第23号 令和7年5月30日(金曜日)
令和七年五月三十日(金曜日)午前九時一分開議
出席委員
委員長 藤丸 敏君
理事 上野賢一郎君 理事 古賀 篤君
理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君
理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君
理事 梅村 聡君 理事 浅野 哲君
安藤たかお君 石橋林太郎君
大西 洋平君 草間 剛君
後藤 茂之君 坂本竜太郎君
佐々木 紀君 塩崎 彰久君
鈴木 隼人君 高木 啓君
田畑 裕明君 田村 憲久君
根本 拓君 長谷川淳二君
平口 洋君 深澤 陽一君
福田かおる君 向山 淳君
森下 千里君 山本 大地君
吉田 真次君 池田 真紀君
大塚小百合君 大西 健介君
酒井なつみ君 宗野 創君
堤 かなめ君 中島 克仁君
長妻 昭君 長谷川嘉一君
宮川 伸君 山井 和則君
柚木 道義君 青柳 仁士君
阿部 圭史君 池下 卓君
猪口 幸子君 福田 徹君
森ようすけ君 沼崎 満子君
浜地 雅一君 八幡 愛君
田村 貴昭君
…………………………………
内閣総理大臣 石破 茂君
厚生労働大臣 福岡 資麿君
厚生労働副大臣 鰐淵 洋子君
防衛副大臣 本田 太郎君
厚生労働大臣政務官 安藤たかお君
厚生労働大臣政務官 吉田 真次君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 水野 敦君
政府参考人
(内閣府沖縄振興局長) 齊藤 馨君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 三浦 明君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官) 内山 博之君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長) 鷲見 学君
政府参考人
(厚生労働省医薬局長) 城 克文君
政府参考人
(厚生労働省年金局長) 間 隆一郎君
政府参考人
(防衛省大臣官房衛生監) 針田 哲君
政府参考人
(防衛省地方協力局次長) 森田 治男君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
―――――――――――――
委員の異動
五月三十日
辞任 補欠選任
草間 剛君 坂本竜太郎君
塩崎 彰久君 石橋林太郎君
鈴木 隼人君 山本 大地君
長谷川淳二君 大西 洋平君
深澤 陽一君 高木 啓君
福田かおる君 向山 淳君
猪口 幸子君 青柳 仁士君
同日
辞任 補欠選任
石橋林太郎君 塩崎 彰久君
大西 洋平君 長谷川淳二君
坂本竜太郎君 草間 剛君
高木 啓君 深澤 陽一君
向山 淳君 福田かおる君
山本 大地君 鈴木 隼人君
青柳 仁士君 猪口 幸子君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五九号)
――――◇―――――
○藤丸委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案及びこれに対する田村憲久君外七名提出の修正案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
原案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官水野敦君、沖縄振興局長齊藤馨君、デジタル庁審議官三浦明君、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、健康・生活衛生局感染症対策部長鷲見学君、医薬局長城克文君、年金局長間隆一郎君、防衛省大臣官房衛生監針田哲君、地方協力局次長森田治男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○藤丸委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。阿部圭史君。
○阿部(圭)委員 おはようございます。日本維新の会の阿部圭史です。
本日は、年金の審議ではございます。
昨日は、大臣、我が党の議員が大臣室にお伺いをいたしまして、年金制度の抜本改革に関する申入れをさせていただきました。御対応いただきまして、ありがとうございます。
今般の政府原案及び修正案を含め、我々日本維新の会としては、ミクロな観点を変えることの集合体ということだと理解をしております。我が党は、よりマクロな視点で抜本的な対策を行わねばならない、こういった立場でございます。それは、昨日申入れをさせていただいたとおりです。
そもそも、年金制度の持続可能性に関する議論は、政争の具にするべきではありません。政局や党派を超えた社会保障国民会議のようなものをつくり、じっくりと議論するべきものだと思っております。
我々はそのような立場であることを強調いたしまして、本日は、厚生労働省の関係する政策について、それ以外にも大変重要なものがるる列を成しておりますから、それらにつきまして私からお伺いをさせていただきまして、この後、総理入りで質疑がございますけれども、年金の方についてはそちらから御質問させていただきたいと思います。
まず、私から、第一問目、マイナポータル期間連携APIについて伺います。資料一を御覧ください。
マイナポータルAPIとは、マイナポータルと外部民間サービスとをAPIでつなぎ、情報連携させることで国民の利便性を図るものです。この資料にございますとおり、青いところを御覧いただきますと、まずマイナポータルというものがありまして、マイナポータルAPI、るるいろいろな情報についてありますけれども、その中で、かつ期間連携できるというものが、医療保険情報取得APIというものがございまして、三段階の構想になっております。
次に、資料二を御覧ください。
マイナポータルAPIの中で、昨年十二月八日に開始されたマイナポータル期間連携APIは、マイナンバーカードをかざして本人が同意することにより、マイナポータルAPIから民間のサービスに連携されるデータについて、一定期間継続的に更新できる仕組みとなっております。要するに、毎度毎度許可を与える必要なく、一定期間は自動的にデータ連携がなされるということで、国民の利便性向上の観点から非常に重要な施策だと思っております。
このマイナポータル期間連携APIは、現時点では医療分野でのみ行われておりまして、医療分野におけるマイナポータル期間連携APIはマイナポータル医療保険情報取得APIということで、先ほど御説明させていただいたとおりでございます。
我々は、これは日本のパーソナル・ヘルス・レコード、PHRの構築につながる非常に重要な施策だと思っておりまして、是非進めていかねばならないと思っております。
そこで、お伺いいたします。
医療保険情報の共有という観点では、CTやMRIといった画像情報は多くのニーズがあるというふうに思っておりまして、私もそのようなニーズを医療現場で感じておりました。医療保険情報APIの範囲にこの画像情報がそもそも含まれていない、そのように伺っておりますけれども、それはなぜでしょうか。大臣にはソフトとハードの観点で分けてお答えいただくと幸いでございます。
○福岡国務大臣 現在、マイナポータルの医療保険情報取得APIで取得できる情報は、レセプトに基づく診療情報、薬剤情報や健診情報でございまして、今後、電子カルテ情報共有サービスが本格運用された場合に、カルテ情報を追加する予定でございます。このカルテ情報は、有識者などの意見を聞いて、外来や救急診療の現場でニーズの高い情報として設定したものでございます。
御指摘の画像情報につきましては、共有されれば有用であるという意見がある一方で、データ容量が大変大きく、それに対応するためのシステム改修コスト、保存のためのランニングコストなどの増加等が課題としてあると考えております。
今後、電子カルテ情報共有サービスで共有すべき情報の範囲につきましては、共有の必要性やシステム改修やランニングコストの負担などについて、医療関係者の意見もよく聞きながら検討を進めてまいりたいと思います。
○阿部(圭)委員 ありがとうございます。
今おっしゃっていただいたとおり、特にハードの観点では、システム改修コストですとか、マイナポータル側の制約、どのぐらいのデータ通信ができるとか、容量を把握できるか、そういったところの制約が大きいというふうに伺っておりますので、そういったところは是非パーソナル・ヘルス・レコードを進める観点からやらなければならないと思っております。
次にお伺いしますが、マイナポータル期間連携APIについては、期間連携ということが肝でございまして、一度の同意により連携可能とする合理的な期間、この自動連携が、自動的にできますよという期間が九十日間と定められております。
合理的期間は九十日という説明の仕方がされておりますが、この九十日というのが合理的だと述べる理由は何でしょうか。技術的にそれ以上、実際に延ばせるか否かも含めて、デジタル庁にお伺いいたします。
○三浦政府参考人 お答えいたします。
マイナポータルAPIからの情報連携につきましては、これまで、都度、マイナンバーカードを用いた認証が必要でしたけれども、例えば薬の飲み忘れ防止のためのアラートを行うようなサービスにおきましては、サービス側の方での情報が更新されなければ、適切なプッシュ連絡、プッシュでのアラートが立たないといったような御指摘をいただきました。
また、厚生労働省におきますヘルスタPTなどの御指摘を踏まえまして、利用者本人同意の下で、マイナポータルAPIから連携する情報につきまして、一度の認証で九十日間継続的に情報の自動連携を可能とする仕組みを昨年の十二月にリリースしたところでございます。
この九十日間という期間につきましては、まず、技術的には期間を延ばすことというのは可能でございます。一方、一般論といたしまして、期間を延ばせば延ばすほど情報漏えい等のセキュリティーリスクというのが高まるということがございます。また、自分自身の情報を適切に管理をしていくという観点からも、一定の制約は必要かというふうに考えております。
このような課題と自動更新の期間を延ばすことによる利用者の利便向上ということをしっかりと両者、比較考量いたしまして、まずは九十日間という形で設定をさせていただいたところでございます。
引き続き、安全性を担保しながら運用状況を注視して、今後、具体的なユースケースも踏まえまして、適切な期間の在り方を考えていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕
○阿部(圭)委員 セキュリティーと利便性の比較考量ということで九十日になっているということだと思いますけれども、やはりこれを延ばせば延ばすほど民間のサービスとの連携というのは非常にしやすくなってくるということだと思いますので、パーソナル・ヘルス・レコードを伸ばす観点からもこれは非常に重要な観点だと思っておりますので、しっかり進めていきたいと思います。
次にお伺いしますが、またデジタル庁にお願いします。
医療保険情報APIの活用を申請してきている企業やサービス、それらの種類についてお伺いできますでしょうか。
○三浦政府参考人 お答えいたします。
医療保険情報取得APIにつきましては、本年五月現在で約四十のサービスで申請、利用いただいております。また、実際、サービスがリリースされている数は三十四となっているところでございます。
また、その内容につきましては、医療機関や薬局で処方されました薬の種類あるいは服薬のスケジュールを管理できる、いわゆるお薬手帳のアプリですとか、あるいは個人の健康状態、生活習慣を記録をしていく健康管理アプリ、あるいは運動、トレーニングなどを管理、支援するフィットネスアプリなどのサービスが活用されているところでございます。
今後とも、マイナポータルAPIの利用促進に向けて、利便性向上に努めてまいりたいと思います。
以上でございます。
○阿部(圭)委員 今の段階で四十サービスということで、リリースが三十四ということですが、これはどんどん広げていかねばならないと思っております。
またデジタル庁にお伺いしますけれども、マイナポータル期間連携APIは、今、医療保険情報取得APIだけということになっておりますが、この領域以外の領域、例えば介護ですとか、それ以外の領域、生命保険ですとか、そういったことに広げる予定というのはあるんでしょうか。
○三浦政府参考人 お答えいたします。
マイナポータルAPIにつきましては、サービス事業者などの声を伺いながら、関係府省庁と連絡をしっかりさせていただきまして、より利用しやすいサービスとなるための取組を検討させていただいております。
御指摘の期間連携APIの対象の他領域への拡大につきましては、他省庁で保有するデータベースのデータの内容に応じまして連携可能な情報を可能にすること、これも、更なる利便性の向上を目指して、デジタル化の恩恵を国民の皆さんが享受できるようにしっかりと検討を進めていきたいというふうに考えております。
○阿部(圭)委員 是非進めていただきたいと思います。
現在は厚生労働省と医療関係についてのみ連携をされておりますけれども、是非、厚生労働省もそうですが、ほかの省庁とも連携をお願いいたします。医療DXについて、非常に重要な論点だと思っております。
次に、デュアルユース製造設備について伺います。資料三を御覧ください。
経産省は、ワクチン開発・生産体制強化戦略に基づきまして、国内でワクチン製造拠点の整備を実施しています。これは、コロナのパンデミックを受けた措置でございます。
ワクチンがなかなか国内で作れなかったという反省点からこういった施策を実施していらっしゃいまして、平時はバイオ医薬品を製造し、感染症有事にはワクチン製造へ切り替えられるデュアルユース製造設備という、まさに平時、有事両用のこういった仕組みを構築しまして、平時からの設備の維持管理や人材育成を行っています。具体的には、デュアルユース製造設備に対する補助金を出しまして、支援を行っています。
しかし、この有事への備えに対して水を差すことがございました。資料四を御覧ください。
これは、新型コロナワクチン接種に対する助成金に関する厚生労働省の資料ですけれども、厚生労働省はコロナワクチン定期接種の助成を基本的には打ち切るということで発表がなされました。それによって接種率が低下することが想定をされています。
結果、経産省がデュアルユース製造設備として誘致した企業、資料三にございます企業は、定期接種を通じた売上げ等の平時の事業予測が非常に困難又は下方修正することが予想されておりまして、投資を引き揚げるのではないかという声も聞こえております。
防衛産業も同様でございますけれども、有事のためには、平時こそ市場の予見可能性を担保するということが大事でございまして、一定の利益が出る事業構造となっていることが必要でございます。今般のこの厚労省の施策は、経産省の政策効果を低下させるのではないか、逆のベクトルに歩んでいるんじゃないかというふうに思いまして、厚労省はこのような事態を認識しているんでしょうか。
〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕
○福岡国務大臣 委員の問題意識については理解をさせていただいた上で、当方の考え方を述べさせていただければ、予防接種法上の定期接種というのは、公衆衛生上の見地から実施するものでございます。
新型コロナワクチンにつきましても、審議会における議論等を踏まえまして、令和六年度から、重症化予防を目的として高齢者等を対象に定期接種化し、費用負担につきましては、自己負担の急激な増加を避ける観点から、八千三百円の助成を実施することにした。図で示していただいたとおりでございます。
その上で、令和七年度につきましては、他のワクチンと同様に、接種費用の助成を終了することとし、低所得者分の接種費用について地方財政措置を講ずることとしたものです。
なお、ワクチン価格は自由競争市場におきまして各メーカーが設定するものでございまして、定期接種ワクチンの市場規模を確保する目的で国費による助成を行うことを考えておりません。
○阿部(圭)委員 厚生労働省の公衆衛生上の予防接種法という狭い観点だけではそうなんだと思いますけれども、厚労省だけの視点で世の中が動いているわけではございませんので、やはりこれは単なる部分最適だと思っております。国民にとって、国民総体にとってどのような政策を長期的にも築いていくかという視点が求められていると思います。
厚生労働省には、経産省の視点で、そして企業経営者の視点でも、全体最適をどうするかというふうな政策を考えていただきたいと思っておりますので、是非お願いをいたします。
図にございますとおり、今般の厚労省の政策は、令和六年のワクチン費用助成の際に見積もった負担額、七千円というふうに初めは見積もっていたと思いますけれども、これが実際は、メーカーから出てきたところ、一万五千六百円だったということで、この負担額の予想についての大幅な見誤りがあったんだと思っております。
この価格予想、なぜ失敗したとお考えでしょうか。
○鷲見政府参考人 お答え申し上げます。
新型コロナワクチンにつきましては、令和五年度までで全額国費の特例臨時接種を終了いたしまして、令和六年度から予防接種法上のB類疾病として定期接種化したところでございます。
令和六年度政府予算案が示された令和五年十二月は特例臨時接種の期間中でありまして、新型コロナワクチンは市場流通しておらず価格が不明であったため、当時のインフルエンザワクチンの接種費用を参考に、接種費用を七千円と見込んで積算したところでございます。
その後、令和六年二月に新型コロナワクチンメーカーに希望小売価格を聴取しましたところ、接種一回当たりの費用は一万五千三百円程度と見込まれたため、自治体からの財政支援の要望も踏まえて、当初見込みどおり七千円の自己負担で接種できるよう、令和六年度につきましては八千三百円で助成したものでございます。
○阿部(圭)委員 今御答弁いただいたように、政策を設定する前に民間企業の意見を聞いていなかったということだと思うんですね。それは非常に甘い目算だと思います。やはり役所は役所だけで仕事をしているということだと思いますので、しっかりと役所と民間企業と、巻き込んで、国家全体としてどういった政策を打っていくのかという視点でやっていただかないと国民を守れませんから、是非それはお願いしたいと思います。
次に、在日米軍の関係についてお伺いしたいと思いますが、資料五を御覧ください。在日米軍の、特に沖縄統合計画とキャンプ瑞慶覧、いわゆる西普天間住宅地区の跡地利用についてでございます。
この図にございますとおり、この四月に、ここでございますのは、右側の赤の囲みの真ん中、キャンプ瑞慶覧、西普天間住宅地区、こう書いてありますけれども、ここの地域に、これは返還されたわけですけれども、ここに琉球大学の医学部とそして大学病院が移転をして、四月から稼働を開始したということでございます。こういった形で、沖縄統合計画に基づいて、これは普天間基地全体も入っておりますけれども、こういった沖縄の基地の返還が進められているということでございます。
また、資料六を御覧ください。これが、先ほど申し上げた、返還された西普天間の住宅地区の航空写真でございます。
私もかつてこの西普天間の話が出ていたときに少し担当していたことがございまして、十年ぐらい前になりますけれども、これは非常に重要な施策だと思っております。
まず防衛省にお伺いしたいと思いますけれども、今回はこのキャンプ瑞慶覧についての返還があったということですが、在日米軍の施設・区域について、一九五二年の我が国の独立回復後、一度の返還で最も面積が大きい施設・区域の返還は何でしょうか。また同時に、面積だけではなくて、政治的な意味で意義の大きい、例えば、今後、普天間基地の返還なんというのは非常に政治的な意味が大きいと思いますけれども、そういった政治的な意味の大きい、シンボリックな返還というのは何だとお考えでしょうか。
○本田副大臣 お答えいたします。
米軍施設・区域については、これまでも様々な形で整理、統合、縮小の努力を積み重ねてきたところでありまして、沖縄が本土に復帰した一九七二年以降では、返還面積が最も大きいものは北部訓練場の過半である約四千ヘクタールです。
米軍施設・区域の土地の返還は、基地負担軽減のため全力で取り組んでいるところであります。お尋ねのありました政治的な意味につきましては、防衛省の立場から申し上げることは厳しいという点を御理解いただきたいと思います。
その上で、沖縄県の資料に基づき、経済効果や雇用誘発の観点から大きい意義があった返還事例について申し上げますと、桑江、北前地区にあったハンビー飛行場及びメイモスカラ射撃場、また小禄金城地区にあった那覇空軍・海軍補助施設、また那覇新都心地区にあった牧港住宅地区の返還が挙げられているものと承知をしております。
さらには、二〇一五年に返還された西普天間住宅地区は、琉球大学病院を中心とした沖縄健康医療拠点の形成など、跡地利用のモデルケースとして、新たな町づくりが行われているものと承知をしております。そこでは、防衛省の補助の下、米軍基地をまたいで国道と結ぶ道路が整備をされまして、本年三月の開通式に私も出席をいたしました。地域の利便性を向上し、津波災害時の避難経路ともなる大きな成果だと感じているところであります。
さらに、地元の自治体や企業、経済団体においては、ゲートウェー二〇五〇プロジェクツ推進協議会というものを結成し、那覇港湾施設、牧港補給地区、そして普天間飛行場の跡地利用に向けて将来像を描く取組が行われているなど、これら基地の返還は地元の期待が非常に高いものと認識をしているところであります。
○阿部(圭)委員 御紹介いただきまして、ありがとうございます。
まさに、最後にございましたとおり、地元の方々が中心となって、イニシアチブで、今後の跡地利用をどうしていくかという議論が進められておりますけれども、やはり地元の理解、地元の推進というのは非常に重要なことだと思っておりますので、是非、防衛省としても、そういった連携を進めていただきたいというふうに思っております。
るる今御紹介がございましたけれども、今回のキャンプ瑞慶覧の西普天間住宅地区については、医療分野で行うことになりました。医療分野でなぜこれを行うことになったのか、琉球大学医学部、大学病院の移転につながったのかということにつきまして、もし経緯が御紹介できるものがございましたらお願いいたします。
○水野政府参考人 お答えいたします。
キャンプ瑞慶覧、西普天間住宅地区の跡地利用につきましては、地元の沖縄県及び宜野湾市におきまして、沖縄全体の振興につながる跡地利用のモデルケースとすべく、医療や健康をテーマとした特徴的な町づくりを目指して検討が重ねられてきたと承知してございます。
そうした中で、平成二十六年四月の沖縄県及び宜野湾市から政府への要請におきまして、医療拠点の形成を中心とする跡地利用の方向性が示されたものと承知してございます。内閣府としましても、国、県、市、琉球大学、業界団体、地権者から成る西普天間住宅地区における国際医療拠点の形成に関する協議会を始め、地元関係者と一体となってこうした構想の具体化に取り組んできたところでございます。その後、平成三十年四月に宜野湾市において取りまとめられた跡地利用計画におきまして、現在の跡地利用の大要が決定されたものと承知してございます。
以上でございます。
○阿部(圭)委員 まさに今おっしゃっていただいたとおり、沖縄県と宜野湾市、地元からの政府への要請によって、こういった医療分野の誘致が行われたということで、非常に重要なことでございますし、一つの成功例だと思っております。
その上でお伺いいたしますけれども、独立回復後に行われた米軍の施設・区域の返還について、先ほど本田副大臣からもるる御紹介がございましたけれども、やはりシンボリックなものとして、都市部の開発ですとか、こういった商業施設若しくは重要な、医学部とか大学病院みたいな施設の誘致といった観点で、様々な実績があると思いますけれども、内閣府、もしお答えするものがございましたらお願いいたします。
○水野政府参考人 お答えいたします。
沖縄県における駐留軍用地の跡地利用は、当該土地が戦後長期間にわたって駐留軍によって使用された後にようやく返還される土地資源であるということに鑑みまして、内閣府としましては、まずはそれぞれの地元において望ましい跡地利用の在り方の検討がなされることが重要であると考えてございます。
したがって、代表例という形で一概に申し上げることはなかなか難しいわけでございますが、その上で、あくまで一例として申し上げれば、沖縄県の駐留軍用地跡地において都市部の開発や商業施設の誘致がなされた事例としては、先ほど防衛副大臣からも御紹介がありましたが、ハンビー飛行場跡地、メイモスカラ射撃場、これは今、北谷町のアメリカンビレッジになっているところでございます。また、牧港住宅地区跡地、那覇市でございますが、これは今、那覇新都心地区ということになってございます。また、最後ですが、北中城村にあった泡瀬ゴルフ場跡地でございますが、これは現在、イオンモール沖縄ライカムという大きなショッピングセンターになっているところでございます。
以上でございます。
○阿部(圭)委員 ありがとうございます。
まさに跡地がそのような形で利用されていることは望ましいというふうに思っております。まさに地元の理解を得ながらしっかり進めていくことが重要でございます。
この西普天間住宅地区の跡地利用として、ここでは、国際性、離島の特性を踏まえた沖縄健康医療拠点というものが設置をされています。その一環としての琉球大学だと思いますが、同拠点に対して、まさにこの拠点だから、返還された地域だからこそということで特異的に支援を何か事業として行っていれば、厚生労働省の方で御紹介いただきたいと思いますが、何かございますでしょうか。
○齊藤政府参考人 お答えいたします。
御指摘の沖縄健康医療拠点は、西普天間住宅地区跡地が平成二十七年三月に返還されて以降、先ほど水野統括官からも御説明いたしました、関係団体で構成された協議会での検討を経て、平成二十九年四月に取りまとめられた基本構想に基づき、琉球大学病院及び医学部キャンパスを移設して、沖縄の医療体制の中核となる医療拠点を整備したものでございます。
平成三十年度から令和六年度までの総事業費千百六十一億円のうち、駐留軍用地の跡地利用のモデルケースとして整備するという観点から、沖縄振興予算において総額八百七十八億円を措置し、令和六年度末までに完成し、供用を開始したところでございます。
同拠点は、国際性、離島の特性を踏まえて、果たすべき三つの役割として、高度医療・研究機能の充実、地域医療水準の向上、国際研究交流・医療人材育成を掲げており、これらを通じて沖縄振興に大きく貢献することが期待されているところでございます。
○阿部(圭)委員 大臣、お願いします。厚生労働省の施策として。
○福岡国務大臣 済みません、厚生労働省として何をしているのかというお問合せがありました。
厚生労働省としては、がん対策におきまして、琉球大学病院を都道府県がん診療連携拠点病院として指定しておりまして、その役割を果たせるように支援をしております。
このほか、この拠点に特化した支援ではないものの、例えば、創薬開発として、AMEDによるアカデミアも含めた研究開発の支援であったり、医師派遣機能の強化といたしまして、各都道府県に対する、医師派遣事務等を行う地域医療支援センターの運営等の取組への支援、また、感染症対策として、感染症指定医療機関に対する医療施設運営費補助金による支援など、各種支援を行っておりまして、こうした支援についても活用できるものがあると考えております。
○阿部(圭)委員 特化した支援ではないけれどもとお断りはございましたが、やはり沖縄については過大な負担があるということだと思いますので、きちんと地元の意見を伺った上で特段の御支援を賜りたいと思っております。
次に、防衛省と厚労省で連携しながら行っている戦傷医療について伺います。
資料七を御覧ください。戦時中には、やはり一番問題となるのは失血死でございまして、そういった観点から、輸血用の血液製剤が重要になってくるということでございます。
次に、資料八を御覧ください。これは、防衛省の輸血戦略の一端でございます。まさに失血死を防ぐために、どのように効率的に輸血を行うかということがここに記載されております。
次に、資料九についても、同様の輸血戦略について書いております。
資料十を御覧いただきます。これはまさに、有事における血液製剤使用のイメージが描いてありまして、こういったオペレーションで実際は実施されるということでございます。
そこで、防衛省にお伺いしますけれども、戦傷医療として防衛省が行う輸血用の血液製剤の確保に関する取組について、普通の輸血とはそもそも何が違うのか、この中にある広義の隊員間輸血、狭義の隊員間輸血、これら三点について是非教えてください。お願いします。
○本田副大臣 お答えいたします。
前線における輸血につきましては、通常の医療機関で行うような血液型を合わせた輸血が困難な状況下で行われることとなるために、単純、安全かつ迅速に輸血を行える低力価O型全血液を確保する方針としています。
防衛省においては、隊員から採血した医療施設と、それとは異なる前線等での場所で当該血液を他の隊員に輸血する行為を広義の隊員間輸血と定義をしています。なお、医療施設内で採血された血液を、同一医療施設内において他の隊員に輸血する行為を狭義の隊員間輸血と定義をしています。
○阿部(圭)委員 隊員間輸血は、最後の資料十を見ていただくと分かりますように、供血者も受血者も自衛隊員を想定しています。
有事の際に、血液製剤が不足した場合や、前線で任務に従事する自衛隊員のローテーション確保を考えますと、供血者は、自衛隊員だけではなくて、公務員全体まで広げて検討しておく必要はないんでしょうか。防衛省にお伺いします。
○本田副大臣 隊員間輸血は、事態対処時を想定した輸血でありまして、その供血者となるためには、血液型や必要な事前の検査の実施とともに、その結果を踏まえた、個人情報を含む確実な管理が必要となってまいります。そのため、まずは自衛隊員を対象として、隊員間輸血が可能となる体制の整備に取り組んでいるところであります。
いずれにいたしましても、事態対処時において、特に前線における隊員の救命の観点で有用な全血液を十分に確保できるよう、防衛省・自衛隊として必要な体制整備に努めてまいります。
○阿部(圭)委員 自衛隊員ということですけれども、私、国会議員としてやっておりますけれども、こういった際には喜んで供血をさせていただきたいというふうに思っております。
厚生労働大臣にお伺いしますけれども、本取組は厚労省と防衛省が連携して初めて成立するものでございまして、公務員総体を供血者とし、政府全体で防衛省・自衛隊を支えることについて、厚生労働省として、若しくは厚生労働大臣として、どのようにお考えでしょうか。
○福岡国務大臣 今防衛省から御発言がありましたように、有事の際の自衛隊員に対する輸血は、防衛省の検討会の提言書に基づき、自衛隊において自律的に血液製剤を確保、備蓄して行われることとなっているものと承知しています。
これを踏まえながら、厚生労働省では現在、有事における防衛省の輸血医療体制の構築に対して、日本赤十字社などとも連携をしながら協力をしているところです。
今御指摘のあった点でいきますと、引き続き、有事におけます自衛隊員に対する輸血医療体制の構築については、防衛省としっかり連携を図ってまいりたいと思います。
○阿部(圭)委員 ありがとうございます。是非連携をお願いいたします。
一問飛ばしまして、防衛省は今後この体制を整えていくに当たって結構な年数がかかると思うんですけれども、この体制整備の完了、そのために厚生労働省としてどのような特段のサポートが必要と考えているか。厚生労働大臣、もしお考えであればお願いいたします。
○福岡国務大臣 先ほども申しました日本赤十字社との連携、そして関係各府省庁とで、防衛省との連携も深めながら、しっかり対応を進めてまいりたいと思います。
○阿部(圭)委員 赤十字の話もそうですけれども、やはり薬事承認というのが大きな障壁になってくると思いますので……
○藤丸委員長 時間が来ておりますので、お願いいたします。
○阿部(圭)委員 是非、そこについても特段の御配慮を賜りたいと思います。
これで私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、森ようすけ君。
○森(よ)委員 国民民主党の森ようすけでございます。
本日も、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。
まず初めに、改めて申し上げるんですけれども、年金法の改正というのは全ての国民に関わる議論でございます。やはり丁寧に議論を進めて、しっかり全ての国民が理解した上で制度の見直しを行っていく、これが非常に重要なことだと考えております。そうした中で、本日、委員長の職権で採決が行われるということになっておりますが、やはりこの拙速な議論の進め方については疑義を示したいというふうに考えているところでございます。
まず、通告をしていない質問で恐縮なんですけれども、大臣にお伺いしたいと思います。
昨日、遺族年金について、こうした報道がなされたところでございます。二千三百三十六万円もらえるはずが三百六十五万円に、政府の年金制度改革法案で遺族年金の給付水準が大幅カット。
こうしたように、今回の年金改正において、遺族年金が大幅カットされることが盛り込まれておりますが、それについて昨日報道もなされて、SNSも含めて多くの国民から、非常につらい制度改正だというふうな声が今上がっているところでございます。
簡単に制度の内容を私の方から説明させていただくんですけれども、これまでは、配偶者と死別をした三十歳以上の女性は、配偶者の厚生年金の四分の三が遺族厚生年金として生涯支給をされていたところでございます。
一方で、改正案では、受給期間を原則五年へと大幅に短縮することになっておりまして、そして段階的に対象年齢が引き上げられて、最終的には、夫に先立たれたときに六十歳未満の方は遺族年金を五年間しかもらえなくなるというふうな規定案が示されているところでございます。
大臣にお伺いするんですけれども、こうした見直しで理解は合っているのか。そして、見直しの内容について概要を改めて教えていただけますでしょうか。お願いいたします。
○間政府参考人 お答えをいたします。
今回の見直しは、二十代から五十代までに受給権が発生した十八歳未満のお子さんのいらっしゃらない配偶者に対する遺族厚生年金についての改正でございます。
男女共に、男女差をなくし、原則五年間の有期給付といたしますけれども、生活再建の保障を厚くするための有期給付加算を創設したり、有期給付の五年間の支給終了後、様々な事情によって十分な生活再建に至らない方に対しては最長六十五歳まで前年所得に応じた給付の継続をすること、それから、亡くなった後、婚姻期間中の配偶者、亡くなった配偶者の方の厚生年金の加入期間については、残された配偶者の方の老齢厚生年金の方に期間を加算するような死亡分割といった仕組みを設けるなど、様々な配慮措置を講ずることとしているところでございます。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
もちろん、こうしたいろいろ配慮をなされていることは重々理解はしているんですけれども、その配慮がしっかり国民に伝わっているのか、ここに対してやはり私は疑問を持っているところでございます。
例えば、SNSなどでこうした声が届いているところでございます。遺族厚生年金があることによって、生命保険に入る量を減らしていたとか。一定の配慮期間は設けられるものの、これまではそれ前提で行動をしていたわけですから、やはりなかなか理解が進んでいないなというところを今感じているところでございます。
遺族年金について、プロセスについて大臣にお伺いしたいんですけれども、やはりこれだけ国民の疑念の声が上がっている中で、これまでしっかりと国民の声を聞いた上でこうした改正をやってきたのか、そうしたところについてお伺いできますでしょうか。
○福岡国務大臣 これまで、社会経済情勢の変化も踏まえまして、専門家の方々にも御議論をいただきながら、こういった制度を構築してきたところでございます。御指摘がありましたように、そういったことについて国民の方々にも分かりやすく周知し、理解をいただきながら進めていく、そういったことの必要性については委員御指摘のとおりだと思います。
○森(よ)委員 最後一点お伺いしたいんですけれども、必要性は理解しているというところなんですけれども、やはりこれだけ声が上がっているというのは、十分これまでにしっかりとそうした制度の見直しについて届けることができていなかったんだと思います。
それに加えて、やはりこの年金法の議論が余りに拙速過ぎて、今、一週間、二週間程度の期間で、基礎年金の底上げのマクロ経済スライドの一致についてはすごく議論もされていましたけれども、今回の年金法の改正というのは幾つか政策があるというふうに認識をしております。適用拡大であったりとか、この遺族年金の問題、そして老齢年金の問題、あと報酬金額の上限引上げとか、こうしていろいろ政策がある中で、やはりそこまでしっかりと国民の皆様に届けることができていないというふうに感じております。
そうした中で、やはりこの議論の拙速さについて大臣に最後一点お伺いしたいんですけれども、こうしたまだまだ理解が進んでいない中で、今日採決をすることに対してどのように捉えているのか、お伺いいたします。
○福岡国務大臣 国会の審議スケジュールにつきましては、国会の現場においてお決めいただく話でございますので、私からはコメントをさせていただくことは差し控えさせていただきます。
その上で、私どももこれまでなるべく丁寧に説明することに努めてまいりましたが、引き続き、年金制度に関する理解が深まりますよう、説明を丁寧に尽くしてまいりたいと思います。
○森(よ)委員 おっしゃっていただいたとおり、もちろん、スケジュールについては、国会の審議においては各党各会派で議論をしていくというのはそのとおりなんですけれども、政府提出法案の中身ですから、そこについてはやはり理解をした上で成立をさせるというのは政府の責務だというふうに捉えていますので、そこについては一点申し上げたいと思います。
それでは、通告に戻りまして、質問させていただきます。まず、修正案についてお伺いいたします。
今回、基礎年金の底上げということで、マクロ経済スライドの調整期間の一致、こちらが議論をされております。
まず、基本的な部分を政府参考人の方、局長にお伺いしたいんですけれども、今回、財政検証における過去三十年投影ケースにおいて、報酬比例部分、厚生年金の給付調整は元々何年度に終了する予定だったんでしょうか。お願いいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
令和六年財政検証によれば、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースでは、報酬比例部分のマクロ経済スライドによる調整期間は、現行制度のままであるとした場合には二〇二六年度と見通したものでございます。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
おっしゃっていただいたとおり、財政検証においては、厚生年金は二〇二六年度に終了、基礎年金については二〇五七年度に終了というふうな予定になっていたところでございます。
それで、今回の修正案においては、基礎年金を底上げするために、基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライドの期間を一致をさせる、こうしたような規定がなされているところでございます。ただ、調整期間の一致を行うかどうかの是非については、次の財政検証を踏まえて検討するというような形になっております。
なので、次の財政検証までに厚生年金のマクロ経済スライドの給付調整が終了してしまうとよくないわけなので、今回の改正案の原案の方では、給付調整を二〇二六年度に終わらせることなく、二〇三〇年度まで継続することが規定されているわけでございます。二〇二六年度に給付調整が終わるので、それまでに何らかの措置を取るということで、調整率を三分の一に減らす、緩やかにしていく、こうしたことも原案において示されているところでございます。
ただ、個人的には、この見直しをそこまで急いでやる必要があるのかというふうに考えております。原案ではこの規定について公布日施行になっておりますが、この通常国会で可決をさせて六月中に施行する必要がそこまであるのかというところに疑問を持っているところでございます。
そこで、局長にお伺いするんですけれども、技術的、事務的なところでございますけれども、厚生年金のマクロ経済スライドによる給付調整の延長、そして三分の一に緩やかにすることを規定しておりますが、事務的にはいつまでに公布、施行すれば間に合うのか。例えば、今年の年末に近い時期の公布、施行でも間に合うのか。その点についてお伺いいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
ただいま委員御指摘いただきましたマクロ経済スライドの三〇年度まで延長するという点については、御指摘のとおり公布日施行でございますが、今回の法案全体で申し上げますと、来年、令和八年四月から施行予定の在職老齢年金制度の見直しや、令和八年十月から施行予定の被用者保険の適用拡大に伴います保険料調整制度を盛り込んでございます。これらの内容は、人手不足という喫緊の課題に対応するためのものでございます。
こうした事項の準備とか、あるいは国民の皆様への周知に要する期間も含め、重要な見直し内容を迅速かつ着実に施行するため、法案の早期成立をお願いしてございまして、そのために努力していかなければいけない、このように考えているところでございます。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
済みません、局長、もう一問、ちょっと追加でお伺いさせていただきたいんですけれども、ほかの、今回のマクロ経済スライドの一致以外の政策においても準備期間が必要で、早期終了を求めているというふうに答弁いただきましたけれども、それは必ずしもこの通常国会中じゃないと絶対に間に合わないのか。それとも、十二月、年末に近い時期でも急げば事務的には間に合うのか。その点について、改めてお伺いできますでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
仮定の御質問ではございますが、仮にこの成立が今国会でないというふうにした場合には、例えばシステム開発の調達の関係などもありまして、先ほど御紹介したようなものについては実施時期がずれていくということが想定されるということでございまして、それも含めてお願いをしたいということでございます。そのための努力を重ねてまいりたいと思います。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
明言はなかったんですけれども、必ずしもこの通常国会で施行しないと絶対に間に合わない、そういうわけではないんだろうなというふうに捉えて、もちろん努力がすごい必要だと思うんですけれども、必ずしも、年末に近い時期に公布、施行になっても何とか対応できるんじゃないかなというふうに捉えているところでございます。こうしたように、これを聞けば、やはりこんなに拙速な議論を行う必要はないんじゃないかというふうに捉えているところでございます。
参考人の質疑の中でも、そのほかの政策の重要性については言及があったところでございます。基礎年金の納付期間を四十から四十五に延ばすことですね。これについては、修正案の提出者の中からも答弁の中で、必要な政策だというふうには認識をしている、こうした答弁もこの審議の中であったというふうに認識をしております。
それであれば、それ以外の必要な論点についても丁寧に議論を行った上で、各党各会派の理解を得た上で、審議を丁寧に進めていくことがあるべき姿だというふうに捉えているところでございます。
そこで、修正案の提出者にお伺いするんですけれども、こうした局長からの御答弁も踏まえて、必ずしも今国会中に成立をさせる必要はそこまでないのではないかというふうに考えておりますが、その点いかがでしょうか。
○浜地委員 森委員にお答えをいたします。
今、森委員の問題意識、私も理解いたしました。
今回、マクロ経済スライドの調整期間の一致、当初、政府は考えていたわけでございまして、結果、今回は当初案に盛り込まれませんでした。しかし、自由民主党と公明党そして立憲民主党、三党の合意、これは政治判断として、今回、マクロ経済スライドの早期終了措置を入れるということで、この三党の合意の中には、この措置を盛り込むということに加えまして、三党の政治判断として、今国会で成立を期すということも入っております。したがいまして、我々としましては、今国会での成立を期すという、やはり大きな政治決断があるんだろうというふうに私自身は思っております。
当然、この論点につきましては、国民民主党さんの修正案にもマクロ経済スライドの調整期間の一致は入っておりますので、その重要性も含め、国民民主党さんも理解をいただいているんだろう、そのように理解をしているところでございます。
この成立の時期につきましては、今申し上げましたとおり政治決断ということがあるんですが、例えば我々公明党の部会でも、実はこの施行時期につきまして、今国会で成立をしないとどういう影響があるのかということを問うたことがございます。例えば、先ほど局長が答弁をされましたシステム改修の問題であるとか、又は適用拡大に向けての周知の期間、これは必要でございますし、特にiDeCoにつきますと、当然これは税制改正も伴いますので、今国会で成立を期す。年末になってしまいますと、例えばiDeCoの施行期間、拡大の期間が一年遅れていく、そういったことも部会等では議論をさせていただいたことがございます。
いずれにしましても、先ほど委員が申し上げられました基礎年金の拠出期間の延長の問題でありますとか、また三号被保険者の在り方、これは重要な問題でございますが、この点につきましても、今回、政府の当初案の中に検討事項として盛り込まれておりますので、しっかりと今後も検討してまいりたい、そのように思っております。
○森(よ)委員 詳細に御答弁いただき、ありがとうございます。
これはやはり、三党の政治判断という答弁もいただきましたが、おっしゃるとおり、政治というのは数なので、それは私たち国民民主党の力不足というところはあるんでしょうけれども、こうした様々な配慮でしたりとか、iDeCoの話も出ましたけれども、こうした必要性について本当に丁寧に国民と議論してきたのか、拙速な議論をしていいのかというところは、やはりできていなかったんじゃないかというのは大きな課題だというふうに認識をしております。その点、伝えさせていただければと思います。
次の質問に移りまして、今回、基礎年金の底上げに伴う国庫負担、こちらについても委員会で様々議論がされているところでございます。
まず大臣にお伺いさせていただきたいんですけれども、基礎年金の底上げに伴って国庫負担が増える。もちろん、現在価値に直すとそこまで増えないんじゃないかというふうに言われていますけれども、GDP比で見ると、足下では二・二%のところが、現在価値で見ても二・六%に増える。間違いなく、現在価値で見るとそこまで増えないと言っている一方で、GDP比でも見ると絶対に増えていますし、ベースラインと比べると二兆円増える、これは間違いない事実だと思います。
そして、水曜日の質疑においても、修正案の提出者から、二兆円程度の安定財源の確保は必要である、そうした答弁もございました。これからの財政検証の中で、安定財源をどうしていくのか、それまでの期間においてしっかり議論をしていく必要性であったりとか、あと生活保護費との見合いで、実際にどれだけ社会保障費が増えるのか、こうしたことについても丁寧に議論をしていかないといけない、こうしたことが修正案の答弁者からも御発言があったところでございます。
これは大臣にお伺いするんですけれども、政府として、増える国庫負担金の財源確保についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
○福岡国務大臣 昨年公表いたしました財政検証では、仮に基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了を行った場合に、実質ゼロ成長を見込みました過去三十年投影ケースでは、二〇三七年度にマクロ経済スライドによる調整が終了する見込みでございます。このため、追加の国庫負担は二〇三八年度に初めて発生することになりまして、二〇五〇年代半ばに最大で約二兆円となる見通しとなっております。
この政策を実現する場合に、追加的な国庫負担に対応した安定財源の確保が必要だというふうに考えておりますが、今後の経済状況によりまして、国庫負担が必要となる時期であったり、その規模については変化するものでございますから、次期財政検証も踏まえて判断することとしておりまして、現時点で具体的な額やその確保手段をお示しすることは困難だというふうに考えています。
委員御指摘のとおり、丁寧な議論を進めていくということについては、そのとおりだというふうに思います。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
今答弁の中で、財政検証を踏まえて検討していくというふうなこともいただきましたが、やはり、次の財政検証の後にこの一致をするかどうか判断するわけですから、それまでの期間において、しっかり、財源をどうしていくのか、これを早急に進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。
次の質問に移りまして、制度の抜本的見直しについてお伺いしたいと思います。
済みません、修正案の提出者は、これで質問はもうありませんので、大丈夫でございます。済みません。伝え忘れて申し訳ございません。
年金制度は社会保障政策でありますけれども、やはりその領域だけではなく、社会保障政策だけではなくて、労働政策も含めてかなり俯瞰的な視点で議論をしていく、検討していくことが必要な分野の政策領域だというふうに認識をしております。
まずお伺いするんですけれども、人口減少が進む中で労働供給をいかに確保していくか、これが大変重要な課題だというふうに認識をしております。女性の活躍をいかに進めていくのかでしたり、高齢者の就業促進をいかに進めていくのか、こうした労働政策の今後の方向性についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
○福岡国務大臣 生産年齢人口が減少します中、労働力の確保を行い、人手不足に対して適切に対応することが重要だと認識しています。
このため、働き方改革を始めといたしまして、多様で柔軟な働き方を選択でき、安心して働くことができる環境の整備を通じて、女性、高齢者、外国人材などの活躍を促進しております。
また、リスキリングであったり、ジョブ型人事の導入、労働移動の円滑化といった三位一体の労働市場改革を推進し、生産性の向上であったり賃上げの実現に取り組むことによって人材確保に努めてまいりたいと考えています。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
多様な、そして柔軟な働き方を進めていく、これは非常に重要な考え方だというふうに思います。ただ、そうしたことを進めていく上で、やはり今の年金制度はそれの阻害要因に大きくなっているというふうに捉えております。
特に第三号の被保険者の問題は、女性が百六万円の壁、百三十万円の壁を気にして、働きたいけれども就労調整をして働く時間を抑える、こうしたことが一般的になっております。今回、年収要件、収入要件は撤廃されましたが、二十時間というのは引き続き残っておりますので、やはり多様で柔軟な働き方を進める上で、引き続きこの年金制度が大きな壁になっているというのは間違いないというふうに捉えております。
そこで、人手不足が深刻な中で労働供給を拡大していく、こうした労働政策の観点から、第三号の被保険者、この在り方を見直していくべきだというふうに考えているんですけれども、大臣、御見解はいかがでしょうか。
○福岡国務大臣 この三号につきましては、今回の審議でも度々御議論いただいているところです。
三号被保険者制度につきましては、昨年末の年金部会の議論の整理では、引き続き被用者保険の適用拡大を進めることによって対象者を縮小していくことが基本とされた上で、将来的な見直しの方向性については、第三号被保険者の実態も精緻に分析しながら、引き続き検討することが求められたところでございます。
今回の法案でも、中小企業の人手不足の状況等を踏まえまして、更なる適用拡大を盛り込んだ上で、適用拡大に伴う就業調整を抑制する等の観点から実施いたします保険料調整制度や、事業主による賃金の引上げ等を支援する各種助成金などの取組によりまして、中小企業の人材確保に資すると考えております。
こうした取組と併せまして、第三号被保険者そのものにつきましても、制度に関する様々な論点や今回の国会での御議論も踏まえながら、必要な検討を行ってまいりたいと思います。
○森(よ)委員 ありがとうございます。
やはりこの第三号の問題は、年金制度の枠組みだけで考えていると、なかなか踏み込むことが難しいんだと思います。
一方で、労働政策という観点で、今、生産年齢人口がどんどん減ってきていますから、女性の活用を促進しないと人手不足は解決できないというのは間違いないことだと思いますので、そうした労働政策の方からこの第三号の問題について後押しをしていくでしたり、そして引っ張っていく、こうしたような議論の進め方が非常に重要なのかなというふうに捉えているところでございます。
そして、女性の活躍だけではなくて、高齢者の就業促進、こちらについても大臣触れていただきましたが、基礎年金の納付期間を四十年から四十五年に延ばす議論も行われておりますが、やはりこれも年金制度の枠組みだけで考えると、なかなか議論が進まないんだというふうに捉えております。
財政検証のオプションを見ると、四十年から四十五年に延ばすことで基礎年金の所得代替率が二五・五%から二九・五%と四%上がる形になっているので、非常にこの延長というのは効果が大きい政策だというふうに捉えているところでございます。
加えて、生産年齢人口、足下を見てみると、今、十八歳以上から六十五歳未満の方、これは二〇二五年では七千万人弱いらっしゃる形になります。これが二〇四〇年になると六千万人で、一千万人減るんですね。
一方で、今、十八歳から六十五歳で見ましたけれども、十八歳から七十五歳で見ると二〇四〇年断面で七千万人弱いるので、少し働く層を増やしていくと、十五年先においても生産年齢人口は減らないというような形になりますので、高齢者の就業促進は非常に重要だというふうに考えております。
そこでお伺いするんですけれども、基礎年金の納付期間の延長というところも、高齢者の就業促進と併せて、延長に向けた議論をより前向きに、効果が大きいものですから進めていくべきだと考えておりますが、大臣の御見解、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 基礎年金の保険料拠出期間を六十五歳まで延長することにつきましては、昨年の財政検証において、前回の検証と比べて所得代替率が改善したことを踏まえ、追加的な保険料負担をお願いしてまで給付水準を改善する必要性は乏しいと判断し、今回の改正での対応を見送ることとしたものでございます。
その上で、基礎年金の拠出期間の四十五年化につきましては、今後も高齢者の就労の進展や健康寿命の延伸といった社会状況の変化が見込まれます中で、基礎年金の給付水準を確保する有効な手段の一つであり、前回改正の附帯決議においても今後検討することが求められています。
昨年末に取りまとめられました年金部会の議論の整理におきましても、引き続き議論を行うべきとされたところでございまして、こうしたことも踏まえ、今回の法律に盛り込みました検討規定に基づきまして対応を進めてまいりたいと思います。
○森(よ)委員 ありがとうございます。
最後一点お伺いしたいんですけれども、四十年から四十五年に延ばす上で、高齢者の就業促進の状況を見たりとか、あと健康寿命の延伸の状況を見たりとか、そうしたことを踏まえて導入の可否を判断していく、こうした方向性の答弁だったと思うんですけれども、それはそのとおりだというふうに思うんですけれども、ただ、何か、それだけを待っていると、いつまでたっても議論が進まないんだと思います。
なので、社会保障政策はやはり労働政策と加味して、しっかりと労働政策上、高齢者の就業促進を進めないと、女性活躍を進めないと、日本の経済が成り立たなくなることは目に見えているので、そうしたことも踏まえて、この社会保障政策の議論の中で、年金部会の議論はもちろんなんですけれども、しっかりと屋上屋で、労働政策と社会保障政策をしっかりと加味した上で俯瞰的に議論を進めることがまさに必要なんだと思うんですけれども、その点について最後にお伺いいたします。
○福岡国務大臣 今、俯瞰的に、大局的に議論を行うことが必要ではないかという御指摘でございました。そういった観点で議論していくということは大変必要なことだというふうに思います。
今申し上げましたように、社会情勢の変化もそうですが、過去に六十五歳まで延長することの議論をした中で、追加的な保険料負担、当然、将来その分給付は増えますが、その間の追加的な経済負担も発するわけですから、そういったことの理解の醸成も含めて、丁寧に議論を進めていく必要があると考えています。
○森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。是非丁寧な議論も進めていただければと思います。
最後、改めて申し上げますけれども、やはりこの年金法の審議は余りに拙速過ぎるというふうに感じております。やはり国民の理解が進んでいませんので、この進め方については、最後、疑義を申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、八幡愛君。
○八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。
年金改革法という五年に一度の重要広範ですが、提出が遅れまして、今月十六日にやっと提出されたと思ったら、それから僅か二週間余り、審議時間が足りません。本日も、なぜ午前中しかされないのか、せめて午後もやるべきでした。今日を含めて二十二時間議論をしたということで採決を決定し、そして本会議に緊急上程されるということに対して、れいわ新選組は強く抗議を表明して、質問に入ります。
まず、修正案提出者の自民党の田村憲久議員にお伺いします。
今月二十五日放送のNHK「日曜討論」にて、冒頭、本当はあんこと言われる基礎年金の底上げ部分を法案に入れたかった、立憲修正案について、入れば元に戻ると発言をされていました。
私も立憲修正案は元々の政府案と同じだと認識していますので、立憲さんのおかげで御自身が以前からやりたかったことが実現できたのかなと思っています。党内や経済界から何か言われても立憲修正案のせいにできますが、今のお気持ちを是非お聞かせください。お願いします。
○田村(憲)委員 おっしゃられるとおり、元々、私の思い入れがある部分というのは、基礎年金がこのままだと減っていくという中において、何とかマクロ経済スライド調整というものを早期に終了させ、元々一緒だったんですよ、二階部分と一階部分が、これが分かれちゃっているので、これを戻していって、早期に基礎年金部分のマクロ経済スライドを終了させるということだったわけであります。
社会保障制度審議会の年金部会でもいろいろな御意見がありました。それから、それ以外にも、SNS等々でもなかなか御理解がいただけないというような、そういう御意見もあったわけであります。
自民党の中においてはここは慎重というような形の中で、ここを抜いた部分を提出をしたというのがこの政府案であったわけでありますが、これに対しまして、立憲民主党さんが、あんこと言っていいのかどうか分かりませんが、核になる部分に関して提案をいただくということで、協議をさせていただきまして、その内容に関しましては、我々が思っている部分と思いを一つにするものであるというふうな認識の下で、今回の提出に至ったわけであります。
そういう意味では、感想というお話なんですけれども、私自身からすれば、重要な部分というものを十分に御理解をいただいての今回の提出になったのかなと思いますが、改めて、まだまだ国民の皆様方に十分な説明をしていかなければならないというふうに思っております。
○八幡委員 ありがとうございます。
当然私はこの修正案にも反対なんですが、今回すごく勉強になったなと思って。自分が実現したいことをやるためには一歩引くことも大事なんだなということを、すごく政治家として学ばせていただきました。ありがとうございます。
続いて、立憲民主党さんにお伺いします。
いつも皆さん優しく私に声をかけていただいて、右も左も分からない中、山井さんもすごい厚労の委員会の歴史なんかも教えてくださっているんですけれども、それはそれ、これはこれで、質問はストレートに行かせていただきます。
基礎年金の財源の半分は国庫で賄うと規定されているため、底上げによって、当然追加で国庫負担が必要になりますよね。四〇年度には五千億円、五〇年度は一兆七千億円、六〇年度には二兆円と膨らむ見通しが現在ありますが、緊縮財政の立憲民主党さんが考える国庫負担の財源は、やはり消費税でしょうか。
今後、消費税増税を当てにするのか、しないのか、簡潔にお答えください。お願いします。
○山井委員 まず、端的にお答えしますが、消費税増税は当てにはいたしません。
その上で御答弁しますと、国庫負担の財源についてですけれども、今回の底上げは、国庫負担が増えるだけじゃないんですよ、国庫負担を減らす効果が大きいということを御理解いただきたいんです。
具体的に言いますと、このままいくと生活保護の高齢者が百万人増えて、NIRAの報告書によると、二十兆円、国庫負担が累計で増えるという試算をNIRAが出しております、民間研究所が。
そういう中で、釈迦に説法ですけれども、大幅に年金が底上げされて、私も先日、八幡さんの本会議の質問を聞いて感動しましたけれども、本当に低年金の方、障害のある方に寄り添っておられるんですよ。そういう意味では、今回の修正案で底上げになる効果が大きいのは低年金の方、そして障害のある方なんですね。
具体的に申し上げますと、八幡さん、二十代、三十代という女性の低年金の基礎年金だけの方ですと、修正案が実現すると、政府案に比べて、二十歳の方では低年金の方で四百一万円、生涯で年金が増えます。三十歳の方でも四百一万円、就職氷河期ど真ん中の五十歳の基礎年金のみの方でも三百二十万円増えるわけですね。
そして、障害年金においても、このままいくと、一級の重度の方が、八万四千円の年金が二〇五二年度には六万九千円に減ってしまうところを、今回の修正で八万五千円に増えるわけなんです。
そういう意味では、申し上げたいのは、財源はかかる部分もありますけれども、逆に言えば、生活保護の方が大幅に減る。そして、低年金で食事も食べられない、医療にもかかれない人が大幅に減り、その分は社会コストも大幅に減るというプラスもあるんです。
その前提で申し上げますと、先ほど森さんの質問にも答弁がありましたように、今、基礎年金の国庫負担は十三・四兆円、二〇五二年にも十三・四兆円ということですから、新たに国庫負担を増やす話ではないということで、その議論も、二〇五二年に一・九兆円必要ではないか、二十七年先に一・九兆円という先の話ですので、今後検討していきたいと思っております。
○八幡委員 ありがとうございます。
大演説していただいて恐縮なんですけれども、私たちれいわ新選組、別に、国庫負担を減らすのは関係なくて、むしろ増えても全然大丈夫だという考え方ですので、そこがまず合わないのかなと思っていて。
あと、消費税、増税するものではない、増税を当てにしていないとおっしゃいましたけれども、さっきの話じゃないですけれども、やはり一歩引いたときに、与党さんが増税するといったら乗っかるのかな、そういう政治家の業というものがふと頭によぎりましたので、引き続き、消費税増税の可能性が完全に払拭できないということで、私たちは賛成することができません。
時間もなくなってまいりましたが、大臣にお伺いします。
ここまでの私の質問を聞いていただいて分かると思うんですが、まずは審議時間の短さ、そして自民、公明、立憲の三党合意からの修正案の中身を含めて、がっかりしています。これらの大臣の受け止め、お伺いします。お願いします。
○福岡国務大臣 国会における審議の在り方は国会でお決めいただくということを前提で申し上げます。
先日、三党における協議が合意に至りまして、年金制度については、党派を超えて真摯な御議論を行われたことについては敬意を表したいというふうに思います。
その上で、現在政府が提出しております法案を含めまして、その取扱い、さっきも言いましたように、国会において決めていただくものと考えておりまして、厚生労働省としては、国会の御議論の結果も踏まえ、基礎年金の水準の確保に向けた必要な措置をしっかり取ってまいりたいと思います。
○八幡委員 大臣も早口で言っていただいて、ありがとうございます。
続いて、最後の質問に行きます。
もう一問大臣にお伺いしたいんですけれども、先月の共同通信の報道で発覚した障害年金不支給問題についてです。
ちょっと説明は時間がないので割愛させていただきますが、当然、センター長の恣意で判断して影響があるというようなことになってはならないんですが、それをひそかにやり直したということ、やり直した、やり直していないのやり取りがありまして、昨日、ひそかにやり直していたということを厚生労働省が認めました。
まさにこうやって年金改革を審議しているさなか、国民にとっては、これは不信感でしかないと思うんです。年金制度には国民の信頼が不可欠です。今回の障害年金不支給報道による年金機構への不信感について、大臣はどのように受け止めておられますか。お願いします。
○福岡国務大臣 御指摘の報道につきましては、年金行政の信頼に関わる大変重要な問題でございまして、しっかり対応していく必要があるということは十分認識をしております。
このため、令和六年度におけます障害年金の認定状況について、その実態把握のための調査をすることとしておりまして、この中で、個別の事例について適正に審査されているか等を速やかに確認をすることとしています。調査の結果につきましては六月中旬に公表できるよう作業を進めておりまして、その結果を踏まえて必要な対応を取っていきたいと思います。
日本年金機構に対する国民の信頼が得られるよう、引き続きしっかり指導してまいります。
○八幡委員 この障害年金の不支給の問題については、また別途、一般質問なんかでもさせていただきたいと思っております。しっかり、年金機構を所管する厚生労働大臣として御指導をよろしくお願いいたします。
そして、やはりれいわ新選組としては、この国を守るということは、この国に生きる全ての人々を守るというところが理念としてあります。それを考えたときに、今回の年金法案については不十分だと思います。それを伝えて、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
遅れに遅れて年金法案が出されたのが五月十六日、そして、本委員会で僅か二週間、実質二週間でこの法案を上げようとすることに私は抗議をしたいと思います。本来ならば、年金受給者本人の声も聞かなければならない、地方の声も拝聴しなければならなかったのではないでしょうか。本日の質疑終了には強く反対したいと思います。
質問します。
過去の財政検証では、政府が想定する経済前提での範囲では、基礎年金のマクロ経済スライドが調整不要となる試算でありました。ところが、今回の財政検証では、成長型経済移行・継続ケースで基礎年金の調整期間を不要とするということが示されました。
調整期間が早期終了させるようにしたことを前提としたこともあるんですけれども、定年後も働く高齢者が増加している、そして、この間の厚生年金適用拡大などによって厚生年金加入者が増えて、結果として厚生年金積立金が増えていると思いますが、いかがでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
令和六年財政検証におきましては、前回、令和元年財政検証と比較して年金財政が改善したことが確認されております。
その中で、委員が御指摘になられた点はこの点だと思いますが、実質一%成長を見込んだ成長型経済移行・継続ケースにおいて、マクロ経済スライドの調整期間の一致を行うと、二〇二五年度以降、給付調整は不要という結果になってございます。こうした見通しの背景には、御指摘のように、近年の女性や高齢者の労働参加の進展、好調な積立金の運用などがあると考えています。
その上で、将来の経済の姿は不確実でございますので、社会保障である年金制度を検討するに当たっては、幅広く検討する必要があると考えておりまして、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースも併せ、幅を持って捉えていくことが重要、このように考えているところでございます。
○田村(貴)委員 積立金が増えていることを否定はされませんでした。
二〇二四年の財政検証のオプション試算によると、報酬比例部分のスライド調整期間の短縮効果はあるものの、基礎年金は変わらないとされています。標準報酬引上げと、基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライド調整期間を短縮させる措置を取った場合の組合せで、そういう試算は行われていません。
そこで、質問します。
年金部会、そして今度の三党の修正案に盛り込まれたマクロ経済スライドの調整期間の早期終了の措置というのは、年金積立金からの基礎年金拠出金の拠出方法を、現在の各制度の加入者数の頭割りから各制度の積立金の額の割合に変更しようというものであります。
この措置が講じられた場合に、厚生年金積立金の額が増えれば増えるほど、基礎年金の財政状況が改善し、結果的にマクロ経済スライド調整期間が短くなります。標準報酬月額上限の引上げは、厚生年金の積立金を更に増やすことにもつながります。早期終了の措置を講じた上で更に標準報酬月額を引き上げることで、基礎年金の調整期間は更に短くなっていくのではないでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
令和六年財政検証の結果によると、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースで、今回の制度改正の適用拡大を実施した上でマクロ経済スライドの調整の早期終了の措置を実施すると、二〇三八年度以降、給付調整は不要という結果でございます。これは委員御指摘のとおりでございます。
今回の法案では、標準報酬月額の上限を現行の六十五万円から七十五万円まで引き上げることとしておりますけれども、ここから仮に、令和六年財政検証のオプション試算で試算しておりました九十八万円まで引き上げたとしても、マクロ経済スライド調整期間への影響は一年程度と、限定的と考えてございます。
○田村(貴)委員 マクロ経済スライド制の早期終了の措置を講じた上で標準報酬月額の上限を引き上げることで年金積立金が増加したら、結果的に、厚生年金、基礎年金の調整期間は更に短縮するのではないか、私の方でそのことを厚労省の担当者に聞きますと、まあ、そうではないかというふうに述べられました。厚生年金積立金を活用して調整期間を早期終了させる措置は、基礎年金のマクロ経済スライドの調整期間を大幅に短縮させる、このことは財政検証でも示されています。
そこで、お伺いします。
厚生年金の標準報酬月額を医療保険並みに抜本的に引き上げる、そして更に厚生年金の適用拡大を進めていく、そうすれば、基礎年金や厚生年金のマクロ経済スライド調整期間の大幅短縮によって、極端に高い経済前提を置かなくとも、調整期間の大幅短縮は可能になる、調整は不必要になっていくと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 マクロ経済スライドによる給付調整を早期に終了させ、基礎年金の給付水準を確保すること、これは重要な課題であると認識をしております。
そのため、まずは政府の目指す成長型経済を実現することが重要だと考えています。その上で、今回の法案にも、被用者保険の適用拡大であったり標準報酬月額の上限の引上げなど、必要な改正を盛り込んでおり、御審議の内容や次の財政検証の結果も踏まえ、今御指摘いただいたことも含めて適切に検討し、必要な措置を講ずることとしたいと思います。
なお、御指摘の標準報酬月額の上限の更なる引上げであったり更なる適用拡大が調整期間に与える影響につきましては、令和六年財政検証の結果によりますと、仮にマクロ経済スライドの調整期間の一致を行った上で更なる適用拡大を実施したとしても、所得代替率の上昇はごく僅かであることであったり、標準報酬月額の上限を九十八万円まで引き上げたとしても、所得代替率への影響は限定的であることを踏まえますと、まずは今回の法案に盛り込んだ内容を着実に施行していくことが重要だと考えております。
○田村(貴)委員 元々の政府の考え方、それから今度の修正合意を経ても、やはり物価が上がって、そしてそれに年金が追いつかない期間というのは、まだ十数年続いていくわけなんですね。その判断も五年後にするということで、これは毎日の物価高騰に苦しんでいる年金受給者から見たら、いつになったら希望が見えてくるのかといったところは、やはり受け止めていただきたいと思います。
修正案提出者の方にもお伺いします。
マクロ経済スライドの同時終了の措置を取ったとしても、今後、更に十数年間、二〇三七年度まで年金の実質削減が続いてまいります。貧困化が進んでいる高齢者の現状を考えますと、一割もの年金額の実質減少というのは、特に低年金者にとっては耐え難いものである。憲法二十五条に保障された最低限度の生活も維持できないという高齢者、受給者の方が出現する。現に出現しているんだけれども、それが増えるのではないかと危惧します。
私たちも修正案を出しました。マクロ経済スライド調整期間の早期終了の措置を取ると同時に、法案では速やかな停止となっていますが、私たちは、もう即時停止という思いでこの修正案を出しています。厚生年金の標準報酬月額上限の医療保険並みの水準の引上げ、これも提案しています。厚生年金の更なる適用拡大、二百万人ですけれども、政府のシミュレーションでも、もっとできるというのもあります。これを進めていったら、現実的な経済前提でマクロ経済スライドを停止させることは可能だと考えます。
このような措置を取って、年金額の実質水準の削減をやはり止めていくことが必要ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○長妻委員 お答えをいたします。
私も、マクロ経済スライドを一刻も早く止めたい、こういう強い思いを持っております。だからこそ、今国会でこの法案を、何とか、あんこを入れたものを成立させたいということです。
今おっしゃっていただいたように、標準報酬月額を医療保険並みに上げるということである場合、もちろん、ほかの医療保険の保険料とは違って、年金受給額もいっぱい差し上げないといけないんですね、相当。そういう意味では、当然、財政は一定程度改善しますけれども、その改善幅は非常に少ないわけです。
あと、おっしゃっていただいた適用拡大、今回は二百万人でありますが、これを仮に週十時間というふうに下げますと、八百万人以上ということになって、これはかなりの改善効果があるわけでございますが、これについては、やはり事業主の負担とか、御本人、三号の問題とか、今回の法案の適用拡大ですら、相当いろいろな利害関係の調節というのが必要になってまいりましたので、これも私たちは追求したいとは思いますものの、これが今でき得る限りの法案のベストなものであるというふうに考えておりますので、何とか、早期終了の我々の思いを理解をいただきたいというふうに思います。
○田村(貴)委員 終わります。
○藤丸委員長 これより内閣総理大臣出席の下、質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。上野賢一郎君。
○上野委員 自由民主党の上野賢一郎です。
政府提出の法案と、それから、自民党、公明党、立憲民主党、三党の共同提出をいたしました修正案につきまして、総理に質問をさせていただきます。
公的年金制度、言うまでもなく、国民そして高齢期の皆さんの生活の根幹を支えるものだと思います。今、平均寿命あるいは健康寿命の延伸であったり、ライフスタイルの多様化、高齢者や女性の就業拡大など、社会経済の変化に的確に対応した、時代に合った制度にしていくことが大事であります。また、長期的にその役割を十分に発揮できるような持続可能性、そうした観点も非常に大切だと考えています。
我が党といたしましても、昨年七月に財政検証が公表された後に、法案の提出までに党の部会等を断続的に開催をさせていただき、労使等の関係団体あるいは専門家の皆様からのヒアリングも含め、丁寧に議論を進めてまいりました。
とりわけ、経済が成長型経済に移行したケースにおきましては、相当程度、所得の代替率が確保できますが、デフレ経済が継続をした過去三十年の状況を投影をしたケースにおきましては、基礎年金の給付水準の低下について深刻な見通しが示されたわけであります。この点をどう考慮し、どう対応していくか、様々な御意見がありますが、私としては非常に重要な論点だと考えてまいりました。
年金制度改革につきましては、必ずしも経済状況が芳しくない、そうした状況に際してどういった対応をしていくのか、ある意味、保守的な立場に立った制度設計も重要だと考えています。このため、法案の提出後に、立憲民主党さんからの御提案を踏まえ、三党による修正協議を行わせていただきました。
次期財政検証において、社会経済情勢の変化を見極めながら、基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合には、基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライドを同時に終了させる措置により基礎年金の給付水準の向上を図る、このことの重要性につきまして認識を共有ができ、一昨日には、政治決断として三党共同での修正案を提出させていただいたところであります。
そこで、総理にお伺いをしたいと思います。
今般の提出法案におきましては、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の要件緩和、標準報酬の上限引上げ、iDeCoの加入可能年限の拡大など、現在の年金受給者にも配慮をしながら、今の若い方が老後に受け取れる年金、これをより厚くしていく大事な改正内容が含まれているところであります。また、修正案におきましても、将来的な基礎年金の水準の向上を図るための措置が盛り込まれたところであります。
改めて総理にお伺いをしたいのは、今般のこのような財政検証の結果であったり、あるいは社会経済情勢の変化を踏まえ、どのような思想で今回の年金改革を企図してきたのか、その本質的な意味合いというのをお伺いをしたいと思います。
また、次期検証までの四年間、非常に大事な期間になると思いますが、どのような問題意識を持って年金改革に取り組んでいかれるつもりか、そのお考えをお伺いをしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 昨年行いました財政検証におきましては、政府として移行を目指す成長型経済では、現行制度を前提といたしましても、将来の年金の給付水準がおおむね維持される、そういう見通しでございました。今後、経済が順調に推移しない場合には、基礎年金のマクロ経済スライドの調整期間が今後三十年余り続きまして、給付水準が低下するおそれがあるというようなことが確認をされたものでございます。
加えまして、平均寿命、健康寿命が延伸する一方におきまして、少子高齢化の進行、人手不足、そのような社会経済の変化が見られます。
これらを踏まえて、より御希望に応じた働き方が実現できる制度の構築、現在及び将来の高齢者の生活の安定に更に取り組む、そういう必要があるものと考えまして、今回の法案の提出に至ったものでございます。
今後は、まず、今回のこの重要な法案につきまして丁寧に説明していくことが重要であります。その上で、国会におきます御議論も踏まえまして、多岐にわたる重要な改正事項を着実に実行に移してまいりたいと考えております。
次期財政検証に向けましては、今回、検討規定として盛り込んだ基礎年金の拠出期間の延長、第三号被保険者の在り方といった、そのような大きな論点につきまして着実に議論を進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○上野委員 時間が来ましたので、終わります。
○藤丸委員長 次に、長妻昭君。
○長妻委員 よろしくお願いをいたします。
まず、石破総理、石破さん、ちょっと苦言を呈したいんですけれども、今回の年金の法案、三月に出すというふうに約束したにもかかわらず、ごたごた、自民党の中、そして、四月に出すと約束したにもかかわらず、出てこない。やっと五月に出てきて、非常に時間が短い中、私どもも、本当に今ラストチャンスなんですね、現役世代の年金の目減りを、厚生年金の目減りを防ぐ。そういう意味では、懸命な思いで、目減りを防ぐ、厚生年金、現役世代、これを防ぐような修正案を出して、そして、ぎりぎり今審議をしているということなので、まず、もっと早期に出していただきたかったということを強く申し上げておきたいと思います。
今回の修正案は、私は、一言で言うと、現役世代年金三割カット防止法案、こういうような意味合いが強いと思うんですが、この修正案、年金の底上げについて総理の考えるメリットと、モデル世帯で節目節目でどのぐらい金額が一生涯の間増えるのか、端的にお答えいただければと思います。
○石破内閣総理大臣 御党を含めました三党から提出のありました修正案につきましては、将来の幅広い世代の基礎年金の給付水準の確保を可能にするもの、このように考えておりまして、三党で合意できたことは大変意義深いと考えております。
その上で、修正案も含めた法案の取扱いにつきましては、国会でお決めいただくものと考えておるところでございます。
お尋ねでございますが、そうした中で、修正案が実現いたしました場合、令和六年財政検証に基づいて実質ゼロ成長を見込んだケースで、年代別の御夫婦の年金受給総額を機械的に試算をいたしますと、現在六十歳の方は九十九万円、五十歳の方は三百八十九万円、四十歳の方は五百四十一万円、三十歳の方は五百四十六万円、二十歳の方は五百四十六万円増加する見込みとなっております。
基礎年金は、自営業者などが加入する国民年金のみならず、サラリーマンの皆様方が加入しておられる厚生年金の受給者を含む全てに共通する給付でございまして、政府といたしましても、基礎年金の位置づけ、修正案が実現した場合における効果及び改正の趣旨について、丁寧に説明をいたしてまいりたいと考えております。
○長妻委員 ありがとうございます。そのとおりだと思いますね。
こういう表を作ったのでございますけれども、これは、政府の試算に基づいて、今回の修正案が、措置が実行された場合、本当に、現役世代の方々、就職氷河期を含めて、ぐっとその年金額が増えるということで、逆に言うと、これが減ってしまうわけですね。減るのを抑えるという意味合いもあるわけでございます。これは赤が女性でございますけれども、女性ほど、そして年齢が下がれば下がるほど、厚生年金の受給額が増えていくということでございます。そして、一時的に減少する高齢者の方々が、受給者がおられますので、そこは、緩和する措置を取るということは条文に明記をしております。
ただ、今そういう受給者の方も、二〇三八年を過ぎますと、今度は増加にどんどん順次転じてまいりますので、そういう意味では、ある意味では、一部の高齢世代の年金受給額の伸びを抑えて現役世代の将来の受給額の減少を防ぐ、こういう世代間格差の是正という意味合いもあるというふうに承知をしております。
そしてもう一点、首相に改めて確認なんですが、今ちょっと誤解がありまして、先ほども首相が御答弁いただいたように、厚生年金の積立金、これも、実は今も拠出金ということで基礎年金に充てられているんですね、一部が。その割合を少し増やして、そして基礎年金を底上げするということなんですが、これは、基礎年金の底上げというのは自営業者だけが得するんじゃないのか、基礎年金は俺たちに関係ないんじゃないかというふうに厚生年金受給者の方でも誤解が広がっているんですが、受給ベースでいうと、基礎年金の何%の上に厚生年金が乗っかっているのか、改めて政府の見解を述べていただければ。
○石破内閣総理大臣 厚生労働省の統計によりますれば、令和六年三月末時点で、六十五歳の老齢基礎年金の受給権がある方は約百六万人でございます。このうち基礎年金のみの方は約六万人、割合にすると五%ということになります。
したがいまして、基礎年金に加えて厚生年金も受給権がある方の割合は九五%ということに相なります。
○長妻委員 これは、政府の見解、私もそのとおりだと思いますが、つまり、基礎年金を充実するということは、基礎年金の九五%の上に厚生年金の二階建て部分が乗っかっている、厚生年金受給者が底上げになるということなんですね。
じゃ、五%の方々、国民年金。ただ、実は国民年金も、四割がパートとか正社員の方なんですね。厚生年金に入れない方、自営業の方は四人に一人なんですが、じゃ、その五%に当たってしまうではないかということも言われるんですが、ただ、それを上回る国庫負担、国の税金が、基礎年金が上がることによって、その半額が税金なので、その税の厚さも厚くなって、全体が厚生年金底上げになる、こういう効果があるわけです。
新規財源という話もありますが、実態としては、基礎年金、三割減るのをほっておきますと、税の負担も下がってくる。これを逃がさないようにするというのも、税の負担を維持していくというようなことも今回の眼目でございます。
こういう表を厚労省の御指導もいただいて作ったのでございますが、この左から右に行くというイメージなんですね。厚生年金、二階建ての積立金、二階建ての厚生年金の原資が基礎年金拠出金ということで、今も、これまでも拠出しているんですが、その割合を少し増やして基礎年金に入れることで基礎年金を厚くして、そして、かつ、国庫負担、国の税を逃さない、二分の一なので。そういうような形で三割の目減りを防止をしていくということで、全体が底上げになるということであります。
将来的に、総理は国会で、九十何%の方が、将来、年金が、厚生年金が上がると御答弁されましたけれども、じゃ、上がらない方は何%ぐらいで、その属性、年収も教えていただければと思います。
○石破内閣総理大臣 令和六年財政検証の慎重な想定でございます過去三十年投影ケースに基づく試算におきまして、修正案にあります、基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させる措置を実施いたしました場合、最終的には九九・九%を超えるほぼ全ての厚生年金受給者の方の給付水準が上昇する、このように見込まれておるところでございますが、この試算で給付水準が上昇しない〇・一%の方ってどんな人というお尋ねかと存じます。
こういう方々は、四十年間の年収が毎年、標準報酬の上限に相当する一千八十万円以上の方、四十年前から一千八十万円という方々でございます。こうした方々につきましては、厚生年金の給付額が、当然のことでありますが、極めて大きくなりますので、その減額幅が基礎年金の増額幅を上回ることが見込まれる、このように承知をしておるところでございます。
○長妻委員 ありがとうございます。
そして、私どもも、今回の年金の改革というのは、非常に大きなものではあるものの、あくまでも一里塚だということを考えているところで、不断の改革が年金は必要だと思うんですが、その中で、総理はそういう認識を同じくするのか否か、そして、総理はどんな改革が必要だと考えておられるのか、端的にお答えできれば。
○石破内閣総理大臣 年金制度につきましては、今回の法案で一定の見直しが進むことになりますが、法案の検討規定にも盛り込んだ基礎年金の拠出期間延長あるいは第三号被保険者制度の在り方につきましては、今後とも議論が必要である、このように考えております。
○長妻委員 私も同感です、拠出期間四十五年。ただ、いろいろなハードルはありますけれども、相当、この厚生年金グループは不公平になっている部分もありますし。あと、三号の問題も、これも相当、不公平だという声がありますので、これらを含めた改革というのが必要だというふうに思います。ただ、いろいろなハードルがありますので、それをやはり国会の中で議論をしていく。
そして、先日、我が党の野田代表と公明党の代表と石破自民党総裁と党首会談をしまして、今回の年金の合意が見られたときに、我が党の野田代表が石破総裁、石破首相に、与野党の年金改革の協議の場をやはりセットする必要があるんじゃないか、そういうような御要請をしたというふうに承知しておりますが、これは石破総理というか石破総裁として、今後、与野党の協議の場を設置する、こういうことについては、いかがお考えでしょうか。
○石破内閣総理大臣 これは委員もお気をつけておられて、総理、総裁というのを使い分けて御質問いただいたところでありますが、年金制度は国民全体に関わる大きな仕組みでございます。国会でも各党から様々な御意見をいただいておるところでありますので、協議の在り方につきましては、国会において適切に御議論をいただくのがよい、そのように考えております。与野党におきまして、広い合意を形成するべく真摯に御協議を行う、こういうことが重要であると私自身思っておるところでございます。
ですから、与野党において真摯に協議を行うことは重要だというふうに申し上げました。その上で、協議の在り方につきましては、国会において適切なものを御議論いただくということが望ましいと私は考えておるところであります。
○長妻委員 ちょっと何かよく分からないような、厚労委員会は普通にいつも議論しているわけですから、それと同じような話じゃなくて、一定の協議体を設けて、年金に特化して、私は、一年とか年単位ということも必要かもしれませんし、相当いろいろな意識合わせを国会の中でしていくということも必要だと思います。
そういうような協議体というのを我が党の野田代表は申し入れたというふうに承知しているんですが、与野党で協議体を設けよう、これについては、総裁としていかがですか。
○石破内閣総理大臣 ここで総裁として答弁をするということがふさわしいかどうか、それはちょっと私には分かりません。今、私は内閣総理大臣としてこの場に立っておりますので、総裁としてどうなのだというふうなお尋ねでございますが、ここで確たることを申し上げることは難しいかと思います。
ただ、物が物でございますので、広いといいますか、多くの政党の方が御参加をいただいて御協議をいただく。そして、そんなに年数が残っているとも私自身は思っておりません。私自身、議員になって四十年目になりますが、最初から、消費税の絡みもございまして、この年金制度をどうするのかという議論をいたしてまいりました。もう随分前のことでございます。
時間が残っておりませんので、そういうような議論をする場というものは、どういうものがふさわしいかということは、各党からいろいろな御意見も賜りまして、その上で総裁として判断をするという場面はあろうかと思っております。
○長妻委員 そして、最後の質問でありますけれども、配付資料の三ページ目でございますけれども、これも、私も改めてなるほどと思うんですが、今の生活保護を受給している六十五歳以上の方の年金の受給割合なんですよ。
生活保護も受給している、年金も受給しているという方が、六十五歳以上で七割以上おられる。つまり、年金だけでは最低限の生活ができないというようなことであります。ましてや、今回の法律、修正案が成立しなければ、私は、生活保護の増加がどんどんどんどん加速するんじゃないかと思うんですね。
全体の財源を考えるときに、年金だけで考えるのではなくて、ほかの先進国は、年金制度を議論するときに、生活扶助、この制度と相まって、一体として議論している国もあるわけでございまして、これは、石破首相と、私、予算委員会で質疑させていただいたときに、配付資料に議事録をつけておりますが、石破首相も、年金の水準が下がる、これを放置しておくと生活保護が増加する可能性が高いとおっしゃっておられます。
これについて、もちろんいろいろな前提条件を置く必要はありますけれども、もう少し精緻な、検討会議みたいなものを政府の中に、学者さんを入れて設置をして、年金がこれだけ下がると生活保護がこれだけ増える可能性がある、つまり、年金が増えれば、この差額が生活扶助になるわけですから、その生活扶助の差額が減るわけで、そういう意味では、財政についてどういう影響があるのか、年金が増える、減るについて、生活保護にどういう相関関係、財政への影響があるのか、そういう有識者を入れた検討会議を是非設置してほしいと思うんですが、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 委員御指摘のように、これは、その両者がどういう相関関係にあるか、制度として別のものでございますので、そこはいろいろな含意を込めて相関関係とおっしゃったんだろうと思っております。また、経済情勢がどう変わるのか、多くの要因が影響いたしますので、将来の生活保護の受給者の見込みということを推計してみろと言われても、これはなかなか難しいところがございます。
その上で申し上げますが、先日のこの委員会におきまして、厚労大臣から、どのような研究ができるかも含めまして、宿題という言い方をいたしますれば、宿題として預からせていただきたいというふうに厚労大臣から答弁をさせていただいておるところでございます。
御指摘も踏まえまして、どのような対応が可能なのか、望ましいのかということは、御指摘も踏まえて、政府、なかんずく厚生労働省において検討をいたさせます。
○長妻委員 これは、どのような対応がいいかどうかというのは、やらないということも含まれていると思うんですよね。
じゃ、やるという前提で、そういう研究、検討をするという前提でというのを、ちょっと一言。そういう前提で検討する。
○石破内閣総理大臣 宿題はやらないと叱られますので、ちゃんとやります。
○長妻委員 本当に私も長年いろいろ国会で質疑しておりますけれども、総理の今みたいな一言というのは相当大きいんですね。
今、宿題はやらないと叱られるということは、やはり検討を前提としてやっていくということだということを、もう一回だけ念を押させていただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 それは、どういうやり方がふさわしいのかということは、これはもう党利党略でも何でもございませんので、責任を持つ政府といたしまして、それを検討するという場を設けるということは、それはあってしかるべきだと思っております。
○長妻委員 どうもありがとうございました。
将来世代、氷河期世代を含む現役世代の年金、厚生年金の目減りを防いでいくという、非常に、もう待ったなしの課題が、この修正案、入っておりますので、何とか一刻も早くこれを食い止めたいという思いがございますので、是非、私たちも取り組んで、頑張っていきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、青柳仁士君。
○青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。
昨日、福岡大臣の方に、日本維新の会としての年金の今回の制度改革に関する提言書をお届けさせていただきました。今日はその内容について、もう時間がありませんので、短く御質問させていただきます。
まず、質問に入る前に、総理に一点。御自身の認識として、基礎年金というのは何のためにあるとお考えですか。
○石破内閣総理大臣 それは、国民の、高齢になられた方々の生活の安定というものにある制度でございます。
○青柳(仁)委員 まさにおっしゃるとおりだと思います。高齢になられた方々、それ以上働くのが、現役時代と同じように働くことができなくなった方々にとって、生活の安定、その保障をするためにある保険なんですね。
しかしながら、今、四十年間、被保険者として保険料を支払い続けた基礎年金の方、受け取れる金額は六万九千三百八円です。この金額で本当に老後の生活を支えられると思いますか。もしそうでないとしたら、死ぬまで働かなきゃいけない、そういうものだと考えておられますか。
○石破内閣総理大臣 それは、ただいまの物価水準から考えまして、それで安心して暮らせるかということを考えれば、困難であるというふうに、それは言わざるを得ません。
そこにおいて、では幾つまで働くのか、そして、そうであることを念頭に、どれだけ貯蓄というものを行うのか。どれだけ勤労というものに従事をするか、そしてどれだけ将来に備えて貯蓄をするか、そういうことが全部組み合わさってあるものでございまして、年金だけで安心して暮らせるということは、それは理想かもしれませんが、制度の趣旨から申しましても、それは難しいということがございます。
だからいいというふうに開き直るのではございません。それがどうやって安定的に継続するかということが年金制度のポイントだと承知をいたしております。
○青柳(仁)委員 この議論の中で、流用かどうかという話の中にもあるんですが、まず申し上げたいのは、基礎年金だけしか受け取れない方、あるいは基礎年金も十分に受け取れない方が現実にいらっしゃるということです。貯蓄であるとかあるいは厚生年金の二階建て部分、これによって賄えるのである、あるいは、iDeCoだとかNISAだとか、そういう積立方式もあるのである、制度としては分かるんですけれども、それに頼れない方がいらっしゃるということなんです。
それから、これは流用ではないという話、基礎年金の底上げの話でも出てきましたけれども、これも、これまでずっと会社員を、勤めてきて、厚生年金を支払い続けた方々がたくさんおられるんです。その方々からすれば、その自分たちが積み上げた積立金をほかの方々のところに使っているものを流用と言うのは、これは私は当然のことだ、当然の認識だというふうに思います。(発言する者あり)いや、解釈ではありませんね。
ですので……(発言する者あり)ちょっと静粛にお願いできますか、時間がありませんので。
○藤丸委員長 静粛にお願いします。
○青柳(仁)委員 ですので、我々が提言させていただいているのは、基礎年金。年金制度というのはすばらしい保険制度です。将来の国民の皆さんの暮らしを支えるというもの、そして、一番損をしてしまう人は残念ながら早死にされた方ということで、要するに、損をした方は自分が損をしたということに気づかないという、保険制度としては非常に合理的な仕組みであります。
そうした中で、最低の老後の生活をきっちりと保障できるような年金制度というものをやはり基礎年金でつくっていくべきだと考えておりまして、これを最低保障年金という形で、まずは一階部分で、全ての国民がしっかり安心できるような仕組みをつくるべきだということを提言させていただいております。
そのためには、こういう議論をここでしていても仕方がないと思っておりまして、例えば、現役世代の定義の見直しということ、こういうことも考えていかなきゃいけない。生産年齢人口は、今、十五歳から六十五歳ですけれども、これが今、昔と比べて、高齢者の方々、大分元気な方がたくさんおられます、まだまだ働きたいという方がおられます。そういう定義を見直していくこと。それから、第三号被保険者の話もこれまで出てきました。
こういった、今回取り上げられていない、本当の意味での抜本改革、これを行っていくことによって、本当の意味で、全国民が、老後の最低生活を保障できるような仕組み、一階建て部分でそれを提供していくべきではないかということをまずは提言させていただいているんですけれども、これについて総理のお考えをお聞かせいただければと思います。
○石破内閣総理大臣 それは、ゼロから制度を設計するとすれば、そういう議論は当然あり得るものでございます。
それは、最低保障年金というもののイメージというのはそういうことなのかもしれませんが、仮に、そういうような最低保障年金というものをつくりました場合の制度設計、これは内容について議論をしなければなりませんが、保険料納付実績と無関係に一定額の年金を保障するということであると仮にするならば、これには物すごい税金が必要になるということが一つ。
もう一つは、これまで保険料を一生懸命払ってきた人と払ってこなかった人というのが両方存在するわけで、ここにおいてどうやって公平性を確保するのかというのは極めて難しい問題であると承知をいたしております。
ゼロからつくるのであれば、そういう議論もあり得るだろう。私は、それを等閑視すると申し上げているわけではございませんが、そこにおいて、公平性をどう確保するのか、必要となる税金はどれぐらいなのか、それはどうやって捻出をするのか等々、そういうような御議論を賜ることが必要である、このように考えております。
○青柳(仁)委員 まさに、ゼロから考えてみるというぐらいの議論が必要ではないかということを申し上げております。
というのは、今、六万九千三百八円で一か月暮らせませんね。その暮らせない年金が、今、生活保護受給者の方は、生活扶助だけで七、八万です、住宅扶助で四、五万、プラス、医療費はただです。だから、こっちの方が、資産を持たない方は、そして今、生活保護の受給者の五五%は六十五歳以上の高齢者です。
ですから、早晩モラルハザードが起きてもおかしくないような状況にあって、今の制度を前提に、またマクロ経済スライドで更にその額を落としていく、それを落とさないように基金の積立金とかを使って何とか維持する、こんなびほう策を繰り返していても、将来不安は払拭できないと思うんです。
そういった議論を本来は行わなきゃいけないと思うんですけれども、今回のこの委員会、十日間しかやっていないわけですよ。先週の火曜日に審議入りをしまして、今日、何か採決したいとかといって筆頭間で決まったら、ほかの会派はそれに従え、こういう話ですよね。こんな十日間の議論で抜本改革を訴えたって、それこそ、今、全然、全く視野の狭い方々が何かよく分からないやじを飛ばしてきますけれども……(発言する者あり)ちょっと、私の審議時間ですから、黙ってください。お静かにお願いできますか。
○藤丸委員長 お静かにお願いいたします。お静かに。
○青柳(仁)委員 いずれにしましても、そういった、ちゃんとした抜本的な議論を行うような期間、そして、その場が必要ではないかというふうに思うわけです。ですので、そういった議論を行うための社会保障国民会議というものを提案させていただいております。
イギリスでは、近年、二階建てだった年金制度を一階建てにする、こういう抜本改革を行いました。そのために、超党派の、政局を超えた専門の協議体というのをつくりました。
こういった議論を一年ぐらい続けて初めてそれぐらいの抜本改革ができると思うんですけれども、そういった仕組みがまさにこの日本でも必要なのではないかというふうに思うんですが、それについて総理のお考えをお聞かせできますか。
○石破内閣総理大臣 それはいろいろなお考えがありますが、各党において本当に真摯な議論が積み重ねられてきたのだと私は思っております。ここでばたばたとやってしまうということではなくて、各党において本当に真剣な議論を積み重ねた結果が、今日のこの委員会に結実しておると私は思っております。
また、生活保護とモラルハザードの関係というのは、かなり気をつけなければいけないことでありまして、生活保護を受給されるに至った方々、そこがモラルハザードとどういう関係にあるのか、私は、それを全てネガティブ、全てとは申しませんが、ネガティブに捉えるということには、余り共感を持っておりません。そういう方々が本当にどれだけつらい思いをしておられるかということもよく承知をしておるつもりでございます。
今、せっかくの委員の御提案でございますが、イギリスでそういうような委員会というものがあることは承知をいたしております。二〇〇二年に産業界、労働界、学識者で構成された、高い独立性を持ったものでございまして、そうであるがゆえに、この年金委員会というのは党派性というものが排除されております。党派性を排除し、高い独立性を持ち、年金改革の方向性が示されたというものでございまして、そのような中で、所得比例の年金を基礎年金に統合して、定額給付の新たな年金を創設したものでございます。
ここは、政党同士の争いというよりも、そこで党派性をいかに排除するかという観点もあろうかと思います。しかしながら、ここにおいて、先ほど申し上げましたように、多くの党の方々が本当に真剣な御議論をされた後に今日の委員会があるというふうに承知を私はいたしておるところでございます。
○青柳(仁)委員 その今日の委員会というのは先週火曜日に始まったものですので、その前の議論に参加させていただけないほかの政党、全て同じ立場だと思いますが、そういう仕組みではなくて、強引に案を作って、先に筆頭間で話をまとめて、ここで採決をする、こういう修正内容で終わらせる、こういうことではなくて、きちんとした国民のための議論をやっていくべきだと思っておりますので、それを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党、浅野哲でございます。
今日は、前半は総理に、そして、後半は修正案提出者にお伺いをいたします。
まず総理に伺いますが、今回、国民年金法案等の改正ということです。非常に、現役世代から高齢者世代の皆様まで幅広い方が影響を受ける、また、我々のような現役世代からすると、将来に対する不安や期待、そしてそれらが国民の消費行動にすら影響を与えかねない、非常に重要な法案だと思います。
今回、政府提出法案の内容について端的にお伺いしますが、今回の政府提出法案の内容、その不可欠性を総理はどう御説明されますか。
○石破内閣総理大臣 不可欠性というのは、なぜこの法案が必要なのかというお尋ねかと思います。
今回の年金改正法案、これは委員会でも、また本会議でも説明をいたしておるところでございますが、百六万円の壁を撤廃するということ、これによりまして被用者保険の適用を拡大する、また、就労収入を得ながら年金をより多く受け取れるようにする在職老齢年金制度の見直し、iDeCoの加入可能年齢を七十まで拡大する。
ですので、不可欠性ということをお尋ねですが、持続可能性をどう確保をするか、持続するだけでは駄目なので、将来の受給者の給付を充実させる、現在の受給者の年金も増額させる、これは実に難しいことなのですが、それをいかにして成就をするかという観点から、今回の法案は不可欠だというふうに考えておるところでございます。
○浅野委員 制度の持続可能性の強化、そして将来の給付金額水準の引上げ、また現在の給付内容の拡充、こういったことを今総理はおっしゃられました。
であれば、二問目の通告です。
今回、当初の政府案に含まれていたマクロ経済スライドの同時終了措置、これが自民党の事前審査の中で削除されることになりました。今日は総理というお立場での答弁になりますけれども、自民党内でどのような理由が最も核心的な削除理由だったのか。それは、総裁としてもそうですが、総理としても、自ら提案した法案の中身からある重要な部分を落とす判断をするためには、そこを把握しておく必要があると思います。なぜ削除されたのか、その核心的理由は何だったのか、お答えください。
○石破内閣総理大臣 これは、政府部内の専門家の皆さん方の議論、審議会等々でございます、ここにおきましても、保険料、拠出金、積立金の関係が分かりづらい、また、基礎年金につきまして、将来にわたって一定の給付水準を確保しなければならない、であるが、保険料、拠出金、積立金の関係が分かりづらいということで、これは慎重論、賛成論、政府部内でも意見が分かれておりました。それは素人がやっているわけじゃなくて、専門家の間でも意見が分かれたということでございますし、我が党の中におきましても、本当にこのことを一生懸命やっておられる方々の中でもいろいろな意見があったということでございます。
これは国民生活に直結するお話でございますので、えいやといって決められるものでもございません。両方の議論があったということがこの背景だということだと承知をいたしております。
○浅野委員 そのような背景の中で、一旦は削除するというふうに決めたこの同時終了措置が、今回、与党と立憲民主党の共同提案で再度入れ込むという修正案が提出されました。
これは、我々としてもその必要性は認めております。厚生年金積立金の一部を使って基礎年金の底上げを図る、流用か流用でないかということについてはいろいろな議論がこの委員会でもありました。理解できます。ただ、それをやるならば、同時に、先ほど来出ている四十五年間への延長、納付期間の延長であったり、対象の更なる拡大もセットでしっかりやるという方向でこの法の中身に入れ込むべきだと私は思います。
総理も、検討はしていくと先ほどもおっしゃっていましたけれども、改めて、その検討に向けた思いを確認させてください。
○石破内閣総理大臣 今の浅野委員がおっしゃることは、それは我が党の中でもそうです。政府の中でもそうです。そうあるべきではないかということの認識はほぼ共通しておろうかと思います。
ただ、今回、では、マクロ経済スライドの部分を除いてなぜ法案を出したのかということを考えましたときに、百六万円の壁を撤廃をして被用者保険の適用を拡大するであるとか、在職老齢年金制度を見直すでありますとか、そういうように、やはりこれも重要だよね、どれがあんパンのあんこかどうかは議論は別として、そういうことも必要であるということで法案の提出に至ったものでございます。
マクロ経済スライドにつきましては、先ほど来御議論があるように、そのことについてもこれから先、様々な観点から、また次の検証も含めまして議論をし、成案を得るということが方向性としては言えようかと思います。
○浅野委員 ちょっと、修正案提出者に聞く前に、もう一問だけ総理に聞かせてください。
私の趣旨は、マクロ経済スライドの同時終了を戻すのであれば、併せて延長の議論だとか対象者の拡大の議論もしっかり修正案の中に盛り込んでおくべきじゃないかと。今の法案の附則にあるのは、検討する規定だけなんです。どっちに結論が転ぶかまでは示していないんです。だから、こっちの方向で、入れる方向でやるというところまで入れていただきたいというのが我々の思いなんです。
それに対して、時間がありません、大臣、是非今後、協議体を設置することも検討するとありました。我々もそれには賛成です。より幅広い関係者を入れた協議体をできるだけ早く立ち上げていただきたいと思います。これに対して一言だけいただけますか。
○福岡国務大臣 そこは、幅広い議論を形成していくということについての必要性は認識しておりますので、どういう形で協議をしていくか、今後検討を進めてまいりたいと思います。
○浅野委員 ありがとうございます。
最後に、修正案提出者にお伺いいたします。
今回、修正案の中身は、附則に、基礎年金の底上げと、減額影響を受ける対象者への配慮措置を検討し、そして次回財政検証の後までに何らかの法的措置を取る、こういうことです。
つまり、あと五年近く検討の期間がありますが、なぜ今国会で成立させなければならないのか、その不可欠性を是非お答えください。
○古賀委員 浅野委員の問題意識は共有させていただくところでありますが、その上で、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了につきましては、できる限り早期に具体的な仕組みの検討、また、先ほど、厚生年金の積立金の流用というような御指摘も質問であっておりましたが、前の委員ですね、こういったことも含めて、やはり国民の方への丁寧な説明が必要だということで、この点について、年金制度への信頼向上のために今回こういった修正案になっております。
先ほど御指摘がありました基礎年金の拠出期間の延長ですとか第三号被保険者の在り方は、検討規定ということで含まれておりまして、次期財政検証に向けて十分な検証を政府に求めていきたいと考えるところであります。
○浅野委員 終わります。
○藤丸委員長 次に、沼崎満子君。
○沼崎委員 公明党の沼崎満子です。
本日は、初めて総理に向けて質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
日本は、世界でも類を見ない速さで急速に少子高齢化が進行し、また長寿大国となっております。その中で、生産年齢人口の減少、また人材不足も大きな問題となっております。このような状況を踏まえて、意欲のある高齢者や女性、障害者、外国人など、多様な人材が活躍できる社会の構築は急務というふうに考えております。
今回の改正は、働き方の変化やライフスタイルの多様化に対応し、年金制度の機能強化を図る重要な取組であると私自身は認識しています。基礎年金の引上げが修正案に盛り込まれたことは、私自身も就職氷河期世代で、特に女性が非常に就職が厳しく、低年金に直面することが予想される中で、大きな前進だと評価しています。また、遺族年金の五年有期給付拡大に伴う配慮措置や、労使折半を超えた保険料負担に対して全額を支給するなど、公明党が提案した対応に対しても実現がされたことに関して感謝申し上げます。
年金制度の改正による働きやすさの向上は、労働力不足が深刻化する我が国の未来においては極めて重要です。しかし、社会情勢は常に変化しており、その変化に応じて年金制度を不断に見直していくことは不可欠だと思います。
そこでお聞きしますが、高齢者の働き方の多様化に対応した引き続きの制度の見直しや、拠出期間延長による基礎年金水準の確保、また三号被保険者の在り方などについても検討が必要と思いますが、今後の年金制度の在り方について、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 御指摘のように、今回の法案は、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直しといった事項を見直しているということを盛り込んでおるということは、先ほど来答弁をいたしておるとおりでございます。
拠出期間の延長、第三号被保険者制度の在り方について検討規定を設けましたのは、このことについて、今国会での御指摘も踏まえて、第三号被保険者の制度、これをどうするんだということは公平性、不公平性の問題がございまして、この点をどうするかということ、拠出期間を延長するということはどのような問題を持っているのかということ等々、このことについては相当に詰めた議論が必要であり、検討規定を設けたというのは、単に検討しますということではなくて、委員御指摘のような内容をきちんと検討して成案を得るということだと思っております。
今日に至るまでの御党の御提案というものを生かしながら、今後、検討においてまたいろいろな御意見を賜りたいと考えております。
○沼崎委員 ありがとうございます。
精緻に議論を進めて検討を進めていくという、そのような御返答でしたので、私たち公明党はこれまでも提案をしてまいりましたけれども、引き続き、国民の生活を第一に考えて、年金だけではなくて、ほかの社会保険制度も含めた持続可能な社会保障制度の構築に私自身も全力を尽くすことをお誓い申し上げて、今回の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、八幡愛君。
○八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。
今月二十日の本会議で、私は総理に公的年金の保険料支払いを滞納しそうになった経験はありますかと質問をしましたが、総理からは、個人的なことについてはつまびらかに申しませんとそっけない御答弁をいただきました。
私がその質問をした意図というのは、行政のトップである総理には、全ての国民に寄り添うことが大切だと思ったからなんですね。自分を将来守ってくれるはずのこの年金制度、保険料の支払いに追われてしまう、保険料支払いに頭を悩ませる、払えないといって免除申請したら、またもらえる額も減らされる。自分は何をしているんだと堂々巡りで考える国民というのは実際いるわけですよ。
今回の年金改革法案、全く今を生きる国民に寄り添っていないと考えます。年金における本質的な課題であるそもそもの基礎年金の低さについて、解決していないです。
満額でも月額六万九千三百八円と、生活保護費よりも低額であることを放置し、低年金者や現在四十九万人と推計される無年金者の存在は見捨てております。そして、物価は上がれど給料は上がらない中、今働いている人たちが年金を納めたくても納められない、将来に備えることよりも目の前の手取りが減るということの方が大変な人がたくさんいるという現実に向き合うものとはなっておりません。保険料の減免、最低保障年金の必要性についても同時に議論されるべきでした。
総理は、無年金の方、低年金の方、保険料減免を願う人たちにお会いしたことはありますか。身内やお友達にはおらなさそうなので、例えば御地元に帰ったときに、今を生きることだけでもう精いっぱいなんだという人たちの声を聞いたことはないでしょうか。
今回の年金法案、低年金、無年金の方、見捨てられた方たちへの対策、これからどうされるおつもりでしょうか。お願いいたします。
○石破内閣総理大臣 私は委員よりも三十八年長く議員をやっておりますので、それは、これも誰もがそうですが、選挙区にはいろいろな方がいらっしゃいます。
私は、当選五回ぐらいまで、一日二百軒、三百軒、どの家も歩くということをずっと続けてまいりました。いろいろな方がいらっしゃる。いろいろな事情からそういうような状況というものに今あられる方々。じゃ、どうするんだと。それは自己責任だということではなくて、そういう方々に対して、いろいろな御相談に応じる、いろいろな種類の給付金を用意するということで、政府といたしまして、そういう方を見捨てるというようなことはいたしておりません。
今後まだ必要なことがあるとするならば、それは制度というものを考えていかねばなりませんが、そういう方々が安定的に年金が受給していただけるような、そういう環境をつくることが大事だと思っております。物価上昇を上回る賃金上昇を実現するということも、それは、ひいては年金制度の安定にも直結をするものでございます。
私どもとして、本当に自分たちのことを何にも分かってくれないという方々がおられないようにすることは、政府の務めであると認識をいたしております。
○八幡委員 総理、分かっていらっしゃるじゃないですか。私が今言おうとした、そもそも経済を安定させないといけない、払えるように、安定した年金制度を保つために、今のこの国の経済を立て直さなあかんということを私は言いたかったんですけれども、御自身で言った。じゃ、何でやらないんですか。
低年金、無年金の方、選挙区にはいろいろあってねと、私よりも長い議員人生を歩まれて、いろいろな声を聞いてきたんやでと、今先輩として教えてくださったと思うんですが、じゃ、すぐにやっていただきたい。総理になったらすぐできるじゃないですか。やらないんだったら私に代わっていただきたいですよ、本当に。それぐらいの力はあるじゃないですか、総理というのは。この年金改革について、私と総理、今、話をやり取りしましたけれども、御自身で言ったことを是非実現していただきたい。
そして、今回の年金法案を審議するに当たり、もっと政府・与党は当事者の声を聞くべきだったと思うんです。参考人として識者の方がいらっしゃって、私も大変勉強になりました。でも、一番の参考人は国民じゃないですか。国民の声を聞く、これが一番の参考人だと私は思います。
私、今回の年金法案について、何もかもが不十分なまま衆院をこのまま通過していくということにすごく怒りを覚えています。政治家として国民に私は顔向けできないです。それは、総理、私よりも政治家歴が長いからどう思われているのか分からないですけれども、私は恥ずかしい。それでも私は国会を諦めたくないと思っています。
引き続き、れいわ新選組は、この国に生きる全ての人々、つまりはこの国のオーナーの代弁者として愚直に訴えてまいります。総理には御覚悟いただきたいです。
質問を終わります。ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
石破総理に質問します。
先月、テレビのニュースで、物価高騰の中で年金生活者の暮らしぶりを伝える特集がありました。風呂や洗濯の回数を減らしている、スーパーで値下げシールが貼られるまで買物を待っている、それから、お米が高いから麺類に切り替えて生活している、さらに、びっくりしたのは、九十歳の男性なんだけれども、家賃の支払いが大変になって、警備員の仕事を週三回ほどやっていると。
少ない年金、押し寄せる物価高騰、総理は高齢者の苦境についてどういう認識をされていますか。
○石破内閣総理大臣 そういう方々がおられるというのは、委員の御指摘もございました。私自身、なかなか大臣になってから選挙区を悉皆的に回るということができておりませんが、そういう方がおられるということを見るたびに、政治のやらねばならないことはたくさんあると。
こういう方々に対して、お一人お一人、何ができるのかということ、それは年金だけではございません、物価上昇もそうです、あるいは職の安定もそうです。一人一人が、政治が自分たちのことについてきちんと思いを致しているという実感を持っていただけるよう、更に努力をしたいと考えております。
○田村(貴)委員 マクロ経済スライド制度が導入されて、二〇〇四年以降、年金の実質額は一〇%減少しました。今回の自民、公明、立憲の三党合意による修正を行ったとしても、過去三十年投影ケースでは、更に今後十年間、年金の実質額が一〇%下がることになります。
高齢者世帯、それから、特に女性の世帯の貧困は深刻であります。その主要な要因は低い年金にあることは間違いありません。物価がこれほど上がっても、年金を抑制する制度、政策を続けていいんでしょうか。ますます生活が成り立っていかないのではないでしょうか。
マクロ経済スライド制は直ちに止める観点に立つべきだと思いますが、総理、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 マクロ経済スライドというのは、どうやってこの制度を維持をしていくかという観点から導入をされておるものでございます。年金の持続可能性というのは、維持をしていかねばなりません。しかし同時に、給付額をいかにして増やしていくかということを本当に皆が呻吟しながら考えて、今回の一定の修正ということになっているというふうに私自身承知をいたしております。
ですから、どなたかが先ほど一里塚という表現をお使いになりましたが、それはあくまで一里塚なのであって、これから先、経済をどのようにして成長させていくか、仮にそうでない場合にどのような対応が可能なのかということを、次回の再検証ということもきちんと視野に入れながら、精密な議論をして、今委員御指摘のような、そういう方々の思いに応えていくということが私どもの責任であると考えておるところでございます。
○田村(貴)委員 給付額をいかに増やしていくか。給付額が減っていくんですよ、実質額が。
総理は、私の本会議質問の中で、年金生活者給付金もあると言われましたけれども、これは五千四百五十円です。そして、基礎年金だけを受けている方で、二十五年以上掛けておられる方の月額平均は給付額五万六千円ですよ。こういう給付金を足しても、生活保護基準以下の水準になるんです。その年金を更に下げていくのが今度の修正合意になっているんです。
この法案がもし通ったとして、年金受給者、国民に、今の日本の年金制度、希望やそして安心が見えていけるとお思いですか。
○石破内閣総理大臣 それは、私の答弁の冒頭、長妻委員の質問にお答えをしたことが全てだと思っております。
どのようにして給付金というものを少しでも多く受け取っていただくことができるか、制度全体をどのように考えていくかということで今までの御議論を賜っているものでございまして、これを更に精緻なものに検証してまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 減る年金、そして物価高騰の嵐の中でも、国民の多くが求める消費税減税には背を向けたまま。石破政権への不満とそして不信、国民のその思いは募る一方だということを申し上げて、質問を終わります。
○藤丸委員長 これにて内閣総理大臣出席の下の質疑は終了いたしました。
内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。
以上で原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。
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○藤丸委員長 この際、本案に対し、浅野哲君から、国民民主党・無所属クラブ提案による修正案及び田村貴昭君から、日本共産党提案による修正案がそれぞれ提出されております。
提出者より順次趣旨の説明を聴取いたします。浅野哲君。
―――――――――――――
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○浅野委員 ただいま議題となりました社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
国民民主党は、基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライドの早期の同時終了措置の実施による将来の基礎年金の給付水準の確保のみならず、年金制度における重要な諸課題について幅広く検討を進めるべきとの認識の下、本修正案を提出することといたしました。
以下、本修正案の主な内容を御説明申し上げます。
第一は、被用者保険の適用拡大についてです。本修正案では、被用者保険の適用拡大をより一層進めるため、政府は、短時間労働者への被用者保険の適用要件のうち、企業規模要件を令和十二年九月三十日までの間に撤廃すること、被用者保険の適用が除外される労働時間要件について週の所定労働時間を十時間未満とすること、これらの措置を講ずる場合において新たに被用者保険の被保険者となる短時間労働者を使用する中小企業者の経済的負担を軽減するための方策について、それぞれの検討を加えることとしております。
第二に、国民年金の被保険者期間の延長についての検討規定の検討の対象について、国民年金の第一号被保険者の被保険者期間を四十五年とすることを明記することとしております。
第三に、国民年金の第三号被保険者の在り方についての検討規定を、政府は、育児や介護等の働きたくても働くことができない事情がある者にも配慮しつつ第三号被保険者の廃止に向けて早急に検討を加えることとする規定に改めることとしております。
第四に、国民年金の保険料を追納できる期間について、政府は、国民年金の被保険者の資格を取得した日の属する月に遡って追納を認めることについて検討を加えることとしております。
第五に、政府は、低所得者及び中所得者の高齢期における所得の確保を支援するため、個人型確定拠出年金において国が支援金を拠出する新たな制度の創設について検討を加えることとしております。
第六は、いわゆる就職氷河期世代への支援についてです。本修正案では、政府は、就職氷河期世代で、被用者保険の適用事業所以外の事業所で使用されていた者又は被用者保険の適用が除外されていた者に対する老齢を支給事由とする給付に係る制度の拡充について検討を加えることとしております。
第七に、政府は、将来にわたり安心できる年金制度の在り方を審議するため、幅広い国民の意見を反映する観点から年金制度改革国民会議の設置について検討を加えることとしております。
第八に、政府は、今後の社会経済情勢の変化を見極め、四年後の次期財政検証において、国民年金の調整期間の見通しと厚生年金保険の調整期間の見通しとの間に著しい差異があり、公的年金制度の所得再分配機能の低下により老齢基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合には、基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライドを同時に終了させるために必要な法制上の措置を講ずるものとし、この措置を講ずるに当たっては、高所得者の高齢者の基礎年金の国庫負担分の全部又は一部の額を払い戻す、いわゆるクローバックを含め、この措置による老齢基礎年金の給付水準の向上により必要となる国庫負担の額に充てるための安定した財源を確保することについて検討を加えることとしております。
さらに、政府は、この法制上の措置を講ずる場合は、その影響を緩和するために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとしております。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○藤丸委員長 次に、田村貴昭君。
―――――――――――――
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○田村(貴)委員 ただいま議題となりました社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
物価高騰が国民生活を脅かしている中で、年金生活者の暮らしは特に大きな影響を受けています。その原因は、物価が上がっても年金給付水準は引き上げないとするマクロ経済スライド制であります。
政府・与党は百年安心の年金と言い続けてきましたが、マクロ経済スライドの導入からこの二十年間で、公的年金の給付水準は実質約一割も削減され、さらに、昨年の財政検証によれば、過去三十年の経済状況が続く前提では、マクロ経済スライドによる給付調整は二〇五二年度まで継続する見込みとされています。その結果、年金給付水準は、現在から実質一五%引き下げられます。多くの年金生活者にとっては、年金削減が生涯続くと言っても過言ではなく、国民の年金制度に対する不安感や不信感は増すばかりです。
本委員会の質疑において、マクロ経済スライドの長期化による年金給付水準の低下が大きな問題であることは、党派を超えて広く認識されているところであります。しかし、その対策として、自民、立憲、公明が提出した修正案は、給付水準低下の原因であるマクロ経済スライドを直ちに止めるものではなく、早期終了の措置を講じたとしても、今後、十年以上にわたって削減が継続され、年金給付水準が引き下げられていきます。これで果たして、真に国民が安心できる年金、暮らせる年金と言えるでしょうか。
日本共産党は、長引く物価高騰の中で年金生活者の暮らしを守るとともに、現役世代の大幅減額を避けるために、マクロ経済スライドを直ちに停止する必要があるとの認識の下、本修正案を提出することといたしました。
以下、修正案の主な内容を御説明いたします。
政府は、この法律の施行後速やかに、公的年金制度の財政基盤を強化し、マクロ経済スライドを速やかに終了させるため、厚生年金の積立金の重点的な活用、厚生年金の標準報酬月額の上限額の更なる引上げ及び短時間労働者に対する被用者保険の更なる適用拡大について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする規定を追加すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いを申し上げます。
○藤丸委員長 以上で両修正案の趣旨の説明は終わりました。
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○藤丸委員長 これより原案及び各修正案を一括して討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。大塚小百合君。
○大塚委員 私は、立憲民主党・無所属を代表し、政府提出、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案、立憲民主党、自民党、公明党提出の修正案それぞれに対して賛成の立場から、国民民主党提出の修正案、日本共産党提出の修正案それぞれに対して反対の立場から討論を行います。
冒頭、政府・与党の対応について一言申し上げます。
政府提出法案は、重要広範議案であるにもかかわらず、提出が二か月も遅れ、その結果、野党各党も参加した上で、多岐にわたる法案の様々な論点について十分な修正協議を行うことができませんでした。国会軽視の対応であり、改めて強く抗議いたします。
政府提出法案が目指す、高齢期における生活の安定及び所得再分配機能の強化といった方向性には賛成できます。しかし、マクロ経済スライドにより、厚生年金加入者も含めた全ての方の基礎年金の水準が三割も減ってしまうことが見込まれているにもかかわらず、政府提出法案からは年金底上げのための措置が抜き取られていました。原案のままでは、多くの現役世代と若者が老後の貧困に陥ってしまうおそれがあります。
今回の法改正の機会を逃せば、秋の臨時国会での年金審議ができる保証はなく、永遠に年金の底上げが行われない可能性があります。立憲民主党は、そうした危機意識を持ち、厚生年金と基礎年金の給付水準の調整を同時に終了させることによる底上げと、この措置により一時的に年金が減額となる高齢者に対する影響を緩和する措置を講じることを盛り込んだ修正案を提示しました。
私たちの修正案で、厚生年金を含めた全ての方の基礎年金の目減りが早期に止まり、現役世代と若者の年金が大幅に増えることが厚生労働省の試算で明らかになっております。低年金の方々だけでなく、多くの現役世代と若者が老後の貧困から救われます。生活保護増加による将来の財政悪化も防ぐことができます。
立憲民主党は、これからも全ての世代の国民に信頼され、必要とされる年金制度の確立を目指して、全力を挙げて取り組んでいく所存であることを申し述べ、討論を終わります。(拍手)
○藤丸委員長 次に、浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲です。
ただいま議題となりました国民年金法等の改正案、政府原案及び自民党、公明党、立憲民主党提出修正案、共産党提出修正案について、いずれも反対の立場から討論をいたします。
まず冒頭、本日朝の理事会で、委員長職権で質疑の終局、そして採決が決められたことに改めて遺憾の意を表します。
年金制度は、老後の暮らしを底支えする基盤的制度です。昨年の財政検証結果を受け、厚生労働省の年金部会では給付と負担のバランスを見直すための議論が重ねられました。しかし、本日のような強引な審議の進め方、それ以前も、本法案の参院選への影響を懸念した自民党内の政治的葛藤によって法案提出が二か月遅れたことも、国民の信頼を損ねる行為だったと言わざるを得ません。
政府案には、企業規模要件の撤廃や在職老齢年金の見直しといった評価できる点もありますが、基礎年金底上げに踏み込めなかった点、遺族年金制度の支給期間短縮を進めるなど、多くの課題を残しています。特に、企業規模要件の撤廃に十年を要することは余りにも遅く、段階的適用中の労働者間の不公平さも看過できません。
さらに、自、公、立憲提出の修正案は、削除したマクロ経済スライド同時終了措置を復活させ、基礎年金の底上げの一定改善を図るものの、実施は次期財政検証後とされ、その検討範囲は極めて限定的だと思います。氷河期世代支援や第一号被保険者期間の延長、第三号被保険者制度の在り方の見直し、さらには国庫負担金の安定化策まで踏み込んだ我が党の修正案に比べ、不十分な内容と言わざるを得ず、反対をします。
政府案及び自、公、立憲修正案は、重要議案でありながら審議も不十分で、このままでは立法府の責任を果たせません。共産党提出修正案については、基本的な考え方を異にしているものであることから、反対いたします。
国民民主党は、持続可能で公平な年金制度の熟議に基づく構築を求めています。それがなければ真の制度改革は果たせないことを訴え、討論を終わります。(拍手)
○藤丸委員長 次に、八幡愛君。
○八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。
私は、れいわ新選組を代表し、政府提出案、そのほか全ての修正案に反対の立場から討論をいたします。
第一に、本法案は、年金における本質的な課題を解決するものとなっておりません。先送りにしています。
基礎年金は満額でも月額六万九千三百八円と、生活保護費よりも低額であることを放置し、低年金者や現在四十九万人と推計される無年金者の存在を見捨てています。そして、物価は上がれど給料は上がらない中、今働いている人たちが年金を納めたくても納められない、将来に備えることよりも目の前の手取りが減ることの方が大変な方がたくさんいるという現実に向き合うものとはなっておりません。
第二に、本法案は、マクロ経済スライドを維持しています。
物価高になれば、それに応じて年金給付額を増やすのが人として当たり前の感覚ですが、マクロ経済スライドは、逆に年金額を抑制し、ただでさえ低い年金の人たちを更に生活困窮へと追い込むものであり、逆進性があると言えます。マクロ経済スライドの即時廃止をしなければ、年金問題の解決はいたしません。
第三に、本法案では、基礎年金の財源の半分は国庫で賄うため、底上げで必要となる国庫負担は、二〇四〇年度に五千億円、二〇五〇年度は一兆七千億円、二〇六〇年度には二兆円と膨らむ見通しです。それにもかかわらず、国庫負担の内訳が明示されておらず、納得のいく議論もなく、法案提出者は説明責任を果たしていない。
消費税を増税して賄う可能性を払拭できない以上、賛成することは到底できません。
年金改革において必要なのは、国民負担ありきの小手先の改革論ではなく、この国に生きる全ての人々を底上げするための積極財政です。
れいわ新選組は、積極財政により、基礎年金を底上げし、低年金者、無年金者を支える最低保障年金の創設、社会保険料の減免、日本経済回復のために、消費税廃止と季節ごとに給付金をする、これによって全ての国民に希望のある将来を約束する、年金制度の抜本的解決を訴えております。
以上の理由から、原案、修正案、全てに反対をして、討論を終わります。
ありがとうございます。
○藤丸委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の国民年金法等改正案、そして、自由民主党、公明党、立憲民主党、三党共同提出の修正案並びに国民民主党の修正案に反対の討論を行います。
政府案に反対する理由は、現在の公的年金制度の最大の問題であるマクロ経済スライドによる長期の年金削減を、今後も十数年単位で削減を続けることを前提とするものだからです。過去三十年投影ケースによる試算によると、二〇五二年まで、年金額が二十七年間削減することになります。
物価高騰の中で減り続ける年金が、物価高騰に苦しむ高齢者の生活を更に脅かすことになります。また、高齢者の貧困率が上昇傾向にありますが、これを促進しかねないものとなっています。
三党修正案は、基礎年金の調整期間の短縮を図り、基礎年金の目減りを政府案よりは小さくすることを目指すものですが、それでも二〇三七年まで十二年間、マクロ経済スライドによる削減が行われ、現在より給付水準は一割引き下げられることになり、容認できません。
調整期間が長期化することで、今の受給者や近く受給者になる方の年金の実質価値は生涯減り続けることになります。三党修正案によっても、氷河期世代の一部を含めて、同様の問題が起こります。高齢者に生涯節約を求め、高齢者や現役世代の将来不安をますます深刻化させることになります。
年金額の底上げと言うのであれば、我が党が提案しているように、厚生年金積立金の活用、更なる適用拡大、厚生年金の標準報酬月額上限の更なる引上げ等によって、直ちにマクロ経済スライド制を停止させる措置を取ることが必要です。
遺族厚生年金の見直しは、男女格差の解消を進めるものですが、六十歳以下の給付を有期化するもので、遺族の生活保障機能を弱めるものです。男女格差の解消には、現在の女性に合わせて男性の給付を手厚くすべきです。
短期労働者の被用者保険の適用拡大や厚生年金の標準報酬月額上限の引上げは、不十分ながら評価できるものですが、マクロ経済スライドによる年金額削減を長期にわたって続けることは賛成できません。
国民民主党提案の修正案は、次期財政検証までの五年間、その後の調整期間の同時終了措置が前提であり、マクロ経済スライドによる年金水準の削減を容認するものであり、反対です。
以上で討論を終わります。
○藤丸委員長 以上で討論は終局いたしました。
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○藤丸委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案及びこれに対する各修正案について採決いたします。
まず、田村貴昭君提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○藤丸委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、浅野哲君提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○藤丸委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、田村憲久君外七名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○藤丸委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○藤丸委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
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○藤丸委員長 この際、本案に対し、長坂康正君外二名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。長坂康正君。
○長坂委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 企業規模要件の撤廃などの適用拡大に伴う経過措置として実施する、事業主が労使折半を超えて社会保険料を負担し、労使折半を超えて負担した社会保険料を制度的に支援する特例措置が円滑に行われるよう、必要な措置を講ずること。とりわけ、この特例措置が、事業主及び保険者に多大な事務負担を課すものとならないよう、システム改修等を含めた事務負担の軽減に配慮すること。また、被用者保険の適用拡大により保険料負担が増加する中小企業及び小規模企業者に対しては、政府が実施する各種の支援措置の十分な周知に努めること。
二 被用者保険の適用拡大により被用者保険に加入することとなる標準報酬月額の比較的低い短時間労働者の中には、国民年金の第一号被保険者から第二号被保険者になることで社会保険料の被保険者負担が軽減する者がいることから、被用者保険制度内で財源を賄うこととしている被用者保険の適用拡大に伴う経過措置として行われる事業主支援を一律に行うことは合理性に問題があるのではないかとの指摘があることを考慮しつつ、第一号被保険者の中には、就業調整をすることで被用者保険の加入を回避しようとする者や国民年金保険料の免除制度利用者など被用者保険に加入することに伴い社会保険料負担が増加する者もいることなどを踏まえ、支援を受ける中小企業及び小規模企業者の実務的な課題も整理しながら、支援の対象となる第二号被保険者の範囲について整理すること。
三 短時間労働者への被用者保険の適用拡大について、企業規模要件の撤廃を待つことなく早期に任意の適用を進めるための方策について検討を加え、必要な措置を講ずるよう努めること。また、国民健康保険制度の在り方等に留意するとともに、雇用保険の加入要件が令和十年十月から週十時間以上になることなどを踏まえ、労働時間要件の週十時間以上への引下げ等、更なる短時間労働者の被用者保険への適用拡大について検討を加え、必要な措置を講ずること。
四 子どもの権利やジェンダー平等の観点から社会通念上妥当性を欠くことのないよう、遺族年金制度の見直しを引き続き検討すること。
五 障害年金の判定に際しては、障害年金の不支給が急増したとの報道を受けて六月に公表される令和六年度における認定状況の実態把握のための調査結果を踏まえ、必要な措置を講ずるとともに恣意的な判定がなされないように透明性を確保するための検討を行い必要な措置を講ずること。併せて、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」を踏まえ、就労継続支援B型事業所又は障害者雇用で働く者等について、就労していても、その状況等を考慮し、二級などの可能性がないかを検討した上で等級を判断すること。また、障害年金制度については、医学モデルのみならず社会モデルも踏まえて、機能障害のみならず、日常生活の状況等を把握した上で障害等級の認定を行うこと。
六 障害厚生年金の支給要件について、過去に一定の厚生年金被保険者期間がある場合に被保険者資格喪失後にある初診日であっても支給を認める「長期要件」や被保険者資格喪失後の一定期間内にある初診日を認める「延長保護」などを検討し、必要な措置を講ずること。また、多様な障害種別に配慮し、当事者や関係者の実情を踏まえ、障害年金制度の見直しを進めること。
七 低所得者及び中堅所得者の高齢期における所得の確保を図るための方策を検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。また、高額所得による老齢基礎年金の国庫負担相当分の支給停止について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
八 老齢基礎年金と老齢厚生年金の給付水準の調整を同時に終了するために必要な措置及び当該措置により老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額が減少する者への影響を緩和するために必要な措置を講ずるに当たっては、その安定した財源を確保するための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
九 次期財政検証では、四十年を超えた厚生年金被保険者期間の基礎年金における取扱いを含め、基礎年金の四十年から四十五年への拠出期間の延長について、その実施に伴う安定した財源の確保も含めて検討し、その結果を踏まえ必要な措置を講ずること。その他、次期年金制度改正に向けては、第三号被保険者制度の在り方、年金生活者支援給付金等を含めた低年金者の支援の在り方といった課題についても、速やかに検討を進めること。第三号被保険者制度については、国民的な議論に資するような実情に関する調査研究を行うこととし、調査研究に当たっては、現行制度に関わる当事者の意見を聴取するよう努めること。
十 年金制度改革は五年に一度の財政検証後に遅滞なく行うことを検討すること。
十一 次期財政検証に当たっては、今回の財政検証の前提は楽観的過ぎるとの指摘を踏まえ、出生率、経済成長、女性の社会進出などについてより厳しい前提で検証を行い、その結果を踏まえ必要な措置を検討するとともに、令和二年法改正時の附帯決議で指摘があったように、全要素生産性上昇率や実質賃金上昇率の長期の前提について足下の状況を踏まえ、現実的かつ多様な経済前提の下での結果を示すこと。
十二 令和二年法改正時の附帯決議のうち、年金の繰下げ受給における加算等の不支給及び負担の増加に関する国民へのわかりやすい周知、個人型確定拠出年金に係る中小事業主掛金を拠出できる中小事業主の範囲等の拡大等、複数の事業所で勤務する者で労働時間等を合算すれば適用要件を満たす場合の被用者保険の適用等十分に実施できていない事項が指摘されていることを踏まえ、今後更に必要な検討を加え必要な措置を講ずるように努めること。
十三 令和二年法改正による条文誤りがあり、厚生労働省が法律と実際の運用とに乖離があることに気づきながら運用で対応していたことについては好ましくないことであり反省を求めるとともに、今後は厚生労働省において条文誤りがあると気づいたときには、同様の事態が生じないように早急に必要な措置を講ずること。
十四 年金制度の基本的な仕組みや本法の趣旨及び内容について、国民へのわかりやすい周知・広報を行うこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○藤丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○藤丸委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、福岡厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福岡厚生労働大臣。
○福岡国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。
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○藤丸委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○藤丸委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十八分散会