を公にすることとなり、報告徴収、質問権の行使に支障を来すおそれがあるため、お答えは差し控えさせていただくべきものと考えております。

小川委員 一定理解しますが、恐らく、これだけ重大な違法の疑惑があることをもし諮問委員会に諮らなければ、厚生労働省の直接の所管とはいえ、文科省、笑われることになりますよ。

 それから、加藤大臣、速やかに対応するということを今朝の質疑、また先般もおっしゃっています。

 ちょっと前もって先回りして申し上げますが、二十一日に文科省は宗教法人審議会に質問の内容を諮るわけです。審議会、例えば、何回もずるずるずるずるやるなんという格好悪いことはあり得ないでしょう、恐らく。そうすると、最速二十一日中にも諮問が終了する可能性がある。そうしたら、それを何日も置いて質問権を行使するということもあり得ない。即日かあるいは翌日でしょう。そうすると、逆に言うと、厚労省の養子縁組のあっせんに係る質問、調査、これも、そこからまた何日も置くということもあり得ない。したがって、来週月曜日ないし火曜日には当然行われるという私は理解ですが、そのぐらいのスピード感でやっているということでいいかどうか。その点だけ、加藤大臣、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 文科省は文科省の作業、そして法律に基づいておやりになっているんだと思いますし、私どもの方は、今回こうした事案があったので、行政調査として、今、都と一緒に実施をするということで、中身を都と、それからいろいろ関係するところがありますから、関係省庁と今詰めております。

 当然、質問書を出す以上、その中身をよく精査しなきゃなりません。ですから、そういう意味では若干の時間がかかるということで、それができ次第、質問書を向こうの方へ送っていきたいというふうに考えておりますので、今委員おっしゃるように両者がシンクロしているわけではありませんが、いずれにしても、本件も速やかに対応していく必要があるということは再三申し上げておりますから、そういったスピード感を持って対応したいと考えています。

小川委員 一定の御説明と受け止めますが、しかし、今おっしゃったあれからすると、文科省が月曜日に、仮に養子縁組に係る違法あっせんを質問事項に含めず、そして、そこから何日もたって厚生労働省がそのことに関して別途聞いているなんというぶざまな姿は、私は、これは対世間との関係ではあり得ないと思いますので、ちょっと老婆心ながら、先回りしてそのことは指摘しておきたいと思います。

 加藤大臣、これに関連して、最後に一つです。

 一部有識者によれば、この児童あっせん、養子縁組のあっせんは、一九八〇年代から、よく言われておりますが七百四十五人、そして二〇二一年まで約四十年行われていたという指摘があります。あっせんに係る児童保護法ができたのは二〇一八年ですから、それ以前のことを問うということは恐らく難しいんでしょう。

 しかし、それにしても、八〇年代からある程度分かっていたことで、これを長年結果として放置してきた厚生労働省にも責任があるんじゃないかという一部有識者の指摘がありますが、この見解に対して、厚生労働大臣として一言コメントをいただけませんか。

加藤国務大臣 そうした指摘はそれとしてしっかり受け止めたいと思いますが、本件にしても、質問書の内容を今調整中でありますが、とりわけ養子縁組あっせん法が施行された平成三十年以降の実態について適切に把握できるよう調整しているところでありますが、別に平成三十年度以降に限定しているわけではございませんので、全体としての実態の把握、これも行っていきたいと思っておりますし、その上に立って、どういった対応が必要なのか、考えていきたいと思います。

小川委員 私どもとしても、今後の対応をよく見守りたいと思います。

 文科副大臣、どうぞ御退席いただいて結構です。御協力ありがとうございました。

 再度、ちょっとコロナに戻ります。

 連日十万人前後の感染者が続いています。昨日、全国知事会が会議を行い、第八波の対策会議だという位置づけのようであります。平井会長、平井鳥取県知事ですが、第八波が容赦なく各地域で立ち上がったという発言をしておられます。

 ここで加藤大臣にも率直におっしゃっていただきたいんですが、先般、中島委員も御質問でした、第八波だという認識でよろしいですね。

加藤国務大臣 昨日、厚労省のアドバイザリーボードも開催され、感染状況について議論をいただきました。全体として感染者数は増加傾向にある。ただ、かなり地域別で随分違っていまして、北海道などは第七波を超えています。他方で、沖縄は、若干増えていますけれども、若干という状況でありますが、各地域ごとに違うということを踏まえた上で、全体としては増加傾向が続いており、そうした中で、今後そうした増加が続けばこれは第八波になり得るもの、こういう認識をしております。

小川委員 まだ第八波ではないという御答弁ですか、今のは。

加藤国務大臣 一定程度、波という形、定義がないものですから、どうなったらどうだということをなかなか断じ得ないわけですけれども、一定程度状況を見ながらじゃないと、これはやはり、そうであったかどうかというのはなかなか言い難いところがあるんだろうと私は思います。

 ただ、今申し上げたいのは、認識という以上に、そうした可能性があるので、今はそれに対してしっかり対応していく必要がある、このことをしっかり発信していきたいと思っています。

小川委員 お気持ちは分かりますが、大臣が曖昧な態度を取れば取るほど、私は、対策が遅れ、その徹底を失するということを懸念しているから申し上げているんです。むしろ、リスクを取ってリーダーシップを取り、これは第八波だ、したがってかくかくしかじかの対応を頼むと大臣が明確におっしゃった方が、それはメッセージ性としてはっきりしている。

 関連してお尋ねしますが、十月十三日にお作りになった、六十四歳以下、基本自己検査だというあの大方針ですね。その適用関係がかねてから議論になっていますが、それは今現在、適用されているという認識でいいですか。

加藤国務大臣 あれは、基本的に、同時流行をする中で医療機関、特に発熱外来等が逼迫をしていく、そうした状況の中で、六十五歳以下の基礎疾患がない皆さん方において、いわば自己チェックをしていただく等の協力をお願いをしているということでございますので、今申し上げたように、地域によって随分違ってきている、北海道はかなり厳しい状況になってきていますし、沖縄は先ほど申し上げたようにほとんど感染者が出ていませんから、それぞれ地域ごとにおいて対応が異なるということにはなろうかと思います。

 いずれにしても、そうしたことを含めて、地域地域の情勢、それから今後の動向、こうした情報を我々の方もしっかり発信をして、同じ共通の認識に立って対応を図っていきたいというふうに思っています。

小川委員 大臣、曖昧なことをおっしゃればおっしゃるほど発信にならないということなんです。それから、地域ごととおっしゃるのであれば、私、ちょっと実務者との協議でも申し上げましたが、あの指針を作ったときに、そもそも、こういう大方針を作るが適用は地域ごとだとそもそも宣言をしていれば、まだましだった。極めて曖昧な状況のまま、だらだらずるずると日々が続いているということ以上のものを、今全く意味していないということです。

 それから、もう一つ。これは大臣にも御認識いただきたかったので、私、昨日、実務者に聞きました。あの大方針を立てた以上、一体、今、陽性者数、ほぼ毎日十万人、どのぐらいが医療機関で陽性確定し、どのぐらいが自己検査で陽性確定し、報告しているか。そして、自己検査の場合は、登録まで本当にしているかどうか分かりませんから。さらに、自己検査、症状が仮にあっても、している人も、もしかしたらしていない人、控えている人もいるかもしれないという前提でこの数字は眺めなきゃいけないわけですが、実務者の方は、全体の二割が自己検査だと、現状、直近で、よく調べるとですね。八割は医療機関で陽性確定しているということでありました。

 それで、私、聞きました、年代別に分かるのかと。つまり、六十四歳以下は自己検査してくださいというのが一応作られた大方針ですから。六十五歳以上並びに疾病を抱えている、重症化リスクのある方は医療機関にアクセスしてくださいという一応の整理ですから。じゃ、実際どうなっているのかということを実務者の方も御存じなかったので、私は、調べて、大臣のお耳に入れるべく、場合によっては明日の委員会でお聞きするよということを申し上げました。大方針を立てたわけですから、実際にそれがどうなっていくかをウォッチする必要がある。

 お聞きしようと思っていましたが、申し上げます。今、医療機関で陽性を確定している人の割合、いただいた資料に従って申し上げます。十歳未満は八八%、十歳から十九歳が八二%、二十歳から二十九歳が七九%、三十歳から三十九歳が七八%、四十から四十九が七八、五十から五十九が八〇、六十から六十九が八四、七十から七十九が九〇、八十以上が八七%。なべて八〇%、八一%ということです。

 そうすると、これは見方にもよるんですが、本来は、これは六十五歳で分けないと、今立てている方針との関係では意味をなさないということですよね、厳密に言うと。確かに、六十代、七十代と少し上向いている傾向も見て取れるが、医療機関で陽性確定させている割合がです、しかし、見方によっては、世代によってほとんど差がないという見方もできる。それは、つまり、立てた厚生労働省の方針が少なくとも現状においては徹底されておらず、今後更なる感染拡大が進んだときに、どういう混乱なり目詰まりが起きるか分からない状況にあるという認識がこのデータを見ると必要だと私は思うわけです。

 したがって、そうした、立てた方針が適用されているのかどうか、そして、現状あるいはこの先を第八波と認識しているのかどうか、結果として陽性者の確定具合はいかなる形で推移しているのかの分析、これら相まって、よくウォッチしていただきたい。大臣にお願いを申し上げ、御答弁をお願いしたいと思います。

加藤国務大臣 まず最初に、都道府県別ではなかったじゃないかというお話ですけれども、そもそも、医療が逼迫していく状況、そうした中での協力を求めている。そうすると、当然、医療は地域ごとに異なっているわけですから、先ほど申し上げたように、沖縄のように感染が進んでいない地域と、北海道のようにかなり厳しい地域では当然違ってくる。これは当然大前提になっているものとしてしゃべらせていただいたわけでありますので、引き続き、今委員からの御指摘もありましたから、しっかり発信には注意をしていきたいというふうに思っております。

 それから、本件も、十一月一日から十六日までの間の数字を取っておられました。何割ぐらいまでがということを、別に我々は数値目標を出しているわけではございませんので。これは、そうした逼迫する中において、協力できる、協力していただける方は協力してほしいということでメッセージを発信しているわけなので。大事なことは、協力していただける環境をつくっていくということで、例えば検査キット等がそれぞれ入手しやすいようにしていくとか、あるいは健康フォローアップセンターをしっかり充実するとか、こういったことにまず取り組みをさせていただいているわけでございます。

 引き続き、そうした環境をつくりながら、また、地域地域の感染だけではなくて、地域の医療状況をしっかりと発信させていただいて、それぞれの地域の皆さん方に協力を求めていきたいというふうに思っております。

小川委員 こうした議論がかねてからありますので、できるだけ、まあ、難しいでしょう、難しいことはよく理解しますが、できるだけクリアに、そして分かりやすいメッセージを発していただく必要があるということを再三申し上げ、本題に入ります。

 今般の障害者総合支援法案、私どもも大変悶絶いたしましたが、全体として賛成させていただく方向です。その理由として、障害者の雇用拡大に関する要件の見直し、それから、難病治療に苦しんでおられる方に対する支援拡充、この辺は、ほぼ文句なしで一致するところでしょう。

 しかし、最大の問題は、やはり精神医療に関連して、これまで、家族が不在の場合、精神科医一人と市町村長の同意を得て任意でない入院をさせるという仕組みだったものを、家族が所在である場合、家族が不在でない場合であっても、その意思が明確でない場合、同意、不同意を明らかにしない場合は、市町村長の同意をもって入院させることができる、ここが改正の根幹だと受け止めています。

 これに関しては、非常に大きな懸念、強い懸念があるのは当然のことでありまして、冒頭、複数の質疑者がここでそう発言したように、こうした議論をまたないもの、衆目が一致するものと、極めて意見が分かれる可能性があり慎重な審議を要するものをごちゃ混ぜにして、束ねて法案として提出し、そして私は、これから委員長にも御検討いただきたいと思うんですが、採決の分離ということもこれからあっていいと思うんですね。例えば、修正案を採決した、原案のうち修正案を除く部分について採決するという採決の分離もよく行われます。こうした束ね法案については、場合によっては採決を分離するということもこれから一つの国会の技術として検討すべきだと。しかし、そもそも分けて提出するのが筋であり、慎重審議に資していただくのが一番大事なこと。これは政府にも責任があり、そして与党側が国会運営の最終的な権限を持っていますから、与党にも大きな責任がある。

 そのことを申し上げた上で、なぜこういう慎重意見や反対意見がたくさん出るか、その背景について少し議論させていただいて、会派としては最後の質疑者の務めを果たしたいと思います。

 再三議論になってきましたが、まず、大臣、なぜ日本でこんなに精神科病床が多いのか。全約百二十万床の入院病床のうち、三十万床が精神科病院ですから。人口比でいうと世界中の精神病院の二〇%が日本だと言われている、先進国の四〇%近くが日本だと言われている。なぜ多いのか。そして、このことを、所管する厚生労働大臣としてどう認識ないし評価しているか。まず、その一番根太いところを改めてお聞きします。

加藤国務大臣 今、委員から国際的な比較もありました。精神病床の定義、精神科医療の提供体制は国によって大きく異なるので、なかなか比較は難しいと思いますが、国際的に多いとする指摘があることは事実であります。

 その背景としては、精神疾患を有する方が地域において継続的に療養するための医療福祉の支援体制などが不十分であった歴史的な経緯、また認知症患者の入院医療も担ってきたこと等が要因として考えられるところであります。

 今後とも、国際的な動向も踏まえながら、入院医療から地域生活への移行、これをしっかり図るべく取り組むとともに、我が国における精神医療の在り方について引き続き検討していきたいと考えております。

小川委員 ちょっと、かゆいところにまでは手が届いていないんですけれども、やはりそういういろいろな歴史的な背景もあってのことなんでしょう。それから、大事なことは、比較の仕方が国際社会で難しいというのはそのとおりでしょう。しかし、それを言えば言うほど、どう比較すればこう評価できる、こう評価すればどう評価できるという更なる追加の説明責任が発生しますからね。そのこともよく御自覚をいただいた上で御説明をいただきたいわけですが、とにかく多いんですよ、異常に多い、精神科病床が。

 もう一つ問題がある。病床が多いのに医者が少ないという問題がある。精神科医が極めて少ないんです。三十万人ぐらい今お医者様がいらっしゃると思いますが、一万人ぐらいじゃないですか、精神科医は。三十万人いて一万人しか医者がいないのに、さっき申し上げたとおり、百二十万床のベッドのうち三十万床は精神科病床であるというこの矛盾です。

 端的にお尋ねしますが、普通の、普通のといいますか、他の疾病においては医師一人当たり入院患者は十六人なのに、なぜ精神科医のみ設置基準が医師一人当たり四十八人なんですか。

加藤国務大臣 精神科特例というのがありまして、昭和三十三年に定められた規定でありますが、精神病院における人員配置について、医師については一般病床の三分の一、看護師、准看護師について一般病床の三分の二とされていたわけでありますが、その背景として、精神疾患で入院する患者の多くの方が慢性期であること等があったと考えられるわけであります。

 現在の精神病床の人員配置基準は、平成十三年度の医療法改正により、精神医療に求められるニーズや整備し得る医療資源の量を踏まえて、療養病床と同等以上に設定をしているところでございます。

 医療法上の人員配置基準については、あくまで最低基準を定めたものであり、診療報酬において、医師や看護職員について一般病床と同程度の配置を評価しているほか、精神科救急、精神疾患患者の身体合併症医療を提供する精神病棟についてはより高い評価を行うなど、医療機関の特性や入院患者の状態等に応じた人員の追加の配置も求めているところでございます。

 引き続き、精神疾患の患者に適切な医療が提供されるように取り組んでいきたいと考えております。

小川委員 るるお述べになられましたが、おかしいでしょう。一人で四十八人もの精神障害を負われた方々をちゃんと診察、治療できるはずがないじゃないですか。一人で四十八人ですよ。大臣がおっしゃるとおりこれは最低基準なので、実勢に照らすと、どうも一人当たり二十五人ぐらい診ている傾向にあるようです、実際はね。しかし、それとの関連でいうと、さっき申し上げた他の疾病は一人で十六人という最低基準があり、実際は、ちょっと私の粗い試算ですが、そんなに大きく間違っていないと思う、一人で六人診ているんです、入院患者。

 一人で六人診ている、そして一人で二十五人診ている。こういう基準を放置してきたことは幾つも問題があり得るんですが、一つには、患者を放置している、ただ閉じ込めて放置しているということにつながっている可能性、これが一つ濃厚です。

 大臣、御担当されている以上、お忙しいでしょうから余り見る機会がないと思いますが、今の時代なので、かなり当事者が赤裸々に語っている資料映像がそこら中で公開されています。急性期で入院したけれども、ほとんど放置状態で、カウンセリングから何から、いろいろ、治療から、あるのかと思ったら、何にもありゃしないという声はたくさん資料映像の中にあります。これは、一人で四十八人診れば病院を設置できるという基準を定めてきた厚生労働省に責任がある。この患者を放置している可能性が、一つの問題点。

 もう一つは、これも深刻だと思いますが、精神病床をたくさん設け、そして入院患者を増やし、医者は少なくても済むわけですから、場合によってはもうかる構造にあるんじゃないかということがある。

 患者を放置する可能性と病院の収益構造を持ち上げる可能性と、二重に私はこの設置基準の緩さは問題があると思う。なぜ、耳鼻科から眼科から、あるいは循環器科から呼吸器科から脳外科から、同じ基準なのに、なぜ精神科医だけこれだけ緩和されているんですか。それは、現代において、現在において、妥当であり公平であり公正な基準ですか。私は直ちに見直すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたように、精神疾患で入院する患者の多くが慢性期であるといったことも含めて、療養病床、いわゆる一般の療養病床と同等以上に設定はしているわけでありまして。そして、さらに加えて、先ほどるる説明いたしましたように、必要な医療が行われている場合においては、それに応じた診療報酬も、必要なそれに応じた評価を行い、医療の特性や入院患者の状態に応じた人員の追加配置を求めているわけでありますので、それぞれの疾病に応じ、精神医療の実態に合わせた入院基準といいましょうか、配置基準をしているということが言えるというふうに思っているところであります。

小川委員 まさにそこが鶏と卵の話でして、その慢性患者が長々と、だらだらずるずるといられる環境を許しているのがこの基準でもあると申し上げているんです。慢性期だから少なくて済むじゃなくて、少なくて済むようにしているから、収益構造上も、また細かい診療手当てができないじゃないですか。だから退院できないんじゃないですかということも含めて、これは極めて落ち度のある基準だと私は思う。早急に見直す責任があると思います。

 今朝、宮本委員が、引きこもりの方が民間の追い出し業者、引き出し業者に連れ去られ、そして、半ば強制的に精神病院に入院させられ、身体拘束を受け、それは違法だという判決が出た。それが十六日、おとといのことです。

 そして、厚生労働省は被告になっていると思いますが、これも、資料映像、既に広く知られていることの一つですが、福島県で四十年近く精神病院に入院していた方が、原発事故で他県に移送になり、そこで入院が必要ないと言われ、そして直ちに解放された。その方は、今、国家賠償を求めて訴訟を起こしているはずです。この方は入院中、資料映像によりますと、鳥小屋でですよ、養鶏場で鶏ふんの撤去に当たっていた、病院の指導で。まるで懲役じゃないですか、強制労働だ。収容所であり、奴隷に近い状態である可能性もあるというような実態がある。

 そして、診療報酬詐欺で有罪判決を受けた精神科医のメールが明らかになっていますから、それもちょっと御紹介したいと思いますが、恨みを持っているんでしょうね、恐らく、警察や厚生労働省に。メールにこう書いていますよ。

 僕は一つだけやってやろうと決めていることがある。捜査機関のやつらが認知症やら何やらで精神科に来たら問答無用で隔離室に放り込んで、徹底的に痛めつける。絶対出さないし幾らでもいてもらう。完全に壊してから自宅に引き取らせる。厚生労働省関係者も同じだと、偽らざる本音を開示している。

 これは、この人が悪質なことは言うまでもない。しかし、それだけ独裁的な権限を病院長に与えているということなんです。もう皇帝じゃないですか、国王じゃないですか。こんな、外部の目のチェックが入りにくく、そして、密室で、極めて人権が侵されやすい環境を放置してきている厚生労働大臣の責任は極めて重い。

 私、最後に結局行き着いたのは、精神病院を責めても、いや、正しくやってもらわなきゃいけないんですが、恐らく一番大事なことは、この間、ハンセン病患者の強制隔離などを含めて、日本社会で、時に日本社会に限りませんが、病気を持たれた方あるいは不自由を抱えられた方々に対して、社会は極めて冷酷、冷徹に、隔離をして見えなくすればそれで問題がなくなったかのような対応を取ってきた可能性が、日本社会では私はあるんじゃないかと思いました。

 それはひいては地域社会の閉鎖性であり、あるいは日本社会の同調圧力、同質性であり、昔でいえば座敷牢、そして引きこもりの連れ出し、そして、認知症、知的障害、多動、不穏、いろいろな症状をお持ちの方々を、一切合切、社会的座敷牢として精神病院が引き受けてきた。精神病院に引き受けさせてきた地域社会、家庭、ひいては日本社会の寛容さや受容さ、それに向けた努力が欠如してきたことの証明である。

 加藤大臣、少々お述べになりましたが、まさにこの領域は、本来、社会福祉政策の領域です。社会福祉政策として、十分なアクセス、手当て、手だてが存在していれば、医療政策の名の下に、ただ隔離して見えなくしてしまう精神病床を必要とすることすらないかもしれないという、私は日本社会全体の問題だと思うに至りました。

 ただ、ちょっと繰り返し申し上げますが、そういう認識を持った上で、例えば、診療報酬体系や先ほどの医師設置基準等が、今の現状を追認し助長するような仕組みであってはならないということです。積極的に地域社会に送り返した病院にこそ高い点数をつければいい、今の病院の民営化が前提になるのであれば。私は病院の公営化論者ですが。

 そうした、少なくともこの社会の根深い問題がこの精神病床の在り方に反映をしており、厚生労働省がつくった診療報酬体系、設置基準が、それを助長し、是認し、容認しているという認識の下に制度改革をこれからも行っていく責任があると思いますが、大臣、一言お聞かせいただけませんか。

加藤国務大臣 まず今、委員最初のところでいろいろな事案を挙げられまして、ちょっと全部私は承知しているわけではないのでそれについて一つ一つ申し上げられませんけれども、ただ一方で、この間、私も精神病院を見させていただきました。しかし、そこに働いている方は本当に一生懸命に中の患者さんのためにやっていただいているわけですから、あたかも全てがという議論というのは、私は余りなじまないというふうに思います。

 委員がおっしゃっているようなことがあるのも事実だと思いますし、それに対して的確に対応していく。それに当たっては、確かに制度面の問題、それから、先ほど申し上げた歴史的な経緯で日本で病床が多くなってきている。こういったところ、これはしっかり見ていかなきゃいけませんし、他方で、制度として決まったものを、しっかり運用上それを守ってもらう、病院とかそういった方々に守ってもらう、このことも必要だというふうに思っておりますので。

 その上で、これからの動向について冒頭申し上げましたけれども、入院医療から地域生活の移行を図っていくということが必要でありますし、それは単に医療面だけではなくて、福祉面における様々な対応を含めて取り組んでいく必要があるというふうに認識をしております。

小川委員 ドライブになっていくのは法制度であり、診療報酬の体系ですから、その責任感を持ってお願いしたいと思います。

 今般、私ども、苦渋でしたが、全体として賛成することにいたしました決定的な理由は、与党側の御配慮あるいは政府側の御理解もあって、附帯決議にこういう項目を盛り込む前提で、この後、附帯決議案の審議に臨みたいと思っています。

 ちょっと、修飾語を排します。国連の非自発的入院の廃止等の勧告を踏まえ、患者、精神障害者等の意見を聞きつつ検討を行い、必要な措置を講ずる。この一言を国会決議の中に与野党合意の下で入れさせていただく。

 これを私どもとしては一つのよすがとして、ただいま申し上げたような問題点、そして、今後あるべき方向性については、多大な懸念、疑念を持ちつつ、だからこそしっかり監視していきたいと思います。ただいまの決議案が成立した場合には、しっかりと一緒に見ていく責任をこれからも果たしていきたいと思います。

 残り二分。

 この国連の勧告をまさにここに盛り込ませていただくんですが、外務政務官、今日はお忙しい中ありがとうございます。まだ、これは公定訳ができていないんだそうですね。九月の勧告ですよ、もうすぐ十二月だ。一体いつまでにきちんとした公的な解釈、訳文、これを作成していただけるのか、その決意をお聞きしておきます。

高木大臣政務官 小川先生の御質問にお答えさせていただきます。

 御指摘の障害者権利委員会による総括所見につきましては、アドバンス版と言われるものが九月九日に公表をされましたけれども、その後、確定版が十月七日に公表されたと承知をいたしております。

 この確定版の公表を受け、現在、外務省を中心に、関係省庁と連携をしながら、仮訳の作成作業に鋭意取り組んでいるところでございます。

 通常どの程度の期間で作成できるのかということでございますが、総括所見の内容や文言等の様々な、文章の量も含めて、一概に申し上げることはなかなか困難でありますので、いずれにいたしましても、できるだけ早く作業を完了させたいと現在考えているところでございます。

小川委員 余り遅過ぎて、遅きに失することがないようにお願いします。

 もうあと三十秒。

 大臣、私、今回いろいろ見ていて、障害者関連法案、厚生労働省の資料、全部、障害のガイの字が、害毒、害悪の害なんです。自治体によってはいろいろ見直しているところもあるので、これはいずれ見直しを検討していただけませんか。

加藤国務大臣 これまでも、障害のガイの字については、たしかこの厚労委員会でも議論があったような記憶をしております。

 まさに様々な御意見がございますので、いろんな御意見をいただきながら検討していきたいと思います。

小川委員 終わります。

三ッ林委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 政府参考人の方にお伺いをさせていただきます。

 障害者の自立支援についてなんですが、第一回の精神保健福祉士の育成の在り方に対する検討会、これは平成三十年十二月十八日に記載があって、少しデータが古いんですが、精神病床に入院されている患者さんが十五年間で約四万人ほど少なくなっている、しかし、外来の患者さんは二倍に増えている現状、そして、そもそもの病院のベッドが二万床減っているということで、これは平成三十年のデータにはなるんですが、過去十五年間、厚生労働省は、精神科の病床の削減を目指して、こういった数字になっているのかというところをお聞かせ、まず、させてください。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、精神病床の基準病床数につきましては、将来の入院需要等を踏まえた算定式を国において示した上で、各都道府県が、この算定式を踏まえて、医療計画の中で必要となる病床数を算定する仕組みとされているところでございます。

 国が作成をいたします算定式ですが、患者の年齢構成の変化等に伴う将来の入院需要のほか、地域移行の推進などの政策効果についても勘案するものとされております。

 これまで、都道府県が定める基準病床数は減少する方向で設定されているものと承知しており、実際に病床数も年々減少してきているところでございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 では、今の、需要ということをお話しいただいたんですが、その需要に沿って目標とされている削減というのは達成されているかどうかについて、お伺いします。政府参考人の方にお願いします。

辺見政府参考人 実際、都道府県が定めております基準病床数は減少する方向で設定されているところで、実際に病床数も年々減少してきているところでございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 病床数も需要とともに減ってきているということなんですが、二〇〇六年から二〇一八年にかけて、障害者の方の数は六百五十五・九万人から九百三十六万人に増えているということで、約三百万人増えているということになります。国民の八%の方が障害をお持ちだということになってくると思うんですね。

 そうすると、今回の法案の中でもありますが、やはり地域でこの方々を支えていくということが必要になってきます。その中で、精神科のドクターの方との連携というのは、非常に重要になってくると思うんですが、昨日の参考人の質疑の中でも、やはり、なかなか、精神科のドクターの方が地域の福祉と連携をしたいといったときに、その福祉とのつながりが持ちにくい、また、何とか地域に、今回でしたらグループホームが議題に上っていますので、グループホームにつないだところ、そのグループホームが精神的疾患に対して対応が余り得意ではなかったのような、ミスマッチが起きることもあるというふうにお聞きをしておりますし、私も、実際、現場でそのように感じています。

 これは一つに、やはり精神科のドクターの仕事が忙し過ぎるんではないかなというふうに思います。私も現場に行かせていただいたことがあるんですが、新規の患者さんを診察する場合に、やはり一時間かかっていました。そうすると、新患待ちということが起こって、なかなか、その精神科のドクターが地域の福祉にまで手が回らないという現状があるのではないかというふうに考えています。

 まず、精神科のドクターと福祉事業所の連携をどう取っていくかということと、精神科のドクターの方がこれほど忙しい、これを解決するすべはありますかと昨日、参考人の方に聞いたときに、今はないという回答だったんですが、私が精神科のドクターの方にいろいろ聞いたところによりますと、精神保健福祉士、PSWと呼ばれるそうなんですが、このPSWの方が、もう少し社会的地位であるとか賃金とかが上がって多くなり、我々の業務を助けてくれることができれば、改善されていくんではないかという話もお聞きしました。これは、十月二十六日に一般質疑をさせていただいた産後ケアのところでも、精神科のドクターも同じようなことをおっしゃっていましたし、我々の、私が関わっている介護の分野でもよく似た話をお聞きします。

 ですから、まず、精神科のドクターの方の福祉との連携をどうしていくか、ミスマッチも含めてですね、そしてPSW、精神保健福祉士の方の地位向上であるか、何か役割というのをしっかり明確にしていくということについて、政府参考人の方に御意見を伺いたいと思います。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 精神障害者の方が抱えます当事者のニーズというものは、地域で生活をしていくための生活支援に関わる福祉分野はもとより、精神疾患に伴う医療、保健、これは外来の通院もありますし、訪問看護などのサービスもあろうかと思います。そうしたような、様々な医療・福祉分野の支えが必要になります。

 その上で、多機関の連携を図っていくために、地域における関係者の協議でありますとか、多職種間の連携を図りながらソーシャルワークを行う、御指摘にありました精神保健福祉士などの専門職種の役割が非常に重要でございます。精神保健福祉士につきましては、当事者のニーズを把握し、身近な地域で、保健、医療、福祉等の切れ目のないサービスが提供されるよう、多職種、多機関の間で連携を確保する、こんな役割が期待をされているところでございます。

 このため、令和四年度の診療報酬改定におきましては、例えば、医療機関の専任の精神保健福祉士等が医師の指示の下、患者又はその家族等に対して相談支援を行うとともに、地域の福祉事業所等との連携調整を行った場合に評価をする療養生活継続支援加算を新設したところでございます。このほか、福祉サービスの方でも、障害者総合支援法の共同生活援助、いわゆるグループホームでございますけれども、一定の条件下で精神保健福祉士を含む専門職を配置した場合に加算が設けられているところでございます。

 身近な市町村における相談支援体制の構築に向けまして、精神保健福祉士がその専門性を生かして、精神保健相談員又は相談支援専門員として支援を提供しているという状況もあり、多方面で活動する精神保健福祉士が今後とも関係機関の間で連携を確保する担い手として十分業務を行うことができるよう、支援体制の整備に努めてまいります。

一谷委員 ありがとうございます。

 来年は、再来年に向けて、トリプル改定ですね、医療、介護、福祉、ここの改定で、やはり精神保健福祉士さんの待遇も考えていただけたらと思いますし、私は常々福祉の中で思うんですが、やはり各資格を持っておられる方の名称独占が多くて、業務独占が余りないとなると、その資格を取るための意味というものが薄れてしまうのではないかなと思いますし、なかなか、業務独占がないと、地位向上というか、賃金が上がるというか、そういったことは難しいのではないかというふうに考えますので、その辺りも少し参考にしていただいて、来年のトリプル改定、迎えていっていただけたらというふうに考えております。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 近年、障害福祉サービスなんですが、実績や経験が余りない事業所の参入が多く見られるのではないかなというふうに考えております。障害特性や障害過程を踏まえた支援が適切に提供されていないのではないかというような事業所も見られます。もちろん、そういうところをしっかりやっておられる事業所がほとんどだと思うんですが、やはり、フランチャイズ化してしまっているようなところもあり、全く違う産業からの参入ということもあるんですが、こういったことについてどうお考えか、政府参考人の方にお伺いをさせていただきます。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 障害福祉サービスにつきましては、地域のニーズに応じた計画的な整備とともに、サービスの水準を維持するため、指定基準を設定することですとか、都道府県による監査の実施などによりまして、サービスの質の確保を図ってきたところでございますけれども、本年六月に取りまとめられました社会保障審議会の障害者部会の報告書においては、障害福祉サービスの実績や経験が余りない事業所の参入による質の低下が懸念されるといった指摘がなされているところでございます。

 こうした課題に対応するため、従来からの取組に加えまして、新たに関係者が参画してサービスの提供状況についての評価を行う会議の開催を求めるといったようなことなど、サービスの質の確保に向けた取組について、現在、調査研究を進めているところでございまして、その結果などを踏まえて必要な対応を行ってまいります。

一谷委員 ありがとうございます。

 またその調査研究を見守らせていただきたいと思いますが、なかなか、この会議というのも開くのが、実務者が集まるのも難しい現状もあると思いますので、そういったところはテクノロジーの力を入れるというようなことも必要ではないかなというふうに今お聞きをして考えました。

 その次、質問させていただきたいんですが、精神病院退院後の支援として、精神病院からの退院の方は軽度の方が多いとお聞きしているんですが、やはり重度の方もいらっしゃると思います。その場合、日中支援型という、日中もスタッフがいてサービスを提供するというような形のグループホームがありますが、現在、ここはやはりマンパワー不足で、開設が難しいというお声をよくお聞きします。そうなってくると、重度の方の受入れが難しいということになって、そもそも、今回の改定にある、生活をよくしていくということにつながらないのではないかなと思うんですが、これについて政府参考人の方に御意見をお伺いします。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 日中サービス支援型を含めまして、グループホームなどの障害福祉サービスについて、人材の確保が課題となっているということを認識しております。

 このため、累次にわたる報酬改定を通じた職員の処遇改善の取組に加えまして、特に、御指摘がありました重度の方とか強度行動障害を有する方、こういった方に対しての支援を行う人材の育成や評価のための基準などについての検討を進めているところでございます。

 特に、重度の方を地域において支えるサービスとして、お話にありました日中サービス支援型グループホームは引き続き重要な役割を担っていくものと考えておりまして、次期報酬改定ですとか次期障害福祉計画の改定を見据えまして、グループホームにおける重度者への支援の充実や地域におけるサービスの整備について検討を進めてまいります。

一谷委員 ありがとうございます。

 なかなか、ここで働くスタッフさんの業務がかなり重いというふうに思いますので、ここはやはり、報酬で何とか対応をしていただけるようにしていただきたいと思います。

 続きまして、もう既に自立生活支援加算というのがあるのに、今回新たに自立支援を設けた理由というのを政府参考人の方にお伺いをします。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の自立生活支援加算ですけれども、現行、グループホームについて報酬上設けられているものでございまして、グループホームにいる間、二回を限度として、退居が見込まれる方を対象として退居前後の相談援助や連絡調整といった支援を行っている、その場合に加算の評価がなされるというものでございます。

 今回の法改正によりまして、グループホームの支援内容として、独り暮らし等を希望する者に対しての支援等が含まれるということを明確化するところでございますけれども、この場合、退居が見込まれる者に限らず、より幅広く、独り暮らしへの移行を希望する利用者の方を対象とする、また、退居が見込まれるよりももう少し早い、早期の段階から、退居後の当面の間まで、より長期的な視点から段階的、継続的に支援を行う、こういったようなサービス提供が進むように、今後、施行に向けて、基準や報酬などについて検討を進めてまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 そういったことは非常に有効だと思うんですが、やはり事業所にとっては、多分、もう一人スタッフを増やさないといけないというようなことになるのではないかなというふうに思いますので、その辺も考えていただけたらなというふうに思います。結局、新たな加算や新たな法整備ができても、実際、現場で受け入れられないということになると、意味をなさないと思います。

 続きまして、GとHの質問をさせていただく予定だったんですが、これは、自立した場合、事業所の収入が減るのではないかというところと、通過型に対しては、東京都を参考にして、加算がない自治体に対してはどうするのかということだったんですが、これは来年の改定に向けて考えていくというふうにお聞きしていますし、もういろいろな議員の方々からの質問もありましたので、省かせていただきます。

 その次の質問なんですが、障害者の雇用の支援という話です。

 今まで障害者の方を雇用したことがない企業にとってはやはり難しい問題もあると思うんです、障害者の雇用をしていくという面に関しては、これはハード面もソフト面もなんですが。こういったことについてどういうふうなサポートをしていかれるのかということについて、政府参考人の方にお伺いをいたします。

堀井政府参考人 お答えいたします。

 障害のある方が能力や適性を十分に発揮をして活躍できる雇用の場を確保する上では、事業主の方が障害者それぞれの特性に応じた業務の選定に取り組むことが必要であり、そのノウハウが不足する企業に対する支援は非常に重要と考えております。

 このため、ハローワークが障害者就業・生活支援センター等の地域の関係機関と連携をして、募集の準備段階から採用後の職場定着までの一貫した支援を行う企業向けチーム支援でございますとか、地域障害者職業センターによる障害者の能力、適性を踏まえた職務の選定等の専門的な援助等を実施をしておるところでございます。

 加えて、こうした企業に対する支援としましては、企業が有する課題の多様性や個別性に対応したきめ細やかな対応も求められることから、今般の改正案におきましては、雇入れや雇用継続を図るために必要な一連の雇用管理に関する相談援助の支援に関する助成措置を新たに設けることとしております。

 引き続き、障害のある方がその能力を発揮し活躍できるよう、事業主による職場環境の整備に向けた取組を積極的に支援をしてまいります。

一谷委員 ありがとうございます。

 スロープをつけるところの補助があったりとか、コンサル、このコンサルをする企業を決めるというのは非常に難しくて、問題もまた出てくるのではないかなというふうに思うんですが、そういった支援をしていただけるというふうに捉えました。

 しかし、なかなかやはり、そう支援をしても実際に受け入れるのが難しいと考えられる企業もあると思います。そういったときに、法定雇用率を守るためにいわゆる農園ビジネスというのが今あるとお聞きをしております。いわゆる、自らのところで、障害者の方の雇用の、働く場を外注するような形で働いていただく、その外注する先の企業はそういった障害者の方がたくさんお集まりになって、ノウハウもあって、仕事をしていただくというような形だと思うんです。

 こういった農園ビジネスについて政府参考人の方にお伺いしますが、どういった考えを持っておられるのかということにお答えをいただきたいと思います。

堀井政府参考人 障害者を雇用する事業主の方々には、障害者雇用促進法の趣旨を踏まえまして、労働条件や安全衛生等の面で適切な雇用管理を行っていただくとともに、障害者が働き続ける上で、その能力や適性を十分に発揮をし、活躍できる職場づくりを進めていただくことが重要であると考えております。

 こうした観点から、委員御指摘のようなビジネスといいますか事業に関しましては、障害者雇用促進法の趣旨を踏まえていないのではないか等のお声もあったことから、都道府県労働局等が事業所訪問を通じて実態把握を行い、適切な雇用管理がなされていない場合には、企業としての責務を果たしていただくように、適切な雇用管理への改善指導等を実施をしているところでございます。

 また、今般の改正案におきましては、事業主の責務として、適当な雇用の場の提供や適切な雇用管理等の実施に加えまして、雇用する障害者について職業能力の開発及び向上に関する措置を行うように努めなければならないことを追加をし、キャリア形成の支援を含め、適正な雇用管理をより一層積極的に行うよう求めることを盛り込んでおります。

 法案が成立した際には、この改正法の趣旨も踏まえまして、御指摘のような事業を実施、利用する事業主のみならず、広く障害者雇用に取り組む事業主に対して、雇用の質の向上に向けた取組に係る助言、支援等を積極的に行うなど、障害者が働き続ける中で能力を発揮をし、やりがいを持って活躍できる職場づくりにつなげてまいります。

一谷委員 ありがとうございます。

 私は、この農園ビジネスというのは、捉えようによっては悪くはないんではないかなと思うんですよ、確かにキャリアが上がらないとか低賃金だということは問題だと思うんですが。私も、私の事務所に障害の方が来てくださって、本当に就職ができて喜んでいたんですが、結局、その働くところの仕事がなくて、一日何もすることがない、ただ就職はしているという現状で、昼休み十分、うちの事務所へ来ていろんな話をして帰ってくれますけれども、やはりこういった実態は、就職はしているけれども非常に、自らは、まあ、人生はほとんど働くわけですから、苦しい状況じゃないかなというふうに思っております。

 ですから、要は、キャリアアップ云々を言われますが、その方の賃金がやはり増えて、そのためにはキャリアも上がらないといけないと思いますが、できることが増えないといけないと思いますが、賃金が増えて生活が成り立つのであれば、私は、こういった農園ビジネスみたいな、農園と言うからいかぬと思いますけれども、企業によってはプログラミングのバグを見つけるような仕事であったりとか、これは結構な給料が出ているとお聞きしますし、バックオフィス的な仕事もできないことはないのかなというふうに考えております。

 やはり私は、雇用の法定定員、一定、数値を設定して、浸透させていくというのは、適切な方法だとは思うんですけれども、やはりそれがきちんと実施されているかという検証は非常に大事であり、また、企業が法定の労働の定員に満たない場合に納付金というのを払うというふうにお聞きしていますが、納付金を払ったらもういいじゃないかとかいうようなことにならないように実態を見ていかなければならないのではないかなというふうに考えております。

 それでは、次は、地域共生社会について大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 平成三十年に、介護と障害を一体化させるということで、地域共生社会の実現ということがいろいろ発表をされました。この制度は、やはり人材が足らないというところで、お互いオーバーラップして、助け合えるところがないのではないかというようなことです。

 ただ、平成三十年から、この地域共生社会がなかなか実現がされているようには思わないんですが、これについて、大臣の御見解、お考えをお聞かせいただけたらと思います。

加藤国務大臣 地域共生社会は、子供、高齢者、障害など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共につくり、高め合うことができる社会、そしてその構築を目指すものであります。

 その実現に向けては、保育、介護、障害福祉など、それぞれのサービスを地域ニーズに応じてしっかり確保していくということに加えて、地域における様々な自主的な取組を進めるため、制度間の縦割りや支え手、受け手の関係を超えた取組が必要であります。地域の実情に応じて、共生型サービスの活用なども含めたこうした取組をしっかり進めることで、地域共生社会の実現を図っていきたいと思っております。

 地域共生社会は、この指標を見たらそうだとなかなか断じ得ないところでありまして、まさに住んでいる皆さん方が暮らし、生きがいを感じていただくということでありますので、地道な努力をこつこつとしていくということと、やはり地域それぞれの自主的な取組、これが非常に大事だというふうに思います。

一谷委員 ありがとうございます。

 本当にごもっともな御意見だと思いますし、そうなっていくことを願うんですが、やはり、障害をお持ちの方も高齢化をしてきておられると思います。平成二十年は六十五歳以上の方が四六%でしたが、平成三十年には五二%。更に高齢化が進んでいるというふうに考えます。

 先ほど、地域共生型のサービスということもありましたが、障害事業所が介護事業所の認定を受けて、障害から高齢者の方に対してサービスを出すという訪問介護がありますが、これは何と、令和二年十一月の資料ですが、サービス全体の請求事業所数、レセプトを出した事業所数が三万三千四百九十三、全体である中で、この共生型の請求を出した事業所は僅か七件ということになります。これは、通所介護では、四万三千百八十二事業所がレセプトを出した中で、共生型、障害と介護を一体にしたサービスで提供されたのは百七になります。

 なかなか事業所も共生型社会が進んでいない実態がある中で、私は、日本の抱える問題、やはり人材不足がもう本当に深刻な状況であります。やはりスタッフの地位向上ということも考え、障害の方と介護の方の両方の育成を一気にしていくということが大事ではないかなと思うんですね。

 地域共生型社会の実現の中に、専門人材の機能強化、最大活用というところで、対人援助職については専門資格共通の基礎課程の創設もしようというふうにうたわれておりまして、まさに、今、先ほど大臣が言っていただいたとおりだと思うんですが、ここで政府参考人の方にお伺いをさせていただきます。

 本当に、障害をお持ちの方で高齢の方、例えばプランを作るにも、障害は障害の方、そして介護は介護のプランとなると、一人に二人の専門職が必要になるというふうに、実際的になっていると思うんですが、こういったことを解消するに当たって、具体的な考え、政策があるのか、共生社会を深化させるための考えがあるのかということについてお伺いさせてください。

辺見政府参考人 障害者の高齢化が進む中で、ただいまお話がありました、福祉や介護のサービスを利用する計画作りに関する高齢者や障害者の支援に当たります相談支援専門員ですとか、介護分野ですとケアマネジャーでございますけれども、こうした職種につきましては、それぞれ、介護保険と障害福祉制度に関する理解を高めるとともに、相互の連携を進めていくということが必要であるというふうに考えております。

 これまでも、ケアマネジャーを対象とした法定の研修において障害者施策を学習する科目を設けて実施すること、また障害の相談支援専門員と介護のケアマネジャーの連携に関する調査研究を実施して、連携のポイントや取組事例について周知をすること、令和四年度からは新たに、障害支援専門員を対象として、ケアマネジャーとの連携に関する研修を行うことなどに取り組んできたところでございます。

 今後とも、高齢の障害者が適切にケアマネジメントを受けて必要なサービスが提供されるように取り組んでまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 確かに、今おっしゃっていただいたとおり、共生型の申請について課題となったところというのは、やはりなかなか理解が進んでいないというようなところも上がっていました。おっしゃるとおりだと思うんですが、やはり政府のところ、人材不足も考えて、強い姿勢として、私は、共生型社会というのを進めていくことが重要ではないかなというふうに考えております。

 本当に私も現場にいたとき、ケアマネジャーさんが障害の方のプランも作るという話があって、居宅介護支援事業所で障害の方を受け入れるということのプランを作るということになっていましたが、実際問題、難しいということもありますし、障害に至っては、身体の方もいらっしゃったら精神の方もいらっしゃる、こういったところを一体に受けるというのはなかなか介護事業所では難しいというところもありますので、改めて、この制度の整理ということを、実態に即した整理というのをしていただけると進んでいくのではないかなと思います。

 障害の施設が少ない、また人材が足らないところは介護人材が非常にフォローアップをしていける部分は多いと思いますし、高齢化はますます進んでいくと思いますから、お互い力を合わせてやっていくことが、今回の法案が通って、法案が本当に形になっていくために必要ではないかなというふうに考えております。

 それでは、ちょっと残りが五分になってしまいましたので、質問を幾つか飛ばさせていただいて、四番目の質問を大臣にさせていただきたいと思います。

 小児の慢性特定疾患の児童等に対する自立支援について、小児科医から内科への移行、小児科は十六歳で、次は内科に移行をされます。小児科の学会のホームページを見たら、二十歳まで受け入れることができますよというふうな話は載っていますが、実際、小児科の病棟ではなかなかそこまでの年齢の方を診ることは難しいということで、小児科から内科へ移行する際に、やはり情報共有のフォローアップが非常に難しいというふうにお聞きしています。

 小児科の先生も、自分のところの手を離れて次の内科の先生に行ったときに、今までやってきた支援であったりとか治療とかをうまくつなげていきたいけれども、なかなかそこはつながっていないと。そして、患者さん側もなかなか、やはり今までやってきたところがここでぶちっと切れてしまうというようなことも感じておられるそうなんですが、これについて、フォローアップ体制について、大臣のお考えをお聞かせいただけたらと思います。

加藤国務大臣 小児期から成人期の移行期にある小児慢性特定疾病児童等について、小児科の診療科から成人期の診療科に移行していくことが必要になってくるわけで、その移行を円滑に進めていくため、都道府県ごとに、小児科の診療科と成人期の診療科間の連絡調整等の支援、患者等から相談、病気への理解を深める取組等を実施する移行期医療支援体制の整備を進めているところでございます。

 さらに、今年度から移行期医療に関する実態や課題の把握を進めることとしており、この結果なども踏まえて更に対策を講じていきたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 小児科から内科へのフォローアップもですし、小児科の先生いわく、やはり地域の福祉につないでいくところもなかなかつなげにくいというお話もお聞きしていますので、ここも考えていかなければならないと思います。

 続きましては、政府参考人の方にお伺いをします。

 小児慢性特定疾患から指定難病に移行できない方は医療費や薬代が三割になるんですが、その辺りの支援は今後どうなっていくのかということについてお伺いいたします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 難病と小児慢性特定疾病の医療費助成の対象疾病や要件につきましては、それぞれの根拠法であります難病法あるいは児童福祉法の趣旨、目的が異なることから、現在、対象疾病は完全には一致をしておりません。

 このため、小児慢性特定疾病のうち、指定難病の要件を満たすことが明らかになった疾病については、着実に指定難病として追加するということをしております。また、先ほど大臣からも御答弁ありましたとおり、指定難病の要件を満たさない疾病に罹患している児童等への支援としまして、移行期医療支援体制の整備や、それから小児慢性特定疾病児童等自立支援事業というのも行っておりまして、これらの更なる充実を行うことによりまして、患者さんのための必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 そうですね、やはり毎年毎年、MRIやCTの検査費用が三万も四万もかかってなかなか大変だとお聞きもしておりますし、本当に子供に罪はないというか、病気を持って生まれてきてしまったことに対して、やはり社会がフォローアップできるような日本になっていけばというふうに思います。

 続きまして、やはり新生児医療が発達して、未熟児で生まれる方、障害を持って生まれる方が増えてきているというふうにお伺いをしています。医療的ケア児ということですね。

 脳に障害を持ち、目が離せない状態でケアが続いている御家族もあり、これはたんの吸引や呼吸器又は体位変換などですね、本当に五分として目が離せないというようなこともお聞きしているんですが、前回、四月十八日に決算行政でも質問をしましたが、家族の方のレスパイトということに対して、社会的入院がなかなかできない今、どのように考えているのかということに対して政府参考人の方にお伺いをいたします。

三ッ林委員長 辺見障害保健福祉部長、答弁は簡潔にお願いします。

辺見政府参考人 はい。

 医療的ケア児の家族のレスパイト時間を確保することは、医療的ケア児本人やその家族への支援に当たりまして、重要な課題であると認識しております。

 このため、具体的には、医療的ケア児に対応できるような医療型の短期入所を身近な地域で利用できるように、関係機関に対して新規開設に関する講習を行うことに対しての補助を行うとか、令和三年度の報酬改定で基本報酬の引上げを行うなど、整備の促進を図ってきたところでございまして、今後も必要な対応を行ってまいりたいと存じます。

一谷委員 ありがとうございます。

 来年のトリプル改定は、私も本当に政治課題の本丸だと思いますので、しっかり私も仕事をさせていただきたいと思います。

 本日は、誠にありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いします。

 今日は、就労継続支援の施設外就労と施設外支援、また、地域協働加算について、まずお聞きをしたいと思います。

 就労継続支援のA型、B型には、事業所の外で就労を行う施設外就労と施設外支援が存在をいたします。まず、それぞれどう違うのかを御説明いただきまして、さらに、その中で、施設外就労の加算ですね、就労加算というのが令和三年の報酬改定で廃止をされたばかりでありますが、この理由を伺います。

辺見政府参考人 施設外就労及び施設外支援は、就労系福祉サービス事業所が原則事業所内で行うとされている支援の例外として外で行うということが認められているものでございまして、施設外就労は、企業から請け負った作業を当該事業所の施設において福祉事業所の支援員が同行して支援をするというもので、施設外支援は、就労系福祉サービス事業所の利用者が企業実習に参加することなどに対しての支援で、一般的には支援者は同行しないものでございます。

 支援者が同行する施設外就労につきましては、従来、一般就労への移行ですとか工賃向上の観点から、施設外就労加算というものを設けて評価をしてきたところでございますけれども、令和三年度の報酬改定においては、基本報酬を改定をいたしまして、施設外就労に限定せずに、一般就労への移行が高い実績であったりすることですとか、高工賃、高い工賃の実現に取り組む、こういった事業所を高く評価するという報酬設定としたことに伴いまして、施設外就労加算については廃止をすることとしたものでございます。

田中(健)委員 この施設外就労の加算というのは二〇〇九年から始まっておりまして、施設外での活動が工賃の向上や一般就労、まさに言ってもらいましたが、一般就労につながるとして、特に就労の継続Bで要件緩和などが行われて、これまで促進をされてきました。御案内のとおり、B型の就労事業は、事業者数が一万四千を超えて、二十九万人が利用する主要な今、事業所の形となっています。昨年、これが急遽廃止となり、そのときにも大きな話題となりましたけれども、現在、一年がたち、やはりこの加算が必要でなかったかという声が上がっています。

 今言いましたように、就労支援事業の減額分を成果主義に基づく増額分に充当したということであるかと思うんですけれども、現実は、確かにそのように進めば理想ではあるんですけれども、しかし、今、平均工賃は下がっていますし、ないしは、コロナで仕事の確保というのも困難な状況が実際続いています。

 是非、工賃の多い少ないにかかわらず、やはり基本報酬というのが一番の要でありますから、それによって職員の報酬も決まってまいりますから、基本報酬というのをより十分なものとして高める、活動や運営の安定性が損なわれないような報酬の在り方というのを是非検討していただきたいと思いますが、参考人、どうでしょうか。

辺見政府参考人 まず、基本といたしまして、障害福祉サービス事業所に対しての報酬につきましては、経営実態調査を行いまして、それを踏まえてしっかりと検討していくということが必要と考えております。

 また、施設外就労加算に関しての御指摘でございますけれども、大きな目的として、一般就労への移行ですとか工賃の向上を達成するということが目的であるという点については広く、多くの方と共有ができているところかと思いますが、そのためのアプローチとしてどういうものが適当なのかどうかということについてしっかりと考えながら取り組んでまいりたいと思います。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 是非、まさに経営実態調査をしっかりと行っていただいて、現場の声を聞いていただければと思います。

 一方、新たに創設された加算として、地域協働加算が就労継続支援のB型で取得が可能となって、始まっていますが、これはどのような働き方を促進して、考えてですね、今回加算を行ったのか、伺います。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の加算は令和三年の報酬改定において設けられたものですが、従来型の体系に加えまして、地域において、様々な就労ニーズに対応しつつ、生産活動を通じて地域での活躍の場を広げるという観点から、加算で評価をするというものとしたものでございます。

 この新たな体系においては、利用者の多様な働く意欲に応えるため、例えば、地域の農業者との連携協力、こうした取組であります農福連携など、地域の企業や住民と協働した取組を実施する事業所を評価するというものでございます。いわゆる地域協働加算ということでございます。

田中(健)委員 農福連携などは、今申し上げました施設外の就労でこれまでもやられてきて、取組が進んでまいりましたので、ちょっと、どのような趣旨やまた思いがあってこの加算をしたのかなというふうに疑問に思ったのでお聞きをしたんですけれども、今回、障害者の雇用拡大や地域移行支援、また、ハローワークを使った一般就労への促進ということが法改正の中で大きな特徴として挙げられています。もちろん、制度としては整備が進むのは喜ばしいことですし、是非進めていただきたいんですけれども、やはりどうしても現場は、報酬また加算措置が、大きくそれによって左右されます。先ほども経営実態調査をしていただけると言ったんですけれども、是非それをしっかりと行って、特にコロナ禍で大きく経営状況は変わっていますので、現場の声を見て、次の報酬改定につなげていただければと思っています。

 引き続き、質問に移ります。今度は難聴者対策です。

 最近、うちの母親が、耳が遠くなったということを言われまして、超高齢化社会の我が国では、誰もが耳が遠くなる、難聴になる可能性を秘めています。

 補聴器工業会の調査によると、日本では千四百三十万人、人口に対する比率は一一・三%と、十人に一人以上が、少なからず、難聴や耳の聞こえないことを感じています。しかし一方、WHOの基準などによると、聴覚障害者の人口というのは、世界では六・五から一一・三%と、かなり幅があるんですけれども、それでもこれだけの数が認められている中、日本では〇・三%という数にとどまっています。

 この難聴というのは、医療なのか、ないしは福祉なのかというはざまの中で、なかなか支援が届かないという声もあります。今回の障害者総合支援法、是非、障害者基本法の定義に沿ったものというものに改正をしてもらって、日常生活や社会生活活動に制限を受けている聴覚障害を広く福祉サービスの対象にしてほしいという要請の声も上がっています。

 先ほど申しました、聴力レベルによって日本は高く設定をされているんですけれども、どうしてこのような高い設定になって、結果、障害者認定が少なくなっているのか。また、障害者認定にならない人というのが多数でございますけれども、その人たちへの支援というのをどのように考えているのか、大臣にお聞きします。

加藤国務大臣 聴覚障害を含めて身体障害の認定基準については、医学的な観点から、身体機能の状態を基本としつつ、日常生活の制限の程度により定めているところであります。

 聴覚障害者については、身体障害者福祉法において、両耳の聴力レベルがそれぞれ七十デシベル以上の方など、聴覚機能に重度の障害がある方を身体障害者として支援の対象としております。

 委員御指摘の国際的な基準というのはWHOの基準だと思いますが、あれは難聴の区分ということで、障害の区分そのものではございませんので、若干その辺の難聴区分も、WHOと我が国、若干ずれがあることは御指摘のとおりでありますが、障害区分については今申し上げたような形で決めさせていただいております。

 軽中度の方を身体障害者として支援の対象とするということについては、他の障害種別とのバランス、あるいは財源の問題等もありまして、慎重な対応が必要と考えているところでございますが、障害に至らない難聴の方に対しても支援をしていく必要があると思います。

 特に日本の場合、皆さん、すぐ眼鏡はかけるんですけれども、なかなか補聴器をかけないというところは従来から指摘をされているところでありますので、補聴器の適正な利用に関する普及啓発、あるいは高齢者に対する補聴器のフィッティングに関する研究、こうしたことも行い、障害に至ってはいませんが難聴の方に対する支援を行い、そうした皆さんの生活をしっかり支えていくということは大事だと思います。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 まさに大臣おっしゃってもらったように、日本は補聴器の普及率が大変低いです。海外が三割、四割というのに、日本は一三%ほどだと言われています。どうしても、かけるのが恥ずかしいとか、何か障害があるように思われてしまうということで、かけない人もいるんですけれども、しかしながら、是非、これも推進を図ってもらいたいと思っていますが。

 障害者総合支援法の中に、補装具の制度、公費助成が実施をされているんですけれども、どうしても、その対象者は障害者手帳の保持者に限定されておりまして、これも利用率の低さにつながっているんじゃないかと思っています。

 その中で、今年の五月に成立した障害者情報アクセシビリティー、コミュニケーション施策推進法、これが可決をされましたけれども、これを踏まえて、厚労省は六月にも、今回の障害者総合支援法の見直しに関連をして報告書をまとめています。様々な報告がありましたけれども、障害者の情報アクセスや意思疎通を強化する考えの下に、意思疎通の支援者の養成や、障害者からの相談対応などの促進が挙げられていますが、この障害者の基本法に定義される聞こえに不自由な方という、障害者だけでなく幅広い人たちへの施策推進というのを、このアクセシビリティー法に絡めて、どのように推進していくのか、お考えを伺います。

加藤国務大臣 障害者の方にとって、情報を取得して利用して意思疎通を図っていく、これは大変大事なポイントでありまして、厚労省としては、障害者のコミュニケーションを支援する手話通訳、要約筆記等の意思疎通支援事業、障害者が使用する点字ディスプレー等、情報・意思疎通支援用具を給付する日常生活用具給付等事業、さらには、障害者の自立支援機器の開発等を行う障害者自立支援機器等開発促進事業、こうしたことに取り組んできたところであります。

 障害者情報アクセシビリティー、コミュニケーション施策推進法の施行を踏まえ、意思疎通支援事業等の取組を推進していくことが非常に重要でありますが、意思疎通支援事業について、支援従事者の不足や認知度の低さなど、様々な要因によって、かなり地域差が生じているところでもあります。

 このため、意思疎通支援従事者の確保等に向けて、今年度より、意思疎通支援従事者への関心を高める広報啓発等の事業や、事業の推進に資する調査研究、まさに手話通訳に係る意思疎通支援従事者の養成についての研究、こういったことを行っているところでございます。

 今後とも、障害者による情報の取得、利用、意思疎通に係る政策を推進していくため必要な取組を図るとともに、当事者の方々の意見も伺いながら、事業の効果的な実施を行っていきたいと思っております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 恐らく、次の質問を一緒に答えていただいたんですけれども、まさに手話通訳や要約筆記者などという意思疎通支援というのは、障害者総合支援法の中の地域生活支援事業に規定をされているんですけれども、どうしてもその取組が、今大臣がおっしゃったように、かなり地域差が大きいということは長らく指摘をされていました。財源がないというのや、また、県、市によって取組がなかなか進んでいないところもあるというところでありましたので、今、大臣から、この推進、様々な今回、施策が並んでおりますので、それで進めていくということをおっしゃっていただきましたので、是非、その取組を各県、市、町に進めていただければと思っています。

 難聴の話でありますけれども、やはり、正確な情報というのが十分でないんですね。年を取れば誰でもどうせ耳は遠くなる、これは当然だというふうに、当たり前のようなことに今まで言っていましたけれども、単なる老化現象と捉えがちであるんですけれども、昨今は、難聴が及ぼす健康への悪影響、深刻な社会問題にもつながると指摘もされています。特に聴力低下と認知症の関係が大きく取り上げられておりまして、政府の方でも、新オレンジプランの中を見ますと、認知症の危険因子として、難聴が一因としても挙げられています。

 是非、この難聴という問題、なかなか障害者認定は難しいですし、また、福祉サービスとして難しい、冒頭言いましたように、医療と福祉のはざまの中で、なかなか対応は難しいんですけれども、団体としましては、難聴者や中途失聴者の団体の皆さんは、ボランティアで相談会をしていまして、どこにも相談に行けないような人たちのを受けているという現場も見させていただきました。是非、皆さんに、共通理解を持って進めていただければと思っています。

 最後、お聞きをします。障害者の手帳交付申請書について伺います。

 障害者団体の皆さんを回ってお聞きをしていますと、個人情報保護法の問題が、お話が出ます。これまで、個人情報保護法が定まる前は、障害者の情報というのは、役所にも聞いたり、皆さんに聞くことができまして、把握ができていました。地域にどのような障害者の方がいるのか、また、新たにどういった障害者の方がこの地域に入ってきたのかと。しかしながら、個人情報の保護法によって、本人同意を得る方法というのを考えていく必要があると思っています。

 私としては、身体障害者の手帳を出すときに、自分で情報を提供していいよという同意欄を追加できれば、こういうことも一つ推進につながるんじゃないかと思っていますが、見解を伺います。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 個人の障害に関する情報につきましては、取扱いに配慮が必要な機微な個人情報でございまして、こうした情報を地域の障害者相談業務などを行う障害者団体等に提供するということについては、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。

 一方で、現状においても、自治体から身体障害者の方々などに対して、関係団体や相談を行う方々などの取組について自治体のホームページにおいて周知をしたり、障害者手帳を交付する際のリーフレットによって案内をする、こういったような情報提供を行っていると承知をしておりまして、今後とも、機会を捉えて、こうした取組を促してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文でございます。

 この間いろいろと議論がありましたが、私も、今日は難病の方について質問したいと思います。

 今回、行政的に得たデータベース、情報を、それと小児慢性特定疾患のデータベース、そしてまた難病のデータベースを連携して、また新たな創薬であるとかに活用していくということでございますけれども、私は、加藤大臣に、この間ずっと医療DXを進めるべきだということを申しまして、来年四月からの電子処方箋であるとか、将来的には、電子カルテ、そしてNDBとの連携ということで言っております。

 例えば難病の治療というのは、遺伝子とかの技術、これが非常に重要でございまして、オーファンドラッグという希少な疾患に対してある薬、この開発につなげていくべきであると思いますが、その辺の御見解をまずお願いします。

加藤国務大臣 希少性難病の皆さん方は本当に薬ができることを大変待っておられまして、私の地元でもそういう方がいらっしゃいます。そうした研究を進めるに当たって、やはり一つは、データをしっかり蓄積をして、それに基づいて研究開発をしていくことによって開発の効率性を上げるということにも資するというふうに考えております。今回、難病データベースも法律に位置づけましたので、これをしっかり活用して、そうしたまさに研究開発等が進むように、そして、一日も早く難病等で苦しんでおられる皆さん方にそうした薬が届くように努力をしていきたいと思います。

仁木委員 先般の参考人質疑でも、私が難病の代表の方に質問したところ、やはり、情報セキュリティーがしっかりしているのであるならば、自分たちのデータを大いにそういうことに活用してほしいということをおっしゃっていました。

 今、大臣、話はそれるかもしれませんが、コロナワクチン、何でメイド・イン・ジャパン、国産のものができないかという背景に、大臣も今るる述べられましたけれども、やはりそういったゲノム医療等々、そういったことに対する、今、ゲノム医療法案というのを議員立法で用意されていましたが、まだちょっと今回の国会中にはもしかしたら上がってこない可能性もありますが、そういった日本におけるこの分野、臨床研究であるとか治験であるとか、そういった創薬するのに必ず欠かせないそういうフィールドが脆弱である。人もお金もかけてこなかった。その結果、そういう事態になっているということも大いに、大臣は御認識されていると思うんですけれども、そういうことを私は常に進めたいと思います。しかし、そこには、やはり国民全員が自分のデータをそういったところに活用して、自分たちのため、あるいは後進に、また起こってくる同じような病気を抱えた人たちにも活用できる、そういう理念を私は、厚生労働大臣として、発信力のある加藤大臣にはそれをやってもらいたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 その上で、やはり難病の治療というのは、例えば、今広まっている糖尿病とか高血圧とか、いわゆる疾病患者数が多い治療というのは、多くの医師が診療できる、診察できるわけでございますけれども、難病のドクターというのは、結構、専門性がすごく限られています。患者さんも少ないですから、やはりそういったドクターを養成していく。特に、先ほど私が申し上げた新薬、バイオ医薬品を使う、これは新たな治療ですから、本当に慎重にしなければ、副作用とかもいろいろな形で出てきたりしますから、特異性が高いわけです。

 ですから、シミュレーション研修とかいろいろな指導医、これはなかなか難しいわけでございますけれども、集約してしまうと全国にいらっしゃる患者さんがそちらに、高い交通費とか時間とか、家族が仕事を休んで行かなければいけない、そういう不便が生じますので、どうか、そういったことも踏まえながら、ICTを活用したりシミュレーション、それを中で行ったりして、そういう難病を診られるドクター、これは、その先生が引退してしまうと、本当に、次はどの先生に診てもらえるのかと不安に思っている患者さんもいらっしゃいますので、そういった育成も同時に、データベース化して創薬につなげるという今回の法改正に伴って、そういうことも御考慮していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさに、小児慢性特定疾患等、子供が調子が悪い、いろいろな病院に行くんだけれども、なかなか分からなくて、本当に、そこ自体も大変保護者の方にとっての負担になり、そして、今おっしゃったように、どうにか、このお医者さんならと思ったんだけれども、例えば通うのが大変であるとか、大体、東京とかそういうところに来なきゃならない、更に言えば、そのお医者さんが違う病院に行ってしまう、そういったことを私も直接聞かせていただいたことがございますので。

 そういった状況に対して、まず、今、いろいろなDXを使って対応できるようにしていくとか、さらには、そうした疾患に対するお医者さんをしっかり養成していくとか、そういったことには、そうした皆さんの声も承りながら取り組んでいきたいと思います。

仁木委員 大臣の今の発言は、難病の皆さんにとっては本当に希望となる御発言だったというふうに思っておりますので、是非これを実践していただきたいと思います。

 そういう中で、実は、診断の方法も含めてですけれども、難病と一旦診断されて、そこで患者さんが固定するわけでない難病もたくさんあります。つまり、ずっと状態が同じでない。

 例えば、一例を挙げますと、VHLとかいう、血管の豊富な組織が多臓器にわたってできてしまうような、そういう病気がありまして、それは、できることが分かるたびごとに手術を重ねていく。そうすると、手術のたびに入退院を繰り返す。就労にも影響する。そしてまた、様々な臓器、できる場所を除去、その腫瘍を除去することによって、例えば、身体的機能が落ちてしまって、いつの間にか車椅子になっていたり、あるいは、排せつ、人工肛門になっていたり、いろいろな、カテーテルが、管が入るとか、そういう事態になっておるわけですね。皆さん、大臣も御案内のように、ADLの低下が刻々と進むようなものもあるんですね。

 そういうことで、今回、この法案の中にはないんですけれども、より行政的なデータ、例えば、介護サービスを受けるときに、主治医の意見書と、あと、担当する地方の職員がいわゆる対面調査を行うわけですね。そういったところの活用を、医療の、例えば私が申し上げた電子カルテとも連動して、ああ、この患者さんはこういうふうな治療を施してこういう状態になってしまったのと、リアルタイムで分かって、それで、そういったものを日常生活支援であるとか介護とかの支援に、私は、経済政策でも、最近、自民党政権は伴走支援とよく言われますので、やはり、社会保障の、障害者の支援においても、刻々と変化する患者さんのADLに対応した、本当にリアルタイムのそういった伴走支援ができるような体制を取っていただきたいと思います。

 そのことは、ある種、センシティブデータ、今、機微なデータというのを参考人おっしゃいましたが、そうではなくて、やはり見えないと、その方だと同定されないと駄目なんですね。ですから、そういうデータを扱う人は、つまり、より責任感のある人、名前のある人、資格のある人、つまり、例えば担当職員であるとかケアマネであるとか、限られた人がその方のデータを見ることによって、それに所管する、介護士さん、実際に患者さんを介護するような人、そういった、家族のこともそうですけれども、反映させていくということなんですよ。そのことに関しては、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさに医療DXもそれの入口だと思いますし、単に医療だけでは、医療とも福祉は連携して、今委員がおっしゃったように、連携しているわけでありますから、本人に対する様々な情報を踏まえた上で適切な医療診断であり福祉の支援をしていくということは本当に大事なことだと思います。

 ただ、御承知のように、医療データであろうと福祉データであろうと、非常に機微にわたる、まさに個人情報そのものでありますから、その辺の取扱いをどうしていくのかということに対する懸念の声もありますので、そういったことにも十分配慮しながら、しかし、着実に、よりよい医療、よりよい福祉サービスが提供され、しかもそれが効率的に提供されていける、そうした仕組みをつくるよう、更に私自身も努力していきたいと思います。

仁木委員 ありがとうございます。

 まさに今私が申し上げたいのは、今大臣の答弁の中にもあったんですけれども、デジタル庁はできましたけれども、個人情報保護法の改正だけではなくて、やはり、国民の情報であり、国民のために使う情報である、そうすると、どなたがどういう権限を待って何のために使うのか、そういった情報基本法のような理念法が私はあった方がよかったと思うんですね。そういうことがあると、今回のこの法改正みたいなものも、より国民の理解が得られているというふうな前提ができますので。私は、そういうことがあると、例えば今の、私が申し上げているように、有資格者の方が、やはり、誰がいつ操作を、情報を見たかとか、情報を扱ったかという履歴も分かるわけですから、そういったことも情報化社会を進めていく上で必要なことだと思っていますので、一言申し上げたいと思います。

 今出ました様々な観点を踏まえながら、今後ともこういった行政を進めていっていただきたいというふうに思います。

 さて、今日、文科の皆さんに来ていただいていますけれども、今、医療的ケア児に関する法律が施行されて一年が経過しておりまして、例えば教育委員会や学校が、そういった専門医、いつも見ていただいている、主に小児科医と思いますけれども、情報提供書があれば、看護師を学校の中、特別支援学校の中に配置して、そういった吸たんであるとかケアを様々行うことができるとあるんですけれども。

 この検証を踏まえた上で、やはり、より御家族とか御本人が安心して学校に行けるような形を取っていただきたいと思うんですけれども、このことに関しまして、どういった調査項目とか、どういったことを今後踏まえた上でこの事業を拡大していくのか、そういうのをお考えか、ちょっと一言いただきたいと思います。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、特別支援学校等におきまして、支援体制の構築というのは非常に重要でございまして、障害のある子供の学びに資することはもとより、保護者も安心して働き続けられる、そういった観点からも大変重要と考えております。

 このため、文部科学省としまして、学校における医療的ケア看護職員の配置に努めておりまして、こちらの方の予算の拡充を図りつつ、来年度の概算要求になりますけれども、その実態調査を来年度行うための経費を今要求しているところでございます。

 こういった取組を通じまして、医療的ケアの子供たちがしっかり学びながら、また家族の安心、そういったことも含めて充実を図れるように努めてまいりたいと思っております。

仁木委員 大臣、最後に、総じてですけれども、この医療、介護の現場というのは、やはり患者さんの申し送りということを、情報の伝達というような……

三ッ林委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、終了してください。

仁木委員 はい、分かりました。

 それでは終わります。済みません。

三ッ林委員長 以上で、ただいま議題となっております両案中、内閣提出、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 障害者総合支援法等改正の束ね法案に対して、反対の討論を行います。

 本法案には五本の法案が束ねられておりますが、難病法の改正など、難病患者の皆さんの要望に応えた改善が図られる法改正がある一方、精神保健福祉法など問題点が指摘されている法改正があります。多くの議員が指摘したように、束ねを外すべきであり、乱暴なやり方で採決することに、まず初めに抗議をいたします。

 本法案に反対する最大の理由は、九月に出された障害者権利委員会の勧告に沿わず、逆行する内容が含まれているからであります。

 国連の障害者権利委員会の総括所見では、障害のある人の非自発的な入院は、障害を理由とする差別であり、自由の剥奪に等しいと認識し、障害や危険の事実、認識に基づく非自発的入院を通じて自由の剥奪を許す、あらゆる法的規定を撤廃することと勧告しております。

 ところが、本法案は、本人の意に反する医療保護入院について、家族の同意、不同意の意思表示がない場合にまで、形骸化が指摘されております市町村同意で入院を判断できるようにします。医療保護入院の適用を拡大するもので、不要な強制入院が増えます。医療保護入院制度は、人権を守る観点から、根本的に見直すべきであります。家族同意の仕組みも廃止すべきです。また、本法案で入院期間の定めが設けられますが、更新回数に上限がない点も問題であります。

 そもそも、本法案の検討過程で、厚労省自身が、医療保護入院の将来的な全廃を視野に、縮小を提案しておりました。ここに立ち返り、精神保健福祉法改正案については撤回し、障害者権利委員会の勧告に沿って、当事者参加で議論し直して、修正して提出すべきであります。

 あわせて、精神障害のある人の尊厳が確保され、地域で自分らしく安心して暮らせるよう、精神科医療の地域移行、生活支援、差別、偏見の解消を全力で進めることを強く求めるものであります。

 最後に、障害者データベース等については、個人情報保護法制の救済策が不十分であること、サービスの切下げにつなげてはならないことを指摘し、反対討論といたします。

三ッ林委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ林委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 この際、本案に対し、田畑裕明君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。中島克仁君。

中島委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 グループホームにおける一人暮らし等に向けた支援の実施に当たっては、福祉からの卒業として一人暮らし等への過度な誘導につながらないよう、新たなグループホームの類型の創設については丁寧に検討し、本人の意思を尊重して個別に必要な支援が適切に提供されるようにすること。

 二 国連障害者権利委員会の対日審査の総括所見における指摘事項を踏まえ、地域移行を着実に進めるため、多様な障害当事者の意見も踏まえ、目標を設定するなど具体的な地域移行の計画を立案すること。また、地域生活支援拠点等の役割の明確化や機能強化、拠点コーディネーターの役割の整理や配置の促進など地域移行を効果的、計画的に推進するための方策について検討し、必要な措置を講ずること。

 三 重度障害者の職場及び通勤中における介護について、現在実施している雇用と福祉の連携による取組の実施状況や、重度障害者の働き方や介助の実態を把握した上で、連携の取組の改善及び支援の在り方について検討すること。また、重度障害児の学校及び通学中における介護の在り方についても、教育と福祉の連携による取組の実施状況を踏まえて検討すること。さらに、地域生活支援事業により実施されている移動支援について、個別給付とすることも含め、その見直しを検討すること。

 四 高齢の障害者に対する介護保険優先原則の運用に当たっては、一律に介護保険サービスを優先するのではなく、重度訪問介護も含め、個々の障害者が必要とする支援を受けられるよう、地方公共団体に周知すること。

 五 障害福祉サービス等報酬改定に当たっては、加算を増やして報酬体系をいたずらに複雑化させないことに留意しつつ、必要な人員を確保し、適切なサービスが提供されるようにすること。また、コロナ禍において原油価格や物価の高騰に直面し、経営への影響が懸念されている全国の障害福祉サービス事業所を支援するため、必要な措置を講ずること。

 六 多様なピアサポーターの活動の価値や専門性を分かりやすく伝える観点も踏まえつつ、障害者ピアサポート研修事業の研修カリキュラムの見直しを検討すること。

 七 進行性の障害の状態を踏まえた必要な支援が受けられるよう、障害支援区分の認定や障害福祉サービスの支給決定に係る適切な運用を推進すること。

 八 失語症に関し、身体障害者手帳の等級の認定基準等を見直すよう、検討するほか、失語症者向け意思疎通支援者等の派遣事業の全国的な実施等、失語症者が障害者総合支援法に基づく必要な支援を受けられるよう、検討すること。

 九 放課後児童クラブのインクルーシブ化を推進するとともに、障害児の特性に応じた適切な支援に努めること。

 十 重度障害者に対する職場における支援のための助成金の利用が低調な理由について分析するとともに、重度障害者の就労ニーズの掘り起こし等を検討すること。

 十一 難病患者など障害者手帳は取得できないが障害によって働きづらさを抱える者への就労支援のために必要となる就労能力の判定の在り方について検討し、必要な施策を講ずること。

 十二 障害者雇用率制度における除外率制度の廃止に向けた取組を行うほか、事業主が、単に雇用率の達成のみを目的として雇用主に代わって障害者に職場や業務を提供するいわゆる障害者雇用代行ビジネスを利用することがないよう、事業主への周知、指導等の措置を検討すること。

 十三 医療保護入院の入院期間の上限については、厚生労働省令において六月を下回る可能な限り短い期間を設定するとともに、医療保護入院者退院支援委員会には、入院者本人及び本人の地域移行を支援する者を参加させることとし、入院期間の更新やみなし同意によって事実上の長期入院とならないような措置を講ずること。

 十四 家族等が同意又は不同意の意思表示をしない場合において市町村長の同意が安易に行われ、医療保護入院が増加することがないよう、必要な措置を講ずること。

 十五 国連障害者権利委員会の対日審査の総括所見における、精神保健福祉法及び心神喪失者等医療観察法の規定に基づく精神障害者への非自発的入院の廃止等の勧告を踏まえ、精神科医療と他科の医療との政策体系の関係性を整理し、精神医療に関する法制度の見直しについて、精神疾患の特性も踏まえながら、精神障害者等の意見を聴きつつ検討を行い、必要な措置を講ずること。

 十六 入院者訪問支援事業が、精神科病院に入院している精神障害者の権利擁護のためのアドボケイトとして機能するよう、入院者訪問支援員の研修など事業の実施体制の整備に万全を期すこと。

 十七 本法施行後の精神科病院の業務従事者による虐待についての通報の仕組みの実施状況を踏まえ、障害者虐待防止法における、病院での虐待の防止と報告を確保するための更なる取組について検討すること。

 十八 隔離・身体的拘束に関する切迫性、非代替性、一時性の要件を明確にするため、厚生労働大臣告示の改正を速やかに進めること。また、同告示に、患者に対する治療が困難という文言を用いることが適切であるかについて関係団体との意見交換の場を設け、当該文言やそれに類似する文言の使用によらない方策を検討し、必要な措置を講ずること。

 十九 地方公共団体による精神障害者の退院後支援に関するガイドラインについては、原則として警察又は警察関係者を参加させるべきではないとの観点から必要な措置を講ずるとともに、措置入院の運用に関するガイドラインについては、関係者による協議の場が、自立支援協議会等とは異なる役割を有することを踏まえて適切に運用されるよう、必要な措置を講ずることについて検討すること。

 二十 第八次医療計画の中間指標では、精神科病院の非自発的入院の縮減を把握する指標例とともに、精神病床の削減のための目標値の設定について検討すること。

 二十一 指定難病及び重症度分類の基準の選定に当たっては、引き続き、医学的見地に基づく日常生活上の困難さも十分考慮すること。また、小児慢性特定疾病について、成人後も切れ目のない治療が可能となるよう指定難病に指定することを検討すること。

 二十二 難病患者等に対する医療費助成の前倒しに当たっては、申請日から医療費助成の対象の病状であると診断された日まで十分に遡って助成の対象とすること。また、自己負担限度額の在り方について、引き続き、必要なデータ収集を行うこと。

 二十三 就労支援、医療・福祉、ピアサポート等、多岐にわたる相談業務を担う難病相談支援センターについて、関係機関との連携を密にしつつ、それぞれの強みを活かした相談支援を充実させるとともに、地域間格差が生じないよう必要な人員の確保や研修等による職員の質の向上に努めること。また、難病対策地域協議会等が設置されていない都道府県等に対し、十分な協議が行われるよう、その設置を促すとともに、医療的ケア児等の他の協議会と共同で開催できる旨の周知に努めること。

 二十四 難病患者等が地域において適切な医療を受けることができるよう、必要な予算や人員を確保しつつ、難病診療連携拠点病院を中心とした医療機関間の連携や移行期医療の体制整備などに取り組むこと。また、難病患者等の診療が制限を受けることは、命に直結することから、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中でも、診療に制限がかかることのないよう万全の対策を講ずること。

 二十五 難病患者等が治療によって、就労・就学において不利益な扱いを受けることがないよう、環境の整備に万全を期すこと。就労については、病気休暇等の普及促進、難病患者の障害者雇用率制度における取扱いの検討及び事業主への正しい理解の啓発に取り組むとともに、働きやすい環境整備に取り組むこと。

 二十六 難病の根治に向けた研究、治療法の確立に資するデータベースの構築を図るため、データ登録の促進に努めるとともに、オンライン化を始めとした事務手続の簡略化を図ること。また、取り扱うデータは遺伝情報等が含まれることから、登録データのセキュリティ対策には万全を期すとともに、利活用の範囲については慎重に検討すること。

 二十七 長期療養を必要とする難病等に苦しむ者や子どもが地域において適切な福祉サービスを享受できるよう、地方自治体が作成する障害福祉計画・障害児福祉計画に係る基本指針にその趣旨を明記すること。

 二十八 難病に苦しむ者の就労状況の実態把握に努め、治療を躊躇することなく、就労できる環境を創出するための、関係制度の検討及び他領域にまたがる政策の連携を通じた、支援策の充実に努めること。

 二十九 包括的な難病等対策を実現するため、難病等に対する有効な新規治療薬・治療方法の開発を進めるとともに、新たに治療薬が実用化された場合などにおいて、早期診断及び早期治療が可能となるような医療提供体制を早急に整備すること。

 三十 新生児マススクリーニング事業について、全国の地方自治体において適切に検査が実施され、検査の結果治療が必要となる新生児に対し、最新の知見を基に最適な治療が受けられるよう国の責任において当該事業の推進を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

三ッ林委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ林委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、加藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

三ッ林委員長 次に、厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第9因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来、各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 本案は、特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第9因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法に基づく給付金の支給の請求の状況に鑑み、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、給付金の請求期限を五年延長することとしております。

 第二に、特定C型肝炎ウイルス感染者のうち、劇症肝炎に罹患して死亡した者に対する給付金の額を千二百万円から慢性C型肝炎が進行して死亡した者等と同額の四千万円に引き上げるとともに、劇症肝炎に罹患して死亡した者について、この法律の施行前に千二百万円の給付金が支給された場合においても、その相続人に対し、引き上げられた給付金の額との差額に相当する額の給付金を支給することとしております。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第9因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 衆議院厚生労働委員長提出の特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第9因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、政府としては異議はございません。

三ッ林委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付しております草案を特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第9因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ林委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時十三分散会


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