衆議院

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第12号 令和6年4月12日(金曜日)

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令和六年四月十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 新谷 正義君

   理事 大岡 敏孝君 理事 大串 正樹君

   理事 橋本  岳君 理事 三谷 英弘君

   理事 井坂 信彦君 理事 中島 克仁君

   理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君

      秋葉 賢也君    東  国幹君

      畦元 将吾君    上田 英俊君

      勝目  康君    金子 容三君

      川崎ひでと君    塩崎 彰久君

      鈴木 英敬君    田所 嘉徳君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      高階恵美子君    高木  啓君

      中曽根康隆君    中谷 真一君

      仁木 博文君    堀内 詔子君

      本田 太郎君    三ッ林裕巳君

      柳本  顕君    山本 左近君

      吉田 真次君    阿部 知子君

      大西 健介君    神谷  裕君

      堤 かなめ君    西村智奈美君

      山井 和則君    柚木 道義君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      遠藤 良太君    岬  麻紀君

      福重 隆浩君    吉田久美子君

      宮本  徹君    田中  健君

      福島 伸享君

    …………………………………

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   内閣府副大臣       石川 昭政君

   経済産業副大臣      岩田 和親君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    依田  学君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            内山 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局長)         大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局長)  城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鹿沼  均君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 森川 善樹君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局研究総務官)       東野 昭浩君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         南   亮君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           井上誠一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 哲也君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     古川 直季君

  福島 伸享君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     畦元 将吾君

  緒方林太郎君     福島 伸享君

同月十二日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     東  国幹君

  本田 太郎君     中曽根康隆君

  吉田 統彦君     神谷  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     勝目  康君

  中曽根康隆君     高木  啓君

  神谷  裕君     吉田 統彦君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     本田 太郎君

    ―――――――――――――

四月十一日

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

新谷委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として消費者庁審議官依田学君、こども家庭庁長官官房審議官高橋宏治君、長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人君、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官田中佐智子君、医政局長浅沼一成君、健康・生活衛生局長大坪寛子君、医薬局長城克文君、労働基準局長鈴木英二郎君、雇用環境・均等局長堀井奈津子君、老健局長間隆一郎君、保険局長伊原和人君、政策統括官鹿沼均君、政策統括官森川善樹君、農林水産技術会議事務局研究総務官東野昭浩君、経済産業省大臣官房総括審議官南亮君、大臣官房審議官井上誠一郎君、大臣官房審議官田中哲也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

新谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三ッ林裕巳君。

三ッ林委員 おはようございます。自由民主党の三ッ林裕巳でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今日は、紅こうじ関連につきまして御質問をさせていただきたいと思います。

 御承知のとおり、小林製薬の紅こうじ三製品に関する事案について、関連が疑われる死者が五名、健康被害を訴える方が二百名以上いると報じられるなど、国民の間に大きな不安が広がっております。

 こうした中で、厚生労働省は、四月九日火曜日に、日本腎臓学会と共同で健康被害の状況に関する記者会見を行ったと伺っております。そこで発表した内容について説明していただきたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省では、日本腎臓学会とともに、同社の紅こうじ三製品の使用による健康被害の実態把握を努めております。

 四月九日の火曜日に日本腎臓学会と共同で記者会見をさせていただきまして、その際、日本腎臓学会が会員に対して調査を実施している結果に基づきまして、四月四日時点で登録のあった九十五症例、この中に死亡事例はございませんで、全て生存されておりますが、この九十五症例について、腎臓学会の見解として、腎障害との因果関係は不明であるとした上で、疫学の観点からいいますと、年齢は五十代が最も多いこと、また、摂取の期間にかかわらず、初診の時期が昨年十二月から本年四月に集中をしていること、また、健康被害を報告した患者の大半は尿細管の機能が低下するファンコニー症候群が疑われたこと、また、約七五%の患者は製品の摂取を中止することで症状がある程度改善していることなどについて、情報の発信を行わせていただきました。

 厚生労働省としましては、引き続き、健康被害の原因究明を進めつつ、日本腎臓学会が実施している調査の進捗を踏まえ、関係者と密に連携をし、健康被害の実態調査、これを進めてまいりたいと思っております。

三ッ林委員 ありがとうございます。紅こうじサプリのコレステヘルプ等による急性腎障害の原因となった物質の特定を是非急いでいただきたいと思います。

 サプリを中止して症状が自然回復している症例や、入院を回避できた症例も報告されております。多くはファンコニー症候群の症例の改善と考えられます。

 三月三十日に、日本大学板橋病院の腎臓・高血圧・内分泌内科教授の阿部教授からの報道への取材に応じた報告でありますけれども、腎機能は、完全回復ではなく、慢性腎臓病へ移行している症例も実際に経験していると伺いました。

 このファンコニー症候群ですけれども、ファンコニー症候群、私も日本腎臓学会の会員ですけれども、急性間質性腎炎、腎臓は、ネフロンという単位で、左右両方に百万個のネフロンがあるわけですけれども、そこの近位尿細管というところが障害をされて急性間質性腎炎を起こして、これが慢性腎炎へ移行する例も今見られているということであります。

 決してこれをやめて完全に回復するということではなくて、慢性腎炎に移行するという例もあるので、是非ここは丁寧に症例を、被害に遭われた患者さんを見守り、そして、きちんとフォローしていただきたいと思います。

 こうした経過を十分に配慮すること、これは厚生労働省としての役目と思いますが、今後の経過についてしっかりと把握していただくことをお願いしたいと思いますが、見解をお願いいたします。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 日本腎臓学会が先日、会員を対象とした健康被害の調査を行った結果、九十五例について発表させていただいたわけですが、このほぼ全ての症例で尿細管障害を示唆する所見があったということ、また、九十五例のうち、透析を必要とした方が三例いらっしゃいまして、そのうち一例を除いて、透析は既に離脱している、一時的な透析であったということが報告されました。また、維持透析へ移行された一名であっても、糸球体腎炎の元々の経過に矛盾をしないということでありまして、製品との因果関係は低いというふうに主治医から話を聞いております。

 引き続き、関係者とも連携をいたしまして、この腎臓学会の調査は四月三十日まで続けておりますので、まだまだ症例の把握に努めているところでございますので、実態把握に努めてまいりたいと思っております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 このファンコニー症候群ですけれども、これは、先天性で起こるもの、それとあと薬剤に起因するもの、ほぼそれに限られているわけですけれども、やはりこうしたことから見ると、紅こうじは私は問題ないと思っています。紅こうじに付随したもの、どこかの製造過程でそれが混入したもの、これが原因となっていると思います。

 そして、その中で、プベルル酸、これが言われておりますけれども、これを手に入れることもなかなか難しいような薬剤ですけれども、これが腎障害に結びつくかどうか、まだこれも検討されていない。腎臓学会としてもこれはまだ不明ということでして、これをしっかりと、プベルル酸が腎障害があるかどうかというのは、動物実験もこれから検討していかなくてはならないということなので、それ以外の物質の特定、これを是非急いでいただきたいと思います。

 そして、これまでの国会審議でも多くやり取りされているところでありますけれども、原因物質の特定や今回の問題の発生原因の特定などには、まだまだ、今お話しいたしたとおり、時間を要すると思います。五月中に今後の対策をまとめる方針と伺っておりますけれども、国民の不安解消のためにも、丁寧な対応をお願いしたいと思います。

 一方で、腎臓学会の調査結果など、少しずつではありますが、実態なども見えてきております。まだ全容が分かっているわけではありません。今回注目を浴びている紅こうじや発酵食品全体が直ちに危険であるということではないと私は思います。

 小林製薬以外に、今回の紅こうじを使用している会社の製品の健康被害の状況を調査したと聞いておりますが、結果を改めて伺います。

 その上で、あらぬ誤解や風評被害はしっかりと防止する必要があると考えますが、武見大臣の御見解をお願いしたいと思います。

武見国務大臣 厚生労働省におきまして、食品衛生法を所管する立場から、食の安全の確保には全力を尽くします。

 対象となる製品を特定する観点から、今般、小林製薬が直接、紅こうじ原料を卸している五十二社と、それらの企業から当該紅こうじ原料を入手している百七十三社について、自主点検の結果、現時点におきまして、回収命令の対象となった三品目と同じ原材料を使用している製品については、この三製品を除いて、食品衛生法第六条第二号に該当しないと判断している旨を公表したところでございます。

 現在、今回の事案の原因究明のため、原因となり得る物質の網羅的な検索を、それから、分析結果を踏まえた物質の発生機構について調査を進めているところでございまして、新たな事実が分かり次第公表していくつもりです。

 このように、引き続き、正確な情報に基づいて迅速にホームページ等を通じて国民の皆様にも幅広くお知らせすることで、風評被害につながらないよう、適切な情報発信に取り組んでまいりたいと思います。

三ッ林委員 大臣、是非お願いいたしたいと思います。

 次に、消費者庁に伺いたいと思います。

 機能性表示食品制度は、特定保健用食品、特保からの規制緩和という側面より、玉石混合のいわゆる健康食品における区分の新設、引上げ、要するに規制強化という側面があることにも着目して議論を行うことが重要であると考えます。

 機能性表示食品制度とはどのような制度か、改めてお伺いしたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、いわゆる健康食品における区分の新設、引上げという側面を機能性表示食品制度は有しているのではないかと考えています。

 委員御指摘のとおり、この制度につきましては、特定保健用食品制度、いわゆる特保、こちらの方は、行政庁による個別許可が必要であるということで、事業者にとってなかなかハードルが高い側面がございました。

 その後、二十五年六月十四日の閣議決定で規制改革実施計画などにおきまして、機能性の表示を容認する新たな方策を検討し、結論を得るという政府決定を踏まえまして、消費者庁における有識者による検討を経て、安全面、機能面や製品管理体制に関する情報を消費者に原則全て開示するということを前提に、平成二十七年に、届出制により機能性関与成分の保健機能の表示ができる本制度が創設されたわけでございます。

 この制度は、健康に対する消費者の関心が高まる中で、商品の安全性や有効性の科学的根拠の情報を原則全て公開させるということでございまして、消費者はもとより事業者、全て、誰もが情報にアクセス可能な制度となっておりまして、消費者目線からいいますと、消費者の自主的かつ合理的な商品選択に資するという観点から意義ある制度と考えております。

 委員御指摘のとおり、いわゆる健康食品というものがちまたであふれている中で、科学的根拠に基づく機能性を表示した商品が消費者に選択されることによって、逆に、科学的根拠のないイメージ広告等その商品に対して、当庁の所管しております景品表示法等に基づく行政処分と相まって、科学的根拠のない製品群が市場から淘汰されていくことが期待されるというふうに考えております。

三ッ林委員 是非そのような方向でお願いしたいと思いますが、今回の事案を受けて、機能性表示食品制度の今後の在り方についてどう検討していくのか、この方向性、是非お願いしたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 去る三月二十九日に開催されました紅こうじ関連製品への対応に関する関係閣僚会議におきまして、林官房長官の方から、本事案を受けた機能性表示食品制度の今後の在り方について、五月末を目途に取りまとめるように御指示をいただいたところでございます。

 これを受けまして、四月一日付で庁内に、消費者庁次長をヘッドといたしまして、食品表示担当と、四月から厚生労働省から移管された食品衛生基準行政担当者から成る検討チームを立ち上げまして、庁内の体制を整備したところでございます。

 また、小林製薬からの科学的根拠に関する再検証結果、あるいは、本日付で出てまいりますが、届出食品約七千件の健康被害情報の収集、分析状況の確認結果、こういった調査結果も踏まえまして、五月末までに本事案を受けた本制度の今後の在り方について取りまとめるべく、スピード感を持って取り組んでまいる所存でございます。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 後発医薬品の場合ですけれども、製造管理及び品質管理については、無通告の立入検査が行われています。特保は、効果や安全性について国が審査を行い、消費者庁長官が許可したものであります。一方で、機能性表示食品は、あくまで事業者の責任において科学的根拠に基づく機能性を表示したものであります。消費者庁に届けるだけで、パッケージに機能性表示食品と表記が可能となっております。

 こうした現状からいたしますと、やはり特保、機能性表示食品を含めて、定期的な製造管理と品質管理のチェックが必要と考えられます。そしてまた、これから検討プロジェクトチームにおいて検討されるということでありますが、このことについても是非検討していただきたいと思いますが、御見解をお願いいたします。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、特保、特定保健用食品、こちらの方は許可制でございまして、許可を受けた者は、品質管理の一環として平時から試験検査を実施し、毎年六月だと思いますけれども、品質管理の状況等について消費者庁に報告をいただくことになっております。この際、関与成分量が表示値に合致しているなど、そういったことを当方としては確認しているところでございます。

 他方で、機能性表示食品、こちらの方は、食品表示法に基づく食品表示基準におきまして、届出事項の一つとして、生産、製造、あとは品質の管理に関する事項というものを届出事項と定めております。

 こうした届出事項の裏づけとされる表示の適正化の観点から、食品表示基準の運用指針におきまして、まず製造管理の関係ですけれども、サプリメント形状の加工食品につきましては、いわゆるGMPに基づく製造工程管理を強く推奨しているところでございます。また、品質管理に関しましては、届出者自ら設定した頻度に従って分析をした上で、ウェブサイト等において公開することを強く推奨しているところでございます。

 いずれにしましても、届出後のフォローアップみたいな話も含めて、今後、機能性表示食品を巡る検討会、有識者から成るこの検討会を来週にも開催することとしておりまして、御指摘の点につきましても、検討会での関係者からのヒアリングも踏まえ、実態をよく把握した上で、制度の今後の在り方に関する検討に反映させてまいりたいと存じます。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 是非、この検討プロジェクトチームにおいて十分な審議をお願いしたいと思いますし、日本大学板橋病院で患者さんが発生したときに、主治医の方から、先ほど話した阿部教授の方から小林製薬の方に連絡を入れたけれども、小林製薬がこのことについて来ていただいたのが一か月後ぐらいであったと。やはり、疑いがあった場合にすぐに報告する、こうした義務、これもこのプロジェクトチームで是非検討していただきたいと思います。

 紅こうじの関係はこれで私の質問を終わりますが、ちょっと時間がありますので、医師の働き方改革について伺いたいと思います。

 この四月から始まりましたけれども、看護師不足、ほかの職種もそうですけれども、タスクシフトが不十分な病院が多く、また、医師の業務負担が軽減できない病院も実際のところ多い。医師免許取得者は日本にはそれなりの数はいると思いますが、実際に、最前線で人命救助を行う急性期病院で勤務している若手の医師数、特に内科医、外科医は不足しています。今後、夜間の急患を受けることが難しくなると想定されます。

 タスクシフト・シェアに向けて、メディカルスタッフの育成、充足を急いでほしいと思いますが、この働き方改革で、働く自由を奪われたと感じている若手医師が多いのも事実であります。休日日直の代償休暇を、多くの病院、多くの診療科では与えることができていません。この制度は本当に厄介だと思っております。日曜日に当直した医師は、平日のどこかで休みを与えなくてはなりません。そうすると、外科系を中心に術者不足、診療縮小となります。代償休暇の義務化は可能ならば避けてほしいと思いますが、義務化とされていますので努力目標とするのはなかなか難しいと思いますけれども、何らかの、こうしたところに着目して、しっかりと厚生労働省で対応を検討していただきたいと思います。

 内科系でも病棟医不足や外来業務ができなくなるなどの事態が生じると予測できますが、是非、浅沼医政局長、御見解をお願いいたします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 医師の健康を守り、良質な医療を確保していくためには、医師の働き方改革を推進していくことが重要であり、各医療機関におきまして様々な取組を実施していただいているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、議員御指摘のとおり、各医療機関におけるタスクシフト・シェアの推進、また、ICTの活用等の勤務環境の改善に向けた取組や勤務間インターバルの確保等の着実な実施に対しまして、様々な支援を行っております。具体的には、各都道府県に設置されました医療勤務環境改善支援センターによる助言等の支援、医療機関の管理者等への研修を通じた勤務環境の改善に関する好事例の周知、補助金による支援等を実施しております。

 引き続き、医師の働き方改革を推進するため、都道府県と緊密に連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。

三ッ林委員 時間となりましたので、終わります。ありがとうございました。

新谷委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。

 今日も質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 先ほどの三ッ林先生の、国会議員として、また専門家、ドクターとしての質疑も、大変私も同じ問題意識で、医師の働き方改革も、私も後援会長が現役のドクターで病院長でもありますので、本当にそういう、急患を受けられない、受けたくても受けられない、救急ですね、そういう状況が起こっているのは私も承知していますので、是非私の方からもよろしくお願いしたいと思います。

 大臣におかれましては、昨日、今日も資料の八ページ目におつけをしておりますが、私たちの方から、まさに今回の小林製薬、健康食品の摂取による様々な状況に対しての報告義務化、法改正等の要望をさせていただきまして、本当に丁寧に昨日も御対応いただきまして、感謝申し上げます。

 また、今日は、内閣府そして消費者庁からそれぞれ、副大臣、お越しいただきありがとうございます。内閣府の副大臣におかれましては、一項目めの質疑を終わりましたら退席いただいて結構ですので、よろしくお願いします。

 ちなみに、今日は、資料の一ページ目以降、特に、ちょっと小林製薬さんの、自民党さんの国民政治協会、政治資金団体への寄附を三十四年にわたって、この累計額千三百九十一万円、示しておりますが、冒頭申し添えておきますが、これはもちろん合法的な献金であり、一例です。一例であって、ほかにもあるということも後ほど申し上げます。ですから、その前提で、しかし、今朝の朝日新聞の一面トップ、政治改革特別委員会設置の中で、朝日の調査では、まさに、企業・団体献金、認めない方がよいが八割ですからね。こういう民意も踏まえて質疑を行わせていただきたいと思います。

 まず、アベノミクスの第三の矢、機能性食品解禁までの経緯について、今日は、それぞれ、内閣府、消費者庁と、副大臣、お越しいただいていますので、まずは、内閣府の規制改革会議での議論経過を端的に御答弁お願いします。

石川副大臣 柚木委員にお答えいたします。

 平成二十五年一月の日本経済再生本部におきまして、雇用関連、エネルギー、環境、健康そして医療関連を重点分野といたしまして大胆な改革を推進する総理指示がなされたところです。その総理指示を踏まえまして、同年二月、規制改革において、規制改革全般について議論、検討の成果は、可能なものは随時取りまとめるとともに、同年半ばをめどに取りまとめる成長戦略に盛り込むことを目指すとされたところでございます。

 その上で、健康、医療関連について申し上げますと、重点分野の一つとして盛り込まれたことから、その後、同年四月から五月にかけて、健康・医療ワーキング・グループにおける複数回の集中的な議論を経て、同年六月に閣議決定されました規制改革実施計画において、機能性の表示を容認する新たな方策の具体的方策について、米国の制度も参考としながら、安全性の確保も含めた運用が可能となる仕組みとすることを念頭に検討を行うものとされたものでございます。

 以上です。

柚木委員 ありがとうございます。

 米国の制度を参考にという中で、今日、後ほど、アメリカのFDA、食品医薬品局やあるいはEUパネルなどの現状の対応についても例示しながら、原因究明や対策についても提案させていただきますが、資料の四ページ目につけております、規制改革会議健康・医療ワーキング・グループ、特に中心的に御尽力をされたのが大阪大学の森下竜一先生だということは、様々私も、森下先生のインタビューも含めて全て調べられるものは拝見しておりますので、承知をしております。

 この議論の中で、機能性食品解禁、私、調べられる範囲で、この間、消費者庁の検討会も含めて、委員の方の発言、議事録、そして様々なインタビューも拝見しました。この懸念を示すような意見、代表的なものがあれば、可能な範囲で御答弁ください。

石川副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、大阪大学の大学院、森下竜一委員の方から、一般健康食品の機能性表示容認に関する資料が提案されたところでございます。これについては、過去の例などを踏まえながら、過大広告に頼らず、国民が正しい健康機能、栄養知識が得られるよう教育する仕組みをつくるなど、様々な提案があったところでございます。

 その資料の中で、特に懸念する部分について何か提示をされたという文章はなかったと承知をしております。

柚木委員 非常に正直に、率直に御答弁いただいていると思うんですけれども、そうなんですよ。規制改革会議の中ではどんどん進んでいっちゃったんですね。

 しかし、消費者庁の検討会はそうじゃないですね。

 副大臣、消費者庁から、今日は工藤副大臣、ありがとうございます。消費者庁の食品の新たな機能性表示制度の検討会での議論経過、まさに様々な懸念が示されていたと承知しておりますので、それも含めて経緯を御答弁お願いします。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 機能性表示食品制度の創設に当たっては、機能性改革実施計画を踏まえ、食品の新たな機能性表示制度に関する検討会において、食品の新たな機能性表示制度における安全性の確保、機能性の表示の在り方、国の関与の在り方について、計八回にわたる精力的かつ充実した議論を経て報告書が取りまとめられ、その報告書に基づき制度が定められたものと承知いたしております。

柚木委員 その議論の経緯の中で、資料の六ページ目が今御答弁をいただいた全八回の議題並びにその検討会のメンバーですね。この中には、まさに森下先生と二人三脚というか、私、一緒にインタビューを、記事も拝見しましたが、例えば、ファンケルの創業者である、宮島さんが、これは日本の通販協会の理事としても入っておられます。

 まさにインタビューの中では、安倍総理はまさにこの機能性食品解禁に向けての守護神であった、そういうことを、インタビューでまさに出てくる、それぐらい熱心に取り組まれている方もメンバーに入っていますが、他方で、消費者団体やそういう専門家の方も入っておられて、私も何人かの方からそういう当時のやり取りも伺っております。非常にいろいろな、消費者団体、あるいは専門家、個人、懸念の声も出ていたと思うんですね。

 代表的なもので、当然、こういう生活に密着な方というのは、やはり女性の方とか、主婦連合会の方の見解というのは非常に私、一言で分かりやすいなと思って、ちょっと声明書を持ってきましたが、機能性表示食品制度は欠陥制度です、速やかな制度見直しを求めますという見解、僅か一年程度での検討で、事業者に安全性、機能性、自主判断に委ねる形で、結局、責任は事業者に、リスクは消費者、国民にということで、非常に今後の健康被害の増加を懸念をされているコメントも出されています。

 こういうような懸念の意見があったと承知しておりますが、工藤副大臣、もし紹介いただけるものがあれば、お願いいたします。

依田政府参考人 消費者庁におきまして、制度創設における検討会でどのような議論が行われたのかということで、現時点において、遡って今残っている資料を確認するしかないのでございますけれども、委員御指摘のとおり、この制度につきまして、基本的に事業者の責任において科学的根拠に基づいて表示をするというアメリカの制度なども参考にするということではございますが、一方で、安全性確保の在り方とか、あとは科学的根拠の考え方、また、誤認のない食品の機能性表示の在り方、そういったことを一つ課題として議論した痕跡がございます。

柚木委員 二〇一三年から一五年までのこの機能性食品解禁に至るまでのプロセスの中でも、様々本当に懸念の声、私も実際に当事者の方々からもお聞きをしております。

 そういうことがあった中で、今日、資料の三ページ目にもおつけしていますように、アベノミクスの第三の矢として、まさに、二〇一三年六月五日の安倍総理の成長戦略第三の矢のスピーチ、健康食品の機能性表示を解禁いたしますと。本当に専門家からすれば、生煮えで、そして健康被害が増大するという懸念を押し切る形で実は解禁されているという経緯があります。

 そこで、まさに、今日はちょっと、現状として非常に問題になっている小林製薬さんが、自民党さんの政治団体、国民政治協会に、資料の一ページ目、三十四年間にわたって千三百九十一万円、一年も欠かすことなく、行政命令で業務停止処分とかを受けている、データ改ざんでですね、製品回収を命令されているとか、いろいろなことがあった中でずっと献金していて、さらに、私、ちょっと驚いたのは、次のページは、安倍元総理の、まさに自民党の山口県第四選挙区支部、これに、これは赤旗さんも報道されていましたけれども、献金されている。その報道されている、更に遡って私調べてみたら、何と、安倍総理が最初に総理に就任をされた二〇〇六年以降からずっと、二〇二二年、分かる直近の範囲まで、十七年間で四百四十万円の政治献金をされている。

 これはもちろん合法的ですよ。しかし、いろいろな機能性食品の問題や議論の経過、懸念、そういうことがあって、今回初めて五人も死者が出るような状況もあった中で、こういう、まさに、これから政治改革特別委員会の中でも、特に、利害関係のある企業・団体献金は国民は認めるべきでないと八割の方が答えている中で、こういう実態がある。

 しかも、私、その他も調べてみましたら、例えば、安倍総理と非常に懇意にされていた富士フイルムの古森元会長、富士フイルムさん始め機能性食品の上位企業、五社ぐらい、私ちょっと調べてみました。ちなみに、これも合法的ですよ。

 しかし、例えば富士フイルムさんは、ちょうど古森元会長が会長に就任をされて、ちょうど安倍総理が第二次安倍政権発足で、機能性食品解禁に向けて議論をスタートした二〇一三年から自民党さんの国民政治協会への献金が、その前三年は調べたらなかったです。二〇一三年以降ずっと、直近、私、二〇二二年までは調べましたが、一億三千五百万円、国民政治協会に献金されていて、しかも、上位五社でこの十年間で三億五千万円です、自民党さんへの献金。国民政治協会さん、毎年三十億円ぐらい献金を集めていらっしゃいますが。

 ちょっと今回、経団連の十倉会長も、資料にもおつけしていますように、ちょっとやはり反省すべきということを三ページ目につけております。これは山井先生が内閣委員会でも使われた資料をいただいておりますが、人の健康に関わる問題だから、もう少し厳しく慎重にやるべきだったと思うと。新しいことを始めたときに問題が起これば速やかに見直すべきだ、人の健康、人体に関わる問題だから、もう少し厳しく慎重にやるべきだったという声が起こってくるのは当然、こういう見解も述べられているんですね。

 武見大臣、やはり、幾ら合法的で現状はあるとはいえ、まさに昨日、政治改革特別委員会が国会に設置をされて、国民の八割がそういう企業・団体献金を認めるべきでない、そういう民意も含めて、ちょっとやはり、特に、利害関係のある企業・団体献金、これは禁止、見直し、こういったことを国会で議論すべきだと思いませんか。いかがですか。

武見国務大臣 今、政府の立場におりますので、その点に関する発言は控えさせていただきたいと思いますけれども、今まさに、委員御指摘のとおり、立法府で政治資金規正法改正に関わる御議論が進んでいると承知をしております。国民の理解が得られる結論が出て、その改正が適切に行われることを期待する立場でございます。

 その上で、厚生労働大臣としては、とにもかくにも、今回の小林製薬の紅こうじの案件に関しましては、疑われる死亡者が五名出ており、多数の健康を害した方々が現実に出ているわけでありますから、その原因を徹底的に究明をして、そしてまたその因果関係をしっかりと究明をして、その上で、しっかりとエビデンスに基づいたルールを策定し、再発を防止するということに私は全力を尽くしていきたいと思います。

柚木委員 是非、岸田総理は今アメリカに行かれていて、今日はアメリカの議会で演説をされるということで、それは結構なんですが、やはり日本の国会においても、本当にまさに裏金、脱税、キックバック、国民の本当に政治不信を招いている。これは与野党共に招いていると思いますよ。

 ですから、まさに与野党共に、政治家が誰かのせいにして逃げ切ることのないような連座制とか、あるいは政治資金の透明化、デジタル化とか、そしてまさにこの企業・団体献金、特に、利害関係のある企業・団体献金の禁止とか、こういうことをこの国会で、武見大臣、この国会で法改正を、これは解散・総選挙をやっている場合じゃないです。その前に、解散するのであっても、まさに政治資金規正法の改正、政治と金、裏金、脱税防止法案、こういったものをこの国会で成立させるべきだというふうに岸田内閣の一員として思われませんか。いかがですか。

武見国務大臣 政府の立場でありますので、直接的な発言は控えさせていただきますけれども、やはり、国民の不信というものを一日も早く払拭するために、立法府における政治資金規正法改正に関わる御議論というものが超党派でしっかりと合意を形成し、改正されることを期待しております。

柚木委員 非常に今重要な答弁ですね。もちろん、自民党の一議員としてのお立場でもありますし、岸田内閣の一員でもあるわけで、与野党で、超党派で、まさにこの裏金、脱税、キックバック問題、これは政治資金規正法改正、超党派でやはり合意を目指すべきだという、これは本当に明確な御答弁をいただいて、私は、今、武見大臣は聞く力を発揮されようとしていると思いますよ、国民の声を。是非これは、岸田内閣挙げてこの国会での成立を目指していただきたいし、私たちもその提案をしっかりします。

 この問題、もう一点だけ、私、ちょっとこれは看過できないなと思ったので、一例だけちょっと挙げて、これは皆さん御存じないかもしれませんので。これはちょっとさすがに、機能性食品の企業、先ほど、上位五社、申し上げましたが、六百四十六社が加盟する最大の日本健康・栄養食品協会。

 ちなみに、会長はどなたか、武見大臣、聞いたことはありますか。

武見国務大臣 済みません、存じ上げません。

柚木委員 私もびっくりしましたね。自民党の参議院議員の山東昭子さんが会長なんです。

 二〇一三年から一五年、まさに機能性食品解禁のさなか、一億円献金していますよ、この日本健康・栄養食品協会の会員会社が自民党の政治資金団体である国民政治協会に。しかも、山東昭子議員御自身も二百万円、御自身が代表の自民党支部に献金を受け取っていますよ。

 これは、武見大臣、不適切にもほどがあるんじゃないですか、こういうの。ちょっと見解、一言述べていただけませんか。

武見国務大臣 これは、今初めて伺って、私はまだちょっと事実関係を十分に承知しているわけではないし、政府の立場におりますので、私の見解は控えさせていただきたいと思います。

 いずれにせよ、政治家としては説明責任を果たすということがその基本であろうかと思います。

柚木委員 これはちょっと、ちゃんとまた確認いただいて。李下に冠を正さずとはこのことですよ。本当に、会長も辞めていただくべきだと思いますし、政府全体がそういう不信の目で見られかねない状況も、更にこれはそういう材料だと思いますので、是非、党内でもそういうことが確認されるのであれば、これは私は会長を辞していただくべきだと思います。

 では、次の二番目の質問に入ります。機能性表示食品で健康被害が疑われる事案が発生した場合の事業者の報告義務。当然これは罰則とセットですね、医薬品、薬機法のスキームからいっても。

 これについて、九ページ目に朝日の報道をつけておりますが、これはもちろん、食品表示法でやれる部分もあれば、食品衛生法、出口の方ですね、入口と出口でいえば。回収命令とか罰則規定ですから、衛生法の方でやる、どちらも可能だと思いますし、消費者庁においては、来週、まさに、製造販売過程の安全性確保、そして健康被害情報の報告義務化についての会議を行うということですから、そこで議論されると思いますが、実は、大臣、私個人は、薬機法もそうですけれども、回収命令と罰則規定は衛生法なんです。ですから、これはやはり、別々の省庁で、消費者庁で報告義務化で、駄目なら罰則とかやっていると、今回、小林製薬、二か月かかっているわけですね。やはり迅速に報告があって、必要に応じて公表もして、そして回収、回収命令、それに従わない場合は罰則、こういうのはやはり一つの省庁でやった方が、私は、迅速だし縦割りの弊害が起こらないと思うんですね。

 もちろん、対象食品をどういうふうに規定するか、第三カテゴリーでサプリメント法みたいな形にするのか、いろいろな議論はあると思いますよ。しかし、私はやはり、厚労省が主導して、大臣にリーダーシップを発揮していただいて、そして、まさに原因が特定できていない場合でも、今の小林製薬の状況もそうですよ、原因が特定できていない場合でも、今、実際、通知を出されて、昨日も言っていただきました、まさに、自覚症状がなくても受診、検査、私が二週間前に質問したその日に通知を出していただいて、迅速な対応をいただいて、それは正しかったとおっしゃっていただいた。

 そうであるならば、まさに今、小林製薬の今回の問題がプベルル酸ではないんじゃないかという意見を私、専門家からもいただいていますし、三ッ林先生も若干そういう見解を述べられたような気がしましたが、いずれにしても、この原因究明とは切り離して、この報告義務化の法改正の議論を前倒しで、この国会での成立を期して行っていただきたいんです。小林製薬のこの問題の原因究明とは切り離して、それはちゃんとやってください、しかし、それをやらなければ報告義務化の法改正ができないという理由もないんです。この間、役所の方とも確認しています。

 是非、厚生労働大臣としてリーダーシップを発揮していただいて、来週は消費者庁でもそういう議論をする、厚生労働省も、まさに法改正の議論、報告義務化について切り出して、そして、この国会成立を期してのスケジュール感での議論をお願いしたいと思います。御答弁お願いします。

武見国務大臣 今般の紅こうじを原料とする製品を含む食品については、厚生労働省が所轄しております食品衛生法第五十一条に基づいて、健康被害が発生した場合に事業者は都道府県等への報告に努めることとされているという、この立場から所轄をさせていただいております。

 三月二十九日の紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合において、官房長官から、当面の対応として、国立医薬品食品衛生研究所と連携をして、引き続き原因物質の特定、分析を進めて、その結果、速やかな公表、原因究明を図ることや、五月末を目途に、食品による健康被害等に関する情報収集体制の見直し及び国の関与の在り方について検討するよう御指示があったところであります。

 したがって、厚生労働省としては、国立医薬品衛生研究所と連携をしながら、まずは、この物質等に関わる原因の究明、さらにはその因果関係をしっかりと究明をして、そして、やはりエビデンスベーストでそれをしっかりと、証拠、エビデンスに基づいて、再発防止のためのルールの設定の仕方は一体いかなるものが最も適切か、それは、所轄はどこが、どこの法律で所轄することが適切か、そういうことも、改めて、こうしたエビデンスをきちんと明確にした上で、しかも迅速にそれを執り行っておくということが必要だというふうに私は思っています。

柚木委員 内閣府副大臣、御退席いただいて結構ですので。済みません。

 エビデンスはもちろんやってください。そして原因究明も行ってください。しかし、それとは切り離して、この国会での成立を、政治資金規正法と同様に、国民の健康、命を守る、私たち、健康食品被害防止法案なるものを今議論もしていますし、出しますので、この国会で与野党でまさに合意が得られるように、大臣、まさにエビデンスの話を次しますので、進めてください、議論も。

 次の質問は、まさに、私、ちょっと本当に、専門家の方からいろいろ御意見をいただいていまして、GMPの専門家の方とかね。紅麹コレステヘルプ、もちろん、ずっと古来から食品として、食文化は大切にすべきです。しかし、紅こうじを成分とするサプリメント、六十種類ぐらいあると、私も全部リストまでいただいて見ましたけれども、私たちが日頃目にするようなものも含めてですね。

 これは、摂取量、FDAやEUなどでは、例えば一日三ミリグラム上限とか、摂取上限まで規定をして、スイスでは、まさに、そもそも紅こうじを使ったものは禁止、そしてフランスでは、まさに医師の相談、管理下の中での服用、それぐらい厳しくやっている。なぜならば、私も驚きましたけれども、大臣、この成分が、モナコリンK、ロバスタチン。シトリニンとまた別にそういう主成分が、効能がある、これは医薬品より多く含まれていると、小林製薬の製品。そして効きもある。効きもあるということは、副作用もあるということですから。

 そして、私もいろいろな専門家の方から意見を聞くと、今回、今日締切りの調査をやっていますね、それも踏まえて、ちょっと時間がないので、厚労大臣にまず伺いますが、これはちょっと、今後、六十種類ぐらいある同種の紅こうじ由来のサプリメント、食品じゃなくてサプリメントですよ、濃縮されているサプリメント、これが、摂取上限も含めて、もし本当に同様の健康被害が、可能性があるのかないのか。

 今日期限の調査結果も踏まえて、本当にそういうことがあるのであれば、早く公表もいただいて、例えば、まさに受診とか検査とかいうのを今対応いただいていますが、その他の商品の摂取者についてもそういう対応が必要なのかどうなのか、腎臓学会とも協議してください。専門家からそういう指摘が複数来ています、プベルル酸ではないんじゃないかとも、そんなものはもう分かっているはずだ、民間の調査でもすぐ分かると。

 ですから、そうであるならば、じゃ、このモナコリンK、ロバスタチンの成分比率が異なっていて、何かが混入してそういうことになっている、それが多過ぎて被害の原因になっているかもしれない、類似の被害が起こり得るかもしれない、そうであるならば、当然、国民への情報公開、相談の対応、自治体、保健所などへの通知などの対応を速やかに行っていただきたいんです。大臣、御答弁お願いします。

武見国務大臣 委員御指摘の本日期限の報告は、これは消費者庁の方でやっておるものでありますから、それを踏まえた原因究明は、消費者庁とも連携して、厚生労働省としても行っていきたいと思います。

 その上で、とにもかくにも、こうした原因分析、これは極めて重要であります。御指摘のように、プベルル酸というものに関わる原因だけであるかどうかというのは分からないんです。したがって、これらのことについての原因究明ということがこれから間違いなく行われていくことが、とにもかくにも再発防止のために重要であります。

 二つ目に重要なのは、今度はガバナンスの問題であります。今回、報告がどうも二か月というのは余りにも遅いのではないかということを誰もが認識しているわけであります。安全管理というのをガバナンスのレベルでどういうふうに設定すれば再発防止になるのかというようなことも、改めて検討し直さなければならないだろうと思います。

 したがって、そういったことを徹底的にその原因に基づいて議論をして、ルールを作っていくということを是非やらせていただきたいと思います。

柚木委員 お願いします。アメリカのFDAでは、妊婦、授乳中の方、青少年、子供、またスタチンを服用している人は紅こうじサプリメントは避けるべきとの見解、メイヨー・クリニック、日本でいう東大病院、そういう形で運用している。これは是非日本でも、ちょっともう少ししっかりと、ガイドラインに本当に沿った運用をお願いします。

 ちょっと時間がないので、最後に行きます。

 消費者庁の、今回報道されている、資料の十三ページ、あるいは十五、十六ページに、論文採択率九割の問題。昨日は早稲田議員が、機能性表示、必ず有意差を出す、でっち上げじゃないかという議論がありましたが、そういった点についての質問をさせていただきます。

 まず、報道にも出ております、十三ページ、消費者庁が判明しているのを認めております。約二割の機能性表示、撤回千五百二十一件ですね。これは、科学的根拠が乏しいとして表示を撤回した件数、場合によっては商品名を撤回した機能性、今般のような、小林製薬のような、紅こうじのようなものも含まれるかどうか、公表すべきじゃないですか。

 そして、資料十三ページ、それから十五ページ、十六ページに、論文採択率九割、出せば通ると。これは、さくらフォレストの問題も、大西議員も消費者特でされていましたね。これは実は、血圧低下、ぐんと下げる、不当表示で、消費者庁としては科学的根拠が乏しいという初の判断を下して、その結果、八十八件の、同じ論文に機能性論文を出していたのを、一斉に機能性表示撤回ですよ。

 こういうずさんな、ざるにもならないような届出制は見直してください。具体的にどのように改善していくのか、消費者庁、答弁をお願いします。

工藤副大臣 お答え申し上げます前に、先ほどの答弁の中で、済みません、規制改革実施計画を、間違えて、機能性と読み違えたことを訂正させていただきます。

 今お話がありました件でございますが、機能性表示食品制度の今後の在り方、おっしゃるとおりでございます。五月末までに方向性を取りまとめ、健康被害情報の報告ルール等について、専門家を構成員とする機能性表示食品を巡る検討会を来週にも立ち上げ、スピード感を持って取り組んでいきたい、そんなふうに思っております。

 とにかくこれは、委員おっしゃるとおり、口から入れるものでありますから、何かがあってでは遅いということでありますので、即座に対応したい、そういうふうに鋭意努力してまいります。

柚木委員 終わりますが、消費者庁の副大臣からも、まさに、参考人の方ではちょっと言いづらい、踏み込んだ答弁だったと思いますよ。是非その決意を、機能性食品はもとより、健康食品全般的に私はやってほしいと思います。それを専門家の方は求めていますから。機能性食品だけじゃなしに、全般ですね、健康食品。そのことをお願いをして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 まず、今年の春闘について、連合が四月二日までに回答のあった二千六百社の賃上げを集計したところ、一九九一年以来の三十三年ぶりとなる五%超えの水準を維持しているということであります。

 一方で、先日公表された実質賃金は二十三か月連続マイナスとなりました。名目賃金に相当する現金給与総額は二十六か月連続のプラスになっていますけれども、賃金上昇が物価高騰に追いついていない、こういうことが実情だというふうに思います。二十三か月連続マイナスというのは、リーマン・ショックのときの二〇〇七年の九月から二〇〇九年七月のときに並ぶ過去最長タイということになります。まず、この受け止めを武見大臣にお伺いします。

 とともに、併せて、実質賃金が前年比プラスに転じるのは一体いつなのか、今年度前半なのか、それとも今年度後半なのか、いつと見ているのかを大臣にお伺いしたいと思います。

武見国務大臣 委員御指摘の毎月勤労統計調査によりますと、名目賃金、令和四年一月から令和六年二月速報まで二十六か月連続のプラスとなっている一方、実質賃金は、消費者物価指数の高い伸びにより、令和四年四月から令和六年二月速報まで二十三か月連続のマイナスとなっているということを承知しております。

 賃金は、労働者の生活を支える基本的な労働条件であるとともに、経済成長の原動力であります。経済の好循環により国民生活を豊かにしていくためにも、実質賃金の上昇がとにもかくにも必要であります。でき得る限り早い時期に上昇に転じることを期待しております。

 名目賃金につきましては春闘の効果が期待される一方で、実質賃金につきましては、物価高の影響を受けるために、プラスに転じる時期というものを具体的に今ここで申し上げることはちょっと難しいです。

大西(健)委員 できるだけ早くと言われましたけれども、物価高騰、足下では円安もまた進んでいますので、輸入物価の高騰もあるということですので、なかなか、まだまだ厳しい状況が続くんじゃないかと思いますが、是非早く、これはプラス転換させていかなきゃいけないというふうに思っています。

 そうした中で、特に中小とか非正規の賃上げ、こちらもしっかり見ていかなきゃいけないんですけれども、最低賃金についても、二二年度、二三年度と連続して過去最高の引上げ幅になりましたけれども、それでもまだ他の先進国と比べると見劣りがする。

 資料の一ページを御覧いただきたいんですけれども、これは内閣府がOECD各国の最低賃金を比較したものであります。この左上のグラフですけれども、賃金中央値に対する最低賃金の比率というのを見たときに、フランスと韓国が六〇・九%、英国が五八%、ドイツが五二・六%に対して、日本は四五・六%となっています。

 実は、EUはEU指令というのがあるんですけれども、EU指令で賃金中央値の六割というのを目標にしているんですけれども、連合もこれを中期的な目標にすべきだと言っていますけれども、政府も、EUの最低賃金指令に合わせて、賃金の中央値の六〇%、これを目指すべきではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、三谷委員長代理着席〕

武見国務大臣 御指摘のEU指令につきましては、加盟国に最低賃金改定の目安となる額の設定を求めているもの、その指標として、中央値の六〇%、平均値の五〇%に加えて、その他各国で使用している目安となる額なども挙げており、設定に際し、各国の幅広い裁量の余地を与えているものと考えております。

 一方、我が国においては、昨年、公労使の三者の最低賃金審議会で毎年の最低賃金額についてしっかりと議論を行って、その積み重ねによって二〇三〇年代半ばまでに全国加重平均が千五百円となることを目指すとした目標を公表しているところであり、まずは、昨年を上回る水準の春季労使交渉の回答額を踏まえつつ、この目標について、より早く達成できるよう、引き続き中小企業庁等と連携して、生産性の向上支援等に努めてまいりたいと思います。

大西(健)委員 明らかに、でも、やはり中央値の六割というのをEU指令でほかの諸国がやっていること、お隣の韓国と比べてもやはり日本の最賃の水準というのは低いじゃないかと。ですから、例えば今、ワーホリで若者が海外に行った方が稼げるみたいな、円安もありますし、ということが起こっちゃっているわけですよね。ですから、これはやはり私は一つの水準として参考にすべきだと思います。

 次に、小林製薬の紅こうじサプリの健康被害と機能性表示食品に関してお聞きしていきたいと思います。

 まずは昨日、立憲民主党のプロジェクトチームの要請を、大臣、お受けいただきまして、本当にありがとうございました。その中にも、原因物質の特定、原因究明については国が責任を持って行うことというのを入れさせていただきましたけれども、先ほどもちょっと別の委員からもありましたけれども、この点、厚労省が先月の二十九日に、小林製薬のサプリメントにプベルル酸という物質が意図せずに含まれていたのではないかということを明らかにしました。

 ただ、このプベルル酸というのは、私もちょっと知っている専門家に聞いたら、今回初めて聞いたと。ほとんど国内外での研究というのも余りない、論文もほとんどない、そういう物質だそうです。そのため、この青カビの中でプベルル酸というのがどれぐらいの量つくられるのか、また、人体への影響などもほとんど何も分かっていないと。マウスに対して使った実験というのがあるみたいですけれども。また、これは、普通に正月に鏡餅を置いておくと青カビが生えますけれども、ああいう空気中に普通に存在するものではなくて、何百種類もある中でプベルル酸をつくることが確認されているというのは、非常に特殊な、数種類しか存在しない、そういう青カビだというふうに聞きました。

 したがって、健康被害が出たサプリメントで高速液体クロマトグラフ分析というのを行って、その結果がこのプベルル酸と同じようなピークが出ているということで、プベルル酸じゃないかということを言っているんですけれども、最終的にプベルル酸と断定するためには、標準物質という物差しになるプベルル酸を入手しないとこれは断定もできないということであります。ただ、これは本当に珍しい物質で、そんな簡単には入手できないということも聞いています。

 さらに、専門家によると、私もこういうことをやっている事業者の方に聞きましたけれども、複数の微生物が同じ空間にいる場合には、栄養を奪い合い、さらに、環境により適した方が早く増殖して、できるだけ優位になるように他の微生物の増殖を抑える動きが起きるはずで、紅こうじ菌というのは温度や湿度の管理が必要で、限られた条件でしか育たない弱い菌なので、青カビがいたら、先にその青カビの方が増殖して、大体、色が変わったりとかして、異変に気づくはずだという指摘もあります。

 ほかにも、もしプベルル酸が健康被害の原因であれば、さっき言ったように、まだ毒性は分かっていませんけれども、青カビの中でも毒性が最も強いと言われるアフラトキシンというのがあるそうですけれども、それに比べてもとてつもなく毒性が強いか、青カビがつくるプベルル酸の生産量が多くて大量の毒素がサプリに含まれていたということでなければ説明がつかない、でも、そんなことはあり得ない、こういう専門家の意見もあります。

 こうしたいろいろな意見を考え合わせると、もちろんまだ厚労省も断定しているわけではないんですが、そうはいいつつ、厚労省がこの早い段階でプベルル酸という特定の物質の名前を出したのは、私はこれは勇み足だったんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 三月二十八日の薬事・食品衛生審議会の調査会において小林製薬から、健康被害のあった製品のロットに予定しない物質のピークを認めたこと、それから、委員御指摘のHPLC検査、これは高速液体クロマトグラフという分析を行ったところ、このプベルル酸というものが同定されたこととしての説明がなされました。

 しかし、直ちにプベルル酸だけに原因を求めるということはこれは危険だ、まだほかにも多くの原因が確実にあるというふうに私どもは当時も考えましたので、決してそれに同定することなく、原因の調査に関しては、網羅的に検査をして、更に幅広くその原因究明に努めるということをその場でも同時に発表させていただいておりまして、実際のやはり現状というものに対する国民の正確な御理解を得るためにも、そうした説明が必要であろうというふうに考えた次第であります。

 原因物質であると確定された段階ではございませんので、原因究明の進捗状況を速やかに公表する観点で、三月二十九日に国立医薬品衛生研究所、小林製薬と厚労省の三者による合同会見の場を設けまして、こうした健康被害の報告にあったロットを中心にプベルル酸が検出されたことを認めて、そして小林製薬から報告があった内容について公表を行ったわけであります。

 そして、このプベルル酸を含めて、原因となり得る物質を網羅的に検索するなど、国、厚生労働省が主導して原因究明に取り組んでおりまして、その進捗状況については、これはもう明らかな事実が分かりましたら、私はもう直ちに公表しろというふうに言っておりますので、そのように対応させていただきます。

    〔三谷委員長代理退席、委員長着席〕

大西(健)委員 一方で、最初の頃は未知の物質と言われていて、未知の物質というとすごい何か怖いので、それでプベルル酸という言葉を出したんだと思いますけれども、今言われたように別に断定されているわけではないので、しっかりここは原因究明していただきたい、原因物質も特定していただきたいと思います。

 もう一つ、私、素朴に疑問に思っていることがあるのでちょっとお聞きしたいんですけれども、小林製薬は社名に製薬と銘打っていますけれども、処方箋が必要な医療用の医薬品というのは取り扱っておられない、商品は全て薬局などで買える、一般用医薬品は作っておられるということですけれども、それから、機能性表示食品を始めとする健康食品、また日用品、こういうものを作っておられる会社だということですけれども、社名で製薬と名のることに何らかのルールというのはあるんでしょうか。これは参考人からで結構ですので、教えてください。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 医薬品医療機器等法におきましては、医薬品の製造販売を行う企業、また製造を行う企業に対しましては、それぞれの業に求められる基準に適合したことを確認をした上で業許可を付与してはおりますが、名称につきましては、業の許可を得た若しくは得ていない企業に対して、何らかの名称に係る規制というのは行ってはおりません。

大西(健)委員 そうなんですよね。でも、機能性表示もそうですけれども、機能性表示と特保の違いも一般の消費者の方はほとんど分かっておられないと思いますが、製薬とついているから、何か薬を作っている会社が作っているのかな、だから大丈夫なのかなとやはり思っちゃうところがあるので、ちょっとこれは私は初めて確認させてもらって。やはり製薬というのは、だから、それは一般医薬品ですよね、処方箋が要らないやつ。もちろん一般医薬品は作っているんですけれども、でも、今の話だと別にルールはないわけで。だから、一般医薬品を作っていなくても、いわゆる機能性表示食品だけしかやっていないところでも、製薬と名のろうと思ったら名のれちゃう話じゃないですか。だから、それもちょっとどうなのかなというふうに思います。

 今回問題となっているこの機能性表示食品ですけれども、機能性表示食品は、当然、医薬品でなくて、健康食品の一部です。

 次の資料の三ページ目を見ていただきたいんですけれども、健康食品についてという資料です。これは規制改革会議に出されたものなんですけれども、健康食品と呼ばれるものは、法律上の定義はありません、広く健康の保持増進に資するものとされるもの全般を指しています。そのうち消費者庁が所管しているのが、左から順番に言うと、届出制の機能性表示食品、自己認証制の栄養機能食品、そして個別許可制の特定保健用食品ということになります。

 一番左にあるいわゆる健康食品というのは、単に健康にいいと言われる食品です。テレビ番組とかで、ある食品が健康にいいということになるとブームになるというのがよくあります。例えば、古くは紅茶キノコとかカスピ海ヨーグルトとか、ちょっと懐かしいという声もありましたけれども、皆さんもお聞きになったことがあるんじゃないかと思いますけれども、これをちょっと調べてみると、紅茶キノコが、過去、国会質疑で取り上げられたことがあるんですね。

 昭和五十年六月二十六日の社会労働委員会で、政府委員が紅茶キノコの成分や有害かどうか安全性について答弁している例がありますけれども、参考人から簡潔にそれを紹介してもらえますか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の答弁、昭和五十年頃に社会的に流行いたしました紅茶キノコ健康法、これに関しまして、現状の認識や対応方針等について政府としてお答えしたものでございます。

 具体的には、紅茶キノコとは、砂糖入りの紅茶等の中で、ある種の酵母や細菌を急速に増殖させ、酸味を帯びた発酵液とゼリー状の凝塊を形成させたものであること、また、当時検査した結果といたしましては、正常な状態で培養される限り有害であることは確認されていないが、目的の菌以外の菌が入った場合には健康被害につながる可能性があること、また、食品として販売される場合は食品衛生法に基づく許可が必要な業種に該当し、製造基準等を遵守する必要があることなどにつきまして答弁をしたものであります。

大西(健)委員 今御答弁があったように、当然、食品衛生法による規制を受けますし、食品である限り、その安全性ということについて問題になったので、国会で厚労省が答弁しているんだと思うんですね。

 問題は、医薬品を除いた広い意味での健康食品の中で、先ほども言ったように、表示という観点で保健機能食品は消費者庁所管になっていますが、今言ったように、食品全般、食品衛生法で安全ということを考えた場合には、私は本当にそれでいいのかなというふうに思っています。

 今回問題になったサプリメントというのは、有効とされる特定の成分が濃縮されてカプセルとか錠剤の形で定期的に長期にわたり摂取されるという点で、やはり食品という幅広いものとは違った安全面での規制というのが必要じゃないかと思います。

 例えば、新たなカテゴリーを設けて、先ほども少しそういう話が出ていましたけれども、サプリメント法のようなもので厚労省が有効性や安全性について一定の責任を持つようなことを私はやはり今後検討していくべきではないかと思いますけれども、こういう考え方に対して、武見大臣の御答弁をお願いします。

武見国務大臣 厚生労働省としては、こうした錠剤やカプセル錠等の健康食品については、医薬品に準ずる内容をGMP認証で受けることをガイドラインにおいて推奨をしております。

 その上で、今回の事案の発生を受けて、また、三月二十九日の関係閣僚会合における官房長官の厚生労働省に対する御指示を踏まえまして、まずは、当面の対応として、国立医薬品食品衛生研究所と連携をしてこの原因究明に徹底的に取り組んで、そして、関係省庁とともに、再発防止のために、そうしたしっかりとしたエビデンスに基づいて、どういう新たなルールを策定することがこの分野における国民の安心とそれからまた健康を維持していく上で役に立つルールとなっていくか、こうした観点でやはり議論をしていきたいと思います。

 こういうケースのときには、やはりエビデンス、エビデンスをしっかりと確認することが私は今ほど重要なときはないだろうと思っております。

大西(健)委員 私たちも繰り返し言っているように、健康被害の報告義務のところは先出しでやってもらって、そして、全体の規制の在り方は、もちろんこのエビデンス、原因究明を行った上で、エビデンスに従って、やはり規制の在り方を根本的に見直すべきときに来ているんじゃないか。

 それについては、これも先ほど来出ている話ですけれども、この機能性表示食品制度というのは、内閣府令である食品表示基準の改正によって設けられたものであって、新法の制定だったりとか改正法によって設けられた制度ではありませんので、国会での議論というのを経てつくられたものではありません。

 配付資料の次のページを御覧をいただきたいんですが、機能性表示食品制度の歩みというやつです。こちらは規制改革会議に出されたものであるんですけれども、改めて、先ほども御答弁の中でも、消費者庁の答弁の中にありましたけれども、二〇一三年の六月に安倍総理が成長戦略の中で機能性表示解禁、こういうスピーチを行った。そして、日本再興戦略の閣議決定の中に盛り込んで、同年十二月から検討会を開催して、翌年の七月に報告書が公表されて、その次の年の二〇一五年の四月に制度がスタートしている。

 これも先ほど指摘がありましたけれども、こういう経緯も踏まえて、経団連の十倉会長が八日の会見で、経団連が機能性表示食品の制度解禁など規制緩和の要望をしたことを問われて、新しいことを始めたときに問題が起これば速やかに見直すべきだ、人の健康、人体に関わる問題だから、もう少し厳しく慎重にやるべきだったという声が起こってくるのはそのとおりだと思う、こういう反省を口にされています。

 武見大臣、機能性表示食品制度ができたこういう経緯と、そして今の経団連会長のこの反省の弁、これを踏まえて、機能性表示食品制度ができた経緯というのをどういうふうに評価をされますでしょうか。

武見国務大臣 機能性表示食品というものが制度として発足をした経緯について、その詳細をしっかりと理解をしているわけではありませんが、恐らくは、当時、まだアパートの一室を借りてそういうものを作っているような人たちがたくさんいる中で、実際にこうした新たな規制を必要とするという観点で、こうした機能性食品に関わるやはり制度設計も大事だったんだろうと思います。ただ、それは十分ではなかったということは、実は今回はっきりと分かってきたんだろうと思います。

 したがって、改めてその原因をしっかりと究明した上で、こうしたことが再発しないようにそのルールを改めて考え、そしてそれによって再発を防止する。そして、国民が安心して、こうした機能性表示食品についても、それを、自分の健康を守るために、増進するために、安心して活用できるようにするということをやはり我々は真剣に考えなきゃいけないんだろうというふうに思っております。

大西(健)委員 今大臣からも、十分でなかったんだろうという、そしてそのことが今回初めて明らかになったということですから、先ほど来言っているように、やはり制度の抜本的な見直しについて、これは与野党を超えて議論していきたいと思っています。

 その中で、先ほど柚木委員からは業界との関係という話がありましたけれども、例えば、先ほど柚木さんが言われた日本健康・栄養食品協会、会長は山東昭子議員になっているんですけれども、理事長は矢島鉄也さん、厚労省の健康局長だった人ですよね、天下りしているんですよ。だから、そういうところも含めて、やはりこれはちゃんとやっていかなきゃいけないと思っています。

 それから次に、大臣の「日曜討論」での発言、これも先日来委員会で取り上げられていますけれども、参考にNHKの報道をつけておきましたけれども、武見大臣は、医師の偏在対策について、今までも試行錯誤して、入学試験に地域枠を設けるなどしてきたが、まだまだ偏在を解消できていない、地域ごとの医師の数の割当てを本気で考えなければならない時代に入ってきたと述べました。

 まず確認ですけれども、二〇〇八年に約二十八万人だった医師の総数、約三十四万人まで増えてきている。厚労省は、働き方改革で医師の長時間労働を抑える前提に立ったとしても、早ければ二〇二九年頃には約三十六万人で医師の数は需給がバランスするんじゃないかと推計していて、これ以上、医学部定員を増やして需要を上回る医師を養成することは考えていない、こういうことでよろしいでしょうか。大臣、いかがですか。

武見国務大臣 医師の需給については、厚生労働省の検討会において、これは二〇二〇年の推計の検討を行ったものであります。その際、働き方改革によって医師の労働時間が短縮することなどについて、推計の前提条件を議論した上で算出しております。二〇二九年、令和十一年頃には全国レベルで医師の需給が均衡し、その後、人口減少に伴い、将来的には供給が需要を上回ると見込まれています。

 こうした中で、これまで地域枠を中心に医学部定員を臨時的に増員をいたしまして、二〇二二年までの十年間で全国で医師数約四万人が増加をしてまいりました。この臨時増員の枠組みは来年度、二〇二五年度に医学部に入学する方にも適用されることから、少なくとも二〇三一年頃まではおおむね現在のペースで医師が増加していくことになります。

 このように、将来的には供給が需要を上回ると見込まれるために、医師の増加のペースについては見直しが必要とされており、医師養成数については、地域の医師確保の現状を踏まえて、自治体の意見を伺いながら丁寧に検討してまいりたいと思います。

 そして、その上で、丁寧に検討することは大変大事でありますけれども、今まで何度も試行錯誤して、こうした地域偏在あるいは診療科の偏在について議論してきたわけでありますから、過去に例がなくとも、やはり相当思い切った改革はしなければならない状況に私はなり始めたなという認識は持っています。

大西(健)委員 医師の数というのもなかなかセンシティブで、お隣の韓国では医師不足対策で医学部定員を引き上げるということで、ストライキまで起きていますけれども。

 ちょっと時間がないので飛ばしていきますが、今大臣が言われたように、いろいろやってきたけれどもなかなかうまくいかないので、大臣は、非常にせっぱ詰まった状況に入っていると。ですから、前例にとらわれないそういう対策をやるんだということで、そういう中で、このテレビ番組でも、地域ごとの医師数の割当てという踏み込んだ発言になったんだと思います。

 私も、そういうことを含めて、国会で、この厚労委員会の場で真剣に議論をするときがもう来ているんじゃないかというふうに思います。

 この点、聖路加国際大学の福井学長は、診療科の偏在、これを解決しない限り、ほとんどの問題は解決されないのではないかと指摘されています。特に外科、産婦人科が深刻なのはもう皆さん御存じのとおりですけれども、多くの国々では専門医研修コースの人数制限というのが行われていて、日本でも診療分野ごとに必要医師数の算定について学会を含めて十分に話し合うべきじゃないか、そして、専門医研修を開始する入口のところでコントロールしないと、一旦特定の専門分野のトレーニングを受けて専門医になった医師に、後で総合医になってくれ、かかりつけ医になってくれと言われても、それはなかなか難しい、入口で何らかの上限を設定することが必要じゃないか、こういう意見がありますけれども、こういう意見に対して、武見大臣、いかが思われますか。

武見国務大臣 医師の地域偏在だけでなく、診療科偏在についても全国的に是正を図るべき課題であるというふうに認識をしております。

 委員の御指摘の専門研修については、平成三十年度から、中立的な第三者機関であります一般社団法人日本専門医機構が、専門医の認定や養成プログラムの評価などを行う新専門医制度を開始いたしました。

 この新専門医制度においては、専門医の都市部への集中を抑制するために、都道府県別、診療科別の専攻医採用数の上限設定、いわゆるシーリングを実施しており、これに対して国も必要な関与を行っております。

 まずはこうした取組の効果をしっかりと確認をしながら、それを着実に進めていくとともに、引き続き、規制的な手法を含めて、こういう偏在をどう是正することができるか、インセンティブをどうつくるかということも含めて、これを考えていきたいというふうに思います。

大西(健)委員 医師会の御推薦を受けているにもかかわらず、番組内でも、医師会の横倉名誉会長の割当てに抵抗感があるとの発言も物ともせずに正論を吐く大臣には、私は期待をしておりますので。一昨日の足立委員の質問に対する答弁では若干トーンダウンしていたようにも思いますけれども、是非大臣にエールを送りたいというふうに思います、この点については。頑張ってください。

 最後にちょっと、私の地元の愛知県安城市で、生活保護を利用申請した日系ブラジル人女性が担当職員から不適切な対応を受けたという問題で、市が設置した第三者委員会が三月に報告書をまとめて、公表しました。不適切な問題があったことは、これは真摯に反省すべきことだと思います。

 ただ、一方で、外国人の生活保護は、昭和二十九年の局長通知に基づく暫定措置として行われています。法的根拠が不明確なため、地方自治体の現場は非常に困っています。法的な根拠がない中で地方でやれと言われているので、非常に困っていると。

 七十年前と社会の状況は大きく変わっていて、外国人保護の法的根拠というのをちゃんと定めた上で、どういうときに保護するのか、それとも保護しないのかも含めて、やはりちゃんとした分かりやすい法的根拠と基準というのを作って地方に示さないと、これは地方が困っちゃうんじゃないかというふうに思います。

 通知に基づく暫定措置というのをいつまで続けるつもりでしょうか、大臣。

武見国務大臣 生活に困窮する外国人については、永住者等の一定の在留資格を有する場合は、行政措置として、生活保護の取扱いに準じた保護を行うこととしております。一般的に、国民の権利を制限し又は義務を課することのない限りは、必ずしも法律の根拠を必要とするものではないと承知しておりまして、生活に困窮する外国人については生活保護に準じた保護を行うものであるため、行政措置としてこの実施をしております。

 生活保護法は、憲法二十五条の理念に基づいて日本国民を対象と定めておりまして、外国人の生存権保障の責任は、一義的にはその者が属する国が負うべきという考え方に立っております。しかしながら、人道上の観点から保護を行っているものでございまして、このことを踏まえれば、行政措置にとどまるべきものであると考えます。

 外国人に対する生活保護についての平成二十六年七月の最高裁判決、これでは、外国人が生活保護法の適用対象に含まれないと判示するとともに、外国人については行政措置による事実上の保護の対象となり得るにとどまるとしておりまして、現行の行政措置による外国人の保護についての取扱いを否定したものではないと承知しております。

大西(健)委員 そのことは分かっているんですけれども、結局、昭和二十九年という七十年前の通知でやっている。そして、それは全部自治体に、おまえらでやれと言われて、考えてやれと言われているので、それは自治体が困っちゃっているんですよ。だから、そこだけは是非考えていただきたいなというふうに思います。

 終わります。

新谷委員長 次に、山井和則君。

山井委員 三十分間、質問をさせていただきます。前半二十分間は、今の大西議員などの続きの紅こうじサプリ、機能性表示食品の問題、そして最後十分ぐらい、悪質ホストクラブの被害、海外売春の問題などを質問させていただきたいと思います。

 言うまでもなく、機能性表示食品の問題は消費者庁さんと厚労省さんにまたがっておるわけですけれども、ここは、申し訳ありませんが、厚労委員会ですので、メインの質問は武見大臣になると思いますので、答えられる範囲で、是非前向きに答えていただければと思います。

 まず、昨日、武見大臣、お忙しい中、時間を取って、私たちの申入れ、簡単に言いますと、今国会中に少なくとも、この機能性表示食品の被害の報告義務、今回二か月遅れたわけですけれども、それを速やかにする、そういう法律的な義務づけ、法改正を今国会でやってほしいと。もちろんなかなか大変な話だというのは私たちも分かっておりますけれども、人の命と健康、安全性に関わる話ですし、私も今朝、ある女性の方から、私、毎日、機能性表示食品のサプリメントをたくさん飲んでいるんだけれども、山井さん、これは飲んでいいんですか、飲んで悪いんですか、どうしたらいいんですか、飲むのをやめているんですけれども、どうなんですかといって聞かれまして、全国の方々で機能性表示食品のサプリメントを飲んでいる方が、これは安全なのかどうなのか、はっきりしてよという思いはあると思うんです。

 私も機能性表示食品のものを飲んだりしていることはありますし、それで救われる方もおられると思いますが、やはり今回、私たちが、少なくとも報告義務を速やかにかけるべきだというふうに思いますし、例えば、今日の配付資料でも入れさせていただきましたが、昨日の読売新聞の社説ですね、十四ページ。迅速な報告義務を義務づけよ、どの段階で報告しなければならないか曖昧だ、法的な義務づけもない、判断を企業任せにせず、ルールを法的に義務づけるべきだということですから、これは、五月末に改善案を作りました、実施するのは秋です、年末ですでは済まなくて、私たちも大西さんを座長としてこの見直しのPTを立ち上げておりますので、議員立法の案を私たちも提出して、超党派でできれば成立させるか、また、政府、厚労省、消費者庁と協力して何らかの法改正につなげていきたいというふうに思っております。

 そこでなんですが、この機能性表示食品の問題が割と重要かつ重たい話なのは、アベノミクスの成長戦略の目玉なんですね、ここの配付資料にもありますように、一ページ目。健康食品の機能性表示を解禁すると、二〇一三年六月五日、安倍総理が宣言された。さらに、私は、非常に、ちょっとひっかかっておりますのは、このラストの言い分なんですね、ここ。目指すのは、世界並みではありません、むしろ、世界最先端です、世界一企業が活躍しやすい国の実現、それが安倍内閣の方針ですと。

 私も、日本の経済活性化、企業がもっと活躍しやすい社会にせねばならないという部分に関しては、安倍総理の思いに共感するところはあります。しかし、ちょっと安全性の担保が緩過ぎたんじゃないか。

 具体的に申し上げますが、これも配付資料の次のページに入れておりますが、これは法律改正は伴わずやっているんですね。これについては井坂議員が先日もう国会で確認をされましたけれども、法改正じゃなくて制度改正でやったわけです。そして、そのときに、この規制改革会議の検討結果では、ここに書いてあるように、ダイエタリーサプリメント制度を参考にしたということがもう当時から言われているわけですね、配付資料の二ページ。

 それで、じゃ、アメリカのダイエタリーサプリメント法、制度を参考にしたんですねということで、じゃ、同じものをつくったのかなということで私も調べてみましたら、また次の配付資料を見ていただきたいんですけれども、配付資料の七ページにありますように、これは前回も言いましたのではしょりますけれども、一九九四年にダイエタリーサプリメント法ができて、そのときは報告義務はなかったんですよ。それが、残念ながら、今日の配付資料にもありますように、この四ページ、百五名の死亡者が残念ながら健康被害で出て、これはやはり速やかに報告させないと駄目だということで、二〇〇六年に法律で報告義務を書き込んだんですよね。

 私の大きな疑念は、そういう反省を基にした、ダイエタリーサプリメント法が報告義務を、百五人の方が死亡された結果、入れたのに、なぜそれを参考にした日本の制度で報告義務が法的に入らなかったのかということなんです。

 そこで、かつ、これも井坂議員に教えてもらったんですけれども、配付資料の十ページと十一ページ。そもそも、世界の流れで、このような健康食品、健康補助食品を届出制にしている国というのは、ここにありますように、配付資料の十一ページですね、アメリカのダイエタリーサプリメント制度と機能性表示食品、この二つなのではないかというふうに思うんです。

 これについては、九ページにも、当時の消費者庁の検討会、こう言われているんですね。許認可の主体につきましては、EC、EFSAなどが示しておりますけれども、全て公的機関が管理しているというものでありまして、アメリカのダイエタリーサプリメント制度のように事業者責任でできるというものではありませんと。ヨーロッパは国が関与しているんですね。ところが、世界でアメリカ、日本だけが届出。

 武見大臣にお伺いしたいんですけれども、確認なんですけれども、届出でこういう健康補助食品をやっているというのは、結局、私たちが把握している範囲ではアメリカのダイエタリーサプリメント制度と日本の機能性表示食品の二つぐらいしかないんじゃないかと思いますが、確認ですが、武見大臣、いかがですか。

武見国務大臣 機能性表示食品の安全確認のルールについて、国際比較に関わる調査は十分まだしておりませんので、実際に即答することは大変難しゅうございますが、ただ、委員の御指摘のとおり、ルールとしては比較的緩いルールで今日まで来ていたのだろうというふうにも思います。

山井委員 消費者庁さん、端的にお答えください。それだけでいいです、ちょっと時間がないので。

 世界の先進国で届出制でこういう健康補助食品制度をやっているのは、日本の機能性表示食品とアメリカ以外にありますか。あるかないか、端的に答えてください。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 世界全体の制度について網羅的に調査したわけではございませんけれども、企業の責任において機能性評価の情報を届出をすることによっていわゆるヘルスクレームを行うという制度で、実際に運用を行っているのは米国と我が国ということでございます。

山井委員 このことについては先日も井坂議員がもう確認をされていて、これは、ちょっと繰り返し言いますけれども、アメリカと日本しかなくて、おまけにアメリカの方が厳しいんですよ、法的報告義務が入っていて。

 さらに、もう一つ、これも大西議員がおっしゃっていることですけれども、GMP、適正製造基準について、そういうしっかりと製造工程の責任を持つということの義務化、これも配付資料の十二ページにありますが、ここにありますように、アメリカは義務になっているんですよ。日本は任意なんですよ。この点においても、アメリカのダイエタリーサプリメント法よりも日本の方が緩いんですね。

 武見大臣、先ほど少し御答弁いただきましたけれども、これはちょっと言いづらいけれども、制度を全否定するわけじゃないけれども、まさに厚生労働大臣、厚生労働省、食品衛生法を管轄する、食品衛生、安全性の面からいくと、健康補助食品、サプリメントに関して、やはりこの機能性表示食品制度というのは、厚労大臣に聞くんですから、安全性、食品衛生、食品の安全性の見地からいうと、最も世界でも緩い制度に結果的にはなっているんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 現行法の中でも、今般の紅こうじを原料とする製品を含む食品について、もし健康被害あるいはそれを疑われるような事案が発生した場合には、食品衛生法第五十一条に基づいて、健康被害が発生した場合、事業者は自治体へ報告に努めることとされております。この場合に、まだ罰則はございません。それからまた、厚生労働省としては、錠剤やカプセル錠等の健康食品について、ガイドラインにおいて、民間のGMP認証を受けることを推奨しております。

 その上で、今回の事案の発生を受けて、三月二十九日の関係閣僚会議における官房長官の厚生労働省に対する御指示を踏まえまして、当面の対処としては、国立医薬品食品衛生研究所と連携をして、とにかくこの原因究明、それから因果関係の究明、これを徹底的にした上で、新たなルール化の在り方について考えていきたいと思います。

山井委員 つまり、武見大臣おっしゃったように、食品衛生法も、義務じゃなくて努力義務にすぎない。さらにGMPも、強く推奨するだけで義務じゃない。アメリカより劣っている。

 これは私も、偉そうに質問していますけれども、一週間前ぐらいまで知りませんでした。だから、私も、当時、機能性表示食品が導入されたときにこういうことを言ったらよかったんだけれども、本当、おわびをしますが、私も世界の国際比較も知りませんでしたし、やはり私自身も反省しながら、でも、今こういう、残念ながら五名の方がお亡くなりになったので、質問と要望をさせてもらっているんですよね。

 やはり、こういうことが問題になった以上、今国会中に変えていかねばと思うんですけれども、大西座長の下、今、私たちも議員立法を提出を目指して検討していますけれども、幾つかの選択肢があります。食品表示法でやるのか、食品衛生法でやるのか、幾つかの選択肢は検討中ですけれども、あえて、私が今考えている一案、私が今考えている選択肢の中の一つを申し上げたいと思うんですけれども、武見大臣、やはり、食品衛生法改正で、厚生労働省が乗り出すべきだと思うんです。もっと具体的に言いますと、食品衛生法の中に機能性表示食品というものを位置づけて、少なくとも報告の法的義務を課す、最低限この法改正はやる必要があると思うんです。

 こういうことを言う理由は、一つは、これは食品の安全性の話ですから、食品表示法において食品の安全性の担保の議論を入れるというのは、できなくはないけれども、ちょっと筋が違うんじゃないかというのが一つ。

 それと、正直言いまして、今回も五名の方が亡くなられて、百数十人が入院して、厚生労働省が乗り出して、大変な御努力を今してくださっているんですよね。やはり、これを機に、私は、機能性表示食品に関して、消費者庁さんもすばらしい取組はしてくださっていますけれども、やはり安全性が弱かったということは否定できないので、厚労省がやはりかんでいく、関与していく、口出しをしていくということは、安全性ですから、繰り返し言いますが、消費者庁さんは表示制度ですから、そういう意味でも、厚労省がかんでいく、口出しをしていくということでも、筋としては食品衛生法改正がふさわしいんじゃないか。このことについては、別に我が党一党でやる気はありませんから、与野党協力して、こういうことも私は取り組んでいきたいと思うんです。

 今の、ちょっと一つの提案ですけれども、食品衛生法改正で、少なくともそこで機能性表示食品に関しては法的義務を入れる、こういうふうなことを、消費者庁と協力しながら、厚労省も出張っていってやるべきじゃないかと思いますが、武見大臣、いかがですか。

武見国務大臣 厚生労働省としては、食品衛生法が、食品の安全性確保のために必要な規制等を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を未然に防ぎ、国民の健康を保護することを目的とした法体系であります。これを基本にして、今回の事案に関しましても、関係省庁と連携して原因をしっかりと究明した上で、やはり、エビデンスに基づいて、再発防止のために、この食品衛生法体系においていかなる施策が必要か、しっかりと検討していきたいと思います。

山井委員 今、エビデンスに基づいてという話がありましたが、先ほども柚木議員が質問されましたけれども、私も、これもびっくりしました。柚木さんの資料の十三ページだけれども、揺らぐ機能性表示食品への信頼、薄い科学的根拠で論文採択率九割。私も大学院で、バイオ、生物科学、酵母菌の研究をして、それも修士論文に作って、仲間とともに査読つきの論文を作っていましたよ。そういう立場からすると、ここに書いてあるような、言っちゃ悪いけれども、信頼性の低い論文に基づいて機能性表示食品が行われている。

 繰り返し言いますけれども、消費者庁さんも頑張ってくださっています。私は敬意を表します。しかし、武見大臣、今、今回の見直しで一番問われているのは、機能性表示食品の弱点であった安全性のところにかんでいくのは、これは厚生労働省の仕事じゃないんですか。安全性というのは、消費者庁、担当じゃないでしょう。医薬品食品研究所も今回、紅こうじサプリのことを調査してくださっていますけれども、研究機関を持っているのもまさに厚労省じゃないですか、はっきり言いまして。繰り返し言いますが、私、別に消費者庁を責めているんじゃない。でも、消費者庁は食品表示なんですよ。安全性のことをやれといっても、やはりそれはちょっと無理があるんですよ。

 そういう意味では、今回の見直しにおいて、食品衛生法にするなり、私たちの党も、食品衛生法にするのか食品表示法にするのか決めているわけじゃありませんよ。でも、やはり一つ言いたいのは、これを機に、厚労省がこの機能性表示食品というものに関して安全性の面から関与していく、これをしないと、言っちゃなんですけれども、消費者庁だけの枠で安全性を確保します、確保しますと言っても、今、医師の中島議員がおっしゃったように、無理なんですよ、それはそもそも。いかがですか、武見大臣。

武見国務大臣 私ども、あくまでも、食品衛生法に基づいて、食品全般に関わる安全管理に関して国民の健康を守る立場にあります。

 機能性表示食品の制度というのは消費者庁の所轄であるために、その在り方について私の方からとやかく言えるような立場では実はありませんけれども、しかし、食品として、その安全性を今後どのように確保していくかということについては、これは関係各省庁と連携して、その原因をしっかりと究明した上で、先ほど何度も申し上げておりますけれども、報告の仕方も含めて、ガバナンスの在り方についてもきちんと精査をして、そしてルールの在り方というものを考える必要がある、こう思って、改めて、その原因をしっかりと解明していった上で、そのルールというものについての御議論をさせていただきたいと思います。

山井委員 この場は厚労委員会で、お医者さんや看護師の方もたくさんおられますし、恐らく、今の私の意見、党派を超えて、この厚労委員会の方々は、超党派で多くの方が賛同されるんじゃないかと思うんです。

 それで、それに関連して、今日の配付資料四ページ、これも武見大臣にあえて確認したいんですけれども、つまり、機能性表示食品というのは、機能性及び安全性について国による評価を受けたものではないということですよね、これはもちろん書いてある。ところが、今朝も、ある女性の方から言われたけれども、いや、国が責任を持っているんでしょう、機能性表示食品を売っている以上は、お墨つきを与えると言われましたけれども。

 結局、武見大臣、機能性と安全性については、機能性表示食品というのは国は責任は持っていないんですよね、確認ですが。

武見国務大臣 これは消費者庁の所轄の食品ということになります。食品全般に対する所轄は、食品衛生法を通じて、厚労省という立場でこれを所轄する、こういう立場にございます。

山井委員 だから、これは本当に、ほとんどのサプリメントを飲んでいる国民の皆さんは、機能性表示食品が、安全性と機能性、有効性について国は責任を持っていないということは知らないと思うんですよね。やはりこういうこともきっちりと正直に言っていく必要があると思います。

 それでは、後半、悪質ホストクラブの被害の問題について質問させていただきたいと思います。

 このことに関しては、去年から、武見大臣については大変前向きな答弁をいただきまして、それで、精力的に窓口をつくって取り組んでいただいております。

 そして、先日も、ブローカーですね、三年間で三百人、海外売春をあっせんしたと。これは職業安定法違反ですから、逮捕の容疑は。そういう意味では、厚生労働省さんも協力していただいて、この配付資料の十六ページ、左、三年間で三百人、海外売春をさせて、その多くの方々がホストからの借金返済などを迫られていたということで、容疑は職安法違反、風俗や売春をあっせんしたという、厚生労働省の協力によって逮捕されたんです。そのことについては、本当に私は武見大臣にも感謝をしております。

 しかし、その右のページにもありますように、英語は通じず、時には暴力も、海外売春経験の女性、命の危険を感じた。なぜ、そこまでして行ったのかというと、結局、歌舞伎町、ホストクラブに通い、多額の借金を抱えた、するとホストは、海外売春のエージェントを名のる男性を紹介してきた、こういうことなんですね。さらに、その下、配付資料にありますように、お姫様扱いしてくれた、女子高生が売掛金のために売春、そして、十八歳になったら結婚しよう、将来結婚しようということで、結局、高校生は六百万円もホストのために金をつぎ込まされたということなんですね。

 それで、私も日頃から、青少年を守る父母の会、青母連の玄さんや田中さん、また、被害者の支援活動に取り組んでおられるぱっぷすの皆さんからもお話をお聞きしておりますし、今日も、被害者の支援をされている方々、傍聴にもお越しをいただいております。

 私も昨日、念のため、今日質問するので、歌舞伎町、晩、行ってみましたけれども、残念ながら、何人かの女性の方の話を聞いたけれども、実際、売掛金、自主規制になっているけれども、売り掛け、まだやっているという話を残念ながら聞きましたし、やはり大久保公園周辺で、いわゆる性を売らざるを得ない女性の方々、立ちんぼという言葉を私は使いません。これは強いられているわけですから、ホストやそういう人たちの借金に追われて。そういう人たちが、昨日も、私が少し見ただけで十数人、晩、立っておられました。残念ながら、武見大臣を先頭に、また警察庁さんも頑張っていただいているけれども、なかなか減っていないんですね。

 それでは、武見大臣、やはり今まで以上に、こういう悪質ホスト対策、特に売春、風俗へのあっせんは職安法違反で逮捕案件ですから、力を入れて取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。

武見国務大臣 悪質なホストクラブで背負った借金の返済のために女性が売春などをするような問題というのは、法に基づき、これはもう適切にしっかりと対応がなされるべきであって、この厚労委員会で委員の御指摘を受けて、改めて、こんなやつらがいたのかということが、私も実は本当に、ある意味で責任を感じました。

 したがいまして、既に警察において様々な法律に基づく検挙、取締り、指導などが行われておりますけれども、厚生労働省としても、御指摘のような恋愛感情を利用した手法を用いることも含め、性風俗や売春の仕事を紹介することは職業安定法違反に当たることをQアンドAの形で整理をし、厚生労働省のホームページやSNS、自治体主催の会合等の場等において周知をしておるところでございます。

 職業安定法に違反した違法なあっせんにより女性が有害業務に就く被害に遭わないように、引き続き、警察と連携をして適切に対応してまいりたいと思います。

山井委員 これは、残念ながら全国に被害は広がっております。青母連の方々の話を聞いても、被害相談もどんどん増えていると。

 実際、今日の配付資料にもありますように、これは、私も読むのもはばかられるけれども、初回無料にしているんですよ、お客さんが今減っているから、国会で取り上げられて。初回無料、飲み放題とか、例えば初回無料で三杯無料とかで、無料にしているんですね。

 それで、初回、行ったら、これは報道されていますよ、十八ページ。二人で会いたい、ゆっくりまた、長くいられる時間の方が俺的にはベストとホストが言ってくると。朝ドラに出ている、清楚キャラでしょう、次の日休みとかで朝まで一緒にいられる日、ホテルじゃないよ、お互い余り知らんやん、だから一緒に長くいられる時間の方が俺的にはベスト。それで、女子高生に関しては、俺が一生いる、十八歳になったら、ホストを辞めるから結婚しようと言われた。結局、それに対して、逮捕されたこのホストは、ナンパを装い声をかけた、彼女のような気分にさせ、店に足を運ばせたと。

 これ、悪質ですよね。よく、だまされる女性が悪いという意見があるんですけれども、そうじゃないんですよ。巧妙かつ組織的に、女子高生に六百万円ですよ。これは非常識を超えていて、私はやはり、これはもう犯罪ですよ、明らかに。これは海外売春で、この業者だけで三百人ですから。千人を超える人が海外売春に行って、このままいくと、殺人事件、誘拐事件、行方不明が必ず出ますよ。日本人の女性が海外に行ったら、今、海外の入管が止めているんですよ、売春婦ですかといって。世界の恥です。

 こういう海外売春も多くのきっかけが悪質ホストの借金ですから、この海外売春についても強く、女性をじゃなくて、そういうブローカーたちを取り締まっていくということを答弁いただけませんか。

武見国務大臣 こうした事案は本当にあってはならないことでありますから、厚生労働省としても、警察としっかりと連携をして、その取締りを図っていきたいというふうに思います。

山井委員 こちらの配付資料のラスト、おとついの晩、見ていたら、十九ページ、ニュース23という番組で、高校生が六百万円払わされたということに関してアンケート調査をやったら、やはり、取締り強化は一七%で、法改正をというのが六一%なんです。最後やはり女性の方々を守れるのは法律なんですね。

 武見大臣も東京選挙区であられるわけですよね。私も、正直に言いますけれども、十数回行かせていただきました。歌舞伎町に行って、多くの被害者の方々の話、またホストの人や、またホストクラブの経営者の話も聞きました。でも、別に、言いづらいけれども、良質なホストクラブはちょっとあえておいておきます。やはり、こういう法外な売掛金なり前払いをさせるようなところに関しては、これは法規制をもっと厳しくする意義があると思うんです。

 そこで、武見大臣にお願いなんですけれども、是非一度、これはもう本当に深刻過ぎる問題ですから、そういう被害者の方々に会って話を聞いていただきたい。そして、東京が御地元の選挙区であるわけですから、一度、晩、やはり職業安定法の担当大臣として一度この現実を、ちょっと歌舞伎町に視察に行っていただけませんか。

 世界の観光客が、歌舞伎町に来て、日本の若い女の子というのはこういうふうに数多く売春をやっているんだなと、観光名所になっているんですよ、観光名所に。無法地帯ですよ、一歩間違うと。被害者の話を聞いていただきたい。あるいは、歌舞伎町に一回足を運んでいただきたい。いかがでしょうか。

武見国務大臣 この案件に関しては私も本当に心を痛めておりますので、もし被害者の方のお話を直接伺えるということであれば、しっかり伺う機会をつくらせていただきたいと思います。

山井委員 今、相談窓口もつくっていただいて、厚労省が窓口で、多くの御相談にも乗っていただいているんですね。これはもう当然、党派関係ない問題だと思いますし、繰り返し言いますけれども、今回この悪徳ブローカーが捕まったのは職安法違反ですからね。厚生労働省のお力もあって捕まえていただいたんですから、すごく武見大臣には私は期待しておりますので、是非一度、現地に行っていただけるのか、いただけないのか、ちょっとそれはさておきまして、とにかく被害者の方の声を聞いていただければと思いますし、最後になりますけれども、先ほど言ったように、やはりこれは今の法律の力では限界があるんじゃないかということで、法改正も私たちは今検討しているんです。

 これについて、一般的な見解で結構ですけれども、やはりここまで、数千人規模の女性の方々があっせんをされている状況で、法改正も検討すべきだと私たちは議員の立場で思っておりますが、それについてコメントを最後にお願いします。

武見国務大臣 現在の職業安定法に基づいても、現行の対応のようなことは確実にできておりますので、まずは現行法の中で、運用を通じて徹底的に、どこまでこういう課題について取り締まれるか、突き詰めてみたいと思います。

山井委員 時間が来ました。終わります。ありがとうございました。

新谷委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

新谷委員長 速記を起こしてください。

 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、機能性表示食品の安全性ルール、それから、後半は少子化対策について伺います。

 まず、配付資料の一番、御覧ください。先ほど山井議員も示しておられた資料で、機能性表示の制度、日本だけでなく、アメリカ、EU、中国、韓国、ASEAN、世界各国にあるけれども、結局、届出制、国が関与せず企業任せな届出制は日本とアメリカしかないということまでは事実上お認めをいただいております。

 さらに、アメリカも機能性表示については日本と同じようになっているんですが、事安全性、機能性表示食品の安全性、サプリの安全性ということについては、アメリカはGMPも義務化をされている、報告も義務化をされている。

 また、今回、小林製薬の紅こうじサプリは、僅か二年の食経験、日本でも食べられていますよという、それをもって安全だと届け出ていたわけでありますが、アメリカ始め各国は、二十五年以上食経験がなければ安全というふうにはみなさない、こういった、ほとんどあらゆる面で、安全性に関しては日本よりもアメリカの方がはるかに高い基準で規制をしているわけであります。

 大臣、先ほど、日本は比較的緩いという答弁はおっしゃっていただきましたけれども、改めて厳しくここは伺いますが、今見ていただいたとおり、そもそも届出制は日米だけ、アメリカは安全性に関してはどの面を取っても日本よりも安全性の基準は厳しい。大臣、これは世界一緩いということ、この危機感を共有していただけますでしょうか。まず、そこから議論を始めたいと思います。

武見国務大臣 今回の小林製薬の紅こうじを原料とする事案につきましては、その報告の在り方を含めて、やはり今回かなり、安全性を確保するための様々な分野におけるルールというものが不十分であったということを私は認識をしております。

井坂委員 大臣の口から世界一緩いということはなかなか答弁していただきにくいんだと思いますが、こうして客観的に見れば、世界一緩いと言っても間違いない状態だというふうに思います。

 日本は、安全性試験のレベルにも非常に問題があります。安全性試験というのは、別にこの試験をやったらいいという簡単なものではなくて、試験方法とか試験の期間、あるいは試験の対象となる人数とかネズミの数とか、そういうやり方によってその信頼性が大きく変わってまいります。だからこそ、OECDは、化学物質の安全性を評価するための国際的に合意された試験方法を、OECDテストガイドラインとして世界標準でまとめているわけであります。

 ところが、今回、小林製薬が紅こうじサプリの届出に記載をした安全性試験は、対象とするマウスや人の数あるいは投与する量などなど、OECDテストガイドラインから大きく逸脱した、信頼性の低い試験だったということが専門家から指摘をされています。

 参考人に伺いますが、単に何々試験で安全性を確認しましたという試験名だけ書いて安全だというような届出をさせるのではなく、信頼性の低い試験を安全性の根拠として今のように記載させるのはむしろ有害である、きちんとOECDテストガイドラインに沿った試験しか記載できないようにすべきではないでしょうか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員御指摘のOECDテストガイドラインにつきましては、化学物質やその混合物を対象として、物理化学的性質、生態系への影響、生物分解及び生物濃縮、並びにヒト健康影響などに関する知見を得るための国際的に合意された試験法を規定しているものであるというふうに承知しております。

 他方で、機能性表示食品の対象食品は、サプリメント形状の加工食品はございますけれども、それ以外の加工食品あるいは生鮮食品、食品全般でございます。こうしたOECDのテストガイドラインが対象としている化学物質やその混合物に即した対応が求められるものではないのではないかというふうに認識しております。

 したがいまして、この制度におきましては、運用指針におきまして、安全性評価に関し、フローチャートを示し、届出をしようとする食品の安全性については、まず食経験の評価を行うということでございます。ただ、食経験に関する情報が不十分である場合には、既存情報により安全性の評価を行って、食経験及び既存情報による安全性の評価でも不十分な場合には、安全性試験を実施して安全性の評価を行うということを前提にしてございます。

 いずれにしましても、この五月末までの方向性を取りまとめる官房長官からの御指示を受けまして、この度、専門家で構成されます機能性表示食品を巡る検討会を来週にも開催することとしております。こういった中で、エビデンスに基づいて、いかなる施策が必要か、スピード感を持って検討してまいりたいと思います。

井坂委員 ちょっと今、大臣、今の答弁を聞いて、簡単に受け止めをお聞きしたいんですけれども、例えばエビデンスでっち上げ会社みたいなのがいたりとか、あるいは論文九割受け付けますみたいなジャーナルがあったり、今日お話ししたように、そもそも世界的にはこれでちゃんとした試験とは認められないようなもの、届出制なんですよ、だから、中身を国がチェックしていないんです。届出制にもかかわらず、安全ですよと企業が書いていることの、その安全の信頼性が極めて低くても全く問題なく許されてしまう、これはさすがに問題があると思いませんか、大臣。

武見国務大臣 今回の事案を通じて、安全性の確保についてのルールが各種レベルで不十分であったという認識を持つ中の一つで、そうした認識をも持つようになったわけであります、委員御指摘のような。

 しかし、あくまでもやはりこれは原因を究明して、そして物質に関わる原因究明とそれから因果関係に関わる原因究明、こういったことをきちんと徹底してサイエンスに基づいて分析をし、さらにその上に、ガバナンスに関わる体制で安全性をどう担保するかということも考えて、そしてその上で、再発防止そして国民の健康を守るためのルールというものを、やはりきちんとこれを整備していくというのが、私たちが今取り組まなければならない基本的な姿勢だというふうに私は思っております。

井坂委員 ちょっと通告の三番を飛ばして四番に今の流れで行きたいと思うんですが、もちろん、原因究明をして、エビデンスに基づいて再発防止策を打つ、これは大事だと思います。ただ、再発防止はもちろん大事なんですけれども、それだけでは不十分だというふうに思います。

 今申し上げたような、安全性試験のレベルが極めて低いという問題、もしかしたら、今回の小林製薬の紅こうじサプリのことを調べても、それが直接の原因ではない可能性もあります。だからといって、じゃ、再発防止策、今回の件の再発防止策には、今私が申し上げたような、届出なのに安全性の信頼性が非常に低いというような問題は関係ないかもしれないけれども、ただ、これは厳然として制度の穴としては残っているわけです。今回の事件が、たまたまそこに原因がなかったかもしれないだけであって。

 大臣、伺いますが、今回の機能性表示食品の制度、これは発足当初からそして今日に至るまで、いろいろな専門家から、制度に問題がある、穴があるということは数多く指摘をされております。今回はたまたま、数ある落とし穴の一つにはまって事件が起こりましたけれども、じゃ、その穴だけ調べて、その穴だけ塞いだらいいのかといったら、それは絶対そんなことにはなりません。

 大臣にこれは通告どおり伺いますが、今後検討する法改正では、今回の事件の原因を調査して再発防止をするだけでなく、制度当初から指摘されてきた問題、特に安全性に関わる問題をまとめて解消していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 機能性表示食品制度の今後の在り方については、これは所轄する消費者庁に対して、三月二十九日、関係閣僚会合で官房長官からか、今後の在り方等について検討しておくべきこと、それを五月末までにまとめることが指示されておりますので、まずそれはそちらの方できちんとやってくださるものと思います。

 その上で、厚生労働省としては、国立医薬品食品衛生研究所と連携しながら、それから大阪市とも緊密に連携を取り合っているんですね、こういったところで原因究明にまずしっかり取り組んで、そして関係各省庁とも連携しながら、今度、我が省の場合には、食品衛生法体系の中でどのような対応が必要かということをそこで考えていきたいというふうに思います。

井坂委員 ちょっと答弁が最後微妙に戻ったと思うんですが、今回の原因究明、そしてそれに基づく再発防止、それはそれできちんとやっていただきたいです。

 私が今お聞きしたのは、今回の原因とかその再発防止からは離れて、今回の事件とは関係ないけれども明らかにおかしいですよねという、今申し上げたような安全性レベルが低過ぎるとかいう話、あるいはいろいろな専門家がいろいろ指摘してきた制度そのものの欠陥、ここも、原因究明とか再発防止とは全然違う話であってもやっていただきたいということなんです。そこを明確にお答えいただきたいと思います。

武見国務大臣 まさに今回の事案を通じて、安全性に関わるルールを再度見直すという極めて大事なことをこれからやらなければならないというふうに私は思っておりますので、まずは所轄するのは消費者庁でありますけれども、食品全般に関わる安全性に関しては食品衛生法を通じて厚生労働省が所轄しておりますから、その立場から、私どもとしては、実際にこうした再発防止、特定の再発防止ではなくて、安全性に関わる確保ということをやはりきちんと考えていきたいと思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 通告の五番ですけれども、医薬品でも一般食品でもない、今回まさに事件が起こったようなサプリメントのようないわば中間的な存在、ここについて安全性を取り締まる新しいルールが必要ではないかという通告を事前に出しましたが、先ほどほかの議員もまさにこれを聞いてやり取りしておられましたので、ちょっと更問いをさせていただきたいと思います。

 大臣、やはり普通に考えて、食品扱いにもう無理があるんじゃないかということなんですよ、サプリメントについては。機能性表示食品といって、やはり食品の扱い。元々は、多分、何か特定の地域の昔から食べられているちょっと変わった野菜か何かで、それを売り込みたくて、このお野菜は珍しい上においしくて、なおかつ、何かちょっと健康にこういう機能もあるんですよみたいな、そういうことだったら機能性表示食品でいいんですけれども、今出回っているものというのは、カプセルに入って、体に特定の影響がある成分が濃縮されて、しかもパッケージには一日三錠飲んでくださいとか書いてあるわけですよ。これを食品という扱いで安全性を担保するのは、私はもう無理があると考えています。

 手本にしたアメリカの法律は、これはやはりサプリメントの法律なんですよ。だから、きちんと高いレベルの安全性、届出制ではあるけれども、届出にするにしても、ちゃんとここまでやった上で届け出てくださいねというルールが作れているんです。

 こんな毎日特定の成分ばかり、しかも明らかに体に影響があると分かっている成分を、しかも同じ会社の同じ製品を朝昼晩、何か月も何年も飲むなんて、そんな食品、大臣、ないですよね、そんな食品は。やはりただの食品とサプリメントは違うのではないかという認識をお持ちかどうか、お聞きしたいと思います。

武見国務大臣 この辺は、まさに医薬品と食品というのを一体どういうふうに分けて考えるかという議論になってくるだろうと思います。基本的には、食品として機能性表示食品は分けられていて、そして食品衛生法が食品全般に関わる安全性の確保について考える、こういう組立てになってきているわけであります。

 しかし、機能性表示食品というものについて、今回、非常に安全性を問われる深刻な問題が起きたことはもう事実であります。二度とこのようなことが起きないように、新たなルールを考えることは必然だというふうに私も思います。

 ただ、その上で、食品として機能性表示食品というものが国民の健康というものを増進するのに所定の役割を担い、そして国民からもかなり歓迎をされているからゆえに市場というものが形成されているんだろうと思います。したがって、そのニーズというものもきちんと受け止めながら、しかし、科学的な根拠に基づいてその安全性を確保していくということを食品という枠組みの中でも考えてみるということが必要であったということで、この機能性表示食品というのが生まれたんだろうと思います。

 したがって、その食品というものの中で、実際に安全性をいかに確保するかということをやはり考えていくということが基本になっていくのではないかなと私は今考えております。

井坂委員 端的にお聞きしますが、要は、これだけ事件があって、サプリと食品は私は明らかに違うと思いますが、大臣は、今後もサプリは食品という扱いで安全性を担保すべきだ、サプリと食品を分ける、いわゆる医薬品と食品の間にサプリメントのような中間的なカテゴリーを設けて別の規制体系を設けるということは、全く必要ないと考えておられるのか。

 私は、やはりそれも検討の射程に入れるべきだと思いますよ。検討して、最後、いや、もっといいやり方があるというんだったら私はそれで構いませんが、それを検討すらしない、ずっと食品のままでいくんだということでは駄目だと思いますから、そういう第三カテゴリーも当然検討の射程には入るということで御答弁いただきたいと思います。

武見国務大臣 私が申し上げているのは、食品と医薬品というふうに二分法的に分けると食品だろうけれども、しかし、実際にはグレーゾーンというのが存在していて、それがサプリメントというものなんだろうというふうに思います。

 したがって、そのサプリメントというものについて、今、食品衛生法であるとか機能性表示食品という枠組みの中で、再度、もう一度そのルール、在り方を考えてみようと。しかし、それを考えるに当たっては、今回の事案に係る原因と因果関係をきちんと究明して、サイエンスに基づいてしっかりとこれからのルールを考えてみようというのが私の考えです。

井坂委員 是非、厚生労働省ですから、安全性ということにきちんと責任を持って今後の制度を考えていただきたいと期待を申し上げます。

 次に、少子化対策についてテーマを移したいと思います。

 大臣、今の議論でもエビデンスが大事と繰り返しおっしゃっていて、私も、昨年の予算委員会から、エビデンスと数値目標に基づく少子化対策が大事だということで議論、提案を重ねてまいりました。

 私、先週、子ども・子育て支援法の質疑を加藤少子化担当大臣とさせていただいたんですが、出生率の目標はありますかと聞くと、そんな目標数値を設定すべきではないんだという答弁であります。この間、唯一答弁しているのは、二〇三〇年代に入るまで、少子化のトレンドを反転させるという曖昧な目標であります。

 ちょっと、通告の六番、時間ないので飛ばしますが、配付資料の二番、二枚目を御覧いただきたいと思います。これは、政府の少子化対策の中心であるこども大綱の数値目標であります。全部で十二の数値目標がありますけれども、出生率、出生数はおろか、およそ子供が増えるような目標は一つもないわけであります。しかも、エビデンスというよりは、全て国民や子供たちがどう思うかというアンケートに、七割がそうだと思うというような、全部そういう指標であります。

 右側の方にちっちゃく指標とあって、その中に出生率、出生数はあるんですが、これは全部で六十種類ぐらいある指標の片隅にあって、しかも、これが増えたらいいというわけでもなくて、現状把握のために時々出生率もチェックしましょう、そういう位置づけであります。

 いつの間にか少子化対策が子育て支援策になってしまい、出生率の目標数値は掲げるべきではないという議論になってしまいました。子育て政策としてはそれでよいのかもしれませんが、少子化対策としては、これは十分に成果が出る進め方ではないと考えます。

 そもそも、子育て支援と少子化対策というのは違いますから。夫婦が子供を何人産むかというのは少子化の原因の三割にすぎなくて、残りは結婚するかしないか、早いか遅いかという結婚問題だ、結婚問題が少子化の原因の七割だ、こう言う専門家もいらっしゃるぐらいであります。

 大臣に伺いますが、子育て支援というのは少子化対策に必要な政策の一つにすぎません。ですから、まさに人口問題を所管する厚生労働大臣として、こども大綱、子育て支援策の数値目標、KPIの上位に、少子化対策全体の数値目標、KPIを設け、そして出生率の目標数値をやはり少子化対策の成果測定のために掲げるべきではないでしょうか。

武見国務大臣 一般論として、エビデンスに基づいて政策を立案、評価、改善するための、先生も御指摘になっておられるというKPI、これはキー・パフォーマンス・インディケーションというやつですが、これを設定することは私は重要だというふうに思います。

 その上で、少子化対策については、今後、こども家庭庁において、加速化プランに盛り込まれた施策等のKPIを設定するというものと承知をしております。

 改めて、こうした子供、子育ての分野と少子化対策というのは、確かに別ではありますが、非常に深く相互に関係し合っていることも事実でありますので、この両者をいかに上手に組み合わせて、若い夫婦が安心して、そして有意義に楽しくお子様方を産み育てることができるという社会を私どもはつくっていかなきゃいけないと思います。

井坂委員 関係あるのはそのとおりなんですが、何かもう今、少子化対策といったら子育て支援になってしまっていて、しかも、じゃ、子育て支援が少子化対策なんですかといったら、もう違いますみたいな議論になっているわけですよ、子育て支援側の答弁では。

 さっき見ていただいたのも、こどもまんなか社会を目指すということで、もう全然、少子化対策の政策体系ではないんですよね。だからこそ、今、もう平時ではないので、少子化対策を国を挙げて何とかしましょうと言っているときに、それは、子育て支援はその全体の半分ぐらいの話であって、残りは、子育て支援じゃない、まだ結婚していない、まだ子供を持っていない若い人たちに対する政策でなければ、少子化は解消もしないし、そういう全体像を持っていない限り、そしてちゃんと少子化を解消するんだという数値目標を持っていない限り、こんなものは過去三十年と一緒で何も進まないと思う次第であります。

 ちょっと八番、九番を飛ばしまして、通告の十番に行きますけれども、エビデンスに基づく少子化対策ということで、配付資料の三番を御覧いただきたいと思います。赤線を引いた、過去三十年間の初婚率の低下量を要因分解したところ、初婚率の低下の約五割は見合い結婚の減少、初婚率の低下の残りの五割のうち四割は職場結婚の減少によって説明できる、こういうデータもあるわけです。これはまさに厚労省の人口問題研究所の論文であります。

 伺いますけれども、仮にこういう実態、こういうデータがあるのであれば、まずここを何とかしようと考えるのも素直な政策だと思います。信頼できる人からの紹介あるいは職場での御縁を増やす、こういう政策を考えることはないんでしょうか。伺います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘のあったような状況を踏まえまして、こども家庭庁といたしましては、地方自治体による未婚者に対する出会いの機会、場の提供などの取組を、地域少子化対策重点推進交付金により支援をしておるというところでございます。

 この交付金におきましては、特に重点的に推進すべき取組といたしまして、結婚支援ボランティアの積極的な育成と活用を位置づけておるというところでございまして、この中で、地域の仲人業の方々とも連携した伴走型の結婚支援も進めていただけるようにしておるというところでございます。

 また、併せて、都道府県の結婚支援センターの運営も支援しておりまして、これらのセンターにおきましては、企業、団体間でのマッチング支援など、職場と職場の関係を活用した出会い支援を行っている例もあるというところでございます。

井坂委員 今おっしゃった地域少子化対策交付金、これは、予算、補正も合わせて百億円なんですよね。この政策自体はもちろん取り組んでおられることは存じておりますが、今回、三・六兆円、少子化対策の名の下に、主に子育て支援をやって、しかも、支援金を現役世代から徴収するということで非常に議論になっているわけであります。

 その三・六兆円という子育て支援の予算と、この結婚支援、僅か百億円。これも全部結婚支援に使われるわけではありませんから、二桁少ないんじゃないかと。もしエビデンスに本当に基づいて政策を選ぶのであれば、これは二桁少ないのではないかというふうにも思います。

 同じような話で、配付資料の四番を御覧いただきたいと思います。これも厚労省の資料ですが、夫の休日の家事、育児時間が少なければ少ないほど、二人目の子供を産む割合が減ってしまうというデータであります。

 これも伺いますけれども、もしこういうデータがあるのであれば、じゃ、夫の休日の家事時間を増やそう、そのために何か予算をつけて政策を考えよう、こういう取組はございますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生がおっしゃるように、夫の休日の家事時間が増えるほど、第二子以降の出生割合が増えるというデータがあることは承知しておるところでございまして、政府におきましては、こども未来戦略の加速化プランに基づき、国際的に見ても低水準にある夫の家事、育児関連時間を増やすなどの、共働き、共育ての推進に取り組んでおるということでございます。

 また、女性への家事、育児等の無償労働時間の偏りでありますとか、それらの根底にある固定的な役割分担意識など、構造的な課題の解消に向けまして、固定的な役割分担意識や無意識の思い込みを払拭するための啓発活動に取り組んでおるところでございます。

 また、先ほど申し上げました地域少子化対策重点推進交付金によりまして、地方自治体の行う男性の家事、育児参画促進のための講座や研修などの実施も支援しておるところでございます。

井坂委員 当然、休日の男性の家事、育児を増やしましょうということで、様々な啓発をやっておられることは、これはよいことだというふうに思います。

 ただ、大臣も聞いていただきましたように、やはり啓発なんですよ。予算も本当に微々たるものなんです。もし、エビデンス、しかも少子化待ったなしとおっしゃるのであれば、厚労省で、さっき申し上げたような人口問題研究所の分析とかこういうデータがあるのであれば、素直に、例えば、夫の休日の家事の時間が増えれば二人目の子供は増える、だったら、夫の休日の家事時間をどう増やすのかという素直な発想で政策を打つ、予算をつける。

 例えばこれは思いつきで、これをやれという提案ではないですけれども、例えば夫婦で、旦那さんも家事を頑張りましょうキャンペーンみたいなものを、子供が年間八十万人生まれますよね、その子がゼロ歳から三歳になる間のどこかの年、一年でいいから、旦那さんが毎週、週末に四時間なり六時間、家事、育児をしますと。奥さんがそれを見て、今週もやったと何かラジオ体操のスタンプみたいなのを押して、それが半年続いたら二万円上げるから二人でディナーへ行ってくださいとか、一年続いたら四万円上げるから旅行へ行ってくださいとか、お金をかければ、しかもインセンティブをきちんと設計すれば、そんな啓発とかいう柔らかなレベルではなくて、本当に夫が土日にしっかりとまとまった時間に育児、家事するということは可能だと思うんですね。

 大臣にお聞きしたいのは、これは通告どおりですけれども、要は、エビデンスに基づいた少子化対策、大事です。こうなったら少子化が解消されるというデータが幾つかあるわけですから、だったら、じゃ、こうなったらのこう、今でいったら夫の家事時間を増やす、あるいは職場やお見合いの出会いの機会を増やす、こういうところにもっとダイレクトに政策を考えることが必要なんじゃないでしょうか。

 何か、余り根拠なく、よさそうだということを長年やってきて、結果の測定もせずに今に至っているという危機感が私にはありますから、お互いエビデンスが大事だという問題意識は完全に一致しておりますから、その観点からお答えをいただきたいと思います。

武見国務大臣 エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングという、そのエビデンスというのについては、まさに統計学なども活用をしてデータをきちんと確保して、そして、その科学的な検証を踏まえてエビデンスというのは形成されてくるべきものだというふうに思います。その上で、まさにエビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングというものをやはり常に心がけるというのが私の基本姿勢です。

 その上で、こども未来戦略などに位置づけられた施策についても、こうした進捗状況を把握するための指標を設定した上で評価、改善していくこととされており、特にPDCAというこのサイクルをきちんとつくりながら推進されていくものと承知をしております。

井坂委員 大臣、最後におっしゃった、子供、子育て関連の政策がきちんとエビデンスで進捗管理されているとおっしゃいましたけれども、その肝腎な進捗管理の指標がさっき見ていただいたようなものなんですよ。少子化対策にどれだけ利いたかというような指標体系には、もう全くなっていないんです。だから、あの指標体系に基づいて、それはエビデンスベーストには違いないけれども、少子化対策のエビデンスベーストの進捗管理にはなっていないんですよ、もう現状、既に。

 だから、冒頭、少子化対策のKPIが必要ではないですか、子育てに今特化し過ぎているから、子育てとそれ以外は半々なんだから、こっちの部分ももっと予算と知恵を割いてやるべきではないですかという大きな話を申し上げておりますので、最後のその御答弁では私は今日終われませんから、ちょっと、今申し上げたことで再答弁をお願いしたいと思います。

武見国務大臣 私はごく一般的に申し上げたことでありますけれども、実際に、個別の少子化対策とかそういったケースの中でのエビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングというものについては、常に向上させるように努力をしながら政策というのは立案されるべきものであります。

 様々な御指摘があることは私も理解しておりますので、実際にエビデンスというのは固定したものではなくて、常に、新しい要素が入ればそれをきちんと考慮して新しいものにしていくという姿勢も、実はエビデンスをつくるときには大事な基本姿勢の一つであります。

 したがって、それを考えながらしっかりと深化をさせて、そしてエビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングという観点で政策に取り組むというのが私の基本的な考え方で、それは委員が今まで御指摘になっていることとそう違いはないだろうと理解しております。

井坂委員 終わりますが、要は、エビデンスのあるところにしっかりと政策や予算を投入していただきたいということと、それをやった結果をきちんと測定をして次なるエビデンスをつくっていただきたいということを申し上げましたので、是非お願いをしたいと申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

新谷委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今、立憲民主党の委員の皆様から紅こうじの話がずっとございました。大臣には、先日も横山大阪市長にお会いをいただきまして、質問いたしません、先日も、横山大阪市長が東京に参って、大臣のお時間を頂戴して、大臣とそれから横山大阪市長でしっかり連携を、元々連携を取っていただいているわけですが、直接会って連携をいただいていることに感謝を申し上げたいと思います。

 そういう意味では、私たち日本維新の会は、この紅こうじ問題は与党でありまして、市長を出しているわけですから、だから、そうした意味では、大臣と同じ立場でしっかり取り組んでいきたいと思います。これまでこの場では紅こうじ問題を取り上げておりませんが、そうした観点から、与党としてちょっと研究を今しているところでありまして、そういう中で、本当にどういう対応が必要なのか、しっかり私たちも議論していきたいし、来週水曜日には、紅こうじ、集中と言っていいのかな、紅こうじを特に取り上げる一般質疑の機会があるということですので、またその場で私も大臣にいろいろお聞きをしたいと思います。

 今、国会では、やはり子供、子育て、少子化対策法案、これが今国会最大のマターであるとともに、今ちょうど最終盤の佳境を迎えています。

 ほぼ勝負はついたという意見もあるし、そう言うと結構怒られるんです、足立は諦めたのかと。まだ終わっていないじゃないか、戦えということですが、ほぼ終わっていまして、これは、我々も実は修正協議のアプローチを与党に対して、これは余り言い過ぎると、国対的な取組は余り表で言いませんから、余り表で言い過ぎると怒られますが、実際に我が党の担当者から与党の担当者に修正協議を持ちかけておりました。

 相当真剣なやり取りがあったんですが、我が党としては、もう協議しないということで、別の修正、まあ修正といっても、だって、協議しないんだから修正案じゃないんですけれども、私たちはこう考えるという言いっ放しの案を今用意をしているようですので、それで、残念ながら、単に反対して終わりということになりそうでありますが、ちょっと爪痕を残しておきたいということで、懲りずに、今日も取り上げるし、来週の火曜日にはまた対総理質疑があります。これは一谷委員が地こデジ特委の理事として、また午後には私も加藤大臣に質問をしていく。最後まで、まあ諦めているんですけれども、諦めずに質問していきたいと思います。

 ちょっとちゃんと通告できていなかったかもしれないんですが、もう一回、誰でもいいというか、熊木さんが分かれば、大臣でもいいんですが、熊木さんかな。要は、熊木さん、簡単な話で、今回、支援金を使って取り組む少子化対策は支出がありますね、給付等をするわけです。それはいわゆる社会保険給付ではない、社会保険給付としてではない。もちろん、受益だということを総理はおっしゃっているわけですけれども、国民の受益、関係者の受益なんだけれども、それは社会保険給付ではない。いいですね。結論だけでいいですよ。

熊木政府参考人 結論的に申し上げますと、社会保険上の保険給付という構成ではございません。

足立委員 こういう端的な御答弁がいいんですよね。やはり国民の皆様も、長い答弁を聞いていると、一体どこが答弁なのかよく分からなくなってきて煙に巻かれちゃいますから、熊木室長は極めて聡明で、かつダイレクトに仕事をしていただいていますので、今の御答弁、感謝を申し上げます。

 そこで、厚生労働省、これは事務方で結構です。細かいことですので、大臣は聞いておいていただいたらいいと思いますが、いわゆるこれまでの医療保険や介護保険において、集めた社会保険料のうち、社会保険給付ではないものに支出をしているケースは多少あると思います。どれぐらいの割合ですか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 医療保険制度におけるものについては、収入と支出がございます。それで、今、御質問については支出についてということだと思いますが、これは保険制度ごとによって違いますので、ちょっと幾つか代表例を申し上げたいと思います。

 まず、協会けんぽ、これは中小企業のサラリーマンの方が入る代表的な保険ですけれども、収入が、保険料収入が約十・九兆円、それから公費収入が一・二兆円であるのに対して、保険給付費という支出は六・七兆、それから後期高齢者支援金が二・二兆、前期高齢者納付金が一・六兆、介護納付金が一・〇兆となってございます。

 それから、地域保険の代表としまして、市町村国保がございます。市町村国保の場合は、保険料収入が二・五兆円、公費収入が五・一兆円、それから、前期高齢者の交付金という形で、これはもらう金額ですけれども、収入ですけれども、三・八兆円であるのに対して、支出は、保険給付費が八・八兆円、後期高齢者支援金が一・六兆円、介護納付金が〇・六兆円となってございます。

 それから、介護保険制度についてちょっと御説明しますと、介護保険制度の場合は、まず収入が、一号保険料収入が二・四兆円、二号保険料収入相当分が二・九兆円、公費収入が六・二兆円であるのに対して、支出は、保険給付費が十・四兆円、それから、地域支援事業費という形で、保険給付ではございませんが、サービスの費用として〇・五兆円となってございます。

足立委員 今、伊原局長から御答弁いただいた内容、例えば、後期高齢者支援金、前期高齢者納付金とおっしゃいました。例えば後期高齢者支援金は、今おっしゃった保険給付費とは別建てになっていますが、この後期高齢者支援金は、後期高齢者医療制度に入った上で、またそれは後期高齢者向けの医療サービスに使われているわけですね。それは保険給付費とは言わない。言わないという、そういう表は私も持っていますから分かるんですが、でも、それは保険給付ですよね、国民的にいえば。

 そうした意味で、保険給付費に使われているものの割合をイメージしたいというのが私の今日の質問なんですけれども、質問の趣旨は分かりますか。それは数字として出ないですか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 多分、先生の御質問の趣旨は、医療保険制度全体と見たときに、医療の給付として出たものは全部給付と見て、それ以外のものに使われているものはどのぐらいかということだと思います。

 ちょっと手元に具体的な数字はございませんけれども、医療保険の場合は、保険給付以外には保健事業という形で予防活動とかそうした事業がございまして、それはそれなりの規模でございますけれども、中心は医療サービスとしての保険給付だ、そういうふうに考えます。

足立委員 今、伊原局長から、中心はとおっしゃっていただいた。当たり前ですよね、保険なんだから。受益と負担、給付と負担、それが軸にあるわけですから、中心は保険給付費だと、これはもう当たり前です。昨日も鹿沼さんに、昨日お答えをいただいて、連合審査会で鹿沼統括官に、ほとんどはとおっしゃっていただいた。

 大臣、だから、これはもう当たり前なんですよ。こんなことをわざわざこうやって詰めなあかんところに、なかなか政治、行政の難しいところがあるわけでありますが、中心は、ほとんどは、保険料は保険給付に使う、当たり前なんですよね。

 だから、大臣、もう一回、昨日は御答弁いただけなかった。私が大臣から聞きたいのは、社会保険料は社会保険給付に使うのが原則ではないかと。原則だ、ゲンソクダ、五文字で結構です。お願いします。

武見国務大臣 保険局長からも統括審議官からも、ほとんどはとか、それから中心はとか、こういう表現をさせていただいておりますので、まさにそういう表現の中で実際に給付として使われているというところがあって、それを私が昨日でしたか、お話し申し上げたのは、特に人口構造の変化の中で、高齢者を対象としたそうした保険給付というものに加えて、改めて今度は少子化対策という観点からの給付の在り方というものも考えなければならない時代背景に入ったので、そうした対応を今回はさせていただいているんだ、こう申しておるわけであります。

足立委員 大臣の御答弁を私も大変重要だと思っていて、まさに大きな社会経済状況の中で、端的に言うと少子高齢化が進展する中で、そういう御判断を自公政権としてされているということです。だから、これは私は、苦し紛れの足下の例外的な取組かなとずっと思っていたんですよ。岸田総理があほなこと言うから……(発言する者あり)いや、あほなことですよ。あ、ごめんなさい、委員長、大丈夫です。国民の皆様にあほかと言われるようなことを総理が言っているからだと思っていたんですよ。

 そうしたら、どうもこれは確信犯だなと。何か総理から言われているからやっているんじゃなくて、これは、これがやはり道なんだと。だから大臣も、もうこれでいこうと。だから、何か足下でどうじゃなくて、この流れ、すなわち社会保険料を少子化対策に使っていく流れは、消費税を使う流れは三党合意、それから八%に上げるときにできた、今回は保険料を少子化対策に使う流れをこの法律でつくる。これは何か苦し紛れではなくて、そういう時代に入ったんだと、もう胸を張ってやるんだということですね。

武見国務大臣 先ほどから申し上げているとおり、高齢化対策というのも引き続き重要であることはもう明らかでありますから、それに加えて、こうした少子化対策という観点で、この社会保険の方式の枠組みの中で新たに対応するという考え方で整理されていると思います。

足立委員 立憲民主党の皆様も、頭はもう井坂さん以外はみんな紅こうじ一色ですから、この話はもうほぼ終戦です。だから、熊木さん、もう完敗ですよ、今回は。野党は完敗、だってもう決まっているんだから、日程は。そのときに、決まっていないかもしれないけれども、私の私見としては決まっていると思うわけですが、実は、昨年はもうちょっと空気が違ったんです。

 昨年の四月には、あ、五月、四月。昨年の四月には、柚木委員の質問に対して加藤厚労大臣がこうおっしゃっています。現在の社会保険制度は、年金、医療、介護、それぞれ制度が設立をされ、そして、そこに必要なサービスに均衡するように保険料の徴収をさせていただいているわけでありますから、そうした枠組みの中で、他に流用する余地はそもそもないということを私は言っているんだと。

 翌月、五月にも、大西健介委員の質問に対して、先日のテレビ番組で申し上げた趣旨は、テレビでもいろいろおっしゃっていて、今の社会保険制度、年金は年金、医療は医療、介護は介護といったそれぞれの制度の中で保険料を徴収し、そして必要なそれぞれのサービスを提供しているわけであります。その保険料の水準は、まさに給付と負担が均衡する形で決められているという中で、現行の保険料を他に流用する余地はないし、またそういうものでもない。

 はっきりとそこは抵抗をされていたわけでありますが、もう武見大臣は、これは内閣の方針ですから、もう答弁を求めませんが、私は、この質疑を通して国民の皆様にやはり伝えておく必要がある。今回の法案は大きな路線転換なんです。昨年、加藤大臣がおっしゃっていたことと、今、武見大臣がおっしゃっていることは明らかに路線転換であると私は思うので、これはやはり国民の皆様に、それぐらい大事な法案が通ろうとしているんだということは、是非これは国民が知っておくべきだと。別にいいですね、答弁は。答弁したい、いいですね。知っておいていただきたいと思います。

 ただ、なぜ、じゃ、我々が抵抗しているのか。これはやはり、本気で少子化対策をやろう、あるいは本気で日本の経済社会の在り方を議論すると、単に何に使うかという歳出面だけじゃなくて、歳入面、いわゆる税や保険料という歳入面での構造も、だって、負担構造だって経済社会に影響を与える、だから皆さんは消費税を入れたんでしょう。だから、負担構造というのはむちゃくちゃ大事なんですよ。だから、歳出構造だけじゃなくて、負担構造、歳入構造についても、少子高齢化時代にマッチした形に我々は大改革をしていく必要があるということで結党したわけです。そうした私たちの立場からいうと、今回の法案の取扱いは敗北であるということを認めざるを得ないわけであります。

 大臣に通告させていただいている、四、五という形で通告させていただいている、四に通告させていただいているのは、まさに今の転換だということをもうちょっとファクトベースで言うと、今までは、加藤前大臣がおっしゃっていたように、給付と負担、受益と負担を守るために、この保険の原理というものを守るために、医療なら医療、介護なら介護、医療の中に税金を入れてきたんですよ。税金を入れる形で、保険料の給付と負担を守ってきたわけです。

 でも、今回は逆でしょう。社会保険料を社会保険給付以外に使うんです。全く逆のベクトルを今回は日本というシステムの中に取り込もうとしているんですね。そこは、大臣、お認めになりますね。

武見国務大臣 一つの大きな転換ということであれば、私は、負担の在り方について、かなり大胆に応能負担という考え方を今回組み込んできたことは極めて重要なポイントだと思います。この点、先ほどから、大きな転換期だ、こうおっしゃったけれども、その点、私は、この応能負担という負担の在り方をより大きく取り入れたことによって、議論はこれから更に広がってくることになるだろうと思っております。

足立委員 今、大臣が、今というか再三おっしゃっているこの応能負担、先日も議論させていただきましたが、私も全く同感でありましてというか、むしろ、私の持論だということであります。

 もちろん、応能負担というのは非常に難しい。だからこそ、大臣には、河野大臣に任せておくんじゃなくて、ここは、マイナ保険証は当然なんだけれども、実は、マイナ保険証や、要は、政府が進めているDX、デジタル、医療も含めた、あるいは介護、障害、どこでもそうです、そういったものを推進していく実はインフラ部分があって、それはマイナンバーだと、これは大臣もやっている。

 ところが、繰り返しになりますが、社会保障の受益と負担、給付と負担の大きな制度体系の中に応能負担という大臣の今のおっしゃっていることを入れていこうとすると、マイナンバーがあるだけでは駄目なんです。マイナンバーは今もうあるんだから。もうフル活用しています。でも、そこに、国民の所得のみならず、資産についてもそこにきっちりとひもづけをしていかなければ、国民の皆様の中でどの方がお困りで、どの方が余裕があるのか、一切今は、一切というか、今は所得面だけしか捕捉できていないわけですね。

 だから、生活保護から、社会保険から、そして少子化対策まで、私は、日本という、日本の経済社会をこれからも維持していく、それから日本の繁栄をこれからも守っていくためには、やはりそこは、今申し上げた、マイナンバー、資産とひもづけをする、こういうことにしっかり取り組んでいく必要がある。

 でも、政府はまだそれを決めていないということですから、大臣、そこは、別に今日は、やりますとは言えないけれども、でも、閣内でそこはもう一押し頑張るということで、決意だけいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 私は前々から、やはり負担の在り方を考えたときに、税金と保険料と患者負担という枠組みで今まで議論をしたけれども、その中で、応能負担という考え方をより大きくこれからは取り入れる、そういう必要性が出てきているという認識を持っております。

 そして、その応能負担の在り方については、是非、委員ともしっかりと議論もさせていただいて、その在り方を深めていくということをさせていただければと思います。

足立委員 時間が来ましたので終わりますが、国民の皆様に、今何が起こっているか知っていただくことが最後の私の役割ですので、今日、そして来週、頑張っていきたいと思います。

 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 私からは、医薬品の保険適用について質問していきたいんですけれども、これは過去にもいろいろ議論されていると思います。後の花粉症にも続くんですけれども、まあ私自身も花粉症で悩まされているんですけれども。

 アレグラの薬なんですが、これは市販でも販売をされていると思います。一方で、医療機関にかかると、これまた同じようにアレグラが処方されている、こういう現象が起こっているんですけれども、結果として、本来であれば、市販の薬であれば個人的に購入もすることができるんですけれども、一方で、医薬品の処方箋としてこれも提供されている。つまり、医療費が上がっていくんだということなんですけれども。

 実際、市販品がある場合でも、医者に行って処方してもらうということはよくあると思います。この点についてどのような捉え方をしているのか、お尋ねしたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 市販薬、我々はOTC医薬品と呼んでおりますけれども、これは、人体に対する作用が著しくないものであって、医師による必要性の判断や薬剤選択、用量調整等を必要とせず、使用者が自らの判断により薬局等で購入し、使用する医薬品、こうなっております。

 一方、我が国では、このOTC医薬品と同一の有効成分を含む医療用医薬品の場合ですけれども、効能、効果や用法、用量、患者の重篤性が異なる場合もあるものですから、現在の医療保険制度では、お医者さんが患者の状態に応じて必要かつ適切と判断された場合には保険診療とする考えの下で保険適用の対象にしている、こういうことでございます。

遠藤(良)委員 大臣にお尋ねしたいんですけれども、一方で、やはり同じ薬であれば、例えば風邪であれば医者にかかったりしますけれども、CMでも、ばんばん風邪薬のCM等が出ていると思います。こういった市販もされている医薬品の保険適用を一方で見直していくべきだというふうに思うんですけれども、その辺り、どのようなお考えか、お尋ねします。

武見国務大臣 市販品類似の医薬品については、昨年末閣議決定された改革工程においても、引き続き検討を行うこととなっております。

 医療上の必要性に応じて適切な医薬品を選択できるよう担保するという保険適用の考え方や、同一の成分であっても、医療用と市販用では期待される効果等が異なる場合があることから、保険適用の対象外とすることについては一定の課題があると考えているところもあります。

 他方で、厚生労働省としては、これまでも、セルフメディケーションの促進の観点から、スイッチOTCの推進に向けて、審査期間の目標を設定するとともに、薬剤の自己負担に関しては、イノベーションを推進する観点から、患者自身の希望で例えば長期収載品を選択した場合には選択療養とするということを新たに導入をいたしまして、今年十月から施行することになっております。

 少子高齢化の進展により、今後、医療保険財政がより厳しくなることが見込まれる中にあって、医療保険制度の持続可能性を確保する観点から、必要な見直しを行っていくことは重要であります。改革工程を踏まえて、薬剤の自己負担の在り方を含む適切な保険給付の在り方について、引き続き検討していきたいと思います。

遠藤(良)委員 今大臣から、十月から自己負担額が、先発医薬品を使用する患者の自己負担が増えるということです。選択療養とせずに、先発医薬品でも患者負担追加なしということも後でちょっと質問したいんですけれども。

 ジェネリックが普及してきて、現在のシェアは八〇%を超えたということなんですけれども、この後発医薬品の使用が自己負担が増えることで進んでいくんじゃないかということが期待されると思うんですけれども、後発医薬品の使用が進むと、各都道府県も、これは事前のレクでも聞いたんですけれども、各都道府県でこの使用の違いもあるということなんですが、どの程度後発医薬品の使用が進むと考えられているのか、お尋ねしたいと思います。

内山政府参考人 後発医薬品の使用促進を図るために、後発医薬品の数量シェアにつきましては、全ての都道府県で八〇%以上という目標を定め、全国で後発医薬品の使用を進めてきた結果でございまして、この結果、令和五年九月時点で、先ほど御指摘のあったように、全国のシェアでは八〇・二%というふうになってございます。

 この後発医薬品の促進につきましては、今御指摘のありましたように、都道府県別で差があることもありまして、二〇二四年度から新たな目標を定めまして、まず、医療機関が現場で具体的に取り組みやすい目標として、現行の数量ベースの目標、全ての都道府県で八〇%というのは継続するとともに、後発医薬品の使用促進による医療費の適正化を不断に進めていくという観点から、新たに金額ベースでの副次目標、六五%以上を設定することとしてございます。

 この新たな目標に沿った取組につきましては、都道府県ごとに薬効分類別等で数量シェア、金額シェアを示し、取組を促進すべき領域を明らかにするほか、バイオシミラーの使用促進を図っていくための包括的な取組方針を新たにお示しするなどしてございまして、関係者が具体的に取り組みやすいようにし、後発医薬品の使用促進を更に図ってまいりたいというふうに思ってございます。

遠藤(良)委員 このシェアの低いところに対してはどういうふうに対応していくのかという課題があると思うんですけれども、一方で、この中でも抜け道になる可能性を指摘したいんですけれども、先発医薬品を使用する患者の自己負担増加で、医師が医療上の必要を認める場合には、選定療養とはせず、先発医薬品でも患者の追加負担なしでできるということなんです。

 確認したいんですが、つまりこれは、大臣にお尋ねしたいんですけれども、患者がどうしてもこれまでの薬を使いたいという場合には、この追加に当たらないのかどうか、確認したいと思います。

武見国務大臣 骨太の方針の二〇二三を踏まえて、イノベーションを推進するために、既に特許が切れて価格が安い後発医薬品が存在する先発医薬品である長期収載品について、今年十月より保険給付の在り方を見直すということになります。

 具体的には、医療上の必要が認められる場合には保険給付を行うことといたします。それから、患者自身の希望で長期収載品を選択した場合については、一部の費用を選定療養と位置づけ、自己負担を求める、こういう考え方であります。

 御指摘の医療上の必要性については、患者ごとに医師が判断することになりますけれども、今般、処方箋様式の改正を行いまして、長期収載品を処方する理由について、医療上の必要か患者希望か明確に記載するようにするなど、適切に運営されるように工夫をしているところでございます。したがいまして、委員御指摘のような事案が生じずに円滑にこの仕組みが施行されるように、周知徹底して取り組んでいきたいと思います。

遠藤(良)委員 是非これはそういう形で進めていただいて、一方で、医師が医療上の必要を認める場合ということの、今もう条件もおっしゃっていただきましたけれども、患者の中でも、どうしてもこれを使いたいんだということをお医者さんと一緒に話をしながら、で、追加負担なしでということを、そういうことも多分現場ではあると思いますので、是非厳格に対応していただきたいんですけれども。

 一方で、後発医薬品の不足が深刻な問題になっているというところがあって、大臣が所信で、少量多品目生産といった非効率な製造が行われている産業構造上の課題解決などに取り組むとおっしゃっているんですけれども、後発医薬品の普及に当たっては、品質管理も必要だと思いますし、一方で生産規模の拡大が必要である。生産規模の拡大の課題についてどういうふうに取り組んでいるのか、教えていただきたいと思います。

内山政府参考人 後発医薬品の製造管理、品質管理や安定供給体制の確保には一定のコストがかかり、更に生産効率の向上を図っていくためには、御指摘のように、一定程度の規模で生産や品質管理等を行っていくための体制を構築すること、これが重要だというふうに考えてございます。

 このためには、企業間の品目統合により少量多品目構造を適正化したり、品質管理部門等において企業間の協業による効率化を図るなど、後発医薬品企業間の連携協力により、生産効率、収益性の向上、生産能力の強化を推進していくことが考えられるというふうに考えてございます。

 後発医薬品産業を安定供給が確保できる産業構造へと変革するための対策につきまして、有識者の検討会の議論も踏まえ、あらゆる手段を一連のパッケージとして取りまとめ、一定の集中改革期間の中で包括的に対策を講じていき、構造改革を強力に進めていきたいというふうに考えてございます。

遠藤(良)委員 是非この件に関しては、市販薬があるのに処方される薬にどれだけの医療費が使われているのかとか、こういった調査を、実際、検証、調査していくという必要性を指摘したいと思います。

 ちょっと次の質問に移りたいんですけれども、花粉症という話を冒頭させていただいたんですが、前回、厚生労働委員会で、以前、花粉症について質問を様々させていただいたときに、舌下免疫療法の中の質問をした際に、舌下錠の内服を終了した後いつまで効果が継続するのかについては、今後、事態を見ながら評価をしていく必要があるという御答弁をいただいたんですが、この舌下免疫療法の効果について、その後何らかの知見が加わっているのかどうか、確認したいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 舌下免疫療法はアレルゲンの免疫療法の一つでありまして、アレルギーの原因でありますアレルゲン物質をごく少量ずつ舌下で継続的に投与することにより、特定のアレルギーに対して体が反応しないようにするための治療でございます。

 先生御指摘のように、この効果につきましては、ガイドラインを、この度、先月改定をいたしまして、これまでのガイドラインですと、ハウスダストに対する効果、これは書かれていたんですけれども、今般改定をした中で、杉花粉に関しまして、長期の効果として、三年間服薬した後、二年間は症状を抑えるという臨床の研究結果が出ましたので、その旨を追記をさせていただいております。

 引き続き、関係学会と連携して情報収集に努めたいと思っております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 議連で、四月八日、超党派花粉症議連に出席して、その際のお話も伺ったんですけれども、三年間使用したら二年間は使わなくてもいいということが出ているんだということなんですけれども、少し質問を飛ばさせていただくんですけれども、杉花粉米という話も出ていて、そこで、杉花粉米を食べ続けると通常の米の人たちに比べて杉花粉への反応が低下したというデータがあるんだということなんですけれども、このお米の、杉花粉米の実用の見通しというのが現状どういう見通しなのか、お尋ねしたいと思います。

東野政府参考人 お答え申し上げます。

 杉花粉米は、杉花粉症の症状を緩和することを目的に、遺伝子組み換え技術を用いて開発されたものでございます。杉花粉米につきまして、これまでの臨床研究では、人への効果や摂取方法に関するデータが十分でないこと、原料の安定生産などにも課題があることなどが指摘をされております。

 このため、令和六年一月に、関係省庁、研究機関、製薬業界、植物工場の関係者などの参画を得まして、スギ花粉米の実用化に向けた官民連携検討会を設置いたしまして、実用化に向けた課題や解決策の整理、ロードマップの検討などを行っているところでございます。本年五月を目途に中間取りまとめを行い、官民連携の下、早期実用化に向けて必要な取組を進めてまいります。

遠藤(良)委員 杉花粉米というのは結構可能性があるんじゃないかというのを思っていて、今の米の消費というのは、一九六〇年代から考えると、二〇二二年度で、当時は百二十キロ近く年間一人当たり米が消費されていたのが、今はもう五十キロ近く、年間ですね、米の消費が減っているということなんですけれども、そういう意味では、こういう杉花粉米を使って、パック米であったりとか、そういう活用をしていって、一方で、さらに米の消費にもつながっていく、さらに花粉症対策にもなるんだということで、本当にこういう活用をしていくことで、舌下免疫療法に比べるとコストも下がってくる上で、さらに副作用が少ないということもあると思います。

 現状の、研究開発の段階だと思うんですけれども、杉花粉以外でも、先ほどもハウスダストの話もありましたけれども、それ以外のアレルゲン、アレルギーの元になるものの研究開発も進めて、是非進めていただきたいんですけれども、政府として花粉症対策に取り組んでいるんですけれども、大臣としてはこの取組についてどのようなお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

武見国務大臣 花粉症は、我が国の社会問題と言っても過言ではなくて、その対応は重要でございます。

 花粉症対策について、政府としては、令和五年四月から、花粉症に関する関係閣僚会議を開催をしまして、初期集中対応パッケージとして、まず発生源対策、次に飛散対策、次に発症、暴露対策の三本柱に基づいて取組を進めております。

 こうした議論を踏まえまして、厚生労働省におきましては、発症、暴露対策として、花粉症に関する診療ガイドラインの改定、それから、舌下免疫療法治療薬の増産体制の構築等の推進、花粉飛散時期の前に、飛散開始に合わせた早めの対症療法の開始が有効であることなどの情報発信などに取り組んでいるところでございます。

 引き続き、関係各省と連携しながら、自治体や研究機関とも協力をしつつ、効果的な花粉症対策にしっかりと取り組んでいきたいと思います。

遠藤(良)委員 様々な取組を政府としても取り組まれるということなんですけれども、これは別の機会にもまたお尋ねしていきたいと思います。

 最後の質問の方に移りたいんですが、介護の国際展開についてお尋ねしたいんですけれども、介護ロボットの海外展開支援で、介護ロボットは日本でも市場が拡大していっているというところなんですけれども、海外での市場シェアを獲得するために、これは今どのようなお取組をしているのか、お尋ねしたいと思います。

岩田副大臣 お答えをいたします。

 高齢化による介護サービスの需要増や介護現場の人手不足が進む中、日本では他国に先駆けて介護ロボットの開発が進んでおり、介護ロボットの海外展開は重要であります。

 海外では、介護機器と医療機器との区別がなく、医療機器の規制に対応する必要がある場合がございます。また、文化的背景や介護制度の違いなどから、日本とは異なる多様な介護ニーズが存在するものだ、このように認識しております。

 そこで、経済産業省では、海外の規制や介護現場のニーズに合わせた介護ロボットの開発や販路開拓支援に加えて、欧州の医療機器認証取得に対応するための臨床評価ガイダンスを作成、公表するなど、介護ロボットの海外展開に取り組む事業者の支援に取り組んでおります。

 今後も、これらの取組を一体的に実施をいたしまして、介護ロボットの海外展開にしっかりと支援をしてまいります。

遠藤(良)委員 介護ロボットも非常に重要なんですけれども、日本の介護保険制度というのは非常に海外としては優れているというふうに感じていまして、僕、以前、インドネシアで、初任者研修の、介護の資格、民間資格を一緒に現地の行政とつくったこともあったりとか、そういうソフト面で日本は実は強みがあったりするというふうに感じているんですけれども、国際標準化機構は二〇二五年にも介護サービスの質や安全性に関する基準を作っていくんだということで、最後にちょっと大臣にお尋ねしたいんですけれども、厚労省として、こういう経産省とも連携をしながら日本の介護の基準の反映のために取り組んでいただくということをお伝えしたいんですが、その辺り、最後、御意見をお願いします。

武見国務大臣 現在検討が進められている介護の国際規格については、自立支援、重症化防止といった我が国の介護保険制度の基本的な理念を含めて反映していくことにより、我が国の質の高い介護サービスに対する国際的な理解につながると思います。また、そうした国際理解を背景に、国内の事業者が海外に事業展開しやすくなると同時に、我が国の介護を学びたいという外国人材を呼び込むという意義があると考えております。

 介護保険制度の創設、改正などを通じて蓄積されてきた我が国の質の高い介護サービスに関する知見を国際規格の議論に生かしていくことは、これから本格的な高齢化に直面していく諸外国にとっても有意義であり、こうした国際貢献を通じてグローバル社会における我が国のプレゼンスを高めていくという観点においても極めて重要であると考えております。

 現在、国内においても、学識者や関係団体から構成される民間の委員会等においてこの国際規格に関する議論が行われている状況と承知しております。厚生労働省としても、引き続き、この議論にしっかりと関与しつつ、関係機関と連携してこの問題に取り組んでいきたいと思います。

遠藤(良)委員 是非、この日本の強み、医療、介護は日本の強みだと思いますので、世界に先駆けて取り組んでいただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

新谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

新谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岬麻紀君。

岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、早速ですけれども、通告はしておりませんが、マイナ保険証について少しお聞きできればと思っております。

 マイナ保険証の利用率の向上をするということで、厚生労働省は、利用者が増えた病院に対して最大二十万円の一時金を支給するということが明らかになりました。そこで、大臣は、本年の五月から七月までマイナ保険証利用促進の集中取組月間として、医療機関から患者へのマイナ保険証の利用の呼びかけ、またチラシの配布など、利用率の向上の取組をするとされました。

 そこで、これは一つの促進方法としてあり得るなと思いますけれども、実際にどうなのかなという不安の声であるとか、あと、これはばらまきではないのかなんという声まで少し聞こえてきております。

 大変恐縮で、大臣には通告はしておりませんけれども、昨夜、夜のニュースにもありましたので、その辺り、意義をいま一度教えていただけますでしょうか。

武見国務大臣 これは、マイナ保険証を使用してくださる方が、この集中月間中のその一か月の間に去年の十月と比較してどれだけ多くなったかという、その比較の中で、診療所は十万円まで、それから病院は二十万円まで、こういう形を整えさせていただきました。

 やはり、これからマイナ保険証というものを通じて確実に我が国の医療DXを進めていくということをしなければ、我が国の遅れたデジタル化を取り戻すことができないものですから、これは医療機関にも積極的に協力していただかなければならないと考えて行いました。

 特に、窓口で、まだマイナ保険証ではなくて保険証を出してくださいとおっしゃる医療機関の窓口が、まだあちらこちらにあるんですね。したがって、そういうところを改善していただいて、マイナ保険証を使っていただくということを窓口でも対応していただき、医療機関としてそれに対応していただけるように御協力を願いたいという観点でこうした措置を行いました。

岬委員 ありがとうございます。

 午前中の、私ども日本維新の会の足立理事もマイナンバーカードというものに触れておりますけれども、マイナンバーカード、これからのやはりデジタル社会において非常に重要であると私も認識をしております。

 ただ、このマイナンバーカード自体は、国民の約七三%が今保有している状況であります。しかし、その一方で、今年の三月時点で、マイナ保険証にしてみますと、利用率は前の月から〇・四八ポイント増えた五・四七%にとどまっております。

 健康保険証としての利用は、そうすると全体の五%程度であるということになるんですけれども、推進する側からすると、デジタル社会における医療のデジタル化が進む。ですから、電子処方箋であるとか電子カルテであるとか、その普及や活用をしていただくことによって、公的な基盤、しっかりとマイナンバーカードで管理がしていけるというふうなんですけれども、保険証として利用してもらう患者さん側というか患者さん本人の点から見てみますと、例えば薬剤ですとか診療のデータが基づいていますから、よりよい診療につながっていくんですよということだとは思います。しかし、なかなか、この多くの、あるはずのメリットが伝わっていないなという気がするんです。

 例えば、今まで、病院やクリニックへ行きます、そうすると、当たり前のように診察券と、月の初めになりますと保険証を一緒に入れて待っている、この行動パターンが皆さんしっかり身についてしまっていて、ただ、それをマイナンバー保険証に替えるだけであっても、その行動を変えていくというのはなかなか、特に高齢者の方にとってはハードルが高いのかなと思われます。

 現に、メリットを実感できていないという方が非常に多いということ、あと、変換する、替える手続など、それが面倒くさいということ、さらに、利用に当たって、これまでいろいろな不安材料があったことがまだ拭い去れないということ、そして一番は、現状に不便さを感じていないと思っている人が多いのではないかと感じるわけです。

 そこで、昨日の報道を例えにしますと、高齢者の方、リハビリに週五回、クリニックなり病院に通っているという方が医療機関でマイナンバーカードへの切替えを勧められたと。じゃ、やってみようかと思ったわけですけれども、相談しようと、市区町村の窓口にはなかなか行けない。電話で問い合わせてみたら、ホームページに載っていますと。そういう案内をされてしまうと、パソコンは持っていないし、パソコンは使えないし、よく分からない。だから、やはりもうやらないという結論になってしまうようなんです。

 そういった点で、時が流れますと、今年十二月の二日からは、従来の健康保険証、新規には発行されなくなりますね。さらに、現在の保険証の期限も最長で来年の十二月一日まででございます。結果的に、なし崩し的に、マイナ保険証がない人の不安が拭い去れないままになりかねないかと思うんです。

 そこで、改めて、マイナンバーカードの保険証というものを利用していただくことで、利用者側、国民の皆様にどんなメリットがあって、どのように必要でという部分をしっかり理解をしていただく、そして、納得をしていただいて行動に移していただくということが大変重要だと思います。

 いま一度、病院であるとかではなくて、大臣の口から、利用者側の気持ちに伝わるような、どうやってよくなっていくのか、どうして必要なのか、その辺り、もう一度発信していただけますでしょうか。

武見国務大臣 まず、細かい手続の話で恐縮ですけれども、今、マイナ保険証を実際に保有しておられる国民は、マイナ保険証を持っておられる方の四割はふだん保有してくださるようになってきています。その上で、さらに、医療機関の窓口に認証機械があれば、事前の手続必要なしに、そのまま持っていっていただければ、そこで改めて登録をしてマイナ保険証として使えるようになりますので、一々以前のように区役所に行ったりとかする必要性はもう全くありません。

 それから、多くの利点があることは既に委員御指摘のとおりであります。特に、こうした、能登半島の地震なんかがあったときにもそうだったんですけれども、実際の救急のときの患者さんの容体というものを考えたときに、改めて、事前に、どういう病歴の方であるとか、そういうことが現実に分かっていれば、救急対応の質向上に間違いなく改善されていくことになりますし、それから、実際に処方箋と電子カルテというのを一体化させていくことによって、医療機関側にとっても今度は新たなメリットがそこで生まれてくることになってまいります。

 そういうメリットというのは、一次利活用で患者さん個人にとって大変大きなメリットがあるということだけではなくて、今度はそこにまた二次利活用というものを通じて、まさに我が国の保健医療に関わるデータベースというのが幾層にも今度は形成されて、それに基づいて、我が国の医学、医療の進歩が現実に推進され、それによって、国民が受ける医療の質の向上というものが確実に図られるようになります。世界はまさにその大きな渦の中に入ってきておりまして、我が国は圧倒的に出遅れております。

 したがって、こういう二次利活用という観点からも、マイナ保険証を通じて、全国につながるこうしたプラットフォームをきちんとつくっておき、そして、国が責任を持ってその安全管理をして、一次利活用、二次利活用ができるようにさせるということは、まさに今、我が国として取り組まなければならない医療制度改革の一丁目一番地だと考えています。

岬委員 丁寧な説明をありがとうございます。

 是非、これからのデジタル社会において医療DX化もどんどん進めていくためにも、今回のこの試みがしっかりとした後押しになるように、私たちも進めていきたいと考えておりますので、急遽質問を加えさせていただきましたこと、御了承ください。

 それでは次に、大きな一の質問をちょっと飛ばしまして、まず、統合医療における音楽療法について質問をさせていただきたいと思います。

 この音楽療法ですけれども、統合医療の中の重要な治療法の一つとなっております。

 そこで、大臣、音楽療法ということ、まずは御存じだったか。そして、どんな印象をお持ちでしょうか。

武見国務大臣 かつて、私は、日野原先生という有名な先生に聖路加病院に見学に行かせていただいて、そこで音楽療法を現実にやっておられるところを拝見をいたしました。まだ科学的なエビデンスというのがどこまであるかというのは承知しておりませんけれども、明らかに患者さんのQOLというものを改善する重要な役割を果たしているというふうに、その場では確実に思いました。

岬委員 ありがとうございます。

 まさに、聖路加病院の日野原先生、私もお仕事のときにトークショーなどをさせていただいた経験があるんですけれども、その日野原先生が日本音楽療法学会というものを一番最初に立ち上げられたとも聞いております。

 さて、私も、今回これを質問に取り上げようと思ったのが、地元の名古屋市中村区で、グラウンドゴルフに御参加の高齢者の方から、ある映画を見てきたとお話を聞きました。すごくいい映画だから岬さんも是非見てきてちょうだい、小さな小さな映画館でしかやっていないけれども見てほしいということがありまして、調べて私も見てきました。この映画というのが、音楽療法士さんと患者さんとのドキュメンタリーの映画でございました。題名が「認知症と生きる希望の処方箋」という映画でございます。

 これが昨年の秋から上映されていたんですが、何と偶然にも、来週の四月十五日にここ議員会館でも上映があるということなんです。そこで、監督を始め、名古屋市中村区で活動をされていらっしゃる病院の方、そして音楽療法士さんの方もいらっしゃるということで、大変興味、関心が、機運が高まっているのかなということで今回取り上げました。

 この音楽療法ですけれども、医療や健康福祉、教育の現場で実践をされてきています。特に日本では、映画のタイトルにも入っているように、認知症の方、また認知症の予防を始め、リハビリテーションなどで心の健康を目指す治療で効果が感じられると言われています。

 そこで、質問になりますけれども、研究では、音楽が自律神経系に影響を与えて、心拍数や血圧、コルチゾール、これはストレスホルモンのレベルを調節する能力に関連をされて、音楽療法が心身と心に有益な影響を与える可能性が示されているということですが、政府として、音楽療法について現状どのような御見識、認識をされているんでしょうか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 音楽療法も含めてですが、ある特定の治療法が標準的な医療として確立し普及するためには、まずは、科学的知見に基づき、当該治療法の有効性や安全性等につきまして、当該診療領域における関係学会等において広くコンセンサスが得られることが必要であると認識しております。

岬委員 お答えありがとうございます。

 もちろん、まだまだ足りないのかもしれませんけれども、大臣もおっしゃっていただいたように、これからの一つの選択肢としては、重要な音楽療法もあるのではないかと感じます。

 また、さきに御紹介をしました映画のドキュメンタリーですけれども、私も実際に、その病院の音楽療法をやっている現場、二回ほど視察に行ってまいりました。実際、現場を見てみますと、音楽療法の利点として感じたことは、参加している方、患者さんが、体調だとかその日の心理状態、様々でいらっしゃるわけですけれども、それに応じて、能動的に音楽に参加をする参加型であったり、若しくは、受動的にただ聞いているだけ、その場にいるだけ、耳に入ってくるだけである場合もありますけれども、いずれにしても、患者さんが主となった参加スタイル、これは負担のない選択肢ということにすごく広く活用ができるのではないかなというふうに感じた次第です。

 また、調べてみますと、三重大学の佐藤准教授は、二〇一七年の論文に発表がありまして、認知症の中核症状に対する音楽療法の研究は現在進行中としながらも、先行研究を用いながら、視空間の、言語機能に効果が見られること、また社会や人間関係の改善に効果があることをまとめて、書籍である「音楽療法はどれだけ有効か 科学的根拠から探るその可能性」という著書も発行をされていらっしゃいます。

 ほかにも、東北文化学園大学の千葉さんとまた山形済生病院の林ゆうさんによる論文も発表されておりまして、認知症の高齢者の情緒の安定であるとか活動性の向上に効果が見受けられるとまとめていらっしゃいます。また、有害な影響は余りないという、そんな結論が論文でまとめられていました。

 しかし、先ほど御答弁いただきましたように、幾つかの課題もあると感じています。例えば、もちろんエビデンスの不足であるとか、多職種からのチームの一員として音楽療法士の知識と経験の蓄積がまだまだ足りないのではないか、あと、資格制度がしっかりとした国家資格ではないという問題が挙げられます。

 そこで、日本では、音楽療法士さん、国家資格にはなっていないんですが、更に調べてみますと、アメリカでは認定資格なんですけれども、社会的な地位が確立されています。また、ノルウェーでは一九九二年、イギリスでは一九九九年、オーストリアでは二〇〇八年に音楽療法士は国家資格となっております。また、日本では全国で十九校が、音楽大学、大学院を含めまして音楽療法士の育成ということに取り組んでいます。

 音楽療法士の国家資格という点も含めまして、どのような見解でしょうか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる音楽療法を行う者を法律によって国家資格化として位置づけることにつきましては、その内容の定義、療法の効果の科学的なエビデンス、国家資格として位置づけた場合には、その資質や業務を規定する必要性、医療や福祉等の関連分野における他の専門職種との関係、業務内容に関する国民からの認知と理解など、今後、幅広い観点から慎重に検討される必要があるものと考えているところでございます。

岬委員 お答えありがとうございます。

 ほぼ全員の方が音楽の癒やしの力ということは実感されていると思います。同質の原理ということで、音楽を聞いて自分の思いだとか懐かしい記憶だとかが呼び覚まされて、認知症にも効果があるのではないかと皆さんがうっすらとは感じていらっしゃると思いますので、曖昧な中ではありますけれども、音楽療法の明確な効果、分かりづらさ、価値が見出されにくいなど、いろいろな課題はあるにしても、是非これからも前向きに私は捉えていきたいなと感じております。是非よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 前回の一般質疑に続きまして、医師の問題について質問したいと思います。

 医師の労働時間の上限規制に合わせて、宿日直許可の乱発や自己研さん扱いなど、労働時間を労働時間として扱わない、こういう事態が広がっております。実際は労働時間は減っておらず、サービス残業が蔓延している。

 資料をお配りしております。これもまた、NHKに寄せられた声、サイトから抜き書きをして載せておきました。

 紹介しますと、一月の時間外労働の時間が六十時間までと通達されており、タイムカードでは明らかに超しているにもかかわらず、それが反映されないシステムになっています、あるいは、今週も帰宅は午前二時、出勤は朝七時前、時間外に換算されたのは一日三時間だけとか、月八十時間を超えると働き方改革を進めている先生から部長が怒られてしまいます、そのため実際に働いた時間よりも短い時間しか残業をつけられません、さらには、残業として申請すると病院から駄目と削られる、自己研さんとせよと言われると。どれもこれも、どう見ても労基法違反なわけですよね。

 資料の二枚目、これはついおとといの朝日新聞ですね。これは大学病院のケースですけれども、二段落目を見ますと、午前七時から入院患者を回診し、朝礼にも出席するよう指示されたが、午前八時より早い時間については時間外手当が認められなかった、終業後も、夜のカンファレンス、術後の患者の管理、研修医の指導などは申請の対象外とされた。このどれも労基法違反だと私は思います。

 医師の働き方改革でサービス残業が広がっていないのか、労基署の定期監督で位置づけて調べる必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 労働基準監督署における監督というのは定期監督として行われておりますが、医療機関も含め実施しているところであり、監督指導の際には、賃金不払い残業などの労働基準関係法令違反がないかを調査を行い、法令違反が認められた場合にはその是正を指導をいたします。

 本年四月から医師の業務に時間外労働の上限規制が適用されたことを踏まえて、今後とも、医療機関を含めて、労働基準関係法令違反が疑われる事業場の情報をしっかりと把握をして、法令違反が認められた場合には是正指導を徹底して行いたいと思います。

宮本(徹)委員 定期監督、全部回れるわけじゃないですから、日本中の事業所。でも、病院についてはしっかり位置づけて、いつもよりも比重を高めて取り組んでいただきたいと思います。

 そして、資料の三ページ目でございますけれども、これは日本産婦人科医会の調査で、分娩を扱う病院の半数が宿日直許可を取得済みか申請中だったということです。この中で、医会の勤務医委員長の関口医師はこう言っているんですね。夜間でも頻繁な診察や緊急手術があり、妊婦の経過観察も気を抜けず、休息扱いは実態とかけ離れている、こう指摘しております。

 宿日直許可の要件というのは、御存じのとおり、夜間に十分睡眠が取れることなんですね。ところが、この間、様々な報道では、一睡もできない産婦人科医のケースが、宿日直許可が出ている。要件を全く満たしていないという状況が広がっております。

 私、これはしっかり監督していただきたいと思うんですけれども、同時に、こうした過重労働が、働いているお医者さんの健康にとっても重大な問題ですけれども、あわせて、医師を過重労働から守るということは、医療ミスを防いで、国民の医療の安全にとっても不可欠だと思うんですね。その認識、大臣、ございますか。

武見国務大臣 我が国の医療は、医師の献身的な長時間労働によって支えられてきた側面というのは確実にありました。

 医師の健康を守るために、医師の業務負担を軽減して、働き方改革を推進することが重要であります。同時に、医療現場において医師が健康に働き続けることができる環境を整備することは、患者に提供される医療の質、安全を確保するためにも極めて重要であります。

 このように、医師の健康を守ることと、安全で質の高い医療を患者に提供することの、この両方の観点から、医師の長時間労働の改善を進めることは不可欠であると考えております。

宮本(徹)委員 そのとおりなんですよね。献身的な長時間労働、お医者さんが頑張って支えられてきたわけですけれども、やはり、医師の長時間労働は美徳だという考え方から抜け出す、国民の医療の安全、こういう視点が本当に大事だと思います。

 ただ、日本は二十八時間連続労働が認められているわけですよね、医師は。こういうところも改善が必要だと思います。

 その上で、宿日直許可は一旦下りてしまったら、事業者側から定期的に報告するような必要はないわけですよね。一回取ってしまったら、ある意味それっきりになっているような状況がございます。こういう運用は私は改める必要があるんじゃないかと思いますし、加えて、外部からもチェックできるように、宿日直許可の取得状況について情報公開もすべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 医療機関における宿日直許可については、特殊の措置を必要としない軽度、短時間の業務であること、それから夜間に十分な睡眠を取ることができることなどの許可基準に適合しているものに限って、労働基準監督署において許可を行っております。

 こうした許可基準に適合しているか、また適正に運用されているかについては、労働基準監督署において適切に審査、確認しているところであり、これを外部に公表してチェックしてもらうということは、今の段階ではまだ考えておりません。

 それから、いずれにしても、宿日直許可が適正に運営されるように、引き続き、実態の把握に努めるとともに、法令違反が認められた場合には、厳正にこれに対処してまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 ですけれども、前回もお話ししたように、宿日直許可が、先ほど条件は十分に夜寝られることだと大臣もおっしゃいましたけれども、寝られない病院でいっぱい出ているんですよね、この数年。

 先日、見ていましたら、四病院団体協議会の調査では、病院の約九〇%が宿日直許可を取得した、こういう直近の話もあるわけですよね。

 大体、救急車がばんばん来る急性期病院で夜間に十分睡眠が取れる、こういうことはおよそ考えられないわけであります。ですから、これはやはり本当にしっかりチェックする仕組みというのが私は必要だと思います。

 そして、先日来、ここで医師の偏在の問題も議論になっておりますけれども、診療科の偏在という問題もあるわけですよね。外科医のなり手が少ない、産婦人科医、なり手が少ない。こういうことを考えても、救急外来、産婦人科、こうした勤務医の過重労働をそのままにしていたら、そうした皆さんが勤務医を辞めて開業医になっていってしまう、そして、こうした分野のなり手の確保は厳しくなっていくのではないか。私はそういう懸念があるんですけれども、大臣、そういう認識はお持ちでしょうか。

武見国務大臣 御指摘の救急であるとか外科については、その他の診療科と比較して長時間労働となる傾向が確かにあります。委員御指摘のとおり、これらの診療科の医師を確保するためにも、勤務環境改善に取り組む必要があると考えています。

 このような中で、各医療機関においては、これまで、医師の労働時間の現状を把握した上で、タスクシフト・シェアやチーム医療の推進などを通じて労働時間短縮に取り組んでいただいてきておりまして、救急科、外科の長時間労働を行う医師の割合は着実に減少してきております。

 医療機関の勤務環境改善に向けて、厚生労働省としても財政支援や助言を実施してきたところでありまして、勤務間インターバルや必要な休息期間の取得促進と併せて、引き続き、医師の健康確保のための体制整備等、これにしっかり取り組んでいきたいと思います。

宮本(徹)委員 しかし、長時間労働をしている医師が減っているという統計上の数字を本当に信用していいのかという実態があるんですよ。初めに私紹介しましたけれども、今、サービス残業扱いされているものがばんばん出ているということですから。多分、医師の労働時間の上限規制ができましたから、それを守るために労働時間の見せかけは減っていくかも分からない、だけれども、実態は減っていない、こういう状況だと思います。

 ここをどう解決していくのかということを考えた場合に、ここでも様々この間議論になっております。武見大臣が日曜の討論で様々発言された偏在対策というのが議論になっています。私は、偏在対策自体は、これはもちろん必要なことだと思いますよ、必要なことだと思います。同時に、そもそも医師の数が足りているのか、ここを私はもう一つの観点として今日は議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 やはり国民の命を守るためには、どの地域でも、どの診療科でも、必要な医療にかかれるようにしなければなりません。大前提として、二つの事実について共通認識が大臣と私にあるのか、確認したいと思うんですね。

 資料を御覧いただきたいと思います。資料の四ページ目でございます。これはOECDの資料ですね。四ページ目は、これは医学部の卒業生の十万人当たりの人数ということになっています。OECDの平均が十四・二人、日本は七・二人。増やしてきた、増やしてきたと大臣この間ここで述べられていますけれども、それでもOECD平均の半分程度です。OECD全体で見たら、下から二番目というのが日本の医師養成数だということなんですね。

 さらに、次のページを御覧いただきたいと思いますが、これは千人当たりの医師数ということになります。OECDの平均は三・七人、日本は二・六人、これも下から数えた方が随分早い位置に日本はあるわけですね。さらに、この表を見ていただけたら分かるんですけれども、丸印が二〇一一年で、緑が二〇二一年、ほぼどこの国もこの間医師は増やしている、増えている。

 それぞれの国のいろいろな事情はありますけれども、当然のことながら、医療は世界でも日本でも高度化していきます。それで、人間も長寿命化が進んでいます。そうすれば、これまで発見できなかったがんも発見できるようになって、その分、医療ニーズは当然高まっていくということになっていくわけですね。

 ですから、今日、大臣とここで同じ認識なのかというのを確認したいんですけれども、日本の医師はOECD諸国の中で比べて少ない、そして、これからも医療の高度化、人間の長寿命化に伴って医療ニーズは高まっていく、この認識はあるでしょうか。

武見国務大臣 OECD諸国の医学部卒業生や医師の数については、各国の医療制度や各医療従事者の役割がそれぞれ異なるということがあるのは、それぞれの国のタスクシフトだとかタスクシェアリングがかなり制度的に違うということもあって、実はそう簡単に比較することはできないところもあります。

 ただ、いずれにしても、我が国においては需要に合った医師の確保が重要であるというふうに認識しております。これまで、高齢化の進展により、全体として医療のニーズも増える傾向にありましたが、今後、人口が減少していくことや医療技術の更なる高度化や医療DX等による効率化が進む可能性もある中で、医療ニーズ、その内容や形態も様々であり、一概に増加するとは限らないと考えております。

 委員御案内のとおり、医療の需給バランスあるいは医療に関わる需要と供給というのを測定しようとするときには百家争鳴であります。実際に、百人研究者がいれば百人違ったことを言うと言っても過言ではないぐらい、それぞれ違った統計の取り方などがあります。

 したがって、この問題をまずきちんと解決して、医師の需給バランスに関わる分析をやはりしっかりとコンセンサスを持って行えるようにしていくことが必要かと考えます。

 今後とも、医療を取り巻く状況の変化についてはしっかりと注視をしながら、医療ニーズに応じて必要な医療を提供するために、地域における医師の確保など必要な取組は引き続き進めてまいります。

宮本(徹)委員 OECDの定義は様々ありますけれども、国によって医師がどこまで役割を果たすのかというのは確かに違いはありますけれども、ただ、大きな傾向でいえば、本当に日本は突出して医師が少ない国の方だということは言えると思います。

 そして、加えて、医師の必要数を考える上で、私は次の三つのことを考慮しなきゃいけないと思うんですね。一つは、国民が必要な医療にアクセスできているのか、二つ目に、医師の人権が守られ、ワーク・ライフ・バランスが実現できているのか、三つ目に、大学病院等で医学の研究時間が十分取れているのか。ここは、私は医師数の必要数を考える上で欠かせない要素だと思いますけれども、この点は同じ認識ですか。

武見国務大臣 今委員が御指摘なさった点は、いずれも極めて重要な点だと思います。

 直近の医師の需給推計というのは、厚生労働省の検討会において二〇二〇年に行ったものがあります。その際の有識者の議論も踏まえて、将来の医療需要を指し示す将来人口構成の推移、それから、医師の働き方改革により労働時間が短縮すること、それから、大学病院等の医育機関で研究等に従事する臨床医以外の医師数など、委員の御指摘の観点というのもやはり踏まえながら、恐らく推計、前提条件に組み込んだ上で、医師の需要や供給の算出を行い、医師の必要数の検討を行っていくことになるだろうと思います。

 ただ、いずれにせよ、申し上げたいことは、こうした需給バランスを測定するときに、どういう仮説を設定してこうした医療需給バランスを測定するかという、そこの議論で多くの専門家の間で意見が極めて分かれていて、この合意形成というのをするのは極めて大変な課題であるということは御理解いただければと思います。

宮本(徹)委員 この三つの観点は今後の検討で踏まえられるという答弁をいただきました。

 ただ、二〇二〇年の需給推計、私、前も田村さんのときでしたか、これを議論したことがあるんです。二〇二〇年の需給推計、資料の一番最後のページにつけましたけれども、このときは二〇二九年に約三十六万人で均衡ということになっていますけれども、この前提というのは、労働時間は週六十時間ですよね、年間九百六十時間の時間外労働と。月八十時間、年間九百六十時間の残業というのは一般的な過労死ラインですよね。一般労働者の残業時間は原則三百六十時間ですよ、年間。例外で七百二十時間と。ですから、こういう、医師は長時間労働が当たり前と試算されているのが二〇二〇年の需給推計ということになっているんですね。もうEUなんかは、医師についても週の労働時間は四十八時間、こういうふうになってきております。

 ですから、私は、長時間労働をしてもらうのが前提という医師の需給推計は、これはもう見直していかなきゃいけないというふうに思うんですね。ちゃんと医師の過重労働の問題を解決できる医師数を前提とする必要があると思いますが、いかがですか。

武見国務大臣 医療の現場は医師の長時間労働によって支えられてきた側面があるということは、もう何度も申し上げているところであります。時間外、休日労働が非常に長い医師もいらっしゃいます。

 そうした中で、令和六年四月以降の副業、兼業先も含めた医師の時間外、休日労働時間の上限の特例については、通常九百六十時間、これはA水準と呼んでおりますが、としたものでございます。医師の需給推計については、こうした医師の働き方の実態や働き方改革の考え方を踏まえて、専門家による検討を経て実施してきております。

 一方で、今後、医師の働き方改革の取組が進むにつれて、医師の労働時間も縮減されることが期待されます。推計の前提と実態が大きく変わる場合には、必要に応じて確実に見直しを検討していかなければならないと思っております。

宮本(徹)委員 実態が変わる前に実態を変える目標をしっかり立てて、長時間労働前提じゃない需給推計をしっかり立てていただきたいと思います。

 時間が迫ってきましたので、これは申し上げるだけにしておきますけれども、もう一つ、需給推計で大きく変わってきているのは、女性医師が増えてきているという問題なんですよね。昨年、初めて女性の医学部入学者が四割を超えるということになりました。三二%の数字でこれまで需給推計を出していますので、ここも大きく変えて。当然、女性医師の方が皆さんの統計でも労働時間が短いですから。そうすると、二〇二〇年の需給推計をいまだに配って皆さん議論をされていますけれども、こんなのはチャラにして、これを前提に医学部の養成数を減らすという話が始まっていますけれども、それはストップしていただきたい。そのことを申し上げまして、質問を終わります。

新谷委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 本日最後の質問となります。よろしくお願いします。

 まず冒頭なんですけれども、武見大臣は、お漬物、食べますでしょうか。また、お好きでしょうか。お伺いします。

武見国務大臣 大好物であります。

田中(健)委員 ありがとうございます。それでしたら、今日は、いい、前向きな答弁が聞けるかなと思いますけれども、食品衛生法についてです。

 先ほどまで、午前中、紅こうじの、またサプリメントの食品衛生法の話がありましたけれども、この漬物についてですけれども、食品衛生法の改正によりまして、製造が許可制となりました。その経過措置が来月の五月末で終了いたします。六月からは、製造は、基準に沿った施設を造って整備しなくてはなりません。

 先日、私も地元を回っておりましたら、いつも買っているラッキョウがなくて、八百屋さん、どうしたのと言ったら、この話が出ました。おばあちゃんが作っていて、とても今から施設を造り、整備することができない、今月でやめたというお話でありました。

 このような改正に至った理由、まだ当時、私、議員でなかったものですから、教えていただければと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生も御記憶にあると思いますが、平成二十四年の八月に、浅漬けによる死亡事例八例を含む大規模な食中毒事件、これが発生したことがございまして、このときには、新たに浅漬けというものに対する項目を設けて、漬物の衛生規範、これを改正をさせていただきました。

 その後、平成三十年の食品衛生法、この改正に当たりましては、専門家の先生方の御意見を踏まえまして、全ての食品製造業者に対して、HACCPに沿った衛生管理、これの義務づけ、加えまして、食中毒等のリスクや食品産業の実態を踏まえ、新たに届出制度、これを創設するとともに、既存の営業許可が必要でありました業種が三十四種ありましたけれども、これの見直しを行ったところであります。

 許可業種の見直しに当たりましては、食品の営業規範に関する検討会、これを立ち上げさせていただきまして、製造工程が長期間になるなど、製造中の食品に含まれる細菌などが繁殖するおそれがあり、食中毒のリスクが高くなることなどを踏まえて御意見をいただきました結果、届出制になったもの、既存の三十四の中から届出制になったもの、また新たに許可制になったものなどを含め、合計で、今、許可制度のものが三十二種類ございます。

 こういった経緯でございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 食中毒、そして多くの人が被害に遭い、また亡くなられた方もいることは大変残念で、そこの食品安全は守らなきゃいけないんですが、やはりここで問題になったのは、今局長言ってもらったように、食中毒が起きたのは浅漬けなんですけれども、今回、漬物全般、全てがこの対象になって、さらに、国際的な今言ったHACCPも対象になって、本当に厳格に、まさに工場の中で管理し、そして作られるというものになってしまいました。

 元々お漬物は、農家の副業でやられていたり、おじいちゃん、おばあちゃんが趣味でやっていたのを地域の道の駅や、また八百屋に出したり、そういったことが各地、日本中で行われてきたかと思うんですけれども、このままではそういったものがなくなってしまうと思うんですが、大臣としては、先ほどお漬物を好きだ、大好物だと言っていただいたんですけれども、どのように考えられるか、見解を伺いたいと思います。

武見国務大臣 漬物製造業を新たに許可業種とする規制を設けたところなんですけれども、それに伴い、施設及び設備の設置等が生じ得ることで事業継続に支障を来すということも想定されます。従前から営業をしていた方々については、三年間の許可取得の猶予期間を設けるなどして、営業者に大きな影響を与えないよう配慮しているところではあります。

 それから、家族経営などの小規模な営業者にとって過度な負担が生じないよう、営業者の事業継続に配慮をしつつ、丁寧に説明などをするよう厚生労働省から都道府県に通知をしておりまして、引き続き、事業継続に向けた配慮を確実にしていきながら、この制度の定着に努めていきたいと思います。

田中(健)委員 制度の定着を是非進めていただきたいんですけれども、それよりも、やはりもう直前に迫り、そして、どんどんと廃業して、続けられないという方がいらっしゃるということも是非知っていただきたいのと、なかなか、お漬物は保存食ですから、発酵ですから、うまくいけばいい意味でのお漬物になりますし、失敗すればというか腐ってしまえば食中毒にもつながるということで、大変に気をつけなければならない食品ではございますが、しかしながら、やはり、伝統的な味、また私たち日本の文化というのも守っていかなきゃならないなということで、この食品安全と日本の文化を守るというその両方で大変難しいと思って、大臣のお考えをちょっと聞かせていただきました。

 食品衛生法には、第五十四条に、都道府県が参酌できるとあります。参酌というのはなかなか聞かないんですけれども、調べますと、何らかの事項を判断するに当たって様々な事情を考慮するということで、恐らく各自治体でそれぞれ参酌、考えて対応もできるということかなと思っておるんですけれども、そうはいっても、国が出した食品衛生法を、じゃ、私たちの市だけで、県だけで変えようというのはなかなかこれは難しいかとは思うんですけれども、この食品衛生法第五十四条を何か活用して、今の、廃業に追い込まれてしまう、また何とか続けたいと今思っている人たちに手が差し伸べられたり、また新たな活路が見出せるような方策というのは考えられないか、大臣か、参考人でも結構なんですけれども、お願いいたします。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、新たに許可制に入った業種に関しましては、三年間の経過措置を設けさせていただき、準備を整えていただいたわけであります。

 一方で、先生が御紹介をいただきました法第五十四条の考え方、これは、施行通知を出しておりまして、そこを読み上げますと、厚生労働省令で定める基準、これは条例をもって公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならないこと、参酌基準として、条例制定に当たっては十分に参照していただきたいこと、その上で、参酌基準を十分に参酌していただいた結果であれば、法令に違反しない限りにおいて、地域の実情に応じて異なる内容を定めることは許容されるなど、事細かにいろいろと書かせていただいておりますので、自治体におきましては、こういったことを踏まえて丁寧に対応していただければと思っております。

田中(健)委員 確かに、調べてみますと、数か所、自治体においても取組を進めているところがあるんですけれども、まだまだこの取組がなかなかこの参酌だけでは進まないということで、自治体とも連携して、やはり日本の文化でありまして、大臣も大好きだ、好物だと言っていただいたお漬物、もちろん漬物はなくなるわけではないんですけれども、いわゆる手作り漬物という文化を残していただけるような方策を皆さんで知恵を出して考えてもらえればと思います。

 調べますと、全国の伝統野菜、ありますけれども、この調理方法で最も多いのは漬物だそうであります。こういうこともつけ加えてお話をさせてもらいます。

 引き続きまして、先ほど岬委員からもありましたが、マイナ保険証の利用促進についてを伺いたいと思います。

 マイナ保険証利用率、昨年四月の六・三%をピークに少し下がっています。そして、今年に入って微増傾向ではあるものの、三月は五・四七%と依然伸び悩んでいるということもお聞きをしています。その中で、マイナ保険証の普及のために、利用人数の増加に応じて、診療所、薬局に最大十万、病院に二十万円の支援金を支給することを発表したということです。

 その理由については、先ほど御答弁があったと思うんですけれども、これは、事前にというか、もうこの支援金制度、始まっているわけですよね。今回の十万円、二十万円でなく、マイナ保険普及のための医療機関向け支援金制度ですね。今年一月から、利用一件当たり二十円から百二十円を支給するという制度が実施されています。これが実施されてまだ数か月という中でこの十万円、二十万円というのが出てきて、私、唐突感が否めないのと、また、この二十円から百二十円の支援金制度がしっかりと検証されたり、またどのようにしてこれが役立ったのかがないままに、今回、この制度が突然降って湧いてきました。

 十日の保険部会の厚い厚い資料の中に説明書が載って、拝見させてもらいましたが、何か、お金を出せば病院がやってくれるとニンジンをぶら下げて、更にその量を増やしてやっていこうというように見えてしまったんですけれども、その意図、そして思いというのを大臣からお聞かせいただければと思います。

武見国務大臣 マイナ保険証の必要性はもう先ほども申し述べたとおりでありますが、その利用促進のための医療機関等に対する支援金であります。

 令和五年度補正予算において創設したものもあります。それから、その後、令和六年度診療報酬改定の内容が定まり、今年六月から医療DX推進体制整備加算というのが設けられまして、医療機関等におけるマイナ保険証の利用促進を始めとする医療DXの取組が診療報酬により評価されます。こうした中で、足下の利用率の更なる底上げを図るために、今年五月から七月までのマイナ保険証利用促進集中取組月間では、支援金が医療機関等にとってもより分かりやすい制度となるよう、令和五年度補正予算の範囲の中で、一時金として見直すこととしたものです。

 国民の約四割がマイナンバーカードを常に携帯しており、また、約四割弱がマイナ保険証を利用したいと考えているとの調査結果を踏まえますと、患者と接する医療機関の現場での働きかけがやはり最も効果的だと考えます。

 このため、一時金の支給に当たっては、窓口における来院患者への声かけやマイナ保険証の利用を求めるチラシを患者に配布するなどを支給要件としておりまして、こうした対応を通じて、医療機関等における利用促進の取組を後押しし、医療DXのパスポートとなるマイナ保険証の利用促進に総力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

 なお、患者にとっては、マイナ保険証で受診し、医療機関が薬剤情報等を取得、活用した場合は、医療機関の事務負担の軽減に着目して、健康保険証で受診した場合と比べて医療費を二十円節約することができます。これにより自己負担も低くなるという仕組みも実はつくってありますので、御説明させていただきます。

田中(健)委員 私は、マイナンバーカードを否定していませんし、マイナ保険証が進むことで医療DXも進むかと思うんですけれども、これはいまだ強制ではありませんし、さらに、二十円から百二十円というのがしっかりと検証されていないのに、また次に十万円、二十万円と、最初から、大臣、考えていたのかなと。最初から十万円、二十万円もあったならばいいんですけれども、唐突に何か二十万円というので、医療機関に聞いても、別に私たちが欲しいと言ったわけじゃない、厚労省が言ってきたんだという話です。

 先ほどの議論の中で、エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングがまさに大臣の一番の根本だ、基礎だと言ったんですけれども、この十万円、二十万円には、このエビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングの視点から見ると、どういうふうに御説明ができるんでしょうか。

伊原政府参考人 先ほどの大臣の御答弁を補足させていただきますと、今、一月から実施しています支援金は去年の補正予算で提案させていただいて使っておりますが、その後、十二月に診療報酬改定を行いました。そこで、今年の六月から医療DX推進体制整備加算という新しい診療報酬ができることが決まりまして、これはある意味、今行っている支援金とかなり似たような形になります。

 そうした事情の変更がございましたので、今回、五月まで実施している今までの支援金ではなく、一時金という形で組み替えて実施するということにしたものでございまして、あくまでも、新しい診療報酬、DX推進体制整備加算という新たな診療報酬が、加算ができ上がったことに伴う変更でございます。

田中(健)委員 いろいろ説明してもらっても、十万円、二十万円という根拠は分からないんですけれども、根本は、私も否定をしているわけじゃない、根本原因にやはり注目した方がいいと思います。なぜ使われないのか、そして、なぜまだまだ広がらないのか。

 じゃ、お金をして、医療機関が、先ほど大臣も言っていました窓口、健康保険証をお持ちですかというのは出さないでください、マイナンバーカードと書いてください、チラシ、ポスターも目に見えるところにポスターを貼っているのかと、チェックリストがずらっと並んでいるんですけれども、そうではなくて、なぜ私たち利用者が使わないのか、使いづらいのか、やはりそこの根本原因を皆で議論する、ないしは様々な声を聞いて、そこを解消していくということであるならば、皆さんも協力しますし、また、理解してもらえるんですけれども、どうしてもこの額が前面に出てしまって、冒頭申し上げたように、ニンジンをぶら下げているようにして進めている感が否めないので、是非、大臣から直接発信をして、使いましょう、そして医療DXに、将来にということを言ってもらっていますので、そこを主にして、そこがメインだということを是非これからも訴えていただきたいと思いますので、最後、大臣、一言お伺いして終わります。

新谷委員長 武見厚生労働大臣、簡潔にお願いいたします。

武見国務大臣 これからの三か月の集中月間にマイナ保険証の利用率を高めて、また、その過程で、国民の皆様方に、その必要性、それから、いかに我が国の医療をまた進歩させる上で必要であるのか、そして、御自身の健康を守っていただくためにもいかに有用であるのかという説明を丁寧に丁寧に行っていきたいというふうに考えております。

 そして、我が国の出遅れたデジタル化を一刻も早く改善していくためにも、国民の皆様方には、アナログの世界からデジタルの世界に転換することのプロセスをやはり丁寧に御理解をいただきながら実行しなきゃいけないというふうに考えておりまして、この集中月間はそのために設定し、そのために私どもも努力をいたします。

 まずは身内からということで、厚生労働省の中でも、今、ポスターを貼って、職員から率先してマイナ保険証を使いましょうということを今まさに活動を始めているところでもございます。

田中(健)委員 ありがとうございました。時間です。終わります。

新谷委員長 次回は、来る十七日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十六分散会


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