第17号 令和6年4月26日(金曜日)
令和六年四月二十六日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 新谷 正義君
理事 大岡 敏孝君 理事 大串 正樹君
理事 橋本 岳君 理事 三谷 英弘君
理事 井坂 信彦君 理事 中島 克仁君
理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君
秋葉 賢也君 畦元 将吾君
上杉謙太郎君 上田 英俊君
勝目 康君 金子 容三君
川崎ひでと君 塩崎 彰久君
鈴木 英敬君 田所 嘉徳君
田畑 裕明君 田村 憲久君
高階恵美子君 高木 啓君
中谷 真一君 仁木 博文君
堀内 詔子君 本田 太郎君
三ッ林裕巳君 柳本 顕君
山本 左近君 吉田 真次君
大西 健介君 近藤 昭一君
堤 かなめ君 西村智奈美君
山井 和則君 柚木 道義君
吉田 統彦君 早稲田ゆき君
渡辺 創君 一谷勇一郎君
遠藤 良太君 岬 麻紀君
福重 隆浩君 吉田久美子君
宮本 徹君 田中 健君
福島 伸享君
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議員 柚木 道義君
議員 井坂 信彦君
厚生労働大臣 武見 敬三君
内閣府副大臣 工藤 彰三君
厚生労働副大臣 宮崎 政久君
厚生労働大臣政務官 塩崎 彰久君
厚生労働大臣政務官 三浦 靖君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 高橋 宏治君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 小池 信之君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 鳥井 陽一君
政府参考人
(厚生労働省医政局長) 浅沼 一成君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局長) 山田 雅彦君
政府参考人
(厚生労働省雇用環境・均等局長) 堀井奈津子君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 朝川 知昭君
政府参考人
(厚生労働省老健局長) 間 隆一郎君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 伊原 和人君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
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委員の異動
四月二十六日
辞任 補欠選任
仁木 博文君 高木 啓君
本田 太郎君 上杉謙太郎君
阿部 知子君 近藤 昭一君
山井 和則君 渡辺 創君
同日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 本田 太郎君
高木 啓君 仁木 博文君
近藤 昭一君 阿部 知子君
渡辺 創君 山井 和則君
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四月二十六日
パーキンソン病治療研究支援及び医療制度等の改善に関する請願(大口善徳君紹介)(第一二一五号)
同(菊田真紀子君紹介)(第一二一六号)
同(高鳥修一君紹介)(第一二一七号)
同(角田秀穂君紹介)(第一二一八号)
同(冨樫博之君紹介)(第一二一九号)
同(中川宏昌君紹介)(第一二二〇号)
同(中村裕之君紹介)(第一二二一号)
同(長友慎治君紹介)(第一二二二号)
同(西岡秀子君紹介)(第一二二三号)
同(西村智奈美君紹介)(第一二二四号)
同(平口洋君紹介)(第一二二五号)
同(宮本徹君紹介)(第一二二六号)
同(宗清皇一君紹介)(第一二二七号)
同(赤羽一嘉君紹介)(第一二四二号)
同(岡本あき子君紹介)(第一二四三号)
同(金子恵美君紹介)(第一二四四号)
同(北神圭朗君紹介)(第一二四五号)
同(源馬謙太郎君紹介)(第一二四六号)
同(小林史明君紹介)(第一二四七号)
同(小森卓郎君紹介)(第一二四八号)
同(竹内譲君紹介)(第一二四九号)
同(寺田稔君紹介)(第一二七八号)
同(上田英俊君紹介)(第一二九四号)
同(棚橋泰文君紹介)(第一二九五号)
同(宮下一郎君紹介)(第一二九六号)
安全・安心の医療・介護の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願(国光あやの君紹介)(第一二五〇号)
福祉職員の最低賃金を千五百円以上にして、職員配置基準を引き上げることに関する請願(稲富修二君紹介)(第一二五一号)
国民を腎疾患から守る総合対策の早期確立に関する請願(丹羽秀樹君紹介)(第一二五二号)
同(寺田稔君紹介)(第一二七九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)
訪問介護事業者に対する緊急の支援に関する法律案(柚木道義君外八名提出、衆法第六号)
介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(柚木道義君外八名提出、衆法第七号)
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○新谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案並びに柚木道義君外八名提出、訪問介護事業者に対する緊急の支援に関する法律案及び介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案の各案を議題といたします。
この際、各案中、内閣提出、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案の審査に資するため、去る四月二十四日、委員二十一名が参加し、大成建設株式会社の視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。
まず、北迫人材いきいき推進室長及び塩入管理本部人事部専任部長から、同社における仕事と介護及び育児の両立支援に関する取組等について説明を聴取しました。
次いで、仕事と介護の両立のための情報提供の取組、遠距離介護の場合の働き方、障害のある子を持つ親に対する支援、男性の育児休業取得促進による新規採用への好影響、非正規雇用労働者の両立支援制度の利用状況、長時間労働の是正、代替要員の確保、管理職世代の理解促進の取組、下請事業者に対する発注者側としての配慮等について、意見交換を行いました。
以上が視察の概要であります。
最後に、今回の視察に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げ、視察の報告とさせていただきます。
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○新谷委員長 この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人としてこども家庭庁長官官房審議官高橋宏治君、総務省自治行政局公務員部長小池信之君、法務省大臣官房審議官松井信憲君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、医政局長浅沼一成君、職業安定局長山田雅彦君、雇用環境・均等局長堀井奈津子君、社会・援護局長朝川知昭君、老健局長間隆一郎君、保険局長伊原和人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○新谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井坂信彦君。
○井坂委員 皆さん、おはようございます。立憲民主党の井坂信彦です。
本日は、育児、介護についての質問でありますが、ちょっと冒頭に、今朝のニュースについて大臣に伺います。
国民健康保険や介護保険の保険料に金融所得の反映を検討、こういう見出しが新聞各紙に出ておりました。
大臣に伺いますが、昨日、自民党の部会に原案を示したというふうに書いてありますが、結論はいつまでに出すことを目指しておられるのか、早ければいつ頃これが実施される可能性があるのか、お伺いをしたいと思います。
○武見国務大臣 医療、介護保険における金融所得の勘案でございますが、昨年末の閣議決定された全世代型社会保障構築のための改革工程において、能力に応じた全世代の支え合いの観点から、二〇二八年度までに実施について検討する項目というふうに位置づけられているというふうに承知をしております。
ただ、これは自民党におけるPTで議論のキックオフということであるというふうに承知しておりますので、金融所得の捕捉に関する実務上の課題なども踏まえて、負担能力に応じた負担として金融所得をどのように取り扱うべきか、こうした自民党における議論もしっかり注視していきたいと思います。
そして、今日、大きく、国際社会においても、保健、医療、福祉に関わる進歩の度合いは極めて速いのと同時に、コストが著しく大きくかかってくるという時代状況に入ってまいりました。今までの我が国の医療、介護の財源というものの在り方を再度見直して、そして、医療、介護、福祉に関わる進歩というものをどのような形で財源を確保してカバーをするのか、そして、そこに求められる哲学は何か、こうしたことをやはりしっかりとこれから議論していかなければならない時代に入ってきたと私は思います。
○井坂委員 記事を見ると、国民健康保険や介護保険だけでなく、今後は、会社に勤める民間の健康保険も、金融所得を反映するかどうか検討課題に上る可能性がある、こういうふうに記事には書いてあるんですが、現役会社員の健康保険の保険料にも金融所得を勘案する可能性は、やはり将来あるということでしょうか。
○武見国務大臣 私、出席しておりませんので、どういう中身の議論をどうされていくのかというのは存じ上げるものではありませんけれども、先ほどから申し上げているとおり、やはり、医学、医療の進歩のコストを今後どのような医療財源を確保することによってカバーするようにしていくのか、この考え方は、これから我々が真剣に考えなければならない課題の一つだというふうに思っております。
○井坂委員 ありがとうございます。
短く、最後。仕組み上の問題として、国民健康保険とか今日議論する介護保険が金融所得を反映するということは、当然、現役世代も対象になるということと考えて間違いないかどうか、最後、確認したいと思います。
○武見国務大臣 どういう世代が対象になるかということは、今の時点で私の立場から申し上げられることではありませんけれども、政府の立場は、全世代型の社会保障という考え方の中で、応能負担という考え方をそこに組み合わせてこうした負担の在り方を考えようというのがその基本にあるということは申し上げられると思います。
○井坂委員 大臣、ありがとうございます。今朝のニュースにもしっかり御回答いただきまして、感謝を申し上げます。
それでは、育児・介護休業法について伺います。
今回の法改正で、三歳から小学校入学までの子育て中は、柔軟な働き方を実現するための措置というのが事業主に義務づけられます。一方で、三歳までは、短時間勤務制度の義務、それからテレワークの努力義務があるだけであります。
参考人に伺いますが、三歳未満と三歳以降で制度を分けなければいけない理由は何でしょうか。
○堀井政府参考人 お答えをいたします。
育児期の働き方の希望につきましては、正社員の女性は、子が三歳以降は、短時間勤務を希望する方もいる一方で、フルタイムで残業しない働き方や、出社や退社時間の調整、テレワークなどの柔軟な働き方を希望する割合が高くなっております。また、正社員の男性も、残業しない働き方や柔軟な働き方に対する希望が見られます。
このような希望も踏まえまして、今回の法案では、労働者の希望に応じた働き方を可能とするために、三歳から小学校就学前までの子を養育する労働者を対象にして、柔軟な働き方を実現するための措置を新設をすることといたしました。
一方で、現行の三歳になるまでの子を養育する労働者に関しましては、井坂委員御指摘のとおり、所定労働時間の短縮措置、いわゆる短時間勤務制度、これが設けられております。そして、これは女性の労働者の継続就業率の向上に影響が見られたということもあり、労働者のニーズも踏まえまして、現行の仕組みを維持するということにさせていただいております。
○井坂委員 確かに、三歳までに義務づけられている短時間勤務制度は、女性に非常によく利用されていると思います。小学校入学まで短時間勤務制度を延長すると、女性が、短時間勤務、これまで三年やっていたのが六年やることになってしまって、女性のキャリア形成に問題があるという意見もあったというふうに伺っております。それで、三歳未満と三歳以降で制度を分けたのかなというふうにも思うんですが。
ただ、今少し答弁にも入っていましたが、一方で、男性は、三歳未満のときでも、短時間勤務以外の措置のニーズが非常に高いというふうに伺っています。
今回の法改正では、三歳未満はこれまでどおり短時間勤務が義務化されているだけで、まあテレワーク努力義務は加わりますが、男性は、三歳未満の子を育てているときに、短時間勤務以外でやりたいというニーズを自由に選ぶことができません。結果的に、三歳未満はまた女性が短時間勤務をずっとやることになって、これはこれで、女性のキャリア形成に問題が出てくるのではないでしょうか。
参考人に伺いますが、やはり三歳以降と同じように、三歳未満でも制度を選べる、男性がそこに参画していただくためにも、三歳未満でも制度を選べるということが大事だと思いますが、いかがでしょうか。
○堀井政府参考人 井坂委員御指摘のように、三歳になるまでの子を養育する労働者に関しましては、現行、残業免除、所定外労働の制限、これが課せられているほか、始業時刻の変更等の措置、時差出勤制度やフレックスタイム制度などですけれども、こういったものも努力義務になっております。これに加えまして、今回、テレワークも事業主の努力義務とすることとしておりまして、フルタイムでの就労希望にも、法制度上、こういった対応をしていこうということではございます。
ただ、三歳に至るまでの間に、また今回、三歳以降に講ずるような措置、選択的な措置義務を広げるということにつきましては、これも、これまで委員会でもいろいろな観点からの御議論もありましたが、この育児・介護休業法が、全ての規模の事業主に対して義務などを課すという、いわば最低限の制度であること、そういったことから、制度の複雑化などは避けた方がいいというふうにも考えておりまして、労働者のニーズ、そのような状況も踏まえて、今のような案で提案をさせていただいているということでございます。
○井坂委員 当然、事業主が余り大変になり過ぎてもということは分かるんですが、ただ、制度の複雑化ということでは、ゼロ歳から三歳までの既存の制度と、三歳から六歳までの今回の新しい制度が、はっきり言って全然違う制度が二種類あるというのは、私もちっちゃな会社の事業主でもあるんですが、二つの制度を同時にやらなきゃいけないので、実は複雑で面倒くさいというふうに私なんかは思います。
むしろ、大臣に通告どおり伺いますが、やはり、ゼロ歳から小学校入学まで同じ制度でやるというのが素直な制度設計だと思いますし、実際、その方が、三歳未満の子に対する男性の育児参加も促進をされる、一方で、三歳以降の小学校入学までの子供についても、今回の新しい措置で男性が育児参加できるということで、いいことずくめなのではないかなというふうに思います。
今回、柔軟な措置と言われているんですが、労働者が自由に選べるようで、実は、余り柔軟に選べないんですね。短時間勤務だけでなく、始業時刻変更とか、新たな休暇とか、五つの措置が並んでいて、何かアラカルトで選び放題みたいに私も最初は思ったんですけれども、まずは事業主が五つの中からやることを二つ選んで、労働者は、その出されてきた二つのどっちかを選べるだけということでありますから、実は余り自由度がない。しかも、今議論したように、本当は三歳まで頼りにしていた短時間勤務制度を小学校入学までやりたいと思っても、事業主がそれを最初に選んでくれなければ、労働者も選ぶことはできないわけであります。
大臣に伺いますが、やはり、柔軟な働き方を実現するためには、まず、労働者が今回の全ての選択肢を選べるようにすべきではないでしょうか。その上で、会社や部署によっては、当然、実現できないことは選択肢によってはあり得ると思います。その場合は、会社側が理由をつけて、限定的に、うちの部署はちょっと、例えば短時間勤務はどうしても無理な部署なんだということであれば、それは限定的に除外をして、最悪、それでも二つ三つは選択肢を残す、これが素直な制度設計だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 今回の法案では、三歳以上小学校就学前の子を養育する労働者について、出社や退社時間の調整、テレワーク、短時間勤務などの柔軟な働き方を実現するための措置の中から二つ以上を選択して、まずは事業主が措置をするという仕組みを創設することとしております。その中で、柔軟な働き方を実現したいというのがまず最初にございます。
そして、育児・介護休業法は、全ての事業主に適用される最低基準等について規定しているところ、柔軟な働き方を実現するための措置について、業種、企業規模にかかわらず五つ全ての措置を講ずることを義務づけることは、業種、職種によって選択が難しい措置があることや、特に経営体力が乏しい中小企業では困難だということが考えられます。
その上で、事業主が自社の状況に応じて三つ以上の措置を講ずることなど、可能な限り労働者の選択肢を広げるよう工夫することは望ましいことから、改正案が成立した場合には、事業主の望ましい行動として、これらの内容を指針において示させていただきたいと考えております。
○井坂委員 指針で、なるべく選択肢を増やすようにということで、それは一歩前進だとは思います。ただ、やはり原則は、今回の五つの選択肢は全部選べますよと。大臣がおっしゃったように、私も質問で事前に申し上げたように、やはり、会社の業種や職種、あるいは会社の規模が小さ過ぎたりすれば、この選択肢はうちは無理ということは当然あり得ますから、それは、原則は全部選べるようにするけれども、うちの会社は、申し訳ないけれども、こういう理由でこの選択肢はちょっと駄目だ、こういうやり方で限定除外をするという形にいずれしていただきたいなというふうに思います。これは要望にとどめておきます。
次に、子の看護休暇について大臣に伺います。
今回の法改正で、子の看護休暇を取れるのは小学校入学までから三年生までに延長されます。これは非常によいことだと評価をしておりますが、ただ、残念なのは、子の看護休暇の上限が相変わらず設定をされていて、年間五日までと。この上限を五日に設定したのはなぜでしょうか。
○武見国務大臣 今回の制度見直しにおきましては、子の病気のために一年間で利用した各種休暇制度の取得日数等の状況、それから、夫婦それぞれに、子供が一人であれば五日ずつ、二人以上であれば十日ずつ付与される権利であるにもかかわらず、平均利用日数が女性の方が多く、男女が共に取得されるよう促進することが必要であることなどに鑑みまして、現行の日数を維持することといたしました。
子の看護休暇は、労働者の求めがあれば企業規模にかかわらず全ての事業主が原則拒むことのできない強い権利であることに留意すること、そして、取得日数を一律に引き上げることについては慎重な検討が必要である、このように考えたわけであります。
○井坂委員 一律に引き上げたら、子育て中の労働者が、これまでは五日しか看護休暇を取っていなかったのに、みんな年間十日取るとか年間二十日取るとかとなったら、それは事業主側も大変だと思うんですよ。ただ、データを見ると、子の看護休暇の平均利用日数、女性は年間一・一日だけです。男性は年間〇・六日だけなんですね。つまり、上限なんか全然達していないわけなんですよ。もう少し詳しく見ると、一年の間で看護休暇を取得した労働者というのは、女性でも僅か一六・二%、男性で去年一年間で看護休暇を取ったことがありますよという人は、僅か六・七%であります。つまり、上限なんか設けなくても、そもそも上限いっぱい取っている人なんかほとんどいない。
ただ、これはもちろん病気ですから、もし子供が病気になれば五日では全然足りないという御家庭も時にはあるんです。だから、それを平均してならすと一・一日とか〇・六日になっているんですけれども、実は取っていない人が大半で、取る人も五日未満の人が四分の三、五日を超える人が四分の一、これが現実のデータであります。
大臣に伺いますが、これは考えてみたら当たり前だと思うんですね。子の看護休暇というのは基本的に給料をもらえない休暇ですから、親も、用もないのに看護休暇を取ったら、これはお給料をもらえなくて損するだけですから、むやみやたらに取るような休暇ではありません。まさに子供が病気になって、これはやはり家で面倒を見てあげたいというときに、お給料をなげうって取る休暇であります。結果的に、労働者は全然、そんなに取っていない。上限は要るんですかね。必要もないのに大量取得する労働者はいないですから、思い切って看護休暇の上限日数を撤廃してはどうかというふうに思います。これは、是非、大臣の率直なお考えをお聞きをしたいと思います。
○武見国務大臣 これは、先ほども申し上げましたとおり、事業主が原則拒むことのできない強い権利であるということを踏まえますと、取得日数についての現状の五日というのを変え、あるいは引き上げるということに関しては、やはり慎重でなければいけないというふうに思います。
その上で、事業主について、この点に関わる理解をしっかりと職場で持っていただいて、必要とあれば子の看護休暇というものが取りやすい、そういう職場環境をつくる努力はしっかりとこちらの方からも働きかける必要性はあると思います。
○井坂委員 大臣、この点は少し残念な御答弁だと思います。データを見れば、そんな、みんなが上限いっぱい取っているような制度ではないんですから、上限を引き上げたところで事業主が困るというようなケースというのは相当限定されていると思いますので、ここは柔軟に今後お考えをいただきたいというふうに思います。
ちょっと通告の順番を一つ変えまして、七番を先に大臣に伺いたいと思います。
大臣がちょっと今、答弁で、周辺の職場の環境ということをおっしゃったので、これを先にやろうと思ったんですが、看護休暇の取得が現状、非常に少ないのは、職場の雰囲気もあるのではないかなというふうに思います。実際、今、子育て支援が充実をしてきていると、子育て中の労働者とそれ以外の周辺の労働者の間に、何というか、断絶が生まれてきております。この委員会でも私もほかの委員も何度か言っていますけれども、ネット上では、子持ち様みたいな悪い言葉が広まっておりまして、こんな言われ方です。また子持ち様が子供の病気で休んで周りのみんながしわ寄せで忙しくなっている、こういうことに今なっているんですね。こういう殺伐としたコメントがあふれております。
火曜日に、山口参考人もこの問題を憂慮しておられました。子育て中の労働者が休暇を取ったら、同じ部署の労働者に、忙しくなってごめんねと手当を出す、そんな会社の例なども参考人は出されておりました。
大臣に伺いますが、育児休業や休暇を取得した労働者の穴を埋める企業、あるいは穴を埋める同じ職場の周辺の労働者に対して、まあ企業も、やるところはそこに何らかの手当てをやっているんですけれども、政府としても、こういう周りのしわ寄せに対する手当て、穴埋め、こういった部分を何か支援できないか、お伺いをしたいと思います。
○武見国務大臣 やはり、子の看護休暇等を取得する場合に、実際に職場の中で取りやすい環境をつくっていただくことは極めて重要な、大きな課題であるというふうに認識をしております。
したがって、育児休業取得者が例えば発生した場合の支援として、中小企業事業主に対しまして、育児休業中の労働者の代替要員を新規に雇用した場合や、育児休業等を取得している間の業務を代替する周囲の労働者に手当を支給した場合に支給される助成金を設けているというところでございます。
子の看護休暇に関しましては、当日急に休暇を取得するなど、育児休業等よりも突発的かつ短期的な場合が想定されるために、ふだんから業務に関する情報の共有や業務のシェアを可能としておくことなどにより、子の看護休暇取得者の業務に関して機動的な対応が可能となるなど、職場のマネジメントを改善していくことが効果的である場合も考えられます。
このために、厚生労働省におきましては、子を育てる労働者の休業後の職場復帰等を支援する事業において、周囲の労働者への業務の振り分け、外部化など、職場のマネジメントについて、労務管理の専門家による個別の相談支援等の取組を中小企業に対して行っているところでございます。
○井坂委員 一つ通告を戻って、六番に戻ります。
参考人に伺います。政府は今、育児休業や休暇の取得を非常に推進をしています。また、その制度の拡充を今回もやってくださっています。ちょっとふと気になっているのが、育児休業とか休暇が増えれば出生率も上がるんだ、こういうデータは政府は持っていますでしょうか。
○堀井政府参考人 井坂委員がお尋ねされましたような、育児休業等の取得が増えれば出生率が上がるというデータは把握をしてございませんが、関連をするものといたしましては、夫の家事、育児時間が長いほど、妻の継続就業の割合や第二子以降の出生割合が高い傾向にあるというデータは承知をしております。
○井坂委員 そうなんです。私も、事前にちょっとエビデンスを見て議論したいなと思ったら、そもそもそういうエビデンスはなくて、代わりに政府が提示してきたのが、夫の家事、育児時間が一定以上長いと赤ちゃんが生まれる率が上がりますよというデータであります。
これを素直に捉えると、もちろん、育児休業、休暇の拡充とか、それから取得の推進というのは大事だと思いますし、私も推進の立場でありますが、ただ一方で、今、国を挙げて、政府を挙げてやっている少子化対策という文脈からいえば、育児休業取得、取得と、ここばかり推進するのではなくて、エビデンスに基づいて、そのデータのように、夫の土日、週末の育児、家事時間を、しかも、丸一日とかそんな話じゃなくて、二時間でも四時間でも、やった分だけ出生率が上がるというようなデータなわけでありますから、じゃ、今ゼロな人はちょっと一時間でも二時間でもやろうか、こういう方向の政策の方が、少子化対策という文脈では明らかに効果が出る可能性が高いというふうに思っているんです。
その辺り、少子化対策という文脈で、育児休業、休暇の取得一本やりでは駄目なのではないかということに対して、お考えをお聞かせください。
○堀井政府参考人 育児休業に関しましては、まず、男性を中心に、育児に取り組む第一歩ということでその取得を促進をしております。ですので、育児休業だけではないというのは井坂委員のおっしゃるとおりだと思います。
それで、井坂委員がおっしゃった、例えば育児や家事に参画する、そういったことの後押し、そういった対応策も今実施をしているところでございまして、具体的には、男性の意識改革を促していく、そしてしっかりと育児に向き合うことを後押しをする、それで配偶者との協力の大切さなどを学ぶ、こういった場としまして、企業版両親学級の推進などによって男性の労働者の意識改革に取り組んでおります。
どのようなことが少子化対策ということで効果的か、特にそれを職場、働き方という観点から捉えたときに、様々な施策があると考えておりますが、このような様々な取組を通じまして、男女が共に希望する形で仕事と育児を両立できるように取り組んでまいりたいと考えております。
○井坂委員 ありがとうございます。
続いて、介護の問題に移りたいと思います。
佐藤参考人が本質的なことをおっしゃっていて、育児休業と介護休業は全然目的が違うんだ、こういうお話でありました。世の中で結構みんな誤解しているのは、やはり育児休業と同じ文脈で、介護休業も、その休んでいる間に介護を一生懸命やるものだ、そういう誤解が非常に広まっているというようなデータも参考人から示されたわけであります。
大臣にジャストアイデアで伺いますが、介護休業じゃなくて、まさに名は体を表すで、介護準備休業というふうに名前を変更してはどうでしょうか。
○武見国務大臣 御趣旨は、非常に実態を分かりやすく説明されていて、考え方としては、私も委員と同じ考え方を持ちます。
ただ、育児・介護休業法上の介護休業の用語というのは一定程度定着をしておって、法律上の名称を修正するというと、かえってこれまた、各方面、全部、文書を変えなきゃいけないとか、そうした大変大きな波及的混乱を招く可能性がありますものですから、各企業で就業規則等において制度を定める際に、介護休業の名称を、例えば介護準備休暇などのように企業独自で決めることは、法律上の取得要件等を満たしていれば全く問題はございません。
こういった名称の変更により、制度の趣旨が伝わりやすくなる工夫も実際には効果的だろうというふうに私も考えます。
○井坂委員 これも参考人がおっしゃっていたことでありますが、ケアマネというのは、もちろん介護サービスについての専門家でありますが、仕事との両立支援についても専門知識を持ったケアマネが今後は必要ではないかという大変ありがたい御提案をいただいたところであります。この点について、大臣の御見解を伺います。
○武見国務大臣 仕事と介護を両立していくことの重要性が高まる中で、ケアマネジャーが職場の両立支援策への理解を深めるということは、今後ますます重要になってくるだろうと思います。
このため、今年四月から各自治体がケアマネジャーに対する法定研修を実施するに当たって、ケアマネジャーが利用者を支援する上で、仕事と介護の両立支援を含めて、家族に対する支援が重要であり、仕事と介護の両立支援策について研修の内容に盛り込むよう、厚生労働省から各自治体に通知をしたところでございます。
引き続き、こうした在宅介護の要であるケアマネジャーが、仕事と家庭の両立支援について理解を深めながら業務に従事をし、利用者やその家族を支えることができるように、円滑な研修の実施等にこれから取り組んでまいりたいと思います。
○井坂委員 四月から研修の中に盛り込むようにという通知、それはよかったと思います。
一方で、お聞きしていると、取りあえず通知は出しているけれども、実際、どの程度時間を割いて、どの程度中身を研修で行われるかというのは甚だ心もとない状況であるというふうに感じておりますので、ケアマネ全員に何か僅かな、一応やりましたよ程度のことをやるよりは、ケアマネの中でも仕事との両立に専門性を持つケアマネ、その人には、かなりしっかりとした研修なのか、いろいろな実務なのか、しっかりとした知識を持っているケアマネが一定数いる、そういうめり張りのある形を是非目指していただきたいというふうに思います。
次に、これは、介護クラフトユニオンの村上参考人から言われて、与党の議員さんも驚いておられたんですが、処遇改善加算、これを取得しても、特別な事情に係る届出書というのを出せば賃上げをしなくても許されてしまう、そういう制度はみんな知っていますよということがあって驚いたわけであります。
参考人に伺いますが、この届出書を出せば、処遇改善加算をもらっているのに賃上げをしなくてもいいということなのかどうか、伺います。
○間政府参考人 お答えいたします。
処遇改善加算の算定に当たりましては、その条件として、原則として処遇改善加算部分以外の賃金も引き下げないこととした上で、加算額以上の賃金改善を行う、これはすなわち、全体として賃上げがしっかり行われるようにするということを求めてございます。
他方、加算を取得している事業所の状況を踏まえた例外としまして、この加算部分以外の賃金、処遇改善加算で差し上げた部分以外の賃金の部分について、例えば、サービス利用者数の大幅な減少等により経営が悪化し、一定期間にわたって収支が赤字になり、資金繰りに支障が生じる等の状況により、結果として加算以外の部分での賃金を下げざるを得なくなった場合には、適切に労使の合意を得た上で、その事情を届け出ることで、引き続き処遇改善加算の算定要件を満たす扱いを従来から認めております。
しかしながら、今申し上げた取扱いは、加算を既に取得しているような事業所が一時的な経営状況によって加算を算定できなくなりますと、そこはごそっと抜けますので、そうすると介護職員の処遇や雇用に重大な影響を与えるおそれがあります。そういうことを避けるためにも、あくまで例外的な取扱いだ、このように考えてございます。
○井坂委員 私も、地域を回っておりますと、処遇改善加算でまた皆さんのが上がりますよと言うんですけれども、怒られることも結構あって、いや、井坂議員、上がる上がると言っているけれども、上がらない、うちの事務所は処遇改善加算を取っているのは間違いないんだけれども、でも上がらないみたいなことを、結構よく怒られるので、何でかなとずっと思っていたんですね。
この例外的な届出書、もちろん本当に経営状況が悪いときなどの例外的な状況で使われている制度だとは思うんですけれども、政府にお聞きすると、これが実際どの程度使われているかというのは把握をしていないというふうに昨日伺っておりますので、まあ、もし把握をしておられれば、もう全然誰も使っていませんよということであれば、お答えをいただきたいと思います。
○間政府参考人 今の御質問にお答えいたします。
特別事情の届出の提出件数は、政府として数をしっかり把握しているものではございませんけれども、幾つかの自治体に、担当者にもお伺いしたところでは、その限りでありますけれども、ほとんどそういうような提出はないというふうに伺っているところでございます。これはちょっと正確なものではございませんけれども、感触としてお伝え申し上げます。
○井坂委員 まあ、定性的にはそうなのか、ちょっとよく分からないです。私は本当によく言われるので、処遇改善加算を取っているはずなのに上がっていないということを。引き続き追及をしたいと思います。
最後、大臣に伺います。
通告の十一番ですけれども、処遇改善加算、この間ずっとやってきているわけですね。その結果、管理者の方が、何か、普通の職員さん、介護従事者より賃金が下がってしまっている、あるいは同等程度しかもらえない、あるいは、ケアマネになると賃金が下がるから、ケアマネ資格は持っているけれどもケアマネになりたくないなど、いろいろな声をお聞きをします。
要は、基本報酬を引き上げれば全体が上がるんですけれども、処遇改善加算の引上げばかりやってくると、こういうある種の逆転現象が当然起こるだろうというふうに思っております。
こういう現場での、実際、逆転現象に対してどう対処されるのか、伺います。
○武見国務大臣 介護現場で働く幅広い職種の方々について、今年六月に、二・五%のベースアップを目指すこととしており、処遇改善加算については、加算率の引上げを行うとともに、加算により得られる報酬を、ケアマネジャーを含む事業所内の職種間でこれまでよりも柔軟に配分できるようにすることとしております。こうした処遇改善加算をより多くの事業所で活用していただけるよう、その取得促進に全力を尽くします。
また、処遇改善加算の対象とされていない居宅介護支援事業所については、基本報酬を引き上げるとともに、ヤングケアラーなどの多様な課題への対応を促進する観点などから、加算の引上げなど見直しを行ったところでもあり、こうした取組を通じて、介護現場で働く方々の処遇改善が全体的に実現するよう、取り組んでまいりたいと思います。
○井坂委員 終わります。ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、早稲田ゆき君。
○早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきです。本日もよろしくお願いいたします。
それでは、今日は育児・介護休業法の質問でございますが、その前に、国民の関心も大変高いので、先ほど井坂委員もおっしゃっておられました年金に関しての質問もさせていただきたいと思います。
お手元の資料の五ページを御覧ください。
先ほど、医療、介護の保険料に金融所得を反映するという案が厚労省の方から自民党部会で示されたということを井坂委員はおっしゃっておられました。大臣の方からは、全世代で応能負担ということも前に進めていかなければならないというような御答弁でございましたが、私からは、国民年金の負担が増えるのか、この五ページですね、このことに関して、少し何点か確認をさせていただきたいと思います。四月十九日、山井委員も質疑をされておりまして、大臣からも御答弁いただいておりますので、そこを踏まえた形でやらせていただきたいと思います。
今、五ページの方で書かれておりますけれども、国民年金、追加的な負担、五年間で、これはあくまで二〇一九年の試算ではありますけれども、その上で、保険料負担が約百万円増える、だけれども、その一方で、納付期間が延びることによって年金額も、給付額が年間十万円、これが増加するという試算が出ているということであります。
それでは、この五ページから、四ページの方の資料を御覧ください。
これも追加試算の内容でありますけれども、追加試算の二と三、御覧いただきたいと思います。ここに、四十五年加入、両方出ておりますが、延長分に国庫あり、それから国庫なし、これが二点あります。
十万円、給付が増えて、百万円、保険料の負担が増えるという試算は、国庫負担を入れた形でよろしいのか、それでは、国庫負担なしという試算もしておられるのかどうか、伺います。
○武見国務大臣 先月、厚生労働省の社会保障審議会年金部会で御議論いただいたのは、次期年金制度改正に関する検討の参考とするために、前回の二〇一九年の制度改正の際と同様に、これから財政検証を行うための一定の前提を置いたオプション試算を行うということでございます。
基礎年金の拠出期間の延長を含めて、次期年金制度改正の内容については、実はまだ現時点で何も決めていないものでございますから、そうした点、これから検討することになると思います。
○早稲田委員 一九年の試算で出していらっしゃるということでありますから、そこのところを聞いております。国庫負担なしということは、まだ試算をされていないということでよろしいんでしょうか。
○武見国務大臣 二〇一九年のときの財政検証では、国庫負担ありで検証しているそうです。
○早稲田委員 分かりました。
そうしますと、さらにですけれども、そこで、五ページの資料でいうと、国民年金は二分の一を税金で賄っているため、巨額の追加財源が必要になると。保険料も増えるんだけれども、国庫負担の二分の一という部分が出てくるから、おおむね五〇年代には一兆円超に見通しが、国庫負担、なるのではないかと書かれています。
その上で、六ページの資料に基づいて大臣にお答えをいただきたいわけなんですけれども、先ほどの四ページで、四十五年加入の前に、基礎年金と比例年金の調整期間の一致というのが両方に入っております。この一致をするためにはやはり国庫負担が必要だと思います。それで、その試算をされたのが六ページの資料だと思いますので、それでは、大体五〇年代にそれが出てくるということではありますけれども、大臣におかれましては、この資料に基づいて、調整期間一致による国庫負担の増、これがどのくらいになるのか、お答えいただきたいと思います。あくまで二〇一九の試算の上ででございます。
○武見国務大臣 次期年金制度改革については、これから財政検証を行うことでございますので、一定の前提を置いてオプション試算も行うこととしておりますが、次期制度改革の内容について現時点でまだ決めていないものですから、そうした前提に関わるコメントというのは、現状では差し控えさせていただきたいと思います。
御指摘の国庫負担の数字につきましても、ちょっとこれは仮定に基づいたものでありますので、現状ではお答えは差し控えたいと思います。
○早稲田委員 今のお話というのはこれからのことで、もちろん分かっております。夏までに財政検証を出してということですが、二〇一九の試算でいえばこの六の表になるわけですから、この数字をお答えいただけないでしょうか、国庫負担の増について。お願いします。
○武見国務大臣 あくまで前回の二〇一九年の財政検証において、二〇二〇年に実施した追加試算の内容をお答えさせていただきますけれども、前提条件が異なるために、今回の次期年金制度改正の議論とは関係がないことをまず申し上げておきたいと思います。
最初に、基礎年金と報酬比例部分のマクロ経済スライドの調整期間を一致させた場合については、経済成長と労働参加が進むケース三の場合に、基礎年金の給付水準向上に伴って、二〇三三年度から現行制度の見通しと比べて徐々に国庫負担が増え始め、二〇六〇年度では二〇一九年度の価格に換算して約二兆円、国庫負担が増加する見通しと当時試算をしております。また、基礎年金の保険料拠出期間の四十五年間については、基礎年金の給付水準向上に伴って、制度実行から現行制度の見通しと比べて徐々に国庫負担が増え始め、二〇六〇年度では二〇一九年度の価格に換算して約一・三兆円、調整期間の一致と合わせると約三・三兆円、国庫負担が増加する見通しと当時試算していることであります。
繰り返しになりますけれども、これらの国庫負担の試算は、今回の次期年金制度改革の議論とは関係なく、前回の財政検証のときの数字であるということは改めて申し上げておきたいと思います。
○早稲田委員 関係ないかどうかは、これから財政検証をされてそこで出てくるわけですから、全く関係がないとは言い切れないのではないかと私は思います。
その上で、今大臣がおっしゃっていただきました、五年、加入期間が増えるとなると、二〇六〇年では約一・三兆円、そして、二〇四六年ぐらいから始まるわけですけれども、〇・九、約一兆円増える、そして調整期間の一致についてはやはり二兆円増える、国庫負担が増えるということであろうかと思います。そして両方で三兆円ということ、これはかなりの額であります。
そして、先の話とはしても、この二兆円という数字は、消費税でいえば一%弱、それプラス一兆円ですから、大変大きなお話ではないかと思いますし、更に言えば、将来世代への負担増ですから、ここのところはやはり私たちが今しっかりと議論しなければならない。そうでないと、将来世代の方々に本当に不安を残すことになって、少子化対策にも逆行してしまう、そういう懸念がございます。
そして、私が街頭で伺っているのは、百年安心の年金じゃなかったの、そういう声が多いんですね。負担は増ということも、もちろん反対は反対なんだけれども、それよりも、百年安心の年金ではなかったか、それはうそであったのかというような声がたくさん来ておりますので、百年安心ということのために制度設計をしていただきたいと思います。
そして、子育て支援金、これも子育て支援金という名の子育て増税、そしてまた、これで三兆円の増税、それから、例えばですけれども、百万円の保険料の負担増となりますと、これはかなりの、これも年金増税と言わざるを得なくなってしまうようなことがないように、是非、大臣にはこの制度設計、慎重にお願いしたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○武見国務大臣 まさにこれから新たな財政検証を行うわけでありますし、その中で国庫負担の在り方についても御議論をさせていただくことになるであろうと思います。
いずれにせよ、こうした制度設計の議論に関しては、国民の負担に関わることも当然出てくるわけでありますから、極めて丁寧にかつ慎重に、国民的合意をきちんと形成をしながら進めていくことが必要と考えます。
○早稲田委員 三兆円という国庫負担増の数字も今、一応、二〇一九の試算ですけれども、確認をいたしました。引き続き、この財政検証、八月に出るんでしょうけれども、そこまでにも私も議論を進めてまいりたいと思います。
それでは、法案の審議に移りますが、子供の看護休暇でございます。
雇用環境・均等分科会で、子の看護のために年次有給休暇を使用する労働者が多いことから、現行の看護休暇の日数では到底不十分であるという意見、それからまた、お子さんが二人以上だった場合に一律十日としていることについて、子供一人につき五日とするべきではないかという意見もございました。それからまた、とにかく非正規労働者におきましては、看護休暇を使い果たし、やむなく欠勤をする場合もあるということです。
制度拡大を目指すおかゆプロジェクトの沖田麻理子さんは、ずっと非正規の仕事だったため、子供が体調を崩すために、年次有給休暇も使えない職場で無給で欠勤をしていた、看護のために欠勤し、月の収入が半分以下だということもあったということであります。
先日の西村委員の質疑の中でも、それから先ほど井坂委員もされておりました、看護休暇の取得が女性に偏っている状況から、取得日数を拡大しても女性のみが取得が増加してしまうのではないかという懸念もあるということではありますが、やはり、男女共に取得されるように職場環境も整える、そのための制度になってほしいと私は思っています。
その上でですが、子供が何人いても看護休暇日数が同じというのは、一方で、大学無償化で多子世帯を優遇しているわけです。病気のときは、むしろ、子一人当たりの看護休暇日数が減ることによって、多子世帯へのペナルティーとも受け取られかねません。多子世帯への支援ということには、非常に子の看護休暇については矛盾があるのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○武見国務大臣 子の看護休暇は、平成十六年、二〇〇四年の創設当初、育児・介護休業法の改正により、労働者一人について年五日取得できるものとして導入をされました。その改正法の附帯決議において、子の人数に配慮した制度とすることについて検討を行うこととされ、検討が進められた結果、子の看護休暇は、当日の申出でも取得できる柔軟な制度で事業主にとっては負担が大きいということや、子供のいないほかの労働者との公平感などに鑑みて、平成二十一年の育児・介護休業法の改正において、子が二人以上の場合は年十日とされたところでございます。
看護休暇は、単に子の数のみに着目をした制度とも異なりまして、その実施に当たっては、労働者が看護休暇を取得して職場を不在にするということに伴う事業主の負担等も考慮した上で、実効性のある制度設計を行う必要があり、現在の制度が多子世帯への支援と矛盾するというものとは考えておりませんので、改めて申し上げておきます。
○早稲田委員 なかなか実態とは違うと思いますので、引き続き検討をお願いしたいと思います。
それから、子の看護休暇でありますけれども、なかなか、賃金の支払いが義務づけられておりませんので、原則無給となっていて、調べたところ、無給の企業の場合が六八%、七割ということであります。事業主が看護休暇を有給とするようなことを原則努力義務化すべきではないかと考えるわけです。
次の質問にも移りますけれども、一緒にやりますが、中小企業への支援制度として、子の看護休暇を有給とした場合、両立支援等助成金を支援する制度もございます。ですから、この利用実態も踏まえまして、そして実態も把握をしながらやっていただきたいと思いますが、局長と大臣に伺います。
○堀井政府参考人 お答えをいたします。
まず、早稲田委員から御指摘のあった、看護休暇の有給化を義務化あるいは努力義務化などについてのお尋ねについて申し上げますが、子供の看護休暇の性格については、これまでも委員会で何回か御議論がありましたけれども、そもそも、事業主が、労働者が希望する日の取得を業務の都合等を理由に拒むことはできません。そしてまた、当日口頭で申出があっても取得が認められるという、いわば非常に強い権利として認められております。
このようなことから、この強い権利を有給とするということを原則化あるいは努力義務化するということは、強い権利性に影響を与えかねないということもありまして、慎重な検討を要するというふうに考えております。
また、その一方で、助成金に関してもお答えをさせていただきたいと思いますが、事業主が法を上回る取組として自社の子の看護休暇を有給の制度というふうにするというのは、もちろん、法を上回る制度ということで、可能でございます。
それで、令和六年度予算におきまして、両立支援等助成金に新設をされた柔軟な働き方選択制度等支援コースにおきまして、有給の子の看護休暇制度を含んだ柔軟な働き方を可能とする制度等を複数導入をする中小企業事業主に助成をするということとしておるところでございます。
○早稲田委員 是非、今後の課題として、今局長がお答えいただきましたので結構でございますが、この両立支援等助成金、これも実態把握をしていただきまして、有給とすることをやはり進めていただけるようにお願いしたいと思います。そのために取れないということで有給休暇を使っている方々というのは非常に多いわけですから、その実態を踏まえていただきたいと思います。
それでは、大臣に少し質問を飛ばしまして伺いますが、先進的な企業、それから神奈川県など地方自治体もですけれども、孫の世話や看病などのために仕事を休むことができる孫休暇、育孫休暇、これの制度が導入をされております。国の方でも一応そういう制度のことも書かれておりますから、進めていただいているのだと思いますけれども、指針に盛り込むだけでなく、具体的に、現行の子の看護休暇、法の十六条の二ですけれども、まだ、もちろん最初ですから無給でよいので、労働者の権利として取得できるようにきちんとすべきではないかと思いますが、大臣のお考えを伺います。
○武見国務大臣 子の看護休暇は、労働者が希望する日の取得について業務の都合等を理由に事業主が拒むことができない強い権利として定められております。その対象は、法律上、親子関係がある子などを養育する場合とされており、孫は対象となっておりません。
その一方で、祖父母の助けを受けることで仕事と育児を両立しやすくなり、女性の就業継続にプラスに働く面はあります。それから、数は少ないものの、孫のための休暇制度を設けている企業や自治体の事例もあると承知しております。そのため、次世代育成支援対策推進法に基づき事業主が行動計画を策定する際の指針において、盛り込むことが望ましい事項の一つに、孫の子育てのための休暇制度の創設も示しているところでございます。
この指針の内容を含めて、企業の自主的な取組が促進されるよう、周知をしていきたいと思います。
○早稲田委員 指針に盛り込んであるということではありますけれども、今、本当に年金の問題もあり、働いていらっしゃる六十五歳以上の方が多い中で、今までのように専業主婦の祖母の方、祖父の方、主婦じゃないですけれども、そういう方たちにおかれましては、子供のところに足しげくということも一昔前まではありました。私もそうでした。それで随分助けられましたけれども、そうではない時代になっておりますので、指針だけでなく、もう一歩踏み込んだことも検討をしていただきたいと要望させていただきます。
それから次でございますが、育児休業、育児休業給付を受けることの年数の延長でありますけれども、今、現行の育休制度は一歳までの取得期間を定めています。保育園などに入れない場合は二歳まで延長。他方、ノルウェー、スウェーデン、ドイツのように、子が三歳になるまでに一年間以上という国もございます。そして、日本でも、国家公務員、地方公務員は一応三年取れるということになっておりますが、この育休を原則一年間しか取れないということはそのまま維持をすれば、最長三年まで延ばしても財政的な新たな負担もないわけで、女性のキャリア形成にも影響が少ない、労使共に問題はないので、こうした、公務員も民間も、多様な働き方の中で、その三年間のうちに一年間を取れるというようなこともすべきではないかと私は考えますが、大臣のお考えを伺います。
○武見国務大臣 これは、それぞれ家庭の状況とかいろいろ、男女の意向として、様々な育児休業の取り方などの希望があるということが実は想定されます。したがって、全事業主に適用される制度が複雑化することで雇用管理の負担が重くなったり、また、特に出産直後の時期は男女共に育児を行うことに対するニーズが大変高く、令和三年に産後パパ育休制度を創設したことなどの背景もあるところでございます。
このため、御提案のように、その取得可能期間を子が三歳まで拡大するということは、休業する合計期間を変えないとしても、育児休業制度の趣旨、事業主の雇用管理の負担を踏まえますと、やはり慎重な検討が必要ではないかと思います。
○早稲田委員 是非これも御検討を要望しておきたいと思います。
それで、先ほどの孫休暇でありますけれども、資料二、三も御覧ください。こうして休業を祖父母のいずれかに譲渡できるというような制度も世界ではやられておりますので、こうしたことも参考にしながら是非考えていただきたいと思います。
それでは最後に、介護制度、介護休暇について伺ってまいります。
私たちもこの委員会の方で大成建設さんを視察させていただきました。育児もそれから介護休暇についても大変先進的な取組をされておりまして、改めて、こうしたところがリーダーシップを取って、そしてまた中小の方にも働きかけていただくことで進んでいくことは大変いいことだなと思って、大変勉強になったわけでございます。
その中でありますけれども、介護離職ゼロというのを安倍内閣で二〇一五年に掲げました。しかしながら、どんどんどんどん増え続けております。いろいろ施策もやってはいただいておりますけれども、今後もゼロどころか、これが更に増えると見込まれるわけなんです。
その中で、大成建設のいい取組としては、今、法改正の中にもありましたが、その周知をしていく、介護休暇が取れるんですよということを知らない方が多いから、そこを周知していくという法改正は、ある意味一歩は進んでいますけれども、果たしてそれだけで大丈夫なのかなと。つまり、大成建設でいうと、何回も研修をしている、そして相談体制も万全に整っている等々、複合的なそういう取組の周知活動がされているということを改めて勉強してまいりました。
その上で伺いますが、要介護状態にある対象者家族一人につきまして通算九十三日まで三回を上限として分割取得をすることができる介護休業制度や介護休暇制度があっても、非常に今、一%台と、四%台と低くなっております。これを上げるために、従来の方法だけで周知徹底しても取得率は上がらないと考えますが、もっとそこに踏み込んだ周知徹底の方法、それからまた方法の具体化、これをお考えでしょうか。伺います。
○武見国務大臣 介護離職要因について、勤務先や家族、サービスに起因するものなど様々なものがあると考えられますけれども、御指摘のように、仕事と介護の両立を支える介護休業や介護休暇の利用が低水準にとどまっていることから、離職の要因の一つに、両立支援制度が整っていても利用が進んでいないといった課題があるということを承知しているところであります。
介護休業の利用実態を見ても、介護休業を終了し復職した方の介護休業期間は、一週間未満が最も多く二六・一%、それから次いで一か月から三か月未満が二五・三%、二週間から一か月未満が一七・三%となっていることに加えまして、介護休業を利用している、したことがある方のうち、離職者の方が正規労働者に比べて介護休業の期間中に排せつの介助などの負担の重い介護を自ら担っていたと考えられることなどから、介護休業等そのものを見直すことよりも、制度の趣旨、目的の理解を促進をして、効果的な利用を促すことがまず第一に重要だというふうに考えております。
そのため、今回の法案におきましては、労働者が家族の介護に直面した旨を申し出たときに、企業の両立支援制度について個別の周知とそれから制度利用の確認、そして家族介護に直面する前の四十歳等の早期のタイミングで企業の両立支援制度の情報の提供、それから雇用環境の整備など、事業主にこれを義務づけることとしたところでございます。
○早稲田委員 義務づけ、周知を、それから相談体制、していただいたことは大きな一歩前進だと思いますけれども、それがどういう形でやられるかということなんですね。一回限りやっても、四十歳のときに説明を受けても忘れてしまう、それから、視察の大成さんの方でもおっしゃっていたのは、やはり自分事にならないと、それをしっかり受け止める、それからまた覚えている、またマネジメントしようという気が起こらないというのがやはり育児と大きく違うところではないかとおっしゃっていましたので、是非、そこのところはもっと踏み込んだ実態把握をしていただきながら、これだけで足りるのか、義務化の内容もいろいろあると思いますので、相談体制の充実、それから研修の充実ということを更にやっていただきたいと思います。
それから、今回、勤続六月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止することとしておりますけれども、これによりどのくらい取得が増えると見込んでいらっしゃるんでしょうか。今回の法改正により低い取得率がどれだけ改善すると見込んでいらっしゃるのか、また、具体的な数値目標も掲げるべきではないかと考えますが、お考えを伺います。
○堀井政府参考人 早稲田委員お尋ねの、まず、今回の法案の中に盛り込まれている、介護休暇について、勤続六月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止をした影響というところでございますが、現在、私どもが把握をしている調査で、勤続六月未満の労働者に対して介護休暇を適用していない事業所が約四割というふうに把握をしております。したがって、改正法案が成立して施行が至りましたら、こういったところが改正法案に対応して対象としていくということになると思っております。したがいまして、こういう円滑な施行が図られるような周知徹底、これが必要であろうというふうに考えております。
また、もう一点お尋ねをいただきました、取得率の数値目標についてでございます。仕事と介護の両立におきましては、それぞれの労働者の方のニーズに応じまして適切な制度、介護と仕事の両立支援制度を選択をすることが望ましいというふうに考えておりますので、介護休暇、介護休業について取得率の数値目標を設定するということについては、慎重に検討することが必要というふうに考えております。
○早稲田委員 多様な取り方がもちろんあるんですけれども、その多様な取り方も含めて、例えばフレックスタイムなどもやられるところもあろうかと思います、そうしたことも含めて、やはり目標を立てて、今おっしゃったように、非正規の方はほとんどこの制度を御存じない、それから、使っていないということが四割というのもありましたけれども、やはり数値目標を、多様なものを含めての形で結構ですから、介護の休業それから介護の休暇ということについての数値目標もお考えいただきたいと要望させていただきます。
その上で、大臣、この間、参考人の質疑の方でありますが、四月二十三日、日本介護クラフトユニオンの村上副会長がおっしゃっていたように、希望する介護サービスが、人手不足で地域で提供されていないから利用できない、そして介護難民が非常に発生をしている、たくさん出ている。仕事と介護の両立を支援する法改正を行っても、サービスそのものが充実しなければ、そしてまた地域で行われていないというようなことがあっては、利用ができないわけですね。そして、別の参考人の方もおっしゃっていましたけれども、自分が朝から晩まで介護をするということではなくて、そのマネジメントをするために介護休暇、休業、これを使ってほしいという御意見も大変重要だと思います。
私たちは、今回、訪問介護については基本報酬が下げられて、そして、これについては処遇改善があるから大丈夫ということでありましたけれども、到底そうではないわけでありまして、訪問介護職員の賃金は処遇改善加算だけで支払われているわけではありません。ほとんどは基本報酬から支払われておりますので、この報酬が下げられると、事業運営にも本当に支障を来します。人手不足に更に拍車をかけているというのが現状であります。
私たちは議員立法をいたしましたが、次期改定を待たずに、訪問介護事業者が需要に応じて安心して提供できるように、そして、介護離職ゼロということを目指すんだったらなおさらのこと、ここの人材を確保するためにも、これを緊急に支援、補助金を出すべきではないでしょうか。大臣、伺います。
○武見国務大臣 四月十二日に、私も、Zoomの会議でですけれども、地域で訪問介護に取り組む小規模事業者の方々のお話を伺う機会を持ちました。今回の一本化された処遇改善加算の取得と賃上げに取り組みたいといったお話に加えて、ホームヘルパーの高齢化といった深刻な問題が御提示されました。ホームヘルパーの魅力発信を含めた人材確保の必要性についても御指摘をいただいたところでございます。
こうしたことから、厚生労働省としては、最も課題となっている人材の確保、定着に向けて、高い水準の加算率を設定した処遇改善加算の取得促進にまずは全力を尽くすという考え方を持っておりまして、今既に各事業所にプッシュ型で、こうした加算措置を取っていただくためのチラシなどを送付させていただいているところでございます。
そして、各種調査結果等も踏まえまして、加算取得に向けた更なる工夫、介護の魅力の発信、それからICTを活用して残業を減らすなど職場環境の改善、それから多様な人材の参入の促進など、これを、総合的な取組を進めて、こうした地域で必要な介護サービスが安心して受けられる体制を整備していく必要性を認識しているところでございます。
○早稲田委員 もう始まってしまっておりますので、大変これは心配です。そんな悠長な問題ではないので、処遇改善加算、プッシュ式でというのももちろん分かりますけれども、それでも人手が、人が離れていくという悪循環になっておりますので、是非、大臣には、実態をもっと見ていただいて、この支援ということを早急にしていただきますように強く要望させていただきます。
最後の質問でございますが、マイナ保険証、これについてですけれども、医療機関にとって圧力とも取られる河野大臣からの文書発出についてであります。これについて、それからまた今日も、厚生労働省の方から、ひもづけ誤り五百四十七件というのが報道をされました。そういう実態であるにもかかわらず、あたかも医療機関が悪いような、そういう責任転嫁というのは大変よくないと思います。
厚生労働大臣としても、この河野大臣の文書発出については事前に同意をされていたのか。同意をされていたにしてもいないにしても、こういうものを出してやることが私は大変問題だと思います。マイナ保険証の利用率低迷、五・四七%ですけれども、この低迷の原因が医療機関での受付の声がけにある、こういうふうに、河野大臣、書かれているんですね。これも非常に失礼な話だと思います。皆さん、一生懸命やろうとしているのに。
これは、国民の不信感を招いている。つまりは、マイナンバーカードは任意なのに、マイナ保険証を強制のように強行してきた政府の失策ではないでしょうか。それが大きな原因です。それによって国民の不信感が強く、進んでおりません。にもかかわらず、この五百四十七件のひもづけ、どうなのか。
それからまた、今もう時間が来ましたので終わりますが、こういうことをやらないで、もっときちんと実態に即して、マイナ保険証は十二月から使っても、今も使っているわけですけれども、紙の保険証の廃止ということを撤回していただきたい。
何点か盛り込みましたけれども、大臣のお答え、最後に伺います。
○武見国務大臣 河野さんから、事前に、こうした文書を出したいというその考え方をお聞きしたことがございます。
その上で、我が国の医療サービスの中で世界で決定的に遅れているのはデジタル化です。そして、このデジタル化を進めていく上で、マイナ保険証というものを国民お一人お一人に活用をしていただいて、そしてデジタル化を推進していくということは我が国にとって極めて重要な課題で、国民のこれからの医療の質を向上させていくためにも、これは必ずやらなければならないことだと思っております。
そのために、これを実行していくために、是非、国民の皆様方に丁寧に御説明を申し上げ、そして御理解を得る努力をし、そして確実に実行していくことが必要だと考えているところでございます。
○早稲田委員 デジタルを進めることと紙の保険証を廃止しないということは相反するものではありません。是非撤回をしていただきたい。
それからまた、医療現場の混乱ということにも是非実態調査をしていただきたいと思います。お願いします。
○新谷委員長 次に、中島克仁君。
○中島(克)委員 立憲民主党の中島克仁でございます。
私からも質問させていただきます。
今、早稲田委員の、マイナ保険証、河野大臣から相談を受けていたと。ちょっと顔が見えないからちょっとあれですけれども、これはやはり厚生労働大臣として、もちろん、デジタル化、DX推進、我々だってそう思っていますよ。ただ、井坂さんもおっしゃっていましたが、マイナカードとひもづけることと医療DXを進めること、これは余り強引にやり過ぎると、本当に更に遅延が発生するおそれがありますから、これは厚生労働大臣として、ちゃんと河野大臣にはくぎを刺すようなことは明確にしていただきたいと思います。今ちょうど質問でしたので、これは要望だけです。
先ほど来話がございますが、今週の火曜日には、政府提出の育児・介護休業法、また、我々が提出をしております訪問介護緊急支援法、介護・障害従事者人材確保特措法案に対しての参考人質疑がございました。それぞれの立場で大変貴重な御意見、陳述をお聞かせいただいた。そして、水曜日には、これは橋本筆頭の格段の御配慮によって、育児、介護と仕事の両立支援、積極的に、また、奥深いというか非常に先進的に取り組んでいる大成建設株式会社、本当に改めて勉強をさせていただき、有意義な視察でございました。
そういった問題を含めて、今日質問をさせていただきたいと思っていたんですが、ちょっと私からも、これは通告してありますからお答えいただきたいと思うんですが、資料の一枚目です。一枚目といって、一枚しかないんですけれども、大企業健保、大企業はどうでもいいんですが、健保組合の赤字六千五百億円という見出しで、火曜日、二十三日に、健康保険組合連合会、健保連から、令和六年度健康保険組合予算編成状況早期集計結果が公表された新聞報道でございます。
公表された資料によれば、全国約一千四百組合の二〇二四年度予算ベースの経常収支は、合計で六千五百七十八億円の赤字である。この赤字額はリーマン・ショック後の財政悪化で解散が続出した二〇〇九年度の五千二百三十四億円を上回り、過去最大となることが見込まれているとのことであります。加入者に課す保険料率を引き上げる動きが広がり、収支が改善しなければ健保組合の解散が増える可能性。
私、以前から、二〇二五年は団塊の世代の皆さんが後期高齢者、それに先駆けて、二〇二二年問題と言われていたんです。それが、コロナという三年半の状況の中で一時的に収支が改善していたのが、恐れていたことがいよいよ起きてしまった。私、衝撃的なこれは数字、ニュースだと思って、今日冒頭質問させていただくんですが、武見大臣にお伺いいたしますが、今回、健保連が公表した健保組合の危機的な財政状況について、武見大臣、どのように認識をされておられますでしょうか。
〔委員長退席、大串(正)委員長代理着席〕
○武見国務大臣 健保連が公表した健康保険組合の令和六年度予算の状況を見ますと、全体で御指摘のように六千五百七十八億円の経常赤字となることを見込んでおり、直近の医療費の動向や高齢者への拠出金の増加などを踏まえまして、厳しい状況認識の下で各組合が予算編成を行った結果であるものと承知をしております。
他方、もう一つ冷静に分析をしてみますと、健保組合の今回の予算編成というのは昨年度上半期のデータに基づいて行っているものでございまして、健保連からの報告にもあるように、今般の高水準の春闘の結果が保険料収入に反映されておりません。それから、昨年度下半期以降、保険給付費の伸びが鈍化していることを踏まえますと、今回発表された結果のみをもって健保組合の財政状況を評価するということは簡単にはできないんだということは、やはりここで一つ申し上げておきたいと思います。
○中島(克)委員 おっしゃるとおり、不確定な要素はあると思います。しかし、先ほど私が言ったように、コロナ禍の前、これは、健保連二〇二二年問題といって、このままいけばこういう数字になる可能性がある、だから危機感を持って取り組んできたんです。しかし、コロナの三年半で、ここはちょっと、受診控えと言ったらいいか分かりませんが、コロナ禍で一時的に収支が改善した、そして今この数字が出たことは、私は衝撃を持って受け止めていると言いましたが、まだ不確定要素もあるということですが、しかしながら、リーマン・ショック以降を上回る数字が予測されておること。
確認ですが、不確定なものはありながら、これは、コロナを踏まえて、コロナが終わった、平時に戻った我が国、健保連の収支として、想定範囲内か、想定以上の悪化、収支の悪化が懸念されるのか、大臣、いかがですか。
○武見国務大臣 おおよそ想定されている傾向の中にあると思います。であるがゆえに、全世代型社会保障という観点の中で、応能負担という検討が更に必要だということで今議論が始まっているわけであります。しかも、こうした高齢化に関わる医療費の増加ということだけではなくて、医学、医療の進歩のコストの増加というような問題が更に深刻な問題に拍車をかけております。
したがって、いかなる財源をこれから私どもは確保して、国民に対してより質の高い医療を提供できるようにすることができるか、こうした財源の在り方について議論をする必要性は今まで以上に大きくなったと、こういう報道を通じて私も認識をいたしました。
○中島(克)委員 予想されていたということで、これまでも歳出、高齢化のみならず様々取り組んでおると。しかし、やはりこれは、本当にこういう収支悪化が更に強まって解散するような健保組合が出た場合、大混乱になると思いますよ。ですから、想定していたなら、今も危機感は示されましたけれども、より強い危機感を持って取り組まないと、今後の健保連財政、解散も含めて、国民皆保険、終わりの始まりにならないように、本当に注意をして注視していただきたいと思います。
もう少し加えますが、健保連が公表した資料によれば、令和六年度に赤字が見込まれる組合数は一千百九十四組合に達する。これは全体の八六・六%が赤字とのことであります。令和五年度が七九・一%でありますから、七・五%も赤字組合の割合が増加することになります。もっとも、健保組合収入の根幹である保険料収入は、前年度から三千八百十一億円の増加、こういうことが見込まれている。この背景は、先ほど大臣がおっしゃいましたが、大企業を中心に賃上げが進んでいることが挙げられると思います。
しかし、保険料収入が大幅に増加するにもかかわらず赤字の組合が増加する理由、これは言うまでもなく、先ほど大臣も答弁されましたが、高齢者、高齢化、また先進医療等々あるわけでありますけれども、やはりこれは、一番大きい部分については、公的医療保険、保険制度である以上、本来は保険料を支払う方々の医療費を健保組合が負担することが原則になっていて、健保組合に対して保険料を支払っていない高齢者の医療費負担の増加が大きな原因になっていること自体が、本来あるべき姿とは異なっているということも言えると思います。
こういう状況から、先日衆議院を通過いたしましたが、子ども・子育て支援金、健保組合、こういう財政状況、大臣も危機感を持って取り組まれて、そして今後の見通しも立てられていくとは思いますが、こういう財政状況の中で、健保組合の仕組みを利用して支援金ということでありますが、そもそもの健保組合がもしこのまま財政がどんどん悪化していって解散するようになれば、その仕組みすら維持できなくなる、そういう意味から、この健保組合の財政状況と、子ども・子育て支援金制度への影響というものは、大臣はどのようにお考えになっておられますか。
○武見国務大臣 子ども・子育て支援金につきましては、医療保険者が医療保険料と併せて賦課徴収することが、法律上、支援金率は医療保険に係る料率と区別して設定されるため、医療保険財政とは区別されたものでございます。
加えて、歳出改革と賃上げによって、被保険者と事業主双方の拠出分について実質的な社会保険負担軽減効果というものが生じます。その範囲内で構築することとされておりまして、健保組合の医療保険に係る財政状況により支援金の拠出ができなくなり、子育て財源の確保に影響が及ぶといったことにはならないと考えております。
○中島(克)委員 私は、先ほども言ったように、仕組みを利用する、でも、その大本である仕組みがこういう財政状況の中で、上乗せしていく、徴収する子ども・子育て支援金制度、やはり、より一層の現役世代の負担を招きかねないと思いますので、私は再度見直しも検討するべきだというふうに思います。
もう一点ですが、昨年の全社法のとき、二〇二六年度から、突如、出産費用の保険適用を目指すという方針に変わりました。出産費用に対する保険適用については様々な課題がある、様々な課題、地域の格差であったり。
前提として言っておきますが、私は従来、保険適用化には賛成なんです、賛成なんです。しかし、これまでずっと平行線で来た。さっきも言ったように助産所をどうするかとか、地域格差、一時金だって、上乗せしてある地域、これはずっと平行線で来たんですよ。それが昨年の全社法の一時金のときに、突如として、保険適用化、二〇二六年。
今回、先ほど言ったように、財政事情が非常に厳しいと言われている、これは対応していくにしてもですよ、このまま本当に最悪の状況にならないことは私は願いますが、この出産費用の保険適用について二〇二六年度に確実に実施が本当にできるのか。二〇二六年度という時期に私は余り固執しないで、大本である財政事情をちゃんとして、そして、当然ながら、見える化、見える化ですよ、本当に今、見える化できているのか。自民党のPTの座長は橋本筆頭だとお聞きしておりますが。
これは、突如降って湧いたように来た保険適用化、安易に、保険財政が厳しい健保組合の状況をお話ししましたけれども、二〇二六年度、本当に大丈夫ですか。
○武見国務大臣 妊婦の方々が安心して出産できるように、その経済的負担を軽減するために、昨年四月から、出産一時金、これを四十二万円から五十万円に大幅に増額するとともに、今年中、速やかに出産費用の見える化を本格的に稼働をいたしまして、医療機関ごとのサービス内容や出産費用の状況などを公表することとしております。
出産費用の保険適用については、サービスの質が確保されているというメリットがある一方で、全国一律の診療報酬で評価されることで、かえって妊婦の選択の幅を狭めることになってはいけないという課題もあります。これらの双方の考え方を踏まえて検討していく必要があります。
その際、自己負担は、今回の出産育児一時金の引上げは、平均的な標準費用について妊婦に自己負担が生じないようにしたものでございまして、保険適用の検討に当たってもこうした基本的な考え方は踏襲するとともに、保険給付の範囲の見直しに当たっては、医療保険制度全体の持続可能性の確保や給付と負担のバランスの観点も重要でありますので、保険者に与える影響もよく踏まえながら検討を進めていきたいと思います。
○中島(克)委員 何か一年前と全然変わっていないような気がするんですよね。変わっていないですよね。
さっき、私、賛成というよりは、そこに、保険適用化に向けてやっていく方が現状に沿うだろうという、私は思っている立場ですが、しかし余りにも、これは、元々療養だったものが、疾病のカテゴリーに入ってくるわけですよね、出産が。こういう先ほどもるる述べられた課題が一年前とは余り変わっていない、こういう状況の中で、目指すべきは目指してもいいんですが、余り拙速に、ありきで進めることはかえってこれは混乱を招くということを踏まえて、大臣のお考えも、個人としてのお考えもあると思いますので、是非そこは、我が国が培ってきた出産、分娩の文化もありますから、そういったことも踏まえて、あとは、保険に組み込んでいくということですから、保険財政の状況もしっかりと踏まえながら、期限ありきではなく、是非確実なものを見出していただきたいと思います。
もう一点。これは、先ほどの、健保組合の財政状況が非常に厳しい、様々理由はあるということですが、高齢化、高齢化に伴う高齢者医療制度への拠出、これがやはり大きな原因になっていると思います。
私、毎回ですけれども、かかりつけ医には触れますけれども、高齢者が抱える重複疾病であったりとか、介護ニーズであったりとか、そういったものを確実に捉まえていく、いわゆるプライマリーケアを発揮するかかりつけ医を、私、何もやっていないとは言わないですよ、大臣もそういう思いを持たれて努力されていることは分かっていますし、私もよく日本医師会の先生に、中島、もうそんな焦るな、いずれそういうふうになっていくから、だんだんだんだんそういう状況になり、今とは違う環境になってくるからと言われることも多いんです。余り拙速に事前登録とか認定制とかにすると今の医療体制の中でひずみが生じるから、こういうことを言われるわけでありますけれども。私は、大臣がもう本当に先ほども熱く語っておられた医療DX、医療DXは、私たちの議員立法の中でも、かかりつけ医とDX、これは車の両輪にしているんです。
ですから、先ほど言った健保連の、健保組合の財政状況、これは待ったなしですよ。そして、先日の「日曜討論」でも、かかりつけ医の確立は非常に重要だということを、大臣、熱くこれも述べられていました。
改めてでありますが、高齢化、高齢化に伴う医療費の増大、あえて私は、適正化のために、やはりかかりつけ医が、かかりつけ医を確立する重要性について、「日曜討論」のときのような、大臣の明確な答弁をいただきたいと思います。
○武見国務大臣 私の考え方は委員非常によく御存じだろうと思いますが、かかりつけ医機能の制度整備について、国民が受けられる医療サービスの向上を図ることをまず目的にして、かかりつけ医機能を有する医療機関を国民が適切に選択できるよう情報提供を強化するとともに、医療機関に対してその機能の報告を求めて、都道府県と地域の関係者との協議の場で必要な機能を確保する具体的な方策を検討する仕組みを創設するということは、御存じのとおり、もう決められております。患者の受療行動に介入するものではなくて、医療費抑制の仕組みでもございません。まずは、こうした在り方についての見える化をしっかりとしておくというのは、私はこれは必要なことだろうというふうに考えます。
さらに、かかりつけ医機能の発揮、あくまでも医療サービスの向上の観点から検討することが必要でございます。
その中で、質をしっかりと担保しながらこうした医療の提供を国民お一人お一人にしっかりと提供していくときの一つの最も最前線の医療機関としての役割が、こうしたかかりつけ医、そしてかかりつけ医機能というものに求められてくることはもう明白であって、そのために、今マイナ保険証で国民に御協力をいただいている医療DXの推進、デジタル化、特に電子カルテの一定の標準化を行って、そのアプリを全ての医療機関に配布をし、使っていただくことを通じて、医療機関同士が実際にその情報を共有をして、そして、特にかかりつけ医がその最先端で患者との間の健康管理というものに関わる大きな役割を果たすという、そうした方向に恐らくは持っていくことが必要なことになっていくんだろうと思います。
そのためには、やはり一つ一つ丁寧に、関係者の合意を取りながらこうした手続を踏んでいくことが必要だ、こういう考え方で私は取り組みたいと思います。
○中島(克)委員 かかりつけ医の重要性、確立の重要性についてはもう大臣とはほぼほぼ共有していると思うんですが、先ほど医師会の先生からも、中島、そんな焦るなとよく言われる理由は、少しずつ、今二十代、三十代の先生方、非常にこのプライマリーケアに対する意識が高いですよ、そういう先生たちが四十代、五十代になったときに自然にそうなっていくという意味だと私は理解しているんですが、しかし、先ほどの健保組合の財政状況を鑑みてみれば、そんな、二十年ぐらいたてば自然になるだろうなんということは絶対やっちゃ駄目なんですよ。だったら、政治は要らないですからね。二十年かかるところを十年にする、いやいや五年にしていく、この判断をするのが政治の役割でありますから。
先ほど、かかりつけ医の重要性は非常に共有しているんですけれども、でも、そこまで言うなら、かかりつけ医が何者なのか、一体何をしてくれて、そしてどういう場所にいて、上手な医療のかかり方で、困ったらかかりつけ医とアナウンスするんだったらですよ、患者さん側にとって、何をしてくれる人なのか、そして一体どこにいるのか、そしてその人の質を担保する、この仕組みは同時に進めていかないと、これは、いつまでたっても、のれんに腕押しのような状況に私はなってしまうと思います。
改めて、かかりつけ医を明確に定義するところまでは是非早急にやっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 先ほども申し上げたように、かかりつけ医機能に関わる見える化は、報告を通じてある程度明確になってまいりますから、そのときにそうした御指摘の点について更に明確に議論が進められるものだと思います。
そうした議論の中で、実際にデジタル化というものはそのプロセスを間違いなく加速化させることになりますので、それをしっかりと同時並行的に実行していきながら、こうしたかかりつけ医、そしてかかりつけ医機能というものについて具体的にきちんとした合意を形成しておくことが必要と思います。
○中島(克)委員 先日の「日曜討論」で、医師偏在については、医師を地域に配置していく、いわゆるこれは自由開業に制限を加えるというところまで、私は、大臣は踏み込まれ、どうやら、その内容が、言葉はどうなるのか分かりませんが、骨太にも、非常に重要だと思うんです。
でも、その延長線上には、必要な場所に医師が、配置する時代になってきた、その医師の役割の本当に大きな部分はプライマリーケアですよ、プライマリーケアですから、そういう医師を、地域の医師偏在の中で、そして、プライマリーケアを発揮する医師が勤務医の先生方と明確な役割分担をすることで、これは医師の働き方改革にも直結していく。ですから、かかりつけ医の制度化に向けて、偏在問題を骨太にも入れるのであれば、かかりつけ医の制度化に向けても是非骨太に入れていただきたいということをお願いをいたします。
済みません、ちょっと、これで時間をこんなに取るとは思わなかったので、失礼をいたしました。
政府案について確認をさせていただきたいと思います。
今日も、先ほど井坂さんから、また他の委員からもお話がございましたが、子の年齢に応じた柔軟な働き方実現のための措置についてでありますけれども、現行、三歳以降の両立支援制度についてはあくまで努力義務でありますが、事業所において、法を上回る取組として制度を設けている事業所も少なくないと承知しています。例えば、三歳以降も短時間勤務制度が利用可能である事業所において、今回の改正によって、事業主が短時間勤務制度を選択しなかった場合、これまでの利用できていた制度が利用できなくなる、こういう懸念も示されておられました。
参考人に確認をいたしますが、事業主が労働者に選択肢を示す際、それまでの各制度の活用状況を配慮すべきだと考えますが、お答えいただきたいと思います。
〔大串(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○堀井政府参考人 お答えをいたします。
まず、厚生労働省が実施をしております雇用均等基本調査によりますと、中島委員御指摘のあった短時間勤務制度、この制度のある事業所のうち、現在、三歳以降の子を育てる労働者も短時間勤務制度の利用を可能としている割合は約四割となっております。
そして、今回の法案の中の、三歳以降小学校就学前までの子を育てる労働者に対して、柔軟な働き方を実現するための措置を事業主が選択をする、この際には、労働者のニーズを把握する必要があることから、過半数労働組合等からの意見を聞かなければならないこととしております。
このようなことから、現行の各事業所の制度の内容も踏まえつつ、職場に適切な措置が講じられる、このようなことが期待をされるというふうに考えております。
加えまして、既に三歳以降の子を育てる労働者が利用できる制度がある事業所におきましては、引き続きその制度を活用したいという労働者のニーズも想定をされるところでございます。このようなことから、事業主が柔軟な働き方を実現するための措置を選択するに当たりましては、それまでの各制度の活用状況にも配慮することが望ましい旨を指針で示すことを予定をしております。具体的な内容につきましては、今後、審議会における公労使の御議論も踏まえて検討してまいりたいと存じます。
○中島(克)委員 指針で明確に示していただけるという御答弁だったと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
次に、看護休暇についても、これも同様で、今回、感染症に伴う学級閉鎖、入園、卒園、こういった取得を可能とすることは評価をいたしますが、これは福島委員などもよく言われていましたが、先ほどの三歳以下もそうだし、今回の小学校三年生まで、一定の評価はしますが、労働者の皆さんのニーズ、これは年齢で区切るべきではやはりないと思いますよ。
対象をせめて中学生就学前とするべきだと考えますし、上限の撤廃、先ほど井坂委員もおっしゃっておりましたけれども、改めて、有給休暇取得、控える傾向もあるわけですから、看護休暇については上限の撤廃とそして有給にするべきだと私からも強く求めますが、大臣、いかがでしょう。
○武見国務大臣 子の看護休暇の対象年齢につきましては、一年間に診療を受けた日数を比較いたしますと、十歳以降の子と九歳までの子との間で大きな差があることなどを勘案いたしまして、小学校三年生修了までというふうにさせていただいております。
また、取得可能日数につきましては、子の病気のために一年間で利用した各種休暇制度の取得日数等々の状況や、その男女差等を踏まえて、現行の日数を維持し、男女共に取得されるよう促進することが必要であると考えております。
さらに、子の看護休暇は、労働者が希望する日の取得を業務の都合等を理由に事業主が拒むことができない強い権利であります。有給化を義務づけることについては慎重な検討が必要であると思います。
その上で、法を上回る措置を事業主が講じることは望ましいものでありますので、企業の取組を更に促すとともに、両立支援等助成金についての周知も併せて行ってまいりたいと思います。
○中島(克)委員 何かやはりその説明は、前回もそうだったんですが、大臣、本音ですか、それ。大臣、本音ですか。私は大変残念ですけれども。
では、今回もですが、次回に向けて、上限の撤廃、そして有給も含めて、さっき慎重と言いましたけれども、前向きに検討してください。いかがですか。
○武見国務大臣 実際に、先ほど、大成建設の経緯とか、いろいろな好事例のお話も承っております。実際に法を上回る措置を事業主が講ずることはこれは望ましいことでありまして、そうした企業の取組を促すとともに、両立支援等の助成金についても、私どもとしてはこれを周知して実行していきたいというふうに考えているわけであります。
したがって、そうした観点から、今後、将来のことについて改めて検討をしていきたいと思います。
○中島(克)委員 慎重が抜けたので、私は前向きになったんだと理解をしたいと思います。これは、政治用語というのはすごく変で、慎重に検討するときはマイナスなんですよ。検討すると言えば、産科の保険適用のときも突如検討が始まって、もうありきになる。慎重が抜けただけでも、私は、後で恐らく福島委員もやられると思いますけれども、一歩前進と思います。
時間が限られておりますので、たくさんまだ通告していたんですが、今回、訪問介護系のサービス基本報酬を下げたことについては、先ほども井坂委員、早稲田委員からもお話がございました。先日の参考人質疑でも、クラフトユニオンの参考人も、これは実質の経営とかそういう部分、細かいところもあるんですが、介護人材、介護従事者の方々が、介護を軽んじているんじゃないか、見てもらっていないんじゃないか、こういう声を御披露いただきました。
私、ちょっと原則的なことをお尋ねしますが、今回、基本報酬が下げられた。様々なことを答弁されると思いますが、そもそも、今回、昨年の末に介護報酬改定率一・五九%が決まり、そのうち処遇改善が、〇・六一%ですよ、処遇改善分を差し引くと、前回、二一年度の報酬改定〇・七を下回るわけでありますよね。これはいつも私は違和感があるんですけれども、先に改定率が決まって、その後、何か枠をはめていく。
これは大臣に確認したいんですが、本当は、訪問介護系サービス基本報酬、下げたくなかったけれども、いわゆる改定のキャップがはまってしまい、ドラフトから漏れた、残念ながら漏れてしまった、その結果が今回の訪問介護系のサービス基本報酬の引下げになったのか、改定率がもっと取れればこれは下げなかったのか、どちらでしょうか。
○武見国務大臣 やはり、表現の仕方はいろいろありますけれども、限られた介護財源の中で配分をしなければならないことは、制度上当然のことと考えます。したがって、その中で、収支差率が高いものと収支差率が低い赤字構造のものとその財源の配分をするという観点で、収支差率が高かったこうした訪問介護に関わる基本料というものを下げさせていただいた。
ただ、その中で、実際に赤字の小規模事業者なども三割、四割といらっしゃることがはっきり分かっていたわけでありますから、そういった方々のところについては、こうした特別加算というものを、しかも手続を大幅に簡素化して、しかもその周知を徹底して行って、その賃上げの財源というものはしっかりと確保していただいて、今回の措置を講ずるという形にさせていただいたところであります。
したがって、今もプッシュ型で、この加算に関わる取得をしていただくためのチラシなども各事業所に配らせていただいておりまして、そうしたいわば働きかけの効果というものを、今、同時並行的に調査もしながら、実際に検証しているところであります。
○中島(克)委員 終わりますけれども、我々が提出している訪問介護緊急支援法、そして処遇改善、人材確保法ですね、これはこれからの地域包括ケアシステム、未来に向けて本当に大事な法案でございますので、継続審議をしていただくことを改めてお願いをして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
冒頭、ちょっとだけ時間をいただいて、中国残留日本兵の話をさせていただきます。
二〇二一年六月四日の衆議院の内閣委員会で、私は、中国残留日本兵及びその御家族に係る質問をさせていただきました。その関連で、改めて確認をさせてください。
一、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律、まあ、自立支援法、支援法第二条、中国残留邦人等の定義に規定されている「中国の地域」には満州以外も含まれる。
二、中国残留孤児名鑑には元々身分が判明している中国残留邦人は掲載されていない。
三、一時帰国事業、永住帰国事業により日本に帰国する際、中国旅券を使用する、まあ中国のパスポートですね、中国旅券を使用することは十分にあり得る。
四、中国残留邦人が日本名とともに中国で新たに得た中国名を有することは普通にあり得る。
五、一時帰国事業、永住帰国事業は支援法制定前から予算事業として実施されてきた。
以上五点について、間違いないですね。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
一点目でございますが、中国残留邦人等支援法における「中国の地域」には満州以外の地域も含まれます。
二点目でございますが、身元未判明中国残留日本人孤児名鑑とは、自身の身元が分からない中国残留邦人等が来日して肉親調査を行ったものの、肉親が見つからず、身元が判明しなかった者を掲載した名簿でございます。したがいまして、肉親が判明している中国残留邦人等は掲載されておりません。
三点目、中国残留邦人等の法律上の要件として旅券に関することはないことから、仮に中国旅券所持者であっても、帰国事業の対象にはなり得ます。
なお、中国残留邦人等の中には中国籍を有して中国旅券を所持している者が一定数いると承知しております。
四点目でございますが、中国残留邦人等が現地での生活において日本名以外の名前を所持していることは十分あり得るものと考えております。
五点目でございます。中国残留邦人等に相当する者につきましては、支援法施行以前から予算事業として帰国旅費等の支給を行ってきたところでございます。
○足立委員 ありがとうございます。
法務省にもお越しをいただいています。
中国残留邦人が亡くなられた後に、中国人の配偶者が婚姻届や子の出生届を在中国日本大使館等を通じて日本に届け出て、故人を筆頭者とする新しい戸籍が編製されること、そして、中国で生まれた二世や三世が日本人として就籍することはあり得る。いずれも、これは、日本の戸籍制度における手続として、要件等を満たしていれば当然受理される。私、日本人として当たり前だと思いますが、いかがですか。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
日本人と外国人との間で外国の方式で婚姻が成立したことを報告する、いわゆる報告的婚姻届出は、日本人配偶者が亡くなった後に他方の配偶者から届出される場合であっても、日本における婚姻要件を満たしていると認められるときには受理されます。したがって、この場合には、御指摘のとおり、故人を筆頭者とする戸籍が編製される場合もございます。
また、国外で出生した子の出生届についても、当該子が日本国籍を有している場合には、父親の死亡後であることのみをもって不受理となることはございません。
なお、仮に出生届の提出がされない場合であっても、日本国籍を有しているのであれば、家庭裁判所の許可を得た上で就籍の届出をすれば戸籍が編製されます。
○足立委員 ありがとうございました。
本件は以上にしますので、もう退席いただいても結構ですので、よろしくお願いします。
それでは、医療、介護の話をさせていただきたいと思います。
この法案審議においては、休業制度を中心にるる議論をされてきましたが、今、一連の立憲の皆様の質問を見ても、法案の審議はほぼ収束をしてきたと思っています。そうした中で、足下の休業をめぐる、まあ介護休業あるいは育児休業、そうしたものをしっかりと支えていく、そういうことは当然やっていくわけでありますが、もう少し中期で見たときに、医療・介護サービスの提供体制の在り方については大変懸念がされるところであります。
二〇二五年、団塊の世代が後期高齢者になる、これは私は始まりだと思っています、危機の始まり。だから、二〇二五年というのは、日本という国が、国内、社会を、日本の社会をちゃんと進めていく上においては、厳しい峠に入っていくわけです。その厳しい峠の入口が二〇二五年です。そして、ピークがいつかというのは私、ちょっと見識がまだありませんが、二〇四〇年以降、もしかしたら二〇五〇年ぐらいかもしれないし、二〇六〇年ぐらいかもしれないけれども、ピークを打つことも当然あるわけであります。
そうしたときに、例えば、井坂委員、今回、立憲民主党の皆様が介護とか障害とかそういう分野の人材確保、処遇改善、そうしたことを議論いただいていることは敬意を表したいと思いますが、若干、まあそれはそれでいいんだけれども、しかし、人材というのは人生があるわけですから、取りあえず五年だけやってね、その後はどこか別の分野へ行ってねというわけにはいかないわけでありまして、やはり中期的なビジョンなくして人材確保はあり得ないと私は思うわけであります。
そうした意味で、法案を出された、法案から離れていただいて結構です、場合によってはもう立憲民主党から離れていただいても結構ですから、井坂信彦提出者に、医療・介護サービスの提供体制の在り方について、特に、今申し上げた中期的な山あるいは峠、これをどのように乗り越えていくかということについて、御見識があられたら開陳をいただきたいと思います。
○井坂議員 ありがとうございます。
お許しをいただいたので、私見も交えてお答えをしたいと思います。
二〇四〇年問題というのは、一九七〇年代生まれ、いわゆる団塊ジュニア世代が高齢者になることで起こる人口構成の問題です。六十五歳以上の高齢者人口が二〇四〇年に三千九百万人とピークを迎える中、生産年齢人口は、二〇二〇年の七千五百万人から、二〇三〇年は六千九百万人、二〇四〇年は六千万人、二〇五〇年は五千三百万人と、急激に減り続けます。
一方で、医療や介護が必要になる七十五歳以上の人口は、二〇三〇年から二〇六〇年までおおむね二千三百万人前後で横ばいであり、二〇四〇年を過ぎたら介護従事者が急に必要なくなるというような、いわゆるピーク、峠は見当たりません。
政府は、第八期介護保険事業計画で、将来必要な介護職員数を推計しています。二〇一九年に二百十一万人だった介護職員が、二〇二五年は二百四十三万人、二〇四〇年は二百八十万人が必要になるとのことです。一方で、医療分野の就業者数は、政府の二〇四〇年を見据えた社会保障の将来見通しというのがありまして、二〇一八年が三百九万人、二〇二五年が三百二十二万人、二〇四〇年が三百二十八万人と、ほとんど医療の方は増えておりません。
以上のデータから、医療、介護の二〇四〇年問題というのは、主に、医療より介護、そして需要より供給の問題であると考えております。
介護の供給については、短期的には介護人材の確保が最重要であり、今回、立憲民主党が提出した二つの法案はその目的にかなうものであります。
一方で、中長期的には、これは介護に限らず、ロボットがある程度の労働力を代替できると考えています。私はむしろ技術よりも政治が遅れることをこの面で危惧をしておりまして、今から、法制度や、あるいはロボット、これは個人とか一者が持てるような値段ではなくなると予想しておりますので、ロボットの資産の共有などの取扱い、また、ロボットの移動を前提とした高齢者住宅や道路などのインフラを今から整える必要があると考えています。もちろん、介護の全てをロボットが行うことは不可能で、重労働はロボットに任せる、そして介護従事者は人間にしかできないケアを専門的に行うということであります。
なお、医療と介護の統合については、かかりつけ医が地域で高齢者の医療、介護全般に関わる法案を国会にこれまで提出してまいりました。病気の治療ではなくて、介護も含めた予防に重心を移し、国民の健康寿命を延ばし、不健康期間を短くすることが重要と考えております。
以上です。
○足立委員 ありがとうございました。医療のみならず介護を含めて御見解をいただいたこと、感謝を申し上げます。
一点、ピークの話がちょっとありましたが、すると、医療・介護需要はどこかでピークを打つと思うんですけれども、いつ頃打つんですか。
○井坂議員 今回御質問いただいて、改めて政府のいろいろなデータ、グラフなどを見ましたら、二〇四〇年、六十五歳は結構明確にピークがある。ところが、後期高齢者は……(足立委員「そこは要らないから。ピークはいつ打つのか」と呼ぶ)ピークは、あえて言えば二〇五〇年ぐらいがありましたけれども、いわゆるとがったピークではなくて、本当にほぼ平らな状態で後期高齢者の人数というのは三、四十年ずっと続くというのが今のところの政府見通しであります。
○足立委員 ありがとうございました。
私がこういうふうに申し上げているのは、人生というのは、例えば、二十歳から働き始めて七十歳まで働くとしたら五十年ですからね、だから、医療・介護サービス産業というもののビジョンというのは、やはり、特に人口に関わるテーマですから、しっかりと五十年、百年のベースで議論していくべきだということで御質問申し上げました。御答弁ありがとうございます。
大臣、同じ質問なんですけれども、ちょっと井坂さんを超えていただきたいと思いますが、特に私が気にしているのはやはり人材、それから、ピークは、確かに、四〇年というのは人口の問題はあるけれども、医療・介護需要ということでいうと、まあ、当面先かなという気はします。
それから、先日、医師の偏在是正ということで、大臣から御答弁をいただいた新たな地域医療構想等に関する検討会、これが、私が御質問して大臣から御答弁いただいて、ここでやるんだということをおっしゃった。
改めて資料を拝見しました。問題提起はすばらしいというか、これは大臣の御指示で始まったんだと思いますが、この検討会の検討事項は、私はまさにこれを議論すべきだと。私たちもしています、党内でいたしていますが、まさにこれを私たちは問うてきたわけでありまして、これはしっかり大臣のリーダーシップでやっていただきたいと思いますが、検討するだけじゃなくて、これは、こういう視点で検討していくんだ、そこは、日本社会がこれから直面する課題をしっかりとこの検討会で解決していくのであるということを、井坂さんを超える格調高い御答弁をいただきたいと思います。
○武見国務大臣 この検討会の中で、委員御指摘のとおり相当しっかりと議論はしていただいて、それで、ある程度の取りまとめをした上で、今回の骨太の方針までに何らかの新しい考え方をきちんと組み込んでいきたい、かように考えております。
○足立委員 出口を教えていただきました。大変、そういう意味では、検討自体は集中的にやられるということです。
皆さん、是非資料を読まれたらいいと思います。大変貴重な資料が、ちょっと、第一回の資料は分厚いですけれども。
これは参考人で結構なんですけれども、この検討事項、手元にありますか。検討事項を見ると、将来推計のところに医療従事者等と書いてあるのは今分かりますか。分からない。分かる人いる。大丈夫。
私が一番やはり関心あるのは、ロボットとか、もちろんそういう議論もあるんだけれども、やはり人材、要はサービス提供体制を支える人材です。そこに、医療従事者だけじゃなくて、介護、さっき井坂さんがおっしゃったように介護需要はやはりむちゃくちゃ増えていくわけですから、医療、介護の垣根を越えた人材問題、これをしっかりと検討して、見える化して、そこで人材も育成していく、また、そこに入っていっていただく、こういうことが必要だと思いますが、そこはしっかり、介護も含めてやるということでいいですか。
○間政府参考人 お答えいたします。
今委員御質問になられたのは地域医療構想のお話でございますが、おっしゃるように、医療と介護を一体的にサービスが提供されてまいりますので、介護人材についても重要だと思っております。
介護分野につきましては、地域医療構想の中で全部考えるものではないと思いますが、地域によって、高齢者数がピークを過ぎ、減少に転じている地域もございます。既に入所施設などで空床が出ているといったようなところがございます。そういう意味では、二〇四〇年頃を見据え、介護人材の将来推計等も行いながら、各地域の実態に応じた地域包括ケアシステムの深化、推進の在り方について検討していく必要がある、このように考えております。
医療の方はそういう場ができているわけですけれども、介護についても今後そういうことも含めてしっかり検討していきたい、このように考えております。
○足立委員 今御答弁いただいたように、私も事前にいろいろ調整しましたから、雰囲気は分かるんですけれども、これはやはり医療を中心に動いているわけです。それは、医療が抱えている課題が大変深刻だから、それは分かるんですが、さっきもあったように、やはりこれは医療、介護だと。だから、医政局、保険局のみならず、今あった老健局、ここはしっかり老健局が入ってやらないと。もちろん医療と介護は制度体系が全く違うので一緒に議論しにくいのは分かるんだけれども、今、福島さんがおっしゃったように、ちょっとそこは縦割りが過ぎると思うので、これはしっかりやるということでお願いします。
○浅沼政府参考人 お答えいたします。
議員御指摘のとおりで、二〇四〇年まで見据えると、今までの地域医療構想と相変わりまして、特に在宅だとかみとりだとか、そういったものがこれから重要になってくるということになってきますと、ますます介護事業、介護保険事業との連携というのが医療のサイドも重要になってくるということでございます。
つきましては、私どももこの新たな地域医療構想等に関する検討会において、単に病院のこと、病床のことのみならず、地域の中でどのように医療のビジョンを立てていけるようになるのか、それを二〇四〇年をターゲットにする形にして議論を進めていく。その中におきましては、議員御指摘のとおり、介護との連携、これは大変重要でございますので、省内においては、保険局のみならず老健局の方々とも連携をしながら、日々調整に努めているところでございます。
○足立委員 よろしくお願いします。
この地域医療構想検討会は、いわゆる今の地域医療構想がたしか来年までですね、だから、今の地域医療構想が二〇二五年までの取組になっているから、二〇二六年以降のことを考えなあかんということで始まっているわけですね。ですよね。だから、若干、もう次のことを考えなあかんということで、ばたばたばたと動いていらっしゃるところもあると思いますが、これは大変重要なテーマです。私たち国会もしっかり委員会で議論をしていきますので、政府もしっかりお願いをしたいと思います。
最後に、介護優先原則について議論しておきたいと思います。
実は現場でこういう問題が起こっています。障害のある患者さんが例えば通院できなくなって訪問診療となったときに、介護保険がなかったら上限五百円の負担で済むんだけれども、介護保険が適用された途端に二千円以上に跳ね上がるということが起こっています。なぜこんなことになるのか、それは合理的なのか、ちょっとお願いします。
○間政府参考人 お答えいたします。
まず原則の話でございますが、医療サービスにおいて介護保険と医療保険で給付が重なる部分につきましては、健康保険法の規定により、介護保険の給付が優先されます。
これはなぜかといいますと、考え方ですけれども、医療保険制度との関係では、福祉と医療に分かれておりました、福祉制度と医療保険あるいは医療制度に分かれていました介護サービスを再編成して、総合的、一体的に提供するものとして介護保険制度が創設されたといったことなどを踏まえて、介護保険優先、医療保険と介護保険の関係では介護保険優先となっています。
今の御指摘の障害者においても、こうした介護保険優先の原則に基づいて、医療サービスを必要とする要介護者である場合には、介護保険の居宅療養管理指導あるいは訪問看護につきまして、受けることがございます。そして、そこに自治体が単独事業で助成をする、障害者への助成をする場合には、自治体が独自に対象を定めております。こうした結果、自治体の方の御判断で、医療費助成の対象から介護保険の居宅療養管理指導等に係る費用が外れるケースもあります。他方で、対象にしているケースもございます。
その意味では、この辺りは、自治体独自で実施する医療費助成の事業につきましては、一義的には自治体の御判断に基づき実施されるべきもの、このように考えています。
○足立委員 これはちょっと交通整理した方がいいと思うんですよね。
もちろん、自治体が絡むので、これは、だから、医療、介護、障害福祉、それから国と自治体という極めて複雑な関係者が絡んで、現場の利用者さん、患者さん、あるいはサービス提供者が対応しているということで、これは大変問題があると思います。
したがって、是非、ちょっと、今御答弁をいただいて、こうなっているんだよということなんですけれども、これは問題ないということですか。それか、ちょっと考えなあかんなということか。それはやはり問題ないんですか。それか、もし自治体に課題があるんだったら、自治体に、そこは、例えば、通知で、よくバランスを見てやってねということを通知するとか何かしないと、現場はだって全体は見えないんだから、やはり、私たち国会も含めて、国がそこは目を光らせて、現場が困らないようにしてあげるべきだと思いますが、いかがですか。
○間政府参考人 お答えいたします。
ただいま委員御指摘の点につきましては、単独事業の部分については自治体の御判断ではありますが、そういった点、どういうふうに、要するに、ちゃんと全体像を分かってやっておられるのかどうかという点もあるいはあろうかと思います。この点、障害者担当部局ともよく相談して、検討してまいりたいと思います。
○足立委員 老健局長が御答弁くださったことには感謝を申し上げます。縦割りなので、前に出ていただいて感謝を申し上げます。
大臣、最後に、今申し上げた介護優先原則というのは有名な話ですが、実はちゃんと余り詰めていないんじゃないかと私は心配をしています。
健康保険法の五十五条の三項かな、それから障害者総合支援法の七条ですかね、それぞれ、障害と介護の介護優先原則、それから医療と介護の介護優先原則、こういうことが書いてあるわけですが、もう今、若干御答弁いただいたので、大臣、そこは割愛したりいいようにしていただいたらいいと思うんですが、私、申し上げたように、福祉であれば、税で、そして自己負担は余りないわけですね、基本的にないのか、原則ないわけですね。ところが、さっき申し上げた、障害のあられる方が、介護保険制度ができちゃったので、例えば、四十歳以降は一部、あっ、時間が来ちゃいましたね。やめましょうか。(発言する者あり)はい、時間は守りましょう。
大臣、これは大変重要な問題なので、介護優先原則が本当に正しいのか、これは改めて時間をいただいて議論していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
ありがとうございます。
○新谷委員長 次に、岬麻紀君。
○岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
これまで、育児休業、介護休業等の法案審議が進んでおりますけれども、私もいつも質問をさせていただいておりましたが、やはり、この問題がこのように大きく取り上げられているというのは、女性の働き方が変わってきた、社会への参画が変わってきた、そして、男性も育児やまた家事に関わる、そういった社会風土が後押しをしているというふうに思います。
これまで、日本は皆保険制度なわけですが、やはり国民の多くが皆結婚制度のように感じていたと思います。皆が、ある一定の年齢になると結婚をして、寿退社をして、子供を産んで、専業主婦をする、そういった風土が長く続いてきました。これはなかなか変えられなかったんですが、ここに来て未婚の方も大変増えてきました。離婚という人も増えています。そんな中で、これまでダークなイメージであったり、よろしくないというイメージが随分と変わってきたと思うんですね。様々な自由な人生の選択ができるという表れではないかと思います。自由な選択ができて、充実なそれぞれの人生を歩んでいける、そういった風土の兆しなのではないかと考えています。
そこでですけれども、当たり前のように子供を産んで育てている方々が、それに伴い、かなり窮屈な思いをしたり、また、実際、子供を産んで育てること自体がハードルが高くなっているようにも感じます。
そこで、産後のうつであるとか育児ノイローゼ、これは女性だけの問題ではなく、男性も育児うつという人が増えています。この問題に関しまして、未然の防止が非常に重要ではないかと考えるんです。一度このうつの状態になってしまいますと、完全に回復する、しっかりと社会復帰するのにはまたそれ相応の時間がかかってしまいます。そういった面を踏まえまして、未然防止対策についてはどのようにお考えでしょうか。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。
議員御指摘のとおり、妊娠後、出産後のうつのメンタルヘルス対策だけでなく、父親の悩みやうつなどの対策も重要な課題と認識しております。出産や育児への父親の積極的な関わりにより、母親の精神的な安定をもたらすことが期待される一方、父親も、母親と同様、支援される立場にあり、こども家庭庁においても、父親も含め出産や育児に関する相談支援の対象とするなど、引き続き、父親の悩みやうつなどの課題に対応した取組を推進してまいります。
私も、もう二十数年前ですが、長男が生まれたときは、ちょうど立候補予定者であり、なかなか生活ぶりが苦しいことがあって、それで、出産とか子育てのうつじゃなくて、違った面でうつになったことがありますけれども、このように、やはり国を挙げてしっかりと支援をする、大切なことだと思いますので、よろしくお願いいたします。
○岬委員 御自身の経験も踏まえての御答弁、ありがとうございます。
前回、堀井局長からも、産後パパ育休であるとかパパの育児休業を取ることによって、女性側に寄り添うことでメンタルケアができる、これは大きなメリットであるという答えだったと思うんですけれども、その肝腎な男性もこのようなうつになってしまう、育児というのはそれぐらい大変なことである。体的にも、そして精神的にも、そして、生活費を稼いでこなくちゃいけないというプレッシャーもあると思われます。
ここに関して、では、男性と女性の特徴の違いというのはあるんでしょうか。その辺り、いかがでしょう。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
男性と女性の違いという御質問ですけれども、女性については、産後は、心身の変化や慣れない育児などによりまして、産後うつのリスクが高い時期でございます。産婦健康診査を実施いたしておりまして、特に支援の必要な方については産後ケア事業へとつないで産後うつの対策を行っているところでございますけれども、男性については、これまでなかなか、一般的な理解といいますか、余り知られていなかったということもございまして、先ほど副大臣の方からも御答弁がありましたけれども、やはりそういうことになる方も増えているということでございます。
父親について言うと、子供の誕生によって、女性は実際に子供を産むということで体のホルモンの変化等々ありますけれども、男性については、そういう肉体的な変化ということではなくて、子供の誕生によって父親自身の仕事のスタイルでありますとかあるいは生活環境が変化するということによって悩みが生じ、それがうつにつながっているというふうなことも考えられておりまして、やはりそうした父親に対する支援ということが非常に重要になってくるというふうに思ってございます。
私どもといたしましても、そうした出産や子育てに悩む父親へのサポートを行う自治体への支援というものは取り組んでおるところでございますし、また、こども家庭庁の科研費を使いまして、父親の健康状態に関するエビデンスの収集でありますとか、父親への支援のプログラム等についての研究も実施しておるところでございます。
そうしたことで得られた成果、例えば父親支援に係る好事例なども周知することによって、そうした父親をサポートしていくということに更に取組を進めていきたいというふうに思っているところでございます。
○岬委員 ありがとうございます。
やはり特徴の違いをしっかりと踏まえて原因をしっかりと解明しないと、予防対策もできないと思われます。今のお話を聞いていると、女性自身というのは、実際、自分自身の体調やホルモンのバランスの影響、若しくは目の前の赤ちゃんであるとか育児そのものに対する疲弊からのうつと考えられますが、男性は、直接的なものというよりは、社会環境、あとは会社での、事業での人間関係であるとか、そういった違いがあるのではないかと思われます。そこをしっかりと明確にして、では事前の対策としてはどうしていったらいいのか、一人でもうつに陥ってしまうという負のスパイラルを生まないための努力をしていただきたいと強く思います。
次に、こういった方々のプライバシーへの配慮という点にはどのような対策があるんでしょうか。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
うつになられた父親についてのプライバシーの問題というお尋ねへのお答えということでよろしゅうございますか。
先ほど少し申し上げましたけれども、科研費などを使いましてそうした事例の収集などに努めているところでございますので、当然、研究に当たって、当事者のプライバシーについては十分な配慮をした上で、その上で共有できる形に、そこは当事者が特定されないような形できちんと整理をして、そうした悩む父親あるいは取組を進める自治体に取組の仕方を役立てていただけるようにしていくというところでございます。
○岬委員 育児の休業であるにしても介護の休業であるにしても、かなり自分自身のプライバシーが表に出てしまう可能性があるんですよね。
そして、万が一、障害児だった場合であるとか、そういったうつになってしまう場合というのは、やはりプライバシーをしっかりと守ってほしい、それが守られるかが不安なのでなかなか言い出せない、相談ができない、休業も取りづらい、そういったことにも陥らないような配慮が必要であるということをお聞きしたかったという趣旨でございます。
次に、今回は、フォローをしてもらう側とする側の乖離があるというのは、以前も御答弁を宮崎副大臣からもいただきました。これは永遠に埋まっていかないのではなかろうかというお話もございました。
しかし、フォローされる側というのは、社会関係資本が低下して自分自身の人事評価にも影響があるでしょう、さらに、周りに対しての肩身の狭さというのもあるでしょう、そして、今日何度も言葉にも出てきておりますが、子持ち様というような、非常につらい気持ちにも押しやられるかもしれません。
しかし、今度はフォローする側の気持ちになっても、私の子供じゃないのに、何で人の子のためにこんなに自分が苦労しなくちゃいけないの、これは人間の心理としてはあるであろうと想像ができます。何となく損した気分にさせてしまう。そのためには何らかのインセンティブが必要であろうであるとか、貢献度の評価であるとか見える化をする必要があるだろう、これも様々な角度から意見が出ています。
こういった中で、これを放置をしておくとどうなるか。産み控えという現象も起こってくる。だからこそ、今、少子化が問題になっています。そういった中で、ここの埋まらないであろうという部分をどのように埋めていくかというのは、非常に今後の経済問題にしても人口問題にしても影響があると思われます。この辺りはどうでしょうか。休業、休暇のユニバーサル、これも含めてお願いいたします。
○堀井政府参考人 お答えいたします。
仕事と育児の両立支援制度を充実して使っていく、そういった過程におきましては、育児を行っている労働者の方と周囲の労働者の方、その間の公平感、納得感にも配慮をしながら進めるということが大変重要だというふうに考えております。
それで、岬委員からも御指摘がありましたが、実際、子育て中の方も遠慮をする、そして、その仕事をカバーする周りの方についても、本当だったら心からおめでとうと言ってあげたいところだけれども、仕事が本当に忙しくて、なかなか自分の業務がいっぱいになってくるとそういったことも、自分としては嫌なんだけれども、言いにくくて、そのようなエピソードを聞いたこともあります。
ですので、いろいろな形でのアプローチが必要で、本来でしたら、岬委員御指摘のように、子育てにかかわらず、誰しも働いている方は病気になったり、それで休んだり、あるいは介護も同様です、そういったことで、職場の中で、お互いさまということもあるんですが、そういうことも踏まえてどうやってカバーしていくかが大変重要だというふうに考えています。
それで、厚生労働省の施策面につきましては、これまでも何回か紹介させていただきましたが、中小企業事業主に対する助成金です。育児休業中の労働者の代替要員を新規に雇用した場合、あるいは育児休業等を取得している間の業務を代替する周囲の労働者に事業主の方が手当を支払った場合、そういったときに助成金を支給をする、そのような枠組みにしております。
また、職場全体で働き方を見直して、育児をしている人、そうじゃない方も含めて労働時間も短くして、そういう形にしていこうということで、今回の次世代育成支援対策推進法の改正に基づく指針の中で、行動計画に盛り込むことが望ましい事項として、育児等を行う労働者のみならず、業務を代替する周囲の労働者に対するマネジメント、心身の健康への配慮、こういったことを記載をするということを考えております。
このようなことで、育児を行う労働者、周囲の労働者共に配慮されるように、きちんと進めてまいりたいと存じます。
○岬委員 この問題は、一長一短に、解決はできないと思われます。いろいろと試行錯誤をしながら、時代に合わせてしっかりと取組を引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、最後になりますが、今回の法案におきまして、始業時刻の変更であるとかフレックスタイムも含めて、テレワーク、在宅ワーク、いろいろな施策の中から二つ以上を選択して、併せて仕事の効率また生産性を上げていこうという取組でございますけれども、様々な働き方がある、そして働く時間も変わってくるとなると、企業として、一員として、一丸となってという共有化、かなり難しくなるのではないかと思われます。また、分かりづらさ、評価のしづらさ、コミュニケーション不足、この辺りの課題に対してはどのように対策をされるんでしょうか。最後に一言、お願いします。
○新谷委員長 堀井雇用環境・均等局長、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
○堀井政府参考人 今、岬委員から御指摘のあったような様々な措置の創設ということがあるわけですけれども、テレワークにつきましては、例えば、仕事の進行管理が難しいなどの課題があるというふうに承知をしています。こういったことに対しては、厚生労働省としまして、テレワークガイドライン、こういったものを作成をして労務管理上の留意点や望ましい取組をお示しをする、それ以外にも、セミナーや相談支援、そういった対応をしていきます。
いろいろな対策に応じて様々な手法が考えられると思いますので、引き続き、両立しやすい職場づくりに向けて対応してまいりたいと存じます。
○岬委員 ありがとうございました。一人一人の活躍がばらばらにならないように、是非ともよろしくお願いいたします。
本日もありがとうございました。
○新谷委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。
今日は、非正規雇用労働者の育休についてまず取り上げたいと思います。
今でも、均等法九条三項で、妊娠、出産、育休、こうしたものを理由に不利益な取扱いをしてはならないとなっているわけですけれども、現実には、有期雇用労働者が妊娠を告げた途端に雇い止めにされてしまう、育休を取ろうとしたら雇い止めにされてしまう、こういうケースが少なくありません。なかなか裁判で争うというふうにはならないわけですよね。やはり、非正規雇用の皆さんの場合は、生活維持のために次の場所を見つけて働かなきゃいけないということがあります。
ですから、私は、今の均等法九条三項だけではなくて、九条四項ですね、九条四項は妊娠中と出産後一年の解雇を禁止しているわけですけれども、雇い止めについても同様の保護を行うような法改正を行う必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 御指摘の点に関する男女雇用均等法の規定は、妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇を無効としている規定でありまして、事業主に立証責任を転換している、大変強い民事上の効力を有する規定でございます。
委員の御提案については、解雇は使用者が一方的に労働契約を終了させることに対して、有期雇用契約の雇い止めは本来予定されていた契約期間が終了した際に使用者が契約を更新しないことといった違いがあることを踏まえまして、人事労務管理の慣行等の観点から慎重な検討がやはり必要となります。
また、現行の男女雇用機会均等法第九条第三項におきましても、妊娠や出産したことを理由として不利益な取扱いをしてはならないとされているところであり、不利益な取扱いを受けた労働者は、都道府県労働局長が事業主に助言、指導、勧告を行うように求めることができるほか、都道府県労働局において紛争の解決援助を図っているところでございます。
都道府県労働局において丁寧にこうした対応をし、女性労働者の方が妊娠や出産などにより不利益な取扱いを受けないよう、環境の整備には努めてまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 先ほど、立証責任がどちらにあるのかというのが違うんだという話がありましたけれども、雇い止めの場合は立証責任が労働者の側に来てしまいますから、事業主が、これは育休を理由じゃない雇い止めですというふうに言った場合は、長い紛争になっていってしまうわけですよね。
ですから、やはり雇い止めについてもこれはもっと強い保護をしないと、安心して出産、育児をするということができないと思うんですよ。現実には、本当だったら正規で雇ってしかるべきような仕事まで契約社員になっている、あるいは、公務員の現場でもそうですよね、非正規の公務員になっているということがあるわけですから、ここは本当にしっかりとした保護がないと、安心して子供を産めないんじゃないですかね、育てようとならないんじゃないですかね。
慎重な検討よりも踏み込んでいただきたいと思うんですけれども、それこそ慎重ではなくてという話が今日の議論でもありましたけれども、これはちゃんと、どうやってこうした非正規の皆さんを保護していくのかというのは考えなきゃいけないと思いますけれども、いかがですか。
○武見国務大臣 法律上の扱いをどうするかという点については、やはり慎重な検討が必要だとは申し上げなければならないのでありますけれども、実態として、都道府県の労働局の中で、こうした案件について個別にしっかりと丁寧に対応していくことが必要だと思います。
○宮本(徹)委員 現実には、なかなかそれだけでは事態は是正できていなくて、たくさんの雇い止めがマタハラとして起きている。ここは本当に、これをどう解決していくのかというのは政治の責任だと私は思いますので、そこはよく考えていただきたいと思います。
あわせまして、ちょっとこの問題、同じ問題で、地方自治体の会計年度任用職員のこともお伺いしたいと思うんですね。同じような問題がたくさん起きております。
今日、資料をお配りしておりますけれども、常勤職員は育休取得率だとかをちゃんと把握しておりますが、会計年度任用職員はそもそも育休取得率というものを取っていないんですね。取得者数しかカウントしていないということがあります。これもちゃんと把握していただきたいと思います。
加えて、育休中の者、育休取得者、育休予定者の雇い止めがないかということについて、それ以外の者との任用継続率、合格率の差異も含めて、私は実態を調査していただきたいと思うんですね。
というのも、私、今国会一番初めに、東京都のスクールカウンセラーの問題を取り上げさせていただきました、大量の雇い止めがあると。スクールカウンセラーの皆さんの話を聞いていると、どうも、育休を任用中に取った方が高い比率で雇い止めに遭っているのではないのかという声が出ているわけですね。ですから、ここは本当にちゃんと実態調査をしていただかないと、本当に、不利益が行われているということにもなりかねないと思っています。
実は、私たち、東京都議ももちろんいますので、ルートで資料を東京都に出してもらおうと思ったんですけれども、出さないというのがあるんですね。これはなかなか、こういうふうになってくると、本当に不利益が育休を取った者に対して行われているのではないかという疑念も持たざるを得ないということがありますので、こうした調査を是非やっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○小池政府参考人 まず、会計年度任用職員の育児休業取得率について、これは調査をしておりませんけれども、これを算出するためには、分母として、当該年度に新たに育児休業の要件を満たして取得可能となった会計年度任用職員の数を正確に把握する必要がございますが、会計年度任用職員の任用時点や期間は様々であり、分母に該当する職員の把握が困難であることから、現時点で調査することは考えておりません。
また、会計年度任用職員につきましては、令和五年度に、公募によらない再度の任用回数の運用状況などを詳細に調査をしておるところでございますが、育児休業取得者など特定の属性の人が再度任用されたかどうかについては、各自治体の具体的な任用に関わることでもございますので、総務省において調査することは考えておりません。
なお、再度任用の際に、例えば育児休業をしていることを理由として任用しないとする取扱いは、地方公務員育児休業法第九条に照らして認められないということを助言をしているところでございます。
○宮本(徹)委員 そういう助言をしていても、実態としてそういうことが起きているのではないのかという声がいっぱい上がっているわけですよ。地方自治体と一緒になって隠蔽するというのが総務省の立場ですか。
○小池政府参考人 繰り返し申し上げますが、それぞれの自治体において、どういった職員を採用するかどうかは決めることでございますので、各自治体において適切に判断されるものと考えております。
○宮本(徹)委員 いや、そんなことを言っているわけじゃないです。そういう実態が起きているのではないのかというたくさんの声が上がっているから、誰かが調べないと駄目じゃないですか。都道府県は資料も出そうとしない。どうやって、誰がチェックするんですか。
○小池政府参考人 地方公務員の採用についてでございますが、会計年度任用職員として任用する場合には、制度上、一会計年度を超えない範囲で任用するということでございますので、その任用に当たっては、地方公務員法に定める平等取扱いの原則ですとか成績主義を踏まえ、できる限り広く募集を行うことが望ましいと考えておりまして、こういったことですとか、先ほど申し上げました助言等を踏まえて、各自治体において適切に任用を行っていただきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 結局、誰もチェックしないんですよ。自治体が資料も出さないということになって隠そうとしたら、総務省もチェックしないということで、こんなのでいいんですかね、本当に。
私は、公務員の職場というのは、率先して誰もが働きやすい職場というのを実現して、そしてそれが民間にも広がっていくというのが、本来、公務の現場であるべきことだと思うんですよね。それで、おかしなことが起きているのではないのかと言われているのに、調べようともしないというのでは、私は、ちょっと本当に、役割を行政が果たしているとはとても言えないと思います。この問題は、またどこかでやりたいと思います。
続きまして、男性の育休の取得日数についてお伺いしたいと思います。
男性がどの程度の期間の育休を取れば、その後も共育てになっていく、こう考えられるのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○武見国務大臣 育児、家事を分担するかについては各家庭の御事情によって決められるものでございますから、それぞれの男性労働者にどの程度の育児休業期間が必要かというのは様々でありまして、一律に申し上げることはちょっと難しいかなと思います。
○宮本(徹)委員 一律は難しいという話ですけれども、今度、次世代育成支援対策推進法に基づいて、行動計画、これを定める指針に、企業に対しては適切な目標の設定というのを、育児休業の期間についても求めるわけですよね。企業に対して適切な目標を設定してくださいといいながら、国としては、それはそれぞれの家庭の事情なので一律には申し上げられません、じゃ、どうやって企業に決めてくれということになるんですか。何らか、これぐらいのことというのはやはり共育てにしていくためには必要だということを示すしかないんじゃないですかね。
○堀井政府参考人 今回改正をした次世代育成支援対策推進法が成立しました場合には、行動計画策定指針の中におきまして、今、宮本委員から御指摘のあったように、各事業主、各企業が、各企業の状況を踏まえて、そのような男性の育児休業の取得の期間などについても目標を定めることが望ましいというふうなことを記載をする。
そのような背景としましては、やはり、一律になかなかこの期間、こういった形での育児、家事参画というのを決めるのは難しい一方で、ただ、企業の中で各事業所の状況をよく把握をして、そしてPDCAサイクルを回していく中で、労働者の希望も聞いた上で、このぐらいの一定期間ということが定められるということが望ましい、そのような背景があるということでございます。
○宮本(徹)委員 今の説明を聞いて分かった人は余りいないんじゃないかと思いますよ、はっきり言って。一律には決められないけれども、企業には決めてくださいと。私、これではちょっと企業も本当に困ると思いますので、これぐらいというのは、やはり政府としても是非検討していっていただきたいと思うんですよね。
育休について、北欧を中心に、クオータ制を取っている国々があるわけですよね、三か月だとかそういう期間を設けて。それは、やはりそれぐらいは取らなきゃというのがあるんだと思うんですよ、男性もその後育児に恒常的に参加していこうと思ったときに。ですので、それは是非、各国の制度も含めて研究しながら、企業から相談が来たときに、政府がちゃんと相談に乗れるようにしていただきたいと思います。
その上で、もう一点お伺いしたいのは、こども未来戦略には、期間が少し入っている目標が書いてあるんですね。男性の育児休業取得率の目標について、公務員については、一週間以上の取得率幾らとか、二週間以上の取得率幾らだとか、こういうことが書かれているんですね。
こんな短い期間を書くと、男性は一週間とか二週間だけ育休を取ればいいんじゃないかという間違ったメッセージになるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○工藤副大臣 宮本委員御指摘の男性の育児休業取得率の目標について、こども未来戦略では、現在の育休取得状況も踏まえつつ、それまでの政府目標であった三〇%から、二〇三〇年までに八五%へ目標を大幅に引き上げた上で、国、地方公務員については先行的に目標の前倒しを進め、二〇三〇年を待たずに、二〇二五年までにまずは一週間以上の取得率を八五%とし、その上で、二〇三〇年までに二週間以上の取得率を八五%とすることとしております。
これは、男性の育児、家事参画のためにはある程度まとまった期間の取得が必要であるとの考えの下、設定したものであり、以上とあるように、一週間や二週間で育児休業取得期間が十分であるという考えを記したものではございません。
また、育児休業については、男性育休が当たり前になる社会の実現に向け、それぞれの家庭の事情などを踏まえて、仕事と育児を両立するため、希望する期間、取得できるようにすることが重要と考えており、そういった趣旨もしっかり発信することで、委員御指摘のような誤ったメッセージを受け止められないように考えておりますし、宮本先生からの質問を受けまして、サンプルはとても少ないんですけれども、私も、役所内のある程度の年齢の男性の方に、子供が生まれたらどれくらい取りますかということを質問して、ちょっと向こうもたじろいでおりましたけれども、一週間、二週間と言ったら、やはり一か月は取りますよということがおおむねの答えでありましたので、余談ですけれども、つけ加えさせていただきます。
○宮本(徹)委員 おっしゃられたとおり、もうちょっと公務員の皆さん、男性でも取っている場合の方が多いと思うんですよね、多くの場合は。平均的に見てもそうだと思いますので、さすがにこの一週間以上、二週間以上というのは、ちょっと次にこども未来戦略を決めるときには書き改めていただいて、もっと、これぐらいしっかり取って、男性も育児参加をその後もやっていける状況を公務員の分野から率先してつくっていただきたい、そのことを申し上げまして、時間になりましたので、質問を終わります。
○新谷委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いします。
私、一昨日、障害のある子供や医療的ケアを必要とする子供を持つ親の両立支援制度、配慮を今回会社に求めるということでありましたので、これについて、個別のニーズに配慮をしてどのような仕組みを考えていくべきかということをお聞きをさせてもらいました。そうしましたら、子に障害がある場合や医療的ケアを必要とする場合、また希望する場合は、短時間勤務制度の期間の延長、また、子の看護休暇制度の利用期間の延長を可能とするように指針で示すという答弁をいただきました。実際に、企業への調査でも、八一・七%が障害児を持つ従業員に特に配慮をしていないというデータもありますので、是非この周知をまず強化をし、徹底をしていただきたいと思います。
その上で、同様に、一人親家庭の場合にも、個別のニーズに配慮した、必要性というのがあるかと思っています。これを事業主に示すべきではないかと考えますが、参考人に伺います。
○堀井政府参考人 お答えいたします。
今回の法案では、田中委員御指摘のような一人親家庭など、子の家庭の様々な事情に対応できるように、労働者の個別の意向の確認と、その意向への配慮を事業主に義務づけることとしております。
加えまして、事業主が個別の意向に配慮する際の望ましい対応といたしまして、一人親家庭の場合で希望するときは、子の看護等休暇等の付与日数に配慮することなどを指針で示すこととしております。
具体的な内容については、今後、労働政策審議会における公労使の御議論を踏まえて検討してまいりたいと存じます。
○田中(健)委員 是非、所定外労働の制限の措置期間の延長等も柔軟にできるように指針を定めていただきまして、また周知を徹底していただければと思っています。
その中で、育児・介護休業法の介護に係る制度を利用するためには、要介護認定を受けているか、又は常時介護を必要とする状態に関する判断基準に基づいた、いわゆる要介護状態であることが必要であります。現行の要介護状態の判断基準は高齢者介護を念頭に作成されておりまして、今話題としました子供に障害がある場合ではなかなか解釈が難しいというケースが考えられます。
子供に障害のある場合や、また医療的ケアを必要とする子供の場合の観点から判断基準というのを見直す必要があるのではないかと考えますが、厚労省としてはどのようにこの問題を考えているのか、伺います。
○武見国務大臣 障害がある子供の場合でも要介護状態に当てはまれば介護休暇制度等が利用可能であるが、現行の判断基準は主に高齢者などの介護を念頭に置いたものであることから、子供の場合には判断が難しいケースも考えられます。
したがって、介護が必要な子供に応じた判断基準となるよう、専門家等の知見を得ながら、委員御指摘のとおり、その見直しを検討することといたします。
障害のある子供を育てる方も含めて、様々な事情を抱える方々が仕事と介護とを両立できる社会の実現に向けて取り組んでいきたいと思います。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
これは実際に、障害を持っていたり、医療的ケア児をお持ちの皆さんからそういった心配の声がありました。今、検討すると言っていただきました。是非、具体的な障害の状況等に配慮していただきまして、早急にこの判断基準の見直しを、検討を進めてほしいと思います。
また、この議論を進めていきますと、障害のある子などを持つ労働者が就業を継続していくためには、今議論がされています育児・介護休業法だけでなく、まさに今、障害者の話にもなりましたので、医療、福祉政策や障害者の雇用政策、こういった政策とも連携が必要になってくるかと思います。さらに、これは子供の問題ですから、こども家庭庁にも関連をしてくるかと思います。
それぞれの連携が必要かと思いますが、子供のケアと仕事を両立するためには、これらの政策、先ほど足立委員からも様々なこの関係性また優先順位の話がありましたけれども、包括的な支援を考えていかないとなかなか実効性が担保できないかと思いますが、これについては大臣はどのようにお考えでしょうか。
○武見国務大臣 これまでも、障害児、障害者、その周囲の御家族への支援については、厚生労働省とこども家庭庁が必要な情報共有、連携を図りながら議論を進めるなど、関係省庁一丸となって取り組んでまいりました。
今回の法案に関しても、障害児や医療的ケア児を育てる親の両立支援に関する検討を行う際も、例えば、有識者研究会において、厚生労働省内の、当時、こども家庭庁も厚生労働省内にありましたので、この障害児支援を所管する部局が出席した上で、障害児や医療的ケア児を育てる親の方々や関係団体からのヒアリング、アンケート調査の結果なども参考にしつつ、議論を進めてまいりました。
障害のある子供を育てる方々も含めて、男女が共に仕事と育児を両立できる環境を整備することが重要であると考えております。
今後とも、この要介護状態の判断基準の見直しについて、こども家庭庁に参加をしていただくなど、こども家庭庁とともに検討を進めるほか、当事者とも連携の上で、しっかりと検討を進めていきたいと思います。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
これも当事者の皆さんから、やはり、今回こども家庭庁と厚労省が分かれてしまったということで、その件についての懸念の声が上がっていました。障害児支援に係る団体の協力も得ながら、是非、当事者の皆さんの声を聞いている、そして、こども家庭庁と連携も今しているということを大臣からおっしゃっていただきましたので、これもしっかりと進めていただきたいと思います。ありがとうございます。
一つ飛ばしまして、ダブルケアラー支援について伺いたいと思います。
育児と、子育て、介護に同時に直面する人が、二〇一七年の時点では二十九万四千人近くに上っているということが明らかになっています。三十代から四十代の働く世代が九割を占めまして、うち女性が七割ということであります。
私たち国民民主党は、この介護と育児との両方を担うダブルケアラーを支援するための法案を今回、国会に提出をしています。晩婚化また晩産化といった背景から、子育てと介護が重なるダブルケアに苦しむ人が増加をしており、実態把握のための調査をまず政府に義務づけるという、また、支援に向けた対策をこれから取り組むということでありますが、ダブルケアラーに対する大臣の問題認識、また、実態調査、私は是非必要かと思っておりますが、具体的な取組について伺いたいと思います。
○武見国務大臣 育児と介護のダブルケアの実態につきましては、二〇一五年度に内閣府における調査がございます。また、昨年公表された総務省の就業構造基本調査において、ふだん未就学児の育児をしている、かつ、ふだん家族の介護をしていると回答した者が約二十万人いるなどといった結果があるものと承知しております。
こうした実態などを踏まえつつ、家族が抱える課題が複雑化、多様化する中、ダブルケアラーなどを含め、家族介護者を社会全体で支えていくことが必要であると考えます。
このため、在宅サービス等の充実を図るとともに、家族介護者本人に着目した支援として、市町村が設置する地域包括支援センターにおいて家族介護者に対する総合相談支援を行い、必要に応じて適切な機関につなぐことや、介護保険法上の任意事業として、家族介護者を対象とした介護の知識や技術の研修、介護者同士の交流会を開催する、こういった自治体の取組を推進しております。
さらに、ダブルケアラーのうち複合的な課題を有することで単独の支援関係機関だけでは対応が難しい場合には、重層的支援体制整備事業において総合的な相談支援体制を構築することによって包括的な支援を可能とするようにさせていただいております。
引き続き、関係省庁とも連携をしつつ、ダブルケアラーを含む家族介護者への支援の推進に向けて取り組んでまいりたいと思います。
○田中(健)委員 大臣、認識を持っていただいているということでありますし、以前の調査では二十万人近いということであります。これは大変に、社会全体で取り組むべき課題かと思っています。これについても、やはり、これまでは育児と介護は厚生労働省が担当して、そして育児が今度はこども家庭庁ということで、縦割りが生まれるんじゃないかといった心配もありますので、ここも今連携して取り組んでいるということなので、是非取組を進めていただきたいと思います。
いつもこの話をしていると、重層的な対応の中で包括的にやるというんですけれども、先ほど、その前には包括支援センターという話があって、そして、窓口も、今のところ、いろいろなところで相談できるということは確かにあるんですけれども、やはり一つにして、この問題についても、心配があるならばどこかで相談できるといった、一本化の体制も進めていっていただければと思っておりますので、これからの対応を是非よろしくお願いいたします。
時間となりましたので終わります。ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、福島伸享君。
○福島委員 有志の会の福島伸享でございます。
採決前の最後の十分でありますので、よろしくお願いします。
おとといに続きまして、今日は、仕事と介護の両立支援について議論したいと思います。
介護休業制度の利用割合が令和四年で一・六%というのは、著しく低いと思います。今回、そもそもの介護休業の目的が分かられていないから、周知されていないからということで、その周知や相談といったのを義務づけることを法律の内容としておりますが、二十三日の参考人陳述でも、佐藤東大名誉教授が、介護休業の利用目的に関して社員が正しく理解できるよう支援することが不可欠とか、介護休業は、緊急対応のために介護を担うと同時に、仕事と介護の両立のための準備を行うための期間であるというふうにおっしゃって、まあ、そうなんでしょう。
しかし、育介法の第二条二号の介護休業という定義を見ると、労働者がその要介護状態にある対象家族を介護するためにする休業をいうと書いてあるんですよ。法律が全てだと思うんですね。幾ら先生がこう言っても、あるいは平成二十七年の労働政策審議会の建議では、介護休業制度は、現行、家族が介護に関する長期的方針を決めることができるようになるまでの期間の緊急的対応措置として位置づけられているが、これを基本的に維持し、介護の体制を構築するための一定期間休業する場合に対応するものと位置づけることが適当であると審議会の建議で言っても、これはやはり、国としての方針にまだならないと思うんですね。
私は、是非、法律の目的規定とか定義規定の中にこの介護休業の定義というのをしっかりと定めるべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 御指摘のとおり、仕事と介護の両立支援制度について趣旨を分かりやすく示すということは、介護を行う労働者にとって重要であるということはよく分かります。
今回の法案におきましては、労働者が家族の介護に直面した旨を申し出たときに、企業の両立支援制度について個別の周知と制度利用の意向確認であるとか、それから、家族介護に直面する前の早期、四十歳等の段階における企業の両立支援制度の情報提供などを盛り込んでいるところであります。
両立支援制度の目的の理解の促進を通じて効果的な利用を促すこととしておりますので、先生の御指摘のような形で、法律の文言に関して、今改めてこの法案の中での内容の説明をさせていただきました。
○福島委員 私は、だから、法案にその言葉が、文言がないから法律に盛り込んだ方がいいんじゃないかということを言ったんですね。
もう時間が少ないので飛ばしますけれども、現状の介護休業、休暇制度は、法案説明の資料、これを資料として配っておりますけれども、私の周りや自分の体験を見ても、やはり実際の介護の在り方は多様なんですね。しかも、先行きが見えないんです。その介護する人がどういう状況になっていくか予想できないし、いつまで続くか分からないから、私は、制度を知らせれば知るほど、この制度じゃ使えないと思うんです、逆に。
三回しかできないんだったら、ここで介護休業を取らないでもっと悪くなるときまで待とうかとなるし、介護休暇を使おうにも年間五日ではできないし、あるいは、例えばテレワークをやろうとしても、今回努力義務にはしましたけれども、三歳から小学校就学前のやつみたいな事業者に対する選択的な義務にもなっていないし、要は、使い勝手が悪いから私は利用の割合が低いんじゃないかと思うんですよ。
利用割合が、この研究会の報告書で、介護休業、休暇制度の取得日数や分割回数について、現時点で見直しが必要な状況は確認できないと言っているんですけれども、でも、利用割合が一・六%だったら、そんな少ない中のサンプルでやっても、そうじゃないと思うんです。普通、民間だったら、利用が少なければ、商品が悪い、ニーズに合っていないと思うのが私は当然だと思うんですね。
なぜそうなっているかというと、やはりこれは何人もの有識者の方もおっしゃるように、介護と子育ては全く違うんですね。それを育介法という一本の制度で、多くの条文が育児休暇制度や育児に関する制度の準用になっちゃっているんですよ。
私は、だから、理念から、定義から含めて別の法律としてもっと使い勝手のいい制度にすべきだし、そうした法体系にすべきだと思うんですけれども、大臣、お考え、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 御指摘のとおり、育児と介護の態様は異なるものでございますから、仕事と介護の両立支援制度は、家族の介護を行う労働者の状況を把握した上で、その実情を踏まえて制度化されてきたものであります。
今回の法案においては、更に制度の効果的な利用を促すために、労働者が家族の介護に直面した旨を申し出たときに、企業の両立支援制度について個別の周知と制度利用の意向確認、それから、家族介護に直面する前の企業の両立支援制度の提供など、こうした取組をしっかりと行って、そして、より多くの周知徹底そして普及に努めて、利用していただくように努力したいと思います。
○福島委員 これもすれ違いで残念です。ちゃんと質問通告のときにレクもしているつもりでありますので、私は、子育てと切り離して独自のもっと使いやすい制度にすべきであると思うし、特に我々の世代にとってこれから介護の問題は本当に深刻な問題でありますから、是非そこは真面目に捉えていただきたいと思います。
残りの時間、柚木提出者にもいらしていただいておりますけれども、こうした問題に取り組まれるのは、全く同じ問題意識を持っております。ただ、法律の条文を見る限り、本当にこの法律による対応が必要なのと思うんですね。場合によったら、週刊誌のデータによると、政権交代も六月にもあり得るわけですよ。そうあると思ってやるのが当然立憲民主党の皆さん方だと思うんですけれども、今回出した法案は、もし政権を取ってもそのまま閣法として出すんでしょうか。
○柚木議員 ありがとうございます。
昨日も法案の説明に伺わさせていただき、ありがとうございます。
是非、我々としても当然、政権交代を目指してやっているわけですが、今回提出している二法案につきましては、令和六年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことで、現場の方々から大変、倒産、介護離職、失業、こういった切実な声を受けて提出をしたものであります。
何とか、福島先生はもとより、与野党超えて、超党派でこの法案の今国会での成立を目指しているわけですが、政権交代が実現した暁には、閣法として本法案を提出するまでもなく、予算措置で迅速にしっかりと対応していきたいと考えております。
○福島委員 今、柚木さんがおっしゃったように、法案は実は迅速化を妨げる要因になるんですね。結局、法案が仮に通ったとしても、補正予算を組むかどうかなんというのはそのときの政府の裁量ですから、確実にされるのは来年度予算の予算措置を通じてとなると、もう緊急措置じゃないし、次の中間的な改定も来てしまうわけですよね。
何か、理事会では、引き続きしっかり議論させてほしいというのを立憲の方がおっしゃったということだけれども、私は、かつて一緒の党にいた人間から申し上げさせていただきますと、やはりこういうのが野党しぐさなんだと思うんですよ。
法案を出して何かやったふりとかアピールをするのも大事なんでしょうけれども、もっと真剣に政権を取る思いをして、実際にもし六月に政権交代が実現したとしても、早くやるためには行政上、様々な手続が必要なんです、むしろそれを準備された方がいいと思うんですよ。もし政権を取ったら、法律じゃなくて予算措置でできるんですよ。予備費でやるのか、補正でやるのか、そのとき隅々まで配るためのシステムはどうするのか、そうしたことを準備するのが政権交代の私は準備だと思うんですけれども、あえて厳しく申し上げていますけれども。
是非、継続審議とかそういうことをやって、この法案を出していますと地元でアピールするためじゃなくて、もうちょっと、政権を取ってやるためのリアリティーを持った作業をされた方がいいんじゃないかと思うんですけれども、どうですか、柚木委員。
○柚木議員 本当に、御指摘をしっかり受け止めなければいけないと思っています。
この法案のスキームは二段階でありまして、まさに、我々としては、本来であれば今すぐ期中改定を行っていただきたいという立場ではありますが、それが実現しない中で、まずは緊急的に支援金で支給した上で、期中改定を促すということであります。
ただ、委員おっしゃられるとおり、現状では当然、予算編成権は政府・与党にあるわけですから、我々としましては、この国会で仮に、今、政権交代の話がありましたが、その場合は、解散・総選挙、六月にもあり得るわけですから、解散ということになるのであれば、その前にまさに超党派で成立をして、是非全ての与野党の先生方の御協力をいただいて、この法案の実現に向けて全力で取り組んでいきたいと思っておりますので、是非御理解、御協力をよろしくお願いいたします。
○福島委員 こういう法案を出す方は、何か、政権を取るとリアリティーを持って思われないので、一緒に政権を担おうとなかなか思いづらいんですよ。ですから、もっとリアリティーを持った対応をされますことを求めまして、私からの質疑とさせていただきます。
ありがとうございます。
○新谷委員長 以上で、ただいま議題となっております各案中、内閣提出、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○新谷委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○新谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○新谷委員長 この際、本案に対し、大串正樹君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、日本共産党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。堤かなめ君。
○堤委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 本法による見直し後の子の看護等休暇制度については、その取得理由や利用日数、子の病気等のために各種制度を利用した日数等を把握し、その結果も踏まえ、労働政策審議会において、子の対象年齢や取得可能日数などの必要な検討を行うこと。
二 所定外労働の制限、時間外労働の制限及び深夜業の制限について、その利用状況を把握し、その結果も踏まえ、労働政策審議会において、子の対象年齢などの必要な検討を行うこと。
三 三歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関する柔軟な働き方を実現するための措置について、三つ以上の措置を講じるなど可能な限り労働者の選択肢を広げるよう工夫することが望ましいことを指針で明記するとともに、施行の状況を踏まえ、労働政策審議会において、労働者の選択肢や子の対象年齢などの必要な検討を行うこと。
四 政府が掲げる男性の育児休業取得率の目標の達成に向けては、取得率だけでなく、育児休業の「質の向上」の観点から、男性の育児休業の取得日数等の数値も参照して、男性の育児・家事への参画の推進のための効果的な方策を推進すること。
五 出産や育児への父親の積極的な関わりを促進するとともに、母親だけでなく父親も不安なく子育てにあたることができるよう、伴走型相談支援において切れ目無く支援を提供すること。また、企業における父親も対象にした出産や育児への積極的な関わりの促進に向けた取組を推進すること。
六 介護休業等の対象となる要介護状態についての現行の判断基準は、主に高齢者介護を念頭に作成されており、子に障害のある場合や医療的ケアを必要とする場合には解釈が難しいケースも考え得ることから、早急に見直しの検討を開始し、見直すこと。また、検討で得られた知見などを踏まえ、厚生労働省とこども家庭庁とが連携し、障害者支援に係る団体等の協力も得ながら、障害のある子や医療的ケアを必要とする子を持つ親が、子のケアと仕事を両立するための包括的支援について検討すること。
七 男女ともに仕事と育児・介護の両立を実現するためには、職場全体における長時間労働の是正が不可欠であることから、働き方改革をより一層推進し、育児期・介護期に限らず全てのライフステージにおける労働者のワーク・ライフ・バランスの実現に取り組むこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
○新谷委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○新谷委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、武見厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。武見厚生労働大臣。
○武見国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。
―――――――――――――
○新谷委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
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○新谷委員長 次回は、来る五月八日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会