衆議院

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第12号 令和5年5月10日(水曜日)

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令和五年五月十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      秋葉 賢也君    畦元 将吾君

      伊藤信太郎君    石井  拓君

      上田 英俊君    柿沢 未途君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      塩崎 彰久君    新谷 正義君

      瀬戸 隆一君    田村 憲久君

      高階恵美子君    土田  慎君

      橋本  岳君    深澤 陽一君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      宮澤 博行君    吉田 真次君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      大西 健介君    西村智奈美君

      野間  健君    山井 和則君

      吉田 統彦君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    遠藤 良太君

      吉田とも代君    古屋 範子君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   内閣府副大臣       藤丸  敏君

   内閣府副大臣       大串 正樹君

   厚生労働副大臣      羽生田 俊君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   環境副大臣        小林 茂樹君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   文部科学大臣政務官    伊藤 孝江君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         鋤柄 卓夫君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          浅野 敦行君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           田辺 康彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松本  真君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          竹内  努君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       寺門 成真君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           西條 正明君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           奥野  真君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     小林万里子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         村山  誠君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (林野庁次長)      森  重樹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 針田  哲君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     吉田 真次君

五月十日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     深澤 陽一君

  小泉進次郎君     宮澤 博行君

  瀬戸 隆一君     石井  拓君

  高階恵美子君     伊藤信太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     高階恵美子君

  石井  拓君     瀬戸 隆一君

  深澤 陽一君     畦元 将吾君

  宮澤 博行君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

五月九日

 国立健康危機管理研究機構法案(内閣提出第四九号)

 国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国立健康危機管理研究機構法案(内閣提出第四九号)

 国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五〇号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官畠山貴晃君、食品安全委員会事務局長鋤柄卓夫君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、長官官房審議官野村知司君、長官官房審議官浅野敦行君、総務省自治行政局長吉川浩民君、消防庁国民保護・防災部長田辺康彦君、法務省大臣官房審議官松本真君、大臣官房司法法制部長竹内努君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官寺門成真君、大臣官房審議官安彦広斉君、大臣官房審議官西條正明君、文化庁審議官小林万里子君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官堀井奈津子君、医政局長榎本健太郎君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長八神敦雄君、労働基準局長鈴木英二郎君、職業安定局長田中誠二君、雇用環境・均等局長村山誠君、社会・援護局長川又竹男君、社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、老健局長大西証史君、保険局長伊原和人君、林野庁次長森重樹君、環境省大臣官房審議官針田哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 おはようございます。

 今日は、十分間いただきまして、ありがとうございます。

 犯罪被害者支援について私は十分使わせていただきますし、次の三谷議員も、この問題、今日は、二人で取り組んできましたので、この問題に取り組んでいきたいと思います。

 犯罪被害者支援は、国会議員の中だと弁護士の方が取り組む例が多いと思います。私も、そういう立場でないにもかかわらず取り組んでいるのは、今まで犯罪被害者の当事者の方とお会いをして、日本全国、北海道から沖縄までの中でどこで犯罪被害者になるかによってこんなにも受けられる支援が違うのか、ここに驚いたことが一つ。そして、死に方、殺され方、このことによっても受けられる支援が違うこと、撃たれるか、ひかれるか、刺されるか、殴られるか、このことによっても受けられる経済的な支援額というのは大きな差が生まれるのが実は現状なんです。そのような中で、主には警察庁なんですけれども、関係省庁、かなり幅広く関わるのがこの犯罪被害者支援の問題で、今日は厚生労働省に関わる医療のことについて特に絞ってお尋ねをします。

 当事者の方から聞かれる声として、例えば、犯罪被害者になって傷を負って病院に運ばれる、そうするとまず言われることが、犯罪によってけがをしたりした場合は保険は利きません、自己負担です、自由診療です、そういうふうに言われるケースがあるという。しかし、犯罪被害者の方からすると、えっ、保険利くはずですよね。だけれどもそういうふうに自ら言い出しにくい。本当はルールとしては保険適用が利くのに、まだまだ現場ではそれを誤解をした対応をしている医療機関が存在をしているということが私の元には届いています。

 今日は、参考人として伊原保険局長に来ていただいていますので、まずこの点について、全国の医療機関に対しても、また行政に対しても、明確に、けがをしたから、犯罪被害に遭ったからといって、自由診療だという、その対応が誤った対応であると、そうではないということを明確に答弁いただきたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先生から御指摘いただきましたように、犯罪被害により傷病を受けた者については、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象となります。こうしたことにつきましては、これまでも機会を捉えて通知を発出してまいりました。

 他方、実際の現場では、例えば、こういう第三者の行為による傷病について、保険者が被保険者に対して、加害者が損害賠償を負う旨の誓約書、これの提出を求めるようなケースがございます。ただ、これは医療保険の給付を行うために必要な条件ではないので、誓約書を提出することはなくても医療保険の給付は行われる、こうしたことも通知を今までしてまいりました。

 ただ、今回、与党の中でもそうした御議論をしている中で、いまだにそういう正しく認識されていない医療機関があるという御指摘もございますので、この犯罪被害による傷病の保険給付の取扱いについては、今後改めて関係機関に対し丁寧な周知を行って、現場に行き渡るようにしたいと考えてございます。

 それから、医療費の全額を仮に一旦窓口で負担した場合でも、事後的に保険者に請求いただくことで、療養費として払戻しを受けることがもちろん可能でございます。こうしたことも含めて、犯罪被害者の方の不利益にならないように適切に対応してまいりたいと思っております。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 今の伊原局長の答弁の中にポイントは三つあったと思います。一つは、私が今指摘をしたとおり、自由診療ではない、保険適用はされるということが明確に答弁をされたことが一つ。そしてもう一つは、加害者が払うという誓約書を、必要ないにもかかわらず求められているケースがあることに対して、誓約書は必要ないということを明確に答弁をいただいたことが二つ。そして三つ目が、仮に、当事者の方が自由診療だと言われて、言い出せずに、保険適用されるはずなのにと思っていても、仮に支払ってしまった場合でも、それは、その後、保険適用の形で払戻しがされる、こういったことが明確に答弁をされていました。ありがとうございます。

 次は、カウンセリングの問題なんです。

 実は、犯罪被害者の方のけがとかそういったことだけではなくて、PTSDも含めて、長期にわたってのカウンセリングが必要なケースがあります。そういった例の中で、今、医師によるカウンセリングについては、これは対応されていると。しかし、現場の被害者の方から聞きますと、実際、医師とのカウンセリングの関係でいうと、ゆっくり時間を取ってお話を聞いていただくということよりも、実際、医師の方は忙しいということで、薬を処方したりして、それをやるのが医師で、実際は公認心理師の方が時間を取って対応されるケースが多い。だけれども、そこは保険適用ではない。この制度と実態のニーズというところにやはりずれが生じているということは否めないなというふうに感じています。

 ここの部分は今課題となっていると思いますが、今後、医師に限らず、公認心理師のニーズという現場の皆さんの思いを受けて、ここについてはどう対応されるのか、御答弁いただきたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 犯罪被害者の方々に対するカウンセリングにつきましては、現在、心的外傷後ストレス障害、いわゆるPTSDの患者等に対しまして医療機関において医師が通院精神療法等の一環として行うカウンセリング、これについては保険適用を行っておりますけれども、先生御指摘のとおり、この保険適用をめぐっては更に充実すべきとの御意見がございます。

 御指摘の、犯罪被害者等に対する公認心理師によるカウンセリングも含めまして、質の担保された治療としてのカウンセリングの保険適用の改善につきましては、関係者や専門家の御意見も踏まえつつ、中央社会保険医療協議会におきまして、来年度の診療報酬改定に向けた議論を行ってまいりたいと考えております。

小泉(進)委員 来年度の改定に向けて議論の俎上に上げるということですから、是非、厚労省としても、今後、恐らく総理をトップとする犯罪被害者支援の推進会議なども官邸の方で開催される運びになると思います。そういった中で、これは事務局的に担っているのは警察庁ですけれども、是非、厚労省は当事者意識を持って、この問題はしっかりと取組を進めていただきたいと思います。

 最後に、医療保険の一部負担金について触れておきたいと思います。

 今、国民健康保険では、災害などがあって、最近でも能登の方、珠洲市の方でありましたけれども、また、東日本大震災の例でも明らかでしたが、突如として災害に襲われて、国民健康保険の一部負担金を支払うことが困難な状況に置かれるケース、災害などでは、猶予、そして免除、減免、こういった対応はあるんですね。しかし、同じように、誰も予想しない中でいきなり犯罪被害者になって、その立場になったときは同じような対応がされないと。

 こういったこと、災害だけでいいんですかね。私は、犯罪だって、同じようにこの一部負担金が猶予されたり、そのような対応が必要だと思いますが、厚労省としてはどう対応されるおつもりですか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 国民健康保険あるいは後期高齢者医療制度では、災害あるいは失業等による収入の減少など特別な理由がある被保険者で、一部負担金を支払うことが困難であると認められる者に対しまして、保険者は一部負担金の減免や徴収猶予を行うことができるとされてございます。

 この特別な理由がある被保険者で、一部負担金を支払うことが困難であると認められる者には、先生今御指摘いただきました、犯罪の被害を受けたことで生活が困難になった方も含まれ得ると考えてございます。

 御指摘も踏まえまして、犯罪被害者等の方についても、一部負担金の減免や徴収猶予を行うことができる特別な理由がある被保険者として減免等の対象となり得る旨を、今後、保険者に対しまして丁寧に周知を行うことで、支援を必要とする方が制度を利用できる環境の整備に努めてまいりたいと思います。

小泉(進)委員 ありがとうございました。

 今日、かなり明確に御答弁いただいたことは、この質疑を聞いている当事者の皆さんにとっても安心できる材料もあったと思います。もちろん、まだまだ課題は多くありまして、今日議論をさせていただいた医療の問題は、あくまでも犯罪被害者の皆さんの必要な支援の一部にすぎません。

 ただ、大臣、最後に、今日このやり取りを聞いていただいて、犯罪被害者の特に医療関係などを所管をしている厚生労働省の大臣として何かお受け止めがあれば、一言いただいて終わりたいと思います。

加藤国務大臣 犯罪被害を受けた方々が一日も早く被害から回復をされ、社会の中で平穏な生活を取り戻していただける、そして、それに当たっては、様々な困難に直面をされておりますから、必要な支援、犯罪被害を受けたという事情を踏まえた必要な支援が必要だというのは、今委員から御指摘があったところであります。

 昨年末にも議員連盟の皆さんからも提言をいただいたところでありますし、現在取りまとめもなされているというふうにも承知をしているところでございます。

 厚労省としては、今お話がありました医療のみならず年金、生活保護など生活に関わる様々な分野を所掌しておりますので、こうした方々が円滑に制度を利用できるよう、今局長からも申し上げたような点、あるいは御質問になった点、これらに対してしっかりと周知を図る。あるいは、診療報酬のお話は検討課題とさせていただきました。こういったことにもしっかりと、自民党における議論を受け止めながら、引き続き、警察庁を始めとする関係省庁とも連携して、犯罪被害を受けた方々に対する支援がしっかりと行われていけるように取組をさせていただきたいと考えています。

小泉(進)委員 終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 衆議院議員の三谷英弘です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、理事の先生方、委員の先生方、本当にありがとうございます。御礼申し上げます。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 先ほど小泉先生からも質問させていただいたとおり、犯罪被害者の支援というものをしっかりと行っていかなければいけない、そのような思いで、我々は本当に多くの被害者の方の話を直接伺ってまいりました。また、本当に犯罪支援に現場で携わられている弁護士の先生方からの質問等々もいろいろ伺って、様々な施策が実はあることということも理解をしましたが、でも、それが必ずしも犯罪被害者のところに十分行き届いているとは言うことができない現状というものも理解をするように思った次第でございます。そういった観点から、私の方からも続けて質問させていただきます。

 まず、先ほど小泉先生からも質問いただいた医療の部分について、一部負担金の問題もありました。それに加えて、保険料ですね、国民健康保険料ですとか後期高齢者医療保険料に関しても、減免等々が震災、風水害、落雷、火災、これに類する災害等の事情があった場合には行われる、そういったものが条例等々であるところではございますけれども、それについても、犯罪被害者に関してもやはり保険料の減免があるという理解でよいのか、そして、よいとすれば、それを今後どのようにしっかりと国民あるいは保険者等に周知していく予定か、その辺についてお答えいただきたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 国民健康保険あるいは後期高齢者医療制度では、災害などにより生活が著しく困難となった者など特別な理由がある者に対しまして、保険者は保険料の減免や徴収猶予を行うことができるとされております。

 この特別な理由がある者には、今御指摘いただきました、犯罪の被害を受けたことで生活が著しく困難となった者、そうした方も含まれ得ると考えてございます。

 御指摘を受けまして、犯罪被害者等の方につきましても、保険料の減免や徴収猶予が行うことができる特別な理由がある者として減免等の対象となり得る旨を、今後、保険者に対しまして丁寧に周知を行うことで、支援を必要とする方が制度を利用できる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 続いて、生活保護の点に移らせていただきます。

 生活保護受給者が、犯罪被害者給付金、犯罪を受けると、犯給金、犯罪被害者に対して給付金が支払われるんですけれども、それを受け取った場合に、それが収入認定されてしまって、それまで受けていた生活保護というものが、その資格を喪失してしまったり、あるいは、そういった生活保護の資格を喪失することを恐れて、実は犯罪被害者給付金というものを受領しないということが間々行われているという声が現場から上がっています。

 実は、災害の場合には、義援金等を受領しても、それを、広く生活を再建するために使うお金だということで、収入認定しないというような取扱いが行われているという例も間々あります。それと同じように、やはり、犯給金を受領しても、できるだけそれを広く収入認定から除外をしていただけるような取扱いをしていただきたいというふうに思いますけれども、それについて厚生労働省の御見解をお伺いできますでしょうか。

川又政府参考人 生活保護制度におきましては、生活保護法の目的の一つである自立の助長の観点から、自立更生を目的とする給付金について、保護受給世帯の自立更生のために充てられる額は収入認定しない取扱いとしております。その額の認定につきましては、原則として、直ちに自立更生のための用途に供されるものということに今は限られております。

 犯罪被害者等給付金につきましては、支給を受けた場合の生活保護制度の取扱いについても、現在、給付金のうち、直ちに生活保護世帯の自立更生のために充てられる額につきましては収入認定しない取扱いとしております。

 この点につきましては、御指摘のような議論も踏まえまして、直ちに自立更生のための用途に供されるものでなくても福祉事務所が必要と認めた場合は自立更生計画に計上することを認めることなどを、自治体に通知などによってお示しすることについて検討してまいりたいと考えております。

三谷委員 是非ともそこを広く、これまで以上に緩めていただいて、これから犯給金の金額を引き上げるという議論も別途、警察庁の方で行っていこうというふうに思っておりますけれども、それをすることで生活保護というものを受ける資格を喪失したりとか、それが怖いから、せっかく引き上げた犯給金をもらわないみたいなことになってしまったら元も子もありませんので、是非とも今お答えいただいたとおりのことをしっかりと進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それから、これは難しい問題であることは重々承知はしているんですけれども、生活保護の申請をすることがなかなか犯罪被害を受けた直後は難しいということで、例えば、意識を失ってしまったり、入院したり、様々な対応に追われるということがあります。そういった場合に、最初に事件を受けて被害を受けた直後の医療費というものについて、何とかそこについてもできるだけ広く生活保護を認定していただいて、その後の医療費については免除をしていただくような取扱いができないかと思っているんですけれども、その辺について見解をいただけないでしょうか。

川又政府参考人 生活保護につきましては、原則として要保護者等からの申請に基づいて開始する仕組みとなっておりますので、申請のあった日以降で、要保護状態にあると判定された日が開始時期となります。

 このため、これは犯罪被害者に限った問題ではございませんけれども、申請より前の時点に遡及して生活保護を適用して、申請より前に発生した医療費を生活保護制度の対象とすることにつきましては、難しいものと考えております。

三谷委員 これは本当に難しいのはよく分かって質問をさせていただいたんですけれども、だからこそ、今、犯罪被害者支援弁護士制度ですとか、様々な、各自治体でのコーディネーターというものをしっかりとつくって、そういった申請ができるだけ早くできるようにというような、周りの支援というものも厚くしてまいりたいというふうに思っておりますので、今の点を踏まえた上での対応というものを進めてまいりたいと思っています。

 それから三点目なんですが、DX化についても一点だけお伺いしたいと思います。

 これからマイナンバーカードと保険証というのは一体化させて、マイナ保険証というものができてくる。そういった中に、犯罪被害者であるという情報を入れていただいて、その上で、何とか、そういった窓口で手軽に減免等の対応が受けられるようにしていただけないかと思いますけれども、その辺についての対応、いかがでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 まず、多分、御指摘が、医療保険の一部負担金についてもマイナンバーカードを活用できないかという御指摘ではないかと思いますけれども、我々が今考えておりますのは、被保険者の方が保険者から交付されていた減免の証明書をマイナンバーカードあるいは保険証に添えて減免、徴収猶予を受けていただく、こう考えてございます。

 ただ、他方、今先生御指摘のようにマイナンバーカードだけでやるという仕組みになるとしますと、やはり、今回の扱いというのは保険者がそれぞれ個別対応として減免の判断をする、それをもし仮にDX化しようとすると、保険者のシステムの改修が必要ですし、医療機関の改修も必要になってまいります。そうしたことから、直ちにそうしたことを実行に移すのはなかなか難しいと考えておりまして、まずは、今回、犯罪被害者の方が一部負担金の減免の対象になるということを現場に徹底的に周知していきたい、このように考えてございます。

三谷委員 時間になっておりますけれども、最後一言だけ、伊佐副大臣にも、この犯罪被害者施策、厚生労働省としてもしっかりと進めていくという決意をお答えいただければと思います。よろしくお願いします。

伊佐副大臣 小泉委員、三谷委員から、各論について様々御指摘があったというふうに思います。その中では、被害者に特化した取組にする項目もあれば、また、今ある制度が被害者の皆様も利用可能であることをしっかり周知することも必要だということも様々答弁をさせていただきました。

 しっかりと警察庁を始めとする関係省庁と連携をして、犯罪被害を受けた方々に対する支援をより一層、厚労省としても推進してまいりたいというふうに思っております。

三谷委員 以上です。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 今日はアレルギー疾患について質問してまいりますので、よろしくお願いいたします。

 本年は、過去十年で最大限の杉花粉が飛散をしているということでございます。多くの国民が花粉症に悩まされている中で、先般、岸田総理は、我が国の社会問題とおっしゃられて、国を挙げて花粉症対策に取り組む意欲を示されまして、花粉症への関心や意識が高まりました。十四日、花粉症対策に関する関係閣僚会議が開催をされました。総理の方から、六月までに、来年の飛散期や今後十年を視野に入れた対策の全体像をまとめるように指示が出されたところでございます。発生源となっている杉の伐採、植え替え、スーパーコンピューター、AIを活用した花粉の飛散予測の改善、治療法の開発などの対策が検討されることとなっております。

 私も、今回、林野庁の方から、杉花粉についてお伺いをしてみました。現在、我が国の杉人工林は全国で約四百四十万ヘクタールであるということで、植えてからだんだんと花粉が飛散をしてくる。伐採対象となるのは五十年を超えたものということでございます。これが五〇%以上となっている状況だそうでございます。花粉の少ない苗木というものの生産量は五割に達したんですけれども、この花粉の飛散が少ない苗木の植え替えというのは、全体の今一%未満ということなんですね。ですので、これを本当に全部植え替えるというのも、気が遠くなるような話であります。

 厚労省の方からも、花粉症の有病率は、二〇一九年時点では、花粉症全体で四二・五%で、杉花粉症で三八%ということで、十年間で一〇%以上増加をしているということでございます。花粉症を含むアレルギー性鼻炎の医療費というのは、最近のデータで、保険診療で約三千六百億円かかっているということなんですね。市販薬では約四百億円でございます。

 杉花粉の方は、今、花粉量の少ない杉に植え替えが始まっているということなんですが、杉以外の花粉症というのも多くありまして、これはまだ、そういう品種は品種改良している最中ということで、やはり植え替えということからアプローチをしていくというのはかなり長期間かかるということが分かります。やはり医療の面でこの対策を講じていくというのが当面一番重要だというふうに考えます。

 公明党におきましても、一九九九年に党内にアレルギー疾患の対策プロジェクトチームを設置をいたしました。私も、二〇〇三年初当選なんですが、その前に、地元の神奈川におきまして、アレルギー疾患に関する約十四万人に対する調査を行いまして、それを持って国会に参りました。学校で対応しましたガイドラインを策定したり、また、アナフィラキシーを起こしたときに注射をするエピペン、この保険適用も進めてまいりました。基本法が必要だと考えまして、二〇〇八年に法案作成に着手をいたしまして、その後、提出、廃案、修正、再提出ということで、苦節六年かかりまして、当時のこの厚生労働委員会の各党の皆様に御理解をいただきまして、二〇一四年に全会一致でこの法律を成立させることができました。

 最近では、花粉症になって果物アレルギーが発症をする、ぜんそくと合併症を生ずる、注意力が低下するなど、たかが花粉症と言えない状況なんですね。アレルギー疾患の標準の治療の徹底、よりよい治療の研究、ガイドラインの普及など、日本アレルギー学会などと連携をして、効果的な意味のある予算の使い方を考えていただきたいということを強く申し上げたいと思っております。

 加藤大臣に、まず、このアレルギー疾患対策全般の取組について御所見をお伺いいたします。

加藤国務大臣 今、古屋委員からもお話がありました、我が国において、花粉症、本当に多くの方がそれに悩まれ、あるいは大変御苦労いただいている、ある意味では社会的な課題だと言ってもいいんだろうと思います。

 それは、ある意味ではアレルギー疾患ということになるわけでありますが、アレルギー疾患を有する方々が安心して生活できる社会を構築していくことも必要だと考えており、厚労省では、平成二十六年に制定されたアレルギー疾患対策基本法に基づき、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針を策定をさせていただきました。

 その中では、例えば、関係学会と連携した診療ガイドラインの策定、治療法に関する研究の推進、アレルギーポータルというウェブサイトを通じた治療法や医療機関情報等の情報発信、アレルギー疾患に対する医療提供体制の整備、医療従事者等に対する研修会の実施等に取り組んでいるところでございます。

 さらに、本年度からは、患者やその家族が安心して仕事の継続や復職に臨めるよう、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院に両立支援コーディネーターを配置をし、治療と仕事の両立を支援するためのモデル事業を開始する予定としております。

 厚労省が中心となりまして、関係省庁、自治体、関係学会とも連携し、アレルギー対策の充実に努めてまいります。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 いわば国民病とも言われる花粉症を含むアレルギー疾患に対しまして、是非、大臣のリーダーシップで強力な対策を進めていただくようにお願いをしたいと思っております。

 次に、成人のアレルギー患者増加の現状についてお伺いをしてまいりたいと思っております。

 今、成人のアレルギー患者の増加が注目をされておりまして、昨年の三月なんですが、今大臣も触れられましたアレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針が改正をされました。ここにも、国は、アレルギー疾患を有する者が、居住する地域や年代にかかわらず、適切なアレルギー疾患医療や相談体制を受けられるよう、小児期のみならず移行期、成人期のアレルギー診療についても実態調査を行うよう努めるとともに、アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会における検討結果に基づいた体制を整備するということが盛り込まれました。

 そこで、まず、成人のアレルギー患者増加の現状についてお伺いをしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 国が実施する患者調査によりますと、例えば、アレルギー性鼻炎、ぜんそく、アトピー性鼻炎の二十歳以上の推計患者数の合計は、平成二十年は百三・七万人である一方、これは調査方法の変更に留意する必要がありますけれども、令和二年は三百五・五万人となっておりまして、成人のアレルギー患者の総数は増加傾向にあると認識しております。

古屋(範)委員 平成二十年から令和二年を比較しますと約三倍に増えているということでありまして、成人のアレルギー疾患対策というものが今重要なのではないかというふうに思っております。

 そこで、今、成人から発症する大人の食物アレルギーなんですけれども、成人の十人に一人に症状があるというふうにも言われております。

 食物アレルギーというのは、子供の頃に発症するというイメージがございます。実は私の孫も、生まれてからすぐ卵のアレルギーがありまして、私もこういう政策をやっているものですから、アレルギー学会の認定医、専門医の治療を受けた方がいいんじゃないかということをアドバイスしまして、その専門医の指示の下に少しずつ卵を食べる治療を行ってまいりまして、小学生ですけれども、今ではもう本当にオムライスとかを平気で食べるくらい卵のアレルギーがなくなりました。

 この大人になって初めて発症するケースなんですけれども、まれに深刻なアナフィラキシーを起こすこともあって注意が必要です。子供は卵、牛乳、小麦などが多いんですが、大人は、果物、野菜、小麦、エビ、カニ、肉、納豆などでも、発症の原因となる食べ物が多種多様であります。花粉症の人は注意が必要で、花粉の種類によって交差反応を起こすとも言われております。

 今日、皆様に資料を配付させていただいておりますが、一の1なんですけれども、アレルギー疾患に関する検査の実施状況を見ますと、成人の食物経口負荷試験を実施できない、できるが実施していない医療機関が、外来では五五%、また入院では五一%ありまして、小児の半分しか実施をされていないということが見て取れます。

 その大きな理由の一つとして考えられるのが、やはり診療報酬がついていないということなんですね。小児の方に関しましては、私からも厚生労働省に令和四年度診療報酬改定に向けて要望を出させていただきまして、九歳未満、年二回だったのが、今、十六歳未満、年三回まで保険適用となりました。感謝をしております。ただ、年齢制限が撤廃をされておりません。

 そこで、成人の食物アレルギー、先ほども、増加している、また、小児期から有する食物アレルギー患者が成人となっている、全年齢で木の実アレルギーが急増していることなどを考えますと、是非、全国の医療機関が成人に関しても進んで食物負荷試験を行うことができるよう、年齢制限を撤廃すべきだというふうに思います。厚労省の考えをお伺いいたします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 小児に対する食物負荷試験につきましては、小児食物アレルギー負荷検査としまして診療報酬上の評価を行ってまいりました。先ほど先生から御指摘いただきましたように、昨年の診療報酬改定におきまして、関係学会からの御提案も踏まえまして、対象患者を九歳未満から十六歳未満に拡大したところでございます。

 この検査につきましては、小児患者へ実施する臨床的意義に加えまして、検査実施に当たっての医療従事者の業務負荷、それから、検査前後のケア、重篤なアレルギー反応に対する対応、こうしたことを評価しているところでございます。

 それを成人症例に対する食物負荷試験についても新たに評価すべきという御指摘でございますが、まさに、今後、関係学会から御提案があった場合には、臨床的有用性や安全性等に関するデータに基づきまして中央社会保険医療協議会において検討していくことになると考えてございます。

古屋(範)委員 是非、次期診療報酬改定、この成人における食物経口負荷試験、診療報酬に加えていただきたいことを改めて要望しておきたいと思います。

 それから、医療機関と拠点病院との連携体制についてお伺いをしてまいります。

 私も、四十七都道府県にアレルギー疾患の拠点病院を整備するということを取り組んでまいりまして、やっと四十七都道府県でこれが整備をされました。

 成人のアレルギー疾患に関しましては、移行期、成人期のアレルギー診療の現状、医療提供体制が十分ではないということが指摘をされております。地域によってはアレルギー専門医が非常に少ない、専門医にかかれない患者が多くいます。成人アレルギーを専門に診る医師がいないため、今後どうすればいいのか全く分からない、実際、このような声が届いてまいります。

 そこで、資料をお配りしておりますけれども、一の2、二〇二二年アレルギー疾患に関する地域医療現状調査によりますと、内科、小児科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科を有する病院にもかかわらず、アレルギー疾患患者の診察状況というのは、成人のアレルギー疾患を原則診療していないという割合が小児より高く、成人に対する診療が充足していないことがうかがえます。

 また、拠点病院との連携を問うたときにも、都道府県拠点病院に患者を紹介しているかということに対しては、成人患者の半数以上が紹介をされていないわけであります。

 拠点病院は分かるけれども、どの医師が何の治療をしているのか分からないから紹介できない、専門家に送るケースが明確でないため意識していない、紹介するタイミングが分からないなどとの声が聞こえてまいります。

 そこで、成人期に対する診療連携が進むように、地域医療機関と、それから診療連携時の患者紹介、逆紹介の基準を明確にすべきなど、更にこの連携を密にしていく必要があるのではないかと思っております。また、どこに住んでいても、内科、小児科、皮膚科、耳鼻科、眼科、この五科を基本領域とした専門医を一人でも多く養成していくべきというふうに考えます。これについての対応を伺いたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 拠点病院と地域の医療機関の連携について御質問がありました。

 アレルギー疾患医療提供体制につきましては、国で二つの中心拠点病院、それから全都道府県で七十八の都道府県拠点病院を整備しておりまして、委員御指摘のとおり、これらの医療機関が地域の医療機関と連携していくことは重要であると認識をしております。

 具体的な連携としては、これらのアレルギー専門の医療機関が地域の医療機関と連携して、診断が困難な症例や、あるいは標準的治療では病状が安定しない重症及び難治性アレルギー疾患の患者の診断や、それから相談支援に当たるとともに、研修会の実施等を通じまして地域の医療機関における医療の質の向上を図ることで、患者が居住する地域にかかわらず、適切な医療や相談支援を受けられる体制を整備しているところでございます。

 また、御指摘のアレルギーの専門医につきましては、これは国の指針で、アレルギー疾患医療は、診療科が内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科、小児科等、多岐にわたるとされております。厚生労働省としても、アレルギー疾患対策を推進する上で、これらの診療科における人材育成や相互の連携が重要と認識していることから、関係学会とも連携しつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 せっかく都道府県拠点病院ができましたので、身近な医療機関でなかなか治らない、こういう患者を是非とも紹介をしていく、こういう体制をつくっていただきたいと思っております。

 最後の質問になろうかと思います。自治体への支援についてお伺いしてまいります。

 資料裏側、二の1なんですが、こうした意見交換の場で聞こえてきた声ということで、県のアレルギー疾患医療連絡協議会を開催していないという県が四県もありました。また、核となるアレルギー専門医がいないので協議会を開催できない。あるいは、ほとんどの県で一人の担当者がアレルギー疾患対策を担っていて他業務との兼務をしていた。全く異なる分野から異動し、ゼロからスタートという方もいたということでございます。

 改正された指針でも、自主的、主体的にその地域の特性に応じた施策を策定するということが強調されております。アレルギーを考える母の会が、昨年、十三県で調査をして、このような結果が出てまいりました。ですので、国としては、情報提供だけではなくて、各自治体、担当者同士の意見交換などの場を通じて、高い意識と豊富な知識を持てるよう、担当者の交流などの機会をつくって、施策を立案、推進できる、こうした仕組みを構築していただきたいと思っております。

 この自治体への支援について、最後、お伺いをしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、各自治体の担当者がアレルギー疾患について十分な知識を習得しまして様々な対策を推進していくことは極めて重要であると考えております。

 このため、厚生労働省においては、平成三十年度より、毎年、全国拠点病院の連絡会議を開催しまして、中心拠点病院や都道府県拠点病院での取組について情報共有を行っておりますが、この際に、各都道府県における行政としての取組を推進するためにも、令和三年度からは、都道府県のアレルギー疾患対策担当者にも連絡会議に出席をしていただいているところであります。

 また、令和四年度から、都道府県のアレルギー疾患対策の担当者が他の自治体の取組に関する情報等に容易にアクセスできるように、日本アレルギー学会と連携して運用しておりますウェブサイトであるアレルギーポータルの中で、各都道府県のアレルギー疾患に関するサイトをまとめたページを公表しております。

 さらに、同じく令和四年度から、自治体におけるアレルギー疾患対策の中心的な役割を担う人材を育成するために、国立保健医療科学院において保健師等を対象とする従事者研修を開始したところであります。

 これらの取組によりまして、引き続き、自治体のニーズを踏まえつつ支援を行ってまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 過日、私、マイナ保険証のことについて加藤厚労大臣に質問をいたしました。

 マイナ保険証ですね、これで資格確認が行われた約百五十七万件、これは今年の二月の件数だということで御答弁いただいたんですけれども、そのうち、マイナ保険証で薬剤情報を利用、閲覧したのが七十四万件、特定健診等の情報を利用した、閲覧したケースが三十二万件、診療情報を利用した件数が約三十一万件ということで、一言で言うと、資格確認した百五十七万件のうち、結構ほかの、薬剤だとか特定健診だとかの情報を利用した件数というのはまだ低い、二月の段階ではですね。そういうことで御答弁をいただきました。

 それで、今年の四月から、紙の保険証とマイナ保険証とで、いわゆる点数が差がついております。紙の保険証は六点、マイナ保険証は二点、この加算だということなんですけれども、先ほど冒頭申し上げたように、マイナ保険証で、マイナンバーカードで資格確認をした場合であっても、薬剤情報などの利用に患者さんが同意しなかった、こういうケースが二月の時点ではかなりあるということだったんですけれども、例えば、薬剤情報、特定健診情報、診療情報などの利用に同意しなかった場合は、これは点数は六点つくんでしょうか、二点つくんでしょうか。

加藤国務大臣 オンライン資格確認については、診療報酬上、システムを導入した医療機関であって、患者に対し、薬剤情報、特定健診情報、その他の必要な診療情報を取得、活用して診療を行う者について加算を設けているところであります。

 その上で、この診療報酬上の加算については、患者がマイナンバーカードを健康保険証として利用した場合、オンラインで患者情報を確認でき、問診等の業務負担が減ると考えることから、カードを利用しない場合の初診時六点と比べて点数を二点と低く定めているところであります。

 これが仕組みでありますので、今委員言われたように、患者が薬剤情報の利用に同意しなかった場合には、問診等の業務負担は変わらず発生をするわけでありますので、従来の健康保険証とした場合と同様の点数六点を算定することとなります。

 こうした点も含めて、リーフレット、ホームページ等で周知を通じて、分かりやすく、混乱がないように努力をしていきたいと考えております。

西村(智)委員 私も幾つか医療機関などのホームページなんかも見てみたんですけれども、そういうことを大々的に広報しておられる、お知らせしておられる医療機関は余りないと思うんですよね。多くの方は、やはり、マイナ保険証を持って、それで資格確認をしたら、その時点で自分は二点だというふうに思っている、つまり加算がされない。

 今年年明け前後に報道されたものを全部繰ってみましたけれども、その多くは紙の保険証のままだったら加算になるということだけで、マイナ保険証を持っていても、資格確認の後、薬剤情報の利用に同意しなかった場合には六点になるということは、その当時報道されていないんですよ。

 これはすごく大きな勘違いといいますか、勘違いというか誤解というか、ある意味のリスクだというふうに思うんですけれども、実際に、自分は二点、二点とか六点とかという点数まで承知している方がどのくらいいらっしゃるかは分からないですけれども、自分は紙の保険証じゃないから加算されないと思って行って、資格確認はした、だけれどもそういった情報については同意しなかった、だから結果として加算されているという方は、実は結構いらっしゃるんじゃないかというふうに思うんですよ。

 四月からこれは始まったわけですけれども、四月に入って、マイナンバーカードによる資格確認を行ったにもかかわらず薬剤情報などの利用について同意しなかった方というのは、一体どのくらいいらっしゃいますか、加藤大臣。

加藤国務大臣 先ほど二月の数字をおっしゃられたというふうに思います。実は、まだ四月のやつは統計は取れていませんので三月段階ということになりますが、まず三月段階については、マイナンバーカードによる資格確認が行われたのは約二百六十七万件、薬剤情報を利用した件数は百二十四万件、診療情報については三十一万件、特定健診等情報については三十二万件というのが三月の時点の利用状況であります。

 これは、患者本人が同意をした上で、患者のそうした情報を医療機関、薬局が実際に閲覧した件数でありますので、患者の同意件数自体は把握をしておりません。したがって、お尋ねの不同意の件数、これも把握することは難しいということは是非御理解いただきたいと思います。

西村(智)委員 これは、詐欺とまでは言いたくありませんけれども、何というか、ある種の、私、政府の説明不足であると同時に。やはり後で、大臣、四月に入ってから不同意だった件数というのは、ちゃんと出していただけませんか。でないと、いつまでたっても、この六点と二点の差、実際に被保険者の皆さんに伝わらずに、誤解がずっと残ったままになるというふうに思うんですけれども、出していただけませんでしょうか。

加藤国務大臣 済みません、ちょっとその前に、先ほど申し上げた数字は、委員がおっしゃった二月の数字を私申し上げてしまって、三月は、薬剤情報が百二十四万、診療情報が五十九万、特定健診等情報が約五十二万、資格確認が行われた件数は約二百六十七万件でございます。

 その上で、今、不同意の件数をとおっしゃったわけでありますけれども、オンライン資格確認等システム上、同意、不同意に関する集計はなかなか時間が要するところ、又はシステム上それが対応できるかという課題もあるというふうに認識をしております。

 大事なことは、今委員御指摘のあったように、そうしたことに点数が、ということは、要するに負担が違うということを医療の窓口等でしっかりとPRしていく、周知を図っていくということだと認識をしておりますので、引き続き、そうした周知に我々も、また、医療機関の協力も得ながら、しっかり周知させていただきたいというふうに思っております。

西村(智)委員 これに限らず、一つはやはり、マイナンバーカードを持っているから既に保険証が付与されているというふうに思っておられる方々もいらっしゃるというふうに思うんですね。とにかく、報道の出方からすると、マイナンバーカードを持っていれば既にそこに保険証がついていて、そして、保険証を持っていてそれで資格確認をすれば自分は加算されないというふうに、やはり思っておられる方々は多いんじゃないかというふうに思うんです。

 実際に、来年の十月にはいよいよ紙の保険証がなくなるということなんですけれども、これ以降、そういった政府の周知不足だとか説明不足だとか、私はちょっと、今の大臣の、周知をちゃんとしていきますというお言葉はあったんだけれども、何というんでしょう、きちんと説明をするという積極的な姿勢を、残念ながらそこから感じ取ることはできなかったので、実際に、それ以降、無保険になる方というのが出てくるんじゃないかと、これはすごく心配をしています。

 こうなっちゃったら、私、本当に厚生労働省としてどういう責任を取るのかというふうに心配をしているんですけれども、大臣、その点はどういうふうにお考えですか。

加藤国務大臣 委員の御指摘は、マイナンバーカードを持っているけれども、健康保険証として結びつけていないことによって使えないケースというお話であります。

 マイナンバーカードで医療機関を受診していただくためには、今申し上げたように、マイナンバーカードを健康保険証として利用登録していただく必要があり、これはマイナポータルアプリ等を用いるなど、様々な方法で事前登録することは可能でありますが、さらに、この利用登録は医療機関や薬局の受付窓口に設置をする顔認証つきカードリーダー、これによって行うことができるわけでありますので、マイナンバーカードでそうした事前に利用登録をしていなくても、その場で簡単に手続していただくということが可能となっておりますので、そうしたことをしっかりと周知することによって、来年秋、健康保険証が廃止された後、医療機関が受診できなくなる、こういった事態は防げるものと考えております。

西村(智)委員 この間、いろいろな医療機関などから、あるいは医療従事者の方から、やはり受付の窓口などで混乱がかなり出るんじゃないかということも言われていますし、また、カードリーダーが間に合わないとか、いろいろなその課題も言われております。

 私は、元々のマイナンバーカードの設計そのものにやはり見直すべき点は大きいんじゃないかというふうに思っているんですけれども、やはりそういった実際に利用される方々の声をよく聞きながらでないと、デジタルということで、何かすごく政府は旗を振るけれども、実際についていける方々がいないとか少ないとかということであれば、これはまた逆に逆効果にもなるというふうに思うんですよね。

 実際、今日はお呼びしていませんけれども、マイナンバーカードを使っての住民票、これが、全く違う人のものが発行されたりということで、本当に大問題だというふうに思うんですよね。こんなことを政府が一丸となって推進しているというのは一体どういうことかと本当に思います。ここは、是非もう一回考え直していただきたい。

 そして、先々月でしょうか、全国保険医団体連絡会がアンケートを行って、高齢者施設などの方々が今は紙の保険証などを実際には管理している、預かっているというようなことがあるということなんですけれども、これがマイナンバーカードになったらどうですかというふうにアンケートを行ったら、施設のうちの九四%が、管理できないというふうに答えていらっしゃる。理由としては、やはりカードや暗証番号の紛失時の責任が重いというふうに答えておられるということなんです。

 私もそうだろうなというふうに思います。以前この場でも申し上げたとおり、こういった施設でも預かることが出てくるだろうし、あるいは学校の子供たちが行事に参加するときに、今も紙のコピーを持っていくわけですけれども、そういったことをいろいろ考えますと、実は、資格確認書、これの発行数を厚生労働省としてどのくらい見込んでおられるのか、それはちょっと伺いたいなと思っているんです。実は相当な数になるんじゃないか、今私たちが想像しているよりも。これはどのくらいだというふうに今厚生労働省は考えているのか、加藤大臣、答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 まず、ちょっと前半のところが、マイナンバーカードの管理に関しては、これまでも、関係者の方からもお話を聞かせていただいて、マイナンバーカードの申請、代理交付等々の支援、あるいは暗証番号の取扱いについて、暗証番号の設定に困難を抱える申請者がおられる現実を踏まえ、暗証番号の取扱いについての検討、また施設入所者のマイナンバーカードの管理の在り方などについて、取扱いの留意点を整理した上で周知、安心して管理することができる環境づくりを推進する、これは本年二月の中間取りまとめの中で盛り込んでいるところでありますが。

 それを踏まえ、現在、マイナンバーカードを利用したよりよい医療を受けていただく、これは、介護施設に入所した方々においてもそうしたことができるよう、暗証番号の取扱い、第三者によるカードの取扱い、申請の取りまとめや代理での受取等に対する助成措置について、丁寧にお示しをさせていただいているところでございます。

 そうした努力を進めていくことの中で、資格確認書については、本人からの申請に基づいて交付されるところではございますので、今の段階でどれだけの発行かということはなかなか申し上げにくいところでありますけれども、ただ、資格確認書についても、申請手続の失念等が起こらないように様々な案内を行っていく、あるいは申請を勧奨する、さらには、なお資格確認書の申請が期待できない場合には、本人からの申請によらず資格確認書を交付することを可能とする、こういった措置を講ずることによって、必要な方に資格確認書が届けていけるように進めていきたいと考えておりますが、委員の御指摘の、では、今何枚かと言われても、今申し上げた努力をさせていただいている状況でもございますので、今の時点で何枚かということは申し上げにくいことは御理解いただきたいと思います。

西村(智)委員 そもそも国民皆保険制度の我が国で、なぜ申請しないと保険証に代わる資格確認書が取れないかというのは、本当にこれは筋論からしておかしいというふうに思うんですよ。そこはもう一回考え直してもらいたい、強く申し上げておきます。

 私、次に、ちょっと順番を変えまして、性的指向、性自認に関する国内法制に関連して、性自認という言葉について、今日は幾つか確認をさせていただきたいと思っております。

 ここにいらっしゃる皆様は既に御案内のとおり、今、超党派の議員連盟で二年前に合意した自民党の法案を、骨子案をベースとした超党派議連での与野党合意案、これをどうするかということが政治的な課題となっております。私たち立憲民主党は、性的指向、性自認に関する差別を解消するための法案というものを国会に提出しておりまして、是非その一日も早い成立を求めたいと思いますけれども、他方で、超党派での合意案については、私たちも責任を持ってまとめたものでございますので、今自民党さんの党内議論を二年お待ちしているところなんですが、ちょっとスタックをしているということであります。

 この問題について、私はかねがね思いますのは、いわゆる当事者と言われる方々、性的指向、性自認についていろいろな違和感があるという方々は、一つは、やはり御自身でそれがなかなか分かりにくい、声を上げにくい、公表しにくい、そういった実態があるということだと思います。最近は、自らがそうだということでカムアウトされる方々も増えていて、それはそれでよいことだというふうに思うんですけれども、言い出さないことによる苦しみとか、つらさ、困難、こういったものがあるということをよく知った上で、いろいろな法律を作ったり、また制度をつくったりしていかないといけないんじゃないかというふうに思っているんです。

 この問題について、いろいろな誤解とか心配があるということも私は承知しておりますけれども、しかし、今ちょっと聞こえてきますのは、性自認という言葉を法案の中で性同一性という言葉に置き換えようということが漏れ伝わってくるわけですけれども、性同一性という言葉になれば、これはまた、ある意味の誤解に基づいた施策が行われるおそれが非常に強いというふうに私は思っていて。やはりここは、性同一性という言葉ではなく、これは性同一性障害じゃないですけれども、性同一性という言葉ではなく、性自認という言葉を引き続き使っていくべきだというふうに思っているんです。

 今日は、その意味で何点か確認をさせていただきたいと思っています。例えば、今、性同一性障害特例法、戸籍変更の特例法がありまして、これをめぐっても、いろいろ裁判なども起こされているんですけれども、まず、犯罪被害者給付金、この事件について伺いたいと思います。

 名古屋高裁で、令和四年八月二十六日に、いわゆる犯罪被害者給付金不支給裁定取消請求控訴事件という判決が出ております。犯罪被害者の方々の同性のパートナー、そういった方々に対して不支給だということが取り消された、それについての事件なんですけれども、判決の結論はともかくとして、この中で、いわゆる性自認がどのように説明をされているか、法務省の方に、これは当該部分を読み上げていただきたいと思います。

松本政府参考人 それでは、読み上げさせていただきます。

 御指摘の判決におきましては、性自認につきまして、「性自認(自分の性別についてのアイデンティティ)は、生物学的基盤によるものであると解されており、自らの意思や努力によって変えることのできない属性であるというべきである。」と判示されているところです。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 続きまして、また法務省に伺うんですけれども、今度は最高裁判決、こちらの方は、先ほど申し上げた性同一性障害特例法に関しての最高裁判決なんですけれども、ここでジェンダーアイデンティティーという言葉の訳語は何という言葉になっているか。ジェンダーアイデンティティーという、イコールで訳語が出ていないとしても、この判決の中では性同一性という言葉が使われているのか、あるいは性自認という言葉が使われているのか、そしてまた、性同一性障害の苦痛というのは何についての誰の問題だというふうにされているのか、読み上げをお願いいたします。

松本政府参考人 それでは、お答えします。

 最高裁判所の平成三十一年一月二十三日第二小法廷の決定におきましては、ジェンダーアイデンティティーの訳語としてどの用語を用いているかなどが明示されていないため、その訳としてどの言葉が当てられたかは直ちに読み取ることは困難なところがございます。しかし、性自認という言葉は判示の中で使われており、また、性同一性という言葉は性同一性障害者の一部として使われている、それらの言葉がそれぞれの文脈で使われていると承知しております。

 なお、お尋ねの性同一性障害の苦痛につきましても、決定上は必ずしも判然といたしませんが、この決定には二名の裁判官の補足意見が付されておりまして、その意見では、性同一性障害者の性別の違和に関する苦痛に触れる部分があるほか、「性同一性障害者の性別に関する苦痛は、性自認の多様性を包容すべき社会の側の問題でもある。」との記載があると承知しております。

西村(智)委員 ありがとうございます。つまり、性同一性障害の性別に関する苦痛は、性自認の多様性を包容すべき社会の側の問題である、社会の側の問題であるというふうにここに明確に書かれているということでございます。ありがとうございます。

 続いて、厚生労働省の方に伺いたいと思うんですけれども、厚生労働省では各種の国家試験を所管をしております。ここで、令和五年度、今年度版になりますけれども、保健師助産師看護師国家試験出題基準におきましては、性同一性という言葉は使われているでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございました、保健師助産師看護師国家試験出題基準令和五年度版、これは厚生労働省医政局看護課にて作成したものでございますが、ここにおきましては、助産師の国家試験出題基準の科目の中で助産管理というものがございますが、その中で、大項目として、二、助産師及び助産師の業務に関わる法と責任がございまして、その中の中項目、C、女性の支援に関わる関係法規の中で小項目としてキーワードを幾つか挙げておりますが、その一つとして性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律というのを挙げておりまして、ここの部分で性同一性という言葉が使用されているところでございます。

西村(智)委員 ちょっと質問の仕方がまずかったかもしれませんけれども、では、性自認という言葉については、私が調べましたところ、確認をさせていただきましたところ、助産師国家試験基準、基礎助産学一の5のAの小項目において、性的指向、性自認の多様性という部分で使用されているということなんですけれども、これで間違いないでしょうか。

榎本政府参考人 性自認という言葉の使用につきましては、今委員御指摘のとおりでございます。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 続いて、厚生労働省にまたお聞きしたいんですけれども、社会福祉士の試験、これの過去問題で、これもまた、ジェンダーアイデンティティーの訳語については、性同一性という言葉が使われているか、それとも性自認という言葉が使われているか、どうでしょうか。

川又政府参考人 平成三十年度の社会福祉士国家試験の設問におきまして、性同一性障害や性的指向、性自認という表現が使われていると承知しています。

西村(智)委員 性同一性という言葉は使われていないということでございます。

 次に、また法務省の方に伺いたいと思うんですけれども、いわゆる経済産業省のトイレ事件と言われるものですけれども、これは職員の方がトイレの使用について争われた判決でございますが、現時点、地裁と高裁判決が出ておりますね。

 地裁判決においては、自らの性自認に従って扱われることというものをどのように位置づけて判示しているでしょうか。また、高裁の判決では、性自認に基づく生活はどのような利益だというふうに判示しているでしょうか。法務省に伺います。

松本政府参考人 お答えします。

 御指摘の事件につきまして、令和元年十二月十二日の東京地裁判決におきましては、御指摘の点につき、「性別は、社会生活や人間関係における個人の属性の一つとして取り扱われており、個人の人格的な生存と密接かつ不可分のものということができるのであって、個人がその真に自認する性別に即した社会生活を送ることができることは、重要な法的利益として、国家賠償法上も保護されるものというべきである。」と判示されております。

 次に、令和三年五月二十七日の東京高裁判決におきましては、御指摘の点につきまして、「性同一性障害者特例法の立法趣旨及びそもそも性別が個人の人格的生存と密接不可分なものであることに鑑みれば、一審原告が主張の基礎とする自らの性自認に基づいた性別で社会生活を送ることは、法律上保護された利益であるというべきである。」と判示されております。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 いずれも、重要な法的利益であるとか保護すべき利益であるということで判示されているということでありました。

 次に、文部科学省に伺いたいと思います。

 文部科学省の方では、いじめ防止等のための基本的な方針というのを、これは、二〇一七年でしたか、一八年でしたか、策定しておられますけれども、ここにおいては、ジェンダーアイデンティティーに関する部分で、恐らく、性的指向、性自認と記載されているということだったと思うんですけれども、それを確認させていただきたいと思います。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 性的指向、性自認の言葉につきましては、御指摘のいじめの防止等のための基本的な方針、平成二十九年に最終改定してございますが、この中で記載がございます。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 次に、また厚労省の方に伺います。

 自殺対策大綱、こちらにおいては、またジェンダーアイデンティティーに関する部分で、性的指向、性自認と記載されているというふうに思いますけれども、それを確認したいと思います。

川又政府参考人 自殺総合対策大綱の性的マイノリティーへの支援の充実という部分におきまして、性的指向、性自認と記載されております。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 次に、自治体の方です。

 自治体へ行っても、性的マイノリティーに関する条例が策定をされてきております。私が承知している限り、その多くでは差別を禁止しているものがほとんどだというふうに思うんですけれども、その中で、自治体、例えば、自分がそう思ったら男や女になれるという性別の自称、自ら称するというようなことに対する差別が禁止されているという事例を総務省としては把握しておられるでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの条例につきましては、一部の地方公共団体が地域の自主性、自立性に基づいて取り組まれている独自施策であると認識しております。

 総務省といたしまして、御質問のような事例については把握をしておりません。

西村(智)委員 そして、最後の方では、加藤厚労大臣に伺いたいと思います。

 労働施策総合推進法、こちらの方で、指針で、パワハラについて、随分、厚労省からも当時、頑張っていただいて、超党派議連でも取組をしまして、相手の性的指向、性自認に関する侮蔑的な言動を行うことというのが挙げられています。このときの言う性自認というのは、自分がそう思ったら男や女になれるという性別の自称、自ら称するというようなものを含んでいるんでしょうか。

加藤国務大臣 御指摘のパワハラ防止指針においては、パワハラに該当すると考えられる例として、性的指向、性自認に関する侮辱的な言動を行うこと、性的指向、性自認等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露する、いわゆるアウティングを挙げております。

 職場におけるハラスメント防止対策に関するパンフレットなどにおいて、性自認とは、自己の性別についての認識を指し、性的指向や性自認は、本人の意思による選択や変更、矯正や治療をするものではなく、本人の尊厳に関わる問題として尊重することが重要である旨掲記をしているところでございます。

 御指摘の性別の自称というのは、どこまで含まれるのかというのは必ずしも把握できないところでありますが、政府としては、あるいは厚労省としては、今申し上げたそれぞれの解釈といいますか、それにのっとって、パワハラ防止指針の徹底などを通じて、性的マイノリティーの方々が働きやすい職場環境整備を推進していきたいと考えております。

西村(智)委員 身体的な性と性自認が一致しているにもかかわらずそれと異なる性別を自称することは、少なくともパワハラ防止指針で言うところの性自認には該当しないということでよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げたように、性別の自称と一定おっしゃるところが必ずしも明らかでないので、それと該当するかどうかというのは明確に申し上げるのはなかなか難しいのではないかと、私は認識をしているところでございます。

西村(智)委員 私、事前に厚生労働省に聞いたときには、これはパワハラ防止指針で言うところの性自認には該当しないというふうに答弁をいただいていたんです。

 最後の質問になるかもしれません。また厚労大臣に伺いたいと思います。

 性的指向や性自認で差別や侮蔑をしないといったときに、性的マイノリティーのいわゆる当事者と言ったらいいのか、性的マイノリティーだけが対象であるかのように言われるんですけれども、パワハラ指針については、この点は厚労省としてどういうふうに通達していますか。

加藤国務大臣 パワハラ防止指針における性的指向、性自認に関する侮辱について、指針の詳細を示した局長通達においては、相手の性的指向、性自認のいかんは問わないものであるとしております。

 また、ハラスメント防止対策に関するパンフレットにおいても、性的指向や性自認は全ての人に関係する概念である旨明記をしているところでございますので、御指摘の性的指向、性自認に関する侮辱については、全ての人を対象としたものであります。

西村(智)委員 全ての人を対象にしたものということでございます。

 ここまで確認をさせていただいたとおり、性自認という用語で、司法や医療や行政はずっと対応してきております。ですから、性自認だと、自称、自ら名のるということのように聞こえる、だから用語を変えますということになってしまったら、施策が根本から変わっちゃう、司法判決までひっくり返す、こういうことになりかねないので、是非、ここは確認をさせていただき、今後の議論に資するようにしていきたいと思っております。

 終わります。

三ッ林委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、実は、この通常国会が始まりました冒頭から質問をさせていただきたいと思っておりました有機フッ素化合物の汚染問題で、加藤厚労大臣に質問をさせていただきます。

 今日は、お時間を頂戴して、ありがとうございます。

 まず、大臣のお手元に年表がございます。PFASをめぐる世界と日本の動きというのが一面でありまして、有機フッ素化合物、総称でPFASというふうに言われておりますが、既に戦前、一九四〇年くらいから、アメリカではデュポン、我が国ではダイキンという会社が有機フッ素化合物を生産をいたしておりまして、引き続いて、米海軍等々で使う泡消火剤も一九六〇年代初頭から開発をされております。ところが、ここには様々な汚染のみならず有害性が証明をされて、現状、禁止というか、製造が禁止された状態になっております。例えば、二〇〇三年、デュポンという会社の労働者がお子さんを産んで、そのお子さんに奇形があったということで、アメリカのEPA、環境保護庁が調査をするなどの事案もございました。

 これは、ずっと見ていただくと、かくも長い歴史ということになりますが、冒頭、大臣に一つお伺いしたいんですが、最近、二〇二一年、アメリカのEPAがPFASの戦略的ロードマップを発表となっておりますが、バイデン政権が出したものですが、これについて、概要というか、どういうものであるかは御存じでありましょうか。大臣にお願いします。

加藤国務大臣 そのものについては承知をしておりません。

阿部(知)委員 是非、大臣にあっては承知をしていただきたいと思って今日の質疑を進めさせていただきますが、戦略的ロードマップと言われるものは、この物質は環境中からも人体からも消えない、蓄積していくというもので、その管理や、あるいは汚染者の責任を追及したり、いろいろ調査して科学的意思決定をするためのサポートや、あるいは汚染地域への支援が必要な場合の対応などを定めておるものであります。ロードマップには、順次、そういうことが書かれております。

 さて、日本はどうかということで、日本でも代表的な、これだけではないのですけれども、問題になっている案件を指摘をさせていただきますが、まず、その前に、日本では、このPFAS、有機フッ素化合物の規制というか基準値を設けたりしているものについては、水道関連行政、水、水質の基準と、あるいは環境中の基準というものがございます。

 これは、各々、見直しで、当初は一番下の、例えば水質の基準だったら、要検討項目であったものが、令和二年の四月には、例えばPFOSが水質管理目標設定基準、真ん中に上がりまして、今、いろいろな審議会で更に規制が必要かどうかが検討をされておるところかと思います。一方、下は環境省の扱うもので、水質というと、飲料水、水になってまいりますが、環境中の水、地下水とかもろもろについて、水環境について調査して、それの、一応、要監視項目、真ん中の二番に上がっている。水質基準と併せてこの監視レベルを上げたということであります。

 引き続いて、具体事例を少し紹介させていただきますが、今一番大きな汚染の問題になっております、どれも大きいのですが、大阪府の摂津でございます。これは、見て、地図が書いてございますが、ダイキンの工場の製作所から味生水路というもの、ここに排水を流しまして、それが神崎川に行って淀川に行く。淀川水系が汚染されておると。

 近年、最近の、令和四年八月二十三日のその水系の実測値になると、二万一千、これは記録的に高いんですけれども。今はもう製造していないんですけれども、たまったものが流れていく、そして蓄積するというので、現在も高い値であります。

 水系を左側に書かせていただいて、それが、生物学的な濃縮もあって、最終的には人間が汚染物質をため込むことになっておりますので、血液検査が実施をされておりまして、順次、二〇〇八年、二〇二一年、二〇二二年と。これは政府がやったものではなくて、京大が、京都大学の小泉先生、原田先生などが中心になってやられたものですが。二〇〇八年には、工場周辺の大気が汚染されて、それを吸った方の、女性六十人の血液の値が高い。次いで、二〇二一年には、土壌汚染で、これは周辺で畑をやっていらっしゃる方の血液の濃度が高かった。そして最後が、今も続いておりますが、摂津市民を対象にして広く調べたところ、アメリカの健康の管理基準よりはかなり高いものが出たと。

 簡単に略してお話をさせていただきますが、大臣は、この例えば摂津の状況というのはこれまでお聞き及びでしょうか。

加藤国務大臣 新聞報道等で読ませていただいて、それがちょっと、摂津市だったかどうかというのは明確ではありませんが、地域においてこうした事情が発生している等々の報道は読ませていただいたことはございます。

阿部(知)委員 ダイキン、エアコンで今有名ですよね。この会社は、アメリカのデュポンと並ぶPFOA関係の、作っていた会社でありまして、シェアも大変高いものでありますが、その周辺にいろいろな汚染と思われるものがあるということで、次のページには、その周辺の土壌を測ってPFOAの濃度、そして血液の濃度等々が書いてございます。

 これはいずれも、例えば血液中の濃度は、非汚染地区と言われるところと比べますと、非汚染地区二・七、ここのPFOAが、高い人は百九十余りで、正直言って百倍近く高く出ておりますので、周辺住民も非常に不安が強い。

 最近、大阪の府知事に対して一万何千名かの署名をもって汚染の特定や対策をという要求もしておられますし、後ほど御紹介しますが、環境省にも要請が来ております。

 続いて、開けていただきますと、東京の多摩地域であります。

 この多摩地域も、実は、二〇〇三年頃、京大チームが多摩川の水系の河川及び水道水の汚染を報告して以来約二十年、最近でも東京多摩の水道水のPFASが高濃度だということが出ております。

 下にグラフがございまして、これは、まだアメリカの基準が七十ナノグラム・パー・リットルであった頃、日本は今五十ですけれども、その頃、二〇一一年から一八年に測定されましたが、いずれも基準よりも高い、府中武蔵台、東恋ケ窪、国立中、高い濃度が示されて、今、アメリカは四に落としておりますから、いずれもこれは浄水所において高いということで、この間ずっと市民団体が、やはり京大の先生方と協力して血中濃度を測ったものが、右の下の方に値として述べてございます。

 この東京都の事案は、大臣は御承知でしょうか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたように、こうした事案があるということは承知をしておりますが、どこの地域だったかということはちょっと認識をしておりません。

阿部(知)委員 そうですね、私も、これを質問しようと思ってずっときましたので、逐一、報道の都度注意して見ておりまして、ここにまとめさせていただきましたけれども、日常的にいろいろな報道のある中で特にそこを意識するということはなかったかもしれませんが、非常に私は深刻な実態だと思います。

 三番目が沖縄です。

 沖縄県の資料は、次の資料六につけてございますが、ここでも、二〇〇八年頃から水系の汚染が把握されておりまして、二〇一三年からは県の企業局がモニタリングを開始しておりますが、昨今、沖縄がクローズアップされたのは、基地から泡消火剤が流出をして非常に高くなったということで住民の不安も増強したということで、沖縄でも血液検査が行われまして、いわゆる有機フッ素化合物、簡単に言えば、PFOS、PFOA、それからPFHxS、これはみんな炭素の数でそれぞれ、また酸との結合で違うのですが、こういう値で、下に全国平均値を書いてございますが、いずれも高い値を示しております。なお、全国平均値は環境省が取っておりますので、それと比べたものであります。

 大臣、もう一つ、どうでしょう、沖縄については少しお耳に届いていますか。

加藤国務大臣 今お話があった泡消火剤の漏出、この話と結びついた報道があったこと、このことは記憶しております。

阿部(知)委員 泡消火剤は省庁を挙げた取組にもなっておりまして、例えば、消防庁などではその泡消火剤を処分する。あるいは、米軍等々、自衛隊もそうですが、使っておりますので、それを順次処分している。でも、まだ全体ではないようです。今日は時間がないので取り上げませんが。

 いずれにしろ、いろいろなところで問題になっている。今日、ここに三か所しか挙げませんでしたが、挙げればもう何か所というように、この有機フッ素関係の汚染というものが広がっております。

 そうなりますと、果たして、この間、二〇二一年に環境省が、いわゆる水質基準のための、水質汚濁防止法にのっとって二〇二一年度環境省調査ということをなさっておりますが、この調査は監視項目に挙げて以降初めてのものですが、日本全国で千百三十三か所の地点を調べておりますが、その中で、実は三十一都道府県の自治体が測りまして、基準値を上回ったところが八十一地点あるんですけれども、そのうち汚染源が、例えば泡消火剤であるとか、それは比較的分かりやすい、あるいはダイキンであるとか、そういうところ以外では、大分県の二か所を除いて、十二都道府県の七十九地点では汚染源は特定できない、どこからやってきて高い濃度になっているんだろうということが分からない。

 すなわち、三十一都道府県の中で基準を上回った八十一地点のうち七十九はどこから来たか分からないということで、当該自治体も、今後どういう調査を進めていっていいか大変困惑をしているということで、ここで環境省にお伺いいたしますが、この二〇二一年の調査にのっとって汚染源が不明というところが大変多かった、今後どのように汚染源を解明していかれるでしょう。というのは、汚染は除去しないと汚染源としてあり続けますし、どのようになさるのでしょう。お願いします。

小林副大臣 お答えいたします。

 PFOS等については、暴露防止を確実に実施をするために、必要に応じて汚染源の特定のための調査を実施することとしておりますが、既に製造、使用が禁止をされていることから、汚染源の特定が困難な場合も多いと承知をいたしております。

 現在開催をしているPFASに対する総合戦略検討専門家会議においても、汚染源の特定の必要性やその方法について御議論いただいているところでありまして、専門家会議の議論を踏まえて対応を検討してまいります。

 以上です。

阿部(知)委員 私が冒頭御紹介したバイデン大統領のロードマップから見ると、はるかに、私は、疎いというか遅いというか危機感がないというか。そんなことをやっていて、私は、本当にこれは第二の水俣になるんじゃないかと懸念を強くしております。

 PFOSだけじゃなくてPFOAもありますし、全体でPFASといっていますが、今、世界は、どんどん一つ一つ基準を下げたり、管理をきちっとしたり、あるいは先ほどのバイデンのロードマップでは、汚染の原因者の責任追及までいこうかとなっておる矢先でございます。

 環境省は、せっかく何十年と測ってこられたのですから、そのトレンドも分かります。先ほどの摂津市のダイキンの周辺などは、二万という世界的にも記録的な値なんです。もちろん操業はやめているけれども、汚染が続いている。取り込むのを阻止するというのは、例えば水だったら、活性炭を入れて飲まないようにする。でも、今、環境省は土壌も測っていないし、食品も測られていません。摂津市の例は、二例目の血中を測ったものは、これは土壌が高かった、そこから取れる野菜ではないかと言われている。いわゆるモニタリングが不完全なんですよ。水だって十分じゃないけれども、さらに大気、土壌、そしてそこになる食物、それら全部が人間に来るんですから、その環境を守る環境省として、もう少し見識を持っていただきたいです。今日は指摘にとどめさせていただきます。

 さて、そうした環境省の態度もあろうかと思いますが、各自治体からは、先ほど申し上げましたように、今後どうしていったらいいんだろうというので、いろいろな要望が上がっております。

 要望書、資料七であります。

 例えば摂津市。今大変高い値が持続的に記録されておりますが、ここでは四項目の要望項目がございます。発がん性や低体重出生児が生まれることなどについて調査研究を進めてほしい。土壌に関する分析や目標値の調査も進めてほしい。食品のPFOAを含む化合物についての目標値の調査研究を進めてほしい。さらに、国から摂津市など地方自治体へ担当職員を派遣してほしいと。

 私は、汚染を抱えた自治体として自分たちのやれることと、さらに国に支援を仰がなきゃいけないこと、両方あるから、その中で出てきた切実な要望なんだと思うんです。これについて、環境省はどんなふうに応えられましたか。

針田政府参考人 お答えいたします。

 摂津市議会議長さんからは、調査研究や情報収集を進めること、沖縄県知事や宜野湾市長からは、早急に水質基準値等を設けることなど、広く要望を受けておるとともに、様々なレベルでの意見交換等を行ってきております。

 こうした声も踏まえて、PFOS等については、本年一月に二つの専門家会議を立ち上げ、最新の科学的知見を踏まえ、水環境の暫定目標値や国民への情報発信の在り方などについて御議論いただいているところであり、環境省においても議論を進めているところでございます。

 環境省としては、引き続き、専門家会議の検討結果を基に、国民の安全、安心のための取組を進めていきたいというふうに考えております。

阿部(知)委員 次に沖縄を取り上げようと思いましたが、まとめてお答えいただきましたので、今のお答えにのっとって次の質問をさせていただきますが。

 よく摂津市の要望も読んでください。水質基準、特に今、世界的に見直しがありますから、それの見直しは環境省もやられると思うんですね。でも、土壌、ほかの食品、汚染は複合的なんです、有吉佐和子さんではありませんが。そういうもの全体を調べてほしい。だって、市民を守るに際して、行政担当者として必要だからであります。そして、沖縄もそうです。土壌調査等に、費用を国が負担してほしいと。実際にやるのは自治体でも、お金がかかるわけです。

 要望書をしっかり読んでいただきたいです。一つ一つ、私は悲鳴のように聞こえます。自治体でやろうと思っても、例えば、お金がない、スキルがない、どうやって体系を立てていくか。そういうときにこそ、環境省がアドバイスしたり、サポートしたりすべきなんだと思います。

 次の資料を見ていただきますと、これは沖縄ですが、沖縄の普天間の基地の周辺の第二小学校で、土壌中のPFOSとPFOA、両方高かったんですね。これもお母さんたちが心配して。だって、子供が遊ぶところですから。普天間第二小学校は、上からは航空機の部品が落ちてくるし、下の土はPFOS、PFOA汚染では、とても、安心して子供は育てられない。だから、沖縄からは、土壌の調査が必要だという声が出ているんだと思うんですね。その小学校を取り囲む様々な浄水場、排水管、いろいろな位置も示しておりますが、そのどこかからやはり来ているけれども、なかなか自治体では追跡ができないから、そういうものについてもサポートをしてほしい。先ほど汚染源を絶つとおっしゃいましたが、どこが汚染源か、どこから来ているのか分からなきゃ、できないんですよ。

 それから、下には、これは摂津市の、二〇〇八年、大気汚染の頃の。摂津市では、ダイキンの工場から出た大気が汚染して、それが土壌に行き、あるいは肺から吸収されて血中濃度が高くなったというときの風の向きと血中濃度の調査の結果であります。

 何度も申しますが、環境は、まず水が一番、体系的に日本では調べられています。水質、それから環境水、加えて、土壌、大気、そして、本当にそれらがどのように連関して最終、人間に来るかということであります。

 続いて、この問題で、最近、食品安全委員会の方でワーキンググループが立ち上がって、いわゆるリスク評価について進めておられると思いますが、まず一つお伺いしたいのは、食品安全委員会では、例えば、ペットボトルの水は食品だけれども飲料水は食品ではないとかいうことは言わないで、あらゆるもの、野菜、水、口から入るあらゆるものの安全リスク評価をしていただけるんでしょうか。どうでしょう。

鋤柄政府参考人 お答えいたします。

 食品安全委員会では、食品安全基本法に基づき、化学物質としてのPFASを、水を含む飲食物を介して経口で摂取した場合の人の健康への影響について、専門家により科学的な評価を進めております。

阿部(知)委員 最近、管理省庁が替わりますので、水行政については環境省に行きますし、そうなると、管理の管轄じゃないからと。まあ、食品安全委員会は独立委員会ですから、全ての人間に対する危機を、きっちり食品として口から入れたものを調査していただきたい。

 さて、現在のこのワーキンググループの進捗状況等、急いでいただきたいですけれども、今後どのようなプロセスを取るのでしょう。教えてください。

鋤柄政府参考人 お答えいたします。

 現在、PFASワーキンググループでは、これまでに収集した数多くの文献情報などを踏まえまして、PFASの摂取による健康への影響について専門家による科学的な考察を進めているところでございます。

 検討の結果につきましては評価書として取りまとめ、リスク管理を行う厚生労働省、環境省などの関係省庁に対し、科学的な助言として、必要な資料等と併せて提供したいというように考えているところでございます。

阿部(知)委員 食品安全委員会のリスク評価は非常に重要だと思います。以前、鉛についてのリスク評価が、大きくその後、例えば水道管の鉛等々の与える影響についてよりよい規制になったということもありますので、是非、今、国民が抱く不安、あらゆるところから口から入ってやってくるということになっておりますので、早期のワーキンググループの結論を出されて、リスク管理側である、例えば環境省かもしれない、厚労省かもしれない、まあ国土交通省も図るんだからそうかもしれません、この前の法律で変わっていきますから。そういうところと、いろいろな助言をしていただいて、リスクコミュニケーションをして政策に発展させていただきたい。加藤大臣にも是非よろしくお願いいたします。

 さて、では、厚労省というものが、今発生している有機フッ素化合物問題をいわゆる健康危機管理として認識しているかどうか、いたかどうかについて少しお伺いをしたいと思うのですが。

 お手元の資料九ページ目は、いわゆる薬害エイズの後、健康危機管理をするために厚生労働省が、厚生労働省健康危機管理基本指針というものを作って対応しておられます。

 昭和二十年代はもちろん感染症、それから今の公害、エイズ、薬害、平成以降はいろいろ、地震もあるしとありますが、それらを全て健康危機だと認識して管理をしていくという仕組みで、ここに、平成九年の一月九日に策定されたものを見ますと、健康危機管理には、医薬品、食中毒、感染症、飲料水その他何らかの原因により生じる国民の生命、健康の安全を脅かす事態に対して行われる健康被害の発生予防、拡大防止、治療等に関する業務だとございます。

 私は、これはとても重要で、しかし、この間、様々な厚生労働省の再編の中で、こうした機能が低下していくのではないかという懸念を持っております。一つには、次の法案で審議される日本版CDCと言われるものであります。

 大臣、お伺いいたしますが、日本版CDCは、一体こうした国民の健康に対しての危機についてどこまでを、その広がりの中、視野の中に置くのでしょうか。お願いします。

加藤国務大臣 今国会に関連法案を提出しております国立健康危機管理研究機構、これは、基礎から臨床までの一体的な研究基盤等により獲得した質の高い感染症に関する科学的知見を、内閣感染症危機管理統括庁や厚生労働省に迅速に提供することを目的としておるところでございます。

 条文の中では、感染症その他のと書いてございますけれども、基本的には、その他の疾患といっても、感染症の疑いのある原因不明の疾患、こうしたことを想定をしておりまして、今御指摘のPFASを含めた化学物質に関する調査研究は、今回の日本版CDC、いわゆる国立健康危機管理研究機構の業務の範囲に含まれていないところでございますし、現状、感染研においてもそうした対応はしていないところでございます。

阿部(知)委員 それが非常に残念なことで、私が御紹介したように、既に厚労省の中に健康危機管理基本指針というものを作られて、感染症、そしてそれの緊急時のものだけではなくて、健康をむしばむものについてしっかりと危機管理をしていこう、発生予防ということがとても大事なんですね。なってからは大変だから、発生予防と拡大防止、治療等に関する業務というふうに元々書いておられるんです、平成九年頃。

 どんな会議をしてきましたかと聞いても、ほとんど、会議は時たまということで、余りワーク、実質的なことにはなっておらないと思いますが、私は視野の持ち方はいいと思うんです。ですから、今回、大臣お答えでありますが、日本版CDCといっても感染症版CDCくらいで、センター・フォー・ディジーズ、実は、プリベンション、Pとつくんですね、アメリカの場合も。プリベントするんです。予防するんです。そこが非常に視野が狭くなっている。

 私は、今の感染症コントロールについても、下水のきちんとモニターをしなさいと言いましたが、アメリカでは千二百か所、下水、ヨーロッパでは千五百か所。五類になったときに早くに察知できる、そういうものをもって、やはり、モニターであり、サーベイであり、プリベンションになるんです。そういう意味からも大変不十分だと思っています。

 引き続いて、このPFAS関連は、全く日本ではその視野の中にも上がってきておりませんが、大臣、御存じでしょうか。アメリカのCDCでは、一九九九年から、全国で血中のPFOS、PFOAなどのモニターをCDCがやっております。いかがでしょう。

加藤国務大臣 今回出させていただいた国立健康危機管理研究機構に対して、またその内容については、また具体的な御審議をいただくことになるんだろうと思っております。

 ただ、日本版CDCと呼んでおりますように、必ずしもアメリカのCDCと同じ機能を有しているわけではなく、今回の国立健康危機管理研究機構は、あくまでも感染症に主体を置いた、またしかし、その中においてはもちろん予防等は当然含まれるわけでありますけれども、そうした対応に資するための体制の構築という一環として、今回、法律を提出させていただいているところでございます。

阿部(知)委員 アメリカのCDCも、マラリアに対しての最初、スタートでしたから、そういうことはあり得るんですけれども、私は、視野とか考え方の持ち方がきっちりしていないと思うんです、日本版CDCの。取りあえず感染研と国際医療センターを合体させてセンターにするといいますが、それがほかの広がりを持っていけるかどうかなんです。

 それで、例えば、今、今日はPFASを取り上げましたが、一番日本に欠けているのは、バイオモニタリングといって、生体をモニタリングしていく、血液等々。これは一貫してこのPFOS、PFOAでもやられていないし、先ほど御紹介したCDCでも、もう二十数年やってきているわけです。そういう蓄積が次の政策のステップを生んでいくCDCPなんです、本当は、プリベンションなんです。是非、そういう視点で、元々持っていらっしゃるんだから、危機管理のセクションをこういうふうにつくろうという考えはお持ちなんですから、目先だけじゃなくて、視野を広く取って発展していけるような方向を考えていただきたいと私自身は強く思っています。

 さて、大臣、そうはいっても、日本でこのPFOS、PFOA関係でバイオモニタリングと言えるものが実は存在するんですけれども、御存じでしょうか。厚労省ではありません。大臣、どうでしょう。

加藤国務大臣 まさに、厚労省の所管ではやっていないというふうに認識をしています。

阿部(知)委員 私は本当は厚労省の所管でやってほしいんですよね、治療にも生かさなきゃいけないし。例えば、PFASの濃度を測って、二から二十というところがアラーム値なんですけれども、お母さん、妊娠中の場合は、その後、妊娠高血圧になるので、そこで注意して介入するとか、そこまでいかないと本当のプリベンションにはならないんですね。

 今、実は、日本では環境省でエコチル検査というのをやっていて、母体の臍帯と赤ちゃんの血液中のPFOS、PFOAを測定はしているんです。でも、正直言って、実際に生かされていない。環境省も頑張ってやっていると思うんですけれども、やはり、そこには、厚労省がしっかりとタッグを組んで、健康被害を防止する、あるいは、健康にとってハザードになることはきちんと介入していくという視点が私は必要だと思います。水道行政の移管についても、非常に懸念をしています。公衆衛生の視点が後退する。公衆衛生とはそういうことですから。

 最後に、大臣に、このエコチル検査と厚労省のこれからの、例えばコミュニケーションとか政策の展開とか、お考えがあったらお願いします。

加藤国務大臣 前回もたしか委員には答弁させていただいたように、現時点で、バイオモニタリングそのものを実施するということは考えておりませんけれども、PFASの毒性評価などに関する国内外の科学的知見を収集し、また、我が国の水道水におけるPFASの検出状況等の把握に努め、さらに、今後とも、専門家の御意見も伺いながら、こうした問題に対して必要な検討は行っていきたいと考えております。

阿部(知)委員 国内外を集められれば、いかに血液検査をやっていないことが、我が国の立ち遅れかが分かると思います。

 以上で終わります。

三ッ林委員長 次に、山井和則君。

山井委員 三十五分間、質問をさせていただきます。

 昨年の秋以降、統一教会、エホバの証人などの宗教的虐待と疑われるそういう事案について、私、この国会で取り上げてまいりました。今日も、エホバの証人の輸血拒否の問題、そういう問題などを中心に議論をしたいんですけれども。

 冒頭に申し上げますが、私も仏教の高校を卒業しまして、その仏教の高校で社会の雑巾になって社会をきれいにしなさいという仏教教育を受けて、政治を志しまして、宗教というものは人間にとってとても大切な重要なものだというふうに思っております。ですから、別に宗教批判をこの場でやる気は全くありませんし、また、それを信じておられる信者の方々お一人お一人を非難する気も全くありません。信者の方お一人お一人は非常に誠実な方ばかりであると思います。

 しかし、今からお話しするように、残念ながらその教義によって失われる命があるとすれば、やはりそれは、残念ながら、信教の自由に触れない範囲で国会で議論をし、また政府にも動いていただく必要があるのではないかと思います。

 言うまでもなく、昨年の秋以降、統一教会やエホバの証人の二世や被害者と言われる方々が、何とかして助けてほしい、自分自身の人生はもうめちゃくちゃにされてしまったけれども、せめて今の子供たちが宗教的虐待と言われるものから救われるためにということで声を上げておられますが、残念ながら、そういう被害の声を上げている方々に対しても激しい誹謗中傷が行われて、本当に、そういう方々は命懸け、自分を犠牲にしてでも、宗教二世と言われる今の子供たちが幸せになるようにと、そういうふうに声を上げておられるわけであります。

 そういう中で、私は加藤大臣に冒頭感謝を申し上げたいのは、昨年の十二月、加藤大臣が中心になって、当時の羽野児童虐待防止対策室長などを中心に、医療ネグレクト、輸血をさせないのは医療ネグレクト、虐待である、あるいは、むち打ちは虐待である、そういうふうなQアンドAを、ガイドラインを発表してくださったことは私は画期的なことだと思います。やはり、宗教的なことというのはなかなかデリケートで、私たちも触れにくい、触れたくないんですけれども、やはり子供の命を救うということは何事にも私は優先すると思います。

 そこで、先日、この連休中、二十九日にテレビ朝日で、「テレメンタリー二〇二三」という番組がございました。「輸血拒否 誰がために エホバの子 信仰か虐待か」ということであります。非常につらい番組でございましたけれども、ここに書いてありますように、配付資料一ページ。

 子供のために輸血を拒否しなければなりません。取材班が独自に入手した内部文書に記された言葉。キリスト教系宗教団体エホバの証人は、聖書の記述を厳格に守ることを教義とする。親の輸血拒否により、望む手術を受けられなかった少年、また、十七歳の妹を輸血拒否で失った男性、そういう方々のインタビューが報道されておりました。

 本当に私も見てつらかったんですけれども、例えばこの男性の方は、当時十七歳であった妹さんが、やはりエホバの証人の教え、教義と合わなかったとか様々な悩みを抱えておられて、非常に病んでおられたと。それで、残念ながら、団地の四階から飛び降りて自殺を図られたけれども、お亡くなりにはすぐにはならなくて、瀕死の重傷であった、ところが、親は、瀕死の重傷の娘さんが病院に運ばれたら、輸血はしないでくださいと言って輸血をさせないようにして、数時間後にその娘さんは亡くなってしまわれた、こういうふうなことも報道をされておられました。

 本当ににわかには信じ難いような話なんですけれども、残念ながら、今、これは現実に日本社会で起こっていることであります。

 さらに、もう一つ、配付資料で毎日新聞の特集記事がございまして、配付資料の七ページを見ていただけますでしょうか。今回、毎日新聞取材班が五十五の小児科の病院に調査をいたしました。その中で、ここにも書いてございますが、赤線を引かせてもらいました。ある病院では、重篤な疾患だったので、患者のお子さんは逝去された、亡くなられた。子供は基本的に親の影響が強く、本人の意思が分からず、小児科医はじくじたる思いだったということで、輸血拒否などのことによってお亡くなりになったお子さんがおられるということを答えておられる病院もあります。

 実際、このアンケート調査によりますと、五十五の病院のうち、親の同意が得られなくても命の危険がある場合は輸血や治療をしますかという問いに対しては、三十一病院がすると言ったわけですけれども、残り二十四、約四割の病院は、どちらとも言えないか未回答だったんですね。

 私も、この間、統一教会の被害者の方々約三十人、そしてエホバの証人の二世あるいは三世の方々十数人と直接お目にかかってお話を聞いておりましたけれども、やはりエホバの証人の二世、三世の方々がおっしゃっているのが、山井さん、自分たちあるいは自分たちよりも小さな子供たちは、今日ダンプにひかれて大量出血して死にそうになっても、輸血を受けられず、死ぬ可能性があるんですと。今の調査でも分かりますように、四割の病院は、親が反対したら輸血しないかもしれないと答えているわけですからね。

 だから、これはもちろん虐待は虐待に違いないんですけれども、エホバの証人の二世、三世の方々の悲鳴は、生きさせてくださいということなんですよ。救える医療、輸血をすれば命は救われるかもしれないのに、生きさせてくださいと。それは瀕死の重傷のお子さんが言葉をそう発せられないし、親は残念ながら教義を信じて輸血をするなと言うわけですね。だから、お医者さんも困っておられるわけです。

 こういう厳しい状況の中で、まずこども家庭庁にお伺いしたいんですけれども、輸血拒否、医療拒否によって亡くなっている子供が実際いるということに対するこども家庭庁の見解と、こういうふうな必要な医療が受けられないことは、医療ネグレクト、児童虐待ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 医師が必要と判断した輸血などの医療行為を受けさせないということ、これにつきましては、ネグレクトに該当いたします。いわゆる医療ネグレクトでございます。すなわち、児童虐待に該当するものでございます。そうした児童虐待によりまして子供の命が失われるようなこと、あるいはその安全に危険が及ぶようなこと、こういったことがないような社会をつくっていかなければならない、さように考えてございます。

 政府としては、こうした事態を防ぐ観点から、先ほど委員からも御指摘ございましたけれども、昨年末にQアンドAをお示しをして、医療ネグレクトを含めたネグレクトに該当する類型をいろいろお示しする中で、この輸血の拒否などについては医療ネグレクトに該当する旨明記をするといったことであるとか、あるいは、三月末には、輸血拒否事案への児童相談所の対応に関する通知の周知などを行ったところでございます。

山井委員 こども家庭庁も頑張ってくださることは理解はするものの、残念ながら、この毎日新聞のアンケートでありますように、小児科の約四割の病院は、今のようなこども家庭庁あるいは加藤大臣の出してくださった宗教的虐待QアンドAにもかかわらず、四割の病院は輸血できないかもしれない。言葉は悪いけれども、見殺しに結果的になってしまうかもしれない。この現実を変えてほしい。子供たちがどんな家庭に生まれても、大けが、重傷のときに生きさせてほしいというのは、当然の心の叫びだと思います。

 そこで次に、輸血拒否、事故の愛児を失うという、一九八五年の大ちゃん事件と言われることについて議論をさせていただきたいと思います。これも配付資料に入れさせていただいております。今日の配付資料の八ページです。

 これは痛ましい事故で、一九八五年六月、小学校五年生の大ちゃんがダンプカーにひかれてしまった。それで、大量出血して死にかかっているという状態だったわけですね。しかし、輸血が受けられず亡くなってしまった。これは今から三十八年前の話であります。

 そして、このときについても非常に私は問題だと思いますのは、ここの配付資料にもございますように、お医者さんが、このままでは亡くなるということで、大ちゃんに対してお話をしたわけですよね。両親が輸血を拒んだわけですから、最後の手段として、医師がまだ意識のあった大ちゃんに、大ちゃん、生きたいだろう、輸血してもらえるようお父さんに言いなさいと呼びかけたわけですね。これに応えた大ちゃんは、死にたくない、生きたいと誠さんに訴えたが、誠さん、お父さんは、聖書にある言葉を信じているので輸血には応じていられないと拒み通した。このため、輸血せずに処置、大君は大量の出血のため死んだ。これが三十八年前の話であるわけですね。

 しかし、残念ながら、三十八年前こういうことがあったにもかかわらず、まだ今の状態は続いているわけであります。

 これについて先日も加藤厚労大臣に質問をしましたら、今日の配付資料十四ページにありますように、赤線を引かせていただきましたが、児童相談所に相談して親権を停止して輸血をできるようにするというやり方もありますけれども、やはり二世、三世、エホバの方々からすると、緊急事態は間に合わないじゃないかということで、そこで、加藤大臣にお伺いしたいんです。

 前回のときは、医療上の必要性をよく御判断して、最適な御判断をしていただければという答弁をいただいたんですけれども、これも前向きな答弁だと思いますが、もう一歩踏み込んで、結局、改めて確認したいんですけれども、緊急事態で輸血が必要で児童相談所に相談する時間的余裕がない場合は、親が反対しても輸血や医療行為を医師がしてもよいのか、このことについて、加藤大臣、答弁をお願いします。

加藤国務大臣 個別具体的な事案、また法令上の違反の有無、これは一概に答えるのはなかなか難しいところではありますけれども、仮に、緊急時に救命のために親の同意を得ずに子供への輸血を行った場合に、これは民事上、刑事上どう整理されるかというのは、ちょっとまた所管の方に確認をしていただかなきゃなりませんが、私どもの関連する医療法とか薬機法等の衛生法規、これに違反するものではまずないと認識をしているところであります。

 その上で、御指摘の、宗教の信仰などを背景とする医療ネグレクトが疑われる事案については、先日の委員とのやり取りの後、三月三十一日付で、厚労省の当時の子ども家庭局から、児相を設置する自治体に通知を発出して、そうした場合に迅速にかつ適切に対応するべく周知徹底を図ったところであります。

 具体的には、特に輸血については、大量出血に伴って生命に危険が生じる場合に行われることが想定されることは明らかであり、こうした処置が児童に対して適時実施されないことは重大な児童虐待事案に該当し得るものであることを踏まえ、児童の生命身体の安全確保のために緊急の必要があると認める場合などには、一刻を争う状況であることを十分に認識をし、児童の生命身体の安全確保を最優先に、児童相談所長は可及的速やかに一時保護をした上で医療行為への同意等の対応をすること、また、ガイドラインなども踏まえ、医療機関との連携体制を強化するなど、医療ネグレクト事案への対応について確認をし、事案発生時において医療機関との円滑かつ迅速な連絡調整により、児童の生命身体の安全を確保する対応を徹底することという、こうした中身の通知を発出し、依頼を行ったところでございます。

 今後とも、こうした対応が迅速に行っていけるよう、こども家庭庁とも連携しながら、厚労省としてもしっかり対応していきたいと考えております。

山井委員 やはり、現場の医師の方々、病院の方々は、加藤大臣そして厚労省の姿勢を見守っていると思うんですね。やってもやらなくてもどっちでもいいんだったら、訴訟されたくないから輸血しないでおこうというふうになりかねないかもしれませんが、是非前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 それに関連して、これについては二〇〇八年、今から十五年前に、十三ページにありますが、宗教的輸血拒否に関するガイドラインというのが出ているんですね。これを出されたのは、宗教的輸血拒否に関する合同委員会でございます、ここに並んでおります。厚生労働省ではありません。

 しかし、これから今もう十五年がたちました。このガイドラインは緊急時に対して十分に書かれていないということと、もう一つは、児童といえども、十五歳以上だったら、本人が輸血を拒否したら輸血しなくていいじゃないか、そういう趣旨のことになっているんです。

 しかし、これでも問題だと思いますのは、毎日新聞の記事が、配付資料に入れさせていただきますが、実際、ある女性の方、遥さんという方ですね、配付資料が十一ページにありますが、この方も、重篤な病気で輸血を伴う手術が必要であると言われたけれども、十五歳のときに、どうしますかと言われたら、結局、親がエホバの証人で、駄目だと言っているんだから、当時十五歳だった遥さんは、十一ページ、ここにありますように、輸血してくれと言えないわけですよ、親の意に反して。

 もっと言えば、このエホバの証人というのは、残念ながら、こういう、教義を破ったら、忌避といって、親から縁切りになって、一生、口を利いてもらえないということになりかねない。そうしたら、未成年の場合は下手したら生きていけなくなりますよね、はっきり言いまして。忌避という縁切りという排斥という、そういう教義すらあるわけだから、十五歳の当時の遥さんが輸血を受けたいと言った瞬間に、一歩間違うと親から縁切りにされちゃうかもしれない。

 だから、そういう意味では、やはりこういう状況もあるから、十五歳以上十八歳未満であっても、十五歳以下と同様に、やはりこれは、基本的には、本人が輸血をすると言っても、それは本当の自己決定ではないということを、エホバの証人の二世、三世の方々はおっしゃっています。選択の自由はないんだと。

 だから、そういう意味では、こういうことについても、医療従事者じゃない私が言うのも僭越かもしれませんが、これは別に山井の意見じゃなくて、多くのエホバの被害者の方々が、今の子供たちを生きさせてほしいと願っていられるんです。

 そういう意味で、このガイドラインからもう十五年もたちましたので、加藤厚労大臣にお願いしたいのは、今言った緊急事態でも輸血がしてもらえるように、また、十五歳以上であっても十五歳未満と同様の扱いになってもらえるように、ちょっと本当、僭越ではありますけれども、このガイドラインの見直し。子供が生きたいと願っている、残念ながら、このガイドラインから十五年たっても、多くの病院が輸血をできない可能性があって、亡くなっている子供がいるという現実の中で、十五年たっているわけですから、一度、合同委員会や関係学会の方々と厚生労働省、こども家庭庁が相談をしていただいて、見直しの議論をしていただけないでしょうか。

 かつ、これも誠に僭越なんですけれども、これは命が懸かっている問題で、あしたにも、来週にも大きな事故でまた大ちゃんのような子が亡くなる危険性があるし、私は、多くの医療従事者の方からも、山井さん、何とかしてくれ、医療現場も困っているんだというふうな悲鳴も上がっておりますので、そのような相談をしていただいた上で、一か月後をめどに相談の結果を御報告いただきたいが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、先ほど申し上げた通知は三月の三十一日に出したところでございますので、まずこうしたことの徹底を図らせていただきたいと思います。

 それから、医療ネグレクト、特に子供に関する医療ネグレクト全体、これはちょっと残念ながら、主管が今こども家庭庁に移っておりますので、よくこども家庭庁とも連携を取りながら、どういう対応があるのか議論をさせていただきたいと思いますけれども。ちょっと今の段階で、私が主管であればともかく、そうではございませんので、いつまでにどうのこうのということは申し上げられませんが、委員御指摘の問題意識、それは共有させていただきたいと思います。

山井委員 そこは是非連携して、やはりこのガイドラインの見直しというものは検討していただきたいと思います、失われている命が残念ながらあるわけですから。

 このことに関連して、当時は加藤厚労大臣がやってくださったわけですけれども、つまり、こども家庭庁さんが、三月末に当時の厚労省児童虐待防止対策室の担当者が、エホバの証人の担当者に面会をされました。その中で、今日の配付資料の十六ページにありますように、要は、厚労省は、エホバの証人の担当者に面会して、信者の子として生まれた未成年の宗教二世に輸血などの治療をさせないことはネグレクトに当たると説明した上で、信者に対して指針などを周知するように求めた。かつ、児童虐待の疑いがあると指摘されて、教団がむち打ちや輸血拒否、忌避、縁切りするということを容認していないと信者に周知してほしいということを要望されました。三月末、加藤厚労大臣の責任でやっていただいたことです。

 それから一か月以上たっておりますけれども、これに対して教団側は、法人として保護者による児童虐待を容認しておらず、輸血も家族の意見が尊重されると。でも、テレビ朝日の報道では、実際には輸血はしたら駄目よということを今でも教団は信者に言っているということが報道されておりました。そういう意味で、二世らが指摘する信者による子供へのむち打ちなども否定、指針の周知については検討させてほしいとエホバの証人は回答した、検討させてほしいと。これは非常に重要です。エホバの証人が、もう輸血はしていいですよということを言えば、この問題の多くは解決するわけです。

 ついては、これから一か月以上たっておりますけれども、これについて、こども家庭庁、回答はありましたでしょうか。あるいは、もしないのであれば、永遠に回答なしでも済むのか。催促して回答してもらうべきだと思いますが、いかがでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたように、三月三十一日、当時は子ども家庭局でございましたけれども、の方で、エホバの証人の関係者と面会をいたしました。その際、委員からも御指摘ございましたように、QアンドAの中身の周知でございますとか、あるいは、エホバの証人としても児童虐待というのは容認していないことなどなど、四点について検討していただくということの回答をいただいたところでございます。

 この検討要請に対する回答でございますけれども、正直申し上げて、現時点ではまだ受け取ってはおりません。ですが、今後とも引き続き、その回答をいただくための必要なやり取りというのは続けているという状態でございます。

山井委員 私も宗教には口を出したくありませんけれども、その宗教の教義によって子供の命が失われるという現実がある以上は、子供の命を守るというのは行政、国会、私たちの責務ですから、是非きっちり指導して、回答も早急に得ていただきたいと思います。

 それで、このことに関して、また毎日新聞の報道に戻りますが、当時十五歳であった遥さん、十分な治療を輸血拒否によって受けられなかったせいで、手術ができなくて、結局、体に障害が残って、大変な御苦労、人生被害を受けておられます。なぜあのとき手術を受けさせてもらえなかったのか、今も悔やんでおられるわけであります。

 そういう中で、この配付資料の十二ページにありますように、遥さんがどうおっしゃっておられるかというと、私は教団から離れましたが、本気で輸血拒否の教義を信じている子もいます、そこで加藤大臣にお願いなんですが、国のルールで、何歳までは親の同意がなくても医療機関の判断で輸血すると決めてほしい、そのような法律を整備してほしいと。命の危険があるとき、親権停止するといっても、緊急時には間に合いませんということで、未成年の場合は、親がどう言おうが、医療、輸血を受けられるような法整備をしてほしいということをおっしゃっている。これは、遥さんだけじゃなくて、私は、多くのエホバの証人の二世、三世の方々からこの声を聞いております。

 ハードルは高いと思いますが、やはりこういうことによって亡くなっている命があると分かって、加藤大臣もこういう医療ネグレクトは児童虐待だという判断をしてくださった以上は、検討会を立ち上げて、簡単なことだと私は思いませんよ、でも、子供の命をどうしたら救えるのか、こういう法整備について検討会を立ち上げて検討していただけませんでしょうか。

加藤国務大臣 児童に対する医療行為は、親権に関する民法の規定を前提として、親権者の同意を得て実施されることになっていますが、児童虐待が認められる場合には、児童福祉法の規定に基づき親権を制限することができる。それは先ほど、児童相談所長を活用するという方法であります。

 こうした児童虐待への対応については、前の御質問の件と一緒で恐縮ですが、こども家庭庁に引き継がれておりますので、そうしたことも含めて、私ども厚労省としても、緊密に連携をしながら、必要に応じ協力をしていきたいと考えております。

山井委員 これは本当にハードルの高い問題だとは思いますが、被害者、あるいは二世、三世の方々の願いは極めて当たり前で、シンプルなんですね。死にかかったときに、一般の方と同じ、一般の子供と同じ医療を受けさせてくれという、人間として最低限の、当たり前の願いであって、それが認められていない現状を何とかすることは、私たち立法府、そして行政の責務であると思っておりますので、是非検討していただきたいと思います。

 続きまして、法務省にお伺いをしたいと思います。

 私も、昨年の秋以降、数十人の統一教会あるいはエホバの証人の二世、三世、あるいは被害者と言われる方々の話を直接会ってお聞きをしてまいりましたが、その中で、非常に深刻なのは、遥さん、十五歳、エホバの証人の方でありますけれども、この方、今はもう成人になっておられるわけなんですけれども。遥さんは、この配付資料にもありますように、読み上げますと、結局、手術もしてもらえない、疾患も放置されるだけじゃなくて、エホバの証人の教義と合わなかったということで、高校を卒業後、幼い頃から少しずつためた預金約六万円と数日分の着替えをバッグに詰めて家出をしました、もう戻りませんと書いた手紙を残しました、家にいることも、教団にも耐えられなかったのですと。

 残念ながら、これはエホバの証人のみならず、統一教会の被害者の方々からも、家出を考えているという未成年の方などからの相談も私はお聞きしたことがあります。

 ついては、その方々の切なる願いは何かというと、ここに書いてございますね、遥さんの言葉で、私のように家を出たいと思う二世の子供が頼れる相談機関やシェルターを整備してほしいと思いますと。これは多くの声です。ある意味で悲痛な叫びです。もう親を変えることができない以上は、身の危険を感じながらも家出するしかない、これは真っ当な社会とは言えないですよね。行政がしっかり守らないために、意を決してお子さんたちが家出をせざるを得ない、これは何とかせねばなりません。

 そこで、法務省さんに要望したいと思いますが、結局、法テラスという相談所を今やってくださっておりますが、ここは、どっちかというと、霊感商法とか献金への対応が中心なんですね。ついては、二世、三世の方々によると、やはり法テラスは宗教的虐待の相談にきっちり乗ってもらえるかどうか不安があると。もし詳しくない人が単純に親に話をして、親の元に戻せば、一歩間違うとまた、残念ながら、虐待を受けて大変な悲痛な目に遭ってしまうリスクを抱えているから家出したいと思っているわけですからね。

 そんなことをされたら怖いから、やはり、この方々からの、遥さんからの要望も、宗教的虐待専用の相談窓口、具体的には、法テラスとは違う新しい電話番号、新しいメールアドレス、新しいLINE相談。面会とまでは言いません、電話、LINE、メールで、少なくとも宗教的虐待に関する相談窓口を新たに設置してほしいというのがこの方々の願いですが、法務省、いかがでしょうか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 宗教が関わる虐待を含めまして、旧統一教会問題やこれと同種の問題でお困りの方々の被害救済を図ることは極めて重要であると認識をしております。

 昨年十一月に設置をいたしました法テラスの霊感商法等対応ダイヤルでは、未成年者や若年者を含むお困りの方々からこうした問題に関する相談を受け付けまして、配置した弁護士や心理専門職等の専門的知見を活用しつつ、丁寧に聴取をした上で、適切な相談機関等を案内するなど、問題の総合的解決を図るために必要な対策を行っているところでございます。

 委員御指摘のように、未成年者等の中には、様々な問題を抱えまして、誰にも相談できずにお困りの方が相当おられるのではないかと考えております。法テラスでは、こうした方々にも広く霊感商法等対応ダイヤルを御利用いただくため、引き続き積極的に周知広報を行っていくものと承知をしております。

 法務省といたしましては、関係機関、団体等との緊密な連携の下、未成年者等に対する周知広報を徹底するとともに、包括的な支援体制の一層の強化を図るなどして、宗教が関わる虐待を含めまして、様々な問題を抱えてお困りの方々の被害実態を十分把握し、その実効的救済に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

山井委員 現時点では、専用の相談窓口については前向きな答弁はございませんでしたけれども、更に周知徹底を図る、宗教的虐待についても相談に乗っているんだ、乗るんだということでしたけれども、では、確認をしたいと思います。

 残念ながら、そうとは取られていないわけですから、改めて、法テラスは、未成年も含めて宗教的虐待の相談に乗ります、そして、今回のような家出を考えておられるような、こういう悩んでいる方々の宗教的虐待の相談にも乗りますということを周知していただけませんか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 これまでも、法テラスの方では、法務省と連携をいたしまして、インターネット広告ですとかユーチューブ広告、それからテレビ、ラジオ、新聞等の広告、ホームページやSNS等、様々な媒体を用いて未成年者の方や若年者に向けた周知広報を行ってきたところでありまして、これからも積極的にこうした広報を行ってまいりたいというふうに考えております。

山井委員 今まででは不十分だから被害者の方々が専用と言っているわけですから、今も宗教的虐待に対応するとおっしゃったわけですから、そのことが伝わっていないわけだから、新たに、宗教的虐待、未成年も若者も含めて、家出の相談も含めて、そういうのは対応しますということを周知していただけますか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 これまでも、霊感商法等対応ダイヤルにおきましては宗教二世、三世に関する相談も受け付けておりますところではございますが、委員御指摘のところもありましたので、どんな広報ができるかまた検討してまいりたいと考えております。

山井委員 是非前向きに検討してください。齋藤大臣も、この問題は大変熱心に取り組んでくださっております。

 次に、統一教会の問題について文化庁に質問をさせていただきます。

 先日、合同結婚式も盛大に行われました。また、そんな中で献金集めも続いていると報道されております。さらに、一部報道では、解散請求を文化庁が断念したのではないかというような報道もありました。

 そこで、ちょっと二問に分けてお聞きしますが、まず一問目、解散請求を、文化庁さんは統一教会について断念されたんでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 報道については承知しておりますが、旧統一教会について、解散命令の請求を行わないことを決定したという事実はございません。宗教法人の解散命令の要件は宗教法人法に厳格に定められておりまして、この要件に該当するかどうかの判断に当たりましては、法人の活動に係る十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げが不可欠と考えております。

 そのため、これまで五回にわたる報告徴収、質問権の行使や、被害者の方々、全国弁連の情報提供を受けて収集した資料や情報を分析しているところでございます。

 引き続き、丁寧な対応を着実に進めまして、その上で、法律にのっとり必要な措置を講じてまいります。

山井委員 もちろん、解散請求というのは厳格な要件が当然あります。今その証拠、資料、書類集めを積み重ねておられるという文化庁さんの御努力には本当に私も敬意を表したいと思います。

 そういうふうな要件を満たす証拠書類が集まったら、速やかに解散請求をするということでよろしいでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 報告徴収、質問権の行使等による、先ほど申し上げましたような情報収集の結果としまして、解散命令を請求するに足る事実関係を把握した場合には、速やかに裁判所に対して解散命令を請求いたします。

山井委員 時間が来ましたので終わらせていただきますが、本当に、大ちゃん事件から三十八年たっても、輸血拒否で亡くなっておられるお子さんがいる。かつ、それを医療現場も救いたいけれども救えない、下手なことをやると訴訟されて負けるリスクすらある。やはり、そういう意味では、医療現場で人の命を救いたいと頑張っておられる現場の方々を応援するのも、与野党を超えて、国会あるいは厚生労働省そしてこども家庭庁の責務ではないかと思います。これからもこの要望はさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 まず、少子化対策の財源について週末のフジテレビの番組で加藤大臣が発言をされたことについてお伺いをしたいというふうに思います。

 自民党の茂木幹事長が、増税や国債発行を想定しないとした上で、社会保険料の引上げではなくて既存の保険料の活用で財源確保を検討するという趣旨の発言をしたことについて、既存の社会保険料をそのまま子育てに流用することはないということかというふうに問われて、加藤大臣は、余地はない、今目いっぱいと答えられました。

 改めて、この発言の真意を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 先日のテレビ番組で申し上げた趣旨は、今の社会保険制度、年金は年金、医療は医療、介護は介護といったそれぞれの制度の中で保険料を徴収し、そして必要なそれぞれのサービスを提供しているわけであります。その保険料の水準は、まさに給付と負担が均衡する形で決められているという中で、現行の保険料を他に流用する余地はないし、またそういうものではないということは申し上げたところでありますが、あわせて、具体的な財源については、総理も、必要な対策、政策の強化の内容、予算、財源に関する議論、これはこども未来戦略会議などにおいて深めるとしておるところでありますので、具体的な財源の在り方についても、歳出改革に加え、税や社会保険料も含めて様々なやり方がある中でどうやっていくのか、これから議論が深められていくところであるという趣旨を申し上げたところでございます。

大西(健)委員 今のところで重要なのは、保険料を流用することはないということだというふうに思うんですね。

 続けて、その番組の中で、新たな基金を設けるという案について問われて、加藤大臣は、特別会計的にして子供の関係の支出をより分かるようにしていくというのは一つの考えだというふうに答えておられます。

 それに関連して、現在でも子ども・子育て拠出金というものがあります。これは、社会保険料と一緒に日本年金機構が徴収はしていますけれども、いわゆる通常の社会保険料であれば、使用者と労働者と折半でありますけれども、これは雇用主側が全額を負担するために、給料から差し引かれるのではなくて、事業主が社会保険料と一緒に納付をするということになります。つまり、この拠出金の実態というのは、リスクに備えて納める社会保険料ではなくて、社会保険料と同時に徴収する税金、実質的には税金と言っていいと思いますけれども、大臣、そういう理解でよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 子ども・子育て拠出金が、これはちょっと私どもの管轄ではないので、これの性格がどうかというのを具体的にお答えする立場にはありませんが、仕事と子育ての両立を図ることは、事業主にとって労働力確保に資する面もあることから、ゼロ―二歳児相当分の保育の運営費等に要する費用として事業主に負担を求めるものと認識をしております。

 また、これは元々少子化対策担当大臣の下でやっていた事業でありますが、当時の、平成三十年の四月の大臣の答弁においては、今申し上げたように、特定の事業目的のために連帯して費用を負担し合う仕組みと位置づけられており、税、保険、また手数料のいずれとも性格が異なるものというふうにされておりますと答弁されていることは承知をしております。

大西(健)委員 済みません、私、今の答弁は不勉強で存じ上げなかったんですけれども、今の答弁、過去の答弁によると、税でも保険料でもないという話なんですが、先ほど大臣は、保険料は受益と負担の関係で均衡するように設定されているので流用する余地はないと言われているわけです。私はそれは正論だと思います。

 だとすれば、社会保険料徴収と同時に取る新たな費用、こういうものをもし取って、それを基金に入れるということをやるとしたら、これは保険料ではないわけです。ただ、税金でもないと言われると、じゃ、何なんだという話になりますけれども、私はこれは税金に類するものだと思いますから、これはある種の増税だと思うんですね。ですから、少子化対策のために増税するんだったら、それを国民にちゃんと言わないといけないと思うんです。

 大臣は番組の中で、基金をつくって、分離をして、それが子供のために使われるというふうに見える形にするのは、それは一つの考えじゃないかと言っていますけれども、そういう形で基金に入れるものを別途取るということであれば、それはそれとしてちゃんと、増税するんだということを国民にちゃんと言わないと、私は国民をだますことになるんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

加藤国務大臣 これからの議論で、たまたま基金という話がマスコミにも取り上げられ、先日の報道でも質問がありましたので。

 この基金というのは、いわば予算を運営している、あのときはたしか特別会計という言い方をしたように思いますが、のような形で、一つの仕組み、お金の流れが見える仕組み。今委員がおっしゃったのは、そこにお金をどこから持ってくるかというお話だと思いますので、これは多分、次元の違う議論なんだと思いますが。

 ただ、いずれにしろ、どういう仕組みをするのか、そして、どういう形で財源を確保し、そして具体的にどういう中身をするかなどについて、まさに今議論を深めているというのが今の実態でございます。

大西(健)委員 大臣自身の御発言でありましたから、まさにここで聞かせていただいたわけですけれども、茂木幹事長は増税や国債発行は想定していないと言っておられるわけですから、仮に特別会計のような別の基金を設けるにしても、そこに、じゃ、何からお金を入れるのかというのを、これはまさに一番重要なところでありますから、しっかりこれは国民にちゃんと説明をして、そして納得をしてもらうということが必要だというふうに思います。

 次に、いわゆる天下りの問題について質問したいんですけれども、厚労省の本省課長相当以上の再就職状況に関する資料というのが提出されております。これを見せていただいて、幾つか気になったことがあるのでお聞きをしたいというふうに思うんですが、皆さんの元に配付資料をお配りしました。

 これは、その資料から、私の方で再就職先が労働安全衛生に関すると思われるものを抜き出してみました。私が見て、これは労働安全衛生関係じゃないかなと思ったのを抜いてみたんですけれども、こうやって見てみると、労災とか安全衛生とか、こういう名前を冠した団体とか、あるいは港湾とか建設のような労働災害が起きやすい、こういう職場に関係ある団体が多いのがよく分かります。

 例えばボイラー、クレーンなどは、公益社団のボイラ・クレーン安全協会に厚労省OBが再就職していて、さらに、クレーン協会、ボイラ協会、それぞれにやはり厚労省OBが再就職をしています。

 これを見ると、旧労働省系の職員を中心にして、労働安全衛生に関する行政権限をバックに再就職先を開拓しているんじゃないかというふうに思えてしまうんですけれども、加藤大臣、これを御覧いただいて、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 国家公務員の再就職については、委員御承知のように、現職の職員が他の職員や元職員に関する情報提供を行うことに対する規制、在職中の利害関係企業等への求職に対する規制、元職員による元職場への働きかけに対する規制、こういったものは既に整備をされ、そして、再就職等監視委員会の下で厳格な監視が行われていると承知をしております。

 個々の職員の詳細について承知をしているわけではありませんが、いずれも、今申し上げた国家公務員法の規制の下で適切に行われているものと認識をしております。

大西(健)委員 今、ところが、他省庁のことでありますけれども、国交省で起きていることというのはそうではないわけですよね。所管に関するようなところにOBがたくさんいて、そして人事情報が流されていたりとか、あるいは人事に圧力がかかっていることが起きているので、あえてこういうことを聞かせていただいています。

 もう一つ、次のページを見ていただくと、今私が示したのは、ほとんどが何とか協会とか、何とかセンターという公益法人でしたけれども、厚労省の再就職先を見ていて目立つのは損害保険会社なんですね。これは次のページにつけましたけれども、これも私の方で再就職先が損害保険会社になっている方々を抜き出してみたんですけれども。これを見ると、元次官を筆頭に元厚労審や元局長、私も、この委員会で御答弁をしていただいたことがあるような、見覚えのあるお名前が顧問としてずらりと並んでいます。

 大手の損保がこれだけ多くの元厚労省幹部を顧問として受け入れているということは、単なる偶然なんでしょうか。何かあるから、これだけの人々を受け入れているんじゃないかと私は思ってしまうんですけれども、大臣、これを御覧になってどう思われますか。

    〔委員長退席、高木(宏)委員長代理着席〕

加藤国務大臣 まず、再就職に関しては、先ほど申し上げたように、国家公務員法にのっとり、また再就職等監視委員会の下で厳格な監視の下で適切に行われているものと認識をしております。

 厚労省の関係でいいますと、今お挙げになられた損害保険事業の監督官庁は私どもではございません、ということがあるんだと思います。あとは、ちょっと、個々の事情でそれぞれ会社がこうした方々を雇用されているというふうに認識をしておりますが。

 引き続き、所属職員に対しては、再就職等規制の周知徹底を図るとともに、公務に対して国民の信頼を揺るがすことがないように取り組んでいきたいと考えております。

大西(健)委員 まさに、監督官庁は金融庁なんですけれども、でも、じゃ、何でこれだけたくさんの厚労省幹部の方が損保にばかりこうやって再就職をしているのかなというふうに、私はちょっと不思議に思うんですよ。一般の国民の皆さんもそう思うんじゃないかというふうに思うんですけれども。

 今度は視点を変えて、再就職先ではなくて、OBの側から見てみたいと思うんです。

 次のページですけれども、これは二〇一七年に初代の医務技監に就任をされて二〇二〇年に退官をされている鈴木康裕氏。今、国際医療福祉大学の学長を務められていますけれども。国際医療福祉大学の学長というのは一番下のところに出ていますね。それ以外に、上にばあっと並んでいるように、ここで確認されるだけで十一か所ですかね。様々な製薬や医療機器など多くの企業のアドバイザーを務められています。

 これも、一般の年金生活者の皆さんから見れば、いいな、羨ましいなと思うんじゃないかと思うんです。これに関しても、厚労省に聞けば、先ほど来大臣が繰り返し答弁されているように、法律を守って、個人の経験や能力、専門性を生かして再就職しているだけだと言うのかもしれませんけれども、定年退職後に低賃金の非正規で働いている多くの一般の国民から見ると、高級官僚は天下り天国でいいよな、こういうふうに映るんじゃないかと思いますけれども、大臣、これを見ていかがお思いですか。

加藤国務大臣 内閣人事局の公表している再就職情報に基づきますと、今お挙げになった方については、十二か所再就職先等が公表されていますが、これは国家公務員の再就職情報の届出制度における基準に基づいて適正に届出された、まさにその結果だと認識をしております。

 個々、どういう経緯で今の方がそれぞれに再就職をされたかは、私は承知をしておりませんけれども、いずれにしても、こうした公表制度あるいは先ほど申し上げた国家公務員法にのっとって、しっかり適正に行っていかれているものというふうに承知をしておりますが、引き続き、国民の皆さんから信用を失うことがないように取り組んでいきたいと考えております。

大西(健)委員 民間企業も、受け入れるということは、何か、言い方はあれですが、おいしいことがあるから受け入れるんじゃないでしょうかね。だから、今、国交省で問題になっていることも、初めは、国交省は全く関与していませんという話だったけれども、その問題になった会社でいろいろな第三者委員会をつくって調べたら、実際に人事情報が流されていた、国家公務員法違反の疑いがあるとか、様々な人事的な圧力がかかっていた、メールが出てきた、こういったことが起きているわけです。

 ですから、これだけ、これが偶然だとか、本人の能力とか経験に基づいてやられているんだというふうに、一般の国民の皆さんがそれでそうだよねと納得する状態になっているのかどうなのかというのは、私は、やはりこれはしっかり襟を正して見なきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。

 天下りに関することについて、もう一問。

 参考に、次に新聞の記事をつけたんですけれども、これは我が党の長妻政調会長が予算委員会で取り上げたものでありますけれども、国民年金基金の三十八人の支部長のうち、三十四人が年金機構、一人は厚労省出身になっていたという問題です。

 これについて、三十年以上の勤務経験や特に年金業務への知見といった公募の要件が、事実上、日本年金機構の経験者に限定されるようになっており、公募を隠れみのにした事実上の天下りだと長妻さんが指摘をしたのに対して、加藤大臣は、募集要項の三十年という勤務期間要件や年金に関する業務経験が必須であるかのように見受けられる記載内容を見直していくことや、民間の求人サイトへの登録を行うとともに、例えば民間の金融機関みたいな、そういう資質を持っていると思われる人がいそうなところへの働きかけを行っていくというふうな、そういう答弁をされていますが、その後、改善状況というか、対応状況がどうなっているか、説明してください。

加藤国務大臣 ちょっとその前に、先ほど委員から御指摘のあった、国民の目からどう映るかというのは我々もよく認識をして行動しなければならないと考えておりますが、ただ、国家公務員法を含めて、一つの制度にのっとって厳格にそれが運用されている下においては、個々の方の経験、能力等において、その方が辞められた後、活躍していただくということは、これは十分あっていいことだというふうに思うところでございます。

 その上で、全国国民年金基金の話であります。

 厚労省の所管する法人の役職員の公募において、非常に長い勤務経験年数を要件とするのではなく、職務に求められる能力やスキルを明確に示した上で募集を行うことが的確な採用につながり、また、多様な周知方法により幅広い募集を行うことが有効と考え、そして、前回、長妻委員にもそうした答弁もさせていただきました。

 その後、全国国民年金基金において、本年四月に、福岡・佐賀、これは一つの支部長、長崎の支部長、計二件の支部長の公募を実施をしたところでありますが、その際には、募集要項について、勤務経験年数の要件の削除や、年金に関する業務経験を問わないよう記載を変更する見直しに加え、より多くの応募があるよう、民間求人サイトへの登録などを実施をし、そして、その結果として複数名の応募が行われたというふうに承知をしております。

大西(健)委員 しっかり我々もフォローをさせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

 次に、もう一つ天下りの関係で、独立行政法人の国立病院機構、この国立病院機構に再就職している厚労省のOBと現役出向している厚労省関係者の状況を教えてください。これは参考人から。

    〔高木(宏)委員長代理退席、委員長着席〕

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、厚生労働省を退職した時点において課室長相当以上でありました者で、現在、国立病院機構に在職中の者は二名となっております。

 また、厚生労働省で課室長相当以上であった者で、現在、国立病院機構に在職中の、いわゆる現役出向している者は三名となっているところでございます。

大西(健)委員 そうですね。例えば、現役出向されている中には、副理事長の古川さん、それから理事の前田さん、企画役の西川さんという方がいらっしゃいますけれども。

 国立病院機構傘下の全国の病院では、今、看護師の大量退職が起きています。その原因は、十分な残業代が払われないなどのブラック労働がその要因だと、内部告発が報道機関に寄せられています。さらに、その背景には国立病院機構本部による徹底したコスト削減があって、民間病院がもうからないためにやりたがらない診療を行っているにもかかわらず、機構は二〇一二年度から、診療事業においては国からの運営費交付金は一円ももらっていないということです。

 そして、それは、本部の副理事長や企画役などのポストを厚労省関係者が占めて、厚労省OBの役員が厚労省に遠慮して物を言えないからだとの指摘がありますけれども、この看護師の大量退職の背景に天下りが影響しているのではないかという指摘に対して、大臣、どう受け止めますか。

加藤国務大臣 そうした報道があることは承知をしておりますが、今般の看護師の労働関係法令違反の疑いのある事案に関しては、現在、国立病院機構において事実関係の精査が行われているところであります。

 厚労省としては、その事実関係の結果を踏まえ、必要に応じ、適切に対処、対応していきたいというふうに考えております。

 なお、独立行政法人制度においては、法人の自主性、自律性を尊重した業務運営が基本でありますが、人事交流についても、これを踏まえた上で、独法と国との間の官民を超えた有為な人材の登用等の観点、また、公務部門で培ってきた知識経験の民間等他の分野での活用等の観点から行われているものであり、双方の組織の活性化と人材育成に資するものであるというふうに考えておりますが、引き続き、適正に運用していきたいと考えております。

大西(健)委員 先ほどの指摘でも言いましたけれども、天下りの方がいらっしゃることで、なかなか厚労省に物を言えないんじゃないか。

 その関係でいうと、公的病院では、運営費交付金をもらえないどころか、施設や設備の老朽化が進んでいるにもかかわらず、コスト抑制方針によって施設の修繕もままならず、設備の更新さえも認められないのに、国は、公的病院が経営努力と職員の頑張りで黒字化して積み立てた資金約四百二十億円を防衛費に充てるために、国庫に返納させようとしています。

 施設整備や人員確保に充てるための積立金を国庫に返納するように迫られるということになれば、地域医療は崩壊してしまいます。国立病院機構の幹部は、本来、意地でもこれに抵抗すべきじゃないかと思いますけれども、厚労省からの天下りの理事は国の言いなりです。

 公的病院の積立金は、防衛費の財源ではなくて、医療提供体制の強化と職員の処遇改善という本来の目的に使うべきじゃないでしょうか。それをしないから、これだけ大量の看護師の退職が起きているんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 委員のお話は、公的病院の積立金を防衛費の財源とするということに関連してのことだと思いますが、今般の積立金の国庫納付に関しては、防衛力を維持強化していくに当たって、国民の負担をできるだけ抑えるべくあらゆる工夫を行うという政府の方針の下で行われているところであります。

 国立病院機構と地域医療機能推進機構の積立金については、個別法に基づき、期間満了時に、次期期間中に必要な業務の財源に充てるために繰越しが認められた額を除き国庫に納付されているということを踏まえ、中期計画期間満了を待つことなく、特例的に、前倒しをして国庫納付に御協力をいただいたものであります。

 両法人の施設設備整備については、繰り越された積立金の多寡にかかわらず、対象となる期間における診療報酬等の自己収入や財政融資資金の借入れ等を財源として、法人が担うべき医療を長期的に安定して実施できるよう、中期計画に位置づけられた整備計画に基づき計画的に取り組まれているところであります。

 次期整備計画は、本年度中に両法人において計画されるものでありますので具体的な内容は承知をしておりませんが、令和三年度の両法人の財務状況は、今般の積立金の返納があったとしても、令和元年度と比較して改善しており、自己収入や借入金を活用できることから、必要な投資が直ちに困難とは考えておらず、また、処遇改善については、昨年十月に診療報酬改定による看護職員の処遇改善を実施するとともに、臨時特別一時金の支給、あるいは基本給の引上げなどが行われており、継続的に処遇改善に取り組んでいるものと承知をしております。

 厚労省としては、今回の措置にかかわらず、引き続き、地域医療における役割を適切かつ確実に果たす運営が行われるよう、経営状況等も注視をして対応していきたいと考えております。

大西(健)委員 今回のこういう防衛財源の仕組みができれば、それこそ、雨漏りしているから直してほしいのに、あるいは機器が古くなっているから買い換えてほしいのに、それは駄目だ駄目だと言われて、積み立てたお金が結局防衛財源に使われるということになってしまうんじゃないかというふうに危惧しますので、そういうことがないように是非お願いしたいと思います。

 次に、雇用調整助成金について質問をします。

 次のページを御覧いただきたいんですけれども、これは毎日新聞の四月二十日の一面ですけれども、「雇調金でタワマン」という衝撃的な見出しが躍りました。コロナ特例を悪用して助成額と実際の休業手当の支給額の差額を懐に入れる、こういう不正が横行しているとの指摘です。

 不正受給の時効は五年で、雇用保険法では立入検査も可能ですけれども、不正受給については徹底した調査を行って回収に努めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさにコロナ禍の中でいかに雇用を維持していくのか、本当に必死になっている皆さん、それに対して対応していこうということで、雇用助成金について更に特例的な対応もし、また、できるだけ早くにということで、手続の簡素化、そして迅速な支給決定に取り組んできたところでございます。また、そうした対応があって雇用が維持されたという評価もいただいているところでありますが、一方で、こうした、まさに必要とされている方が多くおられるこの助成金において不正受給が生じているということは大きな問題だと考えております。

 既に、都道府県労働局に対し、不正が疑われる事業主への積極的な調査の実施を指示しているところであり、不正受給対策には全力で取り組むとともに、厳正なる対処をしていきたいと考えています。

大西(健)委員 大臣が御答弁されたように、今回、このコロナ禍で、柔軟な対応によって、雇調金によって助けられた企業も本当に多かったと思います。そのことについては私も評価をしています。

 一方で、不正についてはしっかりただしていかなきゃいけないと思うんですけれども、雇調金の不正受給に関して厚労省は積極的に公表するという方針だそうですけれども、三月末時点で不正受給の公表を行った事業所数、金額を教えてください。あわせて、公表の割合についても、事業所数ベースと金額ベースでそれぞれ数字を答えてください。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 お尋ねのございましたコロナ特例におきます雇用調整助成金の不正受給に関してでございますが、直近の取りまとめのデータでございます令和五年三月末時点で、千二百二十五事業所、約二百五十六・五億円となっております。そして、そのうち、公表についてでございますが、四百九事業所、約百三十・七億円となっておりまして、大西委員から御質問のございました支給取消し事業所全体の割合ということでは三三・四%、そして、支給取消し金額全体の割合ということでは五〇・九%となっております。

大西(健)委員 ただいま答弁いただきましたけれども、次のページに事前にいただいた資料をつけておきました。今御答弁いただいたように、事業所ベースでいうと、公表は全体の三分の一にとどまっています。これが高いと見るのか低いと見るのかはありますけれども、私はちょっと、これでいいのかな、全体の三分の一でいいのかなというふうに思っているんですが。

 その下のページのところに公表基準というのものが書かれていますけれども、金額が百万円以上の場合には公表対象に原則なるということですけれども、ここに書いてあるように、いろいろな事情が勘案されるんですが、億単位の不正受給があったケースでも迅速に返還されたために企業名の公表がなかったケースもあれば、全額返還しても企業名が公表されたケースもあって、これは労働局長が判断するとなっていて、労働局ごとに判断にばらつきがあるんじゃないか、不公平じゃないか、こういう指摘もあります。

 不正受給を防止する上でも、私は、情状酌量すべき特別な事情がない限り不正は全て公表すべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 雇用調整助成金の不正受給の防止を図るため、一律の公表基準に基づいて不正受給の事前防止に取り組んできたところでありますが、本年度から、この公表基準、これまでは公表基準は明らかにしていなかった、内々でありましたが、これをまず見直しをした上で、その基準を公開をさせていただきました。したがって、同じ基準に基づいて全国で運用が行われているものと考えております。

 また、不正受給について原則公表すべきという御指摘でありますが、公表基準の見直しに際しては、受給事業主に申請内容の再点検を求め、不正、不適正な申請が判明した際に自主的な申告、返還を促進する、こうした観点から、自主申告を行い、かつ返還命令後一か月以内に全額返還した場合などは非公表とする、こうした基準にしたところであります。

 ただし、労働局の調査が進み、不正受給額の返還を行った場合や重大な又は悪質な事案については、全額返還した場合にあっても公表することとしております。

 また、公表しない事案についても、不正受給以降に受給した助成金の全額の返還を命じることは当然でありますが、加えて、不正受給額の二割及び延滞金について納付を命じる、また、今後五年間は不支給措置をする、こうした厳正な対処を行っているところでございます。

大西(健)委員 先ほど答弁いただいたように、前は、公表基準さえ示されていなかったんですね。ここに書いてあるように、1のところでいうと、一か月以内に全額納付した場合であって、不正の態様、手段、組織性等から判断して、管轄労働局長が特に重大又は悪質でないと認める場合にはということなので、それはさっき言ったように労働局長の判断なんですよ。ですから、少しばらつきがあるんじゃないかという指摘もありますので、そこは不公平がないようにしていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移りたいと思うんですけれども。

 三月に入って、アメリカでは、中堅銀行のシリコンバレーバンク、シグネチャーバンクが破綻をして事業を停止しました。ヨーロッパでは、スイスの大手銀行であるクレディ・スイス・グループが経営危機に陥り、同じスイスの大手銀行のUBSが買収することで合意しました。

 GPIFは、昨年の三月末時点で、シリコンバレー銀行の株式を約二百三十八億円分、債券を約百九十九億円、シグネチャー銀行の株式を約百十四億円保有していたことが分かっています。GPIFの損失は年金の将来にも影響するために、米欧の銀行破綻がGPIFの運用実績に大きな影響を与えているのではないかと懸念をしていますが、この点、大丈夫なのか。大臣、御答弁いただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、今お話があった保有額は、二〇二二年三月末時点でありますが、その時点におけるGPIFの運用資産は約百九十七兆円ということでありますから、それに対する割合は約〇・〇三%となっております。また、年金積立金の運用は長期的な観点から行うこととされ、市場の一時的な変動に過度にとらわれるべきではなく、資産の長期保有や、資産、地域等の分散投資により、長期的かつ安定的に経済全体の成長の果実を獲得していくこととしております。実際、自主運用開始来以降、平成十三年度から令和四年度第三・四半期までの収益額の累積は、約九十八・一兆円に上っております。

 引き続き、足下の市場環境を注視し、適切な投資活動がGPIFにおいて行われていくことが重要と考えております。

大西(健)委員 まさに市場ですから、いいときもあれば悪いときもあるということなんですけれども。

 関連して、安倍政権で運営方針を変更して、株式での運用割合を増やしてきた経緯があるんですけれども、我々は、年金資金というのは安全運用を基本にすべきだとずっと言ってきました。

 さらに、昨年の七月ですけれども、岸田総理は、日本ベンチャーキャピタル協会の定時総会で、GPIF等の長期運用資金がベンチャーキャピタルやスタートアップに循環する流れをつくる、こういう挨拶をされたんですけれども。ちょっと、私は驚きました。この話はそもそもその後どうなったのか、年金積立金をハイリスク・ハイリターンのベンチャー投資に回すことは適切でないと思いますけれども、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、積立金の運用は厚生年金保険法等の規定に基づき、専ら被保険者の利益のために長期的な観点から行うこととされておりまして、他の政策目的や政策手段の実現として年金積立金の運用を行うことは、これらの法の規定にかなうものではないわけでございます。

 また、ベンチャーキャピタルへの投資を含むプライベートエクイティー投資は、GPIFにおいて、オルタナティブ投資の一環として行っておりますが、これも、あくまで被保険者の利益の観点から行われるものであります。

 長期投資家にとって、株式や債券という伝統的資産と、リスク、リターンの特性が異なるオルタナティブ資産への投資を行う、これはまさに分散投資の観点から意義があります。今後も、専ら被保険者の利益の観点から適切な投資行動を行っていくものと承知をしております。

 なお、総理の発言でありますけれども、これはむしろ、そうした投資環境をつくっていく、こういったことに言及されたものと認識をしております。

大西(健)委員 今の大臣の答弁を聞くと、逆に私は、やはり総理の挨拶が問題があるんじゃないか、まさに特定の政策目的のために年金資金を使おうとしているとしか聞こえないというふうに思いますけれども、時間がありませんので、最後に、前回の質問でちょっとやり残した質問を一つお聞きしたいと思います。それは、男子トイレのサニタリーボックスの設置についての質問です。

 地元で私が挨拶回りをしているときに、前立腺がんの手術をした後に排尿障害が残って、尿漏れパッドを使用しているけれども、トイレに流せないし、持ち歩くと臭いがするので、例えば通勤電車に乗るのもすごく気になる、でも、捨てたいけれども、これを捨てるところがない、使用済みの生理用品を廃棄するサニタリーボックスは、女子トイレにはあるけれども、男子トイレにはないので困っているという御要望がありました。

 厚労省は、事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則に関する省令で、職場の便所の設備について基準を設けていますけれども、こうした中に、男子トイレのサニタリーボックスの設置に関することを入れていただけないでしょうか。あわせて、国交省等にも呼びかけて、駅など公共の男子トイレにもサニタリーボックスの設置を進めるように、そういう、政府として連携した取組ができないか。このことについて、政府参考人から御答弁いただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 事務所衛生基準規則におきましては、全ての事業者が遵守すべき最低基準といたしまして規制を設けておりまして、サニタリーボックスというものの設置を位置づけるというのはなかなか難しいと考えますが、法制上は、職場におけます男子トイレのサニタリーボックスの設置等を含む必要な対応につきましては、個々の作業場におけますトイレの設備や設置場所の状況、労働者自身の事情も考慮した上で、職場の衛生委員会におきまして、労働者の健康の保持増進に関する重要事項として調査、審議、検討等を行いまして、その結果に基づいて柔軟に対応することが望ましいと考えてございます。

 まずは、労使の話合いを通じまして、個別の事情に応じて必要な配慮がなされるべきものと考えてございます。

 また、公共トイレ等につきましては、これは私どもが所管しているものではございませんので、まずは、それぞれの設置管理者におきまして検討いただくのが適切かと考えてございます。

大西(健)委員 食生活の変化あるいは長寿命化もあって、前立腺がんの手術を受けられる方というのはかなりいて、排尿障害とか尿漏れの問題を抱えている、悩みを抱えている男性というのは意外に、余り言わないので知られていないけれども、結構いるんじゃないかというふうに思いますので、是非、何らかの前向きな取組を行っていただきたいなというふうに思います。

 今日、私、天下りの問題、あるいは公的病院の積立金、これが防衛費に回されている問題、あるいは雇調金の不正受給の問題等々を取り上げさせていただきましたけれども、今、防衛費の財源の問題が議論されている中、様々な行財政改革、無駄遣いをなくして、それで出た財源というのは全部防衛費に回しましょうと言っている中で、天下りもそうですし、あるいは積立金の流用の話もそうですし、あるいは不正受給もそうですけれども、やはりそういうところをしっかりただしていかないと、なかなか、国民の理解をこの財源について求める、理解を得ることは難しいんじゃないかと思いますので、しっかりやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

三ッ林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

三ッ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。午後もよろしくお願いします。

 まず初めに、私は一番初めのテーマで花粉症の質問をしようと思っていますけれども、午前中もアレルギーの質問が出た、丸かぶりをしてしまったということなんですけれども、続けたいと思います。

 岸田総理が先月の十四日に花粉症対策を指示したというところで、僕自身も花粉症で、二月から四月にかけてはずっとマスクをして、今ようやくちょっとずつ落ち着いてきたんですけれども、やはり日々、目がかゆかったりとかそういうこともあったりする中で、花粉症の方が現在四二・五%いるというところで、一九九八年からは、一九・六%から大きく上昇しているという背景があります。

 花粉症の割合が増えてきているというところなんです。原因というのは一体どういうものが考えられるのか、まずはお尋ねしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 花粉症の発症要因でありますけれども、これは、アレルギー体質などの患者の因子、それから花粉の飛散量や、それからその他の物質の暴露の影響、例えば空気中の汚染物質でありますとか、あるいは黄砂というようなことも言われておりますが、こういった環境因子など、複数の要因が考えられているため、ある患者さんについてどの要因が最も影響したかを推定するということはなかなか難しいわけですが、例えば、花粉の飛散量につきましては、飛散量の多い地域でアレルギー性鼻炎の有病率が上昇しているとの報告もあり、飛散量の増加は花粉症発症の一要因であると認識しております。

遠藤(良)委員 飛散量というところなんですけれども、花粉症の原因となるのは杉の人工林だというところで、全国では四百四十万ヘクタールで、人工林の四割強になっている、樹齢五十年を超えている、伐採期を迎えている杉が半数以上あるということで、その中で、昔は、これをまきや石炭のために伐採をして、俗に言うはげ山になっていたみたいなところがあると思うんですけれども、戦後、木材の利用のために杉を大量に植えた。ただ、一方で、安い海外の木材の木をどんどん輸入するようになってきて、この伐採が進まなかったという背景があると思います。

 杉の伐採のための取組としてはどのようなことを今行っているのか、お尋ねしたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省におきましては、花粉の発生源となる杉の人工林につきまして、切って、使って、植えて、育てるといった森林資源の循環利用を推進しまして、花粉の少ない、多様で健全な森林への転換を図っているところでございます。

 こうした中、切って利用するという取組は非常に重要なことと考えてございまして、木材需要の大きな部分を占めます住宅に加えまして、公共施設や商業施設の木造化などによりまして需要を確保いたしまして、これを通じて杉人工林の伐採を進めているところでございます。

遠藤(良)委員 ここで、国産材の供給、需要が、先ほどもお話ししたみたいに海外からの木材の輸入が増えてきたという背景で、国産の木が非常に今、特にウッドショックというところもあって、木材価格の高騰があるんだというところで、実際、今の、現在の、国産材と言われる、これの状況について確認したいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 国産材の需要につきましてでございますが、平成十四年に遡ってみますと、木材の総需要量のうち国産材の供給量は一千六百九十二万立方メートルということで、木材自給率は過去最低の一八・八%だったところでございます。その後、戦後に造成されました我が国の人工林資源が充実するとともに、技術革新によりまして、例えば合板の原料としての利用が拡大してきた、こういったことがございまして、国産材の供給量は増加傾向で推移をしてきてございます。

 これによりまして、令和三年の国産材の需要につきましては、木材の総需要八千二百十三万立方メートルのうち国産材の供給量が三千三百七十二万立方メートルということで、木材自給率は四一・一%となっているところでございます。

遠藤(良)委員 二〇二一年十月一日に、脱炭素社会の実現に資する等のための木材の利用の促進に関する法律が施行された。先ほどもありましたけれども、木材自給率が五〇%を目指しているんだというところで、今後、国産材の供給、需要の拡大についてどのような進展があるのかをお尋ねしたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の人工林資源が本格的な利用期を迎えてございまして、先ほど申し上げた、切って、使って、植えて、育てる、循環利用を進めているわけでございますが、このことが地域の林業、木材産業の持続的な成長、発展、また二〇五〇年カーボンニュートラルへの貢献、こういったものにつながってくるというふうに考えてございます。

 私どもといたしましては、大きな需要が期待できる建築分野における木材利用が重要と考えてございまして、住宅における国産材の利用拡大を促進いたしますとともに、これまで木材が余り使われてこなかった中高層、また非住宅の建築物等での木材利用を促進をいたしてございます。

 具体的には、たわみにくさが求められる住宅のはりや桁、こういった部分で国産材を活用するための技術開発、また、中高層に使います場合には強度や耐火性、こういったことが求められますので、こういった部材の開発、また、住宅の主要な構造部に国産の製品を用いる場合の設計や施工の部分の工夫の取組、そして、地域の木材利用のモデルとなるような公共建築物の木造化や木質化の取組に対する支援などを行ってきているところでございます。

 さらに、建築物以外につきましても、例えば、付加価値の高い木材製品を輸出してまいるとか、それから、木のよさや木材利用の意義について普及する木づかい運動の推進などを実施してございまして、国産材の需要拡大に向けて総合的に取り組んでまいっているところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 いろいろな取組をされて、国産材については普及を進めようというところがあると思いますけれども、私の知り合いで木材をやっている友達がいるんですけれども、彼はここの木材の今の日本の状況をすごく問題視していまして、日本で取れている木自体が、補助金がずっと、この業界は補助金がいっぱいあるんだ、その業界は補助金で成り立っているんだということをすごく指摘をしています。その中で、やはり、ウッドショックがあったりとか、海外の木材とか、そういうことの、入ってくるんですけれども、一方で、日本の、補助金のために、事業を維持するために日本の国産材もまた市場に出していかないといけないからという、何か今ジレンマが起こっているんじゃないかなというふうに私自身は問題意識がありまして。

 是非この辺りも、政府としても、日本の国産材、確かに、海外に輸出したりとか、今まで使っていなかったところに活用したりとか、そういうことも今既にもう取組もされていると思いますけれども、もうちょっとそういった市場にも目を向けていただいて、是非とも連携しながらやっていただきたいなというふうに思うんですけれども。

 日本維新の会は、国民病となっている花粉症対策として、無花粉、少花粉杉等の植栽面積の拡大と、花粉を出す樹齢の杉等の伐採を推進していくということを打ち出しているんです。その中で花粉の少ない木材というところなんですが、これは今植え替えをしているんだと。ただ、やはり、午前中も出ていましたけれども、一%程度で、なかなか物理的にも非常に難しい問題もあると思います。

 今、この無花粉であったりとか少花粉の杉の植え替えの状況についてお尋ねしたいのと、あとは、さらに、花粉を防ぐための飛散防止剤というのがあるんだと。これは研究も進んでいて、この辺りの現状も併せて確認したいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、花粉の少ない苗木の植え替えでございますけれども、そういった苗木の生産拡大が必要でございます。

 現状ですけれども、この生産は、令和三年度には千五百十二万本まで増加してきておりまして、十年前に比べれば十倍、杉苗木の年間生産量の約五割に達するところまで伸びてきてございます。

 また、御指摘のありました杉花粉の飛散防止剤の開発でございますけれども、これは、杉の雄花を選択的に枯れさせる、そういった薬剤でございまして、こういったものの空中散布の技術開発を進めておるところでございます。

 現状では、効果的かつ低コストな空中散布技術の確立でございますとか、森林生態系への影響評価など、こういった課題がございまして、まだ実用化にはなっていないんですけれども、こうした課題解決を進めまして、実用化に向けた取組を推進してまいる考えでございます。

遠藤(良)委員 飛散防止剤のところなんですけれども、今、研究段階である、実用化のところがまだはっきりしていないんですということなんですけれども、実際、めど、どこを目指しているのか、実用化のめどについてちょっとお尋ねしたいと思いますけれども、いかがでしょう。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点で具体的なめどは、先ほど申し上げたような散布の技術ですとか影響評価など、完全にできていないものですから、なかなか申し上げにくいんですけれども、現状としましては、二種類ほど薬剤がございまして、これについて、今、ドローンでまいて実際にどれくらい効くのかというようなことを確認したり、それが生態系にどんな影響があるかということを確認したり、そういったことが行われている段階でございまして、ここの部分を早期に確定しまして、また、農薬登録なんかも必要になってくるものですから、こういったところも手順を踏みまして進めてまいりたいと考えてございます。

遠藤(良)委員 是非、実用化に向けて進めていただきたいのと、なかなか、先ほども、植え替えるというと物理的にも本当に大変な作業ですし、こういった今研究をされている飛散防止剤、これをちょっと是非とも進めていただきたいと思います。

 アレルギー性鼻炎に係る医療費が保険料だけで年間三千六百億円というところで、国民病になっている。額も大きくなっていると思います。一方で、削減も考えていかないといけないと思うんですけれども、実際、医療費への影響について、どのようにこの課題については捉えられているのかをお尋ねしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 花粉症を含むアレルギー性鼻炎の医療費は、直近のデータでは、御指摘のとおり、保険診療で約三千六百億円と推計されておりまして、これは相応の金額であると認識をしております。また、その医療費の大部分は、鼻水や鼻詰まり、あるいは目のかゆみ等の症状を軽減する対症療法のための費用であると認識をしております。

 花粉症のこれらの症状は患者さんのQOLを大きく低下させるものでありまして、また、適切な対症療法を行わないことで重症化やその後の治療の効果が弱まるという特徴がございますので、早期に適切な治療を行うことが重要でございます。

 このため、暴露予防や発症初期から投薬を始めること等の適切な対策の周知徹底、それから、花粉症の症状が出ないようにするための舌下免疫療法の普及など、対症療法を含む様々な花粉症対策を充実させることが必要であると考えております。

 今後、多方面から花粉症対策を推進し、治療方法の改善によりますQOLの向上を図るとともに、医療費への経済的な影響についても、必要に応じて注視してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 ほとんどが対症療法であるというところなんですけれども、舌下免疫療法というところも出ましたけれども、私自身も、薬局に行って花粉のお薬を買ったりとか、診察せずに自分で薬局屋さんに行って買ったりするのが、基本的に僕は病院には行かないんですけれども、多分、そういう中で、この舌下免疫治療、これはすごい僕も興味があって、まだ自分自身はやってはいないんですけれども、周りでやっている方々に聞いてみると、ちょっとずつ改善しているよみたいなところで聞いたりするんですけれども、これは三年かかるというところで、なかなか、効果が出てくるのにも三年がかかってという。僕も今年はやりたいなというふうに思っているんですけれども。

 その中で、一方で、年、三割負担で三万円程度かかるんだと。三年と考えると、一人当たりで三十万円かかると思うんですけれども、実際、舌下免疫治療の効果であったりとか、舌下免疫治療法に対しての医療費についてどのように捉えられているのかをお尋ねしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、舌下免疫療法は、御指摘のとおり、三年以上内服を継続することによって症状が改善し、この結果、対症療法が不要となった患者さんもいると報告されております。また、舌下錠の内服を終了した後も一定の期間、症状が出ないといった長期的な効果が期待できる治療法であるというふうに認識をされております。

 一方で、舌下免疫療法は、これは最近になって導入された治療法であるため、舌下錠の内服を終了した後いつまで効果が継続するかについては、今後、実態を見ながら評価をしていく必要がございます。

 委員御指摘の医療費の動向等の経済的な観点も含めて、舌下免疫療法による治療効果等のデータを今後集積し、花粉症に対するより適切な医療が提供できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 花粉症の議連もできたというところで、大臣も、関係省庁や研究機関と協力して効果的な対策を取り組みたいということもおっしゃっておられるというところなんですけれども、大臣、花粉症についてのお考えをお尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 本当に、花粉症、多くの方がこれで悩まされており、また中には仕事とかあるいは学業等にも影響を被っている方もいらっしゃるというふうにお聞きをし、まさに社会問題と言っても過言ではないというふうに思っております。

 こうした状況を踏まえて、先般、総理からも指示があり、花粉症対策を進めていくということでございますけれども、花粉症を含めたアレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針、これを踏まえて、厚労省としては、関係学会と連携した診療ガイドラインの策定や、治療法に関する研究の推進、アレルギーポータルといったウェブサイトを通じた治療法や医療機関情報等の情報発信、花粉症を含むアレルギー疾患に対する医療提供体制等の整備に取り組んでいるところでありますし、さらに、関係閣僚会議で総理から、発生源対策、飛散対策、暴露、発症対策を対策の三本柱ということでございますので、私どもの所管を踏まえながら、また関係省庁とも緊密に、また自治体や研究機関とも協力をしながら、花粉症を含めたアレルギー疾患対策、これを着実に実施をし、効果的な花粉症対策に取り組んでいきたいと考えています。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 次の質問に移りたいと思いますけれども、次はアルバイトやパートの雇用保険適用というところなんですけれども、財務省の審議会で雇用保険の適用拡大の検討を提案しているというところで、これまで、適用事業所の企業規模要件の見直しであったりとか、週二十時間未満で働く短時間労働者についての拡大を検討しているんだと。

 これは実際、今後この審議会で議論するというところなんですけれども、大臣のお考えをまずはお尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、現行の雇用保険制度でありますけれども、週の所定労働時間が二十時間以上であり、三十一日以上雇用されることが見込まれることが被保険者の要件となっております。

 先般、小倉大臣の下で取りまとめた子供、子育て政策の強化に関する試案においては、週所定労働時間二十時間未満の労働者に対する雇用保険の適用拡大について検討するということが盛り込まれているところでございますので、厚生労働省としても、多様な働き方を効果的に支えるセーフティーネットを構築するという視点に立って、雇用保険の適用拡大について検討していきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 例えば、先ほども二十時間未満というところも出ていると思いますけれども、一方で、短時間労働者を多く採用する企業なんかでは、負担になるんだという声も上がっているようなんですけれども、実際、今後議論になってくると思うんですけれども、現時点でどういったお考えなのかをお尋ねしたいと思います。

田中政府参考人 今大臣から御答弁申し上げましたように、現在、雇用保険の被保険者の週所定労働時間の要件が二十時間以上となっております。

 これを二十時間未満の労働者のうちでどの範囲まで適用を拡大するべきかにつきましては、現在決まっている状況ではございませんけれども、雇用保険制度自体、現在、単に失業のときの保障というだけではなくて、育児休業給付も拡充してきておりますし、また、リスキリングの中で重要な役割を果たす教育訓練給付についても運用しております。さらに、雇調金といったものとか、あるいは、様々な、事業主が訓練をした場合の助成金でありますとか、これを担う二事業という事業もございまして、かなり総合的な雇用のセーフティーネットとして雇用保険が運用されていることを踏まえながら、今後の、育児期も含めたあらゆるライフステージにおける多様な働き方、休み方をしっかり支えていく、特にコロナ禍でも問題になりました非正規雇用労働者に対するセーフティーネットをどう張っていくのか、こうした観点から検討を進めていく必要があると思います。

 今後、具体的には、保険料の負担者でもあります労使が委員として参画しております労働政策審議会においても丁寧に御意見を伺いつつ、検討を進めてまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 財務省の審議会では、企業による職業訓練の助成が中心となっている現在の仕組みを改めるべきだという意見もありまして、それで、個人への直接的な支援に重点を移すべきとのことなんですけれども、こうした方向性について、大臣はどのようにお考えなんでしょうか。

加藤国務大臣 現下の状況の中で構造的な賃金の引上げを図っていく、そのためにも、職務給とか、個人が主体的に労働しやすい環境をつくっていく、加えてリスキリングが非常に大事だというふうに考え、三本柱ということで取組をさせていただいております。

 特に労働者個人が自主的に選択をしていくということ、このことが非常に大事だということでありまして、離職者に対する支援ももとよりしっかり対応していく必要がありますが、在職者の方々に対して、これまで企業を通じた支援が大半になっておりましたが、そうした支援もしっかりやっていただく必要はありますが、それに加えて、個人に直接給付する教育訓練給付指定講座の拡充、あるいは、在職者個人に対する学び直し支援策の利用促進など、個人に対する直接的な支援を拡充していきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 この学び直し、リスキリングとか、先ほど出ましたけれども、育休の給付金や教育訓練の給付金、失業給付金の対象というところで、支援するのは非常に大きな意味があると思います。一方で、やはりこういった大企業は、そういった方々を採用しているところの負担になるというところも踏まえて、また議論をしていきたいと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 ネット一一九というところで、総務省の消防庁では、ネット一一九緊急通報システムというのを導入されている。これは、スマートフォンから消防車や救急に連絡ができるんだというところで、聴覚障害や言語障害のある方が利用されるものであるんだというところなんですけれども、このネット一一九の現在の概要と普及の状況についてお尋ねしたいと思います。

田辺政府参考人 ネット一一九緊急通報システムは、会話に不自由な聴覚や言語機能に障害のある方が、いつでも、全国どこからでも、スマートフォンなどの画面上のボタン操作や文字入力により緊急通報を行うことのできるシステムです。

 令和四年六月一日現在、七百二十三の消防本部のうち六百九本部で導入済みであり、人口カバー率は九四・八%となっているところです。

遠藤(良)委員 事故であったりとか病気の発症によって電話での通報が遅れる場合があるんだ、脳梗塞やくも膜下出血などで通話ができない場合も想定されると思うんですけれども、希望者には登録できるようにすべきだと思うんですけれども、一般の方が登録することができるのかどうか、確認したいと思います。

田辺政府参考人 ネット一一九の利用者は、電話での通報が困難である聴覚障害のある方や発話が困難な方を想定しており、これら以外の方による利用につきましては控えていただいているところでございます。

遠藤(良)委員 今お答えいただいたように、控えているというところなんですけれども、確かに気軽に救急を求める可能性もあるのでそういうふうにというところがあると思うんですけれども、電話の方が情報量は多くて、電話での通報の方が望ましいことももちろん分かるんですけれども、一方で、先ほど出たような脳梗塞であったりとかくも膜下出血などで命を救えることもあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、一般の方を登録を認めていく方向も考えられると思うんですけれども、この辺り、いかがでしょう。

中川大臣政務官 今、ネット一一九の利用を幅広く認めてはどうだ、こういう御指摘だったと思いますが、まず第一義的には、通話ができる方につきましては、迅速に通報者の状況や様子、すなわち、例えば通報者の息遣いですとか、あるいは反応の有無ですとか、ろれつが回っているかどうか、そういった様子を把握する観点から、電話による通報をまず第一義的には基本としているところでございます。

 そして、障害のある方からのネット一一九による通報に対して的確に対応していく、そういう必要があること、そういったことから、慎重に検討する必要があるというふうに考えているところでございます。

 そのため、総務省消防庁といたしましては、まずは聴覚や言語機能に障害のある方による利用促進に取り組んでいきたい、このように考えているところでございます。

 なお、例えば、過去に病気をした経験から将来的な不安を感じている方などにつきましては、個々の状況に応じて各消防本部で適切に対応していただいているものと承知をしているところでございます。

遠藤(良)委員 聴覚障害であったりとか言語機能障害の方が対象であると。

 厚労省としては、消防庁とどのように連携をしているのか、周知を図ってきたのかを大臣にお尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 今お話があったネット一一九、これは、音声による通報が困難な聴覚・言語機能障害者の方々が救急等の場合に円滑に通報することを可能にするものであり、まさに安心、安全な暮らしを支える上では大変大きな貢献をしているというふうに考えています。

 まさにこの周知を図っていくことが必要であり、総務省からも、既に都道府県の消防担当部局に対し、システムの導入促進等に関する通知が出されており、並行して私どもも、平成二十九年度と平成三十年度に、都道府県の障害担当部局、また聴覚・言語機能障害者の当事者及び支援者の団体に対して、システムの周知と利用促進についてお願いをしたところでございます。

 引き続き、総務省と連携しながら、このシステムの周知に取り組んでいきたいと考えています。

遠藤(良)委員 このネット一一九、余り知られていないのかなというふうに思ったりもしていまして、是非、連携していただいて、周知をどんどん図っていただきたいと思います。独り暮らしの高齢者の方もずっと増えてきていますし、こういったものがあるんだということをまずは皆さんに知っていただくということが大事だと思いますので、是非ともよろしくお願いを申し上げます。

 以上で終わります。

三ッ林委員長 次に、吉田とも代君。

吉田(と)委員 日本維新の会の吉田です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 前回は、生活衛生法関連の質問に立たせていただいたんですが、時間の関係上、残してしまいました質問がございましたので、本日、冒頭にその質問をさせていただきたく思います。

 本年三月二十七日、文化庁が、霞が関の本庁から京都府に移転をしました。何と中央省庁の地方移転が明治以来初めてとのことです。この日は、文化庁長官を始め、一部の職員が新庁舎で働き始めており、残る職員も五月十五日には京都に移る予定だそうです。日本の伝統文化が根強く残る京都で、地方の視点を取り入れた政策立案が期待をされています。

 中央省庁の移転は、地方創生の一環として打ち出され、多くの自治体が誘致を試みましたけれども、ほとんどが見送られてきました。そのような中、政府と地方側の調整を経て文化庁が移転いたしましたが、私の地元徳島も、消費者庁の拠点として手を挙げた自治体の一つでございまして、二〇一七年、消費者庁行政新未来創造オフィス、これが設置をされました。その三年後を目途に検証、見直しが行われ、二〇二〇年七月、新たな恒常的拠点として、徳島県県庁内に、消費者庁オフィス、消費者庁新未来創造戦略本部が設置されています。

 これまでの取組と成果、それから消費者庁ごと徳島に移転が現状かなっていない理由をお聞かせください。

大串副大臣 消費者庁では、令和二年七月に、新たな恒常的拠点として、徳島県に新未来創造戦略本部を設置いたしました。一方で、徳島県から東京や他地域へのアクセスに、時間、費用の面で課題がある中で、設置以前に実施しました業務の試行等も踏まえまして、迅速かつ効率的に業務を行うため、国会対応、危機管理、法執行を始めとする迅速な対応を要する業務であったり、対外調整プロセスが重要な業務は東京で行うこととしております。

 新未来創造戦略本部では、例えば、SNSを活用した消費生活相談対応の実証実験や諸外国の専門家を招聘しての国際シンポジウムを開催するなど、地元自治体や民間団体の協力を得て、先駆的な取組を行うモデルプロジェクトや新たな国際研究拠点として様々なプロジェクトを実施しております。

 引き続き、これらの取組を進め、しっかりと期待された成果を出してまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 大串副大臣、前回に続き、ありがとうございます。

 中央省庁の移転が難しい理由としまして、他省庁との予算折衝ですとか国会対応、こういったものが挙げられますけれども、文化庁は、全九課中、五課が京都に移り、残り四課は東京に残っています。当面、職員の七割、約三百九十人が京都拠点となっておりまして、消費者庁においても同様で、全員が移転をする必要はないと考えます。

 むしろ、本部移転のメリットは大きいと考えておりまして、例えば、東京―阪神間では、人、物、お金が動き、一極集中よりも大きな市場創出が期待できるのではないでしょうか。また、地方活性化、関西圏の経済効果はもちろんのこと、大災害の発生リスクを考えた場合、中央省庁の集中是正策が必要であると考えます。また、職員の皆さんは、新しい環境で、新たな価値観を見出して、地方に合わせた活性化施策、これも打ち出すことができると考えます。絶えず新しいものが生まれて、そこで働きたい、そういった方がやってくると言われます。

 先日審議をいたしました法案において、食品衛生基準行政の一部が厚労省から消費者庁に移管されるということになります。厚生労働省にとっては負担が軽減される、一方で消費者庁にとっては反対に負担が増えるのかもしれませんが、柱である食品表示行政など、消費者にとって商品それからサービスの表示規制の問題というのはますます重要でありまして、それらもおろそかにせずに、引き続き頑張っていただきたいと思います。商品とサービスに関連する詐欺行為というのも、近年いよいよ手口が巧妙になってまいりまして、日進月歩、消費者庁も絶えず情報更新、バージョンアップをしていただきたいとお願いしたいと思います。

 徳島県庁としましては、消費者庁が全面的移転、これを希望しているということですので、消費者庁の本来業務、消費者の利益促進、そして消費者庁移転で実行していただきたいと思います。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 去年一年間に自ら命を絶った児童や生徒、これが過去最多の五百十四人となりました。小中高生の五百十四人、これを原因、動機別で見ますと、学業不振や進路の悩みのほか、友達との不和、親子関係の不和、こういったものが多くなっています。専門家は、長期化するコロナ禍で学校や家庭の悩みが深刻化し、対面でコミュニケーションする機会がなくなり、更に孤立化をしてしまったのだろうとの指摘もあります。

 そのような中、こども家庭庁では、支援局内に自殺対策室を設置して、厚生労働省、内閣官房、警察庁、文部科学省、総務省、法務省などが連携をして自殺対策に取り組むこととしています。四月二十七日には第一回こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議が開催をされました。こども家庭庁が司令塔となり、各省庁をまとめていかれるのでしょうが、自殺対策は厚労省が元来担ってきた部分でございますので、どのように連携をしていくのか、また、どのような対策を行っていくのか、御教示をください。

加藤国務大臣 令和四年には児童生徒の自殺者数が五百十四人と過去最多となりました。どんな事情があるにせよ、自ら命を絶つことはあってはならないことでありますし、また、それを防止をしていくということが大変大事だと考えております。

 これまで、子供の自殺防止に向けては、文部科学省などと連携して、学校での対策や家庭への支援など幅広い取組を行ってまいりましたが、昨年十月の新たな自殺総合対策大綱では、近年の自殺者数の増加を踏まえ、子供、若者の自殺対策の更なる推進、強化を図ることといたしました。

 この大綱を推進する役割を担う厚労省としては、子供政策の司令塔でもあるこども家庭庁と連携しつつ、子供の自殺等の詳細な調査分析、子供、若者の利用が多いSNSを活用した相談事業を拡充するとともに、多職種の専門家から成る若者の自殺危機対応チームで子供の自殺危機に迅速に対応していく仕組みの構築などの対策を更に推進、強化していきたいと考えております。

 こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議における議論も踏まえながら、子供の命を守るため、こうした取組に全力を尽くし、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を図ってまいりたいと思います。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 六月までに、有識者からのヒアリングを基に、計四回の会議で方向性、対策を決めると伺っておりますけれども、厚労省がこれまで行ってきた地域の実情に応じた自殺支援をこども家庭庁や他省庁と連携をしながら積極的に取り組んでいただき、困難を抱える子供たちが一日でも早く救われるような対策を講じていただきたいと思います。

 そういった対策の一環ですけれども、子供の場合、自発的に相談や支援につながりにくい傾向がある中、どのように子供たちからSOSを出しやすい環境を整えるかが大切だと考えます。

 本年三月十五日の朝日新聞によりますと、認定法人国際ビフレンダーズ東京自殺防止センターには、夜間、悩みを抱える人からの電話が相次いでおりますけれども、十代の男性の電話相談というのは約二割にとどまっているそうです。また、相談の途中で電話を切ってしまう方もいるということで、厚生労働省の資料によりますと、令和三年度のSNSを活用した相談の年齢構成を見ますと、十九歳までの利用率が男性二五%、女性三五%と、子供にとっては、若年層にとっては相談しやすいツールであると推測されます。

 先ほど、加藤大臣もSNSを活用してというお話をいただきましたけれども、SNSでつながれる居場所づくりであったり、悩みを言える環境が求められる一方で、SNSの課題、これもあると考えますけれども、厚生労働省の見解をお聞かせください。

川又政府参考人 厚生労働省では、地方自治体や民間団体と連携をいたしまして、電話相談に加え、若者の利用が多いSNSを活用した相談事業を実施をしております。

 自殺総合対策大綱におきましても、電話相談窓口の支援のほか、多様な相談ニーズに対応するため、SNS等のコミュニケーションツールを活用した相談事業に対する支援の拡充などを盛り込んでいるところです。

 このSNS相談の課題ということでございますけれども、自殺対策におけるSNS相談事業ガイドラインにおきまして強みと弱みが整理をされております。SNS活用の強みとしては、コミュニケーションが苦手でも安心して相談しやすい、様々な専門性を持つ相談員間でのチームプレーにより対応できる、あるいは過去の相談履歴を参照できるなどがある一方で、弱みといたしまして、漠然としたやり取りとなって認識がずれるおそれがある、人の存在感を薄れさせる、SNS相談による限界、特に緊急性のある場合は電話や対面相談が適切な場合も想定されるなどとされております。また、悩みの内容や課題に応じて身近な地域の支援機関につないでいくことも課題と考えております。

 今後とも、こうした課題も踏まえながら、SNSを活用した相談体制の拡充に努めてまいります。

吉田(と)委員 大串副大臣、大変失礼いたしました。御退席いただいて結構です。どうもありがとうございました。

三ッ林委員長 大串副大臣は御退席してください。

吉田(と)委員 朝日新聞のデジタルによりますと、長野県教育委員会が二〇一七年に、中学生、高校生のためのLINEを使った相談事業を行ったところ、相談件数は予想を超えるもので、二週間に千五百七十九件のアクセスがあり、このうち五百四十七件の相談に乗れたことが発表されています。二〇一六年度の一年間に寄せられた相談よりはるかにLINEの方が多かったということで、これらLINEは、その調査時、二〇一七年当時より現在はより普及し活用されておりますので、相談件数も上がることが予想されます。

 そのSNS相談で私が問題視している点としまして、先ほども少し御紹介いただきましたけれども、やはり、一般的な相談というのは、言語が介在して、視覚、聴覚などを使って相談者に寄り添い、電話相談であれば声のトーンなどを感じながら寄り添っていくことができるかと思いますが、SNS相談では、クライアントが見えない、また、声でのコミュニケーション、こういったものができませんので、相談員の方は、高いストレス、それから不安がつきまとうものであると推測をいたします。

 一方で、返答に迷ったときは、電話と違って、ほかの相談員の方から助言を受けたりすることもできる、こういった利点もありますので、まず最初の一歩というのはSNS相談でいいと考えるんですが、次に電話相談、そしてその次には対面相談というように、つなげていく支援、こういった取組が必要と考えます。是非、子供たちがいろいろなツールを使って相談できる体制を、一歩踏み込んだ対応をお願いしたいと思います。

 続きまして、子供たちがSNSを発信しやすくすること、これはとても重要で、一日の大半を過ごす学校側が、丁寧に向き合える体制をつくるべきと考えます。

 悩んでいる方に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る方、これをゲートキーパーというそうですけれども、子供たちのそばでふだんから見守っている学校の先生やスクールカウンセラーの方、これらの方がよりきめ細やかなフォローができることがベストであります。

 しかしながら、実際のところ、学校の先生というのは長時間労働が問題視されておりますし、きめ細やかな支援といっても、これ以上求めていくのもなかなか難しい部分もあります。また、スクールカウンセラーやソーシャルワーカー、こういった方々は、月に一、二回しか勤務をしていないなど、身近な存在になりにくいことから、子供たちが本音でお話をできる機会につながらないことも懸念されます。

 自殺総合対策大綱では、国民約三人に一人以上がゲートキーパーについて聞いたことがあるようにするということを目標としておりますので、今後、更なるゲートキーパーの養成講座、育成に向けて推進されると承知をしております。

 現行は、行政職員の方や職能団体などが中心にゲートキーパー講座を受講しているとのデータがございますけれども、是非、地域住民ですとかボランティアの方、こういった方々に養成講座を受講していただいて、心の苦しみですとか悩み、こういったものを抱える子供たちの身近な話し相手となっていただき、関わっていただく、これが必要と考えます。厚生労働省の見解をお聞かせください。

川又政府参考人 自殺の危険を示すサインに気づいて声をかけ、話を聞き、必要に応じて専門家につなぎ、見守るという役割を担うゲートキーパーについては、悩んでいる人の孤立を防ぎ、安心を与える存在であります。これは、子供の自殺対策といった観点からも同様です。ゲートキーパーの役割を担う人材の養成は、自殺対策における重要な課題と考えています。

 自殺総合対策大綱におきましても、ゲートキーパー養成を通じた自殺対策に関する正しい理解の促進、それから、先ほども御紹介いただきましたが、年間を通じた周知を図って、国民の約三人に一人以上がゲートキーパーについて聞いたことがあるようにするという目標、それから、全国的なゲートキーパー研修の受講の取組推進、ゲートキーパー等の支援者自身への支援の推進などを盛り込んでおります。

 令和五年度におきましても、効果的、体系的なゲートキーパー養成のための研修教材、カリキュラムの作成、試行的な講師養成研修の実施、地方自治体における同世代、同性のゲートキーパーの養成に関する集中的な取組の支援、ゲートキーパーになった方が継続的に活動できるよう支援者のケアのためのモデル事業の実施など、ゲートキーパーの養成、支援を通じた自殺対策の更なる推進を図ることとしております。

 引き続き、自治体などにおきますゲートキーパーの養成に向けて取り組んでまいります。

吉田(と)委員 今の日本の子供たちの精神的幸福度というのは、先進、新興三十八か国で三十七位という低さです。これは自殺の多さとの因果関係を無視できないのではないでしょうか。

 子供の幸福度の要素となる満足度ですとか達成感、こういったものを高める取組が必要で、まず、こどもまんなか社会、これを目指すには、教師やボランティアの方、地域住民、こういった方々が周りで見守りながら、対話をしながら、子供を中心にして、子供たちが自己肯定感を高められる取組を学校の中でもやっていくことが大切だと考えます。

 ある学校では、校則の緩和を子供たちが中心になって取り組んだということで、よい成果が出たとの話もあります。是非、学校だけでなく、地域全体でもこういった取組を行って、子供の問題、子供の自殺に向き合う姿勢、体制づくりをお願いしたいと思います。

 さて、近年、若年層を中心とした深刻な社会問題となっておりますオーバードーズ。今、SNSでは、つらくてまた飲んでしまうとか、明日から学校、死にたい気持ちをごまかしたいというような言葉とともに、大量の薬の画像を上げる若者たちの投稿が相次いでいるといいます。薬を使う一回当たりの用量が過剰であること、また、薬物の過剰摂取に及ぶ行為をオーバードーズといいますけれども、薬を過剰に摂取することで多幸感を得て、精神的な苦痛から逃れるこのオーバードーズに走ることを若年層はSNSで自ら明かしています。

 全国の精神科医療施設に及ぶ薬物関連精神疾患の実態調査によりますと、十代の薬物依存患者の主たる薬物の六五・二%は、風邪薬であったり、鎮痛剤、せき止めなどの市販薬だったといいます。

 厚生労働省は、これらの乱用等のおそれのある医薬について、平成二十六年に、薬事法施行規則第十五条二の規定に基づいて、六つの医薬品と指定医薬品の販売や取扱いについて厚生労働省が通知を出していることは承知をしておりますが、厚労省として、これら乱用等のおそれのある医薬品の取扱いについて、またオーバードーズに対しての見解をお聞かせください。

八神政府参考人 乱用等のおそれのある医薬品についての対策についてお答えをしたいと思います。

 議員が御指摘いただきましたように、若年者において、一般用医薬品の過剰摂取による乱用といった実態が報告されております。これまでも種々の対応を行ってきておるところです。

 具体的には、議員からも御指摘ありましたような、医薬品販売制度を見直した際に、乱用等のおそれのある医薬品の指定制度というものを創設をしております。

 一定の成分を含む一般用医薬品等については、その販売時に、リスク区分に応じた情報提供に加えまして、購入者が若年者である場合の氏名、年齢、他店舗での購入状況や購入理由等、また購入しようとする数量が原則として一人一包装単位を超える場合の購入理由といったものを確認をして、適正な使用のために必要な数量に限り販売を行うということにしております。

 また、この医薬品については、本年四月に、昨今の依存症例の実態等を踏まえて拡大をしたところでございます。

 また、国民に対して、薬と健康の週間のキャンペーン、政府広報等様々な機会を通じて、医薬品の適正な使用といったことに関する周知、また乱用等に関する防止啓発を目的としたポスター等を作りまして、一般用医薬品を販売する薬局や店舗において購入者に向けた啓発を促すなどの対策を講じているところでございます。

吉田(と)委員 今御説明いただきましたが、乱用等のおそれのある医薬品を購入して、若年層であると確認した場合は年齢を確認しますということですけれども、これは義務なんでしょうか。口頭での確認であって、記録というのは必要ないのでしょうか。

八神政府参考人 口頭での確認をしておりますが、これは義務となっておりますけれども、これを記録として残しているというふうには承知をしてございません。記録を取っているところももちろんございますが、必ず記録を取るというような形にはなっていないと。

吉田(と)委員 乱用のおそれがあるというものですので、オーバードーズのこの背景を考えますと、対応としてはまだまだちょっと不十分なのかなと考えますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。

加藤国務大臣 乱用等のおそれのある医薬品の販売時には、購入しようとする方が若年者である場合には氏名や年齢等を確認することを義務とするなど、様々な対策をこれまで講じてきているところでありますが、先ほど委員御指摘のように、なお若者における市販薬の乱用が課題となっているわけであります。

 医師、薬剤師、アカデミア、製薬企業等の有識者に参集していただいて、本年二月から、医薬品の販売制度に関する検討会を立ち上げ、その販売制度の課題の一つとして、乱用等のおそれのある医薬品の適正な販売方策について検討を行っているところでございます。

 この検討会での御議論の結果も踏まえ、医薬品の乱用を防ぐ適切な販売制度の在り方について検討を進めていきたいと考えております。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 口頭での確認ですと、やはりまた別の薬局で、また別の薬局でと購入して、簡単に何個も購入できてしまうと思いますので、やはり、氏名、名前だけでなく、必ず記名式にすることで、若年層の方は後ろめたさを感じて購入を控えるようになるのではないでしょうか。

 十代の自殺の一因としても、こういった薬物依存、それから市販薬依存というこの関連を推測されているとの指摘もございますので、若年層からのSOS、こういったものにしっかり耳を傾けていく、また、医薬品の取扱いについてはより厳重に扱っていただけるように検討をお願いしたいと思います。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 五月五日といえばこどもの日で、私の地元徳島でもこいのぼりのイベントが行われました。子供たちの健やかな成長と健康を願いましたけれども、一方で、このゴールデンウィーク中、新聞紙面では、またもや痛ましい子供の事故であったり虐待、こういったものが掲載されておりました。

 このように、昨年来、保育園や幼稚園での事故、また保育所内での保育士による虐待行為、こういったものが次々と明るみになっています。保育所は閉鎖的な環境であり、適切な保育が実施されているかどうか、また、自治体の指導監査がしっかり行われる必要がございます。この自治体の指導監査においても、人材不足またコロナの影響もあって十分に行われていないという指摘がありまして、書面チェックが中心で、保育内容を見ているわけではないのではないかと言われています。

 国として、保育の質、これをしっかりとチェックできるような体制を早急に確立すべきではないのでしょうか。見解をお伺いいたします。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、保育所等に対する指導監査については、保育所等の保育内容や保育環境を適切に確保する観点から非常に重要であるというふうに考えております。

 令和五年度の地方交付税措置におきましても、例えば、職員の増員によりまして指導監査の体制強化等が図られているところでございます。また、保育の質の確保という目的を担保しながら、自治体、保育所双方の事務負担の軽減に資するように、自治体における効率的、効果的な指導監査の好事例の把握、横展開等も行っております。

 こうした取組を通じまして、自治体による保育所等への指導監査の実施を後押しをしてまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 保育施設での子供の重大事故件数というのは二〇二一年に二千三百四十七件発生しておりまして、六年連続で増加、過去最大となっています。

 保育施設の事故報告件数、これは、死亡事故、治療に要する期間が三十日以上の負傷や疾病を伴う重篤な事故件数ということで、表の数字に表れていない事故というのがたくさん起きているのではないかと推測します。その中には不適切な事故も隠れている可能性は否めません。

 現在、この不適切な保育の実態把握について調査を進めているということですけれども、不適切な保育というものはどういうものなのか。また、調査に当たる市や区の職員が共通の認識を持っていないのではないかと考えます。報告を受ける際の基準ですとか手続も含めて国としてしっかりガイドラインを作成していただいて、保育園や指導監査をする自治体としっかり共有をしていくことが必要と考えます。

 続きまして、保育士の視点というところで、こういった虐待の問題と安易に労働問題を結びつける、労働環境を結びつけることはできないと思うんですけれども、保育士の方々というのは、やはり専門意識ですね、倫理観というものを持っておられるはずで、こういった人権意識を常に念頭に置きながら子供たちと接する環境、保育観の共有が必要であると思いますが、見解をお聞かせください。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 保育士の業務負担の軽減を図り、働きやすい職場環境の構築を行うことや保育士の人権意識の醸成は、保育の質の確保、向上を図る上で重要だと考えております。

 本年三月に取りまとめました小倉大臣の子供、子育て政策の強化に関する試案におきましても、公的価格の改善について、待機児童解消その他関連施策との関係を整理しつつ取組を進めることや、職員の配置基準の改善について盛り込んだところでございます。

 このほか、国としては、保育補助者や保育支援者の雇い上げの費用やIT化の推進ということで働きやすい職場環境の改善に努めているところでございます。

 また、先生御指摘いただいた保育士の人権意識の醸成につきましては、その養成過程におきまして、教授内容として、子供の人権擁護に関する科目、保育士の専門的倫理や児童福祉法における保育士の欠格事由、信用失墜行為に関する科目などを設け、子供の人権が最大限尊重される保育の実施がなされるよう、職員の意識の醸成を図っております。

 さらには、国におきまして、有識者から自治体、保育指導担当者や保育所等の施設長、保育士等に対して、職員間での保育の内容の振り返り等について研修を実施することなどを行っております。引き続き、保育士が安心して保育に臨むことができるよう、これらの支援に取り組んでまいりたいと思います。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 保育士の方も大変責任が重い仕事で、ストレスとの闘いでもあると思いますので、様々な環境を整えていただきたいと思います。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いいたします。

 私からは、コロナが五類にこの八日からなりまして新たな日常生活が始まっておりますが、これまでのコロナの様々な対策を今振り返り、また検証するときであろうと思っていますので、今日はその中でも情報システムについてお聞きをさせていただきたいと思います。

 新型コロナウイルスに対応するために、政府は多くのシステムを導入してデジタル化を進めてまいりました。今日は資料で新聞記事をつけさせていただきました。急造システム乱立ということで書かれています。様々なシステムがあり、それが有機的に働いたかということで、これらをしっかり検証して次に生かすために、厚労省の取組をお聞きをしたいと思っています。

 新型コロナウイルスの対応で使われなかった幻のシステムとも言われているものの一つに、症例情報迅速集積システム、FFHSがあります。このシステムは、二〇〇九年、新型インフルエンザによるパンデミックを受け、厚生労働省の研究班が一三年から七年をかけて開発をしてきたものでありますが、今回はこのシステムは使われることはなく、厚労省は、感染症情報の把握の効率化を目指した新たな感染症情報システム、HER―SYSを急遽開発し、全国展開をしました。

 長年研究されてきたFFHSでなく、なぜHER―SYSだったのか。この新聞記事の中では厚労省の担当者のお話が出ていますが、省内が混乱していたので詳しい経緯は分からないとあります。これは正確かどうか分からないので、この答弁で余りに無責任と思ってしまうのは私だけではないかと思います。

 まず、当時、FFHSが活用されなかった理由と、そして七年もの歳月をかけて開発をしてきたと思いますが、このシステムは今どのようになっているのかを伺います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の症例情報迅速収集システム、FFHS、これはファースト・フュー・ハンドレッド・システムというふうに呼びますけれども、これにつきましては、新型インフルエンザの発生を想定しまして、国内発生初期に、確定症例が数百例に達するまでの間において、行政対応を効率的に実施することを目的に、厚生労働科学研究費で開発が行われたものでございます。

 具体的には、新型インフルエンザの疑い症例が発生した際に、保健所が医療機関から収集した患者さんの情報と、それから地方衛生研究所における当該患者の検査情報等を、この二つをファクスとOCR機能を用いてひもづけする。OCRは御存じのとおり、光学的な文字認識というものでございますが、ファクスとOCR機能を用いてひもづけし、効率的に検査結果を含めた患者の発生情報を把握するために活用することを想定していたものでございます。

 一方で、今般の新型コロナの保健所対応におきましては、こういった患者さんの情報の収集に加えまして、主に保健所が入力するものでありますけれども、例えば、濃厚接触者の調査でありますとか、あるいは患者の療養管理、これは在宅の安否確認、フォローアップといったようなもの、こういったものの広範な業務を実施することが求められました。そのため、一つ一つシステムをつくっていくということではなくて、統合的なシステムの構築が求められていたところでございます。

 また、電子化の流れの中で、ファクスによる情報共有ではなくて、医療機関から直接オンラインで発生届を提出し、保健所等へ共有することができる仕組みの構築を目指す必要があったということから、研究段階であったFFHSの実運用は行わず、これらの個々の患者の発生届の提出、それから濃厚接触者等の疫学調査、それから患者のフォローアップ、療養管理に至るまでを包括的に管理する新たなシステムとしてHER―SYSを開発したところでございます。

田中(健)委員 説明の、経緯は分かりましたけれども、現在、その研究を七年されてきましたけれども、じゃ、もう今回で打ち止めというか、研究は終わりということでよろしいんでしょうか。

佐原政府参考人 このFFHSにつきましては、コロナ対応におきまして、一部自治体で更なる改良の上活用された事例もあるというふうに我々としても承知をしております。その活用の状況も把握しつつ、今後、どのように公衆衛生施策の実施に当たって生かせる要素があるかどうか、よく検討してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 システム、この研究は終わりで、どうするか検討ということでありますから、そうであるならば、症例数が少なかった、さらには療養管理も必要だったということでこのFFHSは使えなかったということであるんですが、一方、FFHSの評価というものが、同じく厚労省の科学研究費補助金の中で、COVID―19パンデミック対応における情報システムの評価というレポートが、報告が出ています。これは、実際その研究をしてきた奥村先生始め、その方たちが書いたものであります。

 この中には、確かに、今御説明が局長からあったのもあるんですけれども、実際、毎年、パンデミック発生訓練も行ってきた、また、効率的な情報集約体制の確立に向けた検討も進めてきた、今回のパンデミックにおいては、政府は、これら二〇〇九年からの教訓に基づく情報管理体制の多くを放棄し、新規システムの開発と投入を進めた上で、目的を達成できなかったことになるというふうに位置づけております。さらに、HER―SYSが開発されましたが、全国レベルのサーベイランスとレジストリーを混同させたHER―SYSの設計よりも、FFHSの設計が合理的であった、今後の更なる検証が求められるというふうにもあります。

 ですので、もちろん必要性は分かりますし、初期段階においてのシステムだったということも理解はさせてもらったんですけれども、FFHS、さらにはそれに続くHER―SYSの公衆衛生政策としての評価や検証はどうであったのかということは、改めて検証と評価が必要ではないかと考えますが、これに対しては大臣の見解はいかがでしょうか。

加藤国務大臣 今、局長の方から、FFHSとHER―SYSがいかに違うかという説明はさせていただいたというふうに思います。

 HER―SYSの活用については、昨年六月、新型コロナ対応に関する有識者会議の報告書が出され、その果たした役割や浮き彫りとなった課題について言及されたところであります。

 具体的には、当初は保健所がファクスで医療機関から情報を集めて集計しており、HER―SYSの導入により改善が図られたこと、一方で、HER―SYSへのデータ入力を自治体を通じて医療機関に依頼したが、対応できない医療機関が存在したことなどが指摘をされているところであります。

 今お話があったFFHSは、まさに新型インフルエンザ発生の初期段階に迅速に患者の発生情報などを収集することを目的とした研究開発段階にあったもので、HER―SYSとはその目的、特徴が異なっております。

 このシステムというのは、FFHSシステムについて検討した厚生労働科学研究班の報告書では、新型インフルエンザの発生初期における有用性については一定の評価がなされていると承知をしております。

 その上で、現在、新たな感染症サーベイランスについて、昨年十月から運用を始めております。このシステムの開発においては、HER―SYSに関する経験に基づくシステム開発が行われたところでございます。

 このように、ある意味で多少手戻りはあったことは事実だと思いますけれども、これまでの経験を踏まえて、今回の新たな感染症サーベイランスシステム、これをしっかりと運用し、そして必要な改善を図っていきたいと考えております。

田中(健)委員 確かに今の説明でよく分かるんですけれども、しっかり検証と、その評価というのはした方がいいと思っています。

 この中間報告の中に更に具体的に書いてあるんですが、HER―SYSに関しても、どれくらいの早さでデータが集まって、逆に、どれくらいのデータが集まらなかったのか。また、関係する利用者、病院や診療所、保健所、厚労省において入力に際した負担や、入力側にどれだけ還元されたか、そういったメリットもやはりしっかりと評価をした上で、このシステムがどうだったかというのを検証した方がいいということがあります。

 是非、また新しいサーベイランスシステムに今、このHER―SYS、移るということではあるんですけれども、しっかりとした検証をし、そして説明を果たしていただきたいと思っています。単に私も批判をしたいわけではなくて、やはりこれまでの総括をしっかりした上で、そして次に進むというのが大事だと思っています。

 といいますのも、この記事にもあるように、感染入力情報、効率化が進むということで、HER―SYSは時間がたつにつれて変化をし、効率化が進められてきました。国民と医療機関、保健所、個人の保健医療情報を半ばこの危機の中で強引につないで、最終的にはMyHER―SYSというように個人がプッシュ型で連絡さえもできると。それを一千万人規模で使われたということも重大な事実でありますし、大変にこれは変化をしていく過程であったと思っています。

 つまり、導入やつくりというのはいろいろ課題があったと思っていますけれども、次につなげるべき、ある意味、HER―SYSも壮大なシステムであったとも言えるんじゃないかと思って、質問させてもらいます。

 さらに、話を進めますと、この中にあります、厚労省が同じ時期に導入したG―MIS、病床の稼働率や医療物資の状況が分かるシステムですけれども、これも活用が進まなかったと言われている一つであります。入力項目が多く、医療機関の作業が進まず、即時情報も得られないということが言われています。多くの都道府県は、このG―MISを使わずに、それぞれ県独自で病床確保を、また管理をしたということも言われています。

 これが機能すれば大きな役割も果たせたかと思いますが、このG―MISについては、コロナが五類になったとはいえ、医療情報という点でこれからも利用されるということで、先日、各都道府県や医療機関に通知が出されたところであります。

 この医療機関の情報支援システム、G―MISがこれから果たしていく役割、さらに、これは個人のワクチン接種のVRSやEMISなどの他のシステムとも情報連携を進めていくということでありますが、これについて伺います。

加藤国務大臣 先ほどのHER―SYSも別に検証しないわけじゃなくて、HER―SYSも逐次バージョンアップしてきて、そこに当たっては、いろいろな課題をいただいて、それを反映をして、入力件数をできるだけ絞ったり、いろいろな改良を加えてきた。まさにそういう努力をこれからもしていく必要があると考えております。

 御指摘のG―MISは、新型コロナ対策として令和二年に運用を開始したところでございます。具体的には、病院の稼働状況とか、あるいは医療機器や医療資材の確保状況の把握、こういったものに活用させていただきました。

 現在では、新型コロナ関連だけではなく、幅広く医療提供体制に関する調査を実施するプラットフォームとして運用を図っているところでございます。引き続き、医療機関を対象とする各種調査プラットフォームとして機能させ、また、各調査において重複する項目を整理し、医療機関の入力負担を軽減していくことで各種調査の精度を上げ、あるいは都道府県の政策立案や、また国における感染症対応に資するよう、更にバージョンアップを図っていきたいというふうに考えております。

田中(健)委員 具体的に、じゃ、EMISについてちょっとお聞かせいただきたいんですけれども、EMISは、資料にあるように、一九九六年の阪神・淡路大震災を契機に開発されたシステムであり、災害時の情報収集を目的としたものではあるんですけれども、医療資源情報の病院や消防や行政等への提供やDMATの業務の支援も機能を持っているということです。しかし、これは大変古いシステムで、このシステムも今検討が進められておるということであります。

 是非、これも新たに一からつくり直すような形ではなくて、ちょうど今回の入札が八日に終わったばかりなんですが、フルスクラッチで再度開発をするのではなくて、既存のローコードツールを使うということが入札の情報に載っていたんですけれども、しっかりそのように、これまでの反省や、またこれまでの経験を生かしたシステム開発を進めていただきたいと思います。そしてそれを、G―MISとともに今度の医療情報のプラットフォームに生かしていただきたいと思うんですが、それについて参考人の方、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 EMISは、今お話あったように、災害時における医療機関の被災情報や災害派遣医療チーム、いわゆるDMAT等の活動状況等を関係機関で共有するプラットフォームとして運用し、また、先ほどのG―MISとEMISについても連携を図るべく、例えばシングルサインオンの実装、あるいは医療機関名等の情報連携により、システムを利用する医療機関や自治体の負担軽減なども図らせていただいたところでございます。

 それぞれについて、今お話させていただいたように、どんどんどんどん改善を図っていく、また重複がないようにしていく、そして連携を深めていく、さらに、今申し上げたG―MIS、EMIS以外のシステムの連携の可能性、こういったことについても引き続き検討していきたいと考えています。

田中(健)委員 是非お願いしたいと思います。この急造システム乱立で、何かマイナスなイメージというよりも、これを乗り越えてどのようなシステムをつくるのかということがこれから大きな課題となってくると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 引き続き、里親の家庭措置解除のサポートについて質問したいと思います。

 本委員会でも改正児童福祉法を議論をしまして、原則十八歳までとなっている年齢上限を撤廃をいたしました。十八歳や二十歳以後の自立支援というのは見直されて、支援の手だての整備が進んでいます。

 一方で、大学進学等自立生活支度金や就職支度金などは措置解除を条件としているため、措置延長しながら就職する人、大学生や、また進学だけでなく就職した人というのは支給対象外となっています。この自立支援のメニューと併せて措置の支給ができるように対象を広げていったらどうかと考えますが、いかがでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございました大学進学等自立生活支度費と就職支度費でございますけれども、対象となるお子さんの就職、大学等への進学に際して措置を解除した後に必要となる当面の生活費などを支弁する、それを賄うために支給するものということで、この措置が解除された際に支給されることとなっております。

 この措置費でございますけれども、就職や大学進学などした時期と措置を解除するまでの間に、期間が空いているときにどうするのかという話なんですが、確かに、御指摘のように、就職や大学進学のタイミングそのときずばりでの支給ではございませんが、就職や大学進学と措置解除の間隔が空いた場合でも支給の対象自体にはなりますので、具体的に御説明申し上げますと、措置延長しながら就職をする方でございますとか、あるいは大学への進学をした方、措置延長してその間大学にも並行して進学された方につきましても、追って改めて措置解除をした際にはこれらの支度費を支給申し上げる、そのような仕組みになってございます。

田中(健)委員 これまで原則十八歳でしたので、十八歳がちょうど進学や就職のタイミングでしたので、そこで措置解除がされると支度金が措置されるということであったんですけれども、今回延長が決まり、二十歳まで延長がされますと約二年間ブランクがあります。先ほど、今御説明いただいたように、二年たって措置解除がされれば支度金をもらえるという話なんですが、二年たって、就職をして二年たって支度金とか、大学進学の支度金と言われても、やはりちょっとタイミング、そして期間のずれがあると思いますので、是非御検討をしていただきたいと思います。

 さらに、ちょうど二十歳で措置解除になった里親のお宅にお聞きをしたんですけれども、この制度を分からなかったということで、十八歳じゃないともらえないと思っていたという方もいらっしゃるので、是非分かりやすい通知や周知徹底をお願いしたいと思います。

 さらに、満の年齢で自立となって措置解除する者へのアフターフォローでは継続的に里親が関わることができますが、それ以前の年齢の措置解除については里親による支援の継続がされません。この理由としては、小学生や中学生で家庭復帰をした場合、児童相談所が見守りを継続している、その状況は前にいた里親や施設には知らされないということが挙げられます。これは、ある児童相談所の説明によりますと、厚労省から出ている子供の手引に基づいての情報守秘の扱いということであります。

 里親や施設職員は委託児童に関する守秘義務があります。情報守秘という理由でこれまでの関係やその子供に関する養育のノウハウをその場で断ち切るのではなくて、関係者としてアフターフォローという形で関わることができるように工夫ができないかと考えますが、いかがでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 家庭復帰を果たした子供であるとか、あるいは実親に対しまして再び措置委託をしなければならないというような事態に至らないようにするために、御指摘ございました児童相談所でございますとかあるいは近隣自治体、こういったところでの見守りを行っていただくなど、適切にアフターケアといいましょうかアフターフォローといいましょうか、こういったことをしていくということは重要であると考えています。

 そうした中で、子供と実親、元里親の関係が良好な場合に、里親への委託の解除の後にも元里親と子供の交流を行うなど、元里親による支援が行われているケースもあるとは承知をしてございます。

 一方で、元里親と里子、それと実親との間では法律関係がないというのが措置解除後の状態でもございますので、そうした法的関係の下の中で、措置解除、措置委託の解除後に里親の方が引き続き里子さんとどのように関わるのかと考えていくためには、ちょっといろいろな課題もあるのかなというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、委託解除後の里子の方々あるいはその御家庭に対する支援につきましては、御指摘もありました昨年の法改正の中で親子再統合支援事業といったものの創設がされましたので、これは来年四月からの施行でございますので、それに向けてしっかり準備に取り組んでいくとともに、児童相談所が元里親の方のノウハウを実親に伝えるなどによって里子に対するアフターケアの充実を図ることも含めまして、いろいろな取組を考えていきたいというふうに考えております。

田中(健)委員 是非検討していただきたいと思うんですが、措置解除や家庭復帰後に、児童相談所や市町の担当課や前にいた里親、さらに施設の職員、そういう方を介してアフターフォローのケース会議などが持てれば子供たちの将来にも大変に役に立つと思いますし、さらには、子供たちが自分たちの昔、小さいときどんなだったかということをそういう人たちを介して聞くことができるような温かい地域社会ができるかと思っていますので、お願いしたいと思います。

 以上、時間となりました。ありがとうございます。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 ようやく日本でも経口中絶薬が承認されました。選択肢が広がります。

 しかし、今回の承認はWHOの中絶ケアガイドラインと異なる点が多々あります。WHOのガイドラインでは、選択肢として遠隔医療や薬剤による中絶の自己管理を推奨しておりますが、日本の承認においては、母体保護法指定医師の確認の下での投与、そして、当分の間は入院可能な有床施設において使用すること、こうされました。

 そこで、まず費用の問題からお伺いしたいと思います。

 中絶薬は、世界平均で見ますと価格が千円程度と言われておりますが、報道によりますと、日本産婦人科医会が、薬の価格はおよそ五万円と見られ、診察料などと合わせると十万円程度になることが予想されるとしております。これだと今の中絶手術と価格は変わらない、こういうことになるわけですね。ですから、選択肢が増えると思っていたのに十万円じゃ高過ぎる、こういう声が大きく広がっております。

 まず大臣にお伺いしたいと思いますが、今回の経口中絶薬による中絶費用の自己負担額というのは幾らぐらいと見込んでいるんでしょうか。

加藤国務大臣 今委員御指摘の経口中絶薬はメフィーゴパックだと思いますが、これについては、四月二十一日の薬事・食品衛生審議会薬事分科会において承認して差し支えないとされ、これを受け、四月二十八日に承認を行ったところでございます。

 現時点においては、本剤は我が国でまだ未発売となっており、厚労省において本剤による中絶費用は把握していないところでございます。

宮本(徹)委員 把握していないということですけれども、問題は、これは本当に、十万円と言われておりますけれども、十万円では中絶が必要な人がアクセスしづらいという状況が変わらないわけですよね。

 資料の七ページ目を見ていただきたいと思いますけれども、自己負担額によって医学的に安全な中絶のタイミングを逃した経験があった、こう答えた病院勤務医が一五・四%、診療所の医師が一八・五%ということになっているわけですね。アンケートの記述を見ますと、中絶費用を工面するのが難しいということでタイミングを逃し、出産されて、子供を特別養子縁組として託された方がいた、あるいは、お金を集めるために時間がかかってしまって、中期中絶になってしまったなどなど、深刻な状況が記されているわけです。

 やはり、この中絶費用の自己負担額の重さによって医学的に安全な中絶のタイミングを逸する方がいる、こういう事態は放置できないんじゃないかと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 人工妊娠中絶の在り方を含めて、妊産婦その他母性の保健向上に関すること、これは今こども家庭庁の所管となっておりますので、同庁において必要な検討がなされるものと考えております。

 他方で、厚労省に関して申し上げれば、健康保険制度を預かっております。同制度においては、例えば重度の妊娠高血圧などの理由で妊娠の継続が母体にとって危険な場合において、その状態を解消する治療として中絶が行われるなど、治療上の必要性がある状況で行われた中絶については保険適用となっているところでございます。

 また、出産育児一時金についても、死産であることは問わず、妊娠満十二週以降の出産に対して支給がなされているということで、人工妊娠中絶の場合でも、こうした場合には支給されるというのが現状の運用となっているところでございます。

宮本(徹)委員 まず、保険適用は治療の必要がある場合ということになっていて、治療の必要に当たらない場合は保険適用にはならない。そして出産一時金についても、中期の段階までならないと当たらないわけですよね。中期になってからの中絶というのはなかなか本当に大変なわけですよ。ですから、大変な苦しみが生まれているわけですね。

 これまでは出産について、これは病気じゃないから治療には当たらないということで保険適用は困難だとずっと答弁が続いてきましたけれども、今度は出産については保険適用しましょうということになったわけですよね。でしたら、あわせて、私は是非中絶についても保険適用について真剣に考えなければいけないと思いますが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、人工妊娠中絶については、現行制度で、治療上の必要性がある状況で行われた中絶については保険適用となる一方で、経済的理由による中絶等、治療上の必要性がない状況で行われた中絶については、疾病や負傷の治療等に当たらないため保険適用となっていないということ。また、出産育児一時金については、生産、通常の分娩ですね、また死産を問わず、妊娠満十二週以降の出産に対して支給されるものであり、人工妊娠中絶の場合でも支給されるというのが今の制度でございます。

 健康保険上、出産は疾病や負傷とは別の保険事故として今位置づけられており、出産育児一時金として現金給付が行われているところであります。仮に出産を保険適用することとした場合は、これは現物給付で行うということになるわけですが、その場合、中絶の取扱いをどうするか、現状の取扱いも踏まえて議論していく必要があるだろうというふうに考えております。

宮本(徹)委員 現状の取扱いを踏まえると、なかなか保険適用に進んでいかないわけですよね。

 ですけれども、WHOのガイドラインの日本語版を、私、抜粋して、今日資料でお配りしておりますけれども、昨年出されたWHOのガイドラインでも、中絶ケアを可能とする基礎となる環境ということで三つ掲げられているわけですけれども、その一つとして、誰もがアクセスできて、手の届く価格で、利用しやすい、よく整った保健医療制度であることということで、WHO自身が、ちゃんと、保健医療制度で、誰もが手の届く価格でアクセスできるように中絶はしなければならないということを推奨しているわけですよね。ですから、是非ここは、しっかりと中絶についても保険適用というのは私は真剣に考える必要があると思います。

 その上で、今日は、こども家庭庁の所管になってしまったということで、私も本当に、何でこども家庭庁に、厚労省の、この区分けが大変おかしいなという思いを持っているわけですけれども、自見政務官にも来ていただきました。

 自見政務官にお伺いしたいと思いますけれども、中絶費用の自己負担額の重さによって医学的に安全な中絶のタイミングを逸する方がいる事態というのは放置できないんじゃないかと思いますが、お医者さんでもあると思いますので、お答えください。

自見大臣政務官 お答えいたします。

 人工妊娠中絶につきましては、母体保護法に基づきまして、指定医師が妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるものに実施することができることとされておりまして、人工妊娠中絶の必要性や実施時期、方法等が適切に判断されているものと考えてございます。

 こども家庭庁といたしましては、性と健康の相談事業といった事業がございまして、これによりまして、予期せぬ妊娠に悩む女性に寄り添った相談支援の体制を今整備をして推進をしているところでございます。

 引き続き、関係省庁や関係団体と連携しながら、母体保護法の適切な運用に努めてまいります。

宮本(徹)委員 私のお聞きしたことにお答えになっていないんですけれども。

 この調査を見ましても、中絶費用の自己負担額の重さによって必要な安全な中絶のタイミングで中絶ができない方がいらっしゃる、これは放置できないんじゃないかということをお伺いしているんですけれども、その認識はいかがですか。

自見大臣政務官 繰り返しになって恐縮でございますけれども、こども家庭庁といたしましては、性と妊娠の相談センター事業といったものがございまして、予期せぬ妊娠に悩む女性に寄り添った支援というものを行ってございます。

 こういった事業と併せまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

宮本(徹)委員 ですから、相談ももちろん大事ですけれども、負担額の重さというのがこの問題であるということなんですよ。そこについてはどういう認識でしょうかということをお伺いしております。

自見大臣政務官 お答えいたします。

 治療上の必要性がある状況で行われている人工妊娠中絶につきましては、医療保険が適用され、自己負担の軽減が図られているところであります。

 他方で、現在でありますけれども、自由診療で行われている場合には、個々の医療施設によって価格設定が行われているという現状がございます。

 先ほど加藤大臣からも御答弁ございましたけれども、るる御検討が進むということもございますが、公費によって自己負担の軽減を行うということについては慎重に検討する必要があるということも考えてございます。

宮本(徹)委員 なぜ公費での負担軽減を慎重にしなきゃいけないんですか。WHOは、誰もが手の届く価格で利用しやすい整った制度にすべきだということを言っているわけですよね。その点を慎重にしなきゃいけないというのはおかしいんじゃないですか。

自見大臣政務官 先ほどから繰り返して大変恐縮でありますけれども、加藤大臣も御答弁されたこともございますけれども、様々な論点が、ここから議論が進んでいくことかと思いますが、自己負担ということの御指摘もございました。この点につきましては、人工妊娠中絶そのものにつきましても、個人の倫理観や家族観等様々な課題もあることから、国家的な合意形成も必要な課題だともまず認識しております。

 その上で、我々のこども家庭庁の事業の中で、性と健康の相談センター事業というものがございまして、こちらは、悩んでいる妊婦さんに対しまして様々な支援を行っております。例えばでございますけれども、こちらの方の予算額といたしましては九・五億でございまして、その内数でございますけれども、産科受診をするための支援ですとか、あるいは受診するための費用、さらには、拡充をいたしまして、交通費も一件当たりの受診に二千円など、様々な具体的な支援も行っているところでもあります。

 こども家庭庁といたしましては、引き続き、予期せぬ妊娠に寄り添った支援をしっかりと進めてまいりたいと存じます。

宮本(徹)委員 やはり中絶費用の無償化だとか自己負担費用の抜本的な引下げというのは、私は必要だと思うんですよね。先ほど、慎重に考える理由として倫理観だとか家族観だとかというお話をされましたけれども、倫理観とか家族観とかというのがなぜこの自己負担費用の引下げと関係するのか、私、今の答弁を聞いていて、全く理解できません。

 加えまして、今回の経口中絶薬の服用については、厚労省は、原則、配偶者同意が必要としているわけであります。ここにも批判の声が上がっています。リプロダクティブヘルス・アンド・ライツ、産むか産まないかを決めることは女性の基本的な人権であります。

 WHOのガイドラインをつけておりますけれども、本人以外のいかなる個人、団体又は機関の承認の必要なく、女性、女子、その他妊娠した人の希望に応じて中絶できるようにすることを推奨するとしているわけですね。

 世界で中絶に配偶者の同意を必要としているのは、日本を含む約十か国程度であります。G7では日本だけです。

 先ほどのアンケートの後ろにNHKの調査もつけておりますけれども、十ページのところも御覧になっていただきたいと思います。配偶者同意要件がある下で、配偶者が中絶に同意せず女性に対して出産の強要が行われるということも、産婦人科医師の一一・三%が場面に遭遇していると。あるいは、性暴力を夫に打ち明けられないというケースも少なくないわけですけれども、にもかかわらず、配偶者同意を求める運用が広く行われております。

 未婚やDVで婚姻関係が破綻している場合は配偶者同意は不要とされておりますけれども、実際には、訴訟リスクやトラブルを恐れて同意を求める運用が行われており、医療機関をたらい回しにされたり、中絶が困難になる深刻な事態が起きております。

 私は、憲法十三条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」この憲法十三条に照らしたら、配偶者同意要件というのは憲法違反じゃないかと思いますが、いかがですか。

自見大臣政務官 お答えいたします。

 母体保護法におきまして、人工妊娠中絶には原則として配偶者の同意が必要とされておりますが、配偶者が知れないときや意思を表示することができないとき、また、妊娠後に配偶者が亡くなったときは本人の同意だけで足りることとされております。

 また、令和三年三月でございますが、新たに当時厚労省から考えを示しておりますけれども、配偶者からDV被害を受けているなど、婚姻関係が実質破綻しており、人工妊娠中絶について配偶者の同意を得ることが困難な場合は本人の同意だけで足りる場合に該当するとの解釈を明確化して、関係機関に周知を図っているところであります。

 母体保護法における人工妊娠中絶の配偶者同意要件につきましては、議員立法の制定当時からある規定でございまして、立法府にて合憲であるとの判断の下に定められたものであると考えてございます。

 引き続き、関係省庁や関係団体等と連携して、母体保護法の適切な運用に努めてまいりたいと存じます。

宮本(徹)委員 これは戦後の直後に作られた優生保護法から来ていますから、ある意味、戦前の古い家族観を引きずっているというのがこの配偶者同意要件につながったんだと思うんですよね。しかし、どう考えても女性の自己決定権を奪っているわけですよ。女性自身が、自分の体、自分の人生が他人によって左右される。これはどう考えても、今の憲法の解釈から考えたら、私は明々白々な憲法違反だと思いますよ。

 加えて、男女共同参画局に来ていただきましたけれども、夫婦間のDVの例として、嫌がっているのに性行為を強要する、中絶を強要する、避妊に協力しないなどの例示がされております。中絶をしたいという女性に対して、配偶者が同意せずに出産を強要するというのは、これはDVに当たり得るということでよろしいですね。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 配偶者暴力防止法におきましては、配偶者からの暴力を、配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動と定義しており、こうした暴力の防止や被害者の保護のため、配偶者暴力相談支援センター等を通じた必要な相談支援等を行っているものです。

 御指摘の配偶者が同意をしないといった事例については、個別のケースにより様々な状況があり得ることから、配偶者暴力防止法の配偶者からの暴力に当たり得るかについては、一概にお答えすることは困難です。

宮本(徹)委員 一概に当たり得るか分からないとおっしゃいますけれども、場合によっては当たり得るというのが今の答弁かと思いますが、基本的に、どう考えても、配偶者がこの法律を盾に、同意せずに出産を強要するというのは、私はDVの定義からしたら、これはまさにDVに当たると思いますよ。そういうことを法律上認めてしまっているのが今の母体保護法なんですね。

 自見政務官、お医者さんですから、医療現場のこともいろいろお詳しいと思いますけれども、配偶者同意要件があることによって、女性の側の意見だけで中絶したのは問題だと医師を訴える訴訟というのもこの間起きております。去年の十二月にも、資料の十一ページにつけておきましたけれども、その訴訟の判決もありました。

 ですから、こういう訴訟を回避するために、女性がDVだと説明しても、医療機関の側が配偶者同意を求める運用を行っている医療機関というのは少なくないわけです。配偶者同意要件によって、医療現場も大変苦慮している状況があると思います。

 読売新聞の調査を見ましたら、岡山県医師会、産婦人科医師の七割以上が配偶者同意要件の撤廃を求めているわけですよね。私、こういう声を多分自見政務官もお聞きになったことがたくさんあるんだと思うんですよ。

 先ほど議員立法で作られた法律だということをおっしゃいましたけれども、与党の皆さんも含めて、これはおかしいと思っている方、たくさんいると思うんですよね。これは見直しに向けて、是非、与野党を超えて、配偶者同意要件は廃止していく、このために力を合わせていきたいと思いますが、最後、自見政務官から一言もらいたいと思います。

三ッ林委員長 自見内閣府大臣政務官、答弁は簡潔にお願いします。

自見大臣政務官 お答えいたします。

 母体保護法におけます人工妊娠中絶の配偶者同意要件につきましては、一九四八年の議員立法による制定当時からある規定でございますが、その廃止につきましては、個人の倫理観、家族観等に関わる難しい問題でもございます。様々な御意見や御議論があることから、国民的な合意形成が必要だと考えてございます。

 こども家庭庁といたしましては、引き続き、関係省庁や関係団体、また妊婦さんの声、様々連携いたしまして、母体保護法の適切な運用に努めてまいります。

宮本(徹)委員 個人の倫理観、家族観で中絶をしたい女性に対して中絶をさせないことができるようなことがあったら、おかしい話なわけですよね。配偶者同意要件については本当に一刻も早く廃止するしかないということを強く申し上げまして、質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 質問をしたいと思います。

 大臣、最近、SNSを通じてのSTD、性病の感染が問題視されておりまして、中でも梅毒、あるいはまた、SNSを通じての、生殖補助医療にも関係します、例えば精子がつくれないパートナー、夫も含めてでございますけれども、その精子をいただくというか、ドナーとしていただくようなことで行われる、いわゆる医療の現場ではAIDと言われますけれども、そういった事案に関しまして、まず大臣、御認識があるかどうか。そして、あるとするならば、どのようにお考えかをおっしゃっていただきたいと思います。

加藤国務大臣 精子提供と何の関係。ごめんなさい。(仁木委員「SNS、ソーシャルネットワークサービスです」と呼ぶ)

三ッ林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

三ッ林委員長 速記を起こしてください。

 加藤大臣。

加藤国務大臣 済みません、突然の御質問なのでちょっと。ただ、知っているかということについて、そうした精子に対する売買というのが行われているというのは存じ上げていますが、SNSを通じ云々という手段まではちょっと承知しておりません。

仁木委員 実は、大臣、この前、NHKの「クローズアップ現代」でも取り上げられましたが、SNSの普及というか、若い方々の活用によって、今まで以上にそういった安易な出会いがあって、結婚とか出会いにも、実は最近、SNSがつながっているというのも大臣は御案内だと思いますけれども、人と人との出会いにおいてSNSがかなり媒体となっていまして、その中で、安易に性行為に及んでSTDが広がっている。その中でも、東京都もそうでございますけれども、梅毒とかが広がっているという事案があるわけですね。

 大臣も、そのことに対して認識されているという御答弁だったと思うんですけれども、そういったことを受けて……。認識されていないですか。もう一度。

加藤国務大臣 ごめんなさい、精子の売買と聞こえたものですから。今のは梅毒のお話で、通告は、梅毒のことについてSNSはという話がありましたので、そこは認識をしておりますけれども。

 その梅毒への感染が報告された人数について、二〇〇〇年が七百六十例だったところ、近年、年々増加し、昨年が一万二千九百六十六例ということで、大変、我々としても注意を要する状況だと思っておりますし、また、この流行については、性風俗産業との関係が依然として示唆をされております。

 性感染症の感染経路について尋ねたインターネット調査では、アプリやSNSを利用した不特定の性的接触が多かったとする報道があったところは承知をしておりますが、私どもの発生動向調査では、梅毒の増加と、アプリやSNSの関係については明らかとなっていないというのが今の状況であります。

 梅毒については、更に実態を把握し、今般の流行拡大の要因等を分析する必要があります。本年度から梅毒に関する研究班を開始し、必要な調査を行うとともに、梅毒の感染拡大防止にしっかり取り組んでいきたいと考えております。

仁木委員 また個別に時間を取って、取り組み方もまた具体的なことを教えていただきたいと思いますが、かつての性風俗とか、そういうところ以外にやはり増えているということを私は問題視しておりまして、特に、例えばそのことが、梅毒のみならず、例えばクラミジアとか、あるいは淋病とか、あるいは様々な性病、例えばHPV、ヒューマンパピローマバイラスという子宮頸がんとか咽頭がんを惹起するようなウイルス感染もあるわけでございまして、特にクラミジア感染とかでは不妊症の原因にもなったりします。そういったことをやはり啓発していく、いわゆる社会的なことも重要でございますが、特にジェンダー教育というのは、日本はまだ取組が少ないと思います。

 今日、文科省の方も政府参考人でお呼びしておりますけれども、こういった性教育、命の教育、そういったことを、より今の現状も踏まえながら、媒体を通じての出会いが今容易に起こる中で、そういったことも踏まえながら、小中学生とかも含めて、具体的に教育していく、あるいは啓発していくことは大切だと考えますが、いかがでしょうか。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 学校における性に関する指導につきましては、学習指導要領に基づきまして、児童生徒の発達段階に応じて指導することとされております。特にエイズ及び性感染症とその予防につきましては、中学校及び高等学校の保健体育科において指導されているところでございます。

 具体的には、性感染症の感染経路や予防、また、性器クラミジア感染症や淋菌感染症、また性器ヘルペスウイルス感染症、また梅毒などの病原体や潜伏期間、主な症状、エイズの特徴やHIV感染の予防などについて学習されているところでございます。

 また、こうした指導に当たりましては、教育委員会、保健部局が連携しまして、産婦人科医や助産師さん、また、そういった専門家の方々を外部講師として活用するということを促すということで取り組んでいるところでございます。

仁木委員 具体的には、出前授業等々で専門の産婦人科医師等と協力して、担当の、担任の先生とコラボして教えられるような、そういう命の教育の現場が望ましいと思いますので、よろしくお願いします。

 二問目でございますけれども、二〇二四年から始まります医師の働き方改革、これは、本丸は大学というところで働く医師の働き方、非常に重要だと捉えておりまして、私も過去にこの質問をしたことがあります。

 大学というところは、臨床のみならず、研究、そして教育という機関でございまして、実際、私も振り返ってみると、朝七時に行って夜一時とかいうのが毎日のような研修医時代、その当時は新研修医制度、今の研修医制度の前の時代でございますので、あったと思います。

 いろいろこのことに関しまして、大臣、調査もされているみたいでございますが、まず、労働基準的な形でいうと、大切な時間の集計がなされていないように思うわけでございますけれども、調査対象も自己申告制、場合によっては医師にGPS的なものをつけて、どれだけ病院の中に滞在したかとか、そういうのを分かるようなシステムをつけてデータとして出している事例もありますけれども。

 地域医療をあくまでも担わなきゃいけない、また研究ということも非常に大切なわけでございますけれども、私の希望としては、大臣、労働基準監督署のそれぞれの方々に、一人一人の、特に大学の医師の勤務実態をよく分かっていただいて、やはり、そこで指導をして、指導というか、医師の健康が守られるような、労働基準法の理念に合ったような働き方改革につながるような形にしていただきたいと思いますが。

 これは来年から始まります。このことに関して、私はそういう具体的なことを一点申し上げましたが、大臣、こんな案はどう思われますか、私の言ったことは。

加藤国務大臣 特に大学病院で働く方、大学の中で、もちろん医療の対処、医療行為をされる、治療をされる、それから研究をされる。それから更に出てくるのは、他の病院で兼業、副業をされる、これが特に分かりにくいところであります。

 ただ、一般的に、その副業、兼業を行う労働者の労働時間管理については、労働基準法の規定に基づき、自らの事業場と、本人の申告などに基づき把握した副業、兼業先の事業場の労働時間を通算して対応しなさいということになっております。

 したがって、医師の場合においても、一般労働者と同様に、本人の申告などに基づき把握した副業、兼業先での労働時間を通算して、いわば時間管理を行うこととなります。

 厚労省としては、医療機関に対し、労働時間管理の必要性を周知し、医療機関から医師に対して適切な自己申告を促すようこれまでも働きかけをしておりますが、医師が自らの健康を確保しながら国民の健康の維持に取り組んでいただけるように、我々として対応していかなきゃなりません。

 委員から労働基準監督署の話がございました。

 労働基準監督署においても、医療機関の働き方改革に向けた自主的な取組を支援をしておりますし、いよいよ来年からは医師の働き方改革も次のフェーズに移っていくわけであります。基準監督官には、医師の働き方改革や時間外労働の上限規制などについて理解した上で適切に対応するよう指示しているところであり、引き続きこうした取組を継続していきたいと思っております。

仁木委員 大臣おっしゃっていただいたように、大学の医師、一般的に民間に比べて給与が安いという、欧米とは逆現象が起こっていますよね。このことも議論がありました。

 それで、やはり、大臣が今おっしゃったように、外の病院でパートをしている場合の働き方が、日直、当直、場合によっては単なる寝当直みたいな場合もあるわけですけれども、例えば産婦人科とか、あるいは外来をばりばりやっているケースもありまして、それは、明らかに残業とか、あるいは就労している場面にあるわけでございますので、そのことも踏まえてやっていただきたいと思います。

 そこで、背景にあるのは、研究、特にアカデミアと称されるように重要なんですけれども、やはり、これは大臣が所管は違いますが、日本の大学運営交付金等々が削減されて、研究に携わるマンパワーが本当に不足していまして、研究員でずっとやりたいという人がやりたくてもやれないような実態が経済的な背景であります。

 そういうことで、大臣の方からも、大学の働き方、特に、臨床のみならず、大学のドクターはさっき言ったように教育も併せてやっています。ですから、文科省ともよりコラボしてやっていかなきゃいけませんので、大臣がそういう労働基準監督署の方々を通じて得た情報も基にして、やはり、その方々が経済的にも安定した中でやりたい研究、やらなければいけない研究、そして教育もやれるような予算を、また一緒に政府の方に、政府というか総理の方に言って、日本の将来のために増やすよというようなことも言ってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

 これは、具体的に言うと、臨床の場ではメディカルクラークってありますよね。それで、研究補助員とかあります。あるいは、いろいろな教材とかを準備する、教育を補助する、そういったスタッフにもお金がある。お金があれば、その一人一人のドクターの負担軽減になります。そのことをどう大臣、思いますか。

加藤国務大臣 それぞれ役所が必要な予算の要求をいたしますから、文科省は文科省で、我々は我々で必要な予算をしっかり確保するべく努力をしていきたいと思っておりますが、ただ、今おっしゃるように、医師の働き方を守っていく、そのためには、今、多分おっしゃりたいのは、処遇の問題が出てくるんだと思います。

 特に大学の場合には、大学にいるのと治療するのと一緒の形でやっているということがございますから、そうしたことを含めて、そうした医療環境、勤務環境、これを処遇を含めてどう充実していくのか。これは、我々としてももちろん関心を持って取り組まなきゃいけない課題だと思っておりますし、また、特に大学病院ということであれば、文科省との連携ということも出てまいります。よくその辺の連携を図りながら、働く方々が、特に医師が、働き方改革を通じて、自らの健康を維持しながら国民の健康を守っていただけるように努力をしていきたいと思います。

仁木委員 ありがとうございます。

 大学病院のありようというのは、地域医療を担う意味でも拠点でございますから、大切なので、大臣おっしゃっていただいたような形で、よりよい環境になることを望みたいと思います。

 最後になりますが、介護保険の利用について申し上げたいと思います。

 一例でございますが、例えば、介護の現場では、ベッドとか車椅子、そういったものが使われます。ただ、大臣、これは異常に高いというか、例えばベッドが、購入すれば三十万ぐらいなんですけれども、介護保険で、例えば十割とすると、もう二年でその三十万円が支払われるぐらいの額面になっています。一般に一割負担の方が多いわけでございますから。

 私が申し上げたいのは、車椅子も、六年使えるものが一年で償還できるような、それぐらいの介護の実際の支給額になっていまして、実際、そういった介護の利用者さんが介護サービスを決めるときに、ケアマネさんの介護プランによってなされることが多いわけです。私は、こういった実態、例えば病院のベッドとか、誰か使ったところで、実はそこに行って入院して、そこで寝ていますよね、あるいはいますよね、患者さん。でも、介護はまた新しいものを購入したりとかいう形になっているので、これは介護事業でベッドとか車椅子を作っている業者に対してはちょっと言いにくいことかもしれませんが、実際、限られた資源を有効に使うということでいうと、介護のほかの、例えばリハビリとか予防介護につながったり、患者さんのADL向上のため、維持のためにつながるようなサービスを使った方がいいと思うわけですね。

 つまり、大臣、余分というか、もっと減らせるような介護用品、ベッドとかあるいは車椅子があるという実態をまず御存じかどうか。これは通告を出していますので御案内だと思いますけれども、そのことに対しての私の意見、どうでしょうか。

加藤国務大臣 委員は、介護ベッド等が月ぎめであろうと非常に高いということを多分おっしゃっておられるんだと思います。

 福祉用具貸与については、市場の競争を通じた適切な価格による給付が行われるよう、保険給付上の公定価格を定めず、現にかかった、現状のいわば市場取引における価格に基づき給付を行うのが原則でありますが、平成三十年十月から、貸与件数が一定程度ある商品については貸与価格の上限を設定して、価格の適正化に取り組んでいるところでございます。

 どこまでの費用が毎月払う費用の中に含まれているのか、単に物品代だけなのか管理費用なのか何やかんやが入っているのか、その辺があるので一概には、単にこれが百万として、例えば十年、割って一年で十万だけれども実際払うのが二十万で、それが高いかどうか、これは一概にはなかなか言えないというふうに思いますけれども、介護保険そのものは皆さんからいただいている保険料で賄っているわけでありますから、適切な給付が行われるよう努力していきたいと考えています。

仁木委員 ありがとうございます、前向きな御答弁。

 改めて、大臣、実態をまた再検討あるいは調査されまして、よりよい介護につながっていくということをお願いしたいと思います。

 時間が過ぎていまして、いろいろまた聞きたいこともありましたが、また次回にしていきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

三ッ林委員長 次に、内閣提出、国立健康危機管理研究機構法案及び国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。加藤厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 国立健康危機管理研究機構法案

 国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

加藤国務大臣 ただいま議題となりました国立健康危機管理研究機構法案及び国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 まず、国立健康危機管理研究機構法案について申し上げます。

 次の感染症危機に備え、感染症その他の疾患に関し、調査、研究、医療の提供、人材の養成等を行うとともに、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症の発生及び蔓延時において、疫学調査から臨床研究までを総合的に実施し、科学的知見を提供できる体制の強化を図る必要があります。

 このため、国立感染症研究所と国立研究開発法人国立国際医療研究センターを統合し、国立健康危機管理研究機構を設立することを目的として、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、国立健康危機管理研究機構について、特別の法律により設立される法人とするほか、国立健康危機管理研究機構の目的等に関する事項を定めることとしています。

 また、第二に、国立健康危機管理研究機構の役員として、理事長及び監事を厚生労働大臣が任命し、副理事長及び理事を厚生労働大臣の認可を受けて理事長が任命することとするほか、それらの職務及び権限等を定めるとともに、理事会を置くこととしています。

 第三に、国立健康危機管理研究機構の役員及び職員の報酬及び給与並びに服務について、所要の規定を設けることとしています。

 第四に、国立健康危機管理研究機構の業務の範囲等について定めるほか、その適正な業務運営のため、厚生労働大臣が、中期目標の策定、中期計画の認可、各事業年度の終了後における国立健康危機管理研究機構の業務の実績等に関する評価を行うこと等を定めることとしています。

 第五に、厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、国立健康危機管理研究機構に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができることとする等、監督について所要の規定を整備することとしています。

 第六に、国立健康危機管理研究機構の設立準備に係る規定を設けるほか、国立感染症研究所の職員に関する経過措置、国立研究開発法人国立国際医療研究センターの解散に伴う措置等に関する事項を定めることとしています。

 最後に、この法律の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日としています。

 次に、国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について申し上げます。

 この法律案は、国立健康危機管理研究機構法の施行に伴い、関係法律について、所要の規定の整備を行うものであります。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、地域保健法において、地方衛生研究所等を明記し、情報提供や人材育成等における地方衛生研究所等と国立健康危機管理研究機構との連携に係る規定の整備を行うこととしています。

 第二に、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における厚生労働大臣の事務について、その一部を国立健康危機管理研究機構に行わせるため、国立健康危機管理研究機構への事務の委託等の所要の規定の整備を行うこととしています。

 第三に、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく政府対策本部の会議への国立健康危機管理研究機構の長その他の役員の出席及び意見聴取について、所要の規定を設けることとしています。

 最後に、その他国立研究開発法人国立国際医療研究センターの解散及び国立健康危機管理研究機構の設立に伴う関係法律の所要の規定の整備を行うこととしています。

 以上が、二法案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

三ッ林委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官奥野真君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官浅沼一成君、健康局長佐原康之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松本尚君。

松本(尚)委員 自由民主党の松本尚でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、今提案のありました国立健康危機管理研究機構法案について質問をさせていただきたいと思います。

 この法案は、国立国際医療センター、NCGMと、それから国立感染症研究所、NIIDを一体的に統合しまして、内閣感染症危機管理統括庁とそれから厚労省の感染症対策部の両方に科学的知見を提供する新たな専門家組織とすることを目的としていると言われております。

 私は、先般、この法案の提出に際して、NCGMとNIID、両方を視察してまいりました。

 NCGMでは、この三年余りの新型コロナウイルス感染症にこの病院がどう対応してきたかということについて、現場の医療従事者の皆さんから直接お話を伺うとともに、その体制というものも確認してまいりました。

 また、NIIDの方では、研究機関としての設備を確認して、特に東京オリンピックを機に体制整備をされました感染症危機管理研究センターの緊急時対応センター、エマージェンシーオペレーションルーム、EOCも見せていただいたわけです。特にEOCは世界の感染症の発生動向の情報集約拠点であって、感染症危機の発生時であるとか、あるいは大規模のイベント開催時に、情報の収集、あるいはリスクの評価、サーベイランス等を実施している、非常に機能的な組織になっているなという印象を強く持ったわけであります。

 この視察を通しまして、これは本当に行ってよかったなと思っているんですけれども、NCGMとNIIDの両方の機関、組織が、この法律が定めるところの機構の業務であるところの、感染症そしてその他の疾患に対する予防と医療に関しての情報収集と分析、調査研究、それから技術開発、医療提供、国際協力、人材養成などを実行するための知見と経験、そして体制を整えているというふうに強く感じた次第であります。

 そこで質問なんですけれども、この国立健康危機管理研究機構でありますけれども、いわゆる日本版CDCというふうに言われています。しばしばこれは米国のCDC、センター・オブ・ディジーズ・コントロール・アンド・プリベンション、これと比較されるのでありますけれども、この本機構と米国のこのCDCの共通点、そして相違点、どういうところにあるかということをちょっと確認をしておきたいと思いますので、お答えいただきたいと思います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 国立健康危機管理研究機構とアメリカCDCにつきましては、感染症危機に対応するための情報収集、分析や助言、専門家派遣といった基本的な機能は両者でほぼ同じでございますが、他方、これらの主な違いといたしましては、例えば、アメリカCDCは所掌分野が感染症以外も幅広く含み、政策立案機能を有することなどが挙げられることに対しまして、機構は自ら病院という臨床機能を持つこととしており、これによりまして、基礎から臨床までの一体的な研究成果に基づく科学的知見を迅速に提供したり、治療薬等を迅速かつ効率的に開発したりすることができるようになると考えております。

 機構が感染症に関する科学的知見の基盤、拠点として、司令塔である内閣感染症危機管理統括庁等に対して、質の高い科学的知見を迅速に提供できる組織となるよう、創設の準備を進めてまいりたいと考えております。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 日本の国民全体は、日本版CDCという言い方をして、これは正式にはどういう名称になるかちょっと僕も知りませんけれども、長いのでできるだけ簡潔にしてほしいなと思いますが、同じものができるというふうに思っている可能性が非常に強くて。ですから、今おっしゃった違いというものが国民の皆さんにはきちんと分かるようにしないと、アメリカでできていることが何で日本でできないのかというふうな、反論というか批判というか、こういったものにつながっていくというのはないようにしなければいけないんじゃないかなと思って、あえて質問をさせていただいたんですけれども。

 今お答えがありましたように、アメリカのCDCは、感染性疾患、非感染性疾患、産業保健、それから公衆衛生サービスと実践的な科学、公衆衛生科学とサーベイランスなど、今お話ありましたが、感染症のみならず、米国内外の健康危機と様々な健康課題に対応している組織だというふうになっています。

 一方、本機構は、このうち感染性疾患のみを対応している、取りあえず、感染性疾患のみなんでしょうか。それとも、将来的にはもう少し、非感染性疾患に対する危機管理というようなものも対象にしているのか、ちょっと更問いになって申し訳ないんですけれども、お答えいただけませんか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 将来どのようになっていくかというのは、またその時々で御議論をまたなければなと思っていますが、当面の間は、やはり感染症危機に迅速に対応できる組織となるように、この機構の組織に取り組んでいこうというふうに考えているところでございます。

松本(尚)委員 ありがとうございます。ごめんね、急に更問いになって。申し訳ありません。

 取りあえず、まずは感染症からしっかりと対応していくようにしていただきたいというのは当然でございますけれども、私、この名前として、健康危機管理と結構広めに、内閣の方は感染症とついているんですよね、こちらは健康危機というふうにしているので、そういった何かしら将来的な意図があるのかというようなことを少し気にかけたわけであります。

 名は体を表すと申しますので、その辺りのところは、いろいろと意見もあると思いますけれども、国民に対して誤解が生じないような進め方をしていただきたいと思っています。

 先ほどお答えにもありましたように、本機構と米国の一番大きな部分というのは、本機構が病院機能を有しているということだと思います。現在のNCGMはその役割を担うことになるわけですけれども、NCGMは、そうすると、感染症対応の臨床面での総本山になるんだから、常時感染症の専門病院となるべきというふうな意見も実はあります。私のところにも入ってきますし、そんなふうな意見もある。私も最初は、そういうふうにするのかなというふうにも思っていました。

 計画では、NCGMは、これまでどおりの診療体制を維持しつつ、感染症危機に対応するということになっているんですけれども、そうしますと、平時においてNCGMが総合病院機能をこのまま維持しておくという必要がどのところにあるかという、その必要性についてお答えをいただきたいと思います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 感染症は全身疾患でございますので、また、感染症有事におきましては、基礎疾患を有する患者や合併症を併発する患者、あるいは妊婦や高齢者等といった、感染症治療に加えてそれ以外の医学的管理が必要な患者も多く、国立国際医療研究センターはそういった患者を積極的に受け入れてきたところでございます。

 機構におきましても、こうした総合的な診療機能を引き継ぐことは、感染症の最前線での医療機能を維持し、重症患者等の診療機能の強化につながるとともに、感染初期において積極的に患者を受け入れることにより、感染初期の知見を収集、分析するなど、質の高い科学的知見を迅速に獲得することに資するものと考えております。

 また、国立国際医療研究センターは、地域の医療提供体制の中でも、外国人患者や救急搬送の積極的な受入れなど重要な役割を担っており、こうした観点からも、総合的な診療機能を維持する必要があると考えているところでございます。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 サージキャパシティーという言葉があって、いつどの規模で発生するか分からない新興感染症とか、あるいは再興感染症にベッドを空けておいたり、有事に、ほかの医療機関からそういったときにいきなり医療者を集めたりするということも、これはこれで意外とハードルは高いというところもありますから、平時においてNCGMが総合病院として運営されていて、いざというときにそういった人材あるいはリソースを含めて、そちらを振り向けていくということは必要だと思います。

 今のお答えもよく理解はできるんですけれども、例えば直接それほど感染症に関わらないような診療科もあるわけですよ。あえて具体的な診療科を言えば整形外科とか。そういった診療科をふだんから持っておく必要というのは本当にあるのというふうになると、それはそれでいいにしても、いざというときに、整形ばかり言って悪いんですけれども、例えば、整形外科の病棟も全部感染症に振り替えちゃって、そこで仕事をしているナースたちも、そういうときは一気にふだんの衣を脱いで感染症に対してしっかりと対応できるナースになっているんですよというような体制を整えるのか否かというところは、非常にみんな聞きたい。特に医療者は、そういう病院にするのというふうに思いがちだと思うんですけれども。

 その辺のところは、これは通告していないのでできる範囲内でいいんですけれども、そういうふうな病院になるの、ならないのというようなところは、どんなふうなイメージをされているんでしょうか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の点でございますが、もちろん今回、新型コロナウイルス感染症という感染症危機を経験した我が国といたしまして、やはり、感染症対策に資するべき医療機関あるいは研究機関、これは是が非でもつくりたいという気持ちでおります。

 そこで働く看護師さん、もちろん医師もそうなんですが、を始めとする職員全体の皆さんにつきましては、新興感染症対応の研修などもしっかりやらせていただきまして、感染症に強い病院にするというところを考えております。もちろん、診療科はいろいろございますが、どの科におきましても、感染症と関わりのない科はないと私は思っておりますので、是非まず職員の意識を変えて、感染症に強い、平時はしっかりとした日常診療を行う、ただ、感染症有事のときは、組織一丸となって感染症対策に挑んでいくということを強く望んでいるところでございます。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 通告のない更問いだったんですけれども、非常に力強い意見表明だったと思いますので、結構もやもやしたものは吹っ切れた感じがします。感染症に強い病院、日本一感染症に強い病院にしないといけないというふうに思いますので、今の話は是非理事長にもお話をしていただきたい、僕も言っていたよと言っておきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 今お話があったように、患者さんはいろいろな患者さんがいます。基礎疾患を持っていたり、高度な医療が必要なとき、当然、集中治療もふだんからやっていないといけないし、一定以上の診療レベルを維持するという点においては、今のNCGMはもう一定以上のレベルはしっかりと持っているわけですから、そうした総合病院としての機能を維持しながら、感染症有事に対して、最先端の一番感染症に強い医療機関として機能するということを期待したいと思います。

 同時に、今お話もありましたように、優秀な人材を集めるという意味で、ふだんからの人材育成については、本当に間断なく進めていっていただきたいというふうに思います。

 このサージキャパシティーに関して、例えば、未知の新興感染症が国内で発生しましたと。その場合、本機構において、当該感染症に対して、最初にどんなものか分析や調査研究をやるのがNIIDで、最初に医療提供を行うのがNCGMだということになるんですけれども、そういった物すごい最初のフェーズにおいてNCGMが受け止められる患者数というのは、最大どれぐらいを想定しているのか。

 もし、その上限を超えて患者さんがぶわっと発生したときに、まだ、この感染症がどういう原因、原因は感染症なんだけれども、どういうふうな振る舞いをして、どんな治療法が必要かという見込みが全く立っていないような状況のときに、NCGMでできる上限を超えているような状況のときに、一体どういう医療機関に対してサポートというものをお願いするような想定をされているんでしょうか。お願いします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症対応におきましては、国立国際医療研究センターでは、感染症患者用や結核患者用の病床あるいは個室病床の確保などにより、最大八十床程度を新型コロナウイルス感染症患者向けに確保してきたところでございます。

 こうした対応を踏まえ、次の感染症危機に備えまして、新たに創設する機構が初動対応等の期待された役割を果たせるよう、更に多くの患者を受け入れることができるよう、準備を進めているところでございまして、具体的な数字は、今のところ目標はないんですけれども、できる限り多く、この数字にとどまらず、更に病床が確保できるよう、先ほど申し上げた研修の充実、さらに、人員体制の強化、そして、これからお答えいたしますが、近隣病院との連携なども踏まえた上で、創設前から取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

 そのためには、先ほど申し上げたとおり、平時から、感染症診療、院内感染対策のスペシャリスト、そうした方々も養成しなければいけませんし、看護師を始めとする職員全体に対する研修の充実、これも取り組んでいかなければいけません。

 あとは、近隣病院の件でございますが、例えば、新興感染症が発生した場合におきましては、地域全体で病床確保をどうするかということが課題となります。その場合、発生早期の段階では、現行の感染症指定医療機関の感染症病床を中心に対応することとなりますが、次に、その他の医療機関でも対応していただけるよう、昨年の感染症法の改正によりまして、特に、流行初期から病床確保や発熱外来の対応を行う特別な協定を締結した医療機関に対しまして、感染症流行前と同水準の収益を保障する流行初期医療確保措置を法定化し、感染症医療提供体制を確保することとしております。

 引き続き、地域における病床確保の取組も進めてまいりたいと考えているところでございます。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 マックス八十を今想定しているということですけれども、NCGMは七百床ぐらいありますから、一割ちょっとぐらい。国民の目線で言って、そういった新興感染症が一気に広がったときに、八十かよというふうな印象はないとも限らない。したがって、是非この数字をできるだけ伸ばしていただけるように努力を進めてほしいなというふうに思います。

 あと、キャパシティーがオーバーしてしまったときにいろいろな病院にお願いをする格好になると思いますけれども、そういったときに、人材が結局散逸してしまう可能性ってすごくあるわけですよ。そういったことのないように、できるだけそういう病院をある程度絞り込んで対応できるようにした方がいいんじゃないかなということは、ちょっと個人的にはアイデアとしては考えていますので、また御検討いただきたいと思います。

 さて、この三年間の政府のコロナ対策においては、感染の抑制とそれから社会経済活動の維持をどっちを優先するか重視するかということで、専門家の皆さんの発言と政府の対応で食い違う場面というのがしばしばあったかなと思います。政府の政策方針が示されるその前後において、例えば、新型コロナ対策の分科会の方からそれに反するコメントが出るというようなことも、オリンピックの開催云々のときが特にそうだったと思いますが、出たりもしました。国民がそれによって大きく混乱したということもあったと思います。

 そういった反省も踏まえながら、国立健康危機管理研究機構と、それから内閣感染症危機管理統括庁とか、厚労省の感染対策部との関係というものをちょっと確認をしておかなきゃいけないと思っています。

 まず、これまで、政府に新型コロナ対策の分科会ができて、厚労省にはアドバイザリーボードというのができていました。これはいろいろと法律に基づいてそうなっているんだろうと思いますけれども、国民はこういったものの関係性とか意思決定のプロセスが判然としなかったというふうに思うんですけれども、本機構が設置されますと、厚労省のアドバイザリーボードというのはこれまで同様にやはり設置されることになるのか、もしそうであれば、その場合は両者の関係性というのはどんなふうにたてつけていくのかということを伺いたいと思います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 国立健康危機管理研究機構は常設の研究機関でございまして、平時から感染症に関する情報収集、分析等を行い、質の高い科学的知見を内閣感染症危機管理統括庁や厚生労働省に提供する役割を担うことになります。

 一方、御指摘のアドバイザリーボードは、例えば新型コロナウイルス感染症対策を円滑に推進するに当たりまして必要となる医療、公衆衛生分野等の専門的、技術的な事項につきまして、厚生労働省に対し必要な助言等を行う会議体でございました。

 今後、新たな感染症が発生した際におきましても、国立健康危機管理研究機構が質の高い科学的知見を提供する役割を担うことになりますけれども、アドバイザリーボードに相当する助言を行う役割を果たす会議体を設けるか否かはその時々の状況を踏まえて適切に判断していくことになると考えているところでございます。

松本(尚)委員 どういう状況だったらつくって、どういう状況だったらつくらないというところが今のお答えだと余り明確ではないんですけれども。それはそれとして、二つそういったものをつくっちゃうと、平時だろうが有事だろうが、どういうふうに、その政策、要は、多分、アドバイザリーボードと、それから新しい機構の中のメンバーって結構かぶるような感じもするし、本当に二つつくる意味があるのかというふうに思うんですけれども、その辺についてはどう思ったらいいんですか。よろしくお願いします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 国立健康危機管理機構はあくまで常設の研究機関でございますので、例えば、疫学情報に基づくある感染症の流行状況だとか、ウイルスを、あるいは細菌の場合でも、遺伝子、ゲノムまで分析して、どういう性状を持っているかとか、あるいは、臨床の症状を集約して、どういった症状がこのある感染症は多いのか、そういったことを科学的に分析するいわゆる研究機関でございます。

 それに対しまして、アドバイザリーボードを代表する会議体というのは、あくまでそういった科学的知見に基づきながら、医療、公衆衛生分野の専門的、技術的な事項に対しまして、厚生労働省に対しまして必要な助言、具体的な政策提言的なものを与えるような会議体ということで、いわゆるその会議体自身で何かを研究するのではなく、会議体の中で政策立案のための議論をしていただくということで、物としては別々のものというふうに考えております。

松本(尚)委員 何かまたもやもやしてきてしまったんですけれども、僕が分かっていないのかな。とにかく、国民に分かりやすくしていかなきゃいけないので、せっかくつくる機構なんだから、アドバイザリーボードの代わりは十分この機構でできるんじゃないかというふうには思うので、その点のところはちょっと確認をしておきたいと思います。

 先に行きますけれども、内閣でつくる統括庁があって、それから感染症対策部が厚労省の中にあって、この法律では、機構は科学的知見を総理大臣及び厚労大臣の方、いわゆる内閣の統括庁と感染対策部に報告するというふうになっていますけれども、このことというのは、いわゆる統括庁があって、それからその下に感染症対策部があって、そこにまた機構がぶら下がっているという、縦のちゃんとした指揮系統というか、そういったものができているのか、それともできていないのか。

 資料の二の丸印のところを見ていただくと、何となく、縦じゃなくて、感染症対策部と機構というのは横並びになっているような気もするんですけれども、その点についてどういうふうになっているのかは、これはちょっと大臣に伺いたいと思います。

加藤国務大臣 まず、国立健康危機管理研究機構は、内閣感染症危機管理統括庁、ここは総合調整機能を持っているわけでありますから、広い意味ではそのアンブレラの下に入っていて、直接には厚生労働大臣が監督するということで、まさに、厚労大臣、したがって厚生労働省感染症対策部の監督の下にあるというのが位置づけであります。

 その上で、もうこれまで説明がありました、機構は、いろいろな知見を統括庁からの求めに応じて提供したり、あるいは政府対策本部における、意見を述べる、こういった機能の役割が期待をされているわけでありますので、日頃から統括庁また厚労省の感染症対策部とよく連携を取らせていただきたいというふうに思っております。

 それから、その前にアドバイザリーボードの話がありました。アドバイザリーボードの中でこれまでは分析等もかなりやっていた、そういった部分はかなり今回の新しい機構の方に行くんだろうと思いますが、ただ、そこには、例えばリスクコミュニケーションの専門家に入っていただいたり、あるいは実際保健の現場の方からも声を聞いたり、やはりそういった部分が必要な場合には、そうした皆さんに集まっていただいたり議論をさせていただくということは当然求められていくんじゃないかなということで、常設的に言えば機構でありますし、また、必要なことがあればアドバイザリーボード的なものをつくっていく、こういうことになろうかと思います。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 内閣の統括庁もそうだったんですけれども、あれも質問した後に野党の皆さんも同じ質問がいっぱい出てきて、結局何かというと、組織図がちゃんとしていなかったというか、ポンチ絵はあるんですけれども、今の資料の二みたいにあるんですけれども、それが明確に出てこない。

 ですから、今回も、この機構とそれから統括庁も含めて、ちゃんとした組織図をやはり作っていただきたいなというふうに思います。それをやらないので、僕みたいな質問がもしかしたらこれから先も出てくるかもしれないですけれども、誰がどういうことを上申して決めていくかということをしっかり決めておいていただきたいと思います。

 時間がなくなってきたので、一つ飛ばして最後の質問なんですけれども、政府の分科会長が政府と異なるコメントを出したというのは、僕は非常に国民が混乱したと思っていて。本機構が設置された場合に、政府対策本部に機構の長が助言を出したりすることができると書いてありますが、そういったときに、最終的に政府の方がいわゆる感染制御の部分で機構が思っているようなことと離れた政策を決定した場合に、機構がそれに対して異論を唱えるということは想定しているんでしょうか。こういった場合に、どういうふうに国民に対してアナウンスをしていくかということを大臣から最後に伺いたいと思います。

加藤国務大臣 まず、国立健康危機管理研究機構そのものは、先ほどCDCとの話もありましたけれども、政策の立案とか決定するという機能を持っているわけではなくて、科学的知見を提供するというのが今回のポイント。ただ、そのためには、基盤をつくって、一番最新の情報を常に集め、そして、それを内閣感染症危機管理統括庁や厚生労働省に提供していただくということであります。

 物を決める際には、まさに機構から提供された科学的知見もベースにして政府において議論し、そして答えを出していくわけでありますから、当然、その段階では機構の科学的知見も踏まえ、また、いろいろな専門家の御意見も聞いて実施をするということであります。

 こういったプロセスを考えると、既に決定した段階では機構から出された科学的知見はもう十分踏まえているわけでありますから、追加的な新たな知見が出てくればそれはまた変わる場合もあると思いますけれども、そうでなければ、特段、そこに機構から、しかも、先ほど申し上げた、政策立案、決定をするわけではございませんから、そういった場合において異論が出てくるということはないんだろうというふうに思います。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 今の大臣の答弁で何となくすっきりした感じはしますけれども、機構の人たちは恐らくすごい専門家なので、そういう専門家を踏まえて政策が立案されて、それが余り取り入れられないと、いや、違うのにといって、後でいろいろなことを言ってしまうというようなことのないようにしないと、だから、十分そこはうまくもんで出し方を注意しないと、また同じようなことになってしまうので、それだけは是非ないようにしていただきたいということを申し上げまして、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道です。

 公明党は、新型コロナの流行第一波の渦中でありました二〇二〇年三月に政府へ提出した提言で、米国で対策の司令塔を担うCDCに倣った日本版CDC設立へ具体的な検討を行うよう要請をさせていただきました。また、その後も、二〇二〇年の党大会で、感染症対策の司令塔機能強化を掲げるなど、一貫して訴えてまいりました。

 次の新たな感染症がいつ登場するのかは誰にも分かりません。平時からの実践的な訓練、研修を積み重ねるとともに、内閣感染症危機管理統括庁と本法案で設置される健康危機管理研究機構とが密接な連携を図りながら、感染症危機に迅速、的確に対応できる体制を構築する必要があると考えます。加えて、昨年成立した感染症法の改正による協定締結医療機関や地方自治体との連携も必要であります。

 そこで、次の感染症危機に対する国や地方自治体の取組の中で、創設される健康危機管理研究機構に期待される意義と役割、そして国民にどのようなメリットがあるのか、是非、加藤厚生労働大臣、御見解をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 次の感染症危機に備え、司令塔として内閣感染症危機管理統括庁が設置をされ、感染症対応能力を強化するために厚労省に感染症対策部が設置されることに伴って、国立健康危機管理研究機構は、地方衛生研究所などと連携をしながら、統括庁等に対して科学的知見を迅速に提供する役割を担うという位置づけであります。

 機構においては、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターの統合等により、まさに基礎から臨床までの一体的な研究基盤、また全国的な情報基盤を構築し、それを活用することで、科学的知見の質とその提供のスピードが強化されるということが期待されるところであります。

 統括庁と厚労省と機構が緊密に連携をし、政府としてより科学的根拠に基づいた感染症対策を迅速に推進する、まさにそれが求められてきたわけでありますから、まさにその求めに応じることができる体制を構築していきたいし、また、そうした形で運用していきたいと考えています。

佐藤(英)委員 統合される国立感染症研究所、いわゆる感染研には、厚生労働副大臣時代の二〇二二年五月と、公明党の厚生労働部会として同年十二月に訪問させていただきました。国立国際医療研究センター、いわゆるNCGMには、厚生労働副大臣時代の二〇二二年五月に訪問させていただき、日本版CDC設立に向けて、関係者の方々から貴重な御意見をいただきました。

 感染研やNCGMは、コロナ禍という全世界的なパンデミックへの対応において、我が国への新型コロナウイルス感染症流入の当初から、公衆衛生や医療提供などの各分野について、様々な関係機関の先駆けとして検査方法や治療方法を早期に確立し、我が国のコロナ対策において重要な役割を担っていただいたと思います。この場をかりて、感謝を申し上げたいと思います。

 今回の感染研とNCGMの統合により、両者の強みがどのように生かされて、一層強化されるのか、是非、大臣、御見解をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、これまでの国立感染症研究所、また国立国際医療研究センターに対して御評価いただきまして、ありがとうございます。

 この法案では、ウイルス学や細菌学など感染症に関する基礎的研究能力を有し、感染症サーベイランスの情報のまとめ役ともなる国立感染症研究所と、医療機関を有して治療や臨床研究で感染症対応の最前線に立ってきた国立国際医療研究センターを一体的に統合することで、先ほど申し上げましたが、基礎から臨床までの一体的研究を高いレベルで実施できる研究機関とすることができると考えております。

 この機構の創設によって、具体的に申し上げると、感染初期に数百例程度の検体や臨床情報などを迅速に収集し、分析するなどの初動対応が強化されること、また、感染初期の患者受入れ機能や重症患者の診療機能が強化をされていくこと、また、国内外の共同治験ネットワークで中核的役割を担うことにより研究開発力が強化されること、こういったことを是非図り、科学的知見の質とスピードの強化につなげていきたいと考えています。

佐藤(英)委員 極めて重要な使命と役割があると思います。

 米国のCDCは、病院等の医療機関を持たないで、国民に対し医療を提供する役割は担っていないと聞いております。一方、この度の機構法案では、機構の業務として医療の提供が掲げられております。NCGMにおいては医療が提供され、コロナ禍では迅速なコロナ治療方法の確立にも大いに役立ったと私は理解しております。そして、機構法案では、提供される医療の内容は感染症その他の疾患とされており、必ずしも感染症のみの治療だけではありません。主たる任務は感染症への対応であると考えられる機構ではありますが、その他の疾患を含めて医療を提供する意義は何なのか、教えていただきたい。

 また、NCGMは、地域の医療提供体制の一翼を担っています。統合後も、機構による医療提供機能は維持されると聞いておりますけれども、地域における医療提供体制の統合による影響の有無についてもお聞かせください。

 そして、我が国には、高度専門医療や研究を行う他のナショナルセンターや大学病院等の医療機関が存在します。機構が行う医療提供と、他のナショナルセンターや大学病院等が行う医療提供にはどのような役割分担や違いがあるのか、機構が行う医療提供体制の特色はどのようなものなのか、お伺いします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 感染症は全身疾患でございまして、感染症有事におきましては、基礎疾患を有する患者や合併症を併発する患者、妊婦や高齢者といった感染症治療以外の医学的管理が必要な患者も多く、国立国際医療研究センターはそういった患者を積極的に受け入れてきたところでございます。

 機構におきましても、こうした総合的な診療機能を引き継ぐことは、感染症の最前線での医療機能を維持し、重症患者等の診療機能の強化につながるとともに、感染初期において積極的に患者を受け入れることにより、感染初期の知見を収集、分析するなど、質の高い科学的知見を迅速に獲得することに資するものと考えております。

 また、ナショナルセンターや地域医療との関係についてでございますが、ナショナルセンターは国の医療政策として行うべき医療において重要な役割を果たしており、このうち、国立国際医療研究センターは、国際的感染症、エイズ、肝炎、国際医療協力など、他のナショナルセンターや大学病院等が十分にカバーし切れない分野について中心的役割を担うとともに、地域の医療提供体制の中におきましても、外国人患者や救急搬送の積極的な受入れなど重要な役割を担っているところでございます。

 こうした役割あるいは責任は機構においても引き続き果たすこととしていることに加えまして、感染症に関する臨床研究の拠点といたしまして、国内外の関係機関と連携し、質の高い科学的知見を迅速に獲得することができるように取り組んでまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 今国会では、機構法案と整備法案に先立ちまして、内閣感染症危機管理統括庁を内閣官房に設ける法案が成立をいたしました。感染症危機に備える司令塔機能の強化と日本版CDCの創設についてはかねてから公明党も強く求めてきたところでありますけれども、新たに設置される内閣感染症危機管理統括庁と機構とは、やはり、平時、有事を問わず緊密に連携をしていく必要があるのではないでしょうか。

 内閣感染症危機管理統括庁が設けられ、強化された政府の司令塔機能において、健康危機管理研究機構に期待される役割、特に機構と政府の司令塔との連携について、大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 組織的には、内閣危機管理統括庁の総合的な調整の下で、また、厚労省の監督下において国立健康危機管理研究機構が位置づけられているということは先ほども説明をしたところでございます。

 その上で、機構は、政府の司令塔である内閣感染症危機管理統括庁などに科学的知見を提供する役割を担うものでありまして、具体的には、機構は、平時から感染症に関する情報収集、分析を行い、質の高い科学的知見を統括庁などに提供すること、統括庁等の求めにも応じて調査研究などを行い、政策決定に必要な科学的知見を迅速に提供すること、有事には、政府対策本部長の招集を受け政府対策本部で意見を述べることにより、統括庁等の政策決定につなげることとしております。

 こうした機構に期待される役割がしっかりと果たせるよう、これは常日頃から統括庁、機構、厚労省、よく、三者、連携を取りながら事に当たっていきたいと考えております。

佐藤(英)委員 次の新たな感染症がいつ登場するのかは不明でありますけれども、可能性は低いとされますけれども、新型コロナウイルスが強い毒性のものに変異することもあり得るわけであります。それぞれ改正された法律の全てが施行されるまでにはまだ時間が必要でありますけれども、法の施行前であっても、可能な取組はできるだけ前倒しして進めるべきではないでしょうか。

 法施行前であっても、法律の施行の準備を含めて、可能な感染症対策の取組を進めるという前向きの姿勢で臨んでいただきたいと思いますが、見解を伺います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 昨年の臨時国会で成立しました感染症法等改正のうち、例えば、都道府県等が策定する予防計画の記載事項の充実や、都道府県と医療機関等の間で協定を締結する仕組み等の法定化については、令和六年四月一日を施行日としております。しかしながら、予防計画の策定に向けた各都道府県の関係者による議論は今年度中に行うこととしているほか、施行日前においても都道府県と医療機関等の間で協定を締結することができるよう改正法に規定しておりまして、都道府県等と連携して改正感染症法の円滑な施行に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、今国会で成立しました新型インフル特措法及び内閣法の改正により設立されます内閣感染症危機管理統括庁におきましては、政府行動計画の見直しを行うこととしておりますが、統括庁設置前から、これまでの新型コロナ対応についての検証作業に着手していくものと承知をしております。

 また、国立健康危機管理研究機構においては、本法案においては令和七年度以降の創設としておりますが、機構の創設前から、昨年の臨時国会で成立した改正感染症法に基づく全国的な情報基盤の強化や、臨床情報、検体等を国立感染症研究所と国立国際医療研究センターで集約、解析する取組の推進等、科学的知見の基盤整備に取り組んでまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 現在、感染研の村山庁舎は、BSL4施設、いわゆる高度安全試験検査施設としての指定を受けております。私も、厚生労働副大臣時代の二〇二二年六月に訪問させていただきました。

 BSL4施設は、エボラ出血熱の原因ウイルスのような一種病原体等の危険度の高い病原体を安全に取り扱うためには必要不可欠の施設でもあります。ただ、BSL4施設として稼働するに際しては、地域の皆様の御理解を得るまでに一定の時間を要した経緯もあります。

 感染研のBSL4施設は、統合後も、引き続き現在と同様に、その役割を果たすという理解でよろしいのか。また、地域における連絡協議会の参加など、機構発足後のBSL4施設の運営についての地域の安心を確保するための対応が十分行われるという理解でもよろしいのか。地域の方々の理解がしっかりと得られるようにしていただきたいけれども、統合後の取組についてお伺いします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 国立健康危機管理研究機構は、国立感染症研究所が受けております特定一種病原体等所持者の指定を引き継ぎ、関係する試験研究を実施することとなります。このため、試験研究は、武蔵村山市に所在いたします国立感染症研究所村山庁舎のBSL4施設を引き続き活用して実施することとしております。

 また、これまでの武蔵村山市との調整経緯を踏まえまして、国立健康危機管理研究機構は、国の責任において国立感染症研究所が行ってきた特定一種病原体等に係る試験研究につきまして、その社会的必要性及び重要性に鑑み、国の監督指導の下で実施していくこととしています。

 厚生労働省といたしましても、これまでの武蔵村山市との確認事項も踏まえまして、機構とともに、施設運営連絡協議会等による地域の方々とのコミュニケーションを引き続き実施してまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 是非、よろしくお願いしたいと思います。

 現在、長崎大学においてBSL4施設の整備が進められていると承知しております。長崎大学のBSL4施設には、我が党の山口代表が視察に訪れるなど、公明党も本格稼働に向けて応援しており、今後の活躍を期待しているところであります。

 長崎大学のBSL4施設が稼働するまでの予定やスケジュール、長崎大学にBSL4施設が設けられる意義について、そして、長崎大学と機構にそれぞれ置かれるBSL4施設の役割分担を教えていただきたいと思います。

奥野政府参考人 お答え申し上げます。

 長崎大学のBSL4施設につきましては、平成二十八年十一月の、国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議の決定等を踏まえて、長崎大学が、事業実施主体といたしまして、国の必要な支援を受けつつ、病原性の高い病原体を用いた学術的研究に関して中核を担うべく、必要な施設設備や地域理解の促進に向けた取組等を進めてきたところでございます。

 現在、令和三年七月には施設の建設が完了し、現時点では、エボラウイルスなどの病原性の高い病原体を用いた実験を開始するために必要な厚生労働大臣の指定等の手続に向けまして、施設設備の試運転や実験者の教育訓練等の準備が行われているところと承知しております。

 また、役割分担につきましては、さきに述べましたとおり、長崎大の施設につきましては学術研究に関して中核を担うこととされてございまして、同施設と連携を期待されております、御審議されております機構のBSL4施設の方につきましては、有事におけるファーストレスポンダーとしての役割と機能、特に迅速で精度の高い検査機能及び治療体制の確立を担うことが期待されているものと承知しておるところでございます。

 文部科学省といたしましては、関係省庁と連携しつつ、長崎大のBSL4施設の実験開始に向けまして、BSL4施設を活用した研究開発や施設の安定的な運営等に必要な支援を行ってまいる所存でございます。

佐藤(英)委員 次に、新たな感染症が登場した場合に、迅速にワクチンや治療薬を開発できる必要性は改めて指摘するまでもありません。コロナ禍において、感染研やNCGMでは、コロナ治療薬やコロナワクチンについて様々な研究開発が実施されたと承知しております。一方、国産コロナワクチンや国産コロナ治療薬の開発に時間がかかっているとの声もあります。その要因としては、国内製薬メーカーの開発力の低下や、有事における迅速な薬事承認手続の在り方などについて、様々な指摘があります。感染症の有事における新たなワクチンや治療薬の開発研究のサポートは必要不可欠であり、国としてしっかりと実施すべきであります。

 今回の統合により、新たな感染症が登場した場合におけるワクチンや治療薬の開発について、国のサポートがどのように充実するのでしょうか。迅速なワクチン、医薬品の研究開発にどのような貢献が期待できるのでしょうか。これは大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 今般の新型コロナへの対応を通じて、ワクチンや治療薬の開発力あるいは生産力、これをしっかり日本として持ち、また高めていくことが必要だということを認識をし、これに対して、研究開発あるいは生産に対する様々な支援措置を、厚労省あるいは他の省庁が支援をして、今進めさせていただいています。

 それに加えてもう一つ、もう一つというか幾つかありますが、製薬企業と医療機関の治験に関する調整の問題も生じていたわけであります。

 こうした問題に対応するため、国立健康管理研究機構が、平時から医療機関に対して治験等の協力を求めていく。また、感染症発生時において製薬企業から相談を受けた場合に、一元的に協力医療機関を紹介することができるネットワークを構築して、そういった治験に入る環境をしっかりつくる。さらに、国内だけではなくて、海外、国際的な面においても、ワクチンや治療薬の研究開発に向けた国際共同治験などの体制整備のため、アジア地域における臨床研究、治験ネットワークの構築に取り組んでいくということも非常に大事だと考えております。

 国立健康危機管理研究機構が、国内外の多施設共同治験等の中核的役割を担う機関となって治験等の円滑な実施を支援をしていくことが、ワクチンあるいは治療薬の早期開発、そして一日も早く国民にお届けすることにつながっていくというふうに考えております。

佐藤(英)委員 是非大いに期待しております。

 次に、整備法案では、地域保健法が改正され、地方衛生研究所という名称が法律に初めて登場します。また、地方衛生研究所については、機構との協力義務や、地方衛生研究所の職員について、機構が行う研修や技術的支援等を受ける機会の確保に関する努力義務が課されます。

 地方衛生研究所については、昨年の臨時会における感染症法の一部を改正する法律案に付された附帯決議でも、地方衛生研究所の人員及び予算を確保し、試験及び検査、調査及び研究等のより一層の体制強化を図ることとされております。新たな感染症の発生に備えて、地方衛生研究所等の体制強化が必要ではないでしょうか。

 附帯決議で示された地方衛生研究所等の人員及び予算確保といった体制強化について、令和五年度予算への反映状況と今後の取組について、これは伊佐副大臣にお伺いしたいと思います。

伊佐副大臣 今後の感染症危機に備えるために、地方衛生研究所等の体制強化が重要であるというふうに認識をしております。

 御指摘いただいた改正感染症法の附帯決議も踏まえまして、令和五年度においては、地衛研等の職員を全国で百五十名増員するために必要な地方財政措置を講じさせていただいております。そしてまた、同じ令和五年度予算において、地衛研等の検査能力の向上、また情報収集等の機能強化のための訓練に対する財政支援、これも長らく要望されていたものでございますが、こういうところも盛り込ませていただきました。

 さらには、先ほど委員も御指摘いただいた、今回の法案の中では、新しい機構の業務として、地衛研等の職員に対する研修の必要な支援を行うということを規定させていただいたり、また、地衛研等はその職員に対して研修等を受ける機会の確保に努めるということも規定をしておりますので、こういうものを通じまして、地衛研等における検査、またサーベイランスに係る資質の向上を図ることとしたいというふうに思っております。

佐藤(英)委員 今回の法案審議に当たりまして、去る五月一日、私、地元の北海道立衛生研究所を視察させていただきました。北海道大学の隣という位置関係にあり、北海道の研究機関が集約された立地であります。しかし、施設の建物は建設から五十年以上が経過しており、老朽化がとても気になりました。人員及び予算確保といった体制強化とともに、やはり各地の地方衛生研究所等の施設や設備の整備についても、国としてしっかりとした支援が必要ではないでしょうか。

 地方衛生研究所等の施設の建て替えや修繕、設備の充実について、国の支援に関する取組状況や、厚生労働省としての意気込みを是非お伺いさせていただきたいと思います。伊佐副大臣、よろしくお願いします。

伊佐副大臣 それぞれの自治体が地方衛生研究所等の体制整備を着実に進めていくことが重要だというふうに認識をしております。

 これまではコロナ交付金という形でありましたが、五月の八日からは保健衛生施設等施設・設備整備費国庫補助金という名称に変わりますが、この補助金を通じまして、保健所設置自治体に対して、検査能力の増強を図るために必要な、例えばPCR検査等の設備整備への財政支援を行っていきたいというふうに思っております。

 自治体の声もしっかりと伺いながら、関係省庁とも相談しながら、必要な支援をしっかりと行ってまいります。

佐藤(英)委員 よろしくお願いいたします。

 米国のCDCは検疫についても役割を担っているとのことであります。全世界における感染症の発生状況に関する情報収集、分析の役割と外国から米国への感染症の侵入を阻止する役割が一体となっていることは、組織の在り方としては極めて合理的なものであると思います。

 我が国では、感染症の水際対策の役割は検疫所が担っております。私は、コロナ禍におきまして、成田空港や羽田空港、福岡空港、新千歳空港、釧路空港の各検疫所の視察もさせていただきました。島国である我が国において、検疫所は我が国の感染症対策の最前線であることを実感をいたしました。

 そして、検疫所は厚生労働省の設置法において施設等の機関に位置づけられ、感染研も厚生労働省組織令で施設等の機関に位置づけられておりました。共に厚生労働省の機関であります。一方で、発足後の機構は特殊法人となります。コロナ禍で明らかとなったように、これまで以上に迅速な感染症に関する情報収集、分析が必要となります。機構と検疫所との緊密な連携による実効性のある水際対策は極めて重要であります。

 水際対策における機構と検疫所との連携について伺います。

 水際対策で機構はどのような役割を担うことが期待されるのか。また、厚生労働省の機関と特殊法人という形で別組織となっても、緊密に連携し、一体的に水際対策に取り組み、危険な感染症が発生した場合には即時に対策が実施されるようにしっかりと取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 国立健康危機管理研究機構は、内外の感染症の発生状況等の情報を収集し、それぞれの感染症のリスクの分析、取りまとめを行い、内閣感染症危機管理統括庁や厚生労働省に直接提供いたします。これによりまして、統括庁や厚生労働省が感染症の性状を踏まえた適切な水際対策あるいは感染拡大防止対策を迅速に決定することが可能となると考えておりまして、厚生労働省といたしましても、次の感染症危機が発生した際には、統括庁とも連携し、適切な検疫措置に取り組めるものと考えております。

佐藤(英)委員 次に、機構は業務の実施状況について内閣総理大臣と厚生労働大臣に報告するものとされております。そして、新型インフルエンザ対策本部において、政府対策本部長が必要と認めるときは、機構の長その他の役員又は職員を政府対策本部の会議に出席させ、意見を述べさせることができるとされております。他方、新型インフルエンザ対策特別措置法の規定により、内閣には新型インフルエンザ等対策推進会議が置かれています。この会議は、新型インフルエンザ対策について調査審議し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は政府対策本部長に意見を述べることとされております。専門家による科学的な知見の提供は極めて重要でありますが、情報が錯綜しては適切な判断に結びつかない可能性もあるのではないでしょうか。

 整備法の改正で設けられる機構の長等の政府対策本部長への意見申述と、新型インフルエンザ等対策推進会議への意見申述の関係はどのように整理されているのでしょうか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 国立健康危機管理研究機構は、平時から感染症に関する情報収集、分析を行い、質の高い科学的知見を内閣感染症危機管理統括庁や厚生労働省に提供する常設の研究機関でございます。常日頃から、これらと密接に連携することとしております。特に感染症有事におきましては、統括庁と厚労省と機構が一体的に感染症危機管理に取り組むことができるよう、機構の代表者は政府対策本部長の招集を受けて政府対策本部で意見を述べることができることとしております。

 一方、御指摘の新型インフルエンザ等対策推進会議は、政府が立案した政策を決定する際に、その求めに応じて意見を述べる助言機能を担い、また、感染拡大防止と社会経済活動の両立の観点から、感染症の専門家や医療関係者のみならず、経済、法律といった様々な分野の専門家で構成される会議体でございます。

 このように、感染症に関する政策立案に資する科学的知見を提供する常設の研究機関でございます機構と、社会経済活動の両立の観点も含めた政策案につきまして諮問を受ける会議体でございます新型インフルエンザ等対策推進会議とで適切な役割分担が図られるものと考えているところでございます。

佐藤(英)委員 終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時八分散会


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