第5号 令和6年3月26日(火曜日)
令和六年三月二十六日(火曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 新谷 正義君
理事 大岡 敏孝君 理事 大串 正樹君
理事 橋本 岳君 理事 三谷 英弘君
理事 井坂 信彦君 理事 中島 克仁君
理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君
秋葉 賢也君 畦元 将吾君
上田 英俊君 勝目 康君
金子 容三君 川崎ひでと君
塩崎 彰久君 鈴木 英敬君
田所 嘉徳君 田畑 裕明君
田村 憲久君 高階恵美子君
中谷 真一君 仁木 博文君
西野 太亮君 堀内 詔子君
本田 太郎君 三ッ林裕巳君
柳本 顕君 山本 左近君
吉田 真次君 阿部 知子君
荒井 優君 堤 かなめ君
西村智奈美君 山井 和則君
柚木 道義君 吉田 統彦君
早稲田ゆき君 一谷勇一郎君
遠藤 良太君 岬 麻紀君
福重 隆浩君 吉田久美子君
宮本 徹君 田中 健君
福島 伸享君
…………………………………
厚生労働大臣政務官 塩崎 彰久君
参考人
(特定非営利活動法人抱樸理事長) 奥田 知志君
参考人
(日本労働組合総連合会総合政策推進局長) 佐保 昌一君
参考人
(名古屋商科大学ビジネススクール教授) 原田 泰君
参考人
(一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター地域連携推進部地域支援室長) 生水 裕美君
参考人
(国民の住まいを守る全国連絡会代表幹事) 坂庭 國晴君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
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委員の異動
三月二十六日
辞任 補欠選任
山本 左近君 西野 太亮君
大西 健介君 荒井 優君
同日
辞任 補欠選任
西野 太亮君 山本 左近君
荒井 優君 大西 健介君
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本日の会議に付した案件
生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)
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○新谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、特定非営利活動法人抱樸理事長奥田知志君、日本労働組合総連合会総合政策推進局長佐保昌一君、名古屋商科大学ビジネススクール教授原田泰君、一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター地域連携推進部地域支援室長生水裕美君、国民の住まいを守る全国連絡会代表幹事坂庭國晴君、以上五名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、議事の順序について申し上げます。
最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
それでは、まず奥田参考人にお願いいたします。
○奥田参考人 皆さん、おはようございます。今御紹介いただきました、参考人として参りました奥田知志であります。
今日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
お手持ちの資料を要約しながら、少しお話をしたいと思います。
今回の改正において居住支援が非常に強化されるということ、そのことに私は非常に喜んでおります。また、全世代型社会保障構築会議においても、住まいの政策を社会保障の重要な課題と位置づける、そのようなことが確認されています。今回の改正はその第一歩であるというふうに理解をしています。
その上で、幾つかの意見を述べたいと思います。
まず、対象者についてですが、一時生活支援事業は、これまで、ホームレスの人たちが対象だ、そんなふうに捉えられてきましたので、自治体においては、ホームレスがいないから事業をしないという自治体がありました。しかし、住まいの確保はもう既に全世代型の課題となっていますので、今回、事業名が、一時生活支援事業から居住支援事業というところに広く受け止められたこと、あるいは自治体に努力義務を課したこと、この辺りの意義は大きいと思います。
しかし、生活困窮者自立支援法の対象者自体が、現に経済的に困窮している者という経済的な困窮に焦点が当てられた制度でありますので、ここからすると、例えば、経済的課題はないけれども単身の高齢者に関してはどうするのか、この辺りの対象者の枠づけについては課題が残ると思います。
さらに、自立支援法でありますから、自立という問題が解決したら終わるという期限付の制度であるわけでありますから、居住支援という、入居前の相談からいわば死後事務に至るまで一気通貫で行う、時間軸がちょっとずれているというか、違う枠でありまして、この辺りに関しても、対象者をどう包括的に今後捉えていくか。
ついては、第三条の定義についても、今後私は課題になるというふうに考えています。
次に、シェルター事業と地域居住支援事業についてですが、これもホームレスが対象であったために、シェルターが非常に狭小、相部屋、そのようなものが多かったです。ホームレスだからそれでいいというわけでは当然ないんですが、さらに今後、対象者が全世代に広がっていく中で、現在のシェルター仕様ではなかなか、ここに入ってもう一回頑張ろう、そういうのが難しいんじゃないか。特にホームレス自立支援センターにおいては、抜本的な改修等を考える必要があると思います。
シェルター利用の所得水準についても、所得の基準がありまして、その基準以下の人が入れるという構造になっていますけれども、今回は、緊急一時的な居所の確保ができるような加算が創設されましたので、このことは非常に意義が大きいと思いますけれども、それにしても、ならば、シェルター事業自体の所得基準について、もう撤廃するという方向で検討していただいてもいいのではないか。
さらに、地域居住支援事業の単独実施が可能になったことも非常に今回評価しております。しかも、利用期間の柔軟性を持つということで、一年過ぎたところで延長の議論ができる。ただ、これは非常に広がったんですが、これもやはり、入居から死後事務までという長いスパンを考えると、少し、これだけで対応するというのは大丈夫だろうかという心配があります。
その次に、居住支援における相談事業のことについてですが、スタッフの研修強化は当然のこと、大都市部においては居住支援の専門員のようなものを配置するということはどうだろうか。あるいは、この法律ではありませんが、重層的支援体制整備事業において、この居住支援の強化ということをどう考えるか。重層は、皆さん御存じのとおり四事業一体化の枠づけでありますから、困窮のみならず四つの、介護や子育て等々を含めた枠の中で居住支援をやる。これは、さっきのロングスパンの捉え方においても一致するのではないか、そのように考えます。
次に、無料低額宿泊所の届出義務ですが、これは貧困ビジネス防止の観点から有効だと思います。ただ、規制をするのは大事なんですが、規制の後、どこに次の受皿を考えるか。令和二年に日常生活支援住居施設が設置されましたけれども、ここを拡充していくという受皿と規制というものはセットで考えるべきだろう。日住は、できた以降、まだ見直し、手直しがされていませんので、今後、開設の支援等を含めた日住の拡充というものをセットに考えるべきであるというふうに考えます。
六番目、住宅扶助の代理納付でありますが、今国会で住宅セーフティーネットの改正が同時並行で進んでおります。その中に、居住サポート住宅というものが設置される。これに入った人は、住宅扶助の代理納付を原則化するということが今回述べられています。
代理納付は、大家さんのいわゆる貸したくないという思いを緩和する、あるいは滞留物件を市場化するということにおいては非常に大きな意味があります。生活保護世帯の五五%は高齢者、ほとんどが単身者です。これは大家さんの拒否感が強い層の方々でありまして。一方で、代理納付は、民間の賃貸住宅では二一%、公営住宅は六五%。公営住宅では結構使われているんですけれども、民賃の方は代理納付は余り使われていないんですね。せめて民賃が公営住宅並みに代理納付ができれば、大家さんのマインドは更に変わるんじゃないか。あるいは、最終的には生活保護世帯は原則的に代理納付の方に移行していく、こういう議論も必要ではないか。
次に、住居確保給付金ですが、今回は、低廉家賃物件への転居の費用を付加する、これは非常によかったと思います。ただ、住居確保給付金に関しては、やはり基準が低過ぎて、使う段階でもうほとんど生活保護の基準になってしまう。ここのところをもっと手前で救う、もっと手前で対処できるような基準に変えるべきではないか。
次、八番目ですが、矯正施設出所者、刑務所出所者ですね、この人たちが一番アパート設定が難しい人たちです。今回の生活困窮者自立支援法の改正において、やはりこの出所者をどうするのかというところをもう少し強調、強化すべきだと思いますし、厚労省社援局が担当しています地域定着支援センターですね、この地域生活定着促進事業との関係をもう少しはっきりと出すべきだと思います。
最後に、生困法からは離れますが、私は、住まいの保障に関して少し意見を述べて終わりたいと思います。
まず初めにお願いしたいことは、令和五年から始まりました国交省、厚労省、法務省三省合同による検討会議、これは中間報告で一応、今年の二月ですか、終わっているんですけれども、いい方向性が示されています。ただ、問題は、誰が、いつ、どこでやっていくのかという中身がもう一つ分からない。社会保障としての住まい保障という観点からすると、まだ道半ばと言わざるを得ない。この三省合同の会議は、中間報告から最終報告に向けて更に続けていただきたいと思います。
次に、必要となる住まい保障の形については、お手元の資料の図一を御覧ください。私も参加していました平成二十七年の困窮者支援の今後の在り方検討会なんですが、住宅のターゲットゾーンとしては、家賃が安価であること、施設ほどではないけれども見守りや支援がついている、この二つが満たされるものが今後必要になるということになっています。そこで、空き家が全国で八百万戸あるという中で、低廉で見守りがついた空き家活用型のサブリースモデル、これが私は今後必要なんじゃないかというふうに思っています。
抱樸ではもう既にこれを二〇一七年からやっておりまして。北九州市なんですが、政令市では空き家率がワーストツー、結構空き家があるんですね。それで、大家さんから一括で、マスターリースで借り上げまして、借り上げ費用を、市場の大体六掛けで借りまして、生活保護の住宅扶助基準で貸す、その差額が実際、支援の費用として使われるという、公費を入れないで、民間の住宅のサブリースの活用によって支援つきの住宅が実際に稼働できる。家賃も住宅扶助基準ですから、地域においては最低ぐらいの家賃で運営できる。まさに低廉で支援つきというのは、このサブリースモデルで可能だろうと。
今回、住宅セーフティーネットにおいては、居住サポート住宅というものを十万戸つくるということですが、問題は、その支援費は誰が出すのかというのがはっきりしていないんですね。このところを、国費の投入は当然のこととしても、一方で、民間がまさにソーシャルビジネスモデルとしてこういうものができていくことを国がどうバックアップするかというのが大事です。
最後に、居住の問題の一番のポイントは、単身化だと私は見ています。
図二を御覧ください。現在、世帯の分布を見ますと、単身世帯が一番多い。単身世帯が全体の三八%になっていまして、標準世帯と言われる夫婦と子供の世帯は、もう二五%しかいない。
家族がいるという前提で社会保障は組まれてきたわけです。家族、中間層、そして持家、この三つがセットになって、企業が長期の雇用慣行、終身雇用みたいな形で安定した収入が維持できた、それによって住宅ローンが組めて持家が持てた。家族がいること、家があることが社会保障のベースとなってきたとするならば、今ここが、この三十年ぐらいで非正規雇用が増えて、住宅を持つ人が少なくなって、単身世帯が増えて、家族のサポートがなくなった。この家族がやってきた機能をどう社会化するか、あるいは、住宅に関しては、空き家を使って、持家ではないけれども安定した住居というものをどう確保するか、この二つをどうクリアするかというのが非常に大事です。
最後に載っています地域包括ケアシステムの絵ですが、上に制度の葉っぱが茂っている。このベースのところの植木鉢は何によって構成されているかというと、一番下が本人と家族、植木鉢が住まいなんですね。本人と家族と持家というものをベースとして制度をつくってきたというのを非常に明らかにしてくださっている絵なんですね。
この家族の部分と持家という住まいと住まい方のところが脆弱化すると、今後どんないい制度があっても制度につながらない、手遅れ状態で社会コストが非常に高くなる人たちが増えるというのは明らかです。この手前のところをどうしていくかという問題こそが、日本の社会保障の、住まい保障が社会保障であると言われるゆえんでありまして、ここのところは、やはりもう少し長いスパンで、生活困窮者自立支援制度だけじゃなくて、長いスパンで議論していただきたいと思います。
私からの意見は以上です。ありがとうございました。(拍手)
○新谷委員長 ありがとうございました。
次に、佐保参考人にお願いいたします。
○佐保参考人 皆さん、おはようございます。御紹介いただきました、連合総合政策推進局長の佐保と申します。
本日は、貴重な意見表明の機会をいただき、ありがとうございます。
私からは、初めに、連合の社会的セーフティーネットについての考え方を述べ、その後、今回の政府提出法案についての意見を述べます。
生活上の困難に陥ったときや、やむを得ない事情で働けなくなったときに、公的支援制度のはざまに置かれることなく安心して社会的セーフティーネットを利用することで生活が保障され、再び働けるようにするためには、重層的な制度の構築が必要不可欠です。
資料の一ページ目は、連合が実現を求める社会的セーフティーネットの姿です。
二〇一五年四月に生活困窮者自立支援制度が始まり、現在、社会保険・労働保険、生活困窮者自立支援制度、生活保護制度の三層から成る社会的セーフティーネットが構築されています。
今後は、各層の更なる充実強化を図るとともに、生活困窮者自立支援制度が軸となり、既存の社会保障制度との連携を強くしながら、困難に直面したそれぞれの人が抱える課題に対応したオーダーメイド型支援を可能にする社会的セーフティーネット体系の実現が求められると考えます。
また、全ての人の生存権と尊厳ある暮らしを保障するため、誰もが安心して住まいを確保できるよう、質の伴った住宅セーフティーネットの構築が欠かせません。
そして、生活困窮者自立支援制度を基軸とする個の支援と、地域コミュニティー活性化の一体的な推進が重要となります。住み慣れた地域を基盤にしたつながりを再構築し、地域の伴走者を増やすことで、社会的孤立や生きづらさを感じることなく、誰もが居場所を持って自分らしい生活を送ることができる共生社会の実現が急務であると考えます。
さて、今回の政府提出法案について意見を申し述べます。
まず、法案全体についてですが、社会経済状況の変化やコロナ禍で顕在化した相談者が抱える課題の複雑化、多様化に対応するため、居住支援の強化や、子供の貧困への対応、支援関係機関の連携などが盛り込まれ、全体的におおむね評価しており、今国会での成立を求めます。
ただ、法改正の実効性を担保する施策、現場を担う支援員の処遇改善や人員体制の整備、そのための十分な予算の確保など、残された課題について、国会審議において議論を深めていただくようお願いしたいと思います。
それでは、各論について意見を述べます。資料は二ページ目を適宜御覧ください。
まず、居住支援の強化についてです。
生活困窮の相談窓口において住まいに関する相談支援が明確化されることは評価しておりますが、入居時から入居中、退去時まで切れ目のない支援体制を構築するためには、公営住宅やセーフティーネット住宅、空き家の活用を進めるとともに、居住支援法人などとの連携を強化することが必要です。
また、住まいは生活、就労の基盤であることから、誰もが住居を確保し、安心して暮らせるよう、国による住居費の支援など、住宅確保要配慮者に対する恒常的な居住保障の仕組みを検討していただきたいと考えます。
次に、子供の貧困への対応についてです。
生活保護受給中の子育て世帯へのアウトリーチ事業の法定化については評価しておりますが、こうしたアウトリーチによる支援に加え、子供食堂など、学校や家庭以外の居場所を充実するとともに、重層的支援体制整備事業との連携を強化する必要があります。
また、子どもの学習・生活支援事業の必須事業化を目指し、当面は実施率の向上が重要だと考えます。
次に、就労準備支援事業と家計改善支援事業についてです。
家計改善支援事業への国庫補助率の引上げなどは評価できますが、就労準備支援と家計改善支援、両事業の必須事業化が見送られたことは残念に思っております。全国どこに住んでいても必要な支援を受けることができるよう、両事業の必須事業化を目指し、各事業の実施率を高めるとともに、自治体間格差の是正、事業の質の改善を図ることが必要だと考えます。
次に、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携についてです。
生活困窮者向けの事業を生活保護受給者も利用できる仕組みを創設することに異論はありません。ただ、現場の業務負担の増加により支援の質が低下しないよう、両制度の実施機関の適切な人員体制を確保することが求められます。
また、こうした生活困窮者向け事業について、事業者等へ委託している自治体が多い状況です。委託契約が一年ごととなっているところも多く、現場で支援に携わる方たちが、次年度以降の事業委託が決まっていないことにより、不安定な雇用形態で働いていると聞き及んでおります。事業の委託方法については各自治体の御判断となりますが、そうした課題があることも御認識いただければと思います。
次に、医療扶助についてです。
医療扶助の適正化などを促進するため、都道府県が広域的な観点からデータを分析し、市町村に対し必要な助言を行う仕組みの創設が盛り込まれております。自治体のガバナンス強化や頻回受診、長期入院の適正化の観点から考えれば、生活保護受給者の国民健康保険や後期高齢者医療制度への加入について検討することが必要だと考えます。
最後に、法改正事項ではなく、運用面での話になりますが、連合として最も強く訴えている支援員の処遇改善、人材の確保、定着、財源の確保についてです。
生活困窮者自立支援事業の機能強化に向けては、各支援員の処遇を改善し、人材の確保と定着を図ることが欠かせず、その裏づけとなる財源を確保することが不可欠だと考えます。
以前、全国幾つかの地域の委託先における相談支援員を始めとする人員体制の状況や基本賃金を知る機会がありましたが、相談支援員全員が有期雇用、あるいは、主任相談支援員の方で、勤続年数五年、週五日のフルタイム勤務でも月額十七万六千円、年額二百十一万二千円という事例がございました。こうした低賃金では、必要な人材確保もままなりません。そのためには、まず、政府による全国の支援員の賃金実態の調査、把握が必要でございます。
また、社会福祉士など専門性を持つ専門職員の配置を含め、地域の実情に応じて適切な人員体制が確保できるよう取り組むことも求めます。
生活保護の被保護者に対する自立支援においても、生活困窮と同様に、人材確保のための処遇改善と財源確保が今後の課題であると考えます。
以上、御清聴ありがとうございました。(拍手)
○新谷委員長 ありがとうございました。
次に、原田参考人にお願いいたします。
○原田参考人 名古屋商科大学の原田泰と申します。
本日は、このような機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。
本日の目的は生活困窮者自立支援法の一部を改正する法律案についての参考人質疑というように理解しておりまして、こういう法律改正が必要だということも理解しておりますが、その上で、あえて抜本的な見直しの考え方を提起してみたいと思います。それは、ベーシックインカム、基礎的所得と言われているものですけれども、それによって、全ての人に最低限の健康で文化的な生活をするための所得を給付して、貧困をなくすことを提案したいというように思います。
まず、現状の生活保護制度の問題点とユニバーサルベーシックインカム、これは全ての人にというわけですけれども、それ以外に部分的なベーシックインカムという考え方もあると思います。それについては順次御説明してまいりますが、まず、現状の生活保護制度の問題点について幾つか指摘してみたいと思います。
生活保護が無年金、低年金者を救う方策になっていて、年金制度の不備を助ける制度になっております。これは私は非常におかしなことではないかというように思っております。
二番目は、生活保護は本当に貧しい全ての人を助けているのかという疑問があります。生活保護水準で生活している世帯が生活保護受給世帯の十三倍ぐらいあるのではないかというように考えております。先ほど、住宅など、その支援員の年収が二百万円ちょっとというお話がありましたが、そういう人々はかなり貧困に近いのではないかというように思います。
それからまた、日本の貧困はシングルマザーの問題なわけですけれども、シングルマザーの数についても、厚労省の数字と内閣府の数字でかなり、かなりというか非常に大きく違いまして、内閣府ですとシングルマザーは百十九万世帯あると。この中で生活保護水準で生活している人は三十万から四十万世帯、あるいはもっといるのではないかというように思います。生活保護制度は、シングルマザーの貧困を見逃しているのではないかというように考えております。
四番目は、生活保護制度が壁をつくってしまうこと、むしろ自立を妨げること。つまり、働いて余計に稼ごうとすると、ほとんど全部取られてしまうということになっております。生活保護の不正受給と言われるものは、ほとんどがこっそり働いたということなんですね。しかし、こっそりでも働きたくなるのはやむを得ないことであって、それを禁止するということ自体が、私は、ちょっとおかしいのではないか、せっかく自立しようとしている人の足を引っ張ることになるのではないか。また、不正受給を摘発するコストというのは大変なものであると思います。
五番目は、貧困とはお金のないことではなく、社会から排除されること。貧困者にきめ細かく寄り添って指導することが大事だというのが生活保護を支える方々がおっしゃることなんですけれども、きめ細かく寄り添うことはもう不可能なのではないかというように思います。生活保護世帯は百六十万世帯おりますけれども、この百六十万世帯に寄り添うのもあっぷあっぷではないかというように思います。私の考えによれば、その十倍以上の人が貧困世帯というべきではないかというように思いますので、寄り添うことは不可能だというように思います。
まず、次のスライドに参りまして、生活保護と年金なんですけれども、黄色が失業率で、青が生活保護を受けている世帯の数ですけれども、今までは、失業率が下がると生活保護が下がる、生活保護世帯が減るという関係がありましたが、その関係がもうなくなっている。今、高止まりしているわけですね、失業率は下がっておりますので。これはなぜかというと、高齢者世帯が増えているからで、そもそも働くことが非常に難しい人たちが増えているので、雇用ができなくなっているということです。母子世帯とか、障害者、傷病者世帯でも、失業率が低下しますと生活保護受給者は減っております。
あとのグラフはほぼ同じメッセージですので、省略いたします。
九ページに移りまして、生活保護世帯は、全ての貧困を救っているのかということを考えますと、恐らくその十三倍の人が生活保護水準以下で生活しているのではないかと思います。これは九ページと十ページに書いておりますけれども、どうやってそういう数字が出てきたかというのを説明しますと時間がなくなってしまいますので、省略させていただきます。
十一ページに参りまして、実際に扶助を受けている人は生活保護基準以下で生活している人の十三分の一だというのは、正直言ってラフな計算です。本当は十倍かもしれないし、十五倍かもしれません。しかし、橘木俊詔京都大学名誉教授は、生活保護水準以下の所得で暮らしている人は人口の一三%だということを試算しております。
生活保護の問題点というのはその水準が低いことではなくて、国際的に見れば、そう低いわけではなくて、日本のレベルは高いと思うんですね。高いにもかかわらず、多くの人がその恩恵にあずかれていないことが問題です。
次は、母子世帯、シングルマザーの問題なんですけれども、十二ページですが、母子世帯の就業率は八六%と極めて高く、世界的にも母子世帯をこれほど働かせている国というのはないんじゃないかと思います。働いていても貧しい。だから、これはワーキングプアの問題でもあるわけです。
次の十三ページですが、日本の一人親世帯の相対的貧困率は世界一高いんですね。四八・六というのが相対的貧困率の数字でありまして、例えばデンマークですと九・七でしかないという関係があります。
これは、日本で子供が生まれない大きな要因なのではないかと思います。つまり、下手をしてシングルマザーになってしまうとともかく貧困になってしまうから、ともかくシングルマザーにならないように、結果として、結婚しない、子供を産まないということになってしまうのではないかと思います。
相対的貧困率が世界一高い国、これはもちろんOECDの中ですけれども、その中で、日本が一番高くて、その次に高いのが韓国なんですね。御承知のように、韓国も日本も非常に出生率が低い国であります。韓国は日本より貧困率が小さいのに日本より出生率が低い、だから例外じゃないかと言われるかもしれませんが、傾向があるということです。
日本の貧困はシングルマザーで問題でありまして、日本の生活保護制度はシングルマザーを見逃しているというように思います。
それから、生活保護制度が壁をつくってしまい、むしろ自立を妨げるという問題がある。
それから、貧困とはお金のないことではなく、社会から排除されるという発想ですけれども、これは、そうかもしれませんが、じゃ、現実にそれに対してどう対応できるんだというと、そもそも人がいないという問題に突き当たってしまいますということです。
今、財政問題については何も申し上げませんでしたけれども、一応、私の試算によれば、財政的にも何とかなるということが十六ページの下に文献を挙げております。
以上です。どうも大変御清聴ありがとうございました。(拍手)
○新谷委員長 ありがとうございました。
次に、生水参考人にお願いいたします。
○生水参考人 皆様、おはようございます。いのち支える自殺対策推進センターの生水裕美と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
私は、滋賀県野洲市の自治体職員として二十五年間勤務しておりましたので、生活困窮者支援、消費生活相談、こうした相談業務を担当した中から、その経験も踏まえて、改正について三点お伝えしたいと思います。
まず一点目です。全国どこに住んでいても必要な支援を受けられるように、家計改善支援事業の国庫補助率、これを引き上げて、就労準備、家計改善支援事業の全国的な実施を推進していただきたく思います。
家計相談の事例を紹介します。
自立相談窓口から、家計管理が苦手なようだと家計相談につながった相談者さんは、幼い子供さん二人と暮らす母子家庭でした。離婚して間もなく、お金のやりくりが難しいと悩まれていました。家計改善支援は、丁寧にお話を聞きながら家計表を一緒に作成していく中で困窮の背景を見つけ出していく支援ですが、一か月の収支が見えないだけではなくて、何に使っているか分からないということでしたので、本人の御希望もあり、レシートを集めて一緒に確認することにしました。
すると、レシートに二日ごとにマヨネーズを購入しておられて、マヨラーかなと思ったんですが、よく理由を聞きますと、料理が苦手で何でもマヨネーズをかけて食べている、子供の頃、親御さんが料理をしないで、菓子パンを買って食べていたので、味つけの仕方が分からないんですと言われました。さしすせそ、この料理が難しいんですね。
そこで、市役所の子育て家庭支援課の養育支援員に訪問してもらいまして、料理の作り方を教えてもらいました。料理ができるようになって、子供たちもうれしいのか、食欲旺盛になったんです。
あわせて、しんどさの理由を相談しましょうと健康推進課の保健師に相談して、精神科の診察を受けましたところ、知的障害が分かりました。それをもって、社会保険労務士の方につなぎまして、障害年金受給となりました。彼女は、苦手なことが多くてつらかったけれども、診断を受けて、できない理由が分かってほっとしたと言われました。本当にしんどかったんだと思います。
この事例は、レシートのマヨネーズから障害年金受給につながったケースです。家計相談は、家計を見える化することによって、相談者御本人が気づいていない課題にも気づくことができるので、効果的な支援ができます。
それと、家計相談は庁内連携の要でもあります。困窮されている方の多くは税金、使用料の重複滞納が多くて、これら全体を整理してまとめて分納計画を支援するのは、市役所にとってもメリットとなります。また、滞納をSOSのサインとして捉えて支援につなぐことができるのは、市役所だからこそできるアウトリーチです。
だからこそ、就労準備と併せて、どの自治体においても支援が利用できるようにすることは極めて重要です。国庫補助率の引上げとともに、必須化に向けた検討も諦めることなく、見放すこともなく、是非ともお願いします。
二点目は、生活困窮者に就労準備、家計改善、居住支援を行う事業についてです。現在、生活保護受給者向けの事業実施率は、就労が四〇%、家計が一一%と低い状況にあります。これらの事業を生活保護受給者も利用できる仕組みを新たに創設して、両制度の連携を強化することについて賛成です。
理由は、保護担当がいきなりこれら事業の設計をするのは自治体にとってハードルが高いのと、多くの保護受給者が困窮者と同じく支援を受けられるようにすることは、就労準備、家計、居住支援の事業を全国で推進することにもつながるからです。また、切れ目のない支援も可能となります。
事例を紹介します。
家賃が払えず長らく滞納となっていた男性を、心配した大家さんが市役所の自立相談窓口に連れてきてくださいました。男性は、事業が倒産し、多重債務に陥っていて、生活費もままならない状況でした。生活保護申請を促しても、保護だけは絶対嫌やと申請を拒否されるんですが、借金だけは気にされていて、弁護士相談を了解され、家計相談員が一緒に同行して、弁護士が自己破産の方針で受任されました。その二週間後に、弁護士から、遺書と思われるファクスが届いたが電話がつながらないと連絡がありまして、職員が自宅に急行し、自殺未遂された状況から命を救うことができました。
その後、生活保護申請を決心くださったんですが、決心された理由についてお尋ねすると、あのとき親身になって話を聞いてくれた、だから生きてみようと思えたとおっしゃってくださいました。保護が決定してからは、保護課では家計相談の事業を行っていないので支援ができず、債務整理が滞ってしまったこともありましたが、無事自己破産が決定しました。また、福祉事務所の就労支援員の寄り添いで就職もでき、生活再建ができました。保護廃止後は、再度、困窮の家計相談で見守りながら生活を応援しました。
この事例は、困窮の家計相談が生活保護決定で切れ、保護廃止後に再度困窮の家計相談を利用と、支援が途切れてしまいましたが、一貫して家計相談ができれば、相談者にとっても安心だし、事業を通じた連携はケースワーカーの負担軽減につながると思います。ただ、こうした連携においては、目指すべき自立の方向性や支援に対する考え方の一貫性、連続性が重要なので、両制度合同の研修会や両制度共通の手引が必要だと思います。
三点目は、生活困窮者向けの支援会議設置の努力義務化と保護受給者の支援に関する会議体の設置について賛成です。困窮の支援会議の設置率が全国約四割にとどまっているのは本当に残念で、努力義務化とともに設置強化を図っていただきたく思います。
自治体が設置しない理由に、必要性を感じないという意見があります。
二〇一四年、千葉県内で起こった、生活困窮の末、中学生の娘さんを殺害してしまったシングルマザーの事件では、公営住宅の家賃を二年以上にわたって滞納、国民保険料は未納で保険証がない、生活保護の窓口までつながったが申請に至らなかった、そうした結果、公営住宅の強制執行の日に事件を起こしてしまいました。もっと早くこの母子家庭の困窮の全体像が把握できていれば、どこかに支援がつながっていれば、事件は起こらなかったと思います。
これは、ここまでいろいろな課題があって、しかもそれを各課で把握していただろうに、それらが情報共有されていないがゆえに生まれた悲劇です。たとえ本人が御相談されなくても、一人親家庭、家賃滞納、保険証がない、こうしたSOSの兆候を関係機関がキャッチして情報共有し、支援のアプローチをすることが必要です。そして、それをするために支援会議が必要なんです。
この事件を過去の悲しい出来事として終わらせるのではなくて、自分事に引きつけて考えることが大切です。こうした市民の命を守るために自治体は存在することを忘れてはいけないと思います。このような悲劇、悲惨な事件が起こらないようにするために生活困窮者支援があるのだと思っています。
また、自殺対策においても、自殺未遂者支援を始めとした様々な取組の現場で個人情報の取扱いが課題となっています。こうした支援会議を活用し、必要な人に必要な支援が届くような体制を構築するためにも、努力義務化と併せて、生活困窮者支援と命を守る自殺対策との連携強化を図っていただきたく思います。
最後に、以上述べた内容をいかにして現場の取組に反映させていくかが重要です。特に、今回改正される生活保護制度と生活困窮者自立支援制度の連携策をしっかりと機能させることができるかどうかは基礎自治体の公務員にかかっていると思います。法律が改正されても、運用するのは人です。
私は、公務員時代にすごく仕事で悩んでいたときに、当時の市長から、市役所にとって一番大切な役割は住民の命と暮らしを守ることであって、自治体職員はこれを絶対に忘れてはいけないと教えていただきました。公務員はバッシングを受けることが本当に多くて、やりがいを失ってしんどさを抱える職員も多くいます。公務員になろうとする応募も減っていると聞きます。けれども、損得なく市民を助けることができるのはやはり公務員の醍醐味であって、かけがえのない、誇りある仕事だと思っています。
つけ加えるならば、この改正が、全国のこうしたしんどさを抱える職員、でも頑張ろうとしている自治体職員のやりがいを生み出す糧となって、特に、生活困窮者自立支援制度が、市民の命と暮らしを守るために思いっ切り働ける、そうした心強い味方として、頼れる存在に成長していってもらえることを心から願っています。
以上です。どうもありがとうございました。(拍手)
○新谷委員長 ありがとうございました。
次に、坂庭参考人にお願いいたします。
○坂庭参考人 どうも、おはようございます。御紹介いただきました坂庭です。住まいの貧困に取り組むネットワークの世話人も、稲葉剛さんと一緒にやっております。
今のお話の銚子の母子心中事件にも携わりまして、現地にも行かせていただきました。その事件をきっかけにして、公営住宅の家賃滞納の問題について、国交省は、異例ではないんですけれども、この問題に対応する、たしか通達を出したということを覚えております。
今日は、改正案について、手短に六点ほど御意見を申し上げたいと思います。
まず第一点は、奥田さんからもお話がありましたように、今回の改正案の前提は、積極的に評価することができるということが言えると思うんです。改正案で居住の支援が明記をされ、生活困窮者、今まではちょっと名称が違っていて、居住支援事業ということは非常に積極的に評価をすることができるわけであります。
居住支援というのは何かということは厚生労働省令で定められておりまして、以下の三点が居住支援の内容でありますということで、一つは、訪問による必要な情報の提供及び助言、地域社会との交流の促進、住居の確保に関する援助、この三つはいずれにしても連続的に行われる必要があるわけでありますが、特に住居の確保に関する援助、御承知のように大変困難な事態がずっと続いているわけですよね。奥田さんも指摘をされました。この住居に関する確保の援助を、二の地域社会との交流、訪問による必要な対応、これと併せて進めることが重要であるというふうに思います。
二つ目は、それに関係するわけですけれども、住まいの確保が不可欠である。
これは、昨年の年末に社会保障審議会の部会が最終報告書を出しました。ここに書いていますように、生活困窮者の生活の安定に向けては、生活の基盤そのものである住まいの確保が必要不可欠であるというふうに言い切っているわけですね。しかし、住まいの確保が必要不可欠であるというこの中身は、どうもこの改正案を見てもいま一つはっきりしていないというか、非常に背景に難しさがあって、これは是非、これから、民間賃貸住宅あるいは公営住宅、空き家の問題も含めて追求をしていく必要があると思うんです。その点は、改正案の議論の中で、住まいの確保と必要不可欠なこと、これを是非議論をしていただきたいというふうに思います。
住まいの支援のニーズの高まりは、言うまでもありません。住宅の確保は、住まいの支援なくしてはでき得ないわけですよね。ということで、住まいの支援のニーズの高まりの施策と併せて、住まいの確保をどうするのかということを是非追求をして、私たちも追求をしていきたいし、議論をしていただきたいと思います。
三点目は、居住保障の問題であります。
最終報告書あるいはこの改正案についての議論でも出てくると思いますけれども、不安定居住者、持家比率の低下、住宅の確保に配慮を要する者などが示されているわけです。再三にわたって、その住宅の確保に配慮を要する者が依然として多数に上っているという点をしっかり押さえる必要があると思います。これに対応することが十分、改正案では見られていないというのは、非常に残念なことであると思います。
単身高齢者世帯、約百四十万世帯、これは国交省の把握している数字ですね、百四十万世帯、賃貸住宅居住の三分の二は民間賃貸住宅に居住をしております。また、高齢者の公営住宅の居住は、八十一万世帯、全高齢世帯の六%ということなんですね。非常に低い水準にとどまっているわけです。公営住宅の抜本的な施策強化と、家賃補助の実施が必要不可欠なのでありますが、改正案ではなかなか見えてこないという点が非常に気になっているところであります。
結論的に言えば、居住保障の二本柱、これは家賃補助制度と公営住宅施策なのでありますけれども、これを是非議論をしてもらい、かつ追求をしていただきたいと思います。
いずれにしても、居住支援は、住居の確保それから居住保障と連続した、連携したものでないと意味を成さないということが言えると思います。
四点目、居住支援強化のための措置。
いろいろ出されております。自治体による相談支援体制の明確化、見守りの支援等の実施を自治体の努力義務とする。これはこれであるんでしょうけれども、御存じのように、居住支援あるいは困窮者支援は、自治体だけではとてもなし得ないわけです。これは現実がよく物語っていて、奥田さんも指摘されていると思うんですけれども、マンパワー、体制不足、不十分なまま推移をしているわけです。ですから、実際は、民間の生活困窮者支援団体あるいは居住支援法人などに連絡、取次ぎ、これで支援を行っている実態にあるわけです。
したがいまして、一貫した居住支援の強化、地域での安定した生活支援は自治体の努力義務だけでは実現しないのではないかということを指摘せざるを得ません。必要なのは、生活困窮者支援団体あるいは居住支援団体、そのほか様々な団体が、あるいは専門家が支援をしているわけですけれども、そういう方々に対する経済的な補助、支援を一貫して強化をしていただきたい。それと、自治体との連携を密にした居住支援の措置を実施をすべきだということを強調をしておきたいと思います。
次に、住居確保給付金の対象拡大の問題です。
これも改正案で触れているわけでありますが、家賃が低廉な住宅への転居により安定した生活環境が実現すると。ちょっと、疑問点は、元々一定の水準の住宅に住んでいた方が家賃が低廉な住宅に転居、それはあり得ると思うんですけれども、むしろ現居住の継続を進めるべきではないかなと、これは私の意見でありますけれども。この点についてはいろいろ問題点もあるので、国会でも議論をいただきたい。
御承知のように、住居確保給付金は、コロナ禍で大変重要な役割を果たしたわけです。それまでの何十倍もの給付金が、三十六倍でしたかね、奥田さんの資料にもありました。必要不可欠な給付金であることは論をまたないと思うんです。それを部分的な改善といいますか措置で済ませるのではなくて、私たちは、前から、コロナ禍の住居確保給付金の様々な状況を捉えながら、三点、厚生労働省に要求を求めております。
一つは、求職活動要件の廃止ですね。これはコロナ禍のときに部分的にそうなったわけですよね。それから、再支給の条件の拡大。一回もらったら終わりだという、これもコロナ禍で若干の改善が見られたわけであります。それから、収入要件と支給額の拡大。これはこれからですけれども、これも非常に大きなネックになっている。これらが住居確保給付金を使いづらいものにしているというのが、現場の実態だと思うんですよね。
これは二〇二二年のたしか厚労省の検討会の論点だったと思うんですけれども、住宅手当といった家賃補助的な施策を含め、社会保障施策として検討する必要があるということを打ち出したんですよね。私たちはこれは、やったあというふうに捉えたんですが、その後、ずるずる立ち消えになって今日に至っているということなんですね。御存じのように、住居確保給付金を土台にした、恒常的な住宅手当の実現を是非求めたいというふうに思います。
最後が、無料低額宿泊所の問題です。
もちろん、貧困ビジネスは当然なくさないといけないわけです。しかし、届出義務違反の罰則という取締り強化では抜本的な改善にはならないのではないかという疑念を持っております。
御承知だと思うんですが、コロナ禍の時期、東京都は協議ホテルを借り上げてそれを提供したわけです。それはもう既に廃止になっております。そこで、山奥の無低に行けということで、申請を断念せざるを得ないという人たちも生まれました。
是非、安心して暮らせる個室の宿泊所、圧倒的に不足しているわけですから、是非、国と自治体が共同して、生活保護申請者が安心して住める、そういう住居の確保をお願いをしたいということを申し上げまして、意見に代えさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○新谷委員長 ありがとうございました。
以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
○新谷委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。本田太郎君。
○本田委員 自由民主党の本田太郎です。
本日は、参考人の皆様、御多用のところ貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございます。
早速、時間も限られておりますので質問に入らせていただくわけなんですけれども、参考人の皆様のお話をお伺いいたしまして、やはり生活の基盤が住居にあるということを更に実感をいたしました。また、自治体によるアウトリーチの重要性ということの御指摘もございましたけれども、やはりそのとおりだと私も思うところです。
また、保護と困窮の境目、この連携を本法案においてつなげていくということの重要性についても御指摘をいろいろいただきましたけれども、まさにこの法案でそういったところに目くばせがなされているんじゃないかということで、参考人の皆様方、おおむね評価をいただいたということだと理解をいたしましたし、また、抜本的な御意見をいただいた原田参考人におかれましても、一定の理解をされたという御評価をいただいた、このように理解をしているところでございます。
その中で、参考人の皆様に特にお聞きしたいと思いますけれども、坂庭参考人におかれましては、具体的にレジュメで対応策を書かれておりましたので、もしなければそこは飛ばしていただいても結構でありますけれども、生活困窮者自立支援法におけます自立相談員の方をどうやって確保し、定着していただくか、そして、その方々のスキルアップをどのようにやっていくのが具体的に実現可能性があるのかということについて、各参考人の皆様から御意見を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
○奥田参考人 大変重要な御質問をいただきまして、ありがとうございます。
まさにそうでありまして、私は、生活困窮者自立支援全国ネットワークという組織の代表でもありますが、厚労省の方からまさに研修であるとか様々なことを委託を受けてやっております。
ただ、実際には、長く就業している人というのは本当に少なくて、単年で替わっていくという傾向があります。あるいは、自治体が直営しているところにおいても、やはり自治体の中で配置換えがありますので、なかなか積み重ねにならないという点がまず第一点。もう一つは、やはり処遇の問題ですね。民間の委託に関してもなかなか委託費が上がらないという現状がありますので、これではなかなか生活設計ができない、そこでは長く働けない、そういう状況にもなっていると思います。この二点を何とかしなければならないと思っております。
以上です。
○佐保参考人 御質問していただき、ありがとうございます。
私も同じように、先ほども申しましたが、まず、事業の委託が多くなっているといったところ、それから、委託されているところが委託契約が一年というところも多いといったところで、なかなか処遇がきっちりしないいわゆる非正規雇用が多いといった状況があるといったことと、それから処遇が低いといったところではないかというふうに思っていますので、まず、そういったところ、長く勤められる、それから正規雇用で安心して働き続けられるといったことへの支援といったものがまず重要ではないかな、その上で、研修をしてスキルアップを積んでいく、経験を積んでいくといったことが必要ではないかなというふうに思っております。
以上です。
○原田参考人 適切な答えになるか分かりませんけれども、私が提案したベーシックインカムというのは、社会保障に関するケースワーカーのような仕事をする人々がなるべく少なくて済むようにということでありますというのがお答えになります。
○生水参考人 私は、一九九九年に野洲市に勤めたときは非常勤でした。その後、正規の採用試験を受けまして正規職員になってからは、安心して安定して働ける環境ということで、やはり仕事に一生懸命することができました。予算も取れて、事業もできます。
今、市役所の多くの相談窓口に配置されている方々は会計年度任用職員で、一年ごとの更新があり、五年でもう一度試験を受けていかなくてはいけない。本人さんたちが安心して働けるそうした処遇改善、これが人員確保そして質の向上に非常に重要なことだと思います。
もう一点、住まい支援が自立相談支援事業に明確化されることによって居住支援も含む包括的な支援になってくると、支援体制づくりを含めて、自治体においては困窮制度を担う職員の役割がますます重要になります。そこで、効果的にできるような形にするためにも、是非とも、専従職員、いわゆる専任職員の配置、ここのところは非常に重要だと考えます。
以上です。
○坂庭参考人 余り詳しくはないんですけれども、これは、認定NPO法人女性と子ども支援センターウィメンズネット・こうべの実際の経験ですけれども、それだけ簡単に紹介しておきます。
二〇二二年度の実績が、相談者数は百一人、成約件数が四十件です。初期費用の支援などを共同募金会から助成金二百万円を利用してやった、二世帯の母子を支援した。ウィメンズネット・こうべの方々は、非常に苦労してやられているんですけれども、居住支援法人の枠には入っていない専門家や関係者への支援が不可欠であるということをおっしゃられているんですね。
ですので、自立生活相談員のみならず、広く、支援する人たちの枠を広げながら進めていく必要があるのではないかなというふうに思います。
以上です。
○本田委員 様々、非常に参考になる御意見をいただきまして、誠にありがとうございます。
次の質問に入らせていただきたいと存じます。
奥田参考人にお願いしたいわけなんですが、二ページのところで、住宅扶助の代理納付の件について御指摘をいただいております。
その中で、代理納付は民間賃貸住宅においては実施率が低いという御指摘をいただいておりまして、私も、公営住宅並みに代理納付を民間賃貸住宅においても上げていかなきゃならない、そうしないと、すべからく困窮されている方々への支援が行き届かないというふうに思います。
そうした中で、じゃ、実際にその民間賃貸住宅において代理納付を進めるための現状、世の中における障害になっている事柄、そしてまた、その障害の除去の仕方みたいなもののお知恵がありましたら教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○奥田参考人 ありがとうございます。
私、調べてみて、民賃の方が二一%にとどまって、公営住宅六五%、これはやはり、役所がやっている住宅ですから、役所内で、何か変な言い方ですけれども、家賃がちゃんと払っていただけるというのを確保したいという意識の表れだと思うんですね。これは悪いことではないと思います。しかし、やはり民賃の方が抑えられている。
これはなぜかという話なんですが、一つは、やはり、役所の中で、代理納付というのは費用がかかりますから、送金する等の費用も負担しなきゃならなくなりますから、ただ、その分と、例えば家が確保できない状態で放置されるリスク、あるいはそこから重篤な状態になっていくリスク等々、ロングスパンで見ると、変な話、どちらがコストがかかるのかかからないのかという、医療費も含めてですね。
だから、そういう判断をやはり役所がすべきでありますし、何よりも大事なのは、代理納付が、これは最初のセーフティーネットですね、住宅セーフティーネットのときに代理納付を進めるということを方針で出しているんですが、なかなか進まなかったんですね。しかし、これは明らかに、代理納付をしますと大家さんのマインドは変わります。私、全国居住支援法人協議会の代表でもあるんですが、実際に不動産関係の方々から聞いたところでは、代理納付を徹底してやっていただければもっと安心して出せるということをおっしゃっております。
以上です。
○本田委員 ありがとうございます。
今お答えいただいたお答え、私も、要するに、代理納付をしていただいた方が、大家さんとしても家賃を間違いなく受け取れるという安心感があるという意味でもインセンティブはあると思うわけですので、そこは役所の方、国からもそうですけれども、御理解を得られるように、指導と言うと上からになってしまいますけれども、そういったことを徹底していく必要があるのかなと、今のお話を伺っても思った次第であります。ありがとうございます。
それと、済みません、もう一点だけ。
奥田参考人にお願いをしたいんですが、三ページ八番のところで、再犯防止における矯正施設出所者への対応という御指摘もいただいております。最も住居確保が厳しい種類の方々だと思うんですね。そして、住居が確保ができないがゆえに再犯に走ってしまうというリスクを高める。これは国家的に見ても、そこにある程度の資源を投入してでもそういった方々をきちっと、その方々にとっても大事ですけれども、再犯をなくすというもう少しマクロの視点で見ても非常に大事な視点だと思うんですけれども、ここのところを更に推し進めるアイデア、もしお持ちでしたら、最後に一行書いておられますけれども、もしございましたら、よろしくお願いいたします。
○奥田参考人 ありがとうございます。
私が指摘したとおり、特に満期出所なんですね、一番難しいのは。満期出所の方々というのは、家族が本来という言葉がもう今、通用しない時代なんですが、身元引受人というのは基本、家族がやってきた、しかしもうその家族がいない、あるいはもう引き受ける力がないという方が満期出所になります。
満期出所の方々が五年以内に再犯する率が非常に高い。そのときに、やはり大家さんのサイドからすると、刑務所出所者であるということ、それから、家族との縁が切れて、何かあったときの身元引受けがないということ、この二点、これは非常に大きなリスクになります。
そうなると、家族頑張れといってもなかなか難しいので、家族に代わる、私が後半で述べています家族機能の社会化ですね、従来家族がやってきたようなところをいかに社会化していくかということが問題でありまして、大家さんが何かあったときに相談する相手がいるかいないか、一言で言うとこれです。この相談相手が、地域定着支援センターもその一部を担っているという形で書かせていただきました。
以上です。
○本田委員 ありがとうございました。
今後法案の議論を続けていく上で大変参考になる御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。
時間が参りましたので、これで終了させていただきます。
○新谷委員長 次に、井坂信彦君。
○井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。
先生方、大変参考になるお話をありがとうございました。
まず、担い手の問題について、佐保参考人に伺います。
連合がまとめた二〇二四年春闘の第二回集計結果によると、平均の賃上げ率が前年同期比一・四九ポイント増の五・二五%ということで、初回集計五・二八%とほぼ同じ、非常に高い水準を維持しております。一方、先ほど意見陳述で紹介された支援員の方々の賃金実態、大変厳しい状況にあるというふうに受け止めております。
改めて、支援員の処遇改善、また人材の確保に関して、お考えをお聞かせください。
○佐保参考人 御質問をいただき、ありがとうございます。さらに、連合の春闘の集計結果まで御紹介いただきまして、ありがとうございます。
事業を委託されている事業者の現場の声として、単年度契約のため一時金も退職金もない境遇で、家庭を持ち、維持することも大変で、向上心を持って安心して働くことができない、それから、若い人を採用しても定着しない、在籍三年未満のスタッフが三分の二で、入れ替わりが激しい、有資格者の採用が厳しい、思いだけでは限界との声も多いと聞き及んでおります。
繰り返しになりますが、まずは、全国の相談支援員の賃金水準、雇用形態等の実態を把握していただきたいと思います。その上で、生活保護のケースワーカーなど同種の業務の処遇とも比較し、適正な水準なのかを検証すべきと考えます。支援員が一生の仕事として誇りを持って安心して働けるよう、国の責任において、雇用の安定、賃金水準の大幅な引上げ等の処遇改善、定着促進に取り組んでいただきたいと思います。
あわせて、社会福祉士など適切な資格を持つ人の配置を促進するため、研修の充実、資格取得へのサポート、専門性に見合った報酬水準の引上げもお願いしたいと思います。
以上です。
○井坂委員 ありがとうございます。
もう一つ、佐保参考人に担い手の問題で伺いますが、生活困窮者向け事業について、委託契約が一年ごとで、非常に不安定な雇用形態で働いておられるという問題の指摘もありました。この点について、もう少し詳しくお聞かせください。
○佐保参考人 ありがとうございます。
前回の法改正、二〇一八年以降、厚生労働省の自治体向けマニュアルにおいて、委託先の選定に当たっては、事業の内容を中心とした総合的な評価を行うことは、維持等の観点から適切であり、価格のみの評価を行うことはその観点から必ずしも適切ではないと、留意点に挙げておられますが、相変わらず価格競争による受託額の引下げとなっていないかといった懸念点がございます。
現場の声として、単年度契約の公募で毎年、プロポーザルを行っており、それが、事業の財政基盤が安定せず、相談支援員の細切れ雇用と低賃金の要因ともなっているとの指摘もございます。
委託に当たって、単年度契約と複数年契約、公募と随意契約の比率はどうなっているのか、実態を把握していただきたいと思います。
事業の安定と支援員の雇用の安定、処遇の改善を図るためにも、一定期間委託して、支援の質や実績の総合評価を行うよう、自治体にガイドラインや通達で徹底する必要があると考えております。
以上です。
○井坂委員 ありがとうございます。
次に、奥田参考人にお伺いをしたいと思います。
最後の方で、社会保障の土台は住居と家族であるという、大変、植木鉢の分かりやすい例えでお話をいただきました。
私も、委員会質疑で、居住福祉というテーマで一貫して質疑をしてまいりましたが、先生のお話で、やはり、単身の方、それから住居を確保できない方をどうするかということが今後大事だということでありました。また、自立支援ということに余り限定し過ぎると、入居から退去までの一貫した長いスパンの支援ができないという御指摘、また、生活困窮者に対象者を限定してしまうと、まさに単身者、普通の単身者が支援できないという御指摘も大変重要なことだと思いました。
そこでお伺いしますが、今回の法改正で、住居確保給付金、これが拡充されること、これは私もよいことだと思っております。ただ、先ほどの、自立支援に限定し過ぎない、あるいは生活困窮者に限定し過ぎないという御指摘を捉えれば、例えば、この生活困窮者住居確保給付金も、離職要件、求職要件というものが果たしていつまでも必要なのかどうか。またさらには、もう一歩進んで、そもそも、福祉の土台としての住居、居住を保障するための公的な住宅手当制度を含めた恒常的な居住保障の仕組み、これはそろそろやはり検討すべきだと私は考えておりますが、先生のお考えをお伺いしたいと思います。
○奥田参考人 ありがとうございます。
おっしゃるとおりで、家族がいた、それから長期雇用慣行の中でどっしりとした中間層が住宅ローンを払うことによって家を得た、これがある前提で全てが今も進んでいる。年金額一つ取っても、非常に単純化して言うと、あそこには家賃は入っていないはずだった。リタイアしたときには家があって、ある一定の預金が通帳に入っている、これが一つのモデルだったんですが、これはやはり崩れたんですね。そうなると、例えば、家だけでも何とかなれば、年金のみでという言い方は成り立つかどうか分かりませんが、ある程度生活ができる人がいるのではないか、これが今後の一つの住まい保障の社会保障化であるというふうに考えているわけです。
その中で、住居確保給付金ですが、やはり、あれはたしか生困法の前に、求職者支援制度あたりからの、リーマン・ショックの後あたりからの制度の中から引き継いだ部分だと思うんですね。だから、どうしても求職枠、就労支援の枠という観念といいましょうか、枠組みが生きているところなんですね。自立支援法そのものも、やはり経済的な困窮というところに非常に絞った。
けれども、先生おっしゃるとおりで、今、もうちょっとロングスパンの、特に居住支援ということからすると、住まいや生活、居住ということからすると、自立という枠ではやはり考えにくい。そうなると、住居確保給付金を拡充していくということも大事なんですが、一方で、もう少しベースになるところ、これが、ただ、現金給付でいくか、空き家を使った現物的な給付を考えるかというのは、これはちょっと知恵の出しどころであります。
というのは、ちょっと誤解がないように聞いていただきたいんですが、現金給付の家賃保障だけすると、家賃は基本下がりません。大家さんが期待しているというか、求めている家賃が下がらない。
平成二十七年の困窮者の在り方検討会、私も入っていましたが、結論は、家賃が低廉であることと、見守りや支援がついている、この二つだったんですね。見守りや支援をつけるというのは、いろいろな施策を組み合わせる中で、ある程度可能かもしれませんが、一番大きいのは、家賃が下がるかということは非常に大きなこと。家賃が下がるということとセットで、住宅扶助ということ、住宅の手当ですね、住居の手当ということを考えていく、この二つを私はやはり、セットでしていく、その中で、家賃の現金給付、住宅手当ということの可能性は大いにあるというふうに考えています。
以上です。
○井坂委員 ありがとうございます。
今ちょっと、いわゆる現金給付と現物給付のお話があったので、流れで原田参考人にお伺いをしたいと思います。
私も実は、ベーシックインカム、特に年金の部分、基礎年金の部分をベーシックインカム的にやるべきではないかという議論をこの厚生労働委員会で繰り返しております。そういう意味では、ベーシックインカムということを非常に重要だと思っている側の議員の一人でありますが、ただ、住居ということに関してお伺いしたいのは、住宅そのものであったり見守りサービス、こういう現物支給も含めて、あるいはサービス提供も含めて、いわゆるベーシックインカムだけでなくベーシックサービスの提供といったことも選択肢として私は必要だと考えておりますが、原田参考人はあくまで現金給付のベーシックインカムというところにこだわっておられるのか、住居に関してお伺いいたします。
○原田参考人 どうも御質問ありがとうございます。
現金給付が望ましいというのは、貧困者であっても、先ほど知的障害者の方がいらしたというお話を伺いましたが、多くの方は、自分でいろいろ考えて、自分で最適な生活を送る能力を持っておられるのではないかというのを前提としております。そうしますと、住宅についても、悪い住宅に住んで少しでもいい消費をするとか、あるいは少しいい住宅にして消費を減らすとか、そういうことを本人が選択できるはずだという前提で考えておりますので、基本的には現金給付が望ましい、あらゆることについて望ましいと考えております。
ただ、医療などについては、自分でどういう医療がいいのかというのはよく分からないわけですから、そういうようなものは現物給付、現物のベーシックインカムということは十分あり得ると思います。ですから、本人が分からない場合には現物給付もいいのではないかということです。
それから、更に言えば、本人に、自分にとって一番いいことをする能力がないという場合は当然あると思いますので、その場合には、現物給付に近いものがどんどん増えていくということもあり得るのではないかというように思っております。
以上です。
○井坂委員 ありがとうございます。
本当に本人が選ぶことができるかどうかに従ってケース・バイ・ケースということでありました。
時間が限られてまいりましたが、奥田参考人に、また今の話も多少引いてお伺いをしたいと思います。
お話の中でなるほどと思ったのが、北九州市ですかね、リースをして、安く空き家を借り上げて、生活扶助のお金をもらって、それでも浮いた分が出るので、それをソフト的な支援に充てるということで、大変なるほどというふうに思いました。まさに、現金給付をうまく工夫をしてサービス提供に自然につなげることができているんだなというふうに受け止めさせていただきました。
そういった本当に現場の工夫、まあ我々は法改正をする側でありますけれども、しかし、今の法律もうまく組み合わせたり現場の工夫で、そうした先生がおっしゃるところの居住とそれから家族的なものの提供につなげている例とか、あるいは、まだできていないけれども本当はこういうことができたらいいのにと思うことがありましたら、アイデアをいただきたいというふうに思います。
○奥田参考人 ありがとうございます。
北九州で二〇一七年からサブリースモデルをやりました。これは比較的うまくいきまして。というのは、やはり空き家が相当数あるということです。大家さんにとって、不安があって貸したくないという気持ちと本当は借りてほしいという、どっちが本音かといったら、借りてほしいが本当は本音。そうなると、家賃を六掛けにしてでも、一気に借り上げてもらえるんだったら全部提供しますよという大家さんは相当数おられると思います。支援する側からしても、ある程度まとまったものがないと、いわゆるビジネスと言っていいのかどうか分かりませんが、うちの支援員に給料をちゃんと出さないかぬわけですから、そこはある程度の規模が必要だったということですね。
ちょっと誤解なくしておきますと、基準を生活扶助基準にしただけでありまして、入られた方が全員、生活保護の被保護者ではないわけです。年金とか就労の中でもこの金額でお貸しする。その家賃の中に我々のサービス提供が付加されるというか、これは難しいんですね。生活保護の住宅扶助とは何かという議論になりますので、ここは非常に難しい議論になります。ですから、我々は、プラスアルファのサービスとして提供しているということ、家賃の中にサービス料が入っているとは考えていない。
最後にもう一つ、先ほどの家賃を下げるということからいうと、私は、公営住宅のサブリース利用というのがこれから相当大きなテーマになると思います。
どの自治体も公営住宅じまいの方向に向いているというのが今実態でありまして、それと、公営住宅は、政策的空き家を入れると一五%ぐらい空けています、元々。しかし、もう、災害時に政策的空き家で公営住宅を使うよりかは、民賃が空いていますから、借り上げの仮設で十分いけると思うんですね。そうなると、公営住宅というのは日本で唯一、収入に応じて家賃が下がっていく仕組みを持っていますから、最低家賃で借り上げて、ある程度上乗せをして提供する。そうすると、生活扶助の、住宅扶助よりかもっと安い住宅が誕生する。しかも支援つきで提供できる。そういう仕組みが、私は、公営住宅の次の在り方としては十分あるんじゃないか、そんなふうに考えています。
○井坂委員 ありがとうございます。
終わります。
○新谷委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
今日は、参考人の皆様、ありがとうございます。
幾つかお聞きしたいことは考えておるんですが、その中で、後でやろうかなと思っていたんですが、今、井坂委員から住宅の話が出ましたので、ちょっと住宅の話から先にやりたいと思います。
今あった、生活保護制度下の住宅扶助という話をどう考えるか、これは今、奥田参考人からありましたが、非常に重要な問題だと思います。というのは、医療も同じような問題があって、医療扶助と医療制度、これもいろいろな同じような議論があると思うんですね。先ほど原田参考人からもあったように、現物か現金かという議論がありますが、結局どうなんだという、井坂委員とのやり取りの結論をちょっと得たいんですけれども。
私の意見は、私は住宅政策は別途あっていいと思うんですけれども、マーケットとかあるいは住宅政策全体の中で処理をして、そして、基本、福祉は、住宅の部分は現金でもいいんじゃないか、こういうふうに私は思いますが、奥田参考人、結論はどの辺か、ちょっとまとめていただけるとありがたいんですけれども。
○奥田参考人 難しいですよね。ちょっと私が気になっているのは、現金でいくと、先ほど言いましたように、家賃は下がらないというのは現状であるということです。
それと、サブリースの差額なりを使うことによって、やはり支援つきという概念をどう実行させるかというところが大事ですので、単純に、今ある空き物件を、何かを保障することによって借りられるようになりますよというだけの話では、先ほどの最後に紹介しました、社会保障の制度の葉っぱがうまく使われないことになりまして、様々な次のそごが出てくる。だから、そうなると、私はやはり、ベーシックサービスというお話も出ましたけれども、まさにサービスが付加された形で給付をすると。
とはいえ、日本は、新しい資本主義という話をここ最近ずっとされていますけれども、個人の資産をどう、ある意味コモンズ化していくかということがやはりテーマになると思います。だから、これを国が全部国営にしますというわけには当然いかないわけですから、個人の資産をちゃんと保護しながら、こういう社会的に提供、社会的な意義を持たせていく。例えば、単純に言うと、固定資産税をどう考えるか、こういう社会化する中で、固定資産税というものを、取得税等々をどう考えるかということは実は大きな問題でありまして、これも大家さんのマインドを動かすためには非常に大事だというふうに考えています。
○足立委員 家賃の話をおっしゃいましたが、でも、それは福祉の分野だけの問題ではなくて、さっきあったみたいに、いろいろな仕組みをつくれば、貸しやすい仕組みをつくれば、だって、使われずに置いておくよりも幾らかで貸す方が大家さんにとっていいに決まっているわけだから、それはやはり私は、住宅政策の問題として処理すべきではないか。奥田参考人もレジュメの中で、対象者について、より包括的に捉えていくべきだとおっしゃっているわけですから、そういう論旨からいくと、やはりそこは住宅政策の問題だと。余り福祉の住宅ということだけを取り立ててやるのは、私はやはり違うんじゃないかと思うんですけれども、ちょっと改めてお伺いします。
○奥田参考人 全くおっしゃるとおりで、最後の方に私、三省合同の会議の継続をお願いしたいということで申し上げましたけれども、実は、検討会の最後の発言として、私は、今後これを本気でやるんだったら、国交省、厚労省、法務省のみならず、経産省さんとかあるいは総務省さんとかそこまで入れないとこの問題というのはうまく解決できないんじゃないかと。例えば、まさに経産省あたりが検討されている様々なビジネスモデルも含めたそういう対応が必要だと考えております。
○足立委員 ありがとうございました。大変重要なテーマですので、またこれはしっかり議論させていただきたいと思います。
今日、原田参考人にお越しをいただいて、原田先生のお話、私、本を読みまくっていまして、もう分かっていますので、原田参考人の意見についてほかの方の意見をちょっと聞きたいんですね。済みません、私がお呼びしたのに申し訳ありませんが。
原田参考人が、生活保護受給者の十倍手を差し伸べなあかん方々がいるんだ、あるいは、健康で文化的な生活をできていない方が相当規模でいるんだという御指摘がありました。
ほかの参考人の方、特に、ごめんなさい、佐保参考人と、生水参考人、それから坂庭参考人に、そういう認識、要は、相当なボリュームで貧困というものがあって、申請主義ですから、生活保護を本当は受けてもいいんだけれども受けていらっしゃらない方が相当なボリュームでいる、そこにリーチするというのは相当大変なことなんだ、これが原田参考人の論旨だったと思います。短く、賛成か反対か教えていただきたいんですけれども。
○佐保参考人 質問ありがとうございます。
賛成か反対かというよりは、今お話があった、原田先生がお話しになった件、詳しい数字は存じ上げておりませんが、確かにそういう方が存在するといったことは何となく理解をしておりまして、そこはきちんとアウトリーチ等で支援をしていくべきというふうに考えております。
以上です。
○生水参考人 先ほど事例でも言いましたが、生活保護だけは絶対嫌だと言われる方は非常に多いです。これはやはり生活保護に対するスティグマの問題であって、正しい理解、国民の権利ですということを周知して皆さんにお伝えしていくということが必要だと思います。
保護の捕捉率の問題というのは非常に重要だと思いますので、是非ともここは取り組んでいただきたいと思います。
以上です。
○坂庭参考人 結論から言うと、反対ということですね。ベーシックインカムはかなり前から……(足立委員「政策についてじゃなくて現状について。委員長、済みません。ちょっと、誤解があるといけないので」と呼ぶ)
○足立委員 済みません、一回お座りいただいて。
要するに、ベーシックインカムに賛成か反対かではなくて、今リーチできていない方々のボリュームがあるぞという原田参考人の指摘について、同意かどうかということですね。
○坂庭参考人 ちょっと聞き間違えて申し訳ありません。
今のお話というのは非常に大事なことで、これをどうするかというのがまさに社会保障政策あるいは生活困窮者自立支援の中身でありますので、それについてはもちろん賛成です。
○足立委員 ありがとうございます。
私もそう思っています。やはり、今、生水参考人がおっしゃったとおりで、私、お話、大変な取組を思いを持ってやってこられていること、よく分かりました。
また、お話を伺って今ネットでばっと調べると、生水さんのいろいろな書いているものがあって、やはり、自助、共助、公助という中で、ボランタリーなお互いさまの世界、互助の世界みたいなことを……(発言する者あり)何か問題ありますか。
今、何か私、委員長、何か課題、ありますか、私のやり方に。
○新谷委員長 とにかく、足立君、質疑は議題の範囲内でお願いできればと思います。
○足立委員 立憲民主党の幹部の方から何か異議が申し入れられましたけれども、ちょっと邪魔はしないでほしいんですよね。
生水参考人がそういうことをおっしゃっているのは、大変重要なんだけれども、手が足りないんですよね、なかなか。基礎自治体の公務員の方の働きが大変重要だとか、それから今のスティグマの話もあって、この世界は本当に難しい世界だと思います。
さらに、井坂さんがおっしゃった自立支援員の処遇の問題。結局、支援する側が貧困なんですよね。それは、この分野だけではなくて、障害の世界、障害福祉の世界、介護、医療、どこでも今、人が足りない、どこでも賃金が低いと言われている。
これはやはり大変難しい問題、これから少子高齢化がますます進む中で、今のままのやり方だけでカバーしていけるのかということについての見通しというか、なかなか難しいよなと思っていらっしゃるか、いやいや、大丈夫だということか、私は大変厳しい事態に我々は直面していると思いますが、生水参考人と佐保参考人にちょっとコメントいただきたいと思います。
○佐保参考人 どうも御質問ありがとうございます。
人手不足ということは、間違いなくそう思っております。全産業的に人手不足に陥っておりますので、支援員の処遇、それにかかわらず、介護、保育、いろいろなところで人手不足、人材不足が生じている。その要因として賃金が低いというのもございます。ですので、こういったものをどうやって解消していくのかというのは、なかなか難しい問題ではありますが、大変重要な課題だというふうに認識しております。
以上です。
○生水参考人 ありがとうございます。
自立相談支援員も、例えば消費生活相談員も、非正規の給料だけじゃ食べていけないんですね。この食べていけない給料で仕事を全うしようとしていくのは非常に難しい。だから、会計年度任用職員にしても、非正規で働く方々の処遇改善をしない限り、やはりここの人手不足、マンパワー不足というのは解決しないと思います。是非ともここを取り組んでいただきたく思います。
以上です。
○足立委員 生水参考人、こだわりますけれども、他方、本当に処遇を改善していくと、寄り添うということは大変なことで、本当に一人の困っていらっしゃる方に支援員が寄り添うということは相当な時間を要することですから、そこの処遇を改善したら、じゃ、その方の給与は本当は助けを求めていらっしゃる方に渡した方がいいんじゃないかという費用と効果の問題が出てくるわけですね。そういう中で、私は、原田参考人のような議論が出てきている、こう思うわけです。
最後、原田さん、あと二分ぐらいなんですけれども、私は、今日申し上げた、住宅と医療を現物でどう考えるかとか、もうコメントは求めませんが、今日整理したのはそういうこと。それから、そもそも支援の在り方、これをどう考えるかといったときに、私はやはり、今日、原田さんがおっしゃった、ある程度現金で、生活保護という深いプールではなくて、もう少し浅くて、金額は低くてもいいけれどもベーシックな年金、基礎年金とか、あるいは児童手当の拡充とか、あるいは現役世代のセーフティーネット、これをやはり根本的に、抜本的にもう一度議論すべきだということを私たちは考えていますが、最後、お時間、好きにしゃべっていただければと思います。原田参考人、お願いします。
○原田参考人 どうもありがとうございます。
まず、生活保護にリーチできていない人がたくさんいて、そこに貧困があるんだということについて、多くの御専門の方にも御賛同いただきまして、ありがとうございます。
それで、費用対効果という言葉がいいかどうか分かりませんけれども、寄り添うことは大変なコストがかかるわけですので、現金支給であれば寄り添う時間を節約できる。
ただ、本当に、例えば、知的障害の方とかそういう方に対しては寄り添うしかないと思いますので、そういうことは必要だと思います。ですから、そういう方に集中的に寄り添って、それ以外の方にはなるべく現金で解決する。シングルマザーの貧困の話も、だから、例えば、シングルマザーの子供手当を大幅に増やせばかなり解決する問題ではないか。ヨーロッパの国ではそうしているというように思います。
それから、住宅、医療ですけれども、まず現金で、住宅費も含めたような現金を給付すると、人によって、住宅にいっぱいお金を使う人もいれば、住宅はなるべく節約する人もいる。住宅に幾らと決めれば、住宅家賃は下がらないわけですね。だけれども、住宅も含めた生活費を一括して渡せば、住宅費が下がるということも考えられるということです。それから、医療費はよく分かりませんということです。だから、現物が必要なところは当然あると思います。
○足立委員 ありがとうございました。
私も、寄り添う必要がないと言っているのでは全くないですよ。本当に支援を必要とする方、寄り添ってさしあげるべき方にしっかりと寄り添ってあげるためにも制度的な議論をもう少ししていきたい、こう思っておりますので、それを申し上げて、質問を終わります。
今日はありがとうございました。
○新谷委員長 次に、吉田久美子君。
○吉田(久)委員 公明党、吉田久美子です。
本日は、参考人の皆様には、本法案に対しまして貴重な御意見をいただき、大変にありがとうございます。
早速ですが、奥田知志参考人にお伺いいたします。
抱樸の奥田理事長の長年にわたる御活躍、御尽力には心より敬意を表します。
先ほどお話しいただいたサブリースの支援つきのお話、とても、是非多くのところに取り組んでもらいたいなと思いました。北九州市を中心に、全国の居住支援のモデル、また、ロングスパンの伴走型支援、このモデルともいうべきこれまでの取組、全国の他の模範ともいうべきものだと思います。本日は本当にありがとうございます。
公明党の青年委員会も、住居確保が困難な人たちに住宅手当の創設、日本はありませんので、これは進めるべきではないかと提言をしているところではありますけれども、本法案は居住支援を強化するものではありますが、以前、奥田参考人が、ホームレスとハウスレスというのは違うんだというお話をされていらっしゃいました。地域とのつながりがなかったり、友人、話し相手がいない、こういう交流、つき合いがない、全くない、この状態というのは、住居のある、住まいのあるホームレスという視点、私も目からうろこでありました。
今日のお話の、対象者に対する課題ということでもお話はいただいておりますけれども、真のホームレスをなくすため、本法案の評価と併せて、地域共生社会を目指す上で国とかまた地方行政に欠けているもの、しっかりすべきもの、これを教えていただきたいと思います。
○奥田参考人 どうもありがとうございます。
本当におっしゃるとおりでありまして、地域共生社会とは何かという話だと思うんですね、最終的には。先ほど現金給付の話がありましたけれども、一方で、私は、ベースになるものを、現金であろうが現物であろうが、ちゃんと一定国が保障するというのは大事。
例えば、憲法の第二十五条、生存権ですよね、全て国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有している。しかし、それだけでは、現場の私からすると足らない。例えば、憲法でいうと第十三条ですね、全て国民は、個人として尊重される、幸福を追求するということもその中に書かれてくる。この二つがセットでないといけない。
だから、二十五条の部分に関しては、現物か現金かにおいてベースの部分を確保していきながら、一方で、何かちょっと単純な言い方になりますが、生活困窮者自立支援法ができたときに私がよく審議会、部会で言っていたのは、最終的な勝負は、その人がその気になるかというところが勝負なんですと。じゃ、人をその気、もう一回生きようとか、もう一回立ち上がろうとその気にさせるのは、実は、お金も大事だけれども、三十数年現場でやってきた私からすると、やはり人なんですね。私が私を諦めたときに、私のことを諦めてくれない人が一人でもいるかという、それがホームと呼べるものでありまして、こういうものをつくっていくというのが地域共生社会の本当の目的だというふうに考えています。
○吉田(久)委員 ありがとうございます。
続いて、生水参考人にお伺いをいたします。
長年、自治体職員として、滋賀県野洲市における、お一人お一人に寄り添った、市独自の給付金の創設でありますとか、本当に、誰一人置き去りにしないという決意で、市長以下、チームワークで取り組んでこられたこと、大変感銘を受けております。
また、偶然にも本日の公明新聞に記事が載っておりましたけれども、しっかり読ませていただきました。支援会議の努力義務化することへの評価、また、まだ四割しかできていない、全自治体が支援会議を設置できるような、国が積極的に支援をしていただきたいとの御意見も賜ったところでございます。
二点質問があります。
一点目の質問ですが、生水参考人が、支援が届きづらい方、困窮者の個人情報を共有する仕組みが大事だということをお話しされましたけれども、この仕組みづくりに奔走されてこられ、市役所の各課が本気になればこの届きにくい方たちを見つけ出すことができる、さっきお話もありましたけれども、庁内連携の難しさも、以前語っていらっしゃった記事も読ませていただきました。
公明党は、相談者の属性や相談内容を問わない包括的な支援を一体的に進めることができることが重要であるという認識で、令和三年四月から、重層的支援体制整備事業、この創設を推進してまいりました。現状、令和五年度も、実施自治体は百八十九市町村という状況でございます。徐々に増えてきているとはいえ、なかなかこの重層的相談支援事業も進まないことについての御意見、また、支援会議の必要性と併せて、何かアドバイスいただけることがあれば教えていただきたいと思います。
○生水参考人 ありがとうございます。
二点質問いただきました。(吉田(久)委員「済みません、二点目は今から、後で言います」と呼ぶ)ああ、そうですか。分かりました。では、重層的支援体制整備事業が進まないというところの点でよろしかったでしょうか。
まず、こちらにつきましては、確かに、おっしゃっているように、任意事業でありますので、手挙げ方式で、やりたいというところが行っていくという事業になっております。その中で、重層事業においては、重層なのに重層になっていない、重層の中が縦割りになっているというのが現場で感じるところであります。
参加支援、アウトリーチ、いろいろあります。でも、事業の縦割りのために、つなぐということが中でうまくできていない。事業の縦割りのために、包括的な支援を目指しているのに、そこは現場の理解とやはり実際とが合っていないというのが現状だと思っています。特に、多機関協働事業というのがありまして、ここを行政がやっていく中では、私たちはつなぐだけ、支援はしないということで、地域の皆さん、地域の関係機関が戸惑う場面というのもできております。この重層なのに重層でないというところの縦割りの弊害がなくなるような、地域に即したことの実施が行われるような、そういう体制の見直しを是非ともしていただきたいと思います。
あと、支援会議につきましては、重層事業でも支援会議がありまして、ここは属性を問わずにオール住民さんを対象にしていくことができますので、生活保護や困窮を補完するパートナーとして、非常にいい仕組みだと思っています。でも、やはり、ここの支援会議をどういうものをしていったらいいかというようなノウハウ、そしてその意義というのがやはり正しく伝わっていない。
これは困窮の九条の支援会議でもやはり同じであって、なぜこの支援会議があるのか、個人情報の守秘義務規定をしっかり課して、相談者も安心して行っていく、その理由は何か、理解をしっかりと求めて、こちら、国の方から周知徹底いただきたいと思うし、そのための支援策を是非とも強化いただきたいと思っております。
以上です。
○吉田(久)委員 済みません、生水参考人に二点目の質問、今から言います。
子供の貧困への対応、本法案で、いわゆる保護世帯の子供たちへのアウトリーチ、学習支援、そして情報、助言の提供、また高等学校卒業時の新生活の立ち上げのための費用の一時金支給、このような措置に対する御評価をいただきたい。そして、よければ、具体的な御事例があれば、併せて教えていただければと思います。
○生水参考人 ありがとうございます。
子供の貧困への対応の措置として、生活保護世帯の子供や母親に訪問等による学習また奨学金の活用等の支援をすること、就職して自立する際に一時金を支給することについて大賛成です。
野洲市では、学習支援を中学生を対象に行っておりますが、高校生になっても、勉強とか、しゃべりに来たり、進路の悩みを聞くこともあります。中学生のときに勉強で参加していて、高校生になってボランティアに来てくれていた子が、私は障害のある子供たちを応援する仕事がしたいので福祉の大学に行きたいんだ、でも、母子家庭で、弟たち、妹もおって、お母さんを助けて働かなくちゃいけないんだ、大学に行きたいと思うのは自分のわがままであって、家族のことを思うと、こんなわがままな自分が嫌になると泣きながら相談してきたんです。結局、彼女は、高校を卒業して住み込みで働くことになりました。
自分の将来を語るのに、それをわがままだと自分を責める、そんな彼女が、やはりそんな社会というのはおかしいし、そんな社会ではあかんと思っています。でも、そのときに、訪問して、進路について、奨学金の活用とかをお母さんと娘さん、子供さんが一緒に聞くことによって、助言を受けて、その世帯の親と子供が一緒に情報共有できることによって理解につながる、そういうことがやはり本人の希望を踏まえた多様な選択に向けた環境づくりにつながると思いますので、是非ともここは推し進めていただきたいと思います。
ありがとうございます。
○吉田(久)委員 ありがとうございます。
最後に、奥田参考人と生水参考人にお伺いしたいと思いますけれども、私自身は二〇二一年の十月に初当選をさせていただきましたけれども、まさしくコロナ禍の真っただ中でありました。以来、九州各地で様々なお話を聞かせていただく中で、特に女性の方から、非正規雇用が多いこともあってですけれども、長年、仕事を会社のために頑張ってきたのに簡単に首を切られてしまった、本当に自分たちから真っ先に切られてしまうということに対して、本当に悲しい思い、つらい思い、また生活に直結する困窮をお聞きしてまいりました。
最近、貧困問題を研究する阿部彩都立大学教授の集計によりますと、単身の高齢女性、四割が相対的貧困であるという深刻な数字が出されました。コロナ禍においても、結局、経済の安全弁が女性の雇用で調節しているような、そういう実態が明らかになったわけですけれども、特に今、就職氷河期だった皆さん、これから高齢化になります。
私も先日、お話を聞かせていただきました。そういう独身の方、就職氷河期の独身の女性、ほとんどの方が非正規の中で頑張っていらっしゃいましたけれども、こういう方たち、全て将来不安を持っていらっしゃいました。頼るべき人がいなくなる、いない、そういうことも本当に切実なお声でありましたけれども、是非、こういう方たちが将来貧困に陥らない、生活困窮者にならないためにはどうしたらいいのか、もし御知見、今までの経験から踏まえて御意見がございましたら、お伺いしたいと思います。
○奥田参考人 ありがとうございます。
大きな話でいうと、私は、やはり非正規雇用が非常に広がったというのが今までの前提を崩したというのは事実だと思います。
これは、給料が高い、安いだけの問題じゃなくて、やはりかつてあった安定した中間層というのが崩れたというのが、これに代わるものをどう考えるのかという、元に戻るというのはなかなか難しいかもしれませんが、じゃ、そこのところを社会保障でどうカバーするかという問題。
もう一つは、今回、コロナで最初に、いわば警察経由だったんですけれども、助けてという形でうちに相談に来られたのは若い女性でした。そこで、今日の、私が特に居住支援に絡めて意見を述べさせていただきましたけれども、私は、その女性は非常に象徴的だったと思ったんです。
それは何かというと、寮つきの就労。若者や特に女性で、寮つきの就労を活用している方というのは結構います。これは、経済が安定しているときは非常に都合がいい、仕事と家がワンセットですから都合がいいんですけれども、一旦ああいう状態になると、多くの寮は賃貸借契約を結んでいません、いわば会社の福利厚生の一環として住宅を提供しているだけなので、雇用が不安定になった途端に住宅を失う。住宅と雇用が一体化した形というのは非常に不安定な構造だ。私は、やはり住宅と雇用あるいは就労を分離すべきだ、そんなふうに実は考えています。
やはり賃貸借契約においては居住権というものがちゃんと保障されていますから、大家さんの都合であした出ていけはないんですね。しかし、会社の寮になって福利厚生でやっていると、あした出ていけが成立してしまう。これはいかぬと思います。住まいが最低限の生活の基盤であるとするならば、どんな経済状況になっても、仕事に就けても就けなくても住まいは絶対に失わないという社会をつくらないと、これはまずいというふうに思っています。
今回、コロナで最初の相談が若い女性で、まさに寮つき就労だったというのは、私はこの時代全体を象徴している、そんなふうに考えています。
○生水参考人 私も奥田参考人と同じで、住宅の確保、これは非常に重要だと思っています。
コロナ禍において、真っ先に相談が始まったのが不安定就労の状況の女性の方々です。特に一人親家庭の方々の御相談が非常に増えて、やはりコロナ禍で皆さんが不安に思われたのは、家賃が払えない、家から出なくてはいけなくなってしまうという恐怖感を持たれている。住宅がしっかり確保されていることによって、生活の基盤を失うことがありませんので、ここからいろいろな心の安定にもつながるんですが、ここを失うことの恐ろしさというのは、皆さん共通した不安感ではありました。だから、おっしゃったように、やはり住宅の確保、それと、女性の、おっしゃってくださった支援については、いろいろな策を強化、是非ともいただきたいと思います。
ただ、女性に限らず、やはり若い男性の方でも、高齢の方でも、いろいろな皆さん、困窮をされている方はおられます。単に経済的なことだけではなくて、やはり孤立であったり、そうした問題、地域から孤立しているという問題も非常に多いし、それが引きこもりのことでもあるかと思います。自殺対策においても、そうしたしんどさを抱えている方をどう支援をしていこうかというときに、やはり経済的困窮だけではなく、心の寄り添いというところは大事です。
先ほど支援員の給料、処遇改善の話が出ましたが、三月になって雇用が継続されるかどうか分からない不安定就労にある相談員が相談者さんのお話を聞いても、四月になったらこの方の支援ができない、お話ができない、もしかしたら私がそちら側の相談者になっているかもしれない、こうした、継続ができない相談支援に対しての不安感と、相談者に対する申し訳なさ、いろいろな思いの葛藤を持ちながら働かれているというのも実情です。
寄り添いには継続性が必要です。是非ともそこのところも併せて御検討いただければと思います。
以上です。
○吉田(久)委員 ありがとうございました。
質問を終わります。
○新谷委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。
今日は、五人の参考人の皆さん、大変貴重なお話をいただきまして、ありがとうございます。
初めに、五人の参考人の皆さんにお伺いしたいと思うんですけれども、今日も、住まいへの支援が、本当にそれぞれが生きていく上で非常に大事だというお話がございました。私たちも、本当に市民の皆さんからの相談ということを考えると、家賃が払えなくなって、蓄えがなくなって、生活保護を利用されるという方が本当に増えているというのが実感であります。
ところが、私たちのこの国の住まいの政策ということを見た場合に、一方では、持家に対しては住宅ローン控除ということで、これは八千億円の減税の支援をやっている。五百三十万人、十三年間で二百万円ぐらいの支援を受けられるということになるわけですね。
もう一方で、こちらの方が経済的には厳しい人が多いわけですけれども、民間賃貸住宅で暮らされている方への支援ということでいえば、住宅確保給付金は本当にこれは様々な要件があって、本当にせっぱ詰まったときしか受けられない。
一方、国交省が公営住宅入居基準を満たす人向けにつくったセーフティーネット住宅の家賃低廉化というのがあるんですけれども、二〇一七年に始まりましたけれども、これはもう七年たつわけですけれども、直近のデータでいうと、全国で使われているのは約五百戸しかないんですね。予算でいえば七千数百万円しか執行されていない。これは、自治体が手を挙げない、大家さんも手を挙げないということで、民間賃貸住宅で本当に生活に厳しい思いをしながら暮らしている方への支援が乏しいというのが今の状況で、年金生活になって蓄えもなくなって生活保護、こういうことになっていると思うんです。
こういうことでいえば、私は、日本の住宅政策の力点を、やはり持家支援偏重から、本当にもっと低所得者で、民間賃貸住宅で苦労されている方々への支援にシフトしなきゃいけないんじゃないかと思っているんですけれども、この点、五人の参考人の皆様の御見解をお伺いしたいと思います。
○奥田参考人 先生がおっしゃるとおりで、私は、持家を進めてきた、これは悪いことではありませんし、今後もそれは当然あっていくとは思うんですが、やはり今、持家が持てない人が相当数出てきている。
実際、持家率も減ってきていますし、若者においては持家という文化が多分もうなくなっていく。一ところにずっと住む、世代を超えて住むということもなくなっていく。その中で、やはり住宅政策を大きく変えないといけない。
その中には、例えば今先生がおっしゃった住宅セーフティーネットの家賃低廉化、なかなか使われないですよね。専用住宅のみに限った政策ですけれども、やはり自治体負担が五〇%ありますので、これはなかなか手を挙げる自治体がない。一方で、セーフティーネット住宅の改修補助に関しては、国庫、国の負担のみでもできるという、これは二重になっているんですね。だから、家賃低廉化のことがやはり国単独で使えるようになれば大分違う。
この委員会の課題ではないでしょうけれども、セーフティーネット法は、今度、厚労省との実質共管になると思いますので、その点、是非、厚労省サイドからも働きかけていただきたいと思います。
○佐保参考人 御質問ありがとうございます。
持家とそれから賃貸住宅等のアンバランスという御指摘でございましたが、生活困窮者、お困りの方の住宅手当がないのは連合としても問題視をしております。誰もが住居を確保し、安心して暮らせるよう、住居や生活に困っている人のそれぞれのニーズに応じた家賃補助と現物サービスとの組合せによる居住支援の仕組みの創設が必要と考えております。こうした仕組みが結果としてアンバランスの是正につながるんじゃないか、そういうふうに思っております。
以上です。
○原田参考人 御質問ありがとうございます。
まず、持家が、ある程度の所得のある人に対する補助になっていて、貸家の方が、ある程度の所得のない人への補助がむしろ不十分だ、そういうお話だと思います。
まず最初に、何で持家に支援しているかというと、私は、それが社会の安定にもなるからじゃないかということだと思います。それは自民党にとって都合のいい社会の安定だということだとすれば、それはしようがないんですけれども、私は、社会の安定のために非常に重要なことではないかというように思います。アメリカでもかなり持家に対する補助というのは行われております。
それからもう一つは、貸家をどうするかということなんですけれども、私はベーシックインカム論者でありますので、要するに、特定のものにするのではなくて、所得補助をすればいいのではないかというように考えております。
それから、公営住宅でやるというと、それはアメリカでもヨーロッパでもですけれども、特定の所得の人だけが集まる、そういう町をつくるということになりますので、それが本当にいいことなのかどうかという問題があると思います。欧米のそういうところを見ると、私はどうもそううまくいっているようには思えない。ですから、個別に補助をすれば、それはいろいろなところに住みますので、私は公営住宅よりもそちらの方がいいのではないかというように思います。
○生水参考人 私も先生の御指摘のとおりだと思います。
あわせて、賃貸住宅においては身寄り問題への対処が必要となるのも、先ほど奥田参考人からの話のあったとおりです。保証人どころか、緊急連絡先がない方はアパートを借りるのもままならないので、身寄りのない方を含めた見守り支援体制が整うと併せて、緊急連絡先、こちらを見守り支援の団体が担うということによって入居時のハードルも下がるだろうし、ここを併せて賃貸住宅の中では御検討いただければと思います。
以上です。
○坂庭参考人 質問ありがとうございます。
持家社会が戦後一貫してつくられてきたわけですよね。しかし、今、御承知のように、持家そのものが非常に大きな曲がり角といいますか、持家を持ちたくても持てない層が、特に青年層、若年層を中心にして広がっている。東京では億ションが次から次へと建てられている。率直に言いますと、日本の住宅政策は、放任主義といいますか、市場に委ね過ぎてしまっているというのがずっと続いてきて、その象徴がやはり持家だったと思うんですね。
しかし、国会の議論を聞いてみましても、持家政策から賃貸住宅政策に転換すべきだと。自民党の中でも、賃貸住宅の議員連盟ですかね、できているぐらいですから、やはり大きく変えていく必要があると思うんですよね。もちろん、持家を持ってはいけないということにはならないので、持家を持つ人たちに対する一定の支援は必要なんですが、大きくかじを切る必要があると思うんです。
それで、日本の公営住宅は、御承知のように、三・六%ぐらいしかないわけですよね。欧米は、大体ヨーロッパ諸国は二〇%から三〇%あるわけですね。この公営住宅が民間賃貸住宅の家賃の一定の抑制力になっているわけですよね。ヨーロッパ諸国は民間賃貸住宅というのは余り多くはないんですけれども、一定水準のものを、公営住宅に引きずられながら、一定の家賃の低廉化とその水準が保たれている。日本の公営住宅は、もう全部、最低居住水準未満を超えているわけですよね。民間賃貸住宅とちょっと違うのは、住宅の水準そのものが保たれている。これは国と自治体の政策の成果ですよね。
ですので、今のこの状況を変えるためには、賃貸住宅政策への転換と同時に、公営住宅政策、それをどうするのかということが今問われていると思うんです、公営住宅の空き家もいっぱいありますけれども。是非、公営住宅政策の、私たちは復権といいますか再建を今、公営住宅研究会をつくって、先生方と一緒にやっています。
もう一つは家賃問題ですよね。それで、家賃の低廉化措置と、それから生活保護の住宅扶助費と、そして住居確保給付金という、それぞればらばらにやられているわけですよね。これは面倒くさいんですよね、率直に言って、受給する側からすれば。様々な制約があって、なかなか家賃補助といいますか、その制度に到達できないという人が広範におられるわけですよね。
したがって、先ほども言いましたように、家賃補助制度を本格的にやはり追求すべきだというふうに思うんです。欧米諸国は、御存じのように、大体公営住宅はつくってしまいましたので、大体みんな家賃補助、住宅手当政策に移行しているわけですよね。ということなので、是非、日本は先進国でありますので、欧米に負けないような、そういう政策を追求をしていただきたいというふうに思います。
以上です。
○宮本(徹)委員 ありがとうございます。
奥田参考人にお伺いいたします。
先ほどの質疑のやり取りの中で、ホームレスの皆さんへの支援を通じて、立ち上がる、立ち直っていく、この上で、経済的支援は前提だけれども、それと同時に、最後は人なんだ、人のつながりなんだというお話がありました。
そういう点では、その人のつながりというところの支援ということで、これから行政がどういうことをやっていかなきゃいけないのかということについて御見識をお伺いできればと思います。
○奥田参考人 正直申し上げまして、非常に難しい問題だと思います。
例えば、福祉的アプローチとか支援という言葉になると、やはり多分福祉専門職のイメージが皆さん湧いておられると思うんですね。そうなると、専門職がいつまでやるんですか、例えば、居住支援がロングスパンで、入居から死後事務までだと言われたら、そんなことをずっと面倒を見る支援員というのは何百万人要るんですかみたいな話になるんですね。
しかし、私が問題にしているのは、実は、その専門職の手前のところにいた家族や地域というところが抜け落ちましたよと。
だから、家族の機能というのは、気づき、日頃から一緒にいるから気づける、気づけるからこそ専門職につなげるという、ここのところを直接国が制度としてやっていくのか、お金を出してやっていくのか。しかし、そうではなくて、例えば、そこをコーディネートするような仕組みをつくって、やはり地域共生社会という中でやっていくのか。
地域の最小単位は従来家族でありました。家族の集積が地域と呼ばれていたんですけれども、その家族の最小単位が脆弱化しているということを前提とした議論が地域共生社会という議論だった。だから、家族ありきの議論ではなくて、私の言い方で言うと、地域そのものがなんちゃって家族みたいになっていく、その仕組みをつくるためのバックアップを僕は国とか行政がもう少しやった方がいいんじゃないかと。
今は専門職を、専門職制度を一生懸命国がつくっているけれども、そこが使えなくなりますよというのが今日の私の結論でありまして、その手前のところ、例えば老健局の事業でいうと、介護保険事業は大事ですけれども、地域支援事業あたりをこれからどうしていくのかという、手前のところをもう少し拡充しないと、介護まで至ったら何とかしますというのでは、介護認定を受けたら一気に介護三から始まるというような方が多分増えていく。もう少し手前のところを、どう地域をつくるか。
地域づくりの事業が重層でも位置づけられましたけれども、多分、そういう発想が地域共生社会という手前の部分ですね。ここのところは、やはり国が全部やるというわけには当然いかないと思います。
○宮本(徹)委員 ありがとうございます。
生水参考人にお伺いしたいと思います。
自治体の現場で、生活保護の相談なんかもたくさん乗ってきたかと思うんです。先ほど、捕捉率が大変低いということも指摘されていましたけれども、生活保護制度、改善すべき点について、たくさんあると思いますけれども、是非感じている問題点をお伺いできればと思います。
○新谷委員長 生水参考人、お願いいたします。簡潔にお願いいたします。
○生水参考人 ありがとうございます。
生活保護については、ずばり、利用しやすく自立しやすい制度、もうこれに尽きると思います。ですから、課題となっております扶養照会であるとか、この廃止、車の保有、オンライン申請、そして単給の可能性についても、是非とも踏み込んで具体的に検討いただきたいと思います。
以上です。
○宮本(徹)委員 ありがとうございます。
たくさん質問したいことがあったんですけれども、時間になりましたので、終わります。
○新谷委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。
今日は、参考人の皆さん、ありがとうございます。
まず、佐保参考人の方に伺いたいと思います。
先ほどお話の中で、居住支援の強化についての評価をいただきました。生活困窮の相談窓口について、住まいに関する相談支援が明確化されることは評価をするということでありました。また、住まいというのは生活、就労の基盤であるということもお話しをいただきました。
その中で、連合さんが考える、誰もが安心して暮らせる住まいの確保ということ、これについてもう少し具体的に教えていただきまして、また、それには何が必要かというのもあればお願いいたします。
○佐保参考人 御質問いただき、ありがとうございます。
全世代型社会保障構築会議の報告書や厚生労働省の介護保険の基本方針案、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の見直しに関する最終報告書でも、地域共生社会の実現に向けた住まいと生活の確保の一体的な支援の重要性、公営住宅やセーフティーネット登録住宅など、各種住宅施策の強化の必要性が強調されております。
少子高齢化の進展などにより居住支援のニーズはますます高まっており、政府の取組の一層の強化が急がれていると考えております。全ての人の生存権と尊厳ある暮らしを確保するためには、誰もが安心の住まいを確保できるよう、質の伴った住宅セーフティーネットの構築が欠かせません。そして、居住の権利を基本的人権として位置づけ、経済状況にかかわらず、誰もが安全、安心で快適に住み続けることのできる住まいを確保することが求められます。
こうしたことから、家賃補助、住宅の現物支給など、恒常的な居住保障の仕組みを検討していただくようお願いいたします。
以上です。
○田中(健)委員 ありがとうございました。
家賃補助等は、今ほかの委員からも様々な提案が出ておりましたし、また質疑でも出ておりました。是非議論を深めていきたいと思っています。
引き続きまして、奥田参考人の方に伺いたいと思います。
奥田参考人は元々、学生時代、ホームレスの支援に参加したことがきっかけということをお聞きをいたしました。今回の資料によりますと、ホームレスは、当初、二〇〇三年は二万五千二百九十六人いたんですけれども、直近の調査では、二〇二三年は三千六十五人と激減したということであります。
大変に数が減ったことはいいことであるとは思うんですが、長年その事業に携わってきた経験から、これが本当に困窮者の支援につながってきたのか、また一方では、困窮者が見えづらくなっているんじゃないかといった課題等も指摘されているんですけれども、経験者の立場からお話を伺えればと思います。
○奥田参考人 ありがとうございます。
ホームレス対策は、二〇〇二年、皆さん全会派一致でホームレス自立支援法を作っていただいた、これはもう非常に大きな節目になったと思います。
あの法律と実は今回の生困法の違いは、あの法律は国の責務だと書いているんですね。今回の生困法は自治体がやると書いているんですね。ここが大きな違いで、ホームレス対策というのは国がやるんだというふうにあのとき決めたということが一つ。
ただ一方で、第二条のホームレスとは何かという日本のホームレス規定ですが、ざくっと言うと、外で寝ている人という規定だったんです。だから、外で寝ている人だけをカウントしていくというやり方でこの二十年近くやってきましたけれども、今、そこだけでは不安定居住者というのはキャッチできないというふうに思います。
ですから、ホームレスの実態調査、毎年、概数調査と、実態調査は五年ごとにやって、私も委員なんですが、あの調査で出てくるのは路上にいる人だけでありますので、あそこだけを見て、日本の困窮が解決しているというふうな判断は少し違うのではないかというふうに思っておりまして、今、不安定居住、先ほどの居住と就労が一体化した寮つき就労の問題等も含めた、もう少し大きな枠組みでこの困窮者の問題、ホームレスの問題を考えなければならないと思います。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
数が減ったからといって、解決したのではないということをお示しいただきました。まさに今、生活困窮者、ほかの委員からもありましたが、どれだけ、捕捉できているのかといえば、まだまだ、今の数から十倍という提言もありましたけれども、数かと思っていますので、大きな課題として取り組んでいきたいと思っています。
その中で、奥田委員の方から、住まいとして、無料低額宿泊所の課題と日常生活支援住宅施設、このことについてお話がありました。
ホームレスの方が無料低額宿泊所に移ったという話がある中で、その人たちが、本来は、私は、その無低の中で人々の一人一人の生活やまた就労につなげるような支援ができないかというふうに思っています。しかしながら、今、政府としましては、無低から日常生活支援住宅施設につなげて、そして支援につなげていくということかと思いますが、これについてをお聞かせいただきたい。
あわせて、住宅支援という意味では、奥田参考人の運営されているプラザ抱樸の施設の中では、その日常生活支援住宅施設と障害者のグループホームと、さらに独自で運営されている支援つき住宅という三つの事業が一つの施設で運営されているということを聞きました。これはどのようにして困窮者の人たちを住まいに、そして支援につなげ、またさらには自立につなげていくということがこのホームの中で行われているのか、それも併せて伺えればと思います。
○奥田参考人 おっしゃるとおりで、無低というのは、実は宿泊所という概念です。だから、そこには支援というものがそもそも前提になっていない法律の枠組み、法律というか社会福祉法の枠組みであるということなんですね。
ですので、今、日住、日常生活支援住居施設に来られている方々も、やはり何らか生きづらさを持っている、あるいは障害があるにもかかわらず制度につながってこなかった人たちがたくさんいます。
ですので、やはり支援つきという概念が非常に大事でありますので、無低の規制、特に、貧困ビジネスの規制をちゃんとやりながらも、じゃ、どこで受皿をつくるのかということでいうと、一つ、せっかくつくりましたから、日住ということの可能性、ここはなかなか増えないんですね。開所は勝手にやってください、開所したら委託しますという構造なので、開所自体ができないということで、イニシャルコストの問題が出てきています。
もう一つが、済みません、何でしたか。(田中(健)委員「プラザ抱樸」と呼ぶ)プラザ抱樸、これはごちゃ混ぜ型というふうに言っていますけれども、サブリースモデルはある程度成功したんですが、やはり、正直、五十五室に対して支援員二人の配置、これは非常に苦しい現状にあります。
ですので、十二階建てのビルで百十室あるんですけれども、その中に、障害グループホームがツーユニット、それから日住が二十室、そういうものを組み合わせる中で、厳密に言うとその制度はその制度の職員でしょうと言われる枠なんですが、実態的には、そのビルの中でお互い助け合いながら、声をかけ合いながらやっているというのが一つ。
もう一つは、やはり支援の段階がありますから、最初、例えば、刑務所からグループホームに来られて、そこから日住に行かれて、日住から支援つき住、一番支援の薄いところへと移っていく、そういうふうな流れもつくっているということですね。だから、必ずしもそこに入ったらずっと永住しているというイメージではなくて、どんどん地域に出していくというような形で考えています。
○田中(健)委員 無低自身も今や大半が高齢者ということで、介護施設のついの住みかとも言われるような現状でありますので、やはりここも改善をし、そして今、日住の課題も提案をいただきましたけれども、これをどのように広げていくかということを私もこれから議論していきたいと思っています。
さらに、相談事業についてもお伺いします。これは奥田参考人と生水参考人に伺いたいと思います。
相談事業について、奥田参考人は、困窮者支援においては相談が肝だということで、給付ではなく相談とコーディネートを駆使する、人と人を支える仕組みだということを言っていました。しかし、コロナ禍において、これが、給付ないしは貸付けということが相談員の方で行われたということで、大変想定外の支援になってしまったということを指摘をされています。
これについて、重なり合う支援というキーワードや、また基準の段階化というキーワードをいただいておりますけれども、これについてもお示しいただければと思っているのと、また、生水参考人としては、実際、相談員支援をしていて、今までの相談から、コロナにおいて給付や貸付けということにまでこの相談員の仕事が及んだこと、現場の声として何かあればお示しいただければと思います。
○奥田参考人 コロナにおいてきつかったのは、相談だけではやはり手が届かなかったということです。住居確保給付金と社協さんが担ってくださった貸付金、これがなければ多分こういう事態になっていないですね。生活困窮の窓口だけではなかなか難しかった。
結局、生活困窮者自立支援制度というのは、給付を中心としないというところが一つの特徴でありましたが、そこが弱点でもありました。ですので、そこを生活保護でカバーしていくのか。
例えば、審議会でよく議論があったのは、住宅扶助だけの外出し、前出しというのはできないのかという議論もありました。けれども、これはこれでまた憲法上の問題とか等々指摘される先生もおられまして、そうなると、生活困窮者支援法の中に給付の制度をどんどんつくっていくのではなくて、ちょっと別に、第三の、生活保護の手前の給付、それは住宅扶助なのかもしれませんし、その他の給付かもしれませんけれども。
結局、コロナで明らかになったのは、何らかの保護の手前の給付がなければ非常に難しかったというのは事実です。
○生水参考人 私は、生活困窮者自立支援制度というのは、単体だけで何かを成し遂げるのではなくて、ほかの制度と一緒に動いて、寄り添って、そこで成果、効果が出てくるものだと思っております。特例貸付けにおいては私もこれは必要だったと思うし、これがなくては命を閉ざされてしまう方もやはり多かったと思います。
特例貸付けの返済免除というのがあります。死亡による返済免除において、滋賀県の社会福祉協議会が令和五年三月末時点で集計をされた中で、死亡免除申請九十三件のうち、自殺による死亡が少なくとも十三件あったということです。これは添付された死亡診断書から確認されたということですが、中には、十二月二十八日に低体温、低栄養のため死亡という診断書があって、担当者は、悲惨な状況に、つらくてたまらなかったということです。
だからこそ、この特例貸付けというのは、生活困窮状態にある方を発見してその方にアプローチする大切な手段でもありますので、こういう方々とつながるということで、社会福祉協議会と困窮制度が密になって一緒に動いていく、だから、そうした連携の仕組みをしっかり築き上げていくということが非常に重要だと思います。
以上です。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
最後に、再度、奥田参考人に伺いたいと思うんですけれども、支援の在り方ということで、パーソナルサポートサービスという議論が厚労省でも、また専門家でも続いてきましたが、奥田参考人は、パーソナルサポートパーソンだということを提言をされておることを学ばせていただきました。
障害や高齢者の分野というのは個人で今サポートや支援ができておりますけれども、どうしても生活困窮者ないしは生活保護は世帯単位だということで、世帯から個人へということで、パーソナルに支援をしていく、さらにこれを伴走型で行っていく、また、重層的に、重ね合う支援で行っていくということを提言されております。
パーソナルサポートパーソンについて、先ほど家族機能の社会化と併せての議論かと思うんですけれども、御説明をいただければと思います。
○奥田参考人 ありがとうございます。いろいろ書いたものを読んでいただいているみたいで、ありがとうございます。
パーソナルサポートサービスという言い方で言うと、やはり、制度の足し算、制度で対応していこうということになります。そうなると、どうしても厚労省施策自体が属性ごとの縦割りになっているとよく言われますけれども、私たちはちょっと、これは悪口じゃないんですけれども、者別と言います。障害者、高齢者、ホームレス者、刑務所出所者、者別。そうではなくて、その人の中に様々な問題が複合的に存在しているわけですから、それはパーソナルにまずその人の、一人の人として見ようというのがパーソナルサポートでありまして、その見る人、その人自体と向かい合う人が必要だということで、パーソン、パーソナルにサポートをしていくパーソン、そういうふうな人が必要なんだということを当時強調していました。
もう一つ、ワンストップサービスということがパーソナルサポートサービスのときに非常によく言われましたが、私はちょっと、ワンストップサービスには少し距離を置いていました。
というのは、ワンストップは、非常に合理的で便利なんですけれども、ワンチャンスになりかねないんですね。総合的な窓口をつくるということは大事なんですが、それは幾つもつくれないので、それよりかは、専門性が高い種々の窓口がいかにバックドアでつながっていくか、そこが一つのステージの中に存在しているという意識をどう持たすかというのが勝負だというふうに考えておりまして、その後に、ちょうど困窮の法律ができたその年に、地域共生社会、新しい福祉モデルに関しての文書が出ましたので、ああ、まさにこれだというふうに思ったのを思い出しました。
ありがとうございます。
○田中(健)委員 参考人の皆さん、ありがとうございました。
時間となりました。終わらせていただきます。
○新谷委員長 次に、福島伸享君。
○福島委員 無所属で、四人で有志の会という会派を組んでおります福島伸享でございます。
本日は、五人の参考人の先生方、貴重な話をありがとうございます。
まず、奥田参考人にお聞きをしたいんですけれども、この資料にも書いてありますけれども、一時生活支援事業をホームレスと捉え、対象者がいないを理由にして事業を実施していない自治体が存在と。主にこれは、結構、農村部とかが多いと思うんですね。私の選挙区も農村部があって、ホームレスという形の、都会で見るような形じゃないんですけれども、実際には農家の物置の二階に暮らしていたりとか、そういう事例は私も地域を歩いていると見るんですけれども。
先ほど来、そうしたところにリーチが届いていないという話がありましたけれども、具体的にこれはどのようなケースがあるのか。支援が必要な、家というか、取りあえず住んでいるところはあるんだけれども、ホームレスではないけれどもハウスレスというような、どういう具体的な方をいうのか、その事例を教えていただければと思います。
○奥田参考人 多分、おっしゃったことは逆ですかね。ハウスレスではないけれども、家はあるけれどもホームレス状態であるということでしょうか。(福島委員「いやいや、ホームレスの定義には該当しないけれども」と呼ぶ)ああ、しないけれども。
というのは、今年、調査事業を厚労省さんとの間でやっていまして、実は、ホームレスは、ホームレス実態調査というのはしていました。けれども、一方で、生活保護の窓口に来られた方で実際住居がないという方が相当数いるということが前々から指摘されていましたので、それは今一斉に調査をかけていまして、例えば、ホームレス人数の実態調査ではこの地域はゼロ人です、あるいは二人ですというところが、生活保護の窓口に家がないという方が例えば何十人も来ているという実態が今明らかになりつつあるんですね。
そうなると、従来のホームレスの概念でいうと、まさに駅とか道路で寝ている人だったんですけれども、実は、ホームレスになる前にあなたはどこにいましたかという調査では、一番多いのは友達の家なんです。これだけ孤立、孤独と言っていても、最後救ってくれたのは実は友達だったというのが分かって、ちょっとほっとした。けれども、友達、大変だろうな、そんなことをやっていたら大変だろうなと。
だから、やはりそこのところは見えない部分でありまして、ホームレス調査にはひっかからない住居なし者が生活保護の窓口や困窮の窓口にも行っているということはあると思います。
○福島委員 ありがとうございます。
もう一点、居住支援の関係なんですけれども、先ほど、無料低額宿泊所の問題がありました。坂庭委員にお聞きをしたいんですけれども、私の地元にも無料低額宿泊所というのが結構出ておりまして、住民の反対運動などが起きているところもあるんですけれども、その多くが、東京のNPOが下町からやってきて、そのまま人を都会から連れてきてそこに住まわすという、いわゆる貧困ビジネスの一種だと思うんですけれども、こうした、都会から全然身寄りのない土地に連れてきて、一つのかつての会社の寮などを使ってそこに置く、こうした形態というのは望ましいと思うのか。
私は、厳格に、届出だけじゃなくて、もっと厳しい規制を入れてもいいんじゃないかと思うんですけれども、その点についての御認識をお伺いしたいと思います。
○坂庭参考人 質問ありがとうございます。
今の話は、囲い込み屋というのが、最近は、追い出し屋だけじゃなくて、追い出し屋は家賃債務保証会社その他が家賃を滞納したら追い出すんですけれども、逆に、今は、今おっしゃられた郊外の空いているアパートに囲い込んで生活保護費からピンはねして貧困ビジネスをしているという、これはもうかなりきちっと取り締まらないといけないと思うんですよね。
同時に、そういうものがばっこする背景には、やはり必要な無料低額宿泊所、誰もが安心して宿泊できるようなそういう施設が圧倒的に不足しているんですよね。特に東京ではそうであります。
ですから、これはちょっと、抜本的に、無料低額宿泊所の在り方そのものを含めて、特に大都市でそれをきちっと確保する必要があるというふうに思います。
以上です。
○福島委員 ありがとうございます。そこが実態なんだと思います。
今日ずっと参考人の質疑を聞いておりまして、住宅政策としてだと国交省になるし、福祉政策とすると厚労省になるし、今うまく二省は連携しようとしてやっているんでしょうけれども、やはりそこには制度の穴とかあるいは法律の穴というのがあるんじゃないかなと思います。
もう一度、奥田参考人、恐縮なんですけれども、ここで仮に生困法を受皿とするならば第三条、定義の見直しが今後必要というのになっているんですけれども、生困法第三条の定義だと具体的に何が欠けていて、どうしたものを入れるべきだとお考えになっているのか、その点をお聞かせいただければと思います。
○奥田参考人 この第三条のところは、前書きで、就労の状況、心身の状況、地域の云々というのが現行法ではあるんですが、その受けの言葉は、現に経済的に困窮し、最低限の生活を維持することができなくなるおそれのある者。法律上、おそれのある者という言葉が出てくるというのは非常に私はよかったな、いろいろな人、おそれていますからよかったなと思うんですが、やはり中心になるのは、現に経済的に困窮しているという。ただ、この法律のみそは、経済困窮というのを何をもって証明しているかというのは不明確ではあるんですね。
ですけれども、ただ、こうなると、私が一番心配しているのは、居住問題でこれから一番大きな問題になる一つのターゲット層は、高齢単身者なんです。高齢単身者の場合は、基礎年金だけで暮らしておられる方も当然おられます。おられますけれども、一方で、お金にはそう不自由はしていないけれども、身寄り、頼りがないというところで住まいが借りられない、こういう方々は、現に経済的に困窮しに入るのかどうか。
実際、厚労省さんともいろいろな議論をする中で、やはり現状においては少し難しいなというような感触も得ていましたので、本当に居住支援という枠組みで生困法を使っていくのならば、やはり、三条自体の考え方、あるいは言葉を付加するということをせざるを得ないのかなと思います。
あと、時間軸の問題は大きいです。
○福島委員 貴重な御示唆、ありがとうございます。
でも、恐らく、経済的な困窮を外すと、じゃ、それは福祉なのかという話になって、また厚生労働省か国土交通省なのかみたいな議論が起きるからこそこうした問題があると思いますので、それは立法府の役割でもありますので、どういう仕組みがいいかというのはこれから我々も議論していかなければならないと思っております。
次に、就労支援と生活改善支援の話に行くんですけれども、これを必須化せよということは、佐保参考人と生水参考人がおっしゃっております。
これまで、この委員会で田中議員の質問に対して大臣がこう答えているんですよ。支援の需要が少ない地域や支援を担う地域資源が不足している地域があることを踏まえると、全国一律の事業実施の義務化は困難と。私は逆だと思うんですね。義務をするために支援の需要が少ないというのも、先ほどの家の話もあったように、ちゃんと需要が掘り起こせていない可能性もあるわけですし、支援を担う地域資源が不足しているからこそ、それを足すためにきちんと義務化しなければならないと思うんですけれども、こうした大臣の答弁に対して、まず、佐保参考人、どう反論したらいいのか、お考えをお聞かせいただけたらと思います。
○佐保参考人 御質問ありがとうございます。
反論というわけではございませんが、全国どこに住んでもそういった支援を受けられるという仕組みづくりというのは大事でございますので、やはり必須事業化するといったことが大前提であり、その中で本当にお困りの方をアウトリーチ等でやはり見つけていく、発見していくということが大事ではないかなと思っております。
もしちっちゃな町村で単独ではできないということであれば、近隣の隣り合った市町村などと広域的に事業実施することも可能でございますので、そういったところを含めて是非必須事業化していただきたいというふうに考えております。
以上です。
○福島委員 同じことを生水委員にも聞くんですけれども、要は、これは役所がやらない言い訳によく使うことなんですね、需要がないとか能力がないとかというのは。これは私は反論しなきゃならないと思うんですけれども、どうでしょうか。いかがでしょうか。
○生水参考人 先ほどもお話をしましたが、庁内連携の要に、家計改善支援事業というのは非常に重要になります。市役所には様々公租公課の滞納があって、そこの解決に一緒に動くことによって市役所にもメリットがある、ここを市が理解をすると、この家計改善支援事業の重要性は非常に分かるし、社会参加の第一歩となる就労準備支援事業、ここの、本人の振り返る場としての重要性というのは非常に分かると思います。
是非とも、どういった実績があって、どういう効果があるかというところをお示しいただいて、これを訴えていただければと思います。是非、義務化、よろしくお願いします。
以上です。
○福島委員 あした大臣としっかり議論したいと思うんですけれども、その上でまた、生水参考人、非常に豊富な生々しい現場の事例をお伝えいただきまして、ありがとうございました。
私の知人にも生活保護の方に就労支援をしている人がいるんですけれども、その人に聞いたら、やはりこれは非常に難しい問題もあると。生活保護の方と生活困窮者では全く事情が違って、なかなか、生活保護の人が、特に精神障害を持ったような人が、就労意欲を持って、能力を持って安定した職業に就くというのはすごく難しいし、支援機関側としてもなかなかそれをやるのが難しいんだというお話を聞くんですね。
先ほど、事例で、経営者の方が自己破産して生活保護になって立ち直った方、お聞きしましたけれども、この人は恐らく健常で、恐らく金銭的なことが事情だから、しっかりとリスキリングをすれば新しい仕事が見つかると思うんですけれども、そうじゃない、精神障害を負ったような人、学歴は高い人もいるんですよ、こうした人は。でも、どうも会社の中では、ずっと人の中に入って働くことができないとかという人がいて、その人を就労支援をやってもう一度自立を促していくというのはかなり難しいという話を聞くんですけれども、その辺りの実態について、知っているところがあったら、教えていただけないでしょうか。
○生水参考人 一般就労というよりも、多様な働き方ができるそうした社会をつくっていくことが大事だろうと思っております。
事例を紹介しますと、大学を卒業後、就職に失敗されて、その後八年間引きこもりになられた男性の方がおられまして、親からの勧めで相談窓口につながってこられました。就労準備支援の方に半年参加いただいて、その後、野洲市が実施する学習支援の方にボランティアで来てくださったんです。そうすると、そのきっかけで、子供たちに勉強を教えるという自信の回復につながりましてパート勤務になったんですが、彼が言われたのが、就労準備は自分を見詰め直す大切な振り返りの場だった、人を通して自分を見ることができたとおっしゃっていました。
こうした、社会に何らかの形で関わっていくという場をつくっていく、そういった大切さを是非とも訴えていただければと思います。
以上です。
○福島委員 ありがとうございます。
支援事業だけじゃなくて、働く場の問題でもあるということは、かつて民主党が、居場所と出番がある社会というのを京都市長になった松井孝治さんがおっしゃっていましたけれども、まさにこの居場所、出番をつくるということも両方でやらなきゃならないんだということを理解いたしました。ありがとうございます。そうした議論もしていきたいと思います。
最後に、原田参考人に、しばらく当たっていなかったので。私の大学の学科の尊敬する先輩でありまして、本日はどうもありがとうございます。
確かに、私は、理論的に、非常に、ベーシックインカムとかそうしたものはいいと思うんですね。ただ、じゃ、具体的に政治の場でこれをどう導入していくかというと、年金を税を財源としてやるとか、いろいろな議論、かつての民主党政権でもありました。これを導入していくときのある程度の経過措置というのが要ると思うんです。今、生身の人たちが今この制度を受給している、この制度の適用を受けているという中で、ベーシックインカムにいきなりは行けないと思うんです。仮に移行するとしてもちょっとずつ、今生まれた人からベーシックインカムにしましょうといったら、この人が大人になって受給するまで何十年もかかるわけですね。
ベーシックインカムなり、税による社会保障というものを導入するに当たって、どういう順番でやっていけばうまくいくのか、あるいは、それをやることに伴う問題点というのはあるのか、その辺りについて言及いただけませんでしょうか。
○原田参考人 どうも御質問ありがとうございます。
まず、ベーシックインカムで、私は、ユニバーサルベーシックインカム、つまり全ての人にということを考えているわけですけれども、例えば、子供ベーシックインカムという考え方もあり得ると思うんですね。そうすれば、シングルマザーの貧困というのをかなり救うことができて、それから少子化対策にもなるということです。
子供に全て与えると、じゃ、お金持ちはどうするんだという話になると思いますけれども、普通はベーシックインカムからは税金を取らないんですけれども、子供ベーシックインカムは、所得の高い人からは所得に入れて税金を取れば、不公平だとかそういう問題も解消できると思います。
それから、高齢者の問題ですけれども、現在でももう年金に税金がいっぱい入っているわけですね。ですから、基礎年金部分についてはもう既に半分税金が入っているわけですから、少しずつ移行するとしても、要するに、半分は返さなきゃいけない。半分は税金で、だから三万円ちょっとぐらいですね、それは納めた人には返さなきゃいけない。だけれども、残りは返さなくてもいいわけですね、だって税金が入っているわけですから。だから、そういうふうに考えれば、それが何十年もではなくて、十年とか二十年ぐらいの話で移行できるのではないかというように思います。
○福島委員 ありがとうございました。
時間が過ぎておりますので、以上にさせていただきます。どうもありがとうございます。
○新谷委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
参考人の方々におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十六分散会