衆議院

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第9号 令和6年4月5日(金曜日)

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令和六年四月五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 新谷 正義君

   理事 大岡 敏孝君 理事 大串 正樹君

   理事 橋本  岳君 理事 三谷 英弘君

   理事 井坂 信彦君 理事 中島 克仁君

   理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君

      秋葉 賢也君    畦元 将吾君

      泉田 裕彦君    上田 英俊君

      勝目  康君    金子 容三君

      川崎ひでと君    塩崎 彰久君

      鈴木 英敬君    田所 嘉徳君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      高階恵美子君    中谷 真一君

      仁木 博文君    西野 太亮君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      三ッ林裕巳君    柳本  顕君

      山本 左近君    吉田 真次君

      阿部 知子君    大西 健介君

      神谷  裕君    堤 かなめ君

      西村智奈美君    山井 和則君

      柚木 道義君    吉田はるみ君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      遠藤 良太君    岬  麻紀君

      福重 隆浩君    吉田久美子君

      宮本  徹君    田中  健君

      福島 伸享君

    …………………………………

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   厚生労働副大臣      宮崎 政久君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   厚生労働大臣政務官    三浦  靖君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         横田 美香君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    依田  学君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 村山  誠君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           岸本 武史君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         山影 雅良君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     西野 太亮君

  本田 太郎君     泉田 裕彦君

  吉田 統彦君     神谷  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     本田 太郎君

  西野 太亮君     川崎ひでと君

  神谷  裕君     吉田はるみ君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田はるみ君     吉田 統彦君

    ―――――――――――――

四月五日

 介護保険制度の改善、介護従事者の処遇改善を求めることに関する請願(吉田統彦君紹介)(第八七三号)

 同(阿部知子君紹介)(第九四九号)

 同(阿部知子君紹介)(第九七六号)

 全ての看護職員の処遇改善に関する請願(吉田統彦君紹介)(第八七四号)

 最低賃金全国一律制度への法改正を求めることに関する請願(吉田統彦君紹介)(第八七五号)

 安全・安心の医療・介護の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願(吉田統彦君紹介)(第八七六号)

 同(阿部知子君紹介)(第九五〇号)

 同(緑川貴士君紹介)(第九五八号)

 福祉職員の最低賃金を千五百円以上にして、職員配置基準を引き上げることに関する請願(岡本あき子君紹介)(第八七七号)

 同(小沢一郎君紹介)(第八九八号)

 同(森田俊和君紹介)(第八九九号)

 同(田中健君紹介)(第九二七号)

 同(近藤昭一君紹介)(第九五一号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第九七七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇〇五号)

 国民を腎疾患から守る総合対策の早期確立に関する請願(青山周平君紹介)(第八七八号)

 同(泉田裕彦君紹介)(第八七九号)

 同(岡本あき子君紹介)(第八八〇号)

 同(奥野信亮君紹介)(第八八一号)

 同(亀岡偉民君紹介)(第八八二号)

 同(野田聖子君紹介)(第八八三号)

 同(平林晃君紹介)(第八八四号)

 同(山下貴司君紹介)(第八八五号)

 同(湯原俊二君紹介)(第八八六号)

 同(吉田統彦君紹介)(第八八七号)

 同(小渕優子君紹介)(第九〇〇号)

 同(関芳弘君紹介)(第九〇一号)

 同(田野瀬太道君紹介)(第九〇二号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第九〇三号)

 同(二階俊博君紹介)(第九〇四号)

 同(根本匠君紹介)(第九〇五号)

 同(根本幸典君紹介)(第九〇六号)

 同(福島伸享君紹介)(第九〇七号)

 同(福田昭夫君紹介)(第九〇八号)

 同(堀井学君紹介)(第九〇九号)

 同(御法川信英君紹介)(第九一〇号)

 同(吉川元君紹介)(第九一一号)

 同(井出庸生君紹介)(第九二八号)

 同(梅谷守君紹介)(第九二九号)

 同(大串博志君紹介)(第九三〇号)

 同(金子俊平君紹介)(第九三一号)

 同(小島敏文君紹介)(第九三二号)

 同(小林史明君紹介)(第九三三号)

 同(田中健君紹介)(第九三四号)

 同(棚橋泰文君紹介)(第九三五号)

 同(馬場雄基君紹介)(第九三六号)

 同(林佑美君紹介)(第九三七号)

 同(平口洋君紹介)(第九三八号)

 同(阿部知子君紹介)(第九五二号)

 同(田畑裕明君紹介)(第九五三号)

 同(細田健一君紹介)(第九五四号)

 同(緑川貴士君紹介)(第九六二号)

 同(古屋圭司君紹介)(第九八一号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第九八二号)

 同(上田英俊君紹介)(第一〇〇八号)

 同(渡辺創君紹介)(第一〇〇九号)

 国立病院の機能強化に関する請願(近藤昭一君紹介)(第九四八号)

 軍事費の拡大ではなく社会保障の拡充を求めることに関する請願(櫻井周君紹介)(第九五九号)

 同(牧義夫君紹介)(第九六〇号)

 同(山崎誠君紹介)(第九六一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九七八号)

 同(たがや亮君紹介)(第九七九号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第九八〇号)

 同(新垣邦男君紹介)(第一〇〇六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇〇七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

新谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官横田美香君、消費者庁審議官依田学君、総務省自治行政局公務員部長小池信之君、厚生労働省大臣官房長村山誠君、労働基準局長鈴木英二郎君、職業安定局長山田雅彦君、雇用環境・均等局長堀井奈津子君、人材開発統括官岸本武史君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官山影雅良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

新谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。

 今日も質疑の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 雇用保険と小林製薬の半々で通告しておりまして、先に小林製薬の方から入りたいと思います。

 日々、入院患者とか受診者とか相談件数とか、刻々と変化をしておりまして、健康被害はますます拡大してきているんじゃないでしょうか。最新の状況を教えてください。

武見国務大臣 受診者の方の人数は、四月三日水曜日現在で一千五十八名、それから入院が百八十八名、それから相談件数、これが四万件、こうなっております。

 なお、厚生労働省に消費者庁とともに設置をしましたコールセンターについては、問合せ数は二千八百二十一件でございます。

柚木委員 私の昨日の質問通告時点より、今私も初めて答弁で正確に聞きましたが、それぞれ、受診者は前回発表よりも六十人増えて千五十八人と今言われました。そして、入院患者は百八十八人ということであれば、前回発表より十一人増えている。さらには、小林製薬への相談件数は四万件ということであれば、前回発表よりも九千件も増えている。そして、厚労省コールセンター、二千八百二十一件であれば、前回よりも六百件増えている。本当にとどまるところを知らないような、拡大傾向に今あると思うんですね。

 そこで、是非、ちょっと一点伺いますが、私の前回質疑に本当に迅速に対応いただいて、体の異常を感じた方だけではなくて、本当に、摂取した方全てが受診あるいは保健所への相談、こういうことをしていただきたいとの通知を出していただいたのも昨日確認しておりまして、そこは感謝しております。

 ただ、いろいろな大学の、まさに腎臓学会含めて専門医の方が対応に当たられている中で、多分、私の記憶だと、最初にNHKで報道された日大医学部の阿部主任教授が、その他のいろいろなメディアにも実名でいろいろなコメントをされている中で、私、非常に気になるのは、小林製薬の紅こうじ問題は、ほぼ全ての患者にファンコニー症候群が起こる、そして、摂取を始めてから一、二か月程度で症状が出るケースもあって、そうすると、やはりほぼ全ての摂取者が検査を受けた方がいいのではないかと。この阿部教授も、放置をすると腎臓全体の機能が悪化し、慢性腎不全に至ると。

 そして、私も、前回申し上げたように透析患者さんと日常的な交流もあるものですから、本当に大変なんですよね、仕事しながらとか、いろいろな状況の中で。そういうケースに至ることを本当に防ぐ意味でも、摂取をされた、今回、三製品、回収になっている紅麹コレステヘルプ始め、摂取者、やはり全ての方々に対して検査を受けてほしい、こういう広報を是非厚労省として、小林製薬や大阪市とも連携して行っていただきたいんですが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 私どもも全く同様な懸念を持っておりまして、コールセンターには本当に様々なお問合せをいただいておりますが、例えば、委員御指摘の点については、身体に明らかな異常がない場合であっても、小林製薬による回収の対象となっている製品を摂取していたなどの理由で何らかの不安などがある場合には、医療機関等の受診又は最寄りの保健所に御相談いただくように、ホームページも含めて御案内をさせていただいております。

 引き続き、こうしたコールセンター等を通じて、御相談の問合せに対しては丁寧に対応をし、そして、これを服用されていた方々に対しては、やはり医療機関への診断、治療等に関わる対応をお勧めしているところでございます。

柚木委員 小林製薬の相談窓口や厚労省、消費者庁の合同の相談窓口の中で、医療機関受診の中でも、やはり、最近まで摂取していた人は症状が残っている可能性があって、しかも、摂取開始後一、二か月で症状が出てくるという時間差で症状が出てくるケースがあるということを是非なるべく周知をいただいて、そして、そういう方々には、腎機能検査、尿検査などを受けていただくようなことをちょっと具体で、相談をいただいたときに回答もいただくような、あるいは広報、周知をいただくようなことを是非お願いしたいんです。大臣、そこを一言お願いします。

武見国務大臣 この点に関しては、腎臓学会の方とも、今の時期にどういう症状の患者が出ているかということについての連携調査をやっておりまして、これらを踏まえて、実際に、先生御指摘のような、いつの時点で臨床症状が出てくるのか、腎臓に関しては症状が出てくるのが遅くなるケースがあって、それが大変懸念されますので、なるべく早くとにかく受診していただくようにすることが大切だという観点で、学会等とも連携して、迅速に対応するつもりでおります。

柚木委員 一応、恐らくこうだと理解しますが、最後、もう一点だけ確認です。

 迅速に医療機関を受診するというのは、私たちが聞くと、取りあえずお医者さんにかかって診てもらってくださいねというふうに受け止めちゃうんですよ。でも、時間差で症状が出てくることを想定する上で、やはり、血液検査とか尿検査とか検査を、受診の上、受けていただくということをセットで言っていただくという意味でよろしいですか。

武見国務大臣 御指摘の、実際の検査等の臨床の在り方については、学会とよく相談して、きちんとしたエビデンスに基づいて方針を決めさせていただければというふうに思います。

柚木委員 日本腎臓学会も、まさに今月一日の段階で報告された患者四十七人中四十六人でファンコニー症候群の症状が見られて、るる私が申し上げたような見解をお持ちのようですから、是非早急に確認をして、ちょっと週末が難しければ週明けにでも正式にちゃんと、検査もしっかりしていただくと周知徹底をいただけるという趣旨だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 法改正について伺います。

 山井議員からも質問があって、大臣も非常に問題意識をお持ちで、私も先週質問したときに同様の、非常に問題認識は共通していると思っておりまして。やはりポイントは、原因究明はもちろん必要だし、進めていただかなければいけません。他方で、それを待っていたら、本当に、御承知のように、大臣も大阪市長さんとも面会されていろいろな情報共有をされていると思いますが、原因究明に時間がかかる可能性がありますよね。ですから、五月末とか原因究明を進めた上でではなくて、それはそれでやっていただきながら、やはり、再発防止のための法改正というのは別途進めていただきたいんです。

 そして……(発言する者あり)ちょっと、不規則発言はなるべくやめてほしいんです。でも、重要な発言なんですよ。実は、原因が分からなくても健康被害の報告義務を課して、そして、それに応じて公表するということが重要なんですよ。なぜならば……(発言する者あり)ちょっと済みません、専門家が言っていることを私も聞いた上で発言していますから。

 これは一定の要件ですよ。例えば今回のように、先ほどの阿部主任教授を始め、本当にいろいろな、医療機関の中でも主任教授ですからね、あるいは腎臓学会、それで臨床もやっている、あるいは国民生活センターなどの公的な消費者の相談窓口とか、そういう客観性のある健康被害情報が複数以上あった場合には。これはまさにガイドラインの中にもそういったことが規定されていると思いますので、ガイドラインではそこは緩い、罰則規定もない、したがって、例えば食品衛生法の中に報告義務をきっちりと、これを省令ではなくて法律の中に明記することによって。法定化するということは、薬機法でも罰則規定とセットですから。まさに今回のような、二か月も報告がなく、公表がなかった、その間に摂取して亡くなられた方が含まれているという指摘もあるわけですから。

 原因が、それは、今だって、プベルル酸だって、文献も少ないし、なかなか分からないと言われている中で、しかし、摂取したことによって健康被害、特に今回は初の機能性表示食品で五人もの死亡者が出ているとするならば、やはり、原因が特定されなくても健康被害の情報が客観的に得られた場合には報告義務を課すと。これを是非、食品衛生法の中に、食品表示法の場合は消費者庁にも聞きますけれども、是非、食品衛生法の中に、法律に報告義務を明記いただきたいんです。しかも、この国会で成立をさせていただきたいんです。そうでないと、五月末では間に合いませんから。是非、法定化の議論を前倒しでお願いします。

武見国務大臣 官房長官の方から、当面の対応として、国立医薬品食品衛生研究所と連携して、引き続き原因物質の特定、分析を進め、その結果の速やかな公表及び原因究明を図る、そして、五月末を目途に、食品による健康被害等に関する情報収集体制の見直し及び国の関与の在り方について検討するという指示があったのでありますけれども、委員御指摘のとおり、まず、健康被害をこれ以上広げないということを原因究明と一緒にまずやらなきゃいけない。

 したがって、原因究明と同時にこうした回収作業を指導したわけでありますし、また同時に、服用しておられたと思われる方々、不安であれば医療機関に直ちに受診してくださいという働きかけをさせていただいているわけであります。

 やはり、こうしたしっかりとした原因究明、そしてまた疫学的な調査を通じた因果関係というものをしっかりと踏まえた上で、例えば、製造工程にどういう問題があったのか、あるいは、安全管理というガバナンスにどういう問題があったのか、こういったことを徹底的に調べて、再発防止のためにはどういうルールが今後必要になるか、こういう考え方で私はしっかりと対応していきたいと思います。

柚木委員 そのスタンスは結構なんですよ。ただ、五月末だと、この会期末に解散があるかどうかも分かりませんけれども、やはり、次の国会とか来年の通常国会とか言っていたら、事は小林製薬さんだけの話にとどまりませんので、今のようなスタンスでやっていただいて結構なんですが、五末ではなくて。

 これは並行してできると思うんですよ。私、昨日、わざわざ薬機法の担当者にも来ていただいて、そして衛生法や表示法の担当者ともやり取りをして、どうやってこれを衛生法、場合によっては表示法に落とし込んでいくかという議論をテクニカルにやっていますので。その議論、できますから、並行して。

 だから、五末ではなくて、やはりこの国会中の、最後、皆さんが、理事の先生方も含めて、あるいは田村先生も含めて、いろいろなお力添えをいただければこの国会で必ず成立しますから、是非そのスケジュール感で、五末じゃなくてもうちょっと前倒しで、並行してこの報告義務の法制化について検討、議論、進めてください。お願いします。

武見国務大臣 原因究明等に関わるプロセスというのは、でき得る限り迅速にやらせていただくようにいたします。そして、その上で、先ほども申し上げたようなルールに関わる御議論を立法府でも当然やっていただくことになるんだろうと思います。

 そして、やはり、これは国民の命に関わる問題だということは、今回、五名も既にお亡くなりになられた方がいるというのは相当重く受け止めなきゃなりません。したがって、その上で、是非、先生方ともしっかりと連携をして、こうしたルール化、そして、もしそれが法制化が必要とするということであれば、法制化についての手続を迅速に行うということになるのではないかと思います。

 ただ、いずれにせよ、こうしたことをやるときには、しっかりとした科学的なエビデンスをしっかりとそれぞれのレベルの中で確認をして行うということが私は必要だと思います。是非、その点についての御理解はいただきたいと思います。

柚木委員 理解はしますので、それはそれでやってください。それで、五末にちゃんと見解を示してください。ただ、五末にならないと法制化の議論はできませんでは、やはり遅いですよ。並行して、ちょっとでもその部分は、五末ではなくて前倒しで検討を是非指示してください。お願いします、大臣、一言。

武見国務大臣 私もこの点に関しては、特に、報告が、保健所であるとか大阪市に対する報告、それから厚生労働省に対する報告が二か月近く遅れたということは極めて遺憾な話だ、こういうふうに思っておるわけであります。したがって、こういうことが二度と起きないような新たなルール化は当然必要になってくるんだろうと思います。

 しかし、それはまた同時に、製造工程にどんな原因があったのかということに関わる分析を科学的にきちんとやって、そしてそれをやりつつ、今度は、実際に最初にかかるのは、医師に診療にかかるわけですね。そうすると、最初、医師は、その症状がどういう原因に基づいた症状であるのかというのは分からないわけです。したがって、それらの情報が集積されて初めて、同じものによる原因でこういう症状が表れたということが分かってくるわけでありますから、そのプロセスをどう迅速化することがルールによって可能かということを議論するということが私は非常に必要だと思います。

 それはできるだけ迅速にやることはお約束いたしますので、その点、御了解いただければと思います。

柚木委員 できるだけ迅速にというのが、五月末よりも、ちょっと初めての答弁なので、そこに期待しますので。本当に、我々、まさに健康被害防止法案として今、党内でも議論を進めておりますので、我々も法案を出しますので、是非、政府としても前倒しでよろしくお願いします。

 どうも、なかなかすぱっとした答弁を、問題意識は持ちながらされない中で、ちょっと今ちょうど言われましたよ、二度と起きない新たなルールが必要。さっき大臣、冒頭の閣議後会見で、私も全部聞いておりましたが、政治と金の裏金問題についても一政治家としてコメントされていましたよ。私、そっちも新たなルール、二度と起こらないために必要だと思うんですよ。

 今回、皆さん御存じですか、小林製薬さん、私もびっくりしましたよ。資料八ページ目、自民党さんの政治資金団体、国民政治協会に三十四年間にわたって、平成元年から千三百九十一万円も献金しているんですよ、千三百九十一万円。おまけに、安倍総理の自民党の第四選挙区支部、分かっただけでも、過去三年間、令和二年二十万、令和三年三十万、令和四年は、お亡くなりになっているので代表が安倍昭恵さんになって十万。年間三回だったところが、亡くなった年は一回ですよ。

 本当に、裏金、キックバック、脱税、処分、そして政治をゆがめているんじゃないかということで、昨日も街頭アンケートでは、政治資金の透明化というのを一番求めているんですよ、国民は。

 まさにこういうことが……(発言する者あり)これは載っているからいいですよ。これが裏金化していることが今回問題になって、処分されたんでしょう。国民政治協会、毎年三十億円近く集まっているじゃないですか。機能性表示食品の売上げ上位企業も全部調べましたよ。ばんばん献金しているじゃないですか。こういうことが……(発言する者あり)いや、献金は表でしていても、皆さんが裏金化していたから今回処分になったんでしょう。だからやめませんか、是非。

 私、びっくりしましたけれども、この小林製薬は、一九九三年以降、三十一年間で十七回も製品回収をやっていますよ。おまけに、二〇一一年には、子会社の小林メディカルが医療機器の試験データ改ざんで薬事法違反で業務停止命令、行政処分ですよ。こういうことをやっている間も、その年も、毎年毎年、一年も途切れることなく献金しているんですよ。

 私が言いたいのは、そういうところから献金を、今の感覚、びっくりしますよ、受け取り続ける、そういう姿勢が国民から見ても乖離しているんじゃないですか。

 少なくとも、そんないろいろな行政命令を受けている、これは、一政治家としてさっきこうコメントされましたよ。国民にきちんと理解を得られる努力を常にしなくてはならない。一字一句違いません。大臣のコメントですよ、国民の理解を得るために。これは直近が令和四年までですから、少なくとも、今現在も小林製薬から政治献金を自民党の政治資金団体が受けているというようなことであれば、それは、即刻献金停止、岸田総理にそのように進言してください。お願いします。

武見国務大臣 個別の案件あるいは党の方の御決断に私の方から今とやかく言える立場ではないのでありますけれども、ただ、一政治家として、やはり、今回の政治と金の問題というのは、大変に国民の不信を買ってしまう、誠に反省すべき深刻な事態であって、こういうことを二度と起こさないようにしっかり努力をすると同時に、やはり、こうした問題に関わる説明責任、透明性の確保というのは、私は、本当に大事だという点については、先ほども記者会見の中でも申し上げた次第であります。

柚木委員 ちなみに、安倍元総理、今、昭恵さんがなった、自民党の山口県の第四選挙区支部も、過去三年分だけじゃなくて過去十年分まで遡りましたよ。二百八十万円ですよ、現会長の個人献金。

 安倍総理にも献金、自民党にも献金、機能性表示食品の売上げ上位ランク企業。まあ、余り挙げるとちょっとあれですから、安倍総理との交流ももう皆さん周知の例えば富士フイルムの古森元会長なんかも、まさにパー券も含めて献金、自民党にもしている、パー券も買っている。こういうことが、国民から見たら、しかもそれが裏金につながる、キックバック、脱税、今不信を増幅させているんじゃないんですか。

 是非、一政治家として、こうした利益関係にあるような企業・団体献金は禁止する、所管の厚労大臣として見解を述べてください。

武見国務大臣 まさに今、立法府の方で、こうした政治と金の問題についての在り方、法整備を含めて御議論をされているところだというふうに思います。今政府の中にいる立場の者として、とかく言うべきことではないかと思います。

 ただ、先ほども申し上げたとおり、やはり、国民の不信を買ってしまったことに関わる我々の責務というのは、これを再発させないように、そして、政治と金の問題に関わる透明性、説明責任というものをきちんと果たすというその姿勢をしっかりと国民にお示しすることが今私どもにとっては大変大切なことだろう、こう思います。

柚木委員 武見大臣御自身も、勉強会、セミナー、過去十回を見ると、一千二百万、三百万、多いときは二千百万、二百万と、それぞれ名立たるホテルでされていますよ。やはり、李下に冠を正さず、是非、国民の疑念を、今、厚労大臣ですからね、特に。やはり、企業・団体献金、そしてパー券、そういったところは、岸田総理も含めて、まさに今回処分して、岸田総理だけ処分がないのは何でなんですか。だって、安倍派の座長の塩谷さんは、異議申立て書の中で、岸田総理は、派閥の会計責任者が立件されていて、何で、岸田総理に処分がないのはおかしいと。

 国民目線、一政治家として見て、厳格に処分しましたと言って自分だけ処分しないのはどう見えると思いますか。いかがですか。

武見国務大臣 今まさに私は政府の立場にいて、そうした党の御判断に関して今申し上げるというのは控えさせていただきたいと思います。

柚木委員 普通は、その後に、とはいえと一言、さっきまでつけていらっしゃいましたよ。

 本当に、やはり私は、正直、二階さんも、金額ベースでいうと、私が国民の立場を思うと、全員処分して、申し訳ないけれども、五百万で線を引かずに。自分も処分、岸田総理自らを。その上で、国民に政治資金の透明化を掲げて。我々も、企業・団体献金の禁止とか、あるいは、本当に隠蔽できないように、いろいろな形で透明化を含む法案を、まさに今月から政治改革特別委員会で、私もメンバーに入らせていただくようなので、議論しますよ。是非、せめて岸田総理、処分なし、これはちょっとやはり。今後、補選もありますよね。国民は評価しますよ。全員処分して、自分も処分をすれば、少なくとも国民の理解は進むと思いませんか。一言是非お願いしますよ、一政治家として。

武見国務大臣 私は、やはり、党においてお決めになったことについて、今まさに内閣の一員としての立場で行政府に身を置いておりますので、あえてコメントは控えさせていただきます。

柚木委員 大変残念ですよ。やはり、そういうところで大臣が、この小林製薬の問題も含めて、これだけ三十四年にわたって千四百万円も自民党さんに献金していて、安倍さんにも、昭恵さんにも含めて十年間で二百八十万円も献金していて、そういう中で、疑いを持たれないように、機能性表示食品は安倍案件と言われていますよ、本当に。そういうことのまさに疑念を払拭する上でも、今回の裏金、キックバック、脱税問題の処分を、やはり総理自らも処分して、全員処分で出直す、そういうことでなければ国民の信頼は得られないと思いますよ。

 ちょっと私、消費者庁も来ていただいているのでこれはまとめて伺います、さっき事前に伝えていますので。食品表示法上も、報告義務をそれぞれに課すというのは可能なんですよね。まずそのことを答えてください。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 食品表示法のたてつけといたしましては、食品関連事業者が販売をするに当たって遵守すべき食品表示基準というものを内閣府令で定めておりまして、それを遵守していないと思われる事業者に関しましては、立入検査等の報告を求めまして、指示、命令、そして刑事罰を科す、こういう構成でございます。

柚木委員 それを是非、衛生法の方でも、入口、出口ですよね、まず、私、届出制もこの後聞きますけれども、一部許可制なり必要だと思いますけれども、入口、出口でそれぞれやはりきちっと報告義務を課す、あるいはどっちかに統一するならそれでも結構ですからやっていただきたいんです。

 次、まとめて聞きますが、まさに、安全性と有効性を示す論文の形式さえ整っていれば機能性表示食品として登録できちゃうんですよね。でも事後チェックできているのは一割程度ですよ。もうちょっと事後チェックを増やす必要があるんじゃないですか。

 しかも、チェックした製品、どういう基準でチェックがされるんですか、そして、チェックする項目、内容、そしてチェック後に何がどう改善されるんですかと聞いたら、公表していないんですよ、そもそも。それで分析、検証事業という予算事業をやっているんです。これはちゃんと分かりやすく公表してほしいんです。

 それで、私も消費者庁のデータベースを見ましたけれども、一五%は更新されていないんですよ、そもそも情報が。ちゃんと更新させてください。資料の四ページ、五ページ目にその部分をつけております。

 そして、更新するだけじゃなくて、読んでみると非常に分かりにくいです。こんなものを国民に丸投げする姿勢は、責任ある姿勢とは言えません。やはり、普通見るときに何を気にするかといったら、どういうふうに効くのかな、どうなっていたら効いていないのかな、あるいは、こういう症状が出ていたら副反応じゃないかしら、病院に行かなきゃいけないんじゃないかしら、そういうのを聞きたいんですよ。専門的な成分とか云々かんぬん、いっぱい書いてあって、論文がこうだとか。そうじゃなくて、国民が求める情報を分かりやすく、この消費者庁のデータベース、機能性表示食品の一覧表に示していただきたいんです。

 以上、まとめて答弁をお願いします。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 何点か御指摘いただいたと認識しております。

 まず、事後チェック。

 基本的に、事前の形式的な確認をさせていただきますけれども、基本的に事後チェックによりまして表示の適正化を図っていく、こういうたてつけの制度でございます。したがいまして、機能性関与成分の分析方法の検証、あるいはその機能性関与成分がきちっと入っているのかどうか、こういった事後チェックの調査事業をやってございます。

 こちらの選定基準でございますけれども、調査対象となる可能性の高い食品とそうでない食品について、事業者の対応の差が生じるということは、これは調査事業の趣旨として適当ではないということでございまして、その点については公表させていただいておりません。買上げ調査につきましては、これは、件数ベースではございますけれども、公表してございます。

 データベースの件でございます。

 基本的に、この制度におきましては、科学的根拠について、基本的に全て公開、事業者に公開させるというところがこの制度の非常に主眼だと認識しております。その点、ホームページ等について、見やすくないとか、あと、ホームページの奥の奥まで行かないとアクセスできない、こういった御批判については真摯に対応すべきだと考えておりまして、令和七年度からはDX化も検討もしております。そういった形で、消費者のアクセス改善ということについては不断に取り組んでまいりたいと思います。

柚木委員 もう雇用保険に行きたいので、最後、大臣に一言だけ。

 今回、今、調査が合同で、大阪も調査チームを含めて立ち上げてやっていますけれども、私、雪印の例も、昨日、通告のときに言いましたけれども、あのときは、幸いなことに死者がなくて、業務上の過失致傷罪で、二〇〇〇年に一万三千人以上が食中毒で、当時、工場長ら二人が有罪判決、雪印の会社自体も食品衛生法違反で有罪判決ですよ。今まさに調査は進んでいますけれども、調査が二か月遅れたことで、原因究明も遅れるわけですよ。まさに今私たちが言っているような被害防止のための対策も遅れているわけですよ。

 文春、新潮にもいろいろな、今回出ていますよね、報道が。小林製薬さんの、今の社長さんはちょっとおとなしそうな人ですけれども、会長さんが実権を持っていて、やはり隠蔽体質ということ、元幹部社員もそういうことを述べたり、過去に、先ほど申し上げましたように、薬事法違反で業務停止命令とか、三十一年間で十七回も製品回収を行っているとか、様々ありますよ。

 そういう中で、故意に、本当に、まあ原因究明と言っていても、直近の報道でも出ていますけれども、企業によっては、公表のガイドラインを、健康被害が出て疑われる場合は速やかに公表するというガイドラインを持っている企業と、小林製薬さんのように、いや、原因究明してからだと。二か月遅れたわけですよ。原因究明を表向きの理由にして、文字どおり故意に隠蔽していたりして二か月遅れたんだったら、国家公務員法上も、まさに私、刑事告発の義務が、刑事訴訟法二百三十九条第二項、告発しなければならないとあるわけですよ。調査の進捗によっては、大臣自体が刑事告発する可能性があるんじゃないですか。いかがですか。

武見国務大臣 これはまさに、今進行中の原因と因果関係等の究明、そして疫学調査も含めて、ガバナンスに関わる調査、これらを徹底的に行うということが大前提であります。

 個別の犯罪の成否については、これは捜査機関によって個別に判断されることですので、私どもの方は、まずそこを見ておかなければならないと思います。しかし、原因と因果関係の究明等について、これは徹底して行って、それを踏まえて、その次のルールの在り方、そして、もしそこに犯罪性というのがあるとすれば、それはそこでまた改めて、また別途考えなきゃいけないことになるんだろうと思います。

 しかし、まず第一前提が原因究明であるということについては、是非、御理解をいただきたいと思います。

柚木委員 これでもう雇用保険に入りますが、今、ちょっと大臣の答弁、にじみ出ていたと思いますよ。やはり、二か月公表が遅れたことで、その間に摂取した人が死亡者の中に入っていたりすると、本当に、制度が始まって十年、まさにアベノミクス、規制緩和の一つの目玉の機能性表示食品、二〇一五年解禁。故意だったら刑事告発だと大臣が怒っていたというのは聞いていますからね。本当に、にじみ出ていましたよ、今の答弁で。今後の捜査の進展によっては、やはり私は、刑事告発はやむを得ない可能性もあると思いますので、そこも、献金をこれだけもらっているからといって、そういうことにちゅうちょすることなく、きっちりとやっていただきたいと思います。

 雇用保険に入ります。

 大西議員が三月の二十九日に本会議で質疑していた中で、ちょっと私も、もう少しちゃんと具体の答弁をいただきたい部分をお聞きします。

 まず、不本意非正規雇用者の正社員転換について。

 ちょっと答弁は、いろいろなことをやっていますという答弁なんですけれども、そもそもの大西議員の質問の趣旨は、この間、非正規雇用者がまさに、まあこれも労働の規制緩和ですよ、どんどんどんどん安倍さんの時代に拡大して、そして、正規転換はちゃんとするという前提で、まあ私たちはそれを危惧しましたけれども、やはり正規転換にならずに、今、働く人の四割、約二千万人が非正規で。

 私が、全体でどれぐらい正規転換は進んでいるんですかと言ったら、何か、政府の方は、不本意非正規雇用の方の部分のデータだけは持ってきたけれども、私は、もっと全体の非正規雇用がどういう形に今なっているんですかというふうにお尋ねをしましたので、どれぐらい全体としての正規転換が進んでいて、そして、進んでいないとするならば、そのための課題は何で、どう対処するのか、そこを答弁お願いします。

武見国務大臣 正社員に転換した労働者数を網羅的に把握をした統計というのはございませんけれども、総務省の労働力調査によりますと、過去三年間に離職した者について、前職が非正規雇用労働者で現職が正規雇用である者の数というのが出ておりまして、これによりますと、二〇二三年の調査では七十七万人となっております。

 また、いわゆる不本意非正規雇用労働者の数は、二〇一三年の三百四十二万人から二〇二三年の百九十六万人まで、この十年間で減少をしております。

 厚生労働省としては、引き続き、企業内での正社員への転換に取り組む事業主への支援、そして、ハローワークにおけるきめ細かな就職支援によりまして、希望する方の正社員への転換を着実に進めていきたいと思います。

柚木委員 今の御答弁も確かにそのとおりなんですけれども、不本意非正規の部分はそのとおりなんですが、全体の非正規雇用の方はどんどんどんどん拡大傾向で、今、正規転換できたといったって、百万人に単年度で見ると満たないわけで、五%未満なんですね。ですから、やはり、不本意非正規とくくられていなくても、正規で働ければ、あるいは、これから異次元の少子化対策をやる中で、見通しが立たなければ、結婚、出産、子育て、見通せませんよ。ですから、やはり、正規転換、正規雇用、こういったものを増やすための、まさに法律の運用も含めてですね。

 この質疑の中で、私もちょっと遅いなと思ったのは、もう一つの質問に行きますけれども、例えば、いわゆるマルチジョブの方、こういう方も、二つ以上の雇用関係を合算する仕組みにした上で、十時間以上就労する雇用の全ての加入者を対象とすればよい、そういうふうな大西議員の質問に対して、令和四年一月から、六十五歳以上の労働者を対象として、特例的に二つの事業所における労働時間を合算して適用する制度が施行され、施行後五年をめどにその効果等を検証して適切に対応と。これは遅過ぎますよ。

 今この瞬間、人が足りません。しかも、団塊世代が、私の両親もそうですけれども、今年から全員、後期高齢者の年齢に入って、あと五年もすれば、ますます本当に人手不足。最後、訪問介護のことも聞いていますけれども、訪問介護現場なんか、老老介護というのは、家族間だけじゃなくてヘルパーさんも老老ですからね。ますます進むわけですよ。

 ですから、もっと早くサンプル調査なり中間検証なりやって、是非、十時間以上の就労者全てが雇用保険に加入して、セーフティーネットの強化拡大、是非検討いただきたいんですが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 今般の雇用保険制度の見直しについては、労働政策審議会で御議論をいただいた際には、この特例措置の実施状況もお示しして御議論をいただいたところなんであります。その結果、一つの雇用関係についてのみ適用する現行の方式を維持した上で、特例措置の実施状況の把握と検証を行って、そして、マルチジョブホルダーへの雇用保険の適用の在り方等について引き続き検討するということとなっております。

 したがいまして、引き続き、六十五歳以上を対象とした特例措置の施行状況をしっかり注視するとともに、その効果検証の結果を踏まえて、必要な検討を行ってまいりたいと思います。

柚木委員 最後にします。前倒しです。まとめます。

 介護休業給付も、訪問介護は四月から基本報酬を削減して、間違いなく小規模事業者は潰れます。ヘルパーの待機、高齢者の方は今一か月とかいうのが二か月、三か月になります。そうすると、介護休業が延びる、介護給付費が増えるどころじゃなくて、介護離職も増えるんです。どういうことが起こるかというと、大西委員が指摘したように、介護休業給付も増えるだけじゃなくて、介護休業じゃ済まなくなって介護離職すれば、失業給付支給額も増えるんですよ。

 ですから、介護休業の給付も、失業給付支給額も、国庫負担を本則に戻すというのがそれぞれあるわけですね。失業給付の支給額も含めて本則に戻すという検討を、是非前倒しで検討を進めていただきたいんですよ。まとめて御答弁をお願いします。

新谷委員長 武見厚生労働大臣、簡潔にお願いいたします。

武見国務大臣 はい。

 二つの御質問がありましたけれども、介護休業給付の給付総額については八十億円弱であり、一体的に経理している失業等給付全体の給付総額に占める割合は小さいということがございます。

 こうした中で、国の厳しい財政状況やただいま申し上げた雇用保険の財政状況なども踏まえまして、労働政策審議会での議論も踏まえて、国庫負担割合を八十分の一とする暫定措置を令和八年度まで延長することといたしました。

 その上で、介護休業給付の国庫負担の原則的な負担の割合について考え方は変わるものではなくて、本法案の附則においても、令和九年度以降できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとする、こういう規定となっております。

 それから、失業給付の国庫負担の方に関しましては、これは雇用情勢及び雇用保険財政の状況に応じて、負担割合を四分の一又は四十分の一とした上で、こうした定率の負担とは別枠で機動的に国庫繰入れができる仕組みとしております。

 こうした仕組みの下で、雇用保険制度のセーフティーネットの機能を十全に果たすことが可能と考えておりまして、引き続き、こうした国庫負担の仕組みを通じて、国の雇用政策に係る責任を果たし、雇用保険財政の安定的な運営を図っていきたいと考えます。

柚木委員 終わりますが、今日できませんでしたが、社会保険料の目的外使用、子育て支援は重要だけれども、医療保険のみならず雇用保険とかいろいろな社会保険の目的外使用、流用はやめてください。そのことは今日できませんでしたが、お願いをして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、高階恵美子君。

高階委員 おはようございます。

 桜咲く新年度となりました。大臣始め関係各位には、日々の精励に感謝を申し上げ、質問させていただきたいと思います。

 まず、現下の雇用情勢についてであります。

 求人動向等を見ますと、比較的堅調に推移しているという状況でありますけれども、こうした中での法改正となります。一体どういった効果が見込まれるか、まずは確認をさせていただきます。

山田政府参考人 今委員が御指摘されたとおり、現在の雇用情勢は、求人が底堅く推移しており、緩やかに持ち直している状況であり、また、女性や高齢者等の多様な人材の労働参加が進み、働くことに対する価値観やライフスタイルの多様化が見られているところであります。

 そうした中で、労働者の生活と雇用の安定を図る観点から、それぞれの労働者がその希望と状況に応じて持てる能力を十分に発揮できるよう、多様な働き方を効果的に支えるとともに、労働者の主体的なキャリア形成を支援する必要があると考えております。

 そのため、今回の法案では、雇用保険の適用範囲の拡大や、教育訓練やリスキリング支援の充実等の措置を講ずるとともに、男性育休の大幅な取得増等に対応できるように、育児休業給付を支える財政基盤を強化するため、育児休業給付に係る安定的な財政運営を確保する措置等を講ずることとしております。

 これらの措置により、景気変動、技術革新、ライフスタイルの変化等の雇用を取り巻くリスクへの備えが一層充実し、急激な社会経済情勢の変化に対応した総合的な雇用のセーフティーネット機能が強化されるものと考えております。

高階委員 様々な課題への対応を視野に入れながらということでありますけれども、続いて、被保険者要件の変更によりまして拡大される対象、この方々の、法令の趣旨に合致した恩恵を受け得るのかといったところを確認させてください。若い年齢層、そして女性、六十五歳以上の高年齢被保険者、いかがでしょうか。

山田政府参考人 本法案では、雇用のセーフティーネットの対象範囲を拡大する観点から、週所定労働時間十時間以上から二十時間未満の労働者を新たに雇用保険の適用対象とすることとしており、これにより、現在の被保険者の約一割に相当する約五百万人が新たに適用を受け得ることとなっております。

 新たに適用対象となる労働者を、今先生御指摘のあった年齢別とか性別とかいう角度から見ると、六十五歳以上の高齢者が最も多く、特に男性では約三分の一を占めております。一方、女性についても六十五歳以上の高齢者の割合は高いんですけれども、より幅広い年齢層に分布していて、四十歳から六十四歳までの五歳刻みの各年齢区分でそれぞれ約一〇%を占めております。

 今般の適用拡大で新たに雇用保険の被保険者となることにより、万が一の失業リスクに対応する失業時の給付のみならず教育訓練給付等も利用できるなど、若い世代のみならず中高年、高年齢者の方々にも様々なメリットがあり、こうした点の周知もしっかり努めてまいりたいと思います。

高階委員 働く世代それぞれにフォーカスをしながらということでありますが、事業者の側にとっても分かりやすい広報というのは非常に重要だと思いますので、この点への配慮というのを引き続きお願いしたいと思います。

 さて、急拡大する育児休業給付、先ほども財源の話がございましたけれども、区分経理の導入後、受給実態が明確に把握できるようになりました。男性育休取得八五パーという目標設定もしているところ、これからの急激な伸びを考えていきますと、財政基盤の一層の強化というのは非常に重要なことだと考えます。

 いかなる展望をお持ちでしょうか。まず伺います。

山田政府参考人 議員が今御指摘されたとおり、令和二年の雇用保険法等改正においては、育児休業の取得促進等によって育児休業給付の給付総額が一貫して増加しており、基本手当に匹敵する水準に達していることを背景として、育児休業給付と失業給付を区分して経理することといたしました。これにより、育児休業給付について給付と負担の関係が明確となり、均衡を考慮した制度運営が可能となっております。

 育児休業給付の受給状況については、令和二年以降も増加を続けており、令和四年度では初回受給者数は約五十万人、総支給額は約七千億円となっております。また、育児休業給付に係る財政状況につきましては、現時点では収支がほぼ均衡している状況であります。育児休業給付の資金の残高が今約三千三百億円ございますが、今後の男性育休の大幅な取得増等に対応できるように、本法案では、令和六年度から国庫負担割合を八分の一に引き上げるとともに、当面の保険料率は現行の〇・四%に据え置きつつ、今後の保険財政悪化に備えて本則料率を令和七年度から〇・五%に引き上げる改正を行うとともに、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整する仕組みを導入する、そういったこととしております。

高階委員 まだまだ給付は増えるという状況なので、推移をよく見守りながら、安定的な運営をお願いしたいと思います。

 さて、健康寿命の延伸とともに、生涯に働く期間も、従前ですと四十数年ぐらい、四十年前後を想定できたわけですけれども、今は既に六十年も視野に入っている、働く期間が比較的長くなってきている、そういう渦中にあると思います。この先、人生百年を前提として、労働者一人一人が自分らしい働き方をデザインしていく、そうなってきますと、先ほど柚木委員も質問されておられましたけれども、家族の介護、あるいは、女性特有の体調変化への対応といったことも一層重要な課題になってまいります。

 ところが、既に制度化された介護給付はどうかといいますと、先ほどの議論のとおり、おおむね現在八十億ということでありますから、見直しを経てもなお給付は伸びず、休むより辞めるという選択が優先されている、こういう状況だと思います。両立に悩んだ結果、不本意ながら就業の継続を諦める、あるいは、働き続けたところ、後に自責の念が残ってしまった。著しいQOLの低下を経験している労働者の数は少なくない状況であります。

 雇用を守るという観点から、労働者の考慮すべき生活課題に一歩踏み込んで、介護離職の動向を構造的に分析をするなどして、より効果的な両立支援制度へとつなげていただきたい。いかがでしょうか。

堀井政府参考人 お答えいたします。

 今、高階委員から御指摘がございましたように、今の現状を把握をした上で効果的な対策を取るということは大変重要だと考えております。

 その関連で、労働者の介護の実態や介護離職の状況について御説明をまずさせていただきたいと思いますが、五年ごとに総務省が実施をしております就業構造基本調査によれば、平成二十九年から令和四年までの五年間で、働きながら介護を行う労働者の数は約十八万人増加をしている一方で、介護等を理由として離職をした方の数は約七千人増加をしているという状況でございます。

 そして、介護離職の要因につきましては、勤務先や家族、サービスに起因するものなど、様々なものがあると考えられますが、仕事と介護の両立を支える介護休業や介護休暇の利用が低水準にとどまっていて、離職の要因の一つに、両立支援制度が整っているにもかかわらず利用が進んでいない、そのような課題があるというふうに考えております。

 このようなことから、委員御指摘のように、効果的な対応策ということで、関係の審議会でも御議論いただいた結果、仕事と介護の両立支援制度の利用促進を図るために、労働者に対して両立支援制度に関する情報を個別に周知をして、その利用の意向を確認することなどを事業主に義務づけるための育児・介護休業法等の改正法案を今国会に提出をさせていただいております。

 引き続き、様々な状況を把握をしながら対策を講じていきたいというふうに考えております。

高階委員 関連ですが、先月、米国のバイデン大統領夫妻が、女性の健康に関するホワイトハウスイニシアティブを立ち上げまして、大変称賛を浴びているところであります。

 これまで、ひたすらに男女に同じ土俵をと主張して意識改革を促してきた、そういう段階は少し過ぎて、これからは、個性あるいはその持ち味、各々の状態を生かした形で活躍していく包摂社会を整えるという形で、雇用の環境の考え方、在り方についても、時勢に応じた変化が求められてきていると感じます。

 例えば、女性特有の年代別健康課題に対応する就業継続等の支援、これを戦略的に導入するなどして、就業女性のキャリア中断、あるいは役職の辞退を実質的に低減する、こんな戦略的な女性活躍戦略というのは取れないものでしょうか、宮崎副大臣。

宮崎副大臣 今、高階先生から、女性特有の健康課題という御指摘がございました。大変重要な御指摘だと思っております。

 先生におかれましては、今から十年前、二〇一四年、女性の生涯の健康に関するプロジェクトチームを党で組織していただいて、その後、数次にわたって政府に対して関連の提言をいただいております。政府でも、先生の御提言を受けて、女性版骨太の方針に女性の生涯にわたる健康への支援等が盛り込まれるようになったり、我が省においても、健康局の方に女性の健康推進室を設置して、今こういった取組を進めさせていただいておりまして、これまでの引き続きのお取組に敬意を表するとともに、また感謝を申し上げているところでございます。

 その上で、ただいまの御質問でありますけれども、令和四年七月に、女性活躍推進法に基づいて、従業員三百一人以上の企業を対象に男女間の賃金差異の情報公表を義務づけたということがございます。

 男女間の賃金の差異は、長期的に見ますと縮小の傾向にあるわけでありますけれども、女性管理職比率の低さであったり男女間の勤続年数の違いなどがございまして、いわゆるL字カーブを是正して、希望する女性がキャリアを中断することなく、その個性や能力を生かして女性管理職として活躍するための環境整備を進めることが必要であると考えております。

 厚生労働省においては、今年の二月から、雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会を開催をさせていただきまして、現状の論点、施策の方向性について専門家の皆様から知見をいただいているところでございます。

 この検討会の中では、先ほど先生からも御指摘がありましたように、生活やキャリアの在り方が変わっていく中で女性活躍を推進していくために、例えば月経、不妊治療、更年期などの課題を取り上げることは働く女性自身と企業の双方にとって重要であるという認識を持ちまして、直近では、三月二十六日に開催した検討会において、女性特有の健康課題について、有識者、また先駆的な取組をしている企業のお取組についてのヒアリングも実施させていただいているところでございます。

 こういった視点も踏まえまして、検討を深めてまいりつつ、女性の活躍の推進に向けた施策の充実を更に図ってまいりたいと思っているところでございます。

高階委員 分野横断的な協力体制の整備というのも非常に重要だと思っています。今話題にありましたように、女性では三十代の後半から急激に妊孕性が消退する、こういう状況に伴って、疾病リスクが高まる状態へコンディションが大きく変わっていきます。この年代をターゲットにして、事業主による包括的な支援を促進するということも有効だと考えられています。

 経産省では、性差に基づく健康課題のうち、特に規模が大きくて、経済損失が短期間に生じる、こうした課題に焦点を絞って労働損失に関する調査を行っています。あらゆる年代の女性が健康活力社会を牽引していくという観点に立てば、極めて重要な考え方、調査だというふうに思っております。今後、これをどういう形で政策に反映していくか、お考えを伺います。

山影政府参考人 お答えします。

 経営者がまさに従業員の健康増進に戦略的に取り組むこと、これは、人的資本投資の土台となり、生産性向上、ひいては企業価値の向上につながると考えてございます。経済産業省では、これまで、健康経営と銘打ちまして、その推進に積極的に努めてきたところでございます。

 また、近年、とりわけ女性特有の健康課題が業務効率あるいは就業継続に大きな影響を与えており、健康経営を進める上で、男女の差による健康課題をよく理解して、より細やかに取り組むことが重要と考えてございます。

 先ほど御指摘がありましたとおり、この度、女性が長く働ける環境整備を広く促す趣旨から、女性特有の健康課題による経済損失を可視化したところ、更年期症状による労働損失等の経済損害額は社会全体で年間約三・四兆円という推計をいただきました。

 女性を始めとする多様な人材の活躍とイノベーションの創出、これは企業のパフォーマンスと一定の相関があると考えてございますものですから、既に一部の企業では、社内研修、あるいはアプリを使った健康管理など、性差に基づく健康課題に配慮した取組が行われておりますけれども、仮に日本のあらゆる企業、法人が取り組んだと仮定いたしますと、先ほど申し上げました経済損失、年間最大で一・一兆円縮減が可能との推計も得られています。

 経済産業省といたしましては、職域において性差を捉えた取組を推進していただきまして健康経営の質を上げていただく、こういうことを通じまして、社会経済の損失規模を縮減するとともに、企業のみならず社会全体の活力向上につなげていただきたいと考えてございます。

 引き続き、厚生労働省を始めとする関係機関と連携しながら、健康経営を推進しまして、女性を含めた多様な方々がより多く健康的に充実して働いていただけるような職場環境を整える、その支援をしてまいりたいと考えてございます。

高階委員 ありがとうございます。

 三・四兆円という規模はGDP全体から見てもそんなに小さい額じゃないと思いますし、それに対して現行の育児休業給付相当の額を投じていく、そういう流れをつくることによって更なる経済活性化ということも期待はできるわけですので、こういった知見の共有もしながら、次の政策へつなげていただければというふうに思います。

 最後に、教育訓練給付の課題と展望について伺います。

 それぞれ指定講座数が増えてまいりまして、情報提供システムも大分分かりやすいように充実してきていると感じます。一方で、これを受講する方の数を見てまいりますと、思ったほど伸びてはいないという実態だと思います。

 キャリアを中断せずに学ぶこと、あるいはキャリアを継続しながらやったその先に更なる展望が描けるかどうか、こういったことがすごく大事なんだろうと思いますが、ちょっと伸び悩みの背景というのをきちっと捉まえることができているかどうかということと、それから、事務量が膨大に増えてきていると思いますし、マッチング等のニーズ対応人材、このマンパワー確保も課題なんだと思います。この点に関して、どういうふうな実態の認識にあるかということと、この先の戦略についてお伺いしたいと思います。

宮崎副大臣 ただいま、キャリアを中断することなく学ぶことの重要性を高階委員から御指摘いただきました。

 全くおっしゃるとおりでありまして、働きながら学ぶことを支援する教育訓練給付制度の重要な役割というのはますます増すものというふうに思っております。これは、DXの加速化など、企業や労働者が働く環境が変化をしていったり、先ほども御質問で指摘いただきましたが、労働者の職業人生の長期化が進んでいるという中で、リスキリングの重要性が高まっているところであるからと思います。

 令和五年度においては、多くの方に知っていただけますように、オンライン広告の継続的な実施や、受給者による座談会の形式による教育訓練の効果やメリットについての新聞広報の掲載で周知広報を図ったところでありますが、教育訓練給付指定講座の受講を含めて、働く人がリスキリングに取り組むに当たりまして、自身の適性や経験、課題など、個別の背景事情に即した適切な選択を行うことができるよう、キャリアコンサルティングを受けることができる環境を整備することが重要だと考えております。このため、全ての都道府県にキャリア形成・学び直し支援センターを設置いたしまして、無料のキャリアコンサルティングや、教育訓練に関する情報提供などの支援を実施してきております。

 令和六年度では、この相談体制を拡充いたしまして、全国五百四十四か所のハローワークに相談コーナーを設置いたしまして、職業訓練の実施の前後や就職の前後を通じた継続的な相談支援を行うこととし、あわせて、リスキリングの必要性に係る機運の醸成を目的とした周知キャンペーンも行ってまいりたいと思っております。

 御指摘のようなことを踏まえまして、労働者の皆様が働きながら学ぶ環境整備、しっかり整えてまいりたいと思っております。

高階委員 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、田畑裕明君。

田畑委員 おはようございます。自民党の田畑裕明でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。限られた時間でありますから、早速質問に入りたいと思います。

 まず、ちょっと、法案の前に、能登半島地震に関連をして問いをさせていただきたいと思います。

 雇用調整助成金、特例措置を講じていただきまして、被災地の事業者、また従業員の方々、労働者の方々への支援をいただいていること、感謝申し上げたいと思います。

 直近の支給実績であったりですとか、また、私がお聞きするに、やはり、小規模事業者の方にとっては雇調金の申請自身も相当難儀であるというふうにお聞きをしますし、能登を中心に社労士の先生方も非常に少ないわけであります。これまでも事業主支援等についても私からも厚労省さんにもお願いをしていたところでありますが、雇調金について、支給実績また申請手続のサポート体制についてまずお聞きをしたいと思います。

 あわせて、労働保険等のいわゆる納税の猶予というものを講じていただいております。指定地域、これは富山県と石川県ということになっているわけでありますが、現状、期限についてはまだ決まっていないというふうに理解をしているところであります。いつかはもちろん期限は来るんだというふうに思いますが、しっかり現場の意見に寄り添っていただいてその判断をしていただきたいというふうに思いますが、その見解につきましてお聞きをしたいと思います。

山田政府参考人 私の方から、雇用調整助成金の関係について御説明をいたします。

 令和六年の能登半島地震に伴う新潟、富山、石川、福井の四県における雇用調整助成金の特例措置の支給決定件数は、三月二十九日時点での集計ですけれども、計二百二十二件となっております。

 御指摘のありました事業主に対する支援については、厚生労働省のホームページ等において、制度内容や書き方を解説したガイドブックを掲載するとともに、経済団体等に対して本助成金の周知を依頼するなど、広く事業主に対する周知に取り組んでおります。

 また、石川労働局におきましては、雇用調整助成金の特別相談窓口を設置するとともに、社会保険労務士会と連携した相談会を開催するなど、事業主の申請手続等における相談支援に取り組んでいるところであります。

 引き続き、関係機関と連携しつつ、本制度を広く周知するなど、事業主の皆様に寄り添った支援に努めてまいりたいと思います。

鈴木政府参考人 労働保険料について答弁申し上げます。

 労働保険料につきましては、石川県及び富山県におきましては納期限を延長してございますけれども、延長後の期限はまだ確定をしておりません。今後、被災者の状況に十分配慮して検討していきたいと考えてございます。

 また、さらに、この延びた納期限から個別の事業場ごとの判断によりまして納付を猶予する制度が二つございまして、一つ目は、災害猶予措置というものでございます。これは、災害により財産に相当の損失を受け、納期限までの納付が困難な場合には一年以内の納付猶予等が可能でございます。

 二つ目は、一般猶予措置と呼ばれるものでございまして、納付が困難な事実が認められた場合には、一年以内の納付猶予などが可能な上、やむを得ない理由が認められる場合には、当初の猶予期間と合わせまして二年間の納付猶予が最大可能でございます。

 この二つを合わせますと最長で三年間の猶予措置が可能でございますので、これらの措置を活用しまして、被災者の状況に十分配慮しつつ、適切な対応を講じていきたいと考えてございます。

田畑委員 答弁ありがとうございます。答弁にもありました、被災地の状況にしっかり寄り添って、丁寧な対応を改めてお願いをしたいと思います。

 それでは、雇用保険法の改正について質問したいと思います。

 まず、適用拡大について、先ほど高階先生の質問においても安定局長が、労働者を含めて様々なメリットがあるという御答弁がございました。まず、改めて、何のために十時間のところまで下げるのかという、そもそも何のために拡大をするのかということについて確認をしたいというふうに思いますし、これは失業の認定基準等も変わるわけでありますけれども、改めて、労働者にとってどんな影響があるのかということについてお聞きしたいと思います。

 これは施行が令和十年の十月ということになっていて、ぱっと見ると、相当期間があるなというふうには感じます。もちろん、周知に丁寧な時間をかけるということが含まれているんだというふうには思いますが、施行までの期間についての考え方も改めてお聞かせをいただきたいと思います。

宮崎副大臣 今回の適用拡大でございますが、これは、雇用労働者の中の働き方等が多様化していることを踏まえまして、雇用のセーフティーネットを広げるという観点から実施するものでございます。それゆえ、新たに被保険者となる方々には一定の保険料負担をお願いすることになるわけでありますが、雇用保険が適用されることによって、失業給付のみならず、育児・介護休業給付、教育訓練給付が受けられるほか、雇用調整助成金などの雇用保険二事業の対象となることから、今後一層、キャリア形成を図りながら、安心して働くことができるようになると考えているところでございます。

 そして、今先生御指摘ありましたとおり、施行の時期でありますけれども、事業主だけでなくて、新たに適用対象となる労働者の方からも、保険料負担が生じるということについて懸念の声があることは事実でございます。

 そこで、雇用保険制度適用の意義や重要性、メリットなどについて丁寧に御説明をさせていただいて、全国の事業主、また働いている方から理解を得るための十分な周知期間を確保したい、また、雇用保険手続に要する事業主の事務負担の増に鑑みて、一定の準備期間を設ける必要がある、また、システム改修も必要ということもございまして、令和十年の十月とさせていただいているところでございます。

田畑委員 この十時間から二十時間で働いている方々、様々な御事情があろうかと思いますし、先ほどの御答弁があった中では、高齢者の方が非常に多いということでありますから、今の御答弁の中でキャリア形成という話もありましたけれども、なかなか、六十五歳以上の方々のキャリア形成というのは、少し現実とは違う視点の話なのかなというふうに思います。

 いずれにしても、この拡大によってメリットも非常に多い、またいろいろなキャリア形成にもつながる、しかしそうでない方もいらっしゃるし、これを見ていると、医療や福祉現場の方々も、割と短い、短時間で働いている方もいらっしゃるというデータを拝見をしているところでありますから、様々配慮をしながら、しっかり労働者の方とコミュニケーションを取っていただきたいということは改めて申し添えをさせていただきたいと思います。

 もう一点は、求職者支援制度の国庫負担等について改めて聞きたいというふうに思いますが、求職者支援制度の国庫負担割合は、今、本則から五五%に引き下げられているということであります。暫定的ということだと理解をしてございます。

 あわせて、教育訓練給付、これも拡充をするということになりますが、教育訓練給付については、国庫の負担がない形で運用されているということであります。失業等については、政府の経済政策とも関係、連動するということで、国庫の負担というのが入っているというふうに理解をしております。

 今、教育訓練ですとか労働者のキャリア形成、そうした分野も相当、国策として大きな旗印を掲げているわけでありますので、今回別に法案には入ってございませんが、教育訓練給付金の部分についても、将来的には、国庫をしっかり、国庫負担も入れながら、大いに国として支援をしながら、国民の方、労働者の方のキャリア形成を支えるべきだというふうに感じるわけでありますが、この辺について答弁を求めたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 先生が今お触れになったとおり、求職者支援制度の国庫負担割合は、原則、その要する費用の二分の一とされておりますが、国の厳しい財政状況等を踏まえて、暫定的に本則の五五%の水準とされております。

 一方で、教育訓練給付金については、労働者の主体的な能力開発を促進するためのものであり、基本手当等とは趣旨が異なることから、制度創設以来、国庫による負担をしていないものであります。

 他方で、議員の御指摘にあるとおり、今回、リスキリングによる能力向上支援は、構造的な賃上げの実現のためにも重要であって、今般の改正において、教育訓練給付金の給付率の引上げのほかに、新たに教育訓練中の生活を支えるための教育訓練休暇給付金を創設するとしたところでありますが、この教育訓練休暇給付金については、給付の趣旨も踏まえつつ、国庫による負担も新たに行うこととしております。

 これらの施策の活用を進めることにより、引き続き、リスキリングに取り組む方々の支援に取り組んでまいりたいと思います。

田畑委員 ありがとうございます。

 今お触れがありました教育訓練の休暇でありますよね、これは既に制度があるとしてもなかなか使っていらっしゃらないというのが現状だと思いますので、制度をしっかり拡充をして、利用促進につなげるということも多分目的としてはあるんだというふうに思いますが、リスキリング、また労働者のキャリア形成、これは繰り返しになりますけれども、国としてもしっかり支えていくということについて、財源の手当てというのも今後の課題として指摘をさせていただきたいと思います。

 あわせて、教育訓練給付全体についてお話をしたいと思いますが、先ほど高階先生の質問においても、利用者というか、活用される方の頭打ち感があるのではないかというような御指摘もございました。私も感じるところでありますし、今回の拡充、これまでも累次に細かく小出しで拡充をしてきているわけでありまして、非常に、ぱっと見たら分かりにくいわけですよね、利用する方も含めて。ここは自覚があるんだというふうに思いますから、後ほどもお話ししますが、先ほど出ていたキャリア形成の支援センター、ここでのキャリコンの皆さん方を活用したやり取りですとか、そうした、それなりの企業の総務担当者の方々への落とし込みというのもしっかりお願いをしたいというふうに思います。

 今回そもそも教育訓練給付金の制度自身を拡充する意義を改めて副大臣にお聞きをしたいというふうに思いますし、また、これはやはり、就職率であったりですとか、今回、賃上げしたらまた増額ということにも含まれておりますけれども、これまでの取組で賃上げにちゃんとつながっているんだとか、これは語弊があるかもしれませんけれども、単に資格を取りたい資格ホルダーの方々のための制度では当然ないと思うんですよね。しっかり自分でキャリア形成をしたりですとか、就業の中で地位をしっかり確保したい、そうした方々への前向きな投資、その意欲を金銭的にもしっかりバックアップするというのが大事なんだというふうに思いますけれども、その辺の意義につきましてお聞かせをいただきたいと思います。

宮崎副大臣 田畑委員におかれましては、これまでもこの分野に関しまして累次にわたって御指摘いただいております。厚労省も、これを踏まえまして、各地でしっかり周知啓発も含めて取り組んでまいりたいと思っております。

 今般の改正において給付率を引き上げることとしている専門実践の教育訓練給付金では、離職後に教育訓練を開始した方のうち約七割が受講修了をした後に就職をしているという調査結果が出ております。また、別の調査でありますけれども、受講後に再就職をした方に賃金の変化についてお尋ねをさせていただいたところ、約五割の方が前職よりも再就職後の賃金が増加をしたとお答えをいただいているところでございます。

 このように、教育訓練給付金は、労働者の主体的な能力開発を支援して労働者のキャリア形成の促進などに貢献をしてきたものでありますけれども、今般の改正では教育訓練の受講修了後に賃金が上昇したことなどを要件として追加給付を行うこととしておりまして、これにより、教育訓練の成果を就業条件の向上につなげるインセンティブを高めて、より多くの方に意欲的に訓練に取り組んでいただきたい、このように考えておるところでございます。

田畑委員 お願いいたします。当然、手続の簡素化、またオンラインも含めて、その辺もしっかり御配慮をお願いをしたいというふうに思います。

 それで、先ほど宮崎副大臣は、キャリア形成・学び直し支援センターと多分答弁で発言されたんだと思うんですけれども、私が聞き及ぶに、これは四月一日から名称が変わっているんじゃないかと思うんですけれども、キャリア形成・リスキリング支援センターなんだと思うんですよね。このセンターが本当に知られていないというのが現状でありまして、副大臣の答弁すら間違って、間違いと言ったらちょっと、これは後から確認をしたいと思いますが、このセンターのホームページを見ると、リスキリング支援センターと名称が変わりましたと載っていますので、まずそこは指摘をしたいと思いますが、違っていたらお答えいただきたいと思います。

 また、各県にある、またハロワにおいても窓口、相談センターを今つくっているんですけれども、まあ本当に知られていないわけでありまして、ここでキャリコンの方のキャリア相談を受ける、これは事業主の方、労働者の方それぞれに対しても対応ができるということなんですけれども、私も地元のキャリアセンターに勤める、勤めるというか、そこで委託を受けているキャリコンの方とも意見をいただいてきたところでありますけれども、少し、伴走型とはちょっとほど遠い支援の相談体制ではないかなというふうに私は感じたところであります。

 この周知の取組はもちろんでありますし、効果的な相談の在り方、先ほども言いましたけれども、教育訓練給付金も非常に制度が細かいですし、いろいろオプションがあって複雑でありますから、このセンターを使っても当然相談はしっかり受けていただきたいというふうに思いますが、その辺の在り方について改めて検討をお願いしたいと思いますが、これは参考人にお聞きしたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 名称変更を含めまだまだ周知不十分であること、私どももしっかりと受け止めて、更に改善してまいりたいと思います。

 厚生労働省におきましては、御指摘のとおり、キャリアコンサルティングを地域で気軽に無料で受けられる拠点として、キャリア形成・リスキリング支援センターを全都道府県に配置をいたしまして、労働者個人に対するキャリアコンサルティングのほか、企業に対して、セルフ・キャリアドックと申しておりますが、社内でキャリアコンサルティングを行う体制の導入を含めた、従業員のキャリア形成に関する支援を提供しているところでございます。

 当然、多くの方に知っていただき、利用していただくことが重要でございますので、これまでも、労働局、ハローワークにおける説明会やセミナー、自治体や労使団体等との連携による広報、イベントを活用した周知、企業に対するセンターのスタッフからの電話や訪問によるPR、こういったことに努めてまいったところではございます。

 また、令和六年度、今年度からは、従来、各都道府県一か所という拠点でございましたが、各ハローワークにも相談コーナーを設けることといたしまして、体制の強化を図っているところでございまして、改めてその点も含め周知に取り組んでまいります。

 また、寄り添い型、伴走型の支援になっているかどうかという点でございます。これに関しましては、企業に対してキャリアコンサルティングの社内体制を整備するに当たりまして、決して一回限りの相談支援ということではなくて、支援後も当該企業の人事担当者等による問合せだとか相談に対して継続的に助言を行うといった仕組みとしているところでございますが、この点も更に徹底されるよう改善を図ってまいりたいと考えております。

 いずれにしましても、今後とも、新年度、名称も変わりまして、更に実効性が上がるよう努力をしてまいりたいと考えております。

田畑委員 よろしくお願いします。

 ちょっと、一点、ハローワークの体制強化について確認をしたいというふうに思います。

 今、ハローワークの窓口で求職者対応をする非常勤職員について、処遇の改善というものが求められているというふうに思います。

 私は、先般、東京労働局のハローワーク池袋サンシャイン庁舎に行ってまいりました。職業紹介ですとか職業訓練、失業等給付についての窓口の対応をされている方とも意見懇談をさせていただきました。利用者が利用しやすい環境整備に東京の労働局のハロワの皆さん方も御尽力されていることは十分伝わったわけであります。しかし、その窓口も、非常勤職員の方々が求職者の相談を受けているという状況ではございました。

 今、非常勤の職員の方を常勤化する中途採用についても門戸を広げて取り組んでいるというふうにはお聞きをしているところでありますが、今の取組の現状とか今後の方向性について副大臣にお聞きをしたいと思います。

宮崎副大臣 ありがとうございます。

 先ほど田畑先生から御指摘をいただいた点、学び直しの関係ですけれども、ちょっとさすがに、名称の変更をして知られていないというようなところは、御指摘のとおりだと思います。

 令和五年度に設置をした、キャリア形成・学び直し支援センターという名前でやっておったわけでありますが、この四月からは、学び直しというところをリスキリングというふうに変えまして、キャリア形成・リスキリング支援センターと。ちょっと、こういった形で、変えることが頻繁で周知ができていないということも反省すべき点かと思っておりますので、しっかりやってまいりたいというふうに思っているところでございます。

 今の御質問でありますけれども、先生のお話にもありましたが、二月にハローワーク池袋に御視察をいただいて様々御指摘をいただいたことを承知をしております。ハローワークにおいて中核になる常勤職員とともに、様々な経験、能力を有する非常勤職員も役割を担っておりまして、これまでも非常勤職員の処遇の改善、常勤化に向けて継続的に取り組んでおりまして、令和六年度は、社会人の選考採用において、ハローワーク等の非常勤職員につきまして、近年実績の三倍以上となります、百六十六名の方を常勤として採用させていただいております。

 また、令和六年度の組織・定員要求におきまして、常勤職員が中心となって、担当者制できめ細かな支援を実施するモデル事業などに必要な人員を要求いたしまして、ハローワークに百十一名の定員増を実現させていただいております。

 ハローワークの定員は政府全体の中で決まるものでありますけれども、今後も、今申し上げたモデル事業の成果を踏まえまして、非常勤職員の常勤化を含めた執行体制、しっかりつくっていきたいと思っております。

田畑委員 よろしくお願いします。

 以上で終わります。

新谷委員長 次に、吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。

 雇用保険法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 国民の雇用の安定と安心を確保することは、国として重大な責務であると思います。本法案が目指すものは、現代の多様な働き方にふさわしいセーフティーネットの構築を目指すもので、成長分野への円滑な労働移動を進めること、今まで我が国の経済成長を阻害していた原因の一つと見られる人への投資の弱さを克服すべく、教育訓練やリスキリング等を充実させること、そして、特に、男女共に働きながら子育てに関われる共働き、共育てを推進するために、国として目指す男性の育児休業取得目標を達成する上でも必要な育児休業給付の財政的確保の措置を進めるもので、評価をさせていただいております。

 今回、その上で、労働者のセーフティーネットの強化を図るという趣旨で、雇用保険の適用拡大ということを進めるわけでありますけれども、新たな対象者、いわゆる週十時間以上二十時間未満では、入りたくないと答えた労働者が五〇%以上。内訳でいうと、週十五時間以上二十時間未満の方は五三・七%、十時間以上十五時間未満では五八・八%、六割未満の方が入りたくないという状況です。この対象の方が五百万人弱いらっしゃるということですので、その半分の方が入りたくないと考えているということになるわけです。

 入りたい方の理由では、失業保険を受けられるからという方が七、八割いらっしゃる一方で、入りたくないという方の理由で多いのが、保険料の負担があるからが一番で、続いて、加入するメリットが分からないから、また、加入する必要を感じないからという順になっております。

 このままでは、新たに加入対象になられる半分以上の方が、この法律によって負担が増えただけというふうに受け取られかねません。雇用保険に入るメリットを国民にも分かりやすくしっかりと周知をすることが重要だと思います。

 具体的には、例えば、雇用保険に入っていなくても求職者支援制度があるではないか、その違いは何なのかとか、この働き方をされている就業時間の方は大体五万円前後の月給の方が多いわけですけれども、月給五万円であれば雇用保険、労働者の負担は幾らになるのか、労働者の皆様に、負担も併せて雇用保険に入るメリットを分かりやすくお示しいただきたいと思います。

    〔委員長退席、大串(正)委員長代理着席〕

山田政府参考人 現在、雇用保険の対象とならない求職者であって、世帯全体の収入が月三十万円以下などの一定の要件を満たす方につきましては、雇用に関する第二のセーフティーネットであります、先生御指摘の求職者支援制度によって、月十万円の職業訓練受講給付金を受給しながら、職業訓練を受講することが可能となっております。

 一方で、雇用保険に加入した場合、例えば今先生のお示しになった例でいきますと、月給五万円の方につきましては、およそ月三百円の保険料負担をいただくことになりますが、これについては、求職者支援制度とは違って、収入要件等が課されることなく、失業給付のみならず、育児・介護休業給付、教育訓練給付を受けられるほか、一方で、これは事業主側になりますけれども、雇用調整助成金等の雇用保険二事業の対象ともなります。これにより、短時間で働く労働者も、キャリア形成をしながら安心して働くことができるようになると考えております。

 こうした雇用保険制度の適用拡大の意義や重要性、メリット等については丁寧に周知を図り、労働者の皆さんにも御理解いただけるよう、施行までに努力してまいりたいと思います。

吉田(久)委員 更なる周知をお願いしたいと思います。

 この適用拡大については、特に中小企業の事業主さんからは、保険料の負担、そして事務の負担が増えるということが懸念をされております。この事業主の事務負担軽減は極めて大事で、きめ細かく行うべきだと考えますが、どのように取り組むのかをお伺いしたいと思います。

武見国務大臣 本法案では、雇用のセーフティーネットを拡大する観点から、雇用保険の適用対象を拡大することとしておりまして、これにより、約五百万人の労働者が新たに対象になり得ます。こうした短時間労働の方々は、規模の小さい企業も含めて、あらゆる企業で働いておられます。

 適用拡大による負担増の御懸念に対しましては、事業主の準備期間等を考慮いたしまして、施行日を令和十年、二〇二八年十月からとしているほか、適用拡大の意義や重要性、それからメリットなどについて、全国の都道府県労働局における各種説明会等の機会や、毎年度、全適用事業者に送付する各種のお知らせ等を活用して丁寧な周知に努めるほか、新たな適用対象となる労働者のより安定的な就業に資する能力開発や雇用管理改善等に取り組む事業主への支援、そして、事業主の事務負担軽減に資する申請手続の簡素化やオンライン化など、それぞれにしっかりと取り組んでいくこととしております。

 事業主の皆様の御協力を賜りながら、円滑な施行に向けて万全な対応を取ってまいりたいと思います。

吉田(久)委員 若い世代から、男性、父親も育児に関わりたい、そういう意識が徐々に強くなっていることも背景にはあるかと思いますが、男性の育児休業の取得は、令和に入ってやっと一割を超えて、令和四年現在で一七・一三%。これも、女性が半年以上の取得が九割に対して、男性は二週間未満が過半数ということで、中身はまだまだ、男女、かなり差があります。これも是正が必要だと考えますが。

 共働き、共育てを推進する上で、男性の育児休業取得の政府目標、明年、二〇二五年で民間で三〇%としていたところ、昨年のこども未来戦略では、二〇二五年までに五〇%、二〇三〇年までに八五%というふうに目標を引き上げております。現状からすれば、明年五〇%という目標達成をするには、今の取得率の倍以上と、かなり野心的な目標なわけです。とはいえ、私も、この目標は、少子化のトレンドを変えられるかどうか、また、男女の性別役割分担の偏りを是正できるかどうか、この指標ともなる必達の数字だと考えます。

 昨年十二月、今話したこども未来戦略では、国と地方の公務員について、先行的に前倒しで男性の育児休業取得を推進するために、民間目標よりも更に野心的な目標が示されました。二〇二五年には公務員は一週間以上の取得を八五%、二〇三〇年には二週間以上の取得を八五%と、初めて取得期間を示しての目標が示されておりますけれども、現状、公務員の男性の育児休業取得状況、そして今後の取組についてお伺いします。

横田政府参考人 お答えいたします。

 二〇二二年度、令和四年度でございますが、国家公務員一般職の男性職員の育児休業取得率については七二・五%となり、初めて七割を超えました。

 内閣人事局では、各府省等と連携し、職場全体の意識改革に加え、上司からの取得の働きかけや、事前の業務分担の見直しの促進、配偶者出産休暇、育児参加休暇や育児休業などの両立支援制度の周知、経験談等の好事例の共有などを通じて、育児休業を取得しやすい環境づくりを推進してまいりました。

 引き続き、こうした取組により、国家公務員の男性職員により一層の育児休業の取得を促し、目標達成に向けた取組を進めてまいります。

小池政府参考人 地方公務員についてお答えをいたします。

 二〇二二年度の地方公務員の男性の育児休業取得率につきましては、一般行政部門で四九・九%と過去最高となっているものの、政府目標にはまだ及んでおらず、男性職員の育児休業の取得促進に一層取り組む必要があると考えております。

 総務省といたしましては、これまでも、国家公務員における取組や取得率が大きく上昇した地方公共団体の取組事例を情報提供するなど、地方公共団体に対し助言を行ってきております。

 さらに、昨年十月には、男性職員の育児休業取得率が着実に上昇している地方公共団体の取組の特徴として、人事担当課が積極的に関与することにより育児休業の取得に至るプロセスを具体的に定めて組織的に後押ししている旨などについて、具体的な取組事例とともに各地方公共団体に情報提供したところでございます。

 今後とも、地方公共団体に対し、必要な助言や情報提供を行ってまいります。

吉田(久)委員 公務員から先行して取り組む意義と、取得期間も含めての目標設定については民間にも広げていくべきだと考えますので、公務員から先行実施、そして民間へ、より早い波及が重要だと考えております。よろしくお願いいたします。

 続いて、これまで徐々に男性の取得率が上がってきたのは、育児休業給付金の給付率を上げてきたからということは大きいと思います。若い夫婦にとって、育児休業を取るか諦めるか、その前に、子供を持つかどうか、何人持つか、その判断をする上で、子育て期間の所得がどうなるのか、これは本当に大変大きなウェートを占めるものです。私の友人も、自分の時代にも今程度の育児休業給付がもらえていたらもう一人欲しかったということも話してくれました。今は給付率六七%で、手取りの八割もらえる。

 ですが、この二割減は子育て世代にとってはかなり重い、痛い所得減であります。子育て罰という言葉がありますけれども、見方によっては罰金のように感じてしまうような、ぎりぎりのやりくりで貯蓄さえもなく生活されている若い世代については、なおさらそういう言葉がぴったりくるような受け取られ方をされている現状だと思います。

 これは、今国会に提出された子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案で創設が目指されている出生後休業支援給付、この別枠の財源で加算を目指して、一定期間は手取り一〇〇%を実現を目指していくわけですが、手取りが減らない、これは本当に極めて重要だと思います。深刻な少子化の流れを反転しようとする中で、我が国から子育て罰というような言葉が消滅していくように、子育て世帯の所得が減らない仕組みを雇用保険の制度も含めてトータルで整えていくべきだと考えます。

 その上で、先ほどの目標を実現する上で財政的基盤の確保が重要という趣旨で、本法案では育児休業給付の国庫負担金を八十分の一から本則の八分の一に引き上げることにしておりますけれども、そもそも、先ほど言った政府目標を達成する上で足りるのか。本法案では保険料も〇・四%から〇・五%にすることができるようにするわけでありますけれども、今後どんどん負担の方も増えていくのではないのかと心配する向きもあります。この財源構成はどのように見積もっているのかをお伺いしたいと思います。

    〔大串(正)委員長代理退席、委員長着席〕

山田政府参考人 お答えいたします。

 育児休業給付については、男性の育児休業取得者数の増加等を背景に支給額が年々増加していることに加え、政府として、先生御指摘のあった二〇三〇年における男性の育児休業取得率を八五%とするという目標達成に向けて取り組むこととしており、そうした政策が奏功して支給額が一層増加することが想定されます。

 このため、今後の男性育児休業の大幅な取得増等にも対応できるように、今回の法案では、育児休業給付を支える財政基盤を強化する観点から、一つには、国庫負担割合を令和六年度から本則の八分の一に引き上げる、給付費の八十分の一から八分の一ということになりますが、とともに、保険料率については、当面の保険料率は現行の〇・四%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて本則料率を令和七年度から〇・五%とした上で、実際の料率は保険財政に応じて弾力的に調整する仕組みを導入することとしております。法律上の保険料率の上限は〇・五%としております。

 この仕組みの下で、育児休業給付の安定的な財政運営を図ってまいりたいと思います。

吉田(久)委員 上限〇・五%ということを承知いたしました。

 次に、就業促進手当についてお伺いします。

 就業手当とは常用雇用以外の形態で就業した場合に一定の要件の下に支給されるものであり、また、就業促進定着手当は再就職先の賃金が就業前の賃金よりも減った場合に支給をされるもので、どちらも労働者にとって好ましくない労働移動になってしまっているのに支給をされており、違うインセンティブが働いてしまっている制度ではないかなというふうに思います。

 労働移動を労働者にとってより安定した雇用、また賃金アップの方向に促していくために、就業手当、就業促進定着手当を存続する意味はあるのか、これについてお伺いしたいと思います。

山田政府参考人 ちょっと似たような名前ばかりで申し訳ないんですが、就業手当についてですが、これは、早期再就職を促す観点から、基本手当の受給資格者が安定した職業以外の職業に就いた場合に基本手当の三割相当額を支給するものとして、平成十五年度に創設した制度でありますが、現下の人手不足状況下においては、安定した職業以外の職業への就職を政策的に促す意義は薄れているということ、現在の受給者数が約三千五百人と少数であるということ、さらに、減少傾向にあるということも踏まえて、今回廃止することとしたところであります。

 一方で、就業促進定着手当につきましては、再就職時賃金が離職時賃金より低下する者を対象として、その低下した分を給付することにより、賃金低下による再就職意欲の低下を緩和し、早期再就職を更に促すとともに、職場への定着を促すものでありますが、人手不足の状況が今後も一層深刻化することが見込まれる中で、賃金の低下が見込まれる再就職にインセンティブを設ける必要性が薄れている、そういった一方で、こちらの方は、受給者数は約九万人であって早期再就職を行った者への支援としては一定の役割を果たしている、そういったことも踏まえて、制度自体は継続した上で給付額の上限を引き下げるという対応にしたところであります。

 就業促進定着手当については、法案を成立させていただいた暁には、見直し後の施行状況や今後の雇用情勢等を踏まえて、制度の在り方については引き続き検討してまいりたいと思います。

吉田(久)委員 様々な、多様な働き方を支える制度、セーフティーネットの構築は重要です。雇用という形で働いていない方もたくさんいらっしゃいます。本法案成立後に雇用保険に入れない方がまだ残っていらっしゃるわけですけれども、この働き方、フリーランス等の方々のセーフティーネット、今後どのように整備していくのかをお伺いしたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 フリーランスなどの働き方で就労される方々も安心して働くことができるような環境整備を進めることが重要であるということは認識しております。

 このため、厚生労働省では、雇用保険の給付を受けられない方についても、無料の職業訓練と月十万円を支給する求職者支援制度などによる安定した雇用につなげるための支援、あるいは生活に困窮した場合には、市町村等において生活困窮者自立支援制度による相談支援や個々の状況に応じた就労や住まい等の支援、そういったものを実施しております。

 引き続き、こうした制度を利用していただけるように積極的な周知広報に努めてまいりたいと思います。

吉田(久)委員 済みません、あと一問用意しておりましたけれども、時間となりましたので、以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 雇用保険法の改正案ということで、今日から委員会で質問させていただくことになりました。

 雇用保険や職業訓練は、我が国の労働政策の中でも非常に重要なものを占めているというふうに思っております。ですので、今回、雇用保険法、大変多岐にわたる改正になっておりますけれども、大きな方向性としては是としつつも、やはり幾つかの懸念点がありまして、先日、三月二十九日に衆議院本会議で大西議員が質問されておられましたけれども、それに引き続いて何点か伺いたいと思っていることがありますので、よろしくお願いいたします。

 まず一つ、リスキリングについてです。

 岸田総理が華々しく打ち上げたリスキリング、労働の三位一体の改革の一端として行うということでありましたけれども、私、ずっと気になっているのは、経産省でやられておられるリスキリングが、転職までを一体的に支援するということを目的として行っているということなんですね。在職者のキャリア相談からリスキリングをやって、リスキリングしながらということになるんだと思うんですけれども、転職まで一体的に支援するということになると、これはやはり、厚生労働省としてやっている職業訓練であったり、それに付随する様々な政策ということとは、ちょっと方向性、目的が違うのではないかなと。

 つまり、経産省の方のリスキリングの方は、企業間、産業間の労働移動の円滑化とリスキリングを一体的に促進するというふうにも言っているんですけれども、これは、大臣、厚労省で考えている職業訓練、リスキリングとは明確に違うということは確認させていただけますか。

武見国務大臣 厚生労働省においては、三位一体の労働市場改革の一環として、リスキリングによる能力向上支援に取り組んでいるところでございます。

 これは、希望する誰もが主体的に、希望する誰もがというのは労働者ということでありますから、労働者が主体的に能力向上を図ることができるように、また、自らの選択によって社内、社外共に労働移動できるようにしていくことを目指すものでございまして、転職ありきで取り組んでいるものではございません。

西村(智)委員 確認をさせていただきました。

 先ほど大臣からも、誰もが主体的に能力向上を図ることができ、自らの選択によって社内、社外共に労働移動できるようにしていくことを目指すものである、社外への労働移動ありきで取り組んでいるものではないという明確な御答弁だったかと思います。

 ということであれば、やはり今回の雇用保険法の改正等の中で目指していくべきことというのは、労働者一人一人の能力をいかに向上させていくか、結果として就労ですとか賃金アップにつながっていくということが、それが望ましいわけなんですけれども、ただ、現在行われている職業訓練、公的な職業訓練の内容とかあるいは予算の規模ですとか、そういったものを見ると、とても、今大臣がおっしゃったような高尚な目的とは少し、少しどころじゃない、かなりかけ離れたような内容であり、予算規模のように見えてならないんですよ。

 これは大西委員も指摘をしておられましたけれども、G7の中でも公的な職業訓練に係る予算が極めて少ない。フランスの三十分の一、ドイツと比べても十九分の一ということでありますし、また、内容ですとか施設も、私もかつて視察に伺ったことがあるんですけれども、ちょっと施設が古かったり、内容も、何か資格取得がメインの内容になっていて、本当に今の時代の必要なスキルアップ、能力アップにつながっているものが、あるんでしょうけれども、少ないんじゃないか。それが、今大臣が言われた高尚な目的と何かすごくかけ離れているように見えるんです。

 やはり、予算の確保とそれからその内容の充実、あるいは職業訓練指導員の方々の人員の確保ですとか、そういったことも含めて、やはりちょっと、ちゃんとここは目的にかなったようにやっていかないとならないんじゃないかと思っているんですけれども、どうですか、大臣。

武見国務大臣 委員からは少ないと言われてしまいましたけれども、公的職業訓練について、令和六年度は前年度から約二十四億円増となる約一千百八十六億円と必要な予算を確保した上で、リスキリングの促進に必要な取組を進めることとしております。

 具体的には、職業訓練体制の確保のために、職業訓練指導員の確保については、職業能力開発総合大学校で毎年百人以上の養成を目指すとともに、国及び都道府県の設置する公共職業能力開発施設の整備を進めることとしております。

 また、職業訓練を効果的に実施するために、こうした訓練提供体制の確保のほかにも、都道府県単位で労使団体など地域の関係者に参画いただいている協議会や、個々の公共職業能力開発施設と地域の企業との連携を通じて、訓練カリキュラムが地域のニーズに合ったものとなるよう、毎年度見直しを行っていることとしております。

 こうした取組を進めることによって、リスキリングの促進のための支援というものを着実に進めていきたいと考えております。

西村(智)委員 カリキュラムも地域の実情に合わせて毎年見直しているというふうにおっしゃっていただきましたけれども、地域の実情に合わせて毎年見直す、もちろん、それも大変重要なことだと思うんですけれども、今まさに、産業構造ですとか、いろいろなものがすごく大きく変わっていますよね。そういった中で、毎年毎年の見直しが本当にそういったものに追いつくのか。

 あるいは、指導員の育成についても、先ほどのお話じゃありませんけれども、やはり長期的な見通しがあってこそ取り組めるもの、育成できる指導員もいらっしゃると思いますし、また、学校で長期的な見通しがあるからこそ取り組んでいける、そういったカリキュラムもあると思いますので、ちょっとここは本腰を入れていただいて、予算が増えたことは、それはよいことだと思いますし、それはいいんですけれども、そうじゃない、本当の意味の見直しというか、やはりそういうことをやっていって、人への投資をやっていくんだという、まさにさっき大臣がおっしゃっていただいた目的にかなったような、そんな職業訓練が本気で行われるようにしていただきたいなというふうに、これは強く求めます。

 それで、今度は休暇制度の件について伺いたいんですけれども、これも先ほどどなたかからお話がありましたが、休暇制度がある企業はやはりそもそも少ないと伺っております。全体でいうと七・四%。大臣は、これに対して衆議院本会議で、更なる周知をしていきますというふうに答弁されているんだけれども、本当に周知だけで休暇制度を設ける企業が増えていくのかということを私はどうしても考えちゃうわけなんです。

 つまり、やはり企業にとってみれば、日本の長らくの伝統というのは、新卒一括採用で、入ってから自分の会社で育てるという、何かOJTみたいな伝統がずっとあるわけですよね。そんなときに、スキルアップのためだということで休暇制度を設けるとか、それを使わせるとかということについては、やはりまだまだハードルが高いんじゃないか。しかも、女性活躍推進法の話にもなっていくんですけれども、特に非正規とか女性の方とか、スキルアップのチャンスがなかなかないということは間々私も聞くんですよね。

 だから、本当に周知だけで休暇制度がある企業が増えていくのか。本当に増やしていくために、何かもっと、例えばですけれども、目標数値、数値目標を立てるとか、何かそういったことが必要なのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

武見国務大臣 私も職業訓練休暇制度の導入状況というのを見てみましたけれども、一千人以上の大企業で九・九%、それから三十人から四十九人ぐらいの企業規模でも八・七%。一割に満たない状況が現状だというのは、やはりこれは少ないというふうに思わざるを得ません。

 厚生労働省としても、労働者が学び直しに必要な時間を確保できるようにするために、企業における教育訓練休暇制度が設けられていることは極めて重要だというふうに思っておりますので、今般の法案では新たな給付制度を盛り込みました。

 教育訓練休暇制度につきましては、これまでも、人材開発支援助成金において、企業が教育訓練休暇制度を導入する際の経費などの一部を補助することとしておりまして、当該助成金の活用促進を通じて、この普及に更に取り組んできたところでございます。

 今般の法案が成立した場合には、これまでの取組に加えて、新たな給付制度の創設に合わせた更なる周知を徹底して行って、より多くの企業で教育訓練休暇制度が設けられるように取り組んでいきたいと思います。

西村(智)委員 休暇制度もつくってもらいたいと思いますけれども、その休暇制度の中身もやはり同時に問われるんだと思います。先ほど申し上げたように、女性や非正規が研修の対象から外されるケースというのはやはりあるんですよね。実際に、同じポジションに仮にいたとしても、男性の方にばかり声がかかって女性に声がかからないとか、現にありますので、大臣、そこのところ、よく中身も見ていただいて、対象企業を増やしていくのと同時に、その中身のチェックも是非やってください。

 次の質問は、今度はフリーランスについてです。

 今回、育児休業給付が、増やすという目的の下に、いろいろなことが法改正の中身で入っているわけなんですけれども、フリーランスは、やはりこの育児休業給付の給付は受けられないわけですね、雇用保険に加入していないので。そういうことなんです。

 今、労災の方は、特別加入ということで、フリーランスの方も入ることができるようになってきました。それから、この間、不利益な取引などが防止されるようにということで、いろいろな法律やガイドラインなどもできてきてはいるんですけれども、やはりこの育児休業給付も、一般労働者と格差をつくらずに、何かしたらいいんじゃないかというふうに思うんですよ。

 つまり、一般労働者であれば、こうやって育児休業給付などの制度もどんどんどんどん整っていく。だけれども、一方で、フリーランスの方はやはり少し置いてきぼりにされているようなところがありまして、このままだんだんだんだん格差が広がっていくということになると、一方で、これまで政府は、フリーランスを推奨するようないろいろなこともやってきました、何か自由度の高い働き方だということで。それで、だからフリーランスが増えたというふうには私は言わないですけれども、言わないけれども、でも、余りにもこうやって格差が広がっていくということは、やはりちょっとよろしくないんじゃないかと。

 かねてから問題になっている労働者性の強いフリーランス、こういったことについては、やはり労働者性という基準をもう一回見直して、一般労働者と同等の、いろいろな保険的なものに加入できるような、そういうことを本当に検討しなければいけないんじゃないかと思っていますけれども、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 フリーランスの方であっても、実態として労働者に該当する方は労働者としての保護を適切に受けられることが重要であるというふうに考えます。そうした取扱いを働く方へ周知するなど、適切な対応が必要だと考えます。

 一方、労働者には該当しないで、雇用保険に加入できない方に育児休業給付を支給するということは、費用負担の在り方など多くの課題があって、これはちょっと困難であります。

 その上で、自営業であるとかフリーランスなどの育児期間中の経済的な給付に相当する支援措置としては、国民年金の一号被保険者について、育児期間に係る保険料免除措置を創設することなどを盛り込んだ法案をこの国会に提出したところでございまして、働き方にかかわらず、若い世代が安心して子育てができるように、適切な支援を進めてまいりたいと思います。

西村(智)委員 保険料免除と育児休業給付じゃ全然違うじゃないですか、大臣。

 つまり、一番最初の答弁はすごくよかったです。労働者であれば、労働者と同じように保護をしなければいけないと。一番最初の答弁はよかったんだけれども、その後が何かだんだんだんだん崩れてきちゃって。

 これはずっと問題になっているんですよ。かねてから、一九八五年の基準を今も使っているんですよ、厚生労働省は労働者の基準について。一九八五年からもう四十年たっているわけですよ。その間にすごく変わりましたよね。当時はほとんどが正規で働く人たちだったんだけれども、今、働く人たちの四割ぐらいが非正規であって、フリーランスを始めとするいろいろな、それに当てはまらない働き方をする人たちも増えました。やはりこの労働者性ということについて、もう一回ここは検討すべきときだと思いますけれども、大臣、先ほどの一番目の文章だけもう一回読んでいただけませんか。

武見国務大臣 冒頭のところでありますが、フリーランスの方であっても、実態として労働者に該当する方は労働者としての保護を適切に受けられることが重要であり、そうした取扱いを働く方へ周知するなど、適切な対応が必要と考えております。これは、御指摘のような労働者性というものに関して着目をして、フリーランスというふうな立場であったとしても、その労働者性が確認されたとすれば労働者としての扱いで対応することが適切という、そういう基本的な考え方がここに示されているというふうに思います。

西村(智)委員 その判断基準をもう一回検討していただけませんかということなんです。

 今回、雇用保険法でこうやって育児休業給付を増やしていこうと男性の育休取得の目標数値も立てられて、すごいですよ。これは達成できたらすごいと思いますけれども、そういう中で、一方で、四十年前の基準で労働者じゃないと言われている人たちはどんどん置いていかれてしまっているわけです。ここは本当に何とかしないと大変なことになると思います。これは今日は指摘だけにとどめておきたいと思います。

 次に、雇用保険の適用拡大についてということなんですけれども、今回、十時間から二十時間の方々も対象になるということです。ちょっと視点を変えますと、この適用拡大自体は、言ってみれば労働時間を見たときの適用拡大なんですけれども、本当にこれが労働者の福祉向上につながるかということについて、私はちょっと別の見方をしたいと思うんです。

 いわゆる会社都合退職と自己都合退職というのがあります。ハローワークに離職票を持っていって、それで、自己都合退職とそれから会社都合退職と、これは例えば給付内容とか給付期間とか、やはり違うんですよ。

 例えば、我が党で、先日でしたか、ヒアリングをしたんですけれども、もう皆さん御存じのとおりですが、いわゆる自己都合退職ですと、二十年以上勤めていても失業手当の所定給付日数というのは百五十日。ところが、いわゆる会社都合退職ということになると、二十年以上勤めている四十五歳以上六十歳未満の方は三百三十日。期間でいうと倍以上の違いがあるということなんですよね。

 今回、給付制限期間が原則一か月に自己都合退職の方もなったということで、そこは評価できるんですけれども、例えば、離職票を持っていったときに、実は私はパワハラで会社を辞めざるを得なかったんです、いろいろ会社側ともやり取りしたけれども、もうこれは辞めるしかないと思って辞めましたという人が、本当にこれは自己都合退職なのかというのはやはり難しいところだと思うんです。

 つまり、パワハラで退職を余儀なくされた労働者の方がハローワークで相談したところ、証拠がないということで、会社都合退職じゃない、自己都合退職として扱われたというケースがかなりあるのではないかなというふうに思いますけれども、こういった事例がどのくらいあるかとか、そういったことをまず厚生労働省は把握しているでしょうか。

武見国務大臣 まだ実態までは精緻に把握をしているという状況ではないかと思いますが、考え方として、基本手当の受給資格決定における離職理由の判定に当たっては、労働者が自ら離職を申し出た場合でも、その原因がパワーハラスメントを受けたことによるものであると明らかになった場合には、会社都合離職として取り扱われ、給付制限がなく、長い給付日数の基本手当を受けられることになります。

 離職理由の判断は、事業主や離職者の主張に加えて、必要な資料を離職者や事業主から収集した上で行っておりますけれども、委員の御指摘のとおり、パワーハラスメントのような事例において、離職者が客観的に事実を明らかにする資料を提出できず、事実の確認が難しい場合も多いというふうに承知しております。

 したがって、このために、ハローワークにおいては、客観的な資料の有無、離職票というようなものだけで判断するんじゃなくて、職場の同僚などの意見なども丁寧に聴取することなどによって、離職者の置かれた状況に寄り添って必要な判断を行うように努めていきたいと思います。

西村(智)委員 そうやって会社側と本人の言い分を聞いて、それから、それによって会社都合退職に変更することも制度上はできるというのは理解をいたしております。だけれども、実際にどのくらいそういった件数があるか、これも把握していないと思うんですよね。

 私、これはパワハラの対策ということにも今後つながっていく貴重な情報であるように思いますので、是非これはハローワークの方で、ちょっと手間かもしれないけれども、そういった話があったとかいう件数を確認していただきたいなと思っているんです。是非これは要望しておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次は、紅こうじの問題について引き続き伺っていきたいと思います。

 厚生労働省と消費者庁で合同でコールセンターを設置したというふうに伺っておりますけれども、こちらの方に何件ぐらい今電話がかかってきていて、どういう対応をしておられるのか、お聞かせください。医療面でのサポートも必要だと思うんですよね。先ほどの柚木委員の質問にもありましたけれども、お医者さんに行ってくださいというようなことはその窓口で電話でお話をされているのかどうか、確認をしたいと思います。

武見国務大臣 厚生労働省、消費者庁合同コールセンターにおきましては、三月二十九日に設置をして、夜九時まで、また土日祝日も含めて相談対応を実施しております。四月四日までに、延べで二千九百七十九件の相談がございました。

 コールセンターに様々なお問合せをいただいておりますけれども、例えば、委員御指摘の点について言えば、身体に明らかな異常がない場合であっても、小林製薬による回収の対象となっている製品を摂取したなどの理由で何らかの不安感等がある場合には、医療機関等の受診、また最寄りの保健所に御相談いただくよう案内をさせていただいております。

 引き続き、このコールセンターにおいて、相談者の問合せに対してはこのような形で丁寧に対応していきたいと思います。

西村(智)委員 引き続きよろしくお願いいたします。

 次に、先日私がこの委員会で質問した際の答弁について、もう一回確認をさせていただきたいと思っております。

 ちょっと時間がなくて更問いができなかったところも含むんですけれども、私は、先週の厚生労働委員会で、四月五日までに消費者庁が小林製薬に求めた科学的根拠の再検証について、なぜ四月五日で期限を切ったんですかというふうに伺ったところ、工藤副大臣が、それは、いや、回答期限じゃないんです、四月五日時点での回答を求めたということで、継続的に検証を進めていきたいというふうに答弁をしておられました。

 改めて、その同じ、厚労委員会があった先週金曜日の夕方に開催された関係閣僚会合での資料を見ますと、ここに、回答期限、令和六年四月五日というふうに書かれているんですね。ちょっとこの辺りのことについて、もう一回、どういったことだったのか、説明していただけますか。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 先日西村委員からお尋ねがあった件でございますが、三月二十二日付で小林製薬に対し、届出食品の安全性に関する科学的根拠の再検証の結果を二週間経過した四月五日までに回答するように求めておりますということで、今再質問されましたが、まさに今日でありまして、対象となる小林製薬ほか一社、米紅こうじポリケチドに対する安全性に関することで、今日一時に回答をしてくるというお約束になっておりますので、私どもは一時の回答を待っている、そういう状況でございます。

西村(智)委員 一時に回答を待つ、それで、ですから、その内容を見てということになりますかね。その内容を見て、今後とも継続的に検証を進めていくということになりますね、そうしますと。

 そうすると、今日一時に提出される検証結果、どういった内容なのか分かりませんけれども、やはり消費者庁としては、事業者の責任に任せる、事業者任せにするのではなくて、消費者庁として主体的に科学的根拠の再検証を行っていくということなんでしょうか。

工藤副大臣 機能性表示食品は、事業者の責任において安全性や機能性に関する科学的根拠に関する情報を消費者庁に届け出て、機能性表示を行う制度でまずあります。

 今般、小林製薬に安全性に関する科学的根拠について再検証結果の報告を求めているのは、今回の事案発生を踏まえ、届け出た科学的根拠に合理性があるかどうか、事業者に再評価を求めているものであって、報告された内容を消費者庁が検討するものではありませんが、まず本日の報告を待ちたいのと、現在、厚生労働省の調査の結果を踏まえて、必要に対応していきたいと考えております。

西村(智)委員 大変残念なんですけれども、このような事態になっても、結局、消費者庁としてのスタンスは、事業者の責任であるというところを全く出ないわけですよね、厚生労働省の方にも協力してもらってということではあるんでしょうけれども。

 であるとすれば、やはり私は今回の件で、自見大臣が、七千件の機能性表示食品について、まさに健康被害情報の確認というのを今やっておられますよね。こちらの方の期限は四月の十二日でしたでしょうか。それと、今まさにその原因解明は、大阪市などの保健所も現地に行ったりして、厚生労働省の方も独自で分析していただいたりして、まさに今やっている最中であるので、そういった原因究明ですとか、それからそのほかの健康被害がなかったかどうかという確認について、これが終わるまでは、少なくともそこまでは、機能性表示食品の新規の届出というのはやはりストップすべきじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 現在、厚生労働省において、小林製薬が製造した製品に係る健康被害の原因となった物質と、当該物質が製品に含有されるに至った原因の特定を取り組んでいるところであります。

 このような中で、小林製品以外のものに対して制度の運用を止めることは、消費者庁としては考えてはおりません。

西村(智)委員 だって、健康被害情報の確認を今まさにしているわけですよね。法的には、健康被害情報は届け出ることになっているんですか。

 これも、三月二十九日、先週の厚生労働委員会での私の質問に対する、今度は審議官の答弁について伺いたいと思うんですけれども、審議官は、健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合には、届出者は速やかに消費者庁あるいは保健所等の衛生部局に報告することとしておりますと答弁しておられたんですよ。更問いできなかったんですけれども、これは法律に書かれていることなんでしょうか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の届出後の健康被害情報の収集、評価、報告に関する事項につきましては、食品表示法第五条に基づき、食品関連事業者等が食品を販売するに当たって遵守しなければならない食品表示基準の運用通知でございます、機能性表示食品の届出等に関するガイドラインで規定してございます。

西村(智)委員 通知なんですよ、ガイドラインなんですよ。見ましたら、健康被害などが発生したときには報告する体制を取っておくことが望ましいと、割と曖昧な書き方、その体制を取って、そして報告することが適当であるというふうに書いてあって、法律にも書いていない。しかも、通知に書いてあるといっても、適当であるという書き方で、何々するように努めなければと、努力でもなければ義務でもないんですよ、適当であるなんですよ。

 こういった何か緩いやり方で言っているものに対して、何かあたかも法的根拠があるかのような御答弁をされましたけれども、これはやはり違うでしょうということをもう一回確認したいんですけれども、審議官、どうですか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが所管しております食品表示法につきましては、消費者に対して食品の表示の適正性、これを担保する制度でございます。

 委員御指摘の健康被害情報の収集体制というものは、機能性表示食品制度における届出事項として食品表示基準に明記してございます。私どもとしましては、その届出事項がきちっと届出後においても裏づけされた形で表示がされているのかどうか、こういうことをフォローアップしていく責務があると考えておりまして、その中で、その運用通知で、フォローアップの指針として、今申し上げた報告の話を書かせていただいております。

 ちょっと補足しますと、まず、体制をつくるだけでは駄目なんだと思っておりまして、この体制をして、収集すべき項目、そしてそれを評価し、そして、私どもに報告するのは、その評価の結果、届出食品による健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合は、消費者庁に速やかに報告するとともに、保健所に当然これは報告を適切に、食品衛生法の関係規定に従いまして適切に行うべし、こういうことを運用通知に明記しているところでございます。

西村(智)委員 運用通知も、先ほどの柚木さんの資料の中で、半年以上情報の更新がないところが一五%もあったというようなお話もありました。それと、今回、私は、いろいろお話を伺ってくる中で、原材料工場の移転というのについても結構これは大事なファクターになってくるのかなというふうに思ったんですけれども、原材料工場が例えば移転しましたということは、これは変更の届出は必要ないし、されていなかったということで、通知そのものも結構甘々だというふうに思うんですよね。

 先ほどの質問にもあったんですけれども、まず一つは、ガイドラインの見直しは、これはいろいろなことが分かる前にできることがあると思うんですよ。先ほどの健康情報の通知ですとか、それから工場を移転しましたというときも届け出るということとか、それは是非やってもらいたいと思うんですけれども、法改正、これを厚生労働省、消費者庁、どういう形でやるのか、どういう形で今検討しているのか、これは非常に重要なところだと思います。もちろん、今原因が分からないし、因果関係もまだやっている最中ではあるんだけれども、いろいろなことを想定しながら、私は、食品表示法でやるか、あるいは衛生法でやるか、それともどちらでもやるか。もちろん、消費者庁の機能性表示食品のガイドラインの見直しも行うか。私は全部やった方がいいんじゃないかと思っているんですけれども、厚労大臣はどんなふうにお考えですか。

武見国務大臣 まず、先月二十九日に、紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会議というのが開かれまして、そこで官房長官から、当面の対応として、国立医薬品食品衛生研究所と連携して、引き続き原因物質の特定、分析を進め、その結果の速やかな公表及び原因究明を図ること、それから、五月の末を目途に、食品による健康被害等に関する情報収集体制の見直し及び国の関与の在り方について検討するよう御指示があったところです。

 厚生労働省としては、国立医薬品食品衛生研究所と連携をしながら、また大阪市と連携をしながら、この原因究明というものに徹底的に取り組んでいきたいというふうに思っております。

 その上で、関係各省庁と連携しながら、そうしたしっかりとした科学的なエビデンスに基づいて、再発防止のために、食品衛生法体系においていかなる施策が今後必要になるのかということを検討していきたいというふうに思います。

西村(智)委員 私どももよくよく研究をし、近々、政府の方に要望に伺いたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 終わります。

新谷委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、雇用保険の適用拡大、失業手当、教育訓練、そして国の財政負担について伺います。

 まず、雇用保険の適用拡大について。

 今回の法改正で、雇用保険適用対象が、週二十時間以上働いた労働者から、週十時間以上働いた労働者に拡大されます。パートで働く方の多くが雇用保険に加入できるということで、よい方向だと考えております。

 一方で、労働政策審議会の雇用保険部会では、年収の壁と同様、加入の壁ができ、就業調整したり、強制加入を嫌がってフリーランスになってしまう方が出る可能性もあると課題が提起をされました。

 週の労働時間の短縮による雇用保険の適用拡大は、平成六年に二十二時間が二十時間に短縮されて以来で、当時どのような影響があったか定かではありません。

 参考人に伺いますが、雇用保険の適用拡大によって短時間労働者の就労状況が大きく変わる可能性がありますが、その変化を調査して対策を検討する必要があるのではないか、伺います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 今般の適用拡大につきましては、働き方等の多様化が進展していることを踏まえて、雇用のセーフティーネットを広げる観点から実施するものであります。

 労働時間などの就労状況は様々な要素により決定されるもので、適用拡大による影響を予測することは困難でありますが、我々としては、本法案が成立した暁には、就業調整等が生じることがないよう、新たに被保険者となる方々に対し、失業への備えや、育児・介護休業給付や教育訓練給付も利用できることなど雇用保険適用の様々なメリットを、全国の都道府県労働局における各種説明会等の機会や、毎年度、全適用事業者に送付する適切な加入手続を促す各種のお知らせ等を活用して、丁寧に周知していくこととしております。

 また、適用拡大後においては、その施行状況については適切に把握してまいりたいと思います。

井坂委員 今後、様々な働き方、また生計維持の方法が増えてまいります。副業や兼業、こういうことが増えてくるわけですけれども、政府は令和四年からマルチジョブホルダー制度をテスト実施しています。二つの仕事の労働時間を足して、合算して週二十時間以上であれば両方の仕事について雇用保険に加入できるという、大変すばらしい制度であります。どちらか片方の仕事を退職、離職するだけで失業手当がもらえる、対象者は六十五歳以上に限られていますが、画期的な制度であります。

 現状、例えば二つの仕事で週十五時間ずつ、合計三十時間働いていた場合、これまでは、マルチジョブホルダーで、どちらの仕事も失業手当がもらえました。しかし、今回の法改正で週十時間以上が雇用保険の適用対象となるため、今後はメインの仕事だけしか雇用保険に加入できなくなります。

 参考人に伺いますが、この部分では改悪になってしまうので、適用拡大後もマルチジョブホルダー制度による兼業者の保護を継続すべきではないでしょうか。

山田政府参考人 御指摘のありましたように、令和四年一月から、六十五歳以上の労働者を対象として、特例的に本人申請方式により二つの事業所における労働時間を合算して雇用保険を適用する制度を施行しております。この制度の在り方については施行後五年をめどに検証することとされており、引き続き、制度の周知を図りつつ、給付の支給状況等、この仕組みの実施状況を把握してまいりたいと思います。

 その上で、今御指摘のあった令和十年十月の二十時間から十時間への適用拡大の施行も念頭に置きつつ、この制度をどういうふうにしていくのかということについて必要な対応を検討してまいりたいと思います。

井坂委員 マルチジョブホルダー制度、おっしゃったように、令和九年に検証される予定であります。現在、シングルマザーなど、収入が少な過ぎて複数の仕事をかけ持ちする労働者も多い社会状況です。その場合は、どちらかの仕事を失うだけで生活が成り立たなくなってしまいます。

 大臣に伺いますけれども、副業や兼業で生計を立てている労働者について、高齢者に限らず、労働時間の合算により、いずれの仕事を失っても失業手当が受けられるようにする必要があるのではないでしょうか。

武見国務大臣 令和四年の一月から、六十五歳以上の労働者を対象として、特例的に本人の申請方式により二つの事業所における労働時間を合算して雇用保険を適用する制度を施行してまいりました。今般の雇用保険制度の見直しについて労働政策審議会で御審議いただいた際には、この特例措置の実施状況もお示しして御議論をいただいたところでございます。

 その結果として、一つの雇用関係についてのみ雇用保険を適用する現行の方式を維持した上で、施行後五年を目途にこの特例措置の実施状況の把握と検証をしっかりと行って、そして、複数の事業所で働く方への雇用保険の適用の在り方等について、これは引き続き検討することとされております。

 そして、引き続き、この六十五歳以上を対象とした特例措置の施行状況を注視するとともに、その効果検証の結果を踏まえて必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

井坂委員 まさに今、六十五歳以上に限定をしてテスト実施をしているわけでありますから、いろいろ課題も出てくると思いますけれども、しかし、その課題を乗り越えて、いわゆるダブルワーク、昔みたいに趣味で副業とか、趣味で兼業という世界とは全く異なって、どちらの仕事がなくなっても生計が成り立たない、こういう厳しい御家庭も今増えておりますので、是非、この試行、テスト実施の課題を解決をして、全年齢にこの合算しての失業手当の給付というものができるように進めていただきたいというふうに思います。

 続いて、失業手当の議論に移りたいんですが、今回の法改正、雇用保険の適用対象が広がるという意味では大変評価をしております。

 しかし、では、それでセーフティーネットが万全かというと、残念ながらそうではありません。雇用保険に加入できても肝腎の失業手当がもらえないというケースが多過ぎるわけであります。失業手当の受給者数を完全失業者数で割った失業手当の受給者割合、日本は僅か二三%しかありません。同じ数字がEU諸国は六〇%を超えていて、日本の受給者割合は、OECD加盟国中三十一位と、大変低い状況であります。

 大臣に伺いますが、失業手当の受給者割合が低過ぎて、加入者、適用対象を幾ら増やしても網の穴が大き過ぎて、セーフティーネットと呼べないのではないでしょうか。伺います。

武見国務大臣 完全失業者という方の数に対する失業給付の受給者実数、人数の数の割合を計算をいたしますと、平成二十五年から令和四年まででおおむね二〇%台前半で推移しておりまして、委員御指摘のとおりなんでありますが、完全失業者の中には、雇用保険の給付制限期間中の離職者であるとか、それから自営業を廃業した方であるとかなどが含まれておりまして、この割合の高低について簡単に評価することはなかなか難しいかなというふうにも思います。

 ただ一方、この法案の中で、離職期間中や離職日前一年以内に自ら雇用の安定や就職の促進に資する教育訓練を行った場合には、給付制限を解除するとともに、法案の施行に合わせて、自己都合離職者の二か月の給付制限期間を原則一か月に短縮する取扱いとすることを予定しております。

 早期の再就職を促して安易な離職を防止するという観点と、それから、労働者が安心して再就職活動を行えるようにするという観点の双方を踏まえながら、適切な制度の運営に努めていきたいと考えています。

井坂委員 大臣、最後に大事なことをおっしゃいましたので、それはちょっと、少し、後で議論させていただきたいというふうに思います。

 今回、雇用保険、適用拡大されるわけですが、日本は、二〇〇一年に年収要件が撤廃されて以降、この二十年間で何度も何度も適用対象が拡大をされてきました。本来であれば、その分、失業手当がもらえる人の割合も増えて当然だったわけでありますが、実際、失業手当の受給者割合はこの二十年間全く増えておらず、ずっと二〇%台前半で低迷をしております。

 今大臣がおっしゃった安易な受給を避けたいという気持ちはもちろん分かりますが、しかし、後ほど私が議論するように、一方で、労働者の自発的な労働移動というものも今大事になっているわけでありますから、是非、余り、いわゆる給付を渋るような制度設計というのはそろそろ転換の時期ではないかということを申し上げたいというふうに思います。

 日本も、かつては、失業手当の受給者割合、五〇%を超えておりました。六〇%とか七〇%とか、かつてはそういう時代もあったわけであります。なぜ今、雇用保険に入っていても失業手当をもらえない人が増えているかというと、理由は三つあります。

 一部さっき大臣がおっしゃったことも含まれますが、まず一点目が、受給資格要件が厳し過ぎるということです。そして二点目が、さっきおっしゃった、給付日数が短過ぎて、一旦もらってもすぐに九十日でもらえなくなって、失業しているのに失業手当がもらえていないという労働者、またその期間が非常に長いということであります。三つ目に、自己都合退職だと二か月もらえない給付制限期間があるということであります。

 倒産や解雇など会社都合の失業であれば、特定受給資格者としてこれらの要件は緩和されます。例えば受給資格要件は、一般の受給者は、離職前の二年間に合計十二か月以上の被保険者期間、雇用保険料を払っていなければ失業手当がもらえない、でも、会社都合の特定受給者は離職前の一年間に六か月以上被保険者期間があればもらえる、こういう具合であります。

 今回の法改正で適用拡大をされるパート労働者の方々は、短期契約の方も非常に多いわけであります。つまり、一般の十二か月以上被保険者期間がないともらえないというこの要件を満たさずに今回適用拡大すると、受給者割合はむしろ更に下がってしまうおそれもあると考えております。

 大臣に伺いますが、会社都合の特定ではない一般の受給者についても、離職前一年間に被保険期間が六か月以上あれば失業手当を受給できるようにすべきではないでしょうか。

武見国務大臣 雇用保険制度における失業給付、これは基本手当でありますが、これは、保険原理に基づく制度として、一定期間以上保険料を納付することを求めております。

 失業給付の受給を目的とした安易な離職を防止する観点から、原則離職前二年間に被保険者期間が十二か月以上、一年以上あることを要件としている一方で、倒産、解雇など非自発的に離職した者については、その要件の緩和は行っております。

 雇用保険制度の運営に当たっては、早期再就職を促す、安易な離職を防止するという観点と、それから、労働者が安心して再就職活動を行えるようにするという観点の双方が重要であって、今後とも、受給状況などを踏まえながら、適切にこの制度の運営に努めていきたいと思います。

井坂委員 踏まえながらというところにかすかな希望を見るわけでありますけれども、二〇〇七年までは、こんな十二か月以上なんていう厳しい要件ではなくて、六か月以上加入して保険料を払っていれば、一般と特定なんて分けずに失業手当の受給資格が認められていたわけであります。今回、パートに適用拡大しても、失業手当をもらえる人が、むしろこの要件にひっかかって増えてしまうおそれがありますから、ここは是非、元に戻すことを検討していただきたいというふうに思います。

 大臣に、先ほどの重要な論点、更問いでお伺いをしたいんですけれども、自己都合の退職には厳しい規制をかけて失業手当をもらえなくするという政策は、私はそろそろ見直しの時期が来ていると考えております。今回、自己都合でも失業手当がもらえるまでの給付制限期間が二か月から一か月に短縮をされるということは非常に高く評価をいたします。さらに、退職後に学び直し、リスキリングをすれば給付制限期間がゼロになるということが今回の法改正であります。これもいいことだと思います。労働者が斜陽産業から成長産業へ、あるいは、賃金を余りくれない会社からしっかりと利益を出して賃金をたくさんくれる会社へ労働者が自発的に移動するような労働移動には私は賛成でありますし、北欧型のいわゆるフレキシキュリティーについても、かねてからの持論で、この委員会でも何度も議論をさせていただいております。

 大臣に伺いますが、要は、解雇の金銭解決などの経営者目線の労働移動というか労働排除ではなくて、労働者の自発的かつ前向きな、労働者のためになる労働移動を政策で国として後押しをすべきではないでしょうか。

武見国務大臣 それは私どもと全く考え方は同じでありまして、リスキリングについても、三要素ございますけれども、基本的には、自ら望む働き方を選択することができるように、その労働者本人の能力強化というところに焦点を当てております。そして、それによって労働者自身が自らの選択肢を広げることができるようにするというのが、私どもの考え方でございます。

井坂委員 そこは評価しておりますので、要は、リスキリング、もちろんあってもいいんですけれども、リスキリングがなくたって斜陽産業から成長産業へ労働者が移ることには何の問題もないと思いますので、それをこの給付制限期間でブロックをする必要は私はないと思いますから、今大臣がおっしゃった、考えは全く一緒だと言っていただいてその感じがいたしますので、是非そういったことを考えていただきたいというふうに思います。

 続きまして、失業手当でもう一つ、失業手当がもらえないもう一つ大きなグループ、属性、集団が、学生であります。

 昔のように、親の仕送りをたくさんもらって、遊ぶために学生がアルバイトをしているだけなら、これは失業手当はさすがに必要ないかなと思いますが、しかし、現在は、多くの学生が多額の奨学金をもらいながら学校に通い、バイトで生活費や学費を稼ぎながら通っている苦学生も多いわけであります。現に、コロナ禍では、バイトが雇い止めになって学費とか下宿代が払えず、退学せざるを得なくなった学生もたくさん出ました。

 今の制度は、昼間の学校に通う人は雇用保険に入れません、夜間学校とか社会人大学院なら雇用保険に入れます、こういうルールであります。しかし、昼の学校に通って夕方から夜にかけて社会人並みに働いて稼いでいる学生もおりますし、また、土日や夜間に在宅ワークで稼ぎながら昼の学校に通う人もいるわけであります。

 参考人に伺いますが、昼間の学校かどうかという謎の線引きではなくて、全ての学生について一定の要件を満たせば雇用保険の適用対象として失業手当を給付すべきではないでしょうか。

山田政府参考人 昼間学生につきましては、学業が本分であることから、継続的にアルバイト等の就業を行っていたとしても雇用保険の適用対象としないこととしております。

 今回、雇用保険の適用対象を週所定労働時間十時間以上に拡大するということで法案をお諮りしておりますが、その場合であってもこの考え方を変更する状況にはないと考えております。

井坂委員 ちょっと、大臣、今の参考人の答弁はやや大ざっぱ過ぎると思うんですよ。変更する状況にないと一言で切って捨てましたけれども、私もるる説明しましたが、そういう、失業したら生活も学業も成り立たない学生であったり、そもそも、昼の学校かどうかということに、謎の線引きにこだわる理由がなくなってきていると思うんですよね、リスキリングとかいろいろ考えても。

 ちょっと、大臣、今の現状認識、もう一言で切って捨てましたけれども、本当にそういう状況にないと大臣もお考えですか。

武見国務大臣 昼間の学生であっても、事業主と雇用関係を存続した上で、事業主の命により、又は事業主の承認を受け大学院等に在学する者、いわゆる社会人大学生などは雇用保険の対象となるというふうになっておりますけれども、いわゆる一般の学部の学生についての御所見ですよね、これは。

 私も大学の教員を長くやっておりましたけれども、やはり昼間の学生には学業にはきちんと専念してもらいたいし、生活上の必要性ということがあれば、できる限りスカラシップ、奨学金の制度というものを充実させて、それによってそうした苦学生というものを支援していくというのをまずきちんとやっておくということが必要だろうと思います。雇用保険の適用対象にするというのは、そうした努力をきちんとやった上で、なおかつ必要とあらばということになってくるんじゃないかなと思います。

井坂委員 さすがに参考人のように全否定はされなかったので、引き続きこれは議論をしていきたいというふうに思います。

 続きまして、教育訓練給付について伺います。

 今回の法改正で、教育訓練給付の上限が、受講費用の七〇%から八〇%に引上げをされます。受講後に賃金が上昇したり、また資格が取得できた場合に一〇%上乗せされるわけであります。

 国の教育訓練については、以前から、先ほどの議論でもありましたが、その効果について厳しい意見がありました。

 参考人に伺いますが、教育訓練給付について、賃金上昇の確認とか講座の効果測定を今後どのように行っていくか、伺います。

山田政府参考人 今般の改正につきましては、労働者自身が教育訓練の成果を就業条件につなげるインセンティブを高め、より多くの方に意欲的に訓練に取り組んでいただくため、専門実践教育訓練給付金について、教育訓練受講により賃金が上昇したことを要件として新たに追加給付を行うこととするものであります。

 ただ、教育訓練受講と賃金上昇との完全な因果関係を確認することは困難であるので、教育訓練受講前後の賃金を比べ、受講後に賃金の上昇があったことが確認できた場合に追加給付を行うことを想定しております。

 ちょっと違う角度からのコメントになりますが、教育訓練給付の講座の指定に当たっては、講座の質を担保する観点から、例えば、資格試験の受験率、合格率、就職、在職率といった一定の基準を満たしていることを指定要件としております。また、講座の指定は三年間の有効期間をもって定めておりますので、引き続き指定をする場合にはこの要件を満たすことを必要としております。

 こうした措置によって、引き続き、教育訓練給付の指定講座の質の担保を図るとともに、今後は、制度趣旨に沿ったより効果的な給付の在り方の検討が可能となるよう、先ほど効果検証は難しいということを申し上げましたが、効果検証の手法を検討し、データ収集、分析に努め、法案が成立した暁には、施行後の状況を注視してまいりたいと思います。

井坂委員 教育訓練給付について、もう一つ伺います。

 教育訓練とかリスキリングが進むと、正社員と非正規雇用の格差が開く可能性があります。実際、労政審の雇用保険部会の資料では、自己啓発を行った者の割合、正社員は四四%で、正社員以外は一七%と、非常に大きな差が開いているわけであります。

 参考人に伺いますが、非正規労働者の教育訓練給付の利用率を把握しているか、そして、正社員と同等の利用率にするために今後どう取り組むか、お答えください。

山田政府参考人 教育訓練給付については、自ら教育訓練を受講し、リスキリングに取り組むことを希望する労働者が広く活用できる制度としておりますが、雇用形態別の利用状況については集計しておりません。

 今般、より訓練受講の効果を高める観点で、給付率の上限を八〇%に引き上げ、賃金増加等を要件とした追加給付を新たに創設しており、この見直しを含んだ改正法案が成立した暁には、デジタル関係講座の拡大など、労働者等のニーズを踏まえつつ対象講座を充実させるとともに、制度の概要、改正内容について、リーフレット等により、都道府県労働局も含めて、きめ細かい周知広報を行うことで、教育訓練給付金がより広く活用されるように、より多くの労働者の能力向上につながるように努めてまいりたいと思います。

 特に、非正規につきましては、先ほどから御議論の中でも出てきておりますが、求職者支援制度という制度も別途ありますし、今般創設することとしております新たな融資制度、これは雇用保険の対象の外にある人に対するものですけれども、そういったものも含めて、より広い範囲で、希望する誰もが主体的に能力向上のできる環境整備を進めてまいりたいと思います。

井坂委員 最後に、国の財政負担の在り方について大臣に伺います。

 雇用保険法の第一条には、労働者の生活及び雇用の安定を図る、そのことが目的とされています。政府を挙げて取り組む経済社会政策としての、人への投資を目的としたリスキリング施策などは、本来の雇用保険の目的を上回る、国策としての拡充であって、本来は雇用保険ではなく一般財源で実施すべきものではないでしょうか。

武見国務大臣 雇用保険制度においては、失業が政府の経済政策や雇用政策と無縁ではなくて、政府もその責任の一端を担うべきとの考え方の下で、失業やそれに準ずる状態となり賃金収入を喪失した場合に行う給付については、これは国庫による負担を行っております。

 一方で、教育訓練給付というものにつきましては、労働者の主体的な能力開発を促進するためのものでございますので、失業給付等々とは趣旨が異なるということから、制度創設時以来、国庫による負担はしていないということであります。

 その上で、リスキリングによる能力向上支援というのは、構造的な賃上げの実現のためにも重要であって、今般の改正においても、教育訓練給付金の給付率の引上げのほか、新たに、教育訓練中の生活を支えるための教育訓練休暇給付金を創設したところであります。この給付金については、無給で教育訓練に専念する労働者への支援であるといった給付の趣旨を踏まえて、これは国庫による負担も行うというふうにしてあります。

 これらの施策の活用を進めることによって、引き続き、リスキリングに取り組む支援、しっかりとしていきたいと思っております。

井坂委員 大臣に通告の次の質問もまた伺いますが、国を挙げて支援が必要な政策の財源として雇用保険を活用する際には、前年度決算による財政状況の把握を待たずに、労働政策審議会による判断の下で国庫から繰り入れるべきではないでしょうか。

武見国務大臣 令和四年の雇用保険法改正においては、失業等給付に係る国庫負担につきましては、雇用情勢及び雇用保険財政が悪化したときには四分の一、それ以外のときには四十分の一とした上で、これに加えて、機動的に国庫からの繰入れを可能とする仕組みを常設化することで、雇用情勢や雇用保険の財政状況に応じた仕組みといたしました。

 委員御指摘の国庫からの機動的な繰入れについては、積立金の状況であるとか、それから雇用保険財政の状況に照らして必要と認める場合などには、財政当局との調整を前提とした上で、労働政策審議会の議論を経て、予算で定めるところにより実施することが可能となっております。

 一方で、令和四年以降これまでのところ、国庫からの繰入れが必要となる財政状況になっているとは認識をしておりません。

 引き続き、現在の制度の下で、雇用保険財政の安定的な運営を確保してまいりたいと思います。

井坂委員 介護休業給付の国庫負担割合も、本則の八分の一から八十分の一に引き下げられたままであります。一方で、介護休業の給付の受給者数及び支給額は年々増加をしており、今国会に提出される育児・介護休業法でも、今後も増え続けることが容易に予想されます。

 大臣に伺いますが、国として仕事と介護の両立支援を進めるのであれば、介護休業給付の国庫負担については、附則の二年間を待たずに、国庫負担、僅か八十分の一の暫定措置を廃止して、八分の一の本則に速やかに戻すべきではないでしょうか。

武見国務大臣 介護休業給付の給付総額は八十億円弱であります。一体的に経理している失業等給付全体の給付総額に占める割合は小さいというのが実情でございます。こうした中で、国の厳しい財政状況や、ただいま申し上げた雇用保険の財政状況なども踏まえまして、労働政策審議会での議論も経て、介護休業給付の国庫負担割合を八十分の一とする暫定措置について、令和八年度まで延長することとしてあります。

 その上で、介護休業給付の国庫負担の原則的な負担割合について、考え方は変わるものではございません。本法案により、附則において、令和九年度以降できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとするということを規定しているというわけでございます。

井坂委員 一方で、育児休業給付の国庫負担割合は、八十分の一から本則の八分の一に戻りました。しかし、支出も増え続けており、令和十年には労働者側が支払う保険料率を〇・五%に引き上げなければいけない、こういう見通しが出されております。

 参考人に伺いますが、育児休業給付の保険料率、このままいって引き上げなければならない、そうなる前に、やはり、その在り方、育児休業給付の在り方とか負担の在り方について労政審で検証と議論をもう一度行うべきではないでしょうか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 育児休業給付につきましては、今後、男性の育休の大幅な取得増が想定される中で、現行の国庫負担割合と保険料率を維持した場合には、今後の支出が収入を大きく上回っていくと見込まれるため、育児休業給付を支える財政基盤を強化する観点から、本法案により、国庫負担と保険料率の在り方を見直すこととしております。

 具体的には、令和六年度から国庫負担割合を八十分の一から八分の一に引き上げるとともに、当面の保険料率は現行の〇・四%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて本則料率を令和七年度から〇・五%に引き上げる改正を行うとともに、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整する仕組みを導入することとしています。

 育児休業給付の保険料率については、この仕組みの下で、労働政策審議会の意見を聞いて、実際の保険料率を弾力的に調整できるかを確認することになりますが、その際には、財政状況のみならず、育児休業給付の現状や見通しに基づいた丁寧な御議論をいただくことが重要であると考えておりますし、このことは審議会の委員からも言われている話でございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 本日は、失業手当、教育訓練、それから介護・育児休業などについて質疑をいたしました。

 もちろん、雇用労働政策というのは経済政策とも密接ですし、また一方で、社会保障、社会政策とも密接になっている、本当にその間のつなぎの部分でもあります。ただ、やはり、事雇用保険に関しては、保険料を払っている労働者側のための制度であるべきだというふうに考えておりますので、経済界や国策のための雇用保険、その支出ではなくて、あくまで労働者のための雇用保険として更に制度を発展、改善するために議論を尽くしてまいりたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

新谷委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十一分開議

新谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 雇用保険法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 今回、雇用保険の改定は、物すごい大きなターニングポイントではないかなというふうに感じております。二十時間という時間を十時間に短縮するというのは、私も考えられなかったというか、長年この二十時間を保持してきたというか崩さなかったところを今回改定が行われるということで、対象者も五百万人増えるということで、事務も大変になるんですが、これは社会の大きな変化を捉えていくためには必要なんだと思いますが、一つは、やはり財政の問題が出てくると思いますし、制度の運用上の問題が出てくると思いますので、そういったところを質問を通して解決に導いていきたいというふうに思います。

 まず、一問目の質問をさせていただきたいと思います。教育訓練の支給の給付金についてでございます。

 この質問については、我が党の遠藤良太議員も後でされますので、私はちょっと違う側面から質問させていただきたいんですが、この教育訓練を受ける学校は、専門学校もあると思いますし、職種を見ていると、看護師さんであったり、介護士さんであったり、私は柔道整復師ですけれども、柔整であったり、鍼灸であったりというふうに多種多様な職業があります。その中で、学校側は、やはり国家資格に合格をしてもらわないと次の就職にはつながっていかないと思うんですが、教育訓練支給給付金で、学校側の合格率が低くなったりとか学生が余り、退学が多いとかなったときに、この給付の対象の学校ではなくなるのかどうかということについて、まずは政府参考人の方にお伺いをいたします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 専門実践教育訓練給付の講座の指定に当たりましては、講座の質を担保する観点から、資格試験の受験率が八〇%以上であり、合格率が当該資格試験の受験者全体の平均合格率以上であることなどを指定の要件としているところでございます。また、講座の指定は三年間の有効期限を定めておりまして、引き続き指定を希望する場合は再指定申請が必要であり、再指定の申請時点で指定要件を満たさないときは再指定を受けられないこととしております。

 しかしながら、御指摘の点でございますが、特に講座の入講者が少人数の場合、一人の合否が再指定の可否に過大な影響を及ぼすといったことも考えられるところでございます。こういったことを考えまして、単年度の特異な状況を排除する観点から、合格率などの要件につきましては、前三か年度のいずれかの年度の実績が当該要件を満たせば再指定を受けられる取扱いというふうにしているところでございまして、こうした措置も通じまして、引き続き、専門実践教育訓練給付指定講座の質の担保を図ってまいりたいと考えております。

一谷委員 私は、実は、学校側の評価委員として仕事をしていたことがあるんですけれども、本当に、この給付を受けて資格を取りに来る、特に、私、二十年前でしたけれども、三十代、四十代の方が新たな道をと、又は、自分が退職してからその資格を生かしたいということで大変多くの方がこの給付金、支給の給付金を受けられていたんですけれども、やはり、合格率の問題もあるんですけれども、だんだんと少子化で学生さんが減ってきたときに、定員割れが起こってしまう、また、最近退学される方が結構、一定数おられて、この要件を満たさなくなるということが多くあって、私が関わっていた専門学校も途中で断念をしたんですけれども。

 やはり、時代の流れとともに少しこの要件の中身も考え直していただけたらありがたいのではないかなというふうに思いますので、ここはまた現場の声を是非よく聞いていただけたらと思います。都市部と過疎地とまたいろいろ事情も違いますので、できるだけ広く専門学校、大学に、対象の学校に意見を聞いていただきたいというふうに、これはお願いであります。

 続きまして、訓練後の賃金についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 受講後に賃金が上昇したら受講料の一〇%、これで合計八〇%の支給があるということなんですね。これは非常にインセンティブになると思いますのでいいことだというふうに思うんですが、一つ目の質問として、やはり、賃金だけではなくて、自分が社会の役に立ちたいという思いで違う仕事に就きたいなというふうに思う方もいらっしゃると思うんですね。でも、その方が、社会のニーズがあっても賃金が必ず上がるということは約束できないと思いますので、賃金が上がったらというのはインセンティブになるんですけれども、もう少し何か広い考えがあってもいいんではないかなというのが一点。

 もう一点目は、やはり、今の社会の問題を解決していくためには、特に今、医療従事者が足らなかったりします。何か、資格を取って看護師さんになれば給料は上がるでしょうというふうなイメージがあると思うんですが、今、看護師さんの賃金もすごく安くなっていて、前職の賃金を上回る可能性というのが、私はそんなにないんではないかなというふうに思うんですね。

 でも、看護師さんであったり介護福祉士さんであったりは今重要だというふうに思いますので、そういった今社会のニーズに対して必要で人手が足らない資格者、まさに看護師さんとか介護福祉士さんとか、ケアマネジャーさんとかもそうですけれども、保育士さんもそうだと思いますけれども、事業を行っていくために配置基準がありますので、配置基準を満たさなければ事業をやめなければならないとかそんな問題もありますので、もう少し訓練後の賃金についてのインセンティブの在り方を考えていただけたらどうかというふうに思うんですが、政府参考人の方のお考えをお願いいたします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 今先生の御指摘されたのは、教育訓練給付の中の専門実践教育訓練給付金のことだと思いますが、これについては、労働者自身が教育訓練の成果を就業条件につなげるインセンティブを高め、より多くの方に意欲的に訓練に取り組んでいただくという観点から、教育訓練の受講修了後に賃金が上昇したことを要件として、受講費用の一〇%を追加で給付する仕組みを今回導入することとしております。

 ただ、現行の専門実践教育訓練給付金の給付率についても、この追加給付がなくても最大で受講費用の七〇%と高い水準になっておりますので、給付対象となる教育訓練についても、情報関係、医療、社会福祉関係、ビジネス関係等、多様な講座を対象としておるところであります。

 それから、ちょっと、専門実践教育訓練給付金の受講に当たっては、自らの職務経歴だとか職業能力などを踏まえて適切な講座を受講選択できるように、訓練を受講する前にキャリアコンサルティングを必ず挟むようにしております。そういった形で、労働者の方が自らに合った講座を第三者であるキャリアコンサルタントもかませた上で受講できるような仕組みにしておりますので、そういった際に、先生言われたような職業をめぐる様々な社会情勢、そういったものについても御相談できると思いますので、御本人がちゃんと目指すところをきちんと選択できるように、教育訓練給付金を活用して労働者の主体的な教育訓練を支援するような仕組みとしてまいりたいと思います。

一谷委員 これは質問ではないんですけれども、昨日、党内で議論したときに、どういったキャリアの方というか、職業訓練で輩出していきたいかというようなイメージがなかなかつかめないんじゃないかという意見もありましたし、やはり、どういった職業からどういった職業に替わってこうなったというような、そういった具体的なイメージがなかなか分かりにくいんじゃないかという声もありまして、できればこういったことを示しながらもっともっと活用していただけるようにした方がいいのではないかという意見と、もう一つは、入口はやはりハローワークになるんですかね、そこからキャリアコンサルタントにつながるんですけれども、これは昨日の党内の議論の中でおっしゃっていただいたんですが、民間の、リクルートさんとかああいうところをもうちょっと活用して、広告をもう少し分かりやすくやったらいいんじゃないかという意見が出ていましたので、ちょっとここで御紹介をさせていただきたいと思います。

 それでは、次の質問なんですけれども、リスキリングの効果の判断、これをどのようにしているのかということをお聞きしたいと思うんです。

 コロナ禍の中で、女性の方が、離職してしまうということで、新たな資格を取っていただこう、在宅ワークができやすいような技術を身につけていただこう、まあIT関係だというふうに思いますけれども、そのリスキリングを受けられたと。ただ、就職しているのがその受けたリスキリングの技術と違うところであれば、無駄とは言いませんけれども、少しやはりマッチングがもったいないんじゃないかというふうに思いますし、やはり次のコロナのようなことが起こったときにはまた対応ができないというようなことも起こりやすいんじゃないかと思いますので、成果判断みたいな、効果判断みたいなものを政府はやっておられるのかどうかということをお聞きしたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、職業訓練を効果的に実施いたしますためには、全国的な傾向の分析や各地域における地元企業の人材ニーズを踏まえた適切な訓練コース設定などについての検証が重要であるというように考えております。

 このため、厚労省といたしましては、中央それから各都道府県におきまして、労使を含む関係者に参画いただいている協議会を開催いたしまして、応募倍率や就職率など数字に着目をした分野別の取組方針の立案ですとか、各地域において、訓練を修了された受講生の方またその方を採用していただいた企業の方から、訓練内容のうちどんなものが就職に役立ったかのヒアリングなどを行いまして、訓練効果の分析や検証を行っているところでございます。こういったものを基に、地域における今後の産業展開も踏まえた適切な訓練コースの設定の促進などを図っております。

 今後とも、地域のニーズに応じた効果的な公的職業訓練の実施に努めてまいりたいと考えております。

一谷委員 今の御答弁なんですけれども、就職してしまうと、後どうなっていくかというのを中長期的に見ていくのは難しいと思うんですが、中長期的にも後追いできるような感じにはなっているんですかね。もし御答弁あれば。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 公的職業訓練の効果測定に当たりましては、一義的には、就職に結びついたかどうかという時点の数字を重視をしております。

 御指摘のとおり、その後定着できたのかということも重要ではあって、そこは認識をしておりますが、まず就職に結びついて入口に立てるかどうかということが重要だということで、そこを中心に見ているところでございます。

一谷委員 やはり、企業にとっては定着してもらうというのが重要だというふうに思いますし、中には資格マニアの方がいて、資格だけ取ってなかなか就職をして定着しないという方が実際には、ちょっと私も経験して、いらっしゃるので、できるだけ、定着したかどうか、そして中長期的に、まあこれは難しいんだと思うんですけれども、何らかの方法を考えてやっていくことが重要ではないかなというふうに思いますので、是非考えていただけたらというふうに思います。

 次の質問をさせていただきたいと思います。雇用の流動性についてであります。

 今回、本当に、雇用保険の適用拡大をして二十時間から十時間になったということで対象が五百万人になってくると、非常に、これは雇用の流動性があるという前提で多分こういった法の改正が行われてくるんだというふうには思うんですけれども、まず政府参考人の方にお伺いをしたいと思いますけれども、人口が減少していく中で、どのような、雇用保険の今回の改定が雇用の流動性に生きていくのかというところをお答えいただけたらというふうに思います。よろしくお願いします。

山田政府参考人 直接的に、労働市場の流動性というものに対してどうなるかということについてはお答えしにくいんですが、ちょっと角度を変えさせていただいて、二十時間から十時間に適用拡大する背景についてお話しさせていただく形でお答えとさせていただきたいと思います。

 これは提案理由説明だとかそういった場でも出てきておりますが、女性や高齢者等の多様な人材の労働参加が進む中で、先生がおっしゃられたような労働市場の流動化というような流れもあり、加えて、特に、二十時間から十時間への適用拡大の一つの契機として、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の中で顕在化した様々な問題、そういったものも踏まえて、働くことに対する価値観やライフスタイルの多様化、そういったものに対して対応していく必要を我々としては強く気づかされたというところが引き金になっております。

 そうした中で、そういった労働者の生活、雇用の安定、雇用の安定というのは、そういった人々、労働者の人が会社を替わるようなことも含めて雇用の安定を図る観点から、それぞれの労働者がその希望と状況に応じて持てる能力を十分に発揮できるように、多様な働き方を前提に、それを効果的に支える雇用のセーフティーネットを構築するという観点から、現行の二十時間という所定労働時間を週十時間にまで拡大するという形に結実させたところでございます。

一谷委員 セーフティーネットですので、社会で起きている問題に対応するために、雇用の流動性に対応するためにこの時間を短くしてきたんだというふうに思います。コロナがあったからという説明も受けたんですけれども、なかなか、それだけで今までやってきたことを変えられるのか、政治判断できるのかということもあったんですが。

 大臣に是非お伺いしたいんですけれども、日本がずっと、四十時間で正規労働でというのが、正しいとは言いませんけれども、ずっとそれでやってきたところが、人口の減少もあって、あと、価値観の多様性もあって今回の時間を短くするということがあるんですけれども、日本の働くというイメージ、政府はどういったイメージを持って政策を立てていっているのかということを大臣にお伺いしたいと思います。

武見国務大臣 これは、先ほど局長が述べたとおり、国民一人一人が労働者として、個人個人、自らのキャリアだとか働き方を選択できることが重要である、そのためには、例えば、リスキリングを通じて自らの能力を高めて、そしてそれによって就業の選択肢を広げる、こういう考え方がまず最初にあります。そして、その上で、実際に成長分野への労働移動というものを円滑化させるということがその次に考えられ、そして、それらをより制度化させていくために個々の企業の実態に応じた職務給の導入というのがあって、これらを三位一体の労働市場改革として政策的に位置づけ、その中核になっているのは、やはり、いかに労働者の能力を高めて希望に基づく自分の選択肢というものをつくり出すことができるか、ここがやはり一つのコアになった形で、この三位一体の労働市場の改革というものが形成されていると理解しています。

一谷委員 そうですね。ただ、若い方の、今、政府は、所得を増やすために正規労働を増やしていった方がいいという話もありますので、なかなか相反する難しい取組なのではないかなというふうに思いますので、ここは、まあセーフティーネットとして、雇用保険の、失業保険だけではなくて、後で質問しますけれども、男性の育休であったりとか、あともろもろ、総合保険のような形になってきているんですけれども、それを充実すればするほど短時間労働で働くことのメリットみたいなのも出てくるので、日本としてどういうふうな働く価値観というのを持っていくかというのは、政治として、国として示していくということも重要なんじゃないかなというふうに思いまして、今の質問をさせていただきました。

 その中で、働く方が働きやすくするということで、今回、男性の育休というのを拡大させていこうと。今、一〇%台なのを、ほんまに八割、九割まで男性の育休を取ってもらいたいというふうなことが示されていますし。

 私も、もう四年ぐらい前になりますか、うちの施設の男性の方も育休を取りたいと言い出して育休を取られました。ただ、やはり、途中でもらえる給付額が減ってしまうので五か月ぐらいで帰ってきましたかね。そんな問題も今回の改正で改められていくんだと思うんですけれども、財源の問題がやはりあるのではないかなというふうに思いまして。今のままでいくと九年、十年頃には枯渇してしまうということも言われております。そうなると、国民の皆さんにまた負担も返ってくるということも踏まえて、雇用保険の守備範囲というか、これをどんどん広げていくということに対して、ちょっと私は問題意識も持っているんですけれども、こういったことに対して政府参考人の方の御意見をお伺いしたいと思います。

山田政府参考人 お答えします。

 育児休業給付については、男性の育児休業取得者数の増加等を背景に支給額が年々増加していることに加えて、二〇三〇年における男性の育児休業取得率を八五%とする政府の目標、そういう目標に向けて政府として取り組むということとしており、そうした中で、男性の育児休業は今急激に伸びて、ある意味政策が奏功していることになっておりますが、財政的に言えば、その支給額が一層増加するということは今後とも想定されます。

 こうしたことを踏まえて、今般の見直しにおいては、男性育休の大幅な取得増にも対応できるように、育児休業給付を支える財政基盤を強化するために、国庫負担割合を令和六年度から給付費の八十分の一を八分の一に一年前倒しをして引き上げる、保険料率については、本則料率を令和七年度から〇・五%としつつ、実際の料率は保険財政に応じて弾力的に調整する仕組みを導入する、そういったことにいたしました。

 この見直しにより、今、育児休業給付の財政運営の安定化が図られ、多くの方が安心して育児休業を取得できる環境が整備されると考えております。

一谷委員 男性の育休を取られることは非常に重要だというふうに思いますし、これをセーフティーネットとしていくことも大事だと思うんですけれども、今、男性の育休を取られて、やはり男性の産後うつになられる方も増えてきていて、今、十三人に一人ぐらいということらしいです。信州大学の附属病院では男性の産後ケアの、メンタルヘルスの受診の窓口もできたりとかして、関連予算もかなり増えていくというふうに思いますので、そういったところも考えて、本当に今の社会保険のシステムというか雇用保険のシステムでいいのかということを、やはり見直していくのも根本的に必要じゃないかなということを述べさせていただきたいのと、これは開示義務、公表しないといけないんでしたかね、千名以上でしたかね。これがまた五百名ぐらいになってくるのではないかなと思うんですが、企業の、中小企業の規模の在り方みたいなところも少し見直していく必要もあるのではないかなというふうに思うんです。

 そういったトータルの、本当に社会の働くシステムの構造をちょっと根本から考え直していく、この雇用保険の改定というのは非常に有効なのではないかなというふうに思いますので、そこも是非、今後も議論をしていきたいというふうに思います。

 次の質問をさせていただきます。

 複数事業所での雇用をですね、この雇用保険ということについてお伺いしたいんですが、やはり、今、副業ということもあって、たくさんの事業所で少しずつの時間を働かれる方もいます。そうすると、事業主としては、どこが主たる、何というんですかね、生活を基にする会社なのかということが分かりにくいのではないかなというふうに思うんですね。

 元々、政府が二十時間以下にしなかったのは、やはり、どこが一体主の生活を成り立たせる基盤の会社、働く場所なのかということがあやふやになるからという理由だったと思うんですね。でも、今回、これを十時間にして、いい面もたくさんあると思うんですが、そうしたらどこが主たる生活を成り立たせる会社なのかというところが分かりにくいのと、会社側としても、保険を掛けるにしても、一体どこで働いてはるのか、もちろん申告はされると思いますけれども、分からなくて、無保険者の方も逆に増やしてしまうんじゃないかなというふうに思うんですが、この辺りについて政府のお考えをお聞きします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 現行では、雇用保険の適用基準を満たす雇用関係が複数ある場合には、主たる賃金を受ける一つの雇用関係についてのみ被保険者とすることとしております。

 今、委員が御指摘のように、今般、雇用保険の適用の範囲を週所定労働時間十時間以上に拡大することに伴い、御指摘のとおり、二十時間以上では余りなかったと思いますが、複数の雇用主との関係で被保険者要件を満たすケースが増加するということは想定されます。

 このため、現場、労働局、ハローワークにおける取扱いに混乱の生じることがないように、例えば一日当たりの賃金額が高い方の事業所を主たる事業所とするなど、判断に当たっての基本的な考え方を施行までに明確化し、全国の都道府県労働局における各種説明会などあらゆる機会を活用し、丁寧に周知していきたいと思います。

 ちょっと事前にお話をいただいて、マイナンバーの活用のお話もいただいていたので、それと絡めてお答えいたしますが、雇用保険の加入手続に当たってはマイナンバーを登録いただいておりますが、仮に同一人物について複数の事業所から加入手続がなされたような場合には、マイナンバーにより、システム上、未然に二重加入を防ぐことができるというようなことから、引き続きマイナンバー登録は推進し、適切かつ効率的な事務処理に努めてまいりたいと思います。

一谷委員 ありがとうございます。

 マイナンバーの話を次に質問させてもらおうと。でも、あれですか、この委員会の場で質問するとちょっと時間がもったいないんですけれども、登録をされていないということも判断できるんですか、今の質問だと。二つ登録したら、二重で登録していますよということは分かりますけれども、登録していないということも分かるんですか。済みません、追加でお願いします。

山田政府参考人 今、雇用保険の登録の手続は事業主の方で行いますので、そのときに、各労働者についてマイナンバーを書いていただいて出していただいているというような仕組みに現行はなっております。

一谷委員 これも今後の課題なのかなというふうに私はちょっと素朴に、まあ対象者も増えますし、思いますので、混乱を招かないようにと、もしも失業してしまったときに働いておられる方が不利益を被らないように、これは事業者側も気をつけてやらないといけないということですよね。

 ただ、マイナンバーというのは、非常に普及してきましたけれども、非常に重要な社会インフラだと思いますので、私たちはしっかり進めていきたいというふうに思いますので、それを申し上げたいと思います。

 次の質問をさせていただきます。

 次の質問は大臣にさせていただきたいんですが、先ほど大臣のお言葉からもありました多様な働き方への対応ということなんですけれども、給付と負担のバランスというのを取っていくのが難しくなってくるんではないかなというふうに思いますし、セーフティーネットの複雑化、いろいろな働き方が増えれば増えるほどセーフティーネットが複雑になっていくというふうに考えるんですけれども、多様な働き方に対して国がどこまでフォローしていくかということとどこまで認めていくかということは、一定、先ほどの、日本としてどういった働き方が一番いいと考えるかということにもつながるんですが、最後に、時間がもう参りますので、大臣のお答えをいただきたいと思います。

武見国務大臣 御指摘のように、雇用保険制度というのは、社会保険制度の一環として、失業という保険事故に対処するために、雇用されて働く労働者を被保険者として保険料の拠出を求め、その労働者が失業した場合などに、納付した保険料に対する反対給付として失業等給付などを支給することで、労働者の生活と雇用の安定を図るものであるというのがまず基本であったわけであります。

 労働者が失業した場合の給付を柱としつつも、雇用に関する総合的機能を有する制度として、雇用、労働をめぐる環境変化に対応して、育児や介護休業給付や、それから教育訓練給付など、その機能を拡充をしてきたという歴史があるわけであります。

 今後も、負担と給付の関係性という社会保険の原理に基づきつつも、労働者の雇用の安定や能力の向上などを図るという雇用保険制度に求められる役割を踏まえて、これは労働政策審議会においてやはり公労使がしっかりと議論をして、そこで丁寧に議論を積み重ねていきながら、時代状況にしっかりと対応していくというのが一番安定的な対応の仕方になるだろうと思います。

一谷委員 もちろん、目の前の問題を解決しながら、ただ、本当に未曽有の少子化ということもありますので、抜本的な改革をこれからは私たちも考えますので、一緒にやっていけたらと思います。

 本日は、これで質問を終わります。誠にありがとうございました。

新谷委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 先ほど、一谷議員から雇用保険の適用拡大という話を、これはもう午前中ずっとこの議論をされていましたけれども、この理由としては、先ほど聞いていると、コロナが主にあって、その中で雇用の流動性をしていこう、それで雇用の安定化を図っていくんだということなんですけれども、その中で、増やしていくということであれば、この対象が増えていくということなんです。

 その中で、特に、個人飲食店とか、想定されるこういった事業所に関しては、大きな負担であったりとか、手続の負担も考えられると思いますけれども、適用拡大の施行期日が令和十年十月一日ということなんですけれども、四年以上あるということで、周知についてはどのように考えているのか、お尋ねしたいと思います。

山田政府参考人 今回、週二十時間以上から週十時間以上に拡大して、約五百万人の人が新たに雇用保険の適用を受け得ることになりますが、このインパクトの大きさはやはり審議会でもいろいろ議論があり、一つには、雇用保険手続に要する事業所の事務負担が増えることということが指摘されております。それに対して一定の準備期間が必要であるという御指摘があります。

 あと、雇用保険制度適用の意義や重要性、メリット等について、これは労働者に対しても使用者に対しても丁寧に説明する必要があるということも、やはり審議会等でも指摘されておりますし、国会での御審議でもいろいろ御指摘いただいているところであります。そういったことから、全国の事業主、労働者から理解を得るために、十分な周知期間を設定する必要があるということがございます。

 加えて、今回、これは単に雇用保険の適用対象が二十時間から十時間に変わるということだけではなくて、助成金等の制度にも全て響いていくことになりますので、システム改修も大規模になっていくということで、施行日は十年の十月としたところであります。

 施行までの間に、ハローワーク等の施行体制の整備は当然必要ですけれども、一方で、漫然と、五百万人増えるので、その分仕事が増えるということではなくて、事務手続の簡素化、これは、我々事務方もそうですし、サービスを受ける側の事業主や労働者の方にとっての利便性という意味でも、その簡素化だとか、あとオンライン化、そういったものに計画的に取り組むという期間でも施行期間はあると思いますので、そういったことに取り組むとともに、全国の都道府県労働局におけるいろいろな説明会、そういった場で、あらゆる機会を利用して丁寧に周知をしていくことによって、今回の大規模な適用拡大に対して準備を怠りなく対応していきたいと思います。

遠藤(良)委員 局長、丁寧な御説明、ありがとうございます。

 その中で、二十時間未満は女性の割合が七割と高いということなんですけれども、育児休業給付の増加につながるということなんですが、実際、これを利用して子育てをしやすい環境につながると考えられてこういうふうに設定されているのか、お尋ねしたいと思います。

山田政府参考人 恐らく、今の御質問は、本日御審議いただいている雇用保険法改正法案とは別に、子ども・子育て支援法等一部改正法案に入っております雇用保険法の改正についてのことだと思いますが、両親共に育児休業を取得することを促進するために、子の出生後一定期間以内に被保険者とその配偶者が共に一定期間以上の育児休業を取得した場合、二十八日を限度に、休業開始前賃金の一三%相当額を出生後休業支援給付金として給付することによって、既存の育児休業給付と合わせて休業開始前賃金の八〇%相当額の給付とすることとしております。

 政府としては、全体の、こども未来戦略の加速化プランの一つの大きな柱だと思いますが、他施策と相まってこういった施策を着実に実行していくことによって、子育てをしやすい環境の整備を図っていくことにつながっていくと思っております。

遠藤(良)委員 育児休業のところの男性の育児休業の取得は一七%と、伸びてきているということなんですけれども、政府は、二〇二五年、五〇%の取得率を目標にしているということなんですけれども、さらに、保険料を二五年度に〇・五%に引き上げる改正であるんだということなんですが、これは二〇二五年に保険料を引き上げなければならないという理解でよろしいんでしょうか。

山田政府参考人 今申し上げました財政状況の問題につきましては、育児休業給付については、男性の育児休業取得者数の増加等を背景に支給額が年々増加していることに加えて、政府が目標としております、二〇三〇年における男性の育児休業取得率を八五%とするということでもって、その目標達成に取り組むことでどうなるかということで推計をしたものでございます。

 そのために財政基盤の強化が必要ということで、国庫負担割合の問題、それから保険料率の問題、そういった問題について変更を加えるという対応にしておりますが、ちょっと、前提として、どれだけ本当に男性の育児休業が上がるのかといったことについては、今我々が、足下で育児休業給付がどれぐらい伸びているかということが多分一番直近のデータとしてあるんですが、それを見る限りでは、男性の育児休業が急激に増えているということはありまして、先ほど申し上げた政府の目標に向けて、八五%という目標に向けて支出を考えているということはそんなに外れていることではないと思いますので、それに合わせて財政のいろいろな改革をするといった形で考えております。

遠藤(良)委員 先ほど御紹介いただきました、二〇三〇年の男性の育休取得の目標が、公務員は八五%、民間が八五%。これはこども未来戦略の方が出どころだというところなんですけれども、今後、そういう方向性で動く、推移していこうというところであれば、国庫負担金を増やしていくのか、若しくは保険料を上げていくのか、どのように対応するのか、教えてください。

山田政府参考人 ちょっと繰り返しになってしまうんですが、一応、国庫負担について八十分の一から八分の一に引き上げるということと、あわせて、保険料率について、当面は現行の〇・四%に据え置きつつということになりますが、本則料率を〇・五%に引き上げるという改正を行っていくということと相まって、男性の育児休業等を背景にした支出等に対応していくということになっているので、ちょっと、どちらかということではなくて、合わせ技で対応していくということになります。

遠藤(良)委員 育児休業給付は保険だというところで、受益と負担からすれば保険料率が上がっていくのかなと思うんですけれども、政府としては、二〇三〇年の目標設定をしているのであれば、財源もしっかりと検討していくべきだというふうに思います。

 育児休業給付は雇用保険の枠内だとしても、育児休業給付の増加分を保険料の増額で対応するとすれば、これも現役世代の負担につながるんじゃないかなというふうに思うんですが、その辺り、いかがでしょう。

武見国務大臣 育児休業給付の給付であるとか、あるいは財政を含めた制度運営をこれからどういうふうに行うか。育児休業を取得する労働者の生活と雇用の安定を図るという政策目的にちゃんと留意をしつつ、その時々の国の財政状況であるとか雇用保険財政の状況を踏まえて、労働政策審議会の議論も経た上で、極めて慎重な議論の中で決定をしていくべきものというふうに考えます。

 現役世代の負担に関する御指摘ということでありますけれども、これは、この時々の状況がまだ想定できませんので、簡単にお答えすることはできないのでありますけれども、いずれにせよ、育児休業給付の財政運営の在り方については、常に、公労使が参画する審議会で御議論をいただいて、そこでやはり丁寧に決定していくという、そのプロセスが極めて重要かというふうに考えます。

遠藤(良)委員 プロセスが重要だというところなんです。あくまでも、目標設定をしているということであれば、しっかりと出口も見定めてやるべきだということを申し述べたいと思います。

 次に、副業のところに移りたいんですけれども、複数の事業所で雇用されるというところで、先ほども、混乱が生じるんじゃないかなということがありましたけれども、例えば、十時間、十時間で働いている方、こういったケースについてはどういうふうな取扱いになるでしょうか。

山田政府参考人 今回、二十時間から十時間に拡大することによって、いろいろなところで混乱が生じる可能性があるということで、今お話がありましたような点については、現段階ではっきりした方針が決まっているわけではございませんけれども、例えば一日当たりの賃金額の高い方の事業所を主たる事業所とするなど、判断に当たっての基本的な考え方を全国斉一にしなければいけませんので、そのことを施行までに明確化した上で、各労働局における説明会とか、そういった場できちんと労働者側、使用者側、双方に周知できるようにしていきたいと思います。

遠藤(良)委員 例えば公務員の場合も、副業も増えているということなんですけれども、一方、公務員で副業をする場合、雇用保険の加入についてはどのような取扱いになるでしょうか。

山田政府参考人 公務員につきましては、国家公務員法等の法制度に基づき特別な身分保障がなされ、一般の民間労働者に比して身分が安定していること等から、原則的に雇用保険の適用除外としております。

 この考え方は、今般、民間労働者についての雇用保険法の適用拡大に伴って変わるものではないということから、御指摘の場合も含めて、公務員については引き続き適用除外とすべきものと認識しております。

遠藤(良)委員 例えば農業をしている公務員の方も、実際、現場では、僕も知っている方がやっているんですけれども、結構そちらの方がボリュームが大きくなったりとか、例えば週末にそういう農業をしている方、それだけでも結構な売上げをつくっている方も実際いらっしゃるので、これは結構重要な問題だと思いますので、また政府としてもしっかり考えていただきたいと思います。

 その次に、先ほど井坂議員からも話がありましたけれども、六十五歳以上の者を対象に、二つの事業所の労働時間を合算して適用する制度、マルチジョブホルダー制度というところなんですけれども、令和四年一月に、施行後五年を目途に検証するということなんですけれども、現時点で、この取扱いについての、この制度について問題点などがあれば教えてください。

山田政府参考人 御指摘の令和四年一月から始めております六十五歳以上の労働者を対象にした試行的な事業につきまして、現時点では目立った課題というのは生じておりませんが、施行後五年を目途にその効果等を検証することとされており、今回の雇用保険法改正の議論について労働政策審議会にかけた際にも、こちらの途中状況については公労使の皆さんにお知らせしておりますが、引き続き、この施行状況については注視してまいりたいと思います。

遠藤(良)委員 これは、生活保護受給者を減らす意味合いもあると思いますし、一方、六十五歳以上の方の失業給付というのが多く支給されていることになっているということも懸念もあると思うんですが、六十五歳以上の年齢に設定している理由を教えてください。

山田政府参考人 そもそも雇用保険というのは、失業とか離職とか、そういった自分の意思により発生させ得る事象を保険事故としているということであるがゆえに、労働者本人の申出を起点として雇用保険を適用する場合には、逆選択だとかモラルハザードといった問題がつきまといます。

 このため、令和二年の雇用保険法改正において、まずは一定の層を抽出して試行的に制度を適用するということとしたところでありまして、その際に、なぜ六十五歳以上としたかということの回答になりますが、定年や継続雇用制度の期間を過ぎて、それまでの職業人生で得られたスキルを生かして多様な就労を目指している年齢層であると考えられ、また、雇用保険における給付体系も、一般被保険者とは異なる、六十五歳以上の層については異なる体系にあるということで、六十五歳以上に限定して試行することとしたものであります。

遠藤(良)委員 合算する方向性については、先ほども指摘しましたけれども、失業給付の受給拡大につながるんじゃないかなと思うんです。その辺り、いかがでしょう。

山田政府参考人 お答えいたします。

 仮に、現在六十五歳以上の労働者を対象にしておりますマルチジョブホルダー制度の試行的な事業について、これをそのまま全年齢に拡大した場合に、これまで雇用保険の適用を受けていなかった者が新たに雇用保険の被保険者となるため、受給者数や給付総額の増加につながることになりますが、一方で、保険料収入も同時に増えることになりますので、その影響、財政的なそういった影響を一概にどうなるかとお答えすることは困難でございます。

 いずれにしても、この話も含めて、施行後五年を目途にしたその効果等の検証、そういったものを踏まえて、複数事業所に雇用される労働者の雇用保険の在り方については、引き続き、今言われたような御懸念も含めて検討してまいりたいと思います。

遠藤(良)委員 施行五年を目途にということなので、今一年たって、様々な課題であったりとか問題点、あると思いますので、是非いい方向につながっていくように検証を引き続きしていただきたいと思うんです。

 教育訓練の給付のところなんですが、三種類あるということなんですけれども、特に介護系の資格取得でスキルアップが図られているということで、この介護分野での所得増加について、教育訓練給付の意義についてどのように認識しているのか、お尋ねしたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 教育訓練給付においては、介護分野については、介護福祉士等の複数の資格取得を目指す講座が給付対象講座として指定されております。

 介護分野の資格取得や研修の修了が直接所得の増加につながるかについては一概に申し上げることは難しいですが、教育訓練給付を活用することにより、労働者が主体的に能力開発に取り組み、それが雇用の安定や就業条件の向上につながることが望ましいと考えております。

 こちらについても、どういった効果検証ができるかというのはなかなか教育訓練の世界では難しい面もありますけれども、引き続きそういったことについても考えていかなければいけないとは思います。

遠藤(良)委員 特に、専門実践教育訓練給付金の受給者の四〇%が賃金が増加したんだということなんです。つまり、専門的なスキルが身についているということなんですけれども、その中で、教育訓練給付には条件があって、初回の場合は一年以上あるいは二年以上といった要件があって、三年以上といった要件が課されている。

 例えば、一年以内に、早めに教育訓練を受けたいという方のための支給要件の緩和というのは検討されるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

武見国務大臣 教育訓練給付については、公的保険制度の下で、給付に見合った負担という原則があります。

 雇用保険の被保険者期間が三年以上あることを求めておりますが、初めて教育訓練給付を受ける場合には、特例的に、専門実践教育訓練給付について被保険者期間が二年以上、これは最初、始まったときは十年だったんですよね、それが今や二年以上になります。それから、特定一般教育訓練給付及び一般教育訓練給付については、被保険者期間が一年以上あれば給付を受けられることにしてあります。これは、若年労働者の職場への定着率の向上などの雇用の安定のためには、自主的な職業能力の開発の促進を図ることが重要であるという観点から、こうした受給要件を緩和しているものでございます。

 御提案のように、更に受給要件を緩和するということになりますと、基本手当の受給要件との均衡であるとか保険財政への影響など、かなりまだまだ課題があるのではないかと思います。

遠藤(良)委員 今回、一般教育訓練給付受給者の中では、介護初任者研修が運転免許に次いで一番多いということなんですけれども、この初任者研修を受けると、つまり、現場で身体介護をしようとしたらその資格がないと身体介護はできないわけですから、例えば、会社で新入社員が入社して、すぐに現場では働けないという状況があると思います。であれば、こういう給付を短くしていくというのは、一方で、ある意味で、そういう方、対象については、早めに対象になるということも是非検討いただきたいなというふうに思います。

 最後に、教育訓練給付のところにお尋ねしたいんですけれども、今回の教育訓練休暇給付金、これを創設した趣旨をお尋ねしたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 労働者の主体的な能力開発をより一層推進するためには、比較的長期間の教育訓練を受ける場合にあっても、労働者が生活費等への不安なく教育訓練に専念できるようにすることが重要だと考えております。

 厚生労働省では、これまでも有給の教育訓練休暇制度の導入は推進してきたところでありますが、これはこれとして引き続き推進していくこととしておりますが、あわせて、無給の教育訓練休暇制度を利用した労働者への支援を講ずることにより、労働者のリスキリングを一層推進するために、教育訓練休暇給付という、労働者御本人に支給する制度を創設することとしたものでございます。

遠藤(良)委員 具体的にどういう人が対象なのかとか、どういうふうな働き方の人に要件が合うのかということを周知していただかないと、今の状態だと、なかなかどういうふうな方が使いやすいのかというのが分からないという状況だと思いますので、是非、そこを含めて、また引き続きこの議論もしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 本法案は、保険料率を引き上げるものになっております。物価高で、労働者の皆さんは今大変厳しい状況にあります。赤字の中小企業も大変な状況です。私は、負担は増やしていくべきではない、このことを強く申し上げておきたいと思います。

 資料の二ページ目に、労政審のJAMの奥委員の発言、二つ目に出ておりますが、国庫負担割合がもっと早く本則に戻っていれば、労使の保険料率の本則を引き上げることにはつながらなかった、こういう発言があるわけですね。

 これは参考人にお伺いしますけれども、育児休業給付の国庫負担割合引下げの暫定措置、時限的措置が取られてきましたけれども、二〇〇七年度から二〇二三年度までの間で合計幾らの国庫負担が減額されてきたのか、そして、そのうち、育児休業給付を失業給付から切り離して区分経理を始めた二〇二〇年度から二〇二三年度では幾らなのか、お答えいただけますか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 育児休業給付に関する国庫負担割合について、本則が給付に要する費用の八分の一であるところを、御指摘のように、平成十九年度以降、当分の間、本来の五五%の額に暫定的に引き下げ、平成二十九年度から令和六年度までの間、本来の一〇%の額に時限的に引き下げることになっていました。

 これらの国庫負担の暫定措置につきましては、その時々の国の財政状況や雇用保険財政の見通しなどを踏まえて、国会での御審議を経た上で講じてきたものであり、この暫定措置がなかった場合という仮定の御質問について答えることは差し控えたいですけれども、今般、育児休業の取得者増等を背景に育児休業給付の支給額は年々増加しており、財政基盤の強化が急務であることから、本法案では、国庫負担の負担割合について八十分の一から八分の一に引き上げることとしたところであります。

宮本(徹)委員 暫定措置、時限的措置を取ったことによって幾ら国庫負担が減額されたのか、合計額を答えてくださいと。こんなのすぐ計算できるでしょう。

山田政府参考人 お答えします。

 先ほど申し上げたとおり、国庫負担に関する暫定措置は、その時々の国の財政状況だとか雇用保険財政の見通しなどを踏まえて、国会での御審議を経た上で講じてきたものであり……(宮本(徹)委員「同じことを答えなくていいから、数字を答えてくださいよ」と呼ぶ)ええ。

 機械的な計算として、平成十九年度から令和五年度にかけて、給付額に国庫負担割合の本則を当てはめて機械的に計算した金額と実際の国庫負担額との差額は、計六千三百七十五億円となります。

 また、令和二年度から令和五年度にかけて、給付額に国庫負担割合の本則を当てはめて機械的に計算した金額としては、実際の国庫負担額との差額は、計三千八十九億円となります。

宮本(徹)委員 時間の無駄遣いじゃないですか、大臣。幾ら共産党の質問は最後まで行ってほしくないからといって、こういうやり方は私は許せないと思いますよ。

 今、数字は、あったとおり、多額の額が削られてきたわけですね。

 仮に、いつの時点で国庫負担割合を本則に戻していたら二〇三〇年度まで保険料率を引き上げなくとも育児休業給付の積立金の底がつくことなく運営できたのか。遅くとも育児休業給付の区分経理を始めた二〇二〇年度から国庫負担を本則に戻しておけば、二〇三〇年度までは保険料率を引き上げる必要はなかったのではないかと思いますが、いかがですか。

武見国務大臣 数字についてはすぐにお出しできなくて、大変失礼をいたしました。ただ、いろいろと緻密に考えると、仮説の立て方によって数字が変わるということもあるので、非常に慎重にお答えさせていただいたという点は御理解いただけると助かります。

 私の方の回答も、仮定の質問にお答えすることは差し控えるが、育児休業給付の国庫負担については、国の厳しい財政状況やその時々の雇用保険財政の見通しなどを踏まえて国庫負担の在り方について検討し、暫定的措置を講じてきた。しかしながら、今般、男性の育児休業取得者数の増加などを背景にこの支給額が年々増加していることに加えて、二〇三〇年における男性の育児休業取得率を八五%とするという目標達成に向けて取り組むこととしておりますので、政策が奏功して支給額が一層増加することが想定されますので、男性育休の大幅な取得増に対応できるよう、国庫負担割合を本年度から給付費の八分の一に引き上げるなど、育児休業給付を支える財政基盤を強化するものとしたものでございます。

 今後とも、育児休業給付の安定的な財政運営を常に図ってまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 お答えはないわけですけれども、政府の出しております、労政審の出しております育児休業給付の財政運営試算を見ましたら、今回の措置を取った場合に、令和十年度、十一年度が〇・五%に保険料率が上がって、令和十二年度、二〇三〇年度で〇・四%に戻る、これによって資金残高が二千五百八十五億円という計算になっているわけですね。二か年〇・五%上がるということは、〇・一上げれば約二千億円収入が増えますから、四千億円収入が増えることによって二千五百八十五億円残りが出るというのが、二〇三〇年度の本法案の試算なわけですね。

 つまり、仮に育児休業給付の区分経理を始めた二〇二〇年度から国庫負担の割合を本則に戻しておけば、先ほどの話は三千八十九億円ですか、あったわけですから、もう明々白々、元々その時点で本則に戻しておけば保険料率を引き上げる必要はなかったんですよ。ですから、今回の保険料率の引上げという提案は、国庫負担割合を引き下げ続けてきたツケを労働者らに回すものだと言わなければならないと思います。

 さらに、資料、先ほど配った一ページ目を見ていただきたいんですけれども、労政審の議論を見ていますと、国庫負担割合を本則の八分の一に戻すだけじゃなくて、更に引き上げる、このことを求める意見が繰り返されております。

 日本商工会議所の委員の方は、繰り返し繰り返し、雇用保険財政における国庫負担の割合を本則に戻すということはもとより、更なる負担も検討すべきという発言を毎回のようにやっております。あるいは、中小企業団体中央会の委員の方も、引き上げるということであれば、今後の支出増を見込んで八分の一以上の国庫負担割合を御検討いただきたいということで、本則以上に国庫負担割合を引き上げるべきだという意見がたくさん繰り返されてきたわけでございます。

 大臣、これこそ本来、国がやるべきことなんじゃないですか。

武見国務大臣 昨年秋以降の雇用者保険制度の見直しについて、労働政策審議会で議論をいただいてきておりますけれども、育児休業給付における財政基盤の強化の在り方について議論を重ねる中で、労使の代表委員から御指摘の点も含めて様々な意見がありました。

 その上で、厚生労働省としては、今後の男性育休の大幅な取得増などに対応できるように、育児休業給付の国庫負担に関する暫定措置を廃止して、令和六年度から給付費の八分の一に引き上げる、そして、当面の保険料率は現行の〇・四%に据え置きつつ、今後の保険財政悪化に備えて本則の保険料率を令和七年度から〇・五%に引き上げる改正を行うとともに、実際の料率については保険財政の状況に応じて弾力的に調整する仕組みを導入することについて、労働政策審議会での議論も経た上で、本法案を提出したところでございます。

 育児休業給付の保険料については、本法案が成立した暁には、今回導入する仕組みの下で、労働政策審議会の意見も聞いて、実際に保険料率を弾力的に調整できるかを毎年度確認することになりますが、その際には、事業主や労働者に影響を与えるものであることも十分に認識しつつ、丁寧に議論を進めていきたいと思います。

宮本(徹)委員 労働者や中小企業、赤字の中小企業にも影響を与えるわけですから、上げないでくれという声が繰り返されてきたわけですよ。

 大体、育児休業給付の国庫負担割合が八分の一という数字に何か根拠があるんですか。子育て支援に対する国の責任の重さに見合っていないんじゃないかと思いますが、この八分の一という数字の根拠というのはあるんですか。

武見国務大臣 育児休業給付については、育児休業の取得に伴う賃金収入の喪失に対して生活支援を行わない場合、更に深刻な保険事故である失業に結びつくおそれがあることから、失業を保険事故とする求職者給付に準じた国庫負担を行うこととしております。それが、概念的に、八分の一というふうにしたことの一つの意味づけだろうと思います。求職者給付の国庫負担割合が給付費の原則四分の一とされていることから、育児休業給付の国庫負担割合については、その半分である給付費の八分の一としたということであります。

 したがって、政府としては、失業時の給付費を通じて労働者の生活と雇用の安定を図ることを中心的な役割とする雇用保険制度の下で、育児休業給付についても、給付の性格にふさわしい国庫負担を行い、責任を果たしたいという考え方でこのような形になったと思います。

宮本(徹)委員 大臣も、その答弁を読みながら、本当かなと思いながら読んだんじゃないですか。恐らく今、委員、ここにいる方々も、今の説明を聞いて、ああ、なるほど、これで八分の一なんだと分かった人は誰一人いないと思いますよ。だって、雇用保険法自体は、失業しているときも、あるいは子供を養育しているときも、どちらも、労働者の生活の安定、雇用の安定を図る、これが一条の目的で書いているわけですよ。目的にはそこに差なんてつけていないですよ。

 ですから、失業給付が四分の一でやってきたんだから、同じように育児休業給付についても四分の一に引き上げていくということをやれば、これは本当に、当面保険料を引き上げなくともやっていけるんですよ。私たちはそういう修正案も考えておりますので、是非、大臣も、与党の皆さんと相談していただいて、法案の修正も考えていただきたいと思います。

 続きまして、ハローワークの体制についてお伺いしたいと思います。

 今回の法改正で適用拡大とあります。これで五百万人が新たに加入するということで業務量も大変増えていくわけですが、ちょっと資料の三ページ目を見ていただきたいんですけれども、これは国公労連が作成した長期病休者の資料なんですね、一番下のところなんですけれども、これを見ますと、厚生労働省職員だとか都道府県労働局職員の長期病休率というのが、国家公務員全体に比べて高いんですね。これは何か原因は分析されているんでしょうか。

村山政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省において長期病休している職員の比率を最近五年間で見ますと、省全体ではおおむね一・九%から二・七%、うち本省ではおおむね一・九%から二・九%、また労働局ではおおむね二・〇%から二・八%で推移しており、国家公務員全体の病休率、具体的にはおおむね一・四%から一・九%でございますが、これと比べて、どの年を取っても高いことは事実でございます。

 お尋ねの高い病休率の要因として、全職員に対するアンケートから浮かび上がってきているところといたしましては、業務内容にやりがいはあるものの、そもそもの業務量が過大であることや、その結果、超過勤務が多く、ワーク・ライフ・バランスの確保が難しいことなどがうかがわれております。

 同時に、省内組織の在り方として、職員のメンタルヘルスをめぐる課題については、人事や福利厚生の観点から関係部門が個々別々に取り組んできたということから、総合的また専門的な支援機能が弱いといった点も事実でございます。

 このため、まず、業務に応じた体制確保の観点から、本年度については、本省内部部局や御指摘のハローワーク等を中心に定員増を図っており、また、業務の効率的な推進の観点から、外注可能な業務の外注化、ウェブ会議の推進、勤務時間管理のシステム化等の取組を、スケジュール管理しながら進めているところでございます。

 その上で、病気休業、ひいては離職を防止する取組といたしまして、本年四月一日に、大臣訓令に基づきますヘルスケア推進室を大臣官房に新たに設けまして、メンタルヘルス不調の一次予防に重点を置いて、共済組合診療所に配置している保健師や公認心理師等の保健スタッフも含めた一体的な体制を整備し、本省内はもとより、労働局等の地方機関の管理者や担当職員の研修体制を強化しつつ、今後、心身の健康づくりに向けた対応強化を目指しているところでございます。

 今後とも、職員が心身とも健康で、働きがいを感じられる職場づくりに向けて努力してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 一番初めに述べられたように、業務量が職員数に照らしても非常に多い、これが最大の長期病休者の多さの原因だというふうに思います。本当に頑張って働いておられると思います。

 資料をお配りしておるのを、四ページ目を見ていただきたいんですけれども、ハローワークの仕事でいうと、職員一人当たりの失業者数を比べると、欧米主要国と比べて日本は大変多いんですね。正規職員一人当たりで見ると、ドイツに比べて、一人当たり十倍の失業者数を見ているということになります。

 そして、資料の五ページ目を見ていただきたいんですけれども、にもかかわらず、この間、地方労働行政職員は、二〇〇四年から二〇二〇年にかけて三千人近く削減され、その中、ハローワークでいえば、定数が約二千五百人その間に削減されております。

 業務は増える、しかし常勤はどんどんどんどん定数が減らされてくる、それを非常勤でカバーするということになってきたわけですが、これが長期の病休者を生む大きな要因になってきていると思います。

 大臣、私は、定員削減をここまでやってきたことへの反省が必要だと思います。今回の法改正で業務量が増えます、どの程度の人員増が必要なのか、これは見積もっているんでしょうか。今回百名程度の定員の改善をしますけれども、これでは全く足りないと思いますが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 労働局職員については、政府の定員合理化計画の下で、国民への行政サービスの低下を招かないよう留意しながら業務の効率化を進め、長期的には定員が減少をしてまいりました。一方で、新たに取り組むべき分野等については増員要求を行って、必要な人員の確保に努めてきたところであり、令和四年度以降は、労働局職員の定員は増加に転じているところでございます。

 今般の法改正では、例えば適用拡大では、現在の被保険者の約一割に相当する約五百万人が新たに雇用保険の適用を受け得ることになることなど、事業主の手続負担のみならず、ハローワークにおいても業務量が増大することが見込まれます。

 このため、業務プロセスの見直しを含めたDX化であるとか、申請手続、審査業務の効率化などを推進するほか、追加的に必要となる体制について、今後、順次確保に努め、円滑な施行に向けて万全の体制を整えてまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 やはり、大臣、長期病休率がほかの省庁より高いという状況は一刻も早く改善しなきゃいけないと思うんですよね。厚生労働省、労働行政を扱い、健康を守る厚生行政をやっているところが、民間の労働条件と比べても本当にブラックな働かせ方が蔓延し、そして健康を損ねる、これはあってはならないことだと思うんです。

 ちょっと、次の質問まで行く時間がないから、本当に、この状況を、ほかの省庁に比べて病休率が高いという状況は改善しなきゃいけない、この思いについて、最後、聞かせてください。

新谷委員長 武見厚生労働大臣、簡潔にお願いします。

武見国務大臣 はい。

 実は、私、大臣に就任して、厚生労働省の職場をざっと回ったときに、昼は電気を消して、皆さん静かにしながら時を過ごしておられる、それから、地下に行くとそば屋の手前のところにはちょっとした休憩所みたいな場所があるんだけれども、そこにはコンクリートの上に机が幾つか置いてあって、そこに職員が机にもたれかかるようにして寝ていて休んでいるという状況を見まして、これは駄目だなと思ったんです。

 それで、政務の私どもでこれは何とかしようという意見が一致いたしまして、三浦政務官にその役割を担っていただいて、事務次官に、職場の環境改善というのをもっと徹底的にやるべきだ、そのためのきちんとした方針を取りまとめようということで、今、その作業を進めているところでございます。

宮本(徹)委員 本省も当然ですし、ハローワークや労基署も含めてしっかり対応を求めて、残りの質問は次回させていただきます。

 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 本日最後の質問となります。よろしくお願いいたします。

 今回、パートやアルバイトなどの短時間の労働で働く人たちが失業給付などを受け取れるようにするために、適用対象を一週間十時間以上の人にまで拡大するということです。週の適用時間二十時間未満の労働者の中にも生計を維持している人たちもたくさんいるかと思いますので、今回の法改正、労働者の雇用の安定という意味では大いに前進だと思っています。

 まず、その中で、失業という分野について伺いたいと思います。

 現在の雇用保険制度では、離職した場合だけでなく、週の労働時間が二十時間の状態から二十時間未満に減少した場合も、部分失業という形で給付が行われています。今回の適用労働条件、適用時間を引き下げた場合に、適用基準を失業認定基準とする従来の考え方をそのまま維持しますと、例えば週三十時間、四十時間就労している場合でも、十時間まで減少しなければ従来の給付が受けられないということになるのか、この点については給付対象となる被保険者にはどのように説明をして、また理解を求めていくことになるのか、伺います。

武見国務大臣 現在、失業給付の対象となる失業状態の認定に当たりましては、その日の労働時間が四時間、週二十時間相当以上就労したか否かを基準としておりますが、今般の適用範囲の拡大に併せて、判断基準を一日二時間、週十時間相当以上に見直すこととしております。これは、雇用保険の適用基準を満たす労働時間で働いている場合は、失業状態にはなく、就職しているものと判断するという考え方に基づくものでございます。

 この見直しの内容については、受給者を対象とした制度の説明会などあらゆる機会を活用して、丁寧に周知をしていきたいと思います。

田中(健)委員 施行まで時間がありますので、是非、今、周知を徹底させていただくというお話がありましたが、お願いをしたいと思います。

 さらに、副業や兼業により生計を維持している者にとっては、どちらかの仕事が失業となった場合、生計維持できないということも生まれてくるかと思います。

 こうした雇用保険の被保険者の生計の維持に直結する一部の部分失業、この失業状態に対して、政府はどのように対応をしていこうと考えているのか、伺います。

武見国務大臣 御指摘の課題については、令和四年一月から、六十五歳以上の労働者を対象として、特例的に本人申請方式により二つの事業所における労働時間を合算して雇用保険を適用する制度を施行しております。

 この特例的な仕組みを六十五歳以上の方を対象に実施しているという趣旨ですが、定年や継続雇用制度の期間を過ぎて、これまでの職業人生で得られたスキルを生かして多様な就労を目指している年齢層というふうに考えました。そしてまた、雇用保険における給付体系も一般被保険者と異なるという考え方によるものでございます。

 この制度につきましては、施行後五年を目途にその効果等を検証することとされておりますので、引き続き、施行状況を注視するとともに、その効果検証の結果を踏まえて必要な対応を検討していきたいと思います。

田中(健)委員 先ほども出ておりました五年をめどにということで、さらに、現時点では問題ないということも御答弁でお聞きをしておりますので、是非、失業状態もどのように捉えていくのかということも踏まえて検討していただきたいと思っています。

 更に進みますが、雇用保険制度では、適用拡大後、十時間の仕事を二つかけ持ちしている場合は、先ほどもマルチジョブホルダー、出ていましたけれども、二つの仕事のうち、労働契約上では基本は賃金が高い方のみ加入になると思いますが、一方、年金や健康保険というのは、副業、兼業先も加入対象に両方ともなっています。さらに、複数ある仕事先、どの仕事を本業とするかについては、個々の仕事による賃金の額に関係なく労働者自身が選ぶことができるというふうになっているかと思いますが、この公的保険制度により被保険者の取扱いがそれぞれ違うという理由はどのように考えればいいか、お聞きします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 現行雇用保険においては、適用基準を満たす雇用関係が複数ある場合には、主たる賃金を受ける一つの雇用関係についてのみ被保険者とするという扱いにしております。

 雇用保険制度においてどうしてこういうような扱いとしているかという理由については、一つには、雇用保険の保険事故である離職や休業の発生の有無をいずれの雇用保険について判断するのかということを確定させる必要があるということ、これは給付に跳ね返ってくるからですけれども、それから二つ目には、失業給付額の額を決めるに当たっては、その労働者が主に生計維持のために得ていた賃金水準を基準とすることが適切である、そういった理由から、雇用保険制度はそういった対応にしております。

田中(健)委員 先ほどこの議論がありましたけれども、雇用保険の、複数の事業者に雇用されている労働者の保険適用、先ほど参考人の方は、まさに労政審の報告書のをそのまま御答弁いただいたんですけれども、現場が混乱する、生じることがないように、例えば賃金の日額の高い方の事業者を主たる事業とするなど、判断に当たっての基本的な考え方を周知していくと言ったんですけれども、ここには施行までに明確化して周知すべきとありまして、先ほどは全国一律に周知していくと言うんですが、いつこの基準を決めるのか、そして明確化するのか、また、どのような形でこれが決められていくのかということを教えていただければと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 この法案について国会で成立させていただければ、その後、ちょっと、いつのタイミングということはここでは明確にできませんけれども、労働政策審議会において議論するということになると思います。

田中(健)委員 是非、これは策定されてからということでありますが、労政審の中でどうあるべきかという議論、これまでもこの審議会を見ていますと様々な議論が出ておりますので、慎重に審議をしていただければと思います。

 さらに、その中で、年金や健康保険では、週の労働時間二十時間以上であって、企業規模の要件を満たした労働者を被保険者としています。今回、雇用保険は更に短い、十時間で働くのを対象としますが、年金や健康保険についてもこの十時間に合わせていくのかということです。この要件となる週労働時間を短くしていくのかということも併せて伺えればと思います。

武見国務大臣 一定の要件を満たす短時間労働者には、被用者にふさわしい保障の実現、社会保障の機能強化の観点から、二〇一六年十月以降、被用者保険の適用拡大に順次取り組んでまいりました。

 この適用拡大に関しましては、全世代型社会保障構築会議におきまして、企業規模要件の撤廃などについて早急に実現を図るべきとされたほか、委員の御指摘の週の労働時間二十時間未満の短時間労働者については、具体的な方策について、実務面での課題や国民年金制度との整合性などを踏まえつつ、着実に検討を進めるべきとされております。こうした経緯も踏まえまして、既に社会保障審議会年金部会などで更なる適用拡大について議論を開始をしております。

 被用者保険の適用拡大により事業主負担も増加することから、検討に当たっては企業経営の配慮も必要となります。次期年金制度改正に向けて、関係者の御意見も伺いながら、丁寧に議論を進めていきたいと思います。

田中(健)委員 雇用保険の十時間を今回はまだ年金、健康保険には適用しないということではありますが、議論が今進んでいるということです。企業負担の面もありますので、すぐには、軽々には決められないとは思うんですが、是非この議論も進めていってほしいと思っております。

 さらに、給付と財源の在り方についてもお聞きをしたいと思います。求職者の支援制度です。

 雇用保険でない者に対する支援であり、給付と負担の対応関係、これも先ほど来議論が出ておりましたが、緩められているという指摘があります。給付と負担の観点からは、雇用保険から支出することについて疑問が生じるということです。

 労働保険特別会計の雇用保険勘定の財源というのがかなり厳しい、危機的状況にある中、求職者支援制度の財源について、さらに、雇用保険料を払っていない者に対する仕組みへの国庫負担の在り方ということについて、どのようにまとめて、また考えればいいのか、伺います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の求職者支援制度は、雇用保険の給付を受けられない方を対象として、無料の職業訓練を実施するとともに、訓練中に月十万円の給付金を支給することにより、早期の復職を促進する制度であります。

 こちらについては、国庫負担割合については、厳しい財政事情に鑑み、当分の間、暫定措置として、本則の負担割合の五五%とされているところであります。

 他方で、求職者支援制度を利用し、安定した就職につながるということになると、それはイコール、雇用保険制度の担い手が増えて雇用保険財政にプラスに働くという面があることを踏まえれば、労使保険料を財源に組み入れるということにつながってくると思っております。

 求職者支援制度の国庫負担の暫定措置については、本法案において、令和九年度以降できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとの規定を盛り込んでいるところでありますが、こうした規定も踏まえて適切に検討を進めてまいりたいと思います。

田中(健)委員 今回の雇用保険の拡大によっても、中にはまだ入りたくないという方もいるというアンケートの中、単純に、求職者の支援制度で雇用できました、はい、では雇用保険に入りますということにはすぐに結びつくとは私も思いませんし、また、この制度自体は、大変重要で、セーフティーネットとしては意義があると思っていますが、やはり、被保険者を対象としている以上は国庫負担の在り方というのも議論が必要だと思っていますし、引上げについても必要だと思っておりますが、この件についてはいかがでしょうか。

新谷委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

新谷委員長 速記を起こしてください。

 山田職業安定局長。

山田政府参考人 先ほど最後にお答えいたしましたけれども、国庫負担の暫定措置については、今回の法案において、令和九年度以降できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとするという規定を盛り込んでおりますので、その規定を踏まえて適切に検討を進めてまいりたいと思います。

田中(健)委員 安定財源の確保ということですが、是非、国庫負担の在り方も考えていただきたいと思います。

 なぜかというと、育児休業給付金、併せて伺いますが、これも議論が先ほどから出ておりました。これは雇用保険から支出されていますが、こちらは、雇用保険に加入できていない方を適用するのは、費用負担の在り方等多くの問題があり、困難であるというふうにしています。

 雇用保険制度を使う基準というのを、今の議論もあったんですけれども、どのように整理をすればいいのかということから伺いたいと思います。

山田政府参考人 雇用保険制度は、社会保険制度の一環として、失業という保険事故に対処するために、雇用されて働く労働者を被保険者として保険料の拠出を求め、その労働者が失業した場合などに、納付した保険料に対する反対給付として失業等給付などを支給することで、労働者の生活の安定を図るものであります。このため、給付の対象は、原則として、保険料を負担している被保険者であることが求められるということになります。

 ただ一方で、ちょっとここのところは先ほど委員からも御指摘ありましたけれども、求職者支援制度を利用して安定した職種につながれば、雇用保険制度の担い手が増えるということになり、雇用保険財政にも資するという面があることを踏まえて、求職者支援制度の財源に雇用保険の労使保険料を組み入れているところでございます。

田中(健)委員 育児休業給付金、当初は、育児で休業することで収入が減る、それは失業状態だということを見越してこの給付がされていましたし、女性の離職を防ぐという目的があったということも聞いていますが、今やこれはこども家庭庁の中でも議論がされていまして、少子化対策であり、また子育て支援だというふうな議論を今しています。

 雇用対策なのか少子化対策なのかということなんですが、これは、少子化対策、子育て支援という家庭的な政策となるならば、先ほども出ていますけれども、非正規の人やフリーランスの方、そちらの方にも支援をまた適用していかなければやはりその趣旨とはずれてしまうんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

山田政府参考人 今お尋ねがあった育児休業給付につきましては、いみじくも今議員からも御指摘ありましたように、育児によってキャリアが中断するということを防ぐという雇用対策的な要請にも応えておりますし、一方で、少子化対策としての大きな柱になっているという、両面が恐らくあろうと思います。

 そうした中で、今回の法案が通ればの話ですけれども、新しくこども金庫の方に雇用保険の育児休業給付勘定部分が移るということになりますが、依然として、そこの在り方をどうするかということについては、女性の働き方に強く影響を与えているということもありますので、我々、労働政策審議会側の方でしっかり制度の設計については考えていきたい、それの財政運営についても、先ほど申し上げたとおり考えていきたいと思っております。

田中(健)委員 財政運営じゃなくて、雇用保険でもあり、少子化対策でもあると今言っていましたから、であるならば、非正規の人やフリーランスにも適用を考えてほしいということであります。

 時間が過ぎてしまいましたので、また改めて質問させていただきたいと思いますが、ありがとうございました。

    ―――――――――――――

新谷委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る九日火曜日午前九時三十分、参考人として学習院大学経済学部経営学科教授、一橋大学名誉教授守島基博君、日本労働組合総連合会総合政策推進局長冨高裕子君、リクルートワークス研究所研究センター研究1グループ長/主任研究員大嶋寧子君、一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部副本部長平田充君、全国労働組合総連合副議長秋山正臣君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

新谷委員長 次に、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。

 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会において審査中の内閣提出、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案について、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会に連合審査会開会の申入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

 次回は、来る九日火曜日午前九時十五分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十五分散会


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