衆議院

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第17号 令和5年5月26日(金曜日)

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令和五年五月二十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      秋葉 賢也君    畦元 将吾君

      五十嵐 清君    上杉謙太郎君

      上田 英俊君    柿沢 未途君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      塩崎 彰久君    新谷 正義君

      瀬戸 隆一君    田村 憲久君

      高階恵美子君    土田  慎君

      橋本  岳君    堀内 詔子君

      本田 太郎君    松本  尚君

      三谷 英弘君    吉田 真次君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      大西 健介君    野間  健君

      山井 和則君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    渡辺  創君

      一谷勇一郎君    遠藤 良太君

      吉田とも代君    古屋 範子君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   デジタル副大臣      大串 正樹君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十六日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     五十嵐 清君

  本田 太郎君     上杉謙太郎君

  西村智奈美君     渡辺  創君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     勝目  康君

  上杉謙太郎君     本田 太郎君

  渡辺  創君     西村智奈美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第二百十回国会閣法第六号)


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 第二百十回国会、内閣提出、新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人としてデジタル庁審議官阿部知明君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、健康局長佐原康之君、保険局長伊原和人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。本日もお時間ありがとうございます。

 そして、冒頭、この法案ではなくて、私が加藤大臣に前回の質問のとき申し上げたことが礼を欠くと思いますので、おわびをさせていただこうと思います。

 コロナでたくさんの方が亡くなられて、それをどう検証していますかというお尋ねですが、大臣が超過死亡率のことを御説明くださいました。私の質問の本意は、それも一つの側面だけれども、やはり、放置されて亡くなる方とかいろいろございましたので、それ全体を見直していただいた上での御答弁を賜れればと思ったので、あのとき即座にそうお返し申し上げればよかったですけれども、時間が十五分でしたので、今日のお時間の中で、大臣の答弁について私が申し上げたことは私の不十分と思いますので、おわびをさせていただきます。

 では、引き続いて、本日の法案質疑に入らせていただきますが、今日は旅館業法の改正案ということでございます。

 このコロナの三年余り、あるいは、振り返れば東日本大震災後も、旅館業の皆さんは大変御負担が多かった。その継続も問題になっておりました。また、コロナ禍では、患者さんというか、入院されない以前の療養、ホテル療養等々も受け入れてくださいまして、全体の御協力もいただきました。その方たちが、これからこの観光、大事な観光業、そしてその中でも宿泊は非常に重要な部分ですから、そのことが円滑に、そして時代に合って促進されていくようにという趣旨の旅館業の改正法については賛成をいたします。

 しかしながら、私が大変懸念いたしますのは、この立法がかえって感染者や障害者が宿泊の場面で断られるということを増やしはすまいかという懸念がございますので、その点についてお尋ねをいたします。

 まず、どんな法律にも、立法には時代背景そして趣旨がございます。元々、実は旅館業法は、最初にできたのは昭和二十三年であり、公衆浴場法案や興行場法案等々とセットで提出されております。その意味するところは何かというと、当時、日本が戦後の復興期で、文化国家建設のかけ声の下に、いわゆる性病等の感染症に対してどのようにその拡大を防いでいくかという側面と、一方、同時期、性病予防法等も成立いたしております、全部同じ国会なんですけれども。ここでの性病ないしそれを疑われた女性たちの扱いは、例えばトラックに乗せて運ぶとか、それから場合によっては優生保護法の対象だと言われたりもいたしました。法案には歴史があり背景があります。特にこの年は、同時に、議員立法で優生保護法の、今問題になっている法律が成立した時期でもあります。

 そうしたことに鑑みて、またこの間も、実は、らい予防法はもちろん廃止されましたけれども、その後に、二〇〇三年にハンセン病の元患者さんが黒川温泉で宿泊拒否に遭ったり、あるいは、遡って一九九二年にはエイズの患者さんが同様に宿泊の拒否に遭っております。こうした事態は、障害をお持ちの方にとっては、感染、障害共にこの法の射程に入ると思いますが、今も、実は障害をお持ちで拒否される事案は後を絶ちません。

 後ほど事例は御紹介いたしますが、まず、加藤大臣には、こうした事例は決してすぐなくなるわけでもなく、繰り返し繰り返し出ている中で、これまでの歴史の反省あるいは教訓を踏まえて、この法改正に臨む覚悟というか、お考えを御教示をお願いいたします。

加藤国務大臣 まず冒頭、阿部委員からのお話は、あのとき、私も超過死亡のこと等で申し上げさせていただきました。この分析はしっかりしていかなきゃなりませんが、それで全てと言うつもりは全くなく、やはり、コロナに感染され、医療にかかることができずに自宅でお亡くなりになった方々、その方々の声も先般お聞かせいただきましたけれども、そうしたことをしっかり受け止めながら、次なる感染症に応じてそうした事態がないように努力をしていく、これは当然のことだというふうに思っております。

 それから、今、旅館業法のかつての改正のときの時代背景もございました。それぞれの法律は、まさにそうした時代背景あるいは時代における要請に基づいて実施をされてきているという部分があると思いますけれども、しかし、何事にも多面的に議論していかなければいけない点があるのは御指摘のとおりだというふうに思います。

 今回は、コロナ禍において、各旅館業、あるいはそこで勤めておられる方々から、なかなか感染防止に対応していただけなかった、大変そうした声をお聞かせいただいた中で、これからも感染というのは当然あり得るわけでありますから、そうした事態の中においてもしっかりと運営していく規範をつくっていく必要がある。

 しかし、他方で、委員からの御指摘のありました、また後で具体的な事例がお示しいただけるんだろうと思いますが、かつてにおいても、例えば、ハンセン病の元患者の皆さんに対する、あるいはHIV感染者に対する不当な宿泊拒否事例がございました。それに対しては、この旅館業法において、現状、伝染性の疾病と書いてあったところから、その中には、例えばHIVは入りませんよ、ハンセンは入りませんよというのを事後的には対応させていただきましたけれども、まさにそうした過去の事例があったこと。そして、そうした感染症患者あるいは御家族の方に対する偏見、差別、こういったことは絶対生じてはならないこと。そのことはしっかり念頭に置きながら、今申し上げた時代の要請には対応していく中において、しかし、今申し上げた視点が必要なこと、このこともしっかり認識しながら法律を改正し、また運用に当たっていきたいと考えております。

阿部(知)委員 このコロナ禍の中で、最前線に立つ旅館業者の皆さんが、様々に、これはどうしたらいいんだろうとか、質問、疑問をお持ちになるときに、厚生労働省が令和三年の三月十九日に出された通達は、ある意味で、そうした旅館業者の御不安にも応え、また、実際に感染で、検査したりしなきゃいけない、あるいは何らかの対応が必要だということに対して、私はよくできた通達であると思います。五月八日にこれは廃止されましたが、この間の見直し検討委員会の中でも、じゃ、コロナの中で一体どれくらいの患者さんが実際に拒絶、拒否されたか、四百八十四件のうち三十件ということでありました。

 私は、逆に、この通達と今回の改正というのは、ちょっと基本が違ってきていると思うのです。その基本とは、この通達は、宿泊を拒否するという内容ではなくて、医療機関との連携や、感染者をちゃんとそこに結びつけるということを主眼にし、感染が疑われた場合どうするかという対応も書いてございます。一方で、今回は、特定感染症というものを規定して、むしろ法体系は拒否できる法案になっております。

 今までの法案は、相談に、受け止めて、乗る、事業者にも感染者にも。そういう法体系から、いわば拒否できる体制、特定感染症の患者等はでありますが、そういうふうに法体系を転換していくことに、私は大きな疑問があります。これは政府サイドからの御答弁をお願いします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 現行の旅館業法でも、また改正後の旅館業法においても、まず、営業者は宿泊を拒んではならない、これが大原則でございます。

 その上で、例えば、現行の旅館業法では、伝染性の疾病については、厚生労働省が定める旅館業における衛生等管理要領において、宿泊を通じて人から人に感染し重篤な症状を引き起こすおそれのある感染症という解釈を示しておりますけれども、結果、それがどういう範囲なのか、どういう病気、感染症なのかというのが、なかなか分かりづらい。先ほど大臣から御答弁差し上げたとおり、エイズやハンセン病が該当しないことは、これは個別の通知でしたが、法体系においてはそうなっておりません。

 そこで、今回の法案では、これを特定感染症と改めた上で、そうすると、具体的にその対象が、一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症などなど、これをきっちり定義することによって、宿泊拒否の対象となる感染症の範囲が法律上、明確化される。これによって、個別な疾病について、宿泊される方も、実際、ホテル、旅館の方も、現場において判断に迷うことがなくなるもの、こういう狙いでの法改正でございます。

阿部(知)委員 コロナでの経験もそうですが、病態とか病気の進行とか、どのように拡大していくか、実は来てみないと分からないということがございます。

 私が一番問題と思うのは、今までの法体系は、明らかに認められるときなんです、疾病にかかっているのが。でも、今回は、特定感染症の患者等といって、等はいろいろなものを含んでまいります。この等とは何でしょう。

佐々木政府参考人 お答えします。

 この法案においての特定感染症の患者等につきましては、一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症若しくは入院等の規定が適用される指定感染症の患者、あと、感染症法の規定によりこれらの患者とみなされる者及び新感染症の所見がある者をいい、宿泊することにより旅館業の施設において特定感染症を蔓延させるおそれがほとんどない者を除くと規定しております。

 このうち、これらの患者とみなされる者ですけれども、これは、感染症法上の疑似症患者また無症状病原体保有者であり、疑似症患者とは、例えば、陽性者の同居家族などの濃厚な接触があった者が当該特定感染症の症状を呈している場合などを想定しております。

阿部(知)委員 無症状感染者とおっしゃいましたが、御家庭の中で一人出れば、御家族みんなそうであります。そして、実は、無症状感染者とは、誰が感染者であるか分からない状態であります、症状がないから、検査しなければ。

 どこまで拒否し得る範囲になるのか。私はこの等があることで非常に混乱をすると思います。

 突き詰めて言えば、全ての宿泊者のPCRをやるのか、例えば、コロナの場合。だって、無症状感染者はいっぱいです。ちなみに、いろいろなデータだと、ダイヤモンド・プリンセスでは八割が無症状感染者であったといいます。

 本当に、等を入れるということが、無用な人権侵害や、まあ、コロナを例に取りましたが、次に来るものは分かりません。私は大臣に確認したいですが、この等という言葉は、便利であっても、人権という側から考えると、これは拒否できる法案ですから、私はそもそも、法改正、この点は不要と思っていますが、そうであっても、等にまで拡大することのむしろ問題の方が大きいと思いますが、いかがでしょう。

加藤国務大臣 感染症法上について言えば、無症状の方であったとしても、病体保有者であれば感染者という扱いになるわけであります。

 そういったところを踏まえて、等と書かせていただいているわけでありますが、ただ、委員御懸念のように、この等がどんどんどんどん拡大していくということは、本来、宿泊拒否はできませんよ、しかしこういった例外の場合のみは宿泊拒否ができますよ、こういう法律の作りでありますから、そうした等については、今の御指摘も踏まえて、限定的に解釈すべきものというふうには考えております。

阿部(知)委員 申し上げたかったのは、例えばコロナを例に取りましたが、無制限だということなんです、無症状感染者というと。それから、おそれとか、こういうものは法体系の中でよほどしっかりした歯止めがないと拡大の方向に参ります。

 続いて質問させていただきますが、私は二〇〇二年に成立した身体障害者補助犬法の事務局をやっております。この法律は、橋本総理の時代に、この国会の赤じゅうたんに犬を連れて、介助犬です、身体がお悪い木村さんとシンシアが国会に来られて、橋本総理にもお目にかかって、バリアフリーに、もっと盲導犬も身体障害者補助犬も聴導犬も、どこへでもそのユーザーとともに行けて、仕事にも就けるし、外出もできるしということを願った法律であります。

 そして、皆さんのお部屋にも貼っていただいていますが、こういうステッカーもありますので、また是非議連にもお力添えいただきたいと宣伝をさせていただいた上で、これができましてから、しかし、見ていただくと、ここには、拒否してはならないという差別禁止の実は規定がございます。皆さんのお手元に身体障害者補助犬法から一部印刷したものがありますが、身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならないという法体系であります。ある意味の差別禁止という、今までの差別解消法よりも一歩踏み込んだ法案を、二〇〇二年に橋本総理を含めて超党派の御尽力で成立をさせていただきました。せんだって二十年を迎えたわけですが、しかし、いまだに同伴拒否はあらゆる場面で後を絶ちません。

 このことについて、厚生労働省がユーザーの皆さんにアンケート調査をしてくださいました。厚労省の委託事業で、昨年度、身体障害者補助犬の普及啓発の在り方に関する調査研究事業というのがございました。このアンケート結果から何が見えてきて、また、どのような対策をお考えか、厚労大臣にお伺いいたします。

加藤国務大臣 今、身体障害者補助犬法のお話がございました。その法律においては、公共施設等の管理者は、補助犬を同伴することを拒むことができないと規定をされております。また、他方で、公共施設などにおいて補助犬の受入れを拒否する事例が、残念ながら少なからずあると承知をし、そして、御指摘の調査研究は、令和四年度に、全国の補助犬使用者百十七名の方に対して、補助犬同伴時の宿泊施設等の公共施設における受入れの実態についてアンケート調査を行いました。

 その結果、補助犬ユーザーの約三割の方が宿泊施設での受入れ拒否を経験しており、その理由として、動物が入ってくることは一律に禁止しているという項目を選んだ方が最も多くなっております。こうした結果から、宿泊施設側に補助犬法の趣旨が十分理解されていないということ、それが受入れ拒否の大きな原因ということが見出されたわけであります。

 このため、厚労省としては、補助犬法の趣旨について周知啓発を図るため、ホテル、旅館等における補助犬の受入れのポイントなどをまとめたリーフレットを作成するとともに、関係団体に対して旅館、ホテル等への周知を依頼したところであります。また、旅館業法の指導監督を担当する保健所に対して、全国保健所長会を通じて本リーフレットの旅館、ホテル等への周知をお願いをしたところであります。また、周知に当たっては、補助犬についての普及啓発活動を行っておられる日本補助犬情報センターにも御協力をいただきながら取組を行っております。

 引き続き、補助犬の受入れが進むように、また、この法律の趣旨、内容がしっかりと徹底するように取組を進めていきたいと考えております。

阿部(知)委員 私は自分が関わっている補助犬を事例に取りましたが、車椅子のユーザーでも同様に宿泊の拒否は今もございます。今、大臣が御発言いただきました資料は、私のお手元の皆様への資料の、資料三と四につけてございますが、小売店、飲食店、宿泊施設、医療機関、交通機関、マンション、その他様々なところで拒否が起こっております。二十年間いろいろ努力してまいりましたが、繰り返し起こる。周知といっても、なかなかと思います。

 そして、次のページには、どのくらい改善されたかということでありますが、宿泊施設というものだと半分ほどしか改善がされないというのが次のページに載せてございます。

 そこで、厚生労働省の方で、次のページのピンク色のリーフレット、こういうものですね。皆様のお手元にはコピーでつけさせていただきましたけれども、こういうものを作って、医療機関用、宿泊機関用、交通機関用、飲食店用、これを作って配布をしてくださることになりました。大変ありがたいですし、先ほどの保健所へのお話も、自民党の笹川議員からの御提案で、保健所長にも言ってはどうですかというので、早速厚労省もやってくださいましたが、それでも、正直言って、なお事態は発生しております。

 次の資料六には、これは、この旅館に泊まって、旅館側もよく対応してくれたよという事案で載せてあるんですけれども、実は、この平野さんが、頸椎損傷の患者さんなんですけれども、昨日の朝、ホテルのレストランの入店を断られたと。ここに好事例で書いて、なおかつまたかと、私は本当に残念に思いますが、この意味するものは、研修は繰り返し、繰り返し、繰り返しでなければ徹底されないんだと思うんです。

 ここで大臣にお願いがありますが、旅行業をやっている皆さんも、研修とか、人材をどのように教育していくか、すごく大変と思います。県がそれを積極的に行う、ある意味で義務化をしていただきたい。

 旅館業法は県が認可をいたしますので、そのときに、県の仕事としてそういう研修、これは今後の障害者のバリアフリーにも大変役立ちます。犬の問題だけではない、人がどう受け入れられていくかですから、県の取組を更にしっかりとやれるよう、県に対しての義務づけの方向性も検討いただきたいが、どうでしょう。

加藤国務大臣 まず、この法案が成立した場合に、旅館業の施設の利用者を含む検討会で検討を行った上で、旅館業の営業者が宿泊拒否等について適切に対応するためのガイドラインを作成することとしております。

 この改正により、旅館業の営業者の努力義務となる従業員の研修なども活用しながら、ガイドラインの内容についても周知していきたいと考えております。

 この研修は、旅館業の営業者が従業員に機会を付与するというものでありますので、国による財政支援、あるいは自治体に対して研修の実施を義務づけるということまでは考えておりませんが、従業員への研修がしっかりと行われるよう、旅館、ホテルの関係団体などにも協力をいただきながら、研修ツールの作成等に厚労省としても取り組んでいきたいと思っております。

 加えて、研修の講師に障害者等の当事者を加える等の好事例の紹介や、旅館業の営業者による研修の実施の有無やその内容等について定期的に確認する、こういった取組を行うことによって、着実な実施が図っていけるように努力をしていきたいと考えております。

阿部(知)委員 今大臣が御答弁くださった当事者を入れるって本当に大事で、三重県で宿泊拒否事例があったときに、おかみさんたちが観光業界とタイアップして研修をやり、同時に、当事者も参加して研修していったということがございます。それは、県が音頭を取ってやっていただくということはとても重要で、もちろん観光業界の皆さんも頑張ってくださっていますが、今は当事者性ということがとても大事な時代ですので、大臣、御答弁くださいましたから、是非そのような研修を拡大し、県の役割も強めていただきたい。

 お手元の一枚目の資料で、黒川温泉の拒否事案でも、やはり県の役割というものが問われた。これは、ハンセンの患者さんたちがふるさとに帰るためということで、自分のいたおうちには帰れないけれども、九州一円の温泉に泊まってふるさとを思うという企画だったのに、断られてしまった。県が企画したものでありました。

 さて、最後の質問になりますが、今、障害者差別解消法に基づく基本方針の改定や、あるいは障害者の権利に関する委員会の十月七日の勧告等々の中に、最後の資料を見ていただきたいですが、いわゆる合理的配慮の拒否を含め、本条約に合致し、障害に基づく差別を禁止するために、障害者差別解消法を見直すことというのが国連勧告の一番目にあって、この合理的配慮によって、いわば、できないから拒否、過重な負担だから拒否、五条の四号に相当いたしますが、そういう法の体系を今回の改正は取っていて、それは障害者差別解消法や国連勧告に反するものではないか、そういう立法を今更になぜなさるのか、大臣、お願いいたします。

加藤国務大臣 本法案による改正後の旅館業法第五条第四号の規定は、いわゆる迷惑客について、旅館業の営業者が無制限に対応を強いられた場合には、感染防止対策を始め、旅館業の施設において本来提供すべきサービスが提供できず、旅館業法上求められる業務の遂行に支障を来すおそれがあることから、宿泊者が、実施に伴う負担が過重であって、他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害をするおそれのある要求を繰り返したときに、宿泊を拒むことができるようにするものであります。これについては、旅館、ホテルの労働組合の皆さん方からも、カスタマーハラスメントの対応として迷惑客の宿泊を拒む根拠規定が必要という御意見を頂戴をしていたところであります。

 今回の改正法においても、旅館業の営業者は、障害者差別解消法を遵守し、障害を理由として不当な差別的取扱いをしてはならないことには何ら変わるところはございません。また、実施に伴う負担が過重ではない要求については宿泊を拒むことができる事由にはならないことから、今回の改正は障害者差別解消法の趣旨等に反するものではないというふうに考えているところでございます。

 具体的な事例としては、宿泊者が従業員を長時間にわたって拘束し、又は従業員に対する威圧的な言動や暴力行為をもって苦情の申立てを繰り返し行う場合などを想定しているところでありますが、この法案を成立させていただいた場合には、関係者による検討会で検討を行い、どのような場合が宿泊拒否事由に当たるかも含め、旅館、ホテルの現場で適切な対応が行えるよう、ガイドラインを作成していきたいというふうに考えているところでございます。

阿部(知)委員 それはカスタマーズハラスメントの禁止法案でやるべきで、この旅館業の拒否とすり替えてと言うと変ですが、そちらにしてしまうと、やはりこの障害者の権利委員会の言っていることとそごを来すと思います。

 最後に一つだけ、大臣、お願いがありますが、栗生楽泉園という草津のハンセン病患者さんの施設、ここに湯ノ沢という集落があって、楽泉園ができる前は、ここの患者さんたちは一緒に温泉に入り、地域で生活し、むしろ様々な法律や施設ができたことでみんなから遠ざかっていったという経緯がございます。もしチャンスがあったら、資料館もございますし、是非御覧いただきまして、むしろ法は、人々をもう一度、多様性を含めて再統合するためにあるということで、よろしくお願いいたします。

 終わります。

三ッ林委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 立憲民主党の小川淳也です。

 本題に入る前に、大臣、ちょっと時事的なことを二、三、聞かせてください。

 私もこれは聞きたくて聞いているわけではありませんが、岸田総理の御長男が公邸で忘年会を行い、そして不謹慎と思われるような写真撮影を行い、それがまた流出するという大変残念な報道に接しています。

 これは本当に私も聞きたくて聞いているわけじゃありませんが、不問に付すわけにいきませんので、看過できませんので、岸田内閣の閣僚としての受け止めを一言聞かせてください。

加藤国務大臣 何か、閣僚として答弁する話かどうか、ちょっと私、にわかに分かりませんが、しかも、本件の事案は私も新聞報道だけでしか承知しておりませんから、それに対して言及するのは控えさせていただきたいと思いますが、既に総理からも注意というのが行われたというふうに新聞報道でも接しているところでございます。

 いずれにしても、官邸という位置づけ、しっかり我々もその位置づけを踏まえて、それを利用していくという立場でありますから、それにのっとって対応していくことが必要だというふうに考えております。

小川委員 かねてから公私混同批判がありますが、本当に、不適切というのか、もうみっともないというのか、情けないというのか、大変不本意な報道が続いていることに、私どもの立場からいえば、抗議申し上げたいと思います。

 それから、ゆうべから今朝にかけて、少子化対策財源として社会保険料に一人五百円上乗せするという報道に接しています。これは、大臣は聞かれているんですか。

加藤国務大臣 今、少子化といいますか子供、子育て対策について、その強化をどうするのか、既にたたき台は出させていただいていますが、それを踏まえてどう強化をしていくのか、予算、財源をどうするのかについて、こども未来戦略会議で議論をさせていただき、前回の戦略会議で一つの方向性が出ていたことは承知をしておりますが、そこでは、歳出改革、これは従前から総理もおっしゃっておりますが、歳出改革等をしっかり行っていく、その上で、幅広い皆さんに御負担を、支えをしていただきたい、そして、消費税を始めとした増税は行わない、こういった方向が出されているということは承知をしておりますが、それ以上、詳細について検討が進んでいるとは私は認識をしておりません。

小川委員 大事な御答弁で、大臣は、かねて、社会保険料、現行の社会保険料の中に少子化に回すだけの余裕はないということを公に発言され、そして、私どもからすれば、複数問題点があり、仮に社会保険料を積み増すとした場合、現役世代に負担が偏ること、それから逆進性が強いこと、そして保険事故と言えるかという根本的な問題。

 仮に今朝の報道を前提にすると、医療保険に上乗せした場合、現役世代に偏るということは若干緩和される可能性はあると思います。しかし、五百円だか三百円だかいろいろ報道されていますが、定額で上乗せするということは、これは本当に、低所得者の方も高額所得者の方も同様ですから、逆進性の強さについては、全くもってこれ以上逆進的なものはない。そして、事業主にも負担を仮にさせるとすれば、これは、働く人たちの手取りが減ることに加え、正規雇用を抑制してきたこの間の社会保険料の増大の傾向を更に助長することになる。

 総理は、新たな税負担はありませんと公におっしゃっているようですが、これは、形を変えた、紛れもない、逆進性の強い税負担相当の公的負担ですから、極めてロジカルにまやかしているんじゃないかということに、私は、そういう批判があってしかるべきだということをちょっと前もってですが、ゆうべから今朝の報道に関連して指摘を、もうこれは再三再四になりますが、しておきたいと思います。

 最後に、先般、医療情報とマイナンバー、個人番号とのひもづけの不備について指摘しました。その後、大臣は、全面点検を表明された。できれば、ああいう大事な方針表明はこの国会の場でおっしゃっていただいて、大体、最近、大事な方針は記者会見では言うけれども、国会ではおっしゃらないということが多いとちょっと寂しく感じているんですが、ああいう大事な方針は是非国会でおっしゃっていただけると、私どもとしてもやりがいがあるし、ありがたいなと思います。

 それで、恐らく、医療保険の世界は、大臣の御指示によって全面点検が進むとすれば、それは、指摘したように、氏名、生年月日、性別、住所というマイナンバーに確保された四情報と、保険組合が持っている保険被保険者の情報を再度突合することで異変を感知できる、システム的に感知できる可能性はあると思います。したがって、そう時間がかからずに総点検できるのではないかと期待をしています。

 一方、今日、ちょっとあえて、関連するというか、総元締めですのでデジタル庁にお越しいただきましたが、今朝の報道ですと、マイナポイントは、九十自治体で百十三件、別人に支給されたことが確認された。そして、かねてから明るみに出ていますが、公金口座の登録が、九つの自治体で十四件、別人の別口座が登録されていることが確認されている。

 これで、前回の医療もそうだったんですが、加藤大臣に是非、なぜこれが起きているか御承知おきいただきたいんです。

 医療に関しては、複数検索結果が出たときに、やや当てずっぽうで、これじゃないかといってつなげたという事例が多いということを指摘しました。この公金口座については、通常、マイナンバーを取得した人が、市役所なりに出向き、専門の端末で自分の口座を入力することになっています。ところが、その端末で自分の口座を登録した後、正式にログアウトせずにその場を立ち去り、そして、次に登録に来た人が、ログアウトしていない前の人の情報を本人の情報と錯誤して、勘違いしてそのまま登録してしまうという事例が多発しているわけです。これはまさに、医療保険で当てずっぽうでやったのに比べると、人為的ミスなんですね。

 それで、デジタル庁にお聞きしたいのは、大臣、ごめんなさい、ちょっと大事なことを言い忘れました。個人の口座を専門の端末で入力しますよね。そうすると、その口座が実在するかどうかは、すぐに金融機関の端末と連携して、口座の実在は確認した上で登録できるようになっているんです。したがって、架空の口座で登録はできないようになっています。ところが、金融機関にある口座情報は、通常、氏名、預金者の情報は仮名で入力されているんです、仮名で把握されている。ところが、マイナンバーの個人情報は漢字なんですね。ということは、氏名の突合のしようがないということなんです。

 ということはなんですが、この事業は、本人確認をすることなく、登録された口座が実在の口座であれば、誰の口座であれ登録できるというシステムになっているんです。ね、大串さん、そうでしょう。うなずいて、御存じですよね、昨日指摘したから。ということなんです。

 だから、本来的に言えば、これは、マイナンバーの方で仮名情報を整備して、そして、金融機関が保有する仮名氏名と突合できる環境をシステム的に用意した上で登録に踏み切っていれば、こうしたことは起こりようがなかった。しかし、漢字情報と仮名情報という突合のしようがないもののそごをそのままにして登録を急いだ結果、こういうことが起きているということなんです。

 これ自体、私は極めて大きな不備だと思う。その上で、これが起きてしまったので、善処、改善を求めるに当たって、情報公開を求めたい。

 なぜなら、この口座の誤登録は、去年の七月に認知していた。にもかかわらず、今年の四月まで公表しなかった。それはなぜなのか。該当の福島市がデジタル庁から半ば隠蔽を求められ、しかし、それはできません、福島市として責任を持って公表する責任があると福島市が言い、それに引きずられてデジタル庁は河野大臣に報告し、河野さんはああいう人ですから、公表しろと言ったんでしょうね。という、極めて後追いの不誠実な対応でここまで来ているんですよ。そこで、その反省の上に立って求めます。福島市以外、九自治体ということは公表されていますから、八つの自治体は一体どこですか。

 そして、今申し上げたことを前提にすれば、分からないんですよ、一体誰の口座がどうなっているか。氏名の突合のしようがないんだから、分からない。分からないが、これがなぜ起きたかを、先ほど説明したとおり、それを前提にすると、予測がつくのは、単一の口座が誤って複数人に登録されているケース、ログアウトの失敗によって。それは、システム端末をたたけば、一瞬にして、瞬時にして出てくるはずだ。

 ちなみに、福島市で一件明らかになった後、そのシステムで検索をした結果、福島市では、もう三件、一つの口座が別人に複数人に登録されていることがシステム上すぐ分かっている。ちなみに福島ではです。

 再度お聞きします。九自治体、残り、福島市以外の八自治体は、一体どこでこの問題が起きているんですか。そして、いろいろこれは、全面検査、加藤さんはやると言っていますよ、加藤大臣は。全面調査をやろうとしているだろうが、やりようがないと思う。たった一つできることは、一つの口座が複数人に登録されている件数はどのぐらいあるのか、それを明らかにすることが、デジタル庁として信頼回復に向けた第一歩だと思いますので、その二点、御答弁いただきたいと思います。

大串副大臣 まず、公金受取口座の情報登録の誤りにつきましては、個人情報の保護に関する国民の皆様の信頼を損なう重大な事案として受け止めております。国民の皆様に不安を与えたことにつきまして、おわびを申し上げたいと思います。

 そこで、お尋ねの件ですが、先ほど御指摘いただきましたとおり、マイナポイントの申請支援を続けて複数の方に向けて行った際に、不注意で前の人のアカウントからログアウトするのを忘れたという事案でございます。それぞれの自治体が、対象の方に御説明の上、登録の修正を速やかに行ったこともありまして、デジタル庁としましては、個々にマニュアルの徹底をお願いする対応にとどまったところでございます。

 しかし、御指摘のとおり、同様の事例が蓄積してきたことや、福島の事案におきまして同様な案件が市内で複数件あった、今御指摘いただいたとおり確認されたわけでありますので、今般、全自治体で再発防止を徹底する必要があると判断いたしまして、二十三日火曜日に、全自治体に対して、まずはミスが起きないためにチェックすべきポイントであったり、万一誤登録があった際に報告すべき事項などを通知いたしまして、翌二十四日、マニュアルの遵守状況及びこれまで手続支援窓口において誤登録がなかったかどうかの報告をお願いしたところでございます。

 デジタル庁といたしましては、これまでに登録された公金受取口座の総点検を行った上で、ミスが起こった際に速やかに把握し、対応するために、どのような業務フロー……(小川委員「質問に答えて」と呼ぶ)はい。

 ということで、国民の皆様に安心していただくためのリスクマネジメントについて検討していくということで、お尋ねの把握している九自治体以外のところということでございますけれども、先ほどちょっと御報告がありまして、現在、十四自治体ございまして、福島市以外ということでございますが、現在公表できるのが、岩手県盛岡市、福島県福島市、福島県いわき市、埼玉県ふじみ野市、東京都豊島区、愛知県瀬戸市、広島県大竹市、福岡県北九州市、福岡県中間市、佐賀県嬉野市、大分県大分市、大阪府富田林市でございます。

 残り二つの自治体については、今、当該団体と調整をいたしまして、後日発表させていただくことになろうかと思いますが、現状は、それだけの自治体が確認できているという……(小川委員「もう一つの質問は。システム上、同一口座」と呼ぶ)はい。

 システム上、その件につきましては、まず、今月二十一日時点で登録されている口座を対象に、複数の方に登録されている口座のうち、住所、氏名等から判断して、本人の意思に基づかずに登録された可能性が高いものについて精査をしているところでございます。

 複数の方にひもづけられている事例では、本来、制度が予定した運用ではないものの、本人の意思どおりに、例えば家族の口座をひもづけたといった事例も多いと考えられることでございますので、精査前の件数について、今ちょっと、現段階ではお答えすることは差し控えたいと思いますが、家族の口座を一つの方に登録されている実態もございますので、そこをしっかりと精査をして、御報告をさせていただきたいというふうに思います。

小川委員 副大臣、御答弁に敬意を表します。

 というのは、昨日の段階では、福島以外の自治体については公表できないという事務方の意向は強かったですが、私は、再三というのか、粘り強く申し上げたのは、これはもう本当に、私どもの政治活動もそうです、不祥事なり不都合な情報あるいは出来事は常にはらみながら、抱えながらの。それは政府の仕事もそうです。企業もそうでしょう。

 デジタル庁は、やはり鳴り物入りで誕生して、いわば先進性や正確性、迅速性、透明性、あらゆる中央官庁が負うべき価値を、先陣を切って、先頭に立って背負っている官庁であり、こういう不祥事あるいは不都合な出来事を率先して公表し、そして対策を講じる姿が必要じゃないかということは相当説得を申し上げ、今日の答弁に期待をしているということまで申し上げて、ただいまの答弁に至っておりますので。それは、公表したいかしたくないかでいえば、したくないでしょう。しかし、恐らく関係の自治体と調整した上で、明らかにしていただいた。そのことを多とし、敬意を表したいと思いますが、しかし、言われてやるんじゃなくて、自ら先回りして先回りして不都合な情報をどんどん出して、その上で善処、改善をする。

 今回のことに関しては、もう申し上げましたが、仮名情報がない中で、金融機関と誰の口座だか突合しようがない状況でこの作業に踏み切ったということは、極めて勇み足に過ぎる。システム上、対応できませんから。ということは重ねて指摘し、この点は根本的な改善が必要だと思います。つまり、住民番号情報に、氏名に仮名情報を備えるという当たり前のこと。当たり前のことをやらないと、システムとして、これからいろんなシステムと連携していくんでしょう、にっちもさっちもいかなくなりますよ、これは。最低限のこととして、強く要請をしておきたいと思います。

 大臣、お聞きのとおりで、これから相当いろんなこと、がたがたしながら、このマイナンバーの活用を広げていくんでしょうが、医療情報の折にも申し上げましたが、とてもじゃありませんが、今の状況では信認をいただくことは難しいんじゃないかと思います。

 どうぞ、大串副大臣、御退室いただいて結構です。

 旅館業法、本題がちょっと時間が短くなりました。申し訳ありません。

 本当に、重ねて、自民党の上野筆頭、そして野党各党の皆様に心から敬意を表し、そして、与野党協議を進めてまいりましたが、これには、担当課を始めとした当局、事務、実務の皆様、そして、最終的には大臣の御意向、本当に懐深く構えていただいて、幅広に柔軟に協議に応じていただき、現状、この質疑が終わって、納得のいく大臣の御答弁をいただければ、与野党超党派で、もう自民党から共産党までみんなで修正案を提出させていただき、全員で賛同をさせていただく予定でございますので、そこに当たって、最終段階の大臣の御答弁を確認したいと思っております。

 ちょっと時間が迫りましたので、まとめてお尋ねしますので、簡潔にお願いできたらと思います。

 まず、法案の名称ですが、コロナの影響による情勢変化が前提になった法案の名称になっています。これは御存じのとおり、五類移行後ですので、余りコロナを冠に掲げて、これを根拠に旅館業法を改正する環境下に既にない。したがって、この法案名について、超党派で変更をしたいと思っておりますので、この点に関する大臣の御見識をお聞きしておきたいと思います。

 二点目として、これまで、伝染病と漠然と書いてきていました、宿泊拒否できる場合として。それをちゃんと、指定感染症を中心に入院、医療を要する者という、ある種合理的な限定を加えた。これは私は多とすべきだと思っています。

 ただし、先ほど阿部先生が御指摘になられたように、等が余り広がるようでは、法の規制が、趣旨が逸脱してしまいますので、そこは運用において、極めて抑制的に運用していただく必要があると思います。

 そこでなんですが、今回、宿泊事業者の方から、例えば体温の測定や自室での待機や医療機関の受診や、協力要請をできる法的根拠が生まれたこと、原案によって生まれようとしていること、これも一定必要な手だてだと思いますが、これを断ったからといって直ちに宿泊拒否だというその改正条項については、与野党超党派の合意で、是非削除すべきだ、そこまで強権的なことはしない方がいいだろうという合意を得ておりますので、これに対する大臣の御見識を確認しておきたいのが二点目でございます。

 三点目は、同じく宿泊拒否ができる場合で、宿泊事業所に過重な負担がかかる場合、これは、例えば、障害者団体から、盲導犬を連れていく場合、車椅子が必要な場合、断られるんじゃないかという大きな懸念の声が上がっていました。それはそういう趣旨じゃないんだという根拠規定を明確に置くことで、そうした御心配が及ばないことを法的に明記すべきだということが超党派の協議の中で協議をされ、合意されておりますが、この点に関する大臣の御見識。

 そして、最後に四点目です。大変重ねて恐縮ですが、四点目。

 もう一つのこの法案の重要な柱として、営業譲渡の場合に相続同等の免許、地位、許可が与えられる、それは飲食業やホテル、旅館業に関して。相続の場合は理解できるんですよ。例えば、息子さんやお嬢さんが先代を手伝っていた、先代が亡くなって、その営業を事実上御一家、御一族で継承するというときに免許や許可が与えられることは理解できるところなんですが、今回、それを営業譲渡にまで広げることになっています。

 それ自体は必要なケースもあると思うんですが、一方、例えば、どこかのファンド、これは外資も含めてどこかのファンドが、傷んだ事業所を安く買いたたいて、事業の継続や雇用の継続の意思、意欲が余りなく、そして安く買いたたいたものを高く売り抜けるというようなものにまで営業の地位を自動的に与えることには大きな懸念の声が出ています。この点も是非法的な手だてを行っていただきたい。

 その際には、今、超党派では、検査に入る、調査に入るということを求めたいと思っているわけですが、これは、行政指導を前提にした、しっかりとした調査である必要。そして、都道府県においては、体制も含めてちゃんと調査できる、あるいはそれを厚生労働省がきちんと管理監督を応援するということの担保と併せて、この実効性のある調査が必要だという議論になっています。

 ちょっと、重ねて四点の質問になりましたが、非常に恐縮なんですが、簡潔にで結構です。ポイントだけ、大臣の御答弁をお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 まず一点目は、先ほど阿部委員の御質問にもお答えさせていただきました。今回の法律の趣旨を踏まえて、伝染病を、今度、特定感染症という形にさせていただいていますけれども、そこに等が入っている、そこの意味づけをしっかり認識して、それが拡大につながらないような厳正な運用に努めていきたいと考えております。

 それから、今、先の修正の話がまだ出ていないという、なかなか答弁しにくい部分がございますけれども、これでなくても、例えば、それをより、もう少しかみ砕いていくと、まさにカスハラにつながったり、そういった場合というのはあり得るわけなので、必ずしもこの規定がイコールでなくても、他の規定というものもありますから、そうした中で、それは別に拡大をしようと言っている意味じゃなくて、あえてその規定を置かなければならないのかどうか、こういった御指摘はしっかり受け止めさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、三点目は、先ほど、盲導犬等々については、そうした点に対してはガイドラインをしっかり作成をする、またガイドラインの作成に当たっては関係者の方にもしっかり入っていただいて作っていく、そういったことを通じて現場において的確な対応がなされる。さらには、研修、先ほど御指摘もありましたけれども、各旅館業においてしっかりと研修が行っていただける、こうしたことを我々もしっかり支援をしていくことで、より徹底を図らせていただきたいと思っております。

 それから、営業譲渡の関係、事業譲渡の関係でありますけれども、これについては、地方自治体が、これは事業承継の届出が出されますが、その段階で自治体がその内容を確認するとともに、保健所による監視指導等の中で、事業が実際に継続されているか、衛生管理が適切に行われているか等を確認していくことを考えているところでございますので、事業譲渡による営業者の地位の承継が行われた後に、可能な限り速やかに保健所が必要な監視指導等を行うように実施をしていきたいというふうに考えているところでございます。

 実際、事業譲渡を行う場合、ハードウェアはそのまま受け継ぐわけでありますが、ただ、ソフトの面でちゃんとやっているかどうか、これは確認する必要がある、そういう認識に基づいて対応していきたいと考えております。

小川委員 重ねて、政府そして各党、またハンセン病原告団を含めた関係諸団体の本当に誠意ある真摯な御協議に深く敬意を表して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは早速、旅館業法について質問をさせていただきたいと思います。

 旅館業法の見直しに係る検討会が七回行われたというふうにホームページを拝見して、その議事録も読ませていただきました。

 その中で、新型コロナウイルスの旅館の受入れというところで、私も、民間のときに、介護施設で感染の方を受け入れるときに非常に困ったのが、やはり、自らのスタッフの方の感染をどう守っていくかというところと、そこで働いているスタッフの家族からの非難もあれば、その家族が非難されてしまうということもあって、非常に苦しんだ思いがあります。そして、この議事録の中を読ませていただきますと、旅館の方もやはり、そういった同じような困ったことが書かれておりました。そして、やはりその反対の、障害をお持ちの方また盲導犬の方、そういった方が宿泊拒否をされるようなことが更に、法案が変わることによって強まっては困ると。お互いの意見が非常に書かれていて、判断に難しい内容ではあるなというふうに感じております。

 そこで、旅館業法が昭和二十三年と、昔であれば確かに行き倒れという問題もあったと思うんですが、現状の状況も踏まえて大臣にお伺いをしたいんですが、消費者と営業者の間で対等な契約行為が阻害されているのではないかというふうに考えるんですが、この点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 まさに、旅館業の営業をしている者とそこに泊まられる宿泊者の関係、これは民と民の関係でありますから、本来、営業の自由があり、また、契約の自由の原則に基づいて行われるものだというふうに思っておりますが、旅館業法というのが別途設けられており、そこでは、公衆衛生と旅行者等の利便性といった国民生活向上の観点から一定の規制が別途設けられているわけであります。

 これを踏まえて、本法第五条では、旅館業の営業者は、伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき等の宿泊拒否事由に該当する場合を除き、原則、宿泊しようとする者の宿泊を拒んではならないということになっている。通常であれば、契約が合わなければ契約は流れるというわけですが、旅館業法に関しては、基本的には宿泊を拒んではならないという仕組みになっています。

 そうした中で、今回の改正につながっていく議論の中で、新型コロナの流行期に、旅館業の現場からは、宿泊者に対して感染防止対策への実効的な協力要請を行うことができず、施設の適正な運営に支障を来したと。まあこうした中では、そこで働く方々に対しての影響等もあったと思います。いわゆる迷惑客から無制限に対応を強いられた場合には、感染防止対策を始め、旅館業の施設において本来提供すべきサービスが提供できず、旅館業法上求められる業務の遂行に支障を来すおそれと指摘されたことを踏まえて、旅館業法第五条において、症状を呈している宿泊者等に対し旅館業の営業者が感染防止対策への協力を求めることができるようにするとともに、その求めに正当な理由なく応じない場合には、拒否、宿泊を拒むことができるようにする。実施に伴う負担が過重であって他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求を繰り返したときは、宿泊を拒むことができるという改正を行ったところでございます。

 全体としては、先ほど、冒頭申し上げたように、宿泊を拒否することができない、この原則は変わることなく、やはり、この間の事情と、そして、今委員御指摘のように、ハンセンの元患者の方が宿泊を拒否された、こういう過去の事例、こうしたことも踏まえながら、今回の法案、改正を提案させていただいた、こういうことでございます。

一谷委員 まさに判断の難しいところだと思うんです。

 そこで、私は、新型コロナウイルスの感染もなんですが、小児がんの御家族、これは医療従事者が旅行に一緒に行く、思い出をつくるために行くという団体の方にちょっとヒアリングをさせていただいて御意見もお伺いしたんですが、小児がんのお子さんが一番行きたい旅行先というのが、皆さん、一体どこをイメージされますかね。温泉旅行だったんです。これは一概に全てがそうではないと思いますが、温泉旅行が非常に多かったです。もちろん、団体としてディズニーに行ったり、USJや、もう一つはキッザニアですか、そういった体験をということも多いんですが、やはり温泉旅行が圧倒的に多くて、そして、ホームページを見ていますと、非常に、温泉旅行に行けて思い出ができてよかったと。日頃離れ離れで治療を受けていますから、そうした思い出がよかったということがあるんですけれども。

 やはり、医療従事者がついていても、旅館に電話をしたときに、状態の急変が怖い、又は、医療従事者はついていますけれども、旅館のサービスが、しっかりとしたサービスが担保できることが不安だということで拒否されることもあるということなんですね。

 これは政府参考人の方にお伺いしたいんですが、基本的には旅館の方も、何かできることはありませんかとは言ってくださるんですけれども、やはり受入れができないということもあります。これについてはどのようにお考えなのか、これは法令違反になるかどうかも含めて御回答いただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、旅館業法では、先ほど来御説明しているとおり、現行法では、伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき、今御審議いただいている法案では、各種感染症という形での病気による場合の拒否に関する規定を設けているところでございます。

 よって、現行法でも今御審議いただいている案においても、小児がん患者であることのみをもって旅館業法の五条、これは各号と言ってもよいのかもしれませんが、それの宿泊を拒むことができる事由に該当するものではない、法律上はそういう整理になります。

一谷委員 今回は私は小児がんの件を取り上げたんですが、やはり、高齢者の方であったり、その他の障害を持っておられる方も一緒だと思うんですね。これについては後の質問でもう少しさせていただきたいと思います。

 一つ、これも政府参考人の方に確認なんですけれども、第五条の五に、宿泊施設に余裕がないとき、そして、都道府県が条例で定める事由があるときは、これも宿泊拒否ができるというふうに書いてあるんですが、そもそも、都道府県でそれほど拒否する理由は変わらないと思うので、そういった理由を法律の中で条文として明確に位置づけることはできないのかということと、もしそれができないというのであれば、そもそも、都道府県の条例での対応ができるのであれば、本法案の改正をする必要は、私はないのではないかなというふうに思うんですが、そのことについて御意見をお願いいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の五条で規定されている条例のところですけれども、これは都道府県等の地域の実情に応じた事由を定めることができるようにしたものであり、今回の旅館業法の改正後も、これに基づいて宿泊を拒むことができることには変わりはない。これが、まず、なぜその条例の規定があるかというところです。

 一方で、今回の改正に当たっては、旅館業の現場から、宿泊者に対し感染防止対策への実効的な協力要請を行うことができず、宿泊者や従業員の安全確保も含め施設の適正な運営が困難に、また支障を来したりということがあったと。いわゆる迷惑客について旅館業の営業者が無制限に対応を強いられた場合には、感染防止対策を始め旅館業の施設において本来提供すべきサービスが提供できず、旅館業法上求められる業務の遂行に支障を来すことがある、おそれがある、こういったことがありました。

 つまり、共通化できる部分については、今回の法改正において、今御審議いただいている法案の形にし、その上で条例の部分については残している、こういう整理でございます。

一谷委員 分かりました。

 それでは、次の質問をさせていただきたいんですが、今回、宿泊拒否をする理由として、まず、発熱等の特定感染症の症状を呈する宿泊者等に対して客室での待機等ということも書かれておりました。これは、別室の部屋を用意して待機をちょっとしていただこうということだと思うんですけれども、そうなりますと、その動線の確保も要りますし、また、食事の準備ということになってくると、そこにスタッフの手も、個別で食事を取っていただかなければならないということになりますので、そもそも、ある程度の規模の施設じゃないとそれが対応できないのではないかというふうに思いますし、やはり、人手不足の中で、どの旅館もホテルも、人手を少なくて運営をしていくにはどうしたらいいかというようなことが進んでいっていると思うんですね。私が利用させていただくホテルなんかでも、受付に誰もいなくて、自動でというところも多くあると思います。

 まず、ハードの面で、ある一定の規模が必要ではないかというところと、そしてもう一つは、これはソフト面なんですけれども、負担が過重である場合、これも、第五条の四に書いてありますけれども拒否ができるということになっていますが、この負担が過重というのは、取り方によってはいろいろ、まちまちだと思います。男性、女性も違うと思いますし、力が大きい、弱い、これも違うと思いますし、もちろん、研修を受けていて対応できる、できないというのもあって、ここも非常にあやふやになってきて、その場その場の対応になるのではないかというふうに思います。また、予約を受けた際には、スタッフもそろっていて十分対応ができるという状況だったけれども、いざ来られたときに、スタッフの欠員が出てちょっと受入れができないんですということも、これは負担が過重であるということが言えるのではないかなというふうに思うんですね。

 これらの質問とともに、私は、新型コロナウイルスが五類になった今だからこそ冷静に議論できるのではないかという点は、ある一定、法律で、拒否はしてはならないということを縛っていると私は思うんですね。であれば、ある程度、旅館側やホテル側も対応ができるような状態にしていく後押しというのも、お互いしないといけないのではないかなと思います。これは後でお聞きする研修に関してもそうですけれども、ハード面に関してもですね。例えば、病院との連携を進めてくださいというふうに書いてありますが、そうするのであれば、ICT化を進めて、本当に、デジタルで診断を受けて、それでいいのかどうかとか、ほかの法案の整備も必要だと思うんですが、そういったことも含めて御回答をいただけたらと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、個々の旅館、ホテル等でどういう判断をするのだというところにつきましては、例えば、さっき、ハードの話ですとか、従業員が急遽大量に休んでということもありました。

 先ほど委員に御紹介いただいた条文の中で条例のところがありましたけれども、そこの前段のところに、宿泊施設に余裕がないと。これとの関係はどうなるんだ、また、いわゆるカスタマーハラスメントの規定のところとの関係はどうなるんだ、これは、委員御指摘のとおり、本当に丁寧にガイドライン化してお示ししなければ、なかなかこれは現場、ここで言う現場は、利用者も困りますし、ホテル、旅館側も困ると考えております。

 ですので、この法案をお認めいただきましたら、検討会を開いて、ガイドライン化する際に、現場の声も聞きながらそれを策定し、周知を図る、こういう形で対応してまいりたいと考えております。

一谷委員 もちろん、カスタマーハラスメントという、何かむちゃくちゃを言われるお客さんというのは、これはもう問題外だとは思うんですけれども、やはり、ハード面の設備を上げていくというんですか、大変あれですけれども、私が民間で介護事業を自分が担っていたときは、非常にいろいろな厚生労働省から補助金や助成金をいただいて、患者さんを、感染された方を受け入れる体制がかなり整ってきていますし、もし次の感染症が来たときのための対策をかなり、まあ、これはどんな感染症が来るか分からないですから、今の新型コロナウイルスに対応するというレベルではありますけれども、対応を進めていっているところがあります。

 ですから、私、少し調べさせていただいたところによりますと、国土交通省も、ユニバーサルデザインというところで、例えば、障害の方が、ドアノブであったりいろいろな、生活がしやすいような改良を加えるのに補助が出ていたりとか、調べれば経産省からも出ているのではないかなというふうに思うんですが、是非そういったことも組み合わせて、お互い、受入れができる、受け入れる幅が増えるような対策もやはり取っていかないと、法律で縛ってしまいますので旅館側は非常に大変な苦しい状況になると思いますし、やはり、障害を持っておられる方また感染の疑いのある方が行ったときにできるだけ受入れをしていただけるような体制づくりというのが私は非常に重要になってくると思いますので、是非そこをお願いしたいなと思います。これは前向きな議論としてですね。そして、五類になったから、今だからこそ冷静に話せるのではないかなというふうに私は感じております。

 そうしたら、次の質問なんですが、これも政府参考人の方にさせていただきたいんですが、差別防止の更なる徹底のために、高齢者、障害者等の研修というふうにあるんですけれども、私はやはりここが一番大事になってくると思います。働いておられる方が海外の方も増えてきますし、やはり障害をお持ちの方というのは、受け入れるときに、ある一定技術も必要になってくると思います。

 そして、このフロー図を見せていただくと、宿泊に来た際の、熱があった場合、がん等の発熱と想定されると確認すると宿泊ができるということですけれども、これはある程度やはり医療の知識というのも身につけていかないといけないと思いますので、働く方々のそういった技量を上げていくというのは非常に重要だと思うんですけれども、こういった研修について、実際にどのようにしていくかということをお伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、この研修が極めて重要な鍵を握ると思っております。よって、形骸化することのないように取り組んでまいりたいと思います。

 先ほど来、ガイドラインの話をしていますけれども、例えば、この中で、旅館業の施設における感染防止対策が適切に行われるような内容、過去の宿泊拒否事例も踏まえ、今回の改正が感染症患者等の不当な差別につながることのないようにするといった内容、障害者等の特に配慮を要する宿泊者に対して特性に応じた適切なサービスを提供できるようにするというような内容、こういったものを盛り込みたいと考えておりますし、加えて、国としては、これらの研修に当たって御活用いただけるような研修ツールの作成等に取り組んでまいりたいと考えております。

一谷委員 この研修が本当に、形骸化とおっしゃいましたけれども、やっているだけとか、なかなか参加がしにくいというようなものにならないようにしていただきたいですし、少し私が提案してみて、それは費用がかかり過ぎるからというお答えもいただいたんですが、研修を受けたらそういった研修のマークをつけるとか、マークをつけなくてもホームページに載せられるとか、何かそういった工夫もしていただく方が、やはり旅館側も研修をしやすくなると思いますし、これは、経営者やそこのリーダーが本当にしっかり腹に決めて、研修を受けてもらうんやというふうな気持ちにならないとなかなか浸透していかないというふうに思いますので、その辺の工夫をやっていただきたいと思いますし、ほかの産業も、研修をやっているところを参考にしながら是非やっていただきたいと思います。

 それでは、時間もありますので、最後の質問をさせていただきたいと思います。

 これは参議院の東徹議員も再三質問させていただいて、私も思うんですけれども、今回の事業継承について、相続、そして合併、分割ですね、事業継承のタイミングの際に、食鳥もありますし、それだけではなく、フグ、カキの取扱い、感染を起こしてしまったり人に害を及ぼすおそれのある場合、やはり指導、これは監視指導ですか、することが必要だと思うんですね。

 これは、各都道府県で食品衛生監視指導計画というのができているというふうに書いてあります。ある市町村にちょっと確認したんですけれども、その計画がやはり計画どおり行っていないと。年一回、計画どおり行きますと書いてあっても、年一回行けていないところもありますので、自治体によっても、人手が足らないというところで、なかなか監視指導に行けないという現状があると思います。

 ですから、事業譲渡したときには、そのタイミングで行った方がいいと思うんですが、マンパワーが足りないというような問題に対してどうお考えか、最後にお答えいただけたらと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、各都道府県等が定める監視指導計画、私ども、それの指針を定めていたりします。そうした中で、具体的にこういう指針を定めることによって、計画が過剰な負担にならない範囲で、かつ速やかに、そして実効性のある承継後の確認等が行えるように、技術的助言に努めてまいりたいと考えております。

一谷委員 今回の旅館業の改定が本当に皆さんのいい思い出になるということにつながることを願って、私の質問を終わりたいと思います。

 皆さん、本当にありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太です。

 それでは、早速、今回の法改正案について質問させていただきたいと思います。

 今回の法改正、平たく言うと、宿泊拒否事由を明確化したんだというところだと思うんですけれども、今朝の委員会の中でもいろいろこのテーマについて質問されていると思うんですけれども、まず、宿泊者が正当な理由なく応じないときというところで、正当な理由に当たるかどうかが問題となるというところだと思うんです。

 先日の答弁の中で、消毒用アルコールへのアレルギーがある場合、医療機関の診療時間外の場合など、こういったところが挙げられていると思うんですけれども、五条二号については、正当な理由の例示を含めて規定することや省令で定めることもあり得ると思うんですけれども、今回、ガイドラインで定めるというふうにしているのはなぜなのかというのをまずお尋ねしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 今私どもが提出している法案についての御説明になりますけれども、旅館業の施設における感染症の蔓延防止対策の充実を図るために今回のこの法案を提出し、正当な理由なくその求めに応じない場合は宿泊を拒むことができることとしていて、他方で、宿泊しようとする者が宿泊を拒まれた場合における影響に鑑みて、営業者は、宿泊拒否事由に該当するかどうかを判断するに当たり、宿泊しようとする者の状況等に配慮する、これがまず大事ですし、あわせて、客観的な事実に基づいて慎重に検討することが求められると考えております。

 こうした判断を行うに際し、私どもは、これを判断いただく材料が必要だろうと。その辺り、今提出している内容においては、これは、法案をお認めいただいた場合に、ガイドライン、先ほど来申し上げている検討会、様々な関係者の参画をいただいた上での検討会、そしてガイドラインによって正当な理由に該当する場合の例を具体的に示したい、これが提出した内容の考え方でございます。

遠藤(良)委員 法案の成立後にガイドライン、どのような過程を経てガイドラインを策定するのか。先ほど、判断する材料というところだと思うんですけれども、どういうふうにこのガイドラインを策定していくのかを確認したいと思います。

佐々木政府参考人 先ほど、関係者という表現をしましたので、そこを具体的にしたいと思います。

 このガイドラインの策定、検討に当たっては、まず、旅館、ホテルの利用者、これは障害をお持ちの方だとか患者さんも含まれると考えております、もう一つ、旅館業の業務に関して専門的な知識経験を有する方、さらには感染症に関して専門的な知識を有する方、こういったメンバーでの構成によってガイドラインの内容をもんでいって、そして策定し、周知を図りたいと考えております。

遠藤(良)委員 宿泊拒否について、条例で規定する自治体があるというところなんですけれども、泥酔で他の宿泊客に迷惑を及ぼすおそれが、百五十七自治体中、百四十六自治体がこれを規定している、身体や衣服等が著しく不潔で他の宿泊客に迷惑を及ぼすおそれがあるという規定のところで、百五十七自治体中、五十自治体が規定しているというところなんですけれども、各自治体でこういった規定を設けていると。

 宿泊拒否について、こういった事由について今回の法改正で盛り込まなかったというところなんですけれども、どういった理由があるか、お尋ねしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 現行の法律でも規定されている、都道府県が条例で定める事由があるときについては、これも、都道府県等の地域の事情に応じた事由を定めることができる、今回の旅館業法の法改正後も、これに基づいて宿泊を拒むことができることには変わりない、これがまず前提にあって、その上で、今回の改正については、旅館業の現場から、委員御指摘のような、こういったアンケートとかも含めて、そういった内容のものも御指摘をいただきました。

 こうした課題に対応する必要があるということで、今回の条文として新たに提案したのは、そういう背景にございます。

遠藤(良)委員 先ほども出ていましたけれども、ハンセン病の元患者の宿泊拒否とか、こういった中で、研修の提供というところなんですけれども、従業員への研修機会提供努力義務の規定が改正案で入っている。

 先ほどもお話ありましたけれども、研修ツールは国が作成をするという方向性だと思うんですけれども、オンライン研修とかそういった導入も考えられると思いますし、宿泊拒否事由は、五条三号によって、地域により、先ほどのところで、違いも認められていると思います。研修について、拒否事由の違いを含めて対応していくのか。この辺り、研修についてお尋ねしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 研修は確かに大事なもので、従業員への研修の方法につきましては、法律上は、旅館業の営業者が従業員に対して行う、努力義務という形ではございますけれども。その方法論で申し上げると、旅館、ホテルの団体が行う、全国研修の場合もありますし、今委員御指摘の都道府県単位で条例等があることもあるので、都道府県研修等に従業員が参加する、こういった形のものも想定されるところでございます。

 その内容につきましては、繰り返しになるので省略いたしますけれども、それが共通的な内容のもので、かつ様々なコンテンツによって工夫できるようなツールがあれば、それは、私ども国の立場として開発し、提供したいと考えております。

遠藤(良)委員 カスタマーハラスメントの対応のところなんですけれども、負担が過度、サービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求と規定されている。これは限定していると思うんですけれども、ガイドラインで示していくのか、あるいは省令で定めたりとか、これは具体的にどういうふうに設定していくのかをお尋ねしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 この法案で、いわゆるカスタマーハラスメントへの対応として、宿泊しようとする客が、実施に伴う負担が過重であって他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求を繰り返したときに宿泊を拒むことができることとしております。

 これが、この法案をお認めいただきましたら、先ほどのメンバーでの検討会を立ち上げてガイドラインをという話をいたしましたけれども、この中で、いわゆる迷惑客の宿泊拒否事由に当たる事例を具体的に明記することを考えております。

 現時点で、ガイドラインを作っていただくに対し、私どもが事例として考えているのが、例えば、宿泊者が従業員を長時間にわたって拘束し、又は従業員に対する威圧的な言動や暴力行為をもって苦情の申出を繰り返し行う場合、さらに、宿泊者が宿泊料の不当な割引等、他の宿泊者に対するサービスと比較して過剰なサービスを行うよう繰り返し求める場合、こういった内容を盛り込みたいと考えております。

遠藤(良)委員 具体的に先ほども御答弁いただきましたけれども、なかなか、決め過ぎるとまた難しいところもあると思うので、その辺は柔軟にされていくのかなと思うんですけれども。

 宿泊者名簿の記載事項のところなんですけれども、コロナのような特定感染症のときには、そうでないときに比べると、連絡先の正確性が特に求められるというふうに思います。特定感染症の場合、旅館やホテル側で連絡先の正確性についての確認の方向性、あと、正確性の担保は十二条の罰則で実際足りるのかどうか、この辺り、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 記載内容の正確性の担保につきましては、旅館業法第六条第二項において、宿泊者は営業者から請求があったときは宿泊者名簿の記載事項を告げなければならないこととされており、先ほど委員も言及いただきましたが、この規定に違反して虚偽の内容を告げた場合は、同法十二条によって、その宿泊者は拘留又は科料、それぞれですけれども、に処されることとされております。

 厚生労働省は、各自治体が旅館業に関する条例等を定める際の指針として、旅館業における衛生等管理要領というものを定めております。その中で、宿泊者名簿の正確な記載を担保するための措置として、本人確認を行うこととしております。

 こうしたことも含めて、宿泊者名簿の記載事項として新たに追加される連絡先について、内容の正確性を担保していきたいと考えております。

遠藤(良)委員 私の地元も、豊岡の城崎温泉という温泉地があって、千三百年以上、温泉街としても歴史があって、最近、観光客も増えていますし、是非、観光業をしっかりと盛り上げていただきたいというふうに思います。

 次のところを質問していきたいと思うんですけれども、先ほど一谷議員からもありました事業承継のところです。

 今回、手続を簡素化して事業承継を促す意味では、必要な法改正だと思います。こういった規制緩和、本当にこれは望ましいんだというふうに思うんですけれども、我が党の東徹議員が、参議院の委員会の中でも、四月十三日に、何の知識もなくても譲渡を受けることができる、食の安全ということから考えれば後退しているんだという発言があったんです、これは食鳥処理というところなんですけれども。

 私、以前、中国に住んでいたときに、鶏を買うんですけれども、鶏は普通の商店街とかで放し飼いになっているんですよね。放し飼いになっていて、一羽八百円ぐらいで売られているんです。実際、営業権は取っているのかなというふうなところも思ったりもしながら、その鶏を処理するんですけれども、何か綿あめを作るような機械で、鶏を入れて毛を取ったりするんです。

 実際、食鳥処理のところの中で、中国とは大きな違いがあると思うんですけれども、今回、食中毒の防止とか、こういう観点から考えると、都道府県知事等による業務の状況等の調査とか実地調査が必要になると思うんですけれども、この辺り、実際いかがなんでしょうか。

加藤国務大臣 中国の事例はちょっと承知しておりませんが、日本においては、食鳥の屠殺、解体を行う食鳥処理業を営もうとする者は、食鳥処理法に基づいて、都道府県知事等の許可を受けなければならない、これが大原則であります。

 ただ、一方で、相続、合併、分割の場合には、その事業を承継する者は改めて許可を受けることなく食鳥処理業者の地位を承継する旨の規定、これは既に設けられております。そうした規定があること、さらに、手続の簡素化ということで、今回は相続等の場合と同様に許可の取得を不要とすることとさせていただいておりますが、ただ、この許可を行う際には、基本的に、食鳥処理場の構造、設備の基準が適合しているかという、まさにハードの確認が必要でありますが、これは、今適合しているやつをそのまま承継するわけですから、それ自体は、まさに適合性に問題はまずないだろうと。

 しかし、他方で、そうしたしっかり設備基準等を満たした処理場を使うとしても、引き続き衛生管理に基づいた適切な処理が行われるかどうか、これはまた疑念の声があることもそのとおりでありますので、この法案が成立した場合には、事業譲渡が行われた後に衛生管理が適切に行われているかどうか、これを確認するため、可能な限り速やかに保健所が実地で監視指導等を行い、そして、場合によっては必要な対応を図ることとしたいと考えております。

遠藤(良)委員 今回の新規許可が不要というところで実地調査の省略になるんだと思うんですけれども、事業者側からすると、手数料が安くなって、事業承継が早くなるというメリットがあると思います。他方、自治体からは、時間がかなり経過してから事業譲渡が実施された場合等は現地調査は必須という意見も一方では出ているんだというところなんですけれども、事業者の手続負担の軽減と行政のチェックの適正化とのバランスを実際どういうふうに図っていくのか、お尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 営業者が必要に応じて円滑かつ簡便に事業譲渡を行うということは、地域において行われたサービスが引き続き提供されていく、こうした状況をつくっていくということであります。

 一方で、先ほど申し上げておりますように、そうした事業譲渡の手続を簡素化することに対しては様々な衛生面での懸念もいただいておりますので、そうした懸念への対応としては、先ほど申し上げましたが、地方自治体に対して事業承継の届出等を行うことになっておりますから、その届出の内容をしっかり地方自治体が確認をし、そして、必要に応じ監視指導を行い、問題がある場合は、指導や営業停止処分、取消処分を行うということとなります。

 この法案の旅館業法の改正においては、事業譲渡について当該都道府県知事の承認を要することとしており、譲受人が欠格事由に該当していないかどうかなどを確認し、必要に応じて指導等を行うこと、旅館業法に関してはこういうことになります。

 さらに、衛生水準の確保のための措置として、営業者は事業の特性に応じて様々な資格者を置くことになっておりますので、そうしたことについては、先ほど申し上げたように、事業譲渡が行われた後、事業が適切に行われているかどうかを確認するため、可能な限り速やかに保健所が実地を含めた監視指導を行うことによって、円滑な譲渡、そして引き続き適正な事業が実施される、それを担保していきたいと考えています。

遠藤(良)委員 時間になりましたので、これで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いいたします。

 今回の法改正については、宿泊業等、従業員を感染症から守るという観点で、宿泊者に対して感染症の防止策への協力を求めることができるという法的根拠を持って要請できることになる。一方で、実際に現場で働く人が対応する際の判断についての難しさ、さらには、宿泊を拒否できる場合の拡大にこれがつながるんじゃないかといった懸念の声も上がっています。是非質疑の中でその不安を解消できればと思っております。

 まず、法の第四条の二第四項です。宿泊しようとする者は、営業者から第一項の規定による協力の求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならないと。

 この営業者からの第一項の協力要請に正当な理由なく応じない場合は、民事上は、宿泊客による宿泊の契約上の義務違反となり、違法な、債務不履行として、宿泊業者が宿泊契約を解除することができるのではないかというふうにも読めます。

 要請に応じる義務を規定するということは、結局、宿泊拒否を認めるのに等しいのではないかといったこの懸念に対してはどのようにお考えか、お聞きします。

加藤国務大臣 まず、今回の改正法の第四条の二第四項で、宿泊しようとする者は、旅館業の営業者から感染防止対策への協力の求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならないということにしているところでございます。

 この規定は、旅館業の営業者は、旅館業法により宿泊拒否制限がかかっている中で、旅館業の施設について、宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならない義務が課されており、その義務を果たすために、相応の法令上の根拠を持って、宿泊者に対し感染防止対策への協力を求めることができるようにする必要があるから設けたものであります。

 しかし、他方で、拒否規定はいわゆる五条に規定されているわけでありますので、この規定自身、旅館業の営業者が宿泊を拒むことの根拠になるものではないというふうに考えております。

    〔委員長退席、高木(宏)委員長代理着席〕

田中(健)委員 そうしますと、五条一項の本文、まさに今おっしゃってもらいました、原則として宿泊拒否ができないという規定により、四条の二の第四項の違反に基づいて、これは、あくまでも民事上ですけれども、民事上の宿泊契約も解除できないという、再度ですが、理解でよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、いわゆる四条の二は、あくまでも応じなければならないということを規定したにとどまっているものでございますので、宿泊拒否事由に関しては、第五条に該当しなければ拒否することはできないということになります。

田中(健)委員 そこで、正当な理由等において、ガイドラインで規定をするということ、これまでの質疑の中でたくさんありました。

 一方、宿泊施設においては約款がございまして、モデル宿泊約款というものが国交省で定められているんですけれども、この中にそれぞれ、宿泊契約締結の拒否や、契約解除権というものが定められておりまして、約款というのは法的拘束力があって、今回定めるガイドラインというのは法的拘束力がないわけでありますけれども、この関係というのはどのように整理されていくのか。ちょっと、レクで十分御説明できたか分からないんですが、参考人の方でもお答えいただければと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省というか観光庁ですか、が定めるモデル約款で、それに基づいてというのがあります。

 一方で、今回、私どもは、旅館業法の中で、衛生法規の観点から、まずは五条にある宿泊拒否の定めがあって、それについては罰則規定がかかってくる。あわせて、今回の提案をしている四条の二も含めた各種のものについては、ガイドラインで定めたり、省令、政令というものもございます。

 つまり、ここで申し上げたいのは、あくまでも宿泊拒否に係る部分については旅館業法の方がかかる部分でございますので、仮にその約款、どういうふうな定めかにもよりますけれども、少なくとも、五条各号に定めているものでなければ拒んではならないというふうな整理と考えております。

田中(健)委員 理解させていただきました。

 その中で、正当な理由に応じない限りという中の、その正当な理由について、先ほど来も質疑がありましたが、再度伺いたいと思います。

 これもガイドライン等で定めるということなんですけれども、宿泊客の、先ほど、状況や客観的な事情ということであったんですが、その内容や程度や年齢、天候、いろいろ、宿泊に対しては様々な環境があると思うんですけれども、さらに、宿泊施設の場所や状況や医療機関までの距離、移動方法等々の事情により、なかなか個別具体的な状況が異なる中で、このガイドラインを定めるのは難しいんじゃないかということを懸念しています。

 昨日の質疑の中であった、アルコールのアレルギーがあるから消毒は拒否できる、また、医療機関の時間外により診療を受けられないという場合とか、かなり具体的なことで定めると、もうこのガイドライン、幾つあっても足りないような思いであるんですけれども、この正当な理由に当たるかを事前に明確に定めることが、宿泊業者による要請内容の適正性、公平性というものを保てるのかということに懸念が残りますが、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、感染防止対策への協力要請に応じない場合の正当な理由については、これは、片方ではきっちり定めて、これによって、旅館、ホテルによってぶれないことも大事ですし、一方で、それぞれの旅館、ホテルの状況によりますし、何より、宿泊しようとされる方の個別の事情というものがあろうかと思います。

 そこで、私どもがガイドライン等で定めようとしているのは、先ほど例示していただいた、引用いただいたアルコールのアレルギーだとか、あと、マスクの場合におきましても、年齢の低い子供ですとか、障害がある等の理由により着用できない場合もある。さらには、受診を考えても、医療機関の逼迫や診療時間外によって医師の診察が受けられない場合もある。こういったことを、検討会を通してできるだけ列挙しようと考えておりますけれども、当然ながら全てを網羅することは困難ではございますけれども、一般的に考えられるケースにつきましては、できるだけこの中で網羅をしていきたいと考えております。

田中(健)委員 是非、全ては網羅できないということでありますけれども、そのガイドラインが、まさにこの正当な理由の基準となりますので、しっかりとこれからの定めをウォッチしていきたいと思っています。

 引き続きまして、四条の二第一項一号のイでは、次条の第一号、特定感染症に該当するかどうか明らかでない場合に、医師の診断結果などを報告することが要請されます。それに応じる義務が課された場合、特定感染症と同等の症状、ほかの病気であっても熱やせきや倦怠感、いろいろな症状が出てくると思うんですけれども、それを有するほかの疾患の患者が、特定感染症でないことの開示を求められることになります。つまり、患者のプライバシーということの、そこで侵害にもつながるという懸念がありますけれども、どのように宿泊者である患者のプライバシーということを守ることができるのか、伺います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の条文につきましては、特定感染症の患者に該当するかどうかが明らかでない方に求める協力として、現在、医師の診断によって特定感染症の患者と診断されているか否か、症状が特定感染症以外の要因により生じているものであるか否かについて宿泊施設に報告を求めることを想定しております。

 旅館、ホテルの現場におきましては、宿泊しようとされる方からこうした報告を求めるに当たっては、委員御指摘の、プライバシーを含む個人の権利利益の保護を図ることが重要と考えております。このため、個人情報の利用目的をできる限り特定した上で、当該利用目的の通知又は公表等を適切に行うこと、要配慮個人情報を取得する場合には、原則としてあらかじめ本人の同意を得ること、関係機関等に対して個人データの第三者提供を行う場合には、原則としてあらかじめ本人の同意を得ることなどが徹底される必要があると考えております。

 このため、この法案によって努力義務となる従業員の研修等も活用して、個人情報の適切な取扱い、プライバシーの保護、こういったものの周知に努めてまいりたいと考えております。

 もう一点、宿泊しようとする方が、症状は特定感染症以外の要因によるものであるが、具体的な要因は報告したくないという場合があろうかと思います。こうした場合、他の宿泊者や従業員に感染させないように宿泊することに応じるのであれば、それ以上の報告は求めない取扱いとすることを考えております。これは最終的に検討会等でももんでもらうんですけれども、これにより、症状の具体的な要因を報告せずとも宿泊は拒否されないようにしたいと考えております。

田中(健)委員 事前に了解、承認を取ると言うんですけれども、それをすることで、情報開示につながらない、若しくはプライバシーが守られるということでよろしいんでしょうか。もう一度お願いいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、プライバシー保護、個人情報保護の方策の一つとして、個人情報保護法に定められているこういった手続を経るということを御説明したところです。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 そうしましたら、他の関連法案との関係についても伺いたいと思います。

 一つは、新型インフルエンザ特措法です。

 この特措法四十五条の一項、緊急事態宣言においては、都道府県知事が住民に対して居宅待機など感染防止協力を要請することができますが、住民には要請に応じる義務は課されてはおりません。そうしますと、旅館業法の四条の二によりまして、特定感染症の症状を呈している者に対して診察や居室待機などの要請に応じる義務を今度課すことになりますが、これは特措法の緊急事態宣言さえも超える権限になるのではないかといった懸念がありますけれども、その関係性を伺いたいと思います。

    〔高木(宏)委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 端的に言えば、それぞれの目的がかなり違うということであります。旅館業法は、旅館業の業務の適正な運営を確保することなどにより、公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することを目的とする一方で、新型インフルエンザ等対策特別措置法は、新型インフルエンザ等の対策の強化を図るものであります。したがって、それぞれの目的等を踏まえながらその規定ぶりも変わってくるのは、ある意味で当然のことだと思っております。

 旅館業の営業者は、旅館業法により、宿泊拒否制限がかかっている中で、旅館業の施設について、宿泊者の衛生に必要な措置を講ずる義務が課されております。当該義務を果たすためには、相応の法令上の根拠を持って宿泊者に対し感染防止対策への協力を求めることができるようにしていかないと、そうした義務をなかなか果たすことができないのではないか。

 そうしたことを踏まえて、この法案では、協力要請の仕組みとして、特定感染症を限定的に定義した上で、国内発生期間に限って、感染症の蔓延防止に必要な限度において、感染防止対策への協力を求めることができることとし、症状の有無等で宿泊者を区分し、その区分ごとに必要な範囲で協力要請の内容を定める、こういうことをしているところでございます。

 このような対応は、旅館業の施設において感染症の蔓延を防止し、宿泊者、従業員の安全確保も含めて、施設の適正な運営を確保するために必要かつ合理的な範囲にとどめているものであります。

田中(健)委員 特措法についてはその目的が違うということでありましたけれども、それでは感染症法についても伺いたいと思うんですが、感染症法は、まさに感染が拡大しないように定めた様々な法の中の四十四条の三では、都道府県知事が、当該の感染症、今回でいえば新型インフルエンザ等感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由がある者に対しては、体温等の健康状態の報告を求めることができます。また、居宅待機などの感染症に必要な協力を求めることができると規定されています。

 この体温などの報告というのは法的義務がありますけれども、居宅待機などの感染防止への協力というのは、感染症法では努力義務としか課されていません。そういう意味では、今回のこの旅館業法の改正法四条の二で、特定感染症の症状を呈している者に対する診察や居室待機などの要請に応じる義務を課すことは、更にこの権利の制限に、拡大につながるんじゃないかという懸念も指摘されているんですが、これについては、再度お願いいたします。

加藤国務大臣 御指摘のように、感染症法に基づく濃厚接触者への外出自粛等の協力要請、あるいは患者への自宅療養等の協力要請については、新型インフルエンザ等感染症の蔓延防止のために必要がある場合に都道府県知事が求めるという形になっております。

 他方で、この法案では、当該、特定の旅館、ホテルにおいて、不特定多数の方が長時間同一の空間を共有し、宿泊し、適切な感染対策が講じられなければ宿泊者、さらには従業員に感染が拡大するおそれがあること、このことを踏まえて、先ほど申し上げた特定感染症を限定的に定義し、その国内発生期間に限り、旅館業の施設における感染症の蔓延防止に必要な限度において、旅館業の営業者が、特定感染症の症状を呈する方に対しみだりに客室等から出ないことなどを求め、これに正当な理由なく応じない場合には宿泊を拒むことができるという形に、この法案ではさせていただいているところでございます。

 感染症法による措置と改正後の旅館業法による措置は、今申し上げた趣旨等々も違いますし、その個々の置かれている状況も異なるわけでございますので、旅館業法が感染症法を超える形で規制をしているからといって、過大な権利制限に当たるものではないというふうに考えております。

 また、当該協力要請等が適切に行われるよう、ガイドラインをしっかりと作らせていただき、そして、それにのっとって対応がなされていけるようにしていきたいと考えております。

田中(健)委員 引き続きまして、先ほども議論ありました、特定感染症等ないしは無症状感染者に関連する質疑をさせてもらえればと思います。

 四条の二第一項の第一号の柱書きの、政令で定める者についてであります。

 厚労省は、この政令で定める者として、濃厚接触者を想定しているという話を聞いています。濃厚接触者については、感染症法の四十四条の三に従って保健所により管理されるべきであり、感染症法上の義務を超えて濃厚接触者に診察や居室待機などの要請に応じる法的義務を課すということは、これも過大な権利制限ではないかというふうな指摘もあります。さらに、同行者も規定をするのではないかと言われていますが、同行者としますと、私がもしもその懸念があったら、自分の子供や妻や、ないしは友達同士でいたらグループや、その全てもこの政令で定める者に当たるのかということは大変懸念をされます。どのようにしてこれを定めていくのか、お伺いします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 感染症法に基づく濃厚接触者への外出自粛等の協力要請等については、新型インフルエンザ等感染症の蔓延を防止するため必要がある場合に、都道府県知事等が求めるものでございます。

 旅館業法の改正法案については、旅館、ホテルは不特定多数の者が長時間同一の空間を共有して宿泊し、適切な感染対策が講じられなければ宿泊者や従業員に感染が拡大するおそれがあることを踏まえ、限定的にということは先ほど大臣が申し上げたところです。

 感染症法に基づいて外出自粛要請の対象となる濃厚接触者の方がいらっしゃることは、当然想定されます。こうした場合、旅館、ホテルに宿泊している場合に、当該施設における感染防止対策の観点から、営業者がみだりに客室等から出ないこと等の協力を求める必要、これはあると考えております。

 一方で、それ以外の方、つまり、濃厚接触者ではないんだけれども同行者という場合につきましても、旅館業の施設における特定感染症の蔓延の防止に必要な限度において、感染防止対策への協力要請の対象とする必要があると考えております。

 こういった内容につきまして、感染防止対策への協力要請等について、旅館業の営業者が誤った認識で過大に求めることがないようにしたいと考えております。

 これらにつきましては、追って整理をして示していく、こういうふうに現在提出している法案では考えております。

田中(健)委員 もちろん、限度があるということと、普通の常識、一般的なという話があったんですけれども、なかなかそれを定めるのは難しくて、先ほど言ったように、同行者は、家族で行く場合とか、グループとか、ないしは、バス一台で行った団体客、三十人のバスで乗っていったら、全員、じゃ、居室待機で協力を求めることになるのか。その辺はまだこれから定めるということでありますけれども、やはり、必要性や合理性というものをしっかりと考えた上で定めていただきたいと思いますし、今のままではちょっと不安がこの点では残ります。

 更に進めさせていただきます。

 ちょっと時間が迫ってきておりますので、一問飛ばしまして、四条の二第一項一号のイ、厚生労働省令についてです。

 これは、当該の感染者であるか否かの確認方法に関して厚生労働省令で定めるとありますけれども、医師の診断結果のみならず、診断書の文書のみならず口頭でもこれを可能とすることや、ないしは、宿泊施設の抗原検査キットなど医療機関以外の検査結果も対象にすることができないかと考えておりますが、これについてはいかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 報告方法につきましては、発熱等の症状を呈していた時期や要因等の情報を正確に把握、記録し、迅速かつ的確な感染防止対策につながるため、原則として書面又は電磁的方法によって報告いただくことを考えております。やむを得ない場合は、口頭での報告を受けることも想定しております。

 御指摘のように、宿泊施設に備え付けられた抗原検査キットを用いて特定感染症の患者等に該当するかどうかを判断する、このケースにつきましては、特定感染症の患者等の定義は、感染症法の規定を引用しておりますので、感染症法において患者等として扱われる者は医師の判断によるものが必要であると考えておりますので、それとの整合性を図るような運用をしたいと考えております。

田中(健)委員 時間となりましたけれども、医師の判断というのがありますけれども、後期の蔓延防止のときには、自分で抗原検査をして、それで発熱があった場合は自宅待機というような自己判断もできたと思いますので、これについてもまだまだ検討ができるということでありますので、しっかり検討していただき、しっかり活用ができるような体制にしてもらえればと思います。

 以上で質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 本法案については、宿泊拒否制限を緩和することについて、日弁連やハンセン病訴訟弁護団、あるいは全療協や障害者団体、医療団体などから大きな懸念の声が上がりました。私も理事会等で再三この改正案は認められないということを申し上げてきましたが、真摯な協議が重ねられ、懸念の中心点を解消する修正合意にこぎ着けることができました。与野党筆頭理事を始め、各委員、関係者の皆さんの尽力に敬意を申し上げたいと思います。

 修正は、国会が機能しているということも言えるわけですけれども、同時に、法案の検討過程でも団体ヒアリングで様々な懸念は指摘され続けておりました。ところが、大きな懸念が指摘されたままの法案の国会提出となったという問題もあります。大臣としての反省はあるでしょうか。

加藤国務大臣 今回の旅館業法改正の検討過程では、令和三年八月に厚生労働省に旅館業法の見直しに係る検討会を設置をいたしました。そして、そこの場において、旅館、ホテルの事業所だけではなく、多くの患者などの団体や障害者団体等計二十六団体からヒアリングを行い、昨年七月まで七回にわたり、熱心に御議論をいただきました。

 この検討会では、様々な御意見が出た中で、見直しを具体的に進めることが求められる中で、より多くの関係者の理解を得ながら、感染症の蔓延防止の観点からの見直しなどを中心に調整を進めていくべきとの報告書が取りまとめられたところでございます。

 この報告書の内容に基づき本法案を取りまとめ、昨年秋の臨時国会に提出していたところでございますが、引き続き、これからガイドライン等の作成をしていくこととなります。関係者の皆さん方の意見を真摯に承りながら、様々な御懸念にしっかり対応する。そして、今回の改正の趣旨を踏まえ、同時にそれぞれの皆さん方の御懸念にもしっかり配慮しながら進めさせていただきたいというふうに思っています。

宮本(徹)委員 様々な団体の御意見を真摯に受け止めるという答弁がございました。

 残る懸念について質問をいたします。

 四条の二ですけれども、営業者は、宿泊しようとする者に対して、特定感染症の蔓延防止のため協力を求めることができるとし、宿泊しようとする者は、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならないとしております。

 仮に五条二号が削除された場合は、正当な理由なく四条の二の協力の求めに応じない場合でも、そのことによって宿泊の拒否はできないということを確認したいと思います。

 あわせて、四条の二の第四項違反を理由に法案五条三号の違法行為をするおそれがあると認められるときとみなして宿泊拒否することもできない、このことを確認しておきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 仮に御指摘のような修正がなされた場合には、宿泊しようとする者が改正後の旅館業法第四条の二第一項による感染防止対策への協力の求めに応じないことをもって宿泊を拒否することはできなくなるものと考えております。

宮本(徹)委員 五条三号を迂回してのやり方もできないということを確認させていただきました。

 その上で、法案では、特定感染症の症状を呈している者に対して求めることができる協力として、一番目に挙げているのが、医師の診断結果など、特定感染症の患者に該当するかどうかを確認するために必要な事項を営業者に報告することとあります。

 これは、例えば、発熱している人が宿にたどり着いたら、あるいは宿泊中に熱発したら、医療機関に行くように協力を求めることができる、こういう趣旨の条項なんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 旅館業法により宿泊を拒むことができる事由は制限されております。現行法では今まで説明したとおりでございますが、このような中で、新型コロナウイルス感染症の流行期に旅館業の現場から様々な御意見、施設の適正な運営が困難に、支障を来したとの意見が寄せられました。

 こうした背景から、この旅館業法第四条の二第一項第一号イについては、特定感染症の症状を呈しているものの、特定感染症の患者等かどうかが明らかになっていない者に対し、営業者の独自の判断ではなく、医師の診断の結果などの客観的な事実に基づいて特定感染症の患者等かどうかを確認し、その者の状態に応じた適当な措置が講じられるようにする趣旨であります。

 協力を求める内容は医師の診断の結果などの報告であって、営業者に対して、宿泊しようとする者を医療機関に受診させる権利を直接的に規定したものではなく、医師の診断の結果などが報告される場合は、宿泊しようとする者は改めて医療機関を受診することにはならないという内容でございます。

宮本(徹)委員 医療機関に受診させる権利を直接的に規定したものではないということなんですね。

 発熱などの症状を呈している方に対しては、私はやはり、必要に応じて医療機関を紹介する、こういう姿勢で接するというのがあるべきことであって、そもそも本人が受診の必要性を感じていない状態であるにもかかわらず、営業者が医療機関への受診を求め、正当な理由がない限り応じてください、こう強く迫るということは、一般的には医療機関を受診するかどうかは本人が決めるものであるわけですから、問題があると思うんですけれども、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 営業者は、医師の診断の結果などの報告を求める場合も、宿泊しようとする者の置かれている状況等を十分に考慮することが重要であると考えており、宿泊しようとする者の状況等に一切配慮せず医療機関の受診を求めるようなことは、適切な運用とは考えておりません。

 他方で、営業者は、宿泊者や従業員の安全確保も含め、施設の適正な運営を行う必要があり、具体的な運用については、本法案が成立した場合には、関係者による検討会で検討を行った上で、旅館業の営業者が感染防止対策への協力要請等に適切に対処するためのガイドラインを策定したいと考えております。

宮本(徹)委員 医療機関にかかるかどうかというのは本人が決めることですから、今回、附帯決議案で、旅館業の営業者が宿泊しようとする者に対して医師の診断を受けることを強制できるものでないことを明らかにして周知することということを入れますので、自己決定権が尊重されることをしっかり周知していただきたいと思います。

 その上で、四条の二での、感染拡大防止のために求める協力は、特定感染症の蔓延の防止に必要な限度において、こういう言葉がかかっております。

 そうすると、例えば、五類になる前の新型コロナのようなタイプの感染症の国内発生期間の場合、特定感染症の症状を呈している者には必要に応じて、ロに記載されております、みだりに客室その他の営業者が指定する場所から出ないこと等を求めるのが蔓延等の防止に必要なことであって、医療機関への受診を求めることは蔓延防止に必要な限度を超えることになるのではないかと思います。

 医療機関への受診を始めとした協力を求める際は、蔓延の防止に必要かどうかの慎重な検討が求められると思いますが、いかがですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の規定に基づく協力要請の内容に関し、感染症ごとに症状や症例定義等が異なるため、特定感染症の国内発生に際しては、発生した特定感染症に応じた具体的な内容を示すことになりますが、特定感染症の蔓延の防止に必要な限度に留意するなど、その検討に当たっては慎重に、これは委員御指摘のとおり慎重に行ってまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 基本的には、恐らく多くの感染症が、ロの、みだりに客室から出なければ感染が広がるということはないというふうに思いますので、何かイに書かれている、医師の診断結果の報告を求めることができるというのを濫用して、とにかく医者に行ってくださいみたいな、こういう運用にならないようにしていただきたいと思います。

 さらに、感染症法、新型インフル特措法との関係ですけれども、感染症法では、検体採取、健康診断、入院等の措置は、感染症の発生を予防し、又はその蔓延を防止するため必要最小限度のものでなければならないとしております。新型インフル特措法でも、制限は必要最小限のものでなければならないとしております。

 そうすると、やはり、今回の四条の二に基づく協力要請も、感染症法、新型インフル特措法との整合性を取って、必要最小限のものでなければならないことを政省令やガイドラインで明確にすべきだと思いますが、いかがですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 この旅館業法における感染防止対策の内容は、委員御指摘の感染症法ですとか新型インフルエンザ特別措置法の感染防止対策の内容と法律の主な目的が異なっていても、内容そのものの整合性を図ることは重要と考えております。

 このため、感染防止対策への協力要請の内容については政令で定めることとしており、その際、感染症に関する専門的な知識を有する者の意見を聞かなければならないとされております。

 この法案が成立、お認めいただいた場合に開催を予定しておりますガイドラインの検討会においても、感染症に関する専門的な知識を有する者を構成員に含めることも考えております。

 さらに、実際に特定感染症が国内で発生したときは、当該感染症について、感染症法に基づき感染の防止の方法に係る情報等も提供されることから、こうした情報にも即して、特定感染症の蔓延の防止に必要な限度の感染防止対策等を示すことで、感染症法や新型インフルエンザ特別措置法との整合性を図ってまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 しっかり必要最小限度という原則をこの面でも貫いていただきたいと思います。

 続きまして、感染症法では、濃厚接触者について求めるものは、健康状態の報告、自宅等への待機ですね。これについては、努力義務というのがあります。一方、四条の二の協力は、感染症法を超えて濃厚接触者に診療を求めたり、あるいは、感染症法では努力義務すらない濃厚接触者でもない同行者に診療を求める権限はない、こういうことでよろしいんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 感染症法による措置と改正後の旅館業法による措置は、その趣旨、目的や協力要請の主体が異なり、それぞれの目的に応じた規定を設けているものであり、それで旅館業法が感染症法を超えるという性格のものとは考えておりません。

 その上で、旅館業による感染防止対策への協力等について、旅館業の営業者が誤った認識で過大に求めることがないよう、感染症ごとに感染経路等が異なることも踏まえ、関係省による検討会で検討を行った上で、特定感染症の国内発生に際して、発生した特定感染症に応じて、委員御指摘の濃厚接触者の場合はどうなのか、また同行者の場合はどうなのか、こういったことに対して、必要な限度やその対象者等の具体的な内容を示すことをその感染症に応じて対応したいと考えております。

宮本(徹)委員 感染症法、新型インフル特措法としっかり整合性を取って運用を図っていただきたいと思います。

 そして、例えば、医療機関が近くにない、体調が悪いのでまずは休みたい、夜間診療に行くほどの状態でないので休みたいというような理由は、四条の二の第四項、感染防止対策の協力が拒否できる正当な理由になるのか、また、これらが正当な理由となるのであれば、こうした場合は、そもそも感染防止対策の協力として医療機関への受診を求めない方がよいことをガイドライン等で明確にすべきだと思いますが、いかがですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 営業者は、旅館業法に基づいて感染防止対策の協力を求める場合、宿泊しようとする者の置かれている状況等を十分に考慮することが重要であると考えております。一方で、他の宿泊者や従業員の安全確保も含め、施設の適正な運営を行う必要もございます。

 このため、正当な理由としては、現時点においては、これまでお答えしたとおり、例えば、医療機関の逼迫や診療時間外によって診察を受けられない、消毒用アルコールへのアレルギーがある、こういったことを例示してまいりました。

 委員御指摘いただいた点も踏まえ、具体的な内容については今後検討を進め、また、ガイドライン等の形でお示ししていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 これはしっかり、本当に過大なものを求めるような認識がもし旅館事業者の側が持つようなことになったら、旅行者にとっても大変なことですけれども、事業者にとっても、大きなトラブルになりかねないことにもなりますから、そこはしっかりガイドラインで定めていっていただきたいと思います。

 続きまして、五条一号に関わって聞きます。

 今回、五条一号は、これまでの、伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるときというものを、特定感染症の患者等ということにするわけですが、コロナ禍で経験したことは、入院のキャパをはるかに超える感染拡大ということでした。旅先で感染した人について、自治体がホテルに患者の宿泊を依頼するということも行われてきました。

 そうすると、この特定感染症の患者等を宿泊拒否できるという条文だけでは、今回のコロナ禍の経験に照らせば、これは本当に実態に合わないんじゃないかと思っております。旅先で患者となった方が野宿せざるを得ない事態にならないように、医療機関が逼迫している場合などは宿泊拒否をせず、感染対策を取って客室で療養していただくことが基本である、このことを明確にすべきだと思いますが、いかがですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 その宿泊しようとされる方が特定感染症の診断を受けた場合につきましては、まず、一義的には、感染症法に基づいて、保健所等の指示に従うことになります。

 その際に、例えば、新型コロナウイルスのときにもありましたけれども、自宅での療養のような形の場合で、旅先の場合、ホテル、旅館が現実的にはそこが泊まれるところという場合につきましては、旅館、ホテルの御協力をいただきながら、もちろん動線ですとか換気ですとかに注意をいただくことにはなりますが、そのように御協力いただけるように求めてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 野宿せざるを得ない、こういうことが起きないようにしっかりとしていただきたいと思います。

 そうすると、そうした場合には、旅館の客室で療養していただくということになるわけですので、他の宿泊客や従業員に感染が生じないよう十分な対策を講じた客室などが用意できるような支援を旅館業者に行っていくということが非常に大事だと思います。その点、どう考えているのかということ。

 あわせて、コロナはもう五類になっておりますけれども、またコロナの感染が広がり始めております。感染拡大の波、当分繰り返すわけですが、新型コロナ感染症の特徴は、発症前の無症状の人が感染力を持って、換気がよくなければエアロゾル感染で感染が大きく広がることになります。そうすると、ホテル等の宴会場その他の換気設備や空気清浄機等のしっかりとした支援を行っていく必要もあると思いますが、この点も併せてお答えいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 旅館業は基本的に宿泊料収入で経営が成り立っているものであって、旅館業法四条において旅館業の施設は換気を行うこととされていることから、法律上求められている例えば換気のための設備について、これのみをもって支援を前提とすることはなかなか困難かと思いますが、いずれにせよ、この改正旅館業法の施行に当たっては、御指摘いただいた換気ですとか、また、そのための具体的な方策についての必要な対策等について適切に運用されるように、これは様々な形での周知を旅館業の営業者に図ってまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 ちょっとこれに関わって、先に行くんですけれども、五月十一日にCDCが室内換気のガイダンスというのを更新したんですね。これを見ますと、一時間当たり少なくとも五回の空気の交換を目指すこととあるわけです。

 日本は、この間、コロナ対策で換気の目安として、ビル管法のCO2濃度一〇〇〇ppm未満というのを使ってきました。これに対応するものとして、必要な換気量は一人について一時間当たり三十立方メートルだとか、あるいは、換気回数は一時間当たり二回以上、こういうのが使われてきたわけですよね。

 そうすると、やはりこれは、旅館、ホテルに限ったことではないですけれども、屋内換気の基準ですね、換気回数などについてもCDCを参考にしてバージョンアップする必要があるというふうに思うんですけれども、この点いかがですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、建築物衛生法において、多くの者が利用する特定建築物に対して、室内の二酸化炭素濃度の基準、一〇〇〇ppm以下と定めております。新型コロナウイルス対策では、この基準に基づいて適切な換気を行うように求めてきたところです。

 感染症の拡大防止の観点から、換気の徹底は当然重要な対策の一つと認識しております。その上で、飛沫感染ですとか接触感染ですとかエアロゾル感染など様々な感染様式を想定し、新たな感染症発生時に換気を含む基本的な感染対策の徹底をしていくことが重要と考えております。

 その際、例えば今委員から御紹介いただいたようなCDCの知見もありますし、また、関連するいわゆる環境感染学会のようなところからの知見を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 そういうものを参考にしていくとなったら、換気の基準を更にバージョンアップしていく、高めていくとなったら、やはりこれは、財政的にも、それぞれの事業者はお金がかかるということになりますので、そこはやはり政府として考えなければいけない点だということを申し上げておきたいと思います。

 あわせまして、今回は、三条の五で、障害者などに特性に応じた適切なサービスを提供するために、従業員への研修が努力義務になります。

 旅館業法制定過程の団体ヒアリングの中では、患者団体、障害者団体から様々な意見や要望が出ておりました。

 例えば、全国手をつなぐ親の会は、宿泊中に不随意な声が出たことで退去せざるを得なくなった、入浴時間を深夜に指定されただとか、大変困ったことがあった、差別的な対応もあったということが、声が上がっております。あるいは、視覚障害者団体連合の方からは、チェックインが機械の場合はタッチパネルの操作ができない、こういう声も上がっております。全日本ろうあ連盟の方からは、電話以外の連絡システム、例えば振動呼出し機、チャットで連絡できるタブレットなどの貸出しの対応が必要だと。

 あるいは、全国がん患者団体連合会の方からは、がんの中には、病態や治療によって外見上の変化を伴う場合がある、乳がんの場合の乳房の切除、あるいは大腸がんのオストメイトなど、精神的な障壁を感じる場合もある、疾病を有する宿泊客が安心して滞在できるよう、環境整備の指針を示していただきたい等々、本当に切実な声がたくさん出ておりました。

 是非、この講習内容の作成に当たっては、患者団体、障害者団体の意見をよく聞いて、講習に際しても、患者団体、障害者団体とも協力して、障害理解を促進し、合理的配慮がしっかりなされるようにしていただきたいと思います。あわせて、国土交通省とも協力して、ホテル又は旅館における高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計基準の改善と周知徹底、事業者への支援にも取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 簡潔にお答えいたします。

 まず、ガイドライン等の策定に当たっては、障害者団体などの御意見も伺いながら検討を進めていきたいと考えております。

 国土交通省等が進めているバリアフリー化の関係でございますけれども、これも、国土交通省とも適切に連携し、周知等に取り組んでまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 あわせまして、感染拡大防止のことでもう一点お伺いしたいと思います。

 感染経路について、科学的な認識に基づいて対策を取るということが極めて大事なわけですね。ところが、新型コロナでは、まれとされる接触感染が当初大きく報じられた影響もあったんだと思いますが、例えば、ビュッフェで使い捨て手袋の着用という、今から見れば感染拡大防止に余り意味がないものが、ガイドラインで長きにわたって強調され続けるということが続きました。

 私は当初から、エアロゾル感染、この対策が極めて重要だということを申し上げてまいりましたが、エアロゾル感染の軽視から、換気を妨げるようなパーティションの配置も、長らく長らく行われ続けてきたことがあるわけです。

 市民が取るべき感染対策については、世界的な科学的知見を早期に社会全体で共有する姿勢と取組が欠かせないと思いますけれども、いかがでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、感染症対策について最新の科学的な知見を広く収集、分析し、国民に周知していくことは非常に重要なことであると考えております。

 今般の新型コロナウイルス感染症におきましても、令和二年五月の新型コロナウイルス感染症専門家会議の提言を踏まえまして、新しい生活様式におきまして具体的な実践例を示した後、それ以降、科学的知見の集積やワクチン、治療薬の開発、またオミクロン株への変化等を踏まえて、対応を行ってまいりました。

 コロナは五類に位置づけられたところではありますけれども、今後とも、政府としては、感染症法の第三条の一項に基づきまして、個人や事業者の判断に資するような情報の提供を行うとともに、今後の感染症に備えましても、感染症に対する調査研究や情報の収集、分析を的確に行いまして、科学的知見に基づく分かりやすい発信等を行ってまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 時間になりましたから終わりますけれども、やはり感染対策は科学だと思うんですね。科学に基づいて、感染経路はどこにあって、本当に必要な感染対策は何なのかというのを国民、社会全体で共有すれば、不要な様々な制限というのは最小限にできると思いますので、その点の取組の強化は重ねて求めまして、質問を終わらさせていただきたいと思います。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 この法案に基づいて質問したいと思います。

 まず、感染しているかどうか、宿泊者がフロントあるいはホテルにチェックインする際に、何をもって、感染しているかどうか、罹患しているかどうかという判断になるのか確認したいと思いますけれども、例えば、対象は今問題となっています新型コロナウイルス感染症です。非接触の体温計とか、あるいは履歴、いわゆる宿泊予定者の申告ということもあると思いますけれども、あるいは現場で、最近でしたら抗原定性検査等々あると思います。いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 この法案において、旅館業の営業者は発熱等の症状を呈している者に対して、医師の診断の結果など、その者が特定感染症の患者等に該当するかどうかを確認するために必要な事項の報告を求めることができることとしております。

 委員御指摘の、患者に該当するかどうかの判断はどういう方法でやるのだということにつきましては、例えば、宿泊しようとする者がチェックイン時に発熱等の症状を呈している場合、旅館業の営業者は宿泊しようとする者に対して、医師の診断の結果等、もしこれを既に受けているなら求めるという場合もあるでしょうし、発熱の場合は、先ほど御紹介いただいたように、今はサーモグラフィーがありますので、こういう形で、これだと宿泊しようとされる方自身も自分の体温の状況が分かる、こういった形での、まず少なくとも御自身の体温の状況、こういったことは確認できると考えております。

仁木委員 細かいケースですけれども、そうしたら、サーモグラフィー等々で陽性、いわゆる高温であると、されど、そういうことを基にチェックインしたい宿泊者に聞いてみたところ、そういったことはないと言う場合は宿泊を拒否できますか。

佐々木政府参考人 今提出している法案においては、まず、その場合については、発熱等の症状が呈してある、それについて必要な感染予防に対するものを求める、こういったものに応じない場合については拒否ができる。今提出している法案の内容はそうなっております。

仁木委員 ちょっと質問を変えますけれども、ホテルは今は多様な目的になっています。例えば、地域におけるランドマークでもありますから待ち合わせ場所になっていたり、あるいは宴会の会場もあったり、あるいは食事もできるような場所にもなっています。これは宿泊しないことが前提ですし、例えばデイユースというようなホテルの活用の仕方もあると思うんですけれども、そういったことは今回の法改正では適用されない、つまり、今みたいな、体温が高い方々、利用者が現れて、利用したいと言っても、それは拒否できないということでよろしいですね。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、旅館業法がかかる範囲についてですが、ホテルや旅館を利用する客のうち、宿泊をせず飲食店のみを利用する者や、待ち合わせ場所として使用する者については、宿泊しようとする者ではないため、旅館業法第五条の宿泊拒否に関する規定の対象とはなりません。

 一方で、デイユースは、実際、宿泊スペースを利用するわけですから、その点については適用されるということになります。

仁木委員 そうしたら、そういうデイユースは除いて、ホテルに入る、建物の中に入って様々なホテルの有するアメニティーを利用する方は、発熱があったとしても利用できるというふうに理解しております。それでよろしいですね。

佐々木政府参考人 旅館業法における宿泊拒否に当たるか否かという点については、宿泊されないので、この適用にはなりません。

 一方で、もしそのような状況になれば、様々な形での、広く人が集うような場所についての様々な科学的知見が集まって、それに基づいて営業者等が要請を行ったりするものと考えておりますので、それについては民対民の関係で対応していただくことになると考えております。

仁木委員 今おっしゃった科学的エビデンス、いわゆる知見に関しまして、またその辺のことは後で述べたいと思いますけれども。

 今、ビジネスホテルにおいても、例えば大浴場の温泉があったり、あるいはホテルというのはプールもあったり、あるいはもちろん浴場ですからサウナがある場合もあります。

 ちょっと話が変わるんですけれども、ハンセン病のようなことを捉まえて言いますと、見た感じのことが差別につながってという事例があると思います。

 実は、私が最近気にしているというか、問題としたいのは、今まで反社会的だとされていた入れ墨、タトゥーの方が、特に今、例えば有名なスポーツ選手等も結構されています、入れています。それで、海外からの方も結構見かけるわけですし、日本人におきましても、若い方も結構タトゥー、入れ墨がある方も見受けられます。あるいはプリントでしている、おしゃれ的な感覚でやられている若い方もいらっしゃいます。

 そういう方なんですけれども、ホテルの中あるいはそういう温泉地にも、入れ墨の方は利用しないでください、できませんというような表示が結構あるんですね。この辺に関しましてはこの法案の中には記載しておりませんが、従業員とお客さん、利用者さんとのいざこざを避けるために、どういったお考えというか。私はガイドライン等々を作るべきだと思うんですね、世の中が変わってきていますから。ただ、余りそれを容認し過ぎると、日本の社会あるいは過去の歴史でいうと、そういった入れ墨ということの意味がちょっと海外とは違うことがあると思いますので、そのことに関して何か、大臣でも、答えられましたらお願いしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、平成二十七年の観光庁の調査ではありますが、入れ墨がある方の入浴をお断りしている旅館、ホテルは約五六%となっていると承知をしております。

 旅館業法においては、宿泊拒否事由に該当する場合を除き宿泊を拒んではならないとされている中で、入れ墨があることは宿泊拒否事由には当たりませんので、入れ墨があることのみをもって宿泊を拒否することはできませんが、一方で、入れ墨がある方に対して入浴のみを拒否すること、そのこと自体は旅館業法に反するということにはつながらないところであります。

 入れ墨のある外国人旅行客が入浴を希望する場合に、他の利用者や施設との摩擦ができるだけ避けられるよう、例えば、シール等で入れ墨部分を覆い、他の入浴者から見えないようにするなどの対応事例については、これまでも営業者に周知しているところでございます。

 改めて、そうした取組も進め、そうした摩擦ができるだけないように取り組んでいきたいと考えております。

仁木委員 ありがとうございます。

 確かに、日本の社会と海外の社会とは違いますし、日本の社会においてもまた、入れ墨、タトゥーに関する考え方は変わってきています。私は、容認しているというより、やはり、背景が変わってくる中で、こういった法改正を伴うときにそういったことも加味しておくべきじゃないかということで質問させていただきました。

 今の大臣の御指摘でありますと、体表面積、かなり広く入れ墨を入れられている方もいらっしゃるので、よほど苦労しての入浴、若しくは水泳というか、プールもそういう記載があるところも結構ありますので、そういうふうな形になるんだろうと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 私、先ほど科学的知見ということを言われていましたが、やはりこれから、新型コロナウイルス感染症のみならず、未曽有のウイルス感染症を中心としたものがパンデミックになるようなことになると思いますが、先般、この委員会、そしてまた法案も衆議院を通過しておりますCDC、いわゆる国立健康危機管理研究機構、この法改正に伴った活用という中で、地方それぞれにおける保健所、そして地方での衛生研究所、それとの、いわゆる宿泊施設であったり公衆浴場であったり、そういったところとの連携を平時より、そういったデジタル化も進むわけでございますので、スタッフがよりアウトリーチで、そういったところに、現場に行くことが、現地のそれぞれの人が、今までそういう建物の中で主に報告を受けるだけだったと思うんですけれども、平時より顔の見える関係をつくっておくことが、例えば、感染症全体を社会で抑制していく、感染拡大を止めることに役立つと思うんです。

 そういったことを踏まえて、先ほどもありました、今、新型コロナウイルスですら、当初分からなかったことが余り意味のない感染対策だったり、当初分からなかったことがどんどん分かってくることによって科学的知見ができ上がって、されど、対策はあるわけですけれども、一部の人はそういうエビデンス、知見が分かって実践できるわけですけれども、現場への通達、ガイドライン等々、そういったものが遅れていることがありまして、いつまでも古いものでやっているということが結構見受けられました。アクリル板等々も結果的にはそういうことにつながっていたと思いますけれども。

 そういったことでいうと、エビデンスを構築するCDC、でき上がったCDCと現場との関係、より連携してやるべきだということを思いますけれども、その辺のことはいかが。あるいは、行政的な立場で、まあ大臣でも、今後、そういった連携で、CDCで得た知見をより現場へ通達していく、ガイドラインをできるだけ迅速にバージョンアップして、アップデートしていって、それを伝えていくということは重要だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 これまでも、機構の前身となる国立感染症研究所において、公衆浴場におけるレジオネラ症対策に資する検査、消毒方法等の衛生管理手法の開発のための研究を行い、これによって得られた知見を基に、厚生労働省において、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会などを通じて、旅館、ホテルにおける感染症対策の充実を促進をしてきたところでございます。

 現在、法案を提出させていただいております国立健康危機管理研究機構、基礎から臨床までの一体的な研究基盤等により獲得した質の高い科学的知見を政策決定などに反映していくということにしているわけでございますので、機構が設立されれば、機構における研究等により得られた知見、これを基に、厚労省としても、関係団体と連携し、旅館、ホテルにおける感染症対策の向上に資するよう努めていきたいと考えております。

仁木委員 大臣、ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。

 今、ホテル療養される方々を目的に、民間のホテル、ビジネスホテルが多いわけですけれども、自治体が借り上げというか、行いまして、今年の九月までというふうな形を想定されていて、財源のことも公的な形でできるということになっておりますが、これは、今、五類に緩和された中で、九月までというふうなことも伺っておりますが、どういう基準で、今ホテル療養型の施設が元の、従来のホテルに戻るのか。

 それは自治体の判断だというような答弁でございますけれども、何か、国として、その自治体の中での、今、定点観測となりましたが、全数把握でない感染状況でありますとか、あるいは中等症以上の方々を治療する医療体制のことでありますとか、そういった一連のもろもろがいわゆる国として自治体の方に通達されて、それがある種、ホテル療養の施設の終えんというか、一旦これでピリオドを打つということになるということはあるんでしょうか。伺いたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナの五類感染症への移行に伴いまして、感染症法に基づく新型コロナ患者の外出自粛は求められなくなっております。したがいまして、隔離のための宿泊療養施設は、位置づけの変更と同時に終了しております。

 ただし、高齢者でありますとか妊婦の療養のための宿泊療養施設は、これは入院とのバランスを踏まえた自己負担を前提にでありますけれども、経過的に九月末まで継続できるということとされております。

 これらの宿泊施設を継続するかどうかにつきましては、感染状況でありますとか医療提供体制の状況をそれぞれの自治体で踏まえていただいて、各自治体において判断していただくという形になっております。

仁木委員 最後の質問になりますが、質問というか要望なんですけれども、先ほど阿部委員の方からも指摘というか質問がありましたけれども、補助犬ですね、特に盲導犬等々ですけれども、来店を、場所に入ることを拒否される方もやはりあるし、そういった盲導犬を使って生活されている方々が嫌な目をすることがあると思います。今回のこの改正を踏まえても、ハンセン病ということもあったと思いますので、やはり、障害者も、ユビキタスな社会ということで、どこでも生活できるような環境というのに一翼を大きく担っている犬の立場も理解していただくことが必要だと思います。

 その上で、いろいろな議連の方で、勉強会でも、いろいろなメディアを使って国の方が広告、いわゆるPRした場合、その後は結構その受入れが減ったというようなデータもありますけれども、それが忘れられていくわけでございますので、やはり常に何らかの形で、こういった、今回も法改正をなされましたので、対象となるような、所管している現場の方へのPRというか、補助犬の受入れをお願いしますみたいな形を、何か国民に対しても併せて発信していただきたいと思います。

 これは要望ですので、大臣、最後にいかがでしょうか。

加藤国務大臣 補助犬等の受入れも含めて、今回、ガイドラインを作成させていただくところでございますので、そうした中で、適切に旅館等においてその受入れ等が行われていけるように、我々としても対応していきたいと考えております。

仁木委員 大臣、ありがとうございました。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 この際、本案に対し、上野賢一郎君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党及び有志の会の七派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。上野賢一郎君。

    ―――――――――――――

 新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

上野委員 ただいま議題となりました新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、第一に、題名を、生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律に改めること。

 第二に、宿泊拒否事由から、感染防止対策への協力の求めを受けた者が正当な理由なく応じない場合を削除するとともに、宿泊拒否事由に係る宿泊しようとする者からの営業者に対する要求について、「厚生労働省令で定めるもの」と明記し、厚生労働省令で明確化すること。

 第三に、営業者は、旅館業の公共性を踏まえ、かつ、宿泊しようとする者の状況等に配慮して、みだりに宿泊を拒むことがないようにするとともに、宿泊を拒む場合には、宿泊拒否事由のいずれかに該当するかどうかを客観的な事実に基づいて判断し、及び宿泊しようとする者からの求めに応じてその理由を丁寧に説明することができるようにするものとする旨の規定を追加すること。

 第四に、厚生労働大臣は、宿泊者に対する感染防止対策への協力の求め及び宿泊拒否事由等に関し、営業者が適切に対処するために必要な指針を定める旨の規定を追加すること。

 第五に、政府は、感染防止対策への協力の求めを受けた者が正当な理由なくこれに応じないときの対応の在り方について、旅館業の施設における特定感染症の蔓延防止を図る観点から検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする規定を追加すること。

 第六に、政府は、過去に旅館業の施設において、この法律による改正前の旅館業法第五条の規定の運用に関しハンセン病の患者であった者等に対して不当な差別的取扱いがされたことを踏まえつつ、改正後の旅館業法第五条第一項の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする規定を追加すること。

 第七に、旅館業の営業者は、当分の間、改正後の旅館業法第五条第一項第一号又は第三号のいずれかに該当することを理由に宿泊を拒んだ場合には、その理由等を記録しておくものとすること。

 第八に、都道府県知事は、当分の間、事業譲渡により営業者等の地位を承継した者の業務の状況について、当該地位が承継された日から起算して六月を経過するまでの間において、少なくとも一回調査しなければならないこととすること。

 第九に、この法律の施行後三年を経過した場合における検討について、その対象を改正後の旅館業法の規定のみならず、改正後の生活衛生関係営業等のそれぞれの法律の規定に拡大すること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

三ッ林委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 第二百十回国会、内閣提出、新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、上野賢一郎君外六名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ林委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ林委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 この際、本案に対し、田畑裕明君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党及び有志の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。宮本徹君。

宮本(徹)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 旅館業の営業者が感染防止対策への協力を求める場合は、宿泊しようとする者の置かれている状況等を十分に踏まえた上で、協力の必要性及び内容を判断するよう、適切に指導すること。

 二 旅館業法第四条の二第一項は、旅館業の営業者が宿泊しようとする者に対して医師の診断を受けることを強制できるものではないことを明らかにして周知すること。

 三 宿泊しようとする者が特定感染症の患者に該当するかどうかを確認した結果の営業者への報告は、口頭による報告も含めること。

 四 旅館業法第四条の二第三項に基づく厚生労働大臣の意見聴取に当たっては、感染症患者、障害者等の旅館業の施設の利用者からも意見を聴取すること。

 五 旅館業法第四条の二第四項の正当な理由については、宿泊しようとする者の置かれている状況等を十分に踏まえた上で、協力の必要性の有無及び協力の内容について適正性・公平性が図られるよう、柔軟に幅広く解釈・運用すべきであることを営業者に周知すること。また、営業者の実施した協力の求めの内容等について適切に把握し、その適正性・公平性を確認すること。

 六 宿泊しようとする特定感染症の症状を呈している者が診察等に容易に応じることができるよう、地域における旅館業の施設と医療機関との連携を確保すること。

 七 旅館業の営業者が適切に対処するために必要な指針の策定に当たっては、宿泊しようとする者が特定感染症の患者等に該当した場合であっても医療機関等が逼迫しており入院調整等に時間を要するときは宿泊拒否ではなく感染防止対策への協力を求め個室等で療養させることが望ましいこと、旅館業の営業者は障害者差別解消法等を遵守し、障害を理由とする差別は許されず障害を理由とする宿泊拒否はできないこと、障害者差別解消法第八条第二項の「実施に伴う負担が過重でない」ものは宿泊拒否事由に当たらないことを明確にすること。

 八 宿泊拒否事由に係る宿泊しようとする者からの営業者に対する要求についての厚生労働省令を定めるに当たっては、営業者による恣意的な運用がなされないよう明確かつ限定的な内容とするよう努めること。

 九 本法附則第二条第一項に基づき、正当な理由なくこれに応じないときの対応の在り方について所要の措置を講ずるに当たっては、今回の修正があったことを受け止め、まずは宿泊拒否事由の拡大以外の事項の検討を行うこと。

 十 旅館業の営業者と宿泊しようとする者が混乱することなく対応できるよう、本法による旅館業法の改正の内容及び指針について、周知徹底すること。

 十一 旅館業の営業者に対し、差別防止のための研修教材の準備や研修を担う人材の育成等に対する支援を行うこと。また、旅館業の営業者の研修の実施の有無・内容等について、定期的に確認すること。

 十二 旅館業の施設には不特定多数の者が宿泊することに鑑み、科学的知見に基づいた換気設備等の感染防止のために必要な対策等についての周知を行うとともに、感染防止対策を担う人材育成を支援すること。

 十三 旅館業は宿泊者の移動・生命・財産を守ることが求められている重要な事業であることを踏まえ、旅館業の事業譲渡が行われた場合には、事業を承継した者に対して事業の継続性について十分に周知すること。

 十四 生活衛生関係営業等の営業者の地位の承継後六月以内に少なくとも一回行わなければならないとされる都道府県知事等による業務の状況の調査について、承継後可能な限り速やかに実地検査を含めた必要な調査が行われるようにすること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

三ッ林委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ林委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、加藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 次回は、来る三十一日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十七分散会


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