衆議院

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第9号 令和7年4月9日(水曜日)

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令和七年四月九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 藤丸  敏君

   理事 上野賢一郎君 理事 古賀  篤君

   理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君

   理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君

   理事 梅村  聡君 理事 浅野  哲君

      安藤たかお君    石橋林太郎君

      井野 俊郎君    草間  剛君

      後藤 茂之君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    島田 智明君

      鈴木 貴子君    鈴木 隼人君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      根本  拓君    長谷川淳二君

      平口  洋君    深澤 陽一君

      福田かおる君    松本  尚君

      森下 千里君    吉田 真次君

      池田 真紀君    大塚小百合君

      大西 健介君    酒井なつみ君

      宗野  創君    高松 智之君

      堤 かなめ君    長妻  昭君

      長谷川嘉一君    宮川  伸君

      山井 和則君    柚木 道義君

      阿部 圭史君    池下  卓君

      猪口 幸子君    福田  徹君

      森ようすけ君    沼崎 満子君

      浜地 雅一君    高井 崇志君

      八幡  愛君    田村 貴昭君

    …………………………………

   議員           岡本 充功君

   議員           井坂 信彦君

   議員           浅野  哲君

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   厚生労働副大臣      仁木 博文君

   厚生労働大臣政務官    安藤たかお君

   厚生労働大臣政務官    吉田 真次君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            内山 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長)   鷲見  学君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局長)  城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    野村 知司君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  黒田 秀郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 朝川 知昭君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江澤 正名君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  安藤たかお君     鈴木 貴子君

  草間  剛君     島田 智明君

  佐々木 紀君     井野 俊郎君

  長谷川淳二君     松本  尚君

  中島 克仁君     高松 智之君

  八幡  愛君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     佐々木 紀君

  島田 智明君     草間  剛君

  鈴木 貴子君     安藤たかお君

  松本  尚君     石橋林太郎君

  高松 智之君     中島 克仁君

  高井 崇志君     八幡  愛君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     長谷川淳二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

 健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案(中島克仁君外九名提出、第二百十六回国会衆法第二三号)


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     ――――◇―――――

藤丸委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案及び第二百十六回国会、中島克仁君外九名提出、健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、健康・生活衛生局感染症対策部長鷲見学君、医薬局長城克文君、社会・援護局障害保健福祉部長野村知司君、老健局長黒田秀郎君、保険局長鹿沼均君、政策統括官朝川知昭君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江澤正名君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤丸委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

山井委員 今日は三十分間、質問をさせていただきます。

 法案、薬機法と野党が提出しております薬価中間年改定の廃止の法案でございますが、冒頭、誠に申し訳ありませんけれども、年金法案、そろそろ提出される頃かと期待しておりますし、この国会の重要広範議案ですので、ちょっと、薬機法に入る前に、年金のことは議論させていただきたいと思っております。

 今日、配付資料の七ページに日経新聞、これは昨日ですかね、低年金対策、政策か政争か、熟議の国会、試金石に、自民、立民、必要性は一致という記事が出ております。

 ここに書いてありますように、この年金法案というのは、政争の具になるのか、政策議論になるのか、これは非常に重要なんですね。言うまでもなく、藤丸委員長の指揮の下、やはり与野党協力して、賛成、反対はあったとしても、やはり私の個人的な願いとしては、ささっと衆議院を通せば、衆議院が通れば、参議院はもうもめないわけだから、参議院も通ると思いますので、そういうふうにできたらいいと私は立憲民主党の厚生労働部会長として願っております。

 ここに書いてありますように、就職氷河期世代らの低年金対策は野党も必要性を訴える一方、年金改革法案の政策が実現するか政争の具になるかは石破首相が訴える熟議の国会の試金石となると。それで、この左下に行くと、法案成立を左右するのは立憲民主党など野党の出方だと。

 ここは私たち野党も肝に銘じねばなりませんのは、少数与党ですから、野党が賛成しないと成立、可決しませんから、そういう意味では野党も連帯責任だということであります。

 そして、私のコメントも出ております。右下ですね。先週私が質問した、山井議員は三月の衆議院厚生労働委員会で、就職氷河期世代の低年金を放置するかしないかが問われていると述べ、今国会での成立を求めたと。

 そして、一番最後の七行ですね。政府・与党が示す解決策を野党との協議によって、より質の高い政策につなげるのが熟議の国会のあるべき姿と言える、年金改革法案の行方は少数与党である石破政権の政策推進力を示すものとなる、こう書いてあります。

 それで、こういう状況なわけですが、今朝の日経新聞の朝刊に記事がありました。今朝の朝刊ですね。厚生年金減額先送り、三一年度以降、与野党批判に配慮。もちろん確定じゃないと思うんですけれども、記事が出ておりました。

 そこで、まず福岡大臣にお聞きしたいんですけれども、こう書いてあるんですね。厚生労働省は、将来の基礎年金の底上げのための厚生年金減額を先送りする調整に入った。つまり、マクロ経済スライドを長期間利かせるということに、まあブレーキをかけるという意味なんですけれどもね。従来案は二〇二八年度に減額が始まる見通しだったが、三一年度以降にずらす。当面は会社員らの年金額が減ることに対する与野党の批判に対応する。こういうことなんですけれども、もちろん、これは決まっていないと思うんですけれどもね。

 仮に厚生年金の減額を先送りした場合、二〇二八年度から減額する予定が三一年度以降になった場合、いわゆるこの改正案で言われているところの低年金者の底上げ、底上げの幅は拡大するのか、縮小するのか、変わらないのか、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 御指摘の報道につきましては私も承知しておりますが、御指摘がありましたように、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了の仕組みにつきましては、現在、詳細を検討しているものでございまして、現時点で具体的な案は定まっているものではございません。

 そういう意味では、ちょっと、その報道に出た案に対してどうかということについて、コメントをさせていただくのは差し控えさせていただきたいと思います。

山井委員 分かりました。

 ただ、大事なことなので言いたいですけれども、ここの配付資料の二ページにありますように、今回、厚生年金と基礎年金の調整期間の一致というのは、簡単にここのグラフにありますように、1の厚生年金の部分十五兆円、そして将来世代の底上げ十五兆円、ここは数字は入っていないですけれども、これは十五兆円ですので。つまり、厚生年金から基礎年金の財政調整期間の一致ということですので、繰り返し言いますけれども、厚生年金の人も基礎年金が減っているわけですから、別に損するわけじゃないんですよ。

 そういう意味では、ここの減額が先送りになれば、ストレートに言いますと、将来的な底上げの面積が減るわけですから、低年金者の底上げの幅が少し小さくなるということは指摘しておきたいと思います。だから反対と言っているんじゃないんですよ。ただ、やはり、誰かの痛みが和らいだら、誰かの助かる部分が縮小する、年金というのはこういうことになっているわけですね。

 そこで、私、一番心配していますのは、特に若い世代。年金に入っても意味ないんじゃないかとか、損だとか、いろいろな不安の声がありますので、今回、公的年金シミュレーターによる受取年金総額の試算というのを厚生労働省のホームページの資料を基にやってみた結果、若年層、若者でも年金は支払いより受取が上回るというふうに、私たちが山井事務所で計算した結果、出てまいりました。

 要は、分かりやすい下の国民年金からいきますと、一万七千円を四十年間払うと八百十六万、それに対して七十四歳まで生きると八百三十万ですけれども、八十四歳まで生きると千六百六十万円、年金給付で返ってくる。ある意味で、国庫負担が入っているから当たり前といえば当たり前なんですけれども、このこと自体、御存じない方も多いのでね。それと、厚生年金に関しては、千四百十二万円保険料で払っていくと、八十四歳まで生きると三千百四十万円、七十四歳まででも千五百七十万円で、元が取れる。

 年金というのは損得で言いたくないんですけれども、福岡大臣に御確認いただきたいのは、若い世代の方々が、年金保険料を払うのはあほらしいとか、損するんじゃないかという声があるんですけれども、やはりこういうシミュレーターによると、若年層でも年金は支払いより受取額が上回るという傾向にあるのではないかと思うんですけれども、このことについていかがでしょうか。

福岡国務大臣 まず、委員がシミュレーターを実際回していただいて、大変分かりやすい資料をお示しいただいておりますが、将来の年金受給見込額の具体的なイメージをこのシミュレーターというのは持っていただくことができるものと考えています。

 公的年金制度は、給付は終身で行われますし、また、かつ、物価等の変動にも対応してございまして、現役世代の障害や死亡といった様々なリスクもカバーするといった特性を有する重要な仕組みでございます。

 その上で、御自身の寿命とかはあらかじめ分からないことから、具体的な損得については申し上げづらいところでございますが、公的年金制度は、所得再配分機能を有するとともに、老後の生活を支える重要な柱であるというふうに考えております。

山井委員 前向きな答弁、ありがとうございます。

 それで、この配付資料の二ページになりますけれども、つまり、今の年金の最大の問題点は、基礎年金部分が今後三十年で所得代替率が三割減ってしまうわけですね。これが一番深刻で、何とかせねばならないということです。

 ちょっと早口になるかもしれませんが、私の配付資料の新聞記事の肝となる部分を読み上げさせていただきます。

 年金底上げ、導入は政治判断、産経新聞ですね。日本総研研究員の藤本氏は、現行のままでは将来に低年金で困窮する高齢者が多く生じる可能性が高い、厚生労働省としては今回の制度変更はやらなければならないという側面が強いのではないかと指摘。困窮した高齢者は生活保護に頼らざるを得なくなる可能性があるとし、生活保護受給者が増えれば、結局は国民の税で負担することになる、制度変更はこうした状況を防ぐ意義があると語ったと。

 その次の日経新聞、駒村先生。就職氷河期世代を放置するな。一番下の左のラストの七行ですね。このままだと、基礎年金の水準は将来三割低下する。生活保護の水準はそこまで落ちていないので基礎年金との逆転が広がり、かなりの人が生活保護の対象になるだろう。それでよいのだろうか。政治が近視眼的になってはよくないと。

 先週私が報告したように、多ければ、今百万人、生活保護、高齢者がおられるのが、二十五年後には二百万人に増えるリスクがあるんですよね。七割の生活保護者が高齢者になってしまって、今の就職氷河期世代や現役世代の低年金の人が生活保護になだれ込むリスクがあります。

 次、早口で読み上げます。四ページ。年金制度、持続性を高める必要、毎日新聞。基礎年金だけを受け取る人たちの所得の確保が急務である。自民党には慎重論がある、しかし、判断を先送りすれば、その後の改革が更に難しくなるだけだ。負担増から逃げず、確実に実施しなければならない。

 次、五ページ、朝日新聞社説。年金法案、国会に提出して熟議を。国民共通の基礎年金が将来的に三割目減りする。その底上げが避けられないと課題が浮上した。少数与党下では、いずれかの野党の協力なしには、法案は成立しない。野党の責任は重く、政府案を批判するだけでは十分役割を果たしたとは言えない。根拠のない年金不信に乗ずるのは論外だ。

 毎日新聞の次の社説。難題避ける政治の責任。一番下、負担の議論に背を向けたままでは低年金の問題は解決しない。十数年後には、不安定な雇用環境に置かれた就職氷河期世代が受給するようになる。多くが低年金になるおそれがあり、こうした人たちの生活保護が緊急の課題である、こういう状況であります。

 そこで、福岡大臣にお伺いしたいんですけれども、もし、今回の改革法案もうやめたと、やらなかったら一番打撃を受けるのはどの世代でしょうか。

福岡国務大臣 今回の年金改正法案では、経済が好調に推移しない場合の備えといたしまして、特に就職氷河期世代以降の若い方に幅広く恩恵が及ぶよう、基礎年金のマクロ経済スライドを早期終了し、将来の基礎年金の底上げを図ることを検討してございます。

 その上で、昨年七月に公表いたしました財政検証の結果を踏まえれば、現行制度を前提といたしますと、実質一%程度の経済成長を仮定したケースでは、基礎年金水準の低下は小幅であり、特定の世代への影響は大きくございませんが、仮に経済が好調に推移しない場合においては、マクロ経済スライドが長期化し、就職氷河期世代以降の若い方々の将来の年金水準確保が課題になってくるというふうに認識しています。

山井委員 おっしゃるとおり、端的に言うと、今回の法改正をやらなかったら、就職氷河期世代以降の若い世代の年金が減るということなんですよ。そういう意味では、これは話は単純なんです、はっきり言って。

 ストレートに言いますと、言い過ぎかもしれませんけれども、ちょっとだけ、年金が多い今の御高齢の方々に、ちょっとだけ我慢、ごめんなさいと言いながら、でも、就職氷河期世代やこれからの若い世代の方々の低年金を解消するかどうか。もっとストレートに言えば、駒村先生が書いているように、就職氷河期世代を衆議院厚生労働委員会が見捨てるかどうかが懸かっているんですよ。

 これは与党、野党、関係ないんです。例えば、国民民主党さんとか日本維新の会さんも、就職氷河期世代の支援とか現役世代重視とおっしゃっていますよね。だから、そういう意味では、今回の法改正というのは、与野党を超えて、別に、この大義名分自体に、はなから、今の就職氷河期世代以降の若者の低年金を放置していいという政党はないと思うんですよ、はっきり言いまして。ないんですよ。ただ、私たちもいろいろ修正は必要だと思っていますけれども。

 そこで、今、自民党さんが昨日も何か決まらなかったということで、会議を開いても提出が決まらなかったということで、これは何か山井が暴れるんじゃないかとか、そういう、実はこの厚生労働委員会で、二〇〇七年、消えた年金のときに強行採決というのがありまして、私も乱闘しました。そのことは率直に認めて、懲罰もいただきまして、この場で私はそういうこともおわびをしたいと思います。はっきり言いまして、おわびをしたいと思います。

 ただ、ちょっと分かりづらい話ですけれども、状況が違うんですよ。今は与党少数ですから、強行採決はあり得ないんですよ。立憲民主党とか野党が反対したら、永遠に採決できないんですよ。状況が全然違いますから。だから、強行採決はあり得ない。山井が暴れることもあり得ないんですよ、これは。暴れようがないんですから。暴れようがないじゃないですか、はっきり言って。

 逆に、何を言いたいのかというと、野党も問われるんですよ。就職氷河期世代以降の若者の年金底上げを進めるのか、潰すのか、二つに一つなんですよ。潰すのか、やるのか、二つに一つなんですよ。中間というのはないんですよ。

 そういう意味で、私が、この日経新聞にもあるように、何で今国会で成立させるべきだということを早々と言っているのかというと、これは大義があるんですよ、やはり。就職氷河期世代というのは大変ですよ、本当に。非正規の方も多くて、単身の方も多くて。これを、この藤丸委員長を先頭に、超党派の衆議院厚生労働委員会のメンバーで救えるかどうかが問われているんです。だから、そういう意味では、この年金法案で与野党協力できるかということが今問われているんですよ、政争の具じゃなくて。

 そこで、これをお伺いしたいと思うんですけれども、福岡大臣、やはりそう考えると、ここからもし自民党さんが提出しなかったりあるいは提出が遅れたりしたら、就職氷河期世代を見捨てたと言われるし、もっと怖いのは、今やらなかったら、後になればなるほど難しくなりますよ、はっきり言いまして。今だったら私は修正したら賛成したいと言っているけれども、もし野党が、もっと国会が混乱して、協力しないと言った途端に、年金改革、これは永遠にできなくなりますからね。そのときには、ああ、あの福岡大臣のときにあの国会でやっておいたらよかったのに、あのチャンスを逃したせいでといって、二十年後、三十年後、生活保護になったり低年金になった人たちから、私たち、この衆議院厚生労働委員会のメンバーみんなが恨まれることになるんです。

 もっと言えば、この法案を提出しなかったら、言いにくいことを言いますよ、もし重要広範議案を提出しなかったら、野党から福岡大臣不信任決議が出る可能性がありますよ。言っちゃ悪いけれども、野党多数だから通りかねませんよ。そうしたら、逆の意味で、就職氷河期世代を見捨てた自民党は落とさないと若い世代の方々の老後の安心はないですよと、野党がキャンペーンを張りますよ。私が言っているんだから間違いないのでね。

 そうはしたくないわけですよ。そうしたくないから、福岡大臣、そういう意味では、是非福岡大臣のリーダーシップで、やはりこれはもう五月、四月中に出さないと間に合いませんし、そう考えたら、何で私、この薬機法の大事な時間を削ってこの質問をしているかというと、もう来週ぐらいに自民党さんが決めないと間に合わないんですよ。だから、私もせっぱ詰まって今日質問しているんですよ。

 是非、提出に向けての前向きな答弁をお願いしたいと思います。

福岡国務大臣 今、山井先生の熱い思いを聞かせていただきました。そして、数々の議員から再三、同様、早期に提出すべきという御指摘をいただいているということは十分承知をしております。

 例えば、自民党においては、あしたもその議論が行われるというふうに承知をしておりますが、私といたしましては、いろいろなところの環境整備を進めながら、早期に提出できるように努力を重ねてまいりたいと思います。

山井委員 それで、これは言っちゃ悪いけれども、丸のみで賛成とは各党ならないと思うんですけれども、やはり各野党がこだわるのは、二〇四〇年までに亡くなる人はちょっと年金が下がっちゃうんですよね。これは申し訳ないけれども、そこの部分だけやはり問題点なんです。

 ここを何らかの方法で知恵を絞って、先日、経済同友会の方々からもヒアリングをしましたけれども、経済同友会の方々もそれをおっしゃっていました。(発言する者あり)ごめんなさい、経団連。経団連の方々も、ちょっと政治的な知恵で、そこの、今の高齢者が、二〇四〇年までに亡くなる方の年金がちょっと減るところは、何とかちょっと工夫をしてほしいということをおっしゃっていました。

 そこですよね、一番大きな課題は。ただ、私は、これは乗り越えられる課題だと思うんですよ。そういう意味では、是非これをやっていただきたいと思っております。

 それでは、私の要望はここまでにして、薬機法に入りますけれども、とにかく逆なんですよ。出したら政争の具になるんじゃなくて、出さなかったら政争の具になりますよ。これは大変なことになりますよ。

 私、消えた年金のときを覚えていますけれども、一か月で内閣支持率一〇%下がりましたからね、一〇%。年金を軽視したら一〇%ぐらい下がりますよ。福岡大臣がこれを提出しなくて、大臣不信任案が出て、次の大臣が出たとしますよね。次の大臣にまた、この法案をやるんですかと。やらないと言ったら、もしかしたら、野党が結束してまた不信任を出すかもしれませんよ。そうしたら、逆の意味で年金選挙になりますよ。消えた年金じゃなくて、消えた年金底上げ法案と。

 年金底上げ法案を何でやらないんだということになると逆に政争の具になるから、それを通しておいたらうまくいけて、これはどこの手柄ではなくて、やはり将来世代に喜んでもらえると思うんです。

 あと、それと、今、マクロ経済スライドの調整期間の一致の部分だけ切り離して、やめるという議論が出ているそうなんですけれども、それをやると何が起こるかというと、まさに今の就職氷河期世代の底上げをやめるということで、あんパンのあんを抜きましたみたいな話になっちゃって、これは逆に集中砲火を浴びますよ。

 就職氷河期世代の低年金の支援が目玉だったのに、目玉を抜いた法案、よろしくお願いしますと言ったら、あほかみたいなことになっちゃうんですけれども、そういうことはしないということをお約束いただければありがたいですが。

福岡国務大臣 冒頭申し上げましたとおり、今、仕組みについては詳細を検討しているところでございまして、具体的な案は定まっていないということでございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

山井委員 それでは、貴重な時間ですので、薬の話に行きたいと思います。

 それで、ちょっと早口になりますけれども、私も大学院でバイオの研究をしておりまして、京大でやっておりましたが、私の研究室の先輩のドクターコースの人は、がんの画期的な治療薬と言われているオプジーボの開発をされた本庶先生の研究室で研究をされていました。私も、もしかしたらドクターコースに行ったらお手伝いしていたかもしれませんので、こういうがんに対する治療薬には非常に思い入れがありまして。私のクラスメートはみんな、塩野義、三共、田辺薬品とかに就職しているわけですね。

 ただ、先日、石破総理が、この配付資料にもありますように、このようなオプジーボや、ここですね、配付資料の十一ページ、石破総理が名指しして、キムリアという薬は一回で三千万円、オプジーボが年間に一千万円といって高額だという話をされたんです。悪気はなかったと分かっているんですよ。ただ、これを聞かれたこれを使っておられる方から、あっ、やはりこんな高額な薬を使って社会に迷惑をかけているのかな、そうしたら治療をやめた方が国民の皆さんのためになるのかなといって、非常にショックを受けられたんですよ、ショックを。

 そこで、福岡大臣にお伺いしたいんですけれども、やはりこういう高額ながんの治療薬でも、生きていただけるためにすばらしい薬だと思うんですけれども、是非、ちょっと石破総理の発言が、何か世の中に高額な負担をかけているというネガティブな話だったので、やはりこういうがんの治療薬は非常に重要だ、すばらしいという答弁をお願いしたいと思います。

福岡国務大臣 総理はかつてないほど高額な薬剤が今、市場に出てきているということの例でおっしゃったということですが、今、その患者さんの、受け取る方の心情については山井先生がおっしゃったとおりでございます。

 本庶先生の例えば研究につきましては、免疫細胞の表面にあるたんぱく質の発見によりまして、従来とは異なる原理に基づく画期的ながん免疫療法の医薬品オプジーボの開発につながったものでございます。こういった先生の功績は世界トップクラスの研究成果であるというふうに考えておりますし、こういう画期的な新薬、それがどんどん出てくるということは大変すばらしいことだというふうに考えております。

山井委員 何で言うかといいますと、私が京大の研究室にいたのは四十年前ですよ。当時から本庶先生は将来ノーベル医学賞を取ると言われていまして、この四十年間の間に、山のような研究者が必死に頑張ってこういう新薬を開発されていまして、やはりそれを厚生労働省として推進してもらわないと、研究者もやっていられないところがあるわけです。

 実際、今日の配付資料の十ページの左にあります、昨日参考人でお越しくださった全がん連の天野理事長の配付資料を転載させてもらいますけれども、実際、この天野理事長が一緒に写真を撮っておられます中畠由美子さんという方は、キムリアという高額な治療薬を国内で初めて使われたんですけれども、その結果、余命が短いと言われていた方が今はもうぴんぴんされていて、仕事もされているわけなんですよね。やはりこういうことを理解して、この薬機法といいますか、高額療養費の問題も議論していく必要があると思っております。

 ついては、昨日、天野参考人は、やはり、こういう薬を使えなくなったら、自己負担が高くなったら、もうそれで治療を断念せざるを得ないということがないように、秋までの高額療養費の見直しまでに実態調査をしてほしいということを天野理事長はおっしゃいました。

 そこで、質問通告に従って御質問しますが、つまり、秋までの再検討までに実態調査をやってほしい。例えば、高額療養費というのは、誰が、どんな病気で、どんなけがで高額療養費を使っているのか、どんな薬を使っているのか。また、現役世代にとっては、年収の何割、高額療養費の医療費負担を払っているのか。仮に引き上げた場合はどうなるのか。子育て家庭では、子供の教育費もかかるわけですよね。その場合、子供一人の場合、子供二人の場合、三人の場合など、どれぐらいが支払いに耐えられる医療費の自己負担の限度なのか。

 こういうことを含めて、再検討の前に実態調査をすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 まず、高額医療費につきましては、現役世代の保険料負担を抑制するとともに、この大切な制度を次の世代にも持続可能なものとする観点からも、検討をいたずらに先送りするのではなく、一定の期限を切った上で議論を進めていくことが重要であると考えています。

 ただし、その際には、委員も御指摘いただきましたように、患者の疾病、就労、生活、実態は様々ある中で、これを網羅的に把握することは現実的に難しいものの、できる限り患者さんの多様な実態を踏まえたデータをお出しし、議論をしていただけるよう、工夫していく必要があるというふうに思っております。

 先ほど御指摘もいただきました、例えば子育て家庭と申し上げましても、例えばお子さんが保育園であるか、小学生か、大学生かなどによって支出も異なりますし、また御夫婦のいずれかが働いているケース、共働きのケースなどによって世帯収入も千差万別でありますが、今後の検討に当たっては、何らかのモデルケースを想定した上で議論を進めていくなど、できる限りの工夫を行っていきたいと考えています。

山井委員 配付資料の十八ページ、大阪医科薬科大学准教授、伊藤ゆり先生の記事があります。ここに書いてありますように、WHOは破壊的医療支出という考え方を使っております。つまり、一定以上の医療費の自己負担では世帯が貧困に陥る、家庭が壊れかねないということを問題提起して、むしろ、高額療養費自己負担を引き下げなければならない世帯もあるということを指摘されているわけなんですね。

 是非、今回の再検討に当たっては、この破壊的医療支出、それだけ自己負担をして家庭が貧困に陥らないのか、家庭が崩壊しないのか、治療を断念することにならないのか、そういうことも再検討の際に配慮すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。破滅的ですね、破滅的医療支出。

福岡国務大臣 この伊藤先生のお話については、前回、早稲田先生とも議論をさせていただきました。

 計算方法を子細には承知してございませんので、その当否を申し上げることはできませんが、限度額を検討していく中で、額面の年収だけではなく可処分所得で考えるべきではないか、また家族構成や資産の有無などもどう考えていくかなど、様々な論点が指摘されているということは事実だというふうに承知をしております。

 今後の検討におきましては、先ほども申しましたように、例えば、何らかのモデルケースを想定した上で、そのような所得の方々であればどの程度の負担となるかといった、可能な限りミクロで議論いただけるようなデータをお示しできるよう、よく検討をしたいというふうに思っております。

 保険料を負担する被保険者の皆様からの御意見も伺いつつ、また患者の方々のお話もよくお伺いしながら、できる限り御理解をいただけるような制度設計に努めてまいりたいと思います。

山井委員 質問時間がもうそろそろ終わりますので、短くまた最後、年金のことで一問伺いたいと思うんですけれども。

 結局、もちろん選挙もありますよ。でも、どこかの誰かが、どこかの時点で、この就職氷河期世代や若者の低年金を底上げする。もう一言言うと、多少泥をかぶってでも。もっと言えば、与野党恨みっこなしで、どの政党も多少泥をかぶるということになるかもしれないけれども、それぐらいしてやらないと、この年金改革は永遠に先送りになりますからね。

 ただ、言いづらいのは、この国会で出す予定なんですから、これを逃げたときには、与党、野党関係なく、ここにいる全ての国会議員が、将来、二十年後、三十年後、ああ、この人たちが自分たちの低年金を放置して老後のきつい生活になった、この人たちが選挙を恐れて逃げて、無責任な人たちだなということにこの衆議院厚労委員会のメンバーはなったら私は駄目だと思うんです。

 ただ、やはり藤丸委員長のリーダーシップの下、上野筆頭理事のお力の下、長坂厚労部会長もおられますから、やはり与野党、この年金については仲よく協力してささっと通して、これは未来の低年金の人を救っていく。そういうふうなことをやるのは、繰り返し申し上げますが、衆議院厚生労働委員会の与党も野党も含めた連帯責任だと思いますので、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義です。

 質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 私も薬機法も当然通告しているんですが、医薬品、医療機器の安定供給、特に薬は、私も、後援会長は病院のドクター、院長ですし、家族が医療、介護の現場で働いていますし、この後申し上げますが、マイナ保険証の二〇二五年問題ということが今言われていて、それへの対応として、今日、資料八ページ目以降につけていますけれども、マイナ保険証に代わる資格確認書を、これは普及がマイナは進んでいませんから、七十五歳以上全員交付と。これは実は、私、提案していたことが一部実現しているんですね、する方向にと四月三日の社保審の医療保険部会で議論いただいて。

 こういうことがあると、この後ちょっと説明もしますけれども、今、実は、医療機関の窓口で、全額自己負担問題、減るどころか増えているんですよ、利用率が進んで逆に。もっと言うと、読み込みエラーとかのときに何がお守りになっているかというと、これまでの紙の保険証なんですね。

 そういう実態がある中で、じゃ、そんなにお金を持っていませんから今日は帰りますとか、薬も要りませんとか、安定供給の大前提として、このマイナ保険証の問題がちゃんと前に進まないとよくないということで、先にこの資料八ページ目以降のマイナ保険証問題の方をやってから薬機法の方に入りますので、お願いします。

 八ページ目を見ていただくと、まさに私も提案をしていたことで、七十五歳以上の後期高齢者の方々、普及も進んでいないし、そして、当然、いわゆるITスキルも若い世代に比べて高くないということで。

 マイナ保険証の二〇二五年問題というのは、意外に知られていないのでちょっとだけ説明しますと、マイナンバーカードの更新が十年、マイナ保険証の電子証明書の更新が五年、これが実は今後三年ぐらい重なってきて、毎年二千万人ぐらいの方々が要は期限切れリスクが起こっているんですね。それを防ぐために、少なくとも七十五歳以上の後期高齢の方にはマイナ保険証を持っている人も持っていない人も全員送付しますよということで、私が実は提案していたことが四月三日の医療保険部会でその方向になった。

 これを私は、まずちょっと伺いますが、問いの一の一と二をまとめて聞きます、時間がないので。

 全国の後期高齢者二千万人に資格確認書、一年のみ全員交付は、これはいつ頃発送する御予定なのかということと、また、今回と同じように、保険証の有効期限切れのタイミングで資格確認書の交付を求めて市町村の窓口が混乱をする、これは混乱回避のために全交付というのもあるわけですから、来年もひょっとしたら、ずっとこれから三年ぐらいは二千万人ぐらいの方が期限切れリスクがあるわけで、資格確認書を下さいと窓口が混乱することは容易に想像がつきますので、混乱の可能性がある場合は、来年も少なくとも七十五歳以上全員に資格確認書を交付する可能性があるのかということと、それから、今回、こういう七十五歳以上全交付の決定に際しては、これは広域連合の話を聞いたときに聞きましたけれども、まさに現場で窓口対応をしていただく市町村の窓口、そういった方々からの意見聴取を行ったのか。以上二点、まとめて答弁をお願いします。

福岡国務大臣 先生御指摘いただきましたように、現場における混乱をなくしていくということは大変重要な観点だというふうに思います。

 そういう意味では、後期高齢者の方々については、マイナ保険証の利用率が相対的に低いこと、発行済保険証は今年七月末に一斉に有効期限を迎えるため、資格確認書の交付を求める方からの申請が市町村の窓口に集中するおそれがあることから、来年の七月までは、マイナ保険証の有無にかかわらず、申請なしで資格確認書を交付することとさせていただいたものでございます。

 後期高齢者の方々への資格確認書の発送時期につきましては、自治体によって異なりますが、一般的に今年の七月頃を予定しているというふうに承知をしております。

 また、来年夏のタイミングで資格確認書の申請が窓口に集中することがないよう、引き続き、マイナ保険証のメリットやマイナンバーカードの安全性について周知広報を行うことで、利用促進等に取り組んでいきたいというふうに思います。

 来年八月以降については、現時点で申し上げることは差し控えさせていただきますが、今後とも、利用状況などをしっかり注視をさせていただきたいというふうに考えてございます。

 そして、決定に当たりまして、全国の市町村に対する意見聴取については行ってございませんが、重立った後期高齢者医療広域連合から御意見を伺わせていただいています。その際、今年七月末の年次更新の直前に、後期高齢者の方々から資格確認書の交付申請が市町村の窓口に集中するおそれがあるといった理由から、資格確認書の職権交付の継続を求める意見が寄せられたというふうに承知をしております。

 こうした意見も参考にしながら、後期高齢者のマイナ保険証の利用率が相対的に低い状況にある中で、今年七月末に一斉に保険証の有効期限を迎えることを踏まえ、来年七月末までの間は、マイナ保険証の保有状況にかかわらず、申請なしで資格確認書を交付することとしたものでございます。

柚木委員 今、結構示唆的な答弁をされていて、来年また全交付することを否定はしなかったんですよね。これは否定できないですよね。同じことが起こりますよ、はっきり言って。

 資料をずっと見ていただくと、九ページ目も、マイナ保険証、期限切れ迫る、千五百八十万件と。やはり、マイナカードと電子証明書が十年、五年とまた更新時期がずれている問題もあるし、下から二番目のパラグラフの一番下に、資格無効の多発が懸念されるというふうに、これは保団連の事務局にもいろいろな問合せが殺到していて、本当は行政の窓口がやることを医療現場とかこういう団体さんがやるような事態にもなっている状況の中で、だから私たちは併用法案を出しているわけですが、次のページを見ていただくと、十ページ目は、まさに有効期限切れが大幅に増加、下から三つ目ですね。これまでより倍増ぐらいしているわけですよ。便利になるどころか、トラブルが増えているわけですよ。ちなみに、トラブルは、医療機関九割で発生。

 次、見ていただくと、十一ページ目に、その場合、一旦窓口で全額負担が、これも倍増しているんですね、調査、前回よりも。千七百二十件。そして、その全額自己負担とトラブル回避のためのまさに大きな手段となっているのが、この十二月まで延長されているこれまでの健康保険証、これが七八パー、八割ですよ。これは十二月で廃止しちゃったらどうなるんですか。

 という実情もある中で、十二ページを見ていただきますと、まさに今後、二〇二五年度、二六年度、二七年度、グラフが急増します。いずれも二千万件以上の方々がまさに更新切れリスクがある、そういう実態があるわけです。

 そこで、大臣、一応確認ですが、来年もひょっとしたら、七十五歳、後期高齢者以上の方々、また全交付する可能性は否定はしないということでよろしいですね。

福岡国務大臣 その可能性について予断を持って申し上げることはできませんが、先ほども申しましたように、まず、来年夏までの間に多くの方々がマイナ保険証を利用していただける環境整備を努めるとともに、その時点における状況をしっかり見た上で判断をしたいということでございます。

柚木委員 否定はしなかったというのは、私はちょっと、来年以降もこういう混乱が想定されることを前提に提案します、この後。

 まず、後期高齢者二千万人には全交付することを決められたんですが、じゃ、前期はしないのかという議論に当然なってくるんですよね。後期高齢者には全送付するけれども、前期高齢者は全送付しないという理由が説得的なものは見当たりません。もっと言うと、前期高齢者の方々も、六十五から七十四歳ですね、千五百万人ぐらいいらっしゃって、より今まだアクティブな一方で、受診率とか疾患リスクとかはそれよりも若い現役世代の方よりも当然高まるわけですから、後期高齢者に資格確認書を全交付してくれるんだったら、自分たちもくれと当然なるわけですよ、当たり前の話ですけれども。

 やはり、そういう、窓口の混乱を回避するということで、今回、後期高齢者、七十五歳以上全交付、資格確認書、決められたわけですから、前期の方にも、少なくとも、今回一年特例でやるわけですから、窓口混乱を回避するという意味においては、千五百万人ぐらいいらっしゃいます、もっと言うと、資格情報のお知らせと資格確認書、どっちかを送るから予算は変わらないんですよ、どうせ郵送するんだから。そこに資格確認書を入れればいいだけの話なので、是非、前期高齢者にも全交付、今回されたらいかがですか。

福岡国務大臣 先ほど申し上げましたように、七十五歳以上の後期高齢者の方については、マイナ保険証の利用率が他の年代と比較し相対的に低いという状況も踏まえまして、資格確認書を職権交付するという暫定運用を行うこととしたものでございます。

 御提案がありました六十五歳から七十四歳までのことにつきましては、五歳ごとの年代別の利用率を見ますと、六十五歳から六十九歳の方は五歳ごとの年代別で最も御利用率が高い世代になってございまして、七十歳から七十四歳は六十五歳から六十九歳に次いで二番目に高い御利用率になられているということでございます。利用率が高いこの世代の方々についてまで同様の対応を行うことについては考えてございません。

 その上で、国民健康保険において、発行済みの健康保険証の有効期限を一斉に迎えるタイミングで、マイナ保険証での受診が困難な方からの資格確認書の交付申請が市町村窓口に集中することを避けるために、前もって申請の周知を行っていただくなど、市町村に促してまいりたいと思います。

柚木委員 六十五から六十九歳が三三%。利用率が高いといっても三三%ですよ、皆さん。三人に一人しか使っていないのを高いと言えますか。今の保険証を残してほしい人というのが七割、八割ですよ。七割、八割が使うようになって初めて利用率が高いんじゃないですか。平均二六パーの利用率よりちょこっとだけ高い三割をもってその人たちには送らなくていいというのは全然説得的じゃないし、むしろ、前期の人たちに対して不公平、差別というか、そういうふうになりかねませんよ。

 是非、医療保険部会、この間、四月三日に開いていただいて、もっと言うと、全国の市町村の意見、まだ聞いていないということで、広域連合は聞いているけれども、私も一定程度聞くと、やはり市町村の窓口の方は、後期高齢者だけ全送付じゃなしに、それだったら前期もやっていただいた方が窓口の混乱回避には絶対プラスだと言っているんですよ、現場が。だから、現場の声を是非聞いていただいて、市町村の窓口、そして、次か、とにかく間に合うタイミングで、医療保険部会で、前期高齢者についても今回は全送付をするということを、是非ちょっと、検討はしたいということぐらいは御答弁いただけませんか。

福岡国務大臣 六十五歳から七十四歳までの方々について申し上げれば、市町村において、国保の被保険者の中で年齢に応じて、この方は職権交付する対象、この方はそうじゃないということを区別して対応することの事務負担も生じるというふうに承知をしております。

 いずれにしても、現時点ではそのような対応を行うことは考えてございませんが、引き続き、様々な方の御意見についてはしっかり承ってまいりたいと思います。

柚木委員 いや、大臣、逆なんですよ。むしろ、マイナカードを持っていても、この人はマイナ保険証にひもづけているかひもづけていないかの確認が大変な手間ですし、どっちにしても、それを確認して、資格情報のお知らせと資格確認書、どっちかを送るんだから、もう前期高齢者から全部資格確認書を送るとすれば、全部送るんだから、いろいろな、それをひもづけしているかどうかとか調べる手間がなくなって、むしろ楽になるんですよ。

 そして、まさに今後、二〇二五年問題でいくと二十七万人がまさに無保険状態になって、医療機関も、この間、期限切れトラブルが、最新の調査では前回の調査よりも、二〇%ぐらいが医療機関で期限切れトラブルがあったのが、今回は三〇%と一・五倍に、トラブル、一・五倍増しているんですよ。

 そういう市町村の窓口の混乱、医療機関の窓口の混乱、そして治療費全額自己負担のリスク、こういうものを回避する意味でも、そして、さっき大臣が言っていたのと逆で、むしろ全交付した方が、六十五歳から七十四歳の前期高齢者と七十五歳以上の後期高齢者全部、今回は全交付すると決めた方がむしろ現場の負担も減るわけですから、ちょっと持ち帰って検討する、医療保険部会にかけるかどうかも検討するぐらいのことは、ちょっとここで答弁ください。

福岡国務大臣 いずれにしても、様々な方々の御意見については引き続き伺いながら進めていきたいと思います。

柚木委員 是非、市町村の窓口の方々の意見を聞いて、医療保険部会で議論ください。

 それで、十三ページ、これはマイナ保険証の、資料、二枚持ちの、所管は警察庁ですけれども、私はとても妥当な対応をされていると思うんですね。本人が選べる。

 だって、マイナカードを持ち歩いていたりして、紛失したり落として、すぐ銀行口座をつくられたり、犯罪に使われるリスクもあって、取りあえず必要なときだけマイナカードを持って、それ以外のときは置いておいて、これまでの免許証を使っておこうとか、非常に、警察だけに、そういう犯罪リスクも考えて二枚持ちが認められていると思っていて。

 是非、まさに今るる申し上げてきたようなトラブル、混乱が続いている当面の間は、マイナ免許証と同様に、マイナ保険証についてもこれまでの保険証と、これは十二月で切れるんだけれども、我々はこれを延長すべきだと思っているし、併用できるように当面するべきだと思っていますね、トラブルが続いている間。少なくとも当面の間、マイナ保険証とこれまでの保険証の二枚持ちを認めるような、そういう検討を是非、これだけまだ、トラブルは減るどころか増えてきているんですから、行っていただきたい。

 利用率が高まって、七割、八割ぐらいになれば別ですけれども、当面の間、マイナ保険証とこれまでの保険証の二枚持ちの、有効期限延長も含めた検討を是非いただきたい、十二月までの延長も含めて。お願いします。

福岡国務大臣 まず、マイナ保険証は、本人の健康医療情報を活用した適切な医療の提供に大きく寄与するもの、そのメリットがしっかり御理解いただけるように努めていく必要があるというふうに思っています。

 あわせまして、委員も御指摘いただきましたように、何らかの事情でマイナ保険証で資格確認ができなかった場合でも、十割負担ではなく適切な負担割合で保険診療を受けられる、そういったことについて、しっかり医療機関、国民の方々に周知をしていく、このことの重要性というのは十分認識をしてございます。

 なお、必要な方に限って資格確認書を発行するのではなく、従来の保険証を一律に発行し続けるという委員の御提案につきましては、マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行を妨げるものでございますし、また、コストの問題もございます。保険証発行事務コストの観点からも、そういった観点から望ましくないというふうに考えております。

柚木委員 じゃ、これは通告はしていないけれども、ちょっと提案です。

 今のような御答弁であれば、私、期限切れトラブル、今年から三年ぐらいでどんどん起こって、むしろマイナ離れが加速しちゃうと思いますよ。そうならないためにも、私たちは、二枚持ちを認めて、これまでの紙の保険証を十二月で切らさずに併用期間を延長した方がいいと思いますけれども、せめて資格確認書を、さっきまさに一年限定で前期高齢者以上全発行と言いましたけれども、一年と言わず、三年ぐらいはそういうリスクが続くわけですから、三年ぐらいをめどに、当面の間、資格確認書は前期高齢者以降全交付すれば、事実上、マイナ保険証を持っている人の二枚持ちが可能になるんですよ、資格確認書を持っていれば保険証代わりになりますから。

 せめて資格確認書の今後一年限定を、来年以降に向けての、トラブルの状況、普及率の状況を見て、更にやる、やらないの検討をする、そうすれば二枚持ちの議論にもなっていきますから、そこはちょっと検討いただけませんか。

福岡国務大臣 委員の御主張については受け止めさせていただいた上で、政府の考え方については述べさせていただきました。

 いずれにしても、今後、しっかりマイナ保険証を利用していただくように周知をするとともに、足下の現状、委員の御指摘がありましたような現場の混乱の状況も踏まえまして、しっかりと把握をしながら、適切な対応を行ってまいりたいと思います。

柚木委員 ちなみに、平デジタル担当大臣は、マイナ免許証の方は、特にプロのドライバーさんなんかは、トラブルがあって失効しちゃったら運転できなくて違反になりますから、二枚持ちすべきだと会見で言われているんですよ。マイナ保険証だって一緒じゃないですか、読み取りエラーとかになって全額自己負担になったり。なっているじゃないですか、窓口全額自己負担に。そうならないために、二枚持ちを認めてあげる方がよっぽど親切じゃないですか。

 是非引き続きのそういう検討をお願いして、私、医療法のときにも場合によってはそれを尋ねますから、ちょっと検討を、持ち帰ってください。

 薬機法の方に入ります。

 資料一ページ目以降に、薬機法の概要と、それから私、今回については、まず、後発医薬品の製品製造基盤整備基金の創設自体は私も否定はしませんが、この基金の金額、財源調達方法、具体的な運用方法やスケジュールですね。

 それから、二ポツ目もまとめて聞きますけれども、今回の基金創設について、これは資料の五ページ目に、産経新聞の記事、後発薬、遠い安定供給、増産対応できず、在庫不足長期化、基金創設で事業再編促すという記事をつけていますけれども、現場を聞くと、こういう基金ももちろん全否定はしないけれども、なかなかこれでは、先発、後発含めてですけれども、安定供給になっていかないという意見もある中で、後発の部分についての基金創設、まさにその金額、財源調達方法、運用方法、スケジュール、あるいは現場の意見、どのようなものがあったのか、それぞれ、もうまとめて御答弁をお願いします。

福岡国務大臣 後発医薬品製造基盤整備基金につきましては、後発医薬品産業が少量多品目生産の構造でありますことから、その解消に向けて、企業の連携、協力、再編を後押しするために、五年間の期限を設け、国費で設置することとしたものでございます。具体的には、後発医薬品産業における品目統合に伴う生産性向上のための施設であったり設備整備、品目統合や事業再編に向けた企業間調整等に係る経費を補助することを想定してございます。

 令和六年度補正予算において七十億円を措置してございますが、それで本基金と同旨のモデル事業を今実施をしているところです。単年度で終了が見込まれる設備整備等を補助していくこととしておりまして、まずは、この事業によりまして、こうした後発医薬品の業界の品目統合、事業再編の動きを後押しをしていきたいというふうに考えております。

 もしこの法案が成立した際には、令和六年度補正予算で実施しているモデル事業の実施状況等も勘案しながら、今後の予算編成過程で必要な予算を要求する方針でございます。複数年度にわたりましてこの基金を活用していくことによって、こういった業界の動きを後押しをしていきたいということでございます。

 そして、しっかり意見聴取を行ったのかということにつきましては、有識者における検討会において、後発医薬品の業界団体にヒアリングを行った上で議論がなされてございます。その上で、令和六年五月に取りまとめられました報告書においては、財政措置も含め、企業間の連携協力の取組を促進する対策の必要性について記載をされたところでございます。

 また、令和六年の七月に武見前大臣が後発医薬品の産業構造改革について主な後発医薬品メーカーと意見交換を行った際にも、後発医薬品メーカーからは、品目統合に必要な財政支援の御要望をいただいているところでございます。

 本基金は、こうした関係者の御意見を伺った上で、この基金を盛り込んだ法案概要についても、本年二月の有識者会議で関係者に御議論をいただいているものでございます。昨日の参考人質疑においても、関係団体の参考人より、この基金による支援を歓迎する旨の発言があったというふうに承っております。

 こういったことを通じて、販売、卸売業者の業界団体からも早急な供給不安の解消を求める意見をいただいていますので、しっかり対応していきたいと考えております。

柚木委員 るる御答弁いただいたことは分かるんですが、やはりちょっと、なかなかすぐにということにならないというのは、今の説明のとおりなんですね。今後の具体的な制度設計、今後で、日薬連の会長さんも、具体的な基金の内容はどうなるんですかということを述べておられましたように、これからなんですね、はっきり言って。だから、是非、来年の診療報酬改定、薬価の部分について、私、以下、提案をしたいんです。

 この基金等、否定はしません。でも、現場の話を聞いていると、この基金事業を立ち上げたからといって、即ラインを動かして、不足している後発品、加えて先発も含めて、今、増産体制を要請して、従わなかったら公表とかやっていますけれども、なかなかそれでは実効性は上がりません。これは現場の方が言っています、私が言っているんじゃなくて。メーカーも卸も。

 ですから、ちょっと私たち、資料の四ページ目につけておりますように、この毎年改定、中間年改定をやはり廃止、見直すという議論こそが、基金事業を含めて現場の、後発品だろうが先発品だろうが、医薬品の供給不足の解消、安定供給につながるわけです。

 もう時間がないので二ポツ目もまとめて伺うんですが、私たちは、是非、毎年改定の廃止、見直しの議論を行ってほしいのと、社保審の薬価部会ですか、そして、その中で、具体的な対策の中で、もう二項目まとめて聞きますけれども、一つは、三月三十一日に厚労省が、資料もつけていましたかね、七ページ目、令和六年度の科研費事業でドラッグロスの実態調査と解決手段の構築の研究班の結果公表を行っていて、それについての今後の具体的なスケジュールを教えてほしいのと。

 さっき後発品の基金の話をしましたけれども、先発、創薬も同じようなやはり問題があって、今後、来年の薬価制度改革に向けて、具体的に、是非、例えば、私も実は与党時代に担当していたんですけれども、ドラッグロス、ラグ、デバイスも、これを解消するためのまさに新薬創出加算とか研究開発減税とか、いろいろなことをやらせていただいたんですが、大分、ロス、ギャップが縮まっていたのが、またここに来て拡大してきていて、その要因としては、革新的な新薬に対する適切なイノベーション評価、再生医療等製品とか、そういった効果の高くて患者さんの予後が劇的に改善するような新薬等に対する適切な薬価算定ルールがやはり十分じゃない、整備されていない。これはもちろん国内企業も外資も同じ見方なんです。

 そして、具体的な対策として、そのルールをちゃんとやはり設定すること、あるいは、特許期間中に薬価を下げていくわけですけれども、既にその下げるルールがある中で、費用対効果評価制度等ですね、それが更にもっと下がっていくというような状況に今なってきていて、そうすると、イノベーションの投資に対するインセンティブが更に下がっちゃうということで、特許期間中の薬価を維持するというようなことなど、具体的な対策を次回のまさに薬価改定に向けて講じていただきたい。私たちは毎年薬価改定を廃止することがそれに資すると考えていますから、そのことも併せて是非御答弁をお願いします。

福岡国務大臣 まず、来年は通常改定の年でございますが、中間年改定について、法案提出も含めて様々な御議論があっていることは承知してございます。

 法案の取扱いについては国会で御議論いただくべきことでございますが、薬価改定につきましては、大変今医療費が増加している中で、国民皆保険の持続性を考慮し、市場実勢価格を適時適切に反映して国民負担を抑制することが重要である一方で、革新的な新薬の開発力を強化していく要請であったり、暮らしに欠かせない薬の安定供給確保の要請など、この双方に応えていく必要があるというふうに考えてございます。

 令和七年度に実施した中間年改定におきましても、医薬品の安定供給の観点から、最低薬価の引上げであったり不採算品の薬価の引上げを行わせていただきましたが、仮に診療報酬改定がない年の改定を実施しない場合には、こうした対応も随時行えなくなるといった課題もあるというふうに承知をしております。

 こうした点も含めまして、今後の診療報酬改定がない年の薬価改定につきましては、創薬イノベーションの推進であったり、医薬品の安定供給の確保、国民の方々の負担の軽減といった要請についてバランスよく対応する中で、在り方について検討していく必要があるというふうに思います。

 そして、ドラッグロスの解消に向けて適切な対応を進めていく必要があるというのは御指摘のとおりでございます。昨年度、厚生労働科学特別研究事業によりまして、ドラッグロスが指摘されております八十六品目について、その開発の必要性の高さを整理いたしまして、今年の三月三十一日に整理結果を公表したところでございます。

 この整理結果を踏まえまして、まずは、開発の必要性が特に高いとされました十四品目のうち、既に国内開発着手済みとなった品目等を除きました十一品目について、医療現場の有識者等から構成されます未承認薬検討会議において医療上の必要性の評価を行い、国内企業への開発要請や開発企業の公募を行っていくものでございます。また、開発の必要性が高いとされました四十一品目につきましても、引き続き、情報の整理を進め、順次医療上の評価を行い、必要な対応を講じてまいりたいと存じます。

 そして、革新的な新薬の保険償還価格等についても、イノベーション価格に対する評価も加味して今も決定してございます。ただ、再生医療等製品も含む新規モダリティーの薬価における適切なイノベーション評価の在り方などにつきましては、費用対効果評価制度の在り方も含めまして、令和八年度の診療報酬改定に向けまして、これまでの算定事例を集積するとともに、国内の新薬の開発状況なども踏まえ、中医協においてしっかり検討してまいりたいと思います。

柚木委員 最後に、短く一問。

 資料六ページ目に、重要な薬八割が、卸、流通ですね、医薬品、赤字配送、抗生物質など、安定供給にリスクと。品目ごとに採算を確保できるような取組が必要だと専門家が指摘しております。

 今のそれぞれの取組はやっていただきつつ、二点、お願いします。医薬品目ごとに採算を確保できるような更なるまさに薬価の引上げ、最低薬価の引上げ等、この間やっていただいている分に加えて、更なる引上げをお願いしたい。報酬改定を待たずしても、今回補正予算をやるということですから、そういうところでその部分を補助することも含めて、以上二点、答弁を是非お願いいたします。

福岡国務大臣 まず、卸売業者が抗生物質など医療上不可欠な薬の八割を採算割れで配送しているという調査結果やその新聞報道については承知をしてございます。

 安定供給というのは大変重要でございまして、その上で、薬価の下支えを行っていくことは重要でございますので、これまでの薬価改定でも最低薬価の引上げや不採算品の薬価の引上げを行ったところでございますが、委員の御指摘もございます、しっかり、現状については、足下の状況を常に見ながら、必要な対応を行ってまいりたいと思います。

柚木委員 終わります。

 是非必要な対応を次回改定に間に合うようにお願いをし、マイナ保険証の問題もちょっと引き続き是非御検討いただくことをお願いをして、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、患者さんが必要な薬を使って命や健康を守れるようにするためという観点から質疑をいたします。

 まず初めに、薬価の中間年改定について伺います。

 今も各国の製薬会社が次々新薬を開発して、これまで治らなかった病気が薬で治るようになってきています。ところが、海外の新しい薬が日本では発売をされないドラッグロスがじわじわと広がっております。世界では治る病気が日本では薬がないために治せないという、国民の健康や命に関わる問題です。

 ドラッグロスの原因は複数ありますが、薬価を毎年切り下げる薬価の中間年改定が、海外の製薬会社から見ると、日本で薬を発売しても、どうせすぐに赤字にさせられたり、ころころ制度が変わってしまう、こういうリスクと捉えられて、これがドラッグロスの主な原因になっているという認識、大臣はお持ちでしょうか。お伺いいたします。

福岡国務大臣 委員もおっしゃいましたように、ドラッグロスにつきましては、研究開発から薬事承認までのプロセスであったり薬価の評価まで、まず各段階において様々な要因があるというふうに考えておりますが、その要因の一つに薬価改定があるということについては、御指摘のとおりだというふうに思っております。

 その上で、先ほども答弁させていただきましたが、ドラッグロスについては様々な取組を行ってきておりますが、薬価制度におきましても、令和六年度薬価制度改革において革新的医薬品のイノベーションの適切な評価等を行うなど、ドラッグロスの解消に向けた取組も併せて行ってきているところでございます。

井坂委員 国内外の製薬会社に尋ねたアンケートで、新薬開発にネガティブな影響を与えている政策は何ですかと聞いたら、その第一位が、まさにこの薬価の中間年改定だ、これが最大のネガティブな政策だというふうに答えておられるわけであります。

 ドラッグロスを防ぐためには、海外の製薬会社から見ても、日本で新薬を発売したいと思ってもらえるような環境づくりが重要です。この議論の前提として、参考人に伺いますが、先進国各国では医薬品市場の成長率はGDPの成長率よりも高くなっているが、日本では医薬品市場の成長率がGDP成長率より低いという認識でよいでしょうか。

内山政府参考人 お答えいたします。

 日本国内の医薬品市場でございますけれども、薬事工業生産動態統計の医薬品生産金額の伸びを見ますと、二〇一四年から二〇二三年のこの十年間の間で約二九%伸びたものと推計できます。

 これに対しまして、内閣府の国民経済計算、GDP統計によりますと、同期間の実質GDPの成長率は約五%となっておりまして、我が国におきましても、医薬品市場の成長率の方が実質GDPの成長率よりも高くなっているものというふうに考えてございます。

井坂委員 今お答えになった数字、GDPが十年で五%しか伸びていないという政府のデータは、これは名目GDPではなくて、物価上昇を割り引いた実質GDPのことだと思います。一方で、医薬品市場が十年で二九%も伸びましたというのは、これは物価上昇を割り引かない名目の市場規模実額だというふうに思います。

 要は、名目の市場規模の伸びより物価上昇を割り引いた実質のGDPの伸びが低いですというのは、これはもう当たり前の話であって、名目市場規模と実質GDPを比較することには意味がありません。

 そもそも、厚労省の言う市場規模というのは、これは薬局で売っている市販薬も含んでいて、今回議論になっている、政府が薬価を決めている医療用医薬品の薬剤費の総額ではないということで、参考人、よろしいでしょうか。

内山政府参考人 先ほどお答えしたものは、そうしたものも含んでいるものでございまして、薬剤費とは別のものでございます。

井坂委員 薬剤費の伸びというのが、やはりこの薬価改定の議論では極めて重要だと思います。

 ところが、これは令和五年の医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会、ここでは、厚労省が医療用医薬品の薬剤費の伸びについて正確なデータを持っていないことに対して、この検討会の遠藤座長が、薬剤データがそもそもない中で議論するのはどうなのか、こういう発言をされているわけであります。

 一方、この薬剤費の伸びのデータは、IQVIAという世界的な統計会社のデータによりますと、中間年薬価改定が始まった二〇一六年から、コロナの影響を受けない、薬剤費の高騰を受けていない二〇二〇年までのこの五年間に、日本の医療用医薬品の薬剤費の総額は全く増えておりません。

 ドラッグロスの原因となっている、海外の製薬会社から見た日本の医療用医薬品の市場の魅力や将来どうなるという予見性、これを高めるためには、やはりGDPの成長率に合わせて薬剤費総額の伸びを抑える、逆に言えば、そこまでの伸びは認める、こういう方式が考えられると思います。

 GDPと同じだけ薬剤費の総額が仮に伸びても、財政的な持続可能性には影響を与えないというふうに考えておりますが、大臣は、この今申し上げた方式について御見解ありますでしょうか。

福岡国務大臣 私も、様々な製薬企業、団体とお話をさせていただく中で、委員が御指摘いただきましたように、日本の市場の予見性の確保、これが重要だという御指摘は累次いただいてきているところです。

 ただ一方で、医療保険を考える上では、保険者であったり被保険者、また医療提供者など、様々な立場の関係者の方々が参画する制度でございますから、多角的な検討を要するものだというふうに認識をしています。

 これまでも、この薬価制度につきましては、国民皆保険の持続性を考慮しまして、市場実勢価格を適時適切に反映して国民負担を抑制することが重要である一方、革新的な新薬の開発力を強化していく要請などにも応えていく必要があるというふうに認識しています。

 薬価改定の在り方につきましては、引き続き、今申し上げました創薬イノベーションの推進であったり安定供給の確保、国民負担の軽減といった要請についてバランスよく対応する観点から、国内外の製薬団体等の御意見もしっかり伺いながら、中医協で検討を進めてまいりたいと思います。

井坂委員 政府が今やっている薬価改定というのは、要は、薬剤費総額の大枠はほとんど増やさないまま、小さな枠の中で、先端的な、イノベーティブな医薬品はなるべく優遇しましょう、こういうことをやっております。

 これだと、例えるならば、お弁当箱、小さなお弁当箱の中でおかずの割合を増やしましょうと。これはいいんですけれども、もう子供の体が大きくなっているのに弁当箱だけずっとちっちゃいままで、この割合を幾らどういじろうが、もう全体が足りない。この総枠の議論が必要だと思って、今の御提案をしたところであります。

 もちろん、多角的な検討は必要です。作り手のことばっかり考えたら、それは薬を使う側とか保険者側が財政的に厳しくなる。当然そうであります。

 ただ、制度の持続可能性、特に財政的な持続可能性ばかりを重視をして、その目的で薬価を引き下げ過ぎると、これは今年大変問題になった高額療養費の問題と全く一緒で、保険料が多少下がったとしても、いざというときに、保険の目的である制度の恩恵を受けられない、高額療養費制度を受けられないとか、薬がもらえないとか、そういうことになったら、私はやはり本末転倒だというふうに思いますが、その点に関しては、大臣はいかが思われますか。

福岡国務大臣 おっしゃったところについては十分理解をさせていただいた上で、そこはやはりバランスを持った対応だというふうに思います。

 高額療養費のときにも議論がありましたように、医療保険制度をしっかり後世につないでいくために、現役世代の保険料負担の問題もございます。そういったところも考慮しながら、ただ一方で、今おっしゃったように、薬の安定供給についても支障のないようにしていく。そのバランスをしっかり見極めながら対応を進めていくということでございます。

井坂委員 大臣のおっしゃるように、バランスは大事です。

 では、お聞きをしますが、現状、バランスを失しているのではないでしょうか。要は、薬価の切下げばかりやり過ぎて、外国のイノベーティブな企業から見ても、もう日本で薬を売っても意味がない、やめておこう、これがドラッグロスです。そして、国内で真面目に薬を作っている企業あるいはジェネリックを作っている企業から見ても、幾らリストラしたって、今リストラもひどいですから、何をやったって、もうこれ以上経営が成り立たない、赤字の薬はもう作れないとなって、実際に普通の薬が町中に足りなくなっているわけであります。

 これは、私がさっき申し上げた財政的な持続可能性と、そして本当に必要なときに必要な薬が手に入る、このバランスが大事ですが、このバランスを現状は、少なくとも現状は失している、その御認識はおありですか。

福岡国務大臣 御指摘のとおり、薬の中のバランスを取っていくということも必要だというふうに考えておりまして、例えば今回は、新薬等については、中間年改定において、かなり従来よりも乖離率等について配慮した対応をさせていただいているとともに、不採算品再算定であったり最低薬価、そういったところにも対応をさせていただいている。

 厳しい財政状況の中で保険制度を持続させていく。しかし、薬の現場に支障が高じないために、薬の薬価の中でも様々な工夫をさせていただきながら、何とかそこは持続可能性を担保していきたいというふうに考えております。

井坂委員 ちょっとお聞きの仕方が、伝わらなかったのかもしれませんが、薬の中でのどっちを重視するかというバランス、これは、お弁当箱の中でおかずと御飯どっちが多いかという話だと思います。今は、お金がないないといって、お弁当箱全体をちっちゃくちっちゃくしている。

 一方で、本当に必要なものが十分に提供されない。財政と、そして必要なサービス、保険の恩恵を提供するというここのバランスが、少なくとも現状は、政府はそれを回復をしようと思って今回も法案を出しておられると思いますが、お弁当の中の割合のバランスではなくて、どれだけ財政的な持続可能性を保ちつつ、どれだけちゃんと大きなお弁当を提供するかという大枠の問題、こちらのバランスが今失われているのではないですかということをお聞きをしております。そこの御認識はいかがですか。

福岡国務大臣 委員の御指摘についてはしっかり受け止めさせていただいた上で、やはりバランスを考える上で、例えば、今、医療提供体制を考えていく中でも、医療従事者等の方々も足りない、病院経営も赤字だというところの中で、そういった部分も考えていかなきゃいけない。ただ、薬価の部分もしっかり配慮していかなきゃいけない。

 そういったトータルのバランスの中で、私どもとしては、ぎりぎりのバランスを考えながら制度を進めさせていただいているということでございます。

井坂委員 今日はたっぷり時間をいただいていますので、もう一度お聞きします。

 医療と薬価のバランス、これも別の議論としてありますよ。ただ、まず薬の話で、財政の持続可能性は大事です、安く抑えることは当然大事です、薬は安い方がユーザーもいいに決まっています。ただ、安過ぎて、作る側がもう作る意味がないとなって、市場に薬が出回っていないんです。この状況は、財政の方ばかり重視し過ぎて、肝腎な、新薬であったりジェネリックであったり、必要な薬をちゃんと十分に提供するというサービス提供の方が今かなり後回しになっている。

 ここのバランス、薬の中で、財政と薬の提供のバランスが今大きく失われているのではないでしょうかということをお聞きをしております。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 先生のそのバランスを失しているというのは、なかなか、どこがバランスなのかというのはありますけれども、先生おっしゃるような様々な課題、ドラッグロスの問題、安定供給の問題、これがあるというのは、私どもとしてもしっかり承知をしているところでございます。

 一方で、薬剤給付費だけ見ても、もちろん、既存の薬については薬価改定でどちらかといえば落ちている。しかし、新薬については高額な医薬品もどんどん出ておりますし、薬剤給付費全体については今でも伸びている状況だというふうに思っております。

 こうした中で、大きなお弁当箱を出せるほど、いわゆる若い方々の御負担をどうするのかということもあろうかとは思っておりますが、我々としては、先ほど来先生から御指摘いただいた課題も踏まえながら、一方で、医療保険の持続可能性、こういったものを踏まえて対応していきたいというふうに思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 次に、今度は、がん患者などが高額な医薬品をちゃんと使えるようにする、そのための高額療養費の制度設計について伺いたいと思います。

 昨日、参考人としてこの委員会にお越しをいただいた全国がん患者団体連合会の天野理事長の御発言で、こういう御発言がありました。一定額以上の医療費がかかった月が複数回ないと発動しない現在の多数回該当の仕組みにおいては、患者は値段の安い後発医薬品を使うのではなくて値段の高い先発医薬品を使いがちになる、こういうお話、なるほどなというふうに思いました。

 参考人に伺いますが、実際こういう現状があるということについては、把握、認識をしておられますでしょうか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のような、高額療養費の上限に達するために不必要な診療行為や薬剤が投与されることは、本来あってはいけないことだと思っておりますし、私どもとしては、当然ながら、医師の専門的判断の下で適切な治療方針が選択されているというふうには認識をしております。

 その上で、天野さんもそういった御指摘をいただいたように、理屈上は、患者自身が安価な後発品を選択せずに高価な先発薬を選択することも考えられるんだとは思っておりますが、一方で、この多数回該当の仕組み、御承知のとおり、長期療養対策として非常に重要な仕組みだと思っておりますし、どういうような仕組み方をすればそういったようなことを避けられるのか、やはりそれはいろいろ考えてみなければいけないとは思っております。

 いずれにしましても、高額療養費の今後の検討に当たって、患者団体、保険者、被保険者、医療関係者等、様々な関係者の御意見を丁寧に伺いながら議論を進めていきたいと思っております。

井坂委員 やはり、患者さんが不必要な薬を使っているとまでは思わないですけれども、安い後発医薬品と高い先発医薬品、どっちも選択し得るときに、安い方を選ぶかと思いきや、むしろ、あとちょっと値段を使えば今月も高額療養の上限を超える、多数回該当、今月も一か月カウントできる、これはやはり、普通にそう思う。これは患者さんが悪いのではなくて、制度のインセンティブ設計にやはりそういう問題があると私は思っております。

 これは、理屈上そうなるというのは分かるというのは、やはり誰が考えてもそうなるんですね、やるかどうかは別にして。そうやった方が多数回該当を適用されて、その後の毎月の自己負担上限が激減するわけでありますから、やはり、よほどのお金持ちでない限り、多数回該当に当たった方がいいと思うのは当たり前で、そういうことを選択させる制度のインセンティブ設計になっているというふうに考えております。

 そこで、まさに今参考人が、どういう制度があるのか今後も考えていきたいとおっしゃった。これはやはり考えるべきところであって、例えばですが、自己負担額の累計額が、今は、六百五十万円ぐらいの人は、年のうち三回八万円を超えると、あとは月四万四千円まで下がる、こういう仕組みでありますが、そうじゃなくて、三回超えたか超えなかったかの、オン、オフのスイッチを三回押したら適用される、そういうデジタルな仕組みじゃなくて、最初の何か月かで、八万円掛ける三、例えば二十四万円、累積で自己負担額が積み上がってきたら、そこから先は、次の月から四万四千円の上限に引き下げましょう、多数回該当にしましょうと。

 例えば、そういうような、要は、無理に毎月上限額に達しなくても、ちゃんと累積で多数回該当と判定してもらえる、こういう制度であれば、これは無理に先発薬を選ぶインセンティブは全くなくなりますので、よいのではないかというふうに思います。実際、昨日、天野参考人にこういう制度はどうですかと言ったら、それは大変あり得ると思いますというお答えでありました。

 参考人に伺いたいのは、これは事前に、こういう制度を明日提案しますとお伝えをしてありますので、このような累積で、八万円掛ける三回、例えばですよ、これが金額変わってもいいですが、八万掛ける三回、二十四万円、累積で自己負担がたまってきたら、次の月からは多数回該当で四万四千円上限に引き下げます、こういう制度にした場合、どのようなデメリットが想定をされるか、思いつく限りお答えをいただきたいと思います。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 先生御提案の趣旨、長期療養の方々への対応として、いろいろなことが考えられるのではないかという御提案だと思っております。

 課題として考えられることとしては、制度がより複雑になればなるほど、事務的な部分が、結構いろいろな負担が出てくるというところはございます。例えば、保険者において、患者ごとに各月の医療費自己負担額を一件一件集計する必要があって、その事務負担をどうしていくのか。

 また、年間所得に大きな変動がない高齢者の場合と異なりまして、昇給や降格等で標準報酬が変動するケースも多い中で、その場合の上限額がどうなっていくのか。

 また、二十四万円ということであれば、八万円よりはあれかもしれませんが、例えば二十三万円ぐらいの人が、先生のおっしゃるところの、先発品を使って二十四万を超えようとするというケースがあるのかとか、また、何か月かで見るということもありますが、例えば、どこかで非常に大きな治療をして二十四万円を超えた、その後、それが治って、ずっと治った状態で、それが何か月かして、また別の病気になった方、この方はいわゆる長期療養対策とはちょっと違う観点だと思いますが、そういった方も多数回該当に当たってしまうことをどう考えるか。いろいろな整理すべき課題があるとは思っております。

 ただ、いずれにいたしましても、保険料負担の抑制や持続可能性の確保とともに、患者の方々の経済的な負担が過度とならないようにしなければいけないというふうには思っておりますので、その際には実務面での課題もよく検討しながら議論していきたい、このように思っております。

井坂委員 いろいろ課題を真面目に考えていただいて、本当にありがとうございます。

 どんな制度にも、もちろんいい面と悪い面があって、インセンティブ設計によって、患者さんがそれをどう判断して、どう行動が変わるかということ、大事なことだというふうに思っています。要は、こういう患者さんの経済状態、そして制度のインセンティブ設計、すなわち動機づけによって、患者さんがどう動くかということがこの高額療養費制度では大きく変わってくるわけであります。

 そこで、大臣に通告どおりお伺いをしたいと思いますが、年収や手取り幾らぐらいの患者が実際どれだけ自己負担額を払っているのかという経済状態、それから、制度が変わると患者さんの受診行動、判断基準がどう変わるのかなど、患者の生活実態や行動原理をやはり事前に十分に把握をしなければ、高額療養費のまともな制度設計、制度をつくった側の狙いどおりにちゃんと皆さんが考えて動いてくださるかどうかというのが、これは分からないのではないかと思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。

福岡国務大臣 これまでの御議論の中でも、生活実態であったり、また、データを用いてしっかり検証すべきだという多くのお声をいただいているところでございます。

 今後の検討に当たりましては、患者さんの疾病、就労、生活実態は様々である中で、網羅的に把握することは現実的にかなり難しい問題はあるものの、何らかのモデルケースを想定した上で、そのような所得の方々であればどの程度の負担になるかといった、可能な限りミクロで御議論いただけるようなデータをお示しできるように、よく検討してまいりたいというふうに思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 可能な限り緻密に、ちゃんとデータをそろえて検討してくださるということであります。

 加えて、昨日も参考人の方がおっしゃっておりましたが、高額療養費の制度を変える議論を行う際には患者の声を聞く。これは単にヒアリングを行うというだけでなく、やはり社会保障審議会の医療保険部会など、実際に議論を行う場に、要は御本人の感覚なので、患者さんだったらどう思うか、こういう制度に変わったらどう行動が変わるのか、これはやはり御本人、当事者しか分からないことですから、議論の場にリアルタイムにちゃんと患者さん代表がおられて、議論の途中で、いや、今の御提案だと、ちょっと先生が思ったようなことにはなりませんよ、むしろ我々患者目線でいったら、こういうふうに、だったらどんどん先発薬を使おうとなるだけですよとか、そういうことはヒアリングで済む話ではなくて、やはり議論の場にいて、時には患者目線でこうですよということをタイムリーにきちんと発言をしていただくことが大事だというふうに思います。

 大臣に伺いますが、ヒアリングだけではなくて、審議会、議論の場に患者が参加をして、その都度意見を伝えることが必須であると考えるかどうか、お伺いをしたいと思います。

福岡国務大臣 高額療養費の再検討の具体的な運びにつきましては、今後検討させていただくこととしておりますが、議論の場といたしましては、社会保障審議会の医療保険部会を想定してございます。

 議論の際には、患者団体さんを始めとした関係者の皆様から御意見を丁寧に伺うこととさせていただきたいと考えておりますが、どのような形で御意見を伺っていくかということについてはよく検討してまいります。

 今御指摘いただきましたように、単なるヒアリングでは駄目だみたいなお声はたくさんいただいていますから、そういったこともしっかり整理した上で、できる限り早めにそういった考え方についてお示しさせていただきたいと思います。

井坂委員 大臣、ありがとうございます。

 それでは、次の話題に移りますが、今度は、患者さんがまだ承認されていない薬も使って命を守れるようにするため、治験と臨床試験について伺います。

 昨日の患者代表の天野参考人からは、承認前の薬を治験や臨床試験で使ってもらえば命が救われる患者さんが少なくないという発言がありました。ところが、治験や臨床試験の情報というのはなかなか患者さんには届きにくくて、その情報が来るか来ないか、知っているか知らなかったかで命が助かるかどうか決まる、命の情報格差が生じているということでありました。

 今、政府もjRCTという検索サイトを作っておられて、どのような治験があるのかな、どのような臨床試験があるのかなと患者さんが能動的に自分で検索して調べに行くことができるように取組が始まっております。

 一方で、アメリカはもっと進んでいて、リサーチマッチというウェブサイト、これは誰でも見られる、私もよく見てきましたが、リサーチマッチというウェブサイトがあって、患者さんとそれから臨床試験の対等なマッチング、患者さんがただ調べに行くんじゃなくて、マッチングのサイトがあります。

 これは、患者さんが自分の病状などを最初に簡単に登録をする、プロフィールの登録をすると、研究者の側が患者さんのリストを匿名で見て、こういう患者さんがいるんだったら、この患者さんにちょっとうちの治験をやりませんかと声をかけてみようという、就職マッチングサイトみたいなものですよね。研究者の側が患者さんの病状を見て患者さんに声をかける、こういうサイトになっております。

 こういう形だと、自分の病気に合う治験を患者さんが能動的に、この治験は自分の病気に合いそうだとか、この臨床試験はよさそうだと。こういうことまでなかなか患者さんはできませんが、アメリカのリサーチマッチのような仕組みであれば、待っていれば自分にふさわしい治験のお誘いがメールでどんどん来る、こういう仕組みであります。

 参考人に伺いますが、このような患者とそれから治験のマッチングサイトを是非作っていただきたいというふうに思いますが、これをやると、薬機法の第六十八条、未承認薬の広告を出してはいけませんという第六十八条の広告規制に抵触をしてしまうのかどうか、お伺いをいたします。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 薬機法におきましては、広告、個別の資材等を総合的に考慮しまして、三要件がございますが、顧客を誘引する意図が明確であること、特定医薬品等の商品名が明らかにされていること、一般人が認知できる状態にあることのいずれの要件も満たす場合に、同法の規制対象となる広告と判断をしておりまして、監視、指導を行っております。

 御提案のマッチングサイトについて、例をお示しいただきましたが、個別具体のものにつきましては、それぞれだと思いますので、広告かの該当性をお答えすること自体は困難ではありますが、一般論として申し上げれば、例えば、先ほど御紹介いただきました臨床研究等提出・公開システムのように、患者が疾患名などを入力することにより、参加が可能と考えられる治験情報を抽出して表示するといった機能については、その機能により情報提供されたことをもって薬機法の六十八条に規制される広告には該当せず、監視の対象とはならないということでございます。

 プッシュ型のものにつきましても、これも一般論でございますが、患者が自分の疾患とともに登録をしておけば、参加が可能と考えられる治験情報がサイトに登録されたら患者にお知らせが行くような、いわゆるプッシュ型のものでございますが、この機能については、患者の求めがある前提におきましては、その機能により情報提供されたことのみをもって薬機法第六十八条に規制される広告には該当せず、監視の対象とはならないと考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 マッチングサイト、一般論としては、広告規制には抵触をしないということでありました。

 ただ、今答弁を聞いていただいても分かるように、そのことをもってのみは抵触しないとか、非常に曖昧かつ微妙な線引きであります。大体、広告なのか情報提供なのかというこの違いは、そもそも非常に曖昧です。このことが、昨日も参考人がおっしゃっていましたが、要は、研究者が患者に情報提供をしたいと思っていても、これは本当にして大丈夫なのか、広告規制にひっかかるんじゃないかということで、その情報提供をちゅうちょする原因になっているということであります。

 私なんかは、治験の広告、治験を広告するということがそもそもあり得るのかな、治験の顧客誘引って何かあるんですかね、そもそもそう思うわけであります。治験はもう治験なんですから、情報提供を全て認めて、治験もどきの、何か商品を売りたいために治験のふりをしているみたいな、そういうものは、それは治験ではないんですから、治験か治験でないかで判断をすればよいと思っていて、薬機法の六十八条、広告規制を改正をするか、あるいは、治験や臨床試験に関わる情報は、薬機法六十八条から、広告規制から除外をするなどして、これは大臣、伺いますが、要は、治験や臨床試験の情報はもっと普通に自由に、広告ではないんですから、自由に提供をできるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 薬機法の六十八条では、治験薬を含む未承認の医薬品についての広告を禁止してございまして、治験に関する情報提供が広告に当たる場合については、この規定が適用されるところです。

 これまで、治験の募集広告の方法であったり内容が一定の要件を満たす場合には広告に当たらず、治験薬名などを表記しても、その実施が可能であることを明確化するなどの対応を行ってきたところですが、他方で、本年三月に開催されました規制改革推進会議においても、患者団体様から、他者に治験薬情報を提供できないことであったり、治験広告から具体的な情報提供サイトに直接リンクが張れないことなどの課題が指摘され、更に情報を入手しやすくしてほしいとの要望をいただいたところでございます。

 治験のデータかそうじゃないかという判断というのは委員の案でございますが、私どもとしては、今回、こういった患者さん団体からの御要望も踏まえまして、治験に関する情報によりアクセスしやすくなるように、治験に係る広告規制の見直しについて、引き続き検討を進めてまいりたいと思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 続いて、政府参考人に伺いますが、昨日の参考人から同じく要望があった患者申出療養、この患者申出療養についても、これは必要なら法改正も行って、手続を簡略化していただけないでしょうか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 患者申出療養につきましては、まさに困難な病気と闘う患者の方々の思いに応えるため、薬事承認に至っていない医薬品ですとか保険適用となっていない先進的な医療について、患者の申出を起点とし、安全性、有効性等を確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられるようにするものだというふうに思っております。

 まさにポイントとなりますのは、承認を受けていないという薬についてです。要するに、そういう意味でいえば、まだきちっとした審査を終わっていないというものについて使うということですので、安全性、有効性の確認、こういったものは極めて重要だと思っております。

 実施に当たりましては、安全性、有効性等を確認するため、保険収載に向けた実施計画の作成、また実施状況等の報告を臨床研究中核病院に求め、その結果に基づき、患者申出療養評価会議において個別の医療技術の実施の適否を審議することとしております。

 一方で、先生おっしゃるように、やはり患者のための制度でございますので、制度を使いやすくしていく、この視点も非常に重要だと思っております。

 これまでも、提出書類の削減等の対応を行うなど、患者申出療養の手続の簡素化等について行ってきたところでありますが、引き続き、安全性、有効性等を確保しながら、患者にとって使いやすい制度となるよう、関係者の意見も聞きながら、患者申出療養評価会議等において検討していきたいというふうに考えております。

井坂委員 是非よろしくお願いいたします。

 最後に、健康づくりサポート薬局、健康サポート薬局についてお伺いをしようと思っておりましたが、ちょっと時間もあれですので、要望を申し上げるにとどめておきます。

 私は、やはり予防重視にこれからシフトしていかなければいけない、かかりつけ医だけでなく、薬剤師さんとか介護士さんとか、分担して患者さんの病気を予防をする体制が必要と考えています。今回の法改正で提案されている、健康づくりをサポートする健康増進支援薬局、これを増やしてほしいと思いますので、認定要件の見直しとともに、やはり何か経済的インセンティブについても考えていただきたい。これは、ちょっと時間がないので申し上げるにとどめておきます。

 最後、やはり少子高齢化ですから、社会保障費とか医療費の抑制が必要なのは私も当然だと考えています。ただ、必要な薬が手に入らないというような状況になれば、これは本末転倒で避けなければなりません。薬価ばかりを過剰に切り下げるのではなく、診療報酬も含めた医療費全体の本来あるべき効率化に向けて、引き続き議論をしてまいりたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

藤丸委員長 次に、酒井なつみ君。

酒井委員 立憲民主党の酒井なつみでございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、薬機法に関する質疑ですから、まず最初に、市販薬の過剰摂取、オーバードーズ対策について伺います。

 近年、社会問題となっています。若い若年者に広がりがあるということを大変心配をしています。お配りをしている配付資料を御覧いただきたいと思います。厚生労働省は、令和五年度に、一般住民における市販薬の乱用経験、初めて調査をされておりますけれども、その実態把握のための全国調査によれば、市販薬の乱用経験率は〇・七五%、過去一年以内に市販薬の乱用経験のある国民は約六十五万人と推計をされています。

 乱用のおそれのある医薬品に関して、この度の法改正で販売時や陳列の見直しなどを図りますけれども、実効性と効果についてどのように考えているのか、政府参考人に伺います。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 市販薬の乱用が社会問題となっていることを踏まえまして、本法案では、乱用のおそれのある医薬品を指定濫用防止医薬品と位置づけまして、販売時に購入者の年齢に応じて一定の制限を設けるほか、購入理由の確認、乱用に関する情報提供、陳列等について対応を求めることとしております。

 これらの対応によりまして、薬剤師や登録販売者と購入希望者が直接やり取りを行う機会を確保することで、薬剤師等による情報提供や声かけの実効性を高め、乱用に係る情報提供の徹底及び不適正な医薬品入手の防止に資するものと考えております。

 その上で、市販薬の過剰摂取防止のためには、販売時点における対応のみではなく、こうした市販薬の過量服薬の背景にある孤独、孤立への対策でありますとか普及啓発も含めまして、政府全体の取組として進めていく必要があると考えております。

酒井委員 薬機法改正により、今お話があったように、販売、管理が強化されることになるんですけれども、実効性が低いということは指摘をされております。地元の薬剤師さん、薬剤師会からも、やはり限界があるとのお声を頂戴をしています。

 違法な薬物ではありませんから、実店舗のはしごなどによっても入手できますし、ネットの購入など抜け道も多いという状況です。ですから、単なる薬の規制に加えて、医療や福祉、教育の、組み合わせた包括的な対策が求められます。

 そもそも、薬物依存、薬物乱用、オーバードーズをする人たちはどういう人たちかということ、そういった視点が必要だと思います。医療や支援が必要な患者さんという視点で私は見ています。看護師ですから、看護の対象者だと捉えているわけです。

 精神保健福祉法の中では市販薬の過剰摂取も薬物依存症として位置づけられているのかどうか、また、精神障害者保健福祉手帳は取得できるのか、また、その知識や取得できるということが広く周知されているのか、政府の認識を伺いたいと思います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの精神保健福祉法の関係でございますけれども、現行の精神保健福祉法上、精神障害者の定義がありまして、こちらの方では、精神作用物質による急性中毒又はその依存症を含む精神疾患を有する者という形で法律上明記をされております。市販薬という言い回しではございませんけれども、精神作用物質という言い方で、その依存症を含むという形で規定をされているところでございます。

 さらに、精神障害者保健福祉手帳でございますけれども、こちらも、法に基づきまして、一定の精神障害の状態にあることを認定し、各種の支援策につながりやすくしていく、それでもって精神障害のある方の社会復帰、自立、社会参加の促進を図るということを目的として交付をしている手帳でございますけれども、こうした市販薬の過剰摂取、いわゆるオーバードーズの背景には、孤独感に陥っているなど様々な要因があるとは考えられますが、その中で薬物依存症となられた方がいらっしゃる場合について、精神疾患の状態とその能力障害の状態から手帳の交付対象であるというふうに判断されれば、現在もこの手帳の取得は可能でございます。

 こうした点については、手帳の運用などにつきましては、必要に応じて自治体などにも適切に案内をしていただいているものというふうに考えておりますけれども、今後とも、この手帳制度の適切な運用に向けて、各種広報等、努めてまいりたいと考えております。

酒井委員 是非よろしくお願いいたします。

 オーバードーズをする方々が、医療や薬物問題の専門的な支援、福祉への適切な誘導が行われるように願っております。依存症治療の専門機関の増設も必要ですし、若い若者たちが安心して受診できる医療機関の見える化やその周知にも力を入れていただきたいと思っております。

 しかし、そういった体制は現在不足しているというふうに思いますけれども、大臣に見解を伺います。

福岡国務大臣 委員御指摘の体制整備を進めていくということは、大変重要な観点だというふうに思います。市販薬の過剰摂取を含めた薬物依存症の方が必要な医療であったり支援を受けられるよう、取組を進めているところです。

 具体的には、都道府県等における相談拠点であったり専門医療機関の整備を進めてございまして、相談拠点は全ての都道府県、指定都市で設置をされておりますが、専門医療機関が設置されているのは現在五十三自治体でございまして、一部の都道府県等では設置されていない状況でございます。このため、本年三月の関係課長会議におきまして、各自治体に対し、相談拠点や専門医療機関等の追加の設置、選定を依頼したところでございます。

 さらに、地域で依存症問題に取り組む民間団体が実施する若者向けの相談活動に対する支援も行ってございます。

 具体的には、これまで違法薬物の依存症に対する支援が中心でございましたが、市販薬の過剰摂取を含めた薬物依存症の方からの相談に対応する民間団体を支援いたしますとともに、医療機関との連携体制の強化を図ってございまして、今後とも、必要な治療や支援を受けられる体制の整備を進めてまいりたいと思います。

酒井委員 薬物依存症の専門医療機関の数、選定済みの自治体数は三十九自治体ということで、八つの県では専門医療機関が県内にないという状況です。また、一つだけですと、やはりアクセスがしづらいというような状況もあると思います。様々取り組んでくださっていることは承知をしておりますけれども、一層の推進をよろしくお願いいたします。

 先ほどお伝えをした全国住民調査の結果をまた見ていただければと思うんですが、過去一年以内の乱用経験率、年代の推計で一番多いのが十代で一・四六%です。そして、次に五十代、一・二四%と続いておりまして、実は五十代に多いということは私も驚いたんです。しかし、社会的にも様々なキャリアを積んで、ストレスが多い仕事をしていたり責任ある仕事をしていて、自分の弱みを周りに吐露できない、医療機関に相談できないといった実態もあるのではないかというふうに思います。

 そういった意味では、壮年期の方々も含めて、国民全体のヘルスリテラシーの向上が急務だと思います。どのような取組をされているんでしょうか。特に若者に向けては、SNSなどの活用も重要だと思います。

 市販薬の乱用が引き起こす危険性はよく周知されているかなと思うんですけれども、依存症は病気であって、回復可能であるということをメッセージとしてもきちんと伝えていただきたいと思いますけれども、その見解を大臣に伺います。

福岡国務大臣 御指摘いただきましたように、市販薬の乱用対策は、その根本的な原因でございます孤独、孤立への対応、販売時の対応、普及啓発を一体に行っていく必要がございますが、その中でも、御指摘いただきましたヘルスリテラシーの向上というのは大変重要な観点だというふうに認識をしております。

 政府といたしましても、若者だけじゃなくて全年齢層に向けても、薬と健康の週間のキャンペーン等の機会を通じた国民に対する医薬品の適正使用の周知であったり、一般用医薬品の乱用の危険性等に関する啓発用資材の作成、厚生労働省のホームページやSNSでの発信、またラジオ番組、昨年の九月にオーバードーズの危険性などをトピックスとして扱っていただいたラジオ番組を放映していただいたりというようなことの取組も行ってきているところでございます。

 こうした取組を通じて、引き続き一般用医薬品のリスク等の啓発に努めてまいりたいと思います。

酒井委員 様々取り組んでくださっておりまして、ありがとうございます。引き続き、大きな社会問題ですし、これが増加をしているということは喫緊の課題であるというふうに思います。

 市販薬のODの問題、オーバードーズの問題は、今回の薬機法の改正を通じて、販売時のゲートキーパー機能、薬剤師さんたちの役割も大変重要ですから、研修なども進めていただくように、よろしくお願い申し上げます。そして、本人や家族を孤立させないことが大切です。就労なども含めた生活全般の支援を行うことが必要だと提起をしまして、次の質問に移ります。

 続いて、セクシュアル・リプロダクティブヘルス・ライツ、SRHRの推進観点から、緊急避妊薬の要指導、一般用医薬品化について伺います。

 現在、日本では、緊急避妊薬、商品名でノルレボといいますけれども、この入手には医師の処方が必要ですけれども、これは、多くの女性にとって迅速なアクセスを妨げる大きな障壁となっています。

 例えば、夜間や休日には診察を受けることが難しいことや、地域によっては産婦人科が近くになくて移動が困難であったり、費用の負担は約一万五千円ほどと言われておりまして、その負担も大きく、性暴力の被害者が医療機関で説明をしなければならないという精神的な負担なども生じています。性暴力や避妊をしない性交渉に直面をした女性が薬を入手できないことで、不本意な妊娠、望まぬ妊娠という深刻な問題に直面する可能性があります。

 令和五年度の人工妊娠中絶件数は十二万六千七百三十四件で、前年度に比べ三・三%増加をしています。二十歳未満の件数は一万五十三件でした。望まない妊娠を回避する避妊方法があるということは、知識としてもっと普及させるべきだと思います。避妊に関する正しい知識を持つことやSRHRの推進で望まない妊娠を減らすことは可能です。

 そこで、緊急避妊薬の市販化を早くしていただくように強く求めたいと思います。WHOは市販化を推奨しており、安全で誰でも迅速にアクセスできるべきと明言をしています。また、国連女性差別撤廃委員会から避妊薬のアクセス向上の勧告を日本は受けております。こうしたことを踏まえた政府及び福岡厚労大臣の姿勢について伺います。

福岡国務大臣 昨年、委員が御紹介をいただきました女性差別撤廃委員会による審査が行われ、その報告書の中では、十六歳と十七歳の女児が緊急避妊薬を入手するために親の同意を得る要件をなくすことを含め、全ての女性及び女児に緊急避妊薬を含む手頃な価格の現代的避妊方法への適切なアクセスを提供することが勧告され、また、当該勧告において、二年以内に措置状況の報告が要請されているところでございます。

 緊急避妊薬が必要な方々に適切な形でアクセス可能となりますよう、OTC化につきまして、引き続き検討を進めてまいりたいと思います。

酒井委員 薬局での試験販売が日本では行われておりまして、令和五年度から実施をされています。今年度からはOTC化が進むかと期待をしましたけれども、残念ながら、今年度も事業を継続するということです。三年目になります。いつまで検討するんでしょうか。

 来年からは、条件緩和を進めるなど、更に入手できる薬局数を増やすべきだと考えますけれども、見解を伺います。また、市販化の準備は既に整っていると考えますけれども、それについても見解を伺います。

福岡国務大臣 調査研究事業におきましては、評価検討会議で示されたOTC化に関する様々な論点、例えば、具体的には、年齢制限の要否であったり、プライバシー確保の在り方であったり、また、薬剤師による対面販売時の留意点、産婦人科医との連携の在り方などについて、一部の薬局での試験的運用を通じて得た情報を分析し、課題や対応策を検討していくということになってございます。

 御指摘の協力薬局数につきましては、事業開始当初の約百五十から昨年九月に約三百五十に拡大しておりますが、まず、この事業におきまして、OTC化された際の適正販売を行う際の具体的な対応策を整理することが必要だというふうに考えております。

 また、緊急避妊薬をOTC化する際には改めて薬事承認が必要となりますため、具体的な承認時期について予断を持ってお答えすることは困難でございますが、緊急避妊薬が必要な方々に適切な形でアクセス可能となりますように、OTC化についての検討を進めてまいりたいと思います。

酒井委員 大臣自身は、これについて賛成なのか。そもそも、SRHR推進をお約束いただきたいんですけれども、姿勢としていかがでしょうか。

福岡国務大臣 委員が問題意識として御提言いただいています、望まない妊娠を防ぐということは、大変重要な観点だというふうに思います。

 ただ、現場でそれを販売している方々、今現在行っていただいている方々からの様々な、先ほど申しましたような論点、これについてはしっかり整理をした上で、より安全で適切にそういったものを手に入れていただけるような環境整備も併せて進めていく必要があると考えています。

酒井委員 この研究事業はもう三年目でして、安全に飲める薬で、誰でも迅速にアクセスできるべきというのがWHOからも推奨されているところです。早く市販化を求めたいと思います。OTC化に当たっては、ほかの薬と同じ対応でよい、特別なことは何もないと私は思います。

 海外では、緊急避妊薬は、およそ七十の国と地域で医師の処方箋がなくても薬局などで購入できます。また、面前服用、薬剤師さんの前で、ここで飲んでくださいと求めるのは日本だけであります。年齢制限や本人確認も不要です。女性の基本的人権の観点から問題を指摘されているこの面前服用については、条件とすることを改めるべきだと思います。厚労省としての見解を伺います。

 また、SRHRなどの諸課題については、若者など当事者にも検討の場に参画いただいた上で議論するべきだと考えますけれども、大臣の見解を伺います。

福岡国務大臣 御指摘がございましたように、調査研究事業におけます薬剤師の面前での緊急避妊薬の服用につきましては、評価検討会議で出された懸念、具体的には、購入後の不適切な使用を防ぐために設けさせていただいているものでございますが、こういった点も含めまして、緊急避妊薬が必要な方々に適切な形でアクセス可能となりますよう、調査研究の結果であったり、関係審議会等でも専門家の御意見を踏まえつつ、また、必要に応じ、今御提言ございましたように、当事者の御意見も聞かせていただきながら、緊急避妊薬のスイッチOTC化について検討を進めてまいりたいと思います。

酒井委員 そもそも面前服用には医学的な必要性はないと思いますけれども、それについてはいかがでしょうか。

福岡国務大臣 まず、医学的必要については、ちょっと私も医学的知見について言及する知識を持ち合わせておりませんが、今般こういう運用をさせていただいているのは、購入後の不適切な使用を防ぐためということでございますので、そういったことをどうやって今後担保していくかということ、面前服用しない場合、どうやって担保していくかということも検討していく必要があると思います。

酒井委員 どういうことを懸念されているのかよく分からないですけれども、よく言われるのは、悪用、乱用されることなんですね。それが諸外国で報告があるかというと、報告はなく、起こらないというふうに言われています。そして、逆に、アクセスを改善することで、無防備な性交渉が増加すること又はより信頼性の高い避妊方法の使用が減少するといったことにもつながらないという結果が出ております。

 薬を飲むか飲まないか、そしていつ飲むかは自己決定権があります。ほかの薬も同様ですね。お薬をもらいに行ったときに、この後すぐ出かけなくてはならないとか、早く薬を飲みたいといって患者さんが希望すれば、その場で飲んでいただければよい話であって、この緊急避妊薬も、なるべく早く服用するのがよいお薬ではありますけれども、面前を条件にする必要はないというふうに私は断言をしておきたいと思います。

 そして、こども家庭庁に所管は移ったんですけれども、令和五年三月に閣議決定された成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針には、その基本的考えに、リプロダクティブヘルス・ライツを尊重することと明記をされました。SRHRを尊重し、女性の自己決定権、基本的人権を守るために、適切な包括的性教育の推進と併せて緊急避妊薬の市販化を強く求めて、次の質問に移ります。

 次に、薬の廃棄や供給不足について伺います。

 まず冒頭、いわゆる医薬品不足を解消するための中間年改定廃止法案、議員立法の提出者に伺います。

 今回、薬価の中間年改定を原則禁止する法案を提出し、政府の薬機法改正案と同時に審議入りをした理由と法案の意義や目的について、改めてお答えください。

岡本(充)議員 お答えをさせていただきます。

 まず、閣法の薬機法等改正案の目的の一つは、医薬品等の安定供給体制の強化、より活発な創薬が行われる環境の整備等を通じて、品質の確保された医薬品等の国民への迅速かつ適正な提供を図ることがあると考えております。

 そして、この議員立法でも、薬価を含めた診療報酬の基準は二年ごとの改定が原則であることを法律に位置づけることとしていて、これにより製薬企業の経営の予見可能性が担保され、医薬品等の安定供給、活発な創薬が行われる環境整備の実現に資するものとなります。これは、閣法の薬機法改正案と目的が重なるものでありまして、今回、同時に審議入りを求めた次第であります。

 また、昨日の委員会で岡田参考人から、予見性のない薬価引下げが継続されることは製薬企業にとって医薬品の安定供給や日本での早期の新薬開発をちゅうちょさせることになり、ひいては、結果として国民に大きな不利益をもたらすことになり、中間年改定の廃止について是非とも検討してほしいという意見や、また狹間参考人からも、中間年改定を見直すことは重要との御意見がありました。

 今回の議員立法は、こうした切実な御意見にも応えることになると考えております。

酒井委員 現在の薬不足は深刻ですし、ドラッグロスに対しても必要な法案ということで理解をいたしました。

 薬剤の廃棄ロスの問題についても触れたいと思いますけれども、推計の年間廃棄金額は一千億円という試算もあるということを知って大変驚きました。高額療養費制度の自己負担額の議論の前提として、高額療養費が医療費全体の倍のスピードで増大をしているということはこの間再三言われてまいりましたが、医療費全体で抑制を考えたときに、こうした言ってみれば命に関わらない部分から手をつけるということは大切だと思っています。

 例えば、医薬品の流通全体の見える化を進め、在庫管理や使用状況などを把握するために、AIの活用やデジタル化を進めるべきと考えますが、今回の改正案には盛り込まれているのか、政府参考人に伺います。

内山政府参考人 お答えいたします。

 医薬品の流通状況の見える化につきましては、これは医薬品の安定供給といった観点から重要だというふうに考えてございまして、これまでも、有識者検討会、それから医薬品医療機器制度部会においても、医療用医薬品の市場全体の供給状況や現場の需給状況を把握する仕組みの必要性、これが指摘されているところでございます。

 こうしたことも踏まえまして、本法案におきましては、電子処方箋管理サービスの調剤データを活用し、現場の需給状況を把握するための規定や、製造販売業者の生産量や在庫量を活用し、市場全体の供給状況を把握するための規定、こうしたものを盛り込んでいるところでございます。

 本法案が成立した場合には、これらの規定を活用しつつ、医薬品の供給状況、需給状況等の流通状況を把握できる仕組みの構築に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

酒井委員 医薬品の供給停止や供給不安が続いております。医薬品の供給不安の解消を国民は望んでいまして、特に医療機関の皆さんは、どのくらいの期間で改善が見込まれるのだろうかという見込みは知りたいと思うんですね。

 ですから、薬機法改正によって医薬品の供給不安問題の改善が見込まれるのか、具体的に何年程度と見通しているのか、大臣に伺います。

福岡国務大臣 医薬品の安定供給の確保に向けましては、足下の供給不安の解消と中長期的な課題への対応、この両方に取り組んでいくことが重要であるというふうに考えています。

 足下の供給不安の解消に向けましては、企業に対しての増産の働きかけであったり、増産体制整備への補助、薬価の下支えなどに引き続き取り組んでいきたいと考えています。

 また、中長期的な課題への対応といたしまして、本法案におきましては、製薬企業における供給体制管理責任者の設置であったり、供給停止時の届出義務の創設、また、後発医薬品企業における品目統合、事業再編を支援するための新たな基金の造成といった措置を盛り込んでいるところでございます。

 具体的な数字について申し上げることは大変困難でございますが、まずは足下の供給不安への対策にしっかり取り組みながら、本法案に盛り込んだ、市場全体として安定供給を確保する体制整備を実施できるものから迅速に着手し、安定供給の確保を図ってまいりたいと考えています。

酒井委員 できるところから、そして、何年という具体的な数字は示せないけれども取り組んでいくというお話でした。

 何年というところが難しくても、今お話しいただいたように、ハード面で中長期的にやることと、足下の、例えば感染症の流行時などに迅速に対応できるような体制などは政府としてビジョンをしっかりと示していただいて、かつ、それを着実に進めていっているのか、PDCAサイクルで回して、評価をして進めていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 この問題は薬機法の改正だけでは解決に進まないなということを感じながら、質問の準備をやってまいりました。薬価の中間年改定も原則禁止する必要がありますし、薬不足の要因の一つである流通とか在庫の全体の見える化というところにも役割が求められているというふうに思います。特に、中小規模の薬局や病院への支援なども必要だというふうに思っておりまして、支援を求めます。

 次に、最後の質問に移ります。

 高額療養費制度改正の今後の再検討について伺います。

 高額療養費制度について、石破総理が、今年八月の負担上限額引上げを見送った上で秋までに改めて方針を検討し、決定すると表明したのが三月七日でした。一か月が経過したことになります。上限額の引上げが凍結されたことは、諦めずに声を上げ続けた、がんや難病等の治療を続ける当事者の皆さん、その方々を支える皆さんの大きな成果です。しかし、凍結はステップの一つにすぎず、議論の再スタートであると思います。

 その後の国会答弁等で、患者団体を審議会のメンバーとして加えるのかということに関しては明確な答弁を得られておらず、大変残念に思っています。

 先ほども、我が党から、井坂理事から、ヒアリングだけでなくしっかりとメンバーに加えるようにという質問がありましたので、私からは要望だけをお伝えしたいと思いますけれども、この審議会は、これまでの議論にもあったとおり、様々なテーマを審議をしておりますので、やはり、高額療養費のことを話し合う特定の審議会を新たに立ち上げた方が私はいいというふうに思っております。患者団体の方々にそこに入っていただいて、丁寧にお聞きをするということが必要だと考えますけれども、その点について大臣にお答えいただきたいと思います。

福岡国務大臣 委員の御提言については受け止めさせていただいた上で、議論の際には患者団体を始めとした関係者の皆様から御意見を丁寧に伺うことといたしますが、どのような形で御意見を伺っていくかについては、まさに今検討をさせていただいている最中でございます。

 できる限り早めに整理して、お示しできるようにしていきたいと思います。

酒井委員 もう既に一か月たっておりますので、よろしくお願いいたします。

 私は、政府案が出された当初に、多様なセーフティーネットで国民を支える必要があると考えております、この制度だけではありません、その中で厚労省の職員さんにお伝えしたことがありまして、高額長期疾病、特定疾病という制度がありまして、この特例に係っている方々の疾病や治療法の拡大を二度職員さんに提案をさせていただきました。

 高額長期疾病に係る特例とは、著しく高額な治療を長期、ほとんど一生の間にわたって必要とする疾病にかかった患者さんについて、自己負担限度額を通常の場合より引き下げて一万円とすることにより、医療費の自己負担の軽減を図るものです。現在、人工透析や血友病、血液製剤の投与に起因するHIV感染症の三つの治療法と疾病が指定をされています。

 今、エンドレスケモといって、通称ですけれども、抗がん剤治療を長期間、継続的又は断続的に行う治療方針もあり、完治が難しい進行がんや再発がんの方などが受けています。また、慢性骨髄性白血病は、分子標的薬が登場してから生存率が向上するなど、患者さんを取り巻く環境が変わってきました。

 こういった方々が、この特例に加えることができたら、一生高額な治療ですから、負担軽減できると思いますけれども、見解を伺います。

福岡国務大臣 高額療養費制度には、今御紹介いただきましたように、ほぼ生涯にわたり著しく高額な治療を必要とする人工透析であったり血友病、血液製剤に起因するHIV感染症につきまして、患者さんの自己負担限度額を更に軽減する特例制度を設けているところでございます。

 この特例制度の在り方も含めた高額療養費制度全体について、今後、この秋までに改めて検討していくこととさせていただいておりますが、その際には、制度の持続性を確保しながら、患者さんの経済的な負担が過重なものとならないようにすることが重要であると考えておりまして、関係者の方々と丁寧な議論を重ねながら、増大する高額療養費をどのように分かち合うかという観点から検討を進めてまいりたいと思います。

酒井委員 よろしくお願いします。

 終わります。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきです。

 それでは、質疑に入ってまいります。

 まず、薬機法の関係の質疑でございますが、私からは零売の規制について、新たに法制化をされるということでございます。

 これについては、一枚目の資料を御覧ください。この中に、後ろの方に処方箋医薬品とそれから処方箋医薬品以外の医療用医薬品、これが両方とも医療用医薬品となっております。そして、処方箋がなくても医療用医薬品として販売をできるわけなんですけれども、これについては原則禁止をする、いわゆる零売規制というものが、今回の法改正で、通知行政から、新たに法律で法制化されることになりました。

 これについて伺いたいのですが、まず、具体的な運用を定める、これからですけれども、厚生労働省令やガイドライン等の作成に当たっては、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の積極的なOTC化の推進、それから薬剤師との相談を通じて患者が主体的に医薬品を選択、購入することができるセルフメディケーション推進の政策方針、これは政府の方針ですから、これに逆行することがないように留意を十分にしていただきたいと思いますが、大臣のお考えを伺います。

藤丸委員長 済みません、城医薬局長から発言を求められておりますので、どうぞ。

城政府参考人 申し訳ございません。

 その前に、配付いただいている資料につきまして、ちょっと訂正をお願いさせていただければと思います。

 この一ページ目の資料でございますが、基は厚生労働省の資料でございますが、処方箋医薬品と書いてある右上のところの下に約二万品目とございますが、これは誤りでございまして、これはその左側の医療用医薬品の数字でございます。処方箋医薬品については約一万三千品目となってございます。訂正をした上で、おわびをさせていただきます。

福岡国務大臣 委員の御指摘、大変重要な視点だというふうに考えております。

 今回の改正につきましては、本来診療が必要な疾病であっても医師の診断を経ずに医療用医薬品を購入できると受け取れるような広告を行うなど、保健衛生上の懸念がある事例が見受けられることを踏まえ、処方箋なしでの医療用医薬品の販売、いわゆる零売の要件を明確化し、適正な運用を確保することを目的とするものでございます。

 このため、緊急時等のやむを得ない場合に薬剤師の方と相談した上で必要最小量の数量を販売する、本来の趣旨にのっとって行われる零売を禁止するものではございません。したがって、保健衛生上の規制を行うもので、OTCの推進であったり、またセルフメディケーション推進と矛盾するものではございません。

 この法案が成立した際には、施行に向けて、関係者の方々の御意見も伺いながら、厚生労働省令やガイドライン等の策定でしっかり周知を図ってまいりたいと思います。

早稲田委員 これは緊急時の医薬品アクセスを確保する上で、私も零売は非常に有益だと思っておりますし、大臣からも今そうした御答弁もいただきました。

 その上で、改めて今回法制化をしようとするということになって、法律を変えてまで対処する必要があったのか、少し疑問であります。処方箋医薬品の区分変更で十分ではなかったかという疑問も出ております。

 そうして、今、厚生労働省は本改正を、適切に行われてきた零売の範囲を明確にしたものにすぎないとしておられるわけですけれども、やむを得ない場合、現場の薬剤師にとっては判断が極めて難しい、萎縮してしまったり。結果として、零売が大きく制限されるような懸念があってはならないと私は思います。そうしたときには、患者の自律的な判断を妨げるものではないこと、それからまた、大学も四年制から六年制に変わった薬剤師さんの専門性、職能というものをもっと信頼してよいのではないかと私は思います。決して、この法制化によって制度の硬直化を招かないようにしていただきたい。

 次でございますが、処方箋の交付を受けた者以外の者に対して医療用医薬品の販売が認められるやむを得ない場合の範囲、それから運用については、多くの生活をする人、労働者、医療機関を受診する時間的余裕もないというような生活実態も踏まえまして、是非、医療機関が開いているか開いていないかということだけではなくて、そういう状況にかかわらず、国民の医薬品のアクセスを阻害しないように十分配慮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 今般の薬機法改正では、これまでもお示ししていたやむを得ない場合を法律上明確化を図ることとしておりまして、先ほども申し上げましたように、本来の趣旨にのっとって行われている零売を制限するものではございません。

 その上で、こうした零売につきましては、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会でも御議論いただきましたように、国民の緊急時の適切な医療品アクセスを確保するためには必要な制度であるというふうに認識をしておりまして、法律が成立した際には、こうした考え方の下で運用を行ってまいりたいというふうに思います。求められる対応等についても、分かりやすい形でお示しできるようにしていきたいと考えています。

早稲田委員 今大臣から、適切な零売は緊急時の医薬品アクセス確保のために必要な制度だということを御答弁いただきました。まさにおっしゃるとおりでありまして、特にこうした日本のような災害が頻発するようなところでは、災害時、それからまた遠隔地、そしてまた休日、夜間、旅行中、そうした医療が届かないような瞬間、時間というものがあります。零売が命綱になるというような制度でもありますので、是非、必要な制度であるという認識でありますから、やむを得ない場合にのみ例外容認という極めて限定的な制度の枠組みの中に閉じ込めていただきたくないということであります。

 省令での運用においては、現場の専門家、薬剤師の方に、判断に一定の裁量を残す制度が不可欠だと考えます。本改正以前よりも零売を行ってきた薬局等が国民への医薬品のアクセスに一定の役割を果たしているわけですから、そのことを十分考慮していただき、過度な指導それから規制、こうしたことにより営業継続が困難となることがないように、必要最小限かつ合理的な規制措置にとどめていただきたいと思いますが、この御答弁を伺います。

福岡国務大臣 今般の改正案につきましては、本来の趣旨にのっとって行われる零売について、その制限の範囲が広がるものではございません。そうした零売を行っている、本来の趣旨に沿って行っていただいている薬局につきましては、これまでどおり継続していただくことが可能でございます。

 したがって、必要最小限かつ合理的な規制措置ということで行っていきたいと考えています。

早稲田委員 必要最小限ということをおっしゃっていただきましたので、それを実際、運用の方でもやっていただきたいと思います。

 そしてまた、例えばこれはどういうものが含まれるかというと、OTCでも買えるような解熱剤とかリスクの低いもの、それから、いわゆる湿布薬なども含まれているわけです。こうしたものを欲しいがために、三分の診療のために三時間待つというようなことも医療現場では珍しくございません。これは、医師不足においても、大変医師の方も疲弊をするような状況もございますので、そうした非効率な医療資源の消耗を避ける観点からも、医薬品入手のための不必要な受診を促進してしまうことがないように、セルフメディケーションの社会的意義というものも、しっかりと厚生労働省においては国民への周知啓発をしていただきたいと思います。

 そしてまた、医療提供体制の多様性と安定性の確保に努めるべきではないかと思いますし、必要な運用の柔軟性を確保していただく、その前提としては安全性が確保されるということですが、この必要な運用の柔軟性、確保すべきではないかと思いますが、御答弁をお願いいたします。

内山政府参考人 お答えいたします。

 限られた医療資源を有効に活用しながら国民の健康づくりを促進するため、御指摘いただきましたように、セルフメディケーションを推進すること、これは重要だというふうに考えてございます。このため、スイッチOTC化の推進や、税制上のインセンティブであるセルフメディケーション税制、そして、その周知広報等の取組を行ってきたところでございます。

 その上で、セルフメディケーション税制は令和八年末までの時限措置であることから、セルフメディケーション税制の在り方、それから、その前提となりますセルフケアの推進に必要な施策などを検討するため、有識者による検討会を本年一月に立ち上げ、議論をしているところでございます。

 また、改正の本法案におきましても、健康増進支援薬局の認定の仕組みを設けまして、健康増進支援薬局の普及の促進を図ることとしているなど、セルフメディケーション推進のための必要な措置を盛り込んでいるところでございます。

 零売につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げたとおり、今般の改正は、緊急時等のやむを得ない場合に薬剤師等と相談した上で必要最小限の数量を販売する、本来の趣旨にのっとった零売を禁止するものではなく、法案が成立した際には、施行に向けて、関係者の御意見も伺いながら、厚生労働省令やガイドライン等の策定が行われるというふうに承知をしてございます。

 引き続き、適切なセルフケア、セルフメディケーションの推進、その環境整備に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。

早稲田委員 今御答弁をるるいただきましたが、適切に零売を行ってきた薬局、事業者との意見交換の場なども改めて設けていただきまして、その意見を内容に反映させていただきたいと思います。

 そしてまた、省令、ガイドラインの作成に関しましては、やむを得ない場合の定義やOTC代替判断の目安など、できる限り客観的かつ具体的な基準を提示すべきでありまして、また、現に零売を行っている薬局に対して、施行前の説明会、相談窓口などを通じて、丁寧に説明をしていただきたいということを約束をしていただきたいと思います。

 それからまた、零売規制について、憲法違反ではないかという違憲訴訟も提起をされておりまして、来月には裁判が始まるとも聞いております。私たちが立法府として今国会でこの法改正をすることが、本当に将来にわたって違憲のそしりを受けないか、慎重に審議をすべきと考えます。その上で、私は先ほど来申しておりますように、経営継続への支援や段階的な移行措置、相談窓口の設置なども併せて考えていただくことを含めまして、この質問とさせていただきます。

 次の質問に移ります。

 順番を変えまして申し訳ございませんが、緊急避妊薬の早期のOTC化についてであります。

 先ほど酒井委員からもるる御質問があり、御答弁もありました。私も、毎回大臣が替わるたびに、この質問を当委員会でしてまいりました。先ほども、国連女子差別撤廃委員会の勧告を尊重し、同委員会への次期フォローアップ報告、これは二年後ですから、これまでには少なくとも実現をしてほしいということも酒井委員もおっしゃっていましたけれども。

 これと、今までもスピード感を持ってといつも厚労大臣はおっしゃるんですけれども、口先ばかりで。厚生労働省は、二〇二三年度時点で海外二か国以上でスイッチOTC化されている医薬品については、原則として二〇二六年度末までに日本でもOTC化する、このスイッチラグを解消するということを目標に掲げております。それでしたら、この緊急避妊薬、もう二か国なんというものじゃないですよね。多分、九十か国ぐらいOTC化されているわけですが、このことについて、大臣、目標達成できないじゃないですか。そのことについてはどのようにお考えでしょうか。

福岡国務大臣 いずれにしましても、今おっしゃられましたように、他国の状況も踏まえながら、また厚生労働省としましても、女性差別撤廃委員会によりまして二年以内に措置状況の報告が要請されている、こういったことも受けまして、緊急避妊薬が必要な方々に適切な形でアクセス可能となるように、検討を進めてまいりたいと思います。

早稲田委員 厚生労働省の方でこれは目標として決めていらっしゃるんですよね。海外で二か国以上やっているものは日本でも三年以内にやるんだということを決めておきながら、自らお守りにならないのは、これはおかしいことでありますから、二〇二六年度の末というのはもうすぐですから、是非ここのところは進めていただきたい。九十か国ですから。お願いします。

 それから、他に治療を目的に面前服用を原則とされているお薬、医薬品がありますでしょうか。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 網羅的に確認をしたわけではございませんが、例を挙げますと、例えばメフィーゴパックにつきましては、用法及び用量に関連する注意として、ミフェプリストンの経口投与、ミソプロストールの口腔内の静置は母体保護法指定医師による確認の下で行うこととされておりますほか、シダキュアスギ花粉舌下錠につきましては、重要な基本的注意として、アレルギー反応等の確認のため、初回投与時は、医師の監督の下、投与後少なくとも三十分間は患者を安静な状態に保たせ、十分な観察を行うこととしておりまして、事実上、面前服用を求めているものはございます。

早稲田委員 何の医薬品でしょうか。

城政府参考人 メフィーゴパックにつきましては、人工妊娠中絶用の製剤でございます。シダキュアスギ花粉舌下錠につきましては、杉花粉症の減感作療法薬でございます。

早稲田委員 私が事前に聞いたお話では、結核のDOTS以外にはないというふうにお聞きをいたしました。

 今、杉花粉とかいろいろおっしゃいました。でも、DOTSについては面前服用を認めているけれども、これは流行拡大を防ぐための公衆衛生上の目的があるから、こういうふうにしていらっしゃるわけですよね、当然ながら。

 それで、先ほど大臣も少し酒井委員の答弁にありましたけれども、購入後の不適切な使用、それを非常に懸念していらっしゃるようなことをおっしゃっておりました。もちろんそれはあってはならないことでありますが、これは転売、悪用、乱用を防ぐために面前服用をさせるという趣旨であるかと思いますけれども、それでは睡眠薬、こうしたものも悪用されている事例、いろいろな事件でもあるじゃないですか。これについては面前服用じゃないですよね。それについてはどういうふうに考えますか。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 服用方法等についてはそれぞれの医薬品に応じたものがございますが、今回、私どもは、緊急避妊薬につきましては、委員会等の意見も含めまして、悪用、乱用を防止するといった観点でこのようにさせていただいたところでございます。

早稲田委員 それは説明にならないと思いますよ。睡眠薬だって面前服用していない、そして悪用、乱用されている。そこのところだって大切ではないですか。

 それでは、他国では、面前服用、緊急避妊薬がされているということはないですよね。これは確認です。

城政府参考人 二〇二一年に私どもが実施しました海外実態調査におきましては、緊急避妊薬を面前服用させている国は、調査した七か国の範囲では確認をされておりません。

早稲田委員 それは先ほど酒井委員も指摘されていたかと思いますけれども、そういう悪用とか乱用ということがないんだ、そしてまた公衆衛生上の問題もないということでそういう判断をしていると思います、当然ながら。他国では面前服用していないんです。

 大臣、よくお考えになってください。男性の薬剤師さんの前で女性が緊急避妊薬を飲むということの苦しさ、つらさというものをやはりしっかり考えていただきたい。本当にこれは世界からも人権問題と指摘されかねません、今、インバウンドでたくさん外国の方がいらしていますから。

 そして、他国では全く例がなく、人権の観点から問題が指摘されている面前服用を始め、これだけではありません、年齢制限、親の同意、それから価格など、大変いろいろな課題があります。

 価格について少し申し上げたいのですが、大臣、日本ではどのくらいかお分かりですよね。これは、アジアの諸国でいえば数百円です。そして、欧米諸国では無料のところも多くなっています。英国それからフランスでも、薬局で無料で提供するということになりました。こうしたことを考えても、非常にこれは人権問題としても日本が遅れているということだと私は思います。

 セクシュアル・リプロダクティブヘルス・ライツ、性と生殖に関する自己決定権に反する、こういう諸課題があるわけですけれども、これまでヒアリングやパブリックコメントでしか意見を聞いてこなかった当事者、特に、若い世代の方たちを検討の場にきちんと参画をせしめた上で最終的に判断をすべきと考えますけれども、大臣の御所見を伺います。

福岡国務大臣 これまで、評価検討会議において検討していく中の過程におきまして、緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクトなど、当事者の方々からも御意見を聞かせていただいてまいりました。

 また、本件につきましては、パブリックコメントでも大変多くの御意見をいただいておりまして、それらを踏まえて、調査研究として試験的販売を実施させていただいているところでございます。

 今後、調査研究の結果であったり、調査研究において実施した購入者の方々へのアンケート調査の結果も踏まえながら、また、必要に応じて御提言がありました当事者の御意見も聞かせていただきながら、スイッチOTC化に向けて検討を進めてまいりたいと思います。

早稲田委員 パブリックコメント、それから、意見を聞いたという一、二回のヒアリング、こうしたことは全然違うんです。高額療養費の方でも先ほど来委員の皆様がおっしゃっているように、検討の場に参画をするということとヒアリングというのは違いますから。それだけ重みが違うということで。しかも、幾らヒアリングをしても、幾らパブリックコメントがたくさん来ても、それを取り入れていない、あくまでも会議の場だけの意見が、大きな声が反映をされるというようなことになってはなりませんので、私はこの参画ということを是非検討していただきたいと思います。

 大臣にもう一度このことは重ねて伺いたいのですが、今のことに関して、私は、性について正しい知識を普及啓発していらっしゃるNPO法人ピルコンさんの、染矢明日香さんが代表を務められておりますが、そちらに来たメールを少しだけ御紹介いたします。

 数日前に性交渉がありましたが、妊娠が怖くて毎日泣いている、アフターピルの服用も考えましたが、値段が高くて買えません、親にも話せない。これは、高いというのは、ベトナムなんかで二百二十四円とか三百円とか、私もこれはそちらの現地の方から聞きましたが、そういうところと、日本は最低でも八千円、そして一万五千円ぐらいまでかかるということなんですね。本当にこれは買えないということを、こういうふうにメールの方がたくさん来ています。十九歳の大学一年生、アフターピルを調べたところ、値段が高く、手を出しにくいと思ってしまい、まだ服用をしていません、大変心配だと。

 そしてまた、女性のある方は、避妊具をつけてということが彼氏に理解されず、そして不安で怖い、もう時間がなかったのでオンラインで、受診したかったけれどもオンラインでアフターピルを使用したということです。でも、非常に高額で、まだ薬も届かない、心配ですというお声が届いているわけです。

 そういう中で、このSRHRに関する国連の勧告も重く受け止めていただいて、そして、メーカーに責任を押しつけるだけではなく、厚生労働省としてももっと汗をかいて、この緊急避妊薬、そして望まない妊娠を防ぐというその自己決定権を尊重をしていただく、そのためにも緊急避妊薬の早期OTC化を実現すべきということを申し上げて、もう一度、大臣、その検討の場に若い世代を参画をしていただくということも検討していただけますね。最後に伺います。

福岡国務大臣 まず、薬の価格等については、各国々において様々な価格決定のプロセスが違いますので、コメントは差し控えさせていただきますが、今おっしゃいましたように、今後どのような制度を行っていくかにつきましては、これまでも聞いてきたところですが、今後も必要に応じて当事者の方々の御意見もしっかり承りながら進めてまいりたいと思います。

早稲田委員 是非、若い世代の検討の場における参画を強く求めたいと思います。

 それから、三問目でございますが、先ほど来お話が出ている中間年改定廃止法案、私たちは野党として、私も名を連ねさせていただきましたが、提出者としてこれを提出をしております。これにつきましては、昨日の参考人の方も、岡田参考人、狹間参考人からも、中間年改定を是としない意見が出ております。

 こうしたところも踏まえての質問でございますが、このリスファクスの資料も、資料二ですけれども、御覧ください。二〇二一年度、二三年度、二五年度の過去三回の中間年改定を決めた三大臣合意の議事録を株式会社医薬経済社が情報開示したところ、存在しないことが分かったということであります。業界関係者からも、なぜこのような重要な大変更について記録がないのか、そしてまた、あり得ないと批判も噴出しています。

 これについては、厚生労働省は、薬事審査に当たっては企業へ様々な詳しい資料の根拠資料というものを求めている立場ですから、その自身がその大事な政策決定に関わる議事録がないというのは非常にあり得ない話だと私は思います。

 そして、まず伺いたいのは、大臣は四月七日記者会見で、二〇二五年の中間年改定の三大臣合意の経緯は中医協の議事録として公表していると発言をされました。十二月十八日の中医協では、医薬品カテゴリー別の対象範囲の具体的な算出方法や、あるいはこの大臣合意で書かれている、突然これも今年初めて始まったようでございますが、新薬創出等促進加算の累積額の控除などは論点にもなかったということです。論点にもないけれども、アイデアだけ出された、提示はされたけれども、そこではやるかやらないかも全く決めていないではないですか。

 大臣、どうして、こういう決定プロセスが分からないままでこの二日後に大臣合意がなされるんですか。

福岡国務大臣 令和七年度薬価改定の検討に当たりましては、中央社会保険医療協議会におきまして、医薬品のカテゴリー別に実勢価改定の対象範囲をお示しするとともに、薬価改定基準の適用につきましても、新薬創出等促進加算の累積額の控除も含め、算定ルールの影響等を整理した資料をお示しさせていただいたところでございます。

 その際、中医協の委員からは、改定対象範囲の決定に当たり、医薬品のカテゴリーごとに対応を変えるのはイノベーションや安定供給確保への配慮からあり得るもの、また、新薬創出加算の累積額控除につきましては、後発品に市場を譲りつつ、長期収載品として患者負担の軽減、そして医療保険制度の持続可能性に寄与していただくという観点からも、過去に実勢価改定で薬価の引下げが猶予された部分はしっかり還元すべきといった御意見をいただいているものでございます。

 御指摘の令和七年度の薬価改定基準の適用につきましては、そうした中医協での議論も踏まえ検討した結果、昨年十二月二十日に内閣官房長官及び財務大臣との三者の間で合意をしたものでございます。

早稲田委員 この資料を読ませていただきます。

 本紙取材では、二五年度改定の対象範囲について、財務省は一時、水面下では平均乖離率〇・六二五倍を踏襲する案を国会議員などに示していたということが分かっています。与党の議員の皆さんでお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 そして、一方の厚労省は、医薬品カテゴリー別に、平均乖離率の二倍、一倍、〇・七五倍、〇・六二五倍、〇・五倍をそれぞれ適用した薬剤費削減効果を影響額として試算し、これを未定稿、取扱注意として位置づけ、内々、資料を作成していた。ただし、中医協の、中略でございますが、この厚生労働省の資料は結局、公に顔を出すことはなく、本紙開示請求でも公開をされなかった。保険局医療課は、最終議論の際に用いたのは個人的なメモが中心だったとしているということでございますが、こうしたことが本当にまかり通るのでしょうか。

 きちんと、この大きな政策変更を、中間年改定というのは九年前からしたわけですよね、そして毎回いろいろ変わっていって、算定がもう複雑怪奇であると聞いています。

 配付資料にもあるように、医薬経済社は取扱注意と書かれた試算資料を入手しているようですけれども、これは、厚生労働省の事務方が同社に回答したところの非開示の個人的なメモに該当すると大臣はお考えでしょうか。

 また、大臣は、この中間年改定が厚生労働省の行政文書管理規則で例外的に文書を作成しなくてもいいとなっている軽微事案に当たると判断しているんでしょうか。二つまとめて伺います。

福岡国務大臣 まず、御指摘の、未定稿であったり取扱注意と書かれた試算資料については、具体的にどの資料のことを指しておられるのかが分かりかねるため、お答えについては、大変恐縮でございますが、困難だということでございます。

 そして、公文書管理の扱いについてでございますが、公文書等の管理に関する法律及び厚生労働省行政文書管理規則におきまして、令和七年度薬価改定の三大臣合意の際の閣僚同士の口頭でのやり取りを行政文書として作成しなければならない明示的な規定はございませんで、また、三大臣合意の際の閣僚同士のやり取りの結果につきましては合意文書として公開しておりますことから、合理的に跡づけ又は検証することが可能であると判断してございまして、公文書管理法に基づき適切に対応されているものと承知しております。

早稲田委員 いや、ここで合意文書にありますよね、五・二%を基準として、新薬創出加算等一倍、それから〇・七五倍、長期収載品は〇・五倍、対象とすると書かれています。

 当然ながら、対象の品目はこの中医協の資料に出ておるようですけれども、そうじゃなくて、薬剤費の削減効果というもの、影響額というものを試算しないなんということがあるんでしょうか。ないでしょう。だって、そうしなければ、何のためにこれをやっているかということなんですよ。引下げをするということ、毎年こうやって、ずっとやっていますよね。それによってドラッグロスが起こり、そしてまた、国民の方が、実際にせき止めがない、解熱剤がないということが起こっているんですよ。

 それなのに、その影響額も試算しないで、大臣でぽんぽんと口頭で決めるんですか。そんなことはあり得ない話ですよ。そういう不誠実な対応であっては困ります。

 そして、ここには書かれているわけですから、うそを書いているとも、そんなことは思えません、これだけ調べて、全部開示請求しているんですから。

 また、合意相手である財務省に至っては、個人的メモすら存在しないと回答しています。

 製薬業界に大きな影響のある、そして国民に不利益になりかねない、こういう政策変更の根拠となる中間年改定の三大臣合意の数字がどのようにして決まったのか、プロセスの記録が残されていないということは、この石破政権の、熟議と公開の政権と言いながら、全く問題であると思います。非常に深刻な問題ではないかと私は思いますし、これは適切な情報開示とは言えないのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

福岡国務大臣 先ほど来申し上げましたように、公文書管理法等に基づき適切に対応されているものと承知しています。

 当該三大臣合意の際、当日につきましては、私も特に何かメモを用いて三大臣間で協議をしたわけではございませんで、そういう意味においては、当日の朝、それに基づく何かの資料を示しながら議論をした、そういうことはございません。

早稲田委員 ないなら、その前にいろいろなことがやられていたはずじゃないですか、影響額を、当然ながら。影響額も試算しないで、こんな重大なことをぽんぽんと決めるんですか。信じられません、それは。

 ここに書いてありますとおり、未定稿、取扱注意がどれだか分からないとおっしゃっていますけれども、こうしたものが、じゃ、影響額を試算したものはないと大臣は明言できますか。

福岡国務大臣 取扱注意と書かれた試算資料、これは重ねてですが、どの資料のことを指しているのかが分かりませんので回答は困難でございますが、影響額の試算等につきましては、これは令和六年十二月二十五日の中医協などにおいても資料としてお示しをしているところでございます。

早稲田委員 示していないですよ。それは対象品目の品目数だけじゃないですか。影響額なんというものは一切示していません。でも、もしかしたら、与党の国会議員でお持ちの方がいらっしゃるのかもしれません。分かりません、それは。

 影響額を、じゃ、試算しなかったんですね。これは影響額じゃないですよ。中医協に示しているものは対象品目だけです。一倍が六百品目とか、そういうことを書いてある資料だけです。

 大臣、それはごまかしです。きちんとお答えください。影響額を試算しなかったのかどうか。そういう資料は本当になかったのかどうか、あったかなかったかを御回答ください。

福岡国務大臣 時系列的なことを整理する必要がございますが、先ほど申しました十二月の二十五日に行われました中医協の会議の資料におきまして、そこの削減の影響、影響額等についても具体的な金額は示されているということでございます。

早稲田委員 影響額が二十五日のものに示されているというのは、未定稿云々というそれなんですか、取扱注意というその資料なんですか。書かれていますか、未定稿と。

福岡国務大臣 未定稿の資料がそこに載っているというわけではございませんで、改めて言いますが、未定稿の資料がどのことを示しているかはその資料がどれかが分からないのでお答えができませんが、中医協に示された資料におきましては、「この結果、令和七年度において、薬剤費二千四百六十六億円(国費六百四十八億円)の削減とする。」という文章がその中に入っているということでございます。

早稲田委員 それはまとめての話ですね、影響額として。そうじゃないです、私が言っているのは。一つ一つの影響額を出しているはずだと申し上げているんです。しかも、それを大臣合意の二十日の後に出すというのはおかしい話じゃないですか。その前に、当然ながら、影響額を見ながら大臣が、どうなのかこうなのかという話をするというのが筋だと思います。

 それでは、これについては開示請求結果を不服として審査請求が起こされると思いますけれども、それを待つことなく、この影響額の試算をされたものがあるわけですから、あるはずですから、厚生労働大臣のリーダーシップで、この極めて重要な中間年改定の決定記録を、個人メモであろうと何だろうと公表すべきと考えます。

 その上で、藤丸委員にお願いをしたいのですが、この資料を、リスファクスに書かれている資料を私は出していただきたい、それを理事会でお諮りいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

藤丸委員長 じゃ、理事会で協議いたします。

早稲田委員 これで質問を終わりますが、きちんと政策プロセスの過程を分かるように説明していただきたいと要望いたします。

藤丸委員長 次に、宮川伸君。

宮川委員 立憲民主党の宮川伸でございます。

 今日は、薬機法の改正、特に条件付承認制度の改正の部分について御質問したいと思います。

 ドラッグロス、ドラッグラグをなくすためにこの条件付承認制度を拡大していくということに関しては、方向性は私も賛成でありますが、幾つか大臣に確認したい点がありますので、御質問していきたいと思います。

 まず、議論のベースとして、創薬の成功確率というのは必ずしも高くないという話ですが、ちょっとお配りの資料で八枚めくっていただきますと、数字が並んでいる表があります。それで、承認するに当たり臨床試験を行っていく上で、例えば重篤な副作用が出る、あるいは効果が十分見られないということで、途中で開発がストップするということが間々あるわけであります。

 じゃ、それがどのぐらいなのかというのがこの表に、八枚めくったところの表にあるわけでございますが、赤いマークで数字をマーキングしてあります。それで、ちょっと詳細は省きますが、これもある論文から持ってきたものでございます。例えばフェーズ2の臨床試験におきまして、パスしたものはトータルで四千五百十三のプロジェクトがあるのに対して、フェールした、失敗したものは八千九十九ということで、成功確率は三五%ということでございます。そして、フェーズ3の臨床試験に関して言うと、成功したものが千五百三十九、失敗したものが千二百四十三ということで、成功確率は五五%ということであります。

 これをもう一枚ちょっとめくっていただくと、雑誌ですが、FDAの迅速承認に関しての記事を載せさせていただきました。これは今回の制度においても参考にしているものだと思いますが、ちょっと詳細は省きますけれども、マーカーで印をしているところで、半数以上が有用性示せずというように書いてあると思いますが、このように、薬の開発をしていく上で、なかなか副作用や有効性というものは臨床試験をやらないと分からない、実際にこういう試験をやっていく上で、パスしているのが半分程度だという、これをまず大前提にしていただきたいというふうに思います。

 その上で、もし今回、承認制度が緩められるというような改正であった場合には、薬害で苦しむ方が増える可能性があるということを前提に話をしていく必要があると思っています。

 その上で、資料、もう一度ちょっと一番最初のところに戻っていただきたいんですが、今回の法改正で第十四条の三項が大きく変わっています。下が現行になりますが、申請書に臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料を添付して申請しなければならないということが削除されまして、新しいものには、申請書に当該申請に係る医薬品、医薬部外品又は化粧品の品質、有効性及び安全性に関する資料として厚生労働省令で定める資料を添付するということで、この法律の中から臨床試験という言葉が消されたわけでございます。これは、なぜ臨床試験という言葉をなくしたんでしょうか。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 薬機法第十四条第三項でございますが、これは、医薬品等の承認に当たって提出を求める資料について規定するものでございます。

 この規定につきまして、今回、我々の方の制度部会での取りまとめを受けまして、有効性及び安全性確保のため、ランダム化比較試験による厳密なエビデンスの重要性に留意した運用や、信頼性確保に向けた継続的な取組を前提として、臨床試験以外で収集されたデータも活用できるよう、この規定を見直すこととしたものでございます。

 具体的には、リアルワールドデータにつきまして、臨床試験の外部対照としての活用など、既に国内外の承認申請において活用されるとともに、国内外において更なる活用について検討が深められている状況を踏まえまして、条文上の臨床試験の試験成績に関する資料という文言を、医薬品等の品質、有効性及び安全性に関する資料という一般的な名称に変更するものでございます。

 今後、承認申請に必要な臨床試験の成績やリアルワールドデータの要件は省令で具体的に規定することとしておりますが、有効で安全な医薬品を患者に届けることができるよう、今後とも、必要なデータを踏まえて適切に承認審査を行ってまいりたいと考えております。

宮川委員 私、事前のレクでは、大臣、今までと、安全性が緩まる、承認の求められるものが緩まることはないという説明を受けていましたが、今お話を聞くと、新しい技術、リアルワールドデータなのか、何か新しいものを用いていけば、臨床試験をやらなくても承認が出せるというように聞こえたわけでございますが、ちょっともう少し先に進めていきます。

 私の資料を二枚めくっていただくと、薬害オンブズパースン会議の方々の意見書というのをつけさせていただきました。この会議の方々が、やはりちゃんと比較する臨床試験をやっていかないと薬害が増えるのではないかという懸念をして、これは全文載せておりますので是非読んでいただきたいと思うんですが、そういう懸念の声があるということでございます。

 そして、一枚戻っていただくと、厚生労働省の方から出されている、三、より活発な創薬が行われる環境の整備1という資料がありますけれども、その中で、見直し後の条件付承認制度のイメージ、あと、参考一として見直し前の条件付承認制度のイメージ、そして通常の承認制度というのが比較されているわけです。

 まず最初にお聞きしたいのは、承認の前には、探索的臨床試験、第二相試験等とありますが、改めて、この試験に関しては、今までどおりの臨床試験が要求されるのか、今までよりも臨床試験が少なくても承認されるのか、お答えいただけますでしょうか。

城政府参考人 今回の見直しによります条件付承認制度は、対象範囲の拡大を意図したものでございまして、その有効性、安全性の確認のレベルはこれまでの条件付承認制度と変わりないものでございます。

 一定程度の有効性、安全性を確認し、検証的試験などの臨床試験の一部を省略して条件付承認をできるというのが現行制度でございますが、今回の改正案では、臨床的有用性が合理的に予測可能な場合に条件付承認を行うことができるとすることとしておりまして、評価に必要な臨床試験自体を省略することは想定をしておりません。

 条件付承認を行う際にどのようなデータを必要とするかは、従来より個別品目ごとに判断するということといたしておりますが、臨床試験の結果を踏まえて、従来の一定程度の有効性、安全性を確認するという基本的な考え方は、今後も、改正後も変わらず維持されるものでございます。

宮川委員 ちょっと後でまとめて議論をしたいので、次に、承認後でございますが、承認後は、有効性の検証等ということであります。

 今回、人数が足りなくてフェーズ3の試験がやれないというもの以外のものも条件付の承認制度にのせられるということなので、参考二の通常の承認制度で通常やられるものも入ってくる可能性があるわけですが、以前は検証的臨床試験が要求されていたわけですけれども、今回、法制度が変わることによって、有効性検証等の部分で、臨床試験がやれる患者さんがそれなりの数がいる場合に、臨床試験が今までよりも縮小されるということはあるんでしょうか。

城政府参考人 条件付承認につきましては、条件付承認時には、医薬品等を早期に使用するベネフィットが有効性が確認されていないリスクを上回るかどうか、個別の承認審査の段階で提出されるデータ等から判断することとなりまして、その後、条件として求めた臨床試験等に基づいて有効性を確認し、引き続きその使用を認めてよいかどうかを判断することとしております。

 条件付承認後の臨床試験の実施条件としてどのようなデータの提出を求めるかにつきましては、臨床試験のみならず、リアルワールドデータの利活用も含めた、様々な有効性、安全性のデータの収集の手法を念頭に置きまして、個別の承認審査の中で、薬事審議会の意見を聞きながら決定されるものとなっております。

宮川委員 ちょっともう一度、ここは大事なところですので。

 今まで、臨床試験を、フェーズ3をやるには患者数が少な過ぎてできない場合に、フェーズ3をやらなくても承認できるということだったんですが、今回、人数が少なくなくてもいいと人数の制限がなくなったわけですね。そうすると、以前、検証的臨床試験をやらなければならなかったようなものが、これから条件付の方に入ってくる可能性があるわけです。その場合、この有効性の検証等のところは、いわゆる人数がちゃんといる場合には検証的臨床試験が行われるんでしょうか。

城政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、それぞれの場合に応じまして、どのようなデータを使うかということを定めるわけでございますが、御指摘いただきましたように、リアルワールドデータの利活用も含めて、同じように有効性、安全性のデータとして使えるものがあるのであれば、そういったものでということも、それは、あり得るかと言われればあり得るものでございます。

宮川委員 では、次に、検証が入った後に承認が取消しがある可能性があるというのがまた今回の法律改正の大きなところであります。

 有効性の検証等を承認後に行っていったときに、これが検証ができなかった場合には承認取消しになるわけですけれども、有効性の検証の期限というのは定められているんでしょうか。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 医薬品の有効性、安全性の確保のために、条件付承認において条件として付された試験等が速やかに実施されることは重要でございますが、個別品目ごとに臨床試験等に要する期間は異なるものでございますので、実施期間を一律に設定するということは適切ではないというふうに考えてございます。

 一方で、条件として付された試験の速やかな実施を促すためには、条件として期限を設定する方法や、市販後の医薬品リスク管理計画において条件が付された試験を管理する方法などが考えられるところでございます。

 個々の品目について具体的にどの程度の期限を求めるかについては、できるだけ短い期間を設定することが望ましいという観点と、その期間内での試験の実施可能性の観点、双方のバランスを図る必要がございますので、品目の特性や医療環境を踏まえて、薬事審議会の意見も聞きながら、そこは検討してまいりたいと思っております。

宮川委員 大臣、この部分なんですけれども、先ほど、一番最初に成功確率の話をしました。半分ぐらいしか成功しない可能性が高いということなんです。ですから、ここで承認をされたものの恐らく半分ぐらいは有効性が十分にない、あるいは、重篤な副作用を持っている薬が半分ぐらい入っている可能性があるわけです。

 ですから、それをちゃんと承認後の有効性検証の中で検証をしていかなければいけないというのが仕組みになっているわけでありますが、承認されれば医薬品は市場に出るわけですから、製薬企業さんからしてみれば、その時点で収入が入ってくるわけです。どのぐらいの市場規模があるか分かりませんが、例えば数百億円あるいは数千億円というような収入が承認後に入ってくる可能性があるわけですね。収入が入っていく中で、この後の有効性の検証というのを、悪気があるかないかは別にして、今までと同じように速いスピードでやるのかどうかというのはちょっと分からない部分があるわけです。

 昨日、田村議員が筋ジストロフィーの薬に関してここで御質問されていましたが、そのように有効性のない薬をずっと長く使っていった場合、多くの薬は必ず副作用があるわけですから、有効性がないのに、副作用があるものをずっと飲み続けるということになるかもしれないわけです。

 あるいは、製薬企業にしてみれば、臨床試験に入る人を早く集めなければいけないけれども、なかなか集まらないといった、臨床試験が始まらないとか、あるいは、うまく有効性が証明できないから、だからまた違う試験をやりますとかといって、十年、十年を超えるような長さで、ずっと臨床試験あるいは検証をするかもしれないわけですね。そういうことをやると、患者さんにも負担があるかもしれませんし、医療経済学においても問題があるかもしれないんです。

 ですから、期限がないというのはちょっと注意しなければいけないと思いますが、今私が申したような問題点をどのようにクリアするつもりでいらっしゃるんでしょうか。

福岡国務大臣 委員御指摘いただきましたように、有効性そして安全性、この双方を満たしていくということは大変重要であるというふうに考えております。

 今回の条件付承認等に係る見直しにつきましては、医療上特に必要性が高い医薬品の速やかな患者さんへのアクセスの確保のために、承認審査の際に有効性、安全性を確認するためのデータの種類や取得方法などについて規定の整備を行うものでございますが、データを踏まえて承認する際の有効性、安全性の確認のレベルはこれまでと変わりないものでございまして、科学的な根拠がないものを安易に承認することはないということでございます。

 こうした考え方の下で、個別具体の承認審査において十分に有効性、安全性を確認していくこととしておりまして、国民の皆様に有効性及び安全性が確保された医薬品を迅速に届けられるよう、承認制度の運用に適切に取り組んでまいりたいと思います。

宮川委員 今回の条件付制度の拡大に関しては、ドラッグロス、ドラッグラグを減らしていくという意味で、私は方向性は賛成なんですが、承認に入るところまでは緩めるということで入りやすくなるかもしれませんが、承認した後はしっかりと見なければ、患者さんで副作用で苦しむ方が出るかもしれませんので、是非ここを注意してやっていただきたいというふうに思っています。

 その上で、先ほど一番最初に、第十四条の三項が書き換わったということですが、今回説明を受けているのは、条件付の承認制度が変わるという説明を厚労省からは受けているわけですが、この十四条の三項が変わるということは、全ての承認制度に関して臨床試験が必要なくなる、臨床試験が必ずしもやられなくても承認できるという方向に、全ての承認に対して変わっているんじゃないかと思うんですけれども、これは非常に大きな変更だと思うんですけれども、大臣、そういう変更ではないんでしょうか。

城政府参考人 条項に関することでございますので、私からお答えをさせていただきます。

 今回の改正でございますが、私どもの部会の取りまとめを受けて、ランダム化比較試験による厳密なエビデンスの重要性に留意した運用や、信頼性確保に向けた継続的な取組を前提として、リアルワールドデータも利活用できるように、法律上の承認申請時の添付資料の規定におきまして、臨床試験の試験成績に関する資料という文言を、医薬品等の品質、有効性、安全性に関する資料というふうに変更して、これは、より一般的な規定として見直すこととしたものでございまして、先ほども申し上げましたが、承認のための有効性、安全性の確認のレベルはこれまでと変わりはないものでございまして、科学的な根拠がないものを安易に承認することはございません。

 したがって、本改正によりまして臨床試験を減らすといったことではなくて、むしろ臨床試験以外の臨床評価上重要なデータの利活用を広げるという趣旨でございます。

 これからも有効で安全な医薬品を患者に届けられるよう、今後ともしっかりと承認審査を行ってまいりたいと思っております。

宮川委員 大臣、この条文が変わるのは非常に大きいことだと思うんです。大臣の方からも今の答弁に近い答弁をいただけないでしょうか。安全性、有効性に関しては今までと同じようにしっかりと調べていく、安易に緩めるものではないというふうに答弁いただけないでしょうか。

福岡国務大臣 おっしゃられたとおりでございまして、今回法改正を行いましても、承認のための有効性、安全性の確認のレベルはこれまでと変わりないものでございまして、科学的根拠がないものを安易に承認することはございません。

宮川委員 昨日の参考人質疑で、福井参考人もリアルワールドデータは積極的に使っていくべきだということで、私も新しい技術等はどんどん入れていくべきだと思いますが、患者さんに副作用が出る可能性も十分あることでありますから、慎重にやっていっていただければというように思います。

 その上で、先ほど申したように、成功確率は、何%か分かりませんが、半分程度だということで、効果がない、あるいは副作用が強いものも承認されて出てくる可能性があるわけです。ですから、承認後のものに関してしっかりと安全性を確認していく市販後安全対策、これをしっかりとやっていただきたいということが一つと、もう一つは、副作用が出てしまった場合の救済制度、これもしっかり充実をさせていっていただきたいというふうに思っています。

 もし副作用が出た場合は、それをPMDAや審査会で対応を議論して、添付文書の書換えなどにより医師や患者さんに迅速に通知をする必要があります。しかし、ケースによってはなかなか副作用だと認めてもらえないケースがあって、患者さんが苦しんでいるケースがあるわけです。その一つの例がHPVワクチンのケースであります。あらかじめ最初に申し上げると、私は、ワクチンというのは、今までのこの人類の中で、感染症対策で非常に重要だった技術、薬がワクチンだというふうに思っています。

 その上で、今日私が持ってきた資料を十枚めくっていただくと、厚生労働省のパンフレットでHPVワクチンの資料を載せておりますが、こちら、HPVワクチンの効果ということが書かれています。子宮頸がんでお亡くなりになる方が毎年数千人いるということで、これは本当に大きな問題ですので、これをどうしていくのかという問題があるわけです。これをもう一枚ぺらっとめくると、裏面になりますが、HPVワクチンのリスクということも書かれているわけでございます。

 そういう中で、厚生労働省に問い合わせたところ、今、重篤な副作用の報告は二千五十二人上がっているということで、このうち救済制度に申請した人は約六百人、認定された人は三百人以上いるということをお聞きしたんですが、副作用と認めてもらえないで苦しんでいる人たちがまだたくさんいるということを大臣もちょっと認識をしておいていただきたいというふうに思います。

 その上で、私のよく知っている方が副作用が出てしまった方がいます。その方、彼女は中学三年生のときにワクチンを接種しまして、その後、激痛と、体が思うように動かなくなってしまったということです。なかなか病院で副作用だというふうに認めてもらえなくて、あるいは、ワクチンの副作用というようなことを言うと、受診拒否をされるというようなケースもあったということなんです。

 今日質疑に立つと言ったら、彼女から大臣向けにメッセージみたいなものをもらったんですけれども、すごいたくさんあって全部読み上げられないんですが、一部だけちょっと紹介をさせていただくと、せっかく入った第一志望の大学に通いたい、授業を受けたい、遊びに出かけたい、誰の手もかりずに出かけたい、就職して自力で生きられるようになりたい、独り暮らしがしたい、自分のことは自分でやりたい、気楽に病院にかかれるようになりたい、同年代の友人と気楽に出かけたい、食事がしたい、趣味を一緒に楽しみたい、好きなことがしたい、周りの負担になりたくない、生きていていいんだよ、いていいんだよと言ってほしい、私だって誰かの役に立つことがしたい、普通に暮らしたい。

 その上で、三点、要望を私は聞いたんですが、一つ目が、どんなタイプの人がワクチンが合わなかったのか調査をし、そのタイプの人は接種しないようにしてほしい、二つ目が、副作用の治療の研究をもっと早く進めてほしい、三つ目が、近くで医療を受けることができるようにしてほしいということです。

 これまでも厚生労働省の方で対応、いろいろ努力されてきたということを知っておりますけれども、大臣、この要望に関して更に努力、対応していくということを御答弁いただけないでしょうか。

福岡国務大臣 今御紹介いただいた方を含めまして、HPVワクチン接種後に生じた症状によりまして長期に苦しんでおられる方々に、まず心からお見舞いを申し上げさせていただきたいと思います。

 そして、そうした方々からは、副反応が生じた場合の事例を検証すべきとか、治療方法の研究を進めるべき、必要な医療が受けられる医療提供体制を構築すべきといった御要望をこれまでもいただいてきていると承知をしております。

 私たちとしては、寄り添いながら支援を行っていくということが大変重要であるというふうに考えてございまして、現在、調査研究であったり医療提供体制の強化などの取組も進めてございます。あわせまして、HPVワクチン接種後の健康被害については、健康被害救済制度によります救済を行いますとともに、しっかりその安全性の評価も引き続き行ってまいりたいというふうに考えております。

宮川委員 大臣、是非よろしくお願いをいたします。

 その上で、先ほどの話に戻っていくわけですが、副作用が出てしまった場合には審議会で議論されるわけです。その審議会がしっかりしていなければ副作用が出た場合にも対応ができないわけですが、この審議会がちゃんとしているのかというちょっと疑問があります。

 今、資料のHPVワクチンのリスクというものの次のページになりますが、HPVワクチン接種の積極的勧奨の再開の経緯という年表みたいなものをつけさせていただきました。これは市民団体が調査をしたんですけれども、二〇二二年にHPVワクチンの積極的勧奨が再開をされましたが、その過程で、審議会で積極的勧奨の再開は妥当と判断をされる前に、三原じゅん子当時の副大臣がワクチンメーカーのMSD社と会っていた。そして、その後、MSD社から副大臣に対して手紙が来たということで、その手紙を丸々今回資料でつけさせていただいておりますが、この手紙は厚生労働省の中にあったということでよろしいんでしょうか。

鷲見政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生がおっしゃいました参考資料としておつけされている文書につきましては、厚生労働省の中にございまして、こちらの情報公開請求がございました際に公開させていただいたところでございます。

宮川委員 この手紙の中に、これは和訳されているんですが、二〇二一年四月二十日に行われた三原副大臣との面談において、積極的勧奨の再開とその後のキャッチアップ接種に必要な四価HPVワクチンの確保に係る要請を受け、あわせて、後日、厚生労働省健康局予防接種室からも、積極的勧奨、キャッチアップの実施共に、二〇二一年十月の積極的勧奨再開と、二〇二二年四月より前のキャッチアップ再開を含め、二〇二二年度の始期以前に実施する場合にも支障のないよう、可能な限りの数量の四価HPVワクチンを確保することの要請について書面での御連絡をいただいたとありますが、厚生労働省、書面を出したんでしょうか。

福岡国務大臣 御指摘の書面について、事務方において確認をさせていただいております。

 現在、該当文書の有無を確認をさせていただいている最中でございまして、特定ができ次第、その結果を御報告させていただきたいと思います。

宮川委員 捜していただきたいんですが、この手紙をずっと読み進んでいくと、世界的なパンデミックの状況下で医薬品の供給が注目され、倫理的側面からも各国の対応が注目されている中、厚生労働省の要請の下で、HPVワクチンの積極的勧奨の再開のために日本向けに準備されたワクチンが使用されず廃棄されたという事実を公表せざるを得なくなりますと、弊社にとどまらず日本政府も国際的な批判の対象となりかねません、このような状況が発生すれば、今後、HPVワクチンに限らず、パンデミックの渦中で同様に世界的な需要が高まる状況にあるその他の医薬品やワクチンについても、日本への供給確保において何らかの影響を及ぼす可能性を生じるおそれがありますというかなり強い文言が入っているんです。

 それで、年表を見ていただくと、これが正しいかどうかということを見てほしいんですが、この手紙が来た後、十月の一日から副反応検討部会が開かれて、その二か月後に積極的勧奨が妥当だと出ているわけでございますが、外国の製薬企業からのプレッシャーで動くような、そういう副反応検討部会だということなんでしょうか、大臣。

鷲見政府参考人 済みません、お答え申し上げます。

 審議会における議論におきまして、御指摘の二〇二一年以前より、HPVワクチンの有効性等を示すデータが十分に蓄積されたこと、子宮頸がんの患者数が増加し、毎年一万人近くに及ぶなどといった疾病負荷があること、国民の皆様が安心して接種できる医療提供体制が整ってきたことなどを踏まえて、積極的勧奨の再開を検討すべきとの御意見をいただいていたところでございます。

 こうした審議会での議論の蓄積も踏まえまして、審議会におきまして積極的勧奨の再開に向けた議論を順次進めていったものと認識しておりまして、特定の企業からの圧力によって再開の検討を行ったものではないという状況でございます。

宮川委員 関係資料をこの委員会に提出するように求めますので、委員長、よろしくお願いいたします。

藤丸委員長 理事会で協議します。

宮川委員 時間になりましたので、以上です。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十分開議

藤丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岡本充功君。

岡本(充)委員 立憲民主党の岡本です。

 我が会派の最後ですので、通告していた質問ももちろんやるんですけれども、これまでのほかの委員の質疑に対して少しちょっと追加で、新たな質問をするつもりはありませんけれども、確認しておきたいことは確認させてください。

 まず最初に、私の質問ですけれども、薬局の機能分化と患者さんへのメリットということについてから行きたいと思います。

 調剤基本料、もう本当に細分化されていて、平成二十七年でしたかね、薬局のいろいろな機能が検討される中で、調剤基本料もいろいろなバリエーションが出てきています。患者さんからすると、何でこの値段なのというのがよく分からないところがあって、せっかくいろいろな機能を持っている薬局があるわけですから、そこはちゃんと分かるようにしていかなきゃいけないんじゃないかと思っています。

 そこで、ちょっと質問ですけれども、調剤基本料や、また様々な加算などを含めて、薬剤費以外で一体どのぐらいの種類の料金体系があるのかということについて厚労省に調べてもらいました。その数を教えてもらえませんか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 まず、調剤の基本料についてですが、これは、先般この委員会でもお話をさせていただきましたが、規模の大きい薬局グループであるほど、医薬品の備蓄などに伴うコストが小さいとか収益率がよいことなどを踏まえて、そういったことをもろもろ踏まえた上で、七区分、まず設けているところでございます。各々の薬局は、いずれかの区分の調剤基本料を算定できることになっております。

 また、あわせまして、調剤基本料に対しては、地域支援体制加算や後発医薬品調剤体制加算など、やはりそれぞれの薬局のいろいろな機能に応じて五種類の加算を設けておりまして、これも、各々の薬局は要件を満たした場合には算定できるとなっております。

 そのいろいろな加算についても、取れるか取れないかだけではなくて、二段階とか三段階というものもありますので、先ほどの七区分にそれを全部掛け算で計算になりますので、最終的に、加算を含む調剤基本料の算定の組合せは全部で四千三百二十四通りというふうになります。

岡本(充)委員 すごいですね、四千三百通りを超えるという。これはやはり、何で自分のお薬は今回この値段だったのかというのが分かりづらい状況になっているというのは、もう誰もが今の数字を聞いて驚くわけですね。

 ちなみに、最も高い点数と最も安い場合、それぞれの薬剤費以外のコストとしては幾らになるのか、お答えをいただけますか。

 私が披瀝するのもなんですが、ごく特殊な例では、一桁の点数から百四十点を超えるものがあるという話は保険局から聞いています。

 いずれにしても、かなりの差があるわけで、ここを本当にどういうふうに考えるかというのはあると思います。すごく安い場合は、訪問診療等で特殊なケースなんかであるというふうには聞いていますけれども、そういったものを含めて、きちっと患者さんにやはり分かるようにしていく、もう少し整理してもいいんじゃないかなというふうには思います。

 一方で、かかりつけ薬局というのは、今どの程度普及しているんでしょうか。これは通告しているから、答えられますか。

城政府参考人 かかりつけ薬局でございますが、かかりつけ薬局は、厚労省で患者のための薬局ビジョンを踏まえてこの普及を図っておりまして、調剤報酬の評価としてということでございますが、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料というのがございまして、その施設基準の届出を行っている保険薬局の割合は令和四年七月の時点で約六割、かかりつけ薬剤師指導料の算定割合は処方箋受付回数の一・六%程度となっております。

 もちろん、これは患者が選択するものでございますので、利用した場合であっても、かかりつけ薬剤師指導料が算定されない場合もございますが、こういったものの普及は必要であると考えております。

岡本(充)委員 薬剤師の職能、職域の在り方、職域拡大を図りながら、今大変逼迫している医療の現場を支えていただく重要なプレーヤーとして仕事をしていただきたいという思いがある中で、このかかりつけ薬局の制度をもっと私は普及させていかなきゃいけないんじゃないか、そして周知していかなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに思っています。

 そういう意味で、適正処方と安全性の確保というのが薬剤師の先生方の重要な任務だと私は認識をしていまして、こういったところにしっかりとフォーカスをした診療報酬であり、そしてなおかつ、患者さんから見ても、四千種類もあると言われると、私も時々言われるんですよ、先生、何か、同じ薬だけれども値段が違ったよと言われるんですね。何か、私がポケットに入れているわけじゃないんですよね。これは、その種類で違うんですよ。だけれども、患者さんには分からないです。何で前回私は値段が違ったのかしらと聞かれると、違う薬局に行きましたか、こういう話になるんですけれども。

 先ほどのかかりつけ薬局の話とも通じるんですけれども、同じところにちゃんと通って、そしてそこで指導を受けるというような体制をどうつくっていくか、これをやはりやっていかなきゃいけないんじゃないかと思っています。

 その意味でも、もう一つ、リフィル処方が私はその中でも一つの鍵を握るんじゃないか。これは二〇二二年に導入されてから三年ぐらいたつわけですけれども、今、どのくらいの、処方箋の総数でいうところのリフィル処方は一体何%を占めているのか、これも御答弁いただけますか。

 通告しているよ。もういいよ、時間がない。答えられる。

藤丸委員長 じゃ、止めてください。速記を止めて。

    〔速記中止〕

藤丸委員長 速記を起こして。

 福岡大臣。

福岡国務大臣 済みません、令和六年七月時点におけます全処方箋に占めるリフィル処方箋の割合は〇・〇七%でございます。

岡本(充)委員 私が聞いたのは〇・〇五でしたけれども。まあ、ちょっと増えたが、本当に誤差の範囲ですね、一万枚あって十人いないという状況ですから。

 これはやはり、知られていないというのもあると思うし、もう一つは、先ほどの後発医薬品の調剤加算、大分もう後発医薬品は増えてきましたから、これを通じて政策誘導をしていくということはそろそろ、ちなみに、後発医薬品の加算は国費ベースで一千億円を超えていると聞いていますので。これだけのお金がかかっているのであれば、これをうまく利用してリフィル処方を増やしていく、リフィル処方加算なんかも検討されてはどうかと私は思います。

 是非、そういったものを通じて、リフィル処方で患者さんと薬剤師の先生との接点を増やしていきながら、もう一つ重要なのは、リフィル処方をしたときに、そのフォローを薬剤師の先生にしてもらう。場合によっては、血圧どうですか、血圧、最近低いんですよねと言ったら、ちょっと、薬、今のものでいいかどうか先生に聞いてみましょう、こういうふうにして働きかけるとか、逆に、ちゃんと内服ができていないということになれば、それはそれで医療機関の受診を促すというような機能も、当然、診療報酬上の評価であっていいのではないか、こういうふうに思っているわけでありますが、これについての考え方を御答弁いただきたいと思います。

福岡国務大臣 御指摘のリフィル処方箋がなかなか進まない要因の一つとしては、大分、今、長期処方がかなり増えてきているというのも一つの要因としてあるというふうに思っていますが、リフィル処方箋については、体調の変化であったり残薬状況の確認など、薬局における定期的な服薬管理を通じた薬物治療の適正使用にもつながる取組だというふうに認識をしております。

 そういった意味におきましては、委員が御指摘いただきましたように、リフィル処方箋の利用を促進するための報酬上の評価、そういったことを含めて、中医協での御意見をいただきながら議論を進めていく必要があるというふうに思っております。

 また、そういった患者さんの服薬情報などを文書により情報提供したこと、そういったことの評価の在り方についても併せて検討する必要はあると考えています。

岡本(充)委員 是非、薬局、薬剤師の皆さん方のお力を保険料の世界でも更に求めていくということを進めていただきたいと思います。

 先ほど早稲田委員が零売の話をしていたんですけれども、そこでちょっと気になる答えがありました。零売の本来の趣旨、本来の趣旨に従ってと。本来の趣旨って、定義があるんでしたっけ。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 法律上の定義というものはこれまでございませんし、今回申し上げているのも、緊急時等のやむを得ない場合に行う処方箋なしでの医療用医薬品の販売について、そのように申し上げているところでございます。

岡本(充)委員 そうなんですね。だから、本来の趣旨というのは決まっていないし、それから、緊急というのも、何をもって緊急というかというのが決まっていないんですよね。

 だから、私が思うのは、ここだと思うんですよ、通常考えられる処方の期間、例えば、一か月とかを超えてとか、そういう長期若しくは大量、こういったものや、もう一つ重要なポイントは、例えば、お薬手帳などで過去に処方されていることを一つの根拠にしていくとか、こういう考え方もあるとは思います。過去に処方されているのであれば、その方も一定程度その薬になじみがあるということになります。

 例えば、そういうものを分かりやすく例示をして、政省令を定めるべきだと思っているわけですけれども、これについて、大臣、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 今申し上げましたように、やむを得ない場合とはどういう場合にあるのか、そういったことについては、ちょっとどういう形かは別として、しっかりお示しできるように検討を進めます。

岡本(充)委員 私の今の考え方はいかがですか。一か月を超えるような、若しくは二か月を超えるようなという期間の長さ、それから過去の処方の履歴、こういったものがあることは零売ができる、できる規定、ごめんなさい、余り長期じゃない、一か月以下の処方だとか過去に処方歴がある、こういったものは零売の対象になり得る、こういう理解でいいですね。ちょっと具体的に、いろんな要件があるでしょうけれども、こういうのであればできそうだ、こういうふうな答弁でいいですか。

福岡国務大臣 具体的内容につきましては、また今後、いろいろな専門家の御意見等も聞きながら定めていくという予定ですが、今おっしゃった先生の御提言というのは当然その案の中に考え得る、そういう話だというふうに思います。

岡本(充)委員 是非お願いしたいと思います。

 続いて、先ほどの零売とも関わるんですけれども、医療用医薬品にかなり漢方薬が入っているわけですけれども、一方で、一般用医薬品での漢方薬の種類は少なかったりするわけです。

 これは事務方の方で結構です。技術的な話です。これも、結局、薬局の先生の話によると、いろんな種類を出したいと思うけれども、医療用医薬品の方にあって一般用医薬品にない漢方薬などの場合は、やむを得ず零売ということがあり得ると聞いています。こういったものについても、当然これからも処方ができるようにしていくべきだと思うし、メーカー側の都合はあるとは思いますけれども、できる限り、こうした一般用医薬品になるようにメーカーに働きかけていく必要もあると思いますが、これについての御答弁をいただきたいと思います。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただいた漢方でございますが、漢方、生薬につきましては、これは元々、伝統医学としての知見の積み重ねや古くからの使用経験等の長い歴史がございまして、元々、一般用医薬品としての販売が認められておりました一方で、昨今、医療用で転用されました後、医療用の医薬品が主流となって、同一成分の一般用医薬品の販売が中止されるなど、現在では医療用医薬品の製品しか販売されていないものがある、こういった特殊な背景があるというふうに承知をしております。

 そのため、こういう漢方、生薬製剤につきましては、薬局製造販売医薬品の範囲の見直しや拡大の検討、医療用医薬品の漢方製剤を製造販売しているメーカーへの一般用医薬品の製造販売の働きかけなど、安全性の確保を前提として、既存ルールの中で販売できるように対応を検討することとしております。

 こうした対応のみならず、現在行われている販売に支障を来さないよう、省令に規定する内容を検討するなど適切に対応してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 なかなか本当に働きかけというのは難しいかもしれないですけれども、製薬メーカーへの協力要請も是非していただきたいと思います。

 続いて、コロナのワクチンとか治療薬についての再評価はどうなっているのかという話です。

 コロナ禍のときには、様々なワクチンや医薬品が緊急承認をされたり特例承認をされたりしてきました。まだ一部の医薬品は通常承認に至っていない部分が残っているというふうに聞いています。

 やはり、あのときに通常時ではないので承認をしたというものについては、改めて冷静に評価をしていく必要があると思いますし、次にまた何らかのウイルスでのパンデミックが来たときに向けて、どういう方法がいいのか、これをもう一度検討する必要があると思います。

 大臣にちょっとお伺いしたいと思いますけれども、多分、手元に、これはもう通常承認されていますとかレクを受けたと思いますけれども、私が今話しているのは、やはり、あのときの承認がどうだったのか、そしてその後の症例の集まり具合がどうだったのか、もっと言えば、コロナで限って言えば、今通常承認になったものの、使用対象はこうあるべきだということについて、きちっと整理して、もう一度そこを評価していく。

 つまり、じゃ、誰も彼もが今レムデシビルを使うかといったら、そうじゃないですよね。そういう、どういう人に使うべきなのかということをしっかり踏まえて、もう一度、検証、周知をする必要があると思います。大臣、いかがでしょうか、この点については。

福岡国務大臣 今御指摘いただきましたように、承認後に提出されました試験成績も含めて、有効性及び安全性が確認されている被験者と同様の患者に投与する、添付文書において様々な情報提供を行っています。

 議員御指摘がありましたように、常に様々な検証を怠らないようにしていくということは大変重要な観点だというふうに思いますので、しっかり受け止めたいと思います。

岡本(充)委員 一般論じゃなくて、このコロナの薬については特にそうだったんです。ワクチンもそうです。

 先ほど、HPVワクチンの話が出ていましたけれども、残念ながら、効果もあるけれども副反応もある。こういう状況の中で、結局、コロナワクチンで副反応があり、重篤で死亡された事例の中で、因果関係が否定できないとされているのは二例だけ。だけれども、じゃ、因果関係ははっきりしていないけれども、死亡だということで報告されているのは何例あるんですか。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 令和七年の一月二十四日に開催された審議会におきまして報告された、副反応疑い報告制度に基づく新型コロナワクチン接種後の死亡報告の件数は二千二百六十二件でございまして、このうち二千二百四十九件が、情報不足等により因果関係が評価できないと報告をされております。

岡本(充)委員 その二千二百件を超える情報不足の中でも、情報が追えるものもあるはずですよ。二千二百件以上が分からないとされているからコロナワクチンに対する様々な臆測が飛び交うわけで、これをいかにはっきりさせていくか。

 本当に因果関係がないのなら、ないと言えばいいんですよ。でも、結局、分からないとかいって、そのまま放置しておくことが結果としてワクチン行政に対する足かせになっているんじゃないかという思いがあるので、この二千二百の中で、もう一度精査をして、できるものをやるべきだと思うけれども、どうでしょう。

城政府参考人 副反応疑い報告に基づいて報告された死亡症例等につきましては、専門家によりまして、報告された情報を一例ごとに精査して、因果関係評価を実施しておりますが、この評価できないとされた事例につきましては、一つは、評価時点で得られた情報が不足しており、死因と考えられる事象の判断や事象とワクチンとの因果関係の判断が困難なもの、もう一つは、これ以上情報を収集しても、偶発的に起こったものか、合併症によるものか、併用薬によるものかなどの区別が困難なもの、この二つに大別できると考えております。

 このうちの一点目につきましては、製造販売業者が自ら追加の情報収集を行うとともに、必要に応じてPMDAからも追加の調査を依頼するなど、更に追加情報を収集しまして、その状況によって再度評価を行っております。

 いずれにしましても、引き続き、科学的知見の収集に努めまして、専門家に評価をいただいて、ワクチンの安全性等の評価は適切に行うとともに、新たな知見が得られた場合には、速やかに医療機関に対して情報提供を行ってまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 その一例目ですよ。だから、偶発的に確率的に起こることが確率的に判然としない、それはそれでも、そういうふうにその中でカテゴライズされているわけだから、それで、更なる情報を求めるというものがあるなら更なる情報を求めて、審議を継続して、本当にそうなのかどうか、はっきりさせたらいいじゃないですか。

 それでも、できないものは残ると思いますよ。だけれども、その努力が足りないんじゃないかと思っているので、これがワクチンのいろいろな臆測を呼んでいるんじゃないかという思いですから、大臣、二千二百例も残っていて、何だか分からないと言っているこの状況はよくないと思う。もう一度、できるものはしっかり調べる、そういうことでどうです。

福岡国務大臣 先ほど局長が申し上げましたとおり、評価不能とされたからそれでおしまいとすることではなくて、当然、情報が足りないから評価不能とされたものについては、引き続き情報収集に努めながら、専門家に御評価いただけるような、そういう努力を重ねていくということは大切なことだと思います。

岡本(充)委員 大切なことだからこそ、やりますじゃないの。どうなんです。大切なことだから、やりますよね。

福岡国務大臣 そういう方向で努力をしていきます。

岡本(充)委員 何か最後まで煮え切らないですね、語尾を。やりますだと思いますよ、私は。だから、結局、そこは止まっているんですよ。もっといろいろ情報収集したらいいんじゃないかと私は思います。是非そういう方向でお願いしたいと思います。

 今日、経産省に来てもらいました。創薬エコシステムの推進事業で基金を三千五百億積んでいて、なかなか、一体、個社それぞれ、どういうふうなお金が渡されていて、どのくらい執行されていて、残があってというのが見えないんですが、これについて基金のシートを見ると、交付決定が、例えば二〇二二年は十一億九千九百五十八万九千円ですかね、それから二〇二三年が七十七億三千百四十八万一千円ですかね。これは交付決定額というふうになっています。

 見込みがるる書いてあるわけですけれども、個々の会社の金額、それから進捗状況、こういったものが見れないと、本当に適正に研究支援が行われているか分からないと思います。もう少し情報公開されたらどうでしょうか。金額を含めてお答えください。

江澤政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の創薬力の強化に向けては、医薬品等の実用化開発を多く担っている創薬ベンチャーの育成が大変重要だと考えています。このため、創薬ベンチャーエコシステム強化事業、こちらで創薬ベンチャーによる医薬品等の開発支援を通じて資金と人材の循環を創出し、日本の創薬ベンチャーのエコシステムの底上げを図るべく対応しているところでございます。

 本事業において採択された創薬ベンチャーの名前であるとか、それから本事業における研究概要、支援する認定ベンチャーキャピタルの名前、これについては課題ごとに公表しております。また、行政事業レビューの枠組みの下で各省庁が作成している基金シートというのがございまして、先ほど御指摘のあったものでございます、年度ごとの支出額も公表しております。

 さらに、以上の情報公開をして、御指摘の個別課題の採択額とか、それから交付決定額については、創薬ベンチャーの今後の利用額ということになりまして、資金調達計画等の戦略上望ましくない場合であるとか、創薬ベンチャーが公表していない情報も含まれることから、公表していません。他方、先ほど申し上げましたけれども、各採択課題における年度ごとの事業概要、それから支出額など、個別企業に確認の上で、可能な情報について公表しているところでございます。

 経済産業省として、個別の創薬ベンチャーのフォローアップをしつつ、適切に執行に努めていきたいと考えております。

岡本(充)委員 これは、そうおっしゃるんだけれども、結局、難しいのは、どこで見切るかというのも難しいと思うんですよ。ここまでだというのを審査委員会の先生方が判断するというけれども、ベンチャーからすれば、もうちょっとやれればもうちょっとできたかもしれない、いや、ここまでよと。私、結構、出身が出身ですから、製薬メーカーで働いている人をいっぱい知っているわけですよ。研究開発していますよ。彼らが言うんです、結構外資はドライだ、ここまでだといったら、いいところまで行っていてもばさっと切られると。会社の場合はそうでしょう。

 じゃ、ここの基金は、そういう意味で、きちっと評価に堪え得る、つまり、後ほど国会でやはり分かるように報告するべきだし、だらだらと、本当に開発意欲がなくなったり、若しくは、何らか結果が出ていないのにずるずる行っているようなことがないようにしなきゃいけない。

 こういう問題意識から、後で検証ができるように、それは資料を国会で出せるようにという意味ですよ、しておくべきだと思いますし、今のその評価委員会の皆さん方が、ある意味、個人の責任としてやるというのは非常に難しいと思う。極端な話、賠償責任を負う可能性だってあるから。

 だから、それは国として、きちっとこういうゲートを設けていると言うけれども、そこでの基準を明確にしておいて、個々の委員や委員会のせいにしない、そういう運用をするべきだと思います。どうですか。

江澤政府参考人 御指摘いただきましたステージゲートでございます。本事業において、開発の進捗状況であるとか、そういった観点から、創薬技術や創薬ベンチャーの事業開発に専門的知見を有する評価委員会が開発品の状況に関する評価を行っているところでございます。この結果で当初の計画に基づく開発の進捗等を確認しまして、必要に応じて、事業のステージゲートの不通過であるとか、そういったところを判断することとしております。

 当然のことながら、そういう評価委員会に判断をしていただいているところでございますけれども、経済産業省、それから執行しているAMEDと連携しつつ、しっかり対応してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 まだこれは廃止になったのは一つしかないんですよね、現状。薬の開発、どなたかが言われていましたけれども、非常に確率が低いという意味では、うまくいかない方がたくさん出るはずなんですよ。まだ一つしか廃止になっていないというのは、よっぽど目利きがよくて、いいものだけピックしているんですよといったら、それはそうかもしれない。でも、さっきの確率論じゃないけれども、なかなかそうはいかないんですよ。

 そういう意味で、これが、廃止が一つしかないというこの現状を踏まえても、本当にそのゲートが機能しているのかどうかが私は怪しいと思っているからこそ指摘をしています。個別のことは明らかにできないというのも分からなくはないけれども、検証に堪え得るような、そういう運用をしていただきたいと思います。

 この創薬ベンチャーの話も、結局、日本は株式公開が一つの目標になっていますよね。一方で、アメリカの創薬ベンチャーは、どちらかというと大手にMアンドAで高く売ることが目的。私の経験上も、とある化合物を、みんなで開発したやつですけれども、製薬メーカーに売った経験がありますけれども、そうやって、研究開発して化合物を作り、そしてそれを最終的にはメーカー側が引き取って薬に結びつけていく、こういう動きを応援をしていくということがもっとあっていいんじゃないか。もっと言えば、ベンチャーの規模も小さいんじゃないかという意味で、課題が多いと思います。

 今日は政務には来てもらっていませんけれども、こういう問題意識も指摘をさせていただきながら、今のこのままではエコシステムはうまく回らないんじゃないかということを強く指摘をしておきたいと思います。

 じゃ、次に、ドラッグラグ、ドラッグロスに行きたいと思います。

 今、ドラッグラグ、ドラッグロス、どんな状況だと大臣は認識されていますか。大臣の認識を問いたいと思います。今、どのくらい、どういうふうになっているか。

福岡国務大臣 日本での開発が遅れていますドラッグラグ、そして開発をされていないドラッグロス、これは大変重い課題だというふうに思っております。このため、研究開発から薬事承認までのプロセスであったり薬価での評価まで、各段階で総合的な見直しを行っていく必要があると考えています。

 これまでも、海外で臨床開発が先行する中で、国際共同治験を実施しようとする場合、国際共同治験開始前に実施を求めていた日本人第一相試験を原則として不要とする見直しを行ったほか、令和六年度薬価制度改革におきまして、革新的医薬品のイノベーションの適切な評価等を行ってきたところでございます。

 この法案におきましても、革新的な新薬の実用化を持続的に支援するための基金の設置であったり、条件付承認制度に関する所要の規定の整備を盛り込んでいるところでございます。

 このような取組を通じながら、我が国の医薬品市場の魅力を向上させ、我が国の創薬力を強化してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 役所が書いた優等生答弁でございまして、今の状況はどうなっているんだ、どのぐらいドラッグロスがあって、ドラッグラグの期間はどのぐらいになっているか、やはりそれを、大臣、いろいろ認識してほしい問題があるから、全部はできないけれども、是非知っておいていただきたいと思います。

 役所側から、どうですか。

内山政府参考人 今まさに海外で承認をされていながら日本で開発が進んでいないもの、これは、まず、二〇一六年から二〇二〇年の間で欧米で承認されているけれども、二〇二三年三月の時点で国内で開発が着手されていないもの、これが八十六品目あると思ってございまして、この八十六品目につきましては、今回、開発の必要性の評価などをして、これから開発に進んでいくように努力をしたいというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 ドラッグラグの期間はどのぐらいですか。

 ちょっと、止めて。

藤丸委員長 じゃ、ちょっと止めてください。

    〔速記中止〕

藤丸委員長 速記を起こしてください。

 城医薬局長。

城政府参考人 ドラッグラグの期間でございますが、令和五年度の数字でございますと、一・三年という状況になってございます。

岡本(充)委員 いっときはほぼゼロになったわけですけれども、延びてきていますから、是非対策を取ってもらいたい。

 それで、最後にもう一つ。先ほどの治験や臨床研究は、治験の情報を今ネットで見られるようになったということですけれども、実際検索してみると、本当に見にくい。先ほど事務方にも説明しました。

 例えば、印環細胞がんというものがあって、この印環細胞がんで検索してみると、大臣、一回やられたらいいと思いますよ、物すごい出てくるから。そして、関係ないものも出てくる。関係ないと言ったら失礼だな。例えば、印環細胞がんで調べると、消化器がんで鉄欠乏性貧血になるから、鉄剤の臨床研究をやっていますというものまで出てくるんですね。恐らく、印環細胞がんで臨床研究、治験を調べる人は、貧血の治療薬を求めているんじゃないんです、がんの治療薬を求めているんです。

 だから、そういう意味で、いろいろなものが出てくるというのでは見にくいし、もう一つ、先ほど、いい提案だと思いました。患者さん側が登録しておいて、そしてメーカーや研究者がそこにアクセスして、その登録者をそちら側から探しに行けたらいいと思う。私も、本当に、白血病の臨床研究をやっていたんですよ、そのときに思ったけれども、対象者を探すのが大変なんです。研究者からしても大変魅力的だと思う。

 今すぐできなくてもいいけれども、まず、分かりやすいホームページを作り、検索しやすくすること。そしてもう一つは、患者の側から登録して、研究者の側がアクセスできること。こういう方式を是非、大臣、考えていただきたい。できると言わなくてもいい、できるかどうかも含めて検討しますでもいい、是非、一歩前に踏み出してほしいと思いますが、いかがですか。最後に聞いて、終わります。

福岡国務大臣 jRCTに対しましては、規制改革推進会議の場においても、検索の機能が使いにくい、情報が見にくいとの指摘がございまして、厚生労働省としても課題と認識しております。

 このため、令和七年度から大規模改修を行うこととしてございまして、有識者委員会の議論等も踏まえまして、ユーザーインターフェースの改善であったり、検索の仕組みの見直しによる検索精度の向上を図る必要があるというふうに思っています。

 先ほどのやり取りにもありました、そういったプッシュ型の提案等につきましては、技術的なことも含めて検討は進めさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 じゃ、終わります。

藤丸委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。本日もよろしくお願いいたします。

 今回の薬機法の改正の中で、いつも私、注目をしておりますのが、やはりお子さんの健康ということをいつも気にしているところであります。その中で、小児用の医薬品の開発促進、これは非常に重要だと思っておりまして、この点に関しまして評価をしております。ただ一方で、これが努力義務という具合になっておりますから、欧米では努力義務じゃなくて義務という具合にしているところもありますので、是非そこは実効性のあるものにしていただきたいという具合に思っております。

 今回は、子供の医薬品のことではなくて、小児の医療機器の方でお話をしていきたいと思うんですね。

 お子さんの医療機器につきましては、残念ながら、今回の薬機法の改正の中では余り触れられているものではございません。ここは非常に残念なものであります。

 実は、私の地元に、大阪府の高槻市というところなんですけれども、大阪医科薬科大学というのがありまして、今回の委員会の方でも医科薬科大学の話がたくさん出ているんですが、ちょっと先生のお名前は違うんですけれども、根本慎太郎教授という先生がいらっしゃいます。

 この先生は、小児の心臓に関する先生、教授さんであられるわけなんですけれども、この先生とお話をさせていただいておりますと、非常に懸念をされているところがあります。小児用の医療機器といいますと、どうしても、大人が使うような機械とは違って、保険償還がどうしても少ないんです。そうすると、やはり採算性の観点からも医療機器の開発というのが非常に遅れてしまうんだ、救えるようなお子さんの命が救えないということは私は非常に問題なんだという切なる思いを聞かせていただきました。これは実は一年前に聞かせていただいて、ちょっと一年間温めていたような形になります。

 令和五年に、開発困難な小児用医療機器の実用化推進事業、こういうものが新規で出されたのは承知をしております。評価方法の構築であったりとかガイドラインであったりとか、そういうこともされているのは知っております。ただ、開発支援のために公募をして補助金をつけるだけでは、私は甚だ、ちょっと心もとないなと思っている次第であります。やはりお子さんといいますのは日本の宝でもありますし、こういうお子さんの命を救うということは非常に大事だと思っております。

 そこで、小児用の医薬品とともに、医療上の必要性が高い小児用の医療機器につきまして、特に心疾患分野においての開発支援や制度的位置づけはどのようになっているのか、また、加えて、国内メーカーが小児用の医療用機器から撤退せざるを得ないような状況を打破するために、償還価格の在り方も含めた支援体制の見直しについてお伺いをしたいと思います。

福岡国務大臣 小児用医療機器の開発支援施策につきましては、既存の治療法がなく、特に優れた使用価値を持つ小児用医療機器を特定用途医療機器として指定し、開発を促進しておりますほか、特に、循環器分野における医療機器の日米同時開発、承認を目指す枠組みにおきまして、二〇一六年より、小児用の医療機器を対象とした活動を開始するといった取組を行っております。また、現在、AMEDを通じまして、心疾患分野も含めまして、小児用医療機器の実用化を目指す臨床研究や治験に対しての支援を実施しております。

 また、御指摘がありました医療機器の保険償還価格につきましては、中医協で個別に議論し設定しておりますが、その際に、小児用と成人用で機能や開発費用等が異なる場合には、それに応じた償還価格を設定する場合がございまして、小児の患者数が少ない状況が考慮されて、成人よりも高い償還価格となった例もございます。

 小児用医療機器の開発支援であったり償還価格の在り方については、関係団体の御意見もしっかり伺いながら検討を進めてまいりたいと思います。

池下委員 ありがとうございます。

 小児用の医療機器、私も先日、ホームページを見させていただきました。様々な公募があったということも承知をしておりますけれども、AMEDでいろいろさせていただいているという事業も今御紹介いただきましたけれども、やはり、こういう単発的な開発支援だけではなくて、償還の話もありましたけれども、しっかりと継続できるような仕組みづくりをしていただきたいなと思っております。

 次に、今日、早稲田委員からもありましたけれども、ちょっと零売に関して一問だけお伺いをしたいと思っておりまして、零売とともに、日本の今後の医薬品の在り方の方向性というのも併せて一問だけお伺いをしたいという具合に思っております。

 これまで、政府の方針は、地域包括ケアの一環として、やはりセルフメディケーション、今日何回もお言葉が出ておりましたけれども、これを推進してこられました。今回の薬機法改正では、零売医薬品については、通知行政から改めて法制化するということで、やむを得ない場合に限り、処方箋なしで販売を可能とするという制限が盛り込まれております。

 今回の改正の中には、健康サポート薬局等、地域の薬局機能の強化もうたわれているところでありますけれども、これまで処方箋なしでも販売が可能であった、薬剤師の判断で可能であったもの、零売医薬品につきまして、制度改正の中で、私は、これは一定程度、薬剤師の裁量と責任において指導、販売できるようにすべきではないかな、そういう余地を残しておくべきではないかなと思っております。

 政府が目指すべき地域医療の姿とは何か、薬局、薬剤師の職能や機能強化についてどのような見解をお持ちになられているのか、お伺いをしたいと思います。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 薬局、薬剤師は、薬の専門家として、外来、在宅医療を担う一員として、その資質の向上に取り組みますとともに、特に地域包括ケアの中でになりますが、患者の服薬状況の一元的、継続的な把握、最適な薬学的管理やそれに基づく指導の実施、調剤後の服薬フォローアップなど、対人業務を充実させていくことが求められているというふうに考えております。

 また、セルフケア、セルフメディケーションの支援でありますとか、災害時における医薬品の提供でありますなど、薬剤師の専門性を生かして地域住民の生活を支える役割を果たすことも重要であるというふうに考えております。

 薬局につきましては、今回の改正案に盛り込んでおります健康増進支援薬局制度などによりまして、薬局間連携を推進し、地域における薬局の機能強化を推進していくということだと思います。

 その上で、今般の法改正によりましても、本来の趣旨にのっとった零売はこれまでと同様に継続をできるものでございます。零売における薬剤師の役割は本改正によって変わるものではないというものでございます。

 薬局による地域住民の健康維持増進に関する取組が適切に実施されるよう、必要な取組を推進してまいりたいと考えております。

池下委員 今まで法律で定められていなかった、通知行政だった、中途半端な状況だったというところを変えてきたということは一定分かるわけなんですけれども、これが逆に、全て、原則、処方箋があるよということで、非常に使いにくいものになってしまうというのはちょっと懸念をするところであります。

 先ほどの御質問もありましたけれども、やむを得ないというのはどこまでの範疇なのかというのは、厚労委員会に携わる者としましてやはり気になるところでもございますし、零売の品目数というのは約七千品目ほどあるという具合に聞いております。やはり、原則として処方箋が必要ですよ、その中から、やむを得ない場合は使えますよということも含めて、別に、その中から、薬剤師の判断で使えるようなお薬、一般のOTCとは中身の成分が違うものもありますから、一旦この七千品目をしっかりと精査していただいて、薬剤師さんの能力、職能、こういうところを生かしていただいて、セルフメディケーションに資するものにしていただきたいなという具合に思います。

 もしあれでしたら、ちょっと通告はないんですけれども、見解をもう一度、大臣、あればお伺いしたいと思いますけれども、大丈夫ですか。

福岡国務大臣 セルフメディケーションの観点からというところは大変大切な視点だというふうに思います。そういったことも含めて、やむを得ない場合がどういうところに当たるか、そういったことについてしっかりお示しできるように作業を進めてまいりたいと思います。

池下委員 是非、高騰する社会保険というものがありますけれども、不必要な受診が必要ないような形で健康管理というのができるように進めていただきたいなと思います。

 それでは、時間もありますので、次の質問にさせていただきたいと思いますが、次は国内製品メーカーの売却問題についてお伺いをしたいと思います。

 今年の二月に、三菱ケミカルグループの傘下にありました田辺三菱製薬、これが海外のファンド会社であるベインキャピタルに売却されることになりました。譲渡価格は約五千百億円、六月の株主総会で売却というものが決議されるという具合に承知をしております。

 その際に、二月の際に、福岡大臣の方は、個別案件についてはコメントは差し控えるということでありましたが、お薬の安定供給などに影響がないように努めるということで発言をされております。

 田辺三菱製薬は、インフルエンザワクチンなど、国内の安定供給にも大きな役割を担ってきた企業であると思っております。売却の要因というのは単純ではありませんけれども、ただ、私は、国内製薬企業が、やはりお薬の薬価、開発した薬価に対して適正に評価されていないということを起因といたしまして、なかなかこれからのイノベーティブな活動ができない、予見性がないということを理由に、海外の企業に身売りされるということはあってはならないことだと思っております。

 今回の背景には、日本市場において製薬企業が中長期的な成長見通しを描きづらくなっているのではないかという懸念と、そういう構造的な課題が毎年の薬価改定を始めとした制度設計にあるのではないかと思っております。

 厚労省として、このような視点についてどのように受け止められているのか、お伺いをいたします。

福岡国務大臣 創薬力の強化であったり医薬品の安定供給を確保する観点から、我が国の医薬品産業を強化するための施策を実施していくことは大変重要だと認識をしております。

 薬価改定におきましても、市場実勢価格を適時適切に反映して国民負担を抑制する観点だけでなく、革新的な新薬の開発力を強化していく要請や暮らしに欠かせない薬の安定供給確保の要請などにしっかりと応えていく必要がございまして、これまでも、イノベーションを推進する観点から、革新的な新薬については、画期性や有効性等を適切に評価いたしますとともに、新薬創出等加算により特許期間中の薬価を維持するといった取組を行ってきたところでございます。

 また、令和七年度の薬価改定においても、小児等への効能、効果であったり追加された品目等に対する加算の臨時的な実施、最低薬価の引上げ、不採算品の薬価の引上げ等を行ったところでございます。

 そういったバランスよく対応する観点というのをしっかり踏まえて、対応を進めてまいりたいと思います。

池下委員 今るる加算のお話であったりとか制度のお話をしていただきましたけれども、ただ、総じて、今、毎年改定もございますけれども、なかなか、日本の企業だけでなくて海外の企業もそうですけれども、日本の薬価に対して結構失望されているお声をたくさん聞くところでございます。そんな中で、日本の、日の丸の製薬企業が撤退してしまうようなことがありましたら、やはり医薬品の安定供給であったりとか安全保障の観点からでも、非常にこれは不安定になるのではないかと心配をしております。

 そうした事態を防ぐために、薬価制度や産業政策の在り方も含めた総合的な見直しが必要だと考えますけれども、改めてもう一度、見解をお伺いしたいと思います。

福岡国務大臣 内資系の製薬企業の製薬事業からの撤退であったり事業売却が続きますと、我が国の製薬産業の空洞化を招き、中長期的には、医薬品の安定供給であったり経済安全保障に支障を来すおそれがあると認識をしております。こういったことを防ぐためにも、内資系企業が日本で持続的に創薬や製造に取り組めるよう、産業としての魅力と持続可能性を確保することが肝要だというふうに考えています。

 このため、研究開発から薬事承認のプロセスであったり薬価の評価まで、各段階で総合的な見直しを行っていく必要があり、様々な施策を講じてきたところでございます。加えて、より活発に創薬が行われる環境整備のため、創薬エコシステムの構築を官民挙げて進めてございまして、本法案におきましても、革新的な新薬の実用化を持続的に支援するための基金の設置も盛り込ませていただいております。

 我が国の医薬品産業は基幹産業そして成長産業でありますから、これらの施策を通じまして、世界有数の創薬の地となることを目指していきたいと思います。

池下委員 大臣、思いは一緒なんです。

 やはり、創薬エコシステム、これは非常に大事ですし、岸田総理のときに創薬エコシステムサミットというのがありまして、岸田総理の方からも、日本の基幹産業、成長産業にするというお言葉があったんですが、一方で、田辺三菱だけじゃなくて、あえてまだ、次の話ですから会社のお名前は言いませんけれども、同じような形で売却を検討されている会社もあるという具合に聞いておりますが、私は、これは口ではなくて実行していくということが非常に大事だと思っておりますので、是非その点につきましては御支援いただければなという具合に思います。

 それでは、時間もありますので、御質問をちょっと更に続けていきたいと思うんですけれども、次は再生医療等製品についてお伺いをしたいと思います。

 そもそも、再生医療等製品の多くは、既存の医薬品とは違いまして、患者さんお一人お一人のオーダーメイドで作られる場合が多いという具合に聞いております。特に、今回の委員会でも何回か出てきているんですが、CAR―T細胞治療薬はその典型であると思っております。

 釈迦に説法なので非常に申し訳ないんですが、一応資料の方を準備してきましたので、資料の一枚目の方を御覧いただければと思います。

 CAR―T治療薬は、がん患者さんから抽出した、自己免疫ですよね、T細胞を抽出いたしまして、それを増殖させていく、それに加えて、この免疫細胞に、CAR遺伝子と呼ばれる、がん細胞をピンポイントで見つけられる遺伝子、これを注入する、導入すると今回は書いてありますが、導入させていただいて、そのCAR―T細胞を自分の体、患者さん由来の免疫細胞を再びお体に戻すことによりまして、非常に効果のあるお薬ができ上がるという形であります。まさにオーダーメイドの最新的な治療薬ということで承知をしているところであります。

 ただ、このCAR―T治療薬のように、再生医療等製品は、患者お一人お一人に対して製造されるものでありまして、これは、聞くところによりますと、製造の過程で、一定の確率で規格外品、規格に当てはまらないものが生じるということを聞いております。これは技術的に不可避であるという指摘もあります。

 今回の薬機法の改正によりまして、安全性が確認された規格外品であれば、一定条件の下、例えば重篤な疾患の患者さん、もうほかに治療薬はないですよ、そういうような患者さんに対しては提供が認められるようになったという具合に承知をしておりますので、この点に関しましては評価をさせていただきたいと思います。

 ただ、規格外の製品の多くが、現在もなおメーカーからの無償提供によって、依存されているということがあります。その背景には、現行の薬価制度が、製品の個別性であったり、臨床的意義、製造の難易度などを十分に評価されていない。今までの、革新的なオーダーメイドみたいなお薬は想定されていなかったんじゃないかな、そういう具合に思っております。

 二枚目の資料もちょっと併せて見ていただきたいなと思うんですけれども、こちらは、海外のCAR―T医薬品の国別の薬価の比較ということになっております。

 ヨーロッパ等では、新しい手法、いわゆる新規のモダリティーのある製品については、自由価格であったりとか実勢価格であったりとか、そういうものが形成されまして、自由な価格設定というものが行われていると聞いております。つまり、効能の違うCAR―T治療薬ごとに、内容、価格というものが変わってくるわけなんですね。

 表を見ていただいたら分かるんですけれども、同じCAR―Tの製造の仕方によりましても、海外は値段が違うにもかかわらず、一番左にあります日本の価格といいますのは四つ全て横並びということになっているということなので、非常に不思議な形になっております。

 ですので、日本では、外国平均価格調整というものがあるのは承知しております。ただ一方で、これは、大体は薬価を引き下げる方向に向いているという具合に聞いておりますので、やはり妥当な水準へ調整するような仕組みというものが必要になってくると考えています。

 そこで、お伺いいたしますが、CAR―T治療薬を始めとした再生医療等製品の革新性、特殊性を踏まえた、欧米の実勢価格なども参照にしながら、個別の価値を適正に評価できるような新たな薬価算定の仕組みを導入すべきだという具合に思いますけれども、見解の方を大臣の方にお伺いしたいと思います。

福岡国務大臣 再生医療等製品の保険償還価格につきましては、製品の特性によりまして、薬価制度又は保険医療材料価格制度の中で、イノベーションに対する評価を行った上で決定されておりますが、制度上、欧米における薬価を踏まえる外国平均価格調整の仕組みの適用も排除されてございません。

 お尋ねの再生医療等製品も含む新規モダリティーの適切なイノベーション評価の在り方等につきましては、令和八年度診療報酬改定に向けて検討を進めることとさせていただいておりまして、引き続き、再生医療等製品等に関する算定事例を集積しながら、中医協の検討を行ってまいりたいと思います。

池下委員 ありがとうございます。

 令和八年度、今年は令和七年ですから来年度ですね、令和八年度に向けて検討していただくということで、これは一定、ちょっと前向きな御答弁として捉えさせていただきたいと思います。

 ただ一方、薬価の算定の仕組みを考えていただくときに、やはり関係者の声であったりとか、公の場で透明性を持った形で審議を進めていくということも必要だと思っております。

 前も、私、予算委員会でも言いましたけれども、高額療養の方にしても、やはり関係者の声を聞くというのはどのことにつきましても非常に大事だと思っておりますので、その点を含めた見解をお伺いをしたいと思います。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 今、大臣からも御答弁いただきましたように、令和八年度診療報酬改定に向けて検討を進めることになりますが、これまでの薬価制度改革や保険医療材料制度改革の議論については、公開の場である中医協で議論を行い、その過程で関係団体からのヒアリングも実施した上で、透明性を持って進めてきたところでございます。

 お尋ねの再生医療等製品のイノベーション評価の在り方につきましても、同様に、中医協で関係団体の意見を丁寧にお伺いしながら検討を進めていきたいと思っております。

池下委員 一応言質をいただいたということで、しっかり進めていただくようお願いしたいと思います。

 ちょっともう時間がありませんので、本来は高額療養の話を一つしたかったんですけれども、要望にとどめておきたいかなと思います。

 本日も、井坂先生の方からも御質問がありました。当事者団体の患者さんからのアドボカシーというか意見聴取、これは一定、大臣の方からも、医療保険部会におきまして聞いていただく、これは評価させていただきたいと思います。その質問はもう答えが出ていますので、割愛させていただきたいと思うんです。

 私が予算委員会のときに総理に質問したところによりますと、患者団体のみならず被保険者の意見も聞くというお答えがありました。これは大事だと思うんです。ただ、今、高額療養が上がっているから、これから保険の負担が皆さん増えますよというだけの意見聴取、これでは駄目だと思うんですよね。保険というのは給付と負担の関係がありますから、もう三分の一の方ががんになるような時代ですので、もしがんになったときには皆さんの保険の中から高額療養という制度になって救えますよ、どちらがいいですかと、いろいろな形で被保険者の御意見を聞くということが必要だと思います。

 これは単に審議会だけではなくて、審議会というのはどうしても代表の方が来られますので、そういう中で、一般の方にアンケートなりいろいろな形で広く様々な声を聞いていけるような仕組みづくりを是非していただきたいと思います。

 時間の方が来ましたので質問は控えさせていただきたいと思いますけれども、是非、その点も加えていただいて、進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、阿部圭史君。

阿部(圭)委員 日本維新の会の阿部圭史でございます。

 本日は、薬機法改正案に関連して質問をいたします。

 まずは、いわゆる零売薬局についてお伺いしたいと思います。我々日本維新の会については、やはりセルフメディケーション、先ほど来お話に出ていますけれども、セルフメディケーションの推進、薬剤師の職責の向上、そういったことが非常に重要だと思っておりまして、そういった観点からお伺いをしたいと思います。

 本法案の条文の中で三十六条の三、二項二号を読みますと、次のように書いてあります。「医師、歯科医師又は獣医師から処方箋の交付を受けた者以外の者に対して販売し、又は授与することがやむを得ない場合として厚生労働省令で定める場合」、こう書いてありますけれども、この条文には零売薬局という文言若しくは零売という文言自体はないものの、この条文の存在によって初めて零売薬局という存在が、政府が初めて法的に認めたということになるのかなというふうに思っております。もしそうであれば、セルフメディケーションの推進や薬剤師の職責の向上という観点から望ましいものでもあるんだろうというふうには思っております。

 そこで、零売薬局と本法案の関係について伺います。本法案は、初めて法的に零売薬局という存在を政府が認めたということで理解してよろしいんでしょうか。大臣、お願いいたします。

福岡国務大臣 これまでも認められてきたそういった扱いについて、法律上初めて位置づけるということにおいては、委員が御指摘のとおりでございます。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 まさに法的に初めて位置づけられたということだと思います。

 また、この条文にやむを得ない場合とありますが、やむを得ない場合の零売というのは、いわゆる適切な零売ということについて言っているということで理解してよろしいんでしょうか。大臣、お願いいたします。

福岡国務大臣 今日の質疑でも、やむを得ないというのはどういう場合を指すのかということをもっと明確にすべきだという御議論をいただいてきました。

 適切なということが何をもって適切なということについても、そこはなかなか定義が難しいところでございますが、いわゆる零売については、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合などを念頭に、薬剤師の判断の下、適正な使用のための必要最小限の数量に限って販売できることとしてきたものでございます。

阿部(圭)委員 厚生労働省の資料で、今日お配りしておりませんけれども、不適切な零売という資料がありまして、その反対のことを述べている資料として、やむを得ない場合の零売ということが書いてある資料がございます。

 不適切の対義語というのは適切だと思うんですけれども、要するに、それを日本語上解釈すると、やむを得ない場合というのは適切な零売のことについて言っているということで私は理解しましたけれども、大臣、改めて答弁をお願いいたします。

福岡国務大臣 そこは委員の御見解をお示しをされたということですが、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合などを念頭に、薬剤師の判断の下、適正な使用のための必要最小限の数量に限って販売できるということでございます。

阿部(圭)委員 あくまでやむを得ない場合と文言上のことをおっしゃっているんだと思いますが、初めて法的に零売薬局という存在を認めたわけですから、通告しておりませんけれども、適切、やむを得ない場合の零売ということであれば、やむを得ない場合については積極的に零売ということをやってもいい、そういったことを言っているということで理解してよろしいんでしょうか。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどから御議論いただいていますが、零売は、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合を念頭に、薬剤師の判断の下で、適正な使用のための必要最小限の数量で販売するということでございますので、積極的にと言われますと、ちょっとお答えしづらいところでございます。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 まさに、零売薬局、今回初めて法案に位置づけられたわけですから、その適切な在り方も含めて、また議論させていただきたいと思っております。

 次に、革新的医薬品等実用化支援基金の創設についてお伺いします。

 我が国の創薬環境は非常に厳しいという中で、革新的医薬品の実用化を支援する、そして、我が国の創薬力、産業競争力を引き上げるということは重要なことだと私も思っております。

 本件は、創薬クラスターキャンパス整備事業者を対象として、その枠組み等を支援し、活発な創薬が行われる環境を整備することを目的としています。その取組の事例としては、政府の今までの資料によりますと、例えば、インキュベーションラボを整備したり、動物実験施設、治験薬製造施設を整備したりというものが挙げられております。

 その中で、人材育成にも使えるのかという点について伺います。

 世界の医薬品の潮流は、低分子医薬品からバイオ医薬品に移っています。一方、バイオ医薬品産業を強化するためには、これを作るバイオ医薬品の製造技術者が必要になります。しかし、それが我が国には不足しているという現状があります。

 この施策をより推進する、促進するためには、バイオ医薬品製造技術者養成にも基金をしっかりと使用できるようにする必要があると思うんですけれども、そのような実のある制度になっているのかについて、大臣にお伺いいたします。いかがでしょうか。

福岡国務大臣 現在主流となっておりますバイオ医薬品等のいわゆる新規モダリティー医薬品の製造人材を育成していくことは、医薬品産業を基幹成長産業とする観点から大変重要でございます。これまでも人材育成のための研修事業等を行ってまいりましたが、令和七年度からは、新たに製薬企業等の実生産設備を利用した研修を実施するなど、内容の更なる拡充を行わせていただきます。

 令和六年度補正予算においては、いわゆる創薬クラスターにおいて不足している施設整備等への補助金を行うとしておりますが、この事業におきましては、クラスター事業者のニーズに基づき、製造人材の育成に関するプログラムへの補助を行うことも可能となっております。

 この改正法案では、革新的な新薬の実用化を支援するための基金の設置を盛り込ませていただいておりますが、この基金においても、令和六年度補正予算の事業で取り組む創薬基盤強化に資する支援を持続的に実施することが可能となるようにしたいというふうに考えております。

 このような取組を通じまして、バイオ医薬品等の研究開発、製造を活性化し、我が国の医薬品産業における国際競争力を高めてまいりたいと思います。

阿部(圭)委員 人材育成にも使えるということで御答弁いただきました。ありがとうございます。

 やはり人が作るものですから、そういったところが基盤となるので、しっかりとそういったところにも人材の育成をやっていただきたいなというふうに思っております。

 次に、後発医薬品製造基盤整備基金の創設について伺います。本件は、後発医薬品メーカーの業界再編を推進するという施策だと理解をしております。

 後発医薬品業界の中で問題となっておりますのは、少量多品目生産という点です。中小を含めて大体二百社近くの企業数が存在しているということで少量多品目生産となっているというような状況があるので、業界全体として生産効率が低いという指摘がるるなされているところです。また、後発品メーカーはこれまでも様々な製造上の不祥事が相次いだこともありまして、やはりこの業界にてこ入れをする、産業の競争力の向上を図るという観点も含めて、業界再編を推進するということが重要だと私も思っております。

 本件は、後発医薬品メーカーの業界再編を推進するために、基金をまず創設をして、品目統合、事業再編等の計画を認定し、生産性向上に向けた設備投資や事業再編等の経費を支援するというふうになっております。この事業再編に伴う経費というのは、具体的には、MアンドAに伴うリーガルコストですとか、コンサルティングファームを使ったりする場合のデューデリジェンスとか、そういった費用が挙げられるんだというふうに理解をしております。

 一方、これはあくまで業界再編のあめの施策だと思っておりまして、むちの観点が十分ではないのではないかというふうに考えております。ある意味でのむちの施策を短期的にも中長期的にも入れた方がいいのではないかということで、大臣にお伺いいたします。

 まずは、短期的な視点について。

 後発医薬品業界の再編を進めるに当たっては、業界の自主的な取組を促すというだけではなくて、個社が、個々の後発医薬品企業が、その経営状況、製造能力、品質管理等について第三者による評価を受ける枠組みを検討するなどして、客観的な外部の視点を織り込んで厳しく再編を推進することが重要だと思っておりますけれども、大臣の見解を伺います。

福岡国務大臣 御指摘ございましたように、医薬品の安定供給のためには、後発医薬品の非効率な生産体制の解消が必要でございます。

 現在、後発医薬品企業の事業再編に向けた環境整備を進めておりまして、令和六年度には、全ての後発医薬品企業に製造管理、品質管理の自主点検を実施をさせたところでございます。本法案におきましても、企業間の連携、協力、再編を後押しするための後発医薬品製造基盤整備基金の造成を盛り込んでおります。

 後発医薬品の再編を更に着実に推進するためには、こうした自主的な取組に加えまして、御指摘のような、客観的な外部の視点も織り込んだ取組も重要だというふうに考えております。

 令和六年度補正予算におきまして、後発医薬品の再編に係るモデル事業を行っておりますが、その中で、必要な取組について検討してまいりたいと思います。

阿部(圭)委員 今、短期的な視点について、同じような見解だということでお話をいただきました。

 次に、中長期的な視点について考えてみたいと思います。

 現在、令和六年度補正予算、大体七十億円ということですか、これによって、モデル事業、後発医薬品の産業構造改革のための支援事業というのが行われております。この成果も踏まえまして、この補正予算の事業については今年度やるということだと思いますので、これを踏まえて、来年、令和八年度中に、品目統合による生産効率化の進展、産業力の強化等の観点から、具体的なKPI、指標を設定して、この基金の五年間の期間中、すなわち令和十二年度末の、後発医薬品製造基盤整備基金設置期間中の取組を更に加速させて業界再編を推進するべきだというふうに考えておりますけれども、大臣の見解はいかがでしょうか。

福岡国務大臣 後発医薬品の業界再編に向けまして、令和七年度においては、令和六年度補正予算のモデル事業といたしまして、後発医薬品企業間の連携、協力、再編の推進に資する設備投資への補助を行うとともに、令和八年度以降の五年間においては、このモデル事業による成果も踏まえた上で、本法案に盛り込んでおります後発医薬品製造基盤整備基金を活用し、更なる業界再編を集中的に促していきたいというふうに考えております。

 業界再編の取組を加速させるためには、御指摘のとおり、具体的なKPIを設定し、進捗を適宜適切に管理することが重要だというふうに考えております。

 後発医薬品の業界再編に向けて、モデル事業の成果も踏まえ、五年間の集中改革期間の一年目、つまり令和八年度中に適切なKPIを検討、設定することを検討してまいりたいと思います。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。同じ認識だと思います。

 これはKPIを設定するということですけれども、具体的にどのようなKPIを想定していらっしゃいますでしょうか。

福岡国務大臣 KPIについては、先ほども申しましたように、令和六年度補正予算のモデル事業の成果も踏まえ、五年間の集中改革期間の一年目に適切なKPIを設定することを検討してまいりたいと思いますが、今般御提案をしております後発医薬品製造基盤整備基金は、現在の少量多品目生産を解消することで産業全体としての生産性の向上を図る趣旨のものでございます。そのため、企業間の連携、協力によりまして品目数が適正化されていく、そのことが重要であるというふうに考えておりまして、こうした観点からKPIの設定を検討してまいりたいと思います。

阿部(圭)委員 具体的なKPIとしては、やはり品目数が目安になってくるということだと思います。

 品目数でKPIを設定した後に五年間この事業を行うわけですけれども、そうしたときに、最終的な絵姿として、業界再編、事業の統合をしていくわけですから、具体的にどのぐらいの企業数の集約度合いを想定していらっしゃるか、お考えをいただければ。

福岡国務大臣 なかなか、最終的な企業数ということになると、言及するのは難しゅうございますが、昨年七月に行われました武見前大臣と主要な後発医薬品企業との意見交換におきまして、業界の理想的な姿として、数量シェアや品目共に多い企業は、品目統合による生産性の向上等により、総合商社型の企業へ、一定の領域で他をリードする企業は、自社の強みを生かした領域へ品目を集約し、安定的な供給を担う領域特化型の企業への再編を進める。その上で、安定供給の観点からは、成分ごとに適正な供給社数は五社程度が適当ではないかといった考え方をお示しをさせていただいております。

 なお、これは、全ての成分について五社にすることを目指すという趣旨ではなく、成分ごとの過当競争の適正化を行い、安定供給を確保するとの考え方として申し上げたものでございます。当然のことながら、医薬品の対象疾患や需要等によって、五社以上の供給が必要ではないかといった御意見もあるところでございまして、成分ごとの供給体制については、先ほど申し上げましたモデル事業の実施状況等も勘案しながら、個別に精査していく必要があると考えております。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 今、数字をおっしゃっていただきまして、成分ごとに五社を目安として統合を図っていくというような、あくまで目安ということだと思いますけれども、やはり五社ぐらいを目安に、成分によっては前後する場合はあると思いますけれども、しっかりやっていただきたいなというふうに思っております。

 次に、薬価の中間年改定についてお伺いをいたします。

 薬価の中間年改定は、いわゆる毎年改定と言われたりするものですね、二〇一六年の通称四大臣決定で決定されました。その後、二〇二一年を実施の初年度として開始されておりますけれども、今回出されております法案の条文の中で七十六条二項を読みますと、次のように書いてあります。「療養の給付に要する費用の額は、厚生労働大臣が定めるところにより算定するものとし、その定めは、二年ごとに必要な改定を行うことを原則とする。」このようにあります。要するに、この法案は、薬価のみならず、診療報酬の本体についても改定を二年間に原則固定するというものだと理解をしております。

 そこで、法案提出者にお伺いをいたします。

 二年ごとに必要な改定を行うことを原則とするとありますけれども、原則とありますので、そもそも今回の提出の趣旨、薬価の中間年改定とありますが、原則とあるので、例外として四大臣決定を行うことで実際は毎年の薬価改定が行われるようになっているのではないかと思いますけれども、御見解をお伺いいたします。

井坂議員 御質問ありがとうございます。

 本法案は、薬価を含めた診療報酬を二年ごとに改定することを原則とすることを法定化するものです。法案が施行された後でも、緊急的な対応を必要とするケースでの例外的な中間年改定はあり得ると考えますが、その場合には、政府は、例外的に改定を行うべき必要性について説明責任を果たさなければなりません。

 このように、本法案により、中間年改定があくまで例外であるということを法律上担保することで、薬価の引下げが毎年安易に行われないよう歯止めをかける意義があると考えております。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 今、薬価のことについてお伺いをしましたけれども、この法案自体は診療報酬全体ということですので、原則ということは書いてあるとはいえ、診療報酬改定を二年として固定してしまうことの弊害についてもお伺いをしたいと思います。

 例えば、今、物価上昇しておりますけれども、この物価上昇局面における診療報酬の改定についてでございます。現在はインフレが続いておりますが、公定価格である診療報酬については、その改定を二年と固定してしまうことで、物価に合わせた賃上げ等がなかなか難しいのではないか、こういった懸念があります。

 そこで、まず初めに厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。

 過去にも物価の上昇局面というのが歴史においてございましたけれども、例えば、物価の上昇に合わせるに当たって、毎年の改定や年に複数回改定を行っていた事例があれば教えていただけますでしょうか。

福岡国務大臣 御指摘がございました物価の急激な上昇に際して診療報酬を改定した例といたしましては、オイルショックによる急激な物価上昇に対応するため、昭和四十九年の二月と十月に二回、診療報酬の引上げを行った例がございます。

阿部(圭)委員 それにつきまして、あわせて、大臣にもし御見解があればお伺いしたいんですけれども、済みません、通告しておりませんが、恐らく資料にあると思いますので。

 オイルショックのときには年に二回改定が行われて、三五%ぐらいの改定率だったというふうに認識をしておりますが、二年に一度の診療報酬改定というのは一九八八年四月以降に始まったものというふうに理解をしております。八八年以前については、我が国の経済成長のさなか、オイルショックを除いて、物価上昇や医療技術の進歩に伴い、るる改定が行われてきましたけれども、そのときには特段二年と決まっていたわけではないと思いますけれども、どのような改定が行われていたのでしょうか。

福岡国務大臣 診療報酬改定が最初に行われました昭和二十六年から昭和六十一年までにおきましては、経済成長に伴い継続的に物価上昇する中で、医療技術の進歩等に応じて適時改定が行われておりまして、急激な物価上昇に対応するための臨時の改定といたしましては、先ほどのオイルショックの際の二回が該当すると認識をしております。

 二年に一度の改定が原則となりました昭和六十三年四月以降におきましては、急激な物価上昇に対応するための臨時の改定というのは行っておりません。

阿部(圭)委員 適時の改定とありましたけれども、そこは柔軟に行っていたというふうなことだと思います。

 法案提出者に伺います。

 現在の物価上昇局面において、原則とはいえ診療報酬改定を二年に縛ってしまうことは、物価上昇に合わせて診療報酬の毎年改定や二回改定を行うなどの物価対応ができなくなってしまうのではないかとも思いますけれども、その辺の御見解をお伺いしたいと思います。

井坂議員 ありがとうございます。

 二年ごとに必要な改定を行うのは、先ほど申し上げたようにあくまで原則であり、立法者としても当然例外はあり得るものと考えております。

 具体的には、今大臣がおっしゃったような大幅な物価上昇、あるいはパンデミック、こうした場合には薬価を変更する必要が生じ、そのような場合はまさに例外に該当し得るものだというふうに考えております。その場合は、随時の改定により、適切に対応するべきと考えております。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 まさしく、医療現場の実態に合わせて、世の中の趨勢に合わせて柔軟に診療報酬改定を行っていくこともまた重要だと思いますので、その必要性について御認識いただければなというふうに思っております。

 特に、昨今のアメリカのトランプ大統領による関税措置に即して、医薬品等についても柔軟な対応をせねばならなくなる国際情勢が来るというふうに思っております。

 実は、本日の委員会の昼休み中にニュースを見たところ、トランプ大統領のニュースが出ておりまして、本日の全国共和党下院委員会のイベントに出席したトランプ大統領が、医薬品輸入に対する大規模な関税を近く発表すると述べていらっしゃいます。具体的に何と言っていたかといいますと、私も休みの間ユーチューブを見てそれを聞いたんですけれども、ウィ アー ガナ ビー アナウンシング ベリー ショートリー ア メジャー タリフ オン ファーマスーティカルズと言っていまして、要するに、すぐ大規模な関税をかけるよということを言っているわけですね。

 大臣、この辺り、何か事務方若しくはアメリカから聞いていらっしゃいますでしょうか。更問いですけれども。

福岡国務大臣 そのお昼のニュースの内容については、特に報告を受けてございません。

 ただ、一昨日、官邸におきまして対策本部が設置されまして、こうした関税の動き等に対しましては、全閣僚がこの対策本部に参加していますので、連携を密にしながら、情勢をしっかり分析し、必要な対応を行っていくということにしております。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 そこをしっかり見ていただきたいなと思っておりまして、医薬品等に関するアメリカとの関係でいいますと、私は一九八〇年代のMOSS協議を思い出します。MOSS協議は、元々、日米の貿易不均衡の問題を是正するというお題目で進められた枠組みですので、その再来があるのかないのかということで見据えて、薬価に対する柔軟な対応もしっかりと留意しなければならないというふうには思っております。

 次に、疾病の罹患の蓋然性の高い状態に対する保険給付についてお伺いをいたします。

 今月二日の衆議院厚生労働委員会、まさにこの委員会におきまして、私の質問で、RSウイルス感染症に対するモノクローナル抗体製剤に関しまして、福岡大臣から、予防的なものに対して、この製剤も予防的なものですけれども、これに対する保険給付について、蓋然性の高さがあるんだという言及がございました。

 そこで、是非お伺いしたいんですけれども、大臣からのそのときの答弁ですと、まだ疾病という状態には至っていないけれども、三つの観点から予防的なものへの給付が行われているというふうにおっしゃっていらっしゃいました。一つ、発症の蓋然性が高い、二つ目、有効な治療薬がない、三つ目、発症すると重篤化する、この三つの観点がありましたけれども、まず、そもそも発症の蓋然性が高いというのは何らか定量的に測る手段があるんでしょうか。お伺いいたします。

福岡国務大臣 今言及がございましたように、我が国の公的医療保険は、発生が偶発的で予測できない疾病や負傷といったリスクに対しまして、被保険者相互の支え合いによって備えることを基本的な考えとしておりますが、疾病予防につきましても、外傷後や母子感染など、発症の蓋然性が高く、かつ有効な治療薬がなく、発症すると重篤化すると考えられるもの等については保険給付の対象としてございます。

 保険給付の対象とするか否かの蓋然性につきましては、統一的な定量基準を設けているものではなく、発症抑制の可能性など、個別の薬剤ごとに、医学的な観点から、その都度、中医協で判断を行っているものでございます。

 例えば、さきに保険適用されましたパリビズマブにおきましては、新生児、乳児及び幼児におけるRSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症抑制の効能を有する薬剤でありますが、抵抗力が弱い早産児などではRSウイルス感染が呼吸困難など重篤となる蓋然性が高いと医学的に判断され、有効な治療薬がないことから、保険適用を行ったものでございます。

阿部(圭)委員 時間が来ましたので、これで終わりにいたしますけれども、定量的なものについては明確な基準がないということで、個別に中医協で判断しているということですけれども、やはりその辺りの整理も、今後いろいろな薬剤が出てきますから、必要になってくるのではないかと思いますので、また是非議論させていただきたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、梅村聡君。

梅村委員 日本維新の会の梅村聡です。

 それでは早速、薬機法について質問していきたいと思いますが、まず前半は、先ほどから池下委員そして阿部委員からも質問がありましたが、薬価の中間年改定、これについての質問をさせていただきたいと思います。

 それで、今回、法案では、提出者の方から、二年に一回の改定を原則とする、こういう法案の内容になっておりますけれども、まずちょっと我々考えたいのは、こういった報酬改定というのは、一体何年に一回やっていくことが、過去の政策を検証して、分析をして、そして次の政策に最も生かせるのかという、ここを是非ちょっと考えないといけないんじゃないかなと思っています。ですから、薬価は一年ごとだ、診療報酬は二年ごとだ、だけれども介護報酬は三年ごとだということで、これは全部ばらばらなんですよね。

 それで、直接今日のテーマに関わるわけじゃないんですけれども、今日は老健局長に来ていただきまして。二〇〇〇年に導入された介護保険制度においては、法律の中に、三年に一度、市町村介護保険事業計画を立てることだ、そして、三年ごとに都道府県介護保険事業支援計画を、国の介護保険事業計画に基づいて三年ごとに作ってください、見直しをしていくんだと。そこで保険料を算出して、そして介護報酬の改定につなげていく。こういう三年ごとということがきちっと書かれているわけなんですが、二〇〇〇年に介護保険を導入するに当たって、なぜ三年というこの期間を設定されたのか。これを、ちょっと経緯を教えていただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険制度の見直しのサイクルに関しましては、制度創設時に、関係者など、これは保険者が市町村でございますので、保険者、それから市町村を支援をする都道府県を始めとする保険者周りの関係者を含めて、関係者の議論の結果として、市町村が中期的な財政運営を行うため安定的な保険料設定を行う必要があることなどから、三年ごととされたという経緯がございます。

 具体的には、介護保険制度は、原則三年を一期とするサイクルで財政収支を見通した事業運営を行うことといたしまして、介護保険事業計画について、介護を必要とする高齢者を取り巻く状況やサービスの提供の実態を踏まえて、必要なサービス需要量をまず見込みます。その需要量を見込んだ上で、サービス提供体制を確保しつつ、必要な保険料設定を行う、こういう実態、ルールでございますし、報酬改定につきましても同じサイクルで行っている、このような経緯でございます。

梅村委員 ですから、サービスの量をまず測って、この市町村ではどのようなサービスを提供しなければいけないか、一方で財布の問題もありますから、そことの見合いで、三年に一回が妥当だろうということで始まったんだと思うんですけれども。

 ちょっと更にもう一個聞くんですけれども、仮に二年に一回でやってくださいと言われたら、なかなか難しいのか、それとも、急げばできるよというものなのか。この辺はいかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の三年を一期とするサイクルにつきましては、計画の初年度で実施した事業の実績を二年目で分析、検証した上で、国で定める指針に基づいて三年目に次期計画を立てる、このようなサイクルで三年間が充てられている、こういうことでございます。

 仮に二年ごとの見直しとする場合には、今申し上げたサイクルの期間が短くなりますので、そういう意味では、PDCAサイクルを行う際に、それを早く回さなきゃいけないといった時間的な制約が生じる可能性はあるということは言えようかと存じます。

梅村委員 ですから、新しい報酬改定をして、普通考えれば、一年間見ないとその様子はデータとして出てこないわけですね。診療報酬も一緒だと思います。一年目やった結果を、医療経済実態調査、やはり一年は見ないと分からない。そして、真ん中の一年は、これは分析をしていくんだ。ですから、これは非常に、私、妥当なサイクルを回しているのが介護保険ではないかなと思いますが、ところが、診療報酬は二年に一回だと。

 つまり、どういうことかというと、多分、真ん中の分析の時間が圧倒的に短いんだと思うんですね。一年たって、でも、翌年の改定は恐らく夏ぐらいまでに大枠を決めないと進んでいかないということで。

 もちろん、先ほどからお話がありますように、二年に一回というのは、これは法律事項ではなくて、厚労大臣の裁量の中でされているということなんですが、もし診療報酬を介護報酬と同じ三年に一度にするとどういうことが困るのか、これを教えていただきたいと思います。

福岡国務大臣 診療報酬改定につきましては、予算編成過程を通じて内閣が改定率を決定し、社会保障審議会が策定した基本方針に基づき、中央社会保険医療協議会、中医協で具体的な点数の審議を行うといったプロセスを経て検討することとしてございます。

 先ほども御指摘がありました介護につきましては、介護報酬も法律で定められたものではございませんが、三年を一期とする介護保険事業計画期間であったり介護保険料等の設定も踏まえ、これまで原則として三年に一回行ってきたものでございます。

 診療報酬につきましては、新たな医療技術への対応の必要性も踏まえた対応が必要でございまして、法律で定められたものではございませんが、原則として二年に一度、改定を行っているものでございます。引き続き、医療技術の進捗に対応できる間隔で改定を行っていく、このことが必要だと考えております。

梅村委員 今、新しい技術を入れるためには三年では長いんじゃないかという話がありましたけれども、もしその対応が必要だったら、私は二年に一回も長いと思いますよ。

 つまり、何かというと、医療機関あるいは地域医療の状況をきちんとまず把握して分析をしてやるんだったら、やはり三年に一度ぐらいでないと、私は的確なメニューを組むことは難しいと思います。

 そして、もし、先ほどから話題に出ていますように、例えばパンデミックが起きたり、あるいは人道的に必要な新しい技術が出てくれば、それはそのときに臨時で改定ができる遊びの部分を残しておいたらいいんだと思います。それがあるから、分析ができなくても二年に一回を繰り返すんだということは、これは、政策決定過程として、私はやはり再考すべき時期ではないかというふうに思っておりますので、厚生労働省の皆さんも、PDCAサイクルを回すというのはどういうことかということ、これを是非一度考えていただきたいなというふうに思います。

 そういった中で、何か、私の持論のような三年に一回という話がありましたけれども、これはやはり政策を回していくには非常に重要な観点だと思っております。

 そこで、提出者の井坂議員にもお聞きしたいと思いますけれども、今申し上げたように、医療は二年に一回だ、介護は三年に一回だ、そして最小公倍数の六年が同時改定だといって騒いでいるのではなくて、やはり両方、三年に一回、合わせて毎回同時改定にして、介護と医療が連携してPDCAサイクルを回すことが私は重要だと思うんですけれども、提出者としては、今回、二年に一回、原則と書いてありますけれども、こういった観点についてどう考えておられるのか、教えていただきたいと思います。

井坂議員 ありがとうございます。

 今お聞きをしておりまして、医療と介護を同時に改定する意義とか、あるいはPDCAサイクルをきちんと分析の期間も取って回す意義というのを、私も大変、なるほどなというふうに聞かせていただきました。今みたいに、何か、二年と三年で六年、衆参ダブルなのか、惑星直列なのか、そんな星の巡りみたいな話をしている場合ではないなというふうに思って聞かせていただきました。

 本法案を提出した目的は、まずは安易な薬価の中間年改定が毎年毎年行われることをやめてもらうために、二年ごとの改定が原則であるということを法律に位置づけたものであります。

 その上で、やはり将来的には、今理事がおっしゃったように、より適切な改定サイクルについて検討していくのは私は当然あってしかるべきと考えており、御指摘のような、介護報酬改定と同時に三年ごとに診療報酬も改定をするという選択肢も含めて、幅広く検討していくことが大切であると考えております。

梅村委員 ありがとうございます。

 是非、超党派でもこの課題というのはしっかり共有していきたいなというふうに思っております。ありがとうございます。

 それでは、今回、薬機法の中の一つのテーマを取り上げたいと思います。

 今回は、この薬機法改正案の中には、薬剤師等の遠隔管理下での一般用医薬品販売を可能とする内容、これが盛り込まれているわけであります。

 これは何かというと、元々は今から十数年前だと思いますけれども、コンビニで一般用医薬品が買えるようになりました。ただし、どこのコンビニでも売れるわけではなくて、登録販売者や薬剤師がいないと当然売れないわけですから、なかなか全国のコンビニでも一般用医薬品が買える状況ではない、なかなか広がらないという現状があります。

 実は、皆さんの周りでもあるんですけれども、私は参議院から実はやってきまして、参議院の一階のセブンイレブンでは薬を買えるんですよ。同じ調子で、この間、衆議院の議員会館の下へ行ったら、うちはないと。それはそうですね。フランチャイズ的にいえば、それぞれの店で登録販売者あるいは薬剤師を置かないとこれはできませんから、ですから、ちょっとあなた、こっちへ行ってよということで、あちこちで売るということはできないわけですね。あるいは、夜間にコンビニへ行っても、なぜかロープが張られてあって、今は売る人がいませんので買えません、こういうことでなかなか広がらないという状況があります。

 一方で、地方に行きますと、近くのドラッグストアへ行くにも車で一時間以上走らないといけないんだけれども、コンビニだったらその町にあるんだ。ですから、こういうところで、登録販売者や薬剤師さんがいなくても薬が手に入る方法がないかな。それに対しては、今回、一定の役に立つ法改正ではないかなというふうに考えております。

 まず、ちょっとお聞きしたいんですけれども、今回のやり方は、薬剤師さんとか登録販売者が遠隔の場所にいても、違う店舗にいても、そこから委託をして、そういった登録販売者や薬剤師がいないところでもお薬をお渡しすることができる、こういうことを想定しているんですけれども、薬剤師や登録販売者が一軒にいて、では、どれぐらいの店舗を実際の受渡し店舗として支配というか扱うことができるのか。これは全部省令に定めるとありますので、状況がよく分かりませんので、どれぐらいの数を想定されているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

城政府参考人 今回の改正案において規定しております遠隔販売につきましては、一つの薬局、店舗販売業が、医薬品の登録受渡し店舗を委託する。そのできる店舗の数を検討するに当たりましては、まず、委託する側、委託者が登録受渡し店舗を適切に管理できるということが前提であろうというふうに考えております。

 御指摘いただきました点も含めまして、遠隔による一般用医薬品の販売、管理に関する要件につきましては、今後、実証事業を行っている事業者さんがおられますので、そういった事業者さんを含めた関係者からの意見や実施状況等も踏まえて検討の上、今回の新たな枠組みを適正に実施するための具体的な対応等に関する指針を策定して、お示しをしていきたいというふうに考えております。

梅村委員 お願いしたいことは、一律に何店舗とか、数ありきで決めていただきたくないということなんですね。

 つまり、これは状況によると思います。例えば、一人の薬剤師さんが棚卸しもしながら、レジを打ちながら、さあ、オンラインで遠くの店舗で欲しいという人が現れました、そうすればある程度限定されるかと思いますけれども、では、薬剤師さんが例えば五人、十人いる、そういう店舗であれば、常時遠くの店舗をオンラインで管理することができますから、簡単に言えば、百軒でも二百軒でもそれは当然実質できる可能性もあるわけですから、是非ここは能力に応じて、管理元、委託元がどういう能力を持っているかによって軒数は柔軟に設定をしていただきたいな、このように思っております。

 それでは、さらに、その遠隔販売についてですけれども、では、今度は一般用医薬品の納品はどうするのか。あくまでも管理店舗が、委託元が薬を購入して、そして責任も持つということですから、物すごくしゃくし定規な卸販売業者さんがおれば、この卸さんが、私は委託元の管理店舗に薬を全部納入しますので後は管理店舗でそれぞれの受渡し店舗に配送してくださいね、こう言われたら、とんでもない手間がかかるわけですね。

 だから、受渡し店舗も含めて卸業者は医薬品の納品をすることができる、こういう考え方で間違いないのかどうか、これも確認をしたいと思います。

城政府参考人 本法案におきます遠隔販売の仕組みにつきましては、医薬品の管理責任は一義的には委託側にございますが、他方で、物流上の効率化の観点からは、御指摘いただきましたように、卸売販売業者が登録受渡し店舗に直接納入できるようにすることも重要との御意見があるというのを承知をいたしております。

 こうした関係者からの御意見も踏まえつつ、委託関係の中で医薬品の管理責任をどのように担保するかといったことも念頭に置きまして、卸売販売業者から登録受渡し業者に直接納入を行う場合も含めまして、納品に当たっての管理要件などについて今後検討してまいりたいと考えております。

梅村委員 是非前向きに御検討いただきたいと思っております。

 そして最後に、受渡し店舗、ここには管理者、薬剤師や登録販売者はいないわけですけれども、ここで商品をきちんと陳列ができて、そして消費者の方、購入者の方が現物を見られる状態にしておいてほしい、これも多くの購入者の希望だと思います。

 どうもいろいろな検討会とかの話を聞いていると、何かパネルで写真だけ出してみようかとか、見えないところにちょっと置いておこうかとか、いろいろな話があるように聞いているんですけれども、やはり購入者の利便性を考えたら、見えるところに陳列がきちんとできる、こういうことも省令を定める中では是非御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

城政府参考人 お答えいたします。

 本法案におけます遠隔管理下での医薬品販売に関しまして、実際に患者に医薬品を受け渡す登録受渡し店舗での医薬品の陳列を行う場合には、委託を行う薬局や店舗販売業側が、医薬品の管理に必要な事項として、委託先の登録受渡し店舗に向け指示を行うということを想定をいたしております。

 その委託に当たりましては、適切な医薬品管理を行うために必要となる事項、こういったものを省令で規定することといたしておりますが、その具体的な内容につきましては、検討会の取りまとめでは、保管については、顧客の手の届かない場所への保管を行うべきであるとされたところではございます、保管についてでございますが。デジタル技術を活用することにより遠隔での管理を可能とする本制度の特徴も踏まえつつ、今後検討してまいりたいと考えております。

梅村委員 今回のこの法改正は、セルフメディケーションという面からは非常に重要なことだと思っております。一方で、私が法律を見せていただいたら、ほぼ中身全てが政省令で定めるということで、実は中身が全く分からなかったものでしたので、今回こういう形で確認をさせていただきました。

 今回の薬機法が、こういったセルフメディケーション、あるいは購入者の利便性が実質向上するものになることを私からもお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。

 今日はありがとうございました。

藤丸委員長 次に、福田徹君。

福田(徹)委員 国民民主党、福田徹です。

 私は医師として、医薬品や医療機器の重要性、よく知っております。私が医師になってからのたった十八年間で医療は大きく進歩しております。この間、私たち医師の脳の機能や手足の筋力や関節の可動域、これはそれほど進化しておりません。薬や機械の進化が医療の進歩に大きく貢献している、これは間違いありません。それを実現した世界中の薬、医療機器に関係する企業、研究者、全ての働く人にまず心からの敬意と感謝を申し上げます。

 そして、今回の薬機法の改正案は、医薬品不足が社会問題化する中で、医薬品等の品質及び安全性の強化、そして安定供給を目指しており、その内容の方向性、これはおおむね正しいものと考えております。

 一方で、幾らいいルールを作っても、薬を製造する企業、薬を運ぶ企業の体力がなければ、それを実現することはできない、そう思います。そして、私たち国民民主党には悲痛な声が届いております。そして、質の高い薬の安定供給を実現するために、薬価中間年改定廃止法案を提出しております。

 そして、法案提出者にお聞きします。

 この法案を提出するに至るきっかけとなった現場からの生の声を教えてください。

浅野議員 御質問ありがとうございます。

 中間年改定廃止法案の提出に当たりましては、医薬品、医療機器、医薬品卸並びに製造受託を始めとする関係産業の皆様より、重ねての要望がございました。

 具体的には、毎年の薬価引下げにより、医薬品等の開発原資の減少による研究開発人材の流出であるとか、ジェネリックを始めとする低薬価品について、物価高による製造コストを薬価では価格転嫁できず経営が厳しい状況であること、また、こうした経営環境の下で、労務費の確保がかなわず、ほかの製造業に比べ賃上げが相対的に低い状況のみならず、生産、流通人材の合理化が図られているといった実情、また、製造販売事業者が不採算で医薬品を作り続けていることに起因して供給不安が発生し、医薬品流通や医療機器等との価格交渉の現場に混乱を来しているといった声を我々は伺ってまいりました。

 こうした声を踏まえ、毎年の薬価引下げが現下の諸問題の原因であるものと捉えまして、本法案の提出に至った次第であります。

 以上です。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 私の元にも全く同じ声が届いております。薬機法の目指す質の高い薬の安定供給、これを実現するためには、薬機法と一緒に、この薬価中間年改定廃止法案、これも是非成立させたいと思っております。

 次に、全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋では、二〇二八年までに検討する取組として、市販品類似の医薬品の保険給付の在り方の見直しが挙げられております。この市販品類似の医薬品とは、ドラッグストアなどで市販されている一般用医薬品、いわゆるOTCと呼ばれる薬に近い薬で、OTC類似薬と呼ばれるものです。

 そして、二月二十六日の予算委員会にて、石破総理は、私のOTC類似薬の保険給付見直しに関する質疑に対して、早期に実現が可能なものについて、令和八年度から実行に移すと答弁いただきました。OTC類似薬の保険給付見直しというのは前へ進んでいると認識しております。

 一方で、OTC類似薬を、我が国の社会保障制度の持続性、そして国民自身によるセルフメディケーションの推進、これに生かすためには、保険給付の見直し以外にもう一つ大切な論点があります。その論点は、医師による処方箋が必要かどうか、これです。

 保険給付対象から外れたのであれば、セルフメディケーションとして、軽い体調不良のときに、例えば夜間、休日でも行きやすい身近な薬局で、薬剤師と相談しながら便利に購入したいものです。

 ただ、四月四日の当委員会で、古賀議員が、休日に発熱されてドラッグストアでセルフメディケーションしようと思ったけれども、スムーズにいかなかった、こうお話をされました。もう、よくよくその状況が分かります。

 この論点において、今回の薬機法改正案で、もしかしたらこの流れに逆行してしまうかもしれない点があります。今日、度々質疑で出ておりますように、零売を法的に規制するという変更が含まれております。

 ただ、私個人の考えとして、今、一部の零売薬局で行われているような、現在の通知による規制に反するような、処方箋なしで病院の薬が買えますよみたいな大々的な広告をしてビジネスにしていること、これは私自身も全く賛成しておりません。ただ、しっかりとした新しい法整備の下で、社会保障制度の持続可能性の担保、そしてセルフケア、セルフメディケーションの推進、このために薬剤師の能力をもっともっと生かす、これはとても大切なことだと思っております。

 まず、今回の薬機法改正で起こる変化について確認させてください。

 これは仮定の話です。石破総理の答弁どおり、OTC類似薬が保険適用外になったと仮定して、医師の処方箋が必要なままだとすると、患者は、診療時間内に時間や診察料をかけて医師を受診して、そこで処方箋をもらう、そして、その処方箋を持って薬局へ移動して自費で薬を購入することになると思います。そうすると、現在と比べて、診療時間内に医療機関に行って、診察時間を待って、お金を払って、薬局へ移動する時間、この時間的負担や金銭的負担というのは減らないまま、薬局で薬を買う金銭的負担は増えるということになると思います。この認識で間違いないでしょうか。

福岡国務大臣 御指摘がございましたいわゆるOTC類似薬の保険適用の見直しにつきましては、自民党、公明党、日本維新の会の三党の協議体の中で現在まさに御議論いただいているところと承知をしております。

 今、委員から具体的なケースを想定して御提示がございましたが、その金銭的負担については、例えば、どのような医薬品を対象として、どのような負担の在り方とするかなど、具体的な制度設計の中身によってその金銭的負担は変わりますために、予断をもって一概にその多寡について申し上げることは難しいというふうに考えてございます。

 OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについては、今後の三党の協議体での議論も踏まえまして、患者さんにとって必要な医療へのアクセスに配慮しながら、適切に対応してまいりたいと思います。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 もし薬局で薬剤師との相談の下、OTC類似薬を購入することができれば、保険で三割や一割であった場合と比べればもちろん高くはなりますが、それでも医療機関に支払う診察料がない分、相殺されますし、診療時間内に行かなければいけない、そういう手間、待ち時間、こういう負担は減りますので、私は、国民にとって利便性は高まると考えています。もちろん、多忙な医療機関の負担も減ります。これもとても大事です。

 今回の議論では、本来の零売の趣旨に沿ったものについては、やむを得ない場合に関しては零売を妨げるものではないという言葉がよく出ているのですが、私は、そうではなくて、やむを得ない場合ではなくて、日常的に安全性を担保した上で国民が便利に必要な薬を手に入れられる、そういう環境をつくりたいと考えております。いわば、零売という概念はやめて、新しいセルフメディケーションという概念にしたい、そう思っております。

 これらの理由から、正しい環境整備と新しい法体制の下で、今の零売とは違う形で、OTC類似薬を処方箋不要として薬局で購入できるようにする、これは国民にとっていいことだと考えますが、そうすべきではないでしょうか。逆に、法律で規制しようというその理由は何でしょうか。

福岡国務大臣 もう委員御承知のとおり、OTC医薬品は、薬剤師の方とかに御相談しながら購入者の判断に基づいて購入され、使用されるものであります一方、いわゆるOTC類似薬は、あくまで処方箋医薬品と同様、医療用の医薬品でございますから、原則として、適切な使用がなされなかった場合のリスクが高いため、医師等の専門家の判断の下での使用が求められるものだというふうに考えてございます。

 このため、いわゆるOTC類似薬は、緊急時等のやむを得ない場合に、医師の処方箋がなくとも、薬剤師と相談した上で必要最小限の数量を薬局で購入できることとさせていただいているものでございます。

福田(徹)委員 もちろん、安全性は最も重要だと思っております。ただ、危ないかもしれないからと何も変わらないままでは、新しい望ましい変化の機会を失うとも思っております。そして、安全性を維持しながらというよりも、できれば安全性を高めながら、何かを変えるためには、現状の確認と分析、そして根拠に基づいた議論、これが必要だと思っております。

 そして現在、もうあえて零売という言葉は使いません、処方箋医薬品以外の医療用医薬品が医師の処方箋なしで販売されているケースで、実際に問題が起こった事例、問題が起こる割合があれば教えてください。

福岡国務大臣 お尋ねがございました、医師の処方箋なしで販売され問題が起きている事例については、悉皆的に把握しているものではございませんので、その数であったり割合等についてお示しすることは困難でございますが、例えば、日常的に医療用医薬品が販売されている事例があるということであったり、医師が通常処方する数量を大きく超えた数量の販売等がなされている事例、また、複数の医薬品を組み合わせた上で効能、効果を逸脱した標榜をした販売等がなされている事例といった場合で行政指導が行われている事例を把握してございます。

 今回の改正は、こうした事例が散見されることを踏まえ、適正な情報提供や数量に基づく販売が行われるようにすることを目的とさせていただいております。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 私も、今おっしゃられたような売り方というのは大問題だと思うんですよね。ただ、そのような薬局は、正直、非常に少ないのではないかと想像しております。

 例えば零売薬局協会というところの調べでは、全国に約百店舗あるそうで、その中でも問題のある運営というのは更に一部だと想像されます。であれば、今恐らくされていると思いますが、いわゆる個別の指導でもよいのではないかと思うところもあります。

 あと一方で、たくさんの薬を買える、実は今、インターネットでいわゆる同じような鎮痛剤とかを百錠、二百錠買えてしまうんですよね。今の筋でいえば、本来はそちらにも指導がされなければいけないんじゃないかなと思っております。

 やはり、安全性について議論する材料というのがまだ少ないと思っております。今、リスクが高いから、安全性が担保できていないから規制を強めるというのであれば、安全でないという事実を確認して、原因を特定して、そしてそれを解決する施策が必要だと思っております。まだ現時点では事実の確認や原因の特定がされていない状態ですので、法律による規制というのは少し早いのではないか、そう思うことがあります。

 私、零売がいいとか悪いという議論をしたくないんですよね。それよりも、通知に従っていない時点で私もよくないと思っております。ただ、私がしたい議論は、安全性とか利便性とか健康への影響、こういうのを議論したいんですよね。薬剤師というすばらしい能力を使って、安全で、便利で、そして国民の幸せにつながるセルフメディケーションを実現する、これが私のやりたいことです。

 そして、セルフメディケーションの推進というのは、もうこれは国策です。骨太の方針二〇二四にも、セルフメディケーションの推進は明記されております。

 私は、セルフメディケーションの普及には薬剤師の力をもっと生かす必要があると思っていて、そして、薬剤師というのはそれに応えてくれると確信しております。ですので、まず、このセルフメディケーションの現状、今後の可能性について確認させてください。

 今、この国の国民一人当たりの年間外来受診回数と、その海外との比較を教えてください。そして、そのような数値になっている原因を教えてください。

福岡国務大臣 日本の国民一人当たりの年間外来受診回数は、OECDの取っている調査で人口一人当たりの外来受診回数の国際比較というのがございまして、これは各国によって調査している時点が若干ずれているところがございますが、日本はかなり、受診回数は加盟国の中で上位にあるということは間違いございません。

 我が国は諸外国に比べ、外来受診回数が多いという状況にございますが、これは、国民皆保険の下、患者さんが自由に医療機関を選んで受診できるフリーアクセスであったり、高齢化等、様々な事情が影響しているものと考えております。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 国際比較で明らかに外来受診者数が多いというのは、共通した、一致できるところだと思っております。

 では、なぜ多いのか。確かに、多くの要因があり、原因としてこれと一つに特定して、難しいとは思います。ただ、多くの要因が複雑に絡み合っている中で、本気で問題を解決しようと思えば、やはり少しずつ解きほぐして、特に重要な要因というのを見つけ出す努力はしなければいけないと思っております。

 そして、今おっしゃられたように、我が国の国民皆保険制度のおかげで自己負担が少なくて受診できることが理由の一つなのは、多くの一致した見解を得られると思います。

 そして、加えて、外来一回当たりの医療費が安いことも分かっているんですよね。つまり、これは、恐らく海外に比較すると軽微な受診が多い、このことは想像されます。そして、この中には恐らく、薬剤師の支援によるセルフメディケーションで解決できる受診、これが含まれていると思っております。

 そして、おっしゃったように、高齢者の受診回数が多い。これもほぼ間違いなく、高血圧などいわゆる慢性疾患が多いからだと思っております。これも、薬剤師の支援によるリフィル処方箋の活用で改善できると思っております。

 今日、岡本議員もおっしゃられたように、リフィル処方箋というのは二〇二二年から始まった制度で、症状が安定した患者さんで、医師が可能と判断した場合において、一通の処方箋で、外来受診せず、最大三回まで繰り返し薬を受け取れます。特に安定した高血圧や脂質異常症で使える制度です。通院の負担や医療費の負担を減らせます。

 岡本議員への答弁で、リフィル処方箋が使われている割合、〇・〇七%と確認できましたが、海外との比較は分かりますでしょうか。そして、これほどまでに低い原因は何でしょうか。

福岡国務大臣 恐縮ですが、諸外国におけるリフィル処方箋の使用率については把握してございませんが、例えばイギリスにおいては、慢性疾患の患者を対象として、医師、患者、薬剤師との合意の下、医師がおおむね六か月間有効なリピータブル処方箋を発行し、薬剤師が処方変更の必要がないかを確認した上で調剤する仕組みがあるというふうに承知をしております。

 リフィル処方箋の活用がこの日本において進んでいない理由といたしましては、症状が安定しておられる患者さんに対して、リフィル処方箋ではなく長期処方で対応できている現状があるとともに、患者さんのこの制度への認知度の低さが指摘されてございます。

 令和六年度診療報酬改定におきまして、かかりつけ医機能に関する診療報酬を算定する医療機関には、リフィル処方や長期処方が可能であることを患者さんに周知するように求めることとしたほか、政府広報も活用いたしまして積極的に周知広報に努めているところでございまして、引き続きリフィル処方箋の認知向上に向けて取り組んでまいりたいと思います。

福田(徹)委員 〇・〇七%というのは、本当にほとんど使用されていないことが分かります。そして、国際比較は難しいとおっしゃいましたが、私の周りには海外で医療をした経験がある人間がたくさんおりまして、そういう者の感覚からすると、かなりやはり日本は少ないというのが事実だと考えております。

 そして、その原因として、中医協の令和五年十一月十日の資料では、リフィル処方箋を使用しなかった理由は、一番が患者からの求めがないから、二番が長期処方で対応が可能だったからと書かれておりました。

 まず、患者の求めがないからについてですが、同じ中医協の患者調査で、八〇%の人が医師からの説明を受けた経験がないと答えているんですよね。リフィル処方箋について知らせていなければ、当然求めがあるはずがありません。これは大きな問題だと思っております。見方によっては、受診回数を減らさないためにリフィル処方箋を教えていないんじゃないかという見方をされてもおかしくない状況だと思っております。やはり徹底した周知が必要だと思います。

 そして、骨太の方針二〇二四には、リフィル処方について、活用促進に向けて、阻害要因を精査し、保険者からの個別周知等による認知度向上を始め機運醸成に取り組むと書かれています。もちろん、保険者からの周知も大切だと思います。でも、やはり、目の前にいる医師が周知することももっと大切だと思うんですよね。

 ただ、今は、経済合理性上、それはなかなか難しいかもしれない。であれば、本来はリフィル処方箋でよい患者の数で報酬を確保するのではなくて、もっと価値の大きい医療で報酬を得られるような制度設計にすることで、医師が価値の大きい医療により前向きに取り組めるんじゃないのかなと思っております。そして、そういう政策が必要だと思っております。

 また、長期処方で対応が可能だったからという理由も、かなり疑問に感じるんです。というのも、途中で何のチェックも入らない長期処方より、途中で薬剤師によるチェックが入るリフィル処方箋の方が安全性は高いはずなんですよね。長期処方で対応が可能、つまり、長期処方をすればリフィル処方箋と同じだという考えには、薬剤師によるチェックの重要性、薬剤師の能力というのが全く考えられていないように感じます。やはり、安全性を理由に、長期処方ではなくリフィル処方箋を選ぶ、こういう医療が望ましいんじゃないのかなと思っております。

 ほかに、医師の判断が必須だったからという回答もありました。ただ、ちょっと不思議なのが、この回答は病院より診療所の方が多いんですよね。一般的には、病院の方が重症度が高くて、医師の判断が必須のことが多いはず。でも、逆の結果になっています。これも、恐らく、薬剤師による支援があれば解決できる可能性が高いのではないかなと思っております。

 これらの状況から、薬剤師の能力を生かしながら、もっともっとリフィル処方箋を増やしていけると確信しております。

 大臣にお聞きします。

 リフィル処方箋の普及率の目標値と期限がありますでしょうか。教えてください。

福岡国務大臣 昨年六月に開催されましたデジタル行財政改革会議におきまして、リフィル処方のKPIの設定と進捗モニタリング改善に取り組んでくださいと総理からの指示があったところでございます。これを踏まえまして、今後、医療の効率的な提供を推進していくため、リフィル処方箋に関する具体的なKPIの設定を検討し、必要な対応を行ってまいりたいと思います。

 しっかり、今、現状を精査するということは委員の御指摘のとおりでございますし、医師からお伝えいただくというのも当然ですが、先ほどおっしゃった経済合理性の話もありますから、保険者も含めて、様々なところから、そういう制度があるということの周知を図っていくということも大変重要なことだと思いますので、総合的に進めてまいりたいと思います。

福田(徹)委員 多分、恐らく、現時点では明確な数値目標と期限、いつまでに決めるというものはないということですね。ただ、これは骨太の方針が決めた方針ですので、是非、数値目標の設定と実効性のある取組をお願いしたいです。

 ただ、今回の法改正で、薬剤師の能力を生かす前向きな取組もあります。健康増進支援薬局の特徴、そして求められる役割を教えてください。

福岡国務大臣 健康増進支援薬局は、現行の健康サポート薬局が提供するサービスにつきまして、その質や安全が確保され、一般に認知されやすくなることを目指し、今般の改正において、都道府県知事による認定制度を導入するものでございます。

 この健康増進支援薬局は、行政や地域の薬局等と連携し、健康サポートに関する取組を実施することや、地域住民からの健康の維持増進に関する相談を幅広く受け付け、薬剤師が、セルフケア、セルフメディケーションに関する助言であったり、地域の関係機関に適切につなぐといった対応を実施することなどの機能を持つことが必要であると考えてございます。

 この健康増進支援薬局を中心に、地域の関係機関と連携しながら、薬局による地域住民の健康維持増進に関する取組が適切に実施されるよう、必要な取組を推進してまいりたいと思います。

福田(徹)委員 地域住民による主体的な健康の維持増進を積極的に支援する薬局とのことで、まさに正しい方向だと思っております。

 令和六年三月二十五日、第三回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会の資料にすばらしいビジョンが書かれております。門前からかかりつけ、そして地域へというビジョンです。医療機関の隣にある、いわゆる門前薬局で、医療機関から処方された処方箋に従って薬を渡すという仕事から、かかりつけ薬剤師として人の健康を支える、さらに、地域の健康を支える、そういう仕事を目指しています。すばらしいと思います。

 現状、今、少し体調が悪いなというときに、薬局で薬剤師に相談してみようという方がどれほどいるでしょうか。薬剤師には今も能力があります、今もできることがあります。そして、もっともっと能力は高められるし、もっともっとできることがあると思っております。

 これは医療費削減の話ではなくて、最初に来るのは人の能力の話です。私たち日本が強くなるためには、一人一人が成長するしかありません。例えば、外科医は更に難しい手術ができるように、私たち救急医は更に困難な症例を救命できるように、そして看護師はもっともっとレベルの高い看護ができるように、そして薬剤師はもっともっと患者の健康や病気の治療に貢献できるように、それをこの国が後押ししなくてどうなりますでしょうかね。

 私たち国民民主党は、人づくりこそ国づくり、人の能力を高めることがこの国を成長させる、そして世界に貢献できる、それだけではなくて、その人自身を幸せにすると信じています。

 私の提案は、これです。人の成長を止めてしまう政治はやめましょう。そして、人の能力を高める政治をしましょう。これが私の提案です。

 最後に、大臣、通告のない質問で本当に申し訳ありませんが、一つだけお聞かせください。

 薬剤師は、この国の医療にとって大切な働きを担っておられます。そして、薬剤師の皆様の能力を、人の命、人の健康、人の幸せのために、もっともっと使っていただきたい。このことに賛成いただけますでしょうか。

    〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕

福岡国務大臣 薬剤師の方が大切な役割を担っていただいているというのは、委員と全く同じ認識でございます。その専門性をどうやってその地域の中で生かしていただくか、そのことの取組の在り方について、私どももしっかり検討を進めてまいりたいと思います。

福田(徹)委員 ありがとうございます。一緒に応援させてください。

 終わります。

長坂委員長代理 次に、森ようすけ君。

森(よ)委員 国民民主党の森ようすけでございます。

 本日は、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今回の法案では、医薬品の品質、安全性の確保の強化策でしたり、安定供給体制の強化に関する規定などが設けられているところでございます。医薬品をめぐっては様々な不正事案が起きていたことや供給不足が生じていたことを踏まえて、こうした改正の方向性については理解ができるものでございます。

 一方で、採算が取れないような価格にまで薬価が引き下がってしまっている実態を是正しないことには、根本的な解決にはつながらないのではないでしょうか。薬価の中間年改定も含めて、薬価が削られやすい傾向にあることが、昨今の医薬品不足や不正事案の発生の大きな要因になっていると考えております。

 品質の高い医薬品を安定供給するためにも、必要な人材の確保、設備投資を事業者側が実施するためには、もちろんその分の経営コストが発生するわけです。公定価格で単価が決まる市場ですから、こうした体制整備も考慮した上での薬価の設定が重要になってくるというふうに考えているところです。

 先日の日経新聞に、重要薬の八割、配送採算割れ、抗生剤など安定供給リスク、こうした記事がございました。医薬品の卸の会社が抗生物質など医療上不可欠な薬の八割を採算割れで配送している、薬の原価でしたり配送にかかるコストを納入先の医療機関などに十分に価格転嫁ができていない実態がある、こういうふうに報道がされているところでございます。これは卸に関する記事ではありますが、薬価の見直しの影響も受けて、医薬品業界全体で経営体力がなくなってきている現状だと認識しております。

 そこで、まず福岡大臣にお伺いいたします。

 今回の法案に規定する医薬品の品質や安全性の確保、安定供給体制の強化、活発な創薬が行われる環境整備は重要なことではありますが、根本となる医薬品産業の基盤強化に向けて、どのような取組を政府として行っていますでしょうか。お願いいたします。

福岡国務大臣 おっしゃったとおり、薬価というのは大変大きな要素でございますが、そこは、国民皆保険の維持であったり、また、御党も提唱されています保険料の水準の在り方、また、それと併せまして、今おっしゃったように、イノベーションを適切に評価するということであったり、今、供給不足の話もございますから、こうしたことを総合的に勘案して判断していく必要がございます。

 この基盤をどうやって強化していくかということにつきましては、医薬品の品質や安全性の確保を前提といたしまして、安定供給体制の強化、創薬力の強化に取り組む必要があると考えてございます。供給不安の解消に向けては、これまで、企業に対する増産の働きかけ、増産体制整備への補助であったり、薬価においても、不採算品再算定といった下支えする仕組みに順次取り組んでございます。

 本法案におきましても、新たな基金を設け、後発医薬品の品目統合、事業再編の支援を行うなど、産業全体の生産性の向上を図る取組を進めていきます。

 続きまして、創薬力の強化に向けましては、研究開発から薬事承認のプロセスであったり薬価の評価まで、各段階で総合的な見直しを行っていく必要がございまして、これまでも、海外で臨床開発が先行する中で、国際共同治験を実施しようとする場合に、国際共同治験開始前に実施を求めておりました日本人第一相試験を原則として不要とする見直しを行ったほか、令和六年度薬価制度改革におきまして、革新的医薬品のイノベーションの適切な評価等を行ってきたところでございます。

 この法案におきましても、基盤強化のため、革新的な新薬の実用化を持続的に支援するための基金の設置も盛り込んでございます。

 これらの施策を総合的に講じていきながら、我が国医薬品産業の基盤強化に取り組んでまいりたいと思います。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 やはり、一つで解決する問題ではなくて、総合的にやっていくことが大変重要だと考えております。その中でも、特に、私たち国民民主党、今回、薬価の中間年改定の廃止法案も共同提出しておりますが、この中間年改定というのが医薬品産業において大きなダメージを与えていると思いますので、この中間年改定も含めて、総合的にしっかりと取組を期待できればというふうに考えております。

 それでは、今回の法案に関する質問に移らさせていただきます。

 まず、薬剤師の遠隔管理下での医薬品販売を可能にする点についてお伺いいたします。先ほど、維新の会の梅村委員からも同じ質問があったんですけれども、かぶるところは多いんですけれども、重要な点だと思いますので、お伺いさせていただければと思います。

 今回、薬局の機能強化として打ち出されているわけですが、非常に便利になるなというふうに感じております。皆さんもよく経験されていると思うんですけれども、体調を崩して、仕事帰りに薬局であったりドラッグストアに行こうと思ったら、もう薬剤師が帰ってしまっていて、薬が買えなくて不便だなとか思ったり、あと、家の近くの開いている薬局にたまたま行っても、薬剤師がいると思っていたらもう帰ってしまっていたとか、結構こういうことが私は経験することが多くて、なかなか薬が欲しいときに買えない環境が今あって、不便だなとよく思っているところでございます。

 今回の規定においては、薬剤師や登録販売者がいない店舗においても、医薬品の店舗販売業者が遠隔で管理を行えば一般用医薬品の受渡しができることになっております。これはコンビニで二十四時間薬を買うことができるようになるような規定でありますので、また、将来的に人口減少が進むような地域において薬へのアクセスをしっかり担保していくという観点からも、非常にいい取組だなというふうに考えております。

 一方で、これも梅村委員から指摘があったんですけれども、薬の受渡しに関しての詳細な事項が下位法令に落ちていて、法律上はなかなか読み取れないところが今課題だなというふうに感じているところでございます。

 まず、店舗販売業者が受渡し業務を委託できる店舗の数についてお伺いしたいと思います。

 委託できる店舗の数が多ければ多いほど、管理店舗からすれば効率的に医薬品販売業務を行うことができます。その一方で、安全な店舗運営が本当にできるのかというような懸念はもちろんあるというふうに承知しております。

 先ほどの答弁の中でも、あと、これまでの検討会の中でも、委託できる店舗の上限については実証を踏まえて検討していく、こうしたことが方針として打ち出されていると承知しております。どのような実証を行っていくのかについては不明なわけですけれども、委託先の管理能力というのは事業者によって大きく異なってくると考えております。

 例えば、遠隔管理の運用の効率化をどれだけ取り組んでいるのかでしたり、どういったシステムを入れているのかでしたり、医薬品販売を専業にしているのか専業にしていないのか、専任の資格者を置くかどうか、こういったいろいろな要素が絡み合って、管理できる店舗数というのはそれぞれ事業者によって大きく違ってくると考えております。

 例えば、ある事業者が、管理店舗の資格者一人で安全にどれだけ店舗運営ができるかというような実証実験をしたようなことを聞いたことがございます。この事業者は、効率的なシステムを導入して、一人の管理者で二百店舗ぐらいの店舗をうまく、特に異常なく、実証ではありますけれども運用することができた。それで、大きな待ち時間も特に発生しなかったというような声を聞いているところでございます。

 一方で、効率的なシステムを導入していないと管理できる店舗数は少なくなるわけですから、実証実験を基に上限店舗数を検討するという方針ですと、なかなか医薬品の、上限数の規制が厳しくなり過ぎるんじゃないかなというふうに懸念しているところでございます。

 そこで、福岡大臣にお伺いさせていただきます。

 仮に、委託できる店舗数に上限を定める場合には、事業者でしたり地域を問わずに一律に定めるのではなくて、事業者ごとの能力や実態を踏まえて上限設定をするような柔軟な制度とすべきと考えますが、大臣の御見解をよろしくお願いいたします。

福岡国務大臣 今回の改正案の遠隔販売につきましては、一つの薬局、店舗販売業が医薬品の登録受渡し店舗を委託できる店舗の数を検討するに当たっては、委託者が登録受渡し店舗を適切に管理できるかどうかということが前提となっております。

 御指摘の点も含めまして、遠隔によります一般用医薬品の販売、管理に関する要件につきましては、今後、実証事業を行っている事業者を含めた関係者からの御意見であったり実施状況等も踏まえて検討の上、今回の新たな枠組みを適正に実施するための具体的な対応等に関する指針を策定し、お示しをしていきたいというふうに考えております。

 その中で、委託者が登録受渡し店舗を適切に管理するために生じる業務負担も勘案しながら、委託可能な店舗数の上限の目安をお示しすることを想定をしてございます。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 適切に管理できるかどうかというのは、非常に重要なところだと思います。今後、指針も設けられるということなんですけれども、基準を下でそろえるのではなくて、頑張っているところをしっかりと評価できるように、上の基準もしっかり広く見てあげて、利便性の高い改正ですから、より利便性が高い制度となるように是非とも検討をお願いできればと思います。

 続きまして、受渡し店舗での陳列の方法についてお伺いいたします。

 こちらについても省令に委任されているわけですが、薬の陳列に当たっては、本制度の活用促進の観点からも、医薬品そのものがユーザーからはっきり見えるところに置いてあることが重要であると考えております。

 もちろん、資格者のいない店舗において、誰でも手に取れるところに医薬品が置いてあるというのは安全性の懸念があると思いますが、手が届かない場所であっても、お客さんの目に入る場所への陳列、例えばレジのカウンターの奥とか内側、そういったところに置くことで、安全かつユーザーへの認知も広がるというふうな陳列方法ができるというふうに考えております。

 検討会においても、顧客の手の届かない場所での保管というような考え方は一つ示されておりますが、陳列方法について具体的にどのようなことを想定されているか、大臣の御見解をお願いいたします。

福岡国務大臣 先ほどのやり取りの中でもこういった話題はございましたが、本法案におきます遠隔管理下での医薬品販売に関して、実際に患者さんに医薬品を受け渡す登録受渡し店舗での医薬品の陳列を行う場合には、委託を行う薬局であったり店舗販売業が、医薬品の管理に必要な事項として、委託先の登録受渡し店舗に向け指示を行うことを想定をしております。

 委託に当たって適切な医薬品管理を行うために必要となる事項については省令で規定することとしておりますが、その具体的な内容につきましては、今御紹介がありました検討会の取りまとめでは、顧客の手の届かない場所での保管を行うべきであるとされたことであったり、また、デジタル技術を活用することにより遠隔での管理を可能とする本制度の特徴も踏まえながら、今後検討を進めてまいりたいと思います。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 デジタル技術を活用というその方向性はいいと思うんですけれども、それは何か、あくまで選択できる規定にした方がいいと思っていて、デジタルサイネージでの展示じゃないと絶対駄目ですよというとやはり利便性が損なわれてしまうので、実物を置いてもいいですし、そういったデジタルを使って展示、陳列してもいいですしみたいな、そういった選択ができるようなことにすることで利便的な制度になると思いますので、そうしたことも踏まえて是非検討をお願いできればと思います。

 次に、登録受渡し店舗への医薬品の配送方法についてお伺いいたします。

 現行の薬機法においては、卸売販売業者は、医薬品の店舗販売業の許可を受けた店舗以外に納品することは想定していない規定になっているかと思います。販売することと納品することというのは別のことだとは思いますので、こうした法律の規定ではありますけれども、例えば、管理店舗に対して販売をして、配送先と納品先を受渡し店舗にするということは、法技術的に別に問題はないのかなというふうに思いますが、いずれにせよ、ちょっと曖昧な規定になっているなというふうに認識をしております。

 これができない状態になると、委託元の店舗販売業者にまず納品をして、その店舗から登録受渡し業者に配送することになるので、配送コストが二重にかかって、余計なコストがかかってしまいますから、そういったコストは消費者に転嫁されるものですから、やはり、医薬品をしっかりと安価に適切に購入できる環境をつくる上でも、こういう二重のコストが発生するような仕組みにするのはよくないものだというふうに考えております。

 そこで、福岡大臣にお伺いいたしますが、医薬品の配送方法について、卸売販売業者から直接受渡し店舗に納品できるようにすべきだと考えますが、御見解はいかがでしょうか。

    〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕

福岡国務大臣 この法案におけます遠隔販売の仕組みにつきましては、医薬品の管理責任は一義的には委託側にあるものでございますが、他方で、物流上の効率化の観点からは、委員が今御指摘ございましたように、卸売販売業者が登録受渡し店舗に直接納入できるようにすることも重要との御意見があることについては承知をしてございます。

 こうした関係者の方からの御意見も踏まえながら、委託関係の中で医薬品の管理責任をどのように担保するかといったことも念頭に置きながら、卸売販売業者から登録受渡し業者に直接納入を行う場合も含めまして、納品に当たっての管理要件についても検討を進めてまいりたいと思います。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 私が今指摘させていただいた三点が、大きく、いかに効率的に利便性の高いシステム、制度になるかという大事なところだと思いますので、是非、安全性ももちろん大事ですけれども、制度がより広まるような観点も大事にしていただきながら御検討を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、ドラッグロス対策についてお伺いいたします。

 今回の法案では、より活発な創薬が行われる環境の整備、こうしたことで、条件付承認制度の見直しでしたり、医薬品の開発計画の策定の努力義務化、基金の創設などが規定されているところでございます。こうした方向性について、望ましいものだというふうに考えております。

 法案に規定されていることではないんですけれども、厚労省さんにおいて、先月の三十一日に、七十八品目のドラッグロスをめぐる対応方針、こうしたものが発表されたところでございます。患者にとって必要な医薬品が日本で承認されていない問題の解消に向けた重要な一歩であるというふうに捉えております。

 こうした品目については、今後、未承認薬・適応外薬検討会議において医療上の必要性を評価して、必要性が高いと判断された医薬品については企業に対して開発要請が行われるというような段取りだと思います。開発要請を受けた企業は、自社の判断と負担で開発、申請、薬事承認を行うことになりますが、開発の大きな動機は政府から要請があったことかというふうに推察されます。

 しかしながら、これまで、要請を受けて開発した一方で、薬事承認の後に保険適用とならないような品目が一部存在していると承知をしております。医療上の必要性があるのかどうかと、それを保険適用にすべきかどうかというのは別々に考えるべきではありますが、政府から開発の要請をしている以上、その医薬品の出口についてもある程度責任を持って担保することが必要だと考えております。

 こうした医薬品は予防分野が中心なわけですが、保険適用しないにしても、予防接種、予防投与の助成や推奨など、開発、承認の後の出口についても国として見据えた上で開発要請をすることが重要ではないでしょうか。出口が担保できない開発要請の事例が増えてくると、開発要請に協力してくれる企業数も減ってくると思いますので、そうしたところ、しっかりと出口も見据えた上での開発要請というのをしていただきたいと考えております。

 福岡大臣にお伺いいたします。

 国からの開発要請が企業に対してされたにもかかわらず、保険給付の対象としないことも含めて出口を担保しないことは、製薬企業にとって、予見性の欠如という観点から、ドラッグロスの解消を妨げる要因になるのではないかというふうに考えておりますが、御見解、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 国から企業に対します開発要請は、未承認薬検討会議において医療上の必要性が高いと判断された医薬品に関して行っているところでございますが、これまで開発要請を行った疾患の予防に係る医薬品の中には、委員が御指摘ありましたように、保険適用がなされなかった品目も存在するということは承知をしております。

 委員が御指摘ありましたように、国として企業に対し開発要請を行う以上、医薬品に対するニーズであったり医療上の必要性に加え、開発に要する費用が回収され、継続的に供給されることも考慮する必要があるというふうに考えております。

 このため、今後、未承認薬検討会議を経て開発要請若しくは開発公募を行う医薬品に関しましては、委員が出口戦略とおっしゃいましたが、そういったことを含めて、製薬業界とも相談を行いながら対応を進めてまいりたいと思います。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 前向きな答弁をいただいたと思っています。出口戦略について、しっかりと業界と相談した上で要請をしていくという、このプロセスを是非大切にしていただければと思います。

 一つ質問を飛ばしまして、次に、市販薬の乱用防止についてお伺いいたします。

 この法律においては、二十歳未満に対しては、多量の販売を禁止して、小容量の販売においても対面やオンラインでの販売を義務づけております。二十歳以上に対しては、多量の販売をする際に対面等での販売を義務づけている、こうした規定になっております。

 市販薬の乱用が問題になっておりますので、こうした措置は必要なものだと認識しておりますが、気になるところが、二十歳を境に規制内容を変えているところでございます。

 昨年、厚生労働省の研究班が実施した調査によると、せき止め薬でしたり鎮痛剤などの市販薬を過去一年間に乱用目的で使った経験がある方は〇・七五%、六十五万人程度と推計をされております。そのうち、年代別に見ると、最も割合が多いのが十代の一・四六%、次いで五十代の一・二四%の順に多いわけです。この結果を見ると、必ずしも若年層だけの問題ではないのではないかというのが研究結果からも読み取れるかと思います。

 若者からすると、五十代も同じような割合で乱用の問題が起きているのに、何で若者だけ厳しい制限を設けているんだ、選挙権がなくて厳しい制限を導入しやすいからと若者から思われても仕方がないような規定になっていると思います。

 そこで、質問ですけれども、今回、二十歳を境に規制内容を変えておりますが、年齢で差を設ける合理的根拠はあるのでしょうか。これは、年齢によって差を設けることについて反対しているわけではなくて、若者に対してその合理的な理由をしっかり発信することで理解が醸成されると思いますので、そうした観点からの質問でございます。よろしくお願いいたします。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会でありますとか医薬品販売制度検討会の議論におきましては、乱用の実態につきまして、医薬品の過剰摂取に起因する健康被害による救急搬送事例は、乱用の実態を反映して、十代と二十代のみ、ここ数年で増加をしていること、市販品の乱用経験のある人は全年齢層の〇・八%でございますが、高校生では一・六%と約二倍であるといった調査結果があること、社会的な状況として、学校等での教育、啓発を考えた際に、高校生全体を捕捉できる対象が望ましいこと、飲酒、喫煙を許容する年齢も一定程度身体が成長していることを目安に二十歳を採用しているところ、医薬品についても、身体作用をもたらすものであることを踏まえて、二十歳とすべきとされたところでございます。

 他方、委員御指摘のとおり、五十代などの年齢層におきましても乱用されているとの調査結果もございますことから、今回の法改正においては、そうした年代の方であっても、大容量製品や複数個の購入希望者に対しては対面又はビデオ通話等のオンラインでの販売を義務づけるなど、販売規制の強化を行うこととしたところでございます。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 今みたいな根拠がしっかりあると思いますので、そうしたことについてしっかりと発信をお願いできればと思います。

 私、今三十歳なんですけれども、二十歳と十歳差があるんですけれども、でも、若者からすると、何か政治、政策が結構若者に厳しくやっているんじゃないかという思いも私自身持っているので、やはり二十代以下の若者が、また何か自分たちだけ厳しいことをやられるのかというふうに思わないように、しっかりと情報発信をお願いできればと思います。

 それで、今回の規定は、乱用防止につながるのはもちろんでございますけれども、多量に市販薬を購入しようと思えば購入できる規定になっていると思います。販売に当たって、身分証の確認は行うと思うんですけれども、個人情報は保管せずに、過去の購入履歴の記録も行わないような方針になっているというふうに承知をしております。例えばなんですけれども、購入した次の日に同じお店に行ってまた購入をしたりとか、あと、同じ日であっても、近所の違うお店に行って同じ医薬品を買うことはできるような決まりになっている。できる決まりというか、抜け道としてそういうのはでき得る規定になっていると思います。

 もちろん、厳しくやろうとすると、事務コストが発生したりとか、あと、個人情報や販売情報を記録するシステムも必要になるので、現実的にどこまでできるのかという問題はあると思うんです。ただ、検討会の取りまとめでも、中長期的にはマイナンバーカード等を活用する可能性についても検討すべきであるというふうな指摘もなされているところでございます。

 そこで、お伺いいたします。

 実効性ある頻回購入対策とするためには、今回の見直しによる効果も踏まえつつ、購入履歴を一元的に管理する仕組みなどの検討も必要であると考えますが、中長期的にどのように考えているか。いかがでしょうか。

城政府参考人 医薬品販売制度検討会の取りまとめにおきましては、御指摘いただきましたように、できるだけ早期に購入履歴の一元管理を行い、複数店舗での重複購入を防止する仕組みを導入することの検討が、乱用防止の実効性を高める観点から、中長期的にはマイナンバーカード等を活用する可能性について検討すべきである旨が議論をされたところでございます。

 他方で、現時点では、その一元管理を行う主体等の検討課題がございますことから、マイナンバーカードの活用を含めまして、一般用医薬品等の購入履歴の一元管理を行っていくことについて引き続き検討してまいりたいと考えております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 今回の見直しの結果も踏まえて、余り効果がない見直しであった場合はより深めていくというようなことも大事だと思いますので、そうした検証もしっかりとお願いできればと思います。

 今回の法案で規定されている医薬品の品質や安全性の確保、安定供給体制の強化などのこういった環境整備を進めることは重要なことでございますので、今回指摘させていただいたことも含めて、実効性を持って是非進めていただくことを期待できればと思います。

 少し早いですけれども、以上でございます。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 れいわ新選組の高井崇志でございます。

 予定より大分早く番が回ってきましたので、失礼いたしました。

 また、今日はれいわ新選組に三十五分という時間をいただき、本当にありがとうございます。ふだんは八幡愛委員が委員なのでありますけれども、八幡委員は農水委員会とも、彼女はまだ一期生なんですけれども、農水委員と両方やっておりまして、かなりハードワークでございまして、この薬機法については私が担当ということで、昨日の参考人質疑と今日質疑をさせていただきます。

 実は、厚生労働委員会は久しぶりに、五年ぶり、五年前は厚生労働委員会に所属しておりまして、田村大臣、ちょうど今いなくなっちゃいましたけれども、当時、田村さんに相当かみついて質問しました。あと、厚労委員会は本当に大変ですよね。所掌も広く、また時間が、夕方五時まできっちりやるという、なかなかこんな委員会は珍しくて、すごい委員会だなと。本当に大臣には御苦労さまでございます。

 それでは、今日はまず、法案の質疑に入る前に、せっかくこれだけお時間をいただきましたので、少し大きな医療全体の話をさせていただきたいと思います。

 今、やはり国民の皆さんの一番関心があるところは、自民、公明、維新の三党によって合意がなされて、予算賛成への条件だったんだろうと思いますけれども、医療費の四兆円削減という、これは大変衝撃的な数字を維新の会が提案をされ、どこまで合意されたのかは詳しく分かりませんけれども、報道によればおおむねそういう方向で進んでいっているというようなことを聞いているわけですが、政府としてこの医療費の四兆円削減というのはどう受け止めておられるのか、大臣にお聞きします。

福岡国務大臣 大分、予算委員会等でも議論がありましたが、日本維新の会が公表しました改革案で、国民医療費の総額を年間で四兆円削減することによって、現役世代一人当たりの社会保険料負担を年間六万円引き下げるとされていること、このほかにも、ほかの自公もそれぞれの改革案を示した上で、それぞれを念頭に置いて、保険料負担を含む国民負担を軽減するための具体策について、三党の協議体で議論が進められているものと承知しています。

 こうした三党の協議体での議論も踏まえる必要はありますが、所管をする厚生労働省といたしましては、必要な保障が欠けることがないよう、見直しにより生じる医療現場や患者さんへの影響も考慮しながら、適切に対応してまいりたいと思います。

高井委員 お決まりの答弁だと思うんですけれども、でも、今聞いていても、必要な医療が減らされないようにしながら、四兆円、約一割という金額を減らすというのは、これは無理なんじゃないですか。どうやってそれをやるんですか。

福岡国務大臣 ですから、そこはそれぞれの党のお考えを念頭に置きながら、ただ、必要な医療が欠けることのないよう、どのような解決ができるかということについて、まさに公党間で御議論をいただいています。

 私たちとしても、そこで、成案が得られていく議論のプロセスの中で、必要な保障が欠けることがないかどうか、そういったことについてはしっかり精査していく必要があると思います。

高井委員 何か聞いていると、ちょっと夢物語というか、できもしないことを、二つの相矛盾する、四兆円削減と必要な医療が欠けることがない、そういう二つを何か国民の皆さんに提示して、これは多分一緒にならないというか、解はないんじゃないかと思いますけれども、だけれども、そういったことを何か示しながら、私はちょっと国民をだますようなことになりかねないんじゃないか、そういうことで何かできるかのようにして三党で協議をして、できもしないことを協議をしていくふりをしていることになるんじゃないか。今の大臣の答弁を聞くと、やはりそう思わざるを得なくなるわけですね。

 あと、三党が主体的に協議をするんでしょうけれども、やはり医療に対して責任を負っているのは厚生労働省ですから、是非そこは、政府・与党は一体でしょうから、きちんと厚生労働省の考えが与党の自民党、公明党には伝えられるのかと思いますけれども、そこは本当に、ゆめゆめ、必要な医療が欠けて、何か医療費だけを削減して、そして社会保険料が、もちろん社会保険料が下がるのはいいことなんですよ、我々は社会保険料の引下げを明確に訴えていますが、その財源は国債だと明確に言っています。私は、国債でやった方がいい。でも、医療費を削減してやるんだともしおっしゃるのであれば、必要な医療が欠けることがないということを再三答弁されていますので、しっかりそこは、本当に自民党、公明党の皆さんもよくかみしめて協議をしていただきたい。ゆめゆめ、国民の皆さんを欺くようなことのないように進めていただけたらと思います。

 関連して、次の質問ですが、二月十七日の予算委員会で石破総理は、OTC類似薬の公的保険給付の在り方の見直し、それから能力に応じた負担の徹底、それから医療のデジタル化による効率的で質の高い医療の実現、この三点を二六年度から具体的措置を実行するというふうに答弁されていますが、これを本当に二六年度から、しかも具体的措置を実行していく考えなんでしょうか。

福岡国務大臣 今御紹介がありましたように、三党合意におきましては、三党の協議体において、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し、現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底、医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現を含め、保険料負担を含む国民負担を軽減するための具体策について検討を行うこととされておりまして、現在、三党の協議体で議論が進められているものと承知をしております。

 この三党協議による具体策につきまして、政府といたしまして、令和七年末までの予算編成や診療報酬改定の過程で論点の十分な検討を行い、早期に実現可能なものについて令和八年度から実行に移したいということを申し上げておりまして、そこに出てきた内容をしっかり精査した上で、早期に実現可能なものがあればそれは速やかに実行に移していく、その旨を述べさせていただいたものでございます。

高井委員 予算委員会でもそうおっしゃったんですかね。報道だとそういうことは書いていないので、報道を見た人は二六年度からやるんだと思うわけですが、今の大臣の答弁を聞いていると、恐らくやらないんだろうな、やれないんだろうなとむしろ思いますけれども。

 私はやるべきじゃないと思っていますから。四兆円削減なんかやるべきじゃないし、今言ったようなことも、やれるものは二六年度からということですけれども、これも何かやはり国民の皆さんをミスリードすることになりはしないかな、そういうことをやっていくというふうに思わせておいて、実はやれませんと。

 これは、申し訳ないですけれども、この間の自公と維新あるいは国民民主党との三党合意なるものを見ていると、見ている方は、ああ、何かやるんだと思うけれども、よくよく細かく見てみると、あるいは今みたいに質問して大臣が答弁をすると、できるものからやりますみたいな感じで、結局いつできるのか分からないし、結局はできないんじゃないかなと思わざるを得ませんので、是非、そういう国民の皆さんに誤解を与えるような言い方はなるべくしないようにしていただきたいと思います。

 その上で、もう一つ大臣に聞きますが、これもかなり大きなテーマになりました高額療養費の問題ですが、これは、昨日、天野参考人が来ていただきまして、私も、悪性リンパ腫で私の元秘書が亡くなったという話もさせていただいて、天野さんからは本当にありがたい言葉をいただきましたし、また、今超党派の議員連盟も立ち上がって、この高額療養費の話は超党派で議論していこうと。

 いい流れだとは思うんですが、ただ、ずっと天野さんも言っておられるし、患者団体の皆さんがおっしゃっているのは、やはり自分たちの声をちゃんと、審議会がいろいろな大事なことを決定していくので、審議会の場で、できれば審議会の委員にしていただいて、オブザーバーでもいいですから入れていただく。それがもしどうしても駄目なのであれば、きちんと審議会でそういった患者団体の方のヒアリングなりをして声を聞くという場をきちんと設けるべきだと考えますけれども、大臣、いかがですか。

福岡国務大臣 私も、今回、この高額療養費の見直しに当たりましては、天野さんを含めます患者団体の皆様と複数回面談をさせていただきました。

 御指摘がありました具体的な今後の運びにつきましては、まさに今後検討することとしておりますが、議論の場といたしましては社会保障審議会医療保険部会を想定してございます。議論の際には、患者団体を始めとした関係者の皆さんから御意見を丁寧に伺うことといたします。その際、どのような形で御意見を伺っていくかということについては、今時点で決まっているものはございませんが、できる限り早めにお示しできるように整理をしていきたいというふうに考えております。

高井委員 これは本当に是非聞いていただきたい。やはりそこを十分聞けなかったことが今回の予算委員会の混乱にもなっている原因だと思いますので、そこは福岡大臣が一番肝に銘じられたと思いますので、是非そこは話を聞く手続というのを徹底してやっていただきたいと思います。

 ちょっと通告していないんですけれども、れいわ新選組は、これは見直しじゃなくて凍結だ、凍結というか、やらないということを主張していますけれども、大臣、そうしていただけませんか、凍結できませんか。

福岡国務大臣 方向性が今の時点で定まっているわけではございませんで、まさに今後、審議会において、そういったいろいろな関係者の方、それは当然患者団体さんの声も伺いながら、その方向性について議論を行っていきたいというものでございまして、現在においてそういった方向性が定まっているものでもございませんし、その方向性についてはそこの審議会において御議論いただくべきものというふうに考えております。

高井委員 今の答弁だと、じゃ、凍結もあり得るということでよろしいですね、可能性として。

福岡国務大臣 そこは様々な選択肢があろうかというふうに思います。

高井委員 凍結というか、撤回ですよね。撤回もあり得るということでいいですか。

福岡国務大臣 まさにニュートラルな形で御議論いただくために、一つ一つの選択肢に、それがある、ないということを申し上げると、議論をミスリードする可能性もございますので、そういう意味では、あらゆる選択肢があるということでございます。

高井委員 ありがとうございます。撤回もあり得るという御答弁でしたので、我々はそれを主張して、これから議論をしていきたいと思います。

 それではもう一つ、医療全体の話で最後に、いろいろな党から、特に去年の衆議院選挙でこの医療の問題は社会保険料の問題と絡んでいろいろな議論が出て、その中で、一部の党からは、高齢者の医療費を削減して、現役世代の人にもっと手厚く支援をしよう、今、シルバー民主主義とか言われて、選挙に行くのは高齢者の方だから、なかなか現役世代に恩恵が行っていない、やはり一生懸命頑張っている現役世代の方にもっと恩恵を渡すべきだと。現役世代を応援するというのは我々れいわ新選組も一緒なんですが、しかし、そこのバーターというか財源として、高齢者の医療費を削減するのもやむを得ないというような論調の一部政党が結構あったと思います。

 党首討論なんかでもそういう発言をされる党首がおられましたので、それは私は徹底的に、それは違う、おかしい、やはり世代間の分断を生むような政策はおかしいし、今若い現役世代の人もいずれ高齢者になるわけですから、高齢者になったときに医療費が削減されていて、きちんと医療が受けられない、そんなことはやはり政治家が取るべき態度ではない、世代間の分断をあおってはいけないということを衆議院選挙のときは随分訴えましたが、これについての厚生労働大臣の御見解はいかがですか。

福岡国務大臣 今、高齢化等によりまして医療費が増大する中で、現役世代の負担軽減というのは大変重要な課題であるというふうに認識しております。

 その際、高齢者の方の医療費を削って現役世代に回すという視点ではなくて、年齢にかかわらず、負担能力に応じて皆が支え合う全世代型社会保障の構築に向けて、必要な改革を行っていく必要があるというふうに考えております。

 そうした観点から、一昨年末の改革工程には様々な検討項目が掲げられておりまして、先ほど来申し上げておりますように、患者さんに対する必要な保障が欠けることがないよう、見直しにより生じる影響を考慮しながら検討を進めてまいりたいと思います。

高井委員 オブラートに包んだ形で、分断ではないし、高齢者を引き下げて現役世代に回すということではないというふうに説明されたと思うんですけれども、何かちょっとやはり伝わりにくいというか、私はもっとはっきり、それはおかしい、そういう考え方はおかしいということを厚生労働省は、やはり国民皆保険を守る立場として、私はしっかり言っていただきたいなと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは法案の質問に入りますが、今回、我々は、条件付承認制度についてやはり非常に不安を持っています。昨日の参考人質疑でもこのことを私はお聞きをしましたけれども、条件付承認制度の適用拡大によっていろいろな懸念が生じるんじゃないかと思いますが、これは、事務方で結構ですけれども、アメリカの迅速承認制度という制度と同じものを目指すという考えでいいですか。

城政府参考人 今回の条件付承認制度の見直しでございますが、欧米の類似の仕組みと比べまして制度創設後の承認件数が少ないという現状を踏まえまして、現行の適用条件であります希少疾患のため大人数の治験が困難であることというのを、臨床的有用性が合理的に予測できる場合として適用対象を拡大をした上で、承認後の製造販売後調査の結果、有効性が確認できなかった場合に承認取消しが可能であることを法律上明確にすることで、米国の制度と同様の仕組みとしつつ、ドラッグラグやドラッグロスの解消に向けて取り組むこととしているものでございます。

 こうした考えの下で、個別具体の承認審査において十分に有効性、安全性を確認していくこととしておりまして、国民の皆様に有効性及び安全性が確保された医薬品を迅速に届けられるよう、承認制度の運用に適切に取り組んでまいりたいと考えております。

高井委員 これも局長で結構ですけれども、ちょっと通告していないんですけれども、実は、薬害オンブズパースン会議というのがあって、これは薬害エイズ訴訟の弁護団と全国市民オンブズマン連絡会議が呼びかけて一九九七年からスタートして、二十名の医師、薬剤師、弁護士、被害者などで構成されている。その薬害オンブズパースン会議が、三月二十一日にこういう意見書を出しています。

 この中で、米国の迅速承認制度は、多くの抗がん剤に適用されており、同制度の下で二〇一三年から二〇二三年までに承認された多くの抗がん剤が、そこから五年以内に全生存利益又はQOL向上の効果を示せていなかったとする報告があるということで、本改正案は、有効性が不確かな医薬品によって患者を危険にさらすことになり、かえって患者の利益を損なうから認められないという反対意見を出しておられます。

 あと、この意見書にはなかったかもしれませんが、今アメリカの制度を目指すということは、これはアメリカの製薬会社を参入しやすくするためにしたんじゃないかというふうにも受け取れるんですけれども、今のこの私の考え、あるいは薬害オンブズパースン会議の意見書に対して、局長の、通告していませんけれども、このくらいは根幹に関わる部分ですからお答えいただけると思いますので、お答えください。

城政府参考人 多少繰り返しになりますが、現行の制度は、一定程度の有効性、安全性を確認し、検証的試験など臨床試験の一部を省略して条件付承認ができるものでございますが、今回の改正案では、臨床的有用性が合理的に予測可能な場合に条件付承認を行うことができるとするものでございます。

 条件付承認を行う際にどのようなデータを必要とするかというのは、従来より個別品目ごとに判断をすることとしておりますが、臨床試験の結果を踏まえて、従来の一定程度の有効性、安全性を確認するという基本的な考え方は、改正後も変わらないものでございます。

 この改正は、重篤かつ適切な治療法がない患者様に有効で安全な医薬品を迅速に届けるということを目指したものでございまして、適切な運用に取り組んでまいりたいと思っていますし、御指摘いただきましたような、企業におもねったようなものではございません。

高井委員 最後に言ったのは、アメリカの企業が参入しやすいようにということでは全くないということでいいですか。

城政府参考人 米国とか日本とか、国を問わずドラッグラグ、ドラッグロスがある現状におきましては、そういったところで、海外で承認されている医薬品で我が国で承認されていないもの等も迅速に導入して、患者様の医療アクセスを改善したいということはございます。

高井委員 私もこの分野、そんなに詳しいわけじゃないんですけれども、薬害エイズの訴訟の弁護団とかオンブズマンが推薦した二十人の医師、薬剤師、弁護士、被害者、市民、こういったところの意見書というのはやはり重く受け止めるべきだと思いますので、ちょっと今の局長の答弁は難しくていま一つ理解できませんでしたけれども、是非、こういった声はよく受け止めていただきたいと思います。

 あわせて、同じくこのオンブズパースン会議が主張されているんですけれども、今回、臨床試験の試験成績という文言を法律から削除する、ここは薬機法の承認制度の根幹に関わる改正なんじゃないかと。この臨床試験の試験成績という文言は残した上で、例外的制度に関する条文を新たに設ければよかったんじゃないかというふうに、薬害オンブズパースン会議は今年の三月二十一日に意見書で出しているんですけれども、これに対する、これは大臣に通告していますので、これは我々も、この法案についての一番大きな根幹、まあ、我々は反対の立場なんですが、ここはやはりおかしいんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

福岡国務大臣 今般の見直しは、令和七年一月の医薬品医療機器制度部会での取りまとめを受けまして、有効性や安全性の確認の水準はこれまでと同様であることを前提として、リアルワールドデータの活用もできるよう、法律上の承認申請の添付資料の規定におきまして、臨床試験の試験成績に関する資料という文言を、医薬品等の品質、有効性及び安全性に関する資料に変更し、より一般的な規定に見直すこととしたものでございます。

 今回のこの法改正後におきましては、承認のための有効性、安全性の確認のレベルはこれまでと変わりないものでございまして、科学的な根拠がないものを安易に承認することはございませんので、薬機法の根幹を変えるものではないというふうに考えてございます。

 承認申請に必要な臨床試験の成績であったりリアルワールドデータの要件は省令で具体的に規定することとしておりまして、法案が成立した場合には、関係者の御意見を伺いながら検討を進めますとともに、有効で安全な医薬品を患者さんにお届けすることができるよう、今後とも、必要なデータを踏まえて適切に承認審査を行ってまいりたいと思います。

高井委員 厚労省の事務方の方もそういう説明をされて、変わらないんだとおっしゃるんですけれども、しかし、法律で文言を落とすというのはやはり相当なインパクトがあるし、薬害オンブズパースン会議の言うとおり、非常に不安をあおる改正になってしまったんじゃないかなと私は思いますけれどもね。これは是非残した上で条文を作るべきだったのではないかなというふうに思います。ここは指摘しておきたいと思います。

 それでは、ちょっと、今度は薬価改正適正化法、立憲民主党さんを中心に、立憲民主党単独でしたかね、出された法律についてお伺いします。

 我々、議論の結果、賛成をさせていただくことにいたしましたが、しかし、課題はあると思っていまして、法案提出者に是非お尋ねしますが、本来は、薬価の引下げというのは、進めるにしても、薬の製造者の収益確保ということを市場にだけ任せるのではなくて、必要な医薬品の製造継続に対しては、やはり国に財政支援を求めるというのが本来あるべき考え方ではないかというのが党内で多く意見が出まして、これは是非法案提出者に確認をしてほしいということで、れいわの議員から受けておりますので、是非、法案提出者、この考えについてはいかがですか。

岡本(充)議員 お答えさせていただきます。

 ただいま御提案がありましたような、国が医薬品の製造を確保するための財政支援を行うということも一つの考え方ではあるとは思われます。

 ただ、現状を見ますと、毎年薬価改定により薬価が引き下げられ続けていて、昨日の参考人の意見陳述でも岡田参考人が述べられていましたように、製薬企業の収益が悪化し、医薬品の安定供給や新薬開発に支障が生じている、こういう状況であります。

 これにより、必要な医薬品が手に入らないといった悪影響が国民の皆様に現に生じているという状況を考えますると、まずは問題である薬価の毎年改定に一定の歯止めをかけることが優先であると考えて、本法律案を提出させていただいた次第でございます。

高井委員 この考えはちょっと立憲民主党さんとは一致できなかったわけですけれども、れいわの考えとしては申し上げておきたいと思いますし、本来であれば国が財政支援してほしいので、大臣にも聞きたいところなんですが、実はあと七分ぐらいしかありませんので、もう一つ、私、どうしても今回聞きたかったのが新型コロナワクチンの話なので、ちょっとそっちに移らせていただきます。

 まず、数字、データを教えてほしいんですが、これは去年の七月十日に山本太郎代表が参議院の方から質問をして厚生労働省に答えていただいたんですが、それの最新の数字を教えてください。

 まず、新型コロナワクチン接種後の死亡件数、死亡として報告された件数、それから二つ目が、そのうち解剖が実施された件数、それから三つ目が、そのうち医師がワクチン接種と関連ありとした件数はそれぞれ何件か、お答えください。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナワクチンにつきまして、副反応疑い報告制度で報告された事例のうち、新型コロナワクチン接種後の死亡事例の総数は二千二百六十二件となります。死亡例二千二百六十二件のうち解剖が実施された件数は二百六十七件程度でございまして、そのうち報告医がワクチン接種と関連ありとした件数は五十九件程度となってございます。

 なお、これらの副反応疑い報告につきましては公開の審議会で評価を行っておりまして、当該審議会の資料は厚生労働省のウェブサイトで公開をしているところでございます。

高井委員 ありがとうございます。

 大体、総件数が去年の七月から比べて七十件、二千百九十二件だったのが二千二百六十二件、ただ、最後のが六十件が五十九件に減っているんですけれども、これは何でですかね。分かりますか。

城政府参考人 済みません、ちょっと正確なところはあれですが、これは減るときもございます。これは、医師の方で取下げがあった場合でございます。

高井委員 それでは、もう一つお聞きします。

 新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンのそれぞれの百万回接種当たりの死亡報告件数を教えてください。

城政府参考人 審議会の資料に基づき算出をいたしますと、新型コロナワクチン接種後の百万人当たりの死亡に係る報告件数は五・二件でございます。同様に、インフルエンザワクチン接種後の百万人当たりの死亡に係る報告件数は〇・一四二件でございます。

 ワクチンの安全性につきましては、それぞれの接種の対象となる感染症が異なることなどを踏まえまして製品ごとに評価を行っておりまして、新型コロナワクチンについて、他のワクチンと比較して論じることは適切ではないと考えております。

 審議会では死亡例の報告状況も含めて検討しておりますが、これまでその安全性に重大な懸念は認められておらず、今後ともワクチンの安全性の評価を適切に行ってまいりたいと考えております。

高井委員 何で比較が適切じゃないのかよく分かりませんが、前回から新型コロナワクチンは増えていますね。五・〇五五だったんですけれども、五・二に増えています。逆に、インフルエンザは若干減っていますね。前回、インフルエンザとコロナで比べて三十五倍の開きがあったんですけれども、更にそれが拡大しているということでありまして、やはりこのワクチンの安全性というのには、客観的に見てもこれだけの数字の開きがあるということです。

 それから、次の質問ですけれども、これも局長で結構なんですが、厚生労働省のホームページを見ると、コロナに関するQアンドAがあって、こういう問いの答えがあったんですね。新型コロナワクチンの接種が原因で多くの方が亡くなっているというのは本当ですかという問いがあって、答えが書いてあったんですが、これが今見るとなくなってしまっているというか、何かすごく見えにくくなっているんですよね。過去のQアンドAみたいなところに押し込められていて、ぱっと見て見られなくなっちゃっているんですけれども、これは何か意図的にそういうふうにしたんじゃないですか。

鷲見政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナワクチンの有効性や安全性につきましては、科学的知見に基づいた情報提供を行う観点から、厚生労働省ホームページにQアンドAを掲載しており、その内容も、最新の知見等を踏まえ、適宜見直しているところでございます。

 御指摘のQアンドAにつきましては、令和六年度より新型コロナワクチンの接種が定期接種に移行したことに伴いホームページ全体を整理したものであり、従来の位置ではないものの、令和六年三月時点のQアンドAとして現在もホームページに掲載しているところでございます。

 引き続き、最新の国内外の科学的知見を踏まえまして、国民の皆様に十分に御理解いただけるよう、丁寧に情報提供を行ってまいります。

高井委員 これは是非見ていただきたいんですけれども、ホームページというのは、QアンドAというのは、普通、ばあっと一画面で見られるんですけれども、要するに、そこには出てこなくて、過去のQアンドAみたいな、何か六つぐらいあるページのどこかバナーをクリックするとようやくその過去のQアンドAが出てくるので、私は、一番国民の皆さんが知りたい、でも、それが誤解だと厚生労働省は思っているわけですから、やはりその不安を解くためには、むしろ真っ先に、トップページにこのQアンドAを載せるべきじゃないかと思いますよ。これは、やはり意図的に何か隠したんじゃないかなと言われても仕方ないのかなと思います。

 ホームページにこう書いてあるんですね。「現時点で、ワクチン接種との因果関係が否定できないとされた事例が二例あり、その他の事例についてはワクチン接種との因果関係があると判断されていません。」と。さっき、死亡件数が二千二百六十二件あって、しかも、医師がワクチン接種と関連ありとした件数も五十九件あるのに、このホームページでは、たった二例しかない。

 ずっと二件だと厚生労働省は言い張っているんですけれども、大臣、これはさすがにおかしいんじゃないですか。いかがですか。

福岡国務大臣 報告されました副反応疑い報告のうち死亡症例等につきましては、専門家により報告された情報を一例ごとに精査し、因果関係を評価しております。

 しかし、ワクチン接種後の症状が偶発的な発生によるものなのか、それともワクチンを原因として発生したものなのかの判断は極めて難しいというふうに考えておりまして、ワクチンとの因果関係が否定できないもの、これはαでございますが、これと評価されたものが二例であるということが必ずしも不自然な状況とは考えてございません。

 ただ、委員御承知のとおり、多くが、情報不足等により因果関係が評価できないγ評価になってございまして、こうした事例につきましても、追加の情報が必要となった場合には、製造販売業者が自ら情報の追加収集を行いますとともに、必要に応じてPMDAからも追加の調査を依頼するなど、更に追加情報を収集し、その状況によって再度評価を行っているところでございます。

 引き続き、ワクチン接種後の副反応を疑う事例については、適切な評価ができるように取組を進めたいと考えております。

高井委員 時間になりましたのでまとめますが、そういう姿勢がやはり国民の不安をあおっていると思うんですよね。もっとちゃんと誠実に、被害状況の正確な報告というのは、厚生労働省に、やらないと、隠すとますます国民の皆さんがあらぬ誤解というか不安を抱きますので、是非そこはしっかり改善、認識していただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。

藤丸委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 薬機法の改正案について、条件付承認制度の見直しを中心に質問をします。

 この条件付承認制度の見直しの狙いについて、佐藤大作大臣官房審議官は、ミクスオンラインのインタビューで次のように述べています。日本市場に新規参入する外国企業が日本市場へアクセスしやすいように米国と同じ仕組みにすることで、ドラッグラグ、ロス解消に寄与するものとされています。

 米国の迅速承認制度の要件は、臨床効果が確認されてはいないが、臨床的利益が合理的に予測される場合です。今回見直しの条件付承認の要件も、効果が合理的に予測される場合であります。つまり、今回の改正の狙いというのは、アメリカと同じ仕組みにするということでしょうか。

城政府参考人 今回の条件付承認制度の見直しでございますが、欧米の類似の仕組みと比べまして制度創設後の承認件数が少ないという現状を踏まえまして、現行の適用条件であります希少疾患のため大人数の治験が困難であることを、臨床的有用性が合理的に予測できる場合として適用対象を拡大をした上で、承認後の製造販売後調査の結果、有効性が確認できなかった場合に承認取消しが可能であることを法律上明確にすることで、米国の制度と同様の仕組みとしつつ、ドラッグラグやドラッグロスの解消に向けて取り組むこととしているものでございます。

 こうした考えの下で、個別具体の承認審査において十分に有効性、安全性を確認していくこととしておりまして、国民の皆様に有効性及び安全性が確保された医薬品を迅速に届けられるよう、承認制度の運用に適切に取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 創薬力の強化・安定供給の確保のための薬事規制のあり方検討会の昨年六月の報告書では、実態として、日本でも既に多くがアメリカの迅速承認相当の段階で通常の承認が行われているとしています。米国の迅速承認を受けた二百九十五品目のうち、日本で承認を受けている品目は百七十品目あり、そのうち米国の本承認以前に承認を受けているものは百二十あるということです。日本で第二相段階で通常承認されており、その後積極的に評価を行う機会を失っているとまで書かれています。

 では、今回の改正によって、現行の条件付承認制度から一体何が変わるんでしょうか。説明してください。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 条件付承認制度でございますが、これは令和元年の薬機法改正で導入をされたものでございますが、承認の取消し規定がなく、その要件が、対象患者が少なく臨床試験が実施困難である場合に限られていることなどから、これまで実績がないものとなっております。

 そのため、今回の制度改正におきましては、対象疾患の患者数の大小によらず、重篤かつ適切な治療法がないなどの医療上の必要性が高い場合に適用できる仕組みとすることとしておりまして、安全性が確認され、臨床的有用性が合理的に予測可能であれば承認を与えることができる、米国等と同様の仕組みに見直すこととしております。

 具体的には、条件付承認時には、医薬品等を早期に使用するベネフィットが有効性が確認されていないリスクを上回るかどうか、個別の承認審査の段階で提出されるデータ等から判断することとなります。その後、条件として求めた臨床試験等に基づいて有効性を確認し、引き続きその使用を認めてよいかどうかを判断することといたしております。

 ドラッグラグ、ロスの課題に対応し、国民に最新の医薬品を迅速に届けられるよう、条件付承認制度を含む薬事制度の適切な運用に取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 検証的臨床試験の実施が困難、相当に時間がかかるという要件、これは外すんですよね、そうですね。そして、承認の取消しができるということ、こういうことですね、そうですね。はい。

 現行では検証的臨床試験の実施が難しいか相当時間がかかるならば例外的に事後の検証でもよいとしていた例外規定を、これを外して、検証的臨床試験をする条件があったとしても、それをやらずして承認ができるというのは、これは大臣、重大じゃないですか。検証的臨床試験をする条件があるのであれば実施すればいいのに、なぜこれは要件を外すんですか。

 再度答えていただけないですか。なぜ外すんですか。

城政府参考人 先ほども申し上げましたが、令和元年の薬機法改正で導入されましたが、承認の取消し規定がなく、その要件が、対象患者が少なく臨床試験が実施困難である場合に限られていることなどから、これまで実績がないというところを鑑みまして、逆に、患者様の医薬品に対する早期アクセスを確保するということも含めまして、こういった仕組みを導入するというものでございます。

田村(貴)委員 やれる条件があるのに、やらなくていいというのはおかしいじゃないですかと言っているんですよ。

 米国の迅速承認制度で一体どういうことが起こっているか。ブリガム・ウィメンズ病院のイアン氏らの調査で、二〇一三年から二〇二三年までに承認された多くの抗がん剤が、そこから五年以内に、OS、全生存利益、又はQOL、生活の質向上の効果が半数以上で示されていなかったことが報告されています。効果のない薬が長期にわたって患者さんに投与されたということです。

 昨日も参考人質疑で指摘しましたが、二〇二三年五月十八日のアメリカ、ブルームバーグの記事です。筋ジストロフィー治療薬として迅速承認されたエクソンディス51は、承認後七年たっても有効性を証明するデータを提供していません。その間に関連薬剤を含めて二十五億ドル、三千四百億円を売り上げているという報道でした。

 迅速承認の対象は、抗がん剤など高価かつ長期間の投与の必要な薬となることが予想されます。有効性の証明のないまま迅速承認された結果、有効でなかったという薬が命に関わる病気で治療をしている人に長く投与され続ける、それはあり得るし、こういうことが増えるのではないでしょうか。

城政府参考人 今回の改正でございますが、医薬品の有効性、安全性の確保のため、まずは有効性が合理的に予測できるものを承認することとしているところでございまして、効果が不確実ということはございません。

 一方、条件付承認におきましては、条件として付された試験等が速やかに実施されることは重要であると考えておりまして、条件として付された試験の速やかな実施を促すために、条件として期限を設定する方法や市販後の医薬品リスク管理計画に条件が付された試験を位置づけ、管理する方法などを考えているところでございます。

 個々の品目について具体的にどの程度の期間を求めるか、期限を求めるかについては、できるだけ短い期間を設定することが望ましいという観点と、その期間内での試験の実施可能性の観点の双方のバランスを図る必要があると考えられます。

 今回の見直し後の条件付承認制度は、対象範囲の拡大を意図したものでございまして、その有効性、安全性の確認のレベルはこれまでの条件付承認制度と変わるものではございません。

 いずれにせよ、ドラッグラグ、ロスの課題に対応しまして、国民に最新の医薬品を迅速に届けられるよう、条件付承認制度を含む薬事制度の適切な運用に引き続き取り組んでまいります。

田村(貴)委員 安全だと言わんばかりの答えですけれども、日本でも、期限、条件付承認された再生医療製品のハートシートあるいは遺伝子治療用製品コラテジェンは、有効性が検証されず、承認が取り消されました。しかし、取り消されるまでには保険財政から支出されていたわけですよね。

 安全性や効果の分からない薬の承認後は、自動的に保険対象となるわけです。収載されるわけです。公的医療保険から財政支出されます。そういう可能性が広がるような仕組みは、これは問題ではありませんか。いかがですか。

城政府参考人 再生医療等製品の例を挙げていただきましたところでございますが、これはまた、医療用の医薬品に比べまして、相当性質としては不確かなところがあるものを、それを踏まえた上での制度設計をした結果として今のような制度設計となっているものでございます。

 繰り返しになりますが、今回、医薬品につきましては、医薬品の有効性、安全性の確保のため、まずは有効性が合理的に予測できるものを承認するということといたしておりまして、効果が不確実ということではございません。

田村(貴)委員 医療者の立場から見ると、効果がある薬なのに、従来ある薬を使うことは、これはなかなか難しいです。

 承認後の第三相試験の実施も難しいと考えます。実際、アメリカでも日本でも、承認後の検証期間というのは長期化しています。長期化するのではないでしょうか。

城政府参考人 委員御指摘いただきましたとおり、第三相試験の実施には一定の期間を要するものでございますが、個々の品目について具体的にどの程度の期限を求めるかにつきましては、品目の特性や医療環境を踏まえて、薬事審議会の意見も聞きながら検討してまいりたいと考えております。

 また、条件として付した臨床試験等が速やかに実施できるよう、今回、製造販売業者に作成を義務づけることとしております医薬品リスク管理計画におきまして、実施期限を定め、試験の進捗状況を実効的に管理するなどして適切に対応してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 法案十四条三項、医薬品の製造販売の承認に必要な添付資料について、臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料から、有効性及び安全性に関する資料として厚生労働省令で定める資料、こういうふうに変えようとしていますよね。

 従来は、ランダム化比較試験など臨床試験実施が必須でありました。なのに、改正後は必須としないんですか。薬の有効性、安全性の確認というのは、ランダム化比較試験による臨床試験で行うというのがゴールデンルールではなかったのか。臨床試験データに代えてリアルワールドデータでも申請、承認ができるようにするんですか。リアルワールドデータなど、ランダム化比較試験でない資料で確実に有効性、安全性は確認できる、証明できるというのでしょうか。

城政府参考人 今回、令和七年一月の医薬品医療機器制度部会での取りまとめを受けまして、ランダム化比較試験による厳密なエビデンスの重要性に留意した運用や、信頼性確保に向けた継続的な取組を前提としてリアルワールドデータの利活用ができるよう、法律上の承認申請時の添付資料の規定におきまして、臨床試験の試験成績に関する資料という文言を、医薬品等の品質、有効性及び安全性に関する資料に変更し、より一般的な規定に見直すこととしたものでございまして、今回の法改正におきまして、承認のための有効性、安全性の確認のレベルはこれまでと変わりないものでございまして、科学的な根拠がないものを安易に承認することはないということでございます。

 したがって、本改正によりまして臨床試験を減らすということは意図をしておりません。むしろ、臨床試験以外の臨床評価上重要なデータの利活用を広げる趣旨でございます。

 有効で安全な医薬品を患者に届けることができるよう、今後とも、個別品目ごとに必要なデータを踏まえて適切に承認審査を行ってまいります。

田村(貴)委員 そうは言うけれども、条文から消えているじゃないですか。

 大臣に質問します。よく聞いてください。

 午前中の宮川伸議員の質問に対しても、承認申請の資料については、有効性、安全性のレベルは落とさないというような答弁でした。臨床試験に加えてリアルワールドデータかのような答弁もありました。

 だったら、何で今度の法改正で条文から、臨床試験の試験成績に関する資料、これを落としたんですか。なぜ外したんですか。臨床試験を軽視するものでもない、これからもやっていくと言うんだけれども、何でこれを外したんですか。ちゃんと答えていないじゃないですか。答えてください。

福岡国務大臣 薬機法第十四条第三項につきましては、医薬品等の承認に当たって提出を求める資料について規定するものです。この規定につきましては、今回、医薬品医療機器制度部会での取りまとめを受けまして、有効性及び安全性確保のため、ランダム化比較試験による厳密なエビデンスの重要性に留意した運用であったり、信頼性確保に向けた継続的な取組を前提といたしまして、臨床試験以外で収集されたデータも活用できるよう、この規定を見直すこととしたものでございます。

田村(貴)委員 一般例は困るんですよね。ランダム化比較試験によるデータ審査でなければ、従来と同等の安全性、有効性とは言えません。

 ここは大事なところなんです。ランダム化比較試験は承認申請で必須とすべきだと考えますが、どうですか。必須としないんですか。

城政府参考人 今回の見直し後の条件付承認制度は、対象範囲の拡大を意図したものでございまして、その有効性、安全性の確認のレベルはこれまでの条件付承認制度と変わりないものでございます。現行の条件付承認制度におきましても、改正後の条件付承認制度におきましても、精密かつ客観的な考察がなされた臨床試験であれば、ランダム化比較試験でない臨床試験でも承認できるものと考えております。

 その上で、今回の改正案では、臨床的有用性が合理的に予測可能な場合に条件付承認を行うことができることとしておりますが、改正後もその取扱いに変更はございません。条件付承認制度を行う際にどのような臨床試験データを必要とするかは、従来より個別品目ごとに判断をすることとしておりますが、臨床試験の結果を踏まえて、従来の一定程度の有効性、安全性を確認するという基本的な考え方は、改正後も変わらないものでございます。

 いずれにせよ、ドラッグラグ、ロスの課題に対応して、国民の皆様に最新の医薬品を迅速に届けられるよう、条件付承認制度を含む薬事制度の見直しを行うものでございます。これの適切な運用に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 臨床試験の試験成績に関する資料は落とした、条文から。わざわざ原則を変更して、全て省令に落とし込もうとしているじゃないですか。ランダム化試験が基本といっても、条文上はそうなっていないんですよ。何の歯止めにもならないじゃないですか。

 厚生労働省の条件付承認の説明資料を見ますと、第二相試験等と、全てに等がついているんです。条文上は認められることになっているんですが、ランダム化比較、第二相試験、これを経ずとも承認できるということですか。第二相試験、これを経なくても承認できるという意味なんですか、等と書いているのは。

城政府参考人 条件付承認を行う際にどのようなデータを必要とするかということにつきましては、従来より個別品目ごとに判断することとしております。臨床試験の結果を踏まえて、従来の一定程度の有効性や安全性を確認するという基本的な考え方は、改正後も変わらず維持されるものでございます。

田村(貴)委員 私が聞いているのは、第二相試験、それからランダム化比較、これがなくても承認はできるという意味で等を入れているんですかと聞いているんです。しっかり答えてください。

城政府参考人 何度か申し上げましたが、安全性、有効性については先ほど申し上げたとおりでございます。

 御指摘のように、そういうものはあり得るかということであれば、あり得るということでございます。

田村(貴)委員 あり得ると認められました。

 例外の範囲をどこまで広げていくんですか。有効性、安全性をないがしろにするような、こうした規制緩和は認められません。

 資料一を御覧ください。

 条件付承認制度が法制化される前に、既に第二相試験のみで承認された品目が五品目あります。対応中は、今、下の段の二品目です。市販後の条件として、第三相試験の成績を医療現場に情報提供するように、ここでも求めているじゃないですか。しかし、既に五年以上たつのに、いまだに有効性が認められていません。

 資料二を御覧ください。

 アメリカで迅速承認、AAの取消しがされた品目であっても、日本ではいまだに製造販売中のものが七品目もあります。また、創薬力強化に関する検討会の報告書によれば、その中には、間質性肺炎などで多くの死者を出したイレッサもあります。夢の抗がん剤と言われ、日本が最初に承認しましたが、多くの被害者、犠牲者を出しました。効能、効果を変更することで、取消しはされていません。

 今回の見直しで、条件付承認後の有用性、有効性の検証試験については、いつまでにその成績結果を提出して、承認の継続、取消しの判断とするんですか。緊急承認は原則二年、再生医療等製品も期限付でありますけれども、これは、期限を付さなくても条件付承認というのはされるんでしょうか、期限をつけなくても。

城政府参考人 医薬品の有効性、安全性の確保のために、条件付承認におきましても、条件として付された試験等が速やかに実施されることは重要でございます。このため、承認後の臨床試験等の提出の期限について、個々の品目ごとに、品目の特性や医療環境等を踏まえて、薬事審議会の意見も聞きながら検討してまいりたいと考えております。

 今回の見直し後の条件付承認制度につきましては、有効性については、効能又は効果を有すると合理的に予測できるものであることとしておりますが、安全性につきましては、臨床試験及びその他の安全性試験データ等も踏まえて承認することとしておりまして、製造販売後に得られるデータから有効性を確認する仕組みについても、現行制度と変更はございません。

 有効性が合理的に予測できるものを承認してもなお、条件付承認後に実施する検証的試験等で有効性が否定されることはあり得るものでございますが、その結果の取扱いにつきましては、個別に薬事審議会の意見を聞きながら、速やかにかつ適切に判断してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 聞きたいことは一言なのに、答弁、長いですね。

 条件付承認で、承認後の有効性を検証する試験にランダム化比較試験を課した場合、有効性が証明できない場合、例えば、患者さんが多く集まらなかったとかで試験が終わらなかったという場合は、試験期間を延長しても承認を継続したりすることはあるんですか。あるいは、効能、効果を変更して承認を継続するようなことはあるんですか。それを想定していますか。これは大事なところなんですよ、条件付承認の。分かりますか。

城政府参考人 まず、お話がございました期間につきましては、これは試験のデザイン等にもよりますが、必要なデータが取れないことも、これは突発的な事故によるものもございますので、これは延長も、それはあり得るとは考えますが、承認の効能、効果につきましては、これは狭めることはあるかもしれませんが、広げるとか、そういったことはないということで考えております。

田村(貴)委員 申請時には第三相試験を開始していることを条件として承認された場合も、いつまでにその成績を公表し、今後も承認し続けるかどうか、有効期限を設けて判断すべきだと主張します。有効性が証明されていないのであれば、速やかに承認を取り外すべきであります。

 厚生労働省の医薬品部会では、リアルワールドデータのみの薬事承認について、六月六日に北沢委員からは、医薬品の申請及び承認という重要な意思決定にはランダム化比較試験のエビデンスが必要であり、むしろランダム化比較試験を安全かつ迅速に実施するための対策が必要だという意見が出されました。

 そうした議論を抜きにして、臨床試験を省略して、リアルワールドデータのみで薬事承認を申請、承認を可能とするような法改正はすべきではありません。むしろ、ランダム化比較試験を迅速に実施するための対策が必要であります。

 次の質問に入ります。

 ドラッグラグ、ドラッグロス等の原因は、日本の創薬力がないからではありませんか。規制の問題ではありません。研究開発に対する予算、研究者への公的支援が日本では極めて弱い、このことが言えます。アメリカでは七兆円の医療研究予算を投じているのに対して、日本では約二千億円にとどまっています。

 昨日の参考人質疑で、全国がん患者連合会理事長で、AMED、国立研究開発法人日本医療研究開発機構評価委員の天野慎介さんは、このように述べました。海外と比べても圧倒的に違う、様々な研究が上がってくるんだけれども、予算の制限でつけられないことがある、一人の患者としても増額を望むと述べられました。

 これは大臣に質問します。

 ドラッグラグ、ドラッグロス、こうしたものをなくすためには、医療研究にこそしっかり予算をかけるべきではないかと考えますが、いかがですか。

福岡国務大臣 委員がこれまで御指摘いただきましたように、ランダム化比較試験につきましては、医薬品の効果を正確に評価するための有効な方法であるというふうに認識しております。一方で、被験者の募集であったりデータ管理などに費用を要するという課題もあるというふうに承知をしております。

 厚生労働省といたしましては、AMEDを通じまして、ランダム化比較試験に要する費用に関するものも含め、臨床試験を含む研究開発の支援を行っているところでございます。

 こうした支援を継続的に実施しますとともに、本年二月に策定いたしました第三期健康・医療戦略では、世界最高水準の医療の提供に資する医療分野の研究開発の推進を掲げ、国際水準の治験、臨床試験実施体制の整備等を進めることとしてございまして、こうした方向にのっとりまして、引き続き医薬品の実用化に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 世界最高峰と言われました。だったら、しっかり予算措置をしていただきたいと思います。

 薬事承認において第三相試験の結果を必須としていたのは、少人数の患者さんを対象とする第二相試験では有効性と安全性が十分に評価できないからでありました。そうした有効性が不確かな医薬品を長期的に患者さんが使用する状況につながる本改正案は認められません。ランダム化比較試験を実施する環境整備のために医療研究予算を抜本的に増額することを改めて求めます。

 もう一問。

 後発医薬品業界で不祥事が頻発したことに対して、医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会、これは二〇二三年の六月九日でありますけれども、次の指摘がされました。二〇〇二年改正による医薬品製造の委託、受託、後発品の共同開発導入によって開発コストが低廉化し、新規収載品が上市しやすく、同成分、同規格の製品が多数の企業で製造販売された、そして、新規品目の上市には、十分な製造能力を確保するなど安定供給を担保する一定の要件を求め、要件を満たさない企業は市場参入できなくする仕組みを検討すべきとしましたが、本改正案にはそうした措置はあるのでしょうか。

城政府参考人 二〇〇二年の薬事法改正におきましては、欧米との薬事規制の調和の観点から、製品の品質、安全性等に関する責任を有する製造販売業を規定し、他の製造業者に委託して製造し、販売することを可能としたところでございます。

 御指摘の共同開発におきましては、複数の製造販売業者が製造委託する形態でございますが、後発医薬品製造業者における少量多品目生産を招き、それが、不十分な法令遵守や製造管理、品質管理体制の不備に伴う品質問題の原因の一つとなったという指摘もあると承知をしております。

 こうした品質問題が発生する中で、前回の薬機法改正において導入しました法令遵守体制の施行や、承認審査における共同開発品についての信頼性確認の強化、業者間の委受託における製造販売業者の責任の明確化などの管理体制の強化を図ってきたところでございますが、後発医薬品を含む不正事案におきまして、製造販売業者による委託先である製造業者に対する管理監督が不十分であったと考えられる事案が発生しております。

 これを踏まえまして、今回の改正におきましては、医薬品の製造販売業者における品質保証責任者の設置義務を省令から法律に引き上げるとともに、医薬品の製造販売業者による製造所等の製造管理及び品質管理の実施状況の監督、監査を法定化することといたしております。

 これらによりまして、医薬品製造販売業者の品質保証に関するガバナンスを強化し、製造販売業者の製造業者に対する管理監督機能を強化することとしております。引き続き、医薬品等の品質確保を図ってまいります。

田村(貴)委員 管理責任者を置く、そして検査体制を置くと言うんだけれども、それでは解決しないんですよね。

 医薬品製造の委託、受託、後発品の共同開発導入、これがやはり引き金になったわけなんです。製販分離によって、製造委託、工場を持たずに委託、販売していく。自社で製造所を持ち、製造している後発医薬品の事業者は三割にしかすぎないんですね。そうした製造販売事業所に品質管理や安定供給に責任を持たせることには限界があります。せめて、製造受託業者について情報公開するなどして、製造販売業者に製造責任を負わせるべきではないでしょうか。そのことも強く求めたいと思います。

 最後に、議員提出法案について質問します。

 議法の提案者は、提案理由の説明の中で、薬価が削られやすい傾向にあることが昨今の医薬品不足やドラッグロスの要因にもなっていますとされました。急激な薬価の引下げも起因していると考えますけれども、例えば、製薬企業に十分な製造能力を確保する手だてなんかも必要ではないかと思います。医薬品不足とかドラッグロス問題の解決のためには何が重要と考えておられるでしょうか。

岡本(充)議員 ただいま御質問いただきました、何が重要かということですけれども、いろいろ重要なことがあると思います。

 本法律案では、医薬品不足やドラッグロス、ドラッグラグの原因の一つとして、中間年改定を含めた毎年の改定で薬価が引き下げられ続けていることで安過ぎる薬価にまで低下したこの現状に歯止めをかけることが重要だと一つ考えておりますが、これ以外にも、医薬品の安定供給を実現するためには、更に科学的な有効性と安全性を確保しつつ、医薬品製造メーカーの収益性を高めるとともに、今後の医薬品産業の在り方の検討をしていくことも重要だと思います。

 いずれにしましても、本法律案を通じて適正な薬価を実現する中で、労働者の賃金の向上など、労働者の労働環境の改善を始め、様々な支援を続けていく中で、結果として、こうした必要な医薬品が供給されるように努めていくことが重要ではないかと考えています。

田村(貴)委員 また、本法案は、診療報酬の改定を二年ごとに行うことを原則とすることを法律に明記することとしています。

 お尋ねします。中間改定を中止とまでしなかった理由について、お答えいただきたいと思います。

岡本(充)議員 御指摘のとおり、本法案は、薬価を含めた診療報酬の改定、基準は二年ごとに必要な改定を行うことを原則とするということを法定化するものです。

 一方で、大幅な物価高、物価上昇が発生し、薬価を引き上げる必要性が生じた場合や、パンデミックなど様々な事情がこれからも想定をされる中で、緊急的な対応を取る必要がある場合には随時の改定により適切に対応するべきであると考えられることから、中間年改定を禁止とはしなかった、こういうことであります。

田村(貴)委員 議法に対する質問は、これで終わりたいと思います。

 たくさんの疑問点が出てまいりました。そして論点も出てまいりました。何よりも、条件付承認制度の見直し、これは、これまでにも問題があった。犠牲者も出してきた。そして、アメリカと一緒の仕組みをつくると一番最初に答弁があったんだけれども、そのアメリカでも問題があったし、日本でも問題があっている。

 そうした問題をクリアしないで規制緩和ばかりやっていたら、この先、本当に何が起こるか分からない。その被害者は、患者さんに、そして国民に降って湧いてくるわけなんですよね。そういうやはり危ない改正になっていることを主張したいと思います。

 そして、この法案の審議は引き続き行っていただきたいということを要望して、今日の質問を終わります。

藤丸委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十一分散会


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