衆議院

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第12号 令和4年12月7日(水曜日)

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令和四年十二月七日(水曜日)

    午後一時十五分開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      東  国幹君    畦元 将吾君

      上田 英俊君    柿沢 未途君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    新谷 正義君

      田村 憲久君    高階恵美子君

      土田  慎君    西野 太亮君

      橋本  岳君    長谷川淳二君

      堀内 詔子君    牧原 秀樹君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      山口  晋君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    大西 健介君

      西村智奈美君    野間  健君

      山井 和則君    吉田はるみ君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      遠藤 良太君    吉田とも代君

      平林  晃君    福重 隆浩君

      斎藤アレックス君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      羽生田 俊君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   星野 芳隆君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 岸本 武史君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月七日

 辞任         補欠選任

  小泉進次郎君     山口  晋君

  高村 正大君     東  国幹君

  土田  慎君     西野 太亮君

  吉田 統彦君     吉田はるみ君

  古屋 範子君     福重 隆浩君

  吉田久美子君     平林  晃君

  田中  健君     斎藤アレックス君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     高村 正大君

  西野 太亮君     土田  慎君

  山口  晋君     小泉進次郎君

  吉田はるみ君     吉田 統彦君

  平林  晃君     吉田久美子君

  福重 隆浩君     古屋 範子君

  斎藤アレックス君   田中  健君

    ―――――――――――――

十二月五日

 じん肺とアスベスト被害根絶等に関する請願(近藤昭一君紹介)(第一一七号)

 就労中の重度訪問介護に関する請願(落合貴之君紹介)(第一一九号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第一三五号)

 同(山岸一生君紹介)(第一九九号)

 高齢者の命・健康・人権を脅かす七十五歳以上医療費窓口負担二割化中止に関する請願(森山浩行君紹介)(第一三四号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第一四三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一四四号)

 同(牧義夫君紹介)(第一四五号)

 同(宮本徹君紹介)(第一四六号)

 同(谷田川元君紹介)(第一四七号)

 同(坂本祐之輔君紹介)(第二〇七号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二九二号)

 同(本村伸子君紹介)(第三三七号)

 同(伊藤俊輔君紹介)(第四一五号)

 同(本村伸子君紹介)(第四一六号)

 同(田嶋要君紹介)(第四五九号)

 全ての世代が安心して暮らせる持続可能な社会保障制度の確立に関する請願(吉良州司君紹介)(第一四二号)

 同(神谷裕君紹介)(第一七一号)

 同(金子恵美君紹介)(第二〇〇号)

 同(神津たけし君紹介)(第四六一号)

 同(森山裕君紹介)(第四六二号)

 介護保険制度の改善を求めることに関する請願(宮本徹君紹介)(第二〇五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二五七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二五八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二六〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二六二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二六三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二六四号)

 同(宮本徹君紹介)(第二六五号)

 同(本村伸子君紹介)(第二六六号)

 同(小川淳也君紹介)(第三三八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四一七号)

 同(笠井亮君紹介)(第四一八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四一九号)

 同(志位和夫君紹介)(第四二〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四二一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四二二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四二三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四二四号)

 同(宮本徹君紹介)(第四二五号)

 同(本村伸子君紹介)(第四二六号)

 障害福祉についての法制度拡充に関する請願(江崎鐵磨君紹介)(第二〇六号)

 安全・安心の医療・介護・福祉を実現し、国民の命と健康を守ることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二二九号)

 新型コロナウイルス感染拡大抑止のための緊急対応に関する請願(志位和夫君紹介)(第二三〇号)

 若い人も高齢者も安心できる年金制度に関する請願(志位和夫君紹介)(第二三一号)

 医療・介護の負担増の中止を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第二九一号)

 非正規差別と長時間労働の解消に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三二六号)

 同(笠井亮君紹介)(第三二七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三二八号)

 同(志位和夫君紹介)(第三二九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三三〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三三一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三三二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三三三号)

 同(宮本徹君紹介)(第三三四号)

 同(本村伸子君紹介)(第三三五号)

 保険でよりよい歯科医療を求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第三三六号)

 高過ぎる国民健康保険料の引下げへ抜本的改善を求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第四五六号)

 パーキンソン病患者への難病対策の推進に関する請願(阿部知子君紹介)(第四五七号)

 マイナンバーカードの取得義務化につながる健康保険証の原則廃止と保険証利用等に係るシステム導入の義務化の撤回に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第四五八号)

 社会保障制度改革に関する請願(神津たけし君紹介)(第四六〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人としてスポーツ庁審議官星野芳隆君、厚生労働省大臣官房総括審議官間隆一郎君、大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官城克文君、大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官堀井奈津子君、医政局長榎本健太郎君、健康局長佐原康之君、子ども家庭局長藤原朋子君、社会・援護局長川又竹男君、社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、老健局長大西証史君、保険局長伊原和人君、年金局長橋本泰宏君、政策統括官岸本武史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 本日、まず、第八波と言われる新型コロナウイルス、そしてインフルエンザの同時流行ということで、もう既に危機が迫っているところかと思います。

 私、地域で医療機関あるいは薬局等を回るんですが、もちろん医療機関は、今後の発熱外来等、大変な状態になるということを想定して、いろいろ考えております。しかし、特に中小の薬局、薬屋さん、調剤薬局さんを回りますと、既に第七波のとき、解熱鎮痛剤、あるいはせき止めの薬、喉の痛みを抑える治療剤、治療薬など、非常に品不足で渡せないこともあった、生産の調整もされていたということで、もしこの第八波とそれからインフルエンザが同時流行で襲ってきた場合、とてもこれは対応できない、特に中小の薬局では大きいところと違ってなかなか品物が回ってこないんだということで、非常に危機感を持っておられます。

 マスクとか体温計とか、それから消毒用のエタノールとか、こういったものの不足も見えるんですけれども、それ以上にやはり、いわゆる商品名でいいますとカロナール、アセトアミノフェン、あるいはトラネキサム酸の入ったせきを抑える薬等、こういったものの、今現在も実はもう品薄でなかなか手元に入らないというところも出てきているんですけれども、現状の製薬メーカーの生産状況とか供給状況、あるいは医薬品のいわゆる卸業者さん、こういったところの在庫等、どんな状態になっているのか、教えていただきたいと思います。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 アセトアミノフェンを中心としました解熱鎮痛剤ほか御指摘いただきましたような薬品でございますが、これらにつきましては、新型コロナの感染拡大に備えまして、製薬企業に可能な限りの増産を継続するように依頼をいたしておりまして、全体としては一定の在庫量が現在確保はされているところではございます。

 ただ、一方で、メーカーや卸売業者におきましては、過剰な発注を防止して安定的な供給を行うために、限定出荷というものを行っております。この結果、地域の薬局等では解熱鎮痛剤等が入手しづらいとの声があるというふうに承知をしております。

 これは、卸売業者が限定出荷を行う場合には、薬局等の平時の取扱量に応じて販売をするということをしておりますために、取扱量が少ない比較的小規模な薬局等に対しましては、今般の需要増を賄うだけの十分な供給が行われていないことが原因の一つというふうに聞いておるところでございます。

野間委員 大きなところ、あるいは、今おっしゃったように、卸売業者さんが平時につき合いのある、取引のあるところには回ってくるわけですけれども、なかなか小さなところで新しい取引をしようとすると回ってきていないという偏在の状況があろうかと思いますので、そこは是非、メーカーにも、そして卸売業者に対しても、そういう偏在がないように指導してもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

城政府参考人 先ほど申し上げましたように、こうした解熱鎮痛剤等に関しましては、入手しづらいという声があることを承知しておりますので、卸売業者に対しまして、小規模な薬局等に対しても在庫を活用して供給をするようにというふうに依頼をしたところでございます。

 引き続き、こうした解熱鎮痛剤が行き渡るよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

野間委員 まだ、第八波、そしてインフルエンザの同時流行というところまでは今来ていない状態かと思いますけれども、これは当然、もしやってきた場合の対策、とりわけ、今、第五類にという感染症法上の位置づけの変更もあるやに聞きますと、そういった場合、どういった医療機関でも対応ができるということになりますと余計に、この薬をどんなところからでも入手できるということになると、更に品不足が進むようなことも考えられます。

 同時流行、そういった場合の、どういう緊急の対策を今考えておられるんでしょうか。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 多少繰り返しになるところもございますが、解熱鎮痛剤等の確保におきまして、まさに同時流行を想定して一定量の在庫を確保するようにということで働きかけをしているところでございます。これにおきまして、医療用、OTC用、いずれについても可能な限り増産を依頼しておりまして、こういったことによって備えていきたいというふうに考えてございます。

野間委員 薬局の方に聞くと、カロナールの子供用の細粒というんですか、細かい粒にしたやつ、これがなくなってしまって、カロナールの錠剤を自分たちで砕いて、粉砕して出しているということも実際やられているわけですし、また、厚労省さんからの通知でも、最悪の場合はそういうふうに粉砕して出すようにということの通知も出ています。

 それで、小児あるいは妊婦さんの場合は、後遺症等の、副作用等の問題で、どうしてもカロナールでなければいけないということがあるようでありますけれども、例えば、粉砕をするんですが、これは診療報酬、そういう対象にならないんですよね。ただ、本当に最悪の場合、随分そういった作業もこれからしていかなくてはならない事態も想定されるんですが、その辺はどう対処されますか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 調剤報酬におきましては、錠剤を粉砕して散剤とするなど、患者が容易に服用できるような技術的な工夫を施して調剤を行った場合につきまして、まずは通常の調剤として報酬を払う仕組みがございます。という意味で、保険の対象にならないことはないんです、粉砕することは。

 ただ、保険収載されている既存の医薬品の剤型では対応できない場合には、さらに加算措置というのが設けられております。先生の御質問は、多分、加算措置の対象にならないのではないかというお話だと思います。

 それで、先生から御指摘のありましたアセトアミノフェン製剤、いわゆるカロナールなどにつきましては、飲みやすいように味のついた細粒というのが既に保険収載されておりますので、先ほど申し上げたような加算措置の対象にはなりません、通常の調剤報酬の対象になりますけれども。

 それで、このアセトアミノフェンを中心とした解熱鎮痛剤につきましては、先ほど政府委員から答弁いたしましたけれども、増産要請をして、一定の在庫量が確保されております。そういうことを考えますと、現段階で現在の加算ルールを見直すような状況ではない、このようには認識しております。

 ただ、いずれにつきましても、今後の感染とか、いろいろあると思いますので、状況をよく注視してまいりたい、このように思っております。

野間委員 是非、そういったことが、どうしても手間をかけなきゃいけないという事態になった場合は、また考慮していただきたいと思います。

 あと、大臣から是非、いろいろな本当の緊急時の、同時流行等の場合の、やはりとりわけ、私たち、地方でありますので、中小の薬局とかそういったところへの供給、今どうしても偏在が起きているわけですから、そういった点で大臣から、そういうことがないようにやっていくんだという決意をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 現状でも限定出荷が行われているわけでありますから、我々、かなり増産は強くお願いをし、メーカーにおいても対応いただいていますけれども、こうした状況下で、需要も増えているということもあって、そうした対応をさせていただいている。その結果として、今委員御指摘のように、特に中小の薬局等々において品不足感等が出てきているわけでありますし、それから、今後さらに、こうした流行が拡大すればまさに需要そのものが大きくなっていくということで、そうしたこともしっかり想定しながら、まずは引き続き増産をお願いをする、それから卸に対しては、中小の薬局に対してもしっかり在庫を活用して提供していただく、こういうことをお願いをし、さらに、それでも足りない場合は、先ほど子供用にカロナールを粉砕するというお話もありましたし、処方の仕方、例えば、カロナールは足りないけれども、ほかのやつはまだ残っているというのであればそれを活用してもらうとか、そういう場合もいろいろ考えながら、よく関係者とも連携を取って対応していきたいというふうに思っております。

野間委員 是非、今おっしゃったような、類似薬等の使用を進めたり、そういうことをやっていただきたいと思います。

 これは質問ということではないんですが、やはり医療関係者、薬局の方から聞きますと、これは医師の判断になると思うんですが、最少の処方の日数、一週間だ、一週間分の薬を出しますよ、こういった際に、まあ、五日間でも大丈夫かなというようなこともあるかもしれません。あるいは、残薬、もらった薬が残っているんじゃないですか、こういったことも薬局から聞いてもらうとか、あるいは、これはちょっと例外的なことかもしれませんけれども、いわゆるこのトラネキサム酸を含有する美容用のトランシーノとか、そういう美白用といいますか美容用のことにトラネキサム酸も含有されている、使われているということもありますので、万が一の場合はそういった美容用から取りあえず緊急の医療用に回すということも考えられるのではないかというような、いろいろな御意見もいただいているところであります。そういったことも是非また緊急時には考慮に入れていただきたいと思います。

 続いて、厚生労働省が管轄されますシルバー人材センターのことについてお聞きしたいんですが、私どもも地域にシルバー人材センターがあって、高齢者の皆さんがそこで働きながら、お孫さんにお小遣いを上げられるような、働きながらちょこっとした収入を得ることができるということで、高齢者の皆さんが大変喜んで働いていらっしゃるセンターがありますけれども、厚労省として、シルバー人材センターは一体、現状、どれぐらいの人がここで働いていて、どんな役割を果たしているか、そしてどう評価されているのか、お聞きしたいと思います。

堀井政府参考人 お答えいたします。

 シルバー人材センターは、高齢者雇用安定法に基づき、臨時的かつ短期的な就業又はその他の軽易な業務に係る就業を希望する高年齢者の方々に対しまして就業の機会を確保、提供する団体でございます。

 令和三年度におきますシルバー人材センターの会員数は六十八・七万人、平均年齢は七十四・一歳、そして月平均収入は三・八万円となっております。

 具体的には、地域社会のニーズに応じて、生きがい就労の充実や、社会参加を希望する高齢者に対して就業の機会を提供し、さらに、地域の人手不足分野等の諸課題の解決に貢献する取組を行っているなど、地域社会において重要な役割を担っていると認識しております。

野間委員 今お話しのように、地域社会で非常に重要な役割を担っている。高齢者の皆さんの健康のためにもいいですし、そういう意味では、医療費の抑制にもつながっているんだと思います。

 ところが、今、このシルバー人材センターの方々が非常に困って、困惑している事態が起きています。それは、インボイス制度の導入であります。

 インボイス制度の導入によって、シルバー人材センターにどれぐらいデメリット、税を負担しなきゃいけないのか。いかがでしょうか。

堀井政府参考人 インボイスの関係でお尋ねがございまして、シルバー人材センターにおきましては、インボイス制度の導入に伴いまして、免税事業者である会員に支払う配分金に係る消費税の仕入れ税額控除ができなくなることによりまして、新たな消費税の負担が生じることとなると承知をしております。そして、こうしたことに対応するために、対策に既に取り組みまして、さらに検討を進めているところでございます。

 野間委員がお尋ねがございました、新たに発生する消費税の具体的な額につきましては、各シルバー人材センターが簡易課税制度を導入しているかどうかなど、諸条件によって異なってくるものでございまして、正確な算出が困難であることから、お答えを差し控えたいと存じます。

野間委員 過去のこの厚生労働委員会でのやり取りの中で、大体、シルバー人材センターに対して二百億円ぐらいの課税になる、そして、一か所当たり平均千五百万ぐらいの税負担が生じるということがやり取りの中で出てきていますけれども、それはいかがなんですか。

堀井政府参考人 失礼いたしました。

 二百億という数字についてでございますが、これは、正確な数字をお示しすることが困難であるとの前提のものでございます。

 具体的には、経過措置などを一切考慮せずに、全てのシルバー人材センターが一律一〇%の消費税の適用を受けるものとするなどの仮定を置きまして、その下で機械的に、あらあらに計算をした場合の数字として、二百億円前後ということでございます。

野間委員 あらあらな数字にしても、一か所千五百万もの負担が生じるとなると、本当にやっていけないんですよね。

 御承知のとおり、公益法人であるセンターの運営というのは、収支が、別に利益を出すわけじゃないですから、収支が均衡しているわけでありまして、新たにその税負担の分をどこかから捻出してこなきゃいけないというわけですね。

 ですから、これは、いろんな、与党・政府に対しても、シルバー人材センター、全国組織からも要望等が上がっていると思うんですが、今、いろいろ、シルバー人材センター、こんなに重要な役割を担っているわけですから、この対策を検討されていると思うんですけれども、その状況を教えてください。

堀井政府参考人 厚生労働省といたしましては、様々な今の状況に対応するために、まず、センターの収入である事務手数料を増やして安定的な事業運営を確保できるように、地方公共団体がセンターに業務発注をする場合に適正な価格設定を行うように都道府県知事への依頼を行ったり、介護分野へのシルバー会員の就業機会の拡大を図るための事業を創設し、受注件数を増やすなどの取組を行っているところでございます。

 このほか、会員が安全、安心に就業するための環境整備を図るという観点から、発注者と会員との契約関係やセンターの役割を整理をすること等をセンターの全国団体とも調整をしながら検討しております。

 さらに、先般成立した補正予算におきまして、センターの事務処理のデジタル化を推進をし、業務の効率化、簡素化、ウェブ上の受注の拡大を図り、就業機会を増加をさせ、事務手数料収入の増加を図ることとしており、これらの取組を通じまして、センターの安定的な事業運営を確保してまいりたいと存じます。

野間委員 いろいろな仕事量を増やす等の対策ということなんですけれども、平均、シルバー人材センターが受けている仕事の七割が民間の仕事ということで、なかなか、行政の側からこうしてくれと言っても、そう簡単に増えるものでもないと思います。また、三割の公共の部分、公共での仕事、これは三割ですから、そうそう大きく改善するとも思えません。

 そしてまた、もちろん、仕事量が幾ら増えたからといっても、消費税分をもらうというわけじゃありませんので、その分はまた会員さんにも払わなくちゃいけないということでありまして、なかなかうまい措置はないんじゃないかと思うんですけれども、しかし、このままでいくと、本当に経営ができなくなってくる人材センターも当然出てきますので、そういったところを、何らか特例的な措置をつくることはできないんでしょうか。

堀井政府参考人 野間委員から、今いろいろと御指摘をいただきました。

 そして、厚生労働省といたしましても、先ほどお答えをさせていただきましたような様々な観点から取組を行い、さらには、シルバー人材センター、そして全国的な団体、そういったところからもきめ細かく御意見やそれから進展状況、取組状況を伺って、引き続き先ほどのような取組を進めてまいりたいと考えております。

野間委員 先日、十一月二十一あるいは十九日の日経新聞で、シルバー人材センターも含むフリーランスの方などの、インボイス制の導入に対して、少額取引を免除しよう、少し猶予期間を置こう、こういったことが政府・与党と自民党で検討されているということが出ていますけれども、これはどのような内容になるでしょうか。

金子大臣政務官 ありがとうございます。

 野間委員御指摘のとおり、シルバー人材センターを含む多くの事業者の皆さん方から御懸念の声があることは私自身もお聞きしておりますし、また、広く周知されているんだろうというふうに思います。

 特に、事務負担、税負担についての御懸念の声が非常に大きいんだろうというふうに思いますけれども、そうした御懸念の声も踏まえて、報道があったことは承知しておりますが、今、税制上の対応に関しましては、与党税制調査会の場において、まさに今、免税事業者であった方が課税事業者に転換した場合の激変緩和措置、並びに、少額のインボイスの保存に関する中小事業者の事務負担の軽減といった観点から御議論をいただいております。政府としては、こうした御議論も踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。

 引き続き、制度の円滑な移行に向けて、関係省庁、特に、シルバー人材センターの場合は厚労省ときめ細かく打合せをしながら対応してまいりたいと思います。

野間委員 是非、そういった少額取引は免除していただいて、シルバー人材センターを始めフリーランスの、与党の皆さんも、多分、声優の皆さんとかいろいろなタレントの卵の皆さんがこういうことで大変な増税になるということを危機感を持っていますので、対処していただきたいと思います。

 続いて、これは今、高齢者の皆さんも、非常に困る、こういうことがないようにということを言われているんですけれども、マイナンバーカードの問題ですね。

 これは、保険証と一緒にするんだということで、来年の四月にオンラインの資格の確認の義務化をやっていくということが今うたわれていますけれども、厚労省さんの資料でも、いわゆる顔認証つきのカードリーダーを通してこれはやるということになるわけですけれども、このカードリーダー、九五%の施設がカードリーダーを申し込んでいる、つけてほしいと言っているわけですけれども、実際、準備が完了しているところは四五・九%、そして、その運用が実際に開始されているのは三九・二%ということで、これは厚労省さんの目標としては来年の四月にということなんですが、この状態で果たして目標が達成できるんでしょうか。難しいんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のオンライン資格確認の導入に関しましては、来年の四月から原則義務化ということで、紙レセプトとかでやっている例外機関を除いては、来年四月には医療機関で導入していただくということにしております。

 先ほど先生が引用されたように、九五%の義務化対象施設からはカードリーダーの申込みをいただいております。まさにそのカードリーダーが届いた後、院内でのシステム改修をし、そして実際患者さんに運用していく、こういう手順になっておりますので、我々としましては、大体申込みはしていただいたので、システム改修を急いで来年の四月までの間に進めるべく、システム開発事業者にも総力を挙げて対応していただくようにお願いしておりますし、また、もう一つ議論としてございますのは、今年の年末までに、でも、やはり地域の実情においてはなかなか難しい事情が生じる場合もあり得るのではないか、経過的な対応が必要じゃないか、こういう御議論もいただいておりますので、そうしたところにつきましては年末までに必要な検討をしていく、こういう段取りでおります。

 いずれにしましても、来年の四月にはほとんど、多くのところでやっていただけるように努力していきたい、このように思っております。

野間委員 その意気込みは分かるんですけれども、非常に難しいと思います。

 それと、私の地元などは、小さな医療機関、このカードリーダーを置く場所がないんですよね。受付のところでも、もういろいろなものが置いてあって、そのためにまた何か机を入れなくちゃいけないとか、そういうことから始まって、なかなか入れたくない、入れるスペースがない。あるいはまた、入れても、使う人が余りいないんですね。なかなか、カードも作っていない人も多いです。

 ですから、そういう実態、まあ御承知だと思うんですけれども、やはり何か十二月に中医協からそういった答申なりが出るということですけれども、是非、経過措置なり、強制的に、どうしても、一律にすぐ入れろということではなくて、そういった地方の、地域の実態を勘案してやっていただきたいと思います。

 いろいろ聞きますと、この整備の費用が補助金を上回るんじゃないか、結構お金がかかるということもありますし、また、対応するスタッフ、そういうのが分かる人がクリニック、診療所にはいない、こういった声も聞きます。そういったところへの支援も是非していただきたいんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

伊原政府参考人 まず、御質問いただきました医療機関、薬局への補助の話ですけれども、この補助金の設定に当たりましては、実際、我々、補助金を設定する前にいろいろヒアリングをしまして、どのぐらいコストがかかるかというようなことも調べた上で決めております。ただ、一方、現場からは、予想していたよりお金がかかったというような話を聞いております。

 ただ、よく調べてみますと、オプションのサービスを利用したり、あるいは、オンライン資格確認とは別に、併せてオンライン請求のシステム改修をしているとか、あるいは電子カルテのことも併せてやるとか、そういう様々な要因で高くなっているケースもありまして、現行の補助でできるだけお願いできるようにしておりますし、それから、そうした御指摘も医療現場から受けましたので、実は、システム改修とかを行う事業者に対しまして、個々の医療機関に対して見積書をちゃんと明確に、補助の対象とそうじゃないもの、そうしたものを仕分けてちゃんと出すように、そういう手当てをしているところでございます。

 いずれにしましても、新しい試みですし、それから、先ほど、医療機関の受付でなかなか、置けるのかとか、あるいは、患者さんの方にまだマイナンバーカードが普及していなくて、使う人が少ないという御指摘もあると思います。

 ただ、私も今年の夏からこの仕事を担当しておりますけれども、当初はそういう声がすごく多かったんですけれども、十月以降、実際利用される方も出てきておりますので、そうした事例なんかもしっかりと現場に普及させながら御理解を進めていきたい、このように思っております。

野間委員 地方の診療所、クリニック、やはり高齢者の方が多いです。スマートフォンやパソコンを持たない、いわゆるデジタル化とはちょっと無縁な方も多いわけですね。そういった方々への配慮を是非していただきたいと思います。

 最後の質問になります。

 水俣病のことなんですけれども、これは本来環境省の所管でありますので、厚労省がということで疑問に思われるかもしれないんですけれども、昨日、全国から水俣病の患者さん、今、国と訴訟で戦っている方々、約二千名近くおられるんですけれども、百人以上の方が国会に来られて、いろいろ意見交換、環境省とも話合いをさせていただきました。

 御承知のとおり、水俣病の公式確認からもう六十六年がたっているんですが、いまだに救済されない方がいるということであります。とりわけ、これは十三年前に特措法というのができて、ある程度救済はされたんですけれども、そこから漏れている方。例えば、一つの町でも、この町の人は救済の対象にする、しかし、一本線を引いてその隣は対象にしない、同じようにその地域のメチル水銀が入ってしまった魚を食べて水俣病になった人たちであるにもかかわらず、町が違うから、隣だからということで救済されない方々、あるいは、当時そういう救済法案というのを知らなくて、しかし、後から自分は水俣病だったということが分かった方、そういう救済されない方がまだ数多く存在しております。

 十三年前にそういう特措法ができていたんですけれども、そのとき、新しい健康調査の調査の手法を開発してもう一回健康調査をやるんだといいながら、十三年間ずっと、開発している、開発しているといって、いまだにこれは出てこないんですね。そんなような状態で、非常に水俣病の患者の皆さん、被害者の皆さんは、もう大分亡くなっている方も多いです。

 そんな状況があるんですけれども、厚労省に是非お聞きしたいことは、水俣病というのはそもそも食中毒であると思うんですが、その認識はありますか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、厚生労働省が、水俣病が食品衛生法上の食中毒であるかという認識をした時期を御説明いたします。

 これは昭和三十四年十一月十二日でして、旧厚生省の食品衛生調査会において、水俣湾及びその周辺に生息する魚介類を多量に摂食することによって起こる主として中枢神経系統の障害される中毒性疾患であるとの答申が行われました。

 この答申を踏まえて、私ども、現在も、水俣病は食中毒と認識しております。

野間委員 食中毒だとしますと、そう認識されているとしますと、当然これは厚生労働省が食品衛生法に基づいて調査をして、そういう方々が水俣病であるということを本来であれば認定しなきゃいけないと思うんですけれども、そこはどうなんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたとおり、昭和三十四年、これは旧厚生省で、その後、水俣病の実態と申しますか、どのような内容かというのが明らかになって、そして、公害としての水俣病は環境庁、現環境省に引き継がれ、そして食品衛生法は今も厚生労働省が担っているという状況になります。

 ですので、これが、水俣病である、そのことに対しての対応は、現在は環境省において政府としては対応をしているところでございます。

野間委員 環境省が所管しているからということなんですけれども、なぜ私がそういうことを聞くかといいますと、食品衛生上でいえば、例えば、そういうメチル水銀に汚染された魚を食べたということと、神経麻痺とか障害があった、そういう二つのことがあれば、これは厚労省的には患者として認定されるんですけれども、ところが、環境省は、それに更に、麻痺とか中枢神経、二つ以上のまたそういう何か障害がなければ認定しないということに、二重三重の足かせといいますか規制をかけて、なかなか認定されないんですね。

 ですから、本来であれば食品衛生上の認定が当然だと思うんですけれども、環境省がそういうふうに縛りをかけてしまって、認定されずに、いまだに困っている方が多いということでありますので、これは厚労省が立ち入るべきでないということなんだと思うんですけれども、そこはちょっと、行政の縦割りの非常に弊害でないかとは思いますけれども、大臣、その辺は何か御意見はないんでしょうか。

加藤国務大臣 委員の、様々な被害を受けている方をできるだけ救済をというその思い、それはよく分かることでございます。

 他方で、食品衛生法に基づく食中毒への対応というのは、これは飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止するということであり、食中毒の原因究明や更なる健康被害の発生の防止等のための措置を講ずるということで、この法律の中に事後的な補償ということはそもそも想定されていないということでございますので、まずは、法律が想定している、その範囲の中でやるべきことをしっかりやらせていただきたいと思います。

野間委員 ありがとうございました。縦割りのそういった弊害は出ているわけですけれども、私どもとしては、一人も取り残さず救済できるまで頑張っていきたいと思います。

 時間となりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、一般質疑ということで、まず統一教会の養子縁組について、それから年金制度、年金財政について、さらには、地元の方からも御要望のありました障害者のB型就労について、そして国民健康保険の都道府県統合についてということで、時間の限り質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、統一教会の養子縁組あっせんについてお伺いをいたします。

 旧統一教会で行われてきた信者同士の養子縁組をめぐり、厚生労働省が教団に出した質問書に対する回答が五日届きました。

 旧統一教会では、一九八一年から今年五月までの四十一年間に、実に七百四十五組の養子縁組が行われたということであります。

 二〇一八年四月から養子縁組あっせん法が施行され、養子縁組のあっせん事業は自治体への届出制から許可制となり、無許可のあっせんには罰則も設けられております。ところが、二〇一八年の四月以降も、旧統一教会では少なくとも三十一件の養子縁組が行われたと報告をされています。当然、旧統一教会は養子縁組あっせん事業の許可を受けておりません。

 養子縁組あっせん法の四十四条には、都道府県の許可を受けずに養子縁組あっせん事業を行った者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金と書かれています。また、刑事訴訟法二百三十九条二項で、公務員は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならないということであります。

 大臣に伺いますが、この統一教会、教団を刑事告発すべきではないでしょうか。

加藤国務大臣 まず、現状、御承知のように、十一月二十二日に東京都と連名で発出をした養子縁組あっせん事業に係る旧統一教会への質問書、これは、十二月五日に回答を受領したところで、現在、その回答内容を精査し、精査結果に基づき適切な対応を検討していきたいと考えております。

 今検討中ということで、具体的な報告を申し上げるのは差し控えたいと思いますけれども、あっせん法第六条に規定する許可を受けずに養子縁組あっせん事業を行っていた具体的な事実関係が確認された場合には、今委員お話があったように、許可を受けないで養子縁組あっせん事業を行ってはならない旨、行政指導を行うとともに、同法第四十四条の罰則の適用に関し、必要な対応、すなわち刑事告発が想定されておりますけれども、そうしたことを実施することとなる、そういった点も念頭に置きながら、精査を速やかに進めて、その上で必要な対応を取っていきたいと考えております。

井坂委員 精査というのは具体的に何を調べるのか、また、精査に何日ぐらいかかる見通しかということを教えていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣から申し上げましたとおり、回答書については、十二月五日に回答を受領しておりますけれども、今後の対応について検討するためにも精査が必要ということで、今、何日かかるということは申し上げられませんけれども、なるべく速やかに対応を検討し、適切な対応を取ってまいりたいというふうに考えております。

井坂委員 大臣にちょっと決意をお伺いしたいと思うのですが、精査をした結果、養子縁組あっせん法違反が疑われる、あるいは蓋然性が高いとなれば、私は当然刑事告発をすべきだと考えますが、大臣、さっき、必要な措置ということはおっしゃいましたが、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 現在精査している段階なので、この段階で、こうだということを、断定的なことを申し上げることはできないことは御理解いただけていると思います。

 その上で、先ほど一般論として申し上げた対応、行政指導と刑事告発、こういったことを念頭に置きつつ精査し、結論を得ていきたいと思っております。

井坂委員 結論を得ていきたいということで、私は、当然、違法があれば刑事告発をすべきだと、大臣にもそれぐらいの決意はお示しをいただきたいというふうに思います。

 何でこんなお話をするかといいますと、今日、配付資料を持ってまいりました。これは、今日、本も持っておりますけれども、統一教会の内部、幹部の方が信者さん向けに書いているハンドブック、いわゆるマニュアルであります。これは、いろいろなのがあるんですけれども、どれも同じことが書かれておりまして、旧統一教会がそもそもなぜ養子縁組を進めるのか。

 配付資料の一ページ目、ラインを引いておりますが、「養子縁組」という章立てがありまして、「子孫のことを深く考慮してマッチングしてくださり、すべての祝福家庭に子女を授けたいと願っておられるのです。」、教祖様は願っておられるのです、こういうことがはっきり書かれていて、このマッチング、「この課題を解決するために、「養子縁組」を許可してくださいました。」こういう言い方であります。

 このハンドブックは二〇一七年四月のものでありますから、ぎりぎり二〇一八年の法施行前と言えなくもないわけでありますが、一枚めくっていただきまして、資料の二を御覧ください。

 「養子縁組の具体的内容」、そもそもマニュアルにこういうことが書いてある時点で私は大問題だと思います。「養子縁組については、」「牧会者や家庭部長が間に入って、」ということ、「生まれてくる子どもが男女どちらであっても養子縁組を進めるかどうか、」とか、そういうことを旧統一教会の家庭部長が間に入って確認をします、こういうことが書いてあって、さらに、資料三、めくっていただきますと、「「養子を授かりたい」と希望している家庭、および「養子を捧げたい」と決意している家庭がありましたら、所属教会の家庭部長にぜひ相談してください。」こういうことが堂々とはっきり書かれているわけであります。

 この本は、二〇二二年八月四日の本であります。これは法施行後どころか、つい直近の最新刊でありますから、今なお旧統一教会はこういうことを信者向けにマニュアルまで作って本として広めている、これはもう間違いのない事実であります。

 また、そのほか、今朝の毎日新聞によれば、本部家庭局が仲介に入って、一組でも多くの養子縁組が成立するよう努力します、こういうふうに書いてある冊子もあるということが今朝たまたま報じられておりました。

 ちょっと大臣、お伺いしますが、こういう本、マニュアルがあること自体は、大臣、御存じでしたか。

加藤国務大臣 当然承知をしておりますし、それを読んだ上で、先ほど申し上げた質問書、これらも、その上で質問書等も作成させていただいたところであります。

井坂委員 こういったことも含めて質問状を出して、その回答が戻ってきて、その回答は、大臣も概要はもうとっくにお目通しだというふうに思いますが、大臣、この本を御覧いただいて、また、これまで実際七百四十五組の養子縁組が行われていたという旧統一教会の今回改めての回答も御覧になって、大臣、これは、旧統一教会が養子縁組あっせんを組織的に行っている可能性が高いとは思いませんか。

加藤国務大臣 まだ回答内容については精査中でございますから、我々の方から公表するのは差し控えさせていただいているところでございます。

 いずれにしても、そもそも質問書を発出したということは、そうした可能性を念頭に発出をさせていただいているわけでありますし、そして、その延長線上で今精査をし、先ほど委員からお話がありましたように、そうした疑いというんでしょうか、そうしたことがあれば、それに応じた対応を取っていく、そういったプロセスの中で、今、一つ一つ段取りを取りながら進めさせていただいているということでございます。

井坂委員 非常に慎重な御答弁なわけでありますけれども、大臣、教団が養子縁組を行った信者に対して、養子縁組申請書という書類を提出させて、教団本部の家庭教育局で保管をしている、こういうことも既に出ています。

 これは参考人でも結構ですけれども、この養子縁組申請書という書類の存在も、これは旧統一教会からのおととい届いた回答書には書いてありますか、こういう書類が存在をするということを。

藤原政府参考人 ただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、回答書につきまして、内容についてここで御回答することは差し控えたいというふうに思います。

 いずれにしても、あっせんの規制法に基づいたあっせんということについては、養親希望者と児童との間を取り持って、養子縁組の成立が円滑に行われるよう第三者として世話をすることをいうのであるというふうな解釈を通知等で示しております。

 こういったことも含めまして、いただいた回答、それから書籍も含めて、今後、適切な対応を検討してまいりたいと考えております。

井坂委員 回答書の内容を議会に隠す意味が正直よく分かりませんが。

 大臣にお伺いします。

 養子縁組をしましたという報告書ではないんです、申請書ですから。むしろ、これから養子縁組します、よろしいでしょうか、これが普通、申請書であります。これを、報告書ではなく、養子縁組の申請書を旧統一教会は信者に提出をさせて、保管をしているわけであります。

 大臣、先ほど一般論でおっしゃいましたけれども、旧統一教会がもう本当に、本から、申請書の存在から、これだけ出ている中で、旧統一教会が養子縁組あっせんを組織的に行っている可能性が高い、可能性があるぐらいの認識、危機感はお持ちでないのか、お伺いをいたします。

加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げたように、そうしたことが行われているのではないか、そうした疑念の中で、これをただすべきだということで、まず、委員がお示しいただいた本等々も我々は分析をし、それにのっとって東京都と連名で質問書を出させていただいているところでありますので、別に我々、腰が引けてやっているわけではございません。

 ただ、こうした段取りは一つ一つ丁寧に進めていかなければなりませんので、先ほど、委員から見ると、何かちょっと、かゆいところに手が届かないような、そういった感覚をお持ちかもしれませんが、我々はそれだけの思いを持って、しかし、こうしたことは一つ一つ、法律に基づく仕組みでありますから、丁寧に段取りを進めさせていただいているということでございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 だんだん大臣のお考えも少し理解できてきたところでありますが、要は、こういうことですか。手続は丁寧にやろうと思っているが、しかし、現時点で既に旧統一教会が組織的に養子縁組あっせんを行っている可能性が高いという認識はある、しかも、もし本当にこの違法行為が行われていれば、それは刑事告発も辞さない、そういうことでよろしいですか。

加藤国務大臣 余り言葉のやり取りをやっても生産性がないように思うんですけれども、先ほど申し上げているように、まず、まさにそうだという認識になれば我々はアクションに入るべきでありますから、まだそこには残念ながら至っていない、あるいは、至るために今精査をさせていただいているというのが今の状況でございますが、前提として、そうしたあっせん行為が許可を得ずして行われているのではないか、こういう疑念を持つ中で、一連の作業を進めさせていただいているわけであります。

井坂委員 質疑が生産性がないと言われると大変悲しいものがありますけれども、それは御答弁ぶりにもよるのではないかなというふうに私は思います。

 この養子縁組あっせん法、先ほど略称で申し上げましたが、正式な名称は、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律という名前です。

 その第一条は、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護を図り、児童の福祉の増進に資することを目的とする。

 第三条には、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんは、児童の福祉に関する専門的な知識、技術に基づいて児童の最善の利益を最大限に考慮し、行われなければならない。

 要は、児童の保護、そして児童の福祉のための法律で、この法律は、二〇一六年に、まさにこの厚生労働委員会、この場で全会一致で可決をされた法律であります。つまりは、この法律をしっかり守らせて児童を保護するということについては、大臣も我々議員も重い責任を負っているものであります。

 そんな中で、私は、この違法あっせんの可能性、蓋然性が極めて高い、組織的に行っている可能性が極めて高いと認識をしておりますが、精査にはどれだけ時間がかかるか分からないと。この精査をしている間に、また養子縁組がこの間に成立をしたら、これは厚生労働大臣としてどのように責任が取れるんですか。

加藤国務大臣 したがって、今回もそういう疑念の下で質問書をぶつけ、そして今精査をさせていただき、それを踏まえて必要な対応を取るということを申し上げている。

 こうした姿勢自体がそうした行為を抑止することにもつながるし、まさに委員とこうして御議論させていただくことも、そもそも法律自体はたしか議員立法だったというふうに記憶をしておりますけれども、こうしたやり取りをしていること自体がそうした行為の抑止につながっていくものと思っておりますが、ただ、それは今の状況でありまして、早く精査をし、必要な対応を取っていきたいというふうに考えております。

井坂委員 生産性がないと言われたり、こうした議論も抑止に資すると言われたり、大変光栄でございますけれども、しかし、旧統一教会の回答を精査するには時間がかかるということであります。

 それでは、せめて厚生労働省として、精査して、その後の刑事告発ということまでは時間がかかるにしても、まず、せめて、厚生労働省は今すぐ通知を出して、本日以降は旧統一教会に養子縁組は少なくともさせない、大臣、これぐらいはできないでしょうか。

加藤国務大臣 まさに法律上そうなっているわけで、仮にそうした通知を出すのであれば、そうした事実を我々も確認した上で、それがおかしいということを指摘をしなきゃならないんだろうというふうに思っておりますが、ただ、委員がおっしゃるそのお気持ちというか、まさに、この法律の趣旨からして、更にそうした被害を受ける子供をつくってはならない、この思いは我々も共有をしているところでございます。

 それから、先ほど生産性の話を申し上げたのは、同じ思いを持っている間柄で言葉の違いを余り議論してもという意味で申し上げたので、このやり取りが意味がないということは全く思っていなく、むしろ、先ほど申し上げた、こういうやり取りをしていただくことが先ほど言った抑止等にもつながっていくものと考えております。

井坂委員 済みませんでした。ちょっと勘違いをして、生産性に関しては、そういうことであれば了承いたしました。

 もちろん、本当にそんな事実があれば、これは通知どころではなくて、私は刑事告発物だというふうに思います。

 一方で、通知は、それは法律で言わずもがなのことであっても、よく通知は出されているわけで、法律はこのようになっていますから、こんな申請書を出させるようなやり方自体も非常に違法の疑いを招きかねないことであるから、厳に控えるようにと。

 それは、信者さん同士が本当に自由意思で、教団の知らないところで養子縁組をしているのであれば、仮にそんなことであれば、ここまで問題にならないわけですけれども、そんなことはないわけですから。教団が全部、しかも、生まれる前から間に入って、何か、養子縁組したい人は相談してくださいと集めてやっているわけなので、そんなことは養子縁組あっせん法違反になりかねないから絶対にしないでください、これぐらいの通知は出せるんじゃないですか。

加藤国務大臣 別に私どもは、そうした必要があることに対して対応することに腰が引けているわけでは全くございませんし、やるべきことはしっかりやりたいと思っておりますが、ただ、行政行為でありますから、やはり、一つ一つ、先ほどのことも含めて、手続、段取りを踏んでいかなければならない。

 そういった意味で、今回、そうした疑念を持つ中で質問を発出いたしましたので、その答え、これをしっかり精査をした上で、これは私どもだけではなくて関係省庁とも関係がございますから、そこともよく連携をして必要な措置を、今おっしゃるようなことも含めて、しっかりと取っていきたいと考えております。

井坂委員 腰が引けているわけじゃないということで、思いの部分は一緒だと。これ以上やるとまた、それこそ同じ思いで言葉の違いをやると生産性の問題に関わってきますので、この件は、本日、これぐらいにしたいというふうに思います。

 続きまして、厚生年金の適用拡大についてお伺いをいたします。

 日本の年金制度や年金財政が後になればなるほど厳しい状態になることは、与野党双方の共通認識だと思います。

 専門家のマイクロシミュレーションによれば、未婚や離婚の独身女性が特に大変で、老後の貧困率が今後どんどん上がり続け、二〇五〇年には未婚や離婚の独身高齢女性の五一%が貧困状態になるとの試算も今年三月の厚生労働委員会でお示しをいたしました。

 政府は、今年十月から、社員が百人を超える企業に勤めるパート労働者にも厚生年金を適用する、再来年十月からは、社員が五十人を超える企業に更に厚生年金の対象を拡大をするということであります。また、法人、会社でない個人事業であっても、従業員五人以上で厚生年金の適用対象となる業種、この業種を拡大しており、今年十月からは、弁護士や税理士などのいわゆる士業も厚生年金の適用対象となりました。

 このように、政府は現在、厚生年金の適用対象を拡大をし、厚生年金をもらえる人を増やす方向で努力をしておられます。

 確かに、厚生年金に入れば老後にもらえる年金額も増えますし、保険料の半分は企業が払ってくれるから、労働者の見かけ上の負担はそこまで増えないというところはあります。

 しかし、厚生年金に加入する人が増えれば、老後に貧困状態になる高齢者は減りますが、一方で、厚生年金に入れない人の国民年金の金額は、今後もマクロ経済スライドやいわゆる年金カットルール等で減り続けるわけであります。

 大臣に伺いますが、厚生年金の適用対象を拡大をしても、国民年金そのものが持っている金額の低さ、また、減り続けるという、国民年金本来の問題解決にはならないのではないでしょうか。

加藤国務大臣 まさに御指摘のように、適用拡大について、平成二十八年十月以降から逐次実施をし、今委員御指摘のスケジュールで進めさせていただいています。

 新たに被用者保険が適用された場合には、保険料負担が生ずるものの、将来の年金額は基礎年金に加えて厚生年金による報酬比例部分が上乗せされ、医療についても健康保険による病気や出産に対する給付が充実をするところでございますので、そういったところもよく周知を図りながら、さらに適用拡大に向けて取り組んでいきたいと考えております。

 他方で、マクロ経済スライドの調整期間の長期化などによって、あるいはマクロ経済スライドそのものと言ってもいいかもしれませんが、基礎年金の給付水準の低下が見込まれるという問題であります。

 これは、そもそも平成十六年に年金制度改革がされた背景は、このままいくと、どんどんどんどん保険料が上がって、若者に対する負担が際限ないことになってしまうという危機感の下で、保険料を一定程度で固定する中でバランスを図っていこうということでマクロ経済スライドが導入されたことは、委員御承知のところだと思います。

 その上で、ただ、厚生年金の適用拡大が進むことで、基礎年金の所得代替率が改善されるという効果があるということが一つあります。

 それから、令和二年の年金制度改正法や附帯決議において、所得再配分機能を有する給付である基礎年金の給付水準を将来にわたって維持するための方策を検討するよう求められているところでもありますので、そうした点も踏まえて、次期年金制度改正に向けて十分議論をし、検討していきたいと考えております。

井坂委員 ちょっと、質問通告、時間の関係で一個飛ばさせていただきます。五問目の方をお伺いします。

 今大臣から御答弁がありましたが、厚生年金の適用対象を拡大するという方法にはもう一つ問題があると考えています。

 現在、企業が支払う厚生年金保険料、この保険料自体が非常に高くなっています。厚生労働省が、厚生年金の対象外だったパートとか、そういった、これまで対象外だった労働者をどんどん今後厚生年金に入れていくと、企業側から見ると、企業が支払う厚生年金の保険料の総額、対象者が増えるので、当然、企業が支払う保険料も更に増えるという話になります。

 すると、企業は、最後どう考えるかというと、厚生年金を払わなくてもよい働かせ方、マンパワーの使い方は何かないだろうか、こういうふうにシフトをしていくわけであります。実際に、これまでも企業は正規雇用から非正規雇用へという形でマンパワーの使い方をシフトをしてきました。

 今回、パート労働者も厚生年金の対象になると、企業は次に、じゃ、パートはこれまで保険料を払わなくて働いてもらえていたけれども、今後そこにも結構な金額の保険料を払わなきゃならないとなると、企業は次に、フリーランスとか外部委託などの、雇用関係のない形にマンパワーの使い方をシフトをすることが容易に予想できます。

 そして、フリーランスなどは、現状、厚生年金に加入できませんから、国民年金のままということになれば、これは年金問題や老後の貧困問題の解決がまた一歩遠のいてしまうわけであります。

 通告どおり大臣に伺いますが、企業が雇用関係にある従業員の年金保険料を負担をする現状の制度は、企業が雇用以外のマンパワーや、最終的にはAI、ロボットなどの自動化にシフトする動機づけになっている側面があるのではないでしょうか。認識をお伺いいたします。

加藤国務大臣 まず、そもそも我が国の厚生年金制度、これは従前より、被用者と雇用する事業主が保険料負担を折半することで将来の生活保障のニーズに対応する社会保険の仕組みとして整備をされてきたわけでありまして、社会保険料の事業主負担は働く人が安心して就労できる環境を整備することにありますが、まさに事業主の責任であるということと、また、働く人の健康の保持や労働生産性の増進を通じて事業主の利益にも資する、こういう観点から事業主に求められたものでありますので、引き続きこの考え方を基本に制度を運営していくことが適当だと考えております。

 その上で、一方で、どのような働き方をしてもセーフティーネットが確保され、誰もが安心して希望どおり働くことを可能とすることが重要であるとも考えており、全世代型社会保障構築会議で今議論していただいていますけれども、そうした議論を踏まえながら、厚生年金における適用の在り方が働き方に中立的なものになるような検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 今、委員お話があるように、そうしたインセンティブということでありますが、自動化云々という話はこれまた別の議論なんだろうと思います。

 それから、雇用か業務委託か、そういった部分、決してないとは申し上げませんけれども、しかし、雇用であるべきものを業務委託にすることはできないわけでありますので、そういった点も含めてしっかり対応させていただきたいと思います。

井坂委員 今まさに、働き方によらない社会保障の在り方という議論が始まっているわけであります。

 お配りした資料の四を御覧をいただきたいと思いますが、これはフリーランス協会さんの、私は、これはなるほどと思った案であります。

 左側を御覧いただきたいんですけれども、これまでは、会社Aと会社Bと二つの会社があったときに、片一方の会社は全部ちゃんと雇用関係のある社員さんを雇っている、その場合は会社はたくさん保険料も払っている。もう片っ方の会社Bはフリーランスの人ばかりを集めて仕事をやっている、その場合、会社は社会保険料の負担が非常に少ない。ここに社会保険料逃れというふうにも書いてありますが、そういう企業間の不公平もあるし、また、会社員とフリーランスの方で、同じように仕事をしているのに、片一方は会社が保険料を半分払ってくれて厚生年金に入れる、フリーランスは全部自腹で、しかも国民年金にしか入れないということで、個人間の不公平もあるんじゃないか、こういう現状認識、フリーランス協会の図で書いてあります。

 一方の、じゃ、これから本当に望ましい制度はどうなのかといったときに、大臣がさっきおっしゃった、企業中心のこれまでの厚生年金、これは、必ず企業と労働者、こういうパターンしかなかった時代はこれでよかったと思うんですが、今、本当に、非正規雇用からこうしたフリーランス、ギグワーカー、様々な形で、雇用関係じゃない働き方がどんどんどんどん増えている、こういうときに、古い発想で、企業とそこに雇用関係のある社員だけがいわば厚生年金に入って手厚い老後の年金を受け取れるということでは、もうこれは制度上限界があるのではないか。むしろ、企業は、雇用関係、社員が多いか少ないか関係なく、売上げや利益の規模で一定の社会保険料負担をする、個人は、社員であろうがフリーランスであろうが同じルールで社会保険料を納付する、この両方を合わせて、働く人に、まさに働き方によらない年金給付をする、こういう形が非常に望ましいのではないかという案であります。

 大臣、こういった企業や雇用関係にひもづかない年金制度ということについて御所見をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 白紙で議論するときにこういう案がないと私は思いませんけれども、現状かなり、今の制度で、特に年金の場合には、いろいろ積み立ててきた、こうした経緯がまずあるということが一つあると思います。

 それから、右側の絵も若干、よく見ると、所得に応じて納付しているのは社員だけですけれども、現状は、こっちは社員と会社が半分ずつ、他方で、基礎年金の半分は税金で納めていますから、いわばその税金というのは、全部がこれではありませんけれども、こうした形になっているということ、そういったこともあるのかなというふうに思います。

 ただ、いずれにしても、先ほど申し上げたように、働き方に中立的な仕組みを、現状、これまで積み上げてきたものの上にどうつくり上げていくのか、これは私たち、しっかり課題として考えていかなきゃならないと思います。

井坂委員 最後に一点、年金で、通告どおりお伺いします。

 十月二十五日に厚生労働省は社会保障審議会の年金部会を開いて、保険料の納付期間を六十歳までの四十年間から更に五年延長して、六十五歳まで四十五年間、年金保険料を払ってもらおうという案の議論を本格化させたというふうに報じられております。これを令和六年に結論を出して、令和七年の通常国会で関連法改正案の提出を目指す、ここまではっきり書かれているわけであります。

 六十歳から六十五歳まで保険料を払う案には、これは私は反対であります。なぜかというと、まさに今から年金が必要になる、今から高齢で年金が必要になるというその直前の六十から六十五歳に追加の保険料負担を求めてどうするのかというふうに考えるからであります。

 例えるならば、子供に、来年、お年玉を一万円上げてあげる、増やしてあげる、その代わり、ちょっと悪いけれども、年末に一万円、あんたのお小遣いからもらうよと言われたら、小学生だって、それは意味があるのと。要は、後からもらえるものを、その直前に、じゃ、その分、余分に払ってと言われたって、それは果たしてどれほど意味があるのかというふうに思うわけであります。

 私は、以前、ベーシックインカム年金という独自の案を少しこの委員会でもお話をさせていただきました。年金財源は、老後にその方が亡くなった後の財産から年金の国費負担分を上限に回収をする、年金財源のリサイクルというような形がよいのではないかというふうに御提案申し上げました。

 大臣に伺いますが、国民年金の財源は、六十歳から六十五歳の保険料追加でもらうのではなく、むしろ、亡くなった後、死後の財産に求める方がよいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今お話があった老齢基礎年金額の算定の基礎となる年数の上限を現行四十年から四十五年にするということ、これは実は、令和二年、年金制度の改正法の国会での御審議における、かなりの党が賛成していただいた附帯決議にございますので、その内容を踏まえて検討していきたいと考えているところでございます。

 その上で、財源をどうするのか。

 確かに、社会保険料の財源を議論するときに、フローの所得だけなのか、持っている財産なのかという議論も確かにあります。それから、今のお話だと、むしろ亡くなった方というと相続税の話になるのかなと思って聞かせていただきましたが、いずれにしても、財源の確保というのは大事なことでございますので、そうしたことも念頭に置きながら、基礎年金の充実を図るための方策の在り方、これをしっかり議論していきたいと思っております。

井坂委員 終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 今日は、まず初めに、新型コロナウイルスの感染症に関しまして質問させていただきたいと思います。

 我が党からは、現在、二類相当から、季節性インフルエンザの五類相当へと変更を求めてまいりました。先日成立した感染症法案に関しまして、附則に位置づけの検討が入っているということなんですが、五類への変更によって多くの医療機関が対応しやすくなるんじゃないか、医療逼迫を避けることができるんじゃないかということで我々としては要望しているんですが、先日、塩野義製薬の飲み薬、ゾコーバというのが緊急承認された、これによって五類への変更が行いやすい環境になってきたのではないかなというふうに思うんですけれども、まず初めに、大臣に、新型コロナウイルス感染症の五類への変更についての今後の方向性、また、あわせて、緊急承認されたゾコーバについての期待についてお尋ねしたいと思います。

    〔委員長退席、大岡委員長代理着席〕

加藤国務大臣 五類への変更については、今お話がありましたように、先般、感染症法の改正案についての修正で、検討規定がつけ加えられたところでございます。

 そうしたことも踏まえながら、まず、感染症法上の扱いについて、新型コロナの病原性、重篤性、感染力、変異の可能性をどう評価するかについて、国民の皆さんの理解を共有できるよう、その基盤づくりが必要と考え、厚労省のアドバイザリーボードである専門家の皆さんに、まず分かりやすい考え方を深掘りしていただきたいということをお願いしたところであります。

 その上で、先ほど申し上げた検討規定も踏まえて、最新のエビデンスに基づき、総合的に分類の見直しについて議論を進めていきたいと考えております。

 なお、分類の議論をする際に、先ほど病原性、重篤性ということを申し上げましたが、そうしたものを考える際には、累積患者数等の増加、ワクチン接種の進展とともに、今お話があった治療薬の普及、こうしたこともこの議論に絡んでくるものと考えております。

 その上で、塩野義製薬のゾコーバ錠については、これまでの治験等々を踏まえて、十一月二十二日に、薬機法の新制度に基づいて緊急承認をいたしました。

 このゾコーバ錠は、重症化リスクの高い患者を対象としてきたこれまでの経口薬と異なって、低リスクの患者でも高熱等の強い症状があれば使用可能な薬として、世界で初めて承認されたものであります。また、国内企業が製造、販売するわけでありますから、多くの患者への安定的な供給も期待できると見込まれております。

 こうした点において、新たな治療の選択肢として大きな意義があると考えておりますので、まずはこの治療薬の普及に努めていきたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 続きまして、かかりつけ医に関する質問をさせていただきたいと思うんです。

 我が党でもかかりつけ医の登録制を求めてまいりましたけれども、これは、誰がかかりつけ医かを明確にしていただきたいという患者さんの声があってこういうことを提言しているんですが、厚生労働省としては、かかりつけ医の登録制度を見送る方向性である、それぞれの医療機関が休日、夜間に対応して、都道府県が公表する方向性のようです。

 要するに、手挙げ方式を提案されたということなんですけれども、これだと、患者がかかりつけ医を持てるかどうかというのは医師の判断に委ねられているということなんですけれども、このかかりつけ医の認定あるいは登録について導入を見送った理由をお尋ねしたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 かかりつけ医機能が発揮されます制度整備につきましては、御指摘いただきましたような登録制も含めて様々な御意見があるというふうに承知しているところでございますが、政府といたしましては、今後の医療ニーズや人口動態の変化、コロナ禍で顕在化した課題を踏まえて、その機能が発揮される制度整備を行うこととしてございます。

 現在、厚生労働省におきましては、全世代型社会保障構築会議における議論の状況も踏まえつつ、社会保障審議会医療部会において、制度整備の具体的な骨格案をお示しをして御議論をいただいているところでございます。

 登録制につきましては、全世代型社会保障構築会議におきまして、かかりつけ医機能の活用について、医療機関、患者それぞれの手挙げ方式とすべきではないかといったような提案がなされていること、また、私ども、社会保障審議会医療部会におきまして、医療機関を選ぶ患者側の権利の点で抵抗が強い、あるいは、既存の医師養成制度と親和性が低いといったような否定的な御意見がありつつ、一方で、医療機関を適切に選択、活用できる観点から推進すべきといった御意見もあるという状況でございまして、この点については丁寧な議論が必要なものというふうに考えてございます。

 いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましては、質の高い医療が効率的に提供されますように、患者と医療者双方にとってかかりつけ医機能が有効に発揮されるための具体的な方策を、国民目線に立って速やかに取りまとめてまいりたいと考えているところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 しかし、多くの方がそれほど重くない症状でも大病院に行って、大病院では診療に時間がかかるという問題が発生しているんじゃないか。むしろ、患者に身近な診療所が患者を日頃から診察をして、大きな大病になった場合は、そこで大病院を紹介するといった方が患者にとってはメリットが大きいのではないかな、国民や患者が自分の希望に沿ってかかりつけ医を選んで活用できるようにして医療の質を確保する、こういったことが非常に必要なんじゃないかなというふうに思うんです。

 実際、かかりつけ医を持つことは、確かに義務ではないんですが、かかりつけ医が健康や医療に関する情報を一元化、集めていって患者の窓口になっていくということは、かかりつけ医一人を登録することが望ましいのではないかなというふうに思います。

 再度大臣にお尋ねしたいんですけれども、かかりつけ医の登録制度を導入すべきだと思うんですが、この辺りはいかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、今、お話の中に、最初から大病院に行ってしまうということで、それが大病院で逼迫を起こし、ある意味では医療の効率を落としている。そういった意味で、今、紹介制度等をつくって、病院といわゆる通常の診療所の役割分担、こういったことをしっかり進めていくことは必要だというふうに思います。

 その上で、かかりつけ医機能でありますけれども、まさに、国民の皆さんにとっても様々なイメージを持ちながら、今お話があったように、近くで相談をして、日頃から何か持病があってしょっちゅうかかっているという関係もありながら、それ以外の疾病が起きたときに、まず先生に相談して、じゃ、どうしたらいいだろうか、この病院はどうだろうかと相談に乗っていただくこと、これは患者さんにとって大変心強いことだというふうに思いますので、そのためにも、当該お医者さんがそうした紹介をするに当たって必要なデータベースをしっかりそろえるということ、これがないと、個々人の努力だけに依存したのではうまく回らないだろう、それをしっかり整備することは必要だと思っております。

 その上で、今申し上げた関係をどう構築していくのか。患者さん側から見ても、かかりつけ医も、通常行く病院が幾つもある方は幾つも持っているわけでありますから、そういったことも含めて、先ほど局長からお話をしたように、いろいろな御意見がございますので、そこは丁寧に議論していきたいというふうに考えています。

遠藤(良)委員 大臣、ありがとうございます。是非これも含めて御検討いただきたいと思います。

 次に、厚労省における中途採用についての質問をさせていただきたいと思います。

 厚労省では、初めて、総合職、いわゆるキャリアの中途採用が行われるということをお伺いしているんですけれども、これが、課長補佐級で、大学や大学院を卒業、修了し、二〇二二年四月時点で七年以上の職務経験を持つ人が対象であるということになっております。五人程度を採用ということで、非常に狭い門だなというふうに思うんです。

 この理由は、若い人が辞めて仕事が回らなくなってきた、特に最近離職が多くなっているようなんですけれども、これは、新型コロナウイルスの感染症への対応で業務が非常に忙しくなっている、この中で退職者が相次いでいたということなんです。

 厚労省としては、民間から優秀な人材を獲得したり、一度辞めた職員に戻ってきてもらったりすることを進めようとしているんですけれども、厚労省が魅力のある職場になっていないんじゃないかなというふうにも思うんですが、その背景には、国会の対応に時間が取られ過ぎる、そういう側面もあると思います。

 国会が国権の最高機関であって、議院内閣制を採用している以上は、内閣が作成した法案について国会で十分に議論する。反面、国会への対応に時間が取られて、優秀で意欲的な若手の官僚が厚生労働業務の場を辞していくのは、国家的な損失ではないかなというふうにも思います。

 我が党の日本維新の会では、委員会の前々日までに質問通告をして、早めに役所に準備をしていただくということを取り組んでいるんですけれども、委員会の質疑についてどのような改革、改善を行っていけば官僚の方の意欲がそがれないのかなというふうに、どのように改善をすれば意欲をそがないようにできるのか、大臣にお尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 いろいろ御配慮いただいて、ありがとうございます。

 特に、二日前に質問を出していただくということは、業務の平準化に対して大変プラスになるものとして、心から御礼申し上げたいと思います。

 どういうといっても、委員会のやり方に対して私ども政府から物を申し上げるというのは控えるべきことだと思いますけれども、今委員のお話があった中途の形で採る人数が少ないというのは、やはり定数がかけられているものですから、全体の中でそれを採っていかなきゃいけない。そういった意味でも、少なくとも五名ぐらいは採れるんじゃないかということで打ち出しをさせていただきました。

 それから、働き方改革の中で、全体として、中途における採用を一般の企業にも我々はお願いをしてきているわけであります。そして同時に、委員から御指摘があったように、やはり、入って早々で辞められた方、あるいは、ある時期の人数をちょっと絞ってしまって、結果的に中のバランスがちょっと欠けているというようなこともあって、さらに、今、多様な能力、多様な価値観が求められている中で、民間で働いた方、あるいは、役所を一回辞めたけれども、民間で働いて経験を積まれた方、こうした方に入ってきていただいたりということで採用させていただいているところでございます。

 ただ、厚労省における課題というのは国会対応だけではなくて、やはり、仕事が大変多いという中で、連日残業される方もたくさん出てきていますので、いかに効率化を図るかということと、それからもう一つは、やりがいをどう高めていくかということでございます。

 そういった意味で、私が前回に大臣になったときに、厚生労働省の改革実行チームをつくらせていただいて、若手の方からどんどん提案をしていただいて、取り入れられるものはどんどん取り入れていく。そして、その中には国会関係のこともあり、たしか、議員の方にお願いに回った経緯もあったんじゃないかなというふうに思いますけれども、まさに、そうした声を我々もしっかり受け止めながら、やれることを一つ一つ取り組み、まさに厚労省が働き方改革の先頭に立てるように努力をしていきたいと思います。

遠藤(良)委員 大臣、ありがとうございます。多分、官僚の皆さんは非常に安心されているのかなというふうに思うんです。

 ちょっと確認したいんですが、国会があるときとないときでは、役所の中で残業時間が異なっているんじゃないかなというふうに思うんですけれども、ちょっと確認で、どの程度異なっているのか、お尋ねしたいと思います。

間政府参考人 お答えいたします。

 先ほど委員からも御指摘がありましたように、厚労省では、新型コロナウイルス対応のために、臨時の特別組織であるコロナ本部というのを設置しておりまして、そこに、省内各部局から、いわゆる直接の担当部署以外の人も集めまして、約五百人程度の職員を配置しております。こうした職員を中心に残業が多いという傾向がございまして、それと国会対応とは必ずしもイコールではないとは思っています。

 ただ、具体的な残業時間について申し上げますと、直近の本年十月の実績、本省分でございますが、残業を行った者の平均時間は四十七・八時間というふうになっておりまして、例えば、今年度で一番少ないのが七月でございまして、これは国会が閉会になっている時期でございますが、この月は三十九・八時間ということでございます。

 ただ、これについては、感染状況等も影響するものではないかというふうに考えているところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 大臣もおっしゃられましたけれども、働き方改革を厚労省として本当に積極的に取り組んでいただいて、よく、官僚をすぐ辞める、若い人はすぐ辞めたりとかということが、やはり、この残業についてもしっかりと厚労省としても取り組んでいただきたいなというふうに思います。是非よろしくお願いします。

 次に、コロナにおけるテレワークが進んできたと思いますけれども、産業や労働の属性によって進捗状況は異なっていると思うんですけれども、コロナによって障害者の方の雇用がどのような影響を受けたのかということで、現在テレワークの見直しを行っていっている企業もあると思うんですが、障害者の雇用は今どのように変わってきているのか、お尋ねしたいと思います。

    〔大岡委員長代理退席、委員長着席〕

堀井政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の拡大による障害者雇用への影響としましては、ハローワークにおける障害者の職業紹介状況を見ますと、例えば、就職件数は、令和二年度におきまして約九万件と前年度から約一三%減少し、平成二十年度以来十二年ぶりに減少するなど、一定の影響が見られたところでございます。令和三年度には約九・六万件と前年度と比べ七・一%の増加をしまして、コロナ禍以前の令和元年度までの水準まで回復をしつつあるところでございます。

 この背景といたしましては、令和二年度は、コロナ禍における感染不安から、ハローワークに来所する新規申込件数が大幅に減少したことに加えまして、宿泊業、飲食サービス業、製造業等、一定の業種において求人数の減少幅が大きく、就職実現に効果的な職場実習等の実施が困難になったこと等から、就職件数が低迷したものと考えられております。

 一方で、令和三年度は、求人状況がコロナ禍以前の水準までには戻っていないものの、精神障害者を始めとした障害者の求職活動が活発化したことや、職場実習が制限される中、オンラインを活用した面接等、効果的な取組を実施したこと等により、改善が図られているものと考えております。

 引き続き、求人、求職状況等の動向も注視しつつ、関係機関とも連携し、ハローワークにおいて就職実現に向けた支援を積極的に行い、障害者雇用を推進してまいります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 徐々に回復傾向にあるんじゃないかなということなんですけれども、先ほどもネット上での面接があったりということを御紹介いただきましたけれども、ネット上でメタバースがずっと話題になっていると思います。

 私自身も、以前、衆議院の予算委員会でメタバースにおける障害者雇用についての質問をさせていただいたんですが、その際、障害者の方のテレワークの導入を検討する企業へのコンサルティングの実施、それから企業向けガイダンスの実施といったことも盛り込んでいるということだったんですが、障害のある方の多様な働き方を支援していこうということでした。

 私は、メタバース内で新たな商業圏が形成されれば、そこに大きな雇用が生み出されるんじゃないかなというふうに思うんですが、この間、党内議連で、弁理士の方に来ていただいて、知的財産に関することで講義を受けたんですけれども、その中でもメタバース商圏というのが、知財も関わってきますし、非常に期待できるんじゃないかなということをお伺いしたんです。

 一方、障害者雇用が、こういう仮想空間であったり、そういったことが一層、雇用自体が進んでいくんじゃないかなというふうに非常に期待を持っているんです。

 実際、大企業でもメタバースを取り組まれているところがどんどん増えてきています。最近では、フェイスブックのメタ社が、収益に結びついていないということも言われていて、一万一千人の雇用を削減する、そういったこともある中で、懐疑的な意見も出ていたりもしている。

 大臣にお尋ねしたいんですけれども、このメタバースにおける障害者雇用の可能性についてお尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 メタバースという新しい空間というかビジネスのフィールド、これは非常に魅力的なフィールドだというふうに思います。

 やはり、例えば、障害のある方は、どうしてもなかなかそこの場に出ていくことが難しい。あるいは、勤務先の受入れ。例えば、感覚過敏なんかがあって、そこでなかなか長くいられない。あるいは、どうしても働く場所が都心に集中して、地方におられる障害者の方はなかなかそこへアクセスするのが難しい。

 そういったことがメタバースないしはインターネットの空間であればかなり解消されていくわけでありますから、そういった意味で、それぞれの障害のある方にとっても、御自身の能力を発揮し得る機会につながっていくし、逆に、ビジネスをされている企業にとっても、人材確保の幅が広がっていくチャンスにもなるというふうに考えておりますので、先ほど例示を委員からいただいたガイダンスとかコンサルティングとか、こういった取組をして、メタバースなどのICTを活用した障害者のテレワークは、これまでも推進してまいりましたし、引き続き、そうした分野における活用が進めば、よりそちらに力を入れていくということが求められているというふうに思います。

遠藤(良)委員 大臣、ありがとうございます。

 環境省では、東京ガールズコレクションとコラボレーションしているということで、メタバース空間でブースを出した、こういった事例もあって、こういった形で役所が積極的に新たな取組を行っていく、環境問題に関心を高めていこうということで環境省として取り組んだということなんですけれども、厚労省としては、メタバースを活用した取組とかをされているのか、今後される予定があるのか、これをお尋ねしたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 国民生活に直結する業務を数多く所管いたします厚生労働省といたしましても、デジタル技術を活用し、国民の利便性の向上に取り組むことは重要と考えております。これまで、行政手続のオンライン化、保健、医療、福祉分野におけるデータ利活用等に取り組んでいるところでございます。

 御指摘のメタバースなど、新たなデジタル技術の活用によって、例えば在宅勤務が更に広がるといった新たな可能性も考えられるところでございまして、今具体的に何か動いているわけではございませんが、引き続き、デジタル技術の進展を踏まえながら厚生労働行政に取り組んでまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。是非、これは厚労省としても積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 話題は変わりまして、障害者の宿泊施設についてお尋ねしたいと思います。

 障害のある子供の成長、発達にとっては、放課後だけではなく、土日に宿泊をしたいという要望が多いということで、自治体によってはこのショートステイに対して宿泊料の補助があったり、利用者側からすると利用しやすくなってきているということ。他方、事業者側の目線からすると、土曜日、日曜日に利用者が集中する。宿泊施設としては、平日利用が少なくて、運営がなかなか難しいんだということを聞いています。そのために、グループホームや居宅サービスを行っているところでないと、経営がなかなか難しい。

 現在、厚生労働省としては、障害児のショートステイについての御認識をお尋ねしたいんですが、十分に足りているのか、この辺りをお尋ねしたいと思います。

辺見政府参考人 障害福祉サービスにおきますショートステイ、短期入所につきましては、障害のある方々の在宅生活の継続ですとか、介護を行う家族等の一時的休息、いわゆるレスパイトの観点から、障害児、障害者の地域での生活の上で非常に重要なサービスであると認識しております。

 短期入所サービスを含みます障害福祉サービスについては、各市町村が、地域の障害福祉ニーズを把握して、障害福祉計画、障害者福祉計画を策定して計画的な整備を行っているところでございます。

 厚生労働省におきましても、特に支援が必要な、医療的ケアが必要な医療的ケア児、重症心身障害児に対応できる医療型の短期入所を身近な地域で利用できるよう、新規開設を促すため、医療機関等に対する講習を実施する自治体に補助を行うとともに、令和三年度障害福祉サービス等報酬改定では医療型短期入所の基本報酬の引上げを行うなど、整備の促進を図ってきたところであります。

 引き続き必要な支援を行ってまいります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 私の友人で、子供が僕も三人いるんですけれども、彼も三人いて、一番下の子が障害を持っているんだということで、出かけるにしても、上の子供たちが、下の子供のことがあるので、制限された中で遊びにしか行けない。そういう中で、やはりそういう家庭をお持ちの方々は、このショートステイのことについて本当にすごく要望されていますので、是非積極的に取り組んでいただきたいと思います。兄弟がいる家庭は、子供の教育については、上の子供たちがヤングケアラーになっちゃうんだということも言われていたので、そこを是非勘案して取り組んでいただきたいと思います。

 続いて、障害者スポーツについてお尋ねしたいんですが、ボッチャというスポーツが普及しつつあると思います。パラリンピックの正式種目にもなりましたし、日本では、杉村英孝選手が日本初のパラリンピックの金メダルを獲得した。そのほかに三名が銀メダル、四名が銅メダルを獲得して、非常に盛り上がったと思います。

 兵庫県では、私は地元が兵庫なので、姫路で六月に競技リーグを立ち上げているということです。

 今年は、ボッチャ東京カップ二〇二二が十一月二十一日に行われたということで、誰でも参加できる大会、インクルーシブ大会ということを銘打って実施されましたということなんです。

 このボッチャの普及について、障害者スポーツのインクルーシブ化についてお尋ねしたいと思います。

星野政府参考人 スポーツを通じた共生社会の実現のためには、障害のある、なしにかかわらず、共にするスポーツの普及が特に重要であると考えているところでございます。

 そのため、スポーツ庁におきましては、本年四月からスタートした第三期スポーツ基本計画、そして八月に公表した障害者スポーツ振興方策に関する検討チーム報告書におきまして、障害のある方とない方が共にスポーツをする機会の創出により一層力を入れて取り組んでいくこととしております。

 その中で、ボッチャは、リオ、また東京パラリンピック大会でのメダル獲得もございまして、誰もができるスポーツとして、その認知度も年々高まっております。スポーツ庁におきましても、特別支援学校の生徒を対象としたボッチャ選抜甲子園、あるいは、地域において障害のある方とない方が共に参加するボッチャ体験会等の開催など、その普及に向けた取組を支援しているところでございます。

 スポーツ庁におきましては、公園や商業施設のオープンスペースなどの身近な場所で誰もが障害者スポーツを楽しめる環境の整備を行うなど、引き続き、ボッチャを始めとする誰もができるスポーツの普及、インクルーシブな取組の促進に努めてまいります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 ボッチャは、僕もやったことがあるんですけれども、健常の方と障害をお持ちの方が一緒にできるスポーツであると思いますし、是非発信していただきたいと思います。

 最後に介護についてちょっと質問させていただきたいんですが、介護職に関しては三つの処遇改善加算によって人材を確保しようと進めているんですが、今年十月に、特定処遇改善加算について、介護職だけではなくてケアマネジャーも対象になった。以前からこれは課題になっていたと思いますけれども、今回、この十月からケアマネジャーも対象になったということなんですが、最近の加算によって、給料の多い介護の仕事をしようとして、ケアマネジャーのなり手が非常に減っているんだということを現場から伺っているんですが、ケアマネジャーの人材確保のために、令和六年の介護報酬改定に向けてどのような取組を検討されているのか、お尋ねしたいと思います。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢者の方々は多様なニーズをお持ちでございますが、そういう多様なニーズに対応して、自立支援に資する適切なサービスを提供していくという観点から、ケアマネジャーの皆さんの質の確保、また、先生御指摘の人材確保に向けた取組は大変重要だと考えております。

 このため、報酬以外にも、エビデンスに基づいた支援が可能となりますように、適切なケアマネジメント手法の策定と普及ですとか、ICTの導入支援、ケアマネジャーに係る法定研修のオンライン化、また、ケアプランデータ連携システムの構築などによる業務の効率化など、様々取り組んでいるところでございます。

 また、令和三年度の介護報酬改定におきまして、居宅介護支援につきまして、経営の安定化を図ること、質の高いケアマネジメントの一層の推進、公正中立性の確保を図るなどの観点から、基本報酬の引上げや、特定事業所加算、特に質の高いケアマネを実施していただいているところでございますけれども、そういうところへの加算の拡充などの見直しを行ったところでございます。

 御指摘の次期の介護報酬改定に向けましても、居宅介護支援事業所の経営状況等を踏まえつつ、先ほどのような様々な取組と相まって、社会保障審議会介護給付費分科会におきまして、各般の御意見を伺いながらしっかり検討してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 令和六年の介護報酬についてはいろいろ議論が深まっていくと思いますけれども、是非また引き続きよろしくお願いします。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 本日は、厚生労働委員会で初めて質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 私からは、先ほど遠藤委員からも少しありましたけれども、新型コロナウイルスの感染法上の分類に関して何点か質問させていただきたいと思います。

 私ごとなんですけれども、先月の末、超党派の議員団で韓国に伺って、日韓の友好サッカー、議員間のサッカーの試合に行きました。そのときに、今、韓国に入国する際には、ワクチンの証明であったりとか検査の証明の提出は必要なくて、普通に入れるんですけれども、日本に帰ってくるときには、まだ、ワクチン三回目の接種の証明あるいはPCR検査の陰性証明が必要というところでございます。

 それはもちろん、それぞれの国によって対応が違うということなんですけれども、日本のPCR検査の陰性証明に関しては、帰国する前の七十二時間以内に検査したものであれば大丈夫ということでしたので、私たちのように一泊二日で行く場合は、出発前に日本で検査をして、それで、その陰性証明を日本に帰ってくるときに提出をして入国するという、もはや何のために検査を受けているのか分からないような、そういった運用になってしまっている。

 あとは、日々の生活をしていても感じるんですけれども、やはりなかなか、二類と言われても、二類の対応を日常生活で送っているかといえば、現実問題としてなかなかもうそういうことにはなっていないのかなということもありまして、私たち国民民主党は、今年の参議院選挙の際にも、二類から五類相当への見直しというものの検討を進めていくべきではないかということを申し上げていましたし、他党からもそういった議論がある中で、先月の末には加藤大臣からこの検討を始めるということが発表されたことは、一歩前進というふうに考えております。

 また、これも少し私ごとで恐縮なんですけれども、韓国に行く一週間前に、私、熱を伴う胃腸炎になってしまいまして、東京だったので、まず家で、秘書に認証済みの抗原検査キットを届けてもらって、それで検査をして陰性だったので、消化器内科にかかって、消化器内科でPCR検査をしてくれるところを探して行ったんですけれども、電話をして、熱があることも伝えたと思って行ったんですけれども、熱を測られて、済みません、熱がある人は診察できませんと言われて、やはり、二類相当の扱いなので仕方がないんですけれども、普通の病気の場合の診察というのがなかなか受けさせてもらえなくて、普通の病気の方は対応が難しくなっているということは引き続き続いているんだなということを感じました。

 やはり正常な状態ではないと思いますので、そういったことも踏まえながら、もちろん、専門家の方々の意見、そういったものを尊重していただきながら検討を進めることは大前提ですけれども、正常化に向けた議論というものを進めていかなければならないと考えております。

 この類型変更に関して、まず、先ほども大臣が御答弁をされていましたけれども、病原性であったりとか重篤性であったりとか、そういったエビデンス、どういった基準に基づいてその類型変更を行うのかということをまず専門家の間で検討していただいて、その後、その指標がどういった状況になっているのかを確認して類型変更の検討を進めていくという段取りだというふうに理解したんですけれども、そういったことでよろしかったでしょうか。

加藤国務大臣 基本的に、まさにそういうことをイメージしておりまして、二類、五類の変更に対して、例えば、世論調査を見るとかなり慎重な方々も一定程度いらっしゃいますので、国民の皆さんの理解を得ながらこうした議論をしていかなきゃいけない。そういった意味で、今おっしゃった感染性とか重篤性、変異性、こういったところが今項目として挙げられていますけれども、なかなかイメージがつかめませんから、まず、それはどういうふうにということで、具体的なイメージを国民の皆さんに持っていただけるように、専門家に少し深掘りをしていただこうということ、これを今やらせていただいております。

 それから、他方で、感染症法の改正のときに衆議院で附則の改正がございまして、分類の見直しを速やかに検討するということがございましたので、それと並行しながら、実際にどんなエビデンスがあるのか、あるいは、実際に個々の数字がどうなっていくのか、そういったところを併せて議論し、検討していきたいというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今、少し数字ということをおっしゃられましたけれども、やはり、分かりやすさでいうと、この数字より下であれば類型変更の検討を進めていくし、この数字よりも例えば致死率であったりとか重症化率が高いのであれば、まだ類型変更の検討は進めないというようなことになるのかなと想像したんですけれども、こういった、今おっしゃっていた国民に分かりやすいエビデンスというのは、数字で表せる指標というものを念頭に置かれているということなんでしょうか。

加藤国務大臣 そこは、まさに今議論していただいているので、どういった議論になるか分かりませんが、ただ、数字で捉えられるものは数字で捉えていくということ。例えば致死率とか重症化率とかというデータはございますから、そういったものも一つ。あるいは、累積した患者さんの割合がどのぐらいおられるとか、そういった議論も含めてしていきたいなと思っております。

斎藤(ア)委員 今、どういった指標を用いるのかというところの深掘りを行っているところという理解ですけれども、速やかに検討を進めるということではもちろんあるとは思うんですけれども、どういった時期にその結論を得ていくのかというところは大変国民の関心が高いところであると思います。

 この時期までに結論を得るということは今の段階では申し上げにくいというふうに思うんですけれども、例えば、専門家の検証の深掘りの議論、今のどういった指標に基づいて国民に説明をしていくのかというところはどういったタイムスパンで検討されるのか。あるいは、全体の結論を得るまでに、例えば一年かかるのか、半年かかるのか、年度内に行うのか、そういった大まかな作業の目安というものは内部ではもちろん共有されていると思うんですけれども、そういったことに関して、スケジュール感に関して、今、公にできるものはありますでしょうか。

加藤国務大臣 別にスケジュールがこうだということを持っているわけではありませんが、私の思いとしては、先ほども申し上げた、専門家にまずお願いした深掘りをし、国民の皆さんが理解していただく共通の基盤をつくっていく、この作業はできるだけ早くしていただければと思っております。

 その上で、実際の分類見直しというのは、個々の数字もあります、それから、やはり現段階では、今の分類を前提として、同時流行も念頭に置きながらそれぞれ医療提供体制を組んでいただいていますし、実際、感染者数も増加したり、多少動きはありますけれども、こういう状況でありますから、そういったことも見ながら検討していく必要があるんだろうと思っています。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 類型変更の際に、類型変更に慎重な意見の背景には、公費負担の部分がなくなってしまうのではないかという懸念もあるというふうに理解をしております。

 例えば、二類であれば治療費は公費負担ですし、また、二類であるからといって直接的にワクチン接種料が公費負担になっているわけではないということはこの前教えていただきましたけれども、二類相当であるからこそ、それぐらい危険な感染症であるからこそ、ワクチンも公費負担で接種を進めているということだと理解をしておりますので、例えば、類型変更を行って五類とか五類相当のような類型になった際に、そういった公費負担がなくなってしまうんじゃないかという不安もあるかと思うんですけれども、この類型変更の際には、公費負担がない五類とするのではなくて、新たな類型の様式、例えば、五類相当だけれども治療費の公費負担は続けるといった、そういったことも検討の対象になると大臣はお考えでいらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、ベースとしてあるのは、現在の新型コロナにおいては、感染症法上の入院勧告、措置などが行われるということから、医療費等の公費支援が行われている、これがベースにあります。

 こうした医療費の公費負担の在り方について、例えば、自宅療養者の外出自粛の在り方をどう考えるのかとか、あるいは、治療薬、こういったものがどう普及し使われているのかなど、こうした状況も踏まえていくことが必要だと思いますし、あわせて、例えばですが、同じ五類になったときに、新型コロナになったときには医療費がかからなくて、季節性インフルエンザになったら自己負担分が発生するという、こうした中での公平性という観点、これらも入れながら検討していく必要があるんだと思っておりますので、前も申し上げたんですが、ロジカルに言えば、基本的に、二から五になれば五と同じことになるという論理的な議論はあろうと思いますが、しかし、現実に今こういう形で公費負担をやって、そして今の医療を支えているわけですから、そういったことも含めながら考えていく必要があるんだろうと思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 もし、なかなか国民の理解が広まらない一つの、五類相当への引下げの国民の理解の広がりの阻害要因に、公費負担がなくなってしまうということがあるのであれば、その部分も含めて、五類相当であったりとか新たな類型をつくることに関しては検討していただきたいというふうに考えております。

 この二類から五類相当への引下げの検討が進んでいくわけですけれども、なかなか、いつまでに結論を得るということはまだ決まっていないというところであると思いますけれども、二類から五類相当への、あるいは五類への引下げといった類型変更の検討と並行して、マスクの着用の推奨の在り方を変更したり、あるいは、先ほど申し上げたような入国規制の在り方を変更することはあり得るという理解で、この類型変更の議論の結果を待つわけではなくて、その他の規制に関しては都度検討を続けるという理解でよろしいのでしょうか。それとも、この結論が出るまでは今の規制をそのまま基本的には続けるということになるのか。その辺りはどのように理解すればよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 まず、現在の新型コロナの感染経路が、飛沫感染あるいはエアロゾルの吸入等とされております。それを前提に、様々なマスク着用の効果に関する研究結果や専門家の意見を踏まえて、基本的な感染防止対策として、換気などに加えて、今、マスクの着用をお願いしているところであります。

 マスクの着脱等の取組をこれからどう求めるかについては、これは感染症法上の今おっしゃった類型によって決まるものではなく、感染経路等の今申し上げた感染症の性質によって定まってくるものというふうに理解しております。

 いずれにしても、科学的な知見に基づいて、マスク着用の考え方を含めて、感染対策の在り方については不断の見直しを行っていきたいと考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 皆さんもこの委員会でも繰り返し議論されていると思いますけれども、やはりマスク着用には弊害が出ている部分も多くて、特に子供たちへの影響に関しては皆さんも気をもんでいて、様々な発信をされているところだと思いますけれども、やはり、なかなか気を遣って子供たちも外そうとしないであったりとか、外すことに警戒感を持つというところに今なっているようでございますので、そういったことを考えると、もし、この先、マスクを着用しなくても大丈夫であるというのであれば、この五類相当への変更の議論を待たずして、マスク着用の推奨の在り方についても検討して、そして決断をして発信をしていくということが必要だと思いますので、そのことに関しては引き続きお願いをさせていただきたいと思います。

 それで、最後に、今の類型変更の指標に関してお伺いしたいんです。

 これもまだ検討中ということだとは思うんですけれども、例えば、分かりやすい形で指標を設定する、分かりやすい形で指標を設定して、その基準よりも状況が改善したので類型変更を行う、引き下げるということになった後に、また感染状況が悪化をしてその指標を超えてしまえば、それは、その数字をもって自動的に引上げ、また二類のような形に引き上げられるのかというところは、これも一つ、公表される際には関心事になるというふうに思うんですけれども、そういったことも含めて今後専門家の方々に検討していただくという理解でよいのか。それとも、そこは厳密に、厳格に運用して、そこを超えたらちゃんと類型を引き上げて、また警戒態勢を取っていくということになるのか。ちょっと、なかなか仮定が多い質問なので恐縮ですけれども、御所見を伺えればというふうに考えております。

加藤国務大臣 まず、分類自体は、感染の状況というよりも、そのウイルス株がどういうものなのか、先ほど申し上げた感染力がどうなのか、重篤性がどうなのか、あるいは変異の可能性がどうなのか、そういったことをベースに議論するわけでありますから、同じウイルスがはやっていて感染が増えたから下がったりということで分類が変わるということではなくて、むしろ、それが大きく変異をして、今申し上げた三点についてかなり様子が変わる、しかも、ウイルスとして、例えば重篤性が上がったような形で出現するといった場合については、当然、専門家の意見も踏まえながら感染症の取扱いについて検討し、それにふさわしい位置づけをすることになるということでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 既に極めて長期間にわたってウィズコロナの生活を皆様が強いられていて、特に子供たちは、例えば、中学校の間ずっとコロナと共存している、高校の間ずっとコロナと共存していて、そのまま修学旅行を迎えて卒業するというような状況になる、それぐらいの長期間に及んでいるわけですから、この五類相当への見直しの検討は急務だと思います。

 もちろん、まだ五類相当に見直すべきではないということであればそうなんでしょうけれども、五類相当に見直すということができるような状況であるとすれば、その検討を早く進めていただきたいと思っておりますので、今、十一月末から始められた検討の方向性は大変歓迎したいと思いますので、引き続きの取組をお願いをさせていただきまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、オンライン資格確認システムについてお伺いします。

 資料をお配りしております。全国保険医団体連合会のアンケート調査ですけれども、導入しない、できないと答えられている方が、七十代以上では三一%ということになっております。高齢で長く続けるわけでもないから、今から導入費用の負担も大変だし、閉院しよう、こういう声があちこちで上がっているのは大臣も御存じのことだと思います。

 そもそも、国の政策によって閉院を早めなければならないというのもおかしいことだと思いますし、その地域によっては、かけがえのない病院であることもあるわけで、地域医療にとっても深刻な事態だと思います。

 高齢であるなど、導入に困難を抱えている医療機関については、義務化の免除を早急に決断すべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 医療保険のオンライン資格確認でありますけれども、本年八月に、来年四月からの全国保険医療機関、薬局での導入を原則として義務とする制度の詳細を公表して以降、顔認証つきカードリーダーの申込数は大きく伸びておりまして、十一月二十七日現在、義務化対象施設で申し上げると、約九五%が申込みを済ませておられます。また、オンライン資格確認の運用を実際に開始した施設は、義務化対象施設の約四割でございます。

 一方、現在紙レセプトでの請求が認められている保険医療機関、薬局は原則義務化の例外であり、常勤の医師等がレセプトの電子請求義務化の時点で六十五歳以上、現在でいえば七十五歳以上程度であった保険医療機関、薬局、又はレセプトコンピューターを使用せず手書きで請求を行っている保険医療機関、薬局では、オンライン資格確認は義務とされていないところであります。

 さらに、医療現場から、必ずしも医療機関等の責めに帰さない事由による場合には、原則義務化の経過措置が必要という声もいただいているところでございます。

 今委員のお話がありましたが、地域医療に支障を生じることがあってはならないわけでありますので、やむを得ない事情がある場合の必要な対応については、年末頃を目途に、導入の状況を点検し、必要な検討を行いたいと考えております。

宮本(徹)委員 年末と言いますけれども、もう十二月です。やはり、判断が遅ければ遅くなるほど閉院しなきゃいけないんじゃないかという動きも広がってしまいますので、できるだけ早く、もう十二月ですから、決断をいただきたいと思います。

 二つ目に、介護、障害者福祉等々の福祉施設への電気代、ガス代等、物価高騰への支援について伺います。

 今、国は自治体に臨時創生交付金を出して、自治体から事業者に支援されるということになっているわけですけれども、その額が、やはり実際に増えている負担増の額に支援額が見合っていないという声がたくさん寄せられております。

 幾つか私のところに来たのを紹介しますと、例えば、北海道のある法人、物価高騰の影響は五千三百万円程度、補助金一千八百万。福岡のある福祉法人、水光熱費は前年から八百五十七万円増の予想、自治体からの補助金は六十一万円。宮城のある法人、八十床の特養ホーム、電気代が九百万円増加に対して、補助七十万円。デイサービスなどを併設している五十床の特養ホームは、電気代増加三百万円に対して、補助九十万円。山形のある法人は、負担増一千五百万円程度に対して、県から二百七十万円、あと、基礎的自治体から追加があるかどうかという話などなど、もっとたくさんあるんですけれども、自治体を通じて国は支援をしているということになっているわけですけれども、実際は、御存じのとおり、介護報酬だとか障害福祉サービスの報酬だとかというのは決められている世界ですから、ここにこの間の物価高騰のとりわけ電気代の上がり方が大きくのしかかっているのは、恐らくこの部屋にいる全ての議員の皆さんのところに届いている話だと思います。

 やはり、自治体を通じてのこの支援で十分なのかというのは、しっかり国として実態把握が必要じゃないかと思うんですよね、今のこのレベルで大丈夫なのかと。それで、必要な手だてを取らなきゃいけないと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今、介護、障害の福祉施設等に対しては、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金、これを活用して、各都道府県あるいは市町村において実施をしていただいております。

 私どもとしても積極的な活用を促してきた結果、多くの自治体で、光熱費の増加に対応する給付などの支援を実施する、あるいは前向きに実施を検討していただいているところでございますので、こうした交付金の活用によって、地域の実情に応じ、きめ細かい支援が行き渡るよう、自治体を後押しをするとともに、物価の動向や介護現場等の収支の状況、これをしっかり注視をしていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 しっかり注視されるということですけれども、よく幾つか調べていただいて、これは本当に更なる支援が必要だというのは間違いないことだと思いますので、手だてを打っていただきたいと思うんですね。福祉医療機構は、収支が悪化しているところに対しては特別融資をやりますよということを言っていますけれども、借金してしのいでくださいというのがやるべきことではないと思うんですよね。しっかりここは国が責任を果たしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 その上で、今日は資料をお配りしておりますけれども、二十一世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会の皆さんが全国の老人ホーム施設長アンケートというのをやりまして、結果の速報版が十一月下旬に公表されました。これは、約一万の施設を対象に、二千人を超える施設長さんが答えられておりますので、本当に多くの方の声ということだと思います。

 資料の二ページ目を御覧になっていただきたいと思うんですけれども、介護職員の確保について、三年前に比べて確保しにくくなったという方、そして、全く確保できない、この二つを合わせて四分の三に上る。いよいよ介護人材の確保に苦労する状況が広がっていると思います。

 大臣、この原因と対策、どうお考えでしょうか。

加藤国務大臣 我々も、介護サービスに従事する方々の確保が大変難しいということは認識をしているところであります。そうした原因として、少子高齢化に伴う介護需要が一方で増加している、他方で、生産年齢人口の減少等、労働力人口の減少という構造的な課題に加えて、労働条件、処遇等の要因で採用が難しいということが挙げられると考えております。

 こうした中で、介護人材の確保に向けては、介護報酬改定等により、累次、処遇改善を図ってまいりました。加えて、就業促進、職場環境の改善による離職の防止、人材育成の支援などを含めて総合的に取り組んできたところでございます。

 また、令和三年度からは、ハローワーク、訓練機関及び福祉人材センターの連携強化により、他分野から参入する人材に対する介護分野の職業訓練から就職までの一体的な支援も行わせていただいているところでございます。

 必要な介護サービスが安心して受けられるよう、サービス提供を担う介護人材をいかに確保していくのか、大変重要な課題でありますので、これをしっかりと認識し、そして、今申し上げたような様々な取組を通じて人材確保対策を進めていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 大臣がおっしゃったように、最大の問題は処遇の問題だと思うんですよね。全産業平均に比べて、いまだ大幅に賃金が低い。御存じのとおり、介護業界は、今年は人手不足倒産も増えているという状況になっているわけです。

 今年は三%目安の九千円アップというのがあったわけですけれども、十一月の消費者物価指数の速報値を見ますと、持家の帰属家賃を除けば四・七%増ですから、今年二月からやった引上げを上回る物価高ということになっています。しかも、この間の報道を見ていますと、来年二月には値上げラッシュがまた予定されている。さらに、電気代も大幅な値上げ申請がなされるという状況になっているわけですよね。

 そういう中で、労働組合は、連合さんは五%、全労連は一〇%、この春闘で賃上げということを言っております。全産業平均並みの賃金ということに向けて、もちろん物価上昇を大きく上回るのは当然なんですけれども、全産業平均並みの賃金ということを考えたら、相当なものをやはり来年度予算で手当てしていく必要があるんじゃないかと思いますけれども、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 介護職員の方々については、全産業平均に比べて給与が低く、人材確保を図るため、これまでも累次の処遇改善に取り組んできたところであります。その結果、全産業平均との給与の格差、これは縮小しているというふうに考えておりますが、さらに、今般、介護職員等の処遇改善に取り組むため、現場で働く方々の給与を恒久的に三%程度引き上げるための措置を講じたところでありますので、まずは、今般の処遇改善の措置が介護職員の皆さんの給与にどのように反映されているか、こうしたことを検証していくことが重要だというふうに考えております。

宮本(徹)委員 三%だと物価にも追いつかないですし、なおかつ、全産業平均と格差が縮まっても、民間が春闘でどこまで上がるかというのはありますけれども、民間が上がっていけばまた格差は広がっちゃうわけですよね。ですから、そこは、民間も賃上げが必要ですけれども、政府が責任を負っている分野でしっかり責任を果たしていただきたいと思うんですよね。

 私は、軍事費を増やす議論ばかりやっていて、何でこういうところの予算を増やす議論が進まないのかというのは、加藤大臣も、心をしっかりと働いている皆さんのところに更に寄せていただいて、取組を進めていただきたいと思います。

 あわせて、資料の四ページ目、五ページ目のところを見ていただきたいと思いますが、今、介護保険部会で介護保険の給付と負担の見直しを議論されておりますけれども、多くの施設長さんの声は、例えば、介護保険の利用料負担でいえば、二割以上に増やそうという方は少数なんですよね。逆に、一割に戻そうとか、あるいは、低所得者の減免を更に拡充しよう、こういう声が上がっているという状況です。これは介護現場の皆さんの実感だというふうに思います。

 一方で、介護保険料もどんどん今上がっているという状況があるわけですよね。

 本当に皆さんが安心して介護を受けられる、そして、この物価高の中で暮らしを守っていくということを考えた場合には、国庫負担をしっかり増やしていく、この議論こそ介護保険部会でやらなければならないんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今お話があった幾つかの点は、現時点で、これまでの社会保障審議会介護保険部会等々における議論を踏まえて、現在、介護保険部会で議論を行っていただいているところでございますので、現時点で見直しの方向性が決まっているものではございません。

 また、介護保険制度は、高齢化の進展に伴い介護ニーズが増大する中で、従前は全額公費による措置制度だったわけであります。しかし、それでは対応に限界があるということで、給付と負担の関係が明確な社会保険方式を採用しようということで現在の介護保険制度がスタートし、そして、保険料、公費でそれぞれ五割を負担する仕組みとなっているわけでありますので、公費負担割合をこれ以上引き上げるということについては慎重に考える必要があるのではないかというふうに思っております。

 ただ、制度の持続可能性を確保していくことは当然必要でありますので、必要なサービスが必要な方に行き届くよう、いろいろな御意見をしっかり伺い、丁寧に議論を重ねていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 国庫負担を増やさないと本当にもたないと思いますので、真剣な検討をお願いしたいと思います。

 最後に、資料の八ページ目、九ページ目に、昨年度運用が始まった科学的介護情報システム、LIFEについての資料があります。効果や意義を感じている人が余りにも少ない。利用者にとっても効果や意義を感じている施設長さんがなぜこんなに少ないのか、これはどうお考えでしょうか。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢者の自立支援、重度化防止の取組を推進していきますには、科学的根拠に基づく介護を推進していくことが極めて重要でございます。

 このため、先生御指摘のとおり、三年度介護報酬改定におきまして、高齢者の状態、ケアの内容等のデータを収集しまして、それを活用しながらケアの質の向上を目指す取組でありますLIFEを活用した場合に、介護報酬での加算を算定できることといたしております。

 このLIFEを活用した取組の状況につきましては、厚労省におきまして調査研究を行っております。利用者の状態や課題を把握しやすくなったですとか、利用者のアセスメント方法やアセスメントの頻度の統一が図れたなど、LIFEの活用によって利用者のケアに役立ったとの評価が得られたりしております。

 ただ、他方、先生のおっしゃいますのとつながるわけでございますけれども、一部の事業者様からは、データを入力する職員の負担が大きい、使用している介護ソフトがデータ連携に対応していない、ケアの質の向上に向けた具体的な活用の仕方が分からないといったお声も聞こえてくるところでございます。

 そういったことから、これらの課題に対応するため、システムの改修ですとかマニュアル整備を進めるほか、LIFEを通じたケアの質の向上に関する好事例集の作成などに取り組んでいるところでございます。

 引き続き、介護現場の御意見を丁寧に聞きながら、科学的に効果が裏づけられた質の高いサービスの推進に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 時間になりましたから終わりますけれども、介護現場は、統計表だけ送られてきてもどう活用していいのか分からないというのが実態ですよ。これは抜本的な見直しが私は必要だと思いますよ。

 以上述べまして、質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 今日もラストバッターで一般質疑を行いたいと思います。テーマは地域医療。

 私の地元徳島県に、独立行政法人国立病院機構の徳島病院というのがあります。それは、主に難病、筋ジストロフィーの皆様方が長期療養されている病院でございまして、同じ国立病院機構の中で、県内で東徳島医療センターというのがありまして、吸収合併、そちらの方に病院が移転するという話が出ています。

 このことに関しまして、地域の方々から様々な、その場所に徳島病院を残してほしいという形で、その病院がある町は吉野川市という人口三万七千人の町なんですけれども、その三万七千人を超える四万人以上の署名が集まっている実態がございます。

 大臣、この問題というのは、例えば自治体病院の方でよくある話でございまして、平成の大合併が起こったときに、それぞれ病院があったところでその病院を維持したい、されど、自治体病院の経営というのは、多くの病院が赤字経営である。今回のこの話も、独法法人のいわゆる国立病院機構の中での経営状態のことから出ている話だというふうに推察できるわけでございます。

 大臣、地域医療は非常に重要です。そして、地域医療を受ける国民は、皆保険制度の下で被保険者であり、保険料を納めています。原則は、やはり、被保険者が保険料を納めている以上、自分たちが住む圏域の中で医療が完結するというのが原則だと思います。

 例えばフリーアクセスという皆保険制度の特徴もありますが、大臣、この問題というのは一つの事案で、私は、そういう署名を書いて存続を願う住民の気持ちに応える地元の議員として、そういう存続をしていただきたいと思う気持ちはあるわけでございますが、今後、日本の各地方において、特に、人口減少が起こって、そういう医療機関という医療を供給する機関があったとしても、それを受ける、享受する国民、被保険者が減っていくような地域におけるこういった公的病院のありようということに関して、大臣はどのようにお考えでしょうか。

加藤国務大臣 今委員がおっしゃったように、中長期的な、それぞれの地域の人口構造が変化する中で、そこで求められる医療ニーズあるいは提供の在り方、こういったものが当然議論されていく。そこで、質の高い効率的な医療提供体制を今後とも確保していくということで、地域医療構想の取組を進めさせていただいているところであります。

 地域医療構想を進める上で大事なことは、地域ごとに医療資源の状況が異なっているわけでありますから、私ども国からこうだああだということではなくて、それぞれの地域でよく議論していただいて、そして合意を目指し、そして、それに向けて一つ一つ構想を実現していただく。それに対して、私どもとして様々な、例えば基金を活用するとか、そうした支援をさせていただいているところでございますので、まさに地域において、今、地域でいろいろな声が出ているというお話もございましたし、それを含めて、議員の皆さん方、あるいは首長の皆さん方、そして医療関係者の方々が、どうあるべきなのか、しっかり御議論いただきたいというふうに思っておりますし、そして、その結論に対して私どもはしっかり支援をさせていただきたいと思います。

仁木委員 大臣、ありがとうございます。

 ただ、先ほど私は、皆保険制度のことでありますとか、保険という、ある種、契約的な中で被保険者が保険料を払っているということでいいますと、例えば、そういう医療資源がないところに住むなと言わないまでも、やはり、そこに医療資源があるから例えば住んでもいいなという形で選択してそこに住んだ人が、様々な経営的な環境変化で、そこで医療機関が消えていく。そうしたら、医療を受けるためにまた引っ越しをするのかという議論にもなります。

 それは、私は、ある種、しようがないといえばしようがないわけでございますが、その病院の性格、例えばそれが公的病院ということでありますと、ある程度、国がそういったことに対して責任というか、少なくとも、例えば、今後、医療DXとかいう話をしていますけれども、その医療DX等を用いて、そういった医療資源で得た情報を、国民、いわゆる被保険者にそういった情報をフィードバックして、その上で、例えば、その人たちそれぞれのライフワーク、あるいはライフプランですね、人生設計とかを立てていただくということも非常に重要だと思います。

 今大臣のおっしゃっていたことも踏まえまして、今後、これから各地でこういう問題が起こってくると思います。特に、自治体病院というのは、政治的な思いで、首長さんが替わると、病院が統廃合とか、あるいは残すんだという形で、いろいろな形で、自治体の一般財源からも病院の経営に財源を供しているような、出しているようなところもありますので、その辺も踏まえて、大切な地域医療の問題、大臣の方は地元任せのようにも聞こえましたが、地元任せだけじゃなくて、国としても、そういう皆保険制度を担う所管大臣として考えていただきたいと思います。

 そういう中で、今、二〇二四年に本格的に始まる医師の働き方改革というのは、地域医療に非常に大きなインパクトを与えると言われております。それは、例えば、医師に通常のほかの業態の労働者と同じような働き方改革を導入すれば、場合によっては、莫大な人件費を含んだ新たな医師の雇用でありますとか、様々な労働時間を削減するためのスタッフの雇用であるとか、そういう経営的な圧迫にもつながると思います。

 そこで、この前も私もそういった医師の働き方改革の勉強会の方へ参加していまして、岩手医大の小川理事長の方からお話も聞きましたが、まさに、大学病院というところは、昔は、ドイツの医師派遣制度に倣って、医師の派遣、いわゆる地域医療を担う人材を確保することに大きく寄与していました。しかし、新研修医制度の下で、大きく医局の機能等々も変わりました。

 それで、大臣にお聞きしたいのは、大学病院のいろいろな医師の、他の公的病院の医師との労働環境の違い、教育とか研究もやっているということを踏まえた上での二〇二四年に始まる医師の働き方改革というのを、特に労働基準監督署の方は踏まえて指導あるいは助言をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今回、昨年の医療法等の改正における医師の時間外、休日労働時間の上限規制である千八百六十時間、これはいわば特例水準ではありますけれども、そこへ移行していく、それに当たっては、大学を含む方々からもいろいろな御意見を聞いて、議論に議論を重ねて、やはり、著しい長時間労働を是正し、医師の健康を確保していく必要がある、そうした共通の認識の下で、大学病院に勤務する医師も含めて上限時間の設定がなされたところでございます。

 まさに、そうした議論の積み重ねで出てきた御意見、こうしたこともしっかり我々は受け止めながら、実際の運用というか、行政の対応に当たっては考えていかなければならないなというふうに思っております。

 ただ、今先生がおっしゃったように、教育研究が労働時間に該当するかどうか、それをどう見るのかということについても、医師の研さんに係る労働時間に関する考え方は、令和元年七月に通知を発出してお示しをさせていただいたところでございます。

 こういったことも含めて、各大学病院において、そうした切り分けというんでしょうか、そうしたことも議論いただいているものと承知しております。

仁木委員 大臣、ありがとうございます。

 大学にいる医師というのは、一般に薄給で、給与も安くて、パートをしている先生も結構多くいらっしゃいます。そういう中で、研究も同時にしなければいけませんし、教育ということで、医学部生に教えたりとか、あるいは、下の若いドクターに指導するというような場面もありますので、今大臣がおっしゃったことを踏まえた上での働き方改革というのを推進していただきたいと思います。

 私が今日申し上げたいのは、この間申し上げておりますけれども、医師というのは、肩書があってすぐに何もかもできるわけではありませんし、やる行動、診療そのものが患者さんの方の健康、命に直結するということで、特に、例えば、私が再三申し上げているのは、指導医というか、医師を研修していく新研修医制度の中での指導医、あるいは専門医養成の中での指導医、こういったことが非常に重要なんですが、実際、臨床の場で指導医のステータスがほとんどないに等しいんですね。

 ですから、国として、地域医療を担う大切な人材である医師をしっかり、少なくとも標準レベルよりは高いレベルに持っていけるような形で、国民が信頼、そして安心、納得できるような医師を養成するシステムを構築していくべきだと考えますが、その上で、指導医のステータスについて、是非とも国として、何か特別手当をつけるとか、臨床の現場において何か特別な扱いというか処遇をお与えいただきたいと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 より質の高い医師を養成していくために、今委員御指摘のように、指導医の在り方というのは非常に大事だと思います。また、そうした質の高い指導医を確保していくということも重要でありますので、そのためにも処遇改善も重要だと思います。

 臨床研修では、臨床研修病院に対して、指導医経費など、指導医に係る経費の財政支援を行っております。また、専門研修では、医師少数区域等への指導医の派遣等に係る財政支援なども行わせていただいているところでありますので、今後とも、こうした取組を重ねながら、質の高い医師の養成に資するよう、関係者の御意見も伺いながら必要な取組を進めていきたいと考えております。

仁木委員 ありがとうございます。

 今後とも、よりよい地域医療を実現するために、私もまたこの会で審議を深めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十二分散会


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