第19号 令和7年5月21日(水曜日)
令和七年五月二十一日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 藤丸 敏君
理事 上野賢一郎君 理事 古賀 篤君
理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君
理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君
理事 梅村 聡君 理事 浅野 哲君
五十嵐 清君 今枝宗一郎君
草間 剛君 国光あやの君
栗原 渉君 佐々木 紀君
塩崎 彰久君 島田 智明君
鈴木 隼人君 田畑 裕明君
田村 憲久君 中西 健治君
根本 拓君 根本 幸典君
長谷川淳二君 平口 洋君
深澤 陽一君 福田かおる君
森下 千里君 吉田 真次君
池田 真紀君 大塚小百合君
大西 健介君 酒井なつみ君
階 猛君 宗野 創君
堤 かなめ君 中島 克仁君
長妻 昭君 長谷川嘉一君
宮川 伸君 山井 和則君
柚木 道義君 阿部 圭史君
池下 卓君 猪口 幸子君
福田 徹君 森ようすけ君
沼崎 満子君 浜地 雅一君
八幡 愛君 田村 貴昭君
…………………………………
厚生労働大臣 福岡 資麿君
厚生労働副大臣 鰐淵 洋子君
厚生労働大臣政務官 吉田 真次君
政府参考人
(財務省主計局次長) 吉野維一郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房長) 村山 誠君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房年金管理審議官) 巽 慎一君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 日原 知己君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 鹿沼 均君
政府参考人
(厚生労働省年金局長) 間 隆一郎君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
辞任 補欠選任
安藤たかお君 五十嵐 清君
塩崎 彰久君 国光あやの君
根本 拓君 栗原 渉君
長谷川淳二君 島田 智明君
大塚小百合君 階 猛君
同日
辞任 補欠選任
五十嵐 清君 根本 幸典君
国光あやの君 塩崎 彰久君
栗原 渉君 根本 拓君
島田 智明君 長谷川淳二君
階 猛君 大塚小百合君
同日
辞任 補欠選任
根本 幸典君 中西 健治君
同日
辞任 補欠選任
中西 健治君 今枝宗一郎君
同日
辞任 補欠選任
今枝宗一郎君 安藤たかお君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五九号)
――――◇―――――
○藤丸委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長吉野維一郎君、厚生労働省大臣官房長村山誠君、大臣官房年金管理審議官巽慎一君、社会・援護局長日原知己君、保険局長鹿沼均君、年金局長間隆一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○藤丸委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。田畑裕明君。
○田畑委員 おはようございます。自民党の田畑裕明でございます。
本日より、厚労委員会での年金関連法案の質疑ということであります。
先週の金曜日、十六日の日に政府は国会に提出をしたわけでありまして、昨日の二十日の本会議の質疑からスタートということでございまして、野党の皆様方の御協力をいただいて、早期に今日からこうして委員会で質疑ができることにも感謝申し上げたいというふうに思います。
与野党によります熟議によりまして、年金というのは全ての世代の方々に関連がございます、しっかり成立を目指して、与野党の熟議をしっかり行っていかなければいけないということをまず言及をさせていただきたいというふうに思います。
自民党は、昨年の七月に財政検証が発表された後、党内の協議、議論をずっと積み重ねてきたわけでございます。国会提出までに計十五回の公式な会議体での議論を行い、時間にしては約十八時間強ということであります。これはあくまでも公式的な議論でありますから、その前のいろいろな準備を含めると、相当な時間を実は議論してきたわけであります。
厚生労働部会、社会保障制度調査会、医療委員会、合同での会議でありました。なお、部会長は長坂先生であり、社会保障制度調査会長は田村憲久先生、また医療委員長は後藤茂之先生でありまして、全員、厚労委員会の所属の先生方であります。
念のため申し上げますと、我々も、自民党は、この年金法案、五年に一度こうして改正をするということは大変大きな位置づけであるというふうに思っておりますし、老後の国民生活の礎である公的年金制度の安定性、信頼性をしっかり改正のたびに前進をさせるということ、そのための改革、現状のままだと不利益を被る国民の皆様方に対して、それをしっかり是正をし、またいろいろな制度改正について丁寧に説明をしていく、このことが何よりも大事だというふうに思っております。
私も、ほぼ十五回、ほとんど全て出席をいたしまして、国民の声、厳しいお声も含めて政府に投げかけ、また提言をしてきたわけでございます。
与党として、今回の提出に至っては相当時間を要したということも巷間指摘をされているわけでありまして、そのような御批判はもちろん真摯に受け止めなければならないというふうに思ってございますが、党内議論は大変丁寧に丁寧に行ったということをまず申し上げたいというふうに思いますし、合意形成に至りましては、とりわけ厚生労働部会長であります長坂先生が本当に心配りをなさって今日に至っているということを、改めて言及をさせていただきたいと思っています。
そしてまた、もちろん我々は、議員間の討議もそうでありますが、各種団体ですとか様々、いわゆるステークホルダーと言われる方々にも丁寧にヒアリングを行ってきたわけであります。少し主な、我々がヒアリングをした各団体からの御意見について、言及をまずさせていただきたいというふうに思います。
勤労者皆保険の関係では、被用者保険の適用拡大というのが大変大きなわけでありますが、ほとんどの団体から、適用を拡大する方向性についておおむね一致をしたということ、また中には、速やかな適用拡大を求める団体の御意見や、適用拡大については段階的に実施が必要であるというような御意見もございました。また、事業主の負担増に対しての配慮についても、多くの団体からも言及があったわけであります。
また、基礎年金のマクロ経済スライドの調整、いわゆる早期の終了、このことについてもいろいろな御意見もいただいてきたところであり、そもそも、基礎年金の給付水準の確保ということの重要性は御指摘をいただいてきたわけであります。
また、国庫負担分の財源の確保についても、これはきちっと対応すべきだという御意見もいただいたわけでありますし、足下の厚生年金受給者への影響へも配慮するべきだということ、また名目の下限措置についての、速やかに撤廃すべきという御意見もあったことも御紹介をさせていただきたいというふうに思います。
なお、検討規定にも入ったわけでありますが、将来的に基礎年金の拠出期間の延長、四十五年化ということだと思いますが、給付の充実を必要な国庫負担の財源と併せて検討すべきという御意見もいただいたわけでありますし、これも検討規定に入りましたが、第三号被保険者の保険者制度についても、見直すべきではないか、しっかり次回の検証までに結論を出すべきではないかということの御意見もいただいたことを御紹介をさせていただきたいというふうに思います。
いずれにしても、今年金においては、マクロ経済スライドの調整の一致ということ、早期の終了というのは、党内の議論で非常に丁寧な議論を行ったわけでありますが、与党としては、自民党としては、それを盛り込まない形では今提出ということになっているわけでありますが、これをしっかり議論しながら前進をさせていかなければいけないと思っています。
また、丁寧な議論の中で……(発言する者あり)済みません、今、質問していますので、後ほどそこはまた触れたいと思いますが。
それでは、質問の方に入っていきたいというふうに思います。
財政検証は昨年の七月に発表され、これで四回目の財政検証ということになります。財政検証は、その都度都度、年金の通信簿というような位置づけだというふうに理解をしております。これまで、いわゆる所得代替率の数値を導き出すため、そしてまた、その試算が発表されてきたわけでありますが、過去には、オプション試算ですとか関連の資料等も添付をされ、中身はどんどん分厚くなっているわけでありまして、研究者又は専門家ではないと本当に読み込めない、一般の国民の皆様方は、添付の関連資料をしっかり読み解くというのは相当難儀だというふうに思います。
いわゆる分布推計というものも今回は公表されているわけでありますが、まず、この分布推計は、それぞれの世代の六十五歳時点におけます、現役時代にどの公的年金制度に加入していたかの経歴類型がどのような構成割合であるですとかの推計、また年金額の将来見通しが公表されているわけであります。
この分布推計をしっかり作成をし、公表したその意図について、まずお聞かせをいただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
前回までの財政検証では、モデル年金をベースに将来の年金給付水準を試算してまいりました。モデル年金ということになりますと、女性や高齢者の労働参加の効果による将来の年金水準への影響を十分に確認することができないという点がございます。
こうしたことから、今回の財政検証では、今委員御指摘になられたような、厚生年金の加入による効果を見るために、新たに個人単位での推計を行ってございます。これによって、将来の世代ごとに働き方の年金水準への影響などをお示しすることができるようになった、このように考えております。
○田畑委員 ありがとうございます。
そもそも、所得代替率というワードですとか、またモデル世帯も、いろいろ御指摘ありますように、四十年間、旦那さんが働き続け、配偶者は専業主婦であり、六十五歳からいただく年金の額を現役のときの所得と比較をしながら数字を出していくということでありまして、非常にモデル世帯の該当者自身が実際に働いていらっしゃる方々とは乖離をしているというふうに言わざるを得ないわけでありますが、これは法律で定めているわけでありますから、今ここでどうのこうのと言うつもりはございません。
今、答弁ありましたとおり、お一人お一人の個人になるべく近い形での将来推計を示したということでありまして、今日、配付資料にも配付をさせていただいたのが、その公表資料の一部でございます。
表に今あるのは、女性の方、現在、二〇二四年時点で六十五歳の方、三十歳の方は二〇五九年に六十五歳になるということでありますが、その方の、現状の形の中で推移をしたときの現行制度、いわゆる成長型、また実質ゼロ成長型ということでの二種類に分けての分かりやすい円グラフが記載をされているところであります。せっかく作っているこうした資料をしっかり、年金制度の理解を深めるための周知広報にもきちっと使っていただきたいと思います。
もちろん、これだけでもぱっと見て分かりにくい部分もあるのではないかと思いますし、もう一枚の方においては、年金額の将来見通しということで、棒グラフ、また折れ線グラフが示されているわけでありますが、言葉も含めてしっかり、先ほど答弁ありましたとおり、お一人お一人の年金額について、もちろん、ねんきん定期便、また年金シミュレーターというものもございますし、こうしたツールも使ってのしっかりとした広報周知を改めてお願いをしたいと思います。
そして、この後も、シニア活躍ですとか、女性の就労、社会進出、社会参画がまだまだ伸びるわけでありますし、いわゆる片働きではなくて、共働き世帯が今は大宗を占めるような状況でございます。世帯の形ですとか働き方の変化というものが、より、引き続き今後の公的年金の受給にも影響があるのではないかというふうに思いますが、そこについての政府の見解をお聞きをしたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
ただいま委員から御配付いただいておりますこの配付資料にもございますように、昨年の財政検証で行った個人単位の年金額分布推計によれば、共働き世帯の増加や、女性や高齢者の労働参加の進展によりまして、若い世代ほど厚生年金の被保険者期間が延び、結果、年金が充実する傾向にあるということが確認されているところでございます。
このいただいた配付資料で申し上げれば、ピンクの部分が、厚生年金に加入している期間が二十年以上の方、こういう方が増えていくということが年金額にもいい影響を与える、このように考えているところでございます。
○田畑委員 ありがとうございます。
繰り返しになりますが、やはりこの年金制度、まずは自分事とすれば、自分の受給額や将来の受給額は幾らになるんだというのが大変多くの国民の皆さんの関心事でありますし、もちろん、制度の安定といったようなこと、これも当然問われるわけでありますから、そこをしっかり注視をお願いをしたいというふうに思います。
それでは、ちょっと法案の中について何点か、確認を兼ねて質問したいと思います。
まずは、老齢厚生年金の繰下げのことにつきましてちょっと確認をさせていただきたいと思いますが、いわゆる在老を今回、限度額を六十二万に引き上げるということでございます。そもそも、ごめんなさい、先に繰下げの方にします。ごめんなさい。
ちょっと今確認を兼ねて質問させていただきたいと思いますが、今、それぞれ年金を受給される方々は基本は六十五歳ということでありますが、様々な御事情で繰上げ、繰下げの年金の受給ができるということであります。今後も、シニア活躍、高齢者の方々の就労はますます増えていく中で、いろいろな選択肢があって、それぞれの皆さん方はまた迷いながら、自分の年金の受給年齢を判断をされていくのではないかというふうに思います。
今、実際、令和五年度末で七十歳の方において年金の繰下げを受けている方々は、三・二%の割合で繰下げということでありまして、印象的にはまだまだ低いというふうに私は感じるところであります。
改めて、繰下げのメリット、デメリットにつきまして、政府の見解をお聞かせをいただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
ただいま委員御指摘のように、我が国の年金制度、受給を開始する時期は六十歳から七十五歳まで選べる、そういう仕組みになってございます。
その中で、六十五歳以降に受給を開始することを繰下げと申しますが、これについては、受給開始を遅らせることで年金が増額されるというメリットと併せて、繰下げ受給に伴う留意点についても周知をして、お考えの上で選んでいただけるということが大事だと思っています。
このために、年金の受給開始年齢に到達した方に送付する繰下げ受給に関するリーフレットにおきまして、そのメリットとしては、年金の受給開始時期を遅らせることで、例えば七十歳では四二%の増額になること、増額された年金を終身で受け取れることなどのメリットをお伝えしております。
それと併せて、御注意いただきたい点として、年金の受給開始を遅らせている間は加給年金や振替加算は併せて支給されないこと、あるいは、繰下げにより増額した年金を受給して収入が増加することによって、医療保険、介護保険等の自己負担や社会保険料、税の負担が増加する場合があることなどのこうした留意点も記載し、メリット、デメリットを併せてお伝えすることで、選択しやすい環境整備に努めているところでございます。
○田畑委員 ありがとうございます。
次に言及することは、法案とは直接には、まだまだ熟議が足りないというところでありますが、今、実際、六十五歳まで企業におきましては雇用義務、また七十歳まで就労機会の確保という努力義務が課されているところであります。六十歳以降も働いていらっしゃる方々、六十五歳以降も働いている方々もいらっしゃるし、またこれからどんどん増えていくということになります。
今、五十九歳まで年金保険料を納付をするということになるわけでありますが、六十代から、六十四歳までの間については年金は基本的には支給されないわけでありますから、その間の生活の糧をどうするのか、またそれまでの家計の貯蓄をどうするのかというのも、国民の皆さんにとっては大変大きな関心事であるのは当然だというふうに思ってございます。
ちなみに、基礎年金への、保険料拠出期間四十年を超えますと、一八・三%の保険料率で拠出した保険料は基礎年金の給付には反映されなくなるという制度にもなっているところでありますし、また、基礎年金には給付の二分の一の国庫負担がありますが、その国庫負担による年金給付拡充効果もその年代は関係がなくなるということになるわけでありまして、何が言いたいかといいますと、六十代の前半の方々、そしてまた繰下げをされた方々においても若干デメリットもあるということについては、これは丁寧に国民の皆さんにお知らせをしなければいけないということを改めて言及をさせていただきたいと思います。
それでは、次は適用拡大について、改めて確認を込めて聞いてみたいというふうに思います。
当然、勤労者皆保険制度、皆年金制度のためには、適用拡大、いわゆる厚生年金に加入をしていただく方々をしっかり確保していく、これはこれまでの年金改革でも大きな柱であったわけであります。今回につきましても、拡充について様々配慮措置がなされているというふうに理解をしているところでありますが、従業員要件等を含めて、対応につきまして改めて確認をしたいというふうに思います。
当然、事業主の視点というものも大事だというふうに理解をするところでありますが、政府として、被用者保険の適用拡大をするに当たりまして、どのような視点での配慮、またどのような対応ということをこの法案で盛り込んでいるのか、御答弁をお願いをしたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
これまでも、短時間労働者の方が厚生年金や健康保険に入りやすくする適用拡大について順次進めてきたところでございますが、今回の法案では、最低賃金の上昇も見極めながら賃金要件の撤廃をすることや、企業規模要件の段階的な撤廃、あるいは、既存事業所に配慮しつつ、従業員五人以上の個人事業所の非適用業種の解消などを行って、加入できる方を増やしていくということを考えているところでございます。
被用者保険に加入することによりまして、加入者の方にとっては年金や医療の給付が充実するメリットがございます。また、事業主の方にとっても、働く方への年金給付等が手厚くなることで、人材確保や定着という観点から、最近はメリットを感じておられる事業主も増えているというふうに考えてございます。
その上で、委員御指摘のように、今回の見直しでは、今まで以上に小規模の企業を対象とするということもございまして、企業経営に与える影響や事務負担の増加等も踏まえまして、施行までの十分な準備期間を確保することや、段階的な施行によって必要な配慮を行うこと、これが一つ。
それから、事務的な負担という意味で申し上げますと、電子申請を推進しまして、年金事務所の方へいらっしゃらなくても手続ができるようにしていくことを更に進める必要があるだろうと考えておりますし、また、日本年金機構により、基本情報が記載された届け書などを事業所へ送付して、それを確認してお返しいただくというようなターンアラウンド方式といったようなことも含めて、事務負担の軽減にも更に努めていく必要がある、このように考えております。
加えまして、キャリアアップ助成金による支援のほか、様々な中小企業支援措置を活用できるよう支援体制を整備するなどによって、円滑な施行に努めていきたい、このように考えてございます。
○田畑委員 ありがとうございます。
この分野は、施行期日もそれぞれバランスを取り、段階的にという形になってございますし、今言及がありましたが、日本年金機構に対して、事業主の様々な事務負担の手続についても簡素化、工夫できることについてはきちっと行っていただきたいというふうに思います。
百六万円の壁への対応のキャリアアップ助成金の制度につきましても、これも丁寧な説明が当然必要だというふうに思いますから、改めてお願いを申し上げたいと思います。
もう一点は、在職老齢年金制度の見直しの件であります。
私自身は、いろいろな御意見や御批判もあるのではないかと思いますが、在職老齢年金、そもそも、国民として保険料をお支払いされていた方々が、法律によって支給を停止をされているという状態であったわけであります。それを本来の姿に、まずは段階的ということになりますが、給付という形に拡充をするということであります。
もちろん一部には、高齢者、高所得者の優遇を拡充するのかという国民の声は私にも寄せられたところでございましたが、私自身は、今申し上げたとおり、本来、義務として納めた保険料がちゃんときちっと給付されるのが国の責任であるわけでありますが、それを止めていたということ自身はしっかり御説明をしながら、こういったことを丁寧に言えば、国民の皆さんの御理解は私はいただけるのではないかというふうに感じるわけでございます。
在職老齢年金制度の見直しの内容、また標準報酬月額の上限の見直しの趣旨、そこにつきまして、答弁をお願いをしたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
まず、在職老齢年金でございますけれども、これはただいま委員からも御指摘ございましたように、負担能力に応じた保険料を御負担いただいて、それに対する給付を行うというのが年金制度の原則だと思いますが、それから見ますと、在職老齢年金は例外的な仕組みだというふうに考えています。これは、二〇〇〇年の改正の中で、年金制度の持続可能性を高めるために導入されたものでございますが、他方で、この仕組みにつきましては、働く高齢者の方の就労意欲を阻害するというふうにも指摘される面がございます。
現在、人手不足の中で、高齢者の方が働きやすい環境を整備するという観点から、支給停止の基準額を令和六年度価格で五十万円、七年度価格で五十一万円でございますが、これを六十二万円に引き上げる。これは、五十代後半の賃金がそのまま継続したとしても、老齢年金が支給停止にならないというような水準を考慮したものでございますが、こういった形で基準額を見直すということを考えているものでございます。
それから、標準報酬月額の上限につきましては、幸いなことに賃金が持続的に上がっていくような環境ができつつある中で、標準報酬の上限に該当している方、それ以上の方については、賃金が多くても全部保険料額は一緒だということになりますので、そうすると、分母を賃金にして、実際払っておられる保険料額を分子にしますと、実効の保険料率は下がっていくというような構造にもございます。
世代内の公平を確保しつつ、そして収入に応じた負担をお願いするという考え方と同時に、同時にその方の保険料増加に応じた将来の給付増にもつなげたい。そして、これは上限に該当しない方も含めた厚生年金加入者全体の給付水準の向上にもつながるものと考えておりまして、こうした多面的な観点から、標準報酬月額の上限につきましても見直しさせていただきたい、このように考えているところでございます。
こうしたことを分かりやすく国民の皆様にお伝えすることをしっかり取り組んでまいりたい、このように思います。
○田畑委員 答弁ありがとうございます。
私は、その考えにはしっかり納得するところであります。もちろん、いろいろな雇用のセーフティーネットをきちっとつくるということも大事でありますし、目標に向かって若い方が頑張って働く、そして、報酬を得て、またその報酬によって保険料をお支払いをされ、将来の年金の給付額が増加をする、こうしたサイクルを当たり前のようにきちっとやりやすい環境を整えていただきたいというふうに思います。
それでは、改めて、今回の改正には基礎年金水準の底上げ措置というのは盛り込まれていないわけであります。我々の党内の議論の中でも、厚生年金の積立金を流用し基礎年金部分に充てるというような御理解の中での発言があり、なかなか国民の理解は得ることができないのではないかという意見も党内ではあったわけであります。
今回は、令和二年改正の附則による検討を引き続き行うということに際し、社会経済情勢の変化を見極めるため、報酬比例部分のマクロ経済スライドによる給付措置を、配慮措置を講じた上で次期検証の翌年度まで継続するという形での検討規定という形になっているわけであります。
そもそも、二〇〇四年の大きな制度改正においては、二〇一七年度まで保険料の引上げを法定化をし、マクロ経済スライドを導入をし、段階的な給付抑制を織り込んで、二〇二三年度には報酬比例も基礎年金も同時に調整を終えられるというのが二〇〇四年のときの最初の制度設計だったわけであります。
すなわち、賃金スライドに戻ることができるというふうに見通されていたわけでありますが、スライド調整が当初から機能をせず、所得代替率は二〇二四年、二〇〇四年改正のときの試算と反して、現状は六一・二%というふうに上昇したというのが現状だというふうに思います。
改めて、どうして令和二年の附則の引き続き継続という規定を置き、それを引いて五年後の制度改正時に検討するということにしたのか、それで様々な対応を含めて間に合うのかということ。また、社会情勢の変化ということでありますが、どのようにその意図を理解すればよろしいのか。また、必要な財源の手当てについては、現実的にはどのくらいの年数の経過後に新たな負担というものが生じることになるのか。我々はどう理解をすればいいのか、答弁を求めたいと思います。
○間政府参考人 お答えをいたします。
昨年の財政検証におきましては、経済が好調な場合につきましては、基礎年金も含めてマクロ経済スライドの調整は比較的早期に終了し、それによると給付水準の低下は余りないということでございますので、その意味で、必ずしも特別な措置が必要ないという考え方も取れるのではないかと。他方で、経済が好調でない場合におきましては、基礎年金のマクロ経済スライドが二〇五〇年代まで延びるということでございますので、その点については対応が必要になると。
そうすると、今、今後どういう経済になっていくのか、政府としては成長型経済への移行を目指しているわけでございますけれども、それがどうなるのか、見極める必要があるというふうに考えた次第でございます。
同時に、前回の法律の改正におきまして、衆議院での修正によって、マクロ経済スライドの調整期間が長期化して基礎年金水準が低下するということについて懸念が示され、それに基づいて、所得再分配機能の強化について検討すべきだという宿題をいわばいただいておりました。その宿題はいまだに生きているというふうに考えておりまして、こうしたものを引き続き経済状況を見極めながら検討していくために、御指摘のような措置を講じたところでございます。
これに基づいてしっかり検討し、適切な措置を講じてまいりたいというふうに思います。
○田畑委員 ありがとうございます。
最後、ちょっと大臣にお聞きをしたいと思いますが、今回のこの法案の改正においても、現在の低所得者、将来の更に貧困層につながる、そうした方々への配慮をどうするのかというのは大変大きな課題であります。
私は、一義的には、低所得者対策は、きちっと、厚生年金保険を適用される事業所で働いていただく、その適用拡大も含めてそうした雇用政策の環境をしっかり整える、これが一義的には低所得者の方々への大変大きな改革であり、やらなければいけないことは、そのことがまず本趣旨だというふうに思います。
しかしながら、いろいろ段階を踏まなければいけない、また事業主側、雇用主側の御都合もしっかり整えていかなければいけない、いろいろ課題があるわけであります。
大臣は、今回この法案を、様々な御意見があって今こうして提出をされているわけでありますが、成案に向けまして、改めて大臣の御意図、また御意思をお聞かせをいただきたいと思います。
○福岡国務大臣 年金制度は老後生活の柱の一つでありますから、その役割を将来にわたって果たすことができるように、社会経済の情勢の変化に対応して制度を見直すとともに、一定の給付水準の確保に取り組むことが大変重要だと考えております。
こうした観点から、今回の法案は、主に若年労働者そして中高年労働者の方に対しては、いわゆる百六万円の壁を撤廃し、より手厚い年金を受けられるようにする被用者保険の適用拡大であったり、また標準報酬月額の上限を引き上げ、収入に応じた負担をお願いしながら、保険料の増加に応じた将来の給付増にもつながるための見直しにより、将来の給付を充実させる施策を講じています。
また、主に年金受給者の方には、就労収入を得ながら年金をより多く受け取れるようにする在職老齢年金制度の見直しであったり、iDeCoの加入年齢を七十歳まで拡大する措置など、現在の年金の増額措置などを盛り込んでおりまして、これらの施策により、将来の給付水準の確保につながる内容となっているわけでございます。
政府といたしましては、こういったこの法案の意義であったり内容とメリットにつきまして、現役世代そして受給者、双方に御理解いただけるようにしっかりと説明を尽くしてまいりたいと思います。
○田畑委員 意気込みを聞かさせていただきました。
低年金者ですとか無年金者の方々においては、そうした手当ても多様でありますし、私は、住宅政策、住まい、こうした面も非常に重要だというふうに思います。しっかり政府間でも連携をしていただきながら、前進をさせていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、長妻昭君。
○長妻委員 よろしくお願いをいたします。
今日から委員会での年金改革法案の質疑ということで、緊張感を持って質疑に臨んでいきたいというふうに思います。
年金の制度というのは、言うまでもなく巨大な制度でございまして、私は、一言で言えば、人間の尊厳を守る大切な制度だと思っています。やはり年を取ってなかなか収入が減ってきたときに、身の回りのことは自分のお金で手当てをしていこう、あるいは冠婚葬祭でも自分のお金で子供に頼ることなく人生を全うしていこう、こういうような人間の尊厳を本当に守る大切な制度だというふうに思っております。
保険という名前がついて、リスクは何なんだとよく聞かれるんですけれども、長生きリスクということで、このぐらいまで貯金があれば老後大丈夫かなと思いきや、不測の事態や予想外に長生きをしてそれが足りなくなる、こういうことを防ぐために、老後、何歳になっても、百歳になろうが百二十歳になろうが毎月同じ金額がきちっと払われる、こういう安心感があって社会が安定するというふうに思っております。
フランスでも、年金改革、失敗しまして、全土で暴動が起きました。そして、プーチン大統領も年金改革を失敗して、支持率がぐっと下がって、それを挽回するためにウクライナ侵略をしたとも言われております。
非常に年金というのは、社会の混乱を、間違った改革や改革のスピードが遅くなると混乱を呼ぶ、大変機微に触れる、しかも巨大な制度だというようなことでございまして、今回、私は政府から出てきた法案について、あんこのあんが入っていないということが非常に残念なんですね。それ以外の点は、これまでの宿題をかなりきめ細かくやられているということで、我々も一定の評価をしています。ずっとこれまでやりたくてもできなかった宿題が入っているんですね。ただ、肝腎要の、中核である基礎年金の底上げ、つまりマクロ経済スライドの早期終了というのが入っていないというのは、致命的だというふうに思います。
そこで、我々は昨日、井坂筆頭理事が我々の修正案骨子を皆さんにお配りをしたわけでございますけれども、これは、福岡大臣、御覧になっていかがでございますか。
○福岡国務大臣 将来世代の基礎年金の水準を底上げする、その方向性については私どもとしても十分認識をしておりますところでありますが、御提出いただいたそこの内容についてのコメントについては差し控えさせていただきたいと思います。
○長妻委員 差し控えるというのは何で。
○福岡国務大臣 まさにその内容をどうするかについては、与野党で今、これからまた御協議いただくというふうに承っておる、そういう観点で申し上げさせていただきました。
○長妻委員 これは、何でもかんでも与党の御意向が出ないと動けないということじゃないと思うんですよね。やはり、大臣はもう少しリーダーシップを発揮して、国会のこういう場で少し前に出た答弁をする、これによってリードをするというのが普通だと思うんですね。
この件については、こういう表を作ってみましたけれども、結局、何が重大なポイント、あんこかというと、マクロ経済スライドを早期に終了させるということなのでございますけれども、これまでは、マクロ経済スライドが入るまでは、年金というのは物価スライドということで、物価が三%上がれば年金受給額も三%上がる、こういうような、比例していたんですね。
ところが、マクロ経済スライドが入って、二〇〇四年からは、物価が上昇しても、一定の被保険者数の減少率とか平均余命の延び等を勘案してマイナスするというようなことで、今、〇・四%マイナス。例えば、二%物価が上がっても、一・六%しか年金が上がらないということで、実質価値が下がっていく。それがどんどんこの表のように急激に下がって、二〇四六年にはマイナス一・七%になっちゃう。物価が二%上がっても、年金がたった〇・三%しか伸びない、こういう形で大変きつくなるんですね。これは厚生年金にも基礎年金にも同じようにかかるわけであります。かかるんですね。
これは、ほっておくと二〇五七年まで続いちゃうんですね、ずっと五七年まで。これはきついということで、基礎年金と厚生年金を同時に、マクロ経済スライドを二〇三七年に停止しよう、こういう案なんですね。これがあんこのあんの効果です。
じゃ、二〇三七年に停止すると、二〇三八年以降は物価スライドに戻るという理解でいいですね、基礎年金も厚生年金も。
○福岡国務大臣 御指摘のとおりでございます。
○長妻委員 ということは、今回のあんこのあんをちゃんと入れれば、二〇三八年からは物価が上がれば年金も上がるんです。全く同じように上がる。そういう世界が二〇三八年から基礎年金も厚生年金もでき上がるんですね。将来不安が相当解消されますよね、これは。
これがあんこのあんの最大のポイントのところで、我々は修正の第二項には、年金額が減る方への一定の手当てというのも入れているわけでございまして、じゃ、修正案についてはコメントできないということであれば、こういうマクロ経済スライドの早期終了、今申し上げたようなことは、これは必要だというふうに大臣はお考えになりますか。
○福岡国務大臣 将来世代の年金水準を確保する、その中の一つの大きな要素として、マクロ経済スライドの早期終了というのが選択肢としてあるということについては認識をしております。
○長妻委員 その選択肢すら削除しちゃっているわけですよね。でも、選択肢があると認識されているので、我々の案を受け入れる余地はあるというふうに理解しておりますけれども。
今回、いろいろマスコミ等も、ちょっとかなり誤解を生むような報道が続発をして、国民の皆さんも混乱されておられると思うんですけれども、今回、私は厚生年金等底上げ案とあんこのことを申し上げているんですけれども、これは何か厚生年金の積立金の流用だということをおっしゃる方がいますが、これは全くの間違いですから。事実誤認です。
じゃ、今でも厚生年金から基礎年金にお金が流れていると思うんですが、大体どのくらいのお金が流れていますか。
○福岡国務大臣 約百兆円ということでございます。
○長妻委員 今も流れているんですね、お金が。それを、例えば厚生年金保険料の、今、労使合わせて一八・三%ですよね、そのうちの五%は基礎年金部分に流れているんですね。だから、流用というんだったら、今もずっと流用しているわけですよ。でも、それは流用じゃないわけなので。拠出金なんですね。
基礎年金というのは支払いの窓口なんですね、全ての人が基礎年金に入っていますから。基礎年金に入っていない人はいませんよ。だから、全部の皆さんのものがこの基礎年金でありますので、これを調整して、そしてマクロ経済スライドを早期終了させる、こういう趣旨なんですね。
しかも、マスコミなんかは、厚生年金の矢印はあるんですけれども、税が抜けているんですね。税金もこの措置によって投入される。ある意味では、今の水準から変わらないようにするというふうに言うのが正確だと思うのでございますけれども、税金が投入されて、厚生年金のお金以上に税金の効果で基礎年金が底上げをぐっとされるんですね。
この税金の投入でありますけれども、税の投入が、厚生年金の投入と比較して、どれだけ寄与度があるか。つまり、所得代替率が上がるわけですね、こういう措置をすると。厚生年金の所得代替率も上がりますし、基礎年金の所得代替率も上がるんですが、それぞれ所得代替率を、上がる所得代替率を一〇〇としたときに、寄与度として税の部分はどのくらいの寄与度がありますか。
○福岡国務大臣 基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了につきましては、今回の法案で具体的な仕組みを規定していないため、これに関する試算のお答えは難しゅうございますが、令和六年財政検証を基に、マクロ経済スライド調整が終了した時点で所得代替率が改善した要因を分けて見ますと、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースにおいては所得代替率が五・八%上昇し、この内訳は、基礎年金の給付水準の増加に伴う国庫負担分の三・九%と、厚生年金のマクロ経済スライドの延長による分の一・九%という内訳になっております。
○長妻委員 それを一〇〇パーとすると、それぞれ比率はどのぐらいですか、国庫負担と。
○福岡国務大臣 比率にしますと、国庫負担分が約三分の二、そしてマクロ経済スライド分が約三分の一ということでございます。
○長妻委員 そうすると、今皆さん答弁を聞いていただいたと思いますが、税の投入によって年金の底上げが三分の二、三分の二は税の投入による、あんこを入れることによって税も伴って投入されるんですね、その効果なんですね、三分の二が。ですから、ある意味では、厚生年金の方も税の恩恵を受けるわけですね、今回。
しかも、下の図を、一対九と書いてあるんですが、よくマスメディアなどでは国民年金に投入するみたいに書いてありますが、これは全くの間違いですし、基礎年金(国民年金)も間違いですし、国民年金(基礎年金)も間違いなんですね。厚生年金の一階部分も当たり前ですけれども基礎年金がありまして、大体九対一なんです。つまり、厚生年金の増える部分のお金の投入は、基礎年金に投入されますが、九割は厚生年金の一階建て部分の基礎年金に投入されるわけですね。
国民年金は一なんですが、しかし、もう一つのポイントは、国民年金というのは自営業だというふうに決めつける報道があるんですが、大臣、国民年金の属性の中で一番多い属性をおっしゃっていただければ。
○福岡国務大臣 四十歳の国民年金の被保険者の加入期間を見ますと、第一号被保険者の期間のみの方は五・六%、二号、三号被保険者期間のみの方は六%、第一号と第二号、三号被保険者期間をどちらも有する方は八八・三%となっております。
○長妻委員 次の質問のを今お読みいただきました。
○福岡国務大臣 済みません、勘違いしていて申し訳ございません。
令和二年国民年金被保険者実態調査によりますと、国民年金第一号被保険者のうち自営業者の方は二六・九%、被用者の方は三八・九%となっております。
○長妻委員 つまり、国民年金の中で一番多い属性は何ですかということ。(発言する者あり)
○藤丸委員長 じゃ、止めてください。
〔速記中止〕
○藤丸委員長 じゃ、上げて。
○福岡国務大臣 恐縮でございます。
被用者の方でございます。
○長妻委員 そうなんですよ。これもマスメディアも誤解しているのですが、国民年金(自営業)と書いてあるメディアがほとんどなんですが、国民年金の中で一番多い、政府が分類しているカテゴリーでは、被用者、パートとかサラリーマンの方もおられます。つまり、適用拡大が遅れたことで国民年金に追いやられている方々がおられて、それが四割ぐらいなんですね。実は、無職、学生もいっぱいいますので、自営業の方は今おっしゃっていただいたように二六・九%、四人に一人だけなんですよ、国民年金の。
しかも、この次の質問において、じゃ、国民年金で一生過ごす人はどのくらいなのかという、さっきお読みいただきましたけれども、再度お願いします。
○福岡国務大臣 済みません。
四十歳の国民年金の被保険者の加入期間を見ますと、一号の期間のみの方は五・六%、二号、三号被保険者期間のみの方は六%、第一号と二号、三号被保険者をどちらも有する方は八八・三%となっております。
○長妻委員 ということは、八八・三%の人が両方あるんですね、人生の中で。例えば、大学時代に国民年金とか、一旦ちょっと職を辞めて国民年金、それでまた厚生年金とか。つまり、厚生年金の積立金は、今、国民年金に入っている人も寄与しているんですよ。十年前に厚生年金に入っていて、この積立金もあるかもしれない、自分たちの保険料がそこに使われたかもしれないということで、八八・三%の人が混在型なんですね、どっちもあるので。
ですから、どっちが得だとか、どっちが入るとかじゃなくて、基礎年金というのは全ての人が持っている支払い窓口でありますので、ですから、流用とかそういうことではないわけですね。
しかも、今まさに年金を受給しようとしている受給開始の方々について、例えば六十五歳の方は、国民年金だけ、ずっと六十五歳まで過ごしたよという人は何%ぐらいですか。
○藤丸委員長 じゃ、止めてください。
〔速記中止〕
○藤丸委員長 じゃ、上げてください。
福岡大臣。
○福岡国務大臣 六十五歳の老齢基礎年金受給者の方について見ますと、その算定基礎となります加入期間が第一号被保険者期間のみの方は三%となっております。
○長妻委員 聞きましたか。三%ですよ。だから、年金をもらう六十五歳、今の方々で、ずっと六十五まで国民年金だけだった人は三%なんですよ。ですから、みんな行ったり来たりしてやっているわけですから、どっちが得だとかこうだとかという話ではないので、ですから、ちょっと報道もそこら辺も勘案していただければありがたいと思います。
報道の件でちょっと言いますと、配付資料の一ページ目を見ていただきますと、これも私は不思議に思ったわけでございますが、ネット上などでも現役の方が、流用だ、俺たち会社員の金を自営業に渡すのかというような多分趣旨なんだと思いますが、反対論が非常にあるわけでございます。
共同通信の調査でも、共同通信が年代別にも発表していただいていまして、あんこのあん、つまり、基礎年金、厚生年金底上げ、厚生年金等底上げ案については、中年層、四十から五十代の方、恩恵をすごく受ける方々が反対の方が多いんですね。これは一体どういうことなのかと。これは恩恵以外はない、ほとんどないわけですし、これは完全に私は誤解だと。
この質問も、別に共同通信を悪く言うわけではありませんけれども、会社員が入る厚生年金の積立金を使って基礎年金(国民年金)の給付水準を上げる、つまり、会社員の金を使って国民年金の給付水準を上げるんだと。これは嫌ですよ。ちょっとそういう気もするんですが、大臣、この調査を見てどういう感想をお持ちですか。
○福岡国務大臣 まず、その調査の結果については拝見をさせていただいております。
その上で、個々の調査に関するコメントは差し控えさせていただきますが、基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させる措置につきましては、社会保障の専門家からも、保険料、拠出金、積立金の関係が分かりづらいことなどから、国民の理解が得られるのかといった御意見があったというふうに承知をしておりまして、そういったこともあるのかというふうに考えております。
○長妻委員 ちょっと誤解が、誤解の上にまた誤解があるということがありますので、我々も発信をきちっとしたいと思いますけれども、政府も、やはり一番影響力が厚生労働省はありますので、再びちゃんと発信を、更にしていただければというふうに思います。
国庫負担の件でございますけれども、国庫負担についても、新規財源が必要だ、こういうふうに財務省なんかはおっしゃるんですけれども、私は、もちろん財源が必要だということは理解するんですが、その新規財源、新規財源というのにちょっと違和感があるんです。
そこで、お尋ねしますが、国庫負担について、基礎年金の半額が国庫負担だと思うんですが、配付資料でも、六ページ、配付しておりますけれども、今現在、二〇二五年は国庫負担は幾らですか。(発言する者あり)
○藤丸委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○藤丸委員長 速記を上げて。
福岡大臣。
○福岡国務大臣 二〇二四年で十三・五兆円でございます。
○長妻委員 いや、二〇二五年。
○福岡国務大臣 十三・四兆円でございます。
○長妻委員 二〇二五年、今、十三・四兆円、税金が投入されているんです、基礎年金の半額に。
じゃ、これが、政府が言う、かなり投入額が増えると言われている、政府がメルクマールにしている二〇五二年には、現在価値にすると幾ら投入額になりますか。
○福岡国務大臣 十三・四兆円でございます。
○長妻委員 これは聞いた人は少し首をかしげていくと思うんですが、つまり、十三・四兆円なんですね、今、税金の投入が。じゃ、一番お金がかかると言われている二〇五二年、現在価値に戻すと幾らですかというと十三・四兆円、ちょうど同じなんです。増えていないじゃないかと。
これはどういうことかというと、つまり、ほっておくと三割下がるわけですよね、基礎年金の実質価値が。そうすると、三割下がると、税金もある意味では下がるわけですよ。つまり、基礎年金の半額が税金ですから。ですから、下がる。ところが、今回、あんこを入れると、その下がるのが一定程度止まる。そうすると、税金の投入も、ほっておくときよりは増えるわけですよね。今と同じになるわけですよね。そうすると、その差額が、せっかく減るのに増やしやがってとは当局も言わないでしょうけれども、だから、その差額を新規財源と言っているわけですよ。これはちょっと普通の新規財源と違うと思いませんか。
普通は、新規の事業をして、それでアドオンして増えるのを新規財源というと思うんですが、ちょっとそういうところがあるということで、ただ、とはいえ、GDPの比率でいうと確かに上がっているので、それはそれで考える必要はある、我々もきちっとした考え方をお示しをするということを申し上げているところであります。
その中で、例えば、こういうこともあるんですね。石破首相とも予算委員会で議論しましたけれども、生活保護が、配付資料の七ページ、八ページにもございます、これは別々の学者さんの試算でありますけれども、年金をこのままほったらかしておくと、生活保護の六十五歳以上の受給者の数が倍になる、そして、六十五歳以上の方を含めた生活保護の経費が、これも二〇五〇年、それぞれ二〇五〇年ですけれども、倍になる。
つまり、年金をあんこを入れなければ生活保護が増える、これは石破首相はそうだと明言されました、私が予算委員会で質問したら。つまり、あんこのあんを入れることによって、生活保護の伸びが抑えられる、そこで財源がある意味では出てくるとも読めると思うんですが、いかがですか、その考えは。
○福岡国務大臣 まず、総理の答弁につきましては、様々な前提が今と変わらないことを前提に、増えることはあり得るということについてお述べになられたものと承知しています。
将来の生活保護受給者数の見込みにつきましては、経済情勢等の様々な要因が影響することから、推計することは大変困難でございまして、したがって、基礎年金水準の上昇による将来的な生活保護費負担金の減少、これを見込むということは困難ではないかと考えております。
○長妻委員 そうすると、端的に聞くと、年金が増えれば、あんこを入れれば増えるんですね、じゃ、今のままと、年金があんこを入れて増えるときと、生活保護はどちらが増えると思いますか。もちろん、ほかの条件は同じですよ。
○福岡国務大臣 今申し上げましたように、様々な条件があって、それは変動し得るものでございます。
今委員が御指摘になりましたように、前提が同じということであれば、御指摘のとおりだと思います。
○長妻委員 御指摘のとおりなわけですよね。
そうすると、だから、生活保護を増やすのを抑える効果もあるので、そこで財源ということもありますし、我々は、税金による格差是正、つまり所得再分配機能が、先進七か国で税による所得再分配機能が一番低いんですね。アメリカよりも税による所得再分配機能が低くなっているので、所得税や金融所得課税を含めて、税の累進を強化をするなどなどの案を既に発表をしております。
年収が一億円を超えますと所得税の負担率が下がっていくという珍現象もありますし、社会保険料の算定に資産も勘案されませんし、あるいは配当も勘案されないというような、いろいろな格差についての論点というのがございますので、そういう中から、三十年後とはいえ、政府が財源が必要だとおっしゃっている以上、そういうところについても協調して財源を見出すという努力をするということであります。
最後に一点お尋ねしますが、石破首相も、あんこのあんが抜けたじゃないか、こういうふうに予算委員会で私が申し上げたところ、確かに抜けてはいるけれども、今回は適用拡大がある、適用拡大で年金を底上げするんだ、所得代替率を上げるというような趣旨の御答弁をされたんですが、じゃ、三割、三〇%基礎年金が将来下がるというところ、例えば、今回の法律に入っている適用拡大をすると、三〇%下がるのがどれだけ改善があるんですか。
○福岡国務大臣 昨年公表いたしました財政検証を基にしますと、二〇二四年度時点で三六・二%となっております基礎年金の所得代替率が、被用者保険の適用拡大を行うと、マクロ経済スライドによる調整が終了した時点において、例えば実質一%成長を見込んだケースでは、現行制度の場合、三二・六%に低下する一方、被用者保険の適用拡大を実施した場合は三四・四%となります。また、実質ゼロ成長を見込んだケースにおきましては、現行制度の場合、二五・五%に低下する一方、被用者保険の適用拡大を実施した場合は二七・二%となり、それぞれ改善することが見込まれております。
○長妻委員 だから、端的に聞いているのは、三〇%下がる、三割下がるところが、どれだけ下がることでとどまるんですか。
○福岡国務大臣 過去三十年投影ケースで申し上げますと、現行制度では約三割減になるところが、適用拡大を実施した場合は約二・五割減となるということでございます。
○長妻委員 つまり、三〇%下がるのが二五%下がるのでとどまるといったって、五%しか寄与しないわけですよ、下げ止まりについて。もちろん、やる必要はあると思いますけれども。ですから、本丸はこのあんこを入れるということが、改めて、石破首相は多分誤解されておられるので、それも是非共有していただきたいというふうに思います。
そして福岡大臣も、一%の成長、これを強調するんですね。一%のバラ色のというか、成長モデルのケースでありますと、年金はほとんど余り下がらない、少しは下がりますけれども。でも、この一%というのも大きな、これは過大です。成長型で一%というのは、成長型ケースというのは、実質賃金が百年間、今後一・五%ずつ毎年毎年上がる。今、実質賃金、連続マイナスじゃないですか。しかも、政府が悲観的と言っている過去三十年投影ケースですら、私は大き過ぎると思うんです。実質賃金が毎年プラス〇・五%ずつ上がる、百年間、毎年毎年プラス〇・五上がる、これはおかしいんです。
今の皆さんが言っている悲観的というところも、私は大き過ぎると。それでもバラ色なんです。バラ色であっても三割下がるわけですね、基礎年金が。ですから、余り成長型ケースを答弁しないでいただきたいんですよ。
公明党の浜地さん、いらっしゃらない、浜地さんが、昨日、本当にいいことをおっしゃっておられました、本会議場で。こういうことをおっしゃったんですね。年金財政検証の経済前提の妥当性について、過去三十年投影ケースでも実質賃金上昇率が〇・五%に設定されるなど、現在の数字と比較しても楽観的な数値を前提にしているように感じると。全く同感です。
政府が悲観的と言っているところも楽観的なんですね。ですから、それ以上の楽観的な議論は絶対に私はやめていただきたいということを申し上げまして、私の質問といたします。
どうもありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、階猛君。
○階委員 立憲民主党の階猛です。
今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。
私の方は、配偶者の扶養から外れて社会保険料の負担で手取りががくっと減る、いわゆる百六万とか百三十万という年収の崖問題について議論したいと思っております。
まず、通告はしていないんですが、前提として大臣に伺いたいと思います。
年収百六万を超えて三号被保険者から二号被保険者に切り替わる百六万円の崖と、年収百三十万円を超えて三号被保険者から一号被保険者に切り替わる百三十万円の崖、この両者を比較した場合、どちらが労働者側の経済的負担によって働き控えにつながりやすいか、大臣の御所見をお願いします。
○福岡国務大臣 一般論で申し上げますと、百三十万円の方が影響が大きいのではないかというふうに思います。
○階委員 おっしゃるとおりだと我々も考えております。
そこで、我が党としては、今日、皆様に資料をお配りしております。一ページ目につけさせていただいておりますけれども、まさにその百三十万円の崖の方に着目して、これによる手取りの減少分を給付で埋める法案を提出しているわけです。
予算委員会で大臣にも何度か説明しました。この我々の提案について、少し留意点を申し上げたいと思います。
まず、この左側が、就労促進支援給付ということで、まさに百三十万円の崖対策ということなんですが、この対策は、これから百三十万円の崖を超える労働者だけではなくて、既に超えている労働者でも、年収二百万に達するまでは所定の額が支給されるということです。
もう一つの留意点、年収の崖に直面するのは三号被保険者、すなわち、配偶者の扶養に入っている労働者であります。シングルマザーなどは、年収百三十万円に達する前から一号被保険者になって、自分で社会保険料を納めている。大変な御苦労があるわけです。この年収の崖には関係しない一号被保険者にも、この一ページ目の右側ですけれども、特定就労者支援給付というものを支給することで、この両者の平等にも配慮しているわけです。
なお、この一ページ目の下の方に書いてありますけれども、将来的には、百三十万の崖の発生原因である三号被保険者制度の見直しも行うということを法案の検討条項に盛り込んでいるということも申し添えておきます。
さて、その上で、今回の法案なんですが、二ページ目を御覧になってください。
政府案の方は、百三十万ではなくて、従来でいうと百六万円、法改正されると週二十時間という時間の壁になるわけですが、その対策ということで、図に、イメージしたものが下の方にありますけれども。
要は、百六万なり二十時間なり超えたところで労使双方に社会保険料負担が発生するわけですよね。通常はこれを折半することになっていますけれども、折半だと働く人が負担が重いということで、働き控えにつながるであろうということで、最大で本来の負担分の半額を、労働者が本来負担すべきものを使用者側が負担するといったような制度、そしてさらに、本来の負担割合を超えて事業主、使用主が負担した分については国が支援する制度を設けるということであります。
これなんですけれども、我々の先ほどの提案と比較して、同じぐらいの年収で自ら保険料を払っている労働者とこの支援制度を利用できる労働者との間で、保険料の支払いにおいて平等に反する。これは憲法問題ではないか、憲法十四条に抵触するおそれがあるのではないかと考えますが、大臣の御所見をお願いします。
○福岡国務大臣 まず、厚生労働省として、憲法の解釈についてお答えする立場にはございませんが、御指摘の保険料調整制度については、今回の年金改正法による被用者保険の適用拡大の対象となる企業に限って、その企業で働く就業調整を行う可能性のある収入で働く短時間労働者を対象として、対象期間を三年間に限定した上で、特例的、時限的に実施することとしているものでございます。
この措置によりまして、適用拡大の対象となります比較的小規模の企業の人材確保に資することができ、また、就業調整を行う可能性のある短時間労働者の就業調整を抑制することができ、これにより、被用者保険への加入を促進し、被用者保険全体の持続可能性の向上につながるというふうに考えております。こうしたことから、今回の被用者保険の適用拡大に伴って、対象者を限定して特例的、時限的な措置を実施することには合理性があるというふうに考えております。
○階委員 合理性の話じゃないんですよ。憲法に反しないかということを言っています。
憲法は所管ではないと。でも、所管でなくても、違憲の立法をしたら駄目でしょう。だから、憲法に反しないかどうかというのを確認させていただいているんです。その点だけお答えください。
○福岡国務大臣 恐縮です。先ほど言いましたように、憲法の解釈について厚生労働省としてはお答えする立場にはございませんが、今回、法案を提出するに当たりましては、内閣法制局の審査を受けた上で提出をさせていただいております。
○階委員 内閣法制局からは、どういう理由で合憲だと言われていたんでしょうか。そこは、もし今お手元にないということであれば、後で資料を提出していただきますようお願いします。
委員長、お取り計らいをお願いします。
○藤丸委員長 理事会で協議します。
○階委員 その上で、この二ページ目の、事業主が労使折半を超えて保険料を負担した場合の保険料の一定割合を制度的に支援ということについて伺いたいんです。
まず、前提として、一定割合を制度的に支援というふうになっていますけれども、最近の公明党さんの議論などを聞いていますと、もう一定割合ではなくて全額支援という話になっているように聞いているんですが、それが間違いないかどうか。
そして、その上で、そうした支援の財源、これはどこから捻出するのか。支援するに当たっては、年金の保険料だけではなくて医療保険料の分もカバーすると思うんですが、こうした財源をどこから捻出するのか。明確に答弁をお願いします。
○福岡国務大臣 まず、全額という御指摘については、その方向ということでございます。
それぞれの財源ということですが、年金は年金の財政から、医療については医療保険の財政からということでございます。
○階委員 例えば、年金の方についてなんですけれども、ですから、今回新たに、百六万円なり二十時間を超えた人については、事業主の社会保険料負担を減らすために、元からの年金積立金を使うわけじゃないですか。これは平等に反するだけではなくて、まさに厚生年金積立金の流用に当たるんじゃないですか。お答えください。
○福岡国務大臣 御指摘の保険料調整制度は、適用拡大の対象となる企業に限って、就業調整を行う可能性のある短時間労働者を対象に、三年間限定で特例的、時限的に実施することとしているものでございます。
この措置によりまして、比較的小規模の企業の人材確保に資することができ、短時間労働者の就業調整を抑制することができ、これによりまして、被用者保険制度全体の持続可能性の向上につながるというふうに考えられますことから、このように事業者を限定して特例的、時限的な措置を実施するということについて合理性があるというふうに考えております。
○階委員 これも憲法上疑義があると思っていますので、この制度が問題ないということを内閣法制局のお墨つきを得たのであれば、ちゃんとここに提出してください。
委員長、お取り計らいをお願いします。
○藤丸委員長 理事会で協議します。
○階委員 何か、時限的だからとか対象者を限定しているから合理的だとおっしゃいましたけれども、むしろ、それが憲法の平等原則とは緊張関係に立つわけですよ。絞れば絞るほど漏れる人が増える。その人たちは自分で保険料を納めている。その人たちの平等はどう考えているんですか。
我々は、そこも考えて法案を出しているということなんですが、大臣、期間を限定したとか、そして対象者を限定したことによって漏れる人たちがたくさん出るということについて、憲法上問題ないのかどうか。
それから、さっき聞いたことに対して答えられていません。まさに、年金部分については厚生年金積立金の流用に当たるんじゃないか。
この二点、お答えください。
○福岡国務大臣 保険料の調整制度は、今回の年金改正法による被用者保険の適用拡大という制度改正に伴って実施するものでございまして、制度改正の対象となる方と対象とならない方については、必ずしも同じ状況にあるわけではないというふうに考えております。
なお、短時間で働く第一号被保険者が第二号被保険者となる場合には、基本的に保険料負担が軽くなるほか、給付も充実することになるというふうに考えております。
○階委員 答えていないですよ。
流用に当たるんじゃないかと申し上げましたが、その点はどうですか。(発言する者あり)
○藤丸委員長 じゃ、ちょっと止めてください。
〔速記中止〕
○藤丸委員長 じゃ、起こしてください。
福岡大臣。
○福岡国務大臣 厚生年金の保険料というのは被保険者のために使うということでございまして、今回のこの運用につきましては、被保険者のために使うということでございますので、流用という御指摘には当たらないというふうに考えております。
○階委員 平等のことはちょっとおいておいて、まず、流用かどうかということなんですけれども、被保険者のために使うんだったら問題ないという話だったんですが、まさに先ほど来、長妻議員も流用に当たらないんじゃないかと言っていた基礎年金の底上げ、これは、昨日、井坂さんが代表質問で聞いたときに、要は、ほとんどの世代、ほとんどの被保険者にとって、この底上げはメリットがあるということを政府も認めているわけです。なんだけれども、流用に当たるから、これは盛り込むことを見送りました、これは石破総理の答弁でしたよ。流用だと、そっちでは言っているわけですよ。どっちがより流用なんですかね。(発言する者あり)いや、流用だからと総理が答弁しているんです。
ですから、あちらを流用ということを重んじるのであればなおのこと、こちらの流用については、説得的な、流用ではないという理由づけが必要だと思いますよ。お答えください。
○福岡国務大臣 まず、昨日の本会議、私も総理のそばにずっといて、総理の答弁をずっと聞いておりました。
多分、発言の趣旨といたしましては、与党内で議論を行うに当たって、厚生年金の積立金を活用する、そのことについて慎重な御意見があったということを言われたわけであって、政府として、そういう考えにあるということをおっしゃられたわけではないというふうに認識をしております。
○階委員 じゃ、読み上げましょうか。厚生年金の積立金を使うことについて、流用といった御意見もあり、今回の法案に具体的な仕組みを規定しないこととしたものでありますというのが昨日の総理の答弁でしたよ。
流用と言っているのは誰なんですか、一体。私たちは、流用ではなく真っ当な使い方だと思っていますけれども、大臣、これは流用ですか、どうですか、基礎年金の底上げの方。お答えください。
○福岡国務大臣 今日のやり取りでもありましたように、厚生年金の積立部分については、これまでも基礎年金部分に使用をされていた部分がございますから、その使用の割合が変わるということでございます。
私どもとして、今まで一度も流用という言葉を使ったことはございません。
○階委員 そうしたら、政府として、今、流用ではないという見解を明確にお答えになりましたけれども、だったら法案に盛り込むべきじゃないですか。だって、石破総理のこの盛り込まなかった理由づけは、これしか書いていないですよ、昨日の井坂さんの答弁で。厚生年金の積立金を使うことについて、流用といった御意見もあり、今回の法案に具体的な仕組みを規定しないこととしたものですとしか言っていないんですよ。
流用ではないということであれば、そんな批判は間違った意見だということで、一顧だにせず、ちゃんと法案に盛り込んでいいんじゃないですか。なぜ盛り込まないんですか。お答えください。
○福岡国務大臣 まず、私どもとしましては、与党内の審査を経なければ法案を提出できないという中で、今申し上げましたように、様々な議論がある中で、厚生年金の積立部分を、流用という言葉は使いませんが、更に使う枠を広げるということに対しまして、与党内でも慎重な御意見があったことであったり、また、加えて申し上げますと、そういったことについて理解を得るには一定の時間が必要じゃないかといった御意見が内部にはあったというふうに承知をしております。
そういう中で、法案を早期提出するというお求めに応じるために、そこを外した形で提出をさせていただいたということでございます。
○階委員 流用ではないと言うんだったら、基礎年金底上げも進めてください。
そして、こちらの方は、まさに流用だと思いますよ。既に保険料を納めた人の積立金を、これから納めるべき人の、保険料を減らして、その補填に充てるということですから、まさにこれは流用ということは言わざるを得ないということを申し上げておきます。
そして、平等原則については、やはり疑問があります。これは是非、ここの委員会で法制局の見解を出していただいて、私もそれを把握した上で、また議論させていただきたいと思います。
さて、我々は、百三十万円の壁対策については既に法案を出しています。百六万の壁あるいは二十時間の壁、こちらについては、政府は、労使折半を上回る部分について制度的に支援ということでした。ただ、中小零細企業は今経営環境が非常に厳しいという中において、労使折半の範囲内の部分の事業主負担、これも支援する必要があるのではないかというふうに考えているわけですよ。
この部分について、いろいろ、政府、官僚の皆さんからお話を聞いておりますと、キャリアアップ助成金をこれからも活用するということでした。本来は令和七年度まで使える制度でしたけれども、これを更に延長するというような話がありましたけれども、これこそ、従来から私は申し上げていますが、キャリアアップ助成金というのは雇用保険料から出ているお金だと思いますが、雇用保険料の目的外使用ということで、流用ではないですか。お答えください。
○福岡国務大臣 年金の壁への対応としてのキャリアアップ助成金につきましては、労働者に新たに被用者保険を適用し、労働時間の延長であったり賃上げを通じて労働者の収入を増加させて、キャリアアップにつながる取組を行う事業主を支援するものでございます。
こうした取組は、雇用保険を用いて雇用の安定を図るという雇用保険制度の趣旨に沿った措置だというふうに考えております。
○階委員 雇用保険料をこういうことに使うということで、今回、制度を拡充するということで、五ページに今回の措置が書かれていますけれども、令和七年度の予算修正で六十三億円を計上されました。六十三億円によって、これは百三十万の壁対策も行うし、百六万の壁対策も行うし、両方に使われるということを聞いております。
それぞれ、何人に使うと仮定して、この六十三億円という積算をされたのかということをお答えいただけますか。
○福岡国務大臣 今回の拡充に要する費用は六十三億円となっておりますが、その額につきましては、令和七年度に支給対象になると見込まれる労働者数に助成単価を乗じた上で、施行が年度途中からになることを考慮し、算定をしたものでございます。
この積算の根拠ということでございますが、この四・四万人という積算につきましては、まず、拡充前の現行の支援策の令和七年度の利用予定者の一部が拡充後の支援策の利用に移行すると想定し、その後、その上で、新たなコースの創設に伴う需要喚起により利用者が増加することを見込んで四・四万人としているところでございます。
○階委員 四・四万人というのは、恐らく、百六万と百三十万、双方の壁で利用される方だと思うんですけれども、百三十万の壁の方でこのキャリアアップ助成金を使われるのは何人と見込んでいるんでしょうか。
○藤丸委員長 じゃ、ちょっと速記を止めてください。
〔速記中止〕
○藤丸委員長 速記を起こして。
福岡大臣。
○福岡国務大臣 恐縮でございます。
先ほど申し上げました六十三億円というのは百三十万円の壁の部分でございまして、四・四万人というのも、百三十万円のところに該当する人数だということでございます。
○階委員 ちょっと昨日伺っていた話と違ったもので、確認させていただきました。
四・四万人は、全て百三十万の壁対策で使われるということなんですが、さてさて、この五ページ目にその新しいキャリアアップ助成金の制度が書いてあって、左側に対象となる人数が書かれていますよね。これは、十万人、三十一万人、三万人、三つの類型で書かれておりますけれども、これを合算すると四十四万人ぐらいなんですよ。
政府肝煎りで百三十万の壁対策をやるという割には、四・四万人という数字は余りに少なくないですか。お答えください。(発言する者あり)
○藤丸委員長 じゃ、止めてください。
〔速記中止〕
○藤丸委員長 速記を起こして。
福岡大臣。
○福岡国務大臣 済みません、恐縮です。
この四・四万人というのは、年度末に支給が開始されますので、二、三か月分に当たる方がこの数字に当たるということでございますので、通年で考えますと、更に多くの数が見込まれるということでございます。
○階委員 これも昨日レクで確認したところ、四・四万人というのは手を挙げる人なんだけれども、実際に支給されるのは、今おっしゃったように、手を挙げてから支給されるまで半年以上かかるらしいんですよ。そうすると、令和七年度に支給されるのは、四・四万人のうち五千二百人だということを事前に伺っております。
私が問題にしているのは、五千二百人が少な過ぎるという話じゃないんですよ。そもそも手を挙げるのが四・四万人というのは少な過ぎるでしょうということを言いたいんですが、その点については大臣の見解はどうですか。
○藤丸委員長 止めてください。
〔速記中止〕
○藤丸委員長 じゃ、起こして。
大臣。
○福岡国務大臣 済みません、先ほどの数字の詳細をもう一回申し上げますと、現行メニューの令和七年度の利用予定者、その方が三・九万人いらっしゃる。新たな創設に伴う需要喚起による増が三・一万人見込まれる。そのうち、期間が短うございますので、そこの間で支給対象となる方が、先生が御紹介いただいた五千二百人ということでございまして、その二つを足し合わせると、令和七年度の積算根拠として、七年度中に四・四万人ということでございます。
そもそもその四・四万人自体が少ないんじゃないかというような御指摘ということでございますので、そこについては、この助成金の活用状況等も踏まえながら対象労働者数を見込んでいるものでございますが、いずれにしても、できる限り多くの方に支援を活用いただけるように、周知に取り組んでまいりたいと思います。
○階委員 四・四万人、少ないんじゃないかという問いに対して、今の大臣の答弁は、今実施しているキャリアアップ助成金の利用状況を勘案したというお話だったんですけれども、だったら、今の利用状況は低迷しているのに、これを多少いじったところで効果は薄いんじゃないですか。何で、そんな中途半端なことをやるんですか。我々が示したような抜本的なやり方で百三十万の壁対策をやった方がいいんじゃないですか。お答えください。
○福岡国務大臣 働く方の事情は様々であるというふうに承知していまして、必ずしも全ての方が被用者保険を適用して働くことを希望されているものではないということに留意する必要があるというふうに考えております。
ただ、いずれにしても、できる限り多くの方に支援を活用いただけるように、周知には努力してまいりたいと思います。
○階委員 必ずしも全ての人が被用者保険に加入することを希望しないと。それはそのとおりでしょう。
でも、今回、二十時間の壁を全ての事業者に適用するとか、そうやって適用範囲を拡大していきたいわけじゃないですか。それが政府の方針でしょう。だから、なるべく適用拡大に資するような制度設計をしなくちゃいけないでしょう。それを実際に使えるかどうかは、それは御本人の意思もあるでしょう。ただ、私は、御本人の意思で使われていないというよりは、そもそも、この制度自体が極めて中途半端なんだと考えております。
まず、キャリアアップ助成金の今の制度は、六ページ目の左側、結局、マックス三十万円ですよ。百六万のところで手取りが減った分を補うために、事業者に三十万。そして、これをどう使うかは事業者の判断であって、三十万を経営が厳しいから事業者が自分で使ってもいいし、あるいは、三十万を従業員の手取りが減る分を穴埋めするために使ってもいいし、そこは自由なんですけれども、いずれにしてもワンショットなんですよ。
ワンショットということは、百六万の壁を越えると、大体、労使それぞれ十五万ずつぐらい負担が増えますから、一年分にしかならない。これだと、面倒くさい手間暇をかけて制度を申請して使おうとは思わない。
それから、これを延長して百三十万の壁に対応しようというのが右側ですけれども、これは規模によって変わりますけれども、最大で七十五万円です、一年目だけではなくて二年目もあるから。そこは改善を少しはしたと思っていますけれども、いずれにしても、五十万円というのは、労使それぞれの負担の一年分なんですよ。一年目はそれぐらいカバーできたとしても、二年目は半分に減りますから、二十五万円ということで、これも大して効果は見込めないと私どもは考えております。
私は、厚労省の皆さんには日頃からいろいろなレクとかでお世話になっていて、非常に真面目に年金制度を考えていると思いますよ。被用者保険の適用も進めたい、そして働き控えもなるべく減らしたい、事業主の負担もなるべく減らしたい、いろいろなことを考えながら苦労して制度設計している。それは私も敬意を込めて認めます。
ただ、問題は、多分、このような制度をつくるに当たって、厚生年金とかあるいは厚労省の所管の財源の範囲内でやれという縛りが、こうした中途半端な制度にとどまっている最大の要因だと思っています。
だから、私は、今日、財務省を呼びました。財務省、こんな、厚労省にだけ負担を押しつけて、国が財政で面倒を見ないから、今のような中途半端な制度設計に終わってしまうんですよ。
働き控え対策、これからの日本にとって非常に重要な課題ですよ。中小企業の支援も非常に大事です。そして、老後の年金を拡充するために被用者保険を拡大していくことも大事。全て大事な国家的な課題ですよ。それをちゃんと取り組むために、財務省としても厚労省をサポートしていただけませんか。お願いします。お答えください。
○吉野政府参考人 お答え申し上げます。
今、全ての諸課題を挙げていただきまして、国家的な諸課題だというふうに認識しております。
全てにおいて新しい政策を実施していくときに、恒久的な施策であればなおのことですけれども、必要な財源を確保しながらということは我々としては申し上げざるを得ませんので、その立場からではありますけれども、厚労省の職員の皆様方と一緒に取り組んできておるつもりでございますし、これからも、より一層努めてまいりたいというふうに思います。
○階委員 さっきも言いましたけれども、保険金の流用とか、そういう小手先の財源捻出ではなくて、やはり国がちゃんとオール政府でこういった問題について取り組んでいくという決意を示していただきたいということを申し上げたいと思います。
それと、私は、やはり国の在り方として、厚労省は厚労省、財務省は財務省、縦割りの組織でやっているから問題の本質的解決につながらないんだと思うんですよ。こうした問題については、厚労大臣、全政府的に取り組むように、是非閣議の中でもちゃんと強く言ってくださいよ。厚労省の皆さんは真面目にやっていても、こんな財源のやり方ではいいものはできない、これを本当に私は申し上げたい。大臣の御決意をお願いします。
○福岡国務大臣 御指摘いただいたことは、大変大切な論点だというふうに思っております。
これまでも、政府内、情報共有して、風通しよく議論するように努めてまいりましたが、御指摘を受けて、更に努力をしてまいりたいと思います。
○階委員 我々も、こうした部分について、私、党の中では財政金融部門の責任者なんですけれども、こうしたことについて恒久財源を手当てするということも、既に本予算の段階で修正案の中で示しております。我々としては財源の捻出方法も示していますし、こうした部分に予算を使うのは大歓迎だということで、もし大臣がそういう気持ちで取り組んでいただけるのであれば、私は体を張って財務省にこれをやれと言うつもりですので、よろしくお願いします。
いろいろ言いたいことは山ほどあって、まだまだ言い足りないんですが、ただ、時間が来てしまいましたので、また、もしよければ質問の機会をいただければと思います。
今日はありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、山井和則君。
○山井委員 それでは、二十五分間、質問をさせていただきます。
最初にちょっとお断りをせねばならないのは、この二十五分間は、昨日、上野筆頭理事に手渡しました立憲民主党の修正案の骨子、今日の配付資料にも入れさせていただいております。今日の配付資料の四ページに入っております。現役世代の厚生年金などの全ての方々の底上げの修正案の骨子、これについて質問をさせていただきます。
言いづらいですけれども、政府案に入っていないので、政府案に入っていないものを厚生労働大臣に詳細に答弁というのも酷なんですけれども、ただ、とはいえ、これは元々、年金審議会が審議していた厚生年金と基礎年金のマクロ経済スライドの調整期間の一致でありますので、今回、自民党の上野筆頭理事や長坂厚労部会長にも了解を得まして、与野党一致した要望として試算をお願いをしておりますので、そういう与野党合意して出していただいた数値の範囲内で質問をさせていただきたいと思いますし、そういう意味では、ちょっと単発に数字とかそういうものを聞く場合もありますので、間局長も御答弁いただければと思います。
最初に申し上げますが、一昨日のこの統計を見て、私もびっくりしたんです。びっくりしました。おとつい初めて見ましたからね。これは、自民党と立憲民主党が共同して要望した結果出てきたので、もちろん自民党の人も初めて御覧になったと思います。
何でびっくりしたかというと、この配付資料の正面にありますように、モデル世帯、モデル年金ですけれども、じゃ、今回の現役世代の年金底上げ、厚生年金などの底上げをしたら、何歳の人がモデル年金だったら年金は増えるのか、一番知りたいことですよね。ここにありますように、男性は六十二歳以下、女性は六十六歳以下だったら、モデル年金の方は年金が増えるわけです。
何が言いたいかといったら、就職氷河期世代の人を救うとか就職氷河期以降と言っているけれども、全然違うんですよ。そういう意味で、かつ、これが、低年金の方はこれより上でも年金は増えるし、高年金の方はこれより下でも年金が減っちゃう、こういう構造になるわけです。
それで、もう一つ私がびっくりしましたのは、分かりやすい女性の例で言いましょうかね。女性の方の例ですね、配付資料でいきますと、女性の方は三ページですけれども。失礼ながら、昨日もれいわの八幡さんが、低年金で、就職氷河期世代より若い議員も大変だ、低年金で大変だとおっしゃっていましたけれども、例えば三十代の方は、これを見てもらったら分かりますけれども、今回、特に低年金で国民年金の方とかは、何と生涯で四百一万円増えるんですよね。重要なのは、高年金の人が四百一万円増えるんじゃないですよ。低年金の人が四百一万円生涯で増えるということは、人生変わるんじゃないかと思うんです。
最初に言いたいんですけれども、今回の、これから二週間の与野党の修正協議が実現するか実現しないかで、確実に多くの方の人生は変わります。生活保護になるかどうかも変わります。そういう意味では、こう言ったらなんですけれども、今日の私のこの質問も、厚生省を追及するとかそういう次元じゃなくて、与野党全党の皆さんに是非この修正案に御賛同いただきたいということで質問をしたいんです。
ただ、今日の新聞を見たら、なかなか厳しいんですよ。今朝の新聞を見たら、やはり、昨日渡した私たちの修正骨子に対して、野党案をのむことなんかできない、一旦除いたあんこを、野党に言われたからといって、そんなもの、あんこを戻せないという声とか、やはり小幅の修正しか無理じゃないか、時間もないからとか。そういう意味では、私も、来週までに修正合意できるかどうかというのは、まだ実務者協議も始まっていませんので、一週間しかないから五分五分ぐらいかと思うんですね。
でも、申し上げておきますけれども、調整期間の一致、いわゆるあんこと言われている調整期間の一致をすることによって現役世代の年金を引き上げるというのは、田村憲久先生の元々の案ですからね。これは田村法案ですよ、本籍地は。私が言うのも変ですけれども、本籍地は。だから、あんこを元々作ったのは田村さんですからね。何が言いたいかというと、これは立憲がどうとかそういうのじゃないんですよ。党派じゃないということを私は言いたいわけですよ。
かつ、新聞のコメントを見ますと、日経新聞ですけれども、基礎年金の底上げが必要との認識は、政府の当初案に否定的だった自民党議員も共有していると今日の日経新聞。河野太郎氏らは野党も巻き込んでやるべきだと主張していた、立民の提案で底上げ策を復活させる形なら、自民党が受け入れる可能性はあると日経新聞は書いてくださっているわけです。
だから、本当に河野太郎先生もおっしゃるように、河野先生も、こういう年金というのは余り、与党が決めて野党が賛成とか反対じゃなくて、与野党で巻き込んでやるべきだという意味では、いい意味でいえば、僭越ながら、今回、田村法案を、野党が骨子を出させていただいたとはいえ、趣旨は、党派を超えて与野党協力してやろうじゃないかということなんですね。
そこで、質問通告に従ってお伺いします。そうしたら、これ、固めていきますよ。
現在五十歳以下の現役世代や若者の中で、高所得者、高年金者以外、五十歳以下の人は平均余命まで大体二十二年ですけれども、生きた場合、生涯年金が増えるというのは大体何%ぐらいで、おおよそ年収が幾ら以下の人は、厚生年金を含めて生涯年金受給額が増えるんでしょうか。お答えください。
〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕
○間政府参考人 お答えいたします。
今回の法案で御指摘の底上げの措置を規定していないことから、その実施を前提とした具体的な金額などについてコメントすることは難しいことを御理解いただきたいと思います。
その上で、御指摘に対して直接的な試算ではございませんけれども、令和六年財政検証に基づいて、平均余命まで受給するとして機械的に試算した結果によりますと、委員の配付してくださった資料の三ページにございますように、実質一%成長を見込んだ場合にはマイナスになる方はいませんが、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースでも、五十歳以下の方については、例えば厚生年金受給者の上位二〇%に当たります月二十万円を受給されている方でも、年金受給総額はプラスになる結果となってございます。この上位二〇%に当たる方の年収というのは、四十年間平均の年収で換算しますと七百八十万円程度の方であっても増額になる、こういう結果を示したところでございます。
○山井委員 四十年間、平均年収七百八十万というのはかなりの高額だと思いますけれども、ということは、現在五十歳以下の現役や若者の中で、厚生年金加入者も含めて、高所得者、高年金者以外の多くは生涯年金が増えるという理解でよろしいですか。
○間政府参考人 基本的にそのように理解しております。
○山井委員 ここ、重要ですよ。男性、女性とか関係なく、相当な超金持ち、高所得者以外は五十歳以下は増えるんです。
先ほど、階議員かな、厚生年金流用の批判があると言っているけれども、今、長妻さんも質問されたように、今回私もびっくりしたのは、結局、今日の配付資料にもありますように、共同通信の調査によると、三十代の人の四三%は底上げ反対と言っているんです、四十代、五十代の五四%は底上げ反対と言っているんです。一言で言うと、この方々は、五十歳以下の高所得者以外は年金が増えますよという事実を知らないんですよね。(発言する者あり)えっ、違う。知っていて反対しているということですかね。まあ、うなずいておられるんですけれども。確かに、知っていて反対している人も多いかもしれないんですけれども。
というのは、このデータが出てきたのはおとついなんです。この世論調査はこのデータが出る前ですから、このデータが出る前日と前々日にこの世論調査は行われているので。だから、私は何が言いたいかというと、この調査で、高所得者以外は五十歳以下は全員増えますよということが世の中に広まって、来週末、世論調査が行われたら、多分、五十歳以下の人の多くは年金が増えるんですから、先ほど八幡さんの例を出して申し訳ないけれども、八幡さんの例なんか四百万増えるんですから、生涯で四百万、そういう意味では、多くの人が賛成してくださるんじゃないかと思うんです。
ついては、三十八歳まで、どんどんどんどん、五十歳よりも年金は増えていくんですけれども、昨日、石破総理も答弁されましたけれども、間局長、三十八歳以下であれば、何%の厚生年金受給者は生涯年金が増えますでしょうか。昨日、石破総理が答弁された、三十八歳以下、最終的にはというやつですね。三十八歳以下は、何%の人が厚生年金が増えるでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
先ほどと同様、令和六年財政検証で申し上げますが、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースで申し上げれば、プラスの効果が最大となるときに年金額が上昇する方は四十年間の平均収入が一千八十万円以下の方となって、それ以下の方は増額になるということでございまして、パーセンテージで申し上げますと、推計いたしますと九九・九%ということでございます。
○山井委員 今聞いてくださいましたように、三十八歳以下の厚生年金の人は、九九・九%、四十年間平均で一千万以下ですよ。ボーナスを入れずに稼いでいる人以外は、九九・九%、年金が増えるということなんです。
繰り返し言いますけれども、私もこれを知ったのは、昨日の石破総理の答弁でびっくりしたんですよ。本当にびっくりした。
ですから、何を言いたいのかというと、私は、このあんこの部分が自民党の中で厚生年金の流用だということで削除されたのは、やむを得ないという部分があるんです。
何でかというと、実は、この修正案、あんこを入れるやつ、私、立憲民主党の厚労部会長で、ネクストキャビネットでこの修正案をかけたんですよ、先週。どうなったと思いますか。反対論ばっかりだったんですよ。それで、私、大変な目に遭ったわけですよ。どう言われたかというと、山井さん、これは選挙にマイナスになるからといって自民党が削除したやつでしょう、山井さん、こんなあんこを入れたら立憲民主党が選挙に負けるんじゃないのという批判が五人の議員から来たわけですよ。私は集中砲火に遭ったわけですよ、はっきり言いまして。それで、そのとき私は反論して、この骨子案を通しましたよ。通したから出したわけですけれどもね。
ただ、言いたいのは、そのときに私もつらかったのは、このデータがなかったから。増えるんですよ、増えるんですよと言っても、もう山井の言うことは信用できないみたいな話でね。
でも、繰り返し言いますけれども、おとつい、自民党さんと立憲の要望に応じてこのデータが出た時点で、今後は、厚生年金流用だとかという抽象論じゃなくて、例えば、失礼ながら、今目が合ったので、吉田真次議員も四十歳ですよね。四十歳男性だったら、結局、全部分かるんですよ。四十歳、一九八五年生まれ、基礎年金だけの人は一人で三百三十一万円増えるんですよ、吉田議員の同級生。一人でですからね。夫婦だったら六百六十二万円ですよ、低年金の人が。
言っちゃなんですけれども、この事実を知った上で、私は年金が少ないけれども六百六十二万円なんて要りませんわというんだったら反対してもいいけれども、この事実を知ったら、普通、えっ、あと一週間で決まるの、何党かはおいておいて、とにかくそれをやってよと。それで、じゃ、四十歳の高年金の人でも、一番年金が多い人でも百七万円、夫婦だったら二百十四万円増えるわけなんですよ。
だから、是非、理念がどうとはもう言いませんから、皆さん、各党の方々、この資料を配って、自分は幾ら増えるかというのをやってみていただきたいんですね。浅野議員も四十二歳ぐらいですよね。だから、浅野議員も、浅野議員の同級生も、結局、今の、三百三十一万円増えるか、夫婦だったら六百六十二万円とかね。
改めて言いますけれども、この話、桁がでかいんですよ。夫婦で六百六十二万円違ったら人生設計が変わりますよ、はっきり言って。だから、私は先ほど、この修正合意がうまくいくかどうかというのは五分五分と言いましたけれども、これは何としても通さねばならないと思っていて、伏して各政党の方にお願いしたい。そして、さっきも言いましたけれども、特に低所得の人、八幡さんの例ばかり言ってもなんですけれども、就職氷河期世代といって、昨日も本会議で言っていた、特に低所得の方にとって、四百万円、老後、お金が入るかどうかというのは、本当に人生が変わるんですよ。
そこで、福岡大臣にお伺いしたいんですけれども、おとつい、こういう具体的なデータ、これは今回の法案に入っている厚生年金の適用拡大も織り込み済みですから、こういうデータが出てきた以上は、もっと言えば、これは増えるんじゃないんですよ、放っておいたらこれだけ減るのを田村法案で歯止めをかけようということですから。逆に言えば、このまま修正合意ができなかったら、このプラスが、恐ろしいことにマイナスになるということなんです、今から。
修正協議の話なので、福岡大臣、答弁しづらいと思いますが、やはりこういうデータが出てきた以上は、繰り返し言いますよ、プラス、プラス、プラス、プラス、プラスじゃないですか。厚生年金の人はみんな増えるんですよ、五十歳以下。五十代も、お金持ち以外は増えるんですよ。
それで、今日の新聞でも、厚生年金は一時的に下がると言っているけれども、一時的と言うけれども、現役は増えますよ。一時的に下がっても、また後で年金は増えるわけですからね。
福岡大臣、修正協議のことで言いづらいですけれども、こういうデータを見れば、やはり与野党合意して、是非、五月三十日にこの衆議院厚労委員会で可決して、本会議に入れて、そうしたら、私たち、修正合意できたら、責任を持って参議院も円満に、参議院はもめないように責任を持ってやりますので、厚労大臣としても、こういう底上げ案、できた方がいいと思われませんでしょうか。
○福岡国務大臣 済みません、与野党の協議の内容について私から言及することは、恐縮ですが、控えさせていただきたいと思いますが、今おっしゃられましたように、こういった議論を通じまして、将来の年金の姿をイメージしていただくということは大変重要なことだというふうに思っております。私どもも、そういった議論に資するように、誠実に対応させていただきたいと思います。
〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕
○山井委員 やはり、昨日、石破総理が答弁で、この基礎年金、厚生年金などの底上げは五年後に検討するという答弁をされたんですけれども、私が皆さんに申し上げたいのは、五年後に判断を先送りするのであれば、この衆議院厚生労働委員会は要らないんですよ。やはり政治家というのは判断するのが仕事ですから、言っちゃ悪いけれども、今日、今年決めるのをやめましょう、五年後に任せましょうというんだったら、私は、大げさに言ったら、厚生労働委員会はやめたらいいと思いますよ、はっきり言って。政治家は要らないじゃないですか、はっきり言って。テレビ討論だけやっていたらいいじゃないですか。検討しましょう、検討しましょう、いい点、悪い点と。
なぜ私たちが議員をやっているかといったら、賛否両論あるけれども、決断、決めるから僕らは政治家をさせていただいているわけですから、メリット、デメリットがあったとしても、やはりこれは決めないと駄目ですし、あえて言うならば、最終的にこの底上げを決めるかどうかは、最終判断は五年後ですから。
ただ、何が言いたいかというと、間局長、今回の修正案というのは、入っていないより入っている方が、解釈として、答えにくいかもしれないけれども、五年後にはこの底上げ案を、最終的に決めるのは五年後ですよ。でも、入っていないより、この修正案が入った方が、現役世代の年金底上げをやる可能性は高まるという理解でよろしいですか。
○間政府参考人 公務員には大変お答えしづらい御質問ですけれども、私どもは何を検討するに当たっても、やはり国会で示された御意思というものを踏まえて検討するということでございますので、そこに何が書かれているかということは大変重要なことだというふうに思っております。
○山井委員 ちょっと答えにくい質問かもしれないけれども、つまり、今、重要なのは、底上げを削除したという意思が示されているんですよ。このまま五年後に行っても、五年前に削除されたものをひっくり返すのは並大抵のことじゃないし、はっきり言って無理だと思います。でも、もし、今後一週間で修正合意ができて、抜かれているあんこをもう一回入れる、底上げをやるという意思をこの衆議院厚生労働委員会で示したならば、五年後も、やる方向で検討になるわけですよ。
言っちゃ悪いですけれども、この修正合意が決裂したら、多分、もう法案は通らないですよね。そうなると、じゃ、参議院選挙で決めましょうということになるんだけれども、大変ですよ、参議院選挙で争点になったら。五十歳以下の人は全部年金が増えるんですから、その案が国会で潰されましたということでいったら、二十代、三十代、四十代、五十代の人はみんな野党の方がいいということになっちゃうんだけれども、私が言いたいのは、それをやっちゃうと駄目なんですよ。やはり、年金でそういうことを一回やっちゃうと、五年、十年、再協議を与野党でできなくなっちゃうんですよ。
だから、私が言いたいのは、今言ったようなことじゃなくて、やはり選挙は無関係においておいて、何とかこれから十日以内に合意せねばと思うんです。特に、先ほども言いましたように、河野太郎さんも、野党も巻き込んでやるべきだと主張していた。立民の提案で底上げ策を復活させる形で、自民が受け入れる可能性はあるということをおっしゃっております。
特に、間局長にお聞きしたいんですけれども、これは結局、男性より女性の方が長生きするから、底上げ効果が大きいという理解でよろしいですか。
○間政府参考人 お答えします。
御指摘のとおりでございますので。一般に、女性の方が平均余命が長く、五年程度長く御存命でいらっしゃいますので、女性の方が男性よりも受給期間が長いと見込まれるために、基礎年金水準の上昇の効果は大きくなり、年金受給総額の増加も大きくなるというふうに考えられます。
○山井委員 だから、特徴は、男性より女性の方が年金は増えるんです。高齢者より若者の方が年金は増えるんです。正社員よりも非正規の人の方が年金は増えるんです。そういう意味では、本当にこれは弱い人に温かい改革だと思っております。
かつ、財源を言いますと、もちろん財源は必要ですけれども、この十四ページを見てもらったら、間局長にお伺いしますが、結局、例えば二〇五二年では国庫負担が十三・四兆円。二〇二五年は幾らですか。二〇五二年が今から二十七年後、国庫負担、基礎年金のあれは十三・四兆円ですけれども、二〇二五年度、今年は幾らですか。
○間政府参考人 二〇二五年度予算で申し上げますと、十三・四兆円でございます。
○山井委員 今、聞かれましたか。今後財源が大変だ、大変だと言うけれども、今、十三・四兆、国庫負担に使っているんですよ。だから、大変だと言うけれども、今の若い世代が高齢になったときにも、今と同じ国庫負担を使いましょうというだけの話なんですね、ある意味で考えたら、審議というよりは。
だから、そういう意味でも、もう時間が来ましたので終わらせていただきますけれども、是非とも、与野党を超えて、これはやはり何としても修正合意をさせていただきたいと思っておりますので。
是非とも、この厚生労働委員会で、五月三十日、円満に、田村さんが作ったあんこが入った状況で通して、それで、現役世代や若者の人たちが、年金なんか不信で政治家なんか信用しないと言っていたけれども、あっ、現役や若者の年金、何か増える方向になったみたいだなと喜んでもらえるような、そういうすばらしい、衆議院厚生労働委員会に藤丸委員長のリーダーシップでまとめていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、大西健介君。
○大西(健)委員 立憲民主党、大西健介です。
質問の機会をいただき、ありがとうございます。
ミスター年金の長妻委員、それから山井委員に続いてということで、なかなかやりにくいんですけれども、繰り返し、基礎年金の底上げ策が今回見送られたことについて同僚委員から質問がありますけれども、私からも数点確認をしたいと思います。私はまた、それ以外の論点についても質問していきたいというふうに思います。
山井委員から、あんパンのあんこの部分は、これは田村法案だという話がありましたけれども、今、資料を皆さんのお手元にお配りをしておりますけれども、こちらを御覧をいただきたいんです。
この新聞記事ですけれども、これは二〇一九年の毎日新聞なんですけれども、まさに田村元厚労相のインタビューで、国民年金の給付水準は今より三割減る見通し、国民年金水準の落ち込みを緩和する策を考えないといけない、一つの解決方法として、財政的に別々となっている国民年金と厚生年金の間で財政調整する案はどうかと考えている、厚生年金保険料を払っている労使双方から、なぜ俺たちが国民年金を救わなければならないんだという声が出る可能性はあるが、ずっと自営業の人は減ってきており、人生のいずれかのタイミングで会社勤めをした経験のある人は増えている、厚生年金チームの人々にとっても関係ない話でない、厚生年金受給者を含めて低年金に関わる話なので、是非検討と議論を進めたいと。
これはまさに、今議論していることがもう二〇一九年時点に、六年前に指摘をされている。まさに私は御炯眼だと思います。
そして、田村先生が偉いのは、言うだけじゃなくて、二回目に厚労大臣になったときに実行に移しているんですね。
次の新聞記事を御覧いただきたいんですけれども、これは二〇二一年の九月十日の大臣記者会見、これを受けた報道でありますけれども、田村大臣は、社会保障審議会に、大臣に就任してから追加試算というのを指示した。その結果を踏まえて、二〇二四年の財政検証に向けて、基礎年金と厚生年金の調整期間を一致させるための財政調整を検討することをこの九月十日の記者会見で表明しているんですね。
つまり、基礎年金の低下というのは今に始まった話でなくて、前々回の財政検証以降ずっと課題になっていて、そして、厚生年金との財政調整は、繰り返しますけれども、田村大臣が改革のレールを敷いてきた。そして、これは五年越しの改革であるということです。
先輩大臣たちが温めてきて、厚労省が満を持して提案しようとした改革が結果として潰されたことに対して、福岡大臣、率直な感想をいただきたいと思います。
○福岡国務大臣 今資料等でお示しをいただきましたように、田村先生の示されてきた認識と私も同様の認識にございます。
ただ、先ほど来申し上げておりますように、マクロ経済スライドの早期終了に係る措置につきましては、審議会の中でも賛成、慎重の両方の意見もありましたし、与党内においても様々な御意見があったということでございます。
そのような中で、今回の法案はほかにも様々な重要な事項がございますことから、早期に国会に提出する観点から、マクロ経済スライドの早期終了の具体的な仕組みについては盛り込まないで提出をさせていただいたということでございます。
○大西(健)委員 昔の大臣のことばかり言って恐縮ですけれども、私は、もし田村大臣が今福岡大臣の立場にいたら、これが入らないんだったら大臣を辞職するというぐらい言うんじゃないかと思いますよ。私は福岡大臣に、問題はそれぐらいの重い話だということをやはり改めて御認識いただきたいと思うんですね。
さっき、与党の質疑のときに、長妻委員ですかね、何で今回これを入れるのをやめるんですか、理由はということを発言されていましたけれども、理由は一体何なんですかね。
今回、基礎年金の底上げを見送るのは、中身の話というよりかは、夏の参議院選挙への悪影響を警戒する自民党内、特に参議院の改選組の反対が強くあったためであって、政治的な要因、これが大きいんじゃないか。
じゃ、一体、今回これを見送るとして、次はいつやるのか。修正案は五年後ということですけれども、私は、これは中身の話じゃないんだから、だとすれば別に、五年、次の財政検証のタイミングを待つまでもなく、できるだけ早く、その合意が得られていないんだったら、別に五年待つ必要はないと思うんです。早く合意をつくって、改正案を再度国会に提出すべきだと思いますけれども、福岡大臣、いかがですか。
○福岡国務大臣 まず、何度も申し上げていますように、与党内の議論におきましても、厚生年金の積立金の活用の在り方等について様々な御議論があったところでございまして、選挙目的で対応を変えたということではないということを申し上げます。
その上で、五年を待たず、財政検証を早くやればよいのではないかということでございますが、まさに足下で成長型経済への移行を目指しているところでございまして、直ちにその結果が数値として表れるものではございません。
そうしたことも踏まえまして、人口動態といった前提の更新等も可能な時期にしっかりと検証を行うことが重要だという観点から、二〇二九年に行われる次の財政検証の結果を踏まえ、適切に検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○大西(健)委員 財政検証を五年を待たずにやれと言っているんじゃなくて、この部分、いわゆるあんこの抜けている部分、これは別に財政検証を待つ必要はないんじゃないですかと。もっと早く、今なかなか合意が得られていないという話ですけれども、さっき言ったように、新しいデータも出てきて、これは誤解があるんじゃないかという話なので、世論調査の数字も、そういうことがみんな分かってきたら、ああ、そういうことなら賛成だよねという人も増えてくるんじゃないかという話もありましたけれども、ですから、五年待つ必要はないんじゃないですか。
○福岡国務大臣 委員御指摘の趣旨については十分理解をさせていただいた上で、私どもとしては、次の財政検証の結果を踏まえ、適切に検討することが重要だと考えているということでございます。
○大西(健)委員 よく分からないですよね。
だから、さっき言ったように、九九・九%の人、ある一定年齢より低い人はみんな厚生年金も含めて増えるという話だったら、ああ、そういうことだったらそれはいいよねというふうになれば、別に五年待つ必要はないわけですよ。ですから、これはしっかり早くやっていただきたいというふうに思います。
基礎年金低下の底上げを見送ることは、今日の話では就職氷河期世代だけの話じゃないという話でしたけれども、就職氷河期世代を見捨てることだ、こういう批判もあります。
そこで、関連して、就職氷河期世代や若者支援についてもお聞きをしたいと思うんですが、コロナ禍以降、可視化されない若者のホームレスというのが増えています。どういうことかというと、事情があって家族になかなか頼ることができない、ネットカフェや友人や知人の家を転々としていたりとか、安いホテルを渡り歩いたりとか、また、寮つきの仕事を探して就いたけれども、その仕事を辞めると寮を追い出されるとか、こういう居住不安定な若者というのが増えています。
ところが、彼らはホームレス自立支援法の路上生活者という定義には当たらないので、国の調査対象にもならないし、支援や制度にもつながっていかない。こうした可視化されない若者ホームレスのような人々に対して、どうアウトリーチして支援をしていくのか、大臣のお考えをお聞かせください。
○福岡国務大臣 今御指摘いただきましたように、居住が不安定な状態にある方々に対しまして住まいの支援を行うということは大変重要であるというふうに考えております。
厚生労働省では、昨年、生活困窮者自立支援法を改正し、本年四月から、全ての福祉事務所設置自治体において、住まいに関する相談に広く応じ、包括的に対応を行うための体制の整備等を進めております。相談窓口において本人の状況を伺った上で、本人の状況に応じて、家賃相当額や転居に要する初期費用等の支給、不動産業者のところへの同行支援、また、入居後の見守り等の支援に取り組んでおります。また、住まいに関する支援情報サイトの開設であったり電話相談窓口の設置により、居住が不安定な状況にある方を含め、相談者に対し各種情報提供を行っております。
支援に当たりましては、本人からの相談を待つだけではなく、支援関係機関が把握した事案を生活困窮者自立支援制度につなげることも重要でありますため、自治体の関係部局において、住まいに困難を抱える方も含め、生活困窮者を把握した際には、生活困窮者自立相談支援事業の利用を推奨することを自治体に対して依頼をさせていただいております。
こうしたことを通じまして、住まいに課題を抱える方に対しまして必要な支援が届けられるように推進してまいりたいと思います。
○大西(健)委員 先ほども低年金の話というのと住まいの問題というのは重要だという指摘がありましたけれども、是非お願いをしたいと思います。
また戻って、今回、基礎年金の底上げが見送られた理由、先ほども流用なのか流用じゃないのかという議論もありましたけれども、ただ、厚生年金財源を基礎年金に流用するというふうに思っておられる方々がいて、労使双方からも根強い反対の声があったというのは事実です。
ただ、医療保険の世界では、高齢者医療制度における被用者保険と国保との間で財政調整というのが行われています。
私は、健保の高齢者医療制度への過度な拠出金負担というのは、保険者機能を毀損するものとしてかねてから強く反対してきた立場です。ただ一方で、保険者間の加入者の所得や年齢構成に差があることなどから、高齢者医療の負担を広く社会全体で支えるために、一定の範囲で保険者間の支え合いというのは必要だという理解もしています。
医療保険同様に、年金においても、被用者と自営業者等との間では所得構造や負担能力に差があること、それから社会全体で高齢者の扶養のコストを分かち合うという点では共通した部分があると思うんですけれども、医療保険との比較も踏まえながら、被用者年金との財政調整を、正当化すると言うと言葉があれですけれども、理屈を大臣から改めて分かりやすく御説明いただきたいと思います。
○福岡国務大臣 基礎年金につきましては、全国民共通でございますので、産業構造だったり就業構造が変化しても安定的に給付を行えるように、国民全体で支える仕組みにより運営をされているところでございます。
こうした仕組みの下で、従来から、厚生年金の保険料であったり積立金は、報酬比例部分、これは二階部分だけではなく、基礎年金、一階の給付にも充てられておりまして、元々御提案をしておりました基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了は、こうした仕組みをより安定的なものとするために、厚生年金の積立金をより多く基礎年金の給付に充てるものであったということでございます。
○大西(健)委員 これも、最初の長妻委員の質問の中でも、今までも厚生年金の方から基礎年金、一階部分にはちゃんと財政支援は行っているんだという話がありましたけれども、そのとおりだと思います。そこをもっとしっかり分かりやすく御説明を、多くの国民の方々に理解を得る努力をしていただきたいと思います。
関連して、健保連が先月、今年度の予算の早期集計を発表しましたけれども、それによると、義務的経費による高齢者拠出金の割合は四三・六%になっていて、さすがにこれはちょっと私は高過ぎると思っているんです。健保組合の経常収支は三千七百八十二億円の赤字になる見通しで、約八割の組合は赤字を見込んでいます。
協会けんぽの保険料率、平均一〇%、これを上回ると企業が健保組合を作っているメリットが薄れるということでありますけれども、健保組合を解散して協会けんぽに移れば公費の負担も増えます。組合の解散を検討する目安になる保険料率一〇%の水準に達する組合が今全体の四分の一ぐらいある、こういう危機的な状況だと思うんですけれども、今後も高齢者拠出金の増加、現役世代の減少は続いていくので、財政悪化というのは避けられないと思うんですけれども、このような危機的な状況に対して厚労省はどのような手を打つつもりなのか、局長から御答弁いただきたいと思います。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
健康保険組合は、まさに労使協調の枠組みの中で保険料率の設定や付加給付を実施するなど自主自律の運営を行っているほか、保険者と事業主の距離が近いことを生かし、事業主と連携した保健事業を実施するなど、公的医療保険制度の重要な担い手だと思っております。
近年、今先生からも御指摘いただきましたけれども、現役世代が負担する高齢者医療制度への拠出金が増加しており、健康保険組合を取り巻く状況は非常に厳しくなっているというふうに思っております。
一方で、令和七年度予算につきましては、今先生からお話があったとおりですが、賃上げの影響を反映して、おっしゃるように赤字ではありますが、昨年度よりは三千億円弱、予算ベースでは収支差が改善しているというふうにも聞いております。
ただ一方で、やはりこういった厳しい状況、あと健康保険組合の重要性に鑑み、私どもとしても、高齢者医療への拠出金に係る負担が重い健康保険組合に対して財政支援を行うということ、それとやはり、給付がどんどん増えていっては結局何をやっても保険料の負担が増えていってしまいますので、こういった中で、年齢にかかわらず、負担能力に応じて支え合うという全世代型社会保障の構築に向けた取組、こういったことを進めているところでございまして、現役世代の負担軽減を図っていくためにも、一昨年に取りまとめた改革工程に沿って着実に改革を進めていきたい、このように考えております。
○大西(健)委員 これはしっかりやっていただきたいんですけれども、また年金の話に戻って、今、老齢基礎年金の満額、月額で六万九千三百八円ですけれども、当然、これだけでは老後の生活というのは不安です。
そこで、自営業者やフリーランスなど第一号被保険者が公的年金の上乗せとして加入できる国民年金基金という制度がありますけれども、直近の加入率と、近年この加入率が低迷しているということですけれども、その理由をどう分析しているのか、政府参考人からで結構ですので、御答弁いただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
国民年金の上乗せ、一号被保険者の方の上乗せの年金になります国民年金基金の加入員は、二〇二四年三月末時点におきまして約三十三万人で、国民年金基金に加入できる一号被保険者の方に占める割合は約四%となっております。これは、直近十年間、四%台であるものの、微増というふうな傾向でございます。
このように、加入率については微増となっているものの、国民年金基金の対象者である一号被保険者が働き方の変化や被用者保険の適用拡大などにより減少している、要は分母が減少しているということもございまして、結果として、現状として国民年金基金の加入員数が減少しているものと考えています。
なお、国民年金基金の資産額は、直近十年間、運用状況等による影響もあり増加してきているところでございます。
○大西(健)委員 でも、四%は低いですよね。
私たち国会議員も国民年金ですよね。退職金もありませんので、正直、老後は不安ですよ。
私も国民年金基金に加入しようかなと思って検討したんですけれども、一度加入すると途中脱退ができない、掛金も固定ということなので、落選した場合のリスクとかを考えるとちょっと二の足を踏んでしまうんですけれども、自営業の方も、収入の変動が大きい、それから生活や収入の変化に柔軟に対応するのが難しいという点がネックになっているんじゃないかというふうに思われますけれども、福岡大臣、国民年金にまず、大臣、入っていますか、どうでしょうか。それからまた、今の点を含めて、国民年金基金の見直しの必要性について御答弁いただきたいと思います。
○福岡国務大臣 国民年金基金という御趣旨でお尋ねになったというふうに思います。私自身、加入をしております。
そして、御指摘につきましては、国民年金基金は、自営業者などが国民年金に上乗せして加入できる制度でございまして、任意脱退を制限し、予定した給付を確実に老後の所得保障につなげることにより公的年金を補完する役割を持つことから、公的年金と同等の税制上の優遇措置が講じられております。このため、国民年金基金から任意で脱退できるようにすることは、制度の趣旨を踏まえると慎重に検討する必要があると考えています。
なお、掛金につきましては、基礎的な部分でありますいわゆる一口目の掛金の拠出をやめることはできないわけでありますが、二口目以降の上乗せ部分の掛金については減額することが可能となっております。ですから、御指摘がありましたように、私も落選中とかは口数を減らして対応させていただいたというような状況でございます。
他方で、国民年金基金は、厚生年金のない自営業者などにとって引き続き重要な老後の所得保障に向けた手段の一つでありますことから、令和七年度税制改正大綱に基づき予定をされております拠出限度額の引上げなどの周知を図りながら、普及促進に更に取り組んでまいりたいと思います。
○大西(健)委員 今お話があったように、やはり働き方も多様化していますので、ですから、さっき長妻委員の指摘にもありましたけれども、ずっと一号被保険者だという人は僅かなんですよね。ですから、柔軟に対応できるような制度にしていかなきゃいけないと思うんです。
関連して、通勤手当の話を聞きたいんですけれども、これはちょっと参議院の予算委員会でも議論がありましたけれども、所得税法上は実費の補填とみなされて非課税になっていますけれども、厚生年金では標準報酬月額に算定されて保険料負担が発生します。
通勤手当は別に可処分所得が増える話ではなくて、実費弁償的な意味合いが強いので、報酬同様に保険料を課すのは私はいかがなものかと考えます。また、遠距離通勤者ほど通勤手当は当然高くなりますから、そうすると結果的に保険料も増える。じゃ、一方で、最近はテレワークとか在宅勤務も増えていますので、そうなると通勤手当は出ない。
この話は以前からある話ではあるんですけれども、今言ったように、働き方が多様化して、テレワークとか在宅勤務もこれだけ増えてきている、こういう現状を考えると、見直す時期が来ているんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 委員の問題意識、様々な方から御提起をいただいているということについては承知をしております。
その上で、社会保険制度におけます通勤手当の取扱いにつきましては、現状、使用者が通勤手当を支給する法的義務が課されておらず、現実に通勤手当が支給されていない事業所も存在することを踏まえ、被保険者の負担の公平性の観点から、保険料の算定基礎となる報酬に含まれるものと解しているところでございます。
この通勤手当の取扱いにつきましては、平成二十四年の社会保険料・労働保険料の賦課対象となる報酬等の範囲に関する検討会においても検討がなされたところでございますが、通勤手当だけを算定対象から外すとした場合、その根拠やほかの皆勤手当などの手当との違いをどう整理するか、通勤手当に相当する金額が基本給に含まれている企業もある中で、基本給とは別に支給される通勤手当だけを算定対象から外すとした場合に公平性を失することにならないか等の論点が示され、結論は得られなかったものと承知をしております。
こうした点については現在においても課題となるものというふうに認識しておりまして、通勤手当を報酬の対象から除くことにつきましては、丁寧に検討を進めてまいりたいと思います。
○大西(健)委員 まず、やはり税と社会保険料でずれているというのが問題だと思うので、これは財務省とも、縦割りじゃなくて、議論していただきたいと思います。
次に、本改正案において、被用者保険の適用拡大が大きな柱になっていますけれども、この点、新たに事業主負担が発生する中小零細事業者の皆さんにとっては大変負担になります。そうした中で、必死で責任を果たそうとしている、頑張っている事業者がいる一方で、ずるをする者がいると、正直者がばかを見ることになります。
これまでも厚生年金の加入逃れというものはありましたけれども、適用拡大によって対象となる事業者数もかなり増えると思われますけれども、厚生年金適用事業者としての届出を行われない事業所への訪問とか指導というのが、これは実際手が回るのかと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
○巽政府参考人 お答えいたします。
日本年金機構におきましては、社会保険に適用となるべき事業所で未適用の事業所への適用促進対策として、国税庁からの法人事業所情報等を日本年金機構が保有する適用事業所情報と突き合わせまして、そのことによりまして、社会保険が未適用と思われる事業所を選定して、加入指導をしているところでございます。
あわせまして、今回の適用拡大におきましては、対象となる事業所へのお知らせの送付による改正内容の周知、あるいは事業所への訪問による事業所への周知、それと新たに適用になります業種の関係団体への周知などを通じまして、社会保険が適正に適用されるよう取り組んでまいります。
○大西(健)委員 言っていることは分かるんですけれども、数がめちゃめちゃ増えますから、本当にできるのかということは、私は、それをやってくれないと、やはり真面目にやっている人がばかを見ますから、ちゃんとやっていただきたいと思います。
最後に、在職老齢年金の支給停止になる収入基準が引き上がる件ですけれども、資料を御覧いただきたいんですけれども、最後ですけれども、グラフを見ていただくと、ちょうど支給停止ラインの前の四十六万円のところで、棒グラフがちょっと頭が出ているんですね、赤い丸を打っておきましたけれども。ここがまさに、年金がもらえなくなることで働くことを控えている層の可能性があるんじゃないかと思います。このオレンジ色の部分、右側の部分は、年金停止になっても今も働いている人です。
では、収入基準を引き上げた場合に、今まで働くことを控えていた人のどれぐらいが新たに働くようになると見込んでいるのか、この数字を明らかにしていただきたいと思います。
また、支給停止ラインの近傍、ここの近くにいる人たちが、実際、どんな健康状態で、例えば、年金がもらえるかもらえないかじゃなくて、健康状態で働くことを避けているのかもしれない、あるいは就労意欲、別に自分の趣味をもっと生かしたいと思っている人もいるかもしれない、あるいは生活実態、ほかに収入があったりとか、何かいろいろなことで別に働かなくてもいいという話かもしれない、こういう実態の調査というのは行っているんでしょうか。いかがでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
今回、在職老齢年金の支給停止が始まる収入基準額を六十二万円、これは、報酬比例額が十万円だとしますと、賃金が三割ぐらい増えるような感じになるわけでございますが、これの場合に、新たに支給停止にならなくなる方が二十万人ぐらいいらっしゃいます。
今委員御指摘のように、支給停止基準の前にちょこっとぽこっと山があるわけでございますが、おっしゃるように、そういう方が気にされている可能性というのは十分あると思っています。
一般に、世論調査を行いますと、厚生年金を受け取る年齢になったときの働き方に関する質問として、六十代後半の約三割は、年金額が減らないように、就業時間を調整しながら会社などで働くと回答してございます。だから、その手前の方それから基準額を超えた方の中でどう動くかというのは、必ずしもぴしっとデータとして持っているわけではございませんけれども、こういう思いの方がいらっしゃるという意味では、支給停止にならない、上限が上がっていくということは、就労促進につながるのではないかというふうには思っています。
ただ、御指摘のように、そこで、例えば週四日ではなくて週三日にするとか、週五日ではなくて週四日にするということについては、これだけなのかということについては、いろいろな御事情がある、楽しみ方の問題もあると思いますので、そこはそのとおりだと思いますが、これについて、個別に就労抑制をしている方についての実態調査というのは持ち合わせておりませんで、今後、在職老齢年金の在り方を考えていくときには、いろいろな様々な実態を把握しながら考えていく必要がある、このように考えております。
○大西(健)委員 それは、多少は、年金をもらえるようになったら働こうかなという人はいるとは思いますけれども、その分年金財政にもマイナス影響はあるわけですから、これは費用対効果というのはやはりちゃんと考えて、もっと綿密な分析をしていただきたいと思います。
時間になりましたから終わりますが、今日の議論でも、基礎年金の底上げの議論だけを取っても様々な指摘がありましたし、そこばかりに議論は集中していますけれども、ほかにもたくさん論点がありますので、やはり審議時間をしっかり確保していただきたいということを最後にお願いして、私の質問を終わります。
○藤丸委員長 次に、岡本充功君。
○岡本(充)委員 立憲民主党の岡本でございます。
今日は年金改革法案の審議でありますが、私も、今回、我が党を始め野党からも声が出ていますけれども、基礎年金の底上げをしていくべきだということには強く賛同しているわけでありますけれども、論点がそこばかりに集中してもという今の大西議員の指摘にもありましたので、あえて、そこ以外のところも今日は触れていきたいと思います。
ただ一方で、どうしても触れておきたいので確認はしたいんですけれども、私が配っております資料の二ページ目、このいわゆる給付調整の早期終了による将来の給付水準の上昇効果というのは、一番の肝は国庫負担が維持される、先ほどから話をしていますけれども、このままいくと、マクロ経済スライドがかかっていくことで国庫負担が減っていく中で、今の国庫負担を維持していくということが、最も効果が大きい、いわゆる底上げ策になるんだということを確認したいと思って、今日は、局長で結構です、御答弁いただきたいと思うんです。
この私が配っている二枚目の資料でいうところの基礎年金の給付水準向上に伴う国庫負担がなかりせば、今、立憲民主党の各議員が提示をしております、いわゆる各年代における給付水準がどう変わっていくかという一連の表でありますけれども、その表に基づいた場合、何歳からの方がプラスに転じるのか、これを通告に従って御答弁いただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
昨日、御党の会議にも提出させていただいた資料について、御指摘の国庫負担がない場合の生涯受給総額に関する試算は行っていないところでございます。その影響についてはお答えできないことをお許しいただきたいと思います。
ただ、一般論として申し上げれば、国庫負担が減少しますと、その分基礎年金の給付に充てる財源が減少しますので、マクロ経済スライド調整が長期化し、将来の給付水準は低下することになる、このように考えております。
○岡本(充)委員 これは機械的に計算するだけだから、計算してくれるという話だったですよ、局長。今日、ここで、おかしいじゃないかといって審議を止めるようなことはしませんから、是非ちゃんと、過去三十年投影ケースで示していただいた、いわゆる男性の場合、女性の場合という、この資料と同じように、国庫負担が肝なんだと私は思っています、国庫負担が今維持されることが最も肝だということが分かるように、私、そこは出すべきじゃないかと思っていますので、数字を本委員会に出していただきたいと思います。
大臣、お願いします。計算するだけですから、お願いします。
○福岡国務大臣 国庫負担がない場合に基礎年金の国庫負担割合が二分の一を下回るということになりますが、厚生労働省として、そのような検討を今全く行っておりませんため、その試算をお示しするのがいいのかどうか、またそこはちょっと御相談をさせていただきたいと思います。
○岡本(充)委員 二分の一を下回るというか、今お話をしているように、結局、いわゆる厚生年金の積立金、この私が配っている資料で、薄い色と濃い色のところがあるわけですよね。プラス一・九とプラス三・九%、それぞれ上がる効果があると言っているこの部分のお金が幾らかということですから、これは機械的に計算すれば、計算は出るはずなんです。
したがって、それを出してくださいということをお願いしています。是非、機械的な計算で結構ですから、お出しをいただきたい。お願いします。いいですか、駄目ですか。どうですか。
○福岡国務大臣 試算をしてお示しすることが、国庫負担割合を変えることを前提としているということの誤解を与えてしまう可能性もありますことから、その取扱いについては、また改めて御相談をさせていただければと思います。
○岡本(充)委員 是非出していただきたいと思います。
それから、数字について少し整理をしていきたいんですけれども、遺族年金も今回見直しになります。五年間の時限給付ということになるわけですけれども、遺族年金の受給金額が少ない方、多い方、いらっしゃると思いますけれども、こういった方々が仕事をしていくことがなかなか難しい状況である場合には、遺族年金の五年停止はかからないということでありますけれども、その水準も既に示されているところでありますが、ちょっとこの具体例を聞いてみたいと思います。
遺族年金を年額百万円受けている方、遺族年金を年額二百万円受けている方、それぞれの方、実際に遺族年金の支給停止となる金額は幾らか。ここまでは薄く支給が続くんだ、つまり失権しないんだというのはどこまでですか。
○間政府参考人 お答えいたします。
今お話しいただきました遺族年金が全額支給されるラインというのは、国民年金の全額免除の所得基準を考えておりまして、具体的に申し上げますと、例えば、遺族厚生年金が年間百万でも二百万でも、就労収入が百二十二万円のライン、ここまでは全額支給されて、その後は、年金と就労収入が足し上げると徐々に増えていくような、そういうラインで基準を設定したい、このように考えております。
○岡本(充)委員 したがって、最終的に、つまり、遺族年金が二年間支給されないと、失権といって権利を失っちゃうわけです。ところが、一万円でも遺族年金が支給され続ければ、権利はずっと生きていくわけです。それで、どこかのタイミングで失業した場合に遺族年金がまた復活するんですね。大きな差なんですね、失権してしまうか、しないか。
つまり、この金額の収入があったら遺族年金が停止してしまう線を明らかにする必要があると思って、百万円、二百万円、昨日、これも質問通告しています。お願いします。
○間政府参考人 失礼いたしました。
これは遺族年金の額によって異なるわけでございますが、遺族年金が年間百万円だとした場合には、全額支給停止になるラインは四百三十万円ぐらいというふうに考えております。また、遺族年金が年間二百万円の方の場合には、徐々に増えるという制度の設計上、全額支給停止になるのは約六百七十八万円、このように考えております。
○岡本(充)委員 かなりの金額まで一応もらえるということではあるものの、今の四百万円後半になると、遺族年金で百万円ぐらいもらえている方が多いというふうにも事前に聞いていますけれども、現実的に、五百万円の所得を得ると遺族年金は停止をされ、そして、二年それが続くと権利を失い、例えば、三年の期間雇用で五百万円の収入があるお仕事に就いてしまうと、これは失権をしてしまって、その後失職しても、もう給付されないということになる、こういう問題点があると思います。
そういう意味で、期間の定めのある雇用に就いた場合のリスクというのが一定程度あることも想定されるという意味で、この運用は、私は少し工夫された方がいいのではないか、こう思っています。大臣、御感想をいただければと思います。
○福岡国務大臣 遺族厚生年金の継続給付につきましては、有期給付が支給される五年間では就労等による生活の再建が困難な状況にあって、配慮が必要な方を対象としておることから、国民年金法における配慮を要すべき基準所得の、国民年金保険料の免除の基準所得を参考としたものでございます。
その上で、全額免除の基準所得を超える所得三に対して年金一を支給停止することなど、所得の増加に対して緩やかに年金を支給停止することとしていることでございます。
委員御指摘のように、様々なケースがあることの対応につきましては、またこの状況をしっかり見てまいりたいというふうに考えております。
○岡本(充)委員 見てまいりたいじゃない、見て対応していただけるという理解でいいですか。見ているだけじゃ困るんです。
○福岡国務大臣 状況を見て対応を検討してまいりたいと思います。
○岡本(充)委員 お願いします。見ているだけじゃ困ります。
それで、こうしたいわゆる問題点をやはりどうしていくかというのも課題だと思っていますが、もう一つ、今回、在職老齢年金についても、先ほど、見直しがあるという話を大西議員がされました。大西議員が配られました資料にもあるように、停止直前に少し人が集まっているというここが今回の法改正でどう変わっていくかというのが、大変申し上げにくいけれども、これは社会実験みたいな話になっちゃっています。分からないところもあると思います。
これで、実際に、また次のピークが今回新しくつくる六十二万円前後にできるということだとすると、やはりこれが働き方に一定の影響を及ぼしているという証拠になると私は考えるんですが、大臣はいかがお考えですか。
○福岡国務大臣 在職老齢年金は、納めていただいた保険料に応じた給付を行うことが原則であります社会保険の例外的な仕組みでありまして、一定以上の賃金を得ている方に、例外的に、保険料納付に応じた本来の給付を受け取れない状態をお願いし、年金制度の支え手に回っていただくものでございます。
この制度は、高齢者の就労を促進する観点から見直す必要があるという御意見もある一方で、その見直しは将来世代の給付水準を低下させることへの懸念の御意見もあるということでございますので、今回の法案もそうですが、その両方のバランスを取った考え方で、今回こういう判断をさせていただいたということでございます。
○岡本(充)委員 いや、そこはちょっと答えていないんですよ。
今五十万円のものを上げていく。今、直前にちょっと山があると先ほど大西議員が言われた。これを六十二万円にしたらこの山が移った、また六十二万円の直前ぐらいに山ができるということになったら、これはやはり働き控えができているということの一つの、在職老齢年金を理由にして働き控えができている、今ないんですから、そこに山が、したがって、そういう理由の一つになるんじゃないかと考えるんですけれども、大臣、そういうふうに考えられますかと聞いています。
○福岡国務大臣 今おっしゃられたことを予断を持って申し上げることは困難ですが、可能性としては、そういうことを生じる可能性というのはあるというふうに考えております。
ただ、今回の適用拡大によって、より多くの方がそういった就業調整をせずに働き続けていただく環境になるというふうに考えております。
○岡本(充)委員 要するに、時代が変わってきたんですよ。結局、若い人がたくさんいて、働きたい人がたくさんいる中で、在職老齢年金という制度を使って少し高齢の方には働くのを控えてもらう、そういう社会構造だった時代と、今や、女性も、それから一旦リタイアされた方も、この国の産業や経済を支えていただく支え手になっていただかなきゃいけないという中で、この制度をちょろちょろいじってやっていくということは、もう限界じゃないか。もうみんな働いてください、働ける人は働いてほしい、こういうふうにしていかなきゃいけないんじゃないか。
ちょこっとだけ、今回、基準は五十代の人の平均的な所得を勘案してこの六十二を決めたと聞いていますが、そんなことをやっているんじゃなくて、働ける人は働いてください、さっきの話の百三十万円の崖の問題もそうですよ、働ける人は働いてくださいというふうにしていかなきゃいけないのに、これもちょろちょろ、これもちょろちょろという話じゃなくて、今回はこれでいくということであったとしても、次に向けては、これはもう撤廃の方向に向けて大きくかじを切るべきだと私は思っているということを指摘をしておきたいと思いますし、この議事録に残しておきたいという意味で、こういう発言をさせてもらいました。
同じように、次に向けての話ですけれども、最後のページの話です。これは私の持論ですけれども、皆さんに、前回、十二月だったかな、質疑でも出させていただいたこの紙です。
とにかく、そもそも四十年しか加入できないというのがどうかという話です、国民年金に。払いたい人は払えるようにしたらいいんじゃないかと正直思います。払える人は払って、もっと言えば、国庫負担の部分は全員につけておけばいいんですよ。もちろん、財源が必要だ、そういう議論はあるけれども。
全員に一番上の国民年金保険料、今でいう一万六千九百八十円を払ってもらおうと思うから負担増だという話になるんだけれども、払いたい人が払えるようにすればいい。さっきの話ではないですけれども、国民年金基金だって、払いたい人が払って、四%しか払っていないという話ですけれども、国民年金基金だって、四十年過ぎたら払いたくても払えないんですよ。払えない。私もずっと入っていますよ。ずっと入っていますけれども、これは払えないんですよ、四十年過ぎると。
そういう意味で、これはやはり次に向けての見直しとして、国庫負担の財源が必要になるという大きな論点はあるものの、是非、どうなっていくかを試算していかなきゃいけないでしょうし、そしてまた、今回、計算は難しいと言っているけれども、少なくとも、私がしま模様にしているこの部分の金額は、本来、厚生年金のいわゆる基礎年金見合いの部分、会社負担、労働者負担のものは一万六千九百八十円相当が入っている、そういう考え方に立っているんですから、ここの部分は給付に反映しないとおかしいと思っているんですね。
この一万六千九百八十円相当を給付した場合、厚生年金積立金にどういう財政影響があるかは、なかなか試算が難しいと昨日言われています。こういったものも、まあ、難しいんでしょう。難しいんですよね、局長。ちょっとそこだけ。
○間政府参考人 様々前提を置いて、また次の財政検証に向けて検討すべきもので、なかなか難しいものだと思っております。
○岡本(充)委員 すぐ答えるのは難しい、今おっしゃられたように、もう次の答弁までしていただいちゃったんですけれども。次の財政検証で、やはりどういう影響があるか。だって、実際に、会社員の方は四十年超えて払っている方がいらっしゃる。十八歳、十九歳から入っている方もいらっしゃる。高校を卒業して厚生年金に入られる方もいらっしゃる。この方々は、この私が作ったしま模様の部分は、もらい損になっているんですよ。
だから、このもらい損のところを給付したらどういう影響があるかということは真剣に考えていかなきゃいけないし、もっと言えば、この中でいうと、国民年金の国庫負担分が用意できればほぼ解決する話ですけれども、もちろん、これも財政検証しなきゃいけない。四十年、四十五年をやはり避けることなく、きちっと議論をしていかなければ、根本的な年金の底上げにはつながらないんじゃないかという考えを持っています。
大臣、これについての御意見はありますか。
○福岡国務大臣 委員がかねてからこの問題意識をお持ちのことは十分承知をしております。
基礎年金の拠出期間の延長を実施した場合の試算につきましては、昨年の財政検証においても既に行っておりまして、基礎年金の給付水準が上昇する結果となっております。
その上で、今回はそのような改正を見送ることとしましたが、基礎年金の拠出期間の延長につきましては、今後も高齢者の就労の進展や健康寿命の延伸といった社会状況の変化が見込まれる中で、基礎年金の給付水準を確保する有効な手段の一つであり、昨年取りまとめました年金部会の議論の整理においても、引き続き議論を行うべきとされたこと等を踏まえまして、引き続き検討することとされておることから、次の財政検証において、御指摘のあった試算の在り方も含めて検討を進めてまいりたいと思います。
○岡本(充)委員 今回は、あんこの話になっています。いわゆる基礎年金の底上げはマクロ経済スライドの同時終了というのが一つだという話になっていますが、これも私は重要な底上げ策だと思っていますので、これを是非検討していただいて、五年後には、与野党で合意の上、成案ができるように、私は、是非、厚労省の中でも検討していただきたいと思っています。
さて、ちょっと残りの時間はいろいろ聞きたいことがあるんですけれども、資料の三ページ目以降。これは正直申し上げて、厚労省の役所の方は本当に大変だと思います。これだけの条文を作らなきゃいけない。しかも、あっち修正だ、こっち修正だと言われて作らなきゃいけない。本当に大変だと思います。だから、そこは本当に私も敬意を持っているわけですし、頑張っておられる職員の方は大変だと思っているわけであります。
それでもなお、こうして、実はちょっと条ずれがありましたというか抜けておりました、今回の法改正に合わせてちょこっと修正させてください、これは目をつぶってくださいと言われても、まあ、ずれることはあるのかなと正直思います。先ほどもちょっと他党の方と話したんですけれども、こういうずれが今回の法案でもあると思うんです、この分厚い中に。しかも、結構急いで作らせたところがあるんじゃないか。これはしようがないと私は思います。ただ、どういう方法で修正していくことができるのかということを考えなきゃいけない。これは、五年たってから、やはりこうでしたとかいう話はどうかと思っているんです。
その中でも、三ページ目の4、いわゆる国民年金法附則第九条等に関わる遺族年金の受給期間二十五年として算入する取扱いについて、平成二十四年の法改正において、改正後も引き続き六十五歳以降の厚生年金加入期間を明確に規定していなかったと。これは令和四年に気づいたと聞きました。でも、実際には、コンピューターは改修していなかったので、そのままでしたから、実害はありませんでした、オーケーでした。まあ、結果オーライみたいな話ですね。これで本当にいいのかという問題意識を持っています。
また、その次、四ページ目、これは厚労省はそんなに問題だと言っていないんですけれども。五ページ目、8、社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律第三十一条、これについて、令和二年の法改正で実施しようと思った目的がうまく機能していなかったことに令和三年に気づいた、こういう話ですね。
ちなみに、私は、7も、国民年金法第二十八条等のいわゆる支給繰下げの規定、その中でも、一括して受給をしようというときに、この条文だけ読んで分かる方はほとんどいないと思うんです。昨日も僕、大分これはやりましたけれども、結果として、年金局の若手の方にかなりいろいろ調べてもらって説明されたわけですけれども、多分、大臣、これは何を意味しているかというのをすぐには分からないですよね、説明を受けられたと思いますけれども。
そういった運用と法律とが乖離しているということが分かったときに、これはちゃんと大臣に報告していたのかというのが気になります。大臣、就任時点で、こういった法律と違う運用がなされていることを知っていましたか。
○福岡国務大臣 この国会に提出している法案において修正させていただくこととしている誤りにつきましては、法律で適正化を図ることが確定した段階で事務方から報告を受けております。
○岡本(充)委員 歴代の大臣も、私は知らなかったんじゃないかと思っているんですよ、福岡大臣の今の話でいうと。だって、確定していなかったわけだから、知りませんという話ですね。
大変重要なのは、法律と違う運用をしていたことを、過去も年金は何回か問われているわけです。こういう運用があることについて、きちっと大臣に報告をするべきだと私は思うし、そして、分かったのであれば、何らかの方法で、ここは役所を責めるというわけではなく、やはりきちっと法律に基づいた運用がなされるように修正をするべきだと思っています。
まず一点目、聞きたいんですけれども、今回、附則の第二条二項、三項において、それぞれ4番、8番を遡及適用するということを目的として附則を作っています。こうした、過去行ってきた運用を遡及適用して法と運用を合わせた事例はあるのか、御答弁いただきたいと思います。
○村山政府参考人 お答え申し上げます。
現時点で、厚生労働省として、こうした具体的な例があるということで御答弁できるものは把握しておりません。
以上でございます。
○岡本(充)委員 これは昨日言ったんです。だから、ちゃんと法制局に来てもらった方がいいんじゃないのと言ったら、厚生労働省で答弁しますと言ったからこういう形になっているんですけれども、ちゃんと、どういうものがあったか、そしてまた、法制局と、この遡及がどうして正しいというふうな解釈になったかのやり取りをきちっと理事会に提出していただきたいと思います。お願いします。
○藤丸委員長 理事会で協議します。
○岡本(充)委員 ここでやっても、なかなか、ぎりぎり責めていく話でもない。ちゃんとどういうふうにしてやっていったかというのは明らかにするべきだと私は思います。
その上で、実害がなかったということでありますけれども、なかった証明というのは非常に難しい。今日、理事会でもお願いしましたけれども、年金機構と、実際、運用と法文とが違っている中で、どういうふうにして法改正時点で年金のシステムの改修を求めたか。これはシステム改修が要るはずです、7番、8番は。4番はシステム改修をしなかったから実害がなかったです。でも、7番と8番はシステム改修が必要だったはずです。
この法改正に伴って行うシステム改修をどのように機構に指示をし、そして、それが例えば口頭だったとかいったら大問題だと思うんですけれども、どういう文書で指示を出し、そして、その結果、一年以上たってから、機構から問題があるんじゃないかという疑義照会が来るのか。こういったところも是非理事会で明らかにしてほしいとお願いします。
○藤丸委員長 理事会で協議します。
○岡本(充)委員 最後に、これだけの条文を作るのは大変だったと思う。職員の皆さん方は本当に長時間労働だったんじゃないかと私は思っています。実際に、今、厚生労働省の時間外勤務の状況について、官房長から御答弁いただきたいと思います。
○村山政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省におきます、足下、令和七年二月から四月までの各月における最も長い超過勤務時間数の職員の状況を見ますと、令和七年二月が二百二十時間十五分、三月が二百十二時間四十分、四月が百九十四時間となってございます。
また、同様に、今御指摘の年金局における最も長い超過勤務時間数は、先ほど二月の数字は、該当するのは年金局の職員ということで二百二十時間十五分、三月は年金局においては二百六時間二十分、四月が百十八時間というふうになっております。
なお、百時間を超えて時間外勤務をした職員数というのは、昨年の二月、三月と本年の二月、三月を年金局において比べますと、昨年二月はそうした職員が一人、三月は四人でございましたが、この法案の策定作業等もございまして、本年の二月は十四人、三月は十五人となってございます。
以上でございます。
○岡本(充)委員 過労死レベルですからね、大臣。是非、対策を取ることを考えてもらいたい。
最後にそれだけ答えてもらって終わりますので、是非、職員の方をねぎらってもらいたいと同時に、対策を考えてください。お願いします。大臣、一言。
○福岡国務大臣 本当に、頑張っていただいている職員の方には心から敬意を表しながら、こういった状態が恒常的に続くことはあってはならないというふうに考えております。
厚生労働省は働き方改革の旗振り役でもありますことから、今後とも、業務の合理化、効率化に取り組みまして、超過勤務の削減に努めてまいりたいと思います。
○岡本(充)委員 ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、井坂信彦君。
○井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。
ちょっといろいろあってもう時間が十五分ぐらいしか残っておりませんので、端的にお伺いします。
今回の年金改革法案で最大の争点は、現役世代と若者の厚生年金の底上げができるかどうかということであります。底上げをすれば現役と若者の厚生年金は増えるが、高齢者の厚生年金は減るのでないかというような大まかなイメージは、大体、厚生労働委員、みんな分かっていると思います。
ただ、実際にどれだけの範囲の人がどれだけ増えたり減ったりするのかということが大事だということで、先週の委員会では私がエクセルで試算をしてお示しをし、また一昨日は厚生労働省にも同じような計算をきちんと紙で出していただき、そして昨日は本会議で厚生労働大臣の口から答弁をしていただきました。
資料の一を御覧ください。これは厚生労働省がきちんと計算をした紙であります。黄色い部分、厚生年金の男性六十二歳以下、そして厚生年金の女性六十六歳以下は、我々が修正提案をしている年金底上げをすれば、もらえる年金額は増えるということであります。事前に思っていたような、就職氷河期だけ増えるとか若い世代だけ増えるというような狭い範囲ではなくて、六十二歳とか六十六歳でも厚生年金は増えるということであります。ちなみに、基礎年金部分が主な方は、ほとんどの方、何歳であっても増えるわけであります。
事前に思ったよりも増えるなという結果でありますが、実は、この六十二歳とか六十六歳というのも、更にもっと高齢の人でも厚生年金が増えるんだということを大臣に御答弁をいただきたいと思います。
これは、年金額がモデル年金でこういう計算でしたということでありますから、当然、モデル年金よりも少ない年金額の方であれば、六十二歳男性とか六十六歳女性よりも高齢の方、六十七歳とか六十八歳とか、そういう方でもこの年金底上げの修正をした方が年金額が増えるということでしょうか。大臣、そのような御理解ですとか御指摘のとおりですというんじゃなくて、是非、大臣の口から、こういう場合はこういう高い年齢の方でも増えるんですということを御答弁いただきたいと思います。
○福岡国務大臣 令和六年財政検証に基づきまして、平均余命まで受給するとし機械的に試算した結果によりますと、実質一%成長を見込んだ成長型経済移行・継続ケースでは、年金受給総額がマイナスとなる方はおられません。
一方で、実質ゼロ成長を見込みました過去三十年投影ケースにおきましても、今委員もおっしゃいましたように、個人の年金額がモデル年金のお一人分より少ない方につきましては、御指摘の男性六十二歳、女性六十六歳といった年齢よりも高年齢の方であっても、年金受給総額が増える場合があるというふうに認識をしております。
○井坂委員 明快な御答弁ありがとうございます。
そうなんです。要は、六十七歳とか六十八歳とかでも、平均よりも年金が受取が少ない方であれば、底上げをした方がもらえる年金額は増えるということであります。
続いて、昨日の大臣答弁では、今、幅は大きいですよ、かなりの人が底上げした方が増えますよということは数字でお示しをいただきました。増える金額、増える厚生年金の金額もすさまじい金額であります。これは昨日の大臣の御答弁をそのまま読みますが、厚生年金の御夫婦で、現在六十歳の方は九十九万円、しかし、現在五十歳の方は三百八十九万円、現在四十歳の方は五百四十一万円、現在三十歳の方は五百四十六万円、現在二十歳の方も五百四十六万円、底上げをした方が増えるんだという答弁でありました。
資料の一の左から三列目を御覧いただきたいんです。ここに、受給総額、早期終了なし、縦に二千七百十二万円とずらっと書いてあります。
ただ、これはちょっと事実と異なって、誤解を招く前提じゃないかなと思うんですね。早期終了なし、要は、底上げをしない今のままでは、同程度の厚生年金保険料を払っていた場合、平均余命までに受け取る年金額というのは、早期終了なし、全員同じ額では実はないんですよ、元々。若い世代になればなるほど、今のままいくと、もらえる年金額、厚生年金額であってもこれは少ないんですよねということを参考人に確認をしたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
令和六年財政検証に基づきますと、同程度の厚生年金保険料を払っていたとした場合に、過去三十年投影ケースで申し上げますと、実質賃金の上昇が小さいために、マクロ経済スライドによる調整により、二〇五〇年代にかけて基礎年金の実質額が低下していく見通しとなっており、生涯の受給総額も低下していくものと考えております。
○井坂委員 ありがとうございます。
これを何でお聞きしたかというと、この次の質問なんですけれども、この資料一の表、本当に大変ありがたい計算結果を厚労省として正式に出していただいたというふうに思っております。でも、これだけ見ると、みんな同じ、どの世代でも同じ年金をもらえるという、ある種、機械的な設定をしていただいたがゆえに、底上げをすると、高齢世代の方はちょっとしか増えない、あるいは本当に高齢の方は逆にちょっと減ってしまう。でも、若い世代は物すごい増えるから、何か、底上げしたら若者ばかり得をするんじゃないか、現役世代ばかり得をするんじゃないか、こう見えると、これはさすがに高齢世代の方の文句、不満が出てくると思うんです。
でも、参考人に伺いますけれども、実際そうじゃないですよね。これは基の設定が同じ金額をもらえる設定になっているから、四列目の早期終了あり、つまり、底上げありの金額は若い世代ほどたくさんもらえるかのように見えるけれども、実際は、そもそも底上げなしで今のままいったら、厚生年金は若い世代ほどもらえる金額が減ってしまう。底上げをすると、それが大分ましになる。ましになるけれども、それを底上げした後であっても、やはり高齢世代の方が若い世代よりもまだ僅かにもらえる年金額は多いですよねということを参考人に確認をしたいと思います。
○間政府参考人 お求めのありました試算は、今お話ございましたように、仮定を置いてのことでございますので、これはこれとしてお出ししたものでございます。
その上で、具体的な比較はちょっとなかなか難しいのでございますが、今、手元にはこの数字がというのはございませんが、御指摘のように、財政検証に基づきますと、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースでは、仮に基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了を行った後でありましても、基礎年金の実質額が二〇三〇年代にかけて一旦低下をして、その後、調整終了後は上昇していく、そういうものだというふうに考えております。
その意味では、若い世代の方だけが、一方的にというか、ある時期以降、調整終了後に受給する期間がどれだけ長いかということによって受給総額の増加分が決まってくる、こういうものだというふうに考えております。
○井坂委員 ありがとうございます。
要は、底上げ、我々が言う厚生年金の底上げをやったら、何か現役世代と若い世代が高齢者よりたくさんもらい過ぎてしまうんじゃないかということにはならずに、高齢世代の方の方がやはりそれでも多めにもらうんですよということを確認をしたかったわけであります。
続きまして、大臣に伺います。これは大事なことで、実は昨日ちょっと、本会議でやや答弁いただけなかったような気がいたしますので、お伺いをいたします。
今お話ししたように、今回の、我々が修正、しかし、元々は田村元大臣の案だというお話もありましたが、これをやれば、幅広く、男性六十二歳以下、女性六十六歳以下の厚生年金の方の受け取る年金額が増えますよね。それはもう事実として共有できていると思います。
ただ、逆に言えば、やはり本当に高齢の方、具体的に言えば七十代の、しかも、厚生年金をたくさん受け取っておられるような方々は、修正をすると、もらえる年金額が、僅かではあるが減ってしまいます。これは大変申し訳ないことであります。ここは大事なポイントで、減りますよね。我慢してくださいとほっておくのではなくて、やはり何らかの手当てができないか。我々の修正案でも、減ってしまう一部の層の方々に対する一定の手当て、緩和策を求めているわけであります。
大臣に伺いますが、この底上げ、いわゆる年金底上げ、厚生年金の底上げを行うと、六十五歳の男性の平均的な厚生年金受給者とか、七十五歳であると平均より少ないような厚生年金の受給者も、年金額が、僅かではありますが減ってしまいます。大臣、やはりこういう方々には、全額とは仮にいかないまでも、何らかの手当てが検討できないでしょうか。
○福岡国務大臣 御承知のとおり、様々な議論を経まして、基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させる措置につきましては、今回の法案にはその仕組みを規定しておらず、その措置することを前提として何らかの手当ての必要性についてコメントをさせていただくことは難しいことを、是非御理解をいただきたいと思います。
他方で、今後の経済情勢を見極めながら、二〇二九年に行われます次の財政検証の結果であったり、また今、国会でも、委員始め様々な御議論をいただいておりますから、そういったことを踏まえて、必要な対応を検討してまいりたいと思います。
○井坂委員 ちょっと大事なところなので更問いをしたいんですが、確かに、今回、政府が出された法案には、この底上げ、厚生年金の底上げは入っていないんです。だからこそ、我々は、やはりこれはやりましょうといって修正案を出そうとしています。
ただ、政府が出していないからといって、いや、そんなことはやらないんだから、減る人のことを考えなくていいんだではなくて、最後にちらっとおっしゃったように、そうはいっても、昨日、総理もぎりぎり答弁されているんです。五年後の財政検証で、やはり何か年金が減ってしまう、マクロ経済スライドは今後も延々続きそうだとなったときには、はっきりはおっしゃらなかったですよ、この底上げをするとはおっしゃらなかったけれども、やはり何らかの対応は検討する。
その何らかの対応というのは、要は、やはりこういうことを五年後に検討しなきゃならない可能性はかなりあって、であるならば、この底上げをやるときには、当然、減る人に対しては一定の手当ては必要ですよね。これは五年後ですから、五年後に向けて、やはりもしそういうことが必要になったら、一定の手当てはそのときまでに考えておく必要はありますよねということ、ちょっとそのことを御答弁いただきたいと思います。
○福岡国務大臣 今おっしゃった何らかの対応を考えていくということの中に、委員が御指摘いただいた、そういったことの観点も含めて検討をしてまいりたいと思います。
○井坂委員 踏み込んだ御答弁、本当にありがとうございます。
時間がないので最後になりますが、今回、本当に数字を見ていただいたら、これはやはりやった方がいいと率直に思うんですね。一部の損をする方々に対しては、私は手当ては必要だと思います。ただ、得をする方が物すごく多い、しかも得をする幅が桁違いに多いということが数字で示されておりますので、これはやはりやった方がいいというふうに思います。
なぜそうならないかというと、やはり事前の御説明がなかなか、メディア、ネットを含めてうまく伝わっていない。仕組みが難しいから、これは当然なんです。説明する方も難しいし、聞いたってなかなか複雑で分からない。
だから、私は、結果の数字だけまずしっかり出して、どれだけ多くの人がどれだけ増えるのかというところから皆さんを説得しようというふうに思っているわけでありますが、ただ、やはり、これは流用じゃないかという批判、相変わらず根強いです。
はっきり答弁をしていただきたいんですけれども、これは流用ではないと。今回やろうとしている底上げは、厚生年金を、報酬比例部分とそれから一階部分に分配をする、これは、今回これからやろうとしているんじゃなくて、元からやっています、元から両方に分配をしていますと。元からやっている二階と一階の分配割合を今回変えようと。もっと正確に言えば、変えるんじゃなくて、マクロ経済スライドを早く終えることによって、ここが自動的にただ変わるだけなんですということだけですので、流用ではない、元からやっていることをこれからも少し配分を変えてやろうということだということを、明確に、最後、御答弁をいただきたいと思います。
○福岡国務大臣 政府として、厚生年金の流用という表現を用いたことはございませんが、報道等でそのような表現がなされていることは承知をしております。
御指摘がありましたように、厚生年金の保険料には基礎年金部分も含まれていることから、従来から、厚生年金の保険料や積立金は、報酬比例部分、二階だけではなく、基礎年金、一階の給付にも充てられているものでありまして、元々御提案をしておりました基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了は、この配分割合を変えるものでございます。
ですから、そういった観点からいうと、厚生年金の流用に当たるものだというふうには考えておりません。
○井坂委員 終わります。ありがとうございました。
○藤丸委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十二分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○藤丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。池下卓君。
○池下委員 日本維新の会の池下でございます。本日もよろしくお願いいたします。
本日午前中に、この年金法案、具体的な審議が始まったということでありますけれども、やはりこの年金法案につきましては、将来への責任という面からも、しっかりとここで議論していかなければならないと思っておるところなんですが、法案が出てくるに当たりまして非常に時間がかかったということは私も問題であると思っておりますし、やはり、この問題、政府がどういうことを言ってくるのか、そして本来であれば、もう少し時間をかけて、こちら側も準備できる時間があれば、もっと深掘りの審議もできるんじゃないかなという具合に思っておりましたが、今、昨日からこの審議入り、始まりました。
そういう意味でも、年金の財源の問題というものが非常に重要であるということは承知をしております。ただ、もうすぐ参議院選挙があるということですので、この問題を逃げてしまっては、やはり将来世代、これから申し上げますが、私も就職氷河期世代だったんですけれども、そういう世代にも非常に大きな問題が横たわっているかと思います。
今までも、あんパンのあんがないんじゃないかという議論を様々な先生から言われておりましたけれども、私は、一方、あんの問題だけではなくて、皮の方の問題もあるんじゃないかなという具合に思っているわけなんですね。あんは当然就職氷河期の部分だと思うんですけれども、一方、皮も食えたものじゃないということであれば非常に問題があると思いますので、そこら辺も含めて今回の質疑の方をさせていただきたいと思います。
それでは、今日は、就職氷河期世代の支援ということでお話がたくさんあったんですが、私もちょっと二つほどお伺いをしたいと思います。
私、先月、五十歳になりました。大学を卒業して就職したのが一九九八年ということでありますので、今よりも初任給は非常に低いという状況でもありましたし、当時、パワハラとかセクハラとか、いろいろなハラスメントというのもたくさんあったので、私が初めて就職した会社は、一年少しでかなりの人数の新入社員が辞めていったということであります。
そうすると、やはり年金を納めていない、若しくは低い価格でしか納めていないという方々もたくさんいらっしゃると思いますので、若い方々が、若い議員さんが、将来どれだけもらえるかじゃなくて、今の生活、これだけ掛金を掛けて、本当に戻ってくるのかなという御心配が、実は、今日の午前中、後ろの方でお話があったのが聞こえてまいりました。
そういうことから、今回の法案の中は、やはりあんこがないということはるる言われているところなんですが、当初は厚生年金の積立金を活用して基礎年金の給付水準を上げるという議論がされていたところなんですが、朝の議論で、今回、これは流用でないということが明らかになったかと思っております。
本日の長妻委員やほかの委員さんからも深掘りの質問をされておりますけれども、それを踏まえて、政府は、就職氷河期世代に対する支援、基礎年金の底上げを含む具体的な対策、積立金を活用しないというのであれば、ほかにやり方があるのかどうかも含めて、ちょっとお伺いをしたいと思います。
○福岡国務大臣 年金の給付水準は経済状況によって変わり得るものでありますから、まずは、賃上げと投資が牽引する成長型経済を目指し、年金の給付水準を将来も維持できるように努めることとしております。
その上で、これまでも累次にわたって被用者保険の適用拡大に取り組んできておりますが、今回の法案でも更にこれを進めることといたしました。これは、就職氷河期も含めた将来の年金給付水準の改善にもつながる措置でございます。
加えまして、今般、就職氷河期世代等支援に関する関係閣僚会議が開催されまして、今後、リスキリングの支援の充実であったり、就労機会の確保の推進など、必要な支援策の検討を進めていくこととしております。
こうした対策を通じまして、就職氷河期世代の方々への支援を進めてまいりたいと考えています。
○池下委員 今御答弁の中で、これからの賃上げ対策であったりとかリスキリング、あと就職機会、これをしっかり支援されていくという御答弁だったと思うんですけれども、ただ、大臣も氷河期世代だとは承知はしているんですけれども、我々の世代は、社会に出てからもう随分、二十年、三十年近くたってきているわけなんですね。その期間の間に低い金額しか納められていないということがやはり将来不安につながっているということがあるわけなんですよ。
ですので、今から、賃上げ、リスキリング、就職機会の支援というのをやっていただいたら当然いいわけなんですけれども、今までのツケが残っている。別に、ツケを残したくて残しているわけじゃないんですけれども、そういうところの手当てというのをしっかりとしていかなければ、改革、改正の意味がないのではないかなという具合に思っております。
そこで、改めてお伺いしますが、こういう単なる就労支援では困難な構造的な問題に対しまして、将来の年金額が生活保護水準を下回るおそれのある層に対して、厚生年金の積立て以外、先ほど言われた以外に、特別な加算措置であったり最低保障年金への自動接続など、ほかにもやることがあるべきだと考えますけれども、政府の腹案、更に腹案がないのか、お伺いをしたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
腹案ということでございますけれども、特例加算とか最低保障年金とか、いろいろな、これまで納付実績を積めなかった方に対してどうするかということに関して、仮に、全ての高齢者に、それまでの納付実績とは無関係に一定額の年金を保障するとすると、じゃ、それは税財源なのか、あるいは、これまで年金を受給してきた、また、保険料を払ってきた方との関係をどう考えるのかといったような感じで、難しい問題があるというふうに考えています。
厚生労働省としては、これまでも、低年金を含めた低所得の年金受給者に対する経済的支援として年金生活者支援給付金の支給を行うとともに、先ほど大臣からもお話がございましたように、被用者保険の適用拡大に取り組み、年金給付の上乗せ等につなげてきたところでございますが、その上で、午前中も御質疑がございましたけれども、今回の法案に盛り込んだ被用者保険の更なる適用拡大に加えて、前回改正法附則の検討規定に基づく所得再分配機能の強化を通じて、将来の年金水準が適切に確保されるよう引き続き丁寧に検討してまいりたい、このように考えております。
○池下委員 お答えいただきましたけれども、特に腹案がないという、財源の問題ということにもなるのではないかなと思っております。
今日、立憲民主党さんが午前中言われておりました、田村先生の法案だということで、自信を持って言われていたところでありますけれども、こういうところら辺は、やはり党派関係なく、いろいろな形で議論を進めていくことも必要なのではないかなという具合に思っておる次第でございます。
そういう中で、ちょっと次の質問に入らせていただきたいと思うんですが、次は、第三号被保険者の制度の見直しというところからお伺いをしたいと思います。
この第三号の制度につきましては、共働き世帯であったりとか単身の世帯につきましては保険料を一定負担をしているというところでありますが、保険料を納めていない被扶養配偶者にも年金を保障するという仕組みであります。そういう中で、やはり年収の壁であったりとか、そういうこともあるわけなんですけれども、やはりこれは、一定、時代に即さない制度になりつつあるのではないかなと思います。
この制度は、昭和時代の専業主婦をモデルにして制度設計されているのかなと思うんですが、現在、女性のキャリアの、女性が就業されている率は、二〇二三年で七三・三%だということで承知をしております。当然、何らかの理由で働けない方、女性に限らず男性もですけれども、そういう方がいらっしゃるということは承知をしておりますけれども、しかし、今、先ほど申し上げましたように、女性の就業割合が多くなっている。ただ、パートやアルバイトなどの非正規雇用が多くありまして、なかなか安定した社会保障の対象とならないというところになっているのかなと思います。
そこで、この制度の見直し、段階的廃止、こういったところに本法案で踏み込まれておりませんけれども、今後の検討方針についてお伺いをしたいと思います。
○福岡国務大臣 社会保障審議会年金部会の議論において、第三号被保険者の中には、御指摘がありましたように、病気であったり、育児、介護などの理由で働けない方等、様々な属性の方が混在する中で、将来的な見直しや制度の在り方に関する意見も多くいただいたところでありますが、今般の制度改正では、見直すことや将来的な見直しの方向性については意見がまとまらなかったところでございます。
その上で、年金部会の議論の整理では、第三号被保険者制度について、引き続き被用者保険の適用拡大を進めることによって対象者を縮小していくことが基本とされた上で、将来的な見直しの方向性については、第三号被保険者の実態も精緻に分析しながら、引き続き検討することが求められたところでございます。
このため、まずは第三号被保険者の置かれた実態を把握する必要があると考えておりまして、制度に関する様々な論点や今回の制度改正に関する国会での御議論も踏まえながら、必要な検討を行ってまいりたいと思います。
○池下委員 恐らく方向性というのは似ているのではないかなということで思っておるわけなんですが、先ほども申し上げたように、介護、子育て、様々な理由で就労できないという方々がいらっしゃるという、これは別個で配慮していかなければならないという点であるかと思うんですけれども、追加で、これも通告はしているのでお答えいただきたいんですけれども、今、年金の部会の方でそういう議論はあったけれどもまとまらなかったんだ、将来的には対象を縮小していく、実態把握に努めていくということがあるんですが、恐らく、この問題というのは以前から言われている話であるかと思うんですね。
そういう中で、議論はすれど中身が進まないというのが今の状況だと思うんですけれども、やはりこれは、具体的なスケジュールと検討体制、先ほど実態調査ということも言われましたけれども、どのように具体的にされていくのか、お伺いをしたいと思います。
○福岡国務大臣 先ほども申しましたように、まず第三号被保険者の置かれた実態を把握する必要があると考えております。第三号被保険者の実態でありましたり、今御指摘いただいたことも含め、今回の国会での御議論なども踏まえながら、検討の在り方も含めて、引き続き検討を進めてまいりたいと思います。
○池下委員 そのスケジュールが一年なのか二年なのか、五年に一度の改正なので五年後なのかというところら辺をちょっと聞きたかったんですけれども、そういうところがお答えしていただかなかったので、ちょっと残念かなという思いであります。
そういう中で、やはり第三号の被保険者の問題ということもあるわけなんですけれども、もう一方で議論があるのが、年金支給開始年齢、今六十五歳ということでありますけれども、これが果たして、健康寿命が延びていっているという時代の中で適正なのかどうか。働きたい人にはしっかりと働いていただいて、そして、在職老齢の話もこれからさせていただきますけれども、どうなんだということについて、ちょっとお話を聞いていきたいという具合に思っております。
今、OECDの諸国を始めとしまして、他国では年金支給開始を六十七歳以上に引き上げていくという動きがあるということは承知をしておりますし、過去の日本の改正におきましても上げてきたという経緯があります。
二〇〇四年の財政フレームの議論というのがあるというのも承知をしておりますけれども、既に二十年以上これはたっているわけでありますので、やはり時代に即した議論といいますか、改正というのをしていかなければならないということであります。
現行制度でありますけれども、今後は、高齢化が進むことによりまして支給期間が必然的に長くなっていきますので、財政負担が増大し続けることになります。また、六十五歳を超えても働く高齢者が増えている中で、支給開始年齢を据え置くということは、持続可能性の点からもちょっと課題があるのではないかなと思っています。
政府は、高齢者雇用の推進と併せて支給開始年齢の引上げを制度的に検討していくのか、あわせて、目標時期とかいうものがありましたら、その可能性、教えていただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
元気な高齢者が増えておられますので、そういう方々が健康で長く働けるようにしていくということを、社会自体を目指すことはそのとおりだというふうに思っています。その上で、年金持続可能性の観点から支給開始年齢をどうするのかというのは、これまでも、委員御指摘のように、いろいろ、るる議論がございました。
おっしゃるように、欧米諸国では支給開始年齢を例えば六十七歳に引き上げたりということもあるわけですが、これはどういう問題があるかというと、これからの将来世代に負荷が集中するというような問題もありまして、我が国では、おっしゃるような二〇〇四年の財政フレームの中で、保険料の上限を決め、国庫負担を上げ、そして、受給者の方に御協力いただく形でマクロ経済スライドを導入したということでございます。その意味で、制度の持続可能性は高まってきているというふうに考えています。
おっしゃるように、平均余命が延びますと年金受給総額が増えますので、そこの点についての検証は必要でございまして、それは五年に一度の財政検証で見ているということでございます。
その上で、そういった中で、現行の制度は、支給開始年齢というよりも、高齢者自らが六十歳から七十五歳の間で受給する開始時期を選べる仕組みになってございます。
六十代になりますと、元気な方も多いですけれども、具合の悪い方もいらっしゃいます。個人差もございます。そういう意味で、私どもとしては、選択肢があることは重要と考えておりまして、持続可能性の観点から支給開始年齢を引き上げるということについては、現在考えておらないところでございます。
ただ、その上で、冒頭申し上げましたような高齢者が元気で活躍されるような社会という意味では、今回の法案では在職老齢年金制度の見直しを盛り込んだところでございます。
○池下委員 受給開始年齢の引上げというのは考えていないということも含めて、持続可能性というのも可能であるというお話だったかと思います。
お答えの中で、在職老齢年金の見直しというお話がありましたけれども、我々現役世代にとりまして、年金というのが、払っているけれども返ってこないんじゃないかという不安がやはりすごくあるわけなんですよね。やはりそういう若者、多分、今の二十代、三十代といいますのが、年金制度、ひいては国を信用していないということにもなるかもしれないんですが、払い損だという不信感、これを持たれているということが非常に大きな課題ではないかなという具合に思っております。
在職老齢年金の見直しでは、六十歳以上でも働き続ける高齢者の年金支給停止基準額が引き上げられるなど、就労継続を支援する目的で給付が事実上拡大されるということになるかと思います。ただ一方、先ほど申し上げましたように、高齢者の意欲ある就労を後押しする一方で、若年、中堅世代にとっては支える側の負担というのがあるのではないかという具合に気にしております。
保険料を納めても、将来的な給付水準が著しく低下する可能性もあるという心配がある中で、結果としては制度への信頼と納付意欲が低下をしているところであります。そういうことでありますと、制度の参加者そのものが減少しかねません。制度への信頼をどう取り戻して、納付意欲をどう高めていくのかにつきまして、政府の具体的な見解をお伺いをしたいと思います。
○福岡国務大臣 在職老齢年金制度の見直しは、働く高齢者の労働意欲を阻害すると指摘されております社会保険の例外的な仕組みについて、人手不足の中で意欲のある高齢者の方が働きやすい環境を整備するものでございます。
また、標準報酬月額の上限見直しにつきましても、本来の収入よりも低い負担、給付となっておられる上限該当者の方について、収入に応じた負担をお願いしながら、保険料の増加に応じた将来の給付額にもつなげるための見直しでありまして、他の被保険者の方と、世代間の公平であったり所得再配分機能によりまして、見直しの対象となる方以外の給付増にもつながるというふうに考えております。
○池下委員 昨日、我が党の梅村議員が本会議で質問させていただきました。五十万人いらっしゃる方が、今回の改正で在職老齢の制度には三十万人程度が残るということが言われていたかという具合に思います。
ただ、三十万人残られているわけなんですね。ですので、私は、やはり働ける御年配の方にはどんどんどんどん働いていただいて、生きがいを見つけていただいて、そして、元気に長生きをしていただくということが一番大事なのかなという具合に思っているわけなんですね。
そういう中で、現役世代が、納付意欲の話を先ほどさせていただきましたけれども、根本には見返りの少なさというのがあります。今、いろいろ政府の方では、先ほども、リスキリングであったりとか、情報提供であったりとか、就労機会の支援とかという言葉がありましたけれども、それだけではなくて、例えば、納付実績に応じたポイント制度であったりとかインセンティブの制度、あるいは若年層向けの拠出奨励策などについて検討する必要もあるかと思いますけれども、こちらの方は参考人の方にお伺いをしたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
公的年金制度は、釈迦に説法でございますが、社会保険として保険料の納付に応じた給付を行う制度でございますので、何か年金の場合には、御指摘の納付インセンティブみたいなものをやるということは、つまるところは、やはり基本的には給付を充実させるということなのとほぼ同義なんだろうというふうに思っております。
ただ、委員御指摘のように、先ほど政府への信頼感というお話もございました。国民の皆様の納得感といいましょうか、そういうものを高めていくということは非常に重要だというふうに思っております。
払い損なのではないかみたいなお話もありますが、例えば、標準報酬の、百六万、適用ラインぎりぎりの方が保険料を払っていただいた場合に、その保険料とそれによって将来得られる基礎年金プラス報酬比例のものでいくと、数年でいわばペイをするような、そういうような水準で所得再分配機能は利いてございます。
また、所得の高い層、標準報酬月額の高いような方についても、厚生年金だけで見ましてもおおむね十八年程度でペイをする、こういう仕掛けでございますので、六十五歳からの平均余命、男性十九年、それから女性二十四年ということを考えますと、厚年の保険料とのあれは十分見合っているというふうには考えています。
ただ、そういうことも含めまして、もっと簡単に、特に若い世代にお伝えしていくということも重要だと思っておりまして、私どもで公的年金シミュレーターなるものを、スマホなどで個人情報を記録しないで使えるものも御用意しています。学生さんとかパートの方とか、そういう方にも使っていただいて、そして、ああ、そういうようなものになるのだという、将来を少し見通ししやすくなるような、そんな工夫もしているところでございます。
引き続き、特に若い層については、それに加えまして、障害年金のお話をいたしますと、ああ、そうなんや、何か年を取ってからだけの話じゃないんやということをよくおっしゃっていただきますので、そういったことも含めて、これからも周知広報にしっかり努めていきたいというふうに思います。
○池下委員 今の財源のお話であったり、所得の再分配、また、年金というのは障害年金であったりとか遺族年金もありますので、それ以外の部分もありますよということは承知をしておりますけれども、一方で、今の若い方が、今言われたように、情報が全て入って、みんながそれを見ているかというと、とてもとてもそうじゃないのかなという具合の中で、今、不安がどんどんどんどん膨らんできているのかなという具合に思っております。
そこで、今、財源のお話とか所得の再分配というところら辺でお答えいただきましたので、ちょっとその続きの質問で見解をお伺いをしたいという具合に思います。
今の現行の保険の方式というのは賦課方式ということでありますけれども、昨日も梅村議員が言われた、我が党の代表質問でもありましたけれども、第一号被保険者におきましては、第二号被保険者の納付率に対して大体五〇%ぐらい、五割くらいじゃないかという指摘をさせていただいたところです。
加えて、今、近年の話ですけれども、働き方改革というのがどんどんどんどん広がってきまして、メインの仕事はありつつも、別途で副業をされているという方も増えてまいりました。ほかにも、一つは勤務していますよといいながら、もう一つはフリーランスであったりとか、例えばユーチューバーでもいいんですけれども、そういうところで収入を得られているという方もいらっしゃいます。その部分については年金の掛金が払われていないのではないかな、副業であるところは払われていないところが多いんじゃないかなというところもちょっと懸念しているところです。
加えて、中小企業の役員さんとかの話をさせていただきたいと思うんですけれども、日本の中小企業といいますのは、資本と経営、これが分離されていない場合、パパママストアではないですけれども、株主が社長さんであったりとかということも多分にあるわけです。そういう具合になりますと、自分の報酬、自分のところの役員報酬を自分たちで決めることができますし、今、会社法が随分前に改正されましたけれども、資本金ゼロで新しい会社というのもつくれるようになってきているわけです。ですので、例えば、メインの会社と別の子会社をつくっておいて、報酬の低いところで社会保険に入るというケースもあるのではないかなという具合に思っております。
そういう具合の算定基礎を計算すると、非常に問題があるのではないかなと思っているんですが、今回の法の趣旨であります所得再分配の機能強化、若しくは年金制度の応能負担という観点からも、公平性に課題があるという具合に考えますけれども、まず、現状の認識について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○福岡国務大臣 複数事業所で働く方につきましては、適用要件を満たす事業所でそれぞれ被用者保険に加入することであったり、また、役員については、収入等にかかわらず被用者保険の適用を受けることから、必ずしも御指摘のような不公平な形になるものとは考えてございません。
ただ一方で、複数事業所で働く場合に、それぞれの事業所での労働時間を合算して適用の判定は行わないことから、更に適用の裾野を広げるという観点から、複数の事業所で働く方の労働時間等を合算して適用することが考えられるというふうに考えています。
昨年取りまとめられました年金部会の議論の整理につきましては、実務における実行可能性等を見極めながら慎重に検討するとの意見があったところでございまして、引き続き検討していきたいと考えています。
○池下委員 そうお答えになるかなという具合に思っておったんですけれども、実は、私もこれを調べているというか、昔、税理士事務所で働いていた経験というところがありまして、被保険者が同時に複数の事業所で勤務した場合には、本来であれば、さっき言われたように、各法人からの報酬を合算して、年金事務所に複数事業者勤務届というものを提出されるという中でやられるわけなんですね。
そこで、ちょっと通告にないので、参考人にもしお答えできればお答えいただきたいんですけれども、この複数事業者勤務届、複数勤務している場合に年金事務所に出されるやつがあるんですけれども、これの提出率というか、どれくらい提出されているのかというのは分かりますか。
○間政府参考人 申し訳ございません。今、手元にデータがございません。また先生のお手元にお届けできるようにしたいと思います。
○池下委員 本当に、通告しておりませんでしたので、逆にこちらが申し訳ないなと思うわけなんですけれども。
社会保険労務士さんとかであれば、この届けの仕組みなんかというのを当然知ってはるわけですし、やらなきゃいけないよねというところがあるかなと思っておるわけなんですけれども、これは是非、もし調査をされていないということであれば、ちょっと実態調査なんかというのをしていただいて、漏れがないかどうかということも一回見ていただければいいんじゃないかなという具合に思います。
ただ一方、これはちょっと受け入れられないとは思うんですけれども、提案といえば提案なんですけれども、今、マイナンバーの制度がありまして、マイナンバーの制度は、やはり個人の所得の通算管理というのができるような仕組みになってきているわけです。
私も、かつて実務をやっていたときに、やはり税制というものと社会保険というものが、縦割り行政の中で、両方、一気通貫していないんじゃないかなというのが、かつて、もう相当前ですけれども、懸念していた点でございます。
ですので、社会保障との一元管理を行うためにも、税と社会保障のひもづけ、これを強化して、所得の再分配を行う観点からも、年金制度の賦課方式から税方式へ変更することも検討といいますか、考えていただくこともあるのではないかなと思うんですが、大臣の見解をお伺いいたします。
○福岡国務大臣 我が国の公的年金制度は、定額の基礎年金と報酬比例の厚生年金を組み合わせることで、現役時代に所得が低かった方の年金を手厚くしておりまして、高齢期の所得を増やし、貧困を防止する機能を有しているところでございます。
こうした現行の年金制度を税方式に変える場合に、その給付財源を全て税により賄うものとすれば、新たに多額の税財源が必要になること、また、全ての高齢者に一定額の年金を保障するとなれば、これまで保険料を払ってきた方と払ってこなかった方々との間の公平性をどのように考えるのかといった難しい課題があるというふうに承知をしておりまして、そういったことも踏まえた検討が必要だと考えています。
○池下委員 ちょっともう時間がなくなりますので終わりにしておきたいと思いますけれども、制度をドラスチックに変えるとひずみが出てきますので、そこの移行についてはやはり何かしらの手当てをしていかなければならない、これが一番大きいところだとは重々認識はしているんですけれども、もう一度つけ加えさせていただきますが、所得の一気通貫されている制度、せっかくこれがあるわけですから、社会保険の仕組みとしっかりとリンクをさせながら、制度改善というのを是非していただければと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、猪口幸子君。
○猪口委員 日本維新の会の猪口幸子です。
本日は、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案について質問いたしますが、その前に、福岡厚生労働大臣にお願いがあります。
毎度のことですが、出産の費用の無償化、是非進めていただきたいと思いますが、今政府内では制度設計されていると思いますけれども、産婦人科医からすると、恐らく出産育児一時金の増額ということの声が大きいと思いますが、妊婦の方からすれば、窓口の出産時の分娩予約金等の負担、これは十数万円、数十万円かかる状況ですが、それをなくして保険適用にしていただいて、お財布の要らない出産、これを是非ともかなえていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
質問を始めます。
日本の年金制度のあるべき姿を厚生労働大臣はどのようにお考えですか。
○福岡国務大臣 公的年金制度は、老齢であったり、障害、死亡によって生活の安定が損なわれることを防ぐために、世代間扶養の仕組みによりまして、賃金や物価の動向に応じた給付を一生涯支給するものであり、国民生活を支える柱でございます。
このような役割、機能は、国が運営に責任を持つ公的年金だからこそ果たすものができると考えておりまして、将来にわたって現行の社会保険方式による国民皆年金を堅持し、少子高齢化が進む中にあっても、持続可能なものとして国民の信頼に応えていくことが大変重要だと考えています。
今回の法案におきましても、こうした考え方の下、必要な改正事項を盛り込ませていただいているところでございます。
○猪口委員 ありがとうございます。
今の年金制度は、基礎年金があって報酬比例の年金があるという二階建て。でも、国民年金、厚生年金というものがありますので、これはできれば一元化して、仕事が変わっても収入に応じた保険料が大体決まって、将来にわたって生活に困らない程度の年金をいただく、そして年金の保険料が重い負担にならない、そういった制度設計にしていただきたいと思います。国民年金、厚生年金というその枠組みを一元化できればいいんじゃないかと思いますが、これはずっと思っていたことなんですけれども。
そして、続きまして、社会保障制度の健全な維持のためには、二号被保険者の拡大が重要です。そのためには、低い年収としての百六万円から社会保険料負担が発生することへの手当てが必要です。
今回の改正案では、被保険者負担を、最低報酬月額八万八千円に対して五〇%から二五%に減額して、段階的に五〇%から四八%まで、年収で百五十一万円まで減額するとありますが、これは三年を期限としていますよね。
これを、百六万から百五十一万円の年収での社会保険料の年収に対する負担割合は重いものであることから、この年収の社会保険料の額を恒久的に減らすべきではないでしょうか。それが二号被保険者加入の拡大につながると思いますが、いかがでしょうか。そして、これが更に三号被保険者の減少につながって、社会保障制度の安定につながるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
年金制度全体として、働いている被用者の方々を、できるだけ三号から二号に移っていただいて、その御本人の年金も充実していただけるようにしようという意味で、委員のおっしゃっているとおり、そのとおりだというふうに思います。
その上で、比較的収入の少ない二号被保険者の方について、年金制度は、御案内のように、要するに、基礎年金という各被保険者共通の給付がございますので、これによって所得再分配機能を大きく果たしています。
結局、報酬の低い形で働く二号被保険者の方が、逆に言うと、それに対してもらえる年金は、基礎年金分だけ多いということでございますので、恒久的な仕組みとしては、実はそれがあるということだと思っています。
その上で、今回法案に盛り込みました保険料の調整制度について御紹介いただきました。これは、すべからくみんなに、あるいは恒久的にということではなくて、今回の適用拡大に伴う経過措置として、対象者となる企業や受給者、期間を限定しつつ、特例的、時限的に実施するものでございます。これによって、比較的小規模の企業の人材確保に資するとともに、短時間労働者の就業調整の抑制を通じて、被用者保険全体の持続可能性につながるものと考えております。
こうしたものの効果をしっかり見定めていく必要があるのかなというふうに考えております。
○猪口委員 時限的なものといっても、人はどんどん変わっていきます。年収も変わっていきます。そして、新たな人が、低い年収で保険に加入するか、二号に加入するかどうか、そういったところになったときに、やはり永久的に低い保険料率である方が、より一層若い世代には負担が来ない。
今の状況は、例えば標準報酬月額八万八千円、この状態で、一番最低の額ですけれども、それに対しての保険料を考えると、非常に厳しい状態。だからこそ、働き控えになってしまうという状況がありますので、これを恒久的な制度にしていくには、時限的なものでなくしていただいた方がいいんじゃないかと思います。
そして、事業主については、百六万円から百五十一万円までの年収の二号被保険者の適用拡大に伴って新たな負担となる事業主の負担の軽減も必要だと思います。被保険者と同等の減額率で事業主の負担を軽減し、更なる加入者拡大をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
これに対しては、キャリアアップ助成金の申請等の手続をすればいいんじゃないかというお話、あるいは給付金の制度をつくったらいいんじゃないかという、そういった御意見もありますが、そのような煩雑な手続をするのでなくて、元からこれを補助するような形で保険料を減らすことで、事業主も、被保険者も、少ない収入に対する方々への負担が非常に軽減するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
今先生にいただいた社会保険料の事業主負担の軽減、まさに社会保険の世界の中で事業主負担を軽減するということにつきましては、社会保険料が医療や年金の給付に充てられ、労働者を支えるための事業主の責任であること、また、働く人の健康保持や労働生産性の増進を通じ事業主の利益にも資すること、こういったことを考えますと、まさに社会保険という世界の中で軽減ということになると、やはり慎重な検討が必要だというふうに考えております。
その上で、中小企業に対して、今先生からもお話がありましたが、従来から政策目的に応じた支援を行っているところでございまして、社会保険を適用するとともに、労働者の収入を増加させる取組を行った事業主に対して、年収の壁・支援強化パッケージによる支援、また、非正規雇用労働者の正社員転換や処遇改善を実施する事業主に対する支援、キャリアアップ助成金ですけれども、そういったことなどを行っておりまして、引き続きこうした支援に取り組んでいきたい、このように考えております。
○猪口委員 そのような支援金等、給付金等、ありますけれども、そのような申請というのは、非常に無駄な労力というか、なかなかやりにくいものだと思います。それであれば、百六万円から百五十一万円の低い年収の方々へのケアとともに、二号被保険者の拡大を真剣に考えるのであれば、そこのところは、そのような給付金申請等、そういったことでなく、元からの減額ということも考えていただけたらと思います。
続きまして、扶養控除の対象を外れて新たな二号被保険者を拡大することは、事業主と被保険者に負担を課すものであるため、何がメリットか、被保険者に十分啓発することが必要と思います。
将来もらえる年金が増えるだけでなく、傷病手当金、出産手当金等の恩恵を受けることができ、非正規雇用、正規雇用の垣根を低くし、より柔軟な働き方が可能となること、雇用環境を改善することをもっと国民にアピールすべきと思われますが、いかがでしょうか。それが少子化対策にもつながると考えられますが、厚生労働大臣、お答え願います。
○福岡国務大臣 被用者保険に加入することで、労働者にとっては、将来の年金額は、基礎年金に加えて厚生年金による報酬比例部分が上乗せされ、医療につきましても、健康保険による病気や出産に対する給付、これは、御指摘があった傷病手当金だったり出産手当金が充実するというメリットがございます。
その上で、被用者保険の適用拡大につきましては、被用者にふさわしい保障を享受できるようにするとともに、自らの希望に応じた働き方を選べるような制度とする観点から、平成二十四年の改正以降、段階的、継続的に取組を進めてきたところでございまして、今回の法案にも、企業規模にかかわらず、短時間労働者の方を適用対象とすることなどを盛り込んでいるところでございます。
このように、被用者保険の適用拡大を進めることで、いわゆる年収の壁を越えて就労時間を延ばし、現在の所得や将来の年金が増えることであったり出産手当金を受けられることなどを通じまして、子育てをする方々にも安心を与えることができるというふうに考えております。
○猪口委員 本当にそのとおりなんですけれども、一般には、扶養を外れるということは非常に損をしてしまうというネットでの言葉が浸透してしまっておりますので、是非そこは啓発が必要ではないかと思います。
在職老齢年金の制度の見直しについて質問いたします。
支給停止の対象は五十万人であり、見直し案によって千六百億円の給付増加となります。一方、百六万円から百五十一万円の年収の方は何人ぐらいいらっしゃるのか。そして、この年収の標準報酬月額の保険料を例えば二五%減額した場合の社会保険料の額について、減額額は大体どのぐらいになるのか、教えていただけますか。
○間政府参考人 お答えいたします。
まず、人数でございますけれども、令和五年度末時点で、厚生年金被保険者のうち、共済の形を除く人数になりますが、標準報酬月額が八・八万円から十二・六万円までの範囲に該当する方は約百二十五万人となっております。
その上で、これを二五%にという話ですが、済みません、事前の御通告では、保険料調整制度と同じようにしたらどうかという御質問だったやに、そのように受け止めていたものですから、その上での仮定の試算をさせていただいていますので、御紹介申し上げます。
これらの等級に該当する全ての方に、本人負担分、それから事業主負担分、両方、それから、本来の五〇%から、標準報酬月額等級に応じて二五%から四八%に段階的に減額したと仮にした場合の所要額は、機械的に計算いたしますと、毎年度八百億円というふうに見込まれるところでございます。
○猪口委員 今、この数字、八百億円ですよね。
ですから、これを調整して、例えば在職老齢年金制度を見直さなければ、千六百億円、この支出を、給付増加を抑えられるわけですよね。これを二号保険者を増やすための制度に、流用すると言ってはあれですけれども、明らかに少ない額で済みますので、これを考えていただいて、特に若い世代の保険料というのは本当に重い負担になりますので、八百億円で済むのであれば、在職老齢年金制度を見直す必要はないんじゃないかと思います。是非、御検討を願いたいと思います。
そして、在職老齢年金制度の見直しをしないことによる千六百億円を、百六万円から百五十一万円の年収の人への保険料減額に利用すべきではないかと考えます。より幅広い社会保険制度の恩恵を受けられる裾野が広がり、将来の年金を、基礎年金のみでなく、報酬比例分の年金受給を可能にするのではないでしょうか。
今回、在職老齢年金制度の見直しをせず、その分を現役世代に還元していただけないかと考えますが、いかがでしょうか、厚生労働大臣。
○福岡国務大臣 在職老齢年金の見直しは、少子高齢化の進行や人手不足を背景に高齢者の活躍の重要性が一層高まる中で、高齢者の方がより働きやすくなることを目的としておりまして、必要な改正だと考えております。
一方で、保険料の調整制度につきましては、実質的に保険料負担のなかった第三号被保険者が第二号被保険者となることで制度の持続可能性に寄与することを踏まえ、財源を制度内で賄うこととしておりますが、これはあくまでも特例的、時限的な制度としているものでございます。
このように、在職老齢年金及び保険料調整制度につきましては、いずれも、それぞれの目的、必要性に基づいて行うものでございまして、一方の財源を他方の財源に用いるような形で考えるものではないというふうに考えています。
○猪口委員 在職老齢年金制度、これで年金が停止になっている方が五十万人ということですけれども、停止になるちょっと前のグラフが少し高くなるという状況、働き控えがあるのではないかということですけれども、そのグラフから見ると、ほんの僅かな状態で、高齢者について見れば、医療保険では、結局、現役世代が前期高齢者納付金や後期高齢者支援金を拠出しているわけで、それを思えば、この在職老齢年金制度の見直しということは、将来的には見直すことも必要かとは思いますけれども、現役世代の負担を減らすということを考えれば、これは見直しをしない方がいいんじゃないかという思いでございます。
現在の基礎年金は、満額で令和七年度で月額六万九千三百八円でありますが、これでは生活は困難です。基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了を行い、基礎年金水準を引き上げることが喫緊の課題であると考えます。そのためには、厚生年金の積立金の利用も必要と考えられますが、厚生労働大臣、いかがでしょうか。午前中から、立憲の方々のお話とかぶりますけれども、お答え願えますか。
○福岡国務大臣 御指摘のとおり、基礎年金水準の確保は大変重要な課題だと考えておりまして、厚生年金の積立金を活用して基礎年金の底上げを図る措置についても検討しておりましたが、昨年末の社会保障審議会年金部会の議論の整理においても、賛成と慎重の両方の意見があったところでございます。その後の与党における議論の中でも、厚生年金の積立金を活用してこの措置を行うことに慎重な意見があったことは、申し上げてきたとおりです。
こうした中で、今回の法案は、五年に一度の財政検証の結果を踏まえまして、被用者保険の適用拡大などの重要な改正事項を検討しておりまして、できる限り早期に法案を提出し、審議いただくという点を重視し、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了の具体的な仕組みについては、今回の法案には規定しないこととしたところでございます。
ただ一方で、年金の給付水準につきましては、今後の経済状況によって変わり得るものでございまして、二〇二九年に行われます次の財政検証の結果によりまして、適切に検討し、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
○猪口委員 分かりましたといいますか、考え直していただきたいと思いますけれども。
それから、以前からずっと思っていたことなんですけれども、国民年金の保険料が一律であるということを、非常に問題ではないかと思うんです。厚生年金と同様に、収入に応じた保険料を設定するということが必要ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
そういった御指摘は以前からもあるところでございまして、私どもとしては、こういうふうに思っております。
我が国の公的年金は、御案内のように、無業の方、働いておられない方も含めて、二十歳から六十歳までの全ての方が加入する国民皆年金という仕組みにしてございます。これを実現するために、世帯の所得が少ないなどの理由で保険料納付が困難な方は、定額としながらも、全額免除とか半額免除とか四分の一免除、そういうような仕組みを設けて、そういう意味では、負担能力に応じた保険料の御負担をお願いしているところでございます。
結局は、所得をちゃんと把握してやれたらどうかということだと思いますけれども、これについては、労働契約に基づき恒常的に賃金を得られる被用者と、所得の状況が様々な、季節によって変動するとか、そういった自営業者の方の違いでありますとか、それから、源泉徴収される被用者とそうでない自営業者との間の所得捕捉の問題がまだ引き続きあるというふうに考えておりまして、そういったことから、先ほど申し上げた、定額の保険料、定額の給付としつつ、減免の制度を入れさせていただいているということでございます。
その意味では、今委員がおっしゃった点については、今後、引き続き長期的な検討課題なんだろうというふうに思っております。
○猪口委員 国民年金の保険料、一万八千円前後だと思うんですけれども、ある方にとっては非常に負担で、減免とかそういったことに当たらない方でも、結構、一律というのは大変なことで、逆に、フリーランス等の方々では、非常に安いという印象もあると思うんです。一律というのは、やはり考え直すべきではないのかなと思うんです。
一律だからこそ、高くて払うのを嫌だということで、国民年金の保険料の納付率の低さというのが問題だと思うんですが、実際に低い納付率だと思うんですが、これを解消する方法、方策、何か考えていらっしゃいますでしょうか。
○巽政府参考人 お答えいたします。
令和五年度の国民年金保険料の最終納付率につきましては八三・一%と、平成二十二年度から十一年連続で上昇しており、平成二十二年の年金機構発足以来、最高値となっているところでございます。
その上で、更なる国民年金保険料の納付率の向上に向けまして、日本年金機構におきましては、若年者に対する制度の周知あるいは納付督励の取組、未納者の多い大都市などの地域の実情に応じた年金事務所の人員体制の強化、それと、新規未納者あるいは長期未納者など、未納者属性に応じた納付督励の取組、また、スマートフォンの決済アプリによる納付など納めやすい環境の整備など、きめ細かな様々な対策を行っているところでございます。
厚生労働省としましても、保険料納付率向上のために、年金機構と連携して必要な対策を取ってまいりたいと思っております。
○猪口委員 厚生年金の保険料は、給料から天引きで一〇〇%ですよね。それを思うと、八三%というのが妥当かどうかというのはちょっと考えていただきたい。
それから、外国人の納付率が、新宿区では、区議の方が調査したところでは、五〇%を切っているという状況だと認識しておりますが、やはり、ヘイトにならないようにルールを守っていただくということが今後非常に必要かと思いますので、今後も納付率向上に向けて頑張っていただきたいと思います。
質問、これで終了いたします。ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、福田徹君。
○福田(徹)委員 国民民主党、福田徹です。
私は、今も地元で街頭活動を続けているのですが、幸いなことに、議員になる前と今では話しかけていただける人の数が全く違います。本当に幸せです。投票しましたよとか、応援していますとか、時々党への御意見とかあるわけですが、多くは軽い会話で終わることが多いです。
ただ、ここしばらくは、私は今まさに年金を勉強中ですので、年金について御存じですかと私から追加で聞くことにしております。向こうは軽く声をかけたつもりだけなのに、議員から逆質問されて、びっくりされる方も多いんですけれども、皆さん、真摯に答えていただけます。そもそも政治家に声をかけるような方なので、平均的な方よりは政治に興味がある方だと想像しています。
ただ、それでも、年金に詳しい方というのはほとんどいらっしゃらないんですよね。漠然とした不安として、将来もらえる年金は少ないかも、こう思っているぐらいが普通です。具体的に自分が幾らもらえるか、知っている人というのはほとんどおりません。
金融広報中央委員会というところの調べによると、家計の金融行動に関する世論調査では、もらえる年金額を知っている人の割合は、三十五歳から三十九歳で八%、もうすぐ年金をもらう五十五歳から五十九歳でも四二%となっております。私の肌感覚では、もっと少ないのではないかなと思います。
かく言う私も、ずっと医療の仕事をしていて、自分の年金が幾らもらえるか、考えたこともなくて、正直少ないだろうなという覚悟をもう決めているところなんですけれども、今、議員として年金の議論をさせていただくようになって、一生懸命勉強しているわけですが、今、改めて私に教えてください。
今、現時点で政府の考える年金制度の抱える課題は何でしょうか。もちろん、賦課方式の年金制度においては、少子高齢化とか寿命が長くなる、これは明らかに困難な状況だと思いますが、特に政府が今感じている課題は何でしょうか。教えてください。
○福岡国務大臣 なかなか一概に申し上げるのは困難ですが、年金は老後生活の柱の一つでございますから、その役割を将来にわたって持続するためには、給付と負担のバランスを保ちながら年金の給付水準を保つということが大変重要な課題であると考えています。このため、平成十六年の制度改正によりマクロ経済スライドを導入し、制度の持続可能性を向上してきたところでございます。
加えまして、昨年七月に公表した財政検証では、前回の検証と比較して、将来の給付水準が上昇することが確認された一方で、経済が好調に推移しない場合には、基礎年金の調整期間が長期化し、将来的な基礎年金の給付水準が低下する見通しであること、これはさんざん御議論いただいているところでございますが、また、働き方であったりライフスタイル等が多様化する時代に合った制度の見直しに取り組んでいくことなどが昨今の年金制度をめぐる課題の中にあるというふうに考えております。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
今、給付水準はやや心配だ、持続性については大丈夫であろう、そして、ライフスタイルに合った多様な、中立な、そこが大事だという御意見だと感じました。
続けてお聞きします。
今、課題を挙げていただきましたが、今回の、今出ているこの法案で最も実現したいこと、今挙げられた課題のうち解決が期待できる点はどういう点でしょうか。教えてください。
○福岡国務大臣 今回の法案は、社会経済状況の変化に合わせた必要な見直しを行うため、例えば、被用者保険の適用拡大であったり、また、在職老齢年金の見直しであったり、iDeCoの加入年齢を引き上げるということであったり、ほかにも様々なことがございます。
ですから、どれが最も重要かということは一概に申し上げることはできませんで、それぞれの項目が大変重要な事項だというふうに認識をしております。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
確かに、年金制度の課題は複雑だと思います。そもそも、出生率とか経済シナリオで、様々な要素で変わってくるのですが、やはり様々な仮定を置きながら、今幾つも施策をおっしゃっていただきましたが、この施策で、この課題について、この指標をこれだけ改善できる、これは一見難しそうですけれども、年金というのは完全に数学ですので、実際はできるはずだと思っております。このレベルで議論できないかなと思っております。それで初めて、この施策は行うべき、行うべきでないという判断ができると思うんですよね。
年金というのは、ほかの政治課題と比べると極めて数学的で、数字で表現できるので、是非、国民にもそう届くような議論をしたいなと思っております。
今回の改正案の、特に柱、被用者保険の適用の拡大、在職老齢年金制度の見直し、標準報酬月額の上限の見直し、これらの施策が、先ほど挙げられたいわゆる給付水準、十分性ですね、持続性、これらに対して、どのような指標をどの程度改善できるのか、今から少しお尋ねさせてください。
まず、被用者保険の適用拡大について教えてください。
今回の被用者保険の適用拡大の範囲で、具体的に、何年に何人、対象者が増える見込みでしょうか。そして、それによって、将来の所得代替率は何年にどの程度改善しますでしょうか。教えてください。
○間政府参考人 お答えいたします。
今回の短時間労働者への適用拡大については、幾つか要素がございますが、百六万円の賃金要件につきましては、最低賃金の動向を見まして、最低賃金が千十六円を超えておりますと、二十時間働くと、八・八万円の、百六万円の要件を超えるということで、それを見極めて撤廃をするということを考えています。これが三年以内でございまして、このときに適用になるであろう方々というのは、約百十万人程度ではないかというふうに推計してございます。
それから、企業規模要件につきましては、今五十一人以上ということでございますが、これは段階的に見直して、二〇三五年に撤廃をすることを考えてございます。これは七十万人の方から段階的に、十五万人とか二十五万人とか、段階的に増えていくということを考えてございます。
また、個人事業所に係る非適用業種の解消につきましては、経過措置も設けながら、二〇二九年十月から適用することとしております。これも踏まえまして、適用拡大の対象者数は段階的に増えていくわけでございますが、約二百万人増加するのではないか、このように考えております。
これによりまして、所得代替率への影響につきましては、これは長期間の影響を見ておりますので、何年に何%ということはないのでございますけれども、今回の改正におけるモデル年金の場合の所得代替率は約一・四%上昇する、このように見込んでございます。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
適用者は二百万人増えて、所得代替率は一・四%上がると見込んでいることが分かりました。
この一・四%上がるというのは、元々あったとされるマクロ経済スライドの早期終了の五・八%上がるということに比較すると、やや十分性という課題については、足りないのかなという印象はあります。ただ一方で、マクロ経済スライドの方は、基礎年金の国庫負担分を国費で賄わなければいけないので、その負担はよくよく考えなきゃいけないと思います。
ただ、ごめんなさい、これは通告していなくて、今思い浮かんだことで本当に申し訳ないのですが、被用者保険の適用拡大で、労働者が負担が恐らく減らされると思って、その分、国費で補助をされると思うのですが、それに必要な金額とか、あとキャリアアップ助成金に必要な金額とか、もし分かればでいいのですけれども、教えていただくことはできますでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
今回御提案しておりますのは、法律の中で行うのは、新たに適用拡大になる事業所、企業や、それから個人事業所で働かれる一定の標準報酬の方についてですけれども、それについて最大二五%だけ半分にする、御本人の負担を半分にするというような仕組みを三年間程度導入させていただくということを考えております。
これの影響額でございますけれども、昨日の本会議でも御質問がありましたけれども、厚生年金につきましては、もし対象者が全員御利用になられたとした場合には約三百億円と考えておりまして、このほかに健康保険の方も同様な措置を設けようと考えておりまして、その影響額が同様に総額で約百七十億円というふうに考えてございます。
キャリアアップ助成金につきましては、七年度予算でも増額を図っているところでございますが、これについては、また今後実績が出てくるものと思っておりますが、済みません、今正確なデータがないのをお許しいただきたいと思います。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
じゃ、次に、在職老齢年金についてお聞きします。
現在、厚生年金を受給されている六十五歳以上の方で、賃金と厚生年金、金額が五十万円を超えると厚生年金の方が減額される仕組みと理解されております。この上限を六十二万円に引き上げることが検討されています。
もちろん、この改正で働き控えが少なくなるだろう、これは私も十分に理解できます。かつ、本人の年金受給額が増える、これもすぐに理解できます。まさに働き方に中立な制度で、私も望ましいと考えます。ただ一方で、現在、恐らく高所得な方に多くの年金を給付することになりますので、将来世代の年金を下げる力が働くであろうと想像されます。
お聞きします。この在職老齢年金制度の見直しによって、働きながら年金を受給している人への給付が増える。一方で、このことは将来世代の年金にどのような影響を与えるでしょうか。教えてください。
○福岡国務大臣 今回の法案では、在職老齢年金制度の年金の支給停止基準額を六十二万円とする見直しを盛り込んでいるところでございます。
この見直しの影響につきましては、昨年公表した二〇二四年財政検証における過去三十年投影ケースの場合に、仮に在職老齢年金の支給停止基準額を六十二万円に引き上げると、報酬比例部分の所得代替率がマイナス〇・二%となる見込みでございます。
一方で、二〇二四年財政検証において、過去三十年投影ケースで今回の年金改正法案全体の効果を織り込んで試算しますと、最終的な二〇五二年度以降の所得代替率は五一・八%となり、現行制度における所得代替率の五〇・四%からプラス一・四%改善すると推計をされております。
さらに、成長型経済移行ケースでは、改正後は五八・九%になるというふうに推計されておりまして、政府としては、成長型経済を目指し、年金の給付水準が将来も維持できるように努めていきたいと考えています。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
全体に対しては、所得代替率にマイナス〇・二%の影響があると教えていただきました。もちろん、働き手が増えることは経済成長につながりますので、間接的に年金制度にプラスになる効果はあると私も理解しております。ただ、それでもやはり、今の受給者、しかも所得の多い方に年金を増やし、将来の受給者の年金を減らす施策だということも事実であり、つまり、この施策というのは、十分性とか持続性に貢献するものではなくて、中立性に重きを置いたものだと私は理解しております。
私は、これ自体は悪いことだと思っておりません。ただ、大切なことは、十分性、持続性、中立性、こういう様々な課題を提示した上で、もっと国民に、この施策はこの課題を解決するものだということを、特に、言いづらいことかもしれないけれども、このことに関してはマイナスだということも含めて、やはり明確に知っていただく必要があると思うんですよね。それに基づいて意見を持っていただく、それが私たち政治の仕事だと思っております。
次に、標準報酬月額の上限見直しについてお聞きします。
こちらの施策も、賃金の高い労働者と企業が多く保険料を納め、そして多く受け取るというものだと理解しております。
お聞きします。この施策の恩恵は、これは誰に届くものでしょうか。あともう一点、今回七十五万円になっておりますが、七十五万円ではなくて、もっと高い金額まで引き上げるという選択はありませんでしょうか。教えてください。
○福岡国務大臣 今回の見直しによりまして、標準報酬月額の上限引上げの対象となる方の将来の年金給付、これが増加するということはもちろんでございますが、公的年金制度の所得再配分機能によりまして、年金額の低い方も含めて厚生年金制度全体の給付水準を向上させる、そういう効果があると考えております。
なお、標準報酬月額の上限の見直しにつきましては、昨年末の社会保障審議会年金部会の議論の整理であったり与党の議論におきまして、標準報酬月額の上限の見直しに伴う被保険者及び事業主負担の増加について留意しながら検討が必要とされておりまして、こうした点も踏まえて今回の改正案に至ったということでございます。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
厚生労働省の資料から、厚生年金の比例部分に対して〇・二%のプラスの影響があると学ばせていただきました。ただ、やはりこちらも基礎年金を増やす効果はないんですよね。
本日は、いわゆるあんパンのあんの、あん以外の部分、パンの部分について質問させていただいておりますが、私自身、本物のあんパンでもパンの部分も大好きですので、パンだって年金をよくできると思っておりますが、今回の改正案に含まれる施策で、恐らく、ここにいらっしゃる議員の多くの方が、そして町で一生懸命働いていらっしゃる氷河期世代の方々が一番気になっているであろう年金課題というのは、やはり将来の基礎年金だと思うんですよね。
教えてください。今回含まれている施策の中で、将来の基礎年金を増やす効果がある施策は、被用者保険の適用拡大のみで間違いないでしょうか。
○福岡国務大臣 今回の法案につきましては、基礎年金も含め、将来の年金給付水準の充実につながる被用者保険の適用拡大などを盛り込んでおりまして、給付水準の確保に向けた施策を講じる内容となっています。
このうち、今回の改正に限れば、御指摘がありました基礎年金水準の向上に直接的な効果がある、そういった事項につきましては被用者保険の適用拡大となりますが、年金の給付水準は今後の経済状況によっても変わり得るものでございます。そのため、年金制度改正だけではなくて、成長型経済を目指すこと等によりまして、引き続き、年金給付水準の確保に努めてまいりたいと思います。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
成長型経済は本当に大事だと思いますので、私も全力でお手伝いを一人の議員としてしたいと思っております。
昨日の本会議の質疑で私から総理にお尋ねした、本改正案によって見込まれる将来の給付水準は幾らですかという問いに対して、二〇五二年に所得代替率五一・八%、先ほど大臣もおっしゃっていただいた数字を教えていただきました。去年、二〇二四年は六一・二%、このまま何もしないと二〇五七年に五〇・四%の見込みですから、五一・八%は少し増えています。
しかし、当初の政府案にあったとされるマクロ経済スライドの早期終了を行った場合の所得代替率は、五六・二%が見込まれていました。やはりこれに比べると、本改正案が将来の年金を増やすというその効果については、小さいと言わざるを得ません。しかも、本改正案で見込まれる将来の所得代替率のうち、基礎年金のみの数字は二七・二%、これは、マクロ経済を使った場合の三三・二%と比較すると、やはり大きく下がります。
つまり、本改正案は、本日最初にお示しいただいた今ある幾つかの課題のうち、給付の十分性、特に将来世代の、しかも厚生年金はないか、あっても少ないような、そういう基礎年金への依存度が大きい方の十分性という課題については、正直、十分でないと答えざるを得ないと思います。
本日最初に、多くの国民が年金について詳しくないというお話をさせていただきましたが、これから、この年金改正がどんどんどんどん注目が集まれば、必ず知識は増えてくると思うんですよね。先ほど階議員がおっしゃったように、流用と今たくさん言われていること、私も本当におかしいと思っております。ただ、注目されればされるほど、これは流用でないと理解される可能性は十分にあると思います。
恐らく、今、年金にみんな詳しくないから、理解してもらえないから、流用と思われるから出さないという判断がどこかではされていると思うんですよね。でも、それははっきり言って、正しい政治ではないと思います。先ほど、政府も流用ではないとおっしゃっていただきました。私もそう思います。政府も流用ではないと認識しているのであれば、それを大きな声で、国民、もしかしたらその手前にいるメディアを通じて、それを発信しませんか。私も、思い切りそれを応援したいと思うんです。
やはり、正しい事実を示して、真に必要な施策であるという合意を得て、そしてそれを私たちで実現する、そういう政治をやりたいなと思って、質疑を終わらせていただきます。どうかよろしくお願いします。
○藤丸委員長 次に、森ようすけ君。
○森(よ)委員 国民民主党の森ようすけでございます。
本日は、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。
まず初めに、基礎年金の引上げについて、私からも質問を何点かさせていただければと思います。
年金改革をしっかりしないと、基礎年金というのは将来三割目減りをするというふうに言われております。午前中の審議でも皆さんから御指摘をされていますけれども、特に就職氷河期の方々が、今後十年、十年後から年金を受け取られる六十五歳になるわけですから、やはりこの就職氷河期世代に対する年金の問題というのは解決しないといけない、大きな大きな課題だというふうに認識をしております。
特に、改めての説明になるんですけれども、氷河期世代というのは、希望する職に就けなくて、なかなか正規の仕事に就けなくて、非正規の期間が長くて、それでなかなか、厚生期間の期間がそもそも短いとか、そもそも厚生年金に入れていなくて国民年金だけだとか、こうしたことが問題としてあるわけでございます。
あと、それに加えて、ライフスタイルについても結構変わってきていて、年金だと代替率ということで、よくモデルケースで、夫が働いていて妻が専業主婦というモデルケースで考えていますけれども、氷河期世代においてはなかなかこれが当てはまるわけではないわけで、やはり単身の高齢の女性、男性が増えてきているので、独り身であってもしっかりと年金だけで生活ができるような環境をつくっていくのが、この年金改革においては大事なことだというふうに考えているところでございます。
それで、この問題意識については、厚労省の方でも同じ問題意識を多分持っていると思います。なので、元々の案の中では、よくあんパンで例えていますけれども、しっかりあんの中身が詰まった、マクロ経済スライドの一致というところがしっかり盛り込まれた案が最初は示されたわけですけれども、もろもろの経緯があって今落ちているというところであるわけです。
そこで、大臣にまずお伺いしたいのは、現時点において、マクロ経済スライドの一致の点について、必要な施策だと考えているのか、そもそも必要ないというふうに考えているのか、その点はいかがでしょうか。
○福岡国務大臣 私どもとしては、将来世代の年金水準の確保、これというのは大変重要な論点だということで、当初の案には盛り込ませていただいていたということでございます。
その上で、様々な御議論があって、なかなかそこの調整に時間がかかっている中で、ほかにも様々な重要な論点がある、国会の方からも早く提出をするようにという御要請も受けて、今回はそういった御指摘を受けながら、その部分については規定を外させていただいた形で提出をさせていただいているものでございます。
○森(よ)委員 ありがとうございます。
でしたら、引上げについても必要な施策だというふうに考えているということはお間違いないんでしょうか。改めてお願いします。引上げについては必要だということは、現時点でも認識しているということでよろしいでしょうか。
○福岡国務大臣 引上げといいますか、将来世代の基礎年金水準、これをしっかり確保していくということの重要性については、政府としても認識をしているということでございます。
○森(よ)委員 ありがとうございます。
少し何か私も理解ができなかったんですけれども、早く出してほしいという要望があったから、それを抜いて出したというような答弁をされたので、ああ、必要だと思っているけれども、出すことができなかったといったことで考えられているのかなというふうに理解はさせていただきました。
その上で、いろいろと質問させていただきたいんですけれども、午前中の立憲民主党さんからの質問を聞いていると、やはりマクロ経済スライドの一致というのは利点がかなり大きいなというふうに捉えているところでございます。厚生年金から基礎年金への移転というふうに言われていますけれども、実際、制度を見てみると、厚生年金の方も基礎年金、全体の中で多くの方々は基礎年金を一緒に受け取っているわけですから、厚生年金の方もこのマクロ経済スライドの一致の恩恵を十分に受けることができる、やはりこれをしっかりと説明していくことが大事なことだと考えているところでございます。
いろいろと御説明、立憲民主党さんのところからあったのが、いいところだなと思ったのが、短期的には受け取る方が減ってしまうけれども、中長期的に見れば、基本的に九九・九%の人は受給額が増えてくる、やはりこれもすごい大事な論点です。あと、国民年金の方の中で多い人というところが、やはり自営業の方が多いというふうに一般的に捉えられていますけれども、数字を見ると必ずしもそうではなくて、被用者の方が多かったりとか、あと、仕事をしていない方が多かったりとか、そもそも自営業者の方は全体の中で割合は低いんですよということを丁寧に説明しないといけないです。あと、国庫負担の割合が増えて、税金どうするんだというところも論点ですけれども、これも説明していただいたとおり、ベースラインと比べると増えてしまうけれども、足下から別に増えるわけではない、こうした説明も立憲民主党さんからされたところでございます。
こうしたことを聞くと、いいところはかなり多いなというふうに思っていて、なので、しっかり丁寧に国民に対して説明、発信をしていくことが厚労省としても必要なことだというふうに考えているんですけれども、こうしたことについて丁寧に説明していくことについて、御見解はいかがでしょうか。
○福岡国務大臣 丁寧に説明することは大変必要なことだと思います。
先ほど申し上げなかったこととしましては、今回、社会保障の専門家からも、保険料、拠出金、積立金の関係が分かりづらいことなどから、国民の理解が得られるのかといった御意見もあったことも踏まえ、今回の法案には具体的な仕組みを規定していないこととしておりますが、今般のこの国会の議論においても、様々な論点の提起をしていただいております。そういったことに丁寧に説明をさせていただいてまいりたいと思います。
○森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。
ちょっと追加でお伺いしたいんですけれども、丁寧な説明が必要で、制度が複雑だから、専門の方々からもそういった声があったというのは重々理解をしております。ただ、制度の見直しによって損する人が誰かというと、午前中の質疑にもあったとおり、基本的に九九・九%の人は中長期的には得をしていく。じゃ、損をする人は誰かというと、恐らく今の高齢者の方々だと思うんですね。
井坂先生、山井先生の資料の中にもあったんですけれども、六十三歳より年上の男性の方については、早期終了によって少し減額がされる。なので、損をする人というのは今の高齢者の方になるんだと思います。なので、こうしたところに配慮をしているということでよろしいんでしょうか。
というのは、いろいろ丁寧な説明が必要というふうにおっしゃっているんですけれども、ほとんどの人にとっては利点が大きいです、一部の方にとっては短期的には損をしますと。なので、そうした方について配慮が必要だったりとか丁寧な説明が必要というふうに考えているということで、御見解はよろしいんですか。
○福岡国務大臣 井坂先生のときの答弁でも申し上げましたけれども、今回、様々な議論がございましたので、マクロ経済スライドの調整期間の一致ということは、今、この政府から提出した法案についてはそこが入っていないということでございます。
ですから、そこについての、どうなるのかといったことについて今ここで言及することは難しゅうございますが、様々、こういった国会の御議論においても御質問いただいている、そういったことに対してしっかり丁寧に説明をしてまいりたいということでございます。
○森(よ)委員 ありがとうございます。
通告にちょっと戻りたいんですけれども、こうしたように、国会の審議の中で丁寧に説明をしていくのはすごい大事だと思っている一方で、逆に、これがないとどうなるかというところもしっかり見ていくことが必要だというふうに考えているところでございます。
マクロ経済スライドの一致というのが今回の年金法の大きな目玉であったわけですけれども、これがなくなった以上、基礎年金三割減るとか、代替率をしっかり上げていくためには、さっき福田委員からの質疑の中でも、あんパンの皮の部分をおいしくしていくことが大事というような質問もありましたけれども、やはりこの皮をしっかりおいしくしていくことも大事だというふうに考えております。
被用者保険の適用拡大であったり遺族年金の見直し、こうしたことが盛り込まれていますけれども、こうした施策を進めることによって、将来世代の基礎年金三割減るというふうに言われていますけれども、それを抑えることができるというふうに考えているのか。その点、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 まず、年金の給付水準は今後の経済状況によって変わり得るものでございまして、経済が好調に推移すれば、基礎年金の底上げ措置がなくとも、将来の給付水準がおおむね維持されるものというふうに考えております。こうしたことも踏まえまして、賃上げと投資が牽引する成長型経済を目指しているところでございます。
また、仮に経済が好調に推移しない場合には、基礎年金の将来的給付水準の低下のおそれがあることから、次、二〇二九年に行われます次期財政検証の結果を踏まえ、適切に検討し、必要な措置を講じるということとさせていただいております。
○森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。
これも午前中にいろいろ質疑が出ていましたけれども、もちろん経済が成長するのはいいことなんですけれども、成長しなくて悲観的なケースにおいても、年金がしっかり持続可能なものになって、十分なものになるというのが非常に重要だと考えております。
そうした中で、もう一度お伺いさせていただきたいんですけれども、特にモデル世帯のことを基本的に代替率と捉えていて、氷河期世代は単身の方が増えてきます。先ほどの福田委員の質疑の中にもありましたけれども、被用者保険の拡大だったりとかは基本的に厚生年金の方に多く利いてきて、まあ基礎年金も増えますけれども、効果としては、どちらかというと厚生年金の方が多いわけだと思うんです。
そうした中で、就職氷河期世代の単身の方、モデル世帯に当てはまらないような人が増えてくる中で、基礎年金の所得代替率が上がらない。上がる政策をしっかりやっていかないといけないと考えているんですけれども、そうしたところをしっかり担保していく考えはあるんでしょうか。お願いいたします。
○福岡国務大臣 被用者年金の拡大等につきましては、例えば、今一号の方が被用者保険に入っていただくことで、当然、その部分の二階建て部分の給付もその方が受けていただくということで、その給付水準が、今おっしゃったように、基礎年金プラスその上乗せ部分も含めて上がっていくという効果があるというふうに思います。
その上で、基礎年金水準等については様々御指摘をいただいておるところでございますから、次期に行われます財政検証の結果も踏まえ、必要な措置を講じていきたいというふうに考えております。
○森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。
次期の検証を見ずに、しっかりこの国会で議論をして、基礎年金の底上げができるように審議も進めていただければと思いますので、その点、よろしくお願いいたします。
質問をちょっと飛ばさせていただいて、標準報酬月額の引上げのところについてお伺いしたいと思います。
今回、標準報酬月額の上限を六十五万円から月七十五万円に引き上げようとしているわけでございます。それで、厚労省さんの説明資料を見ると、こうした記載がされています。上限を超える収入の方は、実際の賃金に占める保険料の割合がほかの方よりも低くなっています。世代内の公平のためにも、本来の賃金に応じた御負担をいただき、将来の給付を手厚くしますというふうに書いております。世代内の公平というような単語も出てきますが、これを読むと、厚生年金保険が税なのか保険なのか、いまいちよく分からないんですね。
保険というのは、基本的に、同じようなリスクを持っている方が同じところにプールをされて、それで、受益と負担のバランスによって拠出額が変わってくる、将来受け取るものが変わってくる。保険の仕組みというのは、公平性という観点よりも、同じリスクを皆で分かち合うというような考え方が基本的に保険な考え方だと思います。
一方で、この説明資料の文章を読むと、公平性とかだったり、相対的に負担料が低いとかいう単語が出てくるんですけれども、公平性の観点については、例えば所得税の累進課税というのがあるわけで、そちらで一定程度担保しているので、公平性を確保するのであれば、それは保険ではなくて、税でやるべきことだというふうに捉えております。
そこで、まず基本的にお伺いしたいんですけれども、厚生年金保険というのは、税なんでしょうか、それとも保険なんでしょうか。お願いいたします。
○福岡国務大臣 厚生年金保険も含めまして、現行の公的年金制度は、負担に応じた給付を原則とする社会保険制度であります。
○森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。
社会保険制度であれば、公平性はそこまで重視しなくていいんじゃないのかというふうに捉えていて、その問題意識でもう一問お伺いするんですけれども、説明資料の中にはこうしたことも書かれております。賃金が月六十五万円を超える方に、賃金に応じた保険料を負担いただき、現役世代の賃金に見合った年金を受け取れるようにします。賃金が上限を超えると保険料が相対的に低く抑えられ、年金額も低くなります。こうしたふうに説明がされているんですね。
これを聞くと、ありがた迷惑だなというふうに個人的には感じるところでございます。将来の年金の受給額がなかなか安くて、手厚くしたいと思っている人は、別にこの二階部分に頼らなくても、三階部分のiDeCoを使って、将来が不安だったら、中高所得者の方は別に三階部分を手厚くすればいいだけなので、何かこの説明の文章がいまいちしっくりこないところなんですね。なので、取りやすいところから取ろうとしている仕組みについて、やはり私は疑義を示したいというふうに考えております。本当に厚生年金でしたり社会保障の仕組みの維持のためにお金が必要なのであれば、真っ正面から国民に説明をすべきだというふうに考えております。
中所得者、高所得者は相対的に年金が低くなるというような言い方で、負担額を引き上げてくださいよ、皆さんにとっても利点があるんですよというような説明をするのではなくて、このままだと年金財政は維持できないので、何とか中所得者、高所得者の方々に、頑張って負担してくださいと。別に、利点があるからいいんですよというんじゃなくて、もう耐えられないから何とか負担してください、こういう姿勢で政府もやらないといけないというふうに思っているところでございます。
公平性を今より確保したいんだったら、上限の引上げではなくて、しっかり真っ正面から、所得税の部分で、累進課税の強化か分からないですけれども、そうしたところからしっかりと向き合って議論していくのが、真面目な政治の姿勢としてはあるべき姿なんだと考えているところでございます。
標準報酬月額の引上げという形で、中高所得者に対してこれ以上の負担を課すべきではないというふうに考えておりますが、その点、御見解いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 公的な社会保険制度である以上、一定程度の公平性というのは必要ではないかというふうに思います。
この公的年金制度は、社会保険として、負担に応じた給付を原則としておりますが、既に標準報酬月額の上限を超える収入のある方に係る厚生年金の実効的な負担率は、本来の保険料率であります一八・三%に比べて、結果的に今低い水準となっているわけです。
こうした上限に該当する方が男性では一〇%弱、男女平均でも六%強程度おられることを考えますと、負担能力に応じて負担いただくという世代内の公平性の確保という観点からも、上限額について一定の見直しが必要ということでございます。
なお、今回の見直しを行うことによりまして、上限引上げの対象となる方の将来の年金給付の増加はもとより、年金額の低い方も含めた厚生年金制度全体の給付水準の向上につながると考えております。
○森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。
私が聞いていて、今の説明が税だったら分かるんですけれども、あくまで保険という説明をしているのであれば、何か、相対的に低く抑えられていて、一八・三%を下回っている説明もありましたけれども、同じリスクとリターンを負うようなプールに入っているわけですから、そこはやはり合わせるべきだというふうに個人的には考えているところなので、そこも是非御検討を進めていただきたいなと思っているところでございます。
適用拡大のところについてもお伺いしたいと思います。
今回、社会全体で人手不足が進む中で、働き方に中立的な社会保障制度をつくっていくというのは非常に重要なことだというふうに考えております。そうした中で、適用拡大を進めて、働き方に中立な制度に一歩近づくことになりますので、方向性については非常に望ましいことだというふうに考えているところでございます。
ただ、スケジュール感については、こちらも遅いなというふうに捉えているところでございます。今、現状においては五十一人以上が対象のところ、三十六人以上の企業については二〇二七年から、二十一人以上の企業については二〇二九年から、十一人以上の企業は二〇三二年から、十人以下の企業は二〇三五年から、こうしたふうに適用拡大が進められるところでございます。十人以下の企業は二〇三五年ということで、今から十年後というのはかなり先だなというふうに個人的に考えているところでございます。
まず、参考人の方にお伺いしたいんですけれども、企業規模によって二〇二七年から二〇三五年と幅がありますけれども、そのスケジュールの根拠、その点についてお伺いできますでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
被用者保険の適用拡大に当たりましては、対象となる企業には、新たな社会保険料負担を御負担いただくこととなります。加えて、今回の改正では、今まで以上に小規模な企業が対象となりますので、企業経営に与える影響や事務負担の増加等も踏まえて、適用拡大の実施のスケジュールの検討を行ったということでございます。
こうしたことから、今回、刻みが御案内のように四段階あるわけですけれども、企業規模については四段階あるわけですが、中小企業基本法における小規模企業者の定義も参考に、令和二年年金改正法の施行スケジュール、これは二年置きにしているんですね。これも踏まえつつ、二十人以下の小規模な企業等まで拡大する際には、事業主、社長さん御自身が総務とか経理とか、それを自らやっておられるような場合もございまして、これは、準備について、周知も含めて、より長い期間を設けるという観点から、現在お示ししておりますような、先ほど委員が御紹介になられたような施行スケジュールとしたということでございます。
○森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。
もちろん、配慮が必要だったりとか、私も中小企業の経営をしていて、自分で経理をしていたので重々理解するんですけれども、十年は要るかというのが、正直、個人的に思うところでございます。多分、これは別に、五年と十年はそんなに変わらないような気がしていて、十年先で、実際に動き始めるのは多分その二、三年前くらいだと思うんです。
なので、企業規模によって対応の有無というのは変わってくると思うんですけれども、ここまで細かく切って十年先まで置くというのは、年金の改革、迅速に進めていって施策をやって、PDCAを回して、駄目だったら更に改善していくということを回していかないといけないのに、十年先に導入して、またそれで反省したら、何か、いつまでたっても年金制度は変わらない、よくなっていかないというふうに考えているので。
是非、大臣、最後にお伺いするんですけれども、このスケジュール感について、より前倒しをして、政治判断で、ごめんなさいです、負担はありますけれども頑張ってください、年金のために必要なんですというふうに働きかけをしっかりして、このスケジュールを早めて適用拡大を進めていただきたいと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 被用者保険の適用に当たっては、従来から段階的に拡大を進めてきたところです。
先ほど局長から答弁しましたように、今回の改正においては、今まで以上に小規模の企業や個人事業所を対象といたしますから、企業経営に与える影響であったり事務負担の増加も考えながら、配慮を行っているところでございます。
ただ一方で、被用者保険に加入することによって、加入者には年金であったり医療の給付が充実するメリットがあり、事業主にとっても、労働者への年金給付等が手厚くなることで、人材確保、定着の観点からのメリットがあると考えています。こうしたことを踏まえれば、被用者保険の適用対象となる企業を段階的に拡大しながら、メリットを活用したい企業については任意で加入できる制度を後押ししていくことが大変重要だと考えています。
○森(よ)委員 ありがとうございます。
もちろん任意も大事なんですけれども、スケジュール感を短くして、是非お願いしたいなと思います。
時間がまだちょっとあるので、一問だけ追加でお伺いしたいんです、通告していないんですけれども。
適用拡大については、今、百六万の要件を外して、二十時間というところだけ残す形になりますけれども、最低賃金が上がっているので、正直、この年収要件というのは空振り要件になっていると思います。それは説明資料の中にも、実質最低賃金が上がっているので、そこまで関係なく年収の要件については外すことができるというような記載があったので、実際、適用要件拡大と言っている一方で、空振りなので、ほとんど実質変わっていないと思うんですよ、二十時間が残る以上は。
そうした中で、より中立な制度をつくっていくためには、二十時間のところを十時間に減らすとか、より短くしていく、こうしたことが勤労者皆保険を進める上では必要だと考えているんですけれども、最後、その点、お願いいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
まず、賃金要件の件に関しては、現状、昨年十月に最低賃金が引き上がっておりますけれども、この中で、二十時間働くと賃金要件百六万円を満たすような都道府県というのは十二都府県ございます。それが全国の二十時間から三十時間で働く短時間労働者のうちの約半数をもう占めていますが、逆に言うと、三十五道県ではまだそこを超えていないということでございますので、その意味では、まだまだ賃金要件が利いている地域がある。これは今後、最低賃金が上がっていったときに、全ての都道府県で超えた場合には、おっしゃるように賃金要件が実質的な意味を失いますので、そのときに撤廃をしたいというようなことでございます。
その上で、十時間の話ですね。では、十時間にしてはどうかということについては、実は審議会でも、年金部会でもこれは議論になりまして、これにつきましては、まだ十時間というところについては課題があって、まず先に賃金要件やら企業要件の撤廃ということもやる中で今後の課題であるとされたところでございまして、これについては今後、引き続き検討していきたいというふうに思っています。
○森(よ)委員 ありがとうございます。
これから審議、しっかり続くと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 午後三時五十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後二時三十七分休憩
――――◇―――――
午後三時五十六分開議
○藤丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。沼崎満子君。
○沼崎委員 公明党の沼崎満子です。
本日は、年金制度改正法案の質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。
私、五十二歳で、本当にまさに就職氷河期世代にばっちり当たる、ちょっと年齢を言うのは恥ずかしいんですけれども、同級生の多くが就職活動で非常に大変苦労をしている、そういう様子も見てまいりました。私自身は医師でしたので、就職という意味ではそれほど大きな苦労はいたしませんでしたけれども、特に女性は非常に就職が厳しかったというふうに記憶しています。
最近では、女性も含めて正規雇用者が増加して、厚生年金の加入者も増えてきていますが、就職氷河期世代は不本意非正規雇用が多く、低年金となることが懸念されています。今後、これから、今既に私も五十代を迎えておりますけれども、就職氷河期世代が高齢化していく上で、基礎年金は老後の生活水準に直結することから大きな課題であると思います。
度々皆さんからここは議論が求められてきたところでもありますが、公明党は、昨年末の年金制度改正に向けた提言の中でも、年金給付水準の引上げというのも求めてまいりました。
低年金が予測される中にあって、基礎年金の引上げに関して、繰り返しになりますが、改めて厚生労働大臣のお考えについてお聞かせください。
○福岡国務大臣 年金は、老後生活の柱の一つであります。これまで累次にわたって被用者保険の適用拡大に取り組んでまいりましたが、今回も更にこれを進めることとしております。この見直しは、厚生年金に加入することで手厚い年金を受けられるものでありますとともに、将来の年金給付水準の改善にもつながる措置であり、就職氷河期世代にも意義のある改革だと考えております。
また、年金の給付水準の確保は大変重要な課題でございますが、経済が好調に推移しない場合に、基礎年金の給付水準の低下が本格化するのは二〇三〇年代半ば以降でありますことから、今後の社会経済状況をしっかり見極めながら、次の財政検証の結果により、適切に検討し、必要な対応を講じてまいりたいと思います。
○沼崎委員 タイミングの議論はいろいろされていますけれども、最終的にしっかり基礎年金の引上げというのができることを望んでおります。
また、今回の改正においては、前回改正法附則に基づく公的年金制度の所得再配分機能等の検討を引き続き行うに際し、社会情勢の変化を見極めるため、報酬比例部分のマクロ経済スライドによる給付調整を、配慮措置をして次期財政検証の翌年度まで継続するとあります。この配慮措置の内容と意図についてお聞かせください。
○間政府参考人 お答えいたします。
今回の法案に規定されました規定につきましては、今委員御紹介があったとおりでございますけれども、やはり、厚生年金受給者も含めました基礎年金水準あるいは所得再分配機能をどうするのかということは宿題だというふうに思っておりまして、そういったものを引き続き検討していく必要があるということ、その観点から、二〇三〇年度まで報酬比例部分のマクロ経済スライドの調整を継続することとしております。
御指摘の配慮措置は、令和六年財政検証の結果を前提としまして、二〇二八年度まで報酬比例部分のマクロ経済スライドによる調整を行うところを、次期財政検証の翌年度である二〇三〇年度まで調整を継続いたします。その上で、これにより厚生年金受給者の給付水準が低下しないように、年金数理計算に基づき、実際のマクロ経済スライド調整率を緩和するものでございます。
○沼崎委員 不利ができないように担保されている措置というふうに私も理解しておりますので、引き続きの基礎年金引上げに関する検討をお願いしたいと思います。
次に、被用者保険の適用拡大についてお聞きします。
社会保険の適用拡大は、全ての労働者の方の福利厚生を向上させる重要な措置でもあると思いますし、事業者にとっては、人材確保の面でも有利になるというふうに思いますし、私もその必要性を強く認識しています。
しかし、小規模事業者にとっては、保険料負担の増加が事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。実際に、私の友人も、雇用者から被用者保険の加入を求められていても、保険料負担に不安を感じて、なかなか加入に踏み切れないとの声も聞いています。
このような状況を踏まえて、政府は、小規模事業者の保険料負担を軽減するためにどのような具体的な支援策を講じていますか。教えてください。
○間政府参考人 お答えいたします。
ただいま委員御指摘になられたように、被用者保険の適用拡大は、働く方、事業主、双方にとってメリットのあるものだとは思っております。
ただ、適用拡大に当たっては、対象となる企業に新たな社会保険料を御負担いただくことになりますし、今回の改正では今まで以上に小規模な企業を対象といたしますので、企業経営に与える影響や事務負担の増加等も踏まえつつ、施行時期につきましても検討いたしまして、十人以下の小規模な企業については、令和十七年、二〇三五年に適用することとしております。
それに加えまして、社会保険料の事業主負担の軽減そのものには慎重な検討が必要だと思いますけれども、しかし、中小企業に対して従来から政策目的に応じた支援を行っておりまして、社会保険を適用するとともに働く方の収入を増加させるような取組を行った事業主の方々に対して、年収の壁・支援強化パッケージによる支援、非正規雇用労働者の正社員転換や処遇改善を実施する事業主に対する支援、キャリアアップ助成金などを行っておりまして、引き続き、こうした支援にしっかり取り組んでいきたいと考えております。
○沼崎委員 様々な支援があると思いますけれども、事務の手間というのも非常に大きな負担になると思いますが、そういった事務の軽減、事務手間、事務手数の軽減をできるような措置というのはございますでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
やはりこれから適用になっていく企業は小規模な企業でございますので、企業規模が小さくなればなるほど、社長さん自ら経理事務、あるいは総務事務、労務管理などをやっておられるようなケースもありますし、そうでなくても、事務関係の従業員が少ないところもございます。その意味では、事務負担の軽減は大変重要だというふうに考えておりまして、一つには、そもそも年金事務所なんかに行く時間もない、お忙しいということもございますので、そういう意味では、電子申請等を更に使いやすくしていく、御利用いただけるようにするということが一つ。
それから、日本年金機構が一定の必要事項をあらかじめ記載して、そうした届け書を事業主の方にお送りして、確認いただいて、それを御返送いただくというターンアラウンド方式といったようなものも進めて、できるだけ事務負担の多くないようなやり方、軽減するようなやり方に取り組んでいきたいというふうに思います。
また、そのほか、社会保険労務士さんを例えば御希望される場合には派遣させていただいて、それで御相談いただく、こういった取組も進めているところでございまして、こういったことも含めて、事務負担の軽減に今後取り組んでいきたいというふうに思います。
○沼崎委員 ありがとうございます。
財政的な支援ではなくて、そういった手間の軽減というところにも目を向けていただけていることには安心をいたしました。
また、次に、短時間労働者に対する任意の適用拡大を推進する、そうした方針についてお聞きしますが、短時間労働者の社会保険適用拡大は、先ほどもお話ししましたけれども、やはり福利厚生を向上させるというところでも非常に重要だというふうに思っております。しかし、小規模企業で働く短時間労働者の手取りが減少して就業調整を生じる可能性、もちろんこれからもあると思いますけれども、こういった状況を緩和するためにはどのような措置を講じるお考えでしょうか。具体的な内容についてお聞かせください。
○間政府参考人 お答えいたします。
今回の適用拡大となる比較的小規模な企業で働く短時間労働者の方に対して、社会保険料による手取り収入の減少を緩和することで就業調整を減らす観点から、新たに保険料調整制度というものを御提案もしております。これを特例的、時限的に実施したいというふうに考えております。事業主が労使折半よりも多く保険料を負担した場合に、労使折半を超えて負担した保険料相当額を全額還付によって制度的に支援する仕組みでございまして、労働者の保険料負担軽減にもつながる制度だというふうに考えております。
こうした仕組みによって、中小企業で働いている方が、社会保険適用になったからといって人がいなくなってしまうということでありますと、企業の方も立ち行かなくなってしまいますので、こういう中小企業の深刻な人手不足の状況を考えれば、短時間労働者が就業調整を行わずに働くことができるようにするとともに、事業主が本人の方の保険料負担を気にすることなく、賃金の引上げなどに取り組むことができるような環境整備につなげたいというふうに思っています。こうしたことが中小企業の人材確保にも資すると考えているところでございます。
先ほどの制度的な支援という部分につきましては、これは御党の御提言等も踏まえまして、事業主に対して追加の負担を求めることなく、労使折半を超えて負担した保険料を制度的に全額支援することとしたところでございます。
○沼崎委員 事業主の保険負担の労使折半を超えた部分に関しては全額支援というのも、公明党として非常に強く要望してそれが実現できたので、それは本当に大きな成果だったなというふうに私も感じております。
今回のこの改正においては、時限的、また特例措置ということで、三年間、保険料相当額の支援を行うということになっていますけれども、三年後の措置に関しても具体的な制度設計を教えていただきたいと思います。お願いいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
この保険料調整制度そのものは三年間の時限ということを考えておりますが、意図するところは、この間に賃金上昇を図っていただけるようにする、つまり、最低賃金の上昇等により賃金を上げていただく。それによって、いわばそれが上がっていくと、もはや保険料調整制度を発動しなくても、もう辞めてしまおうなんて思わないような水準に引き上がっていくということを支援する、そういう意図で行っているものでございます。そうした観点から、時限的に行うということを考えております。
○沼崎委員 私もその御説明を聞いて、最初、なかなか理解が難しかったように思っておりますので、そういったメリット面も、しっかり事業主、また実際に被保険者の方にもお伝えをいただいて、制度を前に進めていただきたいというふうに思います。
今、その制度の中身を是非お伝えいただきたいということにもつながりますけれども、これからまた、ますます短時間労働者やあるいは非正規雇用の方たちが新たに被保険者の適用対象となっていくことが予想されます。この変化に伴って、事業主、被保険者、双方の理解を深める、それが非常に重要というふうに考えますけれども、これをどのような周知啓発活動を現状しているか、また、これからどのように具体的に進めていくか。円滑な適用拡大を進めるためには非常に重要だというふうに思いますので、その点に関してのお考えをお聞かせください。
○間政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、被用者保険の適用拡大を進める上では、事業主や従業員の方々の御理解を得ることが大変重要と考えております。
これまでも積極的に周知広報に努めてまいりました。具体的には、特設サイトの開設、これはかなり閲覧されているんですけれども、チラシ、パンフレット、ショート動画による周知、日本年金機構による広報活動などを行ってきたところでございます。
現場の方のお話を伺うと、なかなか事業主自らメリットについて説明するのが難しいんだという声もありますが、そういうときに、公的年金シミュレーターを、これ、どう、やってみたらというような形でお勧めされたりすると、御本人がスマホで操作できますので、こんなふうになるんだということで伝わりやすかったというお話も事例としては伺っております。事業主の方が少しそう働きかけていただくと、パートの方々もそうしようかというようなお気持ちになるようなケースも多いというふうにも伺っております。
本法案の施行に当たっては、こうした取組に加えまして、より小規模な企業の方々に御理解いただけるよう、更に丁寧な周知が必要と考えておりますけれども、更に具体的なものにつきましては、小規模企業の方々のニーズをちょっとお伺いしながら、様々な機会を捉えて積極的な周知に努めていきたいというふうに思います。
○沼崎委員 ありがとうございます。
ホームページ等でも様々な周知をしていると思いますけれども、結構、本当に正直、見て分かりにくいなと思うところもまだまだあると思いますし、私も支援策のパッケージを確認するときに、徐々に改善をされていっているというような、そういった印象も受けましたので、引き続き、分かりやすい周知というのを心がけていただければと思います。
次に、遺族年金の見直しに関して御質問させていただきます。
女性医師として勤務する中で、周囲では、女医さんというとやはり比較的お給料が高いというようなこともございますので、夫が主夫として家庭を支えるというケースも多く見てまいりました。男女の役割分担や社会的期待が非常に多様している中で、遺族厚生年金の受給に関して男女の差をなくしていく今回の見直し案というのは、女性活躍推進の一環としても非常に有用で、必要な改正であるというふうに感じております。
一方で、男女の賃金格差はまだまだ日本では解消されていない現状にあります。公明党としても、遺族厚生年金の受給期間を男女とも五年間とする見直し案に対して、五年経過後に特に女性の低所得が改善されていない場合の給付継続というのも強く求めてきましたけれども、これをどのように受け止めて今回の継続に関する方針を決められたのか。今、具体的な今回の支援策についても御説明いただきたいと思います。
○福岡国務大臣 現在の遺族厚生年金は、夫と死別した妻が就労して生計を立てることが困難であった社会経済状況を背景としておりまして、就業率や賃金の男女差が縮小している状況の変化を踏まえ、制度上の男女差解消が課題となっております。
そうした中で、今回の法案では、子のない二十代から五十代の配偶者への遺族厚生年金について、新たな加算の創設などの様々な配慮措置を講じながら、男女共に原則五年間の有期給付とする見直しを行うものです。
その際、五年間の支給期間終了後も様々な事情によって十分な生活再建に至らない方には、御党からの御提言も踏まえまして、最長で六十五歳まで給付を継続することといたしました。この継続給付の支給要件は、障害年金の受給権者である場合のほか、国民年金の免除所得基準となる所得を参考に、所得額に応じて全額又は一部を支給することとしておりまして、配慮が必要な方に対しては、老齢年金の受給権が発生する六十五歳まで、切れ目のない保障を行うための重要な措置だと考えております。
○沼崎委員 ありがとうございます。
五年という期限がついたことで不安に思われた方もいらっしゃったと思いますので、非常にやはり低所得者に対する継続給付は心強い支援になるというふうに思います。
また、同じく、遺族厚生年金の受給に関してですけれども、厚生年金に加入していた妻、つまり就労主婦が遺族年金を受給する際に、今回の改正で現行制度と変更になった点に関してお聞かせください。
○間政府参考人 お答えいたします。
今回の法改正、遺族年金の改正は、男女差を解消していくということが主要なテーマでございます。しかし、現在の制度もあるわけですので、それを段階的にやっていくということなわけですけれども。
一つには、まず、生活再建に必要な期間として、五十代までで相手の配偶者の方が亡くなった場合には、これは基本的に五年間の有期年金とする。もちろん経過措置ありですけれども。その上で、その期間の給付については、従来の金額を更に三分の一、三割増しまして、老齢厚生年金の額と同等の四分の四で支給する。今の遺族厚生年金の給付のものが四分の三なんですけれども、四分の四にするということ。それを、今大臣から御答弁申し上げましたように、五年間の有期といいながらも、しかし、いろいろな御事情があって働けない、あるいは所得が多くない、障害があるといったような方の場合には、最長六十五歳まで継続的に給付をするということ。
それからもう一点、新しいものとして、死亡分割というようなものを導入をいたします。これは、離婚分割と同様の、参考にしたものでございますけれども、亡くなった方の婚姻期間における厚生年金加入期間を分割することで、残された御遺族の方の将来の老齢厚生年金を増加させる仕組みでございまして、遺族厚生年金の有期給付の受給対象者、つまり五十歳までで配偶者が亡くなられた方を対象とするものでございまして、こういった見直し、改善も行っていきたい、こういうふうに考えております。
○沼崎委員 死亡分割の制度は非常に有用だなというふうに思っておりまして、これまでは受け取れるはずだった遺族年金というのを、六十五歳を超えたときに受け取れないという方も働く女性の中にはいらっしゃいましたので、そこが受け取れるようになったというのは、私は、私自身も働いてきましたけれども、パートナーが亡くなった方でも、特に女性に関しては働き方に関係なくこういった金額が受け取れるようになったというのは、非常に大きな見直しだなというふうに感じております。
次に、子に対する遺族基礎年金の支給に関しても今回改正が行われていますけれども、今回の見直しによって新たに拡大された支給対象者の具体的な内容と、この改正を行った理由に関してお聞かせください。
○間政府参考人 お答えいたします。
現行制度におきましては、子供に対する遺族基礎年金、ここは遺族基礎年金に関する改善点なんですけれども、父又は母と生計を同じくするときは、その父又は母が遺族基礎年金の受給権を有していない場合でも、支給停止をされてございます。
近時、離婚の増加などで子供を取り巻く家庭環境は変化しております。お子さんの自らの選択によらない事情で遺族基礎年金が支給停止されることは、お子さんの生活の安定を図るという遺族基礎年金の目的から見て適切ではないと考えておりまして、子が置かれている状況によって支給が停止される不均衡を解消するために、今回の法案で、支給停止している規定を見直すものでございます。
具体的に申し上げますと、子供に対する遺族基礎年金が支給停止されているケースであって、新たに支給対象となる場合の具体例として、配偶者と子供が遺族基礎年金の受給権を有しておりますが、配偶者が再婚して遺族基礎年金の受給権が失権したときには、子供に対する遺族基礎年金が支給停止したままになっております。また、子供がどちらか親の方に引き取られてはいるのですけれども、例えばおじいさま、おばあさまの養子になったとき、この場合も支給停止になっております。これは支給できるようにしようということを考えています。
また、生前に、生きている間に両親がもう既に離婚されていますといった場合に、引き取られた方の親御さんが亡くなって、お子さんの生計を維持していたんですけれども、その方が亡くなられて、もう片方の、別れた配偶者の方に引き取られた場合、この場合も遺族基礎年金の受給権が支給停止となっております。こうしたようなケースについて、配偶者が遺族基礎年金を受けられない場合に子供が遺族基礎年金を受給できるようになるなど、子供が遺族基礎年金を受給しやすくする見直しをしたい、このように考えております。
○沼崎委員 親を亡くすという非常に子供にとってはつらい出来事を受けている、そういうお子さんに対しての支給が増えるというのは、本当に私も心強いなというふうに思っております。
次に、在職老齢年金の引上げについてお聞きします。
高齢化が進む一方で、今、非常に元気な高齢者も増えてきたと実感しています。特に、医師というのは生涯にわたってできる仕事でしたので、私自身も、七十代を超えた先輩医師から様々指導を受けて仕事をしたということもありますし、聖路加病院の日野原先生は九十歳を超えても現役でお仕事を続けていらっしゃいました。
医師の立場からすると、健康寿命を延ばすというフレイルの予防には社会とのつながりが非常に重要で、その社会とのつながりを続けるという意味で、働くというのも非常に重要だと思っています。年を取ったら縁側でお茶でも飲んでというのももちろん理解はできるんですけれども、やはり、やりがいを感じながらいつまでも働くというのは非常に重要かなというふうにも思っておりますので、今回、在職老齢年金の引上げで、より高齢者が働きやすくなることを期待しています。
今回の改正で引上げに至った背景と、六十二万円というこの金額に設定した理由に関してお聞かせください。
○間政府参考人 お答えいたします。
そもそも在職老齢年金は、保険料を払ってくださった方々に対してそれに見合った給付を行うという年金の基本からいくと、例外的な仕組みだというふうに思っております。これをどうするのかというのは以前から課題となっておりました。
今般、やはり、世論調査を行いますと、六十代後半の方の約三割が、年金が減るんだったら就労について考える、こんなようなお考えもうかがえるところでございます。
今回の改正は、少子高齢化の進行や人手不足を背景に、高齢者の活躍の重要性が一層高まってございます。そうした中で、支給停止の基準額の見直しの考え方についてですが、平均的な五十歳代の賃金に年金収入を足し上げた基準額として、六十二万円に見直すことを考えています。
つまり、五十代の賃金をそのままもらい続けたとしても、つまり、減らされるという話も世の中にはございますけれども、もらい続けたとしても年金が支給停止にならない、そういう水準として六十二万円に見直すことを考えてございます。
高齢者の方が年金の支給停止を意識せず、より働きやすくすることを目的としてございます。
○沼崎委員 ありがとうございます。
これからまた更に賃金が上がっていく中で、この金額というのもまた見直しが必要なのかというふうにも感じておりますけれども、年金制度の持続可能性と高齢者の就労促進のバランスをどのように取っていくのか、今後、この在職老齢年金の方針について、現状でのお考えをお聞かせください。これが最後の質問となります。
○間政府参考人 在職老齢年金と就労促進の関係ですけれども、在職老齢年金の見直しに当たっては、将来世代の厚生年金の給付水準への影響とか、高齢者の就業意欲を阻害していないかなどを総合的に勘案しながら、これは引き続き検討していきたいというふうに思っています。
今回の見直しにより、高齢者の就労を阻害する効果は一定程度抑えられることになると考えておりますけれども、引き続き、本制度が高齢者の就労インセンティブを阻害する影響等について把握し、分析し、検討してまいりたいというふうに思います。
○沼崎委員 ありがとうございました。
これほど年金のことを考えた一週間はなかったなというふうに思っておりますけれども、私も実は、ある程度年を取ったら、在職老齢年金の限度額までして働くのをやめようかなというふうに個人的に思っておりましたので、しっかりここの見直しもしていただいて、高齢者がより生き生きと働けるような制度設計を考えていただければと思います。
大変にありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、八幡愛君。
○八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。
ようやく政府から出てきたと思ったら、基礎年金の底上げ部分が削除されていたという骨抜き年金改革法案ということで、昨日、本会議で私はれいわ新選組を代表しまして総理に質問をさせていただきましたが、終始、質問をはぐらかすかのような総理の答弁に加えて、一番残念だったのは、物価は高騰するのに給料はなかなか上がらない中で、毎月毎月保険料を支払っている国民の気持ちに寄り添うという言及がなされなかったことです。
今日の委員会の冒頭、自民党さんの時間でも、今回の年金改革法案について党内での議論は丁寧になされたということをおっしゃられていたと思うんですが、果たしてそこに本当に国民生活の現状に寄り添う姿勢はあったのかと疑問に思いますので、今日から審議が始まりました本法案、改めてしっかりと質問していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず最初に、大臣は公的年金の意義をどう考えておられますか。お願いします。
○福岡国務大臣 公的年金制度は、老齢であったり障害、死亡によって生活の安定が損なわれることを防ぐため、世代間扶養の仕組みによりまして、賃金や物価の動向に応じた給付を一生涯支給するものでありまして、国民生活を支える柱だというふうに考えています。
このような役割、機能は、国が運営に責任を持つ公的年金だからこそ果たすことができると考えておりまして、将来にわたり現行の社会保険方式による国民皆年金を堅持し、少子高齢化が進む中にあっても持続可能なものとして国民の信頼に応えていくことが大変重要だと思っています。
今回の法案でも、こうした考え方の下、必要な改正事項を盛り込ませていただいています。
○八幡委員 まさに、国民の信頼に応えながらとおっしゃいましたけれども、社会的扶養、社会全体で支えていきましょうというのが柱だと思います。厚生労働省のホームページにあるQアンドAで、公的年金制度、何で必要なんですかという問いに対して、予測できない将来へ備えるためには社会全体で支える仕組みが必要だとここにも書いておりました。
公的年金の意義、社会的扶養を考えると、やはり低年金や無年金の方のことも考えなければいけないと私は思うんです。今後、多くの国民が困るというもう予測ができてしまっている将来に、やはり政府は向き合うべきだと考えます。
基礎年金の底上げはすべきだと私は思っていますので、この点、後に質問させていただきますが、こうやって年金制度についてしっかりと議論をしていかなければならないからこそ、今回、重要広範議案に指定されたわけじゃないですか。にもかかわらず、内閣は提出期限である三月十四日を過ぎても提出してこないという異常事態になりまして、二か月以上たってようやく提出されました。この間、ここ厚労委員会では、野党から、厚労大臣への不信任の検討も辞さないぞと言われたりするなど、委員会の審議に大きな支障が生じたと思います。
これは私の勝手な考えですけれども、選挙前になると有権者の受けを狙うとか、票につながらない政策は後回しにするというのが自民党文化なのかなと思っているんですが、七月に控えた参院選で年金問題が争点化することを恐れる自民党内の反対論に押されたのか、結局、何があったのか、何の話をされていたのかというのを是非大臣に教えてもらいたいので、改めて蒸し返します。
五年に一度の年金制度改革であるはずなのに法案提出を遅らせたこと、そこで何が起きたのか、国民の未来よりも選挙の結果しか考えていないような党利党略に振り回されてしまった責任について、厚生労働大臣としてどうお考えでしょうか。お願いします。
○福岡国務大臣 選挙を考えて先送りしたというような御指摘については、少なくとも私が把握している観点では、そういったことは全くございません。
今回、朝も御紹介がありましたように、与党内でかなり丁寧に御議論をいただいてまいりました。年金の底上げの必要性、それは、委員も御指摘いただいたように、皆さん認識していただいていますが、そこの財源に厚生年金の積立金を活用すること、また、その周知に時間がかかるのではないかというような御懸念もあること、そういったことから、丁寧にいろいろな方のヒアリングも行いながら議論を積み重ねられていったというふうに承知をしております。
その上で、かなりそこに、議論の集約に時間がかかりましたものですから、国会で早期に提出するようにお求めを何度もいただいてきた、そういう現状を受けまして、今回は、マクロ経済スライドを早期に終了させる措置については盛り込まない形で提出をさせていただいたということでございます。
○八幡委員 福岡大臣は、選挙には関係ないと。これまでも、私が同じような質問をしたときに、もう何回も、選挙には関係ない、関係ないと言ってきたんです。丁寧な議論がされたから遅くなったという主張だったと思うんですけれども、それにしても遅過ぎるし、重要広範なのに出てこないというのは、これは本当に国会の軽視だと私は思います。
きっちりこのことは議事録に残させていただいて、次の質問に参ります。
基礎年金の底上げについて、総理は本会議で昨日、今後も経済が好調であれば基礎年金の底上げ発動の必要性がないし、次の財政検証の結果で対応するから、今回の法案には基礎年金底上げを入れませんでしたと答弁をされておりました。
本当に、どこの世界線で生きている人なのかなと思って耳を疑ったんですが、現実が全く見えておられません。度重なる増税に加えて、物価高。基礎年金を満額でもらえても、現在、六万九千三百八円です。どうやって生活しろというのか。
さらに、非正規雇用が多いとされる就職氷河期世代が高齢化した際に低年金に陥ることを避けるためにも、本改正案は、当初、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、積立金を活用する、基礎年金の給付水準を底上げする案が盛り込まれておりましたが、しかし、政府・与党は、厚生年金の流用だとの批判を恐れたのか、提出された法案では基礎年金底上げ部分が削除されたというのが、マスコミの報道もありまして、世間でのこれが認識となっております。
この流用という定義については今日も皆さんで話題になりましたけれども、流用でも活用でも、要するに、冒頭大臣が御自分でおっしゃった、社会全体で支えていくんだという年金制度、公的年金の意義を無視しているということになると思うんです。
そうじゃないというんだったら、大臣はなぜ今回、基礎年金の底上げが改正案で入っていないと考えるのか。だって、私、朝からずっと聞いていますけれども、皆さん、どの政党も、多少の考え方の、細かいところは違うかもしれないけれども、絶対それはやった方がいいというのを皆さんがおっしゃっているじゃないですか。大臣も絶対に分かっているはずだし、やれるんだったらやった方がいいと思うんですよ。なのに、何で入っていなかったのか。また、低年金が多いとされる就職氷河期の人たち、その人たちを見捨てるんですか。
それを大臣に聞きたいんですけれども、昨日の総理と同じ答弁であればもう次に行くので答えなくていいんですけれども、何か違うものがあるんだったら教えてください。お願いします。
○福岡国務大臣 私も就職氷河期世代の一員でありまして、決して見捨てるという気持ちは全くございません。
そういった観点から、基礎年金の給付水準が低下するのは二〇三〇年代半ば以降ということでございます。そういう意味におきましては、元々提出をする予定だった中身におきましても、次期財政検証の後に発動の可否を判断するという形で盛り込ませていただいていたということでございまして、今回、私どもでその内容は抜きましたけれども、いずれにしましても、次の財政検証の内容を見て判断をするということについては、これまで予定していたことと変わるものではございません。
○八幡委員 しっかり答えていただいてありがとうございます。さすがに、何回も同じことを聞かれるから、もうペーパーを見ずにたらたらたらたら言えるようになって、しっかりと言葉が届きました。
まだ間に合いますから、大臣。厚生労働大臣として、石破総理を説得するぐらいの気概を持って、野党の意見、これをしっかり聞いていただきたいです。
続いて行きます。
本改正案、年金の改正案についてですが、昨年の財政検証を受けたものですが、そもそも、改正案の立法事実というのは、現在の社会的課題を解決するものでなくてはいけません。そこで、今の年金制度の現状を見ますと、まず、国民年金保険料の未納、滞納が増大し、いわゆる公的年金の空洞化が深刻な問題となっております。
二〇二三年度の国民年金保険料の納付率は七七・六%、徴収が二年目にずれ込んだ分、これは二〇二一年の分ですけれども、それを合わせた最終の納付率というのは八三・一%となっています。近年はこの納付率というのは向上しているというんですけれども、依然として二割近い未納。この未納というのは、二年の時効が過ぎたら滞納から未納になります。この二割の未納が存在している。
このほか、低所得による保険料免除を受けている人が、二〇二三年の数字で申し訳ないんですけれども、二三年度末時点で六百万人を超えている。これは全体の四割近くを占めています。
何度も私は申し上げているんですが、将来のために年金を納める余裕がない国民が多数いるということを、政府はまずは受け止めるべきだと私は考えます。
この空洞化問題、厚生年金でも深刻になっております。
厚生労働省のデータによりますと、厚生年金に未加入の事業者は全国で、令和六年九月末の時点ですけれども、約十五・八万件、労働者数で見ますと、令和五年三月末の時点になりますが、約九十七万人に上るとの推計がされております。
なぜ未加入なのかというところは事業者によっても理由が違うと思うんですけれども、保険料負担に耐え切れず廃業に追い込まれてしまうというケースもあります。中小零細企業への財政的な支援など、抜本的な改革が必要なことは自明であるということが同時に分かるデータだと思います。
そこで、政府にお伺いしたいんですが、本法案改正に当たりまして、公的年金の空洞化問題、これについてはどのように考えておられますか。お願いします。
○巽政府参考人 お答えいたします。
まず、国民年金の保険料の未納者対策につきましてでございますけれども、まず若年者に対する制度周知あるいは納付督励等の取組としましては、二十歳から二十五歳の若年未納者に対しまして年金制度の有用性を説明した専用チラシの送付、あるいは、未納者属性に応じた納付勧奨、督励としましては、学卒者あるいは退職者に対しまして納付のメリットを記載した催告文書あるいは納付書を送付する、長期未納者のうち、例えば無年金あるいは低年金が見込まれる五十歳以上の者に対しまして、納付結果に応じた年金見込額を記載した案内を特別に催告するというようなことを同封して送付しております。
ほかにも、納めやすい環境整備といたしましては、スマホの決済アプリによる納付、あるいはインターネットを利用した口座振替申請、そういったことで徐々に国民年金の保険料納付率が上がっている、そういうふうな状況でございます。
引き続き、年金機構と連携しながら取り組んでまいりたいと思っております。
もう一つ、事業主の厚生年金の適用逃れ対策につきましては、日本年金機構におきまして、先ほども話がございましたけれども、国税庁からの法人事業所情報等を日本年金機構が保有する適用事業所情報と突き合わせまして、そういったことにより、社会保険が未適用と思われる事業者を選定して、加入指導を行っているところでございます。
引き続き、そういうような事情がありましたら、適正な社会保険の適用がなされるよう、取り組んでまいりたいと思っております。
○八幡委員 いただいた御答弁の冒頭、ちょっと気になったのが、若い人の知識がないから払わないから説明せなあかんみたいなことがありますけれども、分かっていないのは政府だと思います。多分、払いたくても払えない状況、本当に若者の貧困というのは深刻になっておると思います。
そして、でも、それは個人の責任だから、しっかり催促して徴収しますよというような答えだったと思います。払わないとか払えない企業に対してもしっかりと対応するということなんですけれども、そもそもの、冒頭、何回も言いますけれども、公的年金制度の意義は社会的扶養でしょう。社会全体で支えることが大前提なんだということをやはり念頭に置いていくべきだと思います。
私自身も、アルバイトをしているときに、どうしても苦しくて、払込みが、年金、遅れてしまったときがあったんですよ。そうしたら、もうびっくりするぐらい早く電話がかかってくるんですね。すぐに電話がかかってくる、払ってくださいと。そこにはちゃんと理由があるし、払えていない自分が悪いし、ごめんなさいなんですけれども、何か力の入れ方を間違っているんちゃうかなと私は思いました。何か借金の取立てみたいなことに力を入れるのではなくて、もっとそもそもの根本を政府として一丸となって解決していく必要があるんじゃないかなと、自分の経験を思い出しました。
というか、年金もそうなんですけれども、高過ぎるんですよね、そもそもが。逆進性が強過ぎる。これの在り方については次回の質問に持ち越したいと思います。
次に行きます。被用者保険の適用拡大、いわゆる百六万円の壁の撤廃について質問をさせてください。
石破総理は、百六万円の壁を撤廃し、より手厚い年金を受けられるようにするという趣旨の答弁をされていますが、やはりこれは、昨日も言いましたけれども、手放しで喜べる法改正ではないと思います。
新たにおよそ二百万人が厚生年金の加入対象になる見込みですが、健康保険料と合わせると、給料からの保険料の天引きで手取りが平均で一五%程度減少するんですよね。現在の生活が苦しくなるというのが大多数の意見です。少なくとも私の耳にはそう届いております。
労使折半ですから、事業主側、特に中小零細企業からは、保険料の追加負担が経営を圧迫する、実質的な増税だとの批判も上がっております。従業員の賃金調査、新たに社会保険加入対象となる人のリスト作成、作ったりとか、手続が増加したり、労務管理の負担が増えるということも批判されております。
それらの観点からも、やはり私は百六万円の壁を撤廃すること、これは見直すべきだと考えるんですが、一千歩譲って、改正法案の中身を見てみました。百六万円の壁を撤廃することによって生じるこれらの実質的な負担増に配慮をして、適用拡大の対象となる短時間労働者などに対して、手取り減少を緩和するために、三年間、保険料負担を国の定める割合に軽減できる特例的、時限的な経過措置を設けると厚労省はしております。
このような緩和や制度的な支援というのは、物価高で苦しむ労働者の手取りを増やすことにもなりますから、三年間に限らず、柔軟に対応して、継続して実施するべきだと思います。世の中の経済状況を踏まえて、三年間を更に延長できるように、柔軟な対応を可能にするべきだと考えます。災害とか、コロナのときのような、ああいう疫病がまたはやるかもしれませんし、厚生労働省の見解をお知らせください。お願いします。
○間政府参考人 お答えいたします。
まず、適用拡大になった場合に負担とか給付がどう変わるのかという面で申し上げますと、それまで三号被保険者であった方が、社会保険が適用になって二号被保険者になった場合には、それまで御本人自ら保険料を払っておられなかったので負担が発生する、そして同時に、御本人の給付は、基礎年金だけじゃなくて報酬比例の厚生年金が出るということでございます。
他方で、それまで一号被保険者、例えばシングルの方でありますとか自営業、あるいはフリーランスで働いていた方が被用者保険が適用になりますよということになりますと、国民年金の保険料の水準からいきますと、おおむね、事業主負担が出る関係で、二号被保険者になりますと保険料の負担は半分近くになります。そして、給付は、基礎年金プラス報酬比例が出ますので、給付は厚くなる。こういった方が相当数いらっしゃるということはお伝えしなきゃいけないなというふうに思っております。
その上で、賃金要件の話につきましては、現在、二十時間という労働時間要件で考えますと、八・八万円あるいは百六万円という要件は、時給単価が千十六円でありますと、千十六円掛ける二十時間で、五十二週になりますと百六万円ぐらいになりますので、そうすると、自動的に今その地域で働く方々が全員適用になる、こういうことでございます。
こういうような地域が全国で今十二都府県あるということでございますが、今後、最低賃金が上がってきたときには、いずれかのタイミングで全都道府県が千十六円を超えた場合には、その地域で働く方々、皆様、二十時間以上働いた場合には社会保険適用になるということでございます。そうなったときに、賃金要件は実質的に意味がなくなるから撤廃するということで、無理無理やろうということではないということを一つ申し上げます。
その上で、済みません、話の前段が長くなりましたが、保険料調整制度の話ですけれども、これは、今回、その一方で企業規模要件というのを撤廃していこうということを考えているわけですが、この企業規模要件の撤廃などの対象となる、比較的小規模な企業で働く短時間労働者を対象としたものでございまして、この制度が適用になったときに、それまで働いていたときに、保険料は、例えば三号だったら払っていない、一号だったら一万七千円余り払っていただいていたというのが変わるわけですね、負担が。その変化に対してポジティブに捉える人も、一号から二号の場合にはあるでしょうが、三号から二号に変わられた場合には、えっ、それならこの会社で働いていられないわ、こういうこともあろうかと思います。
そういう変化、制度変更によって就業調整が増えるということのないようにしたい、このように考えて、適用拡大の際に、その適用拡大の対象となる比較的小規模な企業で働く短時間労働者に対して、社会保険料による手取りの収入の減少を緩和し、就業調整を減らし、被用者保険の持続可能性の向上につなげる観点から、それこそ特例的に、時限的に行うというふうにしたものでございます。その観点から三年ということでございます。
三年につきましては、結局、先ほどの別の方の御質疑でもありましたけれども、やはり、足下で最低賃金を上げていくということで、賃上げが大事だと思っています。そうした中で、賃金が上がっていくと、三年後には保険料の御負担をいただくようになって、本来の額を御負担いただくようになっても、その意味では手取りが以前とそう変わらない、あるいはそれより上がっているということも期待できるだろうというふうに考えております。また、年収の壁・支援強化パッケージのキャリアアップ助成金におきまして、三年間の取組で手取り収入を増加させるというメニューもあり、こうしたことも参考としてございます。
いずれにしても、政府全体としては、賃金が上げられるような環境をつくっていくということを真剣に取り組みながら、こうした制度についても運用していきたい、このように考えております。
○八幡委員 済みません、間さんは私に怒られたいんですか。長過ぎます。まあ、怒られたいと言われてもしゃあないんですけれども、三年につきましてはからでよかったです。ちょっと、るる長過ぎる。おしゃべりをされたいんだったら、私の部屋に来てレクチャーください。私の時間を奪い過ぎですね。
とにかく私が言いたかったのは、三年というのは個人にとっても事業者にとってもあっという間の話なんですよ。いろいろな社会情勢を見て、それを延長するべき、それぐらい緩和せなあかんやろということが言いたかっただけです。
もう時間がないけれども、この後、高速で言わないといけないじゃないですか。
在職老齢年金制度に行きます。
在職老齢年金制度というのは、もう説明を割愛します、五十万から六十二万円に引き上げるというものなんですけれども、これは、先ほど公明党の方もおっしゃいましたけれども、働きたい人は働いたらいいんです。だから、別に私はこれを否定するわけではないんですけれども、この国の方針として、高齢者にはまだまだもっと働いてもらおうぜという発想が根底にあるんじゃないかなと私はやはり思います。年金制度の最大の課題というのは年金の底上げにあるはずなのに、在職老齢年金制度の見直しが提起されてくるということ自体に何か課題の取り違えを感じます。人手不足の解消という理由も理解できるんですけれども、はっきり言って、元気な高齢者にばかり頼るなと言いたいです、私は。
何度も言いますが、働きたい人は働けるだけの、それを受け入れる世の中であるべきなんですけれども、私は、もっと抜本的に、今働く世代を支える必要があると思うんですが、この点について大臣はどう思われますか。お願いします。
○福岡国務大臣 在職老齢年金制度は、納めていただいた保険料に応じた給付を行うことが原則であります社会保険の例外的な仕組みでありまして、一定以上の賃金を得ている方に、例外的に、保険料納付に応じた本来の給付を受け取れない状態をお願いし、年金制度の支え手に回っていただくものです。
現行制度におきましては、年金を受給して以降もそれまでと同様の働き方をした場合には年金が支給停止されるような基準となっておりまして、世論調査に基づきますと、年金の支給停止を意識した一定の就業調整が行われている様子がうかがえます。
今回の改正は、少子高齢化の進行や人手不足を背景に、高齢者を含めて社会を構成する全ての方がより御活躍をいただきたいということで、元気な高齢者に頼るというような御指摘については、私どもは全くそういう考えはございません。支給停止の基準額を平均的な五十代の賃金に平均年収を足し上げた水準に見直すことで、高齢者の方々が年金の支給停止を意識せずに、より働きやすくする、このことを目的としております。
○八幡委員 私も今言っていただいた大臣の考え方を否定するわけではないですが、やはり社会の在り方として、年金だけでは生活ができないからアルバイトに出かけますという六十代とか七十代が確実に今存在していらっしゃるということをしっかりと大臣としても受け止めていただきたいんです。
今の高齢者は元気だからと、話をすり替えてはいけないと思います。一生懸命これまで働いて年金を納めてきても、低年金の人は自己責任でアルバイトをしなければ生きていけないというような、そんな世の中を私はやめていくべきだと思っております、これは年に限らずですけれども。今の経済、日本経済を立て直す必要というのも当然あるんですが、年金の底上げは今回の改革において絶対に必要だと思います。これはもうみんなで、ここの委員会にいる野党みんなが思っていることですので、是非それを受け止めていただきたいと思います。
そして、長い答弁ということも、これも国会の在り方について考えていかなあかんなと私は思いますので、その辺りもちょっと反省というか、必要なことは言っていただいていいんですけれども、私も想定していたものを今言えなかったりもしているので。これはれいわ新選組としても大きな問題とさせていただいて、質問を終わります。
ありがとうございます。
○藤丸委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
昨日の本会議に続いて、国民年金法改正案について質問します。
物価高騰が高齢者を始め国民の生活を圧迫しています。昨日の本会議でも紹介しましたけれども、低年金者、そして年金生活者の方は、お風呂の回数を減らして我慢しているとか、お米が高くて買えなくて麺類を多く食べているとか、あるいは、年金だけでは暮らしていけないので仕事を始めたとか、深刻な声が報道も通じてあちこちで上がっています。
日本の公的年金制度には、無年金と低年金という問題があります。特に女性の低年金は深刻で、十万円以下が八三%、五万円以下が二三%という状況です。
そして、東京都は、今年の夏の四か月間、水道基本料金を無償にすると発表しました。この背景には一体何があるのか。やはり、電気代は高いですよね。そして、エアコンの使用を抑えようとやはり意識が働きます。その結果、熱中症にかかって死亡する事例が昨年夏、相次ぎました。東京消防庁や都によると、六月から九月の熱中症による都内の救急搬送は七千九百九十三人だった。過去最高を記録して、死者は三百四十人に上ったということであります。
逆に、今年の冬は、寒くても重ね着して、そして背中に携帯懐炉を貼って、そして暖房代を節約したと。本当に爪に火をともすような生活、国民は今、経験しているわけなんですよね。だからこそ、安心の年金が必要ではないでしょうか。
低年金、そして無年金を始めとする年金生活者を物価高騰が直撃している現状、昨日は総理にも尋ねましたけれども、福岡厚生労働大臣の御認識をまず伺います。
○福岡国務大臣 低所得、低年金で厳しい生活を送っておられる方々がいらっしゃることは承知をしております。
その上で、社会保障制度では、所得や年金額の低い高齢者の方々には年金生活者支援給付金制度を設けておりまして、また、医療・介護分野における負担軽減措置などの施策によりまして、高齢者の方々の暮らしが安定するように引き続き努力してまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 大臣が今おっしゃった年金生活者支援給付金、これは後でまたお話しします。
高齢者が物価高騰で大変苦しんでいるということは大臣も認識されています。そして、マクロ経済スライド制が導入されて以降、年金の実質水準は八・六%引き下げられました。基礎年金の人だと、四十年間満額支払った方は、今年度は月額六万九千三百八円なんですよ。しかし、マクロ経済制度がなかったらどうなっていたのか。これは一つ押さえておく必要があるので、数字の確認です。
マクロ経済スライドがなければ、実質七万五千八百二十九円になっていたんですよね。住民税非課税世帯の年金生活者支援給付金、先ほど大臣がおっしゃいましたけれども、これを入れたとしても、実質的にマイナスになっているのではありませんか。いかがですか。
○藤丸委員長 間年金局長、ポイントでお願いします。
○間政府参考人 お答えいたします。
年金生活者支援給付金は、令和元年十月から始まった仕組みでございますし、個々人の状況により支給額が異なります。
今委員御指摘のような比較はなかなか難しいのでございますけれども、給付金の基準額の月額は約五千円でございます。それと、これまでの基礎年金に対するマクロ経済スライドによる影響を機械的に試算すると、給付金の方が額としては大きいんじゃないかと思います。
ただ、そうはいっても、基礎年金の給付水準の問題は重要でございますので、経済状況を見極め、次の財政検証結果を踏まえて、引き続き検討していきたいというふうに思っております。
○田村(貴)委員 いやいや、今、六万九千三百八円は、生活者支援給付金を入れても、実質的にはマイナスになっていますよ。これが現実です。
マクロ経済スライド制導入後の二十年間で、低年金者の家計所得はマイナスなんです。最初に大臣は、物価高騰で高齢者が苦労しているというふうに言われました。マクロ経済スライド制の期間中、高齢者の主たる収入である年金収入は実質額が下がるんですよね、実質額が下がる。昨日も総理はそのようにお認めになりました。
現役労働者について、政府を挙げて、物価高騰に賃金が追いつくように、このスローガンをずっと発していますよね。しかし、高齢者について、年金生活者については、物価高騰に年金が追いつかない、はるかに追いつかない。それでも仕方がないんだという立場を政府は取るんですか。この方針はおかしいんじゃありませんか。
本来、政府のやることは、貧困や窮乏から国民を救済するということが当たり前だと思うんですけれども、低年金者を含めて、貧困化とか、それから困窮化を進めていくマクロ経済スライド制による低年金になっていると言わざるを得ません。
なぜ、今働いている人たちは物価高騰に見合った賃金を掲げながら、年金生活者に対しては、物価高騰に見合った年金を支給するという考え方に立たないんですか。そのことについてお伺いします。
○福岡国務大臣 公的年金制度では、前年の物価等の変動に応じて年金額を改定することを基本としながら、現役世代の負担が過重なものとならないよう、マクロ経済スライドによりまして長期的な給付と負担のバランスを確保することで、将来にわたって持続可能な仕組みとしておりまして、こうした仕組みの下、年金を着実に支給していくことが重要だと考えています。
低所得層の高齢者に対しましては、こうした公的年金のみならず、社会保障全体で総合的に支援をしていくということが重要だと考えておりまして、先ほども申しました年金生活者支援給付金の支給、それだけに限らず、様々な形で経済的な支援を行っていきたいと考えております。
○田村(貴)委員 今回、年金法案を出されましたけれども、二〇二〇年改正法附則のマクロ経済スライドの検討規定にかかわらず、見直しを行いませんでした。従来の路線どおり、マクロ経済スライド制による年金削減を継続することになりました。これは一体、いつまで続けていくんですか。
過去三十年投影ケースで、厚生年金、基礎年金の調整期間終了は何年ですか。そして、調整期間終了後、厚生年金と基礎年金の所得代替率はどうなりますか。これは数字を答えてください。
○間政府参考人 お答えいたします。
令和六年財政検証に今回の法案の内容を反映した試算によりますと、委員御指摘の実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースでは、報酬比例部分は、終了年度は、二〇三〇年度、そして、それ以降、代替率は、その分が二四・六%、基礎年金は二〇五二年度で、それ以降は代替率が二七・一%、合わせますと、モデル年金の所得代替率は五一・八%と見込まれるところでございます。
○田村(貴)委員 これは、あと二十七年も続けていくんですか、今度法改正がなくて、あと二十七年間。五年後やめるとも言っていないんですよ。二十七年間もこんなことを続けていっていいんですか。
直近の所得代替率は、厚生年金で二五%です。基礎年金は三六・二%なので、厚生年金の報酬は一・六%削減にとどまるのに対して、基礎年金は二四・九%前後、およそ四分の三になっていくんですよね。基礎年金の比率が高い低年金の方ほど削減率が高くなっていきます。所得代替率が低くなることもそうなんですけれども、二〇五二年まで、今後二十七年間にわたって年金削減が続いていくんです。
二〇〇四年の制度導入後、これは半世紀ですよ。半世紀削減が続いていく、これがマクロ経済スライド制ですよね。来年、六十五歳になって年金支給が開始された方は、九十一歳まで続いていくんですよ。私が大体その世代になるんですけれども。これを聞いたら、皆さん、やはり、将来大丈夫なのかと思いますよね。
昨日、総理は、将来世代の負担が過重にならないようにとおっしゃるんですよ。それをずっと言い続けていくんですか。だったら、今、この間経験したことのない物価高騰ですよ。お米しかり、水光熱費しかり、食料品しかり、そして資材高騰。農家の方も、営業されている方も、みんな、この物価高騰で苦しんでおられるんですよ。塗炭の苦しみに遭っている、物価高騰で苦しんでいる方たち、この方たちは低年金で置き去りにしていいのかということなんです。
私は、そこにやはり政府が手だてを打たないというのは余りにも無責任だと思うんですけれども、将来世代の負担が過重にならない、その一言で片づけていいんですか、大臣。いかがですか。
○福岡国務大臣 まず、実際の年金の給付水準は今後の経済状況によって変わり得るものでありますから、政府としては、成長型の経済を目指しているということでございます。
今回の年金法案につきましても、被用者保険の適用拡大のほか、在職老齢年金制度の見直し、iDeCoの加入年齢の引上げということも盛り込んでおりまして、こういった対応を通じまして、高齢者の方々の暮らしの安定に努めてまいりたいというふうに思います。
また、再三議論があっていますように、就職氷河期世代以降の方が年金を受けるのは二〇三〇年代半ば以降でありますから、それまでも様々な支援策を講じながら、次期財政検証の結果を踏まえ、年金制度における対応が必要な場合には適切に検討し、必要な措置を講じていきたいと考えています。
○田村(貴)委員 これまでも、今の物価高騰対策でも効果がないから、自治体も上乗せ支援をしたり、やっているわけじゃないですか。そして、その物価高騰対策に対して、効果がない、そして評価できないと、国民は多くの方が世論調査でも訴えているではありませんか。将来経済がよくなる、そういう楽観的な希望を言っても、もう説得力はないですよ、この間の状況が示していますから。
基礎年金の割合が高い、低年金となる方が多い、その就職氷河期の方について見てみたいと思います。
例えば、一九七〇年度生まれ、現在五十五歳の方だと、調整期間終了後は八十二歳です。男性の平均余命は八十一歳です。女性は八十七歳なので、男性であれば生涯にわたって、また女性は年金受給期間中のほとんど、年金の削減が続いていくわけなんです。低年金であればあるほど、年金の削減割合は高くなるんです。一生涯ですよ。どこで節約しようかとずっと考えて、そして一生涯、必要なものが買えないねと我慢を強いられる。これで本当にいいんですか。
百年安心という言葉を私は昨日本会議質問でも言いましたけれども、年金に百年の安心と本当に言えるんですか。いかがですか。
○福岡国務大臣 政府として、百年安心という用語を用いたことはございません。そういった上で、制度として、マクロ経済スライド等の導入によりまして、制度的に今後もしっかり給付し続けられる、そういう制度とさせていただいているところでございます。
重ねてになりますが、生活が厳しい方がたくさんいらっしゃることは承知をしておりますので、そういった方々に対しましては、社会保障全体でお支えをしていくということでございます。
○田村(貴)委員 基礎年金について、やはりここは厚くしていかなければいけないというふうに思いますよ。
それから、政府として百年安心と言わなかったと言うけれども、安倍総理は答弁で言っていますよ。これはまた今後やりたいと思います。
マクロ経済スライド制は様々な問題があって、もう一つの問題は、このマクロ経済スライドの長期化によって、特に基礎年金の削減率が高くなるということについてです。
基礎年金は、四十年間保険料を納めて、月額六万九千三百八円です。実際には、満額支給されている方は多くありません。
基礎年金だけ受け取っている方の受給額は、今どうなっていますか。加入期間が二十五年以上の方と二十五年未満、それぞれの額を教えてください。
○間政府参考人 お答えいたします。
令和五年度末時点で基礎年金のみを受給している方の平均年金月額ですけれども、加入期間というのは、保険料を納付していただいた期間と免除された期間と年金額には反映されない合算対象期間というのを足し上げた年数で申し上げて、その年数が二十五年以上の方については約五万三千円、二十五年未満の方については約一万九千円となってございます。
○田村(貴)委員 五万三千円、二十五年以上掛けて。二十五年未満の方は一万九千円。とても生活できませんよね。
主たる収入が年金だけという方、所得の八割以上が公的年金だという方は、たしか厚労省の調査でも六割に上っているんじゃないですか。もう頼みの綱は年金だけれども、現役のときに年金を掛ける期間が短かった、理由があって掛けられなかったという方はいっぱいおられるんですよね。それで、二十五年掛けても五万三千円にしかならないという状況なんです。
基礎年金は、一九八六年、老後の基礎的な部分を保障するという説明で導入されました。当時の価格で一人月額五万円、そして夫婦で十万円というふうにされました。私も記憶にあります。今度、改正案で二百万人への適用拡大が入っています。これが行われたとしても、基礎年金は、マクロ経済スライド調整期間終了後は現在のおおむね四分の三程度の金額となります。
現在の加入期間二十五年以上の平均受給額、五万六千二百三十四円。先ほど五万三千円と言われましたけれども、この方は四万二千百七十五円になります。加入期間二十五年未満、平均一万九千三百七十三円。一万九千円の方は一万四千五百二十九円に減少するんですよね。減少するんですよ。この少ししかない基礎年金がまた下がるんですよ。
基礎年金だけに頼らざるを得ない方、一人五万円でも少ないと言われた議論があったのに、それに遠く及ばないこの額では、これは大臣、老後の暮らしは成り立たないじゃありませんか。どうするんですか。
○福岡国務大臣 先ほどから、委員、四分の三という数字をずっとおっしゃっていますが、まず、成長型経済では、基礎年金の底上げ措置がなくとも、将来の給付水準がおおむね維持されることが見込まれるところでございます。
加えて、今回の法案では、基礎年金も含め、将来の年金給付水準の充実につながります被用者保険の適用拡大などを盛り込んでおりまして、給付水準の確保、これにも取り組んでおります。
先ほども申しましたように、経済が好調に推移しない場合に、基礎年金の給付水準の低下が本格化しますのは二〇三〇年代半ば以降でありますから、今後の社会経済状況をしっかり見極めながら、次の財政検証の結果も見て必要な措置を講じていくこととしております。
○田村(貴)委員 基礎年金の減少は、大臣、あってはなりませんよね。基礎年金というのは本当に大事ですよね。ここが減らないように、政府としてちゃんと努力するんですか。
○福岡国務大臣 基礎年金が減らないというよりも、基礎年金が適正な水準を確保される、そういったことを目指してしっかり施策を講じていきます。
○田村(貴)委員 二十五年未満の方で一万九千円、適正な額とは全然言えませんよね。
配付資料を御覧いただきたいと思います。東京都立大学の阿部彩教授の試算による、年齢区分による貧困率の推移です。
二十歳未満の層、それから稼働年齢層である二十歳から六十四歳の貧困率は、二〇〇九年と二〇一二年をピークとする山形になっています。一方で、右端、六十五歳以上の高齢者は反対です。二〇〇九年、二〇一二年を谷として、貧困率は男女共に上昇傾向にあります。
先ほど示したように、厚生年金のマクロ経済スライドが終了した後は、基礎年金だけの削減が進んでまいります。基礎年金の比重が高い低年金の方の年金ほど削減が進んでいきます。低所得者の方の収入が下がれば、貧困率はおのずと上昇していきます。
マクロ経済スライドを続けていけば、すなわち、高齢者の貧困率の長期的な上昇を招くことになるのではありませんか。いかがですか。
○福岡国務大臣 将来の貧困率の見込みにつきましては、経済情勢等の様々な要因が影響することから、推計することは困難だというふうに考えております。
その上で、年金は老後生活の柱でありますから、年金の給付水準を保つことは大変重要なことだというふうに考えています。
先ほども申しましたように、年金の給付水準は今後の経済の状況によって変わり得ることから、成長型経済を目指すとともに、低所得の高齢者の方々に対しては社会保障全体で総合的に支援をしていくということが重要であるというふうに考えておりまして、そういった観点から経済的な支援を行ってまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 マクロ経済スライドが導入された二〇〇四年の財政の計算では、厚生年金と基礎年金のマクロ経済スライド調整は一致していました。二〇二三年には終了するとしていました。二〇〇九年の財政検証でも調整期間は一致していました。ところが、二〇一四年の財政検証から大きく乖離するようになって、二〇一九年財政検証でも同様で、調整期間が二十年以上乖離しています。今回の財政検証でもまた同様です。
調整期間の不一致が生じた理由についてお聞かせください。その理由は何ですか。財政の計算、検証の経過を見てみますと、二〇〇四年、二〇〇九年で一致したのは、これはまたたまたまで、違うのがむしろ当たり前のようにも思うんですけれども、いかがでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
平成十六年の財政再計算、当時は再計算と言っておりましたが、及び法改正時においては、国民年金保険料及び厚生年金保険料率を固定し、一定の社会経済前提の下で計算を行ったところ、当時の基準ケースというものにおいて、結果として基礎年金と報酬比例部分のマクロ経済スライドの調整終了年度が一致して、当時は二〇二三年となっていたものでございます。
その後、デフレが続く中、当時想定していた社会経済と実際の状況に乖離が生じてきた結果、基礎年金と報酬比例部分のマクロ経済スライド調整終了に差が生じたというようなことだと私どもは理解をしております。
○田村(貴)委員 長期的に見れば、高齢者の労働参加率など経済前提が変われば、これはまた変わってくるのは当然だと私も思いますよ。
基礎年金と厚生年金がそれぞれ独立し合って、マクロ経済スライドによって財政均衡を図る仕組みが調整期間の不一致をもたらしたのではありませんか。これが根本原因だと思います。
そして、基礎年金勘定が不足して基礎年金の調整期間が長期化して、そのために厚生年金の基礎年金拠出金が低下してきた。そのため、厚生年金勘定の財政状況がよくなり、厚生年金の調整期間が短縮するという基礎年金拠出金の仕組みにも問題があります。
基礎年金だけが長期化するのが問題とおっしゃるのであれば、この仕組みを変えていかなければならないと思います。基礎年金部分と、そして厚生年金部分、この問題、この仕組み、やはり検討していく必要があるんじゃないでしょうか。
○福岡国務大臣 委員御承知のとおり、基礎年金と報酬比例部分のマクロ経済スライド調整を同時に終了し、基礎年金の底上げを図る措置についても、政府としても検討をしておりましたが、様々な御意見があったことから、今回の法案ではその具体的な仕組みは規定していないところでございます。
今回の財政検証の結果、年金財政は前回改正時よりも好転が見込まれておりまして、経済が好調であればこの措置は発動の必要がないものである一方で、年金の給付水準は今後の経済状況によって変わり得るものでありますから、二〇二九年に行われる次の財政検証の結果によって適切に検討し、必要な措置を講じてまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 減り続ける年金、食べていけない年金、生活できない年金、それをつくっているのがマクロ経済スライド制ですよね。これを直ちに停止することを強く求めて、次の質問は次回に移りたいと思います。
今日の質問は終わります。
―――――――――――――
○藤丸委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、来る二十七日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る二十三日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時十五分散会