第22号 令和7年5月28日(水曜日)
令和七年五月二十八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 藤丸 敏君
理事 上野賢一郎君 理事 古賀 篤君
理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君
理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君
理事 梅村 聡君 理事 浅野 哲君
安藤たかお君 井野 俊郎君
今枝宗一郎君 大西 洋平君
草間 剛君 後藤 茂之君
小森 卓郎君 坂本竜太郎君
佐々木 紀君 塩崎 彰久君
島田 智明君 鈴木 隼人君
田畑 裕明君 田村 憲久君
中曽根康隆君 根本 拓君
長谷川淳二君 平口 洋君
深澤 陽一君 福田かおる君
向山 淳君 森下 千里君
山田 賢司君 吉田 真次君
若山 慎司君 池田 真紀君
大塚小百合君 大西 健介君
酒井なつみ君 階 猛君
宗野 創君 堤 かなめ君
中島 克仁君 長妻 昭君
道下 大樹君 宮川 伸君
山井 和則君 柚木 道義君
阿部 圭史君 池下 卓君
猪口 幸子君 福田 徹君
森ようすけ君 沼崎 満子君
浜地 雅一君 高井 崇志君
八幡 愛君 田村 貴昭君
…………………………………
厚生労働大臣 福岡 資麿君
厚生労働副大臣 鰐淵 洋子君
厚生労働大臣政務官 安藤たかお君
厚生労働大臣政務官 吉田 真次君
政府特別補佐人
(内閣法制局長官) 岩尾 信行君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長) 伊澤 知法君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房年金管理審議官) 巽 慎一君
政府参考人
(厚生労働省雇用環境・均等局長) 田中佐智子君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 日原 知己君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 鹿沼 均君
政府参考人
(厚生労働省年金局長) 間 隆一郎君
政府参考人
(厚生労働省政策統括官) 朝川 知昭君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
―――――――――――――
委員の異動
五月二十八日
辞任 補欠選任
安藤たかお君 井野 俊郎君
草間 剛君 向山 淳君
塩崎 彰久君 中曽根康隆君
長谷川淳二君 小森 卓郎君
森下 千里君 大西 洋平君
大塚小百合君 階 猛君
長谷川嘉一君 道下 大樹君
八幡 愛君 高井 崇志君
同日
辞任 補欠選任
井野 俊郎君 安藤たかお君
大西 洋平君 島田 智明君
小森 卓郎君 長谷川淳二君
中曽根康隆君 今枝宗一郎君
向山 淳君 草間 剛君
階 猛君 大塚小百合君
道下 大樹君 長谷川嘉一君
高井 崇志君 八幡 愛君
同日
辞任 補欠選任
今枝宗一郎君 山田 賢司君
島田 智明君 若山 慎司君
同日
辞任 補欠選任
山田 賢司君 塩崎 彰久君
若山 慎司君 坂本竜太郎君
同日
辞任 補欠選任
坂本竜太郎君 森下 千里君
―――――――――――――
五月二十八日
精神保健医療福祉の改善に関する請願(青山大人君紹介)(第一四二四号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第一四二五号)
同(阿久津幸彦君紹介)(第一四二六号)
同(井坂信彦君紹介)(第一四二七号)
同(小沢一郎君紹介)(第一四二八号)
同(神谷裕君紹介)(第一四二九号)
同(川原田英世君紹介)(第一四三〇号)
同(小山千帆君紹介)(第一四三一号)
同(高松智之君紹介)(第一四三二号)
同(たがや亮君紹介)(第一四三三号)
同(田中健君紹介)(第一四三四号)
同(寺田学君紹介)(第一四三五号)
同(西川厚志君紹介)(第一四三六号)
同(深作ヘスス君紹介)(第一四三七号)
同(福島伸享君紹介)(第一四三八号)
同(升田世喜男君紹介)(第一四三九号)
同(八幡愛君紹介)(第一四四〇号)
同(屋良朝博君紹介)(第一四四一号)
同(早稲田ゆき君紹介)(第一四四二号)
同(大石あきこ君紹介)(第一四九九号)
同(藤原規眞君紹介)(第一五〇〇号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一五〇一号)
同(重徳和彦君紹介)(第一五一五号)
同(米山隆一君紹介)(第一五一六号)
同(菊田真紀子君紹介)(第一五六一号)
従来の健康保険証を残すことを求め、マイナンバーカード取得の強制に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四四三号)
同(志位和夫君紹介)(第一四四四号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一四四五号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第一四四六号)
同(田村貴昭君紹介)(第一四四七号)
同(田村智子君紹介)(第一四四八号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一四四九号)
同(本村伸子君紹介)(第一四五〇号)
安全・安心の医療・介護の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四五一号)
同(津村啓介君紹介)(第一四八五号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一四八六号)
パーキンソン病治療研究支援及び医療費助成制度の改善に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四五二号)
国立病院の機能強化に関する請願(大西健介君紹介)(第一四五三号)
同(佐々木ナオミ君紹介)(第一四九一号)
同(津村啓介君紹介)(第一四九二号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一四九三号)
従来の健康保険証を使い続けられるよう求めることに関する請願(神谷裕君紹介)(第一四五四号)
同(川原田英世君紹介)(第一四五五号)
同(杉村慎治君紹介)(第一四五六号)
同(高井崇志君紹介)(第一四五七号)
同(武正公一君紹介)(第一四五八号)
同(野間健君紹介)(第一四五九号)
同(三角創太君紹介)(第一四六〇号)
同(枝野幸男君紹介)(第一四九四号)
同(福田昭夫君紹介)(第一四九五号)
同(吉田はるみ君紹介)(第一四九六号)
同(森田俊和君紹介)(第一五一一号)
同(米山隆一君紹介)(第一五一二号)
同(梅谷守君紹介)(第一五五九号)
同(緑川貴士君紹介)(第一五六〇号)
難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願(馬場伸幸君紹介)(第一四六一号)
同(大石あきこ君紹介)(第一四九七号)
同(木原稔君紹介)(第一四九八号)
同(荒井優君紹介)(第一五一三号)
同(尾辻かな子君紹介)(第一五一四号)
最低賃金全国一律制度の法改正を求めることに関する請願(津村啓介君紹介)(第一四八七号)
人権を保障する福祉職員の賃金と職員配置基準を引き上げることに関する請願(佐々木ナオミ君紹介)(第一四八八号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一四八九号)
国民を腎疾患から守る総合対策の早期確立に関する請願(堀川あきこ君紹介)(第一四九〇号)
従来の健康保険証を残すことに関する請願(松尾明弘君紹介)(第一五五三号)
誰もが安心できる年金制度への改善を求めることに関する請願(青山大人君紹介)(第一五五四号)
同(岡田華子君紹介)(第一五五五号)
同(野間健君紹介)(第一五五六号)
同(松下玲子君紹介)(第一五五七号)
同(柳沢剛君紹介)(第一五五八号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五九号)
――――◇―――――
○藤丸委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
この際、本案に対し、田村憲久君外七名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属及び公明党の三派共同提案による修正案が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。井坂信彦君。
―――――――――――――
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○井坂委員 ただいま議題となりました社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
昨年の財政検証によれば、過去三十年の状況を投影した経済前提では、マクロ経済スライドによる給付調整は、報酬比例部分は二〇二六年度に終了する一方、基礎年金は二〇五七年度まで継続する見込みとされています。現行の仕組みのままでは、基礎年金のみ給付調整が続くことになり、基礎年金の給付水準が長期にわたって低下してしまいます。
基礎年金の給付水準の低下は、中低所得層ほど影響が大きく、今後、低年金により生活に困窮する者の増加が懸念されるだけでなく、就職氷河期世代を含む現役世代や若者の将来の基礎年金部分を含めた厚生年金の受給額の低下を招くものであります。
このため、二〇二九年に予定される次期財政検証において、将来の基礎年金の給付水準が低下すると見込まれる場合には、将来世代の基礎年金の給付水準の向上を図るため、報酬比例部分のマクロ経済スライドを継続し、基礎年金と報酬比例部分の調整期間を一致させ、公的年金全体として給付調整を早期に終了させる必要があります。
また、報酬比例部分の給付調整を二〇三〇年度以降も続けることで、この期間中に老齢厚生年金を受給する者の年金水準が低下することになるため、この影響を緩和するための措置を講ずる必要があります。
こうした認識の下、基礎年金の底上げを図るため、本修正案を提出いたしました。
次に、本修正案の内容について御説明申し上げます。
第一に、政府は、今後の社会経済情勢の変化を見極め、この法律の公布の日以後初めて作成される財政の現況及び見通しにおいて、国民年金法に規定する調整期間の見通しと厚生年金保険法に規定する調整期間の見通しとの間に著しい差異があり、公的年金制度の所得再分配機能の低下により老齢基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合には、老齢基礎年金又は老齢厚生年金の受給権者の将来における老齢基礎年金の給付水準の向上を図るため、国民年金法第十六条の二第一項の調整と厚生年金保険法第三十四条第一項の調整を同時に終了させるために必要な法制上の措置を講ずるものとし、この場合において、給付と負担の均衡が取れた持続可能な公的年金制度の確立について検討を行うものとする規定を追加すること。
第二に、政府は、この調整を同時に終了させるために必要な法制上の措置を講ずる場合において、老齢基礎年金の額及び老齢厚生年金の額の合計額が、当該措置を講じなかったとしたならば支給されることとなる老齢基礎年金の額及び老齢厚生年金の額の合計額を下回るときは、その影響を緩和するために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする規定を追加すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○藤丸委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○藤丸委員長 この際、お諮りいたします。
原案及び修正案審査のため、本日、政府参考人としてこども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長伊澤知法君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官巽慎一君、雇用環境・均等局長田中佐智子君、社会・援護局長日原知己君、保険局長鹿沼均君、年金局長間隆一郎君、政策統括官朝川知昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○藤丸委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。福田かおる君。
○福田(か)委員 自由民主党の福田かおるです。
年金制度には不信感が蔓延しております。受給している御高齢者の方々からは、年金が少ない、こんなので生活ができるわけがないというお声をよくいただいています。同世代や下の世代からは、社会保険料が重い、給与明細を見てびっくりする、払ったけれども自分たちがもらえると思えないとお声をよくいただいております。
年金で最低限度の生活が保障されているわけではありません。それなのに、毎月たくさんのお金が給料から引かれています。
そもそも、年金制度とは、国民生活の何を保障しようとしている制度なのでしょうか。老齢年金の制度は、高齢者の生活の何を保障しようとしている制度なのか。まずは、改めて制度の目的をお伺いいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
公的年金制度は、長生きや障害、それから死亡によって生活の安定が損なわれることを防ぐため、世代間扶養の仕組みを基本として、賃金や物価の動向に応じた給付を一生涯支給するものでございまして、国民生活を支える柱の一つと考えてございます。
このような役割、機能は、国が運営に責任を持つ公的年金だからこそ果たすことができるものでございまして、将来にわたり現行の社会保険方式による国民皆年金を堅持し、少子高齢化が進む中にあっても持続可能なものとして国民の皆様の信頼を得、また、その信頼に応えていくことが大変重要だと考えてございます。
○福田(か)委員 制度を支えている財源は、働いている方々などが納めている保険料だけではありません。雇用している企業からの保険料、さらには国庫負担金も入れて何とか運用されていると承知しています。国庫負担金は何らかの形で国民も負担しています。年金は支え合う助け合いの制度であるからこそ、制度設計に対する不信感が蔓延しては成り立たなくなってしまいます。
しかしながら、年金制度を勉強していると、不信感を持たれてしまうのももっともだと思う部分もございます。なぜなら、年金制度について本当によく御存じの方々は、決して将来世代が幾らもらえるのかについて明確に回答してはくださりません。
年金という名前から私たちが想像するものと、公的年金として実際に運用されているものが、かけ離れ過ぎているのが現状のように思います。年金保険料で徴収されているものを自分で積立てや投資に回したらもっと将来設計ができるのにと、若い世代にそんなふうに思われてしまうのも当然な部分があります。
不信感に向き合い、誠実に応え、よりよい制度にしていくために確認し続けなければいけないことは二つあると考えています。
一つ目は、給付が適切な水準になっているのかということ。生活の安定が損なわれている人がいるのではないか、また逆に、困っていない方々に払い過ぎているのではないかということです。そして二つ目は、負担が過度なものになっていないかということです。現行の制度の枠にとらわれ、こうした本質を見失ってはいけないと考えています。
まずは一つ目の、給付が適切な水準となっているのかから確認させていただきたいと思います。
生活の安定を損なわない、先ほども言及いただきましたが、具体的に目指している給付の水準はどの程度になるのでしょうか。どのような指標で評価しているのかも併せてお伺いいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
我が国の公的年金制度は、定額の基礎年金と報酬比例の厚生年金を組み合わせることで、現役時代の所得が低かった方の年金を手厚くする所得再分配機能も有しております。現役時代の所得が低かった方の年金を手厚くし、高齢期の所得を増やし、貧困を防止する所得再分配の機能を有してございます。
水準でございますけれども、法律上、給付水準は、いわゆるモデル年金において所得代替率五〇%を維持しという指標を規定し、これをお約束する形で、現役時代の所得の一定程度を年金で賄う仕組み、このようになっております。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
所得代替率は、年金財政の状態を過去と同じ指標で評価するという点では意味があると思っています。しかしながら、人々の生活がどうなっているのかは測れないと思います。所得代替率では、年金が生活に必要な最低限をカバーしているのかは分かりません。
現在、六十五歳以上の生活保護を受けておられる方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。また、老齢年金だけでは生活できず、老齢年金に加え、生活保護を受給しながら何とか生活をしておられる方はどれくらいいらっしゃいますか。
そして、今後こういった方々の人数はどうなっていくのかという見通しも併せてお伺いさせていただきます。
○日原政府参考人 お答えを申し上げます。
直近の令和五年七月時点の六十五歳以上の生活保護受給者でございますけれども、百四万六千三十八人となってございます。そのうち年金を受給している方は七十五万二千六十五人となってございまして、年金を受給されている方の割合は七一・九%となってございます。
それからもう一点、生活保護の将来の受給状況についてお尋ねをいただきましたけれども、こちらにつきましては、世帯構成の変化ですとか経済情勢、また個人の資産の状況や扶養関係など、様々な要素の影響を受けますことから、こうした点を踏まえて推計を行うことは難しいというふうに考えてございます。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
現役時代の収入が少ないために年金保険料の免除を受けた、こういうケースでは年金額が減額されてしまうと承知しています。こうしたことから、いわゆる就職氷河期世代の中には、満額の年金を受け取ることができないだろう人も少なからずいらっしゃるかと思います。
今後の見通しについて、経済状況や様々な条件によるというのはそのとおりだと思います。しかしながら、年金の財政検証も、仮定を置きながら、過去三十年投影ケース、成長型経済移行ケースとモデルを回して実施されています。必要な情報を集め、仮定を置き、推計することは行ってもいいのではないでしょうか。
年金が生活の安定のための制度である以上、その制度によって生活の安定が担保できるのか、どれくらいのギャップがあるのか、年金に加えて生活保護が必要となる場合、国庫からの歳出はどのようになるのか、こうした社会経済分析が、給付水準をどの程度とするのが適切であるのか議論する前提として、必要なのではないでしょうか。こうした分析も未整備のまま議論が行われてしまうと、制度として信頼を得ることはできないのではないかと思っています。
生活保護は、六十五歳で単身だと、居住地などにもよりますが、基準額が六・八から七・八万円だというお話が委員会でもありました。これに家賃や医療費の支援などがあると承知しております。
年金の場合は、先ほど御言及もありましたが、貯金などの資産が勘案されて金額が決まるわけではないので、単純に生活保護と比較はできないと理解しております。とはいえども、現在、基礎年金の金額は満額だと六・九万円です。
では、例えば、老齢年金の金額が七万円未満で受給している方は、国民年金、厚生年金を合わせてどれくらいいらっしゃるのでしょうか。
また、現在価値の七万円未満で年金を受給する方々は、例えば十年後や二十年後、それぞれどの程度の人数になるのでしょうか。お伺いいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
令和五年度末時点において年金月額が七万円未満の方、今委員御指摘になられたように老齢基礎年金満額相当という意味だと思いますが、老齢基礎年金のみの受給権者で申し上げると四百四十五万人でございます。また、老齢厚生年金の受給権者では八百七十七万人。要するに、老齢厚生年金受給者は八百七十七万人でございますが、今申し上げた八百七十七万人の中には、老齢基礎年金の支給開始年齢の六十五歳に到達する前に、報酬比例部分だけ受け取られる特別支給の老齢厚生年金の受給権者約百九十五万人のうちの相当数が含まれることには御留意が必要かと思っています。
その上で、将来のことでございますが、年金受給者全体の年金額分布については、そのものは作成しておりませんけれども、令和六年財政検証において初めて実施した年金額の分布推計で申し上げますと、これは現行制度のままだとした場合でございますが、十年後の二〇三四年度に受給開始する一九六九年度生まれの方については、実質一%成長を見込んだ成長型経済移行・継続ケースでは全体の一五・六%の方が、また、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースでは全体の一八・四%の方が、六十五歳時点の老齢年金額が月額七万円未満になる見通しとなってございます。
また、二十年後の二〇四四年度に受給を開始する一九七九年度生まれの方については、成長型経済移行・継続ケースでは全体の七・九%の方が、過去三十年投影ケースでは全体の一八・六%の方が、月額七万円未満となる見通しとなっております。
このように、経済の影響があるということを見ていただけると思います。
以上でございます。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
重複のない公的年金の実受給権者数は四千万人くらいと承知していますが、お答えいただいた人数は、比較しても、かなり多いように思います。
年金と生活保護では目的や性質が異なるというのは理解しておりますが、仮に年金受給者の一割や二割の人が生活保護も受けているといった事態になったとき、年金制度は正しく機能していると言えるのでしょうか。こういったことには目配りをしなくていいのでしょうか。生活の安定が損なわれない水準の年金をもらえる状態かを、所得代替率で測ることはできないと思います。ほかの指標も要るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
改めて、生活保護と年金の関係につきまして御説明をさせていただきたいと思いますが、生活保護は、年金を含めた収入や資産、働く能力など、あらゆるものを活用した上でもなお生活に困窮する方を対象に、最低限の生活を保障する最後のセーフティーネットとなっております。
一方、老齢基礎年金は、現役時代に構築した生活基盤や貯蓄等を合わせて、老後に一定の水準の生活を可能にするという考え方で設計されておりまして、収入や資産にかかわらず、保険料の納付実績に応じた給付が権利として保障されるものでございます。
このように、それぞれ役割や仕組みが異なりますので、所得代替率の妥当性を含めまして、両者の給付水準の単純な比較を行うことは適切でないと考えております。
その上で、昨年七月に公表いたしました財政検証では、従来の所得代替率の算出に加えまして、新たに個人単位の将来の年金額の分布推計を行ったところ、労働参加の進展によりまして、厚生年金の加入期間の延伸等により、年金額が増加する傾向が確認されております。
今回の法案におきましても、こうした傾向の加速につながる被用者保険の適用拡大に取り組み、働き方に中立的な制度を構築しながら、給付水準の充実を図ることとしております。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
所得代替率は、結局、年金制度の財政状況を測る指標であって、年金受給者の生活状況を表す指標としては十分ではないと思っております。また、所得代替率の土台となっている高齢者世帯のモデルは、サラリーマンと専業主婦が四十年間連れ添っているという内容で、標準的なモデルとは既に言い難い状況になっているかと思います。
生活者の視点から見れば、私たちは幾ら年金が必ずもらえるのか、自分で幾ら積み立てておかなければいけないのかという、老後の設計のベースラインとなる公的年金からの約束、これがない状況だと思っています。具体的に目指しているベースラインの年金水準なしに、高い低いという評価をし、制度改正を行うことができるのか、極めて疑問に思っています。
給付額が将来的に全員高くなるように改正すれば、少なくとも今よりよくなるだろうというのは、とても乱暴だと思います。制度の裏には、働いている人たちの負担、企業の負担、高齢者の方々も含めて、消費税なども財源とした国庫の負担、本当に多くの負担があります。だから、給付額が高くなればなるほどいいというものではないのがこの制度ではないでしょうか。この点は強く申し上げたいと思います。
一方、低過ぎて生活の安定が阻害される人たちが多く出てはいけません。私は、生活扶助の基準額は、一つの参考にはなると思っています。昨日の参考人質疑でも、生活保護費も含めた社会保障給付費全体での判断が必要ではないかといった御指摘もございました。生活の安定を損なわないボトムラインの給付水準という観点から、制度を評価する指標を検討いただきたいと思います。
今回の制度改正でできることは早急に実行しつつも、幾つかの年金制度の取り得る改正のシナリオごとの分析、給付される年金と生活コストとの比較、そして必要になり得る生活保護の国家歳出の見立ても含め、既存の年金制度の枠組みにとどまらない分析に早急に着手していただきたいと思います。先ほど副大臣からも御言及いただきましたが、財政検証では新たな取組もできると承知しています。どうかよろしくお願い申し上げます。
さて、冒頭申し上げた二つ目、負担が過度なものになっていないのかについて議論させていただければと思います。
年金制度は、適切な水準の給付がなされているのかということと、過度な負担になっていないかということ、この二つを同時に実現するところに難しさがあると思っています。
先週、実質賃金の発表があり、本委員会でも話題となっておりましたが、三年連続のマイナスとなってしまいました。実質賃金は伸びていない、過去の委員会で私自身の質疑でも確認させていただいておりますが、若い方々の経済状況は大変に厳しいものがあります。そんな中で、日本経済を支えてきた大企業における整理解雇のニュースも出てまいりました。先行きの不透明さに拍車をかけています。
目下、こうした経済状況の中、負担を増やす改正が適切であるのか、給付の増加をすることが適切なのか。適用拡大については多くの方々が議論してくださっているので、今日は、まずは、標準報酬月額の引上げ、そして在職老齢年金の見直しから確認させていただきたいと思います。
まずは、標準報酬月額の引上げについてです。
納めるべき保険料を決める基準、標準報酬月額、現在、この標準報酬月額の上限は六十五万円となっています。すなわち、月に七十万円稼いだとしても、百万円稼いだとしても、支払う保険料は同じになっているということです。今回、この上限額を六十五万円から七十五万円に段階的に引き上げ、負担いただく保険料を増やす案になっております。
先ほど、実質賃金の状況についても言及させていただきました。現下の経済状況を踏まえ、保険料を引き上げるとしたことは適切なのでしょうか。段階的としていますが、趣旨はどういったことでしょうか。
また、本改正により、年間の保険料の負担は労使双方合わせてどの程度増えるのかも含め、お伺いしたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
厚生年金の標準報酬月額につきましては、男性では、最高等級である六十五万円に該当する方が全ての報酬等級の中で一番多くなっておりまして、こうした方々は、今委員からも御指摘がありましたように、実際の賃金に占める保険料の割合を考慮すると、他の被保険者よりも低い負担水準となっています。
今後も賃金の継続が見込まれる中で、こうした方々につきましても、世代内の公平を図る観点から、負担能力に応じた負担をお願いし、また、これにより、御本人の年金水準が向上することはもちろん、所得再分配機能が働き、年金額の低い方も含めて、厚生年金制度全体の給付水準を向上させる、そういう機能を果たすことから、改正を行うこととしたものでございます。
そして、どのようなスケジュールでといったようなこともお問いかけがありました。今般の法案における標準報酬月額上限の見直しに当たっては、その影響が急なものとならないよう、段階的に施行することとしております。
具体的には、令和九年九月に六十五万円から六十八万円に上限を上げ、令和十年九月に六十八万円から七十一万円に引き上げ、令和十一年九月に七十一万円から七十五万円に段階的に引き上げることとしております。
具体的に申し上げますと、例えば、六十五万円に該当していた方が最終的に七十五万円に該当するというふうになった場合に、社会保険料控除も考慮した実質的な負担は、初年度で月額約千八百円増加いたします。二年度目は、前年比で月約千九百円増加いたします。三年度目は、前年比で月二千四百円増加するというふうに見込んでおります。なお、これに伴って、厚生年金の保険料率は全く変わっていないということでございます。
また、今回の上限引上げに伴う保険料収入は、労使双方合わせますと四千三百億円と見込んでいるところでございます。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
月六十五万円というのは、都心部においては決して高所得ではないケースもあるように思っています。実質賃金が上がらない、子供を育てている、子供には習い事も通わせてあげたい、切り詰めている、こんな方もいらっしゃるかと思います。
本来の賃金に応じた御負担や世代内の公平、先ほども言及いただきましたが、こういったことも言われております。年金は助け合いの制度であり、高所得の方々に所得保障、再分配機能の強化にお力をいただくということは理解できます。一方、そうであるならば、上限が七十五万円でいいのかという疑問も生じます。健康保険の場合は、月百三十九万円までの五十等級に分かれています。年金保険料についてもより等級、階層を多く設計し、世代内の公平を強化することも考えられますが、この点についてお伺いいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
更なる引上げについてどう考えるかということでしたけれども、今回の上限見直しの考え方を改めて申し上げますと、収入のある方にかかる厚生年金の実効的な負担率が、本来の保険料率である一八・三%に比べて、上限に該当する方が結果的に低い水準となっております。こうした上限に該当する方が男性では一〇%弱、男女平均でも六%強程度おられることから、世代内の公平の観点から一定の見直しが必要と考えております。
その上で、その先の話でございますけれども、今回、七十五万円に引き上げるということと併せて、今後の上限額の改定の一般的なルールとして、賃上げが進むことなどにより上限に該当する方が四%を超えたときには、標準報酬月額の上限を上げることができるルールを設けることとしてございます。これによって、更に世代内公平が確保できるように取り組んでいきたいと考えております。
その上で、その更に先というお話であれば、今後、標準報酬月額の上限を更に引き上げることについては、保険料を労使折半で御負担いただく事業主も含めた関係者の御理解を考慮しつつ、社会経済状況を見ながら引き続き検討する必要がある、このように考えてございます。
○福田(か)委員 標準報酬月額を見直すに当たっては、新たな負担が事業主の賃上げ努力に影響を与えてしまわないか、現役世代の手取りが減ってしまわないか、過度なものとはなっていないかといった点も大切だと思います。
標準報酬月額に基づく算定方法であるため、賞与と給与の配分を変えることで、保険料負担を低く抑えることができるという指摘もなされております。
今回の改正は、従前の仕組みに一つ階段をつけ加える改正と理解してはおります。しかし、適用拡大により、広く国民が加入者になることを踏まえれば、よりよい公平な負担の在り方を模索し、抜本的な見直しも今後も進めていっていただきたいことを申し上げさせていただきます。
次に、在職老齢年金について議論させていただきたいと思います。
現役世代の負担とのバランスを考え、現行制度では月に五十万円という基準を設け、年金、賃金の合計金額がこの基準を超えた場合、年金が減る、年金を一定程度我慢していただき、年金制度の支え手に回ってもらう、こういったことが行われていると承知しています。
今回の改正案では、この五十万円という基準を六十二万円に引き上げることにしております。給付される年金が増えるということになります。こうした改正は、所得代替率を引き下げる、すなわち、将来世代がもらう年金の水準が引き下がることにつながるという答申がされています。それにもかかわらず今回改正に踏み切った理由について、お伺いいたします。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
在職老齢年金制度につきましては、今委員からもおっしゃっていただきました、納めていただいた保険料に応じた給付を行うことが原則である社会保険の例外的な仕組みでございまして、一定以上の賃金を得ている方に年金制度の支え手に回っていただくものでございます。
現行制度につきましては、年金を受給して以降もそれまでと同様の働き方をした場合には、厚生年金が支給停止されるような基準となっておりまして、世論調査に基づきますと、年金の支給停止を意識した一定の就業調整が行われている様子がうかがえております。
今回の改正は、少子高齢化の進行や人手不足を背景に、高齢者の活躍の重要性が一層高まる中で、支給停止基準額を引き上げることで、高齢者の方が年金の支給停止を意識せず、より働きやすくすることを目的とするものでございまして、若い世代の方も高齢者の方も、働く意欲のある人が働きやすい社会の実現に向けて、引き続き努力をしてまいります。
なお、今回の制度改正全体でいいますと、将来の厚生年金の給付水準の確保に効果がある施策も盛り込まれておりまして、高齢者の就業が促進されることで、経済や社会、厚生年金の保険料収入にプラスの効果を及ぼすことも考えられておりますことから、在職老齢年金制度による影響のみで議論することは必ずしも適当ではないと考えております。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
五十から六十二万円の賃金を得て在職で御活躍中の御高齢の方々は、二十万人弱おられると承知しております。今回の改正でこの方々の年金は増えますが、この方々は本当に就業調整をしているのでしょうか。そういった方もおられる可能性はありますが、我慢をしてくださっているのみで、我慢しつつも就業調整を徹底して行っているのは、むしろ五十万円ぎりぎりの層の方々になってくるかと思います。
本改正によって解消される就業調整はどの程度になるのか、どのような業界でどのように労働力が増えるのかという試算やエビデンスはあるのでしょうか。お聞かせください。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
現在の在職老齢年金制度に対しまして、世論調査におきまして、厚生年金を受け取る年齢になったときの働き方に関する質問に対しまして、六十代後半の約三割の方が、年金額が減らないように就業時間を調整しながら会社などで働く、このような回答がございます。一定程度の高齢者は、年金が支給停止されないよう、在職老齢年金制度の存在を意識しながら働いている様子がうかがえております。
一方で、高齢者を取り巻く状況は様々でございまして、六十代後半では在職老齢年金制度の就業抑制効果は統計的に有意な結果を確認できてはおりませんが、業界の皆様の声として、従業員の就業調整の存在は聞かれております。多くの業界で人手不足が課題となっておりまして、高齢者も含めた人材確保の必要性が増している中で、高齢者の活躍を後押しし、できるだけ就業を抑制しない、働き方に中立的な制度としていくことが重要であると考えております。
○福田(か)委員 ありがとうございます。
実際に対象者の方々とお話ししていると、在職老齢年金制度自体に大変に大きな御不満をお持ちになっておられるのを感じます。これまで保険料を払ってきたんだから、本来もらうべきものをもらう、よく分かります。五十万円以上も月にお金が入ってくるなら年金が減ってもいいじゃないかということでないのも理解しております。
一方で、子供たち、お孫さんたちの世代の負担の上で成り立っているというお話をすると、そうなんだよね、うちの子も年金なんてきっともらえないと言っているので、若い世代が希望を持てるような社会にまずしてもらわないとと言ってくださる方々も多くおられます。
基礎年金が減っていく、厚生年金積立金を活用しよう、国庫負担金で底上げしよう、すなわちそれは、私たち、子供たち、お孫さんたちの世代の負担になっていきます。仮に底上げしたとしても、年金の額が生活保護の扶助水準と逆転しかねない方々もおられます。社会保険料の負担は重い、そんな困難な状況での改正になります。あえて将来世代の所得代替率を引き下げる効果がある改正事項が法案に入っているということは懸念がありながらも、先ほど言及いただきましたが、就業調整に大きな効果が見込めるということで提案されていると理解しております。
これまで再三申し上げてまいりましたが、この改正による人手不足を解消する効果については、マクロでのエビデンスが弱いと思われてしまっていることは再度指摘させていただきたいと思います。改正後、実際にどのような人手不足解消効果があったのか、政策効果をしっかりと分析し、国民の皆様にも御説明いただきたいと考えております。
年金制度には、冒頭申し上げましたとおり、大きな不信感がございます。生活の安定や社会の安定を支える大切な制度であるからこそ、この不信感を払拭し、信頼され、機能する制度へと変えていかなければいけません。
修正案の基礎年金の底上げについても本委員会で議論されておりますが、将来的に、二十歳の人も三十歳の人も、生涯で見ると夫婦で五百四十六万円年金が増えますと説明をされても、同世代から、だったら、今、五百四十六万円取るのをやめてほしい、自分で投資運用した方がいいという声を根強くいただいています。
国庫負担金も入れて底上げをするということは、結局、税金の負担が増えてしまうんじゃないのか、消費税減税と言っている人たちもいるけれども、こんなことばかりしていて大丈夫なのかとも言われています。適切な水準の給付が維持できるのか、そもそも適切な給付水準とは何なのか、現在の、そして将来の世代の負担は過剰なものになっていないのか。
今回の質問では、一つ、年金の給付を増やすのであれば、これは本当に生活が困る方々に対して行うべきであるということ。そして二つ目として、そのために必要な分析として、変わり行く世帯構造、今後増加することが予想される生活保護の扶助を受ける高齢者の方々の人数など、将来の年金制度を検討するに当たって重要な前提となる社会経済分析もまだまだ不足しているのではないかということを申し上げさせていただきました。
今回の改正は一里塚という発言も、同僚議員から議場でございました。年金制度の目的に立ち返り、急速な人口減少、高齢化の中でも、セーフティーネットとして信頼され、機能する制度へとつくり変えていくために、引き続き不断の見直しを行い、貢献していきたいということを申し上げ、質疑を終わらせていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、根本拓君。
○根本(拓)委員 自由民主党の根本拓です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
まず、これまで今回の法改正の中で余り議論されていなかったところについてお伺いをしていきたいと思います。
iDeCoの加入可能年齢の引上げについてなんですけれども、まず、このiDeCoの加入可能年齢の引上げの内容と制度改正の趣旨についてお願いいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
現在、iDeCoは、国民年金の被保険者のみ加入できるという仕組みでございまして、加入可能年齢は、国民年金一号被保険者の場合には六十歳、サラリーマンなど国民年金二号被保険者の場合には六十五歳と、働き方などにより差が生じている状況にございます。
今回の年金改正法案では、七十歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となるなど、高齢者の就業環境の変化や多様な働き方やライフコースに対応し、誰もが長期的に老後資産を形成することができるよう、その選択肢を増やすという観点から、iDeCoの加入可能年齢の上限を七十歳未満に引き上げることとしております。
○根本(拓)委員 ありがとうございます。
今のお答えでも少し触れていただきましたけれども、ちょっとそもそも論ということをお伺いしたくて、iDeCo、この制度の役割というのは何になるんでしょうか。また、iDeCoの利用状況というのについても教えていただきたいと思います。特に、二号被保険者に比べて将来の年金の給付水準が低くなる一号被保険者のiDeCoの利用状況、どれだけの方が使っているのか、それについても触れていただければと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
iDeCoは、公的年金の上乗せとして、老後の多様なニーズに対応するための老後の資産形成を支援する仕組みでございます。拠出する掛金が全額所得控除されるなど、手厚い税制優遇が設けられてございます。
利用状況でございますが、二〇二四年三月末時点において、iDeCoの加入者は約三百二十八万人となっております。その中で、iDeCoに加入できる国民年金第一号被保険者に占めるiDeCoの加入者の割合は約五%となっております。
○根本(拓)委員 ありがとうございます。
iDeCoの重要な機能というのは、特に年金の給付水準が低くなってしまう一号被保険者の方の老後の資産形成を補完するということだ、そこが重要な一つのiDeCoの役割だと思っているんですけれども、今の五%と聞くと、ちょっとまだ低いな、これからもうちょっと伸びてほしいなと思うところであります。
このiDeCoとよく比較される制度としてNISAというのがありまして、将来に向けた資産形成という点で類似の機能を持つ、違うものではあるんですけれども類似の機能を持つものとしてNISAがあって、これは二千五百万件以上の口座開設数がある。どうしてNISAとiDeCoでこれだけの差ができてしまうのか、iDeCoがNISAの域に達していない、近づいてもいない、これは何でなのかということについて、分析していることがあればお願いいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
御案内のとおり、NISAは家計の安定的な資産形成の支援を目的とした制度である一方、iDeCoは、公的年金の上乗せ部分として、老後に向けた資産形成を目的とした制度でございますので、その内容や対象者が異なっているところでございます。
具体的には、iDeCoは、まず、老後に向けた資産形成を目的として、公的年金制度に上乗せする制度でありますことから、加入できる方が、先ほど申し上げましたように、原則、国民年金の被保険者となっているということと、六十歳以降になるまでの中途引き出しは原則認められていないといった点がございます。
逆に言えば、そういった一定の制約があるわけでございますが、であればこそ、iDeCoはNISAと異なり、掛金が全額所得控除の対象になることで拠出時の所得税や住民税が免除される、こういったものでございます。
この意味で、両者を単純に比較することは難しいのでございますが、iDeCoの加入者数がNISAの口座開設数に及んでいない理由の一つとしては、制度の利用の要件のほか、制度の認知度が低いことが考えられますので、厚生労働省としては、引き続き、iDeCoの積極的な周知広報に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○根本(拓)委員 ありがとうございます。
まさに、これからどんどん利用者を増やしていった方がいいかなという制度であると私も思っています。先ほど福田委員の質問、そしてこの委員会での質問でもありましたけれども、やはり問題は基礎年金だけの一号被保険者の受給水準の低さということで、ここを補完するiDeCoの役割というのは今後ますます重要になってくると思います。
そこで、今、間局長からも少し御答弁いただきましたけれども、今後、利用拡大に向けてどういうことをしていけばいいのか。税制優遇なんかの点では、iDeCoはかなり手厚くやっているなという印象を私も持っておりますけれども、じゃ、さらに何をしていったら、これからiDeCoというものの利用が拡大していくのか。
先ほど御答弁でもいただきましたけれども、途中引き出しを例えばできるようにする。アメリカで類似の制度として四〇一kというのがありますけれども、これは一定のペナルティーとともに途中引き出しが可能になる。ちょっと、引き出すとその分引かれちゃうという、その分というか、少し引かれて引き出せるという、ざっくりとそういう制度になっていると理解しているんですけれども、例えばこういう途中での引き出しを可能にするなどしてiDeCoを使いやすくする、こういうことも考えられるんでしょうか。副大臣、よろしくお願いいたします。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
iDeCoは、拠出や引き出しが自由な貯蓄とは異なりまして、公的年金の上乗せ部分として、老後に向けた資産形成のための自主的な取組を支援することを目的としていることから、先ほど局長の方からも答弁がありましたとおり、原則として六十歳到達前の中途引き出しは認められておりません。
iDeCoを含む確定拠出年金制度における中途引き出しの在り方につきましては、社会保障審議会企業年金・個人年金部会におきましても御議論いただいているところでございます。その中で、中途引き出しの対象範囲を広げるべきという御意見があった一方で、税制上の優遇等を踏まえますと、中途引き出しは安易に要件を緩和すべきではないといった御意見もあったことから、今回の法案では中途引き出しの見直しは行わないこととしております。
一方で、根本委員の御指摘のとおり、iDeCoにつきましては、老後の多様なニーズに対応する制度であることから、より多くの方に活用していただけるよう、利用につなげるための周知広報を行っていくことが重要であると考えております。これまでも、関係省庁と連携しまして、セミナーを開催するなど、iDeCoの広報活動を実施してまいりましたが、引き続き、こうした取組を積極的に進めてまいりたいと考えております。
○根本(拓)委員 ありがとうございます。
今、副大臣にお答えいただいたところでもあるんですけれども、まず原因分析、iDeCoを更に伸ばすために、じゃ、今利用していない人は何で利用していないのかという原因分析をしっかりしていただくのがいいかなというように思っています。
例えば、途中引き出しの点でいえば、これは私、個人的なところなんですけれども、一定の資金があるときに、それをNISAに振り分けるか、それともiDeCoに使おうかといったときに、iDeCoは税制優遇上すごくメリットがあるんだけれども、やはり、例えば、私は今三十八で、これから子育てを更にしていかなきゃいけなくて、途中で何があるか分からないということになると、iDeCoに入れるというのは結構勇気が要る、そういうところもありまして、本当に実際に検討するとそう思うんですよ。
なので、こういう声も拾っていただいた上で、原因分析をしていただいて、それは広報不足なのか、それとも、途中で引き出せない、これがネックになっているのか、そういうことを分析した上で、途中引き出しがネックになっていくのであれば、メリット、デメリットを勘案していただいた上で、更に検討を進めていただければ大変ありがたいというように思っております。
続いて、在職老齢年金の支給停止基準の引上げですけれども、先ほど福田委員からも御質問がありました。今回、やはり、この在職老齢年金の支給停止基準の引上げについては、資力のある高齢者を優遇する政策だ、それによって失われる財源というのがあって、何で資力のある高齢者を優遇するんだというような批判があるところだと理解しています。
こういった批判についてどのように応えるべきなのかという点について、副大臣にお伺いいたします。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
先ほども御説明させていただきましたが、在職老齢年金制度は、納めていただいた保険料に応じた給付を行うことが原則である社会保険の例外的な仕組みでございまして、一定以上の賃金を得ている方に年金制度の支え手に回っていただくものでございます。
今回の改正は、少子高齢化の進行や人手不足を背景に高齢者の活躍の重要性が一層高まる中で、支給停止の基準額を、平均的な五十代の賃金に一定の年金収入を足し上げた額である六十二万円に引き上げることで、高齢者の方が厚生年金の支給停止を意識せず、より働きやすくすることを目的としております。
一部の業界からは、既に人材確保や技能継承等の観点から高齢者活躍の重要性がより一層高まっているが、在職老齢年金制度を意識した就業調整が存在しており、今後、高齢者の賃金も上昇していく傾向にある、高齢者就業が十分に進まないとサービスや製品の供給に支障が出かねないといった旨の声も聞かれております。
こうした状況が今後様々な業界へと波及する可能性があることを踏まえますと、今回の法案で早期に対応する意義は大変大きいと考えております。
○根本(拓)委員 ありがとうございます。
今、副大臣から重要な点を御指摘いただいて、高齢者の方の労働力というものを今後社会の中で最大限活用していかなければいけない、この視点は非常に重要だと思っております。しかし一方で、それだけでは、稼いでいるんだからいいじゃないかという批判に十分に応えられるかというと、十分に応えられない部分もあるのではないかと思っております。
私として、一つ問うべきだと思っているのは、稼いでいる高齢者の方というのが本当に資力のある高齢者なのかということだと思っています。確かに、この方たちというのは、今の時点を取れば稼いではいる。しかし、例えば六十五歳の人を考えてみれば、この方の人生というのは、まだこれから二十年、もしかしたら三十年あるかもしれない。そういうことを考えたときに、では、本当に二十年、三十年、これだけ稼げるかというと、普通に考えたら、徐々に稼げる額というのは減ってしまう、それで大丈夫なのか、そう不安を持って働いている人たちというのがいると思うんですね。
例えば我が家も、うちの父は七十四歳ですけれども、御案内のとおり、第一線は退いたものの、うちの母は私の父に、働け、働けと言うわけですよ。多分、家にずっといられたら困る、いきなり家にずっといられても何かちょっと邪魔だみたいなのもあるかもしれないんですけれども、母の気持ちとしては、もうちょっと、今後何があるか分からないから稼いでほしいなという、根本家は残念ながら資産がある家ではないので、もっと稼げるだけ稼いでほしい、こういうことをうちの母は思っているわけです。
こういう形で、今稼いでいる人たちも長期的に見たら稼げるかどうかは分からない、だからこそ、今、稼ぐだけ稼ぎたい、資力に不安があるからこそ稼ぎたい、こういう人たちも多くいると思うんですね。だから、こういう人たちに対して、今、この一時点を取ったら稼いでいるということだけを見て、この人たちは資力がある高齢者だと断じて、本来もらうべき年金というものを削っていいのか、こういう問いというのを立てて、こういう説明を一つしていくべきなのではないかなというように思っております。
その上で、先ほどおっしゃった、働き控えをなくす、あと、在職老齢年金の支給停止額の引上げの理由の一つとなっている、働き方に中立な仕組みとするという理由づけを徹底するのであれば、在職老齢年金を完全撤廃していくのが筋なんじゃないかとも思われます。
特に、働き方に中立的な制度とするという視点はすごく私は重要だと思っておりまして、この制度が今のまま残る限りにおいては、例えば、請負契約で働いている方とか、あと顧問契約で働いている方、あと不動産を持っていて不動産収入があるような方、こういった方は対象とならなくて、雇用形態の方だけが対象になる、同じ額を稼いでいても、対象になるのは被用者だけだ、これはやはり不公平なのではないかと私も思います。
特に、不動産収入がある方、この方とかは、さっき私が申し上げた、一生稼げるのかというところでいうと、結構高い確率で、不動産を売らない限り一生稼げる、七十になっても八十になっても九十になっても同じ額がもらえる。この人たちの収入というのは年金を削る対象にならなくて、一方で、いつまで働けるか分からない、だから一生懸命働いている、こういう人たちの収入というのが年金を削られる対象になってしまう。
これはやはり不公平なんじゃないか、働き方に中立的な制度にしていくべきなのではないか、こういうことを徹底しようと思ったら、在職老齢年金というものは完全撤廃ということが筋なんじゃないかと思いますけれども、副大臣、この点についてどうお考えになるか、御答弁をお願いいたします。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
仮に在職老齢年金制度を廃止した場合には、現在支給が停止されている厚生年金給付額の全てが新たに支給されることから、将来世代の厚生年金の給付水準を低下させるといった懸念の声がございます。
その一方で、在職老齢年金制度につきましては、就業意欲を阻害する等の問題が指摘されていることから、今回の法案では、支給停止の基準額を引き上げることとしております。
○根本(拓)委員 ありがとうございます。
今の御説明でもあったように、今回の制度改正の背景というのは、働き者がばかを見ないようにするとか、働き方に中立的な制度にするとか、働き控えを防ぐ、そういう思想の一方で、稼ぎのある人というのは年金制度を支える方に回ってもらって、それによって年金財政を安定させていく、こういった思想のある種の対立というのがあって、この妥協点として今回の停止基準額の引上げ、ここに落ち着いたということなんだと理解しております。
さらに、この先を見てということで、では、この先、在職老齢年金制度、この制度を今後どうしていくのかということについて伺いたいんですけれども、例えば、働き方に中立的な制度にするということを徹底するのであれば、先ほど私が申し上げた、今回、この制度の下で今対象となっていない収入を得ている方、請負だとか顧問契約だとか、あと不動産収入を得ているとか、こういう働き方若しくは収入の得方をしている方までも対象として、同じ収入がある人はひとしく年金を削りましょう、こういう制度にしていくということが一つの在り方なんじゃないかと思っております。
一方で、もう一つの在り方というのは、公平性というものを勘案しつつ働き控えを防ぎ、あと、本来もらうべき年金をしっかり支給する、そういった思想を徹底させて、繰り返しになりますけれども、在職老齢年金制度というものを撤廃を目指していく、これがもう一つの在り方なんだと思っています。
では、国として、政府として、今後、今回の改正の先にどういう方向を目指していくのが望ましいというようにお考えなのか、この点について副大臣にお伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
制度の今後の方向性について御質問いただきました。在職老齢年金制度は、厚生年金制度の中の支え合いとしまして、賃金のある高齢者には、なお現役として年金制度を支える側に立っていただいて御協力をいただいているものでありまして、厚生年金制度で賦課される報酬以外の収入や資産は考慮しておりません。
一方で、賃金以外の収入がある者との公平性の観点からの指摘もございます。社会保障審議会年金部会においても、総収入をベースに年金額を調整する制度とすることなど、調整方法そのものの見直しについて御意見もいただいております。現行では調整の対象としていない収入等を考慮することにつきましては、収入の把握方法や納付意欲に与える影響、実務的な課題もあります。
また、在職老齢年金制度の見直しにつきましては、社会保障審議会年金部会におきまして、支給停止の基準額の引上げから始めて将来的な廃止まで段階的に見直すべきという御意見、また、そのほか、将来世代の給付水準の低下に配慮を求める意見、こういった様々な御意見がありました。
今後の制度の在り方につきましては、今回の見直しの結果も踏まえながら、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
○根本(拓)委員 ありがとうございます。
今の副大臣の御答弁で、この制度は、まだまだ、今回の改正で終わりということではなくて、今後も議論を続けていくべき制度なんだということが理解できたかと思います。
理解していなければいけないと思うのは、今の制度もある種の妥協、今回の法改正の結果というのもある種の妥協の下に成り立っていて、まだまだいろいろな面で不完全な部分があるということだと思っております。
働き方に中立的な制度にするという観点からは、いろいろな難しさ、収入を把握するというのは本当に難しいなというのをこの厚生労働委員会で議論を拝聴していても感じておりますけれども、それでも、じゃ、顧問契約とか請負契約のは捕捉するようにしようとか、不動産収入ぐらいは捕捉できないかとか、金融所得、こういうものを捕捉できないかとか、本当に働き方に中立、在職老齢年金というものを維持しながら働き方に公平な制度にするということであれば、やはりこういった方向性を目指さなければいけないというように考えています。
一方で、そもそも、この制度というのは、本来もらうべき年金を削るというある種の例外的な制度で、憲法上どうなんだという意見もあるというように理解しています。つまり、法律上、与えられた権利を事後的に削るという制度なので、これはある種の財産権の侵害なんじゃないか、こういう議論も成り立つのではないかと思っております。働き控えを防ぐとか、一生懸命働いている人にしっかりとサポート、守る、そういうこととともに、憲法上の疑義さえ生じ得る制度だということを踏まえれば、完全撤廃に突き進んでいくということ、これもまた一つの方向性なんだと思います。
今のお答えの中で、いろいろな御意見があるということを教えていただきましたけれども、今回の改正の効果もおっしゃっていただいたとおり見ていただいた上で、引き続き、今申し上げたような観点から、この在職老齢年金という制度をどうしていくのか、不断の議論というのをさせていただきたいというように思っております。
その上で、標準報酬月額の引上げについて、最後、残り時間を使わせていただきたいと思います。
先ほど福田委員からもありましたけれども、厚生年金保険の標準報酬月額の引上げというのがこの度ありまして、世間では、若年層の負担を大きく増やすようなイメージが持たれていて、在職老齢年金の基準額の引上げと相まって、若者の犠牲の下、現役世代の犠牲の下に高齢者を優遇するのかというような批判もあるところだと思っております。
ただ、この標準報酬月額の引上げについては、まず、どれだけの人がどれだけの影響を受けるのか、それによって何が達成されるのか、こういうファクトをしっかり把握するのが大事だと思っております。
そこで、今回の標準報酬月額の引上げによって、各年代別にどれだけの割合の人が影響を受けるのか、また、その影響を受ける人たちの月々の保険料の負担というのは幾ら増えるのか、さらに、影響を受ける方たちの年金保険料の支払いが増えることによってどのような効果が見込まれるのか。先ほど御答弁いただいたこととも重複するんですけれども、重複しない部分もあるかと思いますので、まとめて御回答をいただければと思います。
○間政府参考人 お答え申し上げます。
まず、現行の厚生年金の標準報酬月額上限であります六十五万円を超える標準報酬月額を既に設定している健康保険の方を参考にいたしますと、令和五年三月時点で、今回の見直しの対象となる標準報酬月額が六十八万円以上の方は約二百二十万人、全被保険者数に占める割合は約五・四%と見込んでございます。
また、現行の標準報酬月額上限である六十五万円に該当する方の割合、これを年齢別で、年代別で見てみますと、これは年齢とともに上昇する傾向がありまして、令和四年度末時点で申し上げますと、二十代では男性が〇・七%、女性〇・三%の方が該当してございます。三十代では男性四・八%、女性一・三%が該当してございます。四十代では男性一〇・六%、女性二・三%が該当してございます。五十代では男性の一六%、女性では二・八%が該当されている、こういう状況にございます。
その上で、今回の見直し後の厚生年金保険料の御負担は、社会保険料控除を考慮した実質的な増加額としては、標準報酬月額六十八万円、今の現行六十五万円の一つ上に該当する方ですが、その方の場合には月額約千八百円増加する。そして、二つ上の七十一万円に該当する方は月額約三千七百円、これは段階施行でございますので、単年度じゃありませんけれども、二年間かけて三千七百円上がる。七十五万円に該当する方は、同じく三年間かけてでございますが、月額約六千百円増加する見込みとなっています。
また、給付への影響でございますけれども、厚生年金には加算の仕組みなどもあることから、厳密なお答えはちょっとなかなか難しゅうございますけれども、仮に、じゃ、その上限に該当する方が、新たな上限に十年間該当した、そして見直し後の保険料を御負担いただいたとした場合には、標準報酬月額六十八万円に該当する方の場合には月額約千五百円給付が上昇し、七十一万円に該当する方は月額約三千円上昇し、七十五万円に該当する方は月額約五千百円増加する見込みでございます。
これに加えて、公的年金制度の所得再分配機能が働くことから、今回の上限の引上げの対象ではない方についても厚生年金の受給率の増加が見込まれます。具体的に申し上げますと、所得代替率で申し上げますと〇・二%程度ということでございます。
○根本(拓)委員 細かく教えていただいてありがとうございました。まさにこういうファクトを正確に把握して発信していくということが大事だなというように思っています。
今、間局長にお答えいただいたとおり、影響を受ける方々というのは、若い世代、現役世代全体ではなくて、これはもう理解いただいているのかなと思いますけれども、一部の方であって、所得の高い方だと。子育て世代ど真ん中と言われるような三十代、四十代の方というところで見ても、三十代の方で九割五分の方は影響を受けない、四十代の方でも九割は影響を受けない、それ以外の方は男性で〇・五割若しくは一割ぐらいの方が影響を受け、その影響額というのは一番高い水準でも月六千円ぐらい、こういうことになっているわけです。
しかも、支払う方というのも、ただ六千円が無駄になっちゃうということではなくて、私の理解では、平均余命ぐらいまで生きていただければ元を取れる。年金は余り損得論で話すのはよくない部分がありますけれども、それでも、払ってもらえれば給付水準が上がるので元を取れる。そういう、本人にとっても、若い方にしてみると、私もそうですけれども、今々の支出というのが大事ではあるので、なかなか受け入れ難い方もいると思うんですが、それでもしっかり生きていただくと、その方のためにもなる。
こういうように理解した上で、何より重要なのは、これは世代間の公平を図るための制度だということなんですね。在職老齢年金とか標準報酬月額の引上げとか、年金制度全体、どうしても世代間対立の文脈で論じられる傾向があると思うんですけれども、これはなかなか不幸なことなんじゃないかなと思います。
総論的に言っても、上の世代のための制度改正に見えるものでも、人間いつかは年を取るので、いつかは自分もその恩恵を受ける、在職老齢年金なんかはそういうものだと思いますし、標準報酬月額というものについても、全体の支え合いを強化するものですので、世代間対立という文脈で余り論じられないように注意した方がいいかなというところです。
特に、この標準報酬月額の引上げについては、世代内の公平を図るための制度というところを強調すべきでして、所得の低い方はマックスの保険料を払っている、一方で、所得の高い方というのは保険料水準よりも低い水準の保険料しか払っていない、これはやはり不公平なんじゃないか。世代間で、特に所得の低くて生活が大変な人がフルフルの保険料を払っている一方で、相対的には余裕のある方というのがそれだけの保険料を払っていない。
これはやはり、世代内の不公平さというのを是正するために必要な制度なのではないか、私はそのように思っておりまして、しかも、これによって周りの方々の給付水準というのも上がるわけなので、これによって助け合い機能を強化していく、そういう制度改正だということを理解していただいた上で、福田委員御指摘のとおり、世代内のまだ不公平さというのは残っているのはありますので、これをどうしていくかというのを更に検討する必要があるのではないかということを申し上げて、私からの質問とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、深澤陽一君。
○深澤委員 自由民主党の深澤陽一です。
それでは、早速ですが、質問をさせていただきます。まず、財政検証について質問をさせていただきます。
財政検証は、少なくとも五年ごとに、財政の現状と見通し、それとマクロ経済スライドの終了年度の見通しを作成し、年金財政の健全化を検証するものとなっており、今回は、高成長実現ケース、成長型経済移行・継続ケース、過去三十年投影ケース、一人当たりゼロ成長ベースの四つの経済前提が示され、この厚労委においては、過去三十年投影ケースについて、何名かの質疑者から様々な御意見を伺わせていただきました。特に、実質経済成長率や賃金上昇率、出生率の数字は適切なのか、また、過剰ではないのかという意見が多かったように感じます。
福岡大臣は御答弁の中で、どの経済前提を想定されているかについて、成長型経済移行・継続ケースと三十年投影ケースの間を想定しているお考えを示されましたが、その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
経済産業省から、今後の経済産業政策について、マクロ経済環境と二〇四〇年の将来見通しが示され、まさに今が賃上げと投資が牽引する成長型経済への転換点であり、瀬戸際であるとの考えが示されました。その経済成長の実現のために、二〇二七年の設備投資額百十五兆円という目標を更新し、二〇三〇年に百三十五兆円、二〇四〇年には二百兆円を投資しようという目標を設定いたしております。具体的な投資分野については、ミッション志向投資八分野、社会基盤投資四分野という形で示され、それぞれ目標金額まで設定してあります。
それらに基づいた二〇四〇年の将来見通しは、名目GDP三・一%、実質一・七%、名目賃金はプラス三・三%、実質賃金プラス一・三%となっており、今回厚労省で示された財政検証の成長型経済移行・継続ケースと過去三十年投影ケースの間の数値になっており、特に成長型経済移行・継続ケースに近い指標になっていると思います。
そして、この試算は、少子高齢化によって人口減少となり、労働供給力は減少することも想定しており、それを補うために、AI、ロボットの活用促進やリスキリング等による労働の質の向上等、経産省における試算ではありますが、厚労省が所管する分野についても具体的な目標数値が設定されております。つまり、将来の産業構造に合わせた人材育成や設備投資が鍵であり、厚労省分野の成果も必要と設定をされております。この将来見通しについて、経産省の公式なものかと確認したところ、そのとおりとお答えをいただきましたし、正しい見通しであるとも伺いました。
改めて、今回の年金法案の審議に際しては、悲観的なまではいかないかもしれませんが、厳しめの将来見通しが議論されているように感じます。それはそれといたしまして、しかし、こういった前向きな試算や見通しもあるということも踏まえて、この年金財政についても、もっと前向きなメッセージも発信できるようにすべきだと感じております。
特に、年金や社会保障に余り期待をしていない、信用していない若い世代に対して、具体的に、官民連携の下でしっかりと投資をしていけば成長シナリオも実現できるんだ、経済成長があっての財政なんだという考えを共有していただけるよう取り組むべきと考えておりますが、経産省の二〇四〇年までの将来見通しも踏まえた将来の年金財政について、改めて福岡大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
○福岡国務大臣 今御指摘いただきましたように、年金の給付水準は、今後の経済状況によって変わり得るものでございます。
昨年公表いたしました財政検証によりますと、実質成長一%を見込んだ成長型経済移行・継続ケースにおきましては、将来の給付水準がおおむね維持される見通しとなっておりまして、年金財政にとっても、政府の目指す成長型経済を実現させていくこと、このことがまずは重要であると考えています。
その上で、将来の経済の姿は不確実でありますことから、おおむね百年の間で収支を均衡させる年金制度を検討するに当たっては、保守的なケースも含めて対応を検討していく必要があると考えておりまして、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースも併せ、幅を持って捉えていくことが重要だというふうに考えています。
○深澤委員 御答弁ありがとうございました。
想定というものは、先ほど来質問でもありましたけれども、様々なことを想定する、またケースを用意するというのは非常に重要なことだと思います。大臣も、慎重に御答弁を今いただいたと思います。保守的なケース、そして実質的に捉えていかなきゃいけないという御答弁でありましたけれども。
やはり、政府が目指しているのは、とにかく三十年続いたデフレからの完全脱却、そして経済あっての財政なんだということを、これは所信表明でも総理も示されている中で、特に経済産業省、そして経団連、また様々な関係者が集まって、具体的な投資の数字、そして経済成長のビジョンを示されているのであれば、厚労省も一丸となって、とにかくそれに向けて突き進む、そのことをメッセージとして発信していただきたい。
その先にあるものは安定したものなんだというところも力強く発信していただきたいというふうに考えますので、是非その点、お願いしたいと思います。この質問については以上にさせていただきます。
続きまして、被用者保険の適用拡大について、まずは基本的なことを幾つか質問させていただきたいというふうに存じます。
まず、今回の年金改正法案の趣旨は、働き方に中立的で、ライフスタイルの多様化等を踏まえた制度を構築するとともに、高齢期における生活の安定や所得再配分機能の強化を図ることとされており、公的年金制度と私的年金制度についての重要な改正事項を含んでいると認識をしております。
そのうちの一つが被用者保険の適用拡大であり、被用者保険の適用拡大は、政府が長い時間をかけて取り組んでこられた事項だと思います。パート、アルバイトの方に被用者保険の裾野を広げて、医療、年金の給付を充実させつつ、働き方に中立な制度とするといった点で大きな意義があると私も考えております。
基本的なことでありますが、まず、前提を改めてお伺いしますが、パート、アルバイトの方が被用者保険に加入するための幾つかの要件について、具体的にどのような要件を満たす必要があるのか、御答弁をお願いします。
○間政府参考人 お答えいたします。
短時間労働者の方が被用者保険に加入するには、これから申し上げます四つの要件を全て満たす必要がございます。
まずは、労働時間要件といたしまして、週の所定労働時間が二十時間以上であること。二つ目に、賃金要件として、雇用契約書などに定められている賃金が月額八・八万円、年額換算で約百六万円以上であること。三つ目としまして、企業規模要件として、従業員五十人を超える企業等に勤めておられること。四つ目として、学生でないこととなってございます。
○深澤委員 ありがとうございます。
今回の被用者保険の適用拡大で、月額賃金が八・八万円以上とする賃金要件や従業員が五十人以上とする企業規模要件が撤廃されることとなれば、基本的に、週二十時間以上働く方については被用者保険に加入するという非常にシンプルな制度になり、いわゆる百六万円の壁が撤廃されることで、より働き方に中立な制度となると考えております。
ここも、基本的なことで確認で伺わせていただきますが、賃金要件を撤廃する理由と効果について、改めて御答弁をお願いします。
○間政府参考人 お答えいたします。
例えば賃金要件でございますが、いわゆる百六万円の壁と呼ばれる、短時間労働者の適用要件の一つである賃金要件につきまして、最低賃金が今引き上げられております。これが全ての都道府県で時給千十六円以上になりますと、週二十時間以上働く方は、必然的に八・八万円ないし百六万円の要件を満たすこととなります。そうなりますと、賃金要件を設定する意味が実質的になくなってまいります。
現在、令和六年度、六年十月以降の最低賃金の引上げで、既に十二都府県の最低賃金が千十六円以上となってございます。こうしたことから、今回の法案では、最低賃金の動向を踏まえて、賃金要件を撤廃することとしておりまして、その施行日については、公布から三年以内の政令で定める日としているところでございます。
これを撤廃した場合に、実質的に意味がなくなるというふうに申し上げましたけれども、百六万円の壁という心理的な就業調整の基準、本当は気にしなくてもいいんだけれども、その基準が残っておりますと、それを気にしてしまうということもあり得るかと思います、これがなくなりますと、社会保険料の負担を懸念して年収を意識する必要や、賃上げに伴い就業調整を行う必要もなくなることから、被用者保険の加入を労働時間だけで判断する、委員御指摘のようなシンプルな仕組みとなることから、働き方の選択もしやすくなるもの、そういった効果を見込んでいるところでございます。
○深澤委員 御答弁ありがとうございました。
先ほど御答弁いただきましたように、心理的な壁ですね。これは、今国会あるいは臨時国会でもそうなんですけれども、この壁という言葉がいろいろと、テーマで議論されることがあります。こういったことを、私も、前回あるいはその前の衆議院選挙のときからこのテーマについては取り組んでおりましたが、少しずつこれが撤廃されることで、就労調整、特に地元に帰るとこの話を働き手の方からよく言われるので、こういったことが一つ一つ解消できることは本当に現場感としてありがたいなというふうに思いますので、またしっかりとこれでクリアさせていくことで、本当にいい制度になっていくなというふうに実感をしております。
一方で、また違う次の質問なんですけれども、本人の保険料負担のない第三号被保険者が被用者保険に加入することで保険料負担が発生することから、就業調整をされる方が出てきてしまうことも考えられるのではないでしょうか。いわゆる壁というものなんですけれども。
ただ、被用者保険に加入することには、年金額の充実や医療給付が充実するといったメリットがあって、そのようなメリットを周知していくことで理解は進んでいくものと思います。また、被用者保険に加入することのできる事業者であることは、事業主にとっても、負担だけでなくメリットも出てくるのだろうと考えておりますが、被用者保険に加入することが労働者及び事業主それぞれにどのようなメリットがあるのか、改めて、ここの点も御説明いただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
被用者保険に加入して第二号被保険者となることで、御本人にとっては、将来受け取れる年金について、基礎年金に加え、厚生年金が終身で支給されるというメリットがあり、健康保険においても、傷病手当金や出産手当金が受け取れるというメリットがございます。
委員から、三号被保険者から適用になった場合の負担が出るというお話がございましたが、今回の適用拡大では、一号被保険者だった方、単身の方でありますとかフリーランスの方がサラリーマンになった場合といった場合もあります。その場合には、一号から二号になった場合には、定額の国民年金保険料を一号のときには負担していただいていた方が二号被保険者になられますと、保険料負担が労使折半となることから、給付及び負担の両面でメリットがございます。
また、事業主にとっては、労働者への年金給付等が手厚くなることで、人材確保そして定着の観点からメリットがあるのではないかと考えております。
適用拡大を始めた頃は、何でこんなことをさせるんだというようなお話を事業主の方からいただきましたけれども、最近は、もちろんいろいろな御事情はあると思いますが、人を確保する上では社保適用というのが非常に重要なんだというお声も聞くようになってきておりまして、こういったこともしっかりお伝えしていくことが必要かなというふうに考えております。
○深澤委員 御答弁ありがとうございました。
人材確保、それぞれメリットを今お示しいただきました。やはり、一番気になるのは事業主の方であります。人材確保あるいは定着というところのメリットがある、これは本当によく分かります。実際これで、これだけではないんですけれども、様々な、企業が努力することによって、より魅力を感じて人材が集まる、これは事例が具体的にありますので、そういったこともあるんだろうというふうに理解はします。
ただ、そうはいってもというところはあると思います。負担となる事業主にとっては、大変厳しいものになるとも感じております。先ほど御説明がありましたが、とりわけ、企業規模要件の撤廃によって五十人以下の小さな企業も対象となるため、そうした事業主への配慮がこれから必要不可欠になってくるものと思われます。
この被用者保険の企業負担の問題でありますが、それに加え、例えば最低賃金を二〇二〇年代までに千五百円にするという、そのこともありまして、先週末も地元で農業関係者の方との意見交換会があったんですけれども、そのときに、それができない企業を政府は潰そうとしているんですかというような質問をされたことがございました。なかなか、事業主にとっては、非常に負担感の方が勝るんだろうなというふうに感じております。
あくまで一例でありますけれども、事業主負担の問題は、被用者保険、つまり、単体の問題ではない、いろいろなことが絡んで、そういったことを事業主が感じられるということを認識していただき、また、産業ごとに個別の状況をしっかりと把握した中で、そういったことに対して対応していただきたい、支援をしていただきたいと思っております。
質問なんですけれども、企業規模要件を撤廃するに当たって、事業主にはどのような配慮及び支援をしていくのか、御答弁をお願いいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
今回の被用者保険適用拡大につきましては、委員にただいま御指摘いただきましたように、これまで以上に小規模の企業が対象となります。そのため、施行まで十分な準備期間を確保するため、最大十年かけて段階的に施行することとしております。また、企業経営に与える影響や事務負担等の増加も踏まえ、支援体制を整備し、円滑に施行できる環境を整備することとしております。
具体的に申し上げますと、まず、事務負担の方から申し上げますと、小規模な企業ですから、社長さん自ら事務をやっておられるようなケースもございます。そういうお忙しい方が年金事務所へおいでいただかなくてもいいように、電子申請の推進でありますとか、ある程度情報が記載された届け書を事業所に送付して、確認してお返しいただくような、いわゆるターンアラウンド方式、あるいは、社会保険労務士等の専門家の事業所への無償の派遣といった事務負担の軽減にも努めていきたいと思っています。
そしてまた、特に経営支援という意味では、キャリアアップ助成金のほか、関係省庁と連携して、中には委員御指摘の農業の分野の担当である農林水産省も含まれますけれども、こうしたところと連携をしまして、中小企業を始めとした事業者の生産性の向上あるいは価格転嫁の促進等を通じた賃上げの強力な支援を着実に進めてまいりたい、このように考えております。
○深澤委員 ありがとうございます。
実際に、キャリアアップ助成金を含めて、いろいろと制度を用意していただいていますけれども、こういったものを活用して、そうはいっても、賃上げを一度してしまうとなかなか下げられないという現実があったり、これはもう十分御承知だと思います。
やはり、地元に帰って、被用者保険の適用拡大が進むと、結局、体力のないところは雇用ができない、それによって、これからどうしようかというときに、派遣に頼もうかなという話にもなっております。そうすると、ちょっと本末転倒な話になってきてしまいますので、そういった実態も含めて、これからどういうふうに変化していくのか。特に、五十人より規模がちっちゃいところに対しては、どのように変化していくのかというところをしっかりと見極めていただいて、支援策も充実させていただけたらというふうに存じます。
それで、その上で、影響を受ける方に対して、そもそも、制度改正の内容や適用拡大に伴う配慮や支援を広く知らしめる観点から、周知広報の取組は重要であると昨日の参考人招致でも話が出ました。制度についての広報も必要なんですけれども、昨日の参考人招致でも、今回の年金法改正についてのSNSでのデマに対する打ち返しをして、不安を取り除くべきという意見があったり、週刊誌などでも、受取額が減少する部分だけを切り抜いて、あたかも手取りが大幅に減少する印象を与える記事が見受けられ、それらに対する、別の機会での正しい説明の提供が必要なんだろうというふうに感じております。
そういったことを踏まえて、今回の適用拡大に当たっての周知広報の取組の在り方についてどのように考えているのか、御答弁をお願いしたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
被用者保険の適用拡大を進める上では、事業主や従業員の方々の御理解を得ることが大変重要と考えております。
これまでも、テレビ番組や女性誌とのタイアップ、特設サイトの開設やチラシ、パンフレットによる周知、日本年金機構による広報活動などを実施してきました。また、従業員の方が働き方を変えたり厚生年金に加入するとどのように年金額が変わるか、簡単にシミュレーションできるよう、公的年金シミュレーターの提供も行っております。
また、今委員から御指摘のありましたSNS等の誤ったものについては、本当に誤っているものは、ファクトチェックをそのサイトの方にもしていただくということもあるでしょうし、役所だけではなくて、厚生労働省だけではなくて、専門家の方々からも適切な情報発信をしていただく中で、正しい理解が広まるようにしていくということも大事なのかなというふうに思っています。この辺りは、現代的な意味で、どういうようなやり方が更にいいのか、ここはよく研究をしていきたいと思います。
その上で、本法案の施行に当たっては、これまでの取組に加えまして、小規模な企業の方々にも御理解いただけるように、更に丁寧な周知が必要と考えております。その具体的なものについては、よく関係者の方、当事者の方々の御意見も聞いた上でその改善に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○深澤委員 御答弁ありがとうございました。
続きまして、在職老齢年金制度についてお伺いしたいというふうに存じます。既に、福田委員、根本委員から、深くこのことについては質問が出ました。
現下の人手不足の状況にあって、働くことを希望する人がもっと働けるようにする環境整備が重要である、百六万円の壁など、就労調整の原因の解消というのは大変重要であると考えております。その意味で、高齢者の存在は社会の中でますます大きくなって、年金制度も、働くことを希望する高齢者の方がもっと働きやすくなるような制度としていく必要があるということは感じております。
その意味で、社会保険制度においては例外的な制度として存在している在職老齢年金制度ですが、現役レベルの収入がある方の年金を減らす仕組みとなっておりまして、在職老齢年金制度があることで、得られる年金が減額されてしまうことから、働くことができるにもかかわらず、就業調整を行ってしまう影響があるのだろうと思います。
そうならば、在職老齢年金制度を撤廃することも選択肢の一つとして考えられるということも先ほども質問で出ましたが、今回の年金改正法案においては、支給停止基準額を二〇二四年度価格で五十万円から六十二万円に引き上げることとしております。その点について、まず一つお伺いさせていただきますが、もう一つ、人手不足対策の必要性は理解する一方で、月五十万円稼いでいる年金受給資格者はどの程度いるのだろうという思いもあります。これも質問で先ほど出ました。
そういう意味で、二つ質問をさせていただきます。なぜ、在職老齢年金制度を撤廃するのではなく、支給停止基準の引上げという見直しを行うこととしたのか、もう一つは、予想ではなくて具体的に、老齢年金の支給停止基準額を引き上げてほしいという声がどの程度あるのか、把握されているのか、教えていただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
ただいま御指摘いただきましたように、在職老齢年金制度は、納めていただいた保険料に応じた給付を行うことが原則である社会保険の例外的な仕組みでございまして、一定以上の賃金を得ている方に年金制度の支え手に回っていただくものでございます。
この制度については、高齢者の就労を促進する観点から見直す必要があるとの御意見もある一方で、それを単純に廃止をいたしますと、将来世代の給付水準を低下させることへの懸念、こういった御意見もあることを踏まえて、今回の法案では、そこをバランスさせたといいましょうか、支給停止の基準額の引上げを行うこととしたものでございます。
その上で、在職老齢年金制度の見直しを検討する一環で、業界団体のお声などもお伺いし、また、一部個社などの御意見もお伺いしておりますけれども、例えば、運輸関係、小売関係、あるいは製造業の関係などから、やはり調整を懸念するような声は聞いておりまして、経営者以外の従業員につきましても、人材確保や技能継承等の観点から高齢者活躍の重要性がより一層高まっているけれども、在職老齢年金制度を意識した就業調整が存在しているといった声を伺っているところでございます。
また、あくまでマクロのあれではございますが、世論調査におきましても、約三割の方が、年金額が減らないように就業時間を調整しながら会社などで働くというふうに六十代後半の方がお答えになられているということでございます。
こうしたことから、今回の見直しは企業側及び労働者側双方のニーズに応えるものである、このように受け止めているところでございます。
○深澤委員 ありがとうございました。
今御答弁いただき、福田委員のときの御答弁でも、世論調査あるいは業界の声、そういったものを聞いて判断しているといいますか、参考にしているということなんですけれども、今の御答弁だと、一部個社も伺っているというお話もいただきました。そういった、よりきめ細かく聞いていただくのは本当に重要なことだと思いますし、また、もしこういった個社からも聞くということをやっているのであれば、今後、また五年ごとにとか、そういった機会でありますので、それまでにいろいろとこういったことを積み重ねて、より根拠があるといいますか、実態に即した形での制度になるように取組を続けていただきたいというふうに存じます。
今回の見直しによって、高齢者の方がより働きやすくなって、働き方に中立的な制度に近づくと一応考えられます。一方で、現役の受給者の給付を増やすということは、将来の受給者の給付を抑えることになるということを、先ほど来意見が出ております。
今回の在職老齢年金制度の見直しは、所得代替率にマイナスの影響を与えるということになっておりますが、今回の制度改正全体で見た場合には所得代替率にどのような影響を与えるのか、御答弁をいただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
今回の制度改正案における在職老齢年金制度の見直しの影響について、所得代替率へ与える影響を見ますと、マイナス〇・二%となっております。これは、単体でいけばそうだということでございます。
一方で、今回の制度改正全体で申し上げますと、被用者保険の適用拡大など、将来の厚生年金の給付水準の確保に効果がある施策も盛り込まれていることから、所得代替率は、制度改正全体としてプラス一・四%となっているところでございます。
○深澤委員 ありがとうございました。
ちょっと時間も限られていますので、あと一つ質問させていただきたいと思います。遺族年金について、一つお伺いしたいと思います。
遺族年金の見直しについて、女性は基本的に遺族厚生年金を生涯にわたって受給することができる一方で、男性は六十歳以上になってようやく遺族厚生年金を受給できることができるなど、男女差がある制度となっておりますが、今回はその見直しが行われて、男女の差を解消することになります。社会経済情勢や男女の働き方が大きく変化した現代において、このような男女差が内在する制度を見直して中立的な制度としていくことは、大変理解できるところであります。
一方で、男女を問わず、五年間の有期給付とするに当たっては、その期間中に生活を再建できていない方に配慮する必要があると思います。先ほど話題に出しました週刊誌でも、今回の改正で遺族年金が五年で打ち切られ、二千万近い金額が減額になるような記事を目にしました。そこだけを切り抜いた記事でありました。
今回の遺族厚生年金の見直しに当たりましては、具体的にどのような配慮措置を設けることとしているのか、御答弁をお願いしたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
今回の法案は、委員御指摘のように、男女差の解消を基本として、子供のいらっしゃらない二十代女性が現行制度でも五年間の有期給付としていることを参考に、十八歳未満のお子さんのいらっしゃらない二十代から五十代の配偶者への遺族厚生年金について、男女共に原則五年間の有期給付とする見直しを行います。
その上で、委員御指摘のように、これには様々な配慮が必要だと思っておりまして、有期給付の五年間の支給期間終了後も様々な事情によって十分な生活再建に至らない方に対しては、最長六十五歳まで、前年所得に応じた給付の継続を行います。また、そもそも、有期給付そのものにつきましても、生活再建を支援する観点から、保障を手厚くするための有期給付加算を新たに創設するということも考えてございます。
さらに、高齢期における保障を充実させる観点から、亡くなった配偶者との婚姻期間中の厚生年金記録を分割して、その配偶者の払っておられた厚生年金の期間が残された遺族の方の将来の老齢厚生年金の増額につながる、こういった制度も新たに創設して、様々な配慮をして、生活再建等、暮らしを支えるようにしていきたい、このように考えております。
○深澤委員 御答弁ありがとうございました。
年金制度改革というのは必要なことなんですけれども、年金が制度改革されるということ自体が、見直しされるということ自体が不安を生んでいることだと思いますので、丁寧に説明しながら今後も続けていただければと思います。
以上です。
○藤丸委員長 次に、長妻昭君。
○長妻委員 よろしくお願いをいたします。
昨日、参考人の皆さんのお話を聞いておりますと、今日提出をいたしました、趣旨説明がありました修正案についてはおおむね御評価いただいたのかなとも思います。
ただ、もちろん、これでとどまることではなくて、大きな改革をおっしゃった方もおられますし、不断の見直しをおっしゃった方もおられました。やはり、年金は五年置きの健康診断で不断の見直しを、そのときに出来得る限りのことをしていくというようなことが肝要だというふうに思っております。
その中で、一ページ目、配付いたしましたが、昨日、駒村先生が一つの資料を出されて、非常に私もなるほどと思いました。これは、県民所得に占める年金の比重ということなんですね。県民所得に占める年金の比重が高いベストファイブの県を申し上げますと、奈良県、鳥取県、高知県、秋田県、島根県なんですね。県民所得に対する年金の比重が高いということは、年金がこれから目減りしてしまうと、恐らく消費にも影響が出て、地方経済にもマイナスになってくると駒村先生はおっしゃっておられるわけです。
年金と地方創生といいますか地方経済との関連性について、大臣はどんなようなお考えをお持ちでございましょうか。
○福岡国務大臣 年金を始めといたしました社会保障制度は、失業、困窮、疾病、老齢といった誰もが直面し得る人生のリスクや不確実性に対しまして社会全体で支え合う重要な社会インフラでありまして、こうした制度によってもたらされる社会の安定は、経済活動が円滑に行われるための重要な基盤であると認識しております。
今、表をお示しいただきました。年金給付は高齢世帯の所得の約六割を占め、特に高齢化率が高い地域では、地域の消費を支える存在になっております。基礎年金の給付水準の向上は、高齢化率が高い地域、地方の消費にプラスの影響があるというふうに考えております。
○長妻委員 本当に的確な御答弁だと思います。
年金は、やはり地方経済に相当プラスになるということなんですね。事実、県民所得に占める年金の比重が一番低いのは、圧倒的に低いのは東京都なんですね、東京都は若い人も多いので。ですから、本当に、高齢化が進んでいる地域の経済にとってもかけがえのないものであるというようなことも、我々は踏まえなきゃいけないんだなというふうに思います。
そして、前回からの懸案でありました障害年金の件でございますけれども、六ページ目に、おとつい、東京新聞にこういう記事が出ました。「障害年金千件超 こっそり再判定」というような記事が出たんですが、これは事実でございますか。
○福岡国務大臣 前に委員ともやり取りをさせていただきましたが、令和六年度の認定状況に係る調査の中で、御指摘の報道も含めて今調査を進めているところでありますが、認定のやり直し、この御指摘につきましては、昨日、参議院厚生労働委員会で理事会協議事項となってございまして、どういったものがお示しできるか、今精査をさせていただいているところでございます。
○長妻委員 そうなると、七ページ目の議事録でございますが、まさにこの場で五月九日に大臣にお伺いしたんですね。私のところにこういう類いの情報が入ってきました。私の質問ですけれども、国会とかにも内緒で、実は、幾つかの却下した障害年金の案件をちょっともう一回チェックしようということで今やっているようなんですけれども、今どんな状況でやられているんですかとお伺いしたところ、大臣は、知りません、こういう御答弁だったのでありますけれども、そうすると、この御答弁というのは間違いということなんですか。
もし間違いであれば、日本年金機構の幹部も知りませんでしたので、ここで指摘しているように、障害年金の認定は、新宿にあって、離れ小島、独立部隊みたいになってコントロールが利いていないというようなこともありますので、非常にマスコミで指摘をされて、おかしな認定が、却下が多過ぎるというような報道を受けて、慌ててこっそり千件超を再認定しているということであると、それさえ知らない、大臣にも日本年金機構の幹部にも上がっていないということだとすると問題だと思うんですが、この御答弁というのは、じゃ、取消しということですか。
○福岡国務大臣 虚偽ということはございませんで、障害年金が不支給の処分となった事例につきまして、認定のやり直し作業を行っているという事実は承知をしていないことから、承知していないというふうに答弁をさせていただいたところでございます。
先ほども申しましたように、その事実関係、今精査をさせていただいておりまして、参議院の厚生労働委員会でも理事会協議となっておりますので、どういったものがお示しできるか、急ぎ、精査をさせていただいているところでございます。
○長妻委員 ちょっと、そういうしれっとした答弁というのはおかしいと思うんですよね。
私も、実は日本年金機構の幹部もお呼びして、事前に、質問するので全部綿密に調べてください、こういう再認定をこっそりしている情報があるので全部調べてくださいと言って、大臣は御答弁されて、承知していないと。つまり、隠されている可能性があるんですね。
ちょっと、深刻な状況でもあるので、これについて、この大臣の答弁の是非と、そして、実際にこっそりしていたか、していないかについて、きちっと精査するということを理事会で協議していただきたいと思うんですが、いかがですか。
○藤丸委員長 理事会で協議いたします。
○長妻委員 次に、今回の修正案に関連してなんですが、十ページ目を見ていただきますと、これは厚労省の資料に基づいてテレビ朝日が作った表でして、分かりやすいなと思いました。
これを見ますと、今回、厚生年金の積立金につきまして、厚生年金の積立金からの基礎年金拠出金の割合を変化させるということで、ある意味では、一部高齢世代の年金受給額の伸びを抑えて、それを現役世代の目減りを防ぐために使っていく、税も投入していくというようなことが分かりやすくここに出ているのではないか。
三十八歳以下は、女性でいうと生涯の年金で三百万円増える、男性でいうと二百五十万円。それ以下の世代は、同じ金額がずっと、二十歳だろうが二十五歳だろうが増えるということで、グラフでは捨象しております。
これは減る方もおられます。この一時的に減る方については、修正案に緩和措置をするということをきちっと明記をしておりまして、そういう方へのきちっとした配慮もするということであります。
大臣、この表について、節目節目の金額について、ちょっと教えていただけますか。
○福岡国務大臣 委員、八ページでお示しをいただいておりますが、例えば六十歳の方でいいますと、男性、女性で合わせていいますと、九十九万円のプラスになるということでございます。節目といいますと、次、五十歳の方でいいますと、男性、女性、合わせると三百八十九万円のプラスとなるところでございます。また、四十歳の方で申し上げますと、男性、女性、合わせて五百四十一万円のプラスとなるところでございます。
○長妻委員 これはモデル世帯ですので、御夫婦ということで今おっしゃっていただいたんだというふうに思います。
そしてもう一つ、九ページ、この資料は新しく作っていただいた資料でございます。これをちょっと説明していただければ。
○福岡国務大臣 委員がお示しいただいている九ページの表でございます。これによりますと、女性ということでございますが、六十九歳以下の方はプラスとなるというような影響額の試算ということになってございます。
そして、例えば五十九歳の方でいいますと百十万円のプラス、三十八歳の方でいいますと三百十五万円のプラスということでございます。
○長妻委員 先ほどの、テレ朝が作ったような資料はモデル世帯なので。
これは、作っていただいたのは厚生年金の女性がもらっている平均年金額だとすると、今後、この修正案が通る通らないでどういう変化をするのかということのものでございまして、そうすると、モデル世帯よりも改善率が高い、つまり、モデル世帯よりも平均の女性の年金受給額は低いということになります。
一人当たりでありますけれども、今おっしゃっていただいたように、六十九歳以下で増えるということでございます。百万円を超える増え、一生涯の年金の増加ですが、五十九歳以下は百万円増える。さっき言っていただいたように、三十八歳で三百十五万円増える。
じゃ、それ以下は幾ら増えますか。
○福岡国務大臣 この表にも書いてございますが、三十七歳以下の影響は三十八歳の者と同じということでございますので、同じ三百十五万円ということでございます。
○長妻委員 ここら辺も、実際にここに該当される厚生年金の加入者の方が、一部ネット上などで、自分たちが減るということをおっしゃっておられるのもかなり拝見しますので、こういうことについても、我々としてはもう少しアピールをしていきたいというふうに思います。
そして、もう一つが生活保護の件なんですが、昨日も参考人の中から、OECDのデータを使って、OECD諸国では、当たり前の話だと思いますが、年金が減ると高齢者の貧困が上がる、年金が増えると高齢者の貧困率が下がる、普通、当たり前だと思うんですけれども、そういうことの相関関係の研究が進んでいる、役所もそれに基づいて社会保障を議論しているということでございました。
つまり、年金とか医療とか、それだけで議論して財源がどうこうというよりも、セットで、トータルで社会保障がそれぞれ相関関係で影響し合うということで、これは石破首相にも福岡大臣にもかねてより私も質問をしたところ、年金の目減りを防がないと生活保護の増加は高まる可能性が高いというふうに御答弁いただいております。これは当たり前のことで、そのとおり。
そして、そのときに私は更問いで、じゃ、例えば基礎年金あるいは全体の厚生年金がこのぐらい減ると、生活保護増加にはどのぐらいの影響があるのかと。多少の大きな幅があってもいいんですけれども、相関関係のものがあれば、年金でこれだけ財源を使って底上げをすると、生活保護の増加率が抑えられて、抑えられる生活保護の財源の推計値はこのくらいだということで、ある意味では一定の財政規模の相関関係が分かると思うんですね。
もちろん、いろいろな理由がありますよね、生活保護。またコロナが起こったら、それがどうなるのか、全く年金だけが影響を及ぼすわけではないんですが、仮に年金だけの場合という例えば前提を置いたようなものも、ほかの国はある国もありますから。
それはできませんという御答弁は前から聞いておりますけれども、できませんは分かるんですけれども、是非研究して、ちょっと相関関係、出している学者さんが何人もいます、ここでも紹介しましたけれども、そういう学者さんも呼んで、何かワーキングチームというかチームをつくって、ちょっとそういう相関関係を研究するというぐらい、ぐらいと言ったら失礼ですけれども、御答弁いただけませんかね。
○福岡国務大臣 今御指摘いただきましたように、生活保護の将来の受給状況につきましては、世帯構成の変化だったり経済情勢、個人の資産の状況や扶養関係など、様々な要素の影響を受けることから、こうした点を踏まえて推計を行うことは困難だと申し上げてきました。
そして、今おっしゃったように、推計を出していくためには様々な前提を置く、この前提の置き方によって大分数字というのは変わってきますから、そういった部分はありますが、今御指摘ございました、どういう御研究の在り方ができるのかを含めて、そこは宿題として預からせていただきたいと思います。
○長妻委員 宿題として預かっていただくということで。
完璧なものはもちろんできません、社会状況の変化とか。だから、例えばこういう前提、前提、前提を置いて、この限定された状況ではこのぐらいの関係があるとか、学者の方でもかなり深く研究されておられる方が、私が知っているだけでも三人の方がおられますので、そういう方も含めて、是非、今ある程度御検討いただくというようなお話がありましたので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
そしてもう一つ、年金だけは、厚生労働省の中に特別な宣伝というかPRする部署があるというふうに承知しているんですが、そうですか。
○福岡国務大臣 広報企画室というセクションがございまして、そこのことを特別な組織とおっしゃるのであれば、そういうことでございます。
○長妻委員 これは年金だけなんですね。年金広報企画室というのがあるんですよ、年金に特化した広報企画室が。ほかは、医療とかはないですよ、年金。
だから、さっきもちょっと前の方が質問していただいておりましたけれども、SNSなどでかなり違う話、例えば、これもかなり見ました、今もSNSで。つまり、厚生年金の方々は、事業主負担、半額、事業主が払っているんですね。その事業主負担が自分の年金に戻ってこない、受給額に。おかしいんじゃないのかというのもかなり聞くんですが、これはもちろん間違いですよね。
○福岡国務大臣 全て給付に反映されますので、間違いだということでございます。
○長妻委員 それと、あと、これもよくあるんですけれども、今回、修正案とかいろいろなことをやると、厚生年金の保険料が値上げされちゃうんじゃないのかと。これはどうですか。
○福岡国務大臣 厚生年金の保険料率、今固定してございますので、そこも変わらないということでございます。
○長妻委員 そして、例えば基礎年金というのは国民年金なので、厚生年金の一部積立金を、拠出金を変化させると自営業だけが得するんじゃないか、厚生年金は先細りでというような議論もあるんですが、もちろん基礎年金というのは全員がもらうものであります。全部、全ての受給者が全員もらうわけで、それに上乗せして厚生年金はダブルというか一階、二階でいただくものでありますが、じゃ、基礎年金だけもらっている受給者というのはどのくらいおられるんでしょうか。
○福岡国務大臣 基礎年金のみの受給者は約五%ということでございます。
○長妻委員 そうすると、ある意味では、九五%は、厚生年金だけか、あるいは厚生年金と国民年金が混在している、厚生年金も入っている方という、受給でですね、そういう位置づけでいいんですか。
○福岡国務大臣 御指摘のとおりでございます。
○長妻委員 そうすると、テレビでいろいろな図が出てくるんですけれども、私もちょっと気になるのは、厚生年金が上にあって、下に基礎年金があって、下の基礎年金は三つ分割されていて、一番右が三号、そして真ん中が二号の厚生年金、左側が国民年金ということで、同じ面積で三つあって、その上に三分の一ぐらいで厚生年金は上乗せで乗っているんです。これはすごく気になるんですけれども、そういう図をもし描くとしたら、下の基礎年金の九五%の上に厚生年金が乗っかっていて、あとの五%は三号と一号というような図というのが実態としては正しいということでよろしいんですかね。
○福岡国務大臣 今御指摘の点につきましては、給付ベースという意味では御指摘のとおりでございます。
○長妻委員 だから、是非、ちょっとテレビの方がこれを見ているかどうか分かりませんけれども、基礎年金の九五%の上に二階の厚生年金が乗っかっていて、あとの五%が三号と一号で、しかも一号の国民年金そのものの受給者の中で、自営業の方は四分の一しかおられないんですね。四割は働く被用者の方々なわけでございまして、何か、サラリーマンの金を自営業を助けるためにやるのかというのもちょっと、間違ったことではないのかなというふうに思いますので、是非、その図を描くときに、描くのであれば、そういうふうにしてもらいたいなというふうに思います。
そして、障害年金の件でもう一点言うと、障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金がありますが、今回、例えば、修正案で目減りを防ぐと、これは障害年金にもいい影響が出てくるんですか。
○福岡国務大臣 障害年金にも同様の効果があるということでございます。
○長妻委員 例えば、厚生年金を受給している方が障害を負ったときに、もちろん要件はありますけれども、障害年金が出ます。例えば精神疾患でも、一定の要件があれば出ますので、そこは本当に苦しい形で生活されておられるわけで、今回も障害年金の認定でこれだけ大騒ぎになったのは、本当に死活問題なので、そういうところも目減りが止まる、底上げになるというのが私たちが提案している提案でありますので、ここら辺も含めて。
最後に大臣にお伺いしますが、せっかく年金広報企画室というのがあるんだから、もっと活躍してほしいんですよね。さっき間年金局長がおっしゃいました、前の方の質問で。SNS、いろいろ誤解が多いと言ったら、ファクトチェックをどなたかにしていただくみたいな答弁だったんですが、どんなやり方がいいのか研究するという御答弁だったんですけれども、そうじゃなくて、年金の広報企画室というメンバーがいるわけだから、今ちょっとやってほしいんですよ、SNSで打ち返して、これはこうですよ、これはこうですよと。事実と明確に違うのがいっぱいありますので、是非大臣、それをやるということも今明言いただけませんか。
〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕
○福岡国務大臣 先ほど来、SNS等で誤解に基づく情報が拡散されているというような御指摘をいただいたところでございます。
例えば、厚生労働省の公式のXにつきましては、百四十文字という限られた文字数の中で、年金に関する間違った情報を正すことには限界があるというふうに考えていますが、年金制度や年金財政の将来の見通しについて、視覚的に分かりやすく解説した資料であったりショート動画であったり、またホームページ、ユーチューブ、こういったことをしっかり用いながら、正しい情報発信に努めてまいりたいと思います。
○長妻委員 圧倒的に人、物、金は皆さんがあるわけですよね。我々もいろいろやっていますけれども。
だから、Xで百四十文字って、今はもっと書けるんじゃないの。何か、かなり古いことをおっしゃっておられるような気がするんですけれども。ITリテラシーのことを言うのははばかられますが、何か、ちょっと古いというか遅いというか。
もっと機動的に、そういうのに強い人をこの年金広報企画室に入れて増強して、その場でばあんと打ち返す。例えば、事業主負担は俺たちには使われないと言ったら、いや、それは間違いですよ、そうじゃなくて、こうこうこうだと。あと、年金保険料は爆上がりする、いや、そうじゃないですよ、年金保険料一八・三%で労使合わせて固定しています、これが上限、アッパーリミットですとか。
ぱっとできるものもたくさんあると思うんですが、是非大臣、意気込みを最後に聞かせてください。
○福岡国務大臣 今はまだまだ不十分だという御指摘をいただきました。正しい情報発信、もっと積極的に発信できるように努めてまいりたいと思います。
○長妻委員 じゃ、是非よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○長坂委員長代理 次に、階猛君。
○階委員 立憲民主党の階猛です。
本日も、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
前回の続きの質問をさせていただきたいんですが、今日は、憲法に関わるということで、内閣法制局長官にもお越しになっていただいております。
まず最初に、前回も紹介した我々の案、一ページ目なんですけれども、百三十万円の崖を越える、あるいは、既に越えて、扶養から外れて、国民年金などの保険料負担を負う全ての労働者を対象にしているわけです。この方々が年収二百万円に達するか厚生年金に加入するまでは、手取りを右肩上がりにするための就労促進支援給付を公費で行うというのが左側の図です。
一方で、百三十万円の崖とは関係のないシングルマザーなどの労働者は、年収が低くても自ら国民年金などの保険料を納めているわけです。こうした方々に対しても、我々は、平等の観点から、年収二百万円に達するか厚生年金に加入するまでは、同等以上の特定就労者支援給付を行うことも提案しています。これが右側の図です。
つまり、漏れなく平等な崖対策を提案しているわけです。
他方で、今回の法案に盛り込まれている、二十時間の崖による手取りの減少を保険料負担を減らすことで一部埋め合わせしようという保険料調整制度は、対象者を限定し、期間も限定するということで、漏れが多くて不平等だと考えております。
二ページ目がその図でありますけれども、上の方に文章でいろいろ書いておりますが、要は、二十時間の崖を越えた労働者であっても、従業員五十人超の事業所に勤める場合は対象とはなりません。また、対象となる事業者であっても、制度を利用できるのは三年間です。それ以降、新たにこの事業所で二十時間の崖を越えた人も対象にはなりません。
このように、二十時間の崖を越えた労働者間の取扱いの違いは、憲法十四条の法の下の平等に反するのではないかと考えますが、法制局長官の見解をお願いします。
○岩尾政府特別補佐人 憲法第十四条第一項におきましては、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」としておりまして、いわゆる法の下の平等を規定しています。この規定ですが、合理的な理由のない不当な差別を禁止する趣旨でありまして、合理的な根拠に基づき法的取扱いに区別を設けること自体を否定するものではないと解されております。
委員御指摘の保険料調整制度は、ただいま御審議いただいております法律案附則第二十二条等におきまして規定されている短時間被保険者の厚生年金保険料等に関する経過措置でありますが、この法律案の立案に当たった厚生労働省からは、おおむね以下のような説明を聞いております。
すなわち、被用者にふさわしい保障の実現、働き方や雇用の選択をゆがめない制度とするなどの観点から、被用者保険の適用対象の拡大を図るところ、新たに適用事業所となる事業所で働く短時間労働者にとっては、新たに発生する保険料負担による手取りの減少を回避する目的で就業調整をするおそれがあることを踏まえて、こうした短時間労働者が、保険料負担の発生を回避するために就業調整を行うことがないよう、労使折半を超えて、事業主が追加で保険料を負担することを可能とし、事業主負担を増加させることにより、厚生年金保険の支え手の増加や、就業調整することなく就労できる環境づくりの整備に寄与した事業主に配慮する観点から、事業主の保険料負担の軽減を行う経過措置を設ける、こういう説明でありました。
このような説明内容につきましては経過措置として合理性があるものであり、内閣法制局として、当該措置に関する規定を含む本法律案について了としたものでございます。
○階委員 合理性のある仕組みと内閣法制局長官は言われましたけれども、果たしてそうでしょうか。二つ、私は問題があると思っております。
まず、全ての労働者が保険料を納めて、その保険料でもって今回一部の労働者の保険料を軽減するというのが保険料調整制度です。それに必要な財源は、年金と医療保険、合わせて四百七十億ぐらいに上るという答弁がありました。この四百七十億、一部の人のためにほかの大多数の人の保険料が使われるということは、保険料の使用方法として本来の目的に反する流用ではないかと考えます。
前回の私の質疑での大臣の答弁は、被保険者のために使うので流用に当たらないということでしたけれども、一部の被保険者のために使えば、他の保険者のためにならなくても、流用に当たらないということでいいんでしょうか。大臣、お答えください。
○福岡国務大臣 今回提案させていただいております取組によりまして、適用拡大の対象となります比較的小規模の企業の人材確保に資することとなるとともに、就業調整を行う可能性のある短時間労働者の就業調整を抑制することができ、ひいては、被用者保険への加入を促進し、被用者保険制度全体の持続可能性の向上につながるものだというふうに考えておりますので、合理性があるというふうに認識をしております。
○階委員 流用に当たる、流用というのは、本来の目的に反するお金の使い方であれば流用なんですよ。これは広辞苑にも書いていますけれども、本来の目的に反するんじゃないですか。私たちが仮に保険料を納めていて、その保険料が将来の年金のために使われるというのは分かるんですけれども、今回新たに設けられる保険料調整制度で、ほかの人の保険料を軽減するために用いられるというのは流用でしょう。違いますか。端的にお答えください。
○福岡国務大臣 保険料調整制度は、被用者保険の保険料を財源として、被用者保険の被保険者の就業調整を抑制する観点から実施することで、被用者保険の制度の持続可能性につながる措置でありますことから、流用ではないと考えております。
○階委員 要は、一部の人が助かれば、それ以外の人は犠牲になってもしようがないということをおっしゃっているんだと思いますよ。
そして、それ以上に問題なことがあります。不合理だと考えられる二つ目の点ですけれども、それは、皆さんのお手元の三ページ目、保険料調整制度と憲法第十四条についてということで、先ほど法制局長官はほぼこの紙に沿ってお話をされたんですよ。私が下線をつけている二つ目のところですね。今回の制度というのは、新たに発生する保険料負担による手取りの減少を回避する目的で就業調整をするおそれがあることを踏まえとなっていますね。
ところで、長妻先生が先週指摘していましたけれども、この保険料調整制度、必ずしも手取りが減る人だけを対象にしていませんよね。というのは、三号から二号に移る人だけではなくて、一号から二号に移る人にも保険料の軽減措置が適用されるわけですよ。これは、ここに書いてある趣旨からして明らかに不合理だと思いますが、違いますか。
○福岡国務大臣 保険料の調整制度は、事業所単位で導入することのできる措置でございますため、御指摘のとおり、短時間で働く第一号被保険者が第二号被保険者となる場合も制度の対象となります。これは、事業主の負担を考慮して簡便な制度としながら、同じ事業所で同じ条件で働く短時間労働者についてはひとしく対象とすることとしているものでございます。
仮に、第三号被保険者から第二号被保険者となる者のみを対象とした場合には、被用者保険に加入する前に、第一号被保険者であったか、第三号被保険者であったかの確認が必要となりますほか、制度を利用している最中でも、特定の短時間労働者が制度の対象となるかどうかを管理しなければならず、事業主の事務負担が増加するおそれがございます。
こうしたことから、同じ事業所で同じ条件で働く短時間労働者についてはひとしく対象とし、それに係る事務も簡素にすることで、できるだけ多くの事業所に活用していただくことができると考えています。
○階委員 無理のある説明ですよ。四百七十億ですよね、これに要する財源。我々がざっくり試算したところ、四百七十億のうち、一号から二号に移る人に使われる分が何と百六十億ぐらいに上るんですよ。
これは資料四ページ目に、今回適用拡大の対象となるのは、1から4のケースのうちの2なんですね。ちょっと真ん中のやや下のところに数字の入った表がありますけれども、2のところで、トータル二百万人のうち、一号から二号に移る人が七十万人、三五%いるわけですよ。三五%が大体四百七十億のうち、この部分に使われる。要するに、手取りが減らない人のために百六十億も使うんですよ。これが合理的な制度と言えますか。
そもそも、さっきの憲法に関する合憲性を述べた長官も、これは手取りが減る人のための制度だから合理性があるという話だったんですよ。手取りが減らないんだったら合理性はないでしょう。長官、いかがですか。
○岩尾政府特別補佐人 今お尋ねのありました一号被保険者であった者についての考え方ですが、内閣法制局といたしましては、今回の経過措置は、事業主負担を増加させることにより、厚生年金保険の支え手の増加や、就業調整することなく就労できる環境づくりの整備に寄与した中小零細事業主に配慮する観点から設けられたものでありますから、その対象者に一号被保険者であった者が含まれることとなったとしても、不合理なものであるとは考えていないところでございます。
○階委員 理由になっていませんよ。
さっき長官がおっしゃったのは、新たに発生する保険料負担による手取りの減少を回避する目的で就業調整をするおそれがあることを踏まえということをおっしゃっていましたけれども、この方々は手取りが増えるんですよ。就業調整をするおそれはありますか。お答えください。
○岩尾政府特別補佐人 お尋ねの就業調整をすることのおそれにつきましては、所管省庁である厚生労働省からお答えするのが適切であると考えておりますが、経過措置の趣旨、目的は、大きな目的が就業調整を行うことのおそれにあるといたしましても、それを中心に考えて線引きを引いたときに、一号被保険者であった者に対してもその経過措置の対象に含めることが合理的か、あるいはそれが含まれることが憲法違反になるかどうかにつきましては、不合理なものとは考えていません。
お尋ねの就業調整のおそれがあるかどうかにつきましては、これは厚生労働省でお答えすべき事柄だと考えております。
○階委員 ちょっとおかしいですよ。長官、合憲だとさっきおっしゃいましたよね。その前提となっている部分を聞いているんですよ。就業調整するおそれがある場合にはこの制度は合理的だ、こういうことをおっしゃっているわけで、就業調整するおそれがない部分については、逆に言うと、この制度は必要ないじゃないですか。
だから、おそれがあるかどうか、そこは当然重要なところですから、答えてください。おそれがあるかどうか、就業調整するおそれがあるかどうか、一号から二号の場合。お答えください。
○岩尾政府特別補佐人 一号被保険者であった者についても、様々な特例措置により、必ずしも負担が減少するだけではなく、増加する者も含まれているのではないかと思われることから、必ず、就業調整をするおそれがあるという、ということは言えないと思います。
また、就業調整をするおそれがあることを前提といたしまして制度設計をするとしても、就業調整をすることのおそれがないからといって、直ちにそれが、経過措置の取扱いが不合理な区別になるということまでは言えないと考えております。
○階委員 就業調整するおそれがある場合もあるとおっしゃったんですか。それは大臣の答弁と食い違っていますけれども、それでいいんですか、長官。整理してくださいよ。
○間政府参考人 お答えいたします。
まず、先ほど大臣からもお答えしましたように、第一号被保険者でありましても、心理的な側面などから、被用者保険に加入するに際して就業調整を行う可能性は必ずしも否定できないというふうに考えています。
また、この制度を導入するかどうかにつきまして、中小企業、関係者ともいろいろ相談する中では、同じ事業所の中で同じような報酬を得ているにもかかわらず、一方は制度の対象になる、一方は制度の対象にならないということになりますと、非常にそれは経営者としてはやりづらいのだと。そこのところは、事業所内の公平ということもちゃんとやってほしいというふうな御指摘もございまして、そういった点も含めて、適用拡大になるのに、経過措置としてこのような事業を導入したということでございます。
就業調整のおそれがある、可能性は否定できないというふうに考えております。
○階委員 ちょっと、大臣、おかしいでしょう。百六十億も、我々の納めた保険料が本来就業調整する可能性がない人に使われるわけですよ。手取りが減る人に使われるなら、百歩譲って分かるとしても、手取りが増える人のためになぜこれを使わなくちゃいけないんですか。お答えください。
○福岡国務大臣 先ほども申し上げましたように、事業主の負担を考慮して簡便な制度とするということで、そういうことでございます。
○階委員 答えていないですよ。簡便な制度にするために、百六十億円、保険料の流用になっちゃいますよ、これは。おかしいでしょう。それは撤回してもらえませんか、少なくともこの百六十億部分は。どうですか。これはおかしいでしょう。常識で考えてください。お願いします。
○福岡国務大臣 そこは、多分、見解を異にする部分もあると思いますが、私どもとしては、適用拡大の対象となります比較的小規模の企業の人材確保に資することになるとともに、就業調整を行う可能性のある短時間労働者の就業調整を抑制することができ、ひいては、被用者保険への加入を促進し、被用者保険制度全体の持続可能性の向上につながると考えております。
○階委員 制度の一般論を聞いているんじゃないんですよ。一号から二号に移る人、手取りが増える人、その人に百六十億円も使って、更に保険料を軽減する必要があるのかということを聞いているんです。ピンポイントでお答えください。(発言する者あり)
○長坂委員長代理 じゃ、速記を止めて。
〔速記中止〕
○長坂委員長代理 速記を起こして。
福岡厚生労働大臣。
○福岡国務大臣 まず、先ほど申し上げましたように、適用拡大等の対象となる比較的小規模の企業の人材確保に資することとなるとともに、就業調整を行う可能性のある短時間労働者の就業調整を抑制することができ、ひいては、被用者保険への加入を促進し、被用者保険全体の持続性の可能性の向上につながる。
その上で、どうしてそこを対象としているのかということにつきましては、事業主の負担も勘案してそうさせていただいた。
また、調査によりましても、一号の方が二号になるに当たって就業調整をされている、そういう実態もあるというふうに把握をしておりまして、そういったことも踏まえての判断だということでございます。
○階委員 保険料を使ってその人たちの保険料を軽減する必要はあるのかということを聞いているんです。お答えください、端的に。
○長坂委員長代理 ちょっと速記を止めて。
〔速記中止〕
○長坂委員長代理 じゃ、起こして。
福岡厚生労働大臣。
○福岡国務大臣 先ほど申し上げました、この制度の目的のためには、実務面も勘案した上で、この制度の合理性があるという判断で提案をさせていただいているということでございます。
○階委員 全くまともな答弁が返ってきませんでした。
我々の制度の方がはるかに平等性とか合理性があると思っています。この法律が仮に成立したとしても、まだ今の保険料調整制度が施行されるまでは時間がありますので、今申し上げた点については少なくとも見直しを求めて、質問を終わります。
ありがとうございました。
〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕
○藤丸委員長 次に、岡本充功君。
○岡本(充)委員 立憲民主党の岡本です。
前回に引き続いて、年金法の質疑をしていきたいと思います。
幾つか残された論点を指摘したいと思いますが、まず最初に、この間、理事会でも取り扱ってもらいました条ずれ等において、いわゆる、本来あるべき法律の文章と運用が合っていなくて、今回、この法改正に当たって法律を修正するという話でありますが、この運用が過去に遡及して行うことができるということについては、先ほどの階議員の憲法論じゃありませんが、憲法上問題があるんじゃないかということを指摘をしました。
過去の時点まで遡り、過去の事象にその法律を適用させるということは、基本的に行ってはいけないんじゃないかと思うわけでありますが、なぜ今回、本来、令和二年改正の法律によってやらなければならなかったことができていなかった、これはもう令和三年や令和四年に気づいておきながら、法律とは違う運用をしてきておきながら、厚生年金の六十五歳以降の繰下げの話、他の年金の受給権が発生した者への繰下げ停止の話など、こうした、今回、附則で修正をしていこうと思っているものを遡及で適用させるということは、憲法上どういうふうに考えたのか、法制局とのやり取りを御説明いただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
本法案では、過去の改正において手当てする必要のあった規定について修正を行うこととしておりますけれども、法律に基づいて年金制度を運用するに当たって、過去の法案に誤りがあったことはあってはならないことであり、まず、改めておわびを申し上げます。
これらの事項について、今般の法改正を契機に適切な規定に改めることとしておりますけれども、これは、いずれの項目も、過去の法案誤りという受給権者に責任のない事情により不利益が生じることのないよう、その目指す方向の立法趣旨に沿った運用がなされてきたところでございます。
特に、現行の文言のとおりに運用されていたとしたならば年金の受給額等に影響があった可能性のある事項は、受給権者の既得権を保護する観点から、必要に応じて、過去の改正法の規定の施行日に遡った法改正を行いたいと考えております。この点につきましては、内閣法制局とも相談をし、了解を得ているところでございます。
このような運用や遡及適用という手段による対応は、立法趣旨や受給権者の権利保護の観点から必要な対応であるとは考えておりますけれども、過去の法案に誤りがあったことは、いずれにしてもあってはならないことと考えておりまして、改めて深くおわびを申し上げます。
○岡本(充)委員 どういうやり取りがあったのかということを披露していただきたいということをお願いをしたわけでありますけれども、やり取りの詳細は是非、法制局からどういう指摘があったのか、教えていただきたいと思いますし、ほかの法律、厚生労働省の所管する法律、それから内閣全体でもいいんですけれども、厚労省から答えられるということでしたけれども、そちらにおいては、これまでのところ、こうした遡及適用というのは行ってはいない、こういう理解でよろしいですか。
○間政府参考人 内閣全体のことについてお答えすることができませんけれども、厚生労働省においては、そのようなものはないというふうに承知をしております。
○岡本(充)委員 是非、ちょっと機会をつくってまた、どういう法制局とのやり取りがあったか、やりたいですが、時間が限られていますから、大臣に提案です。
こういうものが見つかったときに、今回の法改正でも出てくるかもしれない、そのときに、やはり運用と条文が違っているのであれば、これは内閣、閣法で出すのかどうかは別として、与党からの議員立法でもいいと思います、速やかにこれを修正することを国会に諮るべきだと思います。
今回の法改正後にまたこのような問題が出てきたときには、速やかに国会に報告し、そして議員修正を求めるなりの対応を取るということでよろしいですか。
○福岡国務大臣 まず、今回のことはあってはならないことでございまして、心からおわびを申し上げさせていただきます。
そして、今後、同様のケースが生じた場合にどうするのかということでございます。そのことについては、御指摘を踏まえて検討させていただき、また、その旨、検討の結果、お伝えをさせていただきたいと思います。
○岡本(充)委員 変に運用でこそこそやるよりは、そのときの与野党の状況がどうかとかいろいろあるかもしれないけれども、それは正々堂々と言っていただいて、修正を求めていくということが筋だと思いますので、是非そのようにお願いをしたいと思います。
それから、この委員会で幾つか指摘をされましたけれども、次に向けての課題について、やはり大臣の認識を聞いていきたいと思います。
一つは、財政検証の前提が緩いんじゃないかと相当言われましたね。私もそう思います。毎回やっているんですけれども、財政検証、いつも緩い。経済前提もそうだ、女性の就業率、出生率、こういったことも極めて楽観し過ぎているんじゃないか、五〇%を下回らないように鉛筆をなめているんじゃないか、こういう指摘すら出てくるぐらいだと思います。現に、予想と大きく違っているじゃないかという指摘を、昨日参考人からも出生率で受けていました。
大臣、五年後も大臣をされているという前提で聞くわけではありませんが、厚労省としてということでお答えを求めたいと思いますけれども、財政検証はもっと現実を見て、そして、もっと言えば、更に厳しい状況になったとしても、どうなるのか。五〇%を下回らないような財政検証だけを出してきて、五〇%を下回りませんという話をしていたのでは、現実味がないんですよ。現実味がないから、国民は年金に対して信頼を持たなくなってくるんですよ。
もっと現実に基づいた厳しい財政検証を次回はやっていただくということでよろしいでしょうか。
○福岡国務大臣 財政検証につきましては、五年ごとに検証する仕組みでございますので、常に実績を踏まえて適切な前提を立てるということは重要だという認識は議員と一致をしております。
その点、財政検証に用います実質賃金上昇率などの経済前提につきましては、これまでの実績を踏まえながら、専門家による検討を経た上で幅広い複数のケースを設定をしており、私どもとしては適切なものだというふうに考えています。
ただ、委員の御指摘も踏まえて、常にそういった観点で、専門家の方々にも御議論いただいた上で、適切な前提を立てていきたいというふうに考えております。
○岡本(充)委員 これが適切だと言っていたら、次回も同じことになりますよ。やはり今回、緩かったと言われても仕方がないところはあった、適切だと思っているけれども、緩かったと言われても仕方がない面があったぐらいは認めておかないと、そうしないと次も同じことになる。
是非、大臣、次の大臣、これから先の五年後、どなたが大臣をやられているか知りませんけれども、そこに向けて、やはり今回の指摘を踏まえてどうするか、また是非考えていただきたい。もう一度だけ。
○福岡国務大臣 大変恐縮ですけれども、財政状況を評価するに当たっては、今回、賃金上昇率などのように実績が前提を下回る要素がある一方で、年金積立金の運用利回りのように実績が前提を上回る要素もあったことから、これらの要素を総合的に見る必要があり、全体を総合的に評価しますと、過去三十年の実績と比べて高い前提とは考えてございません。
ただ、御指摘も踏まえまして、今後も、見直しのときにその適切性についてはしっかり見ていきたいというふうに思います。
○岡本(充)委員 是非、年金の運用も、五年前に私はこれを指摘したんじゃないかと思うんですけれども、結局、株式の運用がすごく増えてきているから、キャッシュアウトするときは大変ですよ。
確かに、今の簿価の考え方でいえばこうやって評価するしかないかもしれないけれども、実際、現金にしようと思ったら、現金で出すんだから、現金化すると言った瞬間に株価は下がりますからね。そういう意味では、本当に運用しているお金をキャッシュアウトできるかどうかは分からない、この前提でやはり考えていかなきゃいけないということですから、是非そこは踏まえていただきたい。
それから、今回やり切れなかった、国民年金、四十年を超えて加入できるかどうか。四十五年と決め打ちをするわけではないし、強制加入でなくてもいいけれども、やはり任意で加入ができるようにしていくということが必要だと思いますし、在職老齢年金の廃止、三号の廃止、それから六十五歳以降への年金の支給開始年齢の引上げ、これは全部やれと言ったら鬼のような話ですけれども、やはりそのときの状況を見ながらやっていかざるを得ない課題が出てくると思います。
やはり、正直にこういったものを盛り込んでいけるように、私は、もっと早めに与野党の協議の場、今回はちょっと本当に短くてあれでしたけれども、与野党の協議の場をつくっていくなど、厚労省として工夫をするべきだと思います。どうですか、大臣。
○福岡国務大臣 今おっしゃっていただきましたように、基礎年金の拠出期間の四十五年化だったり、支給開始年齢引上げ、いろいろ様々な重要な論点があると思います。
今御指摘いただきましたように、次期財政検証等を含めまして、幅広い論点につきましては、できる限り皆様方と幅広く議論できるような環境整備に努めてまいりたいと思います。
○岡本(充)委員 よっぽどそのときに与党が物すごい勝っていたとしても、多分、単独ではこれらのことはできないと思います。
したがって、そのときの政治状況がどうであれ、野党も巻き込んでこうしたことを議論していく、国民的な議論をしていかないと、財政検証して、翌年にほいっといって改正はできないと思いますよ。今言った項目はどれも一つ一つが重いです。
さて、前回の附帯決議で指摘された項目もまだ残っているものがあります。例えば、いわゆる年金の繰下げ受給について国民に分かりやすい形で周知徹底すること、当時五番目に指摘されたこと、また、七番目に指摘をされた国民年金基金の加入の要件の見直しや、またそれ以外にも、指摘をされているけれども、まだ十分でないと思われるようなものも残っています。
こうしたことについて、やはり真摯に対応を考えていかなきゃいけないんじゃないか。まだ厚生労働省の見解としては検討中とか措置済みと書いていたりしますが、できていないものがあると思いますので、引き続きの検討を、是非大臣、お願いをしたいと思います。それでやるべきことをやっていかなきゃいけない、五年に一度の財政検証を待たずとも、やるべき改正はやっていかなきゃいけないと思います。どうでしょうか。
○福岡国務大臣 常に検討を行っていくというのは議員御指摘のとおりでございます。
令和二年改正法の附帯決議につきましては、これまでも検討を行い、順次対応を行わせていただいています。
例えば、繰下げ制度の周知広報につきましては、厚生労働省としては、年金の受給開始年齢に到達した方に送付する繰下げ受給に関するリーフレットにおきまして、繰下げにより増額した年金を受給し収入が増加することにより、医療、介護の自己負担、社会保険料や税の負担が増加する場合があることなど、附帯決議で御指摘のあった事項について留意点として記載をしておりますほか、令和五年四月には、将来受給可能な年金額を簡単に試算できる公的年金シミュレーターについて、社会保険料や税の負担の変化がイメージできる機能を追加するなど、引き続き周知広報に努めてまいります。
また、GPIFにおけますリスク管理、リスク情報の公表につきましては、GPIFにおいて、安全かつ効率的な運用の観点から、市場の動向等を踏まえつつ、基本ポートフォリオに基づき適切にリスク管理を行うとともに、附帯決議を踏まえまして、令和二年以降毎年、GPIFの業務概況書においてストレステスト等の長期的観点からリスク管理に関する情報の公表を行ってございまして、これも含めまして、引き続き取組を進めてまいります。
○岡本(充)委員 ちょっと会派内で時間調整しますからこれでやめますけれども、大臣、公的年金シミュレーターを使ったことはありますか。非常にややこしいですよ。やはり簡素で分かりやすい方法を考えていかなきゃいけないと思います。是非そういった意味でしっかり周知をしていくということをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、宮川伸君。
○宮川委員 立憲民主党の宮川伸でございます。
本日、年金改革法案に関して質問したいと思います。
まず最初に、基礎年金の底上げの部分について、改めて大臣にお伺いをしていきたいというふうに思います。
まず最初に、やはりこの年金改革法案が出てきたのが大変遅かったということ、そして、働き世代、若い人たちの世代の年金、これは会社員の方々もそうですが、基礎年金が三割下がるかもしれないという中で、この対策の部分が抜けた状態で、あんパンのあんこが抜けた状態で法案が出てきたことに関して、私は大変残念に思っているところであります。
その上で、私、この間、多くの方々と対話をし、ミニ集会を開いたりもして御意見を聞いてきましたが、そういった中で、特に働き世代、若い人たちの年金不信が本当に大きい。自分たちは将来年金をもらえないんじゃないか、年金をもらえないかもしれないのに何でこんなに高い保険料を払わなきゃいけないのかということをかなりの人から言われました。これは今までの質疑の中にもありましたし、昨日の参考人質疑の中でもそういったことが出ていたと思いますが、このぐらい年金の不信が多いということの前提に立って、しっかりこの場で議論していかなきゃいけないというふうに思っています。
改めて、資料の一枚目でございますが、確認ということで、一枚目は新卒就職率の推移ということでありますが、二〇〇〇年ぐらいのときには就職率が非常に低くなっていて、大卒、高卒共に、六〇%ぐらいしか就職がすぐできなかったということです。私、一九九九年に大学を卒業しているんですが、改めて、この辺にいたんだなということを思っているところです。
次に、二ページ目でありますが、これは実質賃金カーブですが、若い世代になるに従って賃金が下がっていっているということが、よく、はっきりと分かると思います。
そして、三枚目でございますが、これは金融資産の保有額ということですけれども、これも、若い世代になるに従って貯金の量が減っているということがはっきりと分かるというふうに思います。
このように、世代が若くなるに従って賃金が下がっている、そして貯金の量も減っているということがもう分かっているわけでございますが、そういった中で、今回、この世代の方々の年金が、基礎年金部分が三割減るかもしれないということが明らかになっていたわけであります。これは、会社員の人たちも含めて基礎年金が三割減るかもしれないという中で、ここの重要な部分、三割減らないように手当てをしなきゃいけないという重要な部分の法案が抜けた状態で今回国会に出てきたということであります。
今日、修正案も出てきたということでありますが、改めて大臣に、マクロ経済スライドを止めるという形でしっかりと基礎年金の底上げをしていく必要があるということについて、大臣、答弁をお願いをいたします。
○福岡国務大臣 まず、年金の給付水準の確保は大変重要な課題だというふうに考えております。その給付水準については、経済状況によって変わり得るものでございますので、政府としては、賃上げと投資が牽引する成長型経済を目指し、年金の給付水準が将来も維持できるように努めているところです。
その上で、先ほど御指摘ありました就職氷河期世代以降の方が年金を受給されるのは二〇三〇年代半ば以降でございまして、また、今般、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了に関しまして、次期財政検証を踏まえ必要な措置を検討することが盛り込まれた修正案がまさに提出をされ、今、国会で御議論いただいているところでございます。この議論の結果も踏まえまして、基礎年金の水準確保について必要な措置をしっかり行ってまいりたいと思います。
○宮川委員 是非しっかり取り組んでいただきたいんですが、改めて、あんこの部分を入れ戻すという議論がありますが、仮に、この修正案がしっかり通ったとして、あんこを入れていけるというような状況になったとした場合であったとしても、今、やはりまだ、厚生年金の流用ではないかというような、そういううわさが、間違った認識があるわけです。
昨日の参考人質疑の中でもこの点についての議論がありましたけれども、改めて、厚生年金の流用ではないというところを払拭していく必要がある。修正案が入ったとしても、国民の誤解が広まっていたら、いい制度として進んでいかないということだと思います。
働き世代、若い人たちの世代、会社員の人たちも含めて、これは、基礎年金の部分が三割減らないように手当てするために、そのためにマクロ経済スライドを早く止めてやっていくんだ、基礎年金の底上げをしていくんだということで、厚生年金の流用ではないということを改めてはっきりお伝えいただけますでしょうか。
○福岡国務大臣 これまでも議論がありますように、厚生年金受給者の方も当然一階部分があるわけでございまして、そういう部分でいいますと、これまでも厚生年金の積立金については基礎年金部分にも活用をさせていただいた、その活用の在り方を今回見直すということでございますので、流用には当たらないということは、これまでも申し上げてきたとおりでございます。
今回も、様々な議論を通じて、そういった点についてはお答えをさせていただいておりますが、引き続き、そういった理解をいただけるように、私どもとしても努力してまいりたいと思います。
○宮川委員 それで、今回、結局、五年間判断が遅らされるということであります。本当に、私は、やはり今国会で、このことについてしっかりとこの場で議論をして、マクロ経済スライドを止めるのかどうかという判断をすべきだったというふうに思います。しかし、これは五年後に判断を遅らせるということであります。
その上で、六枚目の六ページ目を見ていただきたいんですけれども、これはよく皆さん御存じの表だと思いますが、本来、報酬比例部分のマクロ経済スライドは二〇二六年で止まる、だから来年止まるということになっていたわけでありますが、このことも含めて、今回しっかり議論をしなければならなかったわけですが、私の理解では、この報酬比例部分のマクロ経済スライドが二〇三〇年まで延長されるという理解なんですけれども、これで正しいでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
財政検証、それから今回の御提案しております法改正を踏まえますと、過去三十年投影ケースでいけば、厚生年金のマクロスライドの終了年度は、二〇二八というふうに改正の効果でずれるというふうに考えております。
その上で、今回の法案では、令和二年改正法附則に基づき、基礎年金のマクロ経済スライドの長期化を踏まえた公的年金制度の所得再分配機能の強化等について検討を引き続き行うに際し、今後の社会経済情勢の変化を見極めるため、次期財政検証の翌年度である二〇三〇年度、まさに委員御指摘の点でございますが、二〇三〇年まで報酬比例部分のマクロ経済スライド調整を継続することとしているということでございます。
○宮川委員 七ページ目を御覧いただきたいんですけれども、本来、ここのマクロ経済スライドをどうするのかというのをしっかりここで法案として審議をすべきだったところが抜け落ちたわけでありますが、この七ページ目で、青いラインで行く、二〇二八年までマクロ経済スライドが今回適用拡大で延びるということで、こうなるということでありますが、今、この赤いラインで推移するというように私は理解していますが、なぜ赤いラインのようになるのでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
先ほどの繰り返しになりますけれども、次期財政検証、令和二年の改正法附則に基づいて、引き続き必要な措置を検討するために、次期財政検証の翌年度である二〇三〇年度まで厚生年金のマクロ経済スライド調整を延長するわけですが、この根拠につきましては、二〇三〇年度の報酬比例部分の給付水準が、当初マクロ経済スライドを終了する見込みであった二〇二八年の水準を下回らないようにして、そういう、現在の受給者に一定の配慮をするということを行いたいというふうに思っております。
どの程度調整を緩和する必要があるか数理計算したところ、マクロ経済スライドの調整率は公的年金の被保険者数の減少率に応じて毎年度変わり得るものであり、二〇二八年度までの三年間の調整率と比べ、二〇二九年度以降の二年間の調整率の方が高い見通しとなっていることなどを考慮して、数理計算の結果として、調整率を三分の一としたところでございます。
○宮川委員 そうすると、この赤い棒のところが更に負担が増えるということでありますが、この負担は誰が負担することになるんでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘のような赤い線であった場合には、二〇三〇年度までの給付水準は従前よりも高くなっておりますけれども、この給付に必要な財源は、二〇三一年度以降の給付水準を調整することにより賄っていくということになると考えております。
その上で、この配慮措置による影響は二〇三〇年度までの五年間に限定され、おおむね百年という超長期で見れば、将来の給付水準への影響は軽微なものと考えております。
○宮川委員 今、影響は軽微ということですが、いわゆる将来世代に、働き世代や若い世代の人たちにもここの部分が行くということであります。
ですから、大臣、今まで、五年先、二〇二九年の財政検証を見て、経済の状況を見て適切に判断すればいいというような答弁をされていましたけれども、実際上は、やはり今国会でちゃんとこの議論をして方向性を決めなきゃいけなかったんじゃないかと私は思います。今国会でちゃんと判断できなかったために、このような中途半端なものを挟み込まなきゃいけなくなって、そのために、若い世代、働き世代に更に負担が行くことになっています、軽微かもしれませんが。
だけれども、次、五年後どうなるか分からないわけで、そういう中で、このような中途半端な政策を挟み込まなきゃいけなくなったということに対して、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○福岡国務大臣 まず、経済情勢に応じて将来の給付水準は異なりますから、五年に一度行う財政検証において、それまでの実績と当面の状況を見極める必要がございます。
基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させる措置は、就職氷河期世代が年金を受給し始める二〇三〇年代半ば以降を念頭に、元々政府が考えておりました案でも、二〇二九年に予定の次期財政検証の後に発動の可否を判断する仕組みとして御提案をしたものでございます。
この御指摘の基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了につきましては、今、次期財政検証を踏まえ必要な措置を検討することが盛り込まれているこの修正案が国会で御審議いただいているところでございますので、この議論の結果も踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。
○宮川委員 改めて、最初に申したように、私、働き世代、若い方々とお話をしていく中で、本当にこの年金制度に対して不信感を持っていると。何でこんなに高い保険料を払っているのに、将来、年金をもらえないんじゃないかということ。ですから、やはり私たちは、しっかり、年金制度は大丈夫なんだ、皆さん安心してくださいと言えるようにしていかなければいけない。
だから、決断しなきゃいけないときにはしっかり決断をするということをしていかなければ、こういう中途半端なことをするから、若い人たち、働き世代は不信感を持って、このままでは年金をもらえないんじゃないか、自分で貯金した方がいいんじゃないかというようなことになるんじゃないかというふうに私は思います。
改めて、今回、あんこが抜けた状況で法案が出てきて、そして、先ほど申したように、働き世代、若い世代、今、会社員の方々の年金が、基礎年金の部分が三割下がる、これを上げなきゃいけないという議論を本来しなければならなかったのに、その議論ができなかったことに対して、大臣、働き世代、若い人たちに対して、是非、一言言っていただけませんでしょうか。
○福岡国務大臣 若い世代の方々にも理解をいただくべく努力するというのは、御指摘のとおりでございます。
公的年金制度は、給付は終身で、また、かつ、物価等の変動に対応した形で行われ、障害年金であったり遺族年金といった様々なリスクをカバーするなど、民間保険とは異なる役割を持っていると考えています。
さらに、二〇〇四年の制度改正において、保険料の上限を固定した上で、その収入の範囲内で給付を行うこととし、マクロ経済スライドの仕組みを導入したことで、現役世代の負担が過重なものとならないようにしてございます。
今回の法案におきましても、被用者保険の適用拡大など、将来の受給者の給付も充実させながら、現在の受給者の年金を増額させる重要な改正事項も盛り込ませていただいています。基礎年金の給付水準についても、この修正案等で今御議論いただいているところでございます。
若年世代を含みます国民の皆様方には、こういった公的年金の意義であったり役割、今回の法案の内容について分かりやすく説明を行いながら、制度に対する信頼を高めるように努力してまいりたいと思います。
○宮川委員 是非、私も含めて、決断しなきゃいけないときにはしっかり決断をして、国民の皆さんから不安に思われないように、しっかりと政府、私たちが、年金はしっかりやれるんだということが示せるように、是非お願いをしたいと思います。
そして、修正案が提出をされましたので、修正案提出者に対して御質問をしたいと思います。
修正案によりますと、五年後に、マクロ経済スライドを止める、このあんこを入れるかどうかということを決めることを入れるということでありますが、その判断として、基礎年金の将来における給付水準が低下すると見込まれる場合には、このあんこを入れるということであります。この給付水準の低下とはどういう状況なのかということを少し分かりやすく教えていただければと思います。
例えば、今の現状と同じように、過去三十年投影ケースで、所得代替率が今より三割程度低下する場合にはしっかりとあんこを入れるんだというような理解でいいのかどうか。よろしくお願いをいたします。
○井坂委員 ありがとうございます。
基礎年金のマクロ経済スライドの早期の同時終了措置、これは、最終的に、次回の財政検証で、社会経済を見て総合的に判断することになるものであり、数値だけをもって機械的に判断するものではないと考えています。
ただ、その上で申し上げますと、令和六年財政検証の過去三十年投影ケースのように、厚生年金と基礎年金のマクロ経済スライドの終了時期の差が三十年近くあって、その結果生じる給付水準の低下が約三割というような、要は今と同じような状況が続いていたら、これは当然、早期終了による底上げ措置をやることになるという修正案であります。
○宮川委員 ありがとうございます。
しっかりと、必要なときにあんこが入るようにしていただきたいと思います。
それとともに、これを行うことで一時的に年金が下がってしまう方々がいるということですが、特に低年金者の方々が困らないように、そこの部分の手当ても、修正案に入っているということでありますが、よろしくお願いをいたします。
次のところに入りますが、被用者保険の適用拡大のことについて御質問したいと思います。
基本的に適用拡大はしていくべきだということ、そして、私のところには、例えばフリーランスの方や農業従事者のような方々も、厚生年金に本当は入りたいんだというような声もたくさんあるという中で、適用拡大は重要でありますが、一方で、今の中身だと、私は、中小企業の方々への手当てが足りないというように思っています。
今、物価高、人手不足で大変経営が厳しいという声をたくさん聞いています。八ページ目にちょっと記事も載せましたが、時間がないので、これは載っているということで、倒産件数も非常に多いということです。大臣も商工会の方々等とお話をしていると思いますが、私も商工会の方々から、これ以上社会保障費を増やされたらば本当に苦しいということであります。
これは、しっかりともう少し手当てをすべきではないかというふうに私は思いますが、大臣、どのように思われますでしょうか。
○福岡国務大臣 今回の被用者保険の適用拡大につきましては、これまで以上に小規模の企業が対象となりますことから、施行まで十分な準備期間を確保するため、最大十年をかけて段階的に施行することとしております。
また、今御指摘ありました企業経営に与える影響であったり事務負担の増加等も踏まえまして、支援体制を整備し、円滑に施行できる環境を整備することとしております。
具体的には、企業の事務負担の増加等も踏まえまして、年金事務所への来所が不要になります電子申請の推進であったり、また、情報が記載された届出書を事業所へ送付して、確認してお返しいただく、いわゆるターンアラウンド方式、さらには、社会保険労務士等の専門家の事業所等への派遣といった事務負担の軽減にも更に努めていきたいと思います。
またさらに、御指摘ありました小規模事業者等を含めまして、経済産業省も含めた関係省庁と連携して、事業者の生産性向上であったり価格転嫁の促進などを通じた賃上げの強力な支援を着実に進めてまいりたいと考えています。
○宮川委員 事業者の融資が困らないように、私、もう少しゼロゼロ融資の話とかをしたかったんですけれども、時間になりましたので、これで終わりにいたします。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十八分休憩
――――◇―――――
午後零時五十一分開議
○藤丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。池田真紀君。
○池田委員 立憲民主党、池田真紀でございます。
今日はよろしくお願いいたします。
三月の中旬からということで、待ちに待った年金の改正法案でございますが、今日はいろいろと、あんこがあるとかないとかという話がありつつも、このように修正案の協議ができるということに、まずはひとまず御協議いただいた皆様に感謝を申し上げたいと思います。
とはいえ、審議時間が極めて短い状況でございますので、しっかりと聞くものは聞いて、そして、残された課題があるとするのであれば、しっかりとこの委員会の中で共有をしていきたいというふうに思っております。
まず冒頭、何人かこの間にも質問がありました障害年金について、不支給の問題について確認をさせていただきたいというふうに思います。
この決定なんですが、調査自体は六月の中旬の発表で、今調査をしていますということは承知をしております。この間の決定なんですけれども、いつ、どのような形で、どのような形というのは分かっていますけれども、一応念のため、期間に不支給の方、決定通知の時期とあと方法、お知らせいただきたいと思います。
○巽政府参考人 お答えいたします。
まず、障害年金に係る標準的なスケジュールにつきましては、新規の方につきましては、請求を受付してから不支給決定通知書を送付するまでに三か月程度要しております。また、再認定の方につきましては、誕生月の月末までに診断書を提出していただきまして、支給停止又は減額となった場合は、誕生月の四か月後の月の上旬までに支給額変更通知書が送付されるということになっております。
以上でございます。
○池田委員 そのスケジュールではなくて、この間に、十二か月分ですね、一か月の間に、上旬に通知書を出している。不支給の人には不支給通知書だけで、そして、特段、経済的にお困りの方にどうこうとか、あるいは不服申立てについての御案内等は行っていないということをレクで伺っていました。その確認でありましたけれども、それに間違いなければ、それでよろしいでしょうか。
○巽政府参考人 このような通知を送付する際には、生活保護等の他制度の案内は行っておりません。
○池田委員 ありがとうございました。
それでは、生活保護の方に伺いたいんですけれども、私の今日の配付資料にもありますけれども、今日の岡本委員とか長妻委員もニュースを載せておりましたが、報道によりますと、約三万人が不支給ということでありました。これまでの二倍ということでの報道があります。
ということであれば、そこを経済的に非常に重要視されている方、若しくは生活保護を現在受けていて収入認定をされている方、まあ障害加算の話はちょっとおいておいて、という方について、この報道を受けた上で何らかの対処をされていますでしょうか。
○日原政府参考人 お答えを申し上げます。
被保護者の方へ支給されます保護費が的確に算定されますように、保護費の計算に当たって、必要となる年金などの収入状況を把握することは重要であるというふうに考えてございます。
保護の実施機関に対しましては、こうした点を的確に把握するために、通知などによりまして、被保護者に対して、年金などの収入に変動があった場合に速やかに収入申告を行っていただくということの周知に加えまして、実施機関におきましても、年金加入状況を組織的に管理するとともに、障害年金などの収入状況の変動が見込まれる場合には随時に被保護者に確認することや、必要に応じて年金事務所へ照会することなどを求めているところでございます。
受給されていた障害年金が非該当となるようなケースの把握に向けましては、今後、自治体を対象とした会議などの機会を捉えて周知するなど、更に対応を徹底してまいりたいと考えてございます。
○池田委員 今おっしゃられたのは通常の話であって、この報道を受けた後に行ったということではないですよね。確認です。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御答弁を申し上げました通知などの発出につきましては、以前、従前行っているものでございます。
○池田委員 以前というのは、だから、この報道を受けた後ということではなくてということでよろしいですよね。はい。
私、だから、とても心配しているんですね。調査に関しては、この後、その決定の具合が恣意的だったかどうかとか、そういったところは調査で後でしっかりやっていただかなければいけないし、正さなければいけないと思っています。万が一、そこについて本来受けるべき年金が受けられていないということは、これは大変ゆゆしきことではありますが、この後、軌道修正することであると思うんですね。
でも、今現在、最低生活の中で、年金が収入認定です、加えて障害加算がありますということで生活をされている方といったものの対処というのは、これは本当に実施機関がしっかりやっていかなければいけないので、行っていただきたいと思うんですね。
しかも、今前向きに答弁いただいたんですが、今日配付資料をつけておりますが、資料二、参考までです、本当に時間がなかったので、過去私がちょっと調べたものですけれども、これは分かりやすく言うと、保護決定を少し多く決定してしまった、だから返還してくださいというやつなんですね。これは、わざと不正支給ではなくて、申請の届出とか制度の理解とかそういったところに困難があってされている方、自立更生費に充てる等で法六十三条が適用されている方、こんなにたくさんあるんですよ。こんなにたくさんあるんですね。
会計検査院の結果でも、一番指摘されているのはこの年金。私は福祉事務所で十四年間働いておりましたから、なおさらのこと、この困難というのは物すごく分かっているんです。現場の混乱は物すごい大変なんですね。ですから、システム上の問題が物すごくあるんですよ。
だから、これは裏を返せば、多く出し過ぎて反対だけれども、私が今懸念しているのは、足りなくて生活されている方がいたら大変だということを言うんです。最低生活費以下で苦しまれていらっしゃる方が発生しないように。これは結果を見てからでは遅いんですね。毎月毎月の支給ですからね、保護費に関しては。最低生活で年金額が支給されていての、加えての金額だったりするとなると、大変これは危機的、生命的にも危機だと私は思っております。
これは早急に対応していただきたいと思います。御答弁お願いします。
○福岡国務大臣 生活保護制度においては、最低生活保障の観点から、被保護者に支給する保護費が適切に算定されますように、保護費計算に当たって、必要となる障害年金等の収入状況を的確に把握することが重要だと考えています。
これまでもその徹底を図っているところですが、今後も、自治体向けの会議などの機会を捉えて周知するなど、更に対応を徹底してまいりたいと考えています。
○池田委員 よろしくお願いいたします。
それでは次に、今回の年金の改正について質疑をさせていただきたいと思います。
今回の基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了に係る障害基礎年金と遺族基礎年金への影響、これは額も含めてお答えいただければと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
障害基礎年金及び遺族基礎年金につきましては、老齢基礎年金と同様に、マクロ経済スライド調整の影響を受けるため、仮に基礎年金マクロ経済スライド調整を早期に終了した場合、将来の給付水準も老齢基礎年金と同様に上昇することになります。
具体的なもので御紹介申し上げますと、委員が配付してくださっている資料にもあるとおりなんですけれども、一応御紹介申し上げます。今から申し上げます金額は、名目額ではなくて、物価で現在に割り戻した実質額であることを申し添えます。
まず、障害基礎年金の一級の方ですけれども、足下二〇二四年度は八・四万円、これが二〇五二年度において今回のような適用拡大を行った上でどうなるかというと六・九万円、これにマクロ経済スライドの早期終了を加えますと八・五万円と見込まれます。
また、障害基礎年金二級の方については、二〇二四年度六・七万円、適用拡大を行った二〇五二年度が五・五万円、これに早期終了を加えますと六・八万円。
遺族基礎年金につきましては、二〇二四年度六・七万円、適用拡大を行った上での二〇五二年度の金額が五・五万円、それに早期終了を行いますと六・八万円、このように見込まれるところでございます。
○池田委員 ありがとうございます。
今回の修正案の効果といいますか、それがなければここが下がるという理解でよろしいですよね。
○間政府参考人 先ほど申し上げましたように、名目額ではなくて、物価で割り戻した実質額で申し上げれば、そういうことになります。
○池田委員 ありがとうございます。
それでは、今回の修正案の提出者に伺いたいと思います。
今、障害年金当事者あるいは受給者、あとは遺族年金の受給者については御答弁がありました。そのほかにも、非常に貧困率が今高いと言われている女性又は低所得者、低年金者についての影響といいますか、修正案ではどのような影響や効果があるのか、よろしくお願いいたします。
○山井委員 御質問ありがとうございます。
今回の修正案というのは基礎年金の底上げでありますから、これは特に低年金の方に大きな効果があります。
具体的には、三十年投影ケースにおきましては、現在五十歳の世代では、報酬比例部分の高い高年金の方の影響額は三・三%であるのに対しまして、報酬比例部分の給付が低い方の影響額はプラス一三・六%ということになります。
さらに、男女を比べてみますと、これは、平均余命が長い方が底上げ効果が高くなりますから、男性より女性の方が平均余命が四歳長いわけですから、高年金の方よりも低年金の方の底上げ効果が大きい、男性よりも女性の底上げ効果が大きい。
そして、何よりも、やはり私たち社会保障に取り組む者としましては、障害者のことが一番重要なんですね。これは繰り返しになりますが、年金局長が答弁されましたように、今の障害者年金の一級は八・四万円なんです。ところが、申し訳ありませんけれども、政府案のままだったらこれが二〇五二年には六・九万円に、八・四万円が六・九万円に下がってしまう大変な事態だったんですが、今回の修正案が実現すれば八・五万円ということに上がるわけですね。
同様に、障害年金二級におきましても、今六・七万円のものが、このままの政府案の元のままでしたら二〇五二年に五・五万円に一・二万円も下がっていたところが、今回の修正が実現できましたら二〇五二年度には六・八万円ということで、今回の修正案というのは、女性に優しい、低年金者に優しいだけじゃなくて、やはりこういう障害のある方に優しいということが今回の修正案の特徴であると思っております。
○池田委員 ありがとうございます。
今回、極めて短い期間での審議なので、この修正案といったものがどういうあんこなのかみたいな形で、相当ネットが荒れている状況でもありますので、もう一言、修正提出者に、もしアピールといいますか、修正案のアピールを是非ここで、誤解も解くような形でもどちらでも結構ですので、よろしくお願いいたします。
○山井委員 先日、本会議で井坂議員に対しまして石破総理も答弁されましたように、この調整期間の一致が終わりますときにおきましては、現在三十八歳以下の方においては、九九・九%の方が厚生年金も含めて年金が上がります。そして、五十歳以下の方は、相当の高年金者以外は全員、厚生年金も含めて年金が上がります。
そして、先ほど答弁もあったかもしれませんけれども、男性は、モデル年金の世帯、モデル年金の方は六十二歳以下は年金が増えます。それで、女性は、モデル年金の女性の場合、六十六歳以下は年金が増えますということで、今、ちまたでは厚生年金流用論と言われておりますけれども、非常に重要なのは、多くの厚生年金の現役の方々にとっては年金を増やす改革であるということです。
強調いたしますけれども、この年金改革を行わないと、若者、現役の方、就職氷河期の方々は大変深刻な老後の不安になりますけれども、今回の修正案が実現できましたら、こういう若い世代ほど、低年金の人ほど、就職氷河期世代の人ほど底上げになりますし、同時に、厚生年金の方々も多くの方が年金が増えるということになります。このことは強調したいと思っております。
○池田委員 ありがとうございます。
本当に、バラ色の将来に向けていくためには、もっとそのほかにもいろいろなことをやらなければいけないし、議論もとてもとても足りない状況の中で、せっかく年金法案ということですので、今の修正案につきまして確認をさせていただきました。
それでは、修正案についてはこちらで終了をさせていただきます。ありがとうございました。
最後の項目になります。
この間にも、多くの議員が、生活保護との関係をお話をされる、話題にされるということでありました。しかし、この間、生活保護法は、大きな改正、抜本的な改正というのがなかなか行われず、通知、通達で終わってしまうことが多いわけですから、非常にここの議論を誤っては困るなというふうに思っているところであります。大変重要な年金と、あと生活保護ということでございますので、大臣に確認をまずはさせていただきたいと思います。
憲法上の位置づけ、今日私もお配りをさせていただきました資料四ページになります。日本国憲法の二十五条の第一項そして第二項という表記とともに、生活保護法はこの第二十五条だということ、そして国民年金法は第二十五条の第二項ということで、若干ここの目的はもちろん異なるんですけれども、生存権に関わる極めて重要な憲法の位置づけがあるということの認識でよろしいでしょうか。
○福岡国務大臣 生活保護と年金につきましては、それぞれ憲法第二十五条との関係性が異なっていることに加えまして、生活保護は、年金を含めた収入や資産、働く能力など、あらゆるものを活用してもなお生活に困窮する方を対象に、全額公費で最低限度の生活を保障する最後のセーフティーネットである一方、老齢基礎年金は、現役時代に構築した生活基盤や貯蓄等と合わせ、老後に一定水準の生活を可能にするという考え方で設計をされています。また、収入や資産にかかわらず、保険料の納付実績に応じた給付が権利として保障されるものです。
このように、それぞれの制度の役割や仕組みも異なっておりまして、そういった意味で、給付水準の単純な比較というのは適切ではないと考えております。
○池田委員 ありがとうございます。
給付水準というよりは、目的が違うわけですよね。まず、底支えをするかどうか。ただ、数字が今、適正かどうかはまたちょっと別の議論になろうかと思います。大変重要な国民に対する権利でもある、保障でもあるということだと思います。
そこで、伺いたいと思います。
この間、何人かの委員からの御質問があったかと思いますが、再度確認をしたいと思います、厚生労働省に。生活保護になりそうな人たちといいますか、見込みですね、受給額の見込みといったものはいかがでしょうか。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
生活保護の将来の受給状況につきましては、世帯構成の変化や経済情勢、また個人の資産の状況や扶養関係など、様々な要素の影響を受けますことから、こうした点を踏まえて推計を行うことは困難であるというふうに考えてございます。
○池田委員 ただ、これはとても大事だと思うんですね。生活保護の受給のみならず、今回、今、年金法で、年金になる方の見込みといいますか、それは多くの学者の皆さんも推計を出していますよね。人口問題研究所でも、老後の経済状況を見る数値も幾つかパターンでももちろんしっかり出ていますし、貧困率については、今一〇%なのが、これが今後急速に高齢者の部分が二〇%まで上昇しますよ、四〇年代までは続きます、マクロ経済スライドによる影響といったものも、これが加わって大変な危機的な状況だということを示していたり、いたりですよ、いたりするものでありますし。
今の御答弁で私がちょっと気になっているものは、資産というのはもちろんあろうかと思いますけれども、資産よりも、今、扶養とおっしゃられました。扶養は、ちょっと今答弁の中で出てきたものですから、通告していないので、お答えできたらでいいんですけれども、今、金銭的扶養を行われているパーセンテージというのはすぐ出ますか。もし出なかったら、私の手持ちの話であれします。
○日原政府参考人 ただいま御指摘をいただきました扶養を受けている割合でございますけれども、申し訳ございません、ちょっと突然のお尋ねで手元にございませんで、申し訳ございません。
○池田委員 私もすごい古い資料なので、現在またちょっと変わっていると思いますが、二〇二一年の調査にもありますが、こちらは七割近くが心理的な負担とあるんです。実際に扶養が行われているのが〇・九%で、一%にも満たないんですよ。
このことも含めてなんですけれども、これは二〇二一年にまさに衆議院の予算委員会でも、いらっしゃらないですけれども、公明党の委員の先生の質疑に田村元厚生労働大臣さんが、扶養は義務ではないということで、改めて誤った運用が多過ぎるということで答弁をして、その後、二〇二一年の二月の二十六日に改正通知を出しているんです。ですから、今みたいな答弁が今まだ行われているとすると、非常に私は、危うい将来の経済状況の見通しを行うんじゃないかなというふうに大変懸念をしているんですよね。
ですから、今の、いろいろな条件があると言いつつも、低所得者の、低経済者の方たち、あるいは今受給をされている人たちというのは、そういったところが見込めない人たちが多くいるんだということでよろしいですよね。
○福岡国務大臣 午前中、長妻先生との議論の中でもお話しさせていただきましたが、扶養関係だけじゃなくて、様々な要素の影響を受けます。それぞれの要素についてどういう前提を置くかによって、かなり出てくる数字については幅があるものですから、そういったことから推計を行うことは困難だというふうに申し上げましたが、その上で、何かやり方はないのかという御指摘に対しまして、受け止めて検討するということを午前中申し上げておりますので、そういった対応をさせていただきたいと思います。
○池田委員 ありがとうございます。
ちなみに、会計検査院の調査というか私がお聞きした話でも、これまでのすごい長い過去のやつもお調べいただいたんですけれども、戦後から現在まで、扶養調査について指導対象とするようなものは皆無だったということなんですね。皆無という回答までいただいているんですよ。ですから、そういった言葉をこういうところで、何か前面に、いろいろな背景があるにもかかわらず、そこだけ特出しをされてしまうというのは、物すごく危険性を感じています。改正でしっかり、生活保護法四条二項の「民法に定める扶養義務者の扶養及び」というところを、削除を既に、そういったところの通知も行われて運用もされているわけですから、誤りのないように是非お願いをしたいなと思っています。
そして、様々な背景と大臣はおっしゃられました。様々な背景を、今行われているんですか、検討されているとか調査をされているんですか、今回の年金改正に当たったり、あるいは生活保護に関して。様々、そこに行きそうな人といいますか、経済状況というか。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
今、先ほど大臣より御答弁申し上げましたように、生活保護の将来の受給状況につきましては、様々な要素の影響を受けることから難しいということをお答えしましたけれども、あわせまして、推計は容易ではないと思うが、どういうやり方が可能なのかを含めて検討するということをお答え申し上げておるところでございまして、どういうやり方が可能なのかを含めて検討ということでございますので、具体的な状況まで今お答えできるところにないという状況でございます。
○池田委員 今回の年金法案もそうなんですけれども、参議院選挙を目の前にして何かそういったところの懸念をしたんじゃないかとか、あるいは高額療養費もそうでしたけれども、制度全体のこととか国民を見ていないで、そういうようなことを実際に思われること自体が、国民に思われてしまうこと自体が、制度への信頼、政府への信頼というのがなくなってしまいますので、ここはやはりちゃんと調査をしないといけないと思っているんです。
難しいわけではないんですよ、過去にもやっているんですよ。ナショナルミニマム研究会を、この間、政府の中でしっかりされていましたよね。何年間かに分かれて、これも検討されていました。
そして、更に言えば、今、ヘイトスピーチだとか排他的な発言があったり、ネットの誹謗中傷も絡めて、子供の貧困、自殺も物すごく増えているわけですよね。
加えて、外国人に関して言えば、実際に、年金保険料とか医療保険、国民よりも、自治体によっては、地域によっては、納めている人が高いところもあるんです。でも、それを国がしっかり集約をしていないということの方が問題じゃないですか。今後、人口減少して、労働力を入れるんだといって、介護も何もかも、いろいろな現場で外国人に労働してもらいましょうと言いつつ、そこの保障がないというのは大変私は問題だと思うんです。
子供の貧困率を、長妻元厚労大臣が、政権交代で一年たたずにすぐに発表しました。やると言ったら、できることがあるんですよ。今、年金とか将来に対する不安が広がっている中、大臣、大臣の覚悟でできることはあると思うんですね。今回の年金法案を総括して、どこを目標に年金についてあるいは生活保障についてやるか、覚悟を最後に述べていただきたいと思います。
○福岡国務大臣 年金制度についても、少子高齢化、人口減少社会といった社会経済情勢に合わせた見直し、これを不断に行っていくことが必要だと考えています。
今回の法案は、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金の見直し、iDeCoの加入可能年齢の上限の引上げといった、将来の受給者の給付も充実させながら、現在の受給者の年金を増額させる重要な改正事項を盛り込んでおりまして、こうしたことをしっかり進めていきたいと思っています。
また、今般、修正案が提出されたところでございまして、今、国会で審議をされているところでございます。基礎年金の水準確保についても、必要な措置を検討してまいりたいと考えています。
○池田委員 大変残念です。大臣、ペーパーを見ないで答えていただきたかった。よろしくお願いします。
○藤丸委員長 次に、酒井なつみ君。
○酒井委員 立憲民主党の酒井なつみでございます。よろしくお願いいたします。
昨年政府が公表した財政検証では、経済の停滞が続けば、国民共通の基礎年金、これは三割目減りすると明らかになっています。将来は不確実なため、この見通しは幅を持って理解する必要がありますが、基礎年金の給付水準の低下は、高齢者の医療、介護費用の負担能力を引き下げるとともに、貧困高齢者や生活保護受給者の急増にもつながります。また、世代間の不公平だけでなく、現役時代の給与が少ないほど、将来の給付の目減りが大きい見通しとなっています。
まず、この財政検証結果に係る現役世代への影響について伺います。
現役世代への影響について、三十歳の共働き夫婦、年金受給月額十一・三万円、およそ四十年間、平均二百七十万円で会社員として働いている夫婦が将来受け取る年金額、そして、四十歳の単身女性、同じく年収百十五万円の会社員の場合は、過去三十年投影ケースでは現状と比較してどうなる試算となったのか、お示しをいただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
令和六年の財政検証の過去三十年投影ケースに基づいて、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了を行った場合の年金受給総額への影響を今御指摘のような前提で試算をいたしますと、平均余命まで受給すると仮定して機械的に計算した結果によれば、現在三十歳の男性と女性について、報酬比例があって、下位四〇から六〇%の場合を合計いたしますと、四百九十一万円、これは夫婦でということでございます。
現在四十歳の女性、単身のということでございましたが、これは、報酬比例あり、下位二〇から四〇%のところで申し上げれば、三百二十八万円というのが影響額であるというふうに考えております。
○酒井委員 修正案が提出されておりますので、修正案提出者に伺いたいと思います。
修正案が可決された場合、各世代が一生で受け取る年金額がどのように変わるのか、修正案が否決された場合、つまり基礎年金の底上げ策が抜けてしまった場合もどうなるのかをお示しいただきたいと思います。
○井坂委員 ありがとうございます。
基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了による年金受給総額への影響を試算した結果によりますと、令和六年財政検証の過去三十年投影ケースを基にした計算では、モデル年金を受給する場合、男性では、現在六十二歳以下の厚生年金の方は受給額がプラスになり、年齢が若くなるほど、プラスの影響は大きくなります。例えば、六十歳の厚生年金受給者は総額で二十六万円プラス、五十歳の男性はプラス百七十万円、四十歳の男性はプラス二百四十六万円となっています。女性であれば、現在六十六歳以下の方の厚生年金受給者はプラスになり、例えば、現在六十歳の女性のプラス額は七十三万円、五十歳の女性はプラス二百十九万円、四十歳の女性はプラス二百九十五万円となっています。
他方、我々の修正案が否決されてしまいますと、このようなプラス効果は生じず、厚生年金も含めた全ての方の基礎年金の給付水準が長期にわたって低下をして、現役世代や若い世代を中心に大きく影響を受けることになります。
この試算結果からも、本修正案により、社会経済情勢を見極め、給付水準が低下すると見込まれる場合は、マクロ経済スライドの早期終了措置を行う法制上の措置を講ずるものとするという修正案の規定を追加することが極めて重要であると考えております。
○酒井委員 受け取る年金額を増やすということは大変重要です。将来世代をトータルで支援するということがよく理解できました。
この修正案で行おうとするマクロ経済スライドの調整期間の一致によって、世代間、世代内での不公平の解消にもつながると理解しており、必要な対策であると考えています。
修正案提出者への質疑はここまでです。ありがとうございました。
続いて、子供に係る加算等の見直しについて伺います。
子育て支援強化のため、年金を受給し始めた後も主に十八歳以下の子供を育てている人を対象に、給付を手厚くする案が盛り込まれたことは大変重要であり、評価しています。子供一人につき年額二十八万一千七百円に増額することと、そして対象者を全ての年金受給者へ広げることとしますが、加算を受ける対象者数を伺います。また、子の出生順位にかかわらず、一律の金額を加算することによる具体的な効果をどの程度見込んでいるのか、政府参考人に伺います。
○間政府参考人 お答えいたします。
今回の見直しによりまして、委員御紹介いただきました増額等の影響を受けるお子さんの数は約三十三万人というふうに見込んでおります。
今回の改正では、第三子以降の加算額、現在は七万八千三百円と、第一子、第二子までの年額二十三万四千八百円と比べまして低くなっておるわけでございますが、これをそろえるということでございます。
増額の影響につきましては、済みません、三十三万人の中に、内数に入っているということで御理解いただければというふうに思っております。
○酒井委員 一方、扶養する六十五歳未満の年下の配偶者がいる場合の加算は、共働き世帯が増えたということを踏まえて、加算額を減らす案となっています。
大臣に伺いたいと思いますが、世帯によっては、給付、受けられる額が減ってしまいますけれども、それについての支援策が必要ではないでしょうか。見解を伺います。
○福岡国務大臣 配偶者加給年金につきましては、昨年十二月の社会保障審議会年金部会の議論の整理では、「社会状況の変化等によりその役割が縮小していることを踏まえ、将来的な廃止も含めて見直す方向性については概ね意見が一致した。」とされておりまして、社会状況の変化を踏まえた一定の見直しが必要であると考えております。
他方、この配偶者加算を前提に生活設計をしておられる方が相当数いらっしゃることも踏まえまして、このような方々への配慮は必要でございまして、既に受給されている場合の加算額は維持することとしております。
その上で、対象者は施行後に新たに年金の受給権を得る方に限定し、その場合にも加算額の一〇%程度の見直しにとどめることとしております。
また、施行は令和十年四月からを予定してございまして、今回の見直しについて十分な周知を行ってまいりたいと思います。
○酒井委員 今大臣がおっしゃったように、子のいない世帯については、今後もオプション試算などでしっかりと見ていただきたいというふうに思います。
続いて、女性の低年金について伺います。
今回、政府は初めて六十五歳時点での一人当たり平均年金額の見通しを公表し、男女の年金の格差が明らかになりました。
資料三を御覧ください。経済の停滞が続けば、昨年度五十歳の人が十五年後に受け取る一月の平均年金額は、男性が十四万一千円に対して女性は九万八千円と、男性の六九%にとどまっています。四十歳の人が二十五年後に受け取るときにも、男性の七〇%しか受け取れない見通しです。男女の賃金格差が大きな要因となっています。
現在、女性の平均年金額は合計九・三万円であり、配付資料四によれば、年金を受給する女性の六七・三%は月の年金が十万円未満となっています。経済の停滞が続けば、二十五年後も五三・四%と、過半数となる見込みです。十万円未満の受取の男性は二割しかいませんから、暗たんたる気持ちになります。
法改正の適用拡大によって厚生年金に加入しやすくなることのメリットは特に女性に大きいと考えますが、受給者本人にどのような効果があり、男女の年金格差にはどう表れるのか、政府参考人に伺います。
○間政府参考人 お答えいたします。
昨年公表した財政検証では、委員御紹介いただきましたように、新たに個人単位で年金額を推計する年金額分布推計を行いました。
その結果、若い世代ほど、労働参加が進展することにより厚生年金の被保険者期間が延び、年金が充実する傾向にありました。特に、女性の場合にはこれが大変顕著でございまして、現行制度においても、平均年金額の男女差が縮小することは確認されています。
加えて、今回の法案では、被用者保険の更なる適用拡大を盛り込んでおりまして、これにより厚生年金に加入しやすくなることで、厚生年金被保険者期間が更に延びることを期待しているところでございます。これによりまして、今回の制度改正も、平均年金額の男女差の縮小に一定程度寄与するものと考えているところでございます。
○酒井委員 一方で、年代別に見ると、四十歳、五十歳の方が将来受け取る額には劇的な改善に即つながるわけではないという状況でした。
続いて、企業規模要件の撤廃についてですが、段階的に十年かけて行うことになりますが、時間をかけ過ぎていると思います。中小企業に勤める非正規の就職氷河期世代をいち早く救うべきだと考えますが、大臣に見解を伺います。
○福岡国務大臣 被用者保険の適用拡大に当たりましては、対象となる企業には新たに社会保険料を御負担いただくことになることから、従来より段階的に拡大を進めてきたところです。
今回の改正におきましても、これまで以上に小規模の企業や個人事業所となることから、企業経営に与える影響や事務負担の増加なども踏まえながら段階的な適用拡大を行うなど、配慮を行うことが求められており、施行までに最長十年の準備期間を設けることとしたところです。
他方で、人材確保や定着の観点からは、段階的な施行の前に任意で加入を希望する企業もあると考えられることから、本人負担を軽減する保険料調整制度について早期に施行するなど、任意で加入できる制度を後押ししていくことによりまして、被用者保険が適用される方を増やしていくことが重要だと考えております。
○酒井委員 昨日の参考人の陳述でも、たかまつ参考人が、年金部会で議論した時期よりも遅れていると指摘がありました。二〇三五年には、就職氷河期世代の先頭は既に六十代に入ってしまうという指摘です。スピードを持って取り組んでいただきたいというふうに思います。
続いて、給付設計の物差しとするモデル年金との乖離と制度設計について伺います。
配付資料六を御覧ください。年金の給付設計は、一定の仮定を置いたモデル年金を物差しとして、四十年間、平均的な賃金で働いた夫及び全期間専業主婦だった妻から成る夫婦世帯を標準に、夫婦二人の年金額が現役男性の手取り年収の五割相当の水準となるように設定をしています。
資料七を御覧ください。しかし、「世帯構成の推移と見通し」のとおり、単身世帯、高齢者の単身世帯は共に今後とも増加が予定されており、高齢者世帯に対する高齢者の単身世帯割合は、二〇二〇年、三五・二%のところ、二〇五〇年には四五・一%へと上昇する見込みです。
このように、多くの女性が低年金に陥り、単身世帯、高齢者の単身世帯共に増加が予想される現状から、高齢者の生活保護は増加を続けており、現在のモデル年金とは大きく乖離しています。老後の所得保障機能が十分に働いていません。これらを制度設計に反映し、実態に即した給付と負担の在り方を検討すべきだと考えますが、大臣に見解を伺います。
○福岡国務大臣 いわゆるモデル年金は、男女の平均的な賃金で四十年間就業した場合の老齢厚生年金と、夫婦二人分の老齢基礎年金の合計額としております。このモデル年金は、将来の年金の給付水準を測る指標として用いておりまして、継続性の観点からも、引き続き同一の指標を使用していく必要があると考えています。
他方で、御指摘がありましたように、ライフスタイルは非常に多様化しております。モデル年金を受給するような世帯だけでなく、様々な方の年金の給付水準をお示しすることは重要だと考えています。
こうした観点から、昨年七月に公表した財政検証では新たに個人単位の推計を行わせていただきましたし、また、労働参画の進展によります厚生年金の加入期間の延伸等によりまして、特に女性において、若年世代も含めて年金額が増加する傾向が確認されており、今回の法案には、こうした傾向の加速につながる被用者保険の適用拡大を盛り込んでおります。
なお、社会保障審議会年金部会での御意見も踏まえまして、本年四月の年金額の改定では、これまでのいわゆるモデル年金に加えまして、個人単位であったり、過去の働き方に応じた複数のパターンの年金額を公表しておりまして、今後も、様々な世帯であったりライフコースからイメージしやすい年金額の示し方を検討してまいりたいと考えています。
○酒井委員 広報と制度設計は別でして、オプション試算などで年代別そして性別で分かりやすく示されたことはいいことなんですけれども、これは物差しですから、給付の物差しとなるものがそもそも時代と合っていないというところは、多くの現役世代が違和感を感じるところです。そうでなければ実態に即した給付や負担は実現できないと私は思いますので、是非、こういった視点、今後も議論していただきたいというふうにお願いを申し上げます。
また、昨日の参考人陳述でも、昭和女子大学の八代尚宏氏は、政府は楽観的な財政見通しをして必要な制度改革を避けていると指摘がありました。その一つが出生率です。
資料八を御覧ください。二〇二四年の合計出生率は一・一五になると予想されていますが、政府は出生中位の部分で推計をしています。資料八を御覧いただきたいと思いますが、出生低位のケースで過去三十年投影ケースで進めば、所得代替率、右上にありますが、四六・八%と、五〇%を切るという指摘です。基礎年金三割の低下どころではなく、計算をすると三七%の低下となる結果で、大変驚きました。
やはり、実態に即した財政検証を行い、制度設計をしなければならないと考えますが、大臣、もう一度見解を伺います。
○福岡国務大臣 財政検証は、おおむね百年間の長期の見通しを立て、財政の健全性を検証しておりますが、五年ごとに検証する仕組みでありますため、常に実績を踏まえ、適切な前提を立てることが重要だと考えています。その点、財政検証に用います出生率などの前提については、これまでの実績を踏まえつつ、専門家による検討を経た上で幅広い複数のケースを設定しておりまして、適切なものだというふうに考えています。
人口の前提につきましては、出生率のように実績が前提を下回る要素がある一方で、外国人の入国超過数のように実績が前提を上回る要素もございまして、総合的に見る必要があるとともに、次期財政検証においては直近の推移が実績として反映されるものです。
引き続き、常に実績を把握し、適切な前提を立てながら財政検証を行っていきたいと思います。
○酒井委員 大臣、昨日の参考人陳述、聞いておられましたか。八代さんは、これまでの過去六回の財政検証で、政府は出生率の過大見通し、五回も実績を見誤った検証をしているという指摘でした。実績値に近いというのが楽観的な試算だというところは改めて指摘をさせていただきたいというふうに思います。
続いて、厚生年金の保険料上限の引上げに係る保険料負担増と給付について伺います。
厚生年金における高収入者の負担増と給付については、払い損にならないかと懸念する声があります。この度の改正により、厚生年金の保険料算定基準となる標準報酬月額を現行の六十五万円から七十五万円に引き上げます。
配付資料九と十を御覧いただければと思います。厚労省の資料では、賃金に応じた保険料を負担いただくことで、現役時代の賃金に見合った年金を受け取りやすくしますと説明がありますが、六十五歳から受給開始をした場合、負担した保険料と同額になるのはおよそ何年後になりますか。平均余命まで生きた場合はどれだけプラスとなるのか、お示しください。
○間政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの給付への影響については、厚生年金には加算の仕組みなどもありますことから、厳密なお答えはちょっと困難なんですけれども、簡略化してお答えを申し上げますと、標準報酬月額を引き上げた場合、それに応じて増加する年金受給額と、税率を所得税二三%、住民税一〇%と仮定した社会保険料控除を考慮した御本人の実質負担額とで比較いたしますと、例えば六十五歳で年金受給開始をしたとして、十二年程度で御本人の実質負担額を給付の方が上回るという見通しでございます。
これを前提にした場合、六十五歳時点での平均余命は男性が十九・五二年、女性が二十四・三八年でございますので、平均余命まで受給された場合には、実質負担額を上回る年金額が支給されるようになってからも、男性は約五年強、女性は約十年強、年金が支給されるものと考えております。
○酒井委員 今お示しいただいたような数値、十二年以上でプラスになる、そういった説明を丁寧にしていただきたいというふうに思います。
今の現役世代は、年金に不信があるだけでなく、自分たちの今の負担がどれだけ返ってくるのかというところにすごく敏感です。広報の部署もございますから、丁寧に広報を強化していただきたいと思います。
先ほど省略をしましたけれども、財政検証結果に係る現役世代への影響についての年金積立金の活用について伺います。
年金積立金について、配付資料一と二に資料をつけておりますが、現在この積立金の運用資産額は約二百五十八兆に上っています。これは将来世代の年金給付を下支えするために使われる、今後百年間で平均一割を積立金から賄うと説明があります。
今回の財政検証では、国民共通の基礎年金、三割目減りすることが明らかになっていますが、賄ってもなお将来世代の年金は目減りするということなんでしょうか。積立金の活用を増やして、目減りを更に下支えするべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○福岡国務大臣 我が国の年金制度は、将来世代の負担が過重なものとならないように、保険料水準の上限を固定した上で、積立金を活用しつつ、その範囲内で給付を行う仕組みとなっております。
こうした仕組みの下、年金積立金はおおむね百年かけて活用していく想定となっておりますが、将来の年金受給者の給付水準を確保するために、積立金の活用に加えまして、マクロ経済スライドによる調整が必要となっている、このことについては是非御理解をいただきたいと思います。
なお、積立金は、団塊ジュニア世代が引退を迎える二〇四〇年頃から本格的に活用する見通しとなっておりまして、現役世代の給付充実のために積立金が活用されることになる見込みでございます。
○酒井委員 現時点ではほとんど活用されていないということは資料を見ても明らかだったんですけれども、この積立ての資産の運用が順調であるということを知ると、それなのに何で減るんだという思いは、国民の皆さん、思うと思うので、その辺りをきちんと説明していただく必要があるなというふうに思っております。そちらも広報をよろしくお願いいたします。
最後に、今国会でも、労働施策の法案などでも取り上げてまいりましたが、女性の貧困、そして、高齢者のお一人様の増加であったり、外国人がこれだけ活躍していただく時代に、十分に能力を発揮して、そして賃金をしっかりと受け取れる環境整備は大変重要だというふうに考えます。
さらに、出生率の低下も懸念材料です。政府の予測するよりも十五年早く少子化は進んでいます。子育て支援による次世代育成や少子化対策は長期的に見ても最大の課題ですから、改めて御認識した上で、一層の取組をお願いしたいと思います。大臣、それについて見解を伺えますか。
○福岡国務大臣 委員の問題意識については共有をさせていただいておりますので、それぞれの施策をしっかり前に進めてまいりたいと思います。
○酒井委員 ありがとうございます。
終わります。
○藤丸委員長 次に、宗野創君。
○宗野委員 立憲民主党の宗野創です。
私も平成生まれの一人でございまして、現役世代、若い世代が挑戦できる社会をつくるということは非常に重要だと考えております。しかしながら、現実には、挑戦どころか、何とか毎日、日々を暮らして、そして将来を生き抜くために自己防衛をどうにかするかということを考えているというのがこの若い世代の現実だと思っています。だからこそ、今回の修正案にもありましたけれども、所得再分配機能が非常に重要だと考えます。
社会の支え合い、社会連帯の理念から生まれた年金制度の信頼を取り戻すということは急務であると考えます。今回の年金改革を、現役世代に自己防衛をただ単に迫るだけではなくて、この法案、制度によって、未来を防衛できるような制度にしていく、その第一歩にしていくためにも、本日、質問をさせていただきたいと思っています。
まずは、財政検証に基づく基礎年金三割カットの実態について伺います。
再三議論となっておりますが、昨年の財政検証で、過去三十年投影ケースにおいて、二〇五七年時点での所得代替率が三割減になるということでございます。
いま一度、確認です。現在三十二歳の私の同級生の基礎年金のみのケースでは、具体的に所得代替率はどうなるのか。また、重要なのが、これは厚生年金に加入しているモデルケースではどうなるんでしょうか。お答えください。
○間政府参考人 お答えいたします。
あらかじめ委員に御了解いただいて、三十三歳ケースでということでお答えしたいと思います。
現在三十三歳の方が年金を受給し始める六十五歳になられるのは二〇五七年度でございます。その上で、令和六年財政検証結果によりますと、現行制度のそのままであった場合、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースでは、現在、基礎年金のマクロ経済スライド調整は二〇五七年度に終了する見通しとなってございます。所得代替率は、二〇二四年度の六一・二%から二〇五七年度以降五〇・四%になると見込まれます。
これを基礎年金と報酬比例部分に分けてみますと、基礎年金の給付水準は、二〇二四年度の三六・二%から二〇五七年度以降二五・五%に、報酬比例部分の給付水準は、二〇二四年度の二五・〇%から二〇五七年度以降二四・九%になる見込みとなっております。これは、現行制度のままであった場合ということでございます。
○宗野委員 御答弁ありがとうございます。
重要な点としては、やはり現役世代、若い世代ほど影響が大きいということです。そしてもう一つ、これは底上げと言われていますけれども、本質は、年金カット防止が私は本質だと思っています。このままいけば年金がカットされていくというところが重要な点でございまして、逆に、これを実現しない、あるいは反対をしていくというような議論があったとすれば、この年金カット放置を是認するということだと私は思っているんです。
あわせて、過去三十年投影ケース、その前提そのものが実態よりも甘いのではないかという御指摘が本日たくさんありました。昨日の八代参考人からも、出生率との関係で非常に厳しい御指摘があったところでございます。
資料一を御覧ください。こちら、関係数式はいじっていないですけれども、より厳しいケースの表示でございます。より厳しいケースである一人当たりゼロ成長ケースの場合では、二〇五九年以降、基礎年金の積立金がなくなることが想定されています。
伺います。そうなった際の所得代替率はどうなるでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
令和六年財政検証では、幅広い複数の経済を仮定して試算を行っておりますけれども、そのうち、今委員が御紹介いただきました、最も経済が悪く、マイナス成長が続くと仮定した一人当たりゼロ成長ケースでは、機械的に、基礎、比例共に給付水準調整を続けた場合に、二〇五九年度に国民年金の積立金がなくなり、完全な賦課方式に移行する見通しとなっております。
その場合の所得代替率は、二〇五九年度では五〇・一%となり、二〇六〇年度以降では、特別な措置を講じなかった場合に、保険料と国庫負担で賄うことができる給付水準は三七%から三三%程度というふうに試算したところでございます。
○宗野委員 ありがとうございます。
三三%から三七%ということで、三割カットどころじゃないというケースも、一つ想定としてはあるわけです。
そういった中で、昨日、参考人の皆様からも御指摘が様々あった中で、底上げ、さっき言った防止ですね、カット防止、一つの方法だけでこの状況が解決するわけではないという、もはや、そこまでの状況になっていると思います。今回積み残した様々な改革を検討することで持続性を高める必要があるわけですが、だからこそ、この限られた時間の中で、せめて年金三割カット防止をやらないとまずいんじゃないかという御提案だと私は思うわけです。
そういった中で、いま一度伺いますが、基礎年金の底上げ、さっきの年金の三割カット防止を行うと、過去三十年投影ケースで、年金カット防止効果は、三十二歳、私の同級生、基礎年金のみのケースと厚生年金加入モデルケースで、それぞれ、どのぐらい効果があるのでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
令和六年財政検証を基に、基礎年金のみの方が平均余命まで受給すると仮定して機械的に試算した結果によりますと、過去三十年投影ケースでは、仮に基礎年金のマクロ経済スライド調整の早期終了を実施した場合、済みません、ここも三十三歳でお許しいただきたいと思いますが、現在三十三歳の方の生涯受給額への影響額は、男性で三百三十四万円、女性で四百一万円となっております。この影響額分、生涯年金額の低下が抑えられるということでございます。
また、同様に、モデル年金の半分というので仮定をいたしますと、先ほどのは基礎年金のみでございました、モデル年金の半分の年金額の方が平均余命まで受給すると仮定して機械的に試算した結果によりますと、現在三十三歳の方の生涯受給額への影響額は、男性で二百四十八万円、女性で二百九十八万円となっており、この影響額分、生涯年金額の低下を抑えられる、このように考えております。
○宗野委員 ありがとうございます。
現役世代が、三百万円あるいは四百万円という影響額、非常に大きな影響額だと思います。これを何とか実現したいなと私も思っていますし、もしこれが実現できなかった場合、じゃ、この金額をどうするんだという説明責任が私は生じると思いますので、今後の議論、そのような見地が必要かなと御指摘させていただきたいと思います。
次の質問です。
障害年金についても、本日、様々な御指摘がありました。
先ほど先生方からも御指摘ありましたとおり、障害年金の不支給問題が取り沙汰されています。これも大問題ですけれども、支給額、これに関しても国連から指摘があります。国連の障害者権利条約の対日審査総括所見において、市民の平均所得に比べて障害年金が著しく低額であることが既に指摘されています。
資料七を御覧ください。障害年金の制度概要になっています。先ほど大臣からも、基礎年金が低下すると障害年金が低下するということを明確に御答弁をいただいたところです。この点、駒村参考人からも御指摘があったところだと思います。
更に伺います。
資料のとおり、一級障害の方の年金は、老齢基礎年金の満額の一・二五倍という計算式だと書かれているわけですけれども、基礎年金額引下げによる受給額の低下は、障害が重い方ほど大きくなるという理解でよろしいんでしょうか。
○福岡国務大臣 マクロ経済スライドによる調整は、公的年金制度を持続可能にするため必要なものでございますが、年金額の伸び全体を共通の率を用いて抑制する仕組みでありますため、実額への影響は、障害等級二級と比べて年金額が高い障害等級一級の障害基礎年金の方が大きくなるということでございます。
○宗野委員 国連から、今でさえ増やすべきという指摘がある中で、放置となったら、全く逆行しているんじゃないでしょうか。
しかも、障害が重い方ほど引下げ額が大きくなるという大問題なので、先ほど来、山井委員からも御説明があったとおり、一級の方は、現在八・四万円というところが、このまま放置すると六・九万円、資料の八につけさせていただいておりますが。一方で、基礎年金を引き上げると、これは八・五万円になるというところです。微増ではありますけれども、そういった課題感も持って今回の法案に取り組んでいるというところでございます。
こうした観点からも、基礎年金の引上げは、先ほど来、様々、今回、年金の論点はある中でも、じゃ、最優先でどこから取り組むのかという問題提起を駒村参考人からもしていただいた中で、私も、こういった状況がある中では、やはり、この年金カット防止が最優先で取り組むべきことだと強調したいと思います。
ただ、その一方で、今回の議論で障害年金の水準の議論は終わりにしてはならないと思うわけです。そもそも、指摘されていた給付水準に関しても、障害部会で議論されている、例えば年金以外の政策、そういったものも含めて、そもそもの今回の国連の指摘は平均所得との差額の指摘でございますので、そういった幅広い議論がなされないと問題解決につながらないと私は考えています。
そういった中で、済みません、これはちょっと通達はないんですけれども、今後の一つの方向性として、こういった年金以外の部分も含めて、この国連からの指摘にどのように応えていくのか、大臣、御所見があればよろしくお願いします。
○福岡国務大臣 今おっしゃられましたように、障害をお持ちの方に対しましては、社会保障制度全体で総合的に支援をしていくということが大切だというふうに考えております。
先ほど、一級、二級の御案内をさせていただきましたが、一級の方に対しましては、二級の方の一・二五倍の障害年金生活者支援給付金を支給するなど、支援措置を実施しておるところでございまして、引き続き、こういった社会保障全体でしっかりお支えをしていきたいと考えております。
○宗野委員 ありがとうございます。
当事者の意見も是非聞いて進めていただきたいと思います。
次に、財源について、幾つか事実確認をしたいと思います。
基礎年金の底上げの年金カット防止を行った場合に、社会保険料が上がるのではないかという懸念の声がたくさん寄せられています。
資料九を御覧ください。これは、世代ごとに、今の公的年金制度に感じることを聞いたアンケートです。赤枠内の回答を見ると、保険料負担が今後増えるかもしれないことへの不安というのが、年金がもらえる、あるいは減るかもしれない、そういった不安に次いで大きいということなんですね。これは本当に本音だなと思うわけです。特に四十代、五十代の方が高い数値となっているというところで、先週議論になっていた、いわゆるこの法案の議論に対して反対をなさっていらっしゃる方の年代とぴったり私は一致するというところだと思うんです。
そういった中で、私も、二十代で個人事業主になったときに社会保険料の支払いは非常に苦しかったなという記憶をしておるんですが、この社会保険料への不安というのが今本当に現代的な課題になっているというところで、午前中に、長妻委員の質問に対して大臣も、既存案に対して、社会保険料の引上げはないという明確な御答弁をいただいたところですが、重ねて修正案の提出者にも伺います。
今回の改正によって社会保険料の負担は引き上げないという点に関して、修正案でも同様であるとの理解でよろしいのでしょうか。それと、あわせて、国庫負担分の財源をどう考えるかという議論もあります。この点に関しては、今、ネットからも一部議員の方からも様々な批判がある。今回の修正案は将来の増税につながるのではないかとの批判があります。こういった批判に関して、修正案提出者のお考えを伺います。
○長妻委員 お答えをいたします。
まず、社会保険料、年金の保険料ですね。例えば、修正案が仮に通ると、これは手厚くなるので、常識的に、保険料が上がるんじゃないのか、こうネット上でも言われておりますが、これはもう今のルールでは決定しておりまして、保険料は一八・三%。これは、半額が事業主負担で半分が自己負担ということで固定化して、今もこの保険料ですけれども、これが増えることはありません、この修正案が通ったとしても。その前提でこの底上げをするというのが一つの肝であります。
そして、財源のことでありますけれども、これも幾つか考えなければいけないことがあるんですが、まず、今言われているような規模の国庫負担が発生する時期というのは、これから三十年近く後なんですね、見込みでありますけれども。まず、相当長期に及ぶ。そのときの状況で、一体幾らの金額になるのかということも確認しなきゃいけない。これは五年置きの財政検証がありますので、その都度、確認するという機会が何度か訪れてまいります。
そしてもう一つは、今の国庫負担が年金に十三・四兆円、一年間入っております。これが、厚労省の試算でありますと、ピークと言われる二〇五二年に、現在価値に割り戻しても十三・四兆円、同じなんですね。
ちょっと私、ここは不思議なところで、聞いてみると、放置すると三割カットになるので、そうすると、そこで必要な将来の国庫負担も下がると。ところが、修正案でこの三割カットを防止することになるので、それが一定程度維持される。つまり、税金をある意味では逃がさないような措置なんですね、これは。逃がさないような措置なんです。その差額が今言われているような規模のものなので、これも、どう手当てするかというのは踏まえないといけない。
そしてもう一点は、生活保護の問題なんですね。ここでもるる答弁がありましたけれども、下支えをやらないと生活保護が増加していくということなので、下支えをすることによって生活保護の増加が抑えられる。ある意味では、そこで財源という考え方もあるかもしれません。
いずれにしても、以上の点もきちっと勘案した上で、必要に応じて、安定した財源の在り方について責任を持って手当てをする、こういうような我々は姿勢でございます。
○宗野委員 ありがとうございます。
大変分かりやすい御説明をいただきまして、ありがとうございます。今の部分を是非ネットで切り取って拡散をしたいなというふうに思うんですが、是非、丁寧な説明を私も含めてしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは最後に、納付猶予制度について伺いたいと思います。
ここで、済みません、修正案の提出者の方はありがとうございました。
納付猶予制度について伺います。現在、追納率が七%、学生特例では八・九%と非常に低調である、そういった現状があります。要因をどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
○巽政府参考人 お答えいたします。
追納率が低調な要因としましては、納付の猶予を受けられた方の金銭的負担によるもの、それと、納付猶予制度あるいは追納制度の周知が不足しているというようなことだと認識しております。
これまでも日本年金機構におきましては、追納が促進されるように、納付猶予あるいは学生納付特例が承認された際に、追納制度の案内、あるいは、納付の承認後二年あるいは九年目の者に対しまして、追納勧奨状の送付の取組をしたところでございます。
さらに、今後の取組としましては、今年の四月から、猶予の承認後十年目の方に対する追納勧奨状の送付、あるいは今年の六月から、追納の勧奨状におきまして、追納額と年金額の増加の関係を分かりやすく図に示すことによりまして、あるいは、追納の申込書につながる二次元コードを付与した案内の実施、そういうことをやりまして、追納が促進されるよう努めてまいりたいと思っております。
○宗野委員 済みません、私は要因を聞いたんですけれども。今何をやっているかじゃなくて、要因を聞いているんですね。
今、調査を精緻に行っていないということで、今回の年金部会でも、議論のベースになるそもそもの資料がないということが私は大きな問題だったというふうに思うわけです。
そういった中で、資料十二を御覧ください。日本では、国際的に比較しても、賃金カーブが十二、三年目ぐらいまでは非常に国際的にも低い状況にある。そこから、十五年以上、十九年目の辺りでぐっと伸びてくるわけですね。こういった賃金カーブの中で、現実的に、学生が二十代、三十代前半で追納を行うというのは金銭的にも厳しいんじゃないかと思うわけです。
昨日、たかまつ参考人からもありましたけれども、加入期間を、二十二歳とする案なども御指摘がありました。様々な意見はあると思いますが、特に学生納付特例に関しては、追納期限である十年だと、新卒の方は働き始めてまだまだ余裕がないということで、この十年という期間は短いと思います。せめて延長を検討すべきではないでしょうか。御答弁をお願いします。
○福岡国務大臣 一般的に、納付期限の延長であったり撤廃は、様々な状況の中でも、所得が免除基準に該当せずに毎月保険料を納付している方や免除等の手続をしている方とのバランスであったり、恒久的に事後的な納付機会が増えることで、納付を後回しにして、結果的に納付ができずに将来の年金額が低額となる方が生じる可能性が一層高くなることなどについて考慮する必要があると思います。
それに加えまして、今御提案いただきました学生納付特例、これの延長につきましては、他の免除者や納付猶予者と異なり、学生納付特例だけ追納期間を延長することについてのバランスをどう考えるか。また、先ほど、データを基に、三十代や四十代は賃金が上昇するというふうにおっしゃいましたが、一方で、その世代は、子育てなどによる支出の増加などによりまして、必ずしも期限の延長が納付率の向上につながらない可能性があることなどの観点からも、丁寧な検討が必要だと考えております。
○宗野委員 ありがとうございます。
次回の改正に向けて、データに基づいた議論が行われることをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、井坂信彦君。
○井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。
十分しかないので、早速入ります。
総理は本会議で、底上げを行えば、将来的に九九・九%を超える厚生年金受給者の給付水準が上昇するというふうに答弁をされました。これは具体的には、現在三十八歳以下の厚生年金受給者は、高所得、超高所得の方も含めて九九・九%、要はほぼ全員が、今回の我々の修正が可決、通った方が厚生年金が増えますよということであります。
これが、年齢が三十八歳より高くなっていきますと、その中で、高所得の方で、我々の修正が通ったとしても厚生年金が増える人の割合というのが少しずつ減ってくる、こういう仕組みになっています。
大臣に伺いますが、過去三十年ケースで、マクロ経済スライドの早期終了、我々の修正案が通ったような状況で年金額が増える厚生年金加入者の割合は、四十歳、五十歳、六十歳、六十五歳でそれぞれ何%になるでしょうか。
○福岡国務大臣 令和六年財政検証を基に、平均余命まで受給すると仮定して機械的に試算した結果によりますと、実質ゼロ成長を見込みました過去三十年投影ケースにおいて、仮に、厚生年金の積立金の配分の見直しと国庫負担の追加等を行うことで、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了を実施した場合、現在四十歳、五十歳の方の約九五%、現在六十歳の方の約六五%、現在六十五歳の方の約五〇%の方は年金受給総額が増える見込みとなっておりまして、多くの方において年金受給総額にプラスの影響がある見込みとなっております。
○井坂委員 ありがとうございます。
配付資料の一番、お求め資料6というところを御覧いただきたいんですが、そうなんです。三十八歳以下の方は、厚生年金の方でもほぼほぼ全員が、修正案が通った方が厚生年金受給額が増えます。四十歳、五十歳の方は、厚生年金の方で上位五%の本当に高所得の方以外は、四十歳、五十歳でも修正案が通った方がもらえる年金額が増えます。六十歳の方でも六五%、半分以上、三分の二ぐらいの方は修正案が通った方が年金受給額が増えます。六十五歳でちょうど増える方と減る方が大体半々ぐらいでしょう。こういう計算結果であります。
先ほど障害年金の話もありました。これは質問がかぶりますので申し上げるにとどめますが、配付資料の二を御覧いただきたいと思います。
障害基礎年金、今、一級で八・四万円もらっている方が、今回我々の修正案が通らなければ、基礎年金の目減りの影響にもろに連動して、障害基礎年金一級が八・四万円から六・九万円まで減ってしまう。我々の修正案が通れば、この目減りがきちんと止まって、八・四万円から八・五万円、横ばいということで、維持をされるということであります。
同じく、遺族基礎年金も全く同じ仕組みになっていまして、今、六・七万円の遺族基礎年金が、今回の修正案が通らなければ、基礎年金の目減りで五・五万円まで減ってしまいますよ、でも、修正案が通れば同じく六・八万円、今の金額が維持をされます、こういう仕組みであります。
今回の修正案が通れば、これは自営業とか国民年金の方だけでなく、幅広く、九五%以上の現役世代の厚生年金の方、それから障害基礎年金の方、遺族基礎年金の方、皆さんが、修正案が通らなかったときよりも通ったときの方がもらえる年金額が増えるという、これはもう数字で明らかになっている厳然たる事実でありますので、是非、これは皆様の年金額のプラスになる修正でありますから、御賛同いただきたいというふうに思います。
続きまして、質問の三番目に移りたいと思いますが、昨日の参考人質疑では、我々が修正案で提案しているマクロ経済スライドの早期終了、いわゆる年金底上げと、そして全然別の、加入期間を四十五年に延長するというプラン、このどちらが効果があるのかという議論も参考人の間で行われました。
資料の三番を御覧いただきたいと思います。これは、今後ほっておいたら三割減ってしまう全ての方の基礎年金の所得代替率が、各政策でどれだけ、三割減るのがどれだけ回復できるのかというのを数字で比較した資料であります。
大臣に、通告どおり伺います。
加入期間四十五年延長、これの方がいいんじゃないかという意見も一部あるわけでありますが、加入期間の四十五年延長よりも、今回修正案で出しているマクロ経済スライド早期終了の方が底上げ効果が二倍近くある、この資料を見るとですね。あるいは、今回行われる適用拡大もいいんだけれども、適用拡大よりも、マクロ経済スライド早期終了の方が底上げ効果が四倍以上高いという理解でよろしいか、お伺いいたします。
○福岡国務大臣 令和六年財政検証のオプション試算によりますと、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースの場合、将来の基礎年金の所得代替率は、基礎年金の拠出期間の延長でプラス四・〇%、今回の法案と同様の適用拡大でプラス一・七%、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了でプラス七・七%上昇する見通しとなっておりまして、御指摘がありましたように、基礎年金についてだけ見れば、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了による所得代替率の上昇幅は、適用拡大の四倍以上、基礎年金の拠出期間の延長の二倍近くとなっております。
○井坂委員 ありがとうございます。
我々が修正案で出した年金の底上げ措置、いわゆるマクロ経済スライド早期終了が、今、いろいろな手段があると言われている中では圧倒的に、基礎年金、これは全ての方の、障害とか遺族も含めて、厚生年金の方も含めて、全ての方の年金を今から三割減るのを防ぐ効果は圧倒的に高いということであります。
最後、伺いますが、今回、厚生年金の流用だという間違った批判がいまだにネット上を中心に根強い理由は、私はやはり、厚労省の当初の説明が余りうまくなかったというふうにも思っています。厚生年金の積立金の活用と聞いてしまうと、何か勝手に使われて厚生年金が減るんじゃないかと思うのは、これはもう無理がないと思います。
我々の修正案は、厚生年金積立金をどうこうしようという話ではなくて、全ての方の基礎年金、これのどんどんどんどん目減りをしていくマクロ経済スライドの終了時期を早めましょうというのが我々の修正案に書いてあることであります。それをやると、いろいろなところが自動的に調整をされて、厚生年金の方が払っている保険料が、報酬比例部分と御自身の基礎年金部分に行く割合が、これは我々が何か勝手に意図的に変えるんじゃなくて、財政検証のたびに、毎回、経済状況に合わせて自動的に調整をされているものだというふうに思います。
最後、参考人に伺いますが、要は、これまでも厚生年金の保険料の配分はその都度調整をされてきたし、今後も、別に我々が何もしなくたって、その都度変わっていくということでよろしいか、お伺いをいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
公的年金制度におきましては、保険料と国庫負担による財源を給付に充てながら、なお不足する場合については積立金を活用する、こういう仕組みでございます。
こうした考え方の下で、御指摘の配分割合については、将来の基礎年金、一階部分と、報酬比例部分、二階部分の給付水準の見通しなどを基に決まるものですので、御指摘のとおり、五年ごとに人口や経済の動向を反映させて作成される財政検証の見通しに応じて変化するものだ、このように考えています。
○井坂委員 ありがとうございます。
本当に、今回は、我々の修正案が最も効果がある、なおかつ緊急だということで提案をいたしましたが、ほかにも基礎年金を底上げする第二、第三の手段はあるということで、今後も年金については、引き続き、今回の法案が終わったとしても、議論が必要だと考えております。
昨日、我が党の野田代表から石破総理に対して、全ての政党で年金について今後も議論していくような場を持てるようにということで申入れをしておりますので、我々も、今後も引き続き、年金の議論は全党でしていきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、池下卓君。
○池下委員 日本維新の会の池下卓です。
本日もよろしくお願いします。
本日、年金改革法案の修正案がこの委員会の方に提出をされました。発動の可否といいますのは、二〇二九年、四年後に財政検証を見た上で判断されるという具合に承知をしております。
基礎年金の給付額を実際に底上げしていくためには、大体、年二兆円程度の新たな財源が必要だという具合に言われておりますが、当然、就職氷河期世代を含めた低年金の方々に対しては、しっかりとした対応というものをしていかなければならないという具合に考えております。
一方で、今の賦課方式という制度だけでは財源が不足している中で、世代間による支え合いの制度にとどまらず、やはり、生活に余裕のある人が支える視点というのも更に考えていく必要があるのではないかという具合に考えております。
財源につきましては、改めて、税と社会保障の一体的な改革というものが必要でありまして、給付と負担の在り方につきましても、国民にしっかりと理解できるように、この国会の方で、本来は時間をかけて議論すべきではないかなという具合に思っております。
そのような中で、我々日本維新の会は、現役世代の皆様の手取り額を増やすために、社会保障制度改革、これを訴えておりまして、自民党さん、公明党さん、そして我々維新の会の三党協議というものを今進めさせていただいているところです。
社会保険料というものは、今言われている年金保険だけにかかわらず、健康保険等々も踏まえた、複数まとめたものであると認識しております。一般的に、保険の制度というのは、先ほど申し上げましたが、給付と負担に基づいて成り立っているところでありますけれども、保険の目的に従って、みんなでお金を出し合って、困ったときには支え合うというものであります。
そこで、大臣に一番最初に一般論としてお伺いをしたいと思うんですが、健康保険の目的外使用によって、結果として掛金が上昇して、現役世代の負担を上げるということは正しいことだと考えられるのか、見解をお伺いいたします。
○福岡国務大臣 社会保険料は、各社会保険制度の目的に沿った形で、それぞれの制度において徴収し、使用されるべきものであり、例えば、医療保険料や年金保険料などが各制度の目的以外に使用されることは適切ではないと考えております。
その上で、保険料を特定の事業に充当することが妥当であるかどうかにつきましては、個々の事業の目的等に照らして検討を行う必要があると考えています。
○池下委員 当然、個々のという話もありましたので、これからお話をさせていただきたいと思いますが、基本的には、やはり給付と負担、この関係が原則であるということを承知をさせていただきました。
そこで、今回の年金改革法案におきまして、賃金要件や企業規模の要件、これを撤廃して被用者保険の適用拡大等が行われるということは承知をしております。そして、それに伴って、新たに被用者保険に適用されることによって、手取りの減少を緩和するための特例措置というのが法案に盛り込まれているわけなんですね。
そこで、ちょっと資料の方を御覧をいただきたいと思うんですが、資料の右半分、下の部分です。これは厚労省の資料になっております。
政府の説明では、適用拡大の対象となる企業で働く短時間労働者に対して、社会保険料による手取り減少の緩和で、就業調整を減らして被保険者保険の持続可能性に向かってつなげる観点から、三年間、保険料負担を国の定める割合に軽減できる特例的、時限的な経過措置を設けるという具合に私は説明を受けました。つまり、短時間労働者の社会保険の負担を減らすため、中小企業が負担する労使折半以上の負担につきましては、国が企業へ負担をしていくというものでございます。
私も、地元の商工会議所の社長さん等から、短時間労働者であったりとかパートさんであったりとか、こういうのは年金であったりとか保険に入れてあげるのはいいことだという具合に言われております。ただ、一方では、中小企業の経営にも非常に関わってくるということで、こちらも支援していただきたいと。これは理解できるんです、ここの部分は理解できるんですが、ただ、その支援方法や財源として、健康保険料の財源で行うということは、本来の目的を逸脱するものであって問題であると考えますけれども、大臣の見解を伺います。
○福岡国務大臣 御指摘がありました保険料調整制度は、今回の年金改正法による被用者保険の適用拡大の対象となる企業に限って、その企業で働く、就業調整を行う可能性のある収入で働く短時間労働者を対象として、対象期間を三年間に限定した上で特例的、時限的に実施することとしているものでございます。
この保険料調整制度は、自身の負担割合を増加させた事業主に対する支援を行うことで、保険者としては、被用者保険への加入が促進され、制度全体の持続可能性の向上につながることや、また、例えば現行でも、次世代育成支援の観点から、育児休業期間中の被保険者の保険料を免除しておりまして、その分は実質的には他の保険者によって支えられていることなども踏まえれば、被用者保険への加入を促進する目的から、事業主に対する支援を行うことが社会保険制度上必ずしも不合理であるとは考えておりません。
○池下委員 るる御説明をいただきました。当然、被用者保険を拡大する、その意図は分かるんですよ。ただ、冒頭申し上げましたように、この健康保険といいますのは、やはり疾病に対して、万が一、掛けている方々が病気になったときのために掛けているわけですよ。特例的なものももちろんありますけれども、今回の説明の中では、その財源につきまして、私はそんなに説明も受けたわけではございませんですし、そういうところは非常に問題がある。
本来、健康保険というのは、医療という現物支給、これによって賄われている、給付と負担の関係があるということで承知をしております。手取りが減少する労働者への支援、中小企業負担軽減のために保険料を使用するということは、改めて言いますけれども、目的外の使用だと言わざるを得ません。
中小企業に対する労使折半以上の負担軽減につきましては、健康保険ではなく、ほかの財源を使って検討するべきではないかと、改めて伺いたいと思います。
○福岡国務大臣 一部重複いたしますが、保険料調整制度は、この制度により新たに適用拡大の対象となる事業所で働く方々が、就業調整を行わず、労働時間を延ばすことを可能にすることで、被用者保険への加入が促進され、ひいては制度全体の持続可能性の向上につながりますことから、その財源を医療保険制度の中で賄うこととしております。
今御提案がありましたように、仮に他の財源として公費を投入することとなれば、直接的あるいは間接的にでも恩恵を受けることのない、被用者保険に加入していない方の理解を得られるかといった点が課題となるのではないかと考えています。
○池下委員 冒頭の部分はいいんですけれども、まさに財源の議論をきっちりとしないといけないんじゃないんですかということを御指摘させていただいているわけなんですよね。
これまでも、高額療養費のお話とか、いろいろこの委員会でもさせていただきましたけれども、どんどんどんどん健康保険、社会保険の方にステルス増税的な形で上積み上積みしていくと、どんどんどんどん負担が多くなってしまうわけですね。ですので、持続可能な仕組みをつくっていくということでありましたら、やはり財源論というのは逃げないで議論をしていただきたい、御指摘の方をさせていただきたいという具合に思います。
また、財源の問題に加えまして、今回の特例措置につきましては、事業者ごとに、特定の対象者の負担割合の管理、保険料の還付作業等、今のやつの還付作業等ですね、事業主や保険者にとって事務負担が非常に大きく、大規模なシステム改修も必要だという具合には聞いているところでございます。保険者の中でも、協会けんぽの皆さんであったりとか、一部公費が入っているところもあるんですが、公費の入らない、特に小規模事業者数の多い総合健保組合への影響が多いという具合に聞いております。
システム改修に係る費用への財政支援も含め、事務負担の軽減を図っていくべきだと考えますが、この点につきまして、大臣の御見解をお伺いいたします。
○福岡国務大臣 御指摘がありましたように、中小・小規模事業者の負担感ということに配慮するということは大切な視点だというふうに思います。
保険料調整制度は、事務負担を考慮いたしまして、制度を利用する際に必要な手続は届出のみとし、対象となる労働者との合意や企業ごとの労使の保険料の負担割合を設定する必要もなく、できるだけ簡便な仕組みとしているところです。
一方で、例えば、健康保険組合の中には、財政的に十分な余力のない組合があることも事実でございます。この制度は新しい仕組みでもございまして、制度に対する個別の健康保険組合のニーズであったり実務面での課題をきめ細かく把握した上で、必要な対応を行ってまいりたいと思います。
○池下委員 是非、保険者の御意見というのも、どういう負担感かということも聞いていただきたいと思います。
昨日はちょっと問取りの方でお伺いをしたんですけれども、この制度、できるだけ早期に適用拡大していくために、企業さん側は手挙げ方式でちょっと早めにスタートできるということであると聞いております。
令和八年の十月一日から手挙げで先行スタートするということも聞いているんですけれども、企業が手を挙げて適用拡大が増えるということは、当然、企業側もそうですけれども、保険者側の方でも、双方で手続とかシステム改修をしていかなきゃいけないと思うんです。是非、スピード感を持って、システム改修の支援、予算を含めてやっていくべきだと思いますが、ちょっと通告していないんですけれども、大臣、お伺いをしたいと思います。
○鹿沼政府参考人 御指摘の点ですが、先ほど大臣からもお話がありましたように、健康保険組合の中には財政的に十分な余力のないところもございます。先生のおっしゃるように、スピード感を持って、我々もよく団体の方ともお話をしながら対応していきたいと思っております。
○池下委員 ちょっと通告がなかったので、大臣の方にお答えしていただけなかったのは残念かと思いますが、今、参考人の方に言っていただきましたように、結構スピード感が要るかと思いますので、今は令和七年の五月ですから、来年の十月ということですから、一年ちょっとくらいしかありませんので、そこら辺、是非スピード感を持ってやっていただきたいなという具合に思います。
それでは次に、ちょっと変わるんですが、社会保険料の滞納について現実的な対応というのをお願いしたいと思いまして、お伺いをしたいと思います。
今回の年金制度、いろいろ改正をされているわけなんですけれども、制度の根幹を支えていただいているのは、やはりそこで働く労働者の皆さんであって、そして半分の負担をいろいろしていただいております企業の皆さん、事業者の皆さんであるという具合に承知をしております。
実は、昨年、私の方にいろいろと御相談事が複数件ございました。どういうことかといいますと、私の地元で、社会保険料の納付が一時的に困難になって差押処分に至ったという中小企業さんから、ちょっと切ない声をいただきました。
二つの企業からあったんですけれども、一社は、将来を見据えて設備投資を行って、その結果として資金繰りがちょっと一時的に圧迫をされたんだと。もう一社は、コロナ禍の影響で長期の営業自粛をすることが余儀なくされて、その後に売上げが回復したものの、滞納した分があったので、一時的に資金的にショートしたというお話でありました。
両社とも、年金事務所とお話をしていただいて、分割であったりとか、そういう納付の意向というものをやっていただいたんですけれども、最終的には、形式的な手続でやはり急に差押えが、どんと銀行の方に差押えが入って、どうしようかということで御相談がありました。
当然、徴収というのは非常に重たい仕事でもあるというのは承知もしておりますし、大事な話、徴収漏れがないということは大事なことであるかと思うんですけれども、ただ一方で、余りに厳格さだけを追い求めますと、回復、支払い能力が将来的にはあるんじゃないかというところまで差押えで潰してしまって、本来再建可能な事業までしてしまうということは、そこで働く労働者の皆さんにももちろんそうですし、事業者の皆様にも非常に問題があるかと思います。
そこで、お伺いをしたいんですが、二〇二〇年度以降、すなわち、コロナ禍による経済的影響が本格化した時期から直近までの社会保険料の滞納件数及び差押件数の推移、特に中小企業において全国的な状況が分かりましたら、教えていただきたいと思います。
○巽政府参考人 お答えいたします。
厚生年金保険料等を滞納している事業所数につきましては、二〇二〇年度は約十六万事業所、二〇二一年度は約十五万事業所、二〇二二年度は約十四万事業所、二〇二三年度は同じく約十四万事業所でございます。
また、日本年金機構が差押えを実施した事業所数は、二〇二〇年度は約三千事業所、二〇二一年度は約七千事業所、二〇二二年度は約二万八千事業所、二〇二三年度は約四万二千事業所になっておりまして、二〇二〇年度、二〇二一年度の件数が少ないことは、先ほどお話あったように、新型コロナウイルス感染症の拡大で猶予をしておりました。一方、二〇二二年度、二三年度の件数が増加していることにつきましては、先ほどの二〇年、二一年におきまして納付猶予の期限が到来したことの影響でございます。
なお、御質問の、事業所ごとの規模別の集計はしておりませんので、事業所数は把握していないというところでございます。
以上です。
○池下委員 御丁寧に数字を教えていただきました。ありがとうございました。
コロナ禍が終わった以降、今お伺いするだけでも万単位の相当数の会社の数があるということは理解をさせていただいたんですけれども、滞納者に対して、既に今ある制度で、分割であったり納付猶予であったりとかいうものが用意されていることは当然承知をしております。しかし、制度が存在していても、それが現場で十分に活用されず、事業者にとって実質的な選択肢になっていないケースもあるという具合に懸念を持っております。
特に、中小企業に対して納付相談や柔軟な対応がどの程度実施されているのか、政府として制度の実効性をどのように評価されているのか、厚労大臣の方にお伺いをしたいと思います。
○福岡国務大臣 社会保険料の納付が困難な事業所につきましては、昨年四月に、日本年金機構に対し、公正かつ適正な運用を図ることを周知し、徹底しておりまして、具体的には、事業所の経営状況や将来の見通しなどを丁寧に伺いながら、猶予や分割納付の相談に応じること、また、納付計画どおりに納付がされない場合でも、直ちに猶予を取り消し、財産を差し押さえるのではなく、やむを得ない理由があると認められる場合には猶予を取り消さないことができることなどの対応を求めております。
中小企業、小規模事業者も含めまして、全ての滞納事業所に対してこのような対応が行われるように、引き続き日本年金機構に対して指導を行ってまいりたいと思います。
○池下委員 大臣がお答えをいただいたんですが、私が聞くところによりますと、これも先ほどのケースになってくるわけなんですけれども、猶予をいただいて、分割を順当に、計画的に返済をしていたんですけれども、ところが、現場の担当者が交代したときに、急に対応が変わってしまったんだというお声も聞かせていただいております。
そして、数日前も同じ方からお電話がありまして、これも聞かせていただいたんですが、半年間、計画的に保険料を払っていたんです、ところが、滞納分を急に倍にしてくださいという相談をされたと。中小企業さんはやはり資金繰りが厳しいから今こういう状況になっているわけなんですけれども、経営の予見性をずっと見ながらどんどんどんどん経営している中で、急に滞納額を倍にしてくださいと言われても、そんな世知辛い話はないじゃないかということがありました。
やはり今、制度を運用しているわけなんですが、制度への信頼を維持するためにも、事業者との相談体制、あと継続性、丁寧な運用の徹底、これを今大臣言われましたけれども、本当にできているのか。改めて、しっかりとやっていけるように、指導していただけるようにしていただきたいんですが、ちょっとお答えをお願いしたいと思います。
○福岡国務大臣 先ほど、滞納事業者への対応につきましては、事業所の経営状況や将来の見通しなどを丁寧に伺いながら、猶予や分割納付の相談等に応じることなど、公正かつ適正な運用が行われるよう、日本年金機構に対応を求めていると申しました。
今御指摘があったようなケース、仮に年金事務所の担当者に変更があったとしても、こうした対応は変わるものではなく、御指摘のような事例があった場合には、日本年金機構に対して、事業所と相談等を行い、丁寧に対応するよう指導を行ってまいりたいと思います。
○池下委員 是非よろしくお願いします。
ちょっともう時間がなくなってきましたので、あと一つ二つで質問の方を終わりにさせていただきたいと思うんですが、今日も多くの委員の皆さんから御指摘がありました。制度の持続可能性に向けた現在の財政検証、これはちょっと見積りが甘いんじゃないんですかというお話がるるあったかと思います。
昨日も、八代参考人の方からたくさんの御指摘がありました。いわゆる運用利回りと賃金上昇の差、スプレッド、これが非常に甘いんじゃないか、そして、女性の就業率が将来的には九〇%を見積もっているにもかかわらず、出生率が今、八年間連続で低下しているにもかかわらず、将来的な出生率が一・三六まで回復するという前提がされているなど、るる、ちょっと見積りが甘いんじゃないかという御見解がありました。
そういう中で、全部言っちゃいますとちょっと時間がありませんから、一つお伺いしたいんですが、八代参考人の見解も含めまして、政府が改めてもう一度、財政検証の在り方、考え直す必要があるかと思いますが、見解をお伺いいたします。
○福岡国務大臣 済みません、何度も申し上げておりますが、公的年金の財政検証は、おおむね百年間の長期の見通しを立て、財政の健全性を検証しておりますが、これは五年ごとに検証する仕組みでありますため、常に実績を踏まえて適切な前提を立てることが重要だと思います。
その点、財政検証に用いております実質的な運用利回り、スプレッドであったり、出生率などの前提につきましては、これまでの実績を踏まえながら、専門家による検討を経た上で幅広い複数のケースを設定しておりまして、適切なものだと考えております。
スプレッドにつきましては、二〇〇一年から二〇二三年までの実質的な運用利回りの平均を、プラス四・四%となってございまして、長期の前提の一・七%を大きく上回っておりますし、人口の前提につきましては、出生率のように実績が前提を下回る要素がある一方で、外国人の入国超過数のように実績が前提を上回る要素もありまして、総合的に見る必要があるとともに、次期財政検証においては、実績として反映されるものでございます。
引き続き、常に実績を把握しながら、適切な前提を立てながら財政検証を行っていきたいと考えております。
○池下委員 今、今までの委員と同じ御回答をいただいたかなと思うんですけれども、昨日の八代委員の御指摘に加えて、学習院大学の鈴木亘教授の論文には次のように書かれております。
財政検証からたった五年で年金財政がかくも大きく改善した理由は、積立金の運用や就業率が大幅に上振れしたことであるが、それで説明できる寄与度は、実は六割程度にすぎない。残り四割は、恣意的に高く設定された一・七%ものスプレッドと、流入外国人が大幅に増えることを前提とした人口予測、そして、外国人の保険料水準や保険料納付率について非現実的な想定を置いていることによるものである。
こういう見解を示されている学者さんというのもいらっしゃるわけです。
もう時間がないのでお伺いはしませんが、他の委員も言われておりましたけれども、やはり、楽観的なベースのシナリオ設定だけじゃなくて、万が一のために、悲観的なベースにした制度リスクの評価も併せて、しっかりとした制度設計をしていただくよう、よろしくお願いいたしまして、私の質問を終了させていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、猪口幸子君。
○猪口委員 日本維新の会の猪口幸子です。
年金制度の安定的な維持のためには、出生率の向上と被用者保険の適用拡大、この二つが最も重要だと考えております。
令和八年度に向けて是非お願いしたいこと、それはお財布の要らない出産についてです。是非これが実現できるよう、本日もお願いと質問をいたします。
厚生労働省の方々から検討会があるということをお聞きしまして、妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会というものがあって、昨年から行われているようです。そして、厚生労働省のホームページに審議の内容等が詳しく書いてありました。一年間議論をされた結果、今どのような状況になっているのか、そしてもう結論は出たのか、来年度に向けて実施が可能かどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○福岡国務大臣 御指摘の検討会では、昨年六月から、妊産婦に対する支援の強化の在り方について延べ十回にわたり御議論をいただき、今月十四日に、今後、令和八年度を目途に、産科医療機関等の経営実態等にも十分配慮しながら、標準的な出産費用の自己負担無償化に向けた具体的な制度設計を進めるべきとする議論の整理が取りまとめられたところでございます。
これを受けまして、今度は、社会保障審議会医療保険部会において引き続き具体的な制度設計の検討を進めていく、そういう予定でございます。
○猪口委員 この検討会のメンバーですけれども、医療機関の関係者、そして大学、それから学会等の方々、そして赤ちゃんのグッズを販売している事業者等の方も参加しておりますが、妊産婦の方は当然そこの中に入っておりません。
その声は一体どんな声があるのかということを、厚生労働省のホームページに、しっかり調べてありまして、一万七千人の妊産婦の方々のアンケート、これがありました。
出産に伴う自己負担が少しでも減ることを望んでいる、一歳六か月までの子供を持つ母親の約八割、父親の約六割が、日本は子供を産み育てやすい社会だと思わないと回答、理由は、経済的、金銭的な負担が大きいが八割以上だったという結果です。そしてまた、多くの施設で、お祝い膳やエステなどのサービスを妊婦が取捨選択できず、また、費用が入院料などに含まれ、個別に明示されていない、請求書が来るまで自分が幾ら払うのか分からないまま退院の日を迎えた、病院のホームページでは出産費用が分からなかった、現在妊娠五か月だが、出産に備えて何をどう準備すればいいか分からず、とても不安、SNSは正しい情報か確認するべくもなく、調べれば調べるほど沼にはまっていく感覚、こんな状況です。
五十万円の出産育児一時金が出ていますけれども、こんな状態で、若い方々の妊娠、出産への不安は非常に大きいと思います、経済的な負担が非常に大きいということで。
出産に関わる基本的な医療的ケアは全額保険適用として、差額ベッド、エステ、お祝い膳等は妊婦さんの自由選択とし、産科病院の施設設備等に対しては補助金で対応すればよろしいのではないか。これは、誰が考えても、この三点をやればいいんじゃないですかと簡単に答えが出るはずなんですけれども、一年間かけて、まだそれが出ていないという状況は本当に残念です。令和八年に向けて、制度設計をもう進めていかないといけないんじゃないかと思います。
そこで、また、これを実施するに当たって、財源というお話が出てくると思います。そこで、今、子ども・子育て拠出金、これは事業主が全額、今現在負担しております。そして、来年度から、二〇二六年度から子ども・子育て支援金を徴収することになっていますが、この二つの制度の違い、そして、一体これを何に使っているのか、是非お聞かせいただきたいと思います。
○伊澤政府参考人 お答え申し上げます。
御質問いただいたうち、まず、子ども・子育て支援金制度でございますけれども、こちらは、加速化プランによる給付拡充を支える安定財源の一部でございまして、先生御指摘のうちの、事業主と個人と両方から拠出いただく支援金でございますけれども、令和八年度におおむね六千億円、令和九年度におおむね八千億円、それから令和十年度におおむね一兆円を目安としていただくという形のものでございます。
この子ども・子育て支援金制度の使途は、子ども・子育て支援法で法定されてございまして、児童手当の拡充や、こども誰でも通園制度などに充てることが決まってございます。
また、事業主拠出金、これは事業主だけが拠出しているものでございますけれども、こちらの充当事業も子ども・子育て支援法において定められておりまして、児童手当、それからゼロから二歳児に係る保育の運営費、それから放課後児童クラブの経費、また、仕事と子育ての両立を支援する事業等となってございます。令和七年度の予算規模は八千八百九十五億円となっているところでございます。
○猪口委員 子ども・子育て支援金で使われる、こども未来戦略、加速化プラン、見せていただきましたけれども、先ほどお話ししたとおりになっていますけれども、妊娠、出産時からの支援強化ということで、妊娠届出時、五万円、出産届出、五万円。
もう一つ、出産に関係するもので、出産等の経済的負担の軽減、ここは子ども・子育て支援金からは出ていないんです。枠の中に入っていない。せっかく若い世代からも徴収するものなのに、どうして財源として出産時の経済的負担の軽減というところに使われない状況になったのか。本当に残念です。
出産の無償化というのは、妊婦健診、産後ケアも含めて、少子化対策の一丁目一番地。子育て支援とか、いろいろなことをこども家庭庁でやっていらっしゃるけれども、生まれてこなければ、それはできない。この一番初めに生まれるところを、どうしてこういうふうに進展しないのか、是非、厚生労働大臣、お聞かせください。
○福岡国務大臣 何度も、委員、この問題意識はお示しをいただいています。
妊婦の方々が安心して安全に出産できる環境を整備するために、妊娠期から産後までの全体を見据えて妊産婦の負担軽減を図っていくこと、このことは大変重要なことだと思っております。同時に、地域の周産期医療提供体制を維持していくことも重要でございまして、妊産婦の負担軽減と周産期体制の維持をいかに両立させるか、産科医療機関等の経営実態なども踏まえながら、様々な関係者の御意見を丁寧に伺いながら検討していくことが重要だと考えております。
一昨年末に閣議決定されましたこども未来戦略におきましても、二〇二六年度、つまり令和八年度が目途とされていることから、それまでに具体的な成案が得られるよう、標準的な出産費用の無償化に向けた具体的な制度設計を鋭意進めていきたいと考えています。
○猪口委員 やはり妊婦ファーストなんですよね。産科医療機関の経営は非常に大変だと思いますけれども、それはやはり補助金等で保護をしていく必要はあると思います。その考えで是非進めていただきたいと思います。
そして、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案に対する質問をさせていただきます。
この改正案で、前回もほぼ同じ質問をさせていただきましたが、ちょっと違った点で、今後の年金制度の維持にとっては、被用者保険の適用拡大が最も重要と私は考えています。扶養を外れ、社会保険加入の要件となる年収百六万円から百五十一万円では、保険料負担により手取りが減ってしまうということに対し、保険料を、三年間の時限措置により、労働者負担割合を二五から四八%まで段階的に軽減するとのことです。
三年でこの措置を終了させる理由を、前回、政府参考人の方が、年収の壁・支援強化パッケージ、キャリアアップ助成金等を利用すれば、その間に処遇改善、正社員への転換が進むため、三年で終了でよいとのお答えでありましたが、被用者は常に流動しており、同じ人がその年収にとどまっているというより、変化していると考えられます。
低い年収の方は常に発生してきます。新たに存在している状況ですので、百六万円の壁に新たな方が直面する。そのときに、三年で終了しているからといって、また、月額報酬は八万八千円という少ない金額で、またフィフティー・フィフティー、五〇%の保険料を払うということは、非常に困難を伴うと思います。
恒久的に、保険料をやはり百六万から百五十一万円で減額すべきではないかと、前回と同様の質問ですが、再度質問させていただきます。済みません。
○間政府参考人 お答えいたします。
改めての御説明になりますけれども、今回の保険料調整制度は、今まで社会保険の適用になっていなかった事業所が、制度的にここからは適用ですよというふうになったときに、そこを上手に乗り越えていただきたい。これまでそこで働いていた方が社会保険料を払わなくて済んだものが、これからは払いますと。じゃ、私、辞めますということになりますと、御本人にとってもそうですし、その事業所にとっても大変厳しい状況になります。その意味で、適用拡大に伴う経過措置ということで今回の制度を仕組んでいるというのが基本だということをまず最初に申し上げさせていただきたいと思います。
保険料調整制度は、被用者保険の適用拡大に伴う経過措置として、適用拡大の対象となる比較的小規模な企業で働く短時間労働者を対象に特例的、時限的に実施するものであり、対象機関等は限定する必要があるというふうに考えております。
利用期間を三年としておりますのは、改めて申し上げますと、前回も申し上げたと思うんですが、足下の最低賃金の上昇、引上げを念頭に置きますと、働きながら三年間ぐらいたっている、その間に、最低賃金に伴って、そこより少し上ぐらいの方も上がっていくだろうというふうに考えています。そういうことを期待しております。
そういうことを考えますと、保険料調整制度の適用が終わりました、三年たって終わりましたといったときに、振り返ってみると、そのときに通常の保険料を御負担いただいても、被用者保険の適用前の手取り額を超え得るようなことが賃金上昇の中では可能なのではないかということを考えて、三年というふうに設計させていただいているものでございます。
その上で、御指摘の社会保険料の恒久的な減免ということに関しましては、社会保険制度が、制度に加入する被用者を保障するための費用を、事業主と被用者全体が納める保険料によって支え合うという制度でございます。今日もいろいろな委員から御質疑がありました。これを、給付内容を維持したまま、ずっと恒久的に減免するということになりますと、さすがに、ちょっと他の被保険者の理解が広く得られるのかといったような観点から、慎重な検討が必要かな、このように考えているところでございます。
○猪口委員 また同じ議論になってしまいますけれども、同じ賃金でいくというよりも、新たな、学生が社会人となり、非常に少ない金額でスタートする、あるいは扶養だった方が新たにパートで働く、そういう方が、三年たてばどんどんどんどん増えてくる。だから、その初めの段階の被用者保険の適用というのを拡充していけば、ずっとその金額でいるかどうかというのは分かりませんけれども、それが維持につながる。
例えば国民年金、一号から二号に移るとき、先ほど立憲の方がおっしゃっていたけれども、保険料が逆に安くなって、それは問題じゃないかというお話でしたけれども、国民年金の保険料も一万七千円で、収入にかかわらず一万七千円、これも、若年世代や収入の低い方は一万七千円を毎月払っていくというのは非常に大変なことで、これも考え直さなくちゃいけないかなというところではあるんですけれども。
そういう意味で、維持していくためには、被用者保険に加入という、それが大前提で、そのスタートラインの方というのは、非常に、月額報酬というか、八万八千円から十二万六千円ぐらいですね、その方たちが、例えば、国民年金に加入しないで、納付できないから、納付率は八三%ぐらいですけれども、納付できない状態で、結局のところ、年金は基礎年金だけしかもらえない、あるいは生活保護に至るという状況を防ぐためにも、被用者保険に入り、そして、事業主からすると、五人以上という事業主は本当に大変だと思います。
だから、事業主もフィフティー・フィフティーで払う、折半で払っていくというその原則を守るためには、一番初めの非常に年収の少ないところでは、保険料自体を抑えて、そして折半という原則を守る。これは、実質的な事務作業でも、給与の支払い等のときでも、五〇%でという方が非常に簡便であると考えます。
そしてまた、この制度、二五%から減免する、減額するという制度、これは申請するという手続も大変ですし、また、その穴埋めに、いろいろなキャリアアップ助成金とかそういったことを利用する、そういう制度の利用を考えていけば、労働者の雇用状況がよくなる、そういうことを前回お話しいただきましたけれども、事業主が、キャリアアップ助成金、これを申請する場合、事業主は非常に重い事務負担がかかると思います。
どのような手続要件があるか、また、この制度の助成金を支給されるまでの日数、申請等、説明をお願いしたいと思います。それと、利用状況もお聞かせください。
○間政府参考人 お答えいたします。
まず、社会保険料の関係から申し上げますけれども、おっしゃるように、所得の低い方の社会保険料負担をどう考えるのかというのは大事な問題だというふうに思っています。
だからこそ、標準報酬月額というものを設定した上で、報酬の低い方には、応能負担としつつ、給付の方で実は所得再分配機能がかなり利いているというようなことでございまして、そういった点、そして、かつ、二号被保険者の場合には、事業主の方が半分御負担いただいているということもあって、この点、かなり現行制度でも配慮したものではないかというふうに思っています。
また、一号被保険者に関してちょっと言及があったのでコメントいたしますけれども、一号被保険者の方も、おっしゃるとおり、一万七千円余りの御負担をいただいているわけですが、御負担が難しいという場合には、四分の一、半額、あるいは全額の免除の制度がございまして、そういう方が例えば二号被保険者になると、負担が上がったみたいなようなケースもあるのかなというふうに思っておりまして、全体的に、適用拡大になったときの経過措置として、同じ等級に該当する人についてはひとしく軽減ができるような仕組みを入れたいということでございます。
その上で、事務負担のお話がございました。この点は非常に重要なポイントだ、重要な御指摘だと思っています。
今回、この制度を導入するかどうかということを関係団体と相談したときに、とにかく簡便な仕組みにしてくれというようなお話がございまして、それはそのとおりだと。なので、保険料軽減割合をどうするのかとか、労使合意みたいなものは特に要らない、国の方で決めさせていただいて、手を挙げる、日本年金機構に、私の会社ではこれを利用しますという届出を出していただきますと、あとは、保険料を納付し、還付するというような手続の中で、簡便に御利用いただけるというような仕組みにしたところでございます。
一部、ちょっと、きちっと私どもがまだ説明し切れていないんだと思いますけれども、何か、一旦、従業員から保険料を全額いただいて、翌月に個別にお返ししなきゃいけないんじゃないかというような誤解も一部あるように伺ったんですが、実際にはそうではなくて、従業員の方からは減額された保険料だけを納めていただいて、事業主負担分と合わせて日本年金機構に納付いただく、こういう仕組みでございますので、いずれにしても、この仕組みをやっていくに当たっては、今後も、施行に向けて、事業主の方々なんかとも相談しながら、事務手続負担、事務負担ができるだけ減らせるように、更に減らせるように努力していきたい、このように考えています。
社会保険料に関しては以上でございます。
○田中政府参考人 では、キャリアアップ助成金の事務手続の流れについて御説明をさせていただきます。
まず、事業主は、この助成金を利用していただくためには、事前にキャリアアップ計画を都道府県労働局に御提出いただきまして、その上で、労働者に新たに被用者保険を適用していただく。そして、手当等の支給などによって労働者の収入を増加させる取組を六か月継続して実施していただいた後に、労働者名簿や賃金台帳等の添付書類とともに、支給申請書を都道府県労働局に御提出いただくことになります。支給申請書の提出を受けまして、審査を行って支給の可否を判断する、こういう流れになってございます。
また、利用状況でございますが、令和七年三月末時点で、事業主からの計画届の受理件数、二万三千七百九十八件、取組予定の労働者数、令和五年度から令和七年度までの合計ですが、三十三万九千六百五十六人となってございます。
○猪口委員 都道府県に申請して、六か月間見て、そして、その結果を申請する。申請しても、適合されなければ、それは受理されないわけなので、非常に制度としては厳しいものがあると思うんです。
通告していなかったんですけれども、適用できる全事業者数というのは大体どのぐらいか、いきなりなんですけれども。それから、申請を外されたというか、申請したけれども却下された事業所とかはあるのかどうか。もし分かればで結構です。
○田中政府参考人 済みません、ちょっと具体的な数字をお持ちしておりませんが、特に、事業所の業種ですとか、そういったようなことに制限を設けておりませんので、事業主の方で、新たに社会保険を適用して、キャリアアップをしていただく事業主の方であれば、どの事業主でも申請いただけることになります。
また、事前に計画届を出していただくということは、その段階でいろいろ御相談をさせていただくということですので、申請をしたけれどももらえないというケースが多発をするかというと、そういうようなことにはなっていない仕組みとしております。
○猪口委員 このような制度は、事業主にとっては、事業自体にかける時間をこの事務手続にかけるということで、事業への妨げになってしまうんじゃないか、制度的に。
このような制度をこれからも続けていくのかどうか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○福岡国務大臣 キャリアアップ助成金の支給申請に当たりまして、企業の事務負担を軽減するために、従来のコースに比べて提出書類の一部、これは対象労働者の確認書や賃金台帳で出勤日数と労働時間数が確認できる場合の出勤簿などを省略可能とするなど、可能な限り事務の簡素化を行ったほか、申請書の記入方法等の分かりやすい解説動画を作成し厚生労働省のホームページで公開するなど、利便性向上のための取組を行っているところでございます。
引き続き、多くの事業所において御活用いただけるように、今御指摘がありましたように、事業主の負担軽減に係る支援について丁寧に実施を行ってまいりたいと思います。
〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕
○猪口委員 ありがとうございます。
先ほどのお話とかぶってしまいますけれども、百六万円から百五十一万円の年収に対して保険料の軽減を行うと、社会保険制度に負担がかかるというふうにお考えなのか。前回、政府参考人の方がお示しになった百六万から百五十一万円の崖対策に要する費用は、対象者百二十五万人で八百億円の試算とされていますが、この年収の被用者保険加入者が増加することは、将来の基礎年金に加え報酬比例部分の増加ももたらすと考えられますが、いかがでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
委員が最初に御指摘になられたように、多くの方に被用者保険に加入していただくということは、御本人にとってもそうですし、制度の持続可能性を高める上でも非常に大事なことだというのは全くそのとおりだというふうに思っています。
その上で、確かにおっしゃるように、新しい方がどんどんどんどん社会に出てこられるわけですが、ある程度、そういう社会の仕組みを前提として雇用契約を結ばれるということでございます。そして、百六万とかあるいは二十時間というのは雇用契約上ではっきりしておりますので、そういうように適用になりたいという方は、企業側もそういう二十時間以上で募集されますし、そうでない場合には十九時間以下で募集をされたり、それを個人の方が選ぶというような仕組みになってくるんだろうというふうに思っています。
今回の保険料調整制度は、そういう意味では、今までのやり方からやや例外的ですけれども、最後、適用拡大で小さな企業までやっていくときに、その部分について特例的に、時限的に行うものだと。その意味では、恒久的というのはなかなか難しいなと考えているところでございます。御理解いただければ幸いです。
○猪口委員 どうもありがとうございました。
質問を終わります。
○長坂委員長代理 次に、福田徹君。
○福田(徹)委員 国民民主党、福田徹です。
昨日の参考人の意見陳述で、複数の方から、若者に年金について関心を持ってもらうのが難しい、そんな話が出たと思っております。私が街頭活動を通しても、全く同じことを思います。
そもそも、このことは、あるべき年金制度改革を進める上で、最も大きな障壁の一つだと思っております。というのも、やはり正しい政治は正しい民意がなければ行われない、そう思います。そして、実際、今も、この年金制度改革について民意は大きく混乱しているように感じるんですよね。国民の年金に対する正しい知識、正しい理解の下でないと、正しい政治は行われない。
やはり、もっともっと若者に知ってほしい。そのために何ができるか、私も考えてみたのですが、昨日も、すごく難しいという意見が出ました。今思いつかなければ、ちょっと過去を振り返って、どんなときに若者が、社会が年金に関心を持ってもらえたのかなと思って調べてみると、割と最近の過去だと、老後二千万円問題が出たときに、年金に関する危機感というのはやや醸成されていたみたいなんですね。
この老後二千万円問題が出たとき、あのときみたいに不安を与えて関心を高めることというのは決して望ましいことだとは私は思わないのですが、何とか関心を持っていただくために、現状を知るために、事実を知るということはとても大切だと思いますので、もう一度、あの老後二千万円問題を思い出してみたいと思うのですが、あの問題は、二〇一九年に金融庁が提出した金融審査会市場ワーキンググループ報告書によって話題になったようです。
今は当時とは経済状況が変わっておりますので、今だと、老後に必要なお金、これは幾らだと推計されるのでしょうか。二〇一九年には、毎月の年金を含めた収入と支出の差に、老後として三十年生きたと仮定して二千万円と計算されたようです。今、それを計算すると、夫婦の場合、単身の場合、これが幾らになるのか教えてください。もし正確な数値が言えないようでしたら、当時出た二千万円より多いか少ないか、これだけでも構いませんので、教えてください。
○間政府参考人 お答えいたします。
二〇一九年に、ただいま委員が御指摘になられました金融審議会の下のワーキンググループが過去にまとめた報告書で示した試算は、高齢世帯が貯蓄や退職金を活用されることに触れることなく、高齢世帯の収入、支出の平均値を用いた単純計算で生活費が老後三十年で二千万円不足するかのように表現した点で、国民に誤解を招く不適切な部分があったことから、当時、金融庁としても正式な報告書として受け取らなかったものと承知しております。
したがいまして、再び国民に誤解や不安を与えることがないように、類似の試算は行っておりませんで、誠に申し訳ありませんが、お示しすることも差し控えさせていただきたいと思います。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
数値は示せないということでした。ただ、やはり物価が上がればこの数値も高くなってきてもおかしくないと思っております。
もう一つお聞きします。現在、就職氷河期世代と言われる四十代、五十代の金融資産は幾らでしょうか。この金額は、今後見込まれる所得代替率の年金を収入とした場合に、必要な資産には多分ほど遠いはずだと思います。この方たちに向けて、厚生労働省として、老後のために今何をすべきか、もし提案できることがあれば教えてください。
○間政府参考人 お答えいたします。
四十代や五十代の方の資産に関する調査は幾つかございますので、二つ御紹介申し上げたいと思います。
まず、総務省の二〇二四年の家計調査では、二人以上世帯における金融資産や預貯金を含めた貯蓄額は、平均額で、世帯主が四十代の世帯で一千三百十四万円、世帯主が五十代の世帯で一千七百九十八万円でございます。
一方で、これは気をつけなきゃいけませんのは、一方で住宅ローンなどの負債がございます。その平均額も御紹介いたしますと、世帯主が四十代の世帯で一千四百四十五万円、世帯主が五十代の世帯で七百二十九万円であると承知をしております。これが一つのデータでございます。
もう一つ、金融経済教育推進機構、新しくできたJ―FLECというところでございますが、これが実施しております二〇二四年の家計の金融行動に関する世論調査によれば、金融資産を保有する二人以上世帯の金融資産額の中央値で申し上げますと、世帯主が四十代である場合は五百二十万円、世帯主が五十代である場合には七百万円と承知してございます。この金融資産の定義は、預貯金で、例えば日常的な出し入れ、日常的な財布に入っているようなものは除くということのようでございます。
その上ででございますが、高齢期のニーズというのは非常に多様でございます、人それぞれでございますので、それぞれの方の御事情に応じて、就労や貯蓄、退職金等の活用など、老後の所得確保については様々な方策が考えられるところでございます。
老後の所得確保を考える上で、公的年金に加えまして、私的年金もまた重要な柱だというふうに考えています。私的年金制度の一つであるiDeCoは、公的年金の上乗せとして、老後の多様なニーズに対応するための制度でございますので、令和七年度税制改正において拠出限度額をかなり大幅に引き上げる方針が決定されたほか、今回の年金法改正におきまして、御案内のとおり、加入可能年齢の上限を七十歳未満に引き上げる内容を盛り込んだところでございまして、こうした制度も含めて御活用いただければというふうに考えております。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
iDeCoの活用は、これはもちろん私も大切だと思っております。一方で、既に四十代、五十代で資産がそれほど多くない氷河期世代の方が、いわゆるiDeCoを使って短い運用期間で十分に資産を増やすこと、これは可能でしょうか。
そもそも、一般的な投資の知識、原則に基づけば、少ない資産を短期間で多く増やすためには、それはリスクの大きい投資をしなければいけないと言わざるを得ないと思います。もちろん、短期間で大きく増やそうと思ったら、大きく失う可能性もあるわけですよね。私は、資産形成はもちろん、同時に、長く働くことは必要だと思いますし、やはりそれを言っていかなければいけないのじゃないかなと思っております。
少子化、つまり現役世代の減少、そして年金の受給期間の延長というのは、年金財政においては間違いなく大きな負担となります。これまで、マクロ経済スライドなので、いわゆる給付を減らすという施策を取っていらっしゃると思いますが、年金制度の持続性を担保してきた、そのためには、そして給付を十分にするためには、やはり国民年金の加入期間を延ばすこと、年金の支給開始年齢を上げること、これは必要だと思いますし、このことについて議論をさせていただきたいと思います。
私は、これらの施策には一定の合理性があると考えております。もちろん、御存じのとおり、平均寿命というのはどんどんどんどん延びておりまして、国民皆保険を達成した一九六一年ですか、平均寿命、男性は六十五・三歳、女性は七十・二歳、これが二〇二〇年には、男性は八十一・六歳、女性は八十七・七歳、この間に、何と男性は十六・三歳、女性は十七・五歳、平均寿命が延びています。さらに、二〇七〇年には、中位推計でも、男性は八十五・九歳、女性は九十一・四歳となります。
これは、ただ年齢が上がっているだけではありません。現在の新体力テストが導入された平成十年から比較して、高齢者の体力、運動能力のスコアは確実に上がっています。つまり、このことは、過去と比較して、今の六十代は過去の六十代ではない、今の七十代は過去の七十代ではない。間違いなく、働く力は高まっていると思うんですね。事実、高齢就業者数というのは、二〇一二年に五百九十六万人だったところ、二〇二二年には九百十二万人、ここ十数年だけでも大きく増加しております。この前提の上で議論させていただきます。
大臣にお尋ねします。昨年、国民年金の加入期間の延長が議論されたと思います。これはどのような課題があり、実現されなかったのでしょうか。
そして、修正案の提出人にお尋ねします。マクロ経済スライドの早期終了というあんこ、大事だと思っております。これに加えて、納付期間の延長というもう一つのあんこを入れて、いわゆる二色あんパンにすることをいかがお考えでしょうか。教えてください。
○福岡国務大臣 基礎年金の保険料拠出期間を六十五歳まで延長することにつきましては、昨年の財政検証において、前回の検証と比べて所得代替率が改善したことを踏まえ、追加的な保険料負担をお願いしてまで給付水準を改善する必要性は乏しいと判断し、今回の改正での対応を見送ることとしたものでございます。
このような中で、昨年末に取りまとめました年金部会の議論の整理におきましては、健康寿命の延伸や高齢者の就労進展等を踏まえますと、基礎年金の拠出期間延長は、基礎年金の給付水準の向上を確保するために有効な方策であり、引き続き議論を行うべきとされたところです。
こうしたことを踏まえまして、今回の法案に盛り込みました検討規定に基づいて対応してまいりたいと思います。
○山井委員 福田委員にお答えをいたします。
基礎年金の加入期間の延長については、ちょっと古い話になりますが、前回の年金制度の法改正が行われた二〇二〇年に、旧立憲民主党、旧国民民主党は、国民年金の加入期間について、任意で六十五歳までの四十五年加入とすることを可能とするため、必要な法制上の措置を講ずるということを盛り込んだ修正案を提出いたしました。
基礎年金四十五年加入となれば、四十年を超えて厚生年金保険に加入した分もきちんと一階の給付に反映されるようになるというメリットがあります。一方で、自営業者等は、国民年金保険料の納付が五年延びることにより、現行よりも負担が増えるといった課題があります。
具体的に言いますと、五年間延びると、約百万円保険料負担が増える一方、年十万円、これを二十年間増えますから、約二百万円年金が増える。百万円負担増になるけれども、二百万円年金が戻ってくるというメリットが一方ではあり、また、国庫負担は約一兆円増えると承知をしております。
福田委員御質問の、年金底上げのあんパンもいいんだけれども、更に加えて、加入期間の延長を四十五年にして二色あんパンにしたらどうかという御提案でありますが、私は、本当にこれは大賛成であります。今回、時間がなくて、この四十五年加入延長はできませんでしたけれども、本当は、福田委員がおっしゃるようにセットでやるのが一番いいんじゃないかと考えております。
以上です。
○福田(徹)委員 前向きな答弁、ありがとうございます。
そうなんです。先ほど、今大臣は、いわゆる財政検証で、これは大丈夫そうだったから負担をお願いするほどではないというお話でした。確かに負担は五年で百万円増えますが、毎年十万円の給付が増えて、恐らく十年で戻ってまいりますので、先ほど申したように、よくよく年金への理解が深まれば、これは十分に受け入れられる可能性があると思っております。
そして、マクロスライドの早期終了ほどの効果ではないようですが、それでも所得代替率を上げる効果はありますので、もしよろしければ御検討いただけたらなと思っております。今の日本人の体力は十分に昔と比べてついておりますので、私は、働いて払えるんじゃないのかなと思っております。
次に、年金の支給開始年齢の引上げについて、大臣、教えてください。このことに関して検討されたことはありますでしょうか。これは、どのような課題がありますでしょうか。
〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕
○福岡国務大臣 高齢者の方々の就業状況は、健康状態等におきまして個人差がありまして、こうした状況に合わせて年金受給の選択肢があることは重要だというふうに考えておりまして、委員御承知のとおり、現行制度では、六十歳から七十五歳の間で受給を開始する時期を自由に選べる仕組みになってございます。
こうした中で、仮に、六十五歳からの支給開始年齢を引き上げることとした場合に、現在の受給者は影響を受けず、これから年金を受け取る将来世代にのみ影響が生じるといった課題があることから、現行の年金財政の仕組みにおいて、支給開始年齢の引上げの仕組みは考えておりません。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
こちらは考えていらっしゃらないということなので、是非、加入期間の延長の方をゆっくり考えていただけたらなと思います。
そして、被用者保険の適用拡大の企業要件の撤廃について教えてください。
これは十年をかけて行う計画です。これは、ごめんなさい、全く根拠に基づかない、私の感覚的な感想となってしまいますが、この十年というのは、すごく長いなと感じるんですよね。この十年をかけるという結論に至った議論の内容、根拠があれば教えていただきたいです。具体的に、企業内でどのような作業とか調整をするのに十年かかるのか。財務的に、いわゆる運転資金で厳しいというのであれば、逆に言えば、十年かけると、そういう財務的な状況というのはよくなるのか。これはどうして十年になったのか、教えてください。
○福岡国務大臣 被用者保険の適用拡大に伴いまして、事業主が一般的に行う事務といたしましては、従業員の方々が加入要件に該当しているかどうかを確認した上で資格取得届を提出することであったり、また、年に一回、標準報酬月額を決定するために算定基礎届を提出することなどが挙げられるところでございます。
今回の見直しを踏まえまして、事業主の事務負担軽減の観点から、年金事務所への来所が不要になる電子申請の推進、また、情報が記載された届出書などを事業所へ送付して、それを確認してお返しいただくというようなターンアラウンド方式、また、社会保険労務士等の専門家の事業所等への無料派遣などによりまして、事務負担の軽減にも更に努めてまいりたいというふうに考えております。
その上で、御指摘に関しましては、再三申し上げていますように、今後適用になるところは、更に小規模の事業者の方々が対象になってくることから、そういった方々への負担を考えた上で今回の措置とさせていただいたということでございます。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
確かに負担は多いけれども、これは十年かかれば解決するのかなという気がするんですよね。私としては、例えば、社会保険に加入する体力のある企業はどんどんどんどん早く加入いただいて、そうすると、やはり、こういう人材市場において競争力がつきますので、そういうところに更に成長してもらう、こういうやり方は必要なんじゃないのかなと思っております。
次に、私的年金制度についてお聞かせください。
iDeCoは私もすばらしいと思います。ただ、先ほど申したように、今資産が少ない方にとっては、大きく資産を増やすというのは非常に難しい状態です。つまり、投資にお金を拠出できない、こういう人にとっては非常に難しいと思います。
その前提で、米国で二〇二七年から導入予定のセーバーズマッチという制度があるようで、それについて議論させていただきたいです。
現在、米国では、セーバーズクレジットという制度で、老後に向けた資産形成に対して税額控除で支援しています。税額控除だと、税金を納めていなかったり納税額が少ない低所得者に恩恵が行かないため、新しいセーバーズマッチという制度で、国民が拠出した金額の五〇%を直接退職金口座に振り込むという形で支援されるようです。私は、この施策について、本来出せる金額よりも多くの元金でできるという点で、資産形成に対してよい効果があるのではないかなと思っております。
お聞かせください。このセーバーズマッチのような制度を我が国で導入することについて、いかがお考えでしょうか。
○福岡国務大臣 米国のセーバーズマッチにつきましては、一定の所得以下の方が企業年金、個人年金に拠出した場合に、拠出した額の最大半額を政府が追加で拠出する仕組みというふうに承知をしております。
こうした仕組みを仮に日本のiDeCoに導入するということを考えた場合には、就職氷河期世代等の特定の対象に公費でこうした措置を講ずることについてどのように考えるかといった観点であったり、また、iDeCoに拠出する余力のない方は対象とならないことについてどのように考えるかなどの観点から課題があるのではと考えています。
このため、まず、iDeCoの更なる活用のための制度の見直しであったり普及促進に取り組むとともに、今回の法案における様々な対応を通じて、将来世代も含めた年金の給付水準の確保に努めてまいりたいと思います。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
そう、iDeCoに拠出できない方というのは、これは多分非常にリアルな話で、そういう方はいっぱいいらっしゃると思うんですよね。もちろんiDeCoも大切ですが、そうでないところで基礎年金をしっかり確保することが大事だと思っております。
最後に、基礎年金の底上げ、これは確実に必要だと思っております。そして、マクロ経済スライドの一致、これも必要だと思います。ただ、私は、やはりそれだけでは足りないと思っていて、どうしてかというと、マクロ経済スライドの一致、これは数字とか仕組みの力で年金を増やすものに感じるんですよね。やはりそれだけではなくて、是非、日本人の、人間の力で年金を増やすことも考えたいと思っています。
昔と比べて、先ほど申したように、人間は強くなっております。働けるようになっております。是非、人間の力でこの国の力とする。つまり、納付期間の延長であったり、給付開始年齢の引上げであったり、この辺りの議論をもっともっと時間をかけてさせていただけたらなと思っております。どうかお願いします。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、森ようすけ君。
○森(よ)委員 国民民主党の森ようすけでございます。
本日は、質疑の機会をいただき、ありがとうございます。
まず、冒頭申し上げたいのは、全ての国民の生活に影響のある重要な制度でございます年金制度について、審議時間が非常に短く、拙速な議論が行われているところについて、やはりちょっと疑義を申し上げたいなというふうに考えております。参議院選挙があるから、会期末が近いからといって、与党と野党第一党の間で協議が行われるような進め方について、これについては、各党各会派がしっかりと議論することが大事だなということを冒頭申し上げまして、質疑に入りたいと思います。
まず、修正案の提出者に対して御質問を幾つかさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、基礎年金の底上げのためのマクロ経済スライドの一致については、必要な施策だというふうには考えております。そして、それに伴う、短期的に足下で受給額が減ってしまう方々に対する支援、こうしたものも盛り込まれておりますので、しっかり配慮がされているなというところは理解をしているところでございます。
ただ一方で、必要になる国庫負担についてどのように賄うのか、そしてこの財源をどうするのかという点については、しっかりと考えて議論をしていくことが必要だというふうに捉えているところでございます。
早期終了をしない場合と比べて、年間二兆円程度の国庫負担が追加で必要になるわけでございます。現在価値に直すと、足下の国庫負担と変わらないというふうな説明もされていますけれども、これは現在価値に直した金額ですので、名目で見ると間違いなく負担額は増えるということは、間違いないことだというふうに捉えているところです。
そこで、質問させていただくんですけれども、このマクロ経済スライドの一致については必要だというふうに考えている一方で、それに伴い、将来必要になる国庫負担金に充てるための安定財源の確保についてどのように考えているのか、その点についてお伺いいたします。
○田村(憲)委員 ありがとうございます。
先ほど長妻提出者も御説明いただきましたけれども、そもそも、すぐにこのお金が必要だというふうな、そういうような勘違いもいろいろとあるようでございますけれども、委員は御承知だと思いますが、二〇三〇年代終わり頃からスタートをして、二〇五〇年代にピークを迎える。
そういう意味では超長期の話になってくるわけでありますが、二〇五二年で十三・四兆円。それは、先ほど言われたとおり、現在価値に割り返して十三・四兆円。でも、名目は増えるんじゃないかというお話がありましたが、他の政策も、やはり同じように名目は増えていくわけでありまして、十三・四兆円という意味からすると、新しい財源が必要かというと、この十三・四兆円は、現在価値に割り戻して変わらないということは事実であろうと思います。
ただ一方で、年金財政というのは、百年で、長期計算で均衡を保ちますから、本来、基礎年金は今高止まりをしているわけですよね、それは、将来的に下げていって均衡させなきゃいけないというのを下げないわけですから、すると、そこでピーク時に二兆円ぐらい要るというのも事実であります、安定財源として。これは多分、本来、均衡させていれば、この二兆円はほかの政策に使えていた二兆円だというふうなことなんだと思います。それを年金に使うのか、ほかの政策に使うのかというのは、そのときの一つの判断であろうというふうに思いますが。
いずれにいたしましても、これからの財政計算を次またやりますから、そのときに向かって安定財源をどう考えていくべきかということも考えなきゃいけませんし、長妻委員もおっしゃったとおり、生活保護がどれぐらい減るのか、これはなかなか定量的には難しいんですけれども、間違いなく言えるのは、そのときの生活扶助に対して収入認定をする部分は、減るのは、これは間違いなく減るとは思いますが、そもそも生活保護にならないような方々をどれだけこれによってつくり出せるのかというのは、これはまた経済の状況でありますとか様々な要因がございます。一定の定義を置けば試算はできるかも分かりませんが、なかなか政府がそれを出すというのは難しいのかなというふうに思います。
いずれにいたしましても、様々なことを勘案した上で安定財源というものを確保していくということになろうと思います。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
おっしゃるとおりだと思っています。ただ、やはり、財源については確保することが必要だという答弁もいただけましたので、この調整期間の一致というのを足下にすぐ導入するわけではなくて、四年後、五年後にやっていくわけですから、四年、五年としっかり時間があるので、その期間において、この財源をどうするのか、こうしたことをしっかり真摯に議論をしていくことは必要だというふうに考えているところでございます。
それで、もう一点。最後に御説明いただきましたけれども、生活保護との関係については、やはりこれは、精緻な推計を出すのは難しいというのはごもっともだと思います。ただ、やはり、長妻委員もおっしゃったとおり、今回底上げをすることによって生活保護が基本的に下がる可能性があるので、プラスマイナスで見るとどうなるか分からない、これは理解ができる説明なんですけれども、その推計も、できる範囲でしっかり丁寧にやっていく、四年、五年あるわけですから。そういうことはしっかりやっていっていただきたいなというふうに考えているところでございます。
ちょっと一つ質問を飛ばしまして、今回、マクロ経済スライドの一致によって年金受給額が増えると説明をしておりますが、それは、正しい側面もある一方で、正しくない側面もあるというふうに考えております。
国費が入るというのがやはり大きな効果を占めているというふうに思っておりまして、厚労省さんの資料の中でも、世代間の財源移転の効果が所得代替率でいうと一・九%である、国庫負担増による効果が三・九%という説明がされているので、この調整期間の一致というのは、効果がある一方で、それはやはり、国費が入るからそれは増えるよねというのは間違いない事実だというふうに捉えているところでございます。やはり年金は保険でありますから、誰かが出したお金が誰かのところに行くことなので、魔法のつえみたいに勝手に全て増えるということはないので、ここはしっかりと見ていって議論をすることが大事だというふうに考えております。
そうした上で、ちょっと質問に移るんですけれども、調整期間の一致という、技術的な話ということも参考人質疑の中でもありましたけれども、やはりもう少し本質的な年金改革というところもしっかり見ていく必要があるというふうに考えているところでございます。四十年を四十五年に延ばすとかいろいろありますけれども、まずは、第三号の被保険者のところについてお伺いしたいと思います。
今回、百六万円の壁と年収要件はなくなりますが、二十時間の壁は引き続き残る形です。百三十万円の壁についても引き続き残ることになるわけでございます。人手不足が言われている中で、やはりこの第三号被保険者の問題を解決することによって人手不足の解消に大きくつながると思うので、ここもやはり、年金の議論において真っ正面から向き合う必要があるというふうに捉えているところでございます。
もう皆さん御承知のとおりなんですけれども、この第三号の制度については、制度が導入された当時というのは、サラリーマンの旦那と専業主婦の奥さんという形で、それが当たり前のモデル世帯だった一方で、もう足下においては共働きが当たり前になっているところでございます。
なので、こういった社会の変化も踏まえて、第三号の問題について議論をしていかないといけないというふうに捉えているところでございます。もちろん、育児だったり介護だったり、そうしたところに配慮することは必要なんですけれども、やはり、非中立的な制度である第三号については、より前向きに検討していただきたいというふうに考えているところでございます。
そこで、提出者にお伺いするんですけれども、今回、修正案には盛り込まれていませんけれども、この第三号の問題について、より前向きに検討していくべきだと考えておりますが、その点、御見解はいかがでしょうか。
○上野委員 今御指摘ございましたように、共働き世帯の増加あるいは家族形態の多様化など、そうした観点は非常に大事だと思っておりまして、第三号制度について見直すべきだという意見があるのは重々承知をしております。
一方で、委員も御指摘がありました病気の問題であったり、あるいは育児、介護の問題であったり、状況は様々だというふうに思っておりますので、そうした方々にも十分配慮をした制度の在り方ということについて、十分検討していく必要があるというふうに思います。
今回の政府提出法案におきましても、附則におきまして、第三号被保険者の実態把握の検討規定が設けられておりますので、政府におきましては、この検討規定に沿って実態を十分把握した上で、国民的な議論を十分深めていただくように努力をお願いをしたいというふうに思っています。
○森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。
もう少しちょっと深掘って質問させていただきたいんですけれども、政府案の附則においても、第三号被保険者の実情に関する調査研究を行って、在り方について検討を行うと確かに書いております。
ただ、これはやはり書きぶりがかなり弱いなというふうに思っていて、在り方について検討を行うというよりかは、第三号の廃止に向けて早急に見直しを行うべきだとか、それくらい、ちょっと踏み込んだ附則の規定にすることも一案だというふうに考えているんですけれども、その点、修正案の提出者にもう一度お伺いしてもよろしいでしょうか。
○上野委員 御指摘のとおり、重要な視点だというふうに思いますが、当面、政府としてそのような方針で検討を深めていただけるということでありますので、その検討状況を我々としてもしっかり見守りたいというふうに思います。
○森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。
やはりこれは前向きに、私も言っていきたいと思っていますので、是非お力添えもいただければと思うんですけれども。
ちょっとまた質問が変わりまして、次は適用拡大のところについてお伺いしたいと思います。
被用者保険の適用拡大について、今回、いい方向性が入っているものの、やはり踏み込みが十分ではないのと、先ほど福田委員の質問にもありましたけれども、十年くらいという、企業規模に応じて十年というところで、やはりスピード感も遅いなというふうに捉えているところでございます。
今回、百六万円の賃金要件は撤廃されましたけれども、二十時間の労働時間の要件は引き続き残るわけです。最低賃金が今上がっていて、例えば千十六円以上の地域においては、この百六万円を撤廃したとしても空振りの規定になりますし、今後更に賃金が上がってくるので、この二十時間という要件があったとしても、すごい空振りな規定になるんじゃないか、効果がすごい少ないのではないかというところを懸念しているところでございます。
やはり、抜本的に適用拡大をするのであれば、雇用保険が二十時間から十時間に下がりましたので、その時間と合わせて週十時間に引き下げていく、こうしたことも必要ではないかというふうに考えております。
加えてなんですけれども、このスケジュールの遅さというところがあるので、十年間はさすがに置き過ぎなので、五年くらいに縮めるとか、こうしたことも必要だというふうに考えております。
そこで、修正案の提出者にお伺いしたいんですけれども、この適用拡大の要件を二十時間から十時間に引き下げることでしたり、撤廃のスケジュールを五年に短くすること、今すぐ始めるのではなくて、今後の四、五年の時間があるわけですから、その期間においてしっかり見直しに向けた検討をより前向きに進めていくことについて、御見解はいかがでしょうか。
○田村(憲)委員 被用者保険の対象者をどう考えるかという話になってこようというふうに思いますが、一方で、中小零細企業の皆様方の保険料負担というところも考えていかなきゃなりません。一方で、今度は、人が足らないので、社会保険がしっかりと完備している方がそういう労働者の方々を受け入れやすいというような環境があるのも事実です。
一つ考えなきゃならないのは国民年金保険料との兼ね合いでして、これが大体今は二十時間で、若干厚生年金の方が安くなっちゃっているんですけれども、ほぼ大体同じ見合いで、それで年金は、実は厚生年金の方が高くなるわけなんですよね。これがもし十時間になると、更に、労使共の保険料よりも半分ぐらいになっちゃって、要するに、労使共が国民年金保険料の半分になっちゃうんですね。それで、もらえる年金が今の制度設計ですと増えちゃう、こういう矛盾が出てきますので、そこら辺のところをどう考えていくのかということはちょっと大きな課題であろうと思います。
いずれにいたしましても、やはり不断に我々としてはいろいろな検討はしていかなければならないと思っておりますので、幅広く検討してまいりたいというふうに思っております。
○森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。
田村先生は詳しいので、そのとおりだと思うんですけれども、配慮すべきことは間違いなくあると思うんです。
ただ、やはり検討を前向きに進めていくというのは非常に重要なことだと思っていまして、今回修正案が出てきていますけれども、それが本則じゃなくて附則の改正案になっていると思います。なので、こうした今すぐ導入すべきかどうかは難しいことについても、附則において見直しの事項をしっかり盛り込んでいくというのは、修正案も附則ですから、同じ一つの法律案、修正案として、よりいろいろな事項について盛り込むという方向性は、可能性としてはあるのかなというふうに考えていますので、その点は、また金曜日もありますので、是非御議論させていただければと思います。
次に、就職氷河期世代のところについてもお伺いしたいと思います。
今現在、国民年金保険料の遡及納付の要件は、十年以内であることであったりとか、事前に承認を受けていることといった、こうした要件があるところでございます。
私自身も氷河期世代の方々から声を聞くのは、当時はやはり生活が苦しくてなかなか納められなかった、今だったら納められるようになったので役所に行ってみたんだけれども、もう十年以上過ぎているから納められないよというふうに言われて、すごく何かもどかしい気持ちになったというような声を、就職氷河期の方々、当事者の方から聞くことがあるんですね。
なので、こうしたように、やはり未納期間が長いと、将来の基礎年金、ただでさえ低いのに、より下がってしまうので、納めたいという気持ちがある人に対しては、もうちょっと要件を緩和してあげてもいいのかなというふうに考えているところでございます。
こうしたように、遡及納付の要件、今十年ですけれども、これをもうちょっと緩めてあげるとか、こうした見直しについても、今すぐ導入せよというわけではなくて、併せて附則において、しっかりとこうしたところについても拾っていくというところも一つの案としては考えられるんですけれども、そうした点について、御見解はいかがでしょうか。
○上野委員 十年の納付期限の撤廃、あるいは、免除申請などがなくても追納を可能とするということでございます。
様々な御意見があろうかというふうに思いますが、毎月保険料を納付していただいている方や免除の手続を既にされている方とのバランスも考えないといけないと思いますし、また、納付を後回しにして、結果的に納付ができずに将来の年金額が低額となる、そうした可能性についてもありますので、慎重な検討が必要ではないかなというふうに思います。
我々といたしましては、今回の修正案に基づいて、社会経済情勢を見極めて、調整期間の差異が著しくて基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合には、調整期間を同時に終了させることで、就職氷河期世代を始めとする将来世代の基礎年金の給付水準の向上を図るということをまず実施をすべきだというふうに考えております。
○森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。
これもやはり、懸念すべき事項とか配慮すべき事項はありますので、しっかり。でも、ただ、必要な改革だとは思うので、五年後に向けて検討していくということを法律上しっかり担保していくということも重要だと思っていますので、この点についても是非議論をしていきたいなというふうに考えているところでございます。
最後、一問お伺いするんですけれども、昨日の参考人質疑においても、マクロ経済スライドの一致というところの必要性は皆さんから言及がされていたところでございます。ただ、それだけではなくて、そのほかの必要な施策についても、五年間あるわけですから、それについても時間をかけて議論をしていくことも大事だよねというようなところも参考人から意見があったというふうに承知をしております。
例えば、国民年金保険料の納付期間を四十年から四十五年に延ばすことについては、素直な取組であるとか王道だよねということは、参考人からいろいろと意見があったところでございます。先ほど山井委員も、四十五年に延ばすことはすごく前向きに考えていると、修正案の提出者として答弁をいただいたところでございます。
加えて、先ほどからるる言っているんですけれども、修正案に盛り込まれておりますマクロ経済スライドの一致というのも、今導入することではなくて、四年後、五年後に向けて検討していくというような規定になっているわけでございます。それであれば、次回の財政検証まで時間があるわけなので、そのほかの必要な施策についても、五年間で時間をかけて併せて議論をすべきだというふうに考えているところでございます。
こうしたように、個別の政策について、より前向きに検討していくことを法律上位置づけることも一つの考えだと思うんですけれども、総論としていかがでしょうか。お願いいたします。
○上野委員 御指摘のとおり、先般の参考人質疑におきましても、マクロ経済スライドの一致の重要性につきましては、おおむね各参考人の意見は共通していたかなというふうに思っておりますし、そのほか必要な改革等につきましても、様々な御意見があったものだというふうに承知をしています。
その上で、政府提出法案の検討規定にも盛り込まれておりますが、基礎年金の拠出期間の延長であったり、第三号被保険者の制度の問題であったり、あるいは更なる適用拡大の課題であったり、様々な課題があるのはもちろんでありますので、これから、当然、その五年間の間に、政府においても十分な検討をしていただけるというふうに思っておりますし、我々も当然、議論を進めていくべきだというふうに考えています。
○森(よ)委員 ありがとうございます。
やはり附則において明記していくことも大事だと思いますので、必要な政策であれば、より具体的に附則に書いていく、こうしたことも週末にかけて議論していきたいと思います。
修正案提出者については以上でございます。ありがとうございます。
最後、福岡大臣に一問だけお伺いしたいんですけれども、年金の財政検証におけるモデル世帯の在り方について一問、最後の質問、お伺いさせていただきたいと思います。
やはり、モデル世帯が働く旦那と専業主婦の妻、三号の妻という形で、これまではそれがそうだったと思うんですけれども、今だと、氷河期世代の方々を含めて、単身の高齢の男性だったり単身の高齢の女性だったりとか、未婚の方が増えてきているという形でございます。やはり、氷河期世代の方々は、モデル世帯とは違って自分の年金しか受け取ることができない。もちろん、基礎年金だけの人もいれば、厚生年金を受け取っているけれども、若いときの拠出がなかなか甘くてしっかり受給ができない、こうした単身の男性、女性がこれから増えてくることが見込まれているわけでございます。
なので、モデル世帯についても、それは過去からの比較において必要ではある一方で、そうした単身の方々に対する検証ということも、より深掘ってやっていくべきだというふうに考えているんですけれども、その点、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 委員お話ありましたように、今、社会経済情勢が変化する中で、単身世帯から共働き世帯まで、多様な世帯構成が存在しております。委員が御指摘になられましたような世帯構成も、その一類型というふうに考えております。こうした中で、厚生労働省としても、この世帯構成をモデル世帯とは今申し上げておりません。
なお、過去からの継続性の観点から、将来の給付水準を測る指標として、この世帯構成に基づく年金額をいわゆるモデル年金と申し上げているところでございます。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
やはり、こういった多様な世帯が増えてきているので、しっかりそうした方々を見つつ、全ての方々が安心して暮らせる年金制度というのを進めていただきたいなと思います。
最後、一言なんですけれども、この年金の改正案、修正案については金曜日に採決ということも示されておりますが、国民全体に関係のある重要な年金制度でございますので、やはりこれは議論が拙速過ぎるんじゃないかということを捉えているところでございます。時間をかけた審議が必要であるというふうに考えておりますので、そうしたことを最後申し上げまして、質疑とさせていただきます。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、浜地雅一君。
○浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。
三十分、質問をさせていただきたいと思います。
まず、私からは、先日の本会議での質問におきまして、保険料調整制度について、私、質問をさせていただきました。すなわち、就業調整等を防止するために、いわゆる労使折半を超えて、社会保険料、厚生年金保険料及び健康保険料を労使折半を超えて事業主が負担した場合に、これを全額事業主に支援をするという制度でございます。
このとき、私、二つに分けて質問をいたしました。まず、厚生年金保険料に対する、事業主に対する全額還付をした場合の影響ということで、ここでは約三百億円の影響があるという御答弁でございました。
もう一つ私が質問したのは、厚生年金保険料だけでなく、健康保険料を労使折半を超えた事業主に全額還付した場合の影響でございます。これまでもこの委員会で答弁がありましたとおり、約百七十億円の影響があるということが既に私の前の質問であるわけでございますが、厚生年金保険料は、年間約四十兆円と言われている大きな大きな財布の中の三年間の三百億でありますので、影響は少ないと思います。片や健康保険料につきましては、協会けんぽ又は健保組合というのがあるんですが、特に健保組合におきましては、一つ一つの事業所で、ある意味小さな枠の中で運営をしているわけであります。当然、協会けんぽの影響もしかりでございますが、特に健保組合においては、影響は小さいと言えないんじゃないかという問題意識があるわけでございます。
したがいまして、今回の労使折半を超えて事業主が負担した健康保険料を全額事業主に還付する場合の、特に健保組合の保険財政に対する影響、それと様々な事務手続の負担について、どのように考えているのか、厚労省の答弁をいただきます。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
保険料調整制度は、申すまでもございませんが、被用者保険の適用拡大の対象となる企業に限って、その企業で働く、就業調整を行う可能性のある収入で働く短時間労働者を対象として、対象期間を三年間に限定し、特例的、時限的に実施するものでございます。
今、健康保険の方の財政影響のお話がございました。
まず、全体の数字でいいますと、対象となる方が全員対象となった場合としても、三年間で最大百七十億円というふうに見積もっておりますが、協会けんぽの保険料収入が年間十兆円、健康保険組合の保険料収入は年間で全体でいえば八・五兆円ということを勘案いたしますと、全体、マクロの数字で見れば、保険料率への影響は限定的だとは考えております。
一方で、先生がおっしゃるように、健康保険組合の中には、いろいろ規模によって違いがあるじゃないかという御指摘はあろうかと思います。特に、財政余力の乏しい健康保険組合にとっては、本制度に御不安を感じる点もあろうかというふうに思いますので、この点につきましては、施行に向けて、実務面での課題なども含め、現場の方々から御意見を丁寧に伺いながら、対応を考えていきたいというふうに思っております。
また、事務手続の問題がございました。
この制度を利用するに当たっては、必要な手続は、事業所の事務負担を考慮して、利用開始時の届出のみというふうにしておりまして、対象となる労働者との合意ですとか、企業ごとの労使の保険料負担割合の設定を必要としない簡便な仕組みを考えております。
一方で、新しい仕組みでございますので、実際に利用いただく事業主や従業員はもとより、健康保険組合に御理解をいただくことが非常に重要だというふうに思っております。健康保険組合にとっても、今回のこの制度に過度に不安を感じることがないよう、円滑な実施に向けて、制度の意義、趣旨も含め、現場の皆様と丁寧にコミュニケーションを取っていきたい、このように思っております。
○浜地委員 ありがとうございます。
先ほどの保険財政に与える影響については、御答弁の中で、施行までに関係者の意見について対応を考えていくということでありますので、何らかの対応はしていただけるんだろうと。当然、具体的なことはこれからでしょうが、そのように受け取りましたので、しっかりとこの点については、また今後の運用を見守っていきたいなというふうに思うところでございます。
続きまして、今回、我々といいますか、政府提出案、そして私も今回、修正案の提出者の一人でございますけれども、被用者保険への適用拡大を図るということは、もう皆様方、一致しております。
それを言うと、また逆の意味の私は質問をしていくわけでございますが、ある国民健康保険の関係者から言わせてみると、被用者保険がどんどん適用されると、当然、国民年金から抜けられる方が多い。国民年金から抜ければ、そうなりますと、国民健康保険から抜けられる方も多くなって、現在、ただでさえも、昔はいわゆる経営者の方が入られたり個人事業の人が入られているんですが、今はやはり所得の低い人も多い、そして御高齢の人も多いというような中において、今後、被用者保険の適用拡大に伴い、国民健康保険の財政、心配の声も実は上がっているところでございます。
適用拡大を進めておきながら、こういう質問をするのもどうかと思いますが、やはりそういった声があるということを一つ紹介をさせていただきます。
そこで、今回の改正による、いわゆる適用拡大に伴う国民健康保険財政に与える影響、それと今後、やはり国民健康保険に加入する方はどんどん減少すると思っておりますので、今回の改正の適用拡大に伴わず将来的に与える影響、この二つについて御答弁をいただきたいと思います。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
私の方にも、国民健康保険の関係の方々から、いろいろなやはり御懸念というのはいただいているところでございます。
ただ、今般検討しています適用拡大の影響について申し上げれば、どちらかといえば、収入が比較的低いような六十五歳未満の者が多い集団が国民健康保険の方から抜けるということになり、収入へのマイナスの影響がそれほど大きくないこと、また、前期高齢者交付金がプラスとなること等により、国保財政にとっては、今回の影響だけいえば、トータルでプラスになるというふうに試算をしております。
また、今後のことも含め、被用者保険の適用拡大につきましては、国民健康保険から被用者保険の方に被保険者の異動が生じ、保険者の財政や運営に影響が出るものであるというふうに承知をしております。
今後、更なる適用拡大を検討するに当たっては、被保険者の構成の変化や財政への影響、こういったものを踏まえながら、国保の保険者の皆様ともよく御意見をお伺いしながら、丁寧に対応していきたいというふうに思っています。
○浜地委員 ありがとうございます。
一つ、今のポイントは、今回の改正による適用拡大の影響というのは逆にプラスに働くということでありますので、その点は一つ安心をしたところでございます。
その上で、国民健康保険財政又は後期高齢者医療保険を支える財政として、やはり保険料収入を増やしていくという方策が必要だと思っております。
今現在、自民党さん、我々公明党、そして維新の会の皆さんと、社会保障費の削減に向けて三党協議を行っております。そこでは、いわゆる、様々なことを削減することも大事なんですが、保険料の収入増を図って一つ安定をさせていくということも必要かと思っています。そこで、先ほどの問題意識にもあるんですが、国民健康保険の加入者がどんどん減っていく、そういう中において、国民健康保険又は後期高齢者医療保険の保険料の収入増を図る必要があろうかと思っています。
そこで、今三党で話をしているのが、金融所得を把握をし、これを保険料の算定に加えていくということです。いわゆる金融所得というのは利子とか配当等を指すわけでございますが、これについては様々な課題もあろうかと思っておりますけれども、これはやはり、国民健康保険財政や後期高齢者医療保険を支えるために私は必要な改革ではないかと思っております。
金融所得を保険料の算定に加えていく、この考え方について、様々な課題も含めて、現在の厚生労働省の見解を頂戴したいと思います。
○鹿沼政府参考人 全世代型社会保障の理念の一つといたしまして、やはり能力に応じて負担をという議論があろうかと思っております。これは、国民健康保険、後期高齢者医療保険制度の保険料においても同じ考え方でございますし、そういう意味で、金融所得の勘案、こういったことも、私どもも全く同じ気持ちで、重要なテーマだというふうに思っております。
一方で、実務的にはいろいろな課題がございまして、そういったものを克服していかなきゃいけないということでございます。
具体的に申し上げれば、金融所得を勘案するに当たっては、確定申告されず源泉徴収で課税関係が終了するような金融所得について、これは市町村民税の課税所得等に算入されていないという状況でございます。現状では、保険者が金融所得の所得金額を把握できないという状況でございます。
このため、例えば、保険者が金融機関等からの情報を基に、確定申告されていない金融所得を把握するということも考えられるわけですが、金融機関や会社単位で寄せられた大量の金融所得データ、こういったものをシステム上で被保険者単位に正確に名寄せし取り扱えるような、こういったことが必要になると考えられております。
現在の類似の仕組みといたしまして、税制においては法定調書という仕組みがございますが、金融所得における法定調書につきましては、制度上、オンラインによる提出が求められていないという状況でもございます。
医療保険における金融所得の勘案に当たっては、法定調書の提出の状況等も踏まえながら、保険料負担の公平性の観点、市町村や金融機関など関係者の事務負担、情報化の進展などに留意しながら、引き続き丁寧に検討を行っていきたいというふうに思っております。
○浜地委員 この論点、今三党協議もやっておりますので、しっかりまた論点を整理しながら前に進めてまいりたいなというふうに私個人としては思っております。
続きまして、今日の大きな話題の一つでもございますが、年金の給付水準の引上げというところにちょっとスポットを当てて話をしてまいりたいと思っています。
今回、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了による、いわゆる基礎年金の給付水準の底上げということ、当初案には当然盛り込まれておりました。公明党の厚生労働部会でもこの案を進めるべきだということで進めておりましたが、残念ながら、今回の政府提出法案にはこの部分が抜け落ちたわけであります。
立憲民主党さんの様々な強い御努力や、また、厚生年金の積立金の流用ではないかとか、又は年金が減る世帯があるというような、そういった不安に対して、様々、資料も要求していただきながら、これに対して今応える形になっているんだろうと思っています。
私自身も、今日、資料三の1を持ってまいりましたが、この資料というのはそもそもあった資料でございますが、特に、井坂さんが出された資料三の2、例えば三の1だと、六十五歳以上だとマイナス〇・四%、六十五歳以上の方は、すべからく、マクロ経済スライドの調整期間の一致によっていわゆる損をしてしまうんじゃないかというような声もあったわけですが、三の2を見ていただくと、同じ六十五歳男性、一九六〇年でも、全体としてはマイナス〇・四%の影響はございますが、実は、当然、基礎年金の方はプラスになるし、そして、六十五歳の方であったとしても、いわゆる下位四〇%までの方については、実はプラスになるというような数字も出たわけでございます。
こういったことを、当初、私どもももう少しつぶさに検証しながら法案審議を進めるべきであったなというふうに思うところと、こういう実際の具体的な数字が出ることによって、この不安というのが払拭をされるということで、今回、我々もこの修正案提出の会派に加わったわけでございます。
その上で、政府も、あんこがなくなったというふうに言われてはおりますけれども、実は五年後にもう一度基礎年金の底上げを復活させるための、ある意味、装置といいますか、きっかけというものをつくっておったわけでございます。ここは、公明党の部会でも、私、高く評価したわけでございます。それが資料二であります。
本来であれば、適用拡大ケースですと、二〇二八年には厚生年金、報酬比例部分のマクロ経済スライドは終了をしてしまう計算でございました。また、適用拡大をしない場合ですと、二〇二六年には実は終了をしてしまいました。マクロ経済スライド、比例報酬部分が終了しますと、基礎年金に回す分の財源というのが出ませんので、いわゆる二〇三〇年まで厚生年金のマクロ経済スライドを延長する措置が盛り込まれていたので、我々公明党としても、将来につながるきっかけもあるということで、当初は納得をしたわけでございます。
そこで、改めて、このマクロ経済スライドを、計算上では二〇二六年若しくは二〇二八年に終了することができたものを、二〇三〇年まで延長された意義についてお答えしていただきたい。
それと、今回は給付調整率を調整をして、いわゆる今、受給者に対しては、年金受給額がマイナスにならないように配慮すると言われております。しかし、この調整率が三分の一ということでありますけれども、例えば二〇二八年を二〇三〇年まで延ばせば、要は二年間延ばしているわけでございまして、私は五分の三の調整率で済むのではないかというふうに思っておりますが、二〇三〇年までマクロ経済スライドを延長する意義と、調整率がなぜ三分の一となっているのか、ここを局長に答弁をいただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
今回の法案では、ただいま委員御指摘になられましたように、基礎年金水準の問題は、これは引き続き重要な課題だという認識の下に、前回の改正、令和二年の改正法附則におきまして、公的年金の所得再分配の機能の強化の検討を行うよう政府に義務づけるような規定がございました。
それを引き続き行うに際しまして、今後の社会経済情勢の変化を見極めるため、令和六年財政検証では、二〇二八年度、これは適用拡大を織り込んだ場合でございますが、二八年度で終了する見込みであった報酬比例部分のマクロ経済スライドを、次期財政検証の翌年度である二〇三〇年度まで継続することとしたものでございます。
これによりまして、マクロ経済スライドの終了というのは、よく経済を見極めないといけないので財政検証をして落ち着いてやる必要があるということと、委員がおっしゃいましたように、次の改正のときにやはりいろいろな政策オプションを残しておくという観点からも、この措置が必要であったというふうに考えてございます。
その上で、これを延ばすことによって現在の厚生年金受給者が不利にならないような配慮措置を講じたということでございます。
この根拠でございますけれども、どういう考え方かといいますと、二〇三〇年度の報酬比例部分の給付水準が、当初のマクロ経済スライドが終了する見込みであった二〇二八年度の水準を下回らないようにするためにはどの程度調整、緩和する必要があるか、数理計算をいたしました。マクロ経済スライドの調整率は、公的年金の被保険者数の減少率に応じて毎年度変わり得るものでございますし、二〇二八年度までの三年間の調整率と比べて、実は二〇二九年度以降の二年間の調整率の方が高いという見通しとなっております。
こうしたことを考慮しまして、数理計算の結果として、調整率を三分の一、このように設定したものでございます。
○浜地委員 今回、自民党さん、そして立憲民主党さんと出したこの修正案でございますが、それが実は生きるためには、当初政府が設定をしておりました二〇三〇年までの報酬比例部分のマクロ経済スライドの延長というのがあって、その更にある、いわゆるあんこと言われるところですが、本当にこういった大事なオプションというのは残していただいたこと、これは、厚生労働省はあんこがなかったなかったと言われて批判もされておりますが、実は間局長はあんこが将来入っていいようにしっかりとオプションをつけていただいたということも含めて、与党の議員としてお伝えしたかったという点もあったわけでございます。
次に、そうはいっても、修正案が出ました。今日も、立憲民主党の議員の皆様方も含め、様々、この三の1の資料を使って質問をされております。私は国民の皆様方に正しく正しい姿を伝えなければならないと思っておりまして、一つ確認でございます。
問いの七に行きますけれども、実はこれは、令和六年の財政検証において、そのときに、マクロ経済スライドの調整期間を一致して、いわゆる年金の給付水準を引き上げようという、令和六年度の推計に基づいたものでございます。
我々の修正案は、二〇二九年の財政検証以降、その翌年に現在のような状況であればこのような措置を講ずるわけでございますが、何を言いたいかというと、五年間、この実施はこの推計よりも遅れてスタートをするというところがあります。したがいまして、このマクロ経済スライド、二〇三七年と言われておりますが、仮に経済前提が一緒だとして、五年遅れてスタートした場合に、マクロ経済スライドの調整期間が一致、二〇三七年というのは変わらないのか。そして、井坂さんも含めて努力をしていただきました、様々な年代別、そして受給金額別に分けられた詳細なデータ、これは同じ効果になるのかどうか。理由も含めてお答えをいただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
今回の法案では、基礎年金のマクロ経済スライド早期終了の具体的な仕組みは規定しておりませんが、仮に経済が好調に推移しない場合にこの措置を講じたときであっても、令和六年財政検証によれば、マクロ経済スライドの終了時期は二〇三七年度というふうになっております。
このため、仮に御指摘のように二〇三〇年度にこの措置を実施すると判断した場合であっても、マクロ経済スライドが継続している最中であることから、他の社会経済情勢等の前提に変更がなければ、おおむね同様の効果が得られるものと考えているところでございます。
○浜地委員 局長、ちょっと大事なところなので。おおむね同様の効果と言われたんですが、経済前提は一緒ですから、済みません、そういう経済前提が変わった場合もあるのでおおむねと言うのか、経済前提が変わらなければ、二〇三七年のマクロ経済スライドの一致という期間は変わらないのか。そして、受給金額については、おおむねというよりも、前提条件の様々な変化はありますが、基本的には変わらないということで今御答弁されたのか。大事なところなので、ちょっともう一度よろしいですか。
○間政府参考人 お答えいたします。
これまでもいろいろな御質問に対して財政検証のベースでもってお答えをしているところでございますので、その意味で、今御提案の、早期終了の仕組みを入れていただいた場合についての効果については、これまでお示ししているものと基本的に一緒であるというふうに思っております。
○浜地委員 そこが確認をしたかったわけでございます。私どもも法案提出者でありますので、そこは理解した上で今質問をしたわけでございます。ただ、ファクトとして、法案提出者というよりも、やはり厚生労働省の見解をいただきたかったということであります。
恐らく、局長が言われたのは、今回、二〇三〇年までマクロ経済スライドを延長します。ただ、調整期間を、三分の一にして影響が出ないようにしているので、この部分について若干影響がある可能性があるということを含まれているのかなと私は理解をしております。
ですので、この推定の数字というのは大きく変わるものではないというふうに私は理解しましたが、そういう理解でよろしいか。もう一度、済みません。
○間政府参考人 御指摘のとおりでございます。
○浜地委員 これで、しっかり、前提というのは、五年後であっても、調整期間の一致でありますとか受給金額というのは同じだという御答弁だったと思います。
私の理解では、二〇三〇年までの調整期間を延長するときに、要は、減額にならないようにしていますので、その分が若干の影響がありますが、恐らくこの数字というのは大きく変わってこないんだろうというふうに私は理解して、今後もこの法案審査、進めていきたいなというふうに思うところであります。
ちょっと話題を変えまして、残りの時間で、ちまたで様々、私も年金の担当をしていますので、いろいろな質問が来ます。当然、ここはもう既に事実としてあるところ、運用として行われているところでありますけれども、確認の意味も込めて、いろいろなことを質問していきたいと思っています。
年金の受給開始年齢を繰り下げた場合に、当然、年金の受給額は増えるわけでございます。六十五歳を七十にすれば四二%増える、七十五にすれば八四%増えるということなんですが、ここについては、在職老齢年金の影響はあるということは質問をされてきました。
じゃ、それでは、増えた年金額について、税金、いわゆる公的年金控除等の影響、又は社会保険料についてはまずどのような影響になるのか。増えた分、その分、取られてしまうのか。
それと、このことが実は周知をされていないとすると、年金の受給開始の繰下げを決断をする六十五歳の段階で、実は税負担や社会保険料負担がどうなるのかを知っていなければ、結局、年金は増えたけれども、引かれる分が多くて、思ったよりも四二%も八四%も増えなかったよ、そのようなこともあろうと思っていますので、支給開始年齢を選択するときに、そういった税や社会保険料の負担についても周知をする必要もあると思っています。
この二つについてお答えをください。
○間政府参考人 お答えいたします。
公的年金等控除の控除額や国民年金保険等の保険料は、年金を含めた収入に応じて変わるものでございますので、したがって、御指摘のとおり、繰下げ受給をして年金額が増えたといった場合に、例えば医療や介護の自己負担、その増え方にもよると思いますけれども、自己負担でありますとか所得税や保険料が変わってくる、上がってくるということはあり得るということだと思います。
その意味で、やはりこれは御本人の選択ということでございますので、御本人の選択に資するような環境を整えることが大変重要だというふうに思っています。
その点では、これもまた委員御指摘のとおり、年金の受給開始年齢、一般的な開始年齢は六十五歳でございますが、六十五歳に到達した方に送付する繰下げ受給に関するリーフレットにおきまして、繰下げにより増額した年金を受給し収入が増加することにより、医療、介護の自己負担、社会保険料や税の負担が増加する場合があることなどの留意点を記載するなど、周知広報に努めているところでございます。
○浜地委員 それでは、最後の質問にしたいと思うんですが、資料一の左側の「運用」というところなんですけれども、百六万の壁というのは、標準月額報酬、月八万八千円、これは実は残業代も賞与も含まない金額であります、ここが誤解が多いところなんですが。実は、もう一つの壁であります百三十万円の壁は、総収入でありますので、ここは基本的に残業代や賞与も含んで一年間の報酬が百三十万円かどうかで被扶養者認定をしていくということであります。
しかし、今回、この運用にありますとおり、これを雇用契約の内容によって変えていくとか、様々、百三十万の壁について、少し働いたら超えてしまうとか、そういうことがないように運用の改善を図られると聞いております。この運用の改善を、特に百三十万円の収入要件の認定について図られる部分、これは大事なところでございますので、ちょっと最後に丁寧に答弁をしていただきたいと思います。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
現在の制度といたしまして、まず百三十万円の壁への対応といたしまして、年収の壁・支援強化パッケージによりまして、当面の対応として、労働時間の延長等による一時的な収入変動であれば、事業主証明を提出いただくことにより、引き続き被扶養者として取り扱うことを可能としております。
今後、被用者保険の適用拡大を進めることで働き方に中立的な社会保障制度を目指していくということで、この法案では適用拡大の段階的な施行を予定しておりますが、一方で、百三十万円を目安とした就業調整が行われなくなるようにするような観点から、まず、先ほど申し上げた事業主証明の提出による被扶養者認定の円滑化措置、これを恒久化していこうと思っております。
また、もう一つ、先生からも今お話ございました、現在、百六万円の壁と言われているもの、要するに、厚生年金、健康保険の対象となる要件の一つとして、月額賃金が八・八万円以上といった場合の、この八・八万円以上であるかどうかにつきましては、雇用契約を結んだ時点における残業代等が含まれない所定内賃金を基に判断をしているところでございますが、今回の百三十万円についても同様に、雇用契約内容を基にした被扶養認定を行うということについて今検討を行っているところでございます。その方向で検討を行っているところでございます。
見直しに伴う実務上の課題も踏まえつつ、関係者間で丁寧に議論を進め、更に検討を進めていきたいと思っております。
○浜地委員 時間になりました。終わります。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井崇志です。
今日は、八幡委員に代わって質問をさせていただきます。
ちょっと八幡委員から聞いて驚きました。何かもう金曜日には採決するやに、しかも、午前中で終わる。いや、もうびっくりですね。井坂さんだって衆議院本会議で、今国会の最重要法案ですと言っていましたよね。毎回、五年置きに、年金改正というのは大議論ですよ、物すごい時間をかけて。やはり時間をかけるということは、その分、そして、激論を交わすことでニュースになるんですよ。国民の皆さんが関心を持ってくださって、そして、それがやはり意味があるんですね。それが、今日だってマスコミはいないじゃないですか。もうびっくりですよ。
皆さんには釈迦に説法ですけれども、全国のネットを見ている方が誤解されているので、ちょっと今日は、私、野党第一党の立憲民主党に是非、それぞれ尊敬する政治家ばかりが前に並んでいて言いにくいんですけれども、しかし、野党第一党というのは、野党でただ単に数が多い党というだけじゃないんですよ。数が多い党が第一党になると、権限が与えられるんですね。それは何かというと、国会での交渉、与党第一党と野党第一党が交渉して、国会の運営はほとんど全てがここで決まるんですね。だから、野党第一党になると、たとえ一議席でも多く野党で取った党が野党第一党になって、それだけの権限が与えられる。ということは、逆に責任も持つわけですね。
そういったことを考えたときに、私が驚いたのは、先週、党首討論で野田代表がいきなり、野党第一党と与党第一党で修正協議をやりましょうよと言って、もう本当にぽかんとなりましたよ。我々野党の意見は聞いてくれないの、野党第一党なのに、野党の意見を聞かずにいきなり与党第一党と協議するのという、その結果、今こういう状態じゃないですか。
まず、提出者、立憲民主党に聞きますけれども、野党各党とまず協議するのが筋じゃないですか。なぜ与党といきなり協議したのか。そして、野党第一党の、私が今言った責任放棄にはならないんですか。お答えください。
○山井委員 高井議員、御質問ありがとうございます。
まず、本当にそれは心よりおわびを申し上げたいと思います。私も年金をライフワークとしておりますので、本当にじっくり一か月ぐらい、衆議院だけでも一か月ぐらい審議をして、おっしゃるとおり、論点は本当に五つから十個ぐらいあると思うんですよね。毎年審議できるんだったらまだしも、五年に一遍の審議がこんなに短く済んでいいのか、まだ済んでいないですけれども、そういう思いは私も全く同感をしております。
そういう中で、今、高井議員からお叱りを受けましたように、なぜこんなことになっているのかというと、ありのままを言っていいのかどうか分かりませんけれども、結局、今国会、参議院が選挙があるから延長ができないんですよね。結局、今国会でこの改正を成立させるには、参議院に聞いてみると、五月三十日、あさっての金曜日の本会議で通過させるのがリミットですと、これは参議院の意向と言われていますけれども。となると、こちら側、衆議院としては、そう言われてしまうと、選択肢は、変な話、原案のまま通すか、あるいは野党第一党の力で修正を加えるか、二つに一つになるわけです。
そんな中で、短く答弁しますけれども、だから私たちは、早く、早く法案を出してくださいと、私もこの場で懇願をさせていただいたんですね。ただ、残念ながら、様々な理由で提出されるのが遅くなってしまった結果、結局、二週間ぐらいで修正をしないと、成立してしまう、成立するだけじゃなくて、結局三割カットが放置されてしまうということを私たちは非常に心配をいたしまして、高井議員からも、野党第一党の責任があるじゃないかということで、野党をまとめる責任と同時に、野党とはいえ、与党と同様に、基礎年金の三割カット、三割目減り、こういうのを歯止めをかける責任というのも同時にしょっているわけです。
そういう中で、本当だったら全政党と話をしたいし、まずは野党間で話をしたかったし、昨日も党首会談で野田代表が、今回は余りにも短期間なので、全党参加で、れいわさんにも参加していただいて年金協議会をつくろうじゃないかということを、昨日、野田代表も与党に対して要望されましたけれども、この三割カットをとにかく歯止めをかけることをしないと、多くの若者、就職氷河期、現役世代が迷惑を被るということで、本当に申し訳ないんですけれども、苦渋の選択でこういうことになってしまったということを心よりおわびを申し上げたいと思います。
○高井委員 おわびされても、でも、方法はほかにないですかね。だって、別に今国会で採決しなくてもいいんじゃないですか。臨時国会で、先送りでも。だって、そもそも自民党は先送りしたかったんですよね。こんな急に、しかも、本当に私は自民党の思うつぼだと思うんですよね。自民党が悪いのは間違いないですよ。提出時期が遅かったのは、それは山井さんの言うとおりで、それは分かっているんですよ。だけれども、それを分かっていて自民党はこういう戦略をしかけてきて、それに、私は、立憲民主党がまんまと乗ってしまったというふうに思わざるを得ないですよ。井坂さん、首を振っているから、後で答弁していただいてもいいですけれども。
本当に、やはりそうなりますから、これは、これだけ論点がいっぱいあるんですから、もっとやはり審議しなきゃいけないし、百歩譲って、今、山井さんがおっしゃるとおり、金曜日に上げなきゃならない。何で午前中で終わるんですか。国会議員が金曜日だから地元に帰りたいから、そういう以外の理由はないでしょう。何で夕方五時までやらないんですか。五時までやって、その後、本会議をやればいいじゃないですか。自民党だって、そこまでして通したいんだったらやるじゃないですか。そういうこともやらずに、予定調和で金曜の午前中に終わるなんて言われても、断じてれいわ新選組は認められないということを申し上げておきます。
それで、大臣、一問だけ今日大臣に聞きますけれども、政府案、最初に政府が出していた、要するに基礎年金の底上げの部分、これを取り下げたのはなぜですか。
○福岡国務大臣 委員御指摘のとおり、国会においては、なるべく早期に御提出をいただくような御要請をずっといただいてまいりました。ただ、与党内の審議におきましても、マクロ経済スライドを早期に終了させることにつきましては、元々、昨年末の社会保障審議会年金部会の議論の整理においても、賛成、慎重、両論ありました。与党内におきましても、厚生年金の積立金の活用の在り方、そういったことについて様々な議論があって、なかなか意見の集約が図られなかったということでございます。
一方で、この法案につきましては、被用者保険の適用拡大などの重要な改正事項を検討しておりますので、できる限り早期に法案を提出し審議いただくという点を重視いたしまして、こういったマクロ経済スライドの調整期間の一致については、当初、この法案の中に規定しないというような経緯になったわけでございます。
○高井委員 だから、問題点があったからなんですよ。問題点があるからこそ、選挙目当てという報道もありますし、私もそういう面はあると思いますよ。だけれども、選挙でそれが不利になるのは、やはりこの案に問題点があって、与党の中でも政府の中でも意見が分かれていた。そういうことだから、政府はそこを抜いてきたわけですよ。皆さん、あんパンで例えるから、ちょっとこのあんこは怪しいな、腐っているかもしれないなと。だから、あんこを抜いて出してきたのに、腐っているかもしれないあんこを立憲民主党が入れちゃったんじゃないんですか。そういうことだと私は思いますよ。
反論があるなら後でしていただいてもいいですけれども、じゃ、立憲民主党に聞きます。これは、今回の修正案以外に修正すべき点はないんですか。
○井坂委員 ありがとうございます。高井議員とここで議論できることを大変うれしく思います。
まず、お答え申し上げる前に、何か自民党の思うつぼじゃないかということをおっしゃったのは、これは多分高井議員がここの委員でないから御存じないと思うんですけれども、それは、どれだけ提出を嫌がっていたかということなんですよね、本当に。
出したいのを、何か、立憲を誘い水で、立憲に出させたとかじゃなくて、もうあらゆる手を使って、それこそ、言いたくはなかったですけれども、大臣の不信任を出すぞとか、最後は総理の不信任を出すぞとか、あの手この手で言って、いつ出すんですか、この日が期限です、この日が期限ですと言い続けて、ようやく出された案ですので、何か、実は自民党は喜んでいるんじゃないかということでは全くないということは分かっていただきたいというふうに思います。
今回の修正案で、立憲民主党としてほかに修正すべき点はないかということでいいますと、政府提出法案には、厚生年金の適用拡大を十年もかけてやるなど、やはり課題はあるというふうに思います。さっき山井委員からも答弁申し上げたように、年金の底上げ以外の点についても幅広く修正ができればベストだというふうには思いますが、本当に、今月中に衆議院を通過させなければ、私の感覚からいうと、この程度の修正、しかも本当に幅広い方に対してプラスのある修正ですら、やはりこれだけもめてしまうという現状が年金にはあるのだなということを痛感しておりますので、今回は年金の底上げに絞って修正を求めることにしたということであります。
立憲民主党としては、年金底上げ以外の課題についても、本法案の審議の中で、審議時間も過去二回の重要広範の年金をちゃんと上回って確保できるように、私、野党筆頭としても十分確保してきたつもりではありますので、この間も幅広い論点について、御党の議員もかなり議論はしてくださっていたというふうに認識をしております。
○高井委員 でも、実質二日ですよね。参考人がプラス一日あったということですよね。それで……(発言する者あり)四日。
しかし、これは全然、だから議論が深まっていないというか、今おっしゃったように、修正すべき点がたくさんあるわけですよ、これだけの大改正、年金、しかも五年に一度しか改正しないわけだから。これはやはり、ここで拙速に終えるんじゃなくて、別に自民党が意図してこういう形をつくったわけではないと思いますけれども、しかし、結果としては、私は、ほくそ笑んでいるだろうな、何かうまくいっちゃったなという感じだと思うんです。
だって、ほかの議論をしなきゃいけないし、本来だったら、立憲民主党さんだってもっともっといろいろな点で追及をして、そして国会も紛糾して、それがまたニュースになって、国民の皆さんから、年金問題、関心を持って、やはり本気で考えていかなきゃいけないなということを、与野党の考えをしっかり、そして我々野党の考えもテレビなんかでも紹介していただける、そういうチャンスが相当なくなってしまったということは本当に残念です。せめて、今からでも遅くないというか、金曜日はしっかり質疑をやっていただきたいということを申し上げておきます。
ちょっと中身の話も入りますが、基礎年金底上げ、やはり私は、これは不十分だと思いますよ。立憲さんが頑張って、確かにあんこがない状態は最悪ですけれども、でも、それは通させなきゃいいし、もし通ったって、また来年議論するとか、臨時国会でやるということもあるし。
それから、しかも、そのあんこが不十分なんですよ。腐ったは言い過ぎかもしれないけれども、我々からしたら、これで国民の皆さんが安心できるような中身に全然なっていないんですね。零点だったのが何か二十点か三十点ぐらいになったかもしれないけれども、やはり百点を目指すべく議論を本来すべきで、そのためには、私は、マクロ経済スライド、これを今すぐ廃止するというのがれいわの考え方ですし、立憲さんだってそこは賛同していただけるんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。マクロ経済スライド、今すぐ廃止、いかがですか。
○山井委員 高井委員にお答えをいたします。
確かに、簡単に言いますと、マクロ経済スライドというのは年金を実質減額させていくシステムですから、私もこれについてはいかがなものかとは思います。ただ、一方では、このシステムをやらないと、安定した年金財政が維持できず、年金制度が維持できないという面もあります。
ただ、私は高井議員に賛同しますのは、一日も早くマクロ経済スライドを止めねばならないということで、今回、すぐに止めることはできませんでしたけれども、与野党合意で、マクロ経済スライドの早期終了というものを実現することができました。その結果、三〇%ぐらい今後目減りするものを、基礎年金を、八%の目減りで抑えることができる見込みでありますし、具体的に申し上げますと、ここに資料がありますが、具体案を言いますと、四十歳の基礎年金のみの方の場合は、御夫妻であれば、この歯止めによって七百二十九万円生涯年金が増える。そして、二十歳の一番低年金の基礎年金のみの方であっても、もし御夫妻であったら七百三十五万円、男性だけでも三百三十四万円、女性だけでも四百一万円と生涯年金が大幅に増えるわけなんです。
それで、高井議員がおっしゃることは一理はあるんですけれども、では、この国会は放置して、臨時国会でやったらいいじゃないかという意見は分からないではないんです。でも、ストレートに言いますと、福岡大臣も替わられる、藤丸委員長も替わられる、上野筆頭理事も替わるかもしれない、厚労部会長、私も替わるかもしれない。
今だったら、何とかぎりぎりセーフで、このあんこを入れるあんパンが通るかもしれないけれども、臨時国会になったら、また参議院選挙が終わったら、政党の枠組みも変わるかもしれないんですね。そうしたら、気がつけば、ここであんこを詰めなかったら永遠にあんこを詰められなくて、さっき言ったように、低年金の方々が、将来世代、三百万、四百万減る歯止めができなかったら、二十年、三十年後に、あの二〇二五年の衆議院厚生労働委員会の方たちがもうちょっとやろう、もうちょっとやろうと言ったせいで、無責任なせいで、こんなことで老後が悲惨になっちゃったということになりかねないので、そういう意味では、六十点ぐらいかもしれませんけれども、ここであんを一定詰めておくということが、今、衆議院厚生労働委員会に置かれている議員の一人としての責任ではないかということで、苦渋の選択をさせていただきました。
○高井委員 強気の山井さんにしては弱気ですね。政権交代すればいいじゃないですか。政権交代して理想の案を出しましょうよ。こんな中途半端な、六十点じゃないと思いますよ。私は三十点ぐらいだと思いますよ、零点ではないけれどもね。だから、そこの零点を幾ら三十点か六十点か議論しても余り仕方なくて、私はやはり、理想の案をしっかり野党で、しかも、野党、まとまって出せば、今、少数与党なんだから通るんですよね。
消費税も、私、何度も言っているけれども、野党全部、消費税減税で一致したんだから、中身の違いは、ここは野党第一党がそこをまとめてくださいよ、のんでくださいよ、降りてくださいよ、中身を。ほかの野党の意見を入れて、そして野党一致の案を出せば通るんですよ。衆議院で通るじゃないですか。参議院では否決されますよ。そうしたら、もう不信任ですよ。そして、不信任したら解散になりますよね。消費税解散。あるいは年金だって、理想の年金案を出して、年金解散、やればいいじゃないですか、しかければいいじゃないですか。
そういうことをやらずに、何か本当に、申し訳ないけれども、立憲民主党さんが、私は、国民民主党とか維新の会が、今、与党と何か個別に合意するじゃないですか。あれは私は本当に不満なんですよね。少数与党なんだから、野党みんなで集まれば通せるものを、何か抜け駆けして与党にすり寄っちゃうんですよ。だけれども、それと同じことを、今、立憲さんもついにやり出したかということで、私は本当に失望しています。
これは是非考えを改めていただきたいですが、どんどん時間もたっていくので、それでは、マクロ経済スライドの話は聞きましたけれども、今度、厚生年金の適用拡大になりますけれども、これは中小企業の負担が増えますよね。今もう、去年、一万件を超えていますから、中小企業の倒産件数。三十六か月連続で前年を上回って、戦後最長ですよ。どうしますか、中小企業の負担軽減策。もう政府には聞きません。立憲民主党に今日は答えてもらいます。立憲民主党さんだったらどうやるんですか、中小企業の負担軽減。
○井坂委員 ありがとうございます。
現在でも中小企業の社会保険料の事業負担は重く、中小企業が新規の雇用に二の足を踏む要因になっていると思います。政府の法案では、二〇三五年十月までに企業規模要件を撤廃することとしています。新たに短時間労働者に厚生年金が適用されることになる従業員五十人以下の中小企業に対して何の経済的支援もしなければ、経営が立ち行かなくなるおそれがあると思います。
政府は、事業主に対してキャリアアップ助成金で支援することにしていますが、労働時間の延長や賃上げを通じて労働者の収入を増加させるという条件がついており、支援としては不十分です。企業規模要件の撤廃によって五十人以下の中小企業が新たに負担することになる社会保険料の事業主負担について、キャリアアップ助成金のような条件をつけることなく、経過措置としてしっかりと財政支援を行うべきであるというふうに考えます。
○高井委員 それで大丈夫ですかねと非常に不安ですね。
では、もう一つ聞きますね。積立金二百九十兆、世界でこんな積立てをしている国はないですよね。五・三年分だそうです。ヨーロッパだと大体給付金の一か月から三か月分、多くて五か月ぐらいというのが一般的で、日本だけは五・三年分も積立金がある。これは、計画的に取り崩して、給付に活用すべきじゃないですか。これも立憲民主党の考えを教えてください。
○長妻委員 今、おっしゃるように、積立金が二百九十兆円程度あります。これについては、日本の年金制度はよく賦課方式と言われるんですが、修正賦課方式、ある意味では修正積立方式とも言われていまして、この積立金は、実は計画的に使うということで、財政検証で百年後に積立金が一年残っているということで、それで遡って逆算して今の給付水準とかなんとかを決めていますので、そういう意味では、基本的に、何か大きいものを持ってそのまま何もしないということではないので、財政検証でもこれを加味して全部計算していますので、先出ししてこれを取り崩すとなると、そうすると将来の年金が減るということになるので、ここら辺は非常に慎重にやらなきゃいけないと思います。
私は、五年置きに財政検証をして、積立金が相当あればまた年金の給付水準を一定程度上げるということで、五年置きに慎重に積立金の活用というのを考えていく必要があるというふうに考えています。
○高井委員 そこはちょっと、立憲民主党さんと我々は考えが違うところです。
それでは、最低保障年金、どうでしょうか。元々、立憲民主党、私も民主党にいましたので、政権交代したときは最低保障年金を訴えてまいりましたけれども、これはやるべきじゃないですか。立憲民主党さん、お願いします。
○長妻委員 趣旨は、やはり、年金、最低の保障を持つということは、将来の老後の生活の想定ができるということで重要だということは私も同感でありますが、最低保障年金となりますと、恐らく、基礎部分は全部税金で下支えするということなので、仮に、今税金が十三兆入っておりますが、そして基礎年金の規模が二十六兆ですので、これを全部税でやるとすると、今の基礎年金の水準であっても、毎年毎年新規に十三兆円の新しい税財源を確保しなきゃいけない。でも、多分、恐らく今の水準では足りないとおっしゃると思いますので、これを上げるとなると相当な財源が必要になるということで。
私どもが、かつて民主党政権のときに、財源を一定程度抑えた形で最低保障機能を取り戻すということで、年金生活者支援給付金という制度を民主党政権で制度設計して始めました。今、自民党も引き継いでいただきまして、最大で年間六万円、年金が低い方を厳選して、上乗せするという制度を今やっております。今、七百万人以上の人が毎年毎年その制度で年金を上乗せされておりますので、そういうようなことを含めて、合わせ技で、年金の外の制度ですけれども、やっていくということが必要だと思います。
もう一つは、最低保障機能ということでは格差是正もあると思うんですけれども、世代内格差と世代間格差というのがありますが、これを埋めるのも、今回修正案を出すことで、それを一定程度埋める、是正をするという効果もあるということであります。
○高井委員 ありがとうございます。
公費の負担は、日本は少ないんです、三八%。スウェーデン、イギリスは五〇%ですから、私は、もっと税でやっていいと思います。
最後に、じゃ、通告していないんですけれども、お聞きします。
さっき私が提案した、野党でまとまって年金法案を出しましょうよ。政府の案をほとんどぱくって、そこに我々の理想を入れて、それで出し直して、それで政権交代を問う、そういうのをやりませんか、立憲民主党さん。最後、どなたでも、答えてください。
○長妻委員 年金を、理想の年金に向かって進んでいくと。私も同感です。
ただ、年金というのは、今受給している方もいるし、それが権利だし、今、年金の保険料を払っておられる方は現行制度でもおられますし、非常に大きな社会を支えるインフラ、これが崩れると社会が不安定化する。どの国でもあります。
そういう意味では、やはり、五年に一度の財政検証に基づいて、そこででき得る限りの修正をして前に進んでいくということが必要だと思いますが、ただ、私も、一定程度、かなり大きな改革というのを否定しているわけではありませんので、我が党の野田代表が、昨日、石破首相にも、全ての野党が入った年金協議会を設置しようというような提案をしておりますので、そういうものも含めて、ある程度これは時間をかけて、それは一か月、二か月では足りないと思いますので、そういうものも今後模索をしていきたいというふうに思っております。
○高井委員 ミスター年金のリーダーシップで、是非、政権交代してやりましょう。そうしたら、与党も入れて、自民党、公明党も入れて、それで全党で結論、理想の年金をつくりましょうよ。
それを最後にお願いして、終わります。ありがとうございます。
○藤丸委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
年金改正法案について質問します。
百年安心の年金、年金に百年の安心をと、これまでさんざん喧伝されてきましたけれども、そもそも百年安心だったのかということについてお伺いをしたいと思います。
マクロ経済スライドの調整期間が、二〇〇四年の財政再計算で、当時の経済情勢で試算した結果、厚生年金と基礎年金の調整期間は一致しました。それ以降は、経済前提が変化したために一致していません。前々回の質問で、ここを確認しました。
その上で、再度質問するんですが、マクロ経済スライドの調整期間の乖離は、その後、二〇〇九年の財政検証では、基本ケースで、二〇一九年に十九年の乖離ができる。二〇一四年の財政検証では、どのケースでも、おおむね二十年の乖離となる。二〇一九年の財政検証でも、二十年から三十年近い乖離となる。そして、二〇二四年の財政検証でも、十三年から三十年近くの、厚生年金と基礎年金との乖離が生じるとしているんです。
経済成長が高い前提では、調整期間の乖離は縮小する方向に働きます。基礎年金の調整が、厚生年金に比べて十年から二十年、長期にわたって続くという傾向には変わりがありません。
二〇〇四年と二〇〇九年と、さほど経済情勢に大きく変わったことはありません。経済前提が少し変わるだけで調整期間が大きく変わる、乖離してしまう、これはどういうことなんでしょうか。基礎年金拠出金の仕組みとマクロ経済スライド制の組合せというのは、結果として基礎年金を厚生年金に比べて多く削減する、そういう仕組みになっているのではありませんか。いかがでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、平成十六年の財政再計算及び法改正時、当時、それぞれ、長期間にわたって財政均衡するように設定したわけでございますが、そのときには、結果として、それぞれ二〇二三年という想定でございました。その後、デフレが続く中で、当時想定していた社会経済と実際の状況に乖離が生じてきた結果、基礎年金と報酬比例部分のマクロ経済スライドの調整終了時期に差が生じてございます。
構造的に申し上げますと、基礎年金については、デフレ下でマクロ経済スライドが発動しなかったなどの影響によって、定額である基礎年金の給付調整が進まないということになります。そうしますと、基礎年金の財政のところについて財源をより多く使う形になりますので、結果として、基礎年金のマクロ経済スライドの調整期間が延びるという構造になっています。
一方で、報酬比例部分につきましては、デフレ下でも、女性や高齢者の労働参加の進展により、想定より厚生年金の被保険者の増加や第三号被保険者の減少が進んだことなどにより、報酬比例部分のマクロ経済スライド調整期間が短縮された。
その結果として、基礎年金と報酬比例部分のマクロ経済スライドの調整終了時期に差が生じたものと考えておりまして、将来的な基礎年金の給付水準の低下が今現在課題になっているというふうには認識をしております。
○田村(貴)委員 しかし、今日までのこの流れを見ると、二〇〇四年というのは、調整期間が一致するように仕組みをつくったから一致しただけで、その後のどの検証でも、調整期間の格差が二十年近くあるのは事実なんですよね。格差が生じる仕組みになっていると言わざるを得ません。
高齢者、特に低年金者の年金を絞り込む制度をつくった。言い換えれば、低年金者の年金を絞り込むことで百年安心の制度になったということではないでしょうか。大臣、いかがですか。
○福岡国務大臣 公的年金制度は、平成十六年の制度改正により、将来の保険料水準の上限を固定し、その範囲内で給付水準について時間をかけて調整するマクロ経済スライドの仕組みを導入し、制度の持続可能性を確保しております。これは、年金額の多寡にかかわらず、受給者の方に御協力いただくことで、将来世代の負担が過重なものとならないようにする、過重なものとなることを避けながら、将来世代の給付水準を確保するために不可欠なものだというふうに考えています。
その上で、基礎年金の給付水準の確保は重要な課題であると認識しておりますので、今回の法案にも必要な改正内容を盛り込んでおりまして、御審議の内容や次の財政検証の結果も踏まえ、適切に検討し、必要な措置を講ずることとしたいと思います。
なお、低所得の年金受給者の方々に関しましては、年金生活者支援給付金など、社会保障全体での支援も引き続き行ってまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 やはり、年金の給付を抑制していくマクロ経済スライドというのは、本当に大きな問題だと思いますよ。
修正案の提出者に対して伺います。
今述べてきたように、現在に至るマクロ経済スライドの仕組みというのは、厚生年金と比較して、基礎年金の調整終了期を二十年程度長くすることになっています。結果として、基礎年金を大きく削減して、そして低所得者の年金を引き下げる仕組みになっている、こういう仕組みになっているのではないかということですけれども、基本的な見識を伺います。
○井坂委員 ありがとうございます。
マクロ経済スライドにより、このままでは、基礎年金は二〇五七年まで毎年減り続けることになります。もらえる基礎年金の水準が今より三割も減ってしまい、国民年金だけでなく、厚生年金の加入者でも老後の生活が成り立たなくなるおそれがあります。特に低所得者は、厚生年金の報酬比例部分が相対的に少ないために、基礎年金が三割減ってしまえば、低所得者にはより大きな影響があると考えます。
そのため、我々立憲民主党は、厚生年金と基礎年金のマクロ経済スライドを同時に早期に終了する本日の修正案を提案をいたしました。
○田村(貴)委員 引き続き、修正案の提出者に伺います。
事実に照らしても、マクロ経済スライドは、基礎年金だけ、そして今答弁もありましたけれども、低年金の方ほど年金額を大きく削減していく。
修正案は、五年後の再検証の際の検討規定を追加するもので、少なくとも五年後まで厚生年金のマクロ経済スライドは継続されてまいります。調整期間を同時に終了させる措置を行った場合、過去三十年投影ケースで、マクロ経済スライドの調整期間というのは、これはいつまで続くことになるんでしょうか。いかがでしょうか。
○田村(憲)委員 令和六年の財政検証、過去三十年投影ケースに基づいてでありますけれども、二〇三〇年代の終わり頃、二〇三七年までで、これで止まるというような、今、計算上はそうなっております。
○田村(貴)委員 厚生年金適用ケースで二〇三七年ですよね。結局、やはりあと十数年続くということなんです。
もう一問お伺いします。
現行制度を継続するより、調整期間終了後の所得代替率は高くなります。しかし、実質年金額は、修正後も、現在よりも大きく下がることは、これは間違いないんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○田村(憲)委員 マクロ経済スライドは年金全体にかかるわけですね。それで、基礎年金が毀損すると委員はおっしゃられましたが、そもそも、賃金が下がったときに基礎年金は下がらないわけです、新規裁定。ところが、厚生年金は、新規裁定のときには賃金スライドがありますので、だから、これが下がったときには、それがスライドしちゃうんです。そういう意味で、厚生年金、二階部分は、ちゃんとそれがスライドがかかって下がるんですが、基礎年金は毀損をしないというので高止まりになってしまって、財政が非常に厳しくなった。
その分だけ、基礎年金は元から全員にありますから、基礎年金から調整し出しますので、結果的に、基礎年金が毀損した分だけ積立金が、基礎年金のマクロ経済スライドが長くなって、最終的には年金の額が毀損していく。こういう仕掛けで、基礎年金が二階部分に比べて財政的に毀損していくというようなシステムがあるということが前提であります。
それを前提で申し上げれば、二〇五七年、元々の現状でいくと、今回の過去三十年投影ケースで、二五・五%まで基礎年金が下がるというような状況。今、足下は三六・二でありますので、そういう意味では、三割ぐらい下がるものだったんです。それが、三三・二、先ほど言いました二〇三七年、ここで止まるという形がありますから、二二%ぐらいに戻すということであります。
そういう意味では、八%ぐらい、一割ぐらい、まだ足らないというような状況、これも確かであります。しかし、かなり戻すということであります。
○田村(貴)委員 三割、そして八%、約一割ということで、数字的に言うと、修正があったとしても、二〇二四年度比で、二〇三七年で約一割下がっていくということですね。これはやはり苦しい話だと思います。実質年金額が下がっていくということになるわけです。
修正案提出者にもう一つお伺いします。
修正による附則第三条の二第二項について伺います。マクロ経済スライドの同時終了の措置を講じた場合に、現在の制度より受給額がマイナスになるものについて影響を緩和する措置という規定であります。
同時終了をさせる措置を講じた場合に、過去三十年投影ケースだと年金額が下回るというのは、これは何を指しているんでしょうか。修正案では影響を緩和させるとありますけれども、どういうことを想定しているんでしょうか。例えば、受給額がマイナスになる人の総受給額をマイナスにしないようなことを考えて想定されているんでしょうか。いかがでしょうか。
○田村(憲)委員 低下はあくまで二階部分でございますので、そういう意味では、基礎年金のみの受給者の方々は影響しないということが前提であります。
その上で、どれぐらいの方がといいましても、なかなか、年金額でありますとか余命でありますとか、様々変数がございますので、一概にどれぐらいの方が対象になるというのを細かく今精緻に出すということは、我々としてはできないということであります。
あわせて、じゃ、どういう方法があるんだという話でありますが、それも含めて、次の四年後の財政検証までにしっかりと議論をしていかなければならないというふうに思っております。
いずれにいたしましても、しっかりとここに関しても手当てができるような対応をしてまいりたいというふうに思っております。
○田村(貴)委員 法案提出者は以上で質問を終わります。
続いて、厚生年金の適用拡大について質問します。
二百万人の拡大を想定していますが、徴収件数や徴収額の増加など、日本年金機構の実務が増えるのは間違いありません。年金機構は、二〇一〇年の発足以来、未適用事業所の適用強化とか徴収の促進などで、様々な仕事が増えてまいりました。
一方で、年金機構は、二〇一〇年の発足以来、正職員の定数は変わっていません。この間、新規採用職員の離職が近年増加傾向にあっています。そして、運営協議会でも、新規採用者の離職が増えているのではないかと指摘もあっているところです。また、非正規職員の離職も多く、再度応募してくれないという状況もあります。非正規職員の定着率の悪化が、正規職員の業務環境も悪化しています。
正規職員の採用後三年離職率とか非正規職員の職場の定着状況が悪化しているなど、この間の業務の拡大などが既に年金機構の現場の負担を強めており、そして、今回の改正がそれに拍車をかけるのではないかと私は懸念をしています。適用拡大などをスムーズに行うために年金機構の体制強化が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
○巽政府参考人 お答えいたします。
日本年金機構の、令和三年入構した正規職員の入構後三年間の離職率は一七・五%となっておりまして、これは、令和三年三月卒業者の就職後三年以内の大卒者全体の離職率である三四・九%と比較しまして、年金機構の離職率は低い状況になっております。また、契約期間が五年を経過した有期雇用職員で希望する人は、原則として全員無期転換することによりまして、定着率の向上を図っているところでございます。
日本年金機構におきましては、毎年、拠点間の定員の格差是正を図る目的で年金事務所の業務量調査を実施しておりまして、その結果を踏まえて定員の再配置を行い、業務量の適正化を図っていると承知しております。今回の改正に当たっても、適正な配置がされるよう、年金機構を指導してまいりたいと思っております。
○田村(貴)委員 そうであっても、一七・五%の離職があるということでした。業務が増えているのに職員が増えない、定着しないのは、労働強化とか、それから給与水準が低いことが影響しているのではないでしょうか。
定年延長は定員に影響する理由の一つとして、年金機構は、定年延長はせずに、新たな一年更新の継続雇用制度を導入しています。二〇一〇年の閣議決定を見直して、年金機構の正規職員の定数を増加させること、それから非正規職員の処遇の改善、これが必要ではないでしょうか。
○福岡国務大臣 基本計画は年金機構の通常業務に必要な人員数が定められたものでございますが、その範囲で事務の効率化を進めながら、基本計画策定時に想定されていなかった制度改正の施行などの新たな業務への対応を図っていく必要がございます。そのため、手続の電子化等を進めることにより、企業や年金機構の事務処理の効率化を進めているところでございます。
今回の法案の施行に当たりましても、年金機構において必要な体制整備を図っていく必要があると考えておりまして、手続の電子化等による業務の効率化であったり予算要求を行い、必要な人員を確保してまいりたいと考えています。
また、年金機構によりますと、非正規職員の処遇につきましては、正規職員への登用、無期転換職員の給与のベースアップの仕組みの導入、産前産後休暇の有給化などの休暇制度の見直しなどを実施しておりまして、今後も職員の方々がやりがいを持って業務に当たることができるように取り組むと聞いております。
○田村(貴)委員 業務量は増えます。ですから、マンパワーの拡充、そして処遇改善、これは必須でありますので、しっかり進めていただきたいと思います。
続いて、障害年金の不支給拡大問題について伺います。
本会議で私は、報道にあった二〇二四年度の障害年金の不支給件数が前年度に比べて二倍になっているのは事実ですかと石破総理に質問しました。総理からは、一連の報道を踏まえ、令和六年度における認定状況の実施把握のための調査を行うように指示し、六月中旬を目途にその結果を公表するよう作業を進めているとの答弁でありました。
しかし、年金局に聞けば、大臣、実際に不支給が二倍になっているかどうかが分かる調査にはなっていないということなんですよ。不支給二倍にみんなびっくりしているんですよ。それを検証する調査になっているかどうか分からないというんですよね。
改めて聞きます。不支給というのは二倍になっているんですかと聞いても分からないと思うので、不支給は増えているんですか。ならば、その責任はどこにあるんですか。それを検証する調査となっているんですか。これだったら答えられると思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○福岡国務大臣 まず、令和六年度の数値は、現在集計中でございます。御指摘ありましたように、御質問であったり一連の報道を踏まえまして、令和六年度における認定状況について、その実態把握のための調査をすることとしておりまして、この中で、個別の事例について適正に審査されているかどうかを速やかに確認することとしております。
その中で、今御指摘ありましたように、これはサンプルを取ってやりますから全数ではありませんが、その中で全体の傾向等については把握できるというふうに考えておりまして、そういった調査の結果については、六月の中旬に公表できるようにしていきたいと考えています。
○田村(貴)委員 二倍となっているので、その傾向はしっかりと調査をしていただきたいと思います。そして、発表していただきたいと思います。
なぜそれを言うかというと、日本年金機構が検証のため、不支給と判定された千数百件について、内部でひそかに判定をやり直していたことが報道されています。今日の委員会でも、資料も出されて質疑がされていたところであります。
不支給が倍増している、そして、ひそかに判定をやり直していたと。これが事実ならば、社会福祉の根幹を揺るがす大問題だと思います。その原因はどこにあるのか。ひそかに判定やり直し、これは、ひそかにというのがいけないんです。もうこれだけ問題になっているんです。報道もされているんです。
隠さずに調査をして、分かり得たことは、この委員会もそうですけれども、ちゃんと、大臣、明らかにしないといけないと思うんです。隠さずに明らかにするという点ではいかがでしょうか。
○福岡国務大臣 先ほど申し上げましたように、まず抽出をした上で、六月中旬に公表できるように今作業を進めさせていただいております。
今御指摘ありました、そういった報道等に対しましては、昨日の参議院の厚生労働委員会での御指摘で、参議院で今理事会協議になっております。そこに対してどういう形で今資料を出させていただくかも含めて、精査をさせていただいているということでございます。
○田村(貴)委員 報道では、勤務医のリストや、それから、判定医に関して、方向性や程度、不支給理由に関してもこちらであらかじめ決めておくのが望ましいといった指示文書が存在しているということであります。センター長交代による方針の変更が実際にあったのか、これについても問題を明らかにすべきだと思います。
認定医の審査が一分だとか五分だとかいう話も問題になっています。都道府県のばらつきを問題として、障害年金センターに集約をしました。結果として、書類審査を中心に迅速な調査となっているのではないか。実態として勤務医の診断時間が平均どのぐらいか、これは不明です。報道では一分だとされています。
二〇二四年度は、年間十八万件の申請に対して認定医は百六十八名です。ですから、単純計算でも、一人当たりの判定数は年間一千件に上ります。年間一千件。常勤の医師はいません。実際に医師が正確な診断をするだけの時間が取られていたのか、ここが問題であります。従来、障害年金の審査に携わっている職員からは、センター集約前はもっと丁寧に実地調査なども含めて審査を行っていたという話も伺ったところです。
質問します。集約前に行っていた審査ができる人員配置になっていますか。現在の処理件数で実際にそういうことは可能となっていますか。いかがでしょうか。
○巽政府参考人 お答えいたします。
障害年金の審査は、以前は都道府県ごとの事務センターも活用して行っておりましたが、認定業務の標準化等の観点から、現在は東京の障害年金センターで集約して審査を行っておりまして、全国からの請求に対し、書面審査を基本としているところでございます。
障害年金の認定に当たりましては、主治医に記載していただいた診断書のほか、請求者本人等からの病歴・就労状況等申立書等により障害の状況等を審査しておりまして、日本年金機構においては、それに必要な人員体制の確保に努めているものと承知しております。
○田村(貴)委員 さらりと言われましたけれども、職員の方も、やはり集約化の前の審査と違うと言われているんです。そして、センター下に集約することによって実地検査など丁寧な審査が行えなくなっている、現場からも人員を確保して体制を拡充してほしいという声が上がっている、これは事実であります。
障害年金の請求者が希望するならば、生活や就労の場に担当官が出向いていくこともしないといけません。請求人や支援者の方が意見をする機会も保障すべきであると思います。認定に当たる職種、資格者についても、医師のみで判断することをせずに、例えば、社労士とか社会福祉士あるいは弁護士、そして精神保健福祉士など、いろいろなスペシャリストの方の合議により、丁寧な審査体制の構築が私は必要だと思っています。
このことについて、どのように受け止めておられますか。
○福岡国務大臣 障害年金の認定に当たりましては、請求者の状況をよく知る主治医に記載いただいた診断書や、請求者本人や家族が記載する病歴、就労状況等の申立て書などにより、障害の状況や日常生活の状況等を確認の上、審査を行っているところでございます。その申立て書につきましては、社会福祉職の方が記入いただくこともございまして、総合的な判断を行っているところです。
今御指摘がございました、実地調査を行うことであったり、社会保険労務士、社会福祉士等の合議により審査を行うことは、障害年金の審査件数が年間四十万件近くある中で、審査に相当の時間を要することとなるため、運用上の課題があるというふうに考えています。
いずれにしましても、障害年金の認定の在り方につきましては、今後も様々な御意見を伺いながら検討を進めていきたいと思います。
○田村(貴)委員 不支給倍増、もしそれが事実であるならば、その背景も含めてしっかりと検証していく必要があることを述べて、今日は質問を終わります。
○藤丸委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時五分散会