第11号 令和6年4月10日(水曜日)
令和六年四月十日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 新谷 正義君
理事 大岡 敏孝君 理事 大串 正樹君
理事 橋本 岳君 理事 三谷 英弘君
理事 井坂 信彦君 理事 中島 克仁君
理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君
青山 周平君 秋葉 賢也君
畦元 将吾君 石原 正敬君
上田 英俊君 勝目 康君
金子 容三君 川崎ひでと君
木村 次郎君 岸 信千世君
塩崎 彰久君 鈴木 英敬君
田所 嘉徳君 田畑 裕明君
田村 憲久君 高階恵美子君
冨樫 博之君 中川 貴元君
中曽根康隆君 中谷 真一君
仁木 博文君 古川 直季君
堀内 詔子君 本田 太郎君
三ッ林裕巳君 柳本 顕君
山本 左近君 吉田 真次君
阿部 知子君 大西 健介君
神谷 裕君 堤 かなめ君
山井 和則君 柚木 道義君
吉川 元君 吉田 統彦君
早稲田ゆき君 一谷勇一郎君
遠藤 良太君 岬 麻紀君
福重 隆浩君 吉田久美子君
宮本 徹君 田中 健君
福島 伸享君
…………………………………
厚生労働大臣 武見 敬三君
内閣府副大臣 工藤 彰三君
厚生労働副大臣 宮崎 政久君
厚生労働大臣政務官 塩崎 彰久君
厚生労働大臣政務官 三浦 靖君
政府参考人
(消費者庁政策立案総括審議官) 藤本 武士君
政府参考人
(消費者庁審議官) 依田 学君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 黒瀬 敏文君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局長) 大坪 寛子君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局長) 鈴木英二郎君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局長) 山田 雅彦君
政府参考人
(厚生労働省雇用環境・均等局長) 堀井奈津子君
政府参考人
(厚生労働省老健局長) 間 隆一郎君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 伊原 和人君
政府参考人
(厚生労働省人材開発統括官) 岸本 武史君
政府参考人
(厚生労働省政策統括官) 鹿沼 均君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 菊川 人吾君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
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委員の異動
四月十日
辞任 補欠選任
川崎ひでと君 古川 直季君
田所 嘉徳君 青山 周平君
田畑 裕明君 中曽根康隆君
仁木 博文君 木村 次郎君
山本 左近君 中川 貴元君
西村智奈美君 神谷 裕君
山井 和則君 吉川 元君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 冨樫 博之君
木村 次郎君 仁木 博文君
中川 貴元君 岸 信千世君
中曽根康隆君 田畑 裕明君
古川 直季君 石原 正敬君
神谷 裕君 西村智奈美君
吉川 元君 山井 和則君
同日
辞任 補欠選任
石原 正敬君 川崎ひでと君
岸 信千世君 山本 左近君
冨樫 博之君 田所 嘉徳君
―――――――――――――
四月十日
介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(早稲田ゆき君外十六名提出、第二百八回国会衆法第三〇号)
は委員会の許可を得て撤回された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)
介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(早稲田ゆき君外十六名提出、第二百八回国会衆法第三〇号)の撤回許可に関する件
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○新谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として消費者庁政策立案総括審議官藤本武士君、審議官依田学君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、厚生労働省健康・生活衛生局長大坪寛子君、労働基準局長鈴木英二郎君、職業安定局長山田雅彦君、雇用環境・均等局長堀井奈津子君、老健局長間隆一郎君、保険局長伊原和人君、人材開発統括官岸本武史君、政策統括官鹿沼均君、経済産業省大臣官房審議官菊川人吾君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○新谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田統彦君。
○吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦です。
今回は雇用保険法の改正案ということで、早速始めさせていただきたいと思います。
今回の法改正は、雇用保険の適用拡大が最大のテーマであり、週所定労働時間がこれまでの二十時間から十時間となり、対象となる労働者が拡大します。それに伴い、新たに対象となった労働者も、またその雇用者も負担を負うことになる、かなりインパクトがある法案である、そのように考えます。
前回、令和四年に法改正なさっていますが、立憲民主党は国民民主党と有志の会と雇用保険法改正案に対し修正案を提出しましたが、自公両党と維新の会の反対により否決されています。
その大きな柱は、ア、国庫の負担として、本則で定める国庫負担割合を引き下げる改正を行わないこととするとともに、附則で定める国庫負担割合の軽減に係る暫定措置を廃止することとともに、イ、育児休業給付の新制度への移行等についての検討として、政府は、子育て支援における国の責任を踏まえ、速やかに、子を養育するための休業に係る給付の在り方について、費用の全額を国庫が負担する新たな制度に移行すること及び業務の委託を受けて役務を提供する個人事業者等の雇用によらない働き方をする者を給付の対象とすることについて検討を加え、その結果に基づいて所定の措置を講ずるものとすることというものでした。
この修正が成立していれば、今回の法案についても、雇用サイドからの懸念なども示されることなく法改正ができたということをまず前提として申し上げておきます。
まず初めに、今回の法改正による雇用保険の適用拡大と、それに伴う中小企業や、特に小規模の医療機関等への影響についてお聞きします。
政府は、物価高を上回る所得増へとのキャッチフレーズの下、様々な施策を展開されていると思います。武見大臣も、今国会の大臣所信の中で、医療や介護、障害福祉分野の現場で働く方々については、昨年末に決定した診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の改定率の下で、物価高に負けない賃上げを着実に実現してまいりますと述べられています。
しかし、実態はそのようになっているとは到底思えません。むしろ、先日も申し上げましたが、今年の診療報酬改定で、特に内科ですね、場合によっては月数百万の減収になると不安を訴える医療関係者は少なくありません。
このように、診療報酬を改定率上で上げても、本当に賃上げにつながるかは不明な中であります。小さな医療機関の中にはパートの方の割合が多くて、一般企業でも同様かもしれませんが、小規模の企業ほどパート労働者の割合が非常に高くなっています。
このような中で、介護はまだ比較的正社員の割合が高いようにも思うのですが、今回の法改正が直接的に大きな影響を与えないかもしれませんが、それでも影響はあります。影響がないとは言えません。
小規模の医療機関等は、診療報酬は公定価格で決まる中で、今回の法改正に伴う医療機関側への負担増が少なからず影響を与えるのではないかと考えますが、武見大臣の見解をお伺いします。
○武見国務大臣 今般の適用拡大は、働き方の多様化が進展していることを踏まえて、雇用のセーフティーネットを広げる観点から実施するものでございます。
新たに適用対象となります週所定十時間以上二十時間未満の労働者の就業状態を見ますと、企業の規模別ですが、約五割の方が従業員百人未満の企業に雇用され、産業分野別に見ますと、約二割の方が医療、福祉分野に雇用されておられます。
このため、小規模な医療機関においても、新たに適用対象となる短時間労働者の方々の保険料負担や事務手続をお願いすることになりますが、雇用保険の適用を受けるということになりますと事業主、労働者双方に様々なメリットがあることから、こうした適用拡大の意義を是非御理解をしていただけるよう、丁寧に周知をしていきたいと考えております。
○吉田(統)委員 そのメリット等は後で聞くんですが、影響があるかどうかを聞いているんですね。だから、実際の負担として負担は増えるじゃないかということを大臣に聞いているので、今おっしゃったことは後で詳しく聞きますが、大臣、もうちょっと単刀直入に聞くと、別に小さな医療機関とか小規模な事業者に影響を与えない、負担はかけないと思っていますか、純粋に財政の問題だけに関して言えば。どうですか。
○武見国務大臣 これは、正直に申し上げまして、雇用保険の保険料を支払っていただくということになりますから、その分の事業主分の負担というものについては当然お願いすることになると思います。それに関しては、実際にこれから恐らくお話をさせていただくことになると思いますが、多くのメリットが事業主及び雇用者双方にありますので、御理解いただけることをお願いしたいと思います。
○吉田(統)委員 だから、相当メリットがないと、そこをしっかり理解していただかないといけないわけですね。
それでは、次に行きますね。
今回の改正案による週所定労働時間の十時間への引下げは、今まで雇用保険に入りたくても入れなかったパート労働者に雇用保険に加入する機会を与えるものとなり、一般的にはこのような労働者にとってはメリットがあると考えられます。しかし一方で、これらの労働者もこれからは被保険者として保険料の負担を負うことになりますね。労働者にとっても本当にメリットがあるものであるか、疑問に思う節もあるとお伺いしております。
一方で、事業主にとっては、今おっしゃったメリットが大変分かりにくいんですね、大臣。端的に申し上げると、これから、先ほど申し上げた、今まで対象じゃなかったパート労働者に対しても事業所、事業主として雇用保険に加入させる必要があり、それに伴う負担が大きくなるように、見かけ上はそうとしか見えませんよね。
じゃ、前提としてお伺いするんですが、今回の法改正で、対象となる被保険者の方はどれくらい増加すると想定されていますか。また、労使双方の負担はどのようになりますか。
○宮崎副大臣 今の御質問、被保険者はどの程度まず増えるかという点でございますけれども、今般の適用拡大により、最大で現在の被保険者数の約一割に相当する五百万人に近い方が新たに雇用保険の適用を受けると考えております。
また、労使双方の負担という御指摘でありますけれども、今大臣からも御答弁させていただきましたとおり、一定の保険料負担が生じるところがやはり負担であると考えております。また、追加的な事務負担も、当然、加入手続などでお願いしないといけない。
保険料率につきましては、労働者の方で〇・六%、事業主の方は、雇用保険二事業の分が付加されますので、これは〇・三五付加されますので、〇・九五%の保険料負担をお願いすることになると考えております。
○吉田(統)委員 次も宮崎副大臣にお伺いします。
本改正案では、周知期間を長く取る予定にしているという点に特徴が、副大臣、ありますね。それだけ、この法案のメリット、デメリットが特に事業者、事業主にとって分かりにくいものになっているのではないかなと思うんですが、改めて、この場で、この改正案により労使双方にどのようなデメリットが予想され、また、それを超えるメリットがあると考えるのか、これをちょっと分かりやすく、宮崎副大臣、御説明いただけますか。
○宮崎副大臣 今、メリット、デメリットの御指摘を、御質問の中でもちょっとメリットが分かりにくいんじゃないかというふうな御発言がありましたけれども、ここをしっかり政府としても御説明申し上げないといけないところだと思っております。
御負担に関しては、今申し上げましたとおり、一定の保険料負担、また、加入等に関する事務手続の御負担を頂戴しなければいけないということになります。
こういったことによって雇用保険が適用されることになりますので、メリットといたしまして一番大きいのは、当然、失業のリスクに備えていただくことができるということ、また、育児休業給付や介護休業給付、職業訓練給付を利用していただけることができるようになるという点があると思います。
また、先ほど雇用保険二事業についての説明を数字でいたしましたが、雇用調整助成金、人材開発支援助成金、両立支援等助成金といった事業主向けの助成金の対象となるため、事業主の方からしますと、短時間労働者の方の能力の開発であったり、就業環境の改善に取り組みやすいというようなメリットを感じていただけるかと思っております。
労働者の方々には、雇用の安定を確保しつつ、主体的なキャリア形成に取り組むこともこういうようなことからできますので、労働意欲や生産性の向上なども期待できるということであります。反射的と言ったら失礼かもしれないですけれども、事業主の皆様には、こういったことで、事業全体に生産性の向上を含めた好影響を受けていただくことができると考えております。
こういった意義やメリットについて、丁寧に周知を図って御理解いただけるようにしたいと考えております。
○吉田(統)委員 副大臣、よく分かりました。ありがとうございます。
次に、今回の改正案の内容からは少し外れるんですが、雇用保険に関わる問題で最近気になることがあります。ネットなどでも、○○アドバイザーとか××コンサルタント等と自称する方から、六十五歳定年の二日前に退職するだの、六十四歳十一か月で退職するべきなどのいわば裏技を紹介して、それを推奨するかのようなホームページなどを最近よく目にします。
例えば、あるホームページにこんな記載がありました。
失業手当をより多くもらうためには六十五歳になる前に退職する方がいいのですが、気をつけなければいけないのが、六十四歳までもらえる特別支給の老齢厚生年金をもらっている人と、年金を六十五歳になる前にもらい始める繰上げ受給をしている人です(ここでは以下両方を合わせて老齢年金といいます)。
ここは重要ポイントですが、六十四歳までは老齢年金と失業手当はどちらかしかもらえません。そのため、六十四歳のうちに失業手当の手続をすると、老齢年金はストップしてしまいます。ストップした分は後からはもらうことができないので、年金がストップする期間はなるべく短く、できればなくしたいところです。
そのためには、六十五歳になる直前(誕生日の前々日がベスト)に退職をして失業手当をもらえるようにしておき、六十五歳になってからハローワークに手続に行くのがベストな方法です。これなら六十四歳のうちにもらえる予定の老齢年金も期限いっぱいもらえるため、失業手当と年金を両方もらうことができます。
ただし、退職日をずらしてもらうことで退職金や給与が下がってしまったり、自己都合での退職扱いにされて給付制限などがついてしまっては、本末転倒です。会社との調整はしっかりしていただきたいと思います。
大臣、こうやって書いてあるんですよ。
この文章を書かれた方の肩書は、シニアマネーコンサルタント、税理士とされていますが、実にテクニカルに、今一番得をして損をしない方法を指南してくれています。このような方法は、大臣、確かに違法ではないですよね。違法ではありませんが、私の目には余りこれは健全じゃないですね、大臣。
こういうことが横行していることに対して、大臣は今、多分、きっといい答弁をしてくださいますが、厚生労働省はどのようにお考えになられて、また、何らかのやはり対策をお取りになられるのかを、武見大臣、しっかり、びしっとお願いできますか。
○武見国務大臣 これは、対策というと相当難しいんですよ。
委員御指摘のとおり、現行制度において、六十五歳になるまでの間は、老齢厚生年金と雇用保険の失業給付は同時には受けられない。ところが、六十五歳前に離職した方が六十五歳以後に失業給付を受ける場合は、老齢厚生年金を同時に受給できることになっていますね。
これは、失業給付が離職時を基準として受給資格を決定をし、その後の就労活動を支えるため給付を行う仕組みである一方で、老齢厚生年金は、支給時点の年齢を基準に給付を行う仕組みでありますから、年齢を基準とした調整の仕組みに一種の隙間が生じている、こういうことになります。
したがって、個々の労働者の退職行動が失業給付や年金の受給の可否のみで決まるものではないと考えますが、委員の御指摘を受け止めて、この実態、しっかり把握をさせていただきたいと思います。
また、御指摘のような事象は、それぞれの制度の考え方の結果で生まれてしまう一つの隙間であるというふうに思います。実態をよく把握して、どう対処するか、今後検討させていただきたいと思います。
○吉田(統)委員 大臣のおっしゃるとおり、本当に隙間なんですよね。だから、私は、厚生労働省の本当に優秀な役人の皆さんが今までこれに気づいていなかったのは、ちょっと若干不思議だなと思うんです。やはり役所の方がここに関しては気づいて対応すべきだったんじゃないか。これを聞いて、中島筆頭もこれを覚えましたからね。こういったことを余り、一つの悪知恵ですからね、だから、こういうことが変に広がらないようにしたいと思うんですけれども、大臣、ちょっとしっかりここは、実態把握をしてくださると今おっしゃっていましたので、また後日お伺いするかもしれませんので、また教えていただきたいと思います。しっかり大臣に御答弁いただきました。これで結構です。
今回、雇用保険の改正で、育児休業を様々な形で取りやすくするということが行われ、また、ちょうど明日ですよね、衆議院本会議で育児・介護休業法の趣旨説明、質疑が予定されて、私がまた明日も本会議で大臣に質問をさせていただく予定です。
ここで申し上げたいのは、職種や職場環境によって、エッセンシャルワーカーは育児休業が本当に取りにくい場合がありますよね。
国会議員というのはある意味、忙しい仕事でありますが、裁量労働でもありますので、自分で育児の時間に合わせて、一定時間、仕事を調整することも場合によっては可能かもしれません。
しかし、繰り返しますが、例えば、エッセンシャルワーカーである医師というのは、結局、過労死する原因もそこにあるわけですよね。特に、比較的高齢で研修医になった方というのは、よく過労死を本当にされる例が、我々も胸を痛めておりますが、その理由は、やはりエッセンシャルワーカーであり、代わりがいないんですよね。代わりがいないから、働き続けざるを得ないということであります。
このような、医師だけじゃなくて、いわゆるエッセンシャルワーカーは、なかなか余人をもってその仕事をカバーできない。特に、医師、看護師、保育士という職種は、大臣、そもそも人手が足りませんよね。そもそも足りない。各々が責任ある立場で、そして拘束時間が長く、自身の裁量がまたこれは利きにくい。医師法に応招の義務というのもありますし、育児休業を極めて取りにくい状態ですよね、大臣。これは、このような状況を長く放置されているというか、もうずっと放置されて、なかなか手の打ちようがないような状況でもあるわけです。
大臣、ただ、今回、こういった法改正を、本法案、そして明日趣旨説明の法案でもやっていくわけですから、法の下に不公平があってはやはりいけませんので、ここに関してはどう御対応していくのか、武見大臣、お答えいただけますか。
○武見国務大臣 育児休業については、雇用均等基本調査で産業別にその取得状況を把握しておりまして、令和四年、二〇二二年度の同調査によりますと、医療、福祉における育児休業取得率は男女共に平均を上回っております。
しかしながら、同一の産業であっても、職種ごとに業務の内容や業務の代替のしやすさなどが異なりますので、職種、職場の実態に応じた、育児休業を取得しやすい環境整備を進めることが必要であると考えます。
医療、介護などの分野で働く人々の育児休業を取得しやすい環境整備を進めるための取組として、医師などの医療従事者については、各都道府県に設置された医療勤務環境改善支援センター、これによる助言などの支援があります。それから、医療機関の管理者などへの研修を通じた勤務環境の改善に関する好事例の周知があります。それから、補助金による支援などを実施しております。また、介護現場におきましては、介護従事者の業務負担軽減や職場環境改善の観点から、ICTなどを活用した生産性向上の取組の支援を実施しております。
このほか、業種、職種にかかわらず、中小企業事業主に対しましては、両立支援等助成金を支給をし、育児休業などを利用している間に業務を代替する周囲の労働者に手当を支給した場合など、助成を行うとともに、労務管理の専門家から個別の相談支援などを無料で受けられる事業も実施しております。
引き続き、こうした取組を通じまして、医療、介護などの分野で働く方々の育児休業を取得しやすい環境整備に努めていきたいというふうに思います。
○吉田(統)委員 大臣、明日もちょっとお伺いするんですが、今そうやってお答えいただいたので。
確かに、医療全体にすると職種が多いですよね。その中で、医師は、大臣御承知のように、三十万人しかいませんね。勤務医なんというのは、本当にその中ですごく少ないですよね。医師会の加入数を純粋に引けばいいか分からないんですけれども、勤務医の方が少ないですよね、今。
そういう中で、大臣、じゃ、例えば、育児休業、介護休業を取りなさいよ、取っていいんですよ、どんどん取りなさいよという法案ですよね、今回のも、明日の法案も。そうすると、そこの代替人員を、要は、ほかの医者やほかのスタッフに負荷がかかるわけですよ、大臣。これは、ごめんなさい、書いていないですよ、全部質問をお渡ししてありますが。なので、大臣、よく聞いてお答えいただきたいんですが、代替人材を、政府に責任を取って用意せよとまでは言いませんけれども、そこをどうやって助けてあげるのか。
つまり、育児、介護、私だって当時であれば取りたいし、そして、今の若い皆さんに取ってほしいですよね。これは大臣の思いじゃないですか。介護そして育児の休暇を取ってほしい。だけれども、取れば周りにしわ寄せが来る、あるいは成り立たなくなる、医療として。ここに対して、じゃ、代替人材が要りますよね。ただ、医師そのものが足りない。しかも、ダブルで、四月から医師の働き方改革をして、更に医者が足りなくなる。
大臣、ここはどうされるんですか。
○武見国務大臣 医師ら医療従事者について、各都道府県に設置された医療勤務環境改善支援センターは、実は、そういう課題にどう対応するかということを相談させていただくために開設したようなセンターなんですね。こういうところで幅広くちょっと御相談をしていただいて、それで、実際にそうした代替していただけるような対応ができるところを探すとか、そういう形を整えて対応していただくということになるというふうに私は理解をしております。
○吉田(統)委員 ただ、大臣、ちょっとここをもう少しだけお話しします。ただ人がいればいいわけじゃないんですよ、医者というのは。やはり大臣、今までの長い長い、例えば、筆頭も医師ですけれども、いきなり彼の代わりを私がするというのは無理なわけですよ。無理なんですよね。同じ医師でも、それはできない。
だから、本当にここは相当難しいので、この法案、あしたも問いますので、またいい御答弁を御準備いただきたいんですが、簡単じゃないんです。むちゃくちゃ難しいから、私は聞いているんです。むちゃくちゃ難しいから、あえてここで問題提起しているので、大臣、リーダーシップを取って、今の答弁ではちょっと心もとないので、大臣、あしたは、また似たようなあれをしますので、本会議場でもっといい御答弁を御用意していただくことを期待して、次に行きます。
教育訓練、リスキリングについてお聞きします。
職業能力の開発及び向上は、労働者の雇用や職業の安定のために不可欠であり、労働者の主体的な能力開発を支援していくことが必要です。特に、新しい職業に就くため、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に対応するために、必要なスキルを獲得する、させることとされるリスキリングは重要な考え方です。
しかし、経産省主導のものは、特にデジタル化と同時に生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業に就くためのスキル習得を指すこととする場合が多いようです。
確かに、今後、そのようなスキルを身につける必要性は極めて高いです。そのような教育を中心に据えること自体はもちろん反対しません。しかし、雇用保険法の教育訓練に関わるリスキリングについては、そのような経産省の考えと全く同一ではいけないと思います。
今回の法改正で、自己都合で退職した者が、雇用の安定、就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようになり、また、教育訓練給付金については、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化のため、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大七〇から八〇%に引き上げるとの措置も取られることとなります。加えて、自発的な能力開発のため、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合、その期間中の生活を支えるため、基本手当に相当する新たな給付金を創設することとされていますね、副大臣。
とすれば、リスキリングのために認められている受講講座についても、単にDXに対応できるスキルを取得するといったものにとどまらず、本来、社会の中で求められる職業に就くための資格取得や、就業を容易にするような講座であることが求められると思います。
そこでお聞きしますが、教育訓練給付の対象となる講座はどのような講座を対象としているのですか。宮崎副大臣にお伺いします。
○宮崎副大臣 先生が先ほど御指摘になった医療、介護、保育などの分野のエッセンシャルワーカーでの代替要員をつくるというような機能も、この分野、入っているところでございます。
専門実践教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金の給付率を引き上げるというのが本改正法案の今先生御説明いただいた内容でありますけれども、この講座の内容、まず、専門実践教育訓練給付金につきましては、中長期的なキャリア形成に対する訓練を対象としておりまして、四月一日現在で三千講座ございます。これが先ほどの看護師、介護福祉士、保育士などの専門資格の取得というところも入っているところです。
特定一般教育訓練給付金につきましては、労働者の速やかな再就職、早期のキャリア形成に資する訓練で、今七百講座ございますが、こちらでも、介護支援専門員研修等の医療、社会福祉、保健衛生関係の講座を指定をしておりまして、ここで資格の取得であったり法定の研修の受講などもしているような形で、こういった、御指摘のような、いわゆる経済産業分野だけではないところにもしっかりと根を伸ばしていると考えております。
○吉田(統)委員 副大臣、よく分かりました。ありがとうございます。
それでは、また大臣にお伺いします。
今回の法改正は、大臣、いわゆる勤労学生はこれまでどおり雇用保険の対象にはならないですよね。かつて私が勤務していた大学病院などでは、医師である大学院生というのは、実際のところ、事実上の労働力なんですね、大臣。私も大学院生の頃、やはりそういった労働力になっていまして、私の母校、旧帝国大学ですが、大学院の入学式とか、そういったものも大きな講堂で行われるわけですが、私も当然、卒業式も出席はしていません。そういった大学院のイベントや行事には一切ほとんど出ることはないというか、出席が許される環境では、特に当時ですから、ありませんでした。
ただ、私の母校なんかだと、立派な、トヨタ自動車がつくった講堂があって、教養、学んだ場ですから、またそういったところに足を踏み入れたいという思いもやはりありましたけれども、それは当時の環境ということで、残念だとは思いましたが。
ただ、同じ帝国大学でも、東京にある東京旧帝国大学は、大学院生は、逆に、大学院に非常に邁進、これは医師であっても、これはいいことだと思いますが、非常に研究開発、研究開発もそうですね、学業に非常にいそしめる環境にあって、当然、臨床のデューティーはありますよ、多少はありますけれども、大学院生らしい生活を送っている。
どちらがいいと思うかは、個々の判断、価値判断もあるかもしれません。私も、ただ、やはり、後輩や若い大学院生、医師免許を持つ大学院生に今回限定した話をしておりますが、自分の信ずる道、せっかく授業料を払って入っているわけですからね。
ただ、一つ問題提起なんですけれども、大臣、大学院生がやはり労働力として見られて、ほかの給与を得て働く医師、大学だと医員といいますよね、医員と同じ仕事に従事している。もっと言うと、つまり、授業料を納めて、なお仕事、つまり診療させていただくという環境、状況は、本質的には労働者でありながら雇用保険や失業給付がないという状態なんですね、大臣。こういった状況が慣例なんですよね、大学院は。
逆に言うと、これは、反面、大事なことは、医師が足りないからこうなるわけです。足りないんですよ。アカデミアや勤務医は足りないんです。開業医の先生は、ほくと診療所もそうですけれども、結構たくさんあるんですよ。今……(発言する者あり)ほくと診療所は大変という声がありましたけれども、勤務医とアカデミアが足りないからこういう状況になってしまっているという反省もやはり政府はしていただかなきゃいけないんです。
こういった状況を、大臣、じゃ、雇用保険を所管する大臣としてどうお考えなのか、率直に。
○武見国務大臣 これは委員御指摘のとおり、大変悩ましい問題なんです。
雇用保険は、自らの労働により賃金を得て生計を立てている労働者が失業した場合に、求職活動中の生活の安定を図るための制度であるために、学業が本分である昼間学生については、大学院生を含め、原則として適用対象としないとしているんですよ。
ただ、その上で、例えば大学院生であっても、出席日数が課程終了の要件となっておらず、同種の業務に従事する他の労働者と同様に勤務することが可能であるような場合については、雇用保険の対象となり得ることとしているんです。この解釈を活用していただこうというふうに考えています。
こうした取扱いについては、各種手続においてハローワークが大学病院などと接触する際などの機会を捉えて、周知をしっかり図ります。それによってこの問題、悩ましい問題なんですけれども、適切に対応できるようやってみます。
○吉田(統)委員 大臣、本当にありがとうございます。ちょっと我々も知りませんでしたね、これは。不勉強で、本当に勉強になりました。
大臣、でも、そうあるべきですよね。そうあるべきで、ちょっと大臣、だから、あえて苦言を呈すと、周知啓発が足りなかったということですよね。もうちょっと役所からしっかり各大学に言っていただくと、当然、希望される方はいっぱいいると思いますよ。是非これは、大変よく分かりましたし、これで議事録にしっかり載ったことはとても大事だ。
ただ、大臣、もう一言、もう次の質問に行けないので、ここでちょっと議論したいんですが、今申し上げたように、大学院生が労働力になる環境、医療、アカデミアとかですね。場合によっては、大学院に所属しながら地域の病院に赴任することが実はあるんですよ。籍が大学院にありながら、いわゆる何々病院、関連病院といいますね、大臣、関連病院、ジッツの病院とかそういう言い方をするじゃないですか、そこに赴任しちゃう例もあるんです。
これは、大臣、やはり医師が足りない、勤務医、アカデミアのポストが足りない、こういったこともあるんだと思いますよ。私の父や祖父の時代というのは、変な話、東大を卒業した先生が名古屋大学に教授で赴任したりなんという、ポストがいっぱいあったわけですよね。ただ、今はポストがやはり足りない部分も国立、国公立はありますし、できれば大学院生は自らの好きなように、好きでどうしても診療、臨床研究をしながらやりたいという方もいるでしょう、こういうところをある程度、やはり大学院生ですから、授業料を払って大学に所属して、アカデミアの一員としてなるわけですから。
大臣、純粋に、さっき私が申し上げた、大学院に所属しながら完全に赴任しちゃう医者がいるとか、御存じでしたかね。あと、医者が足りないから大学院生が労働力としてなっていることに関しても、ちょっとコメントをいただけますか。
○武見国務大臣 これは、ある意味、長年の慣行みたいなところもあるのではないかと思いますが、やはり大学院生といえども医師の国家資格はあって、臨床に従事することができる。そして、医師として働くということが当然既に求められている状態の中で、改めて、より専門的な知見を身につけて、そして、医師として、あるいは医科学者としてその役割を将来果たしていただくために、こうした大学院というところを通じて研修を深めていただいているものだろうと思うんです。
したがって、その両立を図らせるということが極めて大きな課題になってきていて、今回も、その点について、実は非常に悩ましい課題であったわけでありますけれども、しっかりと状況を個別に見極めた上で、この制度の適用対象として含めていこうという考え方になったわけで、先生はもう現場をよくお分かりだから、その辺の難しさはよくお分かりだろうと思いますが、できるだけハローワークを通じて柔軟にきちんと対応させていきたいと思っています。
○吉田(統)委員 もう終わりますが、委員長、ちょっとだけ。
本当に慣習で、あしきと言っちゃってもいいかもしれないんですけれども、ものもあるんですよ。大臣、変な話、昔、どことは言いませんが、大学院生が当直して、形は教官が当直していることにしてというようなことも横行していたんです。これはやはり人が足りない、いろいろな慣例なんですけれども、やはり改めていかなきゃいけない部分は改めていかなきゃいけないので、また大臣、議論したいと思います。
今日はありがとうございました。終わります。
○新谷委員長 次に、早稲田ゆき君。
○早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきです。おはようございます。
雇用保険法の改正についての議論でございますが、まずその前に、短時間で、紅こうじ機能性表示食品についての健康被害、毎日、新聞、テレビ報道でなされていて、たくさん国民の皆さんからもまだまだ不安の声が上がっておりますので、これについても、大臣、そしてまた消費者庁にも伺ってまいりたいと思います。
大臣には原因究明をもう鋭意進めていただいていると思いますが、そこが、昨日も厚生労働省の方でも少し発表をされておりますけれども、摂取停止で改善が七五%と、厚労省と日本腎臓学会、これについては、小林製薬のサプリメントを飲むのを中止した場合にこれだけということでありまして、そのことも発表されましたが、いつまでをめどに原因究明をされるのか。それから、今、三食品につきまして食品衛生法に基づく回収をしていただいているわけですけれども、これの、どのくらい流通をしていて、今段階何割ぐらいが回収されたのか。この二点について、まず大臣に伺います。
○武見国務大臣 今委員も御指摘になったとおり、現時点で原因究明のめどをお示しすることはちょっと難しいんですが、厚生労働省では、原因究明に向けて、国立医薬品食品衛生研究所と連携をいたしまして、プベルル酸を含む原因となり得る物質を網羅的に検索するなど、国が主導してこれに取り組んでいるところであります。その進捗状況については、新たな事実が分かり次第、適切に公表したいというふうに思っております。
また、プベルル酸というのは、一般的には青カビが産生する天然化合物でありますけれども、今回検出されたプベルル酸の由来については現在まさに調査中でありまして、腎臓に対する毒性等も現時点ではまだ確認ができておりませんので、これを徹底的に調査する必要があります。引き続き、厚生労働省としては、原因究明にまずは取り組むということをさせていただきたいと思います。それから、関係省庁とも連携をしながら、今度は、再発防止のために食品衛生法体系においていかなる施策が今後必要となるか、これを検討していきます。
回収命令対象の三製品でありますけれども、小林製薬に確認をしたところ、令和三年二月から令和六年二月の間に約八十六万個が販売されていて、同社から、四月九日時点で約二万五千個弱の回収が行われているという報告を現在受けているところでございます。
○早稲田委員 原因究明には少し時間がまだまだかかるというようなお話もございましたが、それと並行して、ルールの規制強化ということを、やはり食品衛生法上に基づいてこれもやっていただかないと、そちらが、原因究明が時間がかかるんだったらなおさらのことではないでしょうか。
それから、今、八十六万個のうち、いまだ二万五千個。もちろん個人で廃棄をしてしまったというような方もいらっしゃるでしょうけれども、まだまだこれも回収がされておりませんので、是非急いでいただきたいということを申し上げておきます。
その上でですが、昨日も消費者特別委員会の方でも、大西委員、それから井坂委員の方でも質疑がなされました。消費者庁に伺いたいのですが、四月九日の朝日新聞の、機能性食品、被害報告ルール、因果関係不明でも、強化をするんだ、これを販売できない仕組みも導入する検討をしているということを踏まえての質疑があったと思います。これについて、まだ決まっていないというお答えでしょうけれども、内閣府令の改正だけで罰則つきの報告義務というものを課すことができるのか、食品表示基準に報告義務を追加するという意味なのか、その法的拘束力について、内閣府令との関係を教えていただきたいと思います。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員御指摘の報道の関係について、検討の方向性については何ら決まっていないということでございますが、食品表示法の法体系のお尋ねということでございます。
食品表示法におきましては、食品表示法第四条におきまして、内閣総理大臣が、食品を安全に摂取し、自主的かつ合理的に選択するために食品表示基準を策定することとしております。この基準は内閣府令で定めておりますけれども、策定に当たりましては、厚生労働大臣、農林水産大臣、財務大臣に事前協議をすることになっております。
そして、同法五条におきまして、食品表示基準につきましては、食品関連事業者が販売する際にこの基準に従って表示をしなければいけないということで義務化しておりまして、この基準に違反する場合には、主務大臣による指示等の対象になりますし、立入検査などの対象にもなります。なおかつ、この命令にも従わない場合には、これは罰則、刑事罰で担保する、こういう法的構成になっております。
○早稲田委員 そうしますと、食品表示基準、これもそのままで、十七条で罰則もあるしということで、このままでやろうとされているということなんでしょうか。
○依田政府参考人 お答え申します。
繰り返しになりますけれども、現在、本事案を受けましたこの制度の在り方につきましては、官房長官の方から御指示いただきまして、五月末を目途に、庁内で体制を整えまして、さらには専門家による検討の場を立ち上げる予定でございますけれども、食品表示法の法体系の中でどのようなことができるかということを検討してまいりたいと思います。
○早稲田委員 御答弁がなかなかいただけないわけですけれども、せめて表示基準に報告義務化を足さないとこれができないのではないかと思いますが、内閣府令によるこの表示基準、これは法的拘束力はあるんですね、それで。そのことだけお答えください。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる刑事罰で担保するような法的拘束力はあると考えております。
○早稲田委員 刑事罰についても法的拘束力があると考えていらっしゃると。でも、食品表示法の第四条に基づいてこの基準を内閣府令で定めているわけで、この五条のところに表示基準の遵守ということが書かれておりますが、これを更に報告を義務化する必要があるのではないかと思われますが、そのことについてだけ御見解を伺います。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。
食品表示法四条におきまして表示すべき事項、遵守すべき事項を定め、同法五条で、これを販売に当たって守らなきゃならないということでございます。ですので、食品表示基準の方に遵守すべき事項ということは様々な規定がございまして、そこについては不断に法的に検討しているということでございます。
○早稲田委員 まだ曖昧な御答弁でありましたけれども、その遵守はあるけれどもそこのところも検討しているということは、報告の義務化というようなことも検討されているということでよろしいかどうか。
○依田政府参考人 済みません。検討の方向性については何ら決まっておりませんで、まず、専門家の検討の場を急ピッチに立ち上げまして、五月末に向けて、いずれにしても、スピード感を持って検討してまいりたいと思います。
○早稲田委員 是非、今申し上げたことは検討をして、ここに報告義務化というような改正も入れていただきたいと強く要望しておきます。
また、自見大臣にも、それから武見大臣にも、私たち立憲民主党も機能性表示食品のルールの強化ということについては今週に申入れをまずさせていただきたいと思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。それも踏まえてやっていただきたいと思います。
それでは、次ですけれども、配付資料を御覧ください。最後の方のページだと思いますが、四と五ですね。これについては、有意差保証に怒りの声、オルトメディコの新サービスが物議というふうに書いてありまして、これは二〇二三年三月十六日のものですけれども、こういう問題、大変業界では問題になったということなんです。
機能性表示食品の機能性の根拠論文を、有意差を保証した試験、安心プランで受託している事業者がいるわけです。一年前に業界では問題になったわけですけれども、消費者庁としては、これについて調査もしていないし、指導も、もちろん公表もしていない、この対応が適切なんだろうかと。全然これは不適切じゃないですか。こういうことを許しておいて今に至っているわけなので。
今日の毎日新聞にもありますけれども、機能性食品、二割が撤回をしていると。科学的根拠が不明だったとか、販売終了と、理由も分からないままに、二割も撤回しているわけですよ。
そういう意味でもこの問題は大変大きいと私は思いますけれども、この対応、適切なんでしょうか。食品表示法上、規制が必要ではないでしょうか。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。
機能性表示食品として表示をしようとする機能性の科学的根拠として、最終製品を用いた臨床試験、ヒト試験を実施する際には、試験の信頼性及び客観性を確保する観点から、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針、これに従って、研究計画の実施前に登録を行わなければならないこととしております。
この機能性の実証に係る項目に関しまして、事前登録後に実質的な変更を行った研究は、機能性表示食品の機能性に係る科学的根拠とすることはできないというふうに我々の運用通知に記載してございます。
委員御指摘のような、特定の成分に関し有意差が出るまで試験計画の変更を行わずにやり直すようなことは、機能性の実証に係る項目に関して、事前登録後に実質的な変更を行った研究に該当するおそれがあると考えられます。かかる研究を科学的根拠として機能性表示食品として届出している事案が発覚した場合には、これは機能性表示食品としての要件を欠くことになりますので、食品表示基準違反のおそれがあるというふうに考えております。
○早稲田委員 いや、それは、今おっしゃったのは違いますよね。私が伺っているのは、こういうことをやっている事業者が現在もまだいるのではないか、いらっしゃるのではないかと。こういうことを監督、調査、それから立入りとか指導監督、こうしたことをする法体系になっていないわけですよね。だからやらないわけだと思いますけれども、これは必要ではないですか。この調査、せめて調査です、その研究論文みたいな出てきたものをこういう業者がやっているかどうか。有意差を何度も何度も、おみくじが当たるまでやるというようなことではなく、こんなことが許されるのなら、本当に安全性なんて担保されるわけないですよ。だから申し上げているんです。
もう一度、そこの部分だけ端的にお答えください。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。
この制度は、あくまでも、その表示をしようとする届出者が科学的根拠を提出するということになります。ただ、その科学的根拠として、先ほども御答弁申し上げましたとおり、仮に事前登録をした項目についてその研究計画を変更せずに何度も何度も改正しているというふうなことにつきましては科学的根拠に相当しないという解釈通知を打っておりますので、そういった事態が明らかになる場合には、法令上の要件を欠くということになりますので、これは届出の撤回を求め、それに従わない場合には食品表示基準違反を問うということになろうかと思います。
○早稲田委員 いや、だから、それを見つけることができないですよねということを申し上げているんです。今まで見つけた事例はないわけですよね。こういうことで評価がされている、これは間違いだということで、消費者庁が何かそこで立入りをしたということはないわけですね。そこだけ確認します。うなずいていただければ結構です。ないんですよね。はい。ないということでありますけれども、こんなことが許されるんだったら、本当に安全性は担保できません。
日本医師会の神村裕子常任理事は、三月二十七日、定例会見で、機能性表示食品の届出の根拠となる論文について事業者の関係者と思われる者が評価を行っている事例も散見されると、評価の妥当性を疑問視をされています。
こういうことが消費者庁としても全然規制ができていない。これは規制すべきです。考えてください、調査とか。考えていただけますね。
そして、武見大臣に伺いたいのは、この消費者庁の答弁と、それから、このように結果が出るまで、有意差が出るまで何度でも無料という試験デザイン、これが仮に、医薬品の場合はあり得ないと思いますけれども、その受け止め、許されるのか、そうしたことを伺います。
○武見国務大臣 臨床試験では倫理性や科学性を確保することが重要でありますから、御指摘のような有意差が出るまで同じ試験を何度も繰り返すなんということは、これは極めて不適切で、あり得ません。
医薬品の開発のために行う臨床治験を実施する際には、薬機法に基づいて、あらかじめ倫理及び科学的観点から治験審査委員会の意見を聞くとともに、PMDAに対して治験届を提出することを義務づけてあって、このようなプロセスを通じて試験の実施に適正化が図られるものと考えています。
医薬品の承認申請に当たっては、実施した臨床試験の結果の一部のみを恣意的に提出することは認められず、複数の試験を実施した場合は、有効性などを有することを疑わせる試験成績なども含めて提出することが義務づけられていて、これによって申請資料の信頼性を確保しております。
○早稲田委員 大臣、消費者庁の答弁の受け止めも伺っています。
○武見国務大臣 ただ、機能性の食品の場合には、これは医薬品ではなくて食品のカテゴリーでございますので、今回改めて、こうした栄養分の物質を濃縮して作られたものについて食品として扱われている中で、機能性表示食品というものに関わる安全性というものが、今後こうした事案の再発を防ぐためにどのような新たなルールが必要であるのか、これをやはり食品衛生法、関連法の中で再度考えるのか、改めて、今、原因とその因果関係の究明をやっている最中なものですから、これをもう少し見極めた上で、しっかりとした再発防止のルール化、考えさせてください。
○早稲田委員 本当に、こういうことが行われていて、今大臣からも、もちろん医薬品ではないんだけれども極めて不適切という見解もいただいているわけですから、是非、消費者庁としても、今の同社、オルトメディコ社のウェブサイトを見る限り、試験の基本デザインは変わっていないように見受けられます。また、現行法で規制できないなら、多くの機能性表示食品の根拠がこのように同じような試験デザインで行われている可能性が高いということは消費者庁もよくお分かりじゃないですか、こういう例を見ていただければ。ですから、政府として実態把握をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○依田政府参考人 私どものこの制度の運用指針に明記してあることの違反がある、おそれがあるということであれば、これは厳正に対応したいというふうに考えております。どのような手法でそれを是正するかどうか、そこも含めてちょっと検討させていただければと思います。
○早稲田委員 今、この紅こうじサプリですけれども、五人もの方が亡くなっているわけです。これとの関係性は分かりませんけれども、やはりこれは大変な問題です。どのような方法か分からないとおっしゃるけれども、是非調査していただきたいと思います。そして、それはまた引き続き伺いますので、是非お願いしたいと強く要望させていただきます。
それでは、次の雇用保険の方に移りたいと思います。
週の所定の労働時間が二十時間以上から十時間以上に適用対象を拡大することについて、総務省の労働力調査によりますと、就業時間が週二十時間未満である雇用者の数というのは大変増加をしている、そして、雇用者総数に占める割合も増加傾向で、二〇二二年は、雇用者総数五千五百万人のうち一三%を占める七百十八万人となっており、そのうち十時間以上二十時間未満の雇用者は四百八十八万人ということであります。
そして、今回の適用拡大によると、四十九万人余りの労働者が新たに被保険者と、一割程度ですね、なるのではないかと思われますけれども、このことについてですが、この改正案で適用となる週十時間から二十時間の労働者の中で短期間契約の割合、これをどのように把握をされているでしょうか、伺います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
今回の適用拡大の対象となる週所定労働時間十時間以上から二十時間未満の労働者の雇用契約期間については、昨年夏に、労働政策研究・研修機構が実施したアンケート調査によれば、雇用期間の定めがないというのが三五・九%、定めがあるのが三三・六%です。雇用契約期間の定めがあると答えた者のうち、六か月超一年以下が三七・〇%と最も多く、次いで、三か月超六か月以下が一五・七%となっております。
○早稲田委員 雇用保険の適用条件である雇用期間三十一日に対して、失業手当の受給に必要な被保険者の期間は一年となっているわけですけれども、これで適用拡大をしても、それ以下の多くの短期契約の労働者が失業手当を受給できない、払ってはいるけれども払い損ということになってしまいます。
今回の短時間労働者の適用拡大に合わせて、失業手当の受給資格を二〇〇七年以前に戻す、つまりは、離職日前一年間のうち六か月と戻すべきではないか、緩和をすべきではないかと考えますが、大臣、いかがですか。
○武見国務大臣 雇用保険制度における失業給付は、保険の原理に基づく制度という、一定期間以上保険料を納付することを求められています。失業給付の受給を目的とした安易な離職を防止するという観点がございます。原則、離職前二年間に被保険者期間が十二か月以上であるということを要件とさせていただいております。
雇用保険制度の運営に当たりましては、早期再就職を促すことや安易な離職を防止するという観点と、労働者が安心して再就職活動を行えるようにするという観点の双方が共に重要でございまして、現時点で受給資格の要件を緩和することは考えておりませんが、今後とも、受給状況などを踏まえながら、適切に制度の運用を図っていきたいというふうに思います。
○早稲田委員 せっかくこういうふうに適用拡大にしても、やはり、六か月ではない、一年ということであると本当に受給できない人は多いと思うんですよね。安易な離職を防ぐのはもちろんですけれども、安易でなくて、離職せざるを得ないというような労働環境の悪さというようなことも大変あるわけですから、そこのところはやはり再就職ができるように緩和をしていくべきであると私は思いますので、検討を是非していただきたいと思います。
それから、雇用保険部会の報告において、介護休業給付の暫定措置も速やかに廃止すべきであるというふうにしておりまして、私も、今後の介護休業給付の伸びを考えれば、介護離職がないように、速やかに本則に戻すべきと考えるわけです。
このことについて、同部会の報告は安定した財源の確保が条件であるとしておりますけれども、じゃ、この安定した財源を確保するということは、具体的にどのような意味だと大臣は理解していらっしゃるんでしょうか。
○武見国務大臣 これは委員御指摘のとおり、雇用保険部会の報告において、介護休業給付の国庫負担割合を八十分の一に引き下げる暫定措置について、令和九年度以降できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で暫定措置を廃止すべき旨が記載されておりまして、また、本法案においては同様の趣旨の規定も明記させていただいております。
この安定した財源の確保の意味するところについては、必ずしも特定の目的税のようなものを念頭に置いているわけではございません。予算編成過程の中で介護休業給付の国庫負担の暫定措置を廃止するために必要な財源を確保するという趣旨でございまして、雇用保険部会報告や本法案の規定を踏まえまして、引き続き対応していきたいと思います。
○早稲田委員 そこのところが非常に曖昧なわけですよね。財源を確保していくということでありますから、そうしたら、本法の附則の第十五条において、暫定措置の廃止は、速やかに安定した財源をやるというふうにおっしゃっていますけれども、このこと、介護休業給付についても、育休の方よりも、育児休業給付の暫定措置を廃止するならば、それよりも財源は少なくて済むわけですから、是非直ちにこの暫定措置を廃止すべきではないかと私は考えますけれども、重ねて伺います。
○武見国務大臣 安定した財源の確保の意味でありますけれども、やはりこれは、何度も申し上げておりますけれども、特定の何か目的税みたいなものをつくって確保しようなんという考え方ではないんです。予算編成の過程の中で介護休業給付の国庫負担の暫定措置を廃止するために必要な財源を確保するという観点でありますから、その財源をどう予算編成の中で調整をしながら確保していくか、そういう課題であろうというふうに思います。
したがって、本法案の規定を踏まえまして、この法案が実際に採択された後、引き続き、こうしたことについては注視をしながら対応していきたいというふうに思います。
○早稲田委員 是非、これも法案の審議になりますけれども、これはやるべきだと私は強く主張させていただきたいと思います。検討してください。
それから、フリーランスの失業時の所得保障についても伺ってまいりたいと思います。
フリーランスの働き方というのは、もちろん雇用労働者と異なるわけで、複数の取引先と契約を結んでいる方も多いわけなんですけれども、形式的に請負契約、業務委託契約などによっても労働者性が認められる場合には雇用保険法が適用されるということになっております。労働者性が認められないと対象にはなりません。他方、労災保険におきましては、芸能従事者、ウーバー配達員など、特別加入もできるようになっています。
さらに、昨年の参議院内閣委員会において、フリーランス新法の制定に当たっては、附帯決議で、労災保険の特別加入制度について、希望する全ての特定受託事業者が加入できるよう対象範囲を拡大することが政府に求められてありまして、今年の秋頃、法施行に向けて、職種を問わず全てのフリーランスが労災に加入できるようになります。しかし、雇用保険には同様の制度は存在しておりません。
同じ二〇二三年四月のフリーランス新法の衆参の附帯決議では、特定受託事業者の疾病、障害、死亡、廃業等のライフリスク対策について検討するように政府に求めております。廃業、すなわち所得保障の在り方について議論は進んでいるんでしょうか。事前にヒアリングしましたところ、求職者支援制度十万円、これは、二〇一一年、民主党政権のときの政策の周知徹底だけだったんです。去年の与野党合意の附帯決議の対応としては非常に不十分だと思います。
それで、改めて伺いたいわけですけれども、仕事を失ってしまったときのフリーランスの方の所得保障制度として、日本法令社から昨年十二月に刊行された「フリーランスの働き方と法 実態と課題解決の方向性」という書籍の中で、慶応義塾大学産業研究所の林健太郎先生が、給付基礎日額に応じて保険料率を決定する労災保険の特別加入制度を参考に、雇用保険法においても任意加入を認めてはどうかという、大変貴重な提案をされております。
これについても政府として検討していただきたいと思いますが、大臣の御見解を伺います。
○武見国務大臣 雇用保険は、失業による所得喪失という保険事故に対処するため、一定の要件を満たす労働者を強制的に加入させることによって、そのリスクを分散しているものであります。
仮にフリーランスに雇用保険の任意加入を認めることとした場合に、休廃業等を自己決定できること、フリーランスはいつでも自己決定できますが、個々の請負契約などの終了等により、容易に、かつ繰り返し保険事故となる所得喪失が発生することから、失業給付の受給を目的とした逆選択や循環的給付が発生されることが実は懸念されてしまいます。
想定されるリスクは取引減に伴う収入減であり、雇用保険のリスクである休業とは異なる上、失業時における再就職行動も多様であることが想定をされて、ハローワークの失業認定手続により給付を行う雇用保険制度の枠組みにはなじまないことなどの課題があって、これはやはり慎重な検討が必要であるというふうに認識をしております。
ただし、フリーランスであったとしても労働者性というものが認定された場合には、また別の話になってきます。
○早稲田委員 多様な働き方がある中で、フリーランスでも労働者性が認められていない方もいらっしゃいます。そういう場合もありますので、是非これも検討をしていただきたいと思います。
それから、フリーランスの所得保障の別の方策として、一般社団法人日本芸能従事者協会の森崎めぐみ代表理事が提言していらっしゃいますけれども、特別加入者は労災保険料を国に納めていることから、労災保険料を原資としている未払い賃金立替え払い制度をフリーランスの特別加入者にも準用するということが検討できないかという提言がございます。これについて大臣の御見解を伺います。
○武見国務大臣 御指摘の未払い賃金立替え払い制度についてでありますけれども、賃金の支払の確保等に関する法律に基づいて、労働基準法に規定する労働者の賃金を対象としております。賃金は労働者の生活の糧であることを踏まえて、労働基準監督署の監督指導や罰則等により確実な履行確保が図られているものでございます。このような法的保護の及ぶ賃金とフリーランスの方の報酬とを同等に扱うべきかどうかについては、このような法律の趣旨も踏まえて、やはり慎重に議論を進めていく必要があると思います。
ただ、いずれにしても、厚生労働省としては、フリーランスの方の特別加入の対象範囲の拡大であるとか、フリーランス法の円滑な施行などを通じまして、フリーランスの方が安心して働くことができる環境の整備に取り組んでいきたいというふうに思います。
○早稲田委員 これで終わりますが、フリーランスの方々の所得保障についても、もっと前向きに検討を是非進めていただくよう要望させていただきまして、終わります。
ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。
私は、先ほどの早稲田委員の御質疑に引き続いて、雇用保険法の改正、そして、今回の改正というのは、二〇一〇年の、いわゆる労働時間というか、三十一日の労働で加入できるとした大きな改正、非正規雇用が含まれる改正以来の大きな改正と思いますので、そもそも論について少し大臣の御所感を伺いたいと思います。
雇用保険の意味は、そもそもは、失業という、生活の糧を失ったときの生活保障ということでスタートしておりますが、この間の改正、特に昨日の参考人のお話なども聞いておりますと、まず育児休業給付にも拡大されましたし、昨今の非正規雇用の増大によってそうした方々も範疇に入れていくとなると、失業給付、育児休業給付、そしてもう一つ、訓練給付という、仕事を次に、自分のスキルを上げて転換していく、あるいは、会社内でもそうですが、そうしたことにもいわば広がっていると思います。
そもそもの雇用保険の捉え方について、大臣は今回の改正も含めてどのようにお考えかを、一点目、お願いいたします。
○新谷委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○新谷委員長 速記を起こしてください。
武見厚生労働大臣。
○武見国務大臣 失礼しました。
そもそもの法案の改正の意義というのは、委員御指摘のとおり、大変大きな意義を含まれたものであって、その適用対象の拡大を通じて、確実に雇用者における安定した働き方ができる、その条件整備をしているということになります。しかも、その多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティーネットの構築という観点がございます。そして、人への投資の強化のために、雇用保険の対象拡大であるとか、教育訓練やリスキリング支援の充実、それから育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保などの措置を講ずるということが今回の改正の趣旨となっておりまして、具体的な課題は既にいろいろ議論もさせていただいているところでございますが、そうしたことを雇用保険という制度の枠組みの中で充実をしていくという観点でこの法律案が構成されているということであります。
○阿部(知)委員 何につけ、例えば医療保険等々ですけれども、広くカバーするということは大変重要なことで、無保険者をなくす、そして医療へのアクセスをよくするということでありますので、そもそもの雇用保険の拡大は前向きに捉えられるべきものなんですけれども、保険でありますので、その保険に入ったことで実際のメリットがどうであるかということが問われるんだと思うんです。そのメリットの部分が十分に伝わっているのかということと、逆に言えば、メリットをメリットたらしめるための整備が追いついているのかということを少しお伺いしたいと思います。
大臣は、今、確実に、雇用者が働き方を、そのいかんを問わず保障されていくということを第一におっしゃいました。重要なことであるとは思いますが、一枚目、資料をお手元に置いてございますが、これはいわゆる二十時間未満の方が一体何人おられるか、そして、今回適用対象となる方はこのうち四百八十八万人が十時間以上というところで、右のグラフの七割、女性は七割、男性は六割ということであります。
これは事務方で結構ですが、先ほど早稲田委員との御質疑を聞きながら、政府としては、果たして、十時間以上の働いておられる方に雇用保険に入っていただいて実際に受給につながる方はどれくらいおられると考えているのか。実際に受給につながる、これは受給のための要件がございまして、先ほど細かなことをおっしゃっていただきましたが、実際にはこの保険に入ったらどれくらいの人が要件を満たして受給できると想定されるのか、これをお願いいたします。
〔委員長退席、大串(正)委員長代理着席〕
○山田政府参考人 お答えいたします。
実際にどの程度受給できるかということについては、ちょっと私どもの方としてはデータは持っておりません。
今先生がお示しいただいた資料の中にもありますように、今回の十時間以上二十時間未満の労働者の中で、性別的には女性の比率が全体の七割超、年齢別には男女とも六十五歳以上が最も多く、特に男性では三五・八%を占めている、女性については、四十歳から六十四歳の各年齢階級で一〇%前後の割合となって、広い年齢層に分布している状態でございます。
そういった特性を持っている十時間以上二十時間未満の方が新しく、今回適用拡大することによって入ってきますが、実際の受給割合、ターゲットになるところが何人かということについては、ちょっと我々の方では数字は持っておりません。
○阿部(知)委員 私は、そういう政策というのは余りにも生煮えなんだと思います。もう少し、これくらいいるだろう、これくらいの方にこういう効果があるだろうということが分かって初めて、そこに相当する方たちが、じゃ、自分も入ろうかと。だって、強制加入になるわけですから、これは。そうでないと、そこがはっきり見えないまま審議が進んでいるように思えて、残念でなりません。
いただいた資料は、男性か女性か、年齢くらいは分けてあります。でも、学生さんもこの中には含まれています。それから、ダブルジョブの方も含まれています。それから、主婦で子育て中だから短時間で働いている方も、十時間以上でもおられると思うんですよ。やはり、政策を実施する側として、その相手をもうちょっと詳しく分析する必要があると思います。
ここからは大臣にお伺いいたしますが、開けていただいて、資料の二枚目。そうなりますと、ここ、今回の法改正に適用する方、四百八十八万人として、その全部に、プロフィールも分からないですし、希望を取ることもできませんが、JILPTのやった調査で、雇用保険に加入したい理由、あるいは雇用保険には加入したくない理由、これは前に大西委員がどのくらいの比率でおられるか数値をお述べになりましたが、週十時間以上十五時間未満の者では、五八・八%が加入したくない、六割ですね。それから、十五時間から二十時間未満では、五三・七%、半分以上が加入したくない。加入したくない理由は、保険料の負担があるからというのもあるけれども、加入するメリットが分からない、加入する必要性を感じない、雇用保険についてよく知らないから。
メリットとか必要性、特にメリットとか、雇用保険についてはこれから政府が一生懸命御説明をなさって、入った方がいいですよと言っていくわけですが、大臣、私は、これを見るときに、やはり、本当にこの方々に入ってよかったと思っていただけるような施策というのはどうだろうかと考えるわけです。大臣はここをどう御覧になりますか。
○武見国務大臣 先ほども答弁の中で申し上げておりますけれども、やはり、十時間以内であったとしても、これから雇用保険の適用対象として実際に失業給付を受けられることができるとか、育児休業給付を受けられることができるとか、こうした様々な新たな給付を受ける権利をそこで有するわけでありますから、そのことによってより安心して労働に就くことができるという環境整備を考えてみますと、そこには大変大きなメリットがあって、そのことを実際に理解をしていただくということが周知徹底の中で必要か、こう考えております。
○阿部(知)委員 私は、メリットは絵に描いた餅で、失業給付が得られる、育児休業が得られる。だけれども、大臣、三枚目を開いていただけますか。これは、既に二〇一〇年に非正規の方たちが雇用保険に加入した後の雇用保険の受給率、受給者割合というか、受給率も含めて見てみますと、上がっていないんですね。二〇一〇年前まではいわゆる正社員、そこからは非正規の方も二十時間以上であれば雇用保険に入られました。雇用保険を使えるのかなときっと思ったんだと思いますね。それは望ましいんですけれども、でも実際には、トータルで見て受給率は上がっていないのですね。
是非、私は、こうした次の政策に進むときに、果たして、二十時間にして、それから三十一日以上にして、そこから非正規の人と正規の人とどれくらい受給できただろうか、そういう比較が必要なんだと思うんです。非正規の方が入りづらい要件があれば、それは、加入前、一年で何か月働いていたとかそういう要件かもしれません。要件を一つ一つ潰して、加入したらメリットがあるというふうにしないと、言葉は悪いですけれども、やらずぼったくりという保険になってしまいます。私は、やるなと言っているんじゃなくて、そういう比較をして、そのハードルを越えていくのが政治なんだと思います。
下に、雇用拡大によって、受給者割合はどうなるかと。これは日本弁護士会の房安さんという方がお話をしてくださったのを見ても、非正規労働者への適用対象が拡大しても受給者割合は低いままであるし、受給者割合が低い原因は、受給資格要件が厳格化されていたり、所定給付日数が短かったり、正当な理由のない自己都合退職の場合の給付制限があったと。
ここで改善されたものもあります。でも、私は、先ほど早稲田委員の御質疑の中にあった受給資格要件の厳格性というものが非正規労働には合わないからやはり受けられない、保険料を払っても受けられないということになれば、この保険自身は本当に信頼を失うことになると思います。
他にいろいろ見てみても、そうやって非正規の方の加入がどうであったか、加入して受けられたかという政府のデータがなかなかありません。でも、辛うじてそれを示すもの、次のページ、資料四でありますが、これは雇用形態別の受給等の状況というのを、これは直接のデータじゃないんですけれども、ここに加入の総数、それから初回受給者の雇用形態別構成比、支給総額の雇用形態別の構成比とありまして、総数で、その他となっているのが正社員の方なんですけれども、珍しい図ですよね。
赤で囲った方が、資格喪失者の雇用形態で、失業されたわけです、派遣、パート、有期雇用が。半分とは言わないけれども、正社員と半々であったけれども、初回受給者の雇用形態別構成比、もらった人の構成比では、ここで、七、三とは言いませんが、六五対三五くらいに、非正規の方がもらっていないんです。しかもらっていないと言うべきですね。半々、失業状態であって、でも非正規の方のもらっている率は少なくて、おまけに、支給総額の雇用形態別になってくると三〇%も割ってしまうのが右の図なんです。
これが政府がお出しになっている統計の中で果たして正規がどうで非正規がどうかということを示す一つのデータでしたので、私は、こういうことはちゃんと、本当に受給要件になぜ結びつかないのか、だって、セーフティーネットなんですから、非正規で働いていたとしても失業すればやはりセーフティーネットがなければ困るわけですけれども、機能していないのではないかという大きな疑念があります。大臣、いかがでしょう。
〔大串(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○武見国務大臣 委員の御説明を伺いながら、非正規雇用労働者の占める割合というのがやはり低くなっているということについては、全くそのとおりだというふうに理解をしております。
ただ、その背景として、短期間のうちに離職して受給要件を満たすことができないケースが非正規雇用労働者の場合に多いこととか、給付を受けずにすぐ再就職してしまう方も多い、給付額が離職時賃金に基づいているために低額になっているというようなことなど、様々な原因がこれは考えられます。
メリットは、先ほど申し上げたように、失業給付のみならず、育児・介護休業給付だとか教育訓練給付だとかを受けられるわけでありますし、雇用調整助成金などの雇用保険二事業の対象にもなりますから、短時間で働く労働者でも雇用の安定を図りながら自らキャリア形成に取り組むことができるようになるわけで、要は、そこに上手にたどり着くように非正規雇用者に対してもどのように対応すべきかという、そういう問題意識であろうかというふうに思います。
雇用保険の失業給付は、離職前の賃金などを基礎としつつ、賃金の低い者ほど給付率が高くなるよう設計されているところでもございまして、新たに適用対象となる方々には、雇用保険の適用のメリットや受給要件等について分かりやすく説明をして、そして、こうした非正規雇用労働者の方々に対してもこうした内容について周知徹底させていただいて、そして納得をして加入していただくという努力を、私どもはこの運用の中でしなければならないんだろうと考えます。
○阿部(知)委員 今の大臣の御答弁は大変実態を見ておられて、的確で、いわゆる、それまでの賃金が低いですから、失業給付としていただいても生活が成り立たないから、次の仕事を早く見つけなければやっていけないというのがありていなところです。
今度これを十時間に更に引き下げた場合に、もっとそれは極端になるわけです。二十時間以上でもその傾向があったのに、すなわち、雇用保険が失業給付、生活給付のセーフティーネットとして不十分というか働いていないのではないかという状況は、ますます私は現実になってくるんだと思います。
そうしますと、何をすべきか。一つは、御高齢者で特例を設けて、幾つかのお仕事をやっていらっしゃる、これを合算して保障していく、私は、これから加入される方にもこの方式を適用拡大、即刻すべきだと思うんです。五年間施行状況を見てそこからでは遅いし、雇用の問題はそんなに悠長に構えてはいられない。生活が懸かっているからです。
大臣がおっしゃるように、一つの仕事から得られる失業保険給付が少ない、短い、生活保障にならない、そうしたら、もう一つ、例えば給付金制度を考える。これは保険以外の方法でもあると思います。プラス、今できる直近の方法としては、合算していく、十時間から二十時間の仕事だけで生きていける十分な額はないですから合算する。高齢者特例と同様なことの検討を早急にしていただきたいが、大臣、いかがでしょう。
○武見国務大臣 まずは、今回、六十五歳以上の方に適用することになりましたので、その適用状況というものをやはりきちんと見極めて、そして、その上で、先生が問題提起されていることなどを検討させていただきたいと思います。
○阿部(知)委員 そうおっしゃるなら、非正規の方が本当に給付に結びついているかのデータをまず出していただきたい。私は、それがないから、どうしたら本当に受給に結びつくかを皆さんのデータから臆測すると、やはりもらっていないんだと思うんです。そこでのお願いでありますので、大臣は大変聡明でいらっしゃいますし、言わんとしていることも理解していただいていると思いますので、早急な対応をお願いしたい。
それから、学生についても、次の私の資料の五番目を見ていただきますと、ここには、学生生活実態調査概要報告というもので、いわゆる学校の生協ですね、あそこで調べた学生のアルバイトの状況であります。大体、一年生から四年生までで、週にすると十二時間くらいアルバイトをしていて、その収入は四万円から五万円の間。今、本当に多くの学生が、アルバイトなくしては学業を続けられない状態がある。
武見大臣、この前、給付型の奨学金を充実させるべきだとおっしゃいました。そのとおりです。でも、今現在何ができるかと考えたときに、私は、収入を得ているうちの四分の一は生活費の維持であると書いてあるところを見ると、本当に学生の現状というのは厳しいものがあるんだと思います。
学生への適用をなぜしないかにも理由がないと思います。この時間働いているんですから、十時間以上。大臣、どうでしょう。同じ御答弁は要らないので、一歩前に出る、これを拡大適用して何が悪いのでしょう。教えてください。
○武見国務大臣 先ほども医学生のケースで吉田先生から同様の提言があったわけでありますけれども、雇用保険は、労働者が失業した場合に給付を行い、失業中の生活を保障するというものでございます。これは失業者の再就職を支援するために行われるものであって、給付を受ける前提として、積極的な求職活動を行っていただく必要があります。
一方、昼間の学生については、学業が本分であり、このような雇用保険制度の趣旨にはなじまないということから、雇用保険の適用対象としないこととしております。ただし、昼間学生であっても、事業主との雇用関係を存続した上で、事業主の命により、又は事業主の承認を受けて大学院等に在学する者、いわゆる社会人大学生などは雇用保険の対象とするなど、実態が学業とは言えない場合には雇用保険の対象としているところでございまして、これらの取扱いについても丁寧に周知をさせていただきたいと思います。
○阿部(知)委員 大臣は、あるところで固い労働、雇用という感覚を持ち、でも、今、十時間以上に拡大して、十時間以上働いているし、これがなかったら学校を続けられないし、働いているんですよ。そこを保障するくらいは、私は、今、日本の政策というのは本当に若い世代に、社会保険料負担も含めて非常に冷たいですよ。ここを何とかしなければ、国の将来なんてないじゃないですか。
是非、大臣、見識がおありなんだから、今御答弁がそこまでしかいかないとしても、考えていただきたい。だって、ここを失業したらほかのアルバイトを探さなきゃいけないんだから、その間だって生活、食べていかなきゃいけないんだから、是非お願いしたいと思います。よろしくお願いします。
次に、育児休業給付についてお尋ねをいたします。
お手元の資料の六枚目でありますが、これは雇用保険会計の中で、実は、二〇一八年までしか比較したものがすぐにはなかったのでこれを出させていただきましたが、雇用保険全体の総額の中で、一番下が失業給付、一般求職者給付、上が育児休業給付ですが、どんどんどんどん差が詰まってきて、育児休業給付の方が伸びが著しいわけです。
このことはいいことですし、喜ぶべきことだとは思っておりますが、しかし、これを見ると、やはりこれから大変になってくるのは、この育児休業給付の財源を含めた、そして、給付は拡大させていきたいわけですから、そこに問題があるんだなということがすごくよく分かります。
そして、そもそも今回の改正は、こども戦略未来会議の中で雇用保険の拡大ということが言われて、その一つの眼目が、育児休業給付を拡大したかったからだと、端的に言って思います。悪くはないけれども、じゃ、本当に育児休業給付にたどり着けるか。これもさっきの雇用保険の拡大と一緒ですが、そのことをお伺いしたいと思います。
引き続いて、大臣に、七枚目の資料がございますが、これは二十時間未満の短期の雇用者の年齢と男女別でありますが、ここに女性が五百四十一万。今回、これは四百八十八が母数じゃなくて、最初のグラフと対応するものですが、でも、ここの三割は女性の二十歳から四十四歳まで、出産年齢に入っているわけです。そうすると、今回雇用保険の拡大で育児休暇を取りたいなと思う人が取れるところになるんだと思いますが。
続いて、八枚目の資料を見ていただきますと、これはこれまでのものですが、育児休暇の取得率というのを見ていただきますと、ここでも同じ傾向がございまして、下のグラフ、私が赤囲みでいたしましたが、女性の非正規は育児休業の利用なしというのが五六・〇%。理由は、したかったけれどもできなかったとか、知らなかったとか。
私は、雇用保険でもそうですが、やはり、ジェンダーの問題、女性たちが本当に育児休業を取りたくたって取っていない、それも非正規が取れていない、もうこれは誰が考えても実態はそのようですから、そうすると、今度は雇用保険に入って育児休業を取れますよといっても、そこにまたハードルが生まれてまいります。日本が本当に、子供、子育てに今、集中年間だというのであれば、子供、子育てに、その方の働き方のいかんにかかわらず、子供を持ち、産み育てることを応援すべきであると思います。
大臣には、こういう育児休業の雇用形態による差はどのように認識しておられて、どう改善していくべきと思われますか。
○武見国務大臣 育児休業を利用しなかった理由などを尋ねたアンケート調査の結果によりますと、正社員以外の女性労働者では、先生御指摘のように、育児休業を取得しづらい雰囲気だったからとの答えが六・六%、収入を減らしたくなかったからとの回答が一六・七%である一方、会社で育児休業制度が整備されていなかったからとの回答が二六・三%、それから、分からないとの回答が三〇・七%と、大変高くなっています。このうち、特に分からないとの回答割合が、これは正社員の女性労働者と比べて、非正規の女性労働者の場合、高くなっております。
育児休業制度については、令和三年の育児・介護休業法改正の中で、有期雇用労働者の育児休業の取得要件のうち、事業主に引き続き雇用された期間が一年以上である者という要件は、このときに撤廃をさせていただきました。それから、本人又は配偶者の妊娠、出産などを申し出た労働者に対する個別の周知と利用の意向確認の措置を義務づけたこともいたしました。
これらの制度を周知徹底させて、有期雇用で働く方々も含めて、希望に応じて仕事と育児が両立できるように、私ども、この制度を運用していかなければいけないと考えております。
○阿部(知)委員 もちろん周知徹底はしていただかなければならないし、妊娠したことを理由に解雇も許されないのですけれども、多くの女性たちが自分の雇用の継続、収入の確保のために産むことをためらっているのもまた事実であります。
ここは今の日本の大きな課題で、そして、そういう方たちが安心して出産していただけるような施策として、私は、雇用保険、すなわち、掛けて、もらうという保険でそれを賄おうとするのではなく、もう少し国が、国庫負担でです、やるべきだと思っています。ここをかけ違えると、今回のように、保険料は払うんだけれども実際にはもらえないという形になって、極めて私は不公平だと思います。
最後の質問になりますが、九枚目の資料を見ていただきたいです。今回、そういう意味で、子供、子育て支援を拡充しようということで、パパとママが一緒に育休を取ってくれたら上乗せ給付しますよという、これは財源は、子供、子育て支援のお金から出ます。雇用保険からではない。ある意味当然だと思います。そこまで雇用保険では出せないと思いますので。
でも、これはすごくいびつになると思います。理由は、お一人で育児をしている場合もあります、育児には、子供、子育てには、その背景によって差別をしてはならないんだと思います。私は、男性の育休の取得には大賛成です。一緒に取ってほしい。だけれども、それを、そうしたらお金を上乗せしますよというのは、そうされない側にとっては極めて私はいびつになると思います。されるんですよ、もちろん一人分は。でも、パパとママなら二人分なんです。
この施策は、大臣、やはり、一人でお子さんを育てる女性は大変なんです、気持ちの上でも、社会的孤立の上でも。この施策でやるのではなく、ましてこの財源、子ども・子育て支援金で、それはまた別途問題にいたしますが、考え方として、そういう差を設けてほしくない。男性の育休支援は賛成、でも、まず、正規、非正規の女性の間にある育児休業の取得率の差、これももっと埋める努力をしていただきたい。どんな状態でも子供を産んで育てていけるという国にしていただきたい。大臣、御答弁お願いします。
○武見国務大臣 共育て、共働きと言いつつも、一人親世帯に関わる配慮が不十分ではないか、そういう御指摘だというふうに受け止めました。
現状では、まず、共に育てる、共に働くということを推進をさせていただくという観点で、こうした法の改正が今行われているところであります。この推進に当たって、若い世代が希望どおり、結婚や妊娠、出産、子育てを選択できるようにするとか、夫婦の片方に育児の負担が偏るような結果、雇用の継続が困難になるような状況を防いで、労働者の雇用の安定を図るという観点から、今回の新たな改正は私は必要であり、非常に重要だというふうに思っております。
そうした認識の下で、子の出生後一定期間内に、被保険者とその配偶者が共に一定期間以上の育児休業を取得した場合に給付する、出生後休業支援給付というものが設定をされたわけであります。二歳未満の子を養育するための、所定労働時間を短縮して就業した場合に給付する育児時短就業給付も、そのために創設することといたしました。
共育て、共働きということを推進する観点からこうしたことを進めているわけでありますが、被保険者本人に加えてその配偶者が育児休業を取得することを原則としているものでありますが、一人親世帯で配偶者のいない方についてその要件を撤廃するなど、多様な家庭の在り方を前提とした制度設計としておりまして、一人親世帯の場合には、こうした配偶者のいない方に関わる要件の撤廃ということがあってこの制度の運用を図っていくつもりでございます。特定の家庭の在り方を推奨するような制度とはなっておりません。
是非、この点についての御理解をいただくとともに、これを運用する際にもこの視点をきちんと踏まえて運用に当たりたいと思います。
○阿部(知)委員 時間がないのでこれで終わりますが、ユニバーサルに、差別なくお願いいたします。
終わります。
○新谷委員長 次に、堤かなめ君。
○堤委員 立憲民主党の堤かなめです。
初めに、機能性食品について質問させていただきます。
これまでも、国民の命と健康を守るという立場から、我が党の何人もの議員が質疑を行っています。吉田統彦議員は、今回の事案が起きる数年前から、健康被害が起きる可能性について警鐘を鳴らしてきました。また、西村智奈美議員や早稲田ゆき議員が原因究明や安全性の自己点検について的確にただしています。さらに、山井和則議員、大西健介議員、柚木道義議員、井坂信彦議員などが機能性表示食品の健康被害の報告の義務化を強く求めてきました。今日も、早稲田議員から、これを受けて、政府による何らかの改正がなされるということも聞いております。
このような先輩、同僚議員の質問を踏まえ、なるべく重ならないよう、以下質問したいと思っておりますので、よろしくお願いします。
まず、相談体制の強化でございます。
健康被害の報道によって不安に駆られた消費者が小林製薬に電話をしてもつながらない、一週間、何度もかけ続けているが全く応答がないといった声があると聞いていますが、現在の状況はどうなのでしょうか。
また、消費者庁、厚生労働省合同コールセンターを設置したとのことですが、こちらはすぐにつながるのでしょうか。
また、健康被害は海外にも残念ながら広がっています。海外の被害者からの相談に対応できる体制はできているのでしょうか。お聞かせください。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
コールセンターへのお尋ねがございました。
まず、健康被害の相談体制といたしまして、小林製薬の方で現在窓口を設けておりまして、これは三月二十二日に設置をされております。二十九日からは夜の九時まで延長して対応しているというふうに伺っております。
また、海外への対応につきましても、小林製薬の方で一義的に責任を持って対応するものと考えておりますが、ホームページ等におきまして、消費者向けに多言語での情報発信、これを行っているというふうに承知をしております。
一方で、厚生労働省の取組でございますが、消費者庁と合同で、幅広く国民の皆様と事業者の方からの不安にお応えするために、三月二十九日にコールセンターを設けさせていただき、こちらも夜の九時まで、土日祝日も開いております。応答率ですが、一時的に、報道などが流れますと殺到することもあるとは聞いておりますが、応答率はほぼ一〇〇%に近く、受けられているというふうに承知をしております。
また、海外の方向けには、消費者庁及び厚生労働省のホームページにおいて、リーフレットを多言語で今掲載をさせていただいております。
また、よくある御質問として厚生労働省ホームページに、コールセンターで受けられるような内容をもう既にアップをしておりますので、こういったことで対応してまいりたいと思っております。
○堤委員 ありがとうございます。引き続き対応をよろしくお願いします。
次に、検査、治療の費用負担などについてです。
先週金曜日、四月五日の本委員会において柚木議員が、小林製薬の紅こうじ関連製品を摂取した全ての方々に対して検査を受けてほしい、こういう広報を是非厚労省として、小林製薬や大阪市とも連携して行っていただきたいが、いかがかとの質問に対して、武見大臣は、服用されていた方々に対しては、やはり医療機関への診断、治療等に関わる対応をお勧めしているところと答弁されました。
では、この診断のための検査や治療の費用は誰の負担になるのでしょうか。小林製薬に御負担いただけるのでしょうか。お聞きします。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
今回の事案に関する健康被害の検査、受診等でございますが、まずホームページの中で、対象の製品を摂取されている方、体調不良を感じましたら、直ちに摂取を中止していただきたいということ、また医療機関を受診していただきたいということは、ホームページで既に注意喚起をさせていただいております。
また、対象の三製品、これを摂取された方々の医療機関の受診につきましては、無症状の患者様に対する診療を含め、喫食歴等から医師が必要と判断し、実施した場合には、保険診療の対象といたしますということを既にお示しをさせていただきました。
先生御指摘の、小林製薬が診療や検査等の費用を負担するかどうか、これについては小林製薬の方で判断されるものでありまして、厚生労働省の方から何か申し上げるものではないというふうに承知をしております。
○堤委員 やはりニュースを見て自分は大丈夫なんだろうかと不安になっておられる方々には、一日も早く医療機関で検査や治療を受けていただきたいと私も思います。しかし、経済的理由からちゅうちょしておられる方もいらっしゃるかもしれません。保険適用ということですが、やはり無償になるように、政府としても責任があると思いますので、是非よろしくお願いいたします。
次に、制度の見直しについてお聞きします。
この事案をきっかけとして、機能性表示食品という制度そのものへの様々な懸念が浮上してきています。
まず、機能性表示食品制度では、もう皆さん言われていますが、国が安全性と機能性を審査する特保、特定保健用食品とは異なり、事業者が食品の安全性と健康への効果、機能性ですね、についての根拠となる資料などを一式そろえて国に提出すれば販売できます。
この制度について、吉田議員は、そもそも制度が甘過ぎると従前からただしています。また、早稲田議員の本日の質問でも、有意差が出るまで何度も試験を繰り返すとか、有意差が出そうかどうかを考えて試験をデザインするとか、とんでもない事例も紹介されています。
これらの質疑を踏まえて、私も、安全性や機能性を担保するには、届出制ではなく許可制にすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、機能性表示食品は、食品としての安全性を確保するために、まず食品衛生法をしっかり導入して、及び、同法に基づく各種基準を遵守することを前提に、機能性関与成分の保健的、強調表示するに当たって、特保のような許可制とは異なり、安全性と有効性について国の審査を受けず、事業者の責任で科学的根拠等を届出、公表する制度であります。
機能性関与成分の安全性については、届出、販売開始時は、食経験や安全性に関する既存情報の調査、又は動物や人を用いての安全性試験の実施、医薬品との相互関係の評価を求めており、届出後は、健康被害情報の情報収集、評価、これは事業者でありますが、求めております。
いずれにせよ、本事案に対応した機能性表示食品制度の在り方については、製造過程における安全性の担保、健康被害情報の報告ルール等について、専門家による検討の場を早急に立ち上げ、何度も申し上げますが、五月末までに方向性を取りまとめるべく、スピード感を持って取り組んでまいります。
○堤委員 事後チェックが一割しか対象としていないというふうにお聞きしましたけれども、本日、早稲田議員のとんでもないケースもありましたけれども、それをチェックするのがどのくらいできているのか。事後チェックはどのくらいできているのか、ちょっと通告しておりませんが、レクでお答えになっておられましたので、お願いいたします。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。
機能性表示食品制度、委員御指摘のとおり、これは届出制で、科学的根拠を基にあらかじめ届出、販売をするという制度でございまして、事後チェック機能を有効に活用するということが肝要だと思っております。
表示の裏づけとなります成分あるいは含有量がきちっと入っているのかといった買上げ調査、あるいは成分の分析調査、こういったものを事後的に行っております。買上げ調査につきましては、直近ですと百件ぐらい行っております。
引き続き、事後チェック機能をきっちり機能させるべく、適切に制度の運用を図ってまいりたいと存じます。
○堤委員 そして、事後チェックで問題が分かった、科学的根拠が乏しいということが分かったとした場合にどうなるんですかね。撤回するというようなことを促すことしかできないというふうに聞いていますけれども、いかがでしょうか。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。
基本的に、届出でございますので、届出者の発意により届出を撤回し、販売を中止するということをまず確認をさせていただいておりますけれども、明らかに食品表示基準違反ということであれば、これはまだ当方として実績がございませんけれども、食品表示基準違反という形で、食品表示法に基づく行政措置も視野に適切に運用していく、こういう法的構成になっていると認識しております。
○堤委員 昨日の毎日新聞が報道していましたけれども、機能性表示食品の二割が、科学的根拠が乏しいことなどを理由に表示を撤回したということです。やはりこれも、一割しか事後チェックができていないので、九割についてどうなのかと非常に疑問が残るところだと思います。
参議院の川田龍平議員も、機能性は製造販売業者が届ければよいというだけで、査読つき論文には、世界中の学者から尊敬を集める学会誌に掲載されたものもあれば、名ばかりのものもあると指摘しています。つまり、査読つきの論文があるからといって、安全性や機能性が担保されたことにはならないということです。
今回の事案で、そもそもの制度が甘かったこと、経済性を優先して制度設計してしまったことを真摯に反省すべきだと思います。再発防止のために、届出制から許可制にすべきと強く要望しておきます。
それでは、資料の一を御覧ください。まず、一段目の下線部のところですけれども、この政策はアベノミクスの第三の矢、規制緩和による経済成長戦略の一つです、政治主導であっという間に設立され、消費者の利益のためというよりも経済のための制度であると言えますというふうにコメントがございます。
このような政策、さらに、先週金曜日、四月五日ですが、柚木議員の質疑で驚きの事実が明らかとなりました。小林製薬の自民党への献金が三十四年で千三百九十一万円、まさに猛烈献金というふうに報道しているところもありました。さらに、安倍元総理が代表だった政党支部にも、十二年間で三百十二万円の献金がなされています。
通告しておりませんが、武見大臣にお聞きいたします。
このような小林製薬から自民党への政治献金は、機能性表示食品制度のスピード設立と無関係だと言えるのでしょうか。また、国民の目からは、賄賂性がある、癒着の温床だと見えるのではないでしょうか。いかがでしょうか。
○武見国務大臣 ちょっと今、政府の方におりますので、党の案件について直接発言することは控えさせていただきたいと思います。
また、小林製薬によるそうした献金が行われていたということについて、私は全く知りませんでした。
○堤委員 先週、柚木委員からも指摘があったので、今は御存じではないかと思いますけれども。
次に行きたいと思いますが、資料の二の新聞記事を御覧ください。首相、活動の自由、政治献金見直し阻むとなっております、見出しが。赤線を引いておりますので、そこを御覧いただければと思います。
政治活動の自由は、憲法二十一条にある表現の自由が根拠となると、一橋大学の憲法学の教授の江藤教授のコメントでございます。歴史的には、権力を監視する出版の自由がルーツで、政治家にとっての自由として発展したものではないと記されています。つまり、権力を監視する市民の政治活動の自由であったものが、いつの間にか、まさに真逆の権力者の自由、政治家の自由にすり替えられているのではないでしょうか。
岸田総理は、また、八幡製鉄政治献金事件を引き合いに、会社は政治的行為をなす自由を有する、政治献金もまさにその自由の一環と答弁されていますが、この最高裁判決では、実は、弊害に対処する方途は立法政策にまつとしています。すなわち、政治が決断すれば企業・団体献金を禁止することができる、憲法上も許されるということです。
さて、これも通告しておりませんが、武見大臣にお聞きいたします。
武見大臣は、献金や勉強会の会費として過去三年間で少なくとも一億円を受け取ったと報道されていますが、間違いございませんでしょうか。
○武見国務大臣 細かい数字は覚えておりませんけれども、御支援をいただいていることは事実であります。
○堤委員 まさに桁違いの猛烈献金ではないかと思います。
また、政治資金の寄附の自由、政治献金の自由により、金権政治や政治腐敗などの弊害が生まれているという認識はお持ちでしょうか。もしお持ちでないならば、その理由を、武見大臣、お聞かせください。
○武見国務大臣 政治献金という形も、基本はやはり、表現の自由という、憲法で保障された自由に基づく自由の一つというふうに私も理解をしているところであります。
これが実際に民主主義に基づく自由として運用されたときに社会にどういう影響を及ぼすかということは、我々も常に考えなければいけないわけであります。実際にもし問題があると認識されれば、それは特に立法府において、今、政治資金規正法についても御議論をいただいているというふうに承知をしておりますので、その中でしっかりと御議論をしていただくことを私は期待しております。
○堤委員 弊害があるというのは、この小林製薬の事案でも、やはり国民の皆様も弊害があるということをかなり認識されてきているのではないかと思います。資力のある企業を普通の消費者の命や健康よりも優先するというような構図は、これが多額の政治献金などによってやはり左右されてしまっている、政治をゆがめてしまっている、この構図は明らかだと思います。是非きちんとした政治改革案を期待したいと思いますけれども、内閣の重鎮の武見大臣の今の御答弁ではちょっと期待できないのではないかなという正直な感想を持たざるを得ませんでした。
それでは次に、雇用保険法の改正についてお聞きいたします。
まず、国民の負担増についてです。
この法律は、保険料を引き上げるものになっています。引き上げた場合、どの程度の負担になるか、試算をさせていただきました。
資料の三を御覧くださいませ。育児休業給付に係る保険料の負担増の試算です。
結論としては、保険料率を千分の四を千分の五に引き上げた場合の被保険者一人当たりの負担増、年間ですけれども、約二千三百円になるということですが、これで間違いないでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
御指摘の保険料負担の増加については、本法案が成立した暁に、今回導入する仕組みの下で、労働政策審議会の意見も聞いて、実際に保険料率を弾力的に調整できるかを毎年度確認することになります。
現時点で具体的なそういった負担額をお示しすることは困難ですけれども、その上で、我々の方で、令和五年毎月勤労統計調査における就業形態計、調査産業計の労働者一人当たりの平均の月間現金給与総額というのは約三十三万円となっておりますが、これを例に御説明いたしますと、労働者自身の月間の保険料負担の増額分は約百六十円となり、これを先生お示しいただいた年間の数字に引き直すと、機械的に十二倍すると、約二千円ということになります。
○堤委員 今、年間約二千円の負担になるということでございました。先ほど阿部委員の方からも、保険料を払っても、例えば非正規の女性などは育児休業をなかなか取れないということで、払うだけ払って、やらずぼったくりになるんじゃないかというお話もございました。その上に、さらにこうやって年間二千円程度の負担になるということです。
また、子育て支援金も、早稲田議員など我が党の議員が、これも負担増だというふうに繰り返してまいりました。しかし、岸田総理は、増税というのは何としても避けたいということで、こういった公的医療保険に子育て支援を潜り込ませて、賃上げや歳出改革によって実質的な負担は生じないと繰り返し主張されてきました。しかし、保険料として徴収するという意味では、負担であることに変わりはありません。
ですから、国民の皆さんはそう簡単にだまされないと思います。私も支援者から、負担増にならないと言っていますけれども、おかしいですよねとよく聞かれます。もちろん、それはおかしいですよ、自民党さんのごまかしじゃないでしょうかとお答えしています。
この育児休業給付の保険料も同じようなごまかしになっていないでしょうか。今引き上げると言ったら、またニュースになって、国民の怒りを買って、更に自民党の支持率が下がってしまうので、今は、当面の間は引き上げないとしたのではないかと疑わざるを得ません。(発言する者あり)下がり切っているということですけれども、まだまだだと思います。もっと実態が分かれば、もっと国民の皆さんの理解が進めば、私はもっと下がるんじゃないかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
また、どういう基準でそもそも、国庫負担率ですね、国民ではなく政府、税金で、先ほども阿部委員からも、もっと国庫負担率を上げてメリットを感じられる雇用保険制度にすべきではないかというお話がありまして、本当に私もそうだと思いました。そもそも、どういう基準で国庫負担率を決めているのでしょうか。介護給付のように国庫負担率が八十分の一と低く抑えられたままのものもあって、極めて恣意的なように感じますけれども、違いますでしょうか。
○山田政府参考人 雇用保険制度は基本的に社会保険方式を取っていて、その給付は主としては被保険者である労働者とその使用者が負担する保険料を財源として運営されておりますが、雇用保険の保険事故であります失業というものについては、政府の経済政策、産業政策、雇用政策とは全く無縁とは言えず、政府がその責任の一端を担う、そういう考え方から、一部の給付については税財源である一般会計によって国庫負担が行われております。
まず、求職者給付の国庫負担については、雇用情勢及び雇用保険財政の状況が悪化している場合については四分の一、そのような状況にない場合は四十分の一とし、別途、財政状況を踏まえて機動的に国庫を、繰り入れることのできる仕組みを設けております。
一方で、育児休業給付及び介護休業給付については、失業に準ずるリスクに対処するという観点から、求職者給付の国庫負担割合の四分の一の半分である八分の一を原則としております。
国庫負担割合に関する客観的なルールが存在するものではございませんが、それぞれの給付の性格に対し政府が担うべき責任の程度を勘案して、適切に設定されてきたものと考えております。
○堤委員 国庫負担をどう決めるかという客観的なルールがないというお答えがございました。
武見大臣、これも通告しておりませんが、政治主導で大臣としてお答えいただければと思います。
働く世代、子育て世代の方々の負担増は、少子化対策と逆行するのではないかと思います。保険料の引上げではなく国庫負担で賄うべきかと思いますが、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 やはり雇用保険という社会保険方式の中で、関連する保険給付として今回新たな給付を行わせていただいているわけでございまして、保険の枠組みの中での給付ということで、その財源についても保険料を財源とする、この中で必要とする分野については、その時々の雇用情勢であるとか雇用保険の財政の状況というものを踏まえて国庫負担の負担分を考えるという、この考え方は現状においては妥当ではないかと思います。
○堤委員 現状において妥当ではないと私は思います。
次に、学生の雇用保険の加入についてお聞きいたします。
先ほどから、吉田議員からも働く大学院生への適用拡大ということがございましたし、阿部委員からもお話がありました。
私も、まずメリットを感じられる保険にするということが一番大事だと思いますけれども、今の制度はちょっと合理性がないというふうに思います。つまり、昼に働いて夜は大学に通う夜の学生は雇用保険に入れるけれども、一方、昼の学生はたとえ夜間に働いていても雇用保険には入れません。昼の学生と夜の学生で扱いが違うということです。
しかし、最近では、授業の昼夜開講制、フレックス制の大学が増えており、昨年度で五十八校となっています。実は、武見大臣は大学で教鞭を執られていたということですが、私も二十年近く大学の教員として働いておりました。私が勤めていた大学は、かなり前にこの制度、昼夜開講制を取り入れておりました。昼間の学生という概念自体がもう昭和のものになっているのではないかと思います。
にもかかわらず、武見大臣は、昼間の学生の本分は学業であり、アルバイトは臨時内職的なものと判断されると先日御答弁されて、先ほどもそのように答弁されていました。正直、現状を御存じないのかと驚かざるを得ません。武見大臣には先日から申し上げにくいことばかり申しておりますけれども、世襲で何不自由なくお育ちになったお方のお考えではないかと思ってしまいます。
資料四、新聞記事を御覧ください。私立の大学生の経済事情は本当に苦しいということです。例えば、ここに下線を引いていますけれども、首都圏の私立大学に二〇二三年度入学した学生の受験から入学までの費用が、下宿生の場合で前年比二・一%増の平均二百三十万、約二百三十万円余と過去最高を更新したということです。
また、国立の学生もやはり大変なんですね。国立の学生の授業料、これは私が学生時代は本当に安かったんですけれども、その後、三十年でおよそ一・三倍、一九九四年度のおよそ四十一万円から二〇二四年度のおよそ五十四万円と一・三倍になったということです。
つまり、自民党政権下の三十年、実質賃金は上がらないのに授業料は一・三倍になった、そして、その結果、貸与型の奨学金、いわば借金を抱える学生が全学生の三割にもなっています。具体的には、一人当たりの平均総額は、無利子の第一種奨学金が二百十六万円、有利子が三百三十七万円です。つまり、三割の学生が二、三百万の奨学金という名の借金を背負っているということです。
ですから、そもそも、学生が学業に専念できる体制を国として整えることが最も大事だと思います。立憲民主党は、国公立大学の授業料を無償化し、私立大学生や専門学生に対しても国公立大学と同程度の負担軽減を掲げ、政府にその実現を求めてきました。
しかし、もし万一、今の政権が続くとすれば、こういったことの実現可能性は非常に低いので、まずは、学生がそういう、やはり雇用保険に入れるように、昼と夜の学生で違うという取扱いはおかしいと思いますが、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 やはり、私どもは今、雇用保険という枠組みの中で学生というものを位置づけて議論をさせていただいているわけであります。
したがって、まずは、雇用保険の在り方というのは社会保険方式であって、その保険と給付の中で実際にサービスが提供されるということになります。
そして、学生については、やはり学生が経済的な不安なく学業に専念できるようにすることの重要性というのは私も十分理解をしております。拙い教員ではありましたけれども、実際に大学で教鞭を執って、学生の生活実態など、特にゼミの学生などは非常に親しくなりますから、その生活環境などについても深く知ることができましたけれども、こうした学生の立場というものについてもできるだけ雇用保険という枠組みの中で配慮をするということは、実際に、先ほどから答弁させていただきますように、配慮はさせていただいているつもりであります。
ただ、基本的には、学生は学業が本分であって、特に昼間学生についてはそういう趣旨に基づいて、ただいま申し上げましたような雇用保険制度の趣旨にはなかなかちょっとなじまない、難しいかなというふうに思います。
この法案が成立をした暁には、雇用保険の適用拡大を円滑に施行して、その施行状況を適切に把握をして、改正の影響などについてはそこで検証させていただきたいというふうに思います。
○堤委員 時間になりましたので、これで終わります。ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、中島克仁君。
○中島(克)委員 立憲民主党の中島克仁でございます。
雇用保険法等改正案について、先週の金曜日の審議、また、昨日、参考人の質疑も行われました。そして、今日も質疑が行われておりますが、その内容を踏まえて私からも質問させていただきます。後半は、機能性表示食品に関する健康被害について、また、四月の七日、大臣が出演されましたNHK討論、その発言についても質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、今回の雇用保険の適用拡大についてでありますが、雇用のセーフティーネットを広げること、私も、我々もこれは評価いたします。
昨日の参考人質疑、連合の冨高参考人は、今回の適用拡大により被保険者となるパートやアルバイトなどの短時間就労者への影響について、また、失業手当の受給率に影響があることについて、制度適用拡大後の調査、また、新たな被保険者となる方々への十分な周知広報が必要だと強く申し述べられておられました。
参考人に確認をいたしますが、今回の適用拡大後の短時間労働者への影響、失業給付の受給率、変動も含め調査、また、新たな被保険者への周知広報、具体的にどのようにされるのか、確認をさせてください。
○山田政府参考人 お答えいたします。
今先生言われたとおり、今般の適用拡大については、働き方等の多様化が進展していることを踏まえて雇用のセーフティーネットを拡大する、そういう観点から実施するものであります。
労働時間などの就労状況は様々な要素により決定されるものなので、適用拡大による影響を今現在予測するというのは難しいですが、法案が成立した暁には、新たに被保険者となる方々に対して、失業への備えや育児・介護休業給付、教育訓練給付も利用できることなど、雇用保険適用の様々なメリットを、全国の都道府県労働局における各種説明会等の機会や、毎年度、全適用事業所に送付する各種のお知らせ等を活用して、丁寧に周知していくこととしております。
また、今回の適用拡大はかなり大規模なものになりますので、ということも踏まえて、適用拡大後においてその施行状況を適切に把握し、改正の影響については検証してまいりたいと思います。
○中島(克)委員 調査方法は何か余り具体的じゃなかったんですけれども、もう時間がないので、確実にやっていただく、こういうことを大臣にお答えいただきたいのですが、今局長が述べられた、もう少し本来は具体的に言ってほしかったですけれども、この調査結果を労政審において慎重かつ丁寧な議論をし、結果に基づいて必要な検討を行い、また十分な周知広報を確実に行っていくと、今の私のことを繰り返し述べられていただければありがたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 まさに今委員御指摘のとおりであります。
本法律案につきましては、施行後五年後を目途として、改正後の状況を勘案して、必要があると認めるときには、検討の結果に基づいて必要な措置を講ずる旨の検討規定を設けておりますので、労働政策審議会においてもこうした御議論をいただき、必要な検討は行ってまいりたいと思います。
○中島(克)委員 よろしくお願いいたします。
続いて、先ほども、阿部委員、また堤委員からも質問の中で取り上げられておられましたが、学生の適用除外について、アルバイト等で生活を維持している学生等が増加しているにもかかわらず、今回、学生が対象除外となっていることについて、昨日、参考人質疑でも、私、お尋ねしたんですが、ここについては、賛否というか、慎重な御意見もあったのも事実だと思います。
ただ、総務省の労働力調査によれば、通学の傍ら仕事に就いている人口規模、これは十五歳から二十一歳で百四十一万人、二十二歳から二十四歳で四十万人という数字が出ています。先ほど言ったように、賛否に関してはそれぞれ御意見があった、昨日の参考人ですね、あったわけでありますが、共通していたのは、やはり実態、今どのような状況に置かれている、この数字が全てかどうかは分かりませんけれども、やはり実態を把握して、調査をして、そして分析をする、これはやはり行うべきだろうと、これが共通した参考人の御意見でございました。
改めてでございますが、学生への雇用保険の適用拡大に向けて、状況をまずはしっかり調査をして、分析をし、議論を進めて、深めていく、そういう必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 先ほどから申し上げているように、やはり雇用保険というものの本旨は、これは労働者が失業したときの失業対策をまず基本として構成されてきた社会保険方式のものでございます。これは、給付を受ける前提として、積極的な求職活動を行っていただく必要性が入っております。
学生は、経済的な不安なく学業に専念していただけることの重要性というのがやはり最も大事ですから、その点についての支援策というのを考える必要性は当然あって、これは私の所管ではありませんけれども、文部科学省の方で、例えば奨学金制度というものを充実させることは、近年、確実に行ってきていると思います。
こうした対応と別に、今回の雇用保険法の改正というのは、別の用途の中で実際に適用拡大が行われてきているわけでございますので、その趣旨の違いについての御理解を是非いただきたいというふうに思います。
現状においては、そういうことしか申し上げられませんので。
○中島(克)委員 そのような趣旨を、昨日、参考人の中でも述べられている方もおられたのも事実だと思います。
しかし、先週、井坂理事が学生への適用拡大について、山田局長がそのような状況にはないと一刀両断するような発言を受けて、それは、さきの法案は生活困窮者自立支援法であったり、生活保護世帯、生活困窮者、そういう世帯から学生になっている子供たちが一体どういう状況になっているのか、また、コロナでいろいろな状況が変化しているわけですから、そのような状況にはないという言い方は、これは厚生労働省として私はいかがなものかと。
そういう意味から、雇用保険の趣旨は分かります、しかし、アルバイトをしながら、本当に生活、アルバイトをしなければ、学業に専念できない、本分は確かにそうかもしれませんが、そういう状況に置かれた学生が一体どれだけおるのか。所管が違うかもしれないと。雇用保険のみならず、やはりこういったことは、昨日の、この学生への適用拡大は、やはり、まずは調査、その上で分析をして、労政審でも審議していくべきという意見もありました。是非そこはしっかりと踏まえていただきたいと思いますが、一言お願いいたします。
○武見国務大臣 これは、御指摘の労政審で、五年後の見直しということもありますけれども、必要とある場合には労政審の中で実際に御検討いただくということになると思います。
○中島(克)委員 これもよろしくお願いいたします。
続いて、雇用保険の国庫負担について。
今日も国庫負担の在り方について質問も出ておりますし、昨日も参考人の質疑の中でも取り上げられました。
今回の改正案において、育児休業の本則回帰や介護休業給付の国庫負担引下げ措置延長などが盛り込まれています。
昨日の参考人の御意見においても、そもそも雇用保険は政府が管掌する強制保険制度であって、労使から保険料を徴収し運用していることから、国庫負担と労使の保険料の適切なバランスが最も重要で、そのため、雇用保険財源の収入や支出、財源の活用方法については、労使が参画する労政審で十分議論して決定すべきという参考人の御意見。
私は、国庫負担の在り方、労政審を踏まえて、今後、またより議論を深めていくべきだと思いますが、昨日、足立議員も、非常時の場合どういうふうに、新たな制度を設けるのか、様々なことも検討するべきという御意見もあったと思います。
私、一月一日、能登半島地震が発災をしました。こういう予測できない地震などの災害時の雇用の維持、安定のためにどのように財源を確保するか。これはコロナ時もそうだったと思いますが、こういう議論は、労政審もですけれども、やはり考えていかなきゃいけない、国として。
改めて、地震や感染症拡大など国を挙げて対策が必要な事項において雇用保険を活用する際には、我々は、国庫からの繰入れを行うべきではないか、これを迅速にするべきではないかと考えますが、大臣の見解を伺います。
○武見国務大臣 今回の能登半島地震の際には、被災地域の労働者に対して速やかに、これらの、雇用保険制度における特例措置の適用をしたところであります。
それから、新型コロナウイルスの感染症のときにも同様に、雇用に与える影響が大規模かつ広範囲にわたるような緊急事態への対応に当たっても、事案の特殊性に応じて機動的かつ効果的に対応するべきものとして対応をさせていただきました。
問題は、新型コロナ禍でも、国民に感染防止対策の徹底を要請する中で、過去に例のない大幅な雇用調整助成金の拡充などを行う一方で、それを可能にするためには、やはり労政審、労働政策審議会で御議論をいただいた上でこうした財政上の特別措置を講じたという経緯がございまして、労政審の果たす役割というのは、こうしたときにも極めて重要な役割を果たしていただいているということが一つの答えではないかと思います。
○中島(克)委員 もちろん労政審での議論は大事ですから、労政審の議論を踏まえて、国庫負担、一般会計から確保していくということを議論して、迅速に対応するべきだということを私は述べておりますが、それでよろしいですか。
○武見国務大臣 労働者の雇用の安定や能力の向上を図るという雇用保険制度に求められる役割を踏まえて、労働政策審議会において、公労使というものによって丁寧にこうした御議論はされていき、そして決定されるべきものだというふうに考えておりまして、これは緊急時であっても平時であっても同様だと思います。
○中島(克)委員 災害時の一般会計からの繰入れ規定というのはありますよね。あるんですけれども、これは本当にタイムリーさに欠けるんですよ。そういう意味で、今もおっしゃった国を挙げて支援が必要な状況、この対策については、雇用保険財源を活用する際には、決算の結果を待たずに労政審の判断で繰入れができるように可能とすることを私は言っておりますので、また同じ答えになってしまうと思いますから、是非そこもお願いをしたいと思います。
ちょっと五番目の質問は指摘だけにさせていただきたいと思いますけれども、リスキリングについて。
教育支援、リスキリング、私も、決して悪いことではないし、むしろ学び直しは必要なことだと思います。ただ、本質は、希望する誰もが主体的に能力向上を図ることができる、こういう社会にするということ。
ということは、昨日も足立理事もおっしゃっていましたが、そもそも教育が無償化され、奨学金制度が拡充され、そして働き方改革、これがちゃんとできていれば、わざわざこのリスキリングに五年間で一兆円以上の、そういうことをしなくても、そもそも我が国が目指すべきビジョンは、教育無償化、経済的能力にかかわらず誰もが学びやすい、一方で、働き方改革で、それを余暇に使うか学び直しに使うか、個人の選択、こういう社会を目指すということで、一言よろしいでしょうか。
○武見国務大臣 厚生労働大臣という立場でありますと、やはりこうした労働者が安心して働ける職場の環境の整備というのが最も大きな優先課題ということになってまいりますから、そのためには、こうした雇用保険制度というものを充実させていくということが、その第一の課題として私は常に取り組んできたところであります。
したがって、そうした観点での御議論をさせていただきたいと思います。
○中島(克)委員 次の質問に入ります。
紅こうじを含む成分、サプリメント健康被害、ちょっと後ろに行かさせていただいて、四月七日、NHK「日曜討論」、武見大臣が御出演をされました。タイトルは「いま考える どうする日本の医療」ということで、日本医師会名誉会長であられます横倉先生始め、五人での意見交換というか、番組でございましたが、私、びっくりしました。目を見開いて、耳を澄まして、その後NHKプラスでも、別にNHKのCMをしているわけではないですが、これはすごい発言をされたと。いい悪いは、もちろん議論はあると思います。是非、厚生労働委員の皆さんにあの番組を見てもらいたい。
この中で、いろいろ論点はあったんですが、特に、医師偏在、診療科偏在、病院、診療所偏在ですね。医師偏在に関しては、これまで地域枠とかいろいろやってきたけれども、地域の中での医師の割当てを本気で考えなきゃならない時代に入っている、これは武見大臣の御発言ですよね。そして、規制によって医師を管理していくということをやらなければならない段階に入っていると。
これは厚生労働大臣としての明確なお考えということで、その真意も含めて確認をさせていただきたいと思います。
○武見国務大臣 医師の偏在というものについては、これは本当に深刻な課題になってきているというまず基本認識がございます。したがって、国の方でも、今まで、医師の養成過程における地域枠を設定したり、それから、医師の偏在指標を踏まえて、都道府県において医師確保計画を策定をして、目標医師数の設定、医師の派遣、キャリア形成支援などを行って、国としてもこうした医師偏在対策を行い、財政支援も行ってまいりました。
一方で、医療、介護の複合的ニーズを抱える八十五歳以上人口の増大であるとか、それから現役世代の減少を踏まえて、医療需要の変化に対応できるように、中長期的課題を整理して検討を行う必要性が物すごく今浮上してきているということを、私は、非常にもうせっぱ詰まった状況に入ってきていますよという表現で行ったわけです。
こうした状況を踏まえて、前例にとらわれない対策、検討を行うべきだというまず問題意識を持っておりまして、これは規制という方法だけでなく、様々な方法を考えるべきだと思います。インセンティブの与え方もそうでありますし、それから、オンライン診療というのをもっと活用する仕組みをつくらなきゃいけませんし、そしてまた、こうした地域医療の中でのかかりつけ医及びかかりつけ医機能というものについても、この中でしっかりと整理をしていく必要性があると思っているんです。
したがって、実際、この十年間ぐらいを見ますと、医師数が、何と四万五千人ぐらい医師数を増やしていて、実際に医師の数というのは今三十四万人になっているんですよ。それで、一年で卒業生が九千二、三百人ぐらい今いるわけです。しかし、それでも、地域偏在、あるいはさらには診療科に関わる偏在が、まだまだ十分に時代に即した形で改善されてきていない。
これを私は非常に深刻に受け止めていて、この問題を解決するためにはやはり思い切った手だてがこれからは必要になるということで、実際に、地域における医師数の割当てといったようなことも一つの検討課題になってきたということをあの場で申し上げたという経緯であります。
○中島(克)委員 いや、番組ではもっと強い口調で明確にお話をされていましたよ。今みたいに、今後の医師偏在、診療科偏在も、大臣が今、これは、大臣、こういう議論を厚生労働委員会でしっかりやらなきゃいかぬと私は思っているんです。だからこそ、もっとあの番組のときのように自由闊達で、考え方で。
大臣が、地域の中での医師の割当てを本気で考えなきゃいけないと、これは日本の厚生労働大臣が相当踏み込まれた発言だ。これは何を意味するかというか、自由開業制を制限するということに行き着くわけですから、大臣の頭の中にはその選択肢が明確にあるということが、私は、あの番組、九時から見ていて、四回見ましたよ、もう。三十分ぐらいから佳境に入ってくるんですけれども、是非、厚生労働委員会の、田村元大臣も含めて、しっかり見ていただきたいんですね。
だから、大臣が踏み込まれたことは、私がいつも言っている、私のライフワーク、テーマ、かかりつけ医。最後におっしゃっていましたよね、イギリスのGPには反対だと。私たちもそうなんですよ。何か誤解されていますけれども、私たちが先日お示しした内容、だって、かかりつけ医機能を発揮する制度整備なんて、すっからぴんじゃないですか。空っぽですよ、空っぽ。でも、待ったなしと言っているわけですよね。
私たちは、フリーアクセスを維持しながら、事前登録というから何かGPと間違えられちゃうんですけれども、そうじゃなくて、対外的に、第三者から見て、患者さんと医師がしっかりつながっている、こういう役割を、だから、イギリスというよりはオランダとかドイツ、そちらをイメージしたものを我々はかかりつけ医の制度化として出しているんです。
そして、医療DXを熱く語っておられましたよね。医療DXを活用していくためには、間違いなく、かかりつけ医、この存在が必要なんです。だって、データを取ったり、自らの健康増進、今回の機能性表示食品もそうかもしれませんが、あんなの、消費者庁は管理なんかできませんよ、できないんですよ。そのことが本質的課題であって、これは大臣の、もう時間になっちゃったので、ちょっと私も熱くなっちゃいましたけれども、もう終わりますけれども、あの「日曜討論」での議論を是非、厚生労働委員会で本気でさせていただきたい、そのことをお願いを申し上げて、質問を終わります。
○新谷委員長 次に、岬麻紀君。
○岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、皆様方から雇用保険の改正に関する質問が重複しておりますけれども、少子高齢化が深刻化する中で、幅広い人材の労働参加が進んでいます。多様化する働き方の価値観、また、ライフスタイルの、労働者の個々の事情であるとか価値観に応じて持てる能力を最大限に発揮していただけるように、安定した雇用に関する総合的な機能を有する制度であると期待をしております。
しかし、多くの国民を支えるものであるこの雇用保険でありますが、今回改正する法律案では、令和十年十月に、所定の労働時間二十時間から十時間以上ということで変更があります。適用対象が非常に拡大をされるわけですが、大体約五百万人増えるということです。
一方で、この雇用保険制度の不正の懸念もあります。雇用保険の現状と今後ということで考えていきたいのですが、働いたことを例えば申告しないであるとか、偽った申告というような不正行為によって基本手当等を受け取ろうとした場合、現実に給付が受け取れたか受け取れないかではなくて、全てが不正受給というふうになるということなんですが。
今後、拡大して、五百万人も一気に増えていくとなると、これは令和十年までに準備をするというふうにも言われていますが、実際、適正な方に、必要なところに、必要な人に必要な支援がきちんと行き渡るためにやはり適正な運営も必要だと思いますが、その辺りはどのようにお考えでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
今ちょっと御指摘のあった不正の問題については、不正に受給した金額等の返還を求める権利は、国の債権として厳正に取り扱うことが求められる一方で、失業中である等の本人の状況や、資力に応じた丁寧な対応も同時に必要であると考えております。返済が非常に難しい方に対しては、分割返済するという対応とかもしております。
その上で、今回、十時間以上二十時間未満の者を新たに適用対象とするということで、これらの対象となる方々に対しては、現行の被保険者同様、失業給付を支給することになると思います。具体的には、失業給付については、被保険者の離職前の賃金を基に賃金日額を定め、その額の五〇%から八〇%を支給するという今の仕組みが、そのままそこに当てはめられることになります。
失業給付の給付額というのは離職前の賃金を基に設定することにしておりますが、法律において賃金日額に下限額を設定しておりますし、賃金が低い者ほど給付率が高いように設定しておりますが、そういった形で、失業者の最低生活を保障する観点と早期再就職を促す観点から、きめ細かな制度設計をしております。
いずれにしても、委員の御指摘されたとおり、かなり大規模な今回の拡大になるということで、我々としても、きちんと体制を整えた上で、当然、新しく入ってくる五百万人の方々に対して、失業給付のみならず、育児・介護休業給付とか教育訓練給付、あるいは助成金もその分規模が拡大いたしますので、そういったところで適正な行政の対応ができるように対応していきたいと思います。
○岬委員 今お答えいただきましたけれども、不正があった場合にはきちんと請求していく、分割なども考慮していくというようなことですけれども、そもそも不正が行われないようにしないと、五百万人も増えて作業が増えていく、負担が増えていくわけですから、そうすると、本来やるべき業務がおろそかになっては意味がないということを申し上げたいわけです。
次に、今まで国では、二十時間から十時間になった根拠は何ですかというふうなレクをしたところ、そこに当てはまる方が非常に多いからというような根拠を示されましたけれども、十時間程度となりますと、ほとんど、働いているにしても収入としてはそんなに多くは見込めませんということで、給料も少ない状態、これは失業保険になると更に微々たるものになっていく、そうなると、失業者としてのセーフティーネットになるはずのものが本来の救済には至らないのではないかと心配をします。
それでも、例えば、今まで何もなかったんだから、第二のセーフティーネットとして、ないよりましでしょう、何かあるんだからいいじゃないか、そういった考え方なのか。その点はどのような考え方をされているんでしょうか。
○山田政府参考人 ちょっと先ほどの繰り返しになってしまいますが、確かに給料自体が今までよりも少ない人が入ってくることになりますが、失業給付を例に取れば、賃金日額に下限額を定めておりますし、離職前の賃金が低い人ほど給付率が高くなるようには設定していて、そういった収入が低い方に対してもきちんと対応していこうというふうに思っておりますし、前回、金曜日のときにもお答えいたしましたけれども、今回、二十時間未満の働かれている方が、ある意味今までも多様な形で働く人が増えているという大きな流れはありますけれども、やはり、コロナ禍でそういった二十時間未満の方々に対するセーフティーネットの必要性ということが非常に強く、メディアを含め言われたということで、そういった人たちに対するセーフティーネットを雇用保険制度としてどう受け止めるかということの一つの回答が、今回の改正内容になっておると思います。
○岬委員 ありがとうございます。
雇用保険もしかりですけれども、大変変更が繰り返されていて、複雑怪奇になっているんですね。私ども日本維新の会の足立理事はよくそれを、ばんそうこうの貼り重ねというような表現をしますけれども、つまりはパッチワーク的であるというふうに捉えますが、パッチワーク的になると、必要な人が必要な制度をなかなか活用し切れない、情報もよく分かりづらいといったことも出てきますし、また、あと財源の問題も出てくるのではないかと思うんですが、だんだん負担も増えてきて、国としての限界値というのは大体どの辺りを設定して、どういうふうに未来像を描いているのかなと。
いつもその場しのぎのばんそうこうの貼り合わせのパッチワークになるということで、全体像とか、未来の予想としての国の在り方としてどういうふうに考えているのか、財源の限界値をどういうふうに捉えていらっしゃるのか、お答えください。
○山田政府参考人 雇用保険制度も複雑になってきているのは、先生の御指摘のとおりかと思います。
どこまでこれをどんどん重ねていくのかというのは、一つには、雇用保険制度を支えていただいている労使の方々の御意見というのが一番大事だと思いますけれども、我々としては、基本的に、雇用保険制度というのは、元々は失業給付がベースにあって、その後に育児・介護休業給付だとか教育訓練給付だとか、機能をどんどん拡充していくことになっておりますけれども、これも一つ一つ労働政策審議会に諮って、これがそもそもの雇用保険制度の趣旨に基づくものかどうかということの確認をしながら先に進めていったものであります。
御指摘の国庫負担の話についても、とはいえ、それが本当に、労使で保険料を出して支え合って制度をつくっていくもの以上のものを求められれば、それは国庫負担という話も当然出てきますが、そういうふうに我々としては考えております。
具体的にどこまで大きくなっていくのかということについてはちょっと確たることは言えませんが、ただ、一つ言えるのは、我々として制度を複雑にしたとしても、それが利用者にとって複雑なまま支給をするような形にはしてはいけないというふうに思っております。
今回、育児休業制度も今並行して動いている子ども・子育て法案の中に埋め込んでおりますが、出生後休業支援金だとか育児休業給付金だとか、それに更につけ加わる制度、そういったものは、ハローワークに対して申請いただければ、そういった、ある意味、制度的には重層構造になっておりますけれども、まとめて対応はできるというのは一つの事例かと思いますが、いずれにしても、その複雑さというのが、受給者目線で見れば簡素で分かりやすい制度としていくということは必要だと思っております。
○岬委員 長々お話しいただきましたけれども、私の聞いていることには何もお答えにはなっていないということなんですね。以前私が質問したときも、人口の一応の目標なり設定はどこにあるのかといったこともお答えいただかなかったし、やはり、どこを目指しているのかも分からないまま、その場の目先のことだけ変えていっても、結局、根本的な解決には何一つなっていないのではないかという今指摘だったんです。
さらに、今、労使折半でございますから、企業側の負担というのをしっかりと見ていかなくてはいけないということから、次の質問です。
日本の企業というのは、多くが中小零細企業、いわゆる小規模企業というものが八五%ぐらいを占めているわけですね。そういった中で、範囲を広げることによってその負担は当然増えていく、財政的な負担も増える、さらに、人数が少ないのに事務的なそういった作業の負担も増えていくとなると、まさに昨日福島議員も発言されていましたけれども、労使折半で負担する保険料を、今目の前にいる長くやってくださっているそういった身近な従業員に、だったら給料を上げてあげよう、それで安定した雇用、更に継続ができる、長くお勤めいただける、その方がどちらにとっても安心なのではないか、そして落ち着くんじゃないのかという発想があるのは当然だと思うんですね。また、従業員の側からして、働く側からしたら、その方がモチベーションも上がっていくわけです、目の前で賃金が上がっていけば。
そういったことを踏まえて、さらに、小規模の企業にしてみたら、一生懸命頑張ってくれている従業員に対して福利厚生を充実させてあげたいよ、もちろん雇用保険であっても充実させていきたいよ、だけれども実際にではそれができるのかとなったら、なかなか苦しいと思うところが現実だと思うんです。そういった実質的な部分ではどういうふうに捉えて、どのように対応していこうと思っているんでしょうか。答弁、短くお願いします。
○山田政府参考人 失礼いたしました。
ちょっと、原則論的なことを申し上げるよりも、少し例示的な言い方になるかもしれませんが、そちらの方で語らせていただきます。
雇用保険制度については、確かに、今先生がおっしゃられたような雇用保険制度というのが、中小企業の事業主の方が思われる部分はあるとは思いますが、一方で、特にリーマン・ショックのような大きな経済危機というのは、コロナはちょっと別として、そういったものが、ある意味、資本主義社会においては、必ず、景気後退というのは、どんなによい経済政策をしていても来る、そうした場合に、結局、それのための緊急的なものというのは雇用調整助成金で対応をいたしております。
それについては、今回、これはコロナのときにも指摘されましたけれども、二十時間未満の労働者の方々が入っていないということで、それを十時間まで今回拡大をすることによって、雇用調整助成金については、より幅広い方の救済のために役立つものであります。
確かに、それは、目の前にある人手不足に対してすぐにどう対応するかということについて役立つかと言われれば、育児休業だとか教育訓練給付はもうちょっと短期のところで役立つというふうに言えると思いますけれども、そういう短期、中長期のそれぞれのことに対応するための総合保険としての雇用保険の機能はあると思いますので、その辺りはきちんと事業主に対しても労働者に対しても主張していきたいと思っております。
○岬委員 ありがとうございます。
では、次に、日本国民の一人一人の勤勉性の高さというのは世界でも本当に屈指だと思います、しかし、それにもかかわらず生産性が上がっていかない、また賃金も上がっていかない、これはなぜかということを調べましたら、集団であるとか企業の規模がやはり細か過ぎる、小さ過ぎるということが挙げられています。もっともこれは、生産性が上がっていかないから日本の成長がなかなか止まったままであるということなんですが、これは、経済学者のデービッド・アトキンソン氏が説明をされて、新聞記事にもなっておりますけれども。
この辺り、では、今後、安定した雇用も含めて、賃金を上げていく、そして生産性を上げていくという日本の未来像に対して、この人口減少の中、働き手が不足している中でどういうふうに捉えていらっしゃるんでしょうか。ここの見解を大臣、お聞かせいただけますか。
○武見国務大臣 我が国の人口は、来年二〇二五年、いよいよ団塊の世代の皆様、皆さんは七十五歳以上の後期高齢者になられて、二〇三〇年以降になりますと今度は十五歳から六十五歳までの生産労働人口が一気に減少に入っていって、そして、高齢者人口はそれでもなおかつまだ増え続けて、二〇四〇年にピークを迎える、その後は物すごい勢いで今度は人口減少社会に入っていく、この状況を果たしてどう我が国が乗り切るか。これは、社会のダイナミズムをその中でどう支えていくかという非常に大きな課題に直結していると思います。先生の御質問は、そこのまさにど真ん中の御質問だと思って受け止めました。
そして、労働力不足というのに対応するためには、私は、少なくとも四つの大きな柱が必要になってきて、第一は、AIだとかロボットを通じて、人でなくてもできることはそういった機械やAIにやってもらう、そういう仕組みをどんどん取り入れる必要がある。
第二には、保健医療の大きな政策は健康寿命の延伸に焦点を置いて、その中で、元気な高齢者は、働く意欲のある方は、できる限り生産性の高い労働にもずっと従事していただいて、それによってできるだけ自立した生存期間というものを長期に確保していただくようにすること。
そして、三つ目には、何といったって女性の社会参画が我が国はもう決定的に足りません。したがって、女性にもっと労働力として大きく働いていただき、そして幹部としても社会をリードしていただく必要性があると思います。
そして、最後は、外国人労働者の問題で、この外国人の労働者というものについて、いかに我が国の国内の社会秩序というものをきちんと維持しつつも共生社会を確立をして、その中で、質のいい外国人の労働者をいかに日本に引き込み、そして日本の社会の労働力不足にも対応していただくようにするか。こうした観点が私はこれからの日本にとって必要だろう、こう考えております。
○岬委員 まさにそのとおりだと思いますので、それを具体的にどのように進めていくかがこれから大事なことだと思います。
また、今おっしゃっていただいたように、AI等のデジタル化によって、少子化で人口減少ですから、働き手が不足している部分を補っていくということも、もちろんそれは人数的な部分で必要ですが、またさらに、これをよい影響としていく必要がありますから、貴重な人材を付加価値のある業務へとうまく移行していくことも大事だと思います。若者が魅力のある雇用の創出であるとか、また、人が担う仕事の変化に社会構造も変わっていくと思います。
その中で、リカレント教育の重要性というものも今着目をされているというふうに捉えていますが、学び直しが必要なのは、実際は、非正規の方々であるとかそういった方が、更によき条件で、安定した収入、そして賃金が上がっていくように教育をしていかないといけないと思います。
是非、賃金を増やすことによって可処分所得が増えていく、これが大事だと思いますし、若者を巻き込むことによって、結婚や出産、家族をつくって多子家庭にしていく、さらには、転職をしていく、ここには、非正規の方、また就職氷河期世代の方々に教育の機会というものをしっかりと与えていくことが重要だと思います。
しかしながら、今のリスキリング教育の支援を見てみますと、一九九八年に創設されました、拡充した一般教育訓練給付の延長線なのかなというような感じでしか受け取れないんですね。どういうふうに実践的な魅力のある教育のメニューにしていこうとお考えなんでしょうか。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
リスキリングについてお尋ねをいただきました。
若年者も含めたリスキリングの巻き込み、大変重要なことだと思っております。厚生労働省としましても、リスキリングの取組を通じて所得向上を図っていく、そして、将来の所得も含めた展望を描けるような社会、そういったものをつくる一助としていかなければいけないというふうに考えております。
具体的には、若年者を含めまして、持続的な賃上げを可能とするための三位一体の労働市場改革を進めていく、その中で、具体的には、デジタル分野を中心とします公的職業訓練の充実ですとか、それから、本法案でも、自発的にリスキリングに取り組む個人への直接支援である教育訓練給付、特に、当初スタートしました教育訓練給付の発展版として今ございます専門実践、それから特定一般、ここについて制度を更に充実していくといったことを盛り込ませていただいたところでございます。
さらに、将来展望という意味では、職業の将来像を知っていただくということも重要と考えておりますので、各職業ごとに求められるスキルや賃金に関する情報を取りまとめるとともに、関連する教育訓練給付の指定講座の情報へもアクセスできるようなサイト、ジョブタグを運営しておりますことですとか、キャリア形成支援のためのキャリアコンサルティングを無料で身近に受けられるセンター、それから、六年度、今年度からは、各ハローワークにもそのコーナーをアウトリーチしていくといったことにも取り組んでございます。
さらに、ちょっと長くなりますが、若年者に特にこういった情報を届かせるという意味では、従来型のリーフレットを中心としました広報に加えまして、動画投稿サイトへの動画広告の掲載ですとか、SNSを使った積極的な周知などにも努めているところでございまして、こういった施策を是非、若い方にも知っていただいて、将来の経済的基盤の安定の実現に役立てていただければと考えているところでございます。
○岬委員 具体的にはといっても余り具体的ではないですし、見ていただけるようにというのも余り、ちょっと、訴求効果としてはどうなのかなというふうに不安を感じます。
賃金を上げていく、可処分所得を増やしていく、そのために、労働市場の流動化ということもよく最近言われていますけれども、これはちょっと個人的な考えも入りますが、なかなか、転職をして本当に賃金が上がっている、ステージアップできる、キャリアアップできている人というのは一部に限られているのではないかと思うんです。そうすると、どういう流動化が行われるかというと、階層ごとの流動化で、もう決まった階層の中だけでしか流動できていないんじゃないかと思うんですね。
実際にステージアップができたり、賃金がアップしたり、自分の思っていたプランで伸びていける人というのもすごく限られていて、その中で転職を繰り返すと逆に信用がなくなってしまって、履歴書で数年単位で転職が繰り返されている人を見たらどう思われますか。この人、信用できるのかなと思われてしまうのではないでしょうか。そうすると、転職をしたことがその人にとってメリットではなくデメリットになってしまう。さらに、同じ階層の中でしか流動できなくなってしまった人が次のステップになかなか行けないという、そういった作用も出ているんじゃないかなと思うんですが。
時間がいっぱいになってきましたのでまた引き続きにしますが、その辺りは、大臣、どのように捉えていらっしゃいますか。労働市場の流動化、固定されてしまっているんじゃないかというその弊害はいかがでしょうか。
○武見国務大臣 働く方が自らの希望に応じてそのキャリアを築き上げるに当たって、自分の適性や経験、課題など、個別の背景の事情に即した適切なキャリア選択を行うことができるように、これは継続的に支援をしていくことが必要で、そして、キャリアアップにならなければ、流動性を確保したとしても社会のダイナミズムは生まれませんから、常にそういうキャリアアップをするという考え方で労働の流動性というものを確保するという考え方を持たなきゃいけないだろうと思っております。
実際に国際社会なんかで私も仕事をしてきていろいろな経験がありますけれども、大体、キャリアになってまいりますと、五年に一度職場を替えてキャリアアップしていかないと、人生を通じて上の方にはなかなか上がれないというのが実情でありますので、その辺、是非御理解いただければと思います。
○岬委員 ありがとうございました。
上か下かではなく、やはり、その人がやりがいを持って、やりたいことをしっかりと仕事にできる、そういった実現が目指されればと思っております。
また、引き続き質問の機会をいただければと思います。ありがとうございました。
○新谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時七分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○新谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。遠藤良太君。
○遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。
午前中に引き続きまして、私の方からは、先週金曜日、質問をさせていただいた教育訓練給付のところから質問していきたいんですけれども、教育訓練給付の効果が大きいと思えるのかどうかというところで、前回、特定一般教育訓練給付金受給者の訓練後の賃金増加が、二六・三%増加したであったりとか、専門実践であれば三九・七%賃金が増加したということなんですけれども、一方で、在職者であれば在職中に定期昇給であったりとか、そういうことも賃金増加のこういったケースに含まれてくるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、この辺の因果関係をお尋ねしたいんですけれども、在職期間が長くなることで賃金が増加したケースは含まれるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
今回、教育訓練給付のうち、労働者の中長期的なキャリア形成に資する専門実践教育訓練給付について、今般、労働者自身が教育訓練効果を高めるべく訓練に取り組むインセンティブとして、受講費用の一〇%分を追加で、賃金が上昇した場合にする仕組みを入れています。
それとの関係であると思いますが、教育訓練の受講と賃金上昇との完全な因果関係というのをこちら側で、行政側で確認することは困難であるので、実際、今回、この一〇%の追加給付についても、教育訓練受講前後の賃金を比べ、定期昇給により賃金が増加した場合も含めて、受講後に賃金の上昇があったことを確認できた場合に追加給付を行うということを想定しています。
ただ、具体的な要件については、本法案成立後に労働政策審議会において議論を行っていく予定にしております。
先生の今言われた質問の観点に絡めて申し上げますと、教育訓練受講前後の賃金を比べるに当たって、在職期間の影響ではなくて教育訓練の影響による賃金上昇だというふうなものをちゃんと見るためには、恐らく、比較の前後の間隔を適切な期間にする、そういった比較の時点という観点からも、ちょっと労政審に諮っていきたいと思います。
○遠藤(良)委員 つまり、今、現状は、教育訓練の効果があるかは明確には分からないということだと思うんですけれども、教育訓練で賃金の変化を捉えていくためには、アンケートを取ったりとか、詳細に効果検証をしていくべきだと思いますけれども、いかがでしょう。
○山田政府参考人 これまでも、部分的には教育訓練給付関係についてデータを、労働政策審議会ですとか、この委員会でも資料としてお使いいただいた先生もおられますけれども、今回、更に教育訓練給付をバージョンアップさせるということにしておりますので、より以上にそこの効果を意識しなければいけないというふうに思っております。
この法案が成立した後、新しい仕組みが施行された後に施策の効果を把握、検証していくということを今まで以上にしっかりしなければいけないと思います。
○遠藤(良)委員 受けることでメリットが出るんだということが、それは一方で、定期昇給は影響なく、受けることで賃金がアップするということが非常に重要な制度だと思いますので、是非それも含めて取り組んでいただきたいと思います。
それで、次に、教育訓練休暇給付金に関して御質問したいんですが、事前のレクでは、企業の就業規則に教育訓練休暇制度があることを想定しているということをお聞きしたんですけれども、休暇を取得してまで教育訓練給付を受けるとすればかなり限られてくるんじゃないかなというふうに、特に、これも言われていましたけれども、大企業がこういう対象になってくるのかなというふうに思うんですけれども、その中で、教育訓練休暇制度を導入している企業が全体の七・四%であると。それでさらに、導入を予定している企業は一〇%にとどまるということなんです。
教育訓練休暇制度の詳細は今後検討するということだったと思うんですが、企業全体のどの程度が適用対象になるような制度にしていくのかということをお尋ねしたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
教育訓練休暇給付金については、今委員の御指摘のあった、企業が設けた制度を利用する、五年間の被保険者期間が必要である、それから、給付金を受給すると受給期間がリセットされるといったような骨格については今決めておりますが、具体的にそれ以上の詳細な設計については、法案成立後に労働政策審議会にも諮りつつ決めていくことになります。
今、具体的にどこまで、教育訓練休暇制度の利用をする目標のようなものというのは具体的には決めておりませんけれども、そういった制度がなければこれ自体の給付の意味が全然ないので、そういった休暇制度自体を広げていくということを一方でしつつ、休暇給付というものの導入というのを図っていく必要があろうと思います。
○遠藤(良)委員 これは広くですね、多分、一般論で見てみると限定的なものだと、普通にそう捉えられると思うんですけれども、参考人の大嶋寧子参考人がお話ししていたと思いますけれども、中小企業でリスキリングが重要なのになかなか教育訓練休暇制度が利用できていない状態にあるということなんですけれども、休暇中に雇用保険から生活保障まで行う必要、例えば限定的な、大企業に、例えば大企業のような形で、一般論で見てみるとそういうふうに捉えられると考えると、休暇中に雇用保険から生活保障まで全て行う必要があるのかどうかというのが疑問なんですけれども、その辺り、どうでしょう。
○山田政府参考人 そういった御意見もあると思いますが、先ほど申し上げたとおり、これは一旦この給付金を受給すると基本手当の受給資格に必要となる期間がリセットされるとか、五年間の被保険者期間が必要だとかいったことで、本人に対してもある一定の覚悟を持ってこの制度を使うという必要があるというようなことはしておりますので、その上で支給を受けるということを決断するという枠組みにしておりますので、そういう中で、こういった制度、まあ、ただ、先ほどの話に戻りますけれども、休暇制度自体の普及とセットの話だとは思いますので、そのように理解しております。
○遠藤(良)委員 休暇制度がセットということなんですけれども、それで、僕の指摘は、中小企業こそこういうものがしっかりと利用できないと意味がないんじゃないかなというふうに思うんです。
午前中でもありましたけれども、フリーランス、雇用保険の被保険者じゃないフリーランスに関してもそうなんですけれども、技術の形成や向上を図る必要性でいうとフリーランスも同じだと思うんですけれども、その中で、雇用されていない方のリスキリングについては融資となっている、一方で、雇用保険のリスキリングの場合との間で大きな違いが生じていると認識をしているんですが、この辺り、いかがでしょう。
○山田政府参考人 お答えいたします。
雇用保険給付は、保険原理に基づく制度として、労働者自身とその事業主から強制的に徴収した保険料を原資として、その反対給付として、一定の要件を満たした場合に給付を行うものであります。
一方で、雇用保険の被保険者でない方については、現行制度上、一般会計と雇用保険料によって賄われる求職者支援制度において、訓練受講者のうち、収入や資産等が一定水準以下である者に限定して職業訓練受講給付金を支給することとしております。
今般、雇用保険の対象とならない人を支援するための新たな制度の創設ということを考えるに当たって、求職者支援制度の枠組みを活用しつつ、より多くの人に支援を行き渡らせるために融資という手法を用いるということにした次第でございます。
○遠藤(良)委員 是非より多くの方に取り組んでいただきたいものだと思うんですが、一昨年、岸田総理が、個人のリスキリングの支援に五年で一兆円を投じるということをおっしゃっています。教育訓練に資金を投入していくべきだというふうに思うんですが、先ほど出てきましたけれども、今回の教育訓練給付は、一方で、皆さんに普及するべきなのにフリーランスでは対象になっていないとか、そういうことがあるんだということなんですけれども、今回の教育訓練給付は、そのうち、五年で一兆円ということで、どの程度関わってくるのかをお尋ねしたいと思います。
○武見国務大臣 人への投資でありますけれども、この施策パッケージ、委員御指摘のとおり、本法案でも改正を行おうとしております専門実践教育訓練給付など、個人主導のデジタル分野の人材育成などの支援を始めとしたリスキリング支援に関係する予算が含まれており、令和六年度予算において約一千五百億円あります。
今般の法案では、労働者の学び、それから学び直しを支援するために、教育訓練給付の給付率の引上げを行うとともに、教育訓練中の生活を支えるための新たな給付制度や融資制度の創設を盛り込んでおります。
法案が成立した場合には、人への投資施策パッケージがリスキリングによる個人の能力向上支援を推進していることを踏まえまして、その取扱いについては、関係省庁、特に財務関係とはしっかりと協議をしながらやっていきたいと思います。
○遠藤(良)委員 大臣も先ほどおっしゃられていました、個人ということなんですけれども、地域おこし協力隊というのが全国で七千人いるということで、私の地元も地域おこし協力隊の方がいて、移住してきて現地に定住していくということで、結構うまく成功しているとは思うんですけれども、この中で、地域おこし協力隊というのは雇用型と委託型が存在しているんだということで、雇用型だと公務員として保険加入すると。公務員として、教育訓練を受けようと思っても受けられないのかどうか、確認したいと思います。
○山田政府参考人 地域おこし協力隊については、都市から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動して生活の拠点を移した者を地方公共団体が地域おこし協力隊員として委嘱するということで承知しております。
この隊の活動を行う方が雇用保険の適用となるかどうかというのは、地方公共団体の委嘱の仕方によって変わってくるということですが、雇用保険被保険者となる場合については、雇用保険の被保険者期間が一定期間以上あるといったことが満たされる場合には、教育訓練給付の支給要件をさらに満たした場合については、当然、教育訓練給付は、受講することは可能です。
○遠藤(良)委員 地域おこし協力隊は、先ほどおっしゃられましたけれども、特に郡部ですね、郡部のところの方にとっては非常に有効なものであって、例えば、三年間給付が出続けるとか、そういう形で、それを利用しながら現地でお店を開いたりとか、私の知っている方は着物屋さんを開いたりとか、若い二十代の方がそういうことを、田舎に行って田舎を盛り上げようということでそういうことをやっていたりとかということなんです。
雇用型だと雇用保険の対象にはならない、委託型においては、自分が事業をすると雇用保険の対象にはならない、民間企業で働くと雇用保険の対象になるということで、委託型で民間企業で働いている人に限って雇用保険の対象になるということなんですけれども、地域おこし協力隊の教育訓練についてはこういった違いが既に生じているということなんですが、この状況についてどのようなお考えか、お尋ねしたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
私もちょっと今回、先生から地域おこし協力隊についての御質問があるということで、いろいろ確認をいたしました。通常の公務員であればそもそも雇用保険の対象外になりますけれども、実際の委嘱の仕方というのが結構様々分かれていて、これは午前中の御審議でもありましたように、雇用保険の受け止めとしてはやや複雑な感じになってはおりますけれども、今ちょっと先生が御紹介したように、なる人とならない人が、同じ活動をしていても分かれてくるというのは、これは雇用保険の性格からちょっとやむを得ないかなというふうに思っています。
○遠藤(良)委員 実際、今、難しいよということだと思うんですけれども、そもそも、雇用保険の対象を拡大する方向については限界があると思うんです。多分そういう思いだと思うんですけれども、我が党としてはベーシックインカムというのを提唱していたりとかするんですが、要は、個人が給付の範囲内で自由に決めていくということも考えられると思います。広く個人が教育訓練を受けられるようにすべきだというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょう。
○武見国務大臣 厚生労働省では、雇用されていない方々へのリスキリング支援については、従前から、自律的なキャリア形成に向けた無料のキャリアコンサルティングの提供であるとか、それから、無料の職業訓練と、それから月十万の給付金を支給をしまして就職につなげていく求職者支援制度による支援などに取り組んでまいりました。今般の法案では、こうした方々への支援として、新たな融資制度を創設することとしているところでもあります。
これらの施策の推進を通じて、希望する誰もが主体的に能力向上を図ることができる環境整備を進めてまいりたいと考えております。
○遠藤(良)委員 雇用保険は、長期、雇用保険に加入するということで、教育訓練を受ける必要がないと考えている職種もあると思うんですが、要は、雇用保険は掛け捨てであって、不公平感もこういう場合であったら出てくるのかなと思います。教育訓練を受けない人のこういった、一見矛盾しているように思うんですけれども、この不公平感についてはどのようなお考えをお持ちでしょう。
○武見国務大臣 近年、DXの加速化など企業の労働者を取り巻く環境変化や労働者の職業人生の長期化が進む中で、労働者のリスキリングの必要性はますます高まっております。労働者の自発的な能力開発を支援する教育訓練給付制度は、重要な役割をこれから果たしていくことになります。
また、教育訓練給付は、雇用保険加入後一年を経過すれば誰でも利用ができて、また、幅広い分野の教育訓練が指定されておりますので、近年ではオンライン講座も増えているなど、あらゆる労働者が利用可能な制度となっております。
このため、厚生労働省としては、より多くの方にこの制度を知っていただいて利用していただけるように、オンライン広告の継続的な実施であるとか、教育訓練の効果やメリットについての新聞広告の掲載など、周知を行って対応しようと考えております。
○遠藤(良)委員 午前中もありましたけれども、この対象にならない人がいるんだということで、昨日の参考人の中でも、シンガポールでは五万円のリスキリングクレジットが支給されているとかという話もあったと思いますけれども、要は、教育訓練を行う場合には、雇用保険の枠内だけでなくて、一般財源を活用するということも考えられると思いますけれども、そこの辺りはいかがでしょう。
○武見国務大臣 私も、シンガポールのケースを聞きまして、こういうことができればそれはいいにこしたことはないなとは思いましたけれども、雇用保険制度においては、失業が政府の経済政策や雇用政策と無縁ではなくて、政府もその責任の一端を担うべきという考え方の下で、失業やそれに準ずる状態となり賃金収入を喪失した場合に行う給付について、国庫による負担を行っているわけであります、雇用保険に対してですね。
一方、教育訓練給付金は、労働者の主体的な職業能力開発の取組を支援するためにその費用の一部を支給するものでありまして、失業給付などとは趣旨が異なるということから、国庫負担というものには該当しない、負担をしていないという考え方であります。
シンガポールのケースで、リスキリングのための給付については、政府機関が認定する職業訓練コースを受講する二十五歳以上の国民に年間約五万円を上限に支給するものというふうに承知しております。
我が国では、雇用保険被保険者に対して教育訓練給付で受講費用の一部を負担をし、雇用保険の対象とならない者には、求職者支援制度により無料の職業訓練と月十万円の給付を行っております。
シンガポールとは手法は異なりますけれども、これらの施策を通じて労働者のリスキリングを確実に推進していきたいと思います。
○遠藤(良)委員 我が党は、大学無償化であったりとか、高校の無償化であったりとかということを進めていますけれども、こういった取組はリスキリングの強化につながると思うんですけれども、その中で大臣にお尋ねしたいんですけれども、リスキリングは雇用の流動化を生むというふうに思うんです。例えば先ほど出たようなシンガポールの取組であったりとか、一般財源を、まあ分離してですね、こういう取扱いについては雇用の流動化が生まれるというふうに私自身考えるんですけれども、その辺りはいかがでしょうか。
○武見国務大臣 基本的には、被保険者の能力強化に資する形でこのリスキリングの給付が行われることになります。その結果として得られた新たな能力をどのように活用するかというのは、その被保険者自身の労働者としての選択ということになってくるんだろうと思います。
○遠藤(良)委員 是非、午前中もありましたけれども、被保険者の対象にならない方の個人というところをしっかりとカバーしていくようなものでないと、なかなか賃金も上がっていかないですし、働き方改革にはつながっていかないのかなというふうに思います。
最後に、ちょっと別の視点で話をしたいんですけれども、四月は、定年制で求職者が増えてくるということで、そのためにハローワークが非常に混雑していくということなんですが、ちょっと社会保険労務士の方からもヒアリングをしたりしたんですけれども、かなり長時間待たされているというケースが散見されるんですけれども、年度更新時期における混雑緩和について、現状、どういうふうな取組をされているのか、お尋ねしたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
委員の御指摘のとおり、例年、四月から五月の連休明けぐらいにかけて、年度末に離職した方々が雇用保険や求職手続のためにハローワークに来所するということから、一年のうちで一番混雑する時期ではあります。
これはちょっと四月、五月対策だけではないですけれども、来所によるハローワークの混雑を緩和するために、一つには、オンラインで自宅から求職申込みができるようにしております。また、事業所を通じて離職票を交付する際に、混雑の少ない時間帯へ誘導する、そういった取組もしております。
全体としてオンライン対応をもう少し比重を上げていって、現場ではあくまでも対面できちんとスタッフと膝詰めで相談をしたいという人たちに十分に時間を割くということのためにも、そして窓口の混雑緩和のためにも、そういった手続のオンライン化については引き続き進めていこうと思っております。
○遠藤(良)委員 是非、非常に大変なことが起こっていると思いますので、先ほどもオンラインの話もしていただきましたけれども、オンラインの申請の拡大、是非取り組んでいただきたいというふうに申しまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、一谷勇一郎君。
○一谷委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
雇用保険法の一部を改正する法律案もいよいよ大詰めに来たと思います。私は、今日は働く側と働いてもらう側の両方の側面から質問をしていきたいと思います。
まず、最初の質問を政府参考人の方にさせていただきたいんですが、二〇二一年に、全ての企業が同一賃金同一労働を施行していくというか守っていかなければならないというふうに決まったと思うんですが、最近はパートタイムの労働者の賃金も上がっているというふうにお聞きをしています。しかし、同一賃金同一労働というのがまだまだ浸透していないのではないかなというふうに私は考えています。
実際、私も、二一年に施行されたときは、どういった評価をしていったらいいのかなというので非常に悩みましたし、年功序列から職務給への転換というか変わっていくのかなという感じもしているんですけれども、どのようにして同一賃金同一労働を評価して、さらに定着させていくかということについて、今どんな政府のお考えかをお聞きしたいと思います。
○堀井政府参考人 お答えをいたします。
まず初めに、一谷委員からも御指摘がございましたが、現状に関して簡単に御紹介をさせていただきますと、厚生労働省の調査によりますと、パートタイム労働者の時給は年々増加をしております。そして、フルタイムの正社員と正社員以外の労働者との雇用形態間賃金格差は縮小傾向にあると認識をしています。これは、最低賃金の引上げに加えまして、同一労働同一賃金の取組としまして各企業において非正規雇用労働者の待遇の見直しが進んできたことも要因の一つかというふうに考えております。
そして、この同一労働同一賃金をどのように政府として進めているかというお尋ねでございますが、いろいろな形で支援もし、また都道府県労働局の方で法律の施行を進めておるわけでございますけれども、例えば、その推進に当たりましては、その職務内容を企業が比較をしまして、その大きさを相対的に測定できるよう、厚生労働省で、職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアルを作成をいたしましたり、働き方改革推進支援センターにおけるきめ細やかな相談支援によって企業への職務分析、職務評価の普及、導入支援を行っているところでございます。
このような取組を含めまして、引き続き、同一労働同一賃金を進めてまいりたいと存じます。
○一谷委員 今進んでいるということなんですが、私は、極論、同一賃金同一労働が本当に定着して、評価ができる、そうなると、非正規とか正規というのも関係がなくなってくるのではないかなというふうに思うんですけれども、今回の雇用のところでも、非正規、正規とか、働く時間とか、そういったことが問題になっていると思うんですが、本当に同一労働同一賃金が定着し切って、評価ができ切れば多くの問題が解決していくというふうに思うんですが、定着していくというふうにお考えですかね。
ここには外国人の労働者の賃金の問題もやはりあると思うんですね。今、パートタイムの方の賃金が上がってきているとおっしゃったんですが、やはり私は、海外の方が低賃金で働くことを受け入れてしまうとか、それを我々が低賃金で働いていただくことをすると、本当に最低賃金以上の賃金を払って事業をやっていくということが、企業としてはしないんじゃないかなと思うんですが、こういった外国人労働者も含めて、本当にどこまで浸透していける、まあ今、浸透しているというふうにあったんですが、もう一歩、もし考えがあれば。今の回答だと、何かちょっと納得できないなというのがあったので、もしあれば。
○堀井政府参考人 今委員から御指摘のございました同一労働同一賃金の基本的な考え方につきましては、同一企業内における正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差をなくす、そして、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得して働き続けられるようにすることで、多様で、かつ柔軟な働き方を選択できるようにする、そういったことを目標として考えております。
したがいまして、これは、外国人の方であっても、我が国で働く労働者の方は同様でございますし、日本人、外国人、そしてどのような形で働く方についても、このような同一労働同一賃金のパートタイム・有期雇用労働法に基づく取組は進めてまいりたいというふうに存じます。
○一谷委員 少し、すごく話題になって、同一賃金同一労働に対応しないといけないというような、そういった意識が、ちょっと、私自身は、薄らいできているのではないかなというふうに私は感じているので、ここを徹底していくことが、また新たな日本の雇用がよくなるベースになるんじゃないかなというふうに思いますので、是非取り組んでいただきたいというふうに思います。
次は、解雇ルールの明確化ということについて質問をさせていただきます。
我々日本維新の会は、解雇ルールの明確化法案というのを出させていただいております。労働契約の終了時の円滑化に関する施策の推進に関する法律案なんですが、金銭解雇制度導入を始めとする、労働契約の終了時に関する紛争の解決法案の、活用法についての必要な施策を講ずるというふうに出しているんですが、実際問題、中小企業などでは金銭解雇が行われているというふうに私は感じています。政府は、行われていないと言われるかも分かりませんが、実際そうなんじゃないかなというふうに思いますし、やはり、成長産業への労働移動ということも考えると、ある一定、企業側も金銭解雇ができた方がいいのではないかというふうに考えます。
また、正規雇用をするとなると、なかなか、うまく仕事の内容が合わずに、企業としてはちょっと困ったなということであっても、なかなか退職をしていただくということは難しいのが現実だと思うので、正規雇用をするかしないかということで、かなりちゅうちょしているのではないかなというふうに思うんですね。
こういうことも踏まえて、政府が金銭解雇について今どのように考えておられるのかということをお伺いします。
○鈴木政府参考人 解雇ルールの在り方につきましては、多くの労働者が賃金によって生計を立てていることなどを踏まえまして、企業の雇用慣行や人事労務管理の在り方とも併せまして、労使間で十分に議論が尽くされるべき問題と考えてございます。
政府といたしましては、例えば金銭を支払えば自由に解雇できるという制度を導入することは考えておりませんが、無効な解雇がなされた場合に労働者の請求によって使用者が一定の金額を払うことにより労働契約が終了する仕組みにつきまして、労使の御意見を伺いながら丁寧に検討を行っているところでございます。
○一谷委員 何度も政府に質問を繰り返し聞いたときも、やはり金銭解雇は考えていないということですので、それはそれで致し方ないかなと思うんですが、やはりちょっと現実とかけ離れているところもあるのではないかなと思いますので、引き続きこういった問題には取り組んでまいりたいと思いますので、お願いいたします。
続きまして、育休ですね、育休を取った後に、雇用保険で育休の支給をしているということは、会社に帰ってきてもらうということが前提だと思うんですね。会社に帰ってきていただいて仕事をしていただくということが前提で、雇用保険で育休の支援をしているというふうに思うんですけれども、今お話をいろいろ聞いていると、そのまま、育休の時期が終わると復帰せずに退職してしまうという例も多いというふうにお聞きするんですが、これだと、雇用保険での対象にしているというのがちょっと問題であるのではないかなと思うんですが、その辺り、政府はどのようにお考えになっているのかということをお聞きをいたします。
○山田政府参考人 お答えします。
現行の育児休業制度及び育児休業給付制度は、労働者の雇用継続を促進する観点からこういった制度を設けているものでありまして、育児休業終了後に職場に復帰することを前提としております。
こうした制度の趣旨について労使双方に丁寧に周知し、適切な制度の運営に努めてまいりたいと思います。
○一谷委員 何か制度の中で、育休が終わってそのままもうその会社に行かないということは歯止めをかけていくことも、一定必要なんじゃないかなというふうには私は思います。本当に、会社としたら、帰ってきてくれると思って待っていて、いきなり退職とかになって、それは実際、お子さんが生まれて家庭が大変で、致し方ないことはたくさんあると思うんですが、ある一定、やはり会社に復帰するというインセンティブも何かあった方がいいのではないかなというふうに思いますので、この問題も引き続きやらせていただきたいというふうに考えます。
それでは、次は、男性育休の伸びについて本日も質問をさせていただきたいと思います。
先日、地こデジの方の委員会で参考人質疑がありまして、その中で、京都大学大学院の人間・環境学研究科の柴田悠教授が、非常に興味深い資料をいただきました。
その資料の中で、まず、男性の育休を取っていただくためには、制度の拡充だけではなくて、男性育休取得率が一定以上の企業への法人税の減免とか、あとは育休取得男性の同僚への給付金支給とか、男性育休を取りやすくするような周りの環境というのを整えていかなければ、実際問題、男性が育休を取るのは難しいんじゃないかという話だったんですね。それが一つ。
もう一つは、財源の問題なんですけれども、やはり、八五%という目標を掲げていって、これがもし本当にそこまで育休取得率が上がっていって、これを仮に一〇〇%と考えた場合は、今よりも二千億ぐらいは費用が更に上乗せになるということですので、やはり枯渇していく問題もあるんじゃないかなと思います。
先ほど、冒頭申した関連費用も、取得率をどんどん上げていくためには関連費用もかかってくると思うんですが、こういったことを踏まえて、本当に雇用保険の財源でやっていくということが適切なのかということと、その周辺のフォローはどのように政府は考えていくのか。ただ単に、二〇三〇年の八五%、頑張ってくださいと言うだけではなくて、その周辺のフォローもやはりやらなければ難しいのではないかなと思うんですが、その辺りの考えを政府にお伺いいたします。
○山田政府参考人 私の方から、財源の確保という観点からお答えいたします。
育児休業給付については、足下で男性の育児休業取得者数が急増していることを背景にして、今、育児休業給付の支給額は年々増加しております。加えて、委員の御指摘もあったように、二〇三〇年における男性の育児休業取得率は八五%と、その目標に向けて取り組む必要があるということもやはり支給が増加するということの想定にあります。
そういうことがありますので、財源、この育児休業給付財政を安定化させるために、今回、本法案において、国庫負担割合について、令和六年度から本則である八分の一に引き上げる、保険料率については、当面は〇・四%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて本則料率を令和七年度から〇・五%に引き上げるとともに、実際の料率は弾力的に調整する仕組みを入れたところであります。
この見直しによって、育児休業給付の財政基盤は強化され、目標に沿った形で育児休業給付の取得率が上昇した場合でも安心して育児休業を取得できる環境整備ができると考えております。
引き続き、安定的な財政運営には努めてまいりたいと思います。
○堀井政府参考人 一谷委員が周辺のフォローという御指摘をされた点について、補足でお答えをさせていただきます。
男性が育児休業を取得しない理由ということで伺いますと、職場がそもそも育児休業を取りづらい雰囲気であることや、業務の都合により取れないといったことが挙げられております。ですので、一谷委員御指摘のように、男性の育児休業取得を促進していくためには、職場環境の整備に取り組む企業への支援、これが大変重要であるというふうに考えています。
このため、中小企業の事業主に対しましては、両立支援等助成金を支給をして、育児休業等を利用している間、その業務を代替する周囲の労働者に手当を支給した場合などに助成を行うとともに、労務管理の専門家から個別の相談支援等を無料で受けられる事業、こういったものを実施をしておるところでございます。
引き続き、企業や周囲の労働者の支援、こういったことをしっかり取り組んでまいりたいと存じます。
○一谷委員 それは、例えば、仕事を割り振る方、新しい方を雇用するのにということですよね。でも、新しい方を雇用するというのはなかなか、また育休から帰ってきた場合にちょっと難しいんじゃないかなと思うんですけれども。
○堀井政府参考人 今申し上げた助成金につきましては、委員御指摘のように、新規の雇用、あるいは派遣労働者の受入れ、こういったことで代替業務をしていただく、そういう枠組みが一つございます。
ただ、御指摘のように、そういう形で雇入れをすると、そもそも休業していた方が復帰をしてきたときにどうなのか、そういったお話もあるということも聞きましたので、助成金のメニューとしましては、周囲の従業員の方が休んでおられる方の仕事のカバーをする、その周囲の従業員の方に例えば企業が手当を支給する、そういったことについての助成、そういう枠組みも用意をしているという中身になっております。
○一谷委員 それを本当に周知していただいて、男性の方の育休、かなり野心的な目標だと思いますし、実際問題、私も、自分のスタッフが男性育休を取ったときに結構会社が大変で、周りの従業員の方の理解を得るのが大変だったんですけれども、そういう制度があれば非常に助かるなとは思いますので、やっていただきたいと思うんですが。
もう一つ、育休になったら完全に休みということになりますよね、会社に行かないということになるんですけれども、これは答弁の通達はしていないので答えられたらでいいですけれども、短時間労働というか、時短という考えはなかったのかなというふうに思うんですね。
男性がいきなり育休で休んでしまうのではなくて、例えば九時から三時まで働くとか、九時から二時まで働くとか、短時間労働にした方が、会社もやはり、人が足らない中でずぼっと抜けてしまうよりは、少しいてくださった方が助かるなというのもあるし、いきなり家族に、お父さんが毎日いますというのも、これはこれでお互い困る関係が出てくるんじゃないかなと思うので、そういうところも検討があったんでしょうか。お願いします。
○堀井政府参考人 お答えをいたします。
今、一谷委員から御質問ございました育児休業に関してということでございますけれども、育児・介護休業法におきましては、子が原則一歳、あるいは保育所に入れないなどの理由のときに二歳まで育児休業が取れる、そういう制度が書いてあるわけですが、それ以外にも、例えば子が三歳になるまで企業は短時間勤務の制度を設けるですとか、それ以外にも、子供の看護休暇、所定外労働の免除など、様々な育児と仕事の両立支援に資する枠組みを用意しております。
ですので、企業の労使でよく働いていただき、労働者の希望を聞きながら、そのような育児・介護休業法のメニューを使っていただいて、仕事とそれから育児の両立支援を進めていただくということかというふうに考えております。
○一谷委員 堀井雇用環境・均等局長、済みません。柔軟に対応いただいて、ありがとうございます。
今までは千人以上の企業がこの取得率の公表義務だったんですが、この法案が通ると三百人以上になるんでしたかね。間違っていますか。合っていますか。
○堀井政府参考人 育児・介護休業法の改正案につきましては、今国会に提出をさせていただいておりますが、現在御審議をいただいている雇用保険法の改正案の中にはその内容自体は盛り込まれておりませんで、ただ、いずれにしましても、その法案の審議に当たりましては、また各委員の皆様方にも御議論をいただいて、成案を得ていくということかなというふうに考えております。
○一谷委員 フォローしていただいて、ありがとうございます。
でも、三百人以上になった場合は、かなり中小の企業も公表していかないととなると、何か男性育休を取らないといけないというプレッシャーみたいなものも出てくると思うので、短時間労働でも私は十分、子育てをするにはいい制度ではないかなと思いますので、そこも一緒に議論というか、企業には求めていただいたらいいんじゃないかなというふうに少し考えましたので、質問をさせていただきました。
今、介護休業給付のお話が出ましたので、その質問がちょうど次でしたので、させていただきたいと思います。
介護休業給付というのは非常にいい制度で、ありがたい制度だというふうに思います。いきなり家族に介護が必要になった場合に休暇が取れる、九十三日でしたかね、取れるという制度なんですけれども、どうしても、医療側、保育もそうですし、介護もそうなんですが、資格要件がある職種、業態がありますよね。その資格要件の資格を満たせなくなってしまって事業が継続できないとなると、やはり会社としてはかなり問題なので、介護休暇を取りにくいような感じになってもいけないというふうに思うんですね。
医療の場合は、この前お聞きしましたら、三か月間の緩和措置があるというふうにお聞きしているんですけれども、介護事業所になると駄目なんですよね。やはり資格要件を満たしていないと、配置基準を満たしていないと運営できない、受入れをできないということになってしまうので、やはり介護の問題というのも、急に必要になることがあって、急にそのスタッフが来れないとなった場合に、ある一定、緩和措置を設けていただいた方がありがたいなというふうに考えるんですね。
もう一つ、もしそうなった場合に、じゃ、派遣に頼めばいいじゃないかという話にもなると思うんですが、昨日ですかね、おとついですかね、参考人質疑の中でも、今やはり職業紹介の手数料というのが物すごく上がっていまして、一件当たり、二〇一八年が六十九万七千六百四十六円が、今八十九万三千四百八円という、すごい高騰していっているということで、なかなかやはり零細の介護事業所でこれを活用するというのは難しいんですよね。
そういうことも踏まえて、この緩和ということをしていただきたいなと思うんですが、この辺りの考えを政府参考人の方にお伺いいたします。
○間政府参考人 お答えをいたします。
介護事業所における人員配置基準は、委員御案内のとおり、サービスの質や安全性などを確保するといった観点から設けているものでございますけれども、今御指摘ありましたように、介護サービスの質などを確保するという観点と、それから介護現場における介護休業の取得促進を図るという観点、両方、両立させる必要があると思っています。
そういう観点から、令和三年度介護報酬改定におきまして、介護事業所の人員配置基準上、常勤でなければならない、それを求められているような職員が介護休業を取得した場合に、同等の資質を有する複数の非常勤職員で代替することを認める措置を講じたところでございまして、こうしたことで人員配置基準や報酬算定においても一定の配慮は行っております。
その上で、介護休業等を取得しやすい職場環境を整備する観点から、いわば一般制度として、今、費用の話などもございました、介護休業取得者の業務代替体制の構築に取り組む中小企業事業主への助成というような仕組みでありますとか、また、ノウハウという意味では、労務管理の専門家による個別支援といった支援を行っておりまして、これは介護事業所も活用できるところでございますので、そういったものの周知にしっかり努めていきたいというふうに考えております。
○一谷委員 常勤を非常勤でいいようにしていただいたのは物すごくありがたいというふうに思うんですが、そもそも、やはり人材を今確保するのが非常に厳しい状況の中で、二〇二五年、もう来年ですよね、人手の足らないピークを迎えるに当たって、少し緩和も検討していただけたらありがたいなというふうに思いまして、今ここでちょっと質問をさせていただきました。また実態を見ていただいたら、調査していただいたらと思いますので、よろしくお願いをいたします。
では、残り、質問の時間が少し短くなってきたんですけれども、自己都合退職に対して、リスキリングを行っていたら、自己都合ではなくて会社都合で退職したのと同じだというふうに扱っていただけるというのが今回盛り込まれているんですけれども、これも、会社としたら、ある程度、自分の技術を上げようとリスキリングをしていることについて、報告というか、していますよということを告げるようなことをしておいていただいた方が、いきなり退職しやすいようになると思うんですね、自己都合で退職しやすくなると思うんですが。
制度としては非常にいいと思うんですけれども、会社にとっては、そのまま部署が替わって働いてくださったりとか、そのまま会社の仕事を更に技術を上げてやってくださったらいいんですけれども、そのままぱっと転職されてしまうと、非常に会社にとっては驚くような事態になると思いますので、この制度に当たってそういうことが盛り込まれているかとか、そういうことが想定されているのかということについてお伺いをいたします。
○山田政府参考人 本法案におきましては、労働者の自発的な能力開発と、その訓練結果を生かした求職活動を支援する観点から、労働者が離職前一年間や離職中に教育訓練に取り組んでいる場合に、給付制限を課さずに、速やかに基本手当を支給することとしております。
今委員から提案がありました、労働者が勤務時間外に自主的に行っているリスキリングの状況を会社に報告する義務を課すことは、難しいと考えますが、法案が成立した暁に、全国で、この給付制限の見直しの実態はどういうものになっているのかについてはきちんとフォローしていきたいと思います。
○一谷委員 フォローをしっかりよろしくお願いいたします。
あと、ユースセンターという質問をしたかったんですが、時間にもなりましたので、本日はこれで終わらせていただきたいと思います。
誠にありがとうございました。
○新谷委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
今日は雇用保険法ということで質問を用意してきていますが、今日、中島野党筆頭が「日曜討論」の話をされました。通告していないので、大臣、大臣の本音でというか、そこをちょっとやっていただいたらと思いますので、ちょっとそこだけやらせていただきたいと思います。
ちょっと繰り返しになりますが、七日の「日曜討論」で武見大臣、中島さんは何回見たって。(発言する者あり)中島筆頭は四回、僕は五回見ましたから。本当にすごく重要な、それで私は、いわゆる昔のツイッター、今はXといいますけれども、即日、今日の「日曜討論」はよかった、見応えがあったということをポストしておりますので。まさに、ああ、よかったなと。うちの家族もたまたまそのとき家にいて、うちの両親なんかも、武見さんというのはいいな、厚生労働大臣になってよかったなみたいなことを、自民党が嫌いな、維新の会を支持している私の父も言っていました。それはちょっと余談でありますが。
とにかく、繰り返しませんが、医師の偏在について本気で考えなければならない時代に入ってきたんだということで、かかりつけ医の話なんかもおっしゃいました。
中島さんはお医者さんですから大変お詳しい。私はそんな詳しくありません。ただ、医療や社会保障や日本の国の経済社会について、危機感は共有しているんですね。日本維新の会、あるいは私個人もそうですが、危機感ということについて、やはり誰にも負けないというか。
実際、日本の経済社会は大変な時代を迎えている。その危機感を、まさに武見大臣は医療の分野について深い御造詣をお持ちであるということですから、その危機感について改めてちょっと。さっきの繰り返しになりますが、細かいことは結構です、いかに危機感を持っているかということをもう一度お願いします。
○武見国務大臣 決定的に私がそうした危機感を持つようになったのは、やはりコロナ禍であります。この中で、実際に医療提供サービスに関わるデジタル化というのがいかに遅れているかということが、私にとっても、国民の前でも明確になって、重要な書類の送付がファクスで行われているなんということが明らかになってしまった。こういった事態に加えて、大事なワクチンの開発も我が国独自にきちんと行えずに、最後の最後になってようやく、例えばメッセンジャーRNAのワクチンの開発ができた。こういうような状況を見て、さらに、新薬の開発能力が確実に今落ちてきている。
こういった状況に加えて、地域医療の方を見ても、やはり、長年、医師の偏在やそれから診療科の偏在の議論がされてきたけれども、その中で、医師の数も、近年、四万五千人増やして三十四万人にして、なおかつまだ足りない、こういうことが言われて、偏在の問題が解決できないでいる。
やはりこういった事態を直視するということが、まさにコロナ禍を通じて私の頭の中では明確になったものですから、「日曜討論」の際にはそうした認識を申し述べたわけであります。
○足立委員 私は、武見大臣がおっしゃったことにすごく意味があると思う。河野太郎さんが言っても意味がないので。いや、意味がないとは言いませんが、マイナ保険証もやっていただいている、一緒になってやっていただいている。
しかし、例えば医師会。私、医師会が悪いとは言いません。しかし、医師会から献金をもらっているということで、我が党の議員から相当予算委員会でもやられていたわけですけれども、逆に、医師会と断絶している大臣が言っても仕方ないですよ。やはり、医師会とふだんからコミュニケーションを取っている、その政治信条について、別に、会を超えてというか、いろいろな意味で支持がある、そういう大臣がおっしゃったということを私は高く評価しているわけであります。
関連で、もう一言ちょっといただきたいんですけれども、まさに中島筆頭の質問、中島さんの質問に対して大臣はこうおっしゃいました。いろいろなことをおっしゃったんですけれども、前例にとらわれない対策、検討を行うべきだと。私、さっきもう一回動画を見ていたんですけれども、昼は御飯も食べずに先ほどの大臣の発言を文字に起こしまして。前例にとらわれない対策について検討する、その前例にとらわれない対策の一つのアイテムとして、医師の偏在というか、地域において医師の数の割当てということも、一つの検討課題として、問題意識として御提示をされたというお話だと思います。
いずれにせよ、大臣は、前例にとらわれない対策、検討すべきだとおっしゃった。大臣がすべきということはやればいいんですよ。だから、私が改めて大臣に申し上げたいのは、前例にとらわれない対策、検討してください。検討していただけますか。
○武見国務大臣 私自身は、国会議員として選ばれて以来、政策を最も重視しながら政治活動も行ってきて、その考え方は一貫して変わっておりません。幸いなことに、多くの医療関係者が私を、それを支持してくれてきたという経緯があるわけであります。
そういう中で、実際に、私の考えというのは先ほど述べた危機感の中で出てきたわけでありまして、その中で、やはり、ただ単に過去にとらわれていては新しい未来を創造する積極的な政策は打ち出せないぐらいぎりぎりのところに我が国が追い詰められてきた、そういう認識を持たざるを得なくなってきたものですから、ああいう、過去に例がなくても、むしろ未来志向で、そして、きちんとしたデータをベースにした、サイエンスベーストの意思決定をちゃんと行って、そして、想定される未来社会に到達するためには、今現在の状態のどこをどう変えていけばその未来の社会に到達できるかという考え方の中で、新しく政策を組み立てていかなければならないと。
その一番基本になるのは、何といってもデータサイエンスであり、データベースであって、こうした保健、医療、福祉の分野においても、そうした医療DX、介護DX、こういったものをとにかく徹底的に進めて、我が国が最も出遅れている分野のデータサイエンスを進歩させることが物すごく必要だと。その医療DXを進めるときに、最初のパスポートになるのが、これがマイナ保険証であると。
残念ながら最初つまずきましたけれども、これはとにかく、大分改正されて御理解いただけるところまで来ましたから、どんなことがあっても、このマイナ保険証について国民の御理解を得て、普及をさせて、そしてデータサイエンスの基盤というものを我が国にきちんとつくって、そして国民お一人お一人が今まで以上に質の高い医療を量的にもきちんと受けられるようにする基盤づくりをしなきゃならない。その基本を確立するということを考えると、あらゆる局面で、前例にとらわれていたらできないという認識を持っています。
○足立委員 マイナ保険証はもう河野大臣に任せておいたらいいですから。これはもうゴールは決まっていますから。まあ、ゴールを変えたら駄目ですけれども。そこは河野大臣がやると、大臣もやるということですから、これは、我が維新も、当然、遅いぐらいだということで、マイナ保険証はもう、大臣、事務方に任せてください。
繰り返しになりますが、デジタル、DX、これは、私も持論ですから、もう絶対やらなあかん。これは改革の入口みたいなものですよ。その上で、入口に入っていないから早く入ろうというのは同じです。ただ、せっかくですから、医師の偏在対策に言及をいただいた、あるいはかかりつけ医機能について言及をいただいた、これは繰り返しになりますが、前例にとらわれない対策を検討しましょうよ。
雇用保険法は賛成ですから。課題はありますよ、課題はありますけれども、賛成ですから。党議で決まっていますから。大臣、前例にとらわれない医療制度改革、これは、大臣なんだから、それはもうやるんだと、検討するんだと。いや、検討、やるといっても何をやるか議論せなあかん。さっきも、医師の偏在対策というのは一つのテーマだし、そのときに、地域において医師の数を割り当てる、これも一つのアイデアの一つ、だから検討する。だから、前例にとらわれない医療制度改革を検討する。これは別に言ったって怒られないでしょう。お願いします。
○武見国務大臣 実際に、もう既に、私が着任する前から、例えば医療DXなんというのは始まっていたわけでありますし、これを更に加速化させる役割は、私は、当然、大きな改革の一丁目一番地の改革だと思っております。
それに加えて今度は、コロナ禍の反省はすごく強いんですよ。ですから、我が国は結果としてはコロナで亡くなった方の数とかは主要先進国で少なかったけれども、あれは皆さんが既存の制度の中で頑張ってくれたからの結果であって、我が国の中に危機管理のきちんとした体制があったわけではありません。したがって、改めて我が国にこうした危機管理の実務レベルにおける司令塔機能をつくる必要性があるということで、健康危機管理研究機構というのを来年四月一日から発足させるということを昨日発表させていただきました。これなども過去に例のない新しい改革の中の一つでもあります。
これに加えて、創薬基盤に関わる強化であるとか、全て、実は、これらの国内の改革をしようとすると、一つの前例のない一番分かりやすい分野というのは国際協力なんですよ。もう日本の国内だけで実際に小ぢんまりとやろうとしたってできないことがこれからは山ほどあるんです。しかし、そういったことをやはり柔軟な発想で新たにやらないと、これからの我が国の抜本的な医療制度改革はできないということを認識しているので、例のないことであってもやらなければいけないということを何度も申し上げているわけであります。
○足立委員 何か、中島筆頭がそこで大変落胆をされているという。答弁を求めれば求めるほどだんだん矮小化されていくという。非常に……(発言する者あり)拡散している。だから、デジタルも大事だし、国際協力も大事なんだけれども、大臣、このままでは、私、ちょっと帰れないので。
今日、大臣、大臣はちょっと御存じないかもしれないけれども、去年の五月に、雇用保険制度研究会の中間整理というのが厚生労働省のホームページに出ています。
これは、言ったら、審議会の場じゃないんですね。審議会だと重た過ぎてテーブルにのらない雇用保険制度のそもそも論を、例えば酒井正先生とかが入って、私、「日本のセーフティーネット格差」という御本を大変興味深く拝読をしましたが、そういう、そもそもの雇用保険、雇用というものは何だということを抜本的に解きほぐしながら、今大臣がまさにおっしゃった、あるいは、今日うちの岬さんがおっしゃった、何か取りあえず今の制度をちょっと直していくということじゃなくて、もっと本質的な、抜本的な検討、前例にとらわれない検討をやろうじゃないかという気持ちは、私、この研究会、感じますよ。
これはまさに審議会とは違うから、例えば、今日、私、これについて質問する予定で通告しているんですよ、でも役所は、これは審議会と違うのでこれが役所の意見だと思わないでくださいねとおっしゃるので、分かった、分かった、これは僕は賛成だから、私の意見としてこれを紹介するから議論しようじゃないかということで、全然それを今日やる時間はなくなりますが、でも、そういうことなんですよね。
大臣、どこか席を外したい御用事がありますか。もうちょっと大丈夫ですか。もうちょっとおつき合いください。今日ちょっと、私の質問のときには外していただいていいですと言いながら長引いているんですけれども。
大臣、この雇用保険制度研究会というのは、そういうことなんだけれども、庶務は厚生労働省職業安定局がやっているんです。こういう、行政も、今までのやり方にとらわれず、ちょっと、三者構成の審議会もいいんだけれども、別のレイヤーでこういう勉強を厚生労働省の中でやる、あくまでもこれは公文書である、でも、審議会ではないので、大臣がどこかで問い詰められても、いや、これはこれなんだと言える、そういうので結構なので。私は、例えば保険局長の下に、今日の医療制度改革、前例にとらわれない医療制度改革についてこういう研究会を、大臣の私的何たらでもいいですよ、あるいは保険局長の私的何たらでもいいですよ、私はやはり何かやってほしいなと。やるとマイクで、ちょっとお願いします。
○武見国務大臣 実は、三月に、新たな地域医療構想等に関する検討会というものを中心にこうした検討を行おうということで始めておるわけであります。ですので、ここでの議論を一気にしっかりと過去に例がなくてもやるんだという覚悟で進めるということを、是非私は厚生労働省が具体的に検討に入ってくれることを期待したい。また、大臣としての立場でそれを指導していきたいと思います。
○足立委員 既存の研究会になっちゃいましたが、まあ、その場でも結構ですよ。是非大臣のその危機感を大臣としてのリーダーシップで形にしていただきたい。お願いをしておきます。
これでもう結構です。ありがとうございました。
ということで、あと五分となりましたが、職安局長、これ、なかなかいいですよね。これ、ちょっと、どういうものか、せっかくだから……(発言する者あり)ああ、掲示をしちゃいけない。そんな細かいことを、いやいや、委員長、済みません。
局長、これ、ちょっと、どんなものか御紹介ください。
○山田政府参考人 お答えいたします。
今、足立先生が大体御説明されてしまいましたが、令和五年五月に、職業安定局の方で雇用保険制度の在り方について根っこから議論したもので、言われるとおり、審議会の前に有識者だけで、労使を入れずに有識者だけで検討した内容でございます。ですので、この中、個々の項目を見ていただければ分かりますように、必ずしも一つの意見に集約をされていない。例えば適用拡大も、今のままでいいという人もいれば、十時間ぐらいでいいんじゃないかとか、そもそも全員に適用すればいいんじゃないかといった意見が雑多に入っておりますけれども。
あと、令和五年の五月にまとめられたということも結構意味があって、ちょうどコロナが収束した頃で、かなりコロナのときの混乱を体感したメンバーが議論しております。
この後、五年の夏から、労働政策審議会の雇用保険部会、これは、審議会は、公益側、労働側、使用者側、三者が集って最終的な方向づけをしようと。その最初の段階で、この研究会の報告については、皆さんが議論するに当たって参考にしていただきたいということで、最初にこの中間整理をお見せしております。
その結果が、今の適用拡大についていえば二十時間から十時間に下げるということで、公労使一致して、今回、法案として御提示したという流れになっております。
○足立委員 今御紹介があったように、私はこういうのをもっと使っていったらいいと思うんですよ。そのときに、まさに今局長がおっしゃったように、この研究会の中間整理では様々な意見があった。例えば、適用拡大だって、本当に適用拡大するのがいいことなのか。
今日、阿部知子先生が、いつもは意見が違うことが多いんですが、今日おっしゃっていた、まさに、適用拡大しても使われていないなら意味がないだろうと、また、保険財政にも影響を与える。だから、何か適用拡大というといいことだとみんなは思うんだけれども、まさにこの研究会の中間整理は、いや、そんな単純な問題じゃないんだと。例えば、適用拡大しても使う人が増えない、阿部さんが紹介されたとおりですね。それから、使ったとしても、働き方が非正規なので、正社員ではないので、受けられる給付も、まあそこは工夫しているとおっしゃるんだけれども、それでも、受けられる給付のレベルは下がるわけですね。だから、給付の実際、それからそのレベル、そういうことも含めると、単に、適用拡大、適用対象が広がることがいいこととは限らないんだという問題意識がこの研究会の中間整理にはばんと出てくるんです。
ところが、そこをどう乗り越えてこの法案が出てきたのかということは、実は阿部さんとのやり取りでもよく分からなかったんですね。だから、今回はそこについて十分な精査ができていないように感じますが、だからといって反対しません、賛成なんだけれども、これまでどう考えてやってきたか、それから、この成立の後もそういうことはしっかりやっていくんだということをちょっと改めて御紹介をいただきたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
私も、この令和五年五月の研究会報告の後に今の立場になりましたので、まとめられてからこの報告を読ませていただきました。
その上で、恐らく半年ぐらいの間に審議会で一気にこれだけのアジェンダを処理しなければいけないということで、あと、施行することで分かってくる問題というのも当然含まれておりますので、足立先生の御指摘だけではなくて委員会で様々いただいた御指摘については、この法案成立後、再度、細部についてもう一度労働政策審議会に諮らなければいけない内容もありますし、実際、本当に動かしてみてどうなるかということについては、その状況についてちゃんと我々も襟を正して見ていかなければいけないと思いました。
○足立委員 ありがとうございます。
時間が来ましたので終わりますが、とにかく、武見大臣はちょっと外していますが、武見大臣はこのタイミングで大臣になっていただいているわけだから、私たち野党も、単に、お金の問題、足を引っ張るんじゃなくて、そこは、おっしゃるんだから、やはり改革をやってもらいましょうよ。
やはり、医療も、介護も、障害分野もそうです、福祉もそうです、そして、今日あった労働市場、あるいは雇用、就労、本当に日本の経済社会が大きな転換期を少子高齢化の中で迎えていると私たちは思っています。維新の会は、変わらず、大改革の必要性、これをベースにこれからも論戦を続けていきたいと思いますので、またよろしくお願いします。今日はありがとうございました。
以上で終わります。
○新谷委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○新谷委員長 速記を起こしてください。
次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。
前回の続きです。まず、ハローワークの体制についてでございます。
お配りしております資料、これは厚労省の作った資料ですけれども、こう書いてあるわけですね。ハローワークについては、非常勤職員の割合が高く、常勤職員が本来担うべき基幹的な業務を非常勤職員が恒常的に担っている実態が一部にある、こうあるわけですね。ここで言う常勤職員が本来担うべき基幹的業務というのは何を指しているのか、そして、それを担っている非常勤の方は何人ぐらいいらっしゃるんでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
御指摘の常勤職員が本来担うべき基幹的業務というのをずばり定義づけることはできませんが、例えば、障害者ですとか一人親の世帯、高齢者等、そういった就職に際してきめ細かなサポートが必要な方への就職支援といった、ハローワークの幅広い業務経験や専門性を持って丁寧な対応をすることが望ましい業務のことを指して言っております。
ハローワークの窓口には様々な求職者が来所する中で、このようなきめ細かな支援を必要とする方々もいらっしゃるのがハローワークの場合通常ですので、このような方々だけを担当する職員としては配置していないことから、一概にそういった人がどれぐらいいるのかという数字をお答えすることは困難ですけれども、個々の求職者のニーズや状況に応じて、常勤職員が非常勤職員を管理、フォローしながら対応していきます。
○宮本(徹)委員 高齢者や障害者や一人親や、きめ細やかな就職支援をやっているのは、恐らく窓口の非常勤の相談員の皆さん、ほぼ皆さんがやられているということですよね。
○山田政府参考人 お答えいたします。
現状では、紹介部門においてかなりの数の非常勤職員の人が入っていていただいて、その方々にそういった業務も含めてやっていただいているのは事実でございます。
○宮本(徹)委員 つまり、ほぼ皆さんが、本来常勤職員が担うべき基幹的業務を非常勤の皆さんが担っているというのが実態だということだと思うんですよね。
この資料を見ますと、今、常勤と非常勤は一対二ということで、非常勤が常勤の倍いる状況なわけですけれども、こういう状況を大きく変えて、非常勤の皆さんの常勤化を抜本的に進めるということが必要だというのがこのペーパーの言っている趣旨なのかなと私自身は理解をしております。
ただ、ハローワークの非常勤の職員の皆さんは、三年に一度、昨日の参考人質疑でも紹介がありましたけれども、自らの職が公募にかけられる、求職者に自らの職を紹介しなきゃいけない、こういう立場に置かれているわけであります。
そこで、厚労省の文書の二つ目を見ましても、こう書いているわけですね。職業の安定を所掌するハローワークで働く非常勤職員の雇用が不安定であることについて、その処遇の改善が求められていると。私、去年の予算委員会で武見大臣に、ハローワーク職員が不安定雇用だというのはブラックジョークにもならないということを申し上げさせていただきました。そういうことを受け止めていただいたのかと思うような書きぶりになっているなと思いました。
ちょっと数字を教えてほしいんですけれども、ハローワークで働く非常勤の期間業務職員の皆さんが公募に応募した際の合格率、これまでずっと働いてきて引き続き継続の任用を目指すケースと、新規応募者のケースと、それぞれ合格率はどうなっているでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
令和五年三月三十一日時点で在籍したハローワークの期間業務職員のうち、人事院規則等に基づき公募の対象になり、公募に応募した者は五千四百六人、そのうち採用に至った者は四千五百四十九人でありまして、今の数字を割り算すると、この割合は八四・一%となっております。
もう一つ御指摘のあった新規の応募者数、そのうち採用された者の割合については、採用された者については一千百四十九人ですけれども、ちょっと応募者数については把握はできていませんが、公募に当たって公正な採用に留意して行っており、新規に応募される方についても、担当業務のハローワークでの仕事に求められる能力を有しているかどうか適切に評価して、意欲と能力のある方々について今回採用した次第でございます。
○宮本(徹)委員 今、引き続き雇用を求めても不合格になられた方々がいらっしゃる。合格率八四・一%、差引きすると八百五十七人の方が任用が打ち切られてしまったということになるわけですね。
ですから、こういう心配があるから、本当に三年目を迎えると大変不安な気持ちに多くの皆さんが駆り立てられてしまう。そして、専門性を持った方々も職場を一定去るという状況が生まれてしまっているわけですね。私は、この三年に一度の公募制度というのは根本からやはり見直して、安定雇用を図っていく必要があると思います。
先ほどの障害者や高齢者や一人親の支援、皆さんが求職の支援をやられているわけですよね。相談員ですから、どういう方がその窓口にそのタイミングで来るか分からないですから、誰もがやはりそういう対応をしなきゃいけない。きめ細やかに支援しようと思ったら専門性が必要だし、専門性のためにはやはり継続して働き続けるというのが一番だということでありますから、この三年に一度の公募制度というのはやはり根本から見直して、思い切って常勤化を進めていく、これが必要だと思いますけれども、武見大臣の答弁をお願いいたします。
○武見国務大臣 これは国全体の、人事院の所管になっているんですよね。ハローワークの非常勤職員など、国家公務員の非常勤職員の任免制度は、三年に一度の公募制度を含めて、人事院の所管になっております。厚生労働省としては、人事院の規則などに基づいて採用を行っております。
その中で、相当、厚生労働省としても、委員も御指摘もあるとおり頑張っておりまして、令和六年度の組織・定員要求で、常勤職員が中心となって、担当者制できめ細かな支援を実施するモデル事業等に必要な人員要求をいたしておりまして、ハローワークについては百十一名の定員増を実現しました。
それから、その上で、ハローワークにおいては、これまでも非常勤職員の処遇改善だとか常勤化に継続的に取り組んでおりまして、特に、令和六年度に向けた社会人の選考採用においては、ハローワークなどの非常勤職員について、近年の実績の三倍となる百六十六名の方を常勤として採用しました。
ハローワークの定員は、先ほど申し上げたように、政府全体の国家公務員の定員管理の中で決まるものではありますけれども、令和七年度以降も、モデル事業の成果を踏まえて、必要な執行体制の確保に努めるとともに、非常勤職員の常勤化を進めていきたいと思います。
○宮本(徹)委員 百六十六人の常勤が、これまでの三倍だといいますけれども、大臣、この資料を見てくださいよ。ハローワークの非常勤職員、二万百二十三人ですよ。一年で百六十六人だったら、二万百二十三人を常勤化しようと思ったら、百年たっても何千人も非常勤のままということになってしまうわけですよね。
ですから、これは本当に根本的に取り組まなきゃいけないと思いますし、あと、あわせて、先ほど、三年に一度の公募の制度というのは人事院の制度だと。それは確かに人事院の制度なんですけれども、私が聞いているのは、人事担当者同士では、厚労省サイドは、三年で公募にかけるのはやめた方がいいんじゃないかというのは言っているみたいなんですよね、当然のことながら。
ですから、ここは大臣からも、ちょっと人事院に直接言うのが適切かどうかというのはありますけれども、人事院に、あるいは内閣人事局の担当大臣にも、やはり、ハローワークの担っている仕事からしても、三年に一度公募というのは全くこれは実態に合わないので、やはり大臣からも少しこれは物を言っていただく必要があるんじゃないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 これは、令和五年の人事院勧告時の報告で、再び採用される場合の公募要件の在り方を含めて、非常勤職員制度の運用の在り方について検討する旨の表明を、人事院がそれを行っております。
私も、厚生労働大臣として、この趣旨に沿って、実際に努力をしていきたいと思います。
〔委員長退席、大串(正)委員長代理着席〕
○宮本(徹)委員 努力するというのは、この三年に一度の公募を見直していくという方向での努力ということでよろしいですか、根本的に見直して。
○武見国務大臣 その点も含めて、これからはしっかり検討していきたいと思います。
○宮本(徹)委員 しっかり取り組んでいただきたいと思います。
あわせて、ハローワークの非常勤の職員もそうなんですけれども、女性の比率が高いんですよね。資料の三ページ目を見ていただきたいと思うんですけれども、これは、前に予算委員会で使わせていただいた資料ですけれども、国家公務員の男女の賃金格差、職員全体の男女の賃金格差ですね。厚労省は六三・七というふうに出るのは、非常勤の比率が高いからこういう数字が出るわけですけれども、じゃ、非常勤の中での男性、女性の比率ということで見れば、大体男性の倍近く女性が占めるというのが、非常勤職員の中での厚労省の男女比率ということになっているわけですね。
ですから、私たち、これまでの日本社会の遅れた性別役割分業がこういう、女性に非正規の方を広げてきたということをずっと指摘してきたわけですけれども、こういう状況を考えると、厚労省全体の男女の賃金格差是正ということを考えても、ハローワーク職員をしっかり正規にしていくというのは非常に大事な課題になっていると思いますが、この点は、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 確かに、厚生労働省の全職員における給与の男女差の差異というのは六三・七%、高いところにあります。この要因として、常勤職員の平均給与額が非常勤職員の平均給与額に比べて高い中で、非常勤職員における女性の割合が大きいということであります。
厚生労働省の非常勤職員の給与は、給与法などに基づいて、勤務形態や職務内容を含めて定めているんですけれども、厚生労働省の非常勤職員の多くがハローワークで勤務されているという方々でございまして、今後とも、ハローワークの非常勤職員の常勤化の取組を確実に進めていくことなどにより、特に女性は当然でありますが、男性も含めて、問わず、働きやすい環境づくりをしなければいけないと思います。
○宮本(徹)委員 しっかり取り組んでいただきたいと思います。
次の問題に移ります。
昨日の参考人質疑でも出た話でございますが、教育訓練休暇給付金のことについてお伺いをしたいと思います、ちょっと問いの順番が入れ替わっていますけれども。
教育訓練休暇給付金の支給を受けると、休暇開始前の被保険者期間は被保険者期間に含まれなくなってしまう。それまで何十年と雇用保険料を納めてきても、これは一旦受け取るとリセットされてしまうということなんですね。これで懸念されるのは、この教育訓練休暇給付金の支給を受けた後に失業する場合なんですね。失業給付を受けられるのは、原則として、訓練休暇終了から一年経過しないと駄目ということになりますし、一旦雇用保険の期間がリセットされてしまいますから、失業した場合の給付日数というのも減ってしまう、こういうデメリットがあります。
昨日の参考人質疑でも、これは知らされていないと、後で知ってトラブルにもなりかねない、こういう指摘もありました。それで、別の参考人の方からは、教育訓練給付金についてはメリット、デメリットについてしっかり把握できる手続が必要だ、こういう指摘もありました。
ですから、この教育訓練休暇給付金については、しっかりと、こういうデメリットもあるんだよということも周知していただきたいと思いますし、利用するかどうかの判断の前に、必ず本人がこのデメリットも含めて把握をする、こういう手続を取るようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 教育訓練休暇給付金につきましては、無給の教育訓練休暇を活用して自発的に教育訓練を受けることは、教育訓練に専念するために離職する場合と同視し得ることから、失業給付に相当する給付を行うこととしておりまして、教育訓練休暇給付金を受給した場合は、失業給付の受給資格は一旦リセットされることになります。
この取扱いについて御理解していただけるように、制度の周知に努めるとともに、例えば、失業給付の受給資格を一旦喪失し、新たに受給資格を得るためには、原則十二か月の被保険者期間が必要となることを利用者が理解した上で申請していることを支給申請の段階できちんと確認するなど、きめ細かな対応を行うことによって、施行に向けて、こういう周知を徹底させていくということなどを含め、その手続、詳細、検討していきたいと思います。
○宮本(徹)委員 しっかり、そこは本当に、知らずにこれを受給して、その後、何か突然失業せざるを得ないという状況になってということで、えっ、失業給付を受け取れないのかなんということにならないように、しっかりとした手続をお願いしたいと思います。
続きまして、雇用保険の全体の話にも移っていきますけれども、失業者のうち、今日も議論になっておりますけれども、基本手当を受けている方というのは二二・八%にとどまります。幾つも理由があるわけですけれども、一つは受給資格要件が厳しい、二つには所定給付日数が短い、三つには給付制限があるということがあります。それぞれ改善が必要です。
今回は、法改正に合わせた通達の改正で、正当な理由がない自己都合退職の場合の給付制限期間を二か月から一か月に短縮する。これは、一歩は前進だと思いますが、しかし、給付制限期間はまだ残るわけですね。給付制限期間が一か月というのは、離職から二か月ぐらい収入がない、こういうことにもなるわけです。
そうすると、非正規雇用の人なんかは、本当に貯金もない方も少なくなくいらっしゃいますから、失業手当の受給以前に、当面の生活費の確保のために悪い労働条件で働くことを余儀なくされる、あるいは、就職を急いだ結果、ミスマッチが生じる、こういうリスクがあるんじゃないでしょうか。
○武見国務大臣 今回の制度改正では、転職を試みる労働者が安心して再就職活動を行えるようにするという観点から、自らの意思により離職する者に対して設けられている基本手当の給付制限については、現行の二か月の給付制限期間を一か月に短縮をしております。それから、自ら雇用の安定や就職の促進に資する教育訓練を行った場合は、給付制限を課さずに基本手当を支給することとしております。
他方で、給付制限は、雇用保険の基本手当の受給を目的とした離職を助長しないようにするために設けられたものでございます。その趣旨、引き続き重要でございます。
御指摘のミスマッチのリスクについて、これはまだ定かではございませんけれども、ハローワークにおける再就職支援によって、本人の希望に沿った再就職が可能となるように取り組んでまいりたいと思います。
なお、給付制限期間中であっても、再就職した場合には、支給残日数に応じて再就職手当が支給される仕組みとなっております。
○宮本(徹)委員 問題は、当面のお金がない方々が一番困っているということなんですよね。そこへの手当てというのが私は必要だと思うんですね。
先ほど、この給付制限期間がなくなると、離職を助長するんじゃないかみたいな答弁があったわけですけれども、二〇二〇年に給付制限期間を三か月から二か月に短縮して、その結果を厚労省自身が調査していますよね。それを見ると、三か月から二か月に短縮した結果、じゃ、何回も失業を繰り返す人が増えたかといったら、増えていないというのが厚労省の調査ですよね。局長、そうですよね、そこは。通告していなかったから、答弁がすぐ出ないんだったらいいです。私、資料で見ましたけれども、自己都合退職で二年以内に二回以上受給資格を得た者の割合は一%前後で、変化が見られていないというのが厚労省自身の調査結果ですよね。局長、そうですよね。
○山田政府参考人 お答えします。
今御指摘いただいたように、自己都合離職者数等は、給付制限期間を三か月から二か月に短縮した令和二年十月の前後で比較して、傾向に大きな変化は見られないということになっています。
○宮本(徹)委員 ですから、この制限期間を短く一回したわけです。それで、別に失業給付目当てで失業しようという方は当然増えなかったわけですよね。ですから、今回、更に一か月短縮するという判断をしたんだと思いますけれども、この際、私はもうなくしたらいいと思うんですね。
資料の四ページ目を見ていただきたいと思うんですけれども、厚労省の調査で、離職の理由というのを見ますと、個人的理由、その他の理由とありますけれども、労働時間、休日等労働条件が悪かったというのが一割前後いらっしゃるわけですね。職場の人間関係が好ましくなかったというのも一割前後いらっしゃる。給与等の収入が少なかったというのも六%、七%台ということになっているわけですけれども、これらの理由というのは、本人からすればやむを得ず離職に踏み切るものであって、どれも離職の正当な理由に私は当然当たると思うんですね。ところが、こうした理由で離職した多くのケースというのは、給付制限期間がかかる、正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合になっているわけですね。私はこれはおかしいんじゃないかと思いますけれども、大臣、率直にどう思われますか。
〔大串(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○武見国務大臣 会社を離職する以上、被保険者にとってはそれぞれの事情があったというふうに考えますが、給付制限が課されない正当な理由、その正当な理由のある離職であるか否かの判断に当たっては、その離職が真にやむを得ないものであることが客観的に認められる場合としております。この判断基準は、ハローワークごとに判断が異なるというようなことであってはいけませんから、労働政策審議会において、諮問の上、全国統一した基準としております。
その上で、労働者が自ら離職を申し出た場合でも、労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した場合、それから、上司、同僚などからの嫌がらせなどにより離職した場合、これまで支払われていた賃金と比べて八五%未満に低下して離職した場合などの場合には、給付制限なく失業給付が受けられる取扱いというふうにしております。
○宮本(徹)委員 ですから、そういう様々な限定がかかっちゃうわけですよね。もっと高い給料のところに転職したい、今の給料は少ない、こういう方は、これは自己都合退職で、正当な理由がないんだとなってしまうわけですよ。
これはハローワークの負担を見ても大変なんですよね。一々、真にやむを得ない理由に相当するかどうかということをチェックしなきゃいけないわけですよ。今回、ハローワークの業務がさらにまた法改正で増えるわけですけれども、ハローワーク職員の仕事の負担ということから見ても、そして離職者の生活ということから見ても、この給付制限期間というのは私はなくしてしまう方が本当にいいと思います。
ちなみに、ちょっと参考人にお伺いしたいと思いますが、先ほど大臣から説明がありましたけれども、退職勧奨を受けた場合だとか上司などからの嫌がらせを受けた場合は正当な理由に該当するわけですけれども、実際は事業主に認められないというケースも少なくない。その場合は、証明資料がないと正当な理由として認められないということになります。
正当な理由か否か、労使の主張が対立したケース、そして、証明資料がそろわないために正当な理由と認められなかったケースというのは年間どれぐらいあるんでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
基本手当の受給資格決定に当たって、事業主と離職者との間で離職理由に争いがある場合は、事業主や離職者の主張に加え、必要な資料を離職者や事業主から収集した上で判断することとしております。
ただ、御指摘の、離職理由について労使の主張が対立したケース、あるいは客観的な資料がなく事実が確認できなかったケースについて、具体的な件数は把握しておりません。
離職者が客観的な事実を明らかにする資料を提出できずに事実確認が難しい場合においても、客観的な資料の有無だけで判断することはなく、職場の同僚等の意見なども丁寧に聴取することにより、離職者の置かれた状況に寄り添って、必要な判断を行うこととしております。
これはちょっとハローワークの職員に対する負担になるとは思いますが、引き続きこれらの取組を継続してまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 今、局長も、これもハローワークの職員の負担になるという答弁がありましたけれども、これはやり続けなきゃいけない理由が本当にあるんだろうかと。昨日の参考人質疑でも、リクルートから来た方がこうおっしゃっていましたよ。挑戦する人に対しても給付制限を行うことで、その挑戦をそいでしまうと。なるほどなという指摘でありました。
立場を超えて、給付制限期間はなくした方がいいんじゃないかという声がたくさん出ておりましたので、ここは、大臣、今後のハローワークの体制、担ってもらわなきゃいけない仕事、先週議論しました体調不良の職員の多さ、こういうことなんかも含めて、そういう角度も含めて、しっかり給付制限期間の問題というのは改めて考える必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 給付制限期間自体は、雇用保険の基本手当の受給を目的とした離職を助長しないようにするために設けられたものでございまして、その趣旨は引き続きやはり重要でございます。
自らの意思により離職する者に対して設けられている基本手当の給付制限について、転職を試みる労働者が安心して再就職活動を行い得るようにする観点からの見直しというのは行うこととしているわけであります。
なお、諸外国の失業保険でも、自己都合離職の場合は支給対象としない国や給付制限を設けている国がかなりあります。給付制限の制度そのものを廃止するということは、これは適切ではないかなと思います。
○宮本(徹)委員 ただ、今回、リスキリングの場合は、自己都合の退職で、給付制限期間をなくすわけですよね。だから、そこは本当に私は考え直していただきたいということを再度申し上げておきたいと思います。
加えまして、次の問題に行きますけれども、労政審では、労働者側から、基本手当の給付水準、この問題について、かつての法改正前の水準に回復せよということが意見としてずっと出されてきております。法定賃金日額、給付率、所定給付日数等々でございます。
基本手当日額の一日平均支給額を見ますと、二〇〇二年度は五千九百八十八円、二〇二二年度は五千九十二円ということで、二〇〇三年の改悪以降、急減しております。一か月にすると、平均は十五万二千七百六十円になるんですね。
ちなみに、東京二十三区で生活保護を利用した場合、夫婦と子供二人、四人家族の生活扶助額は二十万五千六百七十円になるわけですよ。生活保護で四人家族なら二十万五千六百七十円。一方、失業給付の平均は十五万二千七百六十円です。失業給付が、健康で文化的な生活を送る権利というのを保障し得る水準になっていないんじゃないかと思うんですけれども、大臣、これは低過ぎると思われませんか。
○武見国務大臣 失業給付の給付額、これは、被保険者の離職前の賃金を基に賃金日額を定めて、その額の五〇%から八〇%を支給することとしております。賃金日額の上限額それから下限額を定めた上で、全労働者の平均給与額の上昇率に応じて、毎年見直すこととしております。
このように、失業給付の給付額は、失業者の最低生活を保障する観点とそれから早期再就職を促す観点の双方を踏まえて、きめ細かく設定されているところでございます。これらの見直しについては、慎重に検討する必要があると考えております。
○宮本(徹)委員 生活保障の観点と早期再就職を促す観点といいますが、生活保障には足りない。わざと足りなくして、早く就職しろ、早く就職しろという事態に今なってしまっているわけですよね。
物価上昇に合わせて見直しているといいますけれども、基本手当日額の上限を見ましたけれども、二〇二〇年が八千三百七十円で、今が八千四百九十円で、百二十円しか上がっていないんですね、二〇二〇年と今を比べて。でも、二〇二〇年に比べて、今、物価はどれだけ上がっていますか。六、七%上がっているんじゃないですか。物価がそれだけ上がっているにもかかわらず、基本手当は上限もほとんど上がっていないというのが状況なわけですよね。
私は、こういう決め方では、本当に腰を落ち着けて再就職の活動ができないと思いますよ。これは本当に、慎重な検討が必要だということを言いますけれども、せめて、このインフレ局面ですから、もっと、どうやって生活が保障できるのかというのを考えなきゃいけないです。
今、年金、マクロ経済スライド、ひどいと思っていますけれども、マクロ経済スライドをかけても、今年は二・七%上がったわけですよね。基本手当、去年上がったのは、一・何%しか上がっていないんですよね。本当に上げ方もしょぼしょぼです。そこはしっかり見直していただきたいというふうに思います。
あと、時間がなくなりましたので、少し質問を飛ばしまして、ちょっと相談があった案件をお伺いしたいと思います。
厚労省ともやり取りをうちの事務所でさせていただいた案件ですけれども、職業安定法に基づく有料職業紹介事業者である大手人材派遣会社のパソナ、ここの転職支援サービスを利用した求職者の方から、パソナ側が、エントリー側の企業に推薦書も職務履歴書も、履歴書すら送っていないにもかかわらず、エントリー先のお見送りメールを偽装して送ってきた、こういう訴えなんですね。
例えば、転職歴が懸念となったためなどというのを、本当は、エントリー先に何もパソナはやっていないんですよ、やっていないにもかかわらず、勝手にメールを作って、求職者の側にメールを送ってきたという話なんですね。大変求職者に対して著しい不利益を与えているという訴えがありました。
これはパソナ側も事実を認めていますけれども、開き直っているわけですね。労働局も、職安法違反には問えないということを言っているわけですよ。
しかし、どう考えても、求職者がエントリーした企業のところに何も送っていないのに、勝手にパソナ側が相手の事情をでっち上げて本人にお断りするというのは許されないと思いますけれども、大臣、いかがですかね、こういう問題。規制が必要だと思います。
○武見国務大臣 個別の事案についてはお答えできないんですけれども、一般論として、職業紹介事業者は、職業安定法に基づいて、求職者にはその能力に適合する職業を紹介をし、求人者には雇用条件に適合する求職者を紹介するよう努めることとされております。
すなわち、人材のニーズや適性、能力などを踏まえた的確なマッチングを行う結果として、求職者が希望する求人企業に紹介されないケースは、それで直ちに職業安定法に違反するということにはなりません。
それから、見送りメールに関してのところでありますけれども、一般に、民間のサービス提供側は、顧客との契約や信義則に基づき、適切な対応や説明を行うことが求められると認識をしております。
職業安定法では、御指摘のようなケース、職業紹介を行わなかった場合の求職者への説明について直接規制はしていないものの、求職者保護の観点から、紹介事業者に苦情相談窓口を設けさせて、トラブルなどがあれば迅速、適切に対応することを求めているところであります。
したがって、御指摘のようなケースは、直ちに職業安定法に違反するものではございませんが、誠実に説明を尽くさないなど、紹介事業者が求職者からの苦情に適切に対応していないような場合であれば、一般に、行政指導などの対象となり得ます。
いずれにしても、個別の事案については、都道府県労働局において適切に対応すべきものと考えます。
○宮本(徹)委員 しっかり行政指導していただきたいということを申し上げまして、時間になりましたので、終わります。
○新谷委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いいたします。
本日は、他の委員からもたくさん質問が出ておりますが、教育訓練休暇制度、また、そこからリスキリングについて伺いたいと思いますが、冒頭、今日の議論を聞いておりまして、ちょっと通告にはないんですが、大臣からお聞きをしたいんですけれども、先ほど阿部委員の方から、学生の雇用保険加入の話が出ていました。また、今日だけでなく、ほかの委員からも多々意見が出ていました。
それを聞いていて、私、自分の学生時代を思い出しまして。私、学生時代、新聞配達、いわゆる新聞奨学生をやっておりました。住み込みないしは近くのアパートに住み、そして、仕事をしながら、また新聞を配りながら、衣食住、生活をするということで。もちろん、先ほど大臣は、学生の本分は勉強だということで、労働ではないというお話があったんですけれども、また、今日のお配りした資料では、アルバイト、大変額の小さい方もいらっしゃるので、ないしは長期的な仕事ではないので雇用保険の適用にならないということもあったんですが、そのようにして働いて学校に行っている方もいると。
また、私がやっていたときは二十年以上前ですけれども、今でも、朝早く起きると、新聞配達をやって学校に行っている方も、もちろん新聞配達だけでなく、たくさんいらっしゃると思いますので、もちろん、雇用保険にすぐに適用というのは、今日の議論で、難しいというのは、聞いていて私も理解をしたんですけれども、そういう学生がおりますので、教授も、やっていたということで、それだけを何かばさっとやってしまうと、今働いている学生に、何か自分自身に言われているようで大変寂しい思いもしたものですから、まあ検討もということもあったんですけれども、いま一度、大臣の学生に対する思いや、また働いている学生もいらっしゃるという思いも込めて、一言いただければと思いました。お願いします。
○武見国務大臣 基本的に、やはり、雇用保険という、その趣旨に基づいて私どもは給付の在り方を考えなければならない立場におります。
その中で、学生についても、夜間の学生で昼間は働いておられるという方々は対象になりますし、それから、大学院生であっても、社会人学生みたいな形の方であるとか、実際に、労働の形態で、大学院生であったとしても適用対象になる方もあるというふうに、一応、柔軟には広げてはきているわけであります。
そういうことをしつつ、なおかつ、基本的には、やはり、これは私の所轄外ではありますけれども、奨学金制度等を通じて学生に対する支援というものがまずしっかり行われるということが基本的な趣旨にはなっていくんじゃないかと思います。
その上で、この法案が成立した後には、雇用保険の適用拡大を円滑にまず施行をして、そして、その施行状況をしっかりと把握をした上で、その後の在り方についての検討を進めていきたいというふうに思います。
○田中(健)委員 適用拡大ということが今回議論になっていますので、全ての働く人に、政府が支援している又は見守ってくれている、そういった思いが届くように是非お願いをしたいと思います。そして、もちろん、奨学金の話が一義的には一番大切だと思っていますので、支給型の奨学金や、また教育の無償化ということにも多くの皆さんと取り組んでいきたいと思っております。ありがとうございました。
それでは、戻りまして、教育訓練休暇制度について伺いたいと思います。
休暇には、法律により使用者に義務づけられている休暇と、使用者が任意に定めることができる休暇がありまして、後者が今回の教育訓練休暇制度だと思っております。近年、働く人の学び直しに注目が集まっており、教育訓練休暇制度というのは、これを後押しする休暇としても活用が期待をされているところであります。
その中で、今回、教育訓練のために休暇を取得した労働者に対して、労働者が生活費等の不安なく教育訓練に専念できるようにするため賃金の一定割合を支給する、教育訓練の休暇給付金というのが創設をされます。教育訓練を受講しやすい環境を整えて、リスキリングを支援するという狙いもあるということです。
まず、その中で財源についてお聞きしたいと思いますが、雇用保険制度は労働者の生活及び雇用の安定を図るということが主たる目的でありまして、その目的のために労使が保険料を負担し、被保険者に給付が行われるということが基本であります。労働者が自発的に教育訓練を行うということは確かに重要ではあるんですけれども、今回の給付金の創設というのは、政府としてリスキリングを推進するために個人への給付を更に拡大をしていくということでありまして、これを拡大し続けますと雇用保険制度の目的を超えるのではないかといった考えがありますが、まず、ここから大臣に伺います。
○武見国務大臣 雇用保険制度は、労働者の生活と雇用の安定を図るという目的の下、労働者が失業した場合の給付を柱としつつも、雇用に関する総合的機能を有する制度として、その機能の拡大、拡充をしてきたところでございます。
今回の法案におきましても、労働者のリスキリング支援等の充実を図ることとして、教育訓練給付の拡充や教育訓練休暇給付金の創設を盛り込んだところでございますが、これらはいずれも雇用保険制度の目的に合致するものであり、雇用保険制度の目的を超える給付であるという御指摘とはちょっと違うと思います。
政府としては、こうした見直しによって、景気変動や技術革新、それからライフスタイルの変化などの雇用を取り巻くリスクへの備えが一層充実して、急激な社会経済情勢の変化に対応した制度となるものと考えております。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
その中で、私、冒頭、期待をされているとは言いましたけれども、実際は、この制度は、これも先ほど指摘がありましたが、導入を予定している企業が七・四%で、使われているのは一〇%だ、しかも、正社員でも、使ったことがある人はさらに二・四%だということで、正規雇用者の労働者が中心で、導入企業の利用が少ないということです。
大変に制度としては期待をされ、また、今回整備がされるんですけれども、これだけ低いと、本当にニーズがあるのかなと、私自身、使ったことがないので、また、使ったことのある方のヒアリングもできていないのでそういうふうに思ってしまうんですけれども、そもそも、今回、この制度を、わざわざ給付金にして、そして更に拡大するという必要性や狙いというのはどこに置いて考えているのか、伺います。
○山田政府参考人 一部、先ほどの大臣の答弁と重なりますけれども、労働者の主体的な能力開発をより一層推進するためには比較的長期間の教育訓練を受ける場合があって、そういった場合にあっても、労働者が生活費等への不安なく教育訓練に専念できるようにすることが重要であると思います。そのため、今般、無給の教育訓練休暇制度を利用した労働者への支援として、失業給付に相当する金額を支給する教育訓練休暇給付金を創設したところであります。
ただ、委員御指摘のとおり、教育訓練休暇制度を導入している企業はいまだ多くはありませんので、先ほど申し上げましたが、この給付金の創設を契機として、そういった教育訓練休暇制度自体を普及させることを検討した上で、これまで取り組んできた企業向け助成金の支給等による教育訓練休暇の導入促進も一方で行い、できるだけ多くの企業で教育訓練休暇制度が設けられ、希望する労働者がこの給付金を活用できるような環境整備に取り組んでまいりたいと思います。
○田中(健)委員 使う側としては、そのように長い間を休暇をして技術を身につける、知識を身につけるということだったんですが、昨日の参考人質疑の中では、これは福利厚生と考えればいいんじゃないかという話もありました。企業側からしたら、そのように捉えて整備をすれば整備が進むのではないかということで、人材確保の位置づけとして考えるという御意見がありましたけれども、これについてはどのように考えていけばよろしいでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
そういうふうに捉えていただいてももちろんいいんですけれども、先ほどの繰り返しになりますが、あくまでも我々としては、無給の教育訓練休暇を活用して自発的に教育訓練を受けるということが、ある意味、教育訓練に専念するために離職するというふうなものと同様だというふうに捉えられることから、失業給付に相当する給付として位置づけているということではあります。
○田中(健)委員 今話したのは、予定も少ない、また利用も少ないということで、もちろん利用者側にはそのように言うんですが、やはり、企業に説明する場合にも、給付金が今度できましたので使えば更に御社のアピールにもなるし人材確保にもつながるよというような言い方も、厚労省からできるんじゃないかなという思いで、ちょっと提案をさせてもらったものですから。もちろん、雇用者側また企業側両方にとってこの制度が利用しやすいようになれるように是非努力していただければと思っています。
また、これも話が出ましたけれども、正規の利用が主とあるんですけれども、先ほどもありましたけれども、個人の自発的な教育訓練また能力を開発するということでありますから、雇用形態にかかわらず、教育訓練の時間を確保し、また実施ができることが必要だと思っていますし、参考人からも、このような方向に進めることという提案もありましたけれども、これについてはいかがでしょうか。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
本委員会でも先ほども議論がなされていたかと承知をしてございますが、雇用保険制度がカバーする労働者だけでなく、雇用されていない方も含めたリスキリング支援、これも重要であると考えております。
従前から、自律的なキャリア形成に向けた無料のキャリアコンサルティング機会の提供ですとか、無料の職業訓練と月十万円の給付金を支給する求職者支援制度による支援などに取り組んでいるところでございまして、こうした幅広いリスキリング支援にも併せて取り組んでまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 今言ったのは教育訓練給付金制度についての話ですね、一般論ではなくて。それについても、雇用形態にかかわらず使えるような、これから、今回決まったら、そのように適用拡大して、また運用していったらいかがですかということなんですが。
○山田政府参考人 お答えいたします。
先ほど適用拡大と絡めてお話しいただきましたけれども、今回、適用拡大に当たっては、失業給付が受けられるということだけではなくて、育児休業給付や教育訓練給付の射程にも当然新しい十時間から二十時間の人たちが入ってくるということで、そういった観点から、この教育訓練休暇給付の話についても、事業主のメリット、まあ事業主、労働者双方のメリットですけれども、ということとしてアピールしていくことはできると思います。
○田中(健)委員 是非、今は正規雇用者の利用が主でありますけれども、どのような雇用形態にもかかわらず、自分自身が学びたいと、また、しっかりとした時間をかけて教育訓練を行いたいという人たちに適用できる制度にしていただければと思っています。
また、メリット、デメリットの話も先ほどありました。周知をするというふうに大臣からもありましたけれども、周知を徹底するというか、恐らく起きるトラブルは、会社側と雇用者が理解不足で、言った言わない、ないしは、そんなの聞いていないというようなことであるかと思いますので、この制度をしっかりと動かしていくためには、また、そのようなトラブルがないためには、会社側の人事や総務の人たちがしっかり分かって、使う場合の確認や、またチェックや、理解をということを進めることがまず一番じゃないかと。まあ周知はもちろんなんですけれども、具体的にそのようなことを先ほどの質疑の中で考えましたが、いかがでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
まずは、特に、教育訓練給付は近年どんどん進化しておりますので、その制度自体についてきっちり、労働者側だけではなくて、使用者側の方にも説明をする。そうした際に、今回の教育訓練休暇給付の話も含めて、これだけ、ある意味、国が支える、武器をお渡しするということでお話ししていく必要が、事業主側に対してもあると思います。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
また、今回の制度は、教育訓練に専念したいというときに、会社に有給で休暇が取れる制度がないということで働き手は離職せざるを得ない場合がある、しかし、今回のこの給付金があれば、失業給付と同じ基本手当に相当する給付が受けられるので、基本手当と同様の額は国庫負担が設定をされています。
雇用保険の目的を超えるこの施策については、先ほど来話がありましたけれども、是非、国庫の負担という意味でも、引き続き、雇用保険財源以外の一般財源を、これは拡大して利用が増えてきますと財源が増えてきますので、考えていただきたいということと、また、次のリスキリングにつながるんですけれども、キャリアアップという面では、リスキリングは様々な省庁でもやっています。ですから、他省庁とも、予算を組んで、連携をして実施をするということも求められるのではないかと考えますが、大臣の考えを伺います。
○武見国務大臣 今般の法案に盛り込まれましたリスキリングの支援策は、労働者の生活と雇用の安定を図るという雇用保険制度の目的の下、労働者の主体的なキャリア形成を支援するために実施するものであり、雇用保険制度の目的を超えるものではございません。
その上で、教育訓練給付は、受講費用の一部を給付することにより労働者の主体的な能力開発を促進するためのものでありまして、失業給付などとは趣旨が異なることから、制度創設時以来、国庫による負担をしていないけれども、新たに創設する教育訓練休暇給付金については、無給で教育訓練に専念する労働者への支援であるといった給付の趣旨も踏まえて、国庫による負担も行うこととしております。
政府としては、リスキリングによる能力向上支援は構造的な賃上げの実現のためにも重要であるということから、今般の法案に盛り込んだ教育訓練休暇給付金の創設や教育訓練給付の拡充のほか、関係省庁による施策の活用を含めまして、引き続き、リスキリングに取り組む方の御支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○田中(健)委員 他省庁ということでありましたけれども、今日、経産省にも来ていただいております。
この間、政府は、リスキリングに五年間一兆円ということを掲げ、日本経済の復活に求めていますけれども、その中で、幾つかの施策がある中、経産省の目玉としては、昨年始めたリスキリングを通じたキャリアアップ事業というのがございます。この事業について、どういう趣旨、目的の下で行われているのかを伺います。
○菊川政府参考人 お答えいたします。
今委員の方から御指摘ございましたリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業でございますけれども、この趣旨、目的でございますが、これまで、リスキリングの支援、これとキャリアアップのための支援、これを一体的に講じていこうというものでございます。
こうした一体的な支援を講じることによりまして学び直しがキャリアアップへつながっていくんだ、そういう事例を多く創出することで、希望する労働者が自分の意思でリスキリングを行って、そして、成長分野の企業でありましたり産業へと労働移動ができるような環境整備をしていく。今、しっかりと後押しをして進めております構造的な賃上げ、そうしたことに資するように、実現するようなことを目的として行っている事業でございます。
○田中(健)委員 目的は、キャリアアップまた賃上げということなんですけれども、今、労働移動という言葉があったように、このキャリアアップ事業は、前提が、事業を受けたら転職するということであります。転職が目的に掲げられています。
これも議論になりましたけれども、リスキリングすると転職してしまうというのであれば、なかなか企業にとってはリスクがありますし、リスキリングが、企業の中で、いいのかなというふうな印象につながります。
これも昨日の参考人の中で議論になりましたけれども、リスキリングが消極的になってしまうんではないかといったこともありましたが、経産省としては、このような考えをどのように整理していますでしょうか。
○菊川政府参考人 経済産業省の考え方ということでございましたので、経済産業省としての考え方を述べさせていただきたいと思います。
外部労働市場において個人主導のリスキリングと就職活動がより広がっていく、そういうことは、むしろ企業にとりましては、人材の確保に向けてリスキリング等に積極的に取り組むきっかけになり得るのではないかというふうに考えてございます。
具体的には、リスキリング等の人への投資を始めとした総合的な職場環境の改善、また、経営サイドとのエンゲージメントといったものが向上していくということによって人材を引きつけることの必要性を企業側の方にも御認識いただく結果になるものと考えております。
その上で、当然、地域における中小企業等々においては、なかなか企業の独自努力によってリスキリングを提供していくということが難しい場合も多かろうというふうに、その点は承知をしてございます。
そういったことも含めまして、先ほど委員からも御指摘ありましたとおり、厚労省を始めとして、各省庁連携をしてということの御指摘がございましたけれども、そういった点からも、厚生労働省におきましては、人材開発支援助成金といった、企業内におけるリスキリングに活用できる助成金も用意されているというふうに認識をしております。
○田中(健)委員 この委員会でも、リスキリング、言葉は飛び交っていますけれども、そもそも、大臣が考えるリスキリング、定義もいろいろと、一つという定義ではないかもしれないんですけれども、このリスキリングの考えと意義というのを、厚労省としての、厚労大臣としての立場で結構なんですが、改めて伺いたいと思います。
○武見国務大臣 これはもう何度も申し上げているとおり、リスキリングに関わる厚生労働省としての趣旨というのは、あくまでも労働者本人を対象とした政策という形になっておりまして、その能力アップによって御本人自身が将来の選択肢を拡大することができるという結果については、これは御本人の判断によるものであって、まずは、御本人の能力アップのためにこうしたリスキリングというものを普及させる、こういう考え方であります。
○田中(健)委員 昨日の参考人の中でも、リスキリングはどうあるべきかということで、海外では、リスキリングは責任の主体は企業だ、社会だということでありまして、企業におけるリスキリングをもう少し小まめにやったらいいのかとか、また充実したらいいのかといった指摘もありましたけれども、今大臣からは、あくまで個人だということで、個人を対象とした能力アップだということであります。
一方、個人ということでありますと、昨日の指摘の中でも、個人学習は、日本の雇用者は自分の意思による仕事に関わる知識向上に関わる取組をなかなか行わない傾向だ、自己学習を行わないことについても、特に理由はないという人が多く、多忙さは学ばない主要な理由ではないということで、なかなか日本の就業者、働く人たちは、そうして自分で主体的にキャリアを決めたり、そのため行動を行うということがまだまだ慣れていないと。
先ほど大臣は、本来は五年ごとにどんどん変わっていくぐらいでなければ、今の厳しい中で、また世界の中ではキャリアとして戦えないと言うんですが、実際は今の働く人たちはまだそこまで行っていないというか、なかなか厳しい、自分の中でですね。キャリアアップを自分がかち取って、そして自分で決めていくのは難しいんだということも一方で感じています。
その中で、厚労省は、キャリア形成サポートセンター、これを、一昨年から全国十九か所に広げ、学び直し支援センターとして、昨年にはこれを、今度は四十七都道府県全てにリスキリング支援センターとして設置をしています。そしてさらに、今年からは、あわせて、キャリア形成・リスキリング相談コーナーをハローワークさらに支援センターにも併設をされているということです。
名称が次々と変わるので、ちょっと変わり過ぎかなと、分かりづらいところはあったんですけれども、全国に一斉に広げて、リスキリング支援センターとして名前をつけていくということは、リスキリングに力を入れていくということの思いかと思いますが、この支援センターというのは、今もろもろリスキリングについて議論をしてきましたけれども、どういう役割を担い、また、大臣としては成果を求めていきたいと考えているのか、伺います。
○武見国務大臣 厚生労働省では、リスキリングによる能力向上支援を強力に推進しておりますけれども、働く人がリスキリングに取り組むに当たっては、キャリアコンサルティングを通じて、自身の適性や経験、課題など、個別の背景事情に即した適切な選択を行うことができるようにすることが重要だと考えております。
このため、各都道府県にセンターを設置し、無料のキャリアコンサルティングや教育訓練に関する情報提供などの支援を実施してまいりましたが、令和六年度におきまして、職業訓練の実施前後や就職の前後を通じて継続的な相談支援を行う観点から、全国のハローワークにも相談コーナーを設置をして、より多くの方がキャリアコンサルティングを受けることのできる環境の整備を図っております。
今後は、センター及びハローワークの相談コーナーの両方を広く知っていただくことが重要であると考えておりまして、リスキリングの推進に関わる機運の醸成も目的とした周知キャンペーン、これをしっかりと行うこととしております。こうした支援を通じて、働く人のキャリア形成及びリスキリングを後押ししていきたいと思います。
○田中(健)委員 リスキリング支援センターですけれども、これは民間委託で、先ほども名前が出ていましたが、パソナさんが受託をして、四十七都道府県を受託して行っています。
一気に全国に広げたことで、実際お話を聞きましたけれども、キャリアコンサルタントの確保が難しいと、なかなか苦労しているというようなことも聞きますが、人材確保という面では、実際、充足されているのか、できているのかということを伺いたいと思います。
また、キャリアコンサルタントの登録情報、厚労省のホームページを見ますと、ネットで確認ができるんですけれども、キャリコンサーチというページがありまして、登録者は、全国におりますけれども、五〇%以上は関東におります。北海道、東北、合わせても五%強、信越、北陸は三・八%、中国地方は三・四%、四国に至っては一・四%ということで、かなり地域差が現在まだ生じています。人口比で見ても余りに偏りがあるなと思うんですけれども、この人材確保と地域の偏在というのをどのように考え、また正していくのか、伺いたいと思います。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
二点、お尋ねをいただきました。
まず、センターの体制確保についてございますが、支援センター、それから相談コーナーの支援を効果的なものとするためには、質の高い相談支援を実施できる能力を有するキャリアコンサルタントの確保が不可欠でございます。
このため、本事業におきましては、業務遂行に必要な人員体制を確保することを要件として受託事業者を選定いたしまして、現在、キャリアコンサルタントなどの体制整備を図り、四月から事業が開始されているところでございます。
なお、所定の体制に比べまして、一部の拠点におきましてキャリアコンサルタントの所定数が確保できていない状況であるということを承知をしております。これについて、今のところ、キャリアコンサルティングを希望される方に対して対応ができなくなっているというような状況でないとは聞いておりますが、引き続き、この点については体制確保を求めてまいりたいと考えております。
それから、地域偏在の点でございますが、キャリアコンサルタント、確かに、人材サービス全般にちょっとそういう傾向がございますけれども、大都市集中の傾向が現にございます。
この点に関しましては、一つは、キャリアコンサルティングを受ける機会の確保という観点から、今も申しました、各都道府県の支援センター、それから、今年度からスタートします全国のハローワークの相談コーナーを設置をすること、それから、オンラインによるキャリアコンサルティングも提供することによりまして、全国どこにあってもキャリアコンサルティングを受けることのできる環境の整備を希望者に対して図ってまいりたいと考えております。
また、キャリアコンサルタント資格の取得促進の観点から、令和三年度以降ですけれども、居住地にかかわらず受講が可能なオンライン形式でのキャリアコンサルタント養成講習の実施を可能といたしました。
こういったことを通じて、地域偏在の問題に関しても対処してまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 人材が少ないということを認めていただいて、是非充足していただきたいと思います。私も実際、キャリアコンサルタントの方に聞いたら、とにかくいいから来てくれ、一時間だけでも来てくれとか、県内中をあちこち飛び回っている方もいらっしゃるようですので、それだけニーズが出てきたということでもあるかと思うんですけれども、その充足をお願いしたいと思います。
また、今、ずっと、キャリアコンサルタント、キャリアやリスキリングと言ったんですが、実際来る人は、なかなか、働きたい女性だとか、超氷河期の時代の非正規の方や、ないしはシニアの方ということで、就職相談と今は余り変わらないというような状況であるということで、今のキャリアコンサルタント、一時間以内での相談なんですけれども、それだけですとなかなかキャリアアップや次の仕事に結びつかないと。本来は、伴走型で、しっかりその方のキャリアを見て、そして次につなげていったり、またキャリアアップをするんですけれども、それにつながっていないということもお聞きをしています。
先ほど相談機能の強化というのがありましたけれども、是非、具体的にどのような能力を身につければ利点があるのかということを情報できるような、相談機能の強化というのを一層進めていただきたいと思っていますが、最後です、大臣ですかね、お伺いしたいと思います。
○新谷委員長 武見厚生労働大臣、簡潔にお願いいたします。
○武見国務大臣 はい。
御指摘のような女性や就職氷河期世代、シニアの方々含めて様々な方が経済社会環境の変化に対応して、ライフステージに応じて活躍し続けるために、リスキリングを通じて企業のニーズに対応したスキルを身につけていただくことが必要でございます。
このため、ハローワークにおける丁寧な職業相談、職業紹介に加えまして、本年度よりハローワークに設置したキャリア形成・リスキリング相談コーナーにおいて、キャリア形成やリスキリングについてお悩みや迷いを抱えている方などを対象に、企業に求められるスキルなど労働市場に関する情報を活用し、適切に情報提供を行いながら、個人の経歴や希望も踏まえた丁寧な相談、助言を継続的に行うこととしております。
こうした取組を通じて、キャリアコンサルティングを身近に受けられる機会を増やし、様々な背景を有する方が自らの能力を発揮できるように支援をしていきたいと思います。
○田中(健)委員 時間となりました。ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、福島伸享君。
○福島委員 有志の会の福島伸享です。
いよいよ最後のバッターになりました。大臣、お疲れかと思いますけれども、おつき合いいただければと思います。
昨日の参考人質疑で、守島先生の方から、雇用を守るという意味が少し変わってきた、雇用保険にも単に雇用がなくなったときのセーフティーネットだけではなく、新たな仕事に支障なく移動ができるための支援も重要だというような言葉がありまして、現在の仕組みが比較的正社員を守ることに大きな力点があるけれども、非正規で働いている人たちに対して安心して働けるセーフティーネットを用意するということは今後の日本経済全体にとって重要だという話がありまして、恐らく、今回の法改正は、まさにこうした守島先生の考えのような思いでやっているんじゃないかなというふうに思います。
その観点から、雇用保険の適用拡大についてまず議論させていただくんですけれども、資料一、これはよくある資料でありますけれども、週二十時間未満の雇用者の七割が女性である。これまでの答弁でもありますように、六十五歳以上の高齢者が最も多く、男性では三分の一を六十五歳以上が占めている。勤め先の多くも小売業とかサービスといった身近なところで働いているところが多いですし、下の右のグラフを見ると、約四割が従業員数百人未満の中小零細企業で、これは規模が小さくなればなるほど短時間で働く働き方は大きくなるというそうした実態があると思います。
まず、本当に基本的なことをお聞きしたいんですけれども、様々なこの趣旨は聞いてきたんですけれども、雇用保険の被保険者の要件を週二十時間以上から週十時間以上に変更して適用対象を拡大するというのは、具体的にどういう人のどのような働き、どういう生活を守ろうとして、どういう社会をつくろうとしているのか、その辺りの政治家としての哲学、理念というのをまずお聞かせください。
○武見国務大臣 雇用保険制度、これは、自らの労働によって賃金を得て生計を立てている労働者を同種の危険にさらされている集団として構成をし、これらが失業した場合の生活の安定等を図るものでございます。
近年、パートタイムやアルバイトといった雇用の形態が増加しておりますので、週の所定労働時間二十時間前後で労働者の実態は大きくは異ならず、連続性を持った状態となっているということも踏まえて、雇用のセーフティーネットを広げるという観点から、週所定の十時間以上の労働者までを雇用保険の適用拡大することとしたものでございます。
新たに適用対象となる層には女性であるとか高齢者などが多く含まれ、それから幅広く産業においてパート、アルバイトなどで雇用される方も多く、こうした方々が今般の適用拡大で新たに雇用保険の被保険者となることによって、失業のリスクに備えることができるだけではなくて、育児休業給付や介護休業給付、それから教育訓練給付などを利用できるようになります。
これにより、労働者の方々は、雇用の安定を確保しつつ主体的にキャリア形成に取り組むことができて、また労働意欲や生産性の向上も期待できるなど、事業主にも好影響をもたらすものと考えており、こうした適用拡大の意義や重要性、メリットなどについて丁寧に周知を図り、国民の多くの皆様方に御理解をいただけるように努力をしていきたいと思います。
○福島委員 本当は哲学とか理念をお伺いしたくて、私は、そういう言葉で、国民の一人としては理解できません、お役所言葉なので、申し訳ないんですけれども。
新たに雇用主の負担を負う企業の多くが中小零細企業なんですね。ただでさえ、地元を回っていると、皆さんもそうですけれども、社会保険料が重い重いという話を聞くんじゃないかと思います。
資料二ですけれども、働く側から見ても、この二十時間以下の層というのは雇用保険に加入を希望していない人が過半数なんですね。その理由は、保険料の負担があるから。私が社長なら、参考人でも言いましたけれども、これはやってはいけないですけれども、保険に入らないからその分給料を上げるよと言って人を集めた方が人が集まるというのが、経営者的な感覚だと思うんですよ。
だから、企業にどうやってこれに加入させるメリットというか意義を説明するかというのは非常に難しくて、参考人に問うたところ、守島さんは、国家の政策だと言うんだ。これはまさに、今答弁を求めた、大臣が、なぜこれが必要かと、これから負担を負う零細企業の人の心に響くような、これは社会論であり、国家論であり、それを語らなきゃ多分納得いただけないと思うんですよ。
会社にとっての人材の確保がしやすくなるというのは、今言ったように多分逆だと思うんですね。平田参考人は加入のメリットを知らせると言うけれども、働く側にはメリットがあるけれども、雇う側にはそんなメリットを感じないと思うんですよ。雇用助成金の対象にもなるとかいろいろあるんですけれども、どれもぴんとこないんですね。
もう一度、さっきの答弁じゃなく、特にこれから負担の義務を負う中小零細企業で必死に働いている経営者の皆様方に、この加入、適用拡大が、なぜやらなきゃならないかという理由をもうちょっと分かりやすくおっしゃっていただけませんでしょうか。
○武見国務大臣 今般の適用拡大というのは、新たに被保険者となる方々や事業主には一定の保険料負担や事務負担をお願いすることに確かになります。しかし、労働者の皆さんがこの雇用保険に適用されることは、保険料負担をはるかに超えるメリットがこれからできることになります。
事業主にとりましても、新たに適用対象となる労働者の能力開発であるとか雇用管理改善等に取り組む場合は、雇用保険二事業の助成金などの支援を受けることができます。そして、マクロに見れば、こうした労働者の皆さん方の能力が更に強化され、アップされることによって、その事業主の立場からも、更に質の高い労働力を確保することが可能になってくるというメリットがこの結果としても得られることになると私は考えます。
事業主の事務負担の軽減に資するよう、手続の簡素化やオンライン化などにも私どもとしては取り組もうと考えています。
○福島委員 済みません。大臣にけちをつけるようで申し訳ありません。もうちょっと、社会的に、これからいろいろな働き方があって、今までの、生涯同じ会社で働くとか、九時に行って五時に終わるとか、そういうのじゃない世の中に行く第一歩だからとか、何かそういう、将来のこの国の姿、社会の姿が見えないとやはりなかなかそこは納得できないと思いますので、官僚が書いた原稿じゃなくて、是非、大臣、自分の言葉で工夫していただければというふうに思っております。
二番目、教育訓練やリスキリングの話に行きますけれども、今回、自己都合退職者への給付制限を、自らの雇用の安定や就職の促進のために教育訓練を行う場合に、解除して、給付制限期間を一か月に短縮するというのは評価いたします。
ちょっと、細かい法律上の解釈を政府参考人に聞きたいんですけれども、雇用保険法第三十三条第一項第二号で、この対象となるのが第六十条の二第一項に規定する教育訓練その他の厚生省令で定める訓練となっていて、給付の対象以外の訓練も含まれ得るようになっておりますけれども、これは何が入るのか、教えてください。
○山田政府参考人 御指摘の給付制限解除の仕組みを設けるに当たって、労働者が受講する教育訓練というのは労働者自身のキャリア形成に資するものである必要があることから、あらかじめ対象になる教育訓練の範囲を法令等において定めることとしております。
具体的には、法案が成立後、労働政策審議会において議論いただいた上で、省令等において、御指摘の点、具体的な範囲を規定する予定でありますが、現時点では、教育訓練給付金の支給対象となる厚生労働大臣指定講座や公共職業訓練などを想定しております。
○福島委員 昨日も言ったんですけれども、これは省令で落とすとはいえ、立法府である国会でそれなりに説明しなきゃ駄目だと思うんです。労働審議会と国会とどっちが、国権の最高機関というのは国会なわけですから、省令に落とすこととか政令に落とすことは、審議会を隠れみのにしないで、きっちりと今後答弁していただければというふうに思います。
今回、教育訓練給付が、専門実践教育訓練給付金は、新たに賃金が上昇した場合に一〇%が加算され、最大給付率が八〇%になります。一方、特定一般教育訓練給付金は、新たに資格を取得して就職した場合に一〇%の加算というのができて、最大給付率が五〇%になりますが、専門実践にはある賃金上昇加算というのはございません。
資料三を見ていただけたらと思うんですけれども、上の特定一般のメニューを見ると、介護支援専門員とか保育士とかがあって、下が専門職なんですけれども、なるほど、下の専門職は、キャリアコンサルタントとか専門職大学院という高給が期待できるものもあるんですけれども、上の特定一般にも社会保険労務士とか、大学で特殊な、特別な教育を受ける職業実践力育成プログラムというのがありますし、専門実践には介護福祉士や看護師は入っているけれども、保育士はなぜか特定一般。素人的に考えて、ここをそんな区別を持たす必要があるのかなと思うんですよ。
保育士になろうと思ったら賃金上昇加算はないけれども、准看護師になれば賃金上昇加算はある、こうした仕組みになっちゃっているんですけれども、なぜこれだけ、同じキャリアなんだから、資格を取って賃金が上がったらそれに加算してあげたらいいと思うんですけれども、なぜそのような差を設けるのか、その理由を教えてください。
○山田政府参考人 お答えいたします。
専門実践教育訓練給付金については、現在、受講費用の五〇%の給付に加え、教育訓練の受講修了後に資格を取得し、就職した場合等に更に二〇%分を追加する、支給する仕組みと既にしております。
その上で、今般、より多くの方に意欲的に訓練に取り組んでいただく観点から、教育訓練の受講修了後に賃金が上昇したことを要件として、受講費用の一〇%分を追加で支給する仕組みを導入することとしております。
一方、特定一般教育訓練給付金については、現在、受講費用の四〇%の給付のみを行っており、追加的な給付の仕組みは設けられていないことから、今回新たに、資格取得等をした場合に受講費用の一〇%分を追加で給付するということにしたものであります。
こうした見直し内容については、まずは施行状況を適切に把握してまいりたいと思います。
○福島委員 本当に冷たい答弁だと思うんですね。だって、専門実践の場合は賃金が上昇したら加算されるのに、特定一般だとなぜ賃金が上昇しても加算がないのか。働く側の立場で考えてみて、あの人は准看護師になったから、賃金が上がったから加算されたけれども、私は保育士だからありません。そんな、保育士は大事じゃない仕事なんですか。なぜその差を設けたのか、もう一度説明してください。
○山田政府参考人 元々、専門実践教育訓練給付金については、労働者の中長期的なキャリア形成に資する専門的、実践的な教育訓練講座を対象としていて、特定一般教育訓練給付金については、労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練講座を指定しております。
○福島委員 何でそれで。じゃ、保育士と看護師は何の違いで分けられているんですか。
○新谷委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○新谷委員長 速記を起こしてください。
山田職業安定局長。
○山田政府参考人 今例示に挙げられた保育士については、専門実践と特定一般、双方に対象になっておりまして、それぞれ指定基準が、専門実践の方が厳しい基準になっておりますので、同じ内容の講座でも専門実践に入る場合と特定一般に入る場合がございます。
○福島委員 でも、実際にこの受講内容のグラフを見ると明確に差が出ているわけですから、やはり、ここを見てこの差に合理性を見出すのは、局長もなかなか答弁できなかったと思うんですね。やはり、働く人の側の立場に立ってこの加算の制度とかというのを見直さないと、それがその働く人に対する政府としてのメッセージにもある意味なってしまいますから、是非そこは再検討をお願いしたいと思います。
次に、教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に基本手当相当を給付する今回の教育訓練休暇給付金は、これも制度としては画期的だと思います。ただ、今日も議論があったように、この制度を導入している企業は僅か七・四%しかない。確かに、この制度は、働く側から見てのメリットは分かるんですけれども、企業側から見てのメリットというのはよく分からないんですね。
企業は、代替要員の確保が困難とか、制度自体を知らない、労働者から要望がない、制度導入のメリットを感じないというような理由を挙げているようでありますけれども、大嶋参考人は、昨日、企業は自己の戦略に基づいた教育が中心であって、政府が提供しているメニューが企業の戦略とマッチしているわけじゃないんだ、だから、この休暇制度は、先ほど田中委員が言ったように、福利厚生なんだということをおっしゃっていました。
教育訓練制度を利用して資格を取ってより条件のよい他社に移籍してしまったら、企業にとってのメリットはないと思うんですね。リストラをするために、教育を受けて、それでほかにやろうとしても、わざわざ転職させるために休暇まで取らせるようなお人よしの企業というのはないと思うんですね。
この制度ができたら人が来ると言うけれども、この制度を目当てに来る人というのは、すぐステップアップして逃げていく人ですから、企業にとって採るメリットもないと思うんですよ。代替要員の確保が困難というのも、これも切実な事情があるんでしょう。
大臣は、これまで国会で、この給付制度を更なる周知徹底をして、より多くの企業で教育訓練休暇制度が設けられるように取り組んでいきたいと言っておりますけれども、これは、制度を周知すればするほどメリットが感じられなくなって、みんなやらないと思うんですけれども、これはどういうメリットが実際企業にあると考えられるか、その点。そして、どういうふうに企業に対して制度を広げてくれと説明するのか、是非、大臣のお言葉で語ってください。
○武見国務大臣 私も、埼玉のポリテクセンターに行って、そして、そこと契約をして、社内の職員を対象としたこうしたリスキリングの仕組みを運用している事業主の方からも意見を伺いました。確実に社員の能力の向上につながっていて、自分の会社にとっても極めて大きな効果が現実に出ているということを伺いましたので、それだったら、特に地域の近接する企業などでこうしたことをどんどんどんどん広げれば地域経済が元気になってくるだろう、そういうふうに私は考えましたので、そう述べさせていただいたわけであります。
○福島委員 でも、そう感じるんだったら、今この七・四%ということはないと思うんですね。大臣が視察に行く先を選ぶ時点でもしかしたらバイアスがかかっている場合もないわけではないと思いますので、もうちょっといろいろ研究をしていただけたらと思います。
ただ、これは、私はこの制度自体はすごい評価するんですけれども、制度を導入する以上は、やはりこの制度で何か変わることを期待しているんじゃないかと思うんですね。だから、理念とか哲学とか、あり得べき国家像とか社会像とさっきから繰り返しているんですけれども。
ただ、ありがちなのは、制度だけつくって、余り広げられちゃったら今度は財政が困っちゃうから広げられなくて、役所用語で、小さく産んで大きく育てるという言葉がありますけれども、取りあえず制度だけつくろうという、そういうことではまさかないと思うんですね。ただ、五年後、十年後、どのぐらい受給者がいて、どういう効果を生むか。それは、企業側の休暇制度を導入することにも関わっていると思うんですけれども、今回この制度を導入するに当たって、いわゆるKPI、どのような目標を掲げているのか。
私は、個人的な考えですけれども、経済的な原理でいえば、この休暇制度の導入はなかなか進まないんじゃないかと思います。でも、国策として労働力の流動化を進めて、能力を持って、どんどん移動して、企業も、逆に言えば、別の会社から能力を持つ人が受け入れられるわけですから、必ずメリットはあるはずなんですね。ただ、経済原理的に進まないんだったら、規制的な措置、義務づけをするとか、あるいは、これはむちですけれども、あめとして何らかの導入促進のための支援措置を設けるとか、そうした政策対応とワンセットでやれば広がるんじゃないかと思っているんですよ。
ただ、今、そういう制度があるかどうかは、済みません、私はまだこの委員会に来たばかりで知らないんですけれども、五年後、十年後、どのぐらいこれの受給者が現れて、どのぐらいの会社がこうした休暇制度を設けるという目標を立てているのか、その点について教えてください。
○山田政府参考人 先ほど同様の御質問をいただいたんですが、これについて明確なKPIのようなものを立てているわけではございません。
企業のメリットということで少し補足させていただくと、エピソードベースの話なので、企業全体に普遍的に言えることではないですけれども、今回の休暇制度については、事業主の一部から、本来、こういった比較的長期間の教育訓練を受けるということを考える労働者が出た場合は、通常は恐らく辞めてしまっているだろうと。それが直接、その人が培おうとしている能力が即その会社が必要とするスキルと連動していれば、ある意味、会社も、そういうのをやってくれという話になりますけれども、必ずしもそうでない場合については、それは時間外とかでそういった教育訓練を受けていただいて、それが本人のスキルの向上、そこの社員としての能力の向上ということにつながるならば、辞めてもらわなくてよかった、一定期間休暇を取っていただいて能力を高めてもらってよかったというようなことは、企業にとってのメリットでもあるのではないかというふうに言われていた事業主の方はおられました。
全ての事業主がそういうふうに思っているかどうかは分かりませんが、補足させていただきます。
○福島委員 ありがとうございます。
それも、すっとくるメリットではないと思うんですよね。
ただ、いずれにしても、政策を最近つくるときは必ず目標というのを立てると思うんですよ。目標を立てた上でそれが実現できないんだったら、何が足らないのか。むちが必要なのか、あめが必要なのか。是非、せっかく制度を導入したんですから、目標を立てて達成できないんだったら、雇用保険だけじゃないと思うんですね、何が必要かという政策をこれからつくっていただければと思います。
次に、育休、介護休のための財政基盤について話題といたします。
育児休業給付を支えるため、令和六年度から国庫負担を本則の八分の一に引き上げることは、一定の評価をいたします。一方、本則料率を令和七年度から〇・五%に引き上げ、一定の場合のみ現行の〇・四%を維持し、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整する仕組みというのは、これは注意が必要だと思うんです。厚生労働省の資料を見ると、これがせこくて、当面は現行の〇・四%に据え置きつつといって〇・四%でやっていて、本則は〇・五ですから、〇・五なんですね。
資料四というのがございます。これもよく使う資料でございますけれども、私が注目しているのはこの米一でありまして、支出については、こども未来戦略方針において男性育児の取得促進などが掲げられたことなどを加味して試算なので、この促進が掲げられたことなどを加味して、多少筆をなめているんですよということを示唆しているんですね。都合のよい前提を置いている可能性がある。
こども未来戦略で掲げている二〇三〇年の男性の育児取得率の目標は、二週間以上取る人が取得率八五%、この目標に達した場合、支給額は幾らになると試算しているんでしょうか。その場合、本則料率〇・五%の場合、収入見込額は幾らくらいになると見込まれているのか、答弁をお願いします。
○山田政府参考人 お答えいたします。
育児休業給付の支給額は、育児休業の取得人数や被保険者の賃金額、育児休業の取得期間の長さによって決まるものであり、将来の育児休業給付の支給額や保険料収入額を精緻にお示しすることは困難ですが、令和四年度決算をベースに、こども未来戦略において男性育休の取得促進などが掲げられたことなどを加味して機械的に試算すると、二〇三〇年の育児休業給付の収入は九千七百億円、支出は約一・一兆円となります。
いずれにせよ、実際の保険料率については、本法案により導入する仕組みの下で、労働政策審議会の意見を聞いて、実際に保険料率を弾力的に調整できるかを毎年確認することになります。
○福島委員 子ども・子育て支援金の負担額の話と同じなんです。これは前提を置けば幾らでも数字は出てくるんですよ。前提をまさに、だって、これは、前提はこども未来戦略方針の目標じゃなきゃおかしいじゃないですか。何でそれを加味して丸める必要があるんですか。
まず、このこども未来戦略方針のそのままの目標達成時の額を教えてください。あるはずです。
○新谷委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○新谷委員長 速記を起こしてください。
山田職業安定局長。
○山田政府参考人 お答えします。
八五%の目標の達成年度は、令和十二年度ということで置いております。(福島委員「違う違う。そんなこと聞いていない」と呼ぶ)
○新谷委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○新谷委員長 速記を起こしてください。
福島伸享君。
○福島委員 目標年度を聞いているんじゃなくて、二〇三〇年、令和十二年度に目標を達成した場合の支出額が幾らになるかということを聞いております。
○山田政府参考人 お答えします。
それがまさに、我々の財政試算のところの支出の一兆一千三百六十億円ということになります。
○福島委員 昨日レクを受けたときはそうは言っていなかったんですけれどもね。本当にそれでいいですか、答弁。後で修正することになりませんか。大丈夫ですか。
○山田政府参考人 今私が答えたので大丈夫です。
○福島委員 分かりました。
なぜそれを言うかというと、目標をオーバーしてもいいわけですよね。これは調整があるということは、先ほど審議の中で、大体〇・五%の保険料率になると年約二千円の負担増になるというふうに言いました。やはりこれは、育休を取れば取るほど保険料が上がっちゃうと、これまたそのインセンティブにならないと思うんですね。私は、やはり、こうしたので足りなくなれば国庫負担率を上げるという対応でやるのが、今の子供、子育てに支援をしている立場からしたら、そういう制度にすればいいと思うんです。
先日の宮本委員の答弁でも、大臣の答弁は、求職者給付の国庫負担割合が給付費の原則四分の一としていることから、育児休業給付の国庫負担の割合についてはその半分である給付の八分の一でと言ったら、失笑が議場から湧きましたよね。何の合理的根拠もないんですよね。
やはり、育休を取れば取るほどこれは負担が上がるんじゃなくて、政府が、よく頑張ってくれたねといって、国庫負担を増やすような仕組みにすべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。政治家の発想は、そういう発想に立つべきだと思うんです。
○武見国務大臣 今般の育児休業給付に関わる財政基盤強化策についてでございますが、雇用保険の中で給付に応じた負担を行うという基本的な考え方に基づいて財源確保を図るものでございまして、保険料の引上げだけでなくて、国庫負担に関わる暫定措置の期限を一年前倒しして、令和六年度から給付費の八分の一を負担するとしたところでございます。
したがって、この点について、国庫負担というものについての私どもの考え方を御理解いただければと思います。
○福島委員 保険料率の負担は柔軟に情勢で変わるのに国庫負担は柔軟に変わらない仕組みというのがお役所的だから、私は、政治家の発想に立った方がよろしいんじゃないでしょうかということを申し上げたんですけれども。財務省のザイム真理教から脱却できないんだったらしようがないと思います。
一方、介護休業給付については、国の厳しい財政状況、当面、一定の差引き剰余が生ずることが見込まれる雇用保険の財政状況、介護休業給付の支給状況も踏まえ、令和六年度末までの暫定措置を令和八年度まで継続することもやむを得ないというふうにしております。介護給付の支給額は八十億と、そこまで伸びていない。
実は、私の秘書も、この三月末で、父親と息子の二人暮らしでお父さんが介護が必要になっちゃって、秘書の任に堪えないといって辞めた方がいらっしゃいます。私も、母を亡くして父が独り暮らしをしていて、なかなか父親というのは言うことを聞いてくれなくて、老人ホームに入れと言っても俺は大丈夫だと言ったり、老人ホームに入ったら入ったで小間使のように何か買ってこいとか、なかなか大変なんですね。子育ては、泣いたりはするけれども、それなりにだんだん成長しますけれども、介護というのはやはり大変ですね、やってみると。だから、私は、やはり介護休業給付というのは非常に大事だと思っているんです。
この介護休業給付の実績が余り伸びていませんけれども、その要因はどこにあると政府は考えているのか、まず教えてください。
○新谷委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○新谷委員長 速記を起こしてください。
山田職業安定局長。
○山田政府参考人 お答えいたします。
介護休業給付については、労働者が介護休業を取得しやすくし、職業生活の円滑な継続を援助、促進する観点から、対象家族一人について三回、通算九十三日を限度として支給するものであります。介護休業給付の受給者数などは育児休業給付等に比べると少ない状況にありますが、直近五年間について見てみると、介護休業給付の受給者数は約一・六倍となっております。
一方で、両立支援制度を利用しないままに介護離職に至ることを防止するために、仕事と介護の両立支援制度の周知や雇用環境の整備を行うことが必要であるというふうに認識しておりまして、労働者が家族の介護に直面した旨を申し出たときに、両立支援制度についての個別の周知、意向確認を行うことを事業主に義務づけることを内容とした改正法案を今国会に提出しております。
こうした取組を通じて、介護休業給付も活用し、介護離職が防止されるように引き続き取り組んでまいります。
○福島委員 今みたいな答弁をしているから駄目なんだと思います。
参考人質疑でも様々、守島参考人などからありましたけれども、やはり、施設に入るまでの準備期間としての休暇というんじゃなくて、介護というのは様々で複雑ですからそれに合わせた働き方の改革も必要だろうし、この介護休業給付制度自身の柔軟な運用というのも必要であると思うんですね。
特に、私たちの世代にとっては、親の介護の問題というのは切実な問題なんですよ。これは、うがった見方をしたら、国庫負担を本則に戻したくないからなるべく介護休業給付を給付させたくないんじゃないかとうがって見られがちな状況だと思うので、私は、この制度そのものをもっと使いやすく見直すということと、国庫負担を本則に上げるというのをワンセットで進めるべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 育児関連の方が法整備が若干進行しているところがあるという御指摘は誠にそのとおりなんでありますが、介護についても、やはりきちんと歩調を合わせて整備を進めていくということに努めていきたいと思います。
○福島委員 ありがとうございます。
その大臣の思いを是非大事にして、介護の方も制度の見直しを進めていただけたらと思います。
最後のまとめというか、もっと大きな話をするんですけれども、私は、先ほどの冒頭の守島参考人の話ではありませんけれども、戦後日本がつくられてきた様々な社会保障制度と、今の日本の社会が変わった現状というものの乖離が出ているんじゃないかと思います。
参考人のときも言いましたけれども、私、四回落選して失業者に四回なっていますが、当然、政治家は失業保険が出ませんし、妻と二人で会社をつくって細々と、党からも、無所属でいた期間が長いのでもらわずに、自分で稼いで政治活動と生活をしてきたんですけれども、サラリーマンじゃないと雇用のセーフティーネットが何もないというのをつくづく実感をいたしました。
私の地元の周りの人で、労働組合のある会社の社員の仲間というのはほとんどいないです。ほとんどが、多くが自営業者やフリーランスや組合のない中小企業の従業員であり、仕事も結構頻繁に替わっております。それでも楽しくは生きているけれども、そんなに収入は得られていない。
私は、今の労働法制とか雇用保険制度、年金制度が、こうした、私は雇われない生き方をやっているからこういう風来坊みたいなことをやっているんですけれども、自分の意思で仕事を選ぶという生き方、そうしたものにマッチしていないし、そういう生き方をすると途端に苦難の道を歩むというのが日本の社会に今なっちゃっているんじゃないかと思います。
私は、今やらなきゃいけない、今回の雇用保険法の改正も賛成ですけれども、やはり、雇用保険、そうした全体の仕組みを、雇われない生き方という表現がいいか分からないですけれども、その人の意思で人生を送ったときに、きちんと、いかなる場合でもセーフティーネットが整備されているし、弱い者が強い者に対してきちんと交渉できる仕組みというのが一つの労働者の保護の仕組みだと思いますけれども、多くが労働組合という枠組みがない中で働いているわけですね。交渉能力もない。
そうした戦後の様々な労働法制、年金制度、雇用保険関係、様々な社会保険関係の制度というものを今まさに見直していかなければならないし、全体を再設計していく必要があって、その大きな哲学の中でこのパーツですよと言わないと、負担を受ける会社の人とか、あるいは被保険者とかはなかなか納得できないと思うんですね。
そうした時代がやってきたと思うんですけれども、厚生労働大臣、御自由に御見解を、お話をいただければと思います。
○武見国務大臣 今まさに時代が大きく変わろうとしていて、そして、個々の国民お一人お一人の価値観も大きく変わって、働き方も非常に多様化してきたその中で、組織の中に含まれない人々も含めてセーフティーネットをしっかりと再構築していくことは非常に重要な時代状況だというふうに私も思います。
そこで、今年一月から、学識者による労働基準関係法制研究会というのを開催をしておりまして、この在り方について包括的かつ中長期的な検討を進めております。
働き方のこうした個々のニーズにいかに対応していくか、これを是非、政府のみならず労使合わせてこうした議論をしっかりと積み重ねて、そして、我が国の将来の社会というものが、やはり一人一人の個人の主体性というものを尊重した、そうしたダイナミズムを持つ社会として発展していくように支えなきゃいけないと思います。
○福島委員 ありがとうございます。
私も、しっかりと勉強して、それに貢献できるように頑張ってまいりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○新谷委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
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○新谷委員長 この際、本案に対し、宮本徹君から、日本共産党提案による修正案が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。宮本徹君。
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雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○宮本(徹)委員 ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
今般の政府案は、雇用のセーフティーネットを拡大する点では、一定の評価に値するものであると考えます。
しかし、第一に、育児休業給付については、保険料率の引上げが示されております。社会保険料の引上げが繰り返される中、国民の可処分所得が減り、中小企業の負担が過重になっています。労使に新たな負担を生じさせ得る措置は、行うべきではありません。また、少子化の一つの要因である家事、育児の負担が女性に偏っている状況を改善する上で、男性育休の取得促進は、岸田総理の掲げる異次元の少子化対策の主要対策の一つでもあります。これを推進する国の責務は重いと考えます。育児休業給付の国庫負担割合は、求職者給付の元々の原則と同じ四分の一に拡大すべきであります。
第二に、教育訓練支援給付金については、その給付率の引下げが示されています。この給付金は、働く方々が安心してキャリア形成や新たな就職先の確保につなげていくために重要な役割を果たすものです。したがって、安易に引き下げるべきではありません。
第三に、介護休業給付の国庫負担について、現在適用されている暫定措置を二〇二六年まで延長することが示されています。団塊の世代が七十五歳前後となる中、介護休業給付の財政基盤の強化は喫緊の課題です。
以上のような認識の下に、支援を必要とする働く方々が適切に保護されるよう、本修正案を提出した次第であります。
次に、修正案の内容について御説明します。
第一に、育児休業給付について、これに要する費用の四分の一を国庫の負担とするとともに、育児休業給付に要する費用に対応する部分の雇用保険料の引上げに関する改正を行わないものとします。
第二に、教育訓練支援給付金の給付率の引下げに関する改正を行わないものとします。
第三に、介護休業給付に要する費用に係る国庫の負担額について、暫定措置を廃止することとします。
以上が、本修正案の趣旨及びその内容の概要であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○新谷委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
この際、宮本徹君提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。武見厚生労働大臣。
○武見国務大臣 衆議院議員宮本徹君提出の雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。
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○新谷委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。
政府案に反対する立場で討論させていただきます。
本法案に反対する第一の理由は、育児休業給付の保険料率引上げが、国庫負担割合を引き下げてきたツケを労働者、中小企業に負わせる負担増であり、国民の可処分所得を奪うものだからであります。
歴代自民党政権は、育児休業給付の国庫負担割合八分の一を二〇〇七年と二〇一七年、二度にわたって引き下げてきました。本委員会の審議において、二〇〇七年以降に削減された国庫負担額は計六千三百七十五億円、育児休業給付の区分経理が始まった二〇二〇年度以降で三千八十九億円に上ることが明らかになりました。厚労省の試算と照らし合わせると、二〇二〇年度から国庫負担割合を本則に戻しておけば保険料率を引き上げる必要はなかったことになります。
子育て支援に対する国の責任からして、そもそも八分の一の国庫負担では軽過ぎます。
労政審での議論の中でも、育児休業給付の国庫負担を更に増やすべきとの意見表明が繰り返しありました。昨日の本委員会の参考人質疑におきましても、国が全面的に負担するべき、更に引き上げるべきとの意見が相次ぎました。
育児休業給付への国庫負担を四分の一に引き上げれば、当面、保険料を上げる必要はありません。
先ほど、武見大臣からは、理由なく、政府としては反対だ、こういう発言がございましたけれども、私どもの修正案に必要な財源は一千八十億円であります。米軍への思いやり予算の半分程度でできるわけでございます。財政が厳しい、お金があればという声が前からも聞こえてまいりますけれども、しかし軍事費は倍増に向けて増やしているわけであります。そうした言い訳は成り立ちません。
反対理由の第二は、介護休業給付の国庫負担割合の引下げを継続することにあります。
反対理由の第三は、教育訓練支援給付金の給付率の引下げであります。この給付金は、人手不足が深刻な医療、社会福祉分野への人材確保の役割を果たしております。給付金受給者の就職率は、この給付金を受給していない同じ対象年齢の方と比較して高く、直近の受給者は四万一千人にも上ります。リスキリングを推進するというのであれば、こうした分野は拡充こそ必要だ。
以上、指摘しまして、反対討論とさせていただきます。(拍手)
○新谷委員長 以上で討論は終局いたしました。
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○新谷委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、宮本徹君提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○新谷委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○新谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○新谷委員長 この際、本案に対し、大串正樹君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。井坂信彦君。
○井坂委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 雇用保険の適用拡大による短時間労働者の就労状況の変化について調査を行い、その結果を踏まえ、労働政策審議会において必要な検討を行うこと。
二 複数の事業所で雇用される労働者の雇用保険の加入手続が確実に行われるよう、周知・広報を強化すること。また、複数の事業所で雇用される労働者への雇用保険の適用の在り方等について労働政策審議会において検討を行うこと。
三 我が国の完全失業者に占める基本手当の受給者割合が二十パーセント程度となっていることも踏まえつつ、今般の適用拡大の施行状況を把握し、必要な取組を検討すること。
四 教育訓練給付について、効果的な給付の観点から、講座の効果、賃金上昇の確認方法等の十分な検証を行い、その結果を踏まえ、労働政策審議会において必要な検討を行うこと。
五 教育訓練給付の拡充措置について、非正規雇用労働者の活用状況を把握するとともに、より多くの非正規雇用労働者が教育訓練を受けられるよう必要な支援を行うこと。
六 雇用保険の国庫負担は雇用政策に対する政府の責任を示すものであることから、求職者給付の国庫負担の在り方について、令和四年の雇用保険法改正により導入した国庫負担の仕組みの下で、適正な財政運営を行うとともに、国の財政・財源の構造から検討を行うこと。
七 介護休業給付の国庫負担割合の暫定的引下げについて、労働政策審議会において引き続き検討を行い、令和九年四月一日以降できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で、暫定措置を廃止して本則の水準に戻すものとすること。
八 雇用形態に関わらず、職業能力の開発・向上が労働者の雇用や職業の安定のために不可欠であるとともに、我が国経済の発展にも資するものであることを踏まえ、労働者の職業能力開発支援について、給付の趣旨を踏まえた国庫負担を含めた必要な予算を確保すること。
九 保険料率の引上げは拠出する労使に多大な影響があることを踏まえ、育児休業給付の保険料率を弾力的に調整できるかを労働政策審議会で確認する際には、育児休業給付の状況や見通しに基づいた丁寧な議論を行うとともに、その財政運営の在り方について適時に検証していくこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○新谷委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○新谷委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、武見厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。武見厚生労働大臣。
○武見国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいります。
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○新谷委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○新谷委員長 この際、お諮りいたします。
第二百八回国会、早稲田ゆき君外十六名提出、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案につきまして、提出者全員より撤回の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
また、御報告いたします。
地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会との連合審査会は、明十一日木曜日午前九時から開会することとなりましたので、御了承願います。
次回は、来る十二日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時十一分散会