衆議院

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第2号 令和6年12月18日(水曜日)

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令和六年十二月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 藤丸  敏君

   理事 上野賢一郎君 理事 古賀  篤君

   理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君

   理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君

   理事 梅村  聡君 理事 浅野  哲君

      安藤たかお君    草間  剛君

      後藤 茂之君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    島田 智明君

      田村 憲久君    根本  拓君

      根本 幸典君    長谷川淳二君

      平口  洋君    深澤 陽一君

      福田かおる君    森下 千里君

      吉田 真次君    池田 真紀君

      大塚小百合君    大西 健介君

      酒井なつみ君    宗野  創君

      堤 かなめ君    中島 克仁君

      長妻  昭君    長谷川嘉一君

      宮川  伸君    山井 和則君

      柚木 道義君    阿部 圭史君

      池下  卓君    猪口 幸子君

      福田  徹君    森ようすけ君

      沼崎 満子君    浜地 雅一君

      八幡  愛君    田村 貴昭君

    …………………………………

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   厚生労働副大臣      仁木 博文君

   厚生労働副大臣      鰐淵 洋子君

   内閣府大臣政務官     西野 太亮君

   内閣府大臣政務官     今井絵理子君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   厚生労働大臣政務官    安藤たかお君

   厚生労働大臣政務官    吉田 真次君

   国立国会図書館調査及び立法考査局農林環境調査室専門調査員         小澤  隆君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  神谷  隆君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 河合 宏一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 貫名 功二君

   政府参考人

   (内閣府健康・医療戦略推進事務局次長)      仙波 秀志君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          源河真規子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       森  孝之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            内山 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 藤川 眞行君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       巽  慎一君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  森光 敬子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局長)         大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長)   鷲見  学君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       井内  努君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    野村 知司君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  黒田 秀郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           堀井奈津子君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       廣瀬 律子君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十八日

 辞任         補欠選任

  長谷川淳二君     島田 智明君

同日

 辞任         補欠選任

  島田 智明君     長谷川淳二君

    ―――――――――――――

十二月十三日

 現行の健康保険証を残すことに関する請願(青山大人君紹介)(第三一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三二号)

 同(今井雅人君紹介)(第三三号)

 同(枝野幸男君紹介)(第三四号)

 同(亀井亜紀子君紹介)(第三五号)

 同(神津たけし君紹介)(第三六号)

 同(小山展弘君紹介)(第三七号)

 同(志位和夫君紹介)(第三八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三九号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第四〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四一号)

 同(田村智子君紹介)(第四二号)

 同(福島伸享君紹介)(第四三号)

 同(藤原規眞君紹介)(第四四号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第四五号)

 同(牧義夫君紹介)(第四六号)

 同(松田功君紹介)(第四七号)

 同(本村伸子君紹介)(第四八号)

 健康保険証廃止の中止を求め、マイナンバーカード取得の強制に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四九号)

 同(志位和夫君紹介)(第五〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五一号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第五二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第五三号)

 同(田村智子君紹介)(第五四号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第五五号)

 同(本村伸子君紹介)(第五六号)

 社会保障制度改革に関する請願(神津たけし君紹介)(第六三号)

 介護保険制度の抜本改善、介護従事者の処遇改善を求めることに関する請願(新垣邦男君紹介)(第一〇〇号)

 従来の健康保険証を残すことに関する請願(市來伴子君紹介)(第一〇七号)

 同(大島敦君紹介)(第一〇八号)

 同(亀井亜紀子君紹介)(第一〇九号)

 同(田中健君紹介)(第一一〇号)

 同(中谷一馬君紹介)(第一一一号)

 保険でよりよい歯科医療を求めることに関する請願(高橋永君紹介)(第一一二号)

同月十六日

 従来の健康保険証を残すことに関する請願(安藤じゅん子君紹介)(第一二七号)

 同(亀井亜紀子君紹介)(第一二八号)

 同(鈴木岳幸君紹介)(第一二九号)

 同(高橋永君紹介)(第一三〇号)

 同(西川厚志君紹介)(第一三一号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一三二号)

 同(河村たかし君紹介)(第一六七号)

 同(源馬謙太郎君紹介)(第一六八号)

 同(丹野みどり君紹介)(第一六九号)

 同(宮川伸君紹介)(第一七〇号)

 同(小熊慎司君紹介)(第一八二号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一八三号)

 同(藤岡たかお君紹介)(第一八四号)

 同(森田俊和君紹介)(第一八五号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第二〇九号)

 同(坂本祐之輔君紹介)(第二一〇号)

 同(杉村慎治君紹介)(第二一一号)

 同(武正公一君紹介)(第二一二号)

 同(三角創太君紹介)(第二一三号)

 同(緑川貴士君紹介)(第二一四号)

 同(志位和夫君紹介)(第二五一号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第二五二号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第二五三号)

 同(森山浩行君紹介)(第二五四号)

 同(池田真紀君紹介)(第二九二号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第二九三号)

 同(おおたけりえ君紹介)(第二九四号)

 同(大西健介君紹介)(第二九五号)

 同(落合貴之君紹介)(第二九六号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第二九七号)

 同(川内博史君紹介)(第二九八号)

 同(櫛渕万里君紹介)(第二九九号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第三〇〇号)

 同(小山千帆君紹介)(第三〇一号)

 同(佐々木ナオミ君紹介)(第三〇二号)

 同(下条みつ君紹介)(第三〇三号)

 同(下野幸助君紹介)(第三〇四号)

 同(竹内千春君紹介)(第三〇五号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第三〇六号)

 同(田村智子君紹介)(第三〇七号)

 同(丹野みどり君紹介)(第三〇八号)

 同(手塚仁雄君紹介)(第三〇九号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第三一〇号)

 同(古川元久君紹介)(第三一一号)

 同(松木けんこう君紹介)(第三一二号)

 同(眞野哲君紹介)(第三一三号)

 同(本村伸子君紹介)(第三一四号)

 同(柳沢剛君紹介)(第三一五号)

 同(八幡愛君紹介)(第三一六号)

 同(山崎誠君紹介)(第三一七号)

 同(柚木道義君紹介)(第三一八号)

 同(吉川元君紹介)(第三一九号)

 同(吉田はるみ君紹介)(第三二〇号)

 同(笠浩史君紹介)(第三二一号)

 従来の健康保険証を残すことを求め、マイナンバーカード取得の強制に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六一号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第一六二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一六三号)

 同(田村智子君紹介)(第一六四号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第一六五号)

 同(本村伸子君紹介)(第一六六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二五五号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第二五六号)

 介護保険制度の抜本改善、介護従事者の処遇改善を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇八号)

 同(志位和夫君紹介)(第二五〇号)

 同(田村智子君紹介)(第二九一号)

 安全・安心の医療・介護・福祉を実現し、国民の命と健康を守ることに関する請願(本村伸子君紹介)(第二八八号)

 命を守り社会を支える福祉職員を増やし、賃金を引き上げることに関する請願(本村伸子君紹介)(第二八九号)

 子供たちの健やかな育ちを支える支援策の拡充を求めることに関する請願(青柳陽一郎君紹介)(第二九〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

藤丸委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官神谷隆君、内閣府大臣官房審議官河合宏一君、大臣官房審議官貫名功二君、健康・医療戦略推進事務局次長仙波秀志君、こども家庭庁長官官房審議官源河真規子君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官森孝之君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官佐々木昌弘君、大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官藤川眞行君、大臣官房年金管理審議官巽慎一君、医政局長森光敬子君、健康・生活衛生局長大坪寛子君、健康・生活衛生局感染症対策部長鷲見学君、労働基準局長岸本武史君、労働基準局安全衛生部長井内努君、職業安定局長山田雅彦君、社会・援護局長日原知己君、社会・援護局障害保健福祉部長野村知司君、老健局長黒田秀郎君、保険局長鹿沼均君、年金局長間隆一郎君、人材開発統括官堀井奈津子君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官廣瀬律子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤丸委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。古賀篤君。

古賀委員 おはようございます。自由民主党の古賀篤でございます。

 久しぶりに質疑に立たせていただいております。ありがとうございます。

 昨年の秋にこの厚生労働委員会理事を選任いただいたわけですが、ちょうど昨年の今頃でしたが、急遽、内閣府副大臣を拝命することになり委員会を離れまして、御迷惑をおかけしました。再びこの委員会で理事を選任いただきました。しっかり取り組んでいきたいと思います。藤丸委員長を始め委員の皆様方、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速質疑に入らせていただきます。

 まず、能登半島地震の教訓を踏まえました保健、医療、福祉の体制や支援の強化について伺いたいと思います。

 冒頭、改めまして、能登半島地震、その後の九月の奥能登豪雨でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げたいと存じます。

 私は、先ほど申し上げたように、内閣府の防災担当の副大臣として、能登半島地震、政府の現地対策本部長として、元旦より約三週間、その後も五月末まで現地に入り、対応に当たってまいりました。大雨の被害も発生し、復旧復興の道のりはまだまだこれからでございますが、党としても、引き続き私自身も支援させていただきたいと考えているところであります。

 一方で、今回の震災対応をしっかりと検証いたしまして、次なる震災、災害大国と呼ばれるこの日本においてその教訓を生かしていくこと、これは大変大事なことだというふうに考えております。

 現に、政府におきましては、六月に、現地に入った、あるいは、こちら、東京を始め、関係職員から聞き取りを行い、検証チームとしての報告書を取りまとめ、また、その後に、これも政府内で、有識者の方にも加わっていただいてのワーキンググループを立ち上げ、そして、先月十一日に報告書が取りまとめられているところであります。

 今日お配りしております三枚の資料は、その検証チームであったり、あるいはワーキンググループの議論において使用された資料でございます。現地でどういった体制で対応に当たってきたか、こういったもののイメージを持っていただくために用意をさせていただきました。

 少し解説をさせていただきたいと思います。

 一ページ目でございますが、元旦から石川県庁において政府の現地本部を立ち上げたわけでございます。大きくは、インフラ、物資、生活等支援、そしてなりわい再建という四つのチーム編成をし、縦割りを排除して、政府として一体的に対応に当たってまいりました。

 当然、被災地である六市町にも、この石川県庁に設けた対策本部から、時には現地に足を運び、また、現地にも国からの職員を派遣をして対応に当たってまいりました。資料にありますように、ピーク時には石川県庁に約三百名、六市町にも五百名職員が派遣され、対応に当たってきたところでございます。

 二ページ目を御覧いただきたいのですが、そうした政府の現地対策本部というのは、少し具体になりますけれども、県庁の会議室をお借りしまして本部をつくったということであります。今一ページ目で申し上げた対策本部というのは、二ページ目の資料、右上に六階と書かれているこの部分、組織図に当たります。そして、階が違いますが、四階には石川県でも対策本部が設けられ、馳石川県知事を本部長として対応に当たってきた。政府と現地、石川県との調整も日々行ってきたということであります。

 その石川県の対策本部の中に保健医療福祉調整本部、オレンジ色でマーカーされていますが、ここに別途、まさに厚生労働行政に当たる保健医療福祉調整本部というのがつくられまして、こういった組織編成で対応に当たってきた。

 さらには、もう少し下になりますけれども、ブルーで色づけられた部分です。DMATを始め、日本赤十字社、DPAT、JMATを始め、大変英語の略称が多くて専門的なんですけれども、こうした各専門家がチーム編成をされ、そして全国各地から石川県に入っていただき、そして被災地に足を運び、対応いただいたという状況でございました。

 大変一月の寒い時期、そして五割前後の高齢化率の高い地域で、さらには半島という中で、非常にアクセスが困難だったという中でありましたけれども、こうした専門家の方々が全国各地から駆けつけていただきまして、そして、これまでにないほど多くの人数で、そして長時間、長期間、事に当たってきた、活動に当たってきたというのも今回の対応だったというふうに思います。

 そうした中で、今申し上げました専門チームの方々、また厚生労働省の職員の方、また時には当時の武見厚労大臣にもいろいろな御相談をさせていただきながら対応いたしましたけれども、皆様方、本当に全力で活動いただいたことに感謝と敬意を表させていただきたいと思っております。

 三ページ目を御覧いただければと思いますが、今申し上げましたチームというのは、例えば避難所、あるいは避難所でなくても被災地で、医療、生活、衛生管理、健康、福祉的支援という事柄に関して、分野に関して、それぞれのチームが当たっていただいたわけでございますが、振り返りますと、いろいろな課題もあったということだと思っております。

 具体的には、各チームそれぞれが石川県に来られる、あるいは現地に行かれるときの足であったり、あるいは、情報を取る、また計画を立てる、こうしたことも、縦割りにならないように、県で、あるいは現地の保健所等に設けられた本部で調整がされてきたわけですが、より情報を、しっかり同じ情報を持って、あるいは得た情報をまたお互い共有し合う、こういうことをやっていくということで更に活動の質そして量も上がっていくのではないかと思うところでありますし、被災者の方が病気を抱えたり、けがをされたり、あるいは避難所におられる中で体調を崩されたり、こういうこともあったわけですので、それぞれのチームがよりワンチームとなって事に当たるということも大事な要素ではないかなと思っております。

 そのほかにも、例えば、先ほど一ページ目にありました物資、これは当初、プッシュ型で送ったわけですけれども、現地の医療機関であったり、あるいは福祉施設、こういうところに対しての物資は厚生労働省を中心に行ったわけでありますけれども、やはりこの物資という観点から、より連携を図って迅速にやっていくということも大事じゃないか。さらには、よりタイムラインを明確にしてフェーズごとの対応をよりはっきりさせる、さらには、今回、福祉の観点ということも大事だったというふうに振り返るわけでありますが、こうしたもろもろのことを踏まえて、これから改善し、より災害対応力を上げていく必要があると感じております。

 今後、石破政権において防災庁の検討が行われるということで、防災立国推進閣僚会議も近々開催されるというふうに聞いております。

 そこで、福岡大臣にお伺いしますが、所信、御挨拶にもありました、災害への対応ということで、保健、医療、福祉の体制や支援の強化ということを触れられましたが、どのようなお考えで、防災庁を始め、こうした災害対応力の強化にこれから厚労省として関わっていくのか、また、防災庁をつくる中で厚生労働省の役割をどうお考えになるか、この点についてお聞かせいただければと思います。

福岡国務大臣 まず、元旦の能登の大地震、その後の豪雨災害等を含めまして、お亡くなりになられた方に心からお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げます。

 そして、委員におかれては、御紹介がありましたように、政府の現地対策本部長として本当に全力でその対応に当たっていただきましたこと、心から敬意を表させていただきたいと思いますし、また、そのとき感じられたいろいろな問題意識を基に、今日は様々な御提言をいただいたものだというふうに承知しています。しっかりと受け止めさせていただきたいと思います。

 その上で、御指摘のとおり、政府に防災庁が仮に設置された場合においても、厚生労働省は保健、医療、福祉に関する災害対応の中心を担うということは変わりがないというふうに考えておりまして、今般の能登半島地震での教訓を踏まえまして、同分野における防災、減災の強化に取り組んでまいりたいと考えております。

 具体的には、先ほど保健、医療、福祉の各チームの連携に課題が生じていたというようなお話がございました。そういったことを踏まえまして、各チーム間の協働、連携強化を図るための研修であったり、訓練の強化や連絡会議の開催、また各チームの法定計画における位置づけの明確化、また被災地の情報が迅速に関係者の方々の間で共有できるような各種情報システムの充実を図るなど、厚生労働省が中心となって、各チームが一体となって活動できるような取組を進めていくことが大切だというふうに考えております。

 そしてもう一点は、それぞれの、保健、医療、福祉の各チーム等の体制整備という観点からいいますと、被災地の保健医療福祉調整本部における各チームの効果的な参画がなされるように、平時から保健医療福祉活動チームの体制整備、人材育成に取り組んでいくとともに、仮に有事の際においては、現地対策本部における厚生労働省の現地本部の体制整備、そして政府の現地対策本部、本省との連絡体制の円滑化、こういったものも着実に実施していく必要があるというふうに考えております。

 これらにより、物資の供給を始め、必要な支援が関係府省と一体的になって行えるように取り組んでまいりたいと存じます。

古賀委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 それぞれのチーム、DMATを始め、いろいろなチームがございまして、その中には、やはり日頃の訓練をする、あるいは事務局を置く中でのお金がかかる部分もあったり、あるいは、モバイルファーマシーという車が出ましたけれども、こういう車の維持も、実際、その団体で抱えていらっしゃるというような声もありました。

 是非、しっかり活動をしていただくためにも、財源的なものも含めて厚生労働省でしっかり後押ししていただければありがたく思いますので、引き続きのお取組をよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、二点目の質問とさせていただきますが、ICT社会におけます雇用仲介事業への対応についてお伺いしたいと思います。

 人口が減る、高齢化が進むという我が国におきまして、各分野で人手不足ということが課題になっているわけであります。特に、厚生労働の中で、公定価格という、医療、介護、福祉、保育、こういうものが国によって水準が決められている。そこで、どう人材不足、人手不足に当たっていくのか、非常に大きな課題だと思いまして、私も党の中で、特に職業紹介事業者の手数料みたいな話が数年前から業界からもいろいろな声をいただいて取り組み、時には厚生労働省を始め政府の方にも、対話をさせていただきながら、提言をし、取り組んできたところでございます。

 具体的には、転職のお祝い金と呼ばれるものがありまして、こういうものはどうしてもいろいろな影響がある、マイナスの影響があるということで、提供の禁止を提言させていただいたり、医療、介護、保育、各分野の紹介事業者に対する集中的な指導監督を実施し、しっかりとした事業者の事業を行っていただく、一方で、丁寧にマッチングを行っている事業者に関しては認定をされる、認定する制度をつくって安心して利用いただく、こういうことも提言させていただきました。

 また、紹介後の定着率、紹介してもすぐまた離職されて次の職場に行かれる、こういう課題の指摘もあったものですから、きっちり事業者選びができるように、全ての紹介事業者を対象としまして情報開示を義務づける、こういったことを提言させていただき、政府としても取り組んでいただいた、受け止めていただいたところであります。

 現在、政府の審議会におきましては、従前よりもその議論の範囲を広げて、今申し上げましたような職業紹介事業に限らず、募集情報を提供する事業、こうしたものも含めて、人と仕事を結びつける雇用仲介業という業全体に目配りをして、ルールの整備に政府として取り組んでいただいていると認識をしております。

 今申し上げました募集情報等提供事業というのは、従来、私も学生時代によく雑誌を買ってアルバイトを探していたわけですけれども、こういう求人の情報誌から、今は、ICTが発達した結果、こういう事業もネット上で行われているという新たな業態がございます。

 個々の求職者に対して希望される条件にかなった求人を提示するという機能を備えるなど、非常に人と仕事を結びつける機能を強めて、職業紹介事業とかなり近くなっているというふうに認識しております。よくテレビでも、こうした募集情報等提供事業のCMを見たり、非常に有名な芸能の方を使ってCMをされているということで、かなり浸透してきていると思います。

 こうした募集情報等提供事業に対して、厚生労働省としましてどういう対応をされているのか、特に、昨日、犯罪対策閣僚会議、闇バイトの関係で会議が開かれたと承知をしていますが、こうした中でもこういう事業者の方の関係があると思っておりますが、厚労省としての対応を安藤政務官にお伺いしたいと思います。

安藤大臣政務官 どうも、古賀先生、御質問ありがとうございました。古賀先生には紹介会社の議連等で大変お世話になりまして、医療や介護団体の人たちも非常に期待をしているという言葉をいただいております。

 まず、募集情報等の提供事業について、先ほどお話がありましたように、ICTの発展によって、従来はなかった様々なサービスが展開をされている中、求職者が安心して利用できる環境を整えるために、募集情報の的確表示の義務を設けるなど、これは令和四年に職業安定法を改正して対応したところでございます。

 また、先生御指摘のように、人手不足が進行して、同事業が労働市場に果たす役割が非常に大きくなっている中、事業の健全な運営を確保するため、来年四月から、早期離職やトラブルの原因となっている、これは大きな問題ですけれども、就職お祝い金を職業紹介事業と同様にこの事業においても原則禁止をするとともに、違約金など、想定していない請求を受けることがないように、規約内容を分かりやすく明示する義務を果たすことといたしました。

 また、先ほどお話がありましたけれども、大きな問題ですけれども、犯罪実行者を募集する闇バイト、この募集も重大な社会問題になってきております。

 厚生労働省では、募集情報等の提供事業を含む雇用仲介を行う事業者や団体に対して、求人掲載前に業務の内容等の確認を十分に行うことを求めてきました。また、昨日、お話があったように、犯罪対策閣僚会議において、SNS等での労働者の募集広告において、募集主の氏名それから住所、そして連絡先や業務の内容等の表示が求められることを厚生労働省において明確化するとともに、関係機関等の連携による削除の要請を実行して行うことを決定をいたしました。

 そのようなことで、しっかりとこの問題、行っていきたいと思いますので、どうかまた御指導賜りますよう、よろしくお願いします。

古賀委員 時間も少なくなってまいりましたので、簡潔に伺います。

 そろそろ来年度予算編成も大詰めとなっております。保険財政は大変大事だとは思いますが、一方で、厚労省が所管している医療あるいは薬の分野、それぞれの業者の方がおられて、そして業としてされているわけですので、きちんともうけを取っていただいて、健全に発展していただく必要があると思っております。

 所管している厚労省としても、そういった観点で取り組むべきではないかと考えておりますが、ちょっとお考えを伺いたいと思います。

鹿沼政府参考人 御質問ありがとうございます。非常に大切な御指摘だと思っております。

 現在、厚労省といたしましては、経営状況の把握といたしまして、まず、原則二年に一度実施いたします医療経済実態調査、これにおきまして診療報酬改定の基礎資料として医療機関等の損益の状況などを把握するとともに、これは令和五年八月から制度がスタートいたしましたが、全ての医療法人の経営状況を把握できる医療法人の経営情報のデータベース、こういったことも補完的に活用しながら実態の把握に努めているところでございます。また、医薬品製造販売業者及び医薬品卸売業者につきましては、毎年度、医薬品・医療機器産業実態調査で損益の状況などを把握しているところでございます。

 今後とも、こうした実態把握に努めまして、まずやはり現場が非常に大事だと思っておりますので、そういった現場の状況を十分把握しながら、それに沿って的確な対策を講じるよう努めてまいりたいと思っております。

古賀委員 引き続き、データや実態に基づいた政策をお願いしたいと思います。

 以上で終わらせていただきます。

藤丸委員長 次に、根本拓君。

根本(拓)委員 自由民主党の根本拓でございます。

 今回、このような質問の機会をいただき、ありがとうございます。本日は、医療現場をめぐる幾つかの問題についてお伺いいたします。

 まず、医師の偏在の問題について福岡大臣にお伺いいたします。

 私の地元の福島も人口減少地域を抱えていて、このような地域では医療体制の確保への不安の声が上がっております。これに対して、政府においては、先日、新たな地域医療構想等に関する検討会において医師偏在対策についての取りまとめ案の議論が行われ、この一つの柱は、重点医師偏在対策支援地域を設定し、優先的、重点的に対策を進めることにあると承知しております。

 これまで、医師偏在対策は様々なアプローチを組み合わせて実施されてきたところ、この一つが大学医学部における地域枠の設定であると理解しております。そこで、まず、この地域枠の設定がこれまでどのような効果を上げてきたのかということについてお伺いできますでしょうか。

 また、一方で、地域枠の医師が、その地域において医師が少ないエリアに必ずしも配置されているとは限らないという問題もあると理解しております。そこで、このような状況も踏まえ、医学部における地域枠と今回の重点医師偏在対策支援地域への重点的な対策がどう関係してくるのか、換言すれば、地域枠の医師が重点医師偏在対策地域に配置されるための対策も講じられることになるのか、この点についてもお伺いしたく思っております。よろしくお願いいたします。

福岡国務大臣 委員の御地元の福島県も、私も佐賀県という地方の出身でありますから、やはり地方においては、この医師偏在の問題、大変大きな課題だというふうに感じております。

 医師偏在対策につきましては、これまで、御指摘がありましたように、地域枠の設置など医師を養成する過程での取組、そして地域枠医師の配置調整、これは都道府県でやっていただいていますが、医師確保計画に基づく取組を進めてきたところでございます。その結果、医師少数県の若手の医師数が医師多数県と比べて増加するなど、一定の効果が見られているものというふうに認識をしています。

 こうした中、検討会の医師偏在対策に関するとりまとめにおきましては、人口減少より医療機関の減少スピードが速い地域を重点医師偏在対策支援区域に設定をいたしまして、優先的、重点的に対策を進めることが示されておりまして、御指摘のとおり、地域枠の医師にもこうした地域で御活躍いただくことが大変重要であるというふうに考えております。

 このため、地域枠の医師に医師不足地域等で御活躍いただくための環境整備に向けまして、経済的なインセンティブであったり、また、医師の派遣等に係る都道府県と大学病院等との連携パートナーシップ協定等を組み合わせた取組を、年末に策定いたします総合的な医師偏在対策パッケージ、この中で検討してまいりたいというふうに考えております。

根本(拓)委員 ありがとうございます。

 地域枠も更に効果的に活用していただきながら、医師偏在の是正に取り組んでいただけると大変ありがたく思っております。

 次に、医療現場の効率性向上に資するICT機器の開発、普及について吉田政務官にお伺いいたします。

 医療現場全体として、人手不足が御案内のとおり問題となっております。これに対しては様々な人手確保のための施策が今まで講じられてきておりますが、生産年齢人口の減少という構造的な問題に照らせば、人の確保には一定の限界もあるとも思われます。そうであるとすれば、医療従事者の負担軽減のためには、医療現場の効率性向上によっても対処をする必要があって、その重要な柱となるのはテクノロジーの活用であると考えられます。

 例えば、アプリや人工知能などの技術が組み込まれたプログラム医療機器と呼ばれる医療機器は、医師の診断などを補助する点において医師の働き方改革などに資する可能性があると考えられますが、一方で、こうした医療機器の開発や普及はまだ道半ばとも考えられます。

 さらに、厳密な意味での医療機器以外でも、例えば薬剤や検体を病院内で運搬、運んでくれるロボットが開発されていて、これも看護師や看護者の負担軽減につながると私の地元の看護師の方なんかからも伺っております。

 ただ、一方で、このようなICT機器も、必ずしも広く導入されているとは言えないという声も聞いております。開発や普及が進まない原因としては、メーカーがICT医療機器のメリットを開発過程で立証することが困難である場合が多かったり、医療現場の負担軽減につながるICT機器への投資の病院経営上のインパクトが十分に理解されていなかったりするということが指摘されております。

 そこで、政府として、医療関連ICT機器の更なる開発、普及に向けてどのような取組をどのように進めていくのか、具体的な方針をお伺いしたく思っております。

 そして、この取組に当たっては、患者さんへの良質な医療の提供という観点のみならず、医療現場の負担軽減、医療従事者の働き方改革という観点から、対象を医療機器に該当するICT機器に厳密に限定しないで、広く医療現場で用いられるICT機器を対象として開発や普及を支援するべきではないかと考えております。

 メーカーと医療機関の双方にこのようなICT機器の開発導入に必要な投資をいかに促して、どのように財政的、非財政的にサポートしていくのか、そういった点も含めて御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

吉田大臣政務官 今委員御指摘のとおり、医療分野でのICTの利活用、これは治療の質の向上のみならず、医療従事者の今ほどございました負担軽減、そして医療現場の効率性の向上のためにも重要であると考えているところであります。

 このため、医療現場の負担軽減をまず目指して、医療機器の開発支援に加えて、医療機器以外の、AIやICTを活用した機器の開発支援を行うとともに、医療従事者の労働時間の短縮等も含めた医療機器の有用性が実証できる拠点の整備、これを行うこととしております。

 また、医療現場でのICT機器の普及に関してでございますけれども、看護業務の効率化の取組を収集、周知する事業などを通じて導入が進められてきたところではありますが、このより一層の推進に向けて今般の令和六年度補正予算においても追加の対策を盛り込んだところであり、こうした取組を通じて、医療現場の負担軽減につながるICT機器の開発やそして普及、これを推進するとともに、その効果等についても検証して、周知をしてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

根本(拓)委員 ありがとうございます。

 ICT機器の導入を進めるということが医療機関にとってどういう経営上のインパクトがあるかというのを、具体的な、この機器を導入したらこれぐらい人件費が削れたとか、これぐらいコストがカットできた、そういう数値を、今も整理してくださっているんだと思うんですけれども、それをより具体化して、かつ、医療機関の経営者の方、理事長とか病院長とか、そういう方に対して広く周知していくことが重要なのではないかと政務官の御答弁を伺って思いました。

 続いて、医療DXを進めるためのシステム導入について吉田政務官にお伺いいたします。

 政府は、令和五年六月に取りまとめた医療DXの推進に関する工程表に基づいて、医療提供体制の改革を更に推し進めていくための基盤をつくるべく、医療DXを推進されております。

 一方で、足下の状況を見ると、その進捗はいま一歩と言わざるを得ないのではないかと思われまして、例えば、昨年一月からスタートした電子処方箋の医療機関への普及は、工程表において二〇二五年三月までの普及が目指されている一方で、現実の普及率は数%であります。また、医療機関の電子カルテの導入率も五〇%強と聞いております。

 政府は、今後、電子カルテ情報共有サービスの構築、稼働を目指していますが、医療機関からは、システム改修をばらばらと段階的に立て続けに行うのは負担が重いという声も地元で聞いておりまして、この懸念というのは、今後、標準型レセプトコンピューターの導入などを政府が進めようとする中で、更に顕在化するのではないかとも思われます。

 また、地域のクリニックの医師の高齢化が進んでおりまして、そういうお医者さんと話すと、やはりパソコンを打つのにそもそも慣れていない、高齢のお医者さんの方がそもそも電子的な処理に慣れていない、そういうITリテラシーの問題もあると理解しています。

 そこで、こうした医療DXを実現するためのシステムの導入の状況や課題について政府はどのように考え、また、今後、財政補助も含めて医療機関への支援をどのように考えているのか、お伺いしたく思っております。

 また、あわせて、効率的かつ迅速な医療サービスの提供のためにはどういう情報が共有されるかといったら、究極的には、レントゲン画像などの画像情報も含めて電子カルテ情報共有サービスのシステムの中で共有されるのが望ましい、なるべく多くの情報が医療機関の間で共有されるのが望ましいとも考えられます。

 そこで、この共有の対象情報の拡充というのは工程表でも触れられているところではありますが、電子カルテ情報共有サービスで共有の対象となる情報の範囲を、いわゆる三文書六情報からどのように拡充していくのかについても御見解をお伺いしたく思っております。よろしくお願いいたします。

吉田大臣政務官 今委員の御指摘のとおり、現場からは、電子処方箋やあるいは電子カルテ等のシステム改修がお話があったように五月雨的に発生することは、やはり医療機関にとって負担が大きいという意見をいただいているところであります。

 そのため、医療機関のシステム改修であったりあるいは診療報酬改定のタイミングでのシステムの改修を促すとともに、電子カルテを未導入の診療所に向けて開発を進めている標準型電子カルテに、電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービスと連携をする機能も併せて搭載をすることとしております。

 また、医療機関の支援、これにつきましては、令和五年二月から病院、診療所を対象に電子処方箋の導入費用の補助、そして令和六年三月末からは病院を対象に電子カルテの標準規格化の改修費用の補助、これを行うなど、電子カルテ情報の共有のために必要な支援策を行っているところであります。

 引き続きまして、医療機関の負担に十分配慮しながら、スピード感を持って電子処方箋や電子カルテの普及を進めていきたいというふうに思っております。

 そしてまた、御指摘のありました医療機関等での患者の医療情報、これの共有についてでありますけれども、災害時や緊急時、これにおいても、より安全な医療を提供できるようになるというふうに考えているところであります。これは電子カルテ情報共有サービスの大きなメリットではないかなというふうに思いますが、まずは、医療現場におけるニーズの高い三文書六情報の共有を進めてまいるところではありますけれども、順次、これは対象となる情報の範囲を拡大をしてまいります。具体的には、今後、透析の情報、蘇生処置に関する情報、歯科や看護の情報等の標準規格化を行う予定でございます。

 共有する情報の更なる拡充、これにつきましては、まずは医療現場におけるニーズと、それからシステム改修に伴う負担感、こうしたものにも配慮をしつつ、医療関係者の意見をよく聞きながら検討を進めてまいりたいと思っているところでございます。

 以上でございます。

根本(拓)委員 ありがとうございます。

 ITリテラシーの向上など難しい課題も非常にあるとは思うんですけれども、政務官御指摘のとおり、現場の現状を踏まえながら着実かつ効率的に進めていただければと思いますし、私も地元で普及に努めてまいりたいと思っております。

 また、共有されるデータの範囲の拡大については、おっしゃるとおり、災害、東北は東日本大震災を経験しましたし、地域は搬送に時間がかかって救命救急が大変というところもありますので、なるべく多くのデータ共有を進めるという政務官御指摘の大きな方向性の下で、技術的な課題なんかを克服していただくのがよろしいのではないかと考えました。

 最後に、医療データの二次利用とデータセキュリティーについて吉田政務官に、度々で恐縮ですが、お伺いいたします。

 昨今、医療分野で、データを活用して新しい製品だとかサービスを開発するということが普及しておりまして、欧米ではこれが特に進んでいると考えております。日本でも、世界で勝負できるイノベーションを起こしていくために、膨大な医療データを利活用することが求められていると理解しております。一方で、御案内のとおり、データを活用するには、個人情報の保護であるとか、データセキュリティー対策への不安にも対処する必要があると考えられます。

 そこで、政府として、医療データの二次利活用の推進とデータセキュリティーとをどのように両立させて進めようと考えておられるのかということについてお伺いできますでしょうか。

吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 医学、医療分野のイノベーションを進めていく、そして国民、患者にその成果を還元するためには、今委員からございましたように、医療等情報の二次利用、これを推進をしていく必要があると思っております。

 そのため、厚生労働省では、本人の権利利益を適切に保護しながら、医療、介護関係の公的データベースや電子カルテ情報について、研究利用でより有用性が高い仮名化情報の利用、提供を可能とすることなどについて、今、審議会等で検討しているところでございます。

 また、データ利用に当たっては、これも委員から御指摘をいただいたように、適切に個人情報の保護を図るとともに、必要な情報セキュリティー対策を講じる必要がございます。このため、仮名化情報を利用する場合、匿名化情報よりも厳格な措置を国及び利用者に義務づける、そしてまた、仮名化情報は、データ自体を共有しないクラウド環境での利用を基本として、国が利用状況を監視、監督をする、こうしたことを検討しているところであります。

 医療等情報の二次利用の意義や、個人情報保護や情報セキュリティー対策の内容、これにつきましては、国民や患者の皆様にしっかり周知をし、御理解を得ながら丁寧に進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

根本(拓)委員 ありがとうございます。

 データの二次利活用というのは、私としても積極的に推進すべきであると考えています。

 政務官がおっしゃるとおり、匿名化情報から仮名化情報にして、より有用なデータを活用するようにする、厳格なデータセキュリティーをする、そこにいろいろな事業者だとか研究者がアクセスするようにする、これによって、医療、新しいテクノロジーだとか製品の開発を進めていく、そういう方向性であるというように理解しました。

 御案内のとおり、医療データというのは、新しい製品、サービスの開発につながる分、それが国際競争力を左右することにもなる、産業競争力を左右する。一方で、これは国民の生命身体の安全にも関わるものでありますので、じゃ、そのデータに誰がアクセスできるのか、どういう事業者、どういう研究者にアクセスさせるのかということを検討するに当たっては、経済安全保障的な観点から、それが最終的に、リスクがあると思われる外国政府だとか外国事業者によって、日本の国益に反する形、日本の国民の皆さんの生命や身体の安全を脅かすような形で利用されることがないように、医療データを提供する相手の審査も今後行っていくべきではないか。輸出管理の文脈なんかでは今行われていることではありますけれども、これを医療データの分野でもしっかり行うというような制度を、諸外国の制度なんかも参考にしながらつくっていただく必要があるのかなと思いました。

 質疑時間が終了いたしましたので、これにて終了させていただきます。

 この度は、貴重な機会をいただき、ありがとうございました。質問を終わります。

藤丸委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 久々の厚生労働委員会ですけれども、よろしくお願いします。長妻昭です。

 まず、資料の一ページ目でございますが、これは厚生労働省が作った資料で、鉛筆書きのものは後から厚労省がつけ加えたもののようでございますけれども、厳重取扱注意という赤い文字が書いてある資料ですが、この資料というのはどういうようなもので、いつ作成されたんですか。

福岡国務大臣 委員御指摘の、国庫負担なしとした場合の試算につきましては、基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了について様々な検討を行う中で、現行制度よりも増加する国庫負担の必要性を確認すること等を目的にし、仮に国庫負担が現行制度より増加しないとした場合にどのような影響があるかを試算したものでございます。

 厚生労働省において、本年七月に行われました財政検証公表、この前後の時期において作成をしたというふうに聞いております。

長妻委員 これはなぜ今日まで、ここで初めて公表したわけですよね、今。なぜ隠していたんですか。

福岡国務大臣 あくまでも様々なシミュレーションを行う中での一つの資料ということでございまして、そういう意味において内部資料だったということでございます。

長妻委員 様々なシミュレーションの資料は公表するというルールがあるんですね。シミュレーションは、厚労省が税金を使って年金のコンピューターを回して作った資料は年金部会に提供するというルールがあるんですが、これはルール違反ですね、明確な。

 国庫負担が入らないということは、この資料でいうと、最終的に基礎年金の国庫負担は何パーになるんですか。

福岡国務大臣 国庫負担割合は五〇%から四二%に低下するということでございます。

長妻委員 これはちょっと見過ごせないのが、私もかつて民主党政権に所属していたんですけれども、そのときに、基礎年金の国庫負担が三分の一だったんですね。それを二分の一にして基礎年金を安定させようということで、我々、政権を下野せざるを得なくなりましたけれども、消費税ということでそこに財源を充てて、何にしろ基礎年金の半額は国庫負担、国の税金を入れて安定化させるということを決めたにもかかわらず、国庫負担を入れなくて四二パーにするというのは、ちょっと私としては認め難いものであります。

 そして、もう一点聞きますと、そうすると、厚労省がおっしゃっていたのは、年金の受給者、マクロ経済スライドの基礎年金と厚生年金の統合をしますと、最終的には、つまり、最終的というのは、今五十歳の方、今五十歳以下の方はほとんど全員が得をします、五十歳以下の方で年収が約一千百万円を超える人は損をするけれども、それ以外の方は得をしますという説明をしていたんですが、国庫負担が入らないと、その数字が年収幾ら以下になるんですか。

福岡国務大臣 給付調整の早期終了により現行と比較して年金が上昇するケースは、国庫負担を入れる場合は、成長経済移行・継続ケースでは全ての受給者であること、過去三十年投影ケースでは二〇五〇年度以降において九九・九%以上ということをこれまで申してきました。

 一方、仮に議員が御指摘の国庫負担なしとした場合、これにおいても、経済成長型移行・継続ケースでは全ての受給者で上昇する一方、過去三十年投影ケースにおきましては二〇五〇年度以降において約九〇%となる、この場合は年収六百五十万円以下の方となります。

長妻委員 ですから、国庫負担がないと、年収六百五十万円以上の方は最終的に損をする、今年齢が五十歳以下の方が受給する場合も。そういうことになるし、今、経済の非常にバラ色の成長型経済移行ケースもおっしゃいましたけれども、これは余りにもバラ色過ぎる。過去三十年投影ケースということでも、これも過去三十年の経済状況を投影していないんですね。これも、相当有識者から批判がある、相当上積みした前提になるということなので。

 いずれにしても、過去三十年投影ケースで議論するのが適切だというふうに思います。そうしますと、国庫負担を入れない、過去三十年投影ケースだと、結局、マクロ経済スライドを、基礎年金と厚生年金を合わせたときの終了時期ですね、終了はいつになるんですか。

福岡国務大臣 国庫負担なしであると、二〇四〇年ということになります。

長妻委員 これは、厚生年金グループからすると、すごく、何というか、ふんまんやる方ない思いを持たれる方もいるかもしれないと思うんですね。

 つまり、今回、年金部会で今月の二十四日に結論が出るというふうにも聞いていますけれども、ルール変更をしなければ、厚生年金のマクロ経済スライドは、ちょうど一年後ぐらい、つまり二〇二六年から止まるんですね。もう減らされない、年金は。ところが、今回のルール変更をしますと、二〇三六年まで厚生年金はマクロ経済スライドがかかって減らされちゃう、かつ、国庫負担が入らないと、それがまた四年延びて二〇四〇年までになるということで、これはどういうふうに考えればいいのかということなんですね。

 結局、国庫負担はピーク時で二・五兆円なんですね、毎年。これを入れないとなると非常に問題だと思うし、年金部会の先生方にも皆さんが言っているのは、国庫負担は入りますというふうに断言されておられて、だから皆さん、それを真に受けて、検討を真面目にされているんですけれども、国庫負担が入るか入らないか分からないようなことであると、これは大変、厚生年金勘定から、過去三十年投影ケースでありますと十五兆円が将来の基礎年金勘定にある意味ではルール変更で寄附される、こういう巨額の金が減らされてこっちが増えるということになるので、そのときに、厚生年金の勘定だけは増やすけれども、本来は基礎年金に二分の一の国庫負担、二・五兆円必要なのに、それはやりませんというのは、余りにも、そういう場合は、これは無責任だなというふうに思います。

 そこで、財源は間違いなく、これは二十四日、もう来週ですかね、来週火曜日、先生方がこれをやるというふうに決めた場合、財源はちゃんと確保するということを明言できるんですか、ここで、確保できると。

福岡国務大臣 まさに、財源も含めて年金部会において今御検討をいただいているというふうに承知をしています。

 その上で、先ほどおっしゃいました、なぜ年金部会とかにも資料を示さなかったかということでいいますと、現行制度より増加する国庫負担の必要性を確認すること等を目的として作ったものでございまして、そういう意味では、基礎年金の国庫負担割合二分の一につきましては維持する前提で年金部会の資料においても財源確保の必要性をお示ししているということでございまして、そのような理解でございます。

長妻委員 今日は財務省も来ていただいていますけれども、これは、財源が二・五兆円、ピーク時はかかるわけですけれども、それで、推移するによってどんどん増えていくわけですが、これはもう確保できた、確保する、こう約束していただけるわけですね。

東大臣政務官 御指摘のマクロ経済スライドの早期終了については、社会保障審議会年金部会において実施の是非も含めて現在御議論をいただいているものと承知しており、財務省としては、仮定の御質問には予断を持って答えることは差し控えたいと考えております。

 以上です。

長妻委員 これはちょっと驚きました。信じられない答弁です。

 つまり、二十四日は来週火曜日ですよね。火曜日に、これをやるかやらないかを先生方に決めていただくわけですよ、まとめる。じゃ、決めちゃってから、いや、厚生年金勘定からは金は出すけれども、国庫負担はやらないですよと。それは、そんな話はあり得ないので。つまり、一年後にマクロ経済スライドが止まるんですね、このままだと。ところが、ルール変更をすると止まらなくなって、もっと減らされるわけですよ。でも、減らされたはいいけれども、国庫負担はなしよというのは、ちょっと余りにもとんでもない話だと思うので。

 実は、私も経験しましたけれども、民主党政権のときに税と社会保障一体改革をしたときは、厚労省と財務省と政治が、与党がきちっと連携して、確実に財源を確保して、そして国民の皆さんにお示しをするという手順を取っていたんですが、今回、全然財務省と話がついていないじゃないですか。これについて非常に私は不安に思うわけで、ちゃんと二十四日の年金部会でも先生方に説明してください。

 つまり、財源はまだきちっと確保はできていない、ただ、努力はされると思うんだけれども、そういう状況にあるということをちゃんと言いながら議論をしていただかないと、非常にまずいことになるというふうに思います。

 一つの考え方としては、二・五兆円の税金があるとすると、こういうやり方も、団塊ジュニアの方々などが、基礎年金がこのままだと実質価値が約三割減るということで深刻なので、何らかのことはしなきゃいけないと思うんですが、使い方なんですね。

 二・五兆円をマクロ経済スライドのような形、合わせる形で使うのか。あるいは、実はこれも、私どもが民主党政権のときに年金生活者支援給付金というのをつくりまして、年金の金額が少ない方、受給額が少ない方に、今七百八十万人の方に年最大六万円上乗せしているんですね。予算が大体四千億かかっているんですよ。二・五兆円あれば、六倍ぐらいの非常に手厚いものができる。

 基礎年金をそのまま底上げしますと、年金を三十万円、四十万円、一人で一か月もらっている方の基礎年金も上がるわけですね。そういうところにそういう税金を使ってもいいのかなと。つまり、もう少し、本当にお困りのところに集中的に使った方が効果があるんじゃないかという考え方もあるんですが、その考えについては大臣はどういうふうに思いますか。

福岡国務大臣 年金生活者支援給付金は、年金等の所得が低い方を対象にして所得制限の下で限定的に支給される、いわば公助の仕組みでございまして、所得の多寡にかかわらず全国民に共通して一定の年金額を保障する、いわば共助としての基礎年金とは、老後の所得保障における役割というのが異なっているというふうに考えております。

 その上で、五倍規模での給付を行う場合、現行の支給水準で考えれば、月に満額約二万五千円を支給するということになりますが、そうした規模の給付を行うことが他の年金受給者との間でのバランスが取れるかどうかといったことなど、財源のみならず、その給付の性質であったり対象者の範囲、保険料負担との関係も踏まえた検討を要すると考えております。

長妻委員 我々立憲民主党は、この前の総選挙で、上乗せ年金、今申し上げたものを拡充するという公約を出したんですね。今の発想というのは、ちょっと私は、失礼ながら古い発想で、今はイギリスでもペンションクレジットや、ドイツでもフランスでもあるんですね。これは、年金の制度とは外の、高齢者に対する、年金受給額が低い方に上乗せをする制度、税でですね。

 といいますのは、今、日本では生活保護が一年間に三・五兆円かかっていて、六十五歳以上の方が過半数を占めておられる。ということは、年金代わりになっているんですね。本当は、生活保護は、一時的に生活保護を受けていただいて、そしてそこで整えて仕事に復帰するという制度なんですけれども、それが一生続く年金代わりになっている。これでは非常に受ける方も大変だということで、やはりそういう発想を政府も検討していただきたいというふうに思います。

 そして、仮にマクロ経済スライドの調整期間を合わせるということをするときに、減る方がいるわけですね。今受給されている方や間もなく受給される方は減るんですね、厚生年金受給者は。政府の試算でも、平均的な人で一か月最大七千円減るとか、トータルでいうと七十六万円減るとか、そういう試算もいただいておりますので、そういう減る方に対する対応、対策というのはやっていただけますか。検討しているんですか。

福岡国務大臣 御承知のとおり、減るといいますよりも、現行制度よりも伸びの水準がその分抑制されるということでございますが、そうした方の対応の必要性については、先般の予算委員会でも問題提起をしていただいたものというふうに承知をしています。

 御指摘も踏まえて、今、社会保障審議会では幅のある見直しの議論を行っていただいているところでありまして、その中で年末の取りまとめに向けて、そこの中で議論していただきたいと考えております。

長妻委員 ですから、この問題は、ちょっと最後に申し上げたいんですけれども、来週火曜日に年金部会をやるときに、是非、財源がまだぶらぶらである、確定していないということも先生方にちゃんと言った上で議論していただくようにしていただければということです。

 そして次に、食の安全について質問いたします。

 食品添加物や農薬の問題、私も前から取り組んでおりまして、安全対策が日本は先進国で最も緩い、ちょっと緩過ぎるというふうに私は思っていて、これは国会図書館に提供していただいた資料なんですが、資料三ページ目ですね。

 三ページ、四ページ目は、食品添加物、主なものと農薬について、日本では使える、でも、海外では健康上の理由で禁止されているものを教えてくださいというふうに申し上げましたら、国会図書館が資料を出していただいて、三ページ、四ページ。この三ページ、四ページの資料を政府にお見せしたところ、これは間違っていないというお墨つきもいただいたものでございます。

 政務官、お帰りいただいて結構でございます。ありがとうございました。

 三ページ、四ページですね。

 これを簡単に言いますと、三ページ目は、食品添加物でいうと、人の健康への懸念を理由として禁止をしているものでいうと、アメリカで禁止しているのが食用赤色二号、着色料ですね、日本では使える。

 そして、着色料の二酸化チタン、これはEUでは禁止をされているけれども、日本は使える。健康上の理由で禁止されているんですね。

 臭素酸カリウム、これも週刊誌などで連日特集が組まれておりますけれども、これも、日本では使えるけれども、健康上の理由で、EU、イギリス、カナダでは使えない、アメリカでも相当制限されている。

 そして、四ページ目でございますけれども、これは農薬ですね。

 農薬につきましては、ネオニコチノイド系農薬、これについて、ネオニコ系の農薬のうちチアクロプリドというものがございますが、日本では使える、しかし、健康上の理由で、EUでは使えない、イギリスも使えない、スイスも駄目、ノルウェーも駄目、アメリカでは制限をされている。

 そしてもう一つは、クロルピリホスというものも、これはネオニコ系以外のもの、農薬でございますけれども、日本では使える、EUでは使えない、イギリスでは使えない、アメリカでは制限されている、カナダでは使えない。

 そして、プロピコナゾール、これは日本では使える、EUでは使えない、イギリスでも使えないというようなことでございまして、非常に心配をしているところでございます。

 当然、農薬は農水省の管轄ですけれども、ただ、健康という視点が非常に農水省は私は欠けているというふうに思うんですね、私たちの健康に対する影響という視点が。もちろん、農業を振興するということが農水省の仕事でありますから、ですから、これはやはり厚労省が健康を守る省庁でもありますので、こういう実態を御覧になってどういうふうにお感じになりますか。

福岡国務大臣 改めていろいろ資料でお示しいただきました。

 例えばEUにおいては、科学的に不確実なことがあっても、利用可能な科学的知見に基づくリスク評価により健康への有害性が特定される場合、その暫定的なリスク管理措置を取り得るという予防原則の考え方を踏まえて、農薬や添加物等の規制が行われているというふうに承知をしています。

 一方で、我が国では、食品安全基本法に基づき、科学的知見に基づいた食品の安全性の確保に必要な措置を講ずるということで、国民の健康への悪影響が未然に防止されるようにするという考え方の下に立ってございます。

 委員御指摘の点につきましては、農薬の使用に係る基準については農林水産省が、食品中の残留農薬の基準については消費者庁が、食品添加物の使用に係る基準は消費者庁が、それぞれ科学的知見に基づき策定しているものでございまして、厚生労働省としては、各省庁が設定した残留農薬の基準や食品添加物の基準に従い監視を行っているところでございますが、引き続き、関係省庁と連携をしながら、食品の安全の確保に努めてまいりたいと考えております。

長妻委員 日本の最大の欠点は、今おっしゃっていただいた、ばらばらなんですね、いろいろな省庁に分かれていて。本当に、人間は一人、一人というか一つの個体がいろいろな添加物とか農薬とかいろいろな化学物質を受けるわけなので、やはり厚労省が是非、今おっしゃっていただいたヨーロッパの予防原則、これを取り入れるべく、大臣に期待していますので、安全については、他省庁の所管でも、これは人間の健康ですから、どんどん口を出して、ちょっと厳しくちゃんとやるように言っていただきたい。

 私が二つ農薬で取り上げたいのは、一つはネオニコチノイド系殺虫剤、そしてもう一つがクロルピリホス、これは有機リン酸系殺虫剤でありますけれども、この二つについて、発達障害との関連性を疑うような、そういう論文、どういうものがあるのか、今日は国会図書館を呼んでおりますので、御紹介いただければと思います。

小澤国立国会図書館専門調査員 お答えいたします。

 ネオニコチノイド系農薬が発達障害に影響を与えているという研究論文といたしましては、東京都医学総合研究所の研究員等を務めた木村・黒田純子氏、黒田洋一郎氏らが二〇一二年に発表したプロスワン誌の英語論文がございます。これは、新生児ラットの小脳ニューロンに対するネオニコチノイド系農薬の影響に関する論文であり、ネオニコチノイド系農薬には、人の健康を害し、特に子供の脳の発達に影響する可能性があることが同論文に記載されています。

 この二〇一二年の論文の著者の一人である木村・黒田純子氏は、雑誌「現代農業」の二〇一九年八月号で、ネオニコチノイド系農薬のマウスへの影響に関する国立環境研究所、神戸大学、近畿大学の研究等を紹介した上で、ネオニコチノイド系農薬と発達障害の関連については近年研究が進んだものの、完全な解明にはまだ時間がかかる、しかし、未来を担う子供に関わる重要事項については、予防原則に基づいて、危険性が指摘された時点で規制が必要であると述べています。

 続きまして、有機リン系農薬であるクロルピリホスについてお答えいたします。

 雑誌「科学」の二〇二二年三月号に掲載されました遠山千春氏、木村・黒田純子氏らの論文では、クロルピリホスの暴露を胎児期から小児期にかけて受けた同一の児童を長年にわたり追跡してきた米国の疫学的研究を紹介しており、これによれば、建材用クロルピリホスの胎児期の暴露量が多いと精神発達への影響が顕著になること、クロルピリホスを含む有機リン系農薬の胎児期の暴露と、記憶力、知能指数の低下や注意欠如症状の増加との関係が認められること、胎児期の有機リン系農薬の暴露で、学童期に精神発達が遅延すること等が挙げられております。

 以上でございます。

長妻委員 これは以前も聞いたことでございますけれども、今、国会図書館に改めて御答弁をいただきました。

 非常に、私は、日本の食の安全というのが本当に緩過ぎる、水についても今PFASが言われておりますけれども、本当に緩過ぎるというふうに強く強く懸念を持っているところでございます。

 例えば、七ページ目に、ネオニコ系の農薬を作っている会社、国内メーカーを調べていただきまして、こういう会社がある。一部識者がおっしゃっていただいているのは、やはりいろいろ企業からの力が非常に働いて、なかなか規制ができないんじゃないのかと。事実、ここに挙げられている企業の中には、自民党本部に、昨年の収支報告書を見ますと、五千万円、ぽんと献金している、一社でですよ、企業もあるわけですね、この中に。

 だから、私は、企業・団体献金禁止というのは、こういう疑いをかけられないようにするためにも必要だと強く強く思うわけで、そういうゆがみが生じている可能性があると私自身はすごく強く感じているんですね。ですから、余りにもちょっと、こういう論文についても、政府は無視、はっきり言うと無視ですね。

 八ページ目に、例えば、ネオニコ系の農薬はこういうものにも使われているんですね。使用作物も書いてございます。

 最後に、先ほど大臣も言っていただいた予防原則、これを日本にも入れなきゃいけない。欧米では入っているんですね。予防原則というのは、分かりやすく言うと、疑わしきは罰すということなんですね。日本は、疑わしきは罰しない。さっき大臣がおっしゃっていただいたように、日本では、科学的知見、明確なエビデンスがないと禁止できないんですよ。

 ところが、この五ページ目、EUの予防原則を書いてございますけれども、リスクの現実性や深刻さが十分に明確になるまで待つことなく、政策決定者が措置を講じることが可能になっている、禁止できる、人の生命や健康の保護が経済的考慮事項よりも優先されることは明らかである、こういう予防原則なんですね、疑わしきは罰すという。これを日本にも入れたいと私は本当に常日頃思っているんですが、最後、大臣の所感をお伺いしたいと思います。

福岡国務大臣 現行において、消費者庁や農林水産省において、科学的知見を集積し、必要に応じた検討が行われているというふうに承知をしておりますが、引き続き、各省においての取組とも連携を取らせていただきながら、食品監視を行っていきたいと思っております。(長妻委員「いや、予防原則。予防原則を日本で入れるということ」と呼ぶ)現行の体制……(長妻委員「自分の言葉で」と呼ぶ)ですから、現行においてしっかり……(長妻委員「予防原則を入れることにどういう感想を持っているんですか」と呼ぶ)

藤丸委員長 委員長に手を挙げてお願いします。

福岡国務大臣 そういったことも含めて、どういう在り方がいいか、引き続き関係省庁と連携してまいりたいと思います。

長妻委員 もうちょっと踏み込んで、健康を守るのは大臣なので、ほかの省庁は基準を作るだけですから、最後を守るとりでは大臣なので、本当にしっかりしてください。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 先ほども実は地こデジの方で平デジタル担当大臣と議論してきましたが、冒頭、まさに裏金問題、政治資金問題について今日も、昨日、本日、そして明日ですかね、衆参で政治倫理審査会も行われているさなか、これまでの自民党政権、これは政府・与党ということだと思いますが、ある世論調査、直近では、裏金問題への取組は七三%の国民が評価しないという回答になっています。

 こういったことも踏まえて、所管の大臣ということを超えて、個人としての見解も含めてしっかり大臣にも御答弁いただきたいと思いますし、政務三役の方にも場合によっては答弁を求めますので、鰐淵副大臣もちょっと聞いておいてください。よろしくお願いします。

 まさに昨日、本日、本日はまさに東京都連の裏金問題でも刑事告発されている萩生田元政調会長も弁明と。私、平大臣も東京都連の政調会長という立場で大分追及したら、調査してちゃんと説明責任を果たすべきだと言われていましたよ。

 国も地方も総汚染、裏金。まさに不適切にもほどがある。裏金問題も流行語大賞にランクイン、今年の漢字は金(かね)、金(きん)。こういうことも踏まえて、個人としてちゃんと答弁いただきたいんですね、所管ということでなくて。

 私が、昨日、稲田元防衛大臣の答弁でちょっと気になったのが、キックバック復活の経緯について、当時の安倍派幹部たちの更なる説明が必要だと。つまり、安倍元総理、キックバックの違法性を認識したからやめようと言った、にもかかわらず、なぜ復活したのか。まさに萩生田さんなんか当事者だと思うんですね。

 これは一議員としてで結構ですから、まさに今の石破政権が不熱心だと七割以上の国民が思っている中で、安倍派、当時の幹部の更なる説明が必要だというふうに、福岡大臣、個人的に思われますか。

福岡国務大臣 まず、政府の立場で論評することは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、今、政治不信が行われている中で、それぞれの関係者の方々が適切に説明責任を果たしていただくということだと考えております。

柚木委員 企業・団体献金について、来年三月、年度前まで先送りと。ちなみに、平大臣とも大分やりましたけれども、私、平さん、びっくりしましたけれども、自民党都連、これだけキックバック、裏金の疑惑で刑事告発されている中で、企業・団体献金がトップなんですね。しかも、不適切な献金だということで返金したり、それこそコロナの関係の委託を受けている業者からもらっていたり、それで文春に報道されて、二百八十八万円、これも返金したとさっき言っていましたけれども、そういうような、まさに公共事業受注企業とか補助金を受けている企業とかからも献金を受けていて。結局、やはり国民から見て疑念があるから、不適切にもほどがあるから返金したんでしょうというふうに私が答弁を求めましたら、やはり結局、返金ということをするということは不適切だからなんですよね。

 だから、そういう疑念を招かれないためにも、まさに石破政権、与党一体となって、少なくとも、例えば福岡大臣が、これまで企業・団体献金を受け取ってきたのかもしれませんけれども、今後はもう受け取らない、政策をゆがめられているというような疑念を持たれないためにも。

 この委員会でもやりましたよ、サプリメントの関係でも。献金、たくさんされているんですよ。審査過程がゆがめられたというふうに専門家も指摘してきた。だから、そういう疑念を抱かれないためにも、企業・団体献金を受け取るのはもう個人的にやめたいというふうにここで宣言されてはいかがですか。

福岡国務大臣 今後のその在り方につきましては、今、各党各会派で御議論いただいているというふうに承知をしておりまして、そこの内容についてはお答え差し控えさせていただきますが、いずれにしても、決まったルールには従うということでございます。

柚木委員 鰐淵副大臣、公明党さんは、斉藤代表、私も尊敬する先生なんですけれども、もう企業・団体献金は必要ない、廃止でいいと言明されています。鰐淵副大臣もそういうお考えで間違いないですか。

鰐淵副大臣 通告いただいておりませんが、企業・団体献金の在り方につきましては、先ほども大臣からもございましたが、三月までに方向性を決めるということになっておりますので、そういった方向に従いたいと思いますし、斉藤代表は代表としての御発言がありまして、私も承知をしておりますので、いずれにしても、しっかりと議論していただいた上で、決まったことに私も従っていきたいと思っております。

柚木委員 決まったことに従うというのは、当然、政権の副大臣としてそうなんですが、企業・団体献金は廃止の方向で是非決めてもらいたいというお考えでよろしいですか。

鰐淵副大臣 これはちょっと、我が党の考えとして、第三者の立場とかいろいろな方々の御意見も必要ではないかということで、そういった場も設けていただく中で、いろいろな御意見をいただいた上で判断もしていきたいということで申し上げさせていただいておりますので、公明党の立場としては、そういった意見を持っているということで御紹介させていただきたいと思います。

柚木委員 ちょっと年収の壁の方を伺います。

 昨日も、自公、国民民主との交渉決裂というか、古川税調会長が激怒して席を立ったということで、先ほど平デジタル担当大臣とこの議論もしたんですけれども、結局、今の裏金問題もそうだし、年収の壁もそうだし、自民党の壁になっちゃっているんじゃないですかということを言いましたら、平大臣は正直に宮沢洋一の壁と言われていましたけれども、本当に壁を突破しましょうよ。

 それで、今日は財務副大臣、おいでですよね。通告の二の二項目めのところの三ポツぐらいから入りたいんですけれども、結局、グリーンが見えないと宮沢税調会長がおっしゃって、教えてくれと。百七十八万円に決まっているだろうと、今謹慎中なんですかね、玉木さんがおっしゃって、激怒してツイッターもされていましたけれども。

 じゃ、グリーンはどこなんだ、グリーン。一体幾らなんだ、引上げ幅が。この議論をすることは、実は我々も、百三十万円、もちろん百六万円も、五十一人以下のあれで、結局、百三万円の税金の壁はもちろん突破しなきゃいけないんだけれども、百六万円、百三十万円の社会保険料の壁も併せて突破、セットで議論しないと手取りの純増の議論に進めないわけですよ。

 だって、そうでしょう。じゃ、百三十万円を超えます、そこで学生さんなんかでも、結局、健康保険で、親の扶養を外れると社会保険料の負担が発生して、そうすると、税金の壁を引き上げても社会保険料の壁が残っちゃうわけですから、併せて突破しないと手取り純増の議論に生産的にならないわけですから。

 そういうことを考えると、大臣、ちょっと財務副大臣も併せて後ほど伺いますけれども、私は、百三十万円を突破しても、じゃ、手取りがどれだけ純増になるかということとか、あとは地方税等の影響等を考えると、最低百四十万円、百五十万円ぐらいまで引き上げないとグリーンに乗ったとは言えないんじゃないかと思うんですよ。

 社会保険料の所管の大臣でもありますから、是非セットで議論。グリーンに乗るのは百四十から百五十万円ぐらいだというふうに私は個人的に思いますが、いかがですか。

福岡国務大臣 まず、税と社会保険制度では制度の目的であったり設計が異なりますから、必ずしも同じ対応が適切かどうかということについては議論が分かれるところでありますが、社会保険制度については、働く方がいわゆる年収の壁を意識せず、希望に応じて働くことができる環境整備というのは非常に重要であるというふうに考えておりまして、厚生労働省としては、被用者保険に加入していただいた場合のメリットを周知しながら、適用拡大に取り組んでまいりたいと考えております。

柚木委員 財務副大臣も今日せっかくお越しいただいて。副大臣でよろしかったですかね。

藤丸委員長 政務官。

柚木委員 東政務官にお越しいただいているので、是非、財務省としても、今、百三万円の壁をどこまで引き上げるかという議論になっているわけですが、結局、手取りをどれだけ増やすかという議論になったときには、社会保険料を所管の厚労大臣、厚労省とも連携していただいて、やはりセットで議論をして、そして手取り純増というのが、国民に対して、今、百三万円を百二十三万だって年額一万円でしょう。国家公務員の皆さん、僕は上げるべきだと思うけれども、民間がそれにいい影響を受ければいいから。でも、補正予算を使って二十二万八千円も上げておいて、手取り一万増はないでしょう、年収増。

 これは是非セットで議論していただいて、税金の壁と社会保険料の壁、そしてグリーンに乗っけましょうよ、カップインする視野が見えるように。百四十、百五十万円ぐらいまで、財務省、宮沢洋一さんの壁を突破するためにも、財務省もちょっと協力していただけませんか。いかがですか。

東大臣政務官 人手不足への対応が急務となる中、年収の壁を意識せずに働く時間を延長することができる環境づくりを後押しするため、それぞれの制度における対応が重要であるというふうには考えております。

 税制面では、いわゆる百三万円の壁の見直しを含む令和七年度税制改正については、その具体的な実施方法等を含め、現在、与党税制調査会において議論をなされているものと承知をしているところでございます。

 政府としては、与党での議論を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。

 以上です。

柚木委員 是非、答弁原稿プラスアルファで、ちょっと個人の思いも語っていただきたいと思うんです。そうじゃないと、本当に、年収の壁はもとより、社会保険料の壁も突破して、そして、今回先送りになったみたいですけれども、三号の問題も、やはり今もう共働きの方も増えて年金の在り方についても大きな議論になっていて、やはりそこらをまさに、私は今日、介護のことも通告していますし、本当は介護の壁とか育児の壁とか、だって、それで離職しちゃったら手取りゼロなんだから。そして、まさに税の壁、社会保険料の壁、あらゆる壁を、宮沢さんの壁も、突破していかないと手取り純増の議論は前に進まないし、働き方改革も進まないじゃないですか。

 だから、これは是非、厚労大臣、財務省とも連携して、税金の壁だけじゃなしに、社会保険料の壁もセットで議論していく、壁を乗り越えていく、そういう方向性、ちょっと決意ぐらい述べてください。

福岡国務大臣 収入の要件によってそこの就業を抑制したり調整したりされる、そういった問題についてはセットで考えていく必要があるかと思いますが、先ほども言いましたように、税と社会保険制度では制度の目的や設計というものが異なりますから、そういったことも踏まえた議論が必要だというふうに考えております。

柚木委員 もうちょっと御自分の言葉も是非語っていただきたいので、答弁原稿だけじゃなくてですね。

 ちょっと時間がないので、もう一つだけ聞いておきます。

 我々は、百六万、百三十万、それぞれ社会保険料の壁も突破していくべき、税金の壁と、百三万とセットで乗り越えていくべきだというふうにして法律も出しているわけですが、事業者の社会保険料の負担増が、今折半なのが、何か、要は事業主がそういう判断をすれば一、九とかで、九割事業者負担とかそういうことになっていますけれども、大企業はそういうこともできるかもしれませんけれども、本当に、私も地元を回っていて、そんなことになったら潰れますよと。最低賃金の今議論もありますよね。多くの方が、要は賃上げ倒産になりかねないと。社会保険料の壁撤廃倒産になりかねないわけですよ、格差がまさにもっと開いちゃって、人手不足の。そういうことになったり、あるいは逆に、社会保険料負担が増えたら賃下げの圧力にもなりかねませんからね、賃上げと言っていますけれども。

 そうならないために事業者にどう具体的に配慮するのか、是非、全国の事業者さんは今不安に思っていますから、ここで端的に、明確に御答弁お願いします。

福岡国務大臣 今御指摘のように、様々な御不安の声はいただいています。その上で、まだ方向性については定まっておりませんが、今後、被用者保険の適用拡大については、円滑な適用を進められる環境整備を行う観点から、事業主の負担増への配慮措置として、準備期間を十分に確保すること、積極的に周知広報すること、事務手続に関する支援を行うこと、また経営に関する支援を行うことなどについて、今議論が進められているところでございます。

 御指摘がありました、労働者の保険料負担割合を下げることができる、そういった特例につきましても、企業側の保険料軽減であったり、より広く活用される環境の整備といった視点も含めて、今議論が行われているところでございます。

 今後も、その適用拡大を進める際には、新たに保険料負担が生じる事業主にも適用拡大のメリットなど正確な情報を分かりやすく説明し、御理解をいただきながら進めることが大変重要であると考えております。

柚木委員 今の説明の中で、確かに私も説明を四ついただきましたけれども、経営に関する支援の中に含めていただきたいんです、今後議論の中で。これは一、九とかね。やはり本当に中小零細の皆さんに対しては、まさに百六万、百三十万で、五十一人以上、以下という一定の基準がある。何らかの形で、一、九の部分についても、それはちょっとやりたくてもできないというところに対しては、何らかの支援をセットで検討いただきたい。それをちょっと、是非検討したいぐらいのことを答弁いただけませんか。

福岡国務大臣 まだ先ほども申しましたように結論が出ておりませんが、様々な検討を進めていく中で、今おっしゃったように、小規模事業主、そういった方々の負担も考えながら議論を進めていきたいと考えております。

柚木委員 是非よろしくお願いします。重要な答弁なので、今後も中小事業者の方々、固唾をのんで見守っておりますので、よろしくお願いします。

 マイナ保険証の方に行きます。

 資料をお配りしておりますが、一ページ目、二ページ目と御許可をいただいて実物大のものもお持ちしていまして、ちょっと資料を御覧いただければありがたいんですけれども。

 厚生労働省がこういった形で、「患者の皆さま、マイナンバーカードで受付してください」と。カードを持ち歩くのはリスクもあるわけですけれども、こういう形で。そして、この十二月二日から現行の健康保険証の新規発行は終了しますと。何かぱっと読むと、わっ、もう使えないんだと思って捨てちゃったりとか、その後、資格情報のお知らせとかいろいろなものが来ても、訳が分からぬから捨てちゃうみたいなことも起こっている。

 ここの下のところに、今の保険証、これまでの保険証が使えなくなる前に資格確認書を順次交付しますと。順次とはいつなんだということで、これもまだはっきりしない。今日通告もしていますけれども、今後もずっと申請しなくても送られてくるかどうか、分からないわけですね。資格確認書は保険者によって扱いがちょっと違うじゃないかという声も聞いているので、それも通告していますが。

 これは、この間、早稲田ゆき議員が石破総理とのやり取りの中で、こういう周知のすぐ横に、今の保険証も要は使えます、お持ちくださいと分かりやすく、もう見た瞬間にそういうことをやってくださいと言ったら、石破総理も、それはそうですね、どうしましょうかと逆に聞いてこられたので、どうしたらいいかというのをちょっと提案しますので。

 二枚目を御覧いただきますと、保団連さんが全国の約十万医療機関にこういうポスターを、これは分かりやすいなと私もちょっと感心しましたけれども。一番発信すべきは、これからも健康保険証をお持ちくださいと、これまでの、十二月二日までに発行していた、これをまず書くことで、まさにこの間起こっている、リーダー読み込みできなくて、いろいろ説明されますけれども、実態として起こってきた全額自己負担とか、過払いとか、逆に医療機関にとっては未収金とか、情報漏えいとか、いろいろなことを防ぐことができるわけですから、この今の保険証をお持ちくださいというのを、やはり政府が今送っているこの紙の一番目立つところに書いていただいて。マイナンバーカードを持参くださいじゃなくて。リスクもあるわけですよ、持ち歩くの。だから、返納しちゃって、お守り代わりに資格確認書をもらっているんでしょう。今の保険証をお持ちくださいというのを一番目立つところに書いてください。

 そして、これも本当に分かりやすいなと思うのは、やはり、国保に入っている人、自営業者、我々もそうですし、後期高齢者の方、会社員の方と、ちゃんと分けて書いているんですね。こっちは十二月二日で保険証を終了します、こっちは十二月二日以降も一年使えますということなんですね。やはりぱっと読んで、特に高齢者の人がちょっと細かいことを書かれても分からないわけですから、やはりぱっと見て分かりやすい、今の保険証をお持ちくださいと。マイナンバーカードをお持ちくださいじゃなくて。

 ちょっとこれを目立つように周知広報していただきたいんですけれども、お願いできますか。

福岡国務大臣 まず、マイナ保険証については、本人の健康医療情報を活用した適切な医療の提供に寄与するものですから、そういったメリットもあるので、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行したところでございます。

 こうした基本方針の下で、ただ、移行に際して不利益を被る方がいないように、今おっしゃられたように、発行済みの保険証が最大一年間利用できることであったり、お持ちでない方には申請によらず資格確認書を発行すること、また、何らかの理由で利用できなかった方でも円滑に保険診療を受けられる方法等について周知を図ってきたところでございます。

 その上で、今おっしゃいましたように、このリーフレット、委員もつけていただいていますように、リーフレットを使いまして、これはプリントアウトしていただければ医療機関とかにポスターとしても貼っていただけるような、そういう対応にもなっています。そういったことを通じて、患者の方々への周知に役立てていただけるように、今月十二日に全医療機関、薬局に送付をさせていただいたところでございます。その告知の中に、保険証も最大一年間利用可能なことも記載してございまして、そういったことを通じて、引き続き丁寧に取り組んでまいりたいと考えております。

柚木委員 財務政務官、退席いただいて結構ですので。財務政務官、ありがとうございました。

 三の四に行きます。マイナ保険証と、我々は、これまでの、二日までに発行していた紙の保険証の併用を認めるべきだということを、法案も出して提案しているわけですね。

 今大臣も触れられましたが、三ページ目に、説明して、これはホームページに載っけているだけなんですよね。しかも、新たに後期高齢者になった方は申請不要で資格確認書をお届けしますとか、新たになった人だけですからね。これまでの後期高齢者には送られてきませんし。

 ちょっと、やはり今これだけカードリーダーの読み込みエラーとか、もっと言うと、今日は入れていませんけれども、ランニングコストが大変高くつくから廃業、廃院、マイナ廃業ですよ。追い込まれているところもどんどん増えて、フリーアクセスが侵されてきている。歯医者さんとかも、羽鳥モーニングショーでもやっていましたよね。本当に今回のことを理由に廃業、廃院。これはもう本当に、皆保険が脅かされるようなことになったら本末転倒ですからね。

 そういうことにもならないためにも、我々は、これまでの保険証とマイナ保険証の併用を認めるべき。一年じゃなくて、今後のトラブルの推移なんかも見ていただきながら、例えば今後五年使えますとすれば、慌てて取り消して資格確認書をもらうとか、マイナ保険証をやめてとか、資格情報のお知らせだって不要だし、保険者だって、自治体だって助かるわけですよ。だから、是非そういう、例えば今後五年とか、一年と言わずに、今後のトラブルの推移とかも見ながら再延長も検討するということを是非お考えいただけませんか。いかがですか。

福岡国務大臣 先ほども申しましたように、マイナ保険証は様々なメリットがございますから、そちらに移行をするということでございます。

 その中で、今おっしゃったように、様々なトラブルがあるとすれば、それが出ないような対応を行っていくとともに、不安を抱えていらっしゃる方、そういった方々には資格確認書を送ったり、トラブルがあった際にも円滑に保険診療を受けていただける、そういう方策について保険者や医療機関とも協力しながらしっかり対応を進めてまいりたいと考えております。

柚木委員 なぜそんなことを聞くかというと、十二月二日以降の十日間で、七百九十二件がマイナ保険証を返上、登録解除、お守りとして資格確認書を下さいとやっている、これは直近幾らなんですか。もう一万件超えていると聞いていますよ。

 さっき、地こデジ委員会で副大臣が答弁拒否したんですよ。何で不都合な真実を隠させるんですか。ちゃんと件数をここで報告、公表していただいて、それに基づいて対策を取るべきじゃないですか。

 一万件超えていると聞いていますよ。直近で、マイナ保険証の登録解除したのは何件ですか。速報値でもいいので、御答弁ください。

福岡国務大臣 マイナ保険証の解除申請がなされ、サーバーに登録された数は、十一月八日時点で七百九十二件でございます。

 その後の件数については、ただいま集計作業を行っておりまして、その作業を今待っている状況でございますので、それが出てき次第、速やかに公表したいと思います。

柚木委員 国会が終わるのを待ってから公表するようなこそくな隠蔽、やめてくださいよ。何で出さないんですか。一万件超えていると聞いていますよ。みんな、読み取りエラーとか情報漏えいとか怖いから、お守りとして資格確認書を下さいと。

 介護の方へ行きたいから、ちょっと、もう今日聞く時間ないけれども、協会けんぽは申請したらすぐくれるけれども、国保はくれないとか、保険者によって扱いも違うとか、そういう問題も起こっているんですよ。

 公表してください。ちょっと理事会で、だって、これ、何で隠す必要があるんですか。もう国会が終わっちゃったら議論できないじゃないですか。委員長、理事会で協議して、今日中に公表するかどうかの判断を我々に報告させるようにしてください。

藤丸委員長 では、理事会協議とさせていただきます。

柚木委員 だって、これ以降、質問はまだ決まっていないでしょう、機会。できないじゃないですか。是非ちょっと今日中に公表を、私は今日中に公表してほしいので、理事会で協議、判断してください。

 時間がないので、ちょっと介護の方に行って、時間があればマイナに戻りますけれども。

 これは資料にもつけていますように、我々は緊急支援で二本の法案を出して、訪問介護事業者の倒産件数が過去最悪、四ページ目にもつけていますが、こういう状況の中で現場の声も伺って、そして、二段階で、まず赤字補填を補正予算でやってもらった上で、処遇改善マックス取っても、赤字で潰れているところがいっぱいある。離職がどんどん増えて、ヘルパー待ちで介護離職している。このままいけば、五年後の九兆円の経済損失は前倒しで起こりますよ。

 ですから、それを防ぐための調査を実施の上で対応してくれということで、五ページ目の処遇改善加算の移行状況、それぞれ新加算のグループによってカテゴリーで出ていますが、私が聞いているのは大体これの三分の一か四分の一ぐらいしか増収効果が想定される状況になっていないと。

 これ、何か来年の三月ぐらいまでにまとめて公表するとかしていますけれども、来年度予算、成立しちゃっているじゃないですか。さっさと出して来年度予算の審議に間に合わせるようにしてほしいのが一つ。

 もう間に合わないので、残りの二問もまとめて答えてください。

 これは同じスキームです。七ページ目、八ページ目、御覧ください。介護人材確保・職場環境改善等事業の中で、ワンショット、単発で一人五万四千円の一時金、こういうことをやると。ワンショットでは意味がない。これは継続してやってください。三年、介護報酬改定、待っていられません。

 そして、次のページ。常勤化促進支援で登録ヘルパーさんとか非常勤のヘルパーさんとかやるんだけれども、これも一年限りということですので、補正で。これは是非継続して、少なくとも三年後の介護報酬改定で、我々は、基本報酬もそれまでに二・四パーカットを見直して、規模別改定を提案していますが、少なくともそれまでは継続していただくということを、併せて答弁を求めます。

福岡国務大臣 委員御指摘のとおり、介護報酬改定の影響については本年九月から調査を実施しているところでございまして、先ほどおっしゃったように、来年三月頃にその結果を公表するとしておりますが、さきの衆議院厚生労働委員会における決議も踏まえて、十分な解析、検証を行った上で、三月を待たずに、可能な限り速やかに公表できるように努めてまいりたいというふうに考えております。

 そして、補正の対応等について御指摘がありました。

 まず、今回、報酬改定においては、基本報酬については対応した一方で、処遇改善は大きく加算をさせていただいている状況にあります。しかしながら、取得が十分に行われていないというような御指摘もあるところから、今回、取得要件を弾力化して、なるべく取りやすくしていただく。そういったことと併せて、今回のこの補正によって処遇改善の措置を講じておるところでございまして、そういった効果がしっかり表れるかどうか、現場をしっかり検証した上で、次なる対応については考えてまいりたいというふうに思います。

 常勤化継続支援につきましても、まず、そういった取組を各地で進めていただく、その中で今後の対応について考えてまいりたいと考えております。

柚木委員 終わりますけれども、常勤化どころか、常勤の人がいなくなっているんだから、本当に。

 最後に、もう一点だけ。

 委員会で、三月まで待たずに、公表とか言っているけれども、予算審議に間に合うまでに公表してください。そのことも是非理事会で審議をやっていただいての報告をお願いして、薬価の見直し、ちょっとできなかったんだけれども、これもやってください。

 是非本当に、裏金の壁、年収の壁、マイナの壁、介護の壁、薬価の壁と、自民党の壁をみんなで乗り越えていきたいので、是非皆さん、協力をよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 二つ、理事会で協議します。

 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 立憲民主党の岡本です。

 久しぶりの質問でございますので、いろいろ聞きたいことはありますし、福岡大臣とは初めて議論させていただきますので。所信はお伺いしましたし、これまでもIWCに一緒に行った記憶もあります。

 最初に一言、通告はしていないんですけれども、大臣のお考えとして、社会保障は、給付、負担、この割合はどうあるべきか、高負担で高い給付なのか、それともできるだけ小さくいくのか、どういうお考えか。それからあと、労働者を守っていくためにどういう政策が必要だというふうにお考えなのか。その点を、今お考えのところを少しお話を聞かせていただきたい。大臣所信に対する質疑ということですから、そのお考えをお聞かせください。

福岡国務大臣 様々な社会保障の在り方を考えていく上で、当然、今生活していらっしゃる方、そういった方々の社会保障について充実させるとともに、将来を担う方々、将来世代の負担感、そういったこととの均衡を図りながら、バランスの取れた社会保障制度を構築していく、そういう必要があるというふうに思っていまして、そういう観点から、今、改革工程等にのっとって様々な社会保障改革を進められているところでして、それを着実に進めてまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 労働者に対する話がちょっと抜けちゃっているんですけれども、労働者の保護、どうあるべきなのか。

 ちょっと視点を絞ると、私は、かなり非正規が増えてきてしまったというのが現実にあって、若者の給与がなかなか上がらない、働き方が不安定という中で、子育てをする、そういう意欲を失う方もたくさんいると思います。

 こうした今の非正規の拡大に対して、大臣はどういうお考えをお持ちなのか。今の働き方でいくのか、やはりもう少し安定した働き方を若者に届けるべきだとお考えなのか、お考えを聞きたいと思います。

福岡国務大臣 御指摘のとおり、今、働き方がかなり多様化しております。そういった中で、様々な社会保障制度を構築するに当たっては、働き方に中立的な制度となるように取り組んでいく必要があると考えております。

岡本(充)委員 かみ合っていないんですよ。非正規雇用が増えちゃったという認識はあるんですかというところを聞いているんです。どうですか。

福岡国務大臣 長期的なトレンド、足下では改善しているというふうに聞いていますが、長期的にはそういう傾向があるというふうに思っています。そういったことも含めて、しっかりセーフティーネットが全ての方々に機能するような在り方について模索していきたいと考えています。

岡本(充)委員 是非。ペーパーがなしで答えていただいて申し訳なかったですけれども、私もそう思っている。非正規が拡大し過ぎていると私は思います。

 さて、通告に従って質問に入っていきます。

 まず、年金についてです。

 お手元に、皆さんに資料をお配りしました。この資料を見ていただくと、国民年金と厚生年金はそれぞれ別建てになっているわけですけれども、国民年金は四十年を超えて払えないと法律で決められていますので、四十年間限り。一方で、厚生年金は、高卒から働き始められた方であれば六十前にもう四十年の満期を迎えますし、それ以降もどんどん働き続けられる。

 この四十年を超えて払った分について、図でお示しをしていますように、いわゆる基礎年金部分が、四十年を超えたところが年金に反映されていない、ここ、払い損じゃないかというのを、五年前に財政再検証が出たときに、当時の年金局の課長さんと議論した記憶があります。

 今回、改めて、議事録に残す形でこの問題意識を指摘をしたいと思いますが、大臣、この斜線部分、いわゆる四十年以上にわたって厚生年金を払われている方の基礎年金部分が支払われていない問題をどのようにお考えでしょうか。

福岡国務大臣 基礎年金の拠出期間を延長するということについては、今般の財政検証においても、オプション試算としてその効果等を示しているところでございます。

 委員御指摘いただいた具体的な制度設計につきましては、その御提案も含めて様々なことが考えられるところでございまして、この拠出期間延長の今後の財政検証というものの取扱いについてはしっかりと検討してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 ちょっと先走られている。

 財政検証で検討してもらいたいんだけれども、ここ、払われていないということについて問題意識をお持ちいただいているかということのまず質問です。

福岡国務大臣 委員がそのような問題意識をお持ちであるということについては理解をしております。

岡本(充)委員 大臣はどう思われますか。

福岡国務大臣 ここについては様々な御議論がありますから、そういったことについては様々な御意見をしっかり踏まえた対応をしていく必要があると考えております。

岡本(充)委員 是非ここの部分は、私は、今後、先ほどのマクロ経済スライドの短縮の話がありました。厚生年金加入者にとって、マクロ経済スライド、基礎年金側の、これをそろえていくことは短期的にはマイナスです。しかし、こういう制度を併用することで、厚生年金加入者の年金の受給額は明らかに増えることになります。こういう、もらえていない年金を組み合わせることで厚生年金受給者にもプラスになる、こうした年金改定ができるんじゃないかという指摘をしておきたい。

 是非、そういった意味で、今回は二十四日に結論が出るということでありますけれども、年金のマクロ経済スライドの在り方について、もし見送りになったとしても、改めて、本当は五年後を待たずにもう一度検証、これと組み合わせて考えてみたらどうなるのかというようなところを検討されてみる必要もあるんじゃないかと思うんですが、五年を待たずとも、少し検討してもらうことはできませんでしょうか。

福岡国務大臣 委員の御意見については、傾聴に値する御意見だというふうに思います。

 今、年金部会等でも今後の在り方について様々検討なされているところでございまして、そういったこれまでの検討を踏まえて、今年中に結論がなされるものというふうに承知をしております。

岡本(充)委員 是非お願いをしたいと思います。

 その上で、年金の議論でいうと、まだほかにもいろいろな課題があると思います。財政検証は五年に一度ということになってはおりますけれども、繰り返しになりますけれども、多くの国民の皆さんからすると早くやってほしい課題でもあるということを指摘しておいて、是非対応を求めたいと思います。

 さて、次に、医師不足対策に行きます。

 先ほども介護の話で、大変だという話がありました。医療も結構大変な状況で、地域によっては医師が足りないという深刻な状況が広がっています。

 それで、今回ちょっと少し提案をしていきたいのは、今回の補正予算にも医師の偏在対策が入っていましたけれども、しかし、それだけではなかなか不十分だと。一つの都道府県で医師不足地域が限られていますよというところは、県が頑張ってやっています。私の選挙区の愛知県なんかも、愛知県は一生懸命頑張ってやっていますけれども、あっちもこっちも火の手が上がっている都道府県があるわけでして、そういう状況だと都道府県が対応を仕切るのが難しい、こういうところがあります。

 そういったところで、今回、提案なんですけれども、市町村やいわゆる一部事務組合、これが自主財源を確保する中で、今、現行の医療介護総合確保基金でしたか、この基金を使って、例えば大学に地域枠を設定したりとか、大学に寄附講座をつくり、それを通じて医師の派遣を継続的に求める、こういったことができるような工夫をしていくべきじゃないかと思っています。

 現行の法制度では、この基金に対して、この基金を使用するに当たっては、国が三分の二を出すということだけは決まっていて、残りの三分の一は誰が出すかということは決まっていません。現行、都道府県が出しているわけですけれども、大分、ふるさと納税などで自主財源ができてきている自治体もあるようですから、こういった自治体、市町村、一部事務組合などがこうした基金を使っていくことができるようにしていく工夫も検討するべきだと思いますが、局長、答弁を求めたいと思います。

森光政府参考人 今、医師の偏在につきまして御質問いただきました。

 医師の確保に向けた取組につきましては、地域の医療提供体制の確保に責任を有するまず都道府県を中心として、市町村、大学等の関係者が連携して取り組むことがまず重要であるというふうに基本的には考えております。

 ただ、こうした中、例えば新潟県では、県と市町村の双方の負担によって、国も支援を行いながら修学資金の貸与を行い、貸与を受けた医学生が地域枠卒業後の一定期間、当該市町村の病院で勤務する取組が行われていると承知しております。

 また、今後、地域の実情に応じた実効性のある医師確保対策を進めるためには、市町村の参画が重要であると考えております。この市町村の取組の中には、幾つかの市町村で、今議員が御指摘いただいたような、大学と連携して地域枠を取得して、そして市町村で働いていただく、そういう取組をやっている市町村がございます。

 このような市町村の取組の事例を踏まえつつ、都道府県と市町村が連携した効果的な医師偏在対策に向けてどのような対応が可能であるのか、総合的な対策のパッケージやその後作成しますガイドラインの策定に向けて、関係者の御意見を伺いながら検討していきたいと考えております。

岡本(充)委員 大臣、今の局長の答弁のとおり、まだ工夫はしなきゃいけないとは思いますが、市町村が大学病院と地域枠の設定をしたいとか、市町村が基金を使って医師確保をしたいということを応援してほしいと思います。応援しますと御答弁いただけますか。

福岡国務大臣 そういう各地域の実情に応じた自主的な取組、そういったものが支援されていくような体制をつくっていきたいと思います。

岡本(充)委員 是非お願いします。なかなか、都道府県も一生懸命やってもらっていますけれども、手が回らないところが出てきています。

 それから、これは大臣に是非、これも昨日、通告の際にちょっと事務方にはお話ししたんですけれども、今日も柚木議員の資料にもありましたけれども、北海道の羅臼町の介護は社協だけがやっている。十数人回ったらもう手いっぱい。かなり広いエリアを担当しているということです。現実的に訪問介護が届かない地域が出てきています。

 でも、市町村の一部で提供できたら、それは市町村で丸なんですよ、市町村で丸。つまり、全国千七百余りある市町村の中で、訪問介護ができていない市町村、どこですかといったら、ちょっとでもできたら丸なんです。でも、市町村合併したら広いんですよ。そうすると、そのエリアの中で、その市町村の中でここだけできていたらいいというものじゃなくて、全国で見たら、訪問介護や訪問診療が受けられないエリアがすごく広がっていると思う。だから、市町村単位で見たらほとんどできますということになるんだけれども、どう調べるかというのは非常に難しいです。ただ、現実はどうなっているのかをしっかり見ないと、私、今後の対策にならないと思う。

 ですから、これまでは確かに市町村の一部でもよかったけれども、大臣の地元の佐賀県だってそうなんじゃないんですか。広い市町村はあるんじゃないんですか。そういうところでどうなっているかということをやはりしっかり見てもらいたいと思うんですが、いかがですか。

福岡国務大臣 委員御指摘のとおり、同じ自治体の中でも、全てカバーできているかという話もございますし、仮にカバーしていても、今、人材不足とかでありますから、そこでニーズがある方に十分な人材とかが配置されているか、そういった問題もあるというふうに思います。そういったことを丁寧に見ていく必要はあるというふうに感じております。

岡本(充)委員 本当にすさまじいことになっていますよ。地域の中によっては、もう全然サービスが、訪問医療、診療の方ももうサービスがない。じゃ、どこで自分はこれから療養を続けるのかということを、本当に困惑している人たちがたくさんいますよ。それを厚生労働省は把握できていないんじゃないかと危惧しているんです。

 大臣、そういう危機感をお持ちですか。

福岡国務大臣 例えば、事業所が指定を受けようとする際に、指定権者である都道府県に対して運営規程を提出することとされておりまして、その運営規程において事業の実施地域を定めるということにされております。ただ、先ほどそこについては問題意識としてお示しをされたところでございます。

 今後も、各都道府県においてサービス利用の実態の把握が行われるところでございますが、厚生労働省としましても、各都道府県での十分な実態の把握であったり、それに基づく必要なサービス提供体制が確保されるように、引き続き各都道府県に働きかけてまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 そのペーパーで読むと、そういうことになるんですよ。

 でも、大臣、これはちょっと本当に、実際、自分の選挙区とか九州の各地とか、思い出してくださいよ。本当にサービスが届いていないところはいっぱいありますよ。分かりますよね。だったら、今の把握の仕方が問題があるから、それを見直していかなければ、先ほどの、僕は冒頭にお話をしましたが、社会保障は給付と負担だ、負担はしているけれどもサービスが受けられない人がたくさん出ている、この問題意識をお持ちですかということを聞いているんです。

 大臣、ペーパーを見ずに、これは自分で問題意識を持っているのかどうか、そこですよ。

福岡国務大臣 地域によって必要なサービスを受けることができないということがあってはならないという観点から、私の地元と照らし合わせても、大変な問題意識は持っております。

 その上で、先ほど言いました実態の把握の在り方等も含めて、どういう在り方がいいのか、しっかり検証してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 是非それはお願いをしたい。私も、できる協力はさせていただきたいと思います。

 さて、次は労働安全衛生です。

 これも実態を本当に反映しているのかという問題意識を私、結構持っていまして、私もいろいろな会社の産業医、もう何年も、十何年前、もっと前からやっています、本当に、二十年以上やっていますけれども、この産業医活動をやる中でつくづく思うんですけれども、労働者を守るその職務として、産業医の役割は大変弱いと思っています。

 大臣は、まずちょっと認識として聞きたいんです。先ほど、労働者を守るというのはどうですかと、派遣の話、非正規の話をしましたけれども、労働安全衛生という観点からいって、大臣は、今の法制度、仕組み、これで機能できている、こういうお考えなのか。私は弱いと思います。もっと産業医の立場なり、例えば労働安全衛生コンサルタントの立場なり、もっと言えば社労士さんの立場なり、こういった人たちを強くしていくことが求められるんじゃないかと思いますが、大臣のお考えはどうですか。

福岡国務大臣 現時点での対応が強いか弱いかということについてはお答えを差し控えさせていただきますが、いずれにしても、そういった対応を強化していくということは大変必要なことだと考えております。

岡本(充)委員 なかなか、いきなり、弱いと言ったって、強いと言ったって問題になるから答えにくいというのは分かるけれども、私は、問題意識として、やはり、今からお話をする例えば産業医の制度の在り方について少し議論をしたいと思います。

 産業医は、選任のときは届出がある。だけれども、解任のときには届出がない。したがって、解任をされたかどうか、今現状で産業医がいるかどうか、五十人以上ですか、の選任の義務のかかっている事業所に実際どれだけの産業医が置かれていて、どれだけ産業医が置かれていないか、実際には実数を厚生労働省は把握していないんじゃないかと思うんですけれども、実数ですよ、どうですか。

井内政府参考人 お答えいたします。

 まず、五十人以上の労働者を使用する事業場が産業医の選任義務、まさにそのとおりでございます。

 御指摘ございましたように、解任のときの報告はございません。そういった中で、監督署としての情報の取り方といたしましては、年に一回、定期健康診断の結果報告書が事業所に出されるというときに、産業医の氏名というのが記載されることになっておりますので、それをもって把握するということになっております。

岡本(充)委員 じゃ、把握しているのなら、数を教えてください。一体どれだけ選任が必要な事業所があって、そして、選任されている事業所は幾つで、されていないのは幾つですか。

井内政府参考人 まず、今私が申し上げましたところは各監督署において実態を把握するということで、今委員のおっしゃられたように、全国でどこの事業所がいて、いないかというようなことは、監督署の実数を合計したものはございません。

 その代わりという形ではございますが、労働安全衛生調査というのを実施しておりまして、その中で、産業医の選任義務がある事業所についての選任率というのを出しておりまして、現在、最新のものが平成二十九年、平成五年のものが今集計中でございますが、平成二十九年のものについては、選任率は八四・一%となっております。

岡本(充)委員 今、部長、平成五年と言った、令和五年じゃないの。それぐらい、焦るぐらいなんですよ。これぐらい、実際に把握していますとか言っているけれども、把握できていない。

 実数を足し合わせろと言ったら、監督署からしっかり調整をわあっとやっていって、やるのかもしれないですけれども、アンケートですよ、今の話。だから、一体どのくらい選ばれているか選ばれていないのか分からない、解任も出されていないから。だから、実態をちゃんと調べて、ちゃんと産業医を選びなさい、そして、産業医の活動をちゃんとやっているかどうか見ていくというのも片一方ですよ。それから、やはりこういう実態を踏まえながら、その機能をどう強化していくかというのも必要になる。

 この指摘を大臣にさせていただいた上で、是非、今の在り方、問題を感じていただけたなら、問題があることはよく分かったからしっかり対応したい、こういう答弁をいただきたいと思います。

福岡国務大臣 今、委員の問題意識としては、選任のときの報告は義務づけられていますが、解任時の報告の仕組みがないので、そこにタイムラグが生じているのじゃないかというような御指摘もあったというふうに承っています。

 少なくとも、年一回の労働基準監督署に報告を求めている定期健康診断の結果報告書では、産業医の氏名等も記載することとなっておりまして、これで産業医が現職として選任されているかどうか確認されることができるというふうに考えておりますが、いずれにしましても、しっかり、どうやって捕捉することができるか等は一つの課題だと認識をさせていただいた上で、どういうやり方がふさわしいか、検証してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 是非しっかりやっていただきたいし、もう一つは機能強化をどうしていくかということです。

 いろいろ指摘をする中で、それは無理なことがある、直ちにお金がかかってできないこともありますけれども、しかし、そういった産業医が指摘をすることがきちっと現場の安全に反映していくためのプロセスなのが見える仕組みをつくるとか、是非、そういった仕事の内容面、数の把握と内容面、この二つの対策が必要なんです。二つを検討していただくということで御答弁ください。

福岡国務大臣 御指摘がありましたように、産業医には、労働安全衛生法に基づいて事業者に意見を述べること等の権限が付与されておりまして、医学的に関する専門的知識を有する立場から、労働者の健康管理を行うこととされておるところでございます。そういった仕組みが現場で適切に機能してまいるように、引き続き、制度の周知徹底を図っていきたいと考えております。

岡本(充)委員 よろしくお願いします。

 最後に、介護現場の給食の話をしたいと思います。

 なかなか、本当に食事、大変ですね。もう本当に食費が高騰している。今回、補正予算でお金をつけたと言っていますが、大臣、介護施設での食事、食べられたことはありますか。

福岡国務大臣 恐縮です。食べたことはありませんが、ただ、親族が入所していたりするものですから、そういった中でどういうものが提供されているかをつぶさに見たことはございます。

岡本(充)委員 今、本当にメニューが大変なことになっていますよ。昨日も議論すると、結局、カロリー数とか、たんぱく質の量とか、これは足りていますという話を、文科省も来られていますから後ほどその話をされるんだけれども、それでよかったら、もう本当に、ゼリーだか何だか流動食みたいなものでもカロリー数とたんぱく質量は足りるわけですから。つまり、利用者さんの満足をどう確保していくか、食の楽しみをどうつくるかです。

 今回の補正予算の中で、内数では、内閣府が実施するので、都道府県が実施するのでと答弁を回避される役所の傾向がありますけれども、一体どのくらいの給食費対策、食事の費用に今回の補正予算が回っていくのか。

 大体、介護施設の標準の額が千四百四十五円が一日の食事のお金で、これは人件費も含めてです。私、昨日、フェイスブックに上げましたけれども、議員宿舎で昼御飯を食べたら八百五十円です。千四百四十五円で三食というのは相当厳しいと思う。

 是非、どのくらい今回の補正予算で現場にお金が回ったのか、しっかり調べてほしいということと同時に、介護施設を経営している皆さん方に、こうした予算が使えますよ、都道府県を使って使えますよということを厚生労働省から周知してほしいんですが、大臣、いかがですか。

福岡国務大臣 まず、委員御指摘のとおり、生活するに当たって、食の持つその意味合いというのは大変重いものがあるというふうに思っております。

 そういった中で、今回のこの補正予算においても、重点支援地方交付金において、そういった食材費や光熱費等の物価高騰に対しての対応ができるということでございます。

 今御指摘がありましたように、そういった制度の趣旨、しっかり周知してまいりたいというふうに思いますし、また、それがしっかり食材に反映されているかどうか、これは聞き取りとかによって行うことになってきますが、そこが本当に必要なところに回されているかの検証についても、しっかり検証してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 あと、実態の調査、これはかなり昔の調査なんです。つまり、コロナ前の介護施設の食事の実態調査しかされていない。速やかに行うと言っていますけれども、この急騰している状況の中で、食事がどうなっているのか、まだ調べられていないんですよ。これを速やかに調べてほしい。それを是非、また当理事会などに報告していただきたいと思います。どうでしょうか。

福岡国務大臣 今おっしゃられましたように、コロナ後もかなり急激に物価高騰とか進んでいる状況という問題意識は委員と共有させていただいた上で、速やかな検証がどういう形で可能なのかどうかは検証させていただきたいと存じます。

岡本(充)委員 理事会に報告を求めたいので、委員長、お願いします。

藤丸委員長 はい、分かりました。じゃ、理事会で報告を。

岡本(充)委員 さて、最後に、学校給食の話。

 学校給食も同じです。今回、お金が補正予算でつくという話にはなっていますけれども、学校給食も相当状況が厳しいんじゃないかと思っています。それについて今、一体どうしていくのか。

 例えば、自治体によっては首長さんが給食費を無償にするということを一つのセールスポイントとされている、政策実現だと言ってやっていらっしゃる一方で、その一方で、給食費が安くなってきて子供たちがおなかをすかせているようでは困るわけですね。先ほどの話じゃないですけれども、ゼリーやスムージーにすれば給食費無償はしやすいのかもしれない。でも、やはり子供たちが満足するような給食にしていかなきゃいけないという意味で、今回の予算を使ってしっかりと、若しくはそれ以上、ほかの予算も使ってでも結構ですけれども、学校給食の改善をしていただきたいと思うんですが、文科省、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校給食の実施に当たりましては、学校給食が果たす教育的な意義を踏まえた質の確保と、現下の物価の状況を踏まえた給食費に係る保護者の負担の軽減、この両立を図ることが重要である、このように考えてございます。

 先ほど委員から御紹介がございましたように、今般、補正予算におきまして、重点支援地方交付金のうち推奨事業メニュー分として〇・六兆円計上されたところでございまして、このメニューにおきまして、生活者支援として、物価高騰による小中学生の保護者の負担を軽減するための学校給食費等の支援ですとか、事業者支援として、学校施設等に対する食料品の価格またエネルギー価格の高騰分などの支援に本交付金を活用するといったことが可能となっているところでございます。

 文部科学省では、今月の四日になりますけれども、重点支援地方交付金の活用につきまして通知を発出をいたしまして、その際、その中では、現下の食材費の高騰が続く中でも学校給食の質が確保されるよう、各自治体にお願いをしているところでございます。

 引き続き、地域の実情に応じた支援につなげつつ、学校給食の質の確保、そして保護者負担の軽減の両立を図ってまいりたいと考えているところでございます。

岡本(充)委員 本当に物価対策、是非よろしくお願いします。

 終わります。

藤丸委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきです。

 それでは、質問をしてまいります。

 先ほども柚木議員から御質疑がありましたマイナ保険証等に関連するところでありますけれども、私も、十二月十一日、予算委員会でこれを総理に質問し、大臣もお答えいただきましたけれども、前向きに答弁をしていただきました。そして、もう柚木議員のところで御回答が出ましたので、十二日に発出をしていただいて、資格確認書でもこれまでどおりの医療が受けられるということを、周知を更にしていただいたということは理解をいたしました。

 その中で、私、今、資料にはつけておりませんので、先ほどの柚木議員の資料の一つでありますけれども、これを、黄色い紙を、マイナ保険証をお持ちでなくても、これまでどおりの医療をあなたにという発出をしていただいたわけですけれども、これはポスターを送られたわけでもなければ、ただホームページのURLを張って医療機関や薬局に送られたという意味なんだろうと思います。

 それについてもお答えいただきたいのですが、もう一点、大変、これは資格確認書という言葉を改めて小さく書いていらっしゃるのではないかということが思われます。皆さんが見て、マイナを持っていない方には資格確認書が送られてくるよ、だからこれを使えるんです、もちろん今までの従来の保険証でも一年間はいいんですけれども、そのことが分かりにくい。

 タイトルに、資格確認書で、マイナ保険証をお持ちじゃなくても医療が受けられますということをしっかりと書き込んでいただきたい。ほかも資格確認書という言葉はありますけれども、小さ過ぎて分かりません。これを変えていただきたい。検討を是非お願いしたいのと、きちんとポスターを作っていただいて、さっきのマイナ保険証のポスターの隣に、資格確認書ということでも受けられるということを明示をできるように、医療機関それから薬局でお願いしたいと思いますが、大臣の御見解をお願いします。

福岡国務大臣 先ほどのリーフレット、そしてポスターにもしていただけるデータと併せて、政府広報等でも今周知に努めているところでございます。そこの中では、これまでどおりの医療をあなたにというような書き方をしています。

 今までマイナ保険証に移行された方でも、従来どおり、資格確認書の方でも不自由なく医療を受けていただく、そのためのアナウンスがどういう形が一番伝わるのかということについては、引き続き、様々な方々の御意見を賜りながら考えていきたいと考えています。

早稲田委員 そういう事態ではなくて、今、資格確認書ということが送られてくるということもお分かりにならない方もたくさんいらっしゃいます。また、医師の中でも、資格情報のお知らせ、これとの違いが分からない、そういうふうに思っていらっしゃる方も大勢いらっしゃいます。だからこそ、このせっかく作っていただいたのをもっと拡大して、そして、資格確認書で受けられるんだということを明示していただく検討をしていただきたいということを御質問させていただいています。

 なぜなら、マイナンバーカードは任意でありますから、これを、保険証を強制的にすることはできないわけでありますので、改めて、資格確認書ということをタイトルに入れて、分かりやすく、そして大きなポスターを前のマイナ保険証と同じに送っていただきたいと思いますけれども、大臣、その御検討をしていただけますねということを御確認させていただきます。

福岡国務大臣 限られた情報ソースで発信するときに、いろいろな情報が入っていたら混乱する部分もございます。どういうやり方だったらこの新しい制度がよく御理解いただけるか、その御指摘も踏まえて今後の対応については検討してまいりたいと思います。

早稲田委員 是非検討してください。資格確認書で受けられる方がいらっしゃいます。いらっしゃいます限りは、そこが分かるようにしていただくのが政府のお仕事ではないかと思いますので、強く要望させていただきます。

 次に、介護であります。

 これも予算委員会でやらせていただきましたし、今、各議員からも御質問がたくさん出ておりますが、私、資料をつけさせていただきました。まず、二の方を御覧いただきたいと思います。

 つまり、この配付資料のように、訪問介護でサ高住それから有料老人ホームなどの大規模集合住宅へのサービスを提供する事業所は収益を上げている実態がWAMの調査でも明らかになっています。そして、黒字と赤字の事業所では利益率の差は大きく、訪問介護は他のサービスに比べて利益率が高いとして基本報酬を四月に削減をいたしましたけれども、その根拠が揺らいでいることが分かるのではないかと思うんですね。

 これをしっかり見ていただきたいと思います。四月の報酬改定で、厚生労働省は、訪問介護について、別の調査で七・八%と高い利益率だったから報酬を下げたといつも説明をされておりますけれども、ナンバー一の資料を御覧いただければ、七・八%のところは訪問回数が月千二百回以上の事業所であります。そして、これは平均値の七・八ですけれども、中央値四・二で見れば、大半が月に四百回未満の、そういう小規模事業者。そして、赤字が非常に増えているということで、倒産件数も廃業も過去最多になっているのは大臣もよく御存じのとおりだと思うんです。

 ですから、今やっていらっしゃる調査の中で、そこを分かるようにきちんと調査をしていただきたい。九月十二日の介護給付費分科会では、日本介護福祉士会を始め多くの委員から、サ高住などの大規模集合住宅への効率的な訪問介護と、それから、点在をする、先ほどもお話があったように、本当に、バスやそれから自転車で回っていただいている方たちが、地方だけでなく都市部でもたくさんいらっしゃいます。そういう事業所については分けて調査をすべきではないか。

 そして、今、厚生労働省の調査票では移動時間をお尋ねでありますけれども、それだけでは足りません。都市部の集合住宅の訪問介護と個人宅への訪問介護の違いの分析が十分にできるような、そうした調査を、はっきり違いが分かる調査をしていただいて、この基本報酬引下げ、それから、私たちはこれを期中改定もしてほしいと要望しておりますけれども、そうしたところにつなげていただけるように、実態がきちんと分かる調査をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

福岡国務大臣 委員御指摘のとおり、地域によって、例えば事業規模等によって、様々に経営実態が差があるということは御指摘のとおりであります。私の地元も、当然、離島もありますし、中山間地域もあります。そういう中で、しっかりサービスが行き届いているかどうか、大変大切な視点だというふうに思っています。

 御指摘のとおり、介護報酬改定の影響については、実施中の改定調査において、訪問に要する一回当たりの平均移動時間や併設する介護サービスの有無、集合住宅に居住する利用者の人数について尋ねる調査項目も設けてございます。今、それで調査をかけています。

 そこで、不十分だという御指摘もありました。今後また、そういった中で、どういう点をどういうふうに改善したらいいのかというところについては御指摘を賜ってまいりたいというふうに思っていますが、まずは、足下の今の調査で実態がどう出るかということをしっかり捕捉してまいりたいと考えております。

早稲田委員 分からない調査をしていただいても意味がないので、是非、分かるようにそこのところはやっていただきたいと思います。そうでないと、本当に今、介護崩壊の危機にございます。そして、地域包括ケアシステムが机上の空論だとも言われておりますので、そうならないように、今、本当にここで踏みとどまっていただくには、この調査結果が大変重要でありますから、それも含めて、今のやり方をきちんといい方向に変えていただきたい。

 それから、山根教授が提案されているように、移動時間に加算を検討すべきではないか。こうしたことも検討の大きな課題だと思いますけれども、これについて、大臣のお考えをお願いします。

福岡国務大臣 訪問介護の介護報酬は、移動も含めたサービスに要する平均的な費用の額を勘案して設定することとしております。その上で、今年度の介護報酬改定では、中山間地域や離島など、やむを得ず移動距離等を要し、事業運営が非効率にならざるを得ない地域に配慮した報酬としております。

 そういった中で、現在実施している改定検証結果を含め、現場の実態を丁寧に把握しながら、課題にしっかりと対応してまいりたいと思います。

早稲田委員 今、配慮しているとはおっしゃいましたけれども、小規模事業者の地域密着型のサービス、これをきちんと、廃業を防ぐためには、やはり自宅を回る訪問介護に手厚く報酬が払われるべきでありまして、そこはまだまだ不十分であるということは大臣もよく御存じだと思いますから、そこも含めて、もう一度再考していただきたいと思います。

 それから、総理は、十二月三日の経済財政諮問会議で、医療・介護提供体制の課題を検討し、来年の通常国会へ法案提出ということを厚生労働大臣に指示をしたという報道がございました。この中身でありますが、介護の提供体制の課題の中には、前政権の岸田政権のときの全世代型社会保障構築を目指す改革工程がもちろん入っております。明記されております。この中に、要介護の一、二、これの自治体の地域支援事業に移行される検討が、二〇二七年までに結論とされておりますけれども、これが含まれているのか、その指示の中に。

 今、訪問介護の危機的な状況であります。その中で、要介護一、二を自治体の支援事業に移行させるべきではないと私たちは考えておりますけれども、大臣のお考えを伺います。

福岡国務大臣 今御指摘がありました、要介護一、二の方々への生活援助サービス等に関する給付の在り方については、昨年末に策定いたしました改革工程において、第十期介護保険事業計画期間の開始であります二〇二七年度までの間に検討を行い、結論を出すということとされております。

 また、介護保険制度が全ての世代にとって安心なものとなるよう、サービスの質を確保しつつ、給付と負担のバランスを取り、制度の持続可能性を維持することは大変重要だというふうに認識しておりまして、引き続き、運営主体であります市町村の意向であったり、利用者への影響等を考慮しつつ、関係審議会等での過去の議論や関係者の御意見を踏まえながら、丁寧な検討を進めてまいりたいと考えております。

早稲田委員 残念ながら、御答弁がいただけていないと思います。

 市町村も、それから事業者も、とんでもない、これはやめてほしいと皆さんおっしゃっています、もうこれ以上、報酬が下がるということにつながりますから、自治体移行ということは。その中ですから、絶対にこれは岸田政権の方針をそのまま踏襲するのではなく、もう一度、介護崩壊の危機にある現在だからこそ、ゼロから見直していただきたいということを強く要望させていただきますので、御検討ください。

 それから、時間がないのでケアマネの質問は飛ばしますけれども、ケアマネに関するものでありますけれども、これは処遇改善加算を算定している事業所のみが今回の補正でも対象でありますので、居宅介護支援事業所は対象となっておりません。ケアマネの賃上げに関しても、独立したケアマネさんについては対象ではありません。

 しかしながら、やはりケアマネさんの、これは介護職のキャリアパスにも位置づけられている方々ですから、この報酬も決して高いわけではないので、ここの三の資料にございますように、他の産業、同業他種に見劣りしない処遇改善の確保というのが言われておりますから、是非これも御検討をいただきたいと強く要望させていただきます。

 それでは、能登地方の被災地における介護、福祉分野、私も十六日に視察をさせていただきましたので、何点か質疑をさせていただきます。

 昨日は、天皇皇后両陛下が訪問されて、皆さんをお見舞いをされたということでございました。改めて、亡くなられた皆様に御冥福をお祈りし、そしてまた、今なお復興の途上にある、本当につらい思いをされている皆様、被災地の方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 その上ででございますが、私も、日本介護福祉士会のお計らいをいただきまして、介護福祉士でもあります尾辻かな子議員とともに何か所か視察をさせていただきました。実は、障害者グループホームで福祉避難所になっているところ、これは輪島市でございました、それからまた、能登町の方では、みなし避難所となったケアホーム、グループホーム、こちらの方からお話を聞いてまいったわけでございます。

 いろいろ先ほども御議論がありましたけれども、現在の災害救助法には福祉の概念が入っておりません。保健、医療しかありません。そのために、その避難所に対して、DWATとかDCATとか、被災地から要望を受ければ、そうしたスキームはございますし、先ほどもいろいろ御議論があったとおり、一応制度はできている。スキームはできているし、そうした方たちも、たくさん今回は派遣をして行っていただきました。でも、現場の方からは、やはり全国から県社協に登録された中から県社協がマッチングをして送る介護、福祉職員の応援派遣というものがなかなか能登ではスムーズに行われなかった、もちろん地の利の関係もございますけれども、そういうことが行われていなかった、あるいは適材適所でなかったということも言われております。

 これを、適時適切に全国から被災地に介護や福祉の人材の支援が行われるように、私たち立憲民主党は、災害救助法に福祉の概念を入れる法改正を検討をしております。その改正が行われれば、災害派遣の福祉チームや介護、福祉職員の応援派遣に法的根拠となりますことから、能登を含む被災地への派遣がスムーズに適時適材に行われるのではないかと私どもは考えておりますが、大臣、その点についてどのような御見解をお持ちか、伺います。

福岡国務大臣 私も実際、能登にお邪魔させていただく中で、厚生労働分野においてもまだ様々な課題があるということは実感してまいりました。

 現在、福祉的支援の充実、円滑化を図るため、内閣府を中心に、政府において、災害救助法で想定される救助活動に福祉の観点を盛り込み、国庫負担の対象を拡大することが検討されております。

 一方で、御党で御検討されている法案については、今後国会で御議論いただくべきものであり、私の所見を述べることは差し控えさせていただきたいと存じますが、いずれにしても、厚生労働省としては、災害時においても高齢者の方や障害者の方々の要配慮者への支援が着実に行われるよう、内閣府と連携しながら、DWATの活動範囲の見直しを始め、必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

早稲田委員 大臣も、もちろん、ずっと被災地でお仕事をされてきたからこそ、よくお分かりだと思いますけれども、福祉の視点ということが入ることによってもっと進むことがございますので、是非、ここのところは与野党を超えて、皆さんで前に進めていくように、大臣にも応援をいただきたいと思います。

 その中で、まず、厚生労働省は、被災地の介護、福祉分野の人手不足がもちろん深刻でありますので、それに対してかかり増し経費の補助というものもしていらっしゃいますけれども、現場の声としては、賃金、処遇改善だけでは人は来ないんだ、泊まるところもないしというところのお話も大変多くあります。

 その上で質問いたしますが、学校の寮とか、それから使われていない特養の施設、これが活用されて、エッセンシャルワーカーの住まいとなっているということも承知はしておりますけれども、さらに、仮設住宅ですね。これは、入居者の方が出ていかれる、ある程度の時期が来たら出ていかれるし、また、退去した空き室も出ているはずでございます。こうしたところについては、ボランティアの方の支援ということも必要でしょうし、エッセンシャルワーカーの方を、ここに泊まることはできないかということの御意見も大臣の方もいただいているんじゃないかと思います。

 これは、目的外使用となって補助金が返還の対象となるということで、県がちょっとやはり及び腰だということでありますけれども、是非、大臣におかれては、内閣防災の方とも連携をして、現場で運用の幅が広がるようにこれを進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 今御指摘のとおり、仮設住宅については、その補助金は内閣府が所管しておりますが、ただ、通常、被災自治体からの要望戸数を踏まえて、必要数を精査して仮設住宅というのは建設するものでございまして、まず一義的には、やはり希望する被災者を丁寧に把握して入居を促進することが必要なことから、原則としてエッセンシャルワーカーの方々の利用は控えていただいています。

 一方で、今問題意識としておっしゃられたように、被災者の方が退去した後に入居希望者がいない場合など、仮設住宅に当面の空室が生じている場合には、被災者を支援するという本来の目的を逸脱しない範囲内で、エッセンシャルワーカーなど、被災者以外の方も目的外使用で入居いただくことはあり得るということとしておりまして、御指摘のようなケースにも、状況に応じて対応できるものと承知をしております。

 そういった、被災者を支援するという本来の目的を逸脱しない範囲で入居可能であるということの周知については、内閣府とも連携を図りながら、しっかり対応してまいりたいと存じます。

早稲田委員 問題を共有していただけたと思いますけれども、是非、内閣防災と連携をして、こうしたことも逸脱しない範囲でできるんだということを通知を出していただきたいと思いますが、もう一度、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 その対応の在り方については、内閣府ともしっかり精査をしてまいりたいと存じます。

早稲田委員 前向きに是非御検討をお願いしたいと思います。もうこれから冬の時期で、なかなか、ゲルテントもたくさんございましたけれども、そこで泊まるのもきついだろうなという思いを強くいたしましたので、大臣には、仮設住宅の目的外使用でありますけれども、是非お願いしたいと思います。

 それから、東日本大震災のときのように、被災地の事業主に対して社会保険料の減免をしてほしいという声もございます。これについて伺いたいのが一点です。

 それからもう一つ、能登の創造的復興タスクフォースに、厚生労働省は労働部局の方は参加をしていらっしゃる。もちろん会議体には厚生部局もいらっしゃるようですけれども、常駐ということで厚生部局の方にも是非参加をしていただきたいという声も上がっておりますので、二点、続けてお答えをいただきたいと思います。

福岡国務大臣 社会保険料につきましては、社会保険制度が、被用者を保障するための費用を事業主と被用者が納める保険料によって支え合うことを原則としていること、年金や医療等の給付は経済状況にかかわらず継続していかなければならないことから、基本的には、減免という形ではなく、納付期限の延長によってこれまで対応させていただいているところでございます。

 今回の能登半島地震においては、石川県及び富山県に所在する事業所については、社会保険料の納付期限を延長する措置を講じてきたところでございまして、こうした制度を適切に運用するとともに、引き続き、被害状況や現場の御意見も踏まえながら、復興に丁寧に取り組んでまいりたいというふうに思います。

 また、議員御指摘のとおり、被災地における多様なニーズを的確に把握し対応していく観点から、厚生分野の本省職員が被災地に常駐すること、そのこと自体についてはかなり難易度が高いというふうに考えておりますが、石川県庁や能登六市町と密接な連携を図りつつ、機会を捉えて現地に赴くなど、被災地の多様なニーズを丁寧にお聞きしながら、被災地に寄り添った対応を行ってまいりたいと考えております。

早稲田委員 社会保険料の減免ではなくて延長をしているということでありますけれども、この被災で本当に残業時間が増えている中でありますので、是非そうしたお声にも御検討をいただきたいということを申し上げておきます。

 それから、タスクフォースについて常駐、非常に厳しいけれどもというお話はありましたけれども、是非これも、現場の声を聞いたからこそ、私もこうやって質問ができる、こんなにまだ大変だということが分かるわけなので、是非お願いしたいと思います。

 例えば、みなし避難所になったところでは、この非常事態であるのに国も支援をしてくださると。みなし避難所に対して来た方、そういう方たち、避難者に対しては一日当たりお一人三百八十円。元々の利用者の方からは利用料を大体二千円ぐらいいただいているということで、この三百八十円というのがこの物価高、食料品高騰の中でどうなんだろうということを大変おっしゃっていました。そして、そういうことも変えていくのも、やはり現場を見ていただければこそ分かることではないかと。

 それから、そのときに、非常事態なのに国に出す資料が膨大で、本当に、ボランティアをしているのに、更にこの資料を書くんじゃもう出せないねということでやめてしまうこともあるということでありますから、そうしたところももっと簡便にしていただけたらと思います。要望を強くさせていただきます。

 それから、最後でございますが、障害年金についてであります。

 五年に一度の年金法の大改正ということがありまして、障害年金の方が見直されれば四十年ぶりということでありまして、これが今まで見直されていなかったということについて、大変いろいろ御心配もずっと続いてきたわけですね。その中で、今、障害年金を見直すと年金局の幹部がおっしゃっているということもあり、大変障害団体の方からは期待の声が上がっております。

 非常に、現行の障害年金の水準では、働いて収入を得ることができない障害者の方にとっては、生活を維持できない、大変だという声が皆様のところにもたくさん今までも届いていらっしゃることと思います。特に、発達障害、精神障害、高次脳機能障害、それから失語症、こうした当事者の方からは、認定基準が厳しくて、障害によって大きく収入が減った方にとっては、障害年金生活者支援給付金の上乗せ分を含めても、とてもとても十分ではないと意見が届いております。このことについて大臣の見解を伺いたい。

 もう一つは、機能障害のみに着目をしているのではなくて、是非、社会モデルとしての視点を盛り込む、こうした認定基準というものをしていただきたいと思うことであります。これについての御意見が一点。

 それからもう一つ、最後は、年金の改定に当たっては、検討会に障害当事者を是非入れていただきたいと思いますので、この三点、まとめて伺います。

福岡国務大臣 障害年金に関しては、委員御指摘のとおり、障害者団体の方から様々な御意見をいただいていることについては承知をしてございます。

 障害年金においては、様々な障害の方がいらっしゃいますが、障害の程度を公平に認定するため、障害の分野ごとに障害認定基準を定め、それに基づいて個別具体的に判断を行っているところでございます。

 障害認定基準は、最新の医学的な知見や障害者手帳の認定基準の見直し内容を踏まえ、随時見直しを行っており、今後も、様々な御意見を踏まえながら、公平で個別の事情も踏まえた適切な認定に向けて議論を深めてまいりたいというふうに考えています。

 年金額については、通常は加齢に伴って起こる稼得能力の喪失が現役期に障害状態として到来したことへの対応として、老齢年金と同水準であることを基本としつつ、障害一級の方はその一・二五倍とするなど、配慮しているところでございます。

 さらに、障害をお持ちの方については、社会保障制度全体で総合的に支援していく観点から、御指摘の年金生活者支援給付金の支給に加え、所得が一定額以下の方には、特別障害者手当の支給や、医療保険、介護保険における保険料軽減措置といった支援措置を実施しております。

 引き続き、どういう形が適切なのかについては、検証を深めてまいりたいというふうに思っております。

 そして、障害年金につきましては、個人の心身の機能障害に着目する医療モデルか、社会における障害に着目する社会モデルかという二者択一にこだわることなく、主治医が作成する診断書に加えて、本人や家族が直接記載する様式を提出していただくことにより、機能障害のみならず、日常生活の状況等を詳細に把握した上で障害等級の認定を行ってございます。

 認定に当たりまして、そういった要素をどのように評価するかについては、客観性や公平性を確保する観点から、具体的な障害認定基準を策定し、必要に応じて見直してきたところでございまして、今後も、その基準の見直しについては、様々な御意見を踏まえて取り組んでまいりたいと考えております。

早稲田委員 お答えになっていない三点目、お願いします。

福岡国務大臣 済みません。次期改正に向けた年金部会での検討では、障害年金の知見も有する専門家に御参加いただき、ヒアリングも含め、様々な御意見を伺いながら議論を進めてきたところでございます。

 その上で、七月の年金部会では、障害年金につきまして、様々な障害がある中で、公平で客観的な認定判断の必要性、障害年金の目的や認定基準の在り方、他の障害者施策との関連、社会保険の原理との関係といった視点について更に議論を深める必要があり、社会経済状況や医療技術の進歩等も踏まえながら引き続き検討することで意見が一致しているところでございまして、年末の取りまとめに向けて丁寧に議論していきたいと考えております。

早稲田委員 終わりますが、最後、適切な基準、それから、こういう御検討をいただくに当たっては、やはり当事者の方をいつも厚生労働省としては入れていただいて、みんなで話し合っていただいていると思います。ただ、また年金部局というのがそういう風土にないのかどうか分かりませんけれども、有識者だけではなく、当事者の方を是非入れた検討会をお願いしたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 久しぶりの厚労委員会の質疑になりますので、私もいろいろ地元でいただいている御意見等がありますので、それに基づいて質問していきたいというふうに思っております。

 まず、私、健保連愛知の皆さんと定期的に意見交換する場を毎年持っているんですけれども、そこでいただいた御意見を基に質問したいんですが、実務を担っている皆さんの生の声というのはやはり説得力があるんですよね。そこでいただいた御意見をまずお聞きしたいんです。

 まず、雇用保険制度の育児休業給付金と健康保険制度の傷病手当金、これは制度が別ですから併給を受けることができるということなんですが、受給率でいくと、併給を受けると、休んでいない人よりもたくさんもらえちゃうんですよ。これは制度が違うからしようがないんだということなのかもしれないですけれども、職場の同僚からすると、あいつ休んでいるのに俺らより給付をたくさんもらっているって、これはやはりちょっと納得がいかないですよね。

 ですから、これは制度が違うから仕方がないというので済ませられる問題なのか。私はそうじゃないんじゃないかと思うんですが、その前提として、まず、併給を受けているケースが年間どの程度あるのかというのをちゃんと厚労省は把握しているのか。それから、この併給を受けるというのは、やはり今言ったように、職場の皆さんからするとなかなか納得がいかない部分はあるんじゃないか。この点について、お答えをいただきたいと思います。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 現場の方からいろいろな御意見を御紹介いただきまして、ありがとうございます。

 委員御指摘の点でございますが、雇用保険制度における育児休業給付、これは、育児休業の取得に伴う賃金、収入の喪失を失業に準じた職業生活の保険事故として捉え、労働者の生活及び雇用の安定を図る目的で支給しているものであります。また、傷病手当金につきましては、疾病等のため労務不能になり、一時的に収入を喪失した場合の生活保障、これを目的とするものでありまして、両者の目的が異なることから、現行制度におきましては、おっしゃるように併給調整は行っておりません。

 例えば、何らかの疾病に罹患し、休職を余儀なくされ、傷病手当金を受給している最中に育児休業給付も受給することになるというケースも考えられ、それぞれの制度の趣旨に鑑みると、その併給が一概に問題であるとまでは言えないと考えておりますが、今先生御指摘がありましたように、結果として休業前の賃金を上回る給付、こういったものを受けるようなケースもあることをどう考えるかといった点も含め、今、実態について、まずは、どのような実態があるのか、可能な範囲で把握をさせていただきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

大西(健)委員 これは、まず、今の御答弁で、制度が違うからというのがあるんですけれども、縦割りになっているというのがあるんですけれども、要は、じゃ、年間どれぐらいの人が併給を受けているかというのも、厚労省さんとしては実態を把握されていないんですよね。

 今おっしゃっていただいたみたいに、私は併給は駄目だとは言いません。でも、併給を受けて一〇〇%を超えるというのは、これはちょっとさすがに理解が得られないと思いますので、そこは、例えば、併給を受けた場合には、その受給率を一〇〇%に収めるようにちょっと変更するとかというのはテクニカルには何かできるんじゃないのかなというふうに思いますので、そこは是非御検討をいただきたいなというふうに思っています。

 それからもう一つ、これもなるほどなと思うんですけれども、任意継続被保険者制度、いわゆる任継というのがありますけれども、これはそもそも、健保連の皆さんからは、任継の加入期間については二年から一年に短縮すべきじゃないかとか、そもそももう任意継続被保険者制度というのはやめてしまった方がいいんじゃないかという御意見もあるんですが、それはそれとして、例えば懲戒解雇になったような場合にも任意継続にしてやる必要があるのか、こういう疑問の声が現場からあるんですよ。

 だから、会社に迷惑をかけて懲戒処分になった人を二年間会社の健保に入れてくれというのは、これはちょっと厚かましい話だと思うんですけれども、こういうのは、じゃ、その任意継続被保険者制度を存続させるにしても、例えば除外事項とかにできないのかというふうに思うんですけれども、大臣、これはそう思いませんか。

 懲戒を受けて会社に迷惑をかけた人を最大二年会社の健保に入れておいてあげなきゃいけない、これはなかなかちょっと職場感覚からすると納得できないというのは私は当然だと思いますが、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 任意継続被保険者制度については、退職後も任意継続被保険者として健康保険組合に加入することで、被保険者が国民健康保険への移行に伴い保険料負担が増加することを緩和するという意義を持っているというふうに考えております。

 こうした趣旨を踏まえれば、仮に懲戒解雇により退職となった方であっても、退職後一定期間、任意継続被保険者として引き続き健康保険組合に加入することを可能としていることは、一概には不合理とは言えないというふうに考えておりますが、今先生おっしゃったように、現場の方々のいろいろな温度感とか等もあると思いますので、丁寧なコミュニケーションを重ねていきたいと考えております。

大西(健)委員 まさに、健保から国保へ移ったら負担が増えるから、その激変緩和のためにやってあげるということですけれども、でも、そこに会社の事業主負担の保険料も発生するわけですよね。さっき言ったように、会社に迷惑をかけて懲戒になった人に何でそこまでやってやらなきゃいけないのか……(発言する者あり)発生しないのか。発生しないんですか。ごめんなさい。でも、そこまで除外事項とかにしても私はおかしくないんじゃないかなというふうに思いますので、ここはちょっと、是非、職場のこういう御意見も真摯に受け止めていただきたいなというふうに思っております。

 それでは次に、アレルギー疾患対策、先ほどの早稲田委員の配付資料にもあったんですけれども、多分、時間がなくてできなかったんじゃないかなと思うんですけれども。

 本年はアレルギー疾患対策基本法ができて十年という節目の年に当たるということなんですが、そこで、非常にアレルギー疾患の中でも多くの方が悩んでおられるアトピー性皮膚炎というのがありますけれども、アトピー、軽いものから重いものまでありますけれども、特に中等症以上、中等症、重症の方というのは、それが原因でいじめや引きこもりの原因になったりとか、就職や結婚にも影響するということから、早い段階から適切な医療につなげていくということが私は極めて重要じゃないかというふうに思っています。

 近年では新薬なんかも次々に出てきているということなんですが、その新たな治療法を患者が知らないということも多いというふうに聞いています。ほとんどの患者さんがそういう先進的な治療にアクセスできていないのが実情だというような指摘もあります。

 また、皮膚科の開業医さんたちも、皮膚科というのは患者当たりの単価が余り高くないので、言い方は悪いですけれども、回転率を上げていくというのが皮膚科のビジネスモデルだということを聞くんですけれども、そうすると、なかなか、わざわざ高額な新しい治療について時間をかけて説明するという何かインセンティブがないんじゃないか、こういう指摘もあります。

 そういう中で、中等症以上のアトピー患者が適切な医療にアクセスできているのかどうか、まずこの実態調査を行った上で、そして、適切な治療法にアクセスできるような効果的な患者への周知を行うべきというふうに考えますが、この点、厚労省、いかがでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のアトピー性皮膚炎でありますけれども、関係学会の方で、症状に応じた治療法を含めてガイドラインが定められております。医師はそれに応じて適切に治療を行っているというふうに考えておりますけれども、厚生労働省といたしましては、先生御指摘のように、新薬を含めて、患者様にとって最適な治療方法を患者様自身がよく知っておくという機会をつくることは重要だと考えておりまして、ガイドラインの方を作成しています関係学会の方で、ウェブサイト、アレルギーポータルというものを策定して周知をしているところであります。

 厚生労働省では、こういったウェブサイトの周知、これを更に進めていくとともに、関係学会とも連携して、実際に説明の内容などがどのようになっているかということを把握するように努めてまいりたいというふうに思っております。

大西(健)委員 適切な治療法等を伝えるとともに、やはり早い段階でやるということが私は重要だと思うんですよ。

 ですから、そういう意味では、例えば一歳半健診とか三歳児健診とか、いろいろな機会がありますよね。例えばそういうときに、今答弁の中にあったアレルギーポータル、ここに行けばいろいろな情報が載っていますよとか、そういう適切な周知というのは本当に行われているんだろうか、そういうことをまず私は確認すべきじゃないかというふうに思うんですけれども、その実態把握のところをちょっともう一回、いかがですか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたけれども、まずは、かかりつけ医とか主治医の方からどういうふうに患者様に説明しているかということは、実態を確認していきたいと思っております。

 その上で、ポータルサイト、国民の方が広く御覧になれるものでありますので、患者様に限らず、広くこういったことを周知を図ってまいりたいと思っております。

大西(健)委員 よく石破総理が、何か、周知していても知られていなければ周知していないことと一緒だみたいな答弁をよくされていますけれども、アレルギーポータルがありますよと言ったって、それは誰でも見れますよ、それはウェブサイトだから誰でも見れるんだけれども、そこに載っているということを知らなかったら見ようがないんですよ。

 だから、やはりそこは、今言ったように、例えば三歳児健診だったら、重いアトピーだったら多分その頃から症状があって、かきむしって大変なんですみたいな相談とかがあると思うんですよ。だから、そういうやはり適切な周知の方法というのを私は考えるべきだと思います。

 それでは次に、闇バイトによる凶悪犯罪、これが大きな社会問題になっていますけれども、その背景に、若者がオンラインカジノで多額な借金を負って闇バイトに手を出している、これが指摘をされています。

 政府は、闇バイト対策として、昨日もニュースに出ていましたけれども、仮装身分捜査の導入等を検討しているということですけれども、取締りの強化とともに、やはり元を断たなきゃいけない。元を断つということは、つまり、ギャンブル依存症対策を強化することが犯罪の抑止にも私はつながっていくんじゃないかというふうに思っています。

 この点、現行のギャンブル依存症の対策予算ですけれども、これは厚労省にある依存症対策予算、これはアルコール依存症、薬物依存症、全部ひっくるめての依存症対策予算ですけれども、ちょっと少な過ぎて、私はこれでは焼け石に水だと思っています。

 中でも、依存症の当事者や家族が治療や支援につながるような啓発であったりとか、あるいは相談支援を実際に行っている民間団体、例えばギャンブル依存症問題を考える会、昨日、院内集会をやっていましたけれども、院内勉強会ですかね、やっていましたけれども、そういうところに、民間団体にもっと手厚い支援をすべきだというふうに思います。

 例えば、昨日、その勉強会では、実際、大学生でオンラインカジノとかスポーツベッティングにはまってしまった子が体験談を言っていましたけれども、自分のスマホにオンラインベッティングのアフィリエイトがいっぱい出てくるので、それでそこから入っちゃったと。じゃ、例えば厚労省がやっている啓発のアフィリエイトがスポーツベッティングのアフィリエイトよりたくさん出てくればいいんですけれども、多分、予算が少な過ぎて全然出てこないんだと思うんです。

 ですから、そういう意味で、ギャンブル依存症対策の予算、大幅に増額すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 委員御指摘のとおり、令和六年度予算については、ギャンブル等依存症を含む依存症対策全体の推進予算として八・四億円を確保してございます。その中では、民間団体への支援であったり、普及啓発の実施、地域の指導者等の養成、研修や、依存症に関する調査研究の実施などに予算を確保してございます。

 その中で、今委員の問題意識としておっしゃられましたように、相談支援や普及啓発等に全国的に取り組む民間団体を支援するための予算につきましては、令和七年度概算要求において増額を要求しているところでございまして、引き続き、総枠の確保も含めて、ギャンブル等依存対策にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

大西(健)委員 是非お願いしたいと思います。

 次に、地元の放課後等デイサービスの事業者から御相談があった件なんですけれども、その事業者は比較的重度の児童についても受け入れているそうなんですが、最近、他のところに行ったけれども重度を理由に断られて、たらい回しにされて、そして、わらをもすがる思いでたどり着いてこられる方が増えていると。放デイの経営者の中には、軽度を優先して手のかかる重度の児童は断る、こういう傾向があるんじゃないか、でも、これでは、よりサービスが必要な重度の皆さんが後回しになって行き場が失われてしまうと。

 例えばですけれども、これは全然違いますけれども、特養だったら入所要件が要介護三以上じゃないと入れないという話ですけれども、放デイについても、例えば定員のうち一定数以上は中重度の児童を優先して受け入れるとか、何か工夫しないといけないんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点について、こども家庭庁に今回移っているということで、こども家庭庁に来ていただいていますので、いかがでしょうか。

源河政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、重度の障害のある児童も含めて、障害種別や障害の程度を問わず、身近な地域で必要な支援を受けられるように体制を整備することが重要であるというふうに考えております。

 このため、今年四月に施行された改正児童福祉法においては、児童発達支援センターを地域における障害児支援の中核的役割を担う機関として位置づけ、地域全体の障害児支援の質の向上を図るとともに、地域全体で障害児とその家族を支える体制の整備を推進しております。

 また、令和六年度障害福祉サービス等報酬改定におきましても、放課後等デイサービスを含め、著しく重度の障害児が利用した場合などを評価する加算を創設したところでございます。

 引き続き、重度の障害児を含め、身近な地域で必要な支援を受けられるよう努めてまいりたいと思います。

大西(健)委員 なかなか、放デイについては、余り質のよくない事業者がいっぱい入ってきたりとか、いろいろな問題があるんですけれども、引き続きよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 次は、配付の記事を御覧いただきたいんですけれども、これは九月の毎日新聞ですけれども、共同通信の調査で、就労継続支援A型事業所が三月から七月に全国で三百二十九か所閉鎖されて、働いていた障害者、少なくとも約五千人が解雇、退職になったという記事であります。

 これは、記事の中にもありますけれども、今年の四月の報酬改定で、事業収入で障害者の賃金を支払えていない場合の報酬を大幅に引き下げた結果、経営が成り立たなくなった事業所が閉鎖に追い込まれたためであるというふうに指摘されていますが、厚労省もそういう理解をされているということでよいのか。

 また、これまでに閉鎖した事業所の数、これは、さっき言ったように三月から七月ですから、最新の数字で、閉鎖された事業所の数と解雇や退職になった障害者の数を教えていただきたいと思うんです。それは、この記事でも過去最高となっていると言われていますけれども、例年に比べてこれは史上最高の数になっちゃっているということでよろしいのか。その辺、お答えいただきたいと思います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の就労継続支援のA型事業所の件でございますけれども、本年の三月から七月にかけて、ハローワークが解雇届により把握した障害者の解雇者数、総数は四千八百八十四名となっておりましたが、そのうち、就労継続支援A型の解雇者数というのが四千二百七十九名という数字でございます。この解雇届を提出したA型の事業所の数というのは、百八十一か所という数字になってございます。

 この解雇者の数でございますけれども、データがあるのは平成十一年度以降ということで聞いておりますけれども、年間で過去最高であったのは平成十三年度、これで解雇者全数が四千十七名、これは先生配付の記事の中にも書いてあったと思いますけれども、でございますけれども、それを上回っているものでございます。そういう意味では、数字が存在する限りにおいては過去最大の数字になっているということかと思います。

 解雇届を提出したA型の事業所の数につきましては、今回初めて把握をさせていただきましたものでありますので、過去最高かどうかはにわかに分からない、そういう状態でございます。

 このA型でございますけれども、平成二十九年以来、生産活動収支というものが賃金総額を上回るように求めてまいったところでございます。これは、支援を行うための障害サービス報酬が、しっかりと支援に当たられる職員の方々の賃金に充てられるようにということを目標としていたわけでございます。

 A型で就業する障害のある方々の賃金ではなく、支援に当たる支援者の方の賃金に充てられるようにということで基準の厳格化を行ったところでございまして、以来、その基準をまだ満たせていない事業所も数多くあるということで、今回の改定では、この基準を満たせているところには高く評価を、満たせていない場合には厳しくする評価を行ったということでございます。その結果、生産活動収支が賃金総額を下回った事業所の中には、報酬による収入が減少し、その結果、事業所閉鎖を選択するところがあったというふうに考えております。

 今般のA型事業所の閉鎖などによって離職を余儀なくされた方については、ハローワークと自治体の連携による再就職支援であるとか、あるいはB型の利用のあっせん、こういったものなどに取り組んで、七割の方は再就職ないしはB型の利用につながっているものと承知をしておりますが、一方で、六年度補正予算で就労継続A型の生産活動の生産改善などの支援を行う事業を盛り込ませていただいたところでございまして、引き続き、障害者の就労支援、さらにはA型の経営改善、こういったものに取り組んでまいりたいと考えてございます。

大西(健)委員 かつてない規模なわけですよ。最後のところで言っていただきましたけれども、やはり、むちを打って報酬を引き下げるだけじゃなくて、では、どうやったら経営が改善するのかというのをちゃんと支援してあげないといけないんじゃないかなというふうに思います。

 では次に、労働関係の質問に行きたいんですけれども、厚労省の労働基準関係法制研究会、現在、労使自治によるデロゲーションというのが議論されていると聞きました。

 強行法規である労基法の最低基準の解除を大幅に労使に委ねるというのは、労基法の存在意義そのものを否定する危険な議論だと私は思います。もちろん、三六協定だとかいろいろなものはありますよ。今の制度の中にも入っているけれども、デロゲーションというのは、特定のものじゃなくて、一般的に、労基法を労使が合意したら規制を抜けるという話なので、これは私は危険じゃないかと思います。

 これに関連して、監督行政の適用単位を事業場単位から企業単位に変更する、こういう議論もあるそうですけれども、これもやはり問題が多いというふうに思っています。

 労働者を守る立場の厚労省が労基法を事実上無効化するようなことをまさか考えているとは私は思いませんけれども、大臣、このデロゲーションということについてどうお考えか、お聞きしたいと思います。

福岡国務大臣 現在、働き方改革関連法の施行から五年が経過することを踏まえ、本年一月から、学識者による労働基準関係法制研究会を開催し、議論を行っておりまして、今月十日の研究会で報告書案が提出されたところでございます。

 いわゆるデロゲーションにつきましては、労働基準法においては、いわゆる三六協定に代表されるように、法に定める原則的なルールを現場の労使の話合いを通じて調整する仕組みが現行でも存在しております。

 研究会においては、このような仕組みが有効に弊害なく機能するための環境整備が重要との観点から、従来、適正な選出が行われていない実態があるといった指摘がなされていることも踏まえ、現場で労働者の代表を担う過半数代表者の選出方法の適正化等についても議論をいただいているものだというふうに考えておりまして、そういった観点から対策を進めていきたいと考えております。

大西(健)委員 私も以前、この委員会で、過半数代表者の選出方法については、それこそちゃんとルールを作るべきじゃないかということを質問しましたけれども、そうではない、労基法を一般的に無効にするような、ブラック企業合法化法案ということがネット上でも書かれていたりするんですよ。

 元々、経団連がデロゲーションということを言い出しているみたいなんですけれども、自民党さん、経団連からたくさん政治献金も受け取っておられますけれども、私は、やはりこのデロゲーションというのは非常に慎重に議論しなきゃいけない問題だというふうに思っておりますので、是非、強い懸念を持っていることを申し上げておきたいというふうに思います。

 この研究会では労働者性というのもテーマになっていますけれども、偽装フリーランスの問題というのがあります。この点、昨年九月に横須賀の労基署が注目すべき労災認定を行いました。アマゾンの商品配達を個人事業主として委託を受けて、仕事中に負傷した男性の労災が認められました。

 アマゾン配達員は、専用のスマホアプリの搭載を義務づけられておりまして、毎朝、独自のアルゴリズムではじき出された配達先や配送順、配送コースが送られてきて、配達員に裁量はなく、断ることはできない。こういう状況の中で、横須賀の労基署は、男性は指揮命令を受けて働く労働者に該当すると判断して、そして労災の補償を受ける権利があると判断をしたということであります。

 昨年四月に成立したフリーランス新法には、偽装フリーランスの保護については、労基署等が積極的に聴取し確認するとの附帯決議がついています。まさにこの横須賀の労基署はこれに沿ったような取組をされているというふうに思うんですけれども、この附帯決議に沿った取組が厚労省において今どのようになされているのか、大臣、御答弁いただきたいと思います。

福岡国務大臣 委員御指摘のとおり、働き方の実態として労働者に該当する方が労働関係法令による保護を適切に受けられるようにすることは大変重要であるというふうに考えております。

 労働基準監督署においては、労働者性に疑義がある方から労働基準関係法令違反がある旨の申告がなされた場合には、相談者の方から丁寧に話を聞くなど事実確認を行うとともに、調査の結果、労働者に該当し、労働基準関係法令違反が認められる場合には、事業者に対してその是正を指導をしてございます。

 また、フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行に合わせまして、本年十一月一日に全国の労働基準監督署に相談窓口を設置いたしまして、自らの働き方が労働者に該当する可能性があると考えるフリーランスの方からの労働基準関係法令の違反に関する相談にも対応することとしてございます。

 これらの取組を通じまして、フリーランスとして契約しながら、実態は労働者となっている方々の保護を図ってまいりたいと考えております。

大西(健)委員 是非よろしくお願いします。

 時間がないので最後にしますけれども、隙間バイトのことを聞こうと思ったんですけれども、これは私も、どう理解していいのか、まだちょっと測りかねているので、是非、今度また時間を取ってやりたいと思います。

 最後に、技能検定についてお聞きしたいんですが、技能検定というのは、職業能力開発促進法という法律に基づいて行われていて、百以上の職種があるんですけれども、大半の試験は各都道府県の職業能力開発協会が実施主体で、検定委員の日当額も都道府県ごとに異なっているということなんですが、先日、愛知県議会で、愛知県の日当六千三百円が中部六県で最も低いということが取り上げられて、これではなり手が集まらないんじゃないかという指摘がありました。

 配付資料の記事を御覧いただきたいんですけれども、これは愛知の記事なので中部六県のものが書かれていますけれども、一番上の滋賀県は一万五千円から一万八千円なんです。そうすると、六千三百円だと三倍近い格差があるということなんですね。

 厚労省は、検定委員の日当に格差があるという実態をまず御存じなのか、把握しておられるのか。また、法律に基づいて行っている以上、自治事務ではそうですけれども、それは、幾らにしろとかそういうことまでは自治事務だから言えないと思いますけれども、やはり検定委員の待遇改善を都道府県に求めていく、これは法律に基づいてやっていることなんですから、私はそういう必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、御答弁をお願いします。

堀井政府参考人 制度の内容に関してということも含めまして、私の方からお答えをさせていただきます。

 まず、大西委員からも御指摘ございましたが、技能検定制度は、職業能力開発促進法に基づきまして、労働者の有する技能の程度を検定をして、これを公証する国家検定制度でございます。

 都道府県が実施をする検定は、委員からも御指摘ございましたが、自治事務ということで遂行されています。また、この実施に当たりましては、各都道府県におきます関係団体の方々に様々な形で御協力をいただいておりまして、このような形で検定が成り立っております。

 この技能検定試験の業務を行う技能検定委員の日当につきまして、委員からも御指摘ございましたが、各都道府県職業能力開発協会が実情に応じて定めておりますが、御指摘のように、各都道府県の日当額に差があるということは承知をしておるところでございます。

 一方で、技能検定委員の待遇が改善されるなど、技能検定試験が円滑に実施をできる環境整備をするということは大変重要なことであるというふうに認識をしておりまして、国としても、都道府県に対して、技能検定委員の日当について、例えば拘束時間や業務内容等を勘案して適切な額とすることが望ましい旨を周知することなどを通じまして、技能検定制度による労働者の技能と地位の向上が図られるように努めてまいりたいと存じます。

大西(健)委員 時間になりましたけれども、終わりますが、堀井さん、愛知県の副知事でいらっしゃったので、県議会でこういう質問が出ているので、是非愛知県に聞いてみてください。日本最大の物づくり県がこんな低い日当でいいのかということを是非ちょっと愛知県の元同僚にも聞いていただければと思います。

 終わります。

藤丸委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

藤丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 私からも質問をさせていただきたいと思います。

 私からは、大きく三点、能登半島地震、災害関連死が増加している件について、また中間年薬価改定について、そして風邪を感染症法上の五類に位置づける件について、大きく三点について順次質問させていただきたいと思いますので、福岡大臣には、是非、御自身のお考えも含めて、御自身の言葉で御答弁いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 能登半島地震からもうすぐ一年がたつわけでありますが、先日、資料の一枚目にございますが、人的、建物被害の状況についての中で、緑で色づけしてある部分でありますが、災害関連死、これは十二月十日時点のものでありますから、認定がまた少し増えているということだと思います。いずれにしても、災害関連死が直接死を上回っている、上回った状況、現在進行形かもしれません。この件について、これは近隣の新潟や富山も含めた数字でありますけれども、まず大臣に受け止めをお尋ねしたいわけであります。

 災害関連死が直接死を上回った能登半島地震犠牲者、大臣は平時も災害時も国民の皆様の命を最優先に、健康を守る立場でございますので、厚生労働大臣としての受け止めをまずお尋ねしたいと思います。

福岡国務大臣 改めまして、能登の震災及びその後の豪雨災害によりましてお亡くなりになられた方にお悔やみ申し上げますとともに、被害に遭われた全ての方々にお見舞いを申し上げさせていただきます。

 そして、厚生労働省としては、災害関連死を抑止すべく関係府省庁や被災自治体と連携して様々な取組をしてきたところでありますが、御指摘のとおり、災害関連死の方が直接亡くなられた方を上回るという状況が生じてしまっていること、大変それは重く受け止めなければいけないことだというふうに考えております。

 これまでも、避難所の衛生環境改善や感染症対策、行政の指導調整機能の支援を行うため、DMATなどの医療関係者やDHEAT、また感染症の専門家DICTの派遣を行うとともに、自治体と連携し、仮設住宅での入居者の見守り、健康観察、デイサービス等を提供するサポート拠点の整備等を実施してきたところですが、今御指摘いただいたことも重く受け止めて、引き続き、関係府省庁や被災自治体と連携しつつ、災害関連死を防止する取組を進めてまいりたいと考えております。

中島委員 重く受け止めるということでございます。

 これは朝一番に古賀委員も質問されていて、私、石川県も、そして各府省も、私は一月六日ですか、能登半島、輪島に医療支援に入らせていただいて、その様子、本当に発災から一週間以内で見ておりましたから、本当に様々な関係機関が努力をされている姿、改めて私も敬意を表したいというふうに思うんですけれども、結果的に、直接死を大きく上回る、これからも増えていく可能性がある。熊本地震のときは、死者数の八割が災害関連死だった。

 私、東日本大震災も熊本地震も医療支援に入らせていただいたんですが、今回の能登半島地震、これは言うまでもなく、寒冷災害、そして地理的な交通災害、加えて、基盤である輪島市の高齢化率、珠洲市の高齢化率も軒並み五〇%、こういう脆弱性の中で起こった複合災害で、繰り返し言いますが、現地の石川県の方も各省庁も一生懸命やっていたと思います。しかし、結果として、災害関連死が直接死を上回ってしまった。

 これは、先ほど重く受け止めるとおっしゃいましたが、私は、やはりこれは政治が、様々な機関が連動はしているものの、いろいろな地域で、先ほど脆弱性と言いましたが、こういう地域で起きた災害において、やはり連携を、基本的な体制、組織体制、これをやはり早急に構築していかなければ、また同じことを繰り返すという状況になるのではないかと考えています。

 それで、私、この案件について、今年の通常国会で、厚労委員会でもそして災害対策特別委員会でも質問させていただきまして、この第一歩として、今回の能登半島地震は、私、輪島、空港の避難所、そして近隣のビニールハウス、公民館、そして一番輪島市で大きかった輪島高校の避難所、玄関には物資がたくさん積んであるんです。しかし、各教室に避難されて、特に御高齢の方はその教室の奥でずっと寝ている状況。物資はたくさんあるんだけれども、言い方はちょっと悪いですが、DMATの方はたくさんいました、しかし、その動線をつなぐ、食料を促したり、トイレを促したりするいわゆる福祉スタッフ、これが圧倒的に足りなかった。そして、ビニールハウスで避難されている方、あっという間に心不全が増悪するような方々がたくさんいて、そういう方を目くばせする、やはり福祉人材ですね。

 先ほど言った災害関連死を防いでいく、その第一歩として、やはり、災害救助法そして災害基本法、これに福祉を明確に規定していく。これを先ほど言った通常国会の災害対策特別委員会そして厚生労働委員会でも、当時の武見大臣に、厚生労働省としても重く受け止める状況であれば、やはり連携して進めていくべきだということを質問させていただきました。

 そして、今日は内閣府から審議官に来ていただいております。お忙しいところ、ありがとうございます。

 当時の松村大臣に、私が五月に、早急に災害救助法四条一項に福祉を規定していく、若しくは介護サービスを規定していくべきだと私が質問したところ、当時の松村担当大臣は、今、振り返り、取りまとめをしている最中ですと。私は遅いと言いましたが。

 六月取りまとめ、そして災害救助法、基本法に福祉若しくは介護サービスを規定する、その進捗はどうなっておるのか、確認させていただきたいと思います。

河合政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、災害時における福祉的支援の充実というものは、被災者の生活環境の向上、災害関連死の防止のために非常に重要だと考えております。

 災害時における福祉的支援については、先ほど委員からもお話がありましたが、前回、四月に災害特委で御質問いただいた段階では、六月に検証をまとめる、検討というお話をさせていただきまして、六月に、政府の部内の自主点検である検証チーム、こちらの方で課題等について議論いたしまして、またそれを受けて、外部の有識者の方にも入っていただいたワーキンググループ、そちらでも検討を更に深めさせていただいて、先月、十一月末に報告書が取りまとまったところでございます。

 本報告書におきましては、災害救助法上の救助の種類など、災害関係法制における福祉の位置づけについて検討する必要があると報告書に記載されておりまして、災害時における福祉的支援の充実、円滑化を図るため、災害救助法で想定される救助活動に福祉の観点を盛り込み、国庫負担の対象を拡大するとともに、災害対策基本法においても、自治体等による避難所内外での生活環境の支援として福祉サービスの観点を盛り込むこと、これを今検討しているところでございまして、早期に結論を得てまいりたいと考えております。

 以上です。

中島委員 取りまとめが十一月ということですから、今検討、最後、来国会に向けてということだと私は理解いたしますけれども、あのときも言いましたが、遅いと思いますよ。だって、さっき、熊本地震のときに死者の八割が災害関連死、東日本大震災のことも踏まえれば、案の定と言ったら言い方も失礼ですが、やはり、各地で地震も起きている、能登に関しては九月に豪雨災害もあったわけです。また同じことを繰り返す。これは明らかに、福祉、まず第一歩として規定していくこと、すぐにでもやってもらわなきゃいけない。

 資料の二枚目は、これは、三月の十一日の時点、石川県から出た要望書です。私も一月に被災地に入り、その後、三月にも被災地に入り、馳石川知事ともお話をさせていただいたその要望の第一がこれですよ。災害救助法の第四条一項に福祉を規定してほしい。

 資料の三枚目、これは災害救助法の救助の種類、この項目に医療は入っているわけですよね。やはりここに具体的に福祉若しくは介護サービスを規定してほしいということ。

 改めて内閣府審議官にお尋ねしますが、検討しているということでありますが、来国会に災害救助法、災害基本法に福祉を規定する法改正を行うということでよろしいですか。

河合政府参考人 今委員御指摘もありましたとおり、最大限急ぐということで、我々、是非取り組みたいと考えております。

 以上です。

中島委員 改めて、遅いと言わざるを得ないと思います。

 我々、先ほど早稲田委員もお話ししましたが、災害救助法、基本法に福祉を規定する議員立法を準備しておりますので、政府が、内閣府がちまちまちまちましている間に我々は提出しますから、是非、与党の皆さんも同じ問題意識だと思いますから、是非御賛同するとともに、来国会早々にもすぐ対応していただければ、我々の考えている内容と、議員立法と、そしていい法律、第一歩が踏み出せると思いますので、福岡大臣にも是非御協力をいただきたいと思います。

 そして、災害救助法、基本法に福祉を規定するのはあくまでも第一歩ですよ。規定すればいいというものではない。公費で賄えるというメリットはありますが、私がイメージしているのは、先ほど、DMATは本当に避難所にはたくさんおられ、そして、私は輪島市でありましたから、輪島市、市役所の中に本部がありました、各省庁と同じフロアで。そして、私は、DMATと同じタイミングで、DWATでもいいんですが、災害救助福祉チーム、これが同時期に、瞬時に配備される、そこを目指してやっていただきたい。

 加えてもう一点、福祉避難所ですね。これも、過去の災害時、熊本も東日本もそうですが、今回の能登半島地震も、福祉避難所は協定してそれぞれありますけれども、あるはずなのに、稼働が、今回の能登半島地震においても三割程度にとどまってしまっている。

 これは、理由はもう明らかです。指定、協定を結んでいても、その多くは、既存の介護施設か、若しくは精神保健施設。こういう、指定されている福祉避難所が、それは被災地ですから、そこで働いている方も被災者。介護施設であれば、利用されている方々の対応で目いっぱい、こういう状況が度々繰り返されているわけですよね。

 これは、私は、福祉を規定することで、私が一月に行ったときには、輪島市に新たに福祉避難所が設置されて、そこを運営しているのは県外から来た支援者です。私、この福祉避難所、抜本的に、運営方針、今の福祉を災害救助法に規定するとともに、福祉避難所の在り方、これも、全国、チームを編成して瞬時に設置できるような、そして、稼働率が三割でとどまるなんということを二度と繰り返してはいけない、こういう思いがありますが、大臣、いかがでしょう。

福岡国務大臣 規定するだけでは駄目で、実際、機能しなければいけないというのはおっしゃるとおりでございまして、午前中の議論でもございましたように、様々なチームが連携できるような体制をつくったり、そこに穴がないかみたいなことをしっかり検証できるような、そういう体制も併せてやっていくことについては、委員のお考えのとおりだというふうに思います。

 あわせまして、福祉避難所については、御承知のとおり、指定された社会福祉施設等が、そこの施設の損傷だったり、職員の方々が被災されたことによって開設できなかったケースがあるというのは御指摘のとおりでございます。

 こうした課題を受けまして、内閣府のワーキンググループが十一月にまとめた報告書では、災害時に福祉避難所となる社会福祉施設においては、平時から補助金等を活用して必要な物品を購入し環境整備を進めるとともに、災害時の運営人員の不足に対応するため、平時から他地域との応援協定の締結等の方策を検討すべきといった観点や、また、一般の避難所における配慮者スペースを確保すべきといった点が指摘されているものというふうに承知をしております。

 また、福祉避難所として適切にその社会福祉施設が運営されることが重要であることから、平時より、耐震化等に向けた財政支援を行いながら、業務継続計画の策定が徹底されるように取り組んでいきたいと考えております。

中島委員 是非お願いしたいと思いますし、避難所の設置は所管は内閣府、しかし、福祉避難所は、そこで要配慮者の皆さんに支援する、入るのは介護人材であったり医療者であったり理学療法士さんであったりということですから、どっちがどっちということではなく、またいつ何どき災害が起こるとも限らない、また同じことを絶対繰り返さないように、内閣府と厚生労働省はより密に連携して、そのために、一刻も早く災害救助法、基本法に福祉を規定する法改正をお願いをしたいと思います。

 内閣府の審議官には、これで御退席いただいて結構でございます。

 続いて、中間年薬価改定に関連して質問させていただきたいと思います。

 言うまでもなく、薬価改定は、診療報酬と併せて二年に一回、これは慣例と言っていいんでしょうか、慣例として行われてきました。平成二十八年の四大臣合意を契機に、七年連続マイナス改定。この中間年改定によって、医薬品産業の賃金競争力は低下し、業務負担を増加させ、悪循環、悪影響を及ぼしている、医薬品産業での離職者が増加するといった事態を招いていて、医薬品産業の基盤が大きく揺らいでいる。

 そして、私は、週末、外来もやっておりますが、こんな医薬品不足、しかもこれだけ長引いているのは、私は三十年医者ですが、こんな状況は初めてですよ。先週も、私の地域は季節性のインフルエンザが注意報レベルになりました。そして、今年はマイコプラズマも。せき止め、今、薬局に処方箋を出しても、三日で、いや、一日だけにしてくださいとか、こんな状況をいつまで続けているのか。

 こういう思いから、私は、この中間年薬価改定、大臣はもう十分御認識されておると思いますが、今言った雇用に対する悪影響、何よりも国民の皆様の健康に影響を及ぼしている中間年薬価改定、その認識とともに、私は、この中間年薬価改定、やめるべきだと強く思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

福岡国務大臣 二年に一回、毎年は別として、薬価改定については、国民皆保険の持続性を考慮して、そして、市場の実勢価格との乖離をしっかり、医療保険制度の持続可能性を高めるためにも、そこは適時適切に改定を実施するということが望ましいというふうに考えております。

 一方で、今おっしゃられたとおり、暮らしに欠かせない薬の安定供給の確保の要請であったり、また、革新的な新薬の開発力が日本は今低下しているんじゃないかみたいな指摘がある、そういったことにも応えていく必要があるというふうに考えておりまして、そういっためり張りの利いた対応ときめ細やかな配慮といった観点から、今、関係者の方々の御意見を伺いながら中医協で御議論をいただいているところでございまして、それを受けて結論を得てまいりたいと考えております。

中島委員 私は、大臣はよく分かっていると言ったのは、私も別に中間年薬価改定そのものを否定しているわけじゃないんです。例えば、オプジーボのような特殊な事情で乖離が発生した、それは対応していかなきゃ。これは別に薬価だけじゃなくて、本体、いわゆる技術料だってそうだと思います。

 私が今問題意識を持っているのは、平成二十八年以降、そして令和五年には、乖離率が八%のところ、これも、何というんですか、八分の五ルールというんですか、それを適用させて、恐らくそれは、平均乖離率が四%の方がいいという意見があり、そして六%ぐらいがいいんじゃないかという意見があって、その真ん中を取って八分の五にしちゃった。それを令和三年、そして、その次の中間年、令和五年にも適用させちゃった。こういうなし崩しのような安易な薬価改定、こういうものが今、先ほど言った臨床の場でも、製薬企業や卸さんでも雇用の問題にも発展している。そういう問題意識を持っていらっしゃるかどうかということです。

福岡国務大臣 今おっしゃられましたように、国民皆保険の持続性と併せて、薬の安定供給というのは極めて重要な観点だという認識は持っております。

 これまでも、改定において、不採算品というのは当然作っていただけませんから、不採算品再算定などの措置は講じてきていましたが、そういった様々な御指摘を踏まえて、次の中間年の在り方、この後結論を出していくことになりますが、様々な御意見を踏まえた上で対応を行っていきたいと考えております。

中島委員 大臣の立場であればそうお答えになるんだと思いますが、大臣は度々、資料の六枚目にあるのは今年の、六年の五月、参議院の予算委員会、これは大臣の質疑ですよね。赤線で引っ張ってあるところが中間年改定に関するところでありますが、長いので読みませんが、是非読んでいただきたいと思いますが、終わりの方ですね、中間年改定を導入した当初では考えていなかった様々な状況の変化を考えたときに、やっぱり一回立ち止まって考えるべきだ、廃止も含めてその在り方を見直すべきだと明確に大臣はおっしゃっているわけですよね。

 大臣にこの質疑の内容をちょっと確認したいと思うんですが、中間年改定を導入した当初では考えていなかった様々な状況の変化とは、一体どのようなことでしょうか。

福岡国務大臣 まず、先ほどおっしゃいましたように、薬の供給不足というか、必要な医薬品の不足がかなり長期間続いているといった問題もありますし、当然、いろいろな仕入れの原価が上がっていますから、そういう意味でいうと、薬価は下がっていますのに、様々な人件費も含めて原価が上がってしまっている、そういう問題もある。そういったことにどう対応していくかというのが一つの論点だと思っています。

中島委員 恐らくもう十分御承知で、今のようなお答えをするのがぎりぎりなんだと思いますけれども、おっしゃるとおりで、原価も上がっています。我が国の医薬品、原材料はほとんど海外依存の状況ですよね。加えて、薬価だけじゃなくて流通の問題、これはガイドラインで大分改善はしてきた。加えて、ジェネリックの問題もありますよね。私は、この起点に中間年薬価改定があるんじゃないかと。

 例えば、価格交渉代行業者、これは以前からありましたけれども、今や、毎年繰り返される薬価マイナス改定によって価格代行業者がマンモス化してきて、買いたたきのようなことが起こっている。こういう実態は厚労省も調べていると思いますが、こういう様々な問題が絡み合っている。政治の判断で解決できるのは中間薬価改定に歯止めをかけること、私はそう思うんです。

 大臣にお尋ねしたいんですが、まさに今、予算編成の財務省との折衝ですよね。これはもう選択肢は、中間年薬価改定を来年はやらないか、それともまた八分の五でやるのか。さっき、不採算算定とか、様々なパーツを組み合わせながら、この交渉をどこに落ちどころを持っていこうとしているのか。我々は、もう中間年薬価改定はやるなという立場でありますが、これはまさか、まさかですが最悪は、またなし崩しのように、令和五年、三年のように、また〇・六二五を掛けて、今回の速報値、これは資料にお示ししてありますが、五・二%ですからね。五・二%で、これでまた八分の五を掛けちゃったら、これは三・二五ですから、対象品目はまた八割ぐらいになっちゃいますよ。こういう事態は絶対に招かない、やらせない。大臣の決意をお願いしたいと思います。

福岡国務大臣 今、まだ結論が出ていない状況で、予断を持って申し上げることは難しゅうございますが、先ほど来申し上げましたように、従来から様々な環境の変化が生じています。そういったことをしっかり受け止めて、どういう価格改定の在り方がいいかということについては、そういったことを踏まえた上で結論を得ていきたいと考えております。

中島委員 資料の七枚目、我々は議員立法を用意してあります。

 先ほど言ったように、中間年薬価改定に歯止めをかけるのは、我々も今年の七月に厚生労働大臣に要請しています。国民民主党さんも、特別国会のときに、中間年改定を廃止するべきという要請もしております。しかし、これはお願いベースでは、まあ大臣に頼むしかないので。

 元々、診療報酬は法律事項ではございませんが、中間年薬価改定が極めて異例、例外なんだということをやはり指摘する必要があると思い、健康保険法の一部、また高齢者医療確保法の診療報酬に関わる部分に原則、原則というのは、やはり改定して市場調査。最近の薬価に関しては、大手の卸の速報みたいなもので判断しているわけですよね。やはり実勢調査は十分にする、これは一年かけてやるべきだ、最低でも二年に一回を原則とするという法律を我々は用意しております。

 これは、恐らく多くの、仁木副大臣も含めて、ここにいる厚生労働委員の皆さんはこれに御賛同していただけるんじゃないかなというふうに思っておりますが、この法律、多分、お答えは分かっていますが、大臣、御賛同していただけますか。

福岡国務大臣 恐縮ですが、法律の取扱いについては、国会において御議論いただくべきことだというふうに思っています。

 その上で、中間年か二年に一回かみたいな話でいうと、そこは、適時適切に薬価を見直していかなければいけない、それが果たしてどれぐらいの期間が適切なのかということも含めて、今後の検討を進めていく必要があると考えております。(発言する者あり)

中島委員 そのとおりなんですが、もう時間がないのでこの件に関しては終わりますけれども、是非、今日の、委員の皆さんも、これはむしろ、厚生労働委員会の決議として、だって、国民の皆様の命、健康に関わる、これを、なし崩しの、何のルールもない、行き当たりばったりの、取れるところから取るような、こんな状況は一刻も、やめるべきだという厚生労働委員会としての決議を取るべきじゃないかと思います。上野筆頭、井坂筆頭、また委員長にも、是非お計らいをしていただきたいと思います。

 時間が限られておりますので、最後、風邪を感染症法上の五類に位置づけることについてでございます。

 これは武見前大臣のときから示されていた内容でありますが、八月までのパブリックコメントは八万件を超え、ほとんどが反対意見だった。代表的なのが、このことによって医療機関の負担が増えるんじゃないか、若しくは、風邪にもワクチンを全て、それぞれ、原因ウイルスによって接種させようとしているんじゃないか、このような懸念があること。これに対して、御見解。

 加えて、風邪を五類に位置づけることによって患者さんの受診行動がどのように変化すると考えているか、お尋ねしたいと思います。

福岡国務大臣 まず、急性呼吸器感染症、ARIを感染症法上の五類感染症に位置づけることで、新型コロナウイルス感染症等、個別に把握している感染症以外の急性呼吸器感染症についても、平時から探知できる整備が可能となります。この結果、個別に把握していない急性呼吸器感染症についても迅速に適切な感染症対策の検討を行うことにつながると考えておりますが、新たにワクチン接種の範囲を拡大することを目的としているものではございません。

 また、報告をいただくことになる定点医療機関には、一週間当たりの患者数の報告や検体の提出をお願いするために御負担が増えることになりますが、電磁的な手法による報告を進めるなどの事務及び報告様式の簡素化、さらには、対象となる定点医療機関数を減らすなど、現場の声も伺いながら、なるべく負担を減らす方法を講じていきたいというふうに考えております。なお、今回の見直しに当たっては、定点医療機関ではない医療機関に対して新たに報告をお願いすることはございません。

 そういった観点から、都道府県を通じて急性呼吸器感染症を把握する趣旨と、それに伴う御負担についてしっかり御理解いただけるような体制を構築していきたいというふうに思います。

 また、患者さんへの影響ということでございますが、診療上の扱いは変わりませんので、患者様の皆様方への直接的な影響はないものだというふうに考えておりますし、検体の提出をお願いする医療機関は全国の定点医療機関の約一〇%程度、三百か所程度を予定しておりまして、医療機関への影響も限定的だというふうに感じております。

 いずれにしても、そういったことをしっかり周知を図っていきたいと思います。

中島委員 もう終わりますけれども、資料八枚目、九枚目、定義に発熱が入っていないとか、最後のページ、くくりですけれども、何が何だかさっぱり分からない。こんなことで、政府はセルフメディケーションを推進していると思いますが、熱もないのに、風邪症状があったら受診してくださいと言っているのと同じですからね。これは、より丁寧に説明しないと大混乱が起きるということを申し述べて、質問を終わりたいと思います。

藤丸委員長 次に、阿部圭史君。

阿部(圭)委員 よろしくお願いいたします。日本維新の会、衆議院議員の阿部圭史でございます。

 今回の選挙で、私、初当選をいたしまして、政府の皆様の胸をかりるつもりで質問させていただきたいと思っております。

 私の選挙区、恐縮ですけれども、兵庫二区と申しまして、神戸市の兵庫区、長田区を含む地域でございまして、阪神・淡路大震災で大きな被害を被った地域でございます。選挙区も兵庫区、長田区ですし、青春時代、兵庫県、岡山県を含めてお世話になって育ちまして、ただ一方で、生まれは宮城県ということもございまして、親戚が石巻市、女川町にたくさんいるということで、東日本大震災でも多くの親戚が流されたというようなことがございました。

 そういうこともございまして、私が政治家を志した原点というのは、危機に強い社会をつくるということでございます。したがって、危機管理政策を専門として、まさに私はそちら側におりまして、厚生労働省の職員として、そして国連の職員としてこういった政策をこれまでも進めてまいりました。

 厚生労働大臣、所信表明演説で災害対応について述べていらっしゃいましたけれども、今回、石破総理も防衛庁の設置について設置準備室をつくって進めていらっしゃるというふうに伺っております。

 私の地元神戸市も、来月の一月十七日で……(発言する者あり)防災庁ですね、ありがとうございます。神戸市も、来月の一月十七日で阪神・淡路大震災から三十周年の節目を迎えます。また同時に、大臣も所信表明演説で感染症危機管理について触れていらっしゃいましたように、来月一月でちょうど新型コロナのパンデミックから五年という節目を迎えます。改めて、防災や感染症危機管理を含む政府の危機管理政策全体を強力に改革していかねばならないというふうに私自身も思っているところです。

 本日は、そういった観点で、主に危機管理政策についてお伺いをいたします。

 防災庁については、当初、石破総理は、自民党総裁選挙で防災省をつくるとおっしゃっていらっしゃいまして、しかし、なぜかその後、スケールダウンして庁になったという経緯がございます。

 私、個人的に、もっとどんと大きな構想を示していただきたいというふうに思っておりまして、防災庁でも不十分、防災省、そして、どちらかというと、危機管理全体としてはいわゆるミリタリーの危機管理とシビリアン領域の危機管理というのがあると思っておりまして、ミリタリー関係は防衛省・自衛隊がやっていらっしゃいますけれども、シビリアン全体を統括するような危機管理省みたいなものがあった方がいいんじゃないかなとは思っております。

 今回、防衛庁ということで、どういった法律に基づくような庁になるか、外局でしたり独任の庁であったり、いろいろあると思いますけれども、やはり、こういったものは重要だとは思っておりますが、こういったスケールダウンというのは、私自身、デジャビュでございまして、前岸田総理のときにも、総裁選のときに健康危機管理庁をつくるとおっしゃっていて、最後は内閣感染症危機管理庁になったということで、対象となる脅威のスコープが一気に狭まったという事案がございました。

 どういうことかといいますと、元々、健康危機管理というのは、スコープとして、いわゆるCBRN、化学、生物、ラジオロジカル、放射線、核、そういったいわゆる特殊災害と言われるような領域を包含するようなことですけれども、それが、最後はBだけ、生物学的脅威だけを扱うということで、内閣感染症危機管理統括庁になったということです。

 資料一に大体そういった統治機構を書いておりますけれども、今回、統括庁の方からも西野政務官にお越しいただいておりまして、当時、健康危機管理庁が内閣感染症危機管理庁にスケールダウンした、その経緯についてお伺いしたいと思います。

西野大臣政務官 今委員から御指摘いただきました健康危機管理庁でございますけれども、令和三年、自民党総裁選の際に、当時、総裁候補でございました岸田前総理が、公衆衛生上の危機発生時に国、地方を通じた強い司令塔機能を有する組織が必要だという問題意識を念頭に、公約として提言されたものというふうに承知しております。

 令和五年の通常国会におきまして、内閣感染症危機管理統括庁の創設などを内容とします新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案を審議する際に、岸田前総理より、広く公衆衛生といっても、感染症対策が念頭にあったことは間違いなく、内閣感染症危機管理統括庁は私が訴えていた公約を具体化したものであるというような答弁をいただいたというふうに承知しておりますので、岸田総理の問題意識の下に今回の統括庁ができたというふうに我々は考えております。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 統括庁もそうですし、私、厚生労働官僚としての最後の仕事は、厚労省の感染症対策部の組織設計を一から描くという仕事をいただいておりました。その後、官僚を辞めて、在野で、自民党の先生方とも一緒に健康危機管理庁の創設の議論にも関わってまいりました。創設に当たってはいろいろな方面から抵抗もあったというふうに伺っておりますけれども、できたからには、こういった司令塔機能というのは非常に大事でございますので、是非とも頑張っていただきたいというふうに思っております。

 また、当時、新型コロナの反省点として、感染症危機管理の改革の論点として挙がった中に、国会議員、そしてあと官僚の練度の低さというのがあったというふうに認識をしております。

 私、コロナのさなか、WHO本部の健康危機管理官としてコロナ対応を行っておりまして、その際、当時、五年前の一月ですね、日本政府の複数の官僚の皆さんからお電話をいただいたり御連絡をいただいて、御相談を頂戴しました。

 例えば、感染症危機管理、訓練もしたことがない、対策本部に入れと言われたけれども、どうすればいいのか右も左も分からない、こういったお声ですとか、対策本部の組織図を描いて指揮命令系統を明らかにしようと試みたけれども、対策本部に参画をしているいわゆる専門家と称する学者、研究者は、危機管理組織としての指揮統制に服した経験がなく、すなわち危機管理、事態対処の経験がなく、統率が取れない、そういったお声ですとか、日本国内に疫学などの個別機能の専門家は少ないながらもいるけれども、感染症危機管理、すなわち国家の危機管理という営み全体を専門とする人間がおらず、部分最適になってしまっている、こういったお話をるるいただきました。

 ここから分かるのは、官僚、研究者、学者の知識不足や練度の低さだと思います。これは決して、これは強調して申し上げたいと思いますけれども、彼らが悪いのではないというふうに思っています。当然なんですね。危機管理、事態対処に関する体系的な教育訓練を職員として受けた経験がないからでございます。石破総理は、今回、防災庁の設置に当たって、問題意識として専門的人材の重要性ということを挙げていらっしゃいますけれども、まさにこれは教育訓練の重要性をおっしゃっているんだと私は認識をしております。

 同時に、国会議員の練度の低さということについても言及をいたしますが、危機のとき、特に初動は、主役は政府であって国会ではないというふうに私は思っております。

 初動の際に、私もかつて、何かあったときに国会議員からレクで呼ばれて、これはどうなっているんだということでいろいろ対応している間に、事態がどんどん、時が過ぎ去ってしまう、こういったことがたくさんございました。これは国民のために、命を救うためにやっているときですので、無駄な時間を浪費してしまうということがあるんじゃないかなと思っておりまして、国民にとっては不幸なことだというふうに思っております。

 危機の際に一から勉強するいとまなどないわけでございまして、頭で考えず、体が動いていないといけない。だからこそ、危機管理や事態対処については、国会議員や官僚の知識レベルの水準を平時から合わせておくことが非常に重要であると思いますし、そのために教育訓練をやる必要があるというふうに私は思っております。

 防災を含め、内政上の危機管理のオペレーションは、いわゆる旧内務省系官庁である厚労省、国交省、総務省、警察庁に防衛省・自衛隊を加えた、このような官庁で中心的に行っていると思っておりますけれども、いわゆる制服を着ている警察、消防、そして自衛官、これらの皆様は立派な教育訓練を受けていらっしゃいます。一方で、省庁を問わず、背広を着た、皆様方のような文官に対する教育訓練というのは、特に体系立った教育訓練課程というようなものは全くないか、あっても非常に乏しいものではないかというふうに思います。

 厚生労働大臣と西野政務官にお伺いいたします。

 感染症危機管理を含めて、事態対処、危機管理に関する政務三役及び職員の教育訓練の状況についてお聞かせください。

福岡国務大臣 御指摘のとおり、感染症対策は平時からの備えが重要でございまして、御指摘の有事を想定した教育訓練の取組というのは欠かせないものであるというふうに認識をしております。

 このため、感染症危機管理対応訓練といたしまして、関係省庁対策会議におきまして感染情報を共有し、政府対策本部会合において総理から各閣僚への指示、さらに、厚生労働省対策本部において、総理指示を共有し、今後の対応方針を確認するなど、政府を挙げて取り組んでいるところでございます。

 厚生労働省対策本部は、厚生労働大臣であります私が省内の政務や部局長などの職員を参集して実施するものでございまして、今年度は、新規感染症が発生した際の初動対応などについて確認をさせていただいたところでございます。

 また、感染有事における現場や自治体との連携を確認するための訓練や、災害発生時に備えた厚生労働省災害対策本部の設置訓練などを実施してございます。

西野大臣政務官 福岡大臣と重複する部分があるかもしれませんけれども、統括庁としてもお答え申し上げます。

 感染症危機に関する教育訓練といたしましては、昨年九月に内閣感染症危機管理統括庁が設置されましたけれども、それに伴いまして、感染症危機管理対応訓練として、従来から実施しておりました訓練に加え、都道府県や国立感染症研究所などにも御参加いただく形で訓練を加えさせていただいております。今年度につきましても、先日、十一月に一連の訓練を行ったところでございます。こうした訓練には、その種別に応じて、赤澤大臣を含め政務三役も参加させていただいているところでございます。

 それに加えまして、感染症危機に携わる者の資格向上を図るということも極めて重要な課題でございまして、統括庁においても、日々の業務だけではなくて、より実践的な知見を得られるように、専門家の、あるいは有識者の講義を聞かせていただいたり、あるいは感染症対応の現場となる施設への視察等を実施しているところでございます。

 引き続き、教育訓練の更なる充実に努めていきたいというふうに思います。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 十一月に行われた政府の感染症危機管理対応訓練といったもの、非常に重要だと思いますけれども、コロナ前も、政府対策本部会合を開催して、閣僚が紙を読んでおしまいというような、いわゆる儀式的なしゃんしゃん訓練というようなものは存在をしておりまして、私も関わったことがございますけれども、これは全く意味がなかったなというふうに私は思っております。

 現在はそれより大幅にアップグレードされているものだと信じておりますけれども、毎年の季節物として訓練を行うだけではなくて、やはり平素から知識レベルを合わせておく、体が動くようにしておく、こういったことが非常に大事なわけであります。要するに、事態対処のお作法が身についているのかどうか、事態対処に当たり、同じレベルの言語で話すことができる知識レベルになっているのかどうか、知識が備わっているのかどうか、それが大事だというふうに思っております。

 そのために必要なのは、共通知識基盤と言われるような領域かなというふうに思っております。その一つの例に、自衛隊が教育訓練で使っている例えば教範、英語でマニュアルと言ったりしますけれども、教範のようなものですとか、オンライン学習プラットフォームというものがございます。

 お配りしております資料の二番を、二ページ目を御覧ください。これはオープンWHOドットオーグといいまして、私も、いろいろな中東地域の紛争対応なんかを国連機関でしているときに、こういったものを受けておりました。一定程度の事態対処に従事するためには、こういったオンラインでの教育ツールを使って一定程度の知識レベルに到達しないと、事態対処に従事させてもらえないというものがございます。なぜかといいますと、知識なく、同じ言語でもしゃべれずということですとやはり足手まといになるということもございますので、こういったことも是非活用していただきたいなというふうに思っております。

 厚労省の感染症対策部長と西野政務官、お伺いいたします。

 事態対処、危機管理について、政務三役及び職員の教育訓練に資するこのような共通知識基盤の整備について、各組織でどのようになっているか、お聞かせください。

鷲見政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような感染症対策に関する共通知識基盤の整備としましては、感染症対策部におきまして、感染症対策部に新規配属された職員に対する感染症危機管理の基本的な心得や、感染症対策の基礎を学習するための座学の集合研修として感染症危機管理基礎研修、そして、厚生労働省内全職員に対して、感染症危機管理に関する自主勉強教材やオンライン学習コンテンツの配付などを実施しているところであります。

 感染症危機管理のために感染症に関する職員の知見を向上させていくということは非常に重要であるというふうに考えておりまして、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

西野大臣政務官 先ほど答弁申し上げましたとおり、政務三役及び職員の教育訓練につきましては、様々な方法で取り組んでいるところでございます。こうした教育訓練を通じて、職員の間で、あるいは政務も含めて共通知識を深めていく、もっと言えば共通言語を習得していく、こうしたことに努めていきたいというふうに思っております。

 それから、御指摘のありました知識基盤の整備というところにつきましては、研修資材の充実に向けた取組を進めているところでございまして、日々の業務遂行に生かすとともに、有事への対応能力を向上させるために、現場視察あるいは講座、こうしたことを実施していって、引き続き、職員一人一人の専門的な知見の向上に取り組んでいきたいというふうに思います。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 お伺いしておりますと、統括庁の方では防衛省から出向してきていらっしゃる方がいるということで、その方は教育訓練のコンテンツを作っていらっしゃるというふうに伺っております。非常に重要なことだと思っております。

 私、メッセージとして一つ申し上げたいのは、自衛隊から学べということだと思っております。最も政府の中で教育訓練体系が整備されておりますし、やはり事態対処のプロということでございます。

 私も、官僚時代に、厚生労働省のいわゆるオン・ザ・ジョブ・トレーニング、OJT、ふだんの仕事だけでは危機管理に精通することは全くできないというふうに思いまして、国民の命はこれでは守ることができない、そういったことで、例えば陸上自衛隊の高級幹部課程に赴いて聴講したりですとか、国連職員時代にはNATOの軍服を着てNATOの軍事訓練に参加したりとか、そういったこともございました。

 やはり、こういった実力組織、軍事組織というのは非常に体系立った教育訓練課程を持っておりますので、是非、そういったところにある教範なんかも利用していただきたいなというふうに思っております。

 こういった自衛隊のような伝統的な事態対処組織に職員を出稽古に行かせることが非常に重要なんじゃないかなというふうに思っておりまして、これは今回資料としてお持ちして、次の資料三にも書いておりますけれども、「自衛隊の教育と訓練」、こういった本がありまして、なかなか、どういった体系立った教育訓練課程があるのかというのは一つの資料だけでは理解することは難しいですけれども、是非、こういった本なども活用して、見ていただきたいなというふうに思っております。

 今回、感染症関係ということで、自衛隊で生物学的脅威を専門にしているのは、陸上自衛隊の陸上総隊隷下の中央特殊武器防護隊、そして対特殊武器衛生隊というものがございます。事態対処に関する体系的な知識、ドクトリンを身につけることを目的として、是非ともこういった組織との合同の教育訓練を行ってはどうかなというふうに思っております。

 資料で申し上げますと、資料の四と五に、中央特殊武器防護隊、対特殊武器衛生隊の概要が記載されておりますので、目を通していただければ幸いです。

 今回、防衛省にもお越しいただいておりますけれども、お伺いいたします。

 陸上総隊隷下の中央特殊武器防護隊及び対特殊武器衛生隊が防衛省外の組織と合同の教育訓練を行っている事例についてお聞かせください。また、事態対処に関する教育の部分、訓練の部分、その双方についてお答えいただきたいと思います。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 陸上自衛隊においては、御質問の特殊武器、いわゆるNBCからの防護等を担う中央特殊武器防護隊と、生物剤感染患者の応急治療を担う対特殊武器衛生隊が編成をされております。

 この二つの部隊は、CBRN対処を含め、埼玉県内の地方公共団体、消防、県警、近隣の病院等と様々な合同訓練を実施し、地域の防災にも貢献しております。

 また、自衛隊においては、隊員以外の国家公務員あるいは地方公務員の方の人材育成の一助となる施策として、自衛隊法第百条の二に基づき、防衛省本省の防衛大学校、防衛医科大学校その他の文教研修施設等において教育を行うことができます。

 例えば、令和六年度につきましては、中央特殊武器防護隊の隊員等を教育する陸上自衛隊化学学校において、海上保安庁、各地方自治体の警察組織及び消防組織等の職員の教育を、対特殊武器衛生隊の隊員等を教育する陸上自衛隊衛生学校においては、東京消防庁の職員の教育を受託しております。

 さらに、他の行政機関のみならず、防衛省においては、内部部局に勤務する事務官等に対しても、様々な研修機会を捉えて、我が国の危機管理体制や自衛隊の運用を始めとする事態対処に関する教育を実施しております。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 今お答えいただいたように、ほかの省庁からも、防衛省、例えば職種学校、化学学校とか、そういったところにも研修として受け入れているということでございますし、警察、消防、そういったところとの合同の訓練も年次やっているということで伺っております。

 それを受けまして、陸上総隊隷下のこの二部隊について、厚生労働大臣と西野政務官、お伺いいたします。

 内閣感染症危機管理統括庁と厚生労働省の合同の教育訓練の実施について、この二部隊とについて、それについてどのようにお考えを持っていらっしゃるか、是非お伺いしたいと思います。

福岡国務大臣 陸上自衛隊対特殊武器衛生隊は、生物剤感染者の応急措置を実施する部隊でございまして、新型コロナウイルス感染症発生時も御支援いただいたというふうに承知をしております。また、陸上自衛隊中央特殊武器防護隊は、主にNBC事態に対応するために設置された部隊であると承知しています。

 このため、今後の感染症有事においても陸上自衛隊の各部隊との連携した対応が想定され得ることから、内閣感染症危機管理統括庁や防衛省等と協力して、連携した訓練の実施の在り方について検討してまいりたいと存じます。

西野大臣政務官 まず、統括庁の役割の確認ですけれども、統括庁は、こうしたNBCを使った事態のうち、生物兵器を用いたバイオテロの場合であって、かつ感染症危機の様相を帯びている場合に、内閣危機管理監などと連携して事態に当たるということを任務としているというふうに承知しております。

 統括庁は、今委員御指摘の二つの部隊とはこれまでのところ直接の接点はございませんけれども、御指摘のような教育訓練について、自衛隊においてどのような教育訓練を日頃から実施されているのか、こうしたことを把握して、そうしたことを踏まえた上で、防衛省とどのような連携が可能なのかということを考えていきたいというふうに思っています。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 事態対処の主役は政府職員の皆さんでございますので、国民の命を守るには政府職員の練度に懸かっているというふうに私は信じております。ですので、自らに対する投資、自己投資を是非やっていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 オンライン学習プラットフォームをつくるにせよ、教範を整備するにせよ、合同の教育訓練をするにせよ、やはり様々な訓練を、教育訓練を行うには予算が要ります。こういった予算を確保することは非常に大事だと思っておりますけれども、防衛省にお伺いをいたします。

 やはり、制服自衛官の方々は、教育訓練が本務ということで一定以上の予算が積まれていると思いますけれども、防衛省の内局、背広の文官の方々のための事態対処、危機管理の予算、この全体の中での割合ですとか金額、お聞かせいただければ幸いです。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 防衛力の中核は自衛隊員であり、防衛省の事務官等は、国の防衛を遂行するため、政策立案や諸外国との連携など行政事務に従事し、有事を前提に、民間では代替できない自衛隊員として自衛隊の活動を直接支援するとともに、平素から、地域社会との協力など、防衛力の発揮の基盤を全般的に支援しております。

 防衛省・自衛隊においては、令和六年度予算のうち、訓練、演習や教育の実施のために必要な予算の総額約千百九十七億円の〇・二%に当たる約二億円を内部部局として予算に計上し、座学等を行い、能力の強化に努めております。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。大体二億円ぐらい確保しているということですね。

 これを受けて、厚生労働大臣と西野政務官、お伺いいたします。

 厚労省及び統括庁の令和六年度当初予算に占める職員のための危機管理、事態対処に関する教育訓練予算の割合、金額、お願いいたします。

福岡国務大臣 厚生労働省では、平時には主に健康・生活衛生局感染症対策部の職員が感染症に係る業務に携わっておりますが、感染症有事においては他の部局の職員もサージキャパシティーとして感染症対応を行うことを想定して、体制を整備してございます。職員に対します感染症危機管理に関する教育訓練についても、感染症対策部の職員に対する比較的専門性の高いものに加えて、サージキャパシティーとなる職員等に対しても広く実施しているところでございます。

 こうした職員に対する座学や実践形式での教育訓練は、全て通常業務の一環として行っております。このため、特に感染症対策部における教育訓練に要する費用は予算上特別に切り分けて計上しておらず、予算の割合や具体的金額をお示しすることはできませんが、次の感染症危機に向けて、広く職員の教育訓練に万全を期してまいりたいと考えております。

西野大臣政務官 感染症危機への備えとして、平時からの訓練、教育というのは非常に重要なことだというふうに考えておりまして、そのための予算確保は重要でございます。

 統括庁といたしましては、令和六年度の訓練、研修関連の経費として約八千万円を計上しております。統括庁全体の予算は約四億八千万でございますので、そのうちの約一八%を占めているということでございます。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 統括庁の方は積んでいる、厚労省は通常の範囲内でということですけれども、やはり通常の業務だけでは非常に不十分ということだと思っておりますので、是非とも別個の教育訓練予算を積んでいただいて、しっかりと訓練をしていただきたい、練度を高めていただきたいというふうに思っております。

 教育訓練予算は下げることなく、維持し、充実させることというのが非常に大事でございますので、是非とも十分な自己投資をお願いしたいというふうに思っておりまして、これで全体の、政府の能力を高めていただいて、政府の能力の充実を図っていただきたいと思っております。

 お願いを申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。どうもありがとうございました。

藤丸委員長 次に、猪口幸子君。

猪口委員 日本維新の会の猪口幸子でございます。

 本日、初めて質問させていただきますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、十月までクリニックで医師をしておりました。その中で、現在、医療機関、薬局、患者様が医薬品の不足で非常に混乱しておりまして、現場の切実な思いを背負ってこの場に参りました。中島議員と重複する面もありますが、医師として思いは同じですので、よろしくお願いいたします。

 医薬品の不足の問題は、二〇一九年より度々国会で議論されております。まず、医薬品不足の中で、医療の安全保障上最も重要なベータラクタム系抗菌薬の不足についてお尋ねします。

 令和四年に制定された経済安全保障推進法の規定により、令和五年一月十九日に、特定重要物資に係る安定供給確保支援独立行政法人として国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、医薬健栄研が指定されました。抗菌性物質製剤の安定供給確保に取り組む事業者に対し、令和四年度、抗菌薬原薬国産化支援交付金五百五十三億円が医薬健栄研に交付され、基金として運営されていると聞いております。令和五年度より運営が開始されております。

 助成対象は、資料二ページの下段にありますベータラクタム系抗菌薬、セファゾリンナトリウム、セフメタゾールナトリウム、アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウム、ピペラシリンナトリウム・タゾバクタムナトリウムの四種類で、これは現在、一〇〇%、原薬は中国に依存している品目です。

 助成の対象となる取組は、母核製造のための発酵製造設備の整備、側鎖の連続合成技術の開発及び製造設備の整備、原薬製造設備の整備、原材料及び原薬の備蓄設備の整備です。

 抗菌薬原薬国産化支援事業の進捗状況、二年たっておりますが、この進捗状況をお聞かせください。

内山政府参考人 お答えします。

 今御指摘いただいた経済安全保障推進法の特定重要物資に指定されましたベータラクタム系の抗菌薬、御紹介いただきました四成分でございますけれども、これについては原薬の国内製造を推進することとしておりまして、これも御紹介いただきましたように、抗菌薬原薬国産化支援事業を実施して、設備投資等を助成することとしてございます。

 具体的には、二〇三〇年までにベータラクタム系抗菌薬について、供給途絶時においても医療現場において必要な量を切れ目なく安定供給できる体制を整備することを目標としまして、当該目標の達成に向けまして、令和五年度に民間事業者による二つの計画を認定し、必要な助成を開始しているところでございます。

 この進捗状況でございますけれども、厚生労働省におきまして、当該二つの計画が出されております事業者に対しまして、毎年度、この計画に基づいて、当該年度に実施が必要な事業費を交付するとともに、年度終了後に当該計画の実施状況について報告を求めているところでございます。

 現時点において、いずれの計画におきましても、二〇三〇年の目標達成に向けて予定どおりに進捗しているということを確認させていただいているところでございます。

猪口委員 あと五年かかるということですね。原材料、原薬の備蓄を取りあえずは早急に進めていただくのと同時に、製造についてももっと早めにできればと期待しております。

 続きまして、原薬製造に関しまして、発酵製造設備の整備、側鎖の連続合成技術の開発及び製造設備の整備、原薬製造設備の整備ですが、これは、一九九〇年には一〇〇%日本国内で製造され、輸出もしていた経緯がありますが、三十年間途絶えていたため、新たに取り組んでいるとのことです。

 この中で、原薬を製造するための原材料は何かについて確認させてください。原材料については、母核と側鎖を製造するための本来の原材料という認識でお答えいただきたいと思います。この医薬健栄研の助成対象に書いてある、恐らく、原材料と原薬の製造設備とか書いてありますけれども、この原材料という言葉は、文章の中で見ると、母核と側鎖を原材料と呼んでいると思うんですけれども、母核と側鎖を作るための本当の意味での原材料ということでお答え願いたいと思います。

内山政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、原薬を作るために、母核と側鎖、これを結合することが必要になってございます。そして、母核、これは、例えばペニシリン系の、ベータラクタム系の抗菌薬であれば、6APAと呼ばれる、6アミノペニシラン酸というものがございますけれども、この母核の原材料につきましては、母核を生産する菌の株と、菌の株を培養するためのアミノ酸等の栄養成分、こうしたものが原材料になるというふうに考えてございます。

 また、側鎖につきましては、側鎖の原材料としましては、側鎖を化学合成するために必要な各種化学物質だというふうに受け止めてございます。

猪口委員 原材料は、完全に日本国内で調達できるものかどうか。できないものがあるとすれば、相手国はどこか。一剤でも材料が欠けると製剤が作れない可能性がありますよね。ですから、一剤も残さず、企業秘密もあると思うんですけれども、一つも残さず、どういう調達方法か、どういう国であるかということまで、できれば確認したいんです。よろしくお願いします。

内山政府参考人 お答えいたします。

 こうした原薬のもとになります母核や側鎖、それからそれに必要な原材料、これは、企業によって様々なものを使っているわけでございますけれども、現状では、一部、インドなどから輸入しているものもあるというふうに伺っています。

 しかし、今回の抗菌薬原薬国産化支援事業では、こうした原材料についても国産品を用いることの検討を行っているというふうに承知をしてございます。具体的な入手先や調達先については現在検討中であるというふうに聞いておりますけれども、いずれにしましても、厚生労働省としても、国産品を用いていただくこと、あるいは入手先を複数化することなどの検討が進められまして、抗菌薬が安定的に供給される体制が確保されるようになることが望ましいというふうに考えてございます。

藤丸委員長 一応、挙手をお願いしますね。

猪口委員 済みません、慣れないものですから。

 母核、側鎖を製造するための原材料は、できれば国内で全て調達することが最も重要な望ましい安全保障と考えます。この点がやはり国民の命を守るためのキーポイントだと思います。国として確実に、たとえ千、二千と原材料があったとしても、一つも残さず、どこからの調達かを必ず確定していただきたいと思います。そして、複数にわたっての原材料の輸入先、もし日本で調達できなければ、複数の相手国を見つけておいていただきたいと思います。かなり安全保障に関わることだと思いますので、よろしくお願いします。

 続きまして、現在、抗菌薬以外の医療用医薬品も不足が続いていることに対してお尋ねいたします。

 参考資料の三枚目の図表を御覧ください。医薬品の不足の中で、特に後発品が不足しております。原因としては、原材料調達トラブル、製造や品質トラブルがあります。

 その根本的背景は、後発品の使用促進政策の下で、供給が需要に追いついていないと思われます。表の一番左の上から四番目ほどに書いてあると思いますけれども、調達が非常に少ないという状況で、各医薬品メーカーが増産ができない状態に陥っていると考えられます。度重なる薬価改定、追い打ちをかけるように中間年薬価改定もあり、薬価の下落が速く、増産へ、設備投資や品質管理などの整備への投資ができない状態からくると推測されます。

 製造、品質トラブルを是正し、需要に見合う安定的な生産を可能にする技術力の向上が必要で、そのためには、企業が積極的に投資を行う意欲を持てるような薬価改定が必要だと考えられます。いかがですか。

 このまま薬価を下げ続けると、作れば作るほど赤字となり、さらに、国内での製造も困難となっていく薬剤が増加すると思います。日本の製薬及び創薬に多大な損害を及ぼしていると考えられます。

 政府はこの医薬品不足の解消を今後どのように進めていくのか、そのロードマップをお示しいただけたらと思います。

内山政府参考人 お答えします。

 医薬品不足につきまして、医薬品の安定供給、これは大事だと思ってございまして、足下の供給不安解消、それから中長期的な産業構造の改革、この二つにしっかりと取り組んでいくことが重要だと考えております。

 足下の供給不安の解消に向けましては、これまで、企業に対する増産の働きかけや増産体制整備への補助、それから薬価の下支え等を行ってきたところでございます。加えまして、令和六年度補正予算を活用し、更なる増産体制整備を行う企業への緊急支援も実施してまいりたいというふうに思ってございます。

 あわせて、中長期的には、非効率的な生産体制の解消に向けて構造改革が必要であるというふうに考えてございまして、厚生労働省としては、後発医薬品企業の事業再編に向けた環境整備について、実施できる取組から迅速に着手し、足下の対策と併せて、早期の供給不安の解消に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

猪口委員 製薬や創薬は、力を入れれば半導体と同じように産業の米となりますので、医療費の削減のみを考えるだけでなく、この日本の産業としても考えていただきたいと思います。

 そして、この日本の産業を守り、国民の命を守るためには、適切な薬価改定が必要と思われますが、この点について政府の見解をお示しいただきたいと思います。大臣、お願いいたします。

福岡国務大臣 薬価改定におきましては、国民皆保険の持続可能性を考慮しながら、保険収載された薬剤の価格について、市場実勢価格を踏まえて改定を行うものでございます。高齢化によってますます医療費及び国民負担が増加する中で、国民皆保険を持続するために薬価改定は重要でありまして、委員御指摘のとおり、それを適時適切なタイミングで行っていくということでございます。

 それに加えまして、改定の実施に当たりましては、イノベーションの推進、安定供給の確保と国民皆保険の持続性の両立を図ることが重要でございまして、例えば、原材料費の高騰などによる不採算品については薬価を引き上げていくということであったり、また、革新的新薬については適正な評価を実施するなど、めり張りの利いた対応ときめ細やかな配慮を行うことが必要であるというふうに認識をしております。

猪口委員 ありがとうございました。

 適切な薬価改定ということで、薬価改定の時期を適切にということですけれども、二年に一度の薬価改定を、今、中間年薬価改定を一年ごとにしているわけですけれども、企業としては、一年間で、薬価改定で下げられた状況で一年間の状況を見て、その結果を踏まえて投資という形になるところを、その状況を把握する前に一年で中間年薬価改定が起きてしまうと、今後の見通しということが企業の間ではできない状況だと思うんですよね。ですから、中間年薬価改定ということは、やはり一年ごとというのは早過ぎる状況ではないかと思います。

 私、製薬会社から企業・団体献金は受け取っておりませんので一応お断りしておきますが、中島議員と同じ考えで、やはり中間年薬価の改定ということは中止すべきではないかと思っております。この点に関して、御意見を政府として伺いたいと思います。

福岡国務大臣 まさに本日議論が続いていますように、その改定の在り方については今検討が続けられているところでございます。

 今おっしゃられましたように、安定供給の確保の要請だったり、また、革新的な新薬の開発力を強化していく、こういった要請にどうやって応えていけばいいのか。様々な方々の御意見も踏まえながら、今後結論を得てまいりたいと考えております。

猪口委員 医薬品の不足という状況が五年間続いている状況で、現場では、どういう医薬品がどうして、この医薬品がどうして不足しているのかとか、どの程度不足しているのかということが全く分からない状況で、薬局についても、医療機関についても、不安が広がっている状況です。ですから、今日この場で質問してくれということを医師会からも、そして薬局からも言われている状況で参りました。

 その中で、医薬品の不足と供給状況についてのモニタリングの我が国の現状について質問したいと思います。

 OECD加盟国においては、多くの国で医薬品不足情報、供給状況モニタリングのシステムを有しています。加盟国で二〇二二年の段階でシステムが存在していないのはチリと日本のみでしたが、現状、令和六年度の補正予算で四・四億円の予算がついているとお聞きしていますが、今後の見通し、そして、システムがいつ稼働できるのかをお教えください。お願いします。

内山政府参考人 お答えします。

 まず、医薬品の供給不安につきましては、これは医療現場の声、それから製造販売業者等の報告を踏まえまして、製造販売業者への増産の要請、それから医療機関等への適切な処方等の働きかけを行うなど、個別の事例、足りないと言われている薬に応じて丁寧に対応しているところでございます。

 加えまして、実態を網羅的に把握をするという観点から、医薬品の供給不足が生じるおそれがある場合には供給不安報告を、それから供給不足が生じた際には供給状況報告をしていただくことによりまして、製造販売業者から供給実態についての報告を受けているところでございます。これらの情報については、取りまとめの上、厚生労働省のウェブサイトで随時公表しているところでございます。

 あわせまして、これを更に進めまして、先生御指摘の令和六年度補正予算におきましては、製造販売業者による報告の効率化、それから医療機関や薬局、患者の皆様に対してより分かりやすい情報発信ができるよう、必要なシステム構築の予算を計上しているところでございます。早急にこのシステム構築をいたしまして、医薬品の供給状況について実態を適切に把握する、効果的な情報発信をする、こうしたことに努めてまいりたいというふうに考えてございます。

猪口委員 システムは構築しつつあるということだということですけれども、しっかりしたモニタリングのシステムを構築することで緊急時のワクチンの供給などにも役立つと考えますので、実践的な、本当に使えるシステムを構築していただきたいと思います。

 要は、五年も医薬品不足が続いている状況で、むしろ、五年間で改善したかというと逆に悪化している状況でございますので、是非とも全体としてこの不足を素早く解消していただけたらと思います。

 最後の質問なんですけれども、大臣にお聞きしたいんですけれども、増え続ける医療費を抑制するため、診療報酬改定や薬価改定はある程度致し方がないことですが、医療費抑制のための目指すべき最も重要なこと、これは簡単に言うと、病気にならないことです。

 この点に関して、大臣に質問いたします。大臣は喫煙をされていますか。喫煙についての大臣のお考えをお聞かせください。

福岡国務大臣 まず、私についてでございます。かつて、政治の世界へ入る前、サラリーマンの時代のときに喫煙をしていた時期はございましたが、禁煙をしてからもう二十年以上がたっている状況でございます。

 また、喫煙についての考え方といたしましては、やはり受動喫煙というか、望まざる受動喫煙ということで健康を害する方があってはいけないということは強く認識をしてございまして、その中で、あとは愛煙家の方々は、嗜好品ということでございますから、御自身の健康管理をしっかりやっていただきながらということだというふうに思います。

猪口委員 ありがとうございます。個人的な質問をして申し訳ございませんでした。

 喫煙によって、毎年十二、三万人の方が亡くなっています。特に、がんや循環器疾患は、検査や治療に莫大な費用がかかります。抗がん剤などは数千万というものもあります。喫煙習慣がなくなれば、医療費は三割削減できると言われております。介護費用もそれに伴って減少します。これを一度、私、試算したいなと個人的に思っております。これがどのくらい医療費削減につながるか。

 もう四十年間医師をしておりまして、その中で、喫煙しなければこの病気にならなかったという、特に循環器疾患の大半がやはり過去に喫煙をしていた方、やめたとしてもやはり動脈硬化はどんどん進みますので、これは認知症等にもつながりますし、できれば皆さん禁煙を、受動喫煙ということだけでなくて、禁煙を進めていただきたいと思います。

 二十代、三十代の喫煙者は増加傾向にあり、電子たばこを含む禁煙を進めることが医療、介護費削減に重要と考えます。国として禁煙をもっともっと進めていただくことが医療費削減、介護費用削減につながると思います。是非ともよろしくお願いいたします。

 これで終了でございます。

藤丸委員長 次に、福田徹君。

福田(徹)委員 国民民主党の福田徹と申します。

 私は、これまで救命救急センターの救急医として働いてまいりました。今でも私の天命は、一対一、目の前の患者の命を救うこと、それだと思っております。そして、幸いにも、これまで私は多くの命を救うことができました。ただ、それは、私の知識が優れているわけではない、私の技術が優れているわけではない。ただ一つ、世界一の日本の医療制度のおかげで私は多くの命を救えてきたと思っております。今この部屋にいらっしゃる多くの先輩、後輩ドクターも恐らく同じ気持ちだと思っております。

 ただ、今、この世界一の日本の医療は危機に瀕しています。少子高齢化、財源不足、医師、看護師が足りない、様々な理由で、本来は救えるはずの命が救えなくなっています。事実、私の地元愛知十六区でも、救急車が受け入れられない、専門医がいない、緊急手術ができない、様々な理由で、本来あるべき姿の、本来は助かる命、本来は残らないはずの後遺症が残っている事例が既にたくさんあります。私は、どうしてもそれを変えたい、その強い思いでこの政治の舞台にやってまいりました。

 私は、今、人に優しい医療改革が必要だと思っております。ただ医療を守るだけではいけない。もうそれを支える現役世代の負担も限界です。事実、今回の選挙は、私たち国民民主党は、もう限界だという現役世代の声、その声のおかげで、私も含めて大きな躍進をしたと思っております。

 そして、今、日本の医療に必要なことは、しっかりとした科学的な根拠に基づいて、本当に価値のある医療と本当は価値の小さい医療、これをしっかりと見分けて、お金も人も本当に価値のある医療に集中投資する必要がある、私はそう思っております。大切なお金や人を、人の健康や幸せに関わらない、そういうものに使っている場合ではないと思うんですよね。

 まず最初に、大臣にお尋ねします。

 今のこの私の認識、今の日本の医療は本当に価値のあるものとそうでないものをしっかりと見分けて価値のあるものに集中投資すべきだ、この私の認識は大臣の認識といかがでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

福岡国務大臣 まず、委員、救急の現場でずっと体験をしてこられたその思いを基に、今熱い思いを語られたというふうに思います。そして、命を守るということは、厚生労働省としても一番大切にしていかなければいけないことであります。

 一方で、足下のいろいろな人材もかなり不足している、そういった状況もありますから、そういった命を守ること、いかに効率よくやっていきながらしっかり命を守っていけるか、極めて大切な論点だと思っております。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 私は今、価値の小さい医療と言いましたが、いろいろあると思います。ただ、最も分かりやすいのは、例えば、短期間で繰り返される同じ検査。あるとき健康診断を受けたら、ある異常値を言われた、そうしたらすぐにクリニックに紹介された、そこでまた同じ検査をする。またちょっと難しい所見があると、大きな病院に行きましょう、また同じ検査をする。二か月で三回同じ検査をする。こういう検査は余り価値の大きいものでないと思います。

 あと、分かりやすいのは、余って捨てられるお薬、残薬ですね。これもただ捨てられるものですので、余り人の健康には寄与していないと思います。

 そして、大臣が所信表明で述べられました標準型の電子カルテ、そして電子処方箋、これらの医療DXというのは、こういう価値の小さい医療を減らすために物すごく効果的なものだと思っております。

 そこで、大臣にお伺いしたいです。

 現在、日本の医療機関におけるこういう検査の重複とか残薬とか、この余り価値の大きくない医療で年間大体幾らぐらいのコストがかかっていますでしょうか。そして、それらは、標準型の電子カルテや電子処方箋を導入することによってどれぐらい抑制できるのか。もし分かれば教えていただきたいです。

 そして、ただコストを減らすだけではない、大臣のおっしゃる電子カルテや電子処方箋、これらは、コストを減らす以外にも、例えばより診断が正確になるとか、様々ないいメリットがあると思うんですよね。この施策で得られるコスト削減以外のメリット、分かれば教えてください。

福岡国務大臣 まず、委員とは、医療DXを進めていく、その必要性については認識を共有しているというふうに承知しています。

 その上で、重複検査や残薬による医療費がどれくらいか、また、標準型電子カルテや電子処方箋によってそれをどの程度削減できるかというお問合せにつきましては、何を重複検査とするかであったり、残薬の把握が大変難しゅうございまして、それが幾らかという推計をお示しすることは大変難しゅうございます。

 他方で、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービス等の取組を進め、医療機関や薬局で患者さんの必要な情報が共有されることで、薬の重複投与、過剰な投与や、異なる医療機関での重複検査を防ぐ効果はあるというふうに期待をされております。こうした取組が進むことによりまして、結果といたしまして医療費の適正化に資するものと考えています。

 医療DXにつきましては、こうした効果以外にも、例えば、救急や災害時に過去の患者さんの診療情報を基に安全で質の高い医療の提供が可能となるということであったり、また、紙の書類作成や手入力といった医療機関における事務コストが削減できるということ、また、患者さん自身が自分の診療情報や健診情報を確認し、健康管理や疾病予防に役立てることができるなどのメリットがあるというふうに考えておりまして、こういったメリットを国民の皆様方や医療現場の方々がしっかりと実感していただけるように医療DXを進めていきたいと考えております。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃられたコスト削減以外のメリットは、今まさに医療現場で多くの人が欲しいと思っていること。私も救急医として、目の前に搬送されてくる患者さん、例えばお話しできない患者さんだと正確な情報が取れない。もしそれが、この医療DXのおかげで、ふだんの飲んでいるお薬、その方の家族歴、いろいろなことが分かれば、より正確な診断がつく。これは、私自身にとっても一刻も早く導入していただきたいもの、そうだと思っております。

 あと、金額の推計、これはなかなか難しいことも私も容易に想像できます。ただ、やはり、どの程度の効果が見込めるのかということを知ることは、それから、今からしようとしている投資が妥当なものなのか、それを考える上では物すごく重要なところだと思うんですよね。なので、できる限り推計していく必要はあるかと思っております。

 例えば、厚生労働省のホームページには、平成二十七年の研究報告にはなりますが、残薬が年間八千七百億円と推計されているような研究結果も掲載されております。これは、検査の重複と合わせると相当な額になると思うんですよね。しかも、これらは医療を受ける側にとってはほぼ、マイナスのない費用だと思っております。

 これらのお金というのは、本当は、より価値のある医療、具体的にはがんの手術であったり、救命救急であったり、本当に価値のある医療に投資されて、それらを担う医療者が、是非そういう医療を担いたい、外科医が増える、救急医が増える、そういうふうに持っていきたいと思いますし、そうすれば、国民も、いつでもがんの手術、救命救急、本当に必要な医療を受けられるようになりますので、大きな意味があると思っております。

 そして、医療だけではない。本来は、今、社会保険料で苦しんでいる多くの人々、その一人一人、そして企業のお財布にそれを戻すということもとても大切なことだと思っております。これから少しずつ、医療DXにおいて削減できる無駄な医療コスト、これを知っていくことも大事だと私は信じております。

 次に、医療DXの前提となります電子カルテの普及についてお伺いしたいと思っております。

 医療DXを実現するためには、電子カルテはもうスタートラインです。紙のカルテではデータは取れないはずなんですよね。そして、今あるデータとしては、二〇二二年の時点では、電子カルテの普及率は病院では五七・二%、一般診療所では四九・九%となっているようです。ちょっと、直近のデータは私も取れませんでした。ただ、政府の目標としては、二〇三〇年にほぼ全ての医療機関、一〇〇%とされているようです。

 ただ、この数値、達成できそうでしょうか。現場の声としては、電子カルテを導入したくてもできないという声はいっぱいあるんですよね。例えば費用の問題もそうですし、あと、デジタルに関する知識や技術がなくて導入する自信がない、そういう院長先生の声もいっぱい聞いております。でも、医療DXのためには必須です。成し遂げなければいけないと思っています。

 ですので、大臣にお伺いしたいです。

 電子カルテの普及の障壁となっていることは何なのか、そして、それをクリアするための改善策はあるのか、それを教えてください。

福岡国務大臣 まず、医療機関の電子カルテ導入率につきましては、先ほどの数字とは別に、直近の調査であります令和五年時点で、一般病院で六五・六%、一般診療所で五五・〇%となっておりまして、中でも比較的小規模な医療機関において導入が進んでいないというようなことを認識しております。

 電子カルテを導入していない理由といたしましては、異なる電子カルテを使用する医療機関の間では患者さんの情報を円滑に共有できないなど、導入のメリットを感じにくいというふうなこと、また、電子カルテの導入に一定のコストを要することへの懸念がある、こういった意見があるというふうに承知をしております。

 このため、小規模な医療機関が導入しやすい安価な標準型電子カルテの開発であったり、また、医療機関等の間で電子カルテ情報を共有するための電子カルテ情報共有サービスの構築などを行うことによりまして、電子カルテ導入のメリットを実感していただけるような取組を進めることで、二〇三〇年におおむね全ての医療機関への電子カルテ導入を実現してまいりたいと考えております。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 実は、ちょうど昨日、以前勤めていた病院の院長から連絡がありまして、七年ごとの電子カルテの更新に三十億円かかったというんですよね。大きい病院だとそれぐらいかかるそうです。もう既に電子カルテを導入している病院でも苦しくなっている。今導入していない病院にとっては更に苦しいですよね。

 電子カルテの導入を支援することには、もちろんコストがかかります。ただ、その結果として得られるベネフィットも相当大きいと理解しております。もしかしたら、電子カルテの導入に、より手厚い支援、これが必要になってくるかもしれないなと私自身は思っております。

 次に、オンライン診療についてお伺いさせていただきます。

 大臣所信において、オンライン診療の普及についてもお話しされておりました。私自身も今、対面で行われている診療のうち、かなりの割合が、同じ医療の質を保ったまま、オンライン診療に切り替えることができると思っております。

 患者さんの側から見ても、物すごく混雑している医療機関で何時間も待たされるよりも、オンライン診療の方がいいという方がたくさんいらっしゃるはずですし、医療機関側としても、無駄な医療事務作業が減るとか、最初に慣れるまでは少し抵抗があるだろうなとは想像できますけれども、慣れてしまえばメリットはいっぱいあると思っております。しかし、実際は、オンライン診療の普及率というのは、全ての医療機関でまだ一五%程度という情報もあります。

 医療におけるお金の問題、人手不足の問題、多くの問題を解決できる可能性があるこのオンライン診療、これを前に進めるためには何かアクションが必要だと思っております。

 大臣にお伺いします。

 オンライン診療の普及に向けて、現時点の課題は何でしょうか。そして、それを解決する改善策がありますでしょうか。

福岡国務大臣 本日も医師の偏在などについて議論が行われてきたところですが、オンライン診療においては、特に医療資源が少ない地域において、医療アクセスを確保するために大変有用であるというふうに考えておりまして、その普及に当たりましては、例えば、職員のリテラシー向上やシステムの導入、運用、また、患者さんの理解促進や高齢者への対応といった課題があるものと承知をしております。

 こうした中で、厚生労働省におきましては、国、自治体、医療機関等が普及に向けて取り組むべき方向性を示した基本方針の策定、そして事例集の周知、導入の補助事業や研究事業などにより、オンライン診療の推進を図っているところでございます。加えて、適切なオンライン診療を更に推進していくため、現在、社会保障審議会医療部会において、制度の見直しについてまさに御議論をいただいているところでございます。こうした取組を通じて、適切なオンライン診療の普及に努めてまいりたいと考えております。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 これまで、医療の歴史を振り返ると、多くのイノベーションがあったと思うんですよね。例えば、ここ日本では、江戸時代に華岡青洲が世界で初めて全身麻酔で乳がんの手術をした。それ以降、世界中でいわゆる手術、難しい手術ができるようになったと思っております。そして、有名な話、フレミングは青カビからペニシリンを発見した、そして多くの感染症から命を守った、こういうイノベーションがあるんですが、今まさに取り組まれている医療DXというのは、それと同じぐらいのイノベーションになる可能性が十分にあると思うんですよね。

 しかも、日本はよく高齢化先進国と言われますが、それは不名誉な称号のようにも聞こえますが、もしかしたら、この日本の医療DXが世界に先駆けて医療の世界に新しいイノベーションを起こす、私は、それぐらいの心意気を持って取り組むべきことだと思っております。

 私、この政治の舞台に来るまで、選挙前、政治活動をしているとき、医師として政治活動をしていると、言われたんですよね。福田さん、医療を専門にしていても、政治というのは物すごく広い世界だから、医療というのは物すごく狭い領域でしょう、いい仕事できますかと聞かれたんですけれども、私は、医療というのは物すごく大きな領域だと思っているんですよね。それは予算規模でもそうです。医療は年間四十七兆円。私、教育は物すごく大事だと思いますけれども、教育は五・五兆円、国防も八兆円、公共事業も六兆円でしょうか。医療というのは物すごく大きな領域なんですよね。

 でも、一方で、私、救急医として、ずっと政治をテレビで見ていて思っていたことがあります。それは、何でこの物すごく大きな医療が改革されないんだろうと思っていたんですよね。

 救急医の前には、よくこんな患者さんが来ます。交通外傷で全身ぐちゃぐちゃ、命からがら。検査をすると、肝臓が真っ二つに割れてどぼどぼ大出血している、手の骨が折れて少し出血している、足の皮膚が切れてちょろっと出血している、こういう患者さんが来るんですけれども、この患者さんの命を救うために必要なことは、誰がどう見ても、真っ二つに割れている肝臓を止血してくることだと思うんですよね。

 でも、救急医の目から今の日本の政治を見ていると、この四十七兆円という物すごく大きなバケツの穴があるのに、国葬で数十億円だとか、防衛費を増やすための一兆円をどうするかとか、もっともっと小さいひび割れの話をしていることもいっぱいあると思っております。

 私は医療の専門家として、できる限りこの四十七兆円という大きなバケツの穴を適正に縫い合わせて、そして、それを本当に価値のある医療、一人一人の国民のお財布、企業のお財布、それにしっかり戻して、この日本を成長させる原動力にしたいと思っております。皆様と一緒に、この厚生労働委員会で一生懸命働いていきたいと思います。

 今日はありがとうございました。

藤丸委員長 次に、森ようすけ君。

森(よ)委員 国民民主党の森ようすけでございます。

 本日は、質疑の機会をいただき、ありがとうございます。福岡大臣を始め厚生労働省の皆様におかれては、厚生労働分野という、年金、医療、介護、労働、福祉など、多岐にわたる厚生労働行政の推進に日々取り組んでいただき、感謝を申し上げます。

 それでは、本日は通告に従いまして質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、年収の壁についてお伺いをさせていただければと思います。

 私たち国民民主党は、御承知のとおり、いわゆる百三万円の壁、こちらの引上げに向けて今取り組んでいるところでございます。この百三万円の壁は基礎控除と給与所得控除を合わせた金額でございますが、これは、一九九五年、三十年前から変わっていない金額でございます。この基礎控除は、生活に必要最低限の所得に対しては課税しないという、憲法の生存権を保障する制度でございます。

 この三十年間で日本の最低賃金は一・七三倍に上昇しまして、これと同じペースで基礎控除の金額が上がれば、百三万円が百七十八万円になるわけでございます。今の日本において必要最低限の生活を送るためには、この百七十八万円の手取りが必要ではないか、こうしたふうに考えまして、国民民主党では、百三万円の壁を百七十八万円に引き上げるべきだ、こういった提言をさせていただいているところでございます。

 そして、この百三万の壁は、労働供給の観点でも大きな制約になっていると思います。パート、アルバイトの方でしたり学生の方が年収百三万円を超えないように就労調整をしているわけです。年末が近づきますと、年末でお金を稼ぎたいのに、百三万円の壁があるから働くことができない、こういった労働供給の点で問題が起きております。

 また、これは労働者側の視点だけではなくて、企業側も、十一月、十二月、繁忙期でございます。仕事があふれている年末の繁忙期に、パート、アルバイトの方をシフトに入れることができない。こうした、労働者側そして企業側双方でこの百三万円の壁というのは問題が一定程度ある、大きいというふうに考えているところでございます。

 この百三万円の壁は税金に関わる壁でございますけれども、それとは別に、百六万円の壁、百三十万円の壁といった、社会保険に関わる壁ももちろんあるわけです。

 皆様御承知のとおりではございますが、簡単に御説明をさせていただきますと、百六万円の壁は、従業員五十一人以上の会社に勤めている方を対象に、週で二十時間以上仕事をして、月八万八千円、この給料を受け取っている方が健康保険、厚生年金保険に加入義務が発生するという壁でございます。そして、百三十万円の壁の方は、従業員五十人以下の会社でも、年間百三十万円以上の収入になると、労働時間に関係なく国民健康保険、国民年金の保険料の支払いが発生する、これが百三十万円の壁でございます。

 少しややこしいなと思うのは、百六万円の壁は基本給しか入らない一方で、百三十万円の壁の方は、基本給だけではなくて、通勤手当でしたり、時間外手当、休日手当、賞与でしたり、こういったものも含めて計算することになっておりまして、壁はいろいろあるんですけれども、計算の仕方がすごい複雑だなというふうに個人的に思っているところでございます。

 こうした壁が労働供給にどういった影響を与えているのかという点につきましては、こういったレポートがあります。RIETIのレポートなんですけれども、住民税の課税記録のデータを使って、配偶者のいる女性の給与収入の分布を取ってみると、年収百三万円の手前あたりで大きなピークが来ているんですね、やはり。そして、次に百三十万円のところでピークが来ている。やはり、年収の壁として、百三万円の壁、そして百六万の壁、百三十万円の壁、これはやはり労働供給に大きな影響を与えているのではないかということが見て取れると思います。

 先日の大臣の所信の中においても、いわゆる年収の壁を意識せずに働くことができる環境づくりを後押しします、こういった御発言があったところかと思います。

 そこで、大臣に御質問ですけれども、私たちが議論を進めている百三万円の壁とは別に、こうしたように、社会保険に関わる百六万の壁、そして百三十万円の壁が存在していることが労働供給等に与える影響についてどのようにお考えか、御見解をお伺いさせていただければと思います。

福岡国務大臣 今委員からも御説明がありましたが、社会保険の年収の壁につきましては、社会保険の扶養に入られている方が働いて収入が増加する中で、扶養の基準から外れて社会保険料が発生し、手取りが減少することを避けるために、就業調整を行うケースがあるものというふうに認識をしています。

 こうした課題に対しまして、まず、当面の対応策でございます年収の壁・支援強化パッケージの活用に取り組みますとともに、就業調整を行っている労働者の方々が希望に応じて働くことができるよう、被用者保険の適用拡大に取り組むことが大変重要であるというふうに考えております。

 被用者保険に加入した場合は、当然、年金であったり医療の給付の充実といったメリットがあることから、丁寧に周知広報を行うとともに、まさに、次期年金制度改革に向けて、働き方に中立的な制度を構築する観点から、被用者保険の適用拡大などが議論されているところでございまして、そういった中で、しっかり成案を得るべく努力してまいりたいと考えております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 まさに、年収の壁のパッケージでしたり、あと、働き方に中立な制度をつくっていく、検討していくという御発言をいただいたところでございます。まさに、労働力不足が今後更に深刻になっていくわけでございますから、労働供給に与える影響の大きい社会保険の壁については、社会保障といった視点だけで考えるのではなくて、労働政策としての側面も視点に置きながら議論をしていくのが重要だというふうに考えているところでございます。

 そして、税制の壁の百三万円の壁は、これを超えると、家族手当も含めて手取りが確実に減ってしまうわけでございますが、先ほどの答弁にもあったとおりだと思うんですけれども、社会保険の百六万の壁は、厚生年金への加入になるので保険の支払いが一定発生するんですけれども、将来受け取る年金が増えることでしたり、けがや病気で仕事を休むことになった場合に疾病の手当金がもらえたり、出産の手当金がもらえたり、一断面においては手取りが確かに減るものではあるんですけれども、トータルではメリットも一定あるというふうに思いますので、同じ壁ではあるものの、分けてしっかり考えていくことが大事かなというふうに考えております。

 一方で、百三十万円の方は、百六万円と違って手取りが確実に減ることになる壁でございますので、これはまた難しい問題ではございますが、まず、本日は、百六万円の壁に関連して、年金制度改革が進んでいるところでございますので、そちらについて御質問させていただければと思います。

 まず、健康保険と厚生年金保険の加入要件については、四つ要件がございます。まず一つ目のところが、週の労働時間が二十時間以上であること、二つ目が、賃金が月額で八・八万円以上、年収で百六万円相当以上であること、そして三つ目が、学生を適用対象外にすること、最後、四つ目が、一定規模以上の企業を適用対象にすること、こういった要件が四つあると思います。

 このうち、今回は適用要件拡大ということで議論が進んでいるところでございまして、二つ目の年収要件のところと四つ目の企業規模要件、この見直しの議論が進んでいるところでございます。年収要件については二〇二六年の十月に撤廃をする、そして、企業規模要件については二〇二七年の十月に撤廃する、こうしたふうに検討が進んでいると報道ではなされているところかなと思います。

 こうした要件を撤廃することで、新たに保険に加入する人がかなりの規模で増えてくるわけでございますが、被用者保険の適用拡大は、企業側から見れば、社会保険料の負担、そして人件費が増えることにつながるわけです。また、事務負担も増加するところでございます。そして、従業員の側からすると、社会保険料の負担が発生して手取りが減少する、こういった弊害があるというふうに思っております。

 そこで質問でございますが、こういったふうに、年収の要件、企業規模要件の見直しによって新たに社会保険の加入者が増えることにつながるわけですけれども、企業側、従業員側双方で負担が極めて大きいというふうに考えておりますが、それぞれに対してどのような対応を検討されているか、お伺いをさせていただければと思います。

間政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員が御指摘になられました賃金要件とかあるいは企業規模要件を見直した場合には、先ほどこれも委員の言及がございましたけれども、雇用契約上二十時間以上あるかどうか、実際に働いたかどうかというよりも、雇用契約上二十時間以上といったような要件が適用の要件になりますので、働く方からすると、ある意味ではシンプルで分かりやすいものになる。どういう働き方をするのかというのは雇用時間で決めることができる、こういうふうになると思います。

 その上で、適用拡大の円滑な適用を進められる環境整備を行う観点から、社会保障審議会の年金部会におきましては、被用者保険の適用拡大に関する詳細を議論する中で、労働者の方の手取りの収入の減少を緩和する観点から、労働者の方の保険料負担割合を下げることを可能とする特例でありますとか、逆に、事業主負担への配慮としまして、準備期間の十分な確保、積極的な周知広報、事務手続や経営に関する支援についても議論を行っているところでございます。

 引き続き、関係者の意見を伺いながら、成案を得るべく努力してまいりたい、このように考えております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。様々な提案について対応を検討されているということを承知させていただきました。

 特に、私個人で気になる点としては、今回の適用要件を拡大することによって、賃上げの流れが阻害されてしまうのではないかというところでございます。賃上げの逆の賃下げでございますが、こういった可能性があるんじゃないかなというふうに考えております。

 私も中小企業の経営をしていたんですけれども、やはり企業目線では、人件費、労務費というのは、給与だけではなくて、企業が負担する社会保険料、法定福利費も含めて捉えているところでございます。企業の負担分の社会保険料というのは、帳簿上においては法定福利費に振り分けられますけれども、実質的には、人件費は給与と社会保険料の合計として一般的に捉えるものというふうに思います。

 例えばなんですけれども、五十人以下の企業が、例えば月十万円でパート、アルバイトの人を雇っているとします。このとき、現在においては、五十人以下の企業でございますので適用対象外にはなりますけれども、企業規模の要件がなくなれば、月十万円のパート、アルバイトの方は社会保険の対象になると思います。

 協会けんぽの場合、健康保険料と厚生年金保険料、合計で二万八千円程度だと思います。この二万八千円を企業と従業員で折半するわけですから、会社が一万四千円の負担、従業員が一万四千円の負担になると思います。なので、会社の負担は、十万円の給料と一万四千円の社会保険料で、十一万四千円に増えることになるわけです。

 これまでと会社の売上げでしたり粗利が変わっていないのに、社会保険料を含めた人件費が増えるわけですから、普通に考えれば、給与を十万円で据え置くと、企業経営は厳しくなるわけでございます。このままではいかぬ、時給を下げよう、給与を下げよう、こうしたインセンティブが働くというのは自然な考え方かなというふうに思います。

 これだけ賃上げ、賃上げと、社会の流れや政策の流れで打ち出している一方で、今回のこの見直しの方向性は、それと逆行する賃下げのインセンティブを働かせるものだと考えておりますが、それに対する是正の措置、それをどういったふうにお考えのところか、御見解をお伺いさせていただければと思います。

間政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、企業サイドからすると、社会保険料負担も含めて労務費でございますので、そういったもの、ある意味でコストであり投資であると思いますけれども、そういったふうにお考えだというふうに思います。

 その意味では、本質的には、やはり企業の稼ぐ力をいかに高めていくかということがまず一つあると思いますが、社会保障制度の側としては、先ほどのお答えとやや重複しますけれども、こういう事業所の負担の増というものについて、適用拡大の円滑な適用を進められるような環境整備を行う観点から、準備期間を十分確保すること、先ほど報道のお話もされておりましたけれども、そこも含めて、これからよく議論をするということだというふうに思います。

 そして、利用者が、当然、企業サイドもそうですし、働く人が、壁を越えていこうというふうに、このメリットを十分に御理解いただくということも大事だと思いますので、企業への支援になると思いますので、そういう意味での積極的な周知広報といったこと、あるいは、事務手続や、先ほどの中小企業対策も含めて、経営に関する支援ということについても議論しておりまして、これについて、成案を得るべくしっかり議論してまいりたいというふうに思います。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。答弁の中で、準備期間をしっかり設けるというのはもちろん必要なことなんですけれども、やはり、売上げと粗利が変わらないのに負担だけが増える、この原則は変わらないことなので、準備期間が幾らあっても、この原理が変わらない以上、やはり賃下げに働く政策なのかなというふうに個人的には捉えているところでございます。

 ただ、壁をしっかり越えていこうと、その何か気持ちだったり情勢を高めていくことによって労働時間を増やすとか、こういったところに働かせるのはすごい大事だと思っていて、私たち国民民主党は百三万円の壁に今取り組んでいるところでございますが、まさに、壁を思い切って飛び越えて労働供給を増やしていく、この気持ちがすごい大事だと思いますので、そういったところ、普及啓発も含めて、社会保険ですごいプラスのメリットもあるんだよとか、そういったところはしっかり発信していくことが大事かなというふうに考えているところでございます。

 そして、今回の適用要件拡大に伴いまして、従業員の手取りの減少を回避するために保険料の負担割合を企業が任意に変更できる、こういった特例も検討されているところでございます。これまでは労使で折半されていた保険料を、例えば、従業員を四割、事業主を六割の負担にするとか、従業員を一割の負担、事業主を九割にする、こういったことができるようにするような特例でございます。

 これまた複雑な仕組みをつくろうとしているんだなというふうに思うわけですけれども、やはり、こうした特例を利用できるのは体力のある企業、とりわけ大企業だけなのではないかなというふうに懸念をしているところでございます。こうした特例を設けることによって、大企業と中小企業の待遇の格差を招く制度になるのではないかなというふうに思っているところでございます。

 そして、先ほど話させていただきましたとおり、企業は給与と社会保険料を人件費として一体として捉えているところでございます。保険料の負担割合を事業主を多くする、要すれば従業員の保険料を肩代わりするわけでございますが、そうした体力があるのであれば、こんな制度を使うのではなくて、賃上げにシンプルに回したらいいのではないかというふうに考えているところでございます。

 先ほど、月十万円の給料の場合を例に出させていただきましたが、改めて説明しますと、社会保険料は二万八千円になるので、労使折半だと、従業員は十万円から一万四千円が引かれて、八万六千円が手取りになります。事業主の方は十万円に一万四千円が加わって、十一万四千円が負担額になるわけです。

 ここで、従業員の手取りを下げたくないということでこの特例を導入しまして、例えば、従業員を一割、事業主を九割の負担にします。そうしたら、この二万八千円の保険料は、従業員が三千円の負担、事業主が二万五千円程度の負担になるわけです。そうすると、従業員の方は十万円の給料から三千円が引かれるので、九万七千円が手取りになります。事業主の方は十万円から二万五千円の負担が発生するので、十二万五千円が負担額というふうになるわけです。肩代わりすることによって、余分で一万一千円を事業主は追加で負担することになるわけです。

 この一万一千円を賃上げに回したらいいと個人的には思うんです。月十万円の給料だったので、この一万一千円を、例えば十一万の給料に引き上げます。十一万の給料の場合、社会保険料は三万円にちょっと上がるんですけれども、十一万の給料から三万円の折半の一万五千円が引かれた九万五千円が手取りになります。事業主は十一万から一万五千円の社会保険料負担があるので、十二万五千円が負担額となります。

 事業主の負担は変わらない一方で従業員の手取りは少し、二千円下がるんですけれども、こんな複雑な特例を導入しなくても、賃金を上げる、賃上げに回せば、こうした制度を取り入れられるような企業の場合、賃上げをすることでシンプルに手取りを維持できるんです。こんな制度を導入しなくても、体力のある企業は手取りを減らさないようにすることができると考えています。

 そこで質問でございますが、こうした保険料負担割合の変更の仕組みが検討されているところでございますが、こういった特例を利用できるのは体力のある企業だけではないかと考えております。そして、企業が肩代わりをするのであれば、その分を賃上げに回すことで雇用者の実質負担を軽減することができるので、これ以上複雑な仕組みを入れる必要はないのではないかというふうに考えますが、大臣の御見解をお伺いさせていただきます。

福岡国務大臣 働く方が社会保険の年収の壁を意識して就業調整を行われた場合には、将来的な年金給付の充実といった被用者保険のメリットを受けることができないだけでなく、賃上げの恩恵も受けられないおそれもございます。

 そうした観点からも、年収の壁に対する制度的な対応が必要であると考えておりまして、その際には、働く方の社会保険料負担の軽減の観点から、御指摘のような任意で事業主負担を変更できる特例についても、今、年金部会で御議論いただいているところでございます。

 その上で、企業間に取組に差異が生じるのではないかとの御意見もあることから、社会保障審議会年金部会において、企業側の保険料軽減や、より広く活用される環境の整備といった視点も含めて御議論をいただいておりまして、そういった総合的な中で、成案を得るべく、関係者の方々の意見を伺いながら対応してまいりたいと考えております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 私の趣旨としては、こういった特例を導入するのは別にいいんですけれども、導入して実施できる企業は結局体力があるので、こんな変な仕組みをやらなくても、賃上げをしたら手取りは減らないわけなので、そもそも要らないんじゃないかというのが私の指摘でございます。もちろん、今議論のところだと思いますので、私からの意見も含めて検討を進めていただけますと幸いでございます。

 こうしたように、保険料の負担割合を変更できる仕組みについてはやはり懸念があるところでございます。仮にこれを導入したとしても、負担の割合を変更したことをしっかり従業員に伝えることというのが大変大事だと考えております。

 ただでさえ、社会保険料の負担は給与明細上では従業員の負担分しか記載されないわけで、事業主分も含めた実際の社会保険料の負担というのは一般の従業員の方は気にされていないと思います。半分しか給与明細上では見えていないので、国民の皆様は社会保険料の負担に何とか納得していると思うんですけれども、実際はその倍負担しているわけですから、正直なところ、現状の社会保険料負担は現役世代の納得できる金額ではないというふうに考えております。

 そうした中で、この制度を導入すると、更に実際の社会保険料の負担額が見えなくなるわけです。そのため、こうした特例を利用した場合は、少なくとも給与明細にその点を明記するようにすべきではないかなというふうに考えているところでございます。

 今年の六月に定額減税を実施したわけですけれども、この定額減税の恩恵が国民にしっかり伝わるように、減税額を給与明細に明記するように義務づけられたというのが記憶に新しいところだと思います。それと同じように、給与明細上に事業主の分も含めた社会保険料を明記するようにすることで、国民一人一人の社会保険料負担への理解が高まると考えますが、大臣の御見解をお伺いさせていただきます。

福岡国務大臣 まず、労働者の保険料負担割合を下げることを可能とする特例については、今議論が行われている最中でありまして、方向性がそちらで定まっているわけではございません。

 その上で、仮にこのような特例を創設した際には、労働者の方に負担割合変更による効果をしっかり実感してもらうことができるよう、制度の仕組み等についての周知を行うことは大変重要であると考えています。

 一方で、給与明細の様式については、あくまで事業主が任意で定めておられることから、御指摘のような社会保険料の事業主負担分を記載するか否かについては、基本的には事業主の方が御判断いただくことでございます。事業主に事業主負担分の記載を政府から求めることについては、事務負担も考慮して慎重に検討する必要があると考えております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 さっき、事業主の負担は、給与明細は任意のことだといった御答弁をいただきましたけれども、そのとおりだと思います。ただ、定額減税のときは、事務負担があるのにわざわざ記載させたわけなんです。なので、今回も同じように記載させるべきというのがあるべき姿なのではないかなというふうに私個人として考えておりますので、ただいま議論の途中ということですので、また成案ができ上がったときには、来年の国会でもしっかり議論をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 こうしたように、社会保険の適用拡大をすると、新たな対象者が出てきて、手取りが減らないように、いろいろ複雑な仕組みを導入したりするわけでございます。そして、労働時間の二十時間の要件があるわけでございますから、百六万円の壁はなくなりますが、次は二十時間の壁というのが出てくるところでございます。そして、百三十万円の壁もあります。

 やはり、こうした壁による労働供給への影響が発生する根本的な要因の一つに、第三号の被保険者制度の存在というのがあると思います。制度が導入されていた当初と比べて、専業主婦が当たり前といったような価値観から、今はもう共働きの世帯が七割を超えているわけでございます。そして、配偶者が第一号か第二号かによって、同じ働き方でも、第一号になるか第三号になるかというのは変わってくるわけですね。なので、働き方でしたり配偶者の有無にすごい非中立的な制度になっているというふうに考えているところでございます。

 こうした第三号被保険者制度を廃止することは、極めて慎重かつ国民的な議論が必要ではあるというふうに考えておりますが、こうした非中立的な制度であるというような指摘も踏まえまして、第三号被保険者の今後の在り方について、大臣の見解をお伺いさせていただければと思います。(発言する者あり)

 ありがとうございます。済みません、時間を超過しましたので、私からの意見だけ述べさせていただいて、これで終わらせていただければと思います。本日はありがとうございました。

藤丸委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 早速、二十分質問をしたいと思っております。

 まず、福岡大臣、御就任になりまして初めての国会質疑でございますので、改めて、御就任おめでとうございます。

 大臣に質問する前に、実は委員長に要望をしますので、ちょっとお待ちいただければと思っています。

 まず、今日の質疑の順番なんですが、これまで、我が厚労委員会では、衆議院では、与党会派で行い、その後、野党会派を行ってまいりました。しかし、今日は、自民党さんが行い、その後、大会派別ということで、私は今第五会派になってしまっておりますので、五番目にやったわけでございます。

 その決め方について、昨日、理事会等でお話をしましたが、各国対で決まっているんだというお話だったんですが、改めて私、確認しましたら、各委員会の場で質疑の順番は決めていくことだというふうに改めて確認を取りました。野党筆頭からは、もう国対間で決まっているということだったんですが、そうではないということであります。

 そこで、私、調べましたら、過去、旧民主党政権時代でも、このときは与党が民主党そして社民党ですが、これは与党会派から行い、その後、野党が行っている。

 今回は、会派の順番も私は問題があると思うんですが、時間なんですけれども、時間については、これまでどおり、例えば、与党会派は今日は一時間、他の会派は五時間半を与えているわけであります。前の旧民主党政権のときは、例えば、六時間の質疑に対して、与党二時間半、そして野党三時間半だというわけであります。

 ですので、例えば、会派順にするのであれば、例えばドント方式にして、会派の議席数に沿って、参議院のようにやってはどうか等々あります。

 何を言いたいかというと、今までの慣行を変えるのであれば、なぜ変えるのか、変えることによって何かこの委員会の質疑はよくなるのか、または、これまでのやり方がデメリットがあったのかについて、よく次の理事会で協議をしていただいて、納得のいく形で次の通常国会を迎えたいと思っておりますので、御要望させていただきたいと思います。

藤丸委員長 はい、分かりました。理事会協議とさせていただきます。

浜地委員 済みません、大臣、お待たせをいたしました。

 大臣の所信をお聞きしまして、創薬力の強化ということをしっかりとうたわれていることを高く私も評価をさせていただきたいというふうに思っております。

 よくドラッグラグ、ドラッグロスというふうに言われるわけでありますけれども、もしかすると、国民の皆様方には、もう一度この日本を創薬の地として、産業政策の面からも再構築をするという必要性がしっかり伝わっていない可能性があるんじゃないかというふうに思っています。

 といいますのが、いわゆる半導体の政策につきましては、今、国策として、いわゆる熊本に、外国の企業と日本の企業の合弁会社に対し五千億以上のお金がつくということに対して、恐らく国民の皆様方は、やはり半導体をしっかり国内で作るために必要性を感じていらっしゃるんだと思っています。

 やはり半導体というのは分かりやすくて、例えば、私もこの前、車を注文しましたけれども、半導体がなくて、車のキーは一本だけで、二本目のキーが来たのは半年後でありました。また、自動運転のためには、ナノといって、もう御存じのとおり、半導体の小ささ、小さければ小さいほど性能がいいと言われていますが、これについては五ナノぐらいが必要でありますが、日本で作れるのが今三十ナノぐらいという話であったり。

 または、データセンターですね。大量のデータをこれから使います、AIも含めて。これはもう小さくないと電気を食いますので、小さい容量で二ナノという実は最先端のものがこれから必要であるというような議論が、新聞紙上も含め、又はテレビでも盛んに報道されているので、恐らく、外国企業と日本の会社、合弁企業に対して五千億、一兆という話が許容されているんだろうというふうに思います。

 これから次の当初予算に向かって、しっかりとこれから創薬のための予算も取っていくというわけでありますけれども、やはり国民の皆様方に、なぜ創薬の強化が必要なのか、必要性を分かっていただくことが必要だと思っています。

 今、資料一を持ってきましたが、厚労省に聞くと、いつもこの資料をお持ちになるんですね。アメリカや欧米で承認をされているうち、日本で承認されていない薬は百四十三ありますと。そのうち開発にも着手をしていない未着手は八十六あって、これがベンチャー企業のシーズであったり、又はオーファンと言われる希少疾患の薬であったり、小児用医薬品だということなんですが、これはよく分からないです。

 例えば、分かりやすいのだったら、がんの特効薬が海外であるんだけれども、日本にはそれが入っていなくて、実はそれが使えないことは大問題ではないかというような分かりやすい説明であるとか、若しくはモダリティーの中で、シーズで、これからは要は遺伝子治療が盛んになる、これがもし遅れるとこういう例えば治療法が日本では使えなくなるというような、具体的なものを分かりやすく説明していただきたいと思いますが、この点につきまして、大臣の御所見をいただきたいと思います。

福岡国務大臣 いわゆる海外で承認されている医薬品が日本では開発されていないために使用できないドラッグロス問題については、御指摘のとおり、国民の健康にも関わる重要な課題でありまして、国民の方々の周知も含めまして、解消に向けて対応を適切に進めていくことは大変必要だというふうに思っています。

 このため、厚生労働省においては、今、ドラッグロスが指摘されている八十六品目のうち、国内で開発が必要な医薬品を本年度中にお示しすべく、今整理を進めさせていただいているところでございます。

 今後、開発が必要と判断した医薬品については、国民に周知しますとともに、国内企業への開発要請や開発企業の公募を行い、現在生じているドラッグロスの解消に取り組んでまいりたいと考えております。

浜地委員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 では、次の質問を政府参考人に質問したいと思っています。

 今大臣から御答弁がありましたとおり、しっかり調査をして、分かりやすく国民の皆様方に伝えていくということであります。ただ、伝え方が問題で、実は欧米で非常に大事な薬が日本にないというと、これはこれでまた伝え方も問題なんですが、しっかり工夫をしながら、国民の理解につながるような、そういった周知広報の仕方をしていただいて。特に来年度、しっかり予算をつけますし、その次も実はしっかり予算をつけていきたいというふうに私も思っておりますので、応援できるような、そういう仕組みをつくっていただきたいというふうに御要望させていただきたいと思っております。

 次に、今、ドラッグロス、ドラッグラグの、実際の必要性についてはそのような御答弁でありましたが、では、今の日本の創薬の過程において、特にエコシステムと言われるところにおいて、どこが欠点なのかということを話をしたいと思っております。

 資料二がありまして、資料二は、分かりやすく事業化のフェーズというのが一番上にあるわけでございますけれども、基礎研究は、やはり大学の論文の数、日本はまだまだ優れた論文が多いというふうに言われておりますし、また、基礎研究から応用研究に行くときに、バイオベンチャーをしっかりと大学の先生がつくるかという点につきましては、やはり製薬にする、又はしっかりとこれを企業化していくという意識が弱いということも、いろいろなヒアリングから浮かび上がっております。ですので、なるべく、大学の先生で経営感覚がある方はいいんですが、そうでなければ早めにシーズを渡していただいて、バイオベンチャーでしっかりサポートしていくようなことも必要であろうというふうに思います。

 あと、よく言われますのが、大学の先生あたりは、やはり将来、製薬企業に買っていただくという前提がないので、要は薬価の承認に向かってのデータの取り方が、実は、こういうデータの取り方をすれば、もう少しベンチャーキャピタルや製薬企業のいろいろな目利きをされる方々の目に留まって、いいシーズとして認められるのに、そういう研究の仕方が間違っている、その指導をするべきじゃないかという御指摘もあるところであります。

 あとは、実はベンチャーキャピタルがありますけれども、日本は非常に小さい投資であります。要は、東京証券取引所のベンチャーキャピタルの上場基準が非常に問題になっていましたので、当時、私は副大臣をしているときに指摘をさせていただいたこともございました。ただ、どうしても投資期間が、十年で回収するということでありますので、実は、もう少し育てれば二十億、三十億、ややもすれば百億のファイナンスがつくのに、二億、三億で上場してしまって、その後、製品化に到達しないというような問題も指摘されるところでございます。

 ですので、これから創薬エコシステムをつくっていく上で、どこに問題点があって、どういったところを中心にこれから施策としてつくり上げていくのか、その具体的なイメージについて、参考人にお聞きをしたいと思います。

内山政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、ドラッグラグ、ドラッグロスの解消、それから創薬力の強化、これに向けましては、アカデミア、スタートアップ、投資家、それから製薬企業、そして政府とが相互に協力して創薬に取り組むエコシステム、これを構築することが大切だというふうに認識をしてございます。

 厚生労働省におきましては、従来から、臨床試験環境の整備、それから、薬事、薬価といった制度における改善策、こうしたものを講じてきたわけでございますけれども、これも先生に御指摘をいただいたわけでございますけれども、我が国においては、例えば、アカデミア等が創出するシーズを企業やベンチャーキャピタル等につなぐ際にギャップが存在しているといったような御指摘、それから、必要な開発資金を円滑に確保することがなかなか難しいといった御指摘、こういった御指摘を聞いているところでございますので、こうした御指摘、課題に対応した支援を講じることが必要だというふうに考えてございます。

 こうした観点から、まず、六年度の補正予算におきましては、ポテンシャルのあるシーズ等について、創薬経験を有する研究開発支援者等による実用化の支援、それから、動物実験施設など、各地の創薬クラスターで不足している施設整備等への補助、革新的モダリティーの人での初回臨床試験、いわゆるファースト・イン・ヒューマン試験の実施体制の整備、こうしたものに係る必要な予算を計上しているところでございます。

 引き続き、創薬エコシステムの構築について取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

浜地委員 御答弁ありがとうございます。

 資料二の図の、恐らく今、下の方の御説明があったと思います。大学や製薬企業から起業家を通して、橋渡し機能が不足ということが指摘をされていると思っています。

 橋渡し機能というと、実は、同じような言葉を使って私は一度質問したことがあって、上にあるAMEDですね、私は、国会で初めて本会議登壇の質問が、AMEDを創設するときの実は委員会の質問を当時の菅官房長官にさせていただいたことがあります。あのときも、やはり基礎研究と応用研究若しくは臨床等の過程の橋渡し、谷があるんだということで、同じようなキーワードを使って、あのとき実はAMEDを創設したわけであります。

 ならば、今、AMEDは何をしているのかなというふうに疑問に思うわけですね。本来であれば、じゃ、AMEDを強化して、AMEDのそういった元々持っているであろう橋渡し機能を強化する方が、今、箱もございますし、予算もありますので、ここに予算を強化していった方が、私は新しい創薬の開発につながるんじゃないかというのが素朴な疑問だというふうに思っております。

 そこで、今、AMEDでは、御自身で答えるのはなかなか難しいかもしれませんけれども、どういう点が当初想定をした橋渡し機能について課題があるのか。そして、今回もAMED強化ということで、AMEDの見直しということで、調整費の柔軟化とか出口志向の研究開発マネジメントとか様々掲げていらっしゃいますが、これはどういったことを意味をして、AMEDがどのように今後変わっていくのか。ちょっと具体的に分かるように御説明をいただきたいと思います。

仙波政府参考人 済みません、お答えさせていただきます。

 御指摘のとおり、AMEDの研究開発支援については、創薬力構想会議等において、各省が担当する事業の間に壁が存在するといった指摘があるところでございます。

 そうした課題を克服するため、AMEDに配分される調整費の柔軟な活用により、事業間の切れ目や企業同士の手前にある有望なシーズに対してAMED理事長の裁量での支援を可能とするほか、事業の検討段階からの出口志向の研究開発マネジメントを一層強化することとしています。

 このような取組を通じ、有望なシーズへの切れ目ない支援と企業への引渡しを加速させて、国民の皆様に成果が速やかに届くよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 私は、ある大学病院にちょっと視察に行ったときに、遠隔手術、いわゆるヒノトリという日本製の、アメリカではダビンチですけれども、本当に非常に精密な手術をする機械、約三百キロから四百キロ離れたところで、現地にお医者さんがいて、当然、向こうにもお医者さん、サポートがいますけれども、画像を見ながら手術をするという研究のテーマ、これはAMEDの予算でありました。当然、まだ人体ではできませんので、死体を使ってやられておりました。

 ただ、これは実は総務省の予算で、何をしたいかというと、要は遠隔療法の技術を学んでいるんじゃなくて、いわゆる遠隔の画像がちゃんとリアルタイムに映っているかだったので、そこで切れてしまって、次に、本格的に画像を使って、遠隔を使って本当に手術を優秀な医者が過疎地にいる方にするという事業には使われていないということが、まさに今、切れ目だと思うんですよね。

 ですから、そういったことがやはり多々あるということは指摘をされているので、もったいないですから、是非、AMEDの予算も活用していただきたいというふうに思っております。

 最後の質問にしますが、そうなると、内山さんがお答えした、AMEDさんはそれで切れ目ない予算をやっていくんだ、それだったらいいじゃないですか。今度は逆にそうなってくるわけですが、じゃ、なぜ、今回は厚生労働省が、大臣も所信で言われたとおり、新たな創薬エコシステム発展支援事業等を使いながら、様々なベンチャー設立の支援とか創薬開発支援を行う必要が逆にあるのか。AMEDの強化があるんだったらそれでいいじゃないかと今度は逆に思うわけですが、なぜ、また別のルートといいますか、もう一つの線を走らせて創薬を強化をしようとされているのか、御答弁をいただきたいと思います。

内山政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただいた創薬エコシステム発展支援事業でございますけれども、これは、産業界で実用化に取り組んできた創薬の支援者が、創薬の取組の早期を含めた様々な段階で、実用化目線で支援活動を実施するものを想定をしてございます。

 具体的には、産業界の目線で実用化を確実に推進できるよう、例えば、支援者がアカデミアを訪問し、実用化に結びつきそうな研究を積極的に見出すことや、複数の研究の組合せ、研究者の想定疾患等と異なる疾患等への変更などを支援者側から提案すること、さらに、支援者の提案を受け、海外人材も含む民間団体の助言を経て支援決定をすることなど、柔軟かつ迅速な取組を行うことによりまして、我が国の優れた創薬シーズの実用化につなげていきたいというふうに考えてございます。

 なお、この事業につきましては、AMEDの支援を受けてきた研究を本事業で支援を継続するなど、AMED事業との連携も検討してございます。

 本事業の実施に当たりましては、製薬企業を中心とする関係者の声を丁寧に伺いながら、具体的な要件の検討を進めてまいりたいと考えてございます。

浜地委員 これは委託事業になるというふうに聞いていますので、製薬メーカー、またベンチャーキャピタルとかバイオベンチャーもそうでしょうし、しっかり関係者の意見を聞いて、丁寧につくっていただきたいと思っています。

 我が公明党内にも創薬力強化PTを立ち上げました。私が座長をさせていただきますので。これは今、絵に描いたいい餅ですね、絵に描いた餅と言ってしまうと、それは食べられないので、これを食べられるようにしっかりとあんこを入れていくのが、特に来年の骨太等にも関わってくると思いますので、私自身も、しっかり勉強しながら、現場も見ながらやっていきたいと思っております。

 しっかり、また厚労省とも教えていただきながら、大臣とも御指導もいただきながら、我が公明党としても、この創薬力強化について一役買っていきたい。その決意を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございます。

藤丸委員長 次に、八幡愛君。

八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。

 人生初めての質問となっております。どうぞよろしくお願いいたします。

 私たち、れいわ新選組、生きているだけで価値がある社会を目指すという理念を結党当時から掲げております。そんな我々が、衆議院で、まさに生きるということに寄り添う厚生労働委員会に所属することが今回できましたので、れいわ新選組に御期待をいただいております国民の皆様の思いを背負って、委員会メンバーとしてしっかりと仕事をしていきたいと思っております。

 まずは、今回の補正予算、八千四百五十四億円なんですが、このうち、医療、介護、障害福祉分野の生産性向上、職場環境改善等による更なる賃上げの支援として一千八百九十二億円計上されているんですが、今回の補正予算の中で二二%、目玉の政策となっているんですが、私、まず、ここで使われる生産性という言葉にひっかかってひっかかって仕方がないんですよ。

 厚生労働大臣の所信にも生産性という言葉が使用されていたと思うんですけれども、ここで言う生産性向上の意味を、私、厚労省に問合せをしてみました。そして、返ってきた答え、介護職員の業務負担の軽減等の趣旨と同様のものとのこと。

 まあまあ、そうおっしゃるやろうなということは予想できたんですけれども、人間の価値を生産性で語るような世の中に対して一時期議論が巻き起こったと思うんですね。生産性があるとかないとか、何かそういうことがあって、障害を持っている方とか、高齢者の方とか、マイノリティーの方を傷つけることにつながってしまうんじゃないかという意見、たくさんあったと思うんですが。ましてや、一人一人、お一人お一人に合わせたケアが必要な介護や福祉の現場で生産性という言葉を用いる、これでも誰もひっかからないというこの感覚こそが、今の日本社会の諸問題が隠れているんじゃないかなと私は思いました。

 そこで、質問です。

 政府が市場経済の分野でこれまで使ってきた生産性という用語、医療、介護、障害福祉の現場で使用することは控えるべきではないかと私は思うんですが、大臣の御所見を伺います。

福岡国務大臣 今後、医療、介護、障害福祉のニーズが多様化する一方で、生産年齢人口の減少が見込まれる中、人材確保の課題に対応しつつ、限られた人員で質の高いサービスを提供していく必要があるというふうに考えています。

 こうした中で、医療、介護、障害福祉の現場においても、業務の効率化等により業務負担の軽減を図りながら、サービスの担い手の方々が専門性を発揮できる環境を整えることは重要と考えており、生産性向上の取組として推進しているところでございます。

 そういった意味で用いているということを、医療、介護、障害福祉の現場の方々に丁寧に説明をしながら、理解を得ていきたいと考えております。

八幡委員 現場の効率を上げるという意味を指しているということは当然理解できるんですけれども、人間は野菜でもないし、機械でもない。でも、生産性の向上と言われてしまうと、傷つく人がいると思うんですよね。少なくとも私はひっかかりました。

 じゃ、どういう表現がいいのか。私なら、能率を高めるとか、能率を上げていくといった表現を使います。是非、厚生労働省の皆様方も御検討ください。

 続いての質問です。

 大臣所信で、令和六年度報酬改定において講じた医療、介護、障害福祉分野の職員の処遇を改善するための措置をするとのことでしたが、訪問介護だけ基本報酬が引き下げられました。

 現在、介護事業者の倒産、深刻な事態になっております。東京商工リサーチによりますと、今年の一月から十月だけ、既に過去の年間記録を上回る百四十五件の倒産です。そのうち訪問介護が七十二件。私の地元東大阪でも、訪問介護の基本報酬が引き下げられたことで、もう心が折れてしまって、廃業しようかなとか、悩んでいる方、そういった相談をたくさん受けるようになりました。

 総理への代表質問でも、他党の議員からも指摘がありましたけれども、訪問介護の基本報酬引下げについて、改めて大臣の受け止めをお聞かせください。

福岡国務大臣 厚生労働省においても、自治体の協力を得て、訪問介護事業所の廃止状況について、足下の本年六月時点の状況を整理しましたところ、対前年同月比で一割程度の増でございまして、その主たる要因は人員不足や職員の高齢化等が挙げられております。報酬の見直しと明確に因果関係があると考えられる廃止理由については、確認をできておりません。

 引き続き、報酬改定、実態調査に応じて報酬は見直しましたが、その分、処遇改善については、ほかのサービスよりも多く加算しているというような状況がございます。その中で、加算がうまく取れていないといった御指摘もありましたので、その更なる取得促進に向けた要件の弾力化を行いますとともに、今回のこの補正予算の経済対策を通じて、更なる賃上げの支援を行うところでございますし、あわせて、経験年数が短いヘルパーへの同行支援の強化やヘルパーの常勤化への支援など、そういったきめ細かい対応も行っていく、そういったことでしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

八幡委員 できることはもう全部やっていただきたいんです。

 そもそも、何で訪問介護だけ引き下げられたのかということを伺いますと、とにかく早い話が、要は、利益が出ているサービスつきの高齢者向け住宅などの収益の高い事業者と、それ以外の、地域に根づいた収益の低い個人事業者も、全部混ぜこぜにして基本報酬を決定してしまったというところが問題があるんじゃないかなという質問を用意をしていたんですけれども、今日は立憲民主党の早稲田議員も同じく御指摘されておりましたので、割愛をさせていただきます。

 実際に、本当に今回の基本報酬引下げで、因果関係はとおっしゃっていましたけれども、やはり心が折れちゃうんですよね。自分たちがやっているサービスとか仕事、すごい価値が低いものとされたのかなと傷ついた人たちがたくさんいらっしゃるということは、大臣も心に留めていただきたいなと思います。

 続いて、介護業界の全体の話なんですけれども、厚生労働省の調査でも、二〇二六年度には約二百四十万人、二〇四〇年度には約二百七十二万人の介護人材が必要だと分かっているのにもかかわらず、人手不足、解消される見込みがございません。

 大臣、この人手不足について、何が原因だとお考えでしょうか。

福岡国務大臣 介護職は他産業と比較して元々有効求人倍率が高く、それが、昨今の賃上げで先行する他産業との人材の引き合いとなっている状況にあるというふうに考えております。

 今後また高齢者の方々が増加することであったり、生産年齢人口の減少が進む中で、将来にわたって必要な介護サービスを安心して受けられるように、担い手を確保していくということは極めて喫緊の課題だというふうに認識をしています。

 このため、介護人材の確保に向けては、累次の処遇改善を行うことを始め、ICTや介護ロボットといったテクノロジーを活用した、ちょっと余り好きじゃないかもしれないですが、生産性を向上する、要は効率を上げていくという取組をやっていくということ、そして、補正予算に盛り込んだ賃上げに向けた支援など、様々な取組を組み合わせることで、介護人材確保に向けて対策を推進してまいりたいと考えております。

八幡委員 いろいろと説明いただいたんですけれども、これは早い話がとにかくお金なんですよね。報酬が少な過ぎるんですよ。だって、介護従事者というのは、全産業の平均で年間百万円以上所得が少ないんですね、命を預かる仕事なのに。

 れいわ新選組は、処遇の大幅な改善として、毎年約三兆円の国費を投じて賃金補助を行い、介護従事者の賃金を月額最低でも十万円アップさせる政策を打ち出しているんですが、まずは、この厚生労働委員会において、訪問介護の基本報酬引下げに私も抗議をして、せめて、ほかの事業者と同等の引上げを早急に講じていただくべく、野党の皆さんとともに訴えてまいりたいと思います。

 高齢化社会、当分続きます。介護の人手不足というならば、国が積極財政で支援をするのが本当の将来への責任だと私は考えます。この問題、まだまだ掘り下げたいのですが、時間に限りがありますので、次の質問に移らせていただきます。

 こちらもほかの議員からもありました、能登半島地震における災害関連死についてです。

 今月十四日の報道で、能登半島地震の災害関連死は二百六十一人となりました。直接死の四倍の関連死を出してしまった二〇一六年の熊本地震の教訓を生かして今回は初動に当たったと聞いていたので、私自身、とてもショックを受けました。

 さらに、福祉支援を盛り込む災害救助法の改正に先駆けて、今年の四月二十五日の災害対策特別委員会で、当時の松村防災大臣が、在宅での避難を余儀なくされている要配慮者の方に対しても、厚労省の事業などを活用して、介護支援専門員が個別訪問を行うなどして必要な支援を行ってきたと答弁されていたんですが、なぜ、それでも防ぐことができず、今回、災害関連死を多く出してしまったのか、政府の受け止めを教えてください。

今井大臣政務官 まずは、震災でお亡くなりになられた方々に心より御冥福を申し上げます。

 その上で、災害関連死の要因についてなんですけれども、これまで関連死と認定された方は、能登半島のときは、八十代以上の方が全体の約八割を占めて、死因については呼吸器系や循環器系疾患による方が多く見られ、また、基礎疾患を抱える方が震災による環境の変化やストレス等により亡くなられるケースが多かったところです。

 発災当初から、医師や保健師等による避難者への支援や、また、ホテル、旅館などの安全で快適な場所への二次避難に取り組んでおりましたが、今後、フェーズが変わっておりますので、更に、仮設住宅等での入居者の見守り、健康観察、またデイサービス等を提供するサポート拠点の整備などにより、被災者の支援に全力で取り組んでいきたいと思っております。

八幡委員 ありがとうございます。わざわざ来ていただいて、ありがたいです。

 でも、私たち、私自身も自戒のために言うんですけれども、こうやってやり取りしていると、お亡くなりになった人たちというのは、お一人お一人に人生があって、そこには家族がいて、何か私たちどうしても数字とか情報だけで捉えてしまうんですけれども、そうじゃなくて、やはり受け止めて、流してしまうのではなくて、しっかりと、その一人一人の人生があったんだなということを頭に置きながら、是非私もやっていきたいし、今井絵理子政務官にもそうあってほしいなと思っております。

 私、小学生のときに今井絵理子政務官に憧れていたので、このような形でお会いできるとは思っていなかったので、これも何かの縁ですので、私たちのような世代が先頭を切って、被災地支援、これからたくさん災害はやってきますので、先陣を切ってやっていけるように、これも何かの御縁ですから一緒にやっていきましょう。石破総理にもしっかり言っておいてください、予算をつけてマンパワーを出してくれと。

 話を戻します。

 今回の災害関連死の増加を見ると、福祉サービスもそれこそ不足していたのではないかなという印象を私は受けました。やはり、ふだんからの在宅介護の人材不足というのも、ここに来て影響してくるのではないでしょうか。

 あわせて、災害救助法の法改正、これも早急に望みます。災害は待ってくれません。

 ここで、質問です。

 今後、南海トラフ地震、首都圏直下など起こると言われておりますが、大臣、今回の能登の事態を踏まえて、これからどう対策していく予定なのか、お聞かせください。

福岡国務大臣 本日の議論におきましても、チーム間の連携であったり対応が不足しているところの穴を埋めていく、そういった議論がなされてきたところです。そういったことをしっかり進めていくことだというふうに思っています。

 能登半島地震及び九月の豪雨時の対応につきましては、避難所の衛生環境改善や感染症対策、行政の指揮調整機能の支援を行うため、DMATなどの医療関係者やDHEATなどの専門職、感染症の専門家、DICTの派遣を行うとともに、自治体等と連携し、仮設住宅での入居者の見守り、健康観察、デイサービス等を提供するサポート拠点の整備等を実施したところでございます。

 にもかかわらず、御指摘があるように、多くの関連死の方々がいらっしゃることを重く受け止めながら、引き続き対策を進めていきたいと考えております。

八幡委員 せっかく直接死から逃れて命をつないだのに、その先の困難で更にまた命を落としてしまうというこの関連死、これ以上増やさないように、私も一緒に考えていきたいです。

 続いて、生活保護基準についてです。

 大臣所信では、生活保護の生活扶助基準において、社会経済情勢等を踏まえた対応を行いますとのことですが、生活保護費の見直し議論、この年末に迫り、動向が注目されております。

 資料一、御覧ください。

 生活保護基準額は、日本で暮らす全ての人の生活水準の土台であって、住民税の非課税限度額や最低賃金、医療、介護の利用者負担など、多くの制度に影響を及ぼし、そして、保護受給者以外の多くの国民の生活水準に波及していきます。

 生活保護費が見直されようとしているんですが、今、二年前よりも物価高が進んで、国民の生活、更に苦しくなっております。総合物価指数は九・五%、水道光熱費一一・一%、食料は二〇・四%、中でも生鮮食品は二七・六%の負担がかかっております。二〇二〇年を基準として、二〇二四年十月時点での物価上昇率、総合物価指数では九・五%増えていると言っていますけれども、命のとりで裁判の試算からしますと、生活保護を利用している方が二〇二〇年と同じレベルの生活を維持するためには一三%以上の大幅な引上げが必要とのことです。

 しかし、昨日十七日の朝日新聞によると、生活保護費をめぐり、厚生労働省は、一人当たり月五百円程度引き上げる方向で検討に入ったとの報道がありました。こちらの報道の内容は正しいんでしょうか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の報道は承知をしておりますけれども、令和七年度以降の生活扶助基準につきましては、社会経済情勢などの動向を踏まえ、必要な対応を行えるよう、来年度予算の編成過程において検討しているところでございまして、検討中の内容につきましてはお答えを差し控えたいと存じます。

八幡委員 先月二十九日に、財務省財政制度審議会では、生活保護世帯と一般低所得者世帯の消費実態との均衡を理由に、生活保護の基準額を引き下げるようにと主張されていました。しかし、昨日の報道が、審議はどうなっていくか分からないとはいえ、厚労省が新たに約五百円を増やすと私は聞いたときに、中ではいろいろあると思うんですけれども、私は厚労省を応援したいなという気持ちはあるんですが、五百円の増額では、二年前に行われた物価高対策として千円と合わせても、特例的加算千五百円にしかなりません。全然足りていないです。

 物価高を勘案しての一三%以上の生活扶助費の引上げ、お願いできませんでしょうか、大臣。

福岡国務大臣 先ほど局長が答弁しましたとおり、まだ方向性については定まっておりません。様々な御意見を受け止めながら、最終的な方向を定めていきたいと思っています。

 その上で、生活扶助基準の設定の考え方について申し上げますと、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られるよう、五年に一度の頻度で社会保障審議会生活保護基準部会において検証を行い、社会経済情勢等も勘案して設定をしております。

 今の現行の生活扶助基準においても、令和四年の生活保護基準部会の検証結果を反映することを基本とした上で、社会経済情勢等を総合的に勘案し、一人当たり月額千円を加算するとともに、加算を行ってもなお従前の額から減額となる世帯については、減額とならないよう配慮しているところでございます。

 令和七年度以降の生活扶助基準については、現在の対応や社会経済情勢等の動向を踏まえて、必要な対応を行えるように、予算編成過程の中で検討して結論を得てまいりたいと考えております。

八幡委員 まず、過去五年とかこれから五年と考えると、五年に一回の見直しでいいのかなというようなところからもひっかかってはくるんですけれども、とにかく、分かりやすく言うと、今、低所得の人たちがもらえるお金がどんどん減っているから、それよりも生活保護が上回ったらあかんから更に下げていこうよという、とんでもなく冷たい世の中だなと私は思いました。

 一般低所得世帯の現状に生活保護世帯への給付を合わせるというのは、憲法で保障されている生存権から見ても問題があると思うんですが、このままだったらどんどん社会の底が抜けていくと思うんですが、いかがでしょうか、大臣。

福岡国務大臣 今御指摘の観点についても、これまでも国会で御議論いただいているところでありますが、令和四年十二月の生活保護基準部会の報告書では、最低生活費の水準を議論するに当たっては、引き続き一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかどうかという観点から検証を行うことが基本とされている一方で、消費実態との比較によらない手法についても、今後も議論を継続していくことが重要であるとの御指摘をいただいております。

 引き続き、生活保護基準部会において、専門的な見地からの議論を継続してまいりたいと考えております。

八幡委員 物価高に見合うには消費でなく物価に着目していくべきだと何度もしつこく言わせていただくんですが、先ほど、物価高を勘案して一三%以上の引上げが必要と申しましたが、それは上げ過ぎだと思われる方もいらっしゃいません。

 御用意しております資料のグラフ、御覧ください。これは、日本、ドイツ、韓国の単身世帯の保護費の推移のグラフです。

 二〇一二年には日本が一番保護費が高かったんですが、日本は、日本経済の現状と比例するかのように、どんどんどんどん下がり続けています。一方、二〇二三年、二〇二四年にかけて、ドイツはいずれも一二%、韓国は七%、一四%と、物価高に合わせて大幅に引き上げています。韓国は来年も大きく引き上げることを既に決めているということですが、日本では、先ほども言いましたが、財務省さんが、分からないですけれども、引き下げろみたいなことをおっしゃっていて、ちょっと冷たいんじゃないかなということがよく分かると思います。

 支援団体との面談のときに、武見前厚生労働大臣が、最低賃金を含めて全体の賃金が引き上がっているときに、生活保護に関しても引上げは当然だと思っているとおっしゃったそうなので、よろしければちょっとお話をしていただけるとありがたいなと思います。よろしくお願いします。期待をしております。

 最後に、生活困窮者への食料支援についてです。

 私、ありがたいことに厚労委員会と農水委員会を兼任させていただいております。このテーマ、どちらの委員会でも、それぞれの目線から取り組んでいきたいと思っています。

 二〇二〇年から都庁の下で食料品配布活動をしている自立生活サポートセンター・もやいによりますと、毎週土曜日の食料配布に並ぶ人は、コロナ禍の二〇二〇年四月には百六人でした。それがどんどん増えてまいりまして、二〇二三年五月には七百四十九人と、過去最高を更新されたとのことです。そして、二〇二四年現在も毎週七百人前後で推移しているとのことです。

 異次元の物価高を背景に、その数は減る見込みがなく年末年始がやってきます。更に食料を求める人たちの数が増える可能性があります。年末年始、特に来年は、土日が絡む関係で公的機関は六日からの始業なんです。なので、役所が閉まっている期間が長いんですね。その間の相談窓口の確保というものも問題だなと私自身は思っているんですが。

 大臣にもう一回聞きたいんですけれども、年末が訪れるたびに、自分は年を越せるんだろうかと絶望のふちに立たされたり、生きていくことを諦めてしまう人たちの現状は把握されておりますか。そして、どう対応されていかれますか。お願いします。

福岡国務大臣 現下の物価高の影響が続く中、この年末年始は、官公庁では九日間の休暇となるということで、例年よりも長期の休暇となりますため、生活にお困りの方への支援体制の整備は大変重要な課題だというふうに認識をしております。

 このため、厚生労働省といたしましては、十一月二十五日に事務連絡を発出し、各自治体に対して、年末年始の相談体制等の確保を依頼したところでございます。

 また、年末年始に生活困窮者支援団体等が各地域で実施する宿泊場所や食事の提供等の支援活動の情報についても、近日中に各自治体に対して示す予定となっております。

 また、食料の支援につきましては、生活困窮者の支援を行う自立相談支援機関がフードバンク団体等から提供された食料の保管や配送等を行うための経費に対する補助を行うことであったり、生活困窮者等に対して食料の支援も含めた支援活動を行う民間支援団体への助成などの取組を行っております。

 こうした取組を通じて、引き続き、生活に困窮される方々が年末年始を安心して過ごしていただけるよう、支援を行ってまいりたいと考えております。

八幡委員 ありがとうございます。

 先ほどフードバンクと大臣もおっしゃっていただいたんですが、農水委員会で私この後また質問をするんですけれども、やはり、余っている作物とかを国が買い上げて、御飯が食べられないとか困っていらっしゃる方に配っていくのが一番効率いいんじゃないかなということを、厚労省と農水と、どちらとも訴えていきたいなと思っているんです。

 日本は、そういった低所得者の方とか生活困窮者の方に対して、どちらがというか、厚労省がやるのか農水省の問題なのか、食べることに関してはっきり決まっていないらしいので、その辺りも、私、どちらも所属させていただいているので、うまく何かこれから一緒に連動して考えていきたいなと思っておりますので、大臣もよかったらちょっと受け止めていただけると幸いでございます。

 今日は、介護福祉現場や被災地や生活困難者の方の声を届けさせていただきました。本当に、行政に頼れるときは私は頼ったらいいと思うんです。先ほども、年末年始、安心して暮らせるようにと大臣おっしゃったんですけれども、何か最近、相談窓口に行くのが怖くて民間に頼られるそうなんです、民間のそういうNPOとかの活動をされている方に聞いたんですけれども。何で行かないんですかと言うと、きっと水際対策をされて、自分が傷つくのが嫌だから、相談する勇気がないから行けないんだと。行きたいんだけれども、一緒についていってほしいとか。何かすごく、セーフティーネットと言われますけれども、そこさえ諦めてしまっている人たちというのが本当に最近多いなと思います。

 私は、今回、政治家に一年目で入らせていただきましたけれども、何か本当に、政治を諦めてしまっているということにもつながるんじゃないかなと思っています。本当に、失礼ですけれども、大臣の答弁だけ聞いていると、何という立派なすてきな世の中になっていくんだろうとめっちゃ思うんですけれども、実際そうなっていっていないのがずっと続いているわけじゃないですか。だから、やはり政治家というのは、自分が口に出した言葉というものに責任を持ってしっかりと実現していくという姿を、私、一緒に厚生労働委員会に所属しましたので、大臣にはすごく期待をしております。

 閣議決定されました総合経済対策でも、誰一人取り残さないと明記をされています。本当に、この国を守るということはあなたを守るということ、これはれいわ新選組の信念でもあるんですが、誰一人取り残さない政治、大臣そして委員会の皆様、一緒にやっていきましょう。ちょっと早いですけれども、質問を終わります。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、国民健康保険税の滞納に対する考え方についてお伺いします。

 今月二日、国民健康保険法改正法が施行され、保険証の新規発行が停止されました。今の保険証はこれから使えるのであろうか、今までと同様に医療にかかることができるんだろうか等の国民の不安の声が広がっています。マイナ保険証の本人確認をめぐるトラブルは後を絶ちません。そして、今、新たな問題も起こっています。

 お配りしている資料一を御覧いただきたいと思います。

 これは、福岡県の直方市が国保税を滞納していた世帯に対して配付した文書です。ここに書いてあること。今までは国保税を一部でも納付していただくことで短期保険証を交付することができた、十二月二日以降は、国保税を一部納付された場合でも、納付期限から一年を経過した国保税の滞納が残っている場合、特別療養費の対象となり、医療機関受診の際に一旦医療費の十割分を御負担していただくことになりますとしてあります。

 そこで伺いますけれども、厚生労働省は、従来、一年を超える国保税の滞納があっても機械的に保険証を取り上げることがないよう、地方自治体に対して技術的助言を繰り返しています。十二月二日以降、この考え方を変えたんですか。説明してください。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 改正後の法令においては、国民健康保険料の滞納者に対して、各自治体が納付の勧奨や納付相談の機会の確保その他保険料納付に資する取組を行ってもなお災害その他特別の事情なく一年以上滞納が継続する場合に、特別療養費の支給に切り替える、そういったこととしており、自治体において機械的な運用を行うことなく、実情に応じて適切に対応していただくべきものであることは、十二月二日の改正法施行後も変わらないということでございます。

田村(貴)委員 確認しますけれども、従来と同様に、結果的に一年を超える滞納を抱えてしまったけれども、分納など滞納解消の努力をしている人に対しては、自治体の判断で窓口三割負担をしていいということですね。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 分納納付等により滞納解消に向けた努力を行っている対象者について、自治体の判断で引き続き通常の負担割合、例えば三割とかでございますが、そういったもので受診できることとする取扱いについては、十二月二日以降も変更しているものではないということでございます。

田村(貴)委員 確認しました。

 もう一つ伺います。

 改正前の国民健康保険法では、一年以上滞納したら、自治体がどういう対応をしたかは問わず、保険証の取上げを義務としていました。これは法律がそうなっていました。十二月二日以降、この点はどう変わったんでしょうか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、改正前の法令では、災害その他特別の事情なく一年以上保険料を滞納している方については、健康保険証の返還を求め、特別療養費の支給対象としていたところでございます。改正後の法令においても、特別の事情なく一年以上滞納している方を特別療養費の支給対象としており、さらに、各自治体が滞納者に対して納付の勧奨や納付相談の機会の確保その他納付に資する取組を行う必要があることを法律上明記をしているところでございます。

田村(貴)委員 納付の勧奨、それから納付相談、踏み込んだ形で、機械的にしてはならないというふうに私たちは受け止めています。ですから、機械的に、あなたは滞納が一年以上あるからここで十割払いなさいというのは、これは間違ったメッセージになるわけですね。滞納世帯は往々にして低所得者であるために、事情をよく聞き取って、保険料減免の適用、生活の立て直しを図る、そして、場合によっては生活保護の窓口につなげていく、こうした丁寧な対応が必要になってくると思います。

 お伺いします。

 例えば、収入がなくて、朝昼晩ずっと働きづめで、納付通知では連絡が取れない方がおられたとします。そして、納付相談につながらない場合は、どういうふうにしたらいいんでしょうか。また、納付に資する取組を行ってもなお納付がない一年を超える滞納者については、どんな手続を自治体が取ればいいか、厚労省はどのように考えておられますか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 原則としては、保険料の納付をいただいた上で診療を受けていただくということが大切であると考えております。その上で、様々な事情があるというふうには思っておりますが、納付通知だけでは納付相談につながらない場合、また、当該滞納世帯主に対しては、電話や戸別訪問等を実施した上で、接触の機会を確保して納付相談につなげること、こういったことが重要であるというふうに考えております。

 これらの保険料納付に資する取組を行ってもなお災害その他特別の事情なく滞納が継続するような場合については、当該世帯に対して弁明書を送付して弁明の機会を与えた上で、正当な弁明がなされない場合に、事前に通知を行い、特別療養費の支給に切り替える、こういったことだと考えております。

田村(貴)委員 福岡大臣、今のやり取りをお聞きになったと思います。やはり、納付勧奨それから納付相談、そして、その人の状況に応じて相談に乗っていく、そしてアドバイスをしていく、これが基本ですよね。

 直方市は、保険証の新規発行停止を機会に、保険料滞納に対する従来の取扱いが大きく切り替わるようにして、国保税滞納者に文書を配付しました。法改正で変わってもいないところを変わったと伝えて、一年経過した滞納があれば窓口十割負担になるというのは、これは虚偽の情報に基づくいわば脅しであり、問題だと考えます。大臣、どうされますか。

福岡国務大臣 先ほどからのやり取りでもありましたように、分割納付等により滞納解消に向けた努力を行っている滞納者に関しましては、自治体の判断で引き続き通常の負担割合三割で受診できることとする取扱いについては、十二月二日以降も変更しているものではございません。

 加えて、改正後も、一年以上滞納が継続していることのみをもって直ちに特別療養費の支給に切り替えるものではなく、改正後の法令においては、国民健康保険料の滞納者に対して、各自治体が納付の勧奨等の取組を行ってもなお災害その他特別の事情なく一年以上滞納が継続する場合に、特別療養費の支給に切り替えることとしてございます。

 これらの対応について、各自治体において機械的な運用を行うことなく、適切な取組がなされるよう周知徹底を行ってまいりたいと思います。

田村(貴)委員 このような誤ったメッセージを出した、誤解をしている自治体に対しても周知徹底を図っていただきたい。分かりました。

 関連して、マイナ保険証についても質問したいと思います。

 直方市の通知一つ取っても、マイナ保険証をめぐっての混乱、そして問題が後を絶ちません。十二月二日の保険証廃止が目前に迫った十一月のマイナ保険証の利用率は二八・二九%と、国民の多数は従来の紙の保険証を利用しています。そして、政府は、マイナ保険証を保有する七千七百四十七万人に、今度は資格情報のお知らせという文書を送付しています。

 厚労省の担当者に伺いますと、マイナ保険証とともに、資格情報のお知らせの部分の情報の部分を切り取って所持をしていただきたいと言っているんですよね。これは、なぜ二つ所持するんですか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 十二月二日から、委員御承知のとおり、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行をしておりますが、オンライン資格確認の義務化対象外施設を受診する場合など、例外的にマイナ保険証だけで受診できないケースもあり得るところだと承知しております。

 こうした場合にも円滑に受診できるよう、マイナンバーカードとマイナポータルの資格情報画面の提示ですとか、マイナンバーカードと今お話のありました資格情報のお知らせの提示、こういった方法をお示しをしており、資格情報のお知らせは、スマートフォンからマイナポータルを利用することが難しい方であっても提示しやすいというふうに考えております。

 また、何らかの事情によりマイナンバーカードでオンライン資格確認が行えなかった場合においても、同様に、マイナポータルの資格情報画面や資格情報のお知らせを提示いただければ、全額自己負担せずに、三割等の適切な自己負担で保険医療が受けられるということを示しているところでございます。

田村(貴)委員 厚労省の皆さん、大臣、それだったら、これまでの保険証との併用でいいじゃないですか。制度がどんどんどんどん複雑でややこしく、誤解を生む形になっているんですよ。これまでの保険証との併用でいいと思います。

 福岡県保険医協会の最新の調査では、医療機関の約七割で、マイナ保険証が使えない、いわゆるオンライン資格確認ができないというトラブルが七割で発生しているんですよ。

 政府は、従来、マイナンバーカードと健康保険証の一本化と言ってきましたけれども、これは、一本化では駄目だ、資格情報のお知らせを持たないと、マイナカードを持っている人は、やはり現場で二度手間、三度手間になるから両方持ってくださいとなっているんでしょう。これは政府自身が一体化できないと言っているのと一緒じゃないですか。このことについて大臣の見解を求めたいと思います。

福岡国務大臣 まず、マイナ保険証は、本人の健康医療情報を活用した適切な医療の提供に大きく寄与するものでございますから、その利用を促進することは大変重要であるというふうに考えておりまして、そういった観点から、十二月二日にマイナ保険証を基本とする仕組みへと移行したところでございます。

 その上で、マイナンバーカードと一緒にマイナポータルの資格情報画面や資格情報のお知らせ等を提示いただくといった資格確認方法は、何らかの事情でオンライン資格確認が行えない場合でも、十割の全額自己負担をせずに、三割等の適切な自己負担で円滑に保険診療を受けられる方法として整理をしたものでございます。

 マイナ保険証の取得自体は任意であること、また、保険診療を円滑に受けられるようにすることを踏まえると、資格確認書や複数の仕組みを整えることは無駄ではないというふうに考えておりますが、引き続き、マイナ保険証のメリットと併せて、資格確認の方法については丁寧に周知するなど、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 健康保険証に対して資格確認書が送られている、マイナ保険証に対して資格情報のお知らせが送られている、どこまで国民を混乱させるのかと言わざるを得ません。被保険者も保険者も、そして医療機関も迷惑千万と言っておられますよ。保険証廃止、この方針を撤回する、そして併用すべきだ、少なくとも併用すべきだということを強く要求したいと思います。

 次に、生活保護基準について聞きます。

 来年度の生活保護基準なんですけれども、十一月十三日に出された財政制度等審議会の分科会資料では、生活保護水準について、次のように記述されています。一、特例加算は、令和元年、二〇一九年から令和五年、二〇二三年の一般低所得者世帯の消費の伸びを上回る水準であり、一般低所得者世帯との消費実態との均衡を図るべき。二、一般低所得者世帯との均衡の観点は、合理的な算定根拠のない従前額保障は解消を図るべき。

 つまり、基準を引き下げなさいよと言っているんですよね。そして、財務省においては、予算査定でそのような主張をしているというふうに聞いています。

 しかし、二〇二三年以降、それ以前と同水準で、例えば食料、水光熱費などの物価上昇は続いているわけなんですよね。だから、今度、政府の総合経済対策で、生活保護世帯を含めて低所得者世帯支援給付金が支給されることになったんですよね。ずっと物価高騰が続いて生活が苦しいから、あえて補正、経済対策で生活支援給付金、保護世帯にも給付することになったじゃありませんか。

 お伺いしたいと思います。財務大臣政務官、東政務官にお越しいただいています。

 財務省は、生活保護基準、すなわち生活保護世帯の収入を削減すべきと考えているんですか。

東大臣政務官 生活扶助基準については、従来、一般低所得者世帯の消費水準との均衡を図るよう設定をされておりまして、先月に取りまとめられた財政制度等審議会の建議においても、こうした観点から、現行の基準額について、臨時的、特例的対応によって令和四年度以前の基準額を保障していること等により、一般低所得者世帯の消費実態との間で不均衡が生じているとの指摘がなされているものと承知をしております。

 財務省としては、令和七年度以降の生活扶助基準については、骨太方針二〇二四において、社会経済情勢等を踏まえた必要な対応を行うというふうにされておりまして、それを踏まえ、引き続き、予算編成過程において、制度を所管する厚生労働省とよく議論をしてまいりたいと考えております。

 以上です。

田村(貴)委員 社会経済情勢等を踏まえて必要な対応を行うのであれば、引下げじゃなくて引上げじゃないですか。この五年間の物価上昇で、生活保護世帯を始めとする低所得者世帯は本当に暮らしが大変です。深刻な状況となっています。

 どれだけ厳しい生活に追い込まれているのか。私は福岡県の北九州市が地元なんですけれども、小倉の方で保護受給世帯の方の声を聞いてまいりました。

 例えば、男性七十五歳。七十五歳になって保護費が下がり、最近は日に二食しか食べないようにしている、洋服類は数年間買ったことがない、それでも、冬になって厚手のシャツを買おうと思ったけれども高くて買えない、百円ショップで靴下を一足だけ買った、こういう声です。

 十歳の娘さんがいる母子家庭、四十八歳の女性の方です。スーパーで値下げになった弁当をまとめて買って娘と分けて食べている、パンも前日の売れ残りをまとめて六個百五十円のものを買って食べている、最近三年間、売れ残りばかり食べている、せめて娘の誕生日ぐらいは祝ってあげたいと。

 そして、多くの方はこう言っています。寒いけれども、エアコンを使用せず家でコートを着ている、風呂も週一回程度にしている、暖かい家で暮らしたいと思っている。物価高騰で、本当に買物に行くたびにレジでどきどき、そして価格を見てびっくり、こういう状況が低所得者、生活保護世帯を襲っているわけですよね。こんな中で、血も涙もないような、保護費削減のような意見を出すべきじゃないですよ。

 大臣、伺います。

 特例加算の廃止、そして引下げや従前保障の措置を解消すれば、これはもう心身を傷めてしまいます。冬場の時期、倒れてしまいます。そう思いませんか。引下げではなく、やはり生活保護基準というのは、これだけ物価が高騰しているんです、引き上げるべきです。財務省はそう言うけれども、厚労省としてそういう立場を堅持していただきたいと思いますが、いかがですか。

福岡国務大臣 まず、現行の生活扶助基準は、令和四年の社会保障審議会生活保護基準部会での検証結果を反映することを基本としながら、社会経済情勢等を総合的に勘案し、お一人当たり月額千円を加算するとともに、従前の額から減額しないようにしております。

 令和七年度以降の生活扶助基準につきましては、この現在の対応や社会経済情勢等の動向を踏まえ、必要な対応を行えるよう、現在進めている来年度予算編成過程の中で検討してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 次に、十一月二十七日、大阪の堺市が、生活保護世帯に対して支給される家族介護加算の支給漏れを発表しました。堺市によれば、六十五世帯、四千百五十万円だったんですけれども、十七年間にわたっておよそ六百二十五万円が加算されていなかったことが明らかになっています。

 では、ほかの自治体はどうなのか。生活保護情報グループが家族介護料の支給状況を調査しました。資料三を御覧いただきたいと思います。左下の表です。

 家族介護料の認定件数は、堺市で今全国トップで六十八件です。しかし、生活保護受給者数が堺市の一・九倍の名古屋市は十四件です。五・三倍の大阪市は五十五件です。十一倍の東京都は僅か六十四件で、いずれも堺市を下回っています。家族介護料が認定されていません。

 全国的に大きな支給漏れがあるんじゃないですか。大臣、家族介護料の加算漏れについて、早急に全国の実態調査を行うこと、原因を掌握すべき、そして全国の自治体に周知徹底を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 今般、一部の自治体において、生活保護制度の家族介護料についての算定漏れがあったことは承知してございます。

 一般論といたしまして、加算については、保護の実施機関が、国で定めた基準や通知に基づき、個々の世帯の状況を踏まえて算定することとしておりますが、自治体ごとにばらつきがあるのではないかとの指摘があることも承知をしております。

 今回のこの事案を踏まえまして、家族介護料の算定については、自治体の意見を聞きながら、適切な算定がなされるよう、留意点の周知など必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 これは認められた加算ですから、周知は当然のことなんですよね。実態調査をしてください。

 大臣、御地元の佐賀県で、保護世帯の家族介護料の認定はゼロだと聞いています。ゼロであるわけないと思うんですよね。そして、実際、保護世帯で医療ケアが必要な子供さんがいる、佐賀のある自治体の方に確認をしました。そうすると、家族介護料は加算されていないとのことでありました。

 厚生労働大臣の地元で、認められる加算が認められていない、この事案を私は聞いたので、このことも含めて、やはり実態調査をしないといけません。そして、対象者の方には、家族介護加算、これを必ず支給するようにしなければいけないと思います。

 もう一度、いかがですか。

福岡国務大臣 今御指摘がありました地元の事情についてはちょっと承知をしておりませんが、いずれにしても、必要な周知を行うとともに、どういう形かは分かりませんが、その把握にも努めてまいりたいと存じます。

田村(貴)委員 生活保護世帯の拡大と反比例して家族介護料の認定件数は半減になっている、このことを踏まえて、直ちに動いていただきたいと思います。

 それでは、財務大臣政務官、東政務官はここで退室していただいて結構です。

 次に、介護職員の処遇改善について伺います。

 十一日の予算委員会で、我が党の田村智子委員長が介護労働者の処遇の深刻さを取り上げました。これに対して石破総理は、今の状況がいい状況だとは私は決して思っていませんと答弁されました。

 福岡大臣も同じ認識でしょうか。

福岡国務大臣 私も、厳しい状況にあるという認識は同じでございます。

 介護職員の平均給与については、全産業平均との差が二〇〇八年時点では十・六万円でございましたが、これまでの累次の処遇改善の取組の成果により二〇二三年時点では六・九万円に縮小するも、依然として差がございました。

 加えて、今般の賃上げに向けた取組、これは介護報酬等においても措置をしておりますが、他産業の方が賃上げが先行しているという状況にあって、そういう中での厳しさがあるというふうに認識をしております。

田村(貴)委員 補正予算では、介護職員一人当たり五万四千円の処遇改善策が盛り込まれました。しかし、介護職員以外には対応していないために、同じく労働条件が悪い、そして人材確保が困難なケアマネジャーさん、こういう人たちには行き届いていません。

 今回の処遇改善は、一時金的に事業者に支給すると厚労省の担当者から伺いました。つまり、年度末までの対策なんですよね。

 来年四月以降の処遇改善は、これはどうするんでしょうか。二〇二五年度本予算に何らかの処遇改善策を厚生労働省は盛り込むんですか。いかがですか。

福岡国務大臣 まず、今年度の報酬改定で処遇改善が取り込まれています。それがまず最大限活用されるように、加算の取得促進などに取り組む。また、今般の補正予算等を通じて、介護分野での更なる賃上げを進めていきたいと考えています。

 その上で、今年度の報酬改定においては二年分を措置しておりまして、それ以降の恒久的な対応につきましては、今般の改定が介護職員の処遇改善に与える効果等について実態をしっかり把握をした上で、その処遇改善の実施状況等や財源等と併せて、令和八年度予算編成過程で検討していきたいと考えております。

田村(貴)委員 前倒しで進めていかないと大変ですよ。

 今回の介護報酬改定で最も影響を受けたのは訪問介護事業です。基本報酬や全ての加算を足し上げても減収という異常な対応となっています。

 まず、訪問介護の現状についてですけれども、厚生労働省は、訪問介護は増加傾向にあると言ってきました。しかし、しんぶん赤旗日曜版の調査によると、五年間で訪問介護事業所は、都市部、大手を中心として、全国で一万増えました。しかし、サービス効率の悪い地方や中小、個人を中心に、八千六百四十八か所が減少している。だから、プラスマイナスでは増加ということだけなんですよね。その結果、中山間地あるいは島嶼地域を中心に、事業所はどんどん減少しています。

 資料の二を御覧いただきたいと思います。これは、厚生労働省が公表した事業所の数を、しんぶん赤旗日曜版が地図に落とし込んで報道したものであります。

 本当に日本列島、赤くなっていますが、この赤の印は、二〇二四年六月時点で、今年の六月時点で、訪問介護事業がゼロの自治体九十七町村、そして、一つしかない事業所二百七十七、計三百七十四市町村のマークになっています。これは、全千七百四十一市区町村の二割にも当たるわけなんです。

 大臣、これはこのままでいいんですか。これは大変なことになっていますよ。

 厚生労働省は、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることを目指す地域包括ケアシステム、これを推進されていますよね。しかし、高齢者の地域で、その高齢者の生活を支える訪問介護事業者は風前のともしびとなっています。大臣、そうですよね、こういう状況ですから。

 このままでは、介護や、そして支援を必要とする高齢者が、保険料を納めているにもかかわらず、そのサービスが受けられない事態が進んでまいります。現に、今この地域に暮らしていて、事業所がない、サービスが受けられない、どうしようかと現場で本当に苦しんでいますよね。

 大臣にお伺いします。この状況を一刻も早く改善しなければならないと思いますが、いかがですか。どうやって地方の訪問介護事業者の減少に歯止めをかけられると考えておられますか。

福岡国務大臣 まず、委員御指摘のとおり、私の地元でも、離島であったり中山間地がございます。そういう中で、サービスを必要とされている方がサービスを受けられないようなことがあってはならないというふうに思っています。

 その上で、訪問介護については、有効求人倍率がほかと比べても高く、人材の確保に苦労があることに加えまして、近年、人件費が上昇しているなど、大変厳しい状況にあると認識をしております。

 厚生労働省においては、訪問介護事業所の廃止状況についても、足下の本年六月時点の状況を確認しましたところ、対前年同月比で一割程度増えており、その主たる要因は、人員不足や職員の高齢化等が挙げられております。今年度の介護報酬改定の影響については、引き続きしっかり丁寧な把握に努めてまいりたいというふうに思います。

 また、人材確保は訪問介護事業における重要な課題でありますから、今般の補正予算を通じて、更なる賃上げの支援であったり、地域の特性や事業規模に応じたきめ細かい対応にしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 訪問介護については、御承知のとおり、介護報酬改定で基本料は見直しましたが、処遇改善に充てる加算は、ほかの介護サービスと比べて高い加算率としております。

 ただ、取得の促進を引き続き取り組んでいかなければならないということで、今回、要件の弾力化等も図ることとしておりますし、補正等を通じて、更なる賃上げの支援、また、経験年数が短いヘルパーの同行支援の強化やヘルパーの常勤化への支援など、地域の特性や事業者の規模等に応じたきめ細かい対応にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

田村(貴)委員 大事なのは介護職員の処遇改善ですよね。

 そして、本委員会は、六月五日にこの委員会で、介護報酬改定の影響について、介護事業者の意見を聞きながら速やかに、十分に検証を求めたんですよ。厚生労働省、動いていますか。これは後で聞きますよ。介護事業者全体、訪問介護事業者全体とも、十月までの数値では史上最悪になっています。

 私たち日本共産党国会議員団は、先日、介護報酬の中間改定を含む処遇改善を福岡大臣宛てに要望したところであります。予算を組んで、そして更なる処遇改善を急いで進めていくこと、このことを強く求めて、質問を終わります。

藤丸委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十分散会


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