第22号 令和6年6月5日(水曜日)
令和六年六月五日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 新谷 正義君
理事 大岡 敏孝君 理事 大串 正樹君
理事 橋本 岳君 理事 三谷 英弘君
理事 井坂 信彦君 理事 中島 克仁君
理事 足立 康史君 理事 遠藤 良太君
理事 伊佐 進一君
秋葉 賢也君 東 国幹君
畦元 将吾君 上田 英俊君
金子 容三君 川崎ひでと君
塩崎 彰久君 鈴木 英敬君
田所 嘉徳君 田畑 裕明君
田村 憲久君 高階恵美子君
中谷 真一君 仁木 博文君
西野 太亮君 堀内 詔子君
三ッ林裕巳君 森 由起子君
保岡 宏武君 柳本 顕君
山口 晋君 山本 左近君
吉田 真次君 阿部 知子君
大西 健介君 堤 かなめ君
西村智奈美君 山井 和則君
柚木 道義君 吉田 統彦君
早稲田ゆき君 一谷勇一郎君
岬 麻紀君 福重 隆浩君
吉田久美子君 宮本 徹君
田中 健君 長友 慎治君
緒方林太郎君
…………………………………
厚生労働大臣 武見 敬三君
厚生労働副大臣 浜地 雅一君
内閣府大臣政務官 土田 慎君
文部科学大臣政務官 本田 顕子君
厚生労働大臣政務官 塩崎 彰久君
政府参考人
(内閣府規制改革推進室次長) 渡辺 公徳君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 和田 薫君
政府参考人
(消費者庁審議官) 依田 学君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 黒瀬 敏文君
政府参考人
(消防庁審議官) 鈴木 建一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 淵上 孝君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 森 孝之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官) 内山 博之君
政府参考人
(厚生労働省医政局長) 浅沼 一成君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局長) 大坪 寛子君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長) 佐々木昌弘君
政府参考人
(厚生労働省医薬局長) 城 克文君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局長) 鈴木英二郎君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局安全衛生部長) 小林 洋子君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局長) 山田 雅彦君
政府参考人
(厚生労働省雇用環境・均等局長) 堀井奈津子君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 伊原 和人君
政府参考人
(厚生労働省政策統括官) 鹿沼 均君
参考人
(独立行政法人国立病院機構副理事長) 大西 友弘君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
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委員の異動
六月五日
辞任 補欠選任
勝目 康君 東 国幹君
川崎ひでと君 森 由起子君
本田 太郎君 山口 晋君
田中 健君 長友 慎治君
福島 伸享君 緒方林太郎君
同日
辞任 補欠選任
東 国幹君 西野 太亮君
森 由起子君 川崎ひでと君
山口 晋君 保岡 宏武君
長友 慎治君 田中 健君
緒方林太郎君 福島 伸享君
同日
辞任 補欠選任
西野 太亮君 勝目 康君
保岡 宏武君 本田 太郎君
同日
理事足立康史君同日理事辞任につき、その補欠として遠藤良太君が理事に当選した。
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六月四日
難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願(渡辺周君紹介)(第一七一二号)
同(青山大人君紹介)(第一七四二号)
同(五十嵐清君紹介)(第一七四三号)
同(石川香織君紹介)(第一七四四号)
同(小熊慎司君紹介)(第一七四五号)
同(小沢一郎君紹介)(第一七四六号)
同(大口善徳君紹介)(第一七四七号)
同(菅家一郎君紹介)(第一七四八号)
同(吉良州司君紹介)(第一七四九号)
同(佐藤茂樹君紹介)(第一七五〇号)
同(中村裕之君紹介)(第一七五一号)
同(長友慎治君紹介)(第一七五二号)
同(西野太亮君紹介)(第一七五三号)
同(野田聖子君紹介)(第一七五四号)
同(福重隆浩君紹介)(第一七五五号)
同(福田昭夫君紹介)(第一七五六号)
同(船田元君紹介)(第一七五七号)
同(松木けんこう君紹介)(第一七五八号)
同(三ッ林裕巳君紹介)(第一七五九号)
同(吉野正芳君紹介)(第一七六〇号)
同(池下卓君紹介)(第一七七四号)
同(金子恵美君紹介)(第一七七五号)
同(田中健君紹介)(第一七七六号)
同(角田秀穂君紹介)(第一七七七号)
同(徳永久志君紹介)(第一七七八号)
同(中曽根康隆君紹介)(第一七七九号)
同(根本匠君紹介)(第一七八〇号)
同(馬場雄基君紹介)(第一七八一号)
同(小渕優子君紹介)(第一七九一号)
同(逢坂誠二君紹介)(第一七九二号)
同(岡田克也君紹介)(第一七九三号)
同(金子恭之君紹介)(第一七九四号)
同(福島伸享君紹介)(第一七九五号)
同(葉梨康弘君紹介)(第一八一七号)
同(藤岡隆雄君紹介)(第一八一八号)
同(衛藤征士郎君紹介)(第一八七〇号)
同(細野豪志君紹介)(第一八七一号)
同(山井和則君紹介)(第一八七二号)
福祉職員の最低賃金を千五百円以上にして、職員配置基準を引き上げることに関する請願(牧義夫君紹介)(第一七四〇号)
国立病院の機能強化に関する請願(松木けんこう君紹介)(第一七四一号)
同(篠原孝君紹介)(第一七八九号)
障害福祉についての法制度拡充に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第一七九〇号)
最低賃金全国一律制度への法改正を求めることに関する請願(青山大人君紹介)(第一八〇七号)
同(泉田裕彦君紹介)(第一八〇八号)
同(小熊慎司君紹介)(第一八〇九号)
同(鎌田さゆり君紹介)(第一八一〇号)
同(神谷裕君紹介)(第一八一一号)
同(野間健君紹介)(第一八一二号)
同(福田昭夫君紹介)(第一八一三号)
同(山岡達丸君紹介)(第一八一四号)
同(山崎誠君紹介)(第一八一五号)
同(米山隆一君紹介)(第一八一六号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第一八四九号)
同(荒井優君紹介)(第一八五〇号)
同(石川香織君紹介)(第一八五一号)
同(衛藤征士郎君紹介)(第一八五二号)
同(奥野総一郎君紹介)(第一八五三号)
同(笠井亮君紹介)(第一八五四号)
同(穀田恵二君紹介)(第一八五五号)
同(櫻井周君紹介)(第一八五六号)
同(志位和夫君紹介)(第一八五七号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一八五八号)
同(田村貴昭君紹介)(第一八五九号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一八六〇号)
同(徳永久志君紹介)(第一八六一号)
同(長友慎治君紹介)(第一八六二号)
同(松原仁君紹介)(第一八六三号)
同(宮本岳志君紹介)(第一八六四号)
同(宮本徹君紹介)(第一八六五号)
同(本村伸子君紹介)(第一八六六号)
同(屋良朝博君紹介)(第一八六七号)
同(柚木道義君紹介)(第一八六八号)
年金引上げ等の改善と安定した雇用の実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八三六号)
同(笠井亮君紹介)(第一八三七号)
同(菊田真紀子君紹介)(第一八三八号)
同(穀田恵二君紹介)(第一八三九号)
同(志位和夫君紹介)(第一八四〇号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一八四一号)
同(田村貴昭君紹介)(第一八四二号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一八四三号)
同(長友慎治君紹介)(第一八四四号)
同(宮本岳志君紹介)(第一八四五号)
同(宮本徹君紹介)(第一八四六号)
同(本村伸子君紹介)(第一八四七号)
同(山崎誠君紹介)(第一八四八号)
国民を腎疾患から守る総合対策の早期確立に関する請願(衛藤征士郎君紹介)(第一八六九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
厚生労働関係の基本施策に関する件
介護・障害福祉分野の人材の確保及び定着を促進するとともにサービス提供体制を整備するための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する件
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○新谷委員長 これより会議を開きます。
理事辞任の件についてお諮りいたします。
理事足立康史君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新谷委員長 御異議なしと認めます。それでは、理事に遠藤良太君を指名いたします。
――――◇―――――
○新谷委員長 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人国立病院機構副理事長大西友弘君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣府規制改革推進室次長渡辺公徳君、警察庁長官官房審議官和田薫君、消費者庁審議官依田学君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、消防庁審議官鈴木建一君、文部科学省大臣官房審議官淵上孝君、大臣官房審議官森孝之君、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、医政局長浅沼一成君、健康・生活衛生局長大坪寛子君、健康・生活衛生局感染症対策部長佐々木昌弘君、医薬局長城克文君、労働基準局長鈴木英二郎君、労働基準局安全衛生部長小林洋子君、職業安定局長山田雅彦君、雇用環境・均等局長堀井奈津子君、保険局長伊原和人君、政策統括官鹿沼均君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○新谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田久美子君。
○吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。
まず冒頭、一昨日の早朝、能登地方を震度五強の揺れが襲いました。それによって、被災した家屋の倒壊も起こっております。先月、厚労委員会の視察で珠洲市や輪島にも行かせていただきましたけれども、被災地の皆さんの不安は計り知れないとお察しします。心からお見舞いを申し上げたいと思います。一緒に視察した委員の皆さんからも同じような発言がありましたけれども、災害救助法の中に福祉の視点を、福祉を位置づけるべきということ、昨日、公明党の災害法制見直し検討委員会も初会合をしたところでありますけれども、これは是非進めていただきたいということを、まず冒頭、申し上げさせていただきたいと思います。
一点目に、働く前に労働法制や社会保険制度について学ぶ機会をということで質問させていただきたいと思います。
先日、熊本で、社会保険労務士協会の方から御意見を伺いました。アルバイトや就職など社会に出て働く前に、働く側の権利や心構え、社会保険制度などを学ぶ機会が欲しいと保護者の皆様からの御要望を受けて、長年、小学校、中学校、高校、短大、大学、特別支援学校、また少年院にも出向いて、社労士協会独自でワークサポート事業と銘打って出張授業等を行ってくださって、大変喜ばれているということでありました。大事なことだなと思いました。
コロナが明けてから、一気に人手不足の問題がどの分野においても深刻になっております。ブラック企業という言葉が聞かれることは減ったようには思いますけれども、表向きはホワイトでありながら、ブラックな働き方を強要されている事例はまだ残っております。まだ成人して間もないような若い人たちが、闇バイトに吸い込まれて、犯罪に手を染めてしまい、まさに闇に落ちてしまうような事件には本当に胸が潰れる思いがいたします。
先日、福岡のある女性から相談がありました。新卒採用された会社で、小さいところなんですけれども、働いていたときに、婦人科系の病気になり、治療はしたけれども、今も、若いときの婦人科系の病気が原因でリンパ浮腫の症状で苦しんで、その症状を抑えるための医療費が相当、長年かかっているということでした。障害年金の申請をしたところ、その当時、残念ながら保険料を納めていないということで、利用できませんというふうに言われて愕然とした、そもそも雇用保険の仕組みや社会保障制度も知らず、入るべき保険に加入していなかったことも知らなかったということで、その未加入の数か月のせいでこれほどの不利益が自分の人生に降りかかってくるとは思いもしなかったということでした。
税や社会保険の仕組みは、共生社会を支える土台であり、また、いざというときに自分を守り、また人を助けるものであるということ、そして、自分が困ったときには社会保障の制度を堂々と使っていいものだということを知ることによって、税や社会保険料を負担と捉えるのではなく、共生社会の一員として安心して生きていけるツールであり、守り、守られる権利として、我が事として認識を進めていくことが重要と考えます。
これからの社会を担う若い人たちが自己実現につながる働き方の選択に資するように、社会に出る前の高校等において労働関係法令や社会保障の意義や仕組みを当事者意識を持って理解しておくことは重要だと考えます。
高校等の教育現場の実態を踏まえなければなりませんけれども、若い人たちが社会に出る前における労働法の教育や社会保障教育については一層の取組を推進すべきであり、さらには、困ったときにアクセスがしやすい制度にしていく必要があると考えますけれども、いかがでしょうか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
高校生などの若い方々が労働関係法令や社会保障に関する知識を身につけることは、様々なリスクに直面するこれからのライフステージにおいて、自らの選択に基づき安心して生活していけるようにするためにも、非常に重要であるというふうに考えております。
このため、まず、労働法の教育につきましては、高校生等が自己実現につながる働き方を選択できるようにすることや、職場でのトラブルを防止、解決することを目的として、困ったときに相談することのできる窓口も掲載した学習教材等の高校等への配布、また、都道府県労働局の職員の各教育機関への講師派遣、こういったことを行っているところでございます。
また、社会保障教育につきましては、若い世代が社会保障の意義や仕組みを理解し、必要な制度を活用できるということにするとともに、社会保障の担い手として当事者意識を持っていただけるよう、高校生向けの教材やモデル授業を盛り込んだ指導者用マニュアルの作成、周知を行うなど、取組を推進しております。
特に、現在、まさに現場で働いていらっしゃる教員の方々の御意見を丁寧に伺いながら、先生御指摘の、困ったときにどこにアクセスすればいいかという点も含め、現場の実情を踏まえた周知の方法、教材の内容の充実、こういったところを図っているところでございます。
引き続き、教育現場の実態を十分に把握しつつ、関係省庁とも連携しながら、若い方々に制度の意義や内容がしっかりと伝わるよう、御指摘を踏まえ、取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
○吉田(久)委員 しっかりお願いをしたいと思います。
次の質問に行きます。女性の健康増進についてでございます。
経済産業省の試算によると、女性特有の健康課題によって三・四兆円という経済損失が生じていること、そのうち一・一兆円は適切な措置で減額可能ということで、適切な医療につながることで離職や職務離脱等を防げることは事業者また本人のメリットになります。
月経困難症や更年期障害等、女性特有の健康課題について、適切に事業者が女性を雇用する上で配慮をし、適切な医療につながるよう促すことは、労働法制の上で事業者の義務と考えていくべきではないかと思います。
女性の就業率の増加に伴って女性の健康課題の重要性が高まる中で、女性版骨太二〇二三の方針で示されているように、労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断の各診断項目に関して、女性特有の健康課題について適切な対処や医療にアクセスができるよう、問診項目を増やす検討が厚労省の中でなされておりますけれども、是非この項目追加を進めていただきたいと考えております。今の国の検討状況と今後の方向性についてお伺いしたいと思います。
○浜地副大臣 まず、吉田久美子委員におかれましては、女性特有の健康課題につきまして熱心に御質問をいただいております。
御下問の事業主健診への女性の健康に関する問診項目の追加につきましては、女性版骨太方針二〇二三等を踏まえまして、昨年十二月に立ち上げました労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会において、労使の代表や産業医学の専門家等により御議論をいただいているところでございます。この検討会は、これまで既に三回実施をさせていただいているところでございます。
女性が安心して健康で働き続けられる環境を整えることは大変重要な課題であると認識をしておりますので、引き続き、労使の、専門家等の意見を聞きながらしっかりと検討してまいりたい、そのように思っております。
○吉田(久)委員 これはしっかりと、女性を守る対策、労使共にしっかり進めていただければと思っております。
無痛分娩についてお伺いいたします。
国が進める共働き、共育て、出産後の母子のケア、そして子育て支援の充実は、もちろん重要でございますけれども、出産そのものについても見ていくべきではないかというふうに思います。
不妊治療の末、先日やっと二人目を授かって、四十代で出産された方のお話を伺いました。家族経営の店なので仕事に早めに復帰せざるを得ず、初めて無痛分娩を選択をされたそうでございます。驚くことに、本人が言われるには、二十代で出産をしたときよりも今回の出産の方がはるかに体への負担が軽く、回復も驚くほど早くて、無痛分娩を選択して本当によかったと。
世界では既に当たり前になっている国もあるのに、何で日本ではもっと広まらないのか。出産の痛みを耐えてこそ母親になるなど、神話、これは女性にもいまだに信じられておりまして、本当は無痛分娩がしたくてこの産院を選んだのに六十代、七十代の母親に反対をされて諦めたというような話も、実際、その方からも、聞いた話としてお聞きしました。
そもそも無痛分娩は安全なのか、不安視する声はかなり多くあります。先日、厚労省よりレクを受けましたけれども、最新のデータで、どのくらいの妊婦が出産を契機に亡くなっていらっしゃるのか、また、その一番多くを占める死因は何なのか、そのうち無痛分娩が直接の原因で亡くなっている方は何人いらっしゃるのか、正確なところをお聞きしたいと思います。
○浅沼政府参考人 お答えいたします。
日本産婦人科医会によりますと、二〇一〇年から二〇二二年までの間においては、妊産婦の死亡が五百八十三例報告されております。その死因につきましては、分娩時及び分娩後の大量出血が一八%、頭蓋内出血、梗塞が一四%と、出血関係が最も多くの割合を占めております。
また、別の報告では、二〇一〇年から二〇一六年までの間に妊産婦の死亡が二百七十一例報告されており、このうち、無痛分娩を行っていたものは十四例、五・二%、このうち、無痛分娩において使用した麻酔が直接的な原因となったものは一例であるとされております。
○吉田(久)委員 一例ということなんですよね。これは、実態がなかなか世間には伝わっていない現状だと思います。
どこまでも母子の安全第一で、出産が最優先であり、最もリスクの少ない出産が保険適用を進める上での根幹の条件であることは論をまちません。どのような出産を選択するかはもちろん本人の自由でありますけれども、女性活躍を国が進めるのなら、安全を確保した上で、経済的負担を軽くし、無痛分娩を選択しやすくしてほしいとのお声に応えるべきではないかと思っております。
女性が安全、安心な無痛分娩を選択できる医療体制を確保するとともに、無痛分娩に対する経済的な支援を進めるべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
○浜地副大臣 無痛分娩につきましては、委員も御案内のとおり、硬膜外麻酔等を行います。したがいまして、母子の心身の安定、安全の確保を図ることが、まず重要でございます。したがいまして、分娩を取り扱う医療機関において、安全な無痛分娩に向けた対応を講ずることが望ましいと考えております。
このため、無痛分娩関係学会・団体連絡協議会、通称JALAとも連携しまして、二〇一八年度から、安全な無痛分娩を実施する医療機関の情報を広く公開をし、また、麻酔を実施する医師の確保などの取組を進めているところでございます。
経済的負担の軽減という観点からいきますと、昨年四月から、出産一時金を四十二万円から五十万円に大幅増額をいたしました。また、先週から開始をしたんですが、出産費用の見える化のために、無痛分娩の実施の有無も含めた医療機関等ごとのサービス内容や出産費用の状況などを公表する出産なびの運用を始めたところでございます。
引き続きまして、安全な無痛分娩を選択できる実施体制を含め、妊婦の方々が個々の考えや希望に基づいて安心、安全に出産できる環境の整備に取り組んでまいります。
○吉田(久)委員 よろしくお願いいたします。
最後の質問をします。新生児マススクリーニングの二疾患追加についてであります。
昨年十二月にも本委員会で質問させていただきました。これはこども家庭庁の案件でありますけれども、この機会に質問させていただきたいと思います。
SCID、重症複合免疫不全症と、SMA、脊髄性筋萎縮症、どちらも早期発見が鍵で、治療の有効性が認められており、公費負担が、二十疾患に加えて、拡大新生児マススクリーニングが将来的に公費負担で行われるべきだと考えます。
SCIDの赤ちゃんが定期予防接種であるロタウイルスのワクチンを打つと重篤な副反応を起こすということでありますので、ロタウイルスワクチンが禁忌となっておりますけれども、そもそも、SCIDかどうか、新生児のときにスクリーニングを受けないと分からないわけでありますので、ロタウイルスの定期接種化と同時に、公費でスクリーニングを個人負担なく受けられるように、いち早く公費で全国実施すべきであると考えます。
国は現在、実証事業を補正予算十億円を組んで行っており、必要な知見や体制が得られ次第、早期に全国展開を目指したいとの答弁を得ましたけれども、今の実証事業の状況についてお伺いします。
○黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の二疾患に関しましては、新生児マススクリーニング検査の対象に新たに追加する優先度が特に高いと考えられますことから、モデル的に実証事業を実施する旨、御指摘いただいたとおり、昨年十二月の質疑でお答えをさせていただいてございます。
その後の状況でございますけれども、令和五年度におきましては、二十一の県及び政令市におきまして実証事業を実施いただいたところでございます。また、令和六年度、本年度におきましては、更に多くの自治体で実施いただけるように、引き続き実証事業を実施することといたしておりまして、現在、自治体の公募に向けて、こども家庭庁で手続を進めているところです。
あわせて、こども家庭科学研究におきまして、地域における検査、診療体制の整備状況の把握等を行う調査研究を実施してございまして、実証事業と連携しながら、必要な知見、データの把握や体制の確保を図って早期の全国展開を目指してまいりたいというふうに考えてございます。
○吉田(久)委員 以上で質問を終わります。よろしくお願いいたします。
○新谷委員長 次に、山井和則君。
○山井委員 二十五分間、質問させていただきます。
ちょっと、時間が限られていますので、早口になることをお許しください。また、答弁も簡潔に短くお願いできたらと思います。
まず何よりも、今回、中島理事始め与野党の理事の皆さん、超党派の皆さんの御尽力によりまして、今日の配付資料にも入れさせていただいておりますが、決議ですね、二ページにございますように、介護・障害福祉分野の人材の確保及び定着を促進するとともにサービス提供体制を整備するための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する件という決議、うまくいけば、今日これが全会一致で採択されるのではないかと思います。委員長を始めとして、ここに至るまで御尽力いただきましたことに心より感謝を申し上げます。
そして、この決議がどれだけ拘束力、実効性があるのかというのは、それはまた別の話なんですけれども、何としても、この物価高の中、また今までから、介護職員、障害福祉職員の賃金が安い中、また今回、特にホームヘルプ、訪問介護事業所では基本報酬も引下げになった中で、処遇改善や支援は待ったなしだと思います。
ついては、具体的に質問通告どおりお聞きしますが、この物価高の中、次期改定の三年を待たずに介護報酬や障害福祉報酬引上げや事業所への新たな補助金、処遇改善加算の増額の可能性はあるのか、補正予算や来年度予算で、この決議を基に検討すべきではないか。いかがでしょうか。
○武見国務大臣 まだ決議が採択されていない現段階ではコメントするのは控えさせていただきたいと思いますけれども、この段階で、内容に関するお答えとしてではなくて、一般論として、政府として決議の内容を尊重して対応していくべきものだということはまず申し上げておきたいと思います。
その上で、御指摘のように、過去には、消費税率の変更のような大きな社会経済環境の変化があった場合や、それから政策的に処遇改善を行う場合に臨時的な改正を行った例がございます。
一般論としては、報酬改定について、改定による影響を十分に調査、検証するとともに、頻繁に介護報酬等の内容が変わるようなことによって、現場の負担それから保険料や利用者負担への影響などを考慮して、これは丁寧に検討すべきものと考えます。
いずれにせよ、今般の介護報酬改定等における対応を通じて、まずは、令和六年度二・五%のベースアップを実現するために、処遇改善加算の取得や、それから賃金等の状況についてしっかりとフォローアップをしつつ、処遇改善加算の取得促進に全力を尽くしたいと思います。
○山井委員 今から十六年前、二〇〇八年に今日と同じような趣旨の議員立法が超党派で成立をして、そのときは今おられます田村先生にも大変御尽力いただいて、超党派でそのときも成立させたんですけれども、その結果、翌年から処遇改善加算がスタートをしたということでありまして、たまたまそのときの担当の政務官は私でありましたけれども、そういうふうに、今までからこういう超党派での合意によって予算がついたり新たな制度ができるといういい前例がありますので、今回の決議が仮に採択されたら、されると思いますが、是非ともそういう結果につながるものにしていきたいと思っております。
ついては、今年の九月以降、介護、障害者現場の検証の結果をまとめるということですけれども、来年度予算に向かって措置する必要がある可能性が十分ありますので、ついては、十一月、十二月に介護現場、障害福祉現場は大変だと分かっても来年度予算に間に合いませんので、是非この検証の結果は十月末ぐらいまでに一定取りまとめる必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 今般の介護報酬改定の影響等については、介護事業経営実態調査を始め各種調査などを通じて、利用や事業者の状況の把握を行うこととしております。
具体的には、介護において、まず、処遇改善加算の四月の申請状況を五つの自治体の協力の下にサンプル的に確認したところ、昨年三月から今年三月にかけて、また、今年の三月から四月にかけて、加算の取得申請が進んでいる傾向があります。これは大変好ましいと思っております。これは、協力をいただいた自治体の離島や中山間地域などでも同様の傾向にあるということを確認させていただいております。引き続き、加算の申請状況について正確な把握は行います。
また、介護については、九月頃に実施予定の調査において、地域の特性や事業所の規模等を踏まえまして、社会資源が十分でない地域を中心に、小規模な事業所を含め、サービス提供の実態を総合的に調査する予定でございます。この調査に当たっては、介護給付費分科会の議論も踏まえて調査の設計をすることとしており、この準備についてはできる限り早く、早急に取り組みます。
○山井委員 まとめになりますが、今日二時以降にこの決議が採択されたらということですけれども、改めまして、今まで以上に介護、障害者の職員の処遇改善に取り組む、そういう決意をお聞かせいただければと思います。
○武見国務大臣 改めて、決議の内容について今の時点では申し上げることはできませんが、賃金を引き上げて、そして各企業関係の賃金との格差というものをできる限り縮小していく、そして、介護分野における労働者の確保というものをより確実にしていくということについては、常に怠りなく対応していかなければならない、そう考えております。
○山井委員 今日こういう決議を全会一致で採択されそうだということは、非常に重要なことであります。そういう意味では、もちろん野党も頑張りますが、与党の議員の方々におかれましても、是非とも、これの結果が出るように一緒に頑張っていければと思います。
また、続きまして、今までから介護職員の賃上げのときには保育士さんの賃上げもセットでやってきたということがございますけれども、二〇一二年、今から十二年前に、自民、公明、当時の民主党で三党合意をしまして、保育士さんの人員配置基準、例えば一歳児は六対一から五対一にするという三党合意をしたのが二〇一二年で、それから十二年もたって、私、毎年質問しているんです、十二年間。何とか、もう来年、来年度から五対一に引き上げていただきたいということと、配置基準を引き上げても、保育士さんは今不足していますから、やはり保育士さんの処遇改善もセットでやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。
安心して子供を預けられる体制の整備、これが大事でございますので、一歳児の保育士の配置基準につきましては、こども未来戦略におきまして、二〇二五年度以降、保育人材の確保等の関連する施策との関係も踏まえつつ、加速化プラン期間中の早期に六対一から五対一へ改善を進めることといたしてございます。具体については、今後の予算編成過程において検討してまいります。
また、配置基準の引上げに伴いまして、保育士の人材確保が課題になってまいりますが、その際に、人材を確保する上で、保育士の処遇改善が大変重要な課題となってございます。
保育士の処遇改善につきましては、平成二十五年度以降、継続的に取組を行ってきており、現在では、直近において、令和五年人事院勧告を踏まえた対応として、五%を上回る公定価格の人件費の改定を行って、累計二三%プラスの給与改善を進めてきております。また、これとは別に、技能、経験に応じた月額最大四万円の給与改善も平成二十九年度から行っているところでございます。
今後、こども未来戦略を踏まえて、必要な配置改善や、民間給与動向等を踏まえた更なる処遇改善の対応を行うとともに、こうした処遇改善の取組が現場に効果的に行き渡るように、費用の使途の見える化等によって職種別の賃金改善の状況等を明らかにするなど、透明性の向上も図ってまいりたいと考えてございます。
○山井委員 是非、早期と言っているわけですから、来年度から実施をしていただきたいと思います。
黒瀬審議官、それではもうお帰りいただいて結構です。ありがとうございます。
それでは次に、悪質ホストクラブの質問にさせていただきたいと思います。
まず、何よりも、今日の配付資料にも入れさせていただきました、先日、武見大臣が本当に、悪質ホストの被害者の方々、配付資料十一ページにありますけれども、被害者の方々、またそのお母さんの方々、支援団体、青母連やぱっぷすの皆さん方と、大変お忙しい中、一時間も時間を取ってお話を聞いていただきまして、本当に幾ら御礼を申し上げても足りません。
そういう中で、じゃ、どういうお話を聞いたのかというと、当日参加された方のプロフィールが今日の配付資料に入ってございますので、ちょっと御説明したいと思うんですね。四ページにあります。
武見大臣はもちろん覚えておられると思いますけれども、あるお母さんのお話は、娘さん、当時二十歳、悪質ホストクラブに通ったせいで、一千二百万払えと言われた。女子大生ですよ。一千二百万。トータル、結果的に八千万円請求された。
これはどう思われますか、桁として。やはりこれはちょっと看過できない問題であります。
それで、これは配付資料には入っていませんけれども、歌舞伎町や警察や青母連がこういうチラシを作っているんですね。ストップ悪質売り掛け被害、恋はうそで始まってうそで終わる、被害に遭ったら相談をとおっしゃっているんですけれども、もちろんこのチラシも有効なんですけれども、被害に遭ってからでは遅いところがあるわけです。
そしてまた、次の相談者、Iさんのお母さんですね。大学生の娘さん、やはり、アルバイトの女性から気軽に誘われて行ってしまったら、そこでホストとつき合い出してしまった、その結果、売掛金の返済のために風俗で働かされて、それをやめろと親は言いますよね、それは女子大生だったわけですから。そうしたら、やめろと言うんだったら家を出るということで家を出ておられて、今は行方不明です。
青母連やぱっぷすの話によりますと、こういうホストとの関係で行方不明になっている若いお嬢さんというのは、数百人か、下手したら数千人規模で日本中にいるんではないかと。だから、私も、娘が行方不明だという相談を受けております。全国のどこかのソープランド街か風俗街で働いているんでしょうけれども、そのもうけは全部ホストが吸い上げていくということなんですね。
それで、最初のSさんの娘さんも、何でそんなホストクラブに行ったんだというと、巧妙なんですよね。普通にマッチングアプリで知り合って、マッチングアプリでは会社員として来るわけですよ。それで何回か会って、つき合ってから、男女の関係になった後、実はアルバイトでホストをやっているので一回来てくれないかと、こう来るわけですよね。これはマニュアルがあるわけです。隠して接近して、つき合って、結婚の約束をして、その後、十万のシャンパン、百万のシャンパンを頼ませるようにと。
三人目の方、この方も、武見大臣は直接話を聞いてくださいましたけれども、相談者Aさんは、マカオに海外売春に行かされた、結婚しようと言われ続けていて、行くように脅された、結局、トータル二千五百万円、売り掛けや支払いがあったということで、この方については次の七ページの東京新聞、マカオで売春十日間、幸せにするの言葉を信じたら、女性は歌舞伎町のホストに完全にだまされたということなんですけれども。
私も、堤かなめ議員とも一緒に歌舞伎町の調査にも行かせてもらいましたし、今まで十数回、この一、二か月も四、五回行って、被害者の話を、私もこういう質問をする以上は聞き続けているんですけれども、やはりこういう被害に遭った方というのは、最悪の場合は自殺をされます、だまされたといずれ分かるわけですから。飛び降り自殺が非常に歌舞伎町は多いですよね。あと、メンタルがやられて入院しちゃって、立ち上がれなくなる人。あるいは、マンションの五階から飛び降りて、だまされたと気づいてショックで飛び降りて、亡くならなかったけれども今も入院されている方。悲惨なケースがたくさんあります。
このようなことの相談について、武見大臣は、女性相談所の相談窓口において、こういう悪質な、全てのホストが駄目だとは言いませんけれども、こういう一部の悪質ホスト、ホストクラブの手口について研修を青母連さんやぱっぷすさんの専門家などからしてくださるということを先日おっしゃっておられましたけれども、その件は今後いかがなりますでしょうか。
○武見国務大臣 私も直接、当事者や青母連の方あるいは被害者のお母様などとお会いをしてお話を伺って、本当に女性の心を弄んで、それによってこうした売春行為をさせてしまうとか、ちょっともう筆舌に尽くし難いようなことがああいう形で本当に現実に起きているんだ、これはもう全く我々としては看過できない問題だということを改めて確認させていただきました。
それで、その場で担当者の局長及び担当者たちに対して、今現在において相談窓口になっております女性相談支援センターの、悪質ホストクラブの問題について、担当者たちがもっと深くその状況について認識をして、そして心のケアの専門機関などとも連携をして対応することの重要性というものを認識して、そうした対応ができるように指示をいたしました。悪質ホストクラブに関する注意喚起、それから周知啓発の強化、これのほかに、被害者の支援をされている民間団体と連携した研修の実施、それから女性相談支援センターと精神保健福祉センターなどとの連携推進による相談体制の更なる強化というのを指示したところでございます。
この民間団体と連携した研修に関しましては、今月中に女性相談支援センター及び女性相談支援員を対象とした研修を実施したいと考えておりまして、民間の支援団体、これは青母連とぱっぷすでありますけれども、そこからも具体的な相談対応事例等の説明をしていただくことになっております。
悪質ホストにおいて女性が多額の借金を負わされ売春等を強要されていることは、これはあってはならないことでありますので、引き続き、民間団体、関係機関、各省庁と連携しながら、悪質ホスト対策については徹底的に対応していきたいと思います。
○山井委員 私も、こういう重要な一般質疑の中で悪質ホストの問題を質問するのはちゅうちょするところがあるんですけれども、余りにもひど過ぎるというか、人権無視ということを言わざるを得ないんですね。
偽りの愛売り、風俗に落とす、計算ずくのホスト。マニュアルがあって、組織ぐるみで、十八歳の、十九歳の女の子が店に来たら多額の売り掛けを背負わせて、そうしたらもう風俗、売春で働くしか返せない、そのストーリーを描いて、若い女の子だったらこうやって回収できるなということで、そこに、話がややこしいのが、つき合おう、結婚しよう、そういう話を絡めてきて、女性の心をつかんだ上で逃げられなくして、結婚するんだから百万のシャンパン入れてくれよ、こういうふうな手口なんですね。
残念ながら、先週、CNNでもこの問題が報道されまして、海外売春が増えている、日本では若い女性がホストの借金返済のために世界に行って売春をしているということが、残念ながら、CNNや、先日、エコノミスト、イギリスの雑誌でも報道されて、これは本当に、日本の国、これでいいのか、そういう問題にもなっております。
そこで、警察庁にお伺いしたいんですけれども、先ほども言いましたように、悪質な売掛金、被害に遭ったら相談してくださいというのでは、私は遅いのではないかと思うんです。最大の被害者救済は予防なんです。多額の売掛金をかけられないようにしないと駄目だと思うんですね。
そういう中で、私たちは来週、悪質ホスト被害防止法案という議員立法を提出したいと考えておりまして、これは、風俗営業法、風営法を改正して、遵守規定に、支払い能力をはるかに超える売掛金、例えば、女子大生に三百万のシャンパンとか一千万の売掛金はどう考えてもおかしいですよね、どう考えたって。やはり、そういうものに対して、支払い能力をはるかに超える売掛金、債務を負わせない配慮規定をこの遵守規定に追加することにより、職業安定法違反の風俗や売春へのあっせんの入口でハードルを設けて防止する、そういう趣旨の議員立法を提出しようと思っております。
もちろん、他党の皆さんにも賛同を呼びかけて成立を目指すわけですけれども、是非、こういう趣旨を受け止めて、警察庁におかれましては、多額の売掛金の防止というものを今まで以上に厳しく取り締まっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○和田政府参考人 警察では、これまでもホストクラブに対し、多額の売掛金を回収するために女性客に売春をさせるなどしてホストが検挙された事例があり、このような売り掛けをさせること自体が問題とされていること、警察は違法行為については厳正に対処すること、消費者契約法ではいわゆるデート商法等に当たる契約は取り消し得ることなど、売掛金等に関する注意喚起を行っているところです。
議員立法につきましては、まずは国会において御議論いただくものであり、政府の立場からお答えをすることは差し控えますが、売り掛けに関するものも含め、ホストクラブやその従業員に違法行為がある場合には厳正な取締りを推進するとともに、違法行為がホストクラブの営業に関して行われている場合は風営適正化法に基づく営業の取消しや停止といった行政処分を行っているところです。
引き続き、関係機関とも連携しつつ、違法行為に対する厳正な取締り、風営適正化法に基づく行政処分、効果的な広報啓発、注意喚起等の各種取組を進めてまいりたいと考えております。
○山井委員 警察庁の露木長官が、昨年には十九年ぶりに歌舞伎町を視察に行っていただいて、警察庁も頑張っていただいていることに心より感謝したいと思います。
ただ、悪質ホストは、本当にその上手をいっているひどさでありまして、ここにもありますように、ホストクラブで十六歳の高校生に酒を提供して、六百万円、売掛金をさせた。高校生に六百万円ですよ。それで、当然、売春をさせた。残念ながら、これは氷山の一角なんですね。
それで、私も時々行って被害者の話を聞いていますが、先日も、お目にかかった十八歳の女の子が、結局妊娠してしまったというんですね、十八歳の女の子が。ホストクラブに通っていて、それで売掛金があって、ホストに売春しろと言われて、その売春の中で、誰がお父さんか分からないけれども妊娠した、それで、もちろん中絶するということで、早く中絶しないと駄目だというふうな相談にも乗らせてもらったり。あるいは、十八歳の女の子が、ホストクラブでお酒を飲まされて、売掛金をかけられて、それで、返せといってホストから追いかけ回されている。それとか、十九歳の女の子は、売掛金を背負わされて、つらくなってビルから、六階から飛び降りて、何とか生き延びて、私は話を聞きました。
私、民法改正があったわけですけれども、成人年齢が引き下げられたんですね。でも、警察にお伺いしたいんですけれども、実際、歌舞伎町では、十八歳、十九歳は入店を自粛するみたいなそういうふうな方針も出ておりますけれども、そもそもホストクラブというのはお酒をがんがん飲む場なんですよね。そこに十八歳、十九歳の女の子を入れて、残念ながら、飲んでいるケースも多いですよ。それはチェックできない。だから、やはり、歌舞伎町でも十八歳、十九歳は自主規制をという話が出ているぐらいですから、十八歳、十九歳の方のホストクラブへの入店を、禁止なり規制なり、何かすべきじゃないですか。
私も、十八歳の女の子から、妊娠しちゃったんです、どうしましょう、あるいは、売掛金、お酒を飲まされて、シャンパンを入れさせられて、その取立てにホストや怖い人たちから追いかけられているんです、助けてくださいと言われて、これはやはり私はおかしいんじゃないかと思うんですよ。もちろん二十歳以上も危険ですけれども、そういう若い女性が今食い物になっているという現実が一部であるんですね。
警察にお伺いしますが、この十八歳、十九歳のホストクラブへの、お酒は飲んだら駄目なわけですから、立入りの禁止あるいは規制ということについて、いかが思われますか。
○和田政府参考人 多額の借金を背負わせ、その返済のために売春に追い込むことは、女性客の年齢にかかわらず問題であると認識しております。
さらに、十八歳、十九歳については、風営適正化法において、営業所で二十歳未満の者に酒類又はたばこを提供することを禁止し、罰則を設けているところであり、警察は、ホストクラブに対し、違法行為については厳正に対処することを注意喚起しているところです。
ホストクラブにおける十八歳、十九歳の女性客に対する酒類提供については、例えば北海道警察や千葉県警察において、十九歳の女性客に酒類を提供した事案などを検挙しており、引き続き、違法行為について厳正な取締りを推進してまいりたいと考えております。
○山井委員 ちょっと、時間がありませんので、最後に質問しますが、梅毒ですね。
この六ページ。残念ながら、今、東京、日本で若い女性の梅毒が急増しております。被害者支援団体によると、悪質ホストの被害者の中の女性に梅毒の被害者が非常に多いというんですね。梅毒にかかっていても売春をやり続けろと脅されているという被害者の話も聞いたことがあります。
やはり、エビデンスというかあれはないですけれども、武見大臣、悪質ホストの売掛金で風俗や売春に強いていって、そこで性感染症として広がっている、こういう悪質ホストというものも一つの梅毒急増の原因の可能性が、ゼロではないのではないかというふうな気がするんですが、そのことについて一言コメントをいただいて、終わりたいと思います。
○武見国務大臣 梅毒の発生動向については、いわゆる悪質ホストとの関連は現時点ではまだ明確に確認されておりません。
一般論としては、国立感染症研究所の分析によりますと、新規の感染者のうち、女性は、二十代に多く報告をされ、それから患者の約四割が性風俗産業の従事歴がある者、それから男性は、二十代から五十代までの幅広い年齢層で報告をされ、患者の約四割に性風俗産業の利用歴があるなど、性風俗産業との関連が示唆されていることは事実であります。
梅毒増加の実態の詳細は十分に明らかではないということから、厚生労働科学研究班におきまして、梅毒患者に対するアンケート調査などを通じて、梅毒感染のリスクの要因を把握するために疫学的な研究を実施しているところでございます。
梅毒の蔓延を防ぐには、梅毒に関する詳細な実態の把握と、それから検査と、受検につながる啓発活動が重要でございますので、疫学研究の結果を踏まえながら、こうした周知啓発に徹底的に取り組んでいきたい、こういうふうに考えているところでございます。
○山井委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、早稲田ゆき君。
○早稲田委員 おはようございます。立憲民主党の早稲田ゆきでございます。それでは、よろしくお願いいたします。
まず、悪質ホストクラブ対策、被害防止について伺います。
警察庁にまず伺いたいのですが、私たちはこの間、支援団体、それからまた、先般、五月三十日には被害者のお母様方お二人からお話も伺いました。
その中で、先ほど山井委員の詳細な質問もございましたが、二十歳になった大学生は、マッチングアプリで知り合って、そして半年間で二千万円の借金を背負わされているということでありました。そして、これはマインドコントロールのような形でもう恋愛感情にならされているので、別れるという気持ちもお嬢さんにない、その中で、風俗店で働かされる、あっせんをされる、そういうことをおっしゃっておりました。その中で、非常に、ホスト一人だけじゃなくて劇場型で、社会経験のない若い女性を借金漬けにして、とてもとても一人で、自力では脱出ができない状況になっている、人身売買のような残酷なビジネスだということもおっしゃっておられました。
それから、もう一人のお母様に関して申し上げれば、やはり大学生で、今、行方不明、連絡が取れないということでありまして、ぱっぷすさんや青母連さん、支援団体は、最近本当に、行方不明になっているホストクラブ関係の女性が多いということも話をされておりました。
その中で、警察庁におかれても、非常に検挙を高めていただいていることを敬意を表したいと思います。昨年は、十一月、十二月でホストクラブの七割に当たる七百二十九店舗に立入検査をし、営業停止を含む行政処分は二百三件、ホストの検挙数、二月までに摘発したのは全国で二十八人ということでございます。いろいろ、風営適正化法、それから売春防止法、職業安定法など、全ての様々な法律を駆使して厳正に対応していただいていることには敬意を表したいと思いますが、その上でであります。
こういう今の悲惨な状況を踏まえて、この入口規制ということ、やはり山井議員もおっしゃっておりましたとおりで、ツケ払い、売掛金の返済に関して女性客に売春をさせた事案で、ホストだけでなく経営者の検挙、それから営業取消しの事案、これまでにどのくらいあったのか、警察庁として把握している数字を教えていただきたいと思います。
○和田政府参考人 御質問につきまして、その件数を網羅的に把握しているわけではございませんが、警察におきましては、様々な法令を駆使してホストクラブやその従業員の違法行為を取り締まっており、例えば、本年二月、宮城県警察において、客の女性を性風俗店にあっせんした事案について、ホストクラブの複数従業員を検挙するとともに、これらと共謀していた店長についても検挙したほか、東京都公安委員会が、ホストクラブの従業員が売掛金返済のために女性客に売春させていた事件を受け、本年五月、従業員が当時勤務していたホストクラブに対し、風営適正化法の規定に基づく営業許可の取消処分を行うなどしているところです。
引き続き、ホストクラブやその従業員に違法行為がある場合には厳正な取締りを推進するとともに、違法行為がホストクラブの営業に関して行われている場合は風営適正化法に基づく営業の取消しや停止といった行政処分を行うよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
○早稲田委員 今、和田審議官からいただきました。そうした数字をまとめていただいたのが一ページ目の資料にございます。
これによりますと、今年に入っては、風営適正化法等で二十二件のホストを被疑者とする検挙があるわけですけれども、なかなか経営者までということにおきましては、ここに書かれているとおりで、二件、宮城県警とそれから警視庁ということだろうと思います。
それだけ、本来は店ぐるみで、チームでやっている犯罪であるけれども、なかなか難しいのではないかと私もこれを見させていただいて思いました。特に、高額債務それから高額請求自体というものは違法ではありませんので、この悪質ホストの被害防止には大変御苦労されているということも実態として私は分かったと思っています。
その中でありますけれども、昨年の十一月九日、参議院の内閣委員会でも、国家公安委員長は、およそ返済困難な売り掛けをさせることは私も常識的に考えて問題ではないかと考えていると答弁をされております。
被害を未然防止するためには、支払い能力をはるかに超える、資力を超えた高額な売掛金などの債務を規制する何らかの措置が必要ではないかと考えますが、警察庁としてのお考えを伺います。
○和田政府参考人 先ほども御答弁申し上げたとおりでございますが、引き続き、警察におきましては、ホストクラブやその従業員に違法行為がある場合には厳正な取締りを推進するとともに、違法行為がホストクラブの営業に関して行われている場合には風営適正化法に基づく営業の取消しや停止といった行政処分を行うよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
○早稲田委員 そういうお答えだとは思いますけれども、やはりこの高額債務、高額請求自体、これが今抜け穴になっているところが私たちは大変問題ではないかというふうに感じております。
そのために、来週、立憲民主党として、議員立法として、まず多額の売掛金を規制する、そうした法案を提出する予定でございます。この被害の急拡大におきましては、是非与野党の先生方にも御協力をいただきたいと切に思うところでございますが、こうした売掛金の、やはり入口の規制が少しでもできれば、警察庁としても取締りの大きな一助になるのではないか、その効果があるのではないかと私は考えますけれども、そのことについての御見解をお願いいたします。
○和田政府参考人 議員立法につきましては、まずは国会において御議論いただくべきものであり、政府の立場からお答えをすることは差し控えさせていただきます。
○早稲田委員 そういうことではありますけれども、私たちは、これはやはり国会として、立法府として、皆様方はそれぞれ政府としてやっていただいているけれども、私たちも立法府として穴を塞がなければならない、そして、被害が拡大している中で、少しでも皆様方の、警察の取締りにも効果があるような議員立法を提出して、皆様の御協力を得たいということを申し上げておきたいと思います。
和田審議官、ありがとうございました。ここまでで、よろしければ御退室を。よろしくお願いいたします。
それでは、厚生労働省、厚生労働大臣に伺います。
六月の三日に、女性相談支援センターの全国共通ダイヤル、シャープ八七七八、「はなそうなやみ」、これが運用開始をされました。私も、昨年十二月六日に、このフリーダイヤル、是非やっていただきたいということをホストクラブ問題対策におきましても要望させていただいたわけですけれども、早くやっていただいたこと、感謝を申し上げます。
その上で、資料の方も御覧ください。三ページですけれども、これは、運用を開始します、大変ありがたいと思っておりますが、この八七七八を御利用できない場合は、直接、都道府県の女性相談支援センターにお電話くださいということで、かけられない、つながらないところが下の表に出ております。固定電話からつながらないのが七県、それからまた携帯のドコモからつながらないのも六県、岩手、新潟、京都、兵庫、大分、沖縄県。
これは、いろいろと都道府県も対策を進めてはいただいているんですけれども、携帯が、電話の会社等の事情によってこういうことになっているという御説明ではありますが、やはり私は、せっかくつくっていただいた、大臣が先頭に立ってやられた共通ダイヤル、全国の自治体でどの携帯からもつながるようにすべきではないかと考えますが、その点について。
それからまた、ごめんなさい、御一緒に。このフリーダイヤルですけれども、そこのところの周知徹底のときに、是非、悪質ホストクラブ問題にも対応します、相談を今やっていますということを明記をしていただけないかと思いますが、その点についていかがでしょうか。
○武見国務大臣 まず、様々な困難を抱える女性の相談窓口である女性相談支援センター、各都道府県に設置されておりますけれども、相談者の利便性を図って相談のしやすい環境を整えるということのために、全国共通の四桁の短縮ダイヤル、シャープ八七七八、これは「はなそうなやみ」ということでありますが、これを導入をいたしまして、今月より運用を開始をしております。
この短縮ダイヤルというのは、女性相談支援センターが使用する電話会社の種類によって、一部には、御指摘のとおり、利用できない地域があるということが分かりました。これは電話会社の取扱いによるものであります。
短縮ダイヤルが利用できない場合は、厚生労働省や各都道府県のホームページ、それから各都道府県の女性相談支援センターの電話番号を公表しておりますので、お住まいの都道府県の女性相談支援センターに直接お電話をいただければというふうに考えております。
それから、悪質ホストクラブの問題については、厚生労働省のホームページにも特設ページを設け、相談窓口の案内であるとか、それから違法行為への注意喚起などを掲載しているのでありますが、この特設ページにも今般の短縮ダイヤルについて掲載も行っております。
また、今般の悪質ホストクラブの問題に関する注意喚起などのために、相談先として短縮ダイヤルも掲載したチラシを新たに作成することとしておりまして、こうした取組を通じて相談しやすい環境を整えて、悪質ホストクラブに関する相談についてもこの短縮ダイヤルが利用されるように努めてまいりたいと考えております。
その上で、この相談窓口に立つ担当者の人たちにも、被害者の方々との意見交換等を通じて、直接そうした被害者の方あるいは御家族の方から実情をよく聞いて、それを踏まえて丁寧に対応するようにという指示を出しております。
○早稲田委員 資料二ページにございますが、被害者の方それから支援団体とも大臣が直接面会をしていただいて、そこを踏まえていろいろ指示を出していただいているということ、感謝を申し上げます。
その上で、今おっしゃっていただいたとは思いますけれども、是非、この短縮ダイヤルのところにも、周知徹底のためにも、悪質ホストクラブ、そういう明記をしていただきたいということを強く要望させていただきます。
それから、次の質問では、山井議員が質問されましたので一点だけ、研修に関して、支援団体、ぱっぷすさん、青母連さん、そうした方たちが具体事例をお話しする、そういうことによって、ホストクラブの相談を受ける担当の方が、職員の方がしっかりと自分の胸に落ちてやるようにということの、実際に具体的にやっていただく、そういう理解でよろしいでしょうか。
○武見国務大臣 私も、直接お話を伺って、事態の深刻さというのを物すごく深刻に受け止めました。したがって、やはり相談窓口に対応される方々が同じようにその事態を深く認識しておくことが極めて重要で、窓口でそっけない対応などしたら、たちまちのうちに効果がなくなってしまいます。
したがって、そういうことがないように、実際にこうした窓口に立つ方々に研修を行っていただいて、その研修の中で青母連の皆さん方とかこうした被害者の方々の直接の声を聞いて、そして、いかにすれば相談に来る女性の皆さん方をしっかりと救うことができるか、あるいは、こちらの方から更に働きかける必要性があれば、これは場合によっては職業安定法なども通じて、警察がそこに入るというようなことだって当然あっていいと思いますので、そうしたまず最初の入口を、そこで丁寧に理解をする気持ちを持って話を聞くということが、まずその最初の入口に入る、こう私は認識しております。
○早稲田委員 私も大臣と全く同感でございますので、是非、担当職員の方たちがそうした深刻さ、事態の深刻さを受け止めていただけるような、そういう具体的な研修をしていただきたいということです。
それと、あともう一つは、先ほどの短縮ダイヤルがつながらないところがあるということで、そうでなければ、つながらない場合は都道府県の支援センターということなんですけれども、今、電話をするということもなかなか若い人たちはしない中で、この短縮ダイヤルができたので、それがよかったなと思っているわけですから、ここが駄目だったら次に電話するというようなところにはなかなか至らないので、是非これも携帯電話からつながるようにしていただくように、大臣としても更なる御尽力をお願いしたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。緊急避妊薬の薬局販売、OTC化でございます。
これにつきましては、従来より、日本が非常に遅れているということになっておりまして、これについてもいろいろ審議会などでも議論が重ねられてきましたけれども、大変時間がかかっております。
そして、昨年十一月にやっと開始をしました試験販売。一月までの調査結果がようやくゴールデンウィーク明けに公表されて、五月二十三日、薬事審議会の要指導・一般医薬品部会で報告がされたと思っています。
それからまた、大臣は、三月の参議院の予算委員会の中で、緊急避妊薬OTC化、薬局販売について、反対では全くない、アクセス改善への検討を継続すると答弁もされております。
その上で、二か月ですけれども、薬局で販売された総数が二千百八十一件という数字、これをどのように受け止め、評価をされていらっしゃるでしょうか。
○武見国務大臣 委員御指摘の緊急避妊薬販売研究事業は、業務委託先である日本薬剤師会などと連携して取り組んでおりまして、日本薬剤師会における周知活動に加えまして、実施主体として協力をいただいております百四十五の薬局が、都道府県薬剤師会に尽力をいただいた結果、二か月間で二千百八十一件の販売実績となったところでございます。この点については、厚生労働省としては、緊急避妊薬を求める利用者のニーズに沿って対応できたものと考えております。
今後とも、緊急避妊薬が必要な方々に適切な形でアクセス可能となるように、関係者と連携しながらこの事業に取り組んでいきたいと思っております。
○早稲田委員 また次も試験的な販売ということでやられる予定であろうかと思いますけれども、ここまで、二か月間で、これは大臣としては想定よりも多かったということなのではないでしょうか。
それでは、この数字がどこまでいけば本格運用になるのかということ、どういうデータを更に集めればいいのかということを大臣に伺います。それからまた、次の質問も重ねますが、例えば、製薬事業者とも意見交換をされていると思いますけれども、製薬事業者の方たちはどこまでのデータを求めていらっしゃるとお考えか、ここをまとめて伺いたいと思います。
○武見国務大臣 現在やっている事業でありますけれども、評価検討会議で示されたOTC化に関する様々な論点、具体的には、年齢制限の要否であるとか、あるいはプライバシーの確保の在り方であるとか、それから薬剤師による対面販売時の留意点は何であるか、それから産婦人科医との連携の在り方は一体どういうものか、それから、地域の一部薬局における試験的運用を通じて得た情報を分析をいたしまして、課題はどこにあるのか、あるいは対応策をどうすればよいのか、これらを検討することになっております。
厚生労働省といたしましては、OTC化のために必要な特定の件数を念頭に置いているわけではございませんで、こうした論点について十分に検討していくことが重要と考えます。
この点、令和五年度の事業では、販売の実施期間や数量が限定され、有効な分析ができていない地域があったことなども踏まえまして、令和六年度も事業を確実に継続をして、こうした論点というものの検討をより確実に続けていくべきと考えているところであります。
そして、これらの事業目的は、評価検討会議というところで示されたOTC化に関する様々な論点について、地域の一部薬局における試験的運用を通じて、データ、情報収集、分析、課題対応策を検討いたします。
したがって、OTC化に向けて必要なデータの件数について、あらかじめ特定の数値を念頭に置いているわけではございませんが、また、緊急避妊薬を製造販売する企業とも、必要なデータ数について意見の交換を行っている、そういうことをしているわけではございません。
○早稲田委員 数字ではない、データの数字の目標ではないとおっしゃいますけれども、評価の論点はいろいろあるのは、もちろん、私も読ませていただいております。その中で、いろいろ慎重な御意見も、この試験運用をやって、たった二か月ですけれども、それがクリアできたものもあるのではないでしょうか。そして、これが大変問題だというようなところまでいっていないはずだと私は思います。購入後の行動、八五・六%が受診しないというのは、生理が確認されれば婦人科を受診しないということで、処方、調剤例とは変わらなかったということ、これは、OTC化すると服用後の必要な医療上の対応が遅れるといった慎重意見を覆す結果となっています。
こうしたことも踏まえれば、やはり、だらだらと試験販売をやっていくということは、私は、女性が緊急避妊にアクセスすることを妨害する、そうした行為にもなりますので、是非、論点が様々あるというふうにはおっしゃいますけれども、これをまとめて、どこの論点がこういうふうにクリアされればいいのかということを、今回、次のものをやるときにはきちんと明示していただきたい。その上でやっていただかないと、何年もこれを続けてしまうことは大変不適切だと私は思います。不作為につながります。
それでは、次の、今回またやるとした場合、来年五月になりますね、調査結果の公表が。次の試験販売をやるとしたらです。そうしたときに、一年間やって、やるわけですけれども、非常に遅いわけなので、次の目標、きちんと、ここまでのデータが出れば次は本格運用にしていくんだというような道筋もつけていただいてやっていただきたいと思いますが、大臣の決意を伺います。
○武見国務大臣 今年度やっております研究事業の内容につきましては、来年の三月三十一日まで調査を行って、そしてその後、報告書をまとめます。そして、その報告書をまとめた結果を受けて、今後、このOTC化に向けての在り方というものを検討することになっていくわけでありますから、そのプロセスをきちんと踏まえた上で、適切にOTC化に向けての条件整備というのをしていかなければいけないのかと考えています。
○早稲田委員 それはおっしゃるとおりなんですけれども、三月末までやって、その報告を上げるというのが五月になるわけですね。やはり一年後ですから、その間の、条件整備とおっしゃいますけれども、やはり本格運用に向けたアクセルを踏んでいただきたいと大臣には強く私の方から要望させていただきます。
明治大学の平山研究室が翻訳した最新のWHOの避妊のガイドラインによれば、面前内服の必要はなく、事前の検査や診療も不要であること、女性は安全に正しく服用でき、必要であれば、今後必要となるときのために複数錠のお渡しや事前提供が推奨をされております。日本の現行のガイドラインとは大きく異なっていることも御留意をいただきたいと思います。
また、大臣はSRHRにも大変推進の立場で、そしてまた、今、大臣というお立場で、女性が個人として認められる上での仕組みづくりが必要と以前にジョイセフの院内集会でもおっしゃっております、その仕組みをつくるお立場になったわけですから、是非、緊急避妊薬、このOTC化についてはもっとアクセルを踏んでいただけないかということを伺いたいのです。
それともう一つ、今度新たにやる試験運用においては、もっと広げていただけると思います。それがどのくらい広がるのか。そしてまた、地域性、それからまた繁華街など、そういうところにもしっかりと薬局を、対面販売の薬局を設けていただけるように、これはもちろん薬剤師会の御協力が大前提でありますけれども、そうしたことも一緒に考えていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょう。
○武見国務大臣 御指摘の令和五年度の事業においては、百四十五の薬局に試験販売に御協力いただいたところですけれども、令和六年度の事業におきましては、令和五年度の販売数が限定されていた地域などを中心に、より有効かつ必要な分析を行えるよう、更なる協力薬局の確保を求めていく予定でございます。
現在、日本薬剤師会が協力薬局を募集しています。薬局にはあくまで協力していただく形であるため、薬局数の数値目標を掲げることは適切ではないと考えておりますけれども、現時点で昨年度よりも二百薬局程度増加する見込みと日本薬剤師会の方からは聞いております。
この事業は、OTC化された際の適正販売に資する環境整備のための研究調査でございます。日本薬剤師会及び都道府県薬剤師会において、全国各地の事業を踏まえた検討を行って、御協力いただくことに同意いただいた薬局を通じて実施する必要があると考えています。このため、委員御指摘のニーズが高い繁華街を中心として実施することは、日本薬剤師会及び都道府県薬剤師会とも相談の上、これは慎重に検討していこうと考えているところでございます。
○早稲田委員 最後の資料を御覧ください。
六月十日に関係団体が院内集会をやります。緊急避妊薬の薬局試験販売の課題を、それから今後を考えるということでありまして、大変積極的にこれまでも関わっている、例えばNPOピルコン、それから、なんでないのプロジェクト、そうしたところがしっかりと課題をまとめて、それから、今回アクセスできなかった、そういう方たちからもアンケートを取って、課題をまとめております。
こうした積極的な団体とも、大臣、是非連携をしていただいて、もっと踏み込んだ、この試験販売の内容、どのようなことが重要なのか、どのようなことが問題なのかということを知っていただきたいと思いますので、是非連携をしていただきたいと思いますが、最後、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 現在、関係各団体とも協力をして、そして、この避妊薬に関わる扱い、どのような形が最も安全で、かつ効果的であるかということについての検証をしている最中であります。この調査が三月末に終わって、その取りまとめに入っていくことになるわけであります。この過程の中においても、こうした課題に関係がある多くの関係者の意見も丁寧に聞いて、そして最終的な取りまとめの中に反映させていきたいと思います。
○早稲田委員 これで終わります。ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、柚木道義君。
○柚木委員 立憲民主党の柚木道義です。
質疑の機会をいただき、ありがとうございます。
今日のメインテーマは、大項目二の福祉事業会社恵、大西委員が地元のことで先週もされましたが、その報酬不正請求と処分に関してなんですが、ちょっと冒頭、通告しているように、今日ちょうど、ダブルトラックというか、政治改革特別委員会、私も委員なんですが、まさに質疑が行われておりまして、いわゆる企業・団体献金が大きなテーマになっているんですが、そのことに関連して、ちょっと五分ぐらいお時間をいただいて伺いたいと思います。
冒頭、当委員会で四月十二日の日に、質疑の中で私の方が、「二〇一三年から一五年、まさに機能性食品解禁のさなか、一億円献金していますよ、この日本健康・栄養食品協会が。」という発言をいたしましたが、これは言葉足らずでございまして、正確性に欠けておりました。
改めて、「この日本健康・栄養食品協会が」との発言を「この日本健康・栄養食品協会の会員会社が自民党の政治資金団体である国民政治協会に」と訂正させていただくとともに、おわび申し上げます。
その上で、なぜ私がそういう質問を申し上げたかというのを、資料を皆さん、御覧いただきたいんですが、この一ページ目以降を見ていただくと、まさに今政府も、まさに厚生労働省、消費者庁も一体となって、機能性表示食品の健康被害、初めて死者まで出てしまった、この見直しに取り組まれており、そして我々も、まさにこの健康食品、機能性表示食品の被害防止法案を国会に提出している。
しかし、なぜそういうことが起こったのかという背景に、この資料にも書いておりますように、例えば一ページ目、紅こうじなど機能性表示食品、始まりは安倍政権の経済成長戦略、特保より緩い規制、企業には便利と。私もこの委員会でも、まさに規制改革会議に、優秀な先生なんでしょうけれども、やはり外部から見たときには利害関係者である方が委員に入っておられて、あるいは、消費者庁の検討会にも、まさに機能性表示食品、通販の大手の会社の創始者の方なんですかね、メンバーに入っておられたり、まさにそういう方々が献金も含めて政策をゆがめてきたんじゃないか。
これは、私もまさに政治改革特別委員会で申し上げました。自民党の筆頭提出者の鈴木さん、お認めにならなかったですよ。そういう、ゆがめられているということは認められませんでした。それは認められないですよね。認めちゃったら、だって、皆さん、毎年二十億から三十億円、国民政治協会に献金いただいているんですから、いただけなくなりますから、認められないと言うでしょう。
しかし、私、二ページ目以降につけているように、今般の小林製薬さんも、分かっているだけで、私、調べました、官報。あるいは、山口県の、収支報告が記載されているものも調べました、安倍さんの自民党の支部に。令和四年まで、平成元年から、千三百九十一万円、自民党さんに献金されている、小林製薬さん。さらには、安倍総理が総理に就任されたちょうど二〇〇六年から、小林製薬さんはずっと献金、お亡くなりになって安倍昭恵さんが代表を引き継がれてからも、合計四百四十万円献金ということで、四ページ目を御覧いただくと、まさに、健康食品業界から多額献金と。機能性表示食品解禁が二〇一三年です。その前後、二〇一二から一五年に、まさに私が今日改めて訂正申し上げましたが、まさに関係の団体に加盟している企業さんが九千四百十三万円、これは私、全部官報、裏を取りました、ぴったりです、献金されているんですね。
そういうことがまさに政策をゆがめてきているんじゃないかという反省に立てば、これは、まさに今議論されている企業・団体献金、全面禁止かどうかは私も議論があると思います。しかし、例えば公共事業の受注企業からの献金は禁止されているじゃないですか。せめて、利害関係にあるような企業・団体献金は禁止する。これは禁止のキの字も、議論、入っていないんですよ、今回、自民党さんの再修正案の中に。せめてそういうことも、やはり国民の疑念を払拭するためには検討すべきだ、大臣、そういう御見解はお持ちではないですか。いかがですか。
○武見国務大臣 今、様々委員がおっしゃった団体、企業による政治献金の在り方ということについてでありますけれども、一般論として私の所見を申し上げるとすれば、こうした企業・団体献金によって、政治、そしてこうした政府の政策、これらがゆがめられるということがあってはなりません。したがって、その点については、私の考え方は明白であります。
○柚木委員 まさにゆがめられることがあってはならないわけですが、やはりゆがめられてきたという、この間、防衛産業の受注とか、いろいろな指摘が衆参予算委員会の中でもなされております。まさにそういう李下に冠を正さずという意味でいえば、ゆがめられてはならないということであれば、私も別に一〇〇%悪いとは申し上げませんよ、一〇〇%悪いとは申し上げませんが、やはり利害関係のある企業・団体献金、各国でも工夫されていますよ。まさに我が国でも、企業・団体献金も、公共事業の受注企業は献金禁止、受注、一年でしたかね、そういう規定があるわけですから、何らかの利害関係のある企業・団体献金のやはり制約、制限というものは検討されるべきだという、ここ、一言、いかがですか、大臣。
○武見国務大臣 これも、今、政府にいる立場なものですから、一般論としてお話を申し上げることになりますけれども、先ほど申し上げたような形で、こうした企業・団体献金というものが、政治というもの、あるいはそこに行われる政策をゆがめるようなものであってはいけないということだと私は思います。
その上で、実際に説明責任が果たされるということがそこでまた求められることになるだろうと思いますが、基本的には、これらは今まさに立法府の中で御議論されていることでありますから、それを注視しているというのが私の立場であります。
○柚木委員 ということは、仮に今日、委員会で、午後からは総理大臣も出席をされて質疑がされるわけですよ。我々は当然、この手つかずの、抜け穴が残る自民党さんの再修正案には、企業・団体献金の禁止、穴を塞ぐという提案をします。それに対して、やはりそういうことも検討が必要だよねと総理が答弁された場合には、大臣御自身もそういった利害関係のある企業・団体献金を受け取らない、そういうこともお考えになられるという理解でよろしいですか。
○武見国務大臣 仮定の話に今からお答えすることもできませんけれども、先ほどから申し上げたとおり、実際にこうした企業・団体献金というものを通じて政治及びそこでの政策がゆがめられるということがあってはならないという考え方は再度申し上げておきたいと思います。
○柚木委員 是非、これは本当に与野党を超えて、今、政治に不信の目が向けられていると私は受け止めています。とりわけ、やはり自民党さんに対して、皆さんも御地元でいろいろな御意見をお聞きになられていると思います。正直、じゃ、今の自民党さんの再修正案でいいのか悪いのか、いろいろな議論が多分あると思いますね、党内の中でも。ですから、最後の最後まで我々もまさに諦めずに粘り強く、企業・団体献金の禁止なり、あるいは制約、利害関係のある企業・団体献金について、私は工夫の余地はあると思いますから、是非、粘り強く諦めずに、与野党を超えて取り組んでいきたいと思います。
もう一問だけ、ここに関係するところでいえば、今日の報道にも、この国会での解散・総選挙は見送りとか、様々な報道が出ています。最終的には岸田総理が、政治改革関連法案の行方も見極め、外遊からも帰ってこられて、参議院の審議も含めて判断されるんだと思いますが。
解散があるのかどうなのかは私も分かりませんが、必ずあるのが今月二十日からの東京都知事選挙です。この東京都知事選挙も、まさに国政との、大きなやはり流れを決める選挙だとも言われております。
ちなみに、武見厚生労働大臣は東京都の選出でいらっしゃいます。私どもも、蓮舫さんが離党をして立候補する、そこまで本当に決意を固めて今取組をされておられますが、小池東京都知事は、この間の報道でいえば、自民党さんは候補者を擁立せずに小池さんを、応援要請があればということなんでしょうか、支援をするというふうな報道が出ているわけですが、まさに、東京都選出の武見参議院議員としては、小池都知事が立候補された場合には支援をされるというお考えなんでしょうか。
○武見国務大臣 確かに私は東京選挙区でありますけれども、実際に小池知事はまだ立候補することを表明もされていないんじゃないんですか。
したがって、まだ立候補表明もされておられないという状況の中で、実際にどうするのかと言われても、私としては態度を申し上げるというわけにはいきませんし、特に、また今、政府の立場にいるものですから、実際にこういうことについては、大変申し訳ございませんけれども、明確にお答えするということが大変難しい政府の立場にいるんだということも御理解いただければと思います。
○柚木委員 もう一問だけ。
いろいろ、それは言いづらいと思います、思うんですが、やはり有権者の皆さんから分かりやすい、これは政策も含めて、それぞれ公約も出していただいて、選挙になることが望まれると思うんですね。
言える範囲でいいんですけれども、小池都知事が表明をされた場合に、自民党さんに応援要請が来た方がやりやすいな、いや、応援要請、来てもちょっとな、都議選の補選もあるしな、やりづらいな、本音ではどっちですか。
○武見国務大臣 今、大変申し訳ありませんけれども、仮定の話の中でこうした答弁をさせていただくことは、やはり政府の立場にもいるということから控えさせていただきたいと思いますので、是非委員には御理解をいただきたいと思います。
○柚木委員 ありがとうございます。
福祉事業会社恵の報酬不正請求と処分問題について伺います。
六ページ目以降を御覧いただきたいんですが、私も、大西委員が先週質問されて、私なりに様々調べて、お話も伺ってきました。これは本当にとんでもない悪質な、過去に例を見ない、まさに全国規模の事業者による、障害福祉サービス報酬を、本当に、利用者の方が分からないと思っていらっしゃるのかどうなのか、とんでもない、食い物にする事案だと思います。
六ページ目には中日新聞の記事をつけておりますが、来月にも指定取消し、職員数偽装と架空請求、川崎市も指定停止へ、利用者の方々は、恵がなくなるんですかと不安の声が出ていると。次のページは朝日新聞の記事ですが、やはり処分を見越した協議を進めるべきだと。私もそうだと思います。
質疑もこの後しますが、いきなり今後、連座制適用とかなっても、利用できなくなる、会社がなくなる、みんな、働いている人も次の仕事を探さなきゃいけませんから、離職しちゃうとかなると大変ですから、やはり処分を見越した協議をこれは国と愛知県や名古屋市や当該自治体とでやっていただくことが必要だということが障害者の当事者団体からなされていて、ちなみに、この記事も二パラを見ていただくと、愛知県と名古屋市が六月中にも処分すると。この一週間も大きな動きがあって、昨日も含めて恵さんから聴取が行われているのではないか、そういう状況にあるわけですね。
愛知県と名古屋市が、六月中どころか、本当に今週、来週にも処分をする可能性がある中で、国も同様の判断をすれば、障害者総合支援法の規定でいわゆる連座制が適用されて、恵社が全国展開する約百のグループホームが事実上運営できなくなる。これは大変な影響です。
一番最後のパラグラフ。知的障害や発達障害は、住む場所や人が変わることで、私たちが思っている以上にストレスを感じてしまうという特性をお持ちで、利用者が環境を変えずに生活できるような方策を模索したい考え。
次のページ。これは五月十二日の中日新聞の一面トップの記事です。恵、事業者指定取消しへ、不正請求二・七億円。二億七千万円。これは本当に、内容を見ていただいても、食材費を本当に通常の七倍とか八倍とか、実際に、要は実費以上に過大な請求もして、しかも、現場にはその何分の一しか渡さずに、現場の職員が自腹を切って買ってきていて、現場の職員も、こんなことでいいのか、申し訳ないと。利用者の家族の方が、御飯、何か写メが送られて、こんなものしか食べていないのと。差し入れをしているんですよ、利用者の家族が。
そして、まさに今般、愛知県も名古屋市も、昨日、ひょっとしたら県から聴取が行われているやにも仄聞をしますし、近く指定取消しへと。
この記事の一番下段の右側のパラグラフを見ていただくと、障害者総合支援法の規定では、指定取消しを受けた事業者について、つまり自治体がですね、厚生労働省が不正の組織的関与を認めれば、まさに同じ事業者が全国で運営しているほかのホームに対しても六年ごとの事業指定の更新を認めない、つまり運営できなくなるという連座制が認められるということであります。
そこで、ちょっと時間がないので、先に二の三の一のところを伺います。
まさに今そういう状況にある中で、全国で恵さんの利用者が約二千人と言われます。まさに今後の展開によって影響が計り知れません。そこで、やはり利用者さんや御家族や従業員や関係の自治体に及ぶ甚大な影響を考えて、恵のグループホームが所在する自治体に、連座制適用の可能性について、我々に告知するかどうかは別として、せめて内々も含めて連絡なり何らかの形でやはり通知をいち早く行うべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 お尋ねの株式会社恵の事案につきましては、現在、障害者総合支援法に基づきまして、関係自治体と緊密に連携を取って、そして厚生労働省において株式会社恵の法人としての管理体制に関わる検査を進めているとともに、さらに関係自治体においては個別の指定事業所に対して指定権者としての検査を進めています。
お尋ねの食材費の過大徴収額を含めて、現在の検査等の状況について具体的には今の段階ではまだ申し上げられませんが、自治体との連携の下で、引き続き、障害者総合支援法に基づき、粛々と検査を進めます。
検査を実施しているところでございますから、検査の結果については、連座制の適用を含めて、これは、今まさに予断を持ってお答えすることは控えなければならない状況です。利用者である障害者本人や御家族の中には不安に感じていらっしゃる方々もいると考えておりますので、行政処分が行われた場合には、その内容等も踏まえて、都道府県、市町村などと連携をして、迅速かつ適切に対応していきたいと考えております。
○柚木委員 一点だけ。
今日、資料の五ページにも、これは初めての資料だと思いますので。今まさに、連座制の適用、これは、類似の事案というのは過去に何件ぐらいあるんでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○武見国務大臣 障害福祉サービス事業について国が組織的関与を認定した事例としては、令和元年度以降の五年間で十三件であります。
○柚木委員 これは本当に初めての答弁だと思います。
こういう事例の中で、本当に全国規模の障害福祉サービスの不正請求、初の適用になり得る中で、二の四に行きますけれども、愛知県の大村県知事さんは、まさに皆さんもよく御存じで、まさに厚生労働副大臣も務められ、まさに省庁の出身でもいらっしゃるし、厚生労働委員会の筆頭理事も務められていますし、部会長もされていて、はっきり言って誰よりも恐らく厚生労働行政に精通されている知事さんだと思うんですよ。
その大村県知事さんが、これはつけておりますけれども、資料の十三ページ目の、赤にしていますけれども、これは本当に、報酬は税金、公金から出されている、全てを突き合わせ、不正の有無を確認する、過大徴収、食材費についても、返せばいいものではないと。これは絶対に許さないという強い意思を示されているんですよ、本当に。
私もそうだと思いますよ。これを許しちゃったら、大臣、本当にこれは、私、もう時間がないから終わりますけれども、十二ページ目にも、本当に、食材費一日百円、利用者激痩せ。見てください、この御飯。それで、がりがりに痩せていく利用者もいた、いまだお金は返ってきていないと。こういうところに連座制を適用しなかったら、このとんでもない不正請求二・七億円を国は容認することになりかねませんよ、本当に。
ここは一罰百戒で、四年間で三億円ぐらいだから、三十億円以上の規模になって、当初からむちゃくちゃなことをやっているんですよ、この事業者。当初から手を染めているんです。こんなのを認めていたら、真っ当にやっている事業者も本当にばかを見ますし、利用者さん、本当に気の毒ですよ。
是非、愛知県知事がこういう厳しい態勢で臨むという中で、連座制の適用に向けて、もう判断の最終段階で、微妙なのは分かります。ちょっと大臣、その決意ぐらい、ここで最後、示してください。
○武見国務大臣 今回の事案に関しては、今まさに、地方自治体の方でこれを厳正に調査をし、そして結論を下そうとしているところであります。
私どもとしても、この法人としての各県をまたぐ立場からの調査というものも、これは徹底して行っております。
そして、両者を踏まえた上で、実際に現地の方で最終決断を下されたならば、今度は、先ほどから委員もおっしゃっているように、大変やはり幅広く活動しておられるグループです、そこで既に生活をしている多くの関係者、仕事をしている多くの関係者がいらっしゃいます。したがって、そういう方々が混乱をしないように、最大限の配慮をしながら、この課題については、解決していくための基本姿勢は持っていなきゃならないと思います。
しかし、いずれにせよ、連座制になるかどうかということについては、まずは地方自治体の方での決定を踏まえてということになるので、やはり法治国家として、そうしたプロセスというものについてはしっかりと守りながら、しかし、確実に対応していきたいと思います。
○柚木委員 終わりますけれども、その方針を示す時間がかかればかかるほど、自治体も、まさに退去された利用者の転居のためのあっせん相談支援、受け入れる事業者も当該自治体にない可能性もありますから、遅れるんですよ。方針を示すのが遅れれば遅れるほど、結局、今大臣がおっしゃったのと逆に、利用者や家族、困ることになるんです。生活できなくなる、働けなくなるという、今悲鳴が上がっているんですよ。
週内にもそういう方針を、私たちじゃなくてもいいですよ、自治体に対しては内々に、こういう方向性だ、いろいろな調整を頼む、そういうことは強く求めて、私、ほかにもやりたいことがありましたが、今日の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。
本日は、本年十二月二日をもって廃止という健康保険証の問題についてお尋ねをいたします。
まず、お手元にお示しいたしましたが、現状で、厚生労働省が進めようとするマイナ保険証の利用実績というものについて、厚生労働省がお出しになった資料をここに表示させていただきました。
令和六年四月末時点と赤字で書き込みましたのは、厚労省の資料には遡る令和五年十一月時点のものしか図示されておりませんでしたので、担当部局より情報をいただきまして、このように書き加えさせていただきました。
まず、マイナンバーカードの保有状況、全人口の七三・七%。その中で、マイナ保険証の登録状況は、保有者の中の七八・五%、保有している方の四分の三。マイナンバーカードをお持ちに、携行しているかというと、これが約半分、五割。そして、マイナ保険証の利用状況ですが、実際にオンライン資格情報確認等々で利用されている方は一千二百十万件、方というか、件数で六・五六%。まず鳴り物入りで推し進めてきてここまで来て、現実にそれを資格確認のために御利用な方はまだまだ一桁台であります。
加えて、医療保険等々の窓口を担う医療機関での実態調査、これは保団連というところがやられたものの資料を引用させていただいておりますが、二〇二三年十月一日以降、去年の秋以降のマイナ保険証のトラブルで、トラブルがあったとするものが約六割。健康保険証が廃止された場合の受付業務は大変煩雑になるという意見も六割近く。そして、トラブルの類型が書いてございます。さらに、健康保険証の、秋、十二月二日の廃止については残すべきだという意見が八割。これは受け止め側の問題であります。これらの情報、このほかにも実はいろいろございますが。
まず、武見大臣は、昨年の十二月二十二日の閣議で今年度の十二月二日の保険証の廃止を決められましたが、果たして、こういう現状を見て、廃止ということが、現場のトラブルなく、また、医療保険を保険で受けたい方たちの権利を守ることになるのかどうかについてのお考えをお伺いいたします。
〔委員長退席、大串(正)委員長代理着席〕
○武見国務大臣 マイナンバー法等の一部改正法で、現行の保険証の廃止に係る規定は、公布日、令和五年六月九日から一年六月を超えない範囲内において政令で定める日とされておりますので、これを踏まえて、施行期日を定める政令におきまして、保険者の準備に要する期間や窓口での対応等を勘案して、今年十二月二日月曜日を施行期日としているものでございます。
保険証の新規発行終了後のマイナ保険証の利用率の指標については、あくまでマイナ保険証を利用するか否かは御本人の意向によるものでございまして、マイナ保険証を保有しておられない方々は資格確認書を御利用いただくこととしております。また、保険証からマイナ保険証への移行期におきましては、最大一年間、現行の保険証が使用可能であるといった事情もあることから、国においてそうした指標を設定することは考えておりません。
なお、マイナ保険証への移行に際しては、デジタルかとアナログかの併用期間を設けて、最大一年間、現行の保険証が使用可能であるほか、マイナ保険証を保有しない方々には、申請によらず資格確認書を発行いたします。
こうした、全ての方々が安心して確実に保険診療を受けていただける環境整備をしっかりと取り組み、そして、その中で、我が国が世界でも遅れたアナログからデジタルへの世界に、医療の提供体制についてもでき得る限りスムーズに転換をさせていきたい、その一つのパスポートがこのマイナ保険証であると考えているところであります。
○阿部(知)委員 恐縮ですが、大臣は私のお尋ねしたことにお答えじゃないと思います。現場がこれくらい混乱し、立ち遅れている中で、どうでしょうかと私は伺いました。
どんな正しい例えば医療とか処方であっても、それがしっかりと受け止められ実行される素地が整っていなければ事は成りません。私は、政令で定めたこと自身が無理があるし、現場を見ていないと思います。
その上で、次のお尋ねですが、マイナ保険証を一度取るとデータ管理上それは解除できないということで、この委員会でも何人かの方が質疑をされました。理由は、あくまでも本人意思に基づくマイナンバーカードの取得とマイナ保険証の取得なので、やめようと思えばやめられるはずでしょうとお尋ねをしましたが、厚生労働省は、一貫して、マイナ保険証の登録は取り消すことができないという立場を取り続けられました。
ところが、昨年八月八日のマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の取りまとめの中で、これを解除できる、取り下げられる、取りやめられる。当然なのですが、なぜ、ずっとできないできないと言ってきて、いや、できるんだと変わったんでしょう。私は、できないと言ってきたことが誤りであったと明確におっしゃるべきだと思いますが、いかがでしょう。
○伊原政府参考人 お答えいたします。
マイナ保険証の利用登録解除につきましては、当初のシステム開発段階におきましては、利用登録したままであってもマイナ保険証の利用や薬剤情報等の提供を強制されるものではないので不利益が生じないということから、解除機能を設けることとはしておりませんでした。そのように申し上げてきたところでございます。
一方、昨年以降、国会におきまして、システムに解除機能を設けるべきとの御指摘を様々受けました。また、マイナンバーコールセンターにも登録解除の御要望が寄せられたこともございまして、先生先ほど引用されましたマイナ保険証に関する検討会の取りまとめにおきまして、解除機能を設けるということになったものでございます。
○阿部(知)委員 過ちは正すにしくはないと思いますが、やはりその前提として、この間できないと言ったことへの謝罪。当然、本人の意思を無視するものになりますので。システムが先行するわけではありません。本人の意思を酌んだシステムがなければなりません。政令も一緒です。実態を見た政令でなくてはなりません。
厚生労働行政がそのように運んでいないということは、私はこの保険証問題では著しいものがあると思いますので、大臣に御答弁いただきたいです。誤りであれば謝罪して、解除できると国民にお伝えくださいますか。どうでしょう。
○武見国務大臣 今保険局長からも答弁させていただきましたけれども、マイナ保険証の利用登録の解除に関しては、当初のシステムの開発段階においては、利用登録をしたままであってもマイナ保険証の利用や薬剤情報等の提供を強制されるものではなく不利益がないということから解除機能を設けることはしていなかったという理由があったわけであります。
しかしながら、マイナ保険証の利用登録の解除に関しては、令和四年以降、国会においてシステムに解除機能を設けるべきだという御指摘をいただいたことや、それから、マイナンバーコールセンターにも登録解除の御要望が寄せられたことなどを踏まえまして検討をいたしまして、昨年八月のマイナ保険証に関する検討会の取りまとめにおいて、解除機能を設けるということとしたものでございます。
利用登録解除が可能であることやその手続の周知については、必要なシステム改修等が完了した後に厚生労働省のホームページにおいて掲載するほか、コールセンターに利用登録解除に関するお問合せをいただいた際に必要な案内をすることなどをして、厚生労働省としての対応は行っていきたいと思っております。
○阿部(知)委員 国民の声を聞くのは大変よいことであります。そして、そのように厚生労働行政が行われるのであれば、今、保険証を廃止すべきでないという声は八割に達しております。何度も申しますが、それを国民が安心して使える前提、合意と納得ということがこれだけ取り残されたまま事が進むことは、私はよしといたしません。
その一方で、例えば、マイナ保険証促進集中月間と称して、令和六年五月から七月にかけて、医療機関等々への一時金、支援金をもって、マイナ保険証登録が増えればその医療機関に一定の報奨を与えるというような仕組み、あるいは、これまで、総務省でも既に、マイナンバーカードの交付率の高い自治体ほど交付税額を積み増すとか、デジタル田園都市国家構想交付金でも成功率を利用するなどのやり方で進んでおります。
私はやはり、政策に報奨金的なものを設けてやるということも本来の民主主義的な手法ではないと思いますが、大臣はいかがお考えですか。
○武見国務大臣 利用促進のための支援金でございますが、令和五年度の補正予算において創設をし、国会で御審議いただきました。
一時金については、マイナ保険証の利用率の更なる底上げを図るために、医療機関などにとってより分かりやすい制度となるように、支援金の一部を、利用人数の増加に応じて最大十万円、病院では二十万円を支給する一時金へと見直しをしたものでございます。
支援金の一部を見直した一時金を含めて、令和五年度の補正予算において、必要な経費として二百十七億円を計上しています。この経費の算定の前提として利用率の見込み等の試算は行っておりませんが、この一時金等により医療機関等による働きかけなどの利用促進を図ることで一人でも多くの方々にマイナ保険証を利用していただきたい、こういうふうに考えております。
この一時金等を通じまして、医療機関等の利用促進に取り組む意欲がより一層高まることが期待できると考えておりまして、引き続き、マイナ保険証の利用に向けて丁寧に、しかし着実に取り組んでいきたいと考えております。
○阿部(知)委員 私が指摘したいのは、あめとむちのような政策では、マイナ保険証は浸透もしないし、信頼もされないということであります。むしろ、かつては支援金、今は一時金、ばらまきに等しいです。そして一方で、パニッシュメント、これは河野デジタル担当大臣が自民党の皆さんにおっしゃったそうですが、医療機関でこのマイナ保険証の取扱いをしていないところがあれば言ってきてくれと。そのような監視もどきの社会にしては、本当にデジタル社会は国民から歓迎されるものには私は決してならないと思います。
その一方で、私は、大臣と同様に、医療情報のデジタル化には賛成であります。どのように納得、合意の上にデジタル化を進めていけるのか。今、オンライン資格確認情報システムを使って、マイナ保険証があれば例えば薬剤情報や特定健診情報も見られる、しかしそれがなければ見られない、ここで、ない人、ある人の差をつけてございます。持たない自由を認めながら、現実には差のある政策をする、それは余りにも私は国民に対して不誠実だと思います。
では、誰もが本当にその恩恵を享受できるようなオンラインでの医療情報のやり取りはつくれないのかということで、大臣に、御存じかもしれませんが、是非御紹介をしたいと思います。
島根県で、まめネットという医療情報ネットワークシステムがございます。雲南市立病院というところが開始されまして、もう既に、国が二〇一二年から、医療情報連携ネットワークの構築をされる頃から、この雲南市立病院、その前は一部事務組合の病院でしたが市立病院に変わって、そこから再生のためにこの医療情報ネットワークを最大限活用された病院だと私は思います。地域の八百機関を、病院、薬局、介護施設、様々な機関をネットワークして、そして、患者さんの情報が、患者さんが用いられるまめネットカードというのを用いて、同意の上で共有できる仕組みをつくってございます。
大臣にはもしかして御存じかもしれませんが、こういう医療情報ネットワークについて各県あるいは各市、各地域が共有する動きが二〇一二年に始まって、しかし、その後、会計検査院から、令和元年でしたか、なかなかうまく予算が運んでいないのではないかという指摘を受けましたが、うまくいっているところとそうでないところ、そうすると、好事例に学んで全体をレベルアップしていくというのが私は厚生労働行政として王道、真っ当、本旨だと思いますが、大臣には、日本総研という医師会のシンクタンクがこの医療情報ネットワークについて中間調査、総括をされている結果を御存じでしょうか。
〔大串(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○武見国務大臣 申し訳ございません、それは私の方では承知しておりません。
○阿部(知)委員 企業、団体からの献金問題ということだけでなくて、私はむしろ、大臣が医師会から推されて出ておられることは、現場を反映できるお立場にあって、よい方向に是非大臣のお立場を生かしていただきたい。
これは、ペーパーでお見せしていないので恐縮ですが、日本総研のワーキングペーパー。日本総研がどういうものであるのかは、大臣が一番よく御存じであります。国の施策を医師会側がシンクタンクに投げてチェックしている中で、地域の医療情報ネットワークがうまく運ぶことで、地域が面として医療情報のオンラインしたものを利用できるわけであります。
大臣、端的で恐縮ですが、この雲南市立病院のことは御存じでありましたでしょうか。
○武見国務大臣 存じておりませんでした。
○阿部(知)委員 是非、好事例ですので御覧いただいて、島根県を挙げて、島根の県立中央病院が基のサーバーを作り、共有して広がって、これから人口減少、過疎化していく中での連携を上手にやっておるところと思い、私もせんだって視察をさせていただきました。
こういう形で医療情報ネットワークができればいいなと思うようなもので、一は、患者さんの合意、納得、そして、単に、面に開いて情報が共有される、もちろん都度患者さんの同意は必要ですけれども。今、国はマイナ保険証で大きな網かけをしようとしておりますが、多々問題が残りますので、立ち止まって、是非、大臣にはよりよいネットワークの医療情報のオンラインシステムを考えていただきたい。
最後に指摘をさせていただきますが、大臣が元々おまとめになっている厚生労働省の職員の皆さんに対して発出された御発言をペーパーに直したものがありましたので、ここに、最後に資料として、大臣メッセージ全文というのを載せさせていただきました。
大臣は、この間、公務員のマイナ保険証の利用率も低いということで、何とか隗より始めようと思われたと思うんですけれども、むしろ、不便な点、問題の点がどこにあるのかをもう少し掘り下げて、単に、これがいい、あれがいいと言われても、なぜ人々はそれを受け入れられないのか、受け入れないのかということを丹念にフォローしていただきたいと思いますが、この点、いかがでしょう。
○武見国務大臣 アナログの世界からデジタルの世界に変わる一つの象徴が、保険証とそれからマイナ保険証ということになりました。実際に、我が国の皆保険制度は極めて精緻に形成をされており、国民誰もがその保険証を持っていればどこででも医療機関で受診することができるという、一つの信頼感の象徴になっておりました。
しかし、また他方において、私どもは今、世界が、多く、こうした医学、医療の進歩を含めて、デジタル化によるデータサイエンスというものが、今後の国民一人一人のより質の高い医療を提供するためにも、あるいは予防のためにも、そしてさらにそうした治療のための新たな研究開発のためにも決定的な需要になってきて、しかも、それがAIなどを含めて加速化しているという状況を目の当たりにして、我が国をアナログのままで捨ておくことは、政治家として私はとてもできません。
したがって、改めて、デジタル化に向けて国民の皆様の御理解を得て、こうしたパスポートとしてのマイナ保険証を着実に実行するために、一人でも多くの国民の皆様に御協力をいただきたい。その中で、私のできることはできるだけ丁寧に御説明をさせていただきながら、そのメリットをしっかりと御理解いただくよう努力する所存でございます。
○阿部(知)委員 マイナ保険証はアナログです。保険証、カードを持たなきゃいけないという世界自身が既にアナログです。デジタル化して情報共有するにはいろいろな手段もあります。もう一点、デジタル化するときには誰一人取り残さないというところが何よりも大事で、今の方法では多くの取りこぼしができて、私は信頼も得られないと思います。引き続いて議論させていただきます。
ありがとうございます。
○新谷委員長 次に、井坂信彦君。
○井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。
本日は、長時間労働の規制、それから医療、介護、福祉、保育の人材確保について伺います。
私は、この十年間、厚生労働委員会で働き方改革の制度設計に取り組んでまいりました。二〇一四年には、過労死防止法、同一労働同一賃金法を議員立法で提出をして、可決、成立をさせていただきました。二〇一六年には、長時間労働規制法を議員立法で提出し、その後の働き方改革関連法案で、日本で初めて残業時間の上限規制が実現をしたわけであります。
日本人の年間労働時間は、二〇二二年に一千六百七時間と減ってきているように見えますが、正社員に限ると年間千九百四十八時間と長く、千三百四十時間のドイツや千五百十時間のフランスには遠く及びません。
日本人の労働生産性は相変わらず低く、精神疾患も増え続けています。物流、建設、医療に対しては今年四月まで猶予期間を設けたにもかかわらず対策が遅れたことについては大変問題がありましたが、人間の体力と集中力に限界がある以上、長時間労働規制は今後も必要と考えています。
今年は、働き方改革関連法案が施行から五年たった見直しの年であります。大臣に伺いますが、時間外労働の割増し賃金を五〇%にしたり、月の残業上限を百時間より短くする検討をすべきではないでしょうか。
○武見国務大臣 長時間労働の是正は、誰もが心身共に健康で、希望に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現させるためには必要不可欠なものだと考えます。
労働基準法については、働き方改革関連法の施行から五年が経過することなどを踏まえまして、本年一月から学識者による労働基準関係法令研究会を開催をしております。この研究会では、割増し賃金の趣旨であるとか目的、それから時間外労働の上限規制等についても幅広く議論をしていただいております。
労働基準関係法令全般の在り方については、引き続き、具体的な検討をこうした形で進めていきたいと思っています。
○井坂委員 次に、勤務間インターバル制度について伺います。
終業から次の始業まで一定の休息時間を確保する勤務間インターバル制度は、長時間労働や過労死、うつの防止に効果があるとされています。二〇一六年当時の議論でも我々は義務化をすべきだという法案を出しましたが、現状、努力義務にとどまっております。その結果、勤務間インターバルの導入企業は二〇二三年時点で僅か六%にとどまり、二〇二五年に一五%にまで増やすという政府目標には遠く及びません。
大臣に伺いますが、勤務間インターバル制度の導入企業を二〇二五年に目標どおり一五%にするために残り期間で何に取り組むのか、お伺いいたします。
○武見国務大臣 勤務間インターバル制度の政府目標について、制度を導入している企業割合は二〇二五年までに委員御指摘のように一五%にするということが定められておりますけれども、二〇二三年一月現在ではまだ六・〇%ということは私も承知しております。
このため、厚生労働省としては、勤務間インターバル制度の導入促進に向けて、これまでに、その機運醸成のためのシンポジウムの開催、それから導入企業の取組事例の収集、周知、それから業種別導入マニュアルの作成、周知、それから中小企業事業主に対する助成金の支給といったようなことを支援として行ってきているわけであります。
これらに加えて、今年度からは、産業医に対する研修において勤務間インターバル制度の意義や効果を伝えて、そして各企業における導入の促進を図るということになっておりまして、今後とも、必要な対応について不断に検討し、政府目標の実現に向けて努力します。
○井坂委員 事前に当局の方とも大分議論したんですが、大臣、やはり、新しく取り組むことが産業医の研修だけで、まだ六%しかない、あと一五%まで残り九%が半年で達成できるとは到底思えません。
これは再質問すると事前に通告しておりましたので、今年度からの取組に加えて、それでは到底届きませんので、今からでも何か追加でより新しい強力な措置を検討するときちんと答弁をいただきたいと思います。
○武見国務大臣 勤務間インターバルの導入企業割合について、二〇二三年の状況を見ると、既に導入している企業というのは御指摘のとおり六・〇%でありますけれども、一方で、導入を予定又は検討しているという企業が一一・八%あります。この導入を予定又は検討している企業の一一・八%というのがありますと、これらの企業が実際に実行に移していただけますと、これら企業の割合の合計が一七・八%となって、目標は達成できるわけであります。
したがって、この一一・八%により効果的、集中的に働きかける具体策を策定をして、それによって実際に制度実現に向けて取り組むというのが私どもの基本的な考え方であります。
○井坂委員 その予定、検討は常にそれぐらいいらっしゃるわけであります。ただ待っていればその一一%がみんなやってくれるとは、全くそんなことにはならないので、それは毎年の推移を大臣も御覧になればはっきり分かるはずですから、今からでも何か追加の措置をやっていただきたいということをこれは強く申し上げたいと思います。何もせずに来年目標が達成されなかったら、私はまた来年この場所で大臣に対して厳しいことを申し上げなければいけません。よろしくお願いいたします。
次に、コロナで増えたテレワークについて、質問を予定しておりましたが、ちょっと時間が押しておりますので、申し上げるのみにしたいと思います。
今年三月、テレワークで月百時間を超えて働き、適応障害を発症した女性が労災認定をされました。テレワークも普通の労働であり、長時間労働は許されないという真っ当な認定であります。企業には従業員に対する健康配慮義務を果たす必要があるし、行政は企業をきちんと監督することが求められ、法整備も含めた社会的な議論が必要だと専門家は指摘をしております。
今日は質問はしませんが、政府として、テレワークの長時間労働をどう防ぐのかということもきちんとやっていただきたいというふうに思います。
次に、組織マネジメントによる長時間労働の防止について伺います。
経産省の独立行政法人経済産業研究所の論文を読みました。残業には、労働者が収入を増やしたくて行う自発的残業と、仕事が終わらなくて仕方なく行う非自発的残業の二種類があるということであります。成果主義などの人事管理により、自発的な短時間残業は、これは、もっと稼ぎたいということで増える傾向はあるんですが、しかし、その場合、月四十五時間以上の長時間残業は大きく増えなかった、一方で、進捗状況の把握や作業の平準化など作業管理が不足すると月四十五時間以上の長時間労働が増えたという結果であります。働き過ぎの原因は企業の作業管理など組織マネジメントの失敗だというのが、その論文の結論でありました。
長時間労働を減らしてくださいと企業に啓発をしたり、あるいは人事制度を改善するだけでは不十分であります。企業の作業管理など組織マネジメントを改善する、それを支援する取組を強化すべきではないでしょうか。
○鈴木(英)政府参考人 委員御指摘のように、企業が長時間労働の是正などの働き方改革の取組を進めるに当たりましては、組織としての業務の生産性を高めていくなどのマネジメントが大変重要な要素と考えてございます。
このため、全国四十七都道府県に設置されております働き方改革推進支援センターにおきまして、働き方改革の進め方に関する助言や企業の取組事例の周知など、様々な相談支援を行っているところでございます。
また、生産性を高めながら労働時間の短縮などに取り組む中小企業などへの助成金の支給を通じまして、労働時間の短縮を図っておりますが、この中でも、労務管理担当者に対します研修でございますとか、外部のコンサルタントに係る費用などの組織マネジメントに要する経費についても支援の対象としておるところでございます。
こうした取組を通じまして、企業に対してしっかりと支援をしてまいりたいと考えてございます。
○井坂委員 ちょっと、議論がごっちゃになって曖昧になっているんですが、人事とか労務の改善では不十分だということであります。作業そのものの平準化であったりとか現状把握、要は、作業そのものが積もり積もって非自発的残業が増えることが長時間労働の原因でありますので、労務とか人事とかの話ではない、作業管理そのものをきちんと改善をすることが非常に重要だということは指摘をしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
次に、二つ目の大きなテーマで、医療、介護、福祉、保育の人材確保について伺います。
人手不足は深刻で、医療、介護、福祉、保育のサービスが十分に提供されなくなれば国民生活が崩壊をするわけであります。そのために我々は、人材確保のために、現場で働くスタッフの給与アップをする処遇改善法案を今国会、提出をし、厚労委でも審議をしていただき、本日、与野党で合意をして、委員会の決議となる予定になっております。
しかし、幾ら人件費を増やしてもらおうと思って、医療、介護、保育、福祉の事業所の報酬を増やしても、少なくない金額が人手不足を補うための人材紹介会社に流れているわけであります。普通の業界であれば、人材紹介会社がどれだけ高い手数料を取ろうが、頼む側がお客さんにその分高くサービスを提供して経営が成り立つと判断すれば構わないですし、人材紹介会社の手数料が高過ぎれば紹介は頼まず少ない人数で経営を続ける判断も、普通の業界であればできます。しかし、医療、介護、福祉、保育は、人員配置基準があるので、幾ら手数料が高くても人材紹介で人員を確保しなければいけません。そして、高い手数料を払っても、公定価格なので収入が増えるわけではありません。
厚労省のアンケートでは、介護事業所の七〇%、医療機関と保育所の六九%が人材紹介の手数料が高過ぎて経営の負担になっていると答えています。私の知り合いの医療、介護事業者も、紹介手数料がなければスタッフの給料を増やしたいとまで言っております。
大臣に伺いますが、医療、介護、福祉、保育など、公定価格で人員配置基準のある業種については、民間企業による人材紹介や派遣の手数料に上限を設けるべきではないでしょうか。
○武見国務大臣 委員御指摘のように、医療や介護、保育の現場で人材確保が切実な課題であることであるとか、紹介手数料への負担感があるということは私も十分承知しております。
人材紹介の手数料に上限規制を設けた場合には、丁寧なマッチングを行っている適正な、言うなれば、まともな事業者からの人材供給にも一律に影響が及び、かえって今度は、そうした人材の確保に支障が生じかねないという問題も起きます。
このために、特に医療、介護、保育等の分野において丁寧なマッチングを行う事業者を認定する適正事業者認定制度というものをそのためにつくって取り組んでいるところであります。それから、職業別、地域別の平均手数料額の公表もしております。それから、医療、介護、保育分野の集中的指導監督の実施により、信頼できる適正な事業者を選択、利用できる環境の整備も進めております。
今後、更なる取組については、今般の集中的指導監督等の取組の実施結果と有料職業紹介事業に関わる課題等を踏まえて、法令遵守徹底のためのルールと施行の強化、それから雇用仲介事業の更なる見える化の促進といった観点から、先日、労働政策審議会において対応強化の方向性を提示したところでもございます。
引き続き、労使を含め対応方策についてしっかりと議論を進めて、成案の取りまとめに向けて対応いたします。
なお、労働者派遣制度における派遣料金については、派遣労働者の賃金のほかに、派遣会社が負担する社会保険料や教育訓練費など、雇用主としての義務として負担する費用も含むものでございますので、一概に上限を設けるということは労働者の賃金や労働条件の確保にかえって支障を生じかねないという点も、慎重な検討を必要とする理由だと思います。
○井坂委員 手数料に上限が設けられず、幾ら高くても民間紹介事業者に頼まなければいけないということであれば、これはもう公共の職業紹介であるハローワークに頑張ってもらうしかないというふうに思います。
私の知り合いも、医療、介護、福祉、保育の職業紹介はもういっそハローワークに一本化してくれたら、求人も求職も双方そこで済んで、求職者が幅広く全ての勤務条件を見比べられるから、ブラック事業者も淘汰されるんじゃないか、こういうふうに言っているわけであります。
なぜ介護事業所とかが高くても民間の人材紹介に頼むのかというと、先ほどのアンケートでは、ハローワークでは人材が確保できなかったためというのが圧倒的一位で、七割以上であります。国に対する要望の第一位は、ハローワークによる職業紹介の充実で、これも六九%であります。
大臣に伺いますが、ハローワークも人材確保対策コーナーというのはやってはいるんですけれども、そうではなくて、医療、介護、保育など業種別に、しかもネット上で完結する形で求人、求職ができるようにすべきではないでしょうか。
○武見国務大臣 ハローワークのサービスは、全ての求人者、求職者に対して公平に提供する必要がございます。現在のハローワークシステムにおいて全職種共通のオンライン環境が既に構築されているために、改めて医療、介護等の分野において新たにシステムを作成するということになりますと、二重開発ということが実際に起きてしまいます。その結果として課題がまたそこから増えてくるということが懸念されますので、オンラインの環境整備というのはできる限り二重開発にならないように、その運用を図っていきたいと思います。
○井坂委員 二重開発でもやるべきだというふうに思いますので、是非お願いをしたいと思います。
以上で終わります。
○新谷委員長 次に、中島克仁君。
○中島(克)委員 中島克仁でございます。
ゲノム医療に関してこれまで大変熱心に取り組まれてこられ、また見識も深い、昨年六月に成立したゲノム法、通称ゲノム法成立にも大変御尽力いただいた塩崎政務官に全てお尋ねをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
現在、基本計画に向けて議論がされているわけでありますが、先週議連の総会もあり、私も質問しておりますが、患者さんの思い、願い、また医学界の提言が、その内容が盛り込まれている進捗とは到底思えないと私は認識しております。これは役所の立場も分かるわけですが、様々ある課題の中で、今日は短い時間ですから、二点について。
一点目、遺伝ゲノム情報による差別禁止に関する規制の重要性について。
雇用や昇進など、社会生活の様々な場面において遺伝差別が生じ得るリスクをどのように認識しているか、また、そうした差別を防止して、ゲノム医療による恩恵を国民が安心して享受できるよう、政府として必要な措置の推進に具体的にどのように取り組んでいくつもりか、お尋ねしたいと思います。
○塩崎大臣政務官 お答えします。
中島委員には、昨年六月のゲノム医療推進法成立に当たりまして、超党派の事務局長として御尽力いただきまして、敬意を申し上げます。
御指摘の差別の禁止でございますが、これは大変重要な問題でございまして、今回改めて政府の見解を確認をいたしましたところ、採用選考、この関係では職業安定法に基づいて、また、労働契約締結後の例えば昇進であったりまた解雇、こういった場面については労働契約法などにおいてこうしたゲノム情報を用いる差別というものは禁止されているという考えでございます。
今後、こうした政府の考えを速やかに明確化した上で公表するなどして、一層の周知啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
○中島(克)委員 政務官、役所の立場も分かりますが、政治家として、役所の立場を乗り越えて、悩ましい部分もありますけれども、これはやはり、政治家として、立法に携わった人間として是非リーダーシップをより一層発揮していただきたい。
もう一点。民間遺伝検査、DTCに関して、質の担保、精度管理、また生命倫理への適切な配慮、ゲノム情報の適切な管理体制について早急に整備する必要があると考えます。これは医療、非医療関係なく、ちゃんと規制をつくらなければならない。これは社会問題として、四月にも保育園の問題、度々披露しておりますが、起こっています。
これは、厚生労働省が中心となって取り組む基本計画にもより具体的な内容を盛り込む必要があると考えますが、いかがでしょうか。
○塩崎大臣政務官 お答えいたします。
大変大事な御指摘をいただいたというふうに考えております。御案内のように、今、非臨床の分野も含めまして、遺伝子に限らず、例えば尿を使った検査であったり唾液を使った検査であったり様々な、DTCと言われる、消費者のところに直接サンプルをもらうような検査が広がっているところでございます。こうした検査についてのガバナンスの仕組みがないのではないかという点については、今、私がチームリーダーをしておりますヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討プロジェクトチーム、こちらの中でも複数の委員から同様の問題意識が指摘されているところでございます。
国民の健康を守っていくことと、そして適正な検査ビジネスの発展という観点からどのような法的なガバナンスの形がふさわしいのか、これを今月の取りまとめに向けて、しっかり一定の結論を出していきたいと考えております。
○中島(克)委員 今、力強く、結論を出すと言われました。
私は、前回の質疑のときにも、先ほど言ったように、民間検査、DTCは経産省、そして医療は厚生労働省でありますが、医療、非医療にかかわらず、海外、米国もEUも、海外のスタンダードは保健衛生を所管する一つの機関、これは日本でいえば厚生労働省ですよ、厚生労働省が、非医療、医療にかかわらず、遺伝情報、ゲノム情報に関して一つの基準で監督していく、これで結論を出すということでよろしいですか。
○塩崎大臣政務官 今委員から御指摘がありましたとおり、こうした様々な新しく広がっているDTCの分野についての法的なガバナンスについての一定の考え、これを示してまいりたいと考えております。
いずれにしても、今委員からも御指摘がありましたように、様々な関係省庁が関わる部分ではございますが、基本計画に盛り込んでいくことも当然でございますが、しっかり厚生労働省としての考えも示してまいりたいと考えております。
○中島(克)委員 このタイトル、長いから、言うと、良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的ですから、これは、国民の皆さんが被害に遭ってはいけない、その基盤である、差別、不利益な取扱い、そしてゲノム情報の適切な管理というものがあって初めて総合的にゲノム医療が推進できるということを大臣もよく御認識をしていただいて、政務官には引き続き最大限の努力をしていただきたいことをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○新谷委員長 次に、遠藤良太君。
○遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。
理事に突然なりまして、話題の足立さんが直前で、終盤までずっと足立さんにリードしていただいたんですけれども、理事ということで、本当に大変僭越ながらやりたいと思います。
まず、私からは学校の健康診断について質問していきたいんですけれども、最近SNSでちょっと話題になって、小学校四年生から六年生の学校の健康診断の中で、男女百名に対して、上半身を脱がせて健康診断をしたんだということで、その一部の親御さんがネット上にそのことを書いて、学校であったりとか学校医が特定されたんだということがあるんです。
その中で、文科省が令和六年一月に、原則、上半身裸ではなく、体操服などで体を覆うなど、子供のプライバシーや心情に配慮するよう全国に通知した、この通知書を出されていると思うんですけれども、今回のこの事案についてどういうふうに捉えられているのか、質問します。
○森政府参考人 お答えを申し上げます。
文部科学省におきましては、これまでも、学校の健康診断につきまして、正確な健診そして診察を実施するとともに、児童生徒等のプライバシーや心情に配慮するという観点から必要な留意事項をお示ししてきたところでございますけれども、御指摘のように、本年一月、検査、診察における対応や服装、そして関係者間の連携などについての考え方を取りまとめまして、全国の学校において適切な対応が図られるよう通知を発出したところでございます。
各学校におきましては、この通知の趣旨を踏まえまして、児童生徒等のプライバシーや心情に配慮した健康診断が実施されますよう、検査、診察における対応や服装について配慮をするとともに、児童生徒等や保護者の理解が得られますよう事前に丁寧に説明するなど、適切に対応していただきたいと考えているところでございます。
○遠藤(良)委員 診察で、成長段階で多く見られると言われる脊柱側彎症、こういうのを直接診ないといけないとか、あとは心臓の異常ですよね、そういったことを直接診る必要があるんだということがあるんですが、病気の発見は本当に重要ではあるんですけれども、先ほどのこういった事例の中で、プライバシー保護ということについてはどういうふうに調整をしていくのか、この辺り、いかがでしょうか。
○森政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほど申し上げました本年一月の通知では、学校保健関係者の意見を踏まえまして、検査、診察時の服装につきましては、正確な検査、診察に支障のない範囲で、原則、体操服や下着等の着衣、又はタオル等により身体を覆い、児童生徒等のプライバシーや心情に配慮するとする一方で、着衣では正確な検査、診察が困難になる懸念も示されておりますことから、正確な検査、診察のために、必要に応じて、医師が、体操服、下着やタオル等をめくって視触診をしたり、体操服、下着やタオル等の下から聴診器を入れたりするという場合があることについて、児童生徒等や保護者に対して事前に説明を行うということもお示ししているところでございます。
また、特に留意が必要な検査項目といたしまして、今御指摘のございました脊柱、胸郭、心臓の疾病及び異常の有無ですとか、皮膚疾患の有無については、それぞれ、正確な判断を行うため視診、触診等を行うということを示しているところでございます。
文部科学省といたしましては、各学校におきまして、本通知の趣旨を踏まえ、正確な検査、診察を実施するとともに、児童生徒等のプライバシーや心情に配慮をした健康診断が実施されますよう、様々な機会を通じて周知に努めてまいりたいと存じます。
○遠藤(良)委員 冒頭話したようなケースなんかは、先ほども御答弁いただきましたけれども、事前に親御さんに通知を出して、こういう健康診断をやりますよということを知っていた上で、現場では女子生徒の子たちが拒否をしたということが書かれていました。
過去に、二〇二一年に岡山県で、中学生の健康診断の中で医師が盗撮をしているケースがあります。こういうケースが結構あって、その中では、約五名の方に、胸のところにペン型のカメラを仕込んで撮ったんだと。さらには、二〇二二年でも同じように、西宮の学校、大阪や兵庫県で、女子中学生を、少なくとも三十名以上を盗撮したんだと。これは有罪になっていますけれども、こういう警戒感もあると思うんです。やはり、親御さんもそういうことをすごく感じると思います。今回の五月二十日にあったケースなんかは、家に帰ってお子さんがお母さんにそういう話をしたんだということで。
やはり、医師に対しても、実際、有罪判決がある、こういうケースがあることを周知をしっかりしていかないといけないと思いますし、周知の仕方も、とにかく文科省としてはこういう通知を出しましたよ、こういう周知をしましたよということだけではなくて、しっかり、その通知をどういうふうにしていくのかということが非常に重要だと思いますけれども、この辺り、いかがでしょう。
○森政府参考人 お答えを申し上げます。
この本年一月の文科省の通知でございますけれども、作成に当たりまして日本医師会とも連携を図りつつ、検査、診察における対応等についての考え方を取りまとめたものでございます。
児童生徒等のプライバシーや心情に配慮をして健康診断を実施するというためには、学校医と学校との共通認識を十分に図るということはもちろんでございますけれども、医師会と教育委員会等との連携を図るということも不可欠でございまして、日本医師会に対しましても、この通知で示した事項についての周知をお願いをしているところでございます。
日本医師会におかれましても、各都道府県の医師会に対して本件について通知をしていただいているというふうにお伺いしているところでございまして、文部科学省といたしましても、引き続き、医師会と教育委員会等との連携が図られますよう、様々な機会を通じて周知に努めてまいりたいと存じます。
○遠藤(良)委員 こういったケースが実際あって、やはり医師会との連携というのは非常に重要だと思いますし、通知の方法が、本当にしっかり現場の学校医であったりとかそういう関わるお医者さんに届いているのかということが、やはりそこまでしっかり追いかけて、こういう実際の事例が起こっているわけなので、是非ともそういう取組を医師会ともしっかり連携してこのケースは取り組んでいただきたいなと要望したいと思います。
次に質問を移りたいんですけれども、文科省の方は、これで質問を終わりますので、御退室いただいても大丈夫です。
出産費用の保険適用のところなんですけれども、五月三十日に出産なびが開設されたということ、先月ですね。これはずっと要望されていたと思うんですけれども、ようやく先月、五月三十日に開設された、二千四十三か所の出産施設をカバーできていて、出産費用を調べることができるんだということ。僕も使ってちょっと見てみたんですけれども、その中でもいろいろちょっと気になる点であったりとかがあってお尋ねしたいんですけれども、出産費用の保険適用の基礎となる出産なびなんですけれども、まず、開設の意義というのはどういうところがあるのか、お尋ねしたいと思います。
○伊原政府参考人 お答えいたします。
出産費用の見える化のため、医療機関ごとに、あるいは助産所ごとにサービスの内容や出産費用の状況などを公表する出産なびを先週から開始いたしました。
この出産費用を見える化することによりまして、妊婦の方々があらかじめサービスや費用の情報を踏まえて施設を選択することができる、これが非常に意義が大きいことだと考えてございます。それが、結果としまして、安心して出産できる環境の整備につながるものと考えてございます。
こうした取組を進める中で、できるだけ多くの方に選んでいただいて、御利用いただければと考えてございます。
○遠藤(良)委員 その中で、出産育児一時金が五十万円になったというところで、これは、見ていると、東京とかだと百三十万円とか、地域によってはですね。例えば熊本とかでいったら三十万円近くのところもあったりと、非常に地域地域で格差があると思うんですけれども、その中で、以前、予算委員会でも質問したんですけれども、出産費用の保険適用というのは、なるのが望ましいということを私、要望したんですけれども、そういう方向性なのかなというふうにも感じるんですが、その中で、確認なんですけれども、出産費用が、地域格差があって一時金よりも低い場合、一時金が、低い場合は差額は受け取れなくなる、そういう理解でいいんですか。
○伊原政府参考人 お答えいたします。
現在の出産育児一時金という仕組みは、妊婦さんが出産をされますと、御本人に五十万円が支給される、こういう仕組みでございます。それを産科医療機関が代理受領する、もしその費用で差額が出る場合は、その差額分は御本人に払われる、こういう仕組みでございます。
今回、出産の保険適用につきましては、今後、厚生労働省とこども家庭庁が共同で設置する有識者の検討会で議論を始めていこうと考えてございますけれども、具体的にどうするかということについては、まだ何ら決まってございません。まさに今後議論する中で対応していきたいと考えてございますし、先ほどお話ししましたように、今回、見える化という形でデータも出てまいりましたので、どういう設計にするかについては今後の議論だと考えてございます。
○遠藤(良)委員 差額、例えば三十万円、三十五万円であれば十五万、二十万、本来受け取れたものが、例えば保険であれば受け取れなくなったりとかということがあると思うんです。一方で、高くなれば、その分は保険適用ということで、例えば東京なんかは結構有効だなというふうに感じるんですけれども。
先ほども、午前中、質疑の中でも無痛分娩の話もありましたけれども、その中で、無痛分娩の出産のところで、今は、二〇二〇年では八・六%が無痛分娩で、まだまだ実際は普及はしていないというふうに捉えられるんですけれども、今後、無痛分娩というのはどんどん増えていく可能性があると思います。無痛分娩についての保険適用というのはどういう方向性なのか、お尋ねします。
○伊原政府参考人 お答えいたします。
昨年十二月に、こども未来戦略ということを閣議決定いたしました。その中で、二〇二六年度をめどに、出産費用の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の更なる強化について検討を進めるとしてございます。保険適用の導入もそうですし、それ以外の出産に関することも議論していこう、こういう状況でございます。
こうした中で、無痛分娩につきましては、今先生からも引用されましたけれども、分娩全体に占める無痛分娩の割合は一割ぐらいでございます。
やはり、よく指摘されますのは、その普及に当たっては、麻酔を実施するお医者さんをどう確保するかという辺りの、供給面での課題もございます。そういう意味では、我々としましては、妊婦が安全、安心に出産できる環境、これをしっかり整備していくにはどういう形での支援が必要か、こうしたことを議論していくことが大事だと考えてございまして、今後、検討会の議論の中でも、そうした無痛分娩の議論も出てくるのではないかと考えてございます。
○遠藤(良)委員 現状、無痛分娩は、保険適用外の中で、十万円から二十万円、自己負担がかかるんだということです。無痛分娩も選択肢の中に、保険適用をしていくのであれば、入れていくべきだというふうに思うんですけれども、無痛分娩に関して、大臣にお尋ねしたいんですが、何らかの支援を考えられると思うんですが、どういうお考えなのか、お尋ねします。
○武見国務大臣 無痛分娩については、これを利用する方が確実に増えてきているということは事実であります。
無痛分娩について、母子の心身の安定、安全の確保などを図る観点から、まずは、分娩を取り扱う医療機関において安全な無痛分娩に向けた対応を講ずることが望ましいと考えております。
このため、関係団体とも連携をして、二〇一八年度から、安全な無痛分娩を実施する医療機関の情報を広く公開するとともに、麻酔を実施する医師の確保、これが非常に重要です、したがって、その取組も進めております。また、妊婦の方々が安心して出産できるよう、経済的負担を軽減するために、先ほどから話題になっております、昨年四月から出産育児一時金を四十二万円から五十万円に大幅に増額するとともに、出産費用の見える化のための、無痛分娩の実施の有無も含めた、医療機関などごとのサービス内容や出産費用の状況などを公表する出産なびの運用を先週から始めました。
引き続き、安全な無痛分娩を選択できる実施体制を含めて、妊婦の方々が個々の考え方や希望に基づいて安心して、そして安全に出産できる環境の整備に取り組んでまいりたいと思っています。
○遠藤(良)委員 出産費用を保険適用していくのであれば、無痛分娩というのは選択肢の一つとしてやはり選べるということが大事だと思いますし、先ほどの議員の方もおっしゃられていましたけれども、女性が出産で無痛分娩をするしないというのはまさに本人自身の選択であって、外圧で、経験しないといけないとかそういうことではないと思いますし、是非、大臣には、この無痛分娩に関しては保険適用も、しっかりと適用していくように要望したいなというふうに思います。
次の質問に移りたいんですけれども、先ほど井坂議員からもありましたけれども、医療、介護、保育の紹介会社のところなんです。
以前、四月三日に私も厚労委でこの介護の職業紹介所について質問したんですけれども、先日、報道の中でも、無期雇用の千二百事業所のうち、六割、七百十六か所で違反行為があったんだということで、厚労省さんが発表されていると思います。その中で、違反行為が数多くあった中で、例えばお祝い金を渡していたりとかカードを渡していたりとかそういうケースがあったと思うんですけれども、違反行為があった事業者に対してどういうふうに対応されているのか、お尋ねします。
○山田政府参考人 お尋ねの集中的指導監督に関しましては、都道府県労働局から医療等三分野の紹介実績がある有料職業紹介事業者に対して、転職勧奨につながるお祝い金の支給、労働条件の明示、手数料の情報開示等について幅広く指導監督を行い、先生御指摘のとおり、約六割に当たる事業所において職業安定法又は指針に関する何らかの違反行為が確認されたものであります。
それに対して、指導監督の実施につきましては、紹介事業所への立入りや呼出し、そういったものによって、職業安定法に定める義務等が適切に履行されているかを実地で確認すること等を中心に行っております。違反が確認された場合には、厳正な指導監督を行うことにより、法令の履行を確保したものであります。
引き続き、都道府県労働局において、職業安定法等の違反の疑いを把握した場合には、迅速に調査を行い、厳正な指導監督を実施していくこととしております。
○遠藤(良)委員 この違反行為のことで、二一年に祝い金というのはもう禁止されているんですけれども、その中でも、悪質だと思うんですよ、今までも変わらずにずっと禁止されているにもかかわらず紹介会社がお金を渡していた、祝い金をやっていたというケースがあったんだということなんですけれども。
四月三日に私がこの委員会で質問したときに、大臣の御答弁の中で、今後更なる取組については、現在行っている集中的指導監督などの取組の実施結果と課題等を踏まえて、様々な対応について今後検討していきたいと思いますということをおっしゃっていただいたんですけれども、こういうケースが変わらずに、悪質な業者というのはもう変わらないと思うんですが、その中で、医療、介護、保育とか、こういう業種は公定価格であって、人員配置基準があって、こういう業界に対してはやはり上限規制をしないといけないと思いますし、一方で、例えば個別の紹介手数料の見える化、これも大事だと思います。これは是非やっていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
○武見国務大臣 具体的に、今般の集中指導監督などの取組の実施結果と有料職業紹介事業に関わる課題等を踏まえまして、法令遵守徹底のためのルールと施行の強化、それから雇用仲介事業の更なる見える化の促進といったことは重要で、その観点から対応強化の方向性などを提示したところであります。
引き続き、労使を含めて対応方策についてしっかりと議論を進めて、成案の取りまとめに向けて対応します。
委員御指摘の紹介手数料に上限規制を設けるといった場合には、丁寧なマッチングを行っている適正な事業者からの人材供給にも一律に影響が及んでしまうということがあって、かえって、人材の確保に支障が生じかねないという懸念が私ども、あります。
しかし、いずれにせよ、この強化策は取りまとめることになりますので、具体的なスケジュールの提示というのはまだ難しいのでありますが、できるだけ早くこの取りまとめをするよう努力していきたいと思っております。
○遠藤(良)委員 やはり、事業所は介護保険制度の中で売上げも決まっているわけですし、お客様がいろいろなサービスを選ぶ中で、金額が決まっているのであれば付加価値をつけられない業界なので、そういうことであれば是非、事業所の売上げの、紹介会社にかなり払っているわけですよね、この中で企業が維持できない、介護事業所が維持できないのは、ほとんどが給料も含めて人材の費用、そこにお金が出ていっている。何とか政府としても、この業界に関しては何かしらの対応が必要だと思いますし。
先ほどハローワークの話もありましたけれども、実際は求人で来るのは大体ネットの有料紹介サイトであって、ほとんど、ハローワークから来る方というのはなかなか、実際、現場で働いてって本当に難しい状況だと思いますので、是非、ハローワークを強化するのか、若しくは、キャップ制度をするのか、手数料の見える化をするのか、何かしらの対策をしっかりとやっていただきたいというふうに思いますので、是非ともお願いしたいと思います。
次に移りたいんですが、後発医薬品というところで、五月二十三日に新聞でも報道が出ていたんですけれども、後発医薬品が不足しているということで。課題もあって、以前の報道によると、てんかんで長年、後発医薬品を使っていたんですが、発作を抑えてきた、しかし、薬が入手できなくなってきて成分の異なる薬に替えたら発作が起こってしまって、三十分間意識を失って救急搬送までされた、こういうケースがあったんです。
薬の不足によって生命に関わるような事態が生じているというようになっているんですが、この辺りはどういうふうな捉え方をされているのか、お尋ねします。
○内山政府参考人 お答えします。
後発品を含む医療用医薬品について、供給不足のおそれがある場合には、その情報を行政が早期に把握するために、本年四月より、製造販売業者より供給不安報告を厚生労働省に報告するように求めているところでございます。この際、候補となる代替薬も併せて報告をいただくこととしてございます。
この代替薬の選定については、製造販売業者が関係学会と相談、調整をしながら行い、医療現場で使用されるよう各製造販売業者より案内をされているところでございます。この情報を踏まえて、医師の判断により適切に代替薬が処方される、そういうことをお願いをしているところでございます。
あわせまして、供給不安報告を受けた場合には必要に応じて増産要請を行ってございますので、現下の供給不足が解消するように更に努力をしてまいりたいというふうに思ってございます。
○遠藤(良)委員 厚労省によると、後発薬の使用割合は、ここ十五年で約三五%から八〇%まで増加しているということなんですけれども、ただ、やはり安定供給に課題があって、限定出荷や供給停止となっている薬の七割が今、後発医薬品だということなんですが、増産の要請をしても拘束力がないということで、増産の実効性を確保するために厚労省は法整備をしていくというふうなことなんですけれども、どういうふうに確保する方向性を考えているのか、若しくは後発医薬品の不足がいつ解消されるのか、お尋ねします。
○内山政府参考人 後発医薬品の供給不安につきましては、産業構造のあり方に関する検討会というものを厚生労働省で開催をしておりまして、五月二十二日に報告書を取りまとめたところでございます。
その報告書におきましては、製造管理、品質管理体制の確保、安定供給能力の確保、持続可能な産業構造を三つの柱とする後発医薬品産業のあるべき姿や、それぞれの柱に対応した施策の方向性について指摘をされているところでございます。
その対策の方向性の中で、企業の安定供給体制の確保を実効あるものとしていくために、企業に求めるべき事項を整理して一定の措置を講ずることを求め、これを企業に遵守させるための枠組みを整備すること、平時から需給状況のモニタリングを行い、需給変動への対応措置を講じるといった、医薬品等の安定供給を確保する国のマネジメントシステムの制度的枠組みについて検討すべきことが指摘されているところでございます。
この報告書におきましては、これらの対策を実施するために法的枠組みの必要性も含めて検討を行い、早急に実行に着手すべきとされていることでございますので、法令上の対応が必要なものにつきましては、法改正等を視野に入れて検討したいというふうに考えてございます。
この法的枠組みについては、医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議において御議論いただいてございまして、引き続き、医療現場それから医薬品業界の関係者の意見を丁寧に伺いながら、詳細については検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○遠藤(良)委員 先ほどの実現のところは、いつ解消されるのかということはまだ未確定だというところだと思うんですが、毎年薬価が引き下げられている中でそういう影響があって、実際の市場で購入される値段に合わせて値段が下がっていっている。これは、品質や人材育成についてはコストがかけられないという状況があると思います。今後、薬価の引下げを見直すことは考えられていないのか。いかがでしょう。
○伊原政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のように、やはり医薬品の安定供給の問題というのは緊急の課題だと考えてございまして、薬価におきましてもいろいろ対応してきてございます。他方、やはり国民負担の軽減という観点から、実勢価格が下がった場合の対応というのも必要だと考えてございます。こうしたことのバランスを考えながら対応していくことが必要だと考えておりまして、現在、医療上の位置づけが確立されて広く臨床現場で使用されているような基礎的医薬品、それから、薬価が著しく低額であるために供給継続が難しくなっているという場合の不採算品再算定、こうした取組もすることによりまして、薬価の維持や、場合によっては引上げ、これを行っているところでございます。
令和六年度の薬価改定におきましても、二千品目、一割を超える品目につきまして不採算品再算定を適用したところでございます。
このように、やはり安定供給の問題、薬価の面でもいろいろ考えていかなければいけないと考えてございまして、来年に向けた議論の中でもそうしたことを考えていく必要がある、このように考えてございます。
○遠藤(良)委員 この薬価の問題は各党でもずっと議論されてきていると思いますけれども、是非、しっかりと、引上げをしていく必要もあると思いますし、その辺りも含めて引き続き今後も質問をしていきたいと思います。
時間になりましたので、終わります。
○新谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時四十八分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○新谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。岬麻紀君。
○岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。
本日の質疑、三十分間でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず冒頭に、武見大臣、感謝をお伝えしたく、お時間をいただきます。
前回の質疑におきまして、交通事故や犯罪等の理不尽に命を奪われてしまった犠牲者、御遺族による生命のメッセージ展、事務局からも御連絡がございました。後援の申請に積極的に御協力をいただきまして、大臣始め厚労省の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
それでは、質疑に入ります。
先月、五月十七日の質疑においても、愛知県名古屋市での障害者グループホーム、恵の不正事件を取り上げましたが、本日は、またもや愛知県名古屋市の、愛知中央美容専門学校と、その母体となる愛知中央美容協同組合、この経営破綻による突然の五月閉校という問題でございます。
昨日の消費者問題に関する特別委員会におきましても、当該の学校である、厚生労働大臣指定、専修学校認可、愛知中央美容協同組合立愛知中央美容専門学校の経営破綻による突然閉校についても質問をさせていただきました。
文科省からの御答弁から、ようやく、昼間学生二十六名のうち、六校に二十二名が受け入れられ転籍ができました、一名は来年度、そして三名は断念をして就職、通信制の六十一名のうち、四校に五十七名が受け入れられ、四名が残念ながら就職との進捗が得られました。しかし、美容師になる目標を断念をして就職をした方が合計で七名、そして一名は一年の時間を先延ばしして再度考えるという事態でございます。全部で八十七名の学生とその保護者や家族の理不尽な思いを察するには余りがあります。
納めた金額は一年生なら百万円以上の授業料等の返金もあやふやなままでございます。そして、返金すればいいという問題でもありません。
この問題には愛知県が大きく責任があると考えるものの、厚労省、文科省にも監督や責任等、複数の省庁にまたがっているというのがまた課題となっています。速やかな情報収集や原因究明が進まない要因になっていると考えておりますが、本日は厚労委員会でございますので、本年度の美容師、理容師の国家試験についての視点から伺います。
受験資格のある二年生の受験はどうなるのかという心配の声がございます。というのも、もう既に願書の案内や配布が行われておりまして、この国家試験というのが八月一日から始まるということで迫っております。こうなると、美容師の養成施設指定規則による国家試験の受験資格への教科課程の基準であるとか、単位の担保はどのようになるのでしょうか。その辺り、まずお聞かせください。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
美容師国家試験を受験するに当たりましては、美容師法施行規則におきまして、都道府県知事の指定をいたしました美容師養成施設における、昼間の課程であれば二年以上、通信であれば三年以上の必要な知識及び技能の修得、これが義務づけられておりますほか、美容師養成施設指定規則におきましては、履修すべき教科課目や単位数、これが定まっているところでございます。
今般の愛知中央美容専門学校の閉校によりまして他の美容師養成施設へ転籍をされました生徒の皆様に対しては、受入先の美容師養成学校、こちらで、生徒の履修状況等を踏まえながら、所定の期間内に必要な課目と単位、これが履修できるように対応をされるものと考えております。
厚生労働省といたしましては、引き続き、県や文科省とも連携をしながら、在学生の受入れ等に係る今後の調整状況、これをよく注視してまいりたいと思っております。
○岬委員 今止まっている中で、六月から転籍ということですけれども、止まってしまった一か月ほどがあると思いますので、それによって何らかの不具合が生じないように、注視されるということですから、是非しっかりと、受験を目指していた方、これまで一生懸命やっていた方が理不尽な思いをしないようにお願いをしたく存じます。ありがとうございます。
さて、今回は、このように学生が放り出されてしまったという形でございます。倒産や閉校するような事業者、今後も増えていく可能性が否めません。現行の法制度、計画倒産であるとか、また詐欺まがいなこと、逃げ得を許してはいけません。国も、率先して未然防止策を講じる必要があると思います。例えば、事前にチェック機能をしっかりと、法整備をするであるとか制度改正ができればと思いますが、その辺りはどのようにお考えでしょうか。今後という視点でお願いします。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
現行の制度につきましては、先生よく御存じのとおりでありまして、指定を受ける際にも、財政計画ですとか、向こう二年間の計画、収支予算、こういったものを確認した上で指定をしている。また、その後におきましても、美容師養成指定規則におきまして、毎年七月三十一日までに、前年度の収支決算及び当年度の収支予算、これを都道府県知事に届けなければならないとされておりまして、こういった制度を適切に運用いただきたいと思っております。
ただ、この施設におきましては、愛知県に確認をしましたところ、提出がありました令和五年六月二十八日の時点では、特に経営主体において経営が困難な状況にあるというふうに認められていないということもございます。
現在、愛知県と愛知県専修学校各種学校連合会等々で様々調整を行われておりますけれども、原因に関して、愛知県や文科省とも連携をしながら、まずしっかり原因究明に努めるとともに、結果に基づいた再発防止策、これを検討してまいりたいと思っております。
○岬委員 今、六月の段階では経営不振が認められなかったということですけれども、八月の段階では、かなり経営が苦しいんだという相談が入っていたということです。さらには、別の学校から、引き継ぎたいという相談も受けていたというのが愛知県から言われております。
とするならば、この学校のパンフレットを見ますと、六月からもう既にエントリーの受付が開始されています、これは九月まで。そして、十月からは願書の受付ということですから、危ないなと分かった時点で止めることもできたのではないか、その時点で事情を説明して、ほかへ願書を出していただくなりということもできたのではないかなと思うんですが、その辺りはどのようにお考えですか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどは、現行の法制度においてどのような規定になっているかということを申し上げました。
その上で、今、愛知県の方で原因究明ですとか経緯などを調査を始めていると思っておりますので、その状況を踏まえながら適切に対応してまいりたいと思っております。
○岬委員 是非、やはり早め早めにチェック機能が、愛知県なら愛知県に任せっ切りではなくて、やはり国の方でもしっかりとそれが共有できるような仕組みづくりが必要なのではないかと御提案したいと思います。
また、学長の挨拶という部分がございまして、そこにも、生徒にとって貴重な二年間であるというふうにうたっているわけです。二年間といったら本当に、若い方々、あっという間の年月だと思いますので、是非、若者たちがこのように足止めを食らってしまうという状況でないような、二度とこういうことのないようにお願いしたいと思います。
それでは、この件に関しましては最後に、この愛知中央美容専門学校の運営元である愛知中央美容協同組合というところがございます。これは、三社で組合で、二社が倒産してしまったということなんですね。こういった突然の閉校になってしまった一連のことをどのように受け止められて、実際、今回の件、どこに課題があったと、どのように思っていらっしゃるか、大臣、最後にまとめてお願いいたします。
○武見国務大臣 愛知県中央美容専門学校の閉校について、美容師養成施設の都合によって、生徒への説明責任が果たされることなく、生徒の修学機会が奪われるような事態となっているということは、これは甚だ遺憾なことだと考えております。
今回の事案については、出資企業の経営破綻に係る経緯などの事実関係も含めて、指導権限等を有する愛知県においてまずしっかりと精査をしていただきたいというふうに思います。
その上で、厚生労働省としては、今回の専門学校に限らず、全ての美容師養成施設において、美容師になる夢と希望を持って入学した生徒が再び継続できるような環境づくりにしっかりと取り組んでいきたいと思います。
美容師法を所管する厚生労働省でございますので、愛知県やそれから文部科学省としっかりと連携をしながら、まずは今回の件についてもその原因の究明に努めるとともに、それを踏まえて再発防止策をしっかりと検討していきたいと思っています。
○岬委員 力強いお言葉、ありがとうございます。是非ともよろしくお願いいたします。
それでは、次のテーマに移ります。次は、地域救急医療の現場と課題についてでございます。
全国各地で救急搬送業務が多発をしております。円滑な運営が大変厳しい状況に陥っている、これは全国各地での事情でございます。まずは、日頃から国民の生命を守り、激務に当たっていらっしゃる全国全ての消防庁、消防局の職員の皆様に敬意と感謝を込めまして、質疑をさせていただきます。
現状は、呼べば無料で救急車が来てくれる。もちろん、そうではございますけれども、安易な認識で不適切な利用を減らしていくことが求められると思います。地域救急医療の大きな転換期であるという問題意識からの質疑でございます。
まず、貴重な限られた医療資源である救急隊また救急車というものですけれども、この運用に当たる例えば隊員の体制であるとか車両の状況、そして経費、出動件数、時間等、基本的な部分を教えてください。
○鈴木(建)政府参考人 お答え申し上げます。
まず、救急車の出動の件数でございますが、令和五年の速報値で七百六十三万七千九百六十七件となってございまして、令和四年に引き続きまして過去最多を更新したというところでございます。
それから、入電から救急隊が現場に到着するまでに要した時間、現場到着所要時間と呼んでおりますが、こちらについても年々延伸傾向にございまして、最新の令和四年の全国平均値で約十・三分というふうになってございます。
それから、救急隊の隊数と人数でございますけれども、救急隊は令和五年で五千三百五十九隊、救急隊員の数でございますが、六万六千六百十六人ということになってございます。
○岬委員 ありがとうございます。
私が調べた資料ですと、二〇二二年のものだったんですが、そのときは年間で救急車が出動しているのは七百二十二万九千八百三十八件、約七百三十万件だったわけですが、ここでも過去最多でありました。今の御答弁では七百六十三万件以上ですので、やはり年々増えているというのが皆さんにも御承知いただけると思います。
単純計算をしますと、救急車が一回出動するとどれくらいの経費がかかるというふうに概算されていらっしゃいますでしょうか。
○鈴木(建)政府参考人 お答え申し上げます。
救急車出動一回当たりのコストというお尋ねでございますが、私どもの方では各自治体の財政支出の内訳は承知しておりませんので、消防庁としてお示しすることは困難でございますけれども、独自にそういった値を算出している自治体もあるというふうに承知しております。
例えば、神戸市において作成、公表されております令和四年度事業別行政コスト計算書によりますと、救急出動一件当たりのコストが四万五千十六円というふうにされております。
○岬委員 お分かりいただけるように、一台の救急車が一回出動すると四万五千円以上、私もいろいろな資料から見ますと、五万円ぐらいという試算も出ております。そうすると、私たちが道を行き交う中で救急車が動いているのをよく目にすると思いますが、そのたびにそれだけの経費がかかるということです。
そして、救急隊の、救急車の体制ですけれども、三名というふうに伺っております。そうなると、最近は、三重県の松阪市でも有料、これは有料といっても少し認識は違いますけれども、そういったいろいろな対策を練って、適正利用を促していこうという向きがかなり強まってきているなということがお分かりいただけると思います。
いずれにしても、限られた医療資源が必要なところに、真に必要としている方のところにきちんと届くということが最大の重要な点であると考えますけれども、そこで、本日、配付資料として皆様にお配りしております、こちらを御覧いただければと思います。
各自治体によって救急車の運用、試行錯誤されている事実が今分かったと思いますが、例えば、私の選挙区が含まれております名古屋市におきましては、これまで愛知県名古屋市はいろいろと不正の事件が多かったのですが、ここからは少し自慢ができます。
名古屋市は、当時、常時四十六隊の救急隊が出動できる体制を整備しておりました。しかし、連日の救急車稼働が著しく高まりまして、十七台の非常用救急車を活用しても、救急車がすぐに現場に到達できないという事態が起こります。先ほどの御答弁にもありましたように、救急車というのは十分以内に現場に到着をするという目標を掲げていますが、先ほども十・三分だったわけです。というように、名古屋市も同じような課題を持っておりました。
そこで、救急搬送体制、逼迫しているということから、今後、更に暑くなりますと、熱中症の懸念も高まります。救急車の稼働率が著しく上昇するということで、昼間の時間帯に運用するというのが、今日、新聞記事を配っております。
救急患者の受入れに係る医療機関との調整を迅速かつ円滑にしていくためにも、このブルーエイトの運用を取り入れました。これは令和五年の四月から行われております。
最初は一つのエリアだったわけですが、お配りしている記事によりますと、二つに増えたということで、名古屋市の中村区と中川区を拠点としまして、名古屋市内に、空白地域にまで走らせるということでございます。こうすることによりまして困難事案を少しでも解消していこうという狙いが、特別救急隊、ブルーエイトの導入でございます。
こうしたことによって、かなり改善が見込まれる若しくは期待されるというものでございますが、ここで大きな違いは、民間ではないというところが非常に信頼度が高くなるのではないかと考えております。
これを是非好事例ということで全国に展開できるような仕組みを考えるとよろしいかと思うのですが、この辺りはどのような評価をされて、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。消防庁、お願いします。
○鈴木(建)政府参考人 お答えいたします。
ただいま名古屋市消防局の事例を御紹介いただきましたけれども、高齢者の増加に伴いまして救急需要が増加する中で、一一九番通報が増加する日中の時間帯に特化した救急隊の設置、こちらにつきましては、出動可能な救急隊数の確保、あるいは救急隊員の多様な働き方への対応、こういった面で有意義な取組であると認識をしておりまして、既に、少なくない消防本部で運用例もございますところでございます。
消防庁におきましては、日中に特化した救急隊の設置のほか、緊急性の高い重症者に出動する専用隊の確保など、救急ニーズに応じた部隊配置の取組例について、全国の消防本部に累次にわたり情報提供をし、その取組を促してきたところでございまして、引き続き、現場の声を丁寧に聞きながら、消防本部における取組が進むように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○岬委員 ありがとうございます。
例えば、今回のブルーエイトに関しますと、消防というのは二十四時間体制でございます。もちろんそうなんですけれども、その二十四時間の勤務体制は少しちょっと難しい、できないという方も現実いらっしゃいます。そういった方の能力であるとか活躍の場をしっかりと確保していただいて、人材不足にも対応ができるという部分は非常にメリットではないかと考えております。
また、今お話がありましたように、救急隊員の不足の解消であるとか、また救急隊員、救急救命士の負担の軽減であるとか、また市民を一刻でも早く搬送できる、救急車と、ブルーエイトという、白とブルーの救急車のようなものなんですけれども、が増車されているわけですから、単純に、少しでも多くの方を搬送できるという仕組みでございます。
そのほか、対策として先ほどの有料化の話を、お隣の三重県松阪市の話を取り上げましたが、これは、ただ、有料といっても、選定療養費ということで七千七百円の徴収である、また、医師の判断によって徴収が免除されるケースもございますので、いろいろな賛否両論はございますけれども、正確な情報提供と、そして正確な情報の認識をしていただければと思っております。
また、ここで一番問題なのが、軽症の方も安易に救急車に頼ってしまうという部分でございます。
私が調べた情報によりますと、救急車の軽症は四七・三%ということです。これは、病院に行ったけれども、すぐに帰ることができるという程度というふうに認識しております。そして、中症の患者さん、これは一応は入院が必要だと判断された方で四三・五%です。そして、実際に逼迫している重症患者という方は七・七%にとどまっております。そうすると、軽症と言われる方は、適切な自家用であるとか公共交通機関を使っていただくとかタクシーを使うということで医療機関に行っていただければ、十分にここは軽減できるのではないかと考えます。
しかし、問題なのは、明らかに軽症であると自分で分かる部分はいいんですけれども、一見した、外見からは分からないということもございます。そういったときに判断をどうするかという問題ではないでしょうか。その辺りはどのような手段があるんでしょうか。例えば救急安心センターなどがあると思うので、その辺り、教えていただけますか。
○鈴木(建)政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘いただきました救急安心センター事業、シャープ七一一九と呼んでおりますが、こちらは住民が急病時などに救急車を呼ぶべきかどうかなどについて電話で相談することができる事業でございまして、住民に安心、安全を提供するとともに、救急車や医療機関など地域の限られた資源を有効に活用することを目的とするものでございます。
この事業につきましては、本年五月末現在で、全国の二十九の地域で実施をされておりまして、人口カバー率が六四・九%というところになっております。また、本年度中に新たに又は地域を拡大して、八つの地域で実施される見通しとなっております。
消防庁におきましては、これまで様々な媒体、機会を通じてシャープ七一一九の広報を行ってまいりましたし、また、地方公共団体に対しても認知度向上の取組をお願いしてきたところでございまして、各実施団体においても様々な取組が行われているところでございまして、私どもとしましても、引き続き、シャープ七一一九の普及促進アドバイザーの派遣、優良事例の共有などを通じまして、未実施地域を有する都道府県に実施の検討を促すということ、それから、住民に対するシャープ七一一九の認知度向上に取り組んでまいりたいと考えております。
○岬委員 ありがとうございます。
実際に、私も子供を育てているときに救急車を利用したことが何度かございます。そういったときに、子供が普通に帰ってきた、一旦寝ました、だけれども、ちょっと様子がおかしいぞ、何かあったのと聞いたら、今日、こういうふうにぶつかったというような話があった。それは何だかちょっと危ないなという嫌な感じがしたんですね。だけれども、普通にしているし、外見は何でもない。でも、一旦私は一一九番にかけました。きちんと説明したところ、それは非常に急を要します、すぐに行きますと言われてしまったんですね。おかげさまをもちまして、大事には至ることなく、三日間の入院で何とか退院はできましたけれども、やはり、素人では分からないときに、そこでちゅうちょしないということもとても大事な部分だと思います。もちろん、それを有料化した場合に、ちゅうちょする方が増えるのではないかという懸念も出ております。是非とも、このような、少しでも迷ったらシャープ七一一九という番号にかけて判断を仰ぐというのは非常に有効なのではないでしょうか。
そして、もう一つが子ども医療電話相談事業ということで、これは厚労省の行っているシャープ八〇〇〇番、これも少し教えていただけますでしょうか。
○浅沼政府参考人 お答えいたします。
御指摘の子ども医療電話相談事業、シャープ八〇〇〇につきましては、子供が夜間、休日に体調が悪くなった際、受診するタイミング等について小児科医師や看護師等からアドバイスを受けられる電話相談であって、平成二十二年度から全ての都道府県で実施されております。
厚生労働省におきましては、全国での普及やサービスの充実に向けて、本事業の運営経費に係る財政支援を行っているほか、都道府県に対し、国が作成した広報ツールを活用しながら、住民への積極的な周知を求めているところでございます。
引き続き、本事業が効果的に活用されるよう、都道府県と連携しながら普及や周知に取り組んでまいりたいと考えております。
○岬委員 ありがとうございます。
実際のところ、私、知りませんでしたし、私の周りの方も、まだまだ知らない方が非常に多いです。皆さん、どうでしょうか。シャープ七一一九またシャープ八〇〇〇、知らないという方が多いですから、学校教育の中、また病院、またコミュニティーなどでどんどん積極的にこういった情報を提供していただきたいと思います。それがつながって、安易に救急車を呼ぶということを軽減することができるのではないでしょうか。
さらに、救急車に乗りまして、救急患者さんが、受入れに係る医療機関との情報連絡体制、これを更に調整していく必要性もあると思われます。的確に、そして実施対策、どのように進んでいるでしょうか。消防庁、お願いします。
○鈴木(建)政府参考人 お答え申し上げます。
医療機関と救急隊の連携ということでございます。
まず、制度でございますけれども、救急隊によります医療機関への搬送と受入れにつきましては、消防法に基づきまして、都道府県が、医療機関、消防機関などが参加する協議会の意見を聞いて、傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準というのを定めることになっておりまして、その中で、救急隊から医療機関に伝達する情報の内容、あるいは受け入れる医療機関の確保方法、こういったものなどについて関係者の合意を得て定めるということになってございます。
また、実際の運用状況については、地域の関係者が参画いたしますメディカルコントロール協議会、こちらの方でPDCAサイクルを回しまして継続的に検証、改善を図っているという状況でございます。
また、デジタル技術の活用も有効でございますので、搬送件数が多い大都市圏の消防本部を中心に、医療機関と連携した情報システムを活用して、空き病床数あるいは受入れ可否の情報連携が図られる、こういう実情にあるというふうに承知しております。
○岬委員 ありがとうございます。
やはり、日頃からの医療機関との情報共有であるとかリレーションづくりというのは非常に重要かと思われますので、是非とも、この入口の部分をスムーズにすることによって、搬送する時間も短縮できるでしょうし、たらい回しになってしまうというようなことも防いでいけるのではないかと考えます。
それでは、時間も迫っておりますので、最後の質問となるかと思われます。
地域救急医療の逼迫と、今後増加するであろうという予想の中で、厚労大臣としての見解、また課題の認識であるとか今後の対策の見通し、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
○武見国務大臣 救急搬送というのは、地域医療の中でも、緊急時における極めて重要なツールであることは明白であります。しかも、近年、その件数が増えてきている。それをどうこれから受け止めるかということを、やはりきちんと計画的に考えなきゃいけない。
救急搬送については、高齢者の軽症それから中等症の搬送が増加しておりまして、今後も高齢化に伴い救急搬送の増加が想定されます。必要な救急医療体制を確保するということをまず考えなければなりません。
このため、厚生労働省では、救急医療資源に限りがある中で、都道府県と連携して、初期救急、二次救急、三次救急と役割を明確化し、連携体制を確保することとしているほか、患者に適切に受診していただき、救急患者の円滑な受入れが可能となるよう、消防庁と連携して、救急相談等に対応できる相談体制の整備を進めております。
あわせて、救急医療提供体制の機能向上のために、救急救命士など、他職種へのタスクシフトであるとかシェアを含め、地域の実情に応じた業務分担や効率化を進めております。
今年の秋以降は、救急医療の現場におきまして、患者の意識がない場合などでもマイナ保険証などを活用して医療情報の共有が可能になるよう、より効果的な救急診療時の仕組みの構築を進めます。
引き続き、将来を見据えながら、地方自治体や医療関係団体としっかりと連携をし、地域における救急医療体制の充実に取り組んでいきたいと思います。
○岬委員 ありがとうございます。
やはり多くの方にきちんと利用していただきたいと思いますが、非常用救急車などが出ますと、いざ災害があったときなどにまた人材不足という二次的被害にもつながりかねません。そして、本日、救命救急士のタスクシフティングについても伺いたかったのですが、今少し触れていただきましてありがとうございます。次回、また質問させていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。
○新谷委員長 次に、長友慎治君。
○長友委員 国民民主党の長友慎治です。
今日は、HPVワクチンのキャッチアップ接種につきまして質問させていただきます。
ヒトパピローマウイルスは、性経験のある女性であれば五〇%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマ等、多くの病気の発生に関わっています。特に、近年、若い女性の子宮頸がん罹患が増えているところです。
そこで、厚生労働省は、子宮頸がんワクチンのキャッチアップ接種期間を設け、公費接種を行っています。平成九年度生まれから平成十九年度生まれ、誕生日が一九九七年の四月二日から二〇〇八年四月一日の女性が対象となっていますが、ワクチンの定期接種の対象年齢である小学六年から高校一年に相当する期間に接種を逃した非接種世代と接種世代の接種率には現在どのくらいの差があるのかを教えてください。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
まず、令和四年度、二〇二二年度末の時点、つまり、ですから、キャッチアップ接種が始まって丸一年たった時点ですけれども、その数字を申し上げます。
定期接種導入直前に実施した事業の間に接種対象となった平成十一年度以前に生まれた方ではおおむね七割から八割の接種率となっているものの、平成十二年度生まれが二〇・〇%となるなど、その後の接種率は大きく低下しました。
キャッチアップの対象世代では、ちょっと世代が幅がありますけれども、九・一%から三一・六%となっております。
積極的勧奨の再開後に新たに定期接種の対象となった世代は、これは二・八%から二五・二%という状況でございます。
○長友委員 今の御回答でも分かりましたけれども、非接種世代と接種世代の間にかなりのギャップがあるというふうに認識するところなんですが、キャッチアップ接種の対象に該当する方は、令和四年の四月から令和七年の三月の三年間、二〇二五年の三月、来年の三月まで子宮頸がんワクチンを公費で接種できることになっておりますが、キャッチアップ期間が三年間と、私は短いというふうに思うんですね。非接種世代の対象者が三回接種できない可能性があるように感じておりますが、見解を伺います。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
HPVワクチンのキャッチアップ接種については、委員御指摘のとおり、これはもう三年目に既に入っております。今年度中に合計三回の接種を完了するためには、六か月必要となりますので、遅くとも本年九月末までに一回目の接種を完了する必要があります。まずこれが大前提です。
そのため、まずはこの期間中に一人でも多くの対象の方が、正しい情報に基づいてキャッチアップ接種について検討、判断が行われるよう、まずは夏までに接種率の更なる向上に向けた周知広報に積極的に取り組む必要があると考えております。
具体的にですけれども、五月三十日に、先週ですかね、自治体説明会を開催して接種対象者への自治体からの周知を促したほか、周知等に積極的に取り組んでいただいている自治体の取組について、よい例を紹介、展開していく、こういった取組をお願いしているところでございます。
○長友委員 今、自治体の方にも説明いただいているということで、地方自治体によっては一生懸命努力されている自治体もありますし、啓発に取り組んでいただいているところもあります。また、議会が議案として上げて要望していただいている、そういう案件でございます。
やはり、非接種世代が接種世代と同等の接種率に達するまで、私としてはHPVワクチンのキャッチアップ期間を延長すべきだというふうに考えますが、見解を伺います。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
HPVワクチンのキャッチアップ接種の期間については、長く設定するというのをちょっとシミュレーションしてみますと、例えば、早期に接種を行う必要がないという、これが誤ったメッセージにつながってしまうのではないか、また、特に年齢がある程度高い世代においては、接種のタイミングが遅れることによって結果的にワクチンの有効性がより低くなってしまう可能性がある、こういった点を考慮して、令和四年度から三年間、つまり今年度までとしているところでございます。
もう一つのポイントが、先ほど来委員から御指摘いただいたとおり、予防接種法に基づく定期接種は、あくまでも本人、また未成年の方の場合は保護者が同意した上で行う、基づいて行うというものですので、その意味では、より更に正確な情報を周知し、今年度まで、キャッチアップ世代においてもタイミングは今だということの周知、これは自治体任せではなくて、厚生労働省としても積極的に周知を図ってまいりたいと考えております。
○長友委員 長く期間を取ると、慌てて打たなくてもいいというような誤ったメッセージになるんじゃないかという懸念ですけれども、私はそうは思わないんですね。それよりも、キャッチアップ接種というものを行っているよということの周知がまだまだ足りていないというのが現状だと思います。
冒頭にもお伝えしましたけれども、若い女性の子宮頸がん罹患が増えているわけですよね。性経験のある五〇%以上が生涯で一度は感染する。これは、非常に残念なのが、若いお母さんとかがなってしまうと、マザーキラーというふうに言われるような、子供たちを残してお母さんたちががんで命を落としてしまう、そういうリスクにつながるということは非常に深刻な問題だと思いますので、シミュレーションをした結果だとは思いますけれども、まだまだ啓発の努力も足りないと思いますし、引き続き、多くの未接種世代が受けられるという、公費接種ができるということを前向きに検討をしていただきたいというふうに思います。
また、これはしっかりとしたエビデンスというものがあるかどうかというのはまた後からも調べたいと思いますが、現場のお医者さんによれば、最近の若い方の性経験というものは早くなくて、実は、性経験をしない子供たちも、後ろの方に、世代として遅くなっている、そういうような声も上がっています。そうであれば、やはり若いときも大事なんですけれども、接種できる期間というものを少し長い目で見る、そういう視点も必要じゃないかというふうに思いますので、是非検討をいただきたいと思います。
また、実はHPVは、男性が感染すると中咽頭がんそれから肛門がんなどの原因にもなることに加えて、男女間でも感染しますが、国としては、現在、男性へのワクチン接種というものはしていないという状況です。
HPVワクチンの男性への接種というものも定期接種化するべきだと考えますが、見解を伺います。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
男性へのHPVワクチンの接種、今年に入ってから、審議会で二回検討していただきました。
今年の三月の段階では、これは国立感染症研究所から提出いただいたんですけれども、感染症やワクチンに関する科学的知見等を取りまとめた、これはファクトシートという言い方をしますが、それで議論いただきました。有効性や安全性は認めていただきましたが、費用対効果に課題があるという指摘をいただきました。これが一点目です。
二点目が、先月の二十二日にも審議会で議論いただいたんですけれども、ここで、男性への接種の評価に当たっては、女性への波及効果等も含めて総合的に評価を行っていくということについて、これは私どもの方の方針を了承いただきました。
ですので、こういった審議会で御議論いただくに際し、費用対効果、その前提となる女性への波及効果等も含めて、今後は、もちろん当然ながら薬事承認が前提になりますが、こういった点で厚生労働省としても検討を更に進めてまいりたいと考えております。
○長友委員 更に検討を進めていただけるということで、性交渉によって広まる病気ですから、女性側からすると、何で男性は打たなくていいの、そういう声が上がるのは当然だと思うんですね。男性側もやはり意識を、自覚をしていかないといけないと思いますので、更なる検討をお願いしたいと思います。
次の質問に行きます。地域医療の充実化についてになります。
日本列島を見ましたときに、医師の地域偏在が見られます。実は、私の地元宮崎県は九州で唯一の医師少数県ということになっておりまして、医師不足は非常に地元でも深刻な課題になっているんですが、そもそも医師の偏在が起きる理由はどういうふうに分析をされているのか、見解を伺います。
○浅沼政府参考人 お答えいたします。
医師の地域偏在が生じる要因につきましては、労働環境、あと、お子様方の教育の環境、御家族の理解、医療技術、技能を習得する環境、経営環境など、様々な要因があると認識しております。
厚生労働省といたしましては、こうした地域偏在の要因を踏まえながら、引き続き、都道府県と連携し、地域の実情に応じた取組を進めてまいりたいと考えております。
○長友委員 医師少数県の当事者として、理由は想像はつくわけですよ。地方の、なかなか家族の説得ができないかもしれないとか、田舎に行きたくない、あるのかもしれませんけれども、じゃ、そこで生活している側からすると、何とかしたい、それが当たり前の声だと思うんですね。
医師の地域偏在を解消するために、医師不足地域への一定期間勤務の例えば義務づけであったりとか、診療科ごとの必要専門医数の養成など、医療提供体制の均てん化対策というものを、これは地方にとっては非常に喫緊の課題になっているんですが、そのような早急な実行というものについて見解を伺いたいと思います。
○浅沼政府参考人 お答えいたします。
医師の偏在対策につきましては、医学部定員に特定の地域等での勤務を条件とした地域枠を設定することに加えまして、医師の多寡を比較評価する医師偏在指数を算出した上で、都道府県において医師確保計画を策定し、目標医師数の設定、医師の派遣、キャリア形成支援等を行い、これらにつきましては、国としても財政支援を行っているところでございます。
また、医師少数区域等で一定期間以上の勤務を経た医師につきましては、厚生労働大臣が認定する制度を創設し、地域医療支援病院の管理者として評価するほか、認定を受けた医師に対しまして、医療の質の向上等に係る研修の必要な経費等を支援するなど、医師少数区域等への勤務に係るインセンティブを設定しております。
一方で、議員御指摘の医師不足地域等での勤務を義務化することにつきましては、医師個人の意向や、都道府県によって状況が異なること等を踏まえますと、慎重な検討が必要であると考えてございますが、現在、医師偏在の更なる是正を進めるべく、医師養成過程での取組、経済的インセンティブ、規制的手法等を組み合わせた総合的な対策につきまして検討しているところでございます。
引き続き、関係者の意見を伺いながら、検討を進めてまいりたいと考えております。
○長友委員 都市部への医師の集中によって医師の地域偏在が起きているわけですよね。先ほど、地方の少数区域での研修の費用をということを言っていましたけれども、それじゃ弱いんですよね。必修化してもらわないと来ないんですよ。来ないから、こうなっているんですよね。
地域医療が適切に確保されるように、是非これは必修化するということを求めたいと思いますが、見解を伺います。
○浅沼政府参考人 お答えします。
御指摘の点につきましては、先ほど答弁いたしましたとおり、やはり医師個人の意向、それと都道府県によって状況が異なっていること、これはあくまで少数県の問題もございますが、多数県につきましても、例えば診療科偏在もございますし、多数県の中においても地域偏在がございます。
そうしたことなどを踏まえますと慎重な検討が必要であるとは考えておりますが、引き続き、関係者の御意見を伺いながら、議員の御指摘の点も含めて検討を進めてまいりたいと考えております。
○長友委員 大臣、これは地方の医師少数県のとても切実な心の叫びです。大臣から是非御見解を聞かせていただけますでしょうか。
○武見国務大臣 地域における医師の偏在というのは、本当にもはや見過ごすことができない深刻な事態に入ってきたと思っております。
今局長の方からも答弁させていただいたように、具体的な手だてを幾つも組み合わせてやってきているわけでありますが、やはりかなり大胆に新しい仕組みを取り組まなければならない時期に入ってきたかな、そういう状況認識を私は持っております。
役所の中でも、十分担当部局と相談をして、そして、そうした新しい考え方をできるだけ早くきちんと打ち出すことができればと考えています。
○長友委員 地方が持続可能になるか、瀬戸際になっておりますので、大臣、是非よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
○新谷委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。
今日は、まず、国立病院機構の院内保育所についてお伺いしたいと思います。
百十五の園があるそうですが、運営をそれぞれ、株式会社や社福に委託しております。ところが、これが三年や五年で契約を更新していくんですね。今年度は三十の園が更新の年を迎えて、十六の園は委託業者は継続でしたけれども、十四の園は委託業者が変更になったということでございます。
配付資料にありますけれども、少しアンダーラインも引いておきましたけれども、委託業者が変更になると、有休がまた初めの十日に戻ってしまう、あるいは賃金が下がってしまうだとか、こういう問題が生じているわけです。
今日は国立病院機構の副理事長に来ていただきましたけれども、三年や五年で委託先を変えていくデメリットについてどう考えているのか。そして、人手不足は保育士でも大変深刻な状況であります。労働環境の改善をすることは、院内保育所の今後の存続にも必要なことではないかと思います。組合の皆さんは、直営に戻す、このことを求めているわけですけれども、そのことも含めた抜本策が求められるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○大西参考人 お答えいたします。
院内保育所につきましては、医師、看護師など病院の職員が子育て中でも安心して働くことができるようにするための環境整備の一つとして重要なインフラと考えておりまして、その円滑な運営というものは国立病院にとっても重要な課題というふうに認識してございます。
当機構は、基本的に病院を運営する法人でございますので、保育所を運営するノウハウに乏しいということ、あるいはまた、保育をめぐる状況は地域によって異なっているということで、適切な運営を確保するために院内保育所の運営につきましては各病院において外部の事業者に委託を行っているというところで、先ほど先生からも御指摘を賜ったとおりでございます。
各病院における運営委託契約はおおむね三年から五年という期間になってございまして、契約期間の満了時に、新たな委託事業者の選定を行います。その際、可能な限り現在勤務する保育士の雇用に配慮を求める観点から、当機構の本部から各病院に対しましては、公募の仕様書において、旧受託者の職員が新受託者での雇用を希望する場合は可能な限り応募の機会を設けるということを記載していただくようにお願いをしております。
病院による公募の結果、委託事業者が変更になりました場合には、現在勤務する保育士の方が新受託者での雇用を希望し、そして採用されたという場合には、新受託者との雇用契約で、先生御指摘のような新規採用としての年次休暇の付与とか、あるいは賃金水準の決定というようなことがあるということは、私どもも承知をしております。
一方で、なかなか、院内保育所の運営につきましては、最初に申しましたとおりですが、保育事業の専門的知識のある専門事業者による運営委託ということで質の高い保育サービスの提供ができるということなので、病院が直接運営するという形に切り替えていくことは、率直に申しまして、難しい面があるというふうに考えてございます。
院内保育所で働いていただいている保育士の方々の労働環境の問題も含めまして、院内保育所が安定的に運営され、引き続き、病院職員が安心して子供を預けることができる体制というものが確保されるよう、当機構としても努力をしてまいります。
○宮本(徹)委員 三年から五年に一回委託先が替わるということになったら、これは安定的な、円滑な運営はできないわけですよね。幾ら次のところで雇用を継続してくださいといったって、また有休は減っちゃう、賃金も下がっちゃう、こういうことになったら、当然、いや、ほかの保育園に移りますよという方だって出てきてしまうわけですよ。
ノウハウがないということをおっしゃいますけれども、国立病院機構になる前、独立行政法人になる前は、全部直営でやっていたわけですよね、国立病院の時代は。ですから、ないはずはないんです。国立病院だって、別に保育園のプロでやっていたわけじゃないですけれども、それでちゃんとやれていたわけですから。
長い間、国立病院の時代から保育士として引き続き働いている方々も今いらっしゃるわけですから、その方々が退職する頃になったら本当に継続性がなくなっていくと思いますし、本当に、直営に戻すなら私は今しかないと思いますよ。それをやめたら、もう後は、三年、五年というのがずっと続いてしまって、それこそ魅力のない職場ということで、保育所の存続自体が大変厳しくなるのではないかと思うんですけれども、そういう危機感というのはないんでしょうかね。
○大西参考人 独立行政法人ができる前、国立病院が国の一部であった時代につきましては、各共済組合の委託という形で院内保育の事業が実施されていたというふうに承知しております。
先生御指摘のとおり、今、人材の確保の問題、非常に難しい問題でございまして、そういう中で、保育士さんが安心して働いていただけるということは本当に大事なことだというふうに認識しております。
各病院におきます院内保育所の事業委託の状況というものを本部としても注視をいたしまして、保育所の安定的な運営に支障が生じないように、病院と連携しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 ですから、三年、五年で委託先をまた替えていくということ自体を改めないと、これはなかなか大変なことになりますよ。また次回といいますか、次の機会にいろいろただしていきたいと思います。
あわせまして、労働組合のアンケートを見ていましたら、国立病院の院内保育所の正規雇用と契約社員の方の基本給の平均額が十八万五千円と書いてあったんですね。随分低いわけであります。認可外の保育所の場合は、累次の処遇改善の対象外となっているわけです。厚労省として、認可外の院内保育所で働く保育士の賃金水準というのはどう把握しているのかというのをお伺いしたいと思うんですね。
そして、私もちょっと調べてみましたんですけれども、今は二〇一四年度から都道府県の地域医療介護総合確保基金から補助金が院内保育所に出ているわけですけれども、保育士一人に月の補助単価十八万八百円、これは二〇一三年度の国の時代の補助金の単価なんですね。この補助金の単価から基本的にほとんどの都道府県が変わっていません。私、二十六県調べましたけれども、そこから補助金が増えているのは一県だけ、減っているのが二県、あとは十八万八百円という金額になっているわけですね。これだとやはり、認可の園は賃金は上がっていきますけれども、認可外の院内保育所、とりわけ地域医療介護総合確保基金で運営している院内保育所の賃金は上がっていかないということになると思うんですね。
賃金が上がる手だてをちゃんと考えなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか、大臣。
○武見国務大臣 実際に、厚生労働省の賃金構造基本統計調査において保育士全体としての賃金の調査は行っているんですけれども、認可外の病院内の保育所、言うなれば院内保育所で働く保育士に限定した賃金は把握していないんです。
看護職員を始めとする医療従事者の離職防止や再就職を促進するために、子育てをしながら働けるようにする取組として、院内保育所の設置は非常に重要だということは私も認識をしております。
地域医療介護総合確保基金によりその支援をしてきておりますが、補助の基準額については、都道府県が地域の実情に応じて設定することが可能となっております。
今後、当該基準額の最新の状況について把握するとともに、引き続き、都道府県を通じて院内保育所に対する支援を実施してまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 把握は、私もホームページで調べましたから、すぐできると思うんですよね。ほとんど十年前の水準から変わっていないわけですよ。
引き続きするんじゃなくて、これは実態に合わせて、保育士の賃金が上がって、院内保育所の保育士も確保できる水準に引き上げることも検討していくと、引き上げますと今日言わなくてもいいですよ、ちゃんと人材が確保できるように検討していくと、そこまで述べていただけますか。
○武見国務大臣 実際に、実態をちゃんと把握しようということは、きちんと私からも指示を出しております。その結果として、もし極めて低い実態が確認されたというようなことになれば、それを是正するための対応策は当然、その結果として検討していくことになるだろうと思います。
○宮本(徹)委員 前向きな答弁になったと思いますので、よろしくお願いをいたします。
二つ目の問題です。最低賃金についてお伺いをしたいと思います。
最低賃金法では、最低賃金は、労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払い能力を考慮して定められなければならない、こうされているわけですね。
この間、厚労省は、労働者の生計費については、最低賃金審議会で資料として使われているのが、各都道府県人事委員会が作成した標準生計費と説明しております。
そこで、資料を是非御覧いただきたいと思うんですけれども、二ページ以下、各都道府県の県庁所在地を基本としているんですけれども、都道府県の人事委員会のホームページに出ている標準生計費なんですね。
これは皆さん、見たら驚きますよ。皆さんも地元の都道府県と自分の周りのところがどうなっているかというのを御覧いただいたらと思うんですけれども、例えば四人世帯、二ページが四人世帯ですけれども、一番低い愛媛は十三万八千八百十円。四人世帯で十三万八千八百十円で標準で暮らしているんですね、愛媛の人は。隣の高知は二十一万三千円で、随分な差があるわけですね。一番、四人世帯で高いのは石川で、二十七万八千七十円になっているんですね。何で石川が愛媛の二倍、もっと言えば、愛媛は石川の半分しかないのか。あるいは、都市部との比較でいくと、例えば愛知は十九万八千八百円、隣の三重は二十七万七百三十円と、三重の方が一・四倍近くあるわけですよね。これは二〇二三年四月の標準生計費です。
次に、その前の年と、その前の前の年も載せておりますけれども、年ごとの変動もすごいんですね。大阪は、二〇二三年が二十四万七百九十円ですけれども、その前の年は十八万千五百二十円で、一年で六万円も変わるんですよ、この標準生計費というのは。あるいは、この二年間で物価は上がっていますけれども、二年前よりも下がっているというところも結構あるわけですね。
さらに、資料、次のページ、五ページ目は、単身世帯の標準生計費ですね。基本は四人世帯で見ているそうですけれども、単身世帯の方もすごいんですよね。愛媛は単身世帯の標準生計費は七万七千六十円。どうやって暮らすのかなと思います。愛知も十万八千八十円。三重なんかは十七万円ということであるわけですけれども。
これはちょっと、今日は愛媛の政務官がいらっしゃいますので、いつも私は余り政務官を指名することはないんですけれども、特別に今日は感想を述べていただこうと思って塩崎さんに指名させていただきましたので、よろしくお願いいたします。
○塩崎大臣政務官 お答えいたします。
委員からお示ししていただいたこの資料ですけれども、標準生計費、このとおりだとすると、愛媛県というのは全国で一番生活コストが安いということで、これは、うれしいやらショックやら、ちょっと複雑な気持ちでございますが。
確かに、最低賃金については、やはり経済の実態に即した形で定められるということが大事だろうというふうに理解をしております。そういった意味で、最低賃金を定める上では、こちらの標準生計費だけでなくて、消費者物価指数や生活保護基準に関する資料、こういったものを踏まえてこれまでも定めてきているというふうに考えておりますので、そうした形で、今後も実態に即した議論をしていただくことが大事だというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 実態に即した議論をしなきゃいけないということになると思うんですよね。実態にとてもじゃないけれども即していないというのが、政務官の思いなんだろうというふうに思います。
大臣、最低賃金法では労働者の生計費を考慮して決めなければならないと言っているのに、生計費と名前のつく資料というのはこれだけなんですよね。確かに、今政務官がおっしゃったように、生活保護基準、これも参考にしているという話ですけれども、生活保護基準は、御存じのとおり五年に一回ですよ。しかも、それ自体、決め方はいろいろな議論もあるわけですけれども、五年に一回ですよ。毎年毎年の最低賃金改定とは少し違うわけですよね。こっちの標準生計費なるものは毎年毎年出ているんですけれども、毎年毎年、とてもじゃないけれどもこんな数字は参考にならないじゃないかと、地方の最賃審議会でもこれは何だという声が上がるようなものが資料として使われているんですね。
これはちょっと、是正して、ちゃんとまともな生計費をつかむ統計を作る必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 まず、こうした最低賃金の審議などに関してはどのような調査を資料として用いているかというのは、公労使の三者構成の最低賃金審議会自身で御議論し、決定していただいているところなんですよ。それぞれお地元の公労使の中でどういう資料を使うかを議論してこういう格好になっているわけですね。
その労働者の生計費の考慮ということになっては、人事委員会が作成した、これは先ほども政務官から話をしましたけれども、標準生計費だけではなくて、消費者物価指数であるとか生活保護基準に関する資料などを含めて御議論いただいているところでありますから、労働者の生活実態を踏まえた審議が私はなされているんだろうというふうに思います。
こうした最低賃金の決定に当たっては、こうした資料等を踏まえ、生計費を含む三要素、これはすなわち、賃金とそれから企業の支払い能力ですよね、これをやはりちゃんと考慮に入れながら、こうした最低賃金審議会においてしっかりと議論をしていただきたい、こう思っております。
○宮本(徹)委員 ですから、今、委員の皆さんからも見直した方がいいという声が出るように、これはさすがに、各都道府県で決めているとおっしゃいますけれども、厚労省自身のホームページでも、四十七都道府県の標準生計費をまとめて審議会のところにも出しているんですよね。(発言する者あり)いや、三重県が高い、十七万円というのは、私はそれぐらいが適当な額だと思いますよ。三重県が高いというんじゃなくて、三重県は割と実態を反映しているんじゃないかと思いますけれども、労働者の生計費ということを考えたときに。
ですけれども、これは本当に、極めてサンプル数が少ないものを使ってやっているから、年ごとにばらばらになるし、地域ごとにもいろいろなことが起きるという事態になっているんですね。これはちゃんとした指標を作るべきではないかと。
だって、これが使えないということになったら、生活保護基準でやるんですかという話になるんですよ。労働者の生計費なんですから、生活保護基準とはまた違うんですよね、概念が。労働者の生計費と生活保護基準はまた違うわけですから。生活保護基準は、健康で文化的な最低限度の生活の権利です。最低賃金は、低廉な労働者の生活の安定のための基準として定めていくわけですから、生活の安定のために決めていくわけですからね、本来ならば、当然、憲法二十五条の生活保護の基準よりも高い水準になるのが当たり前のことだと思うんですね。
ちょっと、大臣、おかしいと思うでしょう、この標準生計費の数字は。
○武見国務大臣 担当の方から詳細の説明はしてもらおうと思いますけれども、物事の決め方というのは今までの経緯を非常にやはり重視しなきゃなりません。したがって、各都道府県の中で政労使がきちんと議論をして、どのような資料を使うかどうかも含めて合意の上でこうした最低賃金に関わる議論を進めるという仕組み、これをどう変えるかというような御議論になると、それは決して簡単なことではございません。改めて、基本的な今までの議論の仕方というものを踏まえた上で、さらに、どういうふうな適正な議論の仕方があるのかということを、これは相当丁寧に議論をしなければいけない重要課題だと思います。
○宮本(徹)委員 丁寧に議論しなければいけない重要な課題と。本当に重要なんですよ、最低賃金というのは、一番賃金が低い方々の生活を守る上での非常に大事な指標になりますので。
今年の非正規春闘というのがあったんですね、非正規春闘の取組の結果を見たら、半分近くの事業所では賃上げがなかったというんですよね。最低賃金が上がった、十月には賃金が上がるんだけれども、それ以外は、春は上がらなかったと。もっと最低賃金を上げないといけないということも表していると思うんです。
最後、資料だけ紹介しておきたいと思いますけれども……
○新谷委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。
○宮本(徹)委員 時間が来ますので。
資料六ページのところに、これは、静岡県立大学の中沢准教授の下で労働組合の皆さんが行っている最低生計費の調査であります。二〇一六年は千五百円弱のところが多かったわけです。千五百円前後ですね。それが千七百円前後になってきているんですね、時給でいえば。これが実態だと思うんですよ。
ですから、先ほどの標準生計費、各都道府県の人事委員会からいえば、三重あたりが恐らく今の実態なんじゃないか、愛媛はその半分になっているんじゃないかと思われますので、しっかりこれは、最低賃金を引き上げていくというのは政権の方針だとも思いますので、それに使える、実態を反映した資料を、統計を作っていただきたい、そのことを申し上げまして、質問を終わります。
○新谷委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 最後十分、よろしくお願いいたします。
今日は、敷地内薬局について取り上げさせていただきたいと思います。
これが認められるようになったのは規制改革が端緒でありますが、予算委員会の分科会で敷地内薬局について取り上げた際、河野大臣からは、車椅子の患者さんのためにフェンスを取り払っただけであり、それが、現在指摘されているKKR札幌医療センターとかああいうところで起こった入札妨害等の敷地内薬局の問題になったというのは、若干、風が吹けば何とかがもうかるという類いの話に近いと大臣は言っておりました。そのような御認識でしょうか、土田政務官。
○土田大臣政務官 御質問ありがとうございます。
今委員の方から御指摘いただきました敷地内薬局に関する二〇一五年の規制改革についてでございますけれども、これは、病院と薬局の間に公道等、物理的な分離を必要とするいわゆるフェンス規制というものが高齢者等の不便を強いているという行政相談から起きたお話でございます。
ある意味、患者本位の医薬分業というのをしっかり推進する観点から講じたものでございますので、我々規制改革を担当する省庁として、しっかりと、担当官庁と一緒に患者本位の医薬分業を進めていきたいというふうに思っております。
○緒方委員 変な答弁だなと思いましたが。
ちょっと、具体例について申し上げさせていただきたいと思います。
これは、みなし公務員だからKKRの札幌医療センターは刑事事件になったわけですよね。ということで、私、国立病院機構とかJCHOとかはどうなんだというふうに聞いたら、そちらには敷地内薬局はないということでありました。
国立大学法人はどうだろうということで調べてみたところ、ある旧帝国大学病院の敷地内薬局の応募要領を見てみたら、立体駐車場及び大学使用スペースについて、本学と協議の上、事業者の負担により必要な建物整備を行う、ただし、維持管理、運営は本学が行う。つまり、造れということですよ。実際に私、見に行きました。立体駐車場を造っていました。
さらに、ここはすごいなと思ったのが、上記のほかに、施設、アメニティー機能の提案をすることができるとだけ書いてあるんですね。これだけが書いてあるんです。かつ、提案内容は本事業の目的にふさわしいものとすることと。何をやっていいか分からないですよね、これは。これだと、大学の病院事務局とかなり密接に事前協議をしないと、入札そのものが成立しない可能性が高いんですね。この応募要領を虚心坦懐に読むと、まさにこういうところに入札妨害とか賄賂罪とか、そういうことにつながりかねない萌芽があるというふうに私には見えました。
薬剤師であります本田政務官に答弁を求めたいと思います。
○本田大臣政務官 緒方委員にお答えいたします。
まず、今おっしゃったいわゆる同一敷地内薬局についてでございますけれども、土田政務官の答弁と繰り返しになりますけれども、平成二十七年六月の規制改革実施計画を踏まえ、平成二十八年三月に見直しが行われました。御指摘のような契約については、関係法令や学内の規定等に照らし、大学が自主的に判断しているものと承知をしております。
そのような中で、文部科学省として、いわゆる同一敷地内薬局に関する個々の公募要領や契約等の適否についてはコメントする立場にないことは御理解をいただきたいと思います。
他方、一般論として、現に存在するいわゆる同一敷地内薬局において、健康保険事業の健全な運営を確保する観点から疑義があるのではないかという意見があることも聞いております。
いずれにしても、医薬分業とは、医師が患者に処方箋を交付し、薬剤師がその処方箋に基づき、調剤、服薬指導、疑義照会、患者フォローを行い、それぞれの専門性を発揮し、医療の質の向上を図ることであると認識をしております。
○緒方委員 私の質問に余り答えていなくて。
すごいんですよ。アメニティー機能を提案することができると。それは、提案に係る整備費用は事業者負担であって、そして提案内容はこの事業の目的にふさわしいものとすることと。本当に、謎かけのようなことをやらせているわけですよね。
これだと絶対に、応募しようとする人は、大学の事務長さんなりなんなりに、何が欲しいんですか、何をあなたは求めていますかということを聞いて、何か例えば贈物をして聞き出すとか、そういうことのインセンティブを与えていると思うんですよね。それが問題だと思いませんかというふうに聞いております、政務官。
○本田大臣政務官 院外処方箋に基づく薬剤の交付というのは、処方箋に基づく薬剤交付が分業の趣旨を損なうものであってはならないと考えております。
○緒方委員 問題があると思いませんかということを聞いているんです。もう一回。
○本田大臣政務官 文部科学省として、個々の指摘のような契約について述べる立場にないことは御理解をいただきたいと思います。
○緒方委員 国立大学法人を所管しておられるのが文部科学省なので、私、元々厚生労働省に聞こうと思ったら、これは大学法人なので文部科学省ですと言われたから呼んでいるんです。だから聞いているんです。
問題があると思いませんかということをもう一回、確認的に聞いているだけなんです、政務官。
○本田大臣政務官 繰り返しになりますけれども、関係法令や学内の規定等に照らし、大学が自主的に判断しているものでありますので、そのことについて文科省としてコメントする立場にはないということで御理解をいただきたいと思います。
○緒方委員 それでは、質問を移したいと思います。
KKR札幌医療センターの事案を踏まえた当該薬局の報告書を読んでみました。必ずしも営業の手法全てが悪いとまでは言っていないです。それはそうですよね。だって、みなし公務員でなければそもそも入札妨害ということが生じ得ないわけなので、そもそも営業手法が悪いというふうには全てみなすことができないというのはそれはそのとおりなんですけれども、ただ、この件のみならず、ほかの地域でも結構、敷地内薬局に関する問題があちこちで増えているわけですよね。
今年度の診療報酬の見直しのみならず、敷地内薬局の在り方そのものを私は再度検証すべきだと思うんですよ。これは大臣の答弁を求めたいと思います、武見大臣。
○武見国務大臣 医療保険制度においては、保険薬局とそれから保険医療機関の経営上の独立性の確保が求められております。したがって、その独立性の確保というのが、どこまでの独立性の確保を求めているのかということがやはりどこかで明確にされる必要性が出てくるだろうと思います。
それから、その観点から、令和六年度診療報酬改定において、敷地内薬局を保険薬局として指定又は更新する際に、医療機関と薬局との間での誘致条件、契約内容等の関係性等について確認するよう手続を規定いたしました。
したがって、この規定に基づいて、その独立性に関してどこまで想定されることがきちんと担保されているかどうか、そういうことを確認することによってこの案件についての評価ができる、こういうことになる、お話を伺っていてそう感じたところであります。
○緒方委員 今の医薬分業の仕組みの中で、よく厚生労働省が言うのは、立地に依拠しないということをよく言われるんですよね。何回聞いても、立地に依拠しないと言うんですけれども、むちゃくちゃ立地に依拠しているんですよ。今、独立性を確認しなきゃいけないということですが、それはまさに、立地に依拠しないという前提がちょっと崩れているというふうに大臣として認識をしているということではないかと思いますが、大臣、見解を求めたいと思います。
○武見国務大臣 敷地内に薬局を入れるという規制緩和が行われました。しかし、たとえそれが敷地内にあえて置かれるようになったとしても、経営上の独立性であるとか、それから医薬分業に関わる基本的な機能というものはきちんと確保されていなければいけないわけでありまして、そこを今回の診療報酬改定なども含めてきちんと確認しよう、こういうことになったわけであります。
○緒方委員 最後に、もう一度、土田政務官にお伺いしたいと思います。
いろいろ私、問題を指摘しました。今起きている様々な問題というのは本当に規制改革と何の関係もない、単にフェンスを取り払っただけだ、あとは、厚生労働省が医薬分業の中で仕組みを組んで、仕組みの組み方が悪かったのでこんな出来事が起きているんだというのが河野大臣の答弁でありましたが、こういうことを聞いて、本当に、今起きている出来事が規制改革と何の関係もないというふうに言えると思いますか、政務官。
○新谷委員長 土田内閣府大臣政務官、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。
○土田大臣政務官 はい。
ありがとうございます。
委員おっしゃっていただいたとおりでございますけれども、医薬分業の重要性と、また患者視点から見た医薬分業制のメリットというのは、双方しっかりと勘案しないといけないというふうに思っております。
今公判係属中のものもありますため、断定はできないんですけれども、敷地内薬局が立地条件ゆえに収益性が高いことを背景に例えば入札妨害事件が起こったとすれば、大変遺憾であるというふうにも思っております。
まずは、厚生労働省が関係省庁と連携をして、公的機関における入札が適切に行われることを確保するために取組を行い、その効果をしっかりと検証していくものだと考えております。
○緒方委員 終わります。
――――◇―――――
○新谷委員長 この際、橋本岳君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、日本共産党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の七派共同提案による介護・障害福祉分野の人材の確保及び定着を促進するとともにサービス提供体制を整備するための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。橋本岳君。
○橋本委員 私は、提出者を代表して、本動議について御説明申し上げます。
案文を朗読して説明に代えさせていただきます。
介護・障害福祉分野の人材の確保及び定着を促進するとともにサービス提供体制を整備するための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する件(案)
政府は、高齢者等並びに障害者及び障害児が安心して暮らすことができる社会を実現するためにこれらの者に対する介護又は障害福祉に関するサービスに従事する者(以下「介護・障害福祉従事者」という。)が重要な職責を担っていること、介護・障害福祉従事者の給与水準が他産業の給与水準と比較して低い状況にあること、我が国における賃金や物価が上昇傾向にあること等に鑑み、これらのサービスを担う優れた人材の確保及び定着をより一層促すとともにサービス提供体制を整備するため、令和六年度に行われた介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の改定の影響について、訪問介護を始めとする介護事業者等の意見も聴きながら速やかにかつ十分に検証を行い、介護・障害福祉従事者の賃金を始めとする処遇の改善に資するための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるべきである。
右決議する。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○新谷委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○新谷委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。
この際、武見厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。武見厚生労働大臣。
○武見国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいります。
○新谷委員長 なお、本決議の議長に対する報告及び関係方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時二十一分散会