衆議院

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第4号 令和5年12月6日(水曜日)

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令和五年十二月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田畑 裕明君

   理事 大岡 敏孝君 理事 古賀  篤君

   理事 橋本  岳君 理事 三谷 英弘君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君

      東  国幹君    畦元 将吾君

      上杉謙太郎君    上田 英俊君

      上野賢一郎君    大串 正樹君

      勝目  康君    金子 容三君

      川崎ひでと君    国光あやの君

      塩崎 彰久君    新谷 正義君

      鈴木 英敬君    田所 嘉徳君

      田村 憲久君    高階恵美子君

      冨樫 博之君    中谷 真一君

      仁木 博文君    西野 太亮君

      古川 直季君    堀内 詔子君

      柳本  顕君    山本 左近君

      吉田 真次君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    大西 健介君

      西村智奈美君    野間  健君

      山井 和則君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      遠藤 良太君    岬  麻紀君

      福重 隆浩君    山崎 正恭君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    北神 圭朗君

    …………………………………

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   厚生労働副大臣      浜地 雅一君

   厚生労働副大臣      宮崎 政久君

   内閣府大臣政務官     神田 潤一君

   内閣府大臣政務官     古賀友一郎君

   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   厚生労働大臣政務官    三浦  靖君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹林 悟史君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           谷  滋行君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 和田  薫君

   政府参考人

   (消費者庁消費者法制総括官)           黒木 理恵君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     鈴木 建一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小宮 敦史君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         寺門 成真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         富田  望君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            内山 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       巽  慎一君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局長)         大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長)   佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局長)  城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           朝川 知昭君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鹿沼  均君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         南   亮君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           宿本 尚吾君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 堀上  勝君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月六日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     国光あやの君

  畦元 将吾君     上杉謙太郎君

  川崎ひでと君     古川 直季君

  田所 嘉徳君     冨樫 博之君

  福重 隆浩君     山崎 正恭君

  福島 伸享君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     畦元 将吾君

  国光あやの君     秋葉 賢也君

  冨樫 博之君     田所 嘉徳君

  古川 直季君     西野 太亮君

  山崎 正恭君     福重 隆浩君

  北神 圭朗君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     東  国幹君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     川崎ひでと君

    ―――――――――――――

十一月十四日

 社会保障制度改革に関する請願(吉良州司君紹介)(第四三号)

 同(米山隆一君紹介)(第四四号)

 同(斎藤洋明君紹介)(第八六号)

 同(神津たけし君紹介)(第一五八号)

 保険でよりよい歯科医療を求めることに関する請願(田嶋要君紹介)(第四六号)

 同(青山大人君紹介)(第七〇号)

 同(大石あきこ君紹介)(第七一号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第七二号)

 同(篠原孝君紹介)(第七三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第八七号)

 同(笠井亮君紹介)(第八八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八九号)

 同(志位和夫君紹介)(第九〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第九四号)

 同(宮本徹君紹介)(第九五号)

 同(本村伸子君紹介)(第九六号)

 同(谷田川元君紹介)(第一〇〇号)

 同(吉川元君紹介)(第一一八号)

 同(櫻井周君紹介)(第一五九号)

 子供の歯科矯正への保険適用の拡充に関する請願(中島克仁君紹介)(第五八号)

 じん肺とアスベスト被害根絶等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五九号)

 同(笠井亮君紹介)(第六〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六一号)

 同(志位和夫君紹介)(第六二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六六号)

 同(宮本徹君紹介)(第六七号)

 同(本村伸子君紹介)(第六八号)

 難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願(大島敦君紹介)(第六九号)

 軍事費の拡大ではなく社会保障の拡充を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一四四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四五号)

 同(櫻井周君紹介)(第一四六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一四九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五〇号)

 同(牧義夫君紹介)(第一五一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一五三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一五四号)

 同(米山隆一君紹介)(第一五五号)

 障害者が健康を維持できるよう二次障害(新たに出現する障害)の総合対策に関する請願(宮本徹君紹介)(第一五六号)

 障害者の社会参加を保障するヘルパー制度の実現に関する請願(宮本徹君紹介)(第一五七号)

十二月四日

 介護保険制度の改善、介護従事者の処遇改善を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一七八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一八〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第一八一号)

 同(本村伸子君紹介)(第一八二号)

 軍事費の拡大ではなく社会保障の拡充を求めることに関する請願(菊田真紀子君紹介)(第一八三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八六号)

 同(新垣邦男君紹介)(第二〇六号)

 同(白石洋一君紹介)(第二〇七号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第三〇〇号)

 障害者の社会参加を保障するヘルパー制度の実現に関する請願(田中健君紹介)(第一八四号)

 保険でよりよい歯科医療を求めることに関する請願(たがや亮君紹介)(第二〇五号)

 同(伊藤俊輔君紹介)(第二七七号)

 年金引上げ等の改善と安定した雇用の実現を求めることに関する請願(宮本徹君紹介)(第二三一号)

 全ての世代が安心して暮らせる持続可能な社会保障制度の確立に関する請願(荒井優君紹介)(第二三七号)

 同(小熊慎司君紹介)(第二三八号)

 同(長友慎治君紹介)(第二三九号)

 同(森山浩行君紹介)(第二四〇号)

 同(金子恵美君紹介)(第二七八号)

 同(吉良州司君紹介)(第二七九号)

 同(神谷裕君紹介)(第三〇一号)

 同(細野豪志君紹介)(第三〇二号)

 同(石川香織君紹介)(第三一八号)

 建設アスベスト被害給付金法を改正し、建材企業が参加する補償基金制度の創設を求めることに関する請願(伊藤俊輔君紹介)(第二七四号)

 障害福祉についての法制度拡充に関する請願(伊藤俊輔君紹介)(第二七五号)

 福祉職員の大幅な賃金の引上げと増員に関する請願(伊藤俊輔君紹介)(第二七六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

田畑委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官竹林悟史君、警察庁長官官房総括審議官谷滋行君、長官官房審議官和田薫君、消費者庁消費者法制総括官黒木理恵君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、長官官房審議官野村知司君、長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、消防庁審議官鈴木建一君、財務省大臣官房審議官小宮敦史君、文部科学省高等教育局私学部長寺門成真君、厚生労働省大臣官房総括審議官富田望君、大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、大臣官房年金管理審議官巽慎一君、医政局長浅沼一成君、健康・生活衛生局長大坪寛子君、健康・生活衛生局感染症対策部長佐々木昌弘君、医薬局長城克文君、労働基準局長鈴木英二郎君、雇用環境・均等局長堀井奈津子君、社会・援護局長朝川知昭君、社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、老健局長間隆一郎君、保険局長伊原和人君、年金局長橋本泰宏君、人材開発統括官岸本武史君、政策統括官鹿沼均君、経済産業省大臣官房総括審議官南亮君、国土交通省大臣官房審議官宿本尚吾君、環境省大臣官房審議官堀上勝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田畑委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。早稲田ゆき君。

早稲田委員 おはようございます。立憲民主党、衆議院の早稲田ゆきでございます。

 今日はトップバッターで質問させていただきます。武見大臣そして警察庁審議官におかれましては、よろしくお願いいたします。

 まず、生活保護基準についてでございます。

 十一月三十日、名古屋高裁の判決が出ました。この資料の方の一ページですね。生活保護減額、国に賠償命令という、これは非常に画期的な判決でございます。生活保護費の引下げは、生存権を保障し、そして憲法二十五条に反するとして、愛知県内受給者十三人が国や居住自治体に減額決定の取消しと慰謝料を求めた訴訟であります。これについて、大変画期的な判決が出たということを取り上げます。

 国は、二〇一三年から一五年の計三回、保護費のうち、日常生活に不可避な、不可欠な食費や光熱費などに当たる生活扶助の基準額を、平均六・五%、最大で一〇%引き下げました。これは史上最大の引下げでありまして、削減総額は約六百七十億円に上るということです。

 各自治体は国の基準に沿ってこの支給額を変更したわけでありますが、今回の判決は、名古屋地裁の判決を取り消して、厚生労働大臣による基準額の引下げが生活保護法に違反すると認め、引下げ処分の取消しを命じただけでなく、国に少なくとも重大な過失があった、ある、つまり、大変、裁量権の逸脱が明らかだということも言われまして、そして、国の賠償責任、つまり国家賠償請求を初めて認めた、そして国にそれぞれ一万円の慰謝料を支払うように命じた画期的な判決であります。

 この命のとりで裁判、これまでに言い渡された判決は、原告側の十三勝十敗。昨年五月の熊本地裁判決以降は十二勝三敗であります。私は、昨日、弁護団そして支援団体の皆様からお話も伺わせていただきました。保護基準設定は、厚生労働大臣の裁量権の明らかな逸脱、濫用があるという場合に違法となるもので、これだけ違法判断が続く、相次ぐというのは、相当深刻な、重大なこととして受け止めていただかなければならないと思います。この種の判決では異例の展開であり、これにつきまして、私は、是非上告を断念すべきではないかと考えます。

 そして、昨日、大椿委員が参議院の厚生労働委員会で大臣に問うたところ、自治体と連携して適切な運用云々と、適切な基準で運用ということをお答えになっていらっしゃいましたけれども、人ごとではない、自分が、厚生労働大臣が基準を決める立場であるということに、きちんと原則に立ち返って、この上告を断念すべきではないかということ、まず大臣に伺います。

武見国務大臣 御指摘のように、平成二十五年から三年かけて実施した生活保護基準の改定に関しまして、十一月三十日に名古屋高裁で判決があり、当時の生活保護基準の改定について、適法であるとは認められなかったという判決が出たことを承知しております。

 平成二十五年の生活保護基準改定は、生活保護基準部会の検証結果を踏まえて、年齢、世帯人員、地域差のゆがみを直すとともに、デフレ傾向が続く中で当時の基準額が据え置かれていたことに鑑み、物価の下落分を勘案するという考え方に基づいて、生活扶助基準の必要な適正化を図ったものでございます。

 基準改定についての判断は、厚生労働大臣の合目的的な裁量に委ねられているという最高裁の判例もあり、その手順も含め、私どもは、適切な対応であったと考えております。

 今回の名古屋高裁の判決については、現在、判決内容の詳細を精査するとともに、関係省庁や被告自治体とも協議をして今後適切に対応してまいりたいと考えております。

早稲田委員 これは、違法な改定を行った厚生労働大臣には重大な過失ということが認められた、本当に異例中のこの判決であると思います。その中で、これから考えていくということではありますけれども、政治判断ということもございます。これだけの深刻な、生活保護を必要としている方たちにこれが行き渡らなかったわけですから、減額がされたわけですから、そのことを重く受け止めていただきたい。国としての責務というものがあると思います。

 そして、上告を断念すべきかということについてはお答えいただけませんでしたけれども、これだけの司法判断が出ているのですから、一度立ち止まって、健康で文化的な生活の水準について、当事者それから支援団体、意見をきちんと聞いていただいて、改めて専門的な検証を行うべきと考えます。大臣、御見解をお願いします。

武見国務大臣 基準改定についての判断は、先ほども申し上げましたとおり、厚生労働大臣の合目的的な裁量に委ねられているとの最高裁判例もございます。そして、平成二十五年の改定はその手順も含めて適切なものであったと考えておりまして、再検証することは考えておりません。

早稲田委員 一回立ち止まってください。これは本当に重大な過失があったと認められた判決でありまして、しかも、地裁判決を取り消してのこの異例な判決であります。このことを重く受け止めていただかないと、本当に、生活保護というもの、命のとりでと言われる、この裁判、その事態をきちんと重く受け止めていただくように、強く、重ねて、再検証も含めてお願いをしてまいります。

 それから、次の質問であります。

 介護の処遇改善についてですけれども、補正予算で来年二月から五月に実施する月六千円相当の賃上げについて、三枚目の資料を御覧ください、月六千円継続、来年六月以降は報酬改定で、厚労省と書かれております。

 これも、報酬改定で六月以降も継続する方針を固めたということですけれども、まさか、この六千円が継続するということを決定したわけではないと思いますけれども、この点について伺います。

武見国務大臣 今般の補正予算で、御指摘のとおり、介護職員等の処遇改善のための補助金について、一部報道にあるように、その賃上げ分を報酬に組み込む方針を示したということの事実はございませんで、実は、報酬改定における取扱いについては、年末の予算編成過程において検討することになっております。

 介護分野などにおける賃上げの対応は喫緊かつ重要な課題であって、令和六年度の介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定においては、必要な処遇改善の水準の検討と併せて、現場の方々の処遇改善に構造的につながる仕組みを構築すべく必要な対応を行ってまいりたい、こう考えております。

早稲田委員 六千円というのも、非常に現場からは残念だという声がたくさん上がっております。

 次の四枚目を見ていただきたいんですけれども、介護職から離職する人が働き始める人を上回る離職超過が昨年、初めて起きていた、それも明らかになったということですね。そして、高齢者数がピークとなる二〇四〇年度までには介護職を六十九万人増やすという目標もある中で、先行きが非常に厳しいわけです。それなのに、どんどん離職をして、入る方がいないということであっては、介護制度そのものが成り立たなくなるということを大臣には肝に銘じていただきたいと思います。

 そもそも、この乖離の中では、全産業平均とは七万円も八万円も差があります。そこを縮め切れていない。しかも三年に一遍の報酬改定でありますから、担い手不足が危機的、これについてもしっかりと受け止めていただきまして、報酬改定では、今の補正予算の六千円を上回る、これも含めて大臣に御検討いただくということでよろしいですね。うなずいていただければそれで結構です。含めて、いかがですか。

武見国務大臣 頑張ってみたいと思います。

早稲田委員 頑張っていただきたいと思います。これが、今の超高齢社会を支える、本当に担い手不足の大きな原因でありますから、そのことは論をまたないわけなので、是非よろしくお願いいたします。私たちも、昨年の九千円の補正予算に加えて、一万円の議員立法も出しております。これでもまだ足りない。それなのに、六千円でまた報酬改定ということになれば、もう現場の方たち、どんどん離れていきますから。それを重く受け止めていただきまして、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、緊急避妊薬の薬局販売についてであります。

 十一月二十八日にようやく始まりました緊急避妊薬の薬局での販売ですけれども、一歩前進とはいえ、全国で百四十五店舗。全国でです。余りにも取扱いが少な過ぎます。神奈川県全域では六店舗、東京都では五店舗、北海道に至りましては旭川で三店舗のみであります。これでそもそも女性がアクセスできるのかという問題、そして、しかも繁華街に非常に、東京都も少ないわけです。

 そんなこともあり、それから、そもそも、事業のサイトで薬局の地図それから薬局の連絡先を見るのにも四つもチェックを入れなければそこにたどり着かないというアクセスの悪さ。これも是非改善をしていただかなければなりません。

 資料も、八、九、十と御覧ください。一生懸命これに取り組んできて、署名も数万筆も集められた、なんでないのプロジェクト代表の福田さんの記事でありますけれども、それを八、九、十としっかりとお読みをいただきたいと思います。

 来年度からは店舗数を増やすべきではないか。今年度の結果も踏まえて、十六歳という年齢制限、それからサイトの見やすさ、これも是非改善をしていただきたい。

 まずは薬局の数を増やしていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

武見国務大臣 今回の緊急避妊薬の薬局での試行的販売は、薬局で適正な販売をできるかを調査検討することを目的として、公益社団法人日本薬剤師会に業務を委託をし、一定の要件を満たす特定の薬局に限定したモデル的調査研究として実施しております。

 そこで、令和六年度の概算要求では、緊急避妊薬の試行的販売を実施している薬局のフォローアップ調査を実施するための予算を要求しているところでございまして、今後のOTC化は今回の調査結果を踏まえて検討がなされますけれども、緊急避妊薬が必要な方に、より適切な形でアクセスが可能となるよう対応していきたいと思います。

早稲田委員 フォローアップは分かっています。調査研究事業のことも分かっています。それにしても少な過ぎるではないかというお話ですから、是非、これをもっとアクセスできるようにしていただくことは課題です、もう本当に重要な課題で、これまで何年このことについて議論してきたのでしょうか。ほかのものと比べれば圧倒的に遅い、少ない、そういう状況でありますから、大臣には是非そこをやっていただきたいし、この記事の中の、困っている人が置き去りの試験運用という九ページから十ページの、女子高校生十七歳のこれを、大臣、よく読んでいただきたい。男性にはお分かりいただけない、理解ができない部分があるのではないかと私は思っています。

 何が起こったか分からない。男性と二人でいて、そして、そうしたこと、避妊をせずに行為に及んだ。したとかいうよりも、させられたという方が正しいかもしれない。一人で家路について、これからどうしようという不安が一気に襲ってきた。

 よく、望まない妊娠と言われます。望まない妊娠の背景には男性がいるんです。そのことを男性の大臣はお分かりでしょうか。そうしたことを思わないと、何か、女性だけが望まないのに妊娠をしてしまった、悪いことだというようなことが、何となくその言葉に私は含まれているような気がして、望まない妊娠という言葉で一くくりにされてはいけないのではないかと思っています。

 そして、この彼女の言葉をかりれば、産みたい、産みたくない、妊娠したい、したくない、私たちは自分の体を自分で決める権利があるはずですということ、これをもって是非理解を深めていただきまして、大臣、是非、店舗数も、フォローアップの調査研究を見て増やしていただきたい。若い方たちに、新しい大臣のリーダーシップがかかっています、期待をされていますので、是非もう一度踏み込んだ御答弁をお願いします。

武見国務大臣 モデル事業の調査結果というものをきちんと踏まえた上で、実際に望まない妊娠に直面をしておられる方々がよりアクセスしやすいように更なる対応をしていくということは、私も必要であろうと考えております。

早稲田委員 認識は同じだと思いますので、是非、これだけでは足りないということを、よく、調査結果を踏まえて、御認識をいただけるようにお願いをしたいと思います。

 次に、悪質ホストクラブ対策についてでございます。

 これは、予算委員会で大臣も答弁に立たれました。悪質ホストクラブの相談窓口、これが婦人相談所に一義的になった、一括の相談窓口、これを厚生労働省で引き受けるということになったということは一歩前進ではございますが、六ページには、そこがホームページに書かれている記事でありまして、七ページ、これを御覧ください。

 婦人相談所が受けた来所相談等々のグラフでありますが、夫からの暴力、それからほかの暴力、DVなどがほとんどでございまして、暴力相談が七一%。こうしたことに対しまして、経済関係は一・二%。それから、男女、性の問題、ストーカー被害も含むというのも一%台で、悪質なホストクラブ対策という意味ではまだノウハウがほとんどない、この婦人相談所では。そのことを大臣にはよく理解をしていただきたいんです。

 その上で、私も神奈川県にもヒアリングをいたしましたけれども、マインドコントロールによる多額の売掛金を背負わされる実態、売春、風俗へのあっせんという悪徳商法のビジネスモデル、悪い、悪質なビジネスモデルの内容を、是非、研修を、都道府県の方に、女性相談所の方に行っていただきたい。リモートでも何でもできると思います、今の時代ですから。そのことについてがまず一点。

 それから、これについては、今、ホームページでは、各都道府県、四十七の都道府県に対する、その婦人相談所にリンクが飛ぶようになって、電話はそこで分かりますけれども、やはり、この問題の悪質さを考えて、そしてまた被害で悩んでいらっしゃる方々の思いを酌めば、一括の、しかもフリーダイヤルの四桁の相談番号、これもつくる必要があるのではないかと思います。

 この二点について、大臣、伺います。

武見国務大臣 悪質なホストのこうした行為について、私も今回初めて詳しく知る機会になりました。とんでもないやつらだなと、つくづく思いました。

 したがって、徹底的に取り締まらにゃいかぬということと、それから同時に、こういう被害に遭った方々を、いち早くきちんと相談に乗って、効果的に対応できるようにする必要性がある。しかも、幾つも課題を背負っておられる中で、やはり窓口を一つにしなきゃいけない、それによってより効果的に政府が対応できるようにすることが必要だと考えて、売春防止法に基づいた相談員制度というのが各都道府県にはございまして、そこに相談員もおりますから、そこを窓口にして調整させるように、すぐに指示を出したわけであります。

 実際に、その上で、今日の御質問で、その相談員がまだ十分こういう課題に慣れていないという御指摘もございました。しっかりそういうことを踏まえて、悪質ホストクラブの問題等に関わる関係法令や取締りの状況等に関わる勉強会を早期に開催をして、そして、婦人相談所の相談員に対する研修などもしっかりと取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。

 それから、統一のフリーダイヤルに関してでございますが、この御提案については、相談者に寄り添った電話相談を積極的に行うことが重要であると考えておりまして、その利便性を向上させる観点から、今その検討をしているところでございます。メールやSNSなどを活用した相談体制の整備に取り組むほか、相談窓口の電話番号の短縮ダイヤル化、これを検討を進めるということになっております。

早稲田委員 前向きに御答弁いただきました。ありがとうございます。

 是非、勉強会、研修会、そしてまた短縮ダイヤル、これをやっていただきたい。私、電話しましたけれども、まず、二十秒で十円かかる電話ですということが流れるんですね。もうその間に切ってしまうかもしれない。そのぐらいのことですから、これから、今、大臣がやっていただけるということなので、是非、年内に、短縮ダイヤルの方は少しあれかもしれませんが、研修会、まず第一回をやっていただきたいんです。

 なぜかというと、この冬、悪魔の冬と言われています。本当に、お金がない、年末、年を越せるかというような中で、売掛金がたくさん、何百万たまっている、そういう若い女性たちが増えるんです、その時期も特に。だからこそ、この被害の相談窓口というのは、厚生労働省の売春防止法に基づく、これが大切です。ですから、この冬、年内、年を越さないうちに、強く要望いたします。よろしくお願いいたします、研修も。

 それで、警察庁の審議官に伺いますが、この間、近年の検挙数、悪質ホストクラブの検挙というのが大変増えております。一生懸命、警察庁を挙げてやっていただいていることを高く評価しておりますが、風営法違反、売春防止法違反、職業安定法違反、それぞれ何件あるのか、端的に、簡潔にお答えください。

和田政府参考人 統計上、犯行時の職業がホストである者による各種法令違反について集計したところ、検挙人員は、それぞれ、風営適正化法違反が、二〇二〇年二十五人、二〇二一年三十六人、二〇二二年二十七人、二〇二三年が十月までの暫定値で十八人です。

 また、売春防止法違反が、二〇二〇年一人、二〇二一年と二二年がゼロ人、二〇二三年が十月までの暫定値で二人です。

 さらに、職業安定法違反が、二〇二〇年四人、二〇二一年ゼロ人、二〇二二年一人、二〇二三年が十月までの暫定値で一人となっております。

早稲田委員 今お聞きになった数字、どういうふうに考えられますか。大変少ないんですよ。これを見ても分かるように、多岐に法律がまたがっております。それからまた、今御説明のあった数字は、スカウトは別になっているということであります。そういういろいろな、様々な、複雑な状況が絡み合ってこの問題がより分かりにくくなっているということは、もう明らかであります。

 そして、それとは別に、警察庁の犯罪統計によりますと、売春防止法違反の検挙数、二〇二〇年は四百、それから二〇二一が四百二十六件、二〇二二年は四百六十七件と、これはどんどん増えているわけなんです。これももちろん、悪質ホストだけの話ではございませんけれども。その意味でも大変深刻な問題だということ、その中で、今現行の法律でやっている部分がなかなか数字に表れない大変な問題だとこれも思っています。

 それなので、特に被害者の方たちも、違法、不当な行為が現行法の運用で一定の対策が可能であるといっても、悪質ホストクラブ等が違法、不当な行為を行っていることが、つまりは社会全体に知られていないんです。今回の警察庁とそれからまた報道などもありましたから少しずつ知られるようにはなりましたが、被害者が被害を認識すらできていない、そして性搾取から抜け出せない事案が多発をしております。これが現行法だけでの、私は問題点だと思っています。

 そのために、私たちは、現行法における対策をもっと明示的に、そして悪質ホストクラブ対策推進法案というのを、総合的に推進する法律が必要だと考えてこれを作りました。そして提出もいたしました。こういうものがやはり今の現行法だけでは、この数字を見ても明らかなように、やはりもっと推進をするべく法律が必要です。これについての大臣の認識、御見解を伺います。

 それと、もう一点、重ねて伺いたいのですが、昨日、ホストクラブとの連絡会、これが新宿区の大会議室であったということです。これは情報提供をいただきました。

 このホストクラブとの連絡会、ホストクラブの代表者がいらっしゃって、そして新宿区長、その参加者ですけれども、私、びっくりいたしました。厚生労働省東京労働局需給調整事業部長、それから内閣府の消費者庁消費者制度課長補佐、それから東京都、そしてホストクラブ代表ということでございました。

 このことについて大臣が認識をされていらっしゃるかどうか、そしてまた、これは何のために厚生労働省は行かれたのか、これについて伺います。

武見国務大臣 まずは、議員立法については国会において御議論をいただくことだというふうに考えます。

 私どもとしては、とにかく今の現行法の中で早急に対応できる対策を今講じているところでございます。これによって少しでもこうした悪質な犯罪が、実質に早く、迅速に取り締まり、また、被害者の救済ができるように進めていきたいというふうに考えているところであります。

 なお、昨日、新宿区が主催したホストクラブ代表との連絡会において、ホストクラブ代表者側から、来年四月以降は売り掛けなしを目指すことや、二十歳未満の入店禁止を検討することなど、今般の問題に対するホストクラブ側としての考えが示されたと承知をしております。

 厚生労働省としては、こうした自主的な取組を注視しつつ、引き続き、女性客が違法なあっせんによる被害に遭わないよう、警察や関係省庁、自治体と連携するとともに、悩みや問題を抱えている方々に対して寄り添った支援をこうした相談体制等を通じて行ってまいりたいと考えております。

早稲田委員 現行法で足りない部分をやはり新法できちんと明らかに、明示的にするべき、必要があると私は考えています。

 それから、今の自主規制、自主ルールということでホストクラブ代表がなさった連絡会について今大臣述べられましたけれども、本当にこれが実効性があるものとお考えでしょうか。私は、これでは幕引きにはならないと思いますし、あくまでも新宿区内の話です。そしてまた、全国展開をしているフランチャイズにしたら、そうしたものの自主規制は全く及びません。そうした視点で国はしっかりと注視をしていただいて、お墨つきを与えないようにしていただきたい、毅然とした対応をしていただきたいと思います。その点について、最後、大臣、もう一度お答えください。

武見国務大臣 この悪質ホストクラブの問題は、まさに始まったばかりであります。これを、気がついたからには徹底的に取り締まるということと、被害者の救済をする体制を迅速に整えるということを始めたばかりでございますから、これは引き続き、関係各省ときちんと連携を取って、また各地方自治体とも連携を取って、確実にこうした課題撲滅のために、私ども徹底して努力をしていきたいと思います。

早稲田委員 そうですね、当然、もちろんそうしていただくわけですけれども、そこに厚労省、消費者庁が出ているというようなことで、この自主規制で、ああ、やってくれるんだ、よくなるんだというようなお墨つきを国民の皆さんに与えないでいただきたい。ここには一つも、売春についての、それから風俗についてのあっせんというものは、このコメントの中では入っておりません。そこが一番、厚生労働省としても関わる部分でありますから、それがなくならないようにしなければならないので、そこにはマインドコントロールが入っていて、非常に巧みな仕組みであります。このことを是非しっかりと受け止めていただきまして、次なる手をしっかりと考えていただくということを強く要望させていただきます。

 次の質問、最後ですけれども、慢性腎臓病、CKD対策でございます。

 第二の国民病と言われている慢性腎臓病について、厚生労働省は腎疾患及び糖尿病対策の推進に関する検討会を開催し、昨年末には、第八次医療計画等に関する取りまとめにも、慢性腎臓病、CKD対策の重要性が明記をされました。

 しかし、現状はどうでしょうか。むしろ悪化をしております。二〇一六年時点で三万九千人という新規の透析患者、二〇二八年までには十年間で三万五千人以下にするという目標を掲げられておりますけれども、現状は、毎年、新規の透析患者の方が四万人を超えているわけです。高齢化の影響はあるとはいえ、これは言い訳にはなりません。担当のがん・疾病対策課だけでなく、厚労省を挙げて本腰を入れて取り組むべきだと考えます。

 そこで、自治体のデータヘルス計画の項目にこのCKD対策を入れて、保険者のインセンティブとすべきではないか。それから、労働安全衛生法の法定健診項目に腎機能検査を含めるべきと考えます。二点伺います。

武見国務大臣 令和六年度から始まる第三期データヘルス計画の策定におきまして、自治体向けに、本年五月に、策定の手引をお示ししました。その中で、腎疾患の原因となる生活習慣病の発症、重症化予防に関わる保健事業について、全ての保険者において取り組むこととしております。今後、慢性腎臓病、御指摘のCKD対策に関する事業に自治体がより積極的に取り組んでいただけるよう、手引の趣旨について改めて自治体に周知をするなど、必要な対応を検討していきます。

 また、二つ目、労働安全衛生法に基づく健診項目でございますが、事業者が労働者の疾病の悪化等を防止するための就業上の措置を行う観点から、医学的知見を確認の上、労使による合意の下、設定をしております。この健診項目のうち、腎機能検査としては、尿検査の実施を義務づけておりますが、直近の検討会での議論を踏まえて、労働者の基礎疾患等を勘案し、医師が必要と認めた場合には、尿検査に加え、血清のクレアチニンの検査を追加して実施することが好ましいことを通達でお示ししております。

 厚生労働省としては、自治体や事業者などと連携をして、引き続き、慢性腎臓病の重症化予防に取り組んでまいりたいと思います。

早稲田委員 時間が来ましたので終わりますが、まだまだそれでは足りないと思いますので、よろしくお願いいたします。

田畑委員長 次に、田所嘉徳君。

田所委員 皆さん、おはようございます。自民党の田所嘉徳でございます。

 質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げまして、質問に入りたいというふうに思っております。

 デジタル敗戦なんと言われておりますけれども、コロナ禍で、一律給付、これは一番簡単にしたんですね、もう一律でもいいと。それでも、すぐにお金の欲しいところに行かなかったという大きな問題がありました。私は、そういう中で、まさにDXを推進することが重要であり、とりわけ医療の分野でも大変重要だろうというふうに思っているわけであります。

 しかし、マイナンバーカードと健康保険証のひもづけにおいて誤りが生じてしまって、これがやはり信頼にも関わるということだろうと思いますので、この原因はどのようなことなのか、あるいは対策をどんなふうにしようとしているのかということをまずお聞きしたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 マイナ保険証は、患者本人の健康医療情報に基づくよりよい医療を受けることができるといったようなメリットがございまして、この先、電子処方箋の推進など、我が国の医療DXを進めていく上で基盤となる仕組みでございます。

 そうした中、先生御指摘のように、マイナンバーカードと健康保険証のひもづけの誤りというのが発生しまして、現在、その解明というか修正に懸命に取り組んでいるところでございますけれども、その原因としましては、被保険者が個人番号を提出しなかったため、保険者においてJ―LIS照会というものを行いまして、十分な確認を行わず別人の個人番号を取得、登録してしまったといった事案、それから、届出に記載された個人番号が家族間での取り違えや書き誤りなどによって誤っていたというケース、あるいは、保険者自身が個人番号等の入力を誤ったといった様々なヒューマンエラーということや、あるいは事務処理上の不備というようなことがございまして、これを踏まえた対策の徹底を図っているところでございます。

 具体的な解決に向けた取組としまして、登録済みデータ全体につきまして、全ての保険者による自主点検はほぼ終わりました。現在、更に入念な取組として、全ての登録済みデータを住民基本台帳の情報と照合を行っております。また、新規のデータにつきましては、転職などによって新規加入者について誤った登録が行われないように、氏名、生年月日、性別、住所、この一致などを必ず確認していただくというような要請を行っているところでございます。さらに、来年春からは自動的に全件J―LISを行う、こうした再発防止策を講じているところでございます。

田所委員 私、聞いてみますと、やはり手入力で転記しているなんというのは、これは間違いが起きますよ。あるいは、検索をして、そこでまた呼び出しているなんて、これはDXなのかなと私は思っております。

 そういうことで、〇・〇〇七%の間違い、あるいは、薬剤等、閲覧されたのが〇・〇〇〇五七%になるんですよ、私が計算すると。いずれにしても、これを皮肉を込めて言えば、よく手打ちでこれだけだったという感じで、非常に私は問題があるというふうに思っております。

 アナログデータを扱わざるを得ないときには、デジタル変換するスキャン、読み取り、こういったことの精度を高めるソフト、あるいはAI等でいろいろな類例の中から修正をしていく、そういったものをやはりやるべきだろうというふうに思っております。

 そして、根本データからデジタルで進めるということをやらなければこれは駄目なんだろうというふうに私は思っております。ワープロなどでも予測変換とか音声認識とかも非常に進んでおりますので、これはしっかりと改革をする必要があるというふうに思っております。

 DXの捉え方というもの、非常にばらばらだと思うんです。マイナンバーカードでコンビニに行って住民票が取れる、非常に便利だ、こんなことを言っていますけれども、私はおかしいと。大体、住民票なんか、隣で取って隣の申請窓口に添付すること自体がおかしいのであって、そういうことを電子的に照合し省略できるのが私はDXだというふうに思うんですね。ですから、DXの捉え方がばらばらで進度が全然違うということもあって、体系的なデジタル化の捉え方というものをまず持ってもらわないとこれは駄目だろうというふうに思っております。

 その上で、このひもづけ誤りから導くべきことは、これはデジタルの誤りじゃないんですね、アナログの誤りなんですよ。デジタル化の流れを止めるということではなくて、更にデジタル化を進めなくちゃならないというふうに私は捉えるべきだというふうに思っております。

 次に、マイナ保険証のメリットというものは大変たくさんあって、私は、活用するに値する重要なことだと思っております。九割の施設では既にカードリーダー等が設置してあるんですけれども、利用は低調である、なかなか使われないということがございます。これをしっかりと、この利便性と特性を生かされるように活用しなければならない。その場合の広報をしなければ、今、マイナンバーカードを持っていかないんですよ、それで受付できると思わなかったりすれば。これは利用が進まない。そういったこともある。

 そういった広報と、取組を各施設等でも、新しいことに消極的だというのではなくて、積極的に取り組むようなインセンティブをやはりつけていくこと、これも重要だろうと思っておりますし、そういうことも考えられているということなので、それをまず表明してもらいたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、マイナ保険証、是非皆さんに、多くに使っていただきたいというところでございますが、現在、利用が低調だという御指摘もございまして、様々な取組を進めてございます。

 厚生労働省におきましては、関係省庁と連携しながら、医師会、歯科医師会、薬剤師会を始めとする関係機関、それから保険者と連携しまして、マイナ保険証、一度使ってみませんか、こうしたキャンペーンを展開し、関係団体と、ポスターの掲示、あるいは窓口での声かけ、これを進めるための取組、あるいはオンラインセミナーなどをやってきているところでございます。

 こうした中、先日成立しました補正予算におきましては、一月以降、マイナ保険証の利用率の増加に応じて医療機関等に経済的支援を行うという取組や、マイナ保険証の受診の患者さんの多い医療機関につきましては、さらに顔認証つきカードリーダーを増設するというための補助というものを行うこととしてございます。

 具体的に申し上げますと、この医療機関に対する経済的支援というものにつきましては、今年十月のマイナ保険証の利用率、これと来年の対象期間中の平均の利用率、これを比較しまして、その利用率の増加に応じて経済的支援を行おうというふうに考えてございます。

 さらに、カードリーダーの増設につきましては、マイナ保険証の利用件数が一台当たり五百件以上の医療機関を対象に、増設した場合の支援をしていくということを試みてございます。

 さらに、現在、具体的なこうした補助制度もできたことから、公的医療機関、特に厚生労働省が所管している公的医療機関におきましては、しっかりと利用率の向上目標を立てて、窓口に専用レーンを設け、そしてそこで戸惑われる高齢者の患者さんに直接説明をするような体制を講じるよう、いろいろ要請を進めているところでございます。

田所委員 非常に有用な、大変特徴があって、やはり適切な医療が受けられたり、あるいは、スキャナーで受付をすれば、そこの人員配置なんかも省略できるかもしれませんし、いろいろな点で私は重要な利点があると思います。

 この前、消防庁で予算をつけて、マイナンバーカードを持って、救助に行ったら、意識がなくてもそれを見て照会をする、そうすると、てんかんだったのか何だったのか分かるというようなことで、この照会は番号が分からなくても大丈夫なように、大臣認可なのか分かりませんけれども、そういった制度にしているということも聞きましたが、やはりそういった、命を救う大きな意味があるというふうに思っております。

 一つ、ここでちょっと紹介しておきたい話がありまして、私は、新美南吉さんという人の書いた「おじいさんのランプ」、なかなか示唆に富んでいるというふうに思いますので、この話をしたいと思います。

 明治期の話でありまして、巳之助という少年が、村と町を行き来して、町に行ってランプを仕入れてきて、あんどんとかちょうちんぐらいしかない時代なんですね、それで村の人に売って大層繁盛していたということであります。

 しかしながら、電灯が来て、もう自分の仕事が駄目になってしまうというときに当たって、やはり抵抗したんですね。山から電線を伝ってイタチとかタヌキが来て野畑を荒らすのは必定だ、こんなことを言ったんだと思います。しかしながら、村の会議で決められて電灯が来てしまったということであって、誰を恨んだらいいかということで、これは村長が、区長がやはりこんなことを決めたから自分の職業は駄目になっちゃったんだということで恨んで、放火してやろうということでその家に忍び込んだわけですね。

 そこで、火打ち石で火をつけようと思ったら、かちかち、音ばかりしてつかない。駄目だ、マッチを忘れちゃった、こんな古いものではこの時代に役に立たないと自分で独りごちたときにふと我に返って、時代は変わったんだということをそこで悟ったということですね。それで、そのランプをみんな持ち出して火をつけて、壊したり、それを放棄して、仕事を替えて世の中の動きを悟った、そんな話でありまして、私は、そんなことがやはりこのデジタル化の中でもたくさんあるというふうに思っております。

 紙ベースで、レセプト請求なんかも五百万件も返ってきているというふうな、そんなこともあるし、あるいは、チップの入った、高度な医療が確保できること、こういったことをすると、やはり、必ず、これは力強く推進するときであるということだと思うんです。

 それで、大切に保存すべきだ、こう言えば、これを落としたらどうなんだ、こう反論が来るわけでありますよ。しかしながら、これで何をできるのかよく分かりません、悪い人の手に渡ったらどうなのかという気は確かにしますけれども、それでは、Suicaとかクレジットカードとか、いわんや現金とかを落とすことを心配した方がいいんじゃないかというふうな思いもいたしますし、さらには、これは義務じゃない、こう言えば、離脱はどうするんだみたいな議論をしておりますけれども、そういうのはどうなのかなと私は思うのであります。

 次に、電子カルテについてお聞きをしたいと思います。

 マイナンバーカードのひもづけによって非常に医療がよくできるというんですが、実は、まだこれはレセプト請求のデータにとどまっているわけでありますので、非常に重要です。ただ、これは時間が余りましたら後でやりますので、飛ばさせていただきたいと思います。

 次に、トリプル改定についてお尋ねをいたしたいと思います。

 コストカットによって賃上げができなかった社会から、やはり、一定程度物価も上がるけれども、それを凌駕するような賃上げを実現して、成長と分配の好循環を実現しようというところであるので、賃上げは投資だというようなことを額面では言っているわけであります。そういう中にあって、このトリプル改定が来たわけでありまして、六年に一度、まさに私は、そう捉えるならば、これは好機、天佑とまで言うかどうかはともかく、好機だと思うんですね。

 そういう中にあって、産業界に賃上げを求めていますよね。これは相手のあることですから、必ずそのとおり対応してくれるとは限りません。しかしながら、公定価格ですから、これは一定程度自由になるということでありますので、しっかりと積極的な改定が必要だろうというふうに思っております。

 特に、私は、医療、介護の基盤を支える看護師や介護従事者等の者、あるいは理学療法士、栄養士、看護補助者などのコメディカルの皆さんの大変厳しい環境を知っておりますので、さらに、一定の、これらにも影響が行くようなプラス改定というものが必要だろうというふうに思っております。

 そこで、医療を支える専門職についても確実に処遇改善が実現するような報酬の水準というものが私は重要になってくると思いますので、この点についてどう考えているのか、副大臣にお伺いしたいと思います。

浜地副大臣 田所委員にお答えをさせていただきます。

 今委員御指摘がございましたとおり、医療従事者、コメディカルの皆様方も含めて、皆様方の賃上げ、これによってしっかりと人材を確保していくこと、大変喫緊の課題だろうと思っております。

 委員も御紹介いただきましたが、例えば令和五年度の賃上げの状況、全産業平均、春闘では三・五八%、中小企業では三・二三%という高い賃上げの伸び率がございますが、医療関係の皆様方の平均の賃上げは一・九%にとどまっているわけでございます。しっかりとこの点も踏まえて、厚生労働省としても対応していきたいと思っております。

 そこで、令和六年度の同時改定時、まずは、年末の予算編成過程におきますそもそもの報酬の改定率をしっかりと確保をさせていただきたいというふうに思っております。その上で、この改定率が決まりましたら、具体的な処遇改善、しっかりこれを点数に反映できるように、その後、検討することになろうかと思っております。

 田所委員の御指摘も踏まえ、しっかりと検討してまいりたい、そのように思っております。

田所委員 もう時間のようですので、命の救われるDXの推進、さらには、トリプル改定によって、専門職が気概を持って働き、後継者が育つような、そういう積極的な改定への取組を心よりお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田畑委員長 次に、畦元将吾君。

畦元委員 質疑の時間をいただき、ありがとうございます。自由民主党・無所属の会、畦元将吾です。

 まず最初に、第二百十二回国会の衆議院厚生労働委員会の厚生労働大臣の挨拶の中で、来年は六年に一度の診療報酬、また介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定が行われる節目の年であり、物価高騰とか賃金上昇、経営状況、支え手が減少する中で人材確保の必要性、患者、利用負担、保険負担への影響を踏まえ、患者、利用者が必要なサービスを受けられるよう検討を進めますとお話をされました。

 現時点において御回答できる範囲で構いませんので、具体的にどのような検討が進んでいるのか。特に、診療報酬は、先ほど田所先生もおっしゃっていましたけれども、気になっているところでございます。お答えできる範囲でお答えをお願いいたします。

塩崎大臣政務官 畦元委員からの御質問にお答えいたします。

 今委員御指摘がありましたとおり、来年は、六年に一度、診療報酬、介護報酬、そして障害福祉サービスの報酬同時改定が行われるトリプル改定の年になってまいります。

 具体的な報酬の中身、この検討内容につきましては、例えば、まず診療報酬からいきますと、今委員からもお話がありました物価高騰、賃金上昇の関係の対策、そして全世代型社会保障の実現又は医療、介護、障害福祉サービスの連携強化に関する対応、また、医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現のための対応、そして社会保障制度の安定性、持続可能性の確保、こうしたことに対する対応、こうした基本認識が示されているところでございます。

 また一方で、介護報酬、障害福祉サービス等の報酬についても、今、それぞれの審議会等において、改定に向けた具体的な検討、こうしたものを進めているところでございまして、例えば介護の関係でいえば認知症対応、こうした点も含めて、引き続き議論をしていくというところでございます。

畦元委員 ありがとうございました。

 多くの医療機関も、医師を始めとする医療スタッフ、先ほどお話があった介護もそうなんですけれども、医療業界の方々が不安を感じておりましてという状況でおりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 では、次の質問に行きます。私のライフワークの一つと考えている認知症関連の質問をさせていただきます。

 全国的に国民をカバーできるような認知症疾患医療センターの整備と認知症専門医制度化を推進すべきと考えております。全国の五百五施設が指定を受けておりますが、診断機器の有無とか臨床心理士の在籍の有無など、検査の環境や体制が十分とは言えない部分もあります。

 ここから質問なんですが、国民に分かりやすい、必要に応じた階層別の施設基準を明確にし、投薬の確定診断のPET装置の適正な配置など、機器や人員を強化することも必要かもしれません。あわせて、国民に分かりやすいPR方法や資料作成も必要と考えております。また、居住地域によらず、どこへ行っても医療サービスが享受できる体制及びネットワークの構築も必要であると考えておりますが、厚労省としてどのような見解をお持ちでしょうか、教えてください。

間政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、どこにお住まいになっても、認知症の症状に応じた適切な医療・介護サービスが受けられるようにしていくことというのが大変重要だというふうに思っています。

 その意味では、まず、全国の自治体におきまして、認知症の疑い、気づきがあった場合にどこに相談したらいいのか、そしてどこで診断を受けるのか、そして、どこに帰ってどこでケアを受けるのか、増悪した場合にはどこに行ったらいいのかという、認知症のケアパスというものを作るようなことを進めております。九割を超える自治体で作成が進んでいるところでございます。それと同時に、身近なかかりつけ医が適切な医療機関につなぐことができるように、認知症への対応力を向上させるための研修等の取組を進めてきたところでございます。

 そして、今委員御指摘もありました認知症疾患医療センターにつきましては、かかりつけ医や地域包括支援センター等の関係機関とネットワークを構成して連携をしながら、速やかな診断、診断後の本人、家族へのフォロー、増悪期の対応等を行う地域の拠点として整備を進めてきたところでございます。

 今般、アルツハイマー病の新しい治療薬の承認も行われましたので、認知症疾患医療センターの相談体制の強化を進めると同時に、先ほど申し上げました、御紹介しました認知症ケアパスの市民の皆様への、国民の皆様への一層の周知と併せて、認知症医療体制の一層の整備に努めてまいりたい、このように考えております。

畦元委員 ありがとうございました。

 先ほどお話ししました施設基準なのかの資料があるのは知っているんですが、一般国民から見るととても分かる感じではないので、分かりやすいようによろしくお願いいたします。また、ネットワークも是非よろしくお願いいたします。

 では、それに関連しておりますが、抗アミロイドベータ薬の新規治療薬による医療提供を安全で適切に実行可能な、日本認知症学会、日本老年精神医学会専門医制度を発展させた認知症専門医制度の設置を日本専門医機構とともに急ぐことも検討してほしいと考えておりますが、現在の状況を厚労省から教えてください。

間政府参考人 お答えいたします。

 直接の担当ではございませんけれども、認知症についての専門医は、現在、日本認知症学会とか日本老年精神医学会におきまして、専門医の認定を行っておられます。また、日本専門医機構におきましては、関係学会の御意見も聞きながら、基本領域の専門医取得後に取得できるサブスペシャリティー領域の専門医制度の全体像について検討を進めているというふうに聞いております。

 御指摘のように、認知症対策を推進する上では、認知症に関する人材育成は非常に重要と認識しておりますので、先ほどの日本認知症学会や老年精神医学会といったところ、あるいは日本専門医機構ともよく情報交換や連携をして人材育成に努めてまいりたい、このように考えております。

畦元委員 ありがとうございました。

 では、もう一問、ちょっと認知症に関係することなんですが、血液検査によるアルツハイマー病などの早期発見や予防の促進をするべきではないかとも考えております。乳がん検診のような条件、要は年齢で絞るとかいうことを言っているんですが、健康診断のオプションなどで将来的に実施してほしい、血液検査によるスクリーニング検査を行い、早期発見、早期対策につなげるための体制の構築などを加速すべきではないかと考えておりますが、厚労省のお考えを教えてください。

間政府参考人 お答えいたします。

 委員御案内のように、認知症の診断につきましては、脳脊髄液バイオマーカーでありますとかアミロイドPETというものがある意味スタンダードなんだと思いますけれども、それが、バイオマーカーの臨床使用につきましては、認知症関連の各学会の監修の下に適正使用指針が作成されております。この指針では、血液バイオマーカーを実用化するには、より一層のデータの蓄積と多様な集団における血液バイオマーカーの性能を検証する研究が必要であると示されていると承知しています。

 こうしたこともありますものですから、さきに成立させていただきました令和五年度補正予算におきまして、共生社会に向けた認知症の早期発見、早期介入実証プロジェクトを推進するための予算を盛り込んだところでございます。このプロジェクトにおきましては、自治体と連携して、希望者が無料で認知症の診断のための血液バイオマーカーなどのスクリーニング検査等が受けられるようにすることと、それから、診断後は、認知症疾患医療センター等と協力して、本人、家族の意思を尊重しながら、地域包括支援センターや地域活動につなげられる体制をモデルとして構築することを狙っておりまして、こうした事業の成果も踏まえながら、認知症の早期発見、早期対応の体制構築に努力していきたい、このように考えております。

畦元委員 ありがとうございました。

 じゃ、次に、お配りしている資料一のところなんですけれども、神戸大学病院とか、臨床工学士のエックス線撮影についてなんですけれども、人体に放射線を出す資格のない臨床工学士が数年間にわたり患者さんに医師の指示で出していたということが、五月の二十四日でニュースが出ていたんです。

 内容はそこに書いてあるとおりなので省きますが、問題と考えているのが、診療放射線技師法に違反する可能性があることを認識したのにもかかわらず、数年間も継続しており、これは千葉の方の病院でも同じことが発覚したんですが、その発言の中で一番気になるのは、罰則の適用は三年の時効にかかっているというのが堂々と書いてあるんですね。時効がかかっていたらいいのじゃないかというような見方も見られるので、その辺りは大変気になるところです。

 これに対して、厚労省としてはどういう対策とかどういうお考えを持っているか、お聞きさせてもらっていいですか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 人体への放射線の照射は人体に危害を及ぼすおそれのある行為でございまして、医師やその指示を受けた診療放射線技師でなければ人体に対して放射線を照射することはできないこととされております。時効が成立しているかどうかにかかわらず、仮に、臨床工学技士により放射線照射が行われていたことという、こうした報道が事実であれば、誠に遺憾でございます。

 この報道を受けまして、厚生労働省から日本臨床工学技士会の理事長に対しまして、会員が法令を遵守するように求めたところでございます。これを受けまして、日本臨床工学技士会におきましては、ホームページに注意喚起文書を公表するとともに、会誌や学会での周知活動を行っていると承知しております。

 引き続き、法令遵守が徹底されるよう、関係団体と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。

畦元委員 ありがとうございます。

 厚労省からは、数年前から患者さんの被曝線量に関しては管理しようというのは動いていまして、放射線科医、放射線技師を含めて、看護師さんも含めてやっていますので、引き続きこの辺りはよろしくお願いします。

 それと、一つ気になったことがありまして、複数の患者さんを同時に撮影する場合に、医師が臨床工学士に手伝わせたようだ、やむを得ない対応だったと説明されております。免許を持つ放射線技師の人数が、法律違反をしなければならない環境であり、適材適所の配置ができていない状況であったことの立証とも考えられます。

 これから医師のタスクシフト・シェアも始まりますので、追い打ちをかける可能性もあるので、診療放射線技師、臨床検査技師を始めコメディカルの適材適所の配置ができるよう、事故が多発する前にしっかりと検討をお願いしたいと思っております。

 では、最後の質問になります。

 災害時における診療放射線技師の病院外活動について、資料二を見てもらいたいんですが、資料二のところにあります診療放射線技師法と診療放射線技師施行規則を見てもらえると分かるんですけれども、現在、コンピューター断層装置だけは病院外でやってはいけないということが一文あるんですね。

 時代が変わってきたことはあるんですけれども、それによって、災害時に出そうと思うときには、事前に申請をして、許可が出たら使えるという状況で、例えば、災害があったときに、それができませんので、要は、申請をして、許可をもらってからじゃ間に合わない、患者さんの死に至ることもありますので、最後の質問ですけれども、事前申請でなく、事後申請でもできるようにしてほしいと思います。それだけ、もしよければお答えいただいて、終わります。

田畑委員長 浅沼医政局長、答弁は簡潔にお願いします。

浅沼政府参考人 はい。

 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、放射線技師は、開設の手続を行った医療機関においてCTの撮影を行う必要がございますが、ただし、大規模な激甚災害等が発生した場合には、開設の手続等の規定が適用されない地方公共団体の長が開設する臨時医療施設において業務を行うことはあり得ますし、実際に、東日本大震災の際には、医療機関の開設許可等を事後に行うことを可能にしたこともございます。

 いずれにいたしましても、災害時など必要な場合にはどのようにすれば更に迅速な対応が可能か、関係する法令を踏まえつつ、検討してまいりたいと考えております。

畦元委員 ありがとうございました。

 時間が来たので、これで終わります。

田畑委員長 次に、吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。

 最初に、地域共生社会を支える高齢者活躍の推進についてお伺いしたいと思います。

 現在、二〇二三年度時点での我が国の高齢化率は二九・一%。五人に一人以上が高齢者である超高齢社会には既に突入し、今や四人に一人以上を超え、さらに、二〇四〇年には三五%、高齢者が三人に一人以上になると見込まれており、この現実を見据えて、あらゆる社会機能や構造を持続可能なものにしていく必要があります。世界に先駆けて超高齢社会となり、平均寿命世界一の我が国こそが、高齢者が生き生きと活躍できる共生社会の実現のトップランナーになるべきだと考えます。

 公明党は、今年六月に地域共生社会を支える高齢者活躍推進プロジェクトチームを立ち上げ、私も一員として様々な団体の方のお話をお聞きし、また視察にも行かせていただき、「地域で輝く、私のセカンドキャリア。」と題した報告書を十一月に松野官房長官に手交させていただいたところです。

 PTで訪問し、視察をさせていただいたあい・ぽーとステーションでは、子育て支援をセカンドキャリアとして楽しんでいらっしゃる高齢の男性の方の姿に大変希望を感じました。現役時代は世界を股にかけたエンジニアでいらっしゃったり、大学の教授だったり等、経歴の方で、自らの子育てには関わる経験がなかったと反省と悔いを感じていらっしゃいましたけれども、リタイア後に畑違いの保育に関わる上でしっかりと研修を受けておられ、幼児教育の重要さに目覚められて、まちプロさんという呼び名でしたけれども、まさにプロ意識で取り組んでおられました。現役時代は競争社会の中で突っ走ってきたが、今は共生ということに目覚め、自分が地域に貢献できていることに楽しさと大きなやりがいを感じているとお聞きし、とても感動いたしました。

 高齢者の皆様お一人お一人がセカンドキャリアに何を求めていらっしゃるのか、現役時代の経験やスキルを生かしたいのか、地域のニーズに応えたいと思っていらっしゃるのか、御本人の希望と多様な活躍の場とのマッチングやフォローアップを実施する、仮称、高齢者活躍地域相談センターを各自治体に設置することを、この公明党PT作成の報告書で提案をしております。

 既に地方では高齢者の方に頑張っていただいて成り立っている地域社会は数多くありますけれども、介護、障害福祉、子育て、教育支援、成年後見、民生委員、児童委員、保護司などの人材が今後ますます不足していくことが予測され、また、単独世帯も増加し続けていく中で、生活支援、身元保証、死後事務など本来家族が担ってきた機能はますます失われていくため、更なる家族機能の社会化も求められております。

 二〇二五年、団塊の世代の方が全て後期高齢者となられる今こそ、地域共生社会を支えていただく重要な担い手、地域になくてはならない存在として、高齢者の方々を尊重し、役割を担っていただく、その環境整備を推進していくことは、我が国が持続可能な社会としていく上でも、高齢者の生きがいと健康増進につなげていく上でも極めて重要だと思います。

 人生百年時代の長いシニアライフにおけるセカンドキャリアの推進を図る高齢者活躍地域相談センターの設置を是非検討いただきたいというふうに思いますが、政府としての御見解をお伺いします。

三浦大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、高年齢者が地域におきましてそれぞれの希望やニーズに応じた多様な就業ができるよう支援していくのは大変重要だと考えております。

 厚生労働省では、令和四年度から生涯現役地域づくり環境整備事業を実施しておりまして、現在、十か所の地域におきまして、それぞれの地域の特色を生かしながら、相談支援や就業の場へのマッチング等の取組が行われております。

 委員御提案されております高齢者活躍地域相談センターは、先ほど申し上げました生涯現役地域づくり環境整備事業の実施においても大変参考になるものと考えておりまして、引き続き、高齢者の活躍に向けた取組を推進しますとともに、その成果が広く周知、普及されるよう努めてまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 また、この報告書の中で、高齢期前の現役世代へのアプローチの重要性にも触れております。現役時代からセカンドキャリアを意識した多様な働き方、兼業や社会貢献休暇などの取得促進などの推進に取り組む企業を認定する仕組み、セカンドキャリア応援企業認定制度、仮称ですけれども、などの創設、インセンティブとしての助成制度などの予算措置も提言をしております。

 今、定年まで働くという終身雇用という形態が減少していく中で、是非前向きに現役世代へのアプローチ、検討を目指していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

三浦大臣政務官 お答え申し上げます。

 御指摘されましたように、企業におきまして従業員が高年齢期も見据えてキャリア形成に取り組めるよう支援が行われることは、大変重要だと考えておるところでございます。

 こうした観点から、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構におきましては、高年齢期の働き方に関する研修、キャリア面談の実施やキャリアコンサルティングの機会の提供、退職後の生活設計に関する支援などの取組を行っている企業の事例を収集し、事例集を作成、公表するなどの展開を図っておるところでございます。

 引き続き、好事例の収集、展開に積極的に取り組み、企業による従業員のキャリア形成支援の取組を促進してまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 また、大事なことは、会社員だけではなくて、金銭的な将来不安を抱える、孤立する専業主婦や派遣で働いていらっしゃる方、個人事業主さんなどを置き去りにしない仕組みも重要だと思います。年金だけでは暮らしが成り立たない、貧困に陥る高齢女性が今後増えていくことも予測をされております。大変憂うべきことです。

 先日も、五十代の女性の方から将来の不安をお聞きしました。親の介護もあり、なかなか仕事ができない、金銭的に将来が見通せず不安だと。誰一人置き去りにすることなく、現役時代のうちから早めにアプローチをしていくことは、会社、組織に属してこなかった専業主婦などの方に対しても重要だと思います。

 四十代、五十代の時点で自治体などの相談窓口等で老後の生活設計のアドバイス、リスキリングやリカレント教育につなげ、自分の能力や条件に見合った職に就いていただき所得を増やしていただくという取組も強化すべきと考えます。政府のお考えをお伺いいたします。

三浦大臣政務官 委員御指摘されましたように、専業主婦の皆さんの方々も含め、誰もが活躍でき、安心して暮らせる社会を構築することが必要であると考えておるところでございます。

 ハローワークでは、専業主婦を続けてこられた方など職業経験が非常に乏しい方に対しましても職業相談、職業紹介などを行っておるところでございます。

 そしてまた、専業主婦の皆さんも含め、キャリア形成、学び直しを支援する拠点として、キャリア形成・学び直し支援センター、そういったものを全都道府県に整備しておりまして、より丁寧なキャリアコンサルティングを無料で受けていただくことも可能であるというふうにしております。

 さらに、ハローワークにおきましては、キャリア形成・学び直し支援センターにおける支援に関する情報が支援対象者に行き届くよう、専用ポータルサイトやSNSを通じた発信のほか、地域の各世帯へ配布される自治体等の広報誌へ当該センターの案内を掲載する、そういった周知にも取り組んでおるところでございます。

吉田(久)委員 次に、質の高い認知症ケアへの評価の充実をお願いしたいと思います。

 さきの通常国会で、我が党の古屋副代表を中心に、八年の長きにわたって党としても成立を目指してきた認知症基本法が可決、成立をいたしました。認知症の当事者の皆さんの御意見をしっかりと伺って、もちろん予防、そして診療ということも大事ですけれども、共生ということを重視し、認知症になったとしても個人の尊厳が守られ、意見や思いが尊重される社会を目指したこの法律、共生社会の実現を推進するための認知症基本法に対して、関係者の皆様だけでなく、大変多くの皆様から高い評価と期待をいただいております。

 これから全国の自治体の皆様とこの理念を共有し、認知症になっても安心して共に生きていける地域社会を各地域で具現化することが大事になってまいります。

 つい先日、日本認知症グループホーム協会の皆様からの御要望をお聞きいたしました。認知症に関する現実と課題について大変貴重な御意見を承りました。まずは、何といっても、基本報酬の充実が喫緊の御要望でした。これまでも、この点については我が党も、伊佐議員からも質問がありましたし、先ほども浜地副大臣からも前向きな答弁をいただきましたので、この報酬改定、プラス改定については期待をしてまいりたいと思います。

 私からは、そのほかの切実な御要望を基に質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、地域における認知症ケアの拠点、認知症伴走型支援事業の現状です。

 地域における認知症の御本人や家族に対する支援体制の充実を図るための事業として、専門的な知識を持つ認知症高齢者グループホーム等が支援や助言などを継続して行う伴走型支援の役割を担っていただくことになっており、国と各市町村が費用を半分ずつ負担して取り組むことが令和三年からの新規事業となっております。

 ただ、これが、いまだ全国十一か所でしか行われていないということでした。この認識でよろしいでしょうか。

間政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、令和五年度におきまして、八の都道県の十一の市区町において実施されている、このように承知しております。

吉田(久)委員 この事業、大変重要なものだと思います。認知症を心配されている本人や家族が相談でき、適切なアドバイスを受けられる伴走型の支援体制をつくることは認知症基本法の理念に沿うものであり、もっと全国に展開されるべきだと考えます。

 十一か所にとどまっている理由について、市町村が、費用の半分の負担が重くて、この事業に加わることに、特に財政の厳しい市町村が尻込みをしているのではないか、潜在的なニーズはもっと多いと、事業を担ってくださっているグループホームさんは語っておられました。

 この認知症伴走型支援事業、認知症ケアの拠点を整備していく事業を国として今後どう推進していかれるのか検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

三浦大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、認知症伴走型支援事業は、地域の認知症グループホームなどに支援の拠点を設置し、御家族の皆さん方、生活、介護の方の支援を行うことでございますけれども、我々も大変重要な事業だと考えており、多くの地域に広げていく必要性を感じておるところでございます。

 このため、厚生労働省におきましては、この事業に取り組む際の必要な考え方や手順等を取りまとめたマニュアルを作成し、地方自治体及び関係団体に周知を行っておるところでございます。

 今後、この事業を実施している十一町村から事例を収集いたしまして、地域特性に応じた展開方法を検討し、更なる周知を行うことで、効果的に推進していきたいと考えております。

 さらに、認知症基本法の施行に伴い、地方自治体は、認知症施策推進計画の策定など、認知症施策の一層の推進に努めることになっておりますが、そうした中で、認知症伴走型支援の拠点整備の取組が進むよう、国としてもしっかりと後押しをしてまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 是非推進をお願いしたいと思います。

 続いて、認知症ケアの評価についてお伺いします。

 今の介護現場では、介護度が上がるほど加算がつき、事業所の収入が増える仕組みになっておりますが、現場のお声をお聞きしましたら、むしろ要介護一と二の方が、見守り、お声がけ等で人手がかかり、しっかりと関わって介護度が改善し、介護度が進まないように頑張れば頑張るほど収入は減ると。つまり、認知症ケアにおいて質の高いケアを頑張った事業所の収入が減るという、本人や家族にとって幸せな、望ましいことなはずなのに、そういう逆のインセンティブが働く仕組みになってしまっております。

 また、認知症介護実践研修の修了者を配置しても、加算が少な過ぎてコストが見合っていない、また、加算要件に、時間も手間もかかるBPSDの予防や改善の評価が入っていない、認知症ケアのプロセス、アウトカムに関する一定の評価、また認知症専門ケア加算の単位数や算定要件の見直し等を是非行っていただきたいというお声がございます。

 質の高い認知症ケアを提供している事業に対する評価の仕組みを認知症基本法の具現化の一つとしても検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

間政府参考人 お答えいたします。

 認知症基本法におきましても、良質かつ適切な保健医療・福祉サービスが提供される必要があるとされているところでございます。

 委員御指摘のような視点も踏まえまして、現行の認知症専門ケア加算につきましては、社会保障審議会の介護給付費分科会におきまして、一つは、訪問介護等における認知症高齢者の重症化の緩和を図ること、あるいは、日常生活自立度二の方についても、適切に認知症の専門的ケアを行っている事業所を評価する観点から、利用者の受入れ割合に関する要件を利用実態に即して見直すことについて御議論いただいております。

 また、委員御指摘の、認知症の行動心理症状、BPSDについては、その発現を未然に防ぎ、かつ、出現時に早期に対応する適切な認知症ケアに向けて、平時からの予防に資する取組を評価する新たな加算の創設について、同分科会で御議論いただいているところでございます。

 こうした議論を踏まえまして、引き続き、介護サービスにおける認知症への対応力強化について、令和六年度介護報酬改定においてしっかりと検討を進めてまいりたい、このように考えております。

吉田(久)委員 次に、新生児マススクリーニングの二疾患の追加の検討についてお伺いします。

 重症複合免疫不全症、SCIDは五万人に一人、脊髄性筋萎縮症、SMAについては二万人に一人の割合で発症する先天的な病気ですが、近年、治療薬の開発が進み、早期治療による軽減、改善等の効果が大きいことが分かってきました。保険適用も可能となったことから、公明党も多くの議員が関わり、全ての女性のトータルプラン等でも、この二疾患を新生児マススクリーニング検査に追加することを党としても提言をしてきました。

 今回、こども家庭庁の令和五年度の補正予算案の中に、その実証事業が行われることが明記をされました。令和五年度より国において調査研究を実施し、都道府県や指定都市の実証事業と連携協力することでデータを収集し、対象疾患を追加する場合の検査、診療体制、遺伝子カウンセリング等の課題の対応策を得ることとし、全国展開を目指すことになりました。

 実証事業において、調査研究においてどういう結果が出れば追加決定となるのか、当然、この点も明確化すべきだと考えますが、この二疾患については、効果的な薬が承認をされ、早期発見、早期治療の効果があると分かったわけなので、少ないデータが集まるのを待つのではなく、安全性が分かった時点で、国として新生児マススクリーニングの公費検査の対象に早期に加えるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 新生児マススクリーニング検査の検査方法ですとか対象疾患につきましては、これまでも検査技術や治療法の進展等を踏まえて拡充をしてきておりまして、現在は、早期発見、早期治療により知的障害等を予防することが可能な二十の先天性代謝異常等の疾患を対象としているところでございます。

 対象疾患をどうするかということについてでございますが、AMEDにおきましてその選定基準等に関する研究を行ったところでございますけれども、今般、新たな治療法の開発ですとか、学会等の関係団体からの要望、有識者の御意見等を踏まえまして、御指摘をいただいた二疾患を新たに追加する優先度が特に高いというふうに考えられたところでございます。

 一方で、これらの疾患を対象としたスクリーニング検査を全国で展開をいたしますためには、それぞれの地域において、検査陽性者や患者が必要な精密検査や診療、遺伝カウンセリング等を受けられる体制が整っているか、あるいは検査の精度管理の適切な実施が確保されているか、こういったことが重要になってくるというふうに考えております。

 このため、地域における検査、診療体制の整備状況の把握等を行う国の調査研究と連携協力を行うことで、対象疾患の拡充に向けた検討に資するデータや情報を収集するための実証事業を実施することといたしまして、令和五年度補正予算において所要の予算を計上したところでございます。

 今般、実証事業の対象とする二疾患については、必要な知見や体制の確保が得られ次第、可能な限り早期に全国展開を目指してまいりたいというふうに考えてございます。

吉田(久)委員 是非、早期展開ができますように、推進をお願いしたいと思います。

 続いて、障害児支援の個別対応の存続の支援について御質問したいと思います。

 我が党は、子供の幸せを最優先する社会を目指して、昨年、子育て応援トータルプランを策定をいたしました。そのプランの中では、障害児のライフステージに応じた支援を掲げ、政策の実現を進めているところです。

 障害のあるお子さんには、早期からの支援、さらに、継続的な支援が欠かせません。現在、幼児期には発達支援事業、就学後は放課後デイサービス等がありますが、それぞれニーズが高まっております。

 民間のオンライン全国調査では、八割の保護者が、個別支援、また個別支援と集団支援の組合せを求めており、個別支援の時間は一時間以内が理想というふうに答える方が八八%となっております。お子さんや保護者の方々の支援ニーズに応えるためには、引き続き、サービスの質と量の更なる充実また拡大が求められております。

 しかしながら、現在検討が行われている障害福祉サービスの報酬改定では、支援時間の長短によって報酬を区分する、すなわち、短時間、例えば一時間の支援の報酬を引き下げようという検討が進められております。支援時間によって区分するというのは一見妥当のように見えますけれども、支援の密度も考えて判断する必要があります。

 例えば、支援者三人でお子さん九人の集団を三時間支援する場合、また、それと、支援者三人で短時間の一対一の支援を三時間で九こま、合計九人のお子さんを支援する場合とを比較しても、どちらも支援者三人が三時間必要になるというコストは同じだからです。

 具体的には、保護者が個別支援を望む理由としては、例えば、新しい集団に入るとお子さんが緊張してパニックを起こしてしまう、また、周囲が気になり過ぎて自分の課題に取り組めない、感覚過敏があるためとても疲れやすいなどがあり、お子さんの特性によって、そもそも集団支援がなじまないお子さんがいらっしゃいます。

 一人一人に即した丁寧な個別支援を通じて徐々に集団の中で意見を言えるように成長した、こうした事例は全国で数多くあり、お子さんのニーズに応じて一対一支援が必要であることは実践上も明らかになっています。

 もし短時間支援の報酬が引き下げられると事業自体が赤字になってしまうと、多くの事業者の方々が現在危機感を覚えていらっしゃいます。事業を存続するためには、個別支援を廃止し、全ての支援を長時間の集団支援にせざるを得ないというお声もあります。

 個別支援を多くの方が望む保護者調査からも分かるように、そもそも放課後デイサービスを利用するお子さんたちは集団が苦手な側面があると思います。現在の日本の学校教育は、朝から夕方までそのほとんどが集団形式の学びとなっており、その中で、集団活動が元々得意でない子供たちが学校生活で不適応を起こしたり不登校になったりと苦しんでいるケースが多く見られます。

 そういった子供たちが、放課後デイで個別支援を丁寧に受けながら、先ほどの事例にあったように、自分のペースでしっかりと成長していき、集団生活に適応していく、この過程こそが、発達障害を始め、放課後デイに通うお子さんたちにとって非常に重要なのではないでしょうか。

 元々集団が苦手な中で苦心している子供たちを放課後デイサービスの中で最初から集団で支援していく方法しか取れないというようなことになっては、子供たちにとって大きな不利益となります。

 国も、個別の指導計画を立てて、個に合った丁寧な指導を行っていくという方針で障害児教育を推進をしています。その国の方針と保護者のニーズに合った個別指導を行っている事業者の経営の存続を難しくしてしまう改定は、日本の障害児教育、また、せっかく近年、質の向上が進んできたと言われる放課後デイサービス事業を後退させてしまうことになると思います。

 子供のニーズ、個々の発達の状況に応じた支援の選択ができ、個別支援を提供する事業者が事業運営を継続できるよう、適正な報酬改定をお願いしたいと思いますが、見解をお伺いします。

野村政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、児童発達支援でございますとか、あるいは放課後等デイサービスなどの障害児支援におきましては、障害のあるお子さんの発達段階であるとかその特性、こうしたものに応じまして適切な発達支援というのを提供されること、これが大変重要な肝であるというふうに考えてございます。

 今年の三月に取りまとめられました障害児通所支援に関する検討会の報告書におきまして、児童発達支援や放課後デイサービスにつきまして、包括的なアセスメントを行い、子供の状態に合わせた発達支援が提供されることが必要である、その上で、個別支援や集団支援を含め、様々な支援内容が考えられるのではないのか、そして、支援に対する人員の配置の状況あるいは支援の内容などに留意しながら、支援時間の長短を考慮したよりきめ細かな評価を行うことが必要であるというような指摘がなされたところでございます。

 こうした検討会の報告なども踏まえまして、現在、令和六年度障害福祉サービス等報酬改定検討チームにおきましては、発達支援の在り方、児童発達支援、放課後等デイサービスにつきまして、発達支援に対するきめ細かい評価とする観点から、基本報酬に支援時間による区分といったものを設定するということを検討することと併せまして、専門人材による個別、集中的な支援の計画的な実施の評価など、支援の内容であるとか体制などに応じたきめ細かな評価も検討する、そういう方向性を併せてお示しをしているところでございます。

 引き続き、次期報酬改定に向けましては、基本報酬による評価、さらに、それに加えて、加算などに応じまして、子供のニーズに応じた取組、こういったものをきめ細かく評価できるような検討を進めてまいりたいと考えてございます。

吉田(久)委員 集団におきましても、専門的な、集中的な支援は大事です。時間だけにそういう報酬が決められないような仕組みは是非整えていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田畑委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日は一般質疑ということで、大臣、よろしくお願いいたします。

 まず、入院や介護の食事療養費に関してでございます。

 十一月八日付の帝国データバンクの配信記事に、安い給食、物価高で限界、給食企業の倒産、二年連続増加というものが、大臣、ありましたね。大臣も覚えていらっしゃると思いますけれども。

 学校給食や企業向け給食、学生、社員食堂の運営受託などを含む給食事業者の倒産は、十月までに十七件発生したそうであります。特に、九月に発生した給食運営のホーユー、広島の会社でございますが、の事業停止は、全国の学校給食に大きな影響を与えたことは記憶に新しいところであります。

 記事によると、昨年以降、月二千品目を超える食品値上げに加え、調理スタッフなど人件費や光熱費などあらゆる運営コストが高騰し、小中学校を含む給食現場の経営を直撃したと。二〇二二年度の最終利益が判明した給食事業者三百七十四社のうち六割超が赤字や減益となったほか、一割超の企業では三年連続で赤字となるなど厳しい経営環境が露呈したとされています。

 このような状況は、同じ給食でも、病院や介護施設などの食事を担っている業者さんも同様であると思われます。

 病院に対する食事療養費はここ三十年近く上がっていないと聞いております。介護施設についても引上げがなされていないと聞いています。しかし、大臣、近年の物価高、特に食料品などの高騰はこのような業者を当然直撃していますね。このような状況は、価格を引き上げたくても引き上げられない状況ですから、彼らもですね。もう本当に大変に厳しい状況だと申し上げざるを得ません。

 そこでお伺いしますが、今までこのような状況について、厚生労働省はどのようにお考えでいらっしゃるのか、大臣、お答えいただけますか。

武見国務大臣 昨今の食材費など特に足下で大きく高騰しているところで、公定価格のために価格転嫁ができないというのは御指摘のとおりです。特に病院経営に影響しておりまして、病院食の質が下がりかねない状況にあると、深刻に受け止めております。

 このために、今般の経済対策で重点支援地方交付金の追加を行うこととされて、あわせて、医療と介護など、重点的な活用を推奨することとされております。特に医療機関への入院時の食費については、その基準が長年据え置かれてきた、確認してみたら二十六年間不変であったということでありまして、介護保険とも差が生じていることも踏まえて、診療報酬の見直しに向けた検討を行うことと併せて、それまでの間、早急かつ確実に支援を行うこととされております。

 このように、医療、介護の食費については、今般の経済対策により対応を進めるとともに、骨太の方針二〇二三におきまして、物価高騰や賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、利用者負担、保険料負担への影響も踏まえて、利用者が必要なサービスを受けられるよう、必要な対応を行うとされていることを踏まえて、令和六年度の同時改定に向けた議論の中で、この食材費の課題、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 大臣、今は、十一月二日の政府の経済対策の内容も含んでお話をいただいていますよね。これは診療報酬で本当に、大臣、できますかね。診療報酬だけじゃないと大臣は今おっしゃっていますよね。診療報酬の増額と併せてということでありますが、そうすると、大臣、診療報酬もやっていただきたい、そしてまた個別の対応もやはり私は必要だと思うんですが、大臣、今の段階で、その予算規模と、いつ開始をするかが大事じゃないですか。もう今、現状、困っているし、赤字なわけですから。いつ始めるのかということと予算規模をある程度、一定程度指し示して、全国の給食業者さんを少し安心させていただきたいんですが、どうですか。

武見国務大臣 残念ながら、まだ今の時点で予算規模は申し上げられないんですけれども、地域医療介護総合確保基金による対応を念頭にいたしまして、診療報酬の見直しに合わせて、二〇二四年度の予算編成過程で検討する、こういう過程になっておりますので、地域医療介護総合確保基金にこの食材費をどのような形でどの程度積めるかというのが委員御指摘の点に関わる回答になるかと思います。

吉田(統)委員 ちょっと物足りないですけれども、大臣、またしっかり本当にやってください。大臣、二十六年遡ってちゃんと見ていただいたのでよくお分かりだと思いますので、お願いします。

 それでは、次のテーマに行きたいと思います。

 大臣、六十歳以上で働きながら年金を受け取っている方に関してなんですけれども、給与等と年金月額の合計が四十七万円を上回る場合、在職老齢年金制度によって年金額の全部又は一部が減額調整される可能性があるとされていますね、大臣。これはもう御存じだと思います。私はこれを四十七万円の壁と申し上げたいと思いますが、本来受けられるべき老齢厚生年金も減額されるんです、大臣。

 何よりも問題なのは、繰下げ支給の対象から除外されること、これは大きな問題だと思いますが、これは事実ですか、大臣。

橋本政府参考人 私の方からお答えさせていただきます。

 繰下げ支給を選択された場合には、六十五歳から受給される本来の年金額を割増し支給ということになるわけでございますが、在職老齢年金の支給停止額を超えている場合におきましては、支給停止相当分を除いた部分について繰下げに伴って増額する、そういった扱いになっているところでございます。

吉田(統)委員 大臣にお答えいただきたいので、大臣がお答えくださいね。

 年金機構のホームページにも、「繰下げ受給をした場合の加算額は、老齢基礎年金の額(振替加算額を除く)および老齢厚生年金の額(加給年金額を除く)に下記の増額率を乗じることにより計算します。」と書かれていますね。「ただし、六十五歳以後に厚生年金保険に加入していた期間がある場合や、七十歳以後に厚生年金保険の適用事業所に勤務していた期間がある場合に、在職老齢年金制度により支給停止される額は増額の対象になりません。」とされています。

 この制度は大きな問題をはらんでいると思います。

 だって、大臣、現在、将来の労働人口減少をにらんで、技能実習制度及び特定技能制度の見直しの方向性が示された、人材確保及び人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討すべきとされ、外国人材の導入を検討していますよね。しかし、まず、ストレートに申し上げると、日本人の、働く意欲のある高齢者や女性などに活躍していただく前提での人材不足に対応する施策を検討する余地が、大臣、あるんじゃないんですかね、まず。笑ってみえますが、そうですよね、大臣。

 そして、この中で、今私が申し上げた四十七万円の壁は、六十五歳を超えてからの労働意欲に水を差す制度であろうと考えます。今後の労働市場の人材不足対策に逆行するものだと思いますし、また、もう遠い記憶に、大臣、なっちゃったかもしれませんが、一億総活躍とか言っていましたよね。もう忘れちゃったんじゃないですか、こんなことをやっているようじゃ。これはほど遠い政策だと思いますよ、大臣。

 必要なのは、今まで長年にわたり年金を支払い、制度を支えてきた方々への給付の抑制ではなく、働く意欲があり、仕事上の様々なノウハウをお持ちの方々等にできるだけ仕事をしていただく、きちんと税収を得ることが健全な労働環境の整備ではないかと、大臣、思います。

 さきの通常会の質疑の際にも私申し上げましたね。ハーバード大学の、ザ・ファーザー・オブ・モダン・レチナール・サージェリーと言われたチャールズ・L・スケペンス教授を始めとした海外の優秀な医師は、そのポストに日本とは比較にならないほど長く残って仕事を続けられます。

 日本では、六十五歳を超えたら、働き方をどうしようかな、セーブすべきかせざるべきかという方が、これは優秀な研究者でもそうですよね。こういった研究者が全部中国に一時期取られちゃったんですよ、本当に。名古屋大学の平野学長もまたしかりですよね。現役の上海交通大学の教授ですよ、総長を退かれた後も。こういったところを見ると、本当に日本は、高齢者でノウハウ、能力、そして意欲、様々お持ちの方の、これはかねてよりですよね、製造業において、かえって、そういうことをやってしまったがために人材がアジア各国に流出した。

 厚生労働省としてこの四十七万円の壁の問題についてどのように捉えているのか、私がるる今申し上げた高齢者の方で体力、気力、能力が十分な方々に活躍していただくための政策をどう考えているのかを、大臣、お答えいただけますか。

武見国務大臣 厚生労働省も委員と同様、問題意識をちゃんと持っておりまして、十月の二十四日に社会保障審議会の年金部会でこの議論をいたしました。その際の在職老齢年金についての議論の推移というのは、やはり、委員のような形にすべきだという御議論とそうではないという御議論と、賛否両論、もう完全に分かれちゃったんですね。

 改めて、厚生年金受給者を対象に老齢年金の支給の全部又は一部を停止する仕組みで実際に四千五百億円の給付が止められているんです、年間で。かなりの額です。

 この在職老齢年金制度について委員と同様の意見の方というのは、高齢期の就労を促進する観点、それから、年金を増額できる繰下げ制度の活用を促進する観点から制度を見直す必要があるという意見ですね。他方で、制度を見直すには一定の財源が必要であり、その分将来の年金の給付に充てる財源が減少する、その結果、将来世代の年金の給付水準が下がってしまうことから、制度の見直しには慎重にすべきだという意見もあったんです。

 この両者をどういうふうにこれから調整をして厚生労働省としての見解として取りまとめていくのかという難しい課題に今まさに私ども直面しているところです。

吉田(統)委員 でも、本質的な議論をしても、財源論がここに出てくるのはおかしいと思いますよね。私も、働いてもらって、税を納めてもらえばいいじゃないかとも申し上げたじゃないですか。

 じゃ、もっとダイレクトに、大臣、聞きますけれども、賛否両論だと大臣は今おっしゃいましたね。大臣はどう考えているんですか。

武見国務大臣 私の立場は、皆さんの意見をちゃんときちんと真摯に受け止めて、それを聞いた上で最終的に判断をするのが私ですので、現状ではまだ判断はできないというふうに申し上げておきたいと思います。

吉田(統)委員 だから、もう、だって、十分と議論が進んでいるんだったら答えられますし、じゃ、大臣、いつまでにお決めになられるんですか。

武見国務大臣 次期の年金制度改正に向けて、在職老齢年金の在り方についても社会保障審議会の年金部会において御議論をいただいて、そこで丁寧に議論を調整をした上で判断を下す、こういう格好になると思います。

吉田(統)委員 もちろん、大臣は様々なお話を聞いて。ただ、最終的に決めるのは大臣でいらっしゃいますからね、当然。そこはしっかりとお話を聞いて、お考えをまとめていただきたいと思います。

 じゃ、今日はちょっとたくさん用意したので、次の話に行きたいと思います。賃上げと医療、介護、保育の報酬に関してであります。

 十一月六日、岸田総理は、二〇二四年の春闘に向けて経済界に対して私が先頭に立って賃上げを働きかけると、意欲を示したと報道されています。しかし、経済界に働きかけるだけでは全く不十分であるのはもう大臣も御承知のとおりだと思います。

 例えば医療・介護分野で働くのは約八百万人、これは労働人口の一二%と言われています。さらに、保育士さんが六十万人強いらっしゃると聞いております。大臣は当然御存じだと思うんですが、経済界への働きかけによってこれらの方の賃上げは全く達成できませんよね。医療・介護分野は、診療報酬、介護報酬で病院や介護施設に入る実入りはほぼ決まりますよね。

 特に、コロナの最前線で頑張った中核病院、総合病院の利益率の低さは大臣はよく御存じのはずです。これらの施設は、控除対象外消費税の影響も受けて、人件費に割ける割合は、世の中がインフレが進む現状でも一層厳しさを増しています。純粋に、医療関係や介護関係は、診療報酬、介護報酬を上げないと賃上げは無理なんですよ、大臣。もう大臣は分かっていらっしゃいますよね、それは。

 加えて申し上げると、介護と保育の分野も、介護事業者の皆さんは本当に高い志でやっていただいているのは分かるんですが、政府が行う様々な助成制度、給付制度があっても、賃上げに直結させるためにはやはり人件費を透明化させないといけないと思います。実際に政府の施策が介護分野の現場で働く皆さんに直結しているかどうかというのは、人件費を見ないと、大臣、分からないですよね。もちろん私は、性善説的に介護事業所のオーナー、経営者の方を信じます。高い志でやっていただいていると信じていますが、しかし、ここを透明化しないと、大臣、やはり分からないんですよね。

 やはり、是非、本当に透明化に資する、まあ、医療法人、本当はだから、介護、調剤とかこういうものも特定の法人にすべきだと思うんですよね。それで透明化を図っていった方が。医療法人と一緒ですよ。やはり透明性が極めて大事ですので、そういったことは一言付言させていただくんですが。

 こういった状況を考えれば、厚生労働省、こども家庭庁が公正に評価して、指導しつつ、介護報酬、公定価格の、まあ保育だと公定価格ですね、引上げが必要だと考えますが、その点、いかがでしょうか。

武見国務大臣 私も吉田委員と全く同じ認識でおります。

 実際に、補正予算でも、実際、経済総合対策の中で、例えば介護に関わる六千円の賃上げというのを、月当たりですけれども確保させていただきましたけれども、これも来年の五月までなんですね。したがって、それ以降の恒久化をどう新たな財源で確定するかは、予算編成の中で、同時改定のプロセスで私ども考えなきゃならない、こういう状況にございます。

 改めて、この透明性の議論、これもやはり確実に重要で、こうした財源をしっかり確保する一方で、それがちゃんときちんと賃金に回っていくということがしっかり確認されるということはやはり必要なことだと私は思います。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございます。

 私も大臣に期待していますし、世の中の方は、大臣がおっしゃるのは六千円じゃなくて六万円の間違いじゃないかなと思っちゃいますし、本当に、期間も、そんな五月までなんて、こんなことでは逆に世の中の期待がしぼんでしまいますので、大臣、本当に今いい御答弁をいただきました。大臣が本当に介護、医療、保育の守護神として、六千円といわず六万円を目指していくぐらいの、そういった力強い答弁をいただけませんか、今。

武見国務大臣 大変力強い御質問には大変感謝を申し上げます。

 ただ、数字はまだちょっと申し上げられませんが、ただ一言、しっかり頑張りますということだけは申し上げたいと思います。

吉田(統)委員 大臣、いい答弁をいただきましたので、六万円に向けて頑張ると我々は受け取りましたので。期間も、恒久化を本当にしてください。恒久化して六万円、難しいのは承知していますが、何とかここはやっていかないと、大臣、いけませんので。

 それでは、ちょっと大臣は御休憩いただいて、デュアルユース補助金に関して経産省と厚生労働省にお伺いしていきたいと思います。

 十一月十日の質疑で、経産省所管のワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業、いわゆるデュアルユース補助金について話に取り上げました。この中で、モデルナが選ばれたことに関して私は少し疑問点を提示しました。

 さきのパンデミック時にも問題になった我が国のワクチン生産体制の問題、いつも私が申し上げている国内企業による医薬品製造支援の問題、そのほかコロナ時の補助金についてなど、様々な問題を含んだ話だと思うんですが、まず、経産省に来ていただいておりますので、経産省にお伺いします。この整備事業の目的と概要を簡潔にお答えいただけますか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の新型コロナウイルス感染症のワクチンは、新しいバイオ医薬品の技術が用いられており、日本は、一部を除き、海外で開発、生産されたものを輸入して対応してきたところでございます。こうした反省を踏まえまして、次の感染症有事の際には国内でワクチンを開発、生産できるよう、令和六年三月に策定しましたワクチン開発・生産体制強化戦略に基づき、政府一体となって取組を進めているところでございます。

 経済産業省では、その中で、ワクチンなどの製造拠点の整備を進めるため、御指摘のデュアルユース補助金を通じまして、平時は企業ニーズに応じたバイオ医薬品を製造し、感染症有事にはワクチン製造に切り替えられるデュアルユースの製造拠点の整備を進めているところであります。

 現在、二度の公募を通じまして、ワクチンなど製造拠点の整備に取り組む事業を決定したところでありまして、今後五年ほどで製造拠点の整備を進めてまいりたいと思っております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 ちょっと二問ほど飛ばして、先に進みたいと思います。

 デュアルユースということですね、審議官。次に、デュアルユースである本事業において、当然、パンデミック時にはメッセンジャーRNA等のワクチンの製造を行うということだと思いますが、平時についてどうするのかということが、デュアルユースですから大切です。

 まず前提としてですが、メッセンジャーRNAワクチンというのは、実は、コロナの蔓延前から研究は行われていましたが、今までうまくいっていないんですよね。今回、本当にすごく幸運だったという言い方もできるとは思います。

 その中で、新型コロナワクチンで、奇跡的と言うとあれですが、僥幸ですよね、うまく本当にいって、全世界にワクチンを広げるという大きな役割を果たした。これはすばらしいことだったと思います。ただ、メッセンジャーRNAワクチンというのは、抗原劣化が起こらないことがメリットですが、現在開発中のものもあるんですが、使用に至ったのはコロナワクチンだけなんです。

 専門家の方も、シングルユースバッグでメッセンジャーRNAは作れない、とすればデュアルユースということになるが、現状ではパンデミックワクチンだけを作る施設になってしまうんじゃないかと指摘をされています。

 今回の製造拠点の整備事業において、平時は企業のニーズに応じたバイオ医薬品を製造し、感染症パンデミック時にはワクチン製造へ切り替えられるデュアルユース設備を有する拠点の整備等により、有事の際に国内でワクチンを円滑に生産できる能力を確保することを目的とした補助金と書いてありますよね。経産省は、第一次公募、第二次公募の採択事業者が平時に何を製造するつもりなのか、あるいは製造できる体制になっているのか、教えてください。

南政府参考人 まず、委員、済みません。先ほどの答弁で、ワクチン開発・生産体制強化戦略を、実際には令和三年六月に策定したものを令和六年三月と言ってしまいましたので、ここで訂正させていただきます。

 それから、今の御質問についてお答えします。

 平時のビジネスにつきましては、実施企業それぞれのニーズに応じた取組を認めておりまして、平時に製造するバイオ医薬品の品目については、私どもの方から厳しく決めているということではございません。

 実施企業の事業計画では、自社の開発製品の生産、他企業からの医薬品の受託製造など、具体的な医薬品の品目を念頭に置いた提案がなされている、そのように承知しているところでございます。

吉田(統)委員 そういう御答弁と予想しているんですが、ただ、今、世界でも、フェーズ3に入っているものが、開発中のものが生産化されなかった場合は、実際、メッセンジャーRNAワクチンはコロナ以外に成功例がないわけですよね。新たなパンデミック時にメッセンジャーRNAが有効であるという保証も実はないんですよね。その保証もない中で全てお任せしてしまうと、企業に。そうすると、何のための誰のための工場か分からなくなっちゃう場合もあるんです。

 例えば、平時に失敗したら、あるいは撤退していく企業だってある可能性もあるわけですね。そうすると、今の段階で平常時、何を作るか一定程度決めていないものを認めていってしまうと、最終的にこの工場を造ったら後で絶対検証が必要ですけれども、工場を造る意味が分からなくなってしまうという場合もあると思うんですが、経産省、どうお考えになりますか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 実施企業の今の事業計画におきましては、メッセンジャーRNA技術を活用した平時のビジネスにつきましては、新型コロナウイルスワクチンに加えまして、現在、メッセンジャーRNA技術を活用した感染症ワクチンやがんなどの医薬品の開発が進められておりまして、これらの中から開発が進んだ製品が製造される計画、そのように承知しているところであります。

 このように、具体的な医薬品の品目を念頭に置いた提案がなされているところでございまして、平時のビジネスで製造するものが計画されている状況と言えます。特段の問題はない、そのように考えているところでございます。

吉田(統)委員 だから、これはレクのときにも教えてさしあげたと思うんですが、では、がんワクチンで成功した例は世界にありますか。あるかないかだけ答えてください。ありますか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 私も必ずしも全てを存じ上げているわけではないですが、今のところ、私は成功したという話を聞いてはおりません。

吉田(統)委員 成功していないんですよ。なかなか成功しないですよ。

 そして、多分、感染症という言い方をしたのは、インフルエンザのことを言っているんだと思います。インフルエンザのワクチンのメッセンジャーRNA化ということを、さっき暗に、本当はそう言いたかったんだと思いますけれども、言うと私にこう言われちゃうので、多分言わなかったんだと思うんですが、これは大問題なんです。

 そもそも、我が国で接種をされているワクチン、たくさんあるわけですけれども、日本の企業が作っている日本脳炎ワクチンとか三種混合ワクチンとかいろいろありますが、ことごとく赤字です。じゃ、どうやってそれを補填しているかというと、ワクチン製造会社は実はインフルエンザワクチンで補填して黒字化しているんです。老朽施設の更新などもしている。したがって、メッセンジャーRNAでインフルエンザワクチンを作るということは、数が決まっていますよね、パイも、大臣、インフルエンザワクチン。そうすると、そのパイを食うことになって、既存の企業が赤字になるワクチンを作る力がまずなくなる可能性があります。これははっきり言っておきますよ。

 そして、もう一つ、FDAを含めて、メッセンジャーRNAのインフルエンザワクチンは不要である、既存のワクチンで全く構わないというのが世界の潮流なんです、経産省。それを御存じですか。経産省と、厚生労働省にもお答えいただきたいです。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、季節性インフルエンザの今のワクチン、今議員御指摘いただいたとおり、国内だと四社が鶏卵培養法による不活化ワクチンで、比較的、ここ数年というか、ずっと安定的に供給されているという状況です。

 では、これが、メッセンジャーRNAワクチンが国内に導入された場合、どういう国内の問題が想定されるかという点ですけれども、これは二つ考えなければいけなくて、一つは、個の企業の話で、現実的には開発を含めてコストがその分だけかかってしまうし、さらには温度管理などに留意する必要がある。

 次に、企業間の競争がどうなるかということですけれども、当然ながら、考え方によっては、多くの社が入った方が国民にとっていいじゃないかということも成り立つかもしれませんが、一方で、当然ながら、競争が激化することによって、結果的に安定供給できなくなるということも含めて考えなければならないと思っております。

吉田(統)委員 今ので満点の回答をいただきました。そのとおりなんです。そこをちゃんと厚生労働省が一定程度グリップをして、経産省に助言をしていただきながらやっていただければいいと思うんですが、これを忘れて経産省がちょっと暴走してしまうと、本当にさっきのちょっとまずいことが起こってくるので、ここは留意してください。

 もう時間がないので、多分、最後になっちゃうかもしれませんが、部素材等製造拠点の支援に関して、ちょっと経産省に最後確認をしておきたいんですが。

 実際にコロナワクチンの製造の局面において、部材の不足はなく、余っていた、本当に数が足りなかったのはバイオリアクターであったということが、私がいろいろ聞き取りや調査をした結果、一定程度分かっているんですが、これは我が国でコロナ製造設備整備の指揮を執った方の指摘ももちろんございます。その方からも直接聞いております。そして、部材を活用するシステムがなかったことが原因であって、今回の部素材等製造拠点整備は的外れであって、日本のバイオリアクターを作り出して、システムをつくることが必要であって、そこに力を入れるべきという指摘がなされていますが、経産省、どう思われますか。

南政府参考人 ありがとうございます。

 まず、先生御指摘のバイオリアクターでございますが、ワクチン製造用のバイオリアクターにつきましては、今回、ワクチン製造拠点の整備に取り組む実施企業において新たに導入されるという計画になっております。

 そしてまた他方、部素材製造拠点に関しましては、新たなバイオ医薬品技術を用いたワクチンの製造に当たりましては、シングルユースバッグやフィルターなどの器材、部素材などの消耗品も不可欠であると思っております。

 これらの部素材は特定の海外企業の市場シェアが高く、コロナ禍の際には輸入ができず、製造ラインの稼働に支障が生じる場合があった、そのようにも承知しております。そういったことから、次の感染症有事において、デュアルユース拠点の整備を通じまして、国内でワクチンを製造できる体制が構築されても……(吉田(統)委員「聞いていないことは答えないでください」と呼ぶ)はい、分かりました。失礼しました。

吉田(統)委員 分かりました。

 最後に聞きますが、こういった事業は、ただ、審議官、医薬品の国産化の推進の流れの中で、やはり政産官学でちゃんと進めていかなきゃいけないわけです。でも、実はモデルナはメッセンジャーRNA以外のワクチン製造経験はないんです。そして、製品はコロナワクチン一つだけです。何でモデルナが選ばれたのかというのは大きな疑問です。

 変なロビー活動があったんじゃないかと思いたくないですが、何でモデルナだったか、もう時間が来ていますので簡潔にお答えいただけますか。

田畑委員長 南大臣官房総括審議官、簡潔にお願いします。

南政府参考人 はい。簡潔にお答えします。

 本事業では既に実施内容についての総合的な審査を行っているところでありまして、特に感染症有事の対応としましては、相当量のワクチンを迅速に製造できること、品質や安定供給が可能な実施能力があることに重点を置いております。

 モデルナ社は、コロナ禍において相当量のワクチンを実際に供給した能力を有しており、感染症有事におけるメッセンジャーRNAワクチンの安定供給に係る実施内容が評価されたものと理解しております。

吉田(統)委員 終わります。ありがとうございました。

田畑委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 本日は、一般質疑の時間をいただきまして、理事、同僚議員に感謝を申し上げたいと思います。

 予算委員会で、私、質問に立たせていただいたんですが、補正の質問をしたかったんですけれども十分な時間がなかったので、今日は、補正予算に入っている事業についてちょっと聞きたいというふうに思います。

 先日成立した補正予算の中に、マイナ保険証の推進に係る予算として八百八十七億円が計上されていますけれども、このうち、マイナ保険証利用促進のために医療機関等への支援として二百十七億円という予算が組まれています。

 皆さんにお配りをした資料の一枚目がこれなんですけれども、これはどういう事業かというと、二番目の囲みのところに書いてありますけれども、マイナ保険証の利用率の増加量を基準に医療機関等に支援金を交付する、それから利用の多い病院が顔認証つきのカードリーダーを増設した場合に費用の一部を補助する、こういう事業です。

 ただ、これだと、例えば、既にもう利用率が高いところというのは、ある意味、努力しているというか、今まで頑張って利用率が高いところは恩恵を受けられないわけでありますし、そもそも、ここに書いてあるんですけれども、この4の(1)の最後の括弧のところに書いてありますけれども、医療機関からの申請は不要と書いてありますね。支払基金が利用率を踏まえて年二回支払うということになっている。これではインセンティブにもならないし、ほとんどばらまきに近いんじゃないかなというふうに思います。

 そもそも、マイナ保険証というのは、便利であれば、ほっておいてもこれは利用がされるものだというふうに私は思います。そうであれば、こんなキャンペーンをしなくても利用は進むはずなんだと思うんです。

 資料の二ページ目を見ていただきたいんですけれども、これは厚労省が調査をした調査結果でありますけれども、一番上の棒グラフ、帯グラフ、これが、マイナ保険証を利用したことがあるという診療機関、活用したと回答した病院は、ここにありますように二九・六%、三割に満たない。次の、真ん中の部分ですけれども、じゃ、使ったことがあるといううちで患者にとってメリットがあったかどうかということについて、特にない、分からないとしているのが五一・一%。半分は、活用したけれども、メリットは特に感じていない。上の方は患者のメリットですね、患者のメリットは特にないんじゃないかと。それから下の方は、病院自体の活用効果について、特にない、分からないというふうに回答している。

 つまり、活用してみたけれども、病院にも患者にも余りメリットを感じていない。こういう状態で、税金を使って、金まで払って、使ってください、これはもう全くの無駄遣いじゃないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 マイナ保険証は、やはり我が国が出遅れて、コロナの期間中の、デジタル敗戦だと言われた状況から脱して、そして、全国的なプラットフォームをきちんとつくって、そこと各医療機関の電子カルテを結んで、それによってしっかりとリアルタイムでこうした国民の健康情報というものが安全に、しかも最も効果的に管理できる仕組みをつくるということは、今、我が国の医療制度というものを新たにデジタル化させ、そして進化させる最大の眼目になってきていると私は思います。そのためのまず最初の一歩が、マイナ保険証というものを通じて、全国の国民の皆さん方に、このデジタル化を進む上での重要性を御理解いただく第一歩だろうと思っております。

 その上で、これを実行するには医療機関の御協力がどうしても必要である。しかも、実際に協力をしてくださっておられる方々を見ておりますと、やはり補助員もつけて、そして特別のラインも開設をして、そして顔認証の機械等も含めて適切に活用してくださっているので、患者さん方もそれをしっかりと活用してくださるという実態もよく見てまいりました。

 したがって、それをしっかりと促進させるということのために、この新たな支援金、これは必要な経費として二百十七億円計上させていただいておりますけれども、それを確保させていただいたというわけであります。

 まずは、とにかく国民の皆様にマイナ保険証を使っていただいて、そして現状におけるメリットだけではなくて将来のこうした我が国のデジタル化の必要性というものを御理解をいただいて、そして御参加いただくように働きかけることの必要性というものを認識した上で、こうした措置をさせていただいているところでございます。

大西(健)委員 今の答弁は全く答弁になっていないと思うんですね。

 まず、その目的は、厚労省として、国としてそういうふうにしたいという目的は分かりますけれども、そもそも、だから、補助員をつけなきゃいけないと先ほどおっしゃっていましたけれども、要は、マイナ保険証になれば便利になる、そして効率が高まるというはずだったのに、補助員をつけなきゃいけないと。全然効率が高まっていないわけですよ。だから、利用が三割にとどまっている。

 しかも、まず使ってくださいということで今回支援金を出すということですけれども、使ってみたけれども患者側にもメリットが感じられないという人が半分、それから、使ってみたけれども病院側にも余り効果が感じられないというのが四割ですから、使ってもそう感じているんですから。便利だ、これはいいと思ったら、勝手に使うんですよ。それを、金を払って、税金を使って支援金を払って、使ってくださいという、これは本当におかしいと思います。本末転倒だと思います。

 それから、次のページを見ていただきたいんですけれども、来年の秋、現行の保険証を廃止するという方針をいまだ政府は堅持をしていますけれども、マイナ保険証を持たない人には、申請がなくても全員に資格確認書を交付するということにしています。そのために、システム改修であったりとか資格情報のお知らせ等の送付のために、補正予算に三百六十七億円が計上されています。

 資料の三枚目、御覧いただきたいんですけれども、例えば、アのシステム改修、これが二百二十億円かかるそうです。それから、ウの資格情報のお知らせ等の送付、これに百十億円かかるそうです。しかし、これらは現行の健康保険証を残せばそもそも必要がないコストであって、これも私は全く無駄だというふうに思いますけれども、武見大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 今般の補正予算では、保険証の廃止に向けた準備のために、資格確認書や資格情報のお知らせの交付など、関係システムの改修等に必要な経費を計上させていただいております。

 他方で、保険証の廃止に伴って、現行の保険証の発行に要しているコストの削減等が想定されておりまして、今後、将来にわたり、毎年度、医療保険者全体でコストの削減につながるものであることから、無駄遣いであるという御指摘は当たらないと思います。

 そして、八月二十四日の医療保険部会におきまして、ごく粗い試算ではございますけれども、マイナ保険証の保有状況が現状五二%のままでも約七十六億円から八十二億円、それから、現状より進む場合、六五%から七〇%の場合には約百億円から百八億円が毎年削減につながるものと試算をしております。

 こうしたことを確実にやはり実施していくことが必要と考えております。

大西(健)委員 別に、マイナ保険証を使いながら、その利用促進をしながら今の現行の保険証を残すことだってできるわけで、現行の保険証が残っていれば、こんなことはやる必要がない。

 それから、もう一つ言うと、マイナ保険証によって削減されると言っていますけれども、例えば、前も出てきたように、三年たったらまたカードリーダーを買い換えなきゃいけないとか、これからまだかかる費用もあるということを考えると、今の大臣の答弁が本当にそうなのかなというふうに疑問に思わざるを得ません。

 一度決めた作戦は変えられないというのが旧日本軍の失敗の本質と言われていますけれども、まさに来年の秋の保険証廃止というのは、私はそれと同じではないかなというふうに思っています。

 次に、政府内で月内に策定する社会保障の改革工程表をめぐって、七十五歳以上の人の医療機関で支払う窓口負担、これを二割に引き上げるとか、あるいは、現役並み所得のある人については既に二割負担、三割負担になっていますけれども、この範囲を更に拡大するみたいなことが検討されているというふうに報道されています。

 昨年の十月から既に、七十五歳以上で一定の所得のある方については医療費の窓口負担割合が一割から二割に引き上げられましたけれども、このときも、受診抑制が起こるんじゃないかということが国会審議の場でも度々指摘されましたけれども、その際には、三年間の配慮措置もあるので、必要な受診が妨げられることはないというふうに言っていましたけれども、例えば、保団連が行ったアンケート調査では、既に受診抑制が生じているんじゃないかという結果が出ています。

 そして、参議院の厚生労働委員会では、附帯決議で、窓口負担の見直しが後期高齢者の受診に与える影響を把握すると決議をしています。この決議がある以上、少なくとも、受診抑制になっていないかどうかの実態調査も行わないままに、七十五歳以上の原則二割負担への引上げであったりとか、あるいは負担割合の引上げ、これをやるということは私は許されないことだというふうに思いますけれども、まず、附帯決議にあるとおり、速やかにこの窓口負担引上げによる受診への影響把握を実施することを、武見大臣、お約束いただけませんでしょうか。

武見国務大臣 私も委員と同様の認識を持っております。

 ただ、後期高齢者の原則二割化という点については、まだ現時点では具体的に検討しているという事実はございません。そのことは改めて申し上げておきたいと思います。

 その上で、一定以上の所得がある方への窓口二割負担の導入による受診行動への影響については、今年九月二十九日の医療保険部会において分析結果をお示ししております。短期的なデータの分析ではありますけれども、二割負担となった方は一割負担のままの方と比べて受診日数が三・一%減少、これは、二割負担導入時に想定した影響、マイナス二・六%とおおむね同程度であったように思います。

 ただ、その上で、では、このアクセスが減少したことによってどのような影響が実際に患者行動に起きたかということは、改めて科研費なども活用をして専門家に分析、研究をしていただくことが必要だ、こう認識しているところでございます。

大西(健)委員 とにかく、まず受診抑制の効果、これをしっかり実態把握した上で次のステップに進んでいただくことを是非お願いしたいというふうに思います。

 前回の質問でも取り上げた、グループホームなどを運営する恵が食材費を利用者から過大徴収していた問題で、私の地元愛知県は、利用者やその家族の不安に寄り添い、可能な支援を速やかに実施する目的で、愛知県障害者グループホーム問題連絡協議会を設置しました。お手元に配付資料として新聞記事を配付をしております。

 また、愛知県などが、恵が運営する施設を対象に監査を実施して、職員から聞き取りを行ったり関係する資料を調べたりしたところ、県内の複数の施設で、個別支援計画を作成していない期間があったほか、省令で定められたサービス管理責任者を配置しないなど、必要な人員が不足していたのに報酬を減額せずに請求していたなど、報酬を不正に請求していた疑いがあることが分かっています。つまり、恵については、食材費の過大請求だけではなくて報酬の不正請求の疑いもあり、行政処分の対象になる可能性が私は高いんじゃないかと思います。

 前回も指摘しましたように、恵は十二都府県に約百二十か所の施設を運用している。また、この問題が起こってから、既に愛知、滋賀、京都の三府県五か所で事業所指定の申請の取下げがあったことが分かっています。影響はもう既に出ているわけです。そして、今後も広範囲に影響が出るおそれがあるというふうに思います。

 愛知県は元々発祥の地ということで関係施設も多いんですけれども、そうじゃない県もあると思います。厚労省としても、都道府県をまたいだ情報の共有であったりとか、あるいは連携を図るための仕組みを私はつくるべきだというふうに思いますけれども、厚労大臣、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、古賀委員長代理着席〕

武見国務大臣 お尋ねの事案、愛知県において、自治体間の情報共有や連携強化を行い、県内のグループホームにおける不適切事案等に対応するための連絡協議会の設置が決定されたということは承知をしております。

 障害福祉サービス事業者に関する利用者等からの相談については、一義的には、指定権者である自治体や相談支援事業所等が適切に対応していただくものでありますが、他方で、厚生労働省におきましては、障害者グループホーム等の透明性や支援の質を確保する観点から、令和六年度障害福祉サービス等報酬改定に向けまして、まず、食材費を含む会計費等の諸記録を適切に管理すべき旨を改めて明示するとともに、地域の関係者を含む外部の目を定期的に入れる取組を新たに導入することについて検討を進めております。

 厚生労働省としても、自治体との連携の下で、こうした障害者総合支援法に基づき適切に対応していきたいと思います。

大西(健)委員 今の答弁は、外部の目を入れるというのは私はいいことだと思いますし、再発防止の話であって。そうじゃなくて、さっき言ったように、例えば、もう既に三県五か所で取下げが起きている。今後、行政処分を受ければ、行き場を失う利用者が出てくるかもしれないわけです。愛知県内は複数の自治体にまたがっているから県内でこういう横の組織をつくっているわけですけれども、県もまたいでいるわけですから、これはやはり国が情報共有とか連携を図るその音頭を取らなきゃいけないんじゃないかということを申し上げているんです。

 それから、この恵の事例もそうですけれども、やはり福祉を金もうけの手段にしようとしていることに私は大きな問題があると思っています。同じく障害の分野でちょっと信じられない例を見つけたので、御紹介したいと思います。

 皆さん、お手元に資料を配っているので是非御覧いただきたいんですけれども、これは私のSNSに出てきた広告なんですね。これを見ますと、社会貢献しながら年商五億円、国からの給付金で長期安定収益を実現できる、日本初の障害者支援国策フランチャイズ。国策フランチャイズなんかつくったんですか、国が。そんな覚えはないですよね。

 eスポーツ掛ける福祉と書かれています。これをクリックすると、さらに説明を読みますと、eスポーツ就労支援施設ではパソコン操作、ゲーム実況などの様々なスキルの習得を目指していますと書かれていますけれども、私、これは障害者を集めてただゲームさせるだけみたいな施設になるんじゃないかということを懸念します。

 一方で、さらに読むと、障害者が増加している、国が予算を増やしている、給付費で安定しているといううたい文句で、障害者福祉施設の開業サポートの勧誘を行っています。

 これは本当にひどいなと、私は本当に見て腹立たしいんですけれども、こうした障害者福祉を食い物にするようなこういうビジネス、私は断じて見逃してはいけないと思いますけれども、これはネットで検索していただければすぐ出てきますので、武見大臣、厚労省として実態を把握して、問題があれば指導していただけますか。

武見国務大臣 個別の法人についてのコメントはまだ現在の時点では控えさせていただきますが、一般論として、障害者総合支援法に基づく就労支援を行う事業者については、障害者が自立した生活を営むことができるよう、就労の機会を提供するとともに、その能力の向上のために必要な訓練を適切かつ効果的に行うものでなければならないことを運営基準として示しております。

 仮に、障害者の能力の向上に寄与しない、何かゲームだけやらせて終わりじゃないかというような事業を就労系障害福祉サービスとして行って給付を受けている事業者がいるとすれば、これはあってはならないことでありますので、指定権者である都道府県等による指導等によって適切に対応していくべきものと考えます。

大西(健)委員 さっきも言いましたように、これは、フランチャイズで開業をサポートしますよ、こういう勧誘をしているわけですよ。さっきも言いましたけれども、国からの給付金で国策フランチャイズですよ。これはやはり、今これに対して個別のコメントをしてくれというんじゃなくて、確認していただけますか。これだけ約束してください。

武見国務大臣 これは、まず自治体にきちんと監査、調査をしていただいて、それを踏まえて厚生労働省としても連携をして対応していきたい、このように考えておるところであります。

大西(健)委員 こんな広告が放置されていたら、それは福祉を食い物にする人たちが後を絶たなくなるんじゃないでしょうか。やはり私は、これはちゃんと厳しく確認をしていただいて、問題がなきゃいいんですよ、問題がなきゃいいんですけれども、問題があるなら指導していただきたいと思います。

 次に、今月の一日ですけれども、愛知県の岡崎市で、葬儀会社の現在は営業していない建物に置いてあった二つのひつぎの中から高齢と見られる男性二人の遺体が見つかるという、ちょっと薄気味悪い事件がありました。後に、遺体はいずれも身寄りがなく、碧南市と愛西市が業者に保管を依頼していたことが分かりました。碧南市というのは私の地元の自治体なんですけれども、身寄りのない遺体二十体を、最終的に親族が見つからず火葬にするまでの間、安城市の葬儀業者に保管を依頼していたそうです。報道では、遺体は腐敗して、臭いもあって、ハエも飛んでいた。しかし、碧南市によると、これまでは保管の状況を確認することは行っていなかった、要は、業者に任せっ切りということだったということです。

 この点、身元確認して火葬するまでの間の保管には、期限もなければ、何のルールもありません。現在は、一年に多数の人が亡くなっていく、いわゆる多死社会でありますから、全て自治体任せで本当にいいんだろうか。また、遺体の保管に何のルールもなくていいのか。国として指針等を定めるべきだと思いますけれども、武見大臣、どうでしょうか。

    〔古賀委員長代理退席、委員長着席〕

武見国務大臣 身元が不明であり、かつ引取り手のない御遺体については、その所在地の市町村において火葬等を行うこととされております。これは実は明治時代に作られた法律が原型になっているようでありますけれども、これについて、市町村は、御遺体の身元の確認を行い、身元が不明であることについて確認が取れるまでの間は火葬等を行わないものと承知しておりますが、その間の保管の期間等については、まずは自治体における実情、情報の収集をきちんとしていきたいと思います。

 しかし、この点に関わるルールが全くないという点については、私も同様に問題、課題であろうというふうに考えておりますので、情報を収集し、確認をした上での対応措置を考えていきたいと思います。

大西(健)委員 今、大臣の答弁でも明治時代にという話がありましたけれども、要は、今、男性の三人に一人が生涯未婚というように、家族の在り方が大きく変わっている。そういう中で、墓地埋葬法等の関連法は戦後間もない頃からほとんど変わっていないということでありますから、これはやはりもっと深刻に受け止めていただいて、自治体任せにするんじゃなくて、国として指針等を作るということを是非お願いしたいと思います。

 それでは次に、育児休業給付の受取期間延長に必要な入所保留通知書を得るために、最初から落選する目的で入所申請を出す事例が相次いでいることを受けて、厚労省は審査を厳格化するという方針だそうです。

 確かに、入所申請の手続を担当する自治体側の事務負担が増えることとか、あるいは、本当に復職したい親や希望の保育所に入所したい児童らにしわ寄せが行くという問題もあると思いますし、一方で、不承諾通知書がなければ育休を延長できないため、やむを得ずやっているという部分もあると思います。そういう人たちからすると、落選狙いとか不正利用という言われ方をすること自体を心外に思うという人もいると思います。

 事業者別で見ると、もう既に二歳まで育児休業を取れる期間を延長しているところは約六割、二歳を超えて認めているところは一割あるというふうに、実態はもう前に進んでいるので、本来、保護者の希望で二歳まで育児休業の取得を可能にしてしまうことが、最もシンプルで、子育て支援になる解決策であるというふうに私は思います。

 審査の厳格化というのは、その本質から目をそらしている。これでは異次元の少子化対策とはとても言えない状況だと思いますけれども、武見大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 委員御存じのように、育児休業は原則一歳になるまで取得が可能であるが、その理由は、育児休業は、雇用の継続を図り、仕事と育児の両立を実現することを目的として、労働者の申出があれば、全ての事業主は原則拒むことができない強い権利として定められております。その上で、保育所に入れない場合など、雇用の継続のために特に必要と認められる場合に限って、最長二歳になるまで延長可能というふうになっております。

 お尋ねの、保護者が希望すれば二歳になるまで一律に育児休業を取得可能とすることにつきましては、女性に育児の負担が偏っている現状に鑑みると、女性の職場復帰にも影響をし、女性の活躍にも逆行することにならないかという点もございます。それから、休業期間中の代替要員の確保など、企業の労務管理が難しくなる点もございます。このようなこともあり、慎重に検討が必要と考えます。

 政府としては、こども未来戦略方針において、男性の育児休業取得の促進や、育児期を通じた柔軟な働き方を可能にすることによって、共働き、共育てを推進することとしております。

 引き続き、男女共にこうした仕事と育児の両立を図ることができるように取り組んでいきたいと思います。

大西(健)委員 さっき言ったように、既に二歳まで認めている企業も多いですし、また、それぞれ、個別の事情はいろいろありますし、また、欧米だと、二歳まで認めている、もっと先まで認めているところもありますから、異次元というんだったら、これぐらいやった方がいいんじゃないかなと思います。

 最後に、国際保健分野の専門家である武見大臣に、WHOにおいて議論されている、疾病の国際的伝播を最大限防止することを目的とした国際保健規約、IHRや、パンデミック条約についてお聞きをしたいと思います。

 IHRの改正やパンデミック条約については、内容次第ではWHO加盟国の主権を侵害するおそれがあるのではないかという懸念が一部に広がっています。この点については、例えば、実業家のイーロン・マスク氏が、WHOに権限を譲るべきではないとXに投稿したのを受けて、WHOのテドロス事務局長は、WHOへの権限移譲だという主張は虚偽にほかならない、フェイクニュースだ、条約の内容を決めるのは各国だと反論しています。

 私は、政府からの適時適切な情報提供であったりとか丁寧な説明が不足しているから、国民の疑心暗鬼が広がっているんだというふうに思っているんですが、この点、まさに専門家である武見大臣から、この厚労委員会で分かりやすく御説明をいただきたいと思います。

武見国務大臣 御指摘のインターナショナル・ヘルス・レギュレーションについては、かねてから、緻密に、かなりのルール化が現実にあって、こうしたパンデミックが起きる、例えばもっと小規模で感染症が発生した場合に、その報告義務を各国に課するといったような、きめの細かいルール化が現実にできております。

 問題は、実際にそれに参加をしている国々が、どこまでそのルールに忠実に対応して、そしてこうした感染症などについてもより早い時期に報告をして、そして各国が協力して対処できるようにするかというところが実はかねてから課題でありました。したがって、今回も、インターナショナル・ヘルス・レギュレーションを通じて、こうした法執行能力の強化が実際に今進められようとしています。

 他方で、そういうやり方では生ぬるい、もっときちんとした、たばこ枠組み条約と同じような形でこうしたパンデミック条約を策定をして、そして、メンバー国がよりそうした義務を法的に負った形で、これからのリスクの高い感染症の時代に対応していこうというのがパンデミック条約の考え方であります。

 この点に関しては、実際に今、委員御指摘のとおり、どこまで主権国家としての立場と関わりを持つことになるのかという点について極めて厳しい議論が今行われておりまして、インターナショナル・ヘルス・レギュレーションの強化の方については恐らく最終的な合意はできるだろうと私は思っておりますけれども、パンデミック条約の方については、最終的にメンバー国がこの合意に達するということはそう簡単ではないと私は見ております。

大西(健)委員 実は、この質問をしたのは、我が党の原口議員が質問主意書を十一月十五日に出されています。この質問主意書自体を見ると、別に特定の見解に偏っているわけじゃなくて、かなり中立的に質問をしているんですけれども、質問主意書の答弁書というのは往々にしてそうなんですけれども、ほとんど、お尋ねについて予断を持ってお答えすることは差し控えたいみたいなことで、全く木で鼻をくくったみたいな答弁書になっているんですよ。

 だから、多少なりとも今みたいに、こういう場で大臣がちゃんと、現状だとか、あるいは、本当に今言われたように、パンデミック条約についてはやはり相当ハードルが高いというか厳しいというような、そういう御見解も示されると、そういう疑心暗鬼とか誤解が私は広がることがないんじゃないかと。これからも、そういう意味では、適時適切な情報提供であったりとかあるいは丁寧な御説明、これをお願いしたいというふうに思います。

 以上で終わります。

田畑委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、私は、まず武見大臣に、ただいまこの瞬間もパレスチナのガザ地域で繰り広げられる大量の子供たちの虐殺、一週間ほどのハマスとイスラエルとの停戦を経て、ガザの南部地区への攻撃も開始をされております。

 冒頭一枚目の資料を見ていただきたいですが、今日現在、恐らく一万六千人以上の方が亡くなられて、そのうち子供は六千人以上、次いで女性が多いという惨状であります。

 下に、この間、特に十一月以降、また遡る十月には、いわゆる病院、ここはアル・アハリと書きましたが、アフリ・アラブという病院のようであります、名前がはっきりしませんでしたので。ここで爆発によって四百七十一人が死亡。これは、その後の調べでは、パレスチナ武装勢力の誤射との可能性もあると。まだ判明いたしておりません。十一月に入って、御承知の、ガザの北部の最大病院のシファ、そしてインドネシア病院、さらにアル・アウダ病院などへの攻撃が相次いで、医療者も亡くなっております。

 大臣も恐らくそうでしょうが、私たちは、このような惨状を、これまで病院をターゲットにした攻撃というものを恐らく意識してこなかった、認識してこなかったと思いますが、もちろん入院しているのは子供であり、新生児であり、病人であり、あるいは避難民であり、働いているのは赤十字や国境なき医師団やあるいは現地の医師たち。もう既に十月段階で赤十字は、これでは医療活動ができない、医療者が守れないと言っておりましたが、その現状はますますひどくなっております。

 今朝もスナク首相は、イスラエルのネタニヤフさんに電話で連絡したそうです、このイスラエルの攻撃の再開について残念だと。しかし、現状、やんでおりません。

 二枚目は、この間、私たちが経験しているウクライナの状況も、これもまた惨状ではあります。既にここでも医療機関は約千件以上攻撃を受け、死者の数を比べてはいけませんが、死者の数はこの一年半で一万人ない、子供たちの死者も、多うございますが、六千、七千ではありません。

 私は武見大臣にお願いがありますが、これまでも、国際的な医療保健活動、特に人道支援等々の問題で武見大臣は見識のある行動をしてこられました。WHOが調査した内容、あるいは、ユニセフは子供たちへの戦争だと言っておりますし、国連のグテーレス事務総長は子供の墓場だと言っておられます。果たして、大臣として、今、日本の国際的な働きかけ、どのようになさるおつもりか、冒頭お願いします。

武見国務大臣 まず、ガザ地区をめぐる情勢において、このような被害を受けた方々とその御家族に心からの哀悼の意を表するとともに、負傷された方々にもお見舞いを申し上げたいと思います。

 議員御指摘のとおり、ガザ地区における医療施設への被害に関しまして、WHOのテドロス事務局長からも、現地の医療体制への懸念とWHOによる医療物資等の支援の報告がなされております。

 我が国としては、かねてから、人間の安全保障という考え方に基づいてこういった国際保健に関わって、そして、特にユニバーサル・ヘルス・カバレッジの観点から、こうしたグローバルヘルスの問題に積極的に取り組んでまいりました。

 したがって、こうした戦闘地域においてもやはりこうした医療提供体制というものは確保されるべきものであり、そのためにも国際機関がそれを支援する役割は極めて大きいと思っております。

 日本は、十月下旬に一千万ドルの緊急無償資金協力の実施を決定をして、国連のパレスチナ難民救済事業機関、UNRWA、ここでは保健担当責任者として日本人の清田さんというドクターがいらっしゃいますけれども、そこ及び赤十字国際委員会を通じて、食料、水、医療等の人道支援を実施しているところでございます。

 また、WHOは、十二月十日にパレスチナ自治区における健康状況に関する執行理事会特別会合を開催する予定でございまして、日本は、執行理事国として同会合に参加をして、そして、同地域における安全で安定的な医療の提供体制が確保できるようにWHO及び加盟国と協議を行うこととしております。

 こうした形で、引き続き、国際機関と連携をしつつ、このガザの問題にしっかり取り組んでいきたいと思います。

阿部(知)委員 休戦後再開された戦闘は、先ほど申し上げましたように、ガザの南部に及び、南部の最大病院が標的にされると言われております。これについて、先ほどお話しのUNRWAは、これじゃもう医療もできませんというふうな声明を出されております。

 また十二月十日、やっていただきたいと思いますが、今この瞬間も、取りあえず戦闘を停止していただかなければ、医療者も死んでしまいます。二〇〇二年に、同じようにイスラエルとパレスチナの激しい戦いがあったとき、国会は停止決議を上げております。今、日本の国会は、そういう決議一つ上がっておりません。

 私は、武見さんのリーダーシップで、子供たちをもうこれ以上殺させない、とにかく止めるべきだという声をまず上げていただき、そして、おっしゃったように、日本は以前から例えばパレスチナでの母子手帳、親子がばらばらになってどこに、死んでしまう場合もある、何が残るか、母子手帳だといってやってきた歴史もある。中東支援の、ある意味で私たちは実績があるんです。だからこそ、まず停止を、そして医療者が医療をできる状態をつくってください。私たちは医療に向き合っても殺されてしまうのです。国境なき医師団からも犠牲が出ています。深刻な状態なんです。

 是非、武見さんは、何度も申しますが、これまでも御存じな方であります。誰かの声が上がらないなら、岸田総理におっしゃってください。スナクさんがネタニヤフに電話をしたように、とにかく止めることなんです。いかがですか。

武見国務大臣 私としても、このような人道上の問題がガザ地区で起きていることは看過できないと思います。したがって、戦闘を止めるというための努力を我が国政府としてもしっかりと努力するべきであるし、また、そのために、特にUNRWAといったような国際機関と連携をして、事医療に関する限りできる限りの支援をするということが必要になるというふうに思います。

 私も、平素からUNRWAの清田さんとは連絡を取り合って、メールなどでも状況の確認等させていただいておりますけれども、実際に医療に従事している方自身が、厳しい身の危険を感じながら実際に医療に従事しておられるということも伺っております。したがって、そういう中で、どこまで何ができるか、しっかり考えて、できるところを確実に実行していくよう努力したいと思います。

阿部(知)委員 戦闘の停止に向けて、まず最大限の御尽力を心からお願い申し上げます。

 本日、私は、健康保険証問題をまず質疑をさせていただきます。

 マイナンバーカードは、実は二〇一六年一月から始まり、マイナンバー保険証は二〇二一年の十月二十日から運用されておりますが、本年の四月から本格的に運用となりましたが、いわゆるトラブルが多発いたしまして、岸田総理も総点検ということの指令を出されて、その期限が十一月末というふうに当初は言われておりましたが、まだ、十二月に入りました現在、報告を受け取っておりません。

 私からまず委員長にお願いがありますが、この報告、年内には上がろうものかと、また、上げねばならないものかと思いますので、報告を受けて本委員会を必ず、閉会中審査であっても、与野党の筆頭並びに武見大臣にも御尽力いただいて、開催していただきたい。

 保険証は、命のパスポートと呼ばれております。本当に大事なもので、廃止問題は国民的関心事です。総点検の結果を受けて、本委員会の開催を要望いたします。よろしくお願いします。

田畑委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

阿部(知)委員 そして、中間的な報告として、新聞報道等では、お手元の新聞資料、東京新聞、見ていただきたいですが、マイナンバーの情報総点検は様々な分野がございますが、特に、本日問題といたします健康保険証について申し上げれば、報道される限り、また昨日厚生労働省に確認した限り、十一月九日時点で八千五百四十四件のひもづけトラブル、違う人にひもづけてしまったという事案が分かっております。

 武見大臣に伺いますが、そもそも、昨年の十月、閣議決定において健康保険証の来年秋の廃止を決められましたが、その時点では、およそどれくらいのトラブルがあることを御存じで、そして、それ以降もトラブルは増えて、調査したら増えてという状態でありますが、そもそも、トラブルが分かっていながらなぜ保険証の廃止という方針を決められたのか、また、その時点と今とどのくらい数が増えているのか、お分かりになる範囲でお願いいたします。

武見国務大臣 令和六年秋に健康保険証の廃止を目指す旨を含む令和四年度の総合経済対策を閣議決定したのは、令和四年十月二十八日でございます。その時点で集計されていたものは、令和三年十月から十一月末までの間に判明した事案の件数でございまして、医療保険の資格情報が別の方とひもづけされ登録された事案が三十三件、そのうち、別の方の薬剤情報が閲覧された事案が一件であったと承知をしております。

 その後、令和四年十一月末までに新たに判明した事案の件数の集計が完了し、それまでに、保険者から異なる個人番号の登録が判明した事案は七千三百十二件でございます。このうち、別の方の薬剤情報等が閲覧された事案は五件であったということを今年二月に公表をしております。

 そして、改めて、オンライン資格確認等システムについて、保険者から異なる個人番号が登録された事例は、今年の九月末時点で八千五百四十四件、このうち、薬剤情報等が他人に閲覧された事例は二十件と承知をしております。

 オンライン資格確認等システムにおいて閲覧が可能な薬剤情報等としては、レセプトに由来する薬剤情報、それから診療情報、それから医療費通知情報のほか、特定健診情報がございます。それぞれ他人による閲覧が確認をされているところでございます。

 したがって、他人のものを見てしまった人、それから見られてしまった人、双方に私どもは既に連絡を取ってその旨確認をし、そして、こういう状態を回避すべく努力、措置を取っているということは申し上げておきたいと思います。

阿部(知)委員 それは当然だと思います、個人情報ですから。そして、厚生労働省のまとめとかを見ると、薬剤情報等と、等とまとめていますけれども、受診歴も含めて全てその人の個人情報が他の人に見られてしまったというとんでもない個人情報漏えいであります。

 当初、先ほど大臣がおっしゃった五件、令和四年十一月末段階、そこから今もう二十件、調査すればするほど増えているし、加えて、私は、こういうことを国民に発表するとき、何とか等というのは、やはり国民に不誠実だと思うんです。お薬の情報が漏れたのねくらいに思いますから。とにかく、最もセンシティブ情報が含まれたものが医療保険の保険証であり、個人のいわば大事な情報でありますから。

 実は、消えた年金のときも、個人とのひもづけが五千万件以上にわたって間違っていたわけです。その総括もなく、個人情報保護も守られず、それで保険証を廃止しようというのは、やはり本当に国民の不信を買うだけであると思います。

 この保険証ということについて大臣の御認識を伺いたいですが、今回お手元に示した資料の四枚目に、二百十一国会での法改正がございました。すなわち、この法改正は、今までであれば求めれば交付がされた保険証を交付しないという形に決めたものであります。

 大臣にお伺いしますが、本来、保険料を納めた方が保険証を手にするということは一貫した権利であり、また、保険者にとっては保険者機能の一環だと思うんです。自分がどの方と保険の契約を結び、どの方に給付をするか、これも含めて保険者機能と申しますが、被保険者の権利は奪われ、保険者機能を侵害するのが保険証の廃止だと思います。

 時間がないので次に行かせていただきますが、次のページの資料を見ていただきますと、諸外国においては、では、保険証はどうなっているだろうというのを、国会図書館にお願いして挙げていただきました。

 赤線が引いてございますが、各国、保険証の発行は保険者に義務ありとなっております。保険証の発行は保険者に義務ありとなっております。ところが、我が国の欄を見ると、従来型ならば保険者に義務ありということですが、マイナンバーカードにはそれがありません。マイナンバーカードは自治体がやる。そして、例えば組合健保は、組合健康保険が保険者で、発行をいたしました。こんな宙ぶらりんな、保険証の廃止ということは、宙ぶらりん状態をつくるということであります。いろいろな国のを調べていただきましたが、やはり契約ですから、そしてその保険をうまくハンドルしていくためにも、保険証、保険者機能で必要だと。

 大臣は、こういう世界の状況を見たとき、今我が国が強硬に廃止されようとしていることは、どうお考えでしょう。

武見国務大臣 保険証の在り方は各国によって相当様々にその位置づけが異なっていることは、委員も御存じのことだろうというふうに思います。

 それで、その中で、特に保険者でありますけれども、法令の規定にのっとりまして、保険証の交付を含む資格の管理や、保険料の決定や賦課徴収、保険給付、保健事業等の役割や機能を担う。この保険証の交付については、こうした保険者機能の一部に含まれますが、マイナンバー法等の一部改正法では、健康保険証を廃止するとともに、全ての方に安心して確実に保険診療を受けていただけるよう、資格確認書の交付に関する規定を創設するなどの極めて丁寧な措置も講じているところであります。

 この資格確認書の交付については、保険者の実務を考慮し、申請による交付のほか、申請によらない交付を可能とするなど、柔軟な取扱いとしておるところでございます。

 そして、我が国の保険証というのは、我が国の優れた皆保険制度の象徴として、まさに国民の信頼をかち得てきた極めて大切なものであったことは事実であります。しかしまた、同時に、それはアナログの仕組みの中での保険証であって、改めてそれをデジタルの保険証に組み替えて新しい時代に対応することが必要であるということは是非御理解をいただきたいと思います。

阿部(知)委員 今大臣がいみじくも御答弁されましたように、保険証は保険者機能の一部であり、マイナンバーカードには保険者機能はありません。だから、マイナンバーカードではできないんです。

 保険証を残すことによって、カードでもいいんですよ、保険カードでも。デジタルかアナログかを問うているのではないのです。保険者機能の一部として、保険証は、カードでもいいです、保険カードでも、残すべきだということと併せて、最後に申し上げたいと思いますが、この間、政府では、子供、子育て支援に、社会保険料、なかんずく医療保険の保険料を充てようという議論がございます。

 これも、医療保険は、保険者がいて、加入者がいて、病気というリスクに備えるための約束事であります。保険者機能を侵害することになりかねません。そこからお金を取る、もう既に後期高齢者医療制度のときに子育ての出産育児一時金にしておりますが、本来の保険者の約束事と違う。そして、保険者機能が侵害されるのみならず、様々な負担を実は子育て層に与えますので、このことについては次回また改めて質疑させていただきます。

 ありがとうございます。

田畑委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、ベーシックインカムとコロナ後遺症について伺います。

 毎月七、八万円の現金を全国民に給付するベーシックインカムは、アメリカ、ドイツ、フィンランド、オランダ、カナダ、イギリス、アイルランド、ケニアなどでは、既に社会実験も行われています。また、スイスでは、ベーシックインカム導入の是非を問う国民投票が行われ、韓国では昨年、ベーシックインカムを公約に掲げた大統領候補が僅差で敗れた、こういう状況まで来ています。世界では社会保障のメインテーマの一つとなっているベーシックインカムですが、日本ではほとんど議論されておりませんので、本日は踏み込んで議論をしたいと思います。

 まず大臣に伺いますが、ベーシックインカム制度について、政府内でその実現可能性について検討したことはあるでしょうか。

武見国務大臣 我が国の社会保障制度は、病気などの人生における様々なリスクに対して、本人と事業主が保険料を拠出することで備える社会保険方式を基本としております。こうした理念に照らしますと、国が全ての個人に対して最低限の所得保障を無条件に与えるベーシックインカムというものの導入については、やはり慎重な検討が必要だろうというふうに思います。

 また、ベーシックインカム導入には、年金や生活保護など既存の制度との関係を、ではどう調整するのか、それから、例えば、給付の重複、追加の必要財源の確保、既に支払った保険料、積立金の扱いなど、現実的に乗り越えなければならない大きな課題があると認識しておりまして、これまで政府内で具体的な検討が行われたことは承知しておりません。

井坂委員 今の御答弁というのは、大体、常にその御答弁をされているわけです。慎重に検討する必要があると毎回答弁をされておられますが、実際は検討すら一度もしていないということで、私は、これは職務怠慢ではないかな、言い方、きつく言えば、虚偽答弁じゃないのかなというふうに思います。

 ベーシックインカムについて国会で聞くと、我が国の社会保障制度は、病気等の人生における様々なリスクに対して、本人と事業主が保険料を拠出することで備える社会保険方式を基本としていると、常にこの一文が最初につくわけであります。

 参考人に伺いますが、この答弁の根拠となっている議論や方針は何かあるのでしょうか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘いただきました、我が国の社会保障制度は、病気等の人生における様々なリスクに対し、本人と事業主が保険料を拠出することで備える社会保険方式を基本としているという考え方でございますが、これは、昭和二十五年、社会保障制度審議会、これはちょうど戦後直後でございまして、日本国憲法が制定され、その憲法の中の二十五条の中で、国民には生存権があり、国家には社会保障の義務がある、こういったことをベースに打ち出された勧告でございます、社会保障の理念とともに制度の具体的な在り方を我が国で初めて包括的、体系的に示されたというふうに考えておりますが、この勧告の中に書かれていることを踏まえたものでありまして、政府としては、この勧告を踏まえ、社会保障制度を整備し、不断の見直しを行ってきているというものでございます。

井坂委員 昭和二十五年、今から七十年以上前の社会保障制度審議会の議論から進んでいないわけであります。

 しかも、私も元を見せていただいたんですけれども、そこに書いてあるのは、社会保障制度の中心は自ら経費を負担する社会保険制度としつつと、要は、中心はと書いてあるだけで、別に、保険制度しか使っては駄目とか、ベーシックインカムは検討すら駄目などと厳しく限定している話ではありません。

 実際、西村経済産業大臣も今年の七月、東京大学で、AIが進化すればベーシックインカムの議論も必要になると講演をしておられます。当たり前の話だというふうに思います。

 大臣に再質問いたしますが、こういう昭和二十五年の議論を金科玉条のごとくただ掲げて思考停止をするような態度ではなく、ベーシックインカムの議論、検討をやはり厚生労働省として行うべきではないでしょうか。

武見国務大臣 先ほどの西村経済産業大臣の御答弁がもしそのとおりであるとすれば、私も全く、可能性として、将来議論するとすれば、やはり、マイナンバーカードというのがきちんと定着をし、かつまた、そこに個人の口座というものがきちんとひもづいていて、それによってデジタルに、しっかりと必要な人たちに必要な金額を配付することができる、そういうシステムができ上がれば、委員御指摘のような形のものも将来検討することは可能になるかもしれません。しかし、現時点ではそうしたことはまだ検討課題とはなっていないと承知をしております。

井坂委員 おっしゃるように、給付に必要なインフラが整わなければ実際、ベーシックインカムというのは難しいことだと思います。ただ、それは手段の話であって、やはり同時並行で、しかも、世界は実際に本当に、検討課題どころか、実証実験をやったり、あるいは政治的な、国民に意思決定を委ねたりということまでしているわけでありますから、せめて厚労省内で、実際、世界でこれだけこういうことが行われて、実験の結果こういういい面や悪い面が分かってきていて、我が国でこういうことをやろうと思うとどういう課題があり、またどういうメリット、デメリットが見込まれるのか、これぐらい厚労省内で議論、検討を始めるのは何らおかしくないというか、逆に、なぜしないのかというのが不思議なんですけれども、なぜしないんですか、検討、議論すら。

武見国務大臣 それは、今申し上げたとおり、我が国の社会保障に関わる制度設計というのは、先ほどの昭和二十五年の制度設計を実ははるかに遡る一九二一年に初めて我が国は雇用者に関わる健康保険制度が創設をされて、一九三八年に今度は地域社会をベースとした国民健康保険制度が創設をされて、以来、こうした保険料という形で、実際、事業主も参加する形で今日の形が歴史的に育まれているという経緯がございます。

 したがって、その枠組みというものとどのような形で共存することができるかという見通しがないと、やはり、御指摘のような形での検討というのはなかなか始めるのが難しいというのが、私は正直なところじゃないかと思います。

井坂委員 結局、今、要は、雇用者中心の社会保障で、ある意味、半分事業主頼みの社会保障になっていると思うんですよね。それが様々な制度的な限界をもう既にあちらこちらに現していて、だから政府の方も働き方によらない社会保障が必要だという問題意識というのは持っていると思うんです。そういう議論をしている中で、ここのベーシックインカムの話だけ、昭和二十五年の、あくまで社会保険方式中心で、事業主と一緒に、ここで止まっていては、これはさすがに遅いのではないかなというふうに思います。

 私、前回の自分の衆議院選挙では、現実的なベーシックインカムの導入ということを訴えてまいりました。私もさすがに、全ての国民に生まれてから死ぬまで毎月給付をする、いわゆるユニバーサルベーシックインカムというのは、これは毎年百兆円の財源が必要なので難しいというふうには考えています。そこで、対象者とか時期を区切った現実的なベーシックインカムを、私の中では三種類提案をしております。

 一つ目は、七十五歳以降に保険料と関係なく死ぬまでもらえるベーシックインカム年金。二つ目は、大規模災害とかロックダウンのときに限定して給付をする緊急ベーシックインカム。三つ目が、人生の好きなタイミングで通算、合計五年分だけもらえる一時的ベーシックインカム。

 このうち、一つ目のベーシックインカム年金は、社会保障の研究者三名と半年かけて財源計算までやり切った政策で、実際にこの厚生労働委員会でも何度か議論させていただいたので、本日は省略をいたします。

 二つ目の緊急ベーシックインカム、これはコロナのときに必要性を感じたものであります。ロックダウンのときに、飲食店など特定の業種だけに補助金が配られ、それ以外の業種の方々は本当に困りました。また、制度の議論に時間がかかって、お金が国民の手元に届くのが大幅に遅れたわけであります。大規模災害とかロックダウンのときはほとんどの経済活動が止まるわけですから、対象者など、その都度ゼロから議論せずに、最初から全員に配る制度をつくっておけばよいというふうに考えています。期間はせいぜい数か月で、必要な財源も知れています。

 大臣に伺いますが、大規模災害やロックダウンのときに限定して給付する緊急ベーシックインカムについて、検討できないでしょうか。

武見国務大臣 委員御指摘の、大規模災害であるとかあるいは感染症の拡大時に限定した給付につきましては、災害時に、既に、被災状況に応じて被災者生活再建支援制度による給付などが行われてきました。また、新型コロナ感染症の拡大時には、政府全体で、その時々のニーズに応じて様々な臨時の給付を実施してきたものと承知をしております。

 その上で、今後の感染症拡大時等において既存の制度では対応できないようなニーズが仮に発生した場合には、その都度、支援内容や対象範囲など、必要に応じて的確な制度設計を行うことが効果的、効率的な支援につながると考えております。新型コロナ対応等の経験も踏まえながら、こうした考え方に迅速に対応するというのが基本であります。

 ただ、この基本の中で常に求められるのは、我が国のこうした給付制度のデジタル化であります。マイナンバーを通じて、それが各個人の口座ときちんと連携をして、こういう緊急時にしっかりとこうした給付の仕組みが実行できるようにすること、これが私は、今我が国にとってこうした観点から最も必要とされる、そうした制度設計の第一歩だと思います。

井坂委員 給付のデジタル化については私も賛成ですので、それは当然やるべきだと思うんですが、ただ、結局、その都度、オーダーメイドで、事象があるたびに特別な制度をつくるということではなくて、まさに災害時に限定をした全員給付制度というものをあらかじめ備えておくというのは、これは当然検討してよいことだというふうに思います。

 何か、その都度制度をつくる方が効果的だとおっしゃいましたけれども、それは比較検討もせずにそのようなことをおっしゃっているだけであって、元々そういう制度を、汎用性のあるものをつくっておいた方がいいのか、その都度ゼロから考えた方がいいのかということも含めて、本当は議論、検討があってしかるべきだというふうに考えています。

 三つ目の一時的ベーシックインカムというのも私は是非やっていただきたい、やりたいと思っておりまして、要は、理由やそのときの本人の仕事の有無とかを問わずに、人生の好きなタイミングで、例えば五年分だけベーシックインカムを受け取れるような制度であります。奨学金代わりに使ってもいいし、親の介護で仕事を休む間とか、あるいは会社を辞めて学び直す間とか、あるいは新しい仕事を起業する準備期間の生活の足しに使ってもよいわけであります。政府がこれら目的別に細かい補助金をつくって、国民はその要件に当てはまらなければ補助金をもらえないという現状の仕組みよりも、早くてシンプルで人生設計の自由度と安心感が増すことが期待できると思います。

 こちらも大臣に検討をお願いしようと思っていたんですが、ちょっと後半のコロナ後遺症の時間がなくなるので、質問を飛ばして、ベーシックインカムについて最後に大臣に一つだけお聞きをしたいと思います。

 本日提案をしたような、要は、ユニバーサルではない、百兆円も財源が要らない、限定的なベーシックインカムも含めて厚労省でどのような検討ができるか、一度考えてみていただけないでしょうか。

武見国務大臣 せっかくの御提案であります。ただし、先ほどから繰り返し述べさせていただいているとおり、デジタル化というものと御提案の制度設計というのはかなり緊密に結びついているように私は思います。それと、あともう一つは、我が国の中の社会保障制度の中で、歴史で育まれてきた保険制度といったようなものについても改めて考え直す必要性がその時点で確実に出てきます。したがって、簡単に議論することはなかなかできないんだということを是非御理解いただければと思います。

井坂委員 次のテーマに移ります。

 コロナの後遺症に苦しんでおられる方がたくさんおられます。コロナの初期の頃は、味覚や嗅覚がなくなるという後遺症がよく言われました。最近は、ブレーンフォグという、頭に霧がかかったような症状で、考えたり覚えたりする能力が著しく低下をしたり、あるいは、ひどいだるさで起き上がれず、寝たきりになったり、仕事や生活に支障を来す後遺症が何年も続く例が多いようです。

 アメリカでは、昨年時点で、一千六百万人がコロナ後遺症になり、二百から四百万人が働けなくなっており、逸失利益は年間二十五兆円という推計も出されています。また、厚労省の調査でも、大人の一割から二割は後遺症が長引いているという結果でありました。

 コロナ後遺症に対して、仕事中に感染した場合は労災保険、それ以外で感染した場合は傷病手当、更に長引いたら障害年金など、既存の制度の支援策を厚労省は提示をしています。しかし、各制度の縦割りのはざまに陥ったり、あるいは、申請したのにもらえなかったり、そもそも申請させてもらえなかったりと、支援を受けられていない後遺症患者の声が多く届いています。

 伺いますが、コロナ後遺症の患者がどのような支援策を使っているのか、うまく適用されていない支援策や足りない支援はないのか、現状を把握していますでしょうか。

佐々木政府参考人 手短にお答えいたします。

 今委員から御紹介いただいたような各種既存制度、保険診療もあれば、傷病手当金もあれば、労災保険もあれば、障害年金もあれば、障害者手帳、こういったものがございますが、じゃこれらを横断的また網羅的にうまく利用できているのかという切り口での把握は行っていない、なかなか困難であるという状況です。

井坂委員 厚労省が行っているアンケートでも、どのような支援策を受けているかなどの項目を入れて、支援策が足りているかどうかという観点で政府は現状把握をしてほしいと思います。

 一方で、このような定量的な把握を今から計画して実施するのには時間がかかりますので、同時並行で、定性的な現状把握、つまりは後遺症患者のヒアリングをお願いしたいと思います。

 私の元にも、支援策の不足について、以下のような声が届いています。

 公務災害申請を出して二年たってもいまだに認定、不認定の結果が下りてこない。労基署が認定しても会社が申請用紙を書いてくれないとか。コロナ後遺症とそもそも診断されるハードルが高く、また適切な医療を提供している医療機関が非常に少ないとか。あるいは、コロナと脳機能障害の関係はまだ世界で研究中だから障害年金の申請書は私は書かないと医師に断られただとか。あるいは、保険適用の治療で改善せず、みんな鍼灸や電気治療など保険適用外のものに頼っている現状だとか。あるいは、労基署や会社の労務担当から、漢方薬は保険診療の処方でも労災は通らないことが多いですよと言われたとか。あるいは、医師の同意書面がもらえず、鍼灸治療を低額で受けられないとか。持病と後遺症の線引きが曖昧だと言われて労災認定されないとか。治療中に傷病手当の期間が経過した後、障害年金をスムーズに受給できるような仕組みを考えてほしい。

 本当にいろいろな声をいただいております。

 大臣に伺いますが、実は大臣、あさって、コロナ後遺症の患者と面会してくださるというふうに聞いております。既存の支援策では救い切れない患者の声を聞いていただいて、なるほど、そういう制度の穴があるのかという気持ちで制度や運営の改善をしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 面談については、今まだ事務方で調整中だということでございます。ただし、このコロナ後遺症の問題は私も大変大きな関心事でございますので、これについてはできるだけの対応をさせていただきます。

 その上で、やはり、我が国の中でのこうしたコロナ後遺症について、厚生労働省の中では、科学研究班を組織をして、そして二〇二〇年度からアンケート調査を実施して、罹患後の症状に悩む方の経済状況の意識調査も行っているわけです。また、罹患後症状に悩む当事者や診療を行っている医療従事者、それから関係団体の方々からもお声を直接伺う必要性があるというふうに考えておりますので、幅広くこうした実情把握に努めようと思っております。

 この研究班による調査は今年度も継続しておりまして、そこから得られた結果、さらには当事者や医療従事者、関係団体の方々からのお声を参考にして、罹患後症状に悩む方々が安心して生活ができるように、引き続き、支援へのアクセスの向上に取り組んでまいりたいと思います。

井坂委員 コロナ後遺症は、特に四十代を中心に、働き盛りの方が多くかかっています。ブレーンフォグとか倦怠感などの症状は、仕事に、特に頭脳労働に致命的な影響を与えるものです。国立の国際医療研究センターの調査でも、コロナ感染から一年半たっても実に二五%の患者が後遺症に苦しんでいるということでありますから、傷病手当が最長一年半しかもらえない今の制度では、まさにこの一年半を超える二五%の後遺症患者は生活が成り立たないというふうに思います。定量的な現状把握ももちろん今できていないわけでありますが、もう間に合いませんから、是非、ヒアリングという定性的な情報でも速やかに御判断をいただいて、穴を埋めていただきたいというふうに思います。

 最後に、ブレーンフォグ患者に対する手続の支援について伺います。

 厚労省のコロナ後遺症のページでは、QアンドAが細かい字でずっと長く書かれていて、一番最後、十四番目に支援策の項目があります。ただ、結局そこに書かれているのは、労災は労基署に問い合わせてくださいというようなことであります。

 実際、ブレーンフォグとか倦怠感で苦しんでいる患者さんが、これら複数の制度を理解して、自分が何に当てはまるかというものを検討して、それぞれの窓口で細かい書類を書いて申請するというのは、これはブレーンフォグとか倦怠感の出ている患者にとっては極めて酷な話だというふうに思います。

 大臣に伺いますが、この倦怠感やブレーンフォグにより行政手続も困難な患者に対して、ワンストップで相談に乗ってその人に合う支援策をきちんと紹介をしてくれる、そして手続も支援をしてくれる、こういうサポートが考えられないでしょうか。

武見国務大臣 まだまだ委員の目から見れば不十分かもしれませんけれども、厚生労働省では、罹患後症状、後遺症で悩む方々が適切な医療や支援を受けられるための環境整備のために、罹患後症状に関する情報を一元化したウェブサイトを作成をして、そして各都道府県の罹患後症状の診療を行う約九千の医療機関を紹介したり、それから給付対象となり得る傷病手当金や労災保険給付などの既存の支援制度の周知を行ったり、さらにはリーフレットや都道府県別のホームページ一覧や診療の手引などを掲載をして、ワンストップで幅広く紹介や周知を行っているところでございます。

 都道府県においても、相談窓口の設置やコールセンターでの対応、ホームページでの周知や医療機関の紹介など、地域の実情に応じて罹患後症状に関する支援を実施していると承知をしております。

 こうしたことを、厚生労働省、各地方自治体と連携して進めていきたいと思います。

井坂委員 時間が参りました。本日は、ベーシックインカム、それからコロナ後遺症、どちらも真剣に検討していただきたいことをお願いを申し上げました。是非ともやっていただきたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

田畑委員長 次に、山井和則君。

山井委員 二十五分間、質問時間をいただきまして、誠にありがとうございます。

 振り返りますと、先月十一月十日にこの場で、悪質ホストクラブ被害の問題、質問をさせていただきました。武見大臣には大変前向きな答弁をいただきまして、その後、配付資料にも入れましたけれども、性風俗、売春等の仕事の紹介は違法です、こういうふうなホームページも載せていただいておりますし、また、今朝の早稲田議員に対する答弁でも、徹底的に悪質ホストについては取り締まるという力強い答弁もいただきました。

 そして、この問題は、今日の配付資料にもございますが、もちろん悪質でないホストの方、ホストクラブの方々もおられるわけですけれども、悪質ホストクラブに関しては、個々人が悪いということではなく、ここの配付資料にありますように、ビジネスモデルなんですね。

 今日の配付資料を見ていただきますと、これは、ぱっぷすさんという女性の性暴力被害者の支援に関わっておられる方々が作られた資料ですけれども、簡単に構図を見ますと、十八、十九を含めた若い女性の方々に、初回は三千円と言ったりしながら言葉巧みに誘い込んで、二回目で三万円、三回目で三十万円というふうに高額になっていく。その間に、つき合おうと言ったり、結婚しようと言ったり、そういうふうな色恋営業的なものも含まれている。

 それで、今回問題になっているのは、ツケ、売掛金なんですね。それで、被害女性が五十万、百万のシャンパンを、色恋というか、そういう恋愛感情も微妙にくすぐりながらシャンパンを入れることによって、例えば十八、十九の女性が百万のシャンパンを入れてしまった場合、じゃ、どうやってそれを払うんですかというと、いやいや、それは風俗や売春がありますよということで、ホストや、あるいはホストの紹介したスカウトが紹介して売春、風俗に行ってしまう。それで、これは武見大臣が今回出してくださったように、ホストやスカウトが売春や風俗をあっせんすることは職業安定法違反で、逮捕もされているわけなんですね。こういうビジネスモデル。

 私も歌舞伎町に何度か足を運んで被害者の方々にお話を聞いてみましたけれども、びっくりしましたのは、お金のある女性に高いシャンパンを入れさせるというだけではなく、お金がなくても若い女性に高いシャンパンを入れさせて売掛金にしたら、売春や風俗で働いたら回収ができる、そういう非常に深刻なモデルとなっております。

 この問題は、十一月九日、最初は参議院の内閣委員会で塩村あやか議員が質問をされて、それをきっかけに大問題に今なっているわけなんですけれども、そしてまた、今日の午後は、たまたまなんですけれども、頂き女子りりちゃんですか、その事件の裁判が行われているわけなんです。

 私も改めて驚きましたのは、ここに、頂き女子りりちゃん事件の記事がございますが、いただき、二億円、ホストへ。二億円を何に使ったのかというと、ホストにつぎ込んでいるわけですね。

 じゃ、何がきっかけで、数十人の男性から詐欺でお金を巻き上げたことで事件になっているんですけれども、そのきっかけは、ここで検察側が裁判で冒頭陳述で言っているように、渡辺被告がホストに多額の金をつぎ込み、支払いが難しくなり、恋愛感情を利用した詐欺を繰り返すようになった。つまりこれなんですね、売掛金。売掛金でシャンパンを入れたりすることによって支払いができなくなって、今回の恋愛感情を利用した詐欺事件に入った。きっかけは悪質ホストによる売掛金なんですね。

 申し上げたいのは、悪質ホストによる売掛金問題が犯罪の温床になっている。ここの記事にもありますように、検察側は冒頭陳述で、ホストクラブに通う金を捻出するために犯罪に至ったということなんです。

 そこで、武見大臣にも先ほどこの記事をお渡ししましたけれども、ホストに二億円を貢いでいて、この犯罪のきっかけも売掛金が払えなかったからだということなんですけれども、武見大臣、やはり、このような犯罪のきっかけにもなっている売掛金、これについて、悪質ホストあるいはホストクラブにおける売掛金というものは規制すべきだと、武見大臣、思われませんか。

武見国務大臣 このケースでどこまで厚労省が権限があるのかはちょっと不明なので、そこは確認をしなければなりませんけれども、委員御指摘のような形で、ホストクラブにおけるいわゆる売り掛けの在り方、これが一つの温床になってきているということはよく分かりました。

 改めて新宿区とホストクラブが協議の場を持ったということを伺っています。厚生労働省も、そうした機会があったらそこに参画をきちんとして、それで、どこまで省としての立場で対応できるかを検討してみる必要があるかと思います。

 いずれにいたしましても、この売り掛けの問題、これをどのようにこういう悪質な行為と結びつかないようにするか、そこをよく検討してみたいと思います。

山井委員 かつ、もちろん、りりちゃんという犯罪を犯した加害者が悪いのは当然なんですけれども、その引き金になったのは売掛金ではないかというふうに報道をされております。

 そして、ここの記事によりますと、頂き女子りりちゃん、渡辺被告は逮捕前にSNSに、誰か止めてと発信していると。例えば、三千円程度の酒の器を、ホストに対して千二百七十七万円で購入しているんですよ。三千円のものを千二百七十七万円で購入しているんですよ。これは本当に驚くべきことで、実際、渡辺被告は、ホスト狂いでしか人間との関わり方を知らない、もう誰か止めてとSNSに吐露をしていたと。そして、ホスト狂いで多くの女の子の人生がおかしくなった、歌舞伎町を浄化してほしい、捜査員にこう託したということがこれで報道されております。

 武見大臣、そういう意味では、ある意味でこの悪質ホストにはまってしまった人も救い、助け、相談窓口を求めておられるわけですけれども、このような場合はどこに相談をすればいいのか、武見大臣。

武見国務大臣 委員からの御指摘もあって、厚生労働省の中で、売春防止法に基づく相談員の制度、まず窓口を一本化する場合にそこを活用をして、そして、これは各都道府県に設置をされており、相談員もおりますので。しかし、その相談員が、先ほども、悪質ホストの売り掛けを通じた悪質な行為というものについて十分まだ熟知していないケースもあるというので、それらについてきちんと研修をまた受けていただいて、相談員がちゃんと事態が分かるようにしながら相談に対応できるようにするということを今まさに現在進行中でやっているところであります。

 その上で、先ほど、売掛金、売り掛けの仕組み等について、しっかり悪質な行為と結びつかないようにしなきゃいけないというふうに申し上げたんですけれども、これは厚生労働大臣の所管じゃなくて、何か他省庁の所管になるんだそうでありまして、こういうところにも実際この問題の難しさがあって、各省庁にまたがっていろいろと権限が分散しているものですから、そこはやはり厚生労働省が関係省庁と連携をしながら対応するように努力してみたいと思います。

山井委員 おっしゃるように、これは各省庁にまたがっているんですね。

 今日の配付資料にありますように、これは青伝、つまり売掛金の実物ですけれども、例えば、これを見てもらったら、シャンパンタワーをホストのために入れて、一枚百二十万円ですからね。残念ながら、十八歳、十九歳の若い女の子が成人年齢引下げによって今特に狙われている。一枚、一晩百二十万円、女子大生や十八、十九の女性もこういう形になっていますけれども、どうやって、月、払いますか。結局、先ほど言いましたように、ホストかスカウトに紹介してもらって風俗、売春に行かざるを得ないし、これは職業安定法違反なんですよね。違法行為なんです。

 そして、今、武見大臣からも話がありましたが、つまり、デート商法、恋愛感情を誤認させて高額の商品を売りつけるというのは、これはデート商法で、消費者契約法違反でもあります。消費者庁にも御指摘をいただいております。

 そこで、後ほど消費者庁にはお聞きするとして、警察庁にお聞きしたいんですが、こういう中で、今日の配付資料にもありますように、昨日、新宿区と歌舞伎町のホストクラブのトップの方々が会議をして、来年四月までに売掛金を廃止するということを発表いたしました。

 今日の配付資料の中でちょっと見てみますけれども、十一ページを見ていただけますか。つまり、十一ページにありますように、弁護士ドットコムの記事にありますように、歌舞伎町ホストクラブ、来年四月以降の売り掛けなしを目指す方針、二十歳未満の入店禁止、トクリュウ、匿名・流動型犯罪グループとの関係も根絶する、こういうふうなことを昨日発表したわけです。

 これは私は英断であり、一歩前進だとは思いますが、全国に千のホストクラブがあって、歌舞伎町の中で昨日の時点でこういう自主規制に入ろうとしているのは二百ぐらいなんですね。ということは、千あるうち二百が自主規制をするということを言っているにすぎない。さらに、結局、自主規制ですから、私は期待しておりますけれども、来年四月の時点で、いや、うまくいきませんでしたとなっても、別にこれは誰も責めることができないし、もっと言えば、実効性を誰がチェックするのかということもあります。かつ、これから十二月の年末とクリスマスが一番の売掛金が多い、ある意味でホストクラブが繁盛する、今年一番の書き入れどきなんですね。

 そこで、警察庁に御質問しますが、結果的にはこういう売掛金が今回のりりちゃん事件のように犯罪の温床にもなっているということで、来年四月までに売掛金を歌舞伎町の二百ぐらいの店舗が自主規制をするということは一歩前進かもしれないけれども、申し訳ないけれども実効性に疑問もある面もあるわけですから、警察庁から、歌舞伎町の一部だけじゃなくて全国で、かつ、来年四月といわずに、可能な限り今すぐこういう売掛金は規制する、禁止する、そういうふうなことを、これはもちろん警察庁に権限がないことは分かっております。権限がないことは分かっているけれども、そういうことを、今回のりりちゃん事件のような犯罪の温床にもなっているわけですから、要請をすべきではないか。

 そのことによって、来年四月と言っていたのがもうちょっと早まったり、あるいは歌舞伎町の二百ぐらいの店舗と言っているのが、今、熊本にも大阪にも京都にも北海道にもあるわけですからね、全国に千、そこにも波及するし、より抑止効果になるのではないかと思いますが、警察庁、いかがでしょうか。

和田政府参考人 ホストクラブと新宿区が協議をしたことについては、報道により承知しております。

 警察では、これまでも、違法行為について、売春防止法違反や職業安定法違反で検挙するなどのほか、多数のホストクラブに対する立入りなども実施しているところです。

 いずれにいたしましても、警察としては、今後も引き続き、違法行為に対する捜査を始めとして、風営適正化法の遵守の徹底や、効果的な広報啓発、注意喚起など、各種対策をしっかり講じてまいりたいと考えております。

山井委員 現時点でも、露木警察庁長官が十八年ぶりに歌舞伎町を視察されたり、警察庁には全力で取り組んでいただいていることに感謝をしております。

 ただ、これはなかなか闇は深いし、被害者も余りにも多いので、更に力を入れていただきたいと思いますし、そのことに関連して、さらに、繰り返し言いますけれども、年末が、クリスマスが一番売り掛けが多いんですよ。是非、今から年末、クリスマスに向けて、悪質ホストクラブ対策の省庁の連絡会議というものを開催して、悪質ホストクラブ被害防止キャンペーンというものを大々的にやるべきではないかと考えますが、警察庁、いかがですか。

和田政府参考人 悪質なホストクラブについて、警察としては、ホストクラブ従業員による売春防止法違反、職業安定法違反等の違法行為の取締りなど、各種対策を行っているところです。

 また、関係省庁が集まるなどして情報共有や取組の検討を行うなど、緊密な連携を図っているところであり、悪質なホストクラブに関する周知や相談の呼びかけについても、引き続き関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

山井委員 これはもちろん超党派で取り組みたいと思っております。今日の配付資料にもありますように、二十三ページ、実は、塩村あやか議員、吉田はるみ議員を中心に、悪質ホストクラブ被害対策推進法というものを先日提出しました。しかし、残念ながら、自民党さんに、内閣委員会筆頭理事にお願いしましたら、今国会では取り扱わないということで断られてしまいました。私たちは、与党や他党の修正をまた加えて、委員長提案にして、立憲民主党案を取り下げてでもいいですので、是非、次期通常国会でも成立させたいと思いますので、超党派の皆さんの御賛同をお願いしたいと思っております。

 こういうことをやっているんですが、先ほども言いましたように、自主規制ですね、千あるホストクラブの中の歌舞伎町の約二百ぐらいの自主規制で本当にこの被害は防止されるのかということで、実際この相談に乗っておられます青少年を守る父母連絡会の代表の玄さんは、昨日、被害者の家族に直接謝罪することからスタートすべきだし、売り掛け禁止なども来年四月でなく一日も早くやるべきだと厳しい見方を示したと。やはり実効性が自主規制では弱いということをおっしゃっているんです。

 先ほども言いましたように、こういうビジネスモデルができ上がっていて、これはぼろもうけになるわけですね。若い女性をホストのお客さんにして、多額の売掛金にして、風俗、売春で働いてもらうと、これは職業安定法違反になりかねないし、そういうやり方はデート商法で消費者契約法違反にもなりかねない。つまり、このビジネスモデル自体が、個人の問題じゃなくて、非常に違法性が高いんじゃないか。

 実際、玄さんが作られた資料でも、ここにありますように、結局これは人身売買ではないか、悪質ホストは後払い売春労働システムをつくり、女性の身体的、心理的破綻まで恒常的に搾取し続けているのではないか、その背後には、やくざ、暴力団、半グレ集団、トクリュウと言われる匿名・流動型犯罪グループもいるんじゃないか、こういうふうに玄さんも言っておられます。

 そこで、改めて警察庁にお伺いしますが、自主規制には限界があるんじゃないかと思うんですね。繰り返し言いますが、今回、歌舞伎町のホストクラブがこういう自主規制を表明したことは、私は英断であり、一歩前進だと思います。しかし、実効性はあるのか、本当に自主規制が守られたかどうか誰がチェックするのか、そういうことを考えたときに、これからも被害者がどんどんどんどん増え続ける危険性を私は考えております。

 ということで、ついては、こういう悪質ホストクラブのビジネスモデル自体が違法性がある以上は、また、今回のりりちゃん事件のように犯罪のきっかけになっている以上は、悪質ホストクラブにおける多額の売掛金を規制すべきではないか。自主規制に委ねるのではなく、もちろん警察庁単独ではありません、消費者庁、厚生労働省とも協力して、政府として規制というものを検討すべきではないかと考えますが、警察庁、いかがですか。

和田政府参考人 警察では、違法行為について、売春防止法違反や職業安定法違反で検挙するなどのほか、悪質なホストクラブについて、匿名・流動型犯罪グループが背後で不当に利益を得ている可能性も視野に入れ、取組を進めているところです。

 警察といたしましては、今後も引き続き、違法行為に対する捜査を始めとして、風営適正化法の遵守の徹底や、効果的な広報啓発、注意喚起など、各種対策をしっかり講じることにより、悪質なホストクラブへの対策を進めてまいりたいと考えております。

山井委員 是非積極的にやっていただきたいと思いますし、こういうふうに党派を超えて悪質ホストクラブに対する関心が高まっている中で、どんどんどんどん犯罪が増えていった、被害者が増えていった。私も相談に乗らせていただいたケースでは、お母さんからの相談で、娘さんがホストにだまされて多額の借金を背負って風俗で働いて、最後、ホストから捨てられて自殺未遂をされて、今も重傷を負って入院されている、そういう悲惨なケースも聞いております。

 そこで、武見大臣にお伺いしたいんですが、今回、性風俗、売春等の仕事の紹介は違法ですという、QアンドAを出していただいたんですが、残念ながら、一部の悪質なホストがそういうことをやっているというんじゃなくて、多額の売掛金をかけて、風俗、売春で働かせて、それでどんどんどんどんもうけていくというビジネスモデルができ上がっているんですね。職業安定法違反です。数件逮捕されています、ホストやスカウトは。でも、ビジネスモデル自体が違法の疑いが濃いと思うんです。

 これについての武見大臣の、こういう職業安定法違反に当たるような、ホスト、スカウトによる、売春、風俗の悪質ホストによるあっせんを根絶する、その決意を、武見大臣、お願いいたします。

武見国務大臣 先ほど早稲田委員からの御質問にもありましたけれども、やはりこれはとんでもない話で、こうした犯罪というものは決して許してはいけないと思います。したがって、厚生労働省の所轄の中でできる限りの対応はさせていただきますし、警察を含めて各関係省庁とも連携をしながら、この問題にしっかりと取り組んでいく所存でございます。

山井委員 また、消費者庁もお伺いしますが、消費者庁も、今回、いいホームページ、載せていただきまして、今まで、売掛金に関しては、ホストクラブじゃなくてホストが直接、個人的な関係でやっているからデート商法に当たりにくいというふうな指摘もあったんですけれども、今回のホームページで、悪質ホストが色恋を通じて高いシャンパンを入れさせたとか、そういうことに関しては、ホストも事業者に当たり得るという見解でよろしいですか。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁では、ホストクラブにおける飲食などの契約につきまして、消費者契約法で定める、今委員からも御指摘いただきましたデート商法などの不当な勧誘行為の取消権の要件に該当すれば、消費者が意思表示により取り消すことができる場合があるということを十一月三十日付で公表したところでございます。

 ホストがホストクラブの従業員として契約を勧誘した場合には、当然、事業者であるホストクラブとの契約であり、取消しの対象になり得るということでございますし、あるいは、ホストが恋人間の個人的なやり取りだなどというふうに主張しておられる場合であっても、このホストが消費者契約法上の事業者に該当する場合で、その他の要件を満たす場合には取消しすることができると考えております。

山井委員 時間が来ましたので終わらせていただきますが、残念ながら、これからクリスマス、年末が一番被害者が出る時期ですので、各省庁頑張っていただきたいですし、私たちも党派を超えて取り組ませていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

田畑委員長 次に、中島克仁君。

中島(克)委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 私からも質問させていただきますが、ちょっと本題に入る前に、連日のように報道されております、いわゆる政治資金パーティー、ノルマ販売を超えた分が不記載となっている政治資金規正法違反の疑いですね。取り沙汰されております派閥とは大臣は違うとは思いますが、閣僚の一人として、自民党のあしき慣習とも言えるこの状況、改めてですが、大臣、今問題となっているような疑惑は大臣はないということで確認をさせていただきたいと思います。

武見国務大臣 私自身の政治資金に関わる収入及び支出については、しっかりと法にのっとって適切に処理をしておりますし、それは全て私の政治資金規正報告書の中に記載をされております。

中島(克)委員 前回も、大臣、いわゆる医療関係団体からの桁違いの多額の献金、寄附、これは原資は保険料であり、税金がほとんど。これは民主主義のコストという答弁だったと思いますが、やはりこの政治と金の話、明確に国民の皆さんの懸念は払拭する必要があると思います。今お答えいただきましたので、これで私からはこの話はやめたいと思います。

 前回の続きからお話をいたしますが、資料の一枚目でございます。これは、山梨が全国初、医師が対応するシャープ七一一九というものでございます。これは消防庁が所管する救急安心センター事業でございますけれども、大臣も御存じだと思います。今日は消防庁にもお忙しい中来ていただいておりますので、まず、シャープ七一一九事業の目的、概要、そして進捗、課題について、分かりやすく、一分半ぐらいで御答弁をいただきたいと思います。

鈴木(建)政府参考人 お答え申し上げます。

 救急安心センター事業、シャープ七一一九でございますが、住民が急病時などに救急車を呼ぶべきか否かなどについて専門家に電話で相談することができる事業でございます。住民に安心、安全を提供するとともに、救急車や医療機関など地域の限られた資源を有効に活用することを目的とするものでございます。

 この事業の実施状況でございますが、本年十一月現在で全国二十四地域で実施されておりまして、人口カバー率が五八・四%となってございます。

 今年度は新たに、あるいは地域を拡大して六つの地域で事業が開始されておりますけれども、消防庁といたしましては、引き続き、この事業の全国展開に向けた取組を進めることが重要というふうに考えておりまして、厚生労働省と連携を図りながら、シャープ七一一九の未実施地域における検討の促進、こういったものなどに取り組んでいるところでございます。

中島(克)委員 これは、事業が始まったのはもう二十年以上前だと思います。今、進捗状況を確認いたしましたが、全県レベルでやっているのは十九地域、そして県内の一部、政令指定都市などでやっているのが五地域の二十四地域ということですが、これだけ長い時間取り組んでおるにもかかわらずこの数というのは、ちょっと、全国展開をやって、進めているといいながら、これは大変遅い対応かなと思いますが、なぜそういう状況なのか。

鈴木(建)政府参考人 お答え申し上げます。

 やはり、地域の中で様々な関係機関と連携をして、また、消防本部、そして都道府県という方々の中で事業の実施の関係について認識を共有するということが必要になってまいります。こういった調整がうまくいく地域、あるいはいかない地域、それぞれございまして、今日のような実施状況になっているというふうに認識しております。

中島(克)委員 大臣、この救急安心センター事業、シャープ七一一九、消防庁所管の、救急車の適正利用、軽症者が六割、七割を占めると言われている救急搬送、これを適正化していくというのが主目的ということだとは思うんですが、国民の皆さんにとってコロナの三年三か月は、まさにコロナという特殊事情だったものの、医療につながらない、こういう状況と、もう一方では、医療への敷居が高い、こういう状況から、国民の皆様にとって本当に、地域それぞれ医療提供体制も濃淡がある中で、医療につながる大事なツールでもあるわけであります。

 このシャープ七一一九山梨版、全国初、医師がということで、私も参加しているんです。私も参加をしていて、数回当番をやっているんです。これは、準夜帯、みんなそれぞれ参加しているのは、この資料の一番下にある、医師につながる救急医療相談というNPOなんですが、若手の医師約十五人が参加をして、それぞれみんな勤務しているんです。そして、一番救急相談が多い十七時半から二十一時の間は、私も含めた医師が対応する。

 こういう状況で、これは全国で初ということでございまして、改めてですが、国民、また県民、市民の皆さんが医療へアクセスする敷居を低くしながら、そして確実に医療をつないでいく大事なツールだ、そういった認識、厚生労働省としてどのように持っておられるか。そして、都市部、また地域によって医療提供体制は様々だと思いますが、これを補完していく意味で、このシャープ七一一九の利用は非常に重要だと私は考えておりますが、大臣の見解をお尋ねしたいと思います。

武見国務大臣 厚生労働省としても、シャープ七一一九の普及により、適切な救急医療機関受診等を推進することは極めて重要だというふうに考えておりまして、来年度からの第八次医療計画に向けた国の指針において、全国共通番号の電話相談体制、シャープ七一一九の整備というのを入れさせていただいておりますので、この計画に基づいて各都道府県でしっかり実施体制を組んでいただけることを期待をしております。

中島(克)委員 第八次医療計画に反映されるということで、現状では、先ほど消防庁さんにもお尋ねしたんですが、二十数年たってもまだ半分の県で実施できていない。そして、私、実際やっていて非常に感じるんですが、消防庁管轄、そして県レベルになると医務課とか健康増進課とか様々な部署と関わるんですけれども、地域の医療提供体制、特に夜間の救急当番とか医師会がやっておられるものと、山梨は比較的うまくいっているんですが、この医療情報の共有化がなかなかうまくできていないということも一つポイントにあるのではないかというふうに思います。

 そして、実際にやっている先生からこのような意見もございました。来年、医師の働き方改革が迫っている、これは私が言っているんじゃないですよ、医療機関、医師個人の救急応需拒否の雰囲気、働き方改革を何とか進めなきゃいけないという気持ちというか焦りから、そういう雰囲気が増していると。

 シャープ七一一九は救急搬送の前さばきですから、前さばきとして、必要な方に早期受診をつなげる大変重要なツールである。厚生労働省にもっと、シャープ七一一九、理解を深めていただき、関わっていただきたい。第八次の医療計画と言いましたが、今ももう進んでいるところでありますから、是非改めて、上手な医療のかかり方でデーモン閣下も言っておりますけれども、それだけではなくて、各県に、各自治体に通知を出していただき、これを促していただく、その努力をより迅速に、具体的にやっていただけないでしょうか。

武見国務大臣 目指すべき方向として、先ほど申し上げたとおり、第八次医療計画の中で、全国共通番号の電話相談体制、シャープ七一一九の整備というのを入れておりますので、これを踏まえて、実際に各都道府県に周知をしていただき、そして実施する体制を整備していくのに努力をしていきたいと思っております。

中島(克)委員 是非よろしくお願いいたします。

 消防庁さんには、私が感じることとして、私もオペレーターをやっていて医療相談を受けます。そして、今日ではなくてもいい、救急車は呼ばなくてもいい、だけれども、明日の朝には受診した方がいいなということを指示するというか御意見することがあるんですが、その方は独り暮らしだったり、そういった場合に、いわゆるタクシーとかということもあるんですが、山梨、私の地元でも取り組んでいますが、民間救急車をうまくこういった医療相談からつなげていくこと、こういったことも、これも消防庁、また厚生労働省も関わることだと思いますので、是非、その先のビジョンも広げることも大事ですけれども、一つ一つ、より充実させられるように。

 そして、山梨が全国で初、医師が、限られた時間ではあり、これに対応することの優位性、ちょっと手前みそですが、一言コメントをいただきたいと思います。

鈴木(建)政府参考人 お答え申し上げます。

 シャープ七一一九の制度といたしましては、相談に応ずる看護師などが対応に迷った場合、こういった場合に医師の指示を受けられる体制をつくってくれということをお願いをしているところでございます。

 山梨県におかれましては、直接御相談に乗られるということでございまして、これは、シャープが始まる前からそういう御相談に乗られていたという経緯などを踏まえて、地域の特性を踏まえて対応された事案だというふうに認識いたしております。

中島(克)委員 ありがとうございます。

 やっている医師、私も含めてですが、他に仕事、勤務しながらですね、これは問題意識なんです。勤務している医療機関、そこでの、地域も含めてですが、医療体制ではなかなかその地域に住んでいる方々の医療ニーズ、不安に応え切れないということで、それぞれがその問題意識を抱えて参加した、できたのがNPO医師につながる救急医療相談ということで、これを全国でやれという意味ではなくて、自然とそういう形になってきたということを是非他の県の方々にもお伝えをしていただきたいと思います。

 それで、武見大臣、私は、実際にこのオペレーターをやっていて、先ほど言ったように、やはり有意義だなと。やはり前さばきとして、医療相談として門戸が開くということは、非常にこれは優位性があるなと感じる一方で、本来この役割は、私は、かかりつけ医がやるべき。全ては網羅できないかもしれないけれども、少なくとも、例えば、六十代以上の方、既に基礎疾患があって、そして重症リスクが高い基礎疾患を持っている方であれば、まずは、私も緊張します、初めて当直をやったときを思い出すぐらい。どんな相談が来るのか全く分からない。一方で、私は、コロナ禍でも、コロナの感染、相談を受けたり、その後の健康観察もしていました。やはり、知っている患者さんの相談を受けるのと、全く知らない患者さんを一から対応するのとでは、雲泥の差です。

 改めてですけれども、前回もかかりつけ医の議論をいたしましたが、シャープ七一一九は、それはそれでいいとは思います。一方で、やはり地域の医療ニーズに応えていくために、そして、家族構成から、仕事の悩みから、そして、おや、おかしいぞといった時点から気軽に相談できる、本来これはかかりつけ医の仕事なんだろう。このかかりつけ医と、そして、若い方、十代、二十代の方、年に一回かかるかどうか分からない方がかかりつけ医を持つ必要は余りないかもしれませんが、そういう方はシャープ七一一九、こういった補完をしながら体制をつくっていくことが私は改めて望ましいなと、実際にシャープ七一一九のオペレーターをやっていて、今強く思います。

 先日、前回の質疑のときに、私たちが言っている四つのポイント、明確に定義をして、そして事前登録できる仕組み、さらには質の担保のための認定制、四つ目は報酬制度の仕組みですが、ここは議論があるとは思いますが、私は、それを目指していくべき。

 そして、前回の大臣の答弁は、いわゆるさきの通常国会で、かかりつけ医機能が発揮される制度整備が第一歩ということでございましたけれども、第一歩があるということは第二歩があって、どこが、第十歩目が到達なのか分かりませんけれども、私は、第一歩だというなら、やはり最終形は、私たちが言っている、かかりつけ医とは何者で、そして、そのかかりつけ医には事前登録して、そして認定制、そして包括報酬、このことによって予防医療へのインセンティブを持たせる。これを最終目標に、私は、第一歩だというなら、第一歩だ、それだったら私は納得するんです。

 その第一歩、目指すべくは、私たちが言っている、いわゆるプライマリーケア機能を発揮するかかりつけ医、家庭医ということで、大臣も共有していただけると思いますが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 一九六〇年代から盛んにプライマリーヘルスケア、さらにはプライマリーヘルスケアフィジシャンというコンセプトが議論をされて、そして我が国でも、家庭医であるとか総合診療医であるとか、様々な定義がされながら、こうした同様な医師の在り方についての議論が行われてきたと承知をしております。

 その中で、やはり我が国の中で、皮膚科であるとか眼科であるとか、様々な専門的な診療科もあって、そして、そこに直接アクセスがフリーにできるということが、実は、地域医療の中においても、一つのそうした疾患に関わる早期の診断と治療につながっているということも私は事実だろうと思うんです。

 したがって、そういう日本の診療所の在り方の中で、こうした特色をどのような形で生かしながら、実際にこうしたかかりつけ医機能というものが日本の地域医療の中にしっかりと組み込まれて、それがどのような形で制度化されていくのか。これはただ単に外国の物まねではいけないと思っておりますので、そこはしっかりと日本の地域医療の在り方を考えながら設計していくべきだと考えております。

中島(克)委員 今度ゆっくり、飯でも食いながらと言うとちょっと誤解がありますけれども、なかなかこの質疑だけでは、我々の考えている、分かりづらいと思います。

 もう時間も限られておりますが、資料の四枚目ですね。これは、十一月二十六日の報道、かかりつけ医は父の遺志と。お父様、武見太郎大先生のことも書かれている。これを見て、改めて思ったんです。

 半世紀以上前、一九五〇年代後半から、それこそお父様、大改革者ですよ。当時、国民皆保険ができて、そして、社会背景は高度経済成長、人口増、こういう状況の中で、開業医の役割を民間に展開した大きな改革ですよ。それが功を奏して、我が国の国民皆保険は世界に誇る、こういう状況を招いた大改革者がお父様。尊敬しております、私。

 そのお父様は、この記事の中にも書いておりますが、本来、開業医というのは、外来、往診、そして予防医療、それに特化するべき、まさに家庭医なんだということをおっしゃっている。しかし、その後の人口構造、そして疾病構造、社会構造の変化の中で、その大改革は、ある意味、既得権益化しちゃった。そして、今なお、それを引き継ごうとする今の状況。

 私、今までの医療の成り立ち、否定なんか全然していないんです。むしろ、今も言ったように、人口構造、疾病構造、社会構造の中で、私は、日本の医療は本当にいい医療を築いた。しかし、繰り返しですが、様々な構造変化の中で、やはりそれに対応する改めての構造改革というか、こういったものが求められているんだと。

 代表的なことを一点お聞きしますが、先ほど言った、武見大臣、いい日本の文化、医療。昔の先生は、加算なんかなくても往診していました。なぜ今、加算や様々なインセンティブがなければ往診しなくなってしまったのか。大臣、どう考えられますか。

武見国務大臣 それは大変難しい御質問なんですけれども、やはり、こうした地域医療における医療活動というものについては、それを裏づける必要な経費というものが当然にかかってくるわけでありますから、そうした経費というものを考える上で、しかも、実際にそうした新たな医療行為というものを地域医療の中で更に引き続き強化していくというような必要性があったときに、このような加算という形でその経費の裏づけとなるものをお示しをしながら、そうした医療に従事していただくという考え方でやっているもの、こう承知しております。

中島(克)委員 これもじっくり話をしたいところなんですが、それこそがやはり求められる医療、そして、以前のシングルファクターだったものが今マルチファクター、お父様もおっしゃっていたように、予防医療、この重要性が、今、疾病構造の中心が生活習慣病になったことで、それをどう前線にいる医師が果たしていくのか、支払いの問題もあるかもしれませんけれども、この変化に対応するべく、私は、武見大臣には大変御期待をしたいと思っております。

 もう時間がないので、最後に、診療報酬、介護報酬同時改定についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 資料の二枚目は、過去の診療報酬、ちょっとうちの事務所で取りまとめた変化でございますが、こちらの三枚目の方、最近は本体を上げる代わりに、診療報酬の方ですが、薬価をマイナス改定する薬価頼みの医療費抑制、改定が定着しています。また、今回は介護、障害福祉報酬同時改定ということでありますが、この記事の中でも、一番下の赤線の部分でございますが、これまで介護報酬の改定率は診療報酬の本体部分の改定率を上回らせない不文律があった、集票力を持つ日本医師会の顔色を政治がうかがってきたからだと、大変気になる記事があるわけです。

 これは確認ですけれども、今回、同時改定、介護報酬の改定率が診療報酬本体の改定率を上回らないという暗黙のルールがあるのか、そのようなことを示す何がしの文書があるのか、確認をさせていただきたいと思います。

武見国務大臣 過去の診療報酬と介護報酬の改定率については、診療報酬の改定率を介護報酬の改定率が上回らないというものではなく、医療、介護、それぞれの必要性に応じてその水準を決定したものでありますので、そういうまさにコンテクストで今回も議論がされるものと理解をしています。

中島(克)委員 二枚目の資料ですね。二〇一二年、二〇一八年、同時改定のときなんですが、これは本体と介護報酬が絶妙に、本体が絶妙に上回っているんです。こんな暗黙のルールはない、そんな文書もないということですから、そんなことはないとは思いますけれども、この同時改定は大変重要です。岸田総理は、賃上げ、構造的な課題に介護報酬で取り組むとおっしゃっておりますし、一方で、診療報酬は医療費に転嫁されますから、物価高の中で国民の皆さん、この社会状況……

田畑委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、御協力ください。

中島(克)委員 是非そのような観点で、介護報酬、診療報酬、これから始まると思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

田畑委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日は、まあ毎度でありますが、ちょっと骨太な話をさせていただきたいと思います。

 私は、初当選からもう十年ぐらい、十年ちょっとたちますが、一貫して三つの分野に取り組んできました。一つは統治機構ですね。

 私たち維新の会というのは、大阪でできまして、大阪都構想とかをやってきたわけです。ただ、国会に来ると、私たちにとっての統治機構というのは何かといったら、私は、マイナンバーだ、これが国家の基礎だと。だって、国と地方の関係だってそれで変わるんだから。だから、この十年間、私は、自民党、公明党の与党の皆さんがぼうっとしているときに、独り、マイナンバーだと言い続けてきて、それが今やデジタル庁ができて、一昨年かな、デジタル改革関連法においては、当時、内閣委員会の理事に平将明さんがおられましたが、連携をして。

 当時、政府から出てきたデジタル改革関連法の一番の柱であるデジタル社会形成基本法、ここにデジタル社会形成の基本理念として書いてあるんですけれども、二つしか書いていなかったんですよ。国民の利便性と行政の効率化。でも、違うだろう、もう一個忘れているだろうといって平さんにお願いして、理事の皆様にお願いして入れていただいたのが公正な給付と負担という言葉ですね。公正な給付と負担という言葉を入れていただいたのは、手前みそながら、私が当時内閣委員会の理事で入れていただいて、与党の皆様の御理解を得て入れていただいた。これが、今日も井坂さんとベーシックインカムの議論がちょっとありましたが、これはインフラの部分ですから、まさに広い意味での統治機構ですよ。その上に安全保障と社会保障が乗っかっているわけですね。

 今日は、その社会保障の骨太な議論をいたしたいと思います。

 先日、補正予算が衆議院で可決をされました十一月の二十四日、締めくくり質疑で、衆議院の予算委員会で私は岸田総理にこういうことを伺いました。社会保障と税の一体改革、それで、消費税を上げましたね、これはもう終わっているのか、まだテーブルにのり続けているのか、どっちですかという趣旨のことを伺ったら、岸田総理はありがたいことに、実は事務方は、事前の調整では、これはどう考えても終わっているんだという意見が大勢でした、でも、岸田総理は、総理のイニシアティブで、社会保障と税の一体改革については、持続可能な社会保障制度を確立するための継続的な取組であると明言をしていただいたんですね。

 今日は、だから、内閣官房も来ていただいていますが、繰り返しこれを、総理が御答弁いただいたのをもう一回繰り返す必要はないので、今日は、瀬戸さん、ありがとうございます、瀬戸政務官に財務省からお越しをいただきました。財務省もこれでいいですね。

瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。

 社会保障と税の一体改革につきましては、少子高齢化による社会保障給付の増大に伴って、今後とも社会保険料の負担の増大や財政状況の悪化が見込まれることから、安定財源を確保しつつ、受益と負担の均衡が取れた持続可能な社会保障制度の確立を図るために必要な取組であると認識しております。

 こうした取組を今後も継続していくことが必要であり、引き続き、御指摘の医療保険に係る財源の在り方も含め、年金、医療、介護、少子化対策といった制度、政策が十分に機能し、国民に安心をもたらすことができるよう、負担能力に応じて全ての世代で公平に支え合うための全世代型社会保障の構築を進めてまいります。

足立委員 財務省が、税も検討課題としてテーブルにのっているんだと言っていただいた。ちょっと、若干よく分からない言い方ですけれども、結論はそうですね。よく言っていただいたと思いますよ。

 ところが、なぜ私がこれにこだわっているかというと、昨年の、令和四年の十二月の全世代型社会保障構築会議の報告書というのがあります。神田政務官、用意しているかな。この令和四年、昨年の十二月の全世代型社会保障構築会議の報告書、ここには税という言葉が出てこないんですよ。検索したんですよ。検索に一つだけひっかかったのは、女性の就労の制約と指摘される制度等についてということで、働き方のところで若干、税制等について働き方に中立的なものにしていくことが重要という一文だけ。あとは、過去に消費税を上げましたというところで、消費税と出てきます。

 これからの社会保障の在り方を考えるときに、税の議論が出てきていないんですよ。おかしくないですか。

神田大臣政務官 足立委員の御質問にお答えいたします。

 昨年の報告書にもあります全世代型社会保障につきましては、少子化対策の当面の集中的な取組に際しまして、全世代型の社会保障を構築するという観点から、徹底した歳出改革を複数年にわたって継続するということで、それによって得られる公費の節減などの効果及び社会保険負担軽減の効果などを活用しながら、実質的に追加負担を生じさせないことを中心に議論をしているところです。

 これは、安定財源を確保しつつ、受益と負担の均衡が取られた持続可能な社会保障制度の確立を図るという一体改革の考え方と基礎を同じくするというものであり、税という言葉は明確には出てきておりませんが、この考え方の基礎を同じくするという点で岸田総理は御答弁されたものというふうに承知をしているところです。

足立委員 ちょっと聞き捨てならないですね。

 すると、考え方を同じものを基礎としているけれども、基礎は同じくしているけれども、税というのは検討課題じゃないんだということ、どっち。基礎は一緒だけれども、税は関係ないんだ、視野に入れないんだ、検討の視野に入れないのか、税も検討の視野に入れるのか、どっちかはっきりしてください。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 社会保障と税の一体改革につきましては、少子高齢化による社会保障給付の増大などに伴って、社会保険料の負担の増大あるいは財政状況の悪化などに対応するために、安定財源を確保しつつ、受益と負担の均衡が取れた持続可能な社会保障制度の確立を図るという取組でございます。

 そういう意味では、全世代型社会保障を構築するという現在の議論においても、これは考え方の基礎を同じくするということでありますので、そういう形で現在議論をしているということでございます。

足立委員 じゃ、ちょっと聞き方を変えて、これは財務省でもいいですよ。

 要は、総理は、社会保障と税の一体改革というのは継続的に取り組んでいくんだとおっしゃった。ありがとうございますと、私もそうすべきだと思うから質問したわけです。

 税というのは三つの種類があると思います。所得ベースと消費ベースと資産ベース、どこに注目していますか。

神田大臣政務官 御質問にお答えいたします。

 今、税というのは三つのベースがあって、どこに注目しているのかという御質問でございました。現在の全世代型社会保障の議論におきましては、もちろん社会保障と税の一体改革と考え方の基礎を同じくするものでございますが、明示的にどこかの税に着目して議論をしているというものではございません。

足立委員 ちょっと、まだ一問目なんですけれども。

 瀬戸さん、同じですか、考え方は。

瀬戸大臣政務官 先ほどと同じにはなりますけれども、御指摘の医療保険に係る財源の在り方を含め、給付と負担のバランスが取れた持続可能な社会保障制度を構築していくことが重要と考えておりまして、能力に応じて皆が支え合う全世代型社会保障の構築に全力を挙げてまいります。

足立委員 要は、神田政務官は、税は検討課題だと。私は、じゃ、どの税に着目しているんだと言ったら、どれでもない、まあ、税は着目していると。でも、所得か消費か資産かと言ったら、それはどれと決めていないんだと。一応、政務官が言っているわけですよ。その税の話というのは瀬戸さんの所管でしょう、税は。財務省ですよね。何かほかの役所の、内閣官房の政務官に言わせておいて、それで瀬戸さんは、いや、俺はよく分からないんだ、それはまずいでしょう。後ろの人でもいいよ、課長でも係長さんでも誰でもいいよ。ちょっとそこは、財務省、仕切ってくださいよ。

 だから、財務省に改めて同じ問いですね。要は、税は検討課題ですね、それはイエス、ノー。もうノーならいいよ、ノーならいいんだけれども、税は検討課題だ、イエスというのであれば、税が検討課題というんだったら、どれの話をしているんだと。所得税等の所得ベースの税なのか、消費税等の消費ベースの税なのか、固定資産税とかそういう資産ベースの税なのか、どれですか。

瀬戸大臣政務官 御指摘の件ですけれども、医療保険に係る財源の在り方を含め、全世代型保障の構築に全力を挙げてまいります。

足立委員 今日は、財務省は参考人は来ていないんだな。来てくれたら全然大歓迎と書いていたんだけれども、財務省はだから、今日は出てきたくなかったんだな。

 これは予算委員会で総理と私がやり取りしたんですから、そこは重く受け止めていただいて、財務省も、ちょっと腹を据えてというか、腰を据えて考えていただきたいと思います。

 これ以上やるとまた雰囲気が悪くなるのでこれぐらいにしておきますが、別に瀬戸さんが悪いんじゃなくて、やはり財務省は財務省ですから、そこはいいかげんなことは言えないということでありますが、社会保障と税の一体改革は継続的な取組であると総理大臣が言っているんだから、そこはしっかりテーブルにのせていただきたいと思います。

 なぜ私が、さっき申し上げたような、今日ここまでこういう話をしたかというと、少子化対策の支援金制度、前回も大臣とここで若干やりましたが、僕はおかしいと思うんですよ。何がおかしいか。後期高齢者医療制度、後期高齢者支援金は社会保険の枠組みの中にいるのに、なぜ今回つくろうとしている子供、子育ての、いわゆる医療保険のルートを使って集める支援金制度は社会保険ではないと厚労省は言っているのか。その理屈を教えていただけますか。ちょっと細かいか、大臣でも誰でもいいですよ。

熊木政府参考人 まだ現在、支援金制度につきましては検討を行っているところでございますので、その法的在り方を含めまして、現在、年末に向けまして検討しているところでございます。したがって、現時点でお答え申し上げるところには至っておりません。

足立委員 すると、子供、子育ての支援金制度、仮称かな、仮称は取れたのかな、支援金制度、仮称、これは社会保険という四文字の枠内にある可能性は僕はあると思うんですよ、まだ決めていないんだから。ところが、たしか、ちょっと議事録を確認するのを忘れたけれども、以前ここで大臣とやり取りしたときに、社会保険じゃないんだ、こども庁だ、さようならという感じだったんですけれども、私はこれは社会保険という四文字の中に本来入っていてもいい話だと思いますが、大臣、いかがですか。

武見国務大臣 これはたてつけが、要は、保険料を徴収する仕組みの中で支援金を徴収するという、そのたてつけの中で私どもの軒先をお貸ししている、こういう格好になっていると私は理解をしております。したがって、そこを基本にして、この支援金の在り方については御理解をいただければと思います。

足立委員 しかし、繰り返しになりますが、こども庁、熊木さんは、まだ決まっていないんだと言っているんですよ。しかし、大臣の認識は、とにかく社会保険の四文字の外なんだと。そこは明言していただけますね。僕は国会議員ですから、まずははっきりさせたい。社会保険の四文字の外ですか、中ですか、中になり得るんですか、なり得ないんですか。

武見国務大臣 これは、今まさにこの支援金制度、具体的な設計で、今御質問になっている課題というのがこども家庭庁で検討が進められていて、それは結論がまだ出ていないんですよ。したがって、その結論が出ていないところで、中身に関しての答弁を私がすることはできないので、それは御理解ください。

足立委員 大臣、そうであれば、まだ決まっていないんだから、社会保険ではないとは言えない、分からぬと。でしょう。(武見国務大臣「そっちの方が正しい」と呼ぶ)じゃ、もう一回お願いします、ちゃんと報道各社が報道しやすいように。今回の支援金制度は、以前ここでやったときには、社会保険ではないような御答弁がたしかあったと思います。いやいや、これからの検討だ、社会保険にもなり得るというか、社会保険という四文字の中に入る可能性はゼロではないんだと。

武見国務大臣 私が申し上げていた趣旨というのは、社会保険というのではなくて、医療保険という枠組みの中でこの支援金について言及したんじゃなかったかなと思います。

 したがって、少なくとも医療保険の枠組みではないという点は私は申し上げられると思いますが、まだ現時点で結論が出ていないものですから、じゃ、どこに属するものかという点については、今まだ発言は控えておきたいと思います。

足立委員 これはもう年内ですよね。違うか。橋本さん、年内ですよね、これは。年明けには法律を出さないといけないからね。だから、本当に今月中にはっきりせないかぬけれども、これはむちゃくちゃ大事でしょう。

 何でかというと、さっきから、冒頭から議論しているように、私たちは社会保険と税というものをずっと議論してきたんですよ、何十年も。社会保険と税だったんですよ。もちろん、こども庁の資料にあるように、何かちょっとよく分からないものが幾つか生まれてきているが、しかし、今回つくろうとしている支援金制度が一体何なのかというのはむちゃくちゃ大きな議論だと思っているので、私は、こうやって国会である程度議論を深めておかないと、分かったような分からぬようなことにされると困るなということで質問しているわけであります。

 だから、もう時間がないので多くを語りませんが、例えば出産費用の保険適用というのがありますね。今は一時金が社会保険から出ていますよね。そういうふうに、あれは、今の大臣のおっしゃり方でいうと、医療保険の枠内で、保険制度ではないんだけれども、でも社会保険のところから拠出して一時金を払っています、それを今度、保険化を議論されている、こういう理解だと思うんですけれども、今回の子供、子育ての費用は、確かに医療ではない、医療ではないけれども、子供、子育てを、支援施策を加速化プランでやると、人が増えて、働く人たち、現役世代が増えるから社会保険の収支がよくなるよねという大きな因果関係があるから、だから、後期高齢者支援金と同じように、子供保険、社会保険という言い方を私はできると思う。

 他方、私はそうすべきだと思っていません。だって、もう社会保険なんて現役に集中しているんだから、負担が。それは、さっき財務省と内閣官房に伺ったように、私は、所得ベースとかあるいは社会保険ベースではなくて、消費ベースか資産ベースでやるべきだと。だからこそ、消費税を上げたんでしょう。だから消費ベース、ただ、消費税というのは経済に非常にインパクトが大きいので、もう少し資産ベースの議論をやろうよということで、資産税の話を少しちゃんとしようじゃないかということで、今、日本維新の会は党内で議論をしているんです。

 ただ、これ以上やっても仕方ないので、しかし、もう年内ですから、どうなるのか、ちょっと関心を持って注視をしていきたいと思います。

 十二月二日の日経新聞に、社会保障の改革工程の原案に、後期高齢者の医療費の窓口負担について原則二割みたいな、ほのめかす報道がありました。そうすると、公明党厚労部会長の伊佐進一部会長がXで、そんなもの知るか、俺は聞いていないということで激しく反発をされて、これはきっと公明党は外されているんだろうなと思ったら、今回、昨日出た改革工程表にもほわほわとしか書いていない。

 だから、これは、内閣官房でも厚労省でもいいんだけれども、要は、窓口負担改革は少なくとも二八年までの検討課題ではあるが、足下で、例えばこの年末とかあるいは来年の通常国会とか、こういう話では俎上に上がっていないという理解でいいですか。

武見国務大臣 御指摘の後期高齢者医療制度の患者負担の原則二割化については、厚生労働省として、現時点では具体的に検討している事実はございません。

 一方で、令和三年に一定以上所得者の窓口負担を二割とする法律が成立した以降、過去、令和三年の社会保障審議会における議論の中では、将来的な議論として、後期高齢者の窓口二割負担の対象者拡大について委員から発言があったという、その記録があることは承知しております。

足立委員 何か微妙な。すると、委員から発言があった、大臣としては、その委員の発言に注目しているのである、これは近々テーブルにのせるという。ゆっくりどうぞ、ゆっくり、余り時間はないけれども。これはどんな感じですかね、ちょっと言っちゃってください。

武見国務大臣 はっきり申し上げて、御指摘の報道にあるような後期高齢者の医療費の窓口負担の原則二割に引上げということについては、この言及というのはまだ正式な形ではされておりません。それで、当面、じゃ、いつそういうことを議論するのかということについても私自身は承知しておりませんので、その点、御了解いただければと思います。

足立委員 今日のこの日に、一応担当大臣ですよね、担当大臣が承知していないというわけですから、これは大事な御答弁ですので。まあ、いいや、これぐらいにして、伊佐さん、そんなの、知らぬところでやられたら、公明党もちょっと連立、考えなあかんよね。(発言する者あり)ああ、ない。済みません。要らぬことを言うのはやめましょう。大変失礼しました。公明党の皆さん、しっかり仲よくしたいと思っております。

 時間がなくなってきましたが、今、後期高齢者の医療の窓口負担について議論しましたが、二〇〇八年に後期高齢者医療制度ができたときに、診療報酬体系も後期高齢者の年齢に着目した診療報酬体系が一旦導入され、ところが、あの悪夢の民主党政権で廃止をされました。私は再びこの議論をちゃんとすべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

武見国務大臣 一度は、確かに委員御指摘のとおり、導入はされたのでありますけれども、その後、平成二十二年度の診療報酬改定において、まず、高齢者を始め国民の皆様の理解が得られなかったこと、それから、必ずしも活用が進んでいない実態なども明らかになりましたので、これを踏まえて見直しを実施いたしました。その際には、後期高齢者を対象として設定した各項目の趣旨、目的を踏まえた上で、原則として、こうした対象者を全年齢に拡大するというふうにしたわけでございます。

足立委員 これはまたゆっくりやりましょう。

 橋本岳筆頭も詳しいところですね。大分前にここで私が何か質問したら、橋本先生が、そうだそうだということで合いの手を入れていただいたので、今日はそのお返しでテーマに取り上げさせていただいたということであります。

 もう大臣は結構ですが、最後に薬価の話だけ。

 今、トリプル改定で診療報酬をやっていますが、やはり薬は本当に難しいなと思います。本当に難しい。私も大分勉強しましたが、やはりこれは構造的に何か考えなあかん。場合によっては薬価のプラス改定も視野に、今回はもう無理というか、我々野党第二党が言っても仕方ないんですが、党としては、薬価のプラス改定も視野に、もう一回大きなフレームを議論した方がいいという議論を党内で今しています。

 六月九日に、医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の報告書が出ました。その一部は、この報酬改定に当たってもまたずっといろいろなところで反映されていくと思うんですが、この報告書が今後どういうふうな場というか検討会等で具体化されていくのか、まだちょっと時間があるので、お願いします。

内山政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の有識者検討会の報告書は、産業構造や流通、御指摘の薬価制度など、幅広い論点について提言をいただいたものでございます。その後、厚生労働省における各会議体において、この大きな方向性を踏まえながら議論がされているところでございます。

 一例を申し上げますと、後発医薬品の安定供給等の実現については、厚労省で新たな検討会を立ち上げて御議論をいただいておりまして、安定供給に関する企業情報についての可視化などについて本年十月に中間取りまとめを行ってございます。

 また、御指摘の薬価制度に関する事項につきましては、今申し上げました安定供給に関する企業情報の薬価上の取扱いについて中央社会保険医療協議会において議論いただいておりまして、薬価制度改正を行うものは令和六年度より対応を行う予定でございます。

 こうした個別の会議体の議論を踏まえ、今後も、この検討状況についての報告を受けるとともに、引き続き、有識者検討会報告書を踏まえた大きな方向性に沿って各会議体での対策の具体化を進めてまいりたいというふうに思ってございます。

足立委員 ありがとうございます。

 もう時間が来ますので終わりますが、今日私が申し上げた一連のテーマ、これは本当に大きな骨組みだと思いますが、聞いていただいた方は分かると思いますが、この年末あるいは来年に具体化していく大きなフレームが、まだ今日は明確には決まっていないというような話も多くありました。

 特に財務省、私はやはり、先日の予算委員会での総理の御答弁を受けて、もう一回財務省も、税は面倒くさいから、よく分からない社会保険料とか支援金とかでとにかくやるんだという、岸田内閣の大方針だと思いますが、私は、それは国民の理解がかえって得られないと思いますので、もう一回財務省も戦略を練り直していただいた方がいいということを僭越ながら御指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございます。

田畑委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。よろしくお願いいたします。

 足立議員の次で、すごくこの二年間で一番やりにくいなと思いながら質問に立たせていただいています。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

 私からは、地域包括ケア、特に介護分野の質問をまずはさせていっていただきたいと思います。

 二〇一八年のトリプル改定で、地域包括ケアの中で地域の高齢者の方、シニアの方を支えるとなると、やはり訪問介護とデイサービスというのが主軸になってくると考えています。

 その中で、二〇一八年、多くの事業所が関心が大きかったのが、要介護一、二の方の総合事業への移行だというふうに考えました。私も当時は事業所で現場で働いておりましたが、やはり、要介護一、二の方の移行というのは致し方ないものというふうに考えていました。やはり、伸びる介護給付もありますし、人材の問題もあります。また、要介護二までの方と要介護三以上の方というのは医療依存度もかなり違いますので、施設の設備もスタッフの技術もそこで少し違ってくるというふうに思います。

 今回のトリプル改定では要介護一、二の方がいよいよ総合事業に入っていくのかなというふうに思いましたが、話によりますと、第十期介護保険事業計画が始まる二〇二七年までの間に検討をするというようなことになっています。

 これがまた先延ばしされた理由というのを改めて大臣にお聞かせいただきたいと思います。

武見国務大臣 御指摘の要介護一、二の者への生活援助サービス等に関する給付の在り方については、昨年の介護保険部会において御議論をいただいて、今後の人材や財源に限りがある中で専門的なサービスを重点化することが必要だ、そして、要介護一、二の方には認知症の方も多くいらっしゃるので専門職の関わりが不可欠だ、こうした意見をいただいております。その結果、次の次の介護保険事業計画期間である二〇二七年度からの第十期計画期間の開始までの間に検討を行い、結論を出すことが適当と介護保険部会で取りまとめられたところでございます。

 御指摘については今後の検討課題でございまして、医療、介護の専門職が関わり合いながら、高齢者が適切に介護や支援を選択できるよう、現行の介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討を今年の四月から開始をし、検討を進めております。

 引き続き、高齢者が必要な支援等を選択できるよう、丁寧にこうした検討を進めてまいりたいと思います。

    〔委員長退席、大岡委員長代理着席〕

一谷委員 二〇一八年からこの六年間も相当検討をされてきたというふうに私は思います。ただ、この六年間、事業所が何か変わったとか地域の受入れ方が変わったというのは、私は、私の肌感覚や、現場を見て回っていて、ほとんど変わっていないと思います。ですから、このままでいきますと、次の次のときもまた検討になってしまうのではないかなというふうに非常に危惧をしています。

 また、事業所にとったら、もちろん、要介護一、二の方が総合事業にいくというのは経営面的には非常に厳しい状況にはなると思いますが、ただ、介護の事業所としては、やはり、資格を持ってプロフェッショナルとして介護のケアに当たっていく方々と、簡易な資格でできるだけ多くの方をケアしていくというところは分けていかないと、昨年ですか、介護事業所の従事者の方が、これは全産業そうだと思いますが、減ってきているフェーズに入りました。しかし、二〇四〇年に向けて、介護を受けられるシニアの方は増えていくんです。

 また、医療依存度の高い方が介護分野でも多くおられて、そのケアもやはりある程度しっかり勉強して経験を積まないと対応ができない状況になってきている。そういったことを踏まえると、やはり総合事業への要介護一、二の移行というのは、私は非常に重要だと思います。

 介護事業所からの反発もいろいろあると思いますが、これを言えるのは維新の会だと思って、私も身をもって、自分の会社が潰れるかも分かりませんが、あえてここで発言をさせていただきたいと思って、ほんまにそのぐらいのインパクトはあることは確かです。

 ですから、ここは政治の力、政治の判断で、えいとやらなければいけないことだと思いますし、やるとなれば、じゃ、いきなりこの改定ぎりぎりのところで、次の四月、六月からですと言われてもとてもできるものではないので、やはり準備期間が一年から一年半、二年ぐらいは、申請のやり方も変えなければなりませんし、事業所の戦略としては新しい事業所を建てるとかそういったこともやらなければならなくなりますので、余裕を持って判断をしていただきたいと思いますし、できるだけ早くこの判断をしていただきたいというふうに思っています。

 今、大臣から、認知症の方の対応ということがありました。これは切実な問題でありまして、私は、この総合事業がなかなか進まない理由の一つとして、やはり認知症の方をどうやってケアしていくかということは非常に重要だと思います。

 今、ヘルパーさんがなかなかなり手がならないので、総合事業に関しては簡易な資格、二週間ほどの研修で仕事ができるというような簡易な資格もできておりますが、そういった資格を取っていただいた方々がいざ介護現場に入ってみた場合、要介護一、二の方、軽度だと言われる方々に対しても、認知症があると、やはり、逃亡してしまったらどうしようかとか、あと、周辺症状、急に怒り出したり急に泣かれたりとか、そういった周辺症状を見たときにやはり驚いてしまって、とてもこの現場では働けないのではないかというふうになっているように私は思います。

 ですから、そうなるとなかなか介護事業所での働き手も増えないというところで、もう何度も何度もこの委員会でも話をしていますが、認知症という枠が本当に要支援一から要介護、七の枠の中に入っていて、そして、介護サービスが必要な時間だということで要介護一であったり二であったり三であったりというふうに区分されることが、果たして、この介護保険が始まってもう二十年たって、これから更に認知症の方が増えていく世の中の中で正しいのかどうかということを私はずっと考えてきています。

 それについて考えがありましたら、政府参考人の方からいただきたいと思います。

間政府参考人 お答えいたします。

 これは委員よく御案内のように、要介護認定は、高齢者等にかかる介護の手間に着目して、認定調査員による心身の状況の調査や主治医意見書、学識経験者で構成される介護認定審査会の審査により必要度を判定する仕組みとなってございます。

 認知症の方については、これもよく御存じだと思いますけれども、認定調査や主治医意見書において意思の伝達や記憶に関する事項など結構多くの項目についてお調べしてその状態も把握することとしているということと、それから、コンピューターによる一次判定の際に、介護保険が始まってからしばらくの間、おっしゃるように、認知症の方の判定が十分じゃないんじゃないかとか、あるいは、よく、体がお元気な方の判定についてはどうなんだ、こういう御指摘もあって、これまでも、運動能力の低下していない認知症高齢者に係るコンピューター判定ロジックを見直すなどしてございます。その上で、介護認定審査会において適切に勘案されているというふうに考えてございます。

 是非、引き続き、認知症の方を含めまして介護が必要な高齢者の方が必要なサービスを受けられるように、適切な要介護認定制度の運用に努めていきたい、このように考えております。

一谷委員 今回の私の質問は、要介護認定の中で認知症の方の判定が甘いのではないかとか、厳しいのではないかということではなくて、そこの認定は私はしっかり精度が上がってきているというふうに思います。ただ、やはり、足腰が強くて、しかし認知症で、逃亡してしまったりとか、今自分の位置がいきなり分からなくなったりという方はいらっしゃいます。これはちゃんと判定がされてですね。その場合、総合事業で、訪問介護や訪問看護の簡易な、点数が少し下がって簡易な、人数を多く見ると言われる今のA型だったりB型だったりいろいろありますが、そういった簡易なところで認知症の方を受け入れないということは今はできないわけなんですよね。ケアマネジャーさんがケアプランを作ってこられた場合に、認知症の方を受け入れないということはできないわけなんですよ。

 ですから、もしも自分たちの現場にいるスタッフの方、また地域のボランティアさんがつくったそういう集まりの場にケアプランを持ってこられて、じゃ、お願いしますと言われたときに、今は断れないんですよ。でも、その断れない体制をつくるのは、非常に、簡易な資格であったり地域のボランティアさんでは私は難しいと思います。なぜかというと、責任を取り切れないからだと思うんですね。

 そうなった場合に、今の要支援一から七段階とは別に認知症の認定があって、事業所として認知症の方を受け入れる体制が整っていないのであれば断ることができるような制度にすることが必要ではないかという質問、趣旨だったんですが、これについて、もしお答えがあればお答えいただけたら、なければないで大丈夫です。ありがとうございます。

間政府参考人 改めて、質問の御趣旨を踏まえてお答えさせていただきます。

 認知症の方のケアは、その方の状態に合った支援が選択できることが必要だと思います。先ほど委員から御指摘のありましたBPSDがよく状態として出るような方もいらっしゃれば、そうでない方もいらっしゃって、実に多様な方がいらっしゃると思います。そういう意味では、何でも認知症の方はこっちとかということよりは、その方に合っているのはどこなのかというのが選択できるようにするということが大事だと思っています。

 その意味で、介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けまして、高齢者が、尊厳ある生活のため、自らの選択の下、認知症になってもできるだけ地域社会とつながり、そのつながりの下で活動したり、その上で、今委員御指摘のように専門職も適切に関与しながらやっていくことが大事だと思いますので、そういう、関与をしながら切れ目なく支援が受けられるための仕組みについて検討を進めているところでございます。

 委員の、いろいろな方がいらっしゃるんだよという御指摘は重く受け止めまして、更に検討を進めてまいりたいと思います。

一谷委員 是非、検討を進めていただきたいと思いますし、そういった現実があるんだという現場の実情を少し理解をいただけたらと思います。

 これは、介護度が重い要介護三以上の方に総合事業の今のプロフェッショナルが当たっていくということも、医療依存度の高い方に対しての対応の効果が上がっていきますし、事業所としての設備もそれにしっかり振っていくということができますので、介護保険というのはすばらしい保険だと私は思っています。しかし、余りに受け入れる範囲が広過ぎて受け入れ切れない状況、それに全て対応していくために施設の充実とマンパワーに非常に力が要るということが、これからの働き手が足らなくなるのと、やはり社会保障費の問題もありますし、シニアの方が増えるというところで、少し問題を今述べさせていただきました。

 その中で、次は、介護保険料の増加ですね。やはりシニアの方が増えていく中で介護保険料が増加をしていきます。これに対して、大臣、何か対策を取っていかれるか、考えがありましたら、よろしくお願いいたします。

武見国務大臣 高齢化に伴って介護給付費の増加が見込まれる中で、介護保険料についても今後更に上昇していくことが見込まれます。それから、健康寿命の延伸を図りつつ、介護保険制度が全ての世代にとって安心なものとなるように、サービスの質を確保しつつ、制度の持続可能性を維持するということも重要な課題だと思います。

 介護保険制度の見直しについては、高齢者ができる限り住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、地域包括ケアシステムの推進を図るとともに、制度の持続可能性の確保のために、介護サービスの提供体制や負担能力に応じた給付と負担の見直しに関する議論を進めることが重要だ、こう考えます。

 今後も介護保険制度が全ての世代にとって安心なものとなるように、制度の持続可能性の確保の観点から、介護サービスの提供体制や負担能力に応じた給付と負担の在り方については、引き続き、常にこれを不断に検討していく必要性があると思います。

一谷委員 給付と負担というところ、ここはかなり改革が進んでいくというふうに言われて、実際に、一号保険者の方の保険料の在り方の見直しであったり、二割負担の方の範囲の見直し、あと多床室の室料負担の見直しと、いろいろ項目が入っておりますので、ここはやはり若者の世代に余り負担が行かないような改革というのをやっていく必要があると思います。

 その中で、私は、一つ取り上げさせていただきたいのが、介護保険の中にあるリハビリテーションについてになります。

 介護保険の中ではこれは機能訓練といいますが、介護保険の中でリハビリテーション、機能訓練というのは、配置基準になります。今、病院は入院の日数をやや削減をしていき、なるべく早く退院をしていただいて地域へ帰していくということになります。

 今、高齢者の方でやはり独居高齢者の方も増えて、転倒が多くなってきています。どの自治体も、ホームページを見てみると、今後、高齢者の方の転倒からの大腿部の頸部の骨折、これが増えるのではないかという予想がされていますが、この大腿部の頸部のリハビリテーションの日数も短くなり、我々介護事業所にリハビリの継続として来られることが多くなってきています。

 本来ならば、デイケア、訪問リハビリテーションであったり、整形外科がやられるデイサービスのようなデイケアが、そこには専門職の医療職の方も多いので、病院からの退院が早まってもそこでリハビリをして、そして地域に帰るか、デイサービスに来られるというスキームだというふうに思っていますし、国もそれを進めていただいていることは非常に理解をしています。

 ただ、なかなかやはり、整形外科のみなし指定でリハビリ室がデイケアになったとしてもまだまだやはり数の問題もあって、急にデイサービスへ下りてこられる方もいらっしゃいます。その場合に、かなり凝縮してリハビリテーションを提供した方が社会復帰が望めますし、予後はいいのですが、介護保険の中のリハビリテーションというのは時期が関係がありません。今、退院してすぐ集中的にリハビリテーションをすればよくなるであろう時期は考慮されていないわけなんですね。

 これについて、私は考慮していくべきではないかというふうに考えるんですが、政府参考人の方のお考えをお聞きしたいと思います。

間政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、退院後、早期のリハビリテーションを実施するということは、その方のADL、QOLの向上に大変役に立つものだというふうに私も実感をしているところでございます。

 その意味では、これも御指摘ありましたけれども、通所リハビリテーションなどがまず挙がるわけですけれども、先にちょっとこれをお答えさせていただくと、通所リハビリテーションにつきましては、医療から介護に移行する際、つまり退院などの場合に、必要な方に対して早期に連続的で質の高いリハビリテーションが提供されるように、現在、社会保障審議会介護給付費分科会において、その報酬改定の中で議論を行っているところであります。

 他方、通所介護につきましては、退院後であるかどうかにかかわらず、こういう個別の機能訓練というのが大事だということから、令和三年度の前回の介護報酬改定において、より利用者の自立支援等に資する取組を促進する観点から、個別機能訓練の取組を充実させました。

 そして、今回の介護報酬改定におきましては、専門人材の有効活用を図る観点などから、個別機能訓練加算の算定要件になっております、機能訓練指導員の通所介護等を行う時間帯、つまり、提供時間帯を通じて一名以上配置する要件というのを緩和しまして、配置時間以外の時間で他の職務に配置することも可能とすることによって加算をより取りやすくする、個別機能訓練を進めるというようなことについて介護給付費分科会で御議論いただいているところでございます。

 引き続き、通所介護の利用者の心身の機能の維持等が適切に行われるように必要な検討を進めてまいりたい、このように考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 私も今回の改定の内容を見ていますと、今、機能訓練の話もありましたが、デイケアに関しては、病院からの指示書、病院でどんなリハビリをしたかという指示書をケアマネジャーさんが持ってきてくださるというようなルール作りに変わっていくと書いてありました。

 大体、今までの改定を見ていると、デイケアで行われた改定の三年後にデイサービスが同じような改定が行われてくるんですけれども、これは、三年待っていると、やはり、もうリハビリテーションをしてしっかり地域に帰れる方が帰れないという状況も出てきますので、デイケアに対しての病院からの情報提供というのはデイサービスにもできたら行っていただけるようなことをしていただきたいです。

 これは、全てのデイサービスがそれを受け入れて機能訓練をしなければならないことは私はないと思います。これだけ六万も七万軒もあるデイサービスですから、二十四時間、ローソンやセブンイレブンさんより数が多いわけで、もうインフラ事業としてしっかり成り立っています。ですから、特色をつくっていけば私はそれでいいと思いますので、そういった特色づくりのためにも、是非、デイケアだけではなく、デイサービスにもそういうことを下ろしていくようなことを三年待たずにやっていただけたらというふうに思います。

 それでは、少し時間の加減がありますので、質問をちょっと飛ばさせていただいて、終末期医療の在り方についてを大臣にお伺いをさせていただきます。

 人生終末期の自己決定権を実施する観点から、診療報酬体系の中で終末期相談支援の適正な評価等を求めるとともに、リビングウィルの政策を含めた人生会議、ACPの法制化等を検討を改めてしていただきたいと思うんですが、大臣のお考えをお願いいたします。

武見国務大臣 人生の最終段階において本人が望む医療、ケアが提供される環境を整えることは、本当に大事だろうというふうに思います。

 診療報酬上、高齢者が望む場所や適切な医療を受けられるように、地域包括ケア病棟や在宅療養支援病院、診療所等において、人生の最終段階における意思決定支援のガイドライン等を踏まえた支援について評価をしております。

 人生の最終段階における意思決定支援に関する議論に当たりましては、医療、介護の連携の重要性も指摘されておりまして、令和六年度改定に向けて、今後も、関係者等の意見を聞きながら、中医協においてこの課題、引き続き検討してまいります。

 そしてまた、本人が望む医療、ケアについて家族や医療、ケア関係者と繰り返し話し合うプロセス、いわゆる人生会議の取組があります。これは非常にこのリビングウィルの課題と密接に関わりがございますから非常に重要だと思いますので、この人生会議の取組についてしっかりとガイドラインを定めて推進するというのが基本的な考え方です。

 御指摘の、事前に示された書面、いわゆるリビングウィルに従って治療方針を決定するということを法律で定めることについては、厚生労働省が令和四年度に実施した意識調査によりますと、賛成が二〇・四%、定めなくてもよい、又は定めるべきではないが四四・五%となっておりまして、国民の合意形成がまだ十分にできているとは言えない状況と認識しております。

 このため、厚生労働省としては、まずは人生会議の普及啓発を進めることが重要と考えておりまして、国民への情報発信や医療・介護従事者を対象とした研修等を取り組み、この人生会議というものをまずは充実させていきたいと思っております。

一谷委員 人生会議が必要だというのが二割ぐらいだというふうにデータも出ておりますので、やはり、この人生会議というのが必要であり、医療従事者、介護従事者も、どんな医療や介護を最期に望まれているのかというのを手探りでやっていくよりは、できるだけ書面で書いていただいたその人が望む最期を提供したいという思いはかなり強いというふうに思いますし、終末期医療の問題というのはどの先進国も乗り越えてきている課題だと思いますので、日本もここを乗り越えていきたいというふうに思いますので、どうぞお力添えをよろしくお願いをいたします。

 それでは、質問を少し変えさせていただきまして、成育医療等に関する計画の策定について、質問をこども家庭庁の参考人の方にさせていただきたいと思います。

 成育医療等に関する計画は、都道府県及び市町村が策定するものと定められています。特に、都道府県は、域内市町村における成育医療等の提供に関する施策に関する状況を把握するだけでなく、市区町村間の健康格差の状況、全国の成育医療等の提供に関する施策の実施状況との比較等、広域的かつ専門的な視点から都道府県内の課題の把握を行い、計画を策定することとあります。

 この中で、県と市が計画策定する時期も違う中でどのようにして県は市の計画を把握していくのかということ、また、県にそれだけのスタッフと財源があるということは私はちょっと考えにくいなと思うんですが、その辺りについて参考人の方のお考え、お願いいたします。

    〔大岡委員長代理退席、委員長着席〕

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県ですとか市町村が策定する成育医療等の計画につきましては、医療計画など他の計画と調和を保つ観点から、医療計画と同様の期間とすることが望ましいということはお示しをしているわけでございますが、地域の実情、いろいろございます。ほかの計画等も市町村にもございますので、地域の実情に応じて適宜設定して差し支えないということとしております。

 そうなってまいりますと、いよいよ御指摘のとおり連携といったことが大事だと思いますが、都道府県による広域的な支援の下、地域の実情に応じて都道府県、市町村が連携して計画を策定する、これは不可欠でございますので、計画策定に当たって、関係行政機関、関係団体等との協議の場を設けるなど、関係者の十分な連携の下に進めることが望ましいことといった手順を私どもの方からお示しをしているところでございます。

 さらに、こうした取組を支援するために、御指摘もございましたが、必ずしも十分な人的な体制等もないことも考えられますので、令和五年度から、本年度からでございますけれども、都道府県において管内市町村等との連携を確保し、都道府県及び市町村の計画の策定に関する検討などを行うための協議会を設置する場合に、その経費に対する国庫補助を行っているというところでございます。

 いずれにしましても、都道府県の計画と市町村の計画が有機的に連動をしますように後押しをしてまいりたいというふうに考えております。

一谷委員 母子保健なんかは市町村の事業になると思いますし、やはり、県と市がしっかり連携ができて、妊娠期からお子さんが成長するまでのいろいろばらばらであった法案がやっとまとまった成育基本法だと思いますので、是非生かしていただきたいというふうに思っております。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 産前産後事業、これは私もずっと委員にならせていただいてから関わってきておるんですけれども、全国を回っていて、なかなか単独で黒字の事業所というのを見たことがありません。ただ、産前産後事業も介護事業と一緒でインフラ事業だと思いますし、これからやはりお子さんを授かりたい、育てたいというお父さん、お母さん方が安心してお子さんを産める社会にしていくためには、産前産後事業は非常に重要だと思います。

 その中で、以前から、自費のアロマのサービスであったり石けんであったりとか健康食品であったりというのを、市の委託事業でありますけれども、それとは切り離してされていたという実態があるんですが、ここに来て、ややその商品が高額化してきているであるとか、なかなか断りにくかったというふうな声もいただいて、あるところの自治体では、産前産後事業所に対して、そういったことはちょっと気をつけてくださいねというふうな文書を出している自治体もあるんですが、こういったことを国は承知しておられるか、まずお聞きしたいと思います。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のような事例につきまして、国として把握した事例というのはありませんが、聞くところによると、例えばオプションとして、今おっしゃったようなアロマですとか、あと、例えばだっこひものような商品ですとか、様々なサービスの提供ですとか、育児用品の販売等を行っていることもあると承知しております。

 こうしたオプションについては、あくまでも利用者の希望に応じて提供されるべきものであることは言うまでもないというふうに考えてございます。

一谷委員 許容範囲であればいいと思うんですが、やはりだんだんとこれが拡大していくというようなことで社会的問題になってもいけないと思いますし、そもそも単独の事業で黒字にならないというところが大きな問題だと思います。これは国としてしっかり認めていただいて、やはり黒字になるような点数配分というのが必要ではないかなというふうに思うんですね。黒字にもならない事業だから致し方なくという部分も私はあるのではないかというふうに思っていますので、ここ、何度も何度もこの委員会で言いますけれども、是非、実態調査も含めて、点数を考えていただきたいと思います。

 それでは、最後の質問に行かせていただきます。

 第八次医療計画の中の周産期医療体制の評価にロジックモデルを使うことになっていますが、最終的な評価として妊産婦死亡率等を使用した場合に有意差が出るとは考えにくいです。

 なぜ周産期医療体制の中でロジックモデルを使うことになったのかということについて、御質問をさせていただきます。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 周産期医療体制の評価等に当たりましては、令和三年五月の参議院厚生労働委員会における医療法等改正法の附帯決議を踏まえまして、PDCAサイクルの実効性を確保するため、第八次医療計画の策定指針において、都道府県に対してロジックモデル等のツールの活用を求めているところでございます。

 御指摘の妊産婦死亡数でございますが、周産期医療の提供後の妊産婦の状況を示すアウトカム指標の使用例として都道府県に示しており、これにより周産期医療体制の整備の取組の効果を測ることが可能であると考えておりますが、議員御指摘のとおり、どうしても数字が小さくなっておりますので、地域の差などの比較が困難な可能性は確かにございます。ただ、この妊産婦死亡数は、世界的に見ても、低い標準で遷移することが大事でございまして、これを維持することが重要と考えております。

 ただ、今後とも、代わる新たなアウトカム指標の開発等の検討も含めまして、引き続き、都道府県と連携し、地域の実情に応じた周産期医療体制の評価や確保に取り組んでまいりたいと考えております。

一谷委員 都道府県によっては医療計画の中で母子保健計画を作られる方もいらっしゃるので、もうこの数がゼロか一かというようなところの数字で判定するのは難しいと思いますので、是非検討をしていただけたらと思います。

 これで私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

田畑委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 今日は、維新として最後になるんですけれども、いろいろなテーマで質問していきたいと思います。

 まず初めに、遺族年金のところで質問していきたいんですけれども、結婚されて配偶者が死亡された、そこで発生するのが、遺族厚生年金が発生しますよと。ここで、今現状、自分の厚生年金と遺族厚生年金、どういう形で受給が決まっていくのかというのを確認したいんですけれども、仮に、自分が厚生年金を百二十万円であって、配偶者が三十万円の、こういった場合、どういうふうな配分になるのか、お尋ねしたいと思います。

橋本政府参考人 委員お尋ねのケース、遺族厚生年金の金額が年三十万円、それから老齢厚生年金の方の金額が年百二十万円、そういう想定ということでお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、六十五歳以上の方に支給する遺族厚生年金は、その受給権者が自分の老齢厚生年金の受給権を有するときは、老齢厚生年金の支給が優先されまして、その支給額に相当する部分の遺族厚生年金の支給は停止されます。

 これは、老齢、障害、遺族といった各々の保険事故に対してそれぞれの保険給付を重ねて行うということは社会保険制度の趣旨から見て適当とは言えないということから、老齢年金と遺族年金との併給調整を行っているということでございます。

 そのため、今御指摘のケースで見ますと、遺族厚生年金の三十万円というのは全額支給停止ということになりまして、支給されるのは、厚生年金部分としては、老齢厚生年金の金額である年間百二十万円ということになります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 先ほどの答弁のとおりで、一つの年金しか受け取れないということで、ここで、一部の各メディアであったりとかいろいろな報道を見ていると、若干矛盾する部分が出てきているんじゃないかなと思っています。

 要するに、まだまだ働けるのに一つのものを選ばなくてはいけないということで、要は、仕事をしながらまだまだ受給を遅らせていきたい、遅らせていきたいので、遺族厚生年金を受け取らずに厚生年金を繰下げをしていきたい、こういうケースがあると思います。

 先ほどの答弁で、遺族年金の受給が発生すると遅らせることができないという状況があるんですけれども、年金の繰下げができない、こういった状況があるんですけれども、これはどういう状況があるのか、お尋ねしたいと思います。

橋本政府参考人 御指摘いただきましたように、六十五歳到達前に遺族厚生年金の受給権が発生した方について見ますと、六十五歳以降の自分の老齢厚生年金の支給の繰下げというものはできない形になってございます。

 仮に、これをできるということにいたしました場合には、遺族厚生年金を受給しながら、繰下げによって老齢厚生年金を増額させるということができるということになってしまいます。これは、老齢厚生年金の受給権が六十五歳到達によって発生したことに伴って、本来行うべき遺族厚生年金との年金額の調整ということを回避するということになってしまうわけでございまして、このため、老齢や遺族といった保険事故に対して保険給付の重複を調整した上で支給するという社会保険制度の基本的な考え方に照らして適当でないので、現行制度上、老齢厚生年金の受給の繰下げが認められないというものでございます。

遠藤(良)委員 これは大臣にお尋ねしたいんですけれども、要は、働けるのに、繰下げをしたい、余り、そういうふうに、両方もらいたいわけではないんですけれども、働きたい意欲があって、さらに、厚生年金を後々増額をして、それで繰下げをして受け取りたいというケースが、これは実際いろいろなケースが考えられると思うんですけれども、今後、これは、例えば先ほどのケースで、遺族厚生年金を受け取れる、仮に自分の老齢年金の繰下げをできる、こういう選択ができるように法改正自体をすべきだと思うんですけれども、この辺り、大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。

武見国務大臣 先ほどからお話をさせていただいておるとおり、現行制度においては、遺族年金と老齢年金の重複給付を避ける観点から、六十五歳到達で受給する老齢厚生年金を優先して支給することとしております。遺族厚生年金の受給権を有しながら、繰下げによって老齢厚生年金を増額させることは認められておりません。

 ただし、この点については、社会保障審議会年金部会におきまして、実際に御本人が遺族厚生年金の請求を行っていない場合にまで老齢厚生年金の繰下げができないことをどう考えるかという実は御指摘がありました。この御意見がありましたので、今後、このような御意見も踏まえつつ、どのような見直しが必要か、次期年金制度改正の見直しの議論の中で検討していきたいと思います。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 大臣おっしゃられたみたいに、遺族厚生年金を受け取らないということで、その権利はあるんですけれども受け取りたくない、まだまだ働けるし、そして繰下げをしていきたい、こういうケースで、実際、今、検討いただけるというところなんですけれども、スケジュール感というのは一体どういう状況になっているのかをお尋ねしたいと思います。

橋本政府参考人 年金制度におきましては、五年に一度財政検証を行って、それに基づき制度改正の議論を行うことが通例となっております。

 現在、令和六年に予定されます次期財政検証を受けてどのような制度改正を行うか、社会保障審議会年金部会等において検討を進めるという状況でございまして、来年の末までには年金部会における取りまとめをお願いしたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 今おっしゃられたみたいに来年度末ということなんですけれども、こういった、今いろいろな要望が出てきていると思います。厚労省としても、働く世代がまだまだ現役で働いていただけるというのは、本当に、むしろ渡りに船というか、そういう状況になると思います。なので、是非、これは選択できるような形で法改正を進めていきたいなというふうに要望したいと思います。

 次に、たばこについて質問していきたいんですけれども、私はたばこ自体は吸わないんですけれども、今、たばこの種類で、通常の紙巻きたばこと加熱式たばこと、あと電子たばこがある。僕自身は全然分からないんですけれども、各報道であったりとかいろいろなメディアで目にするのは、それぞれ健康リスクが違うんだというふうに聞くんですけれども、この三種類のたばこの健康に対するリスクに関して、どのように異なるのかをお尋ねしたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、紙巻きたばこでありますけれども、厚生労働省に設置されました喫煙と健康の影響に関する検討会、この中で二〇一六年に報告書がまとめられております。その中で、紙巻きたばこの煙には発がん性物質が含まれていて、この煙に含まれる物質が肺の組織に炎症を起こし、呼吸機能の低下の原因となること、また、動脈硬化等を通じまして循環器疾患につながることなどが指摘された上で、肺がんや咽頭がん、虚血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、歯周病等へのリスクについて、科学的に因果関係を推定するのに十分な状況であると指摘されております。

 加熱式たばこに関しましては、二〇二一年度、二二年度の厚生労働科学研究におきまして、ニコチンやニトロソアミンなど一部の物質につきましては紙巻きたばこよりも発生が少ないという報告がなされている一方で、加熱式たばこの方でより多く発生するアセトール等の物質があるということも指摘をされております。発生する物質の種類や量に関する分析を引き続き続けているところでありまして、現時点で、紙巻きたばこより加熱式たばこの方が体に対しての健康影響が少ないと断言できるような状況にはございません。

 また、電子たばこにつきましては、現時点で、国内において医薬品として製造販売承認を得たニコチンを含有する電子たばこが存在しておりません。このため、電子たばこによる健康リスクについては、国では現時点で明らかになっていないというところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 それぞれの健康リスクに関してお答えいただいたんですけれども、今のお話の中で、加熱式たばこのニコチン濃度であったりとか発がん性物質の量は紙巻きたばこよりも少ないというところだと思うんですけれども、今たばこを吸われている方の全体の人数、それが、男性が二十年前は四九%であって、二〇二二年、男性二五%、女性が八%。紙巻きたばこに対する健康リスクが周知されてきているのかなというところだと思うんですけれども、喫煙率の低下の要因と現状についてどのように捉えられているのかを確認したいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一三年から厚生労働省が発表しております健康日本21の第二次、この中で、成人の喫煙率について目標を定めて取組を進めてきたところでございます。二〇一〇年には一九・五%の喫煙率でございましたけれども、二〇一九年には一六・七%まで低下をしているところであります。

 この要因ですけれども、二〇〇八年に提唱されておりますWHOのたばこ対策パッケージ、この中で、効果的なたばこ対策として、健康影響に関する普及啓発ですとか、たばこ価格の値上げ、受動喫煙対策などが挙げられているところでございまして、二〇一六年の厚生労働省の検討会の報告書におきましても、これらを踏まえた必要な対策が取りまとめられたところでございます。

 厚生労働省におきましては、こういったことを踏まえて推進してきた様々な取組の複合的な効果により、喫煙率が現在低下してきているものだというふうに考えております。

遠藤(良)委員 WHOが様々な発表をされているんですけれども、さらに、紙巻きたばこの販売数もそれに伴って低下しているんだ、ピーク時の一九九六年から七割以上減少していると。ただ、本数は減っているんですけれども、税収は二兆円程度と変わっていないんだということなんです。要するに、税率が上がってきているんだということだと思いますけれども。

 ここで、防衛増税のところにも関わってくると思います。二五年か二六年から、防衛増税、たばこ一本当たり三円の増税があるということだと思うんですけれども、今後、実際、今のお話で税収自体は変わってはいないんですが、紙巻きたばこと加熱式たばこの増税の見通し、どのような見通しになっていくのかをお尋ねしたいと思います。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置につきましては、昨年末の与党税制調査会において幅広い税目について議論が行われた中で、法人税、所得税に加え、特殊な嗜好品であり、一定の税収が確保できる物資としてのたばこの性格に着目して、たばこ税が対象とされたものであると承知しております。

 その上で、本税制措置については、お尋ねのたばこ税の具体的な内容等も含め、昨年末に決定した閣議決定の枠組み及び骨太二〇二三に基づきまして、与党税制調査会において議論されるものと承知しており、引き続き与党と緊密に連携してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 我々維新は増税反対なんですけれども、今のお話で、紙巻きたばこと加熱式たばこの一箱当たりの税額差というのは五十円程度であるんだということなんですけれども、これは、紙巻きたばこと加熱式たばこの税額をそろえるという意見もあると思います。仮に増税するとなれば、今上がってきていない紙巻きたばこの税額も上げていく可能性もあるのかなというふうに思うんですけれども、ある試算では、紙巻きたばこを一・一円税金を上げて、加熱式たばこを三・三円上げるとすると、税額差はゼロになって、二千億円の増収になる。また、紙巻きたばこを三・三円上げて、加熱式たばこを一・三円上げると、およそ二千七百億円の税収が見込めるという試算があるんですけれども。

 要は、仮に増税をしていくという方向性であれば、紙巻きたばこと加熱式たばこの差額分があると思うんですけれども、紙巻きたばこを主軸に増税をしていく方向性も考えられると思うんですけれども、この辺りのお考えをお尋ねしたいと思います。

小宮政府参考人 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置としてのたばこ税につきましては、令和五年度税制改正の大綱におきまして、一本当たり三円相当の引上げを、国産葉たばこ農家への影響に十分配慮しつつ、予見可能性を確保した上で、段階的に実施するとされているところでございます。

 いずれにいたしましても、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置につきましては、たばこ税の具体的な内容等も含めまして、こうした閣議決定の枠組みや骨太二〇二三に基づいて与党税制調査会において議論されるものと承知しておりまして、引き続き与党と緊密に連携してまいりたいと考えているところでございます。

遠藤(良)委員 今おっしゃられたみたいに、葉たばこの耕作者の方への補償は対応する必要があると思いますけれども、これは大臣にお尋ねしたいんですが、がんのリスクという観点から、紙巻きたばこと加熱式たばこ、違いがあると思います。税額に差があるのは理解できるんですけれども、大臣として、紙巻きたばこの税率を上げていくことで健康リスクの被害を減らしていく方向性について、この点についてどのようにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

武見国務大臣 紙巻きたばこについては、肺がん、虚血性心疾患等の発生リスクについて、科学的に因果関係を推定するのに十分であるとされております。また、加熱式たばこについては、現時点で、紙巻きたばこと比較して健康影響が低いとは十分なエビデンスはまだ得られていないという認識です。

 厚生労働省としては、健康増進の観点から、たばこの消費を抑制することを目的として、紙巻きたばこ、加熱式たばこの別を問わず、たばこ税の税制改正要望を行っているところであります。

 引き続き、喫煙率の減少を目指すとともに、望まない受動喫煙のない社会の実現に向けて、普及啓発等、取組を進めてまいりたいと思います。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 たばこを吸われている方、これは嗜好品ですから、私自身も、受動喫煙とかという観点でいうと、やはり、紙巻きたばこですとますます本数も減ってきている、さらに、吸っている方も電子たばこにシフトしていっている方が僕の周りでも非常に多くて、そういう健康リスクのところを考えられている方が徐々に増えてきている傾向にあるんだと思います。そういう意味では、なかなか明確な答弁は難しいとは思いますけれども、是非、そういう観点がある中で、税率のところも今後また議論が必要だと思いますので、引き続き、また次の機会にしていきたいと思います。

 次のテーマに移りたいんですけれども、最近、拾い猫、野良猫ですね、野良猫を拾ってきて、一体どこに持っていったらいいんだということで、最近、私、地元でいろいろな方のお話を回っていると、そういった問題があるんだということを感じているテーマがあって、要は、拾った猫を、じゃ、どこに届けたらいいんだということで、そもそも、普通に考えると、保健所であったりとか動物愛護センターとかそういうところに届けるのかなと思うんですけれども、警察にも持っていかれる方もいて、これはどこに届けていったらいいのかというのをまず確認したいと思います。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 一般的に拾った猫を保護して届ける場合でございますが、委員御指摘のとおり、地方自治体が設置する動物愛護センターや保健所に届ける場合と、それから、交番や警察署等の警察に届ける場合があると考えられます。

 動物愛護センター等に持ち込まれた場合には、動物愛護管理法に基づいた取扱いがされております。また、警察に持ち込まれた場合には、各都道府県等における整理に基づいて、遺失物法に基づいた取扱い、又は動物愛護管理法に基づいた取扱いがされていると承知しております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 今出ました動物愛護管理法と遺失物の法律、この二つの法律があると思うんですけれども、警察に届けた方がいて、所有者不明で飼いたいと思う方もあれば、警察に届けると思いますけれども、二〇一九年から二二年の四年間で、警察に届けられた動物が十万匹を超えている。そのうち七万匹が犬と猫らしいんですけれども、飼い主が仮に見つからないと、原則二週間、警察署で保管しなければならない。餌を上げたりとか散歩したりとか、警察の中でしないといけないんだと。これは、職員の本来の業務とは別でそういうことが発生するという意味では負担もあるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、警察庁としてはどのように対応されているのか、お尋ねしたいと思います。

谷政府参考人 お答えいたします。

 遺失物法の規定に基づきまして、警察署長は、警察に届け出られた拾得物につきまして、その亡失、滅失及び毀損を防止するため、適切に保管することとされております。

 委員御指摘の拾い猫につきましても、届出がありました場合には警察において適切に保管をしておりますけれども、警察署長において、動物を適切に保管することができる者に保管を委託する場合もあるというふうに承知しております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 委託もあるということなんですけれども、今回の事例の中で、警察に飼育ができないから、その拾得した、拾って警察に届けた人が、持ち帰って飼育しますよということで警察のところに持っていくと、持ち帰りますというお話をすると、警察の方が、これは犯罪になりますよと言われた、要するに、遺失物横領罪になるんだということを言われたんだという話です。わざわざ拾って警察に厚意で届けたのに、一方、警察には、持って帰ろうとしたら、それは犯罪やでと言われている。これはすごく本人としてもかなりショッキングでもあります。

 これはどういうたてつけなのかというところを確認したいんですけれども、仮に保管が大変であれば、そういった、先ほど委託の話もありました、それを一旦拾得した方が持ち帰るということもあり得ると思うんですけれども、この辺り、どういうたてつけなのかをお尋ねしたいと思います。

谷政府参考人 お答えいたします。

 先ほども御答弁申し上げましたとおり、警察署長は、拾得物として提出を受けた動物につきまして、当該動物を適切に保管することができる者に保管を委託する場合もございます。

 委員御指摘の拾い猫につきまして、拾得者御自身に保管を委託する場合もあるというふうに承知をしております。

遠藤(良)委員 そういった、持って帰っていただくか、若しくは警察側で保管するか、これは何か明確な条件みたいなものはあるんですかね。

谷政府参考人 お答えをいたします。

 警察が保管を委託する場合におきましては、警察の担当者におきまして、その委託をされる方が動物の保管に関しまして十分な知識や設備を有しているか否かを総合的に判断をしているものというふうに承知をしております。

遠藤(良)委員 私、地元でお話をした方が猫カフェをやっているんですけれども、その方がそういう要望があって、今日質問させていただいたんですけれども。

 やはり、わざわざ厚意で警察に持っていって、一方でそういう指摘をされて、本人自身はかなり想定していなかったということを言われていて、一方で、そういう猫を保護して飼っている方からすると、国としても何とかそういう発信もしっかりしていただきたいなというふうに言われたので、是非、そういう意味では、実際こういったケースが世の中にあって、警察庁としてもそういう発信をしていただきたいですし、仮に、持ち帰りもしていただける、そういう条件であれば持って帰っていただけるということを是非発信をしていただきたいというふうに思います。

 最後に、介護について、前回の積み残しのところで一つ質問していきたいんですけれども、養成校のところがあると思います。

 今、介護職の就職する方も少ないですし、担い手が少ないということで、養成校、二〇〇六年には二万人だったのが、二二年には七千人まで減っている。さらに、このうちの五千人が日本人で、残りが日本人ではない方がこの養成校に入っているんだという状況があって。

 今、養成校に入る中で、介護福祉士修学資金貸与事業というのが、月五万円貸与して五年間勤務、こういう条件があると思うんですけれども、医師の地域枠で九年間地域に勤務をすれば奨学金の返還が免除されるというところにあると思うんですけれども、こういった偏在地とか郡部に対して、介護のこういう事業についても増額をする方向性も考えられるんですけれども、この辺り、どのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。

田畑委員長 遠藤委員に申し上げます。

 もう時間が終了しておりますから、答弁は今回は求めませんので、御了解いただきたいと思います。

遠藤(良)委員 分かりました。では、次の機会に積み残し、またさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

田畑委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いいたします。

 私からは、まず、財政審の提言書、建議についてお伺いをしたいと思います。

 二〇二四年度予算編成が山場を迎えておりまして、今日もトリプル改定の議論が続いているところであります。今回、介護従事者の処遇改善の必要性については大きく皆さんの理解が進み、補正予算でも、介護の職員給与一人当たり月六千円の引上げが、財源が盛り込まれました。これは喜ばしいことでありますが、今日の議論でもあったように、まだまだ足りない。是非、報酬増を要望したいと思いますが、更に激しい議論になっているのが医療機関の方であります。

 特に、財政審が財務省に手交をしました提言書の中に、二〇二二年度に、診療所の経常利益率は平均で八・八%に上っているという指摘が伝えられました。この数字が大きくクローズアップをされまして、診療所は潤っているんじゃないか、もうかっているんじゃないか、そういった印象が私も含め国民にも広がったと思っています。

 一方、日本医師会の方は、財務省は意図的だ、恣意的だと、資料を作ったんだというような議論もされています。

 まず、この診療所の経常利益率、平均で八・八%に上っているという指摘について、大臣の見解を伺いたいと思います。

武見国務大臣 厚生労働省の方で先月二十四日に公表いたしました医療経済実態調査によりますと、医療法人が設立した一般診療所の医業利益率は、令和三年度が七・一%、令和四年度が八・三%と、新型コロナ後の落ち込みから回復傾向にあることが確認されました。

 また、調査結果を踏まえ、一定の仮定を置いて新型コロナの特例等の影響を除いた場合、新型コロナ禍で医業利益率が落ち込んだ令和二年度から昨年度までの三年間の医業利益率の平均は、新型コロナ前の三年間の平均を下回ると厚生労働省では推計をしております。

 財政制度等審議会、いわゆる財政審の資料におきましては、経常利益率について評価をしておりますけれども、新型コロナ対応における補助金や診療所の加算措置なども含まれておりまして、収益や費用が一時的に増えたことについても併せて評価することが必要だと考えています。

田中(健)委員 厚労省は、今おっしゃっておられました医療経済実態調査、これに基づいて話をしておりますが、今回財務省が財政審で出された資料というのは、事業報告書に基づく機動的調査でたたき出した数字だというふうに言われています。

 そもそもデータが違うわけでありますが、今、一時的な収入もこちらに入っているんじゃないかという指摘がありましたが、どちらが仕様としては正確に把握できているものだと考えられますでしょうか、大臣。

武見国務大臣 当然、厚生労働省が行った医療経済実態調査であります。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 さらに、これを突っ込ませていただきますと、医療経済実態調査の場合、二〇二二年度の有効回答においては、病院が千二百十八、診療所が千七百六だと。しかし、事業報告書は二万千九百三十九法人だと。これだけ見ると、調査のデータ資料は事業報告書の方が多いという指摘も一方でありまして、診療報酬改定の基礎資料として使う場合に、今、医療経済実態調査を言っていただきましたが、事業報告書では適さないというような理解でよろしいのか、もう一度お願いしたいと思います。

武見国務大臣 医療経済実態調査につきましては、昭和四十二年より、社会保険診療の基礎資料として、原則二年に一度、改定前後の二事業年度の医療機関等の損益の状況などを調査しているものでございます。診療報酬改定の議論を進めていく上では、この医療経済実態調査を活用していくことが基本になります。

 一方で、医療法に基づく医療法人の経営情報のデータベースやそれから事業報告書などは、原則として全ての医療法人の経営状況を把握できる資料でございまして、薬局など医療法人以外の医療機関を把握できないため、診療報酬改定に当たっては、これらについては補完的に参照することになります。

田中(健)委員 ありがとうございます。整理ができました。

 確かに、私も説明を受けたときは今の前提で聞いていましたが、読んでいくと、分析に用いた医療法人は、認可病床ゼロである医療法人、無床診療所である一万八千二百七の経常利益率を集計したのが八・八でありまして、大きく言ったその二万というのが実は大きな数字だったということでありまして、更に詳細を見させていただくと、認可病床数が二十から百九十九の中小の病院の経常利益率は四・三と、半分近くということで、やはり、かなり細かく見ていく必要があるんじゃないかなということで、私も、この八・八というのが独り歩きをしているのには、今の大臣の答弁とともに、理解をさせていただきました。

 しかし、まだ指摘がありまして、これも解消しておきたいんですけれども、この機動的調査は、調べた人たちから言うと、二〇二〇年から二〇二二年というコロナの三年間しか分析していない、しかし、これは医療法の規則でそもそも三年間しか事業報告書は閲覧できない、だからこの限られた中で調べたんだという指摘もまた一方であります。

 今まで、事業報告書は紙媒体で届けられておりまして、さらに、一部の都道府県では窓口に行かないと見せてもらえません。さらに、交付もさせてもらえないということで、制限がかなりありまして、分析に使えなかった。しかし、今年から、これはいいことなんですけれども、事業報告書を電子化することで都道府県のウェブサイトでも閲覧できるようになって、今回こういう調査が財政審から出たということであります。

 これを考えると、今後、中期分析に使うためには、今、三年というのを話しましたけれども、三年だったからこれが不十分なデータだというものをしっかりと説明するために、三年縛りを外して、長期的な閲覧をすべきじゃないかというふうに思うんですが、これはできるんでしょうか。

武見国務大臣 今年五月の医療法改正で、国で医療法人の経営情報等のデータベースを整備することといたしました。原則全ての医療法人が開設する病院、診療所に対して、毎年度の決算終了後に、御指摘の事業報告書などの内容を含め、収益や費用などの経営情報の報告を求めるほか、任意で職種別の給与の情報の報告を求めることといたしております。

 これらの情報は将来にわたってデータベースに蓄積されていくため、事業報告書等の保存年限にかかわらず、経年的に分析できるものでございまして、今後の政策などにしっかりと生かすよう検討してまいりたいと思います。

田中(健)委員 今年八月から全ての医療法人の詳細な経営情報提出が義務づけられました。この制度の話かとは思うんですけれども、是非、これを使って、今までは、データも違う、また期間も違う、それで議論がかみ合わなかったり、また比較の議論がなかなか難しかったものを解消していただきたいと思っています。

 この対象は、五万七千の病院、診療所を含め、全ての医療法人だと聞いています。一番大きなデータベースになりますから、これを更に活用して議論を深めていっていただきたいと思うんですが、一つ、コロナ禍のデータにおいて、職種別の給与とその人数というのは任意となっています。今までの医療経済実態調査報告書には、給与と、また医師以外と医師の給与というのはありましたけれども、やはり、更に詳細に分析をするためには、任意というものもこれから義務化というか、皆さんが出していただけるような形を整えるべきではないかとは思うんですが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 委員御指摘のとおり、職種別の給与費情報をできる限り多くのデータ数が提出されるよう周知徹底を図るとともに、報告状況を検証をして必要な対応を検討していきたいと思います。

田中(健)委員 ありがとうございます。是非検討を進めていただきたいと思います。

 見える化を進めることで、本当に今の病院がどうなっているのか、診療所がどうなっているのか、また医療法人がどうなっているのかということが誰もが分析ができる、そしてそれを自由に議論ができる、そして診療報酬もオープンに議論が進められるようなこれからの整備を求めたいと思っています。同時に、今回においては、医療の質確保と、人件費確保と、そして賃上げを目指している政府の方針に従って、診療報酬の改定、しっかりと財源確保を目指していただければと思っております。

 引き続きまして、次の質問に移ります。がらっと変わって、コロナワクチンについてです。

 秋の接種開始、九月二十日から始まっています。十一月二十八日の直近の発表によれば、高齢者施設の入居者を含めた六十五歳以上の高齢者の全体の接種率が四〇・八%、国民全体で見ると一六・五%と、大変に低い値となっています。多くの人、余り、もう七回目のワクチンを打たないという人も周りにたくさんいます。日本医師会においても、十一月二十二日の会見で、現在は感染が再拡大するという状況は見られないという指摘がありました。

 ワクチン接種をこれ以上進める必要があるのかなという疑問がありますが、この秋のワクチン接種の意義を伺いたいと思います。

武見国務大臣 今年九月二十日より開始している秋冬のコロナワクチン接種については、重症化予防を目的としております。具体的には、重症化リスクが高いとされる方以外でも一定程度重症化する方がいることから、生後六か月以上の全ての方に接種機会を提供をしております。それから、高齢者など重症化リスクの高い方を接種勧奨の対象としております。

 このように、国として具体的な接種率の目標を設定はいたしませんが、接種を希望される方が適切に接種できることが重要と考えているところでございます。

田中(健)委員 確かに、高齢者やリスクの高い方への接種というのはまだ必要かもしれませんが、やはり、今、小さいお子さんから全ての国民というのに今の、これからのワクチン接種は必要なのかといった疑問があることも確かであります。

 そんな中、第一三共のワクチンが承認をされました。国産ワクチンが初めて承認をされたということ、これにとっては喜ばしいことではありますが、既に厚労省は、この九月から来年三月末に接種するファイザー、モデルナのワクチンを四千五百万回分をもう購入契約をしています。さらに、今回、第一三共さんが承認されたことで、プラス百四十万回を購入契約したと報道がありましたが、どのような方針の下、購入をしたのか、お聞きをしたいと思います。

 四千五百万回、これは恐らく必要数ということで確保したと思います。以前も、破棄をして、大変にその予測が難しいという中で課題があるということで指摘をさせてもらったり、委員会の中でも議論がありましたが、今回、百四十万回プラスしたというのは、接種増加の要因が何かあったのか。私としては、今のペースではなかなか、四千五百万回使い切れるという見通し、難しいな、また廃棄につながるようなことにならないかといった懸念が残ります。見解を伺いたいと思います。

武見国務大臣 二〇二三年秋開始接種に使用するワクチンについては、海外から安定的に供給されるようになりましたので、日々のワクチン接種状況や自治体における今後の予約状況などを考慮した上で、一度に大量のワクチンを購入するのではなく、都度、状況を見ながら、最小限の量を追加購入することとしております。

 第一三共のワクチンについては、このような方針を踏まえ、薬事承認が得られることを条件として百四十万回を購入し、年内に配送することとしております。これにより、特例臨時接種期間において国内で初めて実用化されたワクチンの希望者への接種が可能となります。

 引き続き、接種状況や自治体における予約状況等を踏まえ、過剰な購入とはならないように、きめ細かに供給を行ってまいりたいと思います。

田中(健)委員 今の大臣の答弁ですと、百四十万回も既に接種計画の数の予測に入っていたということでありますから、それであるならば了としたいと思うんですけれども、認められたから買わざるを得ないというような懸念もありましたので、確認をさせていただきました。また、是非、廃棄につながるようなことがないように、適切な管理をしていただきたいと思っております。

 さらに、要望なんですけれども、第一三共のワクチンができました。今言ったように、国内産の確保ができて、そして外国産に頼らなくていい。この委員会でも何度も議論をして切望をしてきたものでありますが、やはりしっかりとした、できたときだからこそ、総括もしてもらいたい。

 なぜワクチンがこれだけ遅くなってしまったのか。できたことは喜ばしいんですけれども、やはり結果的に遅かった。これはいろいろな議論がありまして、製薬会社の経営の問題や決断の問題や、また補助金の問題や、また、ないしは厚労省の審査の問題、いろいろ言われていますが、私、素人ですから、何が根本的だったのかというのがいまだに分かっておりません。ですので、今回できたことは喜ばしいですし、これからも更に新しいパンデミックが起きたときに、今度は、海外に頼ることなく、日本が主導してこれを解決できるというようなイノベーションを起こせるような体制を整えてもらえればと思っています。要望です。

 ワクチンに関連しまして、帯状疱疹についても伺いたいと思います。

 帯状疱疹、実は最近増えていると言われています。これまでは高齢者の人に発症すると言われたもので、特に八十歳以上は三人に一人が今、帯状疱疹を発症するとも言われていますが、今増えているのは二十代から四十代、働き盛りの世代であります。現役世代に発症が増えている理由というのをお知らせいただければと思います。

佐々木政府参考人 二点、手短にお答えいたします。

 まず、増えているかという点ですけれども、全国データはありませんが、宮崎県のデータがございまして、これだと、二十代から四十代、御指摘の年代ですけれども、千人当たりの年間発症率で、一九九七年が二・一、二十三年たった二〇二〇年には四・四。これが大体増加がどれくらいかです。

 二点目の理由でございますけれども、一般論で言うと、過労や加齢、免疫機能の低下、手術や放射線照射が挙げられますけれども、じゃ、二十代から四十代はどうかというと、これは明確な科学的知見ではありませんが、一つの仮説になりますけれども、子供の水痘、水ぼうそうが減少したことから、大人がウイルスに暴露され自然に免疫が活性化される機会が減った可能性なども、こういったものも指摘されているものと承知しております。

田中(健)委員 確かに、子供のワクチン接種がスタートをしておりまして、これにより劇的に子供の水ぼうそうは減ったんですが、逆にそれで大人が増えるという、なかなか、ウイルスというのは生きるためにあらゆることをしてくるのかなというふうに思っておりますけれども。子供の減ったことは大変喜ばしいことでありますから、私たち成人がどのようにして発症しないで抑えていくということが大事かと思っています。

 その中で、今、五十歳以上にはワクチン接種があり、自治体によっては助成をしているところもありますが、五十代以下でもワクチンを打つことができるのか、また、このような増えている中で、例えば二十代から四十代という現役世代にも広げることが可能なのか、課題等もあれば教えてください。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、薬事承認についてでございます。

 御指摘のように、五十歳未満の方に対しましての帯状疱疹ワクチンでございますが、これは、一部のものについて、免疫機能が低下した患者等の帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる十八歳以上の者に対する適応追加が、今年の六月に薬事承認をされたところでございます。罹患するリスクの低い健常者を含む十八歳以上の全ての者というのが接種可能なワクチンというのは、今ございません。ございませんが、今後、企業により開発がなされて薬事申請がなされれば適切に対応してまいりたいと考えております。

 また、費用負担といいますか助成でございますが、御指摘の若年年齢層に対しまして、財政措置がなされる定期接種に位置づけるかどうかということについては、これは薬事承認の後に検討されるものになりますので、現時点では国からの財政支援等はございません。また、自治体独自の助成についても、全体について私どもの方では把握をしていないところでございます。

 あと、治療法につきましては、帯状疱疹の治療としては、これは二十代から四十代の若年層も含めまして、一般に、抗ウイルス剤の投与が行われるところでございまして、皮膚病変の治癒の促進の効果、それから疼痛のある期間の短縮、そして重症化の予防等の効果が得られるとされているところでございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 この帯状疱疹、私はなったことがないので分からないのですが、大変に痛いということと、また、重症化すると神経痛になったりしびれが出たり、場合によっては失明や難聴と、大変に怖い病気だというふうにも言われています。仕事に行けない、外出できない、眠れないというような報道もありました。是非、今回はまだ宮崎の例しかありませんけれども、国で調査をすることがあれば、今の国全体はどのような状況になっているのか、そしてまた、ワクチンもまだ薬事承認の申請は出ていませんけれども、出たならば、誰もが使えるような環境を整えていただきたいと思いますし、また、情報提供を逐次発信できるようにお願いをしたいと思っています。

 また、薬に関して、今度は、午前中の質疑もありましたが、緊急避妊薬の試験販売について行いたいと思います。

 全国百四十五店舗で今、試験販売が始まりました。私もホームページを見させていただきましたが、大都市でさえも五、六か所、東京二十三区においては台東区と荒川区しかなかったわけでありますが、やはり、販売している店舗が少なく、偏っているという課題があります。これについてどう考えるかということと、また、課題についてもう一つは、年齢要件と保護者要件も挙げられます。未成年には保護者同伴が必要となっていますが、なかなか親にも怖くて言えない、また隠しておきたいというような声がやはり多いです、十代においては。そういった学生の対象が多い中、さらに金額も、今回、七千円から九千円ということも壁になっていると聞いています。

 販売店舗の少ない、偏っている、また保護者要件と料金、この壁についてどのように見解を持っているか、伺いたいと思います。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 今回始めました緊急避妊薬の薬局での試行的販売でございますが、これは、薬局において適正な販売が確保できるかということを調査検討することを目的とした調査研究事業でございます。これは、公益社団法人日本薬剤師会に業務委託をしまして、一定の要件を満たす特定の薬局に限定をしてモデル的な調査研究として実施をしているものでございます。

 薬局の選定に当たりましては、性交から七十二時間以内に適切に服用できるといったことを考慮した上で、オンライン診療に基づく緊急避妊薬の調剤の研修を修了した薬剤師が販売可能であること、夜間及び土日祝日の対応が可能であること、プライバシー確保が可能な販売施設を有すること、近隣の産婦人科医、ワンストップ支援センターとの連携体制が可能であること等の条件に基づきまして日本薬剤師会により選定をされているものでございます。

 今後のOTC化につきましては、今回の調査研究における調査結果を踏まえての検討ということでございますが、いずれにしても、緊急避妊薬が必要な方に適切な形でアクセス可能となるように対応してまいりたいと考えております。

 また、もう一つございました保護者の要件でございますが、これは、先ほど申し上げましたように調査研究でございますので、人に対する調査研究につきましては倫理指針がございまして、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針がございます。この中で、未成年の方が研究に参加する場合には、その研究参加の同意の在り方として、親権者等の代諾者の同意が必要ということになってございます。したがいまして、これによって、委託先の日本薬剤師会も、未成年、十六歳から十七歳の方が参加する場合の同意として、代諾者、親権者等の同意を必要というふうに取り扱っているものと承知をしております。

 また、価格につきましては、現在、産婦人科で処方された緊急避妊薬を調剤する場合の価格と同程度の価格帯になりますように薬剤師会の方で目安を示しておると承知をしております。参加薬局はこの目安に基づいて価格設定をしているものと認識をいたしております。

田中(健)委員 調査研究だということはよく分かるんですけれども、やはり、これまでも大変に困難な人たちがいて、また、性暴力の被害に遭ってすぐに産婦人科を受診できないという声があったのは事実でありまして、一日も早く実現を、調査研究から一歩進んでいただきたいと思っています。

 そして、このサイトも見ましたけれども、お医者さん向けではないので、やはり十代が見るには大変複雑でありまして、なかなかたどり着けない、途中で諦めてしまうという懸念も上がっています。是非、分かりやすいサイト構築や、また、必要な人に届くように。

 例えば私の地元の静岡では、学生たちの、一般社団法人ソウレッジという、正しい性知識やセーフティーネットの拡充をするために、若者に緊急避妊薬を無償提供している団体もあります。こういった若者の団体とも連携をしながら、更に発信を深め、そして、この周知徹底を、まず、今やっていることさえも知らない人たちがいますので、是非、そういった必要な人に届くための工夫を大臣には強くお願いをしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 今般の調査研究では、御指摘の日本薬剤師会の特設ホームページの内容等を国民にとって分かりやすいものへと改善することも検討することとしております。調査研究では、利用者へのアンケート調査などを行い、より適切な情報提供の在り方を検討していく予定です。

 また、現在も、厚生労働省のホームページやSNSにおいて御指摘のホームページの案内をしておりますが、今後、必要とする方が緊急避妊薬を適切に入手できるよう、更に周知を図ってまいりたいと思います。

田中(健)委員 是非お願いをしたいと思っています。調査研究でありましても、実際にそういった困った人たちがいて、そういった声がこれまで長きにわたり上がってきたということを御理解いただければと思っていますし、また、大臣の会見の中で、来年の三月までの予定とのことでありますけれども、既に、予算が通れば継続したいと発言も出ています。継続したいというのは、調査研究を継続したいということであると、やはり、早く調査研究はひとまず終わってもらって、次に、一般薬剤化、OTCを進めるように、そちらの議論に早く進んでいただきたいと思っていますので、是非、大臣の取組を要望させていただきたいと思います。

 最後でありますが、ビジネスケアラーについてもお聞きをさせてもらいたいと思います。

 働きながら家族の介護を担うビジネスケアラーというものですけれども、国は、二〇三〇年には三百十八万、経済の損失でいうと九兆円にも上がるという試算を出しています。そして、この介護の担い手になるのも、まさに働き盛りの四十代、五十代と言われています。仕事と介護の両立というのは私たちにとって喫緊の課題であります。

 対応としては、育児・介護休業法が制定をされ、何度も改定も進んでおりますけれども、いまだに、介護休業においては、全雇用者では〇・六%、また、介護休業で介護している雇用者でも一〇%の利用にとどまっています。一方、育児休業法は、これまでの取組は三〇%以上と高い値となっています。

 その中で、国は、今回、雇用主に対して、家族を介護していると申し出た従業員に介護休業等の制度について個別に周知をしたり、その利用意向を確認するということを義務づけていくというような検討がなされていると聞いています。この制度の狙いと、また、それをどのように利用促進につなげていくのか、伺います。

堀井政府参考人 お答えいたします。

 田中委員お尋ねの点の、まず背景に関してでございますが、家族の介護の必要性に直面した労働者が離職をせずに仕事と介護の両立を実現することは大変重要ですが、一方で、介護のために仕事を辞めた方が挙げたその理由としましては、勤務先の両立支援制度の問題や、介護休業等を取得しづらい雰囲気等があったことや、介護保険サービス等が利用できなかった、あるいは利用方法が分からなかったこと等があると承知をしております。

 また、介護休業制度におきます介護休業の趣旨といいますのは、介護の体制を構築するために一定期間休業する場合に対応するものでございますが、このような介護休業制度や両立支援制度等について、その趣旨や利用方法に関する理解が十分にされていないケースもあるというふうに考えております。

 このようなことを踏まえまして、田中委員が御指摘のように、現在、労働政策審議会におきまして御議論をいただいております論点の一つとして、事業主が両立支援制度に関する情報を労働者に個別に周知をし、意向を確認することを義務づけるということが含まれております。

 厚生労働省といたしましては、このような労働政策審議会の議論も踏まえつつ、労働者に制度の趣旨を御理解いただき、ニーズに応じて効果的に両立支援制度が活用されるように取り組んでまいりたいと存じます。

田中(健)委員 是非、問題意識は、課題は認識が同じだと思いますので、取り組んでいただきたいと思いますし、男性の育児休業取得も、一%を超えたのが二〇〇七年、一〇%を超えたのが二〇二〇年と、制度浸透にはなかなか、十年近くかかるとも言われますが、しかし、仕事と介護の両立支援は、十年というスパンを待っていられないほど今損失が大きく、話がありましたけれども、仕事が続けられないという人たちが増えています。これは、その人の生活だけでなく、我が国としても大きな損失でありますから、経済にとっても極めて重要な問題かと思っておりますので、しっかり取組を要望しまして、質問を終わります。

田畑委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 冒頭、塩崎政務官に一問お伺いさせていただきます。

 安倍派の裏金疑惑というのがこの間報道されているわけでございますが、御自身について、政治資金パーティーでのキックバックがあるのか、そして、それについて政治資金収支報告書にちゃんと記載しているのか、お尋ねしたいと思います。

塩崎大臣政務官 委員の御質問にお答えいたします。

 政治資金につきましては、法にのっとり適正に処理し、報告をしています。

宮本(徹)委員 分かりました。それぞれの委員会でもしっかりただしていきたいと思います。

 大臣に質問していきたいと思います。

 名古屋高裁が、二〇一三年から一五年の生活保護費の減額は違法だとして、引下げを取り消し、国家賠償を命じました。厚労省は独自の物価指数を使うなどしましたが、これについて判決は、統計等の客観的な数値との合理的関連性及び専門的知見との整合性を欠いており、著しく合理性を欠くもので、裁量権の範囲を逸脱していることは明らかである、こう厳しく指摘をしているわけであります。

 二十二の地裁の判決が出ておりますが、原告の十二勝十敗ですが、ここのところだけ見れば原告は九勝一敗です。名古屋高裁も原告の逆転勝訴となりました。この流れはもう変わらないと思います。

 大臣にお伺いしますが、なぜ国の敗訴が続いているとお考えですか。

武見国務大臣 平成二十五年から三年間かけて実施した生活保護基準の改定に関して、これまで、一高裁及び十地裁の判決では生活保護基準の改定が適法であると認められているが、一高裁及び十二地裁の判決では違法とされています。いずれの事案も判決は確定しておらず、訴訟係属中でございまして、係属中の訴訟に関する事柄においてはお答えは差し控えたいと思います。

 なお、今後の対応方針については、現在、判決内容の詳細を精査するとともに、関係省庁や被告自治体と協議をしておりまして、今後適切に対応してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 別にお答えを差し控えなくてもいいんですよね。

 なぜ負けているのか、負け続けているのか、ここをしっかり分析したら、私はとても続けるということにならないと思うんですよね。

 元々、何で負け続ける事態になったのかということを考えると、あの生活保護の引下げというのは出発点が間違っていたわけですよ。二〇一二年の総選挙で自民党が生活保護を一〇%削減すると公約して、この公約に基づいて生活保護基準を切り下げるために恣意的な計算式を作った。だから、裁判で説明すればするほど、国の説明は筋が通らない、こういう判断が下されているということだと思うんですよね。

 しかも、当初国は、国会でも裁判でも、物価の下落により可処分所得が増えた、だからデフレ調整をしたんだ、こう説明してきました。ところが、国側は、敗訴を重ねる中、目下の裁判では、一般国民との間の不均衡の是正を図ったと完全に説明を変えているんですね。当初の主張がもう通用しない、これは国も分かっていることなんじゃないですか。

武見国務大臣 平成二十五年から三年間かけて実施した生活保護基準の改定に関する訴訟は、いずれも判決が確定しておらず、係争中でございます。係争中の訴訟に関する事柄については、お答えは差し控えたいと思います。

宮本(徹)委員 ここで答えたくないのかも分からないですけれども、答えたらぼろが出るからということかも分からないですけれども、同じ破綻済みの説明を裁判でこれからも繰り返すんですか。生活保護は、国民の生存権を保障する根幹の制度ですよ。その根幹の制度が恣意的なやり方でねじ曲げられたという判決がずっと続いているわけであります。争い続けること自体が、私は、生活保障への国の信頼をますます損なうことになると言わざるを得ないと思います。

 政治主導で行った間違いは政治主導で正さなきゃいけないと思いますよ。ですから、今、どうするかということを考えているようですけれども、上告せずに本判決を確定させる、そして、原告、利用者の皆さんに謝罪をして、そして全面解決に向かっていくことを強く求めたいと思います。

 次の質問です。

 七十五歳以上の医療費の窓口負担の原則二割への引上げというのが検討されているという報道が続いております。資料三ページ目につけております。これは予算委員会でも紹介しましたが、昨年十月から年収二百万円以上の方などに二割負担が始まりまして、受診抑制が厚労省の調査でも起きております。

 大臣、これはどのような病気で受診抑制が起きているんでしょうか、つかんでいるんでしょうか。そして、収入の少ない方も含めて原則二割負担にすると、更なる受診抑制が起きて、健康に深刻な影響を与える、こういう認識はございますか。

武見国務大臣 御指摘の後期高齢者医療制度の患者負担の原則二割化については、これは厚生労働省として現時点では具体的に検討している事実はございません。

 その上で、一定以上の所得がある方へ窓口二割負担の導入による受診行動への影響については、短期的なデータの分析はありますが、二割負担となった方は一割負担のままの方と比べて受診日数が三・一%減少しており、これは、二割負担導入時の想定した影響、マイナス二・六%とおおむね同程度であったとみなしております。

 今後につきましては、科研費等も活用した専門家による分析、研究なども通じまして、こうした受診行動への影響等については更に詳細な分析を行っていきたいと考えています。

宮本(徹)委員 受診行動への影響は詳細な分析を行うと。是非行っていただきたい。これは野党が元から求めてきたことですから、やっていただきたいと思うんですけれども、そうすると、それが少なくとも判明するまでは、今報道されているような、年末の改革工程表に、二割負担の拡大、こんなことは入れないということでよろしいですね。

武見国務大臣 御指摘の患者負担の原則二割化等に関しまして、厚生労働省として現時点で具体的な検討をしているという事実はございません。

宮本(徹)委員 ですからそれは、検討はしていないんですから、改革工程表に入れようなんて報道されているわけですから、それは、厚労大臣の立場としては入れさせないという思いだということでよろしいですよね。

武見国務大臣 社会保障制度の改革工程について、現在、全世代型社会保障構築会議において検討中でございまして、昨日の経済財政諮問会議で示された素案においても、後期高齢者の医療費の窓口二割負担の拡大について、具体的な記載はされておりません。

 したがって、御指摘の後期高齢者医療制度の患者負担の原則二割化について、厚生労働省としては現時点で具体的には検討している事実はございません。

宮本(徹)委員 よそから言われて、きっと財務省とかから流れているから、ああいうニュースが出ているんだと思うんですよね。ですから、そういうことは厚労省としては認めません、こう一言言っていただければいいんですよね、厚労大臣なんですから。なかなかそれは、ペーパー以上言えないようなので、次の問題に移ります。

 薬価の自己負担の見直しについてお伺いしたいと思います。

 今年の骨太の方針に、長期収載品等の自己負担の在り方の見直し、検討を進めるとされ、医療保険部会でイメージが提示されております。資料の四ページ目です。

 後発品が存在する長期収載品について、選定療養の場合には窓口負担以外の患者負担を求める。選定療養の場合の保険給付の水準を決めて、資料でいえば水色の線ですけれども、そこより上の部分は十割負担、全額自費負担を求めるというものですね。

 新しい制度になった場合にどれぐらい自己負担が増えるのか、資料五ページ目に試算をしてみました。これは、二〇二二年、二〇二一年で、国内で内服薬の売上げ十位以内に入る製品で、後発品が存在する長期収載品、降圧薬のアジルバ、そして消化性潰瘍剤のネキシウムでございます。

 最大どれだけ高くなるのかということですけれども、アジルバを三十日間処方を受けたら、今は自己負担は三割負担で千二百六十一円ですが、新しい制度だと三千二百七十五円で二・六倍、年間にすれば二万四千百六十八円の負担増。同じくネキシウムは、八百十円が二千三百九円となって二・九倍、年間負担増は一万七千九百八十八円。もちろん、選定療養の場合の保険給付の範囲が議論中ですから、これは負担増の場合の上限ということになると思います。

 お伺いしますけれども、今後、このアジルバやネキシウムが処方された場合、現行に比べて数倍の薬剤費の自己負担になってしまうんじゃありませんか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 既に特許が切れまして、価格が安い後発品が存在する長期収載品の保険給付の在り方につきましては、イノベーションを推進するという観点から、現在、社会保障審議会医療保険部会等において検討が行われております。

 検討に当たりましては、まず、医療上の必要性が認められる場合には従来どおり保険給付を行うということにしつつ、患者自身の御希望で長期収載品を選択した場合については、一部の費用を選定療養と位置づけ、自己負担を求める方向で検討が行われております。

 現時点でその自己負担について具体的な内容などは決まっておりませんが、具体的な検討の観点としましては、メーカーの薬剤工夫などの付加価値等の評価の在り方、後発品への置き換えを進めるという観点、医薬品のアクセスへの配慮、こういった観点から適切な自己負担の水準の在り方について検討してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 二〇〇二年の健康保険法改正法の附則二条は、将来にわたって三割負担を維持する、こう規定しているわけですよね。長期収載品について、今後三割以上の自己負担にしようとしている、これは二〇〇二年の改正法違反ということになるんじゃありませんか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の規定は、二〇〇二年の健保法等の改正において患者負担を三割に統一するに当たりまして附則に規定されたものでございます。

 これは、当時の国会審議において厚生労働大臣から、三割負担、つまり七割給付を一つの限界とするという認識が示されて、療養に要した費用に対する保険の中の給付割合について七割を維持するということを定めたものと承知してございます。

 今回の措置でございますけれども、これは、後発医薬品が存在する中においても患者の希望により選択されて使用される場合に関しまして、保険給付外の対応として、選定療養として負担を求めることを検討しているものでございまして、先ほど申し上げたような、附則二条に言うような保険の中の給付割合を狭めるものではないと考えてございますので、健保法附則第二条の規定に抵触するものではないと考えてございます。

宮本(徹)委員 今、保険給付をやっている薬を、給付を外す、だから法違反じゃない、これは本当にひどいやり方だと言わなければならないと思いますよ。

 大体、患者の選択で先発品を選んだら給付から一部外すんだ、こういう話をするわけですけれども、先発品が処方される場合というのはいろいろなケースがあり得るわけですよね。

 例えば、後発品、ジェネリックに替えて効果が弱くなったと感じて薬局に相談したら、先発品に戻すこともできますよと提案されて、それならお願いしますと言うと、これは患者の選択だということで自己負担が増えちゃう。

 例えば、ぜんそくで使うホクナリンテープというのがありますよね、うちの子もお世話になりましたけれども。これは、先発品と後発品で治療効果が違うということが実際の研究でも示されているんですね。

 こうしたケースというのは、患者の希望であってもこんなのは医療の必要性があるというべきだし、患者の希望だ、患者の責任だということで、後発品との差額は自己負担せよ、最大自己負担せよ、こういうことはあってはならないんじゃないかと思いますが、いかがですか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 まず、後発医薬品の承認審査に当たりましては、有効成分の含量とか不純物等の規格、それから、一定期間の品質を担保するための安全性、後発医薬品のための生物学的同等性試験ガイドラインに基づく同等性試験、こうしたデータに基づきまして、先発医薬品と後発医薬品が同等であるということを評価の上、承認を行ってございます。

 こうしたことを前提としまして、今回、長期収載品の保険給付の在り方の見直しの検討に当たりましては、こうした中で、医療上の必要性があると認められる場合等は保険給付をするという方向で医療保険部会において議論が進められております。

 医療上の必要性が認められる場合としましては、例えば、お医者さんが個々の患者さんに対しまして、その個々の症状に応じて、医療上の必要性があって、後発品への薬の変更が適当ではないと判断したような場合が該当するのではないかということが議論されております。

 引き続き、こうした医療現場での御意見なんかも踏まえまして考えていきたいと思っております。

宮本(徹)委員 先発品と後発品と、やはり使って違うという声も結構あるんですよ。(発言する者あり)お医者さんから、たくさんあるという声が出ていますよ。ですから、本当に、このまま薬の保険外しとやるのは、患者にとっても重大なことになりかねない。本当に、医療現場の皆さんの意見、そして治療を受けている患者の皆さんの意見もしっかり聞いて、こうした薬の保険外しは私はやめるべきだということを強く申し上げておきたいというふうに思います。

 続きまして、三報酬改定についてお伺いをしたいと思います。

 介護、障害福祉、地元の事業者を回っていましても、本当に人手不足が深刻です。全産業平均との七万円もの賃金格差を速やかに是正することが不可欠だと思います。

 資料六ページ目につけておりますが、これは厚生労働省の告示なんですね。社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針、この中で、給与体系の検討に当たっては、国家公務員の福祉職俸給表等も参考とすることという記載があります。

 大臣に確認したいと思いますけれども、国家公務員の福祉職俸給表での賃金が保障できるような介護報酬、障害福祉サービス等報酬に現状なっているでしょうか。大臣、いかがですか。

武見国務大臣 御指摘の福祉人材確保指針におきまして、経営者、関係団体等が取り組むべき事項として、キャリアと能力に見合う給与体系の構築、適切な給与水準の確保等を求めるとともに、給与体系の検討に当たっては、国家公務員の福祉職俸給表等も参考とすることとお示ししているところであります。これは、必ずしも福祉職俸給表と同等の給与水準等を求めているものではございません。

 いずれにせよ、介護、障害福祉分野における賃上げへの対応そのものは、これは喫緊の課題かつ重要な課題だというふうに認識をしております。このために、今般の経済対策におきましても、介護、障害福祉分野の人材確保に向けて必要な財政措置を早急に講じることとし、補正予算においてそのための必要な施策を盛り込んだところでございます。

 その上で、令和六年度の介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定において、必要な処遇改善の水準の検討に併せて、現場の方々の処遇改善に構造的につながる仕組みを構築すべく、必要な対応を行ってまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 私の質問には直接お答えになっていないんですけれども、今の介護報酬、障害福祉サービス等報酬の水準というのは、国家公務員の福祉職俸給表等の賃金を保障できる水準になっていますかということをお伺いしました。端的にその点だけお答えください、時間がありませんので。

武見国務大臣 先ほども申し上げたとおり、参考として我々は理解をしておりまして、同等というふうには理解しておりません。

宮本(徹)委員 でも、参考に、そうした賃金体系にしてくれということを事業者に求めながら、その水準の介護報酬、障害福祉サービス等報酬をちゃんと保障していないというのは、これは大変大きな問題だと思うんですよね。やはりちゃんと、国が民間に参考にしろということを求めているんですから、国家公務員並みの賃金が保障できる、これぐらいの報酬はやるのが国の最低限度の責任だと思いますよ、告示で言っているわけですから。

 その上で、政府の今回の障害福祉分野の経営実態調査でも、職員が事業所平均一・一人減っておりました。大臣、これは賃金の低さで、そのことによって深刻な人手不足になって、若い世代が入職、定着するには大幅な賃上げが必要だということを示しているんだと思うんですね。そういう認識はあるのかというのをお伺いしたい。

 もう一点、今、処遇改善加算の一本化というのが事務負担の軽減で検討されておりますが、実は、事務負担が大き過ぎて、小さな事業所ほど一つの処遇改善加算も取れていないんですよね。ですから、全事業所の賃上げのためには、基本の報酬を抜本的に引き上げる必要があると思うんですね。この認識はあるのか、大臣にお伺いしたいと思います。

武見国務大臣 障害福祉分野におきます賃上げを始めとする人材確保への対応は、喫緊の重要な課題だというふうに認識をしております。このために、障害福祉分野において人材確保に向けて必要な財政措置を早急に講じ、補正予算において施策を盛り込みました。

 令和六年度の障害福祉サービス等報酬改定において、処遇改善加算の一本化、それから書類の簡素化といった加算取得の事務負担の軽減について検討するとともに、物価高騰、賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、そしてさらに利用者負担への影響などを踏まえまして、利用者が必要なサービスが受けられるように、必要な対応を行ってまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 その必要な対応の水準というのは、報酬改定、プラス一〇%ぐらいやろうということですかね。

武見国務大臣 それは、今まだ数字を申し上げる段階ではありません。

宮本(徹)委員 今、三年に一度ですから、物価も春闘も三%ずつ毎年上がっていて、三年だったら一割ですから、もし三年に一度の改定をするんだったら、そういうのはマストですよ。加えて、全産業平均との差というのを考えたら、それでも足りないぐらいと言わなければならないと思います。

 もう一点お伺いしますが、就労継続支援B型で、平均工賃額の多寡という成果主義による報酬の仕組みの強化が検討されておりますが、これについては、障害が重い人などが敬遠、排除されることにつながるのではないのかという懸念の声が上がっております。大臣の認識をお伺いしたいと思います。

武見国務大臣 御指摘の就労継続支援B型、障害の重さにかかわらず、様々な障害のある方を対象として、就労の機会を提供し、必要な訓練などを行う事業です。

 本事業の報酬につきましては、障害者の経済的自立を促す観点から、利用者の平均工賃月額等に応じた基本報酬により工賃向上に取り組む事業者を評価する一方で、重度の障害者の受入れに当たって一定程度の負担や体制整備の必要が生ずることなどを考慮をし、その受入れ等の評価をする加算を設けております。

 令和六年度障害福祉サービス等報酬改定におきましては、平均工賃の水準に応じた評価をよりめり張りのあるものとするとともに、多様な利用者に対応するために手厚い人員配置をした場合の評価、それから、障害特性等により月当たりの利用日数が少ない方にも配慮した平均工賃額の算出方式の導入などを検討しております。

 引き続き、重度の障害がある方を含めて、障害者がその希望や能力等に沿って働けるように支援をしていきたいと思います。

宮本(徹)委員 手厚い支援の評価というのは大事なんですけれども、成果主義で評価を強めるということになったら、これはどうしても、手厚い支援をしているところは基本の報酬のところが成果主義によってどんどん減っていく、小さくなっていくということが起きちゃうんですよね。ですから、本当に、障害福祉というのは成果で測る世界じゃないんですよ。一人一人の障害の特性に応じた支援をして、その方々が生きがいを持って生活して働けるようにしていく、ここが最大のメインなんですから、成果主義で測るというのは、私は福祉の考え方から反しているというふうに厳しく指摘しておきたいと思います。

 もう一点お伺いします。

 生活介護について、営業時間ではなく、サービス提供時間に応じた報酬体系の見直しというのが今検討されておりますけれども、例えば雪国では、冬場の送迎に時間がかかるために、冬は午後一時から送迎をスタートするケースもあるということを聞きました。問題が生じるんじゃないですか。

武見国務大臣 生活保護の基本報酬について、今回の報酬改定は、利用者ごとのサービス提供の実態に応じた報酬体系とするために、障害福祉サービス等報酬改定検討チームにおいて、基本報酬の報酬設定について、区分ごと及び利用定員規模別に加え、サービス提供時間別に細やかに設定することを見直しの方向性として示してあります。

 あわせて、利用者によって様々な配慮が必要なケースも考えられるために、あらかじめ個別支援計画に記載された支援時間で算定することを基本とするなど、実態を踏まえた措置を設けていくことも検討してまいりたいと考えます。

宮本(徹)委員 ちょっと時間がないので、最後の問題についてお伺いします。診療報酬の改定です。

 大臣も、看護協会から直接、離職率が増加しているという話をお聞きになったと思います。人材流出が懸念されるという話も看護協会から大臣は聞かれたと思います。

 日本医労連の調査でも、今年三月までの一年間の退職者が前年度より増えた医療機関が三七%、退職者数を四月の入職者数で補えなかった医療機関が六四%に上っております。八割の看護師さんが心の中では仕事を辞めたいと考えており、その理由の一位は人員不足で仕事がきつい、二位は賃金が低いとなっております。

 こうした中で、資料七ページ目につけておりますけれども、医労連の記者会見で、冬の一時金、三割の医療機関で引下げ回答ということになっているんですね。大臣、なぜこうした事態が起きているというふうに認識されていますか。

武見国務大臣 先ほど、生活介護というのを生活保護と誤って述べてしまったこと、ここで訂正させていただきたいと思います。

 なお、看護職員の離職について、日本看護協会の調査によりますと、看護職として就業中の方の退職したい理由への回答として、子育てや結婚が多いものの、二十代から三十代では、他の世代と比べて、他産業への転職を希望するためとの回答も多いということも承知しております。

 また、議員御指摘の日本医療労働組合連合会の調査について回答した組合のうち、三割以上が冬のボーナスの引下げを予定しているとの報道があったということも承知しております。

 冬のボーナスはこれから支給予定でありまして、現在は各医療機関においてそれぞれの経営状況等を踏まえ調整が行われているものと承知しております。

 看護職員の賃金水準は全産業平均に比べ高いものの、今年の春闘などを通じて各産業で賃上げが行われている中で、医療分野では賃上げが他の産業に追いついていない状況にあります。着実な賃上げにつなげていくことが重要だと認識をしております。

宮本(徹)委員 周りは賃金が上がっているのに医療現場では賃金が上がらない、しかも、今年度からコロナ特例の報酬も小さくなり、そして補助金もどんどんなくなっている、そういう中で医療機関の経営も去年よりも悪くなってきているわけですね。そういう中で、こうした事態が起きているんですよ。

 ですから、抜本的な診療報酬の引上げを確保して、賃金が上がる状況をつくらなきゃいけないと思うんですよ。その認識はあるのかということを最後にお伺いして、質問を終わります。

田畑委員長 宮本委員に申し上げます。

 もう時間が超えてございますので、答弁は求めません。

 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 ちょっと福島委員がお疲れのようで、私が代打に入ってまいりました。大分頑張っておられるみたいで。

 今日は、まず大臣にお伺いしたいのは、賃金とか、物価が非常に上がっている、民間でも官僚でもそうですけれども、医療機関とか介護施設、ここは非常に厳しい状況であります。同じです。

 何かうわさによりますと、財務省のちょっと悪い人たちが、賃金の上げ幅を一%程度にする、これは、今、公務員も民間も平均すれば三%ぐらい賃金を上げているのにもかかわらず、一%ぐらい、半分以下にとどめようとしているという動きがあるやに聞いているんですけれども、これはやはりあってはならぬと。薬局とか歯医者さん、それから介護施設、病院で勤務されている方々、非常に苦しい状況なので、是非、大臣に、頑張って財務省と戦っていただきたいと思いますけれども、その決意をお願いしたいと思います。

武見国務大臣 もう委員御指摘のとおりでございます。やはり、全産業が賃上げで、今賃金の引上げが行われている経緯の中で、九百万人と言われている医療、介護等の分野での賃金というものとの格差というものが広がっていくというようなことはあってはなりません。

 したがって、確実にこうした賃上げのための財源を確保しなければならないというふうに認識をしております。

北神委員 力強い決意の言葉、ありがとうございます。本当に地域の健康、命を預かっている方々なので、是非頑張っていただきたいというふうに思います。

 それから、ちょっと資料がございますけれども、生活保護について二点お伺いしたいというふうに思います。

 一つは、生活保護の外国人の世帯数、受給者、これが増えている。一人一人で見ると減ってはいるんですけれども、それでも、ここ二十年ぐらいかなりずっと上がってきて、若干下がっていますけれども、高止まりしている。

 これは法律を見ますと、生活保護法の第一条に、「この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民」、国民と。「に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」と。

 ところが、これも資料の一番目にありますけれども、七十年前の厚生省の社会局長通知、局長通達というものがなされて、下線で引いてありますけれども、生活保護法第一条により、外国人は法の適用対象とならないのであるがと。ならないと。当分の間、生活に困窮する外国人に対しては一般国民に対する生活保護の決定実施の取扱いに準じて必要と認める保護を行うことというふうにあります。

 これは、当時でいうと、終戦直後で、台湾の方々とか、いわゆる韓国、朝鮮の方々、それまで日本国民でおられた、これが急に国籍がなくなってしまった、これに対する人道上の配慮というのはよく分かります。しかし、今はむしろ、外国人労働者とか、フィリピン人とか中国人とか、こういった方々がどんどん受給を受けている。

 これはやはり、百歩譲って、この局長通達なるものが、これは皆さん、法律じゃないんですよ、法律じゃないのに、局長が、通達というのは行政機関の中のいわゆる指示みたいなもので、通常は法律の解釈をするものなんです。しかし、これは解釈じゃないんですよ。適用対象にならない、でも、まあまあ、人道上の理由で、一種行政行為というもので、国民の税金を使ってですよ、外国人に支給するということなので、これはちょっと改めていくべきだと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 生活に困窮する外国人につきましては、日本人と同様に国内で制限なく活動できる永住者、定住者などの在留資格を有する場合に、行政措置として、生活保護の取扱いに準じた保護を行うこととしてございます。

 外国人に対する保護につきましては人道上の観点から行っているものでございまして、生活に困窮する外国人の方が現に一定程度存在している現状を踏まえますと、外国人に対する生活保護を行う必要はあると考えてございます。

北神委員 しかし、局長、生活保護法の第一条では国民ですよ。これが原則なんですよ。特別永住者とか難民に指定された方、だから、きめ細かくやればいいと思いますよ。全ての外国人が駄目だと言うつもりはないんですけれども、しかし、やはり実態、私も京都の現場で声を聞くと、これは一種のビジネスみたいにやっている。医療保険で中国人が来てお薬をもらって、それをインターネットで流し売りしている。

 これはあくまで事例ですけれども、しかし、制度上こういうことができるというのはもう少し改善すべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 外国人に対する生活保護の適用なんですけれども、日本にいらっしゃる外国人全ての方に適用しているわけではございませんで、短期で帰られる方とか、あるいは、日本にいらっしゃるんですけれども在留資格上はその活動に制限があるとか、そういった方は対象外になっております。一方、永住権を持っていらっしゃる方とか、定住者のビザを持っていらっしゃる方とか、そういう日本国内で活動に制限がない在留資格を持っていらっしゃる方、そういった方々を対象としているものでございます。

 不正受給のような行為については、日本人も外国人もそれはしっかりなくなるようにしていくべきであると考えております。

北神委員 それはそうですけれども、これは本当に真剣に考えるべきであって、国民が対象に法律上なっているのに、これを局長通達ごときですよ、ごときで、こういうことが七十年、しかも、当分の間というふうにあるんですよ。当分の間というのは、普通、法律用語では、こんな、七十年も当分の間というのはない。

 だから、皆さんが本当に、厚生労働省として、これは是非大臣や政務三役も聞いていただきたいんですけれども、本当にこれがまともな政策だ、今のままでいいんだというんだったら、本当は、法律を変えるとか、あるいは新たな外国人人道法とか何かを作って、私は反対ですけれども、そういうことをやるべきだというふうに思います。まあ、代打なので、余り深くは追及しませんけれども。

 もう一つは、いみじくもおっしゃったように、国内の人も外国の人もそれは不正受給というのは厳しく取り締まるというんですけれども、これもあくまで現場の声ですけれども、やはり相当ある。

 これは一つだけ明確な事例を申し上げますと、また京都なんですけれども、京都で住民票を持っている方が京都市から生活保護を受給されている、ところが、その方は名古屋に住んでいる。これは制度上可能なんですよ、制度上可能。それは何ぼでも、例えば家庭内暴力を受けて行かないといけないとか、いろいろあると思います。

 しかし、問題は何かというと、皆さん、ケースワーカーというのが一年に一回ぐらい、ちゃんと実態調査、居住調査、こういうものをして、不正が行われていないかどうか、できるだけ就職活動しているかどうかとか、そういうことを見るわけですよ。ところが、京都市に住民票がありながら、京都市のケースワーカーが名古屋の方に新幹線に乗って行くということは多分やっていないと思います。多分というか、やっていないんです。電話とかそういうもので対応せざるを得ない。

 しかし、電話だけじゃ、これは本当の実態調査とは言えないです。御案内のとおり、地元の住民とかがやはり一番よく分かっているんです。あの人、生活保護を受けているのに、えらいいい車で毎朝パチンコ屋に行っているとか、よく聞く話だと思いますけれども、そういう情報の中でやはり実態調査というのが実効性を得るわけですね。

 だから、これは、制度上可能というのは、私は制度上改めるべきだと思います。運用だけの話じゃないと思いますけれども、いかがでしょうか。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 生活保護は、都道府県、市又は福祉事務所を設置する町村が、原則としてその所管区域内に居住地を有する者に対して保護の実施責任を負うこととされてございます。

 この居住地は、居住事実がある場所として認定されたところとなりますが、例えば、一時的に入院あるいは施設に入所していて、一定期間の後にその場所に戻ることが期待される場合、そういう場合は、世帯の状況も勘案した上でその場所を居住地として認定することとしております。また、このほか、被保護者が保護施設に入るとか特別養護老人ホームに入るとか、そういう場合は、施設所在地を所管する自治体に財政負担が集中しないように、入所前の居住地を所管する自治体が保護の実施責任を負うという例外、居住地特例の仕組みも設けてございます。

 御指摘の、保護を実施する自治体から離れて居住している被保護者の方がいらっしゃる、それはそのとおりでございます。そういうケースも出てくるわけですけれども、保護を実施する自治体は被保護者の居住場所を定期的に訪問することになっています。これは委員おっしゃったとおりでございます。そこで居住実態も含めて生活状況の把握を行って、その居住実態に合った形での保護の実施機関にするという取扱いになってございますので、それがしっかり行われるように周知徹底を図ってまいります。

北神委員 時間がないので言いますけれども、私は、制度上、違う自治体に引っ越した場合、これは、引っ越し代も敷金、礼金も生活保護から出るわけですから、やはり、そこの自治体に一定の期間住むということになればそこに切り替えるような、切り替えないといけないような、そういう仕組みをつくらないといけないと思いますよ。

 これは私が勝手に何か一部の事例を言っているわけじゃなくて、私の資料の二ページの上にありますけれども、これは厚生労働省の資料です。複数の福祉事務所で保護費を受給する不正行為の事例があると回答した自治体は、回答数の四割。これは要するに、同じ一人の人がいろいろな自治体から生活保護を受給しているわけですよ。もう一つは、住民票の所在地が実際の居住地とは異なる場合に、住民票所在地の自治体に保護受給の有無の確認を行う等の対応をしたことがある自治体は、何と八割以上。だから、これは、運用とかそういうのじゃなく、やはり、制度上、仕組みを変えていくべきだということを申し上げたいと思います。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 今委員から資料でお示しいただいている二ページ目の(2)のところだと思います。複数の事務所で保護費を受給する不正行為の事例があると回答した自治体ということなんですが、これは、私どもの方から、そういう事例がありますかとアンケートを自治体に取って、そういう事例があるということを回答した自治体が四〇%ですので、すごい多くあるわけではなくて、例外的に発生しているということです。

 ただし、こういうケースについては、しっかり居住の実態を把握をして、居住の実態がある自治体の被保護者になっていただいて、元のところは外していただく、これが正しい運用でございますので、その取扱いをしっかりしていくということ。それをオンラインシステムとかそういったものも今後活用して、確実にそういった取扱いができるような環境を整えていきたいと思います。

北神委員 よろしくお願いします。

 最後に、大臣にですけれども、最低賃金の話なんですけれども、賃金が上がるのはもちろんよいことです。しかし、私は、今の岸田政権の物価と賃金の好循環というのは、政策として完結しないと。

 何でかというと、物価は何ぼでも上がるんです。理論的には、上がったり下がったりする。しかし、賃金というのは、おのずと、それは高ければ高いほどいいんですけれども、精神論だけでは賃金は上げられない、もう御案内のとおり。粗利益、売上高マイナス原価、その原資からしか出てこないわけです。

 今までの厚生労働省は、貧困対策として、最低賃金というのは基本的には賃金改定状況調査というものに基づいて、零細企業のある労働者をずっと追跡して、その賃金の上がり具合というものを見ていく、その毎年の平均的な賃金の伸び率で大体、最低賃金というものを決定してきた。

 ところが、安倍政権のときに、これは最後のページに、資料にありますけれども、大体、だから、それが一%、二%程度なんですよ。これが、二〇一六年に安倍政権が骨太方針に最低賃金をたしか千円に上げるとかそういうことを発表した。もう一回、二〇二一年度に今度は菅政権がされたということなんですが。

 私は、もちろん、今の経済学でいうと、必ずしも、昔のように最低賃金が上がったら雇用が減るというわけではないという結論になっているのはよく分かります。しかし、それは何かというと、いわゆる買手市場、経営者が買手市場、難しい言葉で言うと、モノポリーの反対のモノプソニーというんですけれども、例えば、一つの町に大きな工場が一つしかない、だから、賃金を本当はもっと上げられるんだけれども低めに設定している、こういう企業とかに対して最低賃金を上げるということは十分有効な政策だというふうに思います。しかし、そういう調査を、厚生労働省は、あるいは中央最低賃金審議会ですか、そこはそういう調査をちゃんとやっているのかというと、やっていないんです。

 ここで分かるように、一種政治的な裁量でもって、デフレ脱却のためなのか分かりませんけれども、無理やり二%じゃなくて三%台にしてきて、二〇二三年度は四・五%、これは上から三つ目の欄ですけれども、これは大体、さっき言ったまともな賃金改定状況調査でいくと、今までの政治が介入する前の決め方でいうと、大体一%か二%ぐらいしか伸びていないんです。これを無理やり三%にしているんです。

 これは何が問題かというと、これは前のページ、二ページを御覧いただきますと、この東大の川口先生とか津田塾の森先生の共同研究によりますと、十九歳から二十四歳の中卒、高卒男子の雇用は、最低賃金が一〇%上がると就業率が一二%下がる。これは要するに、原資のない企業が、それだったらもう雇用するのをやめようということになって、恐らくパートを雇ったり、そういうことをやっているわけです。

 二番目のこの奥平同志社大学、滝沢学習院大学、山ノ内香川大学の共同研究によりますと、これは製造業だけですけれども、最低賃金が一割上がると雇用が五%減少する。

 だから、買手市場じゃないところはこういう結果になる。もっと更に突き進むと、中小企業が困って、場合によっては倒産をする。こういうことを考えますと、政治で、えいやで何か無理やり上げるというのはおかしいと思いますけれども、いかがでしょうか。

武見国務大臣 これはやはり政治判断だけの問題ではなくて、実際に賃金を改定した状況調査というので、特に最低賃金の影響が大きい常用労働者数三十人未満の企業を対象とした調査というのが行われています。

 その上で、最低賃金の具体的な引上げ額につきましては、最低賃金法に基づきまして、地域における労働者の生計費、それから二つ目に賃金、それから三つ目に、御指摘の点と関係あるんですけれども、企業の支払い能力、この三要素を踏まえて、都道府県ごとに設置されております公労使三者構成の最低賃金審議会において決定をしております。

 また、近年の改定額の目安についても、骨太の方針等に配慮し、この三要素を踏まえながら提示をしているものと考えます。

北神委員 大臣、一回ちょっとお調べになったらいいと思いますけれども、今おっしゃった調査、三十人未満のその調査でいうと、明らかに高い賃金設定がされている。これは安倍政権のときからそうです。まあ、お調べになったらいいと思います。

 それはやはり、私が勘ぐっているのは、もう最後になりますけれども、最後の資料に、デービッド・アトキンソンさんという人がいますね、菅総理の知恵袋。この人は、要するに、日本の生産性を引き下げているのは、中小零細企業が多過ぎると。だから、兵糧攻めにして最低賃金をどんどん上げて、対応できないところは、ここで書いてある、これをそのまま、アトキンソンさんの「国運の分岐点」という本ですけれども、統廃合を積極的に進めて、いかに企業の数を整理することができるのかという能力が求められている、現時点でその条件を満たすきっかけとなるのは、最低賃金の引上げしかありませんと。

 これはちょっと最低賃金の使い方としておかしいということを申し上げて、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

田畑委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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