衆議院

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第18号 令和6年5月8日(水曜日)

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令和六年五月八日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 新谷 正義君

   理事 大岡 敏孝君 理事 大串 正樹君

   理事 橋本  岳君 理事 三谷 英弘君

   理事 井坂 信彦君 理事 中島 克仁君

   理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君

      秋葉 賢也君    畦元 将吾君

      上田 英俊君    勝目  康君

      金子 容三君    川崎ひでと君

      小森 卓郎君    塩崎 彰久君

      鈴木 英敬君    田所 嘉徳君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      高階恵美子君    中谷 真一君

      仁木 博文君    西野 太亮君

      古川 直季君    堀内 詔子君

      本田 太郎君    三ッ林裕巳君

      保岡 宏武君    柳本  顕君

      山本 左近君    吉田 真次君

      阿部 知子君    大西 健介君

      堤 かなめ君    西村智奈美君

      山井 和則君    柚木 道義君

      吉田 統彦君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    遠藤 良太君

      岬  麻紀君    福重 隆浩君

      吉田久美子君    宮本  徹君

      田中  健君    福島 伸享君

    …………………………………

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   総務副大臣        馬場 成志君

   文部科学副大臣      あべ 俊子君

   厚生労働副大臣      浜地 雅一君

   厚生労働副大臣      宮崎 政久君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鷲見  学君

   政府参考人

   (消費者庁食品衛生・技術審議官)         中山 智紀君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    真渕  博君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    依田  学君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁審議官)            福原 道雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 宮下 匡之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       浅野 敦行君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       梶山 正司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局長)         大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長)   佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           朝川 知昭君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鹿沼  均君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 森川 善樹君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月八日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     古川 直季君

  勝目  康君     保岡 宏武君

  山本 左近君     西野 太亮君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     山本 左近君

  古川 直季君     小森 卓郎君

  保岡 宏武君     勝目  康君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     上田 英俊君

    ―――――――――――――

五月八日

 再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

新谷委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鷲見学君、消費者庁食品衛生・技術審議官中山智紀君、審議官真渕博君、審議官依田学君、こども家庭庁長官官房審議官高橋宏治君、総務省自治税務局長池田達雄君、出入国在留管理庁審議官福原道雄君、外務省大臣官房審議官宮下匡之君、大臣官房審議官熊谷直樹君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官浅野敦行君、大臣官房文部科学戦略官梶山正司君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官田中佐智子君、大臣官房審議官鳥井陽一君、医政局長浅沼一成君、健康・生活衛生局長大坪寛子君、健康・生活衛生局感染症対策部長佐々木昌弘君、労働基準局長鈴木英二郎君、職業安定局長山田雅彦君、雇用環境・均等局長堀井奈津子君、社会・援護局長朝川知昭君、老健局長間隆一郎君、保険局長伊原和人君、年金局長橋本泰宏君、人材開発統括官岸本武史君、政策統括官鹿沼均君、政策統括官森川善樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

新谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。畦元将吾君。

畦元委員 自由民主党・無所属の会、畦元将吾です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 本日は、認知症、認知障害、MCIの早期発見、早期治療のための質問をさせていただきたいと思っております。時間の限りもありますので、早速質問に移らせていただきます。

 昨年、認知症基本法が施行され、認知症の患者さんや御家族、また介護従事者の方々など、多くの方が安心していただける環境づくりのスタートラインに立ったと思っております。

 そこで、まず初めに、日本の認知症の患者さんの人数を教えていただけますでしょうか。代表的なアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症の患者さんの割合など、分かりましたら教えてください。また、今後、最新の情報などが出される予定がありましたら、それも併せて教えてください。

間政府参考人 お答えいたします。

 まず、認知症の方の人数の推計でございますけれども、二〇一二年度までの調査研究に基づく推計では、二〇二五年に六百七十五万人と推計されてございます。

 これと全く同じ研究ではございませんが、調査研究の中で、認知症のうち、アルツハイマー型認知症は約六七・六%、それから血管性認知症、これは脳梗塞や脳出血などを契機として神経細胞が減少して脳の萎縮が起こるものでございますが、これが約一九・五%、それからレビー小体型認知症、これもレビー小体と呼ばれる構造物が脳などに発生、で起きて神経細胞が減少するものでございますが、これが約四・三%、それから御指摘の前頭側頭型認知症は約一・〇%と報告をされております。

 この認知症の方の推計につきましては、調査研究を行っておりまして、ようやく取りまとまるところでございまして、近々公表させていただきたい、このように考えております。

畦元委員 ありがとうございました。新しい情報を楽しみにしております。

 次、お配りした資料一に関しての質問にします。共生に向けた認知症の早期発見、早期介入実証プロジェクトの推進について質問いたします。

 本プロジェクトの進捗状況、モデル地域の選定方法、施設数について教えてください。

 また、本事業は、認知症の早期発見を目的に、国立長寿医療研究センターを中心に各地域で行うモデル事業とのことですが、早期発見に向けて期待される成果はどのようなものか、また、いつまでにその成果をまとめ、具体的にどのように地域社会に還元、活用していくのか、見解を教えてください。

間政府参考人 お答えします。

 まず私の方から、このプロジェクトの進捗状況やモデル事業の選定数などについてお答えを申し上げます。

 今委員御指摘になられました、令和五年度補正予算で盛り込まれました、共生に向けた認知症の早期発見、早期介入実証プロジェクトにつきましては、現在、研究事業を進める前提となる倫理審査、あるいは研究フィールド、研究対象とする検査、それから受診勧奨システム等の研究の枠組みの検討を行っております。

 研究フィールドにつきましては、国立長寿医療研究センターを中心とした複数の研究機関から、連携実績のある自治体だけでなくて、これまでの認知症施策への積極的なお取組などを考慮して新たな自治体にもお声がけをして、合計三十を超える自治体に御協力いただける予定となってございます。

宮崎副大臣 畦元先生は医療のスペシャリストでいらっしゃいますので、この研究をよく御承知かと思いますが、この研究事業は、認知症の兆候の早期発見の後、速やかに診断や支援につながるよう、かかりつけ医や認知症疾患医療センター、地域包括支援センターなど、地域における認知症の医療・介護連携システムを活用いたしまして、本人及び家族の視点を重視した日本独自の早期発見から早期介入までのシームレスな支援モデルを確立することを目指しております。

 この研究におきましては、令和七年三月を目途といたしまして、適切な早期発見、早期介入を行うための自治体向けの手引を作成する予定でありまして、この手引を全国に普及させていくことにより、共生社会の実現を推進するための認知症基本法の理念に沿った認知症施策を推進してまいりたいと考えております。

 昨年の六月にこの法律が成立をいたしまして、総理の強いリーダーシップの下で施策を進めさせていただいております。この法律は今年の一月一日に施行しておりますので、政府としても、御指摘いただいたとおり、速やかにこのプロジェクトを進めまして成果を上げてまいりたいと思っているところでございます。

畦元委員 ありがとうございました。

 このプロジェクト、すごく楽しみにしておりますし、本当に具体的なことだと思うので、是非進めていただきたいと思います。

 特に、お配りした資料の上の括弧の一番下に書いてある、先ほど副大臣も言いましたけれども、日本独自の早期発見、早期介入モデルを確立するということはとてもすばらしく、場合によっては、今ちょっと医療、遅れている部分もありますけれども、海外にも勝てるようなものができるんじゃないかと思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。

 では、次の質問に移ります。

 MCI、軽度認知障害の早期発見を目的に、各社からMCIスクリーニング血液検査がリリースされています。調べたところ、中には、既に三千施設にスクリーニングとして導入されているものもあるようです。現時点では自由診療となっております。

 そこで、健康診断の項目に脳検診、MCIスクリーニング検査、名前はまだ仮名ですけれども、そういうものを血液検査に取り込むことについて、厚生労働省はどのような見解をお持ちですか。

 また、血液検査、MCIスクリーニング検査を取り入れることの利点についてですけれども、これは、早期発見につながり、早期対策ができるということで、その進行を遅らせる。正直言って、MCIですから、アルツハイマーだけとは限っていないんですけれども、いろいろな患者さんに対する進行を遅らせるとか、場合によっては治療ができるということもあります。

 また、効果的な治療の効果が見つかるかも分からないということもあります。将来的な家族の負担軽減、医療費の削減、経営者などは事業継承の対策の十分な時間が取れるということも、早く発見できたり、早く可能性があるということで、そういう時間が取れるということを言っているんですが、血液検査を推進し、早期発見につなげるための具体的な施策や支援策はどのように検討されていますか。厚労省の今後の対応や見解を教えてください。

間政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきましたように、認知症の早期診断に取り組むことは非常に重要だというふうに思っております。その意味では、検査の方法も、余り重装備なものというよりは、比較的簡便に検査できるというのが重要でございまして、その意味では、委員御指摘のバイオマーカーの話も大変重要だというふうに思っております。

 認知症に関する各種のバイオマーカーの臨床使用につきましては、認知症関連の各学会の監修の下、適正使用方針が作成されてございます。その中では、血液バイオマーカーを実用化するには、より一層のデータの蓄積と多様な集団における性能を検証する研究が必要であると示されておると思います。

 こうした状況を踏まえまして、先ほど御指摘いただきましたプロジェクトにおきましても、血液バイオマーカーを含めた有効性についても検証していく、バイオマーカーでスクリーニングをやってみて、そこで疑いがあるという方について本格的な診断をして、その意味では精度を確かめていくといったようなこともまずしっかりやっていきたいというふうに考えてございます。

 先ほどのプロジェクトの研究成果も踏まえながら、認知症の早期発見、早期対応の体制構築に努めてまいりたい、このように考えております。

畦元委員 バイオマーカー、血液検査もこの数か月調べているんですけれども、随分よくなってきている。ちょうどアミロイドのときの、アミロイドベータのPETの時代と比べるとかなり進んでいるというので、またいろいろ調べてもらって。血液検査の場合は、非侵襲といっても、血液検査は健康診断でしますので、その血液の一部を取ればいいということで、非侵襲ではないのかと思っておりますけれども、よろしく御検討をお願いします。

 次の質問なんですけれども、認知症は、先ほど間局長が言ったように、早期発見が非常に重要となる。例えば、アルツハイマーの原因と言われているアミロイドベータが蓄積するのが二十年以上と言われています。

 ここで資料二を見ていただきたいんですけれども、提案という形でやっているんですが、四十歳ぐらいの健診というのが、二十年でアミロイドベータがたまるということは、四十でやると、二十年後、六十ですから、そろそろ調べてもいい時期かなと思うので、その経過を見たいということで、四十歳からの健診でスクリーニング検査を行って、MCIの疑いがなければ定期的な検査を実施、もし検査結果に疑いがあるときは医師の診断によってMRIの二次検査、実は今、MRIも認知症のソフトウェアがかなり出ておりまして、五、六年前とは大分変わっておりますので、PETとなると一回十何万の検査ですが、MRIだとそんな高い検査じゃないので、そういうのを二次検査で使うということも一つではないでしょうか。

 結果、問題ないと判断された方は、MCIスクリーニング検査で、経過観察、これも毎年する必要はないと先生方に聞いているんですが、三年置きとか二年置きとか、これは有識者の先生方と御相談していければいいと思うんですが、そういう感じで定期検査をする。治療を要する場合には、MRI検査、またアミロイドPET検査をし、レカネマブの可否を診断するといった一気通貫のフローが必要と考えております。

 今、一応検査をしているんですが、結果、レカネマブの対象じゃなかったというのも多々あると聞いていますので、その間にMRIを入れたりとか、そういう形をして対応してもどうかと思っております。

 日本は高齢者社会に突入し、医療費の圧迫が懸念される状況下で、MCIの、認知障害ですけれども、MCIの早期発見、早期対策は重要であり、いずれはMCIスクリーニング検診が公費で賄える仕組みが必要と考えております。

 先ほどと重複する部分もあると思いますが、資料二のフローについて厚労省の見解を教えてください。

間政府参考人 お答えいたします。

 先ほど副大臣からもお答え申し上げましたように、今回のプロジェクトというのは、一つは、診断だけで終わってしまいますと、ああ、私はMCIなんだ、あるいは認知症なんだということで、それでがっかりして終わってしまうということになりますと、救いにはならないということになりますので、その意味で、その後のフォローもちゃんとつなげていく必要があると思っています。

 その意味では、今回のプロジェクトは、診断、発見から早期介入までのシームレスな支援モデルとして構築をするということが目的の一つ、もう一つは、今委員御指摘になられましたように、バイオマーカーの精度を高めていく、あるいは確かめていくということが非常に重要だと思っています。

 そういったこともやりながら、委員御提案の検査フローにつきましても、認知症の早期発見、早期介入までの一貫した支援モデルの検討に当たっての参考と是非させていただきながら、アルツハイマー型認知症以外の認知症の観点も踏まえながら、引き続き調査研究を推進していきたい、このように考えております。

畦元委員 今、間局長が言われたように、アルツハイマー型は確かに進んでいくということもあるんですけれども、アルツハイマー以外は戻るというのが、半分ぐらい戻るという話もありますので、戻れば介護のことを考えても意味があると思いますし、そういう意味では治療方法もそこはありますので、また御検討いただければと思います。

 次の質問に移ります。

 認知症疾患医療センターについて、本日時点で全国に五百五施設認定を受けていますが、認知症疾患薬のレカネマブを処方するか否かを診断するPET装置が整備されていない施設も数多くあります。基幹型と位置づけられている施設でも、装置のいかんによっては他施設へ紹介されるという状況も起きています。患者さんに不安を与える場合もあります。

 そこで、以前も質問させていただきましたが、装置の有無、人数、施設基準を少し見直して、疾患医療センターを更に効果的に機能させ、国民に周知してもらうことが必要でないかと考えます。患者さんがどこに行ったらいいかをより分かりやすくしていただければと思っておりますが、厚労省のお考えがあれば教えてください。

間政府参考人 お答えいたします。

 認知症疾患医療センターは、これはもう委員よく御存じのように、様々な形があるわけですけれども、地域の関係機関等と連携を図りながら、認知症の速やかな鑑別診断、診断後の本人、家族へのフォロー、症状増悪期の対応等を行う地域の認知症医療の拠点として、地域の実情に応じて整備を進めてきたところでございます。その意味で、一律の機能を全部持たせるということでは必ずしもないということでやってまいりました。

 その一方で、今回、六年度予算におきましては、アルツハイマー病の新しい治療薬レカネマブの上市も踏まえまして、認知症疾患医療センターにおける地域の医療機関や一般の方からの相談対応や、受診後の投与対象外であった方への支援を含む地域の医療機関との連携等に係る加算を創設するなど、このセンターの機能強化を図ったところでございます。

 今後という意味でいくと、これだけ認知症の方が相当いらっしゃるという意味では、全国でその体制を整備していく必要がございます。その意味では、認知症疾患医療センターや、それから地域包括支援センター、地域の医療機関、介護事業所が連携して早期診断できる体制と、それに基づいて適切なサービスにつなげていく流れを整理した認知症ケアパスというものを作成し、周知していくことが重要と考えております。

 今委員御指摘になられたようなセンターの機能の在り方も含めて必要な対応を検討するとともに、全国の市町村に対して、策定した認知症ケアパスをホームページや広報誌に掲載することを働きかけるなど、国民の皆様に対する周知に努めていきたい、このように考えております。

畦元委員 最後の質問になりますけれども、あと四分なので。

 先ほどいろいろな回答を聞いていますと、乳がん検診や肺がん検診のように脳検診を早期に取り組むことは当面難しいということは理解しました。そこで提案ですが、例えば、現在やられているとは思うんですが、全国にある認知症疾患医療センターと地方自治体と連携して、まずは地方のブロック単位などで脳検診が行えるような仕組みを国が支援していくことはされていますけれども、一か所でなく複数でできないでしょうか。

 現在、認知症に罹患する過程の経時的なデータが少なく、認知症になるまでの、どういう過程でなっていくデータが少なく、早期発見をするにも研究が進まないということを聞きます。これは治療に対しても検査に対しても同じことが言えるんですけれども、私が提案するMCIや認知症の脳検診を取り入れることで、多くのデータが集まり、研究も進み、検査、治療も更に進化をするメリットがあります。何よりも、多くの方が発症前に気づけることで国民の幸せと将来の医療費削減にも寄与することから、是非前向きに検討していただきたいと考えております。近々にいろいろなデータが出るということですが、是非、厚労省の誠意ある対応をしていただきたいと考えています。

 最後に、厚労省から、今後の取組について何か一言あればお願いいたします。

間政府参考人 本日、委員から大変建設的な、様々な御提案を頂戴したところでございます。

 まず、いろいろなものの検査の精度を高めていく、そして、検査しただけではなくて、それをつないでいくというのがこのプロジェクトに課せられたミッションだと思っておりますので、それにしっかり取り組みまして、その成果を全国に広めるべく全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。

畦元委員 日本の医療というのはまたすごいと思うんですけれども、検査もすごいんですが、先ほどちょっと申したように、認知症に罹患するまでの過程の情報がほとんどなく、日本だけじゃなく、韓国とか台湾も聞いても、ないと言って、アメリカもかなり少ないんですけれども、その情報を取るために、やはり検診みたいなものを活用して、健常時の状態からどうなっていくかという情報があれば、当然、薬もよくできますし、また検査方法もいろいろ変わってくると思いますので、それができれば経済効果、輸出ができるということもあると思いますので、いろいろな利点から前向きに検討していただければと思っております。

 時間も来ましたので、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

新谷委員長 次に、福重隆浩君。

福重委員 おはようございます。公明党の福重隆浩です。

 早速ですが、質問に入らせていただきます。

 まず、感染症対策についてお伺いをいたします。

 先月、四月九日に国立健康危機管理研究機構、JIHSの準備委員会が開催され、二十四日には、次のパンデミックに向け、政府行動計画の改定案がまとまり、その後、我が党の合同部会において厚労省や内閣感染症危機管理統括庁から御説明をいただきました。

 私は、この感染症インテリジェンスを充実させるためには、在外公館に勤務する医務官と厚生労働省の出向者との連携や関係省庁との連携による情報の報告、共有を速やかにできるホットラインの構築が重要であると思っております。この点について、まず外務省から御答弁をお願いいたします。

 また、常時、統括庁に医務官も参画されるべきと考えておりますが、統括庁の御見解をお伺いいたします。

宮下政府参考人 お答え申し上げます。

 感染症情報を収集できる医務官の育成として、様々な研修を、採用時のマラリア研修を始め、国立感染研究所等での実地疫学専門家養成の研修など、研修の参加を様々な形で実施しております。

 今御指摘いただきました連携につきましては、現在でも各在外公館におきまして医務官と厚生労働出向者が連携して様々な課題に対応させていただいているところでございます。

 また、こうした医務官から外務本省に対しまして、電報や電子メール、電話等、様々な形による報告が行われまして、その中で必要な情報を随時、適宜、関係省庁に伝達、共有させていただいているところでございます。

 今後とも、外務省といたしましては、内閣感染症危機管理統括庁、厚生労働省及び関係省庁と連携しながら、速やかな情報の報告、共有等を通じまして政府の感染症対策に貢献させていただく所存でございます。

鷲見政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、感染症危機管理におきましては、海外の発生情報等を迅速に入手することは、水際対策を始めとした初動対応を迅速に開始し、その後の政府の対策の方針を決定していくに当たって必要不可欠でございます。

 このため、平時においては、海外に医務官を擁する外務省や厚生労働省といった関係省庁等との緊密な連携体制を維持することが重要と考えております。その上で、有事におきましても、統括庁の司令塔機能の下、関係省庁が一体となって感染症危機管理に取り組む体制を整えることが必要と考えています。

 いずれにいたしましても、次の感染症危機に向けて、海外からの迅速な情報収集を行い、平時、有事を通じて最も効果的に情報を共有できる体制について、外務省や厚生労働省等と連携して検討してまいります。

福重委員 御答弁ありがとうございました。

 次も関連してお伺いいたします。

 先ほどから申し上げましたとおり、在外公館医務官と我が国の責任者のホットライン構築は重要であり、大臣には、感染症危機管理とグローバルヘルスの両面を融合した形でのリーダーシップを、厚労省内のみならず政府全体で発揮していただけるよう、期待しております。

 私は、次なる感染症危機に向けて、国内への新型インフルエンザ等の病原体の侵入や感染拡大のスピードをできる限り遅らせ、医療提供体制を整えるため、時間確保が重要であると思っております。そのためにも、水際対策につながる諸外国の情報収集が可能な在外公館に勤務する医務官や、我が国の感染症対策の責任者のホットラインの構築は重要と考えております。

 先ほど政府参考人から御答弁をいただきましたが、現状の公電等による体制の見直しを含め、武見大臣の御見解をお伺いいたします。

武見国務大臣 委員御指摘のように、外務省の医務官を含む在外公館が把握した現地の感染症関連情報につきましては、厚生労働省としても極めて重要と考えております。これまでも、在外公館からの電報等により報告された情報の共有は、確実に受けているところであります。

 現在、厚生労働省では、関係省庁や関係機関との連携、それから、国内外の感染症の情報集約、分析のためのネットワークの強化に取り組んでいるまさに最中でございます。

 この枠組みも活用をさせていただき、医務官を含む在外公館からの情報も、感染症対策の対案に、迅速に活用していけるよう、今後とも、外務省を含む関係省庁としっかりと連携しながら、政府一丸となって、こうした感染症関連に関わる情報の収集、努めていきたいと思います。

福重委員 大臣、力強い御答弁、ありがとうございました。

 次の質問に入らせていただきます。

 外務省によりますと、現在、在外公館に百名を超える医務官が勤務しているとのことでございます。外務人事審議会の資料では、医務官の主な業務は、在外公館に勤務する職員や家族の健康管理、現地医療情報の収集と報告、この中には、感染流行時に政府系機関での情報収集も示されていますので、医務官にとって感染症は必須の領域と思います。

 その上で、医務官のスキルアップが必要であり、医務官への研修の充実が必要不可欠なものと考えますが、現在、厚労省は医務官に対してどのような研修を行っているのか、御答弁をお願いいたします。

佐々木政府参考人 簡潔にお答えいたします。

 まず、厚生労働省のみならず、国立感染症研究所で行っている研修ですが、国際的な感染症に関する幅広い分野で働く専門人材を育成する、これを目的として国際感染症リスク評価などを内容とする研修を行っております。

 これらには、先ほど外務省の政府参考人からも答弁いただいたとおり、医務官にも参加いただいているところでございます。

福重委員 研修についての重要性という認識は共通できていると思うんですけれども、今回、コロナの経験を踏まえて、こういったカリキュラムだとか、研修の時間だとか、そういったものに変化はあるんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 当然ながら、この間に積み上げてきた約四年間の知見がございますので、それを反映しての研修となっております。

福重委員 やはり水際対策における医務官の活用というのは非常に大事なことだと思っておりますので、是非そういったカリキュラム、研修の充実というものをしっかりと図っていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 冒頭の質問でも触れました、国立健康危機管理研究機構、JIHSについて、武見大臣にお伺いをいたします。

 JIHSは、統括庁や厚労省感染症対策部に科学的知見を提供する感染症総合サイエンスセンターとして、情報収集、分析、リスク評価から、研究、人材育成、国際協力、医療等までを一体的、包括的に行う組織となります。また、地方衛生研究所等と密接に連携して、全国のサーベイランス情報の集約、分析等を行うことも重要な機能の一つであります。

 国際社会における感染症インテリジェンスを科学的に強力にバックアップするためには、JIHSの役割は大変に重要となります。大臣の強力なリーダーシップの下、JIHSの創設に向けた準備委員会の報告が取りまとめられたところで、改めて武見大臣に、来年四月のJIHS創設に向けた御決意をお伺いしたいと思います。

武見国務大臣 国立健康危機管理研究機構、JIHSの創設に向けまして、私、厚生労働大臣に就任して以来、海外の有識者との意見交換を含めて、精力的に議論を進めてまいりました。こうした議論の積み重ねの結果、先月開催した準備委員会におきまして、ガバナンスが発揮される組織体系の設計図等を公表いたしまして、あわせて、二〇二五年四月に創設することを決定をいたしました。

 創設まで残り一年を切った中で、新機構が感染症の情報収集、分析、そしてリスク評価機能、それから研究開発機能及び臨床機能の全てが世界のトップレベルであり、世界の感染症対策を牽引する国内の感染症総合サイエンスセンターとなるように、具体的な方策の検討をこれからも更に加速させていきたいと思っております。

福重委員 大臣の御決意、ありがとうございました。

 世界のトップレベル、それこそ世界を牽引する、これは武見大臣にしかできないというふうに思っておりますので、御期待を申し上げますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 物流業界と同様、医師の残業規制も四月から実施されております。勤務医の長時間労働に支えられてきた大学病院等での環境改善が期待されます。

 残業は、原則年間九百六十時間、月平均八十時間相当となります。ただ、救急医療等、地域医療に不可欠な病院の勤務医らは、実は、実務を担う都道府県から指定を受ければ年千八百六十時間まで上限が緩和されることになっておりますが、医師の健康の観点のみならず、患者への医療安全の観点から、緩和措置の対象は最小とし、更なる改善を求めてまいりたいと思っております。

 医師の診療業務は、仕事であると同時に、技能の向上のための自己研さんも含まれるとの指摘から、その区分がはっきりしておりません。

 他方、残業規制の導入により大きな影響を受けるのが、地域医療であります。地方の病院に派遣している医師の引揚げを検討する医療機関もあり、救急患者の受入れや夜間診療に制約が出るおそれもあります。地方はやはり、高齢化とともに、疾病、疾患をお持ちの方が多いことから、医師の負担軽減とのバランスもありますが、地方における医療の確保は大変重要な問題であります。

 このことに関して、厚労省としての対応をお伺いいたします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 我が国の医療は、医師の献身的な長時間労働によって支えられてきた側面があり、議員御指摘のとおり、医師の健康を守るとともに、安全で質の高い医療を国民の皆様に提供していくためにも働き方改革を推進することが重要であると認識しております。

 このため、各医療機関におきましては、これまで、医師の労働時間の現状を把握した上で、タスクシフト・シェアやICTの活用等により、労働時間の短縮に医療機関全体で取り組んでいただいております。

 厚生労働省といたしましても、こうした取組に対し、財政的な支援のほか、適切な労務管理に関する助言や好事例の周知を実施してきたところでございます。

 また、医師の働き方改革を進めるに当たりましては、地域医療が引き続き確保されることが重要であります。今年四月の施行に向けて、地域医療への影響調査や把握を行いながら、働き方改革を進めてきたところでございます。

 具体的には、現在、都道府県と連携して、医療機関の状況を個別に確認した上で、医療機関に対し長時間労働の解消に向けた具体的な助言を行う、都道府県に対し医療提供体制を維持するための地域における議論や調整を促すなどの対応を行っているところでございます。

 引き続き、医師の働き方改革と地域医療の確保を一体的に推進するため、都道府県と緊密に連携を図りながら、様々な取組を推進してまいりたいと考えております。

福重委員 ありがとうございました。

 次の質問に入ります。

 財務省の財務制度等審議会の分科会では、地域別の診療報酬や医師の開業規制を導入する案が示されました。財政審は、診療所が不足している地域では診療報酬の単価を上げて、診療所が過剰な地域では下げることで、医療資源の平準化が促せると主張しております。

 医師の開業については、自由に開業できる原則もあり、多くの収入が見込まれる都市に開業する医師が多くなっているのが実態であります。医療界は開業規制に当然慎重であります。

 一方、地方においては、医師も診療所も不足しており、人口十万人当たりの診療所の数は、東京二十三区で百十三、全国平均は七十八にとどまっており、約一・四倍の開きがあると報道されております。

 医師、診療所の偏在は喫緊の課題でありますが、この非常に難しい状況の中、かじ取りを担う武見大臣は、NHKの番組で、偏在を規制によって管理しなければならない段階に入ってきたと発言をされました。具体策は今後詰めていくことになろうかと思いますが、まずは大臣の御所見をお伺いをいたします。

武見国務大臣 医師の偏在につきましては、これまでも具体的な対策として、医学部の定員への地域枠の設定、それから、医師の多寡を比較評価する医師偏在指標を算出した上で、都道府県において医師確保計画を策定をし、目標医師数の設定、医師の派遣、キャリア形成支援などを行って、国としてもこうした財政支援を様々に行ってまいりました。

 医療・介護複合ニーズを抱える八十五歳以上人口の増大や、それから現役世代の減少を踏まえますと、医療需要の変化に対応できるように、中長期的課題を整理して検討を行う必要があります。

 現在、さらに、医師の偏在の是正を進めるべく、データに基づいて、前例にとらわれない対策の検討を進めております。その際には、規制的な方法だけではなく、インセンティブを与える方法や、オンライン診療の活用なども組み合わせて検討を進めることが必要と考えております。

 こうした医師の偏在対策については、現在、今年三月に設定をいたしました新たな地域医療構想等に関する検討会を中心に検討を行っているところでありまして、具体的な内容については引き続き確実に検討を進めてまいります。

 いずれにせよ、この医師の偏在の問題、先生御指摘のとおり、極めて緊迫した課題という認識を持っておりますので、早急に取り組まなければならない、そう認識をしております。

福重委員 今、武見大臣からすごい前向きな答弁をいただいたというふうに思っております。

 ただ、私、二年半前に衆議院議員にさせていただく以前は十八年間、群馬の県会議員をしていたんですけれども、群馬でも、そういった、医療系大学と連携してその地域枠を増やすだとか様々な取組というのはしていたんですけれども、やはり、山間部、過疎地域に行くと、産婦人科ができないだとか、そういうような形の偏在が非常に多くて、本当に地方は苦労をしております。

 今大臣の御答弁の中で、本当に、前例にとらわれない対策を、しっかりインセンティブを含めて考えていくというような前向きの答弁がございましたので、是非、地方を、しっかり医療を守るという視点に立って御検討いただければというふうに思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 増加する高齢者の救急搬送に対応するため、厚労省は、新たな受皿となる地域包括医療病棟を令和六年度から創設すると聞いております。地域に根差した中小病院を中心に設け、高度な医療を担う大病院との役割分担を図り、看護師などを手厚く配置し、治療からリハビリ、退院に向けた支援までを一貫して提供し、早期に自宅に戻れるようにすることが目的であります。

 一方、厚労省はこれまで、団塊の世代が全て七十五歳以上になる二〇二五年を見据え、治療後の在宅復帰を支援する地域包括ケア病棟を二〇一四年に新設し、二〇二三年五月時点で約二千六百病院に十万床が整備されております。

 地域包括ケア病棟は、急性期治療を経過し、病状が安定した患者さんに対して、住み慣れた地域での療養を支援することが目的と理解しておりますが、この二つの病棟の具体的に何が違うのでしょうか。現状の地域包括ケア病棟と何か問題があったのでしょうか。御所見をお伺いいたします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年度の診療報酬改定で、地域包括ケア病棟、これが創設されました。地域包括ケア病棟は、急性期治療を経過した患者さんの受入れ、いわゆるポストアキュート、それから、在宅で療養を行っている患者さんが入院が必要になった場合の受入れ、これはサブアキュートと呼びますけれども、そうした様々な役割を持っておりまして、現在、重要な機能を果たしていただいていると考えております。

 一方で、先生からも御指摘いただきましたように、近年の課題としまして、後期高齢者人口の増加、これに伴いまして高齢者の救急搬送が非常に増加しております。中でも、軽症、中等症が増加している、こういう状況からしますと、こうした在宅にいらっしゃる高齢の救急患者をどのように入院、受け入れるか、これが非常に課題となってございます。

 こうした中で、今年度の、六年度の診療報酬改定に向けて中医協で議論をしておりましたが、多様な患者を受け入れる地域包括ケア病棟では看護配置が十三対一となっておりますので、どうしても対応できる救急医療には限界がある、こういう御指摘がございました。

 こうした御指摘も踏まえまして、今年度の診療報酬改定におきましては、一定の体制を整えた上で、リハビリ、栄養管理、入退院支援、在宅復帰等の機能を包括的に提供する病棟として、地域包括医療病棟、これを設けたところでございます。

福重委員 時間が参りましたので終わらせていただきますけれども、質問がちょっと二問残ってしまいました。また次の機会で質問させていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 それでは、質問を順次させていただきますが、一問だけ、通告はしておりませんけれども、大臣に、昨日のニュースでございますので、伺いたいのですが、小林製薬、紅こうじサプリメント、これに関する被害が多いということで、日本腎臓学会、この学会の方で、患者百八十九人の分析結果が出ました。五十代が一番多いということが言われておりまして、腎機能障害、それからまたファンコニー症候群などが言われておりますけれども、このことについて、四分の三は飲まなくなったときに改善をされたということではありますが、透析を受けた方もいらっしゃるということも公表されておりますが、非常に、この問題、国民の皆さんにまだ不安が増大をしております。

 また、倦怠感とかそういうものは症状として非常に分かりにくいので、是非、小林製薬の方に、摂取をした方に医師の受診を勧めるというようなことを厚労省から御助言をいただけないかと思いますが、いかがでしょうか。これは柚木委員も再三お願いをしているところですが、是非御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。

武見国務大臣 小林製薬の機能性表示食品に関わる課題につきましては、実際に健康に不安のある方を含めて、実際に医療機関で検査を行うことを奨励をして、また、小林製薬もそうした我々の指示にきちんと対応をして、そうした広報もしているところと私は理解をしております。したがって、これを更に徹底していくことが必要だというふうに私は考えております。

 いずれにしても、小林製薬に関わる、因果関係に関わるしっかりとした研究調査を進め、そして、それに基づいて、しっかりとしたエビデンスに基づいた対応措置、これを進めていかなければならないと考えております。

早稲田委員 ホームページを見てくださいというようなことがございますけれども、不安があるないにかかわらず、摂取をした方においてはやはり受診をお勧めするというようなことを厚労省としても発信をしていただきたいと要望させていただきます。

 そして、質問に入りますが、仮放免中の外国人の子供の難病医療費についてでありますが、仮放免中、つまりは在留資格を失った方などですね、入管施設の収容をいろいろな理由で、病気などでこれが解かれて、そして施設外で暮らしている家族の方たちがいらっしゃいます。こうした、親がオーバーステイなどの理由で家族全員が仮放免中、それからまた住民票のない外国人の子供であっても、やはり、入管から居住情報を自治体が受け取っている場合、児童福祉法の十九条の関連条文に基づき、小児慢性特定疾病、いわゆる小慢ですけれども、その医療費の支給対象となっております。

 このことについては、高額な子供の難病医療費は、児童福祉法によって国とそれからまた自治体が負担、義務ということになっておりまして、これが大人とは違うわけなんですけれども、このことについて、一応支給対象とはなっておりますが、子どもの権利条約や児童福祉法に照らして当然だと思いますけれども、これが、残念ながら、教育とは違い、自治体によって、この小慢の医療費支給が、出すところと出さないところというようなところが実態としてはございます。

 二〇二一年に総務省から自治体に対して、これをきちんと支給すべしということの通知も出しておりますけれども、やはり、ここのところは大変まだ実態としてはなっておりませんので、大臣に伺いたいのですが、仮放免で住民票のない子供も児童福祉法に基づき、居住している自治体による小児慢性特定疾病医療費の支給対象で間違いないかどうか。そしてまた、住民票があるとかないにかかわらず、また自治体の財政事情等にもかかわらず、その支給決定に差があってはならないと考えますが、大臣の御見解を伺います。

武見国務大臣 この児童福祉法上、それから小児慢性医療費助成制度、医療費の自己負担分について助成を行う制度でございますけれども、その対象として、居住地要件であるとか国籍要件については求めておりません。このため、公的医療保険に加入していない方々には加入を促すことを原則としつつ、加入していないことに正当な理由があると認められる場合には助成の対象としております。

 その上で、在留資格のない外国人など住民票のない方々についても、同様の考え方に基づき、仮放免中で住民票のない子供も含めて、在留資格がないことのみをもって助成の対象から外れるものではありません。この点、令和六年三月に地方自治体に対して周知を行ったところでありまして、今後とも適切にこの運用を図っていきたいと思います。

早稲田委員 大臣から力強く、助成をするということを言っていただきました、御答弁いただきました。

 私は、昨年の十二月以来、このことを、厚労省から自治体に積極的な助言をしていただきたい、必要な支援も行うべきとお願いをしてまいりましたので、この春にそうした周知をしていただいたこと、大変感謝を申し上げる次第です。

 その上で、厚生労働省の事務連絡、これが、公開資料ではありませんので、今お手元の方に配付をさせていただきました資料でありますが、その内容は大変当事者、支援団体にとっては重要なものでありますので、その内容について簡潔に政府参考人に御説明いただきたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣から申し上げましたとおり、仮放免中の住民票のないお子様に関しましても、必要な場合には助成の対象とするよう、自治体に対しても周知を図ってきたところでございますが、先生おっしゃいました令和六年三月二十九日付の事務連絡、今日資料で配付をいただいております。

 この中で、小児慢性特定疾病対策QアンドAの一部改正という形で、仮放免中で住民票のない子供について、在留資格のない外国人など、公的医療保険に加入していないことに正当な理由があると認められる場合には、小児慢性医療費助成の対象とされており、在留資格がないことのみをもって助成の対象から外れるものではないことに留意することと示したところでございます。

 今後も、制度の適切な扱いについて周知をしてまいりたいと思っております。

早稲田委員 ありがとうございます。

 ただいま御説明をいただきました。そこの資料にあるとおりでありまして、このQアンドAをきちんと書いていただいたということでございますが、この病気と、大変難病と闘いながら学校、特別支援学校に通う一方で、小慢の医療費受給が受けられない外国人の子供が実際にはいらっしゃいます。そして、これでは教育も保障されないことになりますので、この三月の今の事務連絡を踏まえて、自治体が義務をきちんと履行しているかどうかを厚生労働省としてもしっかりウォッチをしていただき、また、必要があれば技術的助言も是非お願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 昨日の報道で、仮放免中のクルド人、インフルエンザの診療費二十四万円という報道がございました。これはもちろん小慢のお話ではありません。しかしながら、やはりこうして、仮放免中の方には健康保険証もありませんし、また働くこともできない中で、一体このお金をどうやって払うのかという問題は依然として重い課題として残っておりますので、引き続き、これもまた次回にでも議論させていただきたいと思います。

 次に行きます。

 難民申請者に対する保護費の住居費についてであります。

 難民事業本部の調査に基づいて、これは、外務省、厚生労働省、出入国在留管理庁等の委託を受けて、アジア福祉教育財団の中に設置をされております難民事業本部の調査に基づいて、難民認定の申請を行っている人のうち生活困窮者と認められる人に対しては保護費の支給が行われている。しかし、その法的根拠がなく、その支給水準は、生活保護水準を下回っております。

 それから、配付資料三を御覧ください。これを見ていただければ、難民申請者の九%しか受給ができておりません。さらに、予算枯渇を理由として保護費切りが続いていることについて質問いたします。

 まず、厚生労働省に伺いますが、今年、難民申請者に対する保護費における住居費の金額が、月額六万円から四万円に引き下げられました、減額されました。これは、日本人に対する生活保護における住宅扶助基準額が下げられたり、それからまた、算出方法、これが基準が改定されたとか、変更があったのでしょうか。端的に、簡潔にお願いいたします。

朝川政府参考人 生活保護法における住宅扶助につきましては、令和六年において、家賃、間代等の基準額の引下げや算出方法の変更は行ってございません。

早稲田委員 算出額、変更は行っていないということでありますが、生活保護における住宅扶助基準額が減額されていない中で、難民申請者に対する保護費の住居費のみをこのように大幅に減額した理由、外務省に伺います。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のありました保護費でございますが、外務省といたしまして、国際的な道義責任といたしまして、難民認定申請者のうち生活に困窮する者に対しまして、委託先を通じて、生活費、住居費、医療費として保護費の支給を行っているところでございます。

 この保護費でございますが、ウクライナ避難民の受入れの経験等、総合的に判断しました上で、令和六年度から、生活費につきましては、十二歳以上の者一名につきまして、これまでの日額千六百円から二千四百円へと増額しております。

 一方、住居費でございますけれども、御指摘のありましたとおり、単身者につきましては、これまでの上限月額六万円から四万円とし、世帯については、人数に応じて、これまでの上限月額八万円から六万円までとしております。

 この住居費の減額でございますけれども、従来、光熱水料に相当する額、これを住居費の中に含めて支給しておりましたが、今般、補完的保護対象者制度と統一的な基準とするということにしまして、この光熱水料に相当する額を生活費の中に含めるということで変更いたしまして、生活費を増額しているところでございます。したがいまして、保護費全体としては減額となっていないということを是非御理解を賜りたいと思います。

 以上でございます。

早稲田委員 光熱水費を生活費の方に上乗せしたということではありますけれども、大変光熱水費も上がっている中で、全然これは、住居費を二万円もカットしたら、減額以外何物でもありません。

 それで申し上げますが、じゃ、これまで六万円を受け取っていた方たちにもこれが適用されるんでしょうか。適用される場合、減額によって家賃の支払いが困難になる方をどうすればいいとお考えですか。働いてもいらっしゃらない。路頭に迷う。そして、ホームレスの方も増えています。その点について、外務省はどういう見解を持っていらっしゃるのでしょうか。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 住居費の減額でございますけれども、これまで住居費を含む保護費を受給している難民認定申請者を含めて、一律に適用されるものでございます。

 他方、先ほど申し上げましたとおりでございますけれども、保護費全体としては減額とはなっていないということでございますので、この点について御理解賜りたいと思います。

早稲田委員 いえ、住むところがなくなります、これでは。六万円が四万円になり、生活費が多少上がっていても、路頭に迷う方が、もう本当に、それでなくても、今まででもそうであるのに、このコロナ禍からずっと続いていることでありますから。

 それでは、厚労省にもう一回伺いますが、保護費において敷金等の支給が行われていないわけですけれども、生活保護における敷金等の支給の有無とその意義、簡潔にお願いいたします。

朝川政府参考人 生活保護制度におきましては、困窮のために最低限度の生活を維持することができない者に対して、転居に際し敷金等を必要とする場合や、安定した住居のない者が住宅確保に際し敷金等を必要とする場合に、一定の要件の下で敷金等を支給しており、その住まいの確保を支援してございます。

早稲田委員 生活保護の方ではそういうふうにしていただいているわけですね、生活が困窮している方ですから。

 それでは、この保護費において敷金等の支給が行われない理由、これは、働いていない方がどのようにして払うと外務省は想定していらっしゃるんでしょうか。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 難民認定申請者の保護費でございますけれども、限られた予算の中で保護を必要とする者に対する援助を確保するということが必要でございますので、そうした観点から、難民認定者の生活条件の調査を行った上で総合的に判断しているところでございます。

 外務省といたしましては、引き続き、保護を必要とする難民認定申請者に広く適正な保護が実施できるよう最大限努力してまいる所存でございます。

早稲田委員 調査を行った上で、敷金は出さなくてもよろしいと判断をしていらっしゃるわけですか。働いていらっしゃらない外国人、働けない、働きたくても、そういう在留資格のない方たちが路頭に迷うことは、もうこれは本当に明らかではないですか。私は大変冷たい制度だと思います。

 その上でですけれども、ドイツでは、連邦憲法裁判所の画期的な判決により、外国人に対しても、在留資格の有無にかかわらず、国内に滞在しているということのみをもって、人間の尊厳に値する最低生活保障を求める基本権がドイツ人と同等に認められておりまして、国籍や在留資格などによって内容は違いますけれども、憲法によって立法、行政の裁量に制約がかけられております。

 資料の方の四も御覧ください。こうしてほかと比べてみても、日本国以外のところでは、非正規滞在であっても一定の要件を満たせば公的扶助の適用が認められております。

 大変、今、外国人の方、生活保護法の対象ではなくて、最低生活を保障するにもセーフティーネットにアクセスできない状況になっています。私の地元では、アルペなんみんセンターという民間団体があります。そして、そうしたところに難民申請中の方々がいらっしゃっているということは、とにかく民間しか支援をしてもらえるところがないからそういうふうにせざるを得ないということで、本当に、こうやって見てみますと、世界各国といかにこの日本がかけ離れているかということが分かると思います。

 ドイツのように、日本国に滞在する全ての人に最低限の生活保障を権利として認めるべきことについての大臣の所見と、それからまた、一定の要件を課した上で、在留資格、就労制限のある在留資格者であっても、生活保護法や住宅セーフティーネット法、また、生活困窮者自立支援法の住宅確保給付金の対象とするよう検討をすべきではないかということについて、大臣、二点、伺います。

武見国務大臣 まず、生活保護法でありますが、憲法二十五条の理念に基づいて、日本国民を対象と定めてはおりますが、生活に困窮する外国人についても、日本人と同様に国内で制限なく活動できる永住者、定住者などの一定の在留資格を有する場合には、行政措置として、生活保護の取扱いに準じた保護を行うこととしております。

 生活保護の目的は、最低生活の保障と自立の助長であることから、保護の対象となる外国人については、日本人と同様に国内で制限なく活動でき、自立することができる者である必要がございます。また、生活保護の基本原理である補足性の原理によって、保護の適用に当たり、稼働能力等の活用を求めることは、活動制限がある外国人については困難なものと考えられます。

 こうした点を考慮いたしまして、日本人と同様に国内で制限なく活動できる永住者等の一定の範囲の外国人については、生活保護の取扱いに準じた保護を行うこととしており、御指摘の、全ての外国人や就労制限のある外国人について保護の対象とすることは困難であると考えております。

 なお、外国人に対する生活保護についての平成二十六年七月の最高裁判決では、外国人が生活保護法の適用対象に含まれないと判示するとともに、外国人については行政措置による事実上の保護の対象となり得るにとどまるとしており、現行の行政措置による外国人の保護についての取扱いを否定したものではない、こう承知しているところであります。

 なお、二つ目の質問でございます住宅セーフティーネット法の、住居確保給付金についてでございますが、また御指摘の住宅セーフティーネット法については、入居を拒まない賃貸住宅を促進する観点から、難民申請中の外国人を必ずしも排除しておりませんが、将来に向かって居住の安定確保を図ることが必要な方を住宅確保要配慮者として想定をしております。

 その上で、住宅確保給付金は、求職活動中の住まいの安定の確保を通じて自立を促進するための制度でございますから、就労制限のある在留資格者を対象とすることは困難と考えます。

 いずれにしても、難民認定申請者のうち生活に困窮する外国人に対しては、外務省が委託先を通じて、生活費、住居費、それから、医療費として保護費の支給を行っているものと承知をしているところでございます。

早稲田委員 大臣から御答弁いただきましたが、世界に比べて、外国人であっても日本に暮らしている、そして働きたくても働けない状況にある方々への尊厳の確保ということについては非常に薄いと私は思います、言わざるを得ません。

 その上で、生活困窮者自立支援法は、自治体の判断ではありますけれども、これはその対象にもなり得るということは大臣の方から言っていただきました。しかしながら、求職者じゃないと住宅確保給付金が使えないということで、そこは外れてしまうということでありますけれども、これも矛盾をしているのではないかと思うんですね。困窮をしているから住宅の確保ということで支援をしてほしいという内容でありますから、そこだけ、求職、自立ができるということをもって制限をするのは、私は非常に差別的な対応だと思います。

 それでは、別の一時生活支援事業、これは対象ということでよろしいでしょうか。イエスかノーでお答えください。

朝川政府参考人 生活困窮者自立支援制度自身は、国籍要件を問うてございませんので、一時生活支援事業自体は対象になり得るというものでございます。

早稲田委員 一時生活支援事業は対象となり得るということを今確認をいたしました。

 そして、自立相談支援事業という相談もありますから、これは誰にでも門戸を開いているという理解で、是非、その自治体の判断ではありますけれども、自治体にもそうしたことを厚生労働省の方からもきちんと周知をしていただけるようにお願いをしたいと思います。

 それでは、次の質問に移りますが、フリーランスの所得保障については、先般も、私、四月十日の委員会で大臣と議論をさせていただきましたが、途中になっておりますので、やらせていただきたいと思います。

 大臣はそのとき、未払い賃金立替え払い制度については、賃金の支払の確保等に関する法律によって、賃金は労働者の生活の糧である、法的保護がされている賃金とフリーランスの報酬と同等に扱うべきかは慎重に議論して進めるべきというふうにおっしゃいました、答弁をされました。

 しかし、そのフリーランスという働き方が大変多様になっている中で、必ずしもそういうことではないと私は思います。フリーランスにとっての報酬が生活の糧ではないと大臣はお考えなんでしょうか。士業、芸能業、農業、建築、林業、それからまた運輸業など、個人事業主にとってはどうしたってこれは生活の糧であります。生活の糧である報酬も厚労省として法的保護を図る検討をすべきではないでしょうか。

武見国務大臣 フリーランスの報酬については、事業の経費なども含まれますが、生活の糧としての側面もあり、取引の適正化が図られることは重要だと考えます。

 このため、昨年四月に成立したフリーランス法では、フリーランスに業務委託を行う発注事業者に対しまして、報酬の額などの取引条件の明示、それから支払い期日までの報酬の支払いなどを義務づけたところでございます。

 厚生労働省としても、このフリーランス法について、関係省庁と連携をしつつ、今年秋の円滑な施行に向けて取り組んでまいりたいと考えます。

早稲田委員 生活の糧であるということも言っていただきました。

 また、フリーランス法のこともありますが、その上で、労災保険の特別加入制度、これは労働者に準じて保護すべき個人事業主の業種に対して認められた制度であります。特別加入すれば休業補償は受けられるのに、同じ労災保険が原資となっている未払い賃金立替え払い制度の対象になっていないのは矛盾していると考えます。

 大臣が前回答弁でおっしゃったとおり、厚生労働省としては、フリーランスの方の特別加入、この対象範囲の拡大に取り組んでいると今もおっしゃいましたけれども、賃金の支払の確保等に関する法律を改正し、特別加入者の未払い報酬も未払い賃金とみなして立替え払いをするようにすべきではないかと私は考えますが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 賃金の支払の確保等に関する法律に基づく未払い賃金立替え払い制度は、その成り立ちにおいて、独立の保険制度をつくることが難しい状況において、倒産企業における賃金の不払いは事業主全体の責任として労働者を保護すべきであるとの観点を踏まえて、全額事業主負担である既存の労災保険制度を活用するという考え方です。このために、労災保険を原資として、労災保険法に基づく社会復帰促進等事業の一つとして位置づけられているものでございまして、労災保険の保険給付などとは性質の異なるものでございます。

 事業主に雇用される労働者以外を対象として新たに含めることにつきましては慎重に検討する必要があると考えます。

早稲田委員 慎重にということでありますが、特別加入者は御自身で保険料を全額支払っているわけです。そうしますと、全額支払っているわけですから、その中で特別加入者であるフリーランスだけが未払い賃金立替え制度の対象になっていないというのは、やはり私は差別的であると考えます。

 是非、今のことも踏まえて検討を進めていただきたいと強く要望させていただきます。

 その上でですが、芸能従事者。芸能従事者の中で、舞台美術などをやっていらっしゃる方たちが多種多様な分野でいらっしゃいます。そのときに、美術などの芸術分野が加入できないことから、芸能従事者の方たちは業務の範囲を広げるように要望しているわけです。

 このように、既存の業種の業務の範囲の見直しをして、必要があれば通達で範囲を広げるなどしてはいかがかと思います。そうでないと、新たな業種の特定受託事業者の業務の範囲を定めないと、既存の業種の中に更にその追加をして新しい業種を特定受託事業者としてやりますと、労災保険に二重三重で加入しなければならないという、御本人にとっては不利益も生じます。ですから、通達でやっていただく、範囲を広げていただくということを是非御検討いただきたいのですが、いかがでしょう。

武見国務大臣 これはなかなか、ちょっと複雑な仕組みなんでございますが、今回新たに労災保険の特別加入の対象として追加した特別受託事業者が行う業務につきましては、昨年成立したいわゆるフリーランス法の附帯決議において、労災保険の特別加入制度について、希望する全ての特定受託事業者が加入できるよう対象範囲を拡大することとされたことを踏まえまして、公労使から成る労働政策審議会において議論をし、既存の対象業務とは別に、フリーランスの方を幅広く対象とすることができるというふうにいたしました。

 このために、これまで特別加入の対象となっていなかったフリーランスの方々には、まずはこの新たな枠組みを利用していただきたいと思います。この新たな枠組みは令和六年秋をめどに施行予定でございますが、今後何らかの課題が生じた場合には、必要に応じて見直しをいたします。

早稲田委員 附帯決議は存じておりますけれども、その特定受託事業者に誰でも入れるというふうなことがなかなか現実的に難しいのではないかと思っております。

 しかもまた、この美術というのは、舞台美術というのは、昨今、非常にいろいろな分野に分かれておりまして、そこを兼業している方も、それから、毎年増えています、その業務形態も。そうしたことを踏まえまして、パブコメにも美術家の方から意見が出されておりますので、是非そうしたことも踏まえて、また、重篤な事故なども起きておりますので、通達でこの業務を広げるということもまた考えていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 今日は一般質疑でお時間をいただきましたので、今日も最初は機能性表示食品の問題について質問をしたいと思います。

 私、前回の質問におきまして、小林製薬の紅こうじサプリに、米国で医薬品として承認されたロバスタチンと同じ物質、モナコリンKが含まれていることを問題として指摘をしました。実は、現行制度では、こういう専ら医薬品の成分であっても機能性関与成分として届出ができるということになっています。

 これについては、平成二十九年十一月の規制改革推進会議医療・介護ワーキング・グループにおいて、健康食品産業協議会等から要望があって、それを受ける形で可能になったというふうに理解していますけれども、こういう理解でよろしいかどうか、確認をしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の経緯ということでございますが、委員御指摘のとおり、平成二十九年十一月二十日の規制改革推進会議医療・介護ワーキング・グループにおきまして、事業者団体から、専ら医薬品リストに掲載されている成分であったとしても、機能性表示食品の関与成分として扱うことを可能とすることなどについて要望があったと承知しております。

 当該要望事項を受けまして、平成三十年一月三十日の同ワーキンググループにおきまして、厚生労働省及び消費者庁の方から、専ら医薬品リストに掲載されている成分を含む食品であったとしても、当該成分が生鮮食品に元から含まれている成分であって、その生鮮食料品を機能性表示食品として届け出る場合、あるいは、当該生鮮食料品を調理又は加工して製造した食品を機能性表示食品として届け出る場合には、当該成分を含有していても医薬品とは扱わず、他の届出と同様に確認を開始する旨、両省庁それぞれが関係するQアンドAにおいて措置予定ということで回答を行ったことで対応しているという状況でございます。

大西(健)委員 今確認のために答弁してもらったんですが、皆さんのお手元に、資料として、まさに今答弁していただいた資料をお配りしております。

 この第六回、平成二十九年の十一月二十日の医療・介護ワーキング・グループで業界の方からこういう要望が出たということで、ここにあるように、要望提出者というのは健康食品産業協議会及びバイオインダストリー協会となっていますけれども、この健康食品産業協議会というのは健康食品業界主要五団体の連合会であって、その中の最大の団体というのは、山東昭子議員が会長を務めている日本健康・栄養食品協会ということになっています。

 続けてお聞きしますけれども、専ら医薬品の機能性関与成分としては、ほかには、代表的なものとしてガンマオリザノールというものがあります。ところが、このガンマオリザノールを機能性関与成分にした製品の届出表示を見ると、どう書いてあるかというと、本品には、血中の中性脂肪や総コレステロールを低下させる機能が報告されている成分を含みますとしか書いていないんですね。つまり、ガンマオリザノールという名称はどこにも書いていない。これは伏せられているということであります。

 これでは消費者にとっては、どの成分に一体その有効性があるのかというのも分からない。つまり、消費者の商品選択に資するという表示本来の目的からすると、それに反しているんじゃないかというふうに思いますけれども、消費者庁、いかがでしょうか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点で、ガンマオリザノールを機能性関与成分とした機能性表示食品の届出は九件ございます。いずれも容器包装の機能性に関する表示におきましてガンマオリザノールの記載はないというのは、委員御指摘のとおりでございます。他方で、食品表示基準におきまして、届け出られた機能性関与成分の一日当たりの摂取目安量当たりの含有量につきましては、栄養成分表示の次に表示することが義務づけられております。したがいまして、ガンマオリザノールを機能性関与成分とする製品が届けられた場合においては、栄養成分表示の次に当該成分を表示しなければならないということになっておりますので、消費者の商品選択に資する表示制度ということにはなっているというふうに考えております。

 補足させていただきますと、この機能性に関する表示におきまして専ら医薬品成分の名称が記載されておりませんのは、「無承認無許可医薬品の監視指導について」と題します厚生労働省薬務当局の通知におきまして、専ら医薬品成分の含有を強調的に標榜等することが禁止されていることを踏まえたものでございまして、先ほど委員からの御質問にありました規制改革の実施計画に対応する形で、厚生労働省の方が三十一年三月十五日付でQAを改正しておりまして、このQアンドAを踏まえまして、消費者庁としまして、この薬務当局の考え方を踏まえて食品表示基準の解釈通知を改正しておりますが、専ら医薬品成分が機能性関与成分として届け出られた場合に医薬品に該当しないことが不明確な場合には、その都度、当該届出の確認時に厚生労働省の薬務当局に照会しているという運用を行っているところでございます。

大西(健)委員 今審議官の答弁にもあったように、パッケージを見ても、どこにもガンマオリザノールというこの医薬品成分が、専ら医薬品成分が含まれているかどうかというのは、消費者は見ただけじゃ分からないわけですよ。ですから、それはやはり消費者にとっては私は不親切な制度になっているんじゃないかというふうに思いますし。

 今の答弁に関わる部分について更に聞いていきたいんですけれども、今、最後の御答弁のところにあったように、先ほどの資料の右側の要望事項に対する回答のところにも書いてありますけれども、機能性関与成分が医薬品に該当するかどうか不明な場合は、今答弁にあったように、届出確認時に消費者庁から厚労省に照会して確認することになっている。それを受けて、厚労省の監視指導・麻薬対策課は課長通知というのを出していて、「「医薬品の範囲に関する基準」に関するQ&Aについて」という、こういう通知なんですけれども、その中身というのは、先ほどこれも依田審議官からお答えがあったように、専ら医薬品リストに収載されているものであっても、それが生鮮食品等に元から含有される成分である場合には、当該成分を含有することのみを理由として医薬品に該当するとは判断しない、こういうことなんです。

 つまり、例えばガンマオリザノールについて言えば、元々、発芽玄米の米ぬか部分に含まれるような成分なので、それで医薬品に該当しないというふうにしていると思われます。

 ただ、さっき言ったように、消費者からすると、どこにもガンマオリザノールと書かれていない、だから、ガンマオリザノールが含まれているかどうか分からない。でも、先ほどこれも御答弁の中にありましたけれども、こういうガンマオリザノールのような医薬品名をあえて伏せているのは、逆に言うと、機能性関与成分が医薬品リスト収載成分であることを強調する広告表示が行われると、これは逆に医薬品と紛らわしい、問題になるから、だからできないと。

 つまり、非常に矛盾に私は満ちていると思うんですね。消費者からしたら分からないし、強調してしまうと医薬品と紛らわしくなる、だから広告できないと。非常に矛盾に満ちていると思うんですね。

 最初に言いましたように、これは健康食品業界の要望を受けて、規制緩和によって可能になったものであって、先日の消費者庁の検討会の初会合においても、国立医薬品食品衛生研究所の合田名誉所長が、米国では医師の処方が必要な医薬品成分が入っている、大きな問題だというふうに指摘をされています。

 この際、厚労省の監視指導・麻薬対策課の課長通知、これは元々、規制緩和要望で出したものですけれども、この再検討を私はやるべきじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 今回の小林製薬の事案に関わる製品のように、野菜とか果物などの生鮮食料品には元から医薬品成分が含有されている場合が委員御指摘のようにございます。

 このような製品の医薬品該当性については、委員御指摘の医薬品の範疇に関する基準に関するQアンドAでは、その成分を含有することのみを理由として医薬品に該当するとは判断をしないで、食経験、それから製品の表示、それから広告、その製品の販売の際の説明などを踏まえて総合的に判断することとされております。

 今後も、引き続き、こうした考え方に基づきまして、各製品の医薬品該当性について適切に判断をし、食品の流通に支障が生じないように運用していきたいと思います。

大西(健)委員 私が言っているのはまさに医薬品成分なわけですよ。だから、薬だったら、医薬品だったら、過剰摂取しないように処方とかも厳しく医師から指導があるわけですけれども、それがないわけですよね。それで、しかも、さっきから言っているように、これは元から認められていたわけじゃなくて、業界団体からの規制緩和要望で認めたわけですよ。

 今、これだけ問題が起きている中で、やはり再検討すべきじゃないですか。全くしなくていいんですか、大臣。

武見国務大臣 今まさに、今回の小林製薬の機能性表示食品の課題が懸案となって出てきているときでございます。こうした委員の御指摘をも踏まえながら、この課題についてどのように対応するかをまさに検討しているところでございます。

 いずれにせよ、この因果関係に関わる解明をきちんとやって、エビデンスに基づいて、適正に、かつまた総合的な観点から判断を下していきたいと思います。

大西(健)委員 さっきも言いましたように、まさに今、消費者庁の検討会がやっていて、初会合でも国立医薬品食品衛生研究所の所長が言っているんですよ。だから、これはこの際、やはり再検討してもらうのは当たり前だと私は思っていますので、是非お願いしたいと思います。

 それから次に、ちょっと突然ですけれども、酵素というのは何か、どのような規制があるのか、政府参考人から簡潔に御説明いただけますか。

中山政府参考人 お答えします。

 酵素とは、一般的に、生体内の化学反応を促進させる機能を持つ、たんぱく質を主体とした物質と承知しております。

 酵素は、食品の原材料として使用される場合や、食品の加工等を目的として食品添加物として使用される場合があります。食品衛生法上、食品の原材料として使用される酵素に関する個別の規制はありませんが、一般的には、人の健康を損なうおそれがある食品の販売等は禁止されております。また、食品一般の成分規格等が適用されます。

 食品添加物である酵素に係る規制といたしましては、食品衛生法に基づき内閣総理大臣が指定した添加物及び既存添加物以外は使用することができないことや、起源や活性等の規格基準を定めていることがあります。

大西(健)委員 愛知県、私は愛知県ですから、愛知県は発酵の文化というのがあって、世界を代表するようなこういう酵素企業というのがあるんですけれども、酵素というのは見えないものですけれども、我々の生活の様々な食品とかの加工に使われているものであります。

 テレビや新聞を見ていると機能性表示食品の広告があふれていますけれども、中でもよく目にするのが、グルコサミンとか○○酵素というものです。しかし、先ほど答弁していただいたように、酵素というのはたんぱく質なんですね。だから、胃酸で変性、分解されるので、体内でそのまま、酵素を飲んで働くなんということはないんです。そして、広く販売されている酵素なるものは、酵素じゃなくて、微生物の働きにより生成された栄養分の効果をうたった発酵食品なんです。つまり、酵素でないものを酵素と言って売っているので、これは景品表示法違反になるんじゃないですか。いかがですか。

真渕政府参考人 お答えを申し上げます。

 現に行われている個別具体的な表示につきまして、景品表示法に違反するかどうかのお答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、その上で、一般論として申し上げますと、景品表示法は、委員も御案内のとおり、優良誤認表示を規制しておりますところ、景品表示法に違反するか否かは、個々の商品、サービスに係る特定の文言のみをもって判断されるものではなく、どのような性能、効能、効果をどのような表現で一般消費者に訴求しているかなど、表示全体から判断されるものでございます。

 消費者庁といたしましては、景品表示法に違反するおそれのある具体的事実に接した場合には、法と証拠に基づいて適切に対応してまいりたいと考えております。

大西(健)委員 私、以前、ちょっと話はそれますけれども、焼き肉屋さんがロースじゃない外ももの肉をロースだと言って出しているなら景品表示法違反だと消費者庁が言ったことがあるんですよ。それはちょっとやり過ぎじゃないかと思いますけれども、でも、酵素じゃないものを酵素として売っているんですよ、○○酵素と言って。こんなものは明らかに消費者をだましている話じゃないですか。こんなのは本当におかしいと思いますけれども、個別具体的な話は答えられないかもしれないけれども、一般論として、そうじゃないものをそうだと売っているのは景品表示法違反じゃないですか。いかがですか。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁いたしましたけれども、景品表示法に違反するか否かは、表示全体から見て判断をするということになっております。ですので、特定の文言だけで判断するものではございませんので、我々といたしましては、景品表示法に違反するおそれのある具体的な端緒情報に接した場合には適切に対応してまいりたいと考えております。

大西(健)委員 消費者を守るのが消費者庁なのに、酵素じゃないものを酵素と売っているのを、別に、黙認するというのはあり得ない話じゃないかと思いますけれども、これ以上やっても水かけ論かもしれないので、今日はこの問題提起をするにとどめたいと思います。

 次の質問に移りたいと思いますけれども、子ども・子育て支援法の審議、これはもう参議院に移っていますが、政府は、支援金導入に当たって、歳出改革と賃上げにより実質的な社会保険負担の軽減効果を生じさせ、その範囲で構築すると説明を繰り返してきています。その際、社会保障負担率という指標を持ち出してきていますけれども、その社会保障負担率というのは国全体の平均で算出されるもので、個々の賃上げの状況等によって負担増になる保険者、被保険者が出てくるというふうに考えますが、そういう理解でよいか。また、そうした個々の負担に対する支援や配慮というのが必要ないのかについて、大臣に改めて質問したいと思います。

武見国務大臣 支援金についてのお尋ねであれば、政府としては、社会保険負担率という具体的なメルクマールを用いて、支援金の導入に当たって、歳出改革と賃上げにより実質的な社会保険負担軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築していくことによって、全体として実質的に負担が生じないということを申し上げてきているところでございます。

 その際、歳出改革等による実質的な社会保険負担軽減効果が各医療保険制度に与える影響は様々でございまして、個別にその効果をお示しすることは困難でありますが、所得が高く、支援金の拠出額が大きい場合は、歳出改革による保険料負担の軽減効果も併せて大きくなります。

 いずれにしても、支援金の導入に当たっては、全体として実質的に負担が生じないよう、政府として徹底した歳出改革等に取り組んでまいります。

大西(健)委員 あくまで全体としてという話なので、個々を見ていけば、負担が増える人もいるし、そうじゃない人もいる。当たり前のことなんですね。

 ところが、結局、実質負担は生じないと言いながら、子育て世帯には新たな負担を押しつけて、高齢者には、まだ決まっていないと言いつつ、国民年金の納付期間を五年間延長して、実質百万円の負担をもくろんでいるということを前回も指摘しましたけれども、これまでも、六十歳までと思ってこつこつ保険料を納めてきて、そのつもりで老後の生活設計も考えていたのを、後出しじゃんけんで、あと五年納めてねと言われたら、普通は、約束が違うじゃないかというふうになりますよね。民間保険会社が個人年金や養老年金で保険料の払込期間を一方的に変更すれば、それこそ訴えられるんじゃないかと思います。

 この点、例えば企業年金において、制度の根幹に関わる部分の変更を一方的に行うことが一般的に認められるのかどうかについて、参考人に伺います。

橋本政府参考人 今お尋ねいただきました、制度の根幹に関わるような部分というところが具体的に何を指すかというところはございますけれども、確定拠出年金制度や確定給付企業年金制度の大枠を決めるような基本的なたてつけというものは、それぞれの法律で規定されております。

 その上で、企業年金のうち、例えば確定拠出年金におきましては、掛金の拠出に関する事項など、企業年金の実施に当たり必要な事項に関して規約を作成するということとされております。この規約を変更するということに当たりましては、軽微な変更を除きまして、企業型年金を実施する事業所に使用される厚生年金被保険者の過半数で組織する労働組合があるときは当該労働組合の、労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者の同意を得た上で、厚生労働大臣の承認を受けなければならない、このように規定されております。

大西(健)委員 今の話だったら、過半数の労働組合等の承認が必要ということですけれども、例えば、企業年金の年金額の減額であったりとか、退職役員の慰労年金を廃止するというようなことをしたことについて争われた過去の裁判では、原告の同意のない変更を認めない判決というのも多数出ています。

 保険料納付期間の五年延長というのは、まさに制度の根幹に関わる変更であって、国民年金加入者の同意、すなわち国民の同意が必要だというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 基礎年金拠出期間の延長を行うかどうかということも含めて、現時点では、次期制度改正の方向性も定まっておりません。何ら予断を与えるものではございません。年末までの社会保障審議会年金部会の取りまとめに向けまして、引き続き丁寧に検討を進めます。

 いずれにいたしましても、年金制度について、国民の皆様にしっかりとした安心感を持っていただけるように努力することが私どもの基本姿勢でなければならないと考えております。この考え方に基づいて、まずは年金部会においてしっかりと御議論をしていただきながら、丁寧に対応していきたいと思います。

大西(健)委員 決まっていない、決まっていないということを繰り返されるわけですけれども、もしやるんだったら、さっき言っているように、これは当然国民の理解を、今も答弁の中にもありましたけれども、これを得るというのが当たり前のことで、当然法律も改正しなきゃいけないわけですから、国会でも法案を通さなきゃいけないわけですけれども、私は、法律を通すのは当たり前ですけれども、やはり、国民の理解、これをしっかり得るというのを大前提にしていただきたいということは重ねて申し上げたいと思っています。

 それから、国民年金の納付期間の延長とともに、SNS上で話題になっているのが、遺族年金の廃止のうわさです。

 遺族厚生年金については、夫が亡くなった場合には、子供がいる妻と、子供がいなくても三十歳以上の妻であれば、年金を生涯受け取ることができますが、妻が亡くなった場合には、夫が五十五歳以上でなければ受け取ることができないということになっています。

 この男女の差というのは不合理で解消すべきだという議論は、これは以前から審議会等でも指摘をされていることでありますけれども、現時点で政府は遺族年金の廃止を考えているのかどうなのか。

 また、男女差の解消というのは、これは当然必要だと思いますけれども、生活費を稼いでいた一方の配偶者を失った場合に生活をどうするのかという問題は、これは依然として残ります。男女平等でない社会において、働いて、一人でそれまでと同等の生活を維持できるという女性が必ずしも多くないというのも残念ながら現実であって、その現実の状況に対応することは必要だというふうに思います。

 遺族年金の廃止の前に先進国最悪の男女の給与格差を是正すべきであって、遺族年金の廃止を言うんだったらそっちが先だろうというふうに思うんですけれども、大臣、この点についていかがお考えでしょうか。

武見国務大臣 まず第一に、委員御指摘のような遺族年金制度そのものの廃止に関する検討は行っておりません。

 それから、男女が共に就労することが一般化していくことが想定される中で、社会保障審議会年金部会において、遺族年金制度の男女差が検討事項の一つとなっております。そのために、現在、年金部会で、男女差の解消など遺族年金制度の具体的な見直しに関する議論を進めていただいております。

 繰り返しになりますけれども、遺族年金の廃止については議論をしておりません。

大西(健)委員 これは、はっきりこうやって答弁していただいたことが重要だと思っていまして、本当に、SNS上では遺族年金廃止かとすごく炎上している状況になっていましたので。ただ、男女格差の問題というのは本当にこれは何とかしなきゃいけない。ただし、さっきも言いましたように、その前提としては男女の賃金格差というものがあるわけであって、それはそれで、そっちの方を先に根本的にはやっていくというのが、これが我々政治の役割であるということは重ねて申し上げます。

 次に、少子化が進む中で、外国人労働者は、企業にとって欠かせない戦力となりつつあります。

 先日、愛知県の大府市にある、すごい工場として全国から見学者が絶えないスチールテックさんという会社を訪問させていただきました。スチールテックでは、外国人人材の戦力化に積極的に取り組んで成果を上げていまして、全体の約四割弱が外国人技能実習生を含む外国人のスタッフだというふうに聞きました。出口社長からは、外国人技能実習生を厚生年金の被保険者にすることについて、技能実習生にとっても事業主にとっても利益が少なく、特に、実習生についてはまだ脱退一時金があるのでいいんですけれども、事業主負担相当分は全くこれは返還されません、これが外国人人材採用の妨げになっているというふうな指摘を受けました。

 現在、技能実習制度を廃止して新たに育成就労を設ける法案が審議されていますけれども、この脱退一時金支給時に事業主負担相当分を全く返還しないということについてもこの機会に少なくとも検討をしてはどうかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 脱退一時金でありますけれども、滞在期間の短い外国人労働者について、納めた保険料が老齢給付に結びつきにくいという事情を踏まえて特例的に設けられている制度です。

 事業主負担分を事業主に返還するということにつきましては、まず、滞在期間の短い者であっても、障害を負った場合や死亡した場合には障害年金や遺族年金の対象となること、それから二つ目には、事業主負担は、被用者本人の年金受給の有無にかかわらず、障害年金等の年金給付の権利を保障し、安心して就労できる基盤を整備するために必要であること、第三に、仮に外国人に関する保険料のみを事業主に返還することとした場合、外国人を雇用しない事業主との間の公平性が損なわれること、こういったことがございますので、やはりこれは慎重な検討が必要だと考えます。

大西(健)委員 今の御説明の中で、だから、障害年金とかの必要性はあるので事業主としては入ってもらわなきゃいけない、それは分かるんです。分かるけれども、脱退一時金の方は老齢年金の方には反映されないから返すわけですから、だから、全額とは言わないけれども、例えば事業主負担で払った分の一部を返すみたいなことはあってもいいんじゃないか。

 まさに外国人労働力を、日本の労働力が今、生産年齢人口が減っている中で積極的に活用していこうというふうに国としてかじを切っているわけですから、ですから、この点についても、今までと同じということではなくて、やはりそれが外国人採用の妨げになっていると実際現場の方が言っているわけですから、全額とは言わないけれども、一部返ってくるんだったら、それでも、やはりそれは、そういう人たちにとっては、外国人採用のインセンティブにも、障害を取り除くことにもなるんじゃないかと思いますので、私は、是非この機会に再度検討ぐらいしてもいいんじゃないかなというふうに思います。

 次に、資料の二ページ目の新聞記事を御覧いただきたいんですけれども、精神科の訪問看護事業者最大手とされる事業者で、患者の症状や必要度に関係なく、訪問回数を制度の上限である週三回にするようにとか、制度上三十分以上となっている訪問時間を三十一分から三十五分として、長い時間いないようにするように看護師らに指示していたことが、社員や元社員への取材で分かっています。

 記事によると、患者が訪問回数を減らしてほしいと要望してもそれに応じなかったために、ストレスを感じて患者の状態が悪化したみたいな、こんな元も子もないような事例があったりとか、その企業の中では、上位成績を上げてロレックスやバーキンを目指そう、こういうあおるようなキャンペーンというのをやっているということもこの記事には書かれています。

 大臣、こういうことが、一般論で結構ですので、適切だと思われますでしょうか。必要のない訪問が行われていたとすれば、それは税金や保険料という形で国民の負担になっているはずです。訪問の回数や時間が適切かどうかチェックする仕組みというのはないんでしょうか。この点について、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

武見国務大臣 個別の事案についてのお答えは差し控えさせていただきますけれども、一般論として、精神科訪問看護の回数や時間、これは保健師又は看護師によって患者の心身の状況などを踏まえて適切に決定されるべきものであって、そうした状況を踏まえずに一律に上限の回数とするような運用は、これは適切ではございません。必要に応じて事実確認等を行います。

 それから、令和六年度診療報酬改定において、重症の患者に対して訪問看護を行う事業所を適切に評価する観点から、精神科訪問看護の利用者の重症度の要件を新たに設けるなどの見直しを行っております。

 いずれにせよ、患者の状態に応じた必要な精神科訪問看護がなされるように、引き続き診療報酬の中で適切に評価をしていきたいというふうに思います。

大西(健)委員 実際にどれぐらい訪問するのが必要かどうかというのは適切に判断されるべきなんですけれども、それをやはりちゃんとチェックしないと、こういうふうにそれを悪用して金もうけに走る事業者が出てくるということでありますので、今も、個別の話はあれですけれども、不適切な事例があれば対応するという答弁もありましたから、それを信じたいと思いますので、是非これについてもしっかり事実関係を注視をしていただきたいというふうに思います。

 最後に、民間火葬場の値上げについて質問します。

 私は、令和四年十一月の本委員会でこのことについて質問しました。配付資料の最後のページにそのときの会議録をつけさせていただきましたけれども、東京二十三区では、九か所の火葬場のうち公営は二か所だけで、残る七か所のうちの六か所は、東京博善という中国資本の傘下の企業によって運営されています。東京博善は、二〇二一年に一般向けグレードの火葬料金を七万五千円に値上げした上、二〇二二年の六月からは、燃料費特別付加火葬料として更に一万二千二百円を徴収するようになりました。公営の火葬場の火葬料が四万四千円なので、倍近い開きがあるんですね。

 前回の私の質問に対して、当時の加藤大臣は、火葬場の経営主体は、永続性や非営利性の観点から、原則として地方公共団体、それが難しい場合であっても宗教法人か公益法人に限るという厚生省通知があるとした上で、通知の前から民間企業によって経営されていたものが全国に十三件あって、株式会社によるものであって、外国資本が株式を取得することはあり得ると認めています。そして、最後のところを見ていただくと、火葬場の運営が適切に行われない場合は、地方自治体と連携して必要な対応を行うと答弁しています。

 火葬場の高い公共性を考慮したときに、二十三区民は安価に利用できる公営の火葬場は二か所しかなくて、民間を利用した場合には倍の料金がかかる、これはもはや何らかの対応をすべきという状況にあるんじゃないでしょうか。

 また、こうした高い公共性を有する施設の外国資本による独占を許すのはやはり問題があるというふうに思います。例えば、テレビ局等による外国資本による株式保有率には制限がかかっていて、外資規制というのがかけられていますけれども、こういう何らかの対応が必要だと思いませんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 御指摘のように、火葬場の経営主体については、厚労省の通知において、永続性や非営利性の観点から、原則として地方自治体、これが難しい場合であっても宗教法人や公益法人等に限るとしております。現にその約九八%がこれらの主体により経営されている現状です。

 他方で、一部の火葬場が民間企業により経営されており、そうした中で、東京都内の株式会社が経営する特定の火葬場において火葬料金等が相次いで引き上げられるなどの報道があったことから、厚生労働省としては、令和四年十一月に事務連絡を発出し、地方自治体に対して適正な火葬場の経営それから管理について指導監督の徹底を依頼したところでありまして、引き続き、その運用を徹底してまいりたいと考えております。

 さらに、東京都のケース、御指摘がありましたけれども、東京都の特別区長会は、厚労省による事務連絡発出後の令和五年三月に、火葬料金等を引き上げていると報じられていた民間企業に対しまして適正な火葬場の経営、管理を行うよう文書で要請したほか、同企業の火葬場を監督する自治体からも、収支に関する書類を年一回保健所に提出するよう口頭で依頼したということを承知しております。

大西(健)委員 先ほど大臣の答弁にあったように、九八%はそういう民間ではないんですけれども、東京に限って言うと、九か所のうち公営は二か所だけという、東京は特殊事情だと思いますけれども、でも、これからいわゆる、少子化社会じゃなくて、一年のうちにたくさんの人が亡くなっていく多死化社会を迎えるに当たって、この問題は本当に深刻な問題だと思いますので、今、一定の対応をしていただいていることは分かりましたけれども、引き続き、是非問題意識を持って厚労省としても対応していただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。

新谷委員長 次に、堤かなめ君。

堤委員 立憲民主党の堤かなめです。

 学校での働き方改革について質問いたします。

 今、学校が大ピンチです。資料一、教職員の病気休職者数の推移を御覧ください。平成十三年から令和四年まで、つまり二〇〇一年から二〇二二年まで二十一年間の推移を示したものです。この間、病気休職者は、五千二百人から八千七百九十三人に増加、つまり、およそ二十年で一・七倍に増加しています。そのうち精神疾患の休職者は、二千五百三人から六千五百三十九人に増加、つまり、およそ二十年で何と二・六倍、二・六倍にも増加したということです。

 厚労大臣にお聞きします。

 働く人たちの精神疾患や過労死を防止することは厚労省の主たる課題の一つかと思いますけれども、教職員の精神疾患による休職者が増加している、およそ二十年で二・六倍にも増加していることについて、率直な御所見をお聞かせください。

    〔委員長退席、大串(正)委員長代理着席〕

武見国務大臣 委員御指摘のこのグラフを見ましても、教職員の病気休職者数の推移というのはやはり深刻な課題として受け止めるべきだというふうに思います。

 その上で、公立学校教職員の人事行政状況調査におきまして、精神疾患による教職員の病気休職者数が増加傾向にあることは承知しております。そこで、増加の原因については調査を実施した文部科学省において分析されているものと思いますけれども、労働行政を担当する厚生労働省としても、この状況に対してしっかりと注視をしていく必要がある、このように考えます。

堤委員 厚生労働省としてもしっかりと注視をしていくということ、必要があるということをお答えいただきました。ありがとうございます。

 大臣、過労死ラインを超えると、精神疾患だけでなく、脳や心臓疾患のリスクが高まる、脳や心臓疾患のリスクが通常の二倍から三倍に高まるというふうに言われていますけれども、いかがでしょうか。

武見国務大臣 労災保険の中では過労死ラインという言葉は使ってはいないんですけれども、発症前一か月間におおむね百時間、それから、発症前二か月間ないし六か月間にわたって一か月当たりおおむね八十時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価をして、労災認定の対象にしております。

堤委員 やはり、過労死ラインという言葉は使っていないけれども、そういう過労死ライン、百、一か月に八十時間もの残業ですとかが増えると過労死のリスクが高まるということでよろしいわけですね。

 文科省が昨年四月に公表した教員の勤務実態調査によりますと、過労死ライン、これは一般に過労死ラインというふうにも言われていると思いますが、それを私は厚労省も認めていただきたいなと逆に思いますけれども、この過労死ラインを超えて働いていた教員が、中学校では三六・六%、小学校では一四%だということです。つまり、中学校では四割弱、小学校では一割弱が過労死ラインを超えて働いている。

 この文科省の調査結果、厚労省としても深刻に受け止めるべきと思いますけれども、大臣のお考えをお聞きします。

武見国務大臣 小中学校の教員の皆さんを含めまして、長時間労働など職場環境を原因として働く方が健康を害するようなことがあってはなりません。

 御指摘の調査によりますと、総在校等時間が週六十時間以上となる場合は、小学校で一四・二%、中学校では三六・五%と、全業種平均である八・九%よりも高いものとなっております。教員の環境改善は重要な課題であるということが、こうしたことからも認識されます。

 このため、文部科学省においては、働き方改革のほか、処遇の改善、それから学校の指導、運営体制の充実、これらを一体的に進めていく予定であるというふうに承知しております。

 厚生労働省といたしましては、過労死等防止対策推進法に基づき策定された過労死等の防止のための対策に関する大綱を踏まえまして、文部科学省や関係府省とともに長時間労働の削減に向けた取組を行っているところであります。したがって、引き続き、こうした観点からしっかり取り組んでいきたいと思います。

堤委員 教員の皆さんの環境改善にもしっかり取り組んでいくというお答えだったと思います。ありがとうございます。

 では、給特法について、関連して聞きたいと思います。

 そもそも、この文科省の調査は勤務実態を正確に把握できているのかという強い疑念が持たれています。

 資料の二、毎日新聞の記事です。一昨年五月の記事になっておりますが、この見出しには、過酷勤務鮮明に、休憩時間ゼロ、教員の半数、過労死ライン超え、中学七四%、記録書換え要求と記されています。傍線部の1ですけれども、名古屋大学大学院の内田良教授らのグループが小中学校教員に実施した独自調査の結果を公表した、時間外労働では、中学校教員の七四・四%が過労死ラインを超えていたということでございます。

 少し調査実施の時期の差はございますけれども、文科省の調査では四割ですけれども、それよりも三割以上多いということでございます。この三割以上の乖離が生じた理由の一つは、この記事にもあります、過少申告ではないかということです。

 傍線の2のところを御覧いただければと思います。残業時間を少なく見せるため管理職による勤務記録の書換え要求が横行している、過去二年ほどの間に勤務記録を少なく書き換えるように求められたことがあるかを尋ねたところ、全体の一六・六%が、あると回答ということです。

 文科省にお聞きしますが、このような過少申告を把握しているのか、教えてください。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 個々の教育職員の勤務時間の把握は、服務を監督する教育委員会の責任の下、適切に行われるべきものであり、文部科学省において個々の過少申告を把握している状況ではございませんが、勤務時間の正確な把握は働き方改革を進めていく上での出発点であり、これまでも、いわゆる給特法に基づき文部科学大臣が定める指針において、ICTの活用等による客観的な勤務実態の把握を服務監督教育委員会に対して求めるとともに、虚偽の記録を残すことはあってはならないと示しております。

 さらに、指針のQアンドAにおきましては、万が一校長等が虚偽の記録を残させるようなことがあった場合には、信用失墜行為として懲戒処分等の対象となり得るということも明示させていただいております。

 文部科学省としては、引き続き、各教育委員会に対して、文部科学大臣が定める指針の周知や取組状況の継続的な確認を行うなど、様々な機会を捉えて、適正な勤務実態の把握が行われるよう周知徹底してまいりたいと思います。

堤委員 通告しておりませんが、じゃ、懲戒処分を受けた、そういう学校長とか管理職がこれまでいらっしゃるのかどうか、教えてください。

浅野政府参考人 今現在のところ、そういった懲戒処分を受けているという者がいるという報告はいただいておりません。

堤委員 この記事にもありますし、学校現場ではやはりサービス残業が横行しているということは本当によく聞くわけですね。なのに、こういった懲戒処分がゼロということは、やはり文科省の御指導が機能していないじゃないかということになると思います。正確な把握が出発点だというふうにもおっしゃっていただきましたけれども、本当に正確な把握が行われるように、是非もっと文科省としてきちんとしていただきたいということを強く申し上げておきます。

 つまり、現場では業務がすごく多くて、それを削減したり教員を増やしたりすることがなくて、時間管理だけが非常に厳しく言われているというようなことで、やはり過少申告、サービス残業が横行するということに結局なっているという、もうこれは全国的にすごく多く声が上がっているところです。

 御案内のように、過少申告、いわゆるサービス残業は、一般企業では違法です。労働基準法三十七条には、時間外労働、残業ですね、休日に労働した場合は、割増し賃金を支払わなくてはならないと明記されています。つまり、明確な法律違反であって、懲役六か月以下又は三十万円以下の罰金が科されます。懲戒処分ではなくて、もっと厳しいということですね。しかし、その労働基準法が適用されない教員では、いわゆるサービス残業が、先ほどから申し上げておりますように横行しています。

 教員のサービス残業、これをなくすためにどうすればよいとお考えでしょうか。通告しておりませんが、厚労大臣、是非、労働行政をつかさどる大臣として、どういうお考えか、お願いいたします。

    〔大串(正)委員長代理退席、委員長着席〕

武見国務大臣 厚生労働省の立場としては、労働行政を預かる立場でございますから、教員を含む労働者のメンタルヘルスの対策については重要な課題であるというふうに認識をしております。

 厚生労働省としても、そうした視点に基づきまして、引き続き取り組んでいきたいと思っております。

堤委員 では、資料の三を見ていただきたいと思います。月末一週間の就業時間が六十時間以上、これはいわゆる過労死ラインということですけれども、この従業者の割合を産業別に見たものです。そうしますと、一番多いのが運輸業、郵便業の一二・九%、次に多いのが教育、学習支援業の八・九%、三番目に多いのが六・七%の建設業となっております。

 この1のところの建設業と2の運輸業、そして3の医師、この三つは、準備期間として、皆さん御承知のように、時間外労働の上限規制の適用が五年間猶予されていましたけれども、来年四月からこの上限規制が適用されるということになります。適用されますと、原則として月四十五時間、年三百六十五時間、上限規制に違反した場合は、先ほど申し上げたように、六か月以下の懲役又は三十万円以下の罰金という刑事罰が管理職に科せられるということになります。

 一方、教員にも、残業時間についての上限が月四十五時間、年三百六十五時間以内と指針で定められていますけれども、教員に限っては、先ほど懲戒処分はあるということでしたけれども、罰則はなくて、残業時間に応じた時間外手当も支給されないということになります。

 これも、厚労大臣、済みません、通告しておりませんけれども、おかしいと思いませんでしょうか。こういったことで精神疾患や過労死が防げるというふうにお思いでしょうか。

武見国務大臣 文部行政の方に私はちょっと言及するわけにはいかないのでありますけれども、しかし、労働行政の立場から考えると、先ほども申し上げたとおり、こうした教員、労働者としての教員の健康の管理というのは、メンタルヘルスを含めて極めて重要な課題であって、これらの課題については、引き続き、きちんと管理ができるように取組を進めていきたいと考えております。

堤委員 資料三にありますように、一番多い運輸業、2のところですけれども、運輸業ですとか、三番目に多い建設業、1のところですが、について、そして医師についても、先ほど申し上げましたように、厚労省が非常に努力して、猶予期間を設けながら上限を規制をしていったということは、すごく厚労省が頑張っていると私は高く評価しております。ですから、同じように、やはり教員についてもそういったことが大事ではないかというふうに思っているところなんです。つまり、労働法が適用されるようにしていくべきではないかと思っているところです。

 御存じのように、教員については、休職者が多くて、そしてこういったブラック職場ということがもう学生の間にも知れ渡って、教職希望者が非常に減少しているということなどによって深刻な教員不足に陥っていて、また、教員が来ないからまた過重労働になって、長時間労働になって、そして精神疾患になったりして、またそういう負のサイクルができてしまっているということです。その根本原因は、教員には労働基準法が適用されない、残業代が支払われないとする給特法にあるということだと思います。もう大臣も御存じだと思いますが。

 給特法、正式には、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法ということですけれども、教員の職務と勤務態様には特殊性があるとして、一律に給与月額の四%を教職調整額として支給し、時間外勤務手当を支給しないことが定められています。実質的には調整額相当を超える、以上の残業をかなりしているにもかかわらず時間外勤務手当が支給されないことから、定額働かせ放題とも言われている実態があります。

 しかしながら、昨年五月の自民党特命委員会の提言及び中教審特別部会審議のまとめでは、教職調整額の一〇%以上への引上げや、担任などへの手当創設などが盛り込まれました。しかし、これでは全く歯止めにはなりません。現場の方々は、給与が少し増えることよりも、長時間労働が是正されること、そして今の膨大な仕事量が減ること、それが大事だと考えています。定額働かせ放題の給特法は廃止すべきだと考えます。

 武見大臣にお聞きいたします。

 教員が一人一人の子供にゆとりを持って向き合うためにも、また、教職員の心身の健康を守るためにも、給特法を廃止すべきと考えますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

武見国務大臣 文部科学省所轄の給特法については、私も存じ上げてはおりますけれども、これは厚生労働省の所轄外なので、あえて発言は控えさせていただきたいと思います。

 しかし、他方で、厚生労働省としては、教員を含む労働者のメンタルヘルスなど健康管理については、これは非常に重要な課題だという認識は持っておりますので、厚生労働省として、そうした立場から取り組んでいきたいと考えます。

堤委員 厚労省のホームページには、過労死ゼロを実現するため、厚労省としても、関係省庁と連携を図りながら各対策に取り組んでまいりますというふうに明記されております。是非、文科省とも連携しながら、強く給特法の廃止を大臣からも働きかけていただきたいというふうに思います。

 給特法は、一九七一年、五十年以上も前に制定されたものです。言うまでもありませんけれども、この五十年は、高度成長、バブル経済、そしてバブルが崩壊して、日本社会は大きく変わったわけでございます。子供たちの状況も変わっておりますし、不登校も増えたり、子供たちの自殺も増えたりという状況で、子供たちを囲む社会環境、教育の在り方、学校の役割なども大きく変わりました。学校での働き方も根本から見直すべきだと思います。

 また、中教審特別部会は、業務削減については、業務移行の推進、PDCAサイクルの構築、見える化を進めるとしていますが、実効性ある業務削減策は示されていません。教職員定数改善については、教科担任制の小学校中学年への拡大、スタッフ職の拡充にとどまっています。本年度予算においては、二年前倒し分、三千八百人が措置されましたけれども、既存の学校数あるいは学級数からすると、高学年でさえもまだ充足されていません。中学年の措置の前に、まずは小学校高学年の措置を確実にする必要があるということも指摘させていただいておきます。

 次に、授業時数の削減についてです。

 これは文科省にですけれども、標準授業時数を最低時数と捉え、標準授業時数を上回らなければならないというふうに捉えている学校も多いと聞いていますが、そうなのでしょうか。

 また、小学校では、どの学年でも標準どおりに設定しているのは四割前後にとどまっていまして、五割強が標準を上回る設定にしているという実態もあるというふうに聞いております。学校現場の現状を鑑みれば、授業時数の標準ではなく上限、厚労省も労働時間を上限としていますけれども、やはり上限を決めないとずるずると増えてしまいますので、上限を文科省としてきちっと示す時期に来ているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

あべ副大臣 委員にお答えさせていただきます。

 御指摘いただきました標準時間時数に関しましては、学習指導要領で示している各教科等の内容を指導するために必要な時間でございまして、計画段階でこれを下回って教育課程を編成することは適当ではございませんけれども、他方で、例えば、年度末の段階で標準授業時数を必ず上回らなければいけないという認識も一部で生じているところでございます。

 このため、文部科学省といたしましては、教育課程の実施段階におきまして災害や流行性疾患による学級閉鎖などの不測の事態も生じることでございますので、こうしたことによって標準時間時数を下回った場合においても、このことのみをもって法令に反するものではない旨、都道府県教育委員会に対してお示ししているところでもございます。

 また、総時間時数を含む教育課程につきましては、各学校の判断におきまして編成すると同時に、また、学校を設置、管理する教育委員会等におきまして適切に状況把握を努めていただくものでございますけれども、現に標準の時間時数を大きく上回って教育課程を編成している学校が一定数存在するという状況も確かにございます。

 このため、文部科学省といたしましては、令和五年九月に、全ての学校に対して授業時数の点検を要請すると同時に、また、特に年間一千八十六単位時間以上の教育課程を編成している場合におきましては、見直すこと、これを前提に点検を行いまして、指導体制に見合った計画とするよう通知をしたところでございます。

 各学校におきましては、こうしたことや学校指導要領の規定を踏まえつつ、学校や地域の実情に応じて、創意工夫を凝らした教育課程を編成していただきたいというふうに考えているところでございます。

堤委員 通知も出して、大きく上回って教員や子供たちが負担にならないようにしてくださっているということをお聞きしまして、少し安心いたしました。

 福岡県では宗像市と福津市が、予備時数をゼロにする、つまり、標準授業時数を上限とするというようなことも明言したというふうに聞いています。やろうと思えばできるということだと思います。予備時数ゼロを基本とした教育課程の編成を基本とすべきだと思っております。

 また、小学校では、週二十六こま以上を受け持つ教員が四割以上とも聞いています。教員一人当たりの持ち時間数についても上限を設定すべきと考えますが、いかがでしょうか。

あべ副大臣 委員にお答えさせていただきます。

 令和四年度の教員勤務実態調査の結果におきましては、授業の持ちこま数は多いが受け持つ児童生徒数は少ない場合においては在校等の時間が短くなるなどの、教師の勤務負担を持ちこま数だけで測ることは十分ではないといった課題があるというふうに認識をしているところでございます。

 このため、授業の持ちこま数におきましては、国が一律に上限を設けるのではなく、特定の教師に過度な負担が生じないよう、例えば、持ちこま数が多い教師にはその他の校務の所掌を軽減するなど、各教育委員会や学校の実情に応じて柔軟に対応すべきものというふうに考えているところでございます。

 一方で、授業の持ちこま数の軽減を図ることは重要な課題と認識をしているところでございまして、特に授業の持ちこま数が多い小学校におきましては、教員定数の改善によりまして教科の担当制を進めているところでございまして、令和六年度予算に関しましては、当初予定いたしておりました令和七年度までの二か年分の改善数を前倒しして盛り込んだところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、教育の質の向上に向けて、学校における働き方改革の更なる加速化、また処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいります。

 以上でございます。

堤委員 私は、週二十六こまと聞いて、本当に何かくらくらする気がしました。といいますのは、私は大学の教員をしておりましたときに、武見大臣もそうですが、週二十六こまとか考えられない、週三こまでした。もちろん、九十分授業ですので、一つが小中学校では二こまぐらいになりますので、六こまぐらいだと思います。そういう、こま数をどうするかというのは、大学の教員にとっては非常に大きな課題で、週二十六こま、つまり大学の教員なら十三こまということになりますが、ちょっとこういうのはあり得ないなというふうに思ったりしましたけれども、授業を受ける子供たちの負担も無視できません。

 東京学芸大学の大森直樹教授が昨年、公立小学校の教員を対象に行った調査の自由回答には、一日六時間の授業に苦痛を感じる児童もいる、六時間目は集中力もなく、形だけの学習になりがちだと思う、授業時数が多ければ学力が伸びるものではないといった意見が寄せられています。

 子供たちと教員の心身の健康のためにも、授業時数の上限をまず設定し、その時数に合わせた教育内容と量に見直していただきますように強く要望し、質問を終わります。

 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、山井和則君。

山井委員 では、三十五分間、質問をさせていただきます。

 今日は、テーマは三つで、年金改革、そして、エホバの証人などの宗教的虐待による輸血拒否、医療ネグレクトで亡くなっているお子さんの問題、そして障害者の雇用促進について、この三点について質問をさせていただきます。

 まず最初、前回も質問しましたけれども、年金改革についてですね。

 武見大臣も、今までから、夏に試算結果が出るので現時点では何とも言えませんということをおっしゃっていまして、私もそのとおりだと思います。ただ、夏に試算結果が出て、恐らく年内に政府案がまとまって、来年の通常国会で年金改革の法案審議がされるということで、この厚労委員会でも非常にこれから大きな議論になりますし、何よりも国民の関心が非常に高い。さらに、今日一つ申し上げたいのは、二十年後とはいえ、約三兆円の年金増税というものになる可能性もあるということで、本当にこれは大きな議論なんですね。

 私たちも、民主党政権で年金改革の議論を長妻大臣、山井厚労政務官でやらせていただきましたけれども、やはりこの財源論、本当に大きな壁で、私たちも、空理空論というか、理想的なことばかり言う気はありません。ただ、残念ながら、やはり国民の関心は、年金充実も大事だけれども、幾ら財源はかかるの、それは消費税増税なの、どうするのという、ここは避けて通れない問題なんです。

 そこで、まず武見大臣に質問させていただきますが、前回も質問しましたが、今回政府案に入る可能性があるのは、国民年金納付期間を五年延長して六十五歳までにする。これについては、五年間延びるから、約百二万円の保険料の負担増になるということですね。しかし、武見大臣からは前回、その代わり、約十万円、年金の給付が増えるという話がございました。これは国庫負担を増やすという前提だと思いますけれども、ここで武見大臣にお伺いします。

 この五年延長案で年間十万円、給付が増えるというためには、国庫負担が、二十年後ぐらいですかね、今後幾ら必要になりますか。

武見国務大臣 まずは最初に申し上げておかなきゃいけないことは、現時点で次期制度改正の方向性は定まっておりませんので、何ら予断を与えるものであってはなりません。年末頃の社会保障審議会年金部会の取りまとめに向けて、これは引き続き丁寧に検討を進めます。

 御指摘の国庫負担の数字については、仮定に基づくものであって、まだお答えすることは差し控えたいと思います。

 その上で、あくまで前回の二〇一九年の財政検証において二〇二〇年に実施した追加試算の内容をお答えさせていただきますけれども、前提条件が異なりますから、今回の次期年金制度改正の議論とは関係がないということをまずは御理解いただきたいと思います。

 そこで、基礎年金の保険料拠出期間を五年延長した場合については、経済成長と労働参加が進むケースの三の場合、基礎年金の給付水準向上に伴って、制度施行から現行制度の見通しと比べて徐々に国庫負担が増え始め、二〇四六年度では、二〇一九年度の価格に換算をして約一兆円、国庫負担が増加する見通しと当時試算をしていたところであります。それから、二〇一九年の財政検証では、現行制度において基礎年金の給付の二分の一が国庫負担で賄われていることを踏まえて、延長分に関わる給付についても同様に、二分の一が国庫負担で賄われる前提で試算を行っております。

 いずれにいたしましても、次期財政検証のオプション試算の具体的な前提については、実は現在、検討中でございます。したがって、現時点で具体的な試算の内容についてお答えすることはできないことについては是非御理解をいただきたいと思います。

山井委員 丁寧な答弁ありがとうございます。

 この配付資料の三ページにありますように、つまり、現時点の試算じゃなくて、当時の二〇一九年の試算では、二〇四六年、今から二十年後ぐらいでは、ここですね、〇・九兆、一・一兆とありますから、約一兆円、国庫負担が増になるということなんですね。だから、六十五歳まで延長、いいなという方も世論調査でかなりおられるんですけれども、大前提は一兆円の増税が必要だということなんですね。

 そうしたら、武見大臣、前回は、二〇一九年には、要は国庫負担増がない場合の試算というのはされていませんでしたが、今年の夏は、今言った一兆円程度の負担増が伴わない、国庫負担二分の一を増やさない試算というのはやられる予定でしょうか。

武見国務大臣 前回はその試算は行っておりますけれども、これからやるかどうかはまさに今検討中です。

山井委員 先ほど言いましたように、五年間延長したら十万円、給付が増えるけれども、その前提は二十年後に一兆円の負担増だと。

 これもお答えにくいのは分かっておりますが、あえて聞きますが、一兆円というのはかなりの額ですからね、二十年後とはいえ。どういう方法で財源を確保しますか、消費税増税か歳出削減か。

 もちろん、正式に決まるのは夏とか年末というのは分かるんですよ。でも、やはり桁がでかいので気になるんですよ。選択肢を提示してもらうのでも結構ですから。例えば、歳出削減か増税かどっちかじゃないですか、そういうのでもいいんですけれども、今答えられる範囲で、一兆円の財源はどうするか、どういう選択肢を提示されますか。

武見国務大臣 基礎年金拠出期間の延長を行うかどうか、それから、その財源確保手段も含めて、現時点で次期制度改正の方向性はまだ定まっておりませんので、何ら予断を与えるものではございません。年末までの社会保障審議会年金部会の取りまとめに向けて、引き続きこれは丁寧に検討をさせていただきます。

 したがって、仮定に基づいた御質問へのお答えは控えさせていただければと思います。

山井委員 ただ、財源確保も検討するということはおっしゃいました。当たり前の話ですよね、財源確保抜きには年金改革案は決められない。

 そこで、実はもう一つあるんですね。といいますのが、この表にありますように、今回の年金改革案の目玉は、六十五歳への延長と、もう一つは基礎年金と比例年金部分のマクロ経済スライドの調整期間の一致なんですね。この調整期間の一致をすることによって厚生年金も、基礎年金、国民年金も給付が維持できるという、まあ維持できるからいいことじゃないかということなんですけれども、これにも財源が要るわけです。

 つきましては、改めて確認ですが、二〇一九年の際の試算で結構ですが、四十五年加入に国庫負担を延長するとともに、今のマクロ経済スライドの調整期間の一致をダブルでやると、二十年後ぐらいには大体、年幾らぐらいの財源が必要になりますか。二〇一九年の数字で結構です。

武見国務大臣 あくまで前回の二〇一九年の財政検証において二〇二〇年に実施した追加試算の内容をお答えさせていただきますが、前提条件が異なりますから、今回の次期年金制度改正の議論とは関係ないんだということはまず御理解いただきたいと思います。

 基礎年金と報酬比例部分のマクロ経済スライドの調整期間の一致に加えて、基礎年金の保険料の拠出期間を四十五年化した場合には、二〇二〇年に実施した追加試算における、経済成長と労働参加が進むケース三の場合、基礎年金の給付水準向上に伴って、現行制度の見通しと比べて徐々に国庫負担が増え始め、二〇四六年度には、二〇一九年度の価格に換算をして約三兆円、国庫負担が増加する見通しと当時試算をしておりました。

 それから、先月、厚生労働省の社会保障審議会年金部会で御議論いただいたのは、次期年金制度改正に関する検討の参考とするために、前回の二〇一九年の制度改正の際と同様に、これから財政検証を行うための一定の前提を置いたオプション試算を行うということでございまして、基礎年金の拠出期間の延長や調整期間の一致を含め、次期年金制度改正の内容については、現時点では何ら決まっているものではございません。

山井委員 御丁寧な、誠実な答弁ありがとうございます。

 つまり、今回の年金改革の目玉と言われる調整期間の一致と国民年金四十五年加入には、今答弁されましたように、三兆円の財源が必要なんですね。つまり、年金百年安心、私もそれを信じたいし、信じておりますけれども、ただ、そのためには新たに三兆円の財源が必要になってくる。これは、繰り返し言いますけれども、二十年後ぐらいの話ですけれどもね。

 ついては、武見大臣、ここは悩ましいところなんですけれども、例えば、年金改革案の法案なりを作るときに、二十年後に三兆円だから財源は今後検討しますというふわっとしたもので年金改革案というものを国会に提示することは可能なのか、財務省との協議も含めてですけれどもね。いやいや、それは、年金改革を決める以上は、二十年後に三兆円とはいえ、徐々に増えていくわけだから、消費税でやるのか、所得税でやるのか、あるいは歳出改革で一兆円出して増税は二兆円なのか、その大まかな内訳は決めねばならないのか。そこはいかがでしょうか。

武見国務大臣 これは、国庫負担の在り方等を含めて次期年金制度改革についてはまさにこれから議論をさせていただくことでございますので、今、私の方から、その負担の在り方はいかにというような御議論をさせていただくことは控えさせていただきたいと思います。

山井委員 あえてお聞きしますが、財源確保のめどは書かずに法案を提出する、年金改革案を決めるということは、可能性はあるんですか。

武見国務大臣 それも含めて、これからしっかり議論をして取りまとめます。

 いずれにせよ、委員御指摘のとおり、年金制度改革というのは国民生活に直結する極めて重要な課題であることは明らかであって、その内容をどうするかという議論については、丁寧に、しかも慎重に、誤解を招かぬように議論を進めることが極めて重要だ、そう考えております。

山井委員 私がなぜこだわるかといいますと、ちょっと僭越ですけれども、二ページにありますように、二ページ上のこの表が全てなんです。つまり、二〇一九年度では、いわゆる所得代替率、百年安心が、比例部分が二五%、基礎年金が三六%で、合わせると六一・七%、百年安心というのは五割以上ありますよということなんですね。

 ところが、これからどんどんどんどん下がっていって、二十年後には国民年金は今より三割カットされて、六万八千円ぐらいなのが二十年後には四万八千円になって、これじゃもう生活していけないじゃないか、そうなるわけです。

 ところが、追加試算二の調整期間一致、四十五年加入の国庫負担あり、つまり、三兆円増税をすれば、比例部分は二五・四で今の二五・三よりも〇・一%プラス、基礎年金は今の三六・四よりも〇・六%上がって三七%。つまり、三兆円増税をすれば今の年金の給付水準は維持できるんです。でも、裏返せば、三兆円の増税がなかったら今の給付水準は維持できないんですよ。

 ここが大きな悩みで、武見大臣は財源を書き込むかどうかも含めて検討とおっしゃいますが、ここが悩ましいのが、私も、気持ちとしては、三兆円増税はきついな、何とか財源はうやむやにできないかなと思ったりもしないではないんですけれども、逆に、今の若者世代とか次の世代からすると、二十年後に三兆円増税がかかる年金改革案を決めておいて、財源は知りません、そんな無責任なことを政治家はするのか、そう言われかねないんですね。今、武見大臣、首を横に振られましたけれども。

 そういう意味でも、年金改革案に関して、三兆円増税が是か非かということを、恐らくこの厚労委員会でこれから議論することになると思うんですけれども、これも答えにくいとは思いますが、今これだけ物価高とかいろいろなことで国民生活が苦しい中で、この三兆円増税というのは果たして国民に受け入れる余地はあると思われますでしょうか。

武見国務大臣 これは繰り返しになるんですけれども、四月十六日の社会保障審議会年金部会において、財政検証に関して、次期年金制度改革を検討するに当たり実施する試算の内容について御議論をいただいたものでありまして、現時点で、基礎年金拠出期間の延長を行うかどうかも含めて、あるいは財源をどうするかということも含めて、次期制度改正の方向性はまだ定まっておりません。

 そして、何度も申し上げるようでありますが、本当に年金というのは国民生活に直結する極めて大きな課題でございます。その制度改革に当たりましては、しっかりと、丁寧に、しかも誤解を招かぬように議論をすることが非常に重要であって、したがって、今の時点で、方向が定まっておらない時点で私が言及することについては控えさせていただきたいと思います。

山井委員 今委員席から、いやいや、年金が充実するんだったら三兆円増税も可能性はあるんじゃないかという声が出てきまして、私もそれは一理あると思うんです。

 ただ、三兆円増税というと、少なくとも消費税一%分ですよね。本当に、今の経済状況で、消費税下げろという議論が出てきている中で、消費税下げろという国民の声が出てきている中で、この厚労委員会で消費税を一%上げますという法案を通せるのか。もちろん私も言いたいですよ、年金制度を守るには財源が必要だと言いたいけれども、本当に国民が、それで、分かった、そのためには消費税一%上げていいよということを、国民の二割なのか四割なのか、本当に過半数が消費税増税賛成、年金のためならと言ってくれるかというのは、私はかなり、ちょっと苦しいんじゃないかと思っています。

 これはある意味で、言っちゃ悪いけれども、私も政争の具にしようと思っているんじゃなくて、これは超党派で、この厚労委員会に課せられた今後一年の大きな課題ですので、これからも議論していきたいと思います。

 次に、障害者雇用の質問をさせていただきたいと思います。

 というのは、私の知り合いの方々でも、私もよく地元の支援学校を訪問させていただいたり、そこの生徒さんが作っておられる野菜とかあるいは食器を使わせてもらったり、様々な形でおつき合いをさせてもらっているんですけれども、そういう障害のあるお子さんたちの保護者の方々の話を聞くと、やはり支援学校を出てからの就職が一番心配だ、不安だ、もちろん福祉的就労も必要な方はいるけれども、できればより賃金が高い一般就労がありがたいという声も聞いたりします。

 そこで、質問通告に従ってお聞きしたいんですけれども、今日の配付資料にもありますように、六ページですね。これは京都新聞にも出ておりましたけれども、障害者の賃金四倍に、宮城県。六ページ目。つまり、福祉的就労から野菜工場という一般就労に替わったせいで、工賃が月に一万八千円ほどだったのが、給料として、月給、約四倍の七、八万に引き上げられたと。これに対して宮城県も助成金を出しているということなんですね。

 やはりそれは、工賃を上げよう上げようと僕らも国会で厚労省の皆さんと頑張っていますけれども、理想は、最賃でもいいから一般就労にということなんですけれども、このような取組、例えばこれは宮城県が助成金を出しているんですけれども、こういう福祉就労から一般就労へということの支援のために、厚生労働省、国が助成金を出していただけませんでしょうか。

武見国務大臣 障害者雇用納付金による助成金、これは、企業が障害者を雇い入れるに当たり特別に必要となる設備や職場での支援に関わる費用について助成するものでございます。事業主が行う職場環境の整備などの取組について助成の対象としております。

 御指摘の事例のような、特定の事業全体の運営に要する費用や運転資金を助成することは、特定の産業、企業における事業活動そのものに対する助成となることから適当ではなくて、また、国の助成金では、できる限り幅広く事業主の取組を支援する趣旨であることなどを踏まえても困難でございます。

 他方で、助成金を活用しやすくする観点から、本年度から、一部の助成金において支給対象の拡充等の見直しを行ったところでございます。引き続き、障害者の雇用促進に資するよう対応いたします。

 福祉から雇用への移行を希望する障害者については、本人の希望を踏まえつつ、ハローワーク、それから地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターといった雇用による支援、それから、就労継続支援事業、就労移行支援事業などの障害福祉サービスによる支援が連携して支援を行っているところでありまして、引き続きこうした支援をしっかりと進めていきたいと思います。

山井委員 宮城県でもこういう助成金を出しているんですから、今も少し御答弁いただきましたけれども、その要件を緩和して、国からの助成金ということも是非前向きに検討していただきたいのと、やはり、一般就労になって収入が安定すると、失礼ながら、親亡き後にどうやってお子さんが自立していけるのかとか、経済的自立とか、そういう本当に御家族の安心にもつながりかねますので、ちょっとでも福祉就労から一般就労に移行しやすくなるように、是非とも国として財政支援をしていただきたいと思います。

 ついては、要は、障害者雇用促進のための助成をするためにも財源が必要でありまして、その財源は月五万円の納付金が充てられているわけですね。つまり、障害者雇用をしない企業に対しては、一人当たり、雇っていなかったら月五万円、年間六十万円出してもらっているんですけれども、それをもうちょっと増やすべきだと思うんです。

 具体的には、今、百人規模の事業所に関しては、障害者雇用できなくても納付金は払わなくていいことになっているわけですけれども、労政審でもこれを広げてもいいんじゃないかという議論が出ておりますので、是非、百人以下の規模の事業所も納付金を支払わせるべきではないか。また、例えば、納付金の額も、事業者には申し訳ないんですけれども、月五万円なのを月十万円に倍増させるとかして、少しでも障害者雇用を進めるための財源を増やすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 障害者雇用促進法では、社会連帯の理念の下で、全ての事業主に対して、その雇用する労働者の数に応じて一定割合の障害者雇用を義務づけるとともに、雇用義務を果たしていない事業主から、障害者の不足数に応じて障害者雇用納付金を徴収する仕組みを設けております。

 障害者雇用納付金に関する現行の取扱いとして、企業規模百人以下の事業主に関しましては、これらの企業の障害者雇用の状況や、それを取り巻く雇用環境等を踏まえ、納付金の納付が免除されておりますが、納付金の適用範囲の拡大については、これらの事業主に対する支援の実施状況を含め、障害者雇用の進展状況を踏まえながら検討していくことが適当と考えます。

 また、障害者雇用納付金は、対象障害者を雇用するために特別に必要とされる費用、これは特別費用と呼んでおりますけれども、これについて、対象障害者一人につき通常必要とされる一か月当たりの費用の平均額を基準に定めることとしておりまして、当該費用の平均額が約四万円前後であることを踏まえて設定したものであり、現時点でこれを引き上げるということはまだ適当ではないと考えます。

 いずれにせよ、現行制度の運営を通じて、障害者の雇用促進に取り組んでまいりたいと思います。

山井委員 是非、対象拡大なり引上げによって、障害者雇用の支援をするための財源を増やしてほしいと思いますし、一人当たり平均四万円ぐらいだということですけれども、やはり保護者の方や当事者の方のお話を聞くと、一般就労に行った、しかしなかなかなじめなくて辞めちゃったというケースも多いんですよね。そのためには、ジョブコーチとか、やはりそういう職場に定着できるための付き添った支援というのが必要だから、今おっしゃった一人当たり四万円じゃなく、そこをもっと上げていくべきだと思いますし、私も、二十四年前ですかね、初めて当選したときの最初の国会質問、本会議は、障害者雇用促進法で、ジョブコーチの充実をということを質問させてもらいましたので、ずっとそのことを私も要望を続けさせていただいております。

 そして、もう一つ、前回からの労政審での積み残し課題でもあるんですけれども、今日の配付資料にも入れさせていただきましたが、つまり、障害者手帳はないけれども就労に困難がある障害者や難病の方々については、医師の診断書のみならず、ハローワークや福祉事業所の評価によって幅広く障害者法定雇用率に含めるべきではないか。

 今、発達障害者の方々も非常に増えておられますし、手帳を持っておられない方々もおられるし、また、大人になってから障害があるんじゃないかと気づく方もおられるわけですね。そういう意味では、手帳はないけれども、今言ったような一定の要件に基づいて幅広く障害者法定雇用率に含めて、一般就労しやすくさせるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 先ほど、特別費用について、私、四万というふうに申し上げてしまいましたが、これは約五万円の誤りでありましたので、訂正をさせていただきたいと思います。

 それから、障害者雇用率制度における対象障害者の範囲についてであります。これは、公平性や一律性を担保する観点から、障害者手帳を所持する方としているところです。

 本制度における障害者の対象範囲については、これまでの審議会の議論なども踏まえまして、個々人の状況などによって就労の困難さが大きく異なること、それから、雇用義務は採用の自由との関係から事業主に対する非常に強い規制であることなどから、障害者手帳を所持していない障害者について一律にまた幅広く雇用率の対象とすることは難しいと考えておりますが、関係者の意見も踏まえつつ、これに適切に対応してまいりたいと思います。

 一方で、雇用率制度の対象ではない障害者についても、その方の能力や適性に応じた就労支援を行っているところでございます。引き続き、適切に対応してまいりたいと思います。

山井委員 私、以前、スウェーデンに二年間留学しまして高齢者福祉や障害者福祉の研究をさせてもらっていましたけれども、やはりスウェーデンなんかは、本当に障害者の方々がもっと自由に学んで、もっと自由に働かれています。やはり、そういうものを見ると、先ほどおっしゃった一人当たり五万円の障害者雇用の特別支援金、辺りとおっしゃっていましたけれども、それをもっと引き上げてでも一般就労できるように支援を強化していただきたいと思います。

 それと、もう一点、それに関連して、実は今、法定雇用率が令和六年四月では二・五%に、令和八年七月には二・七%ということなんですけれども、五年に一遍労政審は開かれますから、このままいくと次は令和十年になっちゃうんですけれども、この表を見ても二・三、二・五、二・七だから、令和十年には二・九か三%には、就労したい障害者の方々もどんどん増えているわけですから、増やすべきだと思うんですね。

 ついては、令和十年には二・九%か三%に引き上げるべく、労政審も、五年を待たずに、令和九年とか令和八年に開くべきだと考えますが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 障害者雇用率制度は、社会連帯の理念の下で、全ての事業主に対して、その雇用する労働者の数に応じて一定割合の障害者の雇用を義務づけるものでございます。五年に一度設定することとされておりまして、労働政策審議会障害者雇用分科会における議論を経て設定をいたします。

 現在、既に令和九年度までの法定雇用として二・七%まで引き上げられることが決まっておりますけれども、令和十年度以降の雇用率に関しましては、障害者雇用の状況を踏まえて、検討、議論をまさに行っていくことになります。

 前回、これは令和四年の十二月でありますが、前回の障害者雇用促進法の改正の際の議論におきましては、障害者の雇用率制度の在り方などの論点が引き続き検討課題とされております。これまでの労働政策審議会における議論の内容や、本年度から施行された改正障害者雇用促進法の施行状況などを踏まえながら、可能な限り速やかに検討を開始したいというふうに思います。

 また、令和九年度までの雇用率の引上げに適切に対応しつつ、障害者の雇用が促進されるよう、必要な取組を行ってまいりたいと思います。

山井委員 文科省の調査によりますと、学校における発達障害のお子さんたちの割合も急激に増えているという話もありますし、今後、一般就労あるいは福祉就労をされたい障害のある方々というのは、どんどんどんどん増えていくと思うんですね。そういう意味では、早急に引き上げていただきたいと思います。

 それでは、最後に、エホバの証人の輸血拒否問題、医療ネグレクトの問題について質問をさせていただきたいと思います。

 一昨年の十月、むち打ちに関して、エホバの証人で行われている子供に対するむち打ちに対して、この場で加藤厚労大臣が、それは児童虐待に当たるという重要な答弁をしていただいて、そういうことから始まって、一年半かかって、今回、宗教的虐待の実態調査をこども家庭庁が研究事業で行うことになりました。

 そこで、残念なのは、相変わらず、ここにありますように、母体への輸血、帝王切開が必要であり、母体に輸血をしないと母子共に死亡するリスクがあった、あるいは、十三歳の子供の輸血を理由に骨髄移植を拒否、本人も洗礼予定、みとりとなった、亡くなったというように、今も輸血拒否でお子さんが亡くなっているわけなんですね。

 そして、こちらの記事を見ましても、宗教関係者に手当てをしてもらい、病院を受診せず、子供が外来でそのまま亡くなった、受診もさせてもらえなかった、骨髄移植を拒否し、みとりとなって亡くなった。今回こども家庭庁が委託をしてやった調査でさえ、今もお子さんが亡くなっている。

 そして、これは過去ですけれども、今に始まった問題ではなく、私、この厚労委員会で何回も取り上げていますけれども、十八ページ、大ちゃんという小学生が、トラックにひかれて輸血が必要だったのに親が輸血を拒否して、亡くなった。これを見てください、一九八五年六月六日の事件。四十年前からこれは議論になっているんですよ、四十年前から。この記事にありますように、大ちゃんは血まみれになりながらも、生きたいと、本人、小学生の大ちゃんは生きたいと言っていたんですね。でも、輸血が受けられず亡くなったんです。

 四十年前からこのエホバの証人の輸血拒否は問題ですねとなっているんです、四十年前から。にもかかわらず、今回の調査でもまだ亡くなっている人が出ている。

 これは私は、やはりつら過ぎるし、実際、私、エホバの証人の二世の方々から、生きたい、手術を受けさせてほしい、死にたくない、直接私も要望を受けています。当たり前ですよね。人として生まれて、生きたい、手術してほしい、輸血を受けさせてほしい、死にたくない、当たり前ですよ。

 そこで、医療問題に造詣の深い武見大臣に切に要望したいんですけれども、そろそろこの問題も決着をさせて、親が宗教上の理由で輸血は駄目だと言っても、お医者さんが判断して輸血をして手術をして人命救助しても、今は、訴訟されて負けるリスクがあるから、ややこしいからということで泣く泣くお医者さんが手術できないケースがあって、私も、お医者さんからも、何とかしてほしい、亡くなる可能性のある子供を見捨てることが医療者としてできない、そういう要望も医療者からもいただいています。

 武見大臣、何とか、今回の調査結果も踏まえて、こういうエホバの証人などの宗教上の理由で手術拒否、輸血拒否のときに、お医者さんがこれは命に関わるといって手術をしても裁判に負けないように、そういうふうにする、すぐにとは難しいかもしれませんけれども、そのための検討会を立ち上げるとか、そういう、手術をしても裁判で負けないような方策を今後検討するとか、前向きな答弁をお願いできませんでしょうか。

武見国務大臣 児童に対する医療行為については、民法に基づいて、親権者の同意を得て実施されますけれども、児童虐待が認められる場合には、児童福祉法に基づき、親権を制限することができるとされております。

 この考えに基づきまして、昨年三月三十一日付で、当時の厚生労働省子ども家庭局から自治体に通知を発出をいたしました。それは、まず、医師が児童に必要と判断する輸血などの医療を保護者が受けさせないことはネグレクトや心理的虐待に該当すること、それから第二に、輸血など、児童の生命身体の安全確保のために緊急の必要があると認める場合などには、児童相談所長は可及的速やかに一時保護をした上で医療行為への同意等の対応をすることなどの周知徹底を図ったところでございます。

 児童虐待への対応については、こうした枠組みの下で迅速かつ適切に対応することとしておりまして、厚生労働省といたしましても、こども家庭庁と緊密に連携をして、必要に応じてこれに協力をしていきたいと考えております。

山井委員 前向きに取り組んでくださるということは分かるんですけれども、児童相談所に相談とか、トラックにひかれて血まみれになっているお子さんに、児童相談所が一時保護してとか、児童虐待と認定するとか、そんなこと言っていられない、時間的余裕がない場合があるんですよね。

 最後に一言、是非とも、こういう被害が二度と出ないように……

新谷委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。

山井委員 厚生労働省としても、更に取り組んでいきたいとか、検討していきたいとか、前向きな答弁をお願いできませんでしょうか。

新谷委員長 武見厚生労働大臣、簡潔にお願いいたします。

武見国務大臣 はい。

 医療ネグレクトに関する対応、これはこども家庭庁に引き継がれているんですけれども、厚生労働省としても、こども家庭庁と緊密に連携をして、必要に応じて確実に協力をしていきたいと思います。

山井委員 命を守るのは厚生労働省の最終責任ですから、是非ともよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

新谷委員長 この際、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。

 法務委員会において審査中の内閣提出、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案並びに階猛君外九名提出、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案について、法務委員会に連合審査会開会の申入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、法務委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

新谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 質疑を続行いたします。遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 早速質問に移りたいんですけれども、前回の質疑の中で積み残しの問題について質問していきたいんです。

 介護に関する点で確認していくんですけれども、介護をしていく中で、男性というのは、社会的にいろいろなコミュニティーに、年齢がいけばいくほどやはり保守的というか、女性と対比するとどんどんコミュニティーが狭まっていくんだということなんですけれども、その中で、親の介護をしていく中で、御本人が御両親の介護をしていく中で、両親を見ていく、そして自分自身がうつになっていくということが指摘もされているんです。その中で、実際、追い詰められて自殺にも至るケースも、私も現場で、そういう方も実際いらっしゃったりとか、そういうことを本当に切実に感じるんです。

 その中で、やはり行政の役割は、それを広く、まあ男性に限らずなんですけれども、特に、そういうものをすぐに情報収集ができる、そういう状態に常になっておかないといけないというふうに思うんですが、その辺りを御確認したいのと、あと、次の質問を併せて、地域包括の役割も含めて、実際、分かりづらいという指摘もありますので、この辺りを併せて質問したいと思います。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 今、遠藤委員から御指摘があったように、特に男性、そういった方々への介護関係の情報の周知、伝達、そういった点についての御指摘を賜ったというふうに受け止めました。

 そして、先般、本委員会で御審議をいただきました育児・介護休業法等の改正法案におきましては、今回新たに、介護について、介護に伴う離職を防ぐためにということで新たな枠組みを用意しております。

 その関連で申し上げますと、家族の介護に直面した労働者が離職をせずに仕事と介護の両立を実現するために、企業における介護休業や介護休暇等の両立支援制度の利用の促進と併せて、介護保険サービスについての情報提供をする、そのようなことが職域においてなされるということが大変重要だというふうにまず認識をしております。

 そして、先ほどお答えをいたしましたその法案の中では、具体的に、労働者が家族の介護に直面した旨を申し出たときに、企業の両立支援制度について面談等による個別の周知と制度利用の意向確認や、介護に直面する前の四十歳等の早期のタイミングで企業の両立支援制度の情報提供等を事業主に義務づけるということにしているところでございます。

 また、併せて地域包括についても御指摘があったというふうに承知をしておりますが、地域包括支援センター等の介護保険法に基づくサービス、こういったものについても、様々な事業所それから企業、置かれている状況はあると思いますが、今回の改正法案が成立した場合には、事業主からの効果的な情報提供ということで、どういうやり方があるか、そういったことを具体的に検討していくことになるかと思います。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 その中で、一方で、人材不足ということも指摘されていると思いますけれども、家族介護の中でやはりストレスがたまって、親であるがゆえに親に攻撃をしたりとか、暴力であったりとか、言葉のを含めて、そういうこともあると。ここに関して、家族介護の在り方、僕自身はやはり介護はプロがやるべきだというふうに思いますけれども、実際、家族介護者への支援を今現状どういうふうに捉えられているか、お尋ねします。

間政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らしを続けていくために、介護を必要とする高齢者のみならず、家族介護者も含めて社会全体で支えるという考え方が重要だと思っています。

 その意味で、介護保険制度において引き続き在宅サービスの充実を図ることに加えて、やはり、今、うつの話も委員御指摘になられましたけれども、相談できる、吐き出せるというところも非常に重要だと思います。その意味では、地域包括支援センターにおいて家族介護者に対する総合相談支援を行う、家族介護者を対象とした介護の知識や技術の研修だけではなくて、介護者同士の交流会、これは非常に有効だというふうに言われていると思いますが、こういったものを開催するなどの自治体の取組を支援してございます。

 その上で、今回の御質問の趣旨にあるいは入っているだろうと思うんですが、現金給付の話も一応お答えさせていただきますと、家族介護者に対する現金給付につきましては、以前、大臣からもお答えをさせていただいておりますけれども、介護保険制度創設時にも様々な議論がございました。その上で導入が見送られたものでございますけれども。また、二〇一九年十二月に取りまとめられた介護保険部会の意見書におきましても、介護者の介護負担そのものが軽減されるわけではなく、介護離職が増加する可能性もあり、現時点で導入することは適当でないなどとされたところでございます。

 こうした経緯もございますので、介護保険制度の下では、引き続き、介護サービスの基盤整備や介護人材の確保に取り組むとともに、家族介護者を支えていくための取組を進めてまいりたい、このように考えております。

遠藤(良)委員 前回、工藤副大臣から御答弁いただいた中で、バウチャーも一つの政策手法だということも話があって、時間との戦いですから迅速にする、それがこども家庭庁であるという力強い御答弁をいただいたんですけれども、一つ考えられるとしたら、時間との戦いであれば、自治体に任せるのではなくて、こういったバウチャーをこども家庭庁が迅速に行っていくということも考えられると思いますけれども、その辺りはいかがでしょう。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘があったとおり、工藤副大臣の方から、先生御提案のようなバウチャーの形式、これは一つの政策手法ということでお答え申し上げました。

 先生からの御提案だと、国の方でやり方を決めて一律的にやったらどうかという御提案かと思うんですが、そのやり方も否定するものではございません。ただ、使途を子供、子育てサービスに限定したバウチャーというような形での給付、これを国として画一的に実施するということにした場合であっても、例えば新たな事務負担の発生、これは、実務を担うのは自治体ということになりますので、その実施体制をどうするのかというような課題がございますし、また、バウチャーが使用できる対象範囲についてどうするのか、どういう費用まで使っていいのかというところ、そうした様々な論点について慎重に検討する必要があるというふうに考えてございまして、そのために、仮に実施するとしましても、一定の検討期間はどうしても必要になってくるということでございます。

 このため、政府といたしましては、まずは加速化プランに基づいて政策を実行させていただき、その効果検証を行った上で、より効果的な事業の実施に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 次の質問にちょっと移りたいんですけれども、外国人と訪問介護のテーマなんですが、私自身は、外国人が訪問介護をしていくということに関しては、方向性としては賛成の立場で、幾つか様々な懸念点があるので、この辺りをちょっと質問をしていきたいと思うんです。

 訪問介護においては、常に人が足りないという状況が続いていて、特に指摘されているのは、地方もそうですけれども、サ高住と言われる中で、あれも実際にやっているのは訪問介護でありますし、そういう意味で、サ高住が今増えてきて、その中で働く人が不足している。その中で、今年三月、厚労省の検討会で、外国人の技能実習と特定技能が訪問介護サービスに従事できるようにする方向性が了承されたということであるんです。

 その中で、以前、私は予算委員会でも質問したんですけれども、予算委員会で、外国人技能実習生は訪問介護で身体介護はできないことを質問すると、身体介護ができるようという要望があったと、各地域からですね。当時、加藤厚労大臣は、介護現場の実情又は関係団体等の意見も聞きながら、今後検討を深めていきたいとの御答弁であったんですが、大臣にお尋ねしたいんですけれども、技能実習生と特定技能の外国人が訪問介護に従事できる方向性について、現在の所感をお尋ねしたいと思います。

武見国務大臣 外国人介護人材の訪問系サービスへの従事についてでございますが、これまで、在留資格「介護」等の分野に限って認めておりました。その拡大について、外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会で議論を重ねてまいりました。

 御指摘の三月二十二日に開催をいたしました検討会では、これまでの議論を踏まえた見直しの方向性として、介護職員初任者研修を修了した有資格者であることや、事業者に対して一定の遵守事項を求めることで、ケアの質を担保することを条件に、技能実習や特定技能の外国人材にも訪問介護に従事することを認めることをお示しした上で議論を進めたわけでございます。

 お示しした見直しの方向性については多くの委員に御理解をいただいたと認識をしておりますが、その際にいただいた御意見を踏まえて、取りまとめに向けて、これから更に整理を進めていきたいと思います。

遠藤(良)委員 訪問介護は、そもそも、身体介護もそうですけれども、生活支援、この二つをするためには初任者研修という資格が必要である。これは、全国共通で、百三十時間研修を受けないといけない。僕も、実際、初任者研修を持っているんですけれども。その中で、実際、外国人がこれを受けるに当たっては様々な課題があるというふうに考えられるんです。

 基本的には、外国人が日本に入ってきて、百三十時間研修を受けて、資格を持って訪問介護の仕事に従事する中で、言うたら、来たときに、一か月ぐらい働けない期間が発生してしまう。ここに対して、例えば、給与保障はどうするのかであったりとか、これに対する、研修をする側の語学の問題もあると思います。我々日本人であれば文言で理解できるんですけれども、外国人の方が来られて、そして、その研修テキストを読みながら、先生の、講師の話を聞きながら、百三十時間聞いても、内容としては全く理解できない。つまり、N4資格、今現状はN4資格で入国してきているんですけれども、そのレベルであれば実際は理解できないということが実際、問題としてはあるというふうに思います。

 その中で、今後こういうことをどんどん、日本としては訪問介護を外国人に従事させるんだということであれば、やはり事前に何かしらの対策をしていかないといけないと思うんです。

 この百三十時間を、例えば、一か月、実際、日本に来て滞在しながら研修を受けるんですけれども、百三十を超えないと資格は取れないので、であれば、今、一方で問題になっているのが、外国人が日本に入ってくるときに、入国管理局の方で、通常は二か月ぐらい、本来であればかかる、申請期間が。今は四か月から五か月ぐらい、入国するのに時間がかかっているんだと。その人たちは実際どうなっているかというと、現地でずっと、四か月も五か月も滞在している期間があるわけです。これに対して、ここで何かしらの、政府としては対策をする中で、四か月、五か月ぐらいかかっているのであれば、現地でZoomなりそういうものを使って研修を進めていくという方向性があると思うんです。

 その中で、今実際、認知症介護基礎研修、これは六時間、二〇二四年四月から義務化されて、これがないと介護の仕事はできませんよということになったと思います。これは、もう実際、今ネットで研修をしているわけで、更に言うと、コロナ禍においては初任者研修もネットで研修していたわけなんですけれども。そういった中で、実際、現地とZoomでつないで、現地の方で翻訳者なり通訳の方を用意していただいて、それで、一定の期間を、この百三十時間に近い数字をクリアしていって、日本に来てから、更に残りの期間を、実地研修であったりとかそういったことに充てていくという方向性も必要だと思うんですけれども、この辺りについてどういうお考えなのかをお尋ねしたいと思います。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 委員からいろいろな御提案もいただきましたが、まず、外国人介護人材が介護職員初任者研修を受講するに当たりましては、既に一部の介護現場におきましても、例えば、特定技能外国人の就労一年目から、N3レベルを目指した日本語の勉強をしながら介護職員初任者研修を受講させている事業所でありますとか、あるいは、技能実習生に対して行う入国後研修に合わせて、就労前にこの研修を受講させている監理団体があったり、事業者等の創意工夫によって外国人介護人材の研修受講に取り組んでいる事例がございます。

 厚生労働省といたしましては、このような介護現場での創意工夫を後押しすることが重要であると考えておりまして、他の受入れ事業者や自治体に対して周知を行っております。

 また、介護職員初任者研修が受講しやすくなるように、受講費用の支援を行うとともに、受入れ事業者が行う外国人介護人材に対する日本語講師等による教育や、多言語翻訳機の購入等を始めとする受入れ環境整備に必要な経費の支援を行っておりまして、これらも研修等の円滑な受講につながるものと考えてございます。

 今後とも、介護現場の御意見を伺いながら、外国人介護人材が介護職員初任者研修等を受講しやすい環境整備に取り組んでまいります。

遠藤(良)委員 今実際、留学生で、日本で日本語学校に通いながら初任者研修を取っている例もあって、その方々の日本語レベルというのは、もちろん日本語学校で二年間学んでいるので初任者研修というのは簡単にクリアできるんだと。

 一方で、先ほども御紹介いただきましたけれども、実際、現地の人が日本に入ってきて、いきなり、初任者研修を受けなさい、百三十時間クリアしてください、これは本当に難しいことで、要は、確認したいのは、例えば、実際、この初任者研修が聞くだけでいいものなのか、若しくは身につけるためにやるのか、この辺というのはどういうふうな捉え方をされているのか、お尋ねしたいと思います。

朝川政府参考人 お答えになっているのかあれですけれども、初任者研修は座学の講座もありますし、演習もありますので、それは、知識を身につける部分もありますし、実技的な要素も入っている、そういうものでございます。

遠藤(良)委員 答えはちょっと違ったんですけれども、要は、僕も実際、研修を受けて、座学もやって、そして、実技で、車椅子を押したりとか洗体の仕方とかを学ぶんですけれども、本来は、これをもって介護現場に行くと即戦力でできるというのが普通の仕組みだと思うんですが、今、このままいくと、とにかく百三十時間をクリアすれば実際もう現場には入れるわけなんですけれども、本人たちからすると、理解できていないまま現場に行くということが実際起こっていくんじゃないかなというふうに思っています。

 その中で、今、初任者研修を、実際、先ほど私がお話ししたように、例えば事前にZoomなり、今実際、待機期間が四か月から五か月ぐらいある中で、そういうふうに政府としてはこの初任者研修の捉え方を、事前に分割するなり、そういう捉え方ができるんじゃないかなと思うんです。その辺り、御意見はいかがでしょう。

朝川政府参考人 初任者研修を百三十時間受講したら訪問介護が直ちにできるようになるかというと、これは個人差もあるでしょうけれども、必ずしもそういうものではないと思っておりますので、まず、今回議論しておりますのは、初任者研修以外にも、訪問介護をやる事業者さんに対して、コミュニケーションを始めとする研修の実施を事業者としてやっていただいたり、一定期間、同行訪問をしていただいたり、あるいはキャリアアップ計画を作成していただいたりと、幾つかの遵守事項を求めることにしております。そうした初任者研修と事業者の取組が相まって、質の確保された訪問介護がされるようにすることが重要だと思っております。

 また、初任者研修が受けやすいようにするということについては、これから、どういう取組が可能なのかどうかというのは、先生の御指摘も踏まえながら、よく検討させていただきたいと思います。

遠藤(良)委員 是非、外国人が入ってきてからこういう準備をするのではなくて、これは入管との兼ね合いもあると思うんですけれども、法務省とも連携しながら、初任者研修の在り方自体を外国人向けに、そういうつくり方をしないといけないんじゃないかなというふうにお伝えしたいと思います。

 次に質問したいんですけれども、育成就労のことについてお尋ねするんですが、今、技能実習生が介護では二万五千人、特定技能一号が三万人弱入っているんだということで、実際、訪問介護の人たちに向けて、既にそういう方々が今介護現場で入っているんですけれども、その中で、厚労省としては、二〇二七年までに育成就労制度をやるんだということなんですけれども、育成就労の法律までずっと、それが成立するまで訪問介護を解禁しないのかということが指摘できるんです。要は、今の特定技能の内容の中でもう既にスタートしてもいいんじゃないかなと思うんですけれども、わざわざ二〇二七年まで待つ必要があるのかどうか、その辺り、いかがでしょう。

朝川政府参考人 まだ、特定技能とか技能実習の方々が訪問系サービスに従事できるかというのは検討会で検討中ではございますが、その検討会で仮にまとまって、やろうということになった暁には、準備ができ次第、順次施行していくということが、検討会でもそういう方向性をお示しいただいているところでございます。

 したがって、今、法案が審議されております育成就労の関係の制度ができ上がらないと特定技能について訪問系サービスが始められないかというと、そういう関係にはないというふうに理解しております。

遠藤(良)委員 つまり、今の答弁だと、早めることはできるという理解でよろしいんでしょうか。

朝川政府参考人 具体的にはこれから検討してまいりますが、特定技能と技能実習、あるいは法律が改正された後の育成就労、それぞれ時期をずらしながら施行するということも考えられるのではないかと思います。

遠藤(良)委員 その中で、例えば育成就労の今の内容であれば、一、二年で転職できるんだということが言われています。その中では、特に都市部は大企業がそろっていて給料が上げられたりするということがありますけれども、一方、地方の介護事業者というのは、外国人をこういう制度を使って入れるんですけれども、一方で、彼らはやはり横のつながりが非常に強くて、給料が高いところにすぐ転職する。これは今、現状も指摘されていると思うんですけれども、この辺の、外国人を入れても都市部に移る、こういう現象が実際起こっていると思うんです。

 実際、育成就労もやり出したら必ずこういう問題が出てくると思うんですが、その辺りはどういうふうな対策をされるのか、お尋ねします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 育成就労制度、現在、法案を国会に提出させていただきまして、審議いただいているところでございますが、育成就労制度におきましては、本人の意向による転籍を認めることとしておりますが、適切な人材育成の観点から、同一の受入れ機関において就労した期間が一定の期間を超えていることを要件とするなど、無制限に転籍を認めるものではないようにしているところでございます。

 また、この一定の期間でございますが、御指摘のとおり、人材育成の観点を踏まえた上で一年とすることを目指しつつも、地方や中小企業等への配慮の観点から、急激な変化を緩和するための措置として、当分の間、業務内容を踏まえて分野ごとに一年から二年までの範囲で設定することを認めるというふうにしているところでございます。

 その上で、さらにですが、転籍前の受入れ機関が負担した初期費用等が転籍先から正当に補填される仕組みを設ける、それから、転籍先の受入れ機関についても一定の要件を設ける、また、当分の間、民間の職業紹介事業者の関与を認めないことなどによりまして、過度な人材流出が起こらないようにといった配慮を考えているところでございます。

 さらに、各地域の特性を踏まえた人材確保の観点から、自治体におきましても、地域協議会に参画して業所管省庁等との連携を強化することなどを進めていただきまして、各地域の魅力がより高まる取組を進めていただく。こうしたことによって、地方からの人材流出の懸念に対応してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 要は、技能実習生の制度が育成就労と名前が変わって、今まではお金を払って日本に入ってきてもらったものが、すぐに転職される制度に変わる可能性があるので、ここだけはしっかりと注意して。様々、先ほど御紹介いただきましたけれども、条件を必ず、縛っていかないと都市部にどんどん外国人が入っていく、こういうことが懸念されますので、是非ともその辺りは御指摘をして、私の質問といたしたいと思います。

 ありがとうございました。

新谷委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。本日もどうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、私からゴールデンウィーク前に質問表、要旨を出させていただいたんですが、先日、厚労省のスタッフの皆さん、ありがとうございました、急遽質問を一つ入れさせていただきまして、ケアマネジャーさんの独立性を問うという問いを入れさせていただきました。これは七番目なんですが、まず最初に、冒頭この質問をさせていただきたいと思っております。

 ケアマネジャーさんの中立公正ということが非常に介護保険のケアプランを作る中では大事だと思いますが、介護保険法の第六十九条の三十四項にも書かれています。介護支援専門員は、その担当する要介護者等の人格を尊重し、常に該当要支援者等の立場に立って、当該要介護者等に提供される居宅サービス、地域密着サービス、施設サービス、介護予防サービス、地域密着型介護予防サービス又は特定介護予防・日常生活支援事業等が特定の職種又は特定の事業者若しくは施設に不当に偏ることがないよう、公正かつ誠実にその業務を行わなければならないというふうになっております。

 こう決まっているんですけれども、ケアマネジャーさんのほとんどは、九割、ほかの事業所の所属として仕事をしている。独立してやっておられる方は一割しかいないということになります。そうなると、なかなか公平性を保っていくのは難しいのではないかなというふうに考えますが、大臣、どうお考えになるかということをお伺いしたいと思います。

武見国務大臣 二〇二二年度の調査研究によりますと、他のサービスと併設していない、いわゆる単独型の居宅介護支援事業所の割合は約一三%。ただし、単独型か併設型かを問わず、利用者の選択肢を確保する観点からも、公正中立にサービスを提供することが重要と考えます。

 このため、居宅介護支援の運営基準において、その運営形態にかかわらず、ケアマネジメントに当たって、利用者に提供されるサービスが特定の種類、特定の事業等に不当に偏ることがないよう、公正中立に行われなければならないというのがまず基本にあります。さらに、居宅介護支援の開始に当たりましては、利用者は複数の居宅サービス事業者等を紹介するよう求めることができることとしているほか、居宅介護支援事業所が作成するケアプランに位置づけられた居宅介護サービスのうち、同一の事業者によって提供されたものが八割を超える場合には、基本報酬の減額を行う仕組みを設けております。

 引き続き、こうした取組等を通じまして、居宅介護支援の実施に当たって公正中立性の確保を図ってまいりたいと考えます。

一谷委員 今大臣がおっしゃっていただいた八割の件は、集中減算というところで、平成二十七年にそういった制度ができました。介護保険ができた当初から、この中立性という問題は非常に古く新しい問題だというふうに考えております。

 今回の法改定でも、運営基準の改正ということも中に入っておりますし、改正が行われた、すぐ、四月十五日には、ケアマネジメントに係る現状、課題ということで検討会がもう第一回目、スタートしているということで、この問題は非常に重要だというふうに、認識はみんな一緒だというふうに思います。

 ただ、現状は、現場で仕事をしていても、やはりケアマネジャーさん自らの事業所に、集中減算を受けても、サービスをどうしても提供しなければならないような状況に陥っていることも現実だというふうに思うんですね。ですから、ここは制度を変えていく必要があるのではないかというふうに思います。

 一つ考えられるのは、問取りのときはそんなことはないという話だったのでちょっと引き下がったんですが、改めて、ケアマネジャーさんの中立性を保つために、地域支援事業、まあ予防事業の一、二、昔ありました、これは市区町村が支払いにはなりますけれども、そういった事業に変えていくということも一つ、中立性を担保するにはいい提案ではないかなというふうに思います。

 そのほか、もう一つ考えられるのは、本当にAI化をして、AIケアプランを作って、人の感情がなかなか入りにくい、根拠に基づいてプランを作っていく。やはり、ケアマネジャーさんも人間ですから、感情に負けてしまう部分もあると思うんですけれども、これはあくまでAIが作ったんですということであれば、ある一定、中立性も担保するのに、ケアマネジャーさんの心の負担も減るんじゃないかなというふうに思うんです。

 こういった大胆な改革もやっていかないと、ケアマネジャーさんというのは利用者さんの代理人でもありますけれども、保険者の代理人でもあって、介護給付もやはり抑制をしていくためにもケアマネジャーさんの中立性というのは大事だというふうに思うんですが、このことについて参考人の方の考えをお伺いします。

間政府参考人 お答えいたします。

 先ほど委員御指摘くださいましたように、まさに今後のケアマネジャーの仕事、あるいは地域包括支援センターとの関係性を含めて、ケアマネジメントというものをどうするのか、単なる介護保険のケアプランではなくて、ケアマネジメントをどうするのかということも含めて議論を開始しております。

 そんな中で、介護予防の段階から介護保険になりますと、例えば担当者が替わってしまうとかということが、それは利用者さんにとっても、あるいはケアマネジャーあるいは地域包括の担当者にとってもどうなのかとかということもございまして、その辺りも含めて、業務を円滑に、かつ選べるという、選択肢があるということも含めて、その在り方についてしっかり検討していきたい、このように考えております。

一谷委員 間老健局長、いつもありがとうございます。答弁要旨なしにいつも考えを述べていただいて、大変恐縮いたします。

 今さっきのAIの話をせっかくさせていただいたので、次の質問は、四番目に記載をさせていただきました科学的介護情報システム、LIFEについて、政府参考人の方にお伺いをさせていただきたいと思います。

 科学的介護を進めるに当たって、様々な情報を事業所は入力をしています。そして、今回新たに新しいシステムに切り替えていくという意味をまず問いたいのと、三年前からかなりエビデンスを蓄積して、そして、科学的介護、研究所であったり大学であったり分析をして、こういった介護が自立につながる、こういった介護が認知症予防につながる、例えば、こういった症状であれば週二回は入浴をした方が衛生面が保たれるという、かなりエビデンスができてきているというふうに思うんですが、このことが介護事業所に伝わっていないんじゃないかなという思いもあります。

 LIFEは入れるのが結構手間な項目が多い中で、今回改善をされて簡素化されるんだと思うんですけれども、やはり手間だと思っている。ただ、介護業界全体として、社会保障を守っていく全体としては、こういった科学的介護をしていくのがすごく全体を助ける、全体、適切だということが余り伝わっていないんじゃないかなというふうに思うんですが、今回の改正でそういったところもうまく組み込まれていくのか、どのように皆さんに告知していくのか、考えがあればお聞かせいただきたいと思います。間老健局長、よろしくお願いします。

間政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘のように、自立支援とか重度化防止の取組を推進していくために、そういったデータを集めて、そしてそのデータを活用して個々人の利用者さんのケアの質を高めていくということが大変重要だと思っておりまして、そのためにLIFEがあるんだというふうに考えております。

 このLIFEについては、これまで、フィードバックもちょっと十分じゃないといった御指摘、あるいは、今お話ありましたように、入力項目が多くて、あるいは重複も多いじゃないかとかいった御指摘もいただいておりました。

 そのため、今回の介護報酬改定に合わせまして、利便性を向上させた新システムに移行すること、それから、フィードバック情報を充実するために、平均要介護度別、都道府県別など、その事業所の利用者さんの状態像と比較できるようなデータの層別化というものをできるようにしました。また、より質の高い情報の収集、分析を可能とするための入力項目の見直しということも行ってございます。

 そういった見直しによりまして、個別のより高い質のケアを提供することを可能とするということと同時に、先ほど、エビデンス、データの集積というお話がございました。こうした集積されたデータを活用してエビデンスの構築を進めて、科学的に根拠のある介護手法を明らかにすることで、質の高いケアが広く介護現場に普及していくことを期待しているということでございます。

 このLIFEに限りませんけれども、例えば、病院から退院した場合に、早期のリハビリを開始することがその後のADLの改善に大きく寄与するというのは、感覚的にも正しいですけれども、データ的にも明らかになってくる中で、今回の報酬改定でも、そういう早期のリハビリ開始なんかを評価するといったような改定も行っています。

 いずれにしても、こうした制度の趣旨が伝わっていないんじゃないかという御指摘は厳しく受け止めたいと思いますので、そういったことも事業所の皆様方にも丁寧に説明して、科学的介護の推進に取り組んでいきたいというふうに思います。

一谷委員 今、間老健局長からリハビリの話もあったんですが、これも、VISITというデータを取っていましたし、あと、介護保険の総合データ、介護DBも取っていました。そして、それらで取り切れないところを、CHASEという様々なICTの力を使ってデジタル化のデータを取っていこうということを長年、もう十五年ぐらいやっていると思うんですが、なかなかその結果が事業所としては分かりづらかったので、今回のLIFEが、これは統合してLIFEになっていると思いますが、何なんだというところは、事業所のやはり、長年やってきたけれども、何も、ちょっと申し訳ないですけれども、成果はなかったんじゃないかみたいなところはやはりあると思うんですね。ですから、これは違う、今回は違うんだというところをしっかり後押しをしていただきたいと思います。

 やはり、一つ一つの法案、個々に対応していくのも大事ですけれども、どういった社会をつくっていくかということが大事だと思います。私は、少子高齢化社会にはやはりデジタル化、もうこれしかないというふうに思うんですね。先ほども農林水産委員会で質問させていただきましたけれども、どうやってスマート農業を進めるかという話でしたし、さっきの地こデジの話も、マイナンバーはどうやって普及するんだという話でしたから、徹底的にデジタル化していかないといけないと思うんですね。

 これを国民の皆さんに分かっていただく一つの指標として、やはり今、介護保険料の負担、これが三番目の問題になって、これは大臣にお伺いをさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 六十五歳以上の介護保険料の月額平均の推移というのが出ました。平均が六千二百七十六円ということ、済みません、これは二号保険者ですね。一号保険者の方も六千円を超えていたと思います。これは介護保険ができた当初から二倍になっていますし、四十歳から六十四歳、二号保険者は六千二百七十六円ということで、これは制度開始から三倍強になっているということです。ですので、社会保障の負担がやはり重たくなっている。

 県別に見ると、私は兵庫ですけれども、隣の大阪が九千二百四十九円と、もうちょっとで一万円に到達するぐらいまで来ていて、独居高齢者の方が多い現状があって、まだまだこれから増えていくのではないかということがあります。ここをどのようにして、サービスを維持しながら抑制していくかということが非常に重要になってくるというふうに思います。そのためにも徹底的なデジタル化というのが必要だと思うんですが、まずは大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

武見国務大臣 基本的に、デジタル化が進む中で、高齢化人口に対応して効率的な介護サービスを提供するということに関しては、デジタル化の重要性というものは極めて重要、高い意味を持っているということを確認させていただきたいと思います。

 高齢化に伴って、介護給付費の増加であるとか、あるいは介護保険料の上昇が見込まれますので、介護保険制度が全ての世代にとって安心なものとなるように、サービスの質を確保しつつ、制度の持続可能性を維持するということが重要と考えます。

 このため、令和六年度から、第九期介護保険事業計画期間におきまして、六十五歳以上の方々の第一号保険料について、世代内での所得再分配機能の強化や低所得者の保険料上昇抑制の観点から、標準段階の多段階化、それから高所得者の標準乗率の引上げ、それから低所得者の標準乗率の引下げなどを行ったところでございます。

 今後とも、介護保険制度が全ての世代にとって安心なものとなるように、健康寿命の更なる延伸を図るとともに、全世代型社会保障の理念に基づいて、負担能力に応じた給付と負担の在り方などについて、昨年末に閣議決定した改革工程に沿って、引き続き不断の検討をしていきたいと考えます。

一谷委員 そうなんです。改革工程をしっかり進めていかなければいけないと思います。

 三月二十九日の東京新聞にも、保険料が上がるということでいろいろな議論が書いてあります。引上げはもう限界ではないか、高齢化が進めば更に増えるのではないか、厚労省は制度を維持するために、保険料を四十歳未満にも広く負担してもらう案であったりとか、介護サービス利用の二割負担であったり、ケアプランの作成料の自己負担を入れるとか、いろいろあります。

 こういったことも大事ですけれども、改めて、この場でも子育ての支援金のときも何度も申しましたが、やはり保険料と税の割合というのを見直していく、その議論を避けないでやっていくということも非常に重要ではないかなというところを申させていただきたいですし、本日の質問の中、ケアマネジャーさんの話、独立性を出しましたが、私はやはり供給が需要を生んでいる現実もあると思います、都心部では。需要が足らないところもありますけれどもですね。大臣、にこっとしていただきましたけれども。

 私は、過剰介護をなくしていきたいというのが私の政治的な仕事の一つだというふうに思っています。これをなくすためには、やはりデジタル化をして、AIのケアプランを作るのがケアマネジャーさんの心には負担が一番少ないんじゃないかというふうに思っていますし、本当に、ケアマネジャーさんが、営業職になるのではなくて、利用者さんの代理人であり、そしてもう一つ大事なのが保険者の代理人であると。やはり抑制をしていくこともケアマネジャーさんの一つの大事な仕事である、過剰介護をしないということをお話をさせていただきたいというふうに思います。

 何とかこの保険料を抑えていかないと、自治体も、積立てを取り崩しているというようなことも新聞にも書かれておりますので、もう限界がちょっと近いのではないかなと。これをもってして、デジタル化を進めること、介護事業所にしてはLIFEをしっかりやるという意義にしていけばいいのではないかなというふうに思います。

 では、まだ時間がありますので、質問をさせていただきます。

 その次は、二番目の質問をさせていただきたいと思います。地域包括ケアシステムが、医療と介護の連携であったり、地域で高齢者の方を支える、これは高齢者だけじゃなく障害の方も子供もだと思いますが、今後どのように深化していくかということを間老健局長にお伺いしたいと思います。

 元々の問題意識は、今回の改定で、みとりをするであるとか、医療依存度の高い方を受け入れるとか、あと、認知症の基本法案ができました。基本理念七項目、基本的施策八項目、非常に自治体にとっては負担が大きい計画書も作っていかないといけないとなってくると、国は自治体に、地方にやってくださいということは言えますけれども、それを受け取る側としては、やはりかなり負担が増してきていて、受け切れない状況になってきているのではないか。この中で、地域包括システムを更にどういうふうに考えて進めていくのかということをお伺いしたいと思います。

間政府参考人 お答えいたします。

 まず、地域包括ケアシステムそのものは、やはり国民の皆さんが住み慣れた地域で最後まで暮らし続けられるようにするということが基本でございますので、まずそれを実現することが重要だと思っています。

 先ほど、みとりの話などを御指摘いただきました。おっしゃるとおりで、この間、介護保険が始まってこの方、特にこの十年ぐらいの話で申し上げれば、介護老人保健施設でも在宅復帰というものを積極的にかなりやっていただいて、そういった施設が増えているとか、あるいは、在宅で、御本人の意向に従って、自宅とか介護保険施設で亡くなる方も増加傾向にあるといった形で、全体的には地域包括ケアの考え方に沿った取組が進んでいるというふうに考えています。

 それを後押しするような形で、今回の報酬改定で、医療ニーズが高い高齢者も含めて必要なサービスが切れ目なく提供されるよう、医療と介護の連携の推進、あるいは、本人が望む場所で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けていくことができるよう、みとりへの対応の強化等を行ったということでございます。

 その上で、確かに、先ほどちょっとケアマネの話、ケアマネジャーのお仕事の中立性の話の中でもちょっと出てきましたけれども、自治体にしてみると、地域包括支援センターの業務をどう考えるのかということについて、昨年の法改正で居宅介護支援事業者への委託ができるようになったりとかはありますけれども、自治体の業務全体についても合理化をしていくということは必要だというふうに思います。

 自治体への支援という意味では、制度改正や介護報酬改定に当たって、自治体に対して丁寧に情報提供を行うこととか、優良な取組事例を紹介して、介護保険事業計画の策定、実行支援などに取り組んでいるところであります。

 今後、引き続き自治体の御意見を聞きながら介護DXを進めていくというのは、先ほど、LIFEは利用者のためでありますけれども、全体として自治体のシステムの標準化を令和八年度に向けてやっているわけですが、これは実は自治体の業務を負担軽減することにつながるというふうに考えておりまして、こういったことも進めながら、地域の実情に合った地域包括ケアシステムの推進ということに取り組んでいきたいというふうに思います。

一谷委員 確かにそうです。自治体の負担を減らしていくためにも、DXも必要ですし、ここで、介護ケアプラン連携、これも一昨年スタートしましたけれども、普及が進まず、一年たってみましたけれども、五%だけということも聞いております。こういったところをどうやって進めていくかというのは、サービスがどんどんどんどん向上して、ベンダーさんがいいものをつくってくださって、整備を、自治体や政府がつくっても、受け手側のやはり認識を変えていかないといけないというふうに思いますので、どうやってその認識を変えていくか。

 今回、本当に介護保険料が上がってくるというのは、皆さん身にしみて大変だなというふうに思っていただいていると思いますので、そういったところをうまくDXすることによって負担が減らしていけるということを訴えていくのが大事じゃないかなというふうに思いますし、何よりもケアマネジャーさんの中立性ということが一番大事じゃないかな。供給が需要を生んでしまうということもあると思いますので、やっていきたいというふうに思います。

 それでは、まだもう少し時間がありますので。

 二〇二五年は三十二万人、二〇四〇年は六十九万人の介護人材が不足しているというところで、今、不足しているから何とか働きに来てもらおう、介護従事者の方を増やしていこう、今、遠藤さんがおっしゃった、海外の方に来ていただいて助けてもらおうということを話していますけれども、そもそも、ちょっと負担し切れないですし、二〇四〇年を超えたら、もう今もそうですけれども、ある一定の箇所は介護サービスの需要も減ってくるというところで、人が少ない前提で何とかしようというふうな考えに変えていった方が、先ほどのDXも進みますし、ケアマネジャーさんの中立性であったりとか、LIFEの取組であったりとか、そういった意識が変わるのではないかなというふうに考えるんです。

 そのことについて、まだまだやはりどんどんどんどん働きに来てもらうということを進めていくのか、これはやはり難しい、人口が減っていくから難しいから少ないなりにやっていこうというふうな取組に変えていくのか、その辺の考えをお聞かせいただきたいと思います。

間政府参考人 お答えいたします。

 介護人材の不足数の話は、先ほど御指摘になられた六十九万人というのは、三年前に策定した第八期の介護保険事業計画に基づき試算したもので、二〇四〇年度の必要数と二〇一九年度の必要数の差分でございます。

 こうした見通しを踏まえて、処遇改善、人材育成支援、職場環境改善などの介護人材の確保、定着に総合的に取り組んでいるところでありまして、さらに、委員御指摘のように、人材も含めた地域の資源が限られている中にあっても、地域の実情も踏まえて、柔軟で良質なサービス提供をいかに確保していくかといった観点が非常に重要だというふうに思います。

 私も、以前、中山間地を多く抱える地域の県の県庁の課長でございましたけれども、そういうところで、例えば、介護のサービスと障害のサービスとか子育てのサービスをどういうふうに共生的に提供していくのかとかいうようなこと、共生的というのは共に生きるという意味ですが、そういったことも大事だというふうに考えたところでございます。

 更に言うならば、今後は、介護サービスの質を確保しつつ、現場の負担軽減を図る観点から、テクノロジーの導入支援、介護ロボット等を活用した場合の人員配置基準の緩和等の取組を実施しておりますし、また、単独の事業所で対応に限界がある場合には、協働化とか大規模化といったことにも取り組む必要があるというふうに考えています。

 こういったことを後押しするために、五年度の補正予算におきましても、生産性向上を通じた職場環境の改善や経営の協働化、大規模化等の取組を後押しするための支援を盛り込んだところでございまして、引き続き、地域それぞれでございます、それに合った取組が確保されるように、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。

一谷委員 やはり現実を見詰めてやっていかないといけないなというふうに思います。

 今日、ケアマネジャーさんの中立性ということをいきなり質問に入れさせていただいたのは、実は私、一緒にこういった仕事をやってきた仲間がいました。船橋市の議員をやりながら、その前はケアマネジャーをずっとやってきて。ケアマネジャー、介護職が議員になって世の中を変えていこうということで、政治と介護を紡ぐ会というのをつくって、四千人ぐらい今会員の方がいらっしゃって、どんどんどんどん政治家にチャレンジしているという方なんですね。宮崎直樹といいますが、この方が、四十七歳でしたけれども、先日亡くなりまして、非常に私もつらいなと思うんですが、今日は、その宮崎さんがずっと訴えてきたことをお話をさせていただいて、武見大臣、そして間老健局長、丁寧に御答弁いただいたことを感謝いたします。

 私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

新谷委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 皆様、お疲れさまでございます。本日もよろしくお願いいたします。日本維新の会、岬麻紀でございます。

 本日は一般質疑ということで、これまでも度々、外国人技能実習制度、特定技能に関する質疑をさせていただいてまいりました。これまでは介護分野が主だったんですが、今回は、農業等の地域性を踏まえた効果的な育成就労の視点から質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、外国人技能実習機構は、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律に基づく法務省及び厚生労働省の所管する認可法人であると認識をしております。まず、確認でございますが、この外国人技能実習機構の役割と機能、ここを確認させてください。お願いいたします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 外国人技能実習機構でございますが、技能実習生の技能等の修得等に関しまして、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るため、技能実習計画の認定、監理団体の許可に関する事務、実習実施者及び監理団体に対する実地検査、技能実習生に対する転籍支援を含めた相談及び援助などの業務を行うこととされております。

岬委員 簡潔にありがとうございます。

 では次に、技能実習制度は、制度として国際貢献の一環でありながらも、運用実態としては、労働力の不足を補うであるとか、産業の維持や発展に貢献をしてきたと認識しています。しかし、人権侵害の問題であるとか、最近では、円安の影響もありまして、近隣国との競争も激しくなっています。

 なかなか、日本を希望する外国人、減少しているなという感じなんですが、この状況を踏まえまして、人材確保及び育成就労の課題、そして、今後どのように技能実習制度が効果的な役割を果たしていくことを目指していらっしゃいますでしょうか。

福原政府参考人 お答え申し上げます。

 法務省と厚生労働省は、技能実習制度と特定技能制度の見直しに関する関係法案を国会に提出し、現在、衆議院法務委員会で御審議いただいているところでございます。

 この制度見直しの意義をちょっとまず申し上げますと、近年の我が国における労働力不足の深刻化や、国際的な人材獲得競争が激化する状況を鑑みると、人手不足に対応して、我が国の経済や産業が活性化するために、我が国が魅力ある働き先として選ばれる国になることが必要不可欠と認識しております。

 現行の技能実習制度につきましては、委員御指摘のように、国際貢献という制度目的と運用実態の乖離ですとか、それから特定技能制度との分野の不一致といった諸課題が指摘されているところでございました。

 そこで、法案においては、人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度を創設しまして、特定技能一号水準の人材を確保、育成するための制度として、受入れ対象分野を特定技能制度と原則一致させるなどした上、転籍の制限を緩和するとともに、受入れや送り出しを適正化するための方策を講じることとし、この育成就労制度は、人材確保を目的とする特定技能制度と連続性を持たせることとしております。

岬委員 ここまで確認をさせていただきました。ありがとうございます。

 ここからなんですけれども、やはり、技能実習制度で外国人の方々を受け入れるわけですが、地域の事情を理解している方々のお知恵であるとか経験を生かして導入をしていくという必要性が今後高まっていくと思います。受入れ地域の例えば気候であるとか特性といったことを踏まえるためには、やはりその事情に詳しい地元の方をきちんと入れていく必要があると思います。

 例えば、現在は八ブロックの中に、メンバー、実際には、首長さんであるとか、地域のことに精通している方はきちんと入っているんでしょうか。そこの確認をさせてください。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の現行の技能実習制度におきます地域協議会でございますが、全国八ブロックの地域で組織をされておりまして、出入国在留管理機関、労働局、それから地方公共団体の機関などを構成員といたしまして、相互の連絡を図り、地域の実情を踏まえた技能実習の適正実施、技能実習生の保護に有用な情報の共有などを目的として活動を行っているところでございます。具体的には、年に一回の会議その他関係機関での連携を通じて、技能実習の適正化に向けた課題の共有などが行われております。

 なお、レベルといたしましては、地方公共団体の皆様に入っていただいておりますが、実務担当者の方に入っていただいているというのが現状でございます。

岬委員 お答えいただきました地域協議会ですけれども、やはり、これから、何の課題に向けて、どのように解決をしていこうというふうに進んでいるんでしょうか。もう少し具体的に今度は教えてください。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 まず、現状からでございますが、技能実習制度におきます地域協議会は、技能実習制度の適正化に向けた地域での課題共有、当該年度に重点的に取り組む事項の協議ですとか、技能実習制度の現状を踏まえた制度運用上の留意点などの把握、協議などを行っているところでございます。

 また、具体的な議論を、各地、見ますと、地域の外国人雇用状況ですとか、実習実施機関に対する指導監督状況といった事項のほか、地域における外国人との交流機会の確保、あるいは、災害時の通訳ボランティアの育成、日本語教育体制、外国人雇用事業所の好事例紹介など、地域の実情に応じたテーマを取り上げて、情報共有や話合いを行っていただいているところでございます。

 育成就労制度におきましても、地域協議会につきましては、現行制度における取組内容も踏まえつつ、御指摘の、地域への定着促進、共生社会の実現の観点から、地方自治体に引き続き積極的に参画をしていただいて、地域産業政策とも相まって、受入れ環境整備に取り組むような、そういった協議会にしてまいりたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 先般、この問題に関して、二月十九日の予算委員会におきまして、厚労大臣そして小泉法務大臣に対して、技能実習生の受入れの声ということで質疑をさせていただきました。今回、ここから少し踏み込んだお話をしたいと思います。

 私の選挙区でございましたけれども、区割りの変更がございまして今は旧選挙区になりました北名古屋市がございます。そこの友好交流を行っておりまして、災害時の相互の応援協定を締結している新潟県の妙高市、先日、市長を始め職員の方々からお話を伺って、そして御相談をいただいたんですけれども、やはり地域性、気候の違いが非常に大きくあります。

 農業を始めとした中小企業の方々からのお話ということで、妙高市は雄大な自然があるわけです。そして、農業がしっかりと根づいているわけですが、非常に、冬になると雪も多くなります。降雪時期にはやはり農業が止まってしまうわけですね。そうすると、外国人、特定技能の方々が、その間は働けないということになる。だからこそ、そういったときに、スキー場であるとか、温泉旅館やホテルであるとか、観光地といったところでお仕事をさせることができるならば、非常に人手不足であるとか労働力不足の解消にもつながる。つまり、通年でほかの分野のことも少しお仕事ができないかというような質問が来ております。

 この辺りはどのようにお考えでしょうか。

武見国務大臣 技能実習制度は、人材育成を通じた国際貢献を目的としておりまして、計画的、効率的に技能を修得していただくため、基本的に、技能実習の全期間を通じて同一の職種、作業に関する業務を行っていただく必要があります。この点、人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度でも、分野、業務区分をまたぐ就労、これは基本的には認められないものと考えています。

 ただ一方で、農業や漁業のように自然的要因による業務の繁閑がある分野では、企業努力を尽くしても、就労を通じた人材育成を単一の事業主の下で通年で行うことは困難な場合がございます。そこで、特定技能制度におきましては、農業、漁業分野に限り、労働者派遣を活用した外国人の受入れが認められていることも踏まえて、今般、育成就労制度においても、こうした分野に限って、労働者派遣を活用し、派遣元と派遣先が共同で育成就労を行わせる類型を設けることとしております。

 こうした仕組みなどによりまして、育成就労制度において、現場の実情を踏まえた柔軟な就労が可能となるようにしてまいりたいと思います。

岬委員 ありがとうございます。

 今の御答弁ですと、例えば新潟県の妙高市、雪が降る間は、では、全く別の場所で農業をしていただくということになりますよね。そうなると、地域に溶け込んで育成をしていく、就労していただくということから少し外れていくのではないかと思うんですね。

 農業という業種は統一されているかもしれませんが、また全く違う風土の、全く違う気候のところで、全く違う方々と、そこからまた、言語が通じない、文化が違うところでコミュニケーションを取ってしていくことよりも、同じ土地、同じ、例えば、今事例に出しました新潟県の妙高市であるならば、そこで、例えば分野範囲を広げてみるのはどうでしょうか。例えば農業であれば、農業そのものだけではなくても、そこの農業の用水のところの雪かきも入れるであるとか、そこの運搬も入れていくであるとか、いろいろな解釈によって、同じ土地で冬の間、違う業務にも就ける、そういった道はないんでしょうか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 まず、御指摘の点、特定技能制度との接続性を今回重視した育成就労制度の創設を提案をさせていただいておりますが、そこの考え方をどうするかに関わってくる御指摘と承知をいたしました。

 私どもが現在提案している法案は、技能実習制度を育成就労制度に切り替えて、その大きな目的の一つとして、特定技能制度と連続性をよくしていくということがございます。特定技能制度は、分野を決めて、その分野のスキル労働者として日本の経済社会に貢献していただくという人材でございますので、それに接続するための育成就労制度も、特定技能で発揮していただくような技能を身につける期間として働いていただくことが制度の本旨であるというふうに考えております。

 そういったことからいたしますと、育成就労制度におきまして、地域を移ること、それ自体については御指摘のような御懸念があろうかとも思いますが、やはり技能を身につけて特定技能労働者としてより働いていけるようにする、そういうための期間であるというような趣旨をより重視をしているところでございます。

 なお、農業なら農業、漁業なら漁業について、それに必然的に伴う、耕作作業そのものではない作業というのはそれぞれあると思います。それをどこまで認めるかというのは個別の問題として線引きは必要と思いますが、御指摘のような耕作地の雪かきであるとかそういったことをどこまで認めるかについては、検討の必要があるかと思います。

岬委員 今、雪かきという話が出ましたけれども、例えば集落排水は農水省が管轄しているであるとか、それぞれの管轄が違いますよね。そこの管轄の中での作業の一つというような、解釈を少し広げていただければ、可能となる部分もあるのではないかと思います。

 実際には二対一ぐらいの違いがあるということで、半分以上は妙高市の中で農業に携わっていられる。だけれども、雪が降っている十二月、一、二とか、その程度のところの三、四か月の部分で雪だから農業ができない。そのためだけに、農業だからという、分野に限るから、全く違う場所に移行してそこで農業をというと、農業をやる前の段階の、言語の壁であるとかコミュニケーションの壁で、なかなかそれはスムーズにいかないんじゃないかなというふうに考えるのが自然ではないかと思うんですが、その辺り、大臣、いかがでしょう。もう少し幅を柔軟にしていただくということは御検討いただけないんでしょうか。

武見国務大臣 柔軟性の問題ではありますけれども、三年間の育成就労の期間で計画的、効率的に人材を育成するためには、年間を通じて主たる技能に関する業務に従事していただくことが必要だとまず考えております。その上で、受入れ機関が責任を持って、通年で従事すべき業務を計画立てて人材育成を行うというのがまず基本となります。

 一方で、育成就労制度では、外国人が従事できる業務の範囲を広げ、同一の業務区分の範囲内で業務に従事できるようにすることとしており、分野や業務の実態に沿った柔軟な人材育成、就労が可能となるようにしてまいりたいと考えております。したがって、この枠組みの中で柔軟に対応することができればと考えます。

岬委員 そのようなお考えもあると思いますけれども、降雪のために、雪が降るために、農業であるとか、若しくは単独の分野での通年雇用が困難な状況だとなっていますので、そうすると、一生懸命育成就労で育成をしてきた側としては、雪が降ったらその人たちが別へ行ってしまう、それでなかなか中断してしまって、せっかくの、お互いの交流ができてきて、やっとかなと思った頃にどこかへ行ってしまう。そしてまた戻ってきたといっても、それは随分な混乱を招きますし、精神的な負担もあるのではないかと思います。

 さらに、現在の特定技能制度では、複数の分野の業務に従事しながら年間就労をする場合には、外国人の在留資格変更申請手続が必要となりますよね。この手続の期間中は就労できないといった問題であるとか、収入面の問題も出てくるでしょう。そうすると、不安を持つ外国人も多くなるでしょうし、使う側も、なかなかそういった煩雑で複雑な申請業務に追われてしまうという危険もあると思います。

 そういった課題が非常に多く声が寄せられているんですが、その辺りは、では大臣、どのようにお考えでしょうか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の点、恐らく、技能実習機構が行っております技能実習計画の認定事務に関する御指摘ではないかと存じます。

 技能実習制度におきましては、御案内のとおり、実習実施者は、受け入れようとする技能実習生ごとに技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構から認定を受ける必要がございます。機構では、技能実習生一号の場合、標準審査期間というのは二か月以内と設定をしているところでございますが、令和四年度から令和五年度にかけまして、新型コロナウイルス感染症に伴う入国制限の解除を機に申請件数が急増いたしまして、一時的にではございますが、認定審査が滞ったことがございました。

 直近では、書類に不備等がなければ、おおむね標準処理期間内で処理できているところでございますが、この点、今後とも、状況に応じて機構において応援体制を組むなどにより、標準処理期間内に審査ができるように努めまして、実習実施者の皆様に御迷惑をおかけしないように努力をしてまいりたいと考えております。

岬委員 少し聞いていることと違う御答弁だと思うんですけれども、複数の分野の業務に従事しながら年間就労するというときの申請のお話ですから、少し違うのではないかなと思います。

 いずれにしても、外国人も日本人も人間でございますので、こっちは駄目だからこちらの全然違う地域にと言われても、皆さんも、様々なところにいきなり転勤させられて、また仕事をさせられても、うまく仕事が円滑にいくためには、やはり人間関係が非常に重要である、そして、その風土にきちんと根づいて溶け込んでこその、業務の、技術の修得であるとか就労になっていくと思うんですけれども、その辺りをもう少し、地域に応じたお仕事ができるような体制にしていくという枠組みを考えていただきたいと思うんですけれども、これが、選ばれる国を目指しているわけですが、選ばれる国に実際はなっていないわけです。これからは選ばれる国にまずなってから、今度は日本人側がしっかりと選んでいくようにするためにも、こういった柔軟なことというのは非常に重要だと思います。

 一つの場所で、きちんと通年でいろいろな業務に携わっていける、それこそが本当の意味での人材育成にもつながるのではないかと考えますが、最後に、大臣、いかがでしょうか。

新谷委員長 武見厚生労働大臣、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔に。

武見国務大臣 はい。

 我が国の現在の労働力不足、これは誠に深刻であります。国際的な人材獲得競争も激化しているところであり、技能実習制度が人手不足解消の手段として受け止められ、制度目的と実態の乖離が指摘されていることがあること、それから依然として人権侵害事案等が生じているとの指摘があることなどを踏まえまして、我が国が魅力ある働き先として外国人に選ばれる国になるための制度見直しの必要性が考えられています。

 このため、改正法案の中で、技能実習制度を発展的に解消して、人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度を創設をし、特定技能一号水準の人材を育成するための制度として、両制度の連続性を高めるとともに、転籍制限の緩和や、受入れや送り出しを適正化するための方策を講じることとしております。

 育成就労制度における受入れや対象分野、それから受入れ見込み数については、基本方針及び分野別運用方針において、有識者等の意見も聞いて定めることとしており、こうした人材確保の必要性や生産性向上の状況などを踏まえて、こうした課題に適切に対応していきたいと考えております。

岬委員 ありがとうございました。

 是非、各地域の実情をしっかりと踏まえた法改正にしていただけるように切にお願い申し上げます。ありがとうございました。

新谷委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 ちょっと質問の順序を変えてやります。

 この間、年金の額が増えて困っているという話を聞いたんですね。なぜかというと、年金の額が、今まで住民税非課税世帯だったのが、課税ラインになっちゃうという話だったんですね。結構そういう方も多いんだという話もお伺いしました。

 配付資料にありますように、住民税非課税世帯というのが要件になっている制度というのはたくさんあります。医療費の高額療養費の負担限度額も課税、非課税で大きく違います。入院時の食費、居住費、介護保険の高額介護サービス費の負担限度額も違う、特養などのホテルコストも違う。高額医療・高額介護合算制度など、多くの制度が住民税非課税世帯なら負担軽減がある、あるいは負担軽減の幅が大きいということがあるわけですね。

 さらに、資料の裏面、二ページ目を見てもらえばいいんですけれども、これは年金世帯じゃないですけれども、子育て世帯で見ても、ゼロから二歳の保育料の無料化、高校生等奨学給付金制度、高等教育の修学支援新制度の満額支援も住民税非課税世帯が支援のラインとなっています。義務教育の就学支援制度についても、七四・一%の自治体が住民税非課税を基準としているということなんですね。

 総務省にお伺いしますけれども、この二年余り、物価高騰、賃上げが進んでいる、また、年金額も、実質的には減っているんですけれども名目額は引き上がっているわけですが、こういう中で、住民税非課税世帯になる所得の基準額を引き上げている自治体というのはどれぐらいあるんですか。

馬場副大臣 お答えします。

 個人住民税の非課税限度額制度は、できるだけ多くの住民がその能力に応じて広く負担を分かち合うという個人住民税の地域社会の会費的性格を踏まえつつも、特に低所得者層の税負担に配慮するため、所得金額が一定の水準以下である者については非課税としておるところです。

 具体的には、所得割については、生活保護基準額……(宮本(徹)委員「制度の仕組みはいいですから、どれぐらいあるかだけ答えてください」と呼ぶ)はい。

 最終的には、均等割については、生活扶助基準額を勘案して国が定めた金額を参酌して、各地方団体の条例で基準額を定めることとされており、足下の令和五年度の基準額について、前年度から引上げを行った団体は承知しておりません。

宮本(徹)委員 引き上げているところはない、知らないと。ないのか知らないのか、今の答弁ではちょっと分からないんですけれども、ということなわけですね。

 先ほど言いましたけれども、年金世帯でいえば、マクロ経済スライドの仕組みがありますから、増えているといっても、実際は目減りしているという状況なわけですね。生活は厳しさを増している。だけれども、名目額が引き上がっているために、住民税課税世帯になることによって、医療や介護、様々な負担増になっているわけですね。

 こういうものに対しての対策というのが必要じゃないかと思うんですけれども、総務省と厚労大臣、双方にお伺いしたいと思います。

武見国務大臣 住民税非課税世帯のみならず、低所得者の方々への配慮措置といたしまして、保険料の軽減措置、それから所得に応じた自己負担、利用者負担の上限額の設定を行っております。例えば、国民健康保険や後期高齢者医療制度におきまして、住民税非課税の所得基準を少し超えたとしても、住民税非課税世帯と同様の保険料軽減、これは均等割の軽減を受けることができるようになっております。

 引き続き、こうした負担能力に応じて支え合うという観点から、低所得の方々に対する必要な負担軽減を行ってまいりたいと考えます。

馬場副大臣 委員御指摘の医療、介護を始めとした様々な制度の負担の在り方については、各制度の所管省庁においてそれぞれ適切に御判断をいただくものと考えております。

宮本(徹)委員 ちょっとどういう答弁なのかな、そう思ったんですけれども。

 まず、総務副大臣にお伺いしますけれども、住民税非課税世帯の所得ラインを引き上げるように自治体と協議するとか、そういうことというのも、こういう物価も賃金も年金も上がる局面ではあるんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

馬場副大臣 今の御指摘である、基準を引き上げるというようなことにつきましては、条例で定める基準額は各地方団体が地域の実情に応じてそれぞれ判断されるものであること、個人住民税は地域社会の会費的な性格を有することなどを踏まえると、極めて慎重な検討が必要であると認識しておるところであります。

宮本(徹)委員 何で慎重なのかがよく分からないんですよね。協議すればいいじゃないですか。だって、実際は生活水準は厳しくなっているわけですよね。それはお分かりですよね。生活は厳しくなっているのに住民税課税になっちゃうという事態が起きているわけですから、これをどうにかしようというのは本来自治体と一緒になって考えなきゃいけない話だと思いますよ。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど副大臣から申し上げましたとおり、個人住民税の均等割の非課税限度額でございますけれども、これは、法律によりまして、生活扶助基準額を勘案して国が定めた金額を参酌して、地方団体の条例で基準額を定めることとされておりまして、この生活扶助基準額というのがデフレの時代に下がり傾向にあったんですが、個人住民税の非課税限度額は据え置いてきたものですから、実は、今段階で申し上げますと、生活扶助基準額よりも非課税限度額のラインの方が上にある、こういう状況にあるということでございます。

宮本(徹)委員 じゃ、その基準そのものを、考え方そのものを改めた方がいいんじゃないですか。私は生活扶助基準額を引き上げるべきだと思いますけれども、それはそれでまた生活保護の議論になりますから。

 これはどちらですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたとおり、個人住民税は地域社会の会費的な性格を有しております。ただ一方で、生活保護を受ける方並みの収入しかない方にまで負担を求めるのは、それは非常に難しかろうということで、この制度を設けてございます。

宮本(徹)委員 ですけれども、実際、困る方が増えているわけですよね。今まで住民税非課税だった方々は、生活が厳しくなっているのに、課税になって医療や介護の負担が増えていく。どう考えてもこれはおかしいと思うんですよね。

 これは局長さんじゃなくて政治家が判断しなきゃいけない話ですから、是非御検討ください。

馬場副大臣 再三のお話でありますけれども、各制度の所管省庁においてそれぞれ適切に御判断いただくものと考えております。

宮本(徹)委員 ちょっとどうにもならない答弁ですね。これはちょっと与党の皆さんからも是非声を上げていっていただきたいと思いますね。

 今日は、文科省、あべ副大臣にも久しぶりに厚労委員会に来ていただきまして。同じように、教育関係も所得ラインでいろいろな支援制度が決まっているわけです。これは住民税非課税世帯に限らない、いろいろな制度もあるわけですけれども、賃金が上がると、物価が上がっていなければそれはいいんですけれども、実際は二十三か月連続で実質賃金は低下という中で名目賃金が上がっていることによって、支援の額が小さくなったり、支援が受けられなくなるという事態が起きている。これは対応を考える必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

あべ副大臣 宮本委員にお答えいたします。

 文部科学省といたしましては、これまで幼児教育、保育の無償化、義務教育段階の就学援助制度、また高等学校等の就学支援金による授業料の支援と高等教育の修学支援新制度など、学校の段階の全体を通じた教育の無償化、負担軽減に取り組んできたところでございます。

 その上で、例えば高等教育費に関しましては、これまで対象となっていなかった中間所得世帯に関しましても、本年度から多子世帯及び理工農系への拡大を行うなどの取組を進めているところでございまして、引き続き、教育費負担の軽減を着実に進めていきながら、その実施状況、効果を検証しながら教育費の負担軽減に取り組んでまいります。

 以上です。

宮本(徹)委員 それは上に広げたという話で、現に、高等教育の無償化では満額支援、住民税非課税世帯レベルだと。そこを最低賃金が上がったことによって超えた、だけれども物価には賃金は追いついていない、生活は厳しくなっているのに支援額は低くなるということがいろいろな問題で起きているんですよ。(発言する者あり)政府全体で考えるべきだと田村元厚労大臣から声が上がりましたので、これは政府全体で考えるという方向でちょっと、武見大臣、閣僚の中で少し問題提起していただけませんか。

武見国務大臣 税、保険料を含めた負担と給付の問題というものについては、これは常に政府全体で考えながら、それぞれ各省庁、所管の中でまたさらに負担と給付についての議論を進めるという、こうした構図になってくるわけでございます。その中でしっかりと両者のバランスが取れるように、そしてまた持続可能性が高まるように努力をしていきたいと思います。

宮本(徹)委員 そういう話を聞いたわけじゃないんですけれども、田村さんからも是非声を上げていただいて、よろしくお願いしたい。与党からも是非声を上げてください。これは本当に大変な事態が社会で起きている。うなずいている与党の議員の皆さんもいますので、超党派で取り組んでいきたいと思います。

 総務省と文科省、ここまでで、御退席していただいて結構でございます。

 続きまして、介護保険の利用限度額についてお伺いしたいと思います。

 認知症の人と家族の会の方の調査では、在宅介護サービスを利用する際に、利用限度額近くまでフルに使っている人が三九%、さらに限度額を超えて利用している人が一三%もいたということで、利用限度額基準の引上げは待ったなしの課題だというお話を伺いました。

 配付資料の三ページ目につけておりますけれども、これは認知症の方に限らず、居宅サービス給付について、支給限度額に占める平均費用額の割合がどうなっているのか。制度発足から大きく上がっているわけですね。要介護五でいえば、四九・三%から六六・九%に上がっております。そして下が、利用者に占める支給限度額を超えている者とほぼフル利用の者の合計の割合も、制度発足時から倍ぐらいに上がってきているということなんですね。これはちょっと、下の方はかなり粗っぽい試算なんですけれども。

 ちょっと厚労省にお伺いしたいと思いますが、こういう実態があると思うんですけれども、その原因についてはどう分析されているんでしょうか。

間政府参考人 お答えいたします。

 委員御案内のとおり、介護保険においては、同じ要介護度であっても利用者のニーズは多様でありますので、一定の枠内で合理的にサービスの選択をし、生活に密着したサービスを公平に利用いただく観点から、要介護度別に区分支給限度額を設けております。その中で、最近伸ばしておりました処遇改善加算とかあるいは離島等に対する特別地域加算などは、区分支給限度基準額には含めない扱いとしてございます。

 その上で、まず、事実として、お尋ねの、介護サービスの利用者のうち区分支給限度基準額九〇%以上一〇〇%以下の単位数を給付されている方の割合は、先ほどの処遇改善加算を除いたものでございますが、二〇二〇年三月サービス提供分で一〇・五%、二〇二三年四月サービス提供分、約三年後でございますが、九・七%でございます。また、区分支給限度基準額を超えて一部自費で介護サービスを利用されている方の割合は、二〇二〇年三月サービス提供分で二・二%、二〇二三年四月サービス提供分で一・五%でございます。ちなみに、制度が施行されて二年後の二〇〇三年三月では二・二%でございます。

 なお、認知症の方に限ったデータは、要介護の中に含まれておりますので、それは承知していないところでございますが、こうしたように、近年、必ずしも御指摘のような方の割合が増えているとは認識をしていないところでございます。

宮本(徹)委員 近年ということを聞いていないんですね。私、制度発足時からという話をしたんですけれども、何か全然違うところのお話をされているんですけれども。

間政府参考人 失礼しました。

 今委員御指摘の点は制度発足から二年後のところでございますので、その間からもう二倍以上に利用者も増えているということで、制度が定着する中で利用が進んできたという面があるんだろうというふうに思います。

 その上で、今年は介護保険施行二十五年目、四半世紀を迎えるわけでございますけれども、そういった中で、定着する中では、この三年間の状況を見ますと、先ほど申し上げたような状況にあるということをお答えしたところでございます。

宮本(徹)委員 制度が定着したから、フルに使う人が増えたというのが政府の分析なんですかね。それだけですか。

間政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、区分支給限度基準額につきましては、この間のいろいろな社会経済状況の変化もあるわけですが、とりわけ、今喫緊の課題になっております処遇改善などについては、この限度額に含めない形になっています。そういった中での御利用ということであれば、そのサービスが、提供してくださる方が、事業所も増えて、その御利用が進んだということが第一の原因だというふうに考えています。

宮本(徹)委員 処遇改善加算以外の加算はかなり増えていますよね。支給限度額にカウントする加算もたくさん増えているというのが一因としてあるんじゃないですか。

間政府参考人 お答えいたします。

 政策改定に関わるような加算の関係は、それを行うときには、必要な見直しも行って、そこの財源も確保しながら改善すべきものは改善するというような、凸凹をちゃんとつけながら、めり張りをつけながらやるということになっておりますので、新たな加算を充実してきたのは事実でございますけれども、それによって直ちに何か増えたということだけではないというふうに、そこが一番の理由ではないというふうに思っています。

宮本(徹)委員 一番の理由じゃないということは、それも理由に入っているということをお認めになった答弁だというふうに思います。

 大体十年前ぐらいですかね、支給限度額についての厚労省の様々な分析されている資料も見ましたけれども、その中でも、様々な加算が、支給限度額目いっぱいになる、あるいは超える方が出てくる一つの理由だということで、いろいろ紹介されていますよね、これも。私はそういうのを見た上で質問しているわけですから、ちゃんと厚労省のこと、書かれていることは答えていただきたいと思うんですよね。

 私は、制度発足時から考えて、様々な加算をつくってきた、処遇改善加算は確かにカウントはしないですけれども、その他のいろいろな加算があることによって、実態として、同じサービスを使っている人でも、支給限度額いっぱい、あるいは超えてしまう、こういう事態が起きている。限度額を超えると一〇〇%自己負担ですから、負担は大変ですから、そうすると、そこを超えないようにということで、必要なサービスを我慢するということも起きてしまうわけですね。

 ちょっと、近年余りやっていないと思うんですけれども、支給限度額が介護サービスを必要としている方の実態に合っているのかという調査を是非やってほしいと思うんですよね。先ほどの局長の答弁を聞いていると、どうもちょっと、過去のものを調べているのかなという心配もありますので。どうでしょうか、大臣。

武見国務大臣 この点に関しましては、まず、介護保険の区分支給限度基準額というものそのものが、要介護度ごとに標準的に必要と考えられるサービスの組合せ等を勘案して設定しているものでありますから、この点、実際にその施行状況について、既に各種のデータがございますので、それらをきちんと注視しつつ、地域において適切な介護サービスが安定的に提供されるように、実態を踏まえて対応をしていきたいと考えます。

宮本(徹)委員 事業者だとか関係団体の聞き取りなんかもしっかり是非やっていただきたいと思います。十年前にはそうした調査もやっていると思いますので、お願いしたいと思います。

 次のテーマに行きます。看護師等の賃上げについてお伺いしたいと思います。

 先日、朝日新聞で見ました世論調査で、国民が人手不足で不安になっている分野の一番が医療、介護、八〇%の国民が不安だと答えているわけであります。

 ちょっと一例として、国立病院機構の二〇二四年四月採用の、募集した看護師数と採用実績、充足率、数字だけ紹介してもらえますか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 国立病院機構の二〇二四年、令和六年四月の常勤の看護職員の募集人数は四千五百七十人、採用者数は三千三百六十一人、充足率は七三・五%でございます。

宮本(徹)委員 簡潔な答弁、ありがとうございます。

 そういう数字で、七割台ということで大変充足率も低いわけですね。人手不足を解消していくためには、労働条件の改善が非常に重要になっていると思うんですね。

 今年は、診療報酬改定で二・五%のベースアップをやるんだということで政府はやってきたわけですけれども、日本医労連、この分野の労働組合の全国団体に昨日段階で春闘の回答状況を聞きましたら、ベースアップは平均で一・六七%だという話でございました。厚労省として把握していますか。

伊原政府参考人 まさに今回の賃上げにつきましては、改定による措置のフォローアップの仕組みで適切に把握することにしております。具体的には、今月より開始しましたベースアップ評価料の届出の際に賃金改善計画書の提出を求めておりまして、今後、それを踏まえて収集、分析をしたいと考えております。

宮本(徹)委員 現状は把握されていないわけで、これから把握するということなんですけれども、春闘の状況ぐらいは是非把握をしておいていただきたいと思うんですね。

 なぜ上がらないのかということで、幾つかあるんですけれども、一つは、ベアではなくて手当で対応している医療機関があるというんですよね。なぜかと聞くと、厚労省の資料で、令和六年度の診療報酬改定では、賃上げに向けた取組として特例的な対応を行いますというのがあるわけですけれども、この特例的な対応の意味が二年限りの対応だというふうに読まれているんじゃないか。その後続いていく保証がないのならということで、ベースアップじゃなくて手当で対応している、こういう医療機関が一定あるという話を伺っております。

 二〇二四、二〇二五年度以降も、ベースアップした分はその後の診療報酬改定でも保証される、こういうことをちゃんと医療機関に明示的に示す必要があるかと思うんですが、大臣、端的にお答えをお願いします。

武見国務大臣 診療報酬については、二年に一度の改定時に、その時点の医療費や物価、賃金の動向、医療機関等の収支や経営状況、保険料などの国民負担、それから保険財政や国の財政に関わる状況等を踏まえることから、現時点で、令和八年度診療報酬の内容、そこまで今申し上げることはできません。

 ただ、一般論として申し上げると、今般の診療報酬改定による賃上げが確実に実施されて、またそれが継続されるということが大変重要だというふうに考えております。

宮本(徹)委員 何かそれだと本当に心配になっちゃうんですけれども。ちゃんとこの分は続くんですよとやはりちゃんと言わないと、一回上げたら下げられないですからね、医療機関は。(発言する者あり)続きますと。さっきから田村元大臣は外野からわあわあ言うんですけれども、政府がちゃんと言わないと医療機関に伝わらないですよ。そこはしっかり田村さんからも意見を出してください。

 最後ですけれども、もう一つ、診療所では、二・五%の賃上げにならないという声がたくさんあるんですね。配付資料の次のページに載せておきましたけれども、政府のシミュレーションを見ましても、二・五%に行かない、二%未満のところもたくさんあるわけですね。ですから、例えば、病院と診療所の両方を持っている法人からは大変苦悩の声が上がっております。

 私は、医療現場での追加の賃上げ支援策がなければ、例えばこうした診療所と病院を持っているようなところでは二・五%の賃上げになかなかならないんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

新谷委員長 武見厚生労働大臣、簡潔にお願いいたします。

武見国務大臣 はい。

 今般の令和六年度の診療報酬改定では、賃上げの対応として、ベースアップ評価料の新設のほか、初再診料や入院基本料等の引上げなどを行うとともに、入院時の食費の基準額を引き上げるなど、医療機関の経営にも配慮した対応を行っているところでもございます。これを着実に施行してまいりたいと考えているところであります。

宮本(徹)委員 それでは二・五%にはなりませんので、政府としてもちゃんとつかんでいくということをおっしゃっていますので、つかんだ上で、二・五%になっていないということが分かったら、その段階で追加の支援策を是非具体化していただきたい、そのことを強く申し上げまして、質問を終わります。

新谷委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いします。

 今日は、ハンセン病についてと、障害者の法定雇用率について伺いたいと思います。

 厚労省は、一般の人を対象に、差別や偏見の実態を把握するために、初めて今回、意識調査を行ったということであります。その報告書が上がってきているということでありますが、どのようなことが明らかになり、また、その結果をどう受け止めているのかをまず大臣に伺いたいと思います。

武見国務大臣 ハンセン病に係る偏見差別の解消のための施策検討会における提言を踏まえまして、昨年十二月にハンセン病の偏見、差別等に関する全国的な意識調査を実施いたしました。現在もハンセン病元患者や家族に対する偏見や差別があると思うと答えた者は約四割などとの結果が得られております。

 厚生労働省としては、この調査結果をしっかりと受け止めて、引き続き、啓発用パンフレットを作成をし、広報活動等を実施するなど、偏見、差別の解消に向けた取組を進めることが重要であると考えております。

田中(健)委員 国と国会においても、この間、隔離政策の誤りを認めて謝罪をし、そして、患者や遺族が申請をすれば補償金を支払う救済制度を設けています。また、令和元年度には、患者だけでなく、家族に対しても補償金を支払う制度ができています。

 この補償金制度ですけれども、現在、どれだけの家族が請求をし、支払いが行われているのか、参考人から伺います。

大坪政府参考人 御答弁申し上げます。

 この制度、令和元年十一月二十二日に施行されておりまして、令和六年四月十九日現在の数字で申し上げますと、ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律に基づく請求の受付件数が八千三百九十四件、このうち支払い件数が八千百四十四件でございます。

田中(健)委員 一番直近の数、今、八千三百九十四件と聞きましたけれども、前の数を見ますと、二〇二〇年、始まって一年目は、五千三百六十八人と一年目で多くの申請がありまして、二年たった二〇二二年が七千七百十六人、そして今回、二〇二四年が八千三百人強ということで、最初は五千人と多くの申請があったけれども、なかなかこれから申請が伸びていないということであります。

 当初、厚労省は請求想定を二万四千人というふうにしていたということを聞いていますけれども、今、想定の三割ほどとなっていますが、想定より低い数にとどまっているのにはどのような理由が考えられるのか、伺います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生おっしゃいました最初の想定の二万四千、これも、当時、統計の数字があるわけではない中で、一定の条件で算出したものではございます。

 ただ一方で、現在でも少なからずまだ申請の手が挙がっていることを考えますと、請求件数の数の少ない理由につきましては、補償金の制度をまだ知らない方がいらっしゃる可能性、また、元患者の御家族であることを周囲に知られることを望まない方がいらっしゃる、また、元患者の皆様が、様々な御事情により、自身がハンセン病の元患者であることを御家族に伝えていない、こういったことから御家族の方が御自分が対象者であることを知らない、こういった可能性があるというふうに考えております。

田中(健)委員 今、理由の中で、知られたくないということがありまして、私も患者の方からお話を聞きますと、やはり申請する上で大きな壁となっているのは、家族自身が周囲に元患者の存在を隠しているというケースがまだ多いということであります。

 補償金の申請の際には、必要な書類として戸籍謄本が必要だということでありますけれども、その戸籍謄本を取る際に、役所に取りに行かなければなりませんが、その場合、使用理由というのを聞かれる、それで周囲に知られることを恐れたり、また、他の家族に、ハンセン病のこと、自分たちに、家族にいるということを、さらに、隠している、これも知られるおそれがあるということで、申請をできないというよりも、断念をするという言い方をしていましたけれども、断念をするしかないということをお聞きをしました。

 この隠さざるを得ない状況というのが今でも続いているということが、差別がまだ続いているというあかしではないかと思っています。

 このような課題は残っている中、現状の所見とまた対策について、武見大臣、どのようにお考えか、伺います。

武見国務大臣 ハンセン病元患者家族補償金につきましては、厚生労働省が直接、御家族のプライバシーに配慮しつつ、御家族からの請求を受け付けております。また、他の家族に知られたくない請求者には、自宅以外に連絡する、それから、厚労省からの連絡と分からないよう無地の封筒で送付するなどの配慮を行っております。

 厚生労働省といたしましては、差別の解消に向けて、啓発用パンフレットの活用や、国立ハンセン病資料館の学芸員による出張講座などの取組を着実に進めてまいります。

 また、今後も、ハンセン病元患者の家族補償金の請求に当たりましては、情報が他者に知られることがないように、プライバシーに配慮した取組を行ってまいりたいと思います。

田中(健)委員 まずは、今、知られたくないというものに対する質問をしましたけれども、さらに、先ほどの答弁には、その時点でそのものを知らないというお話もありました。

 ハンセン病については、国が隔離政策の誤りを認め謝罪をしている、さらに、救済制度を実施しているということは国としては一義的には周知をしているんですけれども、まだ都道府県や市区町村という単位では、周知徹底、先ほど大臣からは啓発のパンフレットというのがありましたけれども、私は、まだまだ取組が少ないというか、できていないんじゃないかというふうに思っています。

 国だけですと、見ますと、補償金についての問合せは厚労省の担当課と電話番号だけ書いてあるんですけれども、それだけでありまして、やはり、各自治体にもしっかりと協力を仰ぐ、ないしは、啓発にもしっかりと共に取り組んでいくということが必要であり、実効性のある啓発活動というのがこれから求められているかと思いますが、その取組については、大臣、どのようにお考えでしょうか。

武見国務大臣 委員御指摘のとおり、都道府県、それから市町村にも啓発活動を行っていただくこと、これは極めて重要であります。

 厚生労働省としては、都道府県や市町村が行う偏見、差別解消等への取組に対する保障事業を行っているところでもございますので、今後とも、この事業について都道府県や市町村に周知を行い、偏見、差別解消に向けた取組を進めてまいりたいと考えます。

田中(健)委員 是非、都道府県、市区町村、取組も進めていただきたいと思います。

 先ほどの、大臣から、今回の意識調査の件の中で、現在、偏見、差別があるという人が四〇パー弱、三九%という話だったんですが、様々見ていきますと、いろいろなことが分かります。

 例えば、ハンセン病について知っている、名前は聞いたことがあるという人は九割でありまして、全く知らないという人は一割ほどで、認知はされていますけれども、例えば今の啓発活動という意味で見れば、元患者や家族が受けた被害を知っているかということでありますけれども、強制隔離政策を違憲とする判決があったことや、また、家族、患者に対する偏見、差別の被害を認める判決があったこと、これなどは七割の方が知らないということでありますし、また、戦前戦後に全てのハンセン病患者を強制隔離する官民一体の運動がなされていたことを知っているか、これも七割の人が知らないんですね。というようなものを拝見させてもらいました。

 つまり、まだまだ、もちろん、当事者、家族の人だけでなく、一般の人も知らないということが実態であります。

 ハンセン病問題の学習経験の有無を聞いたアンケートもありましたが、受けたことがない、五割弱ですね、さらに、はっきりと覚えていないを合わせると八割ということで、私も思い起こしてみれば、どこでこれを教えてもらったかな、また、学んだかなということをこの質問を作るときに考えていたんですけれども、そういうことが今回の状況で明らかになりました。

 是非、都道府県、自治体単位でも広く広報を行っていただくと言っていただいたんですけれども、この報告書の中に、最後に、やはり、国の人権教育など、さらに啓発などが住民に届いていない、それが差別根絶を阻んでいるんじゃないか、その可能性がある、改善に向けて早急な検証が必要だという指摘がされています。今までの質疑を見て、大臣にもう一度、国としての取組、特に、報告書の中で、早急な検証と取組を求めるという指摘に対してどのようにお答えいただけるのか、お聞かせください。

武見国務大臣 ハンセン病に関わる偏見、差別の解消というものは国の責務である。そしてまた、各都道府県、市町村においてもその周知徹底にしっかりと御協力をしていただきたい。そのための周知徹底の努力というものは、厚生労働省としてもこれを徹底して行うという姿勢でございます。

 その上で、実際、委員御指摘のとおり、まだまだこうした周知徹底について十分でないという側面もあるということは真摯に受け止めて、それを更に周知徹底させる努力というのを継続して行うことが重要だと考えます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 大臣からも力強いお答えをいただきましたけれども、私も、今回のこの調査報告書を見て、こういう現状なんだということを改めて確認ができましたので、是非皆さんで啓発、そして理解に努めていきたいと思います。

 さらに、家族補償法については、議員立法で成立をしたということで、今年の十一月に申請期限が切れます。先ほどですと、まだ想定の三割ということで、まだまだ、知らない、また知られたくない、様々な理由で申請ができていない御家族がおりまして、これを延長しようということで準備が超党派で進められているということもお聞きをしています。しっかりと家族に補償金が行き渡るように、私たちも超党派で力を合わせていきたいと思っています。

 ハンセン病の治療法が確立されてからも、国は、二十八年前ですね、隔離政策を継続してきました。差別や偏見、思い込みをなくしていくことに社会全体で取り組む努力が必要だと思っています。

 そんな中、最後なんですけれども、この補償金の中で、家族の方から、おなかの中にいた場合だったときの子供や、また、養子縁組した以前に生まれた子供など、家族補償法制定時に想定していなかったような新しい家族が生まれる事例が生じているということもお聞きしています。施行規則を、柔軟化によって更なる対象を拡大できないかといった要望の声もありますけれども、これについてはどのように考えればよろしいでしょうか。

武見国務大臣 ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律は、ハンセン病訴訟の統一交渉団の皆様の御意見を踏まえて、議員懇談会で御議論をいただいた上で、議員立法として成立したものでございます。その補償金の対象者の範囲についても、この議員懇談会での議論を踏まえて規定したものと承知をしております。

 ハンセン病元患者家族に対する補償金の請求期限が今年十一月二十一日に到来するに当たりまして、この法律の取扱いについて、現在、議員懇談会を中心に御議論をいただいているものと承知をしており、厚生労働省としては、その立法府の御議論を注視しつつ、必要な対応を行ってまいりたいと思います。

田中(健)委員 是非、議員懇談会と足並みをそろえていただきまして、前に進んでいただければと思います。ありがとうございます。

 引き続きまして、障害者の法定雇用率について伺いたいと思います。

 障害者の雇用促進法の改正によりまして、今年の四月から障害者雇用率が段階的に引き上げられています。現在は二・三%でありますけれども、これを二六年度に二・七%にまで上げるということです。

 企業の雇用される障害者の数というのは、二三年六月の直近ですと六十四万人強ということで、これは前年より四・六%増えているという結果が出ています。実は、数としては障害者雇用というのは増加をしておりまして、雇用促進法改正によって前向きにどんどんと進んでいるということが分かるんですけれども、課題となっているのは障害者の所得水準だと言われています。

 厚労省が行った五年に一度の障害者の雇用実態調査によりますと、身体障害者の平均賃金というのは月二十一万五千円、フルタイムの労働であっても二十四万八千円。全産業の労働賃金平均の額が三十万六千二百円と同じ時期の額であります。これは大きな差があります。

 障害者であっても健常者であっても、同じ仕事をしている中では同一労働同一賃金の考え方というのを適用されますし、また、賃金水準が開いてしまうのも大きな問題だと思っていますが、これに関わる理由と対応というのをお聞かせいただければと思います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の賃金水準の差でございますが、障害者と労働者全体を比較した場合、職務内容それから平均勤続年数などが異なっている可能性がありまして、こうした要素によりまして賃金差が生じ得るものと認識をしてございます。

 御指摘のように、障害のある方々が能力や適性を十分に発揮して活躍していただくことは非常に重要でございます。それが、賃金を含む処遇の改善にも重要であるというふうに考えてございます。

 このため、ハローワークにおきまして、個々の障害者の特性を踏まえてきめ細かなマッチング支援を実施をしておりますし、また、障害のある方、企業に雇用された後におきましても、その待遇改善を支援をしていくために、障害者を雇用する事業主に対して、短時間勤務から段階的に勤務時間を増やすことも含めて、御本人の希望、状況を踏まえた職場定着支援をハローワークで実施をしております。また、有期雇用労働者等の労働時間の延長ですとか正規雇用労働者等への転換を行った事業主に対する助成金の支給も行ってございます。

 引き続き、障害者一人一人が希望や能力に応じて生き生きと活躍できる社会の実現に向けて、努力してまいります。

田中(健)委員 障害者の方、実際の話を聞きますと、今は出ませんでしたけれども、理由のまた一つとして挙げられるのは、やはり非正規の雇用の労働者が多いということです。合理的配慮のしやすい身体の障害であっても正社員の比率というのは五〇パーということで、さらに、精神障害や発達障害になりますとその割合は二〇%台までに下がるということで、まだまだ正規化の道が遠いと。

 今、正規化による支援や補助が出るということでありましたから、是非、正規化に向けての取組、非正規から正規雇用への取組というのを進めていただきたいと思いますし、企業によっては、先ほど言われました段階的に正規化に進めるということで、日揮のパラレルテクノロジーズさんという企業さんは、最初の三年間は有期雇用ですが、そこで安定した勤務で成果を出せれば無期雇用の正社員に転換するとか、また、障害者は習得になかなか時間がかかりますので、昇給幅を千円単位で区切ってするなどの様々な取組を今回質問するのに学ばせていただきましたので、是非そういった取組も進めて、また展開をしていただければと思っています。

 企業はそういった様々な取組をしているんですけれども、一方、行政の方はどうかというと、北海道の労働局は、三月二十七日に、法定雇用率の達成に向けた改善が見られなかったとして、道内の三十七の公的機関に適正実施勧告を実施をしました。調べてみますと、福岡県や富山県でも同じように労働局からの勧告が次々と各自治体に出されています。

 今、民間も力を合わせて障害者雇用率のアップに取り組んでいる中、行政機関がこの状態では、なかなか示しがつかないというか、やはり行政も先導してこの取組を進めていかなきゃならないと思っていますが、国においてはかなり取組を進めてきた中で、地方において取組がなかなか進まない、そういう状況を大臣はどのように認識して対応を考えているのか、伺います。

武見国務大臣 市町村を含む公的機関は、率先して法定雇用率を達成する立場にございます。

 今般、北海道において三十七の市町村等の機関が適正実施勧告の対象となったことを含めて、市町村等の機関に適正実施勧告が行われたことは誠に遺憾でございます。

 適正実施勧告の対象となった市町村等の機関に対しましては、各労働局において、当該機関の幹部を責任者とする障害者の任用を積極的に推進する体制の整備を求めるとともに、他の市町村等における好事例を提供し、当該機関の求人充足に向けた積極対応を行うなど、直接指導と積極的な支援の実施により、障害者雇用の早期の改善を図ってまいりたいと考えます。

田中(健)委員 大臣からも、遺憾であるということと、率先して取り組むということをお話しいただきました。

 お話を北海道の人に聞いてみますと、かなり小さい自治体ですとそもそも障害者の人がなかなかいないという状況もあったりして、簡単にはいかない現状もお聞かせいただいたんですけれども、そうはいっても、やはり、今大臣が言ったように、民間以上に公的機関が率先してやることが大切だと思いますので、是非その取組を前に進めていただければと思います。

 時間が来ましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

新谷委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 今日は、空襲被害への特別給付金等について御質問させていただきたいと思います。

 私は、地元水戸で八月二日に空襲があったんですけれども、それよりも、私、元禄二年から江戸で商売をやっておりまして、父親の実家が両国にあって、空襲で、そこはたまたま焼け残ったんですけれども、家は神楽坂にあって、そちらは空襲で焼けたということで、身近に子供の頃から祖父母から東京大空襲の話を聞いてまいりました。

 そうしたことをブログに書いたところ、私の部屋の向かい側にいた柿沢未途さんという議員が、是非議連の事務局をやってくれないかということで議連の事務局になりまして、法案を作る実務者として議連の法案を作ることをさせていただいたんですが、特別な事情によって柿沢さんがいなくなっちゃったものですから、この度、空襲議連が新しいメンバーで一新されました。

 資料一につけているのが名簿なんですけれども、平沢勝栄先生が会長で、松島みどり先生が会長代行兼事務局長という下町コンビで、今回、幹事には木原誠二自民党幹事長代理、政調会長特別補佐も入っていただいておりますので、来年、戦後八十年で、戦後八十年にこの問題を解決しないまま過ごすわけにはいかないという思いで、何としてもこの国会に、法案はもうできておりますので、提出をして、成立させようという思いで今やっております。

 大臣、この新しい空襲議連の役員名簿なども御覧になって、この議連の活動についてどうお感じになっているか、まず一言、御感想をいただければと思います。

武見国務大臣 大変有力な先生方が名前を連ねておられるというふうに思います。この議員連盟については、先日、総会が開催されたこと、報道によっても承知をしております。引き続き、御議論の動き、しっかり注視してまいりたいと思います。

福島委員 もう議論は終わっておりまして、ほかの、自民党さん以外は全部了承しております。自民党さんも、今回、木原さんにも入っていただいて、恐らくそれなりに進んでいくんじゃないかと強い思いを持っておりまして、それで、要綱案というのを今日つけております。

 資料二としてつけているんですけれども、これは、空襲で障害を受けた方に五十万円の特別給付金を支払うというものでありまして、ここの定義というところです。特定戦災障害者等というのが二の定義の2にありますけれども、空襲で負傷したり外見がひどくなったりとかあるいは心理的な障害を負った方に、これは補償じゃありません、戦争への補償じゃなくて、特別給付金として五十万を与えるということで、給付するということで、対象は大体四千六百人、もうちょっと減ってきているかもしれないです。予算はトータルすると二十億オーダーでありまして、事務費なんかも入れると。そんな大きな額じゃないんですね。

 所管をどうするかというのも、私たちが法案を作っているときいろいろ議論があって、シベリア特措法という同様の法案のときには、総務省所管の独立行政法人平和祈念事業特別基金というのでやらせたんですけれども、ただ、これは二〇一三年に解散しちゃっているんですね。それで、厚生労働省の所管というふうに法案ではしております。

 今年の二月二十八日の予算委員会第五分科会の近藤議員への答弁で武見大臣は、一般戦災者に対する補償などは厚生労働省の所掌を超えているとおっしゃっているんだけれども、私は、果たしてそうだろうかと思うんですね。

 設置法は、所掌事務と任務というものがあります。任務に基づいて、所掌事務というのは、こうした法案ができれば新たに法改正してつけ加えるので、まだ法律がないから所掌事務に載っていないのは当たり前なんですね。

 厚生労働省の任務というのは、第一項に、社会保障の向上及び増進とか、あるいは第三条二項で、引揚げ擁護、戦傷病者、戦没者遺族、未帰還留守家族等の援護とか、そうしたのがありまして、少なくとも私はこの社会福祉、社会保障の向上、増進という厚生労働省の任務には入るんじゃないかと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の厚生労働省設置法の第三条の任務規定でございますが、厚生労働省の達成すべき行政目的について規定しているものでございます。

 まず、第一項につきましては、一般の社会福祉、社会保障施策等の増進等について任務として規定しているものと考えております。また、第二項につきましては、戦傷病者、戦没者遺族、未帰還者留守家族及びこれらに類する者の援護等について規定をしているものでございまして、議員御指摘のような一般戦災者までを含むものではないと考えております。

福島委員 一般戦災者とも聞いていないですよ。だって、障害を負った方への特別の給付金というのは、ほかにも、さっきのハンセン病だってそうじゃないですか。何でこれは任務に入らないんですか。もう一度答弁ください。

鳥井政府参考人 第三条、任務規定と承知しております。その中で、社会福祉、社会福祉施策の増進等について任務として規定しているものと考えております。

福島委員 何で障害を負った方への給付金が任務に入らないんですか。入りますよね。

鳥井政府参考人 障害者施策につきましても、一般の社会福祉の増進等ということで、任務として入るものと考えております。

福島委員 だから、入るんですよ。何でこれを認めるのに五分もやり取りしなきゃならないんですか。

 任務に入るんですから、大臣、法案の要綱の一番最後に、その他、厚生労働省設置法の改正等所要の規定を整備することと書いてありまして、ここで所掌事務を入れれば厚生労働省の所掌事務になるんです、任務に入っているので。

 ですから、論理上は、厚生労働省が所掌することは可能と考えていいですよね、大臣。法律、議員立法すれば、当然、厚生労働省の所管になり得ると考えてよろしいですよね。

武見国務大臣 議員の御趣旨にのっとって法改正をすれば、そのようなことになるんだろうと。

福島委員 ありがとうございます。明快な答弁、ありがとうございます。さすが立法府から行政に入っている方だと思います。

 この問題について、近藤昭一議員のやり取りの中で、実はかなり難しい問題もたくさん含まれております、限られた財源の中で、実際に全てのそうした戦災者たちを対象として補償するということは限りがございますと、今年の二月二十八日の予算委員会第五分科会で大臣は答弁されております。

 でも、この要綱を見ると、まず、財源は、さっき言ったように二十数億円であります。私は可能な財源だと思います。全ての戦災者たちを対象とはしておりません。空襲によって障害を負った方ですから、全国で四千六百人、四千人台しかおりません。しかも、これは補償じゃなくて、その人に対する、これまで苦労をかけていたよねという慰労の意味も含めての給付金なわけでありますけれども、こうした大臣の答える難しい問題というのは、これ以外に何かありますか。

武見国務大臣 まずは、現行法の中で私どもは考えなければなりません。したがって、現行法の中で、こうした一般の戦災者に対する補償などは厚生労働省の所管を超える事柄だという認識を私どもは持っておりますので、その立場からの御答弁となります。

福島委員 いや、私は一般の戦災者に関する補償ということを言っているわけじゃなくて、ここで要綱もお示ししているわけですから、空襲によって障害を負った方に五十万円の慰労金を払うということであって、補償ではないんですよ。だから、慰労金ではない。しかも、対象は一般の戦災者じゃない。しかも、予算的にも一定の額で限定されるということであれば、大臣が二月二十八日におっしゃった難しい問題というのは解決されているんじゃないですかと私はお聞きしているんです。

武見国務大臣 先ほども申し上げたとおり、先生の御趣旨に沿って法改正が行われれば、そういうことになるんだろうと思います。しかし、そうでない現状においての私の立場は既に説明したとおりです。

福島委員 そうしたら、大臣、これは恐らく、まあ僕らは本当に、議連の中で、成立するように頑張っていきたいと思うんです。もう十年以上この問題をやっていて、私はこれをやったって別に票になるわけでもないんですよ。でも、自分の親の実家が両国にある者として、使命を持ってやっているし、多くの議員はそういう思いでやっていると思うんですけれども、これが成立すればしっかりと法律に従って厚生労働省でやっていっていただけるように、仮定のことには答えられないと答弁されるかもしれないけれども、でも、これはこのまま成立したら厚生労働省所管になるし、今日、任務の規定から見ても設置法が変われば厚労省所管になるということもお認めいただいておりますので、是非、政治家として前向きに御協力いただいて、厚生労働省をしっかりと御指導いただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

武見国務大臣 当該議連でおられる皆様方の議論の動向というのをきちんと注視をして、そして、厚生労働省として何ができるか、考えていきたいと思います。

福島委員 是非お願いします。

 あと、残り短くなってしまって、鹿沼統括官、いつも呼んで空振りで申し訳ないんですけれども、全然違う話なんですけれども、私は、厚生労働委員会に所属して一番何か違和感を持つのは、特に労働分野なんですけれども、答弁で、労働政策審議会の建議を踏まえてとか、労働政策審議会の意見を聞いてと言って、私は水戸ですけれども、水戸黄門の葵の御紋のように労働政策審議会というのがばあんと出ていて、何か全部、労働政策審議会で決めなきゃならないような議論がなされているというのは、ほかの行政分野では余り記憶がなくて、違和感を持つんですね。

 労働政策というのは、確かに労使の合意が大事なのは当然であります。ただ、国会で議論すべきは労使だけではないですね。我々は全ての国民の代表なわけですから、労使間の合意以上の政策目的もある場合もあると思うんですね。だから、理論上、労働政策審議会の決定を国会審議で変えたり修正したりということは当然可能だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 一般に、国会へ提出させていただく法律案というのは、労働政策審議会における公労使の議論を踏まえて作成をしております。

 その上で、法案の最終的な取扱いについては、これはもう当然のことでありますが、国会での御審議を踏まえて、国会において御判断いただくものであります。

福島委員 ありがとうございます。

 ですから、先日の育児休業とか介護休業の法案でも、遠慮なく私はこの委員会で与野党が協議して修正していったらいいと思うんですね。

 特に、厚生労働省を見ると、ILOがどうだらと言っていて、私も関連するILOの諸条約を見たんですけれども、立法府の権限を上回るとか、そういうのは余りないんですよ。ただ、職業安定に関する、ILO八十八号は、「職業安定組織の構成及び運営並びに職業安定業務に関する政策の立案について使用者及び労働者の代表者の協力を得るため、審議会を通じて適当な取極が行われなければならない。」と書いてありますから、これを批准している日本はこれに従ってやらなきゃならないですけれども、あとの、例えばフィラデルフィア宣言とか、それは別に立法府を拘束するようなものはないと思うんですね。ですから、そこはやればいい。

 では、なぜ私はこの議論をするかというと、本当に労働政策審議会というのは労働者を代表したものかと思うんですね。審議会の名簿を見ると、労働政策審議会の委員は、公益代表者は、御立派な大学の先生と弁護士だけですよ。労働者代表委員は、全員、連合の関係者。別に連合が悪いわけじゃないですよ。ただ、連合の組織率を見たときに、本当にこの人が労働者の代表なのかと。使用者代表は、大企業と経済団体の役員がほとんど。

 私、地元にいると、これは何度も申し上げているんですが、私の周りに、申し訳ないけれども、労働組合の組合員というのはほとんどいないんですよ。みんな、自営業の方であったり、労働組合がない中小企業にお勤めであったり、社会保障、介護関係で働いているとなると、ほとんどいないんですね。そこで、生まれるのは、労働者間の分断なんですよ。あの人は労働組合がある立派な、昔は政府系だった大きな企業に勤めていて労働者の代表面をしているけれども、俺たちの方が強い、場合によっては、労働組合の組合員の人から下請、孫請の会社の社長はいじめられたりしていて、労働者より俺たちの方がよっぽど待遇が悪いぞと言っている中小企業の社長さんはいっぱいいるわけですね。

 昭和の時代は確かに、終身雇用制度の下で、労働組合対使用者というその合意がよかったと思いますけれども、今、働く人は誰といったら、フリーランスもいれば、あるいは中小零細企業の二、三人の社員の社長さんだってある意味労働者的な部分もあって、そういういろいろなものがある中で、私は、労働政策審議会というのであれば、やはり多様な働き方を反映した人を入れる必要があるんだと思うんですね。いろいろな分科会とかその下の部会の構成も見ましたけれども、若干は違うけれども、でも、大体どこも同じような構成になってしまっていると思います。

 大臣、是非、これは重大な問題だと思うんです。社会に分断を及ぼさないために、労働政策審議会の構成とか、あるいはこうした労働関係の政策の意思決定の仕方というのを今の現場の実態に合わせて見直すべきだと思うんですけれども、大臣の御見解はいかがでしょうか。

新谷委員長 武見厚生労働大臣、簡潔にお願いいたします。

武見国務大臣 はい。

 多様な労働者の実情を正確に把握するために、様々な調査を実施をして、調査の結果をエビデンスとして審議会での議論に活用するなど、政策立案に当たって、労働者や企業の直面する課題や多様な労使の意見を施策に反映するよう努めております。

 この基本的な考え方の中で、政労使の審議会、活用されているものと理解をしております。

福島委員 木で鼻をくくったような答弁、ありがたいんですけれども、現場はそういうふうにみんな思っていませんので、是非、政治家としてお考えになっていただければと思うんです。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

     ――――◇―――――

新谷委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。武見厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

武見国務大臣 ただいま議題となりました再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 昨今の技術革新により、新たな遺伝子治療等が行われるなど、再生医療等を取り巻く状況が変化する中、その安全性の確保等に向けた対策を速やかに講ずることにより、再生医療等の迅速かつ安全な提供及び普及の促進を図っていく必要があります。また、革新的な医薬品等を速やかに実用化するために、臨床研究の対象者の適切な保護を図りつつ、その円滑な実施を推進していくことが重要であります。

 こうした状況を踏まえ、先端的な医療技術の研究及び安全な提供の基盤を整備をし、その更なる推進を図ることを目的として、この法律案を提出をいたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、細胞加工物を用いない遺伝子治療等について、再生医療等の安全性の確保等に関する法律の対象に追加し、その提供に関する基準の遵守や提供計画の提出等を義務づけるとともに、再生医療等の提供計画を審査する委員会の設置者に関する立入検査や欠格事由の規定を整備します。

 第二に、医薬品等の適応外使用について、人の生命及び健康へのリスクが薬事承認済みの用法等と同程度以下の場合には、臨床研究法の特定臨床研究や再生医療等の安全性の確保等に関する法律の対象となる再生医療等から除外をいたします。また、通常の医療の提供として使用された医薬品等の有用性等について研究する目的で、研究対象者に著しい負担を与える検査等を行う研究について、臨床研究法の対象となる旨を明確化します。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としています。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いをいたします。

新谷委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十五日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十七分散会


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