衆議院

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第8号 令和6年4月3日(水曜日)

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令和六年四月三日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 新谷 正義君

   理事 大岡 敏孝君 理事 大串 正樹君

   理事 橋本  岳君 理事 三谷 英弘君

   理事 井坂 信彦君 理事 中島 克仁君

   理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    上田 英俊君

      勝目  康君    金子 容三君

      川崎ひでと君    塩崎 彰久君

      鈴木 英敬君    田所 嘉徳君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      高階恵美子君    中川 貴元君

      中谷 真一君    仁木 博文君

      鳩山 二郎君    古川 直季君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      三ッ林裕巳君    柳本  顕君

      山本 左近君    吉田 真次君

      大西 健介君    近藤 昭一君

      堤 かなめ君    西村智奈美君

      山井 和則君    柚木 道義君

      吉田 統彦君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    遠藤 良太君

      岬  麻紀君    福重 隆浩君

      吉田久美子君    宮本  徹君

      田中  健君    福島 伸享君

    …………………………………

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   厚生労働副大臣      宮崎 政久君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   厚生労働大臣政務官    三浦  靖君

   政府参考人

   (内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官)          江浪 武志君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 和田  薫君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    依田  学君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       浅野 敦行君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森  孝之君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   橋場  健君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局長)         大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局長)  城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鹿沼  均君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           関村 静雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         南   亮君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  柳本  顕君     鳩山 二郎君

  阿部 知子君     近藤 昭一君

同日

 辞任         補欠選任

  鳩山 二郎君     中川 貴元君

  近藤 昭一君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 貴元君     古川 直季君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     柳本  顕君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

新谷委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官江浪武志君、警察庁長官官房審議官和田薫君、消費者庁審議官依田学君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、長官官房審議官高橋宏治君、デジタル庁審議官阿部知明君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官浅野敦行君、大臣官房審議官森孝之君、スポーツ庁審議官橋場健君、厚生労働省医政局長浅沼一成君、健康・生活衛生局長大坪寛子君、医薬局長城克文君、労働基準局長鈴木英二郎君、職業安定局長山田雅彦君、社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、老健局長間隆一郎君、保険局長伊原和人君、年金局長橋本泰宏君、政策統括官鹿沼均君、農林水産省大臣官房審議官関村静雄君、経済産業省大臣官房総括審議官南亮君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

新谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

山井委員 三十分間、紅こうじサプリの被害についての再発防止策ということを質問をさせていただきたいと思います。

 恐らく理事会でも議論になったと思いますが、これは非常に深刻な、人の命が奪われた問題でありまして、また機能性表示食品の制度の在り方にも、また食品の安全衛生に関わることですので、集中審議を是非お願いしたいと思います。これについては理事会で議論をされていると思います。

 私も、学生時代、大学院で酵母菌、私の修士論文はキャンディダトロピカリスpK233という酵母菌の研究だったんですけれども、要は、いろいろそういう中でバイオの研究をやっておりました。たまたま児童福祉施設でボランティアをしていたので福祉の方に転換しましたが、私の仲間は、食品会社、薬品会社、様々なところに同級生は、当然、研究仲間は就職しております。そういう中で、今回、機能性表示食品ということについて、やはり不備な点があるのではないかと気になるところも含めて質問をさせていただきたいと思います。

 ただ、私も、今回この問題が起こるまでは、機能性食品とは何たるかというのはよく理解できていないところがありまして、ああ、そうだったのかと気づくところがありまして、私自身、こういうことについて十分今まで取り組んでこなかったことについても少し反省をしつつ、今から質問をさせてもらうこともこの一週間ぐらいで私も勉強したことですので、自分の無知や今まで十分その辺りを気にしてこなかったことも反省しつつ、質問をさせていただきたいと思います。

 そして、これは今日の配付資料にもございますが、安倍総理の成長戦略の目玉の一つが機能性表示食品だったわけですね。配付資料にもございますが、配付資料の十六ページ。成長戦略第三弾、首相の講演要旨、改革に終わりはない。二〇一三年六月六日の朝刊でありますが、当時の安倍総理が健康食品の機能性表示を解禁するということで、今日は七千億円の大きな市場になったわけであります。

 この機能性表示食品、私も正直言って飲んだりしていることは十分、十分というかありますので、別に全否定する気は全くありませんし、これによって救われている方も非常に多いんじゃないかとは思っておりますが、ただ、残念ながら、今回のような残念な事件が起こってしまいますと、やはり見直すべきではないかという議論は出てくると思います。

 そこで、まず武見厚労大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、やはり今回の一番私も問題だと思うのは、被害を把握してから消費者庁なり大阪市に報告するまでに二か月かかったということなんですね。やはりこれは遅かったのではないか。この点について、武見大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 食品衛生法上は、健康被害が発生した場合に、事業者から自治体へ、今回の場合には大阪市でありますが、報告に努めることとされておりまして、今回の事案については、厚生労働省を含め関係機関に対して小林製薬から迅速な報告がなかったという御指摘は、全くそのとおりであります。二か月以上こうした報告が遅れたということは極めて遺憾なことである、このように認識をしております。

山井委員 様々な見直しの議論はあろうかと思いますし、超党派で力を合わせて取り組んでいきたいと思うんですけれども、今、武見大臣がおっしゃった、二か月報告が遅れたと。

 今日の配付資料の一枚目にもありますけれども、ガイドラインなんですね。ガイドラインだから、消費者庁への報告、届出者は、評価の結果、健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合は速やかに報告するというこのガイドラインが守られていなかったわけです。

 ストレートにお聞きしますが、武見大臣、残念ながらガイドラインは守られていなく、今回、健康被害が更に拡大したおそれがこの二か月間であるわけですけれども、やはり、健康被害の報告義務を、ガイドラインじゃなくてアメリカのように法律事項として義務化をして強化すべきじゃないかと思いますが、武見大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 これは、今回のようなことが二度と起きてはいけないということは明白でございますので、まず原因をしっかりと究明をして、そしてそれから、どういう因果関係で、例えば、いつ工場で作られ、そしてどういう原因がそこに組み込まれてしまったのか、そしてそれがどういうプロセスで運ばれて、そして実際に消費者の口に入り、それがどの期間服用をすると実際に体に障害をどのような形で及ぼすのかという因果関係を徹底的に調べて、そして、それを全部明確にして、エビデンスに基づいて、今後こういう事態が発生しないようにするにはどのような対処方針が必要であるのか、その中で法整備が必要であるかどうかということを検討していくということが私は必要ではないかなというふうに思います。

山井委員 この報告が遅れたことの再発防止をどうするかというのは今回の再発防止の本丸中の本丸だと思うんですけれども、そのことについて消費者庁にもお聞きしたいと思います。

 今日の配付資料でたくさん入れておりますけれども、アベノミクスの成長戦略の目玉の機能性表示食品制度というのは、四ページからですね、アメリカのダイエタリーサプリメント制度というものが参考にされているんですね。これはもう有名な話ですけれども、それを参考にしてやっているということです。

 それで、質問しますが、今回の機能性表示食品制度のモデルとなったアメリカのダイエタリーサプリメント制度については、一九九四年に創設されています。その創設当初は健康被害の報告義務は法律に入っていましたか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 もしお許しいただければ、まず、この機能性表示食品制度……(山井委員「いいです。時間が三十分しかないので端的にお答えください」と呼ぶ)はい、分かりました。

 私ども、食品の新たな機能性表示制度に関する検討会というものをかつて開いておりまして、この中で、健康被害の情報収集、危険な商品の流通防止措置に関する対応方針についても議論した痕跡がございます。その際には、食品衛生法や……(山井委員「一九九四年に入っていましたかという質問なので」と呼ぶ)そういう意味では、この検討会の中で、お尋ねの内容に関する記述はちょっと確認をできなかったということでございます。

山井委員 ちょっと、残念なのは、批判するわけじゃないんですけれども、私も二日前に知ったので偉そうなことは言いませんよ。ただ、今日の配付資料にもありますように、このダイエタリーサプリメント法というのは、六ページの左上にありますように、私も数日前に知ったので偉そうに言うわけじゃありませんけれども、つまり、ここのフリップにありますけれども、一九九四年に創設されているんですよ。ところが、二〇〇六年にDS及び非処方箋薬に関する消費者保護法が公布されて、新たに法律で報告義務が入ったわけですよね。

 五ページを読み上げます。アメリカのダイエタリーサプリメントの機能性確保に関する取組ということで、一番下。二〇〇六年に連邦食品医薬品化粧品法が成立しと書いてあって、それで、重篤な有害事象の報告のほか、全ての有害事象の記録、保存が義務づけられということで、ここに書いてありますように、報告も義務づけられたわけですね、二〇〇六年に。

 それで、消費者庁さん、この二〇〇六年に報告が義務づけられたということについては御存じですか。

依田政府参考人 この制度創設のときに、委員御指摘のアメリカの制度というものを参考にして議論したという痕跡はございますが、その際に、その資料から確認するしか、私ども現時点ではないわけでございますが、このアメリカの制度におきましては、サプリメント摂取により見られた重篤な健康被害に関する情報を得た場合に、十五日以内にFDAに届け出なければならないという記述がございます。

 ただ、申し訳ございません、アメリカのダイエタリーサプリメント制度が一九九四年に創設された際に健康被害の報告義務が法律にあったかどうかは確認できませんで……(山井委員「ないということですよね」と呼ぶ)はい、ないということでございます。

山井委員 それで二〇〇六年に入ったわけですね。

 それで、八ページにありますように、当時、二〇一五年から、例えば、佐野真理子さん、主婦連合会参与などは、アメリカのダイエタリーサプリメント制度を参考にしたというが、事業者の都合のいいところだけをつまみ食いしており、同制度にある重篤な事故の報告義務化などは採用されていないと指摘をされているんですね。

 そうしたら、消費者庁、確認しますが、参考にしたのは明らかですからね、これはもう当然、この制度。参考にした際に、参考にした基のダイエタリーサプリメント法では健康被害の報告は法律で義務化されているということは御存じでしたか。

依田政府参考人 健康被害の義務を法律に入れるべきかどうかという意見がなかったのかということかと思いますけれども、先ほど申し上げました検討会においては、健康被害等の情報収集、危険な商品の流通防止措置に関する対応方針について、この検討会でも議論された痕跡がございます。

 その中の資料におきましては、これを法律に入れるべきとの意見は、ちょっと、私も相当洗い直しましたけれども、議事録等では確認できなかったところでございます。

山井委員 当時知っていられたかという事実関係はいかがですか。

 ここの六ページにありますように、赤線を引いてありますけれども、ダイエタリーサプリメント事業者は自社製品の使用に関わる重篤な有害事象について情報入手より十五営業日以内にFDAに報告しなければならないというふうに義務化されたわけですね、法律に。基の、モデルとなったアメリカの制度で健康被害の報告が法律で義務化されている、そのことは当時御存じだったんでしょうか。これは質問通告しておりますので。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 その当時の担当者たちが認識していたかどうかというのは、今の資料の中ではちょっと確認できないのでございます。ただ、健康被害の情報収集の、流通防止措置に関しては議論した痕跡がございます。

 その際になぜ法律で義務づけなかったかという御指摘だと思われますが、その際の資料においては、食品衛生法や消費者安全法に規定された報告ルートなどによりまして健康被害に関する情報が得られた場合には、必要に応じて注意喚起や販売禁止等の措置が講じられるということになりますと。一方、都道府県などから提供される情報については、専門家による一定の評価はなされているものの、結果としては件数は少なく、医療関係者などを介さずに寄せられる消費生活相談における危害情報などは、件数は多いものの、消費者の自己評価であることから、当該食品と健康被害の因果関係を特定するという面においては、危害情報の質、量が不十分であるという指摘をしております。

 このような状況を踏まえまして、この報告書におきましては、健康被害の未然防止を図ることを前提としまして、機能性を表示する食品に関して、企業等による健康被害等の情報収集体制等の整備を図るとともに、行政における健康被害等の情報収集、解析手法の研究の推進を実施することが適当というふうに結論づけておりまして、こういったことも踏まえまして、食品表示法に基づく今回の我が方のガイドラインにも反映させていただいている、こういう整理でございます。

山井委員 つまり、当時、議論はしたけれども、議論をした結果、報告義務を法律に入れる必要はないと判断したということなんですけれどもね。

 私も数日前に勉強したので別に偉そうに言うわけじゃないんですけれども、この九ページにありますように、私も勉強しましたよ、一九九四年に創設されたときに報告義務が法律でなかったのに何で二〇〇六年に入ることになったのか。調べたら、ちょっとこの英文を和訳しますと、一九九三年以来、FDAはダイエタリーサプリメントに関する可能性のある副作用の報告を二千七百九十七件受けており、その中に百五件の死亡も含まれていると。つまり、この資料を読む範囲では、やはり、それに関連して百五人の方が亡くなられた、そういうことがあって報告義務を法律で入れたんですよね。

 それで、今回、たまたまかもしれませんけれども、創設から日本でも十年たって、残念ながら五人、まだ因果関係は不明とはいいながらお亡くなりになられて、二か月報告が遅れた。こうなると、結果論ですよ、繰り返し言います、偉そうに言うわけじゃないですが、結果論を、ちょっとこの一週間ぐらい私も勉強したら、やはり、報告義務を法律で入れておいたら、ガイドラインは破っても法的拘束力はありませんから、入れておいたらよかったのではないかと思うんです。

 ついては、武見大臣、質問になるんですけれども、やはり、国民の命、健康、安全、安心を守るのは武見大臣なわけで、武見大臣にお伺いしたいんですけれども、やはりそういう意味では、この機能性表示食品で健康被害の報告義務がガイドラインである、そして今回それが守られなかったという意味では、ガイドラインにとどまっている今の健康被害の報告というのはちょっと弱いんじゃないかというふうに思われませんでしょうか。

武見国務大臣 明らかに弱いと思います。したがって、この新たなルール化というものは当然に必要とされると思います。

山井委員 これは、ストレートに言いまして、何がややこしいかといいますと、消費者庁と厚労省にまたがっているんですよ。はっきり言いまして、またがっているんです。だから、今、武見大臣、重要な答弁をしていただいて、いい大臣だと、今、井坂さんもおっしゃっていますけれども。

 ここでちょっと細かく言いますと、機能性表示食品は食品表示法、そして、厚生労働省が管轄している全ての食品の安全は食品衛生法になるわけなんですよね。じゃ、法改正を検討して、報告義務を仮に入れるということを検討する場合、機能性表示食品だけの報告義務を法的に検討するのか、いやいや、もうちょっと広く食品衛生法全体で健康被害報告義務を法的に入れるべきじゃないかというのは、正直言いまして、Aコースを取るかBコースを取るかによって根本的に全然議論がはっきり言って違ってくるし、もっと言えば、消費者庁が消費者庁の枠内で今回の見直しをするのか、いや、そこにいい意味で厚労省が出張って、出張ってと言ったら言葉は悪いけれども、厚労省がどんどんどんどん関与して厚労省的に安全を強化するのか、このAコースを取るかBコースを取るかというのは割と重要な部分なんです。根本的な問題なんですよ。田村議員からも、そうだという声がございます。

 そこで、武見大臣にお伺いしたいんですけれども、今、緩過ぎるという言葉がありました。今後、五月末に向かって見直しをしていくわけなんですけれども、断定的なことは言えないのは分かっておりますけれども、そういう中で、食品表示法なのか食品衛生法なのか分からないけれども、そういうふうなことの報告義務化の法改正ということも排除せずに、土俵に入れて検討するということでよろしいでしょうか。

武見国務大臣 まずは、今回の事案の実態の解明、把握、これをとにかく徹底してやり、再発防止策を考える、これが極めて重要だろうと思います。再発防止のために食品衛生法体系においていかなる施策が必要か、これをまずは厚生労働省としては検討してみたいと思います。

 このため、現段階であらゆる可能性を排除するものではない一方で、予断を持ってどのような法改正を実施するかということを今ここで安易にお答えするのは極めて無責任だろうと思います。

 また、この機能性表示食品制度というのは現状において消費者庁が所管しておりますから、消費者庁とよく連携をして、今後のルールの在り方というものについての議論が必要だろうと思います。

 それから、同時に、重要なことは、法律を含めたいわゆるルールに問題があるのか、あるいは小林製薬という会社独自に問題があったのか、いろいろな観点から原因の究明というのをしていかなければいけないだろうと思います。

 私は、これを徹底的にやらせるつもりでおりますので、それを踏まえて今後の対策を考えていきたいと思います。

山井委員 ということは、武見大臣、今後あらゆる見直しを消費者庁と連携して検討するということですけれども、その中の重要ポイントの一つは、緩過ぎると言われた健康被害の報告について、緩過ぎるんだから、そこの強化が一つのポイントになるという理解でよろしいですか。

武見国務大臣 基本的にはそうだと思います。

山井委員 中島筆頭からも話がありましたが、これは消費者庁と厚労省と一緒に議論しないと、実は、ばらばらに議論しても決着しないんですよ。かつ、与野党協力して議論すべきだと思いますので、もちろん、この厚労委員会だけでも集中審議をやってほしいですけれども、消費者委員会とセットで、連合審査で集中審議をやっていただきたいと思います。委員長、いかがでしょうか。

新谷委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。

山井委員 それで、特保については、これは今日の配付資料にもありますように、ちょっと時間がないのではしょりますが、十三ページにありますが、特保に関しては一応法的に、安全性についての新たな知見が得られたときは報告しなければならないということが法律に入っております。

 そこで、今、被害者の補償、救済は非常に重要なんですけれども、これも武見大臣にお伺いしたいんですけれども、今回、五人の方が亡くなられて、百数十人が入院されていて、数百人が通院とかをされているわけですよね。この方々に当然、補償とか、今後、残念ながらそういう話になってくると思うんです、きっちりと早急に補償しなさいということを小林製薬に対して指導なり指示をすべきだと思いますが、武見大臣、いかがですか。

武見国務大臣 厚生労働省の所管する食品衛生法というのは、食品の安全性確保のために必要な規制などを講ずることによって飲食に起因する衛生上の危害の発生を未然に防ぎ、国民の健康を保護することを目的としております。

 具体的には、食品の販売などを行う事業者に対しては、有毒又は有毒な物質が含まれる食品の販売等を禁止する等の規制や、監視指導を通じてその遵守状況を確認する責務を厚生労働省が担っている。

 委員御指摘のような国民への補償を事業者に促すことは、この法律の枠組み上、困難でございますが、厚生労働省としては、食品衛生法に基づき食品の安全の確保を図る責務があり、この法律上の根拠から、全力を尽くしてその役割を果たしていきたいと思います。

山井委員 困難だということですが、では、消費者庁さんに同じ質問をします。早急に十分な補償が行われるように、小林製薬に指導、指示すべきじゃないですか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論を申し上げまして、補償につきましては、一義的に、事実関係あるいは因果関係を踏まえまして当事者間で話し合われる必要があるというふうに認識してございます。

 現に、小林製薬におきまして、今回被害を受けた方への補償についてはもう対応を検討されているというふうに承知しております。

山井委員 私は、無責任ではないかと思うんです。といいますのは、国がお墨つきを与えているから飲み続けて、それで、いざ亡くなったら、いや、それは民間企業の問題ですというのは、やはりこれは無責任だというふうに言わざるを得ません。

 そこで、消費者庁にお伺いしますが、ということは、機能性表示食品の制度というのは、消費者庁あるいは国はそのものの、その製品の、その商品の有効性や安全性については責任を持っていないという制度なんでしょうか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 機能性表示食品制度につきましては、平成二十五年に食品表示の一元化に基づいて制定されました食品表示法に基づく制度でございます。この制度におきましては、事業者が事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示することができる任意の表示制度というふうに位置づけてございます。

 その際、機能性表示食品として販売する際には、食品表示基準において、体調に異変を感じた場合には速やかに摂取を中止し、医師に相談してください、あるいは、本品は疾病の診断、治療、予防を目的とするものではないといったことを義務表示事項としております。

 国としての位置づけでございますが、国としては、あくまでも、表示の適正性を確保するために、届出後であっても必要に応じて届出の撤回、変更などを求めるほか、悪質な表示につきましては、優良誤認、虚偽表示として、食品表示法、景品表示法、健康増進法といった表示規制法に基づいて厳格に対処することとしております。

 いずれにしましても、今回、機能性表示食品制度につきましては、先週、官房長官の指示を踏まえまして、今回の事実を受けまして、機能性表示食品制度の今後の在り方について五月末を目途に取りまとめるように、スピード感を持って取り組んでまいりたいと思います。

山井委員 今の答弁は表示についての答弁であって、安全性と有効性については責任を持っていないわけですよね。

 そこで、武見大臣にお伺いします。

 言いづらいですけれども、アベノミクスの一環、機能性表示食品、揺らぐ信頼、不安拡大、経済優先。アベノミクス、いいところもあったと思います。ただ、やはり問題点もあったと思います。

 武見大臣、お聞きしづらいんですけれども、やはり今回、因果関係は分かりませんよ、分からないという大前提なんですけれども、この機能性表示食品というのは、今もお聞きしたら、表示については責任を持っているけれども有効性と効果に関しては消費者庁も国も責任を持たないということですけれども、やはり安全面というか、そういうものがちょっと弱かったんじゃないかというふうに思いますが、武見大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 今回、五名も貴い命が失われたということは、極めて重く受け止めなければいけない事実であります。この被害はまた更に広がる可能性さえもございます。したがって、こうしたことを受けて、やはり、今後の再発防止のためにあらゆる施策を検討していくことが必要であって、その中で責任をきちんと負っていくということが私は必要だろうというふうに思います。

山井委員 ということは、今後、五月末に向けて見直しの議論を厚労省と消費者庁がされるわけですけれども、やはり、安全性の確保、ここも見直しの重要なポイントになるという理解でよろしいですか。

武見国務大臣 安全性の見直しが最も重要な課題だという点については、御指摘のとおりであろうと思います。

山井委員 これは、はっきり言って、本質的な問題なんですよ。これだけ、体によくなると思って飲み続けたら残念ながら亡くなってしまわれたという問題なのに、この機能性表示食品には厚労省がほとんど関与していないというか、できないというか、そういう制度なんですよね。それで、いざ問題が起こったら、大臣なり厚労省が出ていかざるを得ない。

 そういう意味では、武見大臣、やはりこの機能性食品という制度について厚労省なり厚労大臣が関与できる制度に見直していくべきじゃないでしょうか。

武見国務大臣 安全性の確保という観点から、食品衛生法に基づいて、厚生労働省はこれに現状においても深く関与をしているところであります。

 ただ、今回のように、実際に二か月も遅れて報告が出てくるというような状況というのは、想定をしておりませんでした。

 したがって、このようなことも踏まえて、実際に、法律上あるいは制度上の問題であるのか、あるいはさらには個別の企業の問題であるのか、そういうことをやはり徹底的に調べて、冷静にそれをエビデンスに基づいて解析をした上で今後の対処方針を考えるというのが、適切な対応の仕方だろうと思います。

山井委員 これで終わりますが、今おっしゃったように、私も大学院でバイオを研究していた人間の端くれとして、やはり、エビデンス・ベースト・ポリシー、エビデンスに基づく見直しというのは一番重要だし、それは私は、はっきり言って、与野党対決ではなく与野党協力して、消費者庁、厚労省、消費者特別委員会、そして厚労委員会、協力して。ただ、五月末までというのは、申し訳ないけれども、国民感覚からすると遅過ぎるから、やはり国会での議論とか、こういう見直し議論を早急に、前向きに、建設的にやっていくべきだと思います。そのことを申し上げて終わります。

 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、堤かなめ君。

堤委員 立憲民主党の堤かなめです。

 格差の問題について、まずお聞きします。

 先日、三月二十二日の本委員会におきまして、我が国の所得格差についての認識をお聞きしたのですが、武見大臣からは、残念ながら、論点をずらした答弁しかいただけませんでした。

 大臣は、我が国のように医療保険で現物給付なんかをしておりますと、これは実はジニ係数のOECDの算定の中には入りません、こうしたことを踏まえて、我が国の所得格差の問題を国際比較していくことがやはり必要と答弁されました。つまり、所得格差そのものについての認識ではなく、統計の問題にすり替えてお答えになったというふうに感じました。

 その後、委員長のお取り計らいによりまして、理事会で御協議いただき、厚労省から御説明いただきました。感謝申し上げます。

 先日、三月二十七日の本委員会では、岬委員からも、我が国の格差の問題を正確に把握するには、現金給付と現物給付の両方を合わせた国際比較が重要だという趣旨の御発言をいただきました。

 そこで、改めて、両者を合わせた格差や再分配についてお聞きします。

 表一を御覧ください。この資料は、厚労省からいただきました社会保障給付の部門別の国際的な比較、対GDP比でございます。

 赤字の部分は、厚労省からお聞きしまして堤事務所で付記したものですが、これは、現物給付、現金給付、全て含んだ給付全体、ただし、教育給付は含まれておりません。ですから、教育給付については後述いたします。そして、福祉その他というところ、黄色の部分ですけれども、には、介護保険、雇用保険、子供、子育て費用、生活保護、障害給付などが含まれるということで、現金給付、現物給付のかなりの分野を合わせたものだということでございます。

 こうして見ますと、日本の社会保障分野の再分配と言っていいと思いますが、赤で示されたところ、棒グラフを赤で囲んだところでございますが、対GDP比二三・一%、OECD諸国三十八か国中十七位ということでございます。つまり、一見、結構日本も再分配をやっているじゃないかというふうに見えますけれども、実は、内訳を見ていただきたいと思います。

 オレンジの部分、これが医療でございますが、これは九・六%。非常に、かなり占めています。アメリカに次いで世界第二位ということでございます。

 しかし、その一方、先ほど言いましたように、介護、高齢者福祉、子供のこと、障害者のことなどが含まれている福祉その他のところ、非常に重要だと思うんですが、これは僅か三・五%です。数えましたところ、三十八か国中三十二位、下から七番目でしかないわけです。

 武見大臣、なぜ医療の給付が多いのか、医療の給付は世界第二位なのに福祉の給付は少ないのか、是非お答えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

武見国務大臣 GDP比で見た社会保障給付の国際比較については、OECDにおいて社会保障給付を年金、医療、福祉その他と三つに分類した上で実施されておりますけれども、このうち、福祉その他については、二〇一九年のデータで日本が三・五%、諸外国のうち、例えばスウェーデンでは一一・二%というふうになっております。

 この国際比較については、諸外国と我が国では、高齢化率の違いに加えて、そもそも我が国とは社会保障制度が異なる中で、どのような対象者に対してどのような形で給付が行われているかということも実は異なっております。したがって、厳密に比較評価するというのは実はなかなか難しい問題であろう、こう考えております。

堤委員 もちろん、厳密に比較するということは、確かに、それぞれ各国、制度が違いますので難しいかと思いますけれども、しかし、こうやって厚労省が統計を出されていらっしゃるということで、やはりこれは、大きく見て、日本の福祉その他が少ないんじゃないか、OECD諸国、三十二位ということは少ないんじゃないかということは言えると思うんですね。

 やはり私は、申し上げにくいんですけれども、医療業界の団体から、自民党の議員の方々、多額の政治献金を受け取っておられますけれども、福祉の分野の業界団体からはそれほどの政治献金が期待できないということも、もしかして、そういうことで政策がゆがめられているということがあるのではないかと思わざるを得ないと思います。

 また、御案内のように、日本の高齢化率は世界で最も高い、世界一位です。しかし、年金給付は世界一位ではありません。資料一をもう一度御覧ください。三十八か国中、この緑の、一番下の部分ですけれども、占める割合は十四番目です。これについてはどう思われますでしょうか。

武見国務大臣 年金、福祉、医療の在り方に関しては、国の発展段階によって、その持つ役割の違いというのが明白に出てまいります。そのことはきちんと指摘をさせていただきたいというふうに思います。特に、発展段階の途中から中間期ぐらいまでについては、実は医療を通じての所得の分配の比率というのは政府の所得分配比率の中で常に大きくなる傾向があって、それは、ただ単に国民の健康を守るだけではない役割を確実に負うということは是非御理解をいただきたいというふうに思います。

 そして、年金制度に関する御質問でございますが、物価や賃金といった経済状況が異なることから、年金の給付水準を見る上では、名目の年金額ではなくて、現役世代の賃金に対する給付額の割合であります所得代替率を用いるのが一般的でございます。

 例えば、OECDが試算した単身者の税、社会保障料控除前の公的年金に関わる所得代替率の予測値については、ドイツは四〇%台、アメリカ、カナダ、日本は三〇%台、イギリスは二〇%台となっておりまして、ただし、これは給付水準のみを比較したもので、給付と負担に関わる高齢化率や保険料水準等といった前提条件が異なる中で、この数字を単純に比較して評価することは適切ではないというふうに考えております。

 そして、我が国の公的年金制度は、国の社会保障制度の一つとして、社会全体で高齢者の生活を支える制度でございまして、老後の所得保障の柱としての役割を果たしておりますけれども、それだけで老後の生活の全てを賄えるものではなく、現役世代に構築した生活基盤であるとか貯蓄などと組み合わせて老後の生活を送っていただく必要があると考えております。

 その上で、従来から、年金の給付水準を表す指標として所得代替率を用いておりまして、法律上、現役男性の平均的な手取り賃金に対して、いわゆるモデル年金が将来において五〇%を上回ることとされており、引き続き、この考え方に基づいて年金を着実に支給してまいりたいと思います。

堤委員 先週、本委員会でも、年金の水準が余りに低い、特に単身の女性の高齢者の貧困が非常に大変だというような話も出ていました。やはり医療にちょっと偏り過ぎているんじゃないかなと、私は、率直な感想でございます。

 それから、資料二を御覧ください。これは、公財政教育支出の対一般政府総支出、つまり、政府支出全体に占める教育支出を示したものです。教育支出は、OECD加盟諸国三十八か国のうち、下から五番目。公的な教育支出が少ない、政府が教育にお金をかけていないということになろうかと思います。

 先日も申し上げましたが、我が国の再分配効果は国際的に見ても低い。これは多くの研究者も指摘しているところでございます。OECD諸国のうち、公的移転による再分配では下から三番目、税による再分配では何と最下位です。

 武見大臣は、医療保険制度の所得の分配の中で果たしてきた役割は税制よりもはるかに大きくて、政府の所得分配機能の七割以上を占めているというふうにおっしゃいましたけれども、やはりこれは、つまり、医療に偏っているのではないかというふうに思っています。

 私ももちろん、国民皆保険制度は、世界に誇れる、すばらしい制度だと高く評価しておりますが、もっとやはり労働政策、障害者や高齢者政策、教育政策を充実させるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 先ほどから申し上げているように、国の発展段階によって、その時期における政府の所得分配機能というのは、大きく依存する分野が異なります。まだ国民が貧しくて所得が低いときには、税制などで幾ら所得分配をしようとしても、全体が低いものでありますから、所得分配機能というのは低いわけであります。しかし、医療というものを通じて、現物給付を通じて、実際にこうしたサービスを国が行いますと、間違いなく、実はこうした医療保険制度を通じての所得分配機能というのが圧倒的に高くなります。

 我が国もその例外ではなかったわけで、一九六〇年代から一九七〇年代までの我が国の政府の所得分配率の中の約七割近くはこうした医療、医療保険というものが担っていたことは事実であって、その時期に我が国の国民の平均寿命というものが急速に高くなって、実際に一九七〇年代の中頃ぐらいには世界のトップランクの中に入ってくるというところまで目覚ましい成果を得たというのは、我が国における社会保障政策の一つの極めて大きな成功事例だったというふうに私には思えます。

 その上で、国民皆保険が成立した一九六〇年代の社会保障給付に占める現物給付の割合は七割以上を占めていたわけでありますけれども、その後の高齢化の進展と年金制度の成熟に伴いまして、現物給付の割合は三割程度まで今日は低くなってきております。

 ジニ係数に対する寄与につきましては、年金などの現金給付や税、社会保障料による再分配と、現物給付による再分配を比較しますと、前者の寄与の方が大きくなってきているわけであります。

 それから、現金給付につきましては、例えば年金では、稼得所得の低い高齢者に給付が行われるものでございまして、再分配機能がそのため大きくなる一方で、現物給付の多くを占める医療、介護については、所得の多寡にかかわらず給付が発生することから、構造的に再分配機能が小さくなるということが理由として承知されております。

 いずれにしても、近年、高齢化に伴い、当初所得のジニ係数は増加傾向にあるものの、年金などの社会保障や税による再分配後の所得のジニ係数はほぼ横ばいで推移しております。社会保障制度を始めとする所得再分配機能は、少子高齢化が進行する我が国の社会においても、格差の拡大防止に重要な役割を果たしているものとの認識は改めて申し上げておきたいと思います。

堤委員 発展段階によって変わってくるということは分かりますけれども、ですから、教育、これも現物給付も入っているわけですけれども、これもどんどん増えていくべきではないか。今、少子化対策という意味でも、教育の現物給付も大事だということも指摘しておきたいと思います。

 では、次に、歯と口の健康づくりについてお聞きしたいと思います。

 幾つになっても歯と口が健康で、おいしく食事ができることは、体全体の健康を保つ上でも、とても重要でございます。近年では、歯と口の健康が体全体の健康と密接に関連していることが知られるようになってきました。歯周病が進行すると、歯茎から歯周病菌が血管の中に侵入し、毒素を出しながら血流に乗って全身を巡るなど、非常に様々な病気のリスクを高めるということです。健康寿命を延ばすためにも、子供の頃からの口腔ケアが重要であると考えています。

 しかしながら、学校で集団的に行うフッ化物洗口については、我が国でも賛否両論、様々な議論があるにもかかわらず、半ば強引に進められてきたように思っております。フッ化物洗口、フッ素うがいというものは、週一回、虫歯予防のために、フッ化ナトリウム、いわゆるフッ素の水溶液を口に含んで、約一分間、ぶくぶくうがいをするというものです。

 国際的には、途上国や貧困地域、つまり一般的な家庭が歯ブラシや歯磨き剤を買えないような地域では、学校で集団的にフッ化物洗口を行ったり、水道水にフッ化物を添加することが推奨されるとする論調もございます。一方、歯磨きや砂糖の摂取の減少などにより虫歯が、齲蝕が減少してきた先進国においては、フッ化物を広く集団的に使用するのではなく、ハイリスクの子供に対して限定的、個別的に使用することが推奨されるようになってきております。例えば、ポピュレーションアプローチの典型とも言えるかと思いますが、地域全体に広くフッ化物が使用される水道水への添加については、一時期は導入していましたスウェーデン、オランダ、ドイツ、スイス、カナダ、ニュージーランド、フィンランドなどが次々と中止をしています。

 確かに、小中学生が全体的に虫歯の多かった時代には、学校でのフッ化物洗口のように、ある特定の集団全体への介入、ポピュレーションアプローチが採用されたことも一定理解できます。しかし、今は違っています。日本でも、歯磨きや食生活の改善、フッ素入り歯磨き剤の普及などが進み、口腔崩壊のような虫歯の多い子供と、ほとんどない子に二極化しています。

 また、我が国において学校でのフッ化物洗口の高い有効性の根拠とされている調査研究については、歯磨きや食生活の改善など、フッ化物洗口以外の要因、交絡要因を排除できていない、観察者と被験者が調査内容を知り得ない状況をつくる二重盲検法を用いていない、実際に介入を行う集団と介入を行わない対照群との比較が行われていないなど、根拠に乏しいという指摘があります。

 さらには、ちょっと長くて申し訳ないんですが、学校でのフッ化物洗口のモデル県とされている新潟県や佐賀県では歯磨き指導などの歯科保健指導も積極的に行われており、これら複合的な要因によって他県よりも虫歯が少ないと解釈されるのが妥当という意見や、各県の小学校でのフッ化物洗口の実施率と、中学一年生、十二歳児の一人当たり虫歯数には必ずしも相関があるとは言えないという指摘もあります。

 子供たち全体の虫歯の本数が減少している我が国においても、学校のフッ化物洗口単独の虫歯予防効果はいまだ明確には立証できていない、これが現時点での科学的知見ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 虫歯予防のためのフッ化物応用につきましては、WHO、世界保健機関や、FDI、国際歯科連盟のほか、日本歯科医学会等、国内外の多くの関係機関等においてその有効性や安全性が確認されております。また、フッ化物洗口につきましても、その虫歯予防効果につきましては、日本歯科医学会等の関係学会から、一定の効果が期待できるとの見解が示されているところでございます。

 その上で、虫歯予防の取組の一環といたしまして学校などにおいて集団でフッ化物洗口を行うことにつきましては、個人の環境によらず、ひとしく効果が得られやすいこと等から、公衆衛生学的に優れた方法であると認識しているところでございます。

堤委員 資料三を御覧ください。これは、二〇〇五年のスウェーデンのスウェディッシュ・デンタル・ジャーナルの記事でございます。赤線のところ、下に訳をつけさせていただいています。

 1のところです。一九八〇年代半ばから後半にかけて、スウェーデンの多くの郡が、学校ベースのFMRプログラム、学校でのフッ化物洗口ということですが、これを放棄した、やめた、中止したということです。

 2のところです。齲蝕有病率の低い十三歳から十六歳の青年集団に対する学校フッ化物洗口の三年間の中止は、学校でのフッ化物洗口を三年間続けた集団と比べて、新しい齲蝕病変や詰め物、既存のエナメル質病変の進行に統計学的な有意な差を示さなかったという研究もございます。

 こういったことも是非踏まえて、厚労省は学校でのフッ化物洗口に関する調査研究を委託する、そういう予定であるとお聞きしております。もしそうであれば、これまでの様々な批判を踏まえた研究、精緻で国際的にも通用するレベルの研究にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の学校におけるフッ化物洗口の調査研究につきましては、令和六年度の厚生労働科学研究におきまして、新型コロナウイルス感染症の流行による学校等における集団フッ化物洗口の中断や、緊急性のない訪問歯科診療の延期等が歯、口腔の健康に与えた影響の研究を予定しているものでございます。

 いずれにいたしましても、本研究の方法や内容等につきましては、今後、研究者とも連携を密に図りながら取り組んでまいりたいと考えております。

堤委員 もう一つは、学校現場の問題でございます。

 御存じのように、多忙を極めております教職員の皆さん、精神疾患などによって病気休職する教職員の方が毎年増加しているという状況も厚労省はよく御存じかと思います。

 昨年五月二十三日の参議院文部科学委員会で、古賀千景委員の質問に対し文科省は、教職員がその業務を担う場合には少なからず負担が生じると教職員の負担をお認めになっています。その一方で、教職員の負担軽減に配慮するよう都道府県教育委員会等に対して依頼するということにとどまっています。

 しかし、そもそも、実施の必要性が薄い、そういう人たちが多いわけです。そして、学校現場の負担が大きいフッ化物洗口は実施を中止すべきであり、厚労省として新たな見解を示す時期に来ていると私は思いますが、いかがでしょうか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 学校等においてフッ化物洗口を集団で行うことにつきましては、個人の環境によらず、ひとしく効果が得られやすいこと等から、公衆衛生学的に優れた虫歯予防対策であると認識しております。

 他方、議員御指摘のとおり、集団でのフッ化物洗口の実施につきましては、学校現場の負担となる場合も考えられることから、その実施に際しましては、職員を含む関係者の理解と協力を得た上で進めていくべきものと考えているところです。

堤委員 実は、私の友人が、あるところで教育委員を長年やっておりました。その友人からお聞きしましたところ、学校現場としては、本当にフッ化物洗口は負担が大きくて、やめてほしいというところが本当に多いと。だけれども、実は、これをやめると学校歯科医を派遣してもらえなくなるということで、続けざるを得ないという意見も聞いております。

 実際、そういったことがあるのかどうかも含めて是非調査をしていただいて、厚労省としても、文科省と協力して、本当にこれが必要なのか、子供たちにとって必要であるならば、どんなに忙しくてもやるという先生たちもいるわけですけれども、でも、そうでないんじゃないかという人たちの意見もたくさんあるわけです。それを是非、本当に真摯に、もっと、何かかたくななイメージを持つんですけれども、もうそういう時代ではない。スウェーデンでもやめていますし、いろいろなところで、やっていたところが、やはり時代が変われば必要な公衆衛生学的な手法も私は変わってくると思います。是非、文科省の御意見もよく聞いていただいて御検討を、再検討していただく時期に来ているんじゃないかと思います。本当に学校現場の皆さんからそういう声をたくさんずっと、私は県議の時代、十年しておりましたが、聞いてまいりました。是非、そのことも含めてお願いしたいと思います。

 それでは、次に行くと、時間がなくなってしまいましたが、もう一つ文科省にお聞きします。

 フッ化物洗口液という医薬品を希釈する、薄める行為、そしてその医薬品を使って子供たちにうがいをさせる行為は、そもそも教育活動なのでしょうか。そして、それが教員の職務として認められているのか。それぞれについて端的に、正確にお答えください。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 フッ化物洗口は、齲蝕の予防対策として効果的であると考えられることから、各自治体、学校の判断により実施されているものと承知しております。

 フッ化物洗口を、学習指導要領に基づき、体育科における口腔の衛生を保つことや、特別活動における心身の健康の保持増進に関する指導として実施する場合等においては、教育活動として位置づけられ、教員の職務になるものと考えられております。

 いずれにしても、文部科学省としては、先生御指摘のように、先生方は多忙を極めておりますので、可能な限り教職員の負担を軽減した形で実施することが重要であると考えており、学校においてフッ化物洗口を実施するに当たっては、民間業者の活用等も含め、関係者間での適切な役割分担を検討し、教職員の負担軽減に配慮するよう都道府県教育委員会等に対し依頼しているところでございます。

堤委員 また、フッ化物についてですけれども、近年、それが脳や神経に与える影響についての研究も増えてきております。昨年二月二十日の衆議院予算分科会第五分科会で紹介させていただきましたが、二〇一九年、五年前の論文では、フッ化物と脳の様々な病態とに関連があるというふうにしています。

 資料四を御覧いただけますでしょうか。これは昨年の論文の一部です。下線部、翻訳させていただいています。

 1ですが、フッ素は環境汚染物質であり、人体に入ると、そのプロセスの多くを混乱させます。骨、肝臓、膵臓、肺、心臓、骨格筋、腎臓など、多くの臓器への影響はもはや否定できません。

 2、小児の中枢神経系に対する……

新谷委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

堤委員 はい。では、ここまでですね。

 フッ化物の悪影響と、一九八〇年代半ば以降の小児脳腫瘍の発生率の増加は、この現象を解明するための最も有力な動機となるはずですということで、こういったことで懸念もありますので、学校現場では是非、医薬品を使わないで、歯磨きとかいろいろな食生活の改善とかで歯の虫歯予防をしていただきたいと思っております。また、歯周病の予防にもなるかと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 終わります。

新谷委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 私からは、介護に関わる紹介手数料について質問させていただきたいと思います。

 近年、介護職から違う業種に替わっていくということが、違う分野へ人が流れているということがあると思います。二〇二二年、これが、六・三万人が介護から違う業種に移動しているということなんですが、この中で、厚労省としては、事前のヒアリングでもいろいろ確認させていただいたんですけれども、基本的には介護報酬改定等、処遇改善加算で対応しているんだということなんです。

 まずはちょっと確認したいんですけれども、介護職員の離職が増えている原因の一つとしては、現場の様々な問題もあるんですけれども、一方でやはり、給与面が大きい。その中で、処遇改善加算でこれを歯止めをかけていっているということが考えられると思うんですけれども、一方で、事業所側も処遇改善加算によってむしろ経営を圧迫しているような原因にもなっているということも考えられると思いますけれども、この辺り、まずは確認したいと思います。

間政府参考人 お答えいたします。

 介護業界から転職とか退職をする理由、いろいろな、民間などでも調査をされていますけれども、お伺いしますと、職場の人間関係あるいは賃金といったものが挙げられるというふうに承知しております。

 その中で、賃金の関係は、私どもとしては、特に介護職員につきましては、処遇改善加算を御取得いただいて、そして、それもいろいろな段階がございますけれども、その中で改善をしていただきたい。おっしゃるように、処遇改善加算は、入ったものは全額賃金の引上げにお使いいただきたいということでございますので、その限りにおいて、事業所の経営に一定の制約があるということではあろうと思います。

 ただ、今、この局面におきましては、人材の確保というのが非常にどの事業所でも大変な御苦労をいただいていると思いますので、その意味では、確実にお使いいただけるようなものを報酬改定の中で措置をするということが事業所の支援にもつながる、このように考えているところでございます。

遠藤(良)委員 処遇改善加算については、今回、三本から一本化されたということで、これは事業所側も非常にやりやすくなりましたし、各事業所の方々からは本当に評価をいただいていると思います。

 一方で、やはりこの中でもまだ課題が残っていて、以前はケアマネジャーには処遇改善加算がつかなかったとかそういうことだったと思いますけれども、今回に関しては、例えば訪問介護事業所の、例えばデイサービスであればナースが必要である、一方で、その人事異動が起こったら、例えば独立している訪問看護ステーションにこの人が異動するとそれは処遇改善の対象ではないということが、一部そういう現象が、まだ課題は残っていると思いますので、ここは指摘しておきたいと思います。

 その中で、介護の仕事の中では、基本的には人員配置基準があって、それで、例えば先ほどのデイサービスであればナースが必要である、これはナースがいなければ国にはもう請求できない。要するに、人員配置があってそれをもって請求をするわけなので、その資格がなければこのサービスは成立しないということが大前提だと思います。

 その中で、最近、人材の紹介手数料に関してかなり上がってきているんだということで、手数料は、以前は約一五%程度だったんですけれども、今は三〇%から三五%が相場であるということで、非常に上がってきているんだと思いますけれども、その中で、特に最近、ケアマネの採用に関しても百万円近くの手数料がかかるという事例も出てきたりとか、非常にこれは、業界に対して足下を見ているような事象が起こっているんだということなんです。

 介護の派遣、更に言うと、紹介した職員の六か月以内に離職している割合で見てみると、特に、医師であったりとか看護師の派遣と比べると、介護職は、一三・九%と非常に高い状況があるんだと。

 お尋ねしたいんですけれども、介護において派遣の離職率が高い、この高いということを認識されているのかどうか、確認したいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省において令和元年に実施した医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査によれば、職業紹介事業者を経由して介護分野に常用就職した方の三か月以内の離職率、先生の方から六か月以内の話をされましたけれども、三か月以内の離職率は二四・九%となっております。

 これが高いかどうかということを判断する上で参考になる話として、同じこの調査において、ハローワークだとか直接募集など、民間紹介事業者以外の手段によって介護分野に常用就職した方の三か月以内の離職率を見ると、一六・〇%となっております。

遠藤(良)委員 実際、紹介した離職率の六か月以内、六か月というのは、あくまでも派遣会社側が設けてあったりとかそういうことがあって、要は、事業所に採用する段階で手数料を払わないといけない、六か月いれば、その手数料は払わなくてもよくなる、こういう現象が起きていて、実際、採用して手数料を事業所側が払ってすぐ離職するケースもあるということなんですが、介護事業所にとっては、せっかく採用したのに、更にその手数料も払って、職員もいなくなる、こういう現象が実際起こっていて、これはどういうふうに対応してきているのか、またその効果、確認したいと思います。

山田政府参考人 お答えします。

 医療・介護分野において、人材の採用だけではなく、先生おっしゃるとおり、人材の定着促進というのも重要な課題であると認識しております。

 そのために、求人施設側の人材ニーズとともに、求職者側の働き方の希望だとか制約、そういったものを把握して適合する就職先に紹介するなど、丁寧なマッチングを行う適正な事業者を認定する制度であります、医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度というものを令和三年度から開始しております。

 この制度については、早期離職に対する一定の抑止効果を持たせるとともに、早期離職の際には紹介手数料の一部が返還されることによって求人側の安心や納得に資するものとなるよう、今般、認定基準を強化して、六か月までの離職を対象とする返戻金制度を有することというのを新たな認定基準に追加して、今年度から適用することとしました。

 また、各紹介事業者には、紹介により無期雇用で就職した者について、就職後六か月以内の離職状況を開示する義務を課して、事業の見える化も進めているところであります。

 これらの取組などを通じて、求人施設等が職業紹介サービスの質や内容をあらかじめ把握し、適正な事業者を選択できる、そういった環境を整備してまいりたいと思っております。

遠藤(良)委員 適正な有料職業紹介事業者というのが、そういうふうに制約をしていって対応しているということなんですけれども、それだけで実際、悪質な業者というのは淘汰できているのかどうか、この点について確認したいと思います。

山田政府参考人 お答えします。

 医療や介護等分野を取り扱う有料職業紹介事業者のサービスの質ですとか紹介手数料、いわゆるお祝い金などに関する問題が多々指摘されておるということは、我々も十分承知しております。

 このため、厚生労働省では、特に医療、介護等分野において法令等の遵守を徹底させるため、全都道府県労働局で医療、介護、保育分野の集中的な指導監督を実施しているほか、これら三分野の人を求める求人者側が相談しやすくなるように、紹介事業者とのトラブル等に関する相談を受け付けて、指導監督等必要な対応を行う、医療、介護、保育求人者向け特別相談窓口の設置及び周知を行っております。

 加えて、先ほど申し上げました適正事業者認定制度の推進ということなどを行って、法令等の遵守徹底とともに、信頼できる適正な事業者の利用促進等を進めているところでございます。

遠藤(良)委員 民間のそういうところ、例えばCMで見てみると、多くの紹介をやりますよと多くメディアに出てきて、やはり、就業する人というのはそういうものを通じて介護事業所なりに入っていくと思うんですけれども、これはやはり、民間企業がもうちょっと、この業界に関してはある程度、一定の規制も必要だと思うんですけれども、例えばハローワーク、これは公的な機関でありますから、是非、例えばハローワークとしても、インターネットで告知していくなり、ある意味、そういうプロモーションが必要なんじゃないかなというふうに思っています。

 要は、介護の人材紹介についてハローワークが果たす役割というのは大きいと思うんですけれども、その辺り、どういう方向性があるのか確認したいと思います。

武見国務大臣 介護分野など公定価格の対象となる分野については、有効求人倍率も高い中で、紹介手数料への負担感があることは認識をしておりまして、ハローワーク等の公的機関における職業紹介が重要であるという認識は持っております。

 このために、全国の主なハローワークに人材確保対策コーナーを設置をいたしまして、求人の充足に向けた求人者への助言、指導、それからセミナー、職場見学会などを通じた求職者の確保に取り組んでおります。

 引き続き、厚生労働省としても、公定価格の対象となる分野における事業者の人材確保にしっかりと取り組んでいきたいと思います。

遠藤(良)委員 是非、ハローワークの活用をしていただきたいと思うんですが。

 さらに、先ほど来お話ししているように、例えば、僕は以前、訪問入浴で二年間現場をやっていたんですけれども、その中で、例えば一日八件回るとなれば、これもナースが必要で、一事業所で訪問入浴車が四台あったら、それなりに、四人ナースを準備しないといけない。これは現場にとって本当に非常に大変な状況があって、朝、ナースの専門派遣業者に電話をして、今日来られますかとか、現場では本当にこういうような状況が続いていまして、要は、こういう限られた、例えばナースが必要な現場、一方でケアマネが必要な現場、こういうことが実際あって、これを何とか改善していっていただきたいと思うんです。

 その中では、特に、先ほどからお話ししているように、手数料を払う、これは大きな負担で、例えば会社の売上げの中でも、この手数料で利益は全部飛んでいく、こういうことが実際、まあ、都市型は大丈夫なんですけれども、一定、大きな規模でまだ経営できる部分もあると思うんですけれども、郡部に行くと本当に非常に切実な状況があって、これは何とか対応していただきたいと思うんですけれども、この紹介手数料の徴収額に関しては、二〇二〇年には二百六十億円にも、介護の業界だけでもこれぐらいの金額に上っている。

 事業所から、介護報酬に関わる、国が価格を決めているこの業界に関しては、職種は、国が手数料の上限の規制を、一方で、例えばキャップ制、こういうものをすべきだというふうに思うんですけれども、この辺り、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 医療や介護の現場で人材確保が切実な課題であることや、それから、紹介手数料への負担感があることは十分に認識をしております。

 一方で、紹介手数料に上限規制を設ける場合に、丁寧なマッチングを行っている適正な事業者からの人材供給にも一律に影響が及んでしまい、病院、介護施設等の人材確保に支障が生じかねないということも懸念されます。

 このため、厚生労働省では、特に医療、介護等分野におきましては、適正事業者認定制度の取組に加えまして、紹介事業者からの報告を基に、各職種における平均手数料額や徴収額ごとの分布について地域ブロック別に取りまとめ、公表するなど、職業紹介事業の見える化を推進しているところであります。

 あわせて、事業者の法令遵守を徹底させるために、全ての都道府県労働局で医療、介護、保育分野の集中的な指導監督を精力的に行っているところでございまして、今後の更なる取組については、現在行っている集中的指導監督等の取組の実施結果と課題等を踏まえて、様々な対応について今後検討していきたいと思います。

遠藤(良)委員 大臣、今はブロックで手数料を公開しているということなんです。これは、例えば、個別の紹介業者に対しての手数料の公開というのは、どのようなお考えでしょう。

山田政府参考人 今大臣からお答えがありましたように、今のままでいいというふうには我々も思っておりませんので、ただ、先生が言われたことが実施できるかどうかというのは、今回いただいた御質問も踏まえて対応させていただきますけれども、今後の様々な対応については、引き続き我々としても検討してまいりたいと思います。

遠藤(良)委員 ちょっと難しい答弁だったと思うんですけれども、キャップ規制は是非検討していただきたいと思うんです。これは二年前に我が党の東参議院議員も委員会で指摘をしていまして、今のお話だと余り、全然変わっていないという状況だと思いますので、キャップ制というのは国で決めた金額でありますから、この分野に関しては、是非、紹介に関する上限規制というのは必要だということを指摘をしていきたいと思います。

 時間も迫ってきたので次の質問に移りたいと思いますけれども、高額療養費制度、これについてお尋ねしていきたいんですが。

 この制度自体は非常にすばらしい制度だというふうに思うんですけれども、一方で、これは実際、今後維持できるのかどうかというのが非常に疑問だなというふうに思います。

 高額療養費制度を含めた医療保険制度が現状のまま維持できるのかどうか、この辺りの認識を確認したいと思います。

武見国務大臣 委員御指摘のとおり、高齢化であるとか、それから、医療の高度化などに伴う医療費の増加によって医療保険の財政が厳しい状況の中にあるということは、もう重々認識をしているところであります。他方で、そのような中でも、高額療養費制度は、家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないようにする趣旨から設けられているものでございまして、必要な医療給付であるというふうに考えます。

 その上で、持続可能な社会保障制度の構築の観点も踏まえて、昨年末に閣議決定をいたしました改革工程におきまして、経済情勢に対応した見直しとして、高額療養費制度の在り方の検討のほか、窓口負担の見直し、医療提供体制の効率化など幅広いメニューが列挙されておりまして、全世代型社会保障の構築に向けて必要な取組について、これは幅広く議論を進めていきたいと考えておるところであります。

遠藤(良)委員 今大臣から、様々な取組をしてきたんだということなんですけれども、例えば窓口負担も自己負担額の見直しというものを図ってこられたということなんですけれども。

 高額療養費制度は、一か月当たりの負担額を抑えられるということで、本当にこれも非常にすばらしいんですけれども、一方で、この中で、これをうまく利用してというか、実際ちゃんと使えば本当にすばらしいんですけれども、一方で、漫然とした治療の継続であったりとか、入院期間の長期化をするような、社会的入院と言われるものが行われている要因になっているということも指摘もできると思うんですけれども、この辺り、どのようにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、高額療養費制度は、家計に対する医療費の自己負担が過重となってしまって、受診抑制もそうですし、あるいは家計自身が厳しい状況になってしまう、こういうことを回避するために設けられているものでございます。

 今御指摘いただきましたように、一定期間を超える入院とか、いわゆる長期入院と言われるやつですね、あるいは一定回数以上の同一疾病について、この受診について高額療養費から例えば外していくとかいうことは、かえって、負担を過重なものとして、必要で適切な医療が受けられなくなるというようなおそれもありますので、そこは慎重な検討が必要ではないか、このように考えてございます。

遠藤(良)委員 特定のそういう、先ほど答弁いただいたような内容だと確かにそういう部分もあるんですけれども、一方で、例えば同じような医療サービスをずっと繰り返しやられているケースもあると思います。こういう場合に関しては、例えば、別途、負担額の上限を更に課していくという方向性もあると思いますが、この辺り、いかがでしょう。

伊原政府参考人 御指摘いただいたような例えば同じ疾病で繰り返しという場合も、診療の現場ではあると思います。それが果たして本当に必要な医療なのか、それともそうではないのかみたいな判断とか、そういう点については慎重に考えていく必要があると思っております。

 ちょっと申し上げますと、高額療養費制度については今までも見直しをしておりますが、昨今、賃金も上がってきております、負担能力も。そうした中で、やはり、高額療養費制度の今の基準額自体の在り方についても我々は検討が必要だと考えておりまして、今回、昨年末に決めました改革工程におきまして、昨今の賃金情勢など、経済情勢も踏まえて見直しをしていこうと考えてございます。そういった意味で、見直しは今後必要である、このように考えてございます。

遠藤(良)委員 今現在は、高額療養費制度に関しては所得に応じて自己負担の上限を決めているということなんですけれども、実際、高齢者の中、例えば資産を持っている方、こういう資産を保有する方も非常に多いと思いますけれども、資産を考慮して高額療養費の上限を考えていく方向性もあると思います。この辺り、いかがでしょう。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 社会保険における負担能力の評価に当たりまして、フローの所得だけではなくて、金融資産等の保有状況を勘案するということは、やはり、負担能力に応じた公平な負担という観点から重要な課題だと認識しておりまして、昨年末に閣議決定された改革工程でも検討課題と盛り込まれております。

 ただ、社会保険において既に金融資産の保有状況を反映している事例としまして、介護保険の補足給付というのが存在します。ただ、これはあくまでも給付に関するものでございまして、かつ、保険給付ではなくて、誰もが払わなきゃいけないと言われる光熱費とかそうしたことについてやっているものでございます。

 また、医療保険制度の場合は、対象者は、ただ、後期高齢者だけでも二千万人いらっしゃいます。介護の場合は大体、対象は九十万人ぐらいということで、実務上もやはりちゃんと、資産をしっかり簡便に把握できる仕組みが必要だと考えてございまして、その辺の課題をどうするかという辺りが、この問題を具体的に具体化していく中で大事な検討課題じゃないかと思っております。

遠藤(良)委員 是非、我が党も医療維新という提言書を書いていまして、その中でもこの内容を指摘させていただいているんですけれども、要するに、これは持続させていかないといけない制度だということだと思うんですけれども、是非、今の資産もしっかりと捕捉していって、高額療養費制度を維持していくということが政府に求められている一つの内容、テーマだと思いますので、これは本当にすばらしい制度ではあるんですけれども、一方でそういう課題が、維持していくのには大きな課題があるということだと思いますので、是非とも、引き続き、この内容に関しては、また我が党も含めて議論をさせていただきたいと思います。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございます。

新谷委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。

 早速ですけれども、昨日、四月二日に、衆議院本会議におきまして、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の趣旨説明、そして質疑がございました。私どもは、この子ども・子育て支援法改正案、これまでも質疑をしてまいりましたが、本日の一般質疑においても取り上げてまいります。

 まず、この子ども・子育て支援法改正案、なぜこの厚労委員会の場でやるかということですが、理由は明らかです。何度も申し上げておりますが、前回も質疑をしておりますとおり、医療保険を使うということからなんですね。先ほど、本日のトップバッターでありました遠藤議員からも、高額療養費制度の、医療保険財政が圧迫されている制度の代表例として質疑が行われ、問題提起がされてまいりました。一体、この子供支援金と医療保険制度との関係がどうなっているのかという点を質問してまいります。

 まず確認ですけれども、子供支援金と医療保険制度の関係について、そもそも、医療保険料の徴収をする、また集めるルートとして使うんだと大臣はおっしゃっていたと認識をしております。これは、医療保険料というのは非常に幅が広く、後期高齢者の方々からも徴収をする、一番広く徴収をする仕組みであるから、お金を集めるルートとして医療保険制度の軒先を借りるだけである、そういったイメージで、便宜的に、そして利便性がいいから医療保険料の徴収ルートとして活用するだけなんだ、そういう理解をしているのですが、まずはそれでよろしいでしょうか。

    〔委員長退席、大串(正)委員長代理着席〕

武見国務大臣 我が国の社会保障制度の中で、傷病に対するための医療保険制度、それから、高齢化に伴う介護需要に対応するための介護保険制度、それから、医療費が特に高くなる後期高齢者医療を支えるための後期高齢者医療制度、そして、後期高齢者も出産費用を支援する出産育児支援金など、時代ごとの社会の要請に応じて、社会保険の仕組みを活用して、国民生活全般に対して全ての世代を支え合う仕組みを構築してまいりました。したがって、どちらかというと高齢化対策が先行してきましたけれども、昨今、確実に少子化対策もこの中に組み込まれてきているということをまず申し上げておきたいと思います。

 現状では、少子高齢化と急激な人口減少が我が国が抱える最も困難な課題の一つとなっておりますので、経済社会システムや国民皆保険制度の持続可能性を高めるためには、少子化傾向を反転させることが重要だ、そう考えております。

 こうした中で、今回の支援金制度については、そのために必要な子供、子育て政策の拡充に要する費用について、国民皆保険が守られるという受益があること、また、全世代が幅広く加入する医療保険制度の仕組みを活用して確保するものであって、全世代の支え合いという従来の社会保障制度の考え方と整合的なものであるということなどから、医療保険者に医療保険料と併せて支援金を徴収していただき、国に納付することをお願いすることとしたものと理解をしております。

岬委員 今御答弁いただきましたけれども、医療保険者には、そうすると、いわゆる保険者機能も期待されているのかなという疑問が出てきますが、医療保険者が子供支援金を徴収していくということですよね。そうすると、徴収するだけなのか、いわゆる保険者機能という、まあ、一般的にはこの保険者機能というのは、集めた保険の給付をもって保険料率の設定であるとかまた給付をコントロールするとかといったように私は捉えておりますけれども、この保険者機能が期待されているのか、どちらなんでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 子ども・子育て支援金につきましては、医療保険制度における保険料として各保険者が賦課徴収するものでございますけれども、他の社会保険制度に比べて賦課対象が広いからという理由で医療保険の賦課徴収ルートを活用するとした経緯がございます、先ほど大臣が御説明しましたように。

 それから、支援金は医療保険料と併せて拠出いただくものですが、あくまでも医療保険料とは別物であり、医療給付の対価として徴収されるという位置づけではない、こういう性格がございます。

 したがいまして、この支援金の賦課徴収業務は、後期高齢者の納付金あるいは介護給付費納付金と同様に、保険者が医療給付に関連してやる保健事業などといった、先生が御指摘される保険者機能の発揮ということを特に期待してやっている業務とはちょっと違うと考えてございます。

岬委員 今お答えいただきましたように、医療保険と関係があるというわけではない、徴収ルートとして活用するということですか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 この支援金自体は、何で医療保険者が集めるかと申しますと、徴収ルートとして活用するという側面がございますけれども、当然、医療保険制度にとっても、この支援金があることに伴いまして、まさに子育て、それがあれば、まさに医療保険の拠出につながって、財政の安定的な基盤につながっていくということがございますし、それからまた、医療保険そのものも、子育てに関して、出産育児一時金を始めとした様々な給付あるいは保健事業を実施しております。それとの関連もございますので、あくまでも医療保険との関連は支援金との関係ではございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、医療給付をコントロールするというような保険者機能という意味においては、支援金にはない。それは、今の介護保険の納付金とか、それから後期高齢者の納付金は、医療保険制度で同じように払っておりますけれども、これも子供支援金と同じようなものだというふうに考えてございます。

岬委員 ありがとうございます。

 子供支援金が医療保険財政に与える影響についてもお伺いしてまいります。

 子供支援金、一旦金額設定されていますけれども、今後、増えていったり減っていったりということも考えられると思われます。医療保険財政に与える影響はあるのでしょうか。いかがでしょう。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 この子ども・子育て支援金制度につきましては、医療保険料と併せて拠出いただくものですけれども、支援金に係る料率は、法律上も、医療保険に係る料率と区別してございます。また、歳出改革と賃上げによりまして被保険者と事業主双方の拠出分について実質的な社会保険負担軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築するとされておりまして、あくまでも医療保険財政とは区分されたものになると考えてございます。

 その上で、この支援金制度は、急速な少子化、人口減少に歯止めをかけることで、先ほど申し上げましたように、医療保険制度にとっても持続可能性の確保につながり、その存立基盤にとって重要な受益となるものだと考えてございます。そういう意味で、拠出に御理解いただけるように、こども家庭庁とも連携しながら、制度の趣旨等について丁寧に説明を行い、運営してまいりたいと考えてございます。

岬委員 今御説明いただきましたけれども、つまり、子供支援金は医療保険料と併せて徴収されます、別のものとして設計されています、つまりは、医療保険財政とは別のものだから影響は与えないということですね。徴収という意味では別物であるということで、別制度だという理解をしました。

 もう一方の考え方として、社会保障改革で果実がある、この果実というのは、歳出改革で生じた改革効果であるということですけれども、子供支援金として、その範囲内で活用するとおっしゃいました。子供支援金がなければ社会保障改革、医療制度改革というのは行わなかったというふうにも取れるんですが、いかがでしょうか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 社会保障制度、少子高齢化、人口減少の中におきまして、給付と負担の問題、またマンパワーの問題、担い手の問題、いろいろな問題があろうかと思っております。こうした中で、私どもといたしまして、社会保障制度について、そうした改革というものをしっかりと行っていく必要というものはあろうかというふうには思っております。

岬委員 ここは、でも、とても大事な部分だと思います。今までも行ってきた社会保障改革を、今後も引き続き改革は行っていく、当然だと思いますけれども、その中で、国民負担が増えないことという説明をこれまでもいただきました。本来、医療保険財政が改善していくべきところを、そこで生じた改革効果の範囲内で新しい支援金を使うということになるということですよね。

 医療保険財政に、私たちとしては、マイナスなインパクトを与えることは明らかだと思っているわけです。つまり、私たちは、医療保険財政に影響があると考えておりますが、いかがでしょうか。

鹿沼政府参考人 社会保障制度につきましては、先ほども申しましたとおり、少子高齢化、人口減少の中で、しっかりと歳出改革、見直しというものは行う必要があるというふうに思っておりますが、今回の支援金制度につきましては、財政上は、医療保険とはまた別に経理をされて、子供の関係で特別会計をつくられてやられているというふうに承知しております。そういう意味で、医療保険制度等の財政上に影響を与えるということは考えにくいのではないかというふうには思っております。

岬委員 もう一方で、アウトカムとして子供が増えていくことを期待している、子供が増えれば医療保険財政の持続可能性も高めていけるということかと思われます。

 では、次の質問です。

 子供支援金は、保険の対象拡大という観点から、私たちは前代未聞なのではないかと考えているんです。

 子供支援金の議論において、出産育児一時金というものをよく例に出していただきますけれども、後期高齢者が負担している医療保険料を子供たちに使うという意味で前例があると挙げられています。しかし、この出産育児一時金というのは、少なくとも出産という言葉が入っておりまして、この出産は医療機関で行われるケースが多いという解釈をすると、医療保険の近傍にあると考えられます。

 私たちは、今回の子供支援金に関しては、前回も、三月十三日、質疑でお伝えしておりますが、保険と税の領域が曖昧になり、また、保険領域にこれまで以上に更に一歩踏み込んでいるのではないかと見ていますが、その辺りはどのようにお考えでしょうか。

    〔大串(正)委員長代理退席、委員長着席〕

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 健康保険制度につきましては、社会連帯の理念を基盤として共に支え合う仕組みであり、こうした考え方の下に、疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関する給付を中心としつつも、国民の生活の安定と福祉の向上を目的とし、予防的かつ広範な事業も含んでいるほか、先生今お話もございましたが、後期高齢者支援金や出産育児支援金など、いずれにしても、世代を超えた支え合いの仕組みというものを組み込まれているというふうに承知しております。

 今般の支援金は、社会連帯の理念を基盤に、子供や子育て世帯を少子化対策で受益がある全世代、全経済社会で支える仕組みとして保険料と整理されているものと承知しておりますが、健康保険制度ではこれまでも出産育児一時金や出産手当金といった給付を行ってきたこと、支援金は、後期高齢者支援金や出産育児支援金と同様、世代を超えた支え合いの仕組みであること、こういったことから、健康保険制度において支援金に係る料率の設定及びその徴収を行うことは制度の目的の範囲内ではないかというふうに認識をしているところでございます。

岬委員 まだまだこの辺りは議論が必要かと思いますけれども、時間が限られていますので、次の質問に行きたいと思います。

 続いては、医療保険料額を分母とする子供支援金の金額の割合に幅があるのはなぜかなという疑問なんです。

 こちらの資料をいただいておりますけれども、子ども・子育て支援金制度における給付と拠出の試算というものですが、五ページ目のところですけれども、医療保険額を分母とする子供支援金額の割合が、これを見ますと、四・三%から五・三%の幅があって、かなりばらつきがあるなという印象なんですけれども、これはどのように捉えたらよろしいんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先般、今先生御紹介ありました支援金についての試算について公表させていただいたところでございますけれども、各制度の医療保険料額につきましては、それぞれの医療費水準でありますとか、制度間の財政調整等にも影響を受けるものでございます。一方、一定のルールに従って機械的に拠出額が按分されます支援金の額との比率で、各制度で厳密に一致するものではないというものでございまして、先般公表した割合というものは、現時点の医療保険料に対する令和十年度の支援金の比率を参考としてお示ししたというものでございます。

 支援金につきましては、公平な拠出となりますよう、後期高齢者とそれ以外では保険料負担に応じた按分にする、また、被用者保険者間では総報酬で按分する、国民健康保険等における低所得者軽減措置や医療保険者に対する財政支援等を行うなど、負担能力に配慮した仕組みとしているところでございまして、結果として、現時点での保険料に対する支援金の割合につきましては、医療保険制度間で違いはあるものではありますけれども、医療保険料のおおむね四%から五%ということで、むしろ一定の範囲内に収まっているものというふうに考えておるところでございます。

岬委員 これも、何度か御説明はいただいているんですが、大変複雑で分かりづらく、私ども維新の厚労メンバーもなかなか理解に苦しんでいるんですけれども、アプリオリに一つではないとは十分理解はしておりますが、どういった思想で、どういった考え方でこのような計算がされているのかということ、もう一度教えてください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 あくまで、今回の比率につきましては、個々人が加入する医療保険制度に応じて、お一人お一人の拠出額につきましてある程度のイメージを持っていただくためにお示ししたというものでございまして、あくまで参考ということでお示しをしているというものでございます。

岬委員 参考ということなんですね。分かりました。

 これからもこの議論は、私たち、進めていきたいと考えております。子供支援金との関係、仕組みについて、私、トップバッターで質問させていただきましたが、またこれから、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会、略して地こデジですけれども、合同審査も求めてまいりたいと考えております。

 引き続き本日は、地こデジ委員でもある一谷議員から、負担構造についての質疑にバトンを移して、終了したいと思います。

 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 皆さん、よろしくお願いいたします。日本維新の会の一谷勇一郎です。

 まず、岬議員がされた質問に対しての、ちょっと更問いをしていきたいなというふうに思うんですけれども、子供支援金は、保険のルートを使うだけ、軒先を使うだけということだったんですが、それであれば、この保険のルートをほかのものでも使えるのではないかなと思うんです。

 先ほど説明がありましたけれども、医療保険制度を維持させるためだという話があったんですが、そもそも、今の状況で、医療保険制度が維持できているのか、維持できていけるのかどうかというところの不安もある中で、あえてこのルートを使っていくということを国民の皆さんに納得をしていただくためにはかなり説明が必要だと思うんですが、今していただいている説明では何か少し納得が得られないのではないかなと思うので、もう少し何か簡素な、みんなが分かるようなもし説明があれば、是非参考人の先生からしていただけたらと思うんですが、お願いいたします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 まず、医療保険制度そのものに関する持続可能性に関しましては、これは、まさに高齢化が進んで、特に二〇〇〇年以降、常に課題となってきておりまして、それに伴いまして、累次の医療制度改革、医療保険制度改革を行ってまいりました。後期高齢者医療の創設もそうですし、その後、三割負担の対象範囲を見直したりとか、二割負担を見直したりとか、高額療養費制度を見直したりとか、様々な改革を行ってまいりました。

 今後とも、二〇四〇年に向けて、今後、高齢化の伸びは少し落ち着いてまいりますけれども、担い手が減ってくるというテーマに対して、やはり持続可能な仕組みをつくっていかなきゃいけないということは、この子供支援金の話とは別に、明らかに存在してございます。そういった意味で、医療保険制度をどう持続可能なものにしていくかということについては、医療保険制度そのものの在り方として考えていくべきと。

 今回、こども家庭庁の方から出ている法案は、ある意味、そのテーマと並走している話ではございますけれども、やはり少子化対策として財源を確保していかなきゃいけない、そういうテーマの中で、そのルートをどこに求めるかという議論があったんだと思います。

 そうした中では、全ての人が加入している医療保険制度という一つのテーマがあったと思いますし、同時に、この医療保険制度という仕組みの中で、どの程度の規模のものを負担するかという議論があり、そして、その中で、国民の実質的な負担を生じさせない、そういう工夫をしていくというような形の中で、今回、医療保険制度を改革しながら、実質的な負担の範囲内で支援金を出していく、こういう形での御提案をさせていただいていると考えております。

一谷委員 子育てにお金を全世代で使う、また、子育てをするために全世代で支えよう、これに対して国民の皆さんの不満はないと思います。私も一生懸命町を歩いて説明をしても、そこに不満はないんですね。ただ、やはり医療制度で徴収されるということになると不満があるんですよ。そして、何でも使っていけるんじゃないか、経済対策にも使えるんじゃないかというようなこともお聞きをします。

 ですので、これが医療に関わるものであれば納得をされると思いますし、先ほどの後期高齢や高齢者納付金、これは、プロであれば違うというふうに分かると思うんですが、国民の方は、やはり医療に関係があるというふうに思うと思うんですね。

 例えば、出産の一時金はこれで使って、産前産後ケアはこれではないんですよね。どっちかというと産前産後ケアの方が医療のイメージが国民の皆さんはあるのに、これは違う。出産一時金は、支えようということで納得をされるか分からぬですけれども、高齢者の方と若い方との間に陰性感情が非常に生まれてくるということになるので、やはりこの制度自体に、かなり説明に無理があるのではないかなというふうに思いますので、経済活動には使わないんだというふうに言っていただけるかどうか、お願いいたします。少子化対策だけに使うかということですね。少子化対策だけに使う、ほかの財源には使わないんだということを断言できるかどうか。

伊原政府参考人 支援金の充当先については、別途、こども家庭庁の方からお話しいただきたいと思いますけれども、先ほど先生がお話しになりました、医療保険制度が子供の支援金ということに出すことについての違和感というのをお話しされたんだと思います。

 現在、医療保険制度でも、介護給付費納付金といいまして、実際、ホームヘルプとか特別養護老人ホームとかの費用はまさに医療保険制度からの拠出を行っております。そういう意味におきましては、まさに医療サービスではないものも含めて、現在、世代間の連帯という観点から負担されている仕組みも実際ございます。そういった意味で、ここの子供支援金に関しても、その射程の範囲内にある、医療保険制度が拠出することについての合理性があるのではないかと考えてございます。

 それから、あと、支援金の充当先については、別途御答弁をお願いしたいと思います。

一谷委員 説明があればよろしくお願いいたします、手を挙げていただいたので。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 支援金の充当先につきましては、法案に、法律に限定列挙をされておるというところでございまして、これは政府の一存で拡大ということは当然できないわけでございまして、あくまで国会の方でお決めをいただくということになるということでございます。

一谷委員 やはりこの不安と不満というものをしっかり解消していかないと、制度的にしっかりできていたとしても納得をしていただけないと思いますし、私は、この陰性感情、非常に、医療の歳出改革をすれば、一番負担を感じるのはやはりシニアの、高齢者の方ではないかなというふうに思うんですね。そうなると、子供ばかりにというふうな、もちろん、みんながみんなではないですけれども、やはりそういうのがくすぶってくるということが起こるのではないかなと思いますし、私は肌で非常に感じていますので、もう少し違う説明の仕方が必要なんじゃないかなというふうに思いますし、先ほどの高齢、ヘルプなんかに使う、でもこれは、国民の人はみんな、やはり医療やと、医療と介護は一体ですから、医療やというふうに認識をされるというふうに思いますので。

 この議論だけで時間が終わってしまいますので、次に行かせていただきたいと思います。

 次は、三番目の質問を岬さんがされました。その中で、子供支援金が医療保険財政に与える影響はということで、影響はないということを言っていただいたんですけれども、私は、これは必ずマイナスの効果があるというふうに思います。

 支援金をつくるために、医療保険財政を改革をしていくわけですね。昨日、私、総理に本会議場で質問をさせていただいたら、改革工程においては、これらのメニューの中から実際の取組を検討、実施するに当たっては、必要な保障が欠けることがないよう、見直しに当たって生じる影響を考慮しながら、丁寧に検討してまいりますと書いてあるんですね。

 まず、丁寧に検討するすべが、一体どういうふうにして根拠を持って精査していくのかということをお答えいただきたいというふうに思いますし、これは精査してなくしていくということですから、今受けているサービスがやはりなくなっていくということ、それで、改革工程の中には、窓口負担は増えていくということなので、これはダブルパンチだと思うんですね。ここの説明をしていただきたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 改革工程表には、医療保険制度に関連する中身も幾つか盛り込まれております。

 そうした意味で、その中に例えば患者負担の見直しというようなテーマがございますけれども、こうした形で見直した場合に、実際、患者さんが受診する際の患者負担を増やしていくかどうかというテーマがあると思います。そのときに、多分、総理が申し上げられているのは、実際に必要な保障が欠けないようにするということが非常に大事でございますので、そういう負担の在り方の問題と医療の確保の問題、どう両立させていくかということを、慎重に、現場の状況なんかも見極めながら考えていく、答えを出していくということだと思っております。

一谷委員 私はここが非常に大事だと思うんですね。やはり改革工程、進めていくスピードが必要ですので、そのときに、私も、なぜ改革が進まないのか、そして、なぜこのサービスはなくなっていくのかというような根拠、この根拠をやはりもう少し示しながら改革工程を進めていく方が分かりやすいというふうに思いますし、事業所さんにしても病院にしても、やはりそれを、説明をある程度しながら、準備をしてもらわないといけないと思うんですね、サービスを受けておられる方に。

 これをぽんといきなり出されても、やはり国民の皆さんは困るし、事業所も困ると思いますので、この辺りを丁寧にしていっていただくというのは非常に重要ではないかというふうに考えておりますので、この議論もまた続いてさせていただけたらと思います。

 それでは、私の質問の一番に行かせていただきたいと思います。

 子供支援金の負担構造について、医療保険制度を活用する理由、これは負担率の問題なんですけれども、この理由をお聞きしたいと思います。お願いいたします。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 社会保険制度は、社会連帯の理念を基盤として共に支え合う仕組みということでございまして、支援金制度も、こうした連帯によって全世代、全経済主体が子育て世帯を支える仕組みというふうになっているところということでございます。

 その上で、今回の子供、子育て予算の財源確保に当たりましては、現下の経済状況や財政状況を踏まえまして、歳出改革によることを原則とし、歳出改革によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で社会保険の仕組みを使って支援金の拠出をいただくこととしたものでございます。

 その中で、医療保険者に医療保険料と併せて徴収していただくことといたしましたのは、医療保険制度が、ほかの社会保険制度に比べ賦課対象者が広いということ、出産に関する給付など幅広い給付体系となっており、後期高齢者支援金など世代を超えた支え合いの仕組みが組み込まれていること、さらに、急速な少子化、人口減少に歯止めをかけることが医療保険制度の持続可能性を高めること等の理由によるということでございます。

一谷委員 私の、この負担構造というのは、負担率の問題で、負担率が変わっていかないのかということをお聞きをしたいと思うんですね。医療保険の負担構造と支援金が同じ構造なのか、負担構造の率が変わっていかないのか、ずっと一緒の、先ほどありました、説明いただいた、前に資料をいただいた、その率が変わらないのかということをお聞きしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 支援金として徴収する額、総額につきましては、先ほども少し関連して申し上げましたとおり、政府が勝手に決められるものではなくて、法律の中に総額を明記するということになっておりますので、あくまで国会で総額はお決めいただいて、その範囲内で支援金を徴収させていただくということでございます。

一谷委員 そうしたら、一兆円を保険に加入している方で割っていくわけですよね。そうすると、その率は変わっていかないですか、分母が変わると。よろしいでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 現時点で、そこの変わる、変わらないということについては特段決めていないというところでございまして、あくまで総額の中で徴収を考えていくということでございます。

一谷委員 またこの議論も続けたいと思うんですが、次の質問が、二番目の問題なんですけれども、医療保険の年齢別負担率は出しているのか。

 私は、若者層の負担率が高いのではないのかなというふうに考えているんですけれども、政府ではこの負担率を出しているかどうか、お答えをいただきたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのあった年齢階級別の、これは医療保険の保険料の負担率のことだと思いますけれども、これを計算しようと思うと、同一年齢階級において、全員の保険料の水準それからそれぞれの所得というのを把握しなきゃいけないんですけれども、実は、同じ年齢でも、被用者保険に入っておられる方もいらっしゃれば、国保に入っておられる方もいらっしゃいます。そういう意味で、加入制度がそれぞれ異なっています。それから、制度ごとに保険料の賦課ルールが違います。被用者保険ならば給料の何%ですし、国保だと均等割と応能割と二つのルールがあって、そのルールも違います。ということで、分母となる年齢別の所得や分子となる年齢別の保険料を把握することが難しいので、把握できておりません。

 ただ一方、年齢ではなくて制度別で申し上げると、その数字は分かりますので、そこを御紹介したいと思いますが、専ら現役のサラリーマンが加入している協会けんぽの保険料負担率は七・二%、それから健保組合は五・七%でございます。それに対しまして、七十五歳以上の高齢者が加入している後期高齢者医療制度は八・六%となってございます。

一谷委員 負担率は出していないということですね。

 ただ、私が年齢階級別一人当たりの医療費、自己負担額及び保険料の比較というのを見てみると、やはり、自己負担及び保険料の負担が多いのは、年齢でいきますと、一番多いのは五十歳代から五十九歳代、そして次が四十五歳から四十九歳というところで、まさに一番現役で働いて、子育てもして、親の介護も出てくるんじゃないかという、一番しんどいところに負担が来ると思いますので、やはりこれは、しっかりとこの負担割合、医療保険の年齢別の負担割合というのは出していく方がいいんじゃないかなと思うんですが、それに併せて医療保険の所得別負担率というのは出しているんでしょうか。

伊原政府参考人 今申し上げましたように、実は加入制度ごとに、国保とか健保とか、それぞれ入っている人の、被保険者の所得構造も違いますし、保険料の賦課ルールも違いますので、医療保険制度全体として所得別の保険料負担率を把握することが実は難しくて、できておりません。

 その上でちょっと申し上げますと、医療保険制度は、相互扶助の考え方を基盤として、加入者の負担能力に応じて、必要な保険料負担をいただくことを基本としております。先ほど先生の方から、五十代の方あるいは四十代後半の方の保険料負担額が大きいという話がございましたが、その年齢階層は、所得も最もライフサイクルでは高い状況でございます。そういう意味では、やはり負担能力のある方はそれなりの御負担をいただくということになってございます。

 その際に、低所得の方については保険料軽減措置を講じる仕組みもございますし、それから、給付の面でも考えていただきますと、先ほど高額療養費の話が出ていましたが、同じ三割負担を皆さんに求めておりますけれども、所得の高い方の高額療養費の基準額は高いです。それに対して、所得の低い方の基準額は低くしておりまして、むしろ、これも、負担能力に応じた負担を給付の面でも行っているということで、そういうトータルで見ると、医療保険制度においてはそういう配慮がなされていると考えてございます。

一谷委員 ただ、保険料を納める額にはアッパーがありますので、これは平等ではないのではないかというふうに思います。この率については、私たち維新でももう少ししっかり議論をまとめて、理論武装してまた挑ませていただきたいと思います。

 それでは、残り一分なんですが、労使折半についてお伺いをしたいと思います。

 総理は、非正規雇用や、賃上げを抑制するということに寄与しないという話でしたけれども、私が自分で仕事をしながら、とはいえ、やはりこれは考えます。社会保障費が上がるのではないかということを考えますので、この労使折半が影響がないということは私はないと思います。

 今日、ちょっと理論武装してきたんですが、もう終了の札が来ましたので、次回、この労使の問題についてはやらせていただきたいと思います。一番大事なところをできずに終わってしまいました。済みません。

 どうもありがとうございました。

新谷委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 締めくくり総括質疑をさせていただきます。大臣あるいは保険局長、せっかくの機会ですから、今のやり取り、ちょっと補完をしておきたいと思いますが。

 少子化対策に医療保険料、医療保険の枠組みで上乗せしたものを少子化対策に使う、それは、元々軒先を貸しているだけなんだということであれば、それはそれでもう諦めもついたんですね、我々。ところが、昨日の本会議で、これまでも政府もおっしゃっていることだと思いますが、昨日、総理はこうおっしゃったんですね。少子化、人口減少に歯止めをかけることは、医療保険制度の持続可能性を高め、その存立基盤に重要な受益となる。まさに受益と負担との関係で、これは受益なんだとはっきりおっしゃった。受益と拠出との対応関係が不明確ではないかという一谷さんの質問に対して、それは当たらないとおっしゃったわけです。

 だから、総理は、軒先じゃないんだ、これはまさに医療保険制度の持続可能性を高め、その存立基盤に重要な受益となるとまで、昨日は総理はおっしゃった。局長、そうであれば、医療保険制度の持続可能性を高め、その存立基盤にプラスになるものは全部、社会保険料を使っていいということになるじゃないですか。非常に難しい質問だと思うんですが、一応、ちょっと一言いただけますか。

伊原政府参考人 まず、医療保険制度については、先ほど引用されたとおりの答弁にあるように、子供たちが生まれ育っていくこと自体が医療保険制度の持続可能性に貢献するというふうに考えておりまして、そういう意味において、医療保険制度から拠出する理由はあると考えてございます。

 多分、先生の方から、他の制度もあるんじゃないかということですけれども、もちろん、年金制度を始めとして、次世代が生まれてくればその持続可能性に資すると思いますが、片方、年金制度の場合は被保険者は二十歳から六十歳までと限られておりますし、介護保険制度についても四十歳以上と対象者が限られておりまして、やはり、そういう意味で、どういう制度で受益というものを評価し、御負担をいただいていくかというのは、一つの判断としてあるんじゃないかと思います。

足立委員 ほかの社会保険もということももちろんあるんですけれども、私が一義的に申し上げたのは、社会保険料を使う歳出の先が少子化対策ということに今回拡張したわけですけれども、少子化対策が受益と負担の関係で受益に当たるから適用してもいいんだというのが今回の議論なんですけれども、そうであれば、少子化対策だけじゃなくて、例えば経済産業省がやっている様々な、半導体だって、半導体で国が豊かになって、賃金が上がって、それが医療保険の受益になるんだと言えないこともないわけですね。

 だから、今までの議論、例えば今日も議論があった出産育児支援金あるいは介護保険、これはまだ、出産であり、あるいは、医療、介護というのは一体ですから、国民から見たときにまだ分かる。でも、少子化対策までいくんだったら、それは少子化対策でとどまらずに、医療とか、要は、日本の経済社会、日本の繁栄に関わる出口は全て同じことになるじゃないかというのが今日の議論なんですね。

 これはもう伊原保険局長ののりを越えていて、多分、武見大臣も、いや、それは俺が決めたんじゃないということですが、一応、閣内なので、大臣、何か御見識はありますか。長くなくていいですよ、端的に。

武見国務大臣 短めにお答え申し上げますと、やはり、社会保険という仕組みの中で、医療保険というものから始まって、それが確実に介護、後期高齢者と、それぞれまた役割が広がる、この過程は高齢者対策が中心になって広がってきたわけでありますけれども、しかし同時に、出産一時金を通じた支援という形を通じて少子化対策にもこの仕組みを使うということが始まって、その両者の組合せの中で社会保険の仕組みというものが機能する、こういう理解で私は頭の中では整理しております。

足立委員 今日はこれぐらいにしておきますが、やはり医療保険なのでここでやらせていただいています。今日午後また地こデジ特委がありますので、そこに出張しまして、少子化大臣、こども大臣、加藤大臣にも同じことを聞いていきたいと思いますが。

 ちょっと、局長、覚えておいていただきたいのは、私が今日強調しているのは受益ということです。総理は、本会議場で、これは医療保険制度の存立基盤に重要な受益なんだとおっしゃった、少子化対策は。それは、だから、少子化対策じゃない例えば経済成長戦略は、医療保険制度の存立基盤にとって重要な受益に私はなると思いますよ。では、なぜ少子化対策は対象で、経済成長政策は対象ではないのか。そこにロジックが本当に引けるんですか、線は引けるんですかということが今日議論があったということなので、これはまた継続してやります。

 それからもう一つ、医療保険財政との関係についても、何か言葉遊びが続いているので、一言やっておきたいと思うんですが。

 結局、政府のロジックは、これまでの社会保障改革、これまでの医療制度改革は医療制度改革のために使うけれども、これからの医療制度改革の果実は少子化対策に使う。だから、同じ社会保障制度改革、同じ医療制度改革なんだけれども、同じ果実ですよね、それは。でも、今までの改革とこれまでの改革は、その果実の使い方を変えるんだという、これはどっちでもいいですよ、こども庁でもいいですよ、誰でもいいですよ。どうぞお願いします。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 国の歳出改革の面でお話をさせていただければ、今までも、私どももよく言われるのが薬価の見直しとかがございますけれども、社会保障の歳出改革をする中で、毎年大体千数百億円ずつ国費ベースで削減をしてまいりました。一方で、子供の関係につきましては、こども家庭庁さんの方がお詳しいとは思いますけれども、公費ベースで毎年千八百億ぐらいずつ増やしてきたという経緯がございます。

 そうしたことを踏まえて、今回、私どもは、歳出改革は、社会保障の今後の存立基盤ということでしっかりやっていかなきゃいけないと思っておりますが、一方で、こども家庭庁の方で六年間で一・一兆円の予算を確保するというようなことで、これは公費ベースですけれども、されているというもので承知をしております。

足立委員 鹿沼さんがおっしゃったのはやはりよく分からなくて、繰り返しになりますけれども、これは、だから、橋本先生、語りかけたらあかんか、これは自由討論をしたらいいと思うんですよね、政府だけだとかわいそうだから。やはりこれは与党の責任ですよ。だから、やはり、自民党、公明党と私たち野党が自由討論をしたらいいんですよ。田村さん、発言したいですよね。だから、私が言いたいことは、これまでの社会保障改革の果実とこれからの社会保障改革の果実は、使い方の思想が変わるのではないかという質問です。それは田村さん、イエスですよね。

 例えば、今まで医療保険制度改革をしてきた、そこで、もちろん医療保険には税金も入っているから、保険と税が削減される。でも、それは医療制度の持続可能性を高めるためにやってきたんじゃないですか。今までそれは少子化対策には使っていなかったわけですよ。(発言する者あり)いやいや、一部ね。だから、そんなまた細かいことを言って、いや、こういう例があるんだとか、余り意味がないですよ。そうじゃなくて、これからは本格的に医療制度改革の果実を少子化対策に使うという枠組みが今回できるんだから、それは明らかに政策変更だということを認めてほしいんですよ、我々は。認めてくれたら議論が始まるんですよ。

 ところが、いやいや、前例があるとか。また小さな議論になるのでやめておきましょうか、何か空気がよくなくなってきましたので。(発言する者あり)大事なテーマ、僕が言っていることは正しい、いい議論だと。井坂さんが、選挙では一緒にやっていませんけれども、いい議論だと言ってくれました。だから、今日の議論はすごく大事なんです。だから、それを今日午後、加藤大臣とやります。ただ、医療保険制度の在り方に関わるので議論させていただいたということであります。

 それで、私から通告を申し上げている話にちょっと移りますが、大臣が再三強調されている医療保険料の応能性という話ですね。これについては、別に子供政策と関係なく、医療保険あるいは社会保険の応能負担ということは、これまでも応能負担だった。これまでも応能負担だったけれども、改めて。

 では、順番に行きましょう。まず、これまでの社会保険における応能負担、応益負担の適用の基本的な考え方、これをちょっと御紹介ください。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 我が国の医療保険制度におきましては、国民にとって必要かつ適切な医療をしっかり保障していくということと、国民皆保険制度を持続可能なものにする、こういう考え方の下で、医療費の負担につきましては、全ての被保険者、加入者が負担する保険料と、税を財源とする公費と、そして実際に医療を受けた患者自身が負担する窓口負担、これを適切に組み合わせて、バランスを取って運営していくということが、運営の基本的な考え方だと認識しております。

 その上で、多分、御指摘は保険料のことだと思いますけれども、保険料につきましては、負担能力に応じた負担の観点から応能負担の考え方を基本としておりますが、地域保険制度である国民健康保険や後期高齢者医療制度におきましては、無職や低所得者の方、あるいは自営業など、多様な就業状況の方が加入していることに鑑みまして、応益負担の考え方も組み込んだ上で、低所得者には一定の負担軽減措置を講じるところでございます。

 また、一部負担金につきましては、被保険者間の負担の公平性等という観点から、給付に関する応分の負担として、原則として定率の自己負担、こう設定しておりますけれども、家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないようにする観点から、自己負担限度額を設定して、それを上回る自己負担については高額療養費制度で負担軽減を行う、こういう仕組みを加えております。

足立委員 多分、専門家の方々からしたらこれは当たり前の話だと思うんですが、私はこれは素人なので、ちょっと素人の質問をさせていただきますが、応能負担というのであれば、なぜ上限設定が要るんですか。

伊原政府参考人 まず、応能負担ではございますけれども、これは社会保険制度という仕組みなので、保険という仕組みですから、掛けた保険料に対する給付がそれなりに見合っている必要がある。そういう意味で、非常に高額な所得の方に定率負担を課して非常に高額な保険料を取った場合に、取る保険料と医療で返ってくる部分のアンバランスが余りに大きいと、やはり社会保険制度としての保険料納付意欲とかをいろいろ考えたときに難しいということから、元々、賦課限度額という上限を決めているところでございます。

足立委員 まさにそうなんですね。だから、抽象的な意味での応能負担じゃないんですよ。今おっしゃったように、修正応能負担ですよね。だって、上限があるんだから、保険料に。まあ、高額療養費もあるけれども、保険料に上限がある。

 だから、それは、いわゆる典型的な応能性ではなくて、上限をつけた修正応能性だということでいいですね。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、医療保険の医療費の財源について三つあると申しました。一つは保険料、それから公費、それから患者さんが出す自己負担でございます。医療保険制度はこの三つのバランスから成り立っておりまして、先生御指摘のように、保険料に関していうと上限が決まっておりますけれども、公費の部分については、消費税もございますが、所得税、これは当然、応能負担という形で、定率ではなくて累進制になっております。こうしたようなことを総合的に勘案してでき上がっているというふうに御承知いただければ。

足立委員 まさにそのとおりで、もうむちゃくちゃ私は我が意を得たりなんだけれども、そういうことなんですよ。だから、税の割合というのは変わっていっていいんですよ、少子高齢化の中で。

 という議論を、厚労委ののりを越えますのでもうやめますけれども、私はやはり、それは、税の議論も含めて、もう大臣には再三言ってきたけれども、社会保障と税の一体改革というのは、消費増税が一〇%になったから終わりじゃないんですよ。これからもやり続けないといけない。そのときに、後期高齢者医療の税財源化ということを問題提起として我々は申し上げているという、ちょっと文脈だけ申し上げておきたいと思います。

 今の話は、もうちょっとここではやめますが、今の話は、だから少子化対策に使うのはおかしいと僕らは言っているんですよ。

 今局長から御答弁があったように、医療保険料なりこの医療保険のフレームというのは、まさに医療サービスという給付とダイレクトに結びついているからできている上限設定であったり、様々なバランスなんですよ。それは、医療サービスと直接的に受益と負担の関係が国民から見て分かる、そこにとどめておくからこそでき上がっている負担構造なのに、その負担構造を、遠い遠い、さっき言った産業政策に見まがうような、少子化対策という元々関係ないところまで手を伸ばしちゃってそこをつかみにいくと、それは、そもそも社会保険制度の、あるいは医療保険制度の受益と負担の関係を壊してしまうんじゃないかということが、ねえ、中島さん、間違っていますか。(発言する者あり)だから、今、橋本岳筆頭がおっしゃっているのは、それは三党合意のときに、もう子供は社会保障だということで入れたんだと言っているんだけれども、それはもう消費増税をするためだけの詭弁だったし、それから、それを言うのであれば、消費増税すると言うべきですよ、政府は。

 ところが、三党合意のときは少子化対策の財源は消費税に求めると言いながら、今回は医療保険に上乗せすると言う。それを昨日も一谷さんから、政策が変節したんじゃないかということを申し上げたら、三党合意から転換したとの御指摘ですが、その時々の社会経済状況を踏まえ、必要な施策と財源が適切に選択されるべきものであると考えているので指摘は当たらないと。何を言っているか分からないですよね。だから、昨日の本会議はむちゃくちゃ面白かったわけですよ。総理は、答えられませんと言っているわけですよ、総理が。だから、少子化対策の財源に医療保険の上乗せを使うという政府・与党の今回の取組はもう破綻しました、昨日。

 だから、昨日は全部、設計どおり、総理の答弁を取ったんですよ。そして、今日は伊原局長とやり、大臣は閣僚で政治家だからなかなか言いにくいこともあると思うので、でも、伊原局長は一番分かっている、これはやはりおかしいと思っているんですよ。(発言する者あり)みんな、おかしいと。共産党もおかしいと思っている。最近、共産党さんと意見が一致することが多いんですけれども。

 ごめんなさい、ちょっと、余り言っていると。これはまたやりましょう。言いっ放しで、多分反論したいと思うんだけれども、反論の機会はまた別途提供しますので。そういうことです。

 大臣が応能ということをおっしゃっているんだけれども、今日、デジタル庁、来ていただいています。改革工程表、あるいは改革工程に、資産の評価、あるいは給与所得、あるいは金融資産の捕捉も含めて、応能負担のための取組ということが書いてありますが、そのベースとなる、そのためには預貯金口座へのマイナンバーの付番の状況等を踏まえるわけですよ。デジタル庁、来ていない。来ているね。ありがとうございます。

 預貯金口座へのマイナンバー付番の状況等を踏まえて改革をやるんですよ。でも、預貯金口座へのマイナンバー付番というのはやるんですか、政府は。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 預貯金口座付番制度というのがございまして、預貯金者の意思に基づきまして、金融機関にお持ちの既存口座も含めまして、一度に複数の金融機関の預貯金口座に付番することができるという制度が今月一日から施行されてございます。

 ということで、今現在は、当該金融機関のみ付番することができるんですけれども、今年度中には付番の申込みを行った金融機関の預貯金口座のほか、その金融機関を経由して別の金融機関にも付番するということで、取組を進めていきたいというふうに考えてございます。

足立委員 だから、今は希望者だけなんですよ。今は希望者だけだけれども、例えば来年、あるいは三年後、あるいは五年後に全預貯金口座へのマイナンバーの付番を義務化する予定はありますか、ないですか。どっちか答えてください。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 今現在の制度ということでございますので、今現在、制度としましては、希望者の方が登録できるという制度でございます。

足立委員 いや、だから、義務化の予定も今のところ決まっていないですね。

阿部政府参考人 決まってございません。

足立委員 決まっていないんですよ。自民党、政府・与党は決めないんですよ、こういう大事なことを。もう何年も前から言っているのに。だから、この改革工程、あるいは改革工程表にある、預貯金口座へのマイナンバー付番の状況等を踏まえつつというのは、やらないということですよ。だって、やると決まっていないんだから。こんなものを作って何か応能負担がこれから進むなんという、大臣、これはちょっと問題がありますよ。

 だから、大臣は、やはりこの間、私の質問に対して、所得だけではなくて、資産も含めた応能性というものをこれからやっていかなあかんのだ、マイナンバーが肝だと言った。でも、そこで言っているマイナンバーというのは、マイナンバー制度があればいいんじゃないんですよ。ここに書いてある、預貯金口座へのマイナンバー付番の状況次第なんですよ。

 その状況は、では、希望者だけでいいんですか。皆保険でしょう。国民皆保険制度の基盤たるマイナンバーだとすれば、それは義務化しないと駄目でしょうということをずっと言っているのに、政府・与党はやらない。何か、政治資金を追及されたくないからだと言っている人もいますよ。それぐらい分からないんですよ、何でやらないか。だって、ここに書いてあることをやろうと思ったら、義務化しないとできないじゃないですか。大臣、どう思いますか。

武見国務大臣 私、前回も答弁の中で申し上げたとおり、資産確保に関わる公平性の担保が必要だと申し上げたんですよ。その公平性の担保というのが実際にどのような制度設計で確保されるかがやはりきちんと確立しないと、資産を通じてこうした保険財源の中に組み込むことはなかなかまだ現状では難しいということを申し上げたんです。

足立委員 これは大臣ののりを越えているのでこれぐらいにしておきますが、大臣、是非頭に入れておいていただきたいのは、今申し上げたように、預貯金口座へのマイナンバーの付番というのは、大臣が今おっしゃった公平性を担保する際の入口なんですよ。だって、そもそも、マイナンバーの付番で国民の資産が適切に把握できていなければ、何が公平かを議論することさえできない。だから、みんな、検討している検討していると言うけれども、実態が分からないんだから、検討していないんですよ。実態を把握する、だって、所得、資産を捕捉するのはプライバシーじゃないでしょう。国家が国民の所得と資産を捕捉するのは当たり前のことでしょう、税を取るんだから。

 だから、私は、大臣は応能性と言い、それから公平性とおっしゃる、そのとおりだと。でも、そうであれば、議論を始めるためにも、議論の入口として、預貯金口座へのマイナンバー付番の義務化というのは、これは議論を始めるための必要条件であり、前提条件であると思いますが、大臣もそう思うでしょう。

武見国務大臣 それはもう、私がさっきから何度も申し上げておるとおり、こういう国民からの社会保険に関わる財源の徴収という方法を考えたときに、やはり、資産まで含めるということを考えたときにはその公平性ということの担保が確実に必要になりますから、その前提を整備することをしっかり検討せずして簡単にはその資産を組み込んだ議論というのはなかなか進められませんよということを申し上げたのであって、それ以上、以下でもありません。

足立委員 いやいや、資産を全くカウントできずに応能性と言ってきた厚労省が不公平なんですよ。今、大臣がおっしゃっているのは、資産をどう捕捉し反映させるかということのやり方について公平性を担保せなあかん、それはそのとおりですよ。でも、今はカウントしていないんだから。いや、ちょっとしていますよ。ちょっとしていますけれども、ほとんどは所得だけで来たわけですよ。所得だけで来たこれまでの社会保険制度の考え方自体が不公平、不公正なんです。大きな不公平なんですよ。大臣が言っているのは、小さな不公平なんですよ。

 小さな不公平を議論する前に、大きな不公平、不公平の議論の大前提のところを議論しましょうと私は言っているんですが、大臣、どうですか。

新谷委員長 武見厚生労働大臣、簡潔にお願いします。

武見国務大臣 はい。

 これはもう、改めて、マイナンバーカード、マイナンバーというこの新たな制度設計を通じて、どこまで財産の捕捉について国民の合意がきちんと整って、それに基づいて制度設計ができるかということを通じて、公平性がどこまで担保できるかというところを確認していくことが、常に議論の進め方としては必要だと申し上げているわけです。

足立委員 時間が来ましたので終わります。

 いろいろ、ちょっと失礼な質問の仕方になりましたが、私が八年前、十年前からマイナンバーが鍵だと言ってきたのはまさに今日の質問をするためでありまして、是非この改革を実現するためにこれからも質問を続けてまいりたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 今日は、小林製薬の紅こうじサプリの健康被害の問題から取り上げたいと思います。

 機能性表示食品の制度は、安倍首相が世界で一番企業が活躍しやすい国を掲げて、規制緩和で生まれました。国が審査、許可するのではなく届出制。安全性の担保も品質管理も企業任せ。健康被害の報告義務もない。導入には、日弁連、主婦連、商団連も反対してまいりました。

 資料一を見ていただきたいと思いますが、導入の前、我が党の穀田議員が国会で、命に関わる問題だと批判し、私は危ないと言っている、あなたは危険がないようにと言っている、それは歴史が審判する、こう指摘してきたわけであります。

 大臣、今回の健康被害、小林製薬の責任はもちろん重大ですけれども、安全性を軽視した規制緩和を行った政権の責任も重大じゃありませんか。

武見国務大臣 食品表示法の機能性表示食品の制度については、これは御存じのとおり消費者庁の所管でございますので、私がお答えする立場にはございませんけれども、三月二十九日の関係閣僚会議において、官房長官から、消費者庁において今回の事案を受けた機能性表示食品制度の今後の在り方についてなど五月末を目途に取りまとめるよう指示があったというふうに承知しておりますので、それに基づいてその役割を果たしていきたいと。

宮本(徹)委員 反省の言葉は大臣の立場からは述べられないんだったら、反省の言葉、消費者庁から一言述べられますか。述べられないんだったら、時間がもったいないのでいいですけれども。反省、ありますか。あるかないかだけお答えください。

工藤副大臣 先生の質問は、今ちょっと私、まだ整理できていないので、答えることはできません。

宮本(徹)委員 恐ろしいですね。何の反省もないのかと。私は、猛反省から出発しなきゃいけないと思うんですね。

 そもそも、この機能性表示食品制度は、スタートしてからも問題点が繰り返し指摘されてきております。資料の二ページ目、特保で申請して食品安全委員会から安全性が確認できないとされたものが、機能性表示食品としては届出が受理された事例。資料の三ページ目、薬剤師会が調べてみたら、効果がない、こう指摘された事例。さらに、資料四ページ、多くの食品メーカーが科学的根拠が不十分な臨床研究論文を作成している可能性がある、こういう指摘もされてまいりました。

 安全性も効果についてもその担保はない。品質管理も企業任せ。この機能性表示食品の制度は根本的な見直しが必要じゃありませんか。

依田政府参考人 お答えをいたします。

 機能性表示制度につきましては、食品表示法に基づく制度でございまして、委員御指摘のとおり、これは事業者の、自らの責任において、科学的根拠に基づいて表示をするという制度でございます。

 科学的根拠につきまして、特に安全性につきましては、食経験、安全性に関する既存情報の調査、又は動物や人を用いての安全性試験の実施により評価をすることを求めております。(宮本(徹)委員「見直しが必要と考えているかどうかだけ答えてもらえますか」と呼ぶ)はい。

 今回の事案を受けまして、先ほど大臣、副大臣からもございましたように、本事案を受けました機能性表示食品制度の在り方について五月末までを目途に取りまとめることとしておりまして、スピード感を持って検討してまいりたいというふうに考えております。

宮本(徹)委員 根本から本当に考え直さなきゃいけない事態だと思います。

 その上で、厚労大臣にこれはお伺いしたいと思うんですけれども、今回、サプリメントなんですね。サプリメントというのは、同じ製品を毎日継続的に長期にわたって摂取するというものであります。ですから、一旦有害物質が紛れ込むと、大きな健康被害につながる。サプリメントにはこうしたリスクがある、こういう認識はございますか。

武見国務大臣 委員お尋ねのような状況におけるサプリメントのリスクについては、食品安全委員会が開催したワーキンググループが二〇一五年に取りまとめた報告書によりますと、健康食品は安全な上限量は分からないものがほとんどであるが、一般的には、多量に摂取したり長期間同じものを摂取すれば健康被害のリスクは高くなるものとの見解が示されたものと承知しております。

宮本(徹)委員 そのとおりで、サプリメントというのは健康被害のリスクがそもそも高いものなわけですね。さらに、ここに有害物質が今回紛れ込んでいたのではないのかということになっているわけですから、サプリメントのリスクに見合った安全対策もこれからしっかり考えなきゃいけないんじゃないかというふうに私は思います。

 その上で、今回、大阪の工場で製造された紅こうじから毒性の強いプベルル酸が検出されたわけですね。機能性表示食品は、製造と品質の管理についても取組状況を届けるだけでよく、品質を担保する定めというのはありません。危険な機能性表示食品が市場に出回る可能性が当初から指摘をされてきました。

 小林製薬の紅こうじサプリの届出を見ますと、岐阜の工場が日本健康・栄養食品協会のGMP認証を受けておりますが、大阪の原料の工場はGMP認証を受けていたんでしょうか。製造、品質の管理はどうなっていたんでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 健康食品のうち錠剤やカプセルなどの健康食品につきましては、令和六年の通知によりまして、医薬品のGMPに準ずる内容でGMPによる安全確保の取組を行うことを推奨しております。

 したがいまして、民間の、各認証機関の要件を満たす場合には、認証機関によってGMP認証を受けることが可能でありますが、今般の小林製薬の工場においてはGMPの認証は取得をしていなかったと承知をしております。

 ただ、他方で、食品衛生法に基づき、原則、全ての食品事業者に対しましてHACCPに沿った衛生管理、これが義務づけられております。危害要件を除去又は低減するために全工程において課せられているものでございますが、こういったものについては行っていることを立入検査で確認をしております。

宮本(徹)委員 全ての食品に課せられているHACCPはやっていたけれども、厚労省が推奨している、医薬品のような、GMP、この認証は受けていないということなわけでございます。

 原料を作る工場でプベルル酸が検出されたということなんですね。今の機能性表示食品の仕組みでいくと、最終のサプリメントの製造施設だけの管理体制、これを届けるだけでいい、そういう仕組みなんですね。これは、健康被害を防ぐ仕組みとしては、大臣、大変不十分だったんじゃないですかね。

武見国務大臣 機能性表示食品制度については消費者庁が所管しており、所管外であるために、同制度に基づく届出について私が評価するのは本当は控えたいのでありますけれども、今般の紅こうじを原料とする製品も含めて、食品の管理については、食品衛生法に基づき、令和三年六月から、原則、全ての食品等事業者に対してHACCPに沿った衛生管理を義務づけておりまして、食品の原材料を製造している施設であっても、食品の危害防止や安全性の確保の観点から適正に管理されるべきものと認識をしております。

宮本(徹)委員 そのHACCPだけでは不十分だったのではないのかということだと思うんですよね。先ほど局長から答弁ありましたように、厚労省としてはGMP認証ということを言っていたわけですね。

 ちょっと医薬品の場合についてお伺いしたいと思いますけれども、医薬品の場合は、製造管理、品質管理、これは省令で基準を定めて、このGMP省令に適合していないと承認されないということになっているわけですね。この医薬品のGMP省令は、原料についてはどういう対応を取っているんでしょうか。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 医薬品についてでございますが、医薬品医療機器等法におきましては、医薬品の品質、有効性、安全性を確保するために、医薬品等の製造管理及び品質管理の基準でありますGMP省令を定めておりまして、そこでは、医薬品や有効成分たる原薬等の製造業者に遵守を求めているものでございます。

 GMP省令では、菌から製造されるものも含みます原料につきまして、その製造管理や品質管理に関して規定をしております。そして、原料の取り違えや、品質が確認されていない原料の使用などを防ぎ、製品の品質の確保をいたしております。また、製造所の構造設備の管理方法も規定しておりまして、微生物等による汚染を防止をしております。

 具体的には、製造業者に対しまして、原料につきまして、原料が適正であることを確認するための手順書の作成、原料及び製品について、ロットごとの試験検査の実施と記録の作成、保管、原料等の提供者が適切な製造管理及び品質管理を実施しているかの定期的な確認を求めておりまして、さらに、製造所の構造設備につきまして、製品に応じた適切な清掃及び保守の実施、微生物等による汚染を防止する構造設備を有する作業室の設置等を求めているものでございます。

宮本(徹)委員 医薬品の場合は、微生物による汚染をどうやって防ぐのかと徹底的にやっているわけですよね。それをちゃんと省令で基準を定めて、それに適合していない限り、そもそも承認されないということになっているわけですね。

 今回の紅こうじなわけですけれども、これは菌なんですね。今日の報道を見ていますと、やはり、サプリメントの業者なんかの指摘でも、菌の培養器が熱を帯びて周辺の温度が上がり、工場の空気中にカビや雑菌が繁殖しやすいということなんかも指摘がされております。ですから、紅こうじを他の食品や日用品と同じ工場で生産するのはリスクがある、こういうことも言われているわけであります。

 まだプベルル酸が原因だと確認されて断定されているわけでもないですし、あるいはプベルル酸がどのように発生したかというのも、まだその発生機序も分かっていないわけでありますけれども、少なくとも機能性表示食品については、医薬品のようにGMP管理を義務化しないといけないんじゃないか。それで、原料の製造施設についても、GMP管理を義務化していかなきゃいけないんじゃないか。

 とりわけサプリメントは有害物質が紛れ込むと大きな健康被害につながりますから、サプリメントの原料についてはGMP管理を義務づけるだとか、あるいは菌ですね、菌は本当に温度だとか何だとかというものによって培養の過程でほかの雑菌が繁殖しやすい可能性も指摘されているわけですから、菌から作る原料についてはGMP管理を義務づけるだとか、今回の事案に応じた徹底した安全対策について検討しなきゃいけないと思いますが、ここは厚労大臣、お答えいただきたいと思います。

武見国務大臣 先ほどの答弁の中でも申し上げたように、今回は、やはり、五名の死亡者が現実に発生をしたという極めて深刻な事態というふうに受け止めております。改めて、その原因と、それから、実際にこういった症状が生じ、死亡者に至るその機序というものの因果関係を徹底的にまず調査をして、そして、その中で、制度の中に問題があるのか、あるいは小林製薬という企業の中に問題があるのか、それらをしっかりと見極めた上で、エビデンスに基づいて、今後どのように再発防止の対策というものを講ずることができるか、こうした形で議論を進めさせていただければと思います。

宮本(徹)委員 当然その原因の解明というのが基本ですし、エビデンスに基づいて対策を取るというのが基本だと思いますが、先ほど来の答弁で、小林製薬独自の問題という言い方が少し気になるんですよね。企業はもうけをやはりいつも優先しちゃいますから、いろいろなところが緩くなっていくわけですよ。それをやはりしっかりと規制するのが政府の立場であり、法律だということだと思うんですよね。

 ですから、そういう点でいうと、今回の事案の解明というのは当然きっちり、これが大前提でありますけれども、安全対策の肝の一つというのは、やはり製造管理、品質管理、ここの安全性の担保だというふうに思うんですけれども、その認識は大臣におありでしょうか。

武見国務大臣 これはもう、食品衛生法上に基づいたそうした食品の管理というものが、例えば、HACCPが義務づけられていて、それをきちんと遵守しているかどうか、それから、GMPの管理については、これは推奨しているわけでありますけれども、それにどの程度対応できていたのかとか、そういったことについてしっかりと調査を進める必要性がございますし、また、その安全管理に関わるガバナンスの問題というのもやはりきちんと調査をして、確認をして、そして、それがそれぞれの個社の問題であるのか制度設計の問題であるのか、こういった議論が一つ一つ丁寧にきちんと今回行われるべきだと考え、そして、その根拠に基づいて今後の対応策について御議論をさせていただきたいと思います。

宮本(徹)委員 そこはしっかり分析して対応ということになると思うんですけれども、個社の問題が起こる背景には制度の問題も多くの場合はあるという認識を持って、しっかり対策を進めていっていただきたいと思います。

 それから、次の問題は、山井さんもかなりやられていたんですけれども、初めの健康被害から二か月以上も報告が遅れたことが被害の拡大につながった可能性が極めて高いわけであります。

 機能性表示食品のガイドラインでも、万が一、健康被害が発生した際には、急速に被害が拡大するおそれがある、そのため、入手した情報が不十分であったとしても速やかに報告することが適当であるとありますので、明白なガイドライン違反だということであります。小林製薬には健康食品を扱う資格が問われるかのような対応なわけですけれども、しかし、法律上は報告の義務はないというままになっているわけですね。

 機能性表示食品制度をめぐっては、当初から、健康被害の報告義務や公表制度がない、こういうことが市民団体の皆さんから指摘され続けてきました。反省が必要じゃありませんか。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 機能性表示食品制度においては、届出事項の一つとして、健康被害の情報収集体制を内閣府令に規定し、表示の適正性を図る観点から、その運用について届出ガイドラインに規定しております。届出ガイドラインにおいては、健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合は、届出者は速やかに消費者庁はもとより保健所に報告することとしています。

 こうした届出後の事業者の対応、具体的には、事業者が健康被害の発生の未然防止や拡大防止のために情報収集し、報告を行う体制を事業者の責任においてきちんと運営していただくことが重要であると考えております。

 小林製薬が医療従事者……(宮本(徹)委員「消費者庁としての反省はないんですかと」と呼ぶ)

新谷委員長 答弁を続けてください。

工藤副大臣 小林製薬が医療従事者からの被害情報を入手してから行政機関への報告まで、先生がおっしゃったとおり二か月を要しており、届出後に健康被害の情報収集体制が機能していたかという点について疑念を抱かざるを得ないと考えており、三月二十八日付で、小林製薬を含む全ての届出食品約七千件について、届出者に対し、健康被害の情報の有無や報告状況などの確認を行った上で、消費者庁に回答することを求めております。本調査では、医療従事者から報告のあった健康被害情報の行政機関への報告状況、行政機関へ報告しなかった理由等について文書で回答を求めております。

 機能性表示……(宮本(徹)委員「だらだら答えないで」と呼ぶ)

新谷委員長 答弁を続けてください。

工藤副大臣 機能性表示食品制度については、先週の閣僚会合において、官房長官から、本事案を受けた機能性表示食品制度の今後の在り方について五月末を目途に取りまとめるよう指示されたところであり、本調査の結果も踏まえ、五月末までに本制度の在り方の方向性を取りまとめるべく、スピード感を持って取り組んでまいります。

 今委員から、反省はないのかと。やはりこの件については、このような事案が起きたということは、全てが、何とか、私たちがどうなんだということはないですが、私としては、見ていまして、やはり、こういう業者、製薬業者がきちっとしたものをやってもらえるだろうと確信してこういう制度をつくっているわけでありますので、その辺をもう一度考え直すことも、五月末までに、私としては入れなきゃいけないと考えております。

宮本(徹)委員 考え直すというのは、反省を踏まえなければしっかり考え直すことはできないわけですよね。

 資料の五ページ目を見ていただきたいと思いますけれども、実は、機能性表示食品が原因の可能性がある重篤な健康被害というのは、これまでも全国各地の消費生活センターには消費者から相談が寄せられるということがありました。

 消費者庁にお伺いしますけれども、この機能性表示食品の制度発足以来、全国各地の消費生活センターには健康被害について消費者から何件の相談があったのか、そのうちガイドラインに基づく健康被害の報告というのは何件あったんでしょうか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 消費生活相談につきまして、機能性表示食品に関する健康被害に関する相談のみを集計することは、消費生活相談を管理しているデータベースの仕様上、申し訳ございませんが、困難でございます。また、それらが我が方の制度に基づく届出ガイドラインに基づく報告であったかどうか、これも、照らし合わせることも、したがいましてできないということでございます。

 ただ、なお、参考情報でございますけれども、いわゆる健康食品一般に関する健康被害に関する相談情報につきましては、制度発足二十七年四月一日から令和六年三月二十一日まで集計しましたけれども、約一万七千件ございました。

宮本(徹)委員 機能性表示食品に関しての統計がないということなんですけれども、国民生活センターの事故情報データバンクを私も昨日見ましたけれども、機能性表示食品を取った後に肝炎になった、足がしびれてつえなしで歩けなくなった、脳梗塞を発症した、目がよく見えなくなったなどなど、かなり重い事例も出てくるわけですよね。もちろん、因果関係というのは、消費者からの届出ですから、それだけで断定するわけにいかないですけれども、こうしたものが把握も、ちゃんと集計もされていないというのは大変深刻だと思います。

 では、こういう聞き方をしますけれども、機能性表示食品について、ガイドラインに基づく健康被害の報告というのは、事業者からこれまで何件あったんですか。

依田政府参考人 今回のように、対象の商品が回収命令の対象になるような形での展開の健康被害の情報報告というものは、今回が初めてということになります。

宮本(徹)委員 今まで消費者生活センターには消費者からはいろいろな健康被害の報告があったけれども、事業者から健康被害だと報告がされたことは今回が初めてだということなんですよね。ですから、全く、この機能性表示食品の問題というのは健康被害の報告の仕組みとしても機能していないと言わなければならないというふうに思います。

 武見大臣、こういう事態なんですよね。消費者からいっぱい訴えがあっても、事業者から全然届けられることもなかった。ですから、ここの健康被害の報告義務というのを、どの範囲でどうかけるのかというのはありますけれども、ここは本当にしっかり検討しなきゃいけないと思います。先ほど山井さんの質問で、ルール化は必要だと大臣の明快な答弁がありました。そのルール化というのは、やはり、今は努力義務になっているわけですけれども、義務にしていく、法律上の義務にしっかりしていく、ここが必要だと思います。その点、御決意をお伺いしたいと思います。

武見国務大臣 国民の皆様方の御心配というものが大変深刻であることは、実は、厚生労働省、消費者庁と合同で、コールセンターを三月二十九日の午後三時に設置したのでありますけれども、四月一日までの相談件数、延べ二千二百十七件もあります。

 こうした状況も踏まえて、改めて、先ほどから申し上げているような、原因、それから発生機序に関わる因果関係、これらを徹底的に分析をして、そしてさらに、それぞれ企業自身のガバナンスに関しても徹底的に調べた上で、未然防止のための対処方針というものをしっかりと検討をし、その中で、どのようなルール化が必要かということを確定していくということが適切なプロセスになるのではないかと思います。

宮本(徹)委員 しっかりとして対策を取って、二度とこうした事態が起きないように、私たちも一緒に取り組んでいきたいと思います。

 次のテーマであります。四月から、運送業、建設業、医師の時間外労働の新たな上限規制が始まりました。

 建設業で働く若者からこういう相談があったんですね、訴えがありました。会社からの指示でスマホに勤怠管理アプリを入れて管理することになったが、これを使って不払い残業が行われているという訴えなんですね。

 勤怠管理のアプリは、たくさん今出ております。私もホームページで検索して、一例として資料六ページに載せました。アプリの設定で、始業時間だとか終業時間などを丸めるという機能が、丸めという機能があるんですね。

 訴えがあった人は、始業時間前の三十分未満、あと終業後の三十分未満を丸めて切り捨てられる、残業時間とみなさない、こういうことがやられているということなんですね。

 アプリのシステムによっては六十分丸めることができる。その場合は、前後でいえば一日最大百二十分も残業とみなさないということになってしまうわけですね。

 武見大臣、当然、労働時間の管理というのは一分単位というのが原則なわけであります。労働時間を何分以下なら切り捨てるというのは明白な違法行為だと私は思います。勤怠管理アプリで時間を丸めて残業代の支払いから逃れる行為、こうしたことは許されないんだということを、事業者にも、そしてアプリの開発事業者にも、双方に徹底する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 労働時間については、通達により、一か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に一時間未満の端数がある場合に、三十分未満の端数を切り捨て、それ以上を一時間に切り上げるという場合は、労働者に有利な場合も不利な場合もあることから、事務簡便を図るものとして、法違反として取り扱わないこととしております。

 一方、例えば、切上げを行わずに日ごとに六十分に満たない部分を常に切り捨てるといった運用は、これは認められません。

 こうした通達の考え方はこれまでも労働基準監督署において周知を図るとともに、事業場において適正な労働時間管理が行われていない場合には指導を行ってまいりました。アプリ開発者に注意を促すことも含めて、引き続き、必要な対応を徹底してまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 本当に、私も昨日ホームページをいろいろ検索して、時間を切り下げる、日ごとに切り下げるというのは、ほとんどのアプリにその機能が備わっているわけですよ。(発言する者あり)ひどいなんて話がそこも上がっていますけれども、本当にこういうことがまかり通っているということでございますので、徹底的にこれはこうしたことがないようにやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 最後に、医師の働き方改革について取り上げようと思っておりましたが、あと、質問までたどり着けるのかという時間しか残っておりません。

 昨年、医師の労働時間規制に合わせて宿日直許可が乱発されているという問題を取り上げさせていただきました。労働時間を労働時間として扱わない事態が広がっているわけですね。

 資料の七ページ目を御覧いただきたいと思います。これは、昨日NHKのサイトに新しく出た声なんですね。医師の働き方改革の現場から届いた百四十以上の声をまとめたページができておりまして、その中から宿日直許可に関わるものを幾つか抜き出しました。右下のやつを読みます。

 当院は周産期母子センターで緊急搬送や緊急手術があるのにもかかわらず、宿日直届を提出しています。そのため、当直当日も一時間置きに起こされて、診察しても、実質五分ほどしか当直業務としてみなされず、当直時間はほぼ給料が出ない仕組みになっています。外勤も、働き方改革のため行えません。現状だと犠牲者は必ず出ます。

 こうした声が、たくさんたくさん寄せられている現状があります。

 まず、この宿日直許可の実態を是非大臣に改めて調べていただきたいと思うんですよ。この間、様々なところで告発がメディアでも出ております。いかがでしょうか。

新谷委員長 武見厚生労働大臣、簡潔にお願いします。

武見国務大臣 はい。

 医療機関における宿日直許可については、特殊な措置を必要としない軽度、短時間の業務や、夜間に十分な睡眠が取り得る業務など、宿日直許可基準に適合しているものに限って労働基準監督署が許可の判断を行っております。こうした許可基準に適合しなければ、許可はいたしません。

 個別の報道についてコメントは差し控えますけれども、一般論として、宿日直許可の趣旨に反し通常の勤務時間と同様の業務に従事することがあった場合には、その時間を通常の労働時間として、時間外労働に対する割増し賃金の支払い義務などが生じます。

 加えて、厚生労働省は、医療機関において宿日直許可取得後の適切な労務管理について理解を深めていただくよう、新たに分かりやすい資料を作成をして、この周知徹底を行っているところでございます。

宮本(徹)委員 時間は終わりますけれども、夜間に十分に睡眠を取れるのが前提にもかかわらず、取れていない方々が宿日直許可の対象にたくさんなっているのが現状ですから、これは次回もまたやらせていただきます。

 終わります。

新谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

新谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 午後一番の質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は、国立病院についてとスポーツ賭博における依存症についてお伺いしたいと思います。

 昨年の質疑で、私、この委員会で、国立病院の現状が看護師の大量退職や超過勤務などによりブラック企業化しているといった記事が続々と報道されていることを取り上げました。その後、現状を把握し、必要であれば対応していくという答弁をいただきましたが、現状、確認してもらえましたでしょうか。そして、どのような対応が今図られているのか、伺います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 国立病院機構におきまして、御指摘の報道内容の事実関係を確認したところ、看護職員に対して超過勤務手当の未払いが確認されたり、年次休暇の取扱いの認識が不正確であった事例があったと聞いております。

 国立病院機構におきましては、未払い分の追加支給を行うとともに、各病院に対して勤務時間等の取扱いを明確化するための通知を発出し、全職員に対しても勤務環境に関する取扱いを整理したパンフレットを配付するなど、時間外勤務の申出や年次休暇の取得がしやすい勤務環境の改善に取り組んだと承知しております。その上で、国立病院機構におきまして、職員の勤務環境や働き方についての課題を整理し、必要な取組を検討するため、全職員を対象とするアンケート調査を実施したと聞いており、更なる勤務環境の改善に努めていくものと承知しております。

 厚生労働省といたしましては、国立病院機構におきまして適切な勤務環境が確保されるよう、引き続き、国立病院機構の対応状況をしっかりと注視し、適切に対応してまいります。

田中(健)委員 未払いや年次休暇が取れないということがしっかりと明らかになったということでありますから、その対応を急ぎたいわけですけれども、しかし、やはり今言ってもらったように、看護師さん、大変今でも苦労しているということでお話を聞きました。産休、育休を取りづらい。今言いました休暇制度、あるんですけれども、なかなか昨年から改善されていないということもお聞きをしています。看護師さんは、人員不足のため、妊娠していても何とか超過勤務で患者さんに迷惑にならないようにというふうに今しているということもお聞きをしています。

 そのような現状は分かったということと、また、アンケートを取って更なる調査をしているということなんですが、実際、看護師さんの人数の増員というのはこの間図られたのか、伺います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 医療の提供に当たりまして看護職員の確保は大変重要であり、国立病院機構におきましても、適切な勤務環境の確保や処遇改善の取組等を通じて看護職員の確保に取り組んでいると聞いております。

 令和六年四月の国立病院機構の常勤の看護職員数の見込みは四万一千八百九名となっております。令和五年四月は四万一千五百三十五名であったことから、二百七十四名の増加見込みとなっているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、国立病院機構が引き続きその責務等を果たせるよう、看護職員の確保状況をしっかりと注視してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 人員の話、次に移りたいと思うんですけれども、その前に、今回の改正法案の中で、育児・介護休業法、この後出ますけれども、国立病院機構においてはこの育児・介護休業法も違反が横行していたんじゃないかということもお聞きをしています。

 産後休暇また育休と併せて、育児・介護休業法に対する現場の現状というのをどのように把握されて解決を図っているのか、伺います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、一部報道におきまして、夜勤免除の申請が取得しづらいなど、職員の声があったことは承知しております。

 国立病院機構におきましては、事実関係を確認したところ、年次休暇の取扱いの認識が不正確であった事例があり、各病院長に対しまして育児支援制度などの勤務環境に関する取扱いにつきまして通知するとともに、全職員に対し、育児支援に係るルールを含む勤務環境に関する取扱いを整理したハンドブックを配付し、さらにそれを周知し、今後に向けてはアンケート調査を実施したところと承知しております。

 厚生労働省といたしましては、国立病院機構におきまして適切な勤務環境が確保されるよう、引き続き、その対応状況を注視し、適切に対応してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 せっかく厚労省としても、育児を取りやすいように、また介護を取りやすいようにということで様々な対応をしてもらっている中、それが実際は取れないということでは本当に絵に描いた餅になってしまいますので、課題は分かっているかと思いますので、是非、引き続き対応を求め、また現場の声を聞いていただければと思っています。

 先ほど、二百七十四名という看護師の増員の話がありましたが、お話を聞きますと、この病院機構は、約百四十ありますが、看護師を四千六百人募集しておりまして、八割が確保できたと。八割というと大多数確保できたように聞こえるんですけれども、数が多いので、八割ですと、九百人の採用のめどが立っていないということになります。特に、問題になった去年の報道では、京都の病院などでは、百六十名の採用のうち、あのような報道があったので、百名しか採用ができていないということです。

 二百七十四名というのはどの時点からの増加と考えていいのか、また、純増と理解していいのか。採用が厳しいという現状に対しての対応をお聞きをいたします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの御答弁でも申し上げたとおり、令和六年四月の国立病院機構の常勤の看護職員数の見込みが四万一千八百九名となっており、この数字は、令和五年四月、四万一千五百三十五名であったことから比べますと、二百七十四名の増加が見込まれているとなっておりますので、令和五年四月からの比較となっております。これはあくまで現員数ということでございます。

 厚生労働省といたしましては、国立病院機構が、看護職員の確保が適切になされるよう、その対応状況を注視してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 単に数が増えたということで、今の募集に対しての充足数ではありませんので、是非、これだけ数が足りないということを認識してもらって、対応を深めてもらいたいと思います。

 賃金についても昨年取り上げました。本年の二月二十九日には基本給の引上げの回答は得られたということですが、それでも他の公的医療機関に比べるとまだ低いのが現状です。特に、試験研究機関などの独立行政法人の多くは人事院勧告で引き上げられるということがありますが、その分予算措置がされますが、国家公務員の賃金水準となるには、国立病院は大変にまだ、現状、届いていません。

 国立病院は、診療報酬がある中期目標管理法人であるために、予算措置がなく、国家公務員の賃金より低く抑えられてきたという元々の経緯があります。病院の経営の問題、診療報酬があると言ってきましたが、結核や重症心身障害者や難病といって民間では体制整備ができていない分野を担い、また、災害や感染症発生時などの緊急事態の国の要請にもこれまで応じてまいりました。必要な医療を提供することが法律にもしっかりと定められています。もちろん、今回、能登半島においても、国からの派遣要請にも応じてまいりました。

 四十七都道府県全てにある国立病院は、国民の命を守るセーフティーネットの役割を担っています。運営費交付金が廃止となってしまいましたが、低賃金と人員不足を解消するために、是非、賃上げの検討や、また増員を後押しするような財政的な措置は検討できないか、厚労大臣の見解を伺いたいと思います。

武見国務大臣 医療の提供に当たり看護職員らの確保は重要であって、国立病院機構においても、これまでも適切な勤務環境の確保や処遇改善の取組などを行っていると承知をしております。

 国立病院機構の運営費交付金については、これまで国立病院機構が負担していた基礎年金に係る国庫負担二分の一相当額などについて国の負担としたことに合わせて令和三年度から廃止されたものであり、そのような経緯を踏まえますと、新たな財源措置は困難であるというふうに思います。

 そのような中で、厚生労働省としては、令和六年度診療報酬改定において、物価高に負けない賃上げとして、令和六年度にプラス二・五%、令和七年度にプラス二・〇%のベースアップを実現するために必要な水準の改定率を確保して、その改定率を基に、看護職員らの医療関係職種の賃上げについて新たな加算措置を新設をいたしました。それも踏まえて、国立病院機構では、全職種において常勤職員については平均改定率二・九%のベースアップ、それから平均改定額は月額八千三百二十四円の引上げを行ったと承知をしております。

 厚生労働省としては、引き続き、国立病院機構がセーフティーネット分野や国の医療政策の分野、その責務等を果たせるよう、今後の経営状況等を注視するとともに、委員御指摘の点についても必要に応じて対応していきたいと思います。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 加算や診療報酬アップをしていただいたことも承知しています。それでもまだまだ他の公的機関より低いという現状を是非御理解いただきまして、働いている皆さんは、物すごく国立病院機構に働いている使命感を持って働いておりますので、その現場の声を聞いていただければと思っています。ありがとうございました。

 引き続きまして、スポーツ賭博と依存症について伺います。

 アメリカの大リーグで、大谷選手の元通訳の方がスポーツ賭博で解雇になると大騒ぎになりました。そして、その方は、依存症だと御自身で告白をしています。アメリカにおいては、各州によって違いますが、カリフォルニア州はまだ法律が定められておらず、すなわち違法状態であったということで、この通訳の方は違法賭博に手を染めてしまったということであります。

 国は、第三期のスポーツ基本計画の中で、ベッティングなど、デジタル技術の発展により新たに可能となるスポーツ関連ビジネスについて、国内や海外の状況を調査するとともに、必要に応じて我が国での事業化に際して法的な整理も含めた検討を行うというふうに明記をしています。

 海外調査においてベッティングに対してはどのような調査報告がされているのか、また、必要性と我が国での事業化に向けての整理や検討というのを、今どのぐらい進んでいるのかについてを伺います。

橋場政府参考人 お答えいたします。

 スポーツベッティングに関する海外の状況につきましては、直近では、スポーツ庁と経済産業省が共同で開催する第二期スポーツ未来開拓会議において、有識者より、海外の状況についても聴取しました。それを受けて同会議が昨年七月に取りまとめた中間報告では、スポーツベッティングは欧米を中心に拡大しており、試合の勝敗だけでなく、試合中の出来事に対して賭けられることで人気を博しているなどが報告されている一方で、個々のプレーを賭けの対象とすると八百長に結びつきやすいとの指摘や、欧米のスポーツベッティング制度はスポーツ環境整備等の側面では必ずしも十分ではないとの指摘もあるとも報告されているところです。

 また、この中間報告では、日本の居住者がベッティングサービスを利用することは賭博罪が成立する可能性があり、オンライン等で日本国内から賭けられるような形でサービスを提供している海外ベッティング事業者等に対してデータ提供等を行う行為は賭博幇助に該当する可能性がある、また、海外ベッティングサービスとの関わりにより、選手が八百長などの予期せぬトラブルに巻き込まれる懸念があるが、我が国では、そうしたことへのスポーツ団体や選手の認識が薄いとの指摘もされているなども報告されているところです。

 スポーツ庁としましては、現状においては、まず、スポーツ選手が違法な賭博に関わらないようにすることなど、スポーツ団体や選手等に対するコンプライアンス教育の徹底等を進めることが重要であると考えており、スポーツ関係団体とも連携しつつ、そうした取組を進めていきたいと考えています。

田中(健)委員 スポーツベッティング、違法になる可能性もあるということを言っていただいたんですけれども、ちょっとこれは質問になかったんですけれども、今日の新聞で、答えられる範囲でいいんですが、選抜で、海外賭博サイト十以上、オッズ百倍超ということで、高校野球が現在開催されていますが、これが海外のサイトの十者以上で賭けの対象になっている、しかもそれは百倍以上だということが読売新聞に、今日の新聞に載っておりました。

 これについては、文科省スポーツ庁は把握をしていらっしゃいますでしょうか。

橋場政府参考人 お答え申し上げます。

 報道については、同じニュースを拝見して承知しております。

 対応につきましては、今申し上げたようなことの繰り返しになってしまいますが、日本国内から賭けられるような形でベッティングを行うというようなことが賭博罪、さらには情報提供をすれば賭博幇助に該当するということに、繰り返させていただきます。

田中(健)委員 その説明ではなくて、この記事を共有しているんじゃなくて、調査研究をこれまでしてきた中で、こうやって子供たちの学校の課外活動、さらには高校野球は教育の一環でもあるんですけれども、こういうものが賭けの対象になってしまっているということ。この記事によりますと、高野連も把握している、しかしながら、大変残念だけれども、どうしようもできないということでありますが、文科省としてはこれを、事実を把握していたかどうかということをお聞きしています。

橋場政府参考人 ちょっとうまく答えられないかもしれませんけれども、スポーツが、日本では、賭けの対象になることは好ましくないということは、今まで有識者等の会議でも言っているとおりですので、そういった点に関しては把握しておりますが、ちょっと個別の事情に関して逐一というのは、今何ともお答え申し上げられないところです。

田中(健)委員 スポーツといっても様々ありますけれども、文科省としては、そして子供たちを教育する立場としては、やはりこういったものが賭けサイトの対象になっているということは是非理解をしていただければと思っています。

 次に進みますが、さらに、スポーツベッティングサイトというのは、今でも皆さんの携帯を引けばサイトをすぐに探すことができるんですが、今問題なのは、勝手に日本の、今度はプロスポーツですけれども、スポーツのロゴとかも使われてしまっていて、それが海外のサイトで無断利用されている。

 先日、Jリーグが違法なスポーツベッティングサイトに対しての、勝手にキャンペーンが張られているということを問題視する声明をホームページにリリースをいたしました。

 サッカーに限らず、ほかのプロスポーツにおいても、スポーツの肖像権ないしはプロスポーツの権利を勝手に使われてしまうというのは、私はスポーツビジネスを育成をしていってもっともっと発展をすべきだという立場なんですけれども、この正式な発展に阻害となってしまうんじゃないか、大きな問題というふうに捉えていますが、これについての見解を伺います。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のJリーグのリリース、これは私たちも承知しているところでございます。

 こうしたことに関連しましては、昨年七月に公表されました第二期スポーツ未来開拓会議の中間報告において、海外のスポーツベッティング市場において、既に我が国の一部のスポーツが対象になっているという実態があるものの、スポーツコンテンツホルダーがそこから正当な収益還元を得られていないという課題への対応として、無許諾でデータ、肖像権、著作権、商標権等が使用された場合の法的手段について、官民が連携して検討するべきとされているところでございます。

 こうしたことも踏まえまして、経済産業省としても、スポーツ業界やスポーツ庁と連携して対応してまいりたいと思っております。

田中(健)委員 是非、これはほかのスポーツに大きく広がる前に対応を検討していただき、早急に対策を打っていただければと思います。

 このカジノなんですけれども、やはり違法性となりますとなかなか文科省や経産省では対応ができず、今日は警察庁にもお越しをいただいています。

 私はこの間、消費者庁でオンラインカジノについてをずっと取り上げてまいりまして、消費者庁と警察庁が一緒になって、オンラインカジノは違法であるということを明確に表明し、また、それに対して取組も進めてきました。単にポスターを作るだけじゃ駄目だということで話を続けてきた結果、今では警察庁が中心となってかなり取締りが進んできまして、次々と違法なオンラインカジノの使用者、そしてさらにはそれを取り巻く関係者、報道でも皆さんも見ることができるかと思っています。

 それに加えて、今回、オンラインスポーツベッティングということが話題となってしまいました。オンラインで、カジノだけでなくてスポーツ、いろいろなことができてしまうということが明らかになったのでありますが、警察庁には対策を要求をこれまでもしてきましたが、改めて、今回の件を受けて、現状の認識と対策についてを伺えればと思います。

和田政府参考人 一般的に、日本国内でオンライン賭博サイトに接続して賭博を行うことは、そのサイトが海外で運営されているものであっても犯罪に当たり得るものであり、警察では、いわゆるオンラインカジノを始め、オンライン上で行われる賭博事犯について取締りを強化しているところです。

 例えば、オンラインによる賭博事犯については、昨年九月、警視庁等において、国内でオンラインカジノの決済システムを運用していた者や同システムを利用していた賭け客を検挙したほか、千葉県警察において、オンラインカジノで賭博をしていた状況を動画配信していた者を検挙しております。

 引き続き、このようなオンライン上で行われる賭博事犯について、厳正な取締り及びこれを通じた実態解明等を強力に推進してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 オンラインは、問題なのは、所在地が海外ということで、海外は合法なのに日本では違法だ、そして、日本人が賭けて、日本人のお金が全部海外に吸い取られてしまうということで、そして、逮捕されるのは日本人ということで、余りにも不条理だということを言ってまいりました。是非、警察も取締りを強めてくれているということで、さらに決済代行業者にまで手をつけてくれているということで、進めていただければと思っています。

 しかし、この記事にもありますが、それでもやはり、スポーツベッティング、対応できないということで、さらにブロッキングや、記事では刑法の国外犯規定を改正すべきじゃないかという議論もありますので、ほかの委員会とはなりますが、議論を進めていきたいと思っています。

 そして、依存症の問題についてです。

 今回の報道をきっかけに、ギャンブル依存症の問題が改めて認識をされました。もちろん、ギャンブル依存症対策、厚労省も、また国も必要な対応を進めておりますが、厚労省の二一年の調査によれば、国内で競馬、競輪といった公営ギャンブルやパチンコといった依存症も急増しているということであります。さらに、今回のオンラインで行われるもの、さらに外国のサイトを使うということについて、これらについての対応をお聞きをしたいと思うんですが、これらはまだまだ十分ではないということも聞いています。オンラインで行われるものについてはしっかりと依存症の対策を進めてほしいと思いますが、見解を伺います。

辺見政府参考人 ギャンブル等依存症対策につきましては、ギャンブル等依存症対策推進基本計画に基づいて、ギャンブル等依存対策推進本部の下で関係省庁がそれぞれの分野について取組を進めているところでございます。

 厚生労働省におきましては、ギャンブルの種類やオンラインによるもの等にかかわらず、ギャンブル等依存症について、予防や相談、治療、回復支援に関わる対策を行っているところでございます。具体的には、依存症としてのギャンブル等依存症対策の正しい理解を深めるための普及啓発、専門医療機関や相談拠点等の医療提供体制等の整備、地域の実情に応じた依存症対策を実施してもらうための自治体への補助、相談支援や普及啓発等を行う民間団体への補助などの取組を進めているところでございます。

 今後とも、引き続き関係省庁等と連携をしながら対策を進めてまいりたいと考えてございます。

 また、この中で実態の調査についても行っているところでございますが、令和二年度に一回調査を行って、その中で、令和二年度における調査においては、令和二年の一月と、十月から十二月、コロナの前と後の状況の変化という点で確認をしておりまして、この間において、インターネットを使ったギャンブルの利用期間が、四・四%、新規に使った者を含めて増えているということは確認をしておりますが、いずれにいたしましても、令和五年度に第二回調査を行いまして集計をしているところでございますので、こうしたものをしっかりと分析をしながら実態の把握に努めてまいりたいと考えております。

田中(健)委員 私も令和二年度の内閣府また政府の調査を見させていただきましたが、確かにコロナ前と後では大きく状況が変わっているようです。やはり、コロナになって家にいるということで、オンラインがますます利用が深まったということでありますので、その調査を今しているということですので、また報告を聞かせていただければと思います。

 最後に、ギャンブル依存症は見えない病気とも言われています。れっきとした病気、精神疾患でありますけれども、保険適用の対象ともなっていますが、治療を受けている人はごく僅かであります。家族の相談も遅れがちということで、匿名でも相談できるような窓口が必要ではないかと考えています。相談支援についても是非推進していただきたいということと、今回の問題、単なる大リーグのスキャンダルではなくて、依存症の危険性を訴え、対策に本腰を入れる契機としていただきたいと思っていますので、この依存症問題への関心について、また周知徹底について、最後に大臣の見解を伺いたいと思います。

武見国務大臣 ギャンブル等依存症に対しましては、アルコール依存症、薬物依存症とともに、依存症対策の一つとして、これまでも関係省庁などと連携をし、依存症の予防や治療、回復への支援まで、その取組に努めてきたところではございます。

 こうした取組を進めるためには、委員御指摘のように、国民の皆様に広く、依存症は誰でもなる可能性のある病気であること、それから適切な治療をすれば回復できることといった知識や理解の普及啓発を行うとともに、依存症の方やその家族などに治療や回復への支援などの取組を知っていただくことなども重要だろうと思います。このために、依存症のリーフレットの配布、普及啓発イベントの開催、ポータルサイトやSNSによる情報の提供などにも取り組んでおります。

 こうした取組を含め、依存症の方やその家族などが安心して日常生活を送ることができる社会の実現のために、取組を継続していきたいというふうに思います。

田中(健)委員 高校野球のベッティングがありましたけれども、若い世代にもこういったことが簡単にオンラインまたネットでできるような時代になってしまっておりますので、依存症対策、しっかりと厚労省としても取組を進めていただきたいと最後に言いまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 ドジャースの大谷翔平選手の通訳の水原一平さんの問題でギャンブル依存症が注目されておりますので、田中委員に引き続いて、なるべく質問がかぶらない形で質問させていただきたいと思います。

 私の地元でも、御家族がギャンブル依存症となって家庭が崩壊したりとか、大変な思いをした方の話をお伺いしております。今日も、山井さんをまねするわけではありませんけれども、傍聴席に地元から家族会の方がいらっしゃっております。

 私自身、息子が小学校高学年の頃に、ギャンブルではないんですけれども、ゲーム依存症のようなことになりまして、昼夜は逆転するし、不登校になるし、余りこういうことは議事録には残したくはないんですけれども、ゲームを取り上げたりすると家の中で暴れる、このままいったら息子の人生は本当にどうなるんだろうかと心配したこともありました。最終的には、私がゲームを壊して、私の車も壊されて、それで何とか治ったんですけれども。

 資料一で、ギャンブルの相談、依存件数、これは家族会の皆様方の資料ですけれども、特にコロナの蔓延以降急増しております。それは、家の中にずっといてネットばかりつないでいるからなんですね。

 裏の二ページ目、増えているのは、二十代、三十代の若者の方が増えていて、それは、先ほど田中委員からもありましたように、やはり、オンラインによるカジノとか、あるいはゲームベッティングといったそうした新しいタイプのギャンブルに依存して、しかもそれは若者がついているということです。

 これはもう大臣に答弁いただきましたので、問い一は外しますけれども、WHOでも国際疾病分類に位置づけられている明確な病気であるという認識がまだまだ進んでいないと思うんですね。私も、息子がゲーム依存症になったときに、息子の教育の仕方がうちの妻は悪いんじゃないかとか、夫婦仲まで悪くなったり、あるいはその人の特徴的なだらしない習慣によるものじゃないかとか、そうした偏見の方が多くて、むしろこれは脳のドーパミンの分泌によるものであって、病気であるということがまだまだ知られていないと思いますので、最後にその治療体制の話はお聞きしたいと思います。

 先ほど来、警察庁からもありましたように、公営競技とか、あるいはIR整備法に基づくカジノとか、toto以外のギャンブルは違法で、オンラインのものも違法であるというのは、これまで答弁に、繰り返しているとおりであります。パチンコは、ちょっといろいろあって、微妙な問題がございますけれども。特に最近は、先ほど来、海外の事業者が運営するオンラインカジノとかスポーツベッティングへの利用者が急増して、これまでの国会答弁でも、その実態は必ずしも把握していないということであります。

 しかし、現実に違法のものとして摘発は進んでいると思うんですけれども、まず、警察庁、この摘発の最近の状況について御報告ください。

和田政府参考人 警察では、いわゆるオンラインカジノを始め、オンライン上で行われる賭博事犯について取締りを強化しております。

 その検挙状況に関し、いわゆるオンラインカジノに係る賭博事犯については、令和四年十件五十九人、令和五年十三件百七人を検挙し、このうち無店舗型のものでは、令和四年一件一人、令和五年五件三十二人となっております。

 また、これまでの検挙事例の中には、スポーツの結果に関してオンラインによる賭博をしていたものもあると承知しております。

 引き続き、このようなオンライン上で行われる賭博事犯について、厳正な取締り及びこれを通じた実態解明等を強力に推進してまいりたいと考えております。

福島委員 令和四年から五年だけでもこれだけ、倍増しているわけですね、摘発事例が。それだけ警察の方も頑張っていただいているということですので、なかなか捜査に難しいところはあるかと思いますけれども、引き続き、頑張って捜査していただいて、それをきちんと広報して、これだけ捕まるんだということを広げていただければと思います。

 あわせて、こうしたギャンブルが理由でどのような、何件ぐらい犯罪が起きているかということも御報告いただけますでしょうか。

和田政府参考人 令和五年中の刑法犯検挙件数二十六万九千五百五十件のうち、主たる被疑者の犯行の動機、原因が、ギャンブルをするための金欲しさなど、ギャンブルをすることへの欲求であるものの件数は、二千四百二十九件となっております。

福島委員 ありがとうございます。

 二千四百二十九件というのは結構多いと思うんですね。一日、毎日七、八件のこうしたことが起きている。それは、家族の方も巻き込まれる大変なことが起きているということを認識しなければならないんだと思います。

 そこで、資料二、警察は、ここに描いてある、赤い、オンラインカジノは犯罪ですというポスターを消費者庁と一緒に配布しておりましたが、昨年の五月十九日の文科委で共産党の宮本岳志議員が配付した資料によると、ポスターは四万八千枚だけ、私の茨城県は千枚。駅とか学校など公共の場所に掲示するには圧倒的に枚数が少ないです。消費者担当大臣の、当時の、令和五年の河野太郎大臣自身、消費者庁と警察庁でポスターを作って貼ってもほとんど効果はない、何か言い訳をするのはお金が無駄と、担当大臣御自身もおっしゃっております。本当にひどい話だと思うんですけれども。

 私は、やはり、最近はネットで見るから、ネットのターゲット広告みたいなものを出した方がいいと思うんです。こういう嗜好のある人には広告が出る、そういう新しい方法を試した方がいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

和田政府参考人 警察では、オンラインカジノの違法性を周知するため、消費者庁と連携してポスターを作成するなどして広報啓発を行っております。また、今年度予算では、スマートフォン等を利用し、オンラインによる賭博に興味を持っている者等に対し、SNSを活用した広報啓発を行う経費についても計上しており、引き続き効果的な広報啓発に努めてまいりたいと考えております。

福島委員 ありがとうございます。

 ちゃんと予算も、今まで予算がなかったんですよね、それをちゃんと取ってやっていただいているということは一歩前進だと思いますので、その効果も見極めて、効果的な啓蒙活動を行っていただければと思います。

 学校教育の役割も大事です。これまでの答弁で、文科委員会などで文科省は、道徳の授業で、まず、法や決まりを守るといった内容の指導を行っているということと、高校の学習要領に基づいて、保健の授業において、精神疾患の予防、回復について学習する際、ギャンブル等への過剰な参加は習慣化すると嗜癖行動になる危険性があって、日常生活にも悪影響を及ぼすということが学ばれているということで、資料三のような資料を、これは非常によくできているんですけれども、お聞きしたところ、印刷する予算がないから、PDFでネットで配布しているだけというんですね。それじゃ、なかなかこれをわざわざ出して使うということもないんじゃないかと思うんですね。

 文科省の依存症予防教育推進事業は、令和六年度予算で僅か六百四十四万一千円しかございません。やはり今の世代は紙じゃなくて動画で学ぶんですね。しかも、動画で、ギャンブル依存症になったら本人がどうなるのか、家族はどうなるのか、どうやったら治るのか、そうしたことをイメージできるような、しかも小学生ぐらいから、私の息子も小学校のときにゲーム依存症になって、ゲーム依存症からギャンブル依存症に移行するような例もあるわけですよ、ですから、そういう分かりやすいのを、小学生ぐらいから視覚に訴える形でやった方がいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、ギャンブル依存症につきましては、学習指導要領等におきまして、高等学校の保健等において指導するということが定められてございまして、これに基づいて各学校で学ばれているところでございます。

 文科省では、ギャンブル等指導に関しまして、教員向けの指導参考資料、そして、ただいま御紹介いただきましたような生徒向けの啓発資料の作成、周知をしておりまして、生徒向けの啓発資料では、行動嗜癖の内容、生み出す要因、行動嗜癖が及ぼす悪影響、そして、ギャンブル等にのめり込むことにより問題化するプロセスなどの内容を示しているところでございます。

 また、小学校からという御指摘もございましたけれども、小中学校におきましても、例えば体育科、保健体育科の教科書におきまして、病気の予防の発展的な学習内容といたしましてギャンブル依存症が取り上げられているところでございます。

 また、ギャンブルとは離れますけれども、小中学生が陥りやすい依存症として、ネット等を通じたゲームへの依存といったこともあることから、文科省におきましては、そうしたものにのめり込む危険性を小中学生を含めた児童生徒に理解させるための指導を行う際に活用できるような動画教材ですとか、その活用のための指導者用の手引書を作成、公開しているところでございます。

 今後とも、こうした啓発資料の周知等を通じまして、ギャンブル依存症に対する指導の充実に取り組んでまいりたいと存じます。

福島委員 是非、警察がやっているターゲティング広告のような動画とか、そういうのを意識した分かりやすい教材を、六百四十四万じゃなくて、もうちょっと予算を取ってやっていただけたらと思います。

 公営競技は今、オンラインで馬券や車券、舟券が買えるようになって、競馬ですと大体九割がインターネット投票で行われていると言われております。そういう意味ではオンラインと一緒なんですね。

 令和四年のギャンブル依存症対策推進基本計画で、インターネット投票者に対しより効果的な注意喚起を行うため、投票サイトにおいて購入制限を視覚的に訴えるための新たな表示方法について検討を行い、令和六年を目指して導入とされているんです。

 次に、資料なんですけれども、これは今のJRAのホームページなんですけれども、ホームページの上の、左の上の写真の青いところをクリックすると馬券が買えます。赤いところにギャンブル依存症のページに飛ぶクリックがあるんですけれども、大体みんな早く馬券を買いたいですから、真っ先にこの青のところをクリックすると、何も広告が出てきません。そもそもJRAのホームページから買う人は少なくて、多くは、私の秘書がこれで買っているんですけれども、ネットケイバというサイトから、この右側のサイトですけれども、購入するんですけれども、こちらには何の表示もございません。

 基本計画で、令和六年度までを目指して導入ということなんですけれども、どういう表示を行おうとしているのか、農林水産省、答弁をお願いします。

関村政府参考人 お答えします。

 競馬では、政府のギャンブル等依存症対策推進基本計画に基づき、インターネットを介した勝馬投票券の購入に際しまして、二十歳未満の者による購入防止及びギャンブル等依存症に係る注意喚起の文言を表示するとともに、ギャンブルへののめり込みに不安のある方に向け、カウンセリングセンター等の相談窓口や購入制限機能等を紹介しております。

 農林水産省としましては、他の公営競技の状況も注視しつつ、競馬主催者による効果的なギャンブル等依存症対策が実施されるよう、引き続き適切に指導してまいります。

福島委員 適切じゃないからこういう質問をしているんですね。全く視覚に訴えないし、JRA以外のホームページで買うわけですよ、今。いいですか。だからちゃんとしなきゃならないと思っていて、私はこれはたばこの例が参考になると思うんです。

 たばこ事業法の四十条の一項で、広告規制というのがあります。製造たばこに係る広告を行う者は、その広告が過度にわたることがないように努めなければならないと。第二項で、財務大臣は、当該広告を行う際の指針を示すことができるとして、財務省の告示でどういう広告をしなさいとやっているから、たばこのパッケージには健康に被害がありますよと書いていて、そこが過度のたばこの喫煙の抑制につながっていると思うんですね。

 私は公営競技にもそういう規制が要ると思います。今のギャンブル等依存症対策基本法の第十五条では、国及び地方公共団体は、広告、宣伝について、関係事業者の自主的な取組を尊重しつつ、ギャンブル等依存の予防等が図られるものとなるようにするために必要な施策を講ずるものとすると。これは自主的な取組なんですよ。でも、自主的な取組だとやはり甘いと思うんですね。

 きちんとこのギャンブル依存症対策基本法を改正して、たばこ事業法並みの広告規制を導入すべきだと思うんですけれども、内閣官房、いかがでしょうか。

江浪政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ありましたとおり、公営競技の広告に関しましては、法律におきまして、関係事業者の自主的な取組を尊重して、必要な施策を講ずるものとするというふうにされております。

 これを踏まえまして、令和四年三月の基本計画におきまして、公営競技の関係事業者が自主的に広告宣伝指針というのを策定いたしまして、運用を開始するものということとされておりまして、これに基づき、全ての公営競技の関係事業者が広告宣伝指針を策定し、運用を行っているというところであります。

 基本計画に定める施策に関しましては、PDCAサイクルに基づき計画的な取組を推進するということとされておりますので、これらの取組につきましても適時に進捗状況の評価などを行いながら、実効性のあるギャンブル等依存症対策を推進していきたいというふうに考えてございます。

福島委員 それは、公営ギャンブルは、ネットケイバみたいなネットでサービスを提供する事業者も含まれているんでしょうか。

江浪政府参考人 公営競技のインターネットによる購入に関しましては、公営競技の実施主体が委託によりましてそれをインターネットで販売しているというものであるというふうに考えてございます。

 そういった観点からは、この規定に関しましては、インターネット販売の広告に関するものにつきましてもその対象となっているものというふうに考えてございます。

福島委員 現にネットケイバを見ると全く何のそうした注意喚起もないから、法律的な拘束力がないから実行されていないわけですよ。そうした点を踏まえて、きちんと実行されるかどうか、効果的に実行されるかどうかを見た上で、できなければ、私は法的な拘束力を持った規制が必要であるということを訴えたいと思います。

 最後に、武見大臣にお伺いしたいと思いますけれども、ほとんどの依存関係者は、ギャンブル依存症を病気だと思わないんだと思うんですね。病院に行って診てもらうということをしないし、先ほど田中委員の話で、保険診療の話もありましたけれども、保険診療も適用されて、病院に行って治すものだという認識がないんだというふうに思います。

 今、全国のギャンブル等依存症に係る相談拠点、専門医療機関というのが資料五でございますけれども、相談拠点は、確かに全部の県、政令指定市にございますが、大体が都道府県に一つです。私の住んでいる茨城県は、水戸といったって古河から来るには二時間以上かかるし、なかなかやはり身近なところにないんですね、相談拠点が。なおかつ、専門的な医療機関となると、私の茨城県は丸がついていませんけれども、あるところとないところもあるでしょうし、聞くと、最後は結局、一番の専門病院である久里浜の病院まで行かなければならないし、専門医の数も少ないという話をお聞きしております。

 厚生労働省の地域における依存症の支援対策の整備のための予算というのは、令和五年五・三億円から令和六年度五・九億円と微増しておりますけれども、やはりこれはまだまだ足りないと思うんですね。

 今日も私と田中委員が質問したように、やはりこの問題は非常に今社会的な関心が、特にコロナが終わってから大きくなっていますし、ほっておけばこれからますます増えていくことも想定されます。

 厚生労働省の依存症に関する普及啓発予算も、五年度、六年度でそれぞれ五千万。これではなかなか、まずギャンブル依存症になって家族の方が医療的な相談を受けようというふうに思いつくまで広まらないと思うんです。当然、警察にも文科省にも普及啓発をしてもらわなければならないんですけれども、やはり最後は、治療なんだということをやるのは厚生労働省の私は役割であるというふうに思っております。

 そこで、武見大臣、まず、ギャンブル依存症は病気であるともっと知らせていただきたいんですよ。家族の方もみんな悩んでいます。恥ずかしいんですよ、正直言って。旦那がギャンブル依存症となったら、何か悪い旦那と結婚したんじゃないかと。そうじゃないんですね。特に、オンラインですから、どんどんどんどん、クリックしていくうちに、脳が勝手に反応して、はまっていっちゃうわけですよ。

 病気なんだということを啓発して、もっと相談窓口、専門的な診療体制、今でも頑張っているとは思うんだけれども、加速度的に充実させていくことが必要であると思うんですけれども、大臣の御認識、決意をお伺いできればと思います。

武見国務大臣 ギャンブル依存症というのに関しては、これはもう病気として保険診療の適用対象になっているんだということは、もう委員御指摘のとおりであります。

 厚生労働省では、リーフレットの作成とか配布や普及啓発イベントの開催など、依存症の正しい知識や理解の普及啓発に努めております。

 さらに、依存症の予防だとか治療回復への支援を進めるために、自治体の保健所それから精神保健福祉センターなどの相談拠点への依存症相談員の配置支援や、依存症対策を行うこれまた民間団体もございますので、そこへの補助を行うとともに、地域で必要な医療を受けられるように、依存症対策の全国拠点機関として、御指摘もありました国立病院機構久里浜医療センターを指定をいたしまして、都道府県などにおける専門医療機関の選定を始めとする医療体制の整備を促進するなどの体制強化を図っております。

 今後も、引き続き、関係省庁と連携しながら、このギャンブル依存症も含めた依存症の普及啓発、治療、そして相談体制の整備など、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

福島委員 これは社会全体で取り組まなきゃならないと思うんですね。私が十代の頃はシンナー中毒や薬物中毒が新たな社会問題として出てきて、私は今ライオンズクラブに入っているんですけれども、ライオンズクラブでは薬物乱用のセミナーをやって、私も講師の資格を取らせてもらっております。同じようにギャンブル依存症もみんなでこれを啓発していかなきゃならないと思いますので、民間の立場からも、ライオンズクラブのようなボランティア団体でもできるようにこれから頑張ってまいりたいと思いますので、各省庁一体となって取り組んでいただきますことをお願いいたしまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

新谷委員長 次に、内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。武見厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 雇用保険法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

武見国務大臣 ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明をいたします。

 女性や高齢者等の多様な人材の労働参加が進むとともに、働くことに対する価値観やライフスタイルも更に多様になっている中で、労働者の生活及び雇用の安定を図る観点から、それぞれの労働者がその希望と状況に応じて持てる能力を十分に発揮できるよう、多様な働き方を効果的に支えるとともに、労働者の主体的なキャリア形成を支援することが必要です。

 こうした状況を踏まえ、雇用保険の適用範囲の拡大、教育訓練やリスキリング支援の充実、育児休業給付の給付増を支えるための安定的な財政運営の確保等を行うため、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、雇用保険の適用対象者について、一週間の所定労働時間が二十時間以上の者から十時間以上の者へと拡大することとしています。

 第二に、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な教育訓練を受けた場合に、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようにすることとしています。

 第三に、教育訓練給付金の給付率を最大で受講費用の百分の八十に引き上げるとともに、被保険者が教育訓練のための休暇を取得した場合に支給する新たな給付金を創設することとしています。

 第四に、育児休業給付の国庫負担の暫定的引下げ措置を廃止し、国庫は育児休業給付に要する費用の八分の一を負担するものとするとともに、育児休業給付の保険料率を千分の五に引き上げつつ、雇用保険財政の状況に応じて保険料率を引き下げられるようにすることとしています。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和七年四月一日としております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いをいたします。

新谷委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十九分散会


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