第20号 令和6年5月17日(金曜日)
令和六年五月十七日(金曜日)午後一時三十分開議
出席委員
委員長 新谷 正義君
理事 大岡 敏孝君 理事 大串 正樹君
理事 橋本 岳君 理事 三谷 英弘君
理事 井坂 信彦君 理事 中島 克仁君
理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君
秋葉 賢也君 畦元 将吾君
井原 巧君 石原 正敬君
上田 英俊君 金子 容三君
川崎ひでと君 塩崎 彰久君
鈴木 英敬君 田所 嘉徳君
田中 英之君 田畑 裕明君
田村 憲久君 高階恵美子君
中川 貴元君 中谷 真一君
仁木 博文君 堀内 詔子君
三ッ林裕巳君 森 由起子君
柳本 顕君 山口 晋君
山本 左近君 吉田 真次君
阿部 知子君 大西 健介君
堤 かなめ君 西村智奈美君
山井 和則君 柚木 道義君
吉田 統彦君 早稲田ゆき君
一谷勇一郎君 遠藤 良太君
岬 麻紀君 福重 隆浩君
吉田久美子君 宮本 徹君
長友 慎治君 福島 伸享君
…………………………………
厚生労働大臣 武見 敬三君
内閣府副大臣 工藤 彰三君
外務大臣政務官 穂坂 泰君
厚生労働大臣政務官 塩崎 彰久君
政府参考人
(消費者庁審議官) 依田 学君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 黒瀬 敏文君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 柴田 紀子君
政府参考人
(厚生労働省医政局長) 浅沼 一成君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局長) 大坪 寛子君
政府参考人
(厚生労働省医薬局長) 城 克文君
政府参考人
(厚生労働省雇用環境・均等局長) 堀井奈津子君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 朝川 知昭君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 辺見 聡君
政府参考人
(厚生労働省老健局長) 間 隆一郎君
政府参考人
(厚生労働省年金局長) 橋本 泰宏君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
―――――――――――――
委員の異動
五月十六日
辞任 補欠選任
長友 慎治君 田中 健君
同月十七日
辞任 補欠選任
勝目 康君 田中 英之君
川崎ひでと君 中川 貴元君
鈴木 英敬君 森 由起子君
本田 太郎君 山口 晋君
田中 健君 長友 慎治君
同日
辞任 補欠選任
田中 英之君 井原 巧君
中川 貴元君 川崎ひでと君
森 由起子君 鈴木 英敬君
山口 晋君 石原 正敬君
長友 慎治君 田中 健君
同日
辞任 補欠選任
井原 巧君 勝目 康君
石原 正敬君 本田 太郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
厚生労働関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○新谷委員長 これより会議を開きます。
厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として消費者庁審議官依田学君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、法務省大臣官房審議官柴田紀子君、厚生労働省医政局長浅沼一成君、健康・生活衛生局長大坪寛子君、医薬局長城克文君、雇用環境・均等局長堀井奈津子君、社会・援護局長朝川知昭君、社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、老健局長間隆一郎君、年金局長橋本泰宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○新谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西村智奈美君。
○西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
男女雇用機会均等法は、今からおよそ四十年ほど前、一九八五年に成立をしました。今年の二月にお亡くなりになった赤松良子さんが均等法の母というふうにも呼ばれますけれども、いろいろなことがあって、結果、成立したのが男女雇用機会均等法でありまして、その後、大きな改正が二回行われております。
二回目の改正は二〇〇六年でしたけれども、このときに、私は小宮山洋子元厚生労働大臣などと一緒に対案を提出させていただきまして、いろいろな点について議論をしてきたという経過がございます。その中でもやはり大きな論点の一つは、二〇〇六年の改正によって間接差別が導入をされたということでございました。
均等法の今の第七条、ここで間接差別が禁止をされるということで、当時、この間接差別については、限定列挙にとどまってはならない、できるだけ幅広く、見えない差別を可視化するということでもありましたので、なるたけ限定せずに掲げるべきではないかという議論を私たちとしてはさせていただいたんですけれども、結果として、三つの類型にとどまってしまっております。
このときに、質疑の中で、政府参考人の答弁として以下のようなものがございます。
今回、省令で規定する予定であるのは三つの措置であるが、間接差別は、性中立的なものであれば、およそどのような措置でも俎上にのり得るものであることから、これら三つの措置以外の措置についても省令に規定され得る、このため省令を適時適切に見直すというふうに当時、政府参考人の方が答弁をされました。
その後、実際に省令は見直されてきたんでしょうか。間接差別について伺います。
○武見国務大臣 間接差別については、今委員御指摘のように、直接差別とは異なる、性別要件を別にすれば、おおよそどのような要件でも間接差別に該当し得る、広がりのある概念であり、男女雇用機会均等法に基づき行政指導等を行う上では、対象となる間接差別の範囲を明確化する必要性があります。
このため、労働政策審議会における議論も踏まえて、男女雇用機会均等法上の間接差別の対象となるものを省令に規定しているところでありますけれども、更なる対象の追加については、間接差別として違法となる範囲についての社会的合意の形成状況を踏まえつつ、必要に応じて検討をしていきたいと考えます。
○西村(智)委員 これまで省令の見直しまでは行ってこなかったということですか。局長が手を挙げていますけれども。
○武見国務大臣 過去においては、二〇一三年の省令の改正において、労働政策審議会での議論を経て、転勤に応じることを要件とすることについて、総合職に限定していたものを見直し、それ以外の労働者も対象とするなどの改正は行っております。
○西村(智)委員 一度だけ行われたんですけれども、大変小幅なんですよね。三つの類型の一つの類型を少し形を変えたということであって。
やはり、私は、社会的な合意を形成するとさっき大臣がおっしゃいましたけれども、結局、二〇〇六年改正からですからもう二十年近くたっておりますけれども、この間も社会的な合意形成をやるような環境になかった、それはやはり私は法律の不備であったと思っていますし、省令を本当に適時見直すというふうに答弁をしていただきましたけれども、実際にはほとんど見直しがされてこなかった、その結果としての、社会的合意といったものが形成されてこなかった、こういった環境になっているんじゃないかというふうに思うんですね。
実際に、それでは、均等法七条によって、助言、指導、勧告、こういった件数は、一体、過去何件ぐらい行われてきたんでしょうか。
○堀井政府参考人 お答えをいたします。
男女雇用機会均等法第二十九条に基づきまして行った、西村委員御指摘の法第七条の間接差別に関する是正指導件数でございますが、平成三十年度は一件、令和元年度は一件、そして令和二年度から令和四年度につきましては該当がなかったところでございます。
○西村(智)委員 つまり、こうやって是正指導件数が年に一件、年に一件、過去三年間はゼロ、ゼロ、ゼロというふうに続いているということは、やはり、せっかく作ったこの第七条の規定が、私は、生かされてこなかった、機能してこなかった、その結果だというふうに受け止めざるを得ないんです。
何となれば、今、現に日本国内では、男女間の賃金格差というのは歴然として残っています。それから、赤松良子さん、晩年は、女性の議員をとにかく増やそうといって、私たちも随分叱咤激励していただいたんですけれども、赤松さんもよく、ジェンダー平等指数が日本では低い、政治家を増やさなきゃいけない、あるいは指導的地位にある立場に女性を増やさなきゃいけない、そういうふうにおっしゃっておられましたけれども、管理職に占める女性の比率などはやはりまだまだ開きがあるわけですよね。こういうふうに見てみると、間接差別というのはやはりあるんだと。ただ、それに対する指導などがなされてこなかったということからすると、やはり、このせっかくある七条が私は機能してこなかったというふうに思うんですね。
そこで、五月の、今週の何日でしたでしょうか、先日、東京地裁で判決がありました間接差別についての判示であります。
ここでは、均等法七条を受けた同法施行規則第二条二号に、まあこれは実は、住宅の貸与、住宅手当が争われていたものであって、総合職に認められていたんだけれども一般職に認められていないというのは差別ではないかということで争われていたんですけれども、その判決の中で、間接差別に該当する措置は同規則に規定するものに限られない、つまり、施行規則に書いてあることには限られないというふうに述べており、同時に、均等法の趣旨に照らし、間接差別に該当するというふうにしているわけなんです。
こういったことが、私は、本当は、この二十年の間にもっともっと蓄積をされてきて、もっともっと研究、分析がされてきて、そして施行規則などに書き込まれてこなきゃいけなかったというふうに思うんですけれども、結局、施行規則が不十分であったために、あるいは法律に書かれている考え方が不十分であったためにこういったことができてこなかったというその反省に立って、この際、この判決を受けて、施行規則をもっと限定しない形へと見直すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 先ほどの五月十三日の判決、報道等によれば、今回の東京地裁判決については、総合職のほとんどが男性、一般職はほとんどが女性で占められているという状況において、合理的理由なく総合職だけに家賃補助を適用していることが、男女雇用均等法の趣旨に照らして、間接差別に該当すると判断されたものと承知をしております。
個別の事案についてお答えは差し控えますけれども、本件事案はまだ確定がしておりません。また、委員御指摘の省令の見直しについては、間接差別として違法となる範囲についての社会的合意の形成状況等を踏まえつつ、必要に応じて検討を進めていきたいと思います。
○西村(智)委員 今、必要に応じてというときがまさに来ているんじゃないですか、大臣。二十年間、間接差別、だって、厚生労働省が指導している件数はゼロですよ、過去三年でいえば。だから、もっともっと現実を見ていただいて、適時見直すというのは、まさに今がそのときだというふうに私は思うんですよね。
遡って言えば、二〇〇六年改正の前に、男女雇用機会均等政策研究会というのが行われていて、二〇〇四年に報告書が出ています。報告書の中では、実は類型は七つあったんですよ。七つ示されていたんだけれども、施行規則に入ったのは三つなんですね。そこでぎゅうっと絞られてしまって。
じゃ、大臣は、今でもこの三つの類型で本当に十分だというふうにお考えになっているんですか。
○武見国務大臣 今、時代状況も大きく変わってきているところでもありますから、当然、必要に応じて検討をするということが私は適切だろうというふうに考えております。
○西村(智)委員 いつもは歯切れのいい大臣が、何か余り答弁してくださらないので、本当に残念なんですけれども。
確かに時代は変わっていますよ。自民党政権が女性活躍と言っているぐらいですから、本当に時代は変わったなというふうに思いますけれども、その女性活躍が看板だけに終わっちゃいけないんですよ。今のまま、女性活躍と看板だけかけ続けたら、何かやはり女性の方にばかりしわ寄せが行く。家事も育児も介護も、その上で活躍してください、外で働いてください、だけれども待遇はこういったことで我慢してください、こんなことをいつまで続けていくんですかということなんですよね。是非、施行規則の見直し、大臣、お願いしたいと思っています。
なぜこれを言うかというと、やはり、間接差別については、国際社会からも、もっと日本はちゃんと対応すべきではないかということを度々、指摘というか質問を受けているからなんです。
女子差別撤廃条約の実施状況について、CEDAWからは、日本の国家及び非国家主体による直接的及び間接的差別並びに公的及び私的な差別を含む、女性に対する差別の包括的な定義を導入するために講じた具体的な措置について関心を持っているというふうにされております。
日本政府は、二〇〇六年の均等法第七条の改正以降、何回か日本審査に対して回答はしているようなんですけれども、私は、この回答はCEDAWが求めている水準に達していないというふうに思っております。施行規則を見直していただきたいと思いますけれども。
今年、日本審査が九月三十日から行われますね、CEDAWの。ここで間接差別についてどういうふうに回答をするおつもりなのか、これは外務省への質問になりますでしょうか、答弁をお願いしたいと思います。
○穂坂大臣政務官 ありがとうございます。
女性差別撤廃条約選択議定書で規定されている個人通報制度、こちらにつきましては、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から、注目すべき制度だと考えております。
一方では、同制度の受入れに当たっては、我が国の司法制度や立法政策との関連での問題の有無、同制度を受け入れる場合の実施体制等の検討課題があると認識しています。
本年十月になりますが、女子差別撤廃委員会による政府報告審査について予断を持ってお答えすることは困難でありますが、引き続き、政府として早期締結について真剣に検討してまいりたいと考えています。
○西村(智)委員 今、ちょっと違う答弁書なんですよ、済みません。私は間接差別についてお伺いしたんですけれども、今のは選択議定書についてお答えをいただいたというふうに思うんですね。ちょっと私の通告が、ここのところ、ちょっと、ごちゃっとなっていたのかもしれないです。選択議定書についても伺おうと思っておりました。まあ、外務省、間接差別についても、こういった判決が東京地裁から出ていますので、是非、それを真剣に受け止めていただいて、回答をお願いしたいと思います。
それで、選択議定書についても伺いたいと思います。
第九回報告においては、CEDAWからの質問が三つありまして、それに対して、日本政府からは、先ほど政務官が答弁してくださったように、我が国の司法制度や立法政策との関連での問題の有無、そして実施体制の検討課題があるというふうに回答しているんですけれども、私は、この回答、誠実に答えているとは言えないと思うんですよ。CEDAWの質問に対してこういうふうに答えていると、いつまでも同じことを繰り返されることになってしまうんですよね。
ちょっと、じゃ、政務官からもうお答えいただくのは先ほどいただいてしまったので、法務省の方に伺いたいと思うんですけれども、我が国の司法制度や立法政策との関連での問題の有無、それが課題だということで日本政府は回答したようなんですけれども、改めて伺うんですが、我が国の司法権の独立あるいは我が国の司法制度というのは、選択議定書との関係で何か問題があるんでしょうか。法務省に伺います。
○柴田政府参考人 お答えいたします。
個人通報制度の受入れにつきましては、我が国の司法制度と必ずしも相入れないものとは考えておりませんが、例えば、委員会から国内の確定判決とは異なる内容の見解が出されるなどした場合に、我が国の司法制度との関係でどのように対応するかという問題を検討する必要があるものと認識しております。
○西村(智)委員 申立ては、一応、国内の法的な手続を全部経てからということですし、なおかつ、勧告が例えば仮に出たとして、それが日本国内の司法の判断と異なるものであったとしても、法的拘束力はないわけですよね、その勧告に。ですから、必ずしも相入れないというふうには考えていないというのは、まさにそのとおりだと思います。
その後どう対応するかというのは、各国の状況もまさに様々ですから、ちゃんと受け止めて、国内の司法制度をどうしようかというふうに対応しているところもあるし、そうじゃないというところもあるし、私は、ですから、まさにケース・バイ・ケースだというふうに思うんですよね。ですから、そこのところは是非改めて認識していただきたいなと思っております。
改めて、外務省の方に伺うんですけれども、二〇二〇年の三月、参議院の外防委員会で、茂木外務大臣がかなり前向きな答弁をしておられました。しっかり議論をしてどこかで結論を出さなきゃならない問題だと考えているということなんですけれども、現在どのように検討しておられるのか、伺いたいと思います。
○穂坂大臣政務官 済みません、お答えさせていただきます。
先ほどの、茂木外務大臣、元外務大臣の答弁も踏まえながら、個人通報制度、この条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から、注目すべき制度だと考えております。
先ほどもお話をしましたが、諸外国の状況に加え、各方面から寄せられる意見等も踏まえつつ、女子差別撤廃条約選定議定書の早期締結について真剣に検討を進めている、そういったところでございます。
○西村(智)委員 各方面から寄せられている意見も踏まえつつというのは、どの意見のことなんでしょうか。ちょっと、更に伺いたいと思います。
といいますのは、全国の自治体の地方議会から、もう既に二百を超える意見書が出されております。これは、各方面からの意見というものに含んでいるのでしょうか。
○穂坂大臣政務官 ありがとうございます。
今、この状況につきましては、個人通報制度関係省庁研究会、こちらの方で検討を進めているところであります。今委員がおっしゃられたそういった意見も、様々な意見を踏まえて今検討しているところでございます。
○西村(智)委員 じゃ、各方面からの意見というのは、その二百を超える地方議会からの批准を求める意見書も含んでいるということでよろしいですか。
○穂坂大臣政務官 ありがとうございます。
個人通報制度の研究会、こちらにつきましては、各参加者の率直な意見交換を確保するため非公開で、これを前提として行っております。そういったものの詳細を述べることはできませんが、そちらの研究会の方では様々な検討を行っているところであります。
○西村(智)委員 それだったら、本当に、せっかく地方議会が法律にのっとって意見書を出しておられるのに、それすらも参考にしていないということになれば、これは大問題だと思いますよ。
是非、省庁の研究会での議論について、中身、何を検討しているのかということについて、中身を議事録などで公開していただきたい、情報提供していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○穂坂大臣政務官 ありがとうございます。
ただいま申しましたが、率直な意見交換を確保するために非公開、これを前提としておりますので、今現在ではそのお答えは差し控えさせていただきます。
○西村(智)委員 申し上げましたように、地方議会からの意見書ですから、これはちゃんと法律にのっとって出しているものなわけです。それがその研究会の中で反映されているのかどうかということを確かめることは、会議を非公開だとすることと何にも衝突しない話だと思いますので、是非、情報の公開を強く求めておきます。
これについては結構長い間の議論がありまして、ただ、関係省庁研究会では、もう今から二十年ぐらい前にいろいろな議論があったというふうに伺っております。例えばなんですけれども、そこの関係省庁研究会の中で、とある参加者が、訴えられることは恥ではなく、自由権という判断がその国に根づいている証拠であるというふうに意見が出されたというふうにも言われております。また、外務省の人権担当大使が、通報を受けることに後ろ向きになる必要はなく、メンタリティーを変える必要があるのではないかと述べたともされております。
確かめたいんですよ、こういったことが本当に述べられたのかどうか。ですから、関係省庁研究会の中身について是非公開をお願いしたい。
あわせて、内閣府に伺うんですけれども、二〇二〇年の五月二十七日、衆議院の内閣委員会で、我が党大河原まさこ衆議院議員が質問されました。そのとき、橋本聖子当時の担当大臣が、これは先進国にとって重要な課題であって、しっかりリーダーシップを持って外務省とともに取り組んでいきたいと答弁しておられるんです。政府が後れを取ることがないようにということで取り組んでこられたと思うんですけれども、この間何をやってこられたのか、伺います。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。
御指摘の橋本大臣による答弁以降の対応について、橋本大臣の下で第五次男女共同参画基本計画を閣議決定し、選択議定書については、諸課題の整理を含め、早期締結について真剣な検討を進めると盛り込んでいます。
また、外務省が主催する個人通報制度関係省庁研究会において、諸外国における個人通報制度の導入前の準備や運用の実態等について、外務省や法務省を始めとする関係省庁とともに研究を行っております。
これらの検討の状況は、令和三年九月に女子差別撤廃委員会へ報告を行っております。
選択議定書に規定される個人通報制度について、政府としては、女子差別撤廃条約実施の効果的な担保を図るとの趣旨から、注目すべき制度であり、早期締結について真剣に検討を進める必要があると考えております。
他方で、個人通報制度の受入れに当たっては、先ほど法務省からの答弁があったとおり、我が国の司法制度と必ずしも相入れないものとは考えておりませんが、我が国の確定した判決との関係など、検討課題があると承知しております。
内閣府といたしましては、男女共同参画社会の形成の促進の観点から、外務省や法務省を始めとする関係省庁とよく連携して、政府全体での検討を行ってまいりたいと考えております。
○西村(智)委員 私、重ねて申しますけれども、ケース・バイ・ケースなんですね、例えば確定判決との差異が出たときにどうするかというのは。これはほかの諸外国もそうだというのは皆さんも研究してお分かりでしょう。
今年九月三十日からまた日本審査があります。そこでは、これまでと同じ回答をしているのであれば、本当に国際社会から人権外交を進める日本政府としての本気度が疑われると思いますので、是非強い取組をお願いしたいと申し上げておきます。
ちょっと時間がなくなってきまして、今日、資料で一枚おつけしていますのは、少し古い話にはなるんですが、二〇二一年の十二月の八日に私が衆議院の本会議で質問したときの会議録であります。
このとき、私は、岸田総理が格差と貧困の存在をようやく認めた、これについては評価をしつつ、その解決に向けて取り組んでいただきたいということで、国連が定めたSDGs一・二、ここにおいて、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある全ての年齢の男性、女性、子供の割合を二〇三〇年までに半減するとの目標を掲げている、これをもって、日本政府も数値目標を掲げて取り組むべきではないかというふうに質問しましたら、総理は、相対的貧困率が我が国の数値目標としてなじまないという驚くべき答弁をされたんですね。今読んでみても、何が言いたいのか分からないんですけれども。
日本政府もSDGsは共有するというふうに、ここに、総理答弁で書いてあります。ということからすると、目標設定を行うのも当然だというふうに思うんですけれども、厚労大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 これまで我が国では、貧困とか格差の問題に取り組むときの指数としては、ジニ係数とか、それから相対的貧困率といったようなもの、様々な指標を用いて貧困対策を進めてきております。
国連が定めた持続可能な開発目標、SDGsのターゲットについては、現時点において、同様の指標の設定というのは行ってはおりません。
しかしながら、貧困をなくそうという大きな目標については我々全く共有しておって、その趣旨を踏まえ、年齢や性別にかかわらず支援が必要な方々への支援にはしっかりと取り組んでいく所存であります。
○西村(智)委員 そうすると、日本政府は、数値目標を掲げていないけれども、貧困を削減しようということはやろうとしている。だけれども、この一・二が求めているのは、目標数値をちゃんと掲げて、それをあらゆる次元で、あらゆる年齢の男性、女性、子供において半減をさせてくださいということですから、やはりSDGsを共有しているというふうには言えないんじゃないですか、大臣。
○武見国務大臣 SDGsの貧困目標というのは、貧困をなくすという大きな大目標が設定をされているわけでありまして、その点に関しては、我が国においても、ターゲットについての指標は設定しておりませんけれども、貧困をなくすための、貧困、困窮者自立支援制度における相談支援を始めとして総合的な施策を展開するとともに、必要な見直しを行っております。必要な支援を行うことで、結果としてこのSDGsの目的も確実に履行していくというのが我が国の立場です。
○西村(智)委員 だから、その目的が達成できたかどうかを測るための指標を作りなさいというのがこの一・二なんですよ。
結局、これは私も今までも何度もやり取りしてきたんですけれども、厚労省の方は、適切に活用できる統計指標がないというふうに言うんですね、驚くべき話なんですけれども。
とはいいながら、一方で、内閣府で、子供の貧困対策に関する有識者会議、あるいは大綱の進捗状況及び子供対策策定に向けての意見でも、相対的貧困率とちゃんと掲げているんですよ、内閣府において。適切に活用されているんです。しかも、大臣も先日、本委員会で生活困窮者自立支援法の改正案の質疑があったときに、宮本徹委員の質問に対して、六十五歳以上の高齢者の単身世帯では男女共に相対的貧困率がより高くなっていると認識しておりますと答弁しておられるんですよ。相対的貧困率というデータを適切に活用しておられるし、それを目標数値とすることは何の障害もない。
ただ、政府は、相対的貧困率という目標を掲げるとやはりそれに向けてやらなきゃいけないから、そうしないようにということで数値目標を掲げることを嫌がっているというふうにしか私には見えないんですね。
やはり、数値目標を掲げての貧困削減の取組だというふうに思うんです。是非、グローバル指標を設定して、相対的貧困率の削減というのを目的に取り組んでいただきたい。それが、格差や貧困に気づいた、それに言及した岸田内閣の一員としての責務だと思いますけれども、最後に伺って終わります。いかがでしょうか。
○武見国務大臣 これまでも様々な、貧困対策を講ずるに当たって、各種統計調査であるとかそれから様々な生活上の課題など総合的に勘案をして、引き続き、様々な統計なども活用をしつつ、SDGsの趣旨もしっかりと踏まえながら、年齢や性別にかかわらず支援が必要な方々への支援にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
特に、社会の格差の問題については、我が国においても、以前は我が国はこうした格差の少ない社会だと言われていましたけれども、今日においては決してそうではありません。したがって、この問題に関しては、政府としても真剣に取り組んでいかなければならない課題である、こう認識しております。
○西村(智)委員 単身高齢者の貧困率は男女とも高いです。ただ、男性の貧困率はちょっと改善傾向にあります。全く改善されず、貧困率が更に上がっているのが単身の高齢者女性です。そこのところをどうするのかというところから厚生労働省は逃げることはできません。強く求めて、終わります。
ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、堤かなめ君。
○堤委員 立憲民主党の堤かなめです。
初めに、年金の安心と財源確保についてお聞きします。
今、様々なメディアなどで老後破産が取り上げられています。大臣、老後破産についてどういう御見解をお持ちでしょうか。
○武見国務大臣 老後破産という言葉自体は聞いたことがございます、厳密な定義というのはまだないだろうというふうに思いますが。あわせて、老後の年金生活への不安の声があるということは承知しております。
○堤委員 破産する人の四人に一人が六十歳以上の御高齢の方だといった推計もございます。この点、今、我が党の西村智奈美委員の方からも、単身高齢女性の本当に厳しい状況が、経済的に厳しいというお話もありましたので、今、本当に公的な年金だけでは生活ができない、年金を受け取れる年齢が七十歳まで引き上げられてしまうのではないかなど、老後の生活に不安を感じておられる方が多くいらっしゃいます。
二〇〇四年に、自公政権は、百年安心年金プランとして、百年後でも絶対大丈夫と国民に明言いたしました。厚労大臣、年金は本当に百年安心できるのでしょうか、それとも、百年安心年金は撤回されるのでしょうか。
○武見国務大臣 公的年金制度におきまして、二〇〇四年の年金制度改正において、将来の現役世代の過重な負担を回避するという観点から、保険料の上限を固定した上で、マクロ経済スライドによりその収入の範囲内で給付をし、おおよそ百年間の長期的な給付と負担のバランスを確保することで、将来にわたって持続可能な仕組みとしております。こうした考え方は現在でも変わっていないということは明確に申し上げておきたいと思います。
現在は、次期財政検証に向けて社会保障審議会年金部会で議論を行っておりまして、年金制度について、国民の皆様にしっかりと安心感を持っていただけるよう努力することが基本姿勢でなければならないと考えております。
○堤委員 持続可能ということですが、それは政府にとって持続可能なんでしょうか。私には、そういうふうに思えます。国民にとっては、これでは暮らしていけないと思っていらっしゃる方が多いのではないかと思います。
また、働く女性が増えれば、納税額も増えますし、年金や医療、介護、労働保険など、社会保険料の財源確保にもつながると思います。ここでは、年金財源の確保という観点から、女性の働き方について質問いたします。
資料一を御覧ください。各国の女性のパートタイム労働者比率です。
(一)の、上のグラフですけれども、パートタイム労働者比率の推移を、二〇〇〇年から二〇一九年まで、およそ二十年間見たものでございます。こちらに赤線で示しておりますが、日本は上昇傾向にあります。そして、(二)パートタイム労働者比率の推移、二十五歳から五十四歳。上は全年齢ですけれども、いわゆる労働年齢に限ったものでございますが、こちらでも、イギリスですとかドイツ、フランス、スウェーデンなどではどんどん下がってきているのに対しまして、日本では、パートタイム、逆に比率が高まってきている、そういう状況です。
それから、資料の二、次のページを御覧ください。先ほど我が党の西村議員からもありましたけれども、男女の賃金格差、この国際比較です。
働く女性は増えましたけれども、しかし、働いている女性の多くがパートタイム、短時間制雇用で、その結果、賃金も低く抑えられているということです。男女の生涯賃金の格差は一億円という推計もあります。男女の賃金格差は、これも西村委員からありました、直接的、間接的な性差別の帰結であり、是正すべきであると考えます。と同時に、年金や社会保険の財源確保という点からも問題だと思いますが、厚労大臣の御所見を伺います。
○武見国務大臣 男女間の賃金の差異というのは、長期的には縮小傾向にはありますけれども、女性の管理職比率の低さや男女間の勤続年数の違いなどを反映して、依然として差異が大きくて、その是正は重要な課題であるというふうに認識をしております。
このため、厚生労働省としては、女性活躍推進法に基づく企業の取組の推進、女性のキャリア形成の障壁となっております性別役割分担意識の是正であるとかアンコンシャスバイアスの解消を図るための取組などを通じて、希望する女性がキャリアを中断することなく、その個性や能力を生かして活躍するための環境整備に取り組んでおります。
御指摘の社会保険の財源確保に与える影響については、格差の是正が雇用者報酬全体の増加につながれば、社会保険料の収入総額を増加をさせて、社会保険の財源のプラスになり得るものと考えております。
○堤委員 財源にプラスになり得るとおっしゃっていただきました。
本当に、OECD諸国の平均が八八・四ですけれども、資料の二ですね、我が国は七七・五で、G7諸国で最低レベルなんですね。こういった状況がずっと続いてきた。先ほど、いろいろ政府はやってきたとおっしゃいましたけれども、この三十年、全然改善していないわけです。
では、女性が他の先進国並みのパートタイム労働者比率になったとしたら、あるいは男女の賃金格差が是正されたとしたら、どのくらい年金財源が増えるのか、試算できますでしょうか。機械的な試算で結構です。よろしくお願いします。
○橋本政府参考人 年金の財政検証におきまして将来見通しを示すに当たっては、恣意的な見通しとならないように客観性を確保することが大変重要でございます。こうした観点から、財政検証における労働力に関する前提につきましては、これまでの実績ですとか、また、独立行政法人労働政策研究・研修機構から公表される労働力需給の推計、この見通しを基に設定してきております。
このため、今年予定しております財政検証におきましても、労働力の前提につきましては、労働政策研究・研修機構による労働力需給の推計等を基に設定することとしておりまして、御提案のような形での試算を行うということにつきましては、恣意的な試算となるおそれもございますので、慎重であるべきだというふうに考えております。
なお、委員がおっしゃったような、短時間労働者の比率の前提を下げるですとか、あるいは男女間の賃金格差を縮小する、こういった前提に仮に置き換えたと仮定した場合にどういうふうな方向での影響が出るかということで申し上げますと、まず、短時間労働者、雇用者比率の前提を引き下げた場合には、フルタイムの労働者が増加をして、厚生年金の被保険者数が増加するということが見込まれますので、これは年金財源の増につながるであろうというふうに考えられます。
また、男女の賃金格差がより大きく縮小するとした場合には、男性に比べて女性の賃金の伸びを大きく仮定するということになりますけれども、男女合計の賃金上昇率の前提が変わらないというふうに仮定すれば、総賃金も増加しませんので、年金財源への影響は基本的にはないということになってくると思いますが、女性の賃金が男性以上に上昇するということによって男女計の賃金上昇率も上昇するというふうに仮定するのであれば、総賃金が増加いたしますので、年金財源の増につながるのではないか、そのような方向で見込まれるというふうに考えております。
○堤委員 今、人手不足ですから、やはり格差がなくなったら男女計の賃金も上がるのではないかと思います。特に、年金の財政検証とは別に、女性活躍推進というふうに政府は取り組んでおられるのですから、それがなぜ必要なのかというその根拠の一つとして、私は、こういった、女性の活躍が本当に実現したら、男女のジェンダー平等が実現したら、どのくらいの財源が生まれてくるのかということを是非検証していただきたいと思います。
委員長、そういった試算をお願いできませんでしょうか。お取り計らい、よろしくお願いします。
○新谷委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○堤委員 では、資料三、合計特殊出生率と女性労働力率の推移を見たものです。
もう皆さんよく御存じかと思いますけれども、一九七〇年代、七〇年あたり、今からもう五十年ほど前ですけれども、この頃ですと、女性の労働力率、就業率が高い国ほど逆に出生率が低い。ところが、一九八五年ぐらいからそれが逆転しまして、現在では女性の労働力率が高いほど出生率が高い、そういう相関関係にあるということです。
女性が働きやすい環境を整えることは少子化対策としても重要だということは既に立証済みだと思いますけれども、大臣、国際的な状況にもお詳しいと思いますので、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 OECD諸国におきまして、女性の労働力率と出生率との関係については正の相関が見られるとの指摘があることは承知しております。
少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因がございますが、その中の一つとして仕事と育児を両立しづらい職場環境があって、男女とも希望に応じて仕事と育児を両立できるようにしていくことが少子化対策に資するものだと考えております。
厚生労働省では、希望する女性が出産や育児をしながら働き続けられる社会を実現するために、男女雇用機会均等法の遵守や女性活躍推進法による取組を推進するとともに、育児・介護休業法等において、男女共に希望に応じて仕事と育児を両立できるように、職場環境の整備にも取り組んでいるところでございます。
引き続き、こうした希望する女性が仕事とそれから家庭生活を両立させて、そして、その個性や能力を生かして女性が大いに活躍していただける職場環境の整備をしていかなきゃいけないだろうと思っています。
○堤委員 大臣も御存じだと思いますが、昨年の我が国のジェンダーギャップ指数は百四十六か国中百二十五位と過去最低、前年から九ランクも下がりました。女性の多くが、子育てや介護など、ケア責任ゆえにフルタイムの仕事を続けられない、キャリアを形成できないことが経済や政治分野でのジェンダー平等を阻んでいます。
この三十年、そうやって取り組んできたとおっしゃいますけれども、こういったこと、ジェンダー平等や少子化対策など、自民党に多額の献金ができない女性や子供に関わる問題に政府予算を振り向けてこなかった自民党の責任は大きいと言わざるを得ません。立憲民主党は、長時間労働の是正などの働き方改革、保育、学童、介護などの充実にもっと思い切って投資をすると申し上げて、次の質問に入ります。
次に、食品による健康被害について質問いたします。
日本が機能性表示食品の制度をつくる際に参考にしたアメリカ、米国では、重篤な健康被害の情報を入手してからおよそ二週間以内に政府機関へ報告することを義務づけています。その米国では、ダイエタリーサプリメントの摂取により、数多くの健康被害が生じています。
資料四を御覧ください。
1ですけれども、日本語訳を読ませていただきます。二〇〇四年から二〇二一年の間に、栄養補助食品、ダイエタリーサプリメントの使用に関する合計七万九千二十一件の有害事象が食品安全応用栄養センターに報告されたということです。1は、二〇二三年のイノベーションズ・イン・ファーマシーの記事です。
2の論文です。2の記事です。2は、二〇二二年のアメリカン・アソシエーション・オブ・リタイアド・パーソンズ、全米退職者協会のホームページからなんですけれども、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載された二〇一五年の研究では、ダイエタリーサプリメントによって引き起こされる有害事象により、原文を見ますと二〇〇四年から二〇一三年の間ですけれども、この間、毎年約二万三千人が救急救命室に運ばれていることが判明したと。毎年約二万三千人で、本当に驚きます。研究者らが特定した反応は胸痛や動悸から目まいや嘔吐まで多岐にわたり、六十五歳以上の高齢者はそれらが原因で入院する可能性が高かったということです。
立憲民主党は、五月十四日、今週火曜日に、食品衛生法の改正案を提出いたしました。報告義務、義務づけるものなどなんですが、一方、日本の機能性表示食品の制度は世界一緩い制度であると言われています。アベノミクスの弊害の一つと言われています。報告義務のない日本ではどのくらい被害があるのか、本当に心配になります。
そして、立憲民主党は、機能性表示食品に関する健康被害の情報を速やかに都道府県に報告するよう義務づけるとともに、機能性表示食品の在り方そのものの議論、これも必要だとしております。少なくとも報告の義務化が必要だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 食品衛生法第五十一条の第一項で、事業者が講じる公衆衛生上必要な措置としまして、事業者に対して、消費者から健康被害に関する情報を得た場合には、当該情報を保健所に提供する努力義務を課しているというのが現行法の措置であります。
今回の事案というものに関しては、事業者であります小林製薬が医師から健康被害の情報提供を受けた後に、因果関係を含めた自社での評価を行い、一定の結論を得た後に報告を行ったために、約二か月間の間、紅こうじ関連製品の販売、流通が行われていたということは、私どももこれは問題だったというふうに思っております。
その上で、関係省庁とも連携をしながら、再発防止のために、今度は、厚生労働省の立場としては、食品衛生法体系においてどういう施策が必要かというのを今現在検討しているところでございまして、五月末を目途にしてしっかりと結論を得ておきたいと考えております。
○堤委員 参考人の方で結構ですが、アメリカの制度では報告が義務化され、報告を怠れば罰則があると聞いていますけれども、それでよろしいでしょうか。
○大坪政府参考人 食品表示法については消費者庁の所管でございますけれども、今お尋ねの点につきましては、そのとおりだというふうに考えております。
○堤委員 健康被害を防ぐには報告の義務化と罰則が必要だと思いますので、是非よろしくお願いします。
それから、対応の遅れについてですが、四月十日の本委員会において、私は、小林製薬の紅こうじ関連製品を摂取した方々に対し、検査や治療の費用は小林製薬に御負担いただけるのかというふうにお聞きいたしました。御答弁は、小林製薬の方で判断されるものでありまして、厚生労働省の方から何か申し上げるものではないという冷たいものでございました。
その二週間後の四月二十五日、小林製薬は、自社のホームページや新聞紙上などで、当社紅麹コレステヘルプ等の摂取と症状の間に相応の関係性があると疑われるお客様に対して、医療費等の実費のお支払いを開始すると告知されました。実費の支払い対象となるのは、初診料、検査費用、交通費云々ということです。
そもそも、本年一月に小林製薬が外部から、先ほど大臣からもありましたけれども、問題の公表や自主回収に動くまで二か月余りがかかった。この二か月の遅れ、初動の遅れはこの委員会でも何度も指摘されています。しかし、三月二十二日の問題の公表から四月二十五日に検査費用などの実費を支払うという告知をするまで、更に一か月以上かかったわけでございます。これも遅過ぎるのではないでしょうか。厚労省の見解をお聞きします。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
民間の判断につきまして、厚生労働省から何かコメントということは難しいわけでありますけれども、厚生労働省といたしましては、症状が出ていない方でありましても医療機関に受診をしていただき、その際は保険が適用となるように、三月二十九日の段階で既に皆様に御案内をするなど、被害の拡大を防ぐため取り組んだところでございます。
小林製薬におかれましては、四月二十五日のプレスリリースを拝見をいたしますと、その原因ですとか可能性がまだ分からない中で、暫定的な対応として判断したというふうに記載がございますので、そういった原因究明の進捗などを踏まえて検討されたものと考えております。
○堤委員 遅れたのは確かだと思うんですけれども、それでも、そういう補償をする、誠心誠意責任を持って検討するというふうに明言されています。
しかし、今回の事案では資力のある大きな企業であったわけですけれども、もし健康被害を引き起こした企業が資力のない小さい会社であったとしたら、どうなっていたのでしょうか。一般論で結構ですので、お答えください。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
国として、所管しております食品衛生法、これは食の安全確保のための必要な規制でありまして、先生御指摘のような被害が発生した場合の補償、こういった趣旨のものではございませんので、そこは国の方では難しいわけでありますが、一般論でということでございましたので、健康被害などが生じた場合には、一般には、民間の共済制度又は民間の保険商品、こういったものを活用されているというふうに承知をしております。
○堤委員 共済があるということですけれども、もう時間がないのでぎゅっとしますが、これはどのくらいの会社が加入しているかとレクで聞いたら、分からないということだったんですね。
ですから、医薬品にはそういう制度が、医薬品副作用被害救済制度があります。しかしながら、食品についてはないわけです。立憲民主党は、こういう健康被害の救済など、抜本的な見直しをすべきとしています。厚労大臣、被害の救済についても法的対応が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 医薬品として分類されているものと食品として分類されているものについては、やはりこうした補償に関わる議論の仕方というのは基本的には異なってくるんだろうと思います。今回のような事案というのは、まさにグレーゾーンの分野における、こうした事案に関わる対応をどうしたらよいかというような議論になっているかとは思います。
ただ、基本的には、やはり医薬品とは異なる立場で食品に関わる食品衛生法というものは、そうした補償までをも組み込んでいるものではないんだということを申し上げておきたいと思います。
○堤委員 食品についても、これまで、森永ヒ素ミルク中毒事件、カネミ油症事件など、食品の摂取を原因とする健康被害が起きています。これらの事案の救済には個別に対応したと聞いています。しかし、個別対応には時間がかかります。その間に被害が拡大したり、救済が遅れてしまうことになります。
例えば、一九五五年に起きた森永ヒ素ミルク事件、武見大臣が四歳くらいの頃に起きた事件だと思いますが、この事件では、乳児百三十人が死亡、一万三千人以上に被害者が出ました。この事件の被害者への恒久的な救済機関が設立されたのは、一九七四年、事件から何と二十年後です。いろいろな、例えば、赤ちゃんが被害に遭っていて、亡くなった方が多いんですけれども、そうでない方もいらっしゃって、その方たちは成人になっているような、二十年という時間が過ぎてしまった。本当にこれは、この間、被害者や御家族はどんな思いで過ごされてきたのか。こんなむごいことは繰り返してはならないと思います。
今後、もちろん被害が起こらないことを望みます。しかし、御紹介しましたように、米国ではサプリによって毎年二万三千もの方々が救急搬送されていたということです。日本でも、今後、何が起こるか分かりません。もちろん、機能性表示食品制度そのものを、安全性を高める、そういったことも必要ですけれども、あるいはその制度自体を廃止するということも私は必要だと思いますが、万が一のために、医薬品副作用被害救済制度のような公的な救済制度をあらかじめ用意しておく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣も申し上げましたが、医薬品の場合には、それを使用せざるを得ない状況において、適正に使用されたとしても副作用が一定程度あるという可能性がございます医薬品の特性というものを踏まえてつくられた制度でございます。また、それに際しましては、製造販売業者から一定の拠出金を、これは毎年拠出をいただいた上でつくられた制度でございまして、食品と、直ちにその性質、必ず召し上がらなければならないものであるといった特性としては、必ずしも一緒ではないというふうに考えております。
○新谷委員長 堤かなめ君、申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。
○堤委員 例えば、大企業には共済を義務づけるなどすることもできるかと思います。いずれにしても、救済が遅れないような制度を考えていただきたいと思います。
時間となりましたので、終わります。ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、岬麻紀君。
○岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。
早速でございますが、私の地元愛知県名古屋市にあります障害者グループホームの運営大手、恵におきまして組織ぐるみの障害福祉サービス等報酬を不正請求していたと県と市で認定されまして、計五か所のグループホームの事業者指定を六月中旬にも取り消す方針が固められました。これは大変ショッキングな事件でございます。障害者総合支援法に規定されておりまして、同社は十二都県にあります約百のグループホームの運営ができなくなる見通しもあり、利用者への影響が大変懸念をされております。
また、過大徴収の総額、愛知県内の二十六のグループホームにおきまして、計二億一千七百九十九万円にも上ります。また、名古屋市などで、経済的な虐待とも認定をされました。
さらに、調査の過程におきまして、勤務実績のない職員が働いていたかのように装うなどして報酬を複数のグループホームで不正請求をしていたことも確認がされています。その額は名古屋市だけでも約一億三千万円に上りまして、極めて悪質であると判断がされています。
このように、今回は恵という施設ではありましたけれども、なぜこのような施設で不正請求が起こってしまったのか、この事件が起きた背後の関係であるとか背景、そして不正を働いてしまった根本的な理由はどこにあるとお考えでしょうか。大臣、お聞かせください。
○武見国務大臣 お尋ねの株式会社恵の事案です。現在、障害者総合支援法に基づきまして、厚生労働省は、株式会社恵の法人としての管理体制に関わる検査を進めております。それから、関係自治体において、個別の指定事業所に対して指定権者としての検査を進めております。
このため、現時点においては御質問に具体的にお答えすることは難しいんですけれども、その上で、一般論として申し上げれば、障害者グループホームにつきましては、近年、収益目的による専門性の低い事業者の参入が進んでいることが指摘されております。こういった事業者の中には、遵守すべき法令等の内容を十分に把握をしていない者が含まれているのではないかというふうな見方をしております。
○岬委員 これは起きてからでは遅いといいますか、障害者にしても、その施設に入っている方というのはなかなか声が上げられない弱者でございますので、なぜ未然に防げなかったのか、これはしっかりと究明していく必要があると思います。
障害者総合支援法の規定では、指定取消しの理由になった不正に法人の組織的な関与が認められた場合は、いわゆる連座制が適用されます。全国にあるほかのグループホーム、六年ごとに指定更新が認められず、そうなると運営は事実上できなくなると思われます。利用者は、そうなると退去を迫られる、若しくは、ほかの施設を探して替わらなくてはいけないというようになっていきます。また、県などは、グループホームが立地する自治体が利用者支援、そしてサービスの確保に取り組めるよう、厚生労働省と協議をしているとのことでございます。
今の大臣からの御答弁でも、捜査中というふうに言われましたけれども、今後、このように、食材費の過大徴収であるとか障害福祉サービスの報酬の不正請求などが二度と起こらないようにしていく対策、これはどのようにお考えでしょうか。大臣、お願いします。
○武見国務大臣 まずは、各自治体が指定権者としての権限に基づいて各事業所の検査等を適切に実施していく必要があると考えます。
厚生労働省としては、こうした検査等の適切な実施を求めていくこととしております。その上で、障害者向けグループホームに居住する障害者の日常生活の安心、安全を確保して、希望に応じた地域生活を実現していくためには、こうした検査の徹底に加えて、事業運営の透明性の確保が重要だと思います。
このため、令和六年度障害福祉サービス等報酬改定におきまして、グループホーム事業者が整備すべき食材料費を含む会計などの諸記録を適切に管理すべき旨を改めて明示をいたしました。それから、事業の透明性を高め、サービスの質を確保する観点から、地域の関係者を含む外部の目を定期的に入れる取組を新たに導入する見直しも行いました。
そしてさらに、グループホームにおける支援の質を確保するために、サービスの質を評価するガイドラインの策定や、管理者それから従業者等に対する資格要件や研修の導入などについて、今年度より検討を開始することとしております。
これらの取組を通じて、障害者グループホームの支援の質の確保に努めるとともに、今度は事業運営の適正な実施の確保に努めていきたいと思っております。
○岬委員 このお話は、今、障害者施設、グループホームですけれども、こういったことというのは、さきにもお話ししたように、なかなか現場で声を上げられない弱者という点で考えますと、高齢者施設でもこのようなことが起き得るのではないかという懸念がありますが、この辺りはどのようにお考えでしょうか。続けて大臣、お願いします。
○武見国務大臣 介護サービス事業者についても、毎年、都道府県などの指定権者によって指導監査を行っているところでもあります。二〇一八年度から二〇二二年度までの五年間において指定の取消しや指定の効力の停止といった行政処分を行った事例は、六百六件ございます。その中で、食費関係の不正に関する指導事例は、今のところはまだ承知をしておりません。
今後、今回の障害福祉サービスにおける事案の詳細を把握した上で、同様の事案が生じないように、介護サービスについても適切に対応していきたいと思います。
○岬委員 もちろん、不正を行う施設ばかりではなく、一生懸命に限られた予算の中で運営をしている、そういった施設も多くございます。
今度は、施設側の視点から伺わせていただきます。
高齢者福祉事業についてですが、まず、食費、居住費の基準費用額というものがありますが、定められている根拠を知りたいという声も上がっています。
例えば、三年前、令和三年八月に施行されました基準費用額、日に一千四百四十五円、そして、据置きの金額で、利用者一人につきましての金額なんですけれども、三年ごとに見直しの更新がされるということで、逆を言えば、三年間は、このような物価の高騰であるとかいろいろな社会の変化には対応できないということにもなるわけですね。
この辺りの、費用額の定められた根拠というものを知りたいという声がありますが、それについてお答えいただけますでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
介護保険施設における食費とか居住費につきましては、自宅で生活している方との均衡を図る観点から、低所得者には軽減措置を設けつつ、原則として自己負担としているところでございます。
その中で、食費や居住費の基準費用額、今御指摘の基準費用額につきましては、介護保険法上、食事の提供、居住に要する平均的な費用の額等を勘案して定めるというふうにされております。
このため、介護事業経営実態調査や家計調査等により把握した食費や光熱水費等の実態を基に設定し、必要に応じて見直しを行ってきたところでございます。
○岬委員 しかしながら、六年前の更新から数十円程度しか増えていないという施設も多くございまして、将来的に物価が高くなるとか、社会情勢において分からないはずのものが、令和七年八月以降、負担軽減が示されてしまっているというような話もあります。
その辺りに対応はできないものなんでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
まず、令和六年度の介護報酬改定で対応した部分について御説明した上で、今後のことについても御説明申し上げたいと思います。
令和五年度介護事業経営実態調査などにおきましては、介護保険施設における居住費のうち、光熱水費が大きく上昇をしておりました。その一方で、食費については、ちょっと傾向が異なっておりまして、基準費用額を下回っているというような結果が見られたところでございます。
こうした結果を踏まえて、今般の令和六年度介護報酬改定においては、居住費の基準費用額について一日六十円を引き上げる一方、食費については据え置くこととしたということでございます。
その上で、変動する要素にどう対応していくのかということについてですけれども、まず、食材料費等も含めた物価高騰への対応につきましては、令和五年度補正予算において、物価高騰の影響を受ける事業者等を支援する重点支援地方交付金を追加し、介護分野での重点的な活用を推奨してございます。ほぼ全ての都道府県で支援が実施されているなど、必要な対応を行っているところでございます。
また、先ほどのような居住費の方の基準費用額だけじゃなくて、特別養護老人ホームや老人保健施設といった介護保険施設は、施設サービスの平均収支差がマイナスという非常に厳しい状況がございました。そういったものを踏まえて、基本報酬の引上げも行ってございます。
基準費用額につきましては、引き続き、今後の物価動向が居住費、食費に及ぼす影響を適切に把握し、必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。
○岬委員 事業継続を脅かす要因の一つが、食事という部分が非常に大きく負担になっているという声もあります。
基準費用額、地元の西春日井福祉会からのお話ですと、こちらは高齢者の福祉施設、また障害者福祉事業もされていらっしゃいますが、運営側からのお話ですと、食材費の高騰もあるし、そして運搬費であるとか人件費といったコストが反映されていないという現状で、非常に持ち出しも多くなっているということなんです。
持ち出しでやりくりを何とかしているんだけれども、食というのは非常に重要な大きな部分を占めていまして、食の質を落とさない、ここは非常に重要だと考えます。
規模にもよりますけれども、施設側としては年間に一千五百万円から二千万円ぐらいの負担を強いられてしまっているというお声もありますし、利用者の介護保険料は値上がりをして、更にここに施設利用料も値上げをしていくというのは非常に心苦しいんだと。そして、経済的な虐待を招くので、運営側が負担せざるを得なくなっている。この辺りの認識、御理解はいかがでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、食は高齢者の生活あるいは健康を守る上でも非常に重要なものだというのは、全く同じ認識でございます。
その上で、基準費用額というものの考え方についてですけれども、これは実は、冒頭申し上げましたように、在宅の方との公平から、原則自己負担にするというときの、いわば自己負担の基準という要素もございます。
その上で、今、食材料費、食事を作るにはいろいろな費用がかかるのだということでございますけれども、それはおっしゃるとおりでございまして、その分も含めたトータルのいろいろな様々なコストは、経営の収支差、経営実態調査におけるその他、いろいろなかかった費用というところに表れてきて、それも含めて評価をし、手当てをしていくことが必要だというふうに考えております。
今般、基本報酬を上げたのもそういうような考え方でございまして、引き続き、実態をよく見て、対応できるように努力していきたい、このように思います。
○岬委員 もちろん、さきに御質問しました障害者施設と高齢者施設というのはまた違うかもしれませんけれども、結局のところ、そういった逼迫した状態で致し方なくこのような事件が起きていってしまうという実情を踏まえまして、しっかりとサポートをしていただければと考えております。
では、次に、もう一つのテーマでございますが、皆様方は、生命のメッセージ展というものを御存じでしょうか。昨日までこちらの国会でも開かれておりまして、初日には岸田総理も御来場されていらっしゃいます。この生命のメッセージ展、全国各地で行われておりまして、交通事故、犯罪、いじめ等によりまして理不尽にも命を奪われてしまった犠牲者、また残された御遺族、御家族の思いをここに託したアート展ということで、生命のメッセージ展が行われていました。
ここで、私は一瞬、ちょっと不思議に思いました。後援に文科省であるとか国交省が入っているんですが、厚労省が入っておりませんでした。それをお尋ねしますと、厚労省側に後援の申請をしていないということでございましたので、それは何かお考えがあるのであろうと思いますけれども。
いずれにしても、御遺族であるとか被害者の声として、事件や事故を風化させないためにも、そして事件や事故を防ぐためにも、防衛策として、マスコミ等にも扱われるような特に大きな社会問題となった事案に関して裁判などがあった場合又は啓発活動をする場合に特別休暇が取得できるようにならないかという御要望、御相談があります。そして、特別休暇が取れるのであれば、事例集など、裁判にも活用いただけるなど、盛り込んでいただくことはできないかという要望が来ておりますが、この辺りはどのようにお考えでしょうか。できれば大臣のお考えをお聞かせください。
○武見国務大臣 昨日まで国会で開催されていた生命のメッセージ展、大変申し訳ありません、私自身は存じ上げなかったものですから、参加をしておりませんでした。
犯罪や事故などによって理不尽に命を奪われた犠牲者御本人の写真であるとか、それから生前に履いておられた靴などが展示されていたと聞いております。多くの方々に改めて命の貴さを伝える、大変意義深い機会だったと私は思います。
改めて申し上げるまでもなく、こうしたお一人お一人の命は何物にも代え難いものでありますから、しっかりと、社会保障、労働政策といった、人々の命や暮らしを根底から支える制度を、やはり厚生労働省として責任を持ってその所轄の任に当たらなければならないということを改めて認識をいたしました。
○岬委員 私も御相談をいただいて、京都であるとか、同じ愛知県の自動車学校などで開催されたものも拝見しております。
その中で、遺族の方々と交流をした中で、やはり、残された遺族や家族というのは人生が続いていきます。この痛みであるとか苦しみ、若しくは相手への恨み、そんな気持ちを抱えながら、それでも健やかに生きていこうと懸命なお姿に非常に私は感銘を受けております。是非、そういった方々が活動を少しでもしやすくなるように御配慮いただければと思います。
また、先ほど参考人の方も手を挙げていただきました。参考人の視点からもお話を伺えたらと思います。お願いします。
○堀井政府参考人 お答えをいたします。
特に特別休暇について、岬委員からお尋ねがございました。
交通事故や犯罪等の被害に遭われた方、そしてその御家族等がその被害を回復するなどのため必要な時間を確保するというのは大変重要なことであると考えております。
そして、今、特別休暇につきましては、各企業におきまして労使で話合いをして導入が図られているものでございます。
そして、厚生労働省といたしましては、導入を促進するために具体的にこれから申し上げるようなことに取り組んでおりまして、まずは、事例の収集と事例集の作成、配布、そして、導入する場合の就業規則の規定例を記載したリーフレットの作成、配布、導入の意義や必要性等について導入企業へのインタビュー動画の作成、また、これらコンテンツの働き方・休み方改善ポータルサイトにおける周知、このようなことに今取り組んでおります。
今後とも、このような取組を通じまして、各企業におきます特別休暇の普及促進に努めてまいりたいと存じます。
○岬委員 ありがとうございます。
資料を読ませていただきますと、裁判員制度の休暇というのは特別休暇で認められているようですので、こういった啓発活動であるとかお取組のときにも是非取りやすくなるようにお願いいたします。
さらに、今のお話は被害者側、御遺族の話でしたけれども、犠牲者になられた方側でしたけれども、その反面、加害者側の救済というか更生というのも必要になるのではないかと考えます。
というのも、若年層による事件も増えておりまして、そういった加害者になってしまった方々は、しっかりと事件や事故に向き合っていただくことがまず大前提ですが、その中で、更に続いていく人生をしっかりと生き抜いていただくためにも、被害者、遺族だけではなくて、加害者になってしまった方々の更生にも力を入れていきたいと考えております。
大きく貴い命という面で、最後になりますが、大臣、これを政策にどのように生かしていくか、両方の面からお答えいただければ幸いです。お願いいたします。
○武見国務大臣 交通事故の加害者、被害者共に、命の貴さというものがやはりきちんと守られるように政策的に対応していくことは必要で、被害者に関しては、こちらの生命のメッセージ展のような活動というのは極めて貴重な活動であろうと思います。
厚生労働省としても、そうした活動があるとすれば、もし御連絡があれば喜んで協力をさせていただければというふうに思います。そしてまた、加害者の方の扱いというのも、これはなかなか難しい課題ではございますが、法務省ともしっかりと連携をしながら、厚生労働省として何ができるか考えてみたいと思います。
○岬委員 お答えありがとうございます。
今回、国会での展示におきましては、池袋の大変な事故の方が初めて靴を袋から出して展示をされたという、大変大きな一歩だったと思われます。会場に行きますと、時計の秒針の音が一人一人の等身大のところから響いてきます。是非、機会があれば委員の皆様も、そして職員の皆様も、そういったところに足を運んでいただいて、御理解いただければと思っております。
今日は、貴重な機会、ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、遠藤良太君。
○遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。
私からは、年収の壁ということで今日は議論していきたいと思うんです。
岸田内閣は年収の壁を解消するということでされているんですけれども、現状の問題意識としては、年収の壁は解消されていないんじゃないか、むしろ就業の抑制がかなり残っているんじゃないかなというふうなことを考えるんですけれども。
最近、様々な事業所から、特に介護に関する事業所から、ヒアリングをしていく中で、二〇二二年十月から、二十時間以上働くと社会保険加入が義務づけられているという中で、パートの方々は、こういう介護事業所というのはやはり高齢のパートの方が結構いらっしゃって、若手というよりも、六十代、七十代近くの高齢の女性の方がパートで働いているということが結構多いんですが、この中で、ある事業所によると、パートの方が、むしろ、わざわざこの年齢になっても社会保険に加入、そこまではいいやとか、そういうことが実際起こっていまして、本来であれば働ける時間を抑制していくということが起こっている、特にそういうパートの方々の戦力ダウンにつながっているんだということで、一方では、社会保険に加入して一生懸命働きましょう、こういう方々も実際はいるんですけれども、ある意味、二極化が起こっているということですけれども、その中で、介護事業所で働く高齢者の方は、社会保険に会社側は入ってくださいと言うんですけれども、本人たちが、いいですよということが起こっている。
こういうふうな状況があるんですけれども、現状、この評価に対してどういう対応を考えられているのか、お尋ねしたいと思います。
○橋本政府参考人 社会保険に加入した場合ですが、年金や医療の給付が充実するというメリットがございまして、これは既に高齢になっておられる方にも当てはまるものでございます。
例えば、年金について申し上げれば、二階の部分、厚生年金の部分がつくわけでございますけれども、七十歳になるまでは厚生年金の被保険者ということになり得ますので、既に年金受給者の方であったとしても、それに加入すれば、その分、毎年、年金額が増額改定されるというふうなところになってまいります。また、医療の面では、例えば傷病手当金が支給されるといったメリットもございます。そういったメリットもしっかりと理解いただいて、年齢を問わず様々な方に社会保険に加入していただきたいというふうに考えております。
私ども厚労省といたしましては、将来受給可能な年金額を簡単に試算できる公的年金シミュレーターの公開ですとか、あるいは、本年度から、社会保険に加入した場合のメリットなどを紹介する社会保険適用拡大特設サイトを充実させまして、従業員向けの新たなチラシとかショート動画なども活用しておりまして、引き続き積極的な周知広報に努力してまいりたいと考えております。
○遠藤(良)委員 様々な広報活動をしていく中で、実際、働く側の方々には余り伝わっていないのかなというふうに思っています。要は、扶養の範囲内でということを思われている方が多いと思いますので、その辺り、是非、広報する上で更に受取側がしっかりとそれを選択できるような提示をしていくということが重要だと思うんですけれども。
その中で、事業所側にとっては、キャリアアップ助成金ということで、社会保険適用時処遇改善コースというのがある、この中で、これは賃金の一五%以上を労働者に追加支給するということで、金額でいうと、毎月八万八千円が給料だとすると一万三千二百円が支給されるんだということなんですけれども、この要件の中で、特に、例えばこれに加入するという方が職場の中にいると、その方だけ給料が上がったようになるんですけれども、ここの辺の取扱いというのは、あの人だけ給料が上がっているよとか、そういうことになっているんだということなんです。その辺り、どういうふうに考慮して取り組まれているのか、お尋ねします。
○堀井政府参考人 お答えいたします。
まず、キャリアアップ助成金の社会保険適用時処遇改善コースに関しましては、令和五年九月の二十七日に取りまとめました年収の壁・支援強化パッケージ、この対応策の一つといたしまして、百六万円の壁を意識せず働くことのできる環境づくりを後押しする、こういったことを目的としまして、令和五年十月二十日から開始をしたところでございます。
そして、このコースのメニューの一つでございます手当等支給メニューでございますが、これは、労働者が手取り収入を減少せずに壁を越えることを後押しする企業を支援をする、このために、企業が労働者本人の負担分の社会保険料相当額、これは賃金の一五%に相当する額というふうにしていますが、この手当等の支給を行う場合に助成をするものでございます。
そして、遠藤委員からも御指摘がございましたが、その関連で、この手当等支給メニューの活用に当たりまして、企業にとっては社会保険料相当分の手当等を支給する必要があるということについてのお声や、また、パッケージ開始後の令和五年十月以降、新たに社会保険に加入した方を助成対象としている、このようなことから、令和五年十月より前に社会保険に加入していた方は対象にならないので従業員の間に不公平感が生じている、このようなお声があるということは承知をしております。そして、厚生労働省としても、企業の方あるいは団体の方、こういった方々に丁寧にお声を聞くような形にしておりますので、そのようなお声を把握をしております。
厚生労働省といたしましては、この手当等支給メニューの活用に当たりましては、まず、手当等支給メニューの対象にはならない従業員の方に対しましても企業独自の手当を支給をして不公平感を解消している、このような取組事例がございますので、こういったことを紹介していくこと、また、従業員間のバランス問題が生じにくく、要件もシンプルである、同じ社会保険適用時処遇改善コースの中で、労働時間延長メニュー、こういったものもございます、このようなメニューの活用も考えられること、あわせまして、既に社会保険に加入している従業員も含めて手当の支給や賃上げを図ることで、キャリアアップ助成金の別のコース、例えば賃金規定等改定コースというコースがございますが、こういうコースや、また、賃上げ促進税制なども活用できる場合がある、こういったことを周知をすることなどによりまして、企業への助成金の活用を促しているという、そういう状況でございます。
○遠藤(良)委員 企業によっては、採用している方の就業規則から変えていかないとということも課題があると思います。
一方で、この要件の中で、要は六か月継続して働いておかないといけないというのが前提であって、例えば、介護事業所というのはやはり離職率が高いですし、その期間に離職をすると事業所側の負担になっていくわけで、この制度設計であれば、これは事前の質問の中で聞いたんですけれども、六か月継続して、二か月は支給期間であって、事業所側に入ってくるのは更にそこから一か月、二か月先になる、大体約十か月ぐらいかかるんだということなんですけれども、これはなかなか事業者側にとっては使いにくい制度だということを指摘したいと思います。
その中で、要件を、例えば、今は六か月になっているんですけれども、この要件を、さきの法改正も踏まえて多分こういう取組を考えられていると思うんですけれども、時限的にですね、その中で、これは令和八年三月三十一日までですということだったんですが、それであればこの要件を緩和していくというふうに考えるべきだと思いますが、その辺りはいかがですか。
○堀井政府参考人 今、要件緩和ということで、特に六か月の話などもいただいたところでございます。
キャリアアップ助成金、雇用保険の二事業で実施をしておるところですが、労働者の雇用の継続、そのような観点、それできっちりと、助成金の対象となった労働者が当該事業所において雇用を継続されている、こういったことを確認をする必要もある、そのようなことなども踏まえて要件設定をしているという状況でございます。
一方で、キャリアアップ助成金につきまして、使いにくいというふうなお声もございましたので、手続の簡素化でございますとかそういったことを既に実施をしながら制度として運用しているところでございまして、現在の活用状況ということで申し上げますと、三月の末時点で、事業主からの計画届の受理件数が七千六百六十九件ございます。そして、その対象となる取組予定労働者数が、令和五年度から令和七年度の合計で二十一万二千三百五十二人というふうな形になっておりまして、活用につきましては着実に進んできておるというふうには考えております。
そのようなことから、このような状況も踏まえまして、まずは、現行のキャリアアップ助成金の社会保険適用時処遇改善コースの活用を引き続き分かりやすい形で事業主の方々に働きかけていきたいというふうにも考えておりますし、今後、企業から支給申請が提出をされてくると、本格化してくるのは今後ということになりますので、その支給申請等の手続が円滑に行われるように、労働局等においても丁寧な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
○遠藤(良)委員 その対象の数字に関しては、これは全職種だということで大きな数字に見えるんですけれども、一方で、こういう離職率が高い業界というのは、データをどこまで取っておられるかちょっと分からないんですけれども、恐らくこれは、ここまで継続して使われていないということを現場の事業所側から結構指摘があって、これはちょっと検討した方がいいんじゃないかなというふうに思います。
さらに、大臣にお尋ねしたいんですが、要は、こういう対策はしているんですけれども、百六万円を超えないように働く時間を減少させていく、こういう現象も一方で起こっている中で、更に働き控えが増えてしまうんじゃないかということなんです。
その中で、抜本的な改正をするまでのつなぎの措置として、例えば一時的に年収の壁をちょっと上げていくとか、そういうことも考えるべきだと思うんです。その辺り、大臣、いかがでしょう。
○武見国務大臣 厚生労働省としては、短時間労働者につきましては、年金等の保障を厚くするという観点から、被用者保険の適用拡大に取り組むことが重要であると考えて、こうした適用拡大を順次進めてきました。
委員御指摘の年収の壁の基準の引上げなんですけれども、こうした流れに逆行するところもあります。労働者の所得などの状況によっては被用者保険に加入できなくなる者が増えてくることなども想定されますので、やはり慎重な検討が必要かなと思います。
一方で、年収の壁を意識せずに働くことができる環境づくりを後押しする観点から、今般、若い世代の所得向上や人手不足の解消の観点から、当面の対応策として、年収の壁・支援強化パッケージを取りまとめたところでありますので、まずはこのパッケージを着実に実行した上で、被用者保険の適用拡大などの制度の見直しに取り組むこととしておりまして、次年度年金制度改正に向けて議論は開始をいたしました。今年年末頃に議論を取りまとめることができるように、引き続き、社会保障審議会の年金部会などにおいてこの議論を進めていきたいと考えています。
○遠藤(良)委員 要は、扶養の中で働きたいよ、こういう意見もあって、一方で、金額を上げるとその対象になってこない、厚労の、その保険の対象になってこない、こういう側面もあると思うんですけれども、一方で、条件をつけて緩和していくということを検討されたらいいんじゃないかなということで、一時的に年収を上げていこう、こういうことは考えてもいいのかなというふうに思います。
最後に、ちょっと大臣にお尋ねしたいんですけれども、今後、年収の壁、どういうふうに解消するのか、最後お尋ねします。
○新谷委員長 武見厚生労働大臣、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
○武見国務大臣 はい。
年収の壁については、昨年の十二月に閣議決定したこども未来戦略において、当面の対応策である年収の壁・支援強化パッケージの着実な実行、それから、被用者保険の適用拡大などの制度の見直しに取り組むというその基本的な立場がございます。
この制度の見直しにつきましては、次期年金制度改革に向けて、現在、社会保障審議会の年金部会などで議論を進めているところでありますので、このため、現時点で具体的な方向性を申し上げることはできませんけれども、今年の年末までに取りまとめて、しっかりそこは検討を進めていきたいと思っています。
○遠藤(良)委員 是非、保険適用の適用拡大だけでは限界があるというふうに感じますので、そこを指摘して、質問を終わりたいと思います。
○新谷委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。
今日は、経口中絶薬についてまず質問したいと思います。
昨年五月の販売開始から半年間で七百二十四人が服用し、十一月十五日までに十四件の副作用がありましたが、重篤な例はなかったという報告が出ております。一方、中絶薬を扱っている医療機関は百四十八ということで、指定医師のいる施設の三・五%にとどまっております。十県は、そもそも、経口中絶薬を利用できる医療機関はないという状況でございます。
これらの状況をどう評価しているのか、経口中絶薬の使用が広がっていない要因をどう分析しているのか、まずお伺いしたいと思います。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。
御指摘のメフィーゴパックについては、昨年四月、厚生労働省の審議会で薬事承認に関する審議が行われた結果、適切な使用体制の在り方が確立するまでの当分の間、入院可能な有床施設において入院又は院内待機を必須として使用すると判断されたと承知しております。
こども家庭庁としては、母体保護法に基づき、指定医師がその必要性や実施時期、経口中絶薬も含めた中絶方法を適切に判断した上で、経口中絶薬が使用されるものと受け止めております。
引き続き、人工妊娠中絶が法に基づき適切に実施されるよう、厚生労働省と連携してまいります。
○宮本(徹)委員 何か聞いていることに全然答えていないんですけれども。使用が広がっていない要因をどう分析しているんですかと聞いたんですけれども、合っていますかね、読んでいるペーパーは。ちょっと、これ以上また違うペーパーを読まれると心配なので次に行きますけれども。
G7広島首脳コミュニケでは、我々は、安全で合法な中絶と中絶後のケアへのアクセスへの対応によるものを含む、全ての人の包括的なSRHR、性と生殖に関する健康と権利を達成することへの完全なコミットメントを再確認しているとあるわけですね。
安全という点でいえば、経口中絶薬による中絶というのは、WHOのガイドラインが推奨しているわけです。麻酔も要らない、体への負担も小さいということになっているわけです。一方、WHOのガイドラインが推奨していない掻爬法が日本ではいまだにかなりあるという状況でございます。女性の権利と安全の面で世界標準にまだまだなっていないと思います。
大臣にお伺いしたいと思いますが、経口中絶薬を処方する医療機関を広げる必要があると思います。そして、先ほど、当分の間の対応という話がありましたけれども、今は入院施設等が必要とされているわけですけれども、早急に無床診療所でも利用できるようにすべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○武見国務大臣 委員御指摘のとおり、安全で合法な中絶やアクセスの重要性は認識しておりますので、現行の母体保護法の下で人工妊娠中絶が認められる場合において、いわゆる経口中絶薬は中絶手技における新たな選択肢を提供するものだと考えます。
経口中絶薬の例えばメフィーゴパックについては、昨年四月の薬事・食品衛生審議会の審議におきまして、本剤の有効性のほか、出血や感染症のリスク等の安全性について慎重に評価するとともに、製造販売後の管理方法についても議論をされたところでございます。その結果、適切な使用体制の在り方が確立されるまでの当分の間は、入院可能な有床施設において入院又は院内待機を必須として使用することと判断された上で、薬事承認をされたものでございます。
この点については、市販後に十分な調査研究を実施をし、適切な医療の連携体制の在り方について評価を行い、その結果に基づき判断することとされております。こども家庭科学研究の調査結果などを踏まえて、適切に対応したいと思います。
なお、その調査研究、令和五年度のこども家庭科学研究で、経口避妊中絶薬導入後における人工妊娠中絶の実施調査及び適切な情報提供等に関する研究で実施されてきているものでございますので、現在、その報告書を作成中でございます。
○宮本(徹)委員 報告書を作成中ということですけれども、早急に報告書をまとめて、これを見直していただきたいと思うんですよね。
大臣はWHOの親善大使……(武見国務大臣「辞めた」と呼ぶ)あれは辞めたんですか。やられていたということですよね。大変WHOとも関係があると思うんですけれども、WHOのガイドラインではこんな限定的なことを言っていないわけですね。一般医でも大丈夫ですよ、准看護師で薬剤管理をしても大丈夫ですよ、さらには十二週未満での薬剤での中絶は自己管理、これも推奨に入っているんですよね。
世界的には本当に安全性が確認される中でそこまで来ているわけですから、これをいまだに、入院しなきゃいけない、そこでしかできない、入院施設がなきゃできないということにしていると、なかなか、せっかく選択肢が増えても利用できない、安全なもの、体に負担が少ないものが利用できないということになりますので、ここは早急な見直しをお願いしたいと思いますし、これはこども家庭庁にはお願いしたんですけれども、そういうことからすると、私は母体保護法の指定医制度そのものもやはり見直す必要があるんじゃないかと思いますよ、中絶薬の取扱いということからいえば。いかがですか。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。
御指摘のWHOのガイドラインにおいて、十二週未満での薬剤による人工妊娠中絶について、産婦人科を専門としない一般の医師や看護師等による処方、自己投与も推奨されていることは承知しております。
我が国においては、母性の生命、健康の保護のため、一定の知識や技能等を有する指定医師が、妊娠の継続又は分娩が身体的、経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのある場合などに、経口中絶薬を用いるなどの手法により人工妊娠中絶をできることとすることで、人工妊娠中絶の必要性や実施時期、方法等が適切に判断されるものと考えております。
御指摘の見直しについては、指定医師以外の者においてこうした適切な判断が行えるかなど、様々な観点について慎重な検討が必要だと考えております。
○宮本(徹)委員 この点も、やはりWHOの知見を是非踏まえて検討していただきたいと思います。
加えて、配付資料の一番後ろにつけたんですけれども、利用料金の問題があるんですね。
当初、十万円ぐらいじゃないかと言われて、それも高い高いと私は一年前、質問をしたんですけれども、ちょっとホームページを調べてみました。私は東京なので、東京の十五の医療機関、経口中絶薬が使えるというところを見ました。値段が出ていないホームページも多いんですけれども、十万五千円から二十二万円までというふうになっていまして、外科的手術の料金と比較できた医療機関はそのうち五つ、そのうち三つが、実は経口中絶薬の方が高いんですね。元々、外科的手術より安くなるんじゃないかと言われていて、安くなっているところもあるんですけれども、必ずしも全体がそうはなっていないわけですね。
加えて、他県の医療機関のホームページを見ましても、経口中絶薬の方が安い場合でも、うまくいかなかった場合は外科的手術を追加料金ということで求めますので、合わせると高くなるということで、利用料金の面で、結果的に外科的手術に誘導されているのではないのかということも感じてしまうわけです。
海外を見ますと、中絶、御存じのとおりフランスは無料なわけですね。また、中絶薬による中絶で、カナダやオーストラリアは四万円程度ということを言われているわけです。
ちょっと政府にお伺いしたいんですけれども、経口中絶薬による中絶の平均的な料金というのは政府としてつかんでいるんでしょうか。私は大変高いと思うんですけれども、そういう認識はあるでしょうか。私は中絶への公費支援を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。
経口中絶薬による人工妊娠中絶の費用の傾向に関してこども家庭庁としては把握をしていないことから、お答えすることは困難でありますが、人工妊娠中絶については、個人の倫理観や家庭観等、様々な課題もあることから、まず国民的な合意形成が必要な課題だと認識しており、現時点では、一律に公費支援を行うことや、その前提として費用の傾向を把握することは考えておりません。
非常に難しいなとは思っております。各国の話を今、宮本先生はされましたけれども、それを一概にこども家庭庁で精査するということは、まだ私は聞き及んでおりませんので、申し訳ございません。
○宮本(徹)委員 先ほど、G7広島首脳コミュニケ、大事だということで私、読み上げさせていただきましたけれども、安全で合法な中絶へのアクセス、これをしっかり保障するということを考えた場合に、やはり、余りにも中絶費用が高過ぎる、中絶薬も含めて高過ぎるというのが状況だと思うんですよね。本当に、高校生とかが望まない妊娠をして、お金がないために中絶できる時期を逃してしまう、こういうことも今までも繰り返されてきているわけですよね。ここは本当に考えなきゃいけないところだということを、重ねて申し上げておきたいと思います。
そして、日本では、二薬目のミソプロストールを一度処方して中絶できなかった場合は外科的手術となっているわけですね。しかし、追加投与すればリスクのある外科的手術が回避できる人も出てくるわけです。
国際婦人科連合の推奨を見ますと、十三週までは二から三回、十三から二十六週は合併症がない限り排出されるまで投与を続けるべきであるということになっているわけですね。ですから、女性の体への負担ということも考えても、ミソプロストールを一度処方して中絶できなかった場合は外科的手術という運用はやめて、ミソプロストールを追加投与することを認めるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○武見国務大臣 この経口中絶薬のメフィーゴパックでございますけれども、まず、一剤目で胎児の命を止めます。そして、二剤目でミソプロストールを投薬をするわけであります。その二剤目のミソプロストールで胎児を体の外に排出するということになるわけであります。投与後に人工妊娠中絶がそのような形で達成されなかった場合は、我が国の場合には、御指摘のとおり、ミソプロストールの追加投与は行わないで、外科的な処置を行うということを考慮することとしております。
この理由でありますけれども、ミソプロストールの追加投与というのは海外で複数の報告などはありますけれども、追加投与によって人工妊娠中絶の成功割合が上昇したという報告はまだ示されていないとこちらは承知しております。申請企業からも、追加投与に関するエビデンスは不十分であるとの見解も得ております。このために、PMDAによる審査において、ミソプロストールの追加投与の妥当性を支持する情報は不十分だと判断をされまして、二剤目の投与後に人工妊娠中絶が達成されなかった場合には、外科的処置を考慮するよう注意を喚起するということとしているものでございます。
○宮本(徹)委員 ただ、現実には、世界では様々な臨床研究が行われていまして、二剤目を繰り返し投与することによって、実際はかなり薬によって中絶できる率は高いです。そういう研究が多いです。それは、PMDAがどういう判断をしたのかというのはあるのかも分からないですけれども、もう一度ちゃんと海外の事例を改めて大臣のところでも見ていただきたいと思うんですよね。
だって、国際産婦人科連合が、繰り返し投与して、そのことで排出することを推奨しているわけですよ。それはやはり世界の産婦人科の医師の皆さんの知見ですから、それは、役所からそういう説明を受けたんだ、これまでの経過は説明を受けているんだと思いますけれども、改めて大臣の目でこの問題を見ていただけたらなということを申し上げまして、時間になってしまいましたので、今日は終わらせていただきます。
○新谷委員長 次に、長友慎治君。
○長友委員 国民民主党の長友慎治です。
本日は、能登半島地震被災地のエコノミークラス症候群の予防につきまして、質問をさせていただきます。
今年の一月一日に発生した能登半島地震の発生から、今月末で丸五か月がたとうとしています。石川県は、三日前の五月十四日、能登半島地震の災害関連死に関する市町との合同審査を実施されまして、三市町の三十人を認定することを決めました。珠洲市が十四人、輪島市が九人、能登町が七人ということでございましたけれども、その各市町が近く正式に認定するということで、今回の地震で災害関連死認定は初めてとなります。石川県内の各市町には百人以上の認定申請があり、今後の審査次第では、地震の犠牲者が増える可能性があります。
地震による負傷者は、五月十四日時点で重傷と軽傷を合わせて千二百人、また、三千八百七十三人が避難生活を続けていらっしゃいます。
先日なんですけれども、災害後のエコノミークラス症候群の予防活動に取り組んでおられます榛沢和彦新潟大学特任教授から、災害関連死を防止する取組についてお話を伺う機会がございました。
榛沢先生は、新潟の中越地震の後、災害関連死の予防のための検診を今も続けている心臓血管外科が専門の医学博士です。これまで外科医として、血液の塊、血栓が血液の流れに乗って肺の動脈、肺動脈に運ばれ、そこを塞いでしまう肺塞栓症の患者さんをたくさん診てこられたそうなのですが、その原因が足にできる血栓だということが分かってきたとおっしゃっていました。特にふくらはぎの血栓が関わりがあることが中越地震の頃から分かってきたそうで、新潟県中越地震は二〇〇四年の十月に発生していますから、約二十年前に日本で分かってきたことでございまして、比較的最近それが理解されるようになってきたというふうにおっしゃっておりました。
そのふくらはぎのヒラメ筋静脈というふくらはぎの静脈血栓が急に大きくなって、これが血流に乗って肺まで運ばれ、肺動脈という血管を閉塞することで肺が詰まります。そうなると、呼吸困難や胸の痛みなど、症状は様々ですけれども、場合によっては突然死など、死に至ることがある。だから、このふくらはぎの血栓を見つけなければならないと、榛沢教授は他の病院の先生方とチームを組んでエコー検査を各地で行ってきました。
先ほども触れましたけれども、エコノミークラス症候群が原因でふくらはぎに血栓ができ、それが原因で肺塞栓症になり、最悪、死に至ることがあることはまだまだ知られていないことなので、啓蒙しなければならないということを力説をされているんですね。
榛沢先生は二〇一六年の熊本地震が起きた際にも検診活動に入られたそうなのですが、熊本地震のときよりも能登では血栓が見つかる頻度が多く、危険なものが多い印象というふうにおっしゃっておりました。これは、四月末に最後に入られて、そのような印象を持っているということでございます。
榛沢教授を始めとするエコノミークラス症候群の予防検診を行っているチームは、令和六年一月八日から四月二十九日まで計十八回、穴水町、旧門前町、輪島市、能登町、珠洲市でエコー検査によるエコノミークラス症候群予防検診を実施しました。その結果、千五百四十八人中百三十六人、パーセンテージでいうと八・八%に下肢深部静脈に血栓が見つかっています。血栓が見つかった人の中には、治療しないと、肺塞栓症の発症が疑われ、命が危険な方もいたそうです。また、門前町の避難所から肺塞栓症で穴水総合病院に緊急搬送された方はお亡くなりになられています。
いまだ、能登半島地震の被災地では下肢深部静脈に血栓がある人が多いと考えられ、五月以降もこの検診活動を続けるべきです。しかし、一月八日から三月三十一日までは日本医師会の災害医療、JMATとして予算措置があったのですが、四月以降は予算がなく、完全に手弁当で検診活動を行っており、これ以上の継続は厳しいとお聞きしました。
検診には、検査技師、医師の交通費、これはレンタカー代とかも含みまして、そして実費、エコー検査の消耗品などが必要なことから、石川県でのエコノミークラス症候群の予防検診のための予算措置を早急に行うべきと考えますが、厚生労働省の見解を伺います。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
被災地におけるエコノミークラス症候群への対応でありますけれども、これは極めて重要であると考えておりまして、厚生労働省では、被災地の自治体に向けた事務連絡の中で、エコノミークラス症候群の予防のための周知啓発、こういったことを行ったところであります。
また、先生御指摘のような活動が被災地の一部の地域で行われていることも承知をしております。
これはエコノミークラス症候群に限ったことではないのですけれども、様々な被災地での健康管理、これは極めて重要でありまして、その費用につきましては、災害救助法において、災害によって医療の途を失った方に対して救護班で応急的な医療、これを実施した場合には、国庫負担の対象とされております。
エコノミークラス症候群の早期発見のための検査として行われます応急医療活動、これにつきましても、石川県の派遣要請に基づくものであれば災害救助法の対象となり得るものであるというふうに厚生労働省では承知をしております。
○長友委員 今、石川県の派遣要請があればということを御答弁いただきましたけれども、なければ措置しないというふうな答弁だと私は理解するわけですね。果たして厚労省としてそれでいいのかということになります。
榛沢先生いわく、四月以降の予算措置がないために、このエコノミークラス症候群予防のための健康診断活動ができなくなっていて、このままでは血栓が残る人が出てきて、肺塞栓症を誘発してしまうケースが増えるというふうにはっきりと危惧されているんですね。
榛沢先生が言うには、熊本地震は、どちらかというと比較的都会で、インフラが途絶したといっても数日か一、二週間で避難環境が整った、しかし、能登半島の場合は、避難環境を整えるのに一か月、二か月とかかり、今でもトイレが使えない場所もあるぐらいで、そうすると避難期間が長くなってしまうことが問題だと指摘をされています。
先ほど、一月八日から四月二十九日まで計十八回能登半島で検診をして、八・八%の方に下肢部の静脈に血栓が見つかったとお伝えしましたが、一般的には一%から二%の出現率で、少し体の具合が悪い方々を集めたときでさえも四%ぐらいというふうに言われています。この比較でいうと、倍以上、能登半島で被災され、避難生活を送った、また送られている方々はリスクが高いということになります。
血栓ができる確率は一旦下がっても、半年後に上がってくるケースが中越地震のときにも見られたそうです。一年後に、血栓が残っている方でも急に悪くなる方もいらっしゃるというふうにもおっしゃっておりました。ですので、せめて半年、少なくとも毎年、一年ぐらいは定期的に調べた方がいいということなんですけれども、一旦血栓ができると早期に手当てをすれば消えるけれども、そのタイミングを逃すとなかなか消えてくれない、リスクを抱えて生きていかなければならないというふうにもおっしゃっておりました。
最後にもう一度言いますけれども、血栓ができたときにすぐに手当てができなかった場合は一割の方に血栓が残るんです。二十年前の新潟中越地震のときに見つけた血栓がまだ一割の人で消えていないと榛沢先生は指摘されていましたので、その事実を重く受け止めて、早く避難環境をよくし、また、予防検診活動を続けられる予算措置を強くお願いしまして、私の質問を終わりたいと思いますが、もし、大臣、この今までのお話で大臣としての見解を聞かせていただけるようでしたら、最後にお願いしたいと思います。
○武見国務大臣 災害関連死を防ぐということは、私どもにとっても極めて大きな課題であることはもう明らかであります。
まずは、その上で、今現在、石川県の県庁の中で対策本部があって、そこがそれぞれの各市町の状況の把握を行って、そうした災害関連死等に関わる実態の把握なども行っているところだと理解をしております。したがって、そうした中で、私どもとして必要とあればその協力をするということが適切ではないかなと思いました。
○長友委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○新谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時三十三分散会