第14号 令和7年5月9日(金曜日)
令和七年五月九日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 藤丸 敏君
理事 上野賢一郎君 理事 古賀 篤君
理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君
理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君
理事 梅村 聡君 理事 浅野 哲君
安藤たかお君 草間 剛君
後藤 茂之君 佐々木 紀君
塩崎 彰久君 鈴木 隼人君
田畑 裕明君 田村 憲久君
根本 拓君 長谷川淳二君
平口 洋君 深澤 陽一君
福田かおる君 森下 千里君
吉田 真次君 池田 真紀君
大塚小百合君 大西 健介君
酒井なつみ君 宗野 創君
堤 かなめ君 中島 克仁君
長妻 昭君 長谷川嘉一君
宮川 伸君 山井 和則君
柚木 道義君 阿部 圭史君
池下 卓君 猪口 幸子君
福田 徹君 森ようすけ君
沼崎 満子君 浜地 雅一君
高井 崇志君 八幡 愛君
田村 貴昭君
…………………………………
厚生労働大臣 福岡 資麿君
厚生労働副大臣 鰐淵 洋子君
外務大臣政務官 松本 尚君
厚生労働大臣政務官 安藤たかお君
厚生労働大臣政務官 吉田 真次君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 竹林 悟史君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 源河真規子君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 大村 真一君
政府参考人
(消防庁審議官) 鳥井 陽一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房総括審議官) 秋山 伸一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官) 内山 博之君
政府参考人
(厚生労働省医政局長) 森光 敬子君
政府参考人
(厚生労働省医薬局長) 城 克文君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 日原 知己君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 野村 知司君
政府参考人
(厚生労働省老健局長) 黒田 秀郎君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 鹿沼 均君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
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委員の異動
五月九日
辞任 補欠選任
八幡 愛君 高井 崇志君
同日
辞任 補欠選任
高井 崇志君 八幡 愛君
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五月八日
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)
厚生労働関係の基本施策に関する件
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○藤丸委員長 これより会議を開きます。
厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官大濱健志君、こども家庭庁長官官房審議官竹林悟史君、長官官房審議官源河真規子君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長大村真一君、消防庁審議官鳥井陽一君、厚生労働省大臣官房総括審議官秋山伸一君、大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、医政局長森光敬子君、医薬局長城克文君、社会・援護局長日原知己君、社会・援護局障害保健福祉部長野村知司君、老健局長黒田秀郎君、保険局長鹿沼均君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○藤丸委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福田かおる君。
○福田(か)委員 自由民主党の福田かおるです。
本日は、医療分野について質疑をさせていただきたいと思います。
私の地元にございます吉祥寺南病院が昨年九月に診療休止となり、大きな話題となっております。病床数は百二十五床、救急車や入院患者の方々の受入れも行ってまいりました。立地としては、住みたい町ランキング常連の吉祥寺でもございます。人口減少に伴い医療機関が減るといったケースではありません。では、なぜなのか。築五十五年で耐震化も必要な中、財務的な余裕がないということで建て替えを断念され、休止に入ったように聞いております。
この吉祥寺エリアは、この病院以外にも、次々と病院が病床廃止や診療休止に近年なってまいりました。医療体制については不安の声を多くいただいております。
今、地方のみならず、比較的人口の多い都市部においても病院の経営状況が悪化しているというお話を聞いております。本委員会でも、病院が赤字になっているという問題提起が今年に入ってからも度々なされてまいりました。このままの状態では、必要な医療にアクセスできない、災害に対応できない、感染症にも対応できない、そんな事態になりかねない。私たちの命を支えている医療のセーフティーネットを守るために、病院に対してもっと政策資源をという声も多くいただいております。
病院に政策資源を投入する際には、国民医療費に係る負担の増加の問題を避けて通ることはできません。高齢化の中で支出が増加し続けていく中、現役世代、子供たちの世代、そしてお孫さんたちの世代の負担をどう考えていくのかという問題もございます。
物価の上昇には賃金の上昇がまだ追いついていない状況です。現役世代の実質賃金は上がっていない。さらに、マクロで見ると、若い層の負債は拡大している。住宅ローンがある、奨学金がある。一昔前は、子供が独立すれば支出が減って貯金ができる、そんな展望だったところ、若い層の収支は以前よりも悪化しているというのが実態かと思います。現役世代は、不安定な社会情勢の下、社会的にも経済的にも、将来の展望が見えづらい中で生活しています。
この三十五年間で家計の社会保険料負担は二倍以上に増加したというデータもありますし、診療報酬、介護報酬一%の引上げで現役世代などの保険料負担が三千億円強増えるということも言われたりしています。医療のセーフティーネットを守るのは当然のことながら、本当に必要な投資を見極め、国家予算を用いていくべきだと考えております。急激な人口減少、少子高齢化の時代に社会保障の問題に取り組むことは、負担の増加と給付の抑制に向き合わなければいけません。いずれも大きな論争の的となる難しい分野だと思います。
そんな中で、私たちの世代の重大な責務の一つは、急激に変化する人口動態に合わせ社会保障制度を改革し、次世代へと引き継いでいくことだと考えています。バラ色の話にはならない前提で、それでも少しでも、問題提起をして、将来にわたって持続可能な制度に変革するために汗をかく、そんな思いで質疑に立たせていただいております。
本日は、今後の人口動態の変化を見据えた医療体制への転換、その向かうべき方向性について確認させていただきます。また、国民医療費の在り方について、歳出改革の方向性など確認させていただきたいと思います。
まずは、病院の経営状況からお伺いします。
冒頭申し上げたとおり、都市部でも病院が診療休止となるなどしております。全国の一般病院や療養型病院、それぞれの経営状況はどのような水準にあるのでしょうか。経常利益で見た際に赤字になっている病院もあるかと承知しておりますが、原因として考えられるものは何でしょうか。お伺いいたします。
○森光政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の、令和七年三月に公表されました六病院団体緊急調査におきまして、令和六年六月から十一月までの医療機関の状況について、対令和五年度同時期で、医業利益が赤字の病院の割合は六四・八%から六九・〇%に四・二ポイントの増となりました。また、経常利益が赤字の病院の割合は五〇・八%から六一・二%に一〇・四ポイントの増に変化しておりまして、費用の増加が収益の増加を上回っているとの結果が示されているというふうに承知をしておるところでございます。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
赤字の原因についてもいろいろなことが言われていますが、人件費が高騰しているということ、また、資材価格が高騰しているということ、病院は診療報酬制度の中で経営を行っているので、価格転嫁がなかなかできない、診療報酬改定は賃上げ要請や物価の高騰に十分に追いついているとは言い難い、だからこそ診療報酬の見直しが必要だというお声もいただいております。
一方、国民医療費の状況に鑑みれば、診療報酬は無尽蔵に上げることはできないということは理解しております。
高額療養費制度の見直しが大きな議論となりましたが、医療費の増加や国民負担の増加を避けるために、できることはほかにないのかというお声もたくさんいただきました。また、こんな重要な制度にまで見直しのメスを入れなければならないほど、医療費の増加、国民負担の増加の見通しは厳しいものになっているのかというお声もいただきました。
診療報酬について議論する際には、今の病院経営が構造的に持続可能なものになっているのかということも議論しなければならないのではないかと思います。特に、人口動態の変化に合った医療体制への転換は、急激な人口減少、少子高齢化が進む中で必須です。人口減少を背景に入院患者数が減る中、病床利用率は低迷する、地域によっては病院間で患者の奪い合いもある、病院経営としては赤字になってしまう、こうした側面も指摘されていると承知しています。
療養型病院と一般病院では、療養型病院の方が利益率が高いということが言われておりますが、両者の病床利用率は八ポイント近く差があるというデータもございます。療養型病院に比べると、手術のための設備や薬品などの材料費によるコスト増が色濃く影響する一般病院においては、病床利用率の低下が経常利益率の悪化に大きな影響を及ぼしているのではないかと理解しております。
こうした中、政府としても、厳しい病院経営の現状も踏まえながら、これまで、病床の機能と数に着目し、病院の改革を進めようとされてこられたと承知しています。病床数の適正化を図るという取組の内容と成果を教えていただきたいと思います。
また、病床で見ると、回復期病床が大幅に不足しており、急性期病床はいまだ過剰という声もありますが、その点も含めてお伺いいたします。
○森光政府参考人 お答え申し上げます。
現行の地域医療構想につきましては、病床数、これは二〇一五年から二〇二三年にかけまして、約百二十五・一万床から約百十九・二万床となりまして、二〇二五年に必要と推計いたしました病床数である約百十九・一万床と同程度の水準と相対的にはなっております。
また、機能別の病床数を見ますと、機能別の目標には達してはおりませんけれども、急性期と慢性期が減少し、回復期が増加するとともに、入院から在宅医療への移行が進むなど、全体として地域医療構想に一定の進捗が認められると考えております。
以上でございます。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
細かい数字の言及はございませんでしたが、まだ目標値に比べると、回復期病床が不足、急性期病床が過剰というような状況かと思います。
構想に沿って、病床の再編に多くの方々が尽力されてこられたと承知しています。高齢者の方々の緊急搬送は多く、しかしながら、入院しても手術を実施するようなケースは若年層に比べて少ない、こういった話はこの委員会でも議論されてきたと承知しています。また、高齢者の方々は、長期入院により日常生活動作が低下するおそれがあるため、入院早期から必要なリハビリを提供し、早期の在宅を支援した方がよいケースが多いといった議論もなされてまいりました。
軽症、中等症の高齢者救急に対する医療、必要な設備、そして人員体制は、回復期病床や療養型の病院に近いものになってくると考えてよろしいのでしょうか。回復期病床が不足しているところだと思いますが、今後も一定のニーズがあり、増やしていく必要があると理解してよろしいのでしょうか。お伺いいたします。
○森光政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、二〇四〇年頃を見据えますと、医療と介護の複合ニーズを抱えます八十五歳以上の高齢者の増加が更に進むということが見込まれることを踏まえまして、需要が増加します高齢者救急の受入れ等を行う医療機関を確保する必要があると考えております。
こうした中、新たな地域医療構想においては、病床機能について、高齢者救急等の受皿として急性期と回復期の機能を併せ持つことが重要になる、このことを踏まえまして、これまでの回復期機能に高齢者等の急性期患者への医療提供機能を追加しまして包括期機能として位置づけるほか、新設します医療機関機能において高齢者救急・地域急性期機能を位置づけまして、高齢者救急を受け入れる医療機関を確保し、充実するということを目指しております。
こうした病床機能や医療機関機能に関する具体的な内容につきましては、今後、改正医療法案が成立した際に、施行に向けてガイドラインの中で検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
実際のところ、私のような医療政策について勉強をしている最中の人間からすると、一般病院の経営が苦しいというお話は大変に驚きました。ゆゆしき事態でもあると理解しております。こうした状況は、医療に関心のなかった方々にも、医療政策に関心がなかった方々にも是非知っていただきたいと思っています。
急性期の病床が過剰な状態が継続すると、急性期の医療を担う病院が地域に併存し続けた場合、共倒れになりかねないと思います。一方、回復期病床や療養型病院のニーズはまだ継続していく。病院経営の観点も重視するのであれば、病床だけではなく、先ほど言及いただきましたが、病院ごとに機能を分けて、病院の再編や統合を進めていくことも有効ではないかと考えております。
現在、法案もこれから審議になりますが、進められている新たな地域医療構想の枠組み、こちらでは、先ほど一部御言及いただきましたが、高齢者救急・地域急性期機能、そして在宅医療等連携機能、急性期拠点機能、専門等機能の四区分など、機能に着目し、病院ごとに役割を分担していこうという議論があると承知しております。こうした議論の延長には、地域の病院の再編、集約による最適化を行っていくことが念頭に置かれているものと考えておりますが、いかがでしょうか。
また、回復期病床が大幅に不足しており、急性期病床は過剰ではと目標値に比べるとお見受けしておりますが、今後の日本の人口動態を考えると、急性期拠点機能を持つ病院を減らし、高齢者救急・地域急性期機能や在宅医療等連携機能を持つ病院を増やし、連携をより一層強化していくということが重要ではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
○吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。
先ほど局長からも御答弁がありましたように、八十五歳以上の高齢者の増加や人口減少が更に進む二〇四〇年頃を見据えると、高齢者救急や在宅医療の需要が増加するということが見込まれております。しかしながら、一方で、多くの医療資源を要する手術等が減少するということも見込まれております。
このため、新たな地域医療構想においては、医療機関の役割分担を明確化をし、医療機関の連携、再編そして集約化を推進をするため、医療機関機能に着目した取組を進めることとしております。
具体的には、改正医療法案を踏まえ、医療機関として担う機能の報告に基づき、地域における協議を進め、一定の症例を集約した急性期医療の拠点となる医療機関、高齢者救急や在宅医療の需要に対応した、治し支える医療、これを担う医療機関、こうしたものを確保するための取組を推進をしていくことを想定をしております。
新たな地域医療構想を通じて、都道府県と連携を図りながら、地域の実情に応じた医療提供体制の確保に取り組んでまいりたいと思っております。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
役割別の病床数だけに着目していてはいけない、医療機関数とその役割も見ていかなければいけない、そういった段階に来ているのではないかと思います。
先ほど言及もいただきましたが、同一地域で複数の医療機関が緊急手術の体制を取り続け、非効率な待機状態が発生して、人手不足を加速させてしまってはいないかといった議論もされていると承知しております。手術症例が多い医療機関の方が相対的に死亡率も低く、症例集積を高めた方が、収益確保だけではなく、最も大切な患者の命を救うという観点からもいいのではないか、そういった指摘もあります。
一方、命を救う急性期医療に携わりたい、こうした思いをお持ちの方々が、医師の方を始め多いことも非常に理解ができます。地域において病院の再編や集約を行っていくに当たっては、関係者の方々の御理解、経営判断、パンデミック時の対応についての合意など、各種様々な調整が必要となるかと思います。何とか合意形成を行い、進んでいるような案件もあれば、頓挫した案件もあるように聞いております。こうした地域の医療の再編や集約に合意形成が必要になってきますが、この合意形成に当たっては、どのような点が課題、支障となりますでしょうか。
また、地域の合意形成というのは非常に難しく、先ほど地方公共団体のお話もありましたが、地方公共団体の皆さんも、明確な政策の方針がなければ、個別の経営主体である数々の病院をまとめ、地域医療を再編する動きを強力につくっていくことは困難なように思います。
地域の調整に任せるだけではなく、政府として、地域における議論のフレームワークをしっかりと提示し、何にお金をつけ、何にお金をつけないのか、方針を明確にして地域医療の再編を推進していただきたい、こうしたことを考えておりますが、合意形成の課題、支障とともに、この点についても御見解をお伺いしたいと思います。
○吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。
今御指摘がありましたように、これまでの地域医療構想については、やはり病床数の議論が中心となって、将来のあるべき医療提供体制の実現に向けた議論がなされにくいといった課題が指摘をされているというところであります。
こうしたことを踏まえまして、新たな地域医療構想におきましては、その対象範囲を外来医療、在宅医療を含めた医療提供体制全体の課題解決を図るものとして位置づけ、医療機関の連携、再編、集約化を推進をすることとしております。
医療機関の連携、再編、集約化につきましては、地域の実情を踏まえた上で、関係者の理解の下に進めるということが重要でありまして、厚生労働省においては、地域で効果的な取組が進められるように、医療需要、医療資源に関するデータ分析等の技術的な支援や、地域医療介護総合確保基金による医療機関の連携、再編、集約化に向けた施設や設備の整備に対する財政支援、こうしたものを行っていきたいと考えております。
具体的な支援の内容等につきましては、改正医療法案の御審議を踏まえ、関係者の御意見を伺いながら検討してまいりたいと思います。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
官が主導して業界再編を行っていった事例は、必ずしも成功裏に終わったものばかりではないということは承知しています。私は国家公務員時代に農林水産分野で取り組んでまいりましたが、農業者の方々の間の利害調整を強力に進めることができず、結局、高齢化で既存のプレーヤーの離脱が起こるまで構造転換は進まなかったと評価されないのが現状となっております。既存のプレーヤーが同じような経営を続けるだけでは、国民生活に必要なインフラを維持することはできない。これは、農林水産分野で働く中で感じた強烈な教訓でもございます。
また、事例ベースでは再編に成功したものがあっても、全国的な構造改革のトレンドを生み出すことには非常に大きな困難も伴います。しかしながら、医療分野の構造転換、これが遅れると、国民生活への影響はより甚大なものになるかと思います。調整ができなかった場合、無秩序な休診や撤退が起こりかねない。これは、医療従事者、関係者の方々も、そして利用者である国民も望まない結果となってしまいます。
向こう二十年で千七百万人の人口減少と言われている中、人口動態の変化に合った医療体制への転換を、国と地方がしっかりと手を携えて、現場の皆さんとともに強力に進めていただきたいと思います。こうした地域医療の構造改革の議論は、医療業界の皆様から要請の多い診療報酬についての議論をするに当たっても、非常に重要な論点になるものと思います。
ここまで、病院経営の議論をさせていただいてまいりました。国民医療費がますます増加することが想定される中、診療報酬の増加の議論をするに当たっても、医療側の改革も更に必要な時代となっているということかと理解しております。そして同時に、私たち医療を受ける側も、急を要しない医療については、自分たちの負担とすることも覚悟しなければならないということもあるかと思います。
令和五年に閣議決定された通称改革工程においては、二〇二八年度までに検討する取組として、国民医療費に関わる多くのメニューが記載されています。残り時間では、これらのメニューの現状認識と課題について、幾つか確認させていただければと思います。
まずは、窓口負担についてお伺いしたいと思います。
医療の自己負担については、高齢者の方々の負担割合を一律で引き上げていかざるを得ないのではないかという議論も根強くあると承知しております。改革工程においては、二〇二二年十月に施行されました後期高齢者医療制度における窓口負担割合の見直しについて、この施行状況を評価して検討することとされていると承知しています。施行から二年半の状況をどのように評価しているのか、お聞かせいただきたいと思います。
また、改革工程では、金融所得の勘案、金融資産などの取扱いについてや、現役並み所得の適切な判断基準設定について検討する旨の記載もございます。現役並みの所得の判断には金融所得や金融資産を加味すべきではないかと考えられますが、いかがでしょうか。この点も、課題の所在とともに検討状況を御回答いただければと思います。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
まず、高齢者の窓口負担の話でございます。
能力に応じた負担ということで、高齢者の方々についても、一定の所得の方については二割負担というお願いをさせていただきました。
その導入に際しましては、一方で、必要な受診が抑制されないよう、二割負担への変更による影響が大きい外来患者の方については、施行後三年間、一月分の負担額を最大でも三千円に収まる、こういったような配慮措置を講じるとともに、国民の皆様に御理解をいただけるよう、後期高齢者医療の広域連合ですとか市町村等と連携しながら、丁寧に周知広報等を行ったところでございます。
その結果、少なくとも現時点において、私どもの方で今大きな問題というものは特段把握をしていないという状況でございますし、また、二割負担の導入の影響について、対象者数や受診日数等は制度改正の検討時の見込みと大きな乖離はなかったものと承知をしております。
あわせまして、現役並み所得の判断基準に金融所得、金融資産の勘案の話もございました。
この点につきましては、政府としても、一昨年末の改革工程において、能力に応じた全世代の支え合いの観点から、二〇二八年までに実施について検討する項目に位置づけているところでございます。
当然ながら、私ども、負担の公平性という観点からいえば、金融所得、金融資産、こういったものをどういうふうにするかということが非常に重要な課題だとは認識をしております。
一方で、現状では、やはり社会保障制度の場合、単に理念だけではなくて、制度、事務がどう回るかということも非常に重要な課題でございますが、現状では、全ての預貯金口座へのマイナンバー付番がなされていないということ、また、負債の把握がなかなか困難であるといったこと、更に言えば、市町村の事務負担の整理が必要であることなど、どのように金融所得や金融資産を把握するのかという手法が十分に整理されていないという状況でございます。
マイナンバー制度等によって被保険者の金融所得や金融資産を把握することができるかについて、その実務上の課題、また事務負担、こういったことも考慮しながら引き続き整理をしていきたい、このように考えております。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
新型NISAなど、我々も将来に向けた投資の促進を受けている状況です。現役時代に御活躍になり、しっかりと将来に向けた貯蓄を行ってきた御高齢の方々も、そうした資産を御自身の老後のための備えと思って積み立ててこられたものと思います。先ほど言及いただきましたマイナンバーの付番など、インフラの整備は必要かと思いますが、高齢者の方々の御負担については、フローの所得以外の資産も加味させていただくべきだと考えております。
さらに、薬剤の自己負担についても議論が加速化されつつありますが、こちらについてもお伺いしたいと思います。
改革工程においては、市販品類似の医薬品の保険給付の在り方の見直しなどについて検討を行うこととされております。特に、市販品類似の医薬品を保険給付の対象から外すことについては、象徴的に主張されている場面も多いように思います。
保険給付の在り方の見直しによってどれくらいの医療費削減が見込まれるのか、反対意見もあるかと理解しておりますが、どのような論点があるのかも含めてお伺いいたします。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
御指摘の点につきまして、これまでの議論の中で、国民皆保険の持続可能性を確保する観点から、保険料負担の軽減につなげるべきである、こういった意見がある一方で、窓口での負担がそもそも増加するのではないかとか、また、医療上の必要性に応じて患者の方が適切な医薬品を選択できるよう何らかの担保措置が必要ではないか、こういったような課題を言われる御意見もいただいているところでございます。
こうした中で、この見直しにつきまして、まだ整理すべき点も様々ございます。そういった意味で、まだ現時点において具体的な制度設計には至っておらないところでございますので、大変恐縮ですが、財政影響の試算についてはまだ行っていないというものでございます。
いずれにいたしましても、今、公党間でも様々な御議論をいただいているところでございますので、そういった議論も踏まえつつ、私どもとしても、患者にとって必要な医療へのアクセスを配慮しながら適切に検討していきたい、このように考えております。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
この秋に向けた高額療養費制度の見直しの検討の際には、同制度だけではなく、本日幾つか言及させていただきましたが、ほかにも改革工程表に記載された取組があるかと思います。こういった取組も俎上に上げていただきたいと、前回の質疑でも申し上げてまいりました。
総理が見直しをやめ再検討を秋に行うとしてから、約二か月になります。自己負担の在り方の見直しを含めた国民医療費の制度の見直しは、将来にわたっての持続可能な制度を設計する上で必須の議論かと思います。そして、それと同時に、私たち一人一人の将来設計にとっても極めて重要な意味があるかと思います。
どのような負担増加があるのか、どれくらいの医療費増加の抑制効果があるのか、ポジショントークではない課題の所在は何か、そして、国民医療費全体としてどのようなバランスとなるのか、こうしたことを明らかにしながら議論をさせていただきたいと考えております。現在の見直しの検討状況を教えてください。
○吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。
高額療養費制度の見直しにつきましては、先週開催をされました社会保障審議会におきまして、医療保険部会の下に高額医療費制度について検討を行うための専門委員会、これを設置をし、検討を進めていくという方針について御了承をいただいたところであります。
今後、この専門委員会において、患者団体や保険者等を始めとした関係者からのヒアリングを実施をした上で、高額療養費制度の在り方について具体的な議論を進めていくということになりますが、社会保険料の負担軽減を図り、そして医療保険制度の持続可能性を確保するためには、不断の改革に取り組んでいくことが大変重要というふうに考えておりまして、一昨年末に取りまとめられた改革工程に掲げられた他の様々な取組ももちろん視野に入れながら、引き続き医療保険制度改革に取り組んでまいりたいと思います。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
もう二か月になっておりますので、しっかりと検討を進めていっていただきたいと思います。
医療を含め、社会保障というのは大切なセーフティーネットになります。生活が困窮する方が増えれば、社会は荒廃してしまいます。充実した社会保障制度が日本の安定した社会を実現する一翼を担ってきたという側面を大切にしていきたいと思っています。
冒頭も申し上げましたが、私たちの世代の重大な責務の一つは、急激に変化する人口動態に合わせ社会保障制度を改革し、次世代にしっかりと引き継いでいくことだと考えています。社会の構造が変わるにもかかわらず、既存プレーヤーがこれまでと同じことを続け、無秩序な撤退や休診が起こってしまい、医療のインフラが崩壊していくということがないように、今こそ医療の分野は改革を進めていかなければいけない、情報を収集すればするほど、深く確信しております。
医療機器や資材の販売価格の決定方法から終末期医療の在り方まで、現場で業務に従事される方々からも様々なお声、問題提起もいただいております。偽りのない危機感とビジョンを強いメッセージとともに発信するリーダーシップも必要であるということ、そして、負担をお願いするに値する抜本的な歳出のコントロールをしていく覚悟も必須であるということを、改めて申し上げたいと思います。
歳出の改革が早急に進まなかったときに、しわ寄せが行ってしまうのは国民です。そして、現場の医療従事者の皆さんにもしわ寄せが行ってしまいます。社会の変化に適応していきたいということを改めて申し上げて、質疑とさせていただきます。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、長妻昭君。
○長妻委員 おはようございます。立憲民主党、長妻昭です。
まず大臣にお尋ねですが、生活保護を受給しておられる方のうち高齢者で年金受給者は何%ぐらいいて、過去何番目に高いですか。
○福岡国務大臣 六十五歳以上の生活保護受給者のうち年金を受給しておられる方の割合は、令和五年七月時点で約七割となってございます。
その六十五歳以上の生活保護受給者のうち年金を受給しておられる方の一月当たりの平均年金額は、令和五年七月時点で四万七千円となってございます。
○長妻委員 この数字は過去最多ということで、私も初めて聞いたんですが、つまり、年金を受給していてもなかなかそれだけで生活できないので、その差額を生活保護で補っている方が七割を超えているということでございます。
ちょっとこういうパネルを作りましたけれども、生活保護受給者の中で高齢者の方かつ年金受給者の方々が一体幾ら年金をもらっているのかということで、大臣が平均が四・七万円とおっしゃいました。確かに、四万円台とか三万円台が非常に大きいんですね。ですから、年金額がこれから更に下がっていくと、恐らく生活保護が増える可能性が高いと思うんですが、この意見には同意されますか。
○福岡国務大臣 将来の生活保護受給者の見込みにつきましては、経済情勢等の様々な要因が影響することから、推計することは困難でございますが、一般論といたしましては、年金などの収入が減少し、その他の要因が変わらないと仮定いたしますと、生活保護受給者数が増加する可能性についてはあると思います。
○長妻委員 そうですね。私もそう思うんですね。ですから、年金改革をしないと、生活保護が増えるという可能性があるので、ですから、財政的には増えるんですよね。ですから、そこら辺も、年金改革を考えるときにセットでやはり考えなきゃいけない。
冒頭答弁いただいたのがこの表でして、最新の数字では、生活保護受給者のうち高齢者で年金受給者が七二・一%いて、生活保護が始まって以来、過去最多の数字だというグラフもここにございます。
そして、配付資料の九ページ、十ページを見ていただきますと、これは学者先生の、別々の先生ですが、九ページは小塩先生の六十五歳以上の生活保護受給者数の推移ということで、二〇五〇年には高齢者の生活保護受給者は今の百万人から二百万人になる、ケース2だとですね。十ページ目は、これは財源の問題ですけれども、これも別の先生が試算したものですが、二〇五〇年に、非常に大きなケースでいいますと、二倍以上、GDPに占める生活保護費が増える。非常に大きなことになるということでございます。
そういう意味では、年金額の低下を防ぐ今回の年金改革法案というのは、私は本当に重要だというふうに思うわけであります。
マクロ経済スライドの調整率の将来推計というのを作っていただいたのでありますけれども、これを見ていただきますと、マクロ経済スライドの調整率ですね。調整率といいますのは、例えば、年金受給者の方は、従来、マクロ経済スライドがないときは、物価が上がると同じように年金額が上がったんですね。よかったねと。ところが、マクロ経済スライドというのは、物価が上昇しても、その上昇率に、調整率、マイナスになっちゃうということなんですね。
二〇三七年にはマイナス一・三%、二〇五二年にはマイナス一・三%、一番ピーク時は二〇四六年にマイナス一・七%になるということで、今回、あんこが抜けるということなんですけれども、マクロ経済スライドの調整期間を一致させると、二〇三七年で止まるんですね。マクロ経済スライドをもうしなくなるんです。ですから、この表はここで切れる、二〇三七年で。つまり、二〇三七年以降は、年金受給者の方は受給額が物価と同じようにスライドして上がるんです。だから、物価高で苦しむというか、実質価値は同じになるということなんですね、二〇三七年。
ところが、あんこが抜けちゃった法案であると、それをしない場合は、二〇五二年までいっちゃうわけですよ、マクロ経済スライド。ということは、どんどんどんどんこの坂道が下り坂、ピークが二〇四六年、マイナス一・七%ということで、物価が上がっても上がっても、マイナス、マイナスされちゃうんですね、年金額が。実質的に苦しくなる、基礎年金も三割実質価値が減るというようなことで、私は確実に生活保護は相当数増えるというふうに思うんですね。
ですから、今回、あんこを出さないということなんですが、この下り坂を、じゃ、どうやって下り坂にしないのか、あんこ以外の方策で何か決定打はあるんですか。
○福岡国務大臣 まず、先生御承知のとおり、年金の給付水準は今後の経済状況の変化によって変わり得るものでございます。そして、今御指摘がありましたマクロ経済スライドの調整期間を早期終了させる措置につきましても、元々、経済が好調に推移しない場合の備えといたしまして、二〇二九年に予定の次期財政検証の後に発動の可否を判断する仕組みとして提案していたものでございます。
今回の法案におきましては、基礎年金も含め、将来の年金給付水準の充実につながります被用者保険の適用拡大などを盛り込むこととしておりますし、また、経済が好調に推移しない場合の基礎年金の給付水準の低下が本格化いたしますのは二〇三〇年代半ば以降でありますことから、引き続き、経済成長の実現に尽力をしながら、今後の社会経済情勢も見極めながら、基礎年金の給付水準の問題であったり所得再配分機能の強化について、次の財政検証の結果も踏まえて検討を進めてまいりたいと思います。
○長妻委員 その答弁は年金を論じるときの答弁じゃないと思うんですね。そんな甘いことは年金の世界では通用しないわけです。
これは経済の政府の見通しですけれども、今おっしゃったのは、成長型ケースぐらいになるよ、だから余り心配するなみたいな話ですけれども、過去三十年投影ケースですら、実質賃金が毎年〇・五%ずつ、百年間上がる。これも私は過大だと思うんですよ、大きいと思うんですが、これは最悪と政府は位置づけているんですけれども全く間違いで、専門家もそういうふうに言っていますので、余りバラ色ばかり言うと、年金改革、何もしないでいいじゃないですか、そうしたら。そんなばかな話はないので、そういう答弁を厚労大臣がするというのは厳に慎んでいただきたい。
年金については、あした、総務会があって、そこで自民党があんこを抜いたものを出してくるという話ですが、それも残念なんですけれども、あんこを入れたいと思うんですが、ただ、法案自体は、出さないという可能性もまだあるらしいんですが、大臣、これは絶対出せということを明言していただけますか。
○福岡国務大臣 今御指摘いただきましたように、年金法案につきましては、先般の党内の部会の議論を経まして、次の党内手続に移るものと承知をしております。
私も担当大臣といたしまして、幾度とわたり、党幹部に対しまして調整を進めていただくようにお願いをしてきたところです。いつ、どなたと会ったということは申し上げられませんが、昨日も直接複数の幹部とお話をさせていただいたところです。
引き続き、早期に提出をさせていただく環境整備に向けて努力してまいりたいと思います。
○長妻委員 これは確定値が出ましたので最新の数字ですけれども、配付資料の十一ページを見ていただきますと、就職氷河期の方々の賃金というのが、ほかの世代に比べて、この五年を比べても下がっている方もいるんですね。ですから、老後も年金が低くなる可能性があるので、そういう方の目減りを防ぐというのは本当に重要です。それをしないと、就職氷河期の方がダブルパンチで大変なことになりますので、是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。
これは自民党の皆さんの双肩にかかっていますからね。出さないと、本当に、消えた年金底上げ、第二の消えた年金ということで徹底追及しますので、是非よろしくお願いしたいというふうに思います。
そして、大臣、この写真を見ていただきますと、これは残薬なんですね。残薬問題。高額療養医療制度をばさっと削るとか自己負担を増やすとか、いろいろな議論がありますが、前回は、抗菌剤の風邪などへの使用について抑制することで財源が出るんじゃないかという問題提起をしましたが、もう一つは残薬の問題なんですね。
これは私が入手した写真でございます、薬局から。大臣、ここに二枚ありますが、本当に私も驚いたんですが、これは一人の患者さんが、一錠約四千円の薬なんですよ、抗がん剤。これを、自宅に薬剤師が訪問医療で行ったらば、ばさっとこういうのがあったので、二袋あって、計算すると、一袋が大体百万円なんですよ。二袋で二百万円がぼんと置いてあった。
残薬、飲んでいないけれども、どんどん薬が出ている。これはもったいないですよね。どう思われますか。
○福岡国務大臣 そこは委員御指摘のとおりだというふうに思います。
残薬問題につきましては、限りある医療資源であります医薬品の一部を有効活用し切れていないという側面がありますほか、その治療において処方された医薬品が適切に服用されないことで、疾病の悪化であったり回復の遅れといった健康面でも悪影響を及ぼす可能性があることなど、様々な影響がある問題でございますので、解消に向けて取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
○長妻委員 解消に向けてといっても、いろいろな取組はあるんですけれども、言っちゃ悪いんですけれども、ほとんど効果が上がっていないんですよ。
だから、例えば、一つのいい取組として、ブラウンバッグというのは御存じですか。ちょっと持ってきましたが、ブラウンバッグはどういうことか、お分かりですか。
○福岡国務大臣 一九九〇年代、アメリカを中心に広がっていった運動だというふうに思いますが、先生がお示しいただいているようなそういうバッグの中に、今ある薬を持って、そして薬局に行って、その状況を見ながら適切な処方をしていただく、そういう制度だというふうに承知しています。
○長妻委員 ブラウンという色ではないんですけれども、ブラウンバッグ運動ということで、日本でも、薬剤師会、これは東京薬剤師会のものだと思いますけれども、こういうものを患者さんに配って、御自宅にお薬の飲み残しはありませんか、この袋に入れて持ってきてくださいと。そうしたら、薬剤師さんがいろいろ分けて、同じ、今飲んでいる薬であれば、じゃ、これをまた使ってくださいと。もちろん有効期限も分かりますので、そういうものなんですね、これは。余り知られていないんですよ、これは。この中でも知っている方はどのぐらいいますかね。
いろいろ聞いてみますと、表では本音はなかなか言えないんですが、薬剤師の方々と意見交換をすると、本音で言うと、残薬をこういうので回収すると、一つは売上げが減るという意見もあるんですね。もう一つは、残薬を回収しても大変なんですね、いっぱいいろいろな薬があるから。それで、インセンティブがほとんどない。診療報酬というか薬剤報酬は少しは増えるんだけれども、もっとインセンティブがないと、ちょっとこれは、持ってきてと言って、ばさっと来て、それで相当時間をかけても、売上げが減って、インセンティブがない。もちろん、良心的に皆さんやっていただいているんですよ、やっていただいているんだけれども、それは長続きしないと思うんですよ。これはもったいないというふうに思うんですね。
一つ、いろいろ意見を聞いたのは、個々の残薬調整に対して出来高のインセンティブを手厚くつけるよりも、積み重ねた実績に対して施設基準等で手厚く見返りがあるような制度設計をしてもらうと、どんどんどんどんこれを来る人にお渡しする。
やはり飲み残しは、忘れる方と、あと自分の判断で、もう治ったからいいんじゃないのと。でも、お医者さんを目の前にすると、飲みましたかといったときに、いや、飲んでいませんというと、ちょっとばつが悪いという気持ちが働く方が多いんですよ。だから、まあ、飲んでいますみたいに。それで、また出るというようなことで、話しやすいというか、飲んでいませんというのを言いやすい雰囲気をつくるというトークのガイドラインも必要ですし、あと、飲み忘れの方の中には、ちょっと深刻なんですけれども、認知症の初期の方が結構多いんですね。そうすると、その方はちょっとどういうふうに対応するのか。やはり訪問医療等々で対応せざるを得ないような状況じゃないかと思うんです。
大臣、今るる私が申し上げた対策を含めて、政府として本腰を入れていただくために、残薬対策のワーキングチーム、これを政府の中に、厚労省の中につくっていただけませんか。検討するぐらいは言っていただけませんか。
○福岡国務大臣 先ほど、政府のこれまでの取組は余り効果が出ていないというふうにおっしゃいましたけれども、これまでも診療報酬において、薬剤師による残薬解消に資する介入を促進するため、例えば電子処方箋などのデジタル技術の活用による重複投薬であったり飲み合わせの悪い薬の服薬の防止、また、かかりつけ薬剤師、薬局の促進による服用薬剤の一元的、継続的な把握、そして、先ほど申し上げましたように、服薬に支援が必要な方に対します外来服薬支援などに対しての評価を設けてきたところでございまして、薬剤師の介入によって処方変更が行われた件数は増加傾向にありまして、一定程度の効果はあるというふうに承知をしております。
そして、インセンティブというようなお話もありました。診療報酬における残薬対策の在り方については、引き続き中医協において検討を進めてまいりたいというふうに思います。
そして、チームを創設するということについての御提案がありました。個々の政策につきましては、薬局や薬剤師に関する制度であったり、報酬を始めとする専門的な知見が必要でございまして、私の指揮命令の下、各部局において必要な検討を行っておりますが、必要があれば、御指摘がありました検討会の設置についても考えてまいりたいと思います。
○長妻委員 必要があればって、必要があるので、是非設置していただきたいんですね。設置します、前向きにしますというのを、御答弁、もう一回お願いします。
○福岡国務大臣 重ねてでございますが、今、各部局においてしっかり検討していただいています。チームの設置をする必要性も含めて検討を進めてまいりたいと思います。
○長妻委員 ちょっと消極的ですね。せっかく、本当にいろいろ節約できますよ、これは。こういうのは一定程度削減できるので、どなたにもそれは御迷惑が余りかからずに。
それと、ブラウンバッグ運動についても大々的にもうちょっと宣伝、私も周辺の人に聞いたら、誰も知らなかったですね。高齢者の方も誰も知らないわけで、これは、徹底的に宣伝しますということをちょっと言っていただけませんか。
○福岡国務大臣 有効な取組だというふうに承知しておりますので、そういった取組、好事例の取組の広報にも努めてまいりたいと思います。
○長妻委員 資料の五ページ目、これは厚労省の、政府の科研費でやった研究で、一体日本には残薬がどのくらいあるんですかということなんですが、いろいろな試算があるんですが、五ページの試算では、年間に約八千七百四十四億円。もったいなくないですかね、これは。年間八千七百四十四億円ある、毎年毎年ある。日本はいまだに薬漬け大国と言われています、先進国の中でも、いまだに。
それで、一番下に書いてありますけれども、残薬対策を全国規模で介入すれば、年間で六千五百二十三億円の医療費削減が見込まれると書いてあるわけですよ。何で高額療養なんかに手をつける前にこれをやらないのか。はっきり言って、いろいろな利権がありましょう。あるかもしれませんが、やはり患者さんとか医療費全体のことを考えて、もっと切り込んでほしいんですよ、こういうことについて。是非お願いしたいというふうに思います。これは強く申し上げておきます。
最後の質問でございますけれども、障害年金の件でございますが、いろいろ内部から情報が来ていますけれども、共同通信が報道して、その後、国会とかにも内緒で、実は、幾つかの却下した障害年金の案件をちょっともう一回チェックしようということで今やっているようなんですけれども、今どんな状況でやられているんですか。
○福岡国務大臣 今御指摘がありましたように、障害年金が不支給の処分となった事例について、チェックしたり、認定のやり直し作業を行っているという事実については、私どもとしては承知をしておりません。
前回申し上げましたように、令和六年度の認定状況について抽出して調査を行い、その実態把握に努めてまいりたいと思います。
○長妻委員 これは、ちょっと深刻なんですけれども、日本年金機構の理事長とか執行部にもそういう情報が入っていないようなんですね。つまり、障害年金というのは、実は新宿に障害年金センターがあるんですね。本部は、日本年金機構は杉並にあるんですけれども、新宿に障害年金センターがあって、センター長がそこのトップで、離れ小島なんですよ。ちょっとそこが独立部隊みたいになっていて、そこでやっていることを、情報共有が日本年金機構の執行部にされていないようなんですね。
これももちろん未確認情報ですけれども、私が聞いたのは、そこで、具体的に数字も聞いておりますが、報道を受けて、千数百件の却下したものを慌てて再審査している。それぞれの部署に、幾つかの部署があるんですが、外部、内部とか、精神とか、そういうところの第一課、二課、三課とか、それぞれに割り当てて、トータルで千数百件なんですが、再審査を今急ピッチでやられているということなんですが、これは確認してくださいね、現場の情報を全然把握していないとまずいので。私もこれが絶対そうだと言うつもりはありませんが、そういう情報が入ってきておりますので、これは是非確認してください。
○福岡国務大臣 今、抽出調査をこれから行う中で、御指摘の点も踏まえて確認してまいりたいと思います。
○長妻委員 そして、私も、もう少し言うと、今回を契機に、やはり障害年金の認定を抜本的にちょっと見直す必要があるんじゃないかなというふうにも思っているんですね。
どういうことかといいますと、はっきり言うと、どの認定医に当たるか当たらないかで運命が決まっちゃうんですよ。相当幅が広いんですね。認定医の方も、マスコミ報道によると、書類審査なんですね。下から上がってくる書類を審査して、マスコミ報道だと、認定医は一人の審査に一分だと書いてあるんです。私、一分はひどいなと思って日本年金機構に確認したら、いやいや、四分ですと言われた。いやいや、四分って、四分ですよ。日本年金機構がそういうふうにおっしゃっておられるので。
ですから、一人の認定医がそこで認定して、だから、事実上、職員がちょっと目安を書いて、やはりそれを追認するというふうにならざるを得ないんです。別に誰が悪いということではないんです、今の仕組みで。日本年金機構も相当これは負荷がかかっていて、障害年金というのは、病状というか、症状で認定するものじゃないんですね。生活を支えるために支給される年金なので、生活が、どういうふうにその方がされているのか、書類審査で、四分でというのは無理なんですよ、どだい。だからこれは、偶然とか当たり外れとか、そういうことになって、その方の一生の運命が決まるようなことになるので。
ですから、一つの提案としては、例えば、介護認定というのがありますよね、要介護五、四とか。それと、障害支援区分というのがありますよね、六区分の。障害支援区分は、御存じのように、認定調査員がその方のところに行って、状況を見て、そして、プラス、主治医の意見書をつけて、第一次判定、これはコンピューター判定をします。その後、さらに、調査員と主治医の意見をつけて、第二次判定、これは市町村の審査会で、いろいろお医者さんとか専門家が集まったところで、この方はどうするどうするとやるんですよ。
そのぐらいのスキームに乗せないと、これはちょっと、私、もう限界に来ていると思うんですね。今回、いろいろ皆さんが努力して、サンプル調査をして出して、いろいろ改善したとしても、必ずまた同じような問題が出てきます、今の仕組みであると。
ですから、大臣、是非これも、検討チームのようなものをつくって、認定を抜本的にちょっと見直さないとまずいんじゃないかというようなことを是非チームをつくって検討していただきたいんですが、いかがでございますか。
○福岡国務大臣 御指摘いただきましたように、障害年金につきましても認定基準はあります。ただ、おっしゃいましたように、認定をされる方によってばらつきがあるということは好ましいことではございませんので、様々な御意見を伺いながら、障害認定基準の見直しについても検討を進めてまいりたいと思います。
○長妻委員 だから、検討チームをつくって、ちゃんと抜本改革についての検討をちょっとしてもらえませんか。
○福岡国務大臣 今回の調査結果であったり御意見も踏まえまして、つくるかどうかも含めてしっかり検討を進めるということでございます。
○長妻委員 こういう程度なら、さっきの残薬もそうですけれども、大臣の権限でばんとできるんですよ。何でもできると言ったら語弊がありますけれども、結構、いろいろ反対はあるものの、できるんですよ、大臣は。どんどん進められるんです。別に気兼ねしないで、どんどん進んで、あつれきが一定程度、起こる前にもちろん根回しをするんですが、起こったらそこに丁寧に行って、私もいろいろな団体に呼ばれて行きました、大臣のときに。謝りに行ったりいろいろやりましたけれども、どんどんできるんですよ。それが大臣なので、是非お願いしたいと思います。
ここの配付資料の一ページ目に、これは共同通信が報道で出している資料なんですが、この資料について非常に、これは、日本年金機構によると、判定医について、この人はどういう特性があるのかを内部でまとめた資料というような趣旨のお話を日本年金機構から聞きました。これを読むと、この先生は、ある意味では、機構の意見をちゃんと聞くから、こっちでやっちゃえばいいんじゃないのというような趣旨にも取れるわけですね。
でも、ルール上はやはり認定医がちゃんと自主的に決めないといけないんですが、こういう文書についてはどう思われますか。
○福岡国務大臣 御指摘の内部文書につきましては、報道においては承知をしておりますが、今その存否も含めて確認をさせていただいているところでございます。
○長妻委員 これで質問を終わりますけれども、いずれにしましても、例えば、医療費、年金、この二つは日本の国でもすさまじいお金が右から左に毎年動いている分野でありまして、確かに、少しいじるといろいろなことの反応が返ってくるのはよく分かるんですが、やはりここはそれぞれ切り込んでいただいて。自然体でいきますと、結局、政治力のないところが割を食っちゃうんですよ。
政治力というのは、日本では、はっきり言うと、パーティー券を余り買えないとか、団体献金を余りできないとか、企業献金を余りできないとか、自然体でいくと、そういうところにどんどん割を食わせることになるので、それじゃ駄目だということで、やはり政治の力でどんとそこを後押しをするということが大切になりますので、是非大臣には、やればどんどんできますので、何かちょっと遠慮しているような感じを私はずっと大臣を見ていて思いますので、もっとどんどんやっていただきたいというふうにある意味でエールを送りまして、私の質問といたします。よろしくお願いします。
○藤丸委員長 次に、宮川伸君。
○宮川委員 立憲民主党の宮川伸でございます。
本日は、最初に介護についてお伺いをしたいと思います。
資料をお配りしておりますが、一枚目でございます。これは東京商工リサーチの記事です。二〇二四年度、介護事業者倒産、最多の百七十九件。
二ページ目になりますが、これはNHKの記事を載せましたが、訪問介護、人手不足で依頼断る事業所相次ぐ。これは日本介護クラフトユニオンさんがアンケート調査を行ったんですが、ヘルパーの人手不足によってサービスの提供を断ることがあったか聞いたところ、事業所の管理者の八九・四%が、あると答えたということでございます。
そして、ちょっと資料が間に合わなかったんですが、昨日、介護の十団体が記者会見を行ったということであります。今年度の賃上げ率の平均は正社員の介護職で二・一五%、全産業の平均は五・三七%で、その格差は三・二二ポイントと大きい、前年度の二・〇七ポイントから更に拡大をしているということです。全国老人保健施設協会の東憲太郎会長が、人が来ないだけではない、他産業への人材の流出が加速的に進んでいる、このままでは介護現場はもたない、今の流れを早く止めないといけない、介護現場で働くあらゆる職員に十分な賃上げをとお訴えをされているということでございます。
それで、またちょっと私の資料の三ページ目ですが、これは、自民党議員の皆さんも政府に介護の現場の早期支援をということで要請を強くしているということです。一枚飛ばして五ページ目のところでは、自民党参議院議員の有志で福岡厚生労働大臣にも去年の十二月に緊急申入れをしているということであります。
自民党議員さんも申入れをしているという中で、我が党は、一月二十九日の日に訪問介護緊急支援法案を国民民主党さんとともに出させていただいています。一月三十日の日に介護・障害福祉従事者処遇改善法案を日本維新の会さんと国民民主党さんとともに出しています。こういうものをちゃんと出しているのに審議されずに放置をされているという状況で、これで本当にいいのかということを強く今感じるところであります。
大臣にお伺いしたいんですが、今このような介護の状況でありますが、何らか緊急に財政支援等をする必要があると思いますが、大臣はどのように思われますでしょうか。
○福岡国務大臣 介護現場の厳しさについては、この委員会においても度々御指摘をいただきましたし、今お示しいただきましたように、例えば与党議員におかれても、物価高騰等の厳しい状況に今直面している中で、それぞれの議員活動の中で現場からの厳しい声を受け止められているものというふうに承知をしておりまして、そういった意味で、介護分野における処遇改善は引き続き喫緊の課題であるというふうに認識をしております。
介護職員の平均給与につきましては、令和六年度処遇改善等調査におきましては前年度比で四・三%増と、各種取組の効果は反映されているものというふうに考えておりますが、更なる賃上げに向けて、処遇改善加算の要件の弾力化であったり、先般の補正予算で賃上げに向けた支援を講じているところでございまして、補正予算による支援は多くの事業所に活用いただけるものと承知していまして、こういった措置が現場に行き届くようにしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。
その上で、補正予算による支援が事業所に行き届くのは本年の夏頃というふうに承知しておりますので、その後、これらの施策が介護職員等の処遇改善に与える効果などについてもしっかりと実態把握を行いながら、財源と併せて必要な対応を進めてまいりたいと思います。
○宮川委員 昨日の記者会見の中でも、介護の現場の方々が相当危機感を持っているということです。
議員立法を出しておりますので、是非、本国会中にきちんと審議をして、その審議の中で、本当に大丈夫なのかどうか、やるべきなのかというのをこの国会、この委員会の中でやっていただきたいというように思います。よろしくお願いをいたします。
委員長、理事会でお諮りくださいませ。
○藤丸委員長 はい、検討します。
○宮川委員 続きまして、国民健康保険のことについてお伺いをしたいと思います。
国民健康保険の加入者負担がもう限界に来ているという声をたくさん聞いております。全国知事会等からも要請が入っていると思いますので、大臣もよく御存じだと思いますが、改めて、国民健康保険ですが、自営業者や無職の方等が入られているもので、サラリーマンの方などは協会けんぽや健保組合に入っているということでございますが、この国民健康保険の保険料を支払うのが本当に厳しいということですが、今、大体平均で何%ぐらい、そして、高い人で何%ぐらい支払っている状況でしょうか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
まず、平均の保険料負担ということで、市町村国保におきまして、令和四年度における加入者一人当たりの平均所得、これが九十六万円になりまして、平均保険料は一人当たり九・一万円、これを割り戻しまして、負担率自体は九・五%というふうになっております。
高い方でどうかというのは、済みません、データとしてはございませんので、ちょっと今お答えはできないということで申し訳ございません。
○宮川委員 大臣、高い人も、どういうふうになっているのかという現状把握をちゃんとしないと、手遅れになると大変危機感を持っています。
平均だけでは分からないということで、それで、私も、いろいろな自治体から要望も来ているので、何とか資料を作って、今日、七ページ目なんですが、お見せをしたいと思います。これが本当に正しいのかどうかも含めて、全国がどういうふうになっているのかも含めてしっかり調査をしていただきたいと思いますが、これは千葉県のA市のモデルの国民健康保険の状況です。
例えば、六という一番下を見ると、三人世帯、夫四十歳以上、妻四十歳未満、子供が十五歳で一人いるということ。所得ですが、夫が三百万、妻が百万の場合、二〇二五年度の保険料の税額が五十五万八千五百円ということで、一四%ということになります。
これは私も非常に高いというように思いますが、今の現状は、自治体が一部お金を出して、安いところもたくさんあるということなわけですけれども、今、自治体がお金を出すというのを、出さないようにするという方針が出されていて、これから自治体が補助が出せない状況になると、今まで自治体が補助を出していたところが一気に上がっていくということで、不安を持っているところがたくさんあるということです。
前のページの六ページ目ですが、一個前の折れ線グラフみたいなものですが、これは千葉県の標準保険料率を示しているものです。二〇一九年から二〇二五年まで右肩上がりに、ずっと保険料が、支払いが増えていっているというように思っていいと思いますが、なっている状況でございます。
それで、じゃ、これが今後どうなるのかということなんですけれども、これもなかなか試算が難しくて、ちょっと資料としてお出しできるような状況じゃなかったので口頭にしますが、令和十年ぐらいでどうなるかというのを、いろいろな各自治体さんとかもやはりシミュレーションをしているんですね。
そういう中で、例えば複数世帯、もう令和十年、十一年になってくると、自治体が補助を出せない状況になってくるわけですが、そういう状況の中で、複数世帯の例、世帯主四十五歳、妻四十三歳、子十六歳、夫が給与所得三百五十六万円、妻が給与所得九十五万円という家庭でいうと、保険の税額が九十九万二千円で、約二二%になる。あるいは、二割軽減該当世帯で、六十三歳世帯主、妻五十八歳、子十九歳、妻と子は働いていないというような状況で収入が二百二十万円の場合、保険税額が、これは令和十年の話をしていますが、四十万四千八百円で、所得でいうと百三十七万五千円になりまして、所得割でいうと二九%ぐらいになるんじゃないか、収入でいっても一八%ぐらいになるんじゃないかというような試算も出ているような状況になっているんです。
私は、こんな一五パー、二〇パーみたいなのが保険料で取られるというのはあり得ない、生活がもうできない状況に陥るんじゃないかというふうに思いますが、このような将来像、近い将来そうなるんじゃないかと予想されるわけですが、大臣の危機感とどのように対策を考えていらっしゃるか、お答えいただけますでしょうか。
○福岡国務大臣 今、具体的な事例について御紹介いただきましたが、国民健康保険制度におきましては、被保険者の高齢化であったり医療の高度化等に伴いまして、一人当たり給付費とともに、お一人当たりの保険料も増加傾向にあるというのは御指摘のとおりだというふうに思います。
この点、一昨年末の改革工程に沿いまして、給付と負担の見直しであったり医療DX等による効率化、質の向上や医療の提供体制の改革などを行う中で、保険料負担の抑制につなげていく必要があるというふうに考えております。
その上で、国民健康保険におきましては、給付費の五割を公費負担としておりますことに加えまして、所得の低い世帯の応益割保険料を最大で七割軽減する措置を講じているところでございます。また、平成三十年度以降は毎年約三千四百億円の財政支援を行いまして、国保の財政基盤について大幅に強化をしているところでございます。
こうした取組を通じまして、中低所得者を含む被保険者の負担軽減を図りながら、国民皆保険を支える国民健康保険制度の安定的な運営に努めてまいりたいと思います。
○宮川委員 大臣、今やはり本当に厳しい状況で、いろいろやる中でも厳しいということは分かっていますが、先ほどお見せしたように、右肩上がりに状況が今上がっていて、さらに高齢化の問題等がある中で、これはなかなか抑えるのが難しいのが分かっています。
ですから、今の答弁の御回答だけでは乗り切れないというふうに思いますので、是非、どうしたらいいのか抜本的に検討いただきたいのと、先ほど長妻議員の方からもバッグの話とか残薬の話とかがありましたが、細かいものも、しっかりやれることは全部やらないと本当に崩壊してしまうという危機感があります。
もう一度、しっかりこの問題に取り組むということで御答弁いただけないでしょうか。
○福岡国務大臣 今、先ほど申しました事例を含めまして、改革工程表にのっとりまして、医療費の在り方については不断の検討を進めさせていただいておりますし、それを、皆様方の負担感を考えながら、どう分かち合うかということについてもしっかり検討を進めてまいりたいと思います。
○宮川委員 是非よろしくお願いをいたします。
次に、ドラッグロスの話をしたいと思います。
これは医療費の問題とも関係するので、できるだけこういう話をしていきたいと思っていますが、海外で使える薬なんだけれども日本では使えない薬ということで、ドラッグロスというのが薬機法の改正のときにも議論になりました。
そういう中で、お配りした資料の九ページ目にありますけれども、ドラッグロス実態調査と解決手段の構築研究班というのが動いていて、そして、八十六品目のドラッグロスに関して、グループA、B、C、Dと分けるという、前にも質疑がありましたが、こういうようなことが今行われています。
これは、私は非常に進歩しているというか、いいことだと思っています。これをしっかり前に更に進めていっていただきたいと思っていますが、この取組だけではカバーし切れていないようなケースがほかにもあるということで、それを少し挙げていきたいと思います。
具体例を挙げないとなかなか分かりにくいと思うので、今日は、一つ例を挙げてお話をしたいと思っています。それが、骨髄増殖性腫瘍の一種で、がんですね、血小板が過剰につくられる病気で、本態性血小板血症という病気、希少疾患なんですが、この病気があります。
この病気に対して、ペグインターフェロンの薬でペガシスという薬があるんですが、このペガシスという薬は、欧米では使用が可能なんですけれども日本では使えないということで、患者団体がもう十年以上前からこれを使わせてほしいということをずっと言っているんですけれども、いまだに自己負担でも使えないという状況になっています。
なぜ日本でペガシスが使えないのか、厚労省はこの薬の使用について検討したことがあるのか、お答えいただけますでしょうか。
○城政府参考人 お答え申し上げます。
我が国におきまして、ペガシス皮下注は、C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善及びB型慢性活動性肝炎におけるウイルス血症の改善の効能で承認をされ、使用されているものでございます。
議員御指摘の本態性血小板血症や真性多血症等の効能につきましては、現時点で薬事承認はされておらず、企業等が適応を拡大するための治験等を行っているということや患者申出療養が行われているということについても把握をしていないところでございます。
一方、医療上必要な医薬品や適応を我が国で使用できない状況を解消する取組としては、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議というものも設置をいたしまして、海外で承認されるなどの一定の要件を満たす医薬品につきまして、患者団体や学会から医療上の必要性の高い医薬品の開発に関する要望を受け付け、その医薬品の海外における承認の状況、対象疾患の重篤性や他の治療薬の有無等について検討を行った上で、製造販売業者に対して開発の要請等を行っているところでございます。
ペガシスにつきましても、こういった本態性血小板血症や真性多血症の開発に係る相談や、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議に要望等がございましたら、速やかに対応してまいりたいと考えております。
○宮川委員 今いろいろ御説明いただきましたが、このペガシスに関してどういう対応を厚労省が取ってきたのかというのがちょっとよく理解できませんでしたけれども。
患者団体から二〇一三年に要望書が厚労省に出されているということと、今ちょっとお話がありましたが、未承認薬・適応外薬検討会議にも申請されていて、二〇一〇年、もうかなり前です、二月八日の第一回の医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議の中にも取り上げられているんですね。こういうのが取り上げられているのに対して、厚労省としては、どのようにペガシスに対しては取り組んだのでしょうか。
○城政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十五年七月二十五日に、骨髄増殖性腫瘍患者・家族会から、本態性血小板血症及び真性赤血球増加症に対するペガシスの早期承認の要望書をいただいているところでございます。
この要望書におきましては、ペガシスにつきまして、米国では、本態性血小板血症及び真性赤血球増加症に承認はされていないものの、一部の民間会社が保険償還を行っているということから、我が国においても使用できるように、早期承認されるように要望があったものでございます。
ペガシスの本態性血小板血症及び真性多血症への適応拡大につきましては、企業の考えにもよるところではございますが、厚生労働省としては、企業より当該疾患の開発に係る相談や、患者団体等から医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議への要望や相談等があれば、速やかに対応してまいりたいと考えております。
なお、先ほど御説明しました要望書でございますが、これは所定の様式があるわけですが、それに沿ったものではなかったこと、それから、海外での使用の条件、エビデンス等に基づき特定の用法、用量で広く使用されている、こういった要件が確認できるものではなかったということから、要望としては取り扱っていないものでございます。
○宮川委員 昨日の段階で十分に、未承認薬・適応外薬検討会議の方にもいつ出されているのかがはっきり分からなかったので、昨日の段階では言えなかったんですが、二〇一〇年二月八日の第一回の会議の中で出されていて、私もホームページで見れたので確認しましたが、ちゃんと正式に出ています。
ですので、今お答えいただかなくてもいいですけれども、たしか中外製薬だったと思うんですが、ちゃんと厚労省から中外製薬に交渉したのかどうかというのをちょっと見ていただきたいなというふうに思います。
その上で、先ほど、八十六リストという研究班のやつがありますが、この八十六のリストの中にペガシスというのは入っているんでしょうか。
○内山政府参考人 お答えいたします。
今御指摘いただきました研究班、令和六年度厚生労働科学特別研究事業、ドラッグロスの実態調査と解決手段の構築では、二〇一六年から二〇二〇年の間に欧米で承認された新有効成分含有医薬品のうち、二〇二二年末時点で日本国内で承認されていない医薬品を対象に調査を行っているところでございます。
お尋ねのペガシスにつきましては、日本においては二〇〇三年に新有効成分含有医薬品として承認されているため、この研究班の調査対象であった八十六品目には含まれていないところでございます。
○宮川委員 今の御答弁のとおりで、このペガシスに関しては入っていないということなんですね。だから、こういうふうに漏れるものがあるということですが、じゃ、それがどういうものかということで、八ページ目をちょっと御覧いただけますでしょうか。
ここに、医薬品の添付資料と私が患者会から聞いたもので私が作った表なんですけれども、ペガシスというペグがついたインターフェロンですが、これは大体、年間四十万円ぐらいお金がかかるということです。
ベスレミという、今これは臨床試験が行われていて、間もなく使えるようになるんじゃないかと言われている薬ですが、だから、これは臨床試験、今恐らく審査をしているので厚労省もよく分かっている薬です。ベスレミ、これだと年間約七百二十万円ぐらいかかるんじゃないか、これから薬価がついてくるのであれですが、恐らく七百二十万ぐらいかかるんじゃないかと言われています。
スミフェロンというのが、これも日本では使えない薬で、ペグがついていないインターフェロンなんですが、今患者さんが一応買えることになっていて、年間二百万円を払って、これを使っているんだそうです。
ですから、患者にしてみると、四十万円のペガシスを使いたいという要望が今なおあるというのがまず一点です。
それともう一つは、NCCNという、全米を代表するがんセンターが中心になって作成した、がん診療における臨床診療ガイドラインというのがあって、世界でよく使われているNCCNガイドラインというのがあります。これによると、ペガシスが使用できない場合にベスレミの使用を推奨するというようになっていて、アメリカでは、まずペガシスから使っていくというようなことが言われているんです。
そういうような中で、価格もかなり安くて、欧米でもペガシスを先に使っているような状況なのに、なぜ日本はベスレミの臨床試験はやるけれどもペガシスに関しては全然検討していないのか、お答えいただけますでしょうか。
○城政府参考人 お答えいたします。
ベスレミにつきましては、企業が本態性血小板血症に対する適応拡大を目的として臨床試験を実施しているということは承知をいたしております。
一方で、ペガシスにつきましては、当該疾患について治験等が行われているということは私どもは把握をしておりません。また、本態性血小板血症に対するペガシスの使用を目的とした患者申出療養に関する申出が患者からなされたということも把握をいたしておりません。
どのような疾患に対して適応拡大のための開発を行うかについては、一義的に、当該医薬品を製造販売する企業の判断によるものでございます。このため、企業より当該疾患の開発に係る相談や、患者団体等から先ほどの検討会議への要望や相談等がありましたら、これは速やかに対応してまいりたいと考えております。
○宮川委員 大臣、今の答弁ですけれども、患者の皆さんは、本当に自分が病気の中で必死になってここまで調べているんですね。それで、厚労省の人は専門の人がいっぱいいるわけですから、もうちょっと手を差し伸べて。もう製薬企業がやらないんだったら知りませんみたいな。希少疾患は、患者の数が少ないから、企業が利益が出るかどうか分からないので積極的にやらないわけです。ですから、私は、もう少し厚労省が患者に寄り添ったような状況をつくる必要があるんじゃないかと思っております。
患者申出療養制度に出ていないと今おっしゃっていましたが、患者さんたちは、この制度を、順天堂大学が十五ある臨床研究中核病院の一つになっているんですが、出そうとしたみたいなんです。だけれども、順天堂大学から、こういう患者申出療養制度をやったことがないから無理だと言われたということですが、順天堂大学は、この間に患者申出療養制度を使ったことはあるんでしょうか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
御指摘の順天堂大学医学部附属順天堂医院につきましては、これまで患者申出療養の実施医療機関や協力医療機関として患者申出療養を実施した例はないというふうに承知しております。
○宮川委員 大臣、十五しかない機関で、先ほどの答弁で患者申出療養制度もないから厚労省はやっていませんと言っておりましたが、やはり、いろんな制度が足りなくて困っているということがあるということで、このほか、神経芽腫や筋ジストロフィーの話もしたかったんですが、今日は一例をお示ししましたが、何とかドラッグロスを解消するように、あるいは医療費が下がるように頑張っていただきたいと思います。
時間になりましたので、終わりにいたします。ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、阿部圭史君。
○阿部(圭)委員 日本維新の会の阿部圭史でございます。
まず、福岡大臣、お誕生日おめでとうございます。皆さん、拍手。本日、ケーキでも持ってこようかと思いましたけれども、さすがにそれは理事会を通らないだろうと思いまして、またどこかでゆっくりケーキでも食べていただければと思いますが、お忙しい中、本当にありがとうございます。
本日は、まず初めに、グローバルヘルスについて伺いたいと思います。
まずは、今月末のWHO総会で採択されるパンデミック条約について。
私もかつて、国際保健規則、通称IHRを担当を政府でいたしておりまして、また、COVID―19パンデミックが始まった際には、WHOでIHR等の国際法の担当官をしておりました。そのときに、まさにパンデミック条約の議論に向けて、WHOのテドロス事務局長が動き始めたのを傍らで見ておりました。そこから五年がたちまして、ようやく条約交渉が妥結し、採決が行われるということで、隔世の感がありますけれども。
そもそも、条約というものは、我が国の国益にかなうものでなければなりません。単に、感染症危機は世界中で対処せねばならない、そういったことで国際協力を促進するとか、そういった論理では締結してはならないと思います。まず、我が国の国益、我が国に実益をもたらさねばならないというふうに考えております。
そういったことでいいますと、今月のWHO総会で採択されるパンデミック条約については幾つかの論点があると思うんですけれども、その条約が定める規定の中で、我が国の実益に直結するものというとやはりこれだよねというのを是非教えていただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 済みません、まずは、私の誕生日に対して祝意を示していただきまして、ありがとうございます。
御指摘がありましたパンデミック条約につきましては、新型コロナウイルス感染症対応の教訓を踏まえまして、将来のパンデミックに対してよりよく予防し、備え、対応できるようにすることを目的としたものでございます。この観点から、病原体へのアクセス及び利益配分のほか、予防及びサーベイランスの強化、サプライチェーン及びロジスティクス、規制システムの強化などの規定が盛り込まれています。
我が国の実利といたしましては、国際的な感染症対策が進むことで、我が国においても感染症の蔓延防止に資するということを期待をしております。
パンデミック条約につきましては、今月下旬のWHO総会におきまして採択が見込まれておりますが、一方で、今後の条約に続きまして、病原体へのアクセス及び利益配分の仕組みの詳細を定めます附属書の交渉が行われる予定でございまして、外務省とも連携しながら、引き続き建設的に貢献してまいりたいと思います。
○阿部(圭)委員 ありがとうございます。
まさに今おっしゃった病原体へのアクセス及び利益の配分というのは、私、かつて名古屋議定書の担当者もやっておりまして、これは非常に先進国、途上国で利益に関する考え方が分かれるものということで、これが一番我が国の国益、実益に直結していると思いますので、是非しっかり議論していただきたいと思います。
厚労省の観点で今お伺いいたしましたけれども、外務省はより広い観点で見ていらっしゃると思います。松本政務官、今日はありがとうございます。もし御答弁いただけたら、お願いいたします。
○松本大臣政務官 外務省からお答えいたします。
条約については、委員御承知おきのとおり、外務省が所掌として締結することでございます。
今般のパンデミック条約については、一年ぐらいちょっと延びてしまったということもございますけれども、交渉妥結に至ったことというのは重要な一歩というふうに受け止めております。
その上で、今般のコロナウイルス感染症のような世界的な健康危機に際しては、国際社会が一致して対応する必要があることは当然でございます。パンデミックの予防、備え、そして対応の強化のために、国際的な感染症対策の促進、これについては我が国にとっても極めて重要なことであるというふうに外務省としても認識をしており、また今般の交渉にも臨んでいたということでございます。
○阿部(圭)委員 かつて、病原体へのアクセス及び利益の配分といったときに、私も外務省の皆さんと密に連携をしながら、実際に日本の利益や実益はどこなのかということをやっておりましたので、是非両省でしっかりとやっていただければなというふうに思っております。
このパンデミック条約については、結構、陰謀論系の方々なんかがいろいろ言う場合がございますので、そこはちょっと違うんだよということを明確に言っていただきたいと思っております。やはり条約は、我が国にとっての国益になれば結べばいいんですし、そうじゃないのであれば結ばないというのが基本的な姿勢だと思いますので、基本的に、結ぶものというのは国益にかなうものだということで認識をしておりますので、是非よろしくお願いいたします。
次に、Gaviワクチンアライアンスについて伺います。
私もこれまでGaviとは様々な仕事をさせていただきました。Gaviは五年ごとに増資を行っておりまして、二〇二一年から二五年の第五次戦略期間では、日本は理事会メンバー、いわゆるアンカードナーとして活動してきました。
現在は、来年以降の次期第六次戦略期間に向けて増資を行うべく活動していらっしゃいまして、昨年十一月に事務局長のサニア・ニシュタールさんが来日した際には、有志の議員勉強会でもお目にかかった次第でございます。
この次期の増資会合については六月二十五日にブリュッセルで予定されていると思いますけれども、我が国は三・三億米ドルを新規拠出として要請をされているというふうに理解をしております。
理事国、アンカードナーとして残るためにはどの程度の新規拠出が必要であると考えていらっしゃいますでしょうか。大臣、お願いいたします。
○福岡国務大臣 Gaviワクチンアライアンスにつきましては、途上国におけます予防接種率を向上させ、人々の命と健康を守る活動を行っていただいております。こうした活動は我が国が積極的な役割を果たしてきましたユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成にも資するものでございまして、我が国もGaviの活動に協力をしてきたところです。新型コロナのような将来のパンデミックへの予防、備え及び対応のためにも、Gaviの活動は重要であるというふうに考えています。
こうした中で、御指摘がありましたように、本年六月二十五日、Gaviの次期増資会合がベルギーで開催される予定でございまして、これに対します日本の対応につきましては、今、外務省を含む関係省庁と検討中でございます。
その上で、議員がお尋ねがありました、理事会における議席を確保するために必要となる拠出額の見込みにつきましては、他国の動向もありますことから、現時点で予断を持ってお答えすることは難しいと考えております。
いずれにしましても、新型コロナの収束であったり、日本の厳しい財政状況といった事情も総合的に考慮しながら、外務省を含む関係省庁と連携しながら検討してまいりたいと思います。
○阿部(圭)委員 ありがとうございます。
まさに他国の動向を見据えてということなので、幾ら出すかという、最後はチキンレースみたいなところになるわけですけれども、そこは是非獲得できるようにお願いしたいと思っております。
その上で、やはり私も各国の金額を今までも見てまいりましたけれども、二〇二〇年六月に安倍総理がまずはGaviに対して三億米ドルを拠出されています。今回は三・三億ドルお願いされているわけですけれども、やはり安倍総理が出した金額を下回るのは得策ではないというふうに考えておりますけれども、他国の動向というのはあると思いますが、どうお考えになりますでしょうか。
○福岡国務大臣 今御指摘がありましたように、二〇二〇年六月のグローバル・ワクチン・サミット二〇二〇におきまして、日本は二〇二一年から二〇二五年の第五次戦略期間に対しまして、当面、三億米ドルを拠出することを表明し、これまでも着実に拠出を実施してきたところでございます。
次期戦略期間におけます日本からの拠出額につきましては、先ほども申しましたように、現在検討中でございますが、背景といたしましては、新型コロナが収束していることであったり、日本の財政状況もあります。ですから、総合的に考慮して、外務省も含む関係省庁と連携しながら検討を進めてまいりたいと思います。
○阿部(圭)委員 Gaviは非常に有用な国際機関だと思いますので、是非とも政府の皆さんには頑張っていただきたいと思っております。
松本政務官、ここで結構でございます。ありがとうございます。
次に、マイナ救急について伺います。
マイナ救急とは、救急隊員が傷病者のマイナ保険証を活用し、病院選定等に資する情報を把握する取組でございます。これは、私、医療現場にもおりましたけれども、非常に有用な取組だと思うんです。
例えば、私が救急外来で医者をやっていたときは、意識不明で身元が分からない患者さんですとか、そういった方が運ばれてきたときには、その方の所持品、かばん、財布をあさって、実際この方はどういう名前なんだ、どういう病院にいるのかと、まさに先生も病院でやっていらっしゃったと思いますけれども、どうなっているんだと、一分一秒ありますから。それで、氏名、住所、緊急連絡先、通院している病院、服薬している薬、既往歴などを必死に探して治療に役立てていました。
しかし、このマイナ救急があれば、そういったことも避けられるのではないかなと思っております。
令和六年度に六十七消防本部六百六十隊において、約二か月間の実証を行っていたというふうに承知をしております。その際に、マイナ救急の情報閲覧件数は一万一千三百九十八件と消防庁より伺っております。これは、実際その期間に対象となった救急活動の何%を占めるんでしょうか。救急現場の感覚として、この割合、高いと考えるか低いと考えるか、お願いいたします。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
御指摘の令和六年度に実施しましたマイナ救急の実証事業、ここにおきましては、御指摘のとおり、傷病者に関する情報を閲覧した件数は一万千三百九十八件でございまして、これは実証事業に参加した救急隊における救急搬送件数全体の約七%でございました。
この割合につきましては、救急隊が直面する救急現場の状況は様々でございまして、事故や災害等も即座に搬送すべき事案もございますことから、一概に高いか低いか申し上げることは困難でございますが、これらの実施状況につきましては、令和七年度においても全国全ての消防本部で実証事業を実施する予定でございまして、今後も継続して把握してまいります。
○阿部(圭)委員 医療現場の感覚からすると、やはりその患者さんがどういう方なのか、既往歴とかを含めて見る必要が、全ての事例についてあればそれはなお望ましいということで、七%というのは非常に低いと思うんですね。
この七%という数字にとどまっている理由、どういった課題があるんでしょうか。消防庁、お願いします。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
携行していなかった理由につきましては私どもは承知をしておりませんけれども、今回の実証事業におきまして情報閲覧を行わなかった理由といたしましては、マイナンバーカードを携帯していなかった、保険証の登録がされていなかったことのほか、心肺蘇生を行いつつ即座に搬送する必要がある場合など、救急隊長が実施しないと判断した場合もございます。
私どもといたしましては、マイナ救急の認知度向上を図ることがまず重要と考えておりまして、広報を積極的に行うこととしており、その中でマイナ保険証の携行を促してまいる所存でございます。
○阿部(圭)委員 マイナ保険証自体がそもそも認知されていないということもございますし、持っていない、現場に行ったときにですね、そういった方も多いというふうに聞いております。
マイナ保険証を持ち歩かないというのは非常に、問題というか、現場としては課題なんだろうと思っておりまして、是非、周知徹底をしていただいて、持ち歩いてくださいということをやっていただきたいなというふうに思っております。ただ、すぐには携行率というのは上がらないと思いますので、その補完策というのも必要なんだというふうに思います。
資料一を御覧ください。これですね。マタニティーマークが書いてある資料ですけれども。サトーマテリアルさんという製造業の企業さんが作っているものですけれども、マタニティーマークのついたもので、緊急時に、NFCと書いてありますが、近距離無線通信の略ですね、これを使用して患者情報をスマホで確認する、ピッと当てたらスマホで患者情報を確認できるというものです。この患者情報、右側の写真に書いてある、こんな感じの必要最低限度の情報です。
やはり妊婦の方なんかも、私もかつてありましたけれども、道端で倒れて意識不明になったりとか、そういったことはございます。身元が分からない場合、緊急時にコミュニケーションがどうしても取れない場合、パニックになっていてとか、やはりそういったときに非常に役に立つというふうに思っております。
やはり妊婦さんの場合については、マイナ保険証を持っていなくとも、大体最近はマタニティーマークをつけていらっしゃる場合というのは多いと思うんですね。ですので、これは基本的に外部からはすぐには読み取れないような形式にはなっているんですが、真ん中の写真にあるように、ぱかっと開けてやると誰のスマホでも読み取れるようになっているということで、非常にバイスタンダーにとっては役に立つというものでございます。
ですので、仮にマイナンバーカードを不携行、携帯していなくとも、こういった民間の取組というのもいろいろあると思いますので、是非マイナ救急と総合的に補完できる関係のこういったものをやっていくべきじゃないか、有効性はあるんじゃないかと私は思いますけれども、大臣、もしお考えがありましたら、お願いいたします。
○福岡国務大臣 妊婦さんに限らず、急変時に傷病者本人の情報を把握し、早期に適切な治療につなげるということは極めて重要なことでございます。
御指摘の取組につきましては、母子保健施策の一環としまして、こども家庭庁が作成をいたしましたマタニティーマークを活用したものというふうに承知をしておりまして、妊婦さんが急変したときにおいて、マイナンバーカードを持っていない場合でも、救急患者を受け入れる医療機関等において、緊急連絡先等の妊婦の情報を迅速に把握できるという点で意義があるというふうに考えております。
また、厚生労働省におきましては、マイナ救急との連携も視野に入れながら、救急隊と医療機関の情報共有に資する取組も進めさせていただいております。
妊婦さんの急変時における情報共有の在り方につきましては、こども家庭庁など関係省庁とも連携しながら、議員の御提案の取組なども参考にさせていただき、母子保健施策の取組なども踏まえながら検討を進めてまいりたいと思います。
○阿部(圭)委員 ありがとうございます。
マイナ保険証に加えて、是非、こういった民間の取組を包含しながら、総合的にやっていただきたいなというふうに思っております。
次に、地域フォーミュラリーについて伺います。
まず、フォーミュラリーとは何かということですけれども、医療機関等において医学的妥当性や経済性等を踏まえて作成された医薬品の使用方針のことでありまして、例えば、複数の治療薬が選択肢にある場合に、慢性疾患とかそういったことについて後発品を第一優先にする、例えばですけれども、そういったことも指します。要するに、地域の疾病率ですとか医薬品の使用状況などを加味いたしまして、各地域に最適化した処方ガイドライン、いわゆる処方推薦薬リスト、これが、いわゆるフォーミュラリーの中でも地域フォーミュラリーというふうに呼ばれるものです。地域医療及び薬剤処方を効率化する効果が見込まれております。
先ほど申し上げましたように、フォーミュラリーには地域フォーミュラリーというものと院内フォーミュラリーというものがありますけれども、やはり地域の医療経済への貢献、医療費の適正化という観点では、地域フォーミュラリーというのが望ましいというふうに言われておるところでございます。
厚労省でも、中医協総会に提出した資料などで、医療費適正化計画の観点から、後発医薬品の文脈でフォーミュラリーの活用を述べていらっしゃいますけれども、厚労省として、フォーミュラリーを実施すべきというふうに考えているんでしょうか。大臣、お願いいたします。
○福岡国務大臣 御紹介いただきましたように、フォーミュラリーというのは、患者さんに良質な薬物療法を提供することを目的といたしまして、医学的、薬学的観点のほか、経済性等も踏まえまして作成される医薬品のリストとその使用方針でございまして、医薬品の適正使用であったり、後発医薬品の使用促進のみならず、医療費適正化の観点からも効果が期待できるというふうに考えております。
厚生労働省におきましては、令和五年七月にフォーミュラリーの運用に関するガイドラインを策定いたしまして、都道府県等に周知いたしますとともに、令和六年度からの第四期医療費適正化計画におきましても、ガイドラインを地域の医療関係者に周知する取組を進めているところでございます。
○阿部(圭)委員 医療費適正化計画に効果があると期待しているというふうに今御答弁をいただきましたけれども、期待しているということは、ガイドラインまで作っていらっしゃいますので、厚生労働省として、地域フォーミュラリーをしっかりやってくれというふうに推奨しているという理解でよろしいんでしょうか。
○福岡国務大臣 今申し上げましたとおり、各地域におけますフォーミュラリーの作成を推奨をしてございます。そして、フォーミュラリーの運用に関しますガイドラインの都道府県であったり地域の医療関係者等への周知を通じまして、フォーミュラリーの作成、運用が広がっていくように努めてまいりたいと思います。
○阿部(圭)委員 ありがとうございます。
まさに推奨しているということで、是非全国にこれは広げるべきだと思っておりますけれども、やはり認知度と強制性がないというふうに考えております。周りの医者に聞いても、フォーミュラリーというのは何ですかというふうにおっしゃる方もいらっしゃいますし。強制的なものではなくて、あくまで推奨しているということですので、やはりもっと強力に推進していく必要があると思います。
地域フォーミュラリーは、薬剤の標準化により、医師や薬剤師の業務効率化がそもそも可能になるということがありますので、働き方改革にも寄与すると思いますし、長期収載品から後発品への切替えによって、医療機関、患者、保険者、いずれも薬剤費の負担が原則として軽減されるということで、これはいいことが多いということだと思いますので、是非積極的に進めていただきたいと思います。
次に、先日もお伺いしました日米MOSS協議について伺います。
資料二を御覧ください。日米MOSS協議、医薬品と医療機器の部門に関するまとめということで、私も本日、この本を持ってまいりましたけれども。出版日が昭和六十一年二月十四日、三千八百円ということで、これは厚生省編集ということで、四十年近く前になるもので、有名な古川貞二郎さんが保険局審議官というときに作られたものなので、非常に歴史的な文書だと思いますけれども、やはりこういったものをしっかり勉強しながらやっていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っております。
やはり、日米の貿易摩擦ですとか、いろいろな関税に関する外交交渉なんかが今進んでおりますけれども、医薬品分野といったときには、まさにこの日米MOSS協議というのが歴史的には出てくると思うんですね。
これを見ますと、こんなことが書いてあります。我が国では、薬事承認と保険制度の価格決定機構が別となっているため、この承認と保険適用の時間的ずれを排除することが重要な交渉課題となったですとか、この記載によって、結果として、当時の厚生省ですけれども、原則として、ずれを六十日以内とすると約束したというふうにここには記載がございまして、要するに、今の承認から保険適用まで六十日以内でやりますというのは、この協議に基づいているわけですね。
また、ほかの記載でいいますと、新医薬品の算定と薬価基準の改定に用いられる方式が変更される場合には、国内企業だけでなく、外国企業の代表者に対しても診療報酬の一般的方針に関して彼らの意見を表明する機会が与えられると記載がございまして、中医協の薬価専門部会でアメリカ系の製薬団体が意見を述べる機会があると思いますけれども、基本的にこれに基づいているんだろうなというふうに、源流があるんだろうなというふうに理解がされると思います。
こういった歴史的経緯があるわけですけれども、医薬品に関連した日米交渉ということでは非常に役に立つ前例だと思っておりまして、厚労省として、このMOSS協議については、今般の外交交渉について何らか研究をされていらっしゃいますでしょうか。
○福岡国務大臣 御指摘いただきました本のときの、先ほどの古川貞二郎は我が郷土の大先輩でもございます。この交渉は、一九八五年から八六年にかけましていわゆるMOSS協議が行われまして、エレクトロニクスであったり電気通信、林産物とともに、医療機器、医薬品についても議論されたものというふうに承知します。
先ほども御紹介ありましたが、この協議の合意事項に基づきまして、医薬品につきましては、薬事承認後、原則として六十日以内、遅くとも九十日以内に薬価収載することとされているというふうに承知をしています。
また、これに限らず、米国との間では、経済分野や医薬品を含む幅広い分野について、様々な形で継続的に対話を行ってきております。
こうした経緯についてしっかり踏まえながら、米国の現政権の発表内容や方針をしっかりと分析して、対応を検討してまいりたいと思います。
○阿部(圭)委員 ありがとうございます。
厚労省の担当者に聞いたところ、こういうまとまった冊子なんかも持っていないということでしたので、是非買っていただいて、勉強していただきたいなと思います。やはりこういった過去問から勉強するというのは非常に大事なことだと思いますので、是非大臣の指示で研究を深めていただきたいなと思っております。
このMOSS協議以降も、アメリカ政府からは、医薬品、医療機器について、非関税障壁ではないかということで申出を受けていると思います。アメリカ政府、特にUSTR、通商代表部の場合が多いと思いますけれども、非関税障壁だと指摘を受けている場合が多いと思いますが、どういったものがこれまであるか、簡単に列挙していただけますでしょうか。
○福岡国務大臣 アメリカ合衆国通商代表部、USTRが公表しております二〇二五年外国貿易障壁に関する国家貿易評価報告書におきましては、関税に関しまして、厚生労働分野に関する指摘は含まれていないというふうに承知をしております。
また、非関税障壁につきましては、同報告書におきまして、厚生労働分野に関する事項におきましては、牛肉、牛肉製品等の食品、また医療機器、医薬品等に関する指摘があるというふうに承知をしています。
○阿部(圭)委員 大臣、医薬品、医療機器については、具体的にどういった点が指摘されているんでしょうか。
○福岡国務大臣 医薬品に関する保険償還政策に関する新たな措置の決定について、透明性のあるプロセスとすることなどが指摘されています。
○阿部(圭)委員 まさに、アメリカさんから見た場合にはそういったいろいろな指摘があるということだと思うんですね。
ただ、外交上、相互主義ですから、やはり向こうの視点から見た場合には、こちらは、例えば中間年改定とか、そういったこともこれまで指摘されていると思いますけれども、一方で、日本国、我が国の視点から見たときには、ここはちょっとアメリカの非関税障壁だよねということを考える部分もあると思うんですね。
やはり厚生労働省はカウンターパートでいろいろなアメリカの機関とやっていると思いますので、そういったアメリカに対していろいろ御指摘もされているんじゃないかなと思いますけれども、我が国から見たアメリカの非関税障壁、どういったものがあると考えられますでしょうか。そして、それをアメリカにこれまで指摘したことはありますでしょうか。
○福岡国務大臣 日本政府といたしましても、これまで、米国食品医薬品局、FDAに対しまして、米国企業と同等に日本企業とも医薬品、医療機器の申請に関する定期会合を行うこと、また、米国商務省に対し、世界同時開発の実現と日本のドラッグラグ解消のために米国業界に働きかけることなどを求め、米国側はこれに沿った措置を講じることが合意されてきたところでございます。
なお、今般の米国の関税措置につきましては、医薬品は相互関税措置の対象とならない品目の一つであるものの、米国の関税措置により考えられる影響について、企業から聴取をしているところです。米国での価格転嫁、米国への出荷時期の前倒し、米国への製造拠点の移転などを検討しておりますが、いずれの対応にも限界があるといった意見をいただいたところでございます。
このような意見も踏まえまして、引き続き、米国による関税措置の内容であったり、我が国への影響を十分に精査した上で、必要な対応を行ってまいりたいと思います。
○阿部(圭)委員 今のお話にございましたとおり、日本企業との定期会合をお願いしたりですとか、そういったことがあると思いますけれども、実効性を持ってアメリカにもやっていただくように言っていただきたいと思いますし、今般のトランプ関税の観点で、今既に体力が弱ってきている日本の製薬企業が更に大変な状況にならないように、しっかり守っていただいて、交渉を進めていただければと思います。それを要望いたしまして、私の質問を終わりにしたいと思います。
どうもありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、森ようすけ君。
○森(よ)委員 国民民主党の森ようすけです。
本日は、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。
まず、本日、障害児福祉についてお伺いをさせていただきます。
障害を有する児童、子供を抱える家庭に対する手当、経済支援策として、特別児童扶養手当や障害児福祉手当などがございます。障害のある子供を養育する家庭を支えるための手当だというふうに認識をしております。
この特別児童扶養手当は障害の程度によって支給額が変わりまして、一級の場合は月額で五万六千八百円、二級の場合は三万七千八百三十円が父母等に支給されます。そして、障害児福祉手当、こちらについては、月額で一万六千百円が障害を有する方本人に支給がされる手当でございます。
こうした家庭への経済支援策としては、これ以外にも、障害福祉サービスの利用者負担の上限額の設定など、こうした措置も取られております。
こうした障害児福祉においては、所得制限が設けられていることについて、これまで様々な疑念の声が上がっております。こうした点について、本日、お伺いさせていただきたいと考えております。
例えば、特別児童扶養手当に関して言えば、扶養親族が二人の家庭の場合は、所得が約六百七十五万円、給与所得で約八百八十万円を超えると所得制限がかかって、一級の子供を抱える家庭の場合は、月額五万六千八百円、年額で約六十八万円の手当の支給がなくなります。二級の場合は、年額で約四十五万円の手当がなくなるわけです。それに加えて、障害児福祉手当についても同じ所得制限がかかっており、年額で約二十万円の支給がなくなります。
障害福祉サービスの自己負担についても、所得制限の金額は異なりますが、これも所得が増えれば負担が増えることになっております。
中間所得層以上の世帯においては、各種支援措置を受けることができずに、経済的な負担が大きく発生しているのが現状です。
子育て政策における所得制限については、これまでも再三取り上げられたところです。児童手当については、所得制限が設けられていたものの、二〇二四年の十月から所得制限が撤廃されて、親の所得にかかわらず、全ての子供がひとしく手当を受けることができるようになりました。
そこで、まずお伺いいたします。
児童手当について所得制限が撤廃されたわけですが、元々はなぜ所得制限を設けていたのか、そしてなぜ所得制限を撤廃したのか、お伺いいたします。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
児童手当の所得制限につきましては、平成二十三年における民主党、自民党、公明党の三党合意に基づきまして、限られた財源の中で支援を重点化する等の観点から設けられたものだと承知をしております。
この三党合意から十年以上が経過したところ、現在も少子化傾向に歯止めがかかっていないこと等を踏まえまして、令和五年十二月に、こども未来戦略の加速化プランを取りまとめました。この中で、児童手当につきましては、次代を担う全ての子供の育ちを支える基礎的な経済支援としての位置づけを明確化するため、令和六年十月から、高校生年代まで支給期間を延長するとともに、所得制限を撤廃することとしたものでございます。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
元々は、限られた財源であったり公平性という観点から所得制限が導入されていたものの、全ての子供の育ちを、そして子育てを応援するという考え方に基づいて所得制限を撤廃されたということで、非常にすばらしい見直しだと考えております。
そして、所得制限の撤廃に関しては、障害児の補装具、車椅子や義肢などですけれども、この補装具費用の支給制度における所得制限も二〇二四年四月から撤廃がされております。元々は、年収一千二百万円を超える場合は所得制限がかかり、補装具の費用は全額自己負担となっておりましたが、これは国民民主党も改善を求め続けてきたものでありますが、昨年四月からは所得制限がなくなり、障害を有する子供を育てる全ての家庭が支給制度の恩恵を受けることになりました。
この補装具の支給についても所得制限が撤廃されたわけですが、元々はなぜ所得制限を設けていたのか、そしてなぜ所得制限を撤廃することになったのか、お伺いいたします。
○源河政府参考人 お答えいたします。
補装具費支給制度につきましては、制度の持続可能性や公平性の観点から、所得に応じた自己負担を求めるとともに、一定額以上の所得の方については全額を御負担いただくこととしております。
しかしながら、子供の補装具につきましては、子供の成長に応じて頻繁に買い換える必要があるものであり、障害のある子供の日常生活と成長に欠かせないものであることから、障害のある全ての子供たちがその成長に合った補装具を使うことができるように、こども未来戦略に基づき、令和六年四月からこの所得制限を撤廃したところでございます。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
こちらも児童手当と同じような理由だと思います。制度の持続可能性、公平性の観点から、元々は所得制限があったものの、子供の成長に合わせて頻繁に買換えが発生するわけですから、全ての子供が成長に合った補装具を使えるように所得制限を撤廃した。こちらについても大変すばらしい見直しだと思います。
それでは、なぜ特別児童扶養手当と障害児の福祉手当、こうした支援については今もなお所得制限が残っているのか、大きく疑問を感じております。児童手当や補装具の支援などの例を見ると、親の所得に限らず、全ての子供をひとしく平等に見て子育てを応援するという観点が基本なんだと思います。それは特別児童扶養手当や障害児の福祉手当も同じことではないのでしょうか。
所得の多寡に関する公平性の調整は所得税の累進課税で一定程度十分に果たされているわけですから、それに加えて各種手当やサービスにおいて所得制限を設けることは、障害児を扶養しながら一生懸命仕事をする家族の気持ちを砕くことにつながっていると思います。所得にかかわらず、精神的、経済的に大きな負担が発生しているわけですから、ひとしく手当を受けられるようにしたらいいというふうに考えております。
そこで、福岡大臣にお伺いいたします。
特別児童扶養手当や障害児の福祉手当についても所得制限をなくすべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 御指摘いただきました特別児童扶養手当等につきましては、制度創設時から所得制限を設けております。これは全額公費負担による制度でございまして、障害児の方々の生活の安定に寄与するように必要な範囲で支給するという制度の趣旨であったり、また、障害基礎年金など、ほかの制度との均衡を踏まえたものでございます。
こうした所得制限につきましては、制度の持続可能性や公平性を踏まえて設定しているものでございまして、所得制限の撤廃につきましては、制度の目的であったり他制度との関係も含めた慎重な検討が必要だというふうに考えております。
引き続き、制度趣旨を踏まえつつ、障害児に対する各種の給付制度について適切に運用してまいりたいと思います。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
御答弁いただいたとおり、制度当初から所得制限を設けていた。それは児童手当もそうですし、補装具の支援も同じなんです。
ただ、そういった制限がある中でも、公平性の観点であったり、ほかの制度との関係性、こうしたことも踏まえながら、児童手当などの制度については、全ての子供を支えると。これは、二〇二三年に閣議決定されたこども未来戦略において、全ての子供、子育てを支援する、そして、制度や施策を策定、実施するだけではなくて、その意義や目指す姿を国民一人一人に分かりやすくメッセージで伝える、こうした考え方で書かれているところでございます。
児童手当でしたり補装具の支援というのは同じような状況でありながら見直しをしたわけですから、やはり、国民の皆様の切実な声を踏まえて、児童福祉の所得制限についても見直しをすべきだと思います。これも改めて、ちょっともう一度お伺いできますでしょうか。是非撤廃していただきたいと思います。
〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕
○福岡国務大臣 委員の御意見は承らせていただきました上で、先ほども申しましたように、例えば児童手当については事業主負担とかが入っておりますけれども、特別児童扶養手当につきましては全額公費で行っているものでございます。
他制度との均衡ということで申し上げますと、障害基礎年金とかにつきましても、二十歳前に傷病を負った方への障害基礎年金、これはお支払いをしていますが、その際は本人が保険料を納付されていないことから所得制限を設けている、そういったほかの制度との均衡もございます。
そういったバランスも踏まえながら、必要な検討について進めてまいりたいと思います。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
障害基礎年金との関係というのはよく私も聞くんですけれども、理屈は通っているようで通っていないように感じているところです。
障害基礎年金というのは、本人の所得に関する制限だと思います。例えば、二十歳以上の方で、これまで保険料を納めていなかった方ですけれども、所得を十分に稼げる方、この方については、確かに自分で所得があるわけですから、それで生活ができるので、所得制限を設けるというのは、障害年金については理解ができます。
一方で、特別児童扶養手当というのは、所得要件は扶養する家族の所得について見ていると思います。本人の所得に対する所得制限と家族の所得に対する所得制限、これは制度も違いますし、同じような基準で考える必要もないのではないかというふうに思います。
やはり、できない理由を考えても仕方ないので、様々な気持ちを持ちながら子育てを頑張ってしている家族を支えるというふうな視点で、是非前向きに検討していただければと思います。
私もよく聞くのは、障害を持つ子供を育てている家族の人たちは、経済的負担そして精神的な負担、大変さ、様々な苦しさ、どうしようもなさみたいな、こうしたものを感じながら一生懸命子育てをしていると聞いております。投げ出したくなるけれども、自分の子供だからどうしようもない、こうした切実な声を聞いていますので、是非前向きに御検討をお願いできればと思います。
そして、この所得制限に関しては、ほかにも問題があるというふうに認識をしております。扶養義務者の所得が対象になっておりますが、これは親だけではなくて、同居している兄弟姉妹の所得にも及ぶことになっております。同居親族の所得が一定額以上の場合も所得制限にひっかかるわけです。
障害の重さによって家族の体制はもちろん変わってきますが、例えば、二十四時間のたんの吸引が必要な子供の場合、とても親だけでは対応ができずに、やむなく兄弟が同居をして手伝わざるを得ないというような状況になっている方もおります。住民票の住所が一緒であれば、世帯としてのお財布が別であっても、兄弟の所得が多ければ制限にかかるわけです。
兄弟姉妹は、自分たちの生活の一部を削って、時間を削って、障害を持つ兄弟の子育てに協力をすることになります。それにもかかわらず所得制限の対象になるのは、大変な中で頑張って仕事をする気持ちがそがれる、そして家族が追い詰められる、そうした声を聞いております。毎年の現況調査においても、そのたびに同居する兄弟姉妹の名前が書かれた用紙が届いて切ない気持ちになる、こうしたお声も聞いております。
大臣にお伺いいたします。
所得制限の撤廃、これについてはなかなか後ろ向きな御答弁でしたけれども、少なくとも兄弟姉妹の所得は条件から外して、親の所得に限定するべきだと考えますが、その点、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 特別児童扶養手当などにつきましては、精神又は身体に障害を有する児童の生活の安定に寄与するとともに、これらの児童の福祉の増進を図ることなどを目的とする制度でございますため、制度創設以来、扶養義務者の所得についても所得制限の対象としております。
この扶養義務者の定義につきましては、民法上の扶養義務者と同様、直系の血族や兄弟姉妹でございまして、かつ、受給者世帯と生計を共に維持する者としているところです。また、扶養義務者の所得制限の水準につきましては、親の所得制限の水準よりも高く設定されていることを踏まえると、こうした民法上の位置づけであったり生計維持関係に着目して扶養義務者の範囲を設定すること自体が不合理であるというふうには考えておりません。
ただ、今さっきおっしゃいましたように、様々なケースがあると思います。兄弟が同居している場合には親と生計を同じくするか否かが問題になりますが、同居していても生計を異にする事実があり、当該事実に基づいて客観的な証明がある場合には、扶養義務者には含まないということとしております。
具体的には、当事者から証明書類であったり必要な申立て書を提出していただきまして、個々の実態に即して総合的に勘案し、認定するということになります。
○森(よ)委員 ありがとうございます。
民法上の理由でしたり、生計維持関係があるのかどうかという難しい理由はもちろん理解はできるんですけれども、困っている家庭、兄弟というのはいっぱいいますので、是非そうした方々の声を聞いていただいて、所得制限の撤廃、これが難しくても、少なくとも兄弟関係の所得というのはもう少し緩めたり、是非見直しを、是非ともお願いできればと思います。
そして、この所得制限に関しては、扶養義務者のうち、最も所得の高い方の所得で判断がされることになっております。一人で一千万円を稼ぐ場合は所得制限の対象になる一方で、五百万円ずつを二人で合計一千万稼ぐような家庭については所得制限の対象にならないわけです。
障害を持つ子供の子育てのためにダブルワークをすることができずに、お父さん、お母さんのうち、片方が子育てに専念をして、もう片方が仕事に専念をして家族のためにお金を稼ぐ、これは当たり前に考えられることだと思います。ただ、こうした家庭については、同じ一千万の所得でも、一人で稼いでいると所得制限の対象になってきます。
これは非常に不公平な制度になっていると思いますが、この点についても、大臣、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 御指摘がありましたように、特別児童扶養手当等につきましては、扶養義務者が複数いる場合の所得制限については、所得が最も高い方の所得で判断することとしております。
御指摘の所得の合算につきましては、合算することによりまして、これまで手当を受けていた方が受けられなくなる場合があることであったり、ほかの制度との関係も含めた議論が必要になってくるというふうに考えております。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
これも、言っていることはすごい理解できて、これを見直してしまうと、これまで受けられた方が受けられなくなってしまった、これは分かるんですけれども、じゃ、見直しをするときに、下で合わせるのではなくて、これまで所得制限がかかっていた方について、かからないように、上をちゃんと下に下げていくというか、より広げていく方向性で見直しをすることはできますので、これも、理由を考えるのではなくて、支えるという視点をすごい大事にしながら是非御検討をお願いできればと思います。
こちらについては国民民主党も引き続き前向きに取り組んでまいりますので、是非政府においても前向きに議論、検討を進めていただければと思います。
次に、生活保護と年金の関係についてお伺いいたします。
まず、生活保護の受給額について、東京二十三区の場合においては、単身世帯で生活扶助として七万円から八万円程度、こうした金額が支給されます。国民年金の金額は月額で六万八千円。それに加えて、年金生活者支援給付金ということで、一定、五千円程度の金額がありますが、保険料の未納期間がある方もいますので、年金の平均受給額は五万八千円程度となっております。
生活保護の場合は、不動産でしたり自動車の売却が求められることなど、様々な制約があるわけですけれども、住宅の扶助や医療扶助、こうしたものもありますので、様々、生活扶助にかかわらず、いろいろな支援があるわけでございます。
単純に金額だけ比較するわけではありませんけれども、国民年金での生活よりも生活保護を受けた方が金銭面、住宅面、医療面でよいと感じる方も一定いらっしゃると思います。これは、生活保護の金額が高過ぎると言っているわけではなくて、国民年金だけでは生活できない状況、これを直さないといけないというような視点での質問でございます。
そこで、まず大臣にお伺いしますが、生活保護の受給額と国民年金の金額を比較したときに、こうした差が生じていることについてどのように、御見解はいかがでしょうか。
○福岡国務大臣 生活保護と年金の関係については、これまでも度々議論をされてきました。
生活保護につきましては、年金を含めた収入であったり資産、働く能力など、あらゆるものを活用した上でもなお生活に困窮する方を対象に、最低限度の生活を保障する最後のセーフティーネットでございます。
一方で、老齢基礎年金については、現役時代に構築した生活基盤であったり貯蓄等と合わせて、老後に一定の水準の生活を可能にするという考え方で設定されておりまして、また、収入や資産にかかわらず、保険料の納付実績に応じた給付が権利として保障されるものでございます。
それぞれ役割や仕組みが異なりますため、給付水準の単純な比較は適切でないということについては是非御理解をいただきたいと思います。
その上で、低所得の高齢者の方に対しては、公的年金のみならず、社会保障全体で総合的に支援していくことが重要だと考えています。具体的には、年金生活者支援給付金であったり、介護保険における補足給付であったり、医療保険、介護保険における保険料軽減、所得に応じた自己負担、利用者負担の上限額など、経済的な支援を行っておりまして、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと思います。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
生活保護受給世帯数を見ると、二〇〇〇年、そのときは高齢者の世帯数は三十四万世帯、足下では九十万世帯、二〇〇〇年の三十四万世帯から九十万世帯に増えているわけです。そして、高齢者世帯の割合で見ると、二〇〇〇年は四五%、それで足下では五五%でございます。数年前まではこの数、割合共に右肩上がりに伸びておりまして、直近数年では横ばいになっていますが、高止まりしているというような印象を持っております。
大臣にお伺いいたします。
生活保護受給世帯のうち高齢者世帯の数が数年前まで増えてきたこと、そうしたことの理由についてどういったふうに考えているのか、そして、足下の五二・六%という高齢者世帯の割合について、多いと考えているのか、適正水準だと考えているのか、どのように捉えていますでしょうか。お願いいたします。
○福岡国務大臣 社会全体の高齢化などの進展などを背景といたしまして、六十五歳以上の生活保護受給者の数、割合が、二〇一六年頃まで増加していたわけでございますが、近年は横ばいで推移している、委員が御指摘いただいたとおりでございます。
生活保護受給者のうち六十五歳以上の方の割合は、直近の二〇二三年七月時点で五二・六%となっておりまして、これは、保護が必要な方に必要な保護を行った結果というふうに認識をしております。
今後も、最後のセーフティーネットとして、生活保護がその役割を適切に果たしていくことが重要だというふうに考えております。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
保護が必要な方にそうした生活保護が行っているというような御答弁もありましたが、これは、逆を言えば、国民年金だけだととても生活できない方が増えているというようなことの裏返しだと思います。
そして、年金の改革を行わなければ、これから三割程度、年金の受給額が減ってくるというような見通しも示されていますので、長妻議員からも先ほどありましたけれども、今後更に高齢者の生活保護の割合が増えてくる、そうしたことも懸念されるところでございます。
なので、生活保護と併せて年金の見直しをしっかりやっていくことを是非ともお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○長坂委員長代理 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
特別障害者手当について質問します。
特別障害者手当は、月三万円が支給される国の制度です。厚労省のホームページでは、日常生活において常時特別の介護を必要とする特別障害者に対して、重度の障害のため必要となる精神的、物質的な特別の負担の軽減の一助として手当を支給するとあります。
伺います。
どのような方が対象となるんでしょうか。そして、我が党に寄せられた事例なんですけれども、ある市役所で、施設の入所者は支給対象外というふうに説明を受けました。また、別の事案ですけれども、医療機関に診断書をもらいに行ったところ、高齢者は受けられないという説明があったんですけれども、これは実際はどうなんでしょうか。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
特別障害者手当でございますけれども、こちらは、重度の障害のために必要となる特別の負担の軽減の一助ということで支給されている手当でございます。
こちらの方は、著しく重度の障害の状態にあるため、日常生活において常時特別な介護を必要とする方ということで、内容的には、障害基礎年金一級の基準に相当する方、ないしはそれ以上、同等以上の障害を有する方を対象としてございます。
この手当制度でございますけれども、重度の障害のある方について、在宅での生活についていろいろな困難を抱えながら生活をしておられるということに着目をしたものでございますため、御指摘のような特別養護老人ホームを始めとする施設に入所しておられる方、こういった方々については手当の支給対象外としております。一方で、共同生活を行う住居である障害者グループホームなどなどの入居をされている方々、こういった方々は支給の対象としているところでございます。
また、冒頭申し上げましたように、障害年金一級の基準に相当するような障害、つまり著しく重度の障害の状態にある方ということを対象としておりますことから、高齢者かどうか、つまり年齢、こういったものを理由に手当の支給を受けられないというような仕組みにはなっておりません。支給は受けられるということになります。
○田村(貴)委員 要介護四以上で、重度の難聴、それから認知症のある方などは対象となり得ます。要介護三以上でも対象となり得ると指摘するお医者さんもいます。
要介護四以上の数について教えてください。そして、特別養護老人ホームに入所している要介護度四以上の方はどのぐらいおられるのか。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
介護給付費等実態統計月報によります要介護度別の受給者数を足し合わせますと、直近の令和七年一月審査分におきまして、要介護度四以上の方の受給者数は約百四十三万人、そのうち特別養護老人ホームに入所されている方の数は約四十五万人となっております。
〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕
○田村(貴)委員 要介護度四以上の方は現在で百四十三万人、特養の入所者は四十五万人、これを除くと約百万人ですよね。さらに、三か月以上、介護医療院や老健施設の入所者、大体二十万人と伺っていますけれども、そして、医療機関に入院している方を考慮しても、九十万人ぐらいの方が特別障害者手当に該当するのではないかというふうに考えます。
一方で、特別障害者手当の受給者は十三万六千人です。特別障害者手当を受給できるのに申請をしていない方が相当おられると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
特別障害者手当の認定の対象者は、先ほど申し上げましたように、著しく重度の障害の状態にある方というふうな定義をしております。
そういう意味では、介護保険の要介護度との関係でいいますと、これは両方別々の仕組み、別々の評価の尺度となっておりまして、なかなか横に並べての比較というのは難しいものかなというふうに考えております。
ただ、いずれにいたしましても、こういった著しく重度の障害の状態にある方という受給資格のある方、こうした方々が特別障害者手当を受給できるように、引き続き、こういった制度の周知、こういったものに努めてまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 制度の周知を図るのは当然なんですけれども、私は、やはり対象にあるのに制度を知らない、したがって申請していない方がかなりおられるといったところも着目して検証していただきたいと思います。
実は、特別障害者手当については、しんぶん赤旗日曜版がこの間報道してまいりました。記事を読んだ方が、自分にも受給資格があるんじゃないかと思って申請したケースについて紹介します。
この方は、宮崎県の都城市にお住まいの、要介護度四で在宅で暮らす九十三歳の女性の方です。息子さんが一緒に同居されていて介護をしています。息子さんが仕事に出かけて、デイサービスのないときには、一人にすることができないので、近くに住む妹さんに来てもらっているということです。二か月に一度、通院に付き添い、介護タクシー代が一万円かかっていました。このような特別の負担をしているのに、障害者特別手当の受給対象ということを知らずに過ごしてきたということであります。
先ほど、役所やあるいは医療機関で、高齢者は駄目ですよ、施設入所者は対象外といったような間違った説明があるわけなんですけれども、この方も役所に申請の相談に行ったら、通らないかもしれませんよということの説明を繰り返し四回受けたということでありました。制度は、やはり自分に該当するんだったら適用してほしいと。月三万円の手当というのは、本当に重みのある制度だと思うんですよね。申請しようという思いを打ち砕いてしまうというのがやはり問題じゃないかと思います。
医療機関あるいは役所というのは、行って、ああ、そうなのかなと思ってしまいますね。ですから、そういった意味では、資格のある方、すなわち身体の障害ゆえに特別な苦労をされている方が特別障害者手当を受けられるように、自治体に、あるいは医療機関に対して分かりやすく周知をする必要があるのではないかなと思います。通知も発出していただきたいと思いますけれども、今後の取組について答弁をお願いします。
○福岡国務大臣 委員御指摘がありましたように、制度の周知ということは重要なことだというふうに思います。
令和七年三月十四日の障害保健福祉関係主管課長会議におきまして、特別児童扶養手当等について、より一層の広報の充実を図っていただくよう自治体にお願いをし、広報誌やホームページでの周知に限らず、各自治体の組織内での連携であったり、関係機関、団体との連携による周知も有効である旨も併せてお示しをしたところでございます。
引き続き、制度の周知に努めますとともに、医療機関からの声にも耳を傾け、必要があれば、更なる周知について検討してまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 是非、周知徹底していただきたいと思います。
次に、JCHO船橋中央病院について伺います。
地域医療機能推進機構、JCHOの船橋中央病院の建て替えのために、船橋市の土地購入がありました。これもしんぶん赤旗が今年二月二日付で報道したんですけれども、当該土地を山本理事長があえて買い逃して、野村不動産の逸失利益三十四億円を上乗せして買った疑いがあります。これを報道しました。それ以前に、JCHO労組も二〇二四年七月二十六日付速報で当該土地の価格の適正性に関する疑義を呈するなど、問題点を指摘しています。
JCHOを所管するのは厚労省です。この報道に対するどのような対応をされてきましたか。また、大臣はこの土地の購入やその経緯についてどう認識されているのか、お答えください。
○福岡国務大臣 御指摘のJCHO船橋中央病院における建て替えの際の土地取得につきましては、報道なども受けまして、JCHO法及び独立行政法人通則法に基づき、厚生労働省において、関係職員に対しますヒアリングであったり文書による事実確認など必要な調査を行い、本年四月に中間取りまとめを行ったところでございます。
中間取りまとめにおきましては、土地取得に関して、報道にありますような背任のほか、秘密漏えいであったり、収賄、忠実義務違反等の法令違反は確認をされておりません。
一方で、法令違反ではございませんが、内部規定上求められる役員会での審議が十分に行われていなかったといった手続上の課題が確認されたところでございます。
このため、JCHOに対しまして、契約の透明性を確保するための関係規定の見直しであったり、望ましいガバナンスを実現するための必要な取組などについて検討するように要請書を発出したところでございまして、JCHOにおいて適切な改善が図られますように、引き続き必要な対応を行ってまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 時間が来ました。終わりますけれども、JCHOの積立金、これは防衛財源確保法で三百二十四億円にいったんですよね。その上に今度の土地の高買いです。こうした事業運営は改めなければいけません。そのことを強く要請して、今日の質問を終わります。
○藤丸委員長 次に、浜地雅一君。
○浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。
今日は、私は、介護福祉士の養成施設、要は専門学校の卒業生の国家試験義務づけに関する経過措置について少し議論をしてまいりたいと思っております。
今日は資料を持ってまいりまして、資料四を見ていただきますと、ここにいる委員の皆様方はもう周知のことと思いますが、平成二十九年度より、いわゆる養成施設の卒業生につきましても国家試験が義務づけとなりました。しかし、令和八年度までの卒業生につきましては、以下の経過措置が取られているわけでございます。すなわち、養成施設を卒業し、卒業後五年間は、要は介護福祉士の国家資格に合格をしなくても介護福祉士の資格を取得することができる。そして、五年経過後、卒業後六年以降も、卒業後五年間、介護等の業務に継続的に従事をしている者に対しては引き続き資格を取得できるという制度であります。
どういう経緯でこういったことになったかといいますと、平成十九年の改正によりまして、これまでは介護福祉士の養成施設の卒業生は国家試験を受験しなくても介護福祉士の資格の取得が可能でございました、付与されるということでございました、しかし、質の担保ということを一つ契機に、養成施設の卒業生に対しても国家試験を義務づけることになったわけでございます。
平成十九年の改正でそうされまして、平成二十四年の施行ということだったんですが、施行日が過去二回延期をされ、そして平成二十八年度の法改正によりまして、経過措置ということで、この措置が令和三年度まで継続することになりましたが、これも、令和二年度の改正によりまして、五年間延長されているということであります。
施行まで非常に期間が延びておりますし、また、経過措置ということで、結果的には、介護福祉士養成施設の卒業生は国家試験に合格をできなくても介護福祉士の資格が付与されるということであります。元々の趣旨から、やはり大分私は変化をしてきているんだろうと思います。
元々決めた平成十九年の改正から現在に至るまで、このような施行の延長でありますとか経過措置を設置してきた経緯、理由について、まず端的に厚生労働省にお聞きをしたいと思います。
○日原政府参考人 お答えを申し上げます。
委員により今御説明ございましたように、国家試験の義務づけの法改正でございますけれども、これは、介護福祉士の資質の担保、向上を図るために、介護福祉士養成施設の卒業生も国家試験合格を介護福祉士資格の取得の要件とするよう法改正が行われたということでございますが、今御説明ございましたように、二度の施行延期を経た後、平成二十八年の改正によりまして、御指摘のような経過措置が設けられましたものでございます。
これにつきましては、直近の状況で申し上げますと、介護現場の人手不足がより深刻化している状況などを総合的に勘案をいたしまして、令和二年の改正で改めて経過措置の延長が行われて、現在、令和八年度の卒業生までが経過措置の対象となっているところでございます。
○浜地委員 局長、ありがとうございます。
今キーワードが出ましたけれども、元々、質の担保というところを目的にこの制度は始まったわけですが、やはり、人手不足、介護従事者、介護福祉士の皆様方の人数、ここの確保が難しくなってきているという、平成十九年からの大きな変化があるというふうに思っています。
資料一は、もう委員の皆様方は何度も御覧になっているとおり、現在、二百十五万人の介護職員、介護従事者、介護福祉士も入れておりますけれども、二〇二六年、もう来年には、実は二百四十万人必要であるというデータもあります。また、二〇四〇年、ここが一つの大きなポイントでございますが、二百七十二万人、現在よりも五十七万人、介護従事者の皆様方の人数を増やさなければならないという、当初の見込みよりも、やはり人手不足というものが深刻になってきたんだろう、そのように思います。
その上で、我が国としましても、外国人材の活用、外国人の介護人材の受入れの仕組みをるるこれまでも設けてきたところでございます。これももう御案内のとおり、資料二にありますとおり、そもそも、EPA、経済連携協定で外国人の介護人材、門戸を開いてまいりましたけれども、その後、技能実習、そして特定技能というメニューが追加されたわけでございます。
しかし、在留資格「介護」を取るためには、やはり技能実習や特定技能だけでは不十分です。ここは期限がございまして、いつか帰国しなければならないということであります。ですので、更新制ではありますけれども、安定的に我が国に外国人材が定着をする、介護人材が定着をするためには、在留資格の「介護」の資格を取得していくことが大事なんだろうと思っています。
そのためには介護福祉士の資格が必要なわけでございますけれども、こういった観点を含めて、介護人材における外国人材の活用という観点について、これについて、まず御答弁をいただきたいと思います。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
将来にわたりまして必要な介護サービスを安心して受けられるよう、その担い手を確保することは喫緊の課題でございます。このため、処遇改善など総合的な人材確保対策を進める中で、外国人介護人材の確保も重要な対策と考えてございます。そのために、海外への働きかけと我が国での定着支援の両面が重要というふうに考えてございます。
具体的には、海外への働きかけにつきましては、特定技能試験の海外十二か国での実施や試験会場の拡充、また、海外現地の学生などを対象とした現地での説明会やオンラインセミナーの開催による情報発信の強化、また、介護事業者の方に対しましては、海外現地での説明会の開催や送り出し国との関係構築に係る費用の補助などを実施してございます。
また、定着の支援につきましては、我が国で安心して長く働いていただくための取組といたしまして、介護福祉士国家試験のための多言語による学習教材の作成、ウェブサイトなどを通じた周知、また、介護業務の悩みなどに対して母国語で対応できる相談窓口の設置ですとか、介護事業者の方に対しましては、講習会の参加ですとか外国人職員の生活支援、メンタルヘルスケアなどに係る経費の助成などを実施してございます。
引き続き、外国人介護人材の確保、定着に向けまして、海外への働きかけと我が国における定着支援の両面から取組を進めてまいりたいと考えてございます。
○浜地委員 ありがとうございます。
外国人の介護人材の定着という御答弁もございましたけれども、ところが、資料三を見ていただくと、外国人の方が介護福祉士の養成施設、要は専門学校経由で我が国に入国をし、そして介護資格を取得をしていただいて日本に定着するというのが大きな流れの一つでございますが、資料三を御覧になっているとおり、介護福祉士の養成施設、平成二十年は全国で四百三十四施設ございましたが、令和六年では三百三十まで減っております。
そして、定員も平成二十年の二万五千人というところ、入学者が一万一千六百三十八人ということだったわけでございますが、これも年々減りまして、いわゆる定員も一万四千に減り、そして入学者も七千三百八十六人ということで、減少の一途をたどっているわけであります。これは日本人も含めてでございますので、日本人の若い方が養成施設のルートからしっかりと介護福祉士になろうというルートが細くなっているということだと思っています。
ただ、一つだけ増加をしたものがございまして、それは入学者のうち占める留学生の割合でございます。この資料三の表にもありますとおり、例えば、令和元年ですと二千人入学をしておりましたけれども、令和六年は三千五百八十九人。一番下の割合を見ますと、何と入学者の四八・六%が外国から外国人が留学生として専門学校に入学をし、その後、現在は試験に通っても通らなくても介護福祉士の資格を受けますので、いわゆる在留資格「介護」として、長く日本に定着をしていただくという現状があるわけでございます。
ですので、当然、外国人材でございますので、在留資格がなければならない。当然、養成施設のルートから一般の在留資格「介護」を取って日本にいていただく、これは長くいていただくわけでございますが、そうでない場合は、当然、特定技能とか技能実習とか、そういう期限のある形で外国人材はとどまるわけでございます。
私の問題意識としましては、既に介護福祉士養成施設に外国人が約半分入学している現状において、ここをしっかり守っていかないと、日本人の介護福祉士の養成施設に入る人数も減り、要は経営が不安定となり、結果的には、やはり介護を担う中心である日本人の皆様方の介護福祉士へのルートが狭まってくるんじゃないかという問題意識がございます。
そういった問題意識を捉えて、厚生労働省としては、こういった資料三の現在の介護福祉士の養成施設の現状を鑑みて、その重要性についてどのように考えているか、御答弁を頂戴したいと思います。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
介護福祉士の方には、専門的な知識やスキルを十分に発揮して、介護職のリーダーとして活躍していただくということが求められているというふうに考えてございます。
介護福祉士の方が養成される環境が整備されていることが必要でございまして、各地域で教育内容の充実や国家試験に向けた取組の推進など、積極的に介護福祉士の養成に取り組んでいただいております介護福祉士養成施設の役割は重要であるというふうに認識をしてございます。
○浜地委員 介護福祉士施設の重要性を今述べていただきました。
日本人の方は、じゃ、介護福祉士養成施設に入らない場合はどういうルートをたどるかというと、改めて資料四を見ていただきますと、実務経験ルートというのがありまして、専門学校に入らなくても、実務経験を三年経験し、実務者研修を六か月間行えば、介護福祉士として資格を取得できるわけであります。
しかし、私がやはり問題提起したいのは、いわゆる実務から入ってもいいんですけれども、例えば高校生の方が、自分は介護のスペシャリストとして介護福祉士となって、施設の中等で介護の核として、担い手としてやっていきたい、そのためには、しっかり専門課程、専門学校、養成施設で学ぶということに対して、やはり本人の自覚も出てくるのではないかと思っています。
先ほども申し上げましたとおり、現在は、介護福祉士の養成施設、施設数も大きく減っておりますし、入学者も減っている。実は、それを支えているのが、その約半分が留学生であるということを考えると、やはり留学生も介護福祉士施設のルートを通して日本に入っていただくことが大事なんだろう、そのように思っています。
ですので、私の問題意識としては、この経過措置、養成施設を卒業すれば、介護福祉士の試験を合格しなくても五年間、介護福祉士としての資格が付与されるという制度は、しっかりとこれは延長も含めて見直すべきじゃないかというふうな問題意識を持っているところでございます。
ただ、仮にこの経過措置がなくなった場合に、外国人も含めて、介護福祉士試験を受験しやすくするための具体的な取組、何か厚生労働省は考えていらっしゃるのか、御答弁を頂戴したいと思います。
○日原政府参考人 介護福祉士の国家試験につきましては、今お話ございましたけれども、働きながら受験される方、これが八割以上を占めてございまして、日本の方、外国の方を問わず、就労と試験勉強の両立が難しいというお声があると承知してございます。特に外国人介護人材の方につきましては、在留期間の制約があることや国家試験のための専門的な学習に加えて、継続した日本語学習も行っていただく必要がございます。
こうした観点から、有識者による検討会におきまして、介護福祉士資格取得を目指す受験者の方が一層受験しやすくなる仕組みについて検討いただきまして、昨年秋に、介護福祉士国家試験にパート合格を導入することが適当という御提言をいただきました。
これを踏まえまして、介護福祉士の国家試験につきまして、介護福祉士の質を低下させることなく、より受験しやすい仕組みといたしまして、複数の科目を一つのパートとして合否判定するパート合格を令和七年度の試験から導入することとしてございます。これによりまして、不合格パートがあって資格取得に至らなかった方につきましては、次年度以降は不合格パートの学習に注力でき、お一人お一人の状況に応じた学習を後押しすることが可能となるというふうに考えてございます。
○浜地委員 ありがとうございます。
今御答弁いただきましたとおり、パート合格の導入というのをこれから行っていくと。要は、一斉に試験、これは領域が四つあるんですね、介護福祉士というのは。人間と社会、介護、こころとからだのしくみ、医療的ケア、これに総合問題がついてくるということでございますが、これを三つのパートに分けて合格をしていこうと。税理士さんあたりも科目合格というのがあるように私も伺っておりますが、そういった制度をこれからやっていくんだろうと思っています。
ただ、外国人材の方に関しましては、もしこの経過措置を除いてしまうと、パート合格ですから、全部合格しないと最後は介護福祉士資格を取得できないわけでございます。そうなると、留学生の方ですと、要は学校を卒業してしまうと、いわゆる在留資格、恐らく特定活動というような活動になろうかと思いますが、これはこれでまた不安定になってくるわけであります。
私の問題意識は、当然、外国人材の活用は大事でありますが、先ほど資料で示したとおり、しっかりとしたルートの一つである養成施設を通して日本人も外国人もしっかりと介護福祉士になっていただく、専門性をつけていただく、まさに質の担保でございますが、その養成施設が外国人の留学生の割合に頼っている現状を見ますと、これはやはり、今のこの経過措置というものを少し続けていかないと、日本人の元々の大事な、王道のルートと言ったらちょっと私の言い方ですが、そのルートであります養成学校の経営が厳しくなり、高校を卒業したときに、専門学校に行って専門的に学ぼうという日本人自身も私は少なくなってしまうという危惧があるわけでございます。
そういった問題意識も含め、現在行われております経過措置について、令和八年度までの卒業生までということであります。ですので、令和八年ですから、令和九年の三月まで卒業する生徒がこの対象であるわけでございますが、既に令和七年五月でございますので、今年の入学生まではこの措置が恐らく取られると思いますけれども、来年の入学生については、この措置が取られるかどうかによって、日本人も、また外国人も含め、大事な一つ、介護人材の輩出のルートである養成施設に対する、経営への影響もあるわけでございます。
こういった観点も含めて、今後、この経過措置の延長も含めた在り方について、最後、厚生労働省に御答弁をいただきたいと思います。
○日原政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘の経過措置につきましては、令和八年度卒業生までの措置でありますところ、それ以降の取扱いにつきましては、関係者の間に様々な御意見がございますことから、丁寧な議論が必要というふうに考えてございます。
介護人材の確保、定着につきましては、より一層取組を強化するために、社会保障審議会福祉部会に福祉人材確保専門委員会を設置いたしまして、秋頃の取りまとめを目途に、介護人材の総合的な確保方策について、関係団体のヒアリングも行って御議論をいただくこととしてございます。
御指摘の経過措置の取扱いにつきましても、この中で検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○浜地委員 時間でございます。終わります。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井でございます。
今日は、ギャンブル依存症の問題について主管の大臣に問いたいと思いますが、今日は、実は私の地元の埼玉から、ギャンブル依存症問題を考える会、家族会の皆さんが大勢傍聴に来てくださっています。
私は、実は、七年前の二〇一八年にギャンブル依存症対策基本法ができましたが、まさに、考える会や家族会の皆さんの大変な御尽力で当時法案が成立し、それをちょっと私もお手伝いして関わってまいりました。でも、それから七年たって、かなり様相が様変わりしてきました。当時はパチンコがやはり結構大きかったんですが、今、オンラインカジノ、この問題が非常に重要になっております。
実は、まずギャンブル依存症を是非国会議員の皆さんにも知っていただきたいんですが、これは病気なんですね。誰でもかかる、罹患をする、生活環境などによって。しかも、やめにくいものです。特に今、厚労省の調査では、全人口の一・七%、百八十万人がギャンブル依存症の疑いがあると言われています。
特に、最近は若い人ほどかかりやすい。若い頃からギャンブルを始めると、適度に遊べるようになる人というのは大体三十・六歳から始めた方、しかし、依存症になってしまう方は十八・一歳から、つまり若いうちにギャンブル。そして、オンラインカジノは特に二十代から三十代が非常に利用が多いということでありますので、是非厚生労働省にお願いしたいのは、特に啓発活動です。
若者に対して、ギャンブル依存症というのは大変つらいことになるんだということをしっかり啓発する、これを若者に特に力を入れてやっていただきたいと思いますが、大臣、お答えをお願いします。
○福岡国務大臣 ギャンブル依存症に対しましては、これまでも関係省庁等と連携し、依存症の予防や治療、回復の支援まで、その取組に努めてきたところでございます。
依存症に関する理解を深めていただくためには、若者を含む国民の皆様に広く依存症に関する知識の普及啓発を行うとともに、依存症の方であったりその御家族の方々などに、治療であったり回復への支援などの取組を知っていただくことが重要だと考えております。これまでも、ポータルサイトであったりSNSによる情報の提供、依存症のリーフレットの配布、普及啓発イベントの開催などに取り組んでおります。
今年度は、こうした取組に加えまして、今御指摘ありましたように、若年層ということでございますので、SNSのより効果的な活用など、若い方にもより身近に感じてもらえるような工夫をすることによりまして、更に依存症に関する正しい理解を進めるように取組を進めてまいりたいと思います。
○高井委員 様々やっていただいていますけれども、やはりちょっと規模が小さい。そもそも予算額が少ないんです。その中で、特に、やはり若者に対して、よく力を入れていただきたい。
そして、まさに予算額なんですけれども、現在八・四億円なんですね。七年前にギャンブル依存症対策基本法が通ったときには、実は、その前が六・一億円だったものが八・一億円まで上がったんですけれども、そこから七年たって、まだ八・四億円、三千万円しか増えていない。これが、まずそもそも少な過ぎる。
これをもっと増額していただきたいということと、あと、あわせて、もう時間がないのでもう一問聞きますけれども、今日見えておられるギャンブル依存症問題を考える会あるいは家族会、こういった方々は本当に涙ぐましい大変な御尽力をして、特に、やはり当事者の方と相談会というのをやって、あるいは家族と相談会、これがすごく重要なので、こういう方々の活動を支援する、これを是非厚生労働省にはやっていただきたいんですが、大臣、決意を述べてください。
○福岡国務大臣 予算が少ないという御指摘は受け止めた上で、厚生労働省としては、これまでも必要な予算の確保に努めてきたところでございます。
令和七年度予算におきましては、ギャンブル等依存症を含む依存症対策全体の推進に係る予算として八・四億円を計上し、具体的には、依存症支援に取り組む民間団体の方への支援、依存症に関する正しい知識と理解を広めるための普及啓発の実施、依存症対策の全国拠点であります国立病院機構久里浜医療センターにおけます地域の指導者等の養成、研修であったり、依存症に関する調査研究の実施などに必要な予算を計上をしております。
厚生労働省としては、これらの取組を着実に進めるために、必要な予算の確保に向けて引き続き取り組んでまいりたいというふうに思います。
また、御紹介いただきましたように、ギャンブル等依存症を始めとする依存症の相談であったり依存症からの回復等を支援する上で、自助グループであったり家族会等の民間団体の方々には大変重要な役割を担っていただいているというふうに認識をしております。
厚生労働省では、全国規模で依存症問題に取り組んでおられます民間団体が行う研修であったり普及啓発等の活動への支援を行っておりまして、令和七年度予算では、対前年度から約二千万円増額した約七千万円を計上させていただいております。
引き続き、民間団体支援を着実に実施させていただくことで、ギャンブル依存症対策にもしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○高井委員 七千万円ね。二千万円増やしていただいたのはありがたいですけれども、やはり七千万円では規模が、ギャンブルは二十兆円以上のお金が動いている話ですからね。そこに、さっきの八・四億円じゃなくて、一桁違うと言いたいところですけれども、更に予算を増やして、本当に、こういう活躍している方がいるわけですから、そういう方々を通して解決を図っていただきたいと思います。
それでは、今日は総務省と警察庁にも来ていただきました。オンラインカジノがやはり非常に問題だということで、実はオンラインカジノは、既にこの間、警察庁が三月に調査結果を発表しましたけれども、三百三十七万人が利用している。一兆二千四百億円ですよ。これはもう地方競馬と競輪と肩を並べる規模になっている。これはどんどんこれからも増えていきますから、これを何とかしなきゃいけない。
そういった中で、一つは総務省に聞きたいのは、ブロッキング、オンラインですから接続遮断、これをスイスなんかはやっていますから、あと日本だって児童ポルノはもうできますから、是非ブロッキングをオンラインカジノについてもやっていただきたいということ。
それから、あわせて警察にもお聞きしますけれども、警察は、やはり取締り強化ですよね。国内でやるのは、これは違法ですから、しっかりこれは取締りを、そのために、やはり予算とか人員規模が全然足りないと言われますから、そこもしっかり増やしていただきたい。
それから、あとは法改正、より厳罰化するということも大事です。是非、やはり厳罰化、法改正も考えていただきたい。
ただ、刑罰だけ上げても解決するという話じゃないんですよ。特に、闇バイトをやっている人がオンラインカジノにはまっているという結果がありますので、やはりそういった場合に摘発したとき、被害者の方なんかの当事者とその御家族や弁護士に対して、こういう支援団体の方々がいらっしゃるということを是非警察からも当事者、家族、弁護士に紹介をして、そこにつないでいく、そういうことも是非警察にはやっていただきたいと思いますが、総務省、警察庁、それぞれお答えください。
○大村政府参考人 お答え申し上げます。
オンラインカジノへの対策は重要な課題であると認識しており、総務省としても、実効性のある対応が必要であると考えております。
オンラインカジノサイトへのアクセス抑止の在り方については、総務省におきまして、本年四月に、有識者会議であるオンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会を立ち上げまして、検討を開始したところでございます。
現在、総務省において、この有識者会議で検討を開始したところでございまして、現時点において、ブロッキングの実施の可否を含め、具体的な方向性についてはお答えすることはできませんが、いずれにしましても、通信事業者、またギャンブル依存症の関係者などの意見を聴取しながら、結論に予断を持つことなく、スピード感を持って検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
オンラインカジノを含むオンライン上で行われる賭博は、海外において適法に運営されているものであっても、日本国内からこれを行うことは犯罪であり、治安課題上重要な問題であると認識しております。
その検挙状況でございますが、令和五年には十三件、百七人、令和六年には六十二件、二百七十九人を検挙し、このうち、自宅のスマートフォンなどからアクセスして賭博を行う、いわゆる無店舗型のものは、令和五年では五件、三十二人、令和六年には五十五件、二百二十七人を検挙しているところでございます。
今後とも引き続き、警察におきましては、オンライン上で行われる賭博事犯につきまして、賭客のみならず、決済代行業者やアフィリエイター等、運営に関与する者を検挙するなど、厳正な取締りをより一層推進してまいりたいと考えてございます。
○高井委員 時間になってしまったので聞けないんですけれども、最後に聞いた、やはり支援団体につないでいただく、これは極めて大事ですから、是非、全国の警察にそれを周知していただきたい。また今度、時間をもらって質問しますので、必ずそれをやってください。
じゃ、終わります。ありがとうございます。
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○藤丸委員長 次に、内閣提出、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。福岡厚生労働大臣。
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労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○福岡国務大臣 ただいま議題となりました労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。
急速な少子高齢化の進展や社会経済情勢の変化に対応していくためには、多様な労働者がその能力を十分に発揮して活躍できる就業環境を整備することが重要です。こうした観点から、いわゆるカスタマーハラスメント、求職者等へのセクシュアルハラスメントなどのハラスメントのない職場づくりを推進するとともに、女性の職業生活における活躍に関する取組の推進や、治療と仕事の両立支援の推進を図るため、この法律案を提出いたしました。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
第一に、カスタマーハラスメントや求職者等へのセクシュアルハラスメントを防止するため、事業主に対して、相談体制の整備等の雇用管理上必要な措置を講ずることを義務づけるとともに、国、事業主、労働者等の責務を明確にすることとしています。
また、厚生労働大臣は、事業主が講ずべき措置等の適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めることとしています。
さらに、国は、何人も職場においてハラスメントを行ってはならないことに鑑み、国民の規範意識の醸成がなされるよう、必要な啓発活動を積極的に行うこととしています。
第二に、女性の職業選択に資する情報公表に関し、男女間における賃金差異の状況や管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合の公表を、常時雇用する労働者の数が百人を超える事業主等に義務づけることとしています。
また、女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の健康上の特性に留意して行われるべきであることを基本原則に明示するとともに、国が策定する女性活躍の推進に関する基本方針に職場のハラスメント防止対策を位置づけることとしています。あわせて、女性活躍の推進に関する取組が特に優良な事業主の特例認定制度の認定基準の見直し等を行うほか、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の有効期限を令和十八年三月三十一日まで十年間延長することとしています。
第三に、職場における治療と仕事の両立支援の推進を図るため、事業主に対して、相談体制の整備等の必要な措置を講ずる努力義務を課すこととしています。
また、厚生労働大臣は、これらの措置の適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めることとしています。
最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日としています。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。
御審議の上、速やかに可決していただくことをお願い申し上げます。
○藤丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
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○藤丸委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、来る十三日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る十三日火曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十七分散会