衆議院

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第2号 令和5年11月8日(水曜日)

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令和五年十一月八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田畑 裕明君

   理事 大岡 敏孝君 理事 古賀  篤君

   理事 橋本  岳君 理事 三谷 英弘君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君

      あべ 俊子君    秋葉 賢也君

      東  国幹君    畦元 将吾君

      上田 英俊君    上野賢一郎君

      大串 正樹君    大西 英男君

      勝目  康君    金子 容三君

      川崎ひでと君    塩崎 彰久君

      新谷 正義君    鈴木 英敬君

      田所 嘉徳君    田村 憲久君

      高階恵美子君    高木  啓君

      中谷 真一君    仁木 博文君

      西野 太亮君    堀内 詔子君

      柳本  顕君    山本 左近君

      吉田 真次君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    大西 健介君

      堤 かなめ君    野間  健君

      道下 大樹君    山井 和則君

      湯原 俊二君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    赤木 正幸君

      一谷勇一郎君    漆間 譲司君

      遠藤 良太君    岬  麻紀君

      福重 隆浩君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      福島 伸享君

    …………………………………

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   厚生労働副大臣      浜地 雅一君

   厚生労働副大臣      宮崎 政久君

   経済産業副大臣      岩田 和親君

   内閣府大臣政務官     古賀友一郎君

   財務大臣政務官      佐藤  啓君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   厚生労働大臣政務官    三浦  靖君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 山崎  翼君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         黒田 秀郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            内山 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           泉  潤一君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局長)         大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長)   佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局長)  城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           朝川 知昭君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鹿沼  均君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           橋本 真吾君

   政府参考人

   (環境省大臣官房政策立案総括審議官)       大森 恵子君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     東  国幹君

  川崎ひでと君     西野 太亮君

  高階恵美子君     あべ 俊子君

  堀内 詔子君     大西 英男君

  西村智奈美君     堤 かなめ君

  吉田 統彦君     湯原 俊二君

  一谷勇一郎君     漆間 譲司君

同日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     高木  啓君

  東  国幹君     勝目  康君

  大西 英男君     堀内 詔子君

  西野 太亮君     川崎ひでと君

  堤 かなめ君     西村智奈美君

  湯原 俊二君     道下 大樹君

  漆間 譲司君     赤木 正幸君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     高階恵美子君

  道下 大樹君     吉田 統彦君

  赤木 正幸君     一谷勇一郎君

    ―――――――――――――

十一月七日

 大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

田畑委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官三橋一彦君、財務省大臣官房審議官山崎翼君、厚生労働省大臣官房総括審議官黒田秀郎君、大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、大臣官房審議官泉潤一君、医政局長浅沼一成君、健康・生活衛生局長大坪寛子君、健康・生活衛生局感染症対策部長佐々木昌弘君、医薬局長城克文君、労働基準局長鈴木英二郎君、雇用環境・均等局長堀井奈津子君、社会・援護局長朝川知昭君、社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、老健局長間隆一郎君、保険局長伊原和人君、年金局長橋本泰宏君、人材開発統括官岸本武史君、政策統括官鹿沼均君、経済産業省大臣官房審議官橋本真吾君、環境省大臣官房政策立案総括審議官大森恵子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田畑委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。橋本岳君。

橋本委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の橋本岳でございます。

 久しぶりに質疑に立てることになりましたので、早速、ちょっとひとつ質疑に立たせてもらいたいなということで時間をいただきました。

 まずは、武見大臣、それから副大臣、政務官の皆様、御就任おめでとうございます。御活躍を心からお祈りを申し上げますとともに、本当に、この厚生労働行政というのは、国民の生活一般に広く深く関わっている分野であります。とても幅は広いし、その中で本当に、個々の、一人一人の人にいろいろな事件が起こっていて、もしかしたら一人一人に対応というのもなかなか難しいところがありますが、でも、それを大事にして是非取り組んでいただきたいなと。マクロで大きく問題になっていないから大丈夫なんだということではなくて、やはり、お一人お一人に何が起こっているのかということにきちんとセンサーを持って取り組んでいただけるといいなと思っておりますので、まず、そうした思いを是非持って取り組んでいただけるとありがたいなということで、御期待を申し上げたいと思います。

 さて、私の方からは、医薬品行政についてお尋ねをしたいと思っております。

 この医薬品の話につきましては、例えば後発品の供給不安でありますとか、あるいはドラッグラグ、ドラッグロスといった問題につきましていろいろなところで指摘をされておりますし、例えば予算委員会などでももう既に質疑が行われております。直近の薬価改定どうするんだ、そういうような話もあったりしたわけですけれども、もう少し中長期な視点についてのお話を今日は伺えればと思っています。

 といいますのは、日本というのは、世界で限られた、幾つかしかない、薬が作れる国、創薬力を持った国であります。それで、もちろん、国内の、我が国の国民がきちんといいお薬をできるだけタイムリーに使えて、そして健康を維持する、あるいはより病気が早く治るとか、そうした恩恵にあずかれるようになってほしいなと思いますし、それを是非海外の方にも売っていって、海外の、世界の健康に貢献をするとともに、ちゃんともうける、産業としてちゃんと国を支えていくような産業にもなり得る、そうしたものだと思っています。ただ、今申し上げたような課題もありますので、どうするかということが問われているわけでありますが。

 もう一つ言えば、日本発の薬のシェアというのはだんだん落ちていっているんですね、残念ながら。だから、そういう意味で、これは、すぐ短期的に何かというよりは、メーカーが新しい薬をよりたくさん開発をし、それをよりたくさん売っていくというようなことをどう支えていくのかという観点が必要であって、残念ながら厚生労働省というのは必ずしも産業政策に特化した役所ではありませんから、オール政府でここは対応していただきたい、常々このように考えております。

 私は、自民党の創薬力の強化に関するPTの座長というのをやっておりまして、大臣が党におられたときにも大変御指導いただきながら様々な提言等をしておりまして、その中で、例えば、政府全体で国家戦略を策定して、内閣官房が司令塔機能を担って、政府一丸で取り組んでほしいというようなことであったり、政府の中に多様なアカデミア人材により構成される委員会などをつくって、そのかじ取り役についてアドバイスをいただくようなことを是非やってほしい、こんな提言をいたしました。

 そして、今年の骨太の方針で、そうしたものも踏まえていただいているんだと思いますが、政府全体の司令塔機能の下で総合的な戦略を作成する、こういう記載がございます。また、さきの大臣の所信、挨拶の中でも、革新的な医薬品の開発を促進するため、質の高い研究を生み出し、製品化していくための環境整備を関係省庁と連携しつつ一層取り組む、このようにおっしゃっておられるわけでございまして、この部分について具体的に、いつ頃までどんなことを、言える限りで構いませんが、大臣の思うところを是非御披瀝をいただければありがたいと思っています。よろしくお願いします。

武見国務大臣 橋本委員におかれましては、党の中で、創薬力強化のPTの座長として、いち早く我が国の創薬力の衰えに気づき、それを再構築する必要性を訴えられてこられたことについては、心から敬意を表するものであります。

 御指摘のとおりであります。我が国、創薬力、二十一世紀に入ってバイオが創薬力の主流になるにつれて、残念ながら、低分子に関わる医薬品に我が国が余りにも特化していたために、主流にしっかりと乗ることができずに創薬力の低下を招いてきており、それが実際に、世界における医薬品開発の中で我が国の製薬企業の占める割合が確実に低下してきているという現状をつくり出しているということを、大変に懸念をしております。

 やはり、二十一世紀におきましても、我が国は、世界の創薬基盤の一つとして、その支える重要な役割を担うことが、我が国の国民に対しても、常に世界でも最高峰の医療の質の高い提供ができるための基盤になる、こう考えております。

 そのためには、やはり、企業家、アカデミア、行政、投資家などが相互に協力しながら、スタートアップの立ち上げと成長を支えるエコシステムを構築することが極めて重要です。このエコシステムの構築に当たりましては、潜在可能性、ポテンシャリティーの高い日本のアカデミアが、国内のみならず海外の専門家、行政、投資家、大企業などと相互に協力しながら、スタートアップの立ち上げと成長を支えるオープンなエコシステムを構築する必要性があると認識します。

 具体的には、海外のエコシステムのプレーヤーとも連携をしつつ、革新的なシーズの発見に重要なアカデミアの研究の質の高い製品として創製していく上で、それをファイナンスをし、そしてそれをガバナンスする仕組みをしっかりと確立していくことが必要であります。

 司令塔機能につきましても、政府として、内閣官房に新たに鴨下一郎先生を参与として任命したところでございまして、厚生労働省としては、現在、海外の創薬環境を含む深い知見を有する有識者の御意見も伺いながら検討を深めているところでありまして、関係各省庁とも一層連携して創薬の研究環境整備の実現に取り組んでいく所存でございます。

橋本委員 ありがとうございます。

 今検討されているということで、鴨下参与とかにも入っていただいてですね、そういうことでありますから、できるだけ早く具体的なステップが見えるようにして、物事が前に進んでいくようになることを是非期待をしたいと思っておりますので、是非、大臣には、もちろん厚生労働大臣ではありますが、政府全体の中でもこうしたことについてリーダーシップを持って取り組んでいただくこともできるお立場だと思いますので、是非お願いをしたいと思っております。

 そして、ちょっともう時間が限られておりますので申し上げるのみにとどめますけれども、先ほど、医薬品について、供給の不足があるとか、ドラッグロス、ラグの問題があるということについても申し上げました。

 これは、もちろん短期的にすぐ解決ができるような話とは限りませんけれども、やはり、そうはいっても、この年末の報酬改定、トリプル改定の中での薬価改定がどうあることかということにも深く関わってくる問題でありまして、ここは是非、安心をして、要するに、国民の皆さんが安心して薬を使えるということは、それを供給をしている卸の方あるいはメーカーの方、もちろん、それを使う薬局だとか医療機関とか、そうしたところが全て安心をしてそうしたことができる環境をつくるということが大事なので、それに資する薬価制度というものを改めて見直してつくっていく、あるいは、もしやり過ぎたことがあるんだったら直していくということは必要だと思っております。

 薬価制度の抜本改革という名の下にいろいろなことをやりましたが、私は、これも見直しをする時期が来ていると思っておりますし、中医協で議論という話はよくありますが、中医協の診療側も支払い側も、どっちも薬価は下げたいと思っているので、そこについてプラスの働きというのはなかなか働かない構造があります。是非、そうしたことも頭に置いていただいて、武見大臣はしっかりリーダーシップを取っていただくようにお願いを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

田畑委員長 次に、吉田真次君。

吉田(真)委員 おはようございます。自由民主党の吉田真次でございます。

 本日、この質問の機会をいただきましたこと、先輩議員の皆様方、そして地元で支援をしてくださっている皆様にまずは感謝を申し上げたい、そのように思います。

 私、初めての質疑でございますので、至らない点がございましたら、その点は御容赦をいただければというふうに思っております。

 本日は、大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部改正、これについてまずはお伺いをしていきたいと思います。

 これは実現すれば七十五年ぶりの改正ということでありますけれども、報道の影響もあってか、必ずしもその趣旨がしっかり国民に伝わっていないのではないかというふうに感じるところがございます。大麻取締法が改正をされる、そうなると規制緩和されて麻薬が合法化されるのではないかというような声も、私のところにもそういう質問をいただくところもあるんです。私の周りには余りいませんけれども、憲法改正をすると戦争が起こるとか、こういった間違った認識をしていらっしゃる方もたくさんおられますので、まずは、やはり正しい情報をしっかり国民の皆様にお伝えをしていくというのが大事なんだろうなというふうに思います。

 まずは、この法改正、内容について国民にも分かりやすく御説明をいただければというふうに思います。

塩崎大臣政務官 吉田委員の初めての質疑に答弁をさせていただきますことを大変光栄に存じ上げます。

 今回の大麻法及び麻薬及び向精神薬取締法の改正についての趣旨でございますが、まず一点目は、医療用途でございます。

 今、大麻草を使った医薬品については、医療上の効能などが認められているところ、大麻法によりまして、これが日本では医療用途で使えないということになっております。このために、今回は、大麻草から製造された医薬品の施用等を可能とするため、その禁止規定を削除するとともに、大麻等を麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬と位置づけることにいたします。

 また、二点目としては、乱用の防止がございます。

 国内で若者を中心に大麻事犯の検挙人員が増加している、こうした現状を踏まえまして、他の規制薬物と同様に、大麻等を麻薬及び向精神薬取締法の麻薬に位置づけまして、不正な施用に係る禁止規定、そして罰則規定を適用することといたします。

 三点目は、栽培免許に係るポイントでございます。

 今、大麻草の用途が拡大している現状を踏まえまして、栽培者の免許制度を今回見直しまして、大麻草に由来する製品の原材料を採取する目的の栽培と、そして、医薬品原料を採取する目的の栽培の免許区分、これを設けるとともに、大麻草由来製品の原材料とする目的での栽培については、安全性確保のために、有害成分が基準値以下の大麻草から採取した種子などを用いて栽培しなければならないとする、こうした所要の規制を設けることとしております。

吉田(真)委員 ありがとうございます。

 今御説明がありましたように、大きく分けて三つあるということで、分かりやすくお話をしていただきましたけれども、今の御答弁の中にもあるように、やはり、大麻と一くくりにしても、規制されている成分が含まれる有害な部分と、それから、幻覚作用等がないため麻薬に指定をされておらず、欧米では食品とかサプリメントあるいは化粧品、そういったところで幅広く利用されている部分があったりするわけでございまして、我が国でもしめ縄とかあるいは医療の原料、これにも用いられていたり、有害とされるTHCの濃度においても各国で許容される基準値が異なるということなどから、やはり、大麻イコール全てが危険なものという認識をまず改めなければいけないんだろうな、そのように思っております。

 そしてまた、大麻草を原料とするエピディオレックスという医薬品、これは重度の、難治性のてんかんの患者の方々にも有用性が認められたということでございまして、我が国に二万人から四万人ほどおられるという難病に苦しむ方々にとってもこれは明るい兆しになるんだろうな、そのように考えております。

 それで、その法改正の内容、それについては今お伺いをしたところでございますが、これがどのような影響を及ぼすのか、その点について御答弁をお願いをいたします。

塩崎大臣政務官 今回の法改正の影響につきまして、今、吉田委員から御質問があった中にもありましたように、まず一つは、大麻草から製造された医薬品の施用等、これが可能になります。そして、栽培目的が繊維や種子の採取から大麻草に由来する製品の原材料の採取、これに拡大されることによって、様々な産業への活用が可能となると考えております。

 また、吉田委員が御懸念されておりましたように、大麻解禁になる、こういう誤解を招いて乱用の助長につながる、こういったことがあってはいけませんので、広く国民に向けて啓発を行って、正しい情報提供をしていかなければならないと思っております。

 今回、施用を明確に禁止することによりまして、乱用に対しては、麻薬として大麻の施用罪を適用する、これで取締りを強化してまいりたいと思っております。

 加えて、大麻草に由来する製品の原材料を採取する場合に、有害成分が基準値以下の大麻草から採取した種子等を利用して栽培しなければならない、こういう規制を設けることによって、乱用、盗難対策、安全性の確保、こうしたことを図ってまいりたいと思っております。

吉田(真)委員 ありがとうございます。

 今お話があった三点目の大麻草の栽培に関する規制の見直し、これについて次にお聞きをしていきたいと思うんです。

 改正案では、この免許制度、これを新たに、今まで一つだったものを二つにするということでございまして、第一種と第二種にこれは分けられるということで、第一種は都道府県知事が免許権者となる、そして、厚労省は技術的助言をしていくということでありますけれども、自治体とかあるいは知事によってその理解とか姿勢にある程度何か差が出てくるのではないかなというふうに考えているんですけれども、やはり、そこはある程度、地方自治体に裁量は任せながらも、一定程度は国が基準を示していくということが必要になっていくのではないかなというふうに考えておりますけれども、その辺りの対応はどうなるんでしょうか。

塩崎大臣政務官 大変大事な指摘をいただいたと思います。

 御案内のとおり、今回の改正案でも、産業利用のための大麻草の栽培、これは従来どおり都道府県知事の免許となっております。

 一方で、これまで大麻草の栽培免許について国から基準等はお示しをしておりませんでしたが、今回の審議会の取りまとめにおいても、国で、免許や栽培管理の基準等、これを明確化し、一定程度全国統一的なものにしていくべきだという御意見をいただいております。

 このため、今回、改正法案が成立した場合には、免許の基準として、有害成分、テトラヒドロカンナビノールというんですけれども、これが基準値以下の大麻草から採取した種子等を用いる必要があることが明確になることのほか、厚生労働省の方で免許や栽培に関する基準等を技術的助言としてお示しすることとしておりまして、各都道府県においてはこれを踏まえた適正な免許基準と運用をしていただきますよう、必要な説明と働きかけを行ってまいりたいと考えております。

吉田(真)委員 大麻の栽培者の現状については、ピーク時、これは昭和二十九年ですけれども、約三万七千人いらっしゃった方々が、現在、令和三年ベースですけれども、二十七人まで減少しているというような状況であります。

 私は、当選をさせていただいて以来、産業や伝統文化等への麻の活用に関する勉強会というものにも参加をさせていただいております。この勉強会の発起人の一人は安倍晋三先生でございまして、今日は八日でありますから、安倍先生の月命日ということもあって、何かこの質問をすることにも少し意味があるのではないかなというふうに感じているところであります。

 勉強会でも様々な活用方法、現状等を学んで、それから、先ほども少し述べたように、大麻は、我が国でも伝統的に神事や祭事、こういったもので使われていたり、たんぱく質や必須アミノ酸、食物繊維も豊富に含まれた、栄養価の高いヘンプ食品として流通をしているということもあり、そしてまた、近年は持続可能な航空燃料であるSAFといった活用方法もあるということで、今後、市場の拡大など、法改正によって様々な分野で活用が進んでくるのではないかなということが期待をされているところでございます。

 この点について、厚労省は規制官庁でございますからちょっとどうかなと思いますけれども、今後どのような展開を考えておられるかを御答弁をお願いいたします。

塩崎大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 今まさに吉田委員からもありましたように、勉強会などで御検討されたということでございますが、これまで大麻草の国内での利用というのは、主に伝統的な祭事、神事、このしめ縄の材料として、繊維として用いられてきたものが中心でございました。一方で、海外では大麻草の産業利用がかなり進んでおりまして、繊維としての利用以外にも、医薬品原料であったり、又は食品等の、カンナビジオール、CBDと言われますけれども、この成分の抽出、利用、ドリンクなどにも使われたりしますが、あとはバイオプラスチック、こういった様々な方面での活用が進んでおります。

 今回の改正によりまして、日本国内でも、栽培の目的が拡大されて、こうした産業利用、こうしたものが拡大していく可能性が広がるほか、あと、大麻草は二酸化炭素の吸収量が多いとも言われておりますので、脱炭素などの観点でも活用を期待する声がある。そうした様々な活用の拡大、これに対応した規制となるというふうに考えております。

吉田(真)委員 ありがとうございます。

 今御答弁をいただいたように、本当に様々な可能性を秘めているというところでございます。関係する省庁がしっかりと施策の推進を進めていただきたいと思いますけれども、厚労省におきましては、引き続き、適正な形で医療用大麻、これが利用されるように、御指導それから御助言、地方自治体に対しても技術的助言をお願いをしたいと思います。

 次に、労働政策についてお聞きをしたいと思います。

 これもこの委員会でもいろいろとお話はあったとは思うんですけれども、今回の予算委員会でも総理が答弁をされていたように、やはり、少子化の最大の要因、これというのは、若者の所得が上がらないことに本当に大きな要因があるんだろうなというふうに私も思っております。

 そこで、働き方それから労働政策という観点からお伺いをしていきたいと思いますが、まず、厚労省として、若者の所得の向上、これのために今まで特に力を入れて取り組んできたこと、また現在の取組、それについてお話しいただければと思います。

堀井政府参考人 お答えいたします。

 若い世代について、その雇用の安定を図ることと、吉田委員御指摘の内容も含めて、経済的基盤を強化することで若者が将来にわたる展望を描けるようにすることは大変重要であるというふうに考えております。

 そのため、厚生労働省におきましては、これまで、若者に関する取組といたしまして、わかものハローワーク等における若者の安定就労や職場定着に向けた支援、こういったことを行ってきており、また、就職した後も、企業における人材育成や個人の主体的な学びを通じたスキルアップ支援、雇用する非正規雇用労働者の正社員化に取り組む事業主へのキャリアアップ助成金による支援なども行ってきたところでございます。

 さらに、今後も、若年層を含めまして持続的に賃金が上がる構造をつくり上げるため、関係省庁と連携をしながら、リスキリングによる能力向上の支援、個々の企業の実態に応じた職務給の導入、成長分野への労働移動の円滑化という三位一体の労働市場改革に、働く方の立場に立って取り組んでまいりたいと存じます。

吉田(真)委員 ありがとうございます。

 非正規の若者をしっかりと正規で採用して、その方々に頑張っていただくというのは当然のことだろうと思うんですけれども、正規職員として就労した方がしっかりそれから所得が上がっていくような取組、これはもちろん事業所の努力も必要であるとは思うんですけれども、そこのバックアップというのも非常に大切であろうというふうに考えております。

 その中で、働き方改革について次にお伺いをしていきたいと思うんですけれども、十一月一日の当委員会で大臣の御挨拶にもございましたけれども、政府一丸となって取組を進めている働き方改革が目指すものは、働く方々の個々のニーズに応じて、多様で柔軟な働き方を選択できる社会の実現というお言葉がございました。そこで、これまで進めてきた働き方改革、これについての実績、あるいはどういった効果があったか、そのことについての御答弁をお願いをいたします。

鈴木政府参考人 御指摘の働き方改革の状況でございますけれども、例えば、週労働時間四十時間以上の雇用者のうち週労働時間六十時間の雇用者の割合が、働き方改革関連法施行前の平成三十年におきましては一一・六%でございましたけれども、令和四年におきましては八・九%となっておりまして、減少傾向にございます。また、年次有給休暇の取得率につきましては、平成三十年は五二・四%でありましたところ、令和四年におきましては六二・一%となっておりまして上昇傾向にありますなど、法改正の効果が一定程度表れてきているものと考えてございます。

吉田(真)委員 今お話があったように、有休が取得、ちゃんとされている、それから、残業が減って、それを様々な時間に使えるようになったというところは、本当に、働き方改革を進めてきた中で、いわゆるワーク・ライフ・バランスの取組、それについて一定の成果があったんだろうなというふうに思う一方で、例えば、時間外労働の上限規制によって、結局のところ手取りが下がってしまったということが特に若年層にとっては大きな影響がありまして、私の同世代、私は三十九歳ですけれども、同世代の方々からもそういったお話を多く伺っているところでございます。

 働き方改革を進めてきた中でのそうした課題、これについてはどのようなものがあると認識をされておられるでしょうか。

鈴木政府参考人 御指摘の問題点でございますけれども、例えば、時間外、休日労働の上限規制よりも長く働きたい人が働けない、また、賃金が減少したという労働者の声もございます。ただ、一方で、労働時間を更に減らしたいという労働者の声もあると承知しておるところでございます。

 このため、令和六年四月一日には働き方改革関連法施行後五年を経過いたします。同法附則の検討規定に基づきまして、上限規制の施行の状況や労働時間の動向を把握して、学識経験者等の意見も踏まえながら課題を整理していく必要があると考えているところでございます。

吉田(真)委員 ありがとうございます。

 課題を今言っていただいて、その解決のためにどういうことをしていきますかというふうに今お聞きをしようと思っていたところでありますけれども、しっかり法の見直しも含めてやっていかれるということでございました。

 やはり、若年層に特に、私も同世代ですけれども、しっかりと働いて所得を上げていただいて、そして税金を納めて、それがいわゆる経済の好循環というものを生んでいくんだろうな、そのように考えておりますので、改めてお聞きをいたしますけれども、そうした課題をしっかり解決をしていくんだというような意気込みも含めまして、そのために取り組んでいかれるようなことがございましたら、お願いをいたします。

鈴木政府参考人 長時間労働の是正というのが大変重要でございますけれども、他方で、働く方がその成果に見合った賃金をもらえるという観点も重要でございまして、そのために、時間当たりの生産性を高めていくということが大変重要な課題ではないかなと考えてございます。

 このため、中小企業などが適切に働き方改革の取組を進めていくことができるよう、労働基準監督署に設置いたしました労働時間相談・支援班や働き方改革推進支援センターにおきます相談支援などの実施のほか、生産性を高めながら労働時間の短縮に取り組む企業に対しまして助成をいたします働き方改革推進支援助成金の支給でございますとか、中小企業の賃上げと生産性向上に資する設備投資を支援いたします業務改善助成金の支給などの支援を実施しているところでございます。

 また、先ほども申し上げましたとおり、働き方改革関連法の五年後の見直しの時期に来てまいりますので、こういった動向等を把握しつつ、現在の制度やその推進等についても検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。

吉田(真)委員 ありがとうございます。

 先ほども申し上げたように、やはり、大臣のお言葉の中で、働く方々の個別のニーズに応じて、多様で柔軟な働き方ができる社会の実現というのが全く本当に最も大切なんだろうな、そのように私も認識をしておりますので、引き続きまして、労働政策においても、特に、繰り返しになりますけれども、若年層の所得が上がるような取組、厚生労働省としても労働政策に取り組んでいただきたい、そのことを申し上げて私の質問を終わります。

田畑委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 本日、質問の機会をいただきましてありがとうございます。私もようやくこちら側に戻ってまいりまして、好きに質問できる立場に戻ってまいりましたので、好きにというのは変ですけれども、目いっぱいやらせていただきたいというふうに思っております。

 まず、帯状疱疹ワクチンについて伺います。

 この定期接種化ということについてでありますが、御案内のとおり、帯状疱疹というのは日本人の九割がウイルスを持っている。ウイルスが活性化すると、皮膚の症状、また、神経にも影響があって、とにかく物すごい痛いというふうに言われています。八十歳までに三人に一人が発症する。

 今、この帯状疱疹が増えているんじゃないかというふうに言われておりまして、五十歳未満でも発症の例が増えているという状況でありますが、まず、厚労省として、帯状疱疹の患者数の増加の現状をどう捉えられているか、また、原因についてどういうふうに捉えられているかについて伺いたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、帯状疱疹の患者数ですが、感染症法に基づく発生動向の対象外であるため、全国的なデータは承知しておりませんが、宮崎県で実施された大規模疫学調査がございます。このデータだと、同県における帯状疱疹の千人当たりの年間発症率は、調査が開始された一九九七年、平成九年にはこれが三・六人でした。直近、令和二年、二〇二〇年には六・四人。三・六が二十三年間で六・四という状況でございます。こういったデータがございます。

 次に、帯状疱疹の発症の誘因でございますが、一般に、過労や加齢、免疫機能の低下、さらには手術ですとか放射線照射などが誘因になるものと承知しております。

伊佐委員 全体的なデータはないにしても、幾つかの調査の中でこういう増加の傾向があるということだと思います。

 私、伺ったのは、帯状疱疹のウイルスと水ぼうそうのウイルスが同じ種類だと。今までは、子供の水ぼうそうに大人が暴露することで免疫が強化されてきた。ところが、平成二十六年から小児に対しての水ぼうそうの定期接種化が始まったので、大人が暴露する機会がなくなって、増加傾向にあるんじゃないかというような説も伺ったことがあります。

 この定期接種化は、私が厚労副大臣をさせていただいていたときも本当にたくさん陳情をいただきました。全国の首長さん、あるいは議会、議員の皆さんからもいただきまして。

 というのは、とにかくこのワクチンがまず高い。二種類ありますけれども、一つは、一回二万円で二回打つ、四万円かかる。

 これは自治体独自で公費助成をやっていただいているところも多くありまして、我が党の地方議会でも今一生懸命やっていただいていて、どんどんこれは拡大している。この十月の時点で、三百十六自治体が自治体独自の公費助成をやっている。

 これは急に増えていまして、この三百十六のうち、今年に入って始まったのは二百もあるんです。来年やると言っているところが更に八十あります。だから四百自治体に迫る勢いなんですが、ここまで来たので、そろそろ国も、議論を一歩、是非前に進めていただきたい。これは本会議で、公明党の代表質問でも、この定期接種化について審議会の議論を加速させるべきだというふうにお願いを申し上げました。

 先週、厚労省から発表がありまして、帯状疱疹ワクチンについて、ワクチン評価の小委員会を開催するというプレスリリース。これは、前回が平成三十年ですので、五年ぶりにようやく開催していただくということになって期待が高まっているわけですが、大臣、このワクチンの定期接種化に向けて、今後、どのようなスケジュール感、またどのような議論がなされるか、伺いたいと思います。

武見国務大臣 御指摘の帯状疱疹ワクチンを定期接種に位置づけることにつきましては、これまでも審議会において議論をいただいてきており、医学的、科学的知見等についての整理を進めてまいりました。具体的には、最新の科学的知見、費用対効果、それから接種対象年齢等の様々な論点があるものと認識をしております。

 こうした論点について、ここ数年間に新たに得られた知見を踏まえまして、明日開催予定の審議会において、帯状疱疹ワクチンについて御議論をしていただく予定になっております。この審議会での議論を踏まえて、必要な対応を行ってまいりたいと思います。

伊佐委員 五十歳以上の人口というのは、当然、高齢化でどんどん増えていきます。ここでかかる医療費とか、あるいは経済的な損失、こういうものを考えると、ワクチンをしっかり重視して進めていくということは財政的にも合理性があるというふうに思っておりますので、是非議論を加速していただきたいというふうに思っております。

 次に、認知症の治療薬について伺います。

 世界初の認知症の治療薬が、アメリカに続いて日本でも薬事承認がされました。いよいよ実用化ということで非常に期待が高まっておりますが、ところが、米国の例でいうと、治療で使うこの薬の値段が一年間で三百九十万円となっている。

 これじゃ当然、一般にはなかなか使えないので、保険適用も是非間を置かずにやってほしいというふうに進めていただいておりますが、保険適用になれば一割負担、もっと言えば、高額療養費制度があるので、一定の額以上は全部公費で見てくれる、保険の範囲内で治療が受けられるということになります。

 まず、この保険適用の検討状況を伺いたいのと、あわせまして、これは残念ながら万能薬ではありません。軽症の人しか使えない。副反応もあるので、経過観察も必要です。どういう方が対象になるかというのは、アミロイドPETでアミロイドベータの蓄積状況を見て判断をされる。副反応もあるかどうかということでMRIでも定期的なチェックが要るということになりますと、当然、診療放射線技師の皆さんの協力を始め、体制をどうやってつくっていくかというのも非常に大事だというふうに思っています。

 保険適用と体制の整備、これはしっかり進めていただきたいと思いますが、いかがですか。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 アルツハイマー病の治療薬、レカネマブでございますが、これにつきましては、本年九月二十五日に承認をいたしまして、現在、中央社会保険医療協議会、中医協におきまして、薬価収載の検討を進めているところでございます。

 本剤は、対象がアルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症でございまして、既存の類似薬のない新しい医薬品でございます。このために、安全性の確保、それから適正使用が必要な薬剤ということで認識をいたしております。

 また、一定の安全性が確認できるまでは、副作用の発現状況等を慎重に情報収集を行いまして、臨床での使用実態下における安全性及び有効性の確認の必要性があることから、承認条件といたしまして、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間、全症例を対象に使用成績調査を実施するということといたしております。

 現在、薬価収載の手続に合わせまして、最適使用推進ガイドラインの検討を進めているところでございまして、使用前検査による対象患者の選択及び投与開始後の効果や副作用のモニタリング等が適切に行われるよう対応してまいりたいと考えております。

 また、関係する専門職が本剤に関する一定の正確な知識を持つことができますように、認知症対応力向上研修の教材改定に向けて取り組みますとともに、本剤が投与可能となります認知症疾患医療センター等の体制整備にも努めてまいりたいと考えております。

伊佐委員 これは、どれぐらいが投与の対象人数になるかというのは、当然まだ分からない、現状分からないと思いますが、もしかしたら百万人とか二百万人とかという中で、薬もできたし、保険適用もできたのに、体制が整っていないので、例えば受けられる人が一年待ちとか、こんなことはあっちゃいけないというふうに思いますので、ここはしっかり関連業界と連携して進めていただきたいというふうに思います。

 次に、ケアマネの更新研修について伺います。

 介護の業界におけますケアマネジャーの資格、これは平成十八年から、今、更新制になっております。つまり、五年ごとに更新、研修を受けるということになっていますが、この研修についてなんですが、一回目の更新で受ける研修時間というのは八十八時間です。二回目は三十二時間。

 この研修について、現場から、私、いろいろな不満の声をいただいておりまして、ちょっと寄せられた声をそのまま申し上げますね。

 まず、受講料が高過ぎる、主催者側の対応が悪い、内容がマンネリ化している、融通の利かない過密スケジュールだ、時間潰しのグループワーク、もうさんざんな声をいただいたんです。

 もちろん、一方で、評価する声もありました。一定の価値はありますよとか、忘れている部分もあったので勉強になった、あるいは、職場だけに任せるとやはりばらつきがどうしても出てくるので、やってよかった、こういう意見があるのも事実です。

 ただ、もう廃止すべきじゃないかと言っていらっしゃる党もあると思いますが、あくまで、私は、これは介護を受ける利用者の目線に立って、本当に意味ある研修にまずはできるかどうかというところが大事じゃないかというふうに思いますが、ちょっと、そこで何点か伺いたいと思います。

 まず、更新研修が高いという話。高いところでは七万円ぐらいします。これは安くならないでしょうか。

間政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員から、法定研修に関しての現場の声をお聞かせいただきました。こういった声も踏まえて、改善すべきところは改善したいと思っています。

 ただいまの受講料につきましては、実施主体である都道府県において定める、こういうことになっておりますが、厚生労働省におきましては、受講者の負担を軽減するために、都道府県に対して、地域医療介護総合確保基金とかあるいは教育訓練給付制度の活用を促しているところでございます。

 こうした中、昨年末に国の社会保障審議会介護保険部会において取りまとめられました意見におきましても、研修を受講しやすい環境を整備していくことが重要であるとされたところでございまして、委員の御指摘も踏まえまして、こうした総合確保基金の具体的な活用状況等を把握しつつ、活用していない都道府県に対しても個別に働きかけを行うなど、ケアマネジャーが法定研修を受講する際の負担軽減に引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 今局長がおっしゃったのは、医療介護総合確保基金とか教育訓練給付制度を使えば、実は今の、例えば七万円とか何万円とかというところをしっかり支援ができますよということですよね。そこは、ただ、余り使われていないと思いますので、今、局長の方から、個別に働きかけるというふうにおっしゃっていただきましたので、しっかりこれを活用してもらう努力を厚労省としてもしていただきたいというふうに思います。

 次に、内容についてのお声なんですが、基本的なところのいろいろな声をいただいておりまして、例えば、講師の質が悪い、ケーススタディーをやっても、講師が現場を、この人、知らないんじゃないか、我々の方が現場を知っているとか、あとは、パワハラまがいの言動もあるとか、講師の質をまず何とかしてほしいというお声、そしてまた、例えば病気とか仕事で研修を休まざるを得ないといったときに、補講が今されていない、高い受講料を払っているのに補講もないというお声であるとか、あとは、そもそも研修を受けたくても枠が少ないというお声もありました。

 ケアマネ研修というのは、実施主体は都道府県だと思いますが、こうした点、現場で工夫できるところは私はもっといろいろあるんじゃないかと思いますので、ここは、厚労省、しっかりとした方針を是非示していただきたいと思いますが、いかがですか。

間政府参考人 お答えいたします。

 ケアマネジャーの法定研修の実施に当たりましては、国の通知で、都道府県に対して、今御指摘のありましたような講師の要件、あるいは研修定員の設定、やむを得ない事情で研修を受講できなかった場合の対応などについて、留意事項を示しているところでございます。

 一方で、そうでありながら、今御指摘のような要望があることも承知しておりまして、今年度の調査研究事業におきまして、各都道府県における研修の実施体制等についての実態把握の調査を行っているところでございます。

 こうした調査結果や、先ほど御紹介しました介護保険部会の意見も踏まえながら、必要な対応をしっかり検討してまいりたいというふうに思います。

伊佐委員 大臣、私、聞いたのは、ケアマネになったら研修が大変だから、ケアマネになりたくないというお声もあるんです。

 昨年の介護保険部会の取りまとめで、ケアマネの質の向上、人材確保について包括的に検討すべし、これは宿題事項になっています。審議会からこうしてケアマネの更新研修の在り方についても示唆をいただいているわけで、ここはしっかり議論していただきたいというふうに思います。

 最後に大臣からお願いします。

武見国務大臣 ケアマネの法定研修は、ケアマネジャーの専門性を高めて、資質を向上させていくために重要な役割を持つものであるというふうに考えております。

 御指摘のように、昨年末に介護保険部会において取りまとめられた意見において、ケアマネジメントの質の向上及び人材確保の観点から、二〇二四年度からの第九期介護保険事業計画期間を通じて包括的な方策を検討する必要があり、ケアマネジャーの方が研修を受講しやすい環境を整備していくことが重要であるというふうにされております。

 ケアマネジャーの法定研修を含めて、ケアマネジメントの質の向上及び人材確保に向けて、今後、関係者の意見をしっかり聞きながら、必要な方策を検討していきたいと思っております。

伊佐委員 大臣、よろしくお願いいたします。

 次に、薬不足の話を伺いたいと思います。

 うちの娘も、先日、ちょっと風邪を引きまして、薬局に行ったら、せきがすごい出ていましたので、病院に行きました。ところが、やはり子供用のせき止めがない。何軒か回ってようやくあったのは、じゃ、何とかこの大人用の薬をちょっと砕いてやりましょうと。その手間も結構大変で、それを現場で、薬局が対応してもらっている。

 薬局の皆さんは、本当に今、間に挟まって、いろいろなところに謝って、患者さんに謝り、病院にもいろいろと、何で入らないんだと言われ、毎朝、病院も確認が来る。卸との関係でもかなり緊張感があるということも伺いました。特に、今足りていないと言われていますのが鎮咳薬、せき止めと去たん薬ということです。

 大臣からも様々取組も進めていただいておりまして、十月には、メーカー八社に対して、在庫をためるんじゃなくてできるだけ放出してほしいであるとか、緊急増産の要請、昨日も、大臣、会っていただいて、製薬企業からもヒアリングをしていただいたと伺っております。再度、増産などの対応もお願いしたと。

 これは、メーカーも今必死に対応してもらっている状況だと思いますが、ちょっとここで私、提案申し上げたいのは、需給がこれだけ乱れる中で、海外の制度をちょっと見ますと、海外は、あらかじめ需給を予測して、増産、減産、政府が一定のコントロールをしているということでした。日本の場合は、何か事が起こってから対応する。そうじゃなくて、起こる前にある程度、例えばインフルエンザがはやる時期であるとか、需給予測をして、これに対して対応できる体制にしていくべきじゃないかというふうに思っています。

 必要があれば、これは法改正もあるべきじゃないかというふうに思っておりますが、これについてまず伺いたいと思います。

内山政府参考人 お答えいたします。

 医薬品の安定供給を確保するためには、国が需給状況を把握しておくこと、これは重要であるというふうに考えております。このため、現在、通知によりまして、メーカーに対し、供給不安の発生が見込まれる段階で厚生労働省に情報提供をするように求め、現場で不足が発生する前に対応できるような仕組みを構築しているところでございます。

 また、医療機関や薬局に対し必要な量を確実に供給し、偏在を解消するという観点から、医薬品の供給情報について、製薬企業、卸、薬局、医療機関の各段階で可視化を行うこと、これが課題として指摘をされてございます。

 このため、医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議供給情報ワーキンググループにおきまして、供給リスクの早期把握や、在庫偏在への対応のために必要となる情報を共有するような項目、それから手法等について、現在の仕組みの在り方も含めて検討を行っているところでございます。

 こうした中で、議員御指摘の法的枠組みが必要かどうかも含め、幅広く検討してまいりたいというふうに考えてございます。

伊佐委員 厚労省が今可視化とか見える化をやっていただいているのは分かります。ただ、本当にそれで落ち着くのかどうか。私は、もう一歩踏み込んだ取組もやはり必要なんじゃないかというふうに思っております。

 そしてまた、もっと根本的な話を申し上げると、今、供給調整というのはあくまで短期的な話ですので、根本的な原因は、そもそもの今の供給体制、産業構造に問題があるというふうに思っております。

 私、厚労副大臣をやらせていただく前からこの供給体制に問題意識を持っておりまして、就任直後に始めさせていただいた有識者検討会議、もうとにかく、時間が空いているときは全部出ました。出られないときは毎回フォローアップもさせていただいて、この有識者検討会議で中間取りまとめ、報告書もまとめさせていただきましたが、もちろん、最終的な薬価制度というのは中医協で決めるものです。ただ、厚労省としてどういう思いというか意図があるかというのは、有識者検討会議、この会議を通じて、私は厚労省としての意思を示す必要があるとも思いました。

 そういう思いで、結構踏み込んだ報告書になっているというふうに思いますが、その中で、例えば、新薬の開発のインセンティブをどうするかとか、先ほど橋本筆頭理事からも質問がありましたが、いろいろな提案もなされているわけですが、ただ、今日はちょっと供給不足に限って申し上げたいと思います。

 安定供給のためには少量多品目を変えないといけないというふうにこの報告書にはなっております。小さい企業が乱立していることも問題だと。これは業界の再編を意味しています。この業界を変えなきゃいけない。

 ちょっと大臣に伺いたいんですが、この業界の再編をどうやって進めていくか、伺いたいと思います。

武見国務大臣 後発の医薬品業界においては、少量多品目生産といった業界特有の産業構造上の課題が存在しているというのはまさに共通の認識であります。この背景として、薬事や薬価制度等の影響もあって、参入企業や品目数が増加し、過当競争になっていることが指摘されています。

 こうした状況を改善をし、安定供給を確保できる産業へ転換させていく観点から、委員御指摘の業界再編を含め、品目数の適正化の推進や産業構造の在り方について、後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会において現在検討を進めております。

 少数多品目構造を解消するためには、企業単位での在り方を議論するだけではなくて、品目数の適正化を推進する方策を併せて検討していく必要性がございます。例えば、同検討会における中間取りまとめにおきましては、生産効率向上のため品目統合を行う際の薬事手続の合理化、それから、品目の供給停止、薬価削除プロセスの合理化、効率化を行うこと等について御提言をいただいたところでございます。

 まずは、品目数の適正化等における課題について同検討会で御議論をいただきながら、後発品産業をめぐる構造的課題の解決に向けて、業界再編を含めた産業構造の見直しなど、網羅的に検討を進めたいと思っています。

伊佐委員 業界再編も含めたと今大臣はおっしゃいました。私は、業界再編をしないと、多分これは、なかなか今の構造は変わらないんじゃないかと思っておりまして、ちょっともう少し具体的に申し上げると、業界再編をするためには、まず、問題がある企業、抱える企業を洗い出さないといけないというふうに思っております。

 古くは化血研、最近では、二〇二一年の小林化工、日医工。それ以降、この二年間で十件以上の不祥事があるわけです。非常に厳しいことを申し上げますが、一度、この製造管理、品質管理の総点検をしないといけないんじゃないかというふうに思っています。

 過去、二〇一六年の化血研の事件の後は、一月から九月まで総点検をやりました。武見大臣、先日おっしゃっていただいた、十月二十四日記者会見では、医薬品製造業者らに対する一層の薬事監視体制の強化に取り組んでいきたいという発言がございましたが、その意図について伺いたいと思います。

武見国務大臣 医薬品製造業者等における不正事案に対しては、これまでも厚生労働省では、通告なしで立入検査の実施を強化するとともに、検査を行う都道府県調査員に対する各種研修の充実等に取り組んできたところでございます。

 一方、依然として不正事案が発生していることを受けまして、厚生労働省としては、医薬品製造業者等に対する一層の薬事監視体制の強化に取り組むこととしております。

 具体的には、PMDA、ここにはこうした専門的な調査知見を持った人たちが一番たくさんいるわけでありますが、このPMDAが都道府県との合同で通告なしの立入検査を実施する取組を拡充をいたします。そしてまた、互いの情報収集を強化していくことなどを通じて、全国的な監視指導体制を強化を図ってまいりたい、こう考えているところでございます。

伊佐委員 一斉に点検をして問題のある企業を洗い出すと、大小いろいろな問題が出てくるかもしれません。ただ、それを、私が申し上げたいのは、一個一個厳しく対応させて、お願いをして、製造を全部止めていったら多分大変なことになります。まずは、いろいろな大小の課題をしっかりと見つけて、これを仕分して、立て直すところは立て直すという取組が必要じゃないかと思っています。

 これは、立て直すには、私、一定のファンドも必要になってくるんじゃないかというふうに思っております。このファンドというのも、単に短期で売り抜けるようなそういうファンドじゃなくて、じっくり本当に業界再編、この業界の立て直しを一緒にやっていけるようなファンド、また、そういう意味では、中長期を見据えた公的資金の投入というのも必要になってくるんじゃないかというふうに思っておりますが、この点について伺いたいと思います。

内山政府参考人 お答えいたします。

 産業構造の見直しについては、先ほど先生にも御紹介いただきました有識者検討会の報告書におきまして、他産業での業界再編に向けた取組も参考にしつつ、例えば、品目数の適正化に合わせた製造ラインの増設等への支援を検討するといった内容が指摘されているところでございます。

 その上で、先ほど大臣も御答弁申し上げたとおり、品目数の適正化の推進や産業構造の見直しにつきましては、業界再編を含め、検討会において検討を進めているところでございます。

 品質の確保された医薬品を安定的に供給できる体制を確保するための制度的な枠組みを検討する中で、御指摘のような支援策も含め、網羅的に検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 ちょっともう時間がなくなってまいりましたので、財務省からも来ていただいているので、最後に一問、お願いしたいと思います。

 今日、大麻法の改正のお経読みがなされる予定になっております。私、この法案審議に立てないかもしれませんので、ちょっと一つだけ、どうしても確認したいことがございます。

 今回の法案は施用罪ができるということで、いろいろな新たな取組も含まれておりますので、体制整備が重要だというふうに思っております。私、副大臣のときには麻取にも視察に行かせていただきまして、税関にも行かせていただきました。副大臣も行かれたというふうに伺いましたが、早速法案審議の前に現場を見ていただいた。もう本当に、その現場、恐らく浜地副大臣も感じられたと思いますが、命の危険と隣り合わせであります。銃も携行されている、防弾チョッキも着ていらっしゃって、ここを、だから、しっかり体制整備をやっていく必要があるんじゃないかなというふうに今思っております。

 同時に、麻取の体制整備と同時に、税関の取締りも非常に重要だというふうに思っております。入ってきてから麻取が対応するのは非常に大変です。何倍もの労力がかかって、ここを水際で、入口で止めることができたらもっとこの効率が高まると思っておりますので、税関の体制強化をしっかりとやっていただきたい。定員増加も含めて体制強化をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、税関は、麻薬等の、輸入が禁止されております不正薬物の国内流入を水際で取り締まっておりまして、税関におけます不正薬物の押収量は七年連続で一トンを超えるなど、日本への不正薬物の流入は極めて深刻な状況となってございます。また、不正薬物の国内押収量全体に占めます水際での押収量の割合が約九割となっておりまして、税関が水際で果たすべき役割は一層重要になってございます。

 そのほか、昨今の税関業務を取り巻く環境につきましては、越境電子商取引の拡大に伴います輸入申告件数の増加、水際措置の終了に伴います訪日外国人旅行者数の回復、経済安全保障上の脅威の高まり、国際的なテロの脅威の継続など、多くの課題に直面しているところでございます。

 こうした課題に対応するため、税関におきましては、より一層効率的、効果的に業務運営を進めていくこと、人員の適正配置を行いつつ、更なる人員確保等、必要な体制整備を図ることが重要であると考えてございます。

 その上で、人員確保の観点といたしましては、税関の定員につきまして、平成二十六年度以降、毎年増員を確保してございまして、令和五年度におけます税関の定員は一万百七十八人となってございます。さらに、現下の課題に適切に対応するため、令和六年度におきましては、三百八十三人の増員要求を行っているところでございます。

 今後も、業務運営の見直し、効率化等を最大限進めますとともに、必要な税関の体制整備に努めてまいります。

伊佐委員 我々もしっかり応援したいというふうに思いますので、頑張っていただければというふうに思います。

 終わります。ありがとうございました。

田畑委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 おはようございます。立憲民主党、早稲田ゆきでございます。

 武見大臣そして皆様、よろしくお願いいたします。

 冒頭に一言申し上げます。

 さきの予算委員会でも、武見大臣の医療関連団体からの巨額の献金についての質疑もございました。そして、医師会べったりと言われている。それから、零売薬局、さらに、緊急避妊薬を薬局でという活動をしている若い女性たちからも失望の声も上がっております。

 大臣はこれまで、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジという、適切な保健医療を、そして適切な値段でということも大変取り組んできた大臣でありますから、是非、この際、医師会の主張だけではなく、コメディカル、それから当事者、また患者さん、家族、そうした方々の声に耳を傾けていただきまして、厚生労働省の行政全般、これを前に進めていただきたい。

 医師会べったりではないという、口コミの評価をひっくり返すような、是非、一言よろしく、決意をお願いいたします。

武見国務大臣 御指摘のとおり、私も、長年、こうした国会における活動を通じて、私の保健、医療、福祉、介護に関わる政策について大変共鳴してくれる方々が私の支持者となり、また支持団体となってきて、今日においても私が現場の様々な意見を吸収する上で大切な実は情報源にもなっていることは事実でございます。

 しかし、他方において、私も、大臣に就任する以前も全く同じなんでありますけれども、やはり国会議員としてその基本的立場は、こうした保健、医療、福祉、介護については国民一人一人の立場に立って考えるというのがそのあるべき姿であって、決して、そうした支援をいただいているからといって、そういった特定の団体のために代弁者として活動をするという意思は私には全くございません。

 したがいまして、こうした厚生労働大臣としての立場で、国民お一人お一人の健康と生活を生涯を通じて守るという立場で私は取り組んでいきたいと考えております。

早稲田委員 是非、国民全体の奉仕者でありますので、特定の国民だけの奉仕ということにならないように強く要望をして、質問に入りたいと思います。

 質問の順番を変えます。まず、必要な医薬品の安定供給の実現のための薬価についても伺います。

 既に三年たって供給不安が続いておりまして、先ほど来議論があるように、せき止め、たん切りなど身近な医薬品が不足をしている、そして、本当に薬局もクリニックも大変困られて、そして、使えないのは国民の皆さんお一人お一人ですから、とても不利益を被っているということになります。

 この問題に対して、私たち立憲民主党は、五月の三十一日に前加藤大臣に医薬品の安定供給実現のための提言も直接させていただいておりますが、その後、政府はいまだに有効な手だてを打てぬまま、ジェネリック最大手の品質試験における不正が発覚し、供給不安に拍車がかかっております。これは、一部メーカーによるコンプライアンス違反に端を発してはおりますけれども、過度な薬価引下げ、そして、物価高騰による不採算生産の広がりもこの問題を長引かせている要因だと私は思います。

 政府は、昨年の解熱剤、鎮痛剤の不足を踏まえまして、臨時特例的な不採算品の再算定など実施をして対応を図っておりますけれども、対象品目が千百品目、八%に限られております。全ての品目が原材料や原薬の高騰の影響を受けていることを踏まえ、その効果は限定的であると言わざるを得ません。

 資料の三、そして四を御覧ください。

 この中には、供給実態の概要で、通常出荷が七七%ですけれども、黄色の部分、限定出荷というところに注目していただきたいと思います。

 昨年同様に臨時特例的な不採算品の再算定を実施することはもちろんですけれども、加えて、この日薬連の調査においては限定出荷に陥っている二千三百七十二品目のうち、行政処分等の薬価と関係のない事情のある品目を除いた品目について、是非、企業の増産を下す観点から、一定の薬価引上げを行う検討を行うべきではないかと考えます。昨日七日には、二十四の製薬会社をお呼びになって、そこで増産をしっかりやるようにとお願いをされたということですが、お願いだけでなく、是非こうしたこともやっていただきたい。大臣の御見解を伺います。

武見国務大臣 医薬品の供給不安に関してであります。

 安定供給の確保により、国民が必要な医薬品を使用できるようにするということは、極めて重要な課題であります。

 委員御指摘の限定出荷。製薬メーカーの自社の事情、他社品の影響など様々な理由により、全ての受注に対応できない状況でございまして、必ずしも当該品目の製造販売が不採算ではないため、薬価引上げが必ずしも増産にはつながらないものと考えています。

 そして、このために、今般の経済対策については、現在、供給不足が生じているせき止め等の増産要請に応じた企業に対し、更なる増産に向けた投資を行っていただくための支援を盛り込み、補正予算においても所要の措置を講じることとしております。

 その上で、薬価については、薬価が著しく低額であるため製造販売業者が製造販売を継続することが困難である品目については、原価に基づいて薬価を引き上げる不採算品再算定の仕組みを設けているところでございます。

 このように、医薬品の安定供給にしっかりと取り組んで、そして、薬価のみならず、こうした様々な施策にしっかりと包括的に取り組んで、企業の増産を促してまいりたいというふうに思っております。

早稲田委員 薬価についてはどうなんでしょうか。その検討を私は伺っているんですけれども。

 不採算品の再算定ということはもう既にやられております。それでなかなか効果が出ないし、またそれ以外にもたくさんあるということで、私はお伺いしております。

武見国務大臣 まず、薬価の中間年改定、市場実勢価格を適時に薬価に反映して国民負担を抑制するために、平成二十八年に四大臣合意、薬価制度の抜本改革に向けた基本方針に基づき、令和三年度から実施しているものでございます。

 例えば、令和五年度の中間年改定においては、併せて急激な原材料費高騰や安定供給の課題に対応するため、不採算品再算定を全品目に適用するなど、臨時特例的な措置も講じてきました。

 薬価改定につきましては、今後とも、安定供給を確保しつつ、国民皆保険の持続性と、それからイノベーションの推進の観点から、その在り方を検討していくことが重要であると考えています。

 また、今般の経済対策においては、医薬品の安定供給の確保に向けて、インフルエンザ等の感染症の拡大に伴って供給不足が生じているせき止め等の増産要請に応じていただいた企業に対して、更なる増産に向けた投資を行っていただくための支援を盛り込みまして、補正予算においてもその所要の措置を講じることとしております。

 こうした取組を始めといたしまして、今後とも、あらゆる手だてを講じることにより、国民の皆様が必要な医薬品を使用できるようにする、その考えでおります。

早稲田委員 なかなか今までのものでは効果が出ておりません。私たちは、提言の中でも、薬価のこの中間改定の在り方を見直し、二年に一回の改定を基本として、不採算に陥ることがないように価格の下支えをすべきと。それからまた、こうした直近で起こっているような原価高騰の中では、それをしっかりと支援する財政支援の仕組みが必要ではないかと考えております。

 それについても今一緒にお答えをいただいているような感じがいたしますので次に進みますが、ALS、神経難病の患者さん、こちらでは、海外で承認された薬を、国内未承認ですから、治療薬を自費で試す事態が発生をしております。このように、ALS患者さんに限らず、特定の難病患者が待ち望む革新的な医薬品についても、非常に、日本では先進国並みの薬価が算定されていないので、これも大変な状況になっていると思います。

 特許期間中の薬価が原則として下がらない仕組み、それから先進国並みの薬価が算定されるような仕組み、これを是非大臣のリーダーシップでやっていただきたい。お願いします。

武見国務大臣 薬価制度におきましては、これまで、イノベーションを推進する観点から、革新的な新薬については、薬価収載時に薬価の画期性や有効性等を適切に評価する仕組みを設けるとともに、特許期間中の改定における薬価の引下げを緩和する仕組みであります新薬創出等加算を設けているところでございます。

 令和六年度の薬価改定におきましては、これらの点も含めて、骨太方針に基づきまして、イノベーションを適切に評価することでドラッグラグやドラッグロスの解消を行うことが重要であると考えています。

 国民皆保険の持続性とイノベーションの推進を両立しつつ、革新的医薬品が日本へ迅速に導入されるよう、イノベーション評価の在り方について、引き続き中医協で検討してまいりたいと考えております。

早稲田委員 今大臣がおっしゃいました新薬創出等加算では六割しかカバーできないんです。特許期間中の薬価が原則として下がらないという仕組みとは言えないと思います。是非、次の、今回の薬価改定で実現ができるように御検討いただきたい。強く望みます。

 次の質問でございます。

 今、全国的に産婦人科の医院、特に子供、赤ちゃんを出産できる医院が減少している中で、私の地元では、閉院される予定の産院の建物を活用して、助産所と産後ケアセンター、さらには、遠くからいらっしゃる方のための宿泊施設、これを併設する計画がございます。このような複合的施設を設置する場合、二〇二〇年八月五日に厚生労働省医政局長、子ども家庭局長の連名で出されております、病院、診療所又は助産所と産後ケアセンターとの併設等についてという局長通知の中で、助産所と産後ケアセンター、さらには併設する宿泊施設の中で、どのような施設及び設備の共用が認められないとしているのか、医政局長に伺います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 助産所と産後ケアセンター等の他の施設と設備の共有につきましては、議員御指摘のとおり、二〇二〇年八月に厚生労働省医政局長及び当時の子ども家庭局長との連名通知で、考え方を自治体に周知しております。

 その通知の中におきまして、設備の共有につきましては、処置室等の診療に直接供する設備を除きまして、患者等に対する治療や産後ケアサービスに支障のない場合には共有が認められているとお示ししているところでございます。

早稲田委員 そうしますと、雑居ビルの中にあるクリニックのように、入口は共有できるということでよろしいと思います。助産所と産後ケアセンター宿泊施設とで診察室やそうした入所室の共用は認められないけれども、入口や玄関はそのまま共用できるということでよろしいと理解をいたしました。うなずいていただきましたので、そのように理解をいたします。

 その上で、大臣に伺いますが、このような非常に先進的な取組、これを厚労省としても是非応援をしていただきたい。

 そして、今一つ心配なのは、出産、分娩までは厚労省、そして産後ケアはこども家庭庁、こういうふうになっておりますと、縦割り行政で悪影響が出てしまっては本末転倒でございます。ですから、このすばらしい、地域の中で産前産後を一貫して助産師さん、保健師さんが見ることで、更に母子の保健の向上、そしてまた、産後ケアセンターを母子保健法に位置づけましたときのその意思、意図がしっかりとこうしたことで反映をされると思っています。

 ですから、このときは、それまで産後ケア事業は予算事業だけでしたけれども、しっかりと二〇一九年に母子保健法に位置づけ、そして、これは超党派で、筆頭提出者の、その前に出している野党案は阿部知子衆議院議員、与党に呼びかけてこれができたということでございますので、その趣旨を踏まえても、やはり、連携したこうした施設も含めて、厚労省としても後押しをしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

武見国務大臣 各地域において、分娩や産前産後ケアを含め、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制を整備するという委員の御指摘は、全く同感であります。

 来年度から、第八次医療計画に向けた国の指針では、分娩を取り扱う医療機関と妊婦健診や産前産後ケア等を実施する機関の役割分担、それから連携を各地域で図ることや、都道府県設置の協議会において、医療分野のみならず産後ケア等の保健福祉施策と情報共有を図ることを求めておりまして、一つの医療機関等で全ての役割を担う場合も含めて、地域の実情に応じて必要な体制を確保していただきたいと考えております。

 今年四月に、産前産後ケア等の母子保健に関する施策は厚生労働省からこども家庭庁に移管されましたけれども、引き続き、こども家庭庁と緊密に連携をし、妊産婦等のニーズに応じて、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制の整備を進めてまいりたいと思います。

早稲田委員 今、施設の、その複合的な施設も含めて連携をきちんと強化をしていきたいという前向きな御答弁をいただきましたので、是非先進的な取組を後押ししていただくようお願いいたします。

 最後の質問になりますが、医療、介護、障害福祉の処遇改善についてでございます。

 いわゆるエッセンシャルワーカーの処遇改善については、物価高騰、そしてまた、とりわけ介護、福祉の人材不足が深刻化する中、処遇改善の必要性はずっと言われ続けておりますが、本当に政府の対応は不十分のままと言わざるを得ません。

 岸田総理が、デフレ完全脱却の経済対策と出されましたけれども、これも遅過ぎますし、その中では、この処遇改善の具体的な数字も示されませんでした。にもかかわらず、昨日の、その前から言われておりますけれども、こうやって新聞の方には先に出る、介護職員月六千円賃上げと。桁が違うんじゃないんでしょうか。八万円もの差があると言われているわけです。本当によくお考えいただきたいと思います。

 二〇二五年の団塊世代、この七十五歳以上では二百四十三万人の介護の職員の方が必要と言われています。そしてまた、団塊ジュニアが六十五歳以上になるときの状況では、二〇四〇年には二百八十万人です。今実際に介護職をしていらっしゃるのは二百十五万人。もう全然足りません。それで、その一方ではまた、離職をしていく方の方が介護職に就く方よりも多いという数字があるわけですね。その背景は、とにかく賃金が低いということにあります。

 大臣、介護、福祉分野において、総理もおっしゃっていましたし、大臣もおっしゃった物価上昇に追いつく賃上げというのは、一体幾らぐらいの賃上げを考えていらっしゃるのでしょう。

武見国務大臣 昨今の高水準となる賃上げの動向や人手不足の状況を踏まえますと、介護分野における賃上げを始めとする人材確保への対応は、極めて重要な課題であるというふうに認識をしております。

 そのため、今般のまず経済対策の中で、介護分野等において喫緊の課題に対応するため、人材確保に向けて賃上げに必要な財政措置を早急に講ずるというふうにもう既にされております。金額を含め、具体的な対応策の内容については現在その最終的な検討を行っているところでございまして、速やかに対応をしてまいりたいと思います。

 その上で、令和六年度の同時改定において、経済対策における様々な対応を踏まえつつ、政府として、産業全体の賃上げを考えていく中で、介護分野での賃上げの在り方について考えてまいりたいというふうに思います。

早稲田委員 いえいえ、どのくらいということを伺ったんです。そしてまた、ここにある六千円ということは決まっていないんですね。今の御答弁からすればそういうことだと思いますが、それでよろしいですか。うなずいていただければ。決まっていないんですね、六千円賃上げというのは。そこでうなずいていただければ。決まっているか、決まっていないか。

武見国務大臣 今まさに最終検討の段階でございますので、あえてまだここでは数字は控えさせていただきたいと思います。

早稲田委員 それにしても、物価上昇に追いつくという賃上げであれば、これは三年に一度の改定ですよね。それを考えてみても、三年前から六%以上物価が上がっている。その中で、六%といったら、二〇二〇年に三十万円だったのは、一・八万円、最低でも上げないと物価上昇に追いつかないわけです。さらに、その基本にあるのは、先ほど来申している、もうこの全産業の平均の賃金と比べて七万円、八万円も安い、低いということになっているわけです。

 私たちは、立憲民主党として、昨年四月に、政府の処遇改善九千円に加えて、全ての介護、障害福祉事業所で働く全ての職員の方に月額一万円の処遇改善を行う議員立法を出しています。せめて、この内容を踏まえて、この一万円、事務職員、調理員なども全て含む職員にこれを、月額賃上げをすべきではないか。大臣の御見解を伺います。

武見国務大臣 介護保険制度は、保険料負担、それから公費負担、利用者負担の適切な組合せにより、国民の皆様で支え合うことで持続可能なものとなっております。介護職員の処遇改善については、基本的には、こうした枠組みの中で対応していくことが適切と考えます。

 その上で、今般の経済対策においては、喫緊の課題に対応するために、人材の確保に向けて賃上げに必要な財政措置を早急に講ずるということを既に申し上げました。対象となる職種を含め、具体的な対応策の内容については現在検討を行っているところであり、速やかにその対応をしていきたいというふうに思います。

 ただ、いずれにせよ、令和六年度の同時改定において、今般の経済対策における様々な対応を踏まえつつ、政府として産業全体の賃上げを考えていく中で、介護分野の賃上げの在り方について考えてまいる所存でございます。

早稲田委員 お答えになっていらっしゃらないわけですけれども。

 公費とそれから介護保険料でもちろん成り立っている。でも、価格転嫁をできない業種でありますから、本当にこれは厳しい話です。三年に一遍なのに六千円といったら、もう皆さんがっかりします。いなくなっちゃっているんです。

 それから、この間のきょうされん東京の障害福祉の現場での調査ですけれども、十人に五人しか職員さんの充足率がないということです。これももちろんそうした背景があることは、大臣よくお分かりですよね。分かっていらっしゃるから、この一万円ということは最低まずはやっていただかないと、皆さんの、本当に、これ以上離職が進んでしまっては元も子もない、困るのは国民の皆さんであるということを是非分かっていただきたいと思います。

 議員立法も出しておりますので、与党の皆さんもこれを是非やっていただきたい、その内容をやっていただきたいということを是非大臣にも強く申し述べさせていただきます。

 そして、その一方で、一万円とか六千円という話じゃないんですよね。八万円差があるわけですから。そして、この抜本的な賃上げが必要ということを大臣御存じでありますか。

 その中で、随分前にできている、十数年前ですけれども、福祉人材確保指針というのがあります。他の分野とも比較して適切な給与水準が確保されるなど、労働環境を整備する必要があるというこの指針、これは今も厚生労働省の基本的な指針として生きている、そういう理解でよろしいんですよね。

 そして、これを基に、大臣は、次の報酬改定について、他の分野とも比較しながら適切な給与水準が確保されるように、介護、障害福祉の現場で働く皆さんが希望を持てるような御答弁をいただきたい。お願いします。

武見国務大臣 この福祉人材確保指針、御指摘のものですが、福祉、介護サービスのニーズの増大や人材不足等を背景に、将来にわたって福祉、介護ニーズに的確に対応できる人材を安定的に確保していくために平成十九年に告示されたものでございまして、その基本的な考え方は今日まで維持されております。

 その上で、昨今の賃上げの動向や人手不足の状況を踏まえれば、福祉、介護の分野において賃上げを始めとする人材確保に対応していくことは、極めて重要な課題であると認識しています。

 令和六年度の同時改定において、今般の経済対策における介護事業者への様々な対応を踏まえつつ、政府として、産業全体の賃上げを考えていく中で、福祉、介護分野での賃上げの在り方について考えてまいりたいと思います。

 こうした処遇改善の取組に加えて、ICTや介護ロボット等のテクノロジーを活用した職場環境の改善、それから介護の仕事の魅力発信の取組など、総合的な福祉、介護人材の確保策を同時に着実に進めていきたいと考えています。

早稲田委員 介護ロボットもICTもよろしいんですけれども、とにかく、人が人をケアするという職場でありますから、この賃上げはもう待ったなしであります。是非、小手先のことだけをなさらないで、しっかり抜本的に、この指針が生きているとおっしゃるなら、そのことに応えるように、介護の、福祉の現場の皆さんが期待が持てる報酬の改定を強く望みます。

 次の質問ですが、要介護一、二を介護保険の対象から、以前、昨年、市町村事業に移すこと、これが案が出されまして、一旦は今これが引っ込められているわけですけれども、これは絶対にすべきではないと思います。

 私は、介護保険、認知症対策を考える会というのを地元でこの間、週末に話してまいりました。そして、認知症のデイサービスをやっていらっしゃる稲田秀樹さんとお話をしてきた。その現場でいいますと、こうした要介護一、二を市町村事業に移してしまうというのは、経団連の方たちとか経済界の方たちが主に言っている、現場を知らない意見だということ。

 それからもう一つは、その会場から出た御意見。大臣、要介護一、二は、認知症の場合、どのくらいの程度だと思われますか。会場の方、私は実家に帰ってケアをしているけれども、あるとき帰ったら、もうお手洗いの場所、トイレの場所が分からなくてお部屋で排せつをしてしまって、そして汚物がもう廊下に、踏んで歩いていた、そこを一晩中、私はマイペットで拭いていたんですという方がいらっしゃいました。

 歩けて元気であれば、認知症がそれだけ進んでいても要介護二なんですよ、一なんです。それを踏まえていただければ、絶対、こうやって市町村事業に移すというような発想は出ないはずです。質も量も下がってしまいます。それを大臣にはしっかり受け止めていただきたい、そのことを一点伺います。

 それともう一つ、時間がないのでまとめますが、資料の方で、利用者の二割負担拡大というのが出ております。これもとんでもない話で、昨年、七十五歳の後期高齢者医療で、所得上位三〇%に患者の二割負担にしました。でも、介護というのは全然また違いますから。これについても、私たち、医療の方でも反対をいたしましたが、介護に二割負担を拡大すれば、当然、支出が重い、サービスの利用を控えるというふうになります。これも調査の結果でも出ております。介護負担の利用料が高いから私はやめましたという方が三五%。これを見ても、こうしたことは絶対にすべきではないと思います。

 対象拡大についての大臣の御意見、二点まとめて伺います。

武見国務大臣 まず最初の御質問、要介護一、二の者への生活援助サービス等に関する給付の在り方について、昨今の介護保険部会において御議論をいただいております。その結果、次の次の介護保険事業計画期間である二〇二七年度、第十期計画期間の開始までの間に検討を行い、結論を出すことが適当と取りまとめられたところでありまして、引き続き今後の検討課題ということになっております。

 一方で、高齢者が元気なうちから地域社会とつながり、そのつながりの下で活動したり、切れ目なく支援が受けられるようにする観点から、住民の主体的な活動や多様な主体の参入を促進することも、他方、大変大事なことだと思っております。

 したがって、医療、介護の専門職が関わり合いながら、高齢者が適切に活動や支援を選択できるよう、介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討を本年四月から開始をしているところであります。

 引き続き、高齢者が必要な支援を選択できるような丁寧な検討を進めてまいりたいと思います。

 次の御質問でありますが、高齢化と人口減少という大きな社会の変化を迎えている中で、介護保険制度が全ての世代にとって安心なものとなるよう、サービスの質を確保しつつ、制度の持続可能性を維持することは極めて重要な課題です。

 こうした観点から、介護保険における利用者負担の在り方については、社会保障審議会介護保険部会において昨年秋から丁寧に議論を重ねてまいりました。これまでも、介護保険部会において、生活への影響を踏まえて慎重に検討すべき、負担能力のある方には適切な負担を求めることも重要などといった様々な御意見は頂戴をしてきております。

 引き続き、利用者が必要なサービスを受けられるよう、様々な御意見をしっかりと聞きながら、丁寧にこの検討を進めていきたいと考えております。

早稲田委員 時間がないのであれしますが、両方とも検討課題ということですが、こういうことをやると、本当に質も下がるし、そしてそれによって経済損失も逆に増えます。是非、大臣には、そうした安易な社会保障カットということにならないようにしっかりとやっていただくことを要望いたします。

 以上です。ありがとうございました。

田畑委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 立憲民主党の小川淳也です。

 大臣始め三役の皆様、御就任おめでとうございます。

 特に大臣、これは前置きで申し上げなきゃいけないんですが、御記憶いただいているとこの間おっしゃって、ありがたいと思いました。もう何年も前に英国出張を共にさせていただき、それなりに大臣のお人柄と見識に触れ、一定の敬意と親しみを感じております。それはちょっと率直に申し上げた上で、ただ、職責ですから、厳しくお尋ねすべきところはお尋ねさせていただきます。

 それで、本題に参る前に、これは通告外です、通告外ですが、ちょっとどうしても大臣の感触をお聞きしたいので、今朝の報道でお聞きします。御存じなければそれで結構です。

 遺族年金で、夫を亡くした妻は受け取れるが、妻を亡くした夫は受け取れない、あるいは制約がある、これは今後見直していく必要があると思います。今朝の報道ですから大変恐縮なんですが、ちょっと大臣の今の時点での感触、もしいただけるようでしたらいただきたいと思います。

武見国務大臣 大変申し訳ございません。朝からずっと答弁の準備をしておりまして、そのニュースについては接することができなかったので、今の時点ではお答えができません。

小川委員 それで結構です。

 それからもう一つ。今、介護職員の処遇改善についていろいろ議論になりました。それで、月額六千円、まあ明言は避けられましたが、改善されるという方向感として受け止めています。ただ、これが妥当だと発言することは、私は不適切だと。それは、六万円も七万円も全産業平均と差がある状況ですから、六千円の改善で妥当だと表現することは、私は不適切だと、かなり早い段階での大臣の御発言でしたが、そう受け止めていました。

 それで、お聞きしたいのは、今、ちょっと世間で、世の中で話題になっていますが、閣僚給与の引上げについて。国民全体の雇用動向、賃金動向に責任を持っておられる大臣のお立場で、閣僚の給与引上げについては大臣はどう考えておられるのか、これも率直なところをお聞かせいただきたいと思います。

武見国務大臣 これは所轄の内閣府の中でお決めになっているところだと思いますけれども、そこの方針に基づいて内閣で確定した方針に私は従いたいと思います。

小川委員 そうおっしゃらざるを得ないんでしょうが。例えば、今年、人事院勧告がどうなっているか、大臣、御存じですか。大体一%の待遇改善なんですね。その多くは、若い職員、号給の低い職員、処遇の十分でない職員に割り当てられ、幹部職員はさほどでもないんです。というようなことも踏まえて、国民感情に寄り添った対応が内閣として私は求められると思います。意見として申し上げておきたいと思います。

 政策の論議に入る前に、どうしても大臣との関係性でくぐり抜けなきゃしようがありませんので、二、三お聞きします。

 まず、今、解散命令請求それから財産の保全で再び話題になっていますが、統一教会との関係。

 大臣は、報道のアンケートに、一切関係ありませんとお答えになられているようです。一部有識者の分析なり調査によれば、一九年の参議院選挙の際に集会に教団幹部と目される方々の出席があったという一部有識者の分析なり調査もあるようですが、その点に対する大臣御自身の自覚なり認識について、ちょっと改めて御答弁いただきたいと思います。

武見国務大臣 まず、私自身は、当該団体とは一切関係を持ったことがございません。

 ただ、実際に、こうした参議院選挙のときに、御指摘のときは、たしか練馬で党支部などが開催をしてくれた支援集会であったかと思いますけれども、実際に候補者として行っただけでございますので、そこに一体どういう方がいらしたかというのはとても私、確認できませんので、その点について、関係があったというのをそういう観点で言われても、私としては確認のしようがないというのが現実でございます。

小川委員 ただいまの御認識については、率直に受け止めたいと思います。

 それから、巨額のタクシー代についても話題になっているようです、大臣。これはちょっと今日は聞きません。

 それから、医師会の巨額献金。

 これは既に話題になりました。大臣は、支援団体の支援状況いかんにかかわらず、国民一人一人の立場に立って、医療行政含めて厚生労働行政に当たるという決意のほどをお述べになっていますから、それはそうでなければ困るわけですし、大臣の個人的な心情において、私はそこは、お人柄に少々触れさせていただいたことも踏まえて申し上げますが、そこにうそはない、そう受け止めているんです。ただし、その大臣の御発言に構造的説得力がないんですね。

 直近三年分の政治資金が割と話題になって報道になったりしています。全体で、党支部と、これは資金管理団体でしょうか、後援会、三億六千万円。そして、明示的に確認できるものだけで、東京都医師政治連盟、日本医師連盟、国民医療を考える会、札幌市医師連盟等々、ちょっと数が多過ぎて読み上げませんが、一億三千万円。ざっとです、ざっと、大臣の政治活動は、三分の一、医師会、関連団体の収益によらなければ成立しないということなんですよ。

 二点お尋ねします。

 これは明示的に収支報告で確認できるものだけですから、二十万円を下回るパーティー券の購入や少額の寄附などを含めますと、恐らくこれは氷山のむしろ一角で、多くは、医師会、医師関連団体、医業従事者等によって大臣の活動はほとんど支えられているんではないかと推察をいたしますが、その点に関する大臣の受け止めをお聞きしておきます。

武見国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、こうした保健、医療、福祉の仕事を長年にわたって続けていく過程で、私の考え方に非常に共鳴をして支持してくださる方々が、このような形で、支持団体として、こうした政治資金の協力あるいはパーティー券の購入といったことをしてくだすっていたことは事実であって、おおよそ、こうした医療関係団体からの収入の割合は、全体の約四割程度というふうに確認をさせていただいております。

 しかし、いずれも、これらについては、政治資金規正法に基づいて政治資金収支報告書に記載するなど、法に沿って適切に対応をしてきておりまして、その透明性は常に明確にさせていただいております。

 その上で、あくまでも、私の政策、それから私の政治姿勢、これに共鳴をして支援してくだすっているのであって、それは、私がそういった方々の特定の利害を代弁する、そういう関係であるとは私は全く思っておりません。

 したがって、私は、厚生労働大臣として、まさに国民の生命そして健康と生活を生涯を通じて守るという基本的立場に立って、私の職務を遂行したいと考えております。

小川委員 そうしますと、全体の三割が、外形上確認できるものでは医師会並びにその関連団体に依拠し、外形上確認できないものまで合わせると四割が、大臣の政治活動はそれらの関係団体によって支えられていると理解しました。それにかかわらず、大臣は、公平公正に医療行政を進めていくと再三おっしゃっており、そこにうそはないだろうと受け止めてはいるわけです。しかし、そこに構造的な説得力を感じるには、ちょっと、四割そこから支えられているということ自体、非常に大きな矛盾だということは重ねて指摘せざるを得ません。

 もう一点、これに関してお聞きしたいのは、これは普遍的なことなんですが、医者の収入は九割方税金と保険料なんですね。

 これは大臣もよく御存じだと思いますが、補助金を受給した企業あるいは公共事業を受託した企業は、その見返りに当たることを疑われないためにも政治献金をしてはならないことになっています。

 これは、大臣に限らずみんなで考えなきゃいけない課題ですから、あえて提起するんですが、医師の収入の九割は税金と保険料で成り立っているということを前提に、大臣の三億円余りの政治活動費のうち実に四割、二億円近いお金はその税金と保険料が還流する形で支えられているということに対する政治的、倫理的課題、あるいは責任、これについても一言言及していただきたいんです。

武見国務大臣 確かに、医療関係者の収入の多くは、そうした公定価格に基づく我が国の医療保険制度あるいは介護保険制度等を通じて得た、そうした収入になっているということは、確かにそのとおりだろうと思います。

 しかし、その結果として得た個人の収入というものをどのように使うかというのは、それは、それぞれ国民一人一人の考え方に基づいてでき得る限り自由にその個々人が使えるというのは、私は当然のことだと思います。それは政治活動も含みます。

 したがって、それらの政治的な自由というものの観点から、このような医療従事者の方々お一人お一人が個人の所得として得たものの中からこういった政治活動に支援をしてくださるというのは、政治的自由に基づく行為として私は理解をしております。

小川委員 それは一理ある美しい建前なんですね。個人のポケットマネーは個人のポケットマネーですから。そして、それが医療法人とかになってくると若干議論が出る。そして、まさに、大臣の政治活動を支えているのはほとんどが医療団体関連の政治連盟ですから。そこは自由意思なんでしょう、最後は。しかし、一定の、そうした業界挙げての様々な組織力に関連したネットワークがベースになっている。ですから、今の美しい建前を受け止めつつですが、なかなかそれできれいに済まない、済ませられるほどに事は単純ではない。そのことは改めて一緒に考えていただきたいと思います。

 それで、今回、診療報酬そして介護報酬そして障害福祉関連、いわゆるトリプル改定の年と言われています。極めて、そういう意味でも大臣の責任は重いわけですが、私はかねてから、特に医療分野がそうだと思っていたんですが、介護や障害福祉も含めて非常に大きな矛盾だと感じていることを再三この場でも述べていますので、大臣の御就任を機に、改めて指摘なり主張させてください。

 今申し上げたように、国民医療費、例えば四十四兆円、そのうち約四十兆は税金と保険料によって賄われています。九割公費によって賄われているのが医療です。介護も恐らくそれに等しい。障害福祉関連もそうです。しかし、問題は提供体制。その莫大な公費を財源として提供される医療、介護、福祉事業の多くが、大半が民間事業によって、市場原理に基づいて提供されているということなんです。

 それによって何が起きるか。例えば、医師は勤務地を自由に選べますから、開業も自由ですから、過疎や離島に住んでいる人もみんな税金と保険料を払っています、しかし、医師が来ない、医者がいない。片やには、過剰に収益を上げ得る病院もあり得る、介護事業所もあり得る。しかし、片やには、経営が立ち行かない、あるいは医師すら不存在、お医者さんにかかれないという方々もいらっしゃる。これは、大臣、最も根本的な問題なんですよ。

 医療、介護、福祉は九割方税金と保険料によって賄われているにもかかわらず、提供体制が市場原理に委ねられ、結果として、大きなゆがみ、端的に言えば、もうかるところに資源が集中し、もうからないところから資源が撤退するという本来あってはならないことが起きている。この構造矛盾を、大臣、責任者として取り組んでいただく必要があると思いますが、いかがですか。

武見国務大臣 御指摘のとおり、我が国は公定価格の仕組みに基づいてサービスの価格は決められていて、それを実行するのは公的な医療機関だけではなくて、民間の医療機関あるいは民間の介護施設もその重要なサービスの提供を担っておられます。

 しかし、市場のメカニズムと単純に言い切るほど自由に全て完全に自らの意思でできるわけではなくて、医療行為一つ取ってみても、療養担当規則といったものがあって、そうした医療行為に関わる規制というものがしっかりと守られてこそ、それぞれの医療機関というものが役割を果たすことができるという仕組みになっています。

 こういう中で、診療報酬や介護報酬等の改定に当たっては、医療経済実態調査、さらには介護の実態調査等の調査を実施をいたしまして、医療機関等の損益の状況や職種別の給与の状況等をまさに把握しているところです。累次の報酬改定においては、その調査結果や社会情勢などを踏まえながら、中医協などで議論を行っております。

 令和六年度の同時改定におきましては、こうした調査や取組の結果を踏まえつつ、物価高騰や賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、それから、患者、利用者負担、保険料負担への影響を踏まえ、患者、利用者が必要なサービスを受けられるよう、こうした様々な角度から検討を進めるという考え方でおります。

小川委員 教科書を読んでいただいたように受け止めていますが、偏在があるのは事実でしょう。片やに過剰な収益があり、片やに医療過疎が発生し、偏在が拡大していることは事実でしょう。

 薬価も議論になりましたね。私もこの間ちょっといろいろ考えたんですが、結局、薬価も公定価格がある、にもかかわらず実勢取引市場価格は別途ある、市場価格に引っ張られる形で薬価改定が行われ、切下げが進められる、そうすると採算が合わなくなり、撤退する会社も現れる。現在の医薬品不足は、もちろん、一部製薬メーカーの不正が原因となっていますから、それは言語道断ですが。

 今、午前中、先立つ質疑で伊佐議員の質疑を聞いていて、なるほどと思いました。つまり、もうかるから作るでは済まないのが医薬品だし、もうからないから作らないでも済まないのが医薬品。となれば、需給を公的に見通し、場合によっては調整し、コントロールすることまで視野に入れないと。

 ですから、構造的に同じなんですよ、問題は。財源は九割方公費でありながら、提供体制が市場原理に委ねられている、そこから根本的な構造矛盾。

 ですから、これは当局が、まあコロナのときもそうでしたよね。多くの民間クリニックは、なかなか受診対応してもらえなかった、踏み切れなかった。これも、基本的に自由な診療、公費。応招義務があるにせよ、様々な理屈がつくわけですから。公的なコントロールをしかねたのがこの日本の医療行政でした。医薬品についても同じことが起きている。

 ということは、これは、九割方税金と保険料によって賄われる公的事業だということを正面から認め、そして、医師の配置、医薬品の製造、そしてもちろん受診単価、保険料率、あらゆることに公的な統制を強めることを堂々と言わなきゃいけない。医療とは公的なものだ、介護とは公的なものだ、障害者福祉とは公的なものだということを、提供体制の面においても担保しなきゃいけない。この超高齢化時代、医療市場がこれからもっと大きくなりますから、なればなるほど市場に任せていい部分はそう大きくないということに堂々と踏み込むことが求められていると私は感じています。

 そこで、最後のお尋ねです。

 六年に一度のトリプル改定ですが、ここにも私は矛盾が集約されていると思うんですが、病院、介護事業所、そして障害福祉の現場、個別に見ると、先般も報道になっていましたが、障害者向けのグループホームで障害者から食材費を過大徴収していたということが明るみに出たり、それから、私、地元高松ですが、居宅型施設で、経営者の側からすれば職員が足りないという名目の下、障害を負った子供さんを預けている親御さんの立場からすれば経営者とのトラブルが元で、それは人間社会ですからいろいろあるでしょう、いろいろあるでしょうが、結果として、居宅サービスによらなければ生活と生命を維持できないような子供たちが施設から追い出されるということにもつながっている。ですから、公費で賄われているサービスが市場原理で提供されることによる矛盾は、こういうミクロの視点、個別の事案においても極めて大きな問題を生ぜしめている。

 もう一回マクロに戻りますが、トリプル改定に当たって、せめてですよ、せめて、医療法人総体としての売上げ。そして、今、職員待遇は、経営陣の待遇が伸び、雇用者の待遇が頭打ち、抑えられる、したがって格差が開く、労働者が定着しない。それは介護従事者に限らずです。という大きな傾向にありますから、せめて、九割が公費による収入である以上、特に経営層の報酬については厳しく監視をし、把握をしている。そして、結果として、長年、各医療法人や社会福祉法人で経営が積み重ねられた結果としてどのぐらいの内部留保をため込んでいるのか、少なくとも当局として把握をしている。

 三つ申し上げました。売上げがどうなのか、経営層の報酬がどうなのか、そして法人にため込まれた内部留保がどうなのか、この三つを確認せずして報酬改定の作業に進むことは、私は責任ある当局の対応として不十分であるという前提に立ちますが、まず、把握しているのかどうか、その点、御答弁ください。

武見国務大臣 委員御存じのとおり、診療報酬改定の前には必ず医療経済実態調査というのが行われていて、今回についてはトリプル改定でありますから、介護に関わる実態調査も全て一緒に行われております。その中で、医療機関あるいは介護組織の損益の状況であるとか、職種別の給与の状況などについては把握をしております。

 累次の報酬改定におきましては、この調査結果や社会情勢、社会情勢というのは、まさに他の産業の賃上げがどんどん進んでいく中でこの分野が取り残されないようにするということが一つの社会情勢の見方になるかと思いますけれども、こうしたことを踏まえながら、中医協の中でそれらを適切に議論をしていただくということを踏まえて最終的な決断が下されるという御理解をいただきたい。

小川委員 もう一回答弁してください。

 医療、介護、福祉で売上げと経営層の報酬水準と法人がため込んだ内部留保、把握しているんですか、していないんですか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 まず、医療について御説明させていただきますと、医療経営実態調査におきましては、病院長などの管理者の給与、それから個々の職種別の給与は把握しております。また、売上げも把握しております。また、各施設ごとの損益につきましても把握してございます。

小川委員 もう一回聞きます。

 内部留保を把握しているんですか。介護事業所についてはどうですか。福祉事業所はどうですか。

伊原政府参考人 利益剰余金というか、その金額、利益剰余金についてはきちっと把握してございます。

小川委員 それは、介護事業所も福祉事業所も。ちゃんと正確に答えてください。

間政府参考人 お答えいたします。

 介護事業所につきましても、介護の経営実態調査の中で、各事業所サービスごとの収益、それから処遇の関係につきましては、処遇改善加算というような形でもって介護職員に対してかさ上げ補助をしているわけですけれども、そういったものの状況については別途把握をしているところでございますし、その収益の、どれぐらいが利益率があるのかということについても把握しているところでございます。

小川委員 大臣、お聞きのとおり、レクがあったと思いますが、答えないでしょう。つまり知らないんですよ、分からない。

 その年の収支は確認している。それから経営層の報酬水準も知っているところもある、病院とかね。しかし、障害福祉とかも含めて、ここは内部留保も大事なんですよ。つまり、長年の収支差が積み重なった結果として法人にどのぐらい資産がたまっているのかということも極めて大事なんですよね。これを把握した上で報酬改定するのが。これからもっと大きくなりますから、介護市場も医療市場も。どうやって必要なところに届け、過剰なところは合理化を進めるか、極めて大きな課題なんですよ。九割、保険料と税金に依存したまま提供体制を市場原理に委ね続けるというのは間違っている。

 こういう大きな改革に乗り出すには、もう一回最初に戻りますが、大臣。担当の大臣の政治活動の四割がその関係団体の資金によって成り立っている、成立している。これは最終的に私は岸田さんの人事権の問題だと思いますが、これは不適切だ。公的に改革に乗り出す、そのために李下に冠を正さずという姿勢を改めて求め、ここからよく拝見していますから、大臣の医療を始めとした厚生労働行政。御期待を申し上げ、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田畑委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 今日は所信質疑ということですので、全て答弁は大臣にお願いしたいと思います。武見大臣、よろしくお願い申し上げます。

 さて、先ほど来、大臣の政治資金の問題が、ずっと質問が続いているわけですけれども、重複を避けて私でもちょっと確認をしたいんですが、この問題は、予算委員会でも我が党の後藤委員から大臣に対して、就任直後に行われたパーティーについて返金しないのかということで、これは就任前から予定されていたので返金はしないという御答弁だったんですけれども、先ほどの小川委員の質問の最後にも、李下に冠を正さずという言葉がありました。

 私も、大臣が、私は医療関係団体の代表者ではないというふうにおっしゃっていることは立派なことだと思いますけれども、残念ながらそういうふうに見られてしまうような部分も、先ほど全政治資金の四割という話がありましたけれども、あると思うんですね。

 そこで、せっかくですから、大臣、在任期間中はこういう関係団体からのこうした政治資金、パーティー券の購入や献金というのは自粛する、こういうおつもりはありませんか。ここを確認させてください。

武見国務大臣 何度も申し上げていると思いますけれども、私の長い国会議員としての政治活動を通じて、私の政策、そしてまた私の政治姿勢というものに共鳴をしてくださっている方々がそうした医療提供体制の中にたくさんいらして、そういった方々が私をそうした政治資金の面でもサポートしてくださっているというふうに理解をしています。

 それは、あくまでも、そうした方々の個々人の政治的な自由に基づく行為として私は受け止めるとともに、そうした医療の提供者の皆様方の意見というのは、実は現場の意見の重要な要素であることは間違いありませんので、そういった方々とのしっかりとした連携というのは、やはり我が国でしっかりとユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、すなわち、国民一人一人が全て、予防を含む、そして負担可能なコストでそうした適切な医療を受けることができるという、このユニバーサル・ヘルス・カバレッジの定義にまさに基づいて私はそうした政治活動をやってきておりまして、その考え方の中でこうした御支援を頂戴していることについては、私の基本的な考え方というものについては変わりがございません。

大西(健)委員 そういう方々と連携をしたり、そういう現場のお声を厚生労働行政に生かされることは私は何の問題もないと思うんですけれども、逆に、武見大臣は厚生行政に卓越した識見を持たれているだけに、こういう政治とお金の関係で色眼鏡で見られるのは、御自身としてもじくじたる思いがあると思うんです。だから、在任期間中は自粛をされるというのは、私は一つの在り方ではないかなというふうに思います。

 もう一つ、先ほど、ちゃんと手続して透明性を確保しているんだという話がありましたけれども、先日、上脇神戸学院大学教授らが、大臣の政治管理団体、敬人会が行った、一千万円以上の収入がある政治資金パーティーを四回開催しているけれども、これを報告書に不記載しているということで、政治資金規正法違反で東京地検に刑事告発しました。

 大臣、これはどう受け止められていますか。

武見国務大臣 どこか週刊誌でそういう報道があったというふうに聞いておりますけれども、私は、その報道でしか承知しておりません、この刑事告発については。したがいまして、何とも今申し上げる立場にはないということは御理解ください。

大西(健)委員 まさに透明性に関して、実際に東京地検に刑事告発が行われているわけですから、やはり、そこについても更なる私は丁寧な説明が必要じゃないかなと思います。

 先ほど言ったように、私は、大臣の厚生行政に関する識見については大変尊敬をしております。特に、とりわけグローバルヘルスの分野では、国際的にも一目置かれる存在だというふうに伺っております。

 そこで、改めてお聞きしたいんですが、三月にWHOが西太平洋事務局長の葛西氏を解任しました。このポストというのは、かつてはコロナ分科会の尾身会長が就かれていたポストで、そのときには、尾身会長はこのポストからWHOの事務局長選挙にも出馬をしたということであります。葛西氏も将来の事務局長候補にもなり得る人材ではないかと言われていたので、これは我が国にとっても大変残念な、大きな痛手ではないかというふうに私は思います。

 武見大臣は、歴代厚生労働大臣らとともに、テドロス事務局長宛てに葛西氏の更迭の撤回を求める嘆願書というのを提出をされました。また、抗議のために、WHOのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ親善大使、この職を辞されたということも聞きました。

 改めて、葛西氏の解任に関する大臣の受け止めと、世界第三位の国連分担金を拠出している我が国として、WHOの主要なポストをしっかり取っていくという戦略について、大臣のお考えをお聞かせください。

武見国務大臣 まず第一に、やはりWHOに限らずに、国連で仕事をしている邦人職員の立場というのは、意外と実はしっかりと守られていないというのが実情です。したがいまして、私は、やはり我が国として、国連において、特に主要な幹部として仕事をされているような邦人の方々に対しては、我が国の立場からもしっかりと支援をすることは極めて必要な課題だというふうに考えております。

    〔委員長退席、大岡委員長代理着席〕

 そうした中で、WHOのWPROの葛西事務局長が残念ながら解任をされました。

 葛西氏自身は、御存じのように、WPROにおいて、事務局長としてコロナの中で最も卓越した指導力を発揮しておりまして、WPROの地域というのは、コロナの重症者や死亡者数が他の地域と比較して極端に少なくて済んだ。それは、事前に葛西氏がそれぞれのメンバー国に対して、かつてのSARSやMERSなどの経験を踏まえて、かなり詳細にこうした感染症対策についてのガイドラインを示して、そして、それぞれのメンバー国に対して協力要請ができる体制を整えていたからゆえに、こうした結果が生まれたと私は考えています。

 そうした役割を果たされたにもかかわらず、パワーハラスメントであるとか、あるいは我が国に対して不正に情報を流したとか、あるいは人種差別発言をしたとか様々な課題を突きつけられて、そして実際には解任に持ち込まれてしまいました。

 私はその経緯を見て、WHOが、ノートレランスということで、こうしたパワーハラスメント等については極めて厳しく対応するという考え方については全く同意見なんです。しかし、こうした国連の幹部職員、特に、選挙で選ばれた、こうした幹部職員については、やはりしっかりとしたエビデンスに基づいて公正に調査をして、それによって結論を得る、その結論を得るときには、メンバー国と事前に十分に打合せをしながら、こうした結論を導くということが適切であろうと考えていました。

 しかし、残念ながら、そうしたしっかりとしたエビデンスは事前に公表されず、実際に、適正な、公平なる、そうした調査活動が行われているとは私にはとても思えなかったので、こうした日本人の職員というものを守るという強い意思を示すためにも、私は、WHOのUHC親善大使というのを任期半ばであえて辞任をいたしました。

    〔大岡委員長代理退席、委員長着席〕

大西(健)委員 大臣、詳しい分野だからどうしても答弁が長くなると思うんですけれども、簡潔にお願いしたいと思うんですが。

 一つ、今、大臣、国際機関で働いている日本人職員は守られていないとおっしゃいましたけれども、その部分でいうと、今回、外務省の動きがちょっと遅過ぎたんじゃないかみたいな話もありますが、その辺、もし何か所感があれば併せて伺いたいのと、それから、先ほど私、一般的に、国連のような国際機関で働く日本人職員を増やしていかなきゃいけないと思うんですが、例えば、テドロスさんはエチオピアの保健大臣とか外務大臣をしていた人ですよね。例えば、武見大臣が政治家を引退した後にWHOの事務局長になるとか、日本も、政治家だった人がこういう国際機関のトップみたいなところに人材を出していくみたいなことについて、大臣、どう思われますか。

武見国務大臣 私は、十歳年が若ければ、先生の御指摘のとおり、こうした国際機関の責任者としての仕事を是非やりたいと思っていました。したがって、これから、若い多くの政治家の皆様方に、まず、幾らAIで翻訳が楽になったとはいえ、やはり一定の語学力は確保しながら、こうした専門領域の知識を政治家として高めて、そして、こういった国際職員において、大臣であるとか、あるいは政務官やその他、そういった経歴をきちんとつくった上で、こうした国連職員の幹部に公募をし、あるいは選挙に打って出て、その役割を果たすように是非政策的に積極的に仕向けていただきたいというふうに思っております。ある意味で、私はその一つのかぶら矢をやっているんだろうというふうに思います。

 しかし、これは与野党を問わず、こうした見識を持った政治家の皆さん方は、中堅、若手にもたくさんいらっしゃいます。したがって、こういった方々にそうした機会をつくるということを政策的にも是非進めていきたいと思います。

大西(健)委員 さすがに見識のある御答弁をいただいて、ありがとうございます。

 それでは、次の話題に移っていきたいんですけれども、これも先ほど少し伊佐委員からあったレカネマブの話なんですけれども、今朝のニュースでも、国内販売が年内に行われるんじゃないかという見通しが立ったというニュースが出ていました。

 エーザイと米バイオジェンの共同開発、レカネマブの開発成功、薬事承認は、これは歴史的快挙であって、岸田総理も、画期的な新薬であり、認知症の治療は新たな時代を迎えたと考えていると称賛をされています。

 レカネマブの開発成功、それ自体の科学的業績というのは私も認めるところであります。ただし、このレカネマブについては、効果が限定的であるのに価格が高額であるということが、そういう問題が指摘をされています。

 例えばですけれども、ハーバード大学医学部のジェリー・エイボン教授は、その効果について、おばあちゃんの忘れ物が少し減るだけですと評しています。また、脳浮腫や脳出血の副作用、これも先ほど話がありましたけれども、指摘をされています。

 先ほどもあったように、米国では一年間で二万六千五百ドル、日本円で約四百万円と言われていますけれども、この効果と、そして額が高額になる、このことについて、今後、保険収載されるのか、されないのかというのもありますが、保険財政に与える影響等も含めて、効果が限定的であるけれども額が高い、このことについて、大臣、どのようにお考えですか。

武見国務大臣 このレカネマブは、従来のこうした認知症に関わる薬と根本的に異なるのは、やはりその原因の一つと見込まれていたベータアミロイドを確実に減少させることに成功している点で、これは画期的であります。

 その上で、実際にこの薬を効果的に使うということになりますと、これはやはり軽度の方が対象になるということになりますから、したがって、軽度の方に関わる診断をしっかりとして、そして、その診断技術をきちんと踏まえた上でこうした処方が行われるという仕組みを、我が国の中できちんとした科学的根拠に基づいて制定していくということが今まさに行われているところでございます。

 そして、一般論としては、新薬の評価に関しては、薬価収載時に革新的な新薬の画期性や有効性等を適切に評価するとともに、薬価収載後の価格調整ルールとして、既存治療と比較して費用、効果がどれだけ増加するかを分析をし、その結果に基づき価格を調整する費用対効果評価や、当初の予想を超えて市場規模が拡大した場合に薬価を改定する市場拡大再算定といった仕組みを設けているところでございます。

 その上で、このレカネマブについては、現在、高額医薬品と見込まれるものでございますので、通常の薬価算定の手続に先立ちまして、中医協において、薬価算定方法や収載後の価格調整等に関する議論を今現在も行っております。

 引き続き、本剤に関しては、イノベーションの評価や医療保険財政に与える影響などを踏まえて、適切に対応していきたいと思います。

大西(健)委員 ちょっと時間がないので次に行きたいんですが、運輸大手の企業がメール便と薄型荷物の業務を日本郵政に委託することを決めて、配達員との業務委託契約を一斉に打ち切ろうとしているということが物議を醸しています。

 この企業が業務委託している個人事業主は全国で三万人に上るというふうに言われています。仕事を失う配達員らは業務委託の継続などを求めて団体交渉を申し入れましたけれども、会社側は、事実上の労働者という実態はないとして団体交渉を拒否しています。

 これに対して、先月三十一日ですけれども、メイトを支援する組合が東京労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てました。参考までに、記事を配付をさせていただいています。

 厚労省は、組合法上の労働者性の判断基準として、例えば契約が画一的に結ばれていることを挙げています。この企業では、二十年前から、名前だけ書けば済む定型のフォーマットの契約書が使われているそうです。また、最高裁はユニホームの着用義務には労働者性があるとしていますけれども、この企業では契約書でユニホームの着用義務を規定しています。さらに、配達員はメイトと呼ばれていて、メイトは会社からGPS機能つきの携帯端末を貸与されて、配達のルートを管理されている。そして、配達業務の内容であったりとか一冊の配達業務単価、これは一般の配達員と全く同じであるということがこの会社のホームページにも書かれています。

 まず、厚労大臣にお聞きしたいのは、この三万人の配達員が一斉解雇されようとしているということを御存じかどうか。それからもう一つは、これは一般論として答えていただければいいんですが、ユニホームを着用して、GPSつき端末で運行の管理を受けて、一般の配達員と同じ業務を同じ単価で行っている、こういう業務委託契約の個人事業主というのは、労働者性が認められるというふうに思われますでしょうか、いかがでしょうか。

武見国務大臣 委員御指摘のとおり、ちょっと個別案件にそのまま触れるわけにはいきませんが、一般論として、労働基準法の労働者に該当するかどうかは、事業に使用される者であるか否か、それからその対償として賃金が支払われるか否かについて、労働基準監督署において実態を勘案して総合的に判断するとしておりますけれども、特にその中で、事業者と個人事業者との間の関係というのが、使用従属関係があるかどうかというのが極めて重要であります。この点については、まさに労働基準監督署がその実態を調査して判断することになります。

 また、労働組合法上の労働者に該当するかどうかは、契約内容の決定方法や報酬の性質等について、労働委員会や裁判所において実態を勘案し総合的に判断しているところでございまして、いずれにしても、個々の働く方それぞれの異なる状況に応じて判断する必要があります。

 一概にお答えすることは難しいんですけれども、労働基準監督署や労働委員会等において個別にこうした基準に基づいて判断をされることが、こうした個人事業主の立場というものをしっかりと守っていくということになるだろうと思います。

大西(健)委員 個別の問題には答えていただけないので、こういう聞き方をせざるを得ないんですけれども、三万人の解雇ということになると、大変な社会への影響もあると思います。そしてまた、雇用類似の働き方が増えていく中で、働く人をどう守っていくかということが問題になっている中で、これは見過ごせない事案じゃないかなと思うんです。また、この配達業務というのは、実は障害者の仕事にもなってきたということにも注意を払う必要があると思います。

 お手元に、四月に成立したフリーランス新法の衆議院内閣委員会の附帯決議をお配りしていますけれども、例えばこの中には、十二というので、長期に継続的に契約している場合の契約の保護として、中途解除時の事前予告の在り方について検討すること、こういうことが書かれています。また、十五ですけれども、偽装フリーランスや準従属労働者の保護については、労働基準監督署等が積極的に聴取し確認することとされています。

 今、大臣の答弁でも、労働基準監督署が判断するんだという話がありましたけれども、この附帯決議にあるように、政府として、積極的に関係者に聴取して、これが実態がどうなのかということをちゃんと確認するつもりがあるのか、また、このままもし大量の配達員が仕事を失う事態になった場合には、仕事を失った人への相談あるいは再就職の支援、こういったことを検討すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 一般論として聞いていただきたいと思いますが、労働基準監督署においては、各種情報から、契約上は業務委託であるが、実態としては労働契約であることが疑われる事業場に対して聴取等を行っております。

 労働者の大量整理解雇事案等に対して都道府県労働局が事業主に啓発指導を行う際に、仕事の依頼等に対する諾否の自由があるかなどを総合的に勘案して、使用従属関係が認められるかを個別具体的に判断した上で、契約上は業務委託であるが、実態としては労働契約であると認められる事案を把握した場合には、労働関係法令の適用があるとの説明を行うなど、必要な働きかけを行っております。

 あわせて、労働関係法令上の労働者に該当するかといった疑義については、全国の労働局等に設置している総合労働相談コーナーで相談に応じるとともに、労働契約や業務委託契約が解除された方のうち、労働者としての就職を希望する方に対しては、ハローワークを通じてその就職の支援を行っているところであります。

 事案に応じて、それぞれ適切に対応をしていきたいと思います。

大西(健)委員 ハローワークが一般的にやるのは、それはハローワークの本務ですから当たり前なんですけれども、しっかりちょっとこの案件、注意深く見守っていただきたいと思います。

 時間がないのでちょっとまとめて聞きますけれども、一型糖尿病、これは、血糖管理をちゃんと行えば普通の日常生活が行えるために、患者さんの中にはアスリートとして活躍しているような人もいます。一方で、一生涯にわたり常時かつ長期的な療養を患者自身に強いるため、患者負担が重くなるという特徴があります。

 最近では、インスリンポンプ等の血糖管理デバイスの進化が目覚ましくて、目立たないだけでなく、きめ細やかな血糖コントロールができるようになっています。また、ログが取れるので、例えばオンライン診療とも親和性が高くて、診療の地域格差の解消にもつながります。

 しかし、日本では、先進国に比べて、こうした先進的なデバイスの普及率が低くなっています。その理由の一つとして、薬機法上の規制によって患者への情報提供が制限されていることや、メーカーが患者に直接説明ができないことがあるとの指摘があります。

 せっかくよい治療方法があっても、患者がそれを選択できないというのは私は不幸だと思うので、この点、メーカーが間に入って情報提供や説明ができるようにしていただきたい、これが一つ。

 それから二つ目は、やはり費用負担なんですね。特に一型糖尿病は、いわゆる小児慢性特定疾患なんですけれども、二十歳以上は医療費の自己負担が一気に増加する。これまでも指定難病への認定というのが求められてきたんですけれども、これまで客観的な診断基準がないと言われていました。

 ただ、今年の一月に緩徐進行型の一型糖尿病の診断基準が改正されて、インスリンが不足する場合の分別が可能になって、推定患者数も人口の〇・一%に達しないことが明らかになりました。つまり、これまで指定難病の認定のハードルになっていたところが、私はクリアされたと思うんですね。今後の認定に向けた見通し、この二つを大臣からお伺いします。

武見国務大臣 まず、インシュリンのポンプを含む医家向け医療機器等について、使用に際し専門的知識が要求されるために、一般人への広告を認めた場合に、その不適正な使用とそれによる危害の発生のおそれがあるというのがまず一つの考え方としてございます。

 委員の御指摘の、善意で全てを解釈できるだけではないんだというのは、残念ながら現実にございます。このために、医薬品医療機器等法の関連通知である医薬品等適正広告基準において必要な規制が設けられ、一般人への広告が原則禁止されているのは、その理由であります。

 一方で、医師らが一般的に機器の普及のための情報発信を行うことや、販売業者が医師から特定の医療機器を使用することを指示された患者に対して当該機器の説明を行うことは広告には該当しませんから、薬事規制においてはこれは禁止されておりません。

 それから、二つ目の御質問の一型糖尿病についてでありますけれども、これは御指摘のとおりでありますが、指定難病については、難病法に基づいて、一、発病の機構が明らかでない、二、治療方法が確立していない、三、長期の療養を必要とする、四、患者数が人口の〇・一%程度に達しない、五、客観的な診断基準が確立しているの全ての要件を満たす疾病に関して、厚生科学審議会の意見を聞いて、厚生労働大臣が指定するということになっております。

 一型糖尿病は、平成三十年度の厚生科学審議会指定難病検討委員会において、客観的な診断基準が確立しているとの要件を満たしていないというふうに判断されております。

 要件を満たしていない疾病については、必要に応じて厚生労働科学研究費等によりその研究を支援しており、新たな知見が得られた段階で関係学会や研究班から再度御提案をいただいて、委員会で御議論をいただくことになります。

大西(健)委員 ちょっと時間がないので、最後の質問をします。

 先ほどもちょっと出た障害者向けのグループホーム運営大手の恵というところが食材費の過大徴収をしていたということで、厚労省は特別監査をやっている。大臣は、会見でも、行政処分の可能性についても触れられています。

 ただ、この会社は、グループホームだけで十二都県に約百二十か所運営しているということで、もし行政処分ということになると、その影響は大きくなると思います。

 一般に、こういう大きな事業者に対して指定取消しなどの厳しい処分を行うと、大量の利用者の受皿を用意しなきゃいけなくなるというので、行政の腰が引けるんじゃないかということを言う人もいます。あるいは、事業者もそれを見透かしている、こういう指摘もあるので、私は、まずこれはしっかりやっていただきたい、その大臣の決意をお聞かせいただきたい。

 それからもう一つは、こういうグループホームを評価する仕組みとして、地方公共団体が設置する協議会等への報告、評価の仕組みというのがあるんですけれども、ただ、例えば、愛知の協議会でも、この事業者については厳しい評価が相次いでいたにもかかわらず、事業者指定の要件さえ満たせていれば、結局は開設できてしまう、歯止めにはならないという意見があります。

 さらに、問題になった会社では、報酬が高いからといって、支援体制が十分に整っていないにもかかわらず重度の人をどんどん受け入れて、トラブルになっていたという話もあります。

 本事案を見ていても、このような性善説に立った今までのやり方ではこういう不正は防止できないんじゃないかと思いますので、大臣、とにかく、大きいところだからといって遠慮せずに、問題があったら厳しくちゃんと処分するのかということと、それから、性善説に立ったこれまでのような評価の仕組みではこういう不正というのは防げないんじゃないか、この二点についてお答えいただきたいと思います。

武見国務大臣 お尋ねの事案については、愛知県からの報告を受けて、本年六月に厚生労働省から当該法人のグループホームが所在する各県などに対しまして、事業所への検査等による事実確認や適切な対応等を依頼するとともに、厚生労働省としても、法人の業務管理体制の整備に係る検査を進めているところです。

 このために、検査の進捗や具体的な対応について申し上げることはまだ現在ではできませんけれども、一般論として申し上げれば、食材料費を過大徴収している場合、グループホームの指定基準違反に加え、障害者虐待防止法の経済的虐待等に該当する可能性があり、行政処分の対象になり得るものと承知しております。

 厚生労働省としては、引き続き、これはやはり自治体との協議の下で、障害者総合支援法に基づき、適切な対応を講じていきたいと思います。

 御指摘の自立支援協議会、これは県と市町村にそれぞれ設けられているものでありますから、そこと更に緊密に連携をしながら、こういった取締りがきちんとできるような体制をやはり国と地方が連携して強化してつくっていく必要性を私は認めております。

 その上で、障害者虐待防止法により、虐待の通報を受けた市町村は、同法に基づく対応をすぐに行うことが求められておりますし、不正に対してはこうした行政の対応が必要でございます。

 厚生労働省としては、引き続き、自治体との連携の下で、障害者総合支援法に基づき、適切な対応を講じてまいりたいと考えております。

 なお、事業運営の透明性の確保が適切なサービス提供に資することから、障害者グループホームの運営に地域の関係者を含む外部の目を定期的に入れる取組を新たに導入することについて検討を始めました。

 グループホームにおける支援の質の確保に向けて、こうしたことも含めて引き続き取り組んでいきたいというふうに思っております。

大西(健)委員 今日は時間が限られていたので十分にできませんでしたけれども、終わります。

 ありがとうございました。

田畑委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健と申します。

 私は地元は鹿児島県でありまして、大臣のルーツもあちらにもあるということをお聞きしておりますけれども、今、全国で現在、国立のハンセン病の療養所、これは十三か所ありますけれども、鹿児島県内に二か所あります。そこの地元の皆さん、長年にわたる国の強制隔離等の差別、偏見に耐えながら、一生懸命、現在もこの療養所を経営して、そこで働く方、入所者のために一生懸命頑張っておられます。

 ところが、鹿児島県の鹿屋市にも星塚敬愛園という療養所がありますけれども、現在、ここの入所者数は六十一名であります。そして、奄美市にある奄美和光園、ここはもう十一名であります。入所者の平均年齢は八十九歳です。ですから、毎年毎年、入所の方もお亡くなりになったり、数が減っております。

 だんだんだんだん施設としての機能も小さくなってきているわけですが、やはり大勢いたときから比べると、入所している方、働いている方も、このまま国としてきちっと、今日までの様々な強制隔離等の施策を経て来ているわけですけれども、本当に自分たちは最後の一人まできちっと政治が、政府が、国が面倒を見てくれるのか、きちんとした暮らしが、最後まで見てくれるのかということの不安が当然あるわけですね。

 まずもって、大臣から、きちっと最後の一人まで施設におられる方の暮らしは守っていく、その施設を守っていくという決意をきちっと確認をしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

武見国務大臣 国立ハンセン病療養所の将来構想や永続化については、各療養所において入所者で構成される自治会や地元の自治体等の関係者が連携をして、職員の雇用なども含む施設の在り方を考えていくことが重要だと考えています。

 その上で、厚生労働省としては、療養所の入所者など当事者団体の代表の方々や弁護団、それから療養所の将来構想、永続化に関する意見交換会を定期的に開催をしています。

 引き続き、職員の雇用なども含む施設の在り方についても、これから丁寧に、こうした関係者と意見を交換をし、その議論を進めていきたいと思っております。

野間委員 今、各療養所の所在地の自治体、それから入所者の自治会や、また職員の皆さんとそういう話合いをしているということは当然承知しているわけですけれども、皆さん非常に不安に思っていることは、確かにそういう協議会を通して、将来こうしよう、ああしようという話はあるんですけれども、国が本当に最後まできちっと責任を持ってやってくれるのか、これは予算のことも含めてそういう姿勢がちょっと見られないんじゃないかと。

 自治体の方に聞いても、国がやってくれるというきちっとした確認が取れないので、自分たちもいろいろな構想はあるけれども、そこまで踏み込んで、国と自治体、施設ときちんと連携してやっていきましょうということを責任を持って言えないというのが今実態なんですね。

 大臣、やはりここは、国としてきちんとやりますよということを言っていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

武見国務大臣 御指摘のハンセン病の療養所に入所している入所者の方については、最後のお一人に至るまで国が責任を持って必ず対応いたします。

野間委員 ありがとうございます。

 ただ、それは入所者の方ですよね。しかし、この施設、長年にわたって様々な歴史が刻まれております。例えば、優生保護法でこういった当時の病にかかった人たちが断種させられたり堕胎をさせられた、そういったものの資料も残っています。また、ここから逃げようとした人の、いわゆる、何というんでしょうかね、拘禁するような、拘置所みたいな、そういった歴史的な様々なものがこの施設には残っています。納骨堂でありますとか火葬場でありますとか、社会交流館、仏教会館、いろいろな歴史的な、過去の経緯が分かるものがここには残されています。こういったものも、入所者の方がもしゼロになったとしても、やはり歴史的な、我々が学ぶ場として残していくべきだというふうに思います。

 ハワイ州にも実際そういう場がモロカイ島というところに、カラウパパ半島という、そこにハンセン病の療養所、一八〇〇年代からあるんですけれども、ここもやはり、入所者がいなくなった後をどうするかということでいろいろな議論がありましたけれども、アメリカ合衆国の内務省の国立公園局とそれからハワイ州の保健局とで、歴史的な国立公園にしようということで、現在そういう運営もなされているところもあります。

 やはり、これは、永続的な、我々の歴史的な一つの保存物としてこういった施設を残していくということも当然やっていくべきだと思いますけれども、大臣の所見をいただきたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、このハンセン病問題、これは対策協議会の中で、副大臣をヘッドに議論を重ねているところでございます。その中で、歴史的建造物の保存、これも重要な、一つ御要望いただいている事項でありまして、これに向けても、検討会を設置をいたしまして、これは保存対象候補となる建物の中で優先順位をつけつつ、議論をさせていただいているところでございます。

 ここの保存に向けて、しっかり努力をしてまいりたいと思っております。

野間委員 努力をして、必ず残すという方向でやっていただきたいと思います。

 大臣から、きちっとやっていくというお話がありましたので、それを信じて、療養者の方も安心をして暮らしていけるということを望みたいと思います。

 では、続きまして、ちょっと年収の壁の問題に移りたいと思います。

 お配りをさせていただいているんですけれども、一つが、NHKが九月の二十六日に、「首都圏ネットワーク」のニュースで、年収の壁ということの特集といいますか、番組をやりました。この中で、もちろん、年収の壁は、配偶者の扶養に入り、パートなどで働く人が、一定の年収額を超えると、扶養を外れて社会保険料の負担が生じ、手取りの収入が減るもので、人手不足の原因ともなるということを指摘して、こういう一人の方の例を出しているんですね。

 山梨県のあるスーパーでパートタイムで働いている女性の方、この人が、年収百六万、月八万八千円ですね、これを超えると社会保険料の負担が多くなって大変だということで、こう言っているんですね。今の時給で社会保険料を引かれてしまうと生活が厳しくなる、年金などで返ってくると言われても、正直どこまでか分からないので、月八万八千円を超えないように、こういうスマホのアプリで、今日はどれだけ時間外、働いて、月八万八千円を超えないようにしようとアプリで管理していると。こういう映像も出て、とにかくこの範囲内に収まるようにということでこういうグラフまで作って、みんなこれを調整して意識している、これ以上働かないようにしているという人が六割ぐらいいる。もし壁がなくなれば、七割、八割ぐらいの人は、手取りが減らないならもっと働きたいと。人手不足の原因になっているというんですが。

 大臣、八万八千円を超えてしまうと本当に駄目なんですかね。負担が増すんでしょうか。教えてください。

武見国務大臣 委員御指摘のとおり、賃金月額が八・八万円以上などの要件を満たす短時間労働者は、健康保険や厚生年金が適用されるというふうになっております。

 この賃金の要件については、雇用契約を結んだ時点における賃金月額が八・八万円以上かどうかによって判断されるわけであります。そのため、その後の残業などにより一時的に賃金が増えても、これは直ちに影響することはございません。

 このいわゆる百六万円の壁に関しては、こうした考え方を正確に分かりやすく説明していくことは極めて重要でありますので、引き続き周知に努めていきたいと思います。

野間委員 そうなんですね。ですから、このテレビも非常に誤解を生むんですよね。八万八千円以上働いて残業代をもらったって別に社会保険に入らなくてもいいということなんですけれども、そういう心理的な壁が皆さん、働く方の中にできてしまって、私も地元の介護施設でパートで働いている方に聞くと、とにかく、年末は、今月はずっと仕事に行けないんだと。いや、大丈夫ですよと言っても、いや、こういうふうに施設から言われているんだという方も多いです。

 ですから、これも是非きちっと周知していただいて、これ以上働くことはできますよということを更に周知していただきたいと思います。

 それともう一つ、被扶養認定基準の百三十万円の壁というのがあります。

 これは、配らせていただいた年末の就業調整と云々というこの紙に、左側の方に書いていますけれども、この中に、家族手当とか通勤手当がこの百三十万円の中に含まれるということになっているんですけれども、例えば、私、鹿児島県はほとんど車社会です。ガソリン代が今こんな上がっていますと、通勤手当、もう一・五倍とか二倍ぐらいになるときがあるんですよね。ガソリン代が上がっていますから、通勤手当が増えるんです。そういったものでプラスされると百三十万を超えてしまう。こういうのはどうなんでしょうか。

 百三十万円の中にこれを、入れておいてほしいんですよね、オーバーしたと言われたくないんですけれども、いかがでしょうか。

武見国務大臣 健康保険法等におきまして、主として被保険者により生計を維持する者を被扶養者としておりまして、その具体的な判断基準として、年収が百三十万円未満等の基準を示しているところであります。

 被保険者により生計を維持されているかの判断に当たっては、収入の性質にかかわらず、継続して見込まれる全ての収入を勘案することが適切であって、一部のみを特例的に除外する取扱いについては慎重に検討する必要があるという考え方であります。

 なお、百三十万円の壁については、年収の壁・支援強化パッケージにおいて、繁忙期に労働時間を延ばすなどにより収入が一時的に上がった場合でも、事業主の証明により引き続き被扶養者認定が可能となる仕組みを設けております。

 労働者が年収の壁を意識せずに働けるよう、適切にこの周知をしていきたいというふうに思います。

野間委員 今の通勤手当をどう考えるのか、もう一度、答えがあれば教えてほしいんですけれども。

 それと、家族手当ですよね。子供さんが二人、三人、会社から家族手当を出してもらう、それで百三十万を超えてしまった。こうなりますと、子供さんが、これだけ少子化でいろいろ言われているのにですよ、子供さんが増えることによって家族手当が増えて百三十万を超えてしまって、マイナスになるんですよね。全然、政府の少子化に対する対策と逆行することが行われているわけです。これもこういう中にやはり入れるべきじゃないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生から冒頭御説明がありました百六万円の壁というのは、まさに御本人が被保険者としてどうかということでございますので、先ほどのように、残業とかじゃなくて契約時点で決めたこととしておりますが、今先生から御質問ありました百三十万円の問題は、被扶養者ということになります。被扶養者というのは、誰かに自分の生活を支えられている人だということになりますので、そうなりますと、基本的には支えられている側ということになりますから、結局、その人が幾らの収入があるか、その総収入を考えるのが適切だろうということになっております。

 先ほど先生、家族手当とおっしゃいましたけれども、扶養されている人間がまた別の人間を扶養する、そういう考え方に立つことは極めてイレギュラーなことでございまして、そういう意味で、百三十万円のルールを考えるときには、今後発生する全ての収入を考える、こういう考え方に立ってございます。

野間委員 概念的なことは分かるんですけれども、今みんな共働きしていますよ。それで、何か子供が生まれたらまたそういう罰則的なものを取られる、そう思いますよ。思うんですね。今の御説明はよく分かるんですけれども。ですから、これはきちっと、少子化の中で、そういったことは、ああ、負担はそんなに増えないんだなということを、やはり安心感を与えていただかないといけない。これについて、なかなかお答えできないと思いますけれども、そういった不便が現実には生じているということはお分かりをいただきたいと思います。

 大臣、どうですか。こういったことをやはりもうちょっと検討してもらえないでしょうか。

武見国務大臣 ただいま保険局長の方から話を申し上げたとおり、概念的には実はちょっと矛盾する内容になってしまうというところが大変残念でありますけれども。

 ただ、百三十万円の壁を感ずるような形で働くことを自ら抑制されるということがないように、一定期間、一時的にその金額が、総額が増えたとしても、それは一時的なものとして認めるという今の新しい支援パッケージがございますから、これを最大限生かしていただいて、その間、私どもとしては、その次の大きな改革に向けての考え方を検討していきたいと思っております。

野間委員 それも二回限りということでありますので、なかなかこれは本当に効果的かなとは思いますけれども。

 いずれにしても、NHKでも間違えるぐらいですから、非常にこれは仕組みが複雑でよく分からないんですよね。ですから、これはぴりっと整理していただいて、余りその壁を感じないで働けるような仕組みをもう一度、今検討されているということでありますので、つくっていただきたいと思います。

 最後の質問になりますけれども、本日、伊佐議員、また小川議員からも質問がありましたけれども、医薬品の問題であります。

 私ども、地方、田舎に行きますと、なかなか、薬局にせき止めやら鎮痛剤、それから鎮咳剤、去たん剤、こういったものが品不足になっているのは現実にあります。これはコロナの頃から、鎮痛剤等が足りない足りないと。大都市とか大病院、そういったところはある程度潤沢にあるんでしょうけれども、なかなかこれは地方に回ってきていません。

 いろいろ対策は打たれていると思うんですけれども、本当にこれが見えないんですが、大臣、どんなことを今されているんでしょうか。

武見国務大臣 御指摘のせき止めやたん切り、たんを切る薬などの一部の対症療法薬については、これまでも、主要なメーカーに対して、他の医薬品の生産ラインから緊急融通やメーカーの在庫の放出など、供給増加に向けたあらゆる手段による対応を行っていただいているところでございます。その結果、これらの社による年内の供給量は、九月末時点よりも更に一割以上増えるという見込みになっています。

 さらに、昨日、これらの感染症対症療法薬を製造する企業に対しまして、改めて私から直接、更なる供給増加について呼びかけました。

 今般の経済対策においては、医薬品の安定供給の確保に向けて、インフルエンザ等の感染症の拡大に伴って供給不足が生じているせき止め等の増産要請に応じていただいた企業に対しましては、更なる増産に向けた投資を行っていただくための支援を盛り込みました。補正予算においても所要の措置を講ずることとしております。

 引き続き、国民に必要な医薬品を確実にお届けすることができるように、あらゆる手段を通じてそれに対処していきたいと考えています。

野間委員 本当に、地域の薬局は、手に入らないものを、じゃ、この後発薬で何とかできないでしょうかと、処方されたお医者さんに疑義照会というんでしょうかお願いして、こっちに替えてくれないかと、こういったこともやりながら、何とか間に合わせようとしています。

 先ほどの伊佐議員からも、コロナのときにカロナール、大人用のやつを、子供用のがないから、潰してこれを子供用にということで手当てをしているということもありましたけれども。こういう、地域の薬剤師さんがいろいろなことを、お医者さんに余りこんなこと言いたくないんですよね。これに替えてくれとか、やはり力関係がありますから言いたくないんだけれども言わざるを得ないような品薄であり、薬がないという現状でこうさせられているわけですね。

 ですから、やはり、薬剤師さんに、あえてそういうことをさせられているということに対しても何らかインセンティブといいますか、少しでもこういった人たちを励ますための施策も必要じゃないかと思いますけれども、先ほどのカロナールを粉砕するということについては加算が昨年されたということもありますので、いかがでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、現在、医薬品の供給が不安定な状況が続いてございます。こうした中で、地域医療への貢献の観点から、地域の薬局間で例えば医薬品を融通するとかそうした取組をしていただいて、地域の医薬品の安定供給に資する取組をしていただいているという場合につきましては、本年四月から地域支援体制加算という形の加算措置に更なる加算措置を講じて評価してございます。

 今後の対応につきまして、医薬品供給の状況、医療現場への影響などを勘案しながら、必要に応じて中医協で議論してまいりたいと考えてございます。

野間委員 その加算は四月から行われているわけですが、いつまでで、そしてその点数、どれぐらい加算されているんでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 本年四月から十二月まで、時限的に適用してございます。加算措置としましては、それぞれの地域の取組の状況によりまして一点から又は三点、加算してございます。

野間委員 十二月といいますと、もう来月で終わりでありますので、もう少しやはり実態を見ていただいて延ばしていただくなり、もちろん点数ももっとプラスしていただければありがたいんですが、そういう地域の薬剤師さんたちの努力に対してきちっと報いるようにやっていただきたいと思いますけれども、どうですか。この期間的なものももう少し延ばすべきじゃないかと思いますけれども。

伊原政府参考人 現在、特例措置として講じたところでございます。今後の対応につきましては、まさに医薬品の供給の状況、これがどうなるか、そしてこうした加算措置が医療現場にどういう影響を与えているかということをよく見ながら、中医協で議論していきたいと考えております。

野間委員 大臣、今日もいろいろ医薬品の話が出ました。先ほど小川議員からも、公的なことといわゆる民間的なことが、国策民営みたいなことの矛盾が様々生じているわけでありますので、是非、医薬品の供給体制についてももっと大局的なところから根本的な改革を求めたいと思いますけれども、最後に一言、お願いしたいと思います。

武見国務大臣 やはり、医薬品の品不足という問題は国民生活に多大な不安を与える極めて深刻な課題と受け止めておりますので、こうしたことが起きないように、もう既にこうした現状で直ちに短期的にできる増産体制への支援と、それからさらに、年を越えて更なる増産体制を構築していくための支援と、そしてさらには、こうした業界団体の構造の在り方を更に議論をしていくという考え方で対応していこうと考えております。

野間委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

田畑委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、第二十七代となる厚生労働大臣に武見先生が就任されまして、その所信に対する質疑をさせていただきます。

 武見先生はこれまでも、国際政治にも、またWHOの国際親善大使としても御活躍でありましたし、今我が国が求められる国際的視野と人権感覚をしっかり持った厚生労働行政をやっていただけることと期待を申し上げております。

 武見厚労大臣の所信の表明の中にも、国民の生活を生涯にわたって支える使命というお言葉もありましたし、また、就任時、個別の団体に偏らない、国民というものにしっかり目線を据えた行政をやっていきたいということでしたので、その視点も併せて御質問をさせていただきます。

 大臣所信表明を拝見すると、全般にわたって漏れなく網羅されているようにもお見受けいたしますが、実は、六月二十二日に国会が閉会、十月二十日、臨時国会が始まりましたが、その間にも日本の厚生労働行政、遡るものですね、含めて大きな転換が、あるいは問題が指摘されるような判決があったと思います。

 一番目は、いわゆる強制不妊手術、旧優生保護法による強制不妊手術でありますが、この件は所掌がこども家庭庁に替わったものであるということは前提に置いた上で、しかし、私として、武見厚労大臣にお願いがあります。

 まず、昨日、十月二十五日の仙台高裁判決に対して、国は控訴をなさいました。上告をされました。そして、これから長引く最高裁の裁判に約五つのものが、まあ、これまで高裁判決があって、しかし様々にその判断が違うのでということで最高裁で審理されることとなると思いますが、何せ被害を受けた皆さんには時間がありません。そうしている間にも亡くなって、すなわち原告としての資格を失っていくということが、実は、三十八人の方が特措法の問題、そこから更に裁判を起こされておるわけですが、もう既に五人、多分亡くなられたのではないかと思います。そうなると、高裁で決まり、更に最高裁でという裁判の過程をどんどん積み上げていくことが果たして本当にその方の人権や人生に応えることになるのか、私は大きな疑問であります。

 ここで武見大臣にお願いしたいのは、大臣とて、最高裁までの時間がかかることは御認識であると思います。私は、ハンセン病のように政治決着をきちんとすべきであると以前から申し上げてきましたが、そのためには、まず、当初の担当である厚生労働相、今は武見大臣、そして、新たな所掌になったこども政策担当大臣、さらに岸田総理がこの原告の皆さんとお会いいただく、その方向を武見大臣御自身がおつくりいただけまいかと思いますが、いかがでしょう。

武見国務大臣 阿部委員から厚生労働大臣就任に当たって大変温かいお言葉を頂戴したことは、心から感謝を申し上げます。

 私自身も、こうしたグローバルヘルスに関わる仕事に携わる基本はヒューマニティーだと思っております。しかし、その上で、改めて、厚生労働大臣としては、引き続き、前任者を含めて、その立場を継承するのが基本となります。したがって、この旧優生保護法に関わる業務については、既にこども家庭庁が所管であるために、私からのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

阿部(知)委員 ヒューマニティーが原点だとおっしゃった武見大臣が今のように御答弁を避けられるということは、私は大変残念であります。

 なぜならば、皆様のお手元に示しました一枚目、これは十月二十五日の仙台判決で、高裁判決でありますが、ここに指摘されている事項は、憲法に違反する法律を制定し、法の運用という適法であるかのような外形の下に強制不妊手術を行って、いわばそうした人権侵害の政策を推進してきた被告国が、既に損害賠償請求権の消滅の主張をすること自体が、すなわち、憲法違反を起こしておいて、こっちで時効が消滅したというような構造自体がおかしいという、裁判所のこれは指弾であります。そして、時効を設けてその方の裁判に訴える権利を消滅させることは権利の濫用に当たるという指摘までございます。

 武見大臣には、起きた出来事が明らかに憲法に違反するという認識はもちろんおありなのだと思いますが、その上でです。お手元に示しました優生手術の実施状況につきまして、これは、国会が国会図書館並びに調査室にお願いして、一体、果たしてどのようなものであったのか、実施状況をつまびらかに調査していただいたもので、六月に報告が出ております。しかし、残念ながら、この報告も、どこでどのように扱うのか、既に場がございません。厚生労働委員会の委員長から議長に上げて、そしてその後、理事会で少しお話がされたようです。私は、厚生労働行政の総括、反省、それが極めて重要で、そのことも含めて、新たにこども家庭庁にそれが任としてお願いできるのかどうかということに、大きな疑問があります。

 その一つが、例えば、三枚目、開けていただきますと、これは今回の仙台の高裁の対象となった事例ですが、ここにお名前を書いたのはもちろん発表されているもので、仮名という方は仮名で載せてございますが、八番と九番、いずれも、十八歳のときに他の入所者とともに職員に病院に連れていかれて強制不妊手術をされたけれども、それが何のものであるかも一切説明がなかったと。

 あの分厚い報告書、いただきましたものを読んでも、胸が詰まるような事態ばかりであります。

 特に、強制という言葉がつく手術は、拘束して、麻酔をかけて、そして否や、有無を言わせず、時によってはだますこともよしとされている通達が厚生労働省から出ております。果たして、そうした通達まで出して行われたこの行為を、こども家庭庁としては、厚労行政の検証として指摘し、また、何らかの形で責任を取ることができるのか、その点について、こども家庭庁に伺います。

古賀大臣政務官 阿部知子委員の御質問にお答え申し上げます。

 まずもって、今回の旧優生保護法の件でございますけれども、旧優生保護法に基づきまして、あるいはこの法律の存在を背景として、大変多くの方々が特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術等を受けることを強いられまして、心身に多大な苦痛を受けてこられたことについて、政府として、これは真摯に反省をいたしまして、心から深くおわびを申し上げたい、このように思います。

 このことは、所管が、業務が厚労省からこども家庭庁に移管された後もこれは変わることはございません。

 今先生の方から、そうした反省に立ってしっかりと施策を講じるべき、こういった趣旨の御指摘がございました。こども家庭庁といたしましても、しっかりとそういった御指摘も踏まえて今後対応してまいりたい、このように考えております。

 以上です。

阿部(知)委員 御答弁としてはそのようにならざるを得ないのだと思いますが、何度も繰り返しますが、省庁は皆、縦割りになっております。そして、厚生労働行政について、過去のものも含めて、新たにこども家庭庁から、私が伺いたいのは、検証ができるかどうかなんです。

 例えば、強制手術と一言でおっしゃいますが、身体の拘束、麻酔薬使用、そして欺罔、これはだまくらかしてもいいということですが、そうしたことが通達で出されている。恐るべきことなんだと思います。

 分厚い資料の中を読みますと、御本人が当然納得していない、御存じない場合に、強制の方法として、身体拘束、麻酔薬使用又は欺罔の手段により、事実上、拒否不能の状態をつくることができる、それは憲法に違反しないことなのかという質疑応答があります。これも、憲法に違反しないという答えが返されています。それの理由は、公益上の目的が求められているから、強制優生手術を行うには、医師により公益上必要であると認められることを前提とするものであるからして、憲法の精神に背くものではない。

 そうでしょうか、果たして。公益が上回って、人を束縛し、知らないのにだまして勝手にメスを入れる、そんなことが、恥ずべきことが我が国で行われてきたわけです。

 武見大臣にはお願いがあります。

 私は、ハンセン病のとき、検証会議というものが設けられました。あれは、第三者的にその行為を一つ一つ検証し、胎児がホルマリンの瓶詰になっているところまでを検証したものです。それでも足らざるものはあります。最近出てきた解剖の資料なども、そうであります。過去は決して消し去ることはできない。直視して二度と過ちを起こさないためにこそ、行政が何よりもしっかりしていただきたいし、その行政に対しての第三者的評価が必要だと思います。

 私は、大臣は答えられない、こども家庭庁は、表面的には答えられていても、本当に立ち入ってはその作業はできないと思います。是非この問題に関して検証委員会を設けていただいて。当然、最高裁は最高裁で判断されると思います。私は、そういう法の裁きの場以上に、実は、実際の行為を検証する作業が厚生労働行政の在り方として必要と思うので、今日提案をさせていただきますが、いかがお考えでしょう。

武見国務大臣 御提案ではありますけれども、旧優生保護法に関わる業務については、現在、こども家庭庁が所管でありまして、私からのお答えは差し控えたいと思います。

阿部(知)委員 とても残念ですし、武見さんらしくないと思います。

 本当に、我が国が世界に恥じない国になるために、この強制不妊手術についてきちんと総括をしておくことは不可欠であります。裁判の結果ではなく、自らの行為を検証していくということにおいて日本は人権大国となるんだと思いますので、指摘をさせておいていただきます。

 引き続いて、日本の三大食中毒事件と言われているものについてお伺いをいたします。

 三大食中毒というものは、今日取り上げるのは三つございます。森永のヒ素ミルク、そして水俣、さらにカネミ油症。これらは、ちょうど今、武見大臣御存じかもしれません、国連の中で展示がなされております、市民団体による。それぞれがそれぞれの問題を抱えながら、未解決の問題を抱えながら現在もあるということであります。

 まず、森永ヒ素ミルク中毒事件についてお伺いをいたします。

 これは、一九五五年に徳島の工場で作られた森永のミルクにヒ素が混入しているということで、子供たちの死亡も含めた一万何千人かの被害が出ましたが、その当時、厚生労働省の調査班は、もう、亡くなった子は亡くなったけれども、これで終わったんだと言っておりました。ところが、一九六八年頃から、どんどんどんどん患者さんたちが年齢を経てきて、終わったはずなのにいろいろな障害を持っているということが判明して、裁判にもなりましたし、その結果、一九七三年に、厚生労働省と被害者団体と森永乳業による三者の確認書をもって一つの合意ができたということであります。

 森永はひかり協会というものをつくって患者さんの認定や支援に尽くすという結果でありますが、しかし、こういうスキームがありながら、二〇二二年、約一年前の五月に、大阪地裁に、一九五四年生まれの女性が、自分の起きている症状がどんどん加齢もあり進行して、とても今の補償状況では生活できないという訴えを起こされました。大臣はこの件は御存じでしょうか。

武見国務大臣 御指摘の、大阪市内に住む女性が森永乳業に計五千五百万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴をしたという事実は、報道で承知をしております。

阿部(知)委員 正直ながら、私はちょうどこの時代、一九七〇年代は学生であって、森永ヒ素ミルク問題は当然、小児科医ですから知っておりました。そして、この間、今に至るまで、こうした訴訟が今日起きるということは、私自身、不明を恥じますが、予測をできなかったことであります。あの子たちはどうなったろう、あの患者さんたちはどうなったろうと、どのようにフォローされているのかということが問題なんだと思います。

 先ほど御紹介いたしましたが、厚生労働省と被害者団体、森永乳業によってつくられたスキームは、食中毒事件の中で特に長引く、ブドウ球菌、サルモネラ菌などの食中毒はそのときで確かに一つの終わりを迎えますでしょう。しかし、次世代に継承されたり長引く神経症状があったりするものについて国はどういうフォローができるんだろうということが、私は置き去りになっているのがこの森永の例でもあると思うんです。

 森永のミルクの被害患者さんはひかり協会というところがフォローしていることは先ほどお伝えしましたが、そこでの調査報告書のまとまったものは二〇一七年でありました。逐次いろいろなレポートは出ておりますが、私は、やはり、当然ながら年齢を経れば一つの病状は次々と加齢によっても進行してまいりますし、ひかり協会のやってくださっていることは大変意味があると思います。しかし、国は、国自身は、厚生労働省はこれについてどんな調査体制、フォローアップ体制を持っているのかということで大臣にお伺いいたします。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が今御説明をいただきましたように、七三年の合意に基づきまして、公益財団法人のひかり協会、これが設立をされておりまして、この中で各種の被害救済及び健康診断の実施や医療費の補助、また個々の被害者の方々の障害や健康被害の状況、こういったことを小まめに実態調査を行っているところであります。

 その方法としましては、ひかり協会ができました後に、一九七八年に第一回目の実態調査を行っておりますけれども、かなり丁寧に、調査票を郵送し、回収をし、未回収の場合には訪問を行うなど、こういったことで調査を行っております。直近では、先生御指摘のように、二〇一七年から一八年にかけて調査を行い、回収率は八六%と、丁寧な調査がなされているというふうに承知をしております。

 これの体制でございますけれども、協会における調査研究事業、この中には専門家の研究者が携わっており、そこについていろいろな御意見をいただきながら進めているというふうにも承知をしております。

 厚生労働省といたしましては、こういった専門家から成ります協力を含む調査の実施体制、これについて、ひかり協会から協力の求めがあった場合には適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

阿部(知)委員 今、大坪局長がお話しいただいたように、ひかり協会、アンケート調査を中心にやっておられます。しかし、私がその問診票の一つ一つを見ると、やはり医学的管理からは遠いと思います。是非、厚生労働省、医療をつかさどる省庁ですから、厚生労働省としても長期の実態をまとめていただきたいです。ひかり協会だけに頼るのではない。だって、三者が合意したんです、森永、厚労、そして被害団体と。当然ながら、年を経れば症状も変わってまいります。これはアンケートによく答えている方だと私も思います。それだけ御不安があるからです。アンケートはこちらからピックアップした項目です。本来はその方の医学的なフォローアップをずっとすべきだと思います。

 私は、後段の問題にも関係いたしますので、この点についてはここで御指摘をさせていただいて、次に、水俣病の問題に参りたいと思います。

 水俣病でも、今年九月二十七日に大阪地裁が原告全員を水俣病と認定されました。特措法では、期限を区切って、エリアを区切って患者さんの認定をしていたことに対して、その特措法では対象外となる方から起こされた裁判で、いわばこの裁判の一番の特徴は、当然ながら食中毒、汚染された魚を食べ、魚は回遊し、地域を限定すること自身が不合理である、簡単に言えばそういう判断かと思います。また、時期も、例えば魚がそこでぱたっといなくなるわけではありませんから、海流に乗り、土砂は堆積し、生物学的濃縮もして広がってまいります。そうしたことから上げられたこの判決についても、チッソも国も熊本県も控訴なさいました。

 私は、ここで前回、加藤厚労大臣にお尋ねして、水俣は食中毒ではありませんか、食中毒としての初期対応がどうだったか、お尋ねをしました。

 何が一番ポイントであったかというと、加藤大臣の御答弁は、簡単に言うと、既にこの水俣が昭和三十一年、一九五六年、報告されて、当然、報告されると厚生労働省は調査のための審査会をつくって、そこでいろいろ対応をするわけですが、魚全体が汚染されているわけではないので、その段階で積極的に、例えば魚の摂取を、何というんでしょうね、禁止するまでには至らなかったという御説明でありました。

 その御説明は、やはり私はちょっとおかしいと思いますね。全部が汚染されていることを証明されるまで食中毒を止めなかったら、どんどん拡大をいたします。昭和二十四年、静岡県で、アサリ、たしか貝類の中毒では即座に摂取を止めました。やはり食中毒というのは、全部から菌が出るとか、全部から水銀が出るとかしてから止めたのでは遅いと思いますし。

 特に今日大臣に御紹介したいのは、御覧になったことがあるかもしれませんが、環境省が作られた資料、平成十七年十月二十五日の環境省の水俣病問題に係る懇談会という中の資料で、これは、昭和三十四年前後を中心とした責任問題について、環境省の集めた資料から取らせていただきますが、ここの開けて三枚目になりましょうか。

 私が赤線を引いてございますのは、ここで、厚生省食品衛生調査会水俣食中毒特別部会において調査をしておりましたが、ここの班長であった熊本大学の学長が、継続して研究して証明する覚悟でいたが、食品衛生調査会水俣食中毒特別部会は解散させられたと。本来、医師から報告が上がり、厚労省の食品の衛生調査会で解明すべきところ、途中で解散させられたと繰り返し書いてございます。この熊本大学学長の言葉のところに赤線を引いてございますので、見ていただければと思いますが。

 私は、初期の食中毒対応として二つの誤り、すなわち、全部の魚が汚染されるまでは食中毒じゃないんだなどということは、絶対分からないわけですよ、全部魚を捕まえるわけにいかないので。その意味で、厚生労働省の公式見解、この前、加藤大臣がお話しされたことも違うと思いますし、また、なぜこの研究班、調査班を解散されたんでしょうか。

 大臣には、もちろん自分がいなかったときで、聞かれても困ると思うかもしれません。でも、私は常に残された記録からこれを拾いまして、やはり食中毒に対しての対応の問題なんだということを指摘したいと思うので、大臣、初めて御覧かもしれませんが、お考えをお聞かせください。

武見国務大臣 水俣病については、当時の厚生省としては、昭和三十二年当時、熊本県からの照会に対して、水俣湾内特定地域の魚介類が有毒化しているという明らかな証拠は認められないものの、原因不明の中枢神経疾患を発生する疑いがあることから、摂取しないよう指導したところでございます。

 平成十三年、大阪高等裁判所の判決では、当時の行政指導等により、水俣湾内特定地域の魚介類が有毒食品に該当すると告示した場合とほぼ同様の効果が達成されていたとされておりまして、その後の平成十六年の最高裁の判決でも、これは是認をされております。

 また、委員御指摘の水俣食中毒特別部会は、水俣病の原因物質を究明するため、昭和三十四年一月に厚生省食品衛生調査会の下に設置をし、同年十一月に水俣病の主因を成すものはある種の有機水銀との結論を得たことから、当部会を解散したものと承知をしております。

 当部会はその役割を果たしたことから解散したものでございまして、その後、それ以上の原因究明は厚生省だけでは困難として、窓口を当時の経済企画庁に移し、関係省庁の多角的研究を進めるための会議が設置されたところであり、当時の厚生省の判断としては問題はなかったものと理解をしております。

阿部(知)委員 この熊本大学の学長の言葉をよく読んでいただきたいと思います。これは、公式資料に残されています。継続して研究して証明する覚悟でいたんです。だけれども、解散させられ、今、武見大臣のおっしゃったように、経済企画庁に移りました。

 しかし、経済企画庁は、その後、何をしたかといえば、ここにまた線をいろいろ引かせていただいていますが、線の引いていないところ、五の5、一般的に、事業の所管という場合には現場に個々に立ち入って機能検査を行うところまではやっていないとか、ここで経済産業省の対応は極めて後ろ向きなものになっております。もちろん、排水を止めることもありませんでした。三十四年から止められる四十四年まで、排水は出続けました。被害を拡大させたんだと思います。

 もう私の時間がないので、今日、でも、経済産業副大臣に来ていただきましたので、この間をどう総括なさっているか教えてください。

田畑委員長 岩田経済産業副大臣、簡潔に答弁をお願いいたします。

岩田副大臣 水俣病につきましては、大変多くの方が健康被害に苦しまれ、重大な環境問題の一つとして重く受け止めております。

 平成十六年の関西訴訟、最高裁判所判決において、いわゆる水質二法に基づく規制権限を行使しなかったことについて国の責任が認められたところであり、その責任を改めて認識をし、心からおわびを申し上げます。

 こうした反省の下に、これまで政府としては、できる限りの努力をしてきたところでございますが、認定申請や訴訟が係属している事案があるものと認識をしております。

 一般論でございますけれども、化学物質を取り扱う企業は、適切に当該物質の管理を行い、工場管理等を含めて責任を持って経営をしていくことが必要であります。

 経済産業省といたしまして、二度とこのような事態を招かないように、化学物質排出把握管理促進法の適切な執行、そして、関係省庁と連携をし、水質汚濁防止法など関係法令が遵守されるように、適切に指導監督してまいります。

阿部(知)委員 汚染が止められず、どこまで拡大したかが調査されずであります。そして今、排水していた門が取り壊されようとしている。しかし、それに対して環境省が保存の方向に動いてくださっています。また引き続き質問をさせていただきます。

 ありがとうございます。

田畑委員長 次に、中島克仁君。

中島(克)委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 私からも質問をさせていただきますが、まず、大臣、私の十五年前に亡くなった父、中島真人でございますが、武見大臣には大変お世話になった、御懇意にさせていただいたと聞いております。父が生きていれば、大臣就任、喜んだことと思いますし、お祝いを申し上げたと思います。父が生前賜った御厚情にお礼を申し上げるとともに、父に成り代わり、御就任、お祝いを申し上げたいと思います。

 大臣所信に対する質疑でございまして、立憲民主党として最後のバッターで、ちょっと時間も圧縮して、限られた時間ではございます。大臣所信の中で述べられていたこと、多くに関して、今日は、総論として、大臣の姿勢、確認をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 私は、立憲民主党の中で、直諫の会という若手、中堅の政策グループ、あえて派閥と言っておりますが、その中で述べられている、まあ本も出版をいたしまして、是非大臣にも一回、一読していただきたいわけでありますが、我が国は、少子高齢化、人口減少、かつてない厳しい時代に突入をした。加えて、人口構造の変化のみならず、疾病構造の変化、シングルファクターからマルチファクター、重複する生活習慣病が疾病構造の中心となる。そして、社会構造の変化もそうでありますし、今日、薬の供給不足の話もありました。産業構造的な変化も加わった。

 こういった状況のさなかにコロナの三年三か月が加わり、これは資料に、三枚目ですか、これは警察庁の調べでありますが、コロナ禍で我が国は、国民皆保険そして医療先進国を冠とする我が国において、これは警察庁の新型コロナウイルス陽性死体取扱状況でございますけれども、第三波、第四波、波を繰り返すたびに、これは全てとは言いません。この数字の中の内因子、外因子。しかしながら、コロナに感染をしながらも、医療につながらずお亡くなりになった可能性の方が、波を繰り返すたびに増えていった。第八波は、五類移行へ、ほんの前の状況です。今年の一月、昨年の十二月に、九百一、八百九十八と過去最高の取扱状況が確認された。

 前段の、大臣、一問目と二問目、併せてお尋ねいたしますが、人口構造、疾病構造、社会構造の変化、加えて、コロナで我が国の医療提供体制、医療制度の綻びが浮き彫りとなった。これは今までの延長線での取組では到底解決し得ない難題ばかりだというふうに私は考えています。

 午前中、小川筆頭理事からも本質的な話がありました。より本質的な改革、国民の皆様にとっての安心できる医療制度、医療提供体制の構築、本質的な改革に果敢に取り組んでいく、その覚悟はお持ちかどうか。加えて、このコロナで、国民皆保険である我が国で医療につながらなかったこの現状。二点についてお尋ねをしたいと思います。

武見国務大臣 まずは、御尊父の中島真人先生には、先生は県議会からのたたき上げで参議院議員となられ、私は大学の学者から参議院議員になり、全く違うタイプでありながら、実に、私の理論先行型の議論に対して極めて現実的に適切なアドバイスをいただいて、私が政治家の最初の歩みを始めるときに極めて有意義な御指導をいただいたことを極めて感謝を申し上げたいというふうに思います。

 御質問の件でありますが、感染症危機への備えについては、新型コロナ対応の経験を踏まえ、昨年十二月の感染症法改正により、平時に都道府県が医療機関と協議を行い、各医療機関の機能や役割に応じて協定を締結をし、感染症に対応する病床の確保や発熱外来などを担う医療機関をあらかじめ確保する仕組みを既に法制化をしております。

 それから、かかりつけ医機能につきましては、医療と介護の複合ニーズを有する高齢者が増加する中で、今年五月の医療法改正により、国民、患者に対する情報提供を強化し、地域において必要なかかりつけ医機能を確保するための制度整備を行ったところでございます。

 こうした取組を通じて、人口構造の変化に対応しつつ、新型コロナ対応を踏まえ、感染症発生時に迅速かつ的確に対応できる医療提供体制の構築を進めてまいりたいというふうにまず考えます。

 そしてまた、新型コロナの医療提供体制につきましては、引き続き、必要な方が確実に医療につながるよう、必要な体制を確保することが重要であることは当然です。

 このため、五類移行後は、これまでの限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による通常の体制に向けて、都道府県が策定する移行計画に基づき、受入れ機関を増やし、段階的に移行を進めているところでございます。

 引き続き、発熱患者などが身近な医療機関にアクセスできるよう、新たな医療機関に参画を促す取組を進めつつ、都道府県等と密接に連携し、必要な方に必要な医療を提供できる体制をしっかりと構築をしてまいりたいと考えております。

中島(克)委員 二点目の、私は、国民皆保険、幾らコロナというパンデミック状況だったとしても、波を繰り返すたびに自宅で放置された可能性のある方が減っていくなら、その対応は評価するべき。しかし、デルタ株のときは非常に怖かった、でも一方で、オミクロンになってから余り重症化しないということは分かりながら、その感染症、医療につながらなかった、これが現実だと思います。

 先ほど来申し上げているとおり、平時の状況、そして災害時にはそれが更に大きく浮き彫りとなることを、私は、厚生労働行政、しっかり受け止めて対応し、不断の改革、努力しなければいけないということを申し上げました。

 そして、今、かかりつけ医の制度整備という話がございましたが、先ほどお話しした直諫の会、また立憲民主党の政策の中に、まさに、かかりつけ医の制度化。

 ポイントは大きく四点。一点目は、かかりつけ医とは一体何をしてくれて、何者なのか、明確に定義すること。そして二点目が、あくまでも患者さんが主体、医療側も手挙げ方式、そして、患者さんがそのかかりつけ医を選んで事前登録できる、すなわち、フリーアクセスを維持しながら事前登録する仕組み。三つ目が、そのかかりつけ医の質を担保するための認定制。加えて、プライマリーケア、この部分については包括報酬とすることを念頭に、予防医療へインセンティブを持たせる。これをもって、我々は、かかりつけ医の制度化、プライマリーケア機能を持つかかりつけ医を家庭医と位置づける日本版家庭医制度として。

 これは資料の二枚目になりますが、右側が一昨年に我々が提出したもの、そして、コロナ禍において、第六波から第七波に行く、自宅放置死遺族会の方の御意見を基に、コロナかかりつけ医という仕組みを議員立法として提出をいたしましたが、残念ながら否決をされました。

 漏れ伝え聞くところによると、武見大臣は、このかかりつけ医の制度化、今私がお話しした内容ですね、かなり前向きだと漏れ伝え聞いておりますが、改めて、かかりつけ医機能を整備する制度法案、私は、さきの全社法案、我々は反対しました。あれは、一歩前進どころか逆に後退だと、単なる、今まで報告制度がなかった診療所、在宅の部分にかかりつけ医という冠をつけて、何者か分からないまま報告制度をつくっちゃった、余計混乱するという理由で我々は反対したんです。我々は、もっと踏み込んだかかりつけ医の制度化、日本版家庭医制度を具体的に示しています。漏れ伝え聞いていることが事実かどうか、大臣にお答えいただきたいと思います。

武見国務大臣 私は、かかりつけ医制度ということよりも、まず、かかりつけ医の機能というものを明確にして、その報告制度をつくったことは、まず第一歩の前進だろうというふうに受け止めております。

 制度整備に当たりましては、必要なときに迅速に必要な医療を受けられるフリーアクセスの考え方の下に現在はあります。そして、地域のそれぞれの医療機関が、地域の実情に応じて、その機能や専門性に応じて連携をしつつ、かかりつけ医機能を発揮するよう促すことが重要であると考えております。

 このために、今年の五月の医療法改正で、国民、患者がかかりつけ医機能を有する医療機関を適切に選択できるよう情報提供を強化するとともに、医療機関に対してその機能の報告を求め、都道府県と地域の関係者との協議の場で必要な機能を確保する具体的な方策を検討する仕組みを創設することとしております。

 こうした制度整備を進めることによって、国民、患者が適切に医療機関を選択できるようになるとともに、医療機関がかかりつけ医機能の内容を強化し、地域において必要な機能の確保が進むことで医療サービスの向上につながると考えております。

 委員の御指摘のかかりつけ医の認定、登録の制度化につきましては、医療法改正の法案審議等においても様々に議論が行われ、そして、この法律が改正をされたところでございます。厚生労働省としては、まずは、有識者等の意見を聞きながら改正医療法の施行に向けて着実に検討を進めていくことがその第一歩であろう、こう考えております。

中島(克)委員 大臣の本音かどうかは、今、表情を見ながらでありますが、お立場としてはそのようなお答えになるんだと思いますが、漏れ伝え聞いているところは、たしか大臣は更に踏み込んだことをお考え。

 それはそうだと思います。オランダやドイツ、フランスもそうです。海外は、まあ、イギリスのGPをよく例えに出されますが、イギリスのGPはもう制度疲労を起こしている。一方で、二〇〇〇年代、ヨーロッパ各国で、それぞれの事情に、積み重ねてきたものを基本に、このかかりつけ医を何かしらの形で制度化している。

 日本も、先ほど言った構造変化に対応していくためには、医療提供体制、この基盤に、必要な方が必要なときに医療に確実にアクセスし、そして、人生百年、いろいろな病気を抱えている患者さん、一つの疾病を診るのは主治医です、に対して、幾つもの疾病を抱えている、その人を全人的に診ていく、初期診療から継続的に診ていく、このプライマリーケアを評価する仕組みが必要だということは、大臣も腹の中でしっかり持っておられると私は確信しておりますし、御期待を申し上げたいと思います。

 その上で、この全社法の審議のとき、私は、財政審の令和四年度の建議、令和五年度の建議、このかかりつけ医の制度化も令和四年度には明確に示されていた。コロナの教訓を生かすためにはこれをするべき。しかしながら、その全社審議会の中でも、こんな言葉がありました。レントシーキング花盛り。いわゆるロビー活動。これはもう日本医師会です。日本医師会がこの事前登録そして認定制には後ろ向き、こういった状況は、さきの全社法案の審議の中でもかいま見えました。

 この理由は多くは述べませんが、私は、大臣、今日も午前中、大西委員からも、何人かの委員からもございました、最後の資料に多額の献金。もう多くは述べませんけれども。

 私、大臣、お父様、私も父の話をいたしましたから、お父様、日本医師会のボスとも言われる大変な先生だったと。そして、その時代、高度経済成長期に、民間医療、開業医の先生方に地域医療を託した。あれは私は正しかったと思います。しかしながら、もう何度も繰り返しますが、五十年前とは随分状況が変わった。これに対応していくために私は、大臣が、日本医師会を始め医療団体からこれだけの献金を。これは桁違いですよ。大臣は先ほど来、国民のための命、健康、一団体にはということを述べられていますが、国民の皆様はそうは見えないですよ。

 原資は、国民の皆様の保険料、税金がほとんどです。それが厚生労働行政のトップに、ある意味キックバックされているような状況は、私は控えるべきだ、少なくとも任期中はやはりこれは控えるべきだと改めて御指摘をさせていただきますが、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 御指摘のかかりつけ医に関する点については、まず、そのかかりつけ医機能というものを明確にし、報告制度を通じてその一歩を踏み出すということは極めて重要であると思います。

 他方で、我が国における地域医療の特色というのは、実は、様々な診療科、皮膚科だとか耳鼻科だとか眼科だとかがあって、そこに患者さんが直接アクセスできることによって早期の診断ができ、それによって、より早く治療効果を導き出すことができるという点も、実はこのフリーアクセスの一つの大きな特色としてあります。

 したがって、御指摘のような登録医制度というものを一遍に進めるようなことをした場合に、こうした我が国の地域医療のよい点そのものも直ちに破壊をしてしまうということにもなりかねません。したがって、この両者をよく見極めながら、一つ一つ現実的にかかりつけ医機能というものを具体化させていくことが、私は正しい道だろうというふうに考えます。

 その上で、私のこうした考え方というのは一貫していて、今まで全く変わっていないです。その私の考え方というのを、やはり多くの医療関係者の皆さん方が個人個人かなり理解をしてくだすって、それで、それが御支援の基本になって、団体によるそうした支援にもつながっているんだろうと思います。

 あくまでもその主体は私の政策であり、私の政治姿勢であって、これに対するそれぞれの医療関係者の政治的な自由意思によって私はその支持を得ているものだというふうに考えており、この自由意思というものはやはりしっかり尊重をし、そしてまた、それを正しく、国政においては、国民一人一人の生活と健康を守るという立場でそうした御支援に対する恩返しはするべきものと考えています。

中島(克)委員 私は、大臣が、今日も午前中、国際的感覚、保健衛生含めてですね、こういったことで国民の皆様に疑念を与えてしまうことが大変残念だということを申し上げております。

 おやめにならないというお答えでありますが、エピソードとして、最近、コロナも踏まえてですが、私、外来を土曜日にやっています。やりたくてやっているというよりは、医師が足りないんです。だから、私もやります。最近、胃の調子が悪い六十代後半、年金の受給者、生活者、胃カメラを勧めたら、胃カメラは幾らですかと聞かれるんです。そして、いろいろなパターンがありますから、そうしたら、そんなことは昔はなかった。でも、家に帰って相談します。後期高齢者の皆さんもそうです。国民皆保険の我が国で、医療が、値段を気にするようになってしまっている。それが原資となっている、大臣がいただいている献金。これは誤解ではなくて、国民の皆さん、信頼を失いますよ。そのことを申し上げています。

 もう時間がないので、資料の一枚目、山梨が全国初、医師が対応するシャープ七一一九。これは、七一一九は消防庁ですね。終わりますが、是非、この医療提供体制にも関連するシャープ七一一九、総務省消防庁のみならず、厚生労働省はもっとコミットして、地域の医療体制に反映させていけるように努力をしていただきたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

田畑委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日は、私の通告内容にちょっと入る前に、大臣、先ほど小川淳也委員が、日本の医療制度には矛盾がある、こうおっしゃっていました。

 要は、いわゆる準市場ですよね。財政は公的な税や保険料に依存しているが、医療提供体制の大きな部分は民間だと。アメリカは逆に両方民間が強くて、イギリスは両方公が強い。それぞれ国ごとに違う。私は、日本のこの準市場の在り方、これは決してネガティブなことで捉える必要はないと思うんですね。

 ところが、小川淳也さんは、いや、矛盾だとかいって、何か歌舞伎役者みたいにやっていましたけれども、それぞれの国の制度にいい点と悪い点があって、日本は日本の準市場という制度の中でいいところを伸ばし、悪いところを解決していく、こういう両面があるんだと私は思うんですが、いかがですか。

武見国務大臣 私も全く同意見です。

 過去においてよかったものが現在、未来において必ずしもよいものであり続けることはありません。今の時代状況はむしろ、今まではよかったけれども、これからは変えなきゃならない課題の方が確実に増えてくる時代状況に入ってきていると思います。

 したがって、過去と現在、未来を、どのような考え方、基本的な価値観、概念を整理した上で、一貫した政策としてその政策を取りまとめていくのかというのが私の基本的な政治哲学であります。

足立委員 ありがとうございます。

 そうした観点から、先ほどから野党の皆さんが何か大臣のお金のことを、いや、透明で公正にやっておられるんだから、私も問題ないと思いますよ。うちの党はまた全然やり方は違いますが、今のルールの中でやっておられる。

 ただ、大臣がまさに何回も御答弁されたように、いろいろな大臣の政治姿勢とかを支持される方が御支援をされる、それは民主主義ですから当たり前ですね。それに対して、厚生労働大臣が特定の利益団体にその采配を左右されるようなことがあってはならない、これはもう何度もおっしゃったとおりであります。

 そうした観点からも、お金がどうとか、もうそんなのはどうでもよくて、要は、大臣がしっかりと、医師会に手足を縛られずに仕事をできるかどうかですよ。

 大臣、例えば、医師会は反対しているけれども俺はこれをやるんだと、何か、幾つか例を出してください。

武見国務大臣 今のところ、具体例がちょっと今すぐには思いつきませんけれども、御指摘のとおり、まず自分の政策と信念があって、こうした公の立場で、私は国民の医療を考え、そして介護、福祉を考えるという立場であります。その基本的な考え方は、私は微動だにいたしません。

 したがって、その考え方と異なるようなケースが実際に出てきたとすれば、明らかに、公の立場における私の考え方、政策によって、私はその姿勢を貫くつもりでございます。

足立委員 だから、抽象論は幾らでも言ったらいいので、具体的な姿勢あるいは仕事で示していただきたいと思います。

 だから、是非、予算委員会もまたあると思いますので、しっかり、医師会とこれで戦っているんだと、別に戦う必要はないけれども、別に医師会の言うとおりばかりやっているんじゃないぞということを、具体的な大臣のリーダーシップ、イニシアティブでお示しいただかないと、立憲が言っていることもそうかなと。立憲が言っていることで、余り、そうかなと思うことはほとんどないわけでありますので、是非、大臣、この国会はまだ続きますので、今日は通告がありませんでしたので、しっかり御準備をいただいて、戦う大臣だということを国民にお示しをいただきたい、こう思います。

 さて、今日通告をさせていただいている一番最初は、今ちょうど岸田内閣は、給付だ、減税だと言っています。要するに、デフレから脱却する、経済を三十年ぶりに正常軌道に戻すための正念場ということで、経済対策が決まったのかな。そういう中で、低所得と中間層、ここが大事だということになって、例えば非課税世帯への給付とか中間層への減税ということが言われているが、私は、今日ちょっと財務副大臣、佐藤副大臣にお越しをいただいたのは、厚労省、財務省、あるいはこども家庭庁にも重なってきますが、所得階層別の負担構造、これがどうなっているかということが分からないんですね。

 これはお配りしています。ちょっと御覧いただいて、一番裏側に白黒で、これは音喜多政調会長がさきの予算委員会でお出しした紙です。ここに、低所得者ほど社会保険料負担が大きいと書いてある紙がありますが、これは実はちょっと課題があって、出典のところを見ていただくと、申告所得税標本調査になっているんです。だから、サンプルでいうと五分の一ぐらいですね、本来、調査対象にしなければいけないところの二割ぐらいのところの、自営業に偏った数字なんです。いや、これはこれで意味がありますよ。

 ついては、財務省あるいは厚生労働省に、もっと包括的な数字がないのかといって出てきたのが2と3であります。

 ところが、佐藤副大臣、これを見てください。この財務省から出てきた資料2、出典が、家計調査、二人以上の勤労世帯ですよ。この紙だけで、皆さんは政策立案をできるんですか。

 もっと包括的な、要は、一人世帯あるいは無職の方が入っていないんですよ。何でそういう所得階層別の数字を見たいと政府は思わないんですか。

佐藤大臣政務官 お答えいたします。

 先生が今御提示いただいた、また、財務省からお渡しした資料は、総務省の家計調査を基礎として、二人以上の勤労者世帯における一か月当たりの税負担額を機械的に推計したものでございます。

 ですが、先生の御指摘のとおり、包括的なのかどうかといった観点も含めて、やはり、データを活用してできる限り論点を分かりやすく提示するということは建設的な議論に資するというふうに考えていますので、今後とも、正確性に留意しつつ、できるだけ分かりやすい情報提供をしていくよう、しっかりと努めてまいりたいというふうに思います。

足立委員 ありがとうございます。

 ただ、だから、何でないんだということなんですよ。頑張りますと言うんだけれども、よくそういうデータを見ずに財務省は総合調整をしているよね。

 だから、もう一回言います。何で、今申し上げた一人世帯、無職をカウントした数字がないんですか。ちょっともう一回お願いします。

佐藤大臣政務官 税の負担構造につきましては、どのような税をどれだけ負担しているかということについて一概に申し上げられないというところがございまして、ただ、先ほど来お答えしているとおり、やはり、政策を立案する上で、しっかりとしたデータに基づいて議論していくということは重要でありますので、今後、厚生労働省とも連携をしながら、より分かりやすいデータの作成、また説明に努めてまいりたいというふうに思います。

足立委員 これは厚労省も一緒ですね。

 大臣、3のところにあります。厚労省にも同じ問いを投げました。出てきたのは、また二人以上の勤労世帯なんですよ。大丈夫ですか。

 仕方ないので、私、足立康史事務所の総力を挙げて、結構大変だったんですよ、これは。これは、結構手間がかかるんだけれども、私の事務所で作りました。確かに、毎年やっている家計調査だと今お示しした政府の持っているデータになるんですが、五年に一度の家計構造調査を使えば、私が申し上げている、より包括的な数字が出てくるので、社会保険料、税、所得、消費税も含めてこれは書きました。私は自信はありますが、こんなものは政府で作ってほしいんですよ。

 だから、大臣、まず厚労省分野、社会保険料ですね、社会保険料負担についてはより包括的な数字をしっかりと国民にお見せしていくということでよろしいですね。

武見国務大臣 社会保険制度におきましては、所得に応じて保険料負担を軽減する仕組みを設けた上で、相互扶助の考え方を基盤として、必要な保険料を御負担いただいています。この制度、仕組みについて国民の皆様にしっかり説明をし、御理解をいただくことが重要であるということも考えております。

 そのような観点から、委員の御指摘も踏まえて、現在の統計資料の下で社会保険の負担構造をどのような形で示していくことがよいかという点でもこれは改めて考えてみたいと思います。

 その上で、負担構造を示すに当たっては、例えば、議員に提出した資料で用いた家計調査、これでは、勤労者世帯の収入と社会保険料支出のデータはありますけれども、無職世帯を含んだ場合の収入等の数値はないといった、実はデータ上の制約があって、就業状況や年齢、住んでいる自治体などによって加入している制度や保険料が異なる中で、所得階層で一くくりにして保険料負担を示すことは誤解を招かないかといったデータの見せ方の整理といったようなことがありますので、これらを整理をして、公平性をしっかり担保した形で、こうした統計の在り方を検討し続けていくことが必要なんだろうと思います。

足立委員 今申し上げたように、構造調査を使えばできます。足りないなら調査したらいいんですよ。

 来る補正予算の予算委員会までに、厚生労働省、財務省連携して、これの政府版を作っていただいてお出しいただく、お約束、ちょっと事務方。イエスで大丈夫でしょう、それは。秘書官、それはイエスと言ってくださいと。

武見国務大臣 御指摘ではありますけれども、まだ御自身の事務所で作成されたこの統計の整理の仕方なども私どもは全く存じていないものでありますから、こうしたことも私どもとしてもしっかりと検討させていただいて、そして、財務省、関係各省庁ときちんと連携をしながら、この課題について引き続き取り組んでいくということが私は政府の姿勢ではないかと考えます。

足立委員 誤解を招きかねないから出さないというのは最悪ですので、工夫をして、より適切に国民に御理解をいただけるようにお願いをしたいと思います。

 私の事務所でどうやったかレクチャーいたしますので、是非、両省、しかるべき方を派遣をしていただきたい、こう思います。私が伺ってもいいので、よろしくお願いします。

 さて、ちょっと時間の関係で、もうぱぱっとやりたいんですが、この議論をするときに、先ほど大臣から所得ということがありました。当然、資産もあるわけですね。社会保障政策を検討していくときに、資産をもっとちゃんと把握して、踏まえた社会保障制度にしていかないといけないと思いますけれども、大臣、いかがですか。

武見国務大臣 現行の社会保障制度におきましては、基本的に所得に基づいて保険料や給付内容を決定しているところでありますけれども、所得のみならず、資産も考慮した制度の在り方を考えるべきという御指摘があることは承知しております。

 しかしながら、仮に社会保障制度全般において資産を勘案することとする場合には、個人が保有する資産について保険者等が正確に把握する方法が現状では整備されていないこと、そして、そもそも勘案すべき資産の範囲についてのまだ御議論があること、こうしたことなど様々な課題がまだあると考えておりまして、引き続き検討が必要だというふうに考えております。

足立委員 今課題をいろいろおっしゃったんだけれども、それは何、できないんですか。

 だって、所得だけというのはおかしいでしょう。今回も非課税世帯にお金を配ると。国民から、高齢者ばかりじゃないか、高齢者は実は国民の資産の大宗を持っているんだと大変な批判を買っていますよね。だからそれは、厚労省だけではない、全ての政策万般にわたって、所得だけではなくて資産を捕捉する。今大臣は、あれですか、医師会からやるなと言われているんですか。

武見国務大臣 全く相談したことはございませんが、この案件については引き続き検討が必要だということを申し上げたのであって、おっしゃることを全面的に否定しているわけではないんですね。ですから、むしろ建設的にこうした御議論を進めさせていただくことが私は極めて好ましいなというふうに思います。

足立委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 もう一つやっておきたいのが後期高齢者医療制度の在り方であります。

 二〇〇八年から始まったこの後期高齢者医療制度、私はもう定着をしてきたと思っていますが、やはり発足当初に大変な批判をされた。だから私は、大臣、厚労省としてもまだこれは仕掛かり政策だと思うんですよ、仕掛品だと。本来やりたかった大改革ができていないんじゃないか。

 例えば、七十五歳で線を引いた、そうすれば、負担割合もそうだけれども、例えば診療報酬の体系だって、後期高齢者にふさわしい診療報酬体系を作るということが、別体系を作るということが当初あったんじゃないですか。あったね。橋本岳先生があったと言っている。やはりそれも、医師会からやるなと言われてやめているんですか。

 だから、是非私は、大臣、ちょっと嫌みな言い方はやめますが、いや、党からちょっと嫌みを言ってこいと言われているので、僕が悪いんじゃないんですけれども、大臣、別にこれは大臣が何か嫌いで言っているんじゃないんです。日本の改革、日本の社会保障が正念場だからです。そうした観点から、後期高齢者医療制度をもう一回、当初の志に沿って、例えば診療報酬についての別体系、これをもう一回構築し直すような大改革を政府として御検討いただきたい。どんな利益団体に反対をされても突破していく、是非リーダーシップをお願いしたいと思いますが、いかがですか。

武見国務大臣 私は、後期高齢者医療制度というのは、従来の雇用者保険と、それから地域社会をベースにした国保のような保険と、これら複数の保険者が混在をして、しかも高齢者人口は特定の保険者に集中してしまっている、その結果として持続可能性を失っていく中で、やはり七十五歳以上になると医療費の急増というのが極めて深刻になってきて、それをより幅広く国民で支える仕組みを従来の医療保険制度に追加して組み立てることによって全体としての持続可能性が高まるという考えで、この後期高齢者制度が創設されたものと思います。

 しかも、その中で、後期高齢者の中でも、やはり資産を持っておられる方のみならず、所得もおありになる方もたくさんいらっしゃいます。したがって、応能負担で、実際に二割負担の方あるいは三割負担の方をお願いをして、後期高齢者の中でもそうした方々の負担は増やさせていただいております。

 その上で、実際に、四割は、こうした現役の方々が主に属し、それから事業者も半分負担をしていただいているこうした雇用者保険とか、あるいは国保といった地域保険を通じて実際に協力をしていただき、それが四割。そして、残りの五割は実際に公的な資金を投入することによって、安定的にこうした我が国の医療保険全体が、全世代を通じて負担し、給付を提供をし、その持続可能性を高めることができるという考え方でこの後期高齢者という医療制度が現実に機能をしている、こう理解しております。

足立委員 医師会と言っていることが全く一緒ですね。

 是非これは、後期高齢者医療制度については、私たちはやはり、今大臣がおっしゃった、大変難しい問題に直面していると思います。だから、財源の問題、それから窓口負担の問題、それから診療報酬の体系の問題、これをしっかり党として改革案を今作っているところでありますので、また御提案をしていきたい、こう思います。

 介護について、デジタル申請を、書式を含めて統一するんだという報道がありました。ちょっと二問飛ばしまして行きます。

 そもそも、書式がばらばらな方がおかしいと思いませんか。何でばらばらなんですか。老健局長で結構です。どうぞ。

間政府参考人 お答えいたします。

 介護分野の事業者の申請等に係る様式につきましては、これまで、国として標準様式というものは示してまいりましたけれども、地方自治の考え方に基づいて、地域特性に応じた事務処理に配慮する観点から、そうした様式の採否、採用するか否かにつきましては地方公共団体に委ねてきた。この結果、標準様式を採用している自治体、都道府県、市町村は約七割ということでございました。

 これに対して、介護現場の事務負担の軽減は重要なので、例えば、ある法人の代表が替わったということになりますと、県をまたぐ事業者の場合には、法人の場合には、異なる様式で自治体に出さなきゃいけないといったようなことが、お声がありまして、これを改善しなきゃいけないと考えたところでございます。

 そうした事例の中での改善方策を規制改革の場で議論していく中で、これは、総務省の方からも、事業者の事業活動の円滑化のために必要である場合には、地方公共団体の意見を十分に踏まえた上で、省令で統一的な様式を定めることが可能と整理をされました。

 このために、まず介護分野におきまして、来年度より、事業者と地方公共団体によってやり取りする文書につきましては、様式を統一化した上で、オンラインによる手続を原則化するというふうにしたところでございます。

足立委員 今、局長がおっしゃったところはすごく大事でありまして、行政への申請等の、今おっしゃったのは事業者なんです、事業者、事業所。それに対して、利用者については今おっしゃっていませんね。今、うなずかれています。

 事業者に対しては統一しますと。しかし、考えてください。福祉の現場、医療、介護、福祉、障害福祉の現場、利用者がいるわけですよ。だから、利用者だって、行政とかに資格とかいろいろなものでやり取りせなあかんわけですよ。それが、三つどもえというか、三角形でぐるぐるぐるぐる書類が回っているときに、事業者は統一するけれども、利用者は統一しない。それは、今まさに局長がおっしゃったように、地方分権等の、要は自治事務だとか、そういうことが阻んでいるそうであります。

 日本維新の会は地方分権政党でありますが、不合理なことは統一したらいいんですよ。デジタルの時代なんだから、アナログじゃないんだから。だから、私たち分権政党がそれは国で決めてくれと言っているんだから、それは利用者も含めて大胆な様式の統一等を、DX、デジタル時代にふさわしい社会保障の現場の仕組み、こういうものを大臣のリーダーシップでつくっていただきたいと思いますが、いかがですか。

武見国務大臣 医療DXの推進は今最も必要な政策課題であるということについては、委員と全く共通の認識であります。デジタル化が進展していく中で行政手続の負担を軽減していくということが、また同時に重要でございます。

 こうした中で、介護分野においては、先ほど政府参考人の方からもお答えしたのでありますけれども、来年度より、行政に提出する指定申請等の様式を統一化するとともに、オンラインによる手続を原則とすることとし、事業者の負担軽減に取り組んできました。また、介護以外の他の分野についても、こうした介護の取組等も参考にしつつ、必要な方策の検討を行っているところでございます。

 他方で、介護サービス等の利用者が行政に提出する書類等の様式の統一化については、事業者のように、類似の申請を複数の自治体で行うといった状況が余り想定されておりません。これまでに具体的なニーズを必ずしも把握しているわけではございませんけれども、いずれにせよ、ニーズ等をしっかりと踏まえながら、この負担軽減に取り組んでいくということが最も重要であろうと考えています。

足立委員 これは引き続きやりますので、是非お願いします。総務省との調整、私もお手伝いしますので、しっかりやっていきましょう。

 最後に、今のDX、一番遅れているのは、私、障害福祉の分野だと思っています、やはり歴史があるので。介護はやはり新しいので、まだましなんですね。だから、今大臣がおっしゃったように、医療、介護、障害福祉、その他福祉の分野、生活保護も含めて、横軸でしっかり進めていただきたい、こう思います。

 その障害福祉については、来年の四月に、障害者雇用促進法の雇用算定率の考え方が二十時間以上から十時間以上に広がる。それから、総合支援法の施行等もあって、いわゆる一般の就労と例えばB型の就労継続支援事業の併用ということが改めて整理がなされつつありますが、不明な点が幾つもあるんですね。

 例えば、一日二時間未満の短時間雇用はどこで読めるのかとか、あるいは、二時間から四時間はどうだとか、それから、更に言うと、雇用契約はないが、障害者が自ら事業を営む、事業主になる場合、やる場合、あるいはフリーランス、そういった様々な多様な働き方が障害者の皆様にもある中で、そういうところの解釈が、実は、月曜日からやり取りしていますが、昨日の晩まで答えが出てきません。

 答えはまとまったでしょうか。大臣からお願いします。

武見国務大臣 昨年の障害者総合支援法改正において、一般就労への移行や継続を障害者のニーズに応じて柔軟に対応するために、一般就労をしている障害者であっても、一定の事由により就労系障害福祉サービスの支援が必要な場合は、サービスの一時的な利用を可能とするというふうにしました。

 その対象者の具体的範囲は今後省令等によって定めることとしておりまして、例えば、通常の事業所に新たに雇用された後に労働時間の増加を図る必要がある障害者や、休職からの復帰を目指す必要がある障害者を対象とすることを検討しているところでございます。

 また、今回の法改正の趣旨に沿って、障害者の就労支援を進めるという観点から、各市町村において適切な運用が図られるよう十分に留意をしながら、令和六年四月の施行に向けて、通知等による対応を含めて、関係者の意見を丁寧に伺いながら、必要な検討は確実に進めていきたいと思います。

足立委員 辺見部長で結構です。私が具体的に申し上げた点、確認させてください。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から御指摘をいただきましたフリーランス等の個別の案件につきましては、現時点ではまだ省令及びその運用に関する通知等について検討中でございますので、御指摘のような具体的な事案の存在もしっかりと念頭に置きながら、今後の運用に関する通知等を工夫してまいりたいと考えております。

足立委員 時間が来ましたので終わりますが、驚きました。決まっていないと。だって、今省令を作るんでしょう。国会で議論していないんですかね、こういう大事なことを。

 だから、これは国会の承認事項ではないが、しっかり厚生労働委員会に報告いただく、あるいは御相談いただかないと、これは前に進めませんので、是非真摯に来年の四月に向けてお取り組みいただくようお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

田畑委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 厚労に足立議員が登場したということで、なかなかその後はやりにくいんですけれども、しっかりさせていただきたいと思います。

 まず、私の方からは介護に関する質問をさせていただきたいと思います。

 午前中から各党の皆様方が、報道でも出ている介護報酬の処遇改善のところです、六千円というところで、午前中、お話を聞いていると、まだこの六千円というのは確定はしていないんだと。

 大臣が、以前、国民の皆さんの負担の在り方から考えてみても、六千円程度が恐らく妥当な線になってくると思うと。さらに、その後、改善を図ることが妥当だという趣旨であると釈明をされているんだということなんですけれども、介護職員は、全国平均の給与を見ても、介護職員の平均が二十九・三万円、全産業で見ると三十六・一万円で、約六万円以上少ないんだということです。

 これは実際、午前中も話がありましたけれども、六千円では、やはり介護の現場の人たちはちょっと少ないんじゃないかなというふうに思います。各事業所からもそういう声が非常に多く上がっていると思いますし、いろいろな団体からも要望が上がっていると思います。この辺りの受け止めを確認したいと思います。

武見国務大臣 昨今の高水準となる賃上げの動向や人手不足の状況を踏まえますと、介護分野における賃上げを始めとする人材確保への対応は極めて重要な課題であると認識をしております。そのため、今般の経済対策においても、介護分野等について、喫緊の課題に対応するため、人材確保に向けて賃上げに必要な財政措置を早急に講ずることとされております。

 金額を含めて具体的な対応策の内容については、現在まさに最終的な調整段階でございますので、それは今申し上げることはできませんけれども、速やかに対応してまいりたいというふうに思います。

 その上で、令和六年度の同時改定においても、経済対策における様々な対応を踏まえた上で、政府として、産業全体の賃上げを考えていく中で、介護分野での賃上げの在り方について考えてまいりたいと思います。

遠藤(良)委員 大臣、実際、六千円以上に金額が上がるという可能性はあるんでしょうか。

武見国務大臣 現状で数字に関わるお話は私は差し控えさせていただきたいと思いますが、何度も申し上げておりますとおり、やはり人材確保に向けて賃上げに必要な財源措置を早急に講ずるというのは喫緊の課題だろうということを考えて、それで、まずは補正の中でこうした経済対策の一つとしてこうした具体的措置が講ぜられることになるのでありまして、その点についての考え方、そして、それを踏まえた上で、今度は介護報酬改定等を通じて、これは三年間でありますから、それを、三年含めて、より長期的に賃上げを進めていくことができるようにつなげていく、こういう考え方でいるというふうに私は理解をしております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 実際、やはり現場の職員の方々はすごく注目されていることだと思いますし、幾らになるのかなと非常に不安の中にあると思います。是非、先ほどの大臣の答弁のとおり、しっかりと計画的に進めていただきたいと思います。

 次に、介護助手の報酬のところをちょっと考えたいと思うんですけれども、介護助手というのが老人ホームとかで、実際、身体介護に関わらない、例えばクリーンスタッフであったりとかルームメイキングをしたりとか、あとは入浴の介助じゃなくて外で服を着せたりとか、そういう直接関わらない人たちが介護助手ということで実際現場で働かれているんですけれども、この方々についてなんですが、今後、この介護助手の方々が介護報酬の対象になっていく方向性もあるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、この辺り、確認したいと思います。

間政府参考人 お答えいたします。

 今委員お話しになられましたいわゆる介護助手は、おっしゃるとおり、直接に介護に従事する方というよりは、今クリーンスタッフというお話もありましたけれども、高齢者が入られた後のお風呂の清掃など、間接業務に従事する方を指すと認識しております。

 その活用については、介護人材の確保が喫緊の課題とされる中で、多様な人材の活用による裾野拡大、実際、現場では、少し年配の方が介護助手として働いている例も多いというふうに承知しております。この介護職員を始めとする専門職の業務負担軽減、ケアの質の確保等の観点から、積極的に進めていく必要があるというふうに考えています。

 この点については、社会保障審議会の介護保険部会におきましても、昨年の十二月の意見書におきましても、介護助手の制度上の位置づけや評価、教育の在り方、専門職との連携も含め、サービス特性を踏まえた導入促進のための方策を引き続き検討することが適当とされたところでございます。こういうことを踏まえて、令和四年度と五年度におきまして、こういう介護助手の導入によるケアの質や職員の業務負担への影響についての効果検証等を行ったところでございます。

 こうした結果等も踏まえまして、報酬上の評価をどうするのか、どうするのが適当なのかということについては、社会保障審議会の介護給付費分科会において今後検討を進めていきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 介護助手も、実際、こういう仕事の中で、やはり、介護報酬をもらっている事業所は、その中から持ち出して、自らパートであったりとかそういう形で採用しているということがあるので、一部は、一つは負担になっている部分もあると思いますので、そういう意味では、介護助手も介護報酬として対象にしていくべきなんじゃないかなというふうにも感じます。

 その中で、次に、訪問介護とかに関わる、先ほど、身体介護とかその他の生活支援とか、そういう部分で質問していきたいんですけれども、現在、訪問介護の仕事をするためには、初任者研修を受けないといけない。この初任者研修というのは、約百三十時間研修を受けて、それで民間資格を得て、訪問介護の仕事をする。

 訪問介護は、現状、やはり同じように訪問介護の職員の不足が課題になっていまして、介護職員の訪問介護の実際、不足が、全国の介護事業所に調査を行った結果、訪問介護職員が不足しているのは八三・五%、介護職員不足が六九・三%、ケアマネジャーが不足が三七・七%ということで、非常に深刻な状況になってきていると思います。

 この中で、やはり訪問介護の仕事の中では、身体介護と生活支援というこの二つ、分かれているんですけれども、実際、初任者研修を百三十時間かけて、この二つ、やれるんですけれども、一方で、生活支援は別にそこまで時間をかけて、例えば買物に行ったりとか食事を作ったりとか、そういう生活支援の部分についてそこまで、初任者研修という形で何時間も、百三十時間もかけてやる必要はないんじゃないかなというふうに感じるんですけれども、この辺り、どのような対策があるのかをお尋ねしたいと思います。

    〔委員長退席、大岡委員長代理着席〕

間政府参考人 お答えいたします。

 委員ただいま御指摘になられましたように、身体介護もやるホームヘルパーの場合には百三十時間の初任者研修がございますが、これとは別に、家事援助サービス中心に従事する方のための生活援助従事者研修というのが、五十九時間でございますけれども、そういった研修が設定をされております。これが平成三十年度から、都道府県又は都道府県の指定した者により実施をできるという形になっています。

 厚労省では、こういう研修の普及や認知度の向上を図るために、活用事例などを記載したリーフレット、パンフレットを作成し、周知を行っているところでございますが、現在のところ、こうした研修を行っているという都道府県は、私どもの承知しているところでは二十七にとどまっているということでございますので、今後も引き続き生活援助従事者研修の実施について周知を図ってまいりたい、このように考えております。

遠藤(良)委員 ということで、実際、生活支援だけをするサービスが、その研修があるんだということで、これはほとんどの事業所の方々は知らないと思うんですね。なので、その時間ですぐに生活支援の仕事もできるんだということで、是非周知していただきたいと思います。ほとんど、私自身も今回、事前にお話を聞いていて、ああ、そういうのがあるんだということを本当に知ったので、是非いろいろな、各自治体にしっかりと発信をしていただきたいと思います。

 次に、介護報酬改定の中で、トリプル改定があるんだということで、大臣が以前、物価高騰や賃金上昇、患者、利用者、保険料負担への影響の見極めが必要ということを発言されています。特に、全産業の平均賃上げ率が三・六%に対して、医療は一・九%、介護事業者は一・四%の状況になっているということも言及をされています。

 やはり医療や介護の賃上げが十分でないことを大臣は感じられているのかなというふうに思うんですけれども、今後、介護報酬の改定、全産業を含めて、今大臣が捉えられている内容を踏まえてどういうふうに反映していくのか、お尋ねしたいと思います。

武見国務大臣 御指摘の賃上げ率の格差というのは、やはり極めて大きな課題ではあろうかというふうに思います。

 実際に、繰り返しになりますけれども、引き続き、令和六年度の介護報酬改定に向けて、今般の経済対策における物価高騰や賃金の上昇への対応を踏まえつつ、政府として、産業全体の賃上げを考えていく中で、介護分野での賃上げの在り方について考えてまいりたいと思います。

遠藤(良)委員 処遇改善のところで、先ほども処遇改善のお話をしたんですけれども、一方で、処遇改善の対象の中でケアマネジャーの処遇改善加算のところを尋ねていきたいんですけれども、現状、ケアマネジャーさんの不足が各事業所の中で深刻な問題になってきているんだということで、不足もそうなんですけれども、実際、担い手の方、若い方々がなかなかケアマネジャーの仕事になり手がいない。

 この原因としては、現場のサービス提供責任者であったりとか現場の責任者、介護現場をしている責任者の方が逆に給料が高くなっていて、一方で、ケアマネジャーは、処遇改善の対象になっていなかった分、それ以上の給料に行っていないという謎の逆転現象が起きているということで、実際、ケアマネジャーの若い方々がほとんどいなくなってきている状況だと思います。

 二〇二一年、ケアマネジャーの平均年齢は五十二歳ということで、いろいろな各事業所さんにもヒアリングをしていると、やはり各事業所さんも、高齢者、かなり、もう七十歳とかのケアマネジャー、まだまだ頑張っているよということも言われるんですけれども、そういった方々が今、実際ケアマネジャーとして仕事をされているんですけれども、やはり、先ほどもケアマネジャーの更新の研修の費用の話もありましたけれども、これも一つのネックになっているんだと。

 本来は、ケアマネジャーというのは、やはり介護の仕事をしていく中でキャリアパスになっていかないといけない仕事だと思います。これが今、もう全くそういう状況にはなっていないということで、是非、今回の補正予算での処遇改善の中で、このケアマネジャーに対してどのような取扱いになっていくのか、お尋ねしたいと思います。

武見国務大臣 御指摘の今般の経済対策におきまして、介護分野等について、喫緊の課題に対応するため、人材確保に向けて賃上げに必要な財政措置を早急に講ずるとされております。そして、対象となる職種を含めて、具体的な対応策の内容について現在検討を行っているところでございますので、これを速やかに対応していきたいと考えております。

 その上で、令和六年度の同時改定においても、経済対策における様々な対応を踏まえつつ、政府として、産業全体の賃上げを考えていく中で、御指摘のケアマネジャーも含めた介護分野での賃上げの在り方について考えてまいりたいと思います。

    〔大岡委員長代理退席、委員長着席〕

遠藤(良)委員 ありがとうございます。ケアマネジャーも含めるということだと思います。

 この中で、ケアマネジャーの独立性というところに注目したいんですけれども、ケアマネジャーというのは、本来は、公正中立に、介護保険を使う立場の中間になって、お客さんと一緒になって、この事業所を使う、このサービスを使うというのを判断をしていくのがケアマネジャーの仕事だと思いますけれども、その中で、ケアマネジャーの独立性というのが重要なんじゃないかなということを感じています。

 今現状、ケアマネジャーが所属しているのは、ほとんどが事業所、会社であったりとか社会福祉法人に帰属して、そこからケアプランを作っていくという状況になっています。要は、ケアプランセンター、居宅介護事業所と言われる、個人でケアマネジャーとして仕事をしている人というのが全体の一割程度しかないんだと。

 これは一つ、若干、今の現状でいうと、やはり会社とかそういう団体に属していると、そういう団体に属しているサービスをケアマネジャーはお客さんに選択をしていっている状況があると思います。要は、ほかの会社を使わずに自社の会社のサービスを使っていく。なので、公正中立とは言えないんじゃないかなというふうに思います。

 つまり、この原因は、やはりこれも報酬だと思います。一件のケアプランに対して一万円程度の報酬だ。実際、独立してやろうとしたら、今、ケアマネジャーの持っているお客さんというのは大体四十名ぐらいで、この中で、経費を入れて、いろいろな訪問も含めてやっていくと、なかなか独立してやること自体が非常に難しいと思います。

 なので、このケアマネジャーの、今後、実際、政府としてどういうふうな方向性に持っていかれるのかというのと、あとは、一方で、この独立性を進めていくのであれば、ケアプランの増額であったりとか、ケアプランの持てる数を増やしていく、これは本当にどちらかしかないと思います。

 この辺り、どういうふうに進めていくのか、お尋ねしたいと思います。

武見国務大臣 居宅介護支援の運営基準におきましては、その運営形態にかかわらず、ケアマネジメントに当たって利用者に提供されるサービスが特定の種類、特定の事業者に不当に偏ることがないよう、公正中立に行わなければならないとしております。

 令和六年度介護報酬改定に向けては、地域包括ケアシステムの深化、推進等に向けた議論を行っているところであり、その中で、居宅介護支援事業者においてICTなども活用しながら質の高いサービスが提供されるよう、その経営状況等も踏まえた上で、ケアマネジャー一人当たりの取扱件数等も含めて検討を進めていきたいと考えています。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 大臣が先ほどおっしゃられたように、数をやはり増やしていくか、あとは実際プランの増額をするか、本当にこの二つしかないと思いますので、これは含めるということなので、是非検討していただいて、ケアマネジャーの独立性であったりとか、今担い手が少ない、こういった問題を一つでも解消できるんじゃないかなというふうに思います。

 次に、延命治療のところ、確認したいんですけれども、現場でもいろいろ、日々いろいろな問題が起こる中で、実際、身寄りのない方が自宅にいて、事前に本人の意思の確認ができず病院に運ばれるケースがあると思います。

 その中で、今問題になったりしているのが、実際、身寄りのない方で後見人がいない方で、ケアマネジャーがいつもそばにいる。この中で、病院に運ばれて、その患者の方が死亡された後に、ケアマネジャーがその同意書にサインをしているケースがあります。身寄りがない、本人も意思確認できない、そういった中で、会社側に医療費として請求があるケースが出たりしています。

 こういった中で、事前に本人確認もできない、治療方針についても誰が責任を持っていくのかということが問題になったりしているんですけれども、この状況について今後どうしていくのかということを、例えばガイドラインも含めて確認できるのであればそういうふうに進められると思うんですけれども、その辺り、大臣としてどのようにお考えか、お尋ねします。

武見国務大臣 委員御指摘の家族などがいない方を含めて、人生の最終段階における医療、ケアに関する本人の意思決定支援が適切に行われることは、これも極めて重要であります。

 このため、厚生労働省ではガイドラインを作成をいたしまして、この中で、本人や家族などが医療、介護などの多くの専門職種から構成される医療、ケアチームと十分に話合いを行うことや、仮に本人の意思確認ができず家族等がいない場合でも、医療、ケアチームにおいて本人にとって最善の方針を取ることを基本というふうに定めております。

 また、ガイドラインに沿って実践できるよう、厚生労働省において、医療、ケアチームを対象として、様々な事例を想定したグループワーク等の研修を行っているところであります。

 引き続き、これらの取組等を通じて、人生の最終段階における医療、ケアに関する意思決定支援が適切に行われる体制の構築に努めてまいりたいと思います。

遠藤(良)委員 分かればでいいんですけれども、例えば、先ほどお話ししたように、身寄りがなくて、急に急病で緊急搬送される、その中で、入院は必要になってくると思います。救急車で運ばれて、病院のところで入院の同意書を書かないといけない。このケースで、実際、本人の意思確認もできない、事前にもそういった同意書も取れていない、こういった場合、実際、誰がこのサイン、例えばケアマネジャーがその書類にサインをしてしまった、先ほどのケースで、会社側に請求が来る、この状況が今実際現場では起こっているんですけれども、これは実際、分かればでいいんですけれども、どういう対応をしていけばいいのか、お尋ねしたいと思うんです。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 今のような個別ケースでございますけれども、病院が関わっている場合ですから、多分、医師が中心となって判断をするものというふうに思料されます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 医師が判断をしていくということなんですけれども、いろいろな介護事業所の、こういう問題があるんだということをお伺いしていると、実際そういうケースがほとんどあるんだということで、先ほども、事前にそういうチームをつくって、こういう場合はこういうふうにしていくということを、理想はそれができればいいんですけれども、実際、現場はお客さんが亡くなるときまでの話をなかなかしにくいということがありますので、そういう意味では、しっかりとそういう形で厚労省側としても発信をしていただきたいなというふうに思います。

 少し時間がなくなってきたので、ちょっと一問飛ばさせていただいて、介護保険制度の持続可能性のところを最後に質問したいんです。

 厚労省は、六十五歳以上の、報道でも出てきましたけれども、四百十万円以上の保険料を増額する案の検討というところなんですけれども、六十五歳以上の全加入者の四%に当たる百四十万人がこの対象だと。一方で、増収分は、全世帯が、市町村の非課税世帯になっている低所得者層一千三百万人に対して増額分の保険料の引下げに充てるということなんですけれども、これは見直しの趣旨であったり、増額分を下げたとしても、この持続可能は担保できるのかというのと、あとは、一方で、現役世代の負担に配慮していくべきだと思うんですけれども、この辺りを含めて尋ねたいと思います。

間政府参考人 お答えいたします。

 まず、現役世代と高齢者の関係で申し上げますと、これは委員御承知だと思いますが、介護保険は保険料と公費で五割ずつというのが基本で、その保険料負担につきましても、六十五歳以上の一号被保険者と四十歳から六十四歳までの二号被保険者の負担を人口に応じて按分するということなので、高齢者の方が増えてくるとその部分の割合が増える、こういう構造で、人口構成の変化も制度上織り込んだものになっております。

 今回、介護保険部会で議論しておりますのは、こうした中でも、高齢化に伴い、介護給付費の増加が見込まれますので、介護保険料自体も今後更に上昇していくことが見込まれる。しかし、その中で、一号被保険者の中で所得再分配機能を強化するという観点から、今お話のありましたような点についても議論をしていただいているというところでございます。

 その詳細につきましては、また年末までに向けて詳細を詰めてまいりたいというふうに考えますが、繰り返しになりますけれども、今回の話は、そういう人口構成による変化に対応できるようになっているという前提の中での一号被保険者の話で、そういう意味では、二号被保険者は制度的にある程度配慮されている、このように御理解いただければありがたいと思います。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。時間になりましたので、終わります。

田畑委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。

 本日は、厚生労働委員会にて初質問のお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。二十五分間、よろしくお願いいたします。

 参考資料としまして、二〇二三年十一月四日の新聞記事を配付しております。

 さて、本日も介護職に関して各委員から質問がございました。日本は急激な少子高齢化が進み、人口減少に陥っています。様々な業種において人手不足問題は深刻化しています。その労働力として使われてしまっているのが外国人技能実習生の労働に関して、これまでも社会問題として大きく取り扱われてまいりました。そこで、ようやく制度の見直しが動き出しています。

 日本では、超高齢社会になくてはならない介護現場において、外国人技能実習生が労働力として大きな割合を担っている現実があります。また、全国各地での産業の人材不足を担い、支えている実態があります。しかし、その一方で、過酷な労働、劣悪な環境や賃金の未払い等、人権侵害や法違反も発生しており、社会問題として大きな影を落としていることもあります。

 昨年の予算委員会第三分科会において当時の法務大臣にこの問題を質疑いたしましたが、外国人技能実習法は法務省とともに厚生労働省の所管ですので、本日、改めて、外国人技能実習制度及び特定技能制度の在り方と新制度案に関して質問をさせていただきます。

 まず、外国人技能実習制度については、政府は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術、また知識の開発途上国への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的としていると繰り返し述べていらっしゃいました。しかし、現在、このような国際貢献という目的は建前となり、実際には、日本社会において技能実習生がいないと成り立たない分野や業種も多く、人材確保が目的となっています。このような本音と建前が大きく乖離していることに当たり、制度の現状を見直す方向で議論が進んでいます。

 現行の技能実習制度を発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設するということですが、技能実習制度はそもそもどのような目的なんでしょうか。また、現行技能実習制度を発展的に解消という言葉がありますが、どのような新制度にしていこうとお考えでしょうか。大臣、お願いします。

武見国務大臣 技能実習制度の在り方について、過去については委員も御指摘のとおりでありますけれども、現在、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議というところで、その内容について改めて議論をしていただいているところです。

 有識者会議では、国内の人手不足が深刻化して、外国人が日本の経済社会の担い手となっている実情が現実にある中で、日本は外国人材の確保について正面から検討すべき段階に来ていること、それから、他方で、現行の技能実習制度については、転籍や監理団体による監理、支援の在り方などに関する問題も指摘されていること、このような中で、国際的にも理解が得られ、日本が外国人材に選ばれる国になるようにするとの考え方に基づいて、人材確保及び人材育成を目的とする新たな制度を創設する方向で検討が進められているところでございます。

 厚生労働省としても、この有識者会議の議論を踏まえて、制度の在り方を考えていきたいと思っております。

岬委員 ありがとうございます。

 もちろん、おっしゃるとおりだと思います。人材確保がより一層困難な地方ですとか業種、業界で、日本の地方を支え、人手不足が死活問題となりかねない業種を救えるように、外国人を働きやすくするために技能実習制度を見直していただきたいと求めます。

 また、給料が安過ぎる、そして、仕事がきつくて日本人がやりたがらない業種、敬遠する職種、このような労働条件や環境を整えた上で、外国人を活用することもできるのではないでしょうか。意義ある見直しを是非ともお願いします。

 なぜならば、技能実習生は昨年だけでも約九千人の失踪があったということです。日本の土地カンも言葉もままならない外国人が職場から逃げ出してしまうというのは、これは制度として重大な欠陥があると思わざるを得ません。今回の制度見直しによって、このような技能実習生の失踪、あるいは人権侵害事件等はどのように改善されて、そして減っていくとお考えでしょうか。

武見国務大臣 御指摘のとおり、令和四年度で技能実習生九千名が失踪しております。こうした事態は、極めて受け入れ難い状態にあるということは私も深く認識をしているところであります。

 この上で、御指摘のような課題を改善するための方策について、現在、有識者会議において、最終報告書の取りまとめに向けて御議論をいただいているところでございます。

 厚生労働省としても、有識者会議での議論を踏まえて、御指摘の失踪であるとか、それから人権侵害事案を防止するための方策を含めた具体的な制度の在り方について、関係各省と連携をしながら検討を進めていきます。

岬委員 ありがとうございます。

 とはいいましても、劣悪な労働条件や虐待があったという事例も報告されています。日本人より安い賃金で働かせるであるとか、残業させて賃金が未払いであるとか、人権侵害は、あってはならないし、許されないことでございます。

 言葉の壁を越えて相談できる体制ですとか、外国人が日本で生活する上で必要な情報へのアクセスの方法であるとか、また情報が入手できる援助、未払い賃金があった場合にはそれを回収して受取ができるということや、また、職場移転のサポート体制、書類作成の援助なども必要だと考えます。

 現行制度においてもやむを得ない事情があれば転籍は認められているにもかかわらず、監理団体への相談ですとか、支援体制が実質機能していなかったというようなことも考えられ、指摘もあります。そのため、転籍の要件緩和が新制度案の大きな焦点の一つであると考えます。

 では、次に、転籍についてですが、配付資料を御覧ください。十一月四日の東京新聞と中日新聞の記事でございます。

 技能実習制度見直し案について載っていますが、地方を中心に人手不足が深刻化している現状において、これまでの原則三年は不可であったものが、新制度案では一年で転籍が容認される方向が示されたことにより、現場からは大きな不安や懸念の声が上がっております。

 例えば、地方の人手不足を下支えしている外国人技能実習生が、転籍の条件緩和によって、都会の方が賃金設定が高く、都会生活を望むという傾向があるため、都会へ人材流出が想像できる、地方での人材確保が更に厳しくなるのではないか。二つ目に、最初の受入れ企業からすると、企業は教育であるとか多額のコストを負担して、それが残ったままになってしまうのではないか、一年では回収ができないという悩みが出てきます。さらには、日本語が堪能でない外国人が悪質ブローカーのような人たちにだまされたり、不利益を被る危険も考えられます。

 このような意見に対して、どのように払拭していこうとお考えでしょうか。お願いします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の本人の意向による転籍につきまして、十月二十七日の有識者会議に提出されました最終報告書のまだたたき台でございますが、その中では、同一の受入れ機関において就労した期間が一年を超えていることなど、一定の要件の下で認めることが議論をされております。これは、人材育成の実効性を確保するための一定の転籍制限を残しつつも、人材確保も目的とする新たな制度の趣旨を踏まえて盛り込まれているものと承知をしております。

 一方で、御指摘のような懸念点につきましては、これまでの有識者会議の中でも意見として示されてきておりまして、これを踏まえて、同じ二十七日の最終報告書のたたき台の中では、新たな制度では、人権の保護を前提とした上で、地方における人材確保も図られるようにするですとか、転籍前の受入れ機関が負担した初期費用などについて両者の不平等が生じないための措置を講ずることとすることですとか、悪質な民間職業紹介事業者などが関与することで外国人や受入れ機関が不利益を被ることがないよう必要な取組を行うことなどについても議論されているところでございます。

 現在、有識者会議で議論中でございますが、私どもとしましても、今後取りまとめられる最終報告書の内容も踏まえまして、関係省庁とも連携をしまして、引き続き検討してまいりたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 いろいろな対策が練られていることはこちらも理解をしております。ただ、有識者会議の最終報告案では、全職種にわたって、大まかで、具体的な記載が余りないという指摘があります。さらに、実際の制度設計がどうなっているのか、どのように制度移行がされるのか、曖昧で分かりづらいと現場からは不安の声が聞かれています。

 有識者名簿を確認してみますと、介護現場に精通している方は入っていないのではないかというふうに声が上がっておりまして、私も名簿を確認しておりますが、確かに一理あるなというふうに感じております。

 特に、厚生労働省所管の介護職種において現在雇用している技能実習生であるとか、入国前の技能実習候補生の移行はどうなるのでしょうか。また、新制度でどのように変わるのか、できるだけ具体的にお答えいただきたいと思います。お願いします。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 有識者会議に提示されております最終報告書のたたき台、こちらでは、見直しの方向性としまして、例えば、先ほど統括官が答弁申し上げたもの以外にでも、外国人材に日本が選ばれるように、キャリアパスを明確化して、新たな制度から特定技能制度へ円滑に移行を図ることでありますとか、外国人材の日本語能力を段階的に向上する仕組みを設けるなどによって、外国人材の受入れ環境を整備する取組と相まって、外国人との共生社会の実現を目指すことなど、介護分野にとっても大変重要な御議論がされていると受け止めております。

 こうした新制度の議論に加えまして、技能実習制度における介護分野の固有の要件につきましては、現在、制度の施行から一定期間が経過したことも踏まえまして、私どもの方で外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会というのを開催しまして、そこで、技能実習「介護」等の人員配置基準など、主な論点について、中心に議論を行ってございます。

 この検討会におきましても、新制度の議論の状況を報告させていただきながら御議論をいただいておりますとともに、介護現場の実情や関係団体の御意見も伺いつつ、検討を進めているところでございます。

 引き続き、しっかりと私どもも議論をしていきたいと思います。

岬委員 ありがとうございます。

 御答弁はいただいておりますけれども、一向に具体性は何も見えてきていないですし、円滑な移行というのは、では、どのようにしたらその円滑な移行が実際にできるのかという内容を聞きたいわけですね。

 次に、介助の内容についてですけれども、介護職の技能実習生に関しては、ガイドラインなどによりまして、教育内容としては、食事ですとか排せつの介助が挙げられています。また、特定技能にも介護職があることから、継続的にキャリアを積むことが望ましいと考えます。

 新制度から特定技能一号への移行はどのような条件になるのでしょうか。これがまず一点です。

 もう一つ、さらに、現場では、服薬の介助に関しまして現在は認めていないということで、日本人の介護職人材が結局必要になる、負担になっているというのが現状です。先ほどの御答弁にもありましたように、配置基準の見直し、ここもしっかりと行っていただきたいと考えます。

 今後は服薬の介助を可能にしてほしいという現場からのニーズが高く、要望があります。是非前向きに検討していただきたいですが、この点はいかがでしょうか。併せて御答弁ください。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 技能実習制度は、本国への技能移転という制度趣旨に基づいて、技能移転の対象となる技能実習生の業務範囲を必須業務、関連業務及び周辺業務に区分して規定しておりまして、必須業務として、どの技能実習生も実施する身体介護業務を位置づけ、関連業務、周辺業務として、身体介護以外の支援等、必須業務に関連する技能の習得に係る業務等を位置づけております。

 技能実習制度における服薬介助の取扱いにつきましては、二十七年に行っておりました私どもの方の検討会におきまして、介護事業所等から適切な実施が難しいといった趣旨の御意見が示されたことなども踏まえまして、現在、これらの技能実習生の業務には位置づけていないということでございます。

 この服薬介助の取扱いなど、技能実習制度における介護分野に固有の要件につきましては、現在、先ほどもちょっと申し上げましたが、検討会を改めて開いてございまして、そこで主な論点を中心に議論を行っているところでございます。

 引き続き、介護現場の実情、あるいは関係団体の御意見を伺いながら議論を進めてまいります。

岬委員 ありがとうございます。

 やはり、現場の声というのをしっかりと聞いていただいて、それを反映していただきたいと思います。平成二十七年からですと、またそれから随分と年数もたっておりまして、現場の状況も変わっていると思われます。もちろん、服薬ですから間違いがあってはいけません。正確に行えるということが大前提ではございますけれども、現状できないとなりますと、やはり日本人の介護職の人材がまた必要になり、そこが大変負担になっているということなんですね。ですから、極めて速やかに議論を進めていただきたいと強くお願いをしたいと思います。

 それでは、次の質問です。

 新制度によりまして、技能実習生の本人の意向によっての転籍、一年で認められるという案、懸念があるということは、先ほども質問をいたしました。条件として、技能検定基礎級、日本語能力試験N5合格となっており、これは柔軟化されるというふうに感じます。

 介護職においての語学力であるとか日本語能力は、コミュニケーションするための大変重要なツールになります。これまでの介護職種の人材には、入国時に日本語能力試験N4合格相当以上が必要な条件とされていたわけです。介護職に関しても、これから案がそのまま決まるとなると、日本語能力試験N5合格相当で同様の条件に緩和されてしまうのではないかと介護の現場からは不安の声が上がっています。こちらはいかがでしょうか。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 介護はコミュニケーションを前提として業務を行う対人サービスでございまして、利用者や他の介護職員等と適切にコミュニケーションを行うため、日本語によるコミュニケーション能力が不可欠な要素でございます。

 そのため、技能実習制度における介護分野に固有の日本語要件として、原則、技能実習一号につきましては、N4に合格している者その他同等の能力を有すると認められる者、技能実習二号につきましては、N3、それと同等の能力を有すると認められる者といった要件を定めてございます。

 介護分野に固有の要件に関しましては、先ほど来ちょっと申し上げています私どもで設けている検討会で今議論を行っております。この検討会において、日本語要件につきましても御意見をもう既にいただいておりますが、その中では、介護業務を行うに当たっては一定水準以上の日本語能力が必要であり、条件を緩和すべきでないという御意見、新制度の中で総合的に判断すべきという御意見など、様々、ちょっと今は御意見をいただいているところでございますので、引き続き、介護現場の実情、関係団体の御意見等も踏まえながら検討を進めてまいります。

岬委員 ありがとうございます。

 やはり、介護施設において介護を受ける側の気持ちになると、安心してコミュニケーションが取れる、これは非常に重要な部分になりますので、是非そこを踏まえた上で御検討を重ねていただきたいと思います。

 それでは、時間も迫ってまいりましたけれども、外国人が人材として不可欠な存在になっているにもかかわらず、今となっては、日本の労働市場は外国人には魅力がないと言われています。今日の答弁にもそのような話が出てきておりますが、実際には魅力がないと判断をされてしまっているという現実があるということです。

 さらに、円安の影響もありまして、国際的に人材獲得競争が厳しくなっているということが挙げられます。実際に人材はお隣の韓国や、また台湾にも流れてしまっています。韓国は、平和な国で、一生懸命働けば一定のお金が稼げると評価がされています。労働条件もよく、賃金も高く、人気があるということです。日本も同等以上に平和な国のはずです。なぜこんなに差が生まれてしまっているのでしょうか。

 アメリカの国務省が毎年まとめている人身売買報告書において、日本国はこれまで最高ランクの評価でした。それが、残念ながら、二〇二〇年、一段階引き下げられてしまいました。国際社会において、日本の信頼と威厳に関わる大問題ではないかと感じています。

 今や日本社会の人材不足を補う働き手となっているのが、この外国人技能実習生や特定技能外国人です。外国人の労働力なくして立ち行かないという現実があります。外国人なしに日本の未来はあるのでしょうか。労働力不足に対応して、日本の経済の底上げになる可能性も見出せるのではないか、希望が持てるのではないかとも考えられます。新制度の導入を機に、日本は諸外国の人材からまさに選ばれる国にならなくてはいけません。

 最後の質問にはなりますが、介護職に関して新制度のどの部分をもって日本で働きたいと考えてもらえるようになるのか、そして魅力のある制度になるか、大臣、御答弁お願いいたします。

武見国務大臣 新たな制度は、介護分野も含めて日本が魅力ある働き先として選ばれ、国際的にも評価されるものとする必要がございます。このため、今回の制度見直しに当たっては、有識者会議において、三つの視点に重点を置く方向で議論が行われています。

 具体的には、外国人がキャリアアップしつつ活躍できる分かりやすい仕組みをつくること、外国人の人権が保護され、労働者としての権利性を高めること、全ての人が安全、安心に暮らすことができる外国人との共生社会の実現に資するものとすることであります。

 厚生労働省としては、こうした有識者会議の議論を踏まえ、関係省庁と連携をしながら、新たな制度の在り方について引き続き検討してまいりたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。是非とも実現していくよう、よろしくお願いいたします。

 まとめになりますが、外国人技能実習生を受け入れている施設の中には、技能実習生ライフプランスケジュールというものを作成して八年間のサポート体制を実践しているという好事例がございます。実際にそのときに使われている用紙がこちらでございます。そこには、目標設定をして、介護福祉士の道ですとか、日本語能力試験のN1取得への支援等も書いてあります。

 是非、技能実習制度の見直しに当たりまして、外国人技能実習生が、単なる使い捨ての労働力ではなく、日本で共に働き、生きがいを持てるよう、よりよい共生社会になっていくことを強く求めまして、質疑を終了させていただきます。

 本日はありがとうございました。

田畑委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 武見大臣始め三役の皆さん、よろしくお願いいたします。

 今日、私は、医薬品の安定供給と、また介護人材、そして障害者福祉についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 ちょっと順番はずれますけれども、先に医療用医薬品不足、何度もこの委員会でも出ておりましたけれども、後発医薬品、ジェネリックについてお伺いをしたいと思います。

 まず、沢井製薬の件です。八年にわたり品質不正が行われていたということで、沢井製薬というと、CMでも、全てお客様のためにといって、有名な役者さんがテレビに出ておりまして、私も知っておるような会社でありますけれども、一時期はジェネリック医薬品の一位にもなった会社であります。この会社が八年にもわたり品質不正が行われていたということについて、まず大臣の所感を伺いたいと思います。

武見国務大臣 本件は、沢井製薬の九州工場における医薬品の品質試験で長年にわたり不正が行われていた事案であります。先月、同社が、外部の弁護士や専門家を含む特別調査委員会の調査結果を基に、不正の内容やその事実に至る経緯などを公表いたしました。

 二〇二一年の小林化工に対する行政処分以降、ジェネリック医薬品の不祥事が相次いでいましたが、本件もジェネリック医薬品の信用を著しく失墜する事案であり、大変遺憾であります。

 今後、本社を管轄する大阪府及び九州工場を管轄する福岡県において、更なる調査や処分方針の決定等がなされると承知をしております。

 厚生労働省としても、都道府県に対して、厳正に対処するよう指導、連携するとともに、医薬品製造業者等に対する一層の薬事監視体制の強化に取り組んでまいりたいと思います。

田中(健)委員 まさに大臣におっしゃってもらったように、二〇二〇年からこのような不正が続いてきました。もう十件以上が出ています。

 先ほど、通告なく検査も行ってきたと言うんですが、このような大手の会社の調査で見抜けなかったのかというのが疑問であります。体制管理やチェック体制、今も大変力強く、県とも連携してやると言ってきたんですが、どうしてこれが見抜けずに、長年にわたりこのように不正が続いてきたんでしょうか。

武見国務大臣 医薬品製造業者による不正事案については、製造記録上は承認書どおり製造したかのように意図的に偽造されていたために、定期的に通告して実施する都道府県の立入調査で検知するのは困難であったものと推察されます。

 不正事案に対しましては、これまでも厚生労働省では、通告なしでの立入検査の実施を強化するとともに、検査を行う都道府県調査員に対する各種研修の充実等に取り組んできたところでございます。

 今後は、PMDAが都道府県と合同で通告なしの立入検査を実施する取組を拡充するとともに、互いの情報連携を強化していくことなどを通じて、全国的な監視指導体制の強化を図ってまいります。

田中(健)委員 記録が偽造されていたということですが、初めての案件ならばそれで説明がつくんですが、もう二〇二〇年から何度もこのように行われていたということでありますから、是非、今、PMDAとも一緒になって連携すると力強く言っていただきましたので、徹底的に行っていただかないと、私たち消費者としては大変に不安がつきまとってしまいます。

 そもそも、この業界の問題が放置されてきたんじゃないかという指摘もあります。例えば、共同開発の問題、さらに委受託製造についての問題が取り上げられておりますけれども、この認識と対策についてを伺います。

武見国務大臣 二〇二〇年十二月以降の後発医薬品の製造販売業者による一連の不正事案等は、共同開発を原因とするものでは必ずしもございません。ただし、その中には、共同開発した試験成績に関する資料等を十分に確認せずに申請を行った事例があるなど、製造販売業者としての責任感の欠如が指摘されるものがございました。

 こうした状況を踏まえて、二〇二一年七月からは、共同開発の際に、厚生労働省として、各製造販売業者に対し、申請資料の説明や共同開発契約書の提出を求めることとしております。これにより、各企業が責任を持って開発していることを確認するとともに、製造所における製造品目数、製造量等に見合った管理体制が確保されていることなどを確認をした上で、これらが十分でない場合には承認をしないこととしております。

 今後とも、引き続き、製造販売業者としての責任及び製造、品質管理体制の確認を含めて、適切な後発医薬品の承認審査を行ってまいりたいと思います。

田中(健)委員 私も知らなかったんですけれども、全体の四分の三が他社への製造委託をしておりますから、参入も、自分の工場を造る必要はありませんから、簡単に参入できますし、また、簡単に撤退もできる、こういうことが繰り返されてきた業界であったということであります。

 もちろん、医療用の医薬品の安定の確保という、責務というのは会社にあるわけでありますけれども、しかし、国民の健康に関わる医薬品でありますから、国も更に踏み込んだ関与というのが必要だと思っています。

 その中では、先ほど来の議論に業界再編という言葉がありまして、そこにまで踏み込んでこれから検討会において検討する、企業単位でなく品目数を併せ行うと、いろいろな議論があったんですけれども、そもそも、この答えは同じになってしまうのでいいんですけれども、産業政策としていかがだったかという観点で、最後、質問したいと思うんです。

 つまり、国は、ジェネリックの促進をどんどんと推奨をしてきた、医療費を減らす、八〇%まで行った。この政策は間違っていなかったとは思うんですけれども、しかしながら、製造能力の確保、若しくは市場を健全につくってこよう、そういった試みをしてきたのか。また、価格競争を促す政策推進を怠っていたんじゃないか。つくることを、ジェネリックを進めることはどんどんと進めてきた、しかしながらその土台ができていなかったんじゃないかという意味で、産業政策としてどのようにこの業界を、もちろん再編、多い数を減らしていくというのもあるんですけれども、これから育てていくのか、そういう視点がまず厚労省としてあるべきかとは思うんですが、大臣の見解を伺います。

武見国務大臣 医薬品の供給不安を解消するためには、品質の確保された医薬品を安定的に供給できる体制の確保が重要でございます。

 厚生労働省に設置した検討会において、少量多品目生産といった非効率な製造が行われている後発品の産業構造上の課題の解決について、業界再編も含め、品目数の適正化の推進や産業構造の在り方について有識者の皆様に現在御議論をしていただいております。

 また、医薬品の安定供給に資する流通上の仕組みの構築については、品質が確保された後発品を安定供給できる企業が市場で選ばれるような仕組み、その検討を進めております。また、企業の安定供給に関する情報や余剰製造能力の確保状況などといった情報の可視化を通じて、医療機関等に正確な情報を把握していただくことによって、安定供給の確保につながるものと考えております。

 こうした取組を通じて、国民の皆様に必要な医薬品を確実にお届けできる体制を構築していきたいと思います。

田中(健)委員 是非、促進政策のみならず、市場をしっかりと政府がつくっていく、また、しっかりと干渉して、せっかくジェネリックを増やしても、安全な薬を飲めなかったら元も子もありませんから、是非その制度改革に向けて、大臣、先頭になって取り組んでいただければと思っています。

 では、具体的に、医薬品の安定供給という話が出ましたので、不採算生産を余儀なくされるケースの支援について伺いたいと思います。

 医薬品は、御案内のとおり、薬価、公定価格が決まっていますから、メーカーが物価や輸送費の高騰さらに今の円安の影響を受けても、価格に転嫁することが実際には不可能、難しい仕組みになっております。価格が下がり切っている後発医薬品、ジェネリックを中心に、不採算の生産若しくは不採算ぎりぎりでの生産が拡大をしています。それが、今回も一つの原因ともなりました。

 この実態を踏まえて政府は、先ほどもありましたが、不採算品の再算定を実施をしたということでありますが、今年も更に物価はまた上がっていますし、更に負担というのは増えておりまして、この影響というのは継続をしています。

 ですから、一般消費財であれば、もう売れないし、また、安いものであるから取りやめるということができますが、医薬品というのはそうはいかないということで、各メーカー、不採算であっても生産を続けております。

 この急激な物価対策、そして輸送費の対策、様々、ほかの業界でもなされておりますけれども、不採算品の再算定を始めとする薬価上の措置はもちろんのこと、さらには、企業の設備投資や、また財政的な支援、そういった措置というのを講じる必要があるのではないかと考えますが、大臣の見解を伺います。

武見国務大臣 御質問の中で、ほぼ私の答弁の内容はおっしゃっていただいているようになっているんですけれども。

 医薬品の安定供給を確保して、国民が必要な医薬品を使用できるようにすることは、重要な課題であると認識しております。

 薬価制度については、薬価が著しく低額であるため製造販売業者が製造販売を継続することが困難である品目については、原価に基づいて薬価を引き上げる不採算品再算定の仕組みにより対応しております。この仕組みも活用しつつ、令和六年度薬価改定に向けて、中医協において議論をしてまいりたいと思います。

 また、今般の経済対策におきましては、現在、供給不足が生じておりますせき止め等の増産要請に応じた企業に対して、更なる増産に向けた投資を行っていただくための支援を盛り込み、補正予算においても所要の措置を講ずることとしております。

 こうした取組を始め、今後とも、あらゆる手だてを講じることにより、国民が必要な医薬品を使用できるようにしていきたいと思います。

田中(健)委員 是非、今回の不採算品の再算定、来年度、六年度も続けるということをおっしゃっていただきましたので、引き続きお願いをしたいと思います。

 さらに今度、賃金の話です。

 現在、デフレを脱却から物価高に負けない賃金をしていこうと、これは与野党を超えて取り組んでいるところでありますし、さらに、中小企業支援や価格転嫁、これも進めていこうということを政府も言っています。ここは同じ思いでありますが、医薬品については、価格転嫁を進めるどころか、不採算品が拡大をしているにもかかわらず中間年改定を実施するなど、真逆の対応を取っているんじゃないかというふうに思っています。早急に賃上げの可能な環境整備、つまり価格転嫁というのをする必要があると考えます。

 医薬品業界というのは、大手から中小、さらには、メーカーのみならず、卸の人であったりCMOを含めて賃上げというのを実施していくためには、物価高騰の影響を踏まえた価格転嫁というのを国主導で行っていくためにはどのような考えが考えられると思うか、大臣の見解を伺います。

武見国務大臣 既に答弁の中でもさせていただいておりますけれども、現行の薬価制度においては、医薬品業界の人材確保も含めた経済活動の結果である市場実勢価格を踏まえた上で薬価を改定することを基本としております。

 こうした枠組みの中で、薬価が著しく低額であるため製造販売業者が製造販売を継続することが困難である品目については、先ほど申し上げましたとおり、不採算品再算定によって薬価の引上げを行っております。

 令和六年度の薬価改定に向けて、中医協において、製薬企業等の団体を含めて関係者の意見も十分に聞きながら必要な議論を進めてまいりたいと思います。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 今、賃上げが進まないということで、医薬品卸の方からの調査をいただきましたが、今年九月に受けた、四十五社からいただいた調査によりますと、新卒がなかなか入ってこない、減少率七六%、離職も六四%。これは今、出荷調整の業務負担がとても大きくて、なかなか将来が見通せないというような声が上がっています。是非、現場の声も聞いていただき、薬価の問題だけでなく賃上げにつながるような政策をお願いしたいと思っています。

 さらに、これも橋本筆頭理事からもありました、イノベーティブな新薬の話であります。

 我が国は、世界でも有数な創薬を作れる国ということでありましたけれども、コロナのときにはワクチンや治療薬ができないということで、世界から大きく後れを取ることになりました。まさに、創薬国としては今、崖から落ちている、基盤が揺らいでいるとも言えると思っています。この創薬にかける環境整備や薬事規制緩和、薬価制度の見直し等、あらゆる角度から変革を進めていかなきゃならないということは皆同じ思いだと思います。

 資料に、医薬品の迅速、安定供給の実現に向けた総合対策に関する有識者検討会議ということで、菅原先生の方から提出された資料をつけさせていただきました。

 これは、欧州での薬価を一とした場合、アメリカ、日本の薬価を比較したものですが、御覧のとおり一目瞭然でして、日本は一より下、赤い点がありますが、米国は一より上のところにあるということで、原価計算方式で算定をされた新薬であっても、また、類似薬の比較方式で算定された新薬であっても、このように低い状況に甘んじております。

 是非、このような状況になっている要因について分析をどのようにされているのかと、あわせて、革新的な薬物、インセンティブを深めていくためにどのように他の先進国と比較して魅力ある制度をつくっていくのか、現在の制度を見直していける可能性があるのかということを大臣に伺いたいと思います。

武見国務大臣 まず、薬価制度におきまして、イノベーションを適切に評価することは重要な課題だと考えておりまして、革新的な新薬については、薬価収載時に画期性や有用性等を適切に評価するとともに、特許期間中の改定による薬価の引下げを緩和する新薬創出等加算の仕組みを設けております。また、外国の価格との関係について、薬価収載時に外国における平均的な価格との乖離が大きい場合には価格の調整を行う仕組みもございます。

 令和六年度薬価改定におきましては、これらの点を含めて、骨太の方針に基づき、イノベーションを適切に評価することでドラッグラグやドラッグロスの解消を行うことが重要と考えております。

 国民皆保険の持続性とそれからイノベーションの推進を両立しつつ、革新的医薬品が日本へ迅速に導入されるよう、イノベーション評価の在り方について、引き続き中医協で検討してまいるつもりであります。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 先ほども答弁の中で、新薬創業時加算というお話が出ましたけれども、あらゆる手段を使って、やはり日本から新しい新薬、そしてイノベーティブなものが生まれる環境というものを整えていただければと思います。

 次に移ります。介護の問題です。介護における人材不足についてお伺いしたいと思います。

 先日、新聞の記事で、地域の介護相談拠点で不足する介護人材の配置要件の緩和という記事が載っていました。地域包括支援センターが対象ということであります。現行のルールというのは、主任ケアマネジャーと保健師さんと社会福祉士さん、三種の人材を置くのが配置基準の基礎とされておりますけれども、この主任ケアマネの方を、一定の基準を満たせば資格者と同じようにみなす、経験年数などを具体化することが想定をされて、今、議論が始まったという記事でありました。

 地域包括支援センターは、確かに主任ケアマネが足りないということも聞きますけれども、しかし、他の分野でも同じように配置基準というのは大変に厳しく、特に資格者の取り合いということが各事業所で言われています。今回のように、資格がなくてもというよりも、資格に準ずるような年数を重ねたベテランの人たちが同等に、同じような資格者と認めていくような、これから緩和というのを全体として厚労省は進めていくというような方針を掲げたのかどうか、大臣にお伺いいたします。

武見国務大臣 人材確保が難しい現状におきまして、有資格者の専門性を効果的、効率的に生かしていくということは極めて重要な課題であると認識をしております。

 このため、議員御指摘のように、資格の有無に代えて経験を評価することなどにより、幅広い人材登用や異なるサービス間での兼務を可能としたり、専門職に求められている業務自体を効率化することなどが重要と考えます。

 引き続き、専門職の確保、育成に取り組みつつ、限られた人的資源を有効活用する観点から、業務の実態に即した配置基準の見直し等に取り組んでまいりたいと思います。

田中(健)委員 是非、柔軟な対応を求めていきたいと思います。

 特に今、今回は地域包括支援センターということでありますが、地域包括は小さい自治体だと一か所しかなかったりしますので、今回の具体的な内容を見ますと、主任ケアマネが複数のセンターを合算して一人で配置できると。例えば、三つ地域包括をやっていたら一人の主任ケアマネでいいということを進めているようでありますけれども、であるならば、主任ケアマネが必要なのは地域包括だけではなく、居宅介護支援事業者、民間ではありますけれども、これなどにも管理者として必要とされます。このような居宅介護事業者も、幾つか事業所を持ちながら、しかし、今は一か所ごと全部、主任ケアマネを置かなきゃならないということでありますから、地域包括ができるのであれば、そのように民間にも広げるような検討をしていただきたいと思っています。

 引き続き、主任ケアマネという話が出ましたので、ケアマネジャーについてもお聞きをしたいと思います。

 今日は各委員から様々な視点でケアマネジャーについての課題が出ました。特に伊佐理事からも、ケアマネの更新研修は高いという話が冒頭から出たのを覚えていますが、六万円も差があるということで、先ほどの答弁では、研修支援事業等を活用してその差額を少しでも縮めていけばいいという話だったんですけれども、そもそも、これだけの差があるのがおかしいんじゃないかと思っております。

 ケアマネジャーというのは介護保険を使った事業でありますけれども、これは国家資格ではないんでしょうか。まず、お伺いします。

武見国務大臣 ケアマネジャーは業務独占や名称独占とはなっておらず、また、都道府県が管理する資格となっておりますけれども、介護保険法に位置づけられた資格でございます。このため、法律に規定された国家資格に位置づけられているものと承知をしております。

田中(健)委員 是非、国家資格であるならば、今おっしゃってもらった、介護保険を使って担う仕事ですから、国が地方の様々な偏在を直す指導をするべきであると思っています。

 特に、先ほど来出ていた更新研修、実質五年といいながら、最初の三年はなかなか受けられずに残り二年で受けているのが現実でありまして、その中でも、各県によって、年に一回しかない、その一回を逃してしまうとあと一回しかないということで、大変に皆さん、切迫した中でその試験を受けています。

 まず、今、国家資格に準ずると言ったんですけれども、他の国家資格とは異なり、ケアマネジャーだけが資格の更新五年というものを定めている、しなければならないという根拠、理由をお聞かせいただければと思います。

間政府参考人 制度のことですので、私からお答えいたします。

 ケアマネジャーの資格の更新制度につきましては、専門性の確立の観点から二〇〇六年度より導入されたものでございまして、更新のための研修はケアマネジャーの資質の確保、向上に重要だ、このように考えております。そういう観点から導入されたものと考えております。

田中(健)委員 確保、教育から必要だといえば、ほかの業種ももちろん確保は必要ですし、もちろん研修も必要であるのに、ケアマネだけが五年間あるんですね。

 別に私、なくせとまでは言わないんですけれども、これによって様々な弊害が生まれていまして。つまり、更新をきっかけに辞める人がいるんですね、受けられなかったということで。そして、一度更新を受けないと、また初任者研修から受けなきゃいけないということで、ほとんど続かないということでありますし、また、資格期限切れの方は、例えば看護師とか保育士さんであれば、今人材不足であって、そして、戻ってきてくださいというような、厚労省は進めているかと思うんですね。もう一度やりましょうという、また、人材バンクのようなものをつくっているんですけれども、それがケアマネさんはできないんですね。一度資格をなくしてしまいますと、もう一回一から同じような初任研修を受けなきゃいけませんから。

 ですから、もちろん、様々な介護における技術やまた知識というのは、研修は必要だと思っていますし、それは否定するものではないんですけれども、しかし、そうであるならば、看護師さんも保育士さんもいろいろな、変わる情勢の中で必要な研修というのがある中、やはり五年の研修というのは一つ大きなハードルになっているんじゃないかと思いますが、大臣、見解、どうでしょうか。

武見国務大臣 講習、研修を含めて、法定研修の受講料や回数などは、資格を管理する都道府県において定められておりますけれども、ケアマネジャーの法定研修が円滑かつ適切に実施されるように、地域医療介護総合確保基金の活用を含めて、都道府県とよく連携をしていきたいと思います。

田中(健)委員 先ほどは国家資格に準ずると言っておきながら、資格を管理する都道府県と言ってしまうと、何か無責任になってしまいますので、やはり国として、厚労省としてしっかりとした方針を持ってもらいたいと思いますし、若しくは、研修をするならば、中身と待遇の改善というのは必要だと思っていますし、今の現場からは、自治体ガチャという言葉も出てくることで、この自治体では安いし、年に二回も受けられるし、しかし、隣の自治体では年に一回で、六万円も負担がかかるというようなことがやはりあってはならないと思いますので、このようなローカルルールを少しでも改善できるように、県とも、また自治体とも連携をして改善に努めていただきたいと思っています。

 そうでないと、先ほど人材不足の話もありますが、ケアマネジャーさんは大変に不足をし、さらに、本来は、介護士さんからステップアップをして、ケアマネジャー、主任ケアマネということで、様々な仕事ができる業種ではあるんですけれども、その確保が難しくなってしまうと思いますので、是非検討をお願いをしたいと思います。

 それでは、障害福祉人材についてお伺いいたしたいと思います。

 今、障害福祉サービスを提供する事業所、ここでも人手不足が大きな問題になっています。どこの分野でも深刻であるんですけれども、この分野も大変に深刻であります。

 職業紹介実績によりますと、福祉全般では、今、有効求人倍率が四・五であるのに、障害福祉は六・五六というようなことであります。

 全国の障害者の作業所などがつくる団体のきょうされんさんが、グループホーム、就労サービス事業などを六月から八月に調査をしましたが、昨年、職員を募集した八百四十四の事業所で二千六百十七人募集しましたが、採用は千五百人、充足率は五〇%強だということであります。

 この要因というのは様々言われております。少子高齢化に伴う若い人の人口減、人手不足。しかし、そもそも国の障害福祉予算が極めて低いんじゃないかとも言われています。国にそれを言いますと、障害者自立支援法の施行から三倍増えていますという説明を受けるんですけれども、しかし、利用者が急増している中で、各国の比較を比べますと、やはり、OECDの中で日本だけこの二十年間、〇・七から一・一と、三十年間給料が上がらなかったと同じように、低水準で推移をしています。一方、OECDの比較をしますと、二%以上という国であります。

 世界に対して障害者福祉に係る公的支出というのは低いのではないかという認識は大臣にはおありでしょうか。伺います。

武見国務大臣 障害福祉関係予算につきましては、御指摘のとおり、サービスの充実や利用者の増加などの要因により、平成十八年の障害者自立支援法施行時から三倍以上に増加をしています。

 障害福祉等の公的支出に関する国際比較については、各国の障害福祉制度や社会的背景の違いなどがあることから、単純に比較することは難しいと思います。

 いずれにしても、障害者が本人の希望に基づいて安心して地域で生活できる社会を実現することは大変重要であると認識をしておりまして、引き続き、障害福祉サービスを必要とされる方への適切なサービスの提供に努めてまいりたいと思います。

田中(健)委員 確かに、単純に各国と比較をするだけでは意味がないと思うんですけれども、二〇一八年の厚労省が提出しております一般労働者の産業別の賃金水準データによりますと、全産業の平均三十一万なのに対して、障害福祉関係職員というのは全産業の最低の二十三万という低水準です。この水準で、若い人に、将来、ここで働いて、結婚して、そして家庭を築いてという、なかなかその絵が描けないという水準だと思います。これで職員の確保というのは難しいとは思わないでしょうか。大臣、御感想をお願いします。

武見国務大臣 昨今の賃上げの動向であるとか人手不足の状況を踏まえれば、障害福祉分野における賃上げを始めとする人材確保への対応は重要な課題であると私も認識しております。

 このため、今般の経済対策においても、障害福祉分野等において、喫緊の課題に対応するため、人材確保に向けて賃上げに必要な財政措置を早急に講ずるとされておりまして、これを速やかに対応してまいりたいと思います。

田中(健)委員 低いと思っていらっしゃるということで、更に賃上げをしていきたいという思いはあるんですけれども、やはり全体としての障害者施策予算が少ないという水準がありますので、きょうされんさんなどは、二%の水準までまず持っていって世界水準にしてほしい、そこから人材育成また人材確保してほしいという声が上がっていますので、そこを要望させていただきまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田畑委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

田畑委員長 速記を起こしてください。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 今朝からの議論を聞いていまして、一点だけ私から申し上げておきたいことがあります。

 阿部知子議員とのやり取りで、旧優生保護法の強制不妊手術に関わる問題で、所管外だ、こういう冷たい一言の答弁があったわけでございますけれども、これは立法府の誤りであると同時に、厚生行政の誤りでもあるわけですよね。これは、立法府も自ら正していかなければならない問題ですけれども、厚生行政の誤りを引き継いでいるのは厚生労働省なんですよ。そこの自覚がないんじゃないかと思うんですね。

 私は、この問題は、本当に政府が責任を持って速やかな解決を果たす責任がある問題だと思います。ですから、大臣、質問しませんから、今日は阿部知子議員からも、それから私、宮本徹からも、この問題は政治決着すべき問題なんだ、速やかに解決しなきゃいけない問題なんだ、こういう指摘があったということを岸田総理に伝えていただきたい。よろしいですね。

 はいと言っているので、質問せずに進みたいと思います。

 それでは、まず、通告しております地域医療機能推進機構、JCHOの問題についてお伺いしたいと思います。

 通常国会で、軍事費倍増のために国立病院機構やJCHOの積立金を召し上げる、こういう法案が強行されました。JCHOの積立金のうち三百二十四億円、これが召し上げられるわけですが、法案審議の際、政府は、JCHOなどについて余力があるといって、この法案を強行したんですね。

 今、何が起きているのか。十月、JCHO本部が、今年の賃金引上げについて、人事院勧告の引上げ額を半額にするということを言ってきたということなんですね。これまで、JCHOは発足以来、賃上げは人事院勧告に合わせてずっと上げてきたわけですが、初めて人事院勧告並みの引上げができない、半分しか上げられない、こういう事態が生じているわけです。

 今日、資料を配っています。これは今年の二月の予算委員会で配った資料ですけれども、元々、JCHOの理事長は、積立金を国が召し上げることについては反対だったわけですね。改修や老朽化対策をしなきゃいけない、今ある積立金でも足りないんだと言ってきたにもかかわらず、持っていこうとしているわけですね。

 JCHO本部は、直近の労組との団体交渉でも、新築は一棟当たり百億円かかるんだ、五百六十五億円の積立金でも足りない、こう言っているわけですよ。政府の国会答弁とJCHO本部が労働組合に対して言っていることが全く違うじゃないですか。

 大臣、人事院勧告の半分しか賃上げができない、こういう経営状況というのは、余力があると言えるんですか。

武見国務大臣 今般の地域医療機能推進機構等の積立金の国庫納付につきましては、防衛力を維持強化していくに当たって、国民の負担をできるだけ抑えるべく、あらゆる工夫を行うという政府の方針に対し、御協力をいただくこととしたものでございます。

 積立金の原資については、機構の中期計画において、将来の投資、これは病院建物の整備、修繕、それから医療機器等の購入等及び借入金の償還に充てることとされており、直接処遇改善の原資とすることはないものと承知しております。また、これまでも累次の処遇改善は行ってきたものと承知をしております。

 その上で、独立行政法人制度においては、法人の自主性、自律性を尊重した業務運営が基本とされ、給与等の支給基準も、法人が業務の実績等を考慮して定めるものとされています。

 厚生労働省としては、今年十月に、人事院勧告を踏まえ適切に対応するよう要請しているところでございます。

宮本(徹)委員 余力があると言えるのかということを私は聞いたんですよ。

 積立金が足りなければ、当然、利益の中からまた積み立てていこうということになって、人件費に回らなくなっていくわけですよね。積立金が足りないといって人件費を抑えにかかってきているわけですから、そういう事態が余力があるのか。余力があるという認識が間違っていたんじゃないかということを聞いているんですよ。その点だけお答えください。

武見国務大臣 先ほどもお答えしたとおり、積立金の原資については、機構の中期計画において、将来の投資、病院建物の整備、修繕、医療機器等の購入等及び借入金の償還に充てることとされておりまして、直接処遇改善の原資とすることはないものと承知をしております。これまでもその中で累次の処遇改善は行ってきたものと承知をしております。

宮本(徹)委員 聞いたことに答えてくださいよ。余力があるのかと聞いているんですよ。積立金そのものを云々言っているんじゃないんですね。今後も、積立金が足りなくなったら、利益から積立ての方にまた回っていくでしょう、それで、利益から賃金に回らずにこういう事態が起きているんじゃないですかという話をしているんですよ。余力がないんじゃないですか。

 人勧並みに引き上げられてきたこれまでの慣行が今回の事態によって破られているわけですよ。これは余力があると言えるのかということを聞いているんですよ。そんなペーパーなんか見るから答えられないんですよ。大臣の普通の感覚で答えてくださいよ。

武見国務大臣 給与等の支払いの基準というのは機構が定めるものでございます。厚生労働省としては、機構がどのような理由で給与案を提案したのかも含めて、今年度の給与に関する労使交渉の具体的内容について把握する立場ではなく、その詳細や機構の判断に対する是非をお答えするのは困難でございます。

宮本(徹)委員 その是非を判断しろと言っているわけじゃないんですよね。余力があるといって、皆さんは積立金を召し上げる判断をした。しかし、余力があるどころか、今までどおりの賃上げもできない事態になっている。余力があるという答弁は間違いだったんじゃないのか。

 これは、委員長、ちゃんと聞いていることに答えるように指示を出してください。

田畑委員長 改めて、宮本徹君の質問に、武見厚労大臣。(発言する者あり)

 速やかにお願いします。

武見国務大臣 繰り返しになりますけれども、独立行政法人制度においては、法人の自主性、自律性を尊重した業務運営が基本とされておりまして、給与等の支払い基準も法人が業務の実績等を考慮して定めるものとされています。

 厚生労働省としては、今年十月に、人事院勧告を踏まえて適切に対応するよう要請しているところでもございます。

 そして、なお、給与等の支払い基準は機構が定めるものでありまして、厚生労働省としては、機構がどのような理由で給与案を提案したのかも含め、今年度の給与に関する労使交渉の具体的内容について把握する立場ではありません。その詳細や機構の判断に対する是非をお答えするのは困難であります。

宮本(徹)委員 私の質問に一向にお答えにならないんですよね、ただ時間を潰される答弁ばかりされて。本当は質疑を止めてもらわなきゃいけないような答弁ですよ、昨日ちゃんと言っているんですから。余力があるのかどうか、この答弁、どうなのかということについて言っているわけだから。

 さすがに、答弁として、余力がありますということは大臣も答弁できないわけですよ。今、岸田政権は、三十年続いたコストカット型経済から転換するんだ、賃上げを持続させていくんだ、こう言っているわけでしょう。このときに、賃金が今までよりも上がらない、ペースダウンをさせているのは、今回の、皆さんが行った積立金を召し上げるということなんですよ。言っていることとやっていることが全然違うじゃないですか。これはちゃんと責任を取ってもらわなきゃ困りますよ。

 いいんですか、こういう、岸田政権と違う事態を自分たちで引き起こしておいて。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 経営上の一定の余力があるものと考えられるというのは、施設整備等について、繰り越された積立金の多寡にかかわらず、これまでも、診療報酬等の自己収入等を財源といたしまして、機構の中期計画に位置づけられた整備計画に基づき、この業務を、いわゆる病院業務を計画的に取り組まれてきたものというふうに承知しておりますので、そういう解釈でございます。

宮本(徹)委員 施設整備のために賃金が上げられなくなるというのは、どう考えても余力なんてないわけですよ。これは、ちゃんと次の委員会で、次は法案審議か、その先でまた聞きますので、整理しておいてください。よろしいですね。

 続きまして、医師の働き方改革についてお伺いしたいと思います。

 来年四月から、医師の働き方改革として勤務医の時間外労働の上限規制が始まります。宿直や日直を労働時間とみなさなくてよい宿日直許可というのが急増しております。昨年の許可件数は一千三百六十九件と、二年前の十倍ということになります。

 そこで、何が起きているのか、配付資料の四ページ目を見ていただきたいと思いますが、急患、夜間に二十六人、朝四時にやっと仮眠室に入れた、こういうものでも宿日直許可が出ているという話なんですね。

 宿日直許可の基準でいえば、宿直の場合は夜間に十分な睡眠が取り得るもの、その上で、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等を行うことということで、極めて限定的な場合にしか宿日直許可というのは本来出されないはずなんですね。

 これは大臣にお伺いしますけれども、夜間に急患を二十六人も診て、朝四時まで診続けている、こういうのは宿日直許可の基準を満たしているとは到底言えないと思いますが、大臣、いかがお考えですか。

武見国務大臣 医療機関における宿日直許可については、特殊の措置を必要としない軽度、短時間の業務や、夜間に十分な睡眠が取り得る業務など、宿日直許可基準に適合しているものに限って労働基準監督署が許可の判断を行っております。こうした許可基準に適合していなければ、許可することはありません。

 個別の事案についてお答えすることは差し控えますけれども、一般論として、宿日直許可の趣旨に反して通常の勤務時間と同様の業務に従事することがあった場合には、その時間を通常の労働時間とし、時間外労働に対する割増し賃金の支払い義務などが生じることとなります。

 そのような義務が果たされないなど、宿日直許可の不適正な運用により労働基準関係法令違反が疑われる場合には、労働基準監督署において適切に対応していきたいと思います。

宮本(徹)委員 これはどう考えても基準を満たしていないわけですから、本来、これは許可を取り消さなきゃいけないような場合だと思うんですね。

 この記事で書かれているお医者さんは、労基署は病院の実態をよく把握せずに許可したのではないのか、長時間労働の医師が患者を治療すれば事故も起きかねない、こう指摘しているわけです。この記事を載せたら反響メールがいっぱい来たということが朝日新聞には書かれておりました。

 資料の五あるいは六も同様の話が書かれているわけですね。これは宿日直許可を申請する際の話ですね。

 資料五、労基署の担当者に業務日誌を見せると、救急車の受入れ数がちょっと多い、もっと診療時間を短くしてくださいと指摘され、診療時間から検査結果の待ち時間を除き、救急車が少ない季節を選んで日誌を提出すると許可が下りたと。

 それから六ページ目ですね。申請に当たっての調査で、宿日直中の業務も急患対応以外は書かないでくれという指示があった、通常は一晩に急患を十人ほど受け入れているが、コロナクラスターの影響もあって調査時期は二、三人、この内容で労基署に提出し、許可が出たと。

 これも新聞記事で書かれている話ですけれども、大臣もこういう話を聞いているんじゃないですか。医療関係者の話では、実態を反映しないような報告をせよという話がごろごろあるわけですよ。宿日直許可がかなりいいかげんに出されているんじゃないか、こういう話、御存じなんじゃないですか。

武見国務大臣 医療機関における宿日直許可については、特殊の措置を必要としない軽度、短時間の業務、夜間に十分な睡眠が取り得る業務など、宿日直許可基準に適合しているものに限って労働基準監督署が許可の判断を行っております。許可基準に適合しなければ許可することはなく、全ての病院について改めて確認することは考えておりません。

宮本(徹)委員 これから確認することはしませんなんということを言うわけですけれども、これは記事に書かれているだけでも幾つも出ているわけですよね。厚労省は、宿日直許可を出すことを前提に、形だけの調査しかしていないんじゃないかということが現場から指摘されている。同様の話はいっぱい私どもは聞いております。

 何でそんなかたくなに調査する気はないという話をされるのかよく分からないんだけれども、これだけたくさん指摘されておいて調査をしないというのは、何か理由があるんですか。

武見国務大臣 労働基準監督署が適切に宿日直許可の判断を行えるよう、令和四年六月に厚生労働省から各労働局に対して参考事例の周知を行っているほか、宿日直許可に関わる処分の判断について、斉一的に対応するよう徹底を指示しております。

 その上で、宿日直許可の不適正な運用により労働基準関連法令違反が疑われる場合には、労働基準監督署において適切に対応してまいりたいと考えます。

宮本(徹)委員 これだけたくさん報道されているのに対して、何の対応も取っていないということですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣が答弁申し上げたように、私ども労働基準監督署におきましては、許可基準に従いまして、実態を調査した上で、許可基準に該当する場合に許可を行っているところでございます。

 仮に、許可を受けた病院におきまして、許可基準、許可の基準に反するような形で通常の勤務と同様の勤務が行われた場合には、その勤務につきましては、通常の労働時間としてカウントして取り扱うということに取扱いがなるわけでございます。

 仮に、通常の労働時間として扱わずに、これがカウントされていないというような実態につきましては、先ほど大臣が申し上げたように、個別に労働基準監督署が調査を行いまして対応するということでございます。

宮本(徹)委員 その対応が間違っているんじゃないですかね。

 そもそも許可の基準を満たしていないものに許可が出ているんじゃないのかという告発がたくさん寄せられているわけですよ。一回許可を出していて、そこは通常の労働だから、それは労働時間とその部分だけカウントしてくれ、そういう話じゃないと思うんですよね。ちゃんと基準を満たしていないものに出しているんじゃないかという告発がこれだけ新聞に出ている。にもかかわらず対応しなくて、体調を崩される、くも膜下出血になる、あるいは過労死される、こういう医師の方が出たら、厚生労働省として責任を果たしたと言えないですよ。

 これだけの指摘があるのに、何で調査もしようとしないんですか。理解できない。

鈴木政府参考人 調査をしないのではなく、個別にいろいろ、そういった労働基準法に反するような事態が生じた場合には、申告あるいはいろいろな情報によりまして、個別に労働基準監督署において対応しているということでございます。

宮本(徹)委員 新聞に書かれている話というのは、宿日直の許可基準を満たしていませんよね、どれもこれも。満たしていないものがこれだけたくさん告発されている、これ以外にもたくさん同様の事例がある。恐らく皆さんも知っているはずです。

 知っているにもかかわらず、見て見ぬふりをしていいのかというのがこの告発なんじゃないですか。見て見ぬふりしていいんですか。何のための医師の働き方改革なんですか。

鈴木政府参考人 見て見ぬふりをしているというわけではございませんで、どこの医療機関がこういう実態にあるということが申告等でございましたら、個別に、労働基準監督署がそこに立ち入りまして、いろいろな調査を行っているというものでございます。

宮本(徹)委員 個々人の告発はなかなかしにくいんですよ、現場のお医者さんは。それは、病院の運営にも影響があるかも分からない、自分の患者さんの手術が翌日入っていたら、そのこともあってなかなか言い出しにくいとか、いろいろな事情が現場の方々にある。だけれども、ちゃんと医師の働き方改革をやって、お医者さんの健康を守ろう、お医者さんの健康を守ることは患者さんの安全を守ることだということで、ちゃんと宿日直許可の制度というのは許可制としてつくられてきているはずなんですよね。それが甘々の運用をされている。これはまずいと思いますよ、はっきり言って。調査するとも言われない。

 ちなみに、これは多分、与党の議員の方々の方が詳しいんじゃないですか。

 ちなみに、最高裁判決では、かつて、大星ビル管理事件というもので、こういうのが出ているんですね。ビル管理会社の従業員が、仮眠時間中であっても、待機や電話への対応など、労働契約上の役務の提供が義務づけられていると評価されている場合には、労働からの解放が保障されているとは言えず、労働基準法三十二条の労働時間に当たる。これが最高裁の判決なわけです。

 ですから、これを当てはめれば、病院の医師の宿直業務というのは、仮眠時間中も必要に応じて患者の診断、治療を行うことが想定され、当然、これを拒むことはできません。入院患者の急変や救急患者の受診があったときに患者の命を守るために全力で対応する、これが宿直されているお医者さんの仕事になっているわけですね。ですから、労働からの解放が保障されているとは到底言えないわけですよ。

 ですから、私は、この最高裁判決の趣旨からいっても、救急病院などの急性期病院で働く医師に宿日直許可を認めるということはそもそも間違いだと思いますよ。断続的な労働なんだということを皆さんはおっしゃるわけだけれども、宿日直をやっているお医者さんは、患者さんが病院で急変が起きたら、それにずっと対応し続けるわけでしょう。翌日の次の担当の医師に引き継ぐまで、その仕事が途切れることはないわけですよ。断続的な労働とはとても言えないわけですよね。

 ですから、今行われている宿日直許可というのは、この間の最高裁の判決に照らしても到底認めるわけにはいかないものだと思いますが、この点、大臣、いかがですか。

鈴木政府参考人 御指摘の最高裁判決につきましては、個別の事案におきまして、仮眠の時間も使用者の指揮命令下に置かれているため、労働時間に当たるという判決が下された例だと認識してございます。

 一方、私どもの医療機関におきます宿日直許可につきましては、こちらについては、その時間が労働時間であるという前提の下に、個別の医療機関の状況を踏まえつつ、通常の労働者と比較して労働の密度が低い。したがいまして、労働基準法三十二条の労働時間規制等を適用しなくても労働者の保護に欠けないと判断された場合に限りまして、監督署長の許可を条件に規定の適用を除外をするものでございまして、これは最高裁判決と矛盾するものとは考えているところではございません。

宮本(徹)委員 この最高裁判決の趣旨からいったら、およそ、全く今の宿日直許可の基準というのはおかしいと思いますよ、さっきは、それはおかしくないようなことをおっしゃいましたけれども。労働の密度が低いとか高いとかじゃないんですね、ちゃんと指揮命令系統の下にあって、断続的な労働ではなく、ずっと継続的な任務を求められているという状況になっているわけですから。この点は、引き続き私は問題提起していきたいと思います。

 元々、医師の働き方改革をやろうという話になって、なぜこんな事態が、宿日直許可の乱発というのが起きる事態になったのかというのを考えると、勤務医の数が少な過ぎるわけですよ。だから、労働時間規制に合わせるために、今まで労働時間とカウントしていたものを、宿日直許可を出して労働時間とカウントしない、こういうことをやっているわけですよね。脱法的なやり方をやっているわけですよ。

 これはやはり、医師そのものを増やしていく、私は、そのことをやらないと、この問題はちゃんと解決しないと思いますよ。そのことを申し上げておきたいと思います。

 最後の問題について質問いたします。

 マイナ保険証についてですけれども、マイナンバーカードを高齢者の皆さんが、私、よく聞くのは、暗証番号も大体セットとして持っているから、持ち歩くのはとても怖いから、マイナ保険証として使わないんだということを聞くんですね。

 大臣もそういう話を聞いたことはありますか。マイナンバーカードは暗証番号とセットで持ち歩かなきゃいけないから、落としたときに怖いから、マイナンバーカードを持ち歩かない、マイナ保険証を使わないんだ、こういう話は聞いたことがありますか。これは別にペーパーの話じゃないですから。

武見国務大臣 通告ではありませんから、一般的なお答えをするとすれば、マイナ保険証については、まだ十分に普及がされていない中で、実際に様々な錯誤が現実には起きて、それを今まさに是正をして、国民の信頼を回復する、その途次の中にあると私は考えています。

 したがって、これらの国民の不安を解消をしていく過程で、こうした御指摘のような問題の解決にもつなげていきたいと思います。

宮本(徹)委員 錯誤の問題じゃなくてですね。私の質問を全然聞かれていないんだなというのはよく分かりましたけれども、マイナンバーカードを、高齢者の皆さん、暗証番号を覚えられないから、大体一緒に管理しているわけですよ。一緒に持ち歩いて落としたら大変なことになると思う、だからマイナンバーカードを持ち歩かないし、マイナ保険証も使わない。高齢者から私はよく聞きます。

 実はそのことを、先日、情報システム学会のマイナンバー制度研究会が提言を出されていて、全くそのことを指摘されているわけですね。

 今のマイナンバーカードには根本的な問題がある。身元確認、当人確認、真正性確認という三つの本人確認機能を入れ込んでいる。マイナンバーカードを身元証明書として常時携行させる。常時携行すれば盗難被害に遭う人は増え、最高保証レベルの当人確認の所有物であるので、犯罪ターゲットになりやすく、マイナンバーカードを使用して利用できる情報システムが増えれば増えるほど、マイナンバーカードに関わる犯罪が増えることになる。全く正しい指摘だと思います。

 そして、マイナンバーカードと保険証とを一体化したら、成り済ましリスクが増加する。高齢者施設等で管理した場合、職員の転職などのタイミングで漏えいし、裏社会に流通し、成り済ましによって勝手に銀行口座が開設され、マネーロンダリングの温床になることもあるであろう。こういうことが指摘されているわけですね。

 これは根本的なマイナンバーカードの欠陥だと私は思うんですね。この指摘について、大臣はどう受け止められますか。

武見国務大臣 先月、情報システム学会マイナンバー制度研究会が公表した「マイナンバー制度の問題点と解決策」に関する提言の中で、マイナンバーカードの紛失、盗難率の更なる上昇による成り済ましリスク増加の問題や、高齢者施設においてマイナンバーカードの暗証番号を職員に共有する取扱いに対する問題などが指摘があったということは私も承知をしております。

 成り済ましリスクの増加の御指摘に対しては、現行の保険証と異なり、マイナンバーカードには顔写真がついておりますので、成り済ましのリスクを軽減することができます。

 また、紛失、盗難時には、二十四時間対応のコールセンターへ連絡することにより、即座にその使用を停止し、第三者による悪用を防ぐことができる仕組みとなっております。

 高齢者施設における暗証番号の共有等の御指摘に対しては、高齢者施設等における利用者のマイナンバーカードの管理については、暗証番号を法定代理人以外の者に知らせることは適当でないこと、暗証番号の設定が不要なマイナンバーカードの発行の準備も進めていることについて、厚生労働省においてマニュアルを作成し、施設向けにお示しをしております。

 このように、課題を一つ一つ解決をして、メリットを丁寧にお伝えすることを通じて、国民の皆様方が安心してマイナ保険証を御利用いただける環境を一刻も早く実現していきたいと考えております。

宮本(徹)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、日本の学者の皆さんが、皆さんで、このままだと本当に大変な犯罪が起きる、成り済ましが起きる、こう警告されていることについて、もっと真剣に政府は受け止めなきゃいけないと思いますよ。

 マイナンバーカードを使った成り済ましが起きたら、本当にいろいろなことができちゃうわけですからね。健康保険証じゃできないようなこともマイナンバーカードではできてしまう、マネーロンダリングにまで使われかねない、こういう指摘がされていることに対して真面目に受け止めて、根本からこの問題を考え直す、健康保険証廃止はあり得ない、そのことを申し上げまして、質問を終わります。

田畑委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 仁木委員がやんごとなき事情で立場を変えられましたので、替わりまして、私、厚生労働委員会で今日初めて、これまで三期目ですけれども、質問をさせていただきます。格調高い厚労委員会で私の芸風が合うかどうかは分かりませんけれども、二十分間の短時間、最後の質問をさせていただきたいと思います。

 私の地元には、昔、日本の医師会長をやった原中先生がおりまして、地域の私の後援会の会長もそれぞれの地区の医師会長の先生にしていただいておりまして、よくそこで、酒の場で出るのは、武見先生はなかなか医師会の言うことを聞いてくれないという話も出ますので、先ほど様々な質問があって、確かにいただいている政治資金は膨大なものがあるかとは思いますけれども、自らの信念に従って思う存分、厚労大臣としての職務に臨んでいただければというふうに思います。

 それでは、まず最初に、一問目、コロナのワクチンに関してなんですけれども、八月から九月頃、うちの息子や妻もかかったんですけれども、新型コロナウイルスの感染者が身の回りで増えて、私が出たお葬式でも、病院の院内で感染して亡くなったという方の葬式もありましたし、同世代の女性の方が、重症化して入れる病院が夜中なくて、救急車でたらい回しに遭っている間に瀕死の状況になったなんという話も聞いているところであります。そうした身の回りで起きるのを見ると、やはりまだまだコロナは怖いとなって、高齢者を中心にワクチン接種の要望というのはまだまだ強いものがあるというふうに考えております。

 私の茨城一区、田所先生も同じ選挙区なんですけれども、水戸から筑波山の裏ぐらいまでの選挙区なんですけれども、とりわけ農村部、筑西市などでは、九月から始まったXBBワクチンの接種、あっという間に予約枠がいっぱいになってしまって、ワクチンが打てないという声がかなり広まっています。一方、水戸の方はそうでもないという話も聞くので、恐らく高齢化が進んだ農村部の方が需要があるのかと思っております。

 まず最初に、こうした、今回ワクチン接種ができないという声が寄せられているという事情を認識しているか、そしてその原因をどこに考えているかということを御答弁お願いします。

佐々木政府参考人 二点、お答えいたします。

 一点目の、委員御指摘の自治体によっては接種希望に対して十分に届いていない事実を認識しているかにつきましては、委員の御地元を含め関係者から幅広く御意見を伺いました。その中で、追加購入を決めるまでの間に、先ほど御紹介いただいた、ワクチン接種の予約を入れるには配布されている数が足りないという御指摘を複数いただいたところであり、まず、これは認識しております。

 二点目のその原因ですが、今回の九月二十日から始まった今年の秋開始接種につきましては、二点、ワクチンが安定的に供給されるようになったこと、またこれまでのワクチン接種の状況、これらを考慮した上で、将来の廃棄量を最小限にするために、都度適切な量を確保することにより生じたものと考えておりますが、この都度購入は、接種状況、予約状況等を随時把握し、自治体への配送を継続して行うことも考慮し、これまで二回、九月二十七日と十月十九日に追加購入し、順次配送をしております。

 先ほど申し上げた実態把握の中で、委員も御紹介いただきましたが、足りないと懸念する自治体もあれば、他方では、我々が、厚生労働省が示した配分量の上限まで配送を希望しないという自治体もあるなど、事情は様々でございます。

 なので、厚生労働省としては、引き続き、自治体の事情を確認し、その上での接種状況等を踏まえた必要量の確保をしてまいりたいと考えております。

福島委員 ありがとうございます。

 事務方から聞いたとき、そういうクリアな答弁がなかったもので、委員会で確認させていただきました。決して足りなくなったのを責めるわけじゃなくて、しっかり原因を究明して、必要な量を届けていただければと思うんです。

 なぜこのことを聞くかというと、九月八日の厚生科学審議会予防接種基本方針部会で、令和六年度以降、特例臨時接種を今年度末で終了し、安定的な制度の下での接種を継続することとしてはどうかと。特例接種という、国が国費で負担をしてやるということではないやり方をやるということです。

 資料一に予防接種法の体系があって、改正された法律に基づく分類だと思うんですけれども、事務局案では、今後の接種の目的は重症化予防を目的とし、接種対象者は六十五歳以上の重症化リスクの高い者、接種のスケジュールは年に一回、秋冬。重症化予防というと、ここで考えられる、上の、通常の予防接種のB類に相当する見込みなのかなというふうに思っております。

 ここでいう安定的な制度というのは、このB類の定期接種に移すということなのでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 今御紹介いただいたとおり、来年度以降の接種方針については、安定的な制度というところまでまず今御議論をいただいている段階で、その具体内容も、先ほどの重症化予防ですとか、六十五歳以上の高齢者など重症化リスクの高い方だとか、毎年秋冬に一回にするかといったところで議論を行っていて、これは年内にまとめます。

 この年内にまとめていく論点整理の中で、この安定的ということに、定期接種とすることも検討対象に含まれ得ると考えておりますが、いずれにせよ、議論がまとまり次第、これは速やかに国民の皆様に丁寧に周知してまいりたいと考えております。

福島委員 通常接種か特例接種かで大きな違いとなる。どっちになる見込みか。少なくとも特例臨時接種が続くという可能性はほとんどないと考えてよろしいですか。端的に。

佐々木政府参考人 先ほどの九月八日の審議会の部会の中では、特例臨時接種は今年度までということで決まっております。

福島委員 確認いたしました。

 なぜそうするかというと、国民はやはり懐のことを考えるわけですね。特例臨時接種だと、ここにあるように全額国費負担で、通常ですと実費徴収をするということになります。そうなると、今回仮にワクチンを打てない人が出て、しかも、ワクチンの有効性については重症化予防効果は一年以上一定程度持続すると言っておりますから、今ただのうちに打っておけば来年一年間ぐらいは重症化予防ができるわけですよ。

 でも、今回もう予約が入らなくて、私の周りの後援会の人でも諦めた人はいっぱいいます。インフルエンザは打つけれども今回はコロナはいいやといって、今度四月ぐらいになって、じゃ、ワクチンを打とうと思ったら、いや、今年からは金を払えと言われたら、最近、増税○○○という言葉がはやっていますけれども、ワクチンけち○○○とまた言われて、岸田政権の支持率が下がることになると思うんですね。

 別に岸田政権をやゆすることが目的ではなくて、きちんと、ワクチンがどのぐらい効果があって、四月以降は自己負担ですよということも含めた上で、今回の最後の接種、まだ恐らくこれはワクチンを需要に応じて追加していくんじゃないかと思うんですよ。そのときに、でも特例接種で受けられるのは今回が、今年度限りだから、それを踏まえた上で自分の接種の計画を立ててくださいということを、大臣、大臣いいですか、しっかりとこれを国民に言わないと、接種の受付は終わっちゃったけれども、後になって来年からは有料ですと言ったら、やはり、みんな、何だという話になると思うんですよ。

 その辺りの、政策を打ち出す順番と国民の訴えをしっかりすべきであると思うんですけれども、大臣、御見解いかがでしょうか。

武見国務大臣 今年九月八日に開催された厚生労働省の審議会の予防接種基本方針部会におきまして、全額国費で実施している現在の特例臨時接種を今年度末で終了をし、来年度以降は安定的な制度の下で実施することについて議論を行っているところでございます。こうした中で、九月二十日より秋冬のコロナワクチン接種を特例臨時接種として開始しておりまして、生後六か月以上の全ての方を対象として、自己負担なく接種を受けることが可能となっております。

 厚生労働省としても、接種を希望する方が接種を受けられるよう、ホームページやリーフレットなどを通じて国民の皆様に対して丁寧に分かりやすく周知広報に引き続き取り組んでまいります。

 その上で、来年度以降の方針がまとまり次第、速やかに国民の皆様に丁寧に御説明をしていきたいと思います。

福島委員 私は、大臣というのは、役人じゃない感覚だからこそ、大臣で入る意味があると思うんですよ。是非、私のこの話を聞いていただきたいんですけれども、その答弁をやったら、まず国民は理解できません。大体、その安定的な何だとか、そんなの聞かないですよ、高齢者の方は。もっと分かりやすく、来年以降は金がかかるんだから今のうち打っちゃいな、打てば一年以内は重症化しない、そういう話し方をしないと分からないんですよ。

 是非、役人の答弁書を読むことなく、政治家として国民に訴える答弁をしていただければと思います。

 時間がないので、二番目の遺骨収集の話に移ります。

 資料で、私、平成三十一年の三月にパラオ共和国のペリリュー島に遺骨収集に行ってまいりまして、その報告をつけているので、暇な方は読んでいただければと思うんですけれども、この経験を基に、今年の二月二十日、予算委員会の第五分科会で加藤国務大臣とも議論しました。

 ペリリュー島は一万一千人の日本兵が死守をしていた島なんですけれども、生存できたのは僅か三十四人。守備に当たっていたのは水戸歩兵第二連隊、私たちの地元の連隊の人たちで、今なお数千柱の遺骨が残されておりまして、私が行ったときも十一柱の遺骨を収容してまいりました。

 戦後八十年たつのにいまだに遺骨を収容して、自分で掘った遺骨を白い布に巻いて宿舎に持って帰るんですけれども、私がまず思ったのは、申し訳ありません、八十年間もこの地に残して申し訳ないという思いだったんですね。

 先頃の通常国会でこの遺骨収集推進法の集中期間を延長する改正を、これは議員立法ですけれども、各党全ての党の合意で行いましたけれども、私はこれは単なる期間の延長では意味がないと思うんですね。

 八十年間、いまだ百十二万柱の御遺骨が残っているということは、政治家として、国民として恥じなければならないことだと思っておりまして、これも単に、大臣、政府の答弁、官僚の答弁を読み上げるだけではない、まさにこれこそ厚生労働大臣に政治家として、まず国際政治学者として入った使命だと思って取り組んでいただきたいという思いで私は質問したいと思います。

 この延長された新しい法案を受けて七月二十八日に閣議決定された、戦没者の遺骨収集に関する基本的な計画で、これまで、法律ができて、集中実施期間を数年間にわたって、平成二十八年から令和六年まで、今年もやっておりますけれども、それを踏まえて、どういう点を反省して、何が変わるのか、どういう点に重点を置いてこれからの集中実施期間をやろうとしているのか、その点について大臣の答弁を求めます。

武見国務大臣 私も、福島委員と全く同じ気持ちです。やはり、さきの大戦でお亡くなりになった、そして戦死された皆様の御遺骨というのは、一柱でも多く、しっかりと回収をして、でき得れば御遺族にきちんとお戻しするということをするのがやはり国の責務だろうと思います。

 その上で、御指摘の戦没者の遺骨収集に関する基本的な計画の改正に当たって、新型コロナウイルスの感染症の影響によって海外における事業がほとんど実施できなかったという期間があったことを踏まえまして、現在政府が保有をしております約三千三百か所の埋葬等に関する情報や現地調査等により今後新たに取得する情報について、令和十一年度までに現地調査を実施し、遺骨の有無を確認すること等に重点を置いた計画の改正を行い、そして、一日も早く、一柱でも多く、しっかりと御遺骨の帰還に全力を挙げたいと思います。

福島委員 心のこもった答弁、ありがとうございます。

 ただ、私は、これを最初に読んだときに、すごい厚生労働省の皆さんも頑張っているのは理解します。そして、様々な新しい取組をしようとしているのは理解するんですけれども、ずっとこれは延長するものじゃないんですよ。もう八十年たっている。あと五年で終了させるぞというぐらいの、私は国の意思が必要だと思うんですね。

 この三千三百か所の情報というのは、これまでの従来与えられた情報なんですよ。まだ、先ほど言いましたように、百十二万柱、桁が数桁違う御遺骨がまだ例えば海底とか困難なところに出ているわけですね。ですから、私は、新規に取得が見込まれる情報をいかにつかむかが大事だと思うんです。

 このままいったら、三千三百か所をこなすだけで次の集中期間は終わってしまう。そうじゃなくて、それぞれの国によっていろいろな事情があります。フィリピンのように現地の政府とトラブルになったような例もあれば、ミャンマーのようにその国の独特の事情によって困難になっているところもあります。しかし、私は、それぞれの地域ごとに細かい地域ごとの戦略を立てて、あと五年、六年で全ての遺骨を持って帰るんだというぐらいの意思を持ったことをやらないと、一番恐れるのは、この集中実施期間を五年に一回延ばしていく惰性を続けることだと私は思うんですね。

 そうした意味では、もっと新しい情報の収集に資源を投入すべきではないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 現在保有する約三千三百か所の埋葬等に関する情報に加えて、現地調査の過程で新たに取得した情報等についても、令和十一年度までの集中実施期間に遺骨の有無を確認することとしております。

 また、交戦国の国立公文書館等に所蔵されている埋葬等に関する情報についても、積極的に収集を行うこととしております。機密指定されているために取得できない情報がある場合には、厚生労働省から相手国政府などと協議を行うなどの対応を図って、その情報の入手に努めます。

 厚生労働省としては、この基本計画の下で新たな遺骨情報の収集にしっかり取り組んでまいりたいと思います。

福島委員 それが役人的な対応なんです、大臣。

 ペリリュー島はどうやっているかというと、一番遺骨の場所が分かっているのは現地の方なんですよ。影山さんという長くこの島の慰霊を行っている方が、現地の方にポケットマネーでお金を渡して、遺骨収集団が行かない間に探してもらって、全部赤い、ピンクのリボンをつけてもらっているんです。なぜなら、その人件費を出す予算がないから。全部持ち出しですよ。公文書館へ行っても分かります。でも、最後は現地の人の情報で、自分の足と耳で確認しなきゃならないんですよ。そうしたことに予算を投じないと、実際のちゃんとした調査はできません。

 これまで、この基本計画の中でも書いてあるのは、厚生労働省は各国の公文書館等におけるうんたらかんたらという、今の大臣の答弁があるだけなんです。国ごとに事情は様々あるんですよ。その様々な事情に合わせた戦略的な調査をつくらなければなりません。

 例えば、パラオの例でいえば、今まで、基本指針というのを作りますけれども、パラオ諸島は、各国の国立公文書館等における資料調査の結果及び現地調査等の結果を踏まえ、効果的に遺骨を収集し、送還すること。これだけなんですよ。

 PDCA、あと何千柱が残っているんだったら五年間でその半分は回収しましょう、そのためにこれだけの予算を投じて、これだけの情報を得ましょう、それができなかったらもう一回再検証しましょう、そういうのが分かるような、心のこもった実施指針、戦略的な実施指針を作らないと惰性で進むだけになっちゃうんですよ。

 ですから、大臣、多分、恐らく御覧になっていないと思います、実施指針とか計画の細かいところ。それを御覧になっていただいて、事務方に是非、もっと丁寧な計画を作って、国として、これは議員立法でやったものですから、役所任せにしてはいけません。私たち政治家がリーダーシップを発揮しなければ動かないことでありますから、国ごと、地域ごとの具体的な指針を作る指示を出していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。是非、役所の答弁を読まないで、御自分の頭で考えて答弁いただければと思います。

武見国務大臣 実際に、この厚生労働省の指針の中でも、地域ごとの予算配分等が硬直的とならないように大枠の方針を示すものとなっております。それから、協会は、この指針を踏まえて、地域の特性に応じた戦略的な事業の実施ができるように事業計画を策定しているというふうに私は承知しておりますから、引き続き、そのとおり実態が動いているかどうかを私もしっかりと確認をしていきたいと思います。

福島委員 私が申し上げたいのは、そうしたことではありません。それがこの五年、前回の集中実施期間で必ずしもうまくいっていないから言っているんです。事務方はそう言いますよ。実際それがうまくいっていないのを、私自身、遺骨収集に、政府の遺骨収集団の一員として参加して、この目で見てきて、当事者からお話を伺ったからこのことを言っているんです。厚生労働省の作る指針が正しいじゃなくて、それをもっときめ細かく、戦略的に、予算配分も柔軟に、もっともっと柔軟にしなければ進みませんから。

 もう一度、この遺骨収集、法律が改正したばかりの今が一番政治の意思が働くところですから、これまでの延長ではない遺骨収集の戦略的な計画を作っていただきたいと思いますけれども、もう一言、最後に答弁いただけますでしょうか。

武見国務大臣 厚生労働省としても、それぞれの地域の特性に合わせて、戦略的にこうした遺骨収集に関わる事業の実施を考えておりますので、あとは、それが実際に、一柱でも多く御遺骨を、しっかりと御帰還していただけるような努力を我々も必ずする。また、先生の今日の御指摘も踏まえながら、やはり現地調査の重要性ということもよく確認をした上で、実際にこうした事業を進めていきたいと思います。

福島委員 よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

田畑委員長 次に、内閣提出、大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。武見厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

武見国務大臣 ただいま議題となりました大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 大麻草から製造された医薬品は、医療上の有用性が認められるものの、現在、その施用等が大麻取締法により禁止されており、当該医薬品について治療に用いることを可能にする必要があります。一方、近年、若年層を中心に大麻事犯が増加傾向にある中、大麻等の不正な施用に対して禁止規定及び罰則が設けられていないことが大麻の濫用を助長しているとの調査結果もあり、早急に対策を講じることが重要です。

 こうした状況等を踏まえ、大麻草の医療や産業における適正な利用を図るとともに、その濫用による保健衛生上の危害の発生を防止することを目的として、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、大麻から製造された医薬品の施用等を禁止する規定を削除するとともに、大麻等を麻薬及び向精神薬取締法における麻薬として位置づけることで、大麻草から製造された医薬品の施用等を可能といたします。

 第二に、大麻等の不正な施用について、他の規制薬物と同様に、麻薬として禁止規定及び罰則を適用するとともに、大麻草由来製品に微量に残留する有害成分の残留限度値を設けること等により、大麻の濫用による保健衛生上の危害の発生を防止します。

 第三に、大麻草の栽培に係る免許制度を見直し、大麻草由来製品の原材料を採取する目的で大麻草を栽培する者は都道府県知事の免許を、医薬品の原料を採取する目的又は研究を行う目的で大麻草を栽培する者は厚生労働大臣の免許を、それぞれ受けなければならないこととします。

 また、大麻草由来製品の原材料を採取する目的で大麻草を栽培する場合には、有害成分が基準値以下の大麻草から採取した種子等を利用して栽培しなければならないこととするなど、所要の規制を設けることとします。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としています。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

田畑委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田畑委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十日金曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十一分散会


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