第6号 令和6年3月27日(水曜日)
令和六年三月二十七日(水曜日)午後一時二分開議
出席委員
委員長 新谷 正義君
理事 大岡 敏孝君 理事 大串 正樹君
理事 橋本 岳君 理事 三谷 英弘君
理事 井坂 信彦君 理事 中島 克仁君
理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君
秋葉 賢也君 畦元 将吾君
上田 英俊君 勝目 康君
金子 容三君 川崎ひでと君
塩崎 彰久君 鈴木 英敬君
田所 嘉徳君 田畑 裕明君
田村 憲久君 高階恵美子君
中谷 真一君 仁木 博文君
西野 太亮君 堀内 詔子君
本田 太郎君 三ッ林裕巳君
柳本 顕君 山口 晋君
山本 左近君 吉田 真次君
阿部 知子君 伊藤 俊輔君
大西 健介君 堤 かなめ君
西村智奈美君 山井 和則君
柚木 道義君 吉田 統彦君
早稲田ゆき君 赤木 正幸君
一谷勇一郎君 遠藤 良太君
岬 麻紀君 福重 隆浩君
吉田久美子君 宮本 徹君
田中 健君 福島 伸享君
…………………………………
厚生労働大臣 武見 敬三君
厚生労働副大臣 宮崎 政久君
厚生労働大臣政務官 塩崎 彰久君
厚生労働大臣政務官 三浦 靖君
国土交通大臣政務官 石橋林太郎君
政府参考人
(厚生労働省医政局長) 浅沼 一成君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局長) 大坪 寛子君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 朝川 知昭君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 伊原 和人君
政府参考人
(厚生労働省政策統括官) 鹿沼 均君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 宿本 尚吾君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
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委員の異動
三月二十七日
辞任 補欠選任
金子 容三君 山口 晋君
大西 健介君 伊藤 俊輔君
一谷勇一郎君 赤木 正幸君
同日
辞任 補欠選任
山口 晋君 西野 太亮君
伊藤 俊輔君 大西 健介君
赤木 正幸君 一谷勇一郎君
同日
辞任 補欠選任
西野 太亮君 金子 容三君
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三月二十七日
介護保険制度の改善、介護従事者の処遇改善を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第六七六号)
高齢者の命・健康・人権を脅かす七十五歳以上医療費窓口負担二割の中止に関する請願(宮本徹君紹介)(第六七七号)
最低賃金全国一律制度への法改正を求めることに関する請願(菊田真紀子君紹介)(第六七八号)
同(落合貴之君紹介)(第八一〇号)
安全・安心の医療・介護の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願(菊田真紀子君紹介)(第六七九号)
同(森山浩行君紹介)(第六八〇号)
同(谷田川元君紹介)(第六八一号)
同(渡辺創君紹介)(第六八二号)
同(福島伸享君紹介)(第七一二号)
同(藤丸敏君紹介)(第七一三号)
同(堤かなめ君紹介)(第七八四号)
同(野間健君紹介)(第八一一号)
福祉職員の最低賃金を千五百円以上にして、職員配置基準を引き上げることに関する請願(菊田真紀子君紹介)(第六八三号)
同(篠原豪君紹介)(第六八四号)
同(渡辺創君紹介)(第六八五号)
同(篠原孝君紹介)(第七一四号)
同(たがや亮君紹介)(第七一五号)
同(大河原まさこ君紹介)(第七八五号)
同(鎌田さゆり君紹介)(第七八六号)
同(青柳陽一郎君紹介)(第八一二号)
同(井坂信彦君紹介)(第八一三号)
同(源馬謙太郎君紹介)(第八一四号)
お金の心配なく、国の責任で安心して暮らせる社会とするための社会保障制度の拡充に関する請願(志位和夫君紹介)(第七〇九号)
軍事費の拡大ではなく社会保障の拡充を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第七一〇号)
高過ぎる国民健康保険料の引下げへ抜本的改善を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第七一一号)
国民を腎疾患から守る総合対策の早期確立に関する請願(青山大人君紹介)(第七四四号)
同(浅野哲君紹介)(第七四五号)
同(東国幹君紹介)(第七四六号)
同(石破茂君紹介)(第七四七号)
同(小熊慎司君紹介)(第七四八号)
同(岡田克也君紹介)(第七四九号)
同(金子恭之君紹介)(第七五〇号)
同(鎌田さゆり君紹介)(第七五一号)
同(吉良州司君紹介)(第七五二号)
同(菊田真紀子君紹介)(第七五三号)
同(北神圭朗君紹介)(第七五四号)
同(佐藤茂樹君紹介)(第七五五号)
同(斎藤洋明君紹介)(第七五六号)
同(櫻井周君紹介)(第七五七号)
同(重徳和彦君紹介)(第七五八号)
同(鈴木淳司君紹介)(第七五九号)
同(田嶋要君紹介)(第七六〇号)
同(高鳥修一君紹介)(第七六一号)
同(冨樫博之君紹介)(第七六二号)
同(土井亨君紹介)(第七六三号)
同(中川宏昌君紹介)(第七六四号)
同(中川正春君紹介)(第七六五号)
同(中島克仁君紹介)(第七六六号)
同(中曽根康隆君紹介)(第七六七号)
同(中野洋昌君紹介)(第七六八号)
同(西岡秀子君紹介)(第七六九号)
同(西野太亮君紹介)(第七七〇号)
同(西村明宏君紹介)(第七七一号)
同(西村智奈美君紹介)(第七七二号)
同(古川元久君紹介)(第七七三号)
同(古川禎久君紹介)(第七七四号)
同(堀内詔子君紹介)(第七七五号)
同(馬淵澄夫君紹介)(第七七六号)
同(宮本徹君紹介)(第七七七号)
同(保岡宏武君紹介)(第七七八号)
同(山田賢司君紹介)(第七七九号)
同(山本有二君紹介)(第七八〇号)
同(米山隆一君紹介)(第七八一号)
同(若林健太君紹介)(第七八二号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第八一五号)
同(井野俊郎君紹介)(第八一六号)
同(伊藤渉君紹介)(第八一七号)
同(石川香織君紹介)(第八一八号)
同(大口善徳君紹介)(第八一九号)
同(金子恵美君紹介)(第八二〇号)
同(金田勝年君紹介)(第八二一号)
同(菅家一郎君紹介)(第八二二号)
同(城内実君紹介)(第八二三号)
同(熊田裕通君紹介)(第八二四号)
同(源馬謙太郎君紹介)(第八二五号)
同(小林茂樹君紹介)(第八二六号)
同(志位和夫君紹介)(第八二七号)
同(階猛君紹介)(第八二八号)
同(田所嘉徳君紹介)(第八二九号)
同(谷川とむ君紹介)(第八三〇号)
同(寺田学君紹介)(第八三一号)
同(長友慎治君紹介)(第八三二号)
同(西村康稔君紹介)(第八三三号)
同(野間健君紹介)(第八三四号)
同(葉梨康弘君紹介)(第八三五号)
同(藤岡隆雄君紹介)(第八三六号)
同(藤丸敏君紹介)(第八三七号)
同(三ッ林裕巳君紹介)(第八三八号)
同(宮下一郎君紹介)(第八三九号)
同(森山裕君紹介)(第八四〇号)
同(山口壯君紹介)(第八四一号)
同(吉野正芳君紹介)(第八四二号)
同(渡辺周君紹介)(第八四三号)
パーキンソン病治療研究支援及び医療制度等の改善に関する請願(中川正春君紹介)(第七八三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)
厚生労働関係の基本施策に関する件
令和六年能登半島地震災害に係る住宅再建支援等給付金に係る差押禁止等に関する法律案起草の件
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○新谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医政局長浅沼一成君、健康・生活衛生局長大坪寛子君、社会・援護局長朝川知昭君、保険局長伊原和人君、政策統括官鹿沼均君、国土交通省大臣官房審議官宿本尚吾君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○新谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西村智奈美君。
○西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
法案審議に先立ちまして、機能性表示食品の問題について大臣に伺いたいと思います。大変衝撃的でありましたけれども、小林製薬の紅こうじ関連商品によって大変大きな健康被害が生じているということでございます。
そもそも、機能性表示食品は、事業者の責任において、科学的根拠に基づいて特定の保健の目的が期待できる旨を表示することができる制度ということでして、消費者庁に届け出ることで表示ができるわけです。
今回の問題は、機能性表示食品としては初めての健康被害の報告と、また自主回収となったということでありますけれども、今後、機能性表示食品の制度の在り方については、私たち、厳しく問うていかなければいけないというふうに考えております。
厚労大臣は、企業、会社の方から報告がしばらくなかったということで、遺憾に思っているというふうにおっしゃっておられましたけれども、であるとすれば、やはり原因究明、これが今何といっても一番重要なことだというふうに考えております。厚生労働省として今後どういうふうにこの原因究明に取り組んでいくのか、伺いたいと思います。
○武見国務大臣 今回の事案につきましては、現在、小林製薬において原因究明における調査を行っているほか、大阪市が小林製薬に対して、健康被害の原因究明のための調査を行っていると承知をしております。
一方で、小林製薬が事案を把握してから厚生労働省への報告までに二か月程度時間を要したことについては、誠に遺憾であったと思います。
厚生労働省は、昨日、死亡事例があるとの小林製薬の発表の報道に接したために、小林製薬から急遽ヒアリングを行いました。聴取した内容等を踏まえて、同日中に、当該事業者が取り扱う三商品について、食品衛生法第六条第二号に該当するものとして取り扱い、食品衛生法第五十九条に基づく廃棄命令等の措置を講ずるよう大阪市に通知して、適切な対応を指導したところでございます。
さらに、本日、消費者庁、農林水産省等と関係省庁連絡会議を開催し、情報共有、集約を行うこととしております。
引き続き、大阪市と緊密に連携をしながら、原因の究明、さらに、適切な自主回収の実施などの健康被害の拡大防止と本事案の原因究明に全力を挙げてまいりたいと思います。
その上で、今現在まさに事態が動いておりまして、その詳細については、担当の健康局長の方から説明させていただければ、より確実に説明できます。
○西村(智)委員 私は、今まさに事態が動いているからこそ、厚生労働省が原因究明のまさに主体となってやっていくべきではないか。企業内でも原因究明をしているというふうに報道はされておりますけれども、いまだにこれといった原因物質の特定には至っていないということですので、情報収集だけでいいというふうには私は思いませんので、是非、厚労省には積極的な取組をお願いしたいと思っております。
あわせてなんですけれども、この機能性表示食品の安全性について、食品衛生の観点から厚生労働省として何か取り組んでいくべきではないか、検討すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 食品衛生法において、有毒若しくは有害な物質が含まれる食品の販売を禁止することができるという、第六条の規制等が設けられております。これは厚生労働省で所轄している法律であります。
機能性食品においても、他の食品と同様の規制の対象となっておりまして、食品の輸入、販売等を行う事業者がその遵守状況を確認する責務を負っているほか、国や自治体による監視指導を通じ、食品の安全の確保を図っているところでございます。
ただし、今回の事案を通じて、改めて、現状の規制の在り方というものについても、私は再検討する必要性があるだろう、こう考えております。
○西村(智)委員 非常に前向きな答弁をいただいて、ありがとうございます。
今日は消費者庁の方はお呼びしていないんですけれども、やはり今後徹底した慎重な議論が必要だと思っておりますので、また機会を得て質問させていただきたいと思っております。
法案の前にもう一つだけ、大臣、新たな交付金のことについて大臣のお考えをもう一回お聞かせいただけないでしょうか。
予算委員会の分科会でも、私、大臣に質問いたしました。既に閣議決定をされてしまったわけですけれども、これは、今般、高齢化が進んでいて、地域コミュニティーの再生が乗り越えるべき課題となっている能登地方の六つの市町に限って新たな交付金制度を設けるというふうに大臣はおっしゃっておられました。
先般閉会いたしました新潟県議会が、全会一致で意見書を採択しております。大臣のお目にも入っているか、届いているかというふうに思いますけれども、ここでは、新たな交付金の支援対象を地域や年齢で限定することは被災者間の分断を招きかねないとして、公平な対応を求める意見書というのを採択しております。
これを受け取って、大臣、どういうふうにお考えになりましたか。
○武見国務大臣 お尋ねの意見書は、確かに拝見をさせていただいております。
また、意見書では、新たな交付金制度の支援対象となる地域や年齢に関する要望があったと承知しておりますが、新たな交付金制度については、地域コミュニティーの再生に向けて乗り越えるべき大きくかつ複合的な課題を有するという事情、特徴、他の地域と比べて特に深刻な被害状況に鑑み、石川県とも調整の上で、今回は能登地域六市町を対象としたものでございます。
その上で、新たな交付金制度の対象となっていない被災地域についても、被災者生活再建支援金のみならず、生活福祉資金貸付けの特例措置や関係省庁の様々な支援措置が重層的に用意されておりまして、また、地域の実情に応じて、先日、復旧・復興支援本部で公表された液状化対策、これには富山、新潟も含まれておりますが、等も活用可能であることから、これらの総合的な支援策を講じることで、被災者世帯に必要な支援が行き届くように取り組んでまいりたいと思います。
○西村(智)委員 もう言葉を重ねるのは時間がかかるのでやめようと思ったんですけれども、もう一回申し上げますね。
有識者の方々も、地域や年齢で制限するというのは不公平であるというふうにおっしゃっておられます、関西大学の山崎栄一先生。それから、日弁連の災害のチームの担当であられる津久井進弁護士は、同一災害同一支援の原則であるべきだ、最初から地域や年齢で線引きすると取り残される被災者を生むというふうに言っておられて、これを申し上げるのは、私、大臣に二回目なんですけれども。
では、ちょっと改めて伺うんですが、大臣がおっしゃっているように、仮に地域コミュニティーの再生が乗り越えるべき大きな複合的な課題だとして、この交付金、本当に地域コミュニティーの再生を目的としているものなんでしょうか。家財等支援、住宅再建のためではなく家財等支援、これは最大百万円ですけれども、これは被災者の方々が、住宅を再建する地域が六市町でなくても受けることができるのではないですか。
○武見国務大臣 六市町以外にも活用できるかどうかという御質問でございますか。実際に、例えば金沢市に引っ越しをするといったような場合も、活用することは可能でございます。
○西村(智)委員 金沢市に六市町から移住する方であっても、あるいはもっと極端に言えば、県内のどこにあっても、他県に移住してもこれは可能ということですよね。私、そういうふうに確認いたしましたけれども。
そうすると、地域コミュニティーの再生という政策の目的と支援策の内容が合致しないのではないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○武見国務大臣 このような引っ越しをされるというようなケースにおける支援も含めて、事業の実施要綱において、給付金を受けた世帯については地域福祉に関する活動への積極的な参加等を促すこととしておりまして、能登地域六市町以外で住宅再建を行った世帯についても、その希望に応じて、地域の出身者として引き続き地域の活動に担い手として関わっていただくことを想定しております。
こうした扱いは、地域コミュニティーの再生交付金の目的に沿ったものと考えているところであります。
○西村(智)委員 ちょっとめちゃくちゃな理屈だと思いますよ。移住した先で地域コミュニティーの再生に当たってもらえる。
誤解のないように申し上げますと、私は、今回被災した能登地方、本当に被害は甚大だというふうに受け止めております。亡くなった方が二百四十人を超えている、また、倒壊した家屋なども新潟県や富山県あるいは福井県などと比べても何倍もあるわけですので、それは本当にひどい状況ではあるんですけれども、やはり、地域だとかによって、あるいは年齢によってこうやって支援策を分けるとよくないというふうに思うんですよ。
大臣は、今後も、例えば災害が起きた場合に、このように年齢ですとか地域によって異なる支援策を設けるおつもりなんでしょうか。大臣、いかがですか。
○武見国務大臣 仮定に基づいた将来の話については、今、私がここで申し上げることはできませんけれども、今回の事案に関しては、特にこうした能登半島における様々な事情というもの、高齢化のみならずその地域の特性等も踏まえて今回のような形での対応をさせていただいたと理解しております。
○西村(智)委員 能登地域の事情に照らしてということであれば、家財等支援で県外に転居した方にも支援が届くというのは、いささか政策目的とは違うのではないですかということを重ねて申し上げたいと思っております。
法案の方に移ります。
今回の法改正案、前進しているところも多いというふうに思っておりますが、就労準備支援事業と家計改善支援事業、これらは国庫補助率は引き上げられているというふうに思います。ですので、そのこと自体は評価をするんですけれども、やはり全国的な実施が必要だということは制度発足当時からずっと言われていた課題だというふうに思います。
必須事業化を見送った理由について伺いたいと思います。
○武見国務大臣 生活困窮者が困窮状態から脱却するために収入面と支出面の両面から生活を安定させることができるように、就労準備支援事業や家計改善支援事業の実施を推進することは重要だというふうに思っております。
その上で、この法案の検討の過程で、就労準備支援事業や家計改善支援事業の必須事業化についても議論を行いました。
支援の需要が少ない地域や支援を担う地域資源が不足している地域があることを踏まえると、まだ全国一律での事業実施の義務化ではなくて、自治体に対して事業実施上の助言であるとか、それからノウハウの提供、事業の立ち上げの参考となるような好事例の周知を行うことにより、地域の実情に合わせた事業の実施を推進することが適当というふうに考えております。
その上で、小規模の自治体が事業を実施するに当たっては、周辺自治体との広域的な実施体制を確保することが重要であると考えております。このために、令和六年度の予算案では、希望する自治体に対しては事業の広域実施に係る専門スタッフ派遣をする取組を計上しておりまして、こうした環境整備を通じて地域の実情に応じた事業の実施を進めてまいりたいと思います。
さらに、本法案におきましては、家計改善支援事業の国庫補助率については就労準備支援事業と同じ三分の二に引き上げるというほか、両事業の全国的な実施や支援の質の向上を図るための指針を公表することとしておりまして、これらの取組を通じて、家計改善支援事業や就労準備支援事業が全国で適切に実施されるように取り組んでまいりたいと思います。
○西村(智)委員 ニーズのない自治体があるかのような御答弁でしたけれども、私、そこは大臣にちょっと発想を変えていただきたいんですよ。
ニーズはあります。昨日、参考人質疑をこの場で行わせていただいて、参考人の方から具体的な事例も含めてお話をお聞かせいただきましたけれども、例えば、家計改善支援事業。本当に分かりにくいかもしれないですけれども、レシートを見て、何を頻繁に買っているか、それでその方がどういうお金の使い方をしているのかが分かる、そこから家計改善もできるし、それ以外のテーマでも、いろいろな就労支援だとかにつなげていくことができるということで、ニーズがないということは決してないんです。
逆に言うと、ニーズはあって、あるからこそこういう事業化ができているわけで、大臣、是非、事業の必須化というのを、今みたいな消極的なことをおっしゃっているんじゃなくて、次の改正のときには全部やはり必須事業化しますというふうに言っていただきたいんですけれども、どうですか。
○武見国務大臣 私ども、全く需要がないという地域があるとは思っておりませんで、ニーズに関わる、需要が少ない、そういう地域もあるということを申し上げたところであります。
また、地域によってこの取扱いについて様々に異なる意見があったということもあって、そして、結果として今回のような取扱いになったという経緯がございます。
○西村(智)委員 ちょっと納得できないですけれども、そういった声があったという話ですけれども、関わっておられる皆さんはほとんど、必須事業化を求めていらっしゃるんじゃないでしょうか。
次に、相談支援員の安定雇用と処遇の改善について伺いたいと思います。
やはり、皆さんに伺うと、賃金が低いです。特に非正規が多いんです。自治体の直轄でやっているところはまたちょっと委託先と状況が違うわけなんですけれども、例えば、性別によって、資格があるなしによって、非正規が多いところによって、やはり違うわけなんですよね。今月、事務連絡がなされて、実績などによって加算が行われることになったということで、これは評価したいと思います。
加えて、支援員の専門性等によって加算が行われるということにもなっておりますが、二割以上資格のある人がいると加算がされるということなんですけれども、支援機関によっては、ほとんどの職員が資格を持っているというところは結構あるんですよ、いろいろな資格をですね。そうすると、もうちょっと何か階段をつけるですとか、今後の国庫補助額の算定方法の見直しなどもあってしかるべきではないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 こうした人が人を支える生活困窮者自立支援制度というのにおいて、各種事業を担っていただけるこうした支援員の制度を支える基盤というもの、そして現在の支援制度の強化を図ることが非常に重要だというふうに私も考えております。
そのため、令和六年度予算案において、自立相談支援事業等の国庫補助の基準を見直しまして、支援の実施状況に応じた基準額になるよう見直すとともに、自立相談支援機関等に配置された職員の二割以上について有資格者等の良質な人材を確保している場合など、支援の質を高める取組を評価する加算を、委員御指摘のように、新設をすることとしております。
社会福祉士などの有資格者が更に配置されるようインセンティブを高めてはどうかとの御提案をいただいております。今後、新たな国庫補助基準による専門職の配置を進め、その実施状況も見ながら、引き続き、適切な支援体制を整備するように取り組んでいきたいというふうに思います。
○西村(智)委員 是非よろしくお願いしたいんですが、大臣、まず賃金の実態把握、これをまずやっていただけないでしょうか。
○武見国務大臣 私どもで今やった実態把握の結果でありますけれども、全国の自立相談支援機関に対するアンケート調査、これは令和四年度の調査でありますが、これによりますと、相談支援員等の平均収入、これは正規の雇用職員の場合は約四百五十万円、それから非正規雇用で常勤の職員の場合が約二百九十万円、それから非正規雇用で非常勤の職員の場合が二百六十万円であったという結果であります。また、雇用形態については、正規雇用と非正規雇用が約半数ずつであったというふうに承知をしております。
○西村(智)委員 それはあれですか、自治体直轄と、社協と、それから委託団体と全部ひっくるめての平均ということですか。
○武見国務大臣 これは、全国の自立相談支援機関に対するアンケート調査ということでございます。
○西村(智)委員 ひっくるめてなんですよね。委託されているところの事情、私も幾つか聞いているんですけれども、今言われた平均額のような額なんて出ていないですよね。出ていないですよ、こんなに。本当に、生活困窮者自立支援法に基づく相談に乗っている相談員の方が実はワーキングプアなんじゃないかというような、そういった懸念が非常に強いし、実際に私が伺っている話は、そういうお話は結構多いです。ですから、是非、雇用の安定、処遇の改善につながるような取組は今後ともやっていただきたい。
それともう一つ、関連なんですけれども、委託契約がどうしても公募になってしまうために単年度ごとの契約ということで、なかなか安定しないということがあります。委託先は、現在、大体何年契約になっているか。
それから、一般社団法人生活困窮者自立支援全国ネットワーク、こちらは様々な方が代表理事なども務めておりますけれども、こちらの方からは、委託期間を五年以上とすることについて政策提言がなされております。
難しいのはいろいろ分かるんですけれども、やはり、相談している人が、来年の四月からこの人の相談に引き続き乗れるかということをいろいろ考えながら相談に乗るというのも難しいと、昨日、参考人のお話でもそういうお話がありました。何とかちょっと複数年度にする方策についても検討していただけないかと思うんですが、どうでしょうか。
○武見国務大臣 現状では、各自治体の都合もあって、おおよそ一年という契約期間であるかと思います。
改めて、令和五年度の調査研究事業におきまして、自立相談支援機関の支援体制の強化を図る観点から、自治体が委託先事業者を選定する際の選定方法等について、複数年度契約や選定時の評価方法も含めた実態把握を進めてきたところでございます。
今後、この結果を踏まえて、自治体に対しまして、委託先選定時の留意点や好事例等についての、ガイドラインの形態等をつくり、こうした事案に関わる周知徹底をしてまいりたいと思います。
○西村(智)委員 何とかよろしくお願いいたします。本当に、人が人を支えるとさっき大臣からもおっしゃっていただきましたけれども、その人が本当にワーキングプアになってしまったらどうやって支えられるかということだと思いますので、是非よろしくお願いします。
居住支援法人について伺いたいと思います。
今回、様々な業務が出てくるということでありますが、現在の業務で一体、全体でどのくらいの費用が生じていて、居住支援法人のためにどういう費用が生じていて、どういうふうに負担されているのか、まずその概略から伺いたいと思います、国土交通省。
○石橋大臣政務官 お答えいたします。
居住支援法人でありますけれども、現在、住宅セーフティーネット法に基づく居住支援法人は、住宅確保要配慮者の賃貸住宅への円滑な入居に関する住宅相談、また訪問による見守りなどを行う法人として、都道府県が指定をしているものであります。
また、一部、費用の件がありましたけれども、国交省におきましては、昨年度は十・五億円の予算を計上しておりまして、今年度、令和六年度予算案におきましては十・八億円の確保を予定をしているところでございます。
○西村(智)委員 居住支援法人の見守りなどを行うときに、当然資金は必要になってくるわけです。ちょっと増やしてはいただいたようでありますが、自前でやっているところもあるようですけれども、それはそれでいいとして、やはり国庫補助が少ないのではないかというお声は、この間ずっとやってこられた検討会、住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会でもありましたし。
それから、何より、私、具体的な数字だなと思って昨日参考人のお話を伺っていたのは、北九州の抱樸で、奥田さんが、マスターリースで七百二十六万円の差益を生んで、それで人を二人配置している。ありていに言うと、人を二人雇っているという話だったんですよね。
そういうふうにやれるとしても、国交省からの補助金が大体上限で三百万だと、一団体につき。一番多いボリュームゾーンは二百万から三百万になっていましたけれども、二百万から三百万でなかなか人を雇用するというのも難しいというふうに思います。これで本当にやっていけるのかという声が検討会の中でもあったんですけれども、補助金をやはりもうちょっと増やしていくというか、手当てが足りないんじゃないかという御意見に対しては国交省はどうでしょうか。
○石橋大臣政務官 お答えいたします。
先ほども少し申し上げましたとおり、令和六年度におきましては十・八億円の予算を確保しておりまして、これは、昨年度十・五億円から、微増ではありますけれども少しは増やしているところであります。
また、居住支援法人が大家さんなどと連携して行う先導的な取組に対しましても、国が直接的に財政支援を行うモデル事業を創設をしたところであります。
居住支援法人が地域の居住支援の担い手として活動するためには、これらの補助制度を活用しつつ、それぞれの法人が安定的、自立的に活動していくことが重要だと考えておりまして、国土交通省におきましても、必要な予算の確保に引き続き努めるとともに、先導的な法人の取組を横展開、情報提供させていただくなどして、各地の居住支援法人の取組を推進してまいりたいというふうに思っております。
○西村(智)委員 住まいは基本なんですよね。人が人を支えるというのが今回の困窮者自立支援法の制度の改正であって、住宅は本当に一番大事なところなので、是非、国交省からも協力をしてもらいたいと思っています。
それで、最後に厚労大臣に伺うんですけれども、今回、このように三省一緒の検討会ができ上がって、それで今回、住宅セーフティーネット法とそれから困窮者自立支援法と一緒に提出されているわけなんですけれども、今後の住居支援の方向性についてです。
国交省と厚労省と法務、ここの検討会、私は成果を得たというふうに思っておりますけれども、今後は、やはり、人が人を支える、家が仮にあったとしてもその中に入るのは人なので、人を中心にした支援ということで考えれば、厚労省が住宅支援の言ってみれば真ん中に座って、国土交通省とそれから法務省とも協力をしながらやっていく体制の方が私は望ましいんじゃないかというふうに思うんですけれども、厚労大臣はいかがお考えでしょうか。
○武見国務大臣 御指摘の住居に関わるお考えというのは極めて理解できるところでありますが、厚生労働省、それから国土交通省、法務省の三省が連携して、それぞれの設置法に基づく所轄で、それぞれの役割を連携するという形で、今回の法律案というものもこういう形でできてきた経緯があります。
これを踏まえて、成立した後においても、こうした国土交通省や法務省と継続してしっかりと連携をして、まずは自治体に対する周知であるとか改正内容を着実に実施して、生活困窮者等の居住支援が充実するように努めていきたいと思います。
やはり、各省庁との連携というものをいかに円滑にきちんとやるかという視点での対応をさせていただきたいと思います。
○西村(智)委員 エールのつもりの質問だったんですけれども、是非、大臣、真ん中に座っていただいて頑張ってもらいたいと思います。
終わります。
○新谷委員長 次に、吉田統彦君。
○吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。
今回は、生活困窮者自立支援法等改正案に対する質疑ということで、早速始めさせていただきたいと思います。
これまで、被保護者は国民健康保険の被保険者からは除外されていますね。そのために、医療保険者が実施する健康事業の対象ではなく、多くの健康上の課題を抱えやすく、医療と生活の両面から健康管理に対する支援を行うことが必要でしたよね。
平成三十年の法改正によって、医療保険におけるデータヘルスを参考に、福祉事務所が生活習慣病の発症予防や重症化予防を推進する被保護者健康管理支援事業が創設されまして、令和三年一月から全福祉事務所で実施されることになったと承知しております。この中の様々な取組の中に、医療機関受診勧奨や、主治医と連携した保健指導・生活支援(重症化予防)といったものがありますね。その中から一つ以上を選択して実施することになるとお聞きしております。
しかし、私も医師でありまして、眼科医ですが、糖尿病患者さんの実態を見ていると、まだ事業の実施開始からそんなに時間が経過していないとはいえ、余り効果が上がってきていないように感じます。逆に、生活保護者で生活習慣病の方の受診間隔はおおよそ適正なものとはなっていないですね、私が見ている限りは。かなり受診間隔が長い例もやはり散見します。
これはつまり、やはりまず病識がないことが結構ある。それによって、糖尿病なんかはサイレントキラーですから、その怖さや、そういったものが分からない。あるいは、お金がなくて受診ができず、状態が極端に悪くなって、本当に私、糖尿病網膜症は一つの専門の疾患ですので、糖尿病の方だと、ヘモグロビンA1cが一〇とか一五で緊急入院する患者さんというのを度々私も見ております。実際に依頼箋が回って私のところに依頼が来るんですが、そういった方の中で、実は生活保護を受けていらっしゃる受給者の方の割合がかなり多いんです、大臣。
つまり、現状、私が臨床で現場でかなり、四半世紀やってきた中で見ると、受診抑制が自動的にかかってしまっているんですよね、生活保護受給者の方は。これはやはり問題だと思いますが、大臣、どのように思われますか。
○武見国務大臣 現状では、先生御指摘のように、福祉事務所というのが起点になって、そして生活保護受給者における生活習慣病の発生であるとか重症化予防などのために健康管理支援事業を実施するという形で、それぞれの主治医との連携といったようなこともしていただくという形になっております。
その中で、実際にこの健康管理支援事業というものが、生活習慣病の予防、早期発見を目指して健診も行っていて、そしてその健診の受診勧奨を実施しております。その後の健診結果で受診が必要と判断された者、また受診していない方や受診を中断している方に対して医療機関の受診勧奨を実施するとともに、医療機関を受診中であるものの経過不良の方については、主治医と連携をして、保健指導だとか生活支援、あるいは重症化予防に取り組むこととしております。
これらの着実な実施を図るために、具体的な取組方策や支援内容についても事業の手引を作ってそして自治体に周知するとともに、今度は担当者会議というのも開催をして、最新の知見や好事例等の共有等を行っているというふうに承知しておりますので、この枠組みがきちんと機能しているということを私は想定をして答えさせていただいております。
○吉田(統)委員 大臣、ちょっと長い御答弁だったんですけれども、だから、それをやっていらっしゃるけれども、受診抑制がかかっているからどうなんだということを私は問うているわけなんですよね。前段で、それはずっと私が言ってきたことを大臣はなぞってそのまま答弁されましたけれども、受診抑制がかかっちゃっているんです、要は。だから、時間が貴重なので更に問いはしませんが、そうされてもなかなかそれが、だから、現状よくなっていないですよという現状を大臣にお伝えしているので、そこをちゃんと答えて。大臣、聞いていることになるべく的確にお答えいただきたいんです。
じゃ、大臣、これは確認なんですけれども、今おっしゃったように、内科は必ずやはり受診していただかなきゃいけないですよね、糖尿病であったり生活習慣病の方。ただ、あわせて、私は眼科医なんですけれども、眼科もかからなきゃいけないし、糖尿病の方は、大臣はお詳しいと思うんですけれども、齲歯、虫歯や歯周病もかなりやはりリスクがあるんですね。八〇二〇運動というのは愛知県発祥なんですけれども、そういったものをやっていく中で、そもそも、生活習慣病管理料の加算において、以前から眼科の受診は推奨というか努力義務になっていますよね。歯科は前はそうなっていなかったわけですが、今、歯科もそういった形になっているんじゃないかと私は思うんですが、そこをちょっと確認させてください。
○武見国務大臣 令和六年度における診療報酬改定で、中医協において、糖尿病患者に対する医科、歯科の連携が有効である等の議論があったことを踏まえまして、糖尿病患者に対して歯科受診を推奨すること、これを生活習慣病管理料の要件に追加する見直しを行いました。その施行に向けて、しっかりと周知をしていきたいと思います。
○吉田(統)委員 本当にこれはよかったと思いますね。大臣がしっかりやってくださって私は感謝しているんですが、ただ、まだちょっと歯科の先生たちは実は知らなくて、内科の先生たちも知らないので、先生がおっしゃったとおり、啓発をしっかり、告知をしてください。必ず、やはり主治医に、眼科と歯科はかかってもらうんだよと、歯科の先生側にも、こういうふうになったから、しっかり受け入れてやってくださいと。大変に大臣がやっていただいたことを私は感謝するし評価するんですが、ちょっと現場が、歯科の先生に言っても、そうなんですかという状況なので、是非ここは、大臣、啓発、また局長の皆さんから通知を出していただいたり、これをちょっとしていただかないと、せっかくやっていただいたのにもったいないですし、有効だと分かっていただいているので、是非お願いします。
では、今回の法改正でも言われていますけれども、逆に言うと、大臣、特定の方がもうむちゃくちゃ頻回に受診するという例も実は残念ながら生活保護の方であるんですね。これはそんなに多くないですよ、私が臨床でいても、そんなむちゃくちゃな方は。ただ、います。いらっしゃるんですね、そういう方は。薬も大量にもらって、どうするんだろうなとちょっと心配になることなんかもあるんですね、眠剤とかそういうものも含めて。
そういう頻回受診に対しては管理がやはり非常に難しいと思うんですが、ここに関しては今回の法改正に合わせて何らか対応をなさるのか、その辺を大臣からなるべく簡潔にお答えいただきたいです。
○武見国務大臣 頻回受診の方については、医療扶助の適正化の取組の一つとして適正受診指導などを行います。そして、従来の頻回受診指導の仕組みでは効果が得られにくい方については健康管理支援を実施しております。
今後、さらに、社会的な孤立等により頻回受診が改善されない方を対象として、多様な居場所につなぐことも含めた支援を検討していくとともに、今年の三月から運用を開始しましたオンラインの資格確認の仕組みを活用して、適正受診を促す取組も検討することとしております。
このような健康管理支援事業の実施等を通じて、医療機関の受診に関連して課題がある方に対する適切な受診取組を進めていきたいと思います。
○吉田(統)委員 なかなか難しいとは思うんですけれども、やはりここもしっかりとやっていただきたいと思います。
それでは、ちょっと、今、糖尿病、生活習慣病、生活困窮者の方、さっき申し上げたように、やはり私の患者さんでもいました。毎日レトルトカレーとカップラーメンだけ食べていて、むちゃくちゃ、実話なんですけれども、血糖を悪くされちゃって、私は、こんな生活をしていたら本当に命がないですよと懇々とお話しして、今はもう血糖も正常化されてよかったんですけれども、食生活を聞くと本当に普通にそうやって答えるんですよね、毎日レトルトカレーとカップラーメンを食べていますと。
生活習慣病はそれぐらい、やはり、生活困窮者、さっき申し上げた、病識がなかったり、あるいは貧しさであったり、そういうことで悪くされる方がいらっしゃるんですが、今回の診療報酬改定、大臣、この生活習慣病の部分にかなり、大臣がそういう思いがあったのかは分かりませんが、切り込みましたよね。
私の周りの内科や糖尿病専門医のクリニックの先生から、非常に強い危惧を伝えられています。すなわち、糖尿病、高血圧、脂質異常症は特定疾患療養管理料、二百二十五点から除外するというものですね。これは生活習慣病管理料に置き換わるんだと思いますが、手間が増える一方で、かなりの減算は避けられないと非常に危惧をされています。ただでさえ、昨今の人件費の高騰で、時給を上げても看護師等医療人材の応募が少ない状況で、このままではクリニック経営にも深刻な影響が出かねない状況になっているとの声を多く聞いております。
今回の診療改定を前にした、令和六年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理の中で繰り返し、生活習慣病の増加等に対応する効率的な疾病管理というキーワードが使われています。これは生活習慣病の診療単価を下げたいという意向のように我々から見ると見えますよね。もし、生活習慣病管理料が特定疾患療養管理料より専門的な位置づけになるのであれば、逆に、大臣、これは糖尿病専門医など専門医資格をもっと評価すべきだと思います。
また、逆に、特定疾患療養管理料で何を評価しているのか、非常に分かりにくいんですよ。生活習慣病管理料の下で診療すべきではないかという声もたくさん上がっています。また、現行のものとは別の新しい検査を新設するということを聞いていますが、この点数が非常に低いんじゃないかということもあります。
さらに、これまでなかった二十八日以上の長期投薬やリフィル処方箋の交付可能であることの明示が新たな算定要件になりますね、大臣。生活習慣病は長期処方が原則と言わんばかりの要件にどう見ても聞こえますよ、大臣。
ある一定年齢で同じ生活習慣をしていても、急激に血糖が悪化することがあります。これは我々、臨床でよく見るんですね。これは恐らく耐糖能の異常や基礎代謝の低下に伴うものだとも考えられるんですが、命に関わるような高血糖や低血糖になることをしばしば我々は臨床の場で目にします。これは、やはり現場を余りにも知らなさ過ぎると言わざるを得ないと思います。
また、特定疾患療養管理料、特定疾患処方管理加算の対象疾患から糖尿病、脂質異常症及び高血圧症が除外されて、現行の特定疾患処方管理加算一、十八点が廃止されましたね。これら三疾患の医学管理は生活習慣病管理料で算定することになるわけです。
今回の改定で、検査料が包括されていない生活習慣病管理料二、三百三十三点が新設されました。しかし、新たな生活習慣病管理料は外来管理加算を包括対象として、特定疾患処方管理加算も算定できなくなる。つまり、処方箋料が引き下げられたこともあるので、実質引下げになります。
生活習慣に対する医療が特定疾患療養管理料から生活習慣病管理料に移行すると、特定疾患処方管理加算二、六十六点も十点下げられて五十六点とされて、同加算一の十八点がさっき申し上げたように廃止となったため、上記三疾患以外の特定疾患の管理についてもマイナスとなることが避けられないと私は思うんですね、今回。
私の親しいクリニックの院長、そこは患者さんがたくさん来られるところなんですけれども、月間数百万円の減収になるんじゃないかというところもあって、コロナ禍で頑張ってこられた方々から失望の声が、大臣、上がっています。
大臣、事実関係として、何でこんな診療報酬改定になったのか。大きく収入が減少すると言っている内科の先生方、何かエムスリーでは、私もタイトルしか見ていないですが、開業医を潰しにかかっているとか、そういったなかなかちょっと厳しい声も上がっていますよね。中島理事のところみたいに元々収益がすごいあればいいのかもしれないですけれども、そういうところばかりじゃないですから、これは本当に。
大臣、本当にこれはかなり下がると思われるんですけれども、逆に、下がらないんだったら下がらないと大臣が今ここで言ってくださればみんな安心しますけれども、大臣、どうですか、これは。
○武見国務大臣 今私が、今回の診療報酬改定で下がる、下がらないというのを明確に、個々のケースによっても異なってきますから、申し上げることは難しいかと思いますけれども、実際、今回の改定で中医協で、疾病管理に関わる情報について医師と患者が共通の理解を持つことが重要であるという指摘がありました。生活習慣病に対する質の高い疾病管理を推進する観点に基づき、現行の疾病管理の療養管理料での評価から、療養計画書の交付などを要件とする生活習慣病管理料での評価体系へ移行する等の見直しを行うこととしたというのが一つの大きな転換です。
それから、今般の改定で、診療所の外来診療に関わる見直しについては、生活習慣病を中心とした管理料などの効率化とか適正化を行う一方で、賃上げの実施等の観点からの再診料、初診料に関わる引上げも行っております。それから、質の高い医療を提供するための医療DXに関する評価も新しく作りました。地域包括診療加算の点数の引上げといった評価の充実も盛り込まれているところでございまして、このような改定内容を丁寧にきちんと周知をさせていただいて、それで、診療所におかれましては、こうした改定の趣旨、内容を踏まえて是非対応していただきたい、そう思います。
○吉田(統)委員 大臣、賃上げの加算、確かに、初診料、再診料、やっていただいているんですけれども、あれを私も計算すると、そこまで大きな賃上げができるようなものではやはりないですよね。なかなか、今の御答弁では難しい。
くしくも大臣がおっしゃった、日本の医療のやはり一部悪いところというのは、質を評価しづらいところですよね、大臣。研修医が手術、虫垂炎をやっても、熟練の外科医が虫垂炎の手術をやっても、同じ診療報酬。ドクターフィーとか、アメリカのようにないですから。それはただ、日本の医療のいいところでも悪いところでも、両方含むんだと思います、そういうところは。だから、どうしても出来高というか、検査をやっただけ収益が上がるとか、そういう医療にどうしても日本はなってしまうんです。
ただ、いろいろなところがデータを出してきているんですが、やはり内科医を中心に相当減収になる。そうすると、本当に、大臣、賃上げという状況にはならなくなるので、岸田総理が賃上げ賃上げと言っていますけれども、維持するのも難しいという。今度、診療報酬改定は実行されるのは六月からですよね。ただ、相当皆さん戦々恐々とされているので、ここは本当に大臣が今おっしゃったようにいい形になればいいですけれども、逆に言うと、そういうふうにならなかった場合は、大臣、何らか対応や責任を取られますか。だって、総理が賃上げ賃上げと言ってあれだったら、困っちゃいますから。
○武見国務大臣 実際に今回の診療報酬の改定に当たっては、やはり医療従事者の賃上げ、これはただ医師、看護師等にとどまらないで、パラメディカルや、あるいは医療事務に携わる方々も含めての賃上げということを考えて、今回の診療報酬の改定、全体ではプラスの〇・八八という形で、前回と比べると大幅にこれを増やすという形を整えさせていただきました。
実際、これをしっかりと上手に各医療機関でも活用していただいて、そして賃上げの財源を是非つくっていただきたい、こう期待しておるところであります。
○吉田(統)委員 いや、だから私は、ちゃんと責任を取ってくれるのかということを聞いているんです、大臣、賃上げができなかったら。だって、ほくと診療所だってちゃんと賃上げできるか難しいんじゃないですか、中島理事のところだって。本当に思いますよ、これは純粋に。先生のところなんて、やはりそういう方が多いだろうから。
私は本当に、途中、ちゃんと、賃上げができない状況になったり、あるいは賃金の維持ができないような状況になったら、やはり緊急の何か対応をしてもらわないと困ると思いますよ、大臣。時間がないので次に行きますが、ちょっとこれは本当に、賃上げできる環境になればいいと私もそれは思いますけれども、本当にこれはそんなに甘くない。大臣、笑っていらっしゃるから半分分かっていらっしゃるんじゃないかと思うんだけれども、一回これはしっかり役所の皆さんと話していただきたいですよね。
じゃ、次に行きます。医療扶助に関して、以前から私が指摘しているジェネリック医薬品の問題をちょっと確認します。
一般的な話として、大臣、今、健康食品とかそういうものに関してもちょっと問題、またここもしっかり議論しなきゃいけないですが、ジェネリック医薬品というのは、そもそも先発品と全く同じ効果が保証されているものではありませんね。同等程度ということになるわけです。厚生労働省の当時局長を務めていらっしゃった方と話したときも、局長御自身も、ジェネリックの中には明らかにやはり先発品と比べて効果が落ちるものが存在することは認めていました。田村先生も昔そういうことをおっしゃっていましたよね、先発品より落ちる、どうしてもジェネリック、ちょっと、雑談の中でおっしゃっていたと思うんですけれども。
余り余計なことを言わずに先に行きますが、厚生労働省として、要は、ジェネリックを原則使えと言われるわけですよね、生活保護受給者の方は。そういった中で、やはり効き目が落ちるのがあるのは明らか。だって、厚労省、一部ちょっと予算をつけて調べているじゃないですか。ここは、大臣、どうお考えになって、また大きな問題にならないといいですけれども、やはり品質の問題、そういったものを含めてどのようにお考えなのか、ちょっと簡単にお話しいただけますか。
○武見国務大臣 まず、後発医薬品に関する評価でありますけれども、承認の審査に当たっては、先発医薬品との同等性を評価した上で承認を行っております。承認後も、後発医薬品の品質に関する情報について学術的な観点から検討するとともに、必要な試験、評価の実施等を行うことで、品質、有効性及び安全性について先発医薬品との同等性を担保しております。
このような前提の下で、医療扶助において後発医薬品の使用を原則化しておりますけれども、具体的には、医師又は歯科医師が医学的知見に基づき後発医薬品の使用が可能と認める場合に限り、原則として後発医薬品を使用することとしておりまして、医学的知見に基づき必要と認められる場合には先発医薬品による医療の給付を行うなど、生活保護受給者に対して必要な医療が確保されるように配慮しております。
○吉田(統)委員 でも、同等程度なんですよね、大臣。大臣は分かっていらっしゃると思いますけれども、後発品はやはりちょっと問題があるものもそこそこあるんですよ。例えば、眼科なんかだと緑内障の点眼がそうですね。やはりちょっと眼圧下降効果が弱いものがどうしても、これは眼科医をやっていれば分かりますし、患者さんからも言われますよ、やはりこれは。ですから、そこはしっかりやっていただかなきゃいけない。
時間がないので、大事な話をちょっと一点、これは確認しておきたいんですが、療養型病床、ございますね、大臣。療養型病床というのは、ついの住みかになり得る、もう今新設はできないカテゴリーであって、そして、民主党政権に替わる前の自民党政権においては全部廃止をするという方針を打ち出していましたよね。民主党政権で、新規にはつくらないけれども、維持はできるようにしましょうということになったわけです。
これは、ついの住みかになり得るものであって、生活困窮者や様々なこういった方たちにとって非常に大事なものになります。だから、現行ある療養型病床はやはりその役割をしっかりと果たしてもらわなきゃいけないんですが、ちょっと気になる話を聞いたんです。
ある、これは実在する医療機関で、名前は申し上げませんけれども、療養型病床の継承をしようとしたときに、個人事業主、つまり医療法人じゃなくて個人事業主だとの理由一点で継承が認められなくて閉院せざるを得なくなったという例が、大臣、あったんです。これは私も耳を疑ったんですね。
いいですか、大臣、これは一般論ですからちゃんと答えてほしいんですけれども、療養型病床を個人事業主、つまり医療法人にせずに経営されていた方が、個人事業主として別の院長に継承するということが、それはできないと言われたらしいんです、医療法人じゃないから継承できませんと。私も耳を疑ったんですが、こんなことはあってはならないと思うので、大臣、それを要件に継承が認められないということはないですよね。
○浅沼政府参考人 お答えいたします。
厚生労働省といたしましては、個人立や法人立といった医療機関の設立形態にかかわらず、入院患者の皆さんが安心して医療を継続して受けられることが重要であると考えております。そのため、議員御指摘の事業継承、これが個々の医療機関の状況に応じて円滑に実施されることが大前提というふうに認識しております。
○吉田(統)委員 さすが浅沼局長ですね、はっきり答えていただいて。そうですよね。本当にそうだと思いますし、厚生労働省はそうやって考えていると思います。
つまり、今のを意訳すると、関係ないよということですよね。個人事業主であろうが医療法人であろうが、患者さんたちにとって必要な医療機関というのはちゃんとしかるべきルールの中で。ほかに瑕疵や何かがあれば、もちろんそれはできないかもしれませんが、それを一事を理由に、これは県ですよね、承認するのは自治体ですよね、承認する、しないなんということは、ここの一事をもってという限定でいいんですが、あってはならないことですよね、局長。
○浅沼政府参考人 お答えいたします。
議員御指摘の個人立の医療機関の事業継承につきましては、例えば手続の煩雑さなど、ハードルがいろいろあって、様々な事情があるというふうに考えておりますけれども、患者様への医療の継続的な提供、これがなされることが必要であると考えております。
具体的にお困りの個別のケースがあれば、私どもといたしましても、自治体とも連携の上、どのような対応が可能なのか、考えていきたいと思います。
○吉田(統)委員 局長、もう閉院しちゃったんですよ。だから、閉院しちゃったので、だったら、逆に、局長、もし、本当にそこだけが理由で、これはかなりほかの療養型病床や施設に迷惑をかけているし、そこの元院長、まあ、副院長が院長になろうとして駄目だったみたいなんですけれども、こういう場合、今からでも、もしその手続が、自治体の手続が誤りであったということであれば、もう一回、その継承をちゃんとするようにはしていただけますか。もうこれは一旦閉院しちゃっているんですよ。でも、やはり必要な病床ですよ、絶対に。
それは、今申し上げたように、厚生労働省が思う指針の中での継承がちゃんとすべき事由であれば、もう一回ちょっと差し戻して、ちゃんと議論というか、厚生労働省が所轄官庁として見ていただいて、自治体に指導して、一旦閉院だけれども、これは閉院は間違いだったということで復活させていただけるとか、そういう対応をしていただけますか。
○浅沼政府参考人 お答えいたします。
議員御指摘の個別の案件につきましては、私どもも正確には把握していませんので、ここではその対応は明言できませんが、いずれにしましても、厚生労働省といたしまして、議員御指摘の事案について確認をさせていただきたいと思います。
○吉田(統)委員 では、局長、最後にもう一つ。
是非確認していただきたいんです、こういうことに関して。今後、だって困るわけですよ。本当にそれで閉院になっちゃうわけだったら、ほかの個人事業主の療養型病床さんたちが医療法人に移行しなきゃいけないですよね、局長。分かりますよね。だって、逆に、それを最初から厚労省が個人事業主は駄目よと言っていたら、みんな医療法人にしますよ。しますよね。だから、そこが問題なんです。
だから、私は、明言していただきたいのは、もちろん、個別具体的なので厚労省さんにちゃんとチェックしていただきたいんですが、やはりこれは存続させてもいい、存続させるべき事由のものであったと判断していただいたら、復活させていただけますか。そこをちゃんと明言してください。
○浅沼政府参考人 お答えいたします。
いずれにいたしましても、正確な情報に基づいて我々も確認したいと思いますので、どういう対応ができるかどうか、しっかり私どもも検討していきたいと思います。
○吉田(統)委員 しつこいですけれども、復活させる余地はあると考えていいですね、今の、局長。
もちろん、ちゃんと精査してください。精査が大事です。それは、ルールにのっとって、ちゃんとやっているか、また本当に必要なものかということも含めてですけれども、患者さんたちが本当にかわいそうなんですよ。分かりますか。患者さんたちが本当に困っているんです。だから、復活させる余地があるぐらいは言ってください。
○浅沼政府参考人 お答えいたします。
大変申し訳ございません。勘弁していただきたいところもあるんですけれども、いずれにいたしましても、あらゆる可能性を追求していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○吉田(統)委員 相当精いっぱいの答弁ですよね。ありがとうございます。
あらゆる可能性と今委員の皆さんに聞いていただいたので、すばらしい答弁だと、これはやはり国を思う、国民を思う局長だなと思いましたよ、本当に。大臣も思ってくださいましたよね。大臣、今聞きましたよね。お願いしますよ、今のをちゃんと。
じゃ、もう時間で終わりますが、最後に大臣、就職氷河期世代が、私の世代なので五十前後になってきておりまして、退職してくる年齢になると、今はそんなに数字は悪くないんですけれども、やはり生活保護を受給されたり困窮されていく可能性があるので、ここをちょっと、最近、子供に対する御対応、異次元、やっていただきたいんですが、就職氷河期世代が忘れられちゃっていないかと私は心配なので、ここに対する施策を簡潔にお願いできますか。
○武見国務大臣 いわゆる就職氷河期世代の方々、不本意ながら非正規雇用で働いている方だとかあるいは無業の状態にある方など、現在も非常に様々な課題に直面されている場合があるということは私も認識しておりますので、このために、厚生労働省としても、雇用政策における就職氷河期世代に対する支援も具体的に進めております。そして、さらには、就職氷河期世代に限定した求人の確保にまで実は取り組んでおります。
こうした就職氷河期世代の方々が現在も将来も生活に困窮することを防止する観点から、生活困窮者自立支援制度等において、就職支援員による相談、助言やハローワークへの同行の支援であるとか、また場合によっては、引きこもり状態にある方もいらっしゃるものですから、そういう方及びその御家族に対しても居場所を見つけて社会とのつながりを回復するための取組を実施するなど、様々なこれから対策を取ってまいりますので、御理解いただければと思います。
○吉田(統)委員 ありがとうございました。
終わります。
○新谷委員長 次に、早稲田ゆき君。
○早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。
それでは、質問を順次させていただきます。
今日は法案の審議でございますが、その前に、先ほど電話の方で通告もさせていただきました、衝撃的な小林製薬の紅こうじ健康被害についてであります。
このように、死亡者が出ているというようなニュースも今日入ってまいりました。このことについて、やはり、消費者庁もでございますけれども、健康を、安全性を所管する厚生労働省として、しっかりこれにいち早く対応をしていただかなければならない。先ほども西村議員の方にも御答弁がございましたけれども、またこれから、今からですか、省庁連絡会議というのも、今ですね、今やっているわけですよね、これもちょっと遅いのではないかと私は非常に心配をしております。
まず、この報道の中身ですけれども、状況が厚生労働省に入ったのは、どこから、いつ、そしてまた、その間どういう調べをされていたのか、そして、今の現状把握、亡くなられた方も含めて、入院もしている方も、そうした方の現状把握、教えていただきたいと思います。
○武見国務大臣 委員御指摘のとおり、この紅こうじを摂取した方に関わる死亡者が既に出ていること、それから多数の入院患者も実際におられること、それから原料に至っては百七十社に様々な形で実際に使われていること、したがって、非常に今回の事案に関しては深刻に受け止めております。
今のところ我々が聴取した報告に基づく確認でございますけれども、まず、小林製薬側が、一月の十五日に、最初の症例の一、これが小林製薬に、ある医師より連絡があったということです。それが一月十五日です。それから、症例の二は、一月三十一日に小林製薬にその患者本人より連絡があったということです。それから、二月一日に症例の三、四、五、ここで小林製薬に医師より連絡があったということで、その後、三月二十二日に至って、臨時取締役会が小林製薬で開催をされ、プレスリリースをされ、記者会見が行われた。
そして、行政側に対しては、三月の二十一日に、十七時でございますが、小林製薬から消費者庁に一報がありました。それから、消費者庁から小林製薬に対し、大阪市保健所に連絡するよう指示をいたしまして、消費者庁から当日、面談を依頼して、小林製薬との都合で翌日の十五時となったという経緯がございます。
三月の二十二日に、大阪市から厚生労働省へ情報の共有が参りまして、そしてその日のうちに厚生労働省から消費者庁への状況の確認、そして昨日、消費者庁及び厚生労働省で小林製薬と実際に今度は面談をいたしまして、そして厚生労働省から小林製薬に対して、大阪市を通じて速やかに健康被害状況等の報告を行うように指示し、さらに、追加の用件に関する報告を求めて、昨晩それも受け取ったという経緯がございます。
こうした経緯についての御報告、詳細、是非させていただきたいと思います。
厚生労働省としては、所轄する食品衛生法の第六条第二号に基づいて、直接この問題に関わる形を取らせていただくようにし、なおかつ、これは厚生労働省だけの対応ではできませんので、消費者庁、及び、今度は農林水産省、それからさらには、実は酒類の問題が入ってきますので国税庁、この四省庁で連絡会議を、今現在恐らく行っているんじゃないかと思いますが、それを進めて、今後の政府の中での連携強化、対応策の確認、これを進めていくところでございます。
○早稲田委員 委員長にお願いでございますが、今大臣からるる御説明がありましたが、よく分かりませんので、よく分からないというのは、たくさんに、多岐にわたりますから、数字もよくまだつかめていないようなので、そういうことも含めて、時系列でこれまでの経過を表で出していただきたいと思います。委員会の方に提出をしていただきたいと思います。お願いします。
○新谷委員長 後刻理事会で協議させていただきます。
○早稲田委員 その上でですけれども、一月の十五日にもう一報が入っているということなんですね。それから、一月十五日、小林製薬の方に一報が入ってから、また二か月もそのままになっていたということですけれども、一切そのことに関して、これは、小林製薬としては国の方あるいは大阪市の方に言う義務がない、瑕疵はないということなんでしょうか。
○武見国務大臣 私は、これは大変問題があったと思います。
こうした症例が一例、二例、三例、四例と出てきていたわけでありますから、実際にその因果関係の確認、分析等も含めて、こうした事案が発生したことについて、より早く保健所に対してこれを報告するべきであったというふうに思います。そしてまた、所轄する大阪市に対して直接報告するということをすべきであったと思います。
それが実際に二か月以上遅れたということは、大変遺憾なことであったというふうに考えて、私も最初にこの問題を認識したときに、これは極めて問題だ、そう考えたので、記者会見の中でも最初に、極めて遺憾だということを申し上げました。
○早稲田委員 そこのところが本当に遅過ぎますし、どういうふうになっているんだろうと思わざるを得ません。
そして、今から原因究明、やっていらっしゃると思いますけれども、この紅こうじという名前が出てしまいますとどうしてもいろいろな風評被害もあろうかと思いますので、そこのところはしっかり大臣の方からも御説明をいただきたいと思います。
ただ、まだ原因が特定されない中で、なかなかそこも難しいのかなとは思いますけれども、紅こうじのどこの部分がなのか、それともまた、未知の成分という、そうした識者の発表も、発表というか御意見も出ていますから、そこは慎重に丁寧にやっていただきたいと思います。
その上でですけれども、今大阪市の方に廃棄命令等を要請をしているということですが、二十一日、二十二日にお聞きになって、二十六日まで、非常に、丸三日間もあったわけですよね。これも時間がかかり過ぎているのではないかと思いますし、その後の例えば販売の停止、禁止とかそうしたことについては、大阪市ともっと密に連携を取って、早期にこれも検討をすべきではないでしょうか。大臣のお考えを伺います。
○武見国務大臣 昨日初めて報告を受けて、そして厚生労働省として小林製薬からの直接の聴取もして、そしてそこでの報告書を確認をして、直ちに食品衛生法の第六条の二号の発動をして、直接介入できるようにいたしました。
そして、こうした経緯を受けて、本日の十二時に、大阪市が小林製薬に対して、紅こうじを含む食品の回収を命じたんですね。ですので、自主回収ではなくて、もはやこれは行政からの指示に基づく回収ということになったというふうに承知しております。
大阪市は、厚生労働省が通知した内容に沿った対応をしておりまして、健康被害拡大防止の観点からも適切にこれは行われたものと考えます。
○早稲田委員 そして、被害をこれ以上拡大させないために本当に力を尽くしていただきたいと思いますが、今の時点で、お亡くなりになられた方はお二人、入院百六人、相談約三千件ということで間違いないでしょうか。
○武見国務大臣 ヒアリングでは、まさにその数字を伺っているところでございます。
○早稲田委員 先ほど大臣も御答弁していただきましたが、二か月間どうなっていたんだ、大変遺憾だという強い怒りの答弁もございましたが、まさに、機能性表示食品というのはこれまでも、この厚労委員会でも、消費者庁の委員会でもたくさん議論がされておりました。
こちらの厚労委員会の方でも、吉田議員が、非常に甘過ぎるのではないか、もう少し規制を厳しくして、そしてまた学術論文なども国際的標準に合わせたものにすべきではないかというような詰めた議論もされていたにもかかわらず、法改正はされましたけれどもやはりまだ甘かったということが、こうした結果に、国民の命まで奪うようなことにもなりかねないというところまでたくさんのものがあふれているということではないかと私は思っています。
機能性表示食品として初めての健康被害が出たわけですから、安全性の規制強化ということを、やはり、武見大臣におかれては、再発防止のために是非やっていただきたい、検討していただきたいと思いますが、安全性の規制強化、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 まずは今回の事案を、しっかりと状況の把握をして、そして、いかなる成分がこうした有害物質として人体に危害を加えることになったかというこの因果関係をしっかりと確認をいたします。
そして、そうしたことを踏まえた上で、実際に再発防止のためにいかなる施策が必要かということを検討をし、そこでやはり新たな規制が必要だということであれば、またそれを検討させていただくということになると思います。
○早稲田委員 もちろん、因果関係、原因究明を第一にし、そして、必要があれば、規制強化も含めて、安全性の規制強化も含めて考えていただけるという御答弁を確認させていただきました。是非、早急な御対応を厚生労働省には強くお願いしたいと思います。そして、被害拡大になりませんように、よろしくお願いいたします。
それでは、法案の方に参ります。生活困窮者自立支援法でございます。
時間も押してまいりますが、法案の柱の一つ、これは私は居住支援の強化ということであろうかと思います。なかなか、日本におきましては賃貸住宅の家賃補助というものがほとんどない、少ない状況でありますので、そこのところを住宅確保要配慮者においてどのようにもっと拡大していくのかということが柱になるのではないかと思っています。
今回の法案と、それからまた住宅セーフティーネット法案、このすみ分けでありますけれども、資料を御覧ください。一の資料ですが、これを見ても、非常に複雑でありまして、このすみ分けもよく分からない、福祉と国交省との連携とは言いますけれども、やはり、そこを分かりにくくしたままではお互いがうまくもっと強い連携ができないのではないか、ちょっとそこも心配をしております。
それから、二の資料、三の資料も御覧いただきたいのですが、住まいの総合相談窓口の設置、見守り支援の強化とありますけれども、福祉関係や不動産関係の支援につなぐとなっているわけですね。なっているんですけれども、入居時、それから入居中、また退去時、どのような改善がこれによってなされるのかよく分かりません。これまでもこうしたことが不動産関係者ができているのならばとっくにこうしたことは行われていたはずで、それがなかなか行われていないというところが原因ではないかと思います。
今般同時に改正される住宅セーフティーネット法案、これは厚生労働省も共管にはなりますが、ここにおいては、居住支援法人等を活用していくとございます。
居住支援法人、今も全国で七百を超えるというふうになっておりますが、このことについてですが、認定を受けている中には、社会福祉協議会、それから、社会福祉法人だけでなく、株式会社それから不動産業者なども少なくありません。もちろん信頼の置けるところもたくさんあるでしょうけれども、ある一例を私の方から御紹介いたします。
その中には、居住支援と称して困窮者から相談を受けたんだけれども、成人をしている親子お二人、そしてお子さんの方は障害のある息子さんということでした。そうしたときに、このお二人の成人の世帯をお一人お一人に分けて、分離をして二つのシェアハウスに住まわせて、そこから二世帯分の、二人分の家賃とサポート費用を二重に徴収をする。そして、障害のある息子さんと誰かがいなくてはならないので、お母様が結局、その狭い一部屋のシェアハウスで住まなければならないというような状況にまでなってしまったということが別の居住支援法人に来たということなんですね、相談が。
こうした大変悪質なケースもありまして、居住支援法人の実態調査というものが私は必要だと思いますが、国交省に伺います。
○宿本政府参考人 お答えいたします。
住宅セーフティーネット法に基づきます居住支援法人は、住宅確保要配慮者の賃貸住宅への円滑な入居に関する住宅相談や訪問による見守りなどのいわゆる居住支援を行う法人として、都道府県知事が指定をしてございます。居住支援法人の指定に当たりましては、居住支援に関する業務を公正かつ的確に行うことができることを都道府県知事が確認した上で指定をしております。
したがいまして、法人業務に関する個別の事案につきましては、指定を行いました都道府県において調査を行い、実態を把握し、必要に応じて、住宅セーフティーネット法に基づいて、居住支援法人に報告を求めたり、立入検査を行うなどの指導監督を行うこととされております。
なお、今般の住宅セーフティーネット法改正法案におきまして、居住支援法人の仕組みを厚生労働省と共管とすることとしてございます。厚生労働省や市区町村の福祉部局などとも連携をして、要配慮者に対し、引き続き、必要な居住支援が的確に行えるよう運用してまいりたいと考えてございます。
○早稲田委員 都道府県がということでありますけれども、こういう不適切な事例があるということは、国交省としても御存じでしょうか。そしてまた、把握に努めていらっしゃいますでしょうか。
○宿本政府参考人 お答えいたします。
国土交通省では、毎年、居住支援法人に対して、取り組んでいる居住支援の内容などについて、要するに、一般的な事柄についての実態調査は行っております。しかしながら、委員御指摘のような事案についてまでは、詳細は把握はできておりません。
こうしたこれまでの調査の結果を踏まえつつ、指導監督を行う都道府県と連携をいたしまして、今後、調査項目を工夫するなど、必要があれば適切に対応してまいりたいと考えてございます。
○早稲田委員 ほかの部分でも貧困ビジネスというところが大変横行しております。これも新たなそういうことにならないように、もう実際出ているわけで、私の一例はあくまでも一例ですから、ほかの議員の方もヒアリングのときにそういう発表をされていました。やはりそういうことがあるわけなんです。ですから、適切な居住支援法人になっていただくように、そういう方たちに困窮者の対策をしていただけるように、是非お願いしたいと思います。
それから、武見大臣にも、これはこれから共管になりますので、大臣におかれましても実態把握に福祉の観点からも取り組んでいただきたい、このような、本当に二重に取るようなことがないように、そうしたことを横行させないでいただきたいと思います。
また、神奈川県におきまして、県の居住支援協議会が今年度から居住支援コーディネーターという資格を認定するために四日間の講座を始めましたところ、大変好評で、定員を上回る応募があって、二回やったそうであります。
こうした、先ほど述べたような不適切な事例が起こらないためにも、居住支援法人というのはこういうものですよと、そういう理念とか、それからまた、人材育成を国としても積極的に働きかけるべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 御指摘のとおり、こうした分野における人が人を支援する人材の支援、そしてその中での育成というのは極めて重要な課題であろうという認識を私も持っております。
また、本法案では、こうした生活困窮者支援の窓口などにおいて住まいに関する相談を包括的に受け止めた上で、民間不動産事業者や居住支援法人など、住宅に関する専門機関と連携しながら、住まいの確保や様々な支援につなげていくというふうにしておりまして、今国会に提出されている住宅セーフティーネット法の改正法案、これは国土交通省の所轄の法案でございますけれども、こことしっかりと連携をしていきながら、実際にこれを運営していく共管という立場でしっかりと連携をしていきたい、こう考えております。
○早稲田委員 是非よろしくお願いします。強く要望させていただきます。
ちょっと質問を飛ばしますけれども、住宅セーフティーネット法は二度目の法改正となるわけで、これは八十八万六千戸、セーフティーネット登録住宅があります。その中で、家賃低廉化の対象となる要配慮者向けの専用住宅は、全国で僅かに五千八百しかありません。この状況を国交省としてどのように変えていくおつもりなのか。
この間も、新聞の一面で、高齢者の単身女性、四割以上が貧困ということが大きく載っておりました。こうした状況でありまして、もちろん、男女問わずでありますけれども、高齢者の単身世帯、大変困窮をされている方が増えております。そのことも踏まえて、どのように改善されていきますか。
○宿本政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のセーフティーネット専用住宅でございますが、入居者を住宅確保要配慮者に限定をしている住宅でありまして、昨年十二月末時点で約五千八百戸が登録をされております。
この専用住宅でございますが、改修費補助などの対象にしておりますので、そういった補助の対象になるものの、入居者が限定をされますことから、専用住宅以外のセーフティーネット登録住宅、すなわち要配慮者を拒まない住宅として登録している住宅の方が入居者を確保しやすく、大家さんにとっては取り組みやすいとの声がございます。
いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、専用住宅、それと専用住宅以外の登録住宅、両方の戸数が増加することが、要配慮者の方々の入居機会の拡大につながるものと考えてございます。したがいまして、引き続き、地方公共団体などと連携をした大家さんへの働きかけを通じて、専用住宅を含め、セーフティーネット住宅の登録促進に努めてまいりたいと考えております。
また、大家さんの中には今なお要配慮者の入居に不安を持っている方が多くいらっしゃることから、今国会に住宅セーフティーネット法の改正法案を提出させていただきまして、入居中の見守りなどを行う居住サポート住宅の認定制度を創設することとしております。
これらの措置を通じて、大家さんが賃貸住宅を提供しやすく、また要配慮者が入居しやすい、そういった賃貸住宅市場環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
○早稲田委員 いろいろおっしゃっているんですけれども、五千八百戸のうち実際入居されている方は千四百三十八、低廉化の補助が入っているのは全国で僅か四百五十戸しかないわけなんですね。これはいろいろ基準というものがあってできないところもあるんでしょうけれども、それにしても余りにもこの取組だけでは不十分であります。
今審議官がおっしゃったように、新たに創設する居住サポート住宅、これの整備目標を伺いたいんですけれども、これについて家賃低廉化の対象にもなるということでよろしいですね。
○宿本政府参考人 御指摘のとおり、家賃低廉化の対象にもしてございます。
居住サポート住宅につきましては、各地域の実情に応じて整備が進められるものと考えておりますが、国土交通省といたしましては、十年間で十万戸を一つの目安と考えてございます。
○早稲田委員 そのうち低廉化の目標は、じゃ、どのくらいでしょうか。
○宿本政府参考人 そもそも、サポート住宅自体、各地域の実情に応じて整備が進められるものと考えております。低廉化につきましてもそのようなものと考えてございますので、国土交通省としては目安は置いておりません。
○早稲田委員 今、とても単身高齢者の問題が、貧困の問題と併せて改善をしなければならないということになっていて、その居住支援ということが非常に大きな柱になるわけですから、是非、国交省としても、厚労省と連携を取っていただいて、ただ、十年間で十万戸、居住サポート住宅、見守りと言っていただいても、それは市場家賃ですから、ここに見守りが入ったからといって、全てそこに、お家賃を払える方ばかりではないわけなんです。そこのところをよく考えていただいて、整備目標の数値も定めるように是非御検討をいただきたいと強く要望しておきます。
それから、UR住宅に関してですが、やはり、単身高齢者の声として、遺族年金になって家賃の支払いが大変になっていると。このUR住宅でも家賃低廉化の仕組みがあります。セーフティーネット登録住宅の家賃低廉化専用住宅、それから高齢者向け優良賃貸住宅、健康寿命サポート住宅がありますけれども、いずれも進んでおりません。
聞きましたところ、まず一番のセーフティーネットの方が現時点で二十七戸、それから優良賃貸住宅の方は一万九千四百七十二戸だけれども、空きが千三十四戸、それから健康寿命サポート住宅は三千百六十二戸ということでありまして、全国でこのUR住宅は七十万戸あるわけです、URに聞きましたが。この全体量に比べて余りにも少な過ぎます。
八百万人と言われる単身高齢者が今いらっしゃいます。健康で文化的な人間らしい生活が送れるように、もっとUR住宅を活用するべく、全国自治協でも居住実態をいろいろ調査しておられます。私も、各党、与党の皆さんにも要望が行っていると思いますけれども、各議連でUR住宅から要望をいただいているかと思いますが、私も事務局長をさせていただいておりまして、これが一向に進まない、低廉化ということが。それで、UR機構法の二十五条四項に基づく家賃の減免をやはり実現すべきではないか、これもずっと長く運動をされているわけですけれども、何とかするべきではないかと思いますし、また、今、自治協の運動で家賃減額が継続されている高優賃住宅にしても、元々やっているところが非常に少なくて、さらに、川崎市など各地で二十年という期限もつけております。
こういうことも国から自治体に働きかけを強めるなどしていただきたいと思いますが、二点、まとめて伺います。
○宿本政府参考人 UR賃貸住宅の家賃減額と高齢者向け優良賃貸住宅の家賃減額、二つの御質問をいただいたと思っております。
まず、UR賃貸住宅における家賃減額についてお答えを申し上げます。
UR賃貸住宅は、市場家賃が原則となっておりますが、高齢者世帯など民間市場で入居時に制約を受けがちな方の受皿として、住宅セーフティーネットの役割を果たすことも求められております。そのため、URにおきましては、都市再生機構法第二十五条第四項に基づきまして、収入が一定額以下の高齢者世帯などを対象として、セーフティーネット専用住宅や高齢者向け優良賃貸住宅、健康寿命サポート住宅などの制度も活用した家賃減額を行っております。また、既にUR賃貸住宅に居住をされている収入が一定額以下の高齢者世帯などに対しても、家賃改定によって家賃が引上げとなる場合に家賃減額を行っております。
国土交通省といたしましては、UR賃貸住宅が担うセーフティーネットとしての役割も踏まえつつ、引き続き、適切な対応が図られるよう、URに促してまいります。
次に、高齢者向け優良賃貸住宅におけます家賃減免についてお答えをいたします。
高齢者向け優良賃貸住宅に関し家賃を低廉化する事業を行う地方公共団体に対し、国の補助を設けているところでございます。管理開始から二十年経過した後であっても、それぞれの地方公共団体の判断でその事業の期間を延長することは可能であります。そして、その場合には国も引き続き補助を行うこととしております。実際に家賃低廉化補助を二十年を超えて延長している自治体もあるところであります。
国土交通省におきましては、地方ごとのブロック会議におきまして、地方公共団体の担当職員に対し、直接、家賃低廉化補助の延長が可能である旨を説明するなど、その周知を図っております。
今後とも、管理開始から二十年経過した後であっても家賃低廉化補助の延長が可能であることや、現に家賃低廉化補助を延長した事例があることなどにつきまして、様々な機会を通じて地方公共団体に周知をしてまいります。
○早稲田委員 時間が来ましたので終わりますが、是非、UR機構法二十五条四項に基づく家賃の減免、実現をしていただきたいと強く要望をさせていただきます。
以上です。ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、中島克仁君。
○中島(克)委員 立憲民主党の中島克仁でございます。
生活困窮者自立支援法等改正案、昨日は、参考人質疑、五人の参考人の方に来ていただいて、それぞれの立場でございましたが、大変貴重な御意見を聴取させていただきました。また、今日もですが、これまで審議されてきた内容を踏まえて、私からは確認、また、医療扶助に関しては私から、僭越ではございますが御提言をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、居住支援に関してでございますが、昨日、特定非営利活動法人抱樸の奥田参考人は、生活困窮者自立支援法、今回の改正において居住支援の強化が第一の課題とされたことは評価されておりました。住まいの確保は、日常生活、社会生活、経済活動など、人の暮らしの前提で、住まい確保と居住支援はこの国の社会保障の根幹だとまず冒頭述べられ、そして、住まい保障が社会保障制度の根幹を支えるのなら、今回の法改正にとどまらず、日本社会における住まい保障に関する議論が省庁、官民を超えて今後も行われることを心から望むと。
言い方は多少違いましたが、昨日出席された全ての参考人がそのような趣旨を述べられていたと思います。
住居確保給付金の拡充はもとより、住まいは生活の基盤であることから、誰もが住居を確保して安心して暮らせるよう、国による住居費の支援など、生活困窮者に対する恒常的な居住保障の仕組みを、参考人もそうですが、改めてですが、やはり検討していくべきだと、昨日の参考人質疑を聞いていても強く感じました。これは検討するべきだと、改めてお伺いをしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 御案内のように、法案では、生活困窮者支援の窓口等について、住まいに関する相談を包括的に受け止めたり、入居後の見守り等の支援や社会参加への支援を強化すること、それから住宅確保給付金において低廉な家賃の住宅への転居費用の補助を新たに行うこととして、家計における支出への配慮を行うことなどの改正を盛り込んでいるところでございます。
こうした取組に加えて、今国会に提出された住宅セーフティーネット法の改正法案の措置と併せて、国土交通省とも連携をしつつ、高齢者や困難者に住宅を貸すことに対する大家の不安を軽減し、生活に困窮する方が借りやすい住まいが市場に数多く供給される環境の整備を進めてまいりたいと考えております。
したがって、国により新たな住居費を支援するという委員の御提案なんでありますけれども、生活に困窮した方々に対して、個別の事情に応じた住まいの支援を行うことで自立を促していくことが適切である。それから、そもそも、最低限の生活を保障する制度として生活保護制度が存在をする中で、これとは別に恒常的に住居費を保障する制度を創設するということになってまいりますと、最低限度の生活保障を超えた保障を行うことについての公平性の問題が新たに生じてしまいます。したがいまして、私どもとしては慎重な検討が必要だと考えております。
○中島(克)委員 だから、検討していただけるんですよね、検討。ここは大事なところなんですよ。朝川援護局長の答弁と大臣の答弁、先週も聞いていたんですが、大臣は結構前向きなんだなと私は感じているんです。
改めてですけれども、まあ分かります、様々な課題があること。住宅政策は国交省、また福祉、そのはざまで、昨日も参考人からも話がありましたが、空き家等の現物給付か家賃等の現金給付か、様々な問題が絡み合っていますが、やはり、慎重でも何でもいいです、慎重でもいいんですが、継続して、改めて、検討すると明確にお答えいただきたいと思います。
○武見国務大臣 既にいろいろな形で検討もされてきて課題も多くあることが確認もされていて、一つの見方としては、大家が住宅手当分を現行の家賃額に上乗せすることによって家賃の高止まりを招くのではないかとか、いろいろな懸念も実際にありますから、慎重に検討させてください。
○中島(克)委員 それはもちろん慎重なんだと思います。簡単に議論はあれですけれども、慎重でも、やはり昨日の参考人も、強く、多くの参考人が、言葉は多少違いましたがそのことを言っておりました。
じゃ、引き続き議論をする、恒常的な住宅支援、国による住宅支援、引き続き議論するということでよろしいですね。
○武見国務大臣 引き続き慎重に検討するということであります。
○中島(克)委員 検討するという御答弁だったと思いますので、押し問答になってしまいますからやめます。
次に、就労準備支援事業と家計改善支援事業に関して。
昨日、いのち支える自殺対策センターの生水参考人、本当に現場の、実践の生の声として、マヨネーズを二日に一本買って、その方に家計支援をすることで、支援される側の方も気づきがあり、非常に重要だということを非常に分かりやすく参考人からお話をいただきました。
部会の中間まとめ、最終報告の素案の段階までは、この両事業を必須事業化する方向で検討することが盛り込まれていたにもかかわらず、今回の法改正では見送られた。もう理由は、先ほども答弁されておりましたからいいですけれども。
必須事業化を見送る中で、最終報告に記されている、全国どこに住んでいても必要な支援を受けることができる体制の整備を今後どう具体化するか、これも明確に答えていただきたいんですが、先ほど、必須事業化に関しては、様々、今回の法改正ではということは述べられておりましたが、これも、今後、必須事業化に向けて検討していくと明確にお答えをいただきたいと思います。
○武見国務大臣 委員御案内のように、この法案では、家計改善支援事業の国庫補助率を就労準備支援事業と同じく三分の二にまで引き上げているほか、両事業の全国的な実施や支援の質の向上を図るための指針を公表することともしております。これに加えて、ノウハウや好事例の提供だとか、広域的な事業実施に向けた環境の整備などを通じて、家計改善支援事業であるとか就労準備支援事業が全国で適切に実施されるようにしっかりと取り組んでいきたいと思います。
○中島(克)委員 先ほど西村委員も、今回盛り込まれなかった理由については、そして今回は、〇・何歩なのか分かりませんが、進むと。でも、昨日の生水参考人の話でも、やはり、全国いろいろ事情はあるにしても、ニーズがあって、掘り起こすことによって確実にいい結果が生み出されている、それを、事例を通して昨日、参考人からお話を聞いたわけであります。
ですから、今回盛り込まれなかったことは、先ほども答弁いただきましたし、いいんですが、ここも、次期改正において生活困窮者就労準備支援事業と生活困窮者家計改善支援事業は必須化に向けて検討する、すると言っていただければ、それでよろしいかと思います。
○武見国務大臣 自治体における事業の実施率を見てみましても、就業準備支援事業は八一%、それから家計改善支援事業は八三%となっていて、どちらかというと、小さい市であるとか町が残っております。こういうところについて、自治体とも協議をしながら、この事業がきちんと拡充していくように更に検討をさせていただくことになります。
○中島(克)委員 次期改正に向けて、必須事業化に向けて検討するという御答弁だったと私は理解をさせていただきたいと思います。
続いて、人材確保と定着とそのための財源確保に関して。
昨日は連合の佐保参考人も例を挙げておられました。現場の声として、単年度契約で一時金も退職金もない境遇で、家庭を持ち、維持することも大変で、向上心を持って安心して働くことができない、若い方を採用しても定着しない、在籍三年未満のスタッフが三分の二で、入れ替わりが激しい、有資格者の採用は厳しい、思いだけでは限界と、現場の声も御披露していただきました。
全国の相談支援員の賃金水準、雇用形態等の実態を把握していくことも是非早急にやっていただくとともに、生活保護のケースワーカーなど同種の業務の処遇とも比較し、適正な水準なのかを検証するべきだと思います。相談支援員が一生の仕事として誇りを持って安心して働けるよう、雇用の安定、賃金水準の大幅な引上げ等の処遇改善、定着促進を図る必要がありますし、そのために、国の責任において今後より具体的にどのように取り組むかをやはり示していく必要があると思います。
地域の実情に応じた適切な人員体制を確保していき、また社会福祉士など適切な資格を持つ人の配置を促進するため、研修の充実、資格取得へのサポート、専門性に見合った報酬水準への引上げを図るべきと改めて求めますが、大臣、御見解をお願いしたいと思います。
○武見国務大臣 先ほど、正規雇用職員の場合の賃金は約四百五十万ともう既に申し上げたので、そこは省きます。
生活困窮者自立支援制度はまさに人が人を支える仕組みであり、各種事業を担う支援員は制度を実施する上で重要な基盤であるという認識は明確に持っております。
このため、これらの調査を踏まえまして、令和六年度当初予算において、自立相談支援事業等の国庫補助の基準を見直しました。支援の実施状況に応じた基準額になるよう見直すとともに、有資格者等の良質な人材の確保やアウトリーチの体制整備など、支援の質を高める取組を評価する加算を新設することとしております。
支援員の賃金水準や雇用形態等について、任期の定めのない常勤職員である生活保護のケースワーカーと単純に比較することは難しいと考えますけれども、このような取組を通じて引き続き支援員の処遇改善を推進するとともに、本法案を契機として生活保護との連携を更に強化をしてまいります。
○中島(克)委員 最後に一言、明確に言っていただければと思うんですが、処遇改善による人材の確保と定着、そのための財源を厚生労働大臣として確実に確保する努力をしていくということでよろしいですね。
○武見国務大臣 今日、今申し上げたような形で具体的な加算措置などを新たにつくるわけでありますから、これらを通じてしっかりと充実させていくということに努めたいと思います。
○中島(克)委員 よろしくお願いいたします。
ちょっと四番目を飛ばさせていただいて、医療扶助適正化関連について質問させていただきたいと思います。
医療扶助に関して、頻回受診や重複投与などの課題が、今回、地域、情報の連携等を通じて改善を図るという内容でありますが、これまでも国や地方公共団体において、生活保護受給者を中心に、健診による疾病リスクの早期発見や生活習慣病対策の取組の推進といった事業が行われてきました。特に、平成三十年の法改正で設けられ、令和三年一月に開始された被保護者健康管理支援事業によって、一層、保護実施機関により、被保護者の生活習慣病予防、取組が進められてきている。これは私も承知しています。
しかし、そもそもなぜこうした事業が必要とされているのか。その背景は、端的に言えば、生活保護受給者等について、やはり一般の社会にいる方々よりも医療ニーズや健康管理の必要性が高いからだと。
厚生労働省の被保護者健康管理支援事業の手引き、これは令和二年八月の改訂版ですけれども、生活保護受給世帯については、その約八割が何らかの疾病によって医療機関を受診していて、傷病、障害者世帯も生活保護受給世帯全体の四分の一を占めていて、若年者を含め医療を必要とする被保護者が多いと、医療ニーズが一般世帯と比較して多いことを手引でも示しています。また、生活保護受給者等について、一般世帯と比較して、適切な食事習慣や運動習慣が確立されていない傾向があり、これらのことから見て、被保護者は、多くの健康上の課題を抱えるにもかかわらず健康に向けた諸活動が低調である、こうした被保護者の特性を踏まえれば、医療と生活の両面から健康管理に対する支援を行うことが必要であるとも記されています。
医療ニーズに加えて健康管理の必要性が非常に高いということが手引でも改訂版で示されているわけです。
生活保護受給者が抱える医療ニーズや健康管理の必要性に適切に対応する能力を備えているものとして、これは私の一丁目一番地ですが、まさにかかりつけ医、かかりつけ医が生活保護、生活困窮者の皆様の様々な課題に寄り添っていく、その役割を果たすべきものなのだろうというふうに考えるんです。
参考人にまず事実関係を確認しますが、生活保護受給者について、かかりつけ医を持っている方の人数や割合について教えていただきたい。また、厚生労働省の上手な医療のかかり方の普及の取組以上に、特に生活保護受給者や生活困窮者に対して福祉事務所やケースワーカーから、かかりつけ医やかかりつけ薬局、薬剤師を持つように勧めるような取組は厚生労働省としてされておられるのでしょうか。
○朝川政府参考人 生活保護受給者について、御指摘のかかりつけ医を持っている者の人数や割合については、申し訳ございません、把握してございません。
生活保護制度の医療扶助の受給に当たりましては、被保護者からの申請に基づいて、医療の要否を審査し、原則として、福祉事務所が委託した医療機関において受診をいただくという仕組みになっています。そして、福祉事務所による指定医療機関の選定に当たりましては、例えば、居住地に比較的近距離に所在する医療機関を基本として、病床数の多い医療機関を限定的に取り扱いつつ、患者の医師に対する信頼なども考慮し、本人の希望を参考とした上で委託するということにしております。こうした仕組みを通じて、被保護者に対する適切な医療の確保に努めているというのが一つです。
また、医療扶助に関する市町村の取組として、処方箋を持参する薬局をできる限り一か所として、本人の状況に応じて薬局において薬学的管理、指導を実施するとともに、必要に応じて薬剤師から医師に対して重複処方の情報提供等を行う事業を実施しておりまして、国としても、自治体による事業の実施経費に対して補助を行っているところです。
○中島(克)委員 生活保護受給者の方々がかかりつけ医を持っているかとか調べていない。調べられるわけないですよね、だって、かかりつけ医が我が国に何人いて何者なのか、明確になっていないんですから。昨年の全社法で、かかりつけ医機能が発揮される制度整備といいながら、いまだ、かかりつけ医が何者か、そして一体我が国にどのくらい配備されているのか、全く分からない。
資料の一枚目、これは私が作ったものでありますが、生活保護受給者のかかりつけ医登録制。
様々な課題を抱える、そして、そのQOLを向上させるために、薬をジェネリックにしなさいとかそういう形だけのものでなくて、こういうニーズが生活保護、生活困窮者の方々にあるのであれば、私は、生活困窮者また生活保護者の方々にこういうプライマリーケアを発揮するかかりつけ医を明確に、登録制にしていくことによって、今回テーマになっておりますが、重複投与とか頻回受診そのものも、我々が言っている総合性、継続性、そして責任性を持ったかかりつけ医、これを事前登録する仕組み。
大臣、生活困窮者、保護者の皆さんが抱える様々な課題にかかりつけ医が確実に対応することが優位性があると大臣はお考えになりませんか。
○武見国務大臣 大変に興味深い御提案だと思って伺いました。
現状では、生活保護のケースは、まず、医療の可否を審査した上で、これは医師が医療の可否は判断しますけれども、その後、原則として、福祉事務所が委託した指定医療機関、これは複数ございます、そこを選択するということが、生活被保護者にとっては選択の余地があります。実際に、そうした本人の希望を参考とした上で委託することになっておりまして、こうした仕組みを通じて、被保護者に対する適切な医療の確保を図っているのが現状であります。今、その考え方で事態を進めているところであるということは申し上げておかなければならないと思います。
したがって、委員が御指摘のような、医療扶助の仕組みとしてかかりつけ医などを登録する仕組みを直ちに導入するということは、まだなじまないということは申し上げなければならないと思います。
○中島(克)委員 大臣の本音かどうか、ちょっと怪しいなと私は思うんですが。
資料の二枚目、三枚目、これは、もう四年前にちょっと廃案になってしまいましたけれども、我々が示したかかりつけ医制度整備法案であります。右側が全社法案のかかりつけ医機能が発揮される制度整備。
我々、より具体的に、まあ肝は、何度も言いますが、かかりつけ医とは一体何者なのか明確に定義をして、そして確実にアクセスできるための事前登録、そして質の担保のための認定制、さらには総合性を持った、いわゆるプライマリーケアの部分は包括報酬とすることで予防医療にインセンティブを持たせると、具体的な内容なんです。
生活保護者の皆さん、今、最新で約二百万人と言われておりますが、私、こういうかかりつけ医を持つことが、健康上、また社会的な面、精神面でも非常に複合的な要因を抱えている、そして、今、指定医療機関と言われましたが、そもそも今、生活保護受給者の皆さんはフリーアクセスが制限されているわけですよね。私たちの言っているかかりつけ医制度は、別にフリーアクセスを阻害するものではなくて、患者さんも医療機関も手挙げ方式ですから、そもそもフリーアクセスを維持しながら事前登録する仕組み。
でも、分かります、これは私、もう何年も議論していますから。そこに向かうために、かかりつけ医機能の制度整備、今回の診療報酬改定でも何か仕掛けのようなものを感じました。生活習慣病が管理加算から除外されたり、いわゆるかかりつけ医が行う役割を少しずつ少しずつやろうとする思惑はよく分かります。
思惑はよく分かりますが、私は、コロナかかりつけ医制度というのも議員立法で出しました。この生活困窮者、生活保護受給者の皆さん、約二百万人、是非、我が国の今後のかかりつけ医の確立に向けて、導入していくには、私、お互い、必要性、需要性も供給性も含めて一致するものだと思います。是非、大臣、重く受け止めてもらって、そして前へ進めて。私も協力します。是非改めてお願いしたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○武見国務大臣 最初に申し上げたとおり、大変興味深い御提案だというふうに私は受け止めました。
ただ、また同時に、生活保護を受けている方であったとしても一定程度の選択というものができる、これはやはり一つの大切な患者としての権利でもあろうかというふうにも思います。したがって、こうした生活保護を受けている立場の人から、登録医というような考え方でかかりつけ医の制度化を進めるということについては、一定の抵抗感がやはり出てくるのではないかと思います。
したがって、考え方としては非常に興味深いのでありますけれども、今現在のこの生活保護の中での医療扶助の在り方ということを考えるときには、現状ではまだ難しいかなという感じがします。
○中島(克)委員 一定程度の抵抗感というのは何を意味するのか私は分かりますけれども、しかし、かかりつけ医の確立、武見大臣がその必要性、重要性を十分認識されておると思いますので、私からの提案というのは、コロナであれば重症化リスクの高い方から確実につながるような、そして自らの健康増進に対して責任性を持ってくれるかかりつけ医が、その部分だけではなく、我が国、少子高齢化、人口減少、人生百年時代に必要だということを改めて大臣には御理解をいただくことをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、遠藤良太君。
○遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。
まず、私からは医療扶助について質問していきたいと思いますけれども、平成三十年法改正の中で、附帯決議の中で、医療扶助費における窓口負担については、償還払いの試行を含めた方策の在り方について検討を行うというふうにされていたと思います。この中で、医療扶助は、生活保護の方の中では、一方で、生活保護ビジネスなどに、課題になっている部分があると思います。
一点確認したいんですけれども、前提として、現在の医療扶助という生活保護に課題があるのかどうか、まず確認したいと思います。
○朝川政府参考人 医療扶助は、医療費の全額を公費で負担するものでございまして、制度を適正かつ効果的に運用していくことが必要と考えています。
今回の改正を議論していただきました社会保障審議会の部会報告書では、医療扶助の現状、課題として、頻回受診による適正受診指導によっても未改善の者が一定割合いることから、そのような者への実効性のある取組が必要であるということや、重複、多剤投薬者に対する医薬品の適正使用に係る取組について、健康増進の観点と医療扶助の適正実施の観点から推進していく必要があることなどが示されております。
こうしたことも踏まえまして、今後、頻回受診対策等に引き続き取り組んだり、多剤投薬の適正化の推進や健診受診率の上昇に向けた健康管理支援事業の推進などを行うということと、あと、本年三月から運用を開始しましたオンライン資格確認の仕組みも活用して、適正かつ効果的な事業運営のための取組を進めてまいります。
〔委員長退席、大岡委員長代理着席〕
○遠藤(良)委員 つまり、様々な課題があるということだと思いますけれども、その中で、先日、我が党の一谷議員が医療扶助に関してワンコイン化が有効なんじゃないかなということを指摘しましたけれども、その中でも、御答弁が、先ほどもおっしゃっていただきました、医療扶助については、医療費全額を公費で負担するものであるということであります。
一方で、例えばこのワンコイン、具体的には数字は出ていなかったんですけれども、例えば五十円であったりとか百円であったりとか、こういったものでも難しいのかなというふうに思うんです。この辺りの、制度として難しいのか、負担として難しいのか、この辺りを確認したいと思います。
○朝川政府参考人 医療扶助制度について、御指摘のような自己負担を導入するという御意見があるわけですが、これについては幾つか課題があると思っておりまして、一つは、医療扶助は最低生活の保障の観点から行っているもので、自己負担なしで医療を受けられるように、そのためにしているということ、二つ目は、自己負担額を用意できないで、被保護者の必要な受診まで抑制してしまうおそれがあるということ、三つ目は、仮に償還払いとする場合、事務負担の増加につながるという懸念もあること、このようなことも踏まえまして、慎重な検討が必要と考えています。
○遠藤(良)委員 今、三つの御指摘をいただきましたけれども、本来医療が必要な方の抑制につながるんじゃないかなというところで確認したいんです。
例えば金額だとすると、例えば十円だと、これは憲法二十五条の、先ほども指摘がありましたけれども、ここの最低限の生活保障に反しないんじゃないかなというふうに思いますけれども、さらに、もうちょっと言うと、一円であれば償還払いをする必要があるのかどうかとか、この辺りが考えられると思うんですけれども、どのようなお考えなのか、お尋ねしたいと思います。
○朝川政府参考人 御指摘のような償還払いを導入することにつきましては、少額の償還払いであったとしても、窓口で一旦立て替えて支払っていただいた自己負担は一定期間が経過した後に償還されることになるわけですけれども、最低生活を保障している生活扶助などの基準額は、自己負担の支払いを想定して設定されたものではありませんので、最低生活を保障するという趣旨から妥当かという問題がやはりあると考えます。
さらに、窓口で払われた自己負担につきましては、一定期間ごとに、各世帯、各機関ごとに福祉事務所で管理して返還する事務が生じるということになりますので、福祉事務所等における実務の対応も課題になる。
そういうことを踏まえますと、慎重な検討が必要と考えておりまして、むしろ、適正受診を推進するためには、頻回受診対策の強化などに取り組んでいくことが重要と考えています。
○遠藤(良)委員 後でまた頻回受診についても質問したいと思うんですけれども、先ほどありましたけれども、事務コストがかかるんだということだと思います。一円であれば、それを償還して、戻ってくるまでにコストがかかるんだと。
ただ、償還払いについては、例えば、負担が生じないようにして、ごく一部の地域に限定してこういう効果検証をやっていくことも考えられると思いますよ。この辺りはいかがでしょうか。
○朝川政府参考人 医療扶助制度は、最低生活を保障する生活保護制度の中の制度でございます。したがいまして、先ほどの一つ目の観点がございまして、それを一部の地域だけその観点を除いて行うことについては、やはり公平性の観点から望ましいとは言えないのではないかと考えてございます。
○遠藤(良)委員 例えば、先ほどからお話ししているように、一円とか、もっと少額の金額でトライしていって、償還はせずに、こういう取組も考えられるんじゃないかなというふうに思いますので、是非ともこういう効果検証を進めていただきたいというふうに思うんです。
その中で、頻回受診のことを改善していくべきだということもお話がありましたけれども、先ほど中島先生も指摘されていました。被保護者が八割が医療扶助をしているんだということです。
この中で、例えば、厚労省の中では、頻回受診については改善が図られている、半数程度が改善しているんだということだと思いますけれども、一方で、言い方を変えると、半数は、医師が必要以上の受診と認めているのに改善していないということが言えると思います。
つまり、頻回受診をしていて、一方で医師がこれを認めているのに改善していないという案件についてはどのように対応していくのか、大臣にお尋ねしたいと思います。
○武見国務大臣 各福祉事務所で頻回受診対策を始めとした医療扶助の適正化に取り組んでおりまして、頻回受診指導の把握対象者数も減少傾向というふうに、一定の成果が得られていると認識をしております。
一方で、頻回受診指導を受けても未改善の者が約半数おります。社会保障審議会の部会の報告書では、頻回受診の背景には孤独や医師への依存などもあり、未改善者を被保護者健康管理支援事業の対象に位置づけ、医療機関以外の多様な居場所につなぐことも含めて支援を行っていく必要があるという、そうした貴重な御提言をいただいております。
このため、今後、被保護者健康管理支援事業において、社会的孤立等による頻回受診の未改善者を対象として、多様な居場所につなぐことも含めて支援を行うことを検討するとともに、今年三月から運用を開始いたしましたオンライン資格確認の仕組みを活用いたしまして、適正受診を促す取組を検討し、推進をしていくこととしております。
これに加えて、本法案の中では、都道府県がデータ分析を行って、市町村の福祉事務所に対して取組目標の設定、評価や助言などの支援を行う仕組みも創設することとしておりまして、こうした仕組みにおいても頻回受診対策を取り上げていくことを検討していきたいと思います。
○遠藤(良)委員 先ほども目標設定という話もありましたけれども、これはまた後ほどお尋ねしたいんですが、頻回受診の指導対象、これについては、同一傷病について、同一月内に同一診療科目を十五日以上受診した者で、かつ、医師が必要以上の受診と認めた者に対して行われると定義されていると思うんですけれども、要するに、月でいうと二日に一回は受診しているという計算になると思いますけれども、そもそも、頻回受診について、月十五日以上ということが定義されていると思います。この根拠を教えてほしいです。
○武見国務大臣 頻回受診の定義につきましては、平成十二年発出の通知において示したものでありますけれども、御指摘の十五日については、当時、老人保健法に基づく老人医療において頻回受診適正化に関する補助事業が創設された際に、対象者を抽出する目安として定められたものを踏まえているものでございます。
○遠藤(良)委員 つまり、あくまでも想定として、具体的な根拠ということが言えないというふうに思うんですけれども、例えば、七日として、さらに、医師が必要以上の受診と認めた者に対して、頻回受診の指導対象とすることも考えられると思いますよ。この辺りの定義についてはいかがでしょうか。
○武見国務大臣 頻回受診の受診回数の基準についてでありますけれども、令和二年から四年にかけて、医療に関する有識者や生活保護制度の実務を担う自治体の関係者らを参集して開催した医療扶助に関する検討会におきまして検討していただきました。
その結果、検討会の報告書では、これまでの取組の成果やケースワーカーの業務負担、それから他制度の状況等も踏まえまして、見直しは不要と考える旨の見解を取りまとめていただいております。その理由としては、頻回受診者の推移等に関する他制度との比較において医療扶助で特異な状況が見られないということ、それから、他の制度では全国一律の回数の基準を定めた頻回受診指導は実施されていないこと、こういったことが挙げられております。
一方で、今後も頻回受診対策の推進に更に取り組んでいくことが必要だという考えがございますので、本年三月から運用を開始したオンライン資格確認の仕組みを活用して、頻回受診対策の取組を更にしっかりと強化していきたいと思います。
○遠藤(良)委員 オンラインで効率化していって、さらに、業務負担がかかるということについてはそういうことで対応していこうということだと思いますけれども、一方で、だからこそ、ワンコイン化をして進めていくべきなんじゃないかなというふうに思っています。
さらに、重複投薬に関しても、同じようなことなんですけれども、先ほど大臣からも目標設定のお話がありましたけれども、向精神薬の重複投薬の改善というのは六〇%程度であるということなんですが、現在、改善者の割合についての目標設定、実際これは今設定しているのかどうか、確認したいと思います。
○朝川政府参考人 現在、数値目標という形では設定してございません。
○遠藤(良)委員 数値目標を設定する予定はあるんでしょうか。どうですか。
○朝川政府参考人 向精神薬の重複投薬の適正化にかかわらないんですけれども、今回の法案では、都道府県が広域的な観点からデータ分析を行って、市町村に対して取組目標の設定、評価等の支援を行う仕組みを新たに設けることにしています。
この取組目標の設定、評価に当たって、国から都道府県に対して参考となる考え方を示すことを考えておりまして、その具体的な内容は、今後、有識者の意見を踏まえて検討してまいります。
○遠藤(良)委員 何か来年頃にこれは出てくるようなことを事前のレクで聞いたんですけれども、一方、医療扶助における重複投薬の目標設定はもちろん必要で、是非取り組んでいただきたいと思うんです。
さらに、医療扶助における入院のところで、今、令和四年医療扶助実態統計では、医療扶助における入院の件数割合で、精神、行動の障害が三七・六%あるということなんですけれども、医療扶助で精神、行動の障害のために入院している方についての現状を確認したいと思います。
○朝川政府参考人 生活保護受給者の入院患者のうち、入院の原因が精神、行動の障害である方の入院件数は減少傾向にありまして、また、精神、行動の障害により入院している方のうち、入院期間が五年を超える長期入院患者の数も減少してございます。
精神障害者等の長期入院への対応としましては、これまで福祉事務所におきまして入院期間が百八十日を超える方の実態把握を行っておりまして、具体的には、まず、嘱託医による書面検討や主治医への意見聴取により入院の必要がないとされた場合に、患者や家族への訪問により実態を把握した上で、適切に退院指導等を行うことなどに取り組んでおります。こうした取組によりまして、入院患者が、百八十日を超える患者数、入院の必要がないと判断された者のうち退院促進の措置が未対応の患者数は、いずれも減少傾向となっています。
一方、福祉事務所による退院促進の措置が未対応の患者数の割合は、令和四年度においてまだ二二%程度ございます。福祉事務所と精神保健福祉部局や保護施設との連携等により、退院や地域移行に向けた継続的な支援を推進してまいります。
〔大岡委員長代理退席、委員長着席〕
○遠藤(良)委員 百八十日以上を超えるというところをお話しいただきましたけれども、我が党の猪瀬直樹さんがこんなことを言っています。患者に対する医師、看護師数の比率が少なく、病床数を増やせば増やすほど経営的に利益が出やすい構造になっているんだと指摘していまして、入院費の保険点数が低いが、ベッド数を多くすることで薄利多売として稼ぐビジネスモデルになっているということを指摘しています。
俗に言う老健、老人保健施設ですね、この老健の場合ですと、例えば、病院があって隣に老健があって、老健は最長百八十日なんですよね。要は、先ほどの長期入院というところの対象には入っていないと思います。要は、百八十日たてば病院に戻して一旦退院をさせる、そして、さらにまた老健に戻す、こういうケースが実際現場では起こっているんですけれども、こういったケースは存じ上げているでしょうか。確認したいと思います。
○武見国務大臣 医療扶助における長期入院患者への対応については、これまでも必要な退院指導に取り組んでおります。これは福祉事務所が担当しておりますが、この長期入院患者数や入院の必要性がないと判断された患者数は、実際には減少傾向になっております。
医療扶助に限らず、精神科病院に入院中の患者については、入院を長期化させず、地域移行、地域定着を進めていくことが重要です。
診療報酬における精神科の救急医療に係る精神科救急急性期医療入院料等においては、算定期間を九十日とした上で、必要以上の入院を繰り返すことがないよう、入院する前三か月において保険医療機関の精神病棟に入院したことがない患者等を対象としております。さらに、精神疾患を有する方が退院後も地域で継続して生活していけるよう、累次の診療報酬改定において、精神科入退院支援加算や療養生活継続支援加算の新設等を行ってきたところでございます。
こうしたことを引き続き、精神疾患患者が地域で生活をすることができるように、診療報酬における評価については、専門家の御意見を踏まえながら、必要に応じて中医協において議論してまいりたいと考えます。
○遠藤(良)委員 やはり、先ほどお話ししたみたいに、病院の隣に老健があって、これがビジネスモデルになっているケースが現場としては実際あって、その中で、これはやはり改善していかないといけないと思いますし、一方で、悪用まではいかないんですけれども、そういう形で医療運営、病院運営をしている医療法人もありますし、是非ここはしっかりと注意していただきたいと思います。
さらに、例えば、入院に関しては、これは参考人の方もおっしゃっていましたけれども、日住であったりとかグループホームの活用とか、こういったことも使って更に減少させていくというふうなことも考えられると思いますけれども、この辺り、大臣、いかがでしょうか。
○朝川政府参考人 生活保護受給者の長期入院患者等の退院促進につきましては、これまでも、福祉事務所におきまして、嘱託医による検討や主治医への意見聴取により入院の継続は必要でないと判断された場合に、患者や家族への訪問を通じて実態を把握して、退院指導を行ってまいりました。
また、生活保護受給者の入院におきましては精神、行動の障害の割合が多いということを踏まえまして、長期入院患者の退院や地域移行を推進するため、福祉事務所が保健師や精神保健福祉士などを確保し、また、退院までの課題分析や患者家族との相談を行うとともに、障害福祉担当部局と連携し、障害者グループホームを含めた退院先を確保、調整する場合には自治体の取組の支援を実施しております。
こうした取組により、退院等に至らず必要な対応が行われていない患者数は近年減少傾向となっており、今後も引き続き、長期入院患者の退院に向けた調整、支援を推進してまいります。
○遠藤(良)委員 長期入院にならないようにすることが一番の目的だと思いますので、是非そういう観点で、自立支援ということもしっかりと念頭に置いて考えていただきたいと思います。
先日、足立議員が質問をしているんですけれども、外国人の医療扶助について質問していますけれども、その中で、世帯主が日本国籍を有しない生活保護受給世帯は医療扶助は九〇・五%である、全ての生活保護世帯では八七・九%、他方、介護扶助については、日本国籍を有しない生活保護受給世帯の介護扶助については二一・四%、全ての世帯に関しては二四・九%であるという数字をお聞きしたんですけれども、その中で、こういうデータから考えられるとすると、外国人の方については介護を利用するよりも医療機関にかかっていることが多いというふうにも、そういう可能性があるんじゃないかなというふうに思いますけれども、この辺り、いかがでしょう。
○朝川政府参考人 今おっしゃっていただきました数字は、令和四年度の被保護者調査において、生活保護受給世帯がどの扶助を受給しているかを見た場合の数字でございます。
基本的には、世帯主が日本国籍を有しない保護世帯と全ての保護世帯で大きい数字の傾向の違いがあるというふうには考えてございませんので、外国人が医療扶助を受給する傾向にある、そういうことは確認してございません。
○遠藤(良)委員 外国人の医療扶助の利用実態については現在調査しているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○朝川政府参考人 生活保護の決定、実施は世帯単位で行っておりまして、生活保護受給世帯の中には日本人と外国人で構成される世帯もございます。したがいまして、世帯ごとに支給されている保護費について、外国人に関する費用を区別して把握することは困難な仕組みになっています。
一方、先ほどもおっしゃっていただいた数字なんですけれども、保護受給世帯における医療扶助の受給割合であるとか、あるいは世帯主が日本国籍を有しない保護受給世帯における医療扶助の受給割合でありますとか、そういう世帯単位での割合、そちらについては把握しておるわけでございます。
外国人の医療扶助の額につきましては、医療扶助が現物給付であるという性格で、現金給付については区別できているんですけれども、現物給付であるということから、福祉事務所から生活保護受給世帯に毎月支給、管理する事務でないという性格なので、把握をしていないということになっています。
○遠藤(良)委員 医療を受けるために日本に来られる外国人の方もいるということもお聞きするんですけれども、適正な医療扶助でなければ納税者の方々の理解が得られないんじゃないかなというふうに思います。今おっしゃられていましたけれども、正確なデータ、世帯ごとで取っているということなので難しいんだと。是非、厚労省としても各自治体に働きをかけて調査を行っていくべきだと思いますけれども、大臣、その辺り、どうでしょう。
○武見国務大臣 外国人についての医療扶助額を把握することに関しては、自治体におけるデータの突合、集計の負担などを踏まえた上で、どのような対応が可能であるか、少しちょっと検討してみます。
○遠藤(良)委員 是非、大臣、やっていただきたいと思いますが、もう一度お願いします。
○武見国務大臣 今、もう一度申し上げると、外国人についての医療扶助額を把握することに関しては、自治体におけるデータの突合、集計の負担等を踏まえつつ、どのような対応が可能であるか、検討をしてみたいと思います。
○遠藤(良)委員 是非、これは調査していただきたいと思います。先ほどもお話ししたように、納税者の理解はなかなか、データがないというと得られないと思いますので、是非お願いしたいと思います。
少し質問を飛ばさせていただきまして、生活保護受給者のことをお尋ねしたいと思いますけれども、原田泰参考人がおっしゃられていた中で、生活保護の方よりも低い、生活保護よりも低い生活水準で生活をしている方が数十倍いるんだということなんですけれども、この辺りの認識についてお尋ねをしたいと思います。
○朝川政府参考人 生活保護の受給は、そのときのフローの収入だけで判断する仕組みにはなってございませんで、保有する資産でありますとか親族からの扶養の可否とかも調査しますし、働いて収入を得る能力の把握、そういったことも調査、把握をした上で生活保護の要否を決定いたしますので、フローだけで生活保護の支給が決まるものではないということでございます。
○遠藤(良)委員 認識としては、生活保護よりも低い生活水準でいらっしゃる方がいるかどうかはいかがですか。
○朝川政府参考人 繰り返しになりますが、フローの収入が保護基準を仮に下回っていましても、預貯金が例えばあれば、預貯金も活用しながら生活するということが可能ですので、一概に、生活保護の水準以下の生活を送っている人がどれぐらいいるかということは、なかなか難しい問題でございます。
○遠藤(良)委員 先日の原田先生がおっしゃっていましたけれども、データでも出ていたと思います、生活保護よりも低い生活水準で生活している方がいるんだということなんですけれども、実際、現状、例えば、生活保護よりも低い生活水準で生活している方がいるという現状についてどのような評価をしているか、お尋ねしたいと思います。
○朝川政府参考人 生活保護制度は最後のセーフティーネットでございまして、生活保護を必要とする方に確実かつ速やかに保護を実施することが必要と考えています。そのため、生活保護制度を実施する自治体におきましては、保護のしおりなどを用いて生活保護制度の周知広報を行うとともに、生活困窮者自立支援法に基づく自立相談支援機関等の関係機関と連携して、必要な方を福祉事務所につなげるなどの取組を行ってございます。
○遠藤(良)委員 現状についてどういうふうな評価をされているのか、生活保護よりも低い生活水準で生活している方がいるということの現状の評価をお尋ねしたいと思います、いるかいないか。
○朝川政府参考人 先生がおっしゃっているのは捕捉率のことであるとすれば、捕捉率自体は、先ほど来答弁申し上げているとおり、生活保護の基準は、その要否は、フローの収入だけで決まるものではございませんで、資産とか扶養の可否とか、そういう、総合的に判断して決まるものでございます。
一応、その上で申し上げると、いわゆる捕捉率とは異なるんですけれども、厚生労働省においては、各種統計調査データの活用をしまして、生活保護基準未満の低所得世帯数とそれに占める被保護世帯数の割合を推計しております。この推計の結果については、ベースとする統計や、所得のみで考えるか、資産まで考慮するかによって結果が大きく異なりまして、例えば、所得と資産の両方を考慮する場合では、最高で七五%、最低で四〇%となっていて、数値自体を評価することは難しいと考えてございます。
○遠藤(良)委員 是非、これはまた引き続きやりたいと思いますので、また引き続きよろしくお願いします。
○新谷委員長 次に、岬麻紀君。
○岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。
本日、三十分間、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案に対して質疑が進んでおりますが、今後、あらゆる面から高齢化であるとか生活困窮問題が懸念されております。時代によって社会構造の変化が行われております。全ての国民が、先日もどなたかがおっしゃいましたけれども、人生は一方通行なわけですよね。ですから、誰しもが老後に立ち向かっていかなくてはいけない、そして生活困窮に陥らないための老後の在り方というものを含めた社会保障を国として真剣に考えなければいけないと切実に思っております。
そこで、質問ですけれども、社会保障の給付と負担、税負担が所得の分配にどのような影響があるのか知らなくてはいけないのではないでしょうか。
先日、先週の金曜日ですけれども、三月の二十二日に開催されました厚生労働委員会におきまして、立憲民主党の堤かなめ議員が資料を求めています。どんな資料かといいますと、OECD各国の再分配効果について現物給付が含まれているものの提出が可能かどうかを確認してほしいということで、昨日の三月二十六日に回答がございました。私は日本維新の会ですけれども、この問題を共有したく、本日は取り上げて、また、せっかくの機会ですので進めていきたいと思います。
まず、ここですけれども、一般的に、所得等の分布を表すジニ係数によりまして、国民の経済計算等に用いられていると認識しています。そこで、公的な現金給付、また現物給付を含んだ再分配所得ジニ係数に関して、日本におけるものはあるということなんですけれども、各国での国際比較がないという回答を得られたわけなんですが、ないというのはどういうことなのか。なぜなんでしょうか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
ジニ係数の国際比較でございますが、こちらはOECDの方で行われているものでありまして、各国に対してそれぞれOECDの方から調査をされているという状況でございます。
その中で、当初所得のジニ係数ですとか、当初所得から税や社会保険料を控除した上で現金給付を加えたこういった可処分所得のジニ係数というのは調査をされておりますが、現物給付というものを加えたものは調査をされていないということもございまして、私どもとして、現物給付を含めたジニ係数の国際比較のデータについては承知していないという状況でございます。
○岬委員 質問は、なぜされていないのかという理由を聞いているんですけれども。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
OECDの方でやられているわけでございますが、そういう意味でいうと、OECDさんの方でどういった理由なのかについて正確に把握しているわけではございませんが、ただ、現物給付といった場合に、各国においてやはり制度自体がいろいろ違いがあるというところがございます。現金であれば割と単純と言うと言い方は変ですが、金額という形で出てくるわけですけれども、現物給付についてどういうふうにやるかについてはなかなか難しいということもあろうかと思っておりますが、いずれにいたしましても、OECDの方の調査で入っていないということで、ちょっと、私どもとして、現物給付の入っている国際比較というのは承知をしていないというところでございます。
○岬委員 日本においてももちろん国際比較の研究はされていると思いますけれども、現物給付を入れるということは、所得だけではなくて、福祉サービスであるとか、福利厚生であるとか、健康ケアや、教育、住宅、食料補助、子育て支援など、現金給付ではない形態のものの所得の分配を意味していると理解をしております。
ここで、経済的な不公平だけではなくて、社会的な不公平もより正確に国際比較をしていく必要があるのではないかと考えるわけですけれども、例えば発展途上国であればこういったことを見ていくのは難しいというのは理解ができますけれども、せめて主要な先進国、G7であるとかその辺りであれば国際比較をしていけるのではないか、そういう研究もされているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○鹿沼政府参考人 御指摘ありがとうございます。
おっしゃるように、現物給付を加えた形でジニ係数、要するに所得再分配というものをしっかり見ていく必要があるのではないか、そういったことについては、私どももそういった考えはございます。
ただ一方で、先ほどもちょっと言ったことと重なって大変恐縮でございますが、やはり、現物給付について各国の制度というのが非常に異なっている中でそれをどのようにして各国比較を行うのかというのは、我が国独自の調査だとしても非常にちょっと難しい点があろうかとは思っております。
ただ、繰り返しになりますが、所得再分配、非常に重要な要素だと思っておりますので、我々はこれから少子高齢化、人口減少局面、こういった中で社会保障制度の持続可能性を検討し、必要な取組を実施していくに当たっては、そういった所得再分配機能をしっかり検証、研究していく必要があると思いますし、また、先生先ほどもおっしゃっておりましたけれども、我が国においては、一般的な所得を調査する国民生活基礎調査に加えて、所得再分配調査という形で、国民生活基礎調査の対象者の一部の対象者について、医療の受診日数、介護の利用状況、こういったようなことを把握する調査を実施し、現物給付を含むジニ係数を作成しているという状況でございます。
○岬委員 御提出いただいた資料も、今おっしゃっていただきました国民生活基礎調査によるものが提出されております。
では、これは現物給付は考慮されていないという資料ですけれども、日本のところが黄色くなっておりますが、ここで見ますと、〇・三三四というふうに数値が出ています。そして、別添一の方を見てみますと、こちらは〇・三八一三となっているわけですね。そうすると、ゼロに近い方がもちろんいいわけですから、これは悪化しているように見えるというか認識できるんですけれども。
出ているところが違うのかなというところは想像できますが、この辺りはいかがでしょうか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
OECDの調査については恐らく世帯人員みたいな形でやっていて、私どもは世帯単位でやっているというところの、調査の形が違っているところがございまして、恐らくそういったことになっておるんですが。
私どもの現物の支給も含めたジニ係数の調査によりますと、直近が令和三年の調査でございますが、当初所得のジニ係数が〇・五七、これに対して、社会保障給付金をプラスし、また社会保険料や税金を考慮した、いわゆる現金給付をやった後のジニ係数については〇・三八九〇、それに加えて、現物給付も加えますと〇・三八一三ということで、現金給付だけに比べて現物給付の方が〇・〇一ほど改善している、そういう状況でございます。
○岬委員 細かい数字、ありがとうございます。
実際はどうかといいますと、つまりのところは〇・〇一であるということで、現物給付の再分配効果として、私が思うには大した効果は上がっていないんじゃないのかなというふうに感じる数値なんですけれども、これは実際、この程度の効果でいいということなのか、今後は効果を出していかなくてはいけないと思っていらっしゃるのか、どう考えていらっしゃいますか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
年金等につきましては、いわゆる現金給付というとやはり年金というのが出てくるわけでございますが、年金についてはやはり所得の低い高齢者の方々に給付がされるというところがございますので、結構、ジニ係数上の数字としては高めに出てくるという状況はございます。
一方で、医療、介護の現物給付については、所得の多寡にかかわらず発生するということもございまして、ジニ係数でいえば、先ほど言った〇・〇一でございます。
なお、先ほど幾つか数字を言わせていただきましたが、例えば、税金の前、要するに社会保障給付金と社会保険料だけを加味したときのジニ係数が〇・四〇八三に対して、税金をそこから引いた場合のジニ係数は〇・三八九〇ということで、それを差し引くと約〇・〇二ぐらいでございますので、現物の場合は〇・〇一ぐらい、そんな感じで考えていただければと思っております。
○岬委員 何度もありがとうございます。
私は、その細かい数字を今聞いているのではなくて、この効果の程度でいいという認識でいらっしゃるのか、それとも、今後きちんと効果を出していかなくてはいけないと考えているのかということをお聞きしております。
○鹿沼政府参考人 その数字自体、〇・〇一を低く見るか高く見るかということもございますので、ちょっと細かい数字を先ほど言及をさせていただきましたが、数字をどう見るかという話はあろうかと思っておりますけれども、いずれにしても、社会保障の世界の中でこの所得再分配というのは大切な機能である、それ自体はまさに我々も同じ認識でございますので、そういった認識の下に、こういった少子高齢化、人口減少社会の中で今後どういうふうに社会保障を考えていかなければいけないのか、そういったことは考えていかなきゃいけないというふうに思っております。
○岬委員 ありがとうございます。では、引き続きよろしくお願いいたします。
次の質問に入りたく思います。
目前に迫りました二〇二五年問題、いわゆる団塊世代の奮闘によりまして、日本の高度経済成長を牽引してくださった皆様、出生数でいきますと約八百六万人いらっしゃいます第一次ベビーブーム世代ですが、この全ての方が七十五歳の後期高齢者になりつつあるという問題でございます。
少子化も加速をして、人口減少に歯止めもかからず、生産年齢人口が大幅に減少していくことによって、税収は減っていく、そして社会保障費は更に膨らんでいくということが考えられます。医療や介護、子育て、年金などの必要な金額が確保できなくなっていくのではないかということも想像できます。
今のままでは行き詰まってしまうと予想されている方、全世代の国民が安心して生活できるようしっかりと示していかなくてはいけないのですが、国民の多くは自分の未来に不安を感じている次第です。
国民の危機感、不安感をどのように解決をしていくのか、大臣は現状のこの危機感を十分に受け止めていらっしゃるとは思いますけれども、どう解決していこうとお考えでしょうか。
○武見国務大臣 委員御指摘のとおり、二〇二五年には団塊の世代の方々が全て七十五歳以上になられて、二〇三〇年代にはいわゆる生産労働人口が急激に減少していって、二〇四〇年には高齢者人口もピークを迎えて、全人口が急速に減少する、そういう人口構造の中に我が国がいるんだということは、いかに社会保障においても持続可能な制度としてその基盤を構築していくかということを考えたときに、極めて難しい課題に直面しているという認識をまず持っております。
厚生労働大臣としては、こうした少子高齢化、人口減少といった時代の大きな変革期、世界に冠たる我が国の社会保障制度をいかに持続可能なものとするか、そして、国民一人一人が健康でいつまでも活躍をし、社会のダイナミズムが維持向上される社会を実現していかなければならないと思っております。
この人口構造の変化は、ほっておけば社会のダイナミズムが確実に減少してしまいます。このため、昨年末に閣議決定された改革工程において、これから生まれる将来世代を含む全ての世代にとって安心できる社会保障とするための将来にわたっての社会保障制度を持続させる観点であるとか、特に今度は医療のDXによる効率化などを始めとする生産性の向上、効率的なサービスの提供、質の向上、能力に応じた全世代の支え合い、さらには高齢者の活躍の促進であるとか健康寿命の延伸などを目指す観点から、社会保障の制度改革やこれらを通じた歳出の見直しに取り組むこととしております。
こうした取組を着実に実行していくことにより、将来にわたって持続可能な全世代型の社会保障を構築してまいりたいと思います。
○岬委員 いろいろなお取組はされていると思うんですが、第三次ベビーブームというのはもう望めない状況に今なっているんですよね。
そこで、私たちの世代、団塊世代を親に持つ第二次ベビーブーム世代でありまして、団塊ジュニアと言われるような世代です。この世代は、人口は多いんですけれども、先ほども議員がどなたかおっしゃっていましたけれども、就職氷河期世代とも重なっているわけですね。まさに私どもその世代なんですけれども、高齢化がピークになるのが、今大臣からもお話がありましたように、二〇四〇年問題というものを抱えています。
私自身も、この就職氷河期世代の支援に関して大変重要視をしておりました。これまでも予算委員会でも取り上げてまいりましたが、この世代の人の多くが経済的にも安定した生活の確保ができない状況にあって、つまりは、結婚ができない、そして世帯が持てずに子供が持てない。つまりは、第三次ベビーブームは来ていないということなんです。本当であれば、この世代をうまく活用する、うまく救済をする、支援をすることによって、チャンスであったとも考えられます。ただ、残念ながら、まだまだ非正規雇用労働者が多くて、不安定な生活を強いられている人も多いです。
昨日の奥田参考人からもお話がありましたけれども、日本型社会保障の基盤とされてきた家族の在り方というものも変化しています。また、中間層の多くは、貧困で、そして持家どころではないという状況が今現実だと思われます。今後を考えたときに、単身高齢者の増加は一層顕著に表れてくるであろうということです。そうすると、生活困窮しなくても家族も高齢化していて、いざというとき、何かあったときにすぐには動けない、助けにも行けないという人も多くいます。これは、生活基盤がしっかりしていたとしても、そういった問題も新たに発生してくるであろうと考えられます。
例えば、入院をするとき、病院を転院するとき、さらには介護施設へ入所をするとき、また、多くの方が今日、住居の支援ということも話されていましたが、賃貸の契約すら身元保証人がなければできないという問題、生活に支障を来しているというお悩みが非常に増えています。
今後、家族の在り方であるとか家族機能の社会化という課題がありますが、この件に関して大臣のお考えはいかがでしょうか。
○武見国務大臣 まさに少子高齢化の人口構造の変化の中で、高齢者人口の増加に伴って今度は独居老人が確実に増えてきて、しかも女性の方が高齢なので、女性の独居老人が増えてくる、しかもその中に生活困窮者が確実に増えてくるという極めて残念な予測が今されているわけであります。そうした事態を起こさないように、いかに社会保障できめ細かくこうした国民一人一人を支えていくかということは極めて重要な問題意識であり、課題であるということを私も考えているところでございます。
具体的に、例えば独居高齢者の増加が見込まれる中で、身元保証であるとか生活支援、それから、亡くなった後の遺品の整理などの課題に関して、これらを契約に基づいて行う民間事業者も出てきております。
昨年開催された認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議でも、こうした独居高齢者を含む高齢者の方々の身元保証であるとか意思決定支援などの生活上の課題について議論をいただいて、昨年末に取りまとめも行いました。
この取りまとめを基に政府全体で取り組んでいくことが重要でございまして、厚生労働省としても、こうした民間事業者の実態を踏まえて、利用者が適切な事業者を選択できるよう、それから、契約手続や事業者が開示すべき事項などを定めるガイドラインの策定について関係省庁とともに検討するほか、地方自治体の相談体制の整備であるとか、身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関等で入院、入所を拒否することは正当な理由に該当しないことの周知など、独居高齢者を含む高齢者の方々へのサポートについて、関係省庁と連携しながら、総合的に取り組み、きめ細かくこうした社会保障に関わるサポートをしていきたいと思います。
○岬委員 今大臣から御答弁いただいたように、最近は民間でもこのように身元保証人であるとか遺品整理というものは、私の地元でも葬儀会社さんが拡大をしながら行っているなどそういう事例もございますが、一方で、これを貧困ビジネス化されるような悪徳商法も出ております。一方で、民間企業は全てやはりオプションで料金がかかってくるわけです。そうすると、どなた様でもそれを利用できるというところにも至っていません。
多くの方が不自由を感じていらっしゃるこの部分、そして、なかなか表には上がってこない、声を上げられないという方々も多くいらっしゃいます。是非、民間ではできないことを提供していくというのも公共サービスの重要な点であると考えますので、お取組をきちんと進めていただきたいと思います。
それでは、次の質問ですけれども、子供、働き世代、また高齢世代というように、障害者の方々も、一くくりにすることなく、やはり個々に適した支援プランを策定していく仕組みが必要だと思います。しかし、そもそも、どの業種においても人材不足は深刻でございます。的確なニーズ把握をすることで、限られた人員で対応できるようにこれからはしていかなくてはいけないと思います。
そういった中で、先ほど大臣がおっしゃったDX化であるのも一つの対応だと思うんですけれども、最適な自立支援プランを作成して、生活を安定させるために、活用すべき、例えば統計を取るための有効な情報収集であるとか、統計データを取った上でしっかりとした分析をすることによって的確なプラン作成をしていく、この仕組みやデータ活用は実際できているんでしょうか。これは現場の問題かと思いますが、いかがでしょう。
○朝川政府参考人 生活困窮者の自立相談支援機関におきましては、支援対象者一人一人の状況に応じて、法に基づく支援とかインフォーマルなサービスなど様々な支援を組み合わせることで個別支援プランを作成して、それに基づいて支援を行っております。その作成後は、定期的に目標の達成状況、対象者の変化の状況、残された課題、今後の希望などについて、本人と相談しながら振り返って、再度プランを作成して支援を継続するという形になっています。
その支援プランは一義的には個人のために作成するものではありますが、自立相談支援機関の中には、支援が終了した対象者の支援プランの内容も活用しながら、より望ましい支援の在り方などについて支援員同士で検討を行う研修を行っているところもあると承知しています。
対象者のプライバシーにも配慮しつつ、このように過去の支援の積み重ねを将来の支援の質の向上に生かしていくことは有意義で重要な取組であると考えております。
○岬委員 大事なことは、統計データとして活用ができるデータを収集することではないかと考えます。
そもそも、どの業種においても人材不足だということは繰り返し申し上げておりますが、今お話が参考人からございましたように、自立支援相談員も不足をしていると考えられます。
昨日、参考人の話にもありましたが、自立支援相談員の確保と定着、そしてスキルの向上が求められながらもなかなかそれができていない、なぜならば、事業委託により非正規雇用が大変多いということ、そうなると、単年契約、一年契約ですから、異動があったり、なかなかそこに安定して、定着して業務をしていただくことが困難である、さらには、処遇改善も見込めないという、職業としてなかなか成り立っていないというのが現実ではないかと思うんですよね。
例えば、医療、介護の分野であると処遇改善加算というものがありますが、自立支援相談員、どのような改善を具体的にしていこうとお考えでしょうか。
○朝川政府参考人 自立相談支援事業の支援員につきましては、令和四年度の調査研究事業でアンケート調査を実施しておりますところ、職員が不足しているとか、業務量が多いとか、職責が重いとか、そういうふうに感じる職員が多いという結果も出ています。
これらも踏まえて、令和六年度当初予算案におきましては、自立相談支援事業等の国庫補助基準を見直しまして、まず、支援の実施状況に応じた基準額になるよう見直します。もう一つ、有資格者等、良質な人材の確保やアウトリーチの体制整備など、支援の質を高める取組を評価する加算を新設することとしています。また、本年度、研修カリキュラムの見直しも行いまして、令和六年度から実施に移していくとともに、より実践的な参加型の研修を実施するため、都道府県研修の充実も図ってまいります。
○岬委員 いずれにしても、大変、現場で働いている皆様には負担が大きくて、定着できない、そして賃金も余り高くないということで、皆さん非常に苦慮をしていらっしゃいます。
医療、介護、福祉の分野でよく、寄り添っていく、きめ細かくというお言葉を聞きますけれども、そういったサービスをと聞きますと、実際に誰かに本気できめ細かくやっていく、本気で丁寧に寄り添っていく、これはすごいエネルギーがかかると思うんです。だとしたら、この大変な根気とエネルギーが必要な職種に従事されている方々、この皆様というのは大概がホスピタリティーが大変豊かな人、人材が多く集まっています。これまでは懸命にそうした現場で働いていらっしゃる方々のホスピタリティー精神に頼り切っているということも現実にあるのではないかなと心配しています。
にもかかわらず、担い手の多くの方は不安定な労働環境や処遇の中にあって、生活困窮になってしまうかもしれないという状況があります。まさにこれは生活困窮の予備軍かもしれません。
そういったことになって、自分が実際介護をしているお仕事をしているのにもかかわらず、自分が介護が必要になったときには介護が受けられないというような、そういった状況にも陥るのではないかという懸念もありますが、社会状況に関してどのような対策、そしてどのような危機感をお持ちでいらっしゃいますでしょうか。
○朝川政府参考人 まず、自立相談支援機関の支援員の処遇の改善につながる取組としては、一つは、先ほど申し上げました国の国庫補助基準の見直しを来年度図っていくというのがございます。
それ以外に取組としてございますのは、自治体が実際委託先を選定する際に事業の継続性の観点にも留意すべきであるとか、あるいは価格のみの評価ではなくて事業の内容を中心とした総合的評価を行うべきとか、そういうような観点も重要と考えておりまして、令和五年度の調査研究事業の成果も踏まえながら、複数年度契約や選定時の評価方法を含めた実態把握を進めてきました。
そういう結果も踏まえて、ガイドラインの形で自治体に対して示していくということもやってまいりたいと考えております。
○岬委員 ありがとうございます。
まとめとなりますけれども、寄り添ってきめ細かく対応していくというのは、もちろんベストなことです。それだけ潤沢に人材もいればそれも可能かと思います。なかなか実際にできる状況ではない、ハードルが高いことであることは皆さんも御理解されていると思います。そうしますと、費用と効果を考量しますと、支援が真に必要な人にいかに充てていくのかがポイントになるのではないでしょうか。そのためには、過不足なく適した支援をしっかりと、ミスマッチがないようにしていくこと、そのために、先ほども質問をしたような、統計に基づいたデータ収集、分析が必要であると考えているんです。
御自身では解決ができない知的障害や疾病の特性をしっかりと把握して、限られた医療や介護、福祉の現場においての資源を集中して支援していくことが、支援する側、そしてされる側を守っていくことにつながるのではないかと申し述べて、質問時間が参りましたので、終了いたします。
ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。
資料を御覧いただきたいと思います。生活保護申請サポートだとか住まいの支援を掲げながら、困窮者を狙い、生活保護を食い物にする悪質な貧困ビジネスが広がっております。
初期費用ゼロとホームページでうたっているのに、家具、寝具、乾麺など購入を強要され、保護費が残らない。支払えるまで身分証やキャッシュカードを取り上げる。あるいは、入居者の金銭管理能力の有無にかかわらず、強引に金銭管理を委託する契約を結ばせる。相模原市の生活保護利用者でニューライフに入居する百六十五人中百五十六人が金銭管理を委託する契約を結んでいて、支援団体に相談があった方はほぼ全員が強引に金銭管理されていた、こういう話も聞きました。そして、こうした貧困ビジネス、郊外なのに家賃は住宅扶助額上限いっぱい、相場よりかなり高いということになっております。
こうした悪質な貧困ビジネスについて、無料低額宿泊所の基準に当てはまらないものも含めて実態調査をして規制すべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 福祉事務所は、生活保護受給者への定期的な訪問活動などによって、その生活実態の把握や居住環境の確認に努めておりますけれども、その際、無料低額宿泊所に当てはまらない住居も含めて、住環境が著しく劣悪な状態にある、それから、居住の提供以外のサービスの利用を強要するなどの不当な行為があるなど、転居が適当と確認した場合には、適切な居住場所への転居を促すといった必要な支援は行うこととしております。こうした対応が福祉事務所で適切に行われるよう、昨年九月に自治体宛てに通知を行い、周知徹底を図りました。
また、無料低額宿泊所については、平成三十年の社会福祉法の改正で、いわゆる貧困ビジネス対策として、事前届出制や最低基準の導入、改善命令の創設などの規制強化が行われました。これらにより、都道府県等から事業者に対して届出の勧奨などを行うなど必要な指導を行うことで、適切な事業運営が図られてきていると認識をしております。
一方で、届出義務自体に罰則がないこともございまして、無届けの施設も存在しております。このため、本法案では、届出義務違反の無料低額宿泊所への罰則を創設するとともに、無届けの疑いがある施設を発見した場合には市町村から都道府県に通知を行うことを努力義務化するという改正も含んであります。
こうした取組によって、無料低額宿泊所の適切な事業運営、すなわち、悪徳な貧困ビジネスというものを抑え込んでいく、こうしたことをしっかりとこれからも続けていきたいと思います。
○宮本(徹)委員 昨年、私も支援団体の皆さんと厚労省に実態を伝えて、新年度の生活保護問答集でもそうした、今大臣が述べられたようなことも書かれているということになっているんですけれども、これは待ちの対応ということですよね。見つけたら転居させましょうという話で、貧困ビジネスそのものを規制していくという話にはなっていないわけですよ、貧困ビジネスそのものを。もちろん、無料低額宿泊所に当たるものだったら、その法律に基づく規制というのは、指導というのはできるわけですけれども、それに当てはまらないものも含めてちゃんと、対応をどうするのかというのを、これはしっかり検討していかなきゃいけないと思うんですよね。だって、生活保護申請サポート、こう名のっているホームページが本当に増えているんですよね。そこはしっかり対応していただきたいと思います。
加えて、こうした悪質な貧困ビジネスが入居先とする部屋は、同じアパートのほかの部屋若しくは直前までのその部屋の家賃あるいは相場よりもかなり高い、一・五倍だとか二倍だとかこういうことになっているわけですよね。こうした悪質なケースについては対応を取る必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 福祉事務所は、生活保護受給者への定期的な訪問活動などによって、この生活実態の把握や居住環境の確認に努めて、必要な支援を行っております。その中で、生活保護受給者が新たに入居しようとする住宅の家賃などが、近隣の同種の住宅の家賃額と比較して、合理的な理由がなく高額な水準になっていると認められる場合には、適正な家賃額の物件への入居について助言、指導を行うようなこともしております。
また、住宅扶助については、その支給額が住宅の質に見合ったものとなるよう、平成二十七年七月から、床面積が一定以下の場合についてはその床面積に応じて上限額を減額する措置を講じております。
この無料低額宿泊所については、平成三十年の社会福祉法の改正で、事前届出制や最低基準の導入などの規制強化を行って、行政が、最低基準に基づいて、居室面積などの施設の整備や居室使用料を含めた事業内容等の適合性を確認をし、必要に応じた指導を行うこととしておりまして、更に加えて、本法案では、届出義務違反の無料低額宿泊所への罰則の創設などを盛り込んでおりまして、施設が無料低額宿泊所に該当する場合には、届出を行わせて、最低基準に適合するよう指導を行うことで適切な事業運営につなげていきたいと思います。
○宮本(徹)委員 面積の話をしているんじゃないんですよね。家賃の話をしているんですね。周りよりも高ければ転居を指導しているという話ですけれども、本当に、同じアパートの隣の部屋に比べて二倍の値段で入れる。あるいは、この貧困ビジネスのところは大家さんにも呼びかけているわけです。大家さんも、そこに相談して、埋めるために貧困ビジネス業者の力をかりているんじゃないかと思われるようなケースもあるわけですよね。ですから、改めて、しっかり、こうした貧困ビジネスの食い物にされないようにというのは徹底していただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
加えて、先ほどの話では、そういうケースを福祉事務所が見つけたら対応するという話をされているわけですけれども、社会福祉法でケースワーカーの配置基準は決まっておりますけれども、指定市、東京二十三区、県庁所在地、中核市百九自治体のうち、標準数を満たしていない自治体というのが六十八自治体、六二%に上るんですね。貧困ビジネス対策という点でも、ケースワーカーの確保、増員、これはしっかりやらなきゃいけないと思いますが、大臣、いかがですか。
○武見国務大臣 生活保護制度というのでは、最低生活の保障を行うとともに、生活保護受給者の自立の助長を行うことを目的としておりまして、これを担うケースワーカーについては、生活保護の受給世帯に応じて適切な配置がなされることが重要であり、また、その果たす役割は極めて重要であると認識しております。
このため、社会福祉法で定める被保護世帯数に応じたケースワーカーの標準数の配置に必要な交付税措置を行っておりまして、地方交付税の算定上、ケースワーカーの増員が図られてきております。また、ケースワーカー一人当たりの担当世帯数も減少してきております。さらに、配置されているケースワーカーの数が標準数に満たない福祉事務所については、必要な人数を充足するよう、国や都道府県が行う事務監査においてこれを指導しております。
○宮本(徹)委員 指導していても、六二%の自治体が大都市では満たしていないわけですから、しっかり対応していただきたいと思います。
次に、生活保護の運用の話でございます。
資料の四ページ目を御覧いただきたいと思います。鈴鹿市で、車の利用を子の通院に限定して、車の運転記録を提出しなかったことなどを理由に生活保護を止めたことについて、津の地方裁判所は違法といたしました。五ページ目に判決を引用しておりますけれども、日常生活に不可欠な買物等の必要な範囲で車を利用することは自立した生活を送ることに資するものだということを判決でも書いているわけですね。
この間、厚労省は、自動車の保有については、保有が認められた目的のために限って利用されるべきだ、こういう姿勢を取ってきました。
そこでお伺いしたいんですけれども、通院のために自動車の保有が認められた人が、日常生活に不可欠な買物をする場合、車を利用する場合と、あるいは毎回買物をタクシーで行う場合と、どちらが自立した生活を送ることに資すると大臣はお考えですか。
○武見国務大臣 実際には、端的に言えば、どちらも自立した生活を支援することになるというふうに思われます。
しかし、実際には、生活保護制度上は、自動車は最低限度の生活の維持のために活用できる資産に該当していて、その維持費が生計を圧迫することを踏まえて、原則として自動車の保有は認められておりません。
ただし、障害者ということであれば、公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者が通院、通所又は通学のために自動車を必要とする場合などであって、一定の要件を満たす場合には、例外的にその保有を認めてきております。
例外的に自動車の保有が認められた場合でも、自動車は原則として保有が認められない資産であるということなどを踏まえて、保有が認められた目的に限って利用されるべきものと考えております。
こうした取扱いについては、平成二十八年十月の大阪高裁判決でも、保有を容認された自動車の保有目的以外で通常の生活需要のための無制限に自動車の利用を容認することは、必要な場合を除き保有を認めないとしている現行の解釈と相入れず、自動車を保有できない他の被保護者との公平性を欠くことになりかねないとして、合理的なものとの判断がされております。
このため、委員御指摘のように、保有を容認された目的以外での自動車の利用について比較することはなじまない、こう考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 生活保護法の目的は、最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とするとあるわけですよね。最低限度の生活だから最低限度の車の利用しか駄目なんだということじゃないんですよ。自立を助長すると。自立を助長するということから考えたら、先ほど大臣おっしゃいましたように、車の保有を認められた方が車で買物に行くことも自立に資するというふうにお認めになっているわけですから、当然、これまでの保有が認められた目的に限るという考え方は、私は改めなきゃいけないと思いますよ。
先ほど、平成二十八年の大阪の高裁判決のことを持ち出されましたけれども、その大阪の高裁判決よりも新しく、地方裁判所が津で考え方を今回示したわけですよね。日常生活に不可欠な買物等の必要な範囲で利用することは自立した生活を送ることに資するものなんだと。
そういうものに使っちゃいけないということこそ、生活保護法の目的から照らしてもおかしいんじゃないかということになっているわけですから、これまでのしゃくし定規の考え方、大臣、そのペーパーは見ない方がいいですよ。はっきり言って、そのペーパーは今までの厚労省の立場が書かれているわけですから、常識的な考え方、新しい判決の立場、人権の立場から考えたら、ちょっとこれはもう考え直した方がいいと思いますが、ペーパーを見ずに一言お答えください。
○武見国務大臣 まだその他の裁判で実際に全て法的に決着したわけでありませんから、その経緯もきちんと見ておかなければならないだろうと思います。
その上で、やはり、障害者に関わる自立性を強化することができるということであれば、様々な手段も同時に想定されます。しかし他方で、それが他の方に対する生活保護サービスとの間で不公平感が出るというようなことがあってはならないという点もまた事実でありますし、最低限の生活保障をするという法律の設定の仕方に基づいた基準のつけ方もあるだろうと思います。
したがって、この点に関して一概に、一面だけ取って、これが自主的に非常に強化されるものだからといって、それをやはり直ちに変えるということはなかなか難しい課題だというふうに思います。
○宮本(徹)委員 この津の裁判がこの後更に次の段階に進むのかどうか分かりませんけれども、いずれにしても、生活保護法の目的は、最低限の生活の保障と同時に、自立を助長をすることを目的とするとあるわけですから、本当に実態に見合った司法判断がなされているわけですから、是非考え方を改めていただきたいということを重ねて求めておきたいと思います。
もう一点、生活保護についてお伺いします。
二〇二三年に生活保護基準は改定されました。資料の六ページ目を御覧いただきたいと思いますけれども、生活保護基準は、五年前の改定額に比べて、高齢者世帯でいえば、ほとんどの世帯がほぼ上がっていないに等しい状況なわけですね。下位一〇%の低所得者層の消費水準と比較する方法を用いるというやり方自体が、私は大変問題だと思います。
その上で、赤いところに囲んでありますように、物価というのは、二〇一九年と比べて、昨年の時点で六・六%、今年二月の時点で八・一%上がっているわけですね。
今、五年に一回、生活保護の基準というのを見直しているわけですけれども、インフレが続いていく中で五年に一度の見直しでは、健康で文化的な最低限度の生活保障というのは私はできないと思うんですよ。ですから、これは毎年見直していく、こういう方向にかじを切るべきだと思います。それとも、毎年、臨時の現金給付を続けるというんでしょうか。どういうお考えでしょうか。
○武見国務大臣 まさに、生活扶助の基準と申しますものは、最低限度の生活を保障するために、一般国民生活における消費水準との比較において相対的なものとして水準を設定するという考え方であります。国民の消費動向や社会情勢、経済情勢などを総合的に勘案して、必要に応じて改定を行うこととしております。
生活扶助基準の検証については、令和四年十二月の生活保護基準部会の報告書において、一般の低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかという観点から検証を行うことが基本とされております。
その上で、令和五年十月に実施した生活扶助基準の見直しにおいては、生活保護基準部会の消費実態の検証結果を基本としつつ、令和六年度までの臨時的、特例的な対応として、一人当たり月額千円を検証結果に加算するとともに、加算を行っても従前の基準額から減額となる世帯については、従前の基準額を保障する措置を同時に講じております。足下の物価上昇を含めた社会経済情勢等を総合的に勘案した対応をこのような形で行ったところでございます。
さらに、令和五年度補正予算においては、物価高により厳しい状況にある生活者等への支援として、住民税非課税世帯への給付金が生活保護受給世帯も対象に設置されているところであり、この給付金は、保護費とは別に生活費に充てることができる取扱いとなっております。
いずれにせよ、今後とも、生活扶助基準の改定の必要性については、国民の消費の動向であるとか、社会経済情勢などを総合的に勘案して判断することが重要であって、引き続き、国民の消費動向の変化等を注視してまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 状況を総合的に勘案したら、本当に引き上げないと、生活保護の皆さんから本当に生活が大変だというお話、恐らく与野党を超えて聞いていると思いますので、これは検討をお願いしたいと思います。
最後ですけれども、次の資料を見ていただければ、生活保護世帯は、都道府県別の大学進学率が一般世帯と比較して、最高値と最小値の差が大変大きいわけですよね。この原因が一体どこにあると考えているのか、お伺いしたいと思います。
あわせて、家庭の経済状況によって大変進学格差は大きいわけでございますが、子どもの学習・生活支援事業について補助率を引き上げ、どこの自治体でも高校中退にならないような支援や大学進学への支援ができるようにすべきではないか、創設する進路選択支援事業も必須事業化すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○新谷委員長 朝川社会・援護局長、簡潔にお願いいたします。
○朝川政府参考人 まず、大学進学率についてですけれども、大学進学率に関する都道府県ごとの地域差は、生活保護世帯は一般世帯と比較して大きい傾向にございます。
このような地域差の原因につきましては、それぞれの地域によって様々な事情があると考えられるものの、自治体による大学等への進学に向けた取組の差異でありますとか、地域における進学や就職に向けた環境の差異でありますとか、地域における大学等の数等の差異など、様々な要因が影響しているのではないかと考えております。
また、子どもの学習・生活支援事業についてでございますけれども、こちらは自治体の裁量性も高く、柔軟にやっていただく事業でございまして、現在、補助率二分の一ということにさせていただいておりますが、重要な事業であることには変わりございませんので、しっかり様々な方策で取組を推進していきたいと考えております。
また、新しくこの法律で創設いたします子どもの進路選択支援事業、訪問の事業につきましては、新たに事業を設けるものでございますので、まずは法律上の位置づけを得て、自治体に事業の導入を促してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 本当に進学格差は経済状況で大きいですから、やはり、子供の貧困対策というのはどこの地域も漏れなく行われるというのを是非原則にしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
○新谷委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。
今日は、住まい保障と社会保障について伺いたいと思います。
昨日の委員会でホームレスのことから質疑をさせてもらいました。この二十年間で二万五千人から三千人と大きく減少したということでありますが、その理由の一つは、インターネットカフェに滞在したり、ないしは、参考人の中に、友人の家にいる方も多いという話も聞きました。また、二つ目としての理由は、やはり行政による施設への移行が進んでいるということです。ホームレスの自立支援法に基づく自立支援センター、また、生活保護受給者に多い無料低額宿泊所であります。
無低においては、二〇二二年時点で六百四十九施設、一万八千百五十二人がこの宿泊所にいらっしゃるということです。もちろん良心的な業者もおりますが、劣悪な住環境であることも少なくなく、先ほど宮本委員からありました、生活保護費をほとんどピンはねされるというようなことから、貧困ビジネスであると批判をされてきたことも事実であります。
国も、先ほど説明がありました、この劣悪な施設に対する批判に対しては、最低基準を法制化したり、居室の個室化を義務づけたり、床面積の最低基準も定めたりして、八七%はもう個室化しているというふうに報告書を載せておりますが、実質、現状を見ますと、簡易個室と言われる、間仕切りが天井についていなかったり、最低でも三畳という、それに満たない施設が多かったり、大変、実態としても厳しい現状が続いているということを現場からお聞きをしています。
その中で、今回法改正がされるということで、無低に対して届出の義務違反に対する処罰が創設されることになります。劣悪な環境の改善そして貧困ビジネスの解消にこの法改正がどう寄与すると考えているか、まず参考人に伺います。
〔委員長退席、大串(正)委員長代理着席〕
○朝川政府参考人 無料低額宿泊所につきましては、平成三十年の社会福祉法の改正で、いわゆる貧困ビジネス対策として、事前届出制や最低基準の導入などの規制強化が行われました。一定の成果を上げてきている。
一方で、届出義務自体は罰則がない形で導入しましたので、無届けの施設も存在している状況でございます。このため、本法案では、届出義務違反の無料低額宿泊所への罰則を創設するとともに、住宅扶助を実施している福祉事務所設置市町村は無届けの疑いがある施設を発見しやすい立場にございますので、発見しましたら都道府県に通知を行うことを努力義務化するという改正を盛り込んでいます。
このような改正を行うとともに、福祉事務所の定期的な訪問活動等を通じて無届け疑いの施設の把握を進めることで、届出義務の実効性の確保を図り、貧困ビジネスにも対応してまいります。
○田中(健)委員 劣悪な環境を発見し、また報告するような改善が図られるということは分かりましたし、それは期待をしたいと思うんですけれども、一方で、先ほどもありましたが、業者が宿泊料金と配食などのサービスといって保護費の大半を差し引いて、本人の手元には僅かなお金しか残らない、一万円とか二万円という報告もありますが、そういった課題はこの法案改正ではなかなか改善できないんじゃないかと思います。
先ほどは助言、指導をするということでしたが、助言、指導ではこれはなくならないと思いますが、これを取り締まる、ないしは罰則をするようなことはできるんでしょうか。
○朝川政府参考人 まず、無料低額宿泊所に該当する場合につきましては、最低基準がございまして、その最低基準で、入居者から受領できる食事の提供に要する費用や居室使用料等の費用を限定しまして、サービス内容や利用料等を定めた運営規程を整備し、都道府県に届け出るということ、さらには、入居申込者にサービス内容や費用等の説明を行い、利用契約を文書により締結すること、そして、金銭管理は入居者本人が行うことを原則として、本人の希望に基づき施設が金銭管理を行う場合は、個別の契約締結等を適正に実施することを具体的な運営基準にも定めております。こうした最低基準に基づいて、都道府県も法律に基づいて指導を行うということができます。
無料低額宿泊所に当てはまらない場合につきましては、先ほど来大臣も答弁申し上げておりますけれども、個別に福祉事務所が定期的な訪問活動をして、いろいろな難しい状況にあるということを確認した場合には、適切な居住場所への転居を促す、そういうような支援を行うということになります。
○田中(健)委員 それだけ聞くと大変にすばらしい取組が進んでいるかのように聞こえるんですが、実態は、この無低には、年齢が六十五歳以上が四六%と半数を占めています。また、入居期間も、福祉事務所が訪問して、適切でなければ移動すると先ほどもありましたが、訪問しているといいますが、期間が三年以上が四〇%近いということです。一年以上が六割を占めるということで、実質、無低に入ってしまうとなかなか抜け出せない。ないしは、もっと言えば、ここに入れておけば、取りあえずホームレスにならないからいいだろうというようなことも言われています。
まさに、貧困ビジネスというのは貧困層をターゲットにしていますから、その貧困層から脱却をするというよりも、それを固定化してそこから吸い取るというようなビジネスだと思いますから、先ほどの福祉事務所訪問というのが本来の役割を果たしていないならば、しっかりと生活面の改善を進めるなどして施設自体に支援体制を築くことができないか、無低自体にですね、そして、生活保護が目的とする自立を助長していくということを進めていくべきじゃないかと考えますが、そのようなことは可能でしょうか。
〔大串(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○朝川政府参考人 まず、無料低額宿泊所自身の生活環境をしっかり整えていくということがまず第一に重要であるということがあると思います。
その上で、必ずしも無料低額宿泊所にずっとい続けるということでもないと思いますので、その場合、前回の法制度の改正で、日常生活支援住居施設という支援つきの無料低額宿泊所、そういうものも制度化いたしました。
さらには、今回、国交省の住宅セーフティーネット法の改正でサポートつきの住宅というのも制度化されるところでございますので、その方にふさわしい住まいの提供につながるよう努めていきたいと思います。
○田中(健)委員 もちろん、無低は一時宿泊所ですから、長くいるところじゃないと言っていたんですけれども、今言ったように、三年以上が四〇%近いんですよ。そして、六十五歳以上ということで、高齢者におけるついの住みかとも言われているような現状ですから、何か、そこに一時いて、そこからどんどんと転居していけばいいというのは、余りに実態を分かっていないというか、それをわざと言わないようにしているのかと思うしかありません。
さらに、今、日常生活支援住居施設のお話をしていただきましたけれども、これは、無低から、入居者一人一人の支援計画を作成するなど、生活支援員を置くなどの要件を満たせばこれを認められるという仕組みを導入したということでありますが、じゃ、これは、胸を張って言えるほど、どれだけ全国で認定がされているんでしょうか。
昨日の参考人の中では、これはつくるだけつくって、つくるのは全部、全額自費で、そして、後から認定をされればそのような形ができるということで、開設支援の課題や、さらに委託費の見直しということにも言及がされておりましたが、いかがでしょうか。
○朝川政府参考人 日常生活支援住居施設は、単独での居住が困難な被保護者に対しまして、都道府県等の認定を受けて、必要な日常生活上の支援を提供する施設でございまして、令和二年十月から制度が開始されました。令和五年四月時点で百二十七か所の施設が認定を受けております。支援内容につきましては、個別支援計画を作成した上で、入居者の状況に応じた家事等に関する支援、服薬等の健康管理支援、社会との交流等の支援を行うことにしています。
この日常生活支援住居施設は、例えば、刑務所出所者でありますとか、DVなどで困難にあります女性でありますとか、不安定居住者でありますとか、様々な生活課題を抱えるために単身での生活が困難な者に日常生活を送る上で必要な支援を行うものでありまして、今後、身寄りがない者に対するニーズが高まっていくということも想定される中で、無料低額宿泊所を運営する事業者や自治体に対するこの制度の周知、理解を促進する取組でありますとか、施設における支援の質の向上を促進する取組が重要と考えております。
引き続き、地域の社会資源の状況などに応じて、新たに施設の認定を受けることにも資するような環境の整備に取り組んでまいります。
○田中(健)委員 まさにこの日常生活支援住居は、様々な人が入っておりますが、生活保護の人だけでなく多くの人を対象にしていますので、無低からこの日住に行って、そして自立をするというような、まだ仕組みが成り立っていないんだと思います。ですから、まだ施設も百二十七ということで、ない地域もたくさんあります。
ですから、ここをどうするかということを、先ほど、周知していくと。周知しても、つくるための開設資金がなければできないわけですし、どのように厚労省としてこの施設をつなぎの施設として、自立の施設としてつなげていくかを検討していただきたいと思います。
その中で、大臣に伺いたいと思うんですが、昨日、この日住などの困窮者の受皿がなかなか広がらないという中で、奥田参考人の方から、御自身がやっていらっしゃるNPO法人の生活支援つき集合住宅という話がありました。これは、物件を借り上げて住宅扶助基準以下で転貸しする、サブリースですね、そして、その差額で入居者や大家の支援を実施するということであって、これは実際、一部屋一万一千円の収入で、五十五部屋で七百二十六万の収入を確保できた、それで、公費がなくても、住み込みの管理人一名や支援員の一人を置いていると。これは、以前、厚労省が提案書でまとめた、低額であって見守りがついているという住居をまさに実践しているんだと思います。
この参考人は、低額で見守りがついた空き家活用サブリース型支援住宅というふうに名づけておりましたが、こういった事業をどのように把握し、また大臣は見ていらっしゃるのか、ないしは、こういった事業を是非推進していって、なかなか今無低から自立につながらない中の、一つの大きな柱にできないかと思いますが、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 私も、このサブリースのお話を伺ったときに、大変いい仕組みだなというふうに思いました。
それで、今回国会に提出された住宅セーフティーネット法の改正法案には、大家に安心して賃貸住宅を提供していただけるよう、居住支援法人等が緩やかな見守りなどのサポートを行う住宅の仕組みの構築といった内容が盛り込まれております。
この居住サポート住宅については、居住支援法人などが大家から住宅を借り上げて転貸、サブリースすることも想定をしております。この仕組みを活用して、御指摘の、低廉で見守りがついた空き家活用サブリース型支援住宅のような効果的な取組も実施することが可能だというふうに思いました。
そこで、今後は、このサブリースとつなげるためにも、相談に来られた方に居住サポート住宅を紹介したり、それから、居住サポート住宅に入居した後に生活や心身の状況が不安定になった場合には、本法案の見守りなどの支援につなげたりすることが可能だというふうに考えております。
したがって、民間レベルで行われている大変よい取組であります。今後も、安定的に継続がされるように、本法案を契機に、国土交通省との連携を更に深めて、居住支援の強化を図ってまいりたいと思います。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
しかしながら、そのサブリース支援事業はあくまで民間がやられていますので、しっかり私たち、厚労省としては、今言った無料低額宿泊所と日常生活の支援住宅の在り方をしっかり整理して、その上で、福祉とそしてこの住宅をどうつなげていくかというのを明確にした方がいいというか、整理をした方がいいかと思っています。
ですので、是非、この住まいの確保を、また保障を社会保障につなげていくということで、大臣には先頭に立って取り組んでいただきたいと思うんですけれども、その取組について伺います。
○武見国務大臣 まさに、何度も御議論されているように、住まいというのは生活の基盤でございます。この安定した確保が図られることが重要であって、また、各種福祉サービスは安定した住まいを基盤として行われるものであるということから、住居の支援を行うことは非常に重要だと思っております。
その上で、御指摘の居住施設のうち、例えば無料の低額宿泊所は、生計困難者のために無料又は低額な料金で施設を利用させ、直ちに単身での住宅生活が困難な者に対して、それが可能となるまでの一時的な居住の場を提供する施設であり、日常生活支援居住施設の方は、無料低額宿泊所のうち、都道府県等の認定を受けて、単独での居住が困難な生活保護受給者に対して、必要な日常生活上の支援を提供する施設でございます。
また、御指摘の居住サポート住宅については、今国会に提出されている住宅セーフティーネット法の改正法案により創設されるものであり、居住支援法人等が大家から住宅を借り上げて転貸、サブリースすることも想定されております。
居住施設と居住サポート住宅を含めた民間賃貸住宅は、このようにそれぞれ役割や機能が異なるものでありますが、生活の基盤となる居住の支援の強化を図る観点から、厚生労働省としては、国土交通省を始めとする関係省庁としっかりと連携して施策の推進に取り組んでいきたいと考えております。
○田中(健)委員 是非各省とも連絡を取って、厚労省が先頭になって取組を進めていただきたいと思います。
質問を終わります。
○新谷委員長 次に、福島伸享君。
○福島委員 有志の会の福島伸享でございます。
今、居住支援の話をやろうと思ったんですが、私は国土交通委員会の委員でもありますので、住宅セーフティーネット法案と絡む部分についてはちょっと後の質問にさせていただいて、先ほど来、宮本委員、田中委員が話題にしていた貧困ビジネス。
私の地元でも、首都圏や関西のNPOなんかが、生活保護者等を都会から連れてきて、企業の空いた寮などを買い取ってそこでやっているんですけれども、何か近所で、余り議事録に残したくないんですけれども、下着泥棒が出たりパチンコ屋がいっぱいになったりとかいろいろな問題があって、地元とのトラブルなんかも起きております。その業者がもう一つ目をつくるときに地元住民から反対があったんですけれども、数年前にオープンいたしまして、ただ、茨城県のホームページで届け出た無料低額宿泊所をリストにしているんですけれども、一件目は届け出ているんですけれども、二件目は届け出ていないんですね。
今回の法改正で届出義務違反に罰則がかかりますし、市町村が無届けの疑いがある無料低額宿泊所を発見した場合の都道府県知事への通知の努力義務というのが規定されておりますけれども、そもそも、今届出が出されていないこうした無料低額宿泊所、これには届出義務というのは適用されるんでしょうか。されないとしたら、どのように対応されるんでしょうか。
○朝川政府参考人 御指摘のように、現に無届けで無料低額宿泊所を運営している施設につきましてですけれども、無料低額宿泊所に該当する、基準に該当する場合でございますけれども、今般の改正法で盛り込んでおります罰則規定の施行後も引き続き無届けの施設である場合には当該罰則が適用される可能性があると考えております。
今般の改正や福祉事務所の定期的な訪問活動を通じて、施設が無料低額宿泊所に該当する場合には届出を行わせて、最低基準に基づいた指導を行うことで、適切な事業運営につなげてまいります。
○福島委員 正確に確認したいんですけれども、罰則が適用される可能性があるとおっしゃっていますけれども、この六十八条の二第二項は、社会福祉居住施設を設置して、第二種社会福祉事業を経営しようとするときは、その事業の開始前に届け出なければならないとなって、もう事業を開始しているときにも適用されるということで、罰則が適用されているということでよろしいですか。
○朝川政府参考人 そのように考えております。
○福島委員 事業の開始後でもいいんですか。じゃ、これは条文を修正された方がよろしいんじゃないでしょうか。事業の開始をしちゃっているんですよ。条文が間違えていませんか。いかがですか。
○朝川政府参考人 要するに、無届けの状態で施設を運営されているという状況になりますので、その届出をしていただく必要が発生しますから、罰則の適用があり得るということになります。
○福島委員 極めて怪しい解釈だと思いますね。
事前のレクでは、それは今までやっていたのを法律の適用がされる施設とは認めないから、新たにこの対象になる施設とみなして適用するんだみたいな話を言ったんですけれども、素直に条文を読めばそうならないと思うんですね。
しかも、無届け施設を今回市町村が都道府県に通知できるわけですけれども、市町村はその施設がこの届出に該当する施設であるかはどうやって確認するんでしょうか。都道府県にはこの法律上、立入り権限とかがありますけれども、市町村にはないわけですね。外形で見ているだけでは分からないし、この施設が果たして届出が必要かどうかというのは市町村も確認しようがないと思うんですよ。
実際、この規定は何の効果があるのか。効果がないんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○朝川政府参考人 市町村から都道府県に通知をしていただく努力義務規定を設けることについてでございますけれども、市町村は日頃から保護の実施機関として入居者への定期的な訪問活動をするということになってございます。したがって、無料低額宿泊所を把握しやすい立場でありますので、最終的にこれが無料低額宿泊所に該当するのかどうかの判断は都道府県が行いますが、その可能性があるということで通知をしていただくということは重要なことだと思っていますので、市町村には今回の努力義務化した趣旨、重要性をしっかり伝えて、適切に法施行されるよう取り組んでまいります。
○福島委員 その答弁は、現場の実態を踏まえていないと思うんですね。
うちで行われているのは、主に東京とか首都圏の方なんですよ。その人を延々と私の茨城県の農村部のところまで連れてきているから、市町村としては、自分の市の中の困窮者であればちゃんと面倒を見ようとしますけれども、よそから業者が連れてきた人のために、その施設に立ち入って面倒を見るようなことはやらないですよ、実際には。だから、なるべく来てほしくないんです。
私は、そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、こういう、私は居住の支援は極めて大事だと思いますし、今回の法改正でその一歩がしるされていると思いますけれども、まさに貧困ビジネスと言われるような、全く縁もゆかりもない土地に困窮者を連れてきて囲い込むようなそうしたやり方というのは本当に適切なんでしょうか。
今申し上げたように、いっぱいこの法律には穴があるんですよ。だから、よそから持ってくるのは原則禁止にするとか、届出制じゃなくて許認可制にして、地元と関係のある人たちが地元の人たちを助ける場合のみを許可する、認可するとか、そうした法律に改正しなきゃならないんじゃないですか。
穴が空いた法律過ぎると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 無料低額宿泊所について、平成三十年の社会福祉法の改正で、いわゆる貧困ビジネス対策として、事前届出制や最低基準の導入、改善命令の創設などの規制強化が行われており、これにより、都道府県などから事業者に対して届出の勧奨を行うなど必要な指導を行うことで、適切な事業運営が図られるように進めていくということになっております。
したがって、この枠組みの中で、都道府県で連携をしてそうしたケースに関わる対応を進めるような、そうした仕組みを考えておくことが必要になってくるんだろうと思います。
○福島委員 私は、その答弁が駄目だと申し上げているんですよ。県をまたいで全然ゆかりのない人がやってくるのは、社会保障とか福祉じゃないと思うんですよ。ビジネスだと思うんですよ。そういうものはやめさせた方がいいんじゃないですか。
今そこにいる人たちに居住を支援する事業であれば大臣の答弁でいいですよ。そうじゃないような、まさに事業目的、ビジネスとしてやっているようなものについてはもっと厳しい規制をしくべきだと思うんですけれども、もうちょっとしっかり研究して検討を進めるべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。後ろから指名されていますけれども、大臣の政治家としてのお考えをお述べください。
○武見国務大臣 まず第一に、最初に御指摘の施設というのは、無届けであったですよね。したがって、無届けであるかどうかということを地元の福祉事務所というのがまずきちんとやはり特定化していかなきゃいけないというふうに思います。そこで確認されたら、その対処方針を考える、そこに居住する者が例えば他県の者であったという場合にはその他県の担当者との連携というものが図られることが求められる、この構図で今現在はあるわけであります。
したがって、こうした連携機能というものを更に強化することをまず最初にやることが必要だというふうに私は思いました。
○福島委員 時間がないのでこれ以上はやめますけれども、私は、そもそも、そこに居住している人じゃない人を大量に集めてよそに連れていくような、そうしたものはちゃんと規制すべきであると考えます。これは福祉でも何でもないというふうに私は考えます。
二番目に、子供の貧困への対応のための措置ということで、資料がありますけれども、資料の二の一、生活困窮者自立支援制度の任意事業として行われております子どもの学習・生活支援事業の実施率は、ここにあるように大体六〇%です。地域によってかなりのばらつきがあります。資料二の二、人口規模別で見ると、人口が少ない自治体で実施していない場合が非常に多いということで、次の資料、裏の三ですけれども、課題というのを見ますと、保護者との関係構築や対応が難しい、子供との接触、信頼関係構築が難しい、ケースワーカーなどの専門性の不足など、支援の担い手の問題というのが浮かび上がってまいります。
今回、改正法案の五十五条の十として、保護の実施機関は子どもの進路選択支援事業を実施することができるというできる規定を設けて、二項で委託もできるような規定も設けております。
今現在、子どもの学習・生活支援事業を実施している自治体では約八割が委託によって実施しておりますから、つまり、小規模が実施できていないというのは、恐らく委託先がないということが大きな要因なんじゃないかなと思うんですね。
今回、来年度予算で一・六億円のこうしたことに対する措置がされておりますけれども、私、これは何でできる規定なのかなと思うんですよね。必須にしてもいいんじゃないか。段階的にやっていくんだったら、委託先の問題というのを解決しないとこの問題は解決しない。この委託先をどうつくっていくか。
しかも、今までのケースワーカーなどでは対応できない子供との接し方とか教育の観点とか、あるいは難しい思春期の子供たちへの対応とかそうした専門性を持っている人じゃないと対応できない、その委託先をどうやってつくるかというのがこの改正法の規定の一番のキーだと思うんですけれども、その点についてどう対応するのか、御答弁をお願いいたします。
○朝川政府参考人 生活保護受給中の子育て世帯につきましては、子供が将来の進学に向けた意識などの面で課題を抱えていることが多いことや、保護者も周囲の地域との関わりが少ない傾向があって、必要な情報や支援が届きにくいことなどの課題がございます。
このため、本法案では、子育て世帯に対して、訪問して学習や生活環境の改善に向けた働きかけでありますとか、今ある学習・生活支援事業を始めとする子供向けの居場所へのつなぎでありますとか、いろいろな情報の提供でありますとか、そういう相談、助言を行う事業を創設することにしております。
こうした支援を行うことで、生活保護受給中の子育て世帯において、小中学生、早い段階から学習環境の改善を図ることができて、高校卒業後の進路選択の実現もよりよく図られると思います。
そして、実施の委託先の確保についてでございますけれども、もし小規模自治体でそういう適切な事業の委託先が見つからないような場合は、市町村圏域を超えたような広域的な事業の実施も対応策の一つとして考えられますし、既存の子どもの学習・生活支援事業との連携であるとか、好事例の周知や把握も我々やってまいりますし、現場、地域における教員OBの力をかりたり、そういうような地域の実情に応じて必要な支援が適切に実施されるように、本事業の推進をしていきたいと考えております。
○福島委員 前段の答弁は要らないので、的確に質問に答えていただけると。
時間がないので一問飛ばしたいと思います。生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携について。
生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携を強化して、生活困窮者が自立をし、また、生活保護受給者が一歩でもその先の生活困窮者自立支援制度の対象へと移行して自立していくというのは、私は極めてこの理念は大事だというふうに考えております。
そうした生活保護受給者から移行可能性がある者を、改正生活保護法では特定被保護者と規定しておりますが、その定義が、被保護者であって、その状況に照らして将来的に保護を必要としなくなることが相当程度見込める者その他の厚生労働省令で定める者とされております。現場でこの規定を基に、じゃ、具体的に誰を特定被保護者にしていくかというのは非常に難しいんじゃないかと思うんですよ。
まず、この厚生労働省令が何を指すのか。そして、ここで書かれている定義は、どのような基準に照らして、どうやって判断されるのか。そこを詳細に教えてください。ただ、短い答弁でお願いします。
○朝川政府参考人 まず、省令の方でございますが、生活困窮者の事業を利用することが効果的と見込まれる被保護者でありますとか、あるいは、被保護者向けの事業を実施していない自治体において支援を必要とする被保護者などを対象として想定しておりまして、今後より具体的に検討していくことにしたいと思います。
それともう一つの点でございますけれども、どうやって判断するかにつきましては、まさに個別具体的な被保護者の状況は保護の実施機関がよく把握してございますので、保護の実施機関において判断していただくことを想定してございます。
○福島委員 本当にその保護の実施機関に丸投げでよろしいんですかね。
私はここが一番のキーだと思うんですよ。特定被保護者は誰と特定することからしか、さっき申し上げた自立への道というのは始まらないんですね。もうちょっと具体的に、ガイドラインとかケース集とかそういうのを見ながら、全国でなるべく一律というか、一律まではいかないけれども、同じような水準でこうした人が指定されるように、きめ細かくやっていただければと思っております。
そのときに必要なのは、これまで生活困窮者自立支援事業にあった就労準備支援とか家計改善支援とか地域居住支援事業が特定被保護者にも対象になるということであるんですけれども、今現場で、私の知人もこうした就労支援活動をやっている人がいるんですけれども、生活困窮者への就労支援と生活保護者への就労支援というのは全く別物だ、生活困窮者は何とか自立しようと頑張るけれども、生活保護の人がそこから生活困窮なりその先に行くというのは非常に厳しいという話を聞きます。
今やっているように、今は基準は一年と定められていますけれども、生活困窮者の方は。でも、精神疾患がある人とかはとても一年では就労に至らないし、これも結構、自治体では硬直的に運用されていて、逆に、一年たっても就職する気がないからもうやめちゃおうという、就職しないインセンティブになっちゃっているという話も聞きます。
改正生活保護法第五十五条の十第一項第二号で、厚生省令で定める期間これを行うとしておりますけれども、この厚生労働省令はどのようなものを定めるんでしょうか。
○朝川政府参考人 被保護者就労準備支援事業の実施期間の上限について厚生労働省令で定めますが、現在、生活困窮者の就労準備支援事業で定めております定め方と、基本は参考にしながらやりたいと考えております。
したがって、原則一年を超えない期間にわたり実施することと定めるということを基本に今後具体的に検討してまいります。
○福島委員 私は、だから、わざわざ、生活困窮者と生活保護の人では全く事情が違いますよと申し上げたんです。役所のように、いつもの前例踏襲ではできないんですよ。
私は生活保護の方が自立していくというのは非常に大事だと思うけれども、これはもっと粘り強くやらなきゃ駄目ですよ。特に、精神障害を負っているような人とか、仕事に、就職したけれどもパワハラに遭って精神に障害を負った人がまた社会に復帰していくというのは、一年就労の訓練したぐらいじゃ駄目なんですよ。ですから、私は、この生活困窮者と同じ書き方をしてほしくないんです。もっときめ細かな対応ができるような別の省令を作っていただくようにお願いを申し上げます。要望しておきます。
資料の三ですけれども、困窮制度から生活保護につないだ件数というのは、令和二年度で一万五千百五十三件ある一方で、生活保護から困窮制度に移行されたケースは三分の一の自治体でしかなくて、その自治体での平均も大体四・七件。全国でいうと大体八百件ですから、一万五千に対して八百。生活保護から困窮制度に行くというのはやはり難しいんですね。しかも、その中でも、就労による収入の増加、取得により保護廃止となったものの職業定着に不安があるとか、そうしたことが問題点として掲げられております。
やはり、大臣、生活保護の人を引き上げていくというのは、これは相当根気を要するそうしたものなんですね。ですから、私は、今回、就労準備支援事業とか家計改善事業、これは必須の事業にやはりしなきゃ駄目だと思うんですよ。
まず一点御答弁いただきたいのは、生活保護の方が自立していく過程というのは、具体的にどういう人がどうなっていくことを想定しているんでしょうか。その具体例が思い浮かべば、何をやるかが思い浮かんでくるんですよ。
先ほどの就労支援が一年で終わりといったら、もうそれ一回、一年で挫折した人ははい上がれなくなっちゃうかもしれませんよ。そうじゃなくて、ずっと伴走しながら、様々な支援を受けながら、ちょっとずつちょっとずつ、自立していく思いを持ち、その能力を身につけていくというそうしたものが必要なので、私は、就労準備支援事業とか家計改善事業は必須にした方がいいと思いますし、先ほどの省令もそれに見合ったものにしなければならないと思います。
これまでの大臣の答弁を見ていると、支援の需要が少ない地域や支援を担う地域資源が不足している地域があることを踏まえると、全国一律の事業実施の義務化ではなくてと。これは逆なんですよ。支援のニーズは、需要はあるんですよ。でも、先ほど言ったように、支援するその組織がない、委託先がないとかそうしたのでできないというところもあるし、まさに支援を担う地域資源が不足しているんだったら、それをつくるのが政策じゃないですか。それがないから全国一律でできませんというのは、それは逆なんですよ、論理が。
だから、私は、先ほど来いろいろありますけれども、是非、大臣、様々な支援措置を講じた上で、次の改正までにはここを必須事業化できるような支援を施すんだと答えてほしいんです。お役所の答弁は、それが、能力がないから必須事業化できないと。できない理由を考えるのが役所ですよ。我々政治家はそれをできるためにどうするかというのを考えるのが私たちの役割ですから、政治家として、大臣に、次の改正で必須事業にするために、地域の資源を、ちゃんと満たされるように支援していくんだということを強力に御答弁いただきたいと思うんですけれども、大臣、お願いいたします。
○新谷委員長 申合せの時間を経過しておりますので、簡潔に。
○武見国務大臣 それはもう、全国一律ですぐにできればそれにこしたことはないんだろうと思います。
ただ、実際に、この審議の過程で市長会などから慎重にやってほしいという意見などが実は出てきまして、国として、ただ全国一律に、さあやるぞというふうにはなかなかいかなかったという経緯が実はあったんですよ。したがって、その中で実際に現行の法案ができて、それをとにかく基にして、全国的に拡充していく努力を進めるというのがこの考え方でございますから、そこを是非御理解いただければと思います。
○福島委員 役所の言葉と一般の国民の言葉は違うときがありますので、是非、大臣には、国民に響くことで、今のように御答弁いただければと思います。
ありがとうございました。
○新谷委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○新谷委員長 この際、本案に対し、足立康史君外一名から、日本維新の会・教育無償化を実現する会提案による修正案が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。足立康史君。
―――――――――――――
生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○足立委員 ただいま議題となりました生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
本修正案の内容は、本法案の検討条項に、生活困窮者に対する支援等が公正で分かりやすいものであることを確保する観点も含めて検討することを追加するものであります。
これにより、生活困窮者に対する支援等がどの地域に住んでいても必要な方々にしっかりと行き届くようにするとともに、支援等の対象者及び納税者双方にとって簡素で納得の得やすいものであることを確保する観点も含めて検討が加えられ、その結果に基づいて法制度やこれに基づく運用の改善等の必要な措置が講じられるものと考えております。
そして、究極的には、誰一人取り残されない、包摂的な社会の実現に資するものとなることを期待するものであります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○新谷委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○新谷委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。
本法案の全体を見れば、居住支援や生活保護世帯の子供への支援の拡充など、支援団体と当事者の要望に沿った前進面も多くあります。
しかし、人権の観点から看過し得ない点が一点あります。
本法案は、医療扶助の適正な実施に向け、都道府県がデータ分析等を行い、市町村に対して必要な援助を行うよう努めるとし、厚労大臣は、都道府県が調査を行うため必要な支援を行うとしています。
医療扶助の現状は、精神科病院への不要な長期入院など是正すべきものもありますが、二〇一八年の法改正において、医療扶助における後発医薬品の使用を原則化という、生活保護利用者に対する差別的取扱いが法定化されています。後発医薬品の中には、本日も質疑の中でありましたが、医療現場や患者から、効き目が違う、体に合わないなどの声が上がっているものも少なくありません。ホクナリンテープのように、論文で効き目が違うとされているものもあります。医療扶助における後発医薬品の使用の原則化は、治療内容の選択権を奪う人権侵害であります。
医療扶助における後発医薬品の使用割合は、国民全体より高くなっています。本法改正により、医療扶助の適正化の名で、後発医薬品の使用割合が国の目標を満たさない市区町村に対して後発医薬品の使用の圧力となり、生活保護利用者への差別的取扱いが更に進む危険があります。
法案審議の中で、厚労省からは、都道府県に対して参考となる考え方を示すことを考えており、具体的な内容については、有識者の意見も踏まえて検討を進めるとの答弁がありました。国が示す考え方によっては、生活保護利用者の治療内容の選択権を奪う、更なる問題も生じかねません。
次に、修正案についてです。
生活困窮者への各支援事業は、自治体による実施率の格差が大きく、また、住宅確保給付金も様々な要件で線引きがされ、支援の対象は極めて限定されております。公正に、どの地域に住んでいても必要な支援が行き届くよう、制度の拡充が必要です。よって、修正案には反対しません。
最後に、本法案は、今求められる支援策という観点からしても、極めて不十分です。参考人質疑において、社会保障の根幹として住まいの支援の抜本的強化を求める声が強く出されました。住宅手当創設等に踏み出すべきです。また、各支援事業が全自治体で実施されるよう、補助率を引き上げ、必須事業にしていくべきであります。支援に当たる人材確保のための財源の手当ても必要です。
以上指摘し、本法案への反対討論といたします。
○新谷委員長 以上で討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○新谷委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、足立康史君外一名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○新谷委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○新谷委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○新谷委員長 この際、本案に対し、大串正樹君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。井坂信彦君。
○井坂委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 「住まい」は生活の基盤そのものであり、その確保に向けて入居時から入居中、退居時までの切れ目のない居住支援の体制を構築するため、住宅セーフティネット制度や居住支援法人との連携、空き家・公営住宅の活用も含め、居住支援に関する省庁横断的な施策の推進を図ること。また、生活困窮者居住支援事業の全国的な実施に向け、小規模自治体での広域実施の推進等、実施率の向上に資する効果的な支援策を講ずること。
二 本法による見直し後の生活困窮者住居確保給付金の支給状況を把握するとともに、生活困窮者等が安心して暮らせる居住保障のあり方について引き続き議論を継続すること。
三 子どもの貧困への対応として、子ども食堂等、学校や家庭以外の子どもの居場所の充実を図るとともに、重層的支援体制整備事業との連携を強化すること。また、教育行政やこども家庭庁の施策とも連携を図りつつ、被保護世帯の子どもの大学等への進学を促進するために必要な施策を行うこと。
四 生活困窮者自立相談支援事業の機能を強化するため、社会福祉士等、専門性を持つ専任職員を配置するとともに、地域の実情に応じた適切な人員体制が確保されるよう、良質な人材確保を促す補助体系に見直すなど、相談支援員の処遇改善による人材確保及び定着促進を図ること。また、相談支援員の研修の充実などスキルの向上や資格の取得を支援するための必要な措置を講ずること。
五 生活困窮者の早期支援につなげられるよう、支援会議等の設置を更に促進すること。その際、現場の業務負担に留意し、既存会議の活用等、効率的な運用の促進に努めること。
六 生活困窮者就労準備支援事業及び生活困窮者家計改善支援事業の質の改善を図るとともに、自治体間格差を是正するため、好事例の横展開、未実施自治体への丁寧な支援などで平準化を図りつつ、両事業の全国的な実施を目指すための方策を検討すること。
七 生活困窮者就労準備支援事業における就労体験先への交通費負担を軽減する予算措置を実効的なものとすること。
八 支援対象者の社会参加や就労体験・訓練の場をより多く確保し、地域で支える体制を整備するため、認定就労訓練事業者の認定方法を工夫するとともに、事業者に対する優先発注、税制優遇、事業の立上げ支援等の経済的インセンティブの活用や支援ノウハウの提供など、受皿となる団体や企業が取り組みやすい環境を整備すること。
九 生活困窮者向けの就労準備支援事業、家計改善支援事業及び居住支援事業の全国的な実施等を図るための指針を策定するに当たっては、委託先となる法人の財政基盤の安定化及び相談支援員の処遇改善を図るため、地方自治体による委託先の選定において、複数年度契約の方法も採りうることや、経費の多寡のみで評価するのではなく、支援の質や実績、地域の実情への理解や関係機関との連携状況を総合的に評価すべきことを明記すること。
十 生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携強化に当たっては、被保護者が生活困窮者向けの事業に参加する場合でも、ケースワーカーと連携し、保護の実施機関が継続的に関与する仕組みとするとともに、現場の業務負担の増加により支援の質が低下しないよう、両制度の実施機関の適切な人員体制を確保すること。
十一 医療扶助の適正化を推進するとともに、地方自治体のガバナンス強化の観点から、被保護者の国民健康保険や後期高齢者医療制度への加入について検討を深めること。また、不正請求を行った医療機関の指定取消しを徹底すること。
十二 地方自治体における保護の実施体制については、その質及び量の両面において必ずしも十分とは言えないのが現状であることに鑑み、本法に定めた被保護者等に対する支援施策の確実な実施を図るため、地方交付税措置の更なる拡充を含む必要な措置を講ずるよう検討すること。
十三 社会福祉協議会における緊急事態対応の仕組みについて、平時から検討を行うこと。
十四 ひきこもりを対象としたいわゆる「引き出し屋」による被害防止のために必要な措置を講ずるとともに、当事者及びその家族に対して生活困窮者自立相談支援事業やひきこもり地域支援センターの周知、アウトリーチの強化を行うこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○新谷委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○新谷委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、武見厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。武見厚生労働大臣。
○武見国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力をしてまいります。
―――――――――――――
○新谷委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○新谷委員長 次に、厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
令和六年能登半島地震災害に係る住宅再建支援等給付金に係る差押禁止等に関する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見たところでございますので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。
その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。
令和六年能登半島地震災害により住宅に被害を受けた世帯の住宅再建等を支援するため、今般、政府は、新たな交付金制度を創設したところであります。石川県は、この交付金を主たる財源として、被災世帯の住宅再建等に対する支援のための給付金を支給するほか、県の事業として、被災世帯の住宅再建のための借入金の利息の支払いに充てるための給付金を支給することとしております。
本案は、こうした令和六年能登半島地震災害に係る住宅再建支援等給付金について、その支給を受けることとなった者が自らこれを使用することができるようにするため、その支給を受ける権利の差押え等を禁止するとともに、その支給を受けた金銭の差押えを禁止する措置を講じようとするものであります。
なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。
以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
―――――――――――――
令和六年能登半島地震災害に係る住宅再建支援等給付金に係る差押禁止等に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○新谷委員長 お諮りいたします。
お手元に配付いたしております草案を令和六年能登半島地震災害に係る住宅再建支援等給付金に係る差押禁止等に関する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○新谷委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る二十九日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時十九分散会